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1994-11-02 第131回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十一月二日(水曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 鳥居 一雄君    理事 木村 義雄君 理事 中谷  元君    理事 野田  実君 理事 藤井 孝男君    理事 遠藤 和良君 理事 白沢 三郎君    理事 渡辺浩一郎君 理事 松本  龍君       安倍 晋三君    佐田玄一郎君       佐藤 剛男君    斎藤 文昭君       塩谷  立君    根本  匠君       山本 有二君    安倍 基雄君       石井 啓一君    大口 善徳君       木村 守男君    北村 直人君       杉山 憲夫君    樽床 伸二君       広野ただし君    矢上 雅義君       山本 幸三君    山本 孝史君       佐藤 泰介君    沢藤礼次郎君       堀込 征雄君    玄葉光一郎君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 小澤  潔君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       三井 康壽君         国土庁計画・調         整局長     糠谷 真平君         国土庁土地局長 山田 榮司君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設大臣官房総         務審議官    原  隆之君         建設省建設経済         局長      小野 邦久君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省河川局長 豊田 高司君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君  委員外出席者         経済企画庁総合         計画局計画官  筧  隆夫君         大蔵省主計局主         計企画官    中江 公人君         運輸省鉄道局幹         線鉄道課長   平田憲一郎君         運輸省鉄道局都         市鉄道課長   梅田 春実君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     鈴木 道雄君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     山田 幸作君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  鈴木 政徳君         建設委員会調査         室長      杉本 康人君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十七日  辞任         補欠選任   中島 武敏君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     中島 武敏君 十一月二日  辞任         補欠選任   太田 昭宏君     大口 善徳君   山本 幸三君     青木 宏之君   山本 孝史君     矢上 雅義君 同日  辞任         補欠選任   青木 宏之君     広野ただし君   大口 善徳君     石井 啓一君   矢上 雅義君     樽床 伸二君 同日 辞任          補欠選任   石井 啓一君     太田 昭宏君   樽床 伸二君     山本 孝史君   広野ただし君     山本 幸三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 鳥居一雄

    鳥居委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁鈴木道雄君、同理事山田幸作君及び住宅都市整備公団理事鈴木政徳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鳥居一雄

    鳥居委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  4. 鳥居一雄

    鳥居委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  5. 中谷元

    中谷委員 自由民主党の中谷でございます。  きょうは、村山政権ができて四カ月たったということで、この内閣自社さきがけ連立政権ということで、特に「人にやさしい政治」の実現のためということを標榜しておりますので、建設行政における人に優しい建設行政ということで、単に産業振興というだけではなくて、福祉環境安心、安全、文化など、日常生活において潤い安らぎのある建設行政が行われているかどうかということにつきまして、大臣並びに建設省基本的な考え方をお伺いをいたします。  まず、福祉というキーワード観点からお伺いしますけれども、与党においても新ゴールドプランとかエンゼルプラン等策定について検討を行っておりますけれども、本格的な高齢社会を迎える前に、高齢者障害者が生き生きとして生活が送れるような社会実現すべきではないかと考えますけれども、この点につきまして、建設省のお取り組みにつきましてお答えを願います。
  6. 原隆之

    原政府委員 現在、建設省における福祉社会建設に対する取り組みいかんというお尋ねでございましたが、御案内のように、高齢者障害者生活しやすい福祉社会実現のために、住宅分野で申しますれば、住宅内部床段差解消でございますとか、あるいは廊下の手すりの設置でございますとか、そういったお年寄りの住みやすい公営住宅などの供給をするということをやっておりますし、それから町づくり分野におきましても、道路建築物などの段差解消をする、幅広歩道整備をする、視覚障害者用誘導ブロック設置をする、あるいは公園の中の身体障害者用トイレ設置をするというようなことを多々行ってきているところでございます。  またさらに、ことし九月の二十八日に施行されましたいわゆるハートビル法でございますが、高齢者身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物建築促進に関する法律、さきの通常国会で制定していただいたわけでございますが、これに基づきまして、高齢者身体障害者などに配慮した建築物整備の一層の促進を図っていくということにいたしているところでございます。
  7. 中谷元

    中谷委員 今お話をいただきました流れができているんじゃないかというふうに思います。  しかし、最近ですけれども、私の住んでいる四国では、先日JRの駅に車いすエレベーター設置を求めるという訴訟が起こっているわけですけれども先ほどお話のあったハートビル法ですね、これは、この訴訟等は認められるものなのか。そして、このハートビル法はその設置にどの程度強制力を持つものなのか、この点についてお伺いさせてもらいます。
  8. 原隆之

    原政府委員 今のお尋ねの、駅の構内におけるエレベーター設置の問題でございますが、ハートビル法に規定されております特定建築物なるものは、駅の建築物、駅舎というものは入っていないというふうに考えておられますので、鉄道事業者がそれぞれの御判断によりまして御措置をいただくということが適切なのかなというふうに考えております。
  9. 中谷元

    中谷委員 いろいろな御努力で、屋内外にそういうお年寄り障害者向け介護施設をつくっていただくということは非常に重要なことでございます。事お年寄りの方だと、いわゆるリハビリ施設ということで屋内での治療とかリハビリを行われていましたけれども屋外にそういう施設をつくっていただきますと、屋外で散歩することができたり、また公園一般の方と触れ合いができたりということで、とかく閉鎖的であったお年寄り気持ち社会の中で、そして暖かい日差しの中で非常に解きほぐされたような、そういう真心のこもった行政ができるのではないか。  自分たちの祖父母や父や母を思うとき、やはり公共の場所にこういう介護施設をつくることは優しい社会を建設することの一例ではないかと痛切に感じますけれども、今後これらの施設整備するためのガイドラインとか、また、福祉町づくり計画に関する指針についてはどのようになっておるのでしょうか。
  10. 原隆之

    原政府委員 御指摘のように、お年寄り方々社会と交流し触れ合いを持つということによりまして生きがいを持つ、自立の気持ちを持っていただくということが大変重要なことであろうというふうに思っておるわけでございまして、そういった観点から、触れ合い、交流というものを実現するような施設整備ということが必要になってまいるわけでございます。  御指摘の、各施設ごとガイドライン指針というものについての整備状況はどうなのかというお尋ねであるわけでございますが、例えば歩道と車道との段差の問題でございますが、車いすの方にとってみれば段差はない方がいいわけでございますが、白いつえをお持ちの視覚障害者の方にとってみれば段差がある程度あった方がいい、こういう問題があるわけでございまして、そういった観点から、施設ごとに、すべての方々に適した整備基準がいかにあるべきかということを探っていくということが非常な大事なことであろうというふうに思っております。そういった意味で、施設ごとにきめ細かな技術的な基準検討をいたしておりまして、早急に取りまとめをいたしたいというふうに考えているわけでございます。  また、そういった施設単位だけではなくて、福祉町づくりという観点から、福祉社会や、先ほど指摘のございました交通施設などの相互関係をどうするべきなのか、どういう点に配慮して計画をつくっていかなければならないのかといった点につきまして、これをマニュアル化するという意味指針をつくっていくことが必要であろうというふうに考えているわけでございまして、こういった点につきましても、関係方面とも調整を図りながら、できるだけ速やかに手順を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  11. 中谷元

    中谷委員 それでは、次の優しさであります環境保全というキーワードからお尋ねしますけれども、今、緑豊かな生活環境づくり推進ということでお力を入れているようなんですけれども、私も政治家の新人でございまして、金帰火来ということで東京と地元を往復しておりますけれども、やはり地元へ帰ると、水がうまい、空気がうまい、そして気持ちの安らくということを感じておりまして、地元はそういう自然があって非常に安らぎ潤いがあるわけでありますけれども、今後、そういう意味で緑の効用というものは言うまでもありませんけれども、緑豊かな生活環境づくり推進について建設省はどのようにして推進をしていくおつもりなのか、この基本姿勢についてお伺いします。
  12. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生指摘のとおり、緑豊かな生活環境づくりというのは非常に重要な課題だというふうに考えております。  そこで、野坂大臣のもとで、建設省といたしまして、緑の政策大綱緑サンサン・グリーンプラン、これは大臣のお言葉によれば、空に太陽がさんさんと輝き、地には緑がさんさんと整備されている、そういう意味合いで緑サンサン・グリーンプランという愛称を持った大綱を決めております。  そのサンサン・グリーンプランにおきましては、自然との共生、美しい景観の形成、緑を活用した多様な余暇空間づくり、市民の参加、協力による緑の町づくり、こういうものを基本的な視点といたしまして、二十一世紀初頭までに、都市公園だけではなくて植栽されたせせらぎ空間河川空間あるいは植栽された道路空間、これを含めまして三倍にする、さらにその公共施設内の高木も三倍にする、そして市街地民有緑地を加えた緑地性の高い市街地空間、これを三倍にしよう、そういう計画を立てているところでございまして、この実現に向けまして省を挙げて現在取り組んでいるところでございます。
  13. 中谷元

    中谷委員 緑サンサンプランということですけれども、さんざんなプランにならないようにしっかりとお願いしたいというふうに思います。  この大綱を読ませていただきますと、いろいろと言葉がありますけれども都市公園とか幹線道路ということが強調されていますけれども都市だけではなくて、地方もやはりこういう緑の復活とか自然の保全等が要望されております。特に私の住んでいる高知県は、四万十川だとか仁淀川だとか、本当に自然そのものが残っているわけですけれども乱開発等によって非常に醜い地肌をさらして、せっかくの自然が台なしになりつつあるようなことを感じております。  そういう中で、今度の来年の予算要求の中に、高知県が提言をいたしましたけれども道路のり面とか急傾斜地のコンクリート壁を緑化するために、間伐材で仕切りをしてポット苗を植えてそこに普通の自然の木を生やしていこうという内容の、木の香る道づくり事業というのが予算計上をいただいておりますけれども、この事業は、道路施設木材を利用するということとか自然景観によって地方活性化を図っていくというような、いろいろな意味がございます。  そこで、建設省におきましては、今後、この事業や緑を生かした環境づくりについての見通し並び取り組み方につきましてお話しいただきたいのですが。
  14. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございました木の香る道づくりでございますが、この事業につきましては、森林等の自然が多く残っております地域道路のり面等につきまして、どうしてもそういうところで道路をつくりますと切り土のり面等が生じてくるわけでございますが、そういうのり面等におきまして、間伐材やあるいは風倒木などを使いまして小段をつくる、そこに客土を行いまして、その客土を行ったところにその周辺の地域自然植生に合わせた樹木植栽で緑化を行おうというものでございます。  私どもといたしましても、道路整備に当たって良好な自然環境との調和を図っていかなければいけないというのを大変重要な課題であるというふうに考えているところでございまして、今もお話がございましたが、高知県が実施しようとしておりますこの木の香る道づくり事業というのは大変すばらしい事業だというふうに考えているところでございます。  また、お話がございましたように、木材活用というところもございます。建設省といたしましては、道路構造物への木材活用を進めまして、地域の個性を生かした道づくりをこれからも推進していきたいというふうに考えております。この事業につきましては、林業等地場産業振興などにも資するということでございますので、林野行政などとも連携をとりながら、私ども建設省としても、この事業全国的に幅広く実施されるように、積極的に推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  15. 中谷元

    中谷委員 続きまして、優しい政治ということで、三つ目キーワード安心ですね。安心についてお伺いしたいというふうに思います。  安心となると防災対策なのですけれども、特に昨年は洪水等もありました。ことしも多かったのですけれども、昨年床上浸水が二万三千戸あります。特に、全国的にも大変なのですけれども、郷里の高知県の伊野町というところでは、昭和五十七年以降の統計をとり始めた十二年間に十二回も床上浸水被害が発生しておりまして、平成五年七月の台風五号によって百八戸が浸水、また、同じ年の十一月の低気圧の降水で二百九戸が浸水、うち九十戸が床上浸水ということで、毎年一度は浸水をして、地域の人々の心の中に非常に大きな傷と大変大きな労力を与えておるわけであります。  このように毎年慢性的に発生する床上浸水被害について、こうも連続して続けば、高齢者にとっても地域住民にとっても非常に過度と思える負担、そして一体何をやっているんだというような国としての責任並びに建設省として、国民防災施設管理者としての補償等も請求したくなるわけですが、国としてその補償とかの義務を有しているのかどうか、この点についてお伺いします。
  16. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、去年は大変な大きな災害の年でありました。しかし、水害によります住居の浸水あるいは流失といった問題につきましては、特段の管理瑕疵等がある場合を除きまして国は賠償の義務を有しないと考えているわけでございますが、国民の生命と財産を守る治水対策というものは国の基本的の責務であるというふうに考えております。  おっしゃいましたように、我が国自然条件社会条件などから極めて自然災害を起こしやすい状況にあるわけであります。このため、治水事業五カ年計画に基づきまして治水施設整備推進しているところでございますが、昨年やことしの豪雨災害を見ますと、治水施設整備水準はまだまだ低いと言わざるを得ない状況でございます。したがいまして、今後とも、浸水被害が頻発している地域におきます特に床上浸水対策ということに重点を置きまして治水事業を強力に進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  17. 中谷元

    中谷委員 当然、今お答えになったことはだれでも言えることなのですが、特に、この十月には公共投資基本計画というのが発表されました。そういう計画には、国土安全確保というものが当然盛り込まれたわけですけれども先ほどお話ししました高知県の伊野町枝川のように、毎年道路とか住宅が冠水するところについては、緊急的な床上浸水対策を実施するための新たな制度創設治水対策予算確保が必要だと考えます。伊野町では導水トンネル等計画をして要望しておりますけれども、具体的にこの地域における浸水対策や将来の仕組みについて、この基本計画等にはどのようにお考えになっているのでしょうか、お答えください。
  18. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 先ほども御答弁させていただきましたように、我が国治水整備水準はまだまだ低いわけでございまして、しかも国の責務であるという観点から、今後とも床上浸水対策については重点的に実施してまいりたいと考えております。  全国的に見ますと、全国三千二百余り市町村のうち、約八割に及びます市町村が過去十年間に何らかの床上浸水被害を受けておるというような状況でございまして、まさに災害列島というような状況でございます。特に、今先生指摘伊野町の場合は、慢性的な床上浸水地帯ということで、高齢者にとりましても大変な経済的、身体的負担となっておるというふうな状況でございます。  したがいまして、このために、慢性的な床上浸水被害解消するために、二〇〇〇年までに、来年度の予算編成に向けまして床上浸水対策特別緊急事業というものの創設をお願いしておるわけでありまして、さらに公共投資重点化枠によります事業重点実施を要求して強力に進めてまいりたいと考えているところであります。今後とも、床上浸水被害解消に向けて最大限の努力をしてまいる所存でございます。
  19. 中谷元

    中谷委員 よろしくお願いいたします。  加えまして、山間部においても非常に土砂災害が起こっておりまして、平成五年には百七十四名の方が命を落とされております。こういう安全に対する配慮は、公共事業の中でも、人命に関することですから非常に上位にランクすべきものでありますけれども、昨年の公共事業配分過程では、ABCDのランクに分けられて、優先度がBということで、二番手に位置しております。こういう人命の安全のための公共事業についてこのような考え方でいいのか、ことしもBランクというような位置づけで臨まれるのか、この枠組みについてお伺いします。
  20. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 特に先生の御地元である四国地方については、地すべり、土石流、がけ崩れが多いところでありますが、これは全国的に見ましても大変大きな問題でございます。今のところ、全国危険箇所を調べてみますと、約十七万カ所ございます。その整備率が二〇%であるということで、大変低い状態にあるわけであります。特に、土砂災害対策を精力的に進めるに当たりまして、人家の多い危険箇所のうち、特に病院老人ホームあるいは学校等があるところで重点的に整備してまいりたいと思っておるところでございます。  したがいまして、昨年度の災害実態等も踏まえまして、平成七年度には、避難が困難な入院患者の安全を確保するとともに、災害時の医療活動の拠点となります病院を含むがけ崩れ危険箇所整備重点的に図ってまいりたいということで、公共投資重点化枠によります事業重点実施を要求しているところでございまして、災害弱者に対する土砂災害対策を強力に進めてまいりたい、このように考えております。
  21. 中谷元

    中谷委員 それでは、次の優しさのキーワードなんですけれども、今度は公正ということをお伺いします。  地方公共団体の中には、今度の入札制度について、今制度改革の途中でありますけれども、この制度改革を急ぐ余り一般競争方式参加資格を厳しく設定し過ぎたり、対象工事規模を非常に小さな規模まで引き下げるなどの若干行き過ぎた例も見られて、地方建設業者、特に中山間部の零細な建設業者の間では大変大きな不安と混乱が生じていると伺っております。このように、規模が非常に小さい工事まで一般競争方式を拡大することは、何かと問題が発するのではないかと心配しますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  22. 小野邦久

    小野政府委員 御指摘のとおり、今やっております入札制度改革は、少しでも不正の起きにくいシステムにするということを目的にいたしておりまして、その点から一般競争方式の本格的な採用にも踏み切ったわけでございます。  ただ、我が国におきましては、入札契約制度につきましては、従来から九十年余りにわたって指名競争方式というものを運用上の基本でやってまいりまして、今回一般競争導入いたしましたのは、ある意味で言えば九十年ぶりの改革、こういうことにもなるわけでございます。そういうことを考えますと、当面、大規模工事について一般競争方式を採用することにいたしまして、ただ、 それ以下の中小規模工事につきましては指名競争方式の大幅な改善を図って制度透明性を高めていこう、こういうことにいたしております。  一般競争導入過程で、地方に若干混乱があることは先生指摘のとおりでございます。これにつきましては、今私どもが考えておりますのは、一般競争方式対象範囲の拡大を直ちにするということではございませんで、今やっております一定規模以上の契約についての一般競争方式導入実施状況を十分勘案した上で、資格審査体制の充実とかあるいは事務量の軽減といったようなものも十分考えながら、特に中小建設業者に対する影響も十分考えないといけないわけでございまして、そういう点をいろいろ考えた上で、今後慎重に検討していくべき課題というふうに認識をいたしております。直ちに小規模工事にまで一般競争を採用するということは、考えていないわけでございます。
  23. 中谷元

    中谷委員 きょうは、優しさ、優しい政治実現ということで、建設行政についていろいろお伺いしましたけれども、これのほかにも安全、特にソウルで聖水大橋が落下して、我が国の本四架橋とか門司大橋ども大丈夫だろうか。これを管理しているのは道路公団であり、本四公団であって、片や、そういう必要性がわかっているのに公団不要論ども出ておりますけれども、このような規制緩和安全性関係とか、また、日米構造協議とかで外国に対して門戸が開放されているはずの建設業界ですけれども、町の中では一向に外国建設会社とか広告を見ないというのは、一体どうなっているのかというようなお話もいろいろしたかったわけです。  いずれについても、今回の内閣はこういう優しさを実現できる内閣ということで懸命に取り組んでいらっしゃいますので、大臣もこういう観点で新しい時代の建設行政努力されるようにお願いをいたしまして、質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  24. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、安倍晋三君。     〔委員長退席、藤井(孝)委員長代理着席〕
  25. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ただいま同僚の中谷先生から、優しい政治に対する建設省としての取り組みについて何問か質問がございましたが、私もその観点から、バリアフリー住宅について質問させていただきたいと思います。  現在、連立政権としては、優しい政治実現に向かいまして新ゴールドプランを策定中でございます。この新ゴールドプランというのは、今まで日本的な福祉、いわゆる家族が中心になってお年寄りを支えていく、そういう観念から、家族と社会全体でお年寄りを支えていく。そしてまた、高齢者の問題というのは、お年寄り世代だけの問題ではなくて、我々若い者にとってもいつかは訪れる、そういう私たち自身の問題であるという大きな発想の転換があるのではないか、私はこのように思っております。  そしてまた、そういう中で、現在、寝たきり老人、これは寝たきり老人ではなくて寝かせきり老人である。やはり本人、また周りの者が一生懸命介護をすることによって寝たきりは防げるんだ。ですから、そういう意味で、寝たきり老人ではなくて寝かせきり老人、これをゼロにさせる、そういう意気込みもあるわけであります。  そういう中にあって、例えば特別養護老人ホーム、そういう施設にあって、また中間施設に入っても、ずっとそこに行ったきりではなくて、リハビリあるいは周りの者の介護によっていつかは自宅に帰ってくるんだ、そういう政策の転換もあるわけであります。そしてまた、そういう施設においての介護中心ではなくて、これはだれしもなるべく自宅で時間を過ごしたい、家族と一緒に過ごしたいという希望があるわけでありますから、在宅でケアをしていく、在宅ケアを中心にしていくという大きな柱があるのではないかと私は思います。  そういう中にありまして、せっかくある程度元気になって自宅に帰れるということになっても、また在宅でケアができる程度の障害が出てきた段階であっても、残念ながら肝心の家が、お年寄りがそういう障害が出てきた段階で生活するにおいていろいろな障害があるということであっては、この政策自体が基本的に進んでいかないのではないかと私は思うわけであります。  日本の家屋の中にはいろいろな段差もあります。先ほど中谷先生からは、公共施設にいろいろな段差があるという御指摘があったわけでありますが、公共施設にあるわけでありますから、当然住宅の中には数々の段差があるわけであります。健常なときには問題がなかったことが、高齢化して、そしてお年寄りになって、車いす生活を余儀なくされた段階では、いろいろな問題が家の中で発生をしてくるということでございます。日本の家屋において、浴槽でおぼれたり、あるいはまた敷居につまづいたりという事故で、年間大体三千五百人ぐらいの高齢者がお亡くなりになっているということでございます。  そういう中で、この段差をなくしたり、あるいは浴槽、トイレを改造して、そういうバリアのない住宅をつくっていかなければいけない、あるいは改造していかなければ、今後の高齢化社会に備えることができないのではないか、私はこのように思うわけでございます。このバリアフリー住宅は大変重要な意味を持ってくる。このバリアフリー住宅に対して、優しい政治実現の上で、大臣はどのような感想を、また、どういう政策を今後推進していくべきか、そのお考えを伺わせていただきたいと思います。
  26. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいま先生の方から御指摘がございましたバリアフリー化についての具体的な取り組みの部分について、ちょっと御説明をさせていただきたいと思います。  私どもは、今先生指摘のような観点に立って、住宅のバリアフリー化というものは大変重要であるというふうに考えているわけでございまして、今行っております五カ年計画の中でも、全体の建築水準の向上というような大きな柱があるわけでございますが、そういうものと並べまして、高齢化社会への対応ということを掲げているわけでございます。その中の具体的な対応といたしまして、例えば公共住宅公営住宅とか公共が提供している住宅については、すべて新しいものについてはバリアフリー化でつくっていくというようなことが一点でございます。  また、民間住宅についても当然そういう取り組みをお願いしたいわけでございますので、住宅金融公庫の優遇措置、割り増し融資というようなことをやりまして、積極的にバリアフリー化を進めていただくように進めているわけでございます。こういうことを通じまして、今御指摘のように、できるだけ多くの、特に新しく建てる建物については、できればすべての住宅のバリアフリー化へ向かって、我々としても取り組もうといたしておるところでございます。
  27. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ただいま融資についてのお話がございましたが、こうした制度融資を行うことによって、もちろん財政的な出動になるわけでありますが、しかし、こうした制度融資をきめ細かく行って高齢化社会に備えることによって、もしそれがなければ、つくらなければいけない施設を当然つくらずに済んでいくわけであります。  財団法人年金住宅福祉協会の試算によりますと、こうした制度融資等の創設によりまして、バリアフリー化を各個人の住宅が行えば、二〇二五年までには約十六兆円の財政節減効果がある、そういうことも言われているわけでございます。今後、こうした制度融資等、例えば新たにバリアフリー化のための制度融資等を創設をして、こうした融資の枠を拡大していく、そういうお考えがあるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  28. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 先ほど基本的な考え方を申し上げたわけでございますけれども、融資の関係では、例えばバリアフリー化をするためのいろいろな設備やその他の工事をする場合に、現在百万円という融資を割り増しをしておるわけでございますが、来年の要求におきましては、それを倍増して二百万円まで、ほとんどのそういう増改築、バ リアフリー化の工事については、すべて十分な費用の対応ができるようにしようというような要求をいたしております。  また、同居世帯あるいは二世帯というような、そういうことを通じて、当然そういう場合には、お年寄りと一緒にお住みになるという具体的な需要になっていくわけでございますが、そういうことを通じる場合にも、また三百万円を四百五十万円まで割り増し融資額を上げていきたいというようなことで、融資面から積極的な対応を図りたいという要求をいたしているところでございます。
  29. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 このバリアフリー住宅を新たに新築する際に、バリアフリー住宅化をして新築をするというときの費用と、そしてまた、現在ある家をバリアフリー化するために改築をする、それにかかる費用なのですが、大変大ざっぱに言いますと、改築をする方が、新築をするためにバリアフリー化するその費用のほぼ倍近くかかるという試算もございます。そういう意味では、最初からある程度、各個々が将来は年をとっていくのだという観点のもとに、バリアフリー化した住宅をある程度若い時代からつくっていくということが必要なのではないかと私は思います。  そういう意味で、欧米では既に建築基準法の中に高齢者障害者への配慮を義務づけているわけでありますが、我が国においても、今後バリアフリー住宅促進していくためにも、建築基準法の中にそういう要素を取り入れていく必要があるのではないか、私はこのように思いますが、建設省の御見解を承りたいと思います。
  30. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 欧米の諸国におきまして、それぞれ国の実情に応じて、ただいま御指摘の点についての取り組みはさまざまなようでございますが、そういう中で、例えばスウェーデン等では一般住宅のバリアフリー化についても、御趣旨のようなことを法律で定めていると聞いております。  日本におきましては、当然急速な高齢化が進展しているわけですから、この問題は大変重要なわけでございますけれども、これまでやってまいりました状況とかさまざまな社会の認識の状況、そういうものを考えて私どもはこれに取り組むべきであろう。御趣旨については、そういう方向で徐々に制度を高めていく必要があると考えておりますけれども、今回、不特定多数の方が利用される公共的な建物については法律上も初めて取り上げたわけでございまして、これにつきましても、先般の前国会で成立をさせていただいたわけでございますが、努力義務を課していくという段階からアクセスをしていこうということで取り組んでいるところでございます。  住宅の場合には、さらにそういう公共性という点から見ましても、個々の方々がお使いになるという性格もあることから、現在の状況では個々の人々の御意思でそういうものに積極的に取り組んでいただくという状況を、先ほど申し上げたようなことを通じましてプッシュをしていくということをまずやって、環境の整いぐあいに応じて、さらに進んだ状況へ我々としても積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  31. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 この問題は一建設省だけでもちろん解決できる問題ではない、私はこのように思っております。お年寄りを抱えた家族がどう対応していくかということについて、あるいは施設に預ける、そしてまた、そうではなくて在宅でみんなで介護をしていく、いろいろな選択肢があるわけでありますが、そういう中で、家を改築をしていくということにもなるのではないかと私は思うわけであります。そういう意味では、今後役所の壁を取り払って、そういう相談ができる総合的な機関が必要ではないか、私はこのようにも考えるわけであります。  ただいま融資等々のお話もございました。個々の住宅でございますので、そういう住宅に融資の枠をどんどんふやしていくということには確かにためらいもあると思いますし、しかも補助をしていくということには大変大きな壁があるというのは、私は十分承知をしているつもりではございます。  東京都の江戸川区においてはバリアフリー住宅への改築費を全額補助をしている、そういう例もあるわけであります。しかし、これは地方自治体が個性を生かしてそうした補助を行っているわけでありますが、今後高齢化が大変進む中においては、地方自治体に任せているのは大変荷が重過ぎるのではないか、私はこのように思うわけであります。この補助について、国は今後取り組んでいくつもりがあるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  32. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 私ども、ただいまの御指摘お話の中にございましたように、一般住宅に、直接その部分について補助をやっていくというところまではなかなか困難であろうというふうに考えておりますが、先ほど来申しておりますような低利の資金の御用意をする。またそれを受けまして、資金をお借りになった場合にローン控除というような仕組みもあわせまして、金利に相当する部分の負担を軽減しようというようなことで、税制面についての要望を来年度の要望で出しているところでございますけれども、そういう融資と税制の両面から、できるだけ取り組みやすい条件を国としてはつくっていくというのが、現在の私ども取り組み方ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  33. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今後やはり優しい政治を進めていく上においては、この問題は私は大変大きな重要な問題であると思いますので、今後とも積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それでは、次の質問に移らせていただきたいと思うわけであります。  我が国も来年で戦後五十年を迎えるわけでありますが、まさに廃墟の中から大変豊かな日本をつくり出すことに成功したわけであります。しかしながら、所得においては現在は既に米国と肩を並べているわけでありますが、残念ながら中身の方にはまだまだ豊かさを十分に実感ができない、そういう面があるわけでございます。その中で、住宅が占める位置というのは大変大きなものがあるわけでありまして、やはり一番大きな豊かさを感じられないネックになっているのは、私は住宅環境ではないかと思います。  建設省はことしの三月に、二〇〇〇年までに標準的な住宅の建設費用を現在の三分の二程度にすることを目指す行動計画を発表しておられます。現在、この計画がまだ続いているのか、またその進捗についてお伺いをしたいと思います。
  34. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいま先生指摘のように、住宅の建設のコストを低減していくということは、単に高い安いということではなくて、低減をしてその費用をさらに先ほど来話題になっていますようなそういう部分に振り向けて、より充実した住宅を建設していく必要があるという考え方のもとに、三月にアクションプログラムを策定して公表したところでございます。  この中身は、生産システムを合理化しますとか、手続の迅速化を図りますとか、具体的なことを講じて直接的に価格コストを下げていくという部分と、輸入資材を導入するとか、消費者に対する情報を的確に提供するとか、そういうことをやって市場の競争が有効に働くような環境もつくっていこう、そういう柱でやっているわけでございます。  例えば、手続の迅速化等についても既に取り組みっつございますし、まだ三月から始めたばかりではございますが、モデル的な仕事もこの中で三年ほどでやっていこうという考え方を持っておりますけれども、そのモデルの一つである、例えば公団がモデル的なものをやろうとしていることについては、既に敷地の選定などの具体的なところにも踏み込んでやっているところでございますし、業界に対しても取り組みが既に相当の部分で着手をしているところでございます。
  35. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 この行動計画につきましては、日米の木造戸建て住宅の価格の格差が、日本の方が大体三割高になっているというところに着目を して、米国並みに引き下げることを目指しているということでございますが、七月の七日に発表した建設省調査によりますと、日本が米国のまだ一・八四倍になっているということでございます。そういう観点から、やはりまだこの行動計画の削減目標自体は不十分ではないか、そういう指摘もあるわけでございますが、こういう中でもう少し削減目標を実際もっと厳しいものにしていく、そういう意思がおありかどうか、お伺いしたいと思います。
  36. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいま御指摘のございました米国との価格の比較というのは、大変状況が違う、あるいは住宅の内容が違うとか、いろいろな条件がございますけれども、やはりそれにしても、日本の場合が高いということでございます。いわゆる為替レートにおきます比較と、例えば購買力平価のようなところで比較した場合と、比較的購買力平価で比較した方が実質に近いのではないかというふうに考えておるところでございますけれども、そのベースで見ますと、一割から二割ぐらいというような、私ども専門の調査団を派遣いたしまして、全く同じものではどうなるかというようなことを調査したわけでございますが、およそそれくらいであろうというふうに考えております。  現在、先ほどお話ございましたように三分の二に持っていこうということでございまして、価格を三分の一カットするというのはかなり思い切った目標ではないかというふうに考えて策定をしたところでございまして、現在のところは、その目標をできるだけ早く、広く実現するということに取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  37. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ただいま、実際購買力平価でいくと一、二割程度しか高くないというお話でございましたが、新聞や週刊誌等で米国であればこれぐらいで住宅が買えるというようないろいろな報道がございまして、そういう中で、実際そういう一、二割程度という感覚よりも、倍くらい日本の住宅はするんじゃないかという感覚を持っている人が多いのではないか、このように思うわけでございますので、今後とも取り組んでいっていただきたいと思います。  先ほど局長からの御説明にもございましたが、今後は市場競争をもう少し厳しくすることによって価格を下げていきたい、そういう御指摘がございました。そういう中で、御指摘もございましたが、当然輸入材を拡大をしていくということも私は大変必要なことではないかと思うわけでございます。ただやみくもに、こういうときにはすぐに輸入すればいいというものではないわけでありますが、実際に価格差もあり、そしてまた、アクセスにおいていろいろな規制等の障壁もあることも事実でございます。  今後やはり建設資材においては輸入材を積極的にふやしていくということが、もちろん日米の、また日本と外国の貿易インバランスの問題においても大変重要な意味もあるわけでありまして、そういう意味で、今後積極的にふやしていくべきである、私はこのように思っております。この問題について、輸入材をどうしていくべきかということについての大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  38. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 安倍先生に御答弁いたします。  今住宅局長お話しいたしましたように、先生から初めに指摘がありました、村山内閣は人に優しい政治をやるんだ、建設省は具体的にはどういうことをやるんだということを中谷先生からもお話がありましたが、我々は福祉の町、美しい町、そして環境整備された町、こういうものをつくっていかなきゃならぬ。  特に先生から御指摘がありました、高齢化社会を迎えておるといいますか、現実に高齢化社会に突入をした現段階において、優しい住宅というものをつくっていかなきゃならぬ。特に高齢者の皆さん方には、段差のない住宅、あるいはバス、トイレについては補助、融資等についても十分な配慮をしておる。しかし、より豊かにし実感ができるようにするためには、我々は、アクションプログラムをつくってまいりましたように三分の二にしなきゃならぬ、こういう至上命令をいただいております。  したがいまして、輸入の木材とかそういうもの、あるいは現場におけるプレカットの生産用具、そういうことを一つ一つ子細に検討して、具体的に二〇〇〇年までには三分の二の価格で立派な住宅ができるような方式にする。そのために住宅局からは、カナダに行かせたりあるいはアメリカに行かせたり、いろいろな研究をしておりますし、一昨日はカナダの産業大臣に来ていただきまして意見の交換をし技術の交流をし、木材の国カナダでありますから、十分にそれぞれの対応をして、友好とそして親善、そして商取引の積極化を図りながら、日本の住宅を安くしていくという方向をたどってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  39. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ただいま大臣の力強い御発言をいただきまして、私も大変心強く思った次第でございます。今後とも頑張っていっていただきたいと思います。  それでは、もう時間もなくなってきたのですが、最後に一点お伺いをさせていただきたいと思います。  今までは、住宅についてお伺いをさせていただいたわけでございますが、緊急の問題といたしまして、ガット・ウルグアイ・ラウンドを受けまして、WTOの条約の批准というのがまさに目の前に迫ってきております。これに対しまして、我が国の国会では三度決議をしているわけでありますが、その決議を大変残念ながら覆さざるを得ない状況になってまいりました。そのための対策として、六兆円を超える対策費を、事業費ベースではございますが、もちろんまた私どもも十分に満足というわけではないのでございますが、農水省は発表をいたしました。そういう中にあって、今後中山間地における農家を支援していく、またあるいは、この問題は一産業政策の問題ではなくて、地域政策の問題でもございます。  今後地方が衰退をして、どんどん人口が都市部に流入をしていくということは、都市部の住民にとってもこれは不幸なことでございまして、各地域が活力を持って頑張っていく、そういう姿があってこそ国土が保全をされるわけでございます。そういう意味においては、このWTO、革命適な変化を起こさざるを得ないこのWTOについては、一農水省の問題ではなくて、全省を挙げて取り組んでいかなければいけない、このように私は思っております。  そういう中においては、私は、建設省のできる仕事というのは大変たくさんあると思いますし、重要である、このように思っております。今後このWTOについて、建設省としてはそういう対策を組んでいく御意思があるのかどうか、またこの問題については、やはり私は積極的に推進をしていっていただきたいと思うわけでございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  40. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 昨年の十二月十四日の未明に、ガット・ウルグアイ・ラウンドの中身を我々はのむという、断腸の思いでありましたがそういう措置をとりました。  したがいまして、この条約の批准、WTOの推進、こういうことになってまいりますと、国内対策を積極的にやらなければならぬというのは、皆さん方の御意思でもありますし、私ども考え方であります。したがいまして、そのための六兆百億円、そういうものを思い切って提案をされたわけでありますが、それ以上に自治省からも、地方交付税として一兆二千億提出をし、合計七兆二千百億という姿になっておるわけであります。  したがって、建設省は、中山間地対策等についてはどのように見ておるかということでありますが、それらについては、例えば農業の場合に集落排水というのが挙がっております。我々のところでは、下水道ということで挙がっております。集落排水ということも大切でありますが、やはり農業を振興させるというためにこの農業予算は使っ ていき、そして定住し安定する農業というものをつくらなければいかぬ。  我々は農村整備に全力を挙げて、下水道その他の、あるいは道、橋、こういうものについて積極的にやるために、国土の均衡ある発展という立場から地域の特性ある地域づくり、こういうことも含めて約一兆円の概算要求を我々はいたしておるところでありますから、この点については、閣議においても建設省の立場、建設省取り組み建設省の責任、こういうものを強調して閣議の了解を得ておるところでありまして、先生の御指摘どおり積極的に推進してまいりたい、このように考えております。
  41. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 大臣は、農業問題の専門家でもいらっしゃいますから、今後とも積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。  以上で私の質問を終えます。ありがとうございました。
  42. 藤井孝男

    ○藤井(孝)委員長代理 次に、沢藤礼次郎君。
  43. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 大臣、就任おめでとうございます。人に優しい政治を掲げる村山内閣ですが、総理は、人に優しいということは、同時におのれに厳しくということをおっしゃっています。野坂大臣は、温かいお人柄、強い信念をあわせ持っておられるとお見受けしております。まことに村山内閣の閣僚としてふさわしい大臣と思います。御健闘を心からお祈りします。  さて、今政治の世界では、権力とか力任せの力学、数合わせの数学、力学と数学が横行しているように見られるわけですが、政治は言うまでもなく国民の生命財産、生活を左右する、時には人間の尊厳にまで踏み込む非常に重要な大きな力を持ったものでありますから、政治は常に高い倫理と哲学に支えられていなければならない、私はそう思います。  そこで、まず御質問申し上げるわけですが、建設行政の最高責任者であられる大臣としての哲学、決意というものをお聞かせ願いたいと思います。
  44. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先ほど申し上げましたように、村山政権のモットーは人に優しい政治でありますから、それを具体化していかなければならぬ。今申し上げましたように、美しい町、福祉の町、文化の町、こういう町づくり基本にして進めてまいりたいと思いますが、活力ある福祉、文化社会の創造を目指して、住宅社会資本の整備を概成すべく全力を挙げてこれから取り組んでまいりたい、こういうふうに建設省としては考えておりますし、また、私も村山政治実現の一つとして、建設省としては、今申し上げましたような諸点に留意しながら具体的に作業を進めてまいりたい、このように考えております。
  45. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 先日の大臣のあいさつの冒頭に、「後世に誇り得る」云々というお言葉がありました。私は、これに大変大きな共感を感ずるわけであります。人類の歴史は、四百万年とも五百万年とも言われておりますが、地球誕生四十六億年に比べますと、本当に一瞬のもの、ましてや私たちの八十年の生涯というのはまばたきの間という感じがするわけですが、その政治、現在の政治が我々の後輩、子孫にどのような影響を及ぼすかという配慮なしには、私は政治は正しいものになり得ないと思っております。そういう意味で、後世に誇り得る社会資本、住宅整備云々というお心をひとつ失わないで建設行政を進めていただきたいと思います。  その延長として、先ほどの質問とも重複するわけですが、建設行政福祉関係建設行政と美術、芸術との関係建設行政環境との関係、この三点について、簡単にお聞きしたいと思います。  まず最初に、建設行政推進に当たって、高齢者障害者に配慮した住宅町づくりを進めることについてのお考えをお示しください。特に、人間は、これは途中で死亡しない限りは間違いなく高齢者になる、そしてほぼイコール障害者になるわけであります。そういった意味で、福祉に関するものについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  46. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 建設省として、優しい政治の具体化は、具体的に建設省がどのような展開をしていくかということになりますが、まず、福祉町づくりということを基本に置く、高齢化社会は既に来たという御認識でありますが、我々もそのとおりと思っております。したがいまして、政策大綱に基づきまして、例えば歩道車いすが交差できるような方向、そしてあの黄色の点線がありますが、あの点線のいぼのついたところをたくさんつくり上げていく。住宅段差をなくする。したがって、長生きをしてよかった、そして皆さんから優しくしてもらう町づくりができ上がったというふうに、長生きをしてよかったという町づくりをしてまいりたい、このように今考えておるところでございます。
  47. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 ありがとうございます。  ヨーロッパなどへ旅行しますと、町あるいはいろいろなリゾート地域車いすの方の姿が非常に多いですね。そういう町づくりが欲しいなということです。  実は、私が教師時代に教えた子供が大けがをしまして、下半身麻痺、不随で離れの別棟に住んでおって、トイレに行って出血をして倒れた。ところが、連絡をする方法がなくて夕方まで放置の状況にあった、危うく一命を失うところだったというふうなことを聞かされましてぞっとしたのですが、やはり警報あるいは連絡装置というふうなことについても御配慮願いたいじ、全般的にいえば、これはどこの格言でしょうね、おのでやるより確実に住宅は人を殺すことができる、おのを使うよりも住宅の方が確実に人を殺せるというふうな、これは一つのことわざだろうと思うのですが、換気、採光、そしてまた住みやすさということに留意して住宅政策を進めていただきたいと思います。  さて、それと関連しまして、今般の住宅都市公団の家賃値上げの問題について、必要性及び従前の委員長要望の趣旨との関連について御質問を申し上げたいと思います。  この問題については、過去何回か国会で論議がなされました。一定のルールが定着しつつあるように思われますが、利用者からすれば値上げ反対、不景気あるいは雇用難というふうな背景もあったりして反対の声もあるだろうし、一万入居の競争率が高い、新規の住宅供給を希望する人も多い、その財源をどうするかという課題もあるわけであります。  そこで質問になるのですが、公団家賃値上げがなぜ今必要なのか。そして、前回の改定のときに衆参委員長、これは平成三年四月二十五日と二十六日だったと思うのですが、両委員長から出された要望があったわけです。その趣旨を踏まえて、敷金の追加徴収及び限度額については十分配慮をすべきだと思いますが、御見解をお願いしたいと思います。
  48. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 沢藤先生の御指摘どおりでございまして、公団からは要求すべき点は要求してまいりますが、我々建設省側といたしましては、委員会の審議、附帯決議の内容、そういうものについては十分検討して善処しなければならぬ、こういうふうに肝に銘じて考えております。  したがいまして、委員長の要請された決議内容というものを尊重して、お話がありましたように敷金等は取ることはやめております。ただ、やめるのなら初めから公団は出さなくてもいいではないかということもありますが、公団側としては公団側の見解がありますので、要求をしてまいりましても我々は敷金は取らない、こういうふうに考えております。  また、引き上げ限度額の取り扱いについては、その承認に当たっては十分考えていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、委員会の要望については十分検討して善処したい、このように考えております。
  49. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 両院の意思が委員長の要望ということにあらわれているわけでございますから、十分ひとつ配慮をお願いしたいということを申し上げ ておきます。  次に、先ほど申し上げました建設行政と芸術、美術との関係ですが、やはり後世に誇り得るという内容の中には、後世の人たちが、ああいい環境だ、あるいは美しい橋だ、あるいは立派な町並みだと思うような財産を私たちは残したいものだと思うのです。経済性も大切でしょうし、効率、能率ということも大切でしょうが、そういう心のゆとり、あるいは後世に対する思いやり、こういったことをぜひ建設行政に反映していただきたいと思うのです。若干具体的な例を申し上げますと、例えば橋の欄干であるとか街路灯であるとか、町にあるモニュメント、あるいはポケットパーク、あるいは車どめ、あるいは親水ゾーン、こういったものについての配慮をお願いしたいと思うのです。  ちょっと横道にそれる格好ですが、セーヌ川というのは、川そのものよりもセーヌにかかっている橋の美しさでもって私たちを引きつけているように思うのです。一つ一つ名前を挙げませんが、その中にミラボー橋という橋があります。これは欄干の文様、色彩、たたずまい、大変引きつけるわけですが、これに今度は詩人が加わりまして、アポリネールという人が「ミラボー橋」という詩をつくった。これが非常に有名になって、今でも伝わっております。それに今度は曲をつけて、シャンソンがこれまた愛唱されているという、一つの橋を契機といいますかポイントにして、美術、つまり美しさあるいは詩、文学というものも凝集されているという、非常に特徴的な例だと思うのです。  そういった意味で、大臣のあいさつにありました後世に誇り得る社会資本ということの意味の中に、そういった要素を組み込んでいただきたいと思うのですが、それについてのお考えをお願いしたいと思います。
  50. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 美しい町並みの形成、これは極めて重要な課題であるというふうに考えておりまして、その場合、先生の御指摘のとおり、公共施設が先導的な役割を果たすべきものと考えております。  実は、建設大臣の私的懇談会である美しいまちづくり懇談会、これは座長が高階国立西洋美術館長でございますが、この懇談会の提言を野坂建設大臣は七月に受けているわけでございます。その懇談会の提言の基本的な考え方というのは、美しさや文化性を、余力がある場合の付加的要素としてではなくて、町づくりの本来的要素として明確に位置づけるべきである、これはまさに先生の御指摘のとおりの提言だと思います。そして、その場合に、市民の主体的参加が重要であり、公共施設が先導的役割を果たすべきだ、こういう考え方が提言されているわけでございます。  建設省といたしましても、従来から、例えばシンボルロード整備事業とか都市景観形成モデル事業、こういったことで景観形成施設についても十分配慮してきているところでございますけれども、この提言をきっかけに、さらにこういった方向で対応してまいりたいと考えております。  特に、私ども街並み・まちづくり総合支援事業、そういう総合的な補助制度を持っておりまして、これは街路の拡幅事業とか、あるいは市街地再開発事業、区画整理事業などをやる場合に、そういった事業に対して補助するだけではなくて、それとの関係において影響を受ける周辺地区につきまして景観形成施設先生指摘の照明施設とかモニュメントとか、あるいはさらにカラー舗装とか石畳、こういった景観形成施設に続いて、個々の中身については公共団体、住民の方々に任せるという格好で、ヘクタール当たり一億二千万円を限度とするメニュー補助制度というのがございますので、こういった制度活用しながら、御指摘の方向で対応してまいりたいと思っております。
  51. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 ぜひその方向で御努力をお願いしたいと思います。  日本と直接比較はできないと思うのですけれども、ウィーンとかパリとか歩いてみますと、美術館の中にあるものだけが美術ではない。町にある今申し上げたようなものが、そのまま美術なんです。つまり、あそこに行きますと、美術館というものは、美術館という建物の中に運び込むことができるものがあるのが美術館で、運び込めないものはやはり外にあるというふうに、美術館の内、外に美しさを求める、ゆとりを求める、豊かさを求めるという姿勢でぜひ御努力をお願いしたいと思います。  次に、公共事業の展開に当たっては、環境の保全、環境との調和ということを大切にしていただきたいと思うのですが、この点についての御見解をお願いします。
  52. 小野邦久

    小野政府委員 先生指摘のとおりだと思いますが、建設省におきましては、従来から、公共事業の執行に当たっては、環境との調和を図りつつ、豊かな環境の創造あるいは地球環境問題への対応を図ってまいりました。  特に、最近では、平成五年の十一月に環境基本法が制定をされたわけでございますが、これを踏まえまして、ことしの一月に、私どもでは、環境を保全、創造するとともに、地球環境問題に貢献することが建設行政の本来の使命であるというふうに認識をいたしまして、環境をある意味では内部目的化することを基本とした環境政策大綱を策定をいたしました。  この内容は、環境の創造と継承あるいは環境の保全、地球環境問題への対応が三つの大きな課題でございますけれども、今後はこの大綱に基づきまして、環境と調和をした住宅社会資本の整備を一層推進をするように、それによって質の高い環境を備えた国土の形成に努めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  53. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 日本を回ってみますと、瀬戸内海でしたかな、きれいな島があったのが、それがざっくりと半分に削り取られておる。脳みそが半分なくなったような感じでぞっとするんですね。それから、北日本といいますか、東北地方を空から見ますともう山に、ぎざぎざぎざぎざ、スキー場その他、本当に傷がついているなという感じがするんです。  調和は、ちょっと難しいのですけれども、そういったことについては、開発と環境ということに、自然ということについても調和ということも意識しながら今後進めていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  時間がどんどんたっていますので、次は中小企業、地場企業の育成という問題について、数点御質問申し上げたいと思います。  実は、この問題について、私は建設委員会で昭和六十三年の五月に同様の質問をした記憶があるんですけれども、この問題、これから申し上げる問題は古くて新しい問題で、たくさんの課題が未解決の状況に残っているんじゃないかという感じがしますので、あえて御質問申し上げたいと思います。  一つは、建設業の元請、下請関係の適正化についての取り組みの現状はどうなっているか、今後の方針はどうなのかということについてお聞かせを願いたいと思います。  ちなみに、幾つか問題があると思うんですが、適正価格による受発注という問題があります。それから、前払い金の実施状況、支払い状況はどうなのか、下請代金の現金比率の問題もありますし、手形の期間の問題もあります。一つ一つというわけにはいかないでしょうけれども、問題点をひとつ抽出しながら、お答えを願いたいと思います。
  54. 小野邦久

    小野政府委員 お答え申し上げます。  建設産業の元請、下請関係につきまして、現状がどうなっているのかと、今後の基本的な方針というお尋ねでございますけれども、現状の問題につきまして、大臣が今後の方針についてお答えになる前に、現状の御説明をさせていただきます。  今先生指摘になりました元請、下請関係については、建設業の場合には、やはり生産構造上も分業関係というのは不可避でございます。これは言うまでもないわけでございますけれども、どう も従来ややもすれば、元請と下請の関係というのは、対等な協力関係というよりは、どちらかというとやはり経済的にも元請の地位が、力があると申しますか、上に立つというふうな関係もございまして、どうしても無理な受注による下請へのしわ寄せといったいろいろな問題が指摘されております。  今先生指摘になりました適正価格の問題、前払いの問題、それから下請代金の現金比率の問題、それから手形サイトの問題、いずれも下請にとりまして大変重要な課題でございます。  六十三年五月に当委員会におきまして先生がいろいろ御指摘になった後、私どもといたしましては、特に元請、下請関係の近代化のために、平成三年に建設産業における元請、下請との生産システム合理化指針というものをつくりました。これによって、下請についてのあるいは元請についてのいろいろな指導をやってまいりました。  特に、先生御案内のとおり、現金比率の問題あるいは手形サイトの問題につきましては、毎年、下請契約における代金支払いの適正化の観点からの下請代金支払い状況等の実態調査というのをやっております。最新のものは、平成四年十月から平成四年の十二月までの期間における契約関係について調べたものが平成五年に明らかになっておりますけれども、これによりましても、それなりの改善は見ておりますが、なお不十分な点もあるわけでございます。今後、下請代金の支払いの適正化の問題等につきましては、前払いの問題も含めて、より以上にやはり下請企業にとって過重な負担とならないような指導を強化してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。  それと同時に、ことしの六月二十九日には、建設業法の一部を改正する法律を可決、認めていただきまして、どちらかというと不明確になりがちな元下関係につきましても、例えば施工体制台帳の作成の義務づけといったようなこととか、あるいは少しでも適正な施工が確保できるように、技術者制度の改善、元請における技術者制度の改善といったようなことにつきましても、必要な措置を講じていただきました。  今後は、そういったようなことをより以上に充実することによって、下請企業の育成に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  55. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今局長から御報告をしたとおりでございますけれども先生もよく御存じのとおり、元請、下請、孫請というような業者がございまして、中小零細企業は孫請や下請をやっておる。全国に五十三万、業者がおるわけですね。これを皆生活を豊かにしていかなければならぬという点もありますが、この育成については、今ゼネコン汚職というような問題が横行しておるというような時代でございますから、できるだけ透明度を高めていかなければならない。  したがって、今現在我々としては、七億三千万以上は一般競争入札、政府関連事業では二十四億三千万円以上は一般競争入札。したがって、すべて一般競争入札がいいではないかという意見もあります。しかし、全部生活もしていかなければならぬ。そこで、透明性のある指名競争入札をやる。  例えば、ランクがABCDとありますが、BのランクでもAに近い業者とCに近い業者がおります。したがって、今度この事業をいたします、こういった場合、私はやりたいと手を挙げさせる。手を挙げさせて、その希望者の中で十分検討をして、これだったらやり得るという判断をして、建設省なら建設省、自治省なら自治省がいわゆる指名をする。その指名の中で激烈な競争をしていただいて、できるだけ予定価格よりも下回る価格で引き取らせていく。そういう意味で、問題のないような、透明度を高めていく、いわゆる不正なことができないようなシステムをつくっていかなければならぬ、これがまず第一点です。  中小企業の場合はランクがありますから、その辺の点についても十分考えて、公正に、公平に、しかも品質の良質な仕事を仕上げていくという体制で取り組むために、我々としては、今あなたがおっしゃったような関係といいますか、新建設産業政策大綱のもとに、この競争の激化する時代、どのような対応をすべきかということの作業を進めるために、政策委員会を開いて、今十分掘り下げて一つ一つを検討しておるさなかでございまして、まずでき上がったシステムから透明度を高め、一般競争入札導入しながら、公正、公明な、業者間の問題で不正なことができ得ないような仕組みを今つくっておるさなかでございますので、その方向に向かって最大の努力をしてまいりたい、このように考えております。     〔藤井(孝)委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 時間の関係上、私の方から若干数字を申し上げさせていただきますが、例えば前払い金の問題ですけれども、いただいた資料を見ますと、前金払いをしていないという調査の結果が出ているのが、公共事業に関しては四五・八%、民間事業では六八・四%。民間は苦しいだろうとは思いますけれども、少なくとも公共事業の場合は前渡金というのは工事費に含まれているわけですから、これはきちんと下請に渡すべきだろうと思うのです。特に人件費部分はですね。  こういった点について、今後ひとつ十分御指導をお願いしたいということと、やはりこの種の総合工事業者、元請と専門工事業者、下請との関係というのは、建設工事の標準下請契約約款ですか、建設工事標準下請契約約款をきちんと締結するということ、それを履行してもらうということできたらそれを事後点検するということ、しかもそれは発注者だけの点検じゃなくて、受注者も点検するということまで私は考えていいんじゃないかと思うのです。多分公取関係はその辺やっていると思うのですがね、受注者にも。そういうことを要望しておきたいと思います。  あともう五分切れてますので、最後の質問を申し上げたいと思います。  それは、建設労働者に対する雇用条件についての御配慮をお願いしたいという点であります。基本的には、第一線で苦労している、しかも身分も不安定、何か文句言うと、後はおまえ来なくてもいいよみたいな力関係がまだ残っているんですね。そういった中で、ぜひこの建設労働者の雇用条件というものに留意をしていただきたいということを一つ冒頭に申し上げます。  そして、具体的に二つ触れたいのですが、建設国保というのがあります。建設国保は、給付率は高いわけですけれども、聞いてみますと、あの方たちは病気しまして休めばその分収入がぷつんと切れる、なくなるわけですね。我々といいますか普通の勤務者でありますと、月給制ですから休んでも大きく響かない。そういった、私ども地方では日手間取りと言うのですが、毎日のその手間取りですね。こういった人たちの実情を勘案して、この建設国保について、これは所管は厚生省だと思いますけれども、労働者の待遇、身分という意味でひとつ建設省としても十分御配慮を願いたいじ、厚生省と力を合わせていただきたいと思います。  もう一つは、建設業退職金共済制度についてでありますが、これは退職金に相当する制度ですけれども、加入率がいまいちだ。それからその証紙を買って、元請が証紙を購入するんだけれども、それが末端まで必ずしも行き届いてないという状況があるわけです。こうした流れを点検をしていただきたいということを含めて、ひとつ建設労働者に対する雇用条件、労働条件の改善ということについてのお考えをお示し願いたいと思います。
  57. 小野邦久

    小野政府委員 お答え申し上げます。  建設産業になかなか若い方が入ってきていただけないという状況がございまして、建設産業にとりましては、どうやって若い方々に入職をしていただくか、技能を磨き定着をしていただくかということは、大変大きな課題だと認識いたしております。現在の建設産業政策の一番大きな課題も、やはり建設雇用労働者の方々の労働条件の向上あるいは入職促進、こういうことにあるわけでございます。  そういう点から考えますと、先ほど先生指摘の建設国保の給付の問題でございますけれども、御指摘のとおり厚生省の御所管の問題、他省庁の御所管の問題ではございますが、その中で、社会保険制度全体の中で論じられるということになるわけでございますけれども、建設労働者の事情にも十分配慮しつつ円滑な制度運営が行われるように、私どもといたしましても御指摘を踏まえて対処していきたい、こう思っております。  それから、建設業退職金共済制度の問題でございます。これにつきましては、加入の促進あるいは共済証紙の購入あるいは貼付の履行確保といったような、いろいろな観点から従来指導をしてまいりました。たまたまこの十月は普及促進月間でもございます。そういう点にかんがみまして、建設業退職金共済制度については従来からいろいろ指導をしてまいったわけでございますが、確かに末端に参りますといまいちということもあるのではないか。  特に、ことし六月に決定をいたしました経営事項審査制度の改善におきましては、建退共に入っているかどうか、それを一つの審査の基準というふうにいたしまして、入っているという企業には加点をするという、そういう新しい制度創設をいたしました。これによって建設業退職金共済制度への加入促進を図ろう、そういう図っている企業にはそれなりにメリットはあるんだということにしたわけでございます。そういう点を新しい方向といたしましたけれども、そういう点も踏まえまして、より以上に建退共制度への加入についても配慮してまいりたい、こう考えております。
  58. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 時間が終了しましたという連絡がありましたのでこれで終わりますが、大臣を初め建設省建設行政に携わる方々の一層の御健闘をお祈りして、質問を終わります。
  59. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、玄葉光一郎君。
  60. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 大変限られた時間でありますから、具体的なお答えをいただくために、住宅政策を例に挙げて行政のあり方や進め方について質問をさせていただきたいと思います。  まず、行政の総合化、縦割り行政の弊害の除去の問題についてでございます。  申し上げるまでもなく、より快適な国民生活実現のためにはさまざまな行政の連携が必要だと思いますけれども、どうも実際には縦割り行政の弊害が今きわみに来ているかなどいう思いがございます。住宅政策についても同様に言えることでございまして、特に住宅に対しての国民の不満というのは、住宅の大きさとか価格はもちろんでありますけれども、ショッピングヘの利便性とか地域の雰囲気とか、文教あるいは医療とか、さまざまな分野についてのものでございます。  したがって、住宅政策はもう住宅そのものについての施策だけではなくて、土地政策とか都市計画とかあるいは文教政策とかあるいは医療政策とか、さまざまな施策を組み合わせて総合的に講じていく必要があるのではないかと思います。  しかし、建設省においてさえも、ともすれば都市計画都市計画の論理で、まだ下水道は下水道、あるいは道路道路、各局のロジックが先行しているのが現状かなというふうに思いますけれども、この行政の総合化、一体化の問題について御所見をお伺いをしたいというふうに思います。
  61. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先生指摘どおり、我々としては縦割りから総合的に横割り方式をとって、一体となって美しい町づくり、住みやすい町づくり、そういうものを考えていかなければならぬと思いますし、ただ建設省のみならず、厚生省もあるいは国土庁もあるいは文部省も、そういう点について、総合的にこれからの政策を進めていくというのは御指摘どおりだと私も考えております。  したがいまして、我々は建設省の中でも、指摘されましたように、河川局とか都市局とかあるいは道路局とか、そういうものが縦ではないかということでありますが、縦横十文字にいたしまして、例えば都市政策では、先ほど都市局長が申し上げておりましたように、サンサン・グリーンプランといいますか、都市は緑は三割なければならぬ、三メーターの木は三倍にするんだ、そういうふうにして空間は緑で埋めていかなきゃならぬ。  そして医療も福祉も、そういう都市づくりの場合については厚生省にも連絡し、あるいは文部省とも話をして学校の問題も考えながら、そういう幅広い御指摘どおりの方向というものをこれから本気で考えていかなければならない時代であるという認識は御認識どおりである、こういうふうに考えております。
  62. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 ぜひ本気の取り組みをお願いをしたいと思います。  次に、施策の実施主体になっている公団の問題でございます。  先ほど申し上げましたように、住宅に対しての国民のニーズというのは多様化をしておりますから、住宅都市整備公団の役割もまた私は見直しが必要ではないかというふうに思っております。公団は昭和三十年代から、特に都市部において住宅の質的にもまた量的にもその充足には役割を果たしたというふうに思っておりますけれども、現在もその延長線上において存在意義をそのまま認めるということは、私は困難なのではないかなという思いがございます。  確かに、大都市の借家の質というのはまだ低いわけでありますけれども、むしろその借家の質を高める改善をするという意味では、実際に圧倒的な量を占めている民間住宅の質をいかに高めていくかにこそ力を注ぐべきではないかなというふうに思っております。公団の住宅供給に大きな期待をかけることに対して、若干の異議が私にはございます。  実際に、民間住宅の誘導を目的にした特定優良賃貸住宅、二年にして三万五千戸もつくられているという現状もございます。今後、公団は、先ほど述べたような住宅に対する国民の多様なニーズにこたえ得るような、民間ではできない大規模開発とか再開発に重点を移して、総合的な町づくりの主体になっていくべきなのではないかなというふうに思っています。場合によってはこの住宅供給の部分について切り離すことも含めて、行革の一環としての公団のあり方について、大臣の御所見をお伺いをしたいというふうに思います。
  63. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 事務的なことはまだ局長から答弁させますが、先生が御案内のとおり、日本住宅公団と宅地開発公団というのが合併して今の住都公団になっておるというのは御案内のとおりです。今七十万戸手がけております、分譲もやりますし。大都市というのは大体四大都市ですね、四大都市を中心に進めておる。  我々も民間の皆さんによく聞くのですが、例えば他の地域では地域振興整備事業団というのがありますね。ああいう格好で進めておる。大手の皆さんにも、あれだけの大幅なものを我々にやれといってもなかなか困難である、したがって、その中に参入はするけれども住都公団でやってほしい、こういう意見があるわけですね。  だから、さきがけが提案されておりました道路公団の民営化とか、いろいろな問題が提起されておりますが、我々はそれを受けとめて本気で検討し、内容について洗っておりますけれども、そういう点については十分配慮いたしますけれども、これらの問題については、日本一大きい大家さんですから、そういう大都市の開発ということを含めて、宅地開発あるいは住宅設置ということで、民間をリードする住都公団というふうな位置づけで民間の皆さん方も眺めていらっしゃる、こういうふうに理解しております。したがいまして、先生の御指摘の点については十分重く受けとめて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  64. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 この点については、ぜひ力強くお進めをいただきたいというふうに思います。  時間がもう十分というふうに限られていますから、せっかく国土庁長官もいらっしゃっていただいておりますから、国土政策について一言申し上げたいというふうに思います。  この住宅問題も、より広い視点に立ては国土政策についてもかかわるということだと思います。つまり、大都市部における人口圧力を減少させるということによって、いわば住宅問題は解消しやすくなるということであります。四全総において多極分散型国土ということが言われましたけれども、果たして長官は、この多極分散型国土について、その実現が図られたというふうにお考えなのかどうか、その点についてお伺いをしたいというふうに思います。
  65. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生指摘のように、現在、人口の社会移動等の面で東京一極集中状況は新たな局面に入りつつある一方、地方活性化や東京の過密問題の課題も多く残されており、今後一層の努力が必要であると考えております。  本年六月の四全総総合点検報告におきましても、「これまでの全総計画の単なる継続ではない新しい理念に基づいた国土計画の策定が必要である。」との援言も受けているところでありますので、新しい全総計画の策定に当たっては、御指摘の点も参考にしながら、東京圏の諸機能の分担のあり方を含め、検討してまいりたいと思います。  以上でございます。
  66. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 最後に、ポスト四全総、五全総について、私も一言、私見も含めて申し上げて注文をつけておきたいというふうに思うのですけれども、五全総におきましては、全国一律のばらまきではなくて、ぜひ戦略的にめり張りをきかせてやっていただきたい。  特に、東京二百キロ圏内において、高速交通網、高速道路や新幹線やそういった結節点に新しい都市集積を幾つかつくるとか、あるいは三百キロ以上においては新たに政令指定都市を育成するとか、そういうためり張りのきいたビジョンを打ち出してほしいという思いでおりますけれども、この点について最後に長官にお伺いをさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
  67. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生指摘の、全国一律のばらまき政策ではなく云々にもとれますし、とにかくやがて今月の十日には国土審が開会をいたします。また、二十一世紀に向けて、総理並びに長官としても委員の皆さんにお願いをすることになっておりますが、二十一世紀は特に高齢化に向かっての問題等々を含めて、二十一世紀を展望しての全総に力を入れてまいりたいところでありますので、先生指摘の東京二百キロ圏内に新しい都市機能の集積を図るとか、また三百キロ圏以内においても都市の育成を図る等々の先生の御指摘も踏まえて、ひとつ有意義な全総にしてまいりたいと思っておりますので、申し上げたところです。
  68. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 質問を終わります。
  69. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、広野ただし君。
  70. 広野ただし

    ○広野委員 統一会派改革を代表いたしまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず、大臣に所見をお聞かせいただきたいと思いますが、去年の七月、衆議院選挙のときに、大臣地元で、選挙公約として消費税のアップには断固として反対をする、こういうことをおっしゃっておられます。それで、現在まさに税制改革委員会で消費税を三%から五%に上げる法案が審議をされているわけでありますけれども、この点について大臣は今もそういうお気持ちなのか、どういうお気持ちなのか、どういう御意見であるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  71. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 広野委員の御指摘どおり、私は選挙の公約の際に、消費税の廃止に向かって最大限の努力をするということを明確にうたっております。公約違反ではないか、こういう御指摘でございます。  私は、消費税廃止のために最大限の努力をしてまいったつもりであります。その理由を申し上げます。  当時、先生方と同じように私は野党ではなしに与党におりました。税制改革協議会の座長をしており、御案内の渡部恒三さんは副座長で、日笠さんが事務局長でやっておりました。ある日突然、消費税は廃止をして国民福祉税、初めに七%の国民福祉税率というものを考えるというのが、二月の三日午前二時二十分ごろに、当時の総理大臣から発言をされました、私は、反対をしました。反対をして、これについては納得できないということを申し上げました。  そのうちに、書記長・幹事長会談で、それではこれは撤回をするということになりましたが、その内容について、七%ありきでは納得しないということで強く抵抗いたしまして、それでは君が座長になってやれという御命令をちょうだいしました。  それで、内容としては、所得、資産、消費の三税というものを公正、公明に進めていかなきゃならぬ、そして消費税の欠陥は一つ一つ検討して是正をしていかなきゃならぬ、そして新税を含む抜本的な税制改正をやるということでおさまったわけでございまして、その推進のために第一、第二、第三の小委員会を設置して、行政改革あるいは福祉ビジョン、そして最終的に税制はいかにあるべきかという方向で努力をする。  しかし、単独政権の終わった時代で、連立政権になったわけでありますから、我々の主張が一〇〇%通るというわけにはならないと私は思いました。したがいまして、書記長・幹事長会談で決まった、座長としてはその命令に従って進んでまいりましたけれども、我々は政権から離脱をすることになりました。それは、初めに消費税ありきということが強く求められたからであります。  したがって、消費税の七%というもの、国民福祉税の七%というものは納得できない。それでは五%というのはいいのかという反論があるだろうと思うのでありますけれども、この問題については、例えば消費税についてはインボイスを採用する、あるいは限界控除というものを排除していく、そして四千二百億円程度を算出をして、ある程度の、細かくそういう改正を行ってまいりました。  そして、とりあえずいわゆるゴールドプランについては来年度から一千億、その次が二千億、その次が四千億、七千億で前倒しをしなければ、既に一四%の高齢化社会を迎えている現況、間に合わない。しかも、五兆五千億円というものについては修正案が出る模様でございますけれども、ぜひこの三兆五千億というものは恒久化をして、そして一五%というものについては実施をし、その景況なり景気の動向、財政の動向等を見て、我々はこれについては、取り扱い措置はこの二年間で決めていこうということを決めて、連立政権としてはこの程度はやむを得ないという判断に立ち、最大限努力をしてまいりましたけれども、現在の単独政権ではない時代について、連立政権としてはやむを得なかった、断腸の思いで消費税の五%というものはのみ込むということになりました。  したがいまして、県民の皆さん方にはそのことを率直にお話を申し上げまして、御理解と御納得をちょうだいしておるといういふうに私は考えております。  以上です。
  72. 広野ただし

    ○広野委員 その公約のときに、さらにこういうことを言っておられます。将来的には消費税の廃止を目指すが、当面の緊急措置として、逆進性を緩和するため、食料、飲料品の全段階非課税化の実施に向け努力をする、こういうことであります。  今回三%から五%に上げるということによって大体四兆数千億、税収が入ってくる、こういうことになりますけれども、そういう中で、今回、福祉関係に回るお金が余りにも少ないのではないかと私は思うのですね。今おっしゃいましたけれども、数千億円入る、福祉に乗せられる、こういうことであります。  村山政権は人に優しい政治、こういうことを言っておりますが、今大臣言われましたとおり、これだけ高齢化が進み、それこそ私たちも倒れたらどこに入っていいかわからない。例えば特別養護老人ホーム、これは入りたくても入れないような実態に現在なっているわけですね。そして、今大臣言われましたとおり、旧連立て税制改革の座長もやられました。その中でもゴールドプラン、ホームヘルパーをどんどんふやさなければいけな い、十万人から二十万人にふやさなければいけないではないか、こういうこともあったわけであります。  ところが、今回の税制改革では、そういうところには何ら手が入っていない、大部分が減税に回る、こういうことでありまして、本当に、先ほど公約をされていた中で逆進性の問題、こういうことに対しては何ら配慮がされてない、こういうことでありますけれども、いつも大臣が言われる人に優しい政治あるいはその逆進性の問題についてはどういうお考えなのか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  73. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先生から御質問があろうかと思いまして、私の公約の選挙公報を持ってきたのですけれども、こういうことを書いておりますね。   バブル経済がはじけて不況の波が押し寄せ対応が迫られているとき、底が見え始めたとはいえ、未だ不況を脱したとは言えません。外国からも内需拡大を強く要請され、実現しなければ雇用の不安定にもつながります。景気の六〇%は個人消費が占めており、消費の拡大を図るために所得税の大幅減税を(四兆円規模)を実施致します。そして、前回の選挙で約束しました消費税廃止に向かって最大限の努力をし、庶民生活の安定を図ります。そしてその前に、自民党の一党独裁は今幕を閉じ、新たな連立政権の樹立を目指して頑張ります、こういうふうに書いてありますので、どこで言われたのか知りませんが、逆進性はそのとおりであります。  だから、逆進性の点については、言うなれば、その二%の上がった、年金生活者あるいは生活保護家庭、そういう方々についてはできるだけ努力をして、その上がった率だけの一万円ないし三万円というものはお返しをするという方式で出しておるわけであります。そして、七百万円程度から上の方でなければその益がないということでありますから、基礎控除の問題あるいは三百万円を三百三十万からの課税対象にするということで、一つ一つの基礎控除なり扶養控除というものの修正を加えて、できるだけ逆進性を抑えていくという方途を連立政権の中で主張し、そのとおりに実施して、御不満であるとは思っておりますけれども最大限の努力をしてまいりました、こういうことを申し上げるわけです。
  74. 広野ただし

    ○広野委員 ところで、高齢化社会を目前にいたしまして、私は、日本経済が活力のあるときに、本当に豊かな社会を実感できるようなそういう社会をつくる、また活力のあるそういう国をつくっていかなければいけない、そういう骨格となる部分をこの十年でやっていかなければならない、こういうふうに考えているわけです。  ですから、公共投資基本計画というのはこの十月初頭に閣議了解ということになりましたけれども、この六百三十兆に及ぶ公共投資基本計画というのは、非常にこの十年間大切なことだ、そしてまた、日本にとってそういう投資ができる最後のチャンスでもなかろうか、こういうふうに思っているわけです。  ところが、この六百三十兆を実現をしていくためには、並み大抵のことではできない。やはり財源というものが、そういうものも確保されなければならない。ところが、三%から五%に消費税が上がる、ところがこれはほとんどが減税に回って、公共投資の方には回ってこない、こういう実態になっているわけですね。この点について大臣はどういうふうにお考えですか。
  75. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 減税も必要であり、公共投資も必要である。しかし、公共投資を四百三十兆円から六百三十兆円に二百兆円引き上げるということは容易ではない。それを一体どうするか、その財源が問題だ。その財源は、建設国債とかあるいは投融資とか、租税とか公債とかを含めて全体的に考えていかなければならぬだろう。御指摘のように、これから十年間が大きな山なんだ、勝負なんだ。しかも、目前に控えてというよりも既に始まっておる高齢化社会、この高齢化社会にどう対応するかということは喫緊の問題であろうと考えております。  したがって、できるだけ財源確保しなければなりませんし、また減税というものも考えていかなければならぬ。景気を回復をしながら景気を高揚して、そしてそういう諸施策というものを進めていかなければならぬ。だから、高齢化社会はだれもが行く道でありますから、御理解をちょうだいをして、人に優しい政治というのは、建設省にとっては、美しい町だとか、あるいは福祉の町だとか、そして先ほど話がありましたように、文部省もあるいは厚生省も、横の連絡を十分国土庁等ともとりながら、一つ一つ実現していかなければならぬ  それでは急速にいかぬじゃないのか、十年間ではできぬじゃないか、こういうことになるだろうと思っております。しかし我々としては、できる限りの政策を上げて一つ一つ実現をし、皆さん方の期待にこたえ、そして我慢すべき点については我慢していただきながら、徐々に、本当に今喫緊の問題である人に優しい政治都市づくり、そういうことをこれから十分に進めて、我々としては、国土の均衡ある発展と特性のある地域づくり、そして住みやすい住居、そういうものを考えながら建設行政を進めていくという考え方に立っておるということを御了承いただきたいと思います。
  76. 広野ただし

    ○広野委員 この公共投資基本計画の中には十六本の長期計画というものが入っている。特に、道路住宅、下水道あるいは都市公園、治山治水、海岸等、建設省関係は八本あるわけですね。ですから、今までの流れでいきますと、建設省関係は大体六割以上になるのではないかと私は思います。  そういうときに、毎年建設省では、道路局が、あるいは住宅局、そして都市局、河川局がお金が足りぬ、こう言っていつも泣いているわけですよ。そういうときの財源はどうするんだということなんですよ。ですから、消費税の一部をちゃんと使えるようにやればいいじゃないか、私はこういうふうに思っておるわけです。大臣の所見を求めます。
  77. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 建設省としては、予算の要求は、総事業費が大体二十八兆八千億だというふうに覚えておりますけれども、その財源の六兆五千四百億円、その程度はお願いをしなければならぬということで概算要求をしております。  したがいまして、建設国債だけではなしに、消費税も充当すべきかどうか、こういう点については、我々としてはそれだけの所要財源は必要であるということを要求をするわけですから、その中身については、大蔵当局と相談をし、大蔵当局の意向も受けて、これが消費税分だ、これが建設国債分だ、これが一般税金のものだ、こういうような立て分けについては大蔵省が考えていくわけであります。  我々は、今委員お話しになりましたように、建設省としてはこれだけ必要なんです、従来のシェアというのは七割です、だからそれをどうだこうだと言うわけではありませんが、必要な分はこれだけは最低確保していかなければ、本当の意味の、地域も住居もあるいは国土の均衡ある発展もやらなければならぬのですから、これだけの金額は下さいということを要求をしておる。だから、内容についての財源措置については、これは消費税、これは国債というふうな立て分けは今のところは考えておりません
  78. 広野ただし

    ○広野委員 消費税も公共投資に使えるということですね。
  79. 伴襄

    ○伴政府委員 ちょっと事務的に答弁させていただきますが、御案内のとおり、消費税については目的税ではない、一般財源であるということでございますから、当然公共投資のみの財源に充てられるものではないと思っております。したがいまして、色のつかない金であります。充てられるかもわからぬし、充てられないかもわからぬという性質のものじゃないかと思っております。  大臣が答弁申し上げておりますように、今回の公共投資基本計画につきましても、その財源につ きましてははっきり書いてはいないのですが、強いて言えば、整備する住宅社会資本の性格に応じて、租税、公債、財政投融資等の資金をまぜ合わせて、組み合わせて適切にやっていくということになっておりますので、建設省でありますので、財源問題はなかなか答え切れないところがありますけれども、そういう中で的確な財源確保がされるのだろうと期待しておるところでございます。
  80. 広野ただし

    ○広野委員 先ほども申しましたように、公共投資基本計画というのは今後十年間の非常に大切なものであります。しかも、六百三十兆というものでありますから、それがどういうふうに使われるか、そしてまた本当に国民の皆さんが豊かさを実感できるように、そういうような公共投資に回していかなければいけないと私は思っております。  ところで、この六百三十兆というところの根拠なんですけれども、現在の公共投資基本計画は四百三十兆であります。それを九一年から九四年を足しますと大体百八十兆ぐらいいくのですよ。ですから、一年間四十兆以上になっているということなんですね。ですから、九一年から二〇〇〇年までとりますと、四十兆の十倍ですからもう四百兆以上いっている、四百兆いく。そして、さらにもう既に二十兆以上オーバーしているから簡単にそれは達成できる、こういう考え方で今回新たに見直しをしている、こういうことだろうと思います。  そして、今度の根拠をいろいろと経企庁だとか何かに聞きますと、結局何か非常に漢とした話なんですけれども、まず経企庁、来ているでしょうか。――ならば、ちょっと答えていただけますか、どういう根拠で六百三十兆とはじいたのか。
  81. 筧隆夫

    ○筧説明員 お答え申し上げます。  今回の公共投資基本計画の見直しに当たりまして、公共投資の規模検討につきましては、本格的な高齢化社会の到来を間近に控え、豊かで質の高い生活を支える発展基盤を構築するという見地に立ちまして、社会資本が二十一世紀初頭には全体としておおむね整備されるというような水準を目標とし、また経済全体とのバランスを考慮しつつ、規模の設定の検討を行ったところでございます。この結果、計画期間中におおむね六百兆円の公共投資を行いまして、これに今後の内外諸情勢の変化や経済社会の変容等に柔軟に対応し得るような弾力枠三十兆円を加えて、公共投資総額をおおむね六百三十兆円とさせていただいたものでございます。  また、この検討過程におきましては、経済企画庁内に社会資本整備研究会を設置いたしまして御審議賜りまして、計画策定に当たっての基本考え方につきまして提言をいただいておりまして、この提言を踏まえて規模の設定も行わせていただいたところでございます。
  82. 広野ただし

    ○広野委員 要するに、今の話を聞いても根拠は薄弱なんですよ。ほとんどわからない。何で六百三十兆になったのかさっぱりわからないのです。  簡単に言うと、現在大体五十兆円なのですね、五十兆円、九四年で。それを五%で伸ばしていくと大体六百三十兆になるのです。ですから、そういう計算なのですけれども、私はまずそのスタート台からおかしいと思っているのですよ。それで、これは九五年、来年、多分五十五兆ぐらいになると思っております。  特にここは大臣に聞きたいのですが、まず減税をやることと、その減税分を全く公共投資に回すのと、どちらが景気に対して効果があるかということなのですね。  私は、公共投資に回した方がこれは景気の回復には物すごくいいのだ、こういうふうに思っているのです。ですから、今例えば四兆何千億ということを、もしあるとすれば、それを景気の方へ回す、景気振興に充てる。減税に充てるよりも公共事業に充てるんだ、こういうことをやっていけば、まず来年度は五十五兆円の公共事業がやれる。私の試算でやっていきますと、それからスタートすれば大体六百八十兆から六百九十兆、これのものが投資が可能であると私は考えています。ですから、六百三十兆というものはどうやって出てきたのかよくわからないのですよ。もっとやれるのではないかと私は思っております。特にこの十年間というのは非常に大切な、日本にとって最後のチャンスなんですよ。そういうときにきちんとした投資をしないといいものができない。  特に、これがなぜ問題になるかというと、新幹線なんですよ、新幹線。運輸省に後でちょっと聞きますけれども整備五線、これはどれくらいかかりますか、ちょっとお答えください。フル規格でね。
  83. 平田憲一郎

    ○平田説明員 お答え申し上げます。  全線フル規格で整備いたした場合、約七兆円でございます。
  84. 広野ただし

    ○広野委員 七兆円という数字は、大きいといえば大きいです。だけれども、六百三十兆あるいは六百八十、六百九十兆と比べたら一%ですよ。なぜそれができないのか、こういうことです。  大臣、ちょっと答えてください。
  85. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 広野先生の御提言も一案だろうと思います。  ただ、私どもは、内閣を預かる者として、世の中の動き全体を眺めて、重点政策は重点政策でありますが、一挙にやるということではなしに、減税も景気回復には効果がある、そしてまた我々、公共投資というものについても効果がある、いろいろと取りまぜて進めるというふうなことの方が国民の理解を得やすい。  そして、一つだけを重点的に進めてあとはほっぼらかすというわけにならぬですから、全体的に積み上げて進めていくということのほうが政策としては国民の了解が得やすいというふうに考えて、民主政治の原点に立って、徐々に全体の御満足のいく方向をとり来っていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  86. 広野ただし

    ○広野委員 大臣、何か所見が見えないのですよ、そういうことでは。  地方では、あるいはこれだけの国土を均衡ある発展をさせるためには新幹線がやはり何としてでも必要だ。もうどれだけ待たされているか知っておられますか。これを達成する。これからの十年でやらなきゃいつやるのですか。しかも、六百何十兆という投資をやるときになぜやれないのか、こういうことですね。  そして、この間、大臣もそれこそ農業関係、大変御見識があると思いますけれども、ウルグアイ・ラウンドの国内対策、大騒ぎして六兆円ですよ、六兆円。これがなぜ公共投資の中から出てこないのですか。大臣、ちょっと答えてください。
  87. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 ガット・ウルグアイ・ラウンドは、先生方と一緒になって断腸の思いでのんだことを今思い浮かべておりますが、やはり国際公約でありますので、これをやらなきゃならぬ。しかし、農業というのは今極めて厳しい状況にある。だんだん農家を捨てていく、過疎地帯は過疎を呼んでいくというような状況で、我々としては、国土の均衡ある発展、過疎地域は投げておくというわけにならぬ。  だから、農業で生きていける方法を考えていかなきゃならぬ、そのためには抜本的な政策が必要であろう。あるいは負債整理の問題も必要であるし、基盤整備の必要もあろう。そして価格の問題等についても十分配慮していかなければならぬ。こういうことを考えてみますというと、六兆百億円は必要であろう。その上に、いわゆるばらまき予算ではありませんけれども、濃淡をつけながら、実勢に合わせて一兆二千億の交付税というものは考えていく、そういうことは必要であるということを一致して政府は決定をしたわけであります。  だから、私は、あなたの言っていらっしゃる整備新幹線は必要ではないのか、こういうことは必要であります。しかし、運輸省も当然でありますが、我々も、全体を眺めて均衡ある発展ということを考えておりますが、例えば高速自動車道路にしても、後で御批判はあろうかと思いますけれども、もっと必要なところはたくさんあるわけです。だから、我々としては、高速自動車道路をそ の税金でやるべきだ、公共事業として、こういうお話がありますけれども、やはり料金で受益者にもぜひそれらについては受け入れてもらわなければ全体のネットワークはできない、こういう点もございます。  だから、農業もいわゆる建設行政も運輸行政も一体となって進めてきて、皆さん方の期待される方向というものは、一遍に階段を駆け上がることはできませんが、徐々にその方向に向かって進むということだけは間違いないということをお答えしておきます。
  88. 広野ただし

    ○広野委員 ですから、農業対策で一兆円上乗せするのにもう一カ月ほど徹夜してわあわあわあわあやっている。ところが、今の公共投資基本計画についてどこまで詳しく検討したのかよく見えないんですよ。  先ほど経企庁が、研究会やりました、研究会といったって大したことやってないんです。資料も調べない。そこで、例えばもう三十兆とか、すぐ変わっちゃうんですよ。そういう大枠のことを議論するのが政治家なんですね。細かいところばかりやっちゃって、そんなのは役所に任せておけばいいんですよ。だから、大きいことをちゃんとやっていかなければいけないのに、この整備新幹線の問題だってちゃんとやれるじゃないか、七兆円なら。そういうことが全然結論が出てこないんですよ。そして、今のようにコンセンサスだ、コンセンサスだ、そんなことやってたら何も進まない、本当に。  この十年間の間に大きなきちんとしたことをやらないと日本の発展はないんだという、やはりひとつ危機感を持ってやっていただきたいと思うんですよ。私たち、将来子供たちにきちんとした財産を残していかなきゃ、親たちは何をやっていたんだ、こういうことになるんですよ。ですから、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。  ところで経企庁、経企庁もまた全然勉強してないというのがおかしいんですよ。このときに公共投資に例えば回すのがいいのか、今回減税に回すのがいいのか、その点についてどんな検討がなされているのか、ちょっとお答えください。
  89. 筧隆夫

    ○筧説明員 お答え申し上げます。  今回の公共投資基本計画の財源について、どのような考えで取り組んだかという御趣旨の御質問かと思います。(広野委員「いや、今度の税制改革で、減税をするのがいいのか公共投資にやるのがいいのかという意味ですよ」と呼ぶ)  公共投資基本計画策定に当たりまして、私ども、二十一世紀初頭までを展望した長期的な計画という性格でございますので、その具体的実施に向けての財源につきましては、各時点での経済財政事情を踏まえながら、国、地方、公団・事業団等各種公的企業、こういった複数の事業主体にまたがるものでございますので、これは、公共投資基本計画が想定いたしますそれぞれの社会資本の性格に応じて、租税、公債、財投資金等を適切に組み合わせて対処していくことが重要ではないかと思っております。  そのような観点で引き続き検討を進めてまいる必要があろうかと思っておりますが、いずれにいたしましても、本格的な高齢化社会を控えまして、後世代に負担を残さないよう、今後の計画期間におきましても、財源についてはさまざまな観点から十分検討を進めまして、各時点での経済財政事情を踏まえながら、可能な限り公債依存度を引き下げつつ、税財源を充当できるよう努めていく必要があるんではないか、かように考えております。
  90. 広野ただし

    ○広野委員 役所の皆さんにこういうことを聞いても申しわけないので、初めからこういう問題について政務次官に来てくださいと言っていたんですよ。  だから、公共投資に回せばそれは波及効果でも大体二・何倍になるわけですからね、二・三倍だとかいろいろなことになるわけですよ。ですから、そちらの方を重点にする。減税で今一人当たり五万円戻ってきたということだったって、それで何が残るんですか。公共投資できちっと整備新幹線等をやる。あるいは空港ですよ。空港って本当に大切。  関西空港ができました。それで、あのときは中曽根内閣の民活で、株式会社方式でやった。ところが、そのおかげで大変着陸料が高い、海外と比べてめちゃめちゃ高いわけですね。ですから結局は、みんな地方から海外に行くときにソウルヘ行って、そこから乗りかえて行っている、こういう実態なわけですね。ですから、本来であればこの関西空港が国際空港として、アジアにおけるハブ空港として本当に発展を遂げるべきところを、ちょっとしたお金がないものだからそういうことができないわけですよ。  関西空港だけじゃない。これから中部国際空港もやる、そういうときに、この公共投資の中にどういうふうにこれが位置づけられているのか、こういうことが明確にわからないわけですよ。大臣、何か知っておられますか、その点。
  91. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先生、ここは予算委員会じゃなくて建設委員会で、今のお話は運輸省の関係で、私は責任者でここにおりますのでお話ししますけれども。  今先生がおっしゃったように、新幹線が必要じゃないか、七兆円でやったら効果あるじゃないかとおっしゃいましたね。だから、今も国際空港化をもっと強力にしていかなきゃならぬ、みんなあるんですよ。空港も必要であれば新幹線も必要である、道路も必要だ、川の洪水対策等も必要である、みんなまんべんなく進めていくためには、一挙に一つの問題に絞ってあとはどうでもいいというわけにはならぬのが政治のあり方だと私は考えておるわけです。  だから、そういう点について四百三十兆円を進めたときに、細川内閣当時あなた方と私も一緒にやっておりましたけれども、そのときにも、四百三十兆円というのは政府の金だけではなしに、民間の活力をも導入をして全体的に十年間で四百三十兆円、そうしなければ一年間に四十三兆円ずつこの公共投資に回すというわけではなしに、それではなかなか進んでいかないから、アメリカ等からの要求もあるし内需の拡大も必要だ。  だから減税をやって歳出をお願いし、景気回復をやろう、公共投資も見直して波及効果を出しながら景気回復につながっていこう、両々相まって進んでいくというのが私は政治のあり方、民主政治のあり方ではなかろうか、こういうふうに考えて、あなたのように目に見えて一挙にやれということは非常にわかりやすいことでありますけれども、そこは国民の合意というもので全体的に進めていくという方向をとっていかなければならぬと思っております。  ちなみに厚生省では、今先生がおっしゃったように、もう高齢化社会が来ておるんじゃないか、だから一千億や二千億や四千億出したってちっとも前倒しにならぬじゃないか、こういう要求もあるわけです。だから、それらを総合してやっていくというのが政治のあり方ではなかろうかな、こういうふうに考えておりますので、その点は御了承いただきたい、こういうふうに思うのです。
  92. 広野ただし

    ○広野委員 いや、私もそういう総合的なことはよくわかっています。それはもう痛いほどわかるんですよ。だけれども、将来日本が発展しなければ、どんなに福祉をやりたくてもできないんですよ。だからきちっとしたことをやらないと、今でも日本はこれだけの円高で、海外にどんどん空洞化して失業率がじわじわ上がってきている。そういう事態にある中で、ではどういう形で日本全体を発展をさせていくのか、公共投資、それをまた地方にどういうふうに配分をしていくのかということがまた問われているわけですね。  私は、やっぱり田中角栄さんというのは偉かったと思うのですよ。日本列島改造論というのをやって、日本全体を活気ある、そういうものにしなければいけない、均衡ある発展をしなければいけないということでやってこられた。いろんな点の問題もありましたけれども、しかし大したものです。  ところが、いまだに東京一極集中というものが 直らない、いろんな計画が立てられるけれども全然直らない。そして、これから投資をしていくときに、それこそ空洞化しますから、空洞化するから国内へ投資する人なんてもういないんですよ。国内へだんだん投資しなくなって東南アジアヘ投資しているんですよ。そういう中にあって、全国総合開発計画というものはどういう形で進めるのか、本当に単なる格好だけの全国総合開発計画であっては、ポスト四全総であってはならないわけです。このままほっかってたら、大変な失業が地方で出てまいりますね。その点について、国土庁長官
  93. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 現在、人口の社会移動等の面で東京一極集中状況は新たな局面に入りつつある一方、地方活性化や東京の過密問題等の課題も多く残されており、今後一層努力が必要であると考えております。  また、御指摘のように、円高、経済のボーダーレス化等に伴い、今後海外への生産シフトが進めば、地域経済に対しても大きな影響が懸念されております。本年六月の四全総総合点検報告でも、同様の認識に立って、地域の経済基盤を、「国内外の地域間競争に耐え得るものとしていく必要がある」と指摘をいたしております。  国土庁といたしましては、現在新しい全総の策定に向けて準備を進めているところであり、経済のボーダーレス化等を踏まえ、今後の我が国産業の方向と地域振興のあり方についても、重要な課題の一つとして検討を進めてまいります。  以上でございます。
  94. 広野ただし

    ○広野委員 ぜひ新四全総というのですかね、それに魂を入れていただいて、今まで全部プランはできたけれども、東京一極集中というものが直らない、そしてまた地域では過疎化がどんどん進む。そして今度は円高で、そういうボーダーレスの時代になってきて、なお投資する人がいなくなる、そういう実態がもう見えているわけですからね。本当に魂の入った計画をおつくりいただきたい、こういうふうに思います。  ところで、高速道路の料金値上げの問題ですが、羽田内閣公共料金年内値上げストップということをやりました。ところが今度の自社さきがけ村山政権、すぐにそれを撤回して高速料金値上げということになりました。現在民間は大変なリストラをやって、働いている人は賃金は上がらない、そしてまた場合によっては失業の不安もある、こういうような状況なわけですね。  そして、そのところへまた何というのですか、今度は年金の掛金が上がりますわね、二%上げる、こういうことになります。さらに、ボーナスからも掛金を払わなければいけない、こういうことになります。電話料金もまた上がりますね。そしてまた高速を使えば、結局マイカーの人たちは高速料金の値上げ分を負担される。こういうような状況で、何が人に優しい政治だ。口では人に優しい政治と言いながら、どこが人に優しいのですか。ちょっとこれは大臣お答えいただきたいと思います。
  95. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 委員の御指摘のとおり、羽田内閣時代に、年内は凍結をする、こういう御決定がございました。我々はそれは引き継がなければならぬ、こういうふうに考えて、年内の凍結はもちろん行ったわけであります。  ただ、二十一世紀初頭までに一万四千キロメートルというものは実施をする、現在は四九%でございます。昨年の十一月に、当時の建設大臣が許可命令を出した、施行命令を出したのが十一月でありまして、千百八十四キロメートル、こういう状況でございました。各地域からは、先生も富山県の方でございますけれども、あそこからも、高速自動車道路をぜひやってほしいというのは全国に相次いで出てまいりまして、少なくとも工事は実施してもらいたい、こういうことでございました。  考えてみまして、私も就任をしてから、これは今おっしゃるように税金だけでは実施はできぬだろうかというふうにも考えてみましたら、試算をしてもらいましたけれども、国税でやっておるということになれば十分の一程度しかできぬ。それだったら、高速自動車道路というのは具体的に受益者負担というものはやむを得ないな。しかも、今御指摘になったように一極集中排除ということにもつながる。しかし、一定の速度で走っていくわけですから燃費の節約もできるだろう、あるいは三日で行けるところは一日でも行ける、そしてまた荷物も傷まないし自動車も傷みが少ない。  だから、それ以上に負担をかけるということは難しい、今までの三十年で償還というのは四十年にしようじゃないかということで、日本道路公団から一〇・六%の要求がありましたけれども、一年目は七・二%で出発をしたい。しかも一月からということではなしに、四月十日というのがみそじゃないかというような話がありますが、転勤や学校の入学の問題も考えて、まあぎりぎり四月十日ということになれば一応の了解が得られるだろう。  そして、トラック業者その他等は随分とお困りでございますから、それらについては六百万円を七百万円に引き上げて三〇%割引ということにいたしました。そしてまた、通勤通学の場合でも定期券は割引がしてありますので、一遍に先払いのように、NTTとか国鉄で売っておりますカード、そういうものについて、お金のことは、今度は五万円で五万八千円分の利用ができるようにする。こういうようなことを配慮しながら我々は実施に踏み切る、こういうことにいたしました。  特に先生から御指摘ありました心身障害者の皆さん方については、今までは御本人が運転しなければ割引をしなかったわけでありますけれども、介護者が運転をしても結構、それは五割の割引をしよう、これが人に優しい政治建設省の具体的な考え方でもあろうというふうに考えて、あえて進めました。そして承認をして、直ちに着工はいたしておるところでございますが、来年の四月十日に七・二%で出発をするということにいたしたところでございます。  なかなか容易に、費用負担の点もございますけれども、この点については受益者の皆さんあるいは各地方の知事や市長さんの御意向等も十分に踏まえて、また先生方の御意見等も十分聞いた上でそのように決断をして、上げることについては、私も断腸の思いでありますけれども、全体の今後の繁栄と発展ということを考えればやむを得ないというふうに決断をした次第でございます。
  96. 広野ただし

    ○広野委員 私も、高速道路は着実に建設をしていかなければならない。特に千百八十四キロの施行命令が去年出た、それもやっていかなければならない。だけれども、それが直ちに料金値上げに反映をされる、ここがやっぱりおかしいのですね。だから私は、一つは、道路公団の経営努力というものが、あるいは経営合理化という問題があろうかと思います。  だけれども、もう一つ、料金プール制というところにさっき言っていたような国費を入れなければいけないのですよ。もっと真水を入れなければいけないのですよ。そういう工夫、六百何十兆というでっかい話をしながらここへ全然入らない、これがおかしいのですね。ですから、そうすれば本当に料金の値上げなんかも抑えることができるのですよ。その点どうですか、大臣
  97. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 もちろん、一〇・六%を七・二%にした根拠は、日本道路公団鈴木総裁をお呼びして、私が就任する直後、こういう話があるから、あなた方はこの一カ月間の間にリストラをやってどれだけ節減ができるかということを徹底してやってほしいという申し入れをいたしました。  一カ月後に提案が参りまして、一年間で維持費は四十一億円、そして建設費は四百八十億円の節減ができます。それ以上やってほしい、もっとスピードを上げて進めていかなければならぬじゃないか。とまるところが料金所なものですから、あそこの料金所をとることはできぬかということで、今の時代は光ファイバーの時代でありますからそれでやって、あそこでとまらないでそのまま進める。私は性善説を信じておりますので、日本 人には悪いことをする者はないと思っておりますけれども、そういう格好で後払いでも結構、こういうふうな考え方でまず進めました。  だから、きょうもパーキングエリアでいろいろと衝突をして塩酸等が流れましたけれども、ああいうことがないように、すぐ入ってできるように広々としたそういうエリアをつくっていかなければならぬ。こういうふうに、節減と合理化とサービス向上というものを考えていかなければならぬというふうに作業を進めてまいりました。地域の国税を使うところは、あなたと一緒に協議したところも生活者優先ということを随分言いましたね。  だから、まずそういう高速自動車道路等については公害や災害は少ないわけですから、その生活者重視で国道や県道や市町村道というところに国税はぶち込んでいこう。そして、いわゆる地域の富山県その他のところは、我々のところもそうですけれども地域高規格道路というものをつくり上げて、これから率直にできるだけこれは国税中心で進めていこう、そしてそういう縦貫の道路について肋骨をつくっていこう、そうしなければ今の農業の農産物の輸送その他についても流通にしても十分ではないというふうに考え、そういうところに金は突っ込んでいかなければならぬというふうに思いました。  そして、もう一つお話がありましたいわゆるプール制というのはおかしいじゃないかという意見があるにはあります。私もよく先生と同様に知っております。ようけ通るところは料金が安くてもいいのです、独立採算制なら。しかし、過疎に行ったら高く取らなければならぬ、独立採算制だと。そういう採算の合わぬところは絶対につかないということになるわけです。だから、全国プール制で国土の均衡ある発展を我々としてはぜひ進めていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますけれども、いろいろな意見がありますので、今道路審議会を開催していただいて、プール制の問題や民間の問題や移管の問題やそれぞれについて、抜本的な内容について御検討いただくということにいたしております。  また、日本道路公団は、道路公団の役職員、建設省の役職員を除外いたしまして、学識経験者や消費者の皆さんやそういう方々が中心になって、さらにリストラができないか、合理化はできないかということで徹底的に詰めていきたい、こういうふうに考えて、国土の均衡ある発展と同時に一極集中を排除するという立場も十分に勘案をしながら、採算も頭の中に浮かべて、十分論議をしていただくように今提案をし、検討のさなかでございます。  以上です。
  98. 広野ただし

    ○広野委員 道路公団総裁もおいでですので、まずは道路公団、徹底的なやはり合理化、経営の効率化というものを図っていく。これは民間が大変なリストラをやっていますので、そういう点まず一つお聞きしますが、そのほか私は、ちょっと時間もなくなってきたのですが、そういうリストラのほかにもう一つ、道路公団で私はやるべきことがいっぱいあるのではないかと思っているのです。それは前向きなものなのですね。  どういうことかというと、道路だけでもうけようというのはなかなか大変なのですね。鉄道と一緒なのですよ。私鉄で料金がぐっと抑えられているときに、なかなか民間、私鉄がもうからない。ところが、総合的な開発をやる、沿線開発をやる、あるいはデパート的な複合的な経営をやる、そういうことによって随分前向きな対処もできるわけなのですね。  私は、具体的に言いますとインターチェンジなんですよ、インターチェンジ。今までは、鉄道は駅前を中心にして発展をいたしました、駅前開発というのを。ところが、これだけの車社会になりましたから、車社会ではインターチェンジが駅みたいなものなのですね。インターチェンジを中心にして発展を遂げるということだと思うのですよ。ですから、インターチェンジをつくるときに区画整理ですとかアクセス道路だとかそういうものをきちっとやって、あるいは土地総合利用計画を全部考えて、そうすればこの地域にはショッピングセンターは出てくる、あるいは企業は出てくる、住宅開発は行われるという総合的なものが出てくるわけですよ。  ぜひ、そういう面でいろいろな規制もあろうかと思いますけれども、私はそういう規制も取っ払って、公団が複合的な経営ができるようなそういうことまでやっていけば、リストラで一方は徹底的にやらなければいけない、しかし片一方はまた前向きなこともやる、こういうようなことが相まって公団の経営にもいい面があるのではなかろうかと思いますので、総裁お答えいただきたいと思います。
  99. 鈴木道雄

    鈴木(道)参考人 まず、経営努力でございますけれども、従来も、日本道路公団では事業量がかなり増大している中で事業の業務の効率化を進めまして、職員数あるいは組織を抑制するよう効率的な事業の執行に努めてきたところでございます。  ただ、今回の料金改定に当たりまして、公聴会やあるいは物価安定政策会議特別部会等におきまして、先生指摘のようにさらなる経営努力を行うべきだという御意見が大変出ております。そういうものに対処すべく、先ほど大臣からも御発言がございましたけれども、四月二十五日にこの経営合理化方策について建設大臣に報告を行ったところでございますが、これに基づきまして、建設費、管理費等の経費の節減をさらに行う等、最大限の経営の合理化に今後取り組んでまいりたいと考えております。  またさらに、これも大臣から御発言がございましたけれども、経営改善、道路公団だけでは不十分だということでございますので、両者の立場に立った一層きめ細かなサービスを実施するために、民間の経営合理化に関するノウハウを幅広く吸収することも必要である。そういう認識に立ちまして、経済界を初めとする各界の有識者によります経営改善委員会を設置いたしまして、経営の改善等に関する提言や助言をいただいて今後の事業運営に反映させたい。これは、第一回を十月十九日に行っているわけでございますけれども、そういう経営改善委員会の御意見を聞きながら、徹底した経営の合理化に努めてまいりたいと考えております。  それから二番目の、インターチェンジ周辺の開発事業に公団がもっと積極的に参画して、これを公団の事業としてやって経営の採算に寄与すべきだという御意見とは思いますけれども、現在の開発インターチェンジにつきましては、道路公団としてもこれに取り組みまして、周辺の開発者と一緒になって開発インターの整備に努めているところでございます。  ただこの場合には、公団としては開発インターチェンジによる交通量の増加による増収ということにとどまっているわけでございます。したがいまして、先生指摘のような直接開発をするということは、現在の場合には法的手続、公団法改正ということでございますからできませんし、また、若干そういった事業のリスクをどうやってこれを将来対応するかという懸念もございますけれども、これからの公団の経営、厳しくなってくるわけでございますので、今御指摘の点、開発利益を直接吸収できるかどうかについて、公団としても今後積極的に検討をしたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  100. 広野ただし

    ○広野委員 まさに開発インターですとかそういうものを通じて、私の富山でも今度新しくインターチェンジをつくるということが構想になっていて、間もなく着工ということになってくるかと思います。  ところがもう一つの、今まであるところで立山インターというのがあるのですけれども、それはもうただ車がおりたり上がったりということだけなんですよね。その周りの土地利用計画全体を見直せば、物すごく開発計画があるのですね。そして、総合的なものにこれからしていかないと、ただ路線を通したというような話だけになってし まって地域開発効果がないのですね。そういうような点をぜひこれからも考えていっていただきたいと思いますし、大臣あるいは建設省でもそういう点もお願いをしたいと思います。  それでもう一つ、時間が若干超過いたしますが、現在の景気状況の中で大変不良資産といいますか、金融もこの間実質倒産みたいなことが行われて合併をしているわけです。その根っこにあるのは、バブルが崩壊をしたその根っこのものが残っているわけですね、不動産不況、いろいろな不良資産が残っている。こういう中で私は、それをきちんと整理しないとなかなか景気が底離れしない。景気が、明るいものは見えてきたけれども、なかなか底離れしない、こういうような状況であります。  そういう中で、今非常に問題になっておりますのは地価税ですよ、地価税。固定資産税の評価がえをやりながら、また地価税もある。こうなりますと物すごく、今まで何も益を得なかった土地で税金を払わなければいけない、こういうことになっているので、私は地価税の見直しというのは早急にやらなければいけない。しかも、来年見直し時期なのですよ。  ところが、武村大蔵大臣は否定的だ。そしてもう一つ、建設大臣は比較的前向きだというふうに伺っていますが、国土庁はまだ地価の高騰のおそれありというようなことで、地価税のことについては前向きじゃないのですよ、撤廃について。この点についてお聞きしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  101. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 大都市圏の地価が下落傾向にある中で、大都市周辺の値ごろ感が出た地域を中心に、需要に基づく土地取引が活発化しており、一次取得者用マンションを中心に取引が大幅に増加いたしておることは、先生御承知のところであります。  地価は、住宅価格等を決める大きな要因であることにかんがみ、土地基本法の基本理念に沿って、総合的な土地対策の一環として導入された地価税につきましても、二度と地価高騰を生じさせないため、長期的、構造的観点から着実な実施に努めていく必要があると考えております。
  102. 広野ただし

    ○広野委員 どうもありがとうございました。
  103. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、大口善徳君。
  104. 大口善徳

    大口委員 改革を代表いたしまして、短い時間ですが質問させていただきたいと思います。  まず、大臣にお伺いいたします。  大臣、日本海新聞で、昨年の衆議院選挙におきまして、いろいろとアンケートにお答えをされておられます。その中で、政治改革につきまして、「自民党長期一党支配による金権腐敗政治の打破と、政官財の癒着構造を断ち切ることによって、政治への国民の信頼を回復することが政治改革基本です。」ということで、自民党の一党支配と、それから政官財の癒着の構造を断ち切る、これをまず政治改革の第一番と言っておられます。  それから、いろいろなことをおっしゃっているのですが、二番目に「政治家の収入と資産公開の推進こういうことを力強くおっしゃっております。  また、「政界再編」の欄におきましても、「自民党の一党支配に終止符を打つことであります。」ということで、政界再編の主眼は、自民党の一党支配に終止符を打つことである、こういうふうにおっしゃっておりますし、また、「崩壊していく自民党・保守政党に対抗できる政治勢力の形成を目指します。」このようにおっしゃっております。  このような、昨年の衆議院選挙における新聞社のアンケートに対して、今どのように、これについて所見あるでしょうか。
  105. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 選挙公約は、あるいはアンケートはそのとおりだったろうと思っております。  私は、当時、あの総選挙というのは、リクルートに端を発した政治改革というものがあって、それは、自民党の体質としては金権腐敗の体質であった、したがって、一党支配の自民党の政治については終止符を打たなければならぬ、当時そういうふうに考えておりました。  我々は、百四十名が七十名になりましたけれども、言うなれば、一党支配は終わって連立の時代に入った、こういうふうに考えております。連立の時代に入って、お互いに譲り合って政策合意を進め、そのことが民主的に進むことによって、日本の皆さん方の、国民政治になり得るというふうに考えて連立に入りました。  しかし、連立の場合は、政策も重要でありますが、何よりも担保として、信義と信頼だと私は思っております。信義と信頼のなき連立政権意味がない、こういうふうに考えておりまして、今お話がありましたように、連立政権が誕生して自民党の一党支配は終止符を打った、こういうふうに御理解をいただきたいと考えております。
  106. 大口善徳

    大口委員 それでは、パートナーがやはり金権腐敗体質というものをなくさなければ、これはパートナーとして組めないと思います。  また大臣は、その昨年の衆議院選挙のときに、時の大蔵大臣あるいは建設大臣は平気で選挙資金を建設会社や銀行に頼んでいる、こういう自民党の体質は全く変わっていない、こういうふうにもおっしゃっております。自民党に任せたら政界腐敗は永遠に続いてしまう、このようにもおっしゃっているわけですが、それではそういう金権体質とかあるいは政官財の癒着、そういう体質といいますか、そういうものは変わったと認識しておられますか。
  107. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 一言で言えば、変わりつつありますということを申し上げます。  言うなれば、金権体質の自民党は、御案内のとおり、例えば自民党が変わったというのは何かとおっしゃれば、派閥というものがありましたけれども、今派閥の領袖の皆さんは、五役会議には一人も顔を出していらっしゃらない。そして、一遍出た河野さんがセンターにおる。二百数十名の自民党が七十三名の社会党に総理を譲る。こういうことだけを見ても変わったということが言えますし、企業献金の政治腐敗の防止法の問題等については、十分検討してこれから提案をする。  そういう意味では、五五年体制は終結を見て、改めて民主的な信義と信頼の上に立った連立政権というものをつくり上げていく、これが我々の今の連立政権基本的な考え方である、こういうふうに思っております。
  108. 大口善徳

    大口委員 それでは、変わりつつあるということは変わってない部分もある、こういうことだと思うのですね。その問題点について言っていただきたいということ。  あと、竹下さんの復党問題があります。これについてはどう考えておりますか。
  109. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 後の問題から答えますけれども、竹下さんの復党問題については、これは自民党の問題なんです。自民党でいろいろと御検討いただく。前から私が聞いておるところは、脱党はしていないけれども会派から離脱しておるというふうに聞いておりますので、その辺は、ほかの党のことに余り干渉はできませんのでよく承知しておりませんが、また後で調べてお答えをすればと思っております。  それからもう一つは、変わってないところ、変わりつつあるというのは、我々が政権についてからまだ四カ月程度です。まあ羽田さんは二カ月でしたけれども、そういうことから考えてみますと、変わりつつあるというのは、例えば一遍に変わる、ぱっと変わるというふうなことにはならぬので、だんだんよくなっていくような方向を今たどりつつある。
  110. 大口善徳

    大口委員 ですから、その自民党が変わりつつあるということは、変わってない部分もあるわけですね。その自民党の体質の問題点についてお伺いします。
  111. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 私は、自民党は変わりつつあるし、十分改革については考えておる。例えば綱領問題についても、綱領委員会が設置されて、改めて十分検討するというふうな段階に入っておりますから、変わりつつあるということを申し上げておりますが、全部変わり切っだということは、まだ時間の関係からでき上がっていないけれども、 そういう意味で変わりつつある。  どこが変わっていないかということになりますと、そこはどこかと言われるとなかなか答弁に苦しみますけれども、悪いところは、皆さんから批判があるところは是正しつつあるということだけは言い得るというふうに思っております。その努力をされておるということについては、十分我々は理解し、納得をするところでございます。
  112. 大口善徳

    大口委員 アンケートによりますと、非常に厳しく自民党のことを批判されているわけですが、パートナーになった途端、どこが悪いのかも明確に言えないということで、これでもって国民に対して責任ある政権を担っておられる閣僚のお言葉なのかと、非常に今不安に思ったわけでございます。  それで、大臣政治家の資産公開のことを強くおっしゃっておられますが、政治家の資産公開について、どういう部分を今まで大臣になって推進してこられましたか。どうでしょうか。
  113. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 国民の目の高さで見て、政治家はすべての財産その他は公開をして、そして国民とともに透明性のあるものを明らかにしながらこれからの政治をつかさどっていくということが一番いいことであろう、国民の皆さんに安心感も与えるであろう、こういうふうに考えておりますので、資産公開は必要であるというふうに認識をいたしております。
  114. 大口善徳

    大口委員 国会議員の家族についての資産公開は義務づけられておりませんが、この点についてはどうでしょうか。
  115. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 家族の問題については、私はもう一人でおりますので私一人の財産しかありませんが、女房は死んだものですからありませんけれども、家族も全体のものについて公開をしなければならぬ、その点についても一考すべきだとは思っております。一考すべきだとは思っておりますが、ただ、私は、財産を隠すために人の名前にしたり女房の名前にしたりするというようなことは恥ずべきことでありますから、きちんと自分の財産というものは明確にして、奥さんの場合についてはこれから皆さんで討議をして、どうあるべきかということについての結論を得たいと考えております。
  116. 大口善徳

    大口委員 それでは次に、住宅規制緩和の問題についてお伺いいたします。  平成三年の調べによりましても、為替レート一ドル百二十五円で計算しましても、日本の住宅の価格はアメリカの住宅価格の二倍となっている。また、ことし建設省の方で五月三日から十四日、アメリカの状況を調べてこられたわけでありますが、そこにおいても為替レートでいって一・八二から一・九五倍になっている、こういうことでございます。ことし四月に、住宅建設コスト低減に関するアクションプログラム、これを策定して、二〇〇〇年までに建設コストを三分の二程度にすることを目標にしているわけでございます。これにつきまして、大臣取り組みいかん、お願いします。
  117. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 詳細にわたってはまた住宅局長から答弁させますけれども先生指摘のとおり、二〇〇〇年までには三分の二にしていかなければならぬ、そういう決意で住宅建設というものは指導してまいりたい、このように考えております。
  118. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいまのような大臣の考えに沿いまして、具体的には、二〇〇〇年までに三分の二にしようということで、一つはコストを具体的に低減する。これは、生産システムを合理化するとか規制関係の合理化を図っていくとか規格化をするとか直接的な部分と、それから規格型を普及するとか情報を消費者によく伝えるとか、そういうことを通じた市場環境を整えて、競争条件を整えてやっていくというようなことで構成をしているわけでございます。  その中でも、特に現実に姿を見せようということもございまして、三年以内に幾つかのリーディングプロジェクトを実施して、具体的な、実証的にもやっていこうというような内容になっているところでございます。
  119. 大口善徳

    大口委員 特にこのリーディングプロジェクト、これは非常に大事だと思います。平成六年、本年度から三年以内に実施する、こういうことなんですが、進捗状況はどうなっていますか。
  120. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいまのプログラムの中で、リーディングプロジェクトというのは幾つか設けでございます。  いわゆるプラス・YOUという比較的基礎だけを、基礎的な部分を中心にした住宅を普及していこうじゃないかというものでございますが、これにつきましては、一つは、民間事業者を対象に、年度内にも提案募集を行おうというつもりで準備を進めております。これにつきましては、平成八年には実際の現物を供給できるということでやろうとしております。それから、プラス・YOUのいわば公団版に当たるわけでございますが、公団でもモデル事業を実施しようということで、既に用地の選定等の作業に取りかかっているところでございます。これも平成八年度には分譲できるようなことに持っていこうということでございます。  それから、もう一つのリーディングプロジェクトは産直住宅でございますが、これにつきましても具体的に、従来からも一部はあるわけでございますが、積極的にやることについては林野庁とも共同してやろうということで、具体的な検討に既に入っております。  それから、輸入住宅がもう一つのリーディングプロジェクトでございますが、これは通産省あるいはジェトロ、そういうところと協議会を設置をいたしまして、輸入住宅に関する情報提供システムというものを、窓口をつくるとかそういうことを具体的に検討しておりまして、例えば建築センターなどでは既に窓口を開いているというような進捗状況でございます。
  121. 大口善徳

    大口委員 特にこういう円高の状況でございますし、日米間の問題もございます。そういう点で、この海外の建築資材の円滑な導入ということで相互認証制度、これを推進していかなければならない、そう考えておるわけでございますけれども、これにつきましては、カナダあるいはデンマーク、フランスとの交渉、そしてまたアメリカとの関係がございます。それにつきまして、今の状況をおっしゃってください。
  122. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 海外資材が日本に参入するにつきましては、いろいろな基準法上の手続等が必要になるわけでございますけれども、それをお互いの国が円滑にやっていこうということで、相互認証制度を積極的に進めようということで、これは私ども日本の側が提唱をしているわけでございますが、既に今先生からお話がございましたけれども、フランス、デンマーク、カナダ、それとアメリカというところと具体的な協議に入っているところでございます。  このうち、フランス、デンマーク、カナダにつきましては、相互認証を推進するということで、文書で確認をしているところでございまして、おとといにはあちらの、カナダの大臣と私どもの建設大臣が、改めて積極的に進めるという意味での合意についても署名をして、積極的に我々に指示が来たところでございます  こういう状況にございます。
  123. 大口善徳

    大口委員 それぞれ進めておられるようですが、早くそういう相互認証制度実現されて、安い建設資材の輸入を図っていかなければいけない、こう思うのですけれども、その見通しですね。今、その覚書等について、私も交わしたと聞いておるのですが、実際にそういう相互認証制度というのは、動いていくのはいつですか。
  124. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 それぞれの国におきまして、この認証制度というのは、技術的な背景なり風土に根差した技術の体系なりによって組み立てているわけでございまして、例えばECなどでは、当然ECの中でのそういうことに積極的に取り組んでおられますが、これにつきましても、ECの中でもなかなか簡単には進まないというのが実態でございます。そういうこともございまして、相互認 証制度そのものがどういう形でいつまでにできるかということは、必ずしも明確に時点を今の時点で申し上げられません。  それとあわせまして、外国の検査データ、向こうで試験をした、試験方法は違っても向こうの試験データは積極的に我々としてはそのまま評価をするというようなことをつなぎながら、お互いの今の問題を進めていこう、それを積み上げていくことによって試験方法そのものもお互いが共通になるような方向に、具体的な動きになっていくであろう、そういうことで相互にやっているところでございます。
  125. 大口善徳

    大口委員 そういうふうに、規制緩和の中で、行政改革推進本部、その中で住宅・土地作業部会がいろいろと仕事をされて、そして今回一つの規制緩和というものが出されたわけでございますけれども、やはりその中でも指摘されておりますが、住宅の価格の引き下げ、こういうことを推進していくためにも、市場原理が有効に働くようにしなければならないと。特に経済的な規制、これはもう思い切って緩和しなければいけませんし、また土地の利用・建築規制、これにつきましても、社会経済の情勢が非常に変化しておるわけでございますから、これを見直しをしなければならないと思います。  そういうときに、タイミングよく建築行政の監察が総務庁より本年の八月に出たわけでございます。この中で、いろいろ建築行政について、また規制緩和について、かなり具体的に踏み込んで勧告を出しておるわけでございます。これにつきまして大臣に、この勧告について具体的な中身のことを読まれたのか。それから、これに対する取り組みをお伺いしたいと思います。
  126. 原隆之

    原政府委員 まず私の方から、事柄の中身につきまして御説明をさせていただきたいと存じます。  今、先生指摘の、本部の決定を受けまして七月五日に「今後における規制緩和推進等について」ということを閣議決定をいたしたわけでございます。御案内のように、土地・住宅関係で六十項目あるわけでございますが、そのうち私ども建設省関係は三十八の項目があるわけでございます。この検討あるいは実施のタイミング等については、御案内のとおり、平成六年度以降順次実施をしていくという中身になっているわけでございまして、私ども、現在その実施を最大限努力をしているわけでございます。  なお、これ以外にも内外の規制緩和の要望を把握をしろという御指示もございまして、現在私ども、既に決まった事柄の実施の検討と、それから内外の要望の聴取という新たな対応の、両方の側面から一生懸命努力をしているところでございます。
  127. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今、審議官から御答弁申し上げましたように、七月の五日に閣議で決定をいたしました「今後における規制緩和推進等について」というものについては、今言いましたように三十八項目、建設省全体で、家屋、土地関係を含めて現在四十七項目を推進しております。  したがって、今お話がありましたように、御指摘のありました斜線問題、そういうような点については、一つ一つ丹念に具体化をするために作業を進めておるというのが現状でございまして、今後も規制緩和推進計画の取りまとめによって、建設省としてもこれまで決定されている規制緩和方策の早期具体化を図って、御期待に沿いたいというふうに考えております。
  128. 大口善徳

    大口委員 それと総務庁からは行政監察、これが出ましたね。これについて読まれているのか、そしてこれに対してどう考えているのか。
  129. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 住宅局長からも説明いたしますが、含まれております。
  130. 大口善徳

    大口委員 それでは具体的にお伺いいたします。  いろいろ、一級建築士さんとかいろいろな方々から規制緩和の要望がございます。特に、現場で木造三階建て住宅建築するに当たってネックになっているとか、いろいろとそういうことを聞きますので、きょうはその点につきまして、ちょっと細かい話になりますがお伺いしたいと思います。  一つは道路の斜線制限についてなんですが、建築基準法の施行令の百三十条の十二で、多少道路を後退させるということによって斜線制限を緩和しているわけでございます。その中で、後退距離の算定の特例の中で、玄関のポーチというのは、これは後退距離の算定の基準に入らない。ところが軒先につきましては、これは対象になる。また出窓につきましても、これは対象になる。こういうことなんでございますけれども、ポーチについては、これは対象にならないということなのですが、軒先とか出窓については対象になる。これにつきまして、どうしてこういう違いを設けたのか。やはりこれは撤廃すべきじゃないか、そういうふうに思うのですが。
  131. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいまの斜線制限のセットバックをする場合の扱いも、もともとかかっている斜線制限についての扱いも同じことではございますけれども、今具体的にお話がございましたポーチというものは高さが非常に低いというようなこともございまして、斜線制限をかけている趣旨にもともと適用する必要がないということで除かれている。しかし、軒先とかひさしというものは、通常は上の方についておるわけでございまして、もともとそういう高いところの影響をいわば制限をする、規制をするというのが斜線制限の趣旨でもございますので、そういう意味でセットバックをするしないにかかわらず、斜線制限の対象として考える場合には今のような違いが出ているということでございます。
  132. 大口善徳

    大口委員 できるだけ外壁面等にやはり基準を設けるべきじゃないかなと私は思います。  次に、軒高力メーター制限ということなんですけれども基準法二十一条に木造住宅の軒高力メートルに制限をされているわけです。ところが今、日本人の体型が大型化をしておりまして、天井高を一・六メートルにする、また住宅金融公庫の三十年償還の要件になっています基礎高を四十センチ以上にする、あるいは配管スペースを確保する、そういうことになってきますと、現場におきましては、九メーター制限では木造三階建て住宅をつくることは非常に厳しい、こういう要望があったわけでございます。これにつきましては、昨年、三井前局長のときに、このことについて現場からこういう話があるということで検討をお願いしたいということを我が党の建設部会でも要望したのですが、この点についてはどう考えているのか。
  133. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいまの御指摘のような、そういう側面から見た場合に、できるだけゆったりした階高をとるという考え方は当然であろうと考えております。しかし、この軒高の九メートルという考え方は、先ほど出ましたようないろいろなそういう斜線制限でありますとか、いろいろな問題のほかにも安全上の問題とも連動した数値として歴史的にも固まってきているわけでございます。  これは火災がどういう性状を示すのか、高さによって決まってくるわけでございますが、そういうもの全体を含めた数値として九メートルというものが出てきておるわけでございます。歴史的には、戦前の話でございますけれども、三十八尺であったというものを三十尺にした。これは関東大震災の災害の経緯をしてそういう数字になったと聞いておりますけれども、そういう歴史を経て九メートルというものが全体の体系を組み立てているという状況もございます。  したがいまして、そういう点も、全体をにらんで御指摘のテーマについては考えなければいけないのではないかというふうに考えているところでございます。
  134. 大口善徳

    大口委員 まだいろいろ排煙の設備の問題あるいは採光の問題、日照の問題等、いろいろ規制があります。  この中で、建築行政の監察結果でも指摘しておるわけですけれども、この七ページに 建築基準法第二十八条第一項において、住宅、学校、病院、寄宿舎等の居室には、原則として、その居室ごとに採光のための窓、その他の開口部を設けることが義務付けられている。しかし、以下の理由から、採光に係る規制の見直しを行う余地がある。こうなっていまして、その中で住宅については、地階に設けられる作業室、娯楽室等の居室には、採光に係る規定が適用されないのに対し、地上階に設けられるそれら居室には採光に係る規定が適用されるが、照明・換気設備の技術・性能からみて、自然採光がなくても人工照明による対応が可能であること、また、採光を特に必要としないリスニングルームを住宅に設ける等、国民の住生活様式が多様化していることからみて、居室ごとに採光に係る規制を行う必要性に乏しい。こういう、採光規制に対する見直しを勧告しているわけでございます。  建築基準法施行令の二十条で、住居地域系の採光計算割合につきましても、現状十分の四に定めているのが、隣地との一定の距離を確保するために十分の四では敷地面積が狭くなってくる、こういう問題もあります。せめて商業地域並みの十分の二ぐらいにすべきであるという現場の強い要望もございます。こういうことについてお伺いいたします。
  135. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 建物におきます採光というのは、住宅屋内環境のいわば環境の問題として、これは衛生上の問題でありますとか日常生活環境の問題でありますとか、室内環境の面では大変重要な指標でございます。したがいまして、それぞれの用途でありますとか部屋の種類によりまして、それぞれの必要性というものを制限していこうという組み立てになっておるわけでございまして、それが実際に有効な機能を果たすかどうかというのは、お隊との関係ということにも左右される、そんなことで決まっておるわけでございます。  ただいま御指摘ございましたような一連の話につきましては、確かに土地利用の状況がいろいろ変わってきているとか、技術開発が行われているとか、採光に対するいわゆる国民の側の意識が若干ずつでも変化するとか、いろいろ状況変化はあるわけでございますけれども、今申しました基本的な考え方の中で、当然さらに精緻に慎重な検討を進めて結論を出すべきことではないかというふうに考えておるところでございます。
  136. 大口善徳

    大口委員 時間が足りないものですからちょっとはしょっていきますが、先ほども引用いたしましたように、行政改革推進本部の住宅・土地作業部会の専門員の意見がいろいろと出ております。非常に注目すべき意見が出ておるわけです。この中で、私は注目すべきことをちょっと挙げておきたいと思います。  一つは、「都市内居住を促進すべき住宅地において、三階建て住宅建築促進を図るため、住宅密集地では、前面道路幅員による容積率制限の緩和や「建築線」の後退を促す容積率の緩和を図るべき。」である。あるいは「高速道路の南側の敷地は、高層化しても道路が日影になるだけであるから、容積率をアップしてもよいのではないか。あるいは「大規模河川の東側の敷地も同様」であるとか、こういう具体的な規制緩和の案が出ております。これにつきまして、ちょっと御意見をお伺いいたします。
  137. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 前面道路の幅員により容積率の関係というものが制限をされておるわけでございますけれども、幅員の狭い道路に接する敷地で建物を大きなものを建てていくということになりますと、公共施設のいわばキャパシティーとのバランスがなかなかとれないとか、それからその空間が環境としての空間でございますので、そういう問題があるわけでございます。したがって、こういう現在の決められておりますいろいろな体系の中でそれを一律に緩和するということは環境の悪化を招くということになるわけでございますので、そういう取り組みはいかがかというふうに思うわけでございます  委員今御指摘のように、六十二年の改正では、壁面線を指定をいたしたりあるいはセットバックをしたり、そういうことを通じて道路環境を補完するような条件をつける。あるいは土地利用の状況に合わせてその問題を取り上げていくということは、今後総合的にも検討していくべきことであろうというふうに考えておるところでございます。
  138. 大口善徳

    大口委員 次に、耐火構造につきましても若干お話をしたいと思うのですが、今鋼構造というものにつきまして、要するに鉄骨等を使って建てているものにつきまして、耐火構造による防火性の規制というものがございます。鉄骨は、階によって違うのですが、燃焼させることによって一時間もたなければいけないとか、そういういろいろな規制があるわけでございます。  こういう中で、以前はアスベスト等を吹きつけていたわけですが、今はロックウール等の吹きつけをしております。ただ、そのロックウールというのは非常に美観を損ねますし壁が厚くなるということで、さらにその上にまたそれをきれいにするためのものを施すということになりますと、また建築費が五%ぐらい上がるというようなこともございます  そういう点で、ロックウール等にかわる被膜について、やはりこれからもっと技術開発を進めていかなければいけませんし、また今それにつきまして、塗料として非常に新しい有力な塗料ができておるという話もあります。そういうことにつきましてちょっとお伺いしたいと思います。
  139. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 今御指摘のように、鋼材は熱そのものに対しては、温度が上がりますと強度が低下するという弱点を持っているわけでございますけれども、さまざまな形で当然鋼材の有利性を利用して利用されるわけでございます。それを補うために耐火被覆をするということで、ロックウールが従来使われておるわけでございます。これは、鉄骨の柱やはりというのは大変複雑な断面をしているというようなこともございまして、いろいろ有利な点があってロックウールを使っておるわけでございますが、今御指摘のような逆の弱点もあるわけでございます。  最後に御指摘ございました鉄骨そのものの耐火的な鋼材あるいは被膜を設ける、こういう技術開発も順次進んできております。私どももその技術開発が進むに合わせまして、当然ちゃんとした性能があるものは認めていくという方向で対応しておるわけでございますが、ただいま例示にございました耐火塗料あるいは耐火鋼材というものについては、一定の設計条件の中では既に実用化に入っている状況でございまして、今後技術が進むにつれまして、私どももそれに対応した対応をしていきたいというふうに思っております。
  140. 大口善徳

    大口委員 次に、住宅金融公庫の問題ですが、受け付け期間がことし二回目は十四日町という非常に短い期間であった。また、融資条件は完成後六カ月後を融資の条件にしている、こういうお知らせ等が出ております。このことから、完成して六カ月たたないと融資を受けられないということで不安になっている業者もいらっしゃいます。また、短期間の受け付けにつきましては、準備期間等もある、考慮期間等もある、もう少し長くしてくれないか、こういう御意見もございます。この点についてお伺いしたいと思います。
  141. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 公庫融資につきまして、一点は受け付け期間が短いのではないかという点でございますが、昨年度の状況等を見ましても、第一回目の募集を除きますと大体十日から十四日ぐらいというのが実施したところでございまして、結果を見てもそういう範囲で適当ではないかと思います。しかし、ただいま御指摘ございましたように、受け付け期間を長くするかどうかということとあわせまして、申し込みをされる方の準備がきちんとできるように、早い時期から受け付けの計画をお示しをするというようなことでも、不便を感じていただかないようなことができるであろうということで、私どもなるべくそういう努力もし ているところでございます。  それから、六カ月後の融資の問題もございましたが、これにつきましては大変多くの応募が参ったというようなこともございまして、業務全体の運営上の観点から、従来二カ月程度であったものを最高六カ月程度の期間を要する場合もあるよということを、結果としてそうなるのではなくて、あらかじめ御注意を喚起しておこうというようなことをやったわけでございますが、当然私どもとしては、できるだけ妥当な範囲で早期に資金が交付できるように、今後とも努力をしたいと考えておるところでございます。
  142. 大口善徳

    大口委員 入札制度についてお伺いします。  最近、入札制度につきましてはいろいろと議論をされております。その中で、新党さきがけが入札制度改革案というのを出されました。  それによりますと、一般競争入札の徹底ということで、一億円以上の全公共事業まで徹底することを目標に段階的に金額を引き下げる、こういうことを言われておりますし、入札ボンドの導入あるいは履行ボンドの導入、それから発注予定価格の公開、最低制限価格制度の廃止、あるいは入札監理委員会、これは国家行政組織法の三条委員会にする、あるいはペナルティーの強化、このようにさきがけさんの方で出されております。これにつきまして大臣が、これは東北建協連に対しましてこのことについてコメントをされておるということが建設通信新聞に書かれております。  このさきがけ案に対して大臣は否定的な見解を示した、また、最低制限価格制度はこれは撤廃しない、こういうふうに表明した、こうなっておりますが、この点について確認をしたいと思います。
  143. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先生お申し越しのように、さきがけから一つの案が出てまいりました。今まで私どもは、先ほどお答えいたしましたが、建設省所管の場合は、七億三千万円以上は一般競争入札、関連企業の皆さん方は二十四億三千万円以上は一般競争入札でいく、他については透明性を明らかにしながら能力審査等を行って、民主的にいわゆる指名競争入札制度をとる。  さきがけ案で出ておりますのは一億円ということであります。一億ということになると、全部がそれはやれば強いものが者とってしまうじゃないか。こういう案がありまして、全国各地から、零細企業の皆さん方から、一億円までは全部一般競争だということになるととても生きていけないし、ゼネコンがすべて取り込んでいくというようなことになれば我々の生活権の問題だということで、一斉に全国から、どこから聞きつけたのかわかりませんが、言っておいでになりました。したがって、これは否定的見解といいますか、なかなか難しいですなということで、皆さんの意見はよくわかりましたが、十分検討してまいりたいと思います、こういう答弁をしておきました。  それから、入札ボンドについては、入札をする、指名競争入札をさせるという、指名をするわけですから、建設省その他は十分に検討をして、損害保険会社に保証してもらわなくてもそれはいいじゃないか。ただ、今は工事をやったときに工事完成保証人というのがありますね。それを見ると、何か関連があるんじゃないかと思われてはいかぬ。この履行ボンドについては、やはり一応検討してもらいたいということで、各局の方で十分検討を開始いたしておるわけであります。  そのほか、底なしですね、いわゆる制限価格なし。ただでもいい、極端に言えば、こういうことになれば、例は非常に申しわけないと思いますけれども、不幸にして韓国でも橋が落ちました。私は決して手抜きとは言いませんけれども、ああいう人命に関する大問題が起きるというようなことになれば大変でありますから、やはり安かろう悪かろう、いつどうなるかわからぬというような手抜き工事がないような方法は、我々も専門家がおって十分検討するわけでありますし、一つの市場調査をしてその積算の根拠も皆さんはよく知っておるわけですから、本も配っておるわけですから、そういう点については、完全な良質な工事をさせるためには、やはりある程度の下支えというものは考えておく必要があろう、こういうふうに思っておるところでございまして、すべてが否定ではありませんが、それらについては問題があるという点については指摘を言ったところでございます。
  144. 大口善徳

    大口委員 最後に一点だけお伺いしておきます。  静岡の問題なんですが、一つは、公衆トイレを実態調査してみましたら、四K、汚い、暗い、臭い、怖い、こういうことになっています。せっかくお金を使ったのに、これはメンテナンスが十分でない。この点、やはりきちっとしておかなければいけないと思います。この点が一つ。  それから、静岡市に都市計画道路下大谷線というのがございます。これは第二東名の静岡インターと今の東名、このアクセスをする機能があります。これにつきましては、地域高規格道路の指定をするのに最もふさわしい道路じゃないか、私はこういうふうに思います。  そして最後に、静清バイパス、岡部バイパスの両バイパス、これが開通する。ただ、国一の渋滞というのがまだ引き続きある。これにつきまして、立体化等についてお話をお伺いしたいと思います。
  145. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 都市公園のトイレの問題でございますが、確かに必ずしも十分なトイレになっていないという実態がございます。公衆便所、これは全国で約一万カ所あるわけでございますが、その七割近くが都市公園にあるということで、都市公園のトイレ整備、これはきちっとしていかなければいけないということで、現在、総点検を実施しておりまして、これを踏まえて、メンテナンスを含む計画標準等を早急に策定したいというふうに考えております。
  146. 藤川寛之

    藤川政府委員 お話がございました静岡市の都市計画道路下大谷線でございますけれども、第二東名と現東名を連結いたしまして清水港とのアクセスを強化する路線だというようなことで、地域にとって大変重要な路線だということは十分私どもも認識しているところでございます。地元からも、地域高規格道路にぜひ指定してほしいという要望が出てきているところでございまして、現在、自治体の方から具体的な要望をお聞きしているというようなことでございます。その辺の御要望をお聞きした上で、いろいろな検討項目があるわけでございますが、総合的に検討した上で、そういう重要性というものも認識しながら指定の検討を進めたいというふうに考えております。  それから、静清バイパス、岡部バイパスができるわけですが、現道の方の静岡の駅前の問題でございますが、この問題につきましては、大変混雑しているというようなこともお聞きしております。平成六年度から具体的な立体計画等の調査を進めているところでございまして、この駅前に地下駐車場とか共同溝とかいろいろな計画があるようでございますが、そういう事業と調整しながら円滑な交通の確保を図る計画というようなことで、具体的な立体計画等の策定に今後努力してまいりたいというふうに考えております。
  147. 大口善徳

    大口委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  148. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、矢上雅義君。
  149. 矢上雅義

    矢上委員 改革矢上雅義でございます。本日は、高速道路における自動料金収受システムの件についてお伺いしたいと思っております。  数日前ですか、朝日新聞で、駅等の改札の出口、また高速道路において、ワイヤレスカードシステムで混雑、渋滞を解消するということで先進的なシステムが開発されておる、それがまた近い将来導入されるということで記事になっておりましたが、その導入計画の概要について、システムの概要と今後の導入のタイムスケジュール等を簡潔に御説明いただきたいと思います。
  150. 藤川寛之

    藤川政府委員 料金所のノンストップ化でございます。ノンストップ自動料金収受システムにつきましては、車の方の車載機器とそれから料金所に設置されましたアンテナで相互に交信を行うこ とによりまして、利用者がどういう経路を利用して、料金がどうなったかということをキャッチいたしまして、自動的に通行料金の支払い手続を行う、そういうことにしようというシステムでございます。  この具体的なシステムの導入につきましては、もう既に、平成五年六月に策定されました道路技術五カ年計画の主要なテーマということで、積極的に研究開発を進めてきたところでございますが、我が国の有料道路にはいろいろな特殊性がございますので、例えば、やはり全国の有料道路どこでも共通して利用できるようにしなければいけないだろう。また、利用のルートというのがきっちり把握できるというようなことが必要であろう。それからまた料金収受システム、もう既にかなりコンピューターが入っておりまして、それを活用しておりますので、今あるシステムを有効に活用できる、そういうものにしなければいけないだろうと考えております。  具体的には、建設省と、それから道路経営の道路公団を初めとする四公団で、民間の企業と共同して研究開発を行おうということで、共同研究者の公募を十一月の一日に行ったところでございます。今後は、四カ月間くらいをかけまして応募を受け付けまして、平成七年の三月、四月の二カ月間で出てきました中身を審査いたしまして、共同研究者の相手を選定いたします。私どもの希望としては、平成七年度いっぱいくらい共同研究を行って具体的な中身を詰めまして、平成八年度を目標にいたしまして、一部の有料道路で試験運用が開始できるように今後努力してまいりたいと考えております。
  151. 矢上雅義

    矢上委員 今大変わかりやすいタイムスケジュール等を説明していただきましたが、自動化というのは入り口でももう既に行われておりまして、加速度的に今進んでおります。  そうなりますと、単純に考えますと、入り口におられた料金所の職員の方は今はどこにおられるのかな、そういうことにもつながっております。また、出口における自動料金収受システムが速いスピードでこれから完備されてくるようになりますと、大変利用者のサービスアップにはつながりますが、最後のとどめと申しますか、入り口から料金所の職員さんがいなくなる、出口でもいなくなる、こういう問題が出てくるものですから、道路公団においての料金所の実態、内部組織の一部なのか外部委託なのか、また全国でのその数、料金所にかかわる職員数等、ちょっと簡潔に教えていただければと思います。
  152. 山田幸作

    山田参考人 日本道路公団の料金所の料金収受の実態につきまして、御説明申し上げます。  現在日本道路公団では、五千五百キロを超える高速道路を供用いたしておるわけでございますが、高速道路の料金所の数でございます。一応数字は平成五年度末の数字で申し上げたいと思いますが、料金所の数が約五百三十でございます。収受員の数が九千名というのが実態でございます。  料金所につきましては、昭和四十二年から、経営の効率化あるいは組織の合理化、そういった観点から順次民間会社に委託をしてまいっておりました。現在、九九%の料金所がそういった民間会社に委託をして、徴収をお願いしているという実態でございます。
  153. 矢上雅義

    矢上委員 さらにお伺いしたいのですけれども、その民間会社というのは、料金を収受するという機能は高速道路にとって大変重要な機能ですが、その子会社に対する出資関係とか、またさらにその業務指導、雇用関係に対してまで業務指導が及んでいるのか、その辺の実態はどうでしょうか。
  154. 山田幸作

    山田参考人 委託しております民間会社と道路公団とは、出資というふうなことの関係は直接ございません。ただ、私ども料金収受をお願いしておるわけでございますので、いわば我々の仕事の利用者の方々との直接の接点で仕事をしていただいておるわけでございますので、いろいろな面で日ごろから意思疎通を図っているということはございます。
  155. 矢上雅義

    矢上委員 山田理事にまたお伺いします。  そうすると、入り口の自動化が進んだ場合には、その職員さんに対するアフターサービスというか、ケア的なものは現実にあったのでしょうか。それとも、もう完全に民間の会社にお任せして、入り口の自動化、短絡的に言うと生首を切るというのですか、そういう形が容認されてきたのか、そこで問題点等はございませんでしたか。
  156. 山田幸作

    山田参考人 これまで入り口の自動化を進めてまいりまして、平成元年から平成五年度までで約千五百名の収受員の方々が減っているという実態にございます。この方々につきましては、それぞれの委託会社の方で、いろいろな年齢構成もございますので、退職等の動きを勘案したりしまして、問題のないように順次体制を縮小していっていただいているということで、問題は生じていないというふうに考えておりますので、御理解をお願いいたしたいと思います。
  157. 矢上雅義

    矢上委員 確かに、料金所の収受員さんを見ますと、高齢の定年退職された後の方が非常に多いですね。その点、先日年金法の改正で六十五歳引き上げになって、それの担保として日本国政府は、シルバー人材の活用、また地域の中堅者の雇用の確保を確実にやるということで約束したわけでございますが、常々、料金所というものはシルバー人材の活用も当然されておりますし、また二十四時間勤務、排気ガスを浴びながら大変つらい仕事ですから、中核に若手といいますか、地域の若手を雇用しているという部分もございます。  それで、時代を先取りする料金所の雇用形態だと思っておったのですけれども、非常に地域の産業が厳しい。また、定年退職後のこともどう考えるかという場合に、この平成八年以降徐々に問題化してくる出口の自動化ですけれども、これは非常に大きな影響を与えるのですが、道路公団の方で、できれば穏便にいく形といいますか、そこの地域の雇用の確保という形で徐々にやっていく。また、有人化の部分も含めて、その辺の活用方法をお考え願えませんでしょうか。
  158. 山田幸作

    山田参考人 先ほど来、入り口自動化のことをお話を申し上げたわけでございますが、入り口自動化によって収受員の方々を減らしていく過程でも、一応定年制をそれぞれの会社は設けておられるわけでございますが、定年後も一年ごとに嘱託というふうな形でいていただいて、それで余り問題ないような形で規模を縮小していくというふうなやり方をしているわけでございます。  この新しいノンストップの自動料金収受システムでございますが、これは平成八年度末までに試験運用をいたしたいと思っておりますが、導入をいたしましても直ちに全部これに切りかわるということではございませんで、現在の収受方法も併存するような形になるというふうに考えておるわけでございます。そういう併存の中で、徐々にこういったノンストップの収受システムを普及してまいりたいと考えております。  ただ、料金収受員の方々への急激な影響がないように、収受員の方々の雇用状況につきまして十分配慮しつつ、計画的に導入を進めてまいりたいと思っているところでございます。
  159. 矢上雅義

    矢上委員 最後に、野坂建設大臣にお願いがございますが、高齢で雇用された方々は、あと数年たてば六十五、七十になられて、年金等の対象者にもう完全になられますし、体力的にも限界が来ますが、地方の中には小学生、幼稚園、小さい子供を抱えた料金の収受員もおられますので、また親御さんも抱えて、簡単に東京から北海道に転勤してくれとかそういうこともできない。それはなぜかと申しますと、地元地元で料金会社が運営されておりまして、地元採用になっておるものですから、数年後の料金収受の自動化の際には、若手の方々の雇用確保というのですか、いろんな面での活用をぜひ建設省の方としてもバックアップしていただければと思っております。  最後に要望でございますが、よろしくお願いいたします。
  160. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 矢上先生が従業員の立場に立って十分考えておられるということはよくわかりま した。  私どももそのつもりでございますし、みんな生存していかなければならぬわけですし、生活権と生存権はあるわけですから、そして家族も大分抱えておるという実態を踏まえて、生首問題については公団とも十分話し合って対処をして、リストラはやるけれども生首は我々としては切るべきではない。あるいは施設協会その他もありますから、そういう点等十分話し合って、先生の御指摘のように対応してまいりたいと考えております。
  161. 矢上雅義

    矢上委員 大変率直な答弁をいただき、ありがとうございました。  手短ではございますが、これにて質問を終わらせていただきます。
  162. 鳥居一雄

    鳥居委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  163. 鳥居一雄

    鳥居委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石井啓一君。
  164. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、改革石井啓一でございます。本日は、住宅都市整備公団の家賃値上げの問題を中心に御質問をいたしたいと存じます。  まず、さきの羽田内閣におきましては公共料金の年内凍結を決めたわけでありますけれども、現政権になりまして、その発足直後にこれを解除した。このことについては、私どもは大いに不満であると、まず申し上げておきたいと存じます。  その上で、公団家賃の値上げ問題につきましては、過去四回行われておりますけれども、その都度本建設委員会において集中審議が行われておりまして、また、建設委員長から政府に対して要望がなされておりますので、こういった過去の経緯を十分に踏まえていただきまして、野坂大臣におかれては慎重な審査をしていただきたいと、まず冒頭に申し上げておきたいと存じます。  そこで、まず大臣にお伺いをいたしますが、午前中の質疑でお答えになっていらっしゃいましたので、二点改めて私の方から確認をさせていただきたいと存じます。  まず一点は、過去の家賃値上げ審議における建設委員長の要望についてはこれを十分に尊重するということ、この点について確認をしたいと思います。二点目には、この建設委員長要望を踏まえ、敷金の追加徴収については今回取りやめるというふうにおっしゃいましたので、この二点、大臣に確認をさせていただきたいと存じます。     〔委員長退席、遠藤(和)委員長代理着席〕
  165. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お答えを申し上げます。  公団の家賃の値上げ、敷金の問題、これについては委員長の要望を尊重するかどうか、尊重いたしたいと思っております。したがって、公団の家賃の値上げはやらないのかということでございますが、これについては目下検討中であります。  その理由を申し上げますと、九%上げる。民間の家賃の動きというのは、この三年間で大体一〇・二%程度上がっております。中身としては、七%から六%程度は維持修繕費、あとの三割は、前に入った人は安いですね、後からでき上がったのは高い。この家賃の調整に使うというのが原則なんですけれども先生がおっしゃるように、今民間もなかなか大変ですし、リストラもですけれども、三千三百円というのは一体どうなのかということで、十分検討してまいらなければならぬ、こういうふうに思っておりますが、御指摘がありましたように、家賃は値上げを思いとどまったかということについては、ただいま検討中でございますとお答えを申し上げておきたいと思います。  以上です。
  166. 石井啓一

    石井(啓)委員 確認をいたしたいのは、家賃の値上げ、これは取りやめていただければそれにこしたことはないわけでありますけれども、まず、そのうち敷金の追加徴収、これについておやめになるのかどうか、これを確認させていただきたい。
  167. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 午前中にお答えしましたけれども、敷金の追徴については、建設委員長からの強い要望がございましたので、公団側としては要求してくるかもしれませんけれども建設省としては敷金の追徴は認めないという態度で臨む考えでございます。
  168. 石井啓一

    石井(啓)委員 わかりました。それでは、前提として建設委員長の要望について十分尊重される、その上で、敷金の追加徴収については今回も建設省としては認める考えではないということで、今大臣に確認をさせていただきました。  続きまして、家賃の値上げの承認時期でございますけれども、さきの本委員会におきます大臣のごあいさつの中には「できる限り早く結論を出したい」、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、これはいつごろをめどにされているのか、お答えをいただきたいと思います。
  169. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 非常に難しい問題でございまして、家賃につきましては、公団賃貸住宅相互間の家賃の不均衡の是正、今言いましたね。あるいは維持、修理するための費用。国会審議を経て確立されている委員長の要望にもございました、三年ごとに見直せと、こういうことでございましたので、三年ごとに見直す。今、三年目に参りました。したがって、これらの条件を、修繕と調整と見直し、そういうことを考えて、民間の家賃の推移等も考えて決めていきたいと思っております。七月二十六日に物価問題に関する関係閣僚会議の申し合わせをしておりますので、家賃改定という必要性も尊重して考えていかなければならぬので、まだ十分検討して、民間の家賃等の推移を見て、今検討中でございます。  以上です。
  170. 石井啓一

    石井(啓)委員 実は、昨日の読売新聞の夕刊に、これは与党の経済対策プロジェクトチームですか、ここの中での議論が一面に出ておりましたけれども、与党の中でも公団の家賃の値上げには非常に慎重であるということで出ていましたね。  それで、特に「値上げ実施の見送りを主張する意見が出ている。与党内には、統一地方選や参院選、さらに次期衆院選をにらんだ思惑もあるようだ。」こういうふうな報道がされておりまして、こういう報道によると、場合によっては来年の統一地方選挙後あるいは参議院選挙後に先送りする可能性もあるのではないかというふうに読み取れるわけでございますけれども大臣としてはどんなふうにお考えになっていますか。
  171. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいま先生から御指摘ございました新聞記事でも伝えられているわけでございますが、私どもも、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、家賃値上げそのものの見直しの問題の必要性等、七月二十六日の閣僚会議の申し合わせの中で慎重に検討しなければいかぬということで、いろいろな方々の御意見等も随時伺いながら検討を進めておるわけでございますが、そういう中で感じますことでは、あのような報道のような感じでもないのではないか、それはそれで必要性必要性としてお感じをいただいているのではないか。どういう形でこれを処理するかということについては、いろいろな御意見がございますことは当然でございますけれども、そういうふうに受けとめているところでございます。
  172. 石井啓一

    石井(啓)委員 今御答弁がありました七月二十六日の関係閣僚会議の申し合わせの中でも、実施時期については極力調整するというふうにされておりますし、実際に道路公団の高速道路料金については、これは九月二十日の認可で実施が来年の四月十日ということで、半年いわゆる先延ばしをされているわけですね。したがいまして、値上げはやむを得ないとしても、これはなるべく先送りをしていただきたいというのが居住者の方の大きな期待であると思いますので、この点につきましては強く要望を申し上げておきたいと存じます。  続きまして、家賃の値上げ幅でございますけれども、これも七月二十六日の閣僚会議では、改定幅についても極力調整するというふうに申し合わせをされております。この公団家賃の値上げの改定幅につきまして上げ幅を圧縮する、こういうお 考えがあるかどうか、大臣にお伺いしたいと存じます。
  173. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 今回の申請も、見直しをした結果としての申請が出てきているわけでございますが、この理由が、公団住宅の間の家賃の不均衡でありますとか、維持管理費を適正に確保しできちんとした管理をしていこう、そういう観点からはじき出され、また、そのルールについてもそれなりの根拠を持ってやってきているわけでございますが、従来からやっておりますルールの中にも、例えば、計算されたものを二分の一にきちんと減額をしますとか、あるいは生活保護世帯のような方とか高齢者の方に対する圧縮のような措置も、それぞれそれ相応には考慮されているわけでございますけれども、ここにおきます審議や委員長要望も踏まえまして、今の引き上げ額の圧縮についても、当然私ども検討の内容としては真剣に検討しているということでございます。
  174. 石井啓一

    石井(啓)委員 今圧縮についても真剣に検討しているというところでございますので、私どもも期待をしてお待ちをしたい、こういうふうに思うわけですが、一つ引き上げ限度額について申し上げたいと存じます。  これは現行の家賃の改定ルールの中でも、引き上げ額には一定の限度を設けることができるというふうになっておりまして、この点につきましては、いわば一定の限度ということで非常に政策的な裁量範囲が大きいわけですね。ちなみに、前回の第四次の値上げの際には、引き上げ限度額を申請より五百円下げて大臣が御承認をなさっているわけであります。したがって、ここはいわば大臣の腕の見せどころというところもございますので、多くの方は、社会党御出身の大臣だということで大変期待されていると思うのですね。大臣、ぜひこの期待を裏切らずにやっていただけるかどうかお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  175. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今御指摘のありました点については、その方向で十分検討していかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
  176. 石井啓一

    石井(啓)委員 先ほど、敷金の追加徴収については取りやめるというふうに明言をいただきましたので、これは非常に心強いわけでございますけれども、この値上げ幅の圧縮については、今の大臣の御答弁によると、その方向で今鋭意検討中であるということでございますので、恐らく大臣のお考えを伺うと大臣としてはおやりになりたい、だけれどもいろいろ事務的には今検討しているというふうに私どもは受けとめさせていただきましたので、ぜひともこの点につきましては期待を裏切ることのないようにお願いをいたしたいと存じます。  続きまして、住都公団の居住者の方の実態についてお伺いをいたしたいと存じますけれども、まず年齢層ですね。年齢区分で五十五歳以上の方、六十歳以上の方、六十五歳以上の方がどれぐらいいるのか、その中の特に六十五歳以上の方のうち、単身世帯の方はどれぐらいいるのかということが一点目。二点目に、居住者の方の収入の実態でございますね。この収入の実態がどうなっているのか、これをお伺いしたいと存じます。
  177. 鈴木政徳

    鈴木(政)参考人 まず一点目の居住者の年齢でございますが、私ども公団事業の基礎資料を得るために、五年ごとに居住者の定期調査というものを行っております。  直近のもの、一番最新のものは平成二年度に行いました調査でございますが、それによりますと、まずこれは世帯主でとっておりますが、世帯主の平均で四十四・九歳でございます。先ほどお尋ねの年齢別に申しますと、数が細かくて恐縮ですが、五十五歳以上の世帯が十四万四千世帯ほどございまして、率にして二二・三%でございます。さらに、六十歳以上の世帯は八万九千世帯でございまして、率にして一三・七%ございます。六十五歳以上の世帯が五万一千世帯で、これは全体の七・九%に当たります。さらに、六十五歳以上の世帯、五万一千世帯のうち単身世帯が一万三千世帯ございます。これは、トータルのうちでは二・一%でございますが、六十五歳以上世帯の中に占める割合は二六・五%ということで、四人に一人が単身世帯ということになっております。  もう一点、居住者の収入でございます。これも直近の居住者定期調査に基づきますと、第一分位の方が十八万七千世帯で二八・九%でございます。第二分位が十一万三千世帯で一七・四%、第三分位が八万四千世帯の一三%、第四分位が六万七千世帯で一〇・四%、第五分位が五万八千世帯、八・九%でございます。  ただし、この調査は任意で書いていただくものですから、収入欄は結構記入のない世帯がございます。そういうものも全体の二割近くございます。記入のあった世帯を分けますと以上のようになります。そのように細分化されますが、居住者の世帯収入の平均は、平成二年の調査で五百九十万円でございます。これは、当時の第三分位の中位の収入に相当する額ということでございます。  以上です。
  178. 石井啓一

    石井(啓)委員 今居住者の方の実態をお伺いいたしましたのは、公団住宅はそもそも中堅勤労者の方を施策の対象とされているわけですけれども、既存の賃貸住宅につきましては、その居住年数がたつにつれ、所得の低い方あるいは高齢者の方が増加してまいりまして、当初の中堅層を対象とするという施策と大分ずれが生じてきているわけでございます。こういう方々に対しまして値上げにおきます配慮はどうされているのか、お答えをいただきたいと存じます。
  179. 鈴木政徳

    鈴木(政)参考人 先生指摘のように、私ども中堅勤労者向けに住宅を供給しておりますが、高齢化が進んでおることも事実でございます。トータルといたしましては、国勢調査等に比べましてまだ若年層が多いということになっておりますけれども、例えば建設年次別に見ますと、昭和三十年代等になりますと相当高齢者がふえているというような、供給年度による差は確かに出ております。  この高齢者あるいは低所得の方々に対する措置でございますけれども、今回の改定の申請に当たりましても、居住者の負担が急増しないように措置をしております。具体的には、いわゆる改定ルールで算定いたしました改定基準額、それと現行の家賃との差額の二分の一に圧縮するということをしております。さらに、先ほどお尋ねのありました絶対額でも、引き上げ限度額というものを設けまして、激変緩和措置ということで過重な負担とならないように配慮しているつもりでございます。  さらに、特に生活保護世帯、それから老人世帯、母子世帯、父子世帯、あるいは心身障害者世帯等で生活に困窮している方々に対しましては、特別措置というものをとっております。具体的には、改定後家賃で住宅扶助限度額、生活保護法等で定められております住宅扶助限度額を超える部分について、六年間を限度として減額するという措置を今回の申請にも盛り込んでいるところでございます。  さらに、今回の申請に当たりましては、そのような特別措置だけでは十分でないということもございまして、現在の住宅よりも低い家賃の公団住宅へ住みかえたいという方々に対しましては、もちろん特別措置の対象者ではございますけれども、こういう方々に家賃が住宅扶助限度額以下の住宅をあっせんするという制度を新たに導入するつもりでおります。
  180. 石井啓一

    石井(啓)委員 過去の値上げのときの議論をひもといてみましても、同じ問題がずっと繰り返されて議論をされているわけでありますけれども、例えば特別措置を見ましても、最近の適用件数では六百八十五件なんですね。ですから、全体で六十万から七十万世帯という中で比べますと、非常に微々たるものである。特に私は、課題といいますか、問題意識を持っておりますのは、今後高齢世帯が急増していくのではないかということなわけです。先ほど居住実態の中でも御報告いただきましたが、現在六十五歳以上の方は七・九%の割合でございますが、これは、現在の年齢区分の実 態がそのまま将来推移すると単純化して考えますと、今六十歳以上の方が一三・七%、五十五歳以上の方が二二・三%ということでございますから、単純化して考えますと、五年後には六十五歳以上の方が一三・七%、十年後には六十五歳以上の方が二二・三%に達する可能性もあるわけですね。これは極めて急激に公団においても高齢世帯がふえてくる、こういうことになろうかと思います。  したがいまして、今御説明がありましたのは従来のそういう配慮ではあるかと思いますが、それでは今後なかなか対応が難しくなってくる。その施策対象、本来の目的である施策対象と現実とのずれが今後ますます増大してくるというのが目に見えてわかっているわけでございますので、これについての対応というのは、やはりこれはきちんと考えていかなければいけない、私はこういうふうに思うわけでございます。  そこで、公団における、特に高齢者の方ですね、特に年金でお暮らしになっているこういう方の居住の保障をどうするのか、この点について真剣に考えていかなければならないというふうに思うわけでありますけれども、これは公団にお考えなさいというよりはむしろ住宅政策全般の中で、高齢者への対応として福祉対策と連携しながらどういうふうに高齢者の方の安定的な居住を確保できるのか、こういう検討をしていかなければならないと思うのです。その一環としてこの公団の家賃改定方法も検討していかなければいけない、こういうふうに思うわけでございますが、例えて申し上げますと、家賃の改定方法の中に応能的な要素、能力に応じた、収入に応じた、そういった要素を取り入れることについて御検討してはどうかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  181. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 先ほどお話がございますように、もともと住宅公団というのが中堅勤労者というものを主たる目的として、現在も基本的にはそういう考え方のもとで、そこがまた民間市場ではなかなか供給されないという実態に合わせて、賃貸住宅、良質な賃貸住宅をそこを中心として供給をしようということで業務を進めてきたわけでございますが、したがって、その家賃の考え方についてはそういう方々、つまり中堅層の収入をベースにして、そこの平均的には少なくとも二〇%以下になるような、そういうような家賃水準というものを考えながら設定をしてきた、こういう経緯でございます。  今御指摘のように、しかし結果の、現実の入居者の方々が、今御指摘のような高齢者を初めとして必ずしも中堅勤労者に完全に集中しているわけではございませんので、さまざまなそれに対する対応を考えなければいかぬということは事実だと思っております。  この応能的な家賃の考え方というのは、当然一つのすぐれた考え方ではございますが、公団においてそれを直ちに導入できるかどうかということにつきましては、その適正な家賃というのは一体どれぐらいなのかとか、あるいは所得の把握が本当に的確にできるだろうかとか、そういうような技術的な問題があることも一方でございますし、そういう制度を仮に大がかりに導入しようとすると、相当の財政措置をあわせて検討しなければいかないのではないかということで、大変重い重要な課題ではないかというふうに考えるわけでございます。  また一方、公団というものについては、先ほど来申しておりますようなことでございますけれども、今後とも公団の役割というものを全体の政策の中でどう位置づけながら考えていくのか、それと応能家賃等あるいはほかの家賃の体系とか、そういうものとの結びつきをあわせて考えていく必要があるだろうということで、現在のところ、直ちに応能的な家賃を公団の場合に入れるべきではないかということにつきましては、そこまでの検討は進んでいないということでございます。     〔遠藤(和)委員長代理退席、委員長着席〕
  182. 石井啓一

    石井(啓)委員 確かに、直ちに導入するというのは非常に難しいかと存じますが、これはやはりこれからの課題として、ぜひ真剣に御検討をいただきたいと思うのです。例えば、家賃の改定ルールは今ございますけれども、引き上げ限度額について、収入に応じた限度額を定めるというようなことも一つ考えられるのではないかというふうに思いますので、これも御一考いただきたいと思います。  あともう一つ指摘しておきたいのですが、家賃値上げ分の七割は維持修繕、三割は新規家賃の値上げの抑制に使うということなんですね。これは中堅層、施策対象の層の方がほとんどであればそういうことも無理ないと思うのですけれども、三割分ですね、この新規家賃の抑制に使っている分、こういう分を年金で暮らしているようなお年寄りからも取るというのはどういうことかな、こういう考え方もあるわけです。ある意味では、収入の低い方から収入の中堅層の方への所得の移動ということがここで行われているという見方もできると思いますので、こういった面についても私は検討の余地があるのではないか、こういうふうに思いますので、指摘を申し上げておきたいと存じます。  さらに、本来高齢者の方については、長年公団住宅にお住まいになっていてお年をとるということでございますので、その公団住宅に住み続けるということが御本人にとっても最も望ましいということでございますけれども、家賃の負担に耐えられずにやむを得ず移り住みたい。先ほどの御説明では、今回の値上げにおいては低い家賃の公団住宅へのあっせんということもお考えになっているというようなお話でありますけれども、公団住宅の空き家もなかなか少ないというふうに聞いておりますし、公営住宅に移り住むときの措置というのもお考えになってはいかがかなと思うのです。  ただ、現在公団住宅に住んでいますと、住宅に困っている方とは認定されないのですね。住宅困窮者とは認定されないものですから、公団住宅に住んでいて公営住宅に移り住みたいという場合はそういう措置がないわけです。もしそういうことがあるとすると、一回民間に移ってからという、そういう不都合といいますか、そういうことがございますので、先ほど家賃の低い公団住宅へのあっせんもお考えになっているということでございましたから、ぜひともここは公営住宅との連携ということも十分お考えになっていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  183. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいまの、特に高齢者あるいは年金生活者という方々が公団の家賃体系と必ずしもなじまない状況になってくるという面についての措置をどうしていくかということでございますが、ただいま具体的な御指摘ございました公営住宅との連携の部分につきましては、入れ物といいましょうか、住宅そのものの連携をつけるということと、御入居されている方々が実際に移っていただけるかどうかという問題と、大変難しい問題があるわけでございますが、少なくとも建てかえのときにはいずれにしても御協力をいただいて、今住んでおられる住宅を移っていただかなきゃならぬ。そういう機会には、公営住宅の方に連携をとりまして、優先入居あるいはあっせんというようなことをきちんとしたルール化をいたしておりまして、その中で公営住宅と公団住宅との、今御指摘のような点についての連携を図ることとしてきておるわけでございます。  そのほか、建てかえに際しまして、建てかえの公団の敷地の中、団地の中に新たに、大きな移転をしなくても済むように、同じ地域に住めるように、その中に借り上げ公営という公営住宅をつくった上で、公団住宅がつくったものを公営住宅的に管理をしていただいて、その中に今御指摘のような問題を吸収していくというようなことにも今後取り組むということにいたしたわけでございまして、いずれにいたしましても、今のような点は当然公的住宅、少なくとも公的住宅の間の中での連携については、今申し上げました方法以外にもいろいろな工夫を今後も検討していきたいと 思っております。
  184. 石井啓一

    石井(啓)委員 公団住宅の家賃値上げにつきましては、私、冒頭大臣に確認させていただきましたように、大臣におかれては、過去の建設委員長の要望も十分尊重される、さらに敷金の追加徴収については今回お取りやめいただけるということでございました。さらに、値上げの時期なり値上げ幅につきましても、申し上げましたように、居住者の方に十分配慮して御検討いただきたいと存じます。  時間があれでございますので、最後に一問、ちょっと問題を変えまして、自転車駐車場の設置につきましてお伺いをしたいと思うのです。  ことしの六月二十日に改正自転車法が施行されたわけでございますけれども、今回の改正のポイントの一つは、鉄道事業者地方公共団体道路管理者から自転車駐車場の設置に協力を求められた場合は、鉄道用地の譲渡、貸し付け等の措置を講じ、設置に積極的に協力するということにございます。そこで、自転車駐車場設置における鉄道事業者の協力の現状、及び今後運輸省としてどのように鉄道事業者を指導されていくのか、こういった点についてお伺いをしたいと思います。
  185. 梅田春実

    ○梅田説明員 御説明申し上げます。  現在、JR及び大手民鉄等の駐輪場の用地の提供状況につきましては、平成五年度末で七十八万二千平米というふうになっております。これは、全駐輪場面積の約二二%に到達しております。  運輸省といたしましては、さきの自転車法の改正の趣旨を体しまして、改正法の施行に先立ちまして鉄道事業者等に詳細な指導、通達を行っております。その趣旨は、先生指摘のとおり、単なる協力者として受動的な立場で対応するのではなくて、地方自治体あるいは道路管理者などと連携をとりながら、主体的にみずからの問題として取り組むようにということでございます。  現在のところ、地方公共団体では協議会の設置についていろいろと御相談をされているように伺っております。必要に応じまして、重ねて適切な指導をしてまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
  186. 石井啓一

    石井(啓)委員 以上で終了いたします。
  187. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、白沢三郎君。
  188. 白沢三郎

    ○白沢委員 改革の白沢三郎でございます。  実は、個人的なことでありますけれども、私と野坂建設大臣は九段の宿舎がお隣でありまして、常日ごろ顔を合わせておって大変御指導を願っておる間柄であります。それから、私は昨年当選させていただいて、当時野坂代議士でありますが、社会党で大物で、これは大変な立派な政治家だ、こういうことで尊敬を申し上げておった。ところが、当選させていただいて、隣におられて、私も野坂先生のように立派な政治家になりたいな、実はこう思っておって、それで運よくまた細川内閣当時の与党でありました。  与党でありますから、特に農業問題に野坂先生は大変詳しいわけでありますし、私も新潟でありますから、いろいろと御指導を願ってウルグアイ・ラウンドの件に関しては大変な問題が実はあったのですが、と思っておったやさき、あるとき突然ですが、自社政権になってしまって、今度は野坂先生と与党と野党になってしまった。野党と与党という立場でありますが、それは抜きにして、大臣からいろいろと今後とも御指導願えればありがたいな、こう思っておるところであります。  それはそれでありますが、政治的には、今度いろいろと御質問をさせていただく中で、本当にざっくばらんにこれからもいろいろ御発言あるいは御答弁願えれば大変ありがたいな、こういう機会をつくらせていただいて本当に心から敬意を表しておるところであります。  限られた時間でありますし、きょうは政治改革が上がる、こういうときでありますから、まず第一点、先ほど大臣政治の姿勢についていろいろと御質問があったようであります。そして大臣はけさからの中で、断腸の思いで決断をされた、こういうことを三回御答弁されました。それは、第一は恐らく消費税の問題だろうと思っておりますし、第二番目は高速道路の料金の凍結の問題、第三番目は、何といってもこれはウルグアイ・ラウンドの、昨年の十二月十四日の夜であったのですが、社会党は夜中までけんけんごうごうやって最終的に苦渋の選択をされた、こういうことでありますけれども、こういう立場。しかも大臣は農業に詳しいということでありますし、今、村山政権が与えられた大きな課題はまず第一に行政改革であろう、政治改革であろう、規制緩和であろう、こういうことだろうと思います。  大臣は先般、どこかの新聞でありますが、私は直接お聞きしたのではないのですが、行政改革として建設省も知らない顔はできぬだろう、こういう発言をされたように記憶をしております。どこかの新聞に出ていたと思いますが、これは行政改革、いろいろな公団あるいは公社等の見直し、統廃合等々があるのですが、これは今の段階では恐らく大臣は何も言えないのだろう。いろいろな、村山総理自身が反対陳情を受けないようにということで閣議でも発言をされているようであります。ただ、本当に野坂大臣としても、こういう中において、建設省管内の行政改革をやるのかやらぬのか、そしてまたうやむやにするのかどうか、この決意をまずお聞きをしたいと思っておりますが、いかがでしょう、大臣
  189. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 消費税の値上げについては、白沢先生と同じように断腸の思いで、我々連立政権の中にあって二%のアップを承認しておるというのが実情でございます。まことに残念だと思っております。行政改革は、民間でも盛んにリストラをやっておるわけでありますから、行政府もリストラを行って、国民に真にその点について理解をしてもらわなければならぬ、そういうふうに思っております。ただ、規制は、例えば倒産をしないように、あるいは社会生活の安定のために規制もあるだろう。何でも規制緩和さえすればいいと思ってはおりませんが、経済等の競争場に立つ場合は、規制緩和を積極的にやっていかなければならぬ、そういうふうに思っております。  第二番目の行政改革の問題でございますが、これについては、村山内閣の命運をかける問題でありまして、強い決意で臨まなければならぬ、こういうふうに総理みずからがおっしゃっております。私が否定的な見解を示したというのは、参議院の予算委員会で日本道路公団を民間に移管したらどうかという質問がございました。あるいは、独立採算制でやるべきだという御意見もございました。それについては、私は、建設省としては、全国を平均的な均衡ある国土の発展を考えていかなければならぬ、それは新潟も同じであります。したがって、均衡ある発展のためには、民間に移管した場合には果たして採算が田舎では合うだろうか、そういうことになれば均衡のある発展にはつながらぬではないだろうか、こういうことを考えておりましたので、それについては問題があろう。  あるいは、プール制というのではなしにその都度都度の橋梁で、道路でやったらどうかという話がありましたが、それも実施をいたしますと、大都会と地方とではなかなかやりにくい面がある。大変御迷惑ですけれども政治というのは富の再配分とも言われておるわけですから、お互いに助け合って国土の均衡ある発展をこいねがいたい。そういう意味で、私は民間に移管するということに難色を示しました。  しかし、我々としては、総理の強い決意でありますから、建設省の事務次官や官房長あるいは技官等に対して、チームをつくって徹底してやってほしい、行政改革は後下がりはできぬのだ、何としても実施しなければならぬという決意に燃えて取り組んでもらいたいということを申し上げております。チームをつくって、現在鋭意大激論をやりながら、省内では激論をしておるというのが現状でございまして、最終的な決定というのは二月でありますけれども、十一月の二十五円は中間報告をしなければなりませんので、私も強い決意でそれを進めていきたい、そういう状況が今日的状況でございます。
  190. 白沢三郎

    ○白沢委員 どうもありがとうございました。ぜひともそのかたい決意で努力をされますように、御期待を申し上げます。  次の問題でありますが、農林省に関係あるかもしれませんが、ウルグアイ・ラウンドの件であります。  大臣は農業問題に大変に詳しい方である。そして、これからの二十一世紀に向かって、農業は本当に国民的に食糧を安定供給するのが本来の農業の姿である、これを声を大にして大臣もおっしゃっておったと思うのですが、そういうことを考えると同時に、今回、世界の大きな流れてあったとしても、ウルグアイ・ラウンドを認めざるを得なかった、米の関税化、自由化に踏み切らざるを得なかった、こういう相反するものがあるのだろうと思っております。それで、いろいろかんかんがくがく、自由民主党と与党、あるいは我々改革もそうでありますが、ウルグアイ・ラウンドの締結は、これが苦渋の選択としても、大臣もそうだったと思うのですが、我々は国内対策、これから将来の担い生育成、中山間地の農業をどうするのだ、そこに携わる建設省の財源的な担保もどうなるんだ、こういうようなことを完全に保障されなければ我々はウルグアイ・ラウンドを認められない、こういうことで運動をやってきたわけであります。  先般、与党と政府の間で、大蔵省当局と話をされてこれが出たのでありますが、先ほど大臣も答弁されておったように、六兆百億円という数字が出てまいりました。初めは三兆五千億円だった。真水が何もないじゃないか、上積みが何だ、建設省に対しての問題は何だということをかんかんがくがく議論をされたようでありますが、それで結局政治的な判断で六兆飛んで百億円、こういう数字が出た。我々も、実はこれを細かく調べ上げたのですが、三兆五千五百億円は農業農村整備事業である、さらに八千九百億は農業構造改善事業、さらには農地の流動化あるいは負債、土地改良負担金の軽減等々のことで、農業の振興策に関してはかりのものであります。  しからば、国土庁長官もおっしゃっておるのですが、大臣が先般所信表明で、ウルグアイ・ラウンドを見て、これは内閣として「ウルグアイ・ラウンドの農業合意にも配慮した農山村地域活性化など、活力ある地域づくりを推進してまいる所存であります。」こうおっしゃったのですが、推進するその財源というもの、これはどこから出てくるのか。私は、これがどうも不可解でならないわけであります。それは中山間地、これからの日本を考えるときには大変な大きな問題だ。もちろん農業振興策、これは大変なことでありますが、では中山間地、特に山間地、漁村もそうでありますけれども、下水道の問題をどうするんだ、あるいは公園の問題をどうするんだ。もちろん、いろいろな問題がたくさん実はあるのです。これらの財源をどうひねくり出すのか、そのことをまずお伺いをしたいと思っています。大臣、これはどうでしょうか。
  191. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 白沢先生もよく御存じのように、十二月十四日午前三時ごろに苦渋の選択をお互いにしました。そして翌日、細川総理は緊急農業農村対策本部を設置をいたしました。総理みずからが本部長でありました。各与党もそれぞれ看板をかけました。その内閣の決定というものを我々は今、与党になって継承しております。今お話がありました基盤整備や中山間地帯や負債整理や、たくさんの問題を抱えておりますが、これがいわゆる国内対策としての農業政策の一環である。その上に自治省からは、交付税で一兆二千億というものを非公共の場合にはやっていかなければならぬだろうという考え方で、生産着、農民の皆さん方の御理解を得るために、思い切った措置をとった次第でございます。  それでは、建設省は一体その中に入っておるのか、入っておらぬじゃないか、こういうお話でございます。まさにそのとおりでございまして、今建設省が考えておるのは、中山間地帯の道路、例えば中山間地帯でつくられる農産物、農畜産物というものはどのようにして新鮮なまま都会に運んでいくのか。だから、中山間地帯であっても地域高規格道路というものは考えていかなければならぬだろう。あるいは、生活圏の拡大のために山にトンネルをつけて大きく回ったものを、いわゆるふれあいトンネルと称して、我々はそれをやっていこう。下水道もやっていく。いわゆる定住ができるような中山間地帯をつくるために建設省の役割は大きい、こういうふうに私は判断をしております。  したがって、建設省の幹部の諸君とも話し合いまして、それらの中山間地帯の繁栄と安定、そして環境を保全するための農業の推進のためにも、約一兆円の予算を計上して、予算要求をしておるというのが現状でございまして、当初予算に必ず姿をあらわすものだと考えております。
  192. 白沢三郎

    ○白沢委員 大臣の今おっしゃったことは、「平成七年度要求における農業農村対策関連の主要施策建設省」ここに当然盛られておるのです。これは例年と同じような要求であって、それは大臣がおっしゃるように、地方の中山間地の町村道まで整備します、公園もつくります、これは毎年毎年同じことをやっておる。  ただ、ことしあるいはこの六年間においては、大臣、よく考えていただきたいのですが、この六兆百億円、さらに自治省の一兆二千億円、これはふるさと事業等々なんだそうでありますが、しかしこのウルグアイ・ラウンドの締結を認めるというこのことに関して、今農家の皆さん方がどれほど心配しておるか。現実にことしから四十万トン入るわけだ。大豊作で二百万トンが備蓄じゃないか、こう言われておる昨今でありますしからば、我々、山村において建設省は何をやっていくのだ、新しい目玉がないから実は不安なんだ。もちろんトンネルも必要ですよ。それから、下水道などというのは、町村部の普及率というのは一割だというのでしょう。こんなことで、若い人たちがこんな田舎に住むはずがないのですよ。  それと、もちろん高速交通をするとか、いろいろなことがあるのですが、このウルグアイ・ラウンドに関しての農業農村対策、これは総理自身を中心にして去年、緊急農業農村対策本部をつくったのですよ。そして、国内対策はこれは別問題だ。真水で、本当に新しい上積みをして対策をするという、かたい決意の対策本部だったんじゃないですか。そこに新しいものが出てこないということが私は、心配てしょうがない。もちろん建設省は皆さん、やるやると言うのでしょう。  しからば、この三兆五千億円あるいは六兆百億になったあの話でも、大蔵の財政はどうなんですか。財政はしぶしぶ政治決着でやって、だから中身をきちっとしない間の六兆幾らだ。大蔵省は新しい目玉として、大臣のその決意を本当に受けてくれるのかくれないのか、これが一番問題なんです。建設省はもちろんやっていただかなきゃならぬ。大蔵省、財政当局、この辺のところはどうなのでしょうか。
  193. 中江公人

    ○中江説明員 お答えいたします。  今、先生指摘の、農林水産省以外の所管に係る施策につきましても、大綱にございますように、「農業・農村を二十一世紀に向けて持続的に発展させ、将来にわたって我が国経済社会における基幹的な産業及び地域として次世代に受け継いていくことを期す」という基本考え方が示されているわけですけれども、そういう基本考え方を踏まえながら、また一段と深刻さを増しております財政事情などを総合的に勘案しながら、適切に対処していく考えでございます。
  194. 白沢三郎

    ○白沢委員 私もこの大綱を持っています。それで、建設省の担当のところは線を引いて、道路アクセスの条件改善、上下水道の整備等々、トンネルどうのこうのとか、いろいろいっぱい書いてあるのですが、これは建設省はもちろんやる気であろうと思っているのですが、財政の問題、大蔵当局から今きちんとした答えが出てこない。これで本当に来年度予算、この上積みとして、ウルグアイ・ラウンドの国内対策としてのこの財源が本当に保証できるのか、担保できるのか。また、大蔵 省の財政当局も、これを本当に認識をしていただいているのかどうか、ここが実は一番の問題なんです。  どうなんでしょう。大蔵省、もう一度お答え願いたいのです。それを十分承知で、来年度は建設省の言うことをある程度聞きます、聞かざるを得ません、こういうような確信と答えを出していただかなければ我々は困るのですが、どうでしょう。
  195. 中江公人

    ○中江説明員 お答えいたします。  今般取りまとめられました農水省関係の施策も含めまして、また、今御指摘のような建設省を初めとするその他の施策も含めまして、ウルグアイ・ラウンド対策に係る経費の具体的な取り扱いにつきましては、今後の予算編成過程において検討していきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、大綱に示されている基本的な考え方を踏まえて適切に対処をしていきたい、こういうふうに考えております。
  196. 白沢三郎

    ○白沢委員 どうもらちが明かないのです。そこが一番今問題のところなんですよ。農林省の六兆百億円、これは幾ら幾らともう項目ごとにずっと出ておるのです。もっと詳しく言いますと、負担金の何ばは何%、それから融資は何%から何%低減する、こうなっているのですが、余りにもアバウト過ぎて、建設省のことに関しては、ここが我々一番心配なんです。もう一回、はっきりと答えてもらわないと、大蔵大臣の答えももやもやになっちゃって、それが一番今心配なところなんです。  実際、どうなんですか。これを本当に了解をして、それで国内対策は来年度の予算編成に入れます、そのときのお話はこういうことの話し合いだったんですか、大臣、お聞きしたいのです。
  197. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 大蔵省の見解もまだ予算が決定しておりませんのでわかりませんが、十二月には決定するだろうと思います。  私は不退転の決意で、農業の振興のために、国土の均衡ある発展のために、特性のある地域づくりのために、全力を挙げて、これだけはちょうだいしなければならぬという不退転の決意で、大蔵省と折衝してから取ってまいりたいと考えております。
  198. 白沢三郎

    ○白沢委員 さすが建設大臣、農林にも詳しい、中山間地、特に鳥取でありますから、詳しい大臣だと思って尊敬をいたすのですが、その不退転の決意をぜひとも貫いていただきたいと思っているのです。  これは、私はなぜこういうことを言うかと申しますと、今財源が不足して大変だ、大変だ。消費税の問題も、けさも出ましたのですが、消費税を五%にするといっても、来年度は減税で四兆、五兆やったら、ほとんど財源がゼロになっちゃうのです。そこにウルグアイ・ラウンドとして農業問題を新たに上積みする。建設省、もちろん文部省はかのいろいろな省庁のものがあるのでしょうけれども、ウルグアイ・ラウンドの対策としての国内対策としてはある程度上積みしなければならないことになるのです。その上積み財源がぴちっと出てないものですから、これは心配せざるを得ないのです。我々素人であっても、これはだれでもそのぐらいのことはわかるはずなんです。その辺のところを、大臣もぜひとも不退転の決意で、自分の命をかけるぐらいのつもりで、これをやっていただきたい。  これがウルグアイ・ラウンドの苦渋の選択として、皆さん方が、たしか十二月の十四日、二時半ごろまでわんわん騒いでおったのです。我々新生党も、私は反対の立場でありますが、ウルグアイ・ラウンド反対を貫く、今でもそんな気がしているのですが、それをきちんとしていかなければ、これは私は絶対認めるわけにはいかぬと思う。これは日本の農業、農村の均衡ある発展という意味からいっても、大蔵省の皆さん、地方へ行って、中山間地に住む人たちが現実にどんな生活をしているのか。しかも農業で、新農政プランを出す、大規模化する、流動化しなければならないと言ったって、中山間地で大規模化できるはずがないのです。みんな山をおりて、そして町へ行く。そうしますと、農業が廃れることはもちろん、農村がだめになる。日本の均衡ある発展、緑から治水治山から、こういう意味合いを兼ねても、これはぜひともやっていただかなければならない問題だろうと思っておるのです。  大蔵省、しつこいようですが、頑張りますということを一言御答弁願えればありがたいのですが、一言、四文字でガンバルと。
  199. 中江公人

    ○中江説明員 お答えいたします。  先ほど来申し上げておりますように、先般決まりました大綱に示されております基本的な考え方、あるいはそこに示されておりますいろいろな具体的な施策といったものを踏まえながら、今後を予算編成過程において検討を進め、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  200. 白沢三郎

    ○白沢委員 適切に善処してまいりたい、これはもう何十回、何百回、何万回聞いておる言葉ですが、ぜひともお願い申し上げたいと思っております。  そのことばかりやっているわけにいかない。もう時間もなくなってしまったものですからあれですが、建設省大臣は、農業の振興は農林業の振興だけではなくて、もちろん生活環境の基盤整備をすることに、これは建設省は大きな意味があるのだ、こういうことはもう御認識のとおりだと思うのです。しかし地方を回ってみますと、まだまだ山間地の基盤整備事業環境しかり、そうでありますが、余りにもおくれておる。私が先ほど申したように、市は抜けて町村の部分では、都市の下水道の普及率が一割弱だというのですから、今日本が世界で最高の先進国だと言われておることから見て、これは余りにも脆弱すぎる。  ですから、こういうことをぜひともこれからやっていただきたいと思うわけですし、建設省としてこれから山間地、もちろん大綱には出ておりますが、どういう考えで、決意でお臨みになるのか。来年度の当初予算、概算要求から始まって、もう予算査定に入るわけですけれども、その決意のほどを、どういう項目、これが目玉だと言いながら予算要求をしているのか、そういうことをお聞かせ願えればありがたいと思います。
  201. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 いろいろと、緑の大綱をつくっておりますので、アクセスの条件とか生活環境基盤の整備とかたくさんいろいろあります。ずっと並べておることは、白沢先生が御案内のとおりでございますが、特に私が考えるならば、六兆百億円というものは、例えば今農家負債等が非常にある。畜産なんかもうだめじゃないかと言われておる。それならば、その負債というものをどうやって整理するか。  あるいは、これからの価格政策というものがなかなか出てこない。したがって、国際競争場裏に立つためにはできるだけ安く、しかも良質なものを生産をしていかなければならぬ。こういうところに金を使って、一兆二千億は、例えばおっしゃったように集落排水で、いわゆる下水道というようなものを重点に考えていきたいという話でありましたから、それは建設省が下水道というものは引き受けて全力を挙げるから、農水省としては、価格政策の問題や基盤整備の問題や負債整理の問題等に重点を置いて、いわゆる活況を呈する農業というものをつくり上げ、我々は、環境保全をしながら住みやすい、定住しやすい中山間地帯の地域づくりを頑張ってまいります、こういうふうな考え方です。
  202. 白沢三郎

    ○白沢委員 もう時間で、やめてくれとメモが来たものですからはしょりますが、もう一点wお聞きをいたします。  そこで問題なんですが、これから恐らく建設省は、山間地にいろいろな下水道の問題、下水を一つとってみてもそうなんですが、私は県議会出身でありますし、その当時から実は問題があったのですが、建設省は何やっているのですか。建設省公共下水道、厚生省は何でしたか、合併処理場でしたか、農水省は集落排水、ここはここまでなんだ。これは建設省、こっちは農林省、いやこっちは厚生省です、こういうことで、地方の自治体も非常に困っているんですよ。こういう例があち こち実はある。それと、今度は道路網一つとってみても、これは農道です、これは地方村道です、こういうことで、役所の縦割り行政というのは非常に問題になっておるし、これが実は公共事業を遂行するにつれての大きな障害になっていると私は思っているんです。  ですから、こういう機会に、今行政改革あるいは行政の能率化、こういうことを言われておるときですから、私はひとつ提案をしたいのですが、公共事業の枠の中で何省、何省、何省ということではなくて、お互い仲よくやって、そして下水なら下水、道路なら道路ということの、縦割り行政の弊害を除いて、そしてスムーズに遂行するようなシステムを何とかとれないものか、公共事業のことに関してのその枠内でお互いにそういうことにならないのか、こういうことを常々実は考えておったのです。  大臣、これは大臣にお聞きしたらいいのか、どちらでありますか、どうなんでしょう。実際、こういうことをできると私は思っているのですが、どうでしょう。
  203. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 確かに先生指摘のとおり、農山村地域における社会資本整備、各省庁がそれぞれ事業を持っているわけでございますが、公共下水道、下水道を例にとってみましても、基本的にはやはり都道府県が関係市町村と協議しながら、どういう手法で対応していくかということを決めていただこう。  実は、下水道に関しましては、これは全県域汚水適正処理構想というのを都道府県に定めていただくことにしておりまして、先生地元の富山県の場合には既に策定されておりますが、その構想の中で、下水道ないしは道路整備、そういった建設省所管の公共事業の応援をお願いするというような町村についてはその構想に従って積極的に対応する、そういう考え方整備しているところでございます。基本的に、公共団体が関係町村協議のもとで、そしてそれを踏まえて我々が応援する、そういう考え方社会資本整備を進めているところでございます。
  204. 白沢三郎

    ○白沢委員 時間でありますから、ぜひともそういうことで、事務レベルではそういう答えより返ってこないと思うのですが、これは大臣政治的な判断で、これから省庁間の枠を超えて、そして部門ごとの公共事業の配分についてこれはぜひとも努力を願えればありがたいな、こう思っておるのです。  時間ですからこれで、後々政治改革のあれが出るということですので、それが一点。  それと、渇水対策の問題、ことしはこれはもちろん非常に日照りが多くて雨が少なかったということで、今でも関西方面あるいは四国、九州の方で渇水対策で苦しんでおる、こういうことだろうと思っているのです。これも私が先ほど申したように、日本の地形の問題があるにしても、これは急勾配、狭いあれですから、山あり海ありで、河川自体が急勾配になっておるという、こういう事情があるにしても、たまたまことしは戦後最高か日本の歴史始まって以来の日照りであったのかわかりませんですが、こういうこと一つ起きただけで先進国の日本が、世界に冠たる日本が、たった雨が降らなかったということで、水がないということで大騒ぎするような、こういう問題はやはり治水対策をもう一度考え直す必要があるんだろう、こう思っております。  もちろん海の水を真水にするとかいろいろな、農業用を飲料水にするとか、こういう議論がいっぱい実は出ておりますが、根本的には大臣治水対策はダムをつくって水をためておく、このことだろうと思うのです。これは一番の基本的な問題かもしれませんですが、ああだこうだ議論する、まずそれも大切ですが、根本的にはダム対策にもっと力を入れて、そして治水対策、これが結局は治水対策になるのですが、ダム対策について、これからもさらなる一層の努力をしていただいて、世界に、水がないなんといっては、これは笑われますよ、大体。  ヨーロッパで水不足どうのこうのなんて、先進国で聞いたこともない。アメリカでも聞いたことがない。日本だけが、ちょっと雨が降らなかったら給水、断水。床屋さんも水を使えない、学校は給食もだめ、こんなこと世界に堂々と言えることじゃないですよ。ですから、そのことに関してもぜひとも御努力をされて、決意をお伺いをして、時間でありますからやめますが、よろしくお願いいたします。
  205. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 きょうは本会議もありまして、最後の方が時間短縮になると困ると思いますので、私の方から一括してお答えします。  縦割り行政を廃して横割り行政で、各省庁の壁を乗り越えて一致結束して重点政策を整々として進め、むだのないようにやれという御指摘、肝に銘じて承っておきます。そのことを申し上げて、そういう方向ですべての政策を進めていかなければならぬ。建設省も、局あって省はないというようなことは言われないように、すべての垣根を乗り越えて、団結をして進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  二番目の渇水対策は、先生は新潟ですが、いわゆる水田もダムの役割を果たしておるわけです。地下水を養成をして、地域の保全、国土の保全をやっておるわけですから、それも大事にすると同時に、都会においては渇水も洪水も、その調整役として、国技館や後楽園のドームで見られますように、地下には何千トンと水を貯水をして、植木や自動車やトイレや、いわゆる散水その他の問題については雨水対策を完全にやっております。  今我々といたしましても、法務省等はそういう措置をとったわけですから、これから都会においてはそういうこともやり、いわゆるダム等については住民の犠牲もありますから、喜んで参加していただくようなダム対策を進めて、渇水というようなことがないように、去年は干ばつ、ことしは渇水、こういうような事態があるわけですから、十分それに対応して、日本の国で大騒ぎをしない、こういう方向というものをよく住民の理解を得ながら、そういう対策を十分に措置をしてまいりたい、そういう決意で今後臨みたいと思っておりますので、よろしく御指導と御鞭撻をお願いをして、答弁にかえます。
  206. 白沢三郎

    ○白沢委員 まだまだ言いたいことがたくさんありますが、時間がありますからこれでやめさせていただきます。  なお、大臣あるいは建設省においても、問題はすべてお金でありますから、財源でありますから、そういうことを一層努力をして、先ほどの決意を曲げないように、大蔵省も先ほどお話聞きましたから、ぜひとも御配慮を賜りますようにお願いして、終わります。ありがとうございました。
  207. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、樽床伸二君。
  208. 樽床伸二

    樽床委員 院内会派改革樽床でございます。  きょうは、政治改革法案の審議も後の本会議であるということでございますので、端的に私も御質問をさせていただきたいと存じますので、よろしく御答弁のほどお願いを申し上げたいと存じます。  今、最後に大臣の方から、縦割りの弊害を廃して思い切った重点施策に財源を投じた建設行政を行っていく、このような力強い御発言があったわけでございますが、建設大臣もかつて同じ連立与党を組んでいただいた、その幹部の一人といたしまして、公共事業のシェアが全然変わらないということでは時代の流れに対応できない、こういう私ども主張をかってしてきたわけでございますが、その点につきまして、今の御答弁でさらに大臣の力強い御指導がある、このように認識をいたした次第でございますので、その点よろしくお願いを申し上げたいと思います。  実は、そういう点にかんがみまして、我が国の戦後の流れを見ておりますと、かつて高度成長期という大変大躍進をした時代がございます。そのときに人口の大移動が起こりまして、地方から都市へという人口の移動がございました。当然流出をした地方は過疎に悩む、こういうことでございましたが、逆に流入をしてきた都市部におきましても、スプロール現象等々の大きな弊害がござい まして、今その後遺症に大変悩んでいるというのが事実であります。私は、その重点施策の中に、何としても都市型の建設行政を行っていただきたい、そんな思いを込めまして御質問をさせていただきたいと存じます。  特に、大都市近郊におきましては、欧米諸国と比べましても大変整備がおくれております。そういった中で、その人口流入期に住宅の密集地区が大変数多く発生をいたしました。それが徐々に改善はされつつあるわけではございますが、まだまだその後遺症に悩んでおるというのが事実であります。密集住宅市街地整備促進事業というものが、今鋭意行われているというふうに認識をいたしておりますが、その点に当たりましては、まず面的な整備をするに当たりましては、どうしてもまず道路整備していく、その地区内の道路整備していくというところからすべてが始まる、このような認識を持っております。  しかしながら、その生活道路の補助率に対しまして、今年度十分の四まで上がるというふうに認識をいたしておりますが、最も重要な推進の力となる生活道路の補助につきましては、十分の五を目指していくべきではないのかというふうに私は考えておる次第でございますが、先ほど大臣の、重点施策に鋭意全力をもって取り組んでいく、このような決意もございましたので、その点につきましての御答弁を賜りたいと存じます。
  209. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 お答えします。  密集住宅市街地整備促進事業というのは、ただいま先生指摘のとおり、大都市の密集住宅地をいろいろな生活基盤も整備をしながら、建てかえを進めたり、いろいろな形で更新をしていこうという事業でございます。この場合に、御指摘のとおり、何といっても生活道路も大変重要な部分でございます。この事業につきましては、従来から多少名称は違うようなものもあったわけでございますが、事業計画の策定でありますとか、あるいは建てかえの促進とか、従前居住者対策でありますとか、そういう多様なメニューを設けまして、事業推進を進めてきたわけでございます。  特にそれに対しまして、さらにその地区の公共施設、当然御指摘のような、道路を初めとする地区内の公共施設整備というものについても助成をしていこう、それによって進めていこうということにしたわけでございますが、いろいろな、地域によりまして極めて多様でございますので、地区の特性によりまして、公共施設整備も、道路を最も重要視しなければいかぬところもあれば、それ以外のものをやらなければいかぬ、いろいろなことがございますので、それぞれの地区に合わせて、地方公共団体が可能な範囲の中から選択をして、その地域に最もふさわしい基盤をつくっていこう、そういうものになるべくすり合わせた補助制度にしようじゃないかということで、今回の補助制度ができたわけでございますが、いわゆるメニュー補助と称しているものでございます。  したがいまして、そのメニュー補助金体としての補助率を十分の四ということにしたわけでございますので、一般道路あるいはそれぞれの施設の補助率と若干違うということは、そちらの特色を生かすためにやったという状況でございますので、なお力を入れなければいけないということはもう当然でございますけれども、そういう事情であるということも御理解いただきたいと思うわけでございます。
  210. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  続きまして、もう一点、都市部の大変重要な問題でございますが、一級河川の問題でございまして、一級河川といいましても、幅一キロメートル、堤防から堤防まで一キロメートルもある川もありますし、都市部におきましては、十メートルぐらいの川も存在をいたしております。その都市部におきましては、そういった一級河川を条件づけをしてでも河川法を見直すなど、土地の有効利用というようなことも当然考えていかなければいけない、私はそのような認識を持っておるわけでございますが、何としてもその河川法の改正を、条件づけであっても改正を通じて都市部の有効活用ということを図っていただきたいと存じますが、いかがお考えでございましょうか。
  211. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 河川というものは、そもそも洪水から国民の生命財産を守るということでありまして、洪水を安全に流下させるために川というのは必要な空間であるということでありますので、川の中に構造物を設置する際には、本当に必要やむを得ないものに限って今まで認めてきたところでございます。  一方、現在の河川の整備率はどうかということを申し上げますと、当面の目標に対しまして、大河川で六四%、それから今先生おっしゃいました小さい中小河川で三八%にすぎません。いわば、依然として不十分であると言わざるを得ないわけでございます。さらに、今後の都市化の進展等に対応して、治水の安全度というのはもっと向上を図っていく必要があるわけでございまして、計画規模の引き上げ、例えば今まで毎秒五十トン流していたものを、将来はもう少し六十トン、七十トンにふやしていかなければならないということが必要になってくるわけでありますので、もしそういうところを暗渠化いたしますと、将来大変な手戻りになるというようなことで、これは慎重に対応していかなければならないと考えております。  さらに、河川に仮にふたをして暗渠化いたしたといたしますと、そしてその上をほかの目的に利用したといたしますと、例えば中に土砂が堆積した場合には維持管理が大変困難であるというようなこと、あるいは異常な計画以上の洪水が発生した場合は、水の行き先がなくなって周辺にあふれてしまうというようなことから、今までは一般には認めていないというところでございます。  それからさらに、河川の空間というものは、特に都市部におきましては、町づくり都市づくりという観点から貴重なオープンスペースである。現在では、そこにはチョウが飛び、タンポポが咲きというような堤防を持った都市河川が望まれておるわけでございまして、そういった、自然がそこに息づいておるという河川がますます価値が高まっておるというふうに考えております。したがいまして、景観や親水性のある町づくりの面から見ましても、河川空間にふたをかけたり、暗渠化したりするということは好ましいこととは考えにくいと思っております。したがいまして、そのようなことには慎重に対応してまいる必要があるというふうに考えておるわけです。  ただ、特に、例えば神田川だとか石神井川だとか目黒川のようなことを考えますと、護岸が直立しておってしかも深い、もう川に近寄れないというような状況になっておりまして、ただいま申しました、都市景観治水対策を両立させる面から考えますと、もう少し工夫があるのではないかということで、例えば河川の二層化というようなことを考えております。これは、洪水時には地下の河川を通し、ふだんは地表の川を、タンポポも咲き、チョウチョウも飛ぶ、そういうような川にしていくというような構想があるわけでございまして、これをいわゆる二層河川と称しておりますが、こういったことも今後大いに検討していかなければならないというふうに思っておるところでございます。
  212. 樽床伸二

    樽床委員 私は、御見解はよくわかるわけでございますが、やはり地方それぞれの特色というものがございますので、今の御答弁とは私、いささか意見が違うわけでございますが、一概に言えるような状況ではないというような認識を持っておりますが、それは我が会派の側も、地方分権の推進というような中でまた解決をしていきたいなという思いを、決意を新たにいたした次第でございます。  時間もだんだん迫ってきておりますので、大臣にお聞かせいただきたいわけでございます。  都市部の行政とは離れまして、先ほどからも質問が出たかと存じますが、特殊法人の見直しの問題につきまして、実は、さきがけの方から大変画期的な案が出ているということを私は認識をいたしております。その案につきましては私どもは大変大賛成である、このような気持ちを持って、そ の点につきましてはさきがけの皆さんに大いに拍手を送っておるわけでございますが、なかなか思うようにいかないというようなことも聞いております。  大臣といたしましては、建設省関係の特殊法人の見直し、同じ連立会派を組んでおられますさきがけさんの非常に画期的な案につきまして、どのような見解をお持ちで、そして今後どのように建設省の中でお進めをされようとしておるのか、お聞きいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  213. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先生の御指摘のように、我々の与党としての仲間であるさきがけから、ああいう特殊法人、認可法人のリストラに対する意見が出ました。与野党ともにそれらを中心にして論議もいただいておりまして、大きく前進をする要素を持っておる一つの見識ではないか、こういうふうに高く評価をしております。ただ、そのとおりやるかどうかについては十分議論を尽くして、成果あるものとして取捨選択するものは取捨選択をする、こういう姿にしていかなければならぬと思っております。  例えば、私も先ほど申し上げましたように、日本道路公団の民間移管という問題もございましたが、先生は大阪の方でありますからよく都会のことは御存じですけれども全国的な国土の均衡ある発展、その特性を生かしながらの地域づくり、そして住宅環境整備、こういうようなことを建設省は任務にいたしておりますので、それらのさきがけの案も一つの見識ではありますと評価をいたしますが、それを丸のみするというわけにはなかなかなり得まい。十分討論をして、国民のために成果ある特殊法人、認可法人のリストラ作業を進めてまいりたい、このように考えております。
  214. 樽床伸二

    樽床委員 実は、本当はまだまだたくさん御質問をさせていただきたいわけでございますが、先ほど冒頭に申しましたように、我々が全力でこれまで推進をしてまいりました政治改革の法案が衆議院で最後の段階を迎えるという、大変本日は画期的な、また歴史的な本会議になろう、このような認識を抱いております。その日程を最優先させていただきまして、質問は本当はまだまださせていただきたいわけでございますが、このあたりで終了させていただきたいと存じます。  とにもかくにも時代は大きく流れてきております。世の中に絶対ということはあり得ない、私はこのように思っておりますが、ただ一つだけ絶対ということがあります。それは、必ず変化をするということであります。そういった変化に適応した建設行政を、ぜひとも大臣のお力をもって全力で推進をしていただきたい。心よりお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  215. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、中島武敏君。
  216. 中島武敏

    中島(武)委員 去る十月二十六日の本委員会で、建設大臣は先般閣議了解された一九九六年度から十年間に六百三十兆円という巨額の公共投資を行うというあの公共投資基本計画について触れて、そしてそれを踏まえて住宅社会資本整備の積極的な推進を図っていくと述べられました。同時に、昨年来の公共工事をめぐるゼネコン汚職については、入札方法の改革を行ったと言うにとどまっております。  政財官の癒着という構造的問題がこのゼネコン汚職の背景にあることは申し上げるまでもありませんけれども、税金を原資とする公共事業公共工事をめぐる国民の疑惑は晴らされたと大臣お考えですか。もしそうではないとすれば何が必要なのか、改めて大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  217. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 公共事業に絡む入札問題あるいは談合問題、そういう汚職を一掃しなければならぬということは私たちの使命であろうと思っております。不正なことができないようなシステムをどうつくるか、そういうことを今日も引き続き検討を続けております。  まず第一に、決まりましたことは、先ほども申し上げましたように、建設省関係は七億三千万円以上、あるいは関連事業の場合は二十四億三千万円以上のものは一般競争入札、アメリカの業者も含むという立場をとっております。またこれは緒についたばかりでありますから、その効果を見ていかなければわからぬと思いますが、さらに我々としては透明度を高くしなければならぬ。しかも、何らかの形で投書でわかってくるというものがよくあります。なぜなのかということを聞くと、私はとりたいのに入札にも入れてもらえなかった、指名にも入れてもらえなかった、こういうような不満からもあろうと思っております。  一つ一つ検討してみますと、ABCDとランクがあっても、BであってもAに近いB、Cに近いB。この仕事が出ました、出します、こう言うと手を挙げて私はやりたい、こういう人たちは全部出す、書類審査をして。その中で能力あるものと思われるものについては、建設省は公正に、公平にその指名をやりまして、その氏名を発表し、入札というものを適切にやっていただいて、粗悪な工事ができないように、安全で品質のよい、そういう工事ができるような措置をしてまいりたい。  システムの内容をさらに詳しく申し上げる時間はそうありませんが、そのあと細かい問題については、該当の局長から答弁させます。
  218. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、昨年の国会で、東京湾横断道路建設で、六つのトンネル工事の予定価格と落札価格の比率が九九・七%とぴったり一致していることを取り上げて、不正談合の疑惑を問題にいたしました。建設省調査を行ったというのですけれども、その事実はない。これは率直に言うと逃げ回っている、こういう感じであります。建設業法に基づいて厳正に調査をすることを要求したけれども、しかしそれも行っておりません。極めて問題だと思います。  実は、私は一九八一年十一月十二日の本委員会で、本四架橋の大鳴門橋など大手ゼネコンの不正談合について質問したことがあります、本州四国連絡道。それ以来、私は本四架橋の問題については特別に関心を持っております。  それで具体的にお尋ねしたいのですけれども、本四連絡道ほか幾つかの道路が接続する神戸市垂水区に垂水ジャンクションが現在建設中であります。最初に垂水ジャンクションを決めたのはいつですか。また、現在の建設地に決定したのはいつですか。一般的な位置ではなくて、地番を明白にしたそういう決定を行ったのはいつなんですか、伺います。
  219. 藤川寛之

    藤川政府委員 垂水ジャンクションでございますが、垂水ジャンクションにつきましては、神戸市の垂水区の名谷町に位置しておりまして、本四連絡道路の神戸-鳴門ルート、それから一般国道二号の神戸西バイパス、それから一般国道二十八号の西神自動車道、それから阪神高速道路の湾岸線が相互に接続する連結施設でございまして、昭和六十三年二月に具体的な、これはジャンクションになるわけでございますが、都市計画決定を行ったところでございます。
  220. 中島武敏

    中島(武)委員 最初に決めたのはいつでしょうか。
  221. 藤川寛之

    藤川政府委員 本四公団基本計画としてこういうジャンクションをつくるということにつきましては、昭和四十八年九月に基本計画という形で決めておりますが、これはそういう連結施設をつくるという決定でございまして、具体的な、どういう形にするか、どういう形でそれぞれの道路に接続するかということを決めたのが昭和六十三年二月ということでございます。
  222. 中島武敏

    中島(武)委員 実は、大変不思議なことがあるんですよ。それは何かというと、大成建設が、垂水ジャンクションを現在建設されているところに土地を買い占めているのです。私の調査によりますと、場所は今局長が名前を挙げられた名谷町の丸尾、入野、室山、大谷などで、地目は圧倒的に山林原野なんです。このあたりは、当時はもう今申し上げたように山林原野で、住宅などはなかったんです。農家が何軒かあったというところです。  買い占め地は、合計すると二十二万五千八百八 十九平方メートルに及びます。これは現在のジャンクション本体の面積約二十四万平方メートルの九四%に及ぶわけであります。それから、さらに東急不動産が名谷町丸尾を中心に一万三百一平方メートルを買い占めております。大成と東急が買い占めた合計は二十三万六千百九十一平方メートルです。これはジャンクションの建設面積と比べますと、九八・四%になるのです。これは登記簿等で私、調べたのです。  大成建設は、一番最初、昭和四十八年三月十二日に買い始めて、そして同年の九月十四日までにほぼ全域を買い占めております。東急不動産は、昭和四十七年八月三十一日までにほぼ全域を買い占めているのです。現場に行きますと、いまだに大成建設所有地、そういう看板も立っています。つまり、今局長が言った、この地点にということをはっきり決めない、わからない、その時期、昭和四十八年九月二十一日ですね、それ以前にほとんど全域買い占めているのですね。  それで、この事実についてお認めになりますか。
  223. 藤川寛之

    藤川政府委員 先ほども申し上げましたが、本四連絡道路として垂水ジャンクションをつくる基本計画でございますが、それの策定というのは四十八年九月ということでございますが、その当時は、連結道路として、連結予定施設として一般国道二号という形で基本計画というのは定められているところでございまして、具体的に、どの場所にジャンクションをつくるかどうかというのは決まっていないという状況でございます。  したがいまして、今お話がございましたことにつきましては、私もちょっと事実関係を承知していないわけでございますが、このジャンクションの決定に当たっては、大変周辺が住宅地なんかで開発の進んだ地域であるということでございまして、そういう中で、周辺の土地利用の状況とか、それからいろいろな連絡道路とやはりスムーズにアクセスしなければいけません。そういう状況、それから周辺に与える影響、それからやはりできるだけ住宅地等の支障物件を避けるというようなことがございますが、そういう観点から、今ジャンクションを計画している位置が一番適当だということで、このジャンクションの位置を決めたというふうにお聞きしております。
  224. 中島武敏

    中島(武)委員 今局長からお話がありましたけれども、随分前ですね、基本計画が決められる前というのはもう全くの山林原野なんですよ。それで、住宅地がずっと押し寄せてくるだろうということは予定されるけれども、しかしそこにジャンクションが来るとは、先ほどの答弁があったように、きちっとはっきりしない、こういう状況なんですね。そういったわけで、どんどん土地買いが始まるんです、それ以前に。  もう一つ聞きますけれども、ここの本体工事の受注企業はどこですか、また受注金額はどれだけですか、それはまたいつですか。
  225. 藤川寛之

    藤川政府委員 このジャンクションの中心的な工事につきましては、平成四年十月三十日に契約しておりますけれども、大成建設、それから鴻池組、東急建設の特定建設工事共同企業体でございます。
  226. 中島武敏

    中島(武)委員 全くこれは、大臣、聞いておっておかしな話だと思いますでしょう。基本計画が決まらないうちに予定地を買い占めて、しかも建設も土地買い占め企業が受注しているんです。  それで、これまた私が調べたところによりますと、昭和四十七、八年ごろ、ここの地価は幾らだったか。山林原野坪一万円、宅地四万円と言われておる。これはこの地域で長く不動産業を営んでいる人に聞きましたので、私はほぼ間違いないと思っております。  それで、建設省本四公団、それから阪神高速道路公団の三者で土地を取得したわけですけれども、その取得金額は幾らか。これは建設省から資料を出していただきました。それによりますと、総額約三百七十二億九千八百万円、面積は三十八万五千九百二十二平方メートル。計算しますと、一平方メートル当たり九万六千六百四十六円となります。  仮に、当時大成や東急が一坪一万円、一平方メートル当たりに直せば三千三十円程度で取得していたとするならば、三十二倍も値上がりした価格で買った、売買したということになります。このことによって非常に巨額の利益を得たことになります。土地の高騰でもうけ、さらに建設でもうけ、そしてそれが将来非常に高い道路料金となってユーザーの負担となることは、これまた私が申し上げるまでもありません。  当時基本計画を決定したのは、時の建設大臣であります金丸信氏であります。私は、だれかがこれらの土地買いに走った者に知らせなければ、このようなことはなかったんじゃないか、一体だれがやったんだろうということについて思うわけであります。私ももちろんわかりませんけれども、だれがやったのか。だれかが知らせなければ、これは、こういうことはできるわけがないんです。これはやはりもっと調査すべき問題だと、大臣、思いますでしょう。  大体建設省が、この予定地を大成が買い占めていることは知っていたと私は思うんですよ。何も知らないでやっているなどというのは、ちょっと常識的にもそんなことはあり得ないと思います。入札のときにもおかしいと思わなかったのかどうかということですね。この業界では、土地を所有している者が仕事を受けるというふうに言われていることは、これはもう大臣は御存じだと思うのです。私は、この際徹底的に調査をするべきではないかというふうに思うのですけれども大臣の見解を伺いたい。
  227. 藤川寛之

    藤川政府委員 先ほども申し上げましたように、四十八年九月の基本計画策定時には、このジャンクションの場所というのは決まってないわけですね。ですからそういう意味で、今おっしゃっていることが私もよく理解できないというところがございます。  それから、今回のこの垂水ジャンクション、先ほど申し上げましたように特定JVがとっているわけですが、この入札につきましては、いわゆるAランク業者三社の特定JVというのを入札対象業者にするということにいたしまして、この工事につきましてはいわゆる技術情報募集型という新たな入札のやり方をやろうということで、それの試行的な工事ということで入札をやっているわけでございまして、その指名に先立って具体的な技術情報、その施工のやり方等の技術情報を出していただきまして、その出していただいた技術情報を審査をして、それに合格した者について指名するというようなやり方をやっている入札でございます。そういう意味で、私どもとしてはこの入札につきましては厳正にとり行われたというふうに考えております。
  228. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、入札が不正だということを一言も言ってないのです。私の関心はそこにはありません。入札が何で不正だったのか、そんなことは私は全然問題にしているんじゃないんです。それは今、局長が説明されたとおりだと思うのです。だけれども基本計画さえも決まっていないときに土地のほとんどが買い占められているのですよ。私はうそを言っているんじゃない。私は調査をして物を言っているのです。私が先ほども言ったように、本四架橋が決定される前の何年も前にどこが落札するかということは決められてしまっているということを、八一年の本委員会で追及したのです。だから、この問題については私は関心を持っていたのです。  それで、これはどうなるかと思っていたら、それから時辰は経ましたけれども、やはり同じようなことが何かやられているんじゃないかなという気がしてならないのです。そこをちゃんと買っているのですよ。調べてみてください。大臣、おかしいと思わないですか、これ。局長先ほどから答弁されているから結構です。大臣、おかしいと思いませんか。
  229. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 中島先生調査の上の御発言だと思っております。入札そのものについては不正ないと思うと、しかし架橋する以前に、しかも数 年前に相当の面積の土地を安い値段で買い、三十二倍にもなっておるというお話でございました。  私ども建設行政に携わる者としては、まず入札問題は、道路局長が申し上げましたように、不正がしにくいシステムをつくろう、そしてそういうような大害な金額は一般競争入札で、談合ができないようにしよう、まず不正ができにくいシステムをつくります、そして効果を上げてまいりますと。  ただ、それ以前の問題なんだと。予定地というものを何とかして探りを入れてそれを買っておけば必然的に自分のところに来る、こういう姿でやっておるのではないかという疑念です。その疑念について、私もまだ国会にも出ていないころのことでございますから、よく様子がわかりませんが、それらについては担当とよく相談をして、中島さんのおっしゃるような点について、調査がどこまでできるかわかりませんが、誠心誠意努力してまいりたいと思います。
  230. 中島武敏

    中島(武)委員 私もちょっと言い過ぎがあった。自分の発言について言い過ぎがあったかもしれませんので、訂正しておきたいと思いますが、入札に不正がなかったともし私が発言しておったら、それは訂正してください。私の関心はそこにはないということを、今度の問題でそこに関心があるんじゃないんだということを申し上げたかったんだということを、ちょっと御理解いただきたいと思います。  それから、先ほどから大臣はシステムを非常に問題にされるのです。システムは、もちろんそれは問題にしなきゃなりません。それはそのとおりなんです。だけれども、システム以前にもっと大事なものがある。政官財の癒着というのはシステムだけで防げるものじゃないのです。そこを建設大臣はよく認識をしていただいて、そしてそういう政財官の癒着を断ち切らなければいかぬ。その断ち切るのをどうやればいいのか、システムだけじゃなくて、そこに真剣な努力を払わなければいけないんじゃないでしょうか。  今六百三十兆円、十年間で公共工事をやるというのです。だけれども、こういう問題があいまいにされたままでやられるとするならば、私は国民のための公共工事というふうにはならないんじゃないだろうかという気がしてならないのです。私がきょう挙げましたのはたった一例にすぎません。しかし、これはもっとほかでもやられているかもしれない。いや、私の感じで言えば、やられていると思うのですよ。ですから、それだけにこの問題を真剣に取り上げて、ぜひひとつ真剣な調査をやっていただきたい。重ねて申し上げたいと思います。  意見があったら言ってください。
  231. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お答えしますが、少なくとも国民の皆さんに建設関係において疑惑の持たれることのないような、そういう建設行政を進めていかなきゃならぬということがまず第一の基本であろうと思っております。その基本の上に立って、国民の信頼を受ける、そういう建設工事をしてもらう、不正も行わない、そういう原則を踏まえながら、今お話がございました諸点につきましては、できる限り調査をしていきたいと思っております。
  232. 中島武敏

    中島(武)委員 では、次の問題に移ります。時間も迫っておりますので、予定しておるものを幾つか割愛をして伺いたいと思っております。   それは、民間賃貸住宅の賃貸借問題についての問題です。最近非常に目立ってきていることがあるのですけれども、それは何かというと、不動産業者とかあるいは不動産管理会社が貸し主側の代理人として介入をしてくる、そして一方的に不当な要求を突きつけてくる。例えば値上げの押しつけであるとか契約更新料の取り立てであるとか追い出しであるとか、そういうことをやってくるわけであります。   かつて建設省は、こういう事務連絡を出したことがあるのです。「賃貸借物件の管理について」、これは昭和四十八年五月二十八日付のものです。何を書いてあるかというと、専門的な知識を有する宅地建物取引業者が一方的に代理として貸主の側に立って賃料値上げ等の交渉を打ってトラブルを生ずることは、宅地建物取引業法第三十一条に規定している業務処理の原則に背くものであるといわざるを得ない。   したがって、賃貸借物件の管理については、一方に偏することのないよう十分留意の上業務に当られたい。と、厳しく警告、指導しておりましたけれども、しかし実態を見ますと、貸借人が行政地方自治体などの紛争窓口に苦情を述べて相談をしても、担当者がこの文書の存在すら知らない、そういうのが現状なんです。町の零細な不動産業者は、仕事を大家さんから、その貸し主の方からもらえないということを恐れて、心の痛みを感じながら今言ったようなことを実行しているというのが実情なんです。  問題は何か。それはミサワとか積水とか大手がありますね。この大手が子会社を、幾つも不動産業者をつくって、そしてその不動産業者、その子会社に貸し主側の代理人として介入をし不当な問題を押しつけてくる、こういうやり方がやられているわけですね。ここを正さなかったら、町の業者だけ責めても、これまたうまくいかないことはもう明瞭だと思うのです。  それで、私が思いますのは、建設省として賃貸借に関する不動産会社などの介入の実態をぜひ調査してほしい、そしてこのようなことがないように、業者、特に大手が絶対に行わないように厳しく指導していただきたいと思うのですけれども、答弁をいただきたいと思います。
  233. 小野邦久

    小野政府委員 お答え申し上げます。  不動産業者、不動産管理業者が貸し主の代理人となっていろいろ家賃の値上げとか立ち退きを迫る、そういう事例が多いではないか、これについて建設省がどう実態を調査し指導していくのか、こういう御指摘があったわけでございます。  まず最初に申し上げておかなければいけないのは、四十八年五月二十八日の事務連絡というお話でございます。先生から御指摘をいただきまして、私どもでもいろいろ調べてみたのでございますが、後刻詳細には御報告を申し上げることになろうかと思いますけれども、何せ二十年前のことでございますので、具体的にどういう名あて人にどういう文章で事務連絡をしたのか、必ずしも判然といたしておりません。現在、それについてはいろいろな角度から調査をいたしているわけでございます。  そういう部分がはっきりいたしませんと、今の具体的な事務連絡というものの都道府県についての周知、あるいは都道府県がそれをどう受けとめているのかということについて明確なお答えはできないわけでございますけれども一般的な形でお答えをさせていただきますと、賃貸住宅の管理行為を行うということは基本的には民事上の事柄でもございまして、無用なトラブルあるいは混乱ということを招くことのないように、現在私どもでは、例えば賃貸住宅の標準契約書、これは平成五年の三月につくったわけでございます。住宅宅地審議会の議を経て制定をいたしましたけれども、これにおいて、具体的な家賃の値上げあるいは明け渡し等の事由の明確化といったようなことを、標準契約書によってはっきりうたうというようなことによって適正化を図る一助にならないか、こういう観点からいろいろ行政をいたしております。  それと同時に、家主を代理して宅地建物取引業者が行使する代理権の範囲、これを具体的に明確に借り主に対してもする必要があるだろう。これが明確になっておりませんと、やはり代理権を行使して宅地建物取引業者が具体的な貸借人の方々と交渉する場合に、どうしてもトラブルが起こりやすいわけでございます。そういう点を考えまして、明確化する等の観点から、ことしの一二月には、これも住宅宅地審議会の議を経て定めたわけでございますけれども住宅の賃貸借媒介あるい は管理委託に関する標準契約書、要するに住宅の賃貸借の媒介をやられ、管理行為を委託する場合の標準的な契約書でございますけれども、これを定めまして、これらによって、具体的にそれぞれ管理行為をやる場合、あるいは代理行為をやる場合、あるいは建物を賃貸する場合のトラブルがないように、標準契約書等を使っていろいろ指導をやってきております。  先生の御指摘のとおり、具体的ないろいろなトラブルというものは、確かにいろいろな個人間の財産上の問題、居住の問題でございますから、そういう部分があると思いますけれども、それにつきましては、もしそういうようなことがあれば、一般的なそういう標準契約書の指導とあわせて個別に指導していくということにしてまいりたいと思っております。
  234. 中島武敏

    中島(武)委員 ちょっと議論したい点が残るのですけれども、時間がありませんから、最後の問題だけ述べて私の質問を終わりにしたいと思うのですが、住都公団の家賃値上げ問題について大臣に伺いたいと思っています。  先ほどからの議論も私は聞いておりました。第一分位、第二分位で五〇%前後を占めていることはもう間違いないと思うのですね。居住者が高齢化し、年金生活者や低所得者が非常にふえているからです。私は団地居住者の人たちと話し合う機会は大変多いのですけれども、これらの人たちがどんなにつましい生活をしているか、これらの人たちにとって値上げがどんなに残酷なものか、大臣、おわかりでしょうか。その上、今はバブルがはじけて四年、東京などは六年前から地価は下がっているのです。そして民間家賃も下がり続けているのです。それにもかかわらず、政府施策住宅である公団家賃だけは引き上げられる。これはだれしも納得のいかないものなのです。値上げは断じて認めるべきではないと考えますが、この点について大臣の見解を伺いたいと思うのです。  それからもう一つ、地価と民間家賃が下がっても公団の家賃は上がる。これは、三年ごと値上げのルールなるものが破綻していることをはっきり示すものじゃないでしょうか。もう一つは、昨年、家賃値上げ計算の重要な構成要素の、そしてその中でも大きなファクターを占める固定資産税評価額が政府によって人為的に引き上げられました。三倍から四倍に引き上げられた。当然、所によってもっと多いところもあります。こうなりますと、家賃は次回は物すごい値上げになる。明らかです。もう既に空き家割り増し家賃はこの問題にぶつかっております。この面からもルールなるものは完全に破綻しております。  三年ごと値上げのルールなるものを見直して、居住者の生活実態に合った、いつまでも安心して住み続けることのできる家賃改定ルールを確立すべきではないかと私は思うのです。この点についても大臣の所信を伺いたいと思います。  委員長、私は、非常に問題が多いので、やっぱりこれまでのようにぜひひとつ集中審議をやるべきじゃないかということを最後に申し上げまして、大臣の答弁を聞いて終わりにいたします。
  235. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいまの御質問の具体的なことについて、若干御説明をさせていただきたいと思います。  一つは、高齢化あるいは所得が大変低い方に入居者に実態が現実で偏っているということに絡みまして、また一方で民間の市場家賃との関係で、値上げは不当ではないかというような御意見であったかと思いますが、私ども考え方といたしましては、やはり公団というものが中堅勤労者というものを基本的には頭に置きながら、良質で適正な家賃というもので供給していくという体系の中で存在しているということでございますし、それなりの財政的な支援も行ってきているわけでございます。  したがいまして、公団の中の賃貸住宅の相互の家賃の不均衡というものは一定の範囲でとどめるべきであって、不均衡については是正をしていくべきである。また、この公団が抱えております、社会的な住宅というものが適正な形で提供されていくという条件を常に確保していかなければいけないということでございますので、家賃についてはさまざまな条件の変化に合わせまして、当然に適切な見直しが必要なんだという考え方に立っているわけでございます。  そのときのいろいろな点に関します、激変の緩和措置をとりますとか、高齢者の方あるいは生活保護世帯の方に対する措置につきましては、公団の仕組みの中で最大限、それなりの措置を講じていくということが必要でございますし、特別な措置を従来からも講じているわけですが、今回はさらにその点を強化して、公団の中での可能な住みかえについてはそういうことも御用意しながらやっていくというようなこともやってきたわけでございます。  また、その三年ごとの見直しということに絡みまして、これは従来からそういう見直しの期間そのものが、全体から見て適切な見直しという意味では妥当であると私どもは現状では考えているわけでございますが、固定資産税の評価の関係でございますが、今回の見直しに当たりましては、先ほど指摘の点には直接はまだ関係のない中で考えております。その点につきましては、固定資産税評価の組み立て方が大いに変わったということについては、従来のルールの中で基本的な条件は当然変わってきているということでございますので、その点については今後十分検討させていただきたいというふうに思っております。
  236. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 具体的に住宅局長から御答弁をいたしました。  その内容については、沢藤先生なり石井先生からも御質問がございまして、今高齢者が入居している、あるいは生活保護家庭さえいらっしゃる。大体、公団の住宅というのは中堅の勤労者層、公営の場合は比較的低所得者、こういうことになっておりますけれども、お入りになると、住めば都でなかなか出にくいのですね。今局長も言いましたように、公営住宅をあっせんしますというようなことがあっても、ここにいたいということになりますと、強制執行なんということはいいことではありませんし、人に優しい政治をやっておるわけですからなかなかできない。  そういう意味で、我々としてはあっせんその他をやりますけれども、できない場合については、したがって先ほど石井先生に申し上げましたように、委員長から委員長要望が出た敷金の追徴はすべきでないという話がありまして、それはやめましたと言ったのです。  それから、三年ごとにルールとして見直せという勧告、要望が出ておりますから、ちょうど三年目なんですね。先生がおっしゃるように、民間の家賃は下がりつつあるじゃないかというような点についても十分配慮しておりますが、平均してみますと一〇%上がっています。それで、我々は修繕といわゆる是正、そういうものを考えてやっておりますけれども、お申し越しの諸点がございますのでいまだ決定するに至らず、十分検討して国民の皆さん方に御理解をいただけるような方途をとっていかなければならぬ、こういうふうに考えて、現在結論を出しておりません。ただいま検討中でございます。
  237. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  238. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時一分散会