○土肥
委員 平均的サラリーマンの実像だろうというふうにおっしゃって、しかしぜいたくはできない。私は、これを見て、ぜいたくをしているとはちっとも思わないわけです。
もう
一つつけ加えますと、自営業者などの場合は結局基礎
年金だけでございますから、自営業の夫婦の場合は総計で四千三百五十八万円足りない。この厚生
年金などとの差を挙げますと、その倍くらいになるわけです。
今、じゃ、
年金というのはどういうものか。老後の生活の何割ぐらいを支えるのか。今数字をおっしゃいましたけれ
ども、六八%であるとかというふうにおっしゃいました。案外この辺ははっきりと知らされていない面がございまして、あるいは
国民がそれを積極的に知ろうとしないという面があるわけでありまして、それで、例えば介護や看護の問題も全く自分の手元にない、そういうサービスがやってこない、あるいは
福祉施設に入ろうと思っても、なかなかそれは入れないようだということで、どういうふうにして自分の老後を守ろうかということを
考えるときに、当面お金で守ろうというのは当然の
考えだと思うのであります。
じゃ、二千万円あるいは自営業者四千万円、これをどうやってためるのかということになるわけでありまして、私は長年
福祉をやっておりますけれ
ども、これからの
福祉というのは、行政サービスとしての措置の範囲内で受けるサービスもございましょう。しかしながら、もう膨大な
福祉ニーズが、そしてまた多様な
福祉ニーズが生まれてまいります今日では、やはりそれは自分のお金を使って
福祉を手に入れるという
部分がかなりふえてくるわけであります、もちろん、措置施設でも費用徴収というのがございますし、あるいはホームヘルパーを送ってもらっても、基本的な
部分では費用徴収というものがあるわけでございます。
そういう
年金だけで追っかけると、結局二千万円足りない、あとは自助努力だということをはっきりとおっしゃっていただきたい、このように思うんです。そうしないと
国民は、じゃ、足りない二千万円をお金でためるのか、それともあるいは
福祉と言われる分野で自分はどういうサービスが得られるのかということも
考えられぬでしょうし、何しろ日本の、日本人の貯蓄率というのは大変なものでございまして、厚生省から出していただきました統計によりますと、六十歳から六十四歳の方が一番お金をためていらっしゃるんですね。この統計によりますと、二千四百万円以上ためていらっしゃる。そうすると、結局二千万円は貯蓄で用意していらっしゃるのかな、こういうふうにも私は思ってみたりいたします。これは総務庁の統計局が出した貯蓄
動向調査の
平成四年の報告でございます。
それから民間の生保、損保のいろんな、特に生保の場合の個人
年金がございますけれ
ども、この同じセンターから資料をいただきましたが、大体、全世帯の二七%が個人
年金に加入していらっしゃる。生保文化センターの一番近い数字でいきますと、一千二百八十六万件、そして七十七兆三千七百八十二億円、これが今個人
年金をかけていらっしゃる額でございます。すさまじいいわば自己防衛といいましょうか、
国民の自己防衛の実態が見えてくるわけです。郵政省の
関係でいえば、
年金保険の掛金が出ておりますけれ
ども、郵貯は、
年金と保険が一緒になりまして統合されたわけでありますけれ
ども、それだけでも五十六兆四千六百八十四億円の額が、
平成二年度ですけれ
ども出ておりました。
私は、
年金を論じながら、一体これはどういう世相をあらわすんだろうか、どういう世の中なんだろうということを思うわけであります。
国民は、将来の老後の不安を感じてせっせと貯金に励み、個人
年金にいそしんでいる。そうすると、私の感想でございますけれ
ども、やや皮肉っぽく申しますと、公的
年金というのは、六十歳以降の
国民の生活が不安に満ちている、しかしそのうちの大体三分の二ぐらいは
年金で見ましょう、しかし、この世相というものは、あるいは世の中の
経済状態というのはよくもなったり悪くもなったりするから、そしてまた自由競争の社会ですから、
雇用を六十歳で
確保しろ、六十五歳まで
確保しろといったって、それはなかなか無理よ、それで、心身ともに疲れた人は引退かパートで補いなさい、そうした中で、必要生活費の三分の二程度は公的
年金で見ましょうよ、残りは自己責任でやりなさい。
私は、こういうふうに
考えますと、やはり
年金とそれから
福祉がリンクしない限り、日本の
国民というのはとにかく貯蓄に励んで、とにかく老後をお金でカバーしようとする。せめてできるのはお金だけだというふうな世相に見えて仕方がないのであります。
さあ、そうした中で厚生省は、今まで公的
年金が大体老後の生活費の三分の二程度で、そして平均的サラリーマンでも二千万は足りないといったような、そういうPRを今までなさったことがあるのでしょうか。