運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1994-11-30 第131回国会 衆議院 世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十一月三十日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長  佐藤 孝行君    理事 越智 伊平君 理事 川崎 二郎君    理事 田中 直紀君 理事 中川 昭一君    理事 小平 忠正君 理事 畑 英次郎君    理事 日笠 勝之君 理事 伊藤  茂君    理事 辻  一彦君       逢沢 一郎君    赤城 徳彦君       片岡 武司君    岸本 光造君       久間 章生君    栗原 博久君       小杉  隆君    斉藤斗志二君       塩崎 恭久君    七条  明君       福田 康夫君    二田 孝治君       松岡 利勝君    松下 忠洋君       御法川英文君    赤羽 一嘉君       井奥 貞雄君    今津  寛君       江崎 鐵磨君    遠藤 乙彦君       大石 正光君    金子徳之介君       木幡 弘道君    古賀 正浩君       坂本 剛二君    鮫島 宗明君       田名部匡省君    千葉 国男君       仲村 正治君    平田 米男君       星野 行男君    松田 岩夫君       吉田  治君    秋葉 忠利君       遠藤  登君    大畠 章宏君       金田 誠一君    永井 哲男君       鉢呂 吉雄君    濱田 健一君       前島 秀行君    横光 克彦君       和田 貞夫君    錦織  淳君       前原 誠司君    藤田 スミ君       松本 善明君    遠藤 利明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         自 治 大 臣 野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 小澤  潔君  出席政府委員         内閣官房内閣広         報官室内閣広報         官       半田 嘉弘君         防衛庁参事官  江間 清二君         防衛庁装備局長 荒井 寿光君         国土庁地方振興         局長      松本 英昭君         外務大臣官房外         務参事官    谷内正太郎君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省経済協力         局長      平林  博君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵省主計局次         長       中島 義雄君         大蔵省関税局長 鏡味 徳房君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆俊君         文化庁次長   林田 英樹君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         農林水産省構造         改善局長    入澤  肇君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省畜産         局長      高木 勇樹君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         農林水産技術会         議事務局長   野中 和雄君         食糧庁長官   上野 博史君         林野庁長官   塚本 隆久君         特許庁長官   高島  章君         特許庁特許技監 油木  肇君         特許庁総務部長 森本  修君         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         建設大臣官房総         務審議官    原  隆之君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         消防庁長官   紀内 隆宏君   委員外出席者         外務委員会調査         室長      野村 忠清君         大蔵委員会調査         室長      中川 浩扶君         文教委員会調査         室長      長谷川善一君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ————————————— 委員の異動 十一月三十日  辞任          補欠選任   井奥 貞雄君      星野 行男君   仲村 正治君      江崎 鐵磨君   平田 米男君      赤羽 一嘉君   秋葉 忠利君      金田 誠一君   鉢呂 吉雄君      前島 秀行君   和田 貞夫君      大畠 章宏君 同日  辞任          補欠選任   赤羽 一嘉君      平田 米男君   江崎 鐵磨君      仲村 正治君   星野 行男君      金子徳之介君   大畠 章宏君      和田 貞夫君   金田 誠一君      濱田 健一君   前島 秀行君      鉢呂 吉雄君 同日  辞任          補欠選任   金子徳之介君      井奥 貞雄君   濱田 健一君      遠藤  登君 同日  辞任          補欠選任   遠藤  登君      秋葉 忠利君     ————————————— 本日の会議に付した案件  世界貿易機関を設立するマラケシュ協定締結について承認を求めるの件(条約第一号)  著作権法及び万国著作権条約実施に伴う著作権法特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一一号)  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一二号)  繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  農産物価格安定法の一部を改正する法律案内閣提出第一四号)  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第一五号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提出第一六号)  主要食糧需給及び価格の安定に関する法律案内閣提出第一七号)      ————◇—————
  2. 佐藤孝行

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  世界貿易機関を設立するマラケシュ協定締結について承認を求めるの件、著作権法及び万国著作権条約実施に伴う著作権法特例に関する法律の一部を改正する法律案加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案農産物価格安定法の一部を改正する法律案特許法等の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案及び主要食糧需給及び価格の安定に関する法律案の各案件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許しますが、その前に、一言、お断りしておきます。  きょうの質疑者は合計十四名でございます。質疑者はもちろんですが、答弁する側もその点を踏まえて、適切なる答弁をお願いいたしたいと思います。  それでは、最初に、松下忠洋君。
  3. 松下忠洋

    松下委員 松下忠洋と申します。鹿児島の中山間地出身でございます。一年生でございます。二十五分間でございますので、答弁の方もよろしく簡明にお願いを申し上げます。  まず初めに、きょうは十一月の三十日、アメリカは二十九日と思いますけれどもアメリカ議会審議状況が、最新状況はどうなっておりますか、ひとつ新しいニュースがございましたらお聞かせいただきたい。よろしくお願いいたします。
  4. 河野洋平

    河野国務大臣 私どもが連絡を受けましたところによりますと、米国議会下院は、日本時間でけさ、現地時間で二十九日の夕方でございますが、ウルグアイ・ラウンド合意実施法案を賛成多数で可決したという報告がございました。
  5. 松下忠洋

    松下委員 きのうの夕刊によりますと、クリントン大統領みずからが、大統領の官邸にたくさんの与野党議員を集めて総決起大会を開いたということがございましたが、今の外務大臣お話で無事通過したということでございまして、これは大変結構なことだというふうに考えております。問題は、その中身について一つだけお聞かせいただきたいと思っております。  いろいろなガットウルグアイ・ラウンドの膨大な英文資料もいただきましたが、なかなか読みこなせない状態でございますし、アメリカの方の国内実施法案が、どのような中身のものが通っているのかということが非常に大事だと私は考えております。  去年の十二月に私たちはジュネーブに行ってまいりまして、これは六人で行ってまいったのでございますけれども、いろいろな方々に会ってまいりました。そのときに、日本も米を開放するんだということをお話しして、そのことについてアメリカのストーラーという公使にお会いしてまいりました。そのときに、日本もこれまで踏み切ったんだからアメリカウェーバー品目の十四品目を、自由化義務免除をしていたものを全部これは開放するんだということを言われました。本当ですかということを私は確認したのですけれども、間違いないということを話されました。  その後、いろいろな新聞情報では、いや、国内に有利なような形にいろいろまとめていくんだ、アメリカはそうしたけれども、やはり国内保護主義が強く、自分たちに有利なようにしていくという話も聞きましたけれども、今度の国内法案の中で、そのウエーバーによる輸入制限の問題、生鮮ミルクでありますとかバター、チーズ、落花生、そういったようなものがどのようなふうに取り扱われているのか、そこをきちっと御説明いただきたいと思います。
  6. 原口幸市

    原口政府委員 現在、米国議会審議中の合意実施法案の第四百一条の同というところによりますと、農業調整法の第二十二条は、同条による輸入制限措置、すなわち数量制限または課徴金が、WTO協定米国について効力を生ずる日からWTO加盟国の産品についてとられないように修正されることになっております。それから、アメリカが出した譲許表にも、今までのウエーバー品目関税化するということが書いてございます。
  7. 松下忠洋

    松下委員 ただいま外務省の方からお答えをいただきました。確かに、そういうことであれば、後はそれをきっちりと国際公約として守っていただくということをこれから我々もしっかりと見詰めていかなければならないというふうに考えております。  次に、この十五分野にわたるウルグアイ・ラウンド合意がなされました。そして、知的所有権でありますとか、サービス分野でありますとか、新しい分野を含めて幅広い合意がなされたわけでございます。その中の一つ農業分野でございました。  私は、今でもまだすっきりとしないところがございます。きょうここにお並びの閣僚方々、その後ろに旧連立の閣僚方々がおられるということも頭に描きながら、少しお話をさせてもらいたいというふうに考えております。  農業分野の問題だけはやはり少し違うのではないかということを私は素朴に感じてまいりました。百メートル競走をするにいたしましても、平たんな百メートルを走ってくる場合と、山道や谷道を越えて走ってくる、そういう状況の違いがございます。その中で同じ記録を出せと言われてもこれはどだい無理でありまして、その間にいろんな違いが出てくるのは、これは当たり前でございます。そういう条件を同じくするために、山を削ったり、道を広げたり、緩やかにしたりしながら、同じ条件で競争できるような、そういう状況をつくっていかないと不公平ではないかということをしみじみ思っておりました。  農業の問題におきますと、我が国の中山間地におけるいろんな取り組みがございますけれども、こういう状況の中ではなかなか思うように進まないということが実態だろうと思います。  日本の稲作という問題もございました。一般通商品目とやはり違うのではないかということをしみじみ考えながら、もう少しこの交渉過程において何か工夫をすべきでなかったのかということを素朴に感じてまいりました。  いろんな文献を読んでみますと、アメリカの海運の問題、それからヨーロッパの映像、オーディオビジュアルの問題、あるいはエアバスの輸出補助金といったことがウルグアイ・ラウンドテーブルから棚上げされて、ウルグアイ・ラウンドテーブルからそれを外して、そうして今回の十五分野にわたる合意がなされた。今回結ばれたのは、合意がなされたのは、そういう両国間であるいは地域間で非常に大きな課題になり、摩擦になっていたものは、とりあえずそのテーブルから外して後の協議に持っていこう、そうしてそれまでの間に合意のあったものについてやっていこうじゃないかというふうになったんだということもいろんな文献で読んだことがございます。  だとすれば、私たちのこの農業の中でのいろんな問題、これが、競争力を同じようにして、山を削ったり道を広げたりして緩やかなような条件にしながら、少しでも同じような条件に近づけながら、そういうところを待ってからきっちりと話し合いをもう一回するんだということがあってもよかったんではないかということを素朴に思います。  農業の中で、本当に昨年の秋から暮れにかけてどのような交渉をされてこられたのか。農業の問題だけは一時テーブルから外して、もう一回、地球規模のいろいろな環境の問題、世界人口の問題を含めて議論していくべき場をつくるべきではなかったかということも考えるわけでございますけれども農林省皆さん方、そして農林大臣外務大臣、いろんな交渉の中で、米の問題を、農業の問題をどのようなふうに考え交渉テーブルに臨み、どういう経過があって今回の受け入れということになりましたのか、そこのところをわかりやすく簡明に教えていただきたい、そのように思います。
  8. 河野洋平

    河野国務大臣 ウルグアイ・ラウンド交渉の主要な目的一つは、従来、限定的な形でのみガット規律が適用されてきた農産品貿易を改革して、公正で市場指向型のものにすることであったと思います。こうして開始された農業交渉におきましては、包括的関税化に例外を設けるべきではないとする国が世界大勢でございました。そうした世界大勢の中にあって我が国は、我が国農業をいかにして守るかということを考え、なおかつ新しい貿易ルールをつくる、このガット交渉というものの将来を見ながら交渉に当たってきたわけでございます。各国の対立する意見、それぞれの国がそれぞれの主張をぶつけ合う中で、ぎりぎりの案をつくるという努力がなされまして、昨年十二月に、我が国主張にも一定の配慮がなされた関税化特例措置を含む調整案が提示されるという状況になったと伺っております。  なお、今御指摘がございました海上運送でありますとかオーディオビジュアルなどのサービス貿易については、物の貿易に関するガットのような一般的な国際ルールが従来なかったわけでございまして、ウルグアイ・ラウンド交渉において初めて国際的な規律の第一歩がそれによって確立されるという状況でございましたから、交渉国のそれぞれ種々の利害を調整する過程で、漸進的な自由化を進めるとのアプローチをとらざるを得なかったわけでございます。  いずれにいたしましても、これらの分野は、サービス貿易一般協定適用対象外となるのではなくて、今後の二国間交渉などを通じて関係国自由化要求される道が開かれている、こういう理解でございます。
  9. 松下忠洋

    松下委員 確かに、オーディオビジュアルにいたしましても、それから海上運送にしましても、長い間米の問題でいろいろ議論してきたこととは歴史が違うかもしれませんけれども、やはり我が国にとって米というものが象徴的に、シンボル的にどのような意味を持っているかということを考えますと、もう少し大切な取り扱いがあってもよかったんではないかというふうに考えております。  ここに一つの、私ども先達の言葉がございます。これは、農林省の大先輩でございますけれども、「コメと日本人 どう生きる農業新時代」という新聞記事でございますけれども、この中で、小倉武一先輩、現在食料農業政策研究センターの会長でございますけれども、このように話をしておられます。ウルグアイ・ラウンド合意をどう評価しますか。先生はこう言っておられます。農業を犠牲にしてもラウンドを妥結させろということで、いろいろなことが書かれ、そして進められてきたけれども、それがどういうことかわかっているのか、このままでは日本は古代のフェニキアのような商人国家になって没落する、農産物工業製品と同じに考えて単なる物として扱うのは誤りだ、特に米の国際市場は小規模で不安定だ、足りなくなったから外国から買えばいいじゃないかというものではないのではないかということを言っておられます。  農林省の後輩の諸君は、先輩のこのお話をどのようなふうに受けとめておられるのか。農林大臣を含めて、この今回の合意を含めてどのようにお考えなのかをお聞かせいただきたい。
  10. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 ただいま松下委員がおっしゃったとおりの米に対する考え方で過去七年間のガットウルグアイ・ラウンド交渉に臨んで、徹底的な交渉をやってきたつもりでございますが、御案内のとおり、大多数といいますか、我が国、韓国以外ほとんどそれに対する同調を得られず、ウルグアイ・ラウンド交渉全体の妥結のためにあのドゥニー調整案を受け入れたという経緯でございます。
  11. 松下忠洋

    松下委員 これは文化の問題にもかかわるんですね。外国のお米をタイから輸入いたしました。そのお米が長いからといって、日本人たちは今度はそれを砕いて半分にして、炊いて食べてみた。そしてまた、今度はそれを角を取るためにグラインダーにかけて丸くするようなことまでして食べようとしている。僕は、これは本当外国人たちに失礼じゃないかなという気もするんです。その国の人たち本当自分たちが一番いいと思って育てたものを日本に食べてもらいたいと、日本もお願いして買ったのに、それを日本では砕いて、そうしてグラインダーにかけて真ん丸にしてしまって、前のものと、オリジナルのものと全く違うような形にして食べてしまおう、どこかがやはり狂っているんじゃないかなという気がします。それはそれなりでやはりきちっと食べ方を教えてもらって食べるべきであって、そういうものを砕いたりいろいろなことをしてこれは食べればいいというものではない。  やはりそれぞれの国が大事にしているものをどこかで忘れて、ただ何かそういうふうにおいしく食べられるようなふうにすればいいというような、安易な加工をしていればいいというようなことがあると、ここに言うように、小倉武一先生がおっしゃるように、大事なものを忘れて一般通商品目と同じように考えて、そうして結局滅びていくんじゃないかなという警告をしっかりと受けとめなければならないと私はしみじみと思っておるわけでございます。  どうぞこれからも、大事なところをきっちりと目にとめながらこれからの農業政策をしていっていただきたいし、外国とのおつき合いもそういうふうに大事にしていただきたい、しみじみ思っております。  中山間地対策についてお尋ねいたします。  自由民主党の農林部会に属しておりまして、何回も何回も話をしてまいりました。今回の中山間地対策、中山間地という地域がどういう地域がも後で教えてもらいたいと思いますけれども、その中で対策を実行するのは農林水産省が持っている予算だけではこれは対応できないだろう、このように考えておりまして、そこの地域の劣悪な生活環境をレベルアップする、そのためには道路も必要だし、そしてまた情報通信網も必要だし、過疎でありますからおひとり暮らしの健康の維持の問題もございます。巡回医療をどうするのか、下水をどうするのか、水をどうするのかといういろんな多様な協力がなければできないわけでございまして、そういう取り組み政府として本当にやろうとしておられるのかということをお聞きしたいと思うのであります。  ここに緊急農業農村対策重点項目がございます。後ろの方に「関係省庁における主な農業農山対策」と書いてございます。「多様な就業機会の確保」から「アクセス条件改善」「生活環境基盤整備」そして「情報通信高度化の促進」「医療・保健」「社会教育」「地方財政措置の拡充」、本当ですか、どのようなふうに各省庁一緒になってこれに取り組んでいこうとしておられるのか、そのことを、国土庁建設省厚生省、そして文部大臣もいらっしゃいます、学校の問題などどういうふうにされていかれるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。運輸省もございますが、よろしくお願いします。
  12. 小澤潔

    小澤国務大臣 簡略に要点のみを申し上げたいと思います。  国土庁といたしましては、先般決定された政府大綱に基づき、引き続き過疎山村、中山間地域を初めとする農山地域活性化を図るとともに、これらの地域が有する国土環境保全機能が十分発揮できるよう、関係省庁と連携しながら各般の施策をさらに積極的に推進してまいる所存であります。  なお、平成七年度概算要求におきましても、地域活性化国土環境保全の観点から、ウルグアイ・ラウンド農業合意に対応した中山間地域対策として、集落機能維持強化等に係る新たなモデル的事業要求いたしております。  先生、私も東京における三多摩農民の一人ですから、三多摩には中山間地域、奥多摩それから檜原地域がございます。よく農民の実情も踏まえておりますので、考えは全く先生と同じであることも申し添えておきたいと思います。
  13. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お答えいたします。  先生が御指摘のとおりでございますが、農業農村と一体化をする、農業振興と同時に担い手の定住を促進していかなければならぬ、そういう意味環境保全農業の主たる目的になってくる、中山間地帯はそういうふうに考えられます。  したがって、農林業一体となって、お示しのように、我々は、各省庁が相連携をして、総理大臣が主導しておりますように、厚生省国土庁建設省農林省一緒になってやれということでありますから、例えば集落排水や下水道問題、そういう問題については相協力し合ってやっておりますし、建設省としても、地域高規格道路あるいはふれあいトンネル、こういう意味地域活性化を図って、住みよい中山間地帯を実現しなければならぬというふうに予算要求等にも詳しく要求をしておる現状でございますので、先生は我が省の出身でもありますし、よろしく御協力のほどをお願いして回答にかえます。
  14. 松下忠洋

    松下委員 厚生大臣文部大臣、お願いいたします。運輸大臣も。
  15. 佐藤孝行

    佐藤委員長 運輸大臣要求はありませんから。
  16. 井出正一

    井出国務大臣 お答えいたします。  農山地域活性化対策につきましては、先般取りまとめられたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱において、私ども厚生省に関係する分野では、上水道や簡易水道整備合併処理浄化槽等排水処理施設整備、僻地における医療対策の推進、ゴールドプランの推進等が盛り込まれております。本大綱を踏まえつつ、農山地域活性化を図るため、これらの施策の推進に鋭意取り組んでいくつもりであります。  具体的には、農山地域の生活基盤として欠くことのできない水道施設の整備につきましては、水道未普及地域、現在普及地域が全国で九五・一%ですが、これを二十一世紀初頭までには九九%まで持っていく計画をしております、この解消。  それから、今年度から予算をつけて事業を始めておりますが、水洗トイレやシャワーが普及した生活に必要な水量、水圧の確保などの課題に重点的に取り組んでまいります。  また、合併処理浄化槽につきましては、農山地域において身近な生活環境改善に有効かつ効率的でありますことから、その整備推進については最大限の努力をしてまいるつもりでございます。  さらに、いわゆる僻地における医療の確保につきまして、現在第七次へき地保健医療計画に基づいて僻地中核病院、全国で百三十八カ所ございます、あるいは僻地診療所の整備や僻地勤務医師の確保など、各種の施策を行っているところであり、今後ともこの僻地医療対策の充実を進めていかなくてはならぬと考えております。  ただ、この第七次は、平成八年度以降につきましては第八次を予定しなくてはなりません。現在全国の無医地区等の実態調査を進めております。この結果をもとに、検討会において、二十一世紀に向けた総合的な僻地保健医療対策について検討をしておるところでございます。その結論を踏まえて、充実に努めてまいりたい。  また、高齢者保健福祉施設につきましては、特に過疎地域については、施設の小規模化等を配慮、例えば特養などは、五十人定員のところを三十人でもいいとか、あるいは小規模デイサービスセンターは、一日当たり利用人員が十五人程度というのが基準でございますが、これを八人でもいいといったような小規模化等の配慮をしながら、ゴールドプランに基づく基盤整備を着実に推進していくつもりでございます。
  17. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 短くお答えします。  まず第一には、文部省の所管のことといたしましては、公民館等社会教育施設を整備充実するということ、そういう場所において社会教育や生涯学習の機会を提供する、魅力ある農村をつくるということが一つ。それから、教育を通じまして、国民が農業に対する正しい理解を持つということが一つ。また、農業教育を通じまして、農業に従事する方を育成していくこと。また、もう一つは、やはり大学等におきまして、農業研究についてもさらに力を入れる必要がある、こういう四点を文部省としては考えております。
  18. 松下忠洋

    松下委員 質問時間が終了いたしましたので、最後に一つ要望だけして終わります。  鹿児島はでん粉が地域産業でございますけれども、これに対する対応策もしっかりとやっていただきたいということもお願いして終わりにいたします。
  19. 佐藤孝行

    佐藤委員長 次に、大畠章宏君。
  20. 大畠章宏

    大畠委員 日本社会党の大畠でございます。後ほどまた同僚議員から関連する質問がございますが、私は、今回の改正法案のうちの、特許法等の一部を改正する法律案、これについて御質問をさせていただきたいと思います。  この法案は、九三年末に合意されましたガット・TRIP及びことし一月の日米特許庁長官合意を踏まえて改正されるものでありまして、そのうち、特許期間の延長、特許対象の追加、英語出願の導入などなど、基本的には特に問題ないと考えております。そういう中で、幾つか内容を確認したいものがございますので、質問をさせていただきたいと思います。  最初に、特許付与後の異議申し立て制度の導入について御質問をさせていただきたいと思います。  この特許付与後の異議申し立て制度の導入でございますけれども、従来の特許付与前の異議申し立て制度を、今回の改正で付与後の異議申し立て制度に改正することになりましたけれども、この背景と目的について、当局から説明をいただきたいと思います。
  21. 高島章

    ○高島政府委員 お答えを申し上げます。  現行の特許付与前の異議申し立て制度は、瑕疵のない安定した権利付与という点では意義のある制度でございます。しかしながら、こうした制度におきましては、出願公告された出願のうち実際に異議申し出がなされるのはわずかであるにもかかわりませず、すべての出願につき一律に異議申し立て期間を経過するまで権利設定を待たなければならず、また異議申し立てがなされた場合、実際に申し立てが成立し特許権が認められなくなる割合は多くないにもかかわりませず、多数に及ぶこともある異議を処理しなければならない間特許権の成立がおくれることがございます。このように、従来の特許付与前の異議申し立て制度は、迅速な権利付与という点では問題点を有していたわけでございます。  さらに、諸外国の制度を見ましても、先進国の多くは、特許付与後の異議申し立て制度を採用しておりまして、制度の国際的調和を図る観点からも、我が国の制度改正が求められていたわけでございます。  以上のように、迅速な権利付与を実現するとともに、制度を国際的に調和したものにするために、付与前異議制度から付与後異議制度へと改正を行うものでございます。
  22. 大畠章宏

    大畠委員 それから、二点目の質問でありますが、今回の法改正によりまして、異議申し立てを審判官が審理するため、異議決定に不服がある場合は、その後補正の機会を与えられることがなく、すべて東京高裁へ出訴となり、一つには問題点として、出願者といいますか、出願人、権利者の負担が増大することが予想されますが、この件についてどうお考えでしょうか。  これは、従来は異議理由ありとなっても拒絶審査不服審判で補正により権利化される場合が多かったわけでありますが、これらのことから、補正の機会なくというのは非常に発明者の保護に欠けるのではないかと思いますが、この件についての見解をお伺いしたいと思います。
  23. 高島章

    ○高島政府委員 今回の付与後の異議申し立て制度下におきましても、特許権者には従来の付与前の異議申し立て制度下における補正に相当する手続といたしまして、特許の訂正手続が確保されております。特許権者は、申し立てられた異議理由を踏まえて特許権の内容を変更することができるようになっているわけでございます。  具体的には、付与後の異議申し立て制度におきましては、特許の取り消し決定がなされる前に特許権者に対して特許の取り消し理由が通知されることとなっておりまして、特許権者はこの通知に対して六十日間の応答期間内に意見書の提出をするとともに、取り消し理由を解消するための特許の訂正を行うことが可能となっております。  なお、付与後異議申し立ての処理は審判官の合議体によって行うこととしておりますけれども、これは、一たん権利化された特許を取り消すべきか否かの判断を行うに当たりまして、裁判の第一審に相当する慎重かつ的確な審理を行う必要があるとの理由に基づくものでございます。  こうした制度の活用によりまして、引き続き発明の適正な保護に十分努めてまいりたいと思っております。
  24. 大畠章宏

    大畠委員 もう一つ、この特許法を世界に共通化しようとすることについてはよくわかるのですが、アメリカの特許制度について日本としてもきちっと私は物を言わなきゃならないと思うんです。これまで日本の企業が大変いわゆるサブマリン特許というものに苦しめられてきたことは大臣も御存じだと思いますが、このアメリカの先発明主義という、この世界の潮流とは異なる仕組みを、これだけ日本世界の共通化というものに一生懸命対応しようとするのであれば、当然アメリカの方にも、その共通した認識に立って特許制度を改正しなさいということを強く私は主張すべきだと思いますが、この件について大臣の御見解をお伺いしたいと思うんです。
  25. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 非常に専門性の高い指摘に敬意を表します。そして、御指摘のとおり、今残された最大の問題点は、このアメリカだけが先進国の中で保持している先発明主義、これにかかっていると私どももそう思います。従来からも随分我々議論してきました。そして、一時期、私どもアメリカも先願主義に変わるかという期待を持った時期がありましたが、また消極的な姿勢に戻っております。  これから我が国は、欧州その他の国々とも連携しながら、あらゆる場所を通じてアメリカに先発明主義の是正を求めていく努力を続けるつもりです。御支援を心からお願いいたします。
  26. 大畠章宏

    大畠委員 ほかにも質問、幾つか準備をしてきたわけでありますが、三十五分までに終われという指示が来ていますので、あと三十秒ぐらいしかないのでこれで質問は終わりますが、いずれにしても、これから日本が国際社会の中できちっとした共通ルールの上に立って活動していくためには、このような形で、日本だけがそういうものを受け入れるんじゃなくて、今大臣からもお話ありましたけれども、ぜひ私は、日本世界に対して物を申していく、逆に言えば日本がリードをして世界の共通ルールをつくろうじゃないか、そういう積極的な姿勢を展開していただきますよう、これは要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  27. 佐藤孝行

    佐藤委員長 大畠君の質疑は終了いたしました。  次に、永井哲男君。
  28. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 今、連日、銃器による犯罪が報道をにぎわしているところでございます。そういう中で、昨日、関係閣僚会議が行われた。また外国の取り締まり当局との関係国会議も行われているという状況であります。  特に、何といっても指摘されているのは、水際作戦で上陸を防ぐということが非常に大事であるということが指摘されているところでございますが、今回の関税定率法の改正によっても、向精神薬とともに銃器が禁制品となるということによってこれは取り締まりの強化にも資するものではないか、そう思っておるところでありますが、特にこの水際作戦の重要性、その関係で、ピストルの本年の押収実績、検挙数、そして今後の取り締まりに対する決意というものを関税当局からお聞きいたしたいと思います。
  29. 鏡味徳房

    鏡味政府委員 まず、けん銃等の押収実績でございますが、平成五年におきましては二十四件、六十九丁、おおむね前年並みとなっております。また、平成六年に入りましてから十月までに二十件、八十八丁の押収実績となっております。  国民生活の安全を脅かすけん銃等につきましては、税関では従来から社会愚物品として厳しく密輸入を取り締まっているところでございますが、最近におけるけん銃等を使用した犯罪の多発にかんがみまして、これまでにも増して取り締まりを徹底する必要性が高まっていると考えております。  今回は、けん銃等を関税定率法上の輸入禁制品に追加することによりまして、税関がその輸入を関税法犯則事件としてより積極的に取り締まれるよう法制を整備し、もって密輸入事件の調査における税関の能力をこれまで以上に活用し、水際における効果的、効率的な取り締まりの強化を図ろうと考えている次第であります。
  30. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 ぜひ国民の安全のために頑張っていただきたいと思っております。  それで今、昭和五十八年から比べますと、税関の人数というのは、これはほとんどふえていない、定員一・〇三倍というような状況であります。ところが、この五十八年から平成五年の間には、空港の旅客数というのは二・四八倍にもなっている。輸出件数も一・五倍近いふえでありまして、輸入申告件数についてはもう三倍近い二・八倍、郵便についても二倍、これはもう二倍以上の通関量がそれだけふえているというような状況であります。これに対して、人員が一・〇三倍というふうに、ふえていない。  そういう中で、NACCSシステムを入れて、まあその通関時間の改善についても非常に努力しているということがうかがわれるわけですけれども、人員について、私はこの定員、もう少しふやしたらどうかというふうに思うわけでありますけれども、その点、大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  31. 武村正義

    ○武村国務大臣 税関につきまして御心配をいただきまして、ありがとうございます。  御指摘のように、輸出入の貨物数量や旅客の数がどんどんふえてきております。同時に、麻薬とか覚せい剤、鉄砲等のいわゆる社会悪物品あるいは知的財産権侵害物品等の取り締まりの要請は一層高まってきているわけでございます。さまざまな形で重点化、機械化等、業務運営の効率化に努めてきているところでございますが、今後とも、厳しい行財政事情の中にございますが、税関職員の定数につきましては、こうした実態に即した適切な対応に努めてまいりたいと存じます。
  32. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 次に、今回のガットによりまして、特に本協定に基づく関税化品目については、SSG、特別緊急関税というものが設けられているわけであります。数量ベースのものと価格ベースのものと二つの基準で規制するという形でありますが、この点について、特に農家の皆さんは今までのセーフガードが余り有効に機能しなかったということもありまして、本当に機能するのかどうか、その間のタイムラグといいますか、そういうものがないのかどうかということが非常に心配になっているところだと思いますけれども、その点、どうでしょうか。
  33. 鏡味徳房

    鏡味政府委員 関税暫定措置法で今回改正で入れさせていただきます特別セーフガードでございますが、これは輸入数量が一定の発動水準を超えた場合、または輸入価格が一定の水準を下回った場合に一定の追加関税の賦課を自動的に行うことができるという措置でございまして、具体的には、数量を基準とする特別セーフガードにつきましては、貿易統計によって年度当初からの輸入数量が一定の発動水準を超えることが確認された月の翌月初日から発動されることとなっております。また、価格を基準とする特別セーフガードにつきましては、個別の輸入申告ごとに一定の水準を下回った場合に発動されることとなっております。
  34. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 今回の措置により自動的に、しかも短期間にそういうような措置をして流入を防げるということであって、農家の皆さんの不安というものもある程度解消したのではないか、そういうふうに思います。  次に、農水大臣の方にお伺いいたしますが、今回、芋でん粉関税化ということになりまして、特にこれは南九州、そして北海道というところにとっては大きな痛手であるというふうに非常に心配するわけでありますが、その中でも抱き合わせの措置、工業用トウモロコシの抱き合わせというものが維持できたということはこれは高く評価するものでありますが、この抱き合わせの制度、これが二〇〇〇年までは一応協約しているということでありますが、二〇〇一年以降もこれは存続し得るかどうか、その点についての御所見をお伺いいたします。
  35. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 でん粉につきまして、関税化に伴いまして、無税のコーンスターチ用トウモロコシとでん粉との抱き合わせ制度は、実は農業交渉でもいろいろ心配をし、全力を挙げて確保したわけでございまして、この制度は国内でん粉需要の拡大とでん粉需給の安定にどうしても必要な制度でございまして、今後もこの制度は堅持していかなければならないと当面考えております。
  36. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 次に、砂糖についてであります。  砂糖についても今回、今までの調整金を含めて関税とともにオファーして各国の承認を得ているというような状況でありますが、その中で、これは糖価安定法、国内にも一部異論が出されているようなところもありますが、こういった糖価安定法、これも維持していくということは、農家が存続していけるかどうか、北海道の特に畑作においては、畑作の合理的な輪作体系が維持できるかどうかといったところで非常に大きな問題でありますが、これについての御決意をお伺いしたいと思います。
  37. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お話のとおりでございまして、糖価安定制度によりまして、砂糖価格そのものの価格の安定とそれから国内産糖の保護と、この二つの大きな役割を演じておりまして、北海道はもちろん、沖縄、南九州等における国内産糖にとりましてぜひ必要な制度であり、今回の農業交渉においてもその基幹を守るように努力してきたつもりでございまして、今後もその制度の確保といいますか存続という点については努力しなければ相ならぬ、さように思っております。
  38. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 ほかに農安法の関係の若干の質問等もありますが、時間もありません。  今大臣が言われたように、抱き合わせ、そして糖安法というものの制度としての維持というものは、農家がやっていけるかどうかという非常に大きな問題でございますので、ぜひしっかりとした維持と、そしてこのガットによって不安に思っている農民に対して万全な措置、それを強く要請しまして私の質問を終わります。
  39. 佐藤孝行

    佐藤委員長 永井君の質疑は終了いたしました。  次に、横光克彦君。
  40. 横光克彦

    ○横光委員 横光克彦でございます。  閣僚の皆様方には本当に連日御苦労さまでございます。  WTO設立協定締結に向けて、きょうまで本当に熱心に審議が続けられてきたわけでございますが、そのほとんどが我が国にとって非常に重要な問題であります農業問題を中心に、いわゆる物の貿易が中心であったかと思います。私は、同じように重要な問題だと認識しております今度のWTOの協定に附属書として添付されております知的所有権、この件についてお尋ねさせていただきたい、このように思っております。  知的所有権、いわゆるTRIPs協定ですね。知的所有権というのは、つまり、人間の知的な創作活動の成果について生じる権利であろうと思うわけでありますが、この知的所有権は、特許あるいは商標等の工業所有権、それと文学、美術、レコード、実演家、放送機関等を含めた著作権、いわゆる工業所有権と著作権のこの二つに大きく分けられるのではないかと思いますが、この著作権に絞って、貴重な時間をいただきましたので御質問をさせていただきたいと思います。  今回のTRIPs協定に伴う我が国著作権法の改正は、新たにWTOに加盟した国々との権利の保護、いわゆる保護の範囲を拡大するという技術的な改正のみであり、権利の内容にかかわる改正は必要ないわけでございます。つまり、ということは、我が国著作権法が今回のTRIPs協定の内容を十分に満たしているということであり、我が国著作権法が国際的に見ても権利者の利益を十分保護する水準のものとなっていると受けとめているわけでございます。しかし、そう認識してはおりましても、これからの社会においては、文化のさらなる発展のためにも著作権の保護がますます重要であるということは言うまでもありません。  そんな中で、時として俳優等の実演家の方々やその他の著作権者の方々から、権利が十分尊重されていないのではないかという意見を聞くこともあるわけでございますが、こういった現状につきまして、文化庁の所見をお伺いしたいと思います。
  41. 林田英樹

    ○林田政府委員 お答え申し上げます。  著作権に関します既存の国際条約といたしましては、ベルヌ条約万国著作権条約がございます。著作隣接権に関しましては、実演家等保護条約及びレコード保護条約がございます。我が国著作権法はこれらの主要な条約の保護内容を満たしておりまして、我が国はこれらの条約のすべてを締結しておるわけでございます。また、今回のTRIPs協定により法的整備が求められます事柄につきましても、経過は省略いたしますけれども、その実質的な権利内容は既に我が国著作権法において定められておるところでございます。  このように、我が国著作権法そのものは国際的に見ても権利者の利益を十分に保護する高い水準にあると認識はしておりますけれども、一方で、国民一人一人の著作権保護の意識を高めていくということが大事でございますので、そのための努力を今後続けてまいりたいと思っております。
  42. 横光克彦

    ○横光委員 今回のTRIPs協定の要点に、コンピュータープログラム、映画及びレコードの貸与に関する権利の付与というものが新たに規定されたわけでございますが、この貸与権、このことは非常に我が国にとりましても重要な問題であったであろうと思うわけです。コンピュータープログラムや映画の著作物についての貸与権が認められることになった、これはいわゆる違法なコピーあるいは海賊版等の現状からして非常に当然のことであり、喜ばしいことだと思っているわけです。特にこの中に大きな意味を持つのは、私はレコードの貸与権ではなかろうかと思うわけです。  レコードの貸与権、日本著作権法ではレコード製作者及び実演家の貸与権は一年間の許諾権と四十九年間の報酬請求権によって構成されているわけですね。  日本のようにレンタルということが一般化しておりまして、そのための法整備もしっかりとでき上がっている国と違いまして、欧米ではレンタルという意識が余り、特にレコードに関してはないわけですね。要するにディスカウント、発売されますとディスカウント方式で買うというのが欧米のレコードの買い方のあり方であろうかと思うのですが、その中で、日本の今回の主張は、日本にとりましてはかなり大きかったんじゃないか。恐らく欧米各国はレンタル権の全面禁止という方針であったであろうと思いますが、結局は日本主張が通って、貸与権というものが認められることになった。このことは非常に私は大きな意味を持つんじゃないか。文化庁の皆様方の御努力に大変敬意を表する次第でございます。  次に、新たな条約が成立しても、それが実際守られていくということが何よりも大事なわけで、そういった意味では現状は非常に厳しいものがあるのではなかろうか。ベルヌ条約等先ほど言われました既存の著作権関係条約の中には、実効的な紛争処理の手続がないのですね。また、国際司法裁判所への提訴も機能しているとは余り聞いておりません。そういったことから、知的所有権分野の紛争処理機能の脆弱さが非常に指摘されておるわけでございますが、今回のこのTRIPs協定の、もし成立しますと、こういった紛争処理機能というものほかなり充実するものと思いますし、また充実しなければならないと思うわけですが、そのあたりはどの程度改善されるような期待をお持ちなのでしょうか。
  43. 林田英樹

    ○林田政府委員 ベルヌ条約などこれまでの知的所有権分野の多くの条約では、条約の解釈または適用に関する紛争で当事国間の交渉により解決されないものにつきましては、紛争当事国が他の解決方法について合意する場合を除くほか、先生指摘のように、国際司法裁判所に付託することが規定されておるわけでございますけれども、これまでそのような手続はほとんど利用されていないというような状況と承知しておるわけでございます。  これに対しまして、TRIPs協定に係る加盟国間の協議、紛争につきましては、WTOの紛争解決手続が用いられることになりましたので、知的所有権の保護に関する国家間の協議、紛争の多くは今後WTOという多角的な枠組みの中で行われることになります。この結果、WTOの紛争解決手続に従わずに一方的措置をとることなども禁止されますので、知的所有権をめぐる国際的な協議、交渉が今後より建設的、協調的な環境の中で行われることが期待されておるわけでございます。
  44. 横光克彦

    ○横光委員 今回のTRIPs協定により著作権の国際的な保護が相当程度に拡充され、そして充実されていくものと思っておりますが、さらに今後の課題としてどのようなことが国際的に検討されているのか、そこのところをお聞かせください。
  45. 林田英樹

    ○林田政府委員 著作権の国際的な制度の基礎となっておりますベルヌ条約につきましては、最近の改正を行ってから二十年以上が経過しております。その間におきます情報産業の発達など、著作権制度にかかわる技術が著しく進歩しまして、著作物の利用状況も多様な実態が生まれてきております。  このため、一九九一年からWIPOの場におきまして、著作権保護の内容の見直しを行い、ベルヌ条約の補完、強化を目的とするベルヌ条約議定書を作成するための検討作業が進められております。  具体的に申しますと、この検討作業では、例えばコンピュータープログラムやデータベースに係ります規定の整備、それから頒布権や貸与権、輸入権というようなものの権利の規定のあり方などについて検討が行われておりますし、さらに実演家やレコード製作者の権利の保護に関しましてもさまざまな新たな国際文書を作成するというようなことを含めての検討が、一九九三年からでございますけれども、進められておるということでございます。我が国としても、このような国際的な検討の場に積極的に参加してまいりたいと思っております。
  46. 横光克彦

    ○横光委員 時間が来ました。  最後に、文部大臣にちょっとお伺いいたしますが、創造的で豊かな文化をはぐくんでいくためには、この著作権の保護というものは非常に重要だと私は考えております。また、今後とも国際的な動向、あるいは技術の進展に柔軟に対応して著作権制度の整備にさらに積極的に取り組んでいく必要があろうかと思いますが、文部大臣の御所見をお伺いいたします。
  47. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 この問題は幾つかに分けて考えていただきたいと思うんですが、一つはやはり無体財産権に対する国民の意識を向上させる。具体的には、著作権という権利を尊重し、現行の著作権法等を遵守するという意識を国民の皆様方にさらに持っていただくということが第一でございます。  それから第二は、やはり他の諸国においては著作権法等の整備が十分になされていない国もございまして、そういう国々に対してはやはり十分な国際協力をして、いろいろなノウハウを提供し、そういう著作権法等の整備に対しまして国際協力という形で日本も十分働いていくということが二番目でございます。  それからもう一つは、やはり新しい時代になりまして、マルチメディア等の発達で、現行著作権法で保護されているものでもその使用方法が非常に複雑になりますので、そういうものが具体的に保護されているかという著作権法の運用の問題がございます。それを確保する必要があります。それから、コンピュータープログラムが新たに入ってきて著作権法の中で書かれたというような新しいことも起きてくるわけでございまして、マルチメディア時代になりますと、現行の著作権法だけで全体がカバーできるかどうかということはやはり勉強していかなければならないわけでございます。  著作権に関します審議会がございますが、その中では、これらの問題点を十分問題意識を持って現在小委員会等をつくって検討しておりますので、いずれも、現行法の適正な運用あるいは将来の新しい時代に対応する著作権法のあり方というのは今後十分に考えていかなければならない課題だと思っております。
  48. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。どうもありがとうございました。
  49. 佐藤孝行

    佐藤委員長 次に、前島秀行君。
  50. 前島秀行

    前島委員 十分しかありませんもので基本的な認識だけ伺わせてもらいますが、御案内のように、農業、第一次産業というのは、食糧提供だけではなく多面的機能を持っている、しかもそれが国民の生命財産に直結するんだ、だから第一次産業は重要なんだ、またこの第一次産業をちゃんとやって国民に食糧を安定的に供給するというのが政治の原点だ、こういうふうに終始言われてきたと思うんです。  そういう面で、私は、これからの農業、とりわけ主食を安定的に、安全に国民に提供する、このことは、農業を改革するということとあるいは合理化するということとは一切矛盾しない、それをするためにより政治は責任を持たなきゃいかぬ、こういうことだろうと私は思っているわけであります。そういう面で、改めて昨年の、米が足りなくなっちゃった、大慌てで緊急輸入をした、そしたら百万トン近く余ってしまった。ここには政治はなかった、政治は存在しなかったということで国民の不信を買ったことは私は間違いないだろうと思います。  また、今度の新しい新農業法の心配は、政治があるいは政府がどんどんその責任を回避して後退していくんではないだろうか、果たしてこれからそういう状況で農家、農民は安定して食糧、農業の生産に着手できるだろうか。国民から見れば、安定的に、どういう事態になろうが食糧は提供されるんだろうか、しかもそれが安全に、こういうところで、今度の新法の行方は政治が後退するんじゃないだろうかということが心配だというのが多くの国民の皆さんの今の声ではないだろうかというふうに私は思うわけであります。  そこで、農林大臣と大蔵大臣に聞きたいのは、一つは、去年の事態に対して農林大臣はどう受けとめているのかということと、今後の新農政、新食糧法に基づいて政府として、政治としてどう責任を果たしていくのか、この辺のところ、それを大蔵大臣の方から、財政当局の方から見てそれはちゃんと責任持って裏打ちしていくかどうか、その辺の基本的な気持ちをお聞きしたい、こういうふうに思います。
  51. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 昨年の不作、これは弁解がましく申し上げるまでもございませんが、作況指数七五というかつてない記録的な不作だったということもございますし、一方では、備蓄水準、政府の在庫水準が大変落ちていたということでも増幅されたということでございまして、その点では大変遺憾であったというふうに思うわけでございます。  お話しのとおり、需給価格の安定、そして供給の安定を図る。一番基礎としての米でございます。米管理については、従来の食管制度もさようでございましたが、このたびもやはり需給価格の安定、安定供給、これをねらいますが、その政策のやり方としては、やっぱり現行制度というものが、その制度と実態とが著しく乖離いたしまして、したがって、それに対して新しい対応をいたすということで、もう委員も御案内のとおり、基本計画を立て、的確に需要を見通し、生産調整の実施等による需給調整、さらには備蓄を、中長期を見たゆとりのある備蓄をもって対応する、また計画的な流通制度によって円滑な流通を図る、政府米の操作によって需給に対する確保をいたすというようなことで、その責任を十二分に果たしていきたい、さように思っております。
  52. 武村正義

    ○武村国務大臣 本当に昨年の事態は歴史的にも経験したことのない異常な事態でありました。さまざまな教訓を学んだと思いますが、それでも、ああいう異常な事態に対しては農林省を中心によくやったというふうにも私は評価をいたしておりました。  そういう経験も踏まえて、今回、主要食糧需給価格の安定の法案をこうして御提案を申し上げているわけでありますし、その中には備蓄といういわば需給のプールと言っていいんでしょうか、になる考え方を一つの制度として位置づけをしているわけであります。財政当局としましても、このことにしっかり対応さしていただきたいと思っております。
  53. 前島秀行

    前島委員 たくさんのことを、金をばらまけということじゃなくして、肝心なことは政府の責任でやってくれということなんですよ。そういう面で米の生産を確保する、どういう事態が起ころうが。こういう意味では、具体的には生産調整においてどう有機的な機能をするのか。とりわけ政府が買い入れる量というものを柔軟に、機敏に対応する、ここが最大の、生産を安定的に確保する、生産調整を機能的に有効あらしめるところだ。しかもその生産調整は、生産調整に参加する農家、農民にとってメリットが出るようなところをやるということで初めて、そのためには政治の責任をぴしっと果たす、そのための財政的裏づけをするということが私は政治が果たす役割ではないだろうか。これは農家に対して、生産に対しての問題です。  今度は、消費者に対してはいかなる事態になっても提供するんだということですね。今度の法体系から見ると、あの計画内流通がぴしっと確保されて、計画外流通と、これは計画外流通というのはかってはやみの世界、非合法の世界だったんですが、今度は合法の世界にしたんですね。しかし、これが大きなウエートを占めるとますます不安定になるんで、計画外流通がどんどん大きくなると、これが圧倒的な比重になるとこれをどうするかということが、私は、消費者に安定して米を提供する、これに政治が、政府がどう責任を負うかということだと思うんです。  そうすると、生産者に対しては、生産調整のための経済的メリットにもちゃんと手だてをします、それは大蔵省もそのためにはちゃんと金を出しますということ。消費者の方には、計画内流通が大宗を占めるように、そうなるようにその調整。金といいましょうか助成金というものをちゃんと出して安定確保ができます。  それはなぜかというと、去年の失敗は気候がどうのこうのとか、気象庁に責任を転嫁しちゃいかぬですよ。要するに米の掌握ができなかったということですよ。米の掌握ができな分ったんで、二百万トン、三百万トンが沈んでいた、見えなかったことが予測できなかったんで、注文しちゃったら百万トン余っちゃったということでしょう。その管理ができる、管理をちゃんと掌握するということが必要なんで、そのためには要するに計画内流通のところが大宗を占めるように、そうなるような計画内流通のための手だてをするということだと思うんですね。そういう意味で、生産調整がメリットのあるような財政措置をちゃんとするか、あるいは計画内流通がちゃんと大宗を占めるようなそういう助成措置をとるかというところが、私は、生産を確保し、安定的に米を提供する政治の責任ではないだろうか、こういうふうに思います。  この二つをちゃんと、農林大臣は手だてをするのか、大蔵大臣はちゃんとそれを保証するのか、そこを言ってもらうと心配しないんですよ、安心するんです。
  54. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 このたびの制度の需給安定のポイントについてのお話でございますが、生産調整実施者から備蓄を政府米として買い入れる、したがって、それについてはその助成金とともに的確に生産調整が行われるような配慮がどうしても必要だろうというふうに思っております。  それから計画流通制度、そのとおりでございまして、従来の流通量から見ても、四百五、六十万トンは計画流通制度としては必要だ、需給上で。したがって、これについての計画的な円滑な流通が図られるための配慮、従来も自主流通米についてはそれについての販売促進等についての財政的な支援も行われておったわけでございますので、それについても新しい制度のもとで検討いたしたい、さように思っております。
  55. 武村正義

    ○武村国務大臣 とにかく国民の主要食糧である米であります。我々の命にかかわる問題でありますだけに、そのことをしっかり認識をしながら、細部は、この法律が制定された後、農林省当局と財政的な措置等については当面も将来も十分協議をさせていただきたいと思っておりますが、基本は国民の命にかかわる米の問題でありますだけに、昨年のあの貴重な経験も生かしながら、しっかり対応をしていきたいということであります。
  56. 前島秀行

    前島委員 最後にもう一つお願いですけれども、もう一つの課題は、安全なという課題があります。これも政治の責任だと思います。そういう面で国営検査等々もしっかりやるようにこれはお願いをしておきます。  時間が終わりましたので、以上で終わります。
  57. 佐藤孝行

    佐藤委員長 次に、星野行男君。
  58. 星野行男

    星野委員 星野行男でございます。大変貴重なお時間をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。  さて、最近、村山内閣の現職女性閣僚の方が地方での演説会で、日本農業と米をだめにしたのは新生党である、ガットではきっぱり断るべきだった、私は米の自由化と消費税の増税は一貫して反対していると話されたと新聞に書いてありました。私は、現職閣僚、しかも本臨時国会で村山内閣の最重要課題の一つであるこのWTO承認ほか関連の法案が審議をされているさなかに、よもやこのようなことを閣僚がおっしゃるはずがないと考えまして、当該新聞記者に確認をいたしましたところ、演説内容についてはテープレコーダーに収録してある、前の席でちゃんとテープをとってあるので記事の内容は間違いありませんと、こういうことでございました。  現職大臣がこういういわば短絡的、感情的な御発言をされているということになりますと、やはりまず新生党と同僚議員の名誉のために、このガットウルグアイ・ラウンドの経緯とその評価につきましてはっきりさせておかなければならないと存じます。  そこで、まず、このウルグアイ・ラウンド交渉が始まったのはいつ、何党の内閣のときでありましたか。外務大臣、お答えください。
  59. 河野洋平

    河野国務大臣 自由民主党中曽根内閣のときだったと記憶しております。
  60. 星野行男

    星野委員 いっでございますか。
  61. 河野洋平

    河野国務大臣 一九八六年でございます。
  62. 星野行男

    星野委員 御答弁ありましたように、一九八六年に南米ウルグアイで開始をされた、こういうことでございますし、中曽根総理がレーガン大統領に提案をして始まったということも承っておったわけでありますが、一体このウルグアイ・ラウンド目的は何であったのでございましょうか。これは外務大臣、お答えください。
  63. 河野洋平

    河野国務大臣 この委員会でも繰り返しお答えをいたしておりますが、世界経済の中にあって、経済、貿易、物ばかりではなくサービスの分野にまで共通のルールをつくる、そして世界の経済、貿易というものを公正なルールに基づいて拡大をさせていくということが一つ目的であったと思います。
  64. 星野行男

    星野委員 ところで、このウルグアイ・ラウンドでは農産物貿易も取り上げられたわけでございますが、当時の状況を見ますと、米国あるいはEU等を見てみますと、米国農業予算が、一九八〇年、昭和五十五年でありますが、三百四十八億ドル、八五年になりますとこれが五百五十五億ドルで、八〇年を一〇〇とすると一五九になっております。九三年になりますと、何と六百六十九億ドル。八〇年の一〇〇に比較いたしますと一九二ということになります。EUでは、八〇年の予算額が百十九億ECU、八五年になりますとこれが二百七億ECU、九三年になりますと三百八十九億ECU。八〇年を一〇〇といたしますと、何と九三年には三二七。アメリカは二倍近い、あるいはヨーロッパは三倍近い農業予算額に膨張しているわけであります。  こういうことから、当時、アメリカもヨーロッパも、農業予算が財政を大きく圧迫する、この農業予算の軽減を図らなきゃならないということと、もう一つは、農産物貿易の市場アクセスの改善を図って、今大臣おっしゃったような貿易の拡大を図りたい、こういうことがウルグアイ・ラウンド農産物貿易が対象になった理由じゃなかったでしょうか。確認いたします。
  65. 河野洋平

    河野国務大臣 確かに補助金が大変巨額になったという事実があると思います。そしてまた、食料品といいますか、農産物の市場アクセスということに大きな関心を持っておられたことは事実だと思います。ただ、これはあくまで農業協定の分野でございまして、WTO全体から見れば、それは全体の中の農業の部分ということになろうかと思います。
  66. 星野行男

    星野委員 大変恐縮ですが、大河原大臣の方も、当時は農水省におられたのか、おやめになったときかわかりませんが、このあたりの事情は御存じだったと思うのですが。
  67. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  御案内のとおり、一九八六年、ガットウルグアイ・ラウンドが開始されました。私は、与党の中の農業関係の一員として、政府の折衝を叱咤勉励しながら、ジュネーブにも四度、五度参りまして、我々の主張の実現に努めたつもりでございますが、先ほどの星野委員のおっしゃるとおりの米・EUの輸出合戦、膨大な輸出補助金、今も委員がお示しになりましたが、農業予算の削減の問題と、あとは物貿易としては関税化、したがって農産物にもこれを適用するという交渉であったと思います。
  68. 星野行男

    星野委員 今、大河原大臣からお話がございましたが、そうだといたしますと、そもそもこのウルグアイ・ラウンド交渉の当初から、農産物貿易交渉におきまして、日本の米の国境措置が全く影響を受けないということは考えられなかった。当初から、何らかの形で影響を受けるということが予見されておったのではありませんか。
  69. 河野洋平

    河野国務大臣 米の問題につきましては、一九八六年の九月、すなわちウルグアイ・ラウンドの開始直前に、米国精米業者協会、RMAでございます、米国精米業者協会が米国通商代表部に日本の米の貿易制度につき三〇一条の提訴を行い、USTRはこれを却下するとともに、本件をウルグアイ・ラウンドで取り上げるとの意向を表明したという経緯はございます。
  70. 星野行男

    星野委員 今両大臣のお話によりまして、ウルグアイ・ラウンドにおける農産物貿易交渉におきましては、そもそも日本の米においてもやはり関税化ということがある程度予測をされておったのではないか、あるいは少なくともその可能性というものは十分認識し得たのではないか、そんなふうに思うわけでございます。  そういう意味で、私は、少し言葉は適切でないかもわかりませんけれども、刑法に未必の故意というのがあります。細い道を人が歩いている。自動車を走らせると、自分は腕がいいから通り抜けられると思うけれども、もしかすると人を傷つけるかもわからぬ、まあしかし行こうということで走って、結果的に人を傷つけた。この場合は過失ではなくて故意犯、こういうことが刑法の定説でございます。  そういうことから見ると、私は、少し厳しい言い方でありますが、このウルグアイ・ラウンド日本農産物貿易交渉テーブルに着いたというそもそもの原点から、日本の米については国境措置が何らかの影響を受けるということは、政府は、少なくとも政府当局者は予見あるいはその可能性の認識は持っておった、そう思います。そういたしますと、このウルグアイ・ラウンドの長年の交渉の中で、政府の方が農民に、米はもう輸入はしないんだ、こう言い続けてきたことが事実と違うのではないか。やはり背信的な問題があったのではないか。私はそのころは一地方の農民でありますから、率直にそのことを思います。
  71. 河野洋平

    河野国務大臣 お言葉でありますが、米問題をウルグアイ・ラウンド交渉で取り上げるということと、どういうルールをつくるかということとはまた別の問題だと考えていただきたいと思います。  いずれにせよ、我が国は、包括的関税化は受け入れられないという立場を終始とってきたことは議員もよく御存じのとおりでございます。
  72. 星野行男

    星野委員 大臣の答弁としてはそうでありましょうが、しかし、全く日本の米が国境措置において影響を受けないと考えておったとすれば、余りにも軽率であり、余りにも無責任だったと申し上げざるを得ない、そう思うわけであります。  さて、もう一つは、ウルグアイ・ラウンドの当初の交渉期限はいつまででございましたか。あるいは、何回か期限が更新されていると思いますが、そのこともお答えをいただきたいと思います。
  73. 河野洋平

    河野国務大臣 たしか、当初は四年間で決着をするということで始まったと記憶しております。
  74. 星野行男

    星野委員 何回か期限が更新されて、結局、昨年、九三年の十二月決着を見た、こういうことでありますが、この七年三カ月余の交渉期限の中で、それでは自民党内閣が交渉を担当しておった期間はどのくらいになりますか。
  75. 佐藤孝行

    佐藤委員長 それは後で計算して出してください。
  76. 星野行男

    星野委員 そんなことは簡単にできることでありますからお答えいたしますが、八六年に交渉が始まっているわけでありますので、自民党内閣時代は六年有余交渉を担当した、こういうことであります。  結局この交渉が、今申し上げた交渉期限を設定しながら、なかなかまとまらないで、何回か更新をしたということで、難しい問題で、結論が先送り、先送りされてきたということは事実であります。  ところで、九一年の十二月に、当時のガットの事務局長のダンケル氏がダンケル・ぺーパーを出しましたね。これは御承知のとおり、日本の米を含めてすべての農産物関税化しよう、こういうことであったわけでございます。これは、六年有半、自民党内閣で交渉してまいりました、結局は、その交渉の集大成であったのではなかったでしょうか。あるいは、そのほかにまとまるような案があったのかどうか、お答えください。
  77. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 ダンケル・ペーパーが出たときに、私もジュネーブヘ行っておりました。これは、ダンケルの妥結案としてのたたき台でございまして、先ほど申し上げましたように、ガット当局の従来どおりの考え方、物についての貿易ルール、国境措置は関税化、それをそのままに農産物にも適用するという案でございました。
  78. 星野行男

    星野委員 このダンケル・ペーパーが出ましてから、当時、宮澤内閣総理大臣あるいは渡辺美智雄外務大臣が、自由貿易で生きている日本であるから、このダンケル・ペーパーは受け入れざるを得ないのではないか、こういう趣旨の御発言をしばしばされました。これは事実であります。  これはとりもなおさず、ウルグアイ・ラウンド農業交渉は、やはり当初から、ねらいとしてはそういう農産物貿易においても国境措置を改善して市場アクセスの改善を図ろう、そういうそもそもの原点があったということを裏づけるのではないかと私は思うのでありますが、当時、外務大臣は宮澤内閣の官房長官をお務めになっておられました。その辺の事情は御存じだったのではありませんか。
  79. 河野洋平

    河野国務大臣 議員の御記憶と私の記憶とはいささか異なっております。  当時、私の記憶によれば、宮澤総理はウルグアイ・ラウンド交渉というものはまとめなければいかぬということは考えておられたと思いますが、そのこととダンケル・ペーパーをそのまま認めるということとは全く違うのでございまして、ダンケル・ペーパーについては、先ほど農水大臣からお答えを申し上げましたように、このたたき台について、我が方は受け入れるつもりはないということははっきりしておりました。
  80. 星野行男

    星野委員 実は、当時私も自民党におりました。自民党の、ここにおられます松岡利勝君あるいは山本拓君等々、こういう総理あるいは外務大臣の御発言から非常に危機感を感じまして、この日本の米を含むすべての農産物関税化というダンケル・ペーパーをもし宮澤内閣が受け入れるということになったら、我々は即座に宮澤内閣の退陣を求めよう、こういう決議文をつくりまして、ある者は血判も押して、たしか三十四人が結束をして、日本農業を守る特別行動議員連盟をつくって、時の宮澤総理にもたしか数回お会いして、決議文をお渡しをいたしました。あるいは当時の渡辺外務大臣にもお会いをいたしました。そういうことは、外務大臣御存じじゃなかったですか。
  81. 河野洋平

    河野国務大臣 国会の前に、大変厳しい気象条件の中を頑張っておられたことを私は記憶をしております。よく覚えておりますが、恐らく、皆さんが宮澤内閣の退陣を要求されなかったところを見ると、そういう状況はなかったということではないかと思います。
  82. 星野行男

    星野委員 しかし、松岡君や我々がジュネーブに飛んだり、あるいはまたアメリカのワシントンに飛んで上下両院議員に面談をした、さっきのようなこととあわせてこういう行動をとったということは、それなりの裏づけがなくて、宮澤内閣が全くダンケル・ペーパーを一蹴するというような態度であったら、我々は何もそこまでやる必要はなかった、そのことだけははっきり申し上げておきます。  さて、九三年の十二月にドゥニー調整案が示された。一年後ですね。その内容の骨子はもう御案内のとおりでありますが、これは大河原農水大臣に聞きます。これは、いわゆるダンケル・ペーパーと比較をして、これは関税化の例外措置、あるいはミニマムについては国家貿易を認めるということの内容でありますが、ダンケル・ぺーパーと比較をして、日本の米に対する影響は多いか少ないか、そのことを端的にお答えください。
  83. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 ドゥニー・アクセス部会座長の調整案でございますが、ダンケルのあれはオール関税化、ただしそこには関税化の場合でも三ないし五%という通常のミニマムアクセスが恐らくつくと思います、関税化というのを受け入れた場合。でございますが、ドゥニー調整案については、輸入数量管理がこれによって行えるという点、一定限度以上の輸入はないということでございます。(星野委員関税化の例外だってそうでしょう。」と呼ぶ)それが例外なんでございます。ミニマムアクセスを受け入れれば、それによって関税化の設定はしないということでございまして、数量管理ができるという点が大きいと思います。(星野委員「プラスであるということですね」と呼ぶ)ええ。
  84. 星野行男

    星野委員 さて、そこで、今の農業合意の問題でございますが、ウルグアイ・ラウンド農業合意を抜きにしてまとめることは可能であったでしょうか、外務大臣
  85. 河野洋平

    河野国務大臣 やはりウルグアイ・ラウンド交渉というものは、農業交渉というものも非常に重要なものの一つだったと思います。
  86. 星野行男

    星野委員 今、隣の中国でさえ、いわゆる社会主義市場経済を標榜しているわけでありますが、ガット加盟に躍起になって取り組んでいる、こういう状況でございます。そうすると、日本として、農業合意を受け入れなくてウルグアイ・ラウンドをまとめることは不可能であったということになりますと、日本はラウンドをまとめなくてもいいということにはならぬだろう。そういうことになりますと、交渉期限ぎりぎりに出されたドゥニー調整案、これについては、日本として受け入れる以外に選択の余地はなかったのではありませんか。
  87. 河野洋平

    河野国務大臣 調停案をのむかのまないか、イエスかノーかということではなくて、調停案についてもさらに交渉をしるというのが我々の気持ちであったわけでございます。ここ数日来この委員会でも御審議をいただいておりますように、各国がそれぞれの国益をかけて厳しい交渉をしたではないかという具体的な例が幾つかございました。私どももまた、あの最終段階に、最終段階は細川内閣でございましたけれども、細川内閣の閣僚の皆さんに現地でもっと厳しい交渉をしていただきたいということは、繰り返しあの当時も申しましたし、今も申し上げているわけでございますが、閣僚が最後の段階で我々の要求を受けて現地へ飛ばれて、そして若干の字句がそこで挿入をされたりということを考えますと、ドゥニー調整案というものは、もうイエスかノーかということではなくて、むしろ交渉がもう少してきたのではないかという気持ちを持った人は多いと思います。
  88. 星野行男

    星野委員 外務大臣お話は牽強付会だと思うのでありますが、いずれにいたしましても、先ほど農水大臣がお話あったように、一年前のダンケル・ぺーパーに比較いたしますと、ドゥニー調整案はまだ日本にとっては傷が浅い、こう申し上げざるを得ないわけでありますが、いずれにしても、自民党内閣で六年有半交渉をした結果、結局ダンケル・ペーパーしか出てこなかった。それをわずか六カ月の細川内閣の時代に、少なくとも米の関税化を例外として認めさせる、あるいはミニマムについては、もちろん加重はありますけれども、国家貿易として全量管理ができるような体制をとることができたということは、私は大きなプラスであったというふうに思うわけでありますし、同時に、日本ガットから孤立することを免れたというようなことも私は率直に、今の外務大臣の牽強付会の御発言にもかかわらず、やっぱりこれは客観的に細川内閣の功績として認めざるを得ないのではないか、そう思うわけであります。  さてそこで、先ほどの、村山内閣の女性閣僚の方が、ガットでははっきりノーと断るべきだった、こういう御発言は妥当な御発言でございますか、お聞きいたします。
  89. 河野洋平

    河野国務大臣 どんな場面での御発言が、あるいは前後の関係がどういう話の筋道であったかということも全く私は承知をせずに、議員のお尋ねの部分にだけお答えをするということは、御本人の真意を正しく理解をして答えることになるかどうか、私は甚だ心配でございます。
  90. 星野行男

    星野委員 前後の脈絡よりも、ガットでははっきりノーと断るべきだった、これで十分意味が尽くされているじゃありませんか。その発言に評価ができませんか。
  91. 河野洋平

    河野国務大臣 そのことだけで評価をするというわけにはいかないと思います。もしそのこと、ガットではノーと言うべきではなかったかというだけの発言なら、恐らく星野議員もうなずかれるのではないか、うなずかれる部分があるのではないかと私は思います。むしろ、やはり話の道筋というものを十分聞く必要もありますし、また、もちろん政治家たるもの、どこで言ったからどうということを言うつもりもありませんけれども、十分な時間をかけて理論的なお話をなさったのか、あるいは短時間で短絡的な話をされたのかが私にはよくわかりません。
  92. 星野行男

    星野委員 外務大臣の御答弁でも、同僚閣僚をかばうというお気持ちはわかりますが、しかし、そういう無責任な御発言をそのまま認めていいとは私も客観的に見て思えない。そのことだけは申し上げておきます。  さて、ひとつ話を変えますけれども、前質問者からも話が出ましたが、昨年の我が国の米の作況指数は七四でございました。大凶作で米の緊急輸入をせざるを得なかったわけであります。そしていわゆる平成の米騒動が起きた。  しかし、客観的に見て、昨年の端境期の米の在庫は二十六万トン、これは農家の保有は別ですよ、国民消費一カ月五十万トンの半月分しかなかったのじゃありませんか。このような備蓄で十分であったと農水大臣は考えておられますか。
  93. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 当然、お答えするまでもなく不足であることは確かでございまして、当時は百万トン備蓄ということで想定をしていたというふうに承知しておりますが、つけ加えさせていただきますと、平成三年産米、大変不作でございまして、十分にはあれだった。それから、その次の年についても生産調整面積、ふやすということでしたが、なかなか復円が十分予定どおりいかなかった。そういう事態が重なりまして、今御指摘の二十六万トンと。
  94. 星野行男

    星野委員 御案内のように、財政負担を少なくしていこうということで備蓄を何年か減らしたことは事実であります、転作強化。そういう中で、この備蓄がおっしゃるように百万トンとか百五十万トンあればこのようなばたばたはなかったと思うのでありまして、これは率直に申し上げて備蓄政策の失敗があった、こう認めざるを得ないと思うのであります。  もう一つ平成四年当時、農水省の説明によりますと、全国で耕作放棄の農地が二十二万ヘクタールに上っている、こういう説明をお聞きをいたしました。御案内のように、減反政策は昭和四十四年から四十五年二カ年試験的に行われ、四十六年から本格実施、こういうことになりましたね。言うなれば四半世紀この減反政策が続いてきたわけでありますが、このようないわゆる農地の荒廃、耕作放棄の農地が二十二万ヘクタールにも上るという、こういうことは減反政策と全く関係ないと言い切れない、むしろ減反政策の帰結である、私は現場で見ておりますからそう申し上げざるを得ないと思うのでありますが、この点、農水大臣、お答えください。
  95. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 先生お話は、これは平成四年の数字を、今のところこれしかないわけですよ。過去の数字はないわけですよ、耕作放棄地は。それで、耕作放棄地について、そのうちの土地持ち非農家といって全然もう農業に関与していない、それの面積が六万六千ヘクタールでございまして、農家所有の耕作放棄地は十五万一千ヘクタール。我々としてはいつも、実はその数字を、公式数字はこれ一つしかないものですから申し上げておりますが、そのうちの水田、畑作別というのはないのでございまして、畑作も……
  96. 星野行男

    星野委員 農水省は、当時六、四と説明していましたけれどもね。まあいいですよ。
  97. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 失礼しました。畑が五万一千ヘクタール。それから田んぼが七万七千ヘクタール、樹園地が二万二千ヘクタールという数字でございまして、五万ヘクタールについて……(星野委員「そんなこと、内訳はいいですけれども」と呼ぶ)いやいや、それは生産調整実施の結果その耕作放棄が行われたという委員の御指摘でございますので、細かく申し上げました。
  98. 星野行男

    星野委員 その点、どうですか。
  99. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 ですから、それはやはり生産力が低いような水田等でそういう事態があることは、草ぼうぼうというような、そういうことがあったということは否定できないと思います。
  100. 星野行男

    星野委員 そういう耕作放棄農地がふえていったということも減反政策と無関係ではない、こういう農水大臣の率直なお話をいただきました。  さてそこで、今日の農業農村状況は一々申し上げる必要もございません。ございませんが、こういう状況につきまして、約四十年政権与党でありました自民党として責任をお感じになりますか、なりませんか。自民党総裁の外務大臣、お答えください。
  101. 河野洋平

    河野国務大臣 過去を振り返ってみて、日本国内で農産品、食料品の価格は比較的安定的に推移をしたということもあると思います。主たる食糧の安定的な供給という点も評価をしていただいていいのではないかというふうには思います。  一方、農村あるいは農業に従事する方々というものには大きな変化が生じてきていると思います。そのことは、例えば規模拡大を迫られる、あるいは近代化を迫られるということから、長年農業にいそしんでこられた方々の中で農業を離れる、あるいは農業だけではなかなか生活ができないというような状況が来た。それはただ単に水稲ばかりではなくて、かんきつを初めとして非常に厳しい状況にさらされたという問題もあろうかと思います。  この評価を、総体的に評価をするということは、なかなかその切り口、視点によってさまざまだと思いますが、しかし、私は、日本の国全体の推移を考えれば、そうひどく厳しい点数がつけられるというふうにも思いません。
  102. 星野行男

    星野委員 そういうことで、視点によってあるいは切り口によって見方、考え方は違うと思いますけれども、今日の農業農村状況は、学卒の後継者が全国で千七百人とか耕作放棄地がこんなにふえているとか、あるいは特に農山村の過疎、高齢化等々、今さら申し上げるまでもありませんけれども、いずれにしても、経済大国になったその反面、やはりそういう陰の部分ができたということは、これは紛れもない事実ですよ。  そういうことを考えてみると、先ほど引用いたしました、日本の米と農業をだめにしたのは新生党である。新生党は何年やりました、去年の六月からでしょう。そういうことを考えてみると、こういう御発言は適当、正しいかどうか、率直にやはりお聞きをしておかなければなりません。両大臣、お答えください。
  103. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども申し上げましたけれども一つの演説、しかもその演説がどういう状況の中でなされたかわからぬという演説の評価をここでするということは適当ではないというふうに私は思います。
  104. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 外務大臣のお答えのとおりです。
  105. 星野行男

    星野委員 時間が限られておりますから、こだわってもしようがありません。何というか、率直な答弁をお聞きできないのはまことに残念であります。  さて、農業基本問題でありますが、私ごとを申し上げて恐縮でありますけれども、私は、小学校を終わりまして十年、山間の農村でありますが、自分で農業をやりました。あぜ塗りから田起こし、田植え、稲刈り、楽な仕事ではありませんけれども、やはり日本農業を守る、そしてまた日本の食糧を守る、これは国のもとだ、そういうことを言われ、自分なりにそういう信念で頑張ったつもりでございます。  今日、御案内のように、当時とは違います、昭和二十年代の話でありますから。工業立国といいますか貿易立国、経済大国になりました。しかし、わずか一年の凶作でこれだけの米騒動が起きるじゃありませんか。あるいは、中山間地の集落がなくなって、だれが一体日本国土を守るのでございましょうか。あるいは地域の経済を考えても、やはり一次産業がしっかりしておって二次産業、三次産業の発展があるのではないか。そんなことを考えますと、私は、昔も今もあるいは将来も、国土環境等、あるいは日本の基本的な、さっきお話しの命の米を考えると、やはり農業は国のもとであるということは変わらないのではないかと思いますが、両大臣、お答えください。
  106. 河野洋平

    河野国務大臣 全くそう思います。
  107. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 まさに国の礎であり、農業が衰えている場合には、国全体がいかに栄えておってもそれは国の衰えに通ずることだと私は思います。
  108. 星野行男

    星野委員 アメリカとかヨーロッパも、さっき申し上げたような農業予算を財政が厳しい中にもどんどんふやしているということは、ヨーロッパのあるいはアメリカの、今までの国としての生存競争の中で、農業はやはり大事なんだ、こういう基本的な考え方があるのではないか、そう思うわけであります。  さて次に、世界の人口と食糧問題でございます。  世界の人口は既に五十六億人を超えました。しかも、今日でもこの地球上には飢餓地域の住民が約七億人、一年間に千三百万人の人が食えなくて死ぬ、こういうふうにも言われております。しかも、世界の人口は三十年後には間違いなく八十億人を超える、こうも言われているところでございます。  ところで、先般来日いたしましたアメリカのシンクタンク、ワールドウォッチ研究所長のレスター・ブラウンという方がおります。この方は、世界の人口増加に比較をして地球上の穀物生産がそれに見合った伸びが期待できない、一九五〇年から八四年までの三十四年間に、世界の穀物収穫量は毎年三%ずつ増え、一人当たり四〇%も供給量が増加をした、しかし八四年以降は収量の伸びが一%にとどまり、人口増加率の二%に追いつけなくなった、九四年の一人当たりの供給量は、八四年当時に比較して一〇%減っている、こういうことも言っているわけでございます。  同時に、実は中国の人口でありますが、現在十二億、こういうことでありますけれども、毎年千四百万ずつふえていく。そうするとやがて十四億、十五億、あるいはさらにそれを超える人口になる。しかも、経済力が向上し食生活が変わっている。今の野菜から肉とか牛乳とかそういうものを食べるようになると、そういう家畜を養うえさ、穀物が大量に必要になってくる。中国は膨大な穀物輸入国になるだろう。そういうことから、地球上にやがてそう遠からず食糧危機というものが必ず来る、そういうふうにおっしゃっているわけであります。  このような世界の人口と食糧の見通しについて、大河原農水大臣、お答えください。
  109. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お話しのとおり、現在既にアフリカ等においては飢餓とか食糧不足が現出しておることは確かでございます。ただ、現時点では輸出国では多少在庫のゆとりがあるということでございますが、今後の中長期を見ますと、今御指摘の人口の増加というのが一方にございますし、他方では環境問題とかその他で供給力が制約されてくるということで、非常に需給が不安定になるだろうということについては我々もその前提で今後の食糧問題は考えていかなければ相ならぬ、さように思っております。
  110. 星野行男

    星野委員 さてそこで、我が国の食糧政策、しかも中長期の食糧政策ということでございますが、現時点におきましては、これも二年前の数字で、カロリーベースの自給率が、かねて三年ほど前の四九から四六に落ちている。しかも、カロリーベースでいいますと、現時点ではさらにそれを大幅に下回っているのではないか、これは私の推察でございますが、そういう状況。穀物の自給率が二九%、こういうことでございます。  これは言うまでもなく、先進主要国はおろか国連加盟国の中で最低水準ということでありますが、こういう状況の中で、これからの今大臣おっしゃった中長期の日本の食糧政策、一億二千万の国民に、先ほど、前の質問者がお話しされたように、安全な食糧を安定的に供給をする、これは政治のまさに責任である、そう思うわけでありますが、その中長期の食糧政策について、農水大臣の御方針を承りたいと思います。
  111. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お話しのとおり、我が国の自給率は先進国の中で異常に低いというようなこと、低下の傾向をなお示しておるという問題でございまして、先般、今回のウルグアイ・ラウンド農業合意受け入れに伴う国内対策の際に、その基本的な考え方を検討していただいた農政審議会においてもこの点が指摘されて、この低下傾向に歯どめをかけるということが提案されております。それを受けまして、まず需要と供給を見直そう。それで、意欲的な供給力の増加というのはいかなる方法によるかということで、今、農政審議会の部会で十年後の需要と供給の長期見通しを作成中でございまして、一年以内にこれをつくろうということでございますが、政策としての基本的な考え方は、やはり国内資源を活用して供給力を増す、しかもその農業生産はしっかりした担い手、効率的、安定的なしっかりした担い手が生産の大宗を握る、そうした力強い形で供給力を持たなくちゃいかぬ、さように思っております。
  112. 星野行男

    星野委員 今お答えのとおり、農水省の考え方も、基本的には自給を基本としながら、備蓄あるいはまた輸入を組み合わせた安定供給を図っていきたい、こういうことにあるわけでございますが、しかし、今お話し申し上げたように、中長期の世界の人口と食糧問題、決して楽観を許せるような状況ではございません。そういうことを考えますと、やはり国内農業生産の基盤である農地というものを保全していくことを考えていかなければならない、そう思うわけであります。  そこで、実は昨年のウルグアイ・ラウンド農業合意受け入れに際しまして、この農業合意、ミニマム・アクセスが入るわけでありますけれども、しかし転作の強化はしない、こういうことを当時の内閣として決めたわけでありますが、御案内のように、減らしている。今六十万ヘクタールですね米は。この転作について、最近しばしば転作面積を拡大をせざるを得ないのではないかという情報も聞くわけでありますが、私はこれはやはり厳然として守っていただきたい。そして、日本の農地、さっき申し上げたような耕作放棄農地が増大をするということは、減反政策と無関係ではない、やはりこれを続けていけば農地の荒廃もさらに進んでいく。そういうことも考えますと、今申し上げたような転作面積の強化は行うべきでない、そう思うわけでありますが、農水大臣、お答えください。
  113. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 もう委員御案内のとおり、今日、来年産米についての生産調整面積問題が起きておりますのは、ミニマムアクセスと全く関係ございません。平成六年の異常な豊作、それが、今しばしば御指摘があったような去年の大不作、したがって、ゆとりある需給をつくらなくちゃいかぬということで、六年産米と七年産米で百二十万トンとにかくあるようにしよう、したがって、減反面積を六十万ヘクタールにしたわけでございます。  ところが、今度大豊作でございまして、もう来年の米穀年度末には百五十万トンぐらいは間違いなく在庫はできるという事態で、それは結局、自主流通米の売れ残りとかあるいは価格の低下という直接稲作農家の所得に関係する問題が出てくるんで、こういう販売環境をそのままにしていいかという問題でございます。一方では、御指摘のように、国として約束した二年間の面積を一定するということもございますので、むしろ生産者の皆さんはその点とう考えるのかということで現在話し合いをしているということでございます。
  114. 星野行男

    星野委員 まあ農業は天候相手の仕事でありますから、凶作のこともあれば豊作の年もある、そういうことで生産量というものは一定しないわけであります。そこで需給の調整という問題が出てくるわけでありますけれども、私は、さっき申し上げたような、地球上で飢餓地域の住民が七億人もいる、千三百万人も食えなくて死んでいくというんですよ。あのテレビのやせ細った子供の姿、本当に悲惨でありますが、そういうことを考えますと、やはり人道援助で、日本の適正備蓄を超えた余剰米といいますか、余裕米といいますか、こういうものをぜひとも活用すべきである、そう考えますが、いかがでございますか。
  115. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お話のとおりでございまして、従来以上に、援助なりあるいは救済的な米の問題、援助米ですね、これについては検討いたさなければならないというふうに考えております。
  116. 星野行男

    星野委員 そこで、時間もありませんから進ませていただきますが、先ほど申し上げましたように、我が国農業農村状況は容易ならない状況にあります。今回政府がお決めいただいた六兆百億円のウルグアイ・ラウンド関連の農業農村対策に敬意を表しながらも、しかし、これで農業農村の立て直しかできるとは私はどうしても思われないところであります。  御案内のとおり、社会経済情勢の変化の中で、農村の過疎化あるいは高齢化の進行は言うまでもありません。  それから、農地の関係でも、平場では都市化の進行によって農地が道路敷地になったり、あるいは工場用地になったり、住宅用地になったり、公共施設の用地になったり、年間約二万ヘクタールの農地がつぶれていっているのですよ。都市化の進行等でそういう平場での優良農地が宅地化される。それから、中山間地の農地の担い手のいなくなった耕作放棄地がふえているということは申し上げたとおり。  それから、後継者がいない。さっき申し上げた学卒の農業就業者が全国で千七百人。三千三百の市町村で割れば〇・五人、一人いないわけだ。全く後継者がいないと申し上げても過言でない。嫁さんがいない。嫁さんの話を聞くと、水道ができてなくて朝シャンができないから農家の家に嫁に行くのは嫌だという話も聞いたことがありますが、いずれにしてもそういう状況で、まさに今日本農業農村というものは衰弱し切っている、こう言わざるを得ません。  これを立て直すということは大変なことでありますが、しかし、愛する我が国国土、そしてまた環境、あるいは子供や孫、国民を飢えさせないために、すなわち国家百年の大計のためにどうしてもこの農業農村の立て直しはやらなければならない、それは今政治の衝にある我々の責任である、そういうふうに申し上げ、私も確信をいたしているわけでありますが、そのために私は率直にどういうことをやったらいいかということを五つ御提案申し上げます。  一つは、既存の土地改良負担金。これは、全国合計いたしますと、元金だけで約二兆円、償還期間の利子を計算すると約四兆円の借金が全国農家の借金を合計するとあるんですね。これを、私は結論だけ先に申し上げます。安い金利に借りかえるというようなことでは、とても今のこの国際化、自由化の荒波の中で、この衰弱し切った体で私は無理だと思うのです。やはり元本を五〇%カットして、荷を軽くしてやるべきだというのが私の第一の提案。  第二の提案は、農業基盤整備。これは平場も中山間地もそうでありますが、農水省の皆さんの御努力で補助率が随分高くなった、引き上げられた。あるいはまた市町村の一〇%負担というものも土地改良法の改正で入りまして、農家負担は既往に比べると大幅に改善された。改善されたけれども、私は、農地というものは、平場あるいは中山間地も含めて、まさに国土保全環境保全でありますから、そういう面を考えて、ぜひ原則国あるいは都道府県、市町村、公費でやるべきであると考えます。  なぜそういうことを申し上げるかといいますと、一つは、この間ある町の町長が来て言っていましたけれども、もう七十代の人でありますが、今まで一生懸命農業をやってきたけれども、もうできなくなって土地を売ったというのですね。そうすると、既往の県営圃場整備は、二七・五%、御案内の農家負担があるでしょう、その借入金。だから、その土地を売った代金で土地改良の借入金を払ったらそれでパアになったというんですよ。戦後の食糧不足から本当に難儀な仕事を一生懸命国民の食糧を守るために頑張ってきて、それで一生涯を終える、全財産を処分して借金が終わる、これじゃ余りにも悲惨じゃありませんか。  それからもう一つ。やはり今までのような米価が右肩上がりのときは、負担しても基盤整備をやろうという農家は多かったですよ。ところが、今の農業情勢の中で、先行き不安定、米価が上がる要素はまずない、そういう状況の中で、農家の皆さん方が借金してまでこの基盤整備をやろうという意欲が少ないのです、正直言って。そうすると、結局なかなか地域内の農家の方々の同意がとれない、なかなか農業基盤整備が進まない、そういうところは現に間違いなくありますよ。  御案内の平成五年に第四次の土地改良十カ年、四十一兆円、こういうことを決めていただきました。あるいはまた、今回のウルグアイ・ラウンドで三兆五千五百億の農業農村基盤整備を決めていただいておりますけれども、私は、そこのところを改善しないとなかなか基盤整備はうまく進まない。しかも、この六年間のウルグアイ・ラウンドの期間内にしっかりとやはり基盤整備の大宗はやってしまわなければならない、そう思うのでありますが、私は、今申し上げたように、そのためにはやはり原則公費で基盤整備はやるという大方針をしっかりと決めるべきだ、そう思うのです。  第三番目。平場地帯でありますが、基盤整備さえしっかりやれば、中核的担い手に、利用の集積で、受委託あるいは貸し借り等でやはり進んでいきますよ。昔は大きな地主があって小さな小作がいっぱいいた。これからは小さな地主で大きな小作、そういう形で二十町歩、三十町歩の新農政に言うところの大規模農家が平場では間違いなくできていきます。また、中核的な担い手支援、そういう面では必要だと思いますが、まあそういうこと。  それから第四番目は、問題は中山間地であります。中山間地になぜ若者は定着しないかといいますと、それは二つある。一つは、やはり都市の環境山間地環境を比べてその生活環境に大きな格差があるということ。もう一つは、所得に格差があること。この生活環境と所得の格差がやはり中山間地の過疎化を食いとめ得ない。今まで大変努力してこられた、我々も努力してきた。けれども、さっき申し上げたように、過去五年間で中山間地の集落の灯の消えた数が千を超えるというのですよ。これから先どうなるのですか。そういうことを考えると、やはり中山間地については日本型の所得補償政策、ヨーロッパ型のデカップリングは適当でないと思いますけれども、やはり日本型の所得補償政策を速やかに確立をしていかなければ悔いを千載に残す、そのように私は思います。これが、今申し上げたのが第四番目。方法はいろいろとあります。  第五番目は、やはり農村というものを、今混住化あるいは共住化ということで農家だけが暮らしているわけじゃありません、しかしこれを豊かな自然の中で都市部と格差のない生活環境整備をすることによって、一極集中是正にもなる、同時に中山間地の若者定着にも貢献をしていく、こういうことであります。  私は、今申し上げた第一番目に、土地改良の負担金、元金を半分減らしてやりなさい。これからの厳しいあらしの中、国際化、自由化の中で農家に頑張れと言うには、荷を軽くしてやらなければ衰弱した体には無理ですよ。そのことをぜひ私は強調しておきたい。  第二番目は、農業基盤整備を原則公費でやるべし。  第三番目は、やはり平場地帯は規模拡大、利用の集積という形を支援をする中で規模拡大を育成していく。日本農業の一番のウイークポイントはやはり零細性にあるわけだ。しかも、二次産業、三次産業で雇用機会がふえていけば、あるいは所得の機会がふえていけば、少なくとも土地を放さないで利用の集積という形で規模拡大が進んでいくことは、私は流れとしては間違いないと思う。  それから第四番目が、中山間地対策。これは一番私は重要なことだと思うのでありますが、この間、十一月十八日に宮崎県の松形知事が主宰をして国土保全奨励制度のシンポジウムがございました。研究会もできているわけでありますが、いろいろなやり方がありますけれども日本型の所得補償政策をぜひとも、我々もまた時間を見て提案したいと思いますが、大河原大臣、今までのことは全部わかっていらっしゃるわけでありますから、大河原大臣の時代にぜひともこれを確立をしていただきたい、そのことをお願いを申し上げておきたいと思います。  時間になりましたので私の提案だけで終わりますけれども、何かコメントがあったら、今申し上げたうちの幾つかでも、大河原大臣、コメントを願います。
  117. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 簡単に申し上げますが、四兆のうちの元本が二兆五千です、それで一兆五千が利息相当分ですが、一律に元本半分というわけには、そういう施策はなかなか難しいということを申し上げざるを得ないと思います。何もやっていないかというと、償還延長その他十分御案内のとおりでございまして、さらにそれを今度の国内対策では重点的にやりたいと思っておるわけでございます。  それから、国費で全部やるという問題も、御案内のとおり、もう釈迦に説法でございますが、公共性が大変強い、しかしやはり個々の農家の所得の増加にもつながるという問題でございまして、大方の国民的合意はなかなか難しいであろうというふうに思います。  それから若者確保の問題。これはしっかりした経営ですね、新しい経営。それをつくった上で環境整備その他もやらなくちゃならないし、それから、EUの方式ではないけれども日本型デカップリングの問題については、また先生からも内容等についての御所信を承ってやりたい。  以上でございます。
  118. 星野行男

    星野委員 いろいろと御答弁をちょうだいしてまいりましたけれども、甚だ不満足でありますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、今の日本農業農村の実態をしっかりと御認識をいただきたい。そして、この状況の中で、本当に国家百年の大計として日本農業農村を立て直すということは大変な努力が必要だということをもう一度再確認をいただきたい。我々も頑張りますが、今の所管、大河原大臣初め関係の皆様方のこれからの大変な御努力をお願いを申し上げまして、一応私の質問を終わります。  以上です。
  119. 佐藤孝行

    佐藤委員長 星野君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  120. 佐藤孝行

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松田岩夫君。
  121. 松田岩夫

    ○松田委員 改革の松田岩夫でございます。きょうは農業問題を中心に勉強させていただきたく思います。  今まさに六年間の計画ということで、多額の国家予算を投入して農業を再生させようというわけでありますが、二〇〇〇年には今の米の生産量約一千万トンが七、八百万トンになるのではないか。その大きな理由は、現在農業の第一線で働いておられる昭和一けた世代が、まさに六年後ということになりますと高齢者になられて御引退なさっていかれる。  これは平成五年度の農業動向に関する年次報告というのを読まさせていただいたんですが、「年齢別男子農業就業人口」といった図を見ておりますと、本当にそら恐ろしい将来になるんではないかと思えてしょうがないわけであります。昭和三十五年ごろはまさに三十歳から三十四歳とか、そのちょうど観世代に当たる五十五歳から五十九歳といった、ともに働き盛りの方々農業の中核であられた。しかし、今言った三十五年において五十五歳から五十九歳であったその年の方々は、もちろん年とともに、年を追って御引退なされていかれて、今日農業就業人口の最も多い世代を見ますと、三十五年当時三十歳から三十四歳であられた方々、現在は六十歳から六十四歳、こういうわけであります。その後、じゃピークがあるのかと見れば、もう各年代別に見てみますと激減しているわけであります。  このピークが過ぎた後、農業人口は一体どうなるのか、そう思いますと、まあ六年後、今いろいろ議論しているけれども、七、八百万トンになるのが精いっぱいではないか。規模拡大と言っているが、過去の規模拡大、我々何年、規模拡大、規模拡大と言って努力してきたか、そんなことも思いますと、七、八百万トンになっちゃって、今こうして市場開放するとどうのこうのと言っているけれども、もうはるかにそれ以前の問題として、我が日本農業はまさに危機的状況にあるのではないか、私は、実はそういう非常に深い心配といいますか、そういうものを持っている一人であります。  そうなりますと、お米を自給するなどということはまさにだんだん夢になってくるわけでありますが、一体そもそも日本農業のこの厳しさの現実といいますか、それをどんなふうに思っておられるのか。また、今言ったように、例えば六年後に七、八百万トンぐらいに平気でなるよということをおっしゃる論者がかなりおられるのです。そういうふうには絶対にさせないと、答弁をお聞きしていますと、あるいは皆さんもそんな思いでおっしゃっておられるのですが、本当にそうは絶対にさせないとまずおっしゃっていただきたいと思うのです。  きょうは総理大臣におっしゃっていただこうと思ったのですが、総理がお見えにならないということなので、絶対に二〇〇〇年において我が国米生産量は、傾向としてですよ、年々の不作だ豊作だはありましょう、傾向として一千万トンを割らせることはない、まして七、八百万トンなどというのは絶対にさせない、そうここでまずおっしゃっていただきたい。副総理、どうでしょう。
  122. 河野洋平

    河野国務大臣 議員の心配の気持ちは、私も同じように、日本農業が今言われるような傾向をたどるということがあってはならないというふうに考えております。それで、多く農村農業を語るときには、農家戸数であるとか農業従事者の人数で語る場合もあるわけですけれども、これはもう議員御承知のとおり、規模拡大とかあるいは新たなイノベーションとか、そういった部分をどういうふうに織り込んで考えるかということも他方あると思います。  しかし、いずれにせよ、日本農業というものは、先般来申し上げているように、日本の国の基という気持ちを我々持っておりますので、農業の衰退が今おっしゃるような心配の中で起こるということのないように、最大限の努力をするということを申し上げたいと思います。
  123. 松田岩夫

    ○松田委員 農林大臣もよろしかったら……。
  124. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 ただいま副総理が申し上げましたが、松田委員の御指摘のように、高齢化の急速な、日本全体も高齢化社会と言っていますが、農村においてはその進度がはるかに倍ぐらいのスピードで進んでおるという点は確かでございます。したがって、担い手のリタイアがあり、就業人口の減少もあります。この点については、その現実を直視して見なくちゃいかぬという点において、いろいろ厳しい見方、例えば松田委員が御指摘になったこういう意見があることは私も承知しております。非常に厳しい見方もあります。  しかし、我々としては、一昨年、このような事態に対して新しい食料・農業農村政策というものを打ち出しまして、所得とかあるいは労働時間、そういうものでほかの従事者に匹敵するような経営体をつくって、稲作生産でもそういう経営体、これは個別経営もございますし、あるいは現に各地で見られる集団的な組織経営体もございます、そういうものを中心にして稲作生産の八割ぐらいをカバーしていこう、そういう目標を立てておるわけでございまして、今回のウルグアイ・ラウンド国内対策はむしろそういうものに向かっての対策だということで、御心配のような事態が起こらないように全力を挙げていきたい、さように思っております。
  125. 松田岩夫

    ○松田委員 ぜひそういうつもりで、我々党派を超えて結束してやっていく必要があると思うわけでありますが、そういう目で今回の関連対策について考えてみますと、もう同僚議員の多くの質問を通じて、実は六兆百億円と金額だけがひとり走りしていまして、私にはそう思えるのでありますが、一体この六兆百億円というのはどういうものなのかというのが私もまたしかと理解できないところがございます。  これはすべて、六兆百億円決めたというわけですから、これから六年間でこれだけの予算が使われることはお約束されたわけですから明らかなわけですが、もちろん年々の予算編成だとまた一方でおっしゃる。しかも、その六兆百億円というのは全く今まで思っていたこと以外のことかといえば、そうじゃない。大きな予算額を占めている土地改良事業というのは、もう長期計画がちゃんとあって、土地改良の予算は、この長期計画の中のものをこの六年間で先取りするというか、本来入っているものにさらに上乗せして使っていく、こうおっしゃる。  一体、年々総体として幾らふえたのか、政府の持ち分は幾らだ。ざっと五割程度だろう、三兆円だ。そうすると、六年で割ると五千億ずつか。じゃ五千億ずつ今例えば来年度要求している農林省予算に追加になるんだなと聞けば、いや、そうじゃありません。一体六兆百億円、これは何だと聞くと、いつも答弁は、従来の農水省予算に支障を来さないよう配慮する、その言葉だけが返ってきて、さっぱり、この六兆百億円というものは一体何なのか。  思えば、そうでしょうね、予算というのは年々決めていくわけですから。年々の予算編成が終わらないのに、一体これが上乗せなのか新規なのかと言ってみても始まらないと言われれば、そのとおりかもしれませんが、しかし、もともとそういう性格のものだとすれば、六兆百億円の対策をやるから大丈夫だなどと言うこと自身、一体何なんだと私には思えてしょうがないわけであります。何も言ってないのと同じだ、これから毎年決めていきますよということとどう違うんだ、まじめに考えればそう受け取れるわけであります。しかし、今言ったように、六年後にはもう米の自給などといっても絵そらごとだよと言われかねないほど深刻になっておる事態に対して、私は政府のこの政策の決め方としては極めて不明確だ。どなたかもおっしゃいましたけれども、農家の方々が見ていて安心できるといった状況にないと私には思えます。  そういう意味で、もう一度この際、何度も同僚が聞きました。大蔵大臣と農林大臣に、一体この六兆百億円というのは何だ、どう責任をとっていかれるのか、どう具体的に予算にあらわれてくるのか。そして、いや任せておけとおっしゃるのであれば、まず来年度が初年度であります。来年度予算編成、年末に終えられます。その前に本案件は議了しておきたいとおっしゃる。私も議了すべきだと思う。しかし、どんな対策をしようとしているのか、我々どれほど聞いても明確になってこない上でこれを議了するということは、自分の良心に極めて反する。しかし、そうかといってウルグアイ・ラウンド協定は、私自身も力強く申し上げましたように、ぜひ批准すべきものである。  だとすれば、その解決策はどういうことだろうと私はいろいろ考えてみました。結局、来通常国会冒頭に、もうそのときは予算編成も終わっていますから、恐縮でございますが、政府の責任において、六兆百億円の初年度分は、当初概算要求農林省予算かくかくしかじか、それに対して大蔵省査定幾ら、それに対してプラス六兆百億円のうち初年度分幾らということが我々に明確になるように、来通常国会冒頭に御報告をいただきたい。  私は、せめてそのぐらいのことをしていただかないと、国民もわからない、我々もわからない、そのまま本件は議了していくということには耐えがたい思いをいたすわけでありますので、今申し上げたことも含めて、どういった責任ある行動をとっていただけるのか、農水大臣並びに特に具体的に申し上げた点については大蔵大臣を含めて、来通常国会冒頭に、今私が明確に申し上げました内容、明確なものを御報告いただくようにお願いして、それに対する考え方をお聞きしたい。どう責任ある行動をとられるのか、我々全体の問題であります。六年間も今の政権が続くとは思っておりませんから、私どもも含めて一体どうしていくのか。まあ政権の話は不見識ですからどうでもいいですが、その点についてお聞きいたします。
  126. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 しばしば私なり大蔵大臣がお答えしております。副総理もお答え申し上げておりますが、今度の六兆百億円というのは総事業費でございまして、お話にもあったとおり、国費率をどう見るかでございます。五〇%以下であろうということでございますが、これは国内対策実施するための事業として新しく打ち出しておるということでございまして、これは政府・与党の最高の決定としてその財政的な裏づけをいたすということに我々は承知しております。  あとの従来予算の問題でございますが、いみじくも委員もおっしゃられましたように、これは従来の予算の編成過程におけるいろいろな査定その他復活、そういう形で最終的に従来予算は決まるわけでございますし、特に我々が、私ども農政の立場から心配しているのは、農林関係の新しい事業、この国内対策事業、それの財源を生み出すために既定予算に対する削減を加える、今三兆四千億ぐらいですか、従来の農林予算、それに対して査定を加えることがあっては支障を生ずるということで申し上げておるというわけでございます。  ですから、新しい事業は新しい事業として、これは年割り額は六分の一ではございませんけれども、きっちり新しい事業としての予算措置がとられる。それで、従来予算はその編成の過程において決まるわけでございますが、そこで財源調達のための削減、抑制が行われたのではないという格好で従来予算も決めるべきだと思いますし、今委員がおっしゃったその点は、もう予算として形が決定した後でございますから、それは当然出すべきものだと思います。
  127. 武村正義

    ○武村国務大臣 それはわざわざおっしゃっていただかなくても、予算というのはああいう分厚い個別の事業を体系するものですから、当然この中でウルグアイ・ラウンド対策費はこれこれで、合計金額はこれですということは明らかになるはずであります。  松田委員も御承知のように、予算は単年度主義で進めております関係で、年度を越える予算的な約束といいますか、政治的発言というものは一体何で担保するかということが問われているわけであります。外交的な場でいろいろ将来の約束をする場合もそうですし、今御指摘のような土地改良の十カ年計画等を初めとして、さまざまな政府の公式な五カ年、十カ年等の計画がございますね、これについても同じような見方ができるわけでありますが、最終的には予算というフォーマルな場できちっと……
  128. 松田岩夫

    ○松田委員 私が申し上げたことを出していただけるのですね。私が言ったことですよ。普通の予算書を出してくださいと言っているわけじゃありませんよ。短く要点だけ答えてください。
  129. 武村正義

    ○武村国務大臣 冒頭に申し上げたでしょう、明らかになるということ。いずれにしましても、予算が成立をすればこの数字は明らかにさせていただきます。
  130. 松田岩夫

    ○松田委員 それでは、その機会にまた六兆百億円なるものの初年度分がどんなふうに具体的に実現されてきたのか、質疑をさせていただきたく存じますが、質疑に十分足る資料をぜひ御提出をいただく。今、御提出をいただけるということですので、次の質問に移らせていただきます。  さて、今大蔵大臣いみじくもおっしゃいました、年々の予算で決めていくことだと。ですから六兆百億円、六年間でといっても、それは年々の問題だと。そのとおりなんです。そこなんですよ。そうすると次の課題として、六兆百億円こういうことをやる、こう言って我々は了承して次へ行くわけだが、しかしまた年々だ、こうなる。  来年のことについては来年初めに機会をいただくことにいたしました。そうだとすると、これほど大きな、ある意味で農家の総所得を上回るほどのこうした国家財政、あるいは地方財政も含めて支出するというようなことを国民がみんな納得してやっていくためにも、私は、単に年々の予算措置だけで済ませていくというのは問題ではないか。まさにウルグアイ・ラウンド対策ばかりではない。私が申し上げて皆そうだとおっしゃったとおり、もう現在の日本農業というのは壊滅的状況を待っているような気もしないでもないほど厳しい状況にある。  それを、これを契機にひとつ徹底的に再生しよう、そういう思いだ、そういう思いの中でこの六兆百億円も出てきたんだというのであれば、私は、まさにその全体系を特別立法にして、そして年々の予算どころではない、単なるいわゆる公共事業別にある長期計画ではない、まさに農業再生のためにかかる全体系、全総力を挙げてやるんだ、そういう特別立法、あるいは名前は何でもいいですけれども、立法措置が講ぜられてしかるべきではないか。  ところが、今回出てきた関連法案というのは、そういうのは一つもない。あえて関係するとすれば、食管法改正で新食糧法。しかし、これも今の六兆百億円と直接どう関係するのだ。余り関係はないです、農林省の係官がそう言われました。まあそうですね、中身を見ても、余り予算どこれと結びつきはない。  だとすれば、私はこの六兆百億円、かかる大きな政策を、単に政府の決定で決め、ここで御説明をいただいて、そして具体的にはどうか。いや、それは年々の予算だなどという扱いで済ますわけにはいかない。これまた議員立法でも結構です。あるいは政府が六兆百億円、私は、何の御相談もなく、我々が相談を受けたのかどうか私は知りません。しかし、六兆百億円政府の方で決められるというのであれば、政府の方で特別立法を御用意されて、来通常国会、御提案をいただきたい、私はそう考えるわけでありますが、農林大臣、いかがでしょう。
  131. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 この総事業費六兆百億円、これにつきましては、それぞれの個別の事業ベースを積み上げておりまして、例えば六兆百億のうちで三兆五千五百億は、これは土地改良事業でございます。これらについては、今先ほども委員お話のあったとおり、平成十四年を目途にする第四次土地改良計画、これの中で特に緊急を要する事業を重点的に実施するということで、事業計画は土地改良長期計画として確立しておるわけでございまして、私どもとしては、特にこのための立法というものは考えておらないわけでございます。
  132. 松田岩夫

    ○松田委員 大蔵大臣、あわせて御見解を。
  133. 武村正義

    ○武村国務大臣 立法の問題については、農林大臣と同じ見解でございます。
  134. 松田岩夫

    ○松田委員 その程度の覚悟でしか政府としては農業対策に対応しておられないのかなと、まことに残念に思いました。  さて、冒頭にお聞きしましたような事態に日本農業が立ち入らないためには、いろいろな対策が必要であります。このウルグアイ・ラウンド関連対策としてお取りまとめいただいている、項目としては、私、カバーされているのかなという気がいたします。  しかし、それぞれの対策について二、三お伺いしたいわけでありますが、私は、何といっても一番大事なことは、いろいろあるけれども本当に人が確保できるのか、農業に従事しようとする人たち本当にいてくれるのか、このことと、僕は国際競争力を持てとまでは言いません、もともと不可能です。国土条件その他から考えて、日本の米が外国と競争できるなどというふうに思いません。思えません。また、そんなことは考えても無理だ。そこは認めた上で、しかし、それにしても今のこの農業の内外価格差の、特に土地利用型産業の典型であるこの米の内外価格差、後ほどまたこの点については御質疑を申し上げたいと思うのでありますが、そういったことを思いますと、いかに土地を集約化するか、いかに大規模経営をつくり上げるか、私は突き詰めていくとこの二つが一番大事だし、また一番難しい問題だ、こういうふうに思っているわけであります。  そういう意味で、そういう気持ちでこの農地流動化対策とかあるいは農業内外からの新規就農者の確保対策というものを真剣に検討させていただきますと、本当にこんな程度のことでいいのかと私は思えてしょうがない。  まあ戦後の農地改革を思い出すと、あれで小作農から自作農へと、あのときにせめてもうちょっと大きくまとめておいたらよかったな。そんなことを今思ってみても始まりませんが、しかし、そんなお話をしていましたら、当時農林省としては、あの農地改革、せめて三ないし五ヘクタールぐらいにしたかったということなんだそうですね。  現在、我が国の二戸当たりの農用地面積一・四ヘクタール、アメリカ百八十九ヘクタール、百三十五分の一、まあこれはけた違いどころかよくやっているなと、かわいそうだなと、そう思える数字であります。また、その農地価格、これは円高のこともありますから比べにくいといえば比べにくいのですが、それにしても、十アール当たり日本は、これは九一年の数字しかないというので九一年の数字ですが、十アール当たり百六十五万一千円、アメリカ一万七千円、九十七倍。  本当にけた違いの経営面積、けた違いの農地の高さの中で、一体どうやって、まあアメリカと互角に戦えなどとは毛頭初めから考えない、そんなことはもうとっくにあきらめた。しかし、それにしても、いかにも小さいこの農地をどうやって流動化し、そして本当農業をやりたいという担い手にどうやって集約化していくか、これはすべての英知を結集しなければいかぬ、今、もう最後のチャンスだ、私はそう思います。  そういう意味で、本当にこれで大丈夫なんですか、農水大臣。私は、こんな程度でと言ってはいけませんが、これはどう見てもほかにもいろいろあるんだろうと思うのです。払いただいた資料はこういう資料なんですけれども、この「ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の概要」というのですが、農地を担い手に集約させようとする対策は、恐らくこの二番目に出ている「農地流動化対策」というところだろうと思うのです。しかし、こんな程度のことで果たして、しかもまだ、やろうとされる目標が、過去十年間の農地流動化実績のたった二、三倍に相当するという。今言いましたように、アメリカに比べたら百三十五分の一の大きさだと。一体、六年後にどんな農業に我々はしようとしているのかということも問題だが、しかし、二、三倍に相当する農地流動化を進めるということだって大変なんです。  二段目の、大変だがというかこんな小さなことではいかぬと思うのだが、そんな小さな程度の目標さえこれで達成できるのか、そういう気持ちに私はなるわけでありまして、では一体何があるんだと、いろいろみんなに聞いてみました。なかなかいい知恵はないと言うんだ。どうなんですか、これ、農水大臣。  みんなから聞いたことだけちょっと言っておきますが、税制面からの誘導策、何かないのか。あるいはここには財政的な措置とか、いろいろお互い地域で助け合って受け手の掘り起こし活動などをやって、農地利用の調整をやりやすくして、環境整備してあげるというようなことが書いてあります。それから、あとは農地保有合理化法人、それに対する支援等といったことが書いてあります。  しかし思えば、例えば私の地域でいうと、何で農地が集まらないんだ。いや、それは農地といったって、いずれこれは宅地ですよ。私は百姓やろうなんてこんな農地持っているわけじゃありませんよ。いずれ値段が上がれば大事な財産です、宅地に転用して、かけがえのない財産、先祖からいただいたもの、そうしたいです。私の地域ではみんなそうおっしゃっているのです。だから、こういう方々に、おい、農地まとめろよと。いや、農地まとめろといったって、私たちは別にお百姓やろうなんてもう毛頭思っていませんよ。こういうところ、もうどうしようもないですね。私の地域はそうです。  私は岐阜市というところです。町ですが、周りには田んぼがまだたくさんあります。しかし、そんなところでまとめろなんて言っても、もう話になりません。そうすると恐らく、私が住んでいない、まあ北陸か東北か北海道か、どこかそういう大きいところでしょう。あるいは私の地域でいえば岐阜県の南部、木曽三川の下流地域といったようなところです。そういったところでもどうだ、線引きが非常にルーズに運用されておる。ここは農地だよ、だけれども、いやまあいずれ何とかなるよ。これじゃ、それは農業をどうしてもやろうと思っている人たちがたくさんいる状態ならいいです、もう農業はみんな片手間です、我が岐阜県でいえば。そういう状況の中で農地の集約化などできっこない。一体どこの話かなと思うのです。  私のところがそうだが、ほかの県では農地の集約化ができる場所があるのか。じゃ、集約化をするのなら、我が地の経験からすれば、よほどこの線引きを厳格に運用して、もうここは農地だ、絶対に宅地にはならないよ、せめてそんなことでもしっかりやらないことにはそれはとてもじゃないんじゃないかと私には思えてしょうがないのですが、しかし、これはそんなことを言ったってどうかな。  いずれにしても、今まさに運用が私から見ればルーズだ。ルーズだからこそまた助かっているところもあるというのですね、町長さんや村長さんに聞くと。いや、むしろもっとルーズにしてくれという陳情もたくさん受けると。そういう悩みの中で、私自身、正直、御質問の要旨には、もっと線引きを厳格に運用して、いずれ宅地になるよなんという思いを断ち切れ、この悪循環を断ち切ったらどうだということを入れておきました。しかし、入れた後、きのういろいろ話してみると、なかなかそれも簡単じゃなさそうだ、こうおっしゃる。  そんなことを思いますと、私、きょう具体的に何か提案したいなと思っていろいろ勉強したんですが、いい答えがありません。果たして、農林大臣、この程度で本当に、今政府が目標とされておる「過去十年間の農地流動化実績の二〜三倍に相当する農地流動化を進める」、こんな程度すら実現不可能ではないかと私には思えてしょうがないのです。ちょっとくどくなりましたけれども、しかし、これからの農業経営を本当に近代化、合理化していく上で第一の決め手は、この農地流動化を図って農地の規模を、まあ目標を言ってもしようがありませんが、向こうの百三十五分の一ですから、一体どのくらいにされるのか。六年後にたった二、三倍にされる。二、三倍広げて一体どのくらいにされるか。これ書いてありますけれども、こんな程度にしたって、まだ合理化、近代化としては非常に程度が低いと私は思います。それにしてもこの面の努力を、相当しないといけないところか、もう徹底的にしないといけない。そういう意味で、この対策、十分ですか。
  135. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 各般の面からの御指摘でございますけれども、農地流動化対策、集積の目標自体、これはやはり平均的な規模ということではなくて、担い手でございますね。大体平均すれば十五ヘクタール、そのような個別経営、そういうもの、中型機械化体系がフルに完全燃焼できるような、そういう稲作経営を目標にして、その経営に対して急速な集積を図るということでございまして、その面積が、大体十万ヘクタールぐらい毎年流動しておりますが、その二ないし三倍ということによって加速するということでございます。  それで、所有権の形による移動、これがなかなか、土地保有に対する今の農家、兼業農家その他も大変強い。したがって、賃借権、借地権による移動が現在も主体になり、さらにそれを進めよう、そういうことでございます。  そういう意味で、今回の対策の中に含まれております流動化対策によって、担い手を中心とした土地集積、それに対する効果を上げられるものと、さように考えております。
  136. 松田岩夫

    ○松田委員 答弁答弁であれですが、本当に大丈夫かな、どうしたらいいのかという思いをもつと真剣にひとつ我々も考えなければいけませんが、本当考えていかなきゃならぬと思えば思うほど、これは結局、農業本当にやりたいという人がもっと出てきて、その人が自発的にどんどん農地をエンクロージャーしていく、拡大していくという人がいないからこうだ。普通の原理からすれば、ある物事をやりたいという人がたくさんおれば、自然にほっておけばなっていくのですよね。  結局、農業を心の底からやりたい、そう思う人たちが余りにも少なくなっちゃった。そして、大規模にやって農業で我が夢を満たそう、そういう人たちが結局いなくなっている。そのことが農地の拡大も結果として抑えておる。周りでいろいろ言うだけだということになっているのではないか。結局最後は、行き着くところは、農業をやろうとする人が本当に情熱を傾けてできる、そういう環境をつくり上げてやることだろう。そうすれば、その人は当然、大規模農業経営をやりたい、じゃ、お隣の土地、隣の土地、隣の土地、当然そういうふうに動いていくと思う。ですから、行き着くところはやはり、二つと申し上げましたけれども、結局人だな、本当農業をやりたいという人が思い切り農業をやれる環境をつくってあげることだな、そう思いつくわけであります。  さて、そういう意味で見ますと、現在よく出てくるように、新規学卒者だった千七百人。もう僕これ何遍も出てきたので覚えたのですが、新規学卒の就農者、年間たった千七百人。本当にこれはどういうことだ、一体。三十四歳以下の、一たんほかへ就職したけれどもまた農業にUターンいたしましたという方が二千六百人、合わせましても、これは平成四年四千三百人ですから、わずかなものでございますね。この数字、違っていますか、今これを読んでいたのですが。こんな程度の人しか入ってこない。  とりわけ、この中でまた、ちょっとここに数字がありませんが、こうやって来る人というのは、花をやるとか果物をやるとか、米じゃないんだ。米の跡取りはほとんどいない、こういうわけです。ところが、今我々が問題にしているのは、ほとんどが米です。ですから、米農家を情熱を込めてやろうという人がもう日本にいなくなっているということが基本的な問題ですよね。それを周りが寄ってたかって、何とかせい、何とかせいと騒いでいる、こう思えてしょうがない。本当にやる人をどうやって見つけ出し、本当にやる人はどうやったら一体生まれてくるのか、私はそこが一番の決め手だ、こう思うのですがね。  そういう意味でまたこれを見ますと、非常に寂しい限りの対策が書いてあるのですよ。「農業内外からの新規就農者の確保対策」三ページ。就農支援特別資金を交付いたしましょう。就農研修資金、就農準備資金、こういったものを無利子で貸し付けるのですか、そういうことが書いてあります。しかし、こんなことで本当農業をやりたいという人が新卒者の中から出てくるのですか。あるいはUターンする人が出てくるのですか。私にはとても信じられない政策。ただ、いろいろ考えて、何もないわけにはいかないといって書いてあるのかな。まあ、怒られても結構ですよ。怒られても結構ですが、そんな程度にしか思えない、私には。  一体、なぜ農業に若者が来ないのか。その根本的な理由は何ですか、農林大臣。その根本的な理由を解決する政策を打てばいいのです。根本的な理由は何ですか。
  137. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 それはいろいろあると思いますが、やはり経営自体が、ほかの産業に従事している方々と、所得についてのバランスがとれている、あるいは労働時間においてバランスがとれているというような効率的な経営、あるいは技術革新のらち外のような我が国農業においても、やはり最先端の技術が導入され、それが若者の魅力になるというような点があると思いますし、他方、やはり国の中全体で農業についての、何と申しますか、農業としての役割の理解が必ずしもまだ十分ではないという点もあるかと思いますし、特に農業過保護論というような点が依然として我が国の一部に強く、それがマスコミ等において非常に影響を与えているというような点とか、各般の要素があるかと思います。
  138. 松田岩夫

    ○松田委員 そうなんですよね。その最後の点は私は非常に大事だと思うんですよ。今の若い人たちと話していると、そんなに政府がいろいろ補助金だ何だといって人に助けられてやるということを余り心よしとしないですよね、正直に言いまして。ですから、私は非常にこの六兆百億円という予算の使い方についてもいろいろ工夫を要するなど。きょう時間がありませんから細かく申しませんけれども。  ですから、基本的に、大規模経営だ何だやろうと思えば自分で生産計画立てて、どこへ売るだ、それはもう自分の勝手にしてくれというふうにしてあげた方が、恐らく魅力ある農業経営がこの日本国内でもできるのかな。しかし、客観条件は非常に厳しいですよね、外国と比べますと。それでも地域によっては大規模経営をやって、例えば米作を本当に大規模にやって、自分の思うがままにつくり、思うがままに売り、損をしたら損した、もうかったときはもうかったというようなふうにむしろしていく方が、あるいは結果としてこの客観条件が悪い日本でも農業が最後生き残るのかな、私は米作農業が生き残るのかなと思わぬでもないほど実は厳しく受けとめている一人なんです。  そういう意味で見ますと、今度の新食糧法、まことに不徹底というか、要するに今の食管法と何が変わったのか。それは法律だけ見ればいろいろ表現は変わっていますが、今の実態と比べると、不正規米が計画流通外のお米になるとか、表現がいろいろ変わっておるだけで、実態は余り違わないな。何が変わったのかねと農林省人たちにいろいろ聞きましても、一体現行制度とこの新食糧法というのは実態的に何が変わったんだ。自由になったのか自由にならなかったのか。今言ったような趣旨で、本当にお百姓をやりたい、米農家をやりたいという人から見たら、自由に思う存分に一生懸命やってくださいと言えますよというところ、どこですか。そこだけちょっと拾い上げてください、大臣。今の実態と比べてですよ。
  139. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答えします。  現行食管制度では、生産者は原則として政府に売り渡す義務があるわけでございます。そういうことから、売り渡し相手先は特定されているわけです。そうでないと不正規になる。ところが、今度の新法案におきましては、生産者サイドから見れば、極端に言えばだれに売ってもよろしい。だれに売ってもよろしいという制度になっておるわけでございまして、その売る自由というのは、ただし全体の需給調整の関係があるから、売るんだったらお届けだけしてくれよという程度の規制があるだけでございまして、生産者から見ればだれが売っても、だれに売っても構わないということになっております。
  140. 松田岩夫

    ○松田委員 農林大臣の理解によれば、これで米農家をやりたい方は思う存分できる、そう改正した、こうおっしゃったんですか、今。——ああ、わかりました。では、そういうことで強く期待をして、若い諸君が大いに農業に戻ってくれることを切に望むわけですけれども、しかし、私はまだまだ対策としては不十分だと思う。さらに詰めていく必要があると思う。新農政でしっかり打ち出された、本当農業の担い手になっていただく、あるいは米づくりの中核になっていただくという方々に政策をもう集中してやっていくという考え方、新農政の基本ですよね。あの考え方が今度の六兆百億円の中にもきちっと生かされていますよね、もちろん。これは確認ですが、ぜひそうしていただきたい。  さて、そういう意味で、私は、中途半端なよく俗に言われたばらまき農政とか、もうそういう時代ではない。本当目的を明確に持って、ここはこうするんだ、ここはこうするんだという行き方で、しかも徹底的にやっていかないと救えない、基本的にはそういうことだと思うのですがね。  そういう意味で、一番難しいのは中山間地対策。これは明らかに中途半端ではもういけませんね。ですから、ここで規模拡大しようといっても無理ですし、またそんなことを求めるべきでもありませんし、しかしそうかといって捨てるわけにいきません。これは大事な機能を果たしている、皆さんおっしゃっている。私もそのとおり。大事な機能を果たしている。じゃ、どうしたらいいか。もっと徹底しよう。  ですから、私は、これからの農業政策というのは、要すれば今言いましたように大規模経営できる米作農家、土地を大量に使ってというようなところはもう大きな土地にして、そしてそこに大きなコンバインから、田植え機から、もう膨大な機械で、しかも水なんかも、アメリカヘ行くとレーザー光線でしゃあっと高さを調節するんですよね。なぜそんなことができるかというと、ばあっと一面の田んぼですからね、レーザー光線で調節しているんです、これ。例えばそういうのと比べてみたら能率悪い、当たり前ですよね。ですから、一つの道は、もう明らかなんですよ。いかに大規模化を図っていわゆる物的生産性の高い農業をつくり上げるか、それは一つの典型ですよね。  もう一つは、まさに今国民、豊かになって、もういいものなら高くても結構です。まあ高くても結構とは言いませんが、いいものなら、いいから買わさせていただきます、そういうわけですね。おいしいのならば値段は二の次といいますか、そういう感覚。典型的な例で言えばグルメ農業といいますか、いわゆるそういう高い付加価値生産性を持った農業。  私の言葉遣いで言えばそういう二つのグループに、農業政策としてのといいますか、経済政策としてのといいますか、産業政策としての農業政策というものをはっきり位置づけて、それが新農政の考え方だと思うのです。その道はその道で徹底的に追い求めていただく。しかし、その道は、まず前段の方は中山間地では求められませんし、後段の方は中山間地で十分できるところありますね。ですから、中山間地農業というのは後段の、第二番目の高付加価値農業をいかにつくり上げるかということに徹していただく。  そして、それがだめなら、私は中山間地対策というのは、いろいろな議員からも出ていましたけれども、それはヨーロッパ型のデカップリングが無理だと言うなら日本型だとかいろいろありますが、要するに私はこれからの農業、きょう五つぐらいに自分で考えて分けてきたんですが、例えば高齢者の健康、福祉のための福祉農業。いいですよね。お年をとったら、私ももともと農家ですから、田んぼへ帰って、田んぼを耕しながら大往生したいな、あるいは畑をやりながら大往生したいな、そういう感覚ですよ。まあ、一種の福祉農業。  あるいは棚田は水がたまって、あれは治水のためになっているというなら、もう棚田として、今ある棚田を治水事業として位置づけるんですよ。別にそんなところでお米をつくってください、そのためにまたコストがかかってというなら、それは農業政策ではない。いや、そこでおれは福祉農業をやっているんだ、遊んでいるんだというなら、そういうことでもうほっておく。棚田として、まさに治水対策として維持していくと割り切る。その方がはるかに環境整備されるんですね。  あるいは景観を保護したい、この田園地帯、森林地帯があるよ。それならまさに景観を保護するための観光、観光といいますか環境環境林業なり環境農業として位置づけていく。あるいは農業と言わなくていいかもしらぬ、環境対策として位置づけていく。  あるいはまた、グリーン・ツーリズムというお話も出ました。そうです。これからはまさにレジャーだ、ホビーだ、森林浴を楽しみながらと、いろいろありましょう。そういう意味の観光農業、レジャー農業、ホビー農業。そうです。土曜日、日曜日、ウイークエンドですから、ウイークエンドは休みですからたっぷり時間もできます。時間ができたところでいろいろ趣味を楽しむ。そういうものとして中山間地、うってつけの場所です。これが第四番目の農業といえば農業、グリーン・ツーリズムなどのレジャー、ホビー、観光農業。  五番目、体験学習。いいですね。体験学習をこれから、きょうは文部大臣お見えではありませんけれども、これはもう本当にしっかり子供にやらせてやりたい。林間学校だほら何だ、体験学習などのための文教農業。  これは勝手に言葉をつけたわけですが、福祉農業、治水農業環境農業、レジャー、ホビー、観光農業、文教農業、たまたまこう言葉をつけただけのことでありますけれども、そういう対策としてそれぞれ位置づけていく、そして中山間地全体を豊かな地域にしていくという発想で対応する方がはるかに現実的ではないか。また、それが今望まれている。単に農業政策の面ばかりではない。まさに人間がこれから、ここまで豊かになった我が国として、どうやって一層豊かな社会をつくり上げていくかという面からも、それぞれ求められている事柄なのです。それを果たせるのが中山間地です。  だとしたら、もう各省、環境庁だ建設省だ文部省だ何かと言わず、それぞれの省、みんな割り振って、農林省一緒になって、予算も、それぞれの省にある予算も思う存分使って、有機的に中山間地対策をやっていく、地域政策として。農業政策じゃありません、地域政策としてやっていくという考え方にそろそろ割り切っていくべきだ、徹していくべきだ。  そうなりますれば、そんな農業統計に、中山間地に小さな棚田をつくって、そんな農地までひっくるめて、アメリカの百三十、もう忘れてしまいましたが百三十五分の一でしたか、なんて言われなくても済むようになるでしょうし、農業統計からも、そんなところでできたお米は、そんなものはもう統計に入れるまでもない。わざわざそんなところのお米が幾らできましたなんてことを農林事務所の統計調査員の方が調べに行ってなどというむだなことも省けますし、まあこんなことどうでもいいですが、しかしそれも大事なことです。  今そういう体系の中で全部見ようとしているから無理があるし、逆に、そういう体系の中では見られない、または見ていただけない新しい要請がいっぱい出てきている。そういう新しい要請への対応もおくれておる、そういうことにもなりかねない状況になっているのではないかと思うので、今言ったような中山間の地域対策としてぜひ位置づけてやっていくというふうに、割り切っていただくという方向に政策を大きく切りかえていく。切りかえていくと言うと言い過ぎですが、そういう面を追加していく、倍加していく、強化していく。どうでしょう。
  141. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 松田委員の御指摘は、今度の国内対策の中山間地域についての我々の方向と全く一致していると思います。適切なネーミングまでそれぞれの方にちょうだいして大変恐縮でございますけれども、あの具体的な施策一つ一つを見ていただければよろしいわけですが、大事なことは、そういう意味地域対策として総合的な視点に立った政策を進めていくということが大事であるというふうに考えております。
  142. 松田岩夫

    ○松田委員 もっと割り切って、もっと強力に、各省と連携してしっかりやっていただきたいということです。ぜひお願いをしておきます。  さて次に、時間がなくなってきましたけれども、途中飛ばしまして、今、内外価格差、けさもまたこれは食料品以外の内外価格差のことが新聞で報道されていましたが、米の内外価格差というのはまさにどんどん拡大してきた。米はますます、先ほど言った言葉では、国際競争力はもう日本の米はありません。生産者価格で、対米国比、八五年、三・八倍でした。九三年には八倍。タイと比べますと、タイの国と比べますと、八五年、九・七倍、九三年には十四・八倍、完全にこういう価格なわけですね。これは農林省の資料であります。  この原因は何か。一つはもちろん、今まで議論してきましたように、米の生産や流通、近代化がおくれた、合理化がおくれた、コストが高い、そういうことだ。しかしこれは、過去ずっと見てみると、日本もそれなりに努力してきておる。アメリカもそれなりに努力してきておる。タイもそれなりに努力してきておる。努力の度合いを見ますと、それほど余り違いはない。努力の違いが大きかったから、努力の差の結果、あるいは近代化、合理化がおくれたからこれだけの価格差が、内外価格差がさらに広がったというよりも、むしろ円高なんですね。この円高。一番大きな理由は、大幅な円高が進行したことであります。  今度の計画で、生産コストを今後六年間に三割以上引き下げることを目標としておられるようでありますが、合理化を進め、コスト削減にそれこそ額に汗している間に、あっという間に為替が大きく動くというようなことがありますと、あるいは円高がちょっとでも動くというようなことになりますと、コスト削減はまさに吹き飛んでしまうわけであります、内外価格差という意味で見れば。国内的にはあれですが、対外的にはそういうことですね。  今度、米以外のものは関税化ということで、関税化いたしました。ほかの工業製品、繊維だ、いろいろありましたが、それぞれ関税を下げる。その下げる努力、しかしそういう中で、影響があるものはできるだけひとつ小幅にとどめてくれという厳しい折衝の中で、それなりの関税率を確保いたしました。しかし、確保いたしましたけれども、これも今の話で、はい円高ですなどといえば、一遍に吹っ飛んじゃうわけであります。私は、そういう意味で、為替ができるだけ安定しているということが、まさに農業の生産活動にとっても極めて大事だ、ほかの産業にとっても大変大事だと思うのです。  しかし、そういう意味では、為替に対して、今の政府、十分にお気をつけになっておられるというようにとても思えない言動が幾つがあった。きょうは総理大臣がおられませんのであれですが、総理大臣以下、担当大臣、大蔵大臣もおられます。為替の安定ということについては、ぜひしっかりとやっていただきたい。そのためには、まさにこの経常余剰をどう解決していくか。マクロ経済政策についてしっかりと対応していただきたい。今度の税制改革一つとっても、私は、中途半端そのものだ、こんなことではいけないと思いますし、また、多国間のマクロ経済運営についての協議に当たってもしっかりやっていただきたい。そういうことがなければ、今こうして、コストを削減するとか内外価格差を縮めたいなどといったって、一遍に吹っ飛んじゃうわけでありますから、ぜひ御努力を賜りたい。  もう時間がありませんので、ちょっと急ぐわけでありますが、さて、そういう円高のために、例えば清酒業、米が生産コストの三、四割を占めております。まさに米の値段の動きというのが深刻な影響を清酒業に与えるわけであります。この数年間、大関、月桂冠、どこでもいいのですけれども、白鹿でもどこでも、このほとんどが米国に進出しました。もちろん、この海外進出の理由というのは、言うまでもありません、米の内外価格差が拡大する中で、一にも二にも安い米を求めて行かれたわけであります。まあ清酒といえば、まさに日本の酒でありますが、それがいずれ安いメイド・イン・USAの清酒として日本の店頭にたくさん並ぶ日もそんなに遠い先ではないかもしれません。  あるいは、せんべいやあられ、こういったものも現地加工が今急速に進んでおります。あられは、言うまでもありません、モチ米です。モチ米は、例えば国産モチ米、あられの原料、今幾らですか、四十万前後ですか。タイ米、同じようなものが六、七万というわけですから、それは向こうへ行ってつくった方がはるかにいい、こういうわけです。せんべいやあられのタイヘの進出企業は、九四年七月現在八社、こういう状況です。  海外進出は米加工業ばかりではございません。海外で米づくりを計画する農家も出始めております。当然だと思います。これだけの内外価格差、これだけの環境の悪さ、条件の悪さ。お百姓を一生懸命やろう、米農業を一生懸命やろうと思う人であれば、もっと広い天地で自由にやろう、そう思うのも無理からぬことでありましょう。オーストラリアン・ライス生産者組合によりますと、日本からの稲作視察は、稲作経営をしたいというので視察に来る人たちは、ウルグアイ・ラウンド農業合意直後から急増し始め、わずか半年の間に農家、農協、米穀流通関係者など含めて約五千人訪れた、こういうわけであります。  さあ、こうした状況について、農林大臣、もう時間がなくなってまいりました、どう思われますか。私は、段々思うにつれて、日本農業、冒頭申しました特に米作農業、これに従事する人たち本当に確保できるんだろうか。確保しなかったら、冒頭申し上げたように、主食たる米を国内で自給することはできなくなる。しかし、この米作に従事する若い人たちを確保することは、今の状況から判断して、私は極めて難しい事態ではないか。やる、やる、やる、やると言って、結果としては、とうとうあの昭和一けた代が去って、がさっと人口が減って、ほかの作物や果樹や花にはいろいろな人がやってみえる、しかし米だけは余りいないよという状況が来るのではないかとおそれるものであります。  もしそういうことだとすれば、我々政治家の役割は、一方で徹底した対策をとって、国内農業を近代化するために、さっき言ったように、農業政策、経済政策としてやれる分野を徹底的にやる、中山間地を徹底的にやる。しかし、中山間地のことは、もう地域政策として位置づけ、しっかり地域を豊かにしていくということではないか。  さらにそれを突き詰めて言えば、豪州へそんなにも行って、豪州が環境条件がいいというのであれば、我らが命は、防衛はアメリカにゆだね、日米安全保障条約のもとに我らが平和を維持していただいている、我らが主食の米の食糧安全保障、例えば日豪食糧安全保障条約といったものを考えていくといったようなことも、もし政治は百年の計を考えることにありというのであれば、そういったことも我々は一方において真剣に考えていかなければならぬ事態ではないか。  しかしまた、そういうことを言うのは不見識だと言われるかもしれませんが、そういう事態に至らないためにも、冒頭申し上げ、それぞれお答えいただきました、絶対にそういう事態にはさせない、六年後今の米作農業が健全に、しかも明るい姿で維持されておる、こういう姿を必ず実現するとおっしゃいました。ぜひ実現されますよう心から願って、御答弁をいただく時間がなくなりましたが、また次回よろしくお願いしまして、質問を終わります。
  143. 佐藤孝行

    佐藤委員長 松田君の質疑は終了いたしました。  次に、千葉国男君。
  144. 千葉国男

    ○千葉委員 米どころ宮城選出の千葉国男でございます。  早速質問をさせていただきたいと思います。  農水大臣、特別栽培米の件でありますが、現在消費者から、健康食品志向を背景といたしまして無農業あるいは有機栽培等の農作物に対する関心が非常に高まっておりまして、生産者と消費者の間で産直方式といいますか、特別栽培米の制度が行われているわけであります。この制度は、生産者と消費者の間で顔が見えるといいますか、人と人との結びつきの中で、その信頼関係の中で直接取引されるもので、新しい流通のあり方として私は大変評価できるものであると考えております。  この特別栽培米は今回の新制度においてどのような位置づけになってくるのか、また、消費者のニーズに対応して今後この制度を続けるとするならば、米の品質保証なり安全性の確認なりを確実に行う制度あるいはまた機関の創設が必要となってくるのではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  145. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 現行食管制度においては、今委員指摘のように、特別栽培米制度として生産者と消費者との契約、これを食糧事務所長が確認をしてそして流通を認める制度でございますが、このたびの新しい制度におきましては、計画外流通米ということで食糧事務所長に届け出さえしていただければその流通が自由になる。その一環として特別栽培米が流通する。我々も実は、計画外流通米というものはどういうものであろうかというと、まず特別栽培米がイメージアップされるというふうでございます。  それについての安全とかその他という問題でございますけれども、これは特別JAS制度というものがいよいよ発足してきて、栽培方法とか製造方法に特別なものがあった場合にはそれを認定するという制度で、米がそれに直ちに行けるかどうかという点については考えなくてはいけませんけれども、今度はその発足によって、熟成ハムとか地鶏とか、そういういわゆる特殊なものに対してこれを適用しようかという話が出ております。
  146. 千葉国男

    ○千葉委員 次に、食品メーカー等の米の買い入れについてお伺いしたいと思います。  米の加工食品は、時代の要請にもマッチいたしまして最近いろいろな製品がたくさん出ているわけですけれども、新制度によって食品メーカーが生産者あるいは集荷取扱業者から自由に米を買い入れることができる。こうなれば、創意工夫によるビジネスチャンスの拡大も図ることができる、あるいはまた、生産者側から見ても、実需者のニーズに即してあるいは流通段階を省略して供給ができる、こういうことでメリットが出てくるのじゃないか、このように思いますが、このような流通についてどのようにお考えでしょう。
  147. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 今回の流通システムにおきましては、大口需要者等が本来ならば登録販売業者から購入していただくのが筋でございます、それが私は原則と思いますが、生産者なりあるいは登録集荷取扱業者、そういうものからも購入できます。
  148. 千葉国男

    ○千葉委員 それは購入できるということでよろしいのですね。——はい。  去る二十八日、福島市でこのWTOの地方公聴会がございました。私も派遣委員の一人として参加をさせていただきました。その中で、農業後継者の育成について私が質問をさせていただきました。意見陳述人の西一信社団法人国際農友会理事よりお答えがあったことは、本当にやる気のある人に適切な助成の手を差し伸べることが若者が集まることにつながる、こういう強い意見がございました。また、本日朝、我が宮城県の平成七年度予算要望の中で、UR対策として何が一番大事か、こういうことがありまして、県の農政部長からも、「まず第一にやっていただきたいことは、担い手対策に力を入れていただきたい」、こういう要望がございました。このように、後継者対策は焦眉の課題である、こう思っております。  先日、十七日の質疑において、私が農業青年育成のための育英資金制度の提案をさせていただきましたところ、大蔵大臣、今ちょっといなくなりましたが、大臣からは、看護婦さんとか学校の先生には国家試験制度があって特別な扱いになっているのだ、こういう答弁をいただきました。そこで、私としてさらなる提案なんですが、本気になって国が農業の後継者対策、青年育成対策に力を入れるということであれば、例えば農業大学校の卒業生に対して国家試験レベルで、卒業して試験を受けてあれば農業士として任ずる、あるいはまた女性の方であれば女性農業士として認めて、やはり誇りと励みを持って農業に取り組んでいただく、こういうことが大事ではないか、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
  149. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 特定の産業に従事する方々、これは農業もそうですが、それに対してそういう資格を一般的に与えることがどうかという問題がございます。先生御不満でございましょうが、県においては県の資格として青年農業士というような制度が普及しておりまして、やはりなお国としてその資格を与えることについての検討は引き続いてさせていただきたいと思います。
  150. 千葉国男

    ○千葉委員 今県にあるというお話でしたが、県もあるのですけれども、あるところとないところがある。それから、その県の農業大学校を卒業してよその県へ行ったときにはまた違った形になるということで、免許証ではありませんけれども、その県だけで共通するのではなくてよその県へ行っても通用する、そういう人もまた大事にしていただくという意味で、国としてその農業士を位置づける、こういうふうにぜひお願いをさらにしたいと思います。  次に、農業青年育成対策の一環としてもう一つ、今農村で最も深刻な問題というのは、やはり後継者に対する花嫁対策であると私は思います。  実は、本年四月の十九日に宮城県の蔵王町で、町役場主催で、あるテレビ局と花嫁募集番組をやりました。これが大変な反響を呼びまして、その後それがどうなんだということで、十四人出席したうちで九件決まったんですね。そんなことから、問い合わせが各県から百件ほど来まして、村山総理の大分県からも問い合わせが来るということもありまして、十数県から問い合わせがあった。あと、具体的な身近なところでお嫁さんを世話していただいている結婚相談員の方、これも四県から問い合わせが来ました。  こういうことで、今花嫁対策というのは大変重要な課題だと思っておりますが、今回のこの六兆百億の予算の中で、どういうふうにこういう花嫁対策のことは考えられているのでしょうか。
  151. 日出英輔

    ○日出政府委員 先生お話しのように、しばしば農村におきます農業青年の結婚問題、花嫁問題が指摘されるわけでございますが、これにつきましては、なかなかプライベートな問題という面もございますので行政としては関与しにくい分野ではございますけれども先生お話しのように、市町村でございますとか県、それから県の農業後継者育成基金、民法法人でございますが、こういったところが農村青年と都市青年の交流会等の開催とかあるいは結婚相談員の設置とか、いろいろな取り組みを実はやっているわけでございます。  国でございますが、国といたしますれば、むしろ、こういった一つ一つの結婚相談員の設置でございますとかそういうものではなくて、基本的に、農業を魅力ある産業として育成するとか経営感覚のすぐれた青年農業者を育てていくとか、こういった点を基本的な嫁問題の解決につながる問題という意識でやっていかなきゃいかぬだろうと思っております。さらには、女性の社会参加の機会が少ないというような問題もベースとしてございます。  そういう意味で、直接ガットウルグアイ・ラウンド国内対策として嫁問題という形では書いてございませんけれども、今の経営者対策でありますとかそれから女性の問題等につきましては、国内対策の中に一項目入れまして、特に私どもとしては、このガット合意を受けてさらに飛躍的に施策を充実しなければいかぬ対策だということで位置づけているわけでございます。
  152. 千葉国男

    ○千葉委員 どのくらいの予算規模で花嫁対策をするかというはっきりした返事がなかったんですが、ぜひ意識を持ってこの問題については取り組んでいただきたい。これがそういう意味で後継者の育成に大変重要な役割になっていくんじゃないか、こう思います。  もう一つ、地方公聴会での問題点がありました。それは、要するに、今後の規模拡大を図っていく、このことで大事な点として、現在米価がずっと据え置きになって、二十年来お米は上がってない。その中で、肥料代であるとか機械代であるとか農業であるとか、そういう物財費が、資材費がもう二倍、三倍になって上がってきている。ですから、もっとトラクターとかコンバインというのを現在の半分ぐらいにしてもらえれば何とか規模拡大も進むし、またそういう対応が出てこれるのではないか。  日本の自動車産業を見るならば、機械も立派になって、そして性能もよくなって、しかも値段も安くなる。車がちゃんとできているのに、同じ車なのになぜ農業機械だけが安くならないのか、こういう厳しいお話も出てまいりましたが、これについてお願いをします。
  153. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 委員御案内のとおり、農業機械については、水田作と畑作、それぞれ播種なり刈り取りの機械が異なる、多様であります。そのこととの関連でございますが、農業条件が違うために、メーカーとしての大量生産が、輸出ということによってコストを下げるということがありますが、少量生産になっておりまして、そのためになかなかコストが下がらないという点がある事情がございます。
  154. 千葉国男

    ○千葉委員 そこで、要するに、同じ時期に同じようにみんなが使うということで、それぞれ個別に購入するということが起きているわけでありますが、それをどうしても安くしていくためには、例えば機械銀行を利用するとか、今度導入したリース制度、二種兼の人までいくにはちょっと無理があるかもしれませんけれども、せめて専業農家の方々だけでもリース制度をもっと全国的に展開してその価格を下げていく、こういう点はどうでしょう。
  155. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりでございまして、機械銀行あるいは組織体の共同利用、さらに進んで、初度投資が軽減されるリース、レンタル方式等々の活用によって低コストの機械利用ということを実現しなければ相ならぬというふうに思っております。
  156. 千葉国男

    ○千葉委員 先ほど日出局長からも、新農政では経営感覚にすぐれた経営体の育成というお話が出てまいりました。  私は、この夏、衆議院の欧米農業事情調査団の一員として視察をさせていただきましたが、例えばアメリカでは通信衛星等を使って、CATVがもう国内に六五%ぐらい普及されている。そして、これが農業の現場にも活用されていて、生産者が市場の内容、情報を逐一自分で取り入れられて、そして、じゃ、あそこへ出荷しようとかこうしようとかいう、こういうことが販売に生かされているわけですね。これに対して日本の現状はどうかといえば、ちょっと資料が古くなって恐縮なんですが、平成三年現在でパソコンが農家にどの程度入っているかというのをちょっと調べさせていただきましたが、千軒に三軒しか入ってない。ですから、一%もないということですね。  大変そういう面でのおくれている実態が今あるわけなんですが、今後、この経営感覚にすぐれた経営体の育成のためにはもっとパソコンを使った情報活動を推進すべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  157. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 そのとおりでございまして、また地域によって、宮域県でございますかの地域なんかでそういう事例が、コンピュータリゼーションによって情報通信整備をする、それで農家とか農協とかあるいは役場とかを結んだ情報通信があるようでございまして、今度の構造改善事業におきましてもそのような事業を進めていきたいというふうに考えております。
  158. 千葉国男

    ○千葉委員 具体的にお尋ねをしたいと思いますが、今ちょっと農水大臣からもありましたが、農業農村活性化農業構造改善事業の中でさまざまなコンピューター導入がなされているわけですが、その中で、各地で若干問題もあるようなところも何か出ている。農家のためということで電算機を導入しながら、ほとんどその実態が何か農協の仕事のために使われて、二千軒の農家の中で使っているのはたった十八軒だというような、そんな実態も出ているわけです。  それで、我が県の方でも心配しているわけですが、今度、亘理郡の農業振興公社というのが、今整備が急がれて、このコンピューターシステムが導入されようとしているのですが、責任を持って農家段階までパソコンの導入を行う、このような推進方式とすべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  159. 入澤肇

    ○入澤政府委員 亘理郡農業振興公社は、平成五年から九年度までの五カ年間の計画で、農業公社それから農家、農協、役場などが相互に情報の受発信ができるようなコンピューターシステムを整備しております。  計画では、地域内の専業農家五百五十戸の約七割にパソコンを導入して、農家が栽培技術情報とか市況情報等、みずから農業経営に活用することができるようにやっております。私どももその構想を全面的に支援していきたいというふうに考えております。
  160. 千葉国男

    ○千葉委員 局長、農家の段階での利用について、今具体的にこういうことが計画されているとかいうことについて、もうちょっと詳しくお願いします。
  161. 入澤肇

    ○入澤政府委員 年度別に利用のソフトの開発をやっています。  まず農家の段階では、生産物の適切な出荷管理と販売後の迅速な精算処理、あるいは出荷販売された生産物の格付の分析などを行う販売精算システムであるとか、あるいは農業用の機械、資材及び肥料、農業等の適正処理のために、その特性ですね、性能、使用方法、取り扱いに関する情報を提供する生産資材供給管理システム、それから営農情報提供システム、農家経営分析システム、生産販売計画策定システム、それから土壌分析とか診断システム、こういうふうなソフトを開発して、これを具体的に公社から農家に伝達して、さらに農家はその利用度合いあるいは利用状況を公社にフィードバックして、これを地域全体に広げていこうという計画でございます。
  162. 千葉国男

    ○千葉委員 次に、政府の広報についてお伺いをしたいと思います。  私は、この情報化時代にあって、テレビ放映の役割は大変大きいものがあると考えております。実は、中山間地対策、どうしたら本当に、先ほど来いろいろ出ておりますが、十一月二十三日朝のテレビ番組で、全国各地で地域活性化に取り組んでいるものが、クイズ番組の中で、そういう形式で取り上げられました。時間があるならばそれぞれの大臣の方に、そこで出された質問に対して、一、二、三の答えのうち、あなたはどれですかというのを同じくやってみたい気持ちもあるのですが、時間がありませんので割愛しますが、要するに、例えば朝市を秩父でやっていた。でも朝はだめだ、だから秩父夜祭りに倣ってナイター市をやるようになった。そういうことでそこが今活性化している、こうなっている。  その質問として、なぜ朝市からナイター市に変わったか。答え一は、夜祭りの伝統があるからナイター市だ、二番目は、いわゆるベッドタウン化して帰る客が遅いからだ、それから朝寝坊だから、こういう三つの答えで、あなたはどれですかという。答えは、これは夜祭りの伝統でもなければベッドタウンでもない、自分たちは朝寝坊だからというのが答えなんですが、そういうふうに、要するに自分たちがどう続けていくかというために相当苦労してやっているわけなんですね。そういうふうにああいう番組を通して、あっということでいろいろ活性化がある。  非常に有意義だったのですが、これは聞きましたら、地域活性化センターでやったということなんですが、こういう番組をこれからもぜひ続けてやっていただきたいと思いますが、自治省ではどうでしょうか。
  163. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 御指摘のテレビの広報番組でございますが、これは全国の都道府県が組織いたしております全国ふるさとづくり推進協議会実施しております広報事業の一環として放映されたものでございます。  この推進協議会におきましては、各地域の先進的なふるさとづくりの事例を広くPRをするということによりまして各地のこういう状況をPRしたいということで、毎週日曜日に三十分番組をつくっておるわけでございますが、十一月二十二日の分はそのうちの特別番組としてつくったものでございまして、私どもといたしましては、こういう活動に対しましてこれからも引き続き支援してまいりたいというふうに考えております。
  164. 千葉国男

    ○千葉委員 このテレビの番組の予算の問題でちょっとお伺いしたいと思うのですが、米の緊急輸入の際に、食糧庁として国民の皆さんにこの緊急輸入の実態について御理解をいただくために広報予算を使った。億単位の予算を使って対応したわけなんですが、これはいわば農政のマイナス面を国民に説明するというために使った予算なんですね。いわば言いわけ予算みたいなものですよ。  ですから、私は、むしろ今緊急対策地域活性化してもらうためには、その地域で頑張っている人たちに対してこういうふうに応援しよう、ここで頑張っている人をこういうふうにたたえていこう、こういうふうに生きた予算をもっと使うべきではないか。そして、先ほどあったようなさまざまな活性化の例をどんどん紹介していったらいいのではないか、こういうふうに思いますが、農水省の御意見をお願いします。
  165. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 先生お話しのとおり、我々もそういった優良事例をテレビで紹介していくことは非常に重要なことだと思っておりまして、現在も地域活性化の具体的な取り組み例などを、「日本ふるさとめぐり」というテレビ番組、あるいは「若い土」というようなテレビ番組を通じて紹介しているところでございます。  今後とも、政府全体の広報を所管しております総理府などとも十分相談をしながら、有益な優良事例の紹介に努めていきたい、こう思っております。
  166. 千葉国男

    ○千葉委員 緊急農業農村対策本部の副本部長でもあります官房長官にお伺いをしたいと思いますが、今お話あったように、政府広報としても、この十一月、十二月、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、定期刊行物その他、大体毎月一億円ぐらいの予算で、この二月だけでも二億円を使ってこの緊急対策に対応する、大河原農水大臣が出演して、「あまから問答」に出たとかそういうふうに出ておりますが、今回のこのガットウルグアイ・ラウンド合意対策ということですから、六年間きちっと農業予算の形でこういうテレビとか雑誌とかそういうものに使っていただけるというふうに考えられますか。
  167. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 政府の広報につきましては、やはりそのときどきの重要な政治課題のようなものは特に重点的に扱うように配慮をいたしているところであります。ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う諸対策につきましては、今日政府の極めて重要な課題だろうというふうに思いますので、そういう点では重点的に考えてまいりたいというふうに思います。  今ちょっとお話ございましたように、十一月には、全国三十一局ネットの「あまから問答」であるとか二十六局ネットの「堺屋太一の明日を語ろう」のテレビ定時番組だとか、あるいは各種の定期刊行物を用いた広報を実施いたしましたほか、十二月以降も、日本農業新聞を含めた全国七十六新聞に広告掲載を行うなど、各種広報媒体による広報を予定しているところでありまして、農業関係者はもとよりでありますが、国民全体によく知っていただきたい、こういうぐあいに思います。  また、今もお話がございましたように、地域活性化に関する活動の紹介であるとか、あるいは同じ広報活動にいたしましても、番組に工夫を凝らして国民にやはりなじみのあるわかりやすい広報をするとか、こういうような努力もいたしまして適切に実施いたしたい、こういうぐあいに思う次第であります。
  168. 千葉国男

    ○千葉委員 今官房長官から政府広報についての考え方を聞かせていただきましたが、今まで指摘しましたように、自治省には自治省の予算がある、農水省にも予算がある、政府にも予算がある、こういうことで、それぞれ施策に応じて今予算が使われているわけですが、そういう意味では、今の農業の緊急事態を考えると、もっと各省庁が有機的に連携をとってこういう対策について広報会議等をつくってきちっとやっていくべきではないか、こう思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
  169. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 特にそのための会議というものを設ける予定はしておりませんけれども、しかし、御趣旨はごもっともなので、そういう意を体しまして、連絡を密にしながら効果的にやってまいりたい、こういうぐあいに思います。
  170. 千葉国男

    ○千葉委員 緊急農業農村対策本部ということですので、よく連携をとってしっかりやっていただきたいとお願いをしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  171. 佐藤孝行

    佐藤委員長 千葉君の質疑は終了いたしました。  次に、鮫島宗明君。
  172. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 どうも、農林水産大臣、連日長時間の御答弁お疲れさまでございます。もうしばらくおつき合いいただきたいと思います。  多くの議員が、今日までさまざまな立場から今般の農業対策の内容について評価を加えてまいりましたが、率直に申し上げて、稲の生産装置としての水田の整備についてはかなり十分な内容が盛り込まれているものと評価できると思いますけれども、ただ、七年後には、特例措置を選択するにせよ、関税化を選択するにせよ、現在の合意内容に上乗せした開放義務が課せられることを考えるときに、米ビジネスの体質強化という観点からいって、現在想定されている程度で十分かどうかについてはいささかの疑念を抱かざるを得ないのであります。  今日まで多くの同僚議員からなされた問題提起、それに対する政府の御答弁を聞いていて最も気になる点は、我が国の水田農業はどう努力をしてみても国際競争力を持ち得ないというあきらめに似た姿勢がうかがえることです。農業を比較劣位産業といいますか、競争力のない産業というふうに思い込んでしまうことは農業から夢を失うことでもあり、先ほど松田議員からも指摘がありましたように、こういう環境のもとでは後継者もなかなか入りにくいのではないかという気がします。  確かに日本の水田の経営面積は狭く、地代、人件費、農業資材のコストは恐らく世界一の高さでしょう。しかし、他方で、日本の米を愛する一億人の消費者がいることを忘れてはならないはずです。消費者に生産地の情報を正確に伝え、生産者に消費者のニーズを正しく伝え、生産者と消費者との信頼関係のきずなを深めることを通して競争力の持てる米ビジネスの構築が初めて可能になるのではないでしょうか。  どうせだめだと考えて打つ対策と、やりようによっては関税化にも耐え得る体制がつくり得るはずだと考えて打つ対策とでは、似た内容でも効果として大きな差があらわれてくるのは、これまでの経験に照らしても明らかなことだと思います。その意味では、これからの六年間を日本農業の再建にとって決定的に重要な時期ととらえるべきでしょう。この六年の間に、日本国土利用、農業農村のあり方について広範な国民的論議を巻き起こし、二十一世紀に向けて国土資源の管理、食糧供給構造の安定化、農村活性化、あるいは新たな日本農業の完成のための基礎を固めるべきものと考えます。  先ほど、米の生産体制について対策内容がいささか不十分ではないかというふうにコメントしましたけれども、その理由は、政府日本の米マーケットにおける競争の姿をどう具体的に想定しているのかがもう一つ見えないということに起因するからでございます。  アメリカの消費市場では米が一般的にはとぎ米として売られていることを考えると、想定される競争の姿は、つまり日本のマーケットにおける想定される競争の姿は、外国産の米、カリフォルニア米にしろ、オーストラリア米にしろ、とぎ米としてしゃれたパッケージに入れられて市場に登場してくる姿です。多分そのパッケージの横には、レディー・ツー・ボイル、すぐそのまま炊けますと。場合によっては、炊き上がりの照りを増して甘味を加えるためにブドウ糖の粉末が加えてある商品も登場するかもしれません。今既にアメリカの市場ではグルコースアデッドと書いてある米のパッケージも売られています。これを迎え撃つ日本側のマーケティング戦略として、やはり味のよさ、安全性、新鮮、無添加の四つのキーワードを武器にすることがぜひとも必要ではないかというふうに考えます。この戦略を完成させるという見地から対策内容を検討すると、二つの面での大きな不十分性が気になります。  第一点目は、重複を避けるために私はあえて質問いたしませんけれども、先ほど松田議員が言ったように、やはり規模拡大のインセンティブをちゃんとつけられるのかどうか。ただでさえ利用権の移転が難しい状況の中で、今度の対策の中でどのような新たな措置、規模拡大のための新たな発想、新たな措置が組み込まれているのかよく見えないという点があります。  また、利用権設定の仕組みが複雑でして、農地流動化、活用を担う組織についても、農地保有合理化法人あるいは農業委員会の農地銀行、農用地利用改善団体、そのほかに農協事業等さまざまな組織があって、ややこの利用権設定の仕組みが複雑過ぎるのではないかという批判があることを受けとめていただきたいというふうに思います。生産装置である水田をよくするという場合にも、その前提になるのはやはり利用権の設定ですので、これがまず決定的に重要な一つの事項ではないか。  それから次に、生産段階については先ほど割合十分な対策考えられているのではないかと申し上げましたけれども、マーケティングの戦略がどうも見えない。先ほど、外国から入ってくる場合に想定される姿をちょっと述べましたけれども、迎え撃つ側の体制としてどういうマーケティング戦略を食糧庁がお考えになっているのかがよく見えない。つまり、味と安全性と新鮮さ、これを売り物にして日本の消費者に信頼していただくという体制をどうつくろうとしているのか。  味については私は個人的には余り心配していません。筑波の農林水産ジーンバンクには既に三万点ほどの世界の稲の種が保存されて、その中には、中国の雲南地方から見つかった、ササニシキ、コシヒカリを上回る味のよさを支配している遺伝子も見つかっており、今既にそれが中間母本としてその遺伝子が取り込まれ品種になる日を待っているという状況考えると、味については恐らく品種を通して日本が常に優位を保ち得るであろうことは容易に想像されることであります。  もう一つ大事なことが、これは日本語で何と言っていいかよくわからないのですけれども、生きた米を年間安定して供給する体制、つまり、新鮮さで勝負する場合に、生鮮米とでもいう米の終年供給体制を整備することが恐らく消費者に高く受け入れられる条件ではないかというふうに思います。これは、もみで低温貯蔵すれば米が生きていることは既に証明されておりますけれども、低コストで流通段階において生きたままで米をストックして必要に応じて精米して出すという、ある意味では米の野菜化ともいえる流通体制を準備することが、恐らく国際競争力をかち得るために決定的に重要な要素ではないかと思います。  私が今申し上げました生鮮米といいますか、生きた米を終年供給するという体制について、とっぴなお考えというふうにお思いかもしれませんけれども、農水大臣がどのような感想をお持ちかどうか、お伺いしたいと思います。
  173. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 今の生きた米のお話でございますけれども、これは今ずり米と言いまして、従来の、米の主産地等においても常に食管制度の関係で流通が、一方で集荷されて、それが集荷団体に配給されておる原則に対して、大変それに対して問題だということで、今ずり米を、要するに出荷するときにもみから玄米にするという形で出荷をいたしたいということがありまして、委員の御発想はそれと別がと思いますけれども、従来から新鮮米的な構想はあったわけでございまして、そういうことによる消費者の、何と申しますか、米の需要拡大にも通ずる点でございますので、今後検討すべき問題であるというふうに思います。
  174. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ただいま申し上げましたように、おいしくて安全で新鮮な米というものを終年供給できる体制が整えば、やはり日本の消費者は基本的にできれば日本でできた米を食べたいというふうに思っておりますので、値段、価格差が多少あっても、私は日本の消費者は必ず国産米を選択するものというふうに予想しております。農林水産大臣におかれては、ぜひ敗北主義に陥ることなく胸を張って米ビジネスの改革に力強く取り組んでいただきたいというふうに思います。  続きまして、食糧、農業の外交分野とでも申すべき点について、外務大臣及び厚生大臣農林水産大臣にお伺いしたいと思います。  我が国の基本姿勢が、主要食糧の完全自給といいますか、主要食糧についてはそれぞれの国がなるべくその自給率を高くするのが正しい道だということが日本考え方だと思いますけれども、このような考え方を、日本が非常に食糧、農業を大事に考えていると、国の礎だと考えているということを国際社会で具体的にあらわすためには、やはり世界の食糧、人口問題に対して我が国が積極的に取り組む必要があるのではないでしょうか。さらに、それに加えて、基礎的食糧が自給できないで困っている国々に対しても積極的な援助の手を差し伸べるべきだと思います。  昨年の十月でしたか、細川前総理とクリントン大統領との会談、あるいは今回の河野外務大臣の国連演説の中でも、日本が、食糧、人口、麻薬、エイズといった人類の生存を脅かす諸問題あるいは地球規模の問題に積極的に取り組むということを国際社会に向けて言明しておられることと思いますが、特に食糧、人口問題について、その演説のその後のフォローアップはどのように行われているでしょうか。外務大臣にお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、田中(直)委員長代理着席〕
  175. 河野洋平

    河野国務大臣 細川・クリントン会談におきまして、地球規模問題イニシアチブという構想が打ち出されたわけでございます。私の理解では、この構想は、それより少し前から、つまり、日米関係というものは日本アメリカの二国間関係という狭い範囲で考えるべきではない、むしろ日米が共同して地球規模の問題解決に一緒に汗を流すという、つまり、日米はともども地球規模の問題あるいは何かテーマを見つけて一緒に働く、行動する、協力する、そういうことがもう既に必要になってきているのではないかという発想がございまして、細川・クリントン会談でも、そうしたことの具体的な幾つかの枠組みといいますか分野を話されたというふうに思います。人口とかエイズとか麻薬とか、先ほど議員おっしゃいました幾つかの問題がそれでございます。  そうしたことが、ことしに入りまして横浜で開かれたエイズ会議、これはまさにそれをフォローするものでありましたし、私、参りましたカイロの人口会議でも、アメリカの代表と一緒になっていろいろな議論をさせていただきましたが、それもそのときのフォローアップの一つであろうと思います。と申しますと、実はこの二、三日間もアメリカからこの問題について代表が来ておりまして、日米間で議論が行われたところでございます。  私どもは、これから先、例えば人口問題とかエイズ問題について申し上げますと、幾つかの地域考えてそこに重点的に日米協力して問題解決のために当たろうという具体的な話をしているところでございますが、これは、話が長くなって恐縮ですが、ジャカルタの村山・クリントン会談でも同趣旨のことが話し合われておりまして、サンゴ礁の保護を初めとする諸問題について、協力関係をさらに深めて具体的な行動に移ろうということになっております。
  176. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 私はちょっとその視点が違うといいますか、日本は今は自給率がカロリーベースで四七%と言われていますけれども、現在のような食生活を日本人がとり続ける限り、つまり、肉が例えば昭和三十五年に比べて、五キロだったのが今三十キロ近く一人一人が食べるようになるというような現在のような満たされた食生活を続ける限りは、なかなかその自給率を五〇%以上に持ち上げるというのは難しいのではないかと思います。ただし、昭和三十五年当時の肉の消費量が現在の六分の一、米が百二十キロ、それからカロリーも全体で二千二百キロカロリーというような平均値でしたら、つまり、炭水化物と植物性たんぱくへの依存度を上げれば、恐らく現在の農業の体制でも多分自給率は七〇%ぐらいにカウントできるといいますか、潜在的な自給率としてはそのぐらいあるのではないかと思いますけれども、いずれにせよ、日本の経済のパフォーマンスが良好な限り、なるべく豊富な食生活を楽しみたいという条件のもとでは、やはり五〇%程度の自給率、それは、言いかえれば五割程度は海外の農産物に依存する。  そういう立場にある我が国としては、世界の食糧、農業問題についても重要な関心と責任を持っているということをあらわす意味で、それが外交に具体的にどう反映されているか、フォローアップの中でどう生かされているかというのをお伺いしたんですけれども、その点についてはむしろ農水省の方が責任ある省庁なのかもしれません。特に、二年前に筑波で国際農業研究センターというのが新たに拡充されましたけれども、そのような機関を使って農水省としては、今言ったような観点からどのような国際貢献を具体的になさっておられるのか、なるべく短く紹介していただきたいと思います。
  177. 野中和雄

    野中政府委員 お話しのとおり農林水産省では、昨年の十月に熱帯農業研究センターにかえまして国際農林水産業研究センターを設立をしたところでございまして、現在、我が国の研究者の開発途上国への派遣、それから開発途上国研究者の我が国への招聘といったようなことによりまして、アジアを初めとする十数カ国を対象といたしまして、現地の自然条件に適応したすぐれた作物品種の育成や栽培技術の改善といったようなことに関する研究協力を推進をしているところでございまして、今後とも同センターを中心として開発途上地域における農業技術の開発に貢献をしてまいりたいと思っております。
  178. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ぜひ外務省とも連携をとり合って、こういう研究交流あるいは技術交流の持つ外交効果というものを十分御認識の上、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  私は、現在のような食生活に依存する限り、相当程度長期間にわたって今後とも日本民族は海外の農産物に依存することになることが予想されますけれども、現在食糧庁が、特に麦の安定確保のためにカナダ、オーストラリア、アメリカと二国間の取り決めを行っていると思いますけれども、こういう二国間の取り決めがマラケシュ協定発効後も従来どおり有効に機能するのか、あるいは何らかの制約を受けるのかどうかについて、食糧庁の御見解を伺いたいと思います。
  179. 上野博史

    ○上野政府委員 麦につきましては、需要量の八割ぐらいも輸入に依存をしているものですから、私どもとしましては、需要家の要請に、ニーズに合ったものを安定的に、もちろん一方では安いもの、いいものを買うという考え方と、それから確実に入手するという二つの考え方をうまく組み合わせて具体的な輸入をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございまして、今御質問のございましたように、二つの国の輸出関係の機関と毎年お話し合いをいたしまして、それぞれの年にどの程度のものを買うかという一応の目安を話し合いをしておるという状況でございます。  こういうたぐいの話につきまして、マラケシュ協定の最恵国待遇の規定がどういうふうにかんでくるのかということにつきましては、私どもとしては、単なる一応の取引の目標を話し合いで定めておるということでございまして、これに必ずしも一〇〇%縛られるというわけでもない。しかもまだ、この取り決めをしていないところからも、例えばアメリカ等からは大量の麦を買うというようなこともやっているわけでございまして、安定的な輸入の確保のために今後とも続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  180. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 海外の農産物の輸入については、もちろん長期安定的な量の確保ということも大事だと思いますけれども、むしろ消費者意識からいうと、安全性についてやはり一番強い関心がある。特に今回の米の緊急輸入に関して、世界から米を集めておきながら、余り科学的裏づけのない、海外の米は危険であるというようなキャンペーンが張られることは、相手国に与える影響も考えると必ずしも好ましいことではなくて、随分この間そういうキャンペーンが張られて、消費者としては不安に思われた方も多いと思いますけれども、どうも農水省、厚生省側の安全性のキャンペーンというか、それが弱かったのではないか。それが今回タイ米が過剰に余るというようなことにも間接的にはつながっていたのではないかと思って、案じているわけでございますけれども、そういう意味で、今回緊急輸入で日本に運び込まれた米について、どのような検査結果で、どういう御判断をしたのかということをちょっとお伺いしたいのです。  主に消費者が一番気にする農薬は、御承知のようにポストハーベスト農薬として知られている、いわゆる収穫後に施用する農薬でありまして、通常、船積み時に脱穀して、脱穀後は施用しないのが通常だと思いますけれども、中にはその後虫がついたりして、ポストハーベスト農薬がいわゆる裸のお米に対して必要になったという事例も幾つかあったと聞いております。一般的に、そのポストハーベスト農薬としては、臭化メチルと燐化アルミ、この二種類が使われるのが一般的だと思いますけれども、今回厚生省は、多分膨大な検体を検査したのではないかと思いますが、この二つ以外に何かポストハーベスト農薬として使用されたことを示すようなデータが得られたかどうかというのが第一点。  それから第二点目は、臭化メチルについては日本国内基準があって、残留農薬については基準値があると思いますけれども、燐化アルミについては日本には基準値がないはずでございます。その場合に、ある濃度が検出されたときに、何を基準にこれを食べていいかどうかを判断しておられるのか。  この二点について、つまり、臭化メチルと燐化アルミ以外のポストハーベスト農薬がお米について使われた可能性があったかどうか、それから二点目は、燐化アルミの基準を、つまり食用に供してもいいという判断を何を基準になされたのかどうか、この二点について厚生大臣の、あるいは政府委員でも結構ですが、御答弁をお伺いしたいと思います。
  181. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 今回の米の緊急輸入に際しましては、残留農薬基準が設定されている農薬と、それから設定されていない、その輸出国において使用されている可能性のある農薬について、両方について検査をいたしております。先生が御指摘されました臭化メチルそれから燐化アルミニウムについても検査をいたしましたところでございます。  それで、最初の御質問で、その他のポストハーベストに何かが使われたのではないか、こういう御判断ですが、ポストハーベストに使われる薬としてはクロルピリホスというのがありますが、その検出をしております。しかし、これがポストハーベストに使われたかどうかということの確認はとれていないのであります。  それから、臭化メチルにつきましては、食品衛生法の残留農薬基準が五〇ppmと設定をいたしておりますが、今回の輸入米についてはそれを超すような例は一つもありませんでした。それからまた、その他の残留農薬基準の設定されている農薬についても、基準を超すものは一つもなかったのであります。  それから、燐化アルミニウムについては、残留農薬基準がございませんので、たとえ検出をされても法的な措置をとることは現在はできないのでありますけれども、今回、三百八十その船の中で一例だけ燐化アルミニウムが検出をされました。それも〇・一ppmという数字でございまして、国際基準それからアメリカ、オーストラリアの基準、それから我が国の農薬取締法に基づく登録保留基準、これはいずれも〇・一ppmでございますので、検出されたのはそれの十分の一という低い数字でございまして、食品衛生法上は日本の残留農薬基準はないものでございますけれども、これは問題がない、このように判断をしたところでございます。
  182. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 この分野については大変、特にお母さんたちが神経質になっておりまして、子供の給食に使われるというようなことも考えれば、なるべくこういう農薬の使っていないものを入れてほしいというのが消費者の声だと思います。  先ほど政府委員の方から、日本で基準が設定されていないものについては我が国としては法的に措置ができないという話でしたけれども、ある意味では業者の良心に任せるということではなくて、日本の基準を一日も早く整備して、輸入農産物の安全性について確固たる措置をとっていただきたいというふうに思います。  しかし、それにしても、現在入っている外国産米、あるいは今後ミニマムアクセスで日本に入る予定になっている外国産米について、引き続き消費者としては重大な関心を持っていると思いますので、責任省庁であります農水省と厚生省の方から、両大臣の責任において消費者に対して、輸入されるお米に対して、安全性の観点からは問題がないということを消費者に向かってひとつ保証していただきたいというふうに思うんですけれども、両大臣、お願いします。
  183. 井出正一

    井出国務大臣 お答えいたします。  その前に、先ほど私どもの生活衛生局長答弁申し上げた中に、燐化アルミニウム、三百八十七船中一例あったのですが、その単位を〇・一と申し上げましたが、〇・〇一でして、我が国の農薬取締法に基づく登録保留基準、これが〇・一で、その意味で十分の一という点、ちょっと訂正させていただきたいと思います。  それから、食品衛生法に基づく残留農薬基準は、今百三の農薬に対して設定しておりますが、これを当面二百くらいにまでは範囲を拡大したいという食と健康懇談会の御指摘もいただいておりますから、その方向に向かって今一層拡充の努力をしているところであります。  さて、私に対しての、消費者の皆さんに安心できるようなきちっとした発言をせいという大変ありがたい御質問でもありますが、先般の緊急輸入米につきましては、その安全性を確保するため残留農薬等の十分な検査を行うとともに、国民の皆さんに不安を持たれないように、その検査結果につきましてはすべて公表をしてきたところでございます。既に二百五十五万トンすべての検査を終了したわけでございますが、約一万トンほどのカビの発生のものがございましたが、残留農薬につきましては何ら食品衛生上の問題はなかったわけでございまして、輸入米の安全性については特に懸念する必要はないと考えております。  今後、ミニマムアクセスにより輸入される米につきましても、国民の皆さんに不安が生じることのないよう、十分な安全確保対策を講じてまいりたいと考えております。
  184. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 御指摘のように、消費者の安全性の関心は特に外国産米に対して強いわけでございます。ポストハーベスト問題その他ありまして、しばしば議論になるところでございますが、今厚生大臣がお答えしたように、農林省としても厚生省と一体となりましてその安全性の確保に努め、米の消費自体に対して、安全性をもってさらに消費が減退するということがないようにしなければならないというふうに思っております。
  185. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 冒頭に、生産者と消費者との信頼関係のきずなを深めることが一つの決め手であろうというふうに申し上げましたけれども日本のような食糧構造から見ると、やはり輸入国と輸出国との信頼関係のきずなというのも国民食糧の安定確保という観点からは極めて重要であると考えますので、今言ったような点について引き続き当局側の御努力をお願いしたいという要請を行いまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  186. 田中直紀

    ○田中(直)委員長代理 次に、金子徳之介君。
  187. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 まず、御質問申し上げます前に、当委員会が地方公聴会を福島県福島市で開催していただきましたことを、地元の選出議員として感謝をいたしたいと存じます。  生の声を聞いていただいたところでございまして、私も陪席をさせていただきました。そこの中で、農民代表あるいは団体代表、それぞれの立場から意見の開陳があったところでございます。  そうした中で、今しみじみと農政の難しさということを感じております。大河原大臣は、そうした面ではまさに専門家でございますから、農民の心というものをよくお知りになっておられるわけであります。そうしたことで、私も農民の一人としていつも感じていたことから、今回、長年続いた食管法、これの廃止に伴って新食糧法というものが施行されるに当たって、その周辺対策というものは、生産者のみならず、これは消費者、生活者も含めて安全でそして安定した供給ということを非常に望んでおることだけに、その対策というものは非常に関心が高く、注目されているわけであります。  何遍も伺って大変失礼でございますけれども、六兆百億円の内容のうち三兆五千五百億円、これは公共投資である、しかも、これは私どもあくまでポスト・ウルグアイ・ラウンドという形で予算措置されるものという印象で受けとめてまいりました。ところが、仄聞するところによりますと、けさ、ある団体から、これは既存予算に切り込み得る、一つのシーリングの枠内で措置されるというふうに聞いたが、おまえさん知っているかというような問い合わせがございました。過般、大臣に御質問申し上げたときには、これはあくまでこの対策のために重点的にそれぞれ予算化を図っていくものであるという力強い、御理解ある御答弁があったわけでありますけれども、まずこの点について、もう一度大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  188. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 しばしばお答え申し上げているとおり、前回申し上げたとおりでございまして、今回の対策を行うための新しい事業、それに対する財政的裏づけということでございまして、七月現在要求したシーリングの中から財源を調達するなどということは毛頭考えておらないわけでございます。
  189. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 繰り返しそうした御答弁を得まして、一応の安堵はいたしておりますけれども、これから本当意味農民の信頼を回復し、そして、この新しい法律に基づいても安心して生産できる、農家の言葉をかりるならば、楽しくそして生き生きと希望を持って農業経営に当たれるような周辺対策というものがあれば、我々は農地流動化の問題なり、すべての問題に真っ向から取り組んでまいりますということを公述人は言っているわけであります。農家は言っているわけであります。  また、今法制上のいろいろな問題がありますけれども、これらの問題が一つ一つ解決をしていく、この見通しというものがないと、どうしても農家は、今まで手厚い保護ということよりは、一つの国の方針に沿った減反の協力や、あるいは新農政プランができたときには我が意を得たりというような形でそれをやり始めたやさきだけに、今度のこの食管制度の抜本的な見直しという形での新法というものに対する期待というものは非常に大きいわけでありますね。  場合によっては、予算が足らなければこれは補正ででもやっていくという、それくらいの決意を公共事業については出していただいて私はいいのじゃないか。これは与野党共通の農業農民対策農村対策であろうと思います。これは当然そのような立場で大臣からは進めていただけるものと確信をしておきたいと存じます。  この真水の分、万が一に、例えば地方で地方公共団体が行われる各公共事業、いういろな種目がありますけれども、公共団体の方で財源が不足して今の補助残の裏づけができない、補助残を起債でもって賄うといった場合に、どうも公債費率が高くなっておってぎりぎりの限度でできない、あるいは必要とする市町村負担ができないといった場合にはなかなかやりたくてもできないという事例が、末端の農家の基盤整備等がなり要望が多いだけに、これらの措置について、自治大臣、地方自治の立場で非常に御経験が深く、また地方自治を守る会の会長さん時代には私も参加させていただいて御指導を受けましたが、そういった点、例えば無利子の資金をどのような形でやるとか、非公共との組み合わせ等も含めて起債限度額ぎりぎりになっているものの枠を広げる、そうしたことがやっていただけないものかどうか、その辺伺っておきたいと思うのですが。
  190. 野中広務

    野中国務大臣 お答えいたします。  今回、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴います国内対策といたしまして、今委員指摘のように、六年間で六兆百億円の事業規模の措置を行うわけでございまして、このうち公共事業の部分につきましては、農業農村整備事業で三兆五千五百億円については、基本的にはこれまでの負担区分に応じまして地方の負担になると考えておるところでございます。こうした地方の負担分につきましては、平成七年度を含めまして毎年度の地方財政計画を策定をいたしまして、地方団体全体の財政運営に支障がないように適切に措置をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  また、地方単独の、いわゆる竹下内閣のときのふるさと創生版とも申すべき、ふるさと創生の農山漁村版をつくることにいたしまして、この二千億は、六年間でソフトな部分に使っていただき、深刻な影響を受ける農山漁村の活力を呼び戻すための自主的、主体的な、創造性に富んだ地域の自由な事業としてやっていただきたいと考えておるわけでございます。  なお、別途に一兆円は、従来からやってまいりました集落排水緊急整備事業あるいは農道の整備、こういうものと、あるいは森林保全のために公有化を進めるとかあるいは林道の整備とか、こういうハード面に使っていただくように財政措置をしておるところでございます。  委員が御指摘になりましたように、そういう事業を進める中におきましてそれぞれ財政負担で公債費率が大きくなることは私どもも大変心を砕いておるところでございまして、こういう地方財政の措置につきましては、十分に地方債を活用をいたしますとともに、公債費の負担の適正を期すために公債費適正化措置を実施をいたしまして、公債費の比率を下げる努力をしてまいったところでもございます。  今後とも、地方債の適切な運用を図ることによりまして健全な財政運営を確保いたしまして、全体として支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。     〔田中(直)委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 今、野中大臣から伺った中で、新対策という形の名で、起債制限はおまえのところはもうぎりぎりだよ、もう公債費率二〇%超したよ、赤信号だよというような形の指導であっては、これは過疎地帯を含む農村地域はもう国土の均衡ある発展は到底望めない状況になります。  時間がありませんので御要望申し上げておきたいと思いますけれども、その枠をどういうふうにして超えるか。あるいは特交措置をしていただけるのか。特別地方交付税等を対象にしながら、緊急対策としてのポスト・ウルグアイ・ラウンドということでの御配意などをぜひいただきたい。御要望申し上げたいと存じます。  さて、私の愛読書の一つであります宮沢賢治は、御存じのように「雨ニモマケズ」という中で、   ヒデリノトキハナミダヲナガシ   サムサノナツハオロオロアルキ と、これがまさに農民の気持ちだったと思います。ことしは幸いに大豊作、みんな喜びました。それと同時に、生産過剰になってしまって一体米の値段はどうなるのかということです。昨年は、まさに宮沢賢治先生がうたわれたようにおろおろ歩きながら、どうしたらいいか、もう農業やめようか、それが何と中核的な農家の後継者までそう言ったのです。  そうした中で、私は、米の需給問題というものは非常に今度の新食糧法では重要なわけでありますから、去年の緊急対策で輸入をした外米、現在、タイ米等が二十六、七万トン残っているというふうに伺ってはおったわけでありますが、その辺がどうなのか、また、現在の米の備蓄量というものがどれぐらいになっているのかということを伺いましたら、九十八万トンですか。  それに関連して私はぜひ伺っておきたいわけでありますけれども、昨年のあの冷夏が予測された時期というものは、既に四月上旬からでありました。もう微気象段階でもおかしい、ことしは異常な低温が続く、これは末端の農業改良普及事業の担当者あるいは試験研究機関、いずれも同じ結果を出しておりました。  私も大変心配をいたしまして、現場に何遍も足を運んで生育状況等を見ておりました。——稲は分けつの状況も少なく、成長も遅い。私どもの方ではコシヒカリとかササニシキとか、いわゆる優良銘柄米が栽培されておったわけでありますけれども、出穂の時期というのは八月の十日ごろでありますから、生理機作のその対処の状況からいうと約二十五日前の時点で幼穂形成期に入ります。そして、穎花分化、減数分裂期に入って、そのときの水温あるいは温度、気温、これは少なくとも理想的には二十八度ぐらいは最低必要なわけでありますが、もうかなり下回った段階で、これは大変な不作が予想されるのではないかなと思いました。  私は、このときほど農業改良普及事業の必要性というものを強く感じたことはありません。一週間に二遍ぐらいのミーティングをしながら現場を一生懸命に歩き回っている、あの普及員や営農指導員、これは大切にしなければいけないなと思いました。  だが、その中で、農水省に七月の下旬でありましたがお訪ねをして、高官の方に次官室で、これは大変な年になりますよ、こう申し上げたわけでありますけれども、残念ながら、そういった危機感というものは、その時点ではまだ真っ向から受けとめてもらえなかったということであります。本当に口惜しく思いました。しかし、皆さんが必死になってそれぞれの分野で頑張っておられますから、私はあえてそのときには責めるような言葉は一言も言っておりません。お願いをしてまいったわけであります。激励をしてまいったわけであります。  しかし、縦割り行政というのは不思議なもので、用途は違うといいながら減反政策が進められ、これは既に減反政策が進められておる中であります。また、青刈り面積も割り当てされて、もう既に進められている。実績の数字を出してもらいましたら四千七百九十五ヘクタール、そのうちにしめ縄等で使われるのは七〇%ですか、加工用だということだったわけであります。米の作況指数を推定するのは生育の途中では非常に難しいということはわかります。しかし、それが縦割り行政の中で青刈りをそのままやらせるという、そうしたことは農民の心情から言うならば、ことしはもう分けつ数も少ない、米はとれないんだから、何とか米をとらしてくれという気持ちがあったろうと思いますが、残念ながらそういう結果を生んでしまったということであります。  しかし、米の収穫予測というのは非常に難しいことは私も十分承知いたしておりますけれども、これはやはりそうした縦割り行政の中で、これから新食糧法を進めていく、もう届け出制で新しい流通が行われている中で、減反強化はいたしませんというそうしたも言葉も前にちょうだいしておりますから、まずそれを絶対に守っていただかなければいけないし、新しい需給バランスの問題でどうしても価格形成上減反せざるを得ないといった場合には、減反農家に対して手厚い、ヨーロッパ的と言っていいかと思いますけれども、今の新しい国際環境下の中での新価格保証制度といったような形のものを出さない限りは、これは消費者、生活者が必ず困る時代が来るであろうと思います。それがゆえに私は、そうした責任ある新食糧法というものを施行されるように、現在のこの法律の中では何ら具体的なものはうたっていないわけでありますから、今後、それぞれ通達、政令によって物事が進められるとするならば、魂を入れていただきたい。  大臣、ぜひ農民の代表としての気持ちで、生産者の代表であり食糧の安定供給という、生活者のいわば一番大きな担い手、生活者のための担い手でもあるわけでありますから、その辺についてどのようなお感じを持たれたか、この責任をしっかりとどういったところでやったかということを、大臣みずからがこれからの農政展開の中で新食糧法に魂を入れるという意味で私は必要だと思いますので、伺いたいと存じます。
  192. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 新しい食糧法案につきましては、前にも申し上げまして委員御案内のとおりでございまして、平成八年産米からこれを適用するという考えでございまして、それまでに各般の具体的な運用等についても、これも早い方がよろしゅうございますし、早く明らかにする必要もありますが、とにかく検討いたしたい。  その場合における供給の安定には、やはり生産者サイドのさまざまな要件といいますか制度運営に、例えば生産調整等の実施に対してこれを受け入れて備蓄米の造成に対して寄与する、それぞれの部面において生産を担っていただく、制度運営を担っていただく際における配慮については十分にいたさなければ相ならぬというふうに思っております。
  193. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 庁内の責任体制といいますか、いま一つ私強く感じたことがあります。私どもが国会活動の当然の一環として、地方の実情というものをある政府高官に訴えておる。そのときの答弁、今に天候は回復しますから大丈夫ですよ、そういう言葉だったんです。これは、聞く耳持たぬということだったのかな、あるいはそんなまだ経験の浅い国会議員の言葉なんかに一々答えていられるかという気持ちがあったのか、あえて名前は申しませんけれども、そうした人が責任ある立場でこの新食糧法をどのように展開しようとするのかという気持ちがなくはありません。私はここまででとどめておきますけれども、農水省の大方の職員の皆様方、全体の奉仕者として営々として頑張っておられる中で、新しい法律、法案が出されるときにこそ一致協力をしてやってもらわなければならないわけであります。  我々は、やはりそうした農民のあるいは消費者の本当の気持ちを理解をすることで本当の行政施策の展開があるだろうというふうに考えております。ぜひそういった点については真剣に、農業技術分野を大切にしながら、それを十二分反映できるような施策展開を図っていただきたい、これは強く御要望を申し上げますと同時に、特に、この気象予報、農業の異常気象予報というものは、生産者にとってはこれは命綱なんです。高度な情報産業社会を迎えつつある中で、農村は依然としてそういったものに対する投資というものが遅々として進んでいないわけでありますから、これはそれぞれの省庁の壁を越えて、農業異常気象問題、気象情報は、農水省を中心にしながら、通産省もハードな面で、あるいは郵政省はそれぞれネットワークの面で、これは一丸となってこれからの新しいそういう情報ネットワークをつくってほしいということを考えております。  そうした意味で、その所信のほどと、そしてまた、私は、どうしても技術系、技官の方が、何かしら予算で縛られているというそういった関係がと思いますけれども、はっきりしたことを言っていないんじゃないかなというような感じがしないわけでもないんで、前に私の大先輩で私の政治の師でもあります亀岡高夫先生は、技術を大切にしろ、これが国政の中でも絶対必要だということを強く常々おっしゃっていたのを今心に浮かべているところであります。所信のほどを伺いたいと思います。
  194. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 金子委員の累次の御指摘でございますが、事昨年の冷害を例にとっての御指摘でございましたが、確かに異常な気象であった、したがっていかなる技術を用いてもなかなかに被害は食いとめられなかったという面もありますが、しかし、ところによりましては、基本的な技術である品種の問題あるいは深水管理の問題あるいは病害虫等の防除の問題、それらを改良普及組織等の指導のもとに適切にやったところについては被害が最小限度に食いとめられたという点もあるわけでございまして、私どもとしては、やはり基本技術、これは大変大事だというふうに今受けとめておるところでございます。  土づくりとかその他の問題、防除とかいろいろな基本技術等、その技術面の重要性を改めて認識しておるところでございまして、その延長としての技術の普及、担当者への配慮の問題とか、あるいは試験研究等についての予算その他の十分なる環境条件を整えるとかが極めて重要であろうというふうに思っております。殊に農業が次の展開をするときでございますから、やはり農業の領域においても技術革新というものが本当に急がれておるという意識を持ちまして、この点について、御指摘のような点について強力に頑張っていきたいと思っております。
  195. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 時間もなくなりましたが、大臣から技術を大切にすると。先ほど前の質問者からも出ましたイネゲノムの問題やそれからバイオテクノロジーの中で、それぞれの対応、対策というものが今一番必要な時期ではないかなと思います。  それと同時に、農災法等の関連でも、昨年は再保険金が何と三千七百億円も不足したわけでありますから、これらは無利子で後の掛金に影響のないようにという、そういったこともしっかりと、これはお役所の方で確約をしていただいたことでありますので、大臣の手元においては、今後農災法で、万が一災害が起きたときに再保険金が足らなくなるというのは、農家に物すごい不安感を与えるのですね。しかも年末の二十日が各種制度資金の償還の日である。それまで払えないというようなそういったうわさ等も流れたために、大変な動揺が地方で起こりました。もちろん、農災の組合職員、技術職員、もう一丸となって冷夏に当たった経過もあります。今度の新食糧法では、やはりそうした面を、技術面での展開というものを十分尊重していただくように最後に強く御要望申し上げて終わります。  ありがとうございました。
  196. 佐藤孝行

    佐藤委員長 金子君の質疑は終了いたしました。  次に、木幡弘道君。
  197. 木幡弘道

    ○木幡委員 関連で質問をさせていただきます。  まず、防衛庁長官にお尋ねをいたしたいのでありますが、一朝有事の際の自衛隊の隊員の食糧の備蓄の状況について、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  198. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 自衛隊は、有事や災害の場合に備えて、隊員のための非常用糧食を備蓄することが必要と考えておりまして、具体的には乾パン、缶詰等を各自衛隊、五日から十日間程度、非常用糧食として保有いたしております。  有事や災害の場合の際には、現場の隊員には速やかに供給できるように補給処及び各部隊等に保管させ、十分対応できる体制となっております。また、災害時には、他の機関から要請があった場合に速やかに被災者へ非常用糧食の協力ができる体制も整えておるところでございます。
  199. 木幡弘道

    ○木幡委員 その中で米は、加工していない米、普通の米の状況はどんなふうになっているかということと、それからもう一つは、隊員の備蓄食糧の責任官庁というのは防衛庁であるということの確認でよろしいでしょうか。この二点をお願いします。
  200. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 自衛隊における食糧の備蓄は、有事や災害の際に簡単に食べることができ、かつ保存、携行が便利なものが必要と考えておりまして、米飯缶詰や乾パンなどの形態で行っております。したがって、米や加工用米の形での備蓄は行っておりません。  なお、自衛隊が通常の部隊給食に使用する米の調達は、各部隊が各地の食糧事務所を通じて政府直販米を調達をいたしておるところでございます。
  201. 木幡弘道

    ○木幡委員 国民の命を預かるということで、国防と食糧とエネルギーというのは国を挙げての大問題なわけでありますが、今、話のとおり、自衛隊の食糧備蓄については、当然、主管、責任官庁が防衛庁。ということになると、国民の長期安定的な食糧を確保する責任官庁というのは、これはどこというふうに認識をしたらいいのか。農林大臣
  202. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 一義的には農林水産省であると思います。
  203. 木幡弘道

    ○木幡委員 とすると、備蓄の問題なんでありますが、実は、この新食糧法を見ますと、この法律を改正しなければならない一番の理由は、この六十条にあります「政府は、米穀等の輸入を目的とする買入れを行うことができる。」これが今回の一番大きな、要は政府外国から米穀を買い入れることができるということを入れだというのが一つの大きな柱でありますが、もう一方では、食管改正論議の中で出てきましたのは、生産の安定と、もう一方で消費者に対する安定供給ということが、昨年の未曾有の冷害で大変な米騒動を起こした。一方で食管そのものが機能していないのではなかろうかという話が出たというのは、これは記憶に新しいことなんでありますね。  そうすると、この新しい法律の中では、備蓄の問題が扱われておりますのは、第二条に「米穀の供給が不足する事態に備えた備蓄の機動的な運営」、こう書いてありますし、あるいは第三条の三項でもって「その供給が不足する事態に備え、必要な数量の米穀を在庫として保有する」、それからあとは、第四条の二項四号に「米穀の備蓄の目標数量その他米穀の備蓄の運営に関する事項」、これは第四条で政令で定めるところによる基本計画を出すんだ、こうなっていますね。  そうすると、これは今までと同じような形でありまして、実はここに、過去十年間の持ち越し在庫量の推移というものが農林省から出ております。過去十年の間に百万トン以下のときが四年もあるのですね。たまたま、例えば昭和六十年、二十二万トンしかないときに作況が一〇四であったために次年度は何とか食いつなぐことができた。あるいは平成四年のときも作況が一〇一であったから次の平成五年も何とか持ちこたえることができた。これは言ってみれば綱渡りと同じなんであります。  そこでお聞きをしたいのは、この備蓄にかかわる認識というのが、もし主管官庁が農水省ということであるとするならば、一億二千万人の国民の主食である米の備蓄というものは、適正数量というのはいかがなものか、幾らなんだという、その積算根拠は何をもってしてその数字を出しているのか、これをお聞きしたい、こう思うのですが。
  204. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  従来の考え方もさようでございますが、過去の一定の期間において、不作の年を平均といいますか、不作の年をとった平均ということでございまして、その期間のとり方その他があるわけでございます。  それからもう一つは、もう委員御案内のとおり、残念ながら米の消費が減っておりますので、需要量と申しますか出回り量、そういうものも、要するに需給規模が小さくなってくるということも、ずっと年次によって数量が変わってくるという点もあるかと思いますが、端的に申し上げますと、過去の不作年の振れですね、それを前提にして備蓄の数量をはじくという考えでございます。
  205. 木幡弘道

    ○木幡委員 とすると、これはやはり極めて漠として、その積算根拠がないと言ってもいいのかなというふうに思うのですが、実はなぜかというと、平成四年が持ち越し在庫が二十六万トン、平成五年が二十三万トンです。かつて、大分以前に、国内需給バランスを欠いて韓国から緊急輸入、かつては貸し付けたものをお返しいただくということでありましたが、あれも一つの緊急輸入でしのいだところがあるわけでありますから。とすると、これはコストの面で逡巡なさるのかなといううがった見方も一部にはあるのでありますね。  と申しますのは、もちろん、食糧安保と同じでありますから、食糧というものを確保しておく、万が一のために確保しておくということになれば、その後必ず古米になるわけでありますし、その管理にも経費がかかる。どの程度までその負担をするのかという経済的な問題も当然考慮しなければならないということで、綱渡りをする回転備蓄ということが余りにも安易に行われた結果、昨年のようないざというときに三十万トンを切った状態であるがために、さあ大急ぎでもって、中国を初めオーストラリア、アメリカといった形でもって食糧調達をしなければならない。とすれば、もう火事場みたいな騒ぎでありますから、その後幾ら必要なのかということも、大急ぎで集めたために今回大量な外米が残ってしまったというふうな見方もできないわけではないわけであります。  とすれば、やはりこの辺で、食糧安保として我が国が安定した供給を行うために備蓄をどうすべきかということを、石油備蓄法と同じように、一つの特別立法らしいものを明確にして備蓄というものを考えるということも一つ考え方であろうと思うのでありますが、この食糧法でいえば、極めてまたあいまいもことした形で、基本計画が同じような推移ということになれば、もしまた近い将来に未曾有の大冷害になったときには、また同じように同じようなことを繰り返していくという危険性もあるわけですが、その辺について大臣の所信をお聞かせいただきたい。
  206. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 回転備蓄的なコストを考えた備蓄の数量が、棚上げ備蓄的な要素を加味しない考え方より優先したために備蓄量が不足して、そのために緊急輸入等の事態も生じたという点については、確かに備蓄米、備蓄量がたっぷりあれば、あれだけの問題は起こらなかったということはそのとおりでございます。  それで、過去の平均的な不作年、そういうものをとらえて、そしてそれで供給不足を充足できるという考えで計算する以外にはないと思うわけでございまして、今後はそういう考えを前提として備蓄量を決めていきたい、さように思っておるところでございます。  ただ、備蓄基本法という問題については、私は、やはり食管の管理運営の今度は中心拠点になるものですから、その食管の需給調整の一環というところで考えていただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。
  207. 木幡弘道

    ○木幡委員 この新食糧法を見る限り、私の意見、考え方でありますから、それがどうかということでありませんが、備蓄の問題は今までと同じような扱いでありますから、これはやはり大変かなという感じであります。今後、新食糧法の中に備蓄の問題をどう盛り込んでいくおつもりなのか、ぜひひとつ省内でも再度検討いただきたい、こう思うのであります。  もう一つてありますが、もみ備蓄と種もみ確保の問題、あわせてお聞かせをいただきたいのですが、実は種もみの確保については、生産団体、生産者の責任において確保しておりますが、昨年の冷害のときには、岩手県を初めとする主産地が種もみすらなくなって、鹿児島県、沖縄県等々の離島で種もみの栽培をしてもらって、それをことしの作付に回した。これは確かに、消費者に対する安定供給ということもさることながら、再生産のための種もみ確保もきちっとしませんと、国民食糧の安定供給、生産ということはできないわけでありますから、この件について今後どのようにお考えになっているのか、国の責任は。  それからもう一つは、前に鮫島議員が話をされました新鮮米、これは御承知のとおり、瑞穂の国の我が国においては、郷倉と称しまして、どこの地区にも、一たん緩急のときのための、種もみにも使える、食糧にも使えるということで、校倉づくりの倉の中にもみ貯蔵をしておった。これは先人の知恵でありますね。それが今は玄米低温貯蔵であるがために種もみもなくなったということでありますから、もみ貯蔵の今後の考え方等について、この二つ、簡潔にお聞かせをいただきたい、こう思います。
  208. 日出英輔

    ○日出政府委員 前段の種もみの確保につきましてお答え申し上げます。  先生お話しのように、私どもは、国と県との役割分担をしながら一定の品質の種子の確保、これは平年作ベースでの確保ということが前提でございますが、こういうことをやってきたわけでございますが、昨年、御案内のとおり未曾有の不作となりまして、こういった種子の供給量が低下したわけでございます。そのために、私どもとしますれば、平成六年度からこういった、確実に再生産用の種子の確保を図るという前提で事業を起こしております。  中身は、各県の種予備蓄体制の整備、あるいは先生お話しになりましたけれども、複数県による広域的な観点からの種予備蓄体制の整備、こういったものについて六年度から事業を起こしまして、このもみに対しての問題のないようにしたいということで対応を整えているわけでございます。
  209. 上野博史

    ○上野政府委員 もみ貯蔵の問題につきましては、今委員指摘のとおり、低温貯蔵という貯蔵方法が一般的に大変完備をいたしておりますので、現在それが主流でございます。ただ、もみ貯蔵のいろいろな利点というのもあるわけでございますので、今年度から試験を数カ年かけてやりたいというふうに思っております。
  210. 木幡弘道

    ○木幡委員 ぜひひとつ備蓄の問題は、つい去年のことでありますから、のど元過ぎれば熱さを忘れるということでなく、これは生産の方から見れば確かに国内対策という論議もさることながら、消費者サイドからすれば、国内産米が安定供給できるということが食管法の一つの大きな柱であるということをさらに意識を高めていただいて、備蓄の問題について特段のさらなる御努力をいただきたい、こう思うのであります。  それからもう一つですが、実はこれは、これからラウンドでもって四十万トンから八十万トンの外国産米を受け入れる、あるいは備蓄でもって持ち越し米が間違いなく、先ほどの答弁では二十万トン、三十万トンというような、端境期にショートするようなことはないであろう、こう思いますから、恐らく百万トン以上の備蓄が持ち越し在庫として来るのでありましょう。そのときに、いわゆる現物の海外への援助、これは外務大臣にお聞きしたいのでありますが、実は従来我が国の海外援助というのは、お金を差し上げるということがメーンでありました。もちろんこれは、お金は何にでも使えるということで、いただいた諸外国にとりましても、それはそれなりに大変ありがたいということであろうと思いますが、しかしながら欧米諸国では、開発途上国に対して、例えば人口問題についても避妊具の現物支給を行っているとか、その国の産業の在庫数量その他の動向を見ながら適宜適切に現物支給を行って喜ばれている。  余談になりますが、かつてバングラデシュに食糧を洪水のときに送ったとき、アメリカではNASAの開発した宇宙食を送った。片一方では現物の米や小麦を送った。目の前に宇宙食がありながらそれに住民は手をつけずにばたばた餓死をしていったということもあるとおり、現物支給も適宜適切に行えば必ずや我が国に対する評価も高まるでありましょうし、戦乱地、動乱地においてもそれが大変役に立つ。例えば、昨年の冷夏によるバターの在庫等々も政府でお買い上げをいただいてバターの現物支給を行う、あるいは米等々につきましてもそういうことを今後行っていく上での問題点と、それからそれに対する取り組み方等について外務大臣からお聞かせをいただきたい。
  211. 河野洋平

    河野国務大臣 これは議員御承知のとおり、ケネディ・ラウンドにおいて合意をされました食糧援助規約というものがございます。つまり、食糧というものがこの地球上に偏在していて、おっしゃるように飢餓に悩む人のところに余剰米を届ける、これは国民感情からいえばそれが一番いいわけでございますが、他方、食糧の輸出国、特に発展途上国の食糧の輸出国から見れば、その人たちのマーケットを奪ってしまう、あるいはその人たちのマーケットの価格をそれによって下げてしまうことにもなりかねないというようなことから食糧援助規約というものができていまして、加盟国に一定のシェアを決めるということがございます。  したがいまして、備蓄余剰米の一部を食糧援助に利用することにつきましては、もちろん今議員御指摘のように、国内対策として検討をする中で、WTO協定との整合性、食糧援助規約及びその関連制度、あるいは他国による食糧援助の状況、開発途上国の需要の状況、その他種々の外交的なあるいは法的な問題点に対する配慮、配意をした上で行う、あるいは検討をするということが適当かと考えております。
  212. 木幡弘道

    ○木幡委員 今国会で政府から、難民はきょう現在どのぐらいいるのかという質問の中に、ある委員会で推定約四千万人だ、こういう話がありました。実数はもっともっと多いはずでありまして、今外務大臣おっしゃるとおり、いろいろな問題がありますが、それぞれの国益あるいは法律あるいは条約等々によって、今まさに余っている食糧の偏在によって、片や餓死者が毎日出ているということは、これはもう人道上の問題は何よりも優先するという見地から、それを適宜適切に前向きに行っていくということをぜひお願いをしたい、こう思います。  それからもう一つでありますが、実は備蓄の問題で、例えば東京や静岡といった東海地方といったところは常に大型地震が想定されるということで、各地方自治体それぞれに万全の、一朝災害があったときの対策を講じている、こう思うのでありますが、その中で、各地方自治体の水あるいは食糧の災害時における備蓄の問題は、自治大臣、どのような形になっているのか、そしてまたどう指導なさっているのか、それをお聞かせいただきたい。
  213. 野中広務

    野中国務大臣 委員指摘のように、地震災害等の災害時におきます被災住民の飲料水、食料品等の確保というのは、地方公共団体の大きな使命の一つであると認識をしておるわけでございます。  したがいまして、大きな災害のときには被害が広域的かつ複合的にもなりやすうございますので、特にライフラインに被害が生じた場合には、被災地域の地方公共団体は、早急に被災者に対しまして飲料水や食糧等の生活関連物資を配給することといたして、各地方公共団体では、災害時の被災者に対しましてみずから備蓄することを第一といたしております。現在では、例えば乾パンにつきましては全国で一千五百四十万食が備蓄をされておりまして、米につきましては二千二百九十七トンが備蓄をされております。  けれども、御承知のように、備蓄には限度がございます。一つには、リフレッシュしなければなりませんので、乾パン等はもう五年が限度と言われております。したがいまして、そういう点では、その地域で製造販売をしておる企業との間に、災害時に食糧等を提供してもらう、いわゆる流通在庫契約というのを地方公共団体で締結をいたしております。この流通在庫契約によりますと、乾パンにつきましては三十七万三千食分、米につきましては八千九百八十四トンが現在確保をされておるところでありまして、水につきましても十万四千トンが確保をされておるところでございます。  それでも、災害の規模が大きかったり、被災地域の地方公共団体の備蓄やあるいは流通在庫契約の状態では対応できないことも予想されますので、近隣の地方公共団体あるいは食糧事務所等が相互応援をいたしまして、協定を締結して必要量を確保するようにやっておりまして、私どもも万全を期してまいりたいと存じております。
  214. 木幡弘道

    ○木幡委員 お聞きしたかったのは、要は、今お話しのとおり、地方自治体、二千二百トンに及ぶ備蓄をなさっている。備蓄といいますのは、単にこれは農水省だけ、食糧庁だけということではなくして国民全体が考えるべきであろう、こう思う時代だと思っているんですね。その負担を、例えば地方自治体あるいはJAあるいは民間団体、それぞれが備蓄ができて、しかも政府から助成金のたぐいをいただければ極めて安い状態で備蓄できないとも限らない。  発想を変えますと、例えば未就学児童の教育が公立幼稚園よりは私立幼稚園の方がはるかにサービスもよく、これは教育をコスト割りにするのは大変不見識と思いますが、しかしながら、行政コストを考えれば、極めてコストが安くしかも園児に対するサービスもいいということが、これは巷間どなたも認めるところでありまして、そういう意味では、備蓄そのものも、国民食糧の備蓄も、もう何が何でも国がすべて一括で備蓄をするというよりは、一つの方針を決めたらば、地域ごとにあるいは地方自治体やあるいは民間やあるいはJAといったところでもって備蓄をする時代が来たのではなかろうか、こう思うのでありますが、その辺についてお聞かせをいただきたい。  それから、時間がありませんから、最後に一つ防衛庁長官にあわせてお聞かせをいただきたいのでありますが、実は、一昨日の地方公聴会で陳述人からの話で、大変基盤整備事業が高い、こういう話がございました。実は、自衛隊には自衛隊法百条で、隊員の訓練を兼ねて施設大隊が公共事業を行う。これは私どもの地方でも大変な好評であります。真摯な態度で、しかもすばらしい仕事をなさっていただいて、これはもう大変な好評で、しかも自治体側からすれば大変経費が削減できる、こういうことがございます。  これを見ますと、昭和六十年代には整地事業でいいますとかなりの件数があったのでありますが、ここに来て大分減ってきております。これは、基盤整備事業、整地の事業が多いわけでありますから、ぜひこれを積極的に参加をいただく、よって農民の負担も軽くなるということで、大変いい事業ではなかろうか、こう思っておるのでありますが、防衛庁長官と、あわせて農林大臣にもこの件について考え方をお聞かせをいただきたい、こう思います。
  215. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 備蓄システムにつきまして、単なる国が全備蓄の保有をいたすという今日の形からもっと多元的な形で行う方が効率的ではあるまいかというような御指摘でございますが、ただ、備蓄とは異常のときに放出する、それがシステマチックにそれぞれの需要を満たすという点については、その体制の確立が果たして可能かどうかというような検討もさせていただかなければ相ならぬ、さように思っておるところでございます。
  216. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 自衛隊法第百条に規定しております土木工事の実施範囲は、あくまでもその実施内容が自衛隊の訓練目的に適合するということが必要でございます。この規定に基づきましで、防衛庁は従来より地方公共団体等の長から申し出のあったグラウンド、公園用地等の整地、道路造成等の土木工事について実施してきているところでございます。  御指摘農業用地の整地につきましては、具体的な工事内容、規模等が訓練目的に適合するか否か、及び技術的に対応可能か否かを個々に委託の申し出があった段階で検討して対応していく、こういうことが必要であると思います。
  217. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 今、実施者としての防衛庁がさような考えでございますので、そういう方向で考えざるを得ないというふうに思っています。
  218. 木幡弘道

    ○木幡委員 十分に訓練になりますので、ぜひひとつ農林水産省でも個々の事案について、ぜひ訓練を兼ねて防衛庁の方々にお手伝いをいただく、それで訓練をしていただくということで、特に今回の六兆百億の中で基盤整備事業等々の問題、末端の農家では基盤整備にかかわる金が高い、償還金が高い、そしてまた、今回六兆百億の中で、こちらサイドで見ていますが、それを受け入れるための負担金は各都道府県、各土地改良区、そして受益者の方々の負担金があるということを考えれば、ぜひその辺もあわせて考えていただきたい、こう思います。  最後になりますが、備蓄の問題につきましては、どうも新食糧法の中では極めて不備である、こう思いますので、さらに一層の御努力をいただきたい。お願いをいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  219. 佐藤孝行

    佐藤委員長 木幡君の質疑は終了いたしました。  次に、田名部匡省君。
  220. 田名部匡省

    ○田名部委員 最初に、この委員会を通じてかつての細川内閣、畑農水大臣に対していろいろな御答弁もありました。私は皆さんのお話を伺って、なぜ参議院での罷免決議をされたか、あるいは自民党の党声明を出されたかという話を聞いておって、どうもよくわからない点があります。  それは、資源のない日本は自由貿易の恩恵を受けたということは、これはだれしも認めておるところである、そう言いながら、それだからやらなきゃならぬのですということに行くかと思うと、そうでないんですね。それは何といっても外交の継続性でしたからと、要するに細川内閣がこれを受け入れたからまあ仕方なしだ、外交の継続性だからというふうにおっしゃりながらも、今申し上げた自由貿易の方はこれは恩恵を受けていると。そうして畑さんに対するお答えの中では、畑農水大臣が大事な場面で行かなかったからけしからぬ、こういうふうに聞こえるわけですね。  そうすると、畑さんが行かなかったことが問責決議になり党声明になったのかなというふうに実は感じられるのですね。どうですか、そこのところは。はっきりここがけしからぬというのなら、そこを言ってほしいと思うのです。
  221. 河野洋平

    河野国務大臣 昨年十二月におきます自由民主党の党声明についてお尋ねだと思います。  御案内のとおり、十二月はウルグアイ・ラウンド交渉の中の農業協定、ドゥニー調停案の受け入れに関するものでございまして、その際の党声明におきましては、ドゥニー調停案の受け入れは日本農業に大きな影響を与える、日本農村農民のこれによる不安、打撃というものは大変大きなものだ。これは恐らく長年農業問題を担当しておられる議員も同感せられる部分が大きいと思いますが、我々は当時野党の立場にあって、農村農民方々と非常に密接在関係もございましたから、そうした方々の気持ちを政府の一員の方よりはより多く聞く機会もあったかと思いますが、そうした方々の気持ちを体して、我々としては農業農村に対する大きな打撃に対する懸念を強く表明をした。これが昨年十二月の段階でございます。  その後、時間が推移をいたしまして、四月の段階で農業協定ばかりでなく全体のウルグアイ・ラウンド交渉というものが調って最終的な文書に対する署名が行われた。つまり、これは百二十を超える国と地域が全体で合意をして、これで最終的な文章であるという合意が行われたというのが本年の四月でございます。  さらに事態が進んで、政権が交代をし村山政権が成立するに及んで、我々はWTO協定を国会に提案をして国会の承認を得るという立場に現在立っているわけで、そうした中でこうした提案を国会にするに当たっては、かねてから心配をしていた農村農業従事者の方々に対してでき得る限り十分な対策を講ずるということが何よりも必要であると考えて、政府・与党一体となって、厳しい状況の中ではありますが、議論の末対策大綱をつくり上げ、その対策大綱に沿って六兆百億円という、六年間ではありますが、予算をこれに使うという合意をして、それに基づいて提案をし、国会の承認をお願いをしている、こういう状況でございます。その中で自由民主党としては昨年十二月の党声明をいわば改める党声明を出した、こういうことでございます。
  222. 田名部匡省

    ○田名部委員 皆さんも外交の継続性でこれはやらざるを得ない。実は私も同じように外交の継続性でこれはやっておったんですよ。私の前の今は亡き近藤大臣、その前は山本富雄大臣、みんな苦労してきました。  私が就任の、これは平成三年十一月の五日であります、最初の記者会見で質問をされまして、こう答えております。新ラウンドが大詰めを迎えているが、米問題への対応はという質問に対して、またこれはダンケルの案がないときですから、ダンケル事務局長の包括提案がどのような内容になるかわからない。輸出補助金をどうするか、なかなかまとまりにくいという話もある。米は国会決議もあるし、生産調整もしておる。最大の食糧輸入国でもあり、例外なしの関税化には反対していきます。食管法改正となれば、国会を通す自信がありません。通らないものをやるとすれば世界に対する背信行為になる。そういうものは受け入れるわけにはいきません。  あくまでも自給を貫き反対していくということですかという質問を受けました。世界がどう動くのか見きわめができないのではっきり言えません。いずれにしても、新ラウンドは成功させなければならない。自由貿易が建前の日本だから、そんな感じで見ております。どういうことで米作農家の理解を得られるような決着方法があるのかどうか。ただ反対、反対だけではなく、この部分は絶対認められぬと言わなければいけない。長期的に考えると、日本は労働力が極端に不足していったときに、このままいけるかどうかという感じがする。当面は自由化につながる方向では農家に与える影響が大きい。それなりの準備体制ができないうちにやるというのは絶対認められません。  これは役所の書いたものもありましたが、大部分、まあ半分は私のアドリブで実はやったわけです。新政策についてはどう考えるかということも聞かれました。  言ってみれば、これが当時の自民党と政府の実は継続性だったわけですね。私の後に就任した畑さんも、この外交の継続性というのは別なことをやるわけにいかぬということで、実は、あれは十一月でしたか、サザーランドが日本に参りまして、そのときに、私もやめた直後ですから、これとっぷりつかっておったのですよ。ですから、どうすれば一番いいのかというのはわかっていましたから、そのときに、同じことでけんか別れをしたのですね。十二月の初旬ごろだったと思うのですが、畑大臣がジュネーブに行かれまして、国会決議もあるし、このダンケルの案は絶対認められませんと、これは私もこれだけは絶対だめだと、ダンケルの案は。  そうして、政権がかわりまして、あのとき、十二月に、私がもう任期だというのでワシントンヘ行きましてヒルズと会ったときは、ヒルスさんは、もう政権末期だったものですから、もう交代がわかっていましたから、物すごい迫力で私とやり合ったのですよ。私は、私も帰るともう大臣辞任するんです、あなたももう交代なんだから、そんな、次の人に任せてという話をして、話を打ち切ったのですよ、あのとき。  しかし、クリントンにかわってから、向こうもスタッフが決まらず、なかなか、私は留任する、そうしてあなたが官房長官でまたいろいろこの対策をやりました。そうして向こうは、エスピーが決まっても下のスタッフは決まらない。そこで、考え方がだんだん変わって、あのダンケルの案てはいけない、何とかまとめようという方向になって、そうして畑大臣とかわって、畑大臣が今申し上げたようなこと。そうしてけんか別れして、まあそれでも帰ってきたわけですね。その後に随分、行かないのはけしからぬとか行け行けとかというふうにみんなに言われたようです。しかし、別れたところへ案もなしにまた行けと言われても行きにくかっただろうと思うのです。案があるんならいいですよ。あとはもうあなたの方でこれをまとめるんなら案を出せ、こっちは案というのはないというので決裂しているわけですから。  その後、実は最終局面で私がジュネーブに参りました、役不足でありましたけれども。忙しいから会えないだろうということで、まあ行くだけ行ったのですが、幸いアメリカのオメーラ、ムース農務次官、これ一緒に同席して、一時間会ってくれました。それからドゥニー議長、サザーランド事務局長。  そこで、私は交渉に来たのではありません、日本国内は今、大冷害、経済の不況、いろいろなことで大変な状況ですよと。したがって、かねがね言われておった国家貿易、これだけはどんなことをしても日本が認めてもらわぬと、これはもう貿易になりません。それから、肉のことで経験がありますが、セーフガードが働かないということになると幾らでも入ってくる。形はあるけれども、相手国の了承を得るということになると、相手が了承しなければセーフガードは働かないことになっているのです。ミニマムアクセスも議論しようとしましたが、六年後日本農業はどうなっているかわからぬから、これはやめました。公の場ですから、韓国問題もやりました。これは言いません。  そういうことであって、そうして最終局面の本当の最後の場面に羽田さんが外務大臣で翌日来まして、私が克明に報告して、ここまでやっておきましたということで私は帰ってきたのです。  ですから、余り、おとといの公聴会でも、国会は本音と建前を使い分け過ぎているという指摘もありました。特に委員会はそうですと。六年後についてもどうするのかというのは、もう議論なすったらどうか。それを反対、反対でいっちゃうものですから、何が一番いい方法か、日本農民にとってどれがいいかというのは何もわからずにいっちゃうという危険性が非常に多いのです。  どうですか、これ。私の今までの話をお聞きになって、農林大臣外務大臣、それぞれどういう感想をお持ちになりますか。
  223. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 ただいま田名部委員から、最終段階における御苦労のお話を承りました。これについては、我々は野党でつぶさに承知しておりません。その最終の過程においてはつぶさに承知しておりませんが、それぞれの御努力があったということは、ただいまの生のお話を聞きまして承知できたことを一つの今後のあれにしたいと思います。
  224. 河野洋平

    河野国務大臣 何事も交渉事というものは前方、後方両方にそれぞれの主張があって、そのはざまに入って大変厳しい交渉をせざるを得ない場合が多いわけであります。私は議員と閣内でも一緒に仕事をさせていただいて、当時議員が自由民主党におられたころ、自民党の農林関係の中にあって極めて信頼厚く、宮澤政権下は、恐らく私の記憶では議員だけが留任をされて、この問題もあって、ずっとこの問題に携わってこられたということも私はよく知っておりますから、議員がこの問題にどれだけ努力をされたかということも、今のお話を例えばよくわかります。  ただ、我々は、政権にある人間は、やはり国民の期待あるいは国民の心情というものがあって、そういうものをやはり背中にしょってやらなければならない。まあこれはある意味では宿命と言ってもいいかもわかりませんが、そういう立場にあるわけで、そうしたこともまた考えなければならない。議員は、もう閣僚の地位を去られた後もこの問題をずっとフォローして努力をされたということに心から敬意を表したいと思います。
  225. 田名部匡省

    ○田名部委員 そういうことでありましたから、もう金輪際こんなことで余り何回もやるということのないように、国家国益がかかっておる、私は、税のときもそうだったのです。ここで与野党反対しないで、もうやるときはみんなでやったらどうかという、当時は与党だったものですから、野党の皆さんにお願いしたのですよ。しかし、やはりああいうものは、賛成、反対あると反対の方が勢いよくなっちゃうから、本当は、みんなが一緒に決めて責任を持つ。これは、本当の大事な場面というのはやはり余り駆け引きとか建前とか本音というのを使い分けないということが私はいいんだろうな、こう思って、この問題についても、これは国益を踏まえた話だったものですから、そんな気持ちで実はやってきたものですから、これからは、これで終わりたい、こう思います。  真実だけは、これは畑さん、なかなか自分のことですから言いにくかったろうと思って、私はこの間じゅうから聞いておったのですよ。だから、あえてきょう申し上げさせていただきました。  次に、この国内対策費の六兆百億、これは何回もここで議論になっていまして、総理は、これは別枠というわけにはいきません、大蔵大臣は、予算編成全体の中でと言う。農林大臣は何となく、それはこっちを削らぬでこっちはちゃんとやるんだと言うことから判断すると、勝手な想像でありますが、ああ別枠にしようと考えておるのだなと。三人違うのですよ、これ。何かひとつきちっとした、こういうふうにやりますと、話は別々じゃ困りますから、閣内でひとつきちっとしたものをお出しいただけませんか。そうすると、三人に何回も別々な質問をしている。きょう総理はおられませんからね、どうぞこれだけはひとつお願いしておきますから。これはいよいよあすもう採決ということですから、どんなことが出るかによっては我々の態度というものがあるわけですから、きちっとした、話が皆違わないようにしていただきたいということを冒頭お願いしておきます。  一方、大蔵大臣、来年度の予算、これ大分厳しいというのは、これはマスコミで我々は知るしかないものですから。四十年ぶりに減額だ、何か新聞にそう書いてありましたが、一般会計予算、今年度当初より二、三兆下回る、七十兆か七十一兆程度かということを、まあ「か」ですから、そうなったわけでもないけれども、ああ相当厳しいんだなと。文教予算、防衛、ODA、すべて聖域は設けない。これは新聞社が予算編成やるわけではないですから、これはどう書こうと。しかし、厳しいということだけは伝わるわけです、我々にも。  しかも、この厳しい中で、私は、あなたのところに陳情に行きましたとき、これは別枠にしてくださいとお願いに行きました、大蔵大臣の部屋へ。ところで、消費税五%を決めた中にこれらは含んでおるのですかという質問もいたしました。いや、もう福祉もやっとですから、これは入っておりませんと。そのときに、あなたが細川内閣のときの対策本部の副本部長で、それに対する責任というのは官房長官から大臣になってもあるわけですからという話をいたしました。どうですか、概算要求が終わってからこの話になったわけですから、枠とかなんとかは別として、六兆百億というのは、単純にいくと六年間で五千億、枠はいいですよ、別でも中でも、これだけは確保していく、こういうふうに理解していいのですか。
  226. 武村正義

    ○武村国務大臣 何回となく答弁を申し上げてまいりまして、余りくどくど言わないで一言で申し上げますが、御指摘のように、大変厳しい財政状況でありますが、この対策費の初年度予算につきましては責任を持って措置をさせていただきたいというふうに思っております。
  227. 田名部匡省

    ○田名部委員 責任を持ってと言われると、持つなと言うわけにいきませんからね。そういかなかったときばどうしますか。
  228. 武村正義

    ○武村国務大臣 そういかないということはあり得ないという決意であります。
  229. 田名部匡省

    ○田名部委員 まあ、それだけの自信を持っておやりになるのであれば、これはもう安心をいたしました。  この間、亀井運輸大臣が私の地元に来まして、新幹線はフル化、私の責任でやる、こう言って、本格着エへ詰め、全部フル化ですよ、未着工部分も着工します。その後、戻ってテレビを見ておりましたら、私の言うことを聞かない役人はやめてもらいます、でなかったらどこかへ移ってもらう、こう言って、うれしい話を聞きました、盛岡以北あるものですから。これらについても、米も大変だというときに新幹線まで、これ大丈夫なのかな。そのほかもいっぱいあるわけですから、これ大丈夫ですか。
  230. 武村正義

    ○武村国務大臣 いや、率直に言って大丈夫ではありません。これは、今さら改めて来年度予算編成をめぐる歳入の環境状況をここで申し上げるまだ時期ではありませんが、極めて厳しい。大蔵大臣がそう言いますと、もういつもの言葉というふうにとられそうでありますが、本当に来年度予算編成は一段と厳しい状況にありまして、税収が基本になりますから、その他、税外収入、国債の発行等々、歳入をめぐるいろいろな要素を勘案してみておりましても、概算要求よりもかなり下回る状況であることは間違いありません。  そういう意味で、一般論で言えば、今、新幹線がどう、中小企業がどうとは申し上げませんが、まさに、これは七月の概算要求の閣議決定でも、ほぼ予想いたしておりましたことではありますけれども本当に制度の根底にまでさかのぼって見直しをするというこの表現も、厳しい優先順位の選択をつけようということもちゃんと入っているのですが、これも毎年の言葉のように受けとめられておりまして、もう一つまだ客観的な厳しさの状況がそのまま伝わっていないのかもしれません。  新幹線の問題は、亀井大臣の意欲としては受けとめておりますが、とにかく個々の事業については、大きな新規の枠をどんどん見ていくという余裕は、非常に厳しく制約をされた状況の中で予算編成の作業に入らなければならないという状況であります。
  231. 田名部匡省

    ○田名部委員 この中で、それは今後の折衝の中で決まる、わからず屋の大蔵の態度を改めさせ、きちっと責任を持ってやりますから、こう言っているのです。まあ、知事さんや市町村長は喜びましたよ、これは。あなたはわからず屋になっているのですよ。まあ、どっちだかわからぬが、あれだけの、四千人集めて演説やったのですから。  それにしても、私は県会議員のときからお願いして、これは一歩も進まずに、橋本通産大臣が大蔵大臣のときもやりましたが、最後は、金がないから金がないからと、もう何十年になりますか、二十何年になりますよ。まあ、これはそれで結構です。しかし、これだけ言っているんですから、しっかりひとつこっちの方もお願いしておきたい、こう思います。  それから次に、国内対策についてですが、何といってもこれは、国際競争力に耐え得る農業。まあ、どこまで耐えるかというのは私も自信ないのです、これ。そんなに頑張ってみたって日本の米がアメリカやタイより安くなるということはないのであって。しかし、私は、日本農業というのは国民のコンセンサスを得ることが大事だ。本当に企業的な感覚で経営をして、努力をして、そして下げられる可能なだけの米価に持っていけば、国民が本当に喜んで、何かあったときは応援してくれますよ。  これ、諸外国の場合はこの国民的コンセンサスというのは大体きちっと得られているのですよ。だから、グリーン・ツーリズムというのは、私行ったときに入澤局長なんかといろいろやりまして、これは、ヨーロッパの方じゃもう完全に定着している。これは、国は、政府は金を出しませんよ、金融とか税制とかということでの支援はしますけれども。国民の方がみんな活用してくれる。それは、あのヨーロッパ全体の農業の姿というものをわかっておるからそうだろうと思うのですね。  私は、そういうことで考えてみますと、これは、農協の大会でも、このグラフに書いてありますけれども外国産より高くても、少なくとも米など基本食糧については生産コストを引き下げながら国内でつくる方がいい、これが四四・七%あります。外国産より高くても食糧は生産コストを引き下げながら国内でつくれというのは三二・七%。これは七七・四%あるんです。だから、日本農業に対する国民の考え方というのは大体この方向だと思う。  ただし、これにはコストを下げなさいということを書いてあるんですよ。それがこれからのあの新農政でうたわれ、今外国と、これは国際競争できるとかどうかは別としても、コンセンサスを得るための努力のための規模拡大なんですね。これをきちっとやるということで国民が理解を示していく。それにはいささか公述人の方々も疑問を持っておったですよね。本当にいくだろうかという心配。重点的に効果的にこの六兆百億というのは利用してくださいと。あるいは十年で百五十万ヘクタールというのはまあ難しいが、いよいよ六年ということになると相当のエネルギーが必要ですよ、これ。やれるかどうかと、これは心配をしておる。予算は消化できるだろうか。  どうですか、これ、農林大臣。まあ十年計画だったものを六年にすれば、一体どの程度の規模拡大をしていかなきゃならぬかというのは、何かありますか。ちょっとお知らせいただきたい。
  232. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げますが、委員も手がけられた新政策、あれの終了年次と大体同じように今回の国内対策はスタートするわけでございます。それで、経営の展望、目標もみんなあの経営類型、稲作なら稲作のコスト削減も、それを集中的な今回の事業で推し進めるということで、段取りは御案内のとおりでございます。  したがって、例えば農地の移動面積等も従来の移動の二倍ないし三倍に加速するとか、基盤整備事業も御案内のとおり重点がつ加速的にやるということで、とにかく一応のこの六年間を目指して全力を挙げていくということが我々の考えでございます。  ただ、やはり御指摘があるように、受ける農家が主体的に立ち上がらなければ、いかなる政策、対策を用意してもなかなかに効果を上げ得ないということでございまして、我々としてはその点についての今後の徹底した努力をいたしたい、さように考えております。
  233. 田名部匡省

    ○田名部委員 これも、この「二十一世紀の農業再建とJA改革」という資料の中に、平成五年で水田で大体五〇%ぐらい、この整備率が。これは小さいのもありますよ、三十アールとかなんとかというもの。これを一ヘクタールとか三ヘクタールにしていくとなると、これも手をかけていかなきゃならぬ部分がある。これで見ても、十年後の平成十五年に大体七五%と見ておるのですね。それを六年で相当やろうとすると、確かに難しい面もあります。やるのは農家ですから、農家がやると言わなければ、これは何ぼ我々が旗振ったって。だから私は、六兆百億はつけたがなかなかやらないとなると、これは使えない金になるのではないかなということも実は気になるわけであります。  それで、この間の公述人の中でも、もう一つ言っておりましたね。三兆五千億が、これは国民の考え方と大きな開きがある。あのやりとりを見ておると、三兆五千億で出たら、またけしからぬと言って六兆百億になった、これは何が何だか見ておってわからぬと言うのです。これは小島さんのお話でしたよ。一夜にして三兆五千億が六兆百億になった、我々の力でなったんだなんというのをテレビで見ていると、どうしてそう六兆百億になったかというのが、何でそうなったかというのを何も言わぬものだから、という意見がありまして、なかなかやはり国民にここでやっていることはよくわからない。  もっとやはり透明にして、こういうわけで三兆五千億が六兆百億になったのですというようなことをやってもらわぬとなかなか、農業に一生懸命になる、なるというのはわかるけれども、今までも相当金かけてきたけれども、この程度のことでいるじゃないか、だからこの六兆百億でも、またかけてみても大して変わらぬということになりゃせぬか。  要するに、農業に対して国民の理解というものは、私はさっきあると。そのための投資ならいいんだということを多くの人が言ってくれるのですよ。だから、目に見える形でこの六兆百億が日本の農家のために、本当に国際競争力、さっき言ったことでありますけれども、国民から本当に農家よくやったなという姿が出てくるように使ってほしい、こう言っているわけですね。  ただ、私も、それは大臣のときですが、国営の、あるいは県営の圃場整備事業、まあその前からもいろいろ頼まれてやりまして、これは何といっても負担金に反対があるのですよ。何といっても負担金。それから、中には意欲のない人もおりますし、後継者がいないのに今さら金出してそんなみんなと一緒にやったってと。近藤大臣の新潟でもしばらくごちゃごちゃ、まだもめているんじゃないですか、あれ。解決しましたか。当時、もう彼も本当に手を上げておったところがあるのです。進まないのです。反対が三割ぐらいおったかな。そういうことで時間はかかっていく。もうやろうとした人は不満が出てくる。それから、この換地のときに、自分がいいところにあったやつは、あっちの方へ持っていかれておもしろくないと言って、また始まるという。まあ、いずれにしても難しい問題を抱えておるのです。  これは来年の問題ではない、来年は今やっているやつにどんとかぶせて進めるだけですから。しかし、これから六年の間にはそんな問題が出てくる。特に都市の、私の八戸周辺の農家というのは、何ぼ進めたっていずれここは道路が通ったら開発が進んで、何か貸した方が農業をやるよりいいと思っているから。  そこで、私は、優良農地というものを本当に、かつて未来永劫と言ったら、大臣、未来永劫と答弁しないでくれと言うから、まあ未来永劫でなくても、相当長期間もう農地としてやっていくというものについては、もう本当にやはり手厚い支援策というものをやるというふうにした方がいいのではないか、こう思っているのですがね。これから減反の話も聞きますが、何にしたって損する話に農家に乗れ乗れと言ったって、これは絶対に乗りませんから。やはりそれ相応のことをして、これに協力してくれ、あれにしてくれと言わなければならない。  どうですか。農振地域というのがあるけれども、さらに将来にわたってもうここは農地として基盤整備をきちっとやっていくというものについては、特別にやはり何か考える必要はないですか。
  234. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 これについては、田名部委員も本問題について大臣時代等からいろいろ御検討して、お考えを提示されたと思うわけでございますけれども、具体的な地域地域で検証してみないと、それでいいと手を挙げる者が皆無だったというようなそういうおそれもあるわけでございます、長い期間の問題として。したがって、そういうことが制度として可能かどうかということについては、もう少し慎重に検討させてもらいたいと思います。
  235. 田名部匡省

    ○田名部委員 まあ地域の実情に応じて今まで一般的にやっておったものは、北海道は北海道、四国は山ばかりだからそこに合う農業、雪の降らぬ沖縄とかそういうところはそういう農業というふうに分けて進めないと、全国一律じゃだめだよ、こう言ってきたのですよ。大分その通りやってくれております。ですから、やっぱりそれは大都市圏の農地とかは何ぼやったってだめなところはあるのですから。東北、北海道ではまだまだそれならやりますというところはありますから、少しその辺のことも御検討をいただきたい、こう思います。  いずれにしても、食糧の輸入というのは四兆五百億輸入しているのですね。今ドルが円高になっておるから変わっておるでしょうけれども、それだけを農地に換算すると千二百万ヘクタールですよ。日本の農地というのは五百二十万しかないのですよ。だから、買ってやっているんだ、買ってやっているんだということをよく言われて、私も交渉に行きましたが、よくヒルズやマディガンさんから、そんなに自給する、自給すると言うのならみんなおやりなさいと言われたらおれはどうするかなと、何回もそう思ったのですよ。これは買ってやっているのか、売ってもらっているのかというと、この辺が私はあの交渉のときつらい思いをしたのですよ。そんな立派なことを言ったって、ないものはいっぱいあるわけですから、二倍以上の農地がなければつくれないものを。  これもだから、売ってやっているんだ、買ってやっているんだじゃなくて、やっぱり譲ってもらっているんだと、そんな気持ちもなきゃいかぬし、買ってもらっているんだという気持ちもなきゃいかぬので、そういうこと等が私は国民のコンセンサスを得ていく上に、もっともっとやっぱり世界の食糧事情がどうなっているか、まあ大体おおよそわかっているようですけれども、こういうことを言いながら日本農業はこうだというコンセンサスを求める努力というものを、まあ一生懸命やっておるようですが、これはやっぱり先決ですよ。これさえわかってくれたら、国民も農民もこれは一体のものなのですよ、敵味方じゃないのですから。  何かいいアイデアを出してもう少しこれへ力を入れてもらわぬと、国会でやっているところを見たら、これは国民や農民も我々どっちも不信感の目で見ているのですが、どうですか、大臣、この辺、もうちょっと努力してもらっては。
  236. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 御指摘のとおりだと思います。
  237. 田名部匡省

    ○田名部委員 まあ、御指摘のとおりだで終わられたのでは、ちょっとがっかりしますがね……。
  238. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 当然、その点についての努力はすべきであるという御指摘でございますので、御指摘のとおりと申し上げたところです。
  239. 田名部匡省

    ○田名部委員 来年の減反で、きのうの議論でもまだこの新食糧法は通っていないのに農家の責任でやらせるのはけしからぬとかなんとかという議論がありましたが、いずれにしても、団体も苦労しておるようです。米は下がるといえばそのままつくるわけにもいかぬ、さりとて団体の方は、いやこうやれ、今度は減反しないと言っているからと言っていたのが今度は減反で話するのですから、百八十度違う話するのですから、これはつらいのですよ。  そういうことで過剰米と減反というのは絡んでいるのですから、この過剰米の処理をどうするつもりか。これはちょっと私の秘書にどのくらいかと計算させてみたら大変な米の量と減反の規模ですよ。これを一年でやるとなったら、それはとても大変だろうと思う。これは例えば二年でやればこういうふうになりますよ、この程度の減反で大丈夫だと、この辺のところはおわかりですか。
  240. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 相当具体的なお話でございますけれども、端的に申し上げまして、二年の約束、減反約束というはっきりした公約がございます。他方では自主流通米の環境がえらい悪いということの二つの点でございます、御案内のとおりでございまして。したがって、現在、生産者団体と一緒考えようということで話し合っている最中でございます。
  241. 田名部匡省

    ○田名部委員 団体、大分苦労されておるようですから、団体任せではなくて、もうちょっとやっぱり一緒になって、こういうときですからね。もうやむを得なかったのですよ。だれを恨むんだといったって、天を恨むしかないのですから、あんな凶作は。ですから、お互いにあれが悪い、これが悪いと言わずに、みんなでとるときは責任とるつもりでやらなきゃならぬ、私はそう思います。  これは本当に大事な問題ですよ。こっちでは減反しませんと言ったって、こっちではやらなきゃならぬようになっているわけですから、どっちでやろうとも、四角のやつのどこかをやればこれはやらざるを得なくなっておるのですからね。だから、ミニマムアクセスの分は減反はしませんと言ったって、こっちの方で調整すれば同じことでね。ですから、ひとつこれは農業団体と本腰を入れて早くやらぬと、これも。余り時期はないのですから、準備がありますから、農家だって。やってほしいと思います。  それから、この百五十万トンの回転備蓄、これは翌年は新米とぱっとかえると。それでちょうど百五十万トンそのままになっていれば、百五十万トンは古米で出ていくわけですね。これは当然値段は少しは安くしないと、新米と違うのですから、値引きをして販売へ出る。しかし、市場の方は平年作だとうまい米が出てくるものですから、これは加工か何かに回るのだろうと思いますね。  しかし、全体量で、出ていった方に余剰ができたということになると、これは政府米に備蓄用に買い取るのか、出たのは出たので、余ったのはそのままにしておくのか、この辺はどうでしょう。
  242. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げますが、一定の、百五十万トンというお話でございますが、備蓄運営ではそれを持つというわけでございまして、それは一年ぐらい持って、そして次にこれを一年古米として売り出すというわけでございますが、その場合に、主体である自主流通米ですね、これの需給といいますか、売れ方を見てその放出をしなくちゃならない。結局は備蓄、国の方に在庫としてしわが寄ってくる、そう御理解願えればいいのじゃないのかと思います。
  243. 田名部匡省

    ○田名部委員 それから、この手挙げ方式ですが、これは大体百五十万前後として、それ以上になったときは、手を挙げる人が多かった場合にはこれはどういう扱いになりますか。
  244. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げますが、生産調整の数量ですね、要調整数量、それてそれぞれの県なり町村あるいは手を挙げてきた方に割り振るということになろうかと思います。
  245. 田名部匡省

    ○田名部委員 それが、百五十万トンと思っているのに二百万トンぐらい、手を挙げる人が多かった——そうでなくて、百五十万トン決めて、手を挙げさすと。だから、その手を挙げる人はだれが挙げているかわからぬから、みんな手を挙げますわね。それはそこで調整させると。
  246. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  下へおろしてまた上げてといいますか、そういう、ある意味においてもう御案内のとおりです、いろいろの行政のですね。
  247. 田名部匡省

    ○田名部委員 いずれにしても、今度は水張りだとかなんとかということも考えておるようですが、私は、一番困るのは、基盤整備をして負担金をやっている人が減反させられると、借金を返そうと思った分は減らされるから困ると言う。で、小さい、二、三反歩の人はそんなことはどっちでもいいのですよ。つくっちゃうのですよ、飯米程度のことですから。そうすると、なかなかここはうまくいかぬ。そこで、何か基金の造成はできないかと。  例えば、転作奨励金というのは大体、今でも一千億ぐらいはあるんかな。五年間ためれば五千億になりますよね、これをやめて。あるいは、かつての良質米奨励金というやつですね、今名前変わっていますが、三百円を私はもういいじゃないか、もう目的果たしたと言って大臣のときにやったら、党の方でもう何とかかんとか、とうとう百五十円に値切られた。しかし私は、あれは別に利用価値のある方へやるんで取り上げないからとこう言うんですが、生産団体より党の方がきつかったようですよ。これはもうこの人たちがそうだと思うんだが、とうとう百五十円にしたんですが、そうしたものをやはり団体も出してもらう。そうして基金を造成して、こういうときにはいろんな、休む人にはこうやりますよとかいうことでやるのでないと、余ったからといって鉢巻きしてこられる、まあ米価のときは徹夜でやるというのはいいのかどうかという気があるんですがね。  ですから、これはまあ二年かなんかで過剰米を処理して、そして軌道に乗ったら、やはり本当に必要な分だけをきちっと生産をするようになるわけですから、その中でこれは不足が出てきた、これは余ったというのは、そう量は出ないと思うんですよ。そういうときにこの基金というものは発動できるようにしてあげたらいい。  かつて減船を私は三回やりました。漁師は共補償というのをやるんですね。残る人はやめる方に金を出す。同じようなことをやはりもう少しその範囲内でやれるようにしてやったらどうかな、こう思うんです。どうぞ、何かそういうことを考えたらどうでしょう。
  248. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 いずれにいたしましても、生産調整の実施者に対しては、政府の買い入れとともに助成が必要でございます。これをいかなる形で今後のあり方にするかということについての一つの御提案として受けとめさせていただきたいと思います。
  249. 田名部匡省

    ○田名部委員 政府米価ですが、これはどう見ても私は、頭が悪いのかどうかわかりませんが、需給に応じて変動する自主流通米価格を基本として生産コストを勘案する。そうすると、どうしても自主流通米の上がり下がりに合わせるんだなというのが一つあるわけですよ。もうちょっと後段の方を見ると、再生産の確保を旨としてとかなんとかと、これ、昔のことが載っているんですね。そうすると、これは上がり下がりではなくて、生産コスト、再生産で、そういうものも計算して、そうかといってもこっちの上がり下がりの部分も見るんだということなのか。そうすると、何にも変わってないじゃないかという気がするんですが、どうですか、これ。
  250. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 委員は手をこうされましたけれども、自主流通米自体が需給とか市場動向で決まりますが、例えば流通米の価格形成センター等で指標価格を出す場合、その場合にはやはり一定の値幅というもので、その前提には的確な生産調整があるわけです、全体需給で。  そういたしますと、そこで一つの水準は出ることは間違いない、その年の需給によって多少はありますけれども。それを基本にしながら政府米の価格を決めるということでございまして、まあいろいろ再生産云々と書いてありますが、下値支え的な機能を持つのであるまいか、政府米の買い入れ価格がですね、そういうふうに感じております。
  251. 田名部匡省

    ○田名部委員 それはまあ、上下限七%の範囲というんでこの自主流通は動くわけですからね。だからあの文を見ると、何ともわかりにくいんですよ。何か、こっちにもとれる、こっちではそう決めるが、この七%のところでこっちもじゃ米審の意見を聞いて決めると言ってみたって、米審の意見なんか聞きませんよ、徹夜してやるんですから。もうお互いに何年もやりましたね。五年もやりました、私が幹事長で。  ですからそのときに、米審の検討課題どこの間も言いましたけれども、あそこへ行って、ことしはまあ、それは大河原大臣も言われますよ、あなた方、米価決めて、周辺対策であの銭この銭くっつけて、そっちはおれらに審議させないでけしからぬと言って。全体でそうじゃないかと言われて、私はこれ直しますと言ってきたきり、畑大臣も直した様子もないし、まあやはりこれはやめたといえ、約束していますので、もうちょっとこの辺のところは検討していただきたい。  そこで、自主流通米というのは何回ぐらい入札やるかわかりませんが、何回かありますわね。そうすると、米価というのは決めてから、この上がり下がりのことはもうカウントしない、全然見ない、売るときには。自主流通米が上がったから政府米を上げるとか、ちょっと下がったから……(大河原国務大臣「そんなことはないです」と呼ぶ)これはないんですね。ないんであれば結構です。  そこで、政府米米価の決定の方法がこれからだ、こう言われるんですが、まあしかし、何かこんな程度がなということはないんですか。あるいは類別の問題等も、今よりいいのはこんな方法だということでもあったら、ちょっとやはり聞かしてほしい。
  252. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 今委員がおっしゃいました類別でございますね、価格ですよね。当然政府米においてもそれを適用するというようなことは、私どもとしては基本的には考えているわけでございます。  ただ、いろいろと御質疑があるんですが、算定方式が明らかにならないと、あの法文の文言自体も必ずしも明らかでないという御意見がありますけれども、現行の食管制度においても、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して再生産ということで、いろいろ過去、御案内の地域方式まできた算定方式がありますので、やはりその点については平成八年産米を念頭に置きまして、しっかりした、従来の米審の附帯決議等においても問題提起もされておりますので、そういうものを勘案して結論を出したい、御了解を願いたいと思います。
  253. 田名部匡省

    ○田名部委員 それから、いま一つ。規模拡大をどんどんこれから進めますよね。コストは大体、新農政では五割ぐらい下げたい。下がっていくのは結構ですが、規模拡大やってないところは、これは従来のとおり金がかかった高い米価になっておるわけですね。そうすると、自主流通米に出すか政府米に出すかは知りませんが、片っ方は非常に効率よくなって下がる、こっちは下がらないという一つの米価というのは、これはどうなるんですか。
  254. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 これは新しい政策によるアクセルをかけた結果だけでなくて、現状でも地域地域によって非常にコストが違います。それを平均して一本の米価として、地域米価というのはございませんから、やらしていただいているということになるのではあるまいかというように思っております。
  255. 田名部匡省

    ○田名部委員 まあ今まではそんなに極端に、規模拡大して五割も下がるというのは、まあやっているところもありますよ、あの千葉のヘリコプターで種をまいたとかなんとかというところはそうだろうけれども、しかし、これをどんどん進めていくとその問題も出てくるんですね。そうすると、だれに合わして米価というのを決めるか。小さい方に合わしたんでは米価というのは高いことになるし、規模拡大に合わすと、こっちは今度は安くなって怒るし、だからその辺で非常に難しい問題が出てくると思うのです。  これはもう時間がありませんから余りやりとりはしませんが、やはりこの六年なら六年までの間は、何というか、余りそういうことにこだわらずに、少しは下がってもタイムラグを生じないようにやはりしてあげなきゃいかぬと思うのですね。いったからといって、どんと下がってやるということもいかぬし、さりとてそのままにしておくこともこれはよくないので、その辺をやりながらいきませんと、小さい方が今度は規模拡大しようという気にならなくなりますから。みんながやはり、小さいのは小さいので集まって、三町歩でも幾らにしても効率よくやっていこう、この努力をしてもらいたいと思っているわけですから、どうぞその辺のところは本当に検討してほしい。  もう時間ないのですか。——二分。二分になって残念ですが、この間も言ったのですけれども、農協の体質強化、それから運輸の場合、青森の方から高速で運んでくる農産物とこの辺と違うのですね。何かもう少し割り引きをしてもらうとか、あるいは電話だってそうですよ。豊かでない、貧乏な県ほど金かかるようにできている。電話賃は高い、飛行機や電車賃も高い、何でも高いのです。それで、委員長の方もそうですが、要らない防寒靴買ってみたりスノータイヤ買ってみたり、ストーブから何からもう余計なものがかかるのですよ、我々の方は。  だから私は前も、暦年制をやったらどうかと。そうでなかったら西の方とこの格差というものはもう百何十年たったって差が縮まらぬですよ。さらに、これはまた百年やったって変わらないのですから、四月一日になったら仕事にぱっとかかれるのと、冬の間積算したり図面書いたりしてくれてもう四月に出てやるものですから、これはもう雪が降るちょっと前に仕事が始まるのですから、これは金がかかるようになっているのですよ。だから、そういう総合的に判断して実はやっていただきたい、こう思うのです、いろいろな努力を。  そうして、米価だけで議論するのでなくて、価格というものを下げる努力をしてほしい。実は漁師の人は私の前回のテレビを見て、いや本当だ、キロリットル三万円で油買っている、よそで聞いたら二万円だという、一軒当たりの漁師が一千万高いのを買っている、やめた、外資系の方へ行って買うんだ、こう言っていましたが、そういうことが起きてくるので、どうぞ農協や関連の人たちが、私心配して言っているので、本当に生き残って農家のためになってほしいということを指導していただければありがたい。  以上をもって質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  256. 佐藤孝行

    佐藤委員長 田名部君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。
  257. 藤田スミ

    ○藤田委員 まず最初に、外務省にお伺いをいたします。  WTO協定の解釈権はガット事務局にあるのか、それぞれの国にあるのか。また、SPS協定の中にあります「非政府機関」、これは外交文書では、政府以外のすべてを指す極めて広い概念をあらわすものだと考えますが、これの解釈を明文で定めたものが協定にありますか。
  258. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 お答えいたします。  一般に条約につきましては、その条約国が第一義的にこれを解釈し、適用することとなります。ただ、その締約国が勝手に解釈していいということではございませんで、締約国は文脈によりまして、かつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従いまして誠実に解釈する必要があるということでございます。  このWTO協定は当然のことながら多数国間条約でございますけれども、このような多数国間条約の場合、条約の作成経緯あるいは運用の実態、こういったものに詳しい事務局に解釈についての考え方を照会するということはございます。しかし、これはあくまで解釈を行う上での参考として行われるものでございます。したがって、WTO協定の場合も第一義的には加盟国が解釈するということになります。  それから二番目に、このSPS協定に規定してございます非政府機関の定義でございますけれども、これにつきましては明文化されたものはございません。
  259. 藤田スミ

    ○藤田委員 それでは、ある国が、このSPS協定に基づいて非政府機関には日本の生協が含まれると解釈し、日本はSPS協定十三条を履行していないとしてWTOの紛争処理手続に持ち込むことができるのではありませんか。
  260. 原口幸市

    原口政府委員 お答え申し上げます。  この協定上の衛生植物検疫措置は、政府による措置及び政府の委託を受けた非政府機関が行う措置を意味しておりまして、生協が自主的にとる措置につきましては衛生植物検疫措置の適用に関する協定の衛生植物検疫措置に該当しないと解されますので、御指摘のような事態が実態的に生ずることは考えにくいと存じます。
  261. 藤田スミ

    ○藤田委員 考えにくいとおっしゃいますが、しかし否定をされておりませんので、どうぞはぐらかさないでおっしゃってください。  WTO協定は一年や二年のものではないんです。非政府機関に明文規定がない、解釈権がそれぞれの国にある、そういうことになるならば、交渉経緯がどういうことであったかとか、ガット事務局の意見を参考にするということですが、こう言っているというような話は世界経済の大きな流れの中では通用するものじゃないはずです。  日本以外の国が非政府機関の中に生協が入ると解釈し、紛争処理手続に持ち込むことを日本政府は阻止することができますか。
  262. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 お答えいたします。  あくまでもこの衛生植物検疫措置というのは基本的に政府の措置でございまして、非政府機関の措置につきましては、国が委託した措置について対象となるものでございます。したがって、国が生協に対して委託した措置についてこの協定に照らして問題であると判断する加盟国がもしございました場合は、この加盟国が紛争解決手続の利用を含めて、WTOのもとでの解決を求めることは理論的には可能でございます。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、生協が自主的にとる措置につきましては衛生植物検疫措置には該当しません。そして、この点については各国に共通の認識がございますので、御指摘のような事態が生ずることは考えにくいということを申し上げておるわけでございます。
  263. 藤田スミ

    ○藤田委員 御答弁を聞いておりますと、そういう可能性が起こり得ることを全く否定されていないわけです。全く否定されていないわけです。そして、理論的にはそういうことがあるということさえも認めていらっしゃるわけです。私はこのことはとても重大なことだと思うんです。  総理はいとも簡単に非政府機関には生協は入らないと答弁されたわけですが、しかしそれならば、本来このような、解釈がどうでもとれる規定があるものについては、明文で、非政府機関には生協やあるいは消費者団体、場合によっては民間企業も含まれないとはっきり明文化することが大事であって、それが責任ある態度であります。その点では私は、日本政府としてここのところでももう一度再交渉するべきだと思いますが、外務大臣の御意見をお伺いします。
  264. 河野洋平

    河野国務大臣 議員が御指摘になっているような問題点については各国に共通の認識が既にあるわけでございまして、これをあえて明文化する必要はない、こう考えます。
  265. 藤田スミ

    ○藤田委員 納得できません。わざわざSPS協定には定義規定を定める附属文書がありますね、附属書が。そこには事細かに定義規定を書いてあるわけです。どうして非政府機関にはこれは入らない、せめて消費者団体は入らないとか、おっしゃるように、政府の委託を受けた、国の委託を受けた云々という文言もないじゃありませんか。そういう点では、私はそういうふうな御答弁でSPSの批准を進めようとするのは、これは日本の消費者運動という立場からも許されるものではない無責任な態度だと言わざるを得ないわけであります。  もう一つSPS協定についてお伺いいたします。  厚生大臣日本は厳格な食品添加物の指定制度を持っており、それは食品添加物は原則禁止、指定されたもののみ使用するというものであります。ところが、SPS協定の附属書Cにおいて、輸入加盟国は、食品添加物の指定をするまでの間、市場進出を認める根拠として関連する国際基準の使用を考慮するべきであるとの規定があるわけであります。これは、指定するまでは使用を認めないという日本の指定制度の考え方では到底受け入れることができないはずのものであります。なぜこのような考えの受け入れを認められたのか、今後指定するまでの間、国際基準による使用を認める方向に転換されるおつもりなのか、明らかにしてください。
  266. 井出正一

    井出国務大臣 我が国における新たな食品添加物については、個別品目ごとに、事業者より必要な資料を添えて要請があったものについて、食品衛生調査会の審議において科学的に安全性を確認し、その指定を行った上で使用することができるという仕組みになっております。  SPS協定においては、加盟国は添加物の指定要請から最終決定までの間、関連する国際基準の使用を考慮するように規定しておりますが、この規定は国際基準の使用を義務づけているものではございません。したがって、厚生省といたしましては、現在の添加物指定制度を変更する必要はないものと考えておりまして、添加物の審査に際しましては、国際基準に配慮するとともに、迅速な審査を行うこと等によって対応してまいりたいと考えております。
  267. 藤田スミ

    ○藤田委員 食品添加物で、国際基準では指定されているけれども日本ではまだ指定されていないものが七十九残っているということを私はさきの質問でも申し上げました。そしてその七十九の指定されていないものについて、ガットのこの附属書Cにおいては、市場進出を認める根拠として関連する国際基準の使用を考慮すべきである、そういうことを附属書Cの中に明記しているところなのです。  今の御答弁では、義務ではないんでそういう使用は考えていないということでありましたけれども、私が非常に危惧するのは、厚生省が食と健康を考える懇談会を設置いたしまして、九月の二十日の日、まだ批准もされていないのにこの懇談会は、国際化に対応した食品の安全対策ということで食と健康に関する行政の課題としての課題項目を打ち出しているんです。  その中で言っていることは、食品添加物の規制の見直しということで、その新規の指定や使用基準の改正手続の迅速化、透明化のためのガイドラインを設定、制定するということになっております。まさにガットのこの協定で求められている速やかな食品添加物の指定というものにこたえてそういう迅速化ということで事を進めようとしているところに、私は、食の安全に関する迅速化などというのはとんでもないことだと、本当に慎重に確かめて、そうして国民の健康を守る、そういう食の安全を守るという立場に立つべきなのに、そういうことがあるからこの規定について非常に心配をし、かつその規定にこたえるためにもう厚生省は動いているじゃないか、そういうふうに考えざるを得ないわけであります。大臣。
  268. 井出正一

    井出国務大臣 申しわけございません。ただいま御意見だと思ってお聞きしておりまして、質問というふうにはちょっととらなかったものですから、先生、済みません、もう一度お願いいたします。
  269. 藤田スミ

    ○藤田委員 要するに、食品添加物の指定、これについて結局協定から求められているものは、市場への進出を認める根拠として国際基準の使用を考慮すべきだ、早くせいと、そのまた認めていない食品添加物を早く指定せいということを求められているのです、これ逆に読んでいくと。  それで厚生省の方は、食と健康を考える懇談会を設置して、それにこたえるために新規指定や使用基準の改正手続の迅速化、そういうことをうたっているじゃないかと、それは国民にとっては大変な不安なんだということを申し上げたわけでありまして、これに手間取っているわけにはいきませんから、どうぞ一言だけおっしゃってください。
  270. 井出正一

    井出国務大臣 添加物につきましては、従来どおり個別品目ごとに必要な資料を添えて要請をしていただき、それのあったものにつきまして食品衛生調査会で綿密な審査をしていただきまして、科学的に安全性が確認されたものに限ってその指定を行うという方針で対処してまいりますから、先生の御心配のようなことにはならないと思います。
  271. 藤田スミ

    ○藤田委員 SPS協定というものが厚生省の従来のやり方をもう大きく変えるというものになっているんだということを申し上げて、主要食糧法の問題に移っていきたいと思います。  まず、新たに規定された減反の問題であります。  法案を見ますと、農業者がこれまで長い間苦しめられてきた減反の強制について、それはしないと一言も明記されていないわけであります。あなた方は、これからの減反は自主性を尊重、重視する手挙げ方式だとおっしゃり、ペナルティーはやめる、つまり減反の実効措置として行ってきたと称する法律に基づかないペナルティーはやめるというわけですが、法律にそのことが明記されていなければ何の保証もないではありませんか。将来にわたってそういうことはしないという保証はどこにあるのでしょうか。
  272. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 そういうことをしないというようなことをわざわざ法律に書くことはないと思います。運営の基本方針として自主性を尊重して、しかもそれと全体需給の均衡も確保しなければならない。それを調整しながら仕事をやる、この事業を進めるということでございます。
  273. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣の答弁があったからといっても、それが担保にならないことは、九五年度の減反面積問題一つとっても明らかであります。それは、政府は九五年度についても減反面積を六十万ヘクタールのままにすると国会でも言明されていたのです。ことしの緊急輸入米が政府の責任によって百万トンも売れ残り、久しぶりの豊作になるや否や、減反の強化をしたいと生産者団体と調整を始めていらっしゃるじゃありませんか。国会での答弁もほごにするようなそんなことが許されるのだと思っていらっしゃいますか。
  274. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 緊急輸入米の問題にも触れましたが、これについてはたびたび申し上げておりますように、国内産米の需給に影響を及ぼさないような取り扱いをしたい、息の長い中期的な観点からこれについての取り扱いを考えたいということでございまして、お話しの来年、再来年等の当面の需給、それとの関係における生産調整面積とは別だと思います。  御案内のとおり、昨年急速にとにかく備蓄量を二年間で百三十万トン回復しなくちゃいけないということで、六十七万六千を六十万ヘクタールに、いたしたことで、これは二年間、稲作経営の安定という点から農家にお約束をしたところでございますが、本年産の異常なる豊作でございます。  それは約束は大事でございますけれども、一方では自主流通米の値崩れなりあるいは売れ残りという問題で、生産者の皆さんからもいろいろな懸念も出ておるということで、一体どうするか。公約は公約だ、しかし一方ではこれも所得減ということで生産者にもはね返ってくる問題であるから、それについてはいかがいたすかということで、現在お話し合いをしておるというところでございます。
  275. 藤田スミ

    ○藤田委員 要するに、今の大臣の御答弁を聞いていて私は、大体、緊急輸入米が余ったということに対する政府の責任というものについてもちっとも謙虚さがないというんですか、厳粛な反省がないというんですか、そのことも言いたいわけですし、それから、ことしの豊作で要するに米が余る、それで米が余ると自主流通米が下がる、だから生産者のために、生産者も考えているんだ、減反拡大とうするか、こういうことをおっしゃったと思うんですが、これは結局、自主性重視だといっても、政府は責任をとらないで農民に犠牲を強制する、こういうことじゃありませんか。  この主要食糧法案の中では、輸入米の受け入れを前提とした全体需給の調整を図ることを基本として、生産目標と減反目標面積を定め、その減反目標面積を基礎として、個々の生産者ごとの減反面積を農林水産大臣が定め、その円滑推進さえ明記しているところであります。まさに、輸入米拡大のために国産米を減らす仕組みを持ち込んだものと言わざるを得ません。いかがですか。
  276. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 大変な誤解がございますが、ミニマムアクセス米については、その供給増が全体需給に対して上回る、国内産米の需給の数量を上回る場合においても、生産調整面積の上乗せはいたさないということになっております。その点は御理解を願いたいと思います。
  277. 藤田スミ

    ○藤田委員 今の大臣の御答弁については、さきの質問でも私は若干議論をいたしました。要するに、それ自身が自主流通米の価格を引っ張る、そういう矛盾を大きく抱えているわけであります。輸入米の拡大のために国産米を減らす仕組みを自主性重視ということで持ち込んだこの法案は、もっと大事なことは政府米の供給責任を放棄するものになっているところです。  この法案では、政府米は買い入れ対象者を生産調整実施者に限定するとともに、政府米の用途を備蓄用にすることを定めています。このことによって政府は、政府が直接供給し、直接責任を負う政府米の影響力を最低限の水準に押し込んだものであります。そして、これまで供給計画の一環として政府が責任を持ってきた自主流通米についても、供給計画をなくし、民間の自主流通法人に流通計画を策定させるとともに、本来国の責任である備蓄についても自主流通法人にも行わせるようにするなど、国の供給責任を一層低め、米流通の基本を民間流通に任せようというものであります。このことで米流通が不安定化し、価格の乱高下、売り惜しみ、品質の不安定化などさまざまな弊害が起こることは必至だ。そんなことは生産者も消費者も望んでいないと考えます。この点について一点です。  同時に、この法案は、出荷取扱業者及び卸、小売の販売業者について登録制とし、企業などの参入が極めて容易になるよう措置しています。特に小売については、資力信用を有しない、施設を持っていない者以外は申請すれば登録されるという規定になっておりまして、これが大手スーパーの参入で既存の米小売商の経営を大きく脅かし、倒産も続出することは必至だと私は考えます。大臣のお考えを聞かせてください。
  278. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 時間の関係からいろいろな御質問が重なっておりますけれども、備蓄についてはしばしばこの席でお答え申し上げておりますように、基準数量、備蓄数量を百五十万トン。これは大体この数年の政府米、自主流通米と政府米で流れております政府米の買い入れ数量と同様でございまして、さらにその上に一定の幅を持たせるということも考えておるわけでございまして、備蓄の責任は当然果たすということでございますが、自主流通米でございますから、民間の生産者団体等もやはりその在庫調整に一翼を担うということで、自主流通法人等の調整についての規定を設けておるところでございまして、責任を国が民間に転嫁するというような考えは毛頭ないところでございます。  なお、流通関係、販売関係の登録販売業者、卸なり小売、特に小売についての御指摘がございました。確かに、許可制から登録制によって参入機会を増すことは確かでございますが、それは一方ではやはり競争原理を働かせるという強い今日の要請がございますので、規制緩和と競争原理、これのためにその参入機会を増大するということでございまして、それに伴う小売への影響につきましては今後十分その実態を見た上で政府としては適切な対応をいたしたい、さように考えております。
  279. 藤田スミ

    ○藤田委員 私が心配をしておりますのは、政府が供給責任を放棄する、大きく撤退させるということによって、結局消費者も生産者も価格の乱高下に悩まされ、売り惜しみ買い占め、あるいは品質の不安定化、そうした弊害が起こることは避けられない事態になるということを申し上げたのでありまして、そういうことについての御答弁はありませんでした。  小売業者というのは、これまで不正規流通に苦しめられながら長い間米流通の中心を担ってきた、そういう人たちでありまして、それをまさに弱肉強食の世界にほうり出す、これでは米屋さんが正直者がばかを見る政治だと怒るのは無理はない。大臣は御存じないかもしれませんが、米屋さんというのは本当に町の顔としてこれまでいろんな意味でそれぞれの役割を果たしてきたのです。だからそういう点では、私はこういう政府のやり方というのは随分ひどいというふうに考えますが、もう一度、それではどういう対策考えていらっしゃるのか、あわせて御答弁ください。
  280. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 九万何がし、九万二千ぐらいあります今日の許可小売業者、この皆さんが、この流通の参入機会の増大によってどのくらいの影響を受けるか、あるいはそれによってどういう転換をいたすか、あるいは本業についての競争力を強化するためにやるかという点については、今後この制度の発足以降、やはりその実態を見た上で適切な対策を講じたい、さように思っております。
  281. 藤田スミ

    ○藤田委員 最後に、中山間問題で一点だけ聞いておきます。  ミニマムアクセス米、膨大なその量によって自主流通米の価格の低落は必至でありますが、それで最も打撃を受けるのが中山間地の生産者であります。中山間地は多くの棚田が存在し、この米価の低落のもとで、とても稲作が継続できるというような状態にはならないわけです。そのことは国土保全にとっても重大な問題になります。  いろいろこの委員会でも指摘されましたけれども、全国平均で全水田面積の一五%に当たる棚田水田、利根川水系だけ見ましても約四万ヘクタール存在し、それらが放棄されたら毎年百四十万トンの土砂流出があるというふうに言われております。結局、現在の中山間地域の稲作生産者というのは、環境保全の上でもまさに無償の国土管理人と呼ばれるような、そういう役割を果たしているわけであります。したがって私たちは、中山間地での稲作生産を本当に継続させていかなければいけないということならば、EU諸国で行われているような特別な助成措置をとらなければならない、そういうふうに考えます。そういうことをせずして今本当に中山間地の稲作や棚田を守ることができるのか、そのことについて大臣はどうお答えになりますか。     〔委員長退席、田中(直)委員長代理着席〕
  282. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 当委員会においても繰り返し申し上げておりますが、EU的な所得補てん、直接的な所得補てんについては我が国ではまだ尚早だ、早い、検討を要するというのが、先般の農政審議会、この国内対策の前提といたしました農政審議会における論議の帰結でございまして、むしろ、地域についての農林業その他の活性化、あるいは収入機会の各般の確保、あるいは生活基盤と生産基盤の一体的整備、あるいはきょうもいろいろ御指摘がございました交通アクセス、あるいは情報通信、あるいは医療、保健、福祉、そういうような総合的な施策を講ずることによって中山間地帯活性化を図らなければならない。  特に、今棚田のお話が出ましたが、水と緑の基金というものの助成を始めておるわけです。これは、いろいろな農業用の水路とか農道とか、あるいはそういうような棚田そのものの管理という点についても維持管理の費用を出すような制度、これで今御指摘の点なんかもやっていくべきだというふうに考えております。
  283. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたのでこれでやめざるを得ませんが、まだ本当に残された問題がたくさんあります。私は、これでもう質疑が終わるというようなことではなしに、徹底的な質疑をということをさきの中央公聴会でも陳述人から切に訴えられました。そういう立場で徹底的な質疑を続行されることを申し上げまして、私の質問、きょうはこれで終わります。
  284. 田中直紀

    ○田中(直)委員長代理 次に、七条明君。
  285. 七条明

    ○七条委員 最後のバッターになりましたので、もうしばらく農林大臣ほか皆さん方の御協力をお願いいたします。  今度のこの委員会の質問の中でまだ一度も触れられていない問題をと思って、いろいろ探しておりました。その意味では、繭糸価格安定法の改正案というのが出ておりましたけれども、この問題についてまず私の方からお伺いをしていきたいのであります。  今度のWTOの繊維協定について、絹糸だとか絹織物の輸入が十年以内に自由化をする。いわゆる一次産品であります繭とか生糸の場合は十年以内ということではないですけれども、二次産品について自由化が十年以内だ、こういうように勉強してまいりました。そういたしますと、養蚕業だとか製糸業のようなものがこれからどういうふうになっていくのか。中山間地域で今桑づくりをしたり、いろいろな形でやっておりますが、そういういわゆる養蚕業、製糸業について、いわゆる今度のウルグアイ・ラウンド関係の六兆百億円の中に項目も入っていなければ予算措置もできておらないというふうに私自身は思っておるのですが、ここらの問題も含めて、予算措置ができておるのか、どうするのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  286. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 ちょっと事務方から中身を御説明申し上げますが、今度の関税化品目の中には繭、生糸も入っておりまして、したがって、これに対する対策を講じておるところでございます。
  287. 日出英輔

    ○日出政府委員 先生お話しのように、実は十年以内に絹糸あるいは絹織物につきまして自由化することが決定されているわけでございます。こうなりますと、安価な輸入品とどういうふうに競争していくのかということでございまして、養蚕業をこれから考えていきます場合には、国内の絹業との共存という考え方に立ちまして、高品質化、高付加価値化ということを進めなきゃいかぬということでございます。  そこで、実は平成七年度の概算要求で、私ども、繭ブランド産地育成事業という事業を新しく立てております。これは、生産者、製糸業者、絹業者の連携システムのもとで、今申し上げましたような高品質、特徴のある繭づくりをいたしまして、原料段階から製品に至るまでのブランド化を進めていく。これによって、まだすぐに自由化ではございませんが、数年後だと思っておりますけれども、それまでの間に今申し上げましたような国産繭なり国産生糸の存続のための対策をとっていきたいというふうに考えているわけでございます。
  288. 七条明

    ○七条委員 この問題も大切な問題でありますし、特に生糸あるいは繭というようなものが中山間地域に根差していく意味でこれから大きな役割を果たしていくと思うのですね。ですから、今ブランド化をするために平成七年度で予算をつけておるということでありますけれども、当然のことながら、二次産品が輸入自由化をされてくる、十年以内ということですから、そうされてきますと、一次産品の繭、生糸も同じように、それらを製造する製糸業者あるいは養蚕業が非常に深刻なことになることだけは間違いございませんから、これはウルグアイ・ラウンドと関連をして今度の対策の中で十分に講じていただきたいということを私から望んでおき、要望しておきたいと思うのです。  もう一点、同じように加工原料乳生産者補給金等暫定措置法という法律案も今回出されております。  この問題については幾分触れられまして、第一点と第二点、大きな項目の中で、今回のウルグアイ・ラウンド対策大綱で、一点目は、いわゆる畜産振興事業団が輸入をするカレントアクセスの相当分、生乳換算で十三万七千トン余りをバターやあるいは脱脂粉乳で入れよう。これを義務的に輸入をしなきゃならないことはよくわかるのでありますが、これを強制的に入れてまいりますと、必ずや今の酪農家だとかの経営を悪化させる。農家の方々にはこれは大きな打撃になってくるおそれがあるものでありますから、これを適正に管理をしていただくことだけは望んでおかなければなりません。  もう一点の方で、質問がなかったから私が申し上げておきたいのは、いわゆる生乳生産の大部分を育成するべき酪農家に全部将来集中させていきましょう、これはたしかウルグアイ・ラウンド対策大綱の中に入っておりましたけれども、じゃこれを具体的にどういうふうにやっていくんだろうか。これも、平成五年度、たしか熊本県で、県酪連だと思いますが、酪農の廃業者の計画生産目標数量を、県酪運が介入をして希望のある酪農家に売り渡す、こういうようなことをやっておる制度があるようでありますけれども、これらのことも含めまして、かなりこれはやっていただいておかなければ、いわゆる酪農家も大変なことになってまいります。  この予算も今回の六兆百億円の中にあるかと思って調べておりましたが、どうも、それも「非公共事業」の中の「その他」の八千億円の中に一部入っておるんであろうとしか思えません。ですから、これも位置づけていただく意味で、ちゃんとお答えをいただきたいのですが、どうですか。
  289. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 御指摘のように、酪農についても、当面の国境措置、関税相当量、内外価格差、あるいは十三万七千トンのカレントアクセスについてのマークアップと申しますか、差益を取って、また売り渡し方についてもそれぞれの配慮をいたして売るというようなことでございますけれども、とにかく、さらに国際市場国内市場に対する影響というものが逐次加わってくるわけでございまして、酪農については相当、我が国農業部門では一番合理化を進めてきた部門でございますけれども、なおこれについてその合理化、近代化の努力が必要である。  その場合に、今御指摘の点は、計画生産で需給調整が自主的に行われておりますが、その計画生産がやはり一律的になっておる。それで、リタイアしようとする者とかあるいは生産を休止するような人たちの生産枠、これは、特に意欲を持って、今申し上げた近代化、合理化をしようとする酪農家に対してその枠を、全体としての需給調整の必要があっての枠でございますけれども、そういう個々の伸びようとする農家に対してその枠が移されなければならない。  民間では、今御指摘あったような、熊本県の酪連等についてそういうことが行われておりますが、しかし、計画枠の売買ということを公の支援で直接というわけにはなかなかまいらないと思いまして、一つの工夫をもって、事実上そのことが達成できるような方式を考えていきたいというふうに考えております。
  290. 七条明

    ○七条委員 今度のウルグアイ・ラウンド対策農業合意の関連対策大綱、ことしの十月二十五日に緊急農業農村対策本部がこういうものをつくっております。  その中で、いろいろ読んでおりましたりお聞きしておりましたが、いわゆる六兆百億円の予算の概要も出てきておりましたが、今言いましたように、二つのことについてはほとんど触れられてない。これらも非常に、今度は法律をちゃんと一部改正をするにもかかわらず、予算が触れられてないという問題がたくさんあるような気がいたしますから、ここらはやはりもう少し具体的に予算として位置づけていただくことを望んでおきたいと思うわけであります。  それから次に、もう二点、三点ほどお聞かせをいただきたいのですけれども、時間の関係もありますから簡潔な御答弁をお願いしておきたいのです。  農業構造改善の関係の中で、これからは意欲的な農家の経営を育成をしていきましょう、意欲のある人とない人と分けていきましょうという感覚がこれから前提になってこようかと思いますが、昨年、農用地利用増進法から農業経営基盤強化促進法というふうに改めてまいりました。  これは、当然、先ほど言いましたように、農業経営の基盤を総合的に強化しようという意味法律を改正したわけでありますが、しかしながら、私は、今度のウルグアイ・ラウンド農業合意対策の中のいろいろなことを見ておりまして、実際に意欲のある農家や経営体というのがどういうふうにやっていけばいいか、これを一言で言うならば、効率的で安定的な農業経営へということになるんでしょうが、それを三つの部分で今度は書いてありました。  これは、一つが、その経営体に農地の大半を集積をしていきましょう、この農地集積の問題。それから二つ目が、生産性の向上のために直結をする大区画の圃場整備をやっていきましょう、これが二つ目にありました。そして最後が、農業の担い手を安定的に確保していきましょう。この三つがちゃんと両輪になり三輪になってやっていかなければ、いわゆるウルグアイ対策というのはできていかないものだと私は思っておるのでありますが、その意味で、農地の集積と基盤整備を一体化させた物の考え方というのはできないんだろうか。私は、そういうふうな意味でお聞かせをいただきたいのでありますけれども、この点、どうでしょうか。
  291. 入澤肇

    ○入澤政府委員 私どもの実態調査を見てみますと、今先生指摘のとおり、基盤整備を行ったところの農地集積、これは正比例しております。基盤整備率と農地の集積率はまさに正比例しております。未整備のところは耕作放棄地が多いという実態がございます。  我々が基盤整備をやるときのメリットでございますけれども、高生産性営農を展開するための条件整備が実現できるということであるし、それから、圃場整備をやるときには換地と利用権の設定が一体的にできます。したがいまして、連担化した条件で農地の利用集積が可能になる。それから、奥地をする場合にはいろいろな話し合いをやります。これが一番難しいのですが、権利関係者の合意形成を通じまして換地を行うのですけれども、そういう過程の中で地域の担い手の育成は可能になります。  したがいまして、私は、これからは基盤整備と、それから農地の集積を一体的にやるような事業をもっともっと拡充していかなくちゃいけないというふうに考えております。
  292. 七条明

    ○七条委員 これは一体的にやらなきゃならないということで考えておるということでありますが、しかしながら、第四次の土地改良長期計画を早くやる、あるいは、特にその中で大規模圃場をやらなければならないということはよくわかるんですね。しかしながら、平成十二年までに重点的かつ加速的に推進することはわかりますが、じゃ農地の集積の方も十二年までに本当に並行してやれるのかというのは、私は疑問になってくるんですね。  その意味で、もうちょっと観点を変えて質問してみたいのでありますが、本年八月に農政審がまとめました、いわゆる「新たな国際環境に対応した農政の展開方向」、こういうものを僕はいただきまして、これ読んでみました。  この中に書いてありますことには、いわゆる「今後、利用権の設定等により過去十年間の実績の二〜三倍に相当する農地の流動化を見込む必要がある。」これは十四ページに書いてありましたけれども。過去十年間の実績というのを調べてみますと、七十万ヘクタール程度だ、こう思っておるのですが、じゃ、これの二倍ないし三倍を、十年かかってできたものが六年間でできるんだろうか。そして、二倍なのか三倍なのかよくわかりませんが、いや、できるとしても、それをもしやるとするならば、今までの三倍のスピードでやらなければならないということになりますね。これはどうなるんですか。
  293. 入澤肇

    ○入澤政府委員 過去十年間の実績を見ますと、七十万ヘクタールぐらいが動いております。これから十年間で二、三倍ふやさなくちゃいけない。  流動化するんじゃないかというふうに見ているその根拠は、一つは、六十歳以上で農業の後継ぎのいない高齢農家が持っている農地が四十二万ヘクタールございます。これは平成二年農業センサスの結果です。それから、第二種兼業農家のうちに、世帯主が恒常的勤務、サラリーマンとかあるいは自営業者の安定兼業農家ですね、その人たちが持っている農地が百三万ヘクタールあります。いずれにしても、これだけで百四十五万ヘクタールでございますけれども、これは担い手にどうしても結びつけなくちゃいけない。こういうことを考えますと、七十万ヘクタールの二ないし三倍はどうしてもこれからは流動化させなくちゃいけないということでございます。
  294. 七条明

    ○七条委員 これは、希望的に二ないし三倍を流動化させなければならないという意味はわかりますよ。しかしながら、さっき言いましたように、六年以内にやっておかなければならないということではありますし、当然のことながら、いわゆる圃場整備のようなものと並行してやるということになれば大変なことになるんですね。  ですから、これ、十年のものの、その二倍あるいは三倍のものを六年でやろうというんですから、僕は、今のスピードでいけばこれは間に合いませんよと言わざるを得ない。当然そういうことになるのですね。  ですから、これをやるについて、いろいろなことを考え合わせて、最終的に何が一番ネックになるかということをさらに研究をしてみますと、これは日本農業の中で、農地は先祖伝来のものであるとか、あるいは貸してしまうと、農地改革の経験から、農地を貸せばもとに戻ってこないとかいう、いわゆる農地に対する執着がいっぱいあります。ですから、貸す方の農地を出し、貸してあげる、あるいは出し手側の優遇措置というものを考えておくということをしてないと、これはもうどんなことがあってもできない。農地の出し手側の優遇措置ということも考えておかなければいけないのです。  現実にそういうものもありますね。調べてみますと、農地譲渡所得の特別控除、年間で大体八百万円ぐらいを控除しますというようなことがありますが、こういうことを一千万にするあるいは一千五百万にするという方法も団体から上がってきて、私もよく聞いております。しかしながら、この程度の優遇措置だけでは、これは三倍のスピードにはならないだろうし、いろいろな意味で大変なことがあろうと私は思うのですね。その辺ももう少し踏み込んでお答えいただければ……。
  295. 入澤肇

    ○入澤政府委員 御指摘のとおり、出し手に対していろいろな工作をしなければいかぬわけでございます。従来、経営規模拡大資金という小作料の一括前払い資金というのを無利子で融資しておりますが、これに加えまして、今回のウルグアイ・ラウンド関連対策といたしまして、農地の出し手が農地を安心して出せるように、農地銀行活動を強化をする。  それからさらに、これは特別な措置なんですけれども、農地の出し手と地権者とで組織する農用地利用改善団体、これは法律上規定されているのですけれども、ここに奨励金を出すということが特別に認められております。この奨励金、単価等はこれから予算過程で決められていきますけれども、これは大きな効果を発揮するのではないかというふうに見ています。
  296. 七条明

    ○七条委員 いろいろな意味で、農地の出し手側に対する優遇措置というのが一番ポイントになる。これをやはりもう少し農林省の中でお考えをいただくと同時に、先ほど来、六年間でいわゆる今までの十年間の二倍ないし三倍のものをやろうとするわけですし、農地の集積といわゆる大規模の圃場整備一緒になってやらなければならないというのが基本になるということだけはわかりましたから、そのことを前提に、私は今言われたことのような状況をつくっていただくことを望んでおきたいと思います。  実はさらに、先ほど言いました、八月に農政審議会が出した「新たな国際環境に対応した農政の展開方向」、これはウルグアイ・ラウンド関係で出されたものですけれども、この中で、読んでみますと、また最近、農地の中間保有あるいは再配分機能が十分に発揮されていない新たな課題が生じている、こう書かれておるのですね。これは、よくよく調べてみましたらば、いわゆる農地保有合理化法人の機能が十分に発揮されてませんということなんです。これもやはり農地保有合理化法人というもの、県レベルで言うならば農業公社だとか、市町村にも農業公社なんかがあるかもわかりませんが、そういうものだと思うのですけれども、こういうところの農地保有合理化法人をもう一度きちっと整備をする。貸したり預けたり、あるいは売ったり買ったり、それをお世話をするという意味でここもやはりやっておかなければならない、活性化をさせておかなければならないと思うのですけれども、これもどうですか。     〔田中(直)委員長代理退席、委員長着席〕
  297. 入澤肇

    ○入澤政府委員 農地の流動化はいろいろな機関がやっております。農業委員会もやっていれば、市町村もやっていれば、流動化推進員という推進員を任命してやっています。しかし、何といっても中核になるのは農地保有合理化法人、各県農業公社、それから市町村、農協、あるいは市町村の公社、こういうところが農地の売買あるいは賃貸借をやっているわけでございます。ただいかんせん、いずれにしても財政基盤が弱い、あるいは人数が少ない、人的な基盤も弱いというふうなことがございまして、これではいけないということで、今回の関連対策におきましては、農地保有合理化促進事業を特別に強化しようじゃないかということで、農地保有合理化法人が中間保有ができるように無利子資金を改めて貸し付けるように助成をすることにいたしました。  それから、農地保有合理化法人の財務基盤を強化しなければいけないということで、全国農地保有合理化協会というのがございますけれども、ここを通じまして都道府県農業公社に助成する事業を創設する、そのほか、農地保有合理化法人に債務保証の機能を与える。これらにつきましては、次の通常国会におきまして特別な法律をつくって流動化を促進させたい。農業経営基盤強化法というのを昨年制定させていただきましたけれども、その運動、事業実施法的な位置づけを持った法律を次の通常国会で提案したいというふうに考えております。
  298. 七条明

    ○七条委員 次の国会にも提出をしたいということでありますから、私はこれはよくよく考えて御指導をいただいておかなければならないと思っております。さっきも言いましたように、いわゆる今度のウルグアイ・ラウンドの中で、意欲のある農家やいわゆる経営体を育成をしていくということが一番前提になってくると思います。この前提になるのが農地を集積をしていくということだと思いますし、これを六年間で三倍にもやる、二倍にもやるということでありますから、当然のことながら、大区画の圃場整備とともにこれは一体化しておかなければなりません。予算化もこの意味での予算化をやっておかなければ、国際化だとか付加価値の高い農業なんということはもう言えなくなるのですね。この基本を間違いないように、農林大臣も、この辺のことも含めてもし所感がありましたら、今局長が答えていただきましたけれども、お答えをいただきたいと思います。
  299. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 今回の国内対策の眼目である望ましい経営体と申しますか、効率的、安定的経営体、その育成にとって不可欠なものは、規模拡大に必要な農地の流動化、集積でございます。それについての段々のいろいろな政策的御指摘をちょうだいしたわけでございますが、また、当方の事務方からもいろいろ考えておる対策について申し上げたとおりでございますが、重点の施策として取り上げてまいりたい、そういうふうに考えて、その点についてはいろいろな御指摘の点を参考にしたいと思います。
  300. 七条明

    ○七条委員 今回、いわゆる農業対策の中で私はびっくりしておることは、いわゆる後継者対策という名前から新規就農者対策という表現に大きく変わっています。これは当然のことながら、いわゆる今までの、脱サラをしてきてサラリーマンから農業になってでも意欲がある方は認めていきましょうという一つのあらわれであろうし、もちろん新規就農者の中には農業後継者も入っておると思うのですが、意欲のある方にどんどん農業をやらせるためには、先ほど言いましたように、農地保有合理化法人が積極的に活性化をしていきながら、そこで農地を確保する。そして、脱サラをしてこられた意欲のある農業者あるいは経営者に対し農地を十分使っていただけるように保有をしておくということが一番大事なんですね。  これをやっていくことをする意味で、最後にもう一つだけお聞かせをいただきたいのは、そういう合理化法人が農業経営まで含めてやっていくことができるようになるのかどうか。その辺まで踏み込ませて法人をやらせていくことができれば、もっとさらにこれは活性化していくのです。  というのはどういうことかといいますと、合理化法人、いわゆる県の農業公社のようなものが土地を保有しましても、差損が出てなかなかやれない。もちろんそれをやっておきたいし、農家の方にも保有をしたいけれどもできないという悩みがあります。そこで、経営をうまく任せておいてやらせておけば、差損を何かの形で経営体でやっていけるということができてまいりますから、そういう意味で、これは農地保有合理化法人が将来農業経営ができるぐらいまでのことをやっておくということができればと思うのですけれども、どうなのですか。
  301. 入澤肇

    ○入澤政府委員 農地保有合理化法人は、農地の買い入れ、売り渡し等を主たる業務といたします法人ですから、農業経営はできません。しかし、中間保有している間、農地の機能を維持しなくちゃいけない、そういう意味では管理耕作までは認めていく方針ております。
  302. 七条明

    ○七条委員 これはもちろん法律的にまだ難しいことはよくわかりますが、当然のことながら、今度の関係のウルグアイ・ラウンドのことでいわゆる六兆百億円をつけましても、公共事業がほとんどであります。三兆五千五百億というのは、公共事業、構造改善事業が多いんであろうと思いますが、しかしながら、県や市町村が二分の一、国が約二分の一の負担でいきますと、負担ができる地域と負担ができない地域がたくさん偏ってまいります。そうしますと、財政の豊かな市町村はできるんだが、財政の豊かでない市町村はなかなかできないよという非常な新たな悩みが次に出てまいりますから、予算をつけただけではやっぱりだめだと思いますし、公平にやる、それを適切に効率的にやるということが一番望まれるわけでありますから、そこらも含めて御指導をいただくように強く要請をしておきたいと思います。  時間が来ましたから、終わらせていただきます。
  303. 佐藤孝行

    佐藤委員長 これにて七条君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十二月一日木曜日午前九時理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会