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1994-09-16 第130回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年九月十六日(金曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  九月二日     辞任         補欠選任      島袋 宗康君     下村  泰君  九月五日     辞任         補欠選任      小島 慶三君     山崎 順子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三上 隆雄君     理 事                 北  修二君                 守住 有信君                 今井  澄君                 清水 澄子君                 風間  昶君                 高崎 裕子君     委 員                 笠原 潤一君                 鎌田 要人君                 佐藤 静雄君                 清水 達雄君                 陣内 孝雄君                 永田 良雄君                 南野知恵子君                 溝手 顕正君                 矢野 哲朗君                 会田 長栄君                 稲村 稔夫君                 庄司  中君                 中尾 則幸君                 堀  利和君                 泉  信也君                 小林  正君                 長谷川 清君                 山崎 順子君                 浜四津敏子君                 横尾 和伸君                 下村  泰君                 翫  正敏君    国務大臣        内閣総理大臣   村山 富市君        外 務 大 臣  河野 洋平君        法 務 大 臣  前田 勲男君        大 蔵 大 臣  武村 正義君        文 部 大 臣  与謝野 馨君        厚 生 大 臣  井出 正一君        農林水産大臣  大河原太一郎君        通商産業大臣   橋本龍太郎君        運 輸 大 臣  亀井 静香君        郵 政 大 臣  大出  俊君        労 働 大 臣  浜本 万三君        建 設 大 臣  野坂 浩賢君        自 治 大 臣  野中 広務君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 五十嵐広三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  山口 鶴男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官事        務代理)     宮下 創平君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       田中眞紀子君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  小澤  潔君        会計検査院長   矢崎 新二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 重夫君    説明員        内閣総理大臣官        房管理室長    石和田 洋君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        外務省総合外交        政策局長     柳井 俊二君        外務省経済協力        局長       平林  博君        外務省条約局長  折田 正樹君        大蔵省理財局次        長        沖津 武晴君        国税庁徴収部長  皆合 達夫君        厚生省健康政策        局長       寺松  尚君        厚生省生活衛生        局長       小林 秀資君        厚生省社会・援        護局長      佐野 利昭君        厚生省児童家庭        局長       佐々木典夫君        厚生省保険局長  岡光 序治君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        清川 佑二君        中小企業庁長官  中田 哲雄君        郵政省通信政策        局長       山口 憲美君        郵政省放送行政        局長       江川 晃正君        建設省河川局長  豊田 高司君        建設省道路局長  藤川 寛之君        会計検査院事務        総局次長     白川  健君        会計検査院事務        総局第一局長   阿部 杉人君        会計検査院事務        総局第二局長   森下 伸昭君        会計検査院事務        総局第三局長   天野  進君        会計検査院事務        総局第四局長   平岡 哲也君        会計検査院事務        総局第五局長   中島 孝夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成三年度一般会計歳入歳出決算平成三年度  特別会計歳入歳出決算平成三年度国税収納金  整理資金受払計算書平成三年度政府関係機関  決算書(第百二十六回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成三年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十六回国会内閣提出)(継続案件) ○平成三年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十六回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二日、島袋宗康君が委員辞任され、その補欠として下村泰君が選任されました。  また、去る五日、小島慶三君が委員辞任され、その補欠として山崎順子君が選任されました。     ─────────────
  3. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 平成三年度決算外二件を議題といたします。  本日は、総括的質疑内閣総理大臣及び各省大臣に対する質疑を行います。  それでは、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑時間等につきましては、理事会において協議し、各質疑者に御通知申し上げたとおりでございます。  それでは、これより質疑に入ります。  まず、私が決算委員長として若干の質疑をさせていただきます。  当委員会は、昨年十月に平成三年度決算に対する審査を開始し、二回の全般的質疑、九回の各省審査を経て、本日、締めくくりの総括的質疑を迎えたわけであります。  決算審査を開始した当時は細川内閣でありましたが、その後羽田内閣村山内閣と次々に新しい内閣が誕生いたしました。委員会では、そのときどきの内閣に対して質疑を行い、答弁を得ております。  そこで、総理にお伺いいたしますが、当委員会指摘を受け、細川羽田内閣の閣僚が改善を約束した事項についても、村山内閣は当然にこれを引き継いで次の予算編成に生かすほか、予算執行面改善に努力いただけるものと思いますが、改めて総理からその点について確認の御答弁をいただきたいと思います。
  4. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 委員会で御質疑をいただいて答弁に立つのは初めてでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。  今、委員長から御指摘のございました点につきましては、行政継続性というのはやっぱり尊重しなきゃならぬということが第一です。同時に、この決算委員会でいろいろ御指摘のあった事項につきまして、予算編成の面あるいは予算執行の面でその意見を尊重しながら可能な限り反映をさせていくというのは当然だと思いますから、私はそういう面ではこれからも誠心誠意お答えをしたいというふうに思っております。
  5. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 国政運営に一刻も停滞のないようにひとつ万全を期していただきたいと思います。  それでは、次の質問に入りたいと思います。  政権交代決算審査、特に参議院決算審査について村山総理所見を伺っておきたいと思います。  平成三年度決算は、自民党内閣時代における予算執行の結果であります。ところが、三年度決算審査は、先ほど申しましたように、当初は非自民連立内閣である細川羽田内閣に対して、本年八月以降は自民社会、さきがけの村山内閣に対して、それぞれ質疑を行っているところであります。  そこで、政権交代が生じた後における国会決算審査においては、執行時の内閣からの行政継続性を踏まえた現内閣協力が特に必要であると思われますが、村山総理はこの点についてどういう御所見をお持ちでしょうか。  また、これに関連して伺いますが、参議院における決算重視という点について村山総理はどういう御認識をお持ちか。  議院内閣制をとる我が国において、政権交代が起こり内閣が交代するということは当然に予想されているところであります。そこで、最近の政治状況を見ますと、予算に対する衆議院の優越に対置する概念としての決算重視にとどまらず、参議院議員の任期の特徴を生かして、中長期的観点から政府施策実績批判を行い、その改善を求めるという立場での決算審査が重要になってくると思われますが、総理の御見解はいかがでしょうか。  あわせて、参議院決算審査に対する内閣の対応と協力についても御所見をいただきたいと思います。
  6. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 決算は言うならば予算執行実績でありまして、その実績をあらゆる角度から照らして審査をいただくというのは極めて重要なものであるというふうに認識をいたしております。  政府といたしましては、今委員長から御指摘ございましたように、先ほども申し上げましたが、行政継続性というものを十分踏まえた上で決算審査には今後とも積極的に御協力を申し上げたいというふうに思っております。  特に、参議院のお立場から御指摘がございましたように、参議院の特色を生かした決算審査というものにつきましては常々敬意も払っているところでありますが、今後ともそういう視点に立って積極的な御協力を申し上げたいというふうに思っているところでございます。
  7. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) それでは、時間の関係もございますので次に質問を移らせていただきます。  昨年一年間を振り返ってみますと、公共工事入札契約をめぐって地方自治体の首長の汚職事件が連続して発生し、また巨額脱税事件の摘発から建設業界使途不明金実態国民の目に一部触れるところとなりました。まことに遺憾であると思います。  政府においては、これら一連の事件を教訓として、公共工事執行に再び国民から疑惑の目を向けられないよう、入札契約制度について実効ある改善に努める一方、建設資材価格の動向、工事施工費実態など積算コストにも十分意を払い、限られた予算国民生活を豊かにし、かつ地方を含めて景気の浮揚に役立つ公共事業執行に全力を尽くすべきであると考えますが、村山総理の御決意を伺っておきたいと思います。  あわせて、この機会総理に伺っておきたいことは、いわゆるゼネコン問題を契機として、またODAの使われ方に対する国民の関心の高まりを背景に、会計検査機能強化を求める声が再び強まっておりますが、内閣としてもこの問題を新たな視点から法改正を含めて検討し、国民の声にこたえるべきであると考えますが、いかがですか。総理の御見解をいただきたいと思います。
  8. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 二十一世紀に向けて、これから国民生活の一層の充実向上を図らなきゃならぬという極めて厳しい時期にもございますし、同時に本格的な高齢化社会の到来を控えて、社会資本充実ということが多くの国民から期待をされているこういう時期に、公共工事をめぐって不祥事が発生し、公共事業に対する国民信頼が損なわれたということは極めて遺憾なことだというふうに言わなければならぬと思います。  このため、今後、国民理解を得ながら、限られた予算を有効に活用して事業執行を進めてまいりたいというふうに考えておりますが、特に今御指摘もございましたように、国民生活向上に真に必要な事業への重点化、さらにまた入札契約制度改善による透明性競争性向上、さらに建設コストの一層の縮減といったような点に着目をいたしまして積極的に取り組み、予算が効果的、効率的な社会資本の整備に充当されるように努めることが大事であるということを肝に銘じてこれから取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。  さらに、御指摘のございました会計検査院機能強化の問題についてでありますが、内閣に対して独立した機関としての立場から、会計検査院検査機能充実に努める必要があることは申し上げるまでもございません。したがって、この点に関しましては、これまでも定員予算の確保に十分な配慮をされてきておると、私はそういうふうに認識をいたしております。  特に、会計検査院予算につきましては、検査要員増員やコンピューターを利用した検査及び検査要員の資質の向上のための研修経費などを重点的に計上してきたところでございまして、定員については昭和五十年以降ほぼ毎年一名ないし三名の増員を図っており、実地検査施行率も以前に比べて上昇していると認識をいたしているところでございます。  会計検査院検査は国の会計経理の適正を図るということを目的としたそういう立場から、契約手続が適正であるか、あるいは契約金額経済的かという点から検査を行っておりまして、直接談合の有無を究明する立場にはないということは御認識をいただきたいというふうに思います。  ODAにつきましても、昭和六十二年には主としてODA検査を担当する部署を新設などして、その検査機能充実を図ってまいったところでございまして、これからの推移も十分見きわめながら、さらに必要があれば検討させていただきたいというふうに思っているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも予算定員等についても充実を図りまして、検査機関重要性というものも十分認識をした上で、一層充実強化に十分配慮してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  9. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) それでは、次に最後質問をいたします。  村山総理は、さきの所信表明において、額に汗して働く人々や地道に生活している人々がいかに平和に安心して豊かな暮らしを送ることができるかを発想の中心に置き、「人にやさしい政治」、「安心できる政治」ということを提唱されておりました。私も全く同感であります。国家とか産業を優先する考え方は、人々生活を真に豊かにするという視点に立って改められるべきだと思います。  その具体的な一つの方法として、昨年来、規制緩和地方分権ということが強く叫ばれておりますが、経済合理主義観点だけに立った規制緩和では「人にやさしい政治」も「安心できる政治」も実現が不可能だと思います。また、財政の裏づけを欠く地方分権ではますます東京一極集中都市集中を招くだけであり、地方に豊かさをもたらすことはできないのではないでしょうか。地方自治地方政治からスタートされた村山総理には、我が日本の農山村、そして漁村が今どういう状況に置かれているか、その実情をよく御存じのはずだと思います。  そこでお聞きいたしますが、規制緩和を図り、地方分権推進することが地方にとって「やさしい政治」とか「安心できる政治」の実現に結びつくものなのか、地方に豊かさをもたらすためのものなのか、国民の中には一部疑念を抱く向きもございます。この機会総理の御所見を伺っておきたいと思います。
  10. 村山富市

    国務大臣村山富市君) お答えいたします。  規制緩和につきましては、当面する経済改革の大きな柱になっておると言っても過言ではないと私は思います。これは、我が国経済社会透明性を高めると同時に、国際的にも調和のとれた国内の条件を整備するといったようなこともございますし、消費者の多様な商品サービス選択を広げていく。生産者流通消費者といったような各面にわたって規制緩和していくということは必要なことだというふうに私は考えて、今、鋭意取り組んでおるところでございます。これはまた、ある意味では企業の活性化にもつながるわけでありまして、私はこの規制は全面的に見直しをして、緩和すべきものについては徹底的に緩和を図っていくということが必要ではないかというふうに考えておるところであります。  ただ、この規制につきましても、全面的な見直しの中で、今御指摘もございましたように、完全に自由化された場合に、完全に規制緩和された場合に、それによってある意味では弱い立場に立った者の犠牲というものもあり得るのではないか、これは競争社会ですから。したがって、力の弱い者が競争に落ちこぼれていくということもあり得ると思いますから、そういう者に対してはやっぱり何らかの手だてを講ずる必要があるというふうにも考えますから、そういう必要な規制については、やっぱり見直しの中から新しくつくるものはつくるし残すものは残すということが大事ではないかと思います。  冒頭に申し上げましたように、経済透明性を高めるとか、国際的に調和のとれた環境をつくり上げていくとか、あるいはまた消費者選択の幅を広げていくとか、こういったような面で全体として活性化を目指すという意味では規制緩和は必要であるというふうに考えておりますから、そういう視点からこれからも取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それから、地方分権についてのお話もございましたが、私は常々申し上げておるわけでありますけれども、日本政治を新しい時代に対応するように変えていくのには大きく分けて三つの柱がある。一つは、選挙制度等あるいはまた腐敗防止等政治全体のあり方を変えていく一つ視点。もう一つは、きょうここで議論されておりまするけれども、行政府と立法府との関係というものもやっぱりこの際見直しをするところがあれば見直しをして、そしてもう少し立法府機能というものを高めていく必要があるのではないかということが言われている点だと私は思います。それからいま一つは、行政の仕組みを基本から変えていくという意味では、地方分権化日本政治を変えていく大きな一つの柱になるのではないかというふうに受けとめておるところでございます。  そういう視点から申し上げますと、国が責任を持ってしなければならない仕事と、同時に地方自治体責任を持って分担をすべき仕事とある程度区分けをして、その区分けに基づいて財源が保障されるような、そういう行財政をめぐってのあり方というものを私はやっぱりこの際徹底的に検討しておく必要があるのではないかというふうに考えておるところであります。  よく言われますように、歳入面から考えますと、税収の約六五%は国が取り、地方には三五%と。仕事の面を考えますと、地方が六五%の仕事をして、国は三五%程度と、こういうふうに言われた。言うならばギャップも御指摘をされておるところがあるわけであります。そういう点から考えてまいりましても、今委員長から御指摘もございましたように、私は、これから一極集中を排除して均衡ある国土の発展を図っていくためには、それぞれ地方に財政的にも行政的にもある程度の権限を与えて、自主的にその地域の特性に応じた町づくりが進められていく、こういう条件を整備していくことは極めて大事ではないかというふうに考えております。地方分権は今、時の流れでもありますし、一層推進をされるべき問題であるというふうに理解をいたしておるところでございます。  今、政府といたしましても、行政改革推進本部が設置をされておりまして、地方分権部会において大綱方針骨格について検討をしていただいております。この骨格ができれば、その大綱方針に基づいて地方分権推進する立法を進めて、そして具体的に地方分権が進められていくような方策を講じていきたいという考えで今準備を進めておるところでありますから、御理解と御協力をいただきたいというふうに思います。  以上です。
  11. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) どうもありがとうございました。  委員長の一通りの質問は終わりました。  そこで、総理最後にお願いしておきます。  民主主義基本はすべての国民活動のスタートが公平であるというのが前提でありますけれども、一定の期間経過した時点では格差が出てくるのが当然でございます。その格差を是正するのがいわゆるいい意味規制でありますから、その点も留意されて行政執行に当たっていただきたいことを強くお願い申し上げておきます。  以上で私の質疑は終わらせていただきます。  それでは、質疑を続けてまいります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 北修二

    北修二君 自由民主党の北修二でございます。  平成三年度の決算に先立ちまして、当面の諸問題について質問をいたしたいと思います。  総理は、六月三十日、内閣総理大臣の指名を受け組閣、そして同時にナポリサミット出席をされ、多忙をきわめて御苦労さまでございました。世界の中の日本という立場で何を主張し、国際的な役割を果たされたか、サミットにおける総理のお考えを聞きたい。  また、臨時国会における所信表明で、日米安保堅持あるいは自衛隊容認日の丸国旗等社会党の政策転換を明らかにされたが、日本最高責任者としてその役割を果たすために決断されたことは、村山総理の人柄あるいは政治哲学、あわせて安定を考え、国際的にまた国民信頼を得るための責任ではなかったか。さらに、総理基本理念は、平和と憲法を守るということが総理考え方と思いますが、それらについてお聞かせ願いたい。  また、今委員長からもお話がございましたが、変わった感じでいわゆる「人にやさしい政治」あるいは「安心できる政治」と言われておるが、その心というか内容はいかなるものか、私はその点について総理のお考えをひとつお伺いをいたしたい、かように思うわけでございます。
  13. 村山富市

    国務大臣村山富市君) お答えをいたします。  今はある意味では歴史的な大きな転換期にある。したがって、これまでの冷戦構造下における古い秩序が崩壊して新しい秩序枠組みがつくられようとしている段階にあるのではないかというふうに思っておりますが、それだけにこれから新しい二十一世紀に向けて国際社会が平和で繁栄した新しい国際的な枠組みというものをどうつくっていくかということがある意味では模索されている時代ではないか。それだけに、世界の英知を結集して本当に平和と安定が図られるようなそういう新しい枠組み秩序というものがつくられていかなきゃならぬと思うんです。  そういう世界全体の動きの中で日本は一体どういう役割を果たせばいいのかということを常々考えるわけでありますけれども、何分この平和憲法を持っておる日本立場というものはこれはやっぱり大事にする必要がある。したがって、すべての世界の問題について可能な限り平和的に解決できるように、そして世界経済が均等に発展できるような条件というものをどうつくっていくかというようなことについても日本の果たす役割というものは大変大きいものがあるというふうに思いますから、そういう部面でも積極的な国際的貢献というものを日本は果たしていく必要があるんではないかということを常々考えておるところでございます。  そういう立場に立って、今御指摘もございましたように、先般ナポリサミットにも行ってまいりました。  私は、クリントン大統領やら各国の首脳との首脳会談の中で何を一番先に話をすればいいのかということを考えていきましたけれども、やっぱりお互いに理解し合い信頼し合うことが大事だというふうに思いました。日本の国の場合には一年間に四回も政権がかわったというふうな事情もございますし、とりわけある意味ではこれまで三十八年間対立してきた自民党と社会党がさきがけと三本柱で新しい政権をつくった、一体これから日本の国はどうなっていくんだろうか、こういう疑念を持たれている国もあるんではないかというふうに思いました。  そういうことに対して、経過をよく御理解いただきますようにお話を申し上げて、政権はかわっても外交政策というのは、これはやっぱり国と国との約束事もあるわけですから、したがって尊重してまいります、継続してまいります。同時に、国内的には大いに改革を進めて、そして国際的な貿易自由化に対応できるようなそういう日本の国というものをつくるために各面にわたっての改革を進めてまいりますというようなことを申し上げて、そして何よりも国同士の信頼関係というものをしっかり築いていくことが大事ではないかということに力点を置いてお話を申し上げてまいりました。  同時に、先ほど申し上げましたように、日本の国はこれから国際的に果たす役割というものは大変大きいものがあるわけでありますから、したがってそういう問題についても積極的に取り組んで、そして国際的な貢献も大いに進めていきたいと考えています。お互いに協力し合ってこの地球上から飢餓と貧困をなくし、地球的規模の問題である環境問題等についても積極的に取り組んで、そして全く平等互恵にこの地球で生存する皆さんが生きられるように、そういう社会的な世界的な条件をつくるためにこれからも一層努力して頑張っていきたいというようなことを申し上げたわけでございます。  私は、「人にやさしい政治」というのは具体的にどういうことかということについていろいろ考えてみるわけでありますけれども、先ほどもちょっと規制緩和のところで申し上げましたが、これからだんだん規制緩和も進み自由化がどんどん進んでいく状況の中で、いずれにしてもこの世界の中にはあるいは日本の国の中には力の強い者と弱い者というのがございますし、同時に、健康で頑丈な人もあれば、心身に障害を持たれている方もある。表現はどうかわかりませんけれども、言うならば比較的弱い立場の人もおる。  こういう状況の中でいかにして社会的な公正を期していくかということからすれば、そういう弱い立場の人あるいは弱点を持っておられる方々等々に対して行政的に手を差し伸べて、そして力の強い者も弱い者も対等、平等に公正に生きられるような社会条件というものをどうつくっていくかということが、ある意味では「やさしい政治」を実行していく心がけとしては大事なことではないかというふうに考えておりますので、ひとつ御理解を賜りたいというふうに思います。
  14. 北修二

    北修二君 次に、さきに韓国を訪問し、八月の二十三日より八日間、東南アジア四カ国を訪問されまして無事に帰国されました。大変御苦労さまでございます。  総理がかねて主張されていたアジア重視の姿勢をアジアの国々に正しく受けとめていただくために、また我が国が過去にアジアで犯した過ちについて改めて明確なけじめをつけたいとして終始誠意を込めて御苦労されている内容を報道を通じてその都度伺っておりました。村山総理の努力に心から敬意を表するものであります。  この際、アジア歴訪の成果について率直な所見をお伺いいたしたいと思います。
  15. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 御指摘がございましたように、先般、韓国、それからASEANでありますフィリピン、マレーシア、シンガポールとベトナムの四カ国を訪問してまいりました。  私は、この四カ国を訪問して感じましたことは、どこの国も経済だけではなくて文化の面でもいろんな面で日本に対する期待が大変大きいということを痛切に感じてまいりました。  これまでシンガポールもそれからマレーシアも、あるいはフィリピンも相当近代国家に肩を並べる程度に経済は進み、都市の開発も進んでおりますけれども、こういうことになったのはやっぱり日本の援助と協力のおかげですということをこもごも言われるわけでありますけれども、そういうことを痛感してまいりましたし、同時に、アジア・太平洋地域全体が本当に開放された地域として自由に交流できるような、そういう条件がどう整備されていくかということによってこの地域のさらなる発展が図られるのではないかということを痛感したわけであります。  どこの国に行ってお話を申し上げても、相手の国がよくなることは自分の国がよくなることです、ですからお互いにやっぱり親密な協力関係というものをつくっていかなければなりません、そういうイニシアチブをぜひひとつ日本の国にとっていただきたいというような意味の期待の大変大きいことを知りました。私は、そういう意味でもアジア・太平洋地域における日本立場、アジアの一員としてお互いに手を組み合ってこの地域の開発のために努力していく日本役割というものが大変大きいということを自覚し、そういうことについて忌憚のない話し合いをしてまいりました。  同時に、この地域については、過去の戦争で犯したいろんな日本責任というものがあるわけですから、そういう責任というものも率直に申し上げて、そしてこの五十年を節目にして、これから過去の反省に立った立場で未来に向けて本当に友好親善の関係とアジア・太平洋全体の平和と安定のために社会党は、政府は、どうも失礼しました、大会で答弁しているような気持ちになっているものですから。どうも失礼しました。政府としては、十分心してこれからも取り組んでいきたいということについて十分な話し合いができたことは非常によかったというふうに思っています。  それからベトナムにつきまして、ベトナムの書記長が各国を回って、そして話を聞いてきて日本は力になるというようなことも聞いていたので、これからひとつよろしく御支援、御協力を賜りたいというような意味お話がこもごもございました。  ベトナムに参りましたら「おしん」のテレビが大変見られておりまして、そして「おしん」が放映される時間はもう皆仕事を休んで見る、放映時間が余り短過ぎるから長くしてくれと、こういう声があるぐらいだというんですね。私は、そういうベトナムの皆さんの気持ちを考えた場合に、戦争で疲れ切ったベトナムをどう国づくりに向けていくか。日本の国がこうなったのは、「おしん」のような辛抱した努力の結果でこうなったんだというようなことをやっぱりベトナムの国民全体が受けとめておられるんではないかということを感じました。これからベトナムは急速に発展をしていくのではないかと思いますが、そういう意味日本に対する期待と役割も大変大きい、こういうふうに私は痛感をしてまいりましたが、改めて日本の置かれている立場の大きさというものを痛感いたしました。  それだけに謙虚な気持ちで、アジアの一員として十分仲間として腕を組んでアジア・太平洋全体の発展のためにこれから政府も努力をしていくということが大事ではないかということを痛感してまいった次第でございます。
  16. 北修二

    北修二君 総理の御答弁をお聞きして、たまたまちょっと間違えかけることもあるわけですが、非常に誠実なまじめな総理だなと、こういう逆に大変好意を持って私は今の答弁を聞いておりました。一層の御努力をお願いいたしたいと思います。  次に、私は総理のアジア各国首脳との会談の内容を報道を通じて特に注目しておりました。その中で印象が深かったのは、アジアのリーダーたちが何よりもアジアの経済発展に自信を持って率直に物を言っていることでございます。強くそういうことを感じました。  今、アジアの諸国は世界の成長センターとして注目されておりますが、さすがにアジア地域経済の躍進に自信を持っているように思いました。もちろん、それぞれに問題を抱え、成長のテンポにも差はあるにせよ、ほとんどの国が着実に国内の安定を増し、生産拠点としてまた将来性のある市場として発展を遂げつつあることが、アジアが自信を深め、率直に物を言うアジアになったのではないかという印象を深めましたが、このことについて総理自身の実感はいかがでございましたか、お伺いをいたしたいと思います。
  17. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今もちょっと触れて申し上げましたけれども、四カ国を回ってまいりまして、もうこれからは世界の中心にアジア・太平洋地域がなる、またならなければならないと、こういう意味経済発展に向けての自信というものは大変強く持っておりました。単に開発途上国に対して日本に援助してほしい、協力してほしいというだけではなくて、マレーシアもシンガポールもこれだけ成長した力をお互いに協力し合って、さらに発展途上国に対して手を差し伸べて一緒に協力し合っていきたいというような話が出るぐらいにもう自信を持ってきておると。俗に言われます南南協力といいますか、お互い同士が力を合わせて、そしておくれている国に対して手を差し伸べてやるというようなことについても大変強調しておりました。  そんな意味ではアジア全体がやっぱり大きな自信を持って立ち上がろうとしておる、これからまさに二十一世紀はアジア・太平洋の時代であるというぐらいの自負心を持って取り組んでおるということを痛感してまいりました。
  18. 北修二

    北修二君 しかしながら、こうしたアジアの国々の日本を見る目は決して一様ではないようにも受けとめる面がございます。  総理がシンガポール訪問に際して、日本の首相として初めて旧日本軍、占領軍の犠牲の慰霊碑に献花されましたが、そのときの記者会見で総理の言葉の中に、戦後五十年を迎えるに当たり過去の歴史を見詰め直したい、あるいは戦争の反省を踏まえて責任とおわびの意味国民全体が絶対に軍事大国にならないという気持ちを持つ必要があると語り、現地からはすこぶる高く評価されたと聞いております。  一方において、マレーシアのマハティール首相が村山総理に対して、五十年前に起こされたことを日本が謝り続けるのは理解できないという言葉や、フィリピンのラモス大統領の、いつまでもさきの大戦を云々するものではなく未来に向かって進むべきだという意見などもあったように聞いております。また、シンガポールのオン・テンチョン大統領は、日本の首相が近年戦争中の行為を認めてきたことは日本が国連安保理常任理事国になるためのよいサインであると思うと、常任理事国入りを支持するとの考え方を示すなど、さまざまな意見があったようでありますが、日本国民はどのように理解してよいか。  先ほど総理お話の中にも触れておりましたので重複いたしますが、理解の仕方について、例えば日本に未来志向の外交を期待するというのか、それともこの発言をもって日本側がもう過去のことにこだわる必要がないというのか、総理の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  19. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今、御指摘がございましたように、国によって若干事情が違いますね。  御指摘もありましたように、マレーシアでの話は、もう過去にはこだわらずに前を見て、そしてお互いに手を携えてやろうじゃないですかというような意味の強い御発言がございましたし、それからフィリピンなんかに参りますと、現実にやっぱり日本とのかかわり合いも深いわけでありますけれども、慰安婦の問題やらあるいは亭主を日本人に持つといったような事情やらいろいろな問題がありまして国民感情も複雑ではないかというので、話の中身も若干やっぱりマレーシアとは違うというようなこともありますね。  しかし、総じて、ほかの国、それぞれの国がどういう気持ちを持たれているかということも大事でありますけれども、日本国民としてあの戦争に対する反省と、そして償いと、そして未来に向けて何ができるのか、何をする必要があるのかということを謙虚にとらえておくことは極めて大事なことではないかというふうに私は思います。  シンガポールに行って血債の塔に初めて私は献花をしたわけでありますけれども、それはある意味ではシンガポールの皆さんには感情的に大変いい結果をもたらしたのではないかというふうに思っておりますけれども、私はやっぱりやってよかったというふうに思っておりますが、そういう意味で、今申し上げましたように、この五十年を節目にして国民全体がもう一遍過去の歴史を振り返って、そして謙虚な気持ちで反省もするところは反省をし償うべきところは償って、そして未来に向けて不戦の決意も固めながら平和に向かって大きく力を差し伸べていく、あるいは創造していくということが極めて大事なことではないかというふうに受けとめております。
  20. 北修二

    北修二君 村山総理お話で、総体的にアジアの国々は日本に対して国連安保理の常任理事国入りを含めて未来志向の関係を強く望んでいることはよく理解いたしましたが、これからの日本にとってアジア近隣諸国の意見を聞くということも極めて大切なことであります。村山総理のアジア訪問の大きな成果であったと私は高く評価したいと思います。  ただ、気になるのは過去の清算のことであります。ただいまも総理からお話がございました。問題は、現地の被害者の期待、あるいは第三者機関などの提言、勧告、難しい補償問題が残ると思います。十分関係各国と調整、協議を重ねて、国民理解協力を得て、心の通じる解決を望むものであります。  この際、総理に要望したいことは、海外援助とか戦後補償等の負担金額について、常に国民が関心を抱いている事項でありますので、その負担額のトータルを国民一人当たりに換算して国民にわかりやすく公表をし、国民全体が参加意識の自覚を持つ必要があるのではないか、そういうことを私は要望いたしておきたいと思います。  次に、村山総理のアジア訪問の締めくくりとして最も重要なことは、政府みずから、日本のアジア政策でありますいわゆる政府としてのアジアに対する認識我が国としての基本姿勢について、最近ビジョンに欠けている点があります。今はアジア経済の発展に貢献したのは民間企業であって政府ではないと指摘する者もいますが、しかしながら今までにも時の政府がアジア問題について政策提言をされてきた例は幾つもあると承知いたしております。  七七年の八月に福田総理がマニラで打ち出したいわゆる福田ドクトリン、その中では、平和国家としての日本の貢献を主として経済協力を通じて関係緊密化を図っていこうと。あるいは九一年の五月には海部総理がシンガポールで演説をしまして、「日本とASEAN-新時代の成熟したパートナーシップを求めて」で主に政治面での貢献を強調されました。九三年の一月はバンコクで宮澤総理が「アジア・太平洋の新時代日本・ASEAN協力」、この中で、区域内の政治・安保対話の促進を主要課題として挙げられております。  アジアは日々時間とともに成熟しております。四半世紀後のアジアの中心は、巨大な中国と、約五億人の市場を持ち政治的独立を強めているASEANであることは間違いありません。また一方、七千万人近い人口を擁する統一朝鮮も今以上に自己主張を展開していくでありましょう。その他、シンガポール、マレーシア、インドネシアによる成長の三角地帯を初め、国境を越えた地域経済圏構想が南から北まで東アジア全域で取りざたされております。  四半世紀後におけるアジアの中の日本役割は何であるのか。政治経済、特にアメリカを含む安全保障についても日本役割を明確にして、日本の将来を開くためにも、アジア重視を主体にする村山内閣として、アジアに対する基本研究を重ねて、その中から戦略的ビジョンを内外に発表してアジア政策を遂げることが重要ではございませんか。  今回、村山総理のアジア訪問を締めくくりとして、私は総理に強くこのことを要望するものであります。これに関して総理の御所見を承りたいと思います。
  21. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 御指摘のとおりだと私は思います。  先ほど来申し上げておりますように、これから新しい時代がつくられようとしているわけでありますが、その新しい時代に対するアジア・太平洋地域の役割、位置づけというものは極めて大きいものがある。そのリーダーシップを社会党が、また失礼しました、どうも癖になっておりまして、政府が積極的にとっていくことは大事なことだというふうに思います。先ほど福田元総理あるいは海部、宮澤それぞれの総理が新しいドクトリンを発表されておりますけれども、それは本当にそのときそのときに対応したことでありまして、その路線をしっかり継承しながら、新しく変わった時代に対応できるような、そういう弾力性のあるリーダーシップというものを社会党は、政府はとっていく必要があるんではないか。  どうも癖になっておりますものですから、これから注意しますけれども、まだ大会が済んだばっかりなものですから。大事なことだと思いますから、今御指摘のありました点を十分踏まえて対処していきたいというふうに思っています。
  22. 北修二

    北修二君 今、総理、歴代総理お話を申し上げました。  私は、村山総理はアジア重視という政策、一体でいこう、それには日本として将来どうするの一か、それを大いに研究してしっかりした将来像を示すのが村山アジア重視政策ではないだろうか。非常に重要な課題を総理は持って、また覚悟を持ってやろうという、そういう決意に対して私は敬意も表しますが、しかし中身を明らかにしていかなきゃなりませんよということを要望いたしておるところであります。  さて、日本は今経済大国であると同時に、国連安全保障理事会の常任理事国入りをガリ事務総長初め先進国から、あるいはアジア諸国からも求められているのであります。この際決して忘れてならないのは、我が国はアジアの国だという確固たる精神であります。その意味で、今回総理が訪問された各国は、日本の常任理事国入りに好意的であるというよりは積極的に支援をする立場を表明してくれました。  総理就任以来の外交活動を踏まえて、今後の外交関係をどのように推進していくおつもりですか。特に、月末の国連総会で河野外相は常任理事国入りについていかなる見解を述べられるのか。さらに、現在停滞している日ロ関係でありますが、国連総会の折、ニューヨークで日ロ外相会談が開催されるとお聞きしておりますが、北方領土問題解決の糸口をどのように見出すお考えか。この点についてお伺いをいたしたい。  余り細かいことはお聞きしませんが、これは外務大臣でございませんから。しかし、基本総理お持ちだと思いますので、その基本的なことをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 我が国の国連における安保常任理事国入りの問題につきましては、今お話もございましたように、幾つかの国からぜひ入ってほしい、推薦をしますという意味お話がございました。  そのお話に対して私はそれなりの対応をしてきたつもりでありますけれども、まとめて申し上げますと、国連が創立された当時から見ますと加盟されている国がもう三倍ぐらいにふえているわけですし、したがってそういう意味から申し上げますと、国連自体の改編、改組をやっぱりやる必要があるんではないかということが一つです。  同時に、国連の持つ機能というのは、単に安保理だけではなくて、経済社会理事会というのもありますし、単なる紛争を解決するといったような問題だけではなくて、言うならば地球規模の、飢餓と貧困をどうなくしていくかとか、あるいは人権や環境の保全をどうしてやっていくかとか、あるいはまた麻薬やエイズ等をどう治療していくかとか、こういう地球規模の人間の生存に関するような多くの課題もこれから国連が果たさなきゃならない役目ではないかというようなことを考えた場合に、そうしたものに十分機能し得るような国連というものをやっぱり想定して、国連の改革、改組というものはやらなきゃならぬ問題であるというふうに私は前提として思っています。  同時に、そういう国連の大きく広がっていく機能というものを考えた場合に、日本の受け持つ分野というものも、また果たしていかなければならぬ役割というものも大きくあるんではないかというふうに考えておりますから、そういう役割日本が果たすという意味で、平和憲法の枠内で国連の常任理事国として活躍できる舞台、あるいは期待する国々の期待にこたえられる役割が果たせるのなら、私は常任理事国になることについていささかもちゅうちよしてはいかぬというふうに思っておるところでございます。  しかし、そういういろんな問題点がありますから、そういう問題点も解明をしながら、国際的な理解を得ると同時に国民の皆様方の理解も得ながら、この常任理事国入りの問題については決着をつけていきたいというふうに思っているところでございます。  それから北方領土の問題につきましては、これはちょっと字句的にも若干はっきりしておいた方がいいという問題もありますから申し上げておきたいと思うんですが、北方領土問題を解決し、平和条約を締結してこの日ロ関係は完全な正常化が達成できるということを基本的に我が国としては踏まえていることが前提であります。  昨年十月のエリツィン大統領の訪日によって、領土問題を含め今後の関係進展のための新たな基礎が築かれました。その成果は東京宣言に結実をされているわけであります。三月に羽田外務大臣が訪ロされた際に、東京宣言を基礎に領土問題解決のため、一歩一歩前進することで日ロ双方が一致をしたというふうに承っておりまするし、また七月のナポリサミットの際に、私からもあるいは河野副総理兼外務大臣からも、ロシアによる法と正義に基づく協調外交の必要性というものを強調して、東京宣言に基づく日ロ関係の完全な正常化の必要な点についてお話し合いをしてまいりました。  これからあらゆる機関を通じて、今申し上げましたような点を踏まえた上で、領土問題の解決のための環境整備が進められていくように努力する必要があるというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、こうしたことを踏まえて、領土問題を含め日ロの国交正常化に向けて、これからもあらゆる機関を生かしながら努力をしていく必要があるというふうに思っているところでございます。
  24. 北修二

    北修二君 次に財政の問題について、税制改革についてお伺いいたしたいと思いますが、この問題に触れる場合には、国の財政全体をどうお考えになっておるかお聞きする必要があります。  政府は先ごろ、景気は回復方向に向かっているとの判断を発表されましたが、まだまだ予断は許さない状況。いずれにしても、バブル崩壊後の不況により税収減の状態が続いております。また、本年度は所得税減税も実施され、その財源も確保しなければなりません。  総理は国の財政状況をどのように認識されておるのか、お聞かせ願いたいと思います。なるべく簡潔でよろしゅうございます。
  25. 村山富市

    国務大臣村山富市君) バブル経済崩壊等々も関連をして極めて深刻な不況状況に見舞われてまいりました。それだけに税収の伸びも期待されずに、前年度、本年度合わせて相当の歳入欠陥を生ずるというようなことで、国債の発行も本年末には二百兆円近くになるというようなこともございまして、極めて厳しい財政状況にあるということは率直に言わざるを得ないというふうに思っています。
  26. 北修二

    北修二君 二百兆円、二百一兆円云々と言われておりますし、一方、隠れ借金は四十兆円を上回るであろう、こう言われており、まさに今の財政は危機的な状況にある。そういう中で、これからいろいろ国として対応していかなきゃならぬわけですが、そういうのに対して財政を改革するに当たっては、まず歳出の面で高齢化社会に向けた福祉予算増や生活関連分の公共投資拡大など、国の事業充実していかなければなりませんが、反面、一般に行財政改革の断行と言われる歳出の節減に向けて見直しに対する国民の期待も大きいところであります。  最近、野党の方々が言われている大きな政府あるいは小さな政府、いろいろ議論にもつながっておりますが、中長期的展望を含めて今後の歳出について総理はどのようにお考えになっておられるか、お聞きをいたしたいと思います。
  27. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今、御指摘もございましたように、これからまた急速に高齢化社会が到来してくるわけでありますが、それだけに歳出増というものは、これは避けて通れない道であるというふうに考えています。  先ほども御指摘がありましたように、今のような厳しい財政状況の中で、景気をどう回復して税の自然増を求めていくかということと、それからできるだけ国民的に公平な負担をしていくために税制改革をどうしたらいいのかとか、あるいはまた今お話もございましたこれからの高齢化社会到来といったような歳出増に対してどのような財源補てんをしていけばいいのかとか、こういう大きな問題を抱えているわけでありますから、そういう問題に真正面から取り組みながら、何よりもやっぱり国民的な理解を得る必要があるということを視点に置いてこれから真剣に取り組んでいかなきゃならぬというふうに考えています。
  28. 北修二

    北修二君 そこで、歳出を賄う歳入、中でも最重要課題である税制改革についていよいよ入るわけですが、まず税体系の全体像をどうするのか、大きな問題と思っております。総理はどのような形が望ましいと考えておられるか。その際、直間比率をどの程度にするのか、また所得、消費、資産の各課税のバランスをどうするのか、さらに中堅所得層を中心とした税負担への不公正感にどう対処するのか、大きなポイントになると思いますので、これらを中心にお答えを願いたいと思います。  時間の関係で三つも四つも合わせてお聞きします。  その実現のために税制改革が必要なのですが、国の財政状況やこれまでの経緯から見まして具体的に早急に取りまとめなければならない時期であります。  そこで、所得税、住民税の減税、また消費税率の引き上げなどの具体的な議論が盛んに行われていますが、総理自身は具体的にどのように改革すべきと考えておられますか。また、本年度実施された所得税の定率減税、これを来年以降も続けると考えておられるのか、あわせてお願いをいたしたい。  さらに、一刻も早く改革関連法を成立させなければならぬと思いますが、次期臨時国会中に処理しなければなりません。今回の改革は抜本的改革でありまして、国の財政のあり方もにらんだ行財政改革とも全体として整合性のある改革であるべきで、問題の先送りは国民の批判に耐え得るものではありません。  この際、税制改革をどのような手順で実現しようとしているのか、またこの問題に対する総理の姿勢と決意をお伺いいたしたいと思います。
  29. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 問題を先送りする気持ちは全然ございません。真正面から取り組んで、考え方、方向をしっかり明示する、そして国民理解を得るという態度で臨みたいというふうに思っています。  今お話もございましたように、これからそうした歳出増も含めて若干の国民に対する負担を求めなきゃならぬわけですから、したがってその前提として行政改革を徹底して、そしてある程度国もやっぱり痛手を受けるというぐらいのことをしなければならぬのではないかというふうに思っておりますから、前段としてそれも真剣に取り組んでいかなきゃならぬ課題だというふうに思っています。  それから、減税につきましては、これはもう本年度並みの規模の減税を行うということはある意味では国際的な公約にもなっておるというふうに思われますから、したがってそれはやらなきゃならぬと思います。  ただ、そうした減税の中身については、今お話ございましたように、景気浮揚策として国内消費を高めていく、国内需要を高めていくという意味で減税をしなきゃならぬということが一つと、それから税体系そのものの中にいろんな不公平がある。今御指摘もございましたように、所得税では比較的中堅層に負担がかかり過ぎる、これは是正する必要があるではないかといった意味における改革もする必要がある。  同時に、これから高齢化社会が到来する。先ほど来お話がありますように、その財源負担をどうしていくのか、公平な負担はどうするのかというようなことについても、所得税だけでそれを負担していくことは無理がありますから、したがって国民全体が公平に負担できるようなものにするためにはやっぱり間接税にウエートをかけていかざるを得ない。しかし、直接税と間接税との直間比率がどうあることが一番いいのかという比率についての答えは私はなかなか難しいと思うんですね。結果として出てくるものであって、最初から想定して直間比率をやるべきものではないというふうに私は思っておりますから、そういう視点でもってこれから取り組んでいかなきゃならぬと思います。  同時に、そういう観点に立って、今、連立与党三党で十分な審議をしてもらっているわけでありますが、そういう審議の経過も踏まえた上で、臨時国会で可能な限り結論が出せるように段取りを進めていきたいというふうに思っております。  今必要なことは、そういう審議の経過もある程度国民の皆さんにわかるようにして、そして何よりも納税者が理解をするということが大事ではないか。まあこの程度ならやむを得ぬなと、この程度の気持ちになってもらえるように手だてをしていくことがやっぱり必要ではないかというふうに私は思っています。  同時に、間接税にする場合には逆進性というものがやっぱり相当大きく影響するわけでありますから、その逆進性をどう解消するかといったような手だても十分考えていく必要があるのではないかというようなこともこもごも考えながら、今、連立与党の内部で議論をしていただいておりますから、その議論を見ながら、さらに検討を進めて結論を出していきたいというふうに考えていることだけ申し上げておきます。
  30. 北修二

    北修二君 まだまだ御質問を申し上げたいと思いますが、時間がございませんので、これから農業、それから水産、林業で特に国有林の問題についてお伺いしようと思いますが、あと十二分しかございませんから、総理に御答弁をいただくには子細に申し上げるわけにいきませんから、簡潔に御質問をさせていただきたいと思います。  農業、ウルグアイ・ラウンド、まさに大変な事態に相なります。既に御案内のようにモロッコのマラケシュで国際的な閣僚会議が行われまして、調印もされて、ガットがいよいよ世界貿易機関、WTOに引き継がれるわけでございます。しかし、この内容は非常に厳しいものでございます。ぜひ日本の農業が崩壊しないように御努力をちょう、だいいたしたい。  総理は、全国の農協大会におきまして、ウルグアイ・ラウンドについては国として万全の対策で対応したいと。しかし、御承知のように、細川内閣平成五年十二月十七日の閣議了解があるわけでございます。これは、平成七年度における取り扱いについては予算編成過程において検討し、具体化を図らなければならぬ、こういうふうに了解の中身の内容は大分取り込んだ話に相なっておるわけでございます。ぜひこれは前の内閣を踏襲して、しっかりしたウルグアイ・ラウンド対策をやっていただきたいと思いますが、その決意のほどをまず第一に農業問題でお聞きをいたしたい。  次に漁業でございますが、総理は漁村出身と理解をしているんですが、御承知のように、今まさに世界じゅう二百海里時代に相なっておるわけでございますが、韓国と中国に対しては日本はまだ二百海里をやっていないんですね。  御承知のように、資源管理漁業ということで資源を残そうと鋭意努力をしているわけですが、なかなか韓国等は日本規制を守っていただけない。乱獲あるいは日本の漁業のいわゆる漁獲網を随分傷めておるわけでございます。ぜひこれからも資源管理漁業ということを、日本海は韓国も日本も内海でございまして、日本も韓国もこの資源を大事にすることは両国のためにもなるわけでございます。また、中国は御承知のようにこのごろ急速に漁獲を上げていまして世界一でございますね。日本の倍になりました。日本は千百万トンぐらいが八百万トンぐらいに減りました。しかし、中国は千六百万トンぐらいに相なりまして世界一になった。驚異的な漁獲に実は相なっておるわけでございます。  別に他国のことを申し上げるわけではございませんが、もはや資源を守るためには韓国も中国もともども、日本は二百海里時代を迎えましたのでその中で適切に対応していく必要があると思いますが、この点について総理の御見解をお聞きいたしたい。  最後に国有林でございますが、いろいろへ理屈を言えばたくさんございますが、国有林はまことに大事なことでございます、緑を守るという上からも。しかし、情勢は随分変わりましたですね。木は切ったらだめだ、これは天然林あるいは水源涵養、さらに国土保全、こういう意味で、  木を売ってそして国有林は収支を合わせろと、こういうことになっておるんですね。とてもとても、今国有林の収入は千二百億ぐらいしか売れない。ところが、経費の方は二千四、五百億要るんです。もう一千億黙っていても赤字が出る。御承知のようにびっくりするほどの赤字が出る。累積赤字がとうとう三兆円になりました。一千五百億円の金利が要るんです。そして、八万九千人いたんですよ。それが今日まで減りまして、今二万ちょっとです。来年度は一万七千人だと。さらに合理化をしていこうと。平成三年度の国有林経営改善大綱というのがあるんです。これは平成十二年度までで、鋭意今実行中でございますが、なかなか環境が厳しゅうございます。容易でない。  私は率直に言って、もう時間ありませんから、国有林の累積赤字の金利ぐらいはやっぱり国は持たんならぬだろうと。これは二十年で収支を合わせたい、収支というか累積赤字を対応したい、それから十年で今の経営の収支を合わせたいと、こう言っているわけです。こっちで一千億ぐらい出ますから二つ合わせると二千五百億。だんだん積み上がっていくわけですから、これはもう全く破壊と言っても過言ではない。  しかし、林野関係の皆さんは血の出るような実は合理化をしてきたんです。年に五、六千人ずつ、七万人ちょっと合理化したわけですから、人がいなくなると言っても過言でない状態。これでは国の責任は負えない。国有林の収支だけでまさに収支を合わせるというような時代を将来国有林というものが持っていくわけにはいかない。ぜひ国として対応しなければならぬ。これをほっておいたらもうどうにもこうにもならぬと思う。第二の国鉄以上になる可能性がある。  この三点についてお伺いをして、私の質問を終えたいと思います。
  31. 村山富市

    国務大臣村山富市君) ウルグアイ・ラウンド合意後の日本の農業をどうするかという問題につきましては、今御指摘もございましたように、閣議で了解された事項もございますし、先般また農政審から答申もいただいております。そういう点も踏まえて、何よりも生産に携わる皆さんの不安を解消していく、そして希望を持って農業に携わってもらえるような条件というものをどうつくっていくか。流通、価格という面をどういうふうに調整をして、どのような事態になろうとも安全な食糧、安定的に国民に供給できるような体制というものをどうつくっていくかということも極めて大事なことだというように思いますから、今御指摘のございましたような視点を十分踏まえて、日本の農業を守るために全力を挙げて検討していきたいというふうに思っておることだけ申し上げておきます。  それから、水産業の問題について御指摘がございましたが、今御案内のように日本と中国、日本と韓国の間にそれぞれ漁業協定を結んで、そして資源をどう管理、保存していくかということを前提にした操業区域というものをそれぞれ協定しているわけでありますね。したがって、その協定がなかなか守られない、乱獲はされる、こういう事態が私は起こっているんではないかと思うんですが、極めて遺憾に思っているところであります。  ただ、日中の関係、日韓の関係の中で、今直ちに二百海里を設定するということについてはやっぱり無理がございまして、なかなか難しい点がありますから、したがって漁業協定を結びながらその協定を守っていただく以外にはないんではないかと思うんです。先般も、日韓の首脳会議の際に私からも大統領にその点は篤とお願いをしてまいったところでありますけれども、これからもそういう努力を続けながらお互いの漁業というものがしつかり守れるように、そしてこの水産資源が本当に保全されるような、そういうことを前提にした漁業というものを打ち立てていくためにこれからも一層努力をしていかなければならぬというふうに思っておるところでございます。  それから林業につきましては、御指摘にあったこの今置かれている現状というものは、私もたびたび各県の調査に参りましてよく承知をしているつもりであります。  御指摘もございましたように、もう赤字が三兆円、二兆九千億円に達しておる、こういう現状も踏まえた上で、大事な森林、林業というものをどう保全をし守っていくかということは、いろんな意味で、これは単に木を守るというだけではなくて、国民経済国民生活全体にやっぱり関連のある問題でありますから、大事なことだというふうに私は踏まえております。特に、この平成三年七月に策定いたしました経営改善計画というものに則して、可能な限り経営が安定化するように努力していかなきゃならぬと思うんです。  ただ私は、やっぱり林業というものは、今申し上げましたように単に木をつくるというだけではなくて、森林、林業というものが環境保全とかあるいは国土の保全とか、そういう意味で公益的に果たしている役割も大変大きいということに着目をしてこれから物事を考えていく必要があるのではないかというような視点も大事にしながら、さらに林業、森林を守るために対策を推し進めていきたいというふうに考えておりますので、今後のそうした面における皆様方の御協力もお願い申し上げたいというふうに思っておるところでございます。
  32. 北修二

    北修二君 以上で終わりますが、総理誠心誠意お答えをいただきましてどうもありがとうございました。ぜひ要望にこたえていただくように御努力をお願いいたします。  以上でございます。
  33. 会田長栄

    ○会田長栄君 日本社会党・護憲民主連合の会田長栄でございます。  村山総理村山内閣にとりまして内外の課題が山積みしている中にあって激務に精励されていることに心から敬意を表しつつ、以下四点にわたって質問をしていきたいと、こう思っております。  第一の問題はルワンダPKO派遣の問題であります。  さきの政府の一次、二次の調査団と与党調査団の報告を私は読みました。今回、自衛隊が難民支援のために実施しようとしている人道的救援活動の具体的内容と現地のニーズとの間にはいささかずれがあるような気がしてなりません。  例えば、難民キャンプでの一次医療、外来医療の体制は各国のNGOを中心にほぼ充足しているようにお聞きいたします。求められているのは、各診療所から回される重病患者を入院させて二十四時間診療する二次医療だと言われております。それもすべての病気を扱うこともできないので、難民キャンプで問題となっている赤痢や髄膜炎、肺炎などを中心とする医療が当面の課題だというように理解をしております。そこで、自衛隊の医療部隊はその用意をしていくのかどうかというのが第一の問題であります。  先遣隊を出すのであれば、その現場のニーズにできるだけ応じられるように本隊の編成や機材などを考えるべきではないのかと、これが二つ目であります。そうでないと、せっかく人道的救援活動として派遣をするわけでありますから、もしも現地に行ってずれてしまったら、これまた日本信頼にかかわってくるわけであります。いわゆる自衛隊は派遣したけれども現実に現地では余り用がなかったでは済まされないものですから、この点についてまず総理見解を聞いておきたい、こう思います。
  34. 村山富市

    国務大臣村山富市君) お答えいたします。  今回のルワンダ難民救援のために自衛隊の部隊が国際平和協力法に基づいて実施をされるわけでありまして、国際平和協力業務の内容といたしましては、医療、防疫、給水、空輸といったような四つの部面を担って、そして行かれることになるわけです。  これは、今御指摘もありましたけれども、まず政府の調査団が先般参りましてつぶさに現地の状況について視察をしてまいりました。調査をしてまいりました。その後、与党議員団の調査団も編成されて、参りまして調査をしてこられたわけであります。そうした調査報告を踏まえて、とりわけ国連の難民高等弁務官事務所からの強い要請もございまして、そういう具体的な中身の要請にこたえて今編成をして出すわけでありますから、私は言われるような意味におけるそごはないのではないかというふうに思っています。  いずれにいたしましても、現地の状況に応じて、せっかく行くんですから最大限の効果を上げて期待におこたえできるような、そういうものでなきゃいかぬというふうに思っておりますし、とりわけ安全面というものは十分配慮する必要があるというふうに考えておるところでございます。
  35. 会田長栄

    ○会田長栄君 次に、今もう報道されているとおり、自衛隊は護身用のけん銃や自動小銃以外に装甲指揮通信車を二台と軽機関銃を一丁持っていくというが、これらは現実に必要なのかどうか、具体的に機関銃を必要とするどのような安全上の脅威があるのか、ひとつ聞かせてください。
  36. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 先ほども申し上げましたように、調査団の報告をつぶさに聞いた上で判断をしたことでありますけれども、国際平和協力業務を実施する自衛隊の部隊の装備については、業務の内容、それから現地の治安情勢等々を総合的に分析した上で決定をしなきゃならぬ問題だというふうに思っておるところであります。  小銃に加え機関銃を装備するようにしたのは、業務の内容やら治安の情勢を考えた場合に、私は治安も極めていいというふうに報告は聞いておりますから必要はないんではないかというふうに思っておりまするけれども、しかし他国の歩兵部隊が周辺に組織的に配置されているわけでもございませんで、そうした事情も総合的に勘案をして、何よりも隊員の安全確保に万全を期すということのために最終的に結論を出したものでございます。  これは、例えばパトロールするとか治安に当たるとかというんではないのです。パトロールや治安というのはその国の軍隊がやることだし、警察がすることなんで、あくまでも身を守るというために携帯するものでありまして、それ以上のものではないということについてはもうはっきりと申し上げておりますから、その点はそういうふうに御理解を賜りたいというふうに思います。
  37. 会田長栄

    ○会田長栄君 総理見解を聞いて私も安心しました。  それは非常に大事なことなんですね。例えば、主権国家ザイールですから、当然それは警察もいれば軍隊もいる。そこにパトロールやその他のデモンストレーションのために機関銃やその他の兵器を使うなどということはないと、こう言われておりましたから、その点はまあ安心いたしましたが、一たん、もしも発砲するような機会が生ずるとすれば、これは国際法上も日本憲法上もゆゆしき問題が出てくる。したがって、国連のどのような具体的な要請が出てくるかは私ははっきりしていると思いますけれども、その点は十二分に配慮してもらいたいし、これはどんなことがあっても住民に発砲するなどという機会はないように厳重に指揮監督をしてもらいたい、こう思いますので、その点はひとつよろしくお願いを申し上げておきます。  次に質問したいのは、原爆被爆者援護法の問題についてであります。  政府は、原爆被爆者対策の根拠法に国家補償としての性格を明記することはできないと言われています。しかし、一九七八年の最高裁の判決、八〇年の厚生省の原爆被爆者対策基本問題懇談会の報告、その後の政府国会答弁など、公式の見解を総合すると、現行の被爆者対策は社会保障の機能と国家補償的な側面との両面をあわせ持つ、いわば複合的な性格のものと私は理解しています。  そこで、総理はこの事実を認識されているかどうか、お伺いいたします。
  38. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今、御指摘もございましたように、この原爆被爆者対策に関して、昭和五十三年の最高裁の判決や昭和五十五年の原爆被爆者対策基本問題懇談会の報告というものは承知をいたしております。  こうした判決やら懇談会の報告等を踏まえた上で、原爆被爆者対策基本問題について、その特別の犠牲というものに着目をして原爆二法がつくられて、保健、医療、福祉の各般の施策が講じられてきた、私はそういうふうに受けとめておるわけです。  現に、懇談会の報告を見ましても、原爆放射能による健康障害は一般の戦争被害とは一線を画すべき特別の犠牲であり、広い意味における国家補償の見地に立って対策を講ずべきものである。広い意味における国家補償の見地に立って対策を講ずるとは、戦争遂行にかかわる国の不法行為責任に基づく賠償責任を認めるという趣旨ではなくと、こういうふうになっておりますから、その点は明確に国家補償とすべきであるというふうには言われていないわけですね。  したがって、この特別の犠牲、これは放射能という特別の扱いはやっぱり検討する必要があるという意味で言われているんだというふうに私は思いまするし、とりわけこの核というものはこれから廃絶をしようという大きな国の基本方針もあるわけですから、そういう意味で一般の戦災とは違った扱いをやっぱり検討する必要があるというので原爆二法がつくられておる、私はそういうふうに受けとめています。
  39. 会田長栄

    ○会田長栄君 昭和五十三年の最高裁判決、あるいは先ほど言った厚生省の懇談会の報告、その後の政府答弁考えてみますと、今総理からそういう経過、事実というものを認識しているという答弁をいただきましたけれども、私から言わせれば、まさしくその点は複合的性格の問題である、決して社会保障的なものだけではない、国家補償的な側面もあるということを指摘しているんですね。  そこで、そうだとすれば、この複合的な性格を法律上適切に表現し、政府及び最高裁の公式見解を条文にするよう工夫すれば、私は政府内部に異論を生じさせないで済むと思うのであります。総理は、そのような経過と事実を踏まえて、努力を関係当局に指示される考えがありますか。これは最後にお聞かせください。
  40. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 先ほど申し上げましたように、そういう最高裁の判決やら懇談会の報告というものを踏まえた上で今原爆二法がつくられて施行されておるというふうに申し上げましたけれども、御指摘のような問題がまだまだ検討さるべき課題として残っておる、残されておると、私もそういうふうに思います。  先般、広島、長崎に参りまして、じかにいろんな皆さん方のお話を承ったり、あるいは現地を見たりなんかして、また非核に対する国民の特別な思いというものを考えた場合に、これはこのままではやっぱり済まされないのではないかという気持ちを私は強くいたしました。  そこで、この問題について、私からも強く与党三党に要請をして、特別にひとつ議論をしてほしいということも申し上げてございますし、そうした内部の議論も十分踏まえた上でさらにその対処をしなきゃならぬ問題だというふうに受けとめておるということだけは申し上げておきたいと思います。
  41. 会田長栄

    ○会田長栄君 今、懸案になっている事項でありますし、戦後五十年の節目にもかかっているときでありますから、ぜひ一歩でも二歩でも前進をさせて、原爆被爆者の長年の願いに具体的に私はこたえてほしいという意見を申し上げておき、第三の質問に入っていきたいと思います。  これも決算委員会におきまして再三再四お願いを申し上げてきた水俣病に関連する問題でありまして、この点を二点お伺いしたいと思います。  これまで、水俣病訴訟が持ち込まれた裁判所のうち、新潟地裁以外のすべての裁判所、すなわち東京地裁、京都地裁、大阪地裁、福岡高裁、熊本地裁の五カ所が和解勧告を行っている。その上、東京地裁及び大阪地裁の判決では、問題解決の行政責任を強調しています。他方、国が被告になって今係争中の案件のうちで、これまでに裁判所から和解勧告を受け、国がこれを拒否している事件はこの事件しかないと聞いております。  そこで、村山総理にお尋ねいたしますが、ほとんどの裁判所で和解促進の見解が表明されているのはどのような理由によるものだろうかという点について、御所見を承っておきたい。
  42. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これまで、裁判所から和解勧告が出されて、和解に応じて解決したというふうな事例が数多くあるということも聞いておりますし、それはやっぱり一定の裁判所のある程度の結論が出された上で和解でつけたらどうかと、こういうふうな事例が大変多いというふうに聞いているわけです。  今回の水俣病の裁判の場合には、そういう裁判所の見解というものは判決によって違いもあるわけですし、同時に、和解勧告というのは、もし原告と被告との間で合意ができるならばその和解によって解決を図ることも一つの方法であるというような意味の和解勧告でありまして、内容について具体的に示されているわけではないんです。  同時に、今回の水俣病訴訟というものは、行政としてゆるがせにできないような重要な問題を含んでおる点もございますから、裁判所の判断というものを明確にしていただく必要があるんではないかというふうに思いますので、今直ちに、そういうことがあいまいになっている時点で和解をするということについてはいささか問題が残っているのではないかというふうに考えています。
  43. 会田長栄

    ○会田長栄君 これは、過去の決算委員会で私は水俣病問題について再三政府質問をし、意見も申し上げてきました。熊本県のありよう、あるいは被害者との関係、あるいは熊本県と政府との関係、各省庁との関係、こういったことについて、いきさつ、経過なども述べて幾つか質問してきょうを迎えたわけでありますが、御承知のとおり長い年月がかかっている。この被害に遭った人たちの苦しみというのは耐えがたいところへ来ている。今まさしく裁判所が大きな傾向として政治的な解決を目指すことを期待しているように私は思います。それだけの長い間でありますから、私は政府としても逃げてばかりおれないのではないか。少なくとも、二十年も三十年も三十五年もかかるという最終的な司法判断にまつだけでなくて、みずからやっぱり積極的に政府としてもこの問題解決のために私は取り組むべきだという考え方の上に立って質問いたしました。  そこで、どうも勝てる見込みのある訴訟は、和解できないとか行政の根幹にかかわる問題とかと言って今まで大体逃げてきました。私は、逃げられるものではない、こう見ているんですが、訴訟の終結ないし取り下げに至る道筋は、法廷による和解だけでなくて、私は政府自身が政治的あるいは政策的な解決方法というものを考えられるのではないか、こう思っています。  そこで質問いたしますが、これら問題解決の可能性を総合的に探るよう政府も努力していると聞いています。しかし、結果的には、一日も早く解決させていかない限りこれは大変な問題を引きずっていくことでございますから、既に政府が今日まで努力されていることについてどのような状況になっているか、できれば中間報告をこの場でいただきたい、こういうことでございます。
  44. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 訴訟における和解の問題については、先ほど申し上げましたように、和解による解決は現状では難しいんではないかというふうに私は思っております。これまでも水俣病関係者の御意見やあるいは御要請においても広く承ってきておりますが、水俣問題は、今御指摘もございましたように、相当高齢化も進んでおりますし、単なる環境行政の重要課題の一つであるという認識だけではやっぱり事欠けるんではないかというふうに思っておりますから、国としては水俣病の総合対策事業の実施等でできる限りのことはやってきたつもりでありますが、私としては、関係者の方々の置かれた状況に深く思いをいたして、これまでの行政施策をさらに推進し、何とかこの水俣病問題の解決がされるようにこれからも懸命の努力はしていかなきゃならぬというふうに思っておることだけは申し上げておきたいと思います。  同時に、今申し上げましたように、総合対策事業でいろんな多面的な施策を講じてきておりまするけれども、何よりもやっぱり会社自体がどう立ち直っていくかということも大事なことでありますから、先般九月九日の閣議におきまして水俣病に関するチッソ株式会社に対する新たな金融支援措置等々も講じて、会社を第一に立て直してちゃんとさせる、そして補償については万全の対策を講じさせる、そして同時に、当面の問題についてどう解決が図れるのかということについてもこれから真剣な取り組みをしていこうと、こういう状況にあるということだけ報告を申し上げておきたいと思います。
  45. 会田長栄

    ○会田長栄君 原爆被爆者問題と水俣病問題、これは大変長年月かかって、国民あるいは被害者の人たちの御苦労というのは言葉で言い尽くせない辛酸をなめているわけでありますから、その点について総理としても、村山内閣としても、戦後五十年の節目でありますから、これほどの長い問題を政治が逃げているわけにはいかない。司法がそれではできるだけ早期審理をして結審に結びつけるというそういう体制ができ上がるかというと、なかなかそうでもないということでありますから、これは政治主導でぜひ皆さんの願いにこたえてほしいということをお願い申し上げておきたいと思います。  最後になりますが、限られた時間でありますから、戦後五十年問題ということで二点お伺いしたがったんですが、一点だけ、これは具体的な例を挙げて見解を聞き、お願いを申し上げていきたい、こう思っております。  総理自身もかつて聞いたことがあると思いますが、実はシベリア抑留者の問題で、今、全強抑協という政府後援の財団法人の墓参団というのが実行されておりますね。ところが、シベリアに行って全抑協、斎藤六郎会長の建立した慰霊碑の前で記念写真を撮ってはならないなどという話が実は伝わってきているんですね。変な話なんです。  これは、シベリア抑留者でありますから、長年かかって苦労をして今日ロシアとの交流の中でこういう墓参団が派遣されるようになった。残念ながらシベリア抑留者でも、財団法人の相沢会という団体があり、それを政府が後援をしている。任意団体の斎藤会と言われている団体もある。こういう団体が今日、戦後五十年目の節目に来たら、何とかやっぱり政府が助言をして、そういうわだかまり、対立状況というのを克服して慰霊に報いる事業などができるように私はしていく必要があるんではないかと、こう見ているものですから、この点について答弁いただいて私の質問を終わらせていただきたい、こう思います。できるだけこういう対立状態を助言をして克服してほしいというお願いでありますから、どうぞよろしく。
  46. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今、御指摘のございました戦後強制抑留者団体が何か二つに割れておるということについては承知をいたしております。  ただ、これは政府として直接指導すべき立場にはないというふうに思いますけれども、しかし二つに割れておってうまくいかないことは決していいことじゃありませんから、政府としてできることがあれば御協力も申し上げて、そして可能な限り一つの団体になって円満にうまくいくように取り計らっていきたいというふうに思います。
  47. 会田長栄

    ○会田長栄君 ありがとうございました。終わります。
  48. 清水澄子

    清水澄子君 総理にお伺いしたいと思います。  戦後五十年を迎えるに当たりまして、総理は去る八月三十一日に、歴史を反省して、今後アジアの近隣諸国との関係の歴史を見直していくんだ、そしてもっと相互理解を深めていこうという内容の談話を発表されて、そして政府の対外的な取り組みについての考えを示されました。私は、対外的な取り組みばかりでなくて、国内的な戦後処理にも改めて目を向けていただきたいと思うわけです。  その中で、朝鮮学校の卒業者の問題ですけれども、この卒業者が国立大学への入学を希望いたしましても大学への入学資格を認めていないのが現在の学校教育法であります。しかし、実際には公私立大学では一九九四年において百七十九校、全体の四〇%が入学資格を認めております。他方、日本人の海外で勉強してきた子供たちというのは、これはまた学校教育法施行規則六十九条によって十二年の教育課程を終えた者は高校卒程度の学力があるものと認めますと、こういうふうな法律になっているわけですけれども、これとほぼ同じ条件にありながら、朝鮮学校の卒業者に対しては国立大学の入学資格を認めない、これは私は全く納得ができません。そして、これは非常に差別的な扱いだと思いますが、こういう問題をなくしていくということが戦後五十年の取り組みの中では非常に重要なんではないか、そういう意味総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  49. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 御指摘の点につきましては、御存じのように、我が国の大学の入学資格につきましては、学校教育法の規定に基づきまして、高等学校卒業者またはこれと同等以上の学力があるとして文部大臣が定める者に与えられておりまして、今その旨を各大学に指導しておるという状況にございます。  御指摘のございました国内の朝鮮人学校につきましては、そのほとんどの学校が各種学校であり、各種学校の教育内容につきましては法令上特段の定めが設けられていないために、その卒業者に対して一般的に高等学校卒業者と同等以上の学力があると認定することが困難であることから、大学入学資格が認められないということになっておるんではないかと思うんです。  今、御指摘のございましたように、「外国において、学校教育における十二年の課程を修了した者又はこれに準ずる者で文部大臣の指定したもの」と、こうなっておりますから、まだその指定にも該当しないということになりますので、現状としては難しいというふうに言わざるを得ない、こういうふうに思います。
  50. 清水澄子

    清水澄子君 現状がそうであるから改善をしてくださいということをお願いしておりますので、これは子どもの権利条約の第二十八条、教育の権利でも、高等教育をすべての適当な方法によって能力に基づいてすべての者がアクセスできるものとするというふうになっているわけです。ですから、やはり文部行政を子どもの権利条約に沿ったような学習の機会均等というものに改善していくということを総理はぜひ研究していただきたいと思います。
  51. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 例えば在日韓国・朝鮮人を含む外国人の子供さんが希望すれば我が国の義務教育を受けることができますし、高等学校以上の段階についても、我が国の学校教育を受けていれば順次入学資格が与えられるということになっていることが一つですね。  それから、今御指摘のございました各種学校の扱いにつきましては、やっぱり学校教育体系の根幹にかかわるような事柄でありますから難しい問題があると思いますけれども、言われる意味は十分理解ができますから、今後慎重に対処していきたいというふうに思います。
  52. 清水澄子

    清水澄子君 二つ目に、やはり在日韓国人・朝鮮人の年金問題なんですけれども、これも一九八二年の二月より初めてこれらの人々の国籍条項が撤廃されて国民年金に加入できるようになったわけです。それ以前の皆さん方は資格要件を満たさないと、これも厚生省は非常に紋切り型の法制度のみで説明をしてまいりましたけれども、もう既に六十六の自治体ではいろんな独自の給付措置をしておりますし、障害年金についても百の自治体が独自に給付をしているわけです。ですから、先ほどの「人にやさしい政治」というのはやはり公平な、そういう人権というものを検討し直すということがこれまた五十年問題の重要な課題になりますので、この点につきましてもぜひひとつ善処していただくことを私はここに改めて総理にお願いしたいと思います。
  53. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 国民年金法における在日外国人の適用につきましては、これはもう御存じかと思いますけれども、昭和五十七年の難民条約加入に伴って国籍要件は撤廃することになったわけです。昭和六十年の基礎年金の発足に伴い、昭和三十六年四月以降昭和五十七年一月までの期間を年金受給のための資格期間、俗に言われる空期間ですね、空期間として年金が受給できるように結びつけるような措置も講じてまいりました。この結果、昭和五十七年以降、在日外国人の国民年金法の適用については、もう内外平等になったというふうにしてきたわけであります。  一方、その当時既に高齢や障害であった在日外国人については、御指摘のような老齢年金、障害年金の特別措置を講ずることにつきましては、制度に加入し保険料を納付しておくことが必要な社会保険方式を基本とする年金制度においては対応することが困難であったというふうに言わなければならぬと私は思うんです。  これは年金というのはいろんな仕組みがございますし、経過がございまして、大変難しい問題があるわけでありますけれども、先ほどの朝鮮学校の問題ともあわせて、やっぱりこれは慎重に検討させていただきたいというふうに思います。
  54. 清水澄子

    清水澄子君 ぜひよろしくお願いいたします。  次に、今度は慰安婦の問題でございますけれども、今回の総理談話の三項には、特に従軍慰安婦問題に触れて、そこには従軍慰安婦問題は女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるということを認めておられます。つまり、女性の人権侵害を認められたわけでありますが、それを侵害した当事者は、それは日本の軍であり国の政策であったということは、これはもう今までにも明らかになっております。であるならば、それはやはり国は被害者の人権回復の義務と責任が伴ってまいります。その点についてはこの談話では明らかにされておりません。しかも盛んに民間募金なるものが流れてきておりまして、これは被害者を初めいろんな皆さんから不評を買っております。  私は、この際、政府がみずからの責任を明らかにした上で国民に賛同を呼びかけることには異議はないわけですけれども、政府の方から民間募金なるものを主張されるのはちょっとやっぱり筋違いではないだろうかと思います。このことは被害者を二重に侮辱し傷つけるものだと思いますので、総理、私たち与党内でもどのような方法があるかという知恵を出し合ってまいりたいと思いますけれども、やはり人権問題というとらえ方をしていただいて、そして村山総理であったからできたというような具体的な解決を図るために、もっと民間の学識経験者や関係者などから意見を聞く場を設定したらどうだろうか、こういうことを私は進言したいと思うんです。そういう点でぜひお取り計らいいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  55. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 御指摘のいわゆる従軍慰安婦問題につきましては、これはたびたび政府も申し上げておりまするし、私もまた談話の形で発表させていただきましたが、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、心身にわたりいやしがたい傷を負わされたすべての方々に対して、政府は心から深い反省とおわびの気持ちを重ねて申し上げますと、こういう談話も発表させてもらったわけであります。  まずそういう政府の姿勢というものを明確にすると。その上で、五十年を節目にして国民全体が戦争に対する反省、歴史というものを見直しして、そして謙虚な気持ちでこれからの反戦と平和に向けての取り組みを志向していく、あるいは創造していくということは極めて大事なことではないかというふうに思っておりまするし、これまでもいろんな場所において意見を聞いてまいりました。  これは、単に韓国だけではなくていろんな国々の実地調査も行ったり、あるいはまたいろんな話もお聞きして、そして総合的に政府のこれからの対応をどうしていくかということについて検討してきたところでございまして、私はこれは政府がどうこうするとかあるいは国会がどうこうするとかいう問題だけにとどまらず、この際国民全体がやっぱりそういう気持ちになっていただくということが五十年の節目として大事なことではないか、その一環としてそうした問題に対する対応も決めていくべき性格のものではないかと、こういうふうに理解をして今取り組みをいたしておるところでありますから、御理解をいただきたいというふうに思います。
  56. 清水澄子

    清水澄子君 お気持ちはわかります。だけれども、総理の談話は私はまだ問題解決の出発点だと思っております。そのために、総理談話にあります「幅広い国民参加の道」というその道の一つとして、やはり本当にいろんな人たちにどういう解決方法があるかという意見をむしろ聞かれる方が、そこでもっといろんな意見、知恵を出し合うというのはとても大事なことではないだろうか。そういう中で解決されていく、そしてそういう中でみんなが協力し合うということになればやはりそこでは被害者にも納得されていく。被害者に納得されない道を幾ら考えても、それは政策としてはやっぱり失敗だと思うんですね。  その点についてもう一度、民間の意見を、そういう場を一度考えてみるというお言葉を私は総理にぜひいただきたいんですが、よろしくお願いいたします。
  57. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 具体的に国民参加の道をどういうふうに講じていくかというのは、これからやっぱりいろんな意見もお聞きして、そして今御指摘のありましたように実のあるものにしていかなきゃならぬというふうに思っておりますから、そうした意味において、今後も幅広く関係者の意見を聞くということについてはやぶさかではございませんし、また必要であるというふうに思っています。
  58. 清水澄子

    清水澄子君 期待いたしております。  そこで、やはりあの総理談話が出されても、本当にほとんど納得をしていないわけですね。ですから私は、被害者の心に届くような日本政府の誠意ある方法とか姿勢をやっぱり示さなきゃいけない。これはもちろん大きな金額が補償されるのが一番いいでしょうけれども、それは金額の問題ではないと思います。  ですから、そのために私は、総理からの直接的な謝罪の意を被害者に伝えるようなそういう方法をぜひ考えていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  59. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これは今も申し上げましたように、日本政府立場は、私が総理として代表して深い反省の気持ちを、また謝罪の気持ちを表明しているわけでありまして、行政の方法としては、個人個人にそうした意味の手紙を差し上げるとか何か文書を差し上げるとかいうふうなことになりますと、これはどの範囲の人に出したらいいのかということにもなってまいりますし、大変難しい問題もあるんではないかというふうに思いますから、そこらは御意見を十分踏まえた上で必要について検討させていただきたいというふうに思います。
  60. 清水澄子

    清水澄子君 終わります。
  61. 泉信也

    ○泉信也君 新緑風会の泉信也でございます。    〔委員長退席、理事今井澄君着席〕  これまで総理になられました多くの方々は、「中原に鹿を逐う」という言葉のように、自己の政策、政治理念、そうしたものを明らかにして総理の座にお座りになったと私は思っております。  村山総理の場合には、急な展開でございましただけに、どういうお考えなのか、このことが私にはまだはかりかねておるところでございます。総理の思想の遍歴、主張の論理、こうしたことを論文でありますとか著作のたぐいでその軌跡を求めたいと思ったところであります。私の力が足らずに、八五年の十一月に発行されました「わかりやすい続あなたの年金」という本しか見出すことができませんでした。  そこで、総理政治理念、政治信条は何なのか。そしてまた、それは議員活動をお始めになって以来変わっていないのかどうかをお伺いいたします。
  62. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 私は、国会議員になりまして十年間ぐらい社会労働委員会におりまして、そして年金やら医療やら福祉やらに携わってまいりました。私は、国会議員終生の仕事としてそれだけは自分の分としてやりたいという念願でこれまで努力してきたわけです。  ところが、自分の意に反して、国対委員長にさせられたり党の本部の委員長になったりしてきたものですから、もともと総理大臣になろう、国を担ってそして国の進路を決めていこうというような立場でもなかったものですから、そういう論文は書いたこともございません。その点はひとつ御了解をいただきたいと思うんです。  先般、臨時国会がありました際に所信表明を行って、その中で私の政治に対する考え方というものについてはある程度申し上げたというふうに思っておるわけでありますけれども、これは私は政治信条としてどういうことから申し上げていいのかわかりませんけれども、今の日本国の憲法の理念、精神はしっかり守っていきたい。その憲法の理念に立って、そして世界にそれが敷衍できるように努力していく。  同時に、国内的には憲法の理念が、具体的な考え方が暮らしに生かされるような、政治に生かされるようなそういう手法というものをとっていきたいというのが、言えば私の基本的な政治に携わる理念であります。そのことについても御理解を賜りたいというふうに思います。
  63. 泉信也

    ○泉信也君 自社連立政権の成立を、ベルリンの壁の崩壊でありますとか冷戦構造の崩壊というような言葉で正当化しようとしておる動きが、お考えがあるように私は思うわけでありますが、二年前のPKO法案に対します社会党の行動をどう説明されるのか。牛歩戦術あるいは議会制民主主義を放棄した議員総辞職の暴挙を指揮されたのがまさに当時の村山国対委員長であるわけであります。  また、羽田内閣成立前の政策協議では安保条約の維持を主張されたのに、わずか二月余り後には堅持に変わる。あえて申し上げますならば、節操のなさと言わざるを得ません。社会党は基本政策を変更し政権の座に座るつじつまを合わせようとしておられるのではないかと私は疑わざるを得ないわけであります。  石橋委員長時代の千五百ページに及びます「日本社会党四十年史」、これを読ませていただきました。この中に述べられております一つ一つの事柄は大変重要なことだと私は思っております。単独講和か全面講和か、日米安保条約締結時あるいは改定時の反対闘争、砂川、沖縄に見られます基地反対闘争、教育現場の混乱、さらに三井三池闘争など、もろもろの活動をどう清算された上で基本政策の変更に向かわれたのか、大変私は疑義があると思っております。  こうした過去の運動を通じて、国内は混乱しただけではなくて数多くの人々の血が流されました。どれほど多くの若人の人生が大きく狂ってしまったことか。デモに参加された方はもちろんでありますが、秩序の維持に当たられた多くの機動隊の方々がその人生の行く末に大変暗い影を落とされたことも事実であります。冷戦時代の歴史認識の誤りと、その行動によってもたらされました社会的損失、このことをどのように総理は総括しておられるのでしょうか。
  64. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 私は、戦後、社会党が、自衛隊は違憲である、非武装中立、全面講和というものをそれぞれの歴史の過程の節々に掲げて闘ってきた運動というものが決して誤りではなかったということは、率直に私の見解として申し上げておきたいと思うんです。  冷戦構造というのは、アメリカとソ連という超大国が対立をし合う、その系列の中においてどんどん軍備が拡大されて、そして抑止力という前提に立った軍拡競争がなされる。こういう状況を背景にして、日本の国内でも当時の自民党が政権を担って、そして言うならば解釈改憲と言われるぐらいに憲法の解釈を拡大しながら軍備の拡大に狂奔しようとしておる、それに対してそれは誤りだと言って社会党が抵抗してブレーキをかける、こういう闘いの歴史だったと思うんです。  私は、そういう意味で今の自衛隊の置かれている現状というものを考えた場合に、自衛権はこれはだれも否定しないわけですから、自衛のために必要最小限度の実力組織として存在しているということからすれば、そういう冷戦構造を背景にした国内政治の対立抗争の中で、ある程度国民的なコンセンサスが得られるような状況で行くところに行き、落ち着くところに落ち着いたのではないか、こういうふうに考えております。  もし、これが社会党が存在せずに一方的にどんどん進められていったら、私は憲法も改正されたかもしれないというぐらいの危機感は持っております。したがって、そういう意味で果たしてきた社会党の運動の役割、成果というものは正当に評価されてもいいのではないかというふうに思っています。  そういう国際的な対立関係というものが解消されて、そしてこれからは軍縮と協調の時代に転換しつつある、こういう状況の中で、これから日本の安全保障といったようなものがどうあるべきかというようなことについては、やっぱり同じ土俵に入って、その中で十分議論がされて、そして再び新しい国民的なコンセンサスが得られる、そういう努力をしていくことは、これは政党の責任ではないか。  ややもすれば今までは対立だけが明確になっておりましたから、同じ土俵の中に入って議論し合うということがなかなかできなかったということに対する反省は私はやっぱりしなきゃならぬと思いますけれども、これからはそういうことで展開していくんではないかというふうに思っていますから、どうぞひとつそういうふうに御理解をいただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、今の政権に対する見方ですけれども、私はそういう意味で、理念やイデオロギーは、これははっきり違うわけです。これは自民党と社会党は違います、あるいはさきがけも違うかもしれません。しかし、理念や政策の違う政党が、単独では政権が担えないような今の国内の政治状況の中で、連立を組んで政権を維持していく以外にないんですから、したがって政策的な合意を求めていく。  今はイデオロギーで対立する時代ではなくて、政策的な合意を求めて、その求められた合意でもって政権が支えられていく。したがって、その合意を求める過程というものは、可能な限り透明度を高めて民主主義を尊重していくという運営が必要であるということは申し上げるまでもございませんけれども、そういう意味では、私はこの政権というものは決して言われるようなものではないというふうに思っておりますから、そのように御理解を賜りたいというふうに思います。
  65. 泉信也

    ○泉信也君 多くの識者がこの村山内閣の正当性について疑問を呈しておられることは総理も御承知のとおりだと思います。  京都大学の野田教授もこうした指摘をなされておりますが、政権形成の手続を重視することこそ議会制民主主義基本である、あるいはまた選挙時の立場も公約も放棄し、自由に連立政権をつくれるというのでは政党政治は成り立たない、こうした指摘をしておられるわけでありますが、その具体的な国民の批判がさきの参議院愛知再選挙の結果ではなかったかと思うわけであります。我々が推しました都築氏が三十八万票の大差で圧勝いたしましたのも、本人の識見の高さももちろん、村山政権誕生の非合理性を説く私どもの意見に愛知県民が賛同した結果ではないかと私は思っております。  政権の正当性は何によって担保されるべきであるか、このことについて、総理はどのようにお考えでございましょうか。
  66. 村山富市

    国務大臣村山富市君) ここは委員会の場で国民の皆さんが見ておりますから、だから誤解があるといけませんから私は率直に申し上げておきたいと思うんですけれども、それはいろんな見方があると思います。  今の政権は野合ではないかという批判も聞いていますし、いろんな見方はあると思いますよ。見方はありますけれども、今申し上げましたように、連立政権というのはある程度理念的な一致を見出す、そこから具体的な内外の政策について、特に大きな課題についてはある程度の合意を求めて政権を維持していくということは必要なことだと思います。  この限りにおいては、例えば昨年七月に総選挙がありましたね。総選挙があったときに、どういう連立政権ができますということを約束した政党は私はないと思うんです。選挙の結果によって生まれたんです。ですから、今あなたが指摘されたような見方をされるとすれば、私に言わせれば、細川政権も羽田政権も同じようなことではないかというふうに言わざるを得ないと思うんです。  私は、そういう意味で、できるだけ国民理解できるような透明度を持った民主的な運営というものを心がけていくということは大事なことだと思いますから、そういうことで徹底をしていきたいと思うんですけれども、そこのところは誤解のないようにしてもらわないと、一方的な批判だけをして、そして愛知の選挙の結果がそのことを前提にしてその審判だけが問われたと、私はそうは思っておりません。選挙にはいろんな内容と要素があるんで、そこに直ちに結びつけていくことにはやっぱり論理の飛躍があり、無理があるんではないかというふうに思いますから、どうぞひとつ正しく正当に評価もしていただきたいと思いますし、御理解もいただきたいということをお願いしておきたいと思うんです。
  67. 泉信也

    ○泉信也君 昨年の総選挙の前に、非自民政権ということでは関係党が合意をしてスタートしたことだけはあえて申し上げて先に進ませていただきます。  当面する外交の問題についてはたくさんの課題があるわけでございますが、特に常任理事国問題についてまずお尋ねをいたします。  政府の閣僚懇談会では、憲法で禁じられている武力行使は行わないが、PKOには憲法の枠内で積極的に協力するなどを骨子とする外相演説の草稿を検討中だと承知をいたしておりますが、PKO協力法で凍結しているPKFはここで言う武力行使に該当するのかどうか、お考えをお聞かせください。
  68. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 常任理事国入りの問題につきましては、先ほどもお答えしましたように、私はやっぱり国連というものが冷戦構造が崩壊した後いろんな意味で期待をされていますし、その機能は発揮するようにならなきゃいかぬというふうに思っておりますが、そういう意味で、創立当時から見れば組織的にももう加盟国が三倍にもふえていますし、それから地球的規模の問題について国連が当然機能を果たしてもらいたい、また果たすべきだというその役割というものも大変広範にふえてきていると思います。したがって、そういう機能が果たせるような国連に改編、改組していくということは大事なことだというふうに思いますから、私はこれは日本政府としても積極的に国連の場でそういう発言はしていかなきゃならぬというふうに思っております。  それから、これは憲法の規定があるわけですから、憲法に抵触するようなことは国の内外において日本政府としてはできないわけですから、したがってその点は明確にしておく必要があるんではないかというふうに思います。  ただ、今お話がございましたように、どうもPKFという言葉の意味がよく私にはわからないんですけれども、PKO法の中で幾つかのいわゆる項目がありますね、その項目の中で本体業務については凍結をして行わないということになっておるわけです。したがって、これは今後見直しをするということになっておりますが、その見直しの中でこれまでの経験も踏まえて十分検討さるべき問題であるというように思いますが、それがすべて軍事的な行動に入るものだというふうには私は理解していません。
  69. 泉信也

    ○泉信也君 官房長官のお答えも、これは入らないというお考えのようでございます。  さらにもう一歩進みまして、日本のごく近傍におきまして我が国の安全保障に直結するような危機、我が国の存立に死活的影響を与えるような危機に直面した場合、多国籍軍型の軍事行動へ参加することは該当するのか否か、もう一度お考えをお聞かせください。
  70. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 日本の周辺でそういう危機があるということはちょっと想定しにくいんですけれども、私はあってはならぬというふうに思っておりますから、そういう想定をして物を考えたくはないと思います。しかし、例えば多国籍軍等々が編成されていく場合、それに入ることはどうかという御質問でございますけれども、私はそれはやっぱり入るべきではないし、入らないというふうに思っています。
  71. 泉信也

    ○泉信也君 総理所信表明演説では「国民理解を踏まえて」という文言がございますが、この問題については、本来国会を早期に召集し、国民考えを聞くべきであったと私は思っております。しかし、今となってはその時間的余裕もないと思いますので、外相の演説の草稿をつくる過程で各党と協議をする、あるいは党首会談を開催して、国民の本当の意見をまとめて国連で発言をいただくということはいかがでしょうか。
  72. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これは広く国民の御理解もいただかなければならぬし、国民の御理解をいただく前にそれはやっぱり国会の意思というものも十分踏まえて臨む必要があるというふうに思いますから、各党の御意見を聞くことについてはやぶさかではございません。
  73. 泉信也

    ○泉信也君 ルワンダ難民救済実施計画に六二式の機関銃一丁ということが決められておりますが、このことにつきましては、私は隊員の安全を守るという観点からしますと、一両の基地本部設置、そしてもう一両の現地駐在、こうしたことを考えますときに機関銃一丁では隊員の安全を本当に守るには不十分であるということを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。  実は、政治資金規正法の改正によりまして政治団体の資産が明らかになりました。この中で、例えば社会党本部の敷地は国有地であり借り主は委員長でありますが、建物の所有者は委員長を理事長とする財団法人の社会文化会館であることが判明いたしました。これは契約書の中にございます権利譲渡等の禁止に抵触しないのか、また社会党本部敷地の土地の賃貸料は幾らなのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  74. 沖津武晴

    説明員(沖津武晴君) 事実に関することでございますので私どもから御説明させていただきたいと存じます。  自民党及び社会党の党本部の敷地につきましては、若干古いことになりますが、東京オリンピック関連の道路計画におきまして従前の両党本部が移転対象とされましたため、昭和三十六年に衆参両院の議院運営委員会の決定を経まして昭和三十八年に所要の法令改正をいたしまして、それぞれの政党に国有地を貸し付けることとした上で、自民党につきましては昭和三十九年以降、また社会党につきましては昭和三十八年以降貸し付けをしてきておるところでございます。  国有地の貸し付けにつきましては、私法上の借地契約でございますので、契約の性質上その具体的内容についてはこの場で回答を差し控えさせていただきますが、近傍における民間実例等を踏まえ適正に処理しているところでございます。  なお、先ほど御指摘のございましたいわば名義上の違いといったものは、登記法上のいわば技術的原因に基づくものであることをつけ加えさせていただきます。
  75. 泉信也

    ○泉信也君 必ずしも納得できるお答えではなかったわけでございますが、私的契約ということではありますが、いやしくも国有財産の問題でありますし、相手が今回のように公益法人であるような場合には、国会の要請には契約内容等を公開できるようなこともひとつ検討していただきたいと思います。  ところで、今回、政党に対します公的助成制度がスタートをするわけでありますが、特定の政党が金銭的にあるいは空間の確保という点で仮に特別の便益を受けているということがあれば、これはやや問題であると私は思っております。この際、国有地を特定政党に貸与している状況等の見直しも必要ではないかと思いますが、総理の御見解はいかがでしょうか。
  76. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 疑念を抱かせるようなことがあってはいけませんから、私はそういう問題についてはやっぱり明らかにした方がいいというふうに思いますね。  それから、先般成立しました、今お話がありました政党助成法、これは一定の要件を満たす政党に対し法で定める基準に基づいて政党交付金を交付することになるわけでありますが、政府としては法が施行されれば法の規定に照らして厳正、適切な運用を行うことは当然であります。政府が政党に対して中立公正であるべきことは当然なことだと思いますから、厳正に対処していきたいというふうに思います。
  77. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。
  78. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 公明党・国民会議の横尾和伸でございます。  「人にやさしい政治」を掲げる村山総理に、その中身についてお尋ねをしたいと思います。  まず、水行政について伺いますが、本年夏からの渇水問題で中央初め全国におびただしい数の渇水対策本部が設置されました。しかし、これらの本部でやってきたことというのは、取水量等のカット率をどうするかといった伝達係で、広域的に水を融通するなどといった建設的な話は全く聞かれませんでした。なぜ有効な手が打てないのか、こういう観点から私は去る八月二十五日の決算委員会におきまして質問しましたが、この内容を踏まえて総理に伺いたいと思います。  全国の河川水の利用の七、八割を占める農業用水、このほとんどは慣行水利権によっております。慣行水利権の特徴というのは、量がわからない、また使用の実績の記録がない、要するに中身がわからないというのが特徴であります。基本的に問題を抱えているわけであります。この問題に対して建設省は、最近の二カ年間は頑張っている、三百件もしたんだ、こう言っておりますが、実はその全体量は十二万件あります。このペースでいきますと単純計算で八百年かかるわけでありまして、八百年もかかっては改善になりませんので、このような河川水利用の大半が不明になっている現行の水利権行政を、ことしの大渇水を教訓として今後は頻繁に繰り返すことがないように抜本的に見直すべきだと思います。  そこで、具体的に聞きますけれども、日本の河川行政について、例えば河川利用の今申し上げました八百年かかる改善、これを超短期化しなきゃいけない。八百年が百年でも困ります。五年とか十年の間にしなければいけないわけですが、こういった問題。また、広域利水の実現。例えば九州を例にとりますと、九州全体で水の広域的な有効利用が図れるようなシステムをつくる、こういった点。また、三つ目には、非常時の弾力的な効率的な水の運用を図れるようにすべきだ。こういった問題がありますけれども、こういった観点から抜本的に見直しをして今後同じような渇水による被害が出ないようにしていくべきだと思うんですが、総理、いかがでしょうか。
  79. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 御指摘のございました慣行水利権を早期に明確化するというのは、もう極めて大事なことだと思います。  今お話もございましたように、全国的な規模で実態調査を実施しながら、可能な限り取水量の大きいところから順次明確化をしていくという意味でやっているわけでありますけれども、これは取水量のさして影響のないような小さなものも十二万件の中にはあるのではないかと思いますから、可能な限り影響の大きい、水量の大きいところから点検をして、そして是正をしていくという作業を今やっているわけでありますけれども、これからも鋭意さらに馬力をかけて努力していかなきゃならぬものだというふうに思います。  それから、広域利水につきましては、これは水を有効に使うという意味では大変必要なことだというふうに思いますし、御指摘のとおりだと思います。しかし、河川水は歴史的、社会的に地域と密接な関係を有している等々から、広域利水の実現につきましては関係地域が話し合って合意をするということがやっぱり前提でなければならないと思うんです。例えば筑後川で実施しておるように地域の実態を踏まえつつ積極的に、こういう筑後川の例等を参考にしながら推進をしていかなきゃならぬというふうに思っておりますから、御指摘の点は十分踏まえて今後も努力をさせていただきたいというふうに思います。  それから、非常時の弾力的な効率的運用についてでありますけれども、これは今回も例えば渇水調整について発電事業者等に、既得水利権者の協力を得ながら発電用の水を生活用水に配慮していただくというような調整も行ってもらったわけでありますけれども、そういうことも十分踏まえて、そうした経験を通じて今後の渇水対策にも万全を期していきたいというふうに考えているところであります。
  80. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 一千万人もの被害、影響を出した今回のことを踏まえても余り反省がないようで、雨の降るのを待つという現状をそのままこれからもやっていくように聞こえました。もっとしっかりやっていただきたいということを申し上げておきます。  次に、昭和六十年八月七日、日本社会党は中曽根内閣総理大臣に対して靖国神社公式参拝の中止を求める申し入れを行っております。  その主要部分を引用しますと、「公式参拝することは、天皇制と国家権力が神道とむすびついて、戦争に導いた過去の反省の上に立って定められた、信教の自由、政教分離原則を明示した憲法第二十条第三項に明確に違反する。」というものであります。  総理は去る七月十日にイタリアのナポリで、公式参拝について、憲法上問題がある、中国や韓国、アジア諸国の皆さんの気持ちもある、私は参拝しない、閣僚にも自粛をお願いする、こう言ったわけですが、六十年当時も含めて一貫性がある考えだと思います。  ところがその翌十一日には、中曽根内閣時代につくられた政府統一見解があった、従来どおりとするという趣旨の発言をして前言を翻したわけであります。憲法違反と断定して大反対したところの中曽根内閣の統一見解村山総理は一夜にして丸のみしたわけであります。日本が行ったかつての侵略戦争を二度と繰り返してはならないという憲法基本問題に係る見解、このように一日でひっくり返るのは全く理解できません。  そこで総理に伺います。  去る八月十五日の戦没者追悼式で総理は深い反省という言葉を使いました。そして従来より踏み込んで平和への意識を表明したわけでありますが、総理として初めて使ったこの深い反省、これは内容は日本が行った侵略戦争への反省であり、その原因となった国家権力と神道との結託にあったという反省ではなかったんでしょうか。総理に伺いたいと思います。
  81. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 私は基本的に別に考え方を変えたわけでもないし、変更したとは思っていないんです。これは信教の自由というものが憲法では保障されているわけでありますから、したがってお参りするしないはそれぞれ個人の自由であるということはもう当然だと思いますね。  神道という方式を考えた場合に、例えば二礼二拍手といったような儀式上のあれがありますね。そういう儀式に基づいて参拝すると、それはやっぱり公式になる、信教の自由を侵すことになるんではないかというふうな意見があるわけですから、そういう点は一つの問題としてあると思いますね。  それからもう一つは、戦争犯罪人を合祀してあるということに対する中国やら関係国、アジアの国々のそれなりの厳しい見方もあるわけですから、そういう隣国との友好関係というものをやっぱり配慮する必要があると、これは国の方針として私は当然だと思うんですよ。  そういう点も十分踏まえながら、国のために亡くなった遺族の皆さんのお気持ちもこれは十分わかるわけでありますから、そういう点も十分踏まえた上で総合的に判断をして出した結論であるというふうに私は思うんです。  したがって、そういう点を配慮した上で、私はお参りはできませんと、こういうふうに申し上げたので、ナポリで言ったことと帰って言ったこととそれほど私は大きな考え方の違いはないというふうに思っておりますから、そのように御理解をいただきたいというふうに思います。
  82. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 かつて、それもそう昔ではありません、憲法違反と断定して大反対したその中曽根内閣の統一見解を丸のみしたことは事実問題として間違いないことだと思います。したがって、深い反省が何物かということも聞きたかったんですが、どうも総理の深い反省というのは中身がないようでございますので、次の問題に移らせていただきます。  亀井運輸大臣の引き起こした契約スチュワーデス問題について伺います。  去る八月十一日に亀井運輸大臣は日本航空等に対して契約スチュワーデスの採用を認めないとの行政指導を行い、この行政指導に従わない会社は増便認可で差別をつけると強権発動を行いました。これを恐れてというか、これを受けて日航は同十六日に契約スチュワーデス採用の見送りを決定しました。さらに、この六日後の二十二日には亀井大臣は増便を認めない旨の発言を取り消し、同時にこの問題を女性差別問題にすりかえました。  この流れを要約すれば、亀井大臣は監督権限、許認可権限を利用したおどしをかけ、その効果を確認した上でこれを引っ込め、さらに問題をすりかえるといういわば強権的な高等戦術をやってのけたわけであります。  おどし、引っ込め、すりかえるというこの手法が私の言うところの亀井方式でありますが、この亀井方式の効果には二種類あります。一つは許認可権限を利用したおどしそのものの効果、これは行政手続法の趣旨に反するものでありますけれども、これを一次効果とします。もう一つは引っ込め取り消してもなお残るすごみの効果、これを二次効果と呼ぶことにします。  この問題を例えれば、短刀とか刃物、まあ言葉は悪いですが例えばドスと言っておきます、ドスを目の前に突き刺しておいて相手に言うことを聞かせる、その後で暴力はいけない、嫌いなんだと言ってそれをしまう、ドスはしまったもののその後はずっと怖さが残る、言うことを聞くようになる。二次効果は絶大であります。  この亀井方式は大変恐ろしくて危険なやり方であります。このすごみとしての二次効果は今でも運輸業界のみならず村山政権の奥の手として国民の心に消しがたい傷跡を残してしまっているわけでありまして、大変不幸なことだと思っております。  そこで総理に伺います。  「人にやさしい政治」を掲げる村山内閣は、この強権的な亀井方式をどのように位置づけ、総括するのか。また、今後はこの恐怖の亀井方式は使わないと国民に約束してはどうでしょうか、伺います。
  83. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 余り誤解をされるようなことがあってはいけませんから、私は正確に申し上げておきたいと思うんですけれども、亀井運輸大臣は、やっぱり何よりも安全が大事だと。その安全が大事だという視点に立った場合に、同じ飛行機の中で……
  84. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 おどしの方式。
  85. 村山富市

    国務大臣村山富市君) いや、待ちなさいよ、あなた。  同じ飛行機の中で、スチュワーデスさんがおりますね、一方は正規の職員で給料も高いし待遇もいい、一方はパートで給料が安くて労働条件が違う。こういうものが一緒に混乗しておりますと責任を持つ度合いが違うんではないか、これではうまくいかないんではないかということの安全性を配慮した上での指摘だったと私は思うんですね。  そして、今言われましたように、許認可をする場合にそういう安全性というものも確認した上でやるようなことになれば、それは結果はそういうことになるかもしれませんよという意味のことを申し上げたけれども、それは誤解があるかもしれないというので本人は素直に取り消したんですから、撤回したんですから、それは私はそれなりにやっぱり認めてやらなければならぬというように思うんですね。そしてこの安全性の問題というのは、これはやっぱり十分配慮しなければならぬ問題だということについては私も同じように考えています。  それから、行政手続法が十月一日から施行されますが、行政指導が行政手続法に沿って行われなければならぬことは当然でありますから、今後もその点については徹底して推進をしていきたいというふうに思っています。
  86. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 反省が足りないようだと思いますが、次に移ります。  次に水俣病の問題について伺います。  水俣病認定患者の半数は既に亡くなられております。一方で司法裁判は今も続けられておりまして、終結まであと何年、何十年かかるかわかりません。ここまで切迫している水俣病問題に対して、時間切れで関係者の死を待つような方法をとっては絶対にならないと思います。今こそ大英断によって水俣病問題の政治的決着をし、関係者を救うべきときだと思います。  旧連立与党としては、何とかして関係者を救いたい、このやむにやまれない気持ちから、去る七月の二十一日に、政治的決着をすべきであるとしてその必要性、時期、方向性について明確な見解を表明しているところでありますが、総理、これを受け入れてはどうでしょうか。具体的にお答えいただきたいと思います。
  87. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 先ほどもお答え申し上げましたように、裁判所の判決も幾つか出ておりますけれども、それぞれ裁判所の判決も中身が若干違うわけでありますね。したがって、そういう点を調整する必要がありますし、同時に行政の根幹に触れるような問題については、私はあいまいにしたまま事を解決するということは今後のためにもよろしくないのではないか。ですから、そこらは裁判なら裁判でお互いの主張すべきは主張してはっきりしてもらう必要があるのではないかと思いますから、なかなか直ちに和解には応じにくいという面があるということは申し上げるまでもございません。  それから、旧連立与党の皆さんが真剣な御議論をされて一定の方向を出されていることは承知をいたしております。そういう皆さんの意見もあるわけですから、裁判所の訴訟がどうなるこうなるということは別にして、先ほど申しましたように深刻な問題でもございますし、年齢も大変高くなっておりますから、何らかの解決をする必要があるんではないかということについて今与党でも真剣に議論してもらっておりますということを申し上げておきたいと思うんです。
  88. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 村山政権の言う人にやさしい政治というものの実態が一部見えてまいりました。優しい政治ではなくて、嫌らしい政治じゃないか、そう思いました。このことは私だけではなくて、既に国民の皆さんが十分に見抜いているんではないか。それは先日の愛知県の参議院選挙の結果、大敗北を喫したことが物語っていると思います。この優しい政治ではなくて嫌らしい政治を直すことを強く御忠告を申し上げて私の質問を終わります。  ありがとうございます。
  89. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 政府はルワンダ難民救援実施計画を決定いたしました。村山総理社会党の議員としてかつてはPKO法が憲法違反だと訴え反対をしてこられました。その村山さんが総理になった途端に、武装した自衛隊を人道的な国際救援活動ということで内閣として派遣を決定いたしましたが、ごれは重大な変節であり、公約違反だと言わなければなりません。  しかも、今回の決定の経過を見ますと大変問題があります。自衛隊車両の輸送を行うとしていた米軍輸送機C5について米側から防衛庁に、閣議決定前日の十二日に既にザイール・ゴマ空港への着陸は困難という通告をしていたわけです。ところが、総理はそのことを知らされたのが二日後なわけですね。こういうことを知らないまま米軍C5を輸送用に使うという決定を行ったということは大変重大なことだと。そして、その後、旧ソ連アントノフに変更しようというようなことで、結局この経過を見てきますと、自衛隊派遣先にありきということで極めていい加減なことだというふうに言わざるを得ないわけですけれども、この点いかがですか。
  90. 村山富市

    国務大臣村山富市君) あのPKOに反対しましたのは、ちょうど湾岸戦争というものが背景にあって、そして多国籍軍がイラクに派遣されるという状況の中で、日本の自衛隊も武装してそれに参加をするというようなことの道を開かれるんではないかという切迫した危機感もありましたし、それはあくまでも私どもは自衛隊が武装されたまま兵力として使われるというようなものについては断じて承服できない、賛成できないという立場は一貫して守り続けておりますから、今も変わりはないということについて御理解を賜りたいと思うんです。  それから、ルワンダにつきましては、さっきも御答弁申し上げましたけれども、政府調査団やらあるいは与党議員団の調査等々の報告を踏まえて、あくまでも人道的な面でやっぱり国際的な貢献を果たす必要があるということで派遣をすることに決めたのでありまして、自衛隊が武装されたまま派遣されるという性格のものではない。あくまでもこれは、小銃等は持っていきますけれどもそれは護身用のものであって、身を守るためのものであって兵器として攻撃的に使うものではない、あるいはパトロールをしたり治安のために使うものではないということについては御理解を賜っておきたいと思うんですね。    〔理事今井澄君退席、委員長着席〕  防衛庁長官が近いうちに先遣隊として参りますけれども、あくまでもザイールの政府とそういう治安上の問題についてはしっかり取り決めをした上で派遣されることになりますから、その点はそういうふうに御理解を賜っておきたいというふうに思います。
  91. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 湾岸戦争と比較して言われましたけれども、今回は武装した自衛隊がそのまま派遣をされるということで、これは全く状況は変わらないところか、一層危険な状態になっている。そのときに変節をしたという問題を私は指摘しているわけです。  そして今、護身用等とお話がありましたけれども、先ほど治安も極めていいというふうに言われました。それでは、どうして機関銃を持っていく必要があるのか。私は全くないというふうに思うんです。それとも万一の場合に外国の歩兵部隊のかわりをしなければならないということもあり得るということなんでしょうか。
  92. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 先ほども申し上げましたように、治安やらあるいはパトロールやら、そういう役割というのはザイールの政府がすることなんです。その点の取り決めはきちっとやっぱりしなきゃならぬと思いますね。そのために防衛庁長官が先遣隊として派遣をされて、そしてそういう取り決めをする。それを前提にして人道上の例えば水の問題とか防疫の問題とか、それから医療とか運搬とか、そういう役割をきちっと決めた上で、その役割と任務を果たすために行くわけでありますから、それ以外のことは一切する必要もないですし任務としてないわけですから、物事を拡大して解釈されると困るので、あくまでもそういうものなんだというふうに御理解を願いたいと思うんです。  それから、これは絶対に安全かどうかということについて私が現地へ行って見ているわけじゃありませんからなんですけれども、しかし調査団が調査をしたその報告を聞く限りにおいては秩序は回復されておるというふうに聞いておりますから、そのように申し上げているわけです。私もそう思っています。
  93. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 治安が回復されたというのであれば、機関銃を持っていくなど全く必要ないわけですね。カンボジアのPKOのときでさえ持っていかなかった機関銃を持っていくというのは、結局は派遣先であるザイール等が戦闘状況があるからだということにほかならないわけです。  これは各紙の報道でも、例えば米側の情報によるとゴマの難民は現在二十万人。ツチ族住民虐殺の中心となったフツ族民兵五千から一万人、フツ族中心の前政府軍約二万人が含まれる。うち約二割は自動小銃や機関銃で武装している。米国防総省はザイール自体を内戦、民族紛争の可能性が高いとみなしている。ザイール軍兵士の規律にも懸念が強いと、こう言っているわけです。  こういう状況を見ると、ルワンダの紛争当事者の停戦合意、それからフツ族民兵とかフツ族中心の前政府軍の武装問題等が解決されない限りは、政府自身が述べてきたPKO五原則も満たさないのではないかということがはっきりしているんですけれども、この点いかがですか。
  94. 村山富市

    国務大臣村山富市君) PKO五原則というのは、紛争しておる当事国が合意をするとか、それからこの受け入れについて同意をするとか、そういう紛争当事国に対して五原則というのはあるわけですよ。ですから、紛争している渦中に出ていくのなら私は問題があると思います。ルワンダの国内は紛争があったんですね。それも新しい政権ができて大分治安は回復しているというふうに聞いています。難民はそのルワンダにおるのでなくてザイールという隣の国にテントを張って住んでいるわけです。したがって、紛争をしている国の外におるわけですから、その外におるところに人道上の救援のためにさっき申し上げましたような任務と役割を担って行くわけですから、そこは全然違うと私は思います。その点はそういうふうに御理解をした方がいいんではないか、御理解していただきたいというふうに思います。
  95. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 今、総理は紛争の渦中に行くわけではないというふうに言われましたが、そこにごまかしがあるんです。  私、今ザイールの状況をるる指摘いたしました。ザイールへの派遣といっても、結局これはルワンダから武装勢力が流れ込んでいる、ルワンダでの紛争が持ち込まれていると見なければならない状態なんです。虐殺をしたそういう人たちもいるんですよ。そういう中でザイールに派遣をするということは、武装解除しなければならない、ルワンダ紛争当事者の停戦合意がなければならない、ここははっきりしているわけで、こういう自衛隊の派遣はもう絶対許されないわけです。  結局、人道的な国際救援活動であっても自衛隊は派遣できないということは、PKO五原則を満たさないわけですからはっきりしているわけです。そういう状況であえて武装した自衛隊の派遣を強行するということは、人道援助という名のもとで、国連のPKO派遣と関係なく我が国が独自で武装した自衛隊を世界のどこの地域にでも出せるということになるわけで、私たちはそういうことはもう絶対認めるわけにはいきません。結局、今回の自衛隊派遣は先に自衛隊派遣ありきで、まさに今言ったことがねらいなんです。  ルワンダの問題で今重要なことは、自衛隊を派遣することではなく、難民を早期帰還させ、民族和解を実現する条件をつくり出すということで、このことはイスラエルがゴマから引き揚げたり、アメリカも十月七日には人道活動を終結するという決議を採択しているという点でもはっきりしているわけで、今回の武装した自衛隊が派遣をされるということは結局PKFも容認ということで……
  96. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 高崎君、時間ですから。
  97. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 私どもは憲法違反ということでもう絶対許されないし、その撤回を強く求めまして、質問を終わります。
  98. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 言われっ放しては困るからちょっとお答えを、一分ほどあるそうですから。  五原則をもう一遍見てみますと、紛争当事者間の停戦の合意、当該国連平和維持隊の活動及び我が国の参加に対する紛争当事者の同意、当該国連平和維持隊の中立的立場の厳守、上記のいずれかの原則が満たされない状況が生じた場合の我が国要員の部隊の撤収、それから要員の防護のために必要な最小限度の武器使用、これが五原則なんですよ。  ですから、この五原則に照らして私どもはしているわけでありまして、今あなたが言われたような状況があるとするならば、これはやっぱり要員の撤収はされなきゃならぬことになるというふうに私は思いますし、そのために防衛庁長官も先遣隊で行って調査もされてくるわけですからね。あなたが言われるように、初めに自衛隊派遣ありきなんということではないということだけは正確に御理解をいただくようにお願いしたいと思うんです。
  99. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 言われっ放しということですけれども、これは違反であるということを、私は強く撤回を求めて、質問を終わります。
  100. 下村泰

    下村泰君 総理大臣、御就任おめでとうございます。  去る八月二十五日から一週間、私はベトナムに行ってまいりました。ちょうどそのときに総理がハノイの方に行っていらして、村山さんの方は総理外交、私はおしん外交で行ってまいりました。(資料を手渡す)  私の行きましたのは、ホーチミン市から約三時間ぐらい車に乗って、それからカーフェリーに乗って約三十分、それからまた車で三十分、約三時間半ぐらいかかるようなところのベンチェ省というところへ行ったんですけれども一そのベンチェ省のベンチェというその省都は、東京で言えば副都心みたいなところなんです。  私の行きました目的というのは、京都の障害児学級の女性教師で板東あけみさんという一人の方がおるんですが、それからもう一つは口唇口蓋裂、今写真を見ていただきましたが、三つ口ですね。それから上あごの裂けるお子さん。私、この口唇口蓋裂協会の理事をしておりまして、何でそうなったかと申しますと、昭和五十五年に大平総理大臣にお願いをいたしまして、これ健康保険がきかなかったんですがそれを健康保険がきくようにしていただきました関係上、今理事などという役目を仰せつかっておるんです。  このベンチェ省にお子さん方が大勢いらっしゃるんですね。このベンチェ省というところは米軍の枯れ葉作戦の一番ひどかったところなんだそうです。その関係もあるのかどうかわかりませんけれども、そういったお子さんが多い、あるいは大人の方も多いんで、その方たちの草の根医療援助の実態を見るために行ってきたわけですけれども、医療機材、医薬品それから渡航費などを全部御自分たちの手で集めるんです。私もそれに参加していろいろやりました。そして、自分たちで資金を調達して手術をし、その技術と機材などを現地の医師に提供して帰ってくるわけです。  これをすべてもしODAでやるとしたら、あるいは国費でやるとしたら相当な額になるんです。と申しますのは、まず第一に、機材その他はまあまあといたしましても、手術をなさる先生方の人件費が大変。中には九大の名誉教授までなさっていらっしゃる方が出かけていって今回は手術をしているということの現状を踏まえますと、もしそういう方たちの人件費を払うとなったら膨大な額になるわけなんです。また、この方たちもいろいろと制約があります。  これ以外にも在宅の障害を持つ子供たちの家々も伺いました。先ほどの女性教師の努力と日本の郵政省の国際ボランティア貯金、これが大変向こうでは有効に使われているんです。これはいいことだと思いました。その配分を得てつくられた障害を持つ子供たちの学校兼生活施設兼作業場といった施設も見てきました。今のボランティアの資金なんて大分有効にここの施設でも使われていました。これは日本人としても現地へ行ってみて大変鼻高々というような気持ちで見てまいりました。  こうした活動を通じて感じましたことは、現地に深く入り、本当にそこで一生懸命活動しているいわゆるNGOの人々への政府の対応が十分でないということなんです。NGOといってもいろいろあって、すべてオーケーということにはなりませんけれども、実態をよく見て、本当にその国のその国民のニーズに合った活動をしているようなところには国としてお金はもちろん、さまざまな支援をしてもいいと思います。今でも予算でNGO事業補助金あるいは草の根無償資金協力などというのがあるわけですけれども、名前だけあってこれは極めて不十分。ODAは国と国との話で、時にその国の政府が誤った対応をとることもありますし、むだもあるという指摘は以前からされています。これはもう委員会でもしばしば取り上げられていることですけれども、別にこのベトナムのことを言っているわけじゃありません。全体のことを通じてそういうことがあるということです。  そこで、総理に伺いたいのは、丸抱えでやる必要はないと思いますが、NGOの人々の手を通じて政府がやれることをよく話し合って、もっともっと本格的にNGOの支援を考えるべきだと思うんです。私も現地へ行きまして、日本から行った口腔外科の先生方が診察しまして、じゃこの次にあんたは手術しましょうと言って帰ってきます。私が行ったことしの九月に六、七人のお子さんたちが手術されています。今度は十二月だそうです。そうしますと、その診察を受けたときに今度は来て手術してあげるからねと言われた子供が、飛んでくる飛行機を見て、あの飛行機にあの先生は乗ってくるんだろうかということを言って心待ちに待っている。これが現状なんですね。  こういうことを私今お話し申し上げたんですけれども、具体的にこの話を聞いて、日本総理大臣として、しかもベトナムへお出かけになって表の外交をなさってきたでしょうけれども、こういった草の根運動をしている方々のとうとい動きもあるわけです。私のお話を聞いてくださってどういうふうにお考えになりましょうか。何かお考えがあったら聞かせていただきたいと思います。  それから、大蔵大臣、お金にかかわることなので、もし大蔵大臣も何かお考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。
  101. 村山富市

    国務大臣村山富市君) NGOの皆さんが全く草の根をはうように御苦労をされておる、そういう現地の実情をベトナムまで行かれて御視察なされました下村委員の行動に対して、私は心から敬意を表したいと思います。  私も以前、このNGOに携わっている皆さんからお話を聞いたことがございます。そのときには、やっぱり金に大変困っておる、資金が足りないというような話もあったんですけれども、ただ、国から金をもらうとやっぱりいろんな制約を受けるのではないかと。だから、金は出すけれども口は出してほしくない、こういう御意見もありましたね。それだけ自主的に、政府では手の届かない、公的ではなし得ない部面を本当に地をはうような形でやられておるNGOの活動というものは、極めて私は貴重なものだと思いますし、口では言えない大きな成果を上げておる、大事なものだというふうに思っています。  政府も、さっき御指摘もありましたように、そういうNGOに対する補助をやっておりますし、同時にまた草の根無償資金協力制度というのもつくってやっているわけでありますけれども、言われるように、それほど御期待におこたえできるようなものにはまだまだなっていないのではないかというふうに思いますから、言われた趣旨は十分踏まえた上で、今後もその活躍に値するような方法というものを検討していきたい、真剣に考えていきたいというふうに思います。
  102. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 総理の御答弁のとおり、表の政府政府の援助だけに目を向けないで、昨今ようやく道を開き始めましたNGOに対する少額援助の面も含めて、血の通う援助に目を向けていきたいと思っております。
  103. 下村泰

    下村泰君 余り説明が長かったので時間がなくなってまことに残念なんですけれども、実は去る三月九日に細川総理に成年後見法ということについて伺ったんですけれども、もし総理の方に何かあれがございましたら、御意見をひとつ承りたいと思います。
  104. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これは、例えばこれから大事になると思いますけれども、痴呆性の御老人が、あるときは痴呆性になりますけれども、しかし正常に戻ることもあるわけですね。そういう場合に、もうこれは痴呆症にかかっているから全部これは禁治産者だとか準禁治産者だとかいうことになって、そしてその人の人権なりその人の身分というものが不当に阻害されることがあってはならないというようなことだと思います。  これは外国でも立法化しているところはありますから、これからやっぱり大事な問題になるのではないかというふうに思いますので、そうした事例とも照らし合わせながら、今後の課題として検討させていただきたいというふうに思います。
  105. 下村泰

    下村泰君 終わります。
  106. 翫正敏

    ○翫正敏君 翫正敏です。(資料を手渡す)  今、村山首相にお渡ししましたのは、韓国の元日本軍慰安婦被害者の方々が書かれた要望書であります。今この委員会の部屋の中にその被害者の代表の方が何人か来ておられまして、今渡したところ、それから、これからそれを読み上げますことを聞いておられますので、そういうことで、ぜひ誠意のある御回答をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  今お渡ししました被害者の方からの要望書ですが、    村山首相談話に対する元日本軍「慰安婦」    被害者からの要望   去る八月三十一日、戦後問題処理についての村山首相の談話が発表されましたが、元「慰安婦」被害者および支援団体である   在日の慰安婦裁判を支える会   韓国挺身隊問題対策協議会   韓国従軍慰安婦被害者の会   釜山挺身隊問題対策協議会  などの諸団体と関係する当事者たちは、何れもこの談話の内容については決して満足できるものではないとし、次のような要望を表明しております。  一、日本政府は、今後も徹底した真相究明の努力を続けること。  二、日本政府は戦争犯罪の事実を認めて、個人に対する謝罪と補償を行なうこと。民間からの募金によってこれを肩代わりさせることは、自らの責任を放棄するものであると考えます。  三、日本政府の「平和友好交流計画」は、戦後処理に対する解決、被害者への補償に代わるものとはなり得ないと考えられるので、これは撤回すること。  四、日本政府は被害者たちの声を真摯にきき、被害者の要望に応える施策をとること。  以上こうなっております。  では、これに対する御回答の方、お願いいたします。
  107. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 従軍慰安婦問題につきましては、政府としてこれまでも誠実に調査を行い、二度にわたってその調査結果は公表してまいりました。特に、昨年八月の調査結果発表に当たりましては調査対象を米国国立公文書館等国外にも広げるなど、広範囲にわたり関係資料の調査を行ってきたところでございます。また、元軍人や元慰安所経営者等関係者の人たちからも幅広く聞き取り調査を行うとともに、韓国におきましても元従軍慰安婦の方々から当時の事情を聴取してきたところでございます。また、台湾、フィリピンについてもそれぞれの国の関係団体が行った事情聴取の記録を広く見せていただいたところでございます。  このように、昨年八月の調査結果発表は政府として全力を挙げて誠実に調査をした結果を全体的に取りまとめたものでありまして、これは私は一区切りつけて発表されたものだというふうに受けとめています。  しかしながら、今もお話がございましたように、事柄の性質上、その後も新しい資料が発見される可能性もございますから、引き続き十分な関心を払ってあの調査は進めていかなきゃならぬものだというふうに理解をいたしております。  これは先ほども答弁申し上げましたけれども、国として総理大臣の立場から率直に反省をし、おわびの気持ちを表明しておるところでありまして、このおわびの気持ちと反省の気持ちを単に私だけのものではなくて国民全体がやっぱり受けとめて、そして国民全体がそういう気持ちになっていただいて、そして反省とおわびをしっかりすると。同時に、そのことを踏まえて、二度と戦争はしないんだと、こんな過ちは犯さないんだということを誓い合って、新しい国づくりにさらに励んでいくということは大事なことではないかというふうに私は思っておりますから、そういう考え方でこれからもさらに取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  108. 翫正敏

    ○翫正敏君 被害者の方々は、民間からの募金によってお金を出すということに非常に反発を感じておられて、そういう主張を要望書の中にも述べておられます。つまり、以前この問題についての政府立場は、民間業者が勝手に連れて歩いていたというようなことでありました。以前はですね、従来、前はそうでありました。そうでないということがだんだん調査の結果わかって、当時の政府責任があると、軍の責任あるものであるということが判明してきたと思うんです。  そういう中で、今回村山総理の談話が八月三十一日に発表されて、そしてその補償、お金の問題については、謝罪は国としてするけれども補償の問題については民間から基金を集めてこれを行うということが基本になっていることについては、立場が従来のもとのところへ戻っているのではないかということをこの被害者の方々は非常に考えておられるわけであります。民間からの募金によって補償を行うという基本的な考え方をもう一度再考するまたは撤回するという方針をとらない限り、被害者の方々との真の和解ということはできないというふうに私は考えるものです。  この点について村山総理として、民間からの募金という基本的な考え方を再考し、撤回するというお考えはないのかどうか、もう一遍お聞きをいたします。
  109. 村山富市

    国務大臣村山富市君) さきの大戦にかかわる賠償、財産請求権等の問題につきましては国と国との取り決めで、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約等々によって決められたことについては、日本政府として誠実に履行してきた、適切に。だから、そういう関係については一応もう済んでおるというふうに受けとめておるわけです。したがって、その後出てきた従軍慰安婦の問題等々につきましては、そうした事態も十分調査をし現状を正しく踏まえた上で、なるほどこれは事実あったということを率直に認めて、そして反省もし、おわびの気持ちも表明しておると。  したがって私は、そういうことを国民的な基盤でしっかり受けとめて、そして、国民全体がそういう反省とおわびの気持ちを表明していくということもある意味では大事なことではないか。そうでないと、国民の中にいろいろな意見があって本当に国民全体の戦後五十年の歴史の反省になっていないというふうなことがあってはならぬと思いますから、私は、そういう意味国民的な基盤で取り組むことがある意味では大事ではないかというふうに思っておるのでありまして、これは賠償するとかなんとかいう性格のものではもうないんではないかというふうに思いますから、何らかの形で表明をしたいというその気持ちは、私は御理解をいただけるんではないかというふうに思っております。
  110. 翫正敏

    ○翫正敏君 基本的なところがやはり違っていると思うんです。つまり、条約によって解決した問題というのは国と国の問題でありますけれども、個人の請求権というものについては残るというのが基本的な考え方です。  そうであってみれば、国民全体がこの問題について反省の気持ちを持たなければならない、その気持ちも表明しなければならないということはもちろん異存のないところでありますし、大切なことではありますが、事お金の問題ということに関して言えば、やはり被害者の方々個人個人の問題は条約によっては決してすべて解決しているものではないという基本的な立場に立って、そして、どういうふうにして謝罪の気持ちをあらわすかということになるわけですから、やはり民間からお金を募金するというような方法は適切ではなくて、国のお金ももとをただせば国民みんながお金を納めるものでありますけれども、責任の主体が国である、こういうことが明確になるということが大事だと。これがやっぱり被害者の方々の気持ちであって、私はここのところをあいまいにすることは許されないのではないかというふうに考えるのですけれども、もう一度お考えをお聞かせいただいて質問を終わりたいと思います。
  111. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これまた単に韓国だけの問題ではないんです。したがって、やっぱり国と国との関係もありますし、なかなか一概に片のつけられない内容のものもあるというふうに私は聞いています。  いずれにいたしましても、大事なことは、あれだけのことをしてきたわけですから、その事実を率直に認めて、国民全体が反省をし、おわびをするという気持ちをあらわしていくということは、ある意味では本当にこれから不戦の決議をしたりあるいは平和を志向していくという日本に課せられた大きな役割を果たしていくためにも必要なことではないかというふうに思います。そういう運動を通じてやっぱり理解をしていくし、その気持ちもあらわしていくということは、私はある意味ではとうとい大事なことではないかというふうに受けとめておりますから、ぜひひとつそういうふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
  112. 翫正敏

    ○翫正敏君 終わります。
  113. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 以上で、総括的質疑のうち、内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。村山内閣総理大臣には大変御苦労さまでした。ありがとうございました。  午前の審査はこの程度とし、午後二時十分まで休憩いたします。    午後一時十四分休憩      ─────・─────    午後二時十一分開会
  114. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成三年度決算外二件を議題とし、総括的質疑のうち、各省大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  115. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 自由民主党の陣内でございます。よろしくお願い申し上げます。  通産大臣に平成三年度決算に関しお尋ねいたしますが、その前に、大臣におかれましてはこのたびの四極通商会議などまことに激務の中御活躍いただいておりまして、心から敬意を表したいと思います。大詰めの日米包括経済協議もございます。どうか筋を通した解決に向けてさらに御尽力を賜りますよう心からお願い申し上げて、質問に入らせていただきます。  さて、通産大臣にお伺いしたいわけでございますが、中小企業の振興について絞ってお尋ね申し上げたいと思います。  我が国の中小企業は、事業所数で約九九%、従業者数で八〇%、製造業の出荷額では五〇%強を占めるなど、我が国経済社会において重要な位置を占め、経済の活力の源泉、豊かな国民生活の担い手、さらには地域経済の中核として重要な役割を果たしてきておることは大臣御高承のとおりだと思います。  しかしながら、この中小企業が近年の長引く不況、円高等によりまして深刻な影響をこうむっており、今後もなお厳しい状況が続くと考えられます。数年前から通産省では、商品開発能力育成事業あるいは地域資源等活用型起業などを初めとして諸施策を続けてきていただいておりますけれども、現下はこれらの諸施策等をスタートさせた当時よりも一層厳しい経済情勢のもとに中小企業が置かれておりますので、これらの諸施策のより適切な運用あるいは改善が重要になってきている、かように思うわけでございます。  地方では、中小企業の集積による既存製品の高付加価値化、新分野進出等への取り組みがもっとしやすいようにしてほしいとか、あるいは地場産業総合振興事業をもっと活用して、研究開発等による技術力やデザイン企画力の向上、人材の養成確保、情報収集能力の向上等に取り組みたいという要請が強まっております。  地域経済の担い手であるこういった中小企業の振興について、大臣の御所見を冒頭にお承りしたいと思います。
  116. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 陣内委員お答えを申し上げます。  委員が御指摘になりましたように、確かに地場産業というもの、これは地域経済の本当に重要な担い手でありますし、活力のある地域社会を形成していく上で欠くことのできない大きな役割を果たしております。しかしながら、今考えてみますと、殊に地場の中小企業に対しまして、円高の進行など非常に厳しい経営環境が控えておるわけであります。  こうした状況に対応しまして、自立的な発展を図るために、今御指摘のような地域あるいは伝統にはぐくまれた技術というものを活用しながら高付加価値化あるいは新分野に進出していく、こうしたことによる活性化が必要なことは御指摘のとおりであります。  そのために、通産省といたしましては、従来から地場産業振興センター等を実施主体として中小企業の技術力あるいはデザイン力等の強化を図る、こうした事業に対しましても積極的に支援措置を講じてまいりました。また、平成四年の十月に集積活性化法を制定いたしましたことは御承知のとおりでありまして、既に都道府県が策定する活性化計画に従って既存製品の高付加価値化あるいは新しい製品の開拓に取り組んでおります地場産業の中小企業者、組合等に対しまして予算面、税制面、金融面等の総合的な支援を行っております。また、平成七年度におきまして、これは予算・編成の過程で具体化させていかなければなりませんが、私どもとしては中小企業の技術開発、事業化を促進する観点から、技術開発の助成の充実でありますとか資金調達、さらに技術情報提供の円滑化、販路開拓の支援など、法的な措置を含めて総合的な施策を進めてまいりたいと考えております。  委員も御承知のとおり、私どもは当年度予算国会成立の時点におきましては野党の立場だったわけであります。そして、私どもは平成六年度予算に対して組み替え要求を提出いたしました。これは、特に中小企業問題等により深刻な状況を感じ、それに対する対応を求めたわけでありますが、通産大臣になりまして発見をいたしました、野党としての我々が一つ思い違えておったことがございます。  当時、御承知のように不況の中で、むしろ我々は資金面でありますとかある程度後ろ向きの事態を想定して対策を充実する必要を考えておりました。ところが、通産省が調査をいたしました結果を見てみますと、円高の影響を圧倒的に多数の、殊に輸出関連の中小企業は受けております。しかし、なおかつそれに対してどう対応するのかということを尋ねてみますと、むしろ高付加価値化を図る、あるいは新分野への展開を図る等、非常に積極的な対応を意図しております企業が非常にたくさんございます。我々としては、こうした方向により積極的な手を差し伸べる努力をしていきたいと考えているわけでありまして、今後ともの御支援を心からお願いを申し上、げます。
  117. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 ありがどうございました。  それでは、少し中小企業庁にお伺いしていきたいと思います。  中小小売業問題についてお尋ねをいたしますが、大店法につきましては累次の規制緩和がございまして大型店の出店が増加しております。出店の現状及び通産省としての認識はどういうふうにお持ちでしょうか。
  118. 清川佑二

    説明員(清川佑二君) お答えいたします。  大店法につきましては、最近三段階にわたりまして規制緩和が行われてきております。すなわち、平成二年の五月に運用適正化措置の実施、そしてまた平成四年一月の末から改正大店法の実施、そしてまた本年五月から規制緩和措置の実施と、三段階にわたって規制緩和が行われているわけでございます。  新設の出店の届け出の状況を見てみますと、平成二年五月の運用適正化措置の実施を境にいたしまして、それまで一年平均おおむね五百件程度のものでございましたのが、年間の届け出件数は三倍程度に増加をいたしております。それぞれの届け出につきましては、消費者の利益、中小小売商業への影響にも配慮しながら慎重に出店の調整が行われているわけでございます。  通産省といたしましては、この大店法の運用に関しまして、去る七月五日の規制緩和推進の閣議決定がございますが、これに従いまして、当面は今般の規制緩和措置の効果の確保を図りながら引き続き円滑な運用に努めてまいりたいと考えているわけでございます。
  119. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 私の地元の方で大型小売店の出店状況がどうなっておるかちょっと御説明させていただきますが、佐賀県の東部地区に鳥栖市、神埼郡、三養基郡というのがございまして、そこには人口十五万九千人が住んでおる。農業地帯でございます。この地域の中に、中小小売店の売り場面積は現在七万二千五百平米ありまして、大型店はそのほかに二万一千二百平米ございます。ここへ新たに大型店が八万六千四百平米進出を予定してきている、こういうような状況でございます。  そうしますと、その結果は、大型店の売り場シェアというのは約一五〇%になる、あるいは大型店の売上高のシェアというのが九五%になる、こういうふうなことが予想されるわけでございます。大型店の進出によりまして、大型店同士が戦争を始めるような時代になるんじゃないかという心配もございます。  このように、規制緩和が徹底してきますと、地元中小小売業者が壊滅状態になることはもちろんでございますが、しかし消費者にとりましても、特に高齢者など車を使えない消費者の買い物はどうなるのかとか、あるいは売り上げが県外に流出した後の地域経済はどうなるかとか、私たちの暮らしへの影響を考えるといろいろと心配なことが多いわけでございます。この点について、このような実態があるということもひとつ御当局もよく認識しておいていただきたいと思うわけでございます。  産業構造審議会の答申で述べておりますけれども、「大幅に緩和された現行大店法の運用を前提とする限りは、現時点においては、大店法を維持することのマイナスが、そのプラスに比べて小さくなっていると考えられる。」、こう言っておりますけれども、この考えはまさに私もそのとおりだと思っております。  こういった中で、地元中小小売業者は何とか生き延びようということで策を講じておるわけでございますが、その一つとして、町の中心から外へ出て駐車場の用意のできるようなところで共同店舗をつくって立ち向かおうという試みをしております。大型店の急激な地方進出に対する地元中小小売業の一つの対応のあり方だろうと思っております。  中小企業庁としてのこの共同店舗についての考え方及び施策の内容についてお尋ねしたいと思います。
  120. 中田哲雄

    説明員(中田哲雄君) 中小商業者が大変厳しい事業環境に置かれているという点につきましては委員指摘のとおりでございます。このような環境変化を乗り越えるために、御指摘の共同店舗事業というのも大変有益な事業一つであるというふうに私ども認識をしているところでございます。  このような認識のもとに、共同店舗につきましては、昭和三十八年度以来、高度化資金融資制度によりまして助成をしておりまして、これまで約六百店舗ほどの助成を行ってきたところでございます。特に近年は、中小小売商業振興法というのがございますけれども、これの認定を受けましてこの高度化をさらに有利な融資制度にする、八割まで無利子の融資をするというようなことで、この施策の拡充を図っているところでございます。  今後とも、共同店舗の事業の動きに伴いまして、さらに施策の拡充をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  121. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 車社会になり、ライフスタイルやまた消費者のニーズが変わっていく中で、そしてまた大型店の進出などがある中で、共同店舗というのは確かに一つの中小小売業者の生き延びる方法だと思います。  しかし、これは意欲のある中小小売業者が町並みから共同店舗に参加するために出ていくというようなことになるわけでございまして、町並みにとってみますと町の衰退に拍車をかけていくおそれがある、こういう心配もあるわけでございます。高齢化が進む中で、暮らしやすさを大事にしたいとか、あるいはまた地域の伝統文化を支えるお祭りなどが残る魅力ある商店街をつくろうという、こういう願いも地域コミュニティーの中で残されている人には大きいわけでございまして、やっぱり共同店舗というのはいささかその点では課題があるのではないかと私は思うわけでございます。  そこで私はお尋ねしたいのですが、町づくりの中でこの中小小売商業を活性化するような積極的な支援策を講じていくという方法がないかどうか、この点でございます。いかがでございましょうか。
  122. 中田哲雄

    説明員(中田哲雄君) 御指摘のとおり、地域の活力の維持というためには、地元に根を生やしております商店街の振興といったようなことが非常に大切だというふうに私ども考えているわけでございます。  このために、従来から商業基盤施設整備事業といった形でのハードの事業と、商店街活性化のための計画づくりや各種のイベントに対します支援措置、いわゆるソフトの事業、この両面を柱といたしまして魅力ある商店街づくりのための総合的な対策を講じているところでございます。  例えば、商業基盤施設の整備面につきましては、既存の商店街の再活性化のためにオープンスペース、パティオと言っておりますけれども、こういったものを囲むような商店街づくりを進めるといったようなことをことしから始めておりますし、また来年度の予算におきましては、さらに少し長い視点で、二十一世紀をにらんで、お年寄りに優しい商店街、あるいは情報化、あるいは地元の地域の特色に合わせた商店街づくりといったことを盛り込んだ商業施設の整備といったことも新たな支援策として検討しているところでございます。
  123. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 町づくりの中で商業の活性化を図るということになりますと、町づくりは建設省の所管でもありますが、地方の町の商店街をにぎわいのある町づくりにしていく上で、建設省として何か施策をお持ちじゃないでしょうか。
  124. 藤川寛之

    説明員(藤川寛之君) 建設省といたしましても、地方の中小都市等の既存の商店街のにぎわいを取り戻す、活力を取り戻す、また魅力を取り戻すというような面で、それぞれの都市でいろんな取り組みがなされているわけでございまして、私どもといたしましてもできるだけその取り組みを支援しようというようなことで、そういう魅力ある商店街づくりに資するような施設整備につきまして、建設省所管の道路・街路事業、市街地再開発事業、また街並み・まちづくり総合支援事業等によりまして積極的に支援をしているところでございます。
  125. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 具体的な事業の中身はわかりませんけれども、今のような趣旨の道づくりであるとするならば、恐らくわざわざ郊外に共同店舗をつくらなくてもよくなるような町づくりができるんじゃないかと思います。町並み全体が美しくて、地域コミュニティーでお年寄りや子供が散歩したり遊んだり、そういうこともでき、車で買い物に来て、従来ですと路側駐車しかできなかったようなところ、そういう不便な町のあちこちに公共広場の駐車場をつくってあげるとか、そういった建設省の暮らしの道づくりというのがどうも可能性としては今申し上げたようなことをしてもらえるような感じに受け取ったわけでございます。  そういう基盤ができるという前提でございますけれども、今度通産省に改めてお尋ねしておきたいと思います。  今のところ通産省では、例えば区画整理事業なんかで商店街が一括して引き下がるような場合には、これは大変有利な高度化資金を融資しておられるわけでございますけれども、従来の町並みの中で趣を変えていくというような形での商店街対策、この商店がやる気があってその場でこれから何十年も商業を続けていくというような意向のある者については、先ほどちょっと話が出ましたパティオ計画のようなものに参加しなくても現在自分のお店のある場所で高度化資金を有利な条件で融資してもらうというような取り扱いができれば、建設省の施策と結びついて大変すばらしい、魅力ある、お年寄りに優しい町ができるんじゃないか、こう思うわけでございますが、その点について再度お答えいただきたいと思います。
  126. 中田哲雄

    説明員(中田哲雄君) 個別の商店の近代化につきましては、基本的には中小企業金融機関等からの設備資金等によって対応しているところでございますけれども、個別の商店の近代化あるいは模様がえその他が商店街全体あるいは町づくり全体の中できちんと位置づけられていくというようなことでございますと、一つの共同事業の一環として見ることができるのではないだろうかというふうに思っているわけでございまして、それぞれ具体的なケースごとに十分御相談をしながら支援をさせていただきたいというふうに思っております。
  127. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 次に、農業対策についてお伺いしていきたいと思います。  ウルグアイ・ラウンドの集大成である世界貿易機関の設立協定が来年一月一日に発効いたします。これを間近にした今、農業再建や食管改革について重大な関心が各方面で高まってきております。  私自身も三年前から新政策の具体化を私なりに目指そうと考えまして、佐賀県内で水稲の湛水直播技術の指導普及あるいは麦の不耕起栽培の試験に取り組んでおりまして、意欲ある農業者と現場で対話をする機会が多いわけでございます。この農家の皆さんが口々に、自主判断による生産調整では地域営農が混乱するとか、あるいは米価の暴落で国内農業がつぶれかねないという心配をしているのを聞かされるわけでございます。将来性のある食糧、農業、農村のためには充実した農業政策をここで思い切って行わなければならないと私も強く考えている次第であります。  先般、十三日の地方農政局長会議でも農政審報告の新しい米管理システムなどに対して地域の実情を踏まえた意見が出されたように伝えられておりますし、また大河原農林水産大臣は、日本農業の弱体化は捨てておけない段階で、これにラウンド合意という大きな衝撃が加わる二十一世紀に向け展望を開ける農政のかなえの軽重が問われている、こういった趣旨のあいさつもあったやに、ある農業新聞は報じておるところでございます。農民の心をよく御承知の農政の権威でいらっしゃる大臣のお言葉に大変意を強くしているところでもございます。  そこで、食管制度の改正について伺っていきたいと思います。  私たち自由民主党はもちろんでございますが、当時の政府も、一九八六年九月ウルグアイ・ラウンドが開始されて以来、日本の主食である米は食糧安全保障のために国内産米で自給すべきであるという基本認識でずっと取り組んできました。そして、私の今の考えも変わっておらないわけでございます。我が国は、世界の貿易国を相手に繰り返し、主食である米の市場開放は我が民族の生存にかかわるものでこれを受け入れることはできないとか、また水田稲作は国土保全や環境や文化のために大切だから、水田農業が崩壊を招くような米の市場開放はしてはならないと訴え続けてきたわけでございます。  このように米が我が国にとって特別の重要な意味を持っているのに、それにもかかわらず、仮にですけれども自由化への道を進み始めるとするのであれば、それにたえられるような農業対策が用意されなければならないと私は思うわけでございます。我が国として、米の国内産自給体制を確立するために国内対策を必要かつ十分なぎりぎりの限度まで実行するのが当然であろうかと思います。そうでなければ、これまで外国に対しまして米づくりの重要なことについて日本の主張してきたことが一体何だったのか、我が国は言行一致しない国だ、こう見られるかもしれないということまで心配するわけでございます。  これまでのところ、米の持つ特別に重要な意味世界の貿易国に理解させることはできませんでした。しかし、これからは日本国民に対してよく理解してもらうように努めることが大事でございますし、特に財政当局に対してわかっていただくようにするということが大事になってきていると思うわけでございます。そういう説得に二度の失敗は許されないと思いますので、どうかひとつ頑張っていただきたいと思うわけでございます。  そこで、食糧管理制度についてでございますが、これは私は国が責任を持って米の需給と価格の安定を図る制度であることを基本にしてもらいたい。また、生産調整、備蓄、価格、流通を通じた総合的な制度として将来にわたり米の国内自給と安定供給が確保されるように国民のコンセンサスを取りつけるべきである、こういうふうに思うわけでございます。昨年の米不足に対しまして現行の食糧管理制度がどうも十分でなかったかのような言われ方をいたしますけれども、ああいった大変な米不足のときでも昭和四十八年のあのオイルショックのときのトイレットペーパーのパニックが起こらなかったというのは、これは立派だったと私は思っております。  今後も国内産米でこれまで以上に安定供給できる仕組みの食糧管理制度をつくる、こういうのが改正のねらいでなきゃならないと思うわけでございますが、大臣の食糧管理制度についての基本的なお考えをお伺いさせていただければと思います。
  128. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) お答えを申し上げます。  陣内委員の米についてのあるいは管理制度についての基本的なお考えはそのとおりだと思うわけでございます。主食であり農業生産の最重要部分を占めておる米については、その再生産の確保なりあるいは安定供給、そのために必要な需給調整なりあるいは価格の安定はどうしても必要でございまして、それは従来方針と少しも変わるわけではございません。  ただ、委員も御指摘のように、現行制度と現実との乖離が非常に甚だしい。したがって、安定的な米管理システムをつくらなければ相ならぬということで先般の農政審議会の御意見等もちょうだいいたしまして、今も委員もお触れになりましたけれども、生産調整なりあるいは備蓄、民間流通のよさを生かしました自主流通、あるいはやむを得ず受け入れるミニマムアクセスについても、これを全体需給の観点から調整していくというような新しい計画制度を盛り込んでまいりまして、委員の御指摘のような需給と価格の安定、それが貫けるような体制で今回の改正に取り組んでおるということでございます。
  129. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 よろしくお願いしたいと思います。  それから、安定した食糧管理のためには生産調整が重要ですが、これを自主的判断に任せるだけでは目標達成は不可能に近いと私は考えるわけでございます。生産調整の実効確保のためには、生産者のみんなの理解協力で全生産者が生産調整に参加することが必要だと思います。  生産者みずからの稲作所得の安定のためにこの生産調整は必要だということはもちろん当事者もわかっておることではございますけれども、現実に転作参加や転作を達成するためには、やはりそこには経済的誘導策の充実強化、あるいは行政と生産団体、集荷団体が一体となった取り組みがなければ自主的判断のもとでの生産調整の実効は確保できないだろう、こういうふうに心配しております。こういうことはこれまでの幾つかの現実の問題として御理解いただけると思います。  生産調整を実効あるものとするためには、政府買い入れ数量に制限を設けないこと、十分な政府買い入れ価格、助成金がないことには、中核農家という農業の主体となるべきそういった人でさえ自主判断の生産調整には参加してくれないじゃないかという心配をしております。もちろん、そういうことになりますと、市場原理によって米価が低下いたしまして大幅な価格変動が起こるわけでございますが、そのことはまたひいては安定供給、消費者のためにもならぬということになるわけでございますので、どうかこの点について生産者の自主転作、自主調整がうまくいくような具体方策を考えていただきたい、こういうふうにお願いしたいと思います。
  130. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) お答え申し上げます。  委員のおっしゃいましたように、全体自給をどう確保するかということと、それから一方では生産者の生産調整に関する自主的な判断をどこまで尊重するかということで、なかなか難しい問題もあるわけでございますけれども、やはり生産調整の長い二十年間にわたる実行から、トップダウン的な強制的な調整はなかなか難しい。やはり生産者の自主的な意欲を尊重しながらそれを取り入れて生産調整を図るということが今回の我々の制度検討の一つの課題でございます。  それでありますので、お話しのとおりやはり生産調整については、その自主的判断を尊重しながらも地域とかその他全体の意欲、意思、考え方との調整もやっていただかなければならない。また、協力者に対する政府の買い入れということも必要でございましょうし、生産調整のための特別の交付金も用意しなければ相ならぬのではあるまいかということとか、さらにはやはり従来の生産調整の方式よりもさらに生産者が取り組みやすいような生産調整の方法、多様な方法を検討しなければならないというようなことで、現在、制度の検討を進めておるということでございます。
  131. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 よろしくお願いしたいと思います。  それじゃ最後に、ウルグアイ農業合意、これは今も話に出てきましたけれども、国内農業にはかり知れない影響を与えるわけでございます。国内自給を基礎とした食糧供給の安全保障と国内農業の役割国民認識してもらう。どういう政策をどういうプログラムで進めるのか。具体的に言いますと、構造政策や地域政策、あるいは生産や価格政策をきちんと示していただきまして、それに対する財政措置を確立しておくということが大事じゃなかろうかと思います。この財源確保につきましては、お隣の韓国のあの心意気をひとつぜひ学んでほしいと思うわけでございます。  冒頭申し上げました、二十一世紀に向け展望の開ける農政のかなえの軽重が問われているというこの御認識のもとでこれからどういうぐあいにお取り組みいただけるのか、大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  132. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 委員お話のとおりでございまして、やはり二十一世紀に向けて農業なり農村が自立をいたし、持続的な発展を遂げるような広い視野に立った対策がどうしても必要でございます。それによってこそガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う農家の不安も解消され、新しい展望が開けるというふうに承知しておるところでございます。  農政審議会の報告等においても、やはり食糧の安定供給だけではなくて、国土保全とか環境の保全あるいは地域社会の維持というような農業、農村の基本的な役割、これを国民的なコンセンサスのもとで再認識した上で、また一方、先進国に比べて異常に低い自給率、これがなお減退しそうだ、これに歯どめをかけなければなるまいというような課題のもとに、その安定的な効率的な意欲のある担い手なり集団組織を育成して地域の農業生産の活発化を図るという点とか、その他、やはり大規模圃場整備その他の生産性向上のためのまず農業、農村の基盤の整備、これを画期的に進度を高めるとか、あるいは価格政策等についてもやはり国際関係等が非常に響いてまいりますので、その点についての十分な配慮をしながら、経営体の安定というものを考えながら価格政策を展開していくということ。さらには、一番影響を受ける地域、中山間地帯に対しては総合的な施策を集中的に投じていくというような施策等を中心にして、現在全力を挙げて具体的な施策の樹立のために努めておるところでございます。  それについては当然財政的な裏づけも必要でございまして、したがって本年八月の政府の概算要求の際にもシーリング等についてもいろいろ議論がございましたが、対策の樹立を待って予算編成の過程で検討いたすということに相なっておりますが、どうしても必要な施策、それに対する財政的な裏づけについては、その全体的な御理解を願って確保して、責任を果たしていかなければ相ならぬ、さように思っておるところでございます。
  133. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 農は国の基であるという考えを今改めて持ったわけでございますが、国民生活の豊かな実現のために、この危機に面している農林分野でひとつ大いによろしくかじ取りをお願いしておきたいと思います。  次に、話を保育問題に移していきたいと思います。  保育は、次の世代を担う児童の健やかな育成を図るという意味で、また子供のいらっしゃる女性の方の就労など社会進出の面でも大変大事な今の課題になっておるわけでございますが、この新たな対応として乳児の受け入れをしやすくするとか、保育の時間を延長するとか、いろいろあるわけでございますが、ことしの一月十九日にこれらのことについて検討委員会で結論が出たというふうに伺っておりますけれども、これについてのこれからの取り組み方をお聞かせいただきたいと思います。
  134. 佐々木典夫

    説明員佐々木典夫君) お答え申し上げます。  保育所の対策の中で、ことしの一月に保育問題検討会、厚生省の方で設置をお願いしたものでございますが、その結論が出たわけでございます。この保育問題検討会につきましては、昨年の二月にスタートいたしまして何回かの御議論いただいた上で結論をちょうだいいたしました。  保育所につきましては、御案内のとおり昭和四十年代、特に保育需要が著しく増大をいたしましたが、それに対応しながら施策の整備が相当に進んでまいりました。しかしながら、一方、今お話もございましたように、乳児保育等あるいは早朝なり夜間なりの保育の需要がさらに出てきておるといったような需要の変化がございます。そのような観点からまいりまして、現在の保育所におきましてはなお改善を要する事項があるんじゃないか、こんなことからこの検討会が設けられたところでございます。  保育所はそれぞれ大変な役割を果たしてございますが、検討に際しての問題意識といたしましては、特に乳児等の受け入れあるいは保育時間の面で多様なニーズにこたえられていないんではないか、あるいは保育料の面で負担感、不公平感があるんじゃなかろうか、あるいは入所手続等、改善を要する点があるんじゃなかろうか、こんなようなことでございました。  そこで、保育所はやはり子育てそれから就労、この両立支援の柱でございますので、保育所がまさにその役割をきちっと果たしていく、そういった観点からは利用しやすい保育所にさらに充実を図っていくべきでないか、こんなようなことが問題意識だったわけでございます。  そこで、その検討の結果では、今申しました利用しやすい保育所への確立を図っていく必要性というのは、委員の先生方も一致を見たわけでございますが、具体の改革の方向につきまして、一つには現在保育の措置制度がございますが、措置制度を維持しつつこれを拡充すべきではないかという御意見と、さらに利用しやすいという観点から直接入所制度を導入すべきでないかという意見に分かれまして、最終的に両論併記というような形で結論がまとまったというような経過がございます。  厚生省といたしましては、保育所の制度の見直しにつきましては早急に検討し、関係者の皆さんの御理解が得られるよう引き続き最大限の努力を続けてまいっているところでございます。  先ほども申しましたように、保育問題検討会におきましても、現状の保育所が時代のニーズに必ずしも十分対応できておらない、そういう意味から利用しやすい保育所を確立するために積極的な取り組みが必要というような点においては意見の一致を見ていただいているところでございますので、この趣旨を踏まえまして、今年度予算におきましても延長保育を初めとします保育関係事業の大幅な拡充を図ったといったようなことで取り組んでまいっているところでございます。
  135. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 両論併記というような形ではありますけれども、保育所が利用しやすいようになるという上からの大変有意義な論議がそこで行われただろうと私は思うわけでございますが、当面急いでもらうのは何といってもゼロ歳児とか一歳児の保育の充実を図ることだろうと思います。  去年でしたか、ゼロ歳児については保母の加配が行われるというような形での措置内容の改善はあったわけでございますが、実態を見ますと、もっと保母の加配をふやさなければならないじゃないかというような状況にあるようでございます。ざらなる配置基準の緩和をお願いしたいということと、それとこれは裏腹のことですが、一方では保母になる方が最近少なくなってきているということのようでございますので、保母の確保についてどういうぐあいな状況になっているのか、実態を教えていただきたいと思います。
  136. 佐々木典夫

    説明員佐々木典夫君) ゼロ歳児保育等を進めるに当たりまして、職員の体制をさらに充実すべきではないかというお尋ねがまず第一でございますが、おっしゃいますとおり、乳児保育等につきましては、現在、保育所の基準といたしまして、年齢の高い例えば四歳児ですと子供さん三十人に保母さんお一人、三歳児ですと二十人に対してお一人、それから一歳、二歳の低年齢児につきましては六人に一人、そして乳児、ゼロ歳児につきましては三対一というようなことで基準を設定いたしているわけでございますけれども、非常に今子供さんの数全体は少なくなっておりますが、保育所の需要で高いのが今の乳児の保育、低年齢児の保育でございます。  そこで、重点としまして、まずは限られた財源の中で乳児保育等を充実していくということを優先にしていかなければならないなというふうに考えておるところでございます。しかし同時に、先ほど申しましたような多様な保育ニーズへの対応というような観点から申しますと、また職員のいわゆる時短の動きへの要請もあるわけでございますので、今後職員の体制の充実ということはこれはさらに力を入れていく必要があるというふうに思っております。必要な対応ができますよう、先ほど保母の加配等の先生のお話もございましたが、そういうことを含めてさらに努力をしてまいりたいというふうに存じます。  それから保育所の保母の供給状況、足りているのだろうかというふうなお尋ねでございますが、現在保育所の保母さんの養成につきましては、保母の養成所を卒業する方がざっと三万三千人弱、平成五年度の数字でございますが、それから保母試験で三千人弱ほどの合格が出まして、大体三万五千人ぐらいの供給状況でございます。  これに対しまして、一番新しい調査で見ますると、保母の採用状況は大体二万四、五千人ぐらいというような感じになっております。退職者もおるわけでございますが、二万四、五千人ぐらい。そして、先ほど三万五千人と申しました保母さんが必ずしも全員が保育所に勤務するわけじゃなくて、ほかの養護施設等もございまするし、別な職種につく方もいらっしゃるわけでございますが、私ども見る限り、全体の保育所への就職の可能性のある保母さんというのを見ますと、採用人数の二万四、五千人とんとんというか、同じレベルに達する供給状況にあるかなと、全国的レベルで申しますと今のような状況かと存じます。地域によりまして多少の違いがあるかと思いますけれども、今の供給状況では何とかいけるかとマクロでは見ております。  なお、それにいたしましても保育所の保母の人材確保という観点からは、従来から給与ベースの改定だとか、労働時間の短縮等々の雇用条件改善に取り組んできておるわけでございますけれども、この問題につきましては引き続きさらに力を入れてまいりたいというふうに存じます。
  137. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 最後に大臣にお尋ねいたしますが、少子社会というのはこれは子供たちが健やかに成長していく上でもみずからの問題としても大変なことでございますし、高齢化社会をうまく乗り切るためにも何とか解決していかなきゃいかぬ大きな課題だと思いますので、ひとつ保育の施策に関する大臣のこれからのお取り組みについてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  138. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えいたします。  近年、女性の社会進出や共働き世帯が増加する中で急速に少子化が進行しているわけでございますが、このような状況において就労と育児の両立を支援することは緊急に取り組むべき課題であると認識しております。このため、平成六年度においてはエンゼルプラン・プレリュードと銘打ち保育対策の充実等の総合的な児童家庭対策に取り組んでいるところでございます。  保育施策は、就労と子育てを両立させ、安心して子供を産み育てていけるための支援策の柱であると考えておりまして、今後とも多様なニーズに対応するため、乳児保育や延長保育等の拡充を図るとともに、保育所措置制度の見直し等により保育システムの多様化、弾力化を進めてまいりたいと考えております。
  139. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 どうかよろしくお願いいたします。  次に、渇水問題についてお伺いします。  今年の渇水状況につきましては、国土庁から事前に詳しく御説明をいただきました。それを踏まえて質問させていただきたいと思いますが、その話を聞いて思うことは、やはり備えあれば憂いなしという感を強くしたことでございます。今後の水資源政策を進める上で一助になるような質問をしてみたいと思うわけでございますが、まず建設大臣にお聞かせいただきたいと思います。  今年の利根川水系の渇水では、前回の昭和六十二年に比べると大体雨の降り方は同じぐらいだったと思いますけれども、何か随分ゆったりとした感じが持てた、余り渇水という実感がわいてこないぐらいに状況が違っているなというふうに思うわけでございます。これは前回はまだ奈良俣ダムというダムができていなかったわけで、多分その辺がきいているのかなという気もするわけでございますが、利根川水系について奈良俣ダムがどういうふうな効果を持ったのか、また今建設が延び延びになっておりますけれども、八ツ場ダムの建設がもし済んでおったらどういう状況であったのか、少しお聞かせいただきたいと思います。
  140. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) お答え申し上げます。  首都圏最大の水源であります利根川におきまして、建設省では、首都圏の水需給の逼迫状況を踏まえまして、利根川・荒川水系水資源開発基本計画に基づきましてダムなどの水資源開発施設の建設を計画的に進めてまいりました。これまでに直轄水資源開発公団事業といたしまして平成二年度に終了いたしました奈良俣ダムを含めまして合計八事業、それから府県が施行しております補助事業として権現堂調節池など三事業、合計十一事業を完成させました。現在、今御質問の八ツ場ダム等を含めまして十九事業を鋭意実施中でございます。  ことしの渇水についてでございますが、七月二十二日に一〇%の取水制限に入ったわけでございますが、仮に奈良俣ダムが完成していなかった、終了していなかったと仮定した場合、計算してみますと取水制限の開始を十七日程度早める必要があったと推測しておるところでございます。さらに、この上流ダム群の最低貯水量を記録したのが八月二十日でございましたが、このときの最低の貯水量が七千百五十六万立方メートルという状況でございまして、これはちょうど奈良俣ダムの利水容量七千二百万立方メートルとほぼ同じであったということを考え合わせますと、もしこの奈良俣ダムがなかったらちょうど上流のダムは空になっていたというようなことで、大変な事態になっていただろうというふうに推測しておるところでございます。  さらに、八ツ場ダムが完成していたとすればどうかということでございますが、八ツ場ダムは現在地元の了解をいただきまして鋭意用地交渉を続けておるところでございますが、これが仮に完成していたといたしますとおよそ六千八百万立方メートルの貯水量が増加することになります。したがいまして、取水制限はことしより約十九日程度遅くすることができたというふうに思っております。この十九日というのは大変利根川にとりましては大事な、九月に入りますとかんがい期もほぼ終わりに近づくということでありまして、この十九日というのは大変有効であろうと思っておりまして、改めまして八ツ場ダムの早期完成が必要だと認識しておるところでございます。
  141. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 時間の関係もございますので、それでは琵琶湖開発の状況をお聞かせいただきたいと思います。  聞くところでは、マイナス一メーター二十まできょうは下がっているということで、恐らくこれは琵琶湖始まって以来の状況だと思いますので、ちょっとお聞かせください。
  142. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) この琵琶湖は淀川水系の上流に位置しておりまして、下流、京阪神地域にとってはなくてはならない湖でございますが、その水位変動が琵琶湖の周辺の治水あるいは水利用あるいは漁業、観光等の産業に大変大きな影響を与えるわけでございまして、滋賀県にとっても極めて重要な湖でございます。そのために、水位低下につきましては近年におきましては昭和四十八年、五十二年、それから五十三年、五十九年、六十一年、たびたび水位低下を招いておりますが、水位がおおむね四十ないし六十センチになりますと取水制限を講じておりました。その結果、下流府県は給水制限を余儀なくされまして、特に昭和五十九年では約千百万人に影響を及ぼすというふうな大渇水が発生したわけでございます。  このような問題を抜本的に解決するため、先生御存じのとおりでございますが、琵琶湖総合開発特別措置法に基づきまして、水位低下対策、洪水対策を柱といたします琵琶湖開発事業を鋭意進め、平成三年度にちょうど完成させていただいたところでございます。  本事業の終了によりまして琵琶湖の水位がマイナス百五十センチ、一・五メートルでございますが、まで利用可能となったわけでございまして、今回の渇水では琵琶湖の水位が明治七年の観測以来最低を更新しております。きょうの先ほどのニュースでは、ちょっと雨が降りましてやや回復したという情報が入っておりますが、それでも最低を記録しておるわけでございまして、現時点では琵琶湖事業の完了のおかげで湖内の港湾への船舶の出入りあるいは周辺の水利用に大きな支障は出ていないという状況でございまして、琵琶湖総合開発事業の中で設置いたしました人工河川によりますアユの遡上など、水位低下の影響が大変大幅に緩和されているところでございます。  それから、下流府県が取水制限にことし入りましたのはマイナス九十四センチからでございますが、六ないし八月期といたしましても、近年最も著しい渇水年でありました昭和四十八年と比べてみますと降水量が約六割少ないという状況にもかかわりませず、取水制限に入るのを約三十五日間後ろに延ばすことができたということで、これがもし仮に完成していないとすれば水位はマイナス一メートル以下には絶対に下、げることが難しい、できないということで現時点では大変大きな取水制限が出ていて、千四百万人程度の人に大変大きな影響が出たものと推測し、この完了したのを喜んでおる次第でございます。
  143. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 恐らくいつも話題になる長良川河口ぜきなんかでも相当な効果を期待できると思います。時間の関係でこれは省略しますが、個々の水資源開発施設の渇水対策上の効果はそれぞれ挙げれば切りがないと思います。  ところで、今も水資源開発事業が一方ではどんどん進んでおると思いますけれども、その状況と、それからそれによってどういうふうにこれから渇水対策に備えられるのか、その辺の利水の安全の向上の見通し等についてお聞かせをお願いしたいと思います。
  144. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 先ほどから御説明申し上げているところでございますが、ダム事業というものは、国民の生命、財産を洪水から守るということ、また生活に必要な水道用水、農業用水等を確保するということで地域の発展にとっては大変不可欠な事業である、そういう認識のもとに、建設省はこれまで各地からの強い要望をお受けいたしまして治水対策とあわせて水資源開発を行うダム建設事業を進めてまいったわけでございますが、平成五年度末までに直轄水資源開発公団事業、それから補助事業を合わせまして三百五十八ダムを完成いたしました。そして、治水容量を約四十七億立方メートル確保しましたほかに、水道用水、工業用水のために年間百三十二億トンを開発してきたわけでございます。それから、平成六年度現在では二百九十九事業を実施中でございまして、もしこれが完成いたしますと、新たに三十五億立方メートルの治水容量と年間約九十四億立方メートルの都市用水を開発するという状況でございます。  したがいまして、これらの事業が完成いたしますと、二十一世紀初頭までには、例えば過去の大きな渇水でございます三十九年のオリンピック渇水だとか五十三年の福岡渇水など各地に生じました主な渇水には給水制限を行うことなくできるものと思っております。また、ことしの渇水は終わっておりませんのでまだ評価はできないところでございますが、ことしのような大渇水についても取水制限がほとんどなくできるのではないかと思っておりますが、この渇水につきましては渇水が終了した時点でもう一度評価してみたいと思っておるところでございます。  いずれにしましても、今後とも水資源開発事業重要性十分認識して一生懸命頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。
  145. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 それでは建設大臣に、これまでの話を総括して、大臣の水資源開発に対するお取り組みの決意をお聞かせいただきたいと思います。
  146. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) お答えいたします。  今、豊田局長から詳しく申し上げましたように、水資源は国民の日常生活を支えておりますし、社会経済活動の基盤をなすものでございます。したがって、重要な資源でありますので、豊かな国民生活を維持、国土の均衡ある発展、このためには不可欠の問題であるということをまず基本的に認識をしております。  したがいまして、有限である水資源の重要さを十分認識して、節水は渇水対策の基本と位置づけるとともに、下水処理の水、あるいはこの間、国土庁長官と一緒に見学に参りました国技館の雨水対策、あるいは後楽園の雨水対策、法務省の雨水の節約問題等について、これから具体的にこれらの問題も検討して、洪水対策も節水対策も二つの面にわたって進めたい、こういうふうに考えております。  したがって、今局長が申し上げましたように水の需要の増加も非常に伸びてくるわけでありますから、これに対応するためのダムの建設等、あるいは四国等におけるあるいは関東等におけるダムとダムとのトンネルをつくって、利水に治水に十分対応できるように取り組んでまいりたい、このように決意をしておりますので、御協力方をお願い申し上げます。
  147. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 よろしくお願い申し上げます。  それでは、水資源行政を総括していただいております国土庁長官に、水問題はやはり地下水の利用も含めて解決していかなければならないと思いますので、渇水地において地下水のくみ上げは地盤沈下を起こす心配も伴うわけでございますけれども、その辺の地下水の適正利用についてのお取り組みの状況、そしてまた最後に、水資源対策への大臣の取り組みの御決意を伺わせていただきたいと思います。
  148. 小澤潔

    国務大臣(小澤潔君) ただいま陣内先生から御質問がございました。  その前に、議員による水特法の一部改正に関しましては、先生の一方ならぬ熱心に取り組んでいただいた結果成立したところでありますので、まずもって厚く御礼を申し上げたいと思います。  まず、水は我々の生活に欠かすことのできない貴重な資源であり、豊かな国民生活と国土の均衡ある発展のためにはその安定的な確保が不可欠であります。ことしは異常渇水に日本列島がその中に入りました。特に関東以西、いわゆる関東におきましては、先般も関東地建の局長さんの案内でヘリによる視察も行ってまいりましたが、非常にもう渇水である。しかしながら秋雨前線がやってまいりまして一応雨水もふえた。これは安心とまではいきませんが、一安心。安心とはいかないまでもほっとしておるところであります。また、中部圏そしてまた四国、九州北部、先生の佐賀県も入るわけでありますが、まだまだ予断を許さない非常に深刻な点もございます。  私も、国土庁長官を拝命させていただいて早速愛媛県松山市を訪れ、市長さんの御案内でつぶさにその実態をこの目でこの肌でも感じ取ってまいったところであります。建設大臣、各省庁といろいろ検討もさせていただきました。そして、関係各省庁の渇水連絡会議、これも七月十八日から六回にわたって会議を開いていただき、渇水問題に関する関係閣僚会合、これも開きました。これは今までにないことであり、今回が初めてと承っております。局長会議も開き、万全を期するためにこういった各分野においての会合を開いてまいったところであり、また建設大臣からもお話がありましたように雨水の対策、この点についても先般一緒に視察をさせていただきました。  国土庁といたしましては、今回の渇水に対して関係省庁連絡会議等を開催し、対策に万全を期しているところでありますが、今後とも総合的な水資源対策の推進に努め、渇水の不安のない社会実現へ向けて努力してまいりたいと考えております。  以上です。
  149. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 ありがとうございました。  先ほど琵琶湖の総合開発で大変効果があって、近畿圏一千四百万人の人が安心して水を飲んでいただいているということでございますが、ここに大蔵大臣が滋賀県知事をなさっていたころの総合開発にかかわるいろいろな年譜がございまして、それを見ておりますと、大臣がこの琵琶湖総合開発について大変な御尽力を賜ったということを今改めて思い出しておるわけでございます。世界の湖沼環境会議を開くとか、湖沼の水質保全に条例をおつくりになるとか、あるいは水質対策に新たな事業を導入するとか、もう本当にいろいろな形で事業推進なり水質の保全なり、あるいはまた水源地域対策について御尽力をいただいた成果が今の河川局長からの琵琶湖の状況だと思います。  ここで水資源対策の推進重要性、地域対策の大事さについて、先輩として一言お話を賜りたいと思います。
  150. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 御指摘のとおり、ことしの夏は水問題が大変でありました。改めて水と人間の暮らしにとって教訓的な年であったと思います。  御指摘いただいたように、琵琶湖の水問題にかかわってまいりましたが、まさに備えあれば憂いなしの感ひとしおであります。多くを申し上げませんが、一層水資源問題に認識を深めながら今後とも努力をさせていただきます。
  151. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 よろしくお願いいたします。  最後一つだけ郵政大臣にお願い申し上げたいと思います。  先日、逓信委員会として放送大学を視察いたしました。この放送大学での今の放送状況がまだ関東の一部に限られているということで、生涯学習の大事な時期でございますのでこれを早急に全国的に広めていただく必要があると思います。そういう点で、少し放送衛星の利用のあり方でまだこれから検討すべき点が残っているように聞きますが、ぜひ前向きにお取り組みいただきますよう要請したいと思います。一言お願いいたします。
  152. 大出俊

    国務大臣(大出俊君) 御答弁を申し上げます。  実はこれ担当局長の皆さんの方から少し詳しくお答えをしようかと思っていたんですけれども、時間の関係もあるようでございますので私の方からまとめてお答えをしようと思います。  実は知った方もおりまして、この間皆さん出てまいりまして、設立以来のいろんな資料、成績、たくさん御説明いただきました。現在、学生数が五万一千六百十一人おるという大変な広がり方を、これは平成六年の第一学期でございますが、そして資格をお取りになったいわゆる卒業生四千四百九十八名、これは平成六年三月現在でございます。  今お話がございましたように、関東広域圏ということで一都六県という形に今しているわけでありまして、つまり東京タワーからテレビジョン放送をする、新宿、前橋という中継局があるということで群馬、埼玉、千葉、東京第一、東京第二、東京第三、神奈川、甲府、諏訪、こうなっている。私、神奈川でございますが、いろいろお骨折りをいただいております。しかし、何としてもこれを少し衛星放送を使って広げたいという御希望でございまして、将来の入学あるいは資格取得という見通しなどもお持ちになりましたが、相当な希望を持っておいでになる、こういうことでございます。  ただ、これは経緯がございまして、放送大学の全国化という意味で全国化に関する附帯決議が衆参両院でもございますし、電波審議会の答申もございます。調査会等の議論もございます。今後の検討、こういうことになっておりまして、したがいまして、今のお話にございましたように大変重要な公共性の強いものでございますので、私どもとしては衛星利用を含めて全力を挙げて前向きに検討したい、こう思っております。  以上でございます。
  153. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 ありがとうございました。  よろしくお願いしまして、終わります。
  154. 守住有信

    守住有信君 自民党の守住でございます。  きょうは平成三年度の決算最後の日でございまして、思い出しますと去年の細川内閣のころ、十月から始まりまして、予算の邪魔をしてはいかぬ、こういうことでございまして、予算細川内閣ではまことにおくれて、あと九回審議をやらなきゃいかぬ。だから夜もやりました。この決算委員会、与野党とも夜もやったことを思い出します。それできょうが締めくくりの最後。きょう一日で終わる。そのかわり夜までやる、各閣僚は重要な外交案件その他いっぱいお持ちでございますから。そういう気持ちで私ここへ立っておるわけでございます。  私もその九回の中で六回質問させていただきました。そしてずっと各委員の方々、いい御質問、鋭い御質問もございます。そういうのも自分でも思い出しながら、なるべくこの決算委員会は幅広くでございます。常任委員会はそれぞれの縦割り行政でございます。予算委員会政治論でございます。ここは実務論で各省庁の関連するところ、縦割り行政でなくて。そういう角度でひとつ御質問もさせていただきますし、私の意見も述べさせていただきますが、どっちかというと私の話す方が多いかもしれません。聞いていただきたいと思います。  ただ、真っ先に私は議員立法で国旗法、国歌法、こういうものを、太政官布告、明治三年でございますが、あれは国旗の寸法を決めただけでございます。太政官布告、それであとは法例第二条の慣習法、法制局長官の見解政府見解でございます。しかし、もっとはっきりしていこう、こういう思いも持っております。  さて、つらつら眺めてみますと、今官邸の上には国旗が毎日翻っております。国会の上にも衆参毎日翻っております。そして、周辺の宮城の周り等民間の会社あるいはホテルまで毎日上がっております。もう一つ申し上げたいのは、さすがに外務省でございます。儀典長以下が、外国の国賓がお見えになりましたときは我が国の国旗とそれぞれの相手の国旗をクロスしてこの国会の周りにはちゃんと上げられるようになっておるんですよ。ところがどうだ、国民の祝祭日には上がっておりません、日本の国旗が。この国会の周り、そういう仕組みが外務省の儀典長のところでできておる。ところが、日本の国旗は日本の祝祭日に出ておらぬ。これはいかなるわけか。  実は政務次官会議でもかつて御議論が、聞いてみましたら出たようでございます。外務省の方はきちっとしております。ところが、じゃあとはどこの省だと。やっぱり内閣官房でございます、この所管は。内政審議室も呼びました。もう三週間、四週間ぐらい前でございます。ノーアンサーだ。後、返事もない。これは実務の話ですから、きちっとやってくれれば何もこういう場で申し上げたくはなかったわけですけれども、所管がどこかとか何やかんや言っておるものだから、まず内政審議室はどうだと。まして内閣は今後外政審議室、内政審議室、安全保障室を強化しよう、そして縦割り行政を、総務庁も入られます、一緒になって行政改革とかいろいろ進めよう、こういうときのスタートでございますので、今申し上げました点を具体的で結構ですから、やるのかやらぬのか、旗日に、祝祭日に。国会の周りでございます。外国の賓客が来たときは外務省がちゃんと出しておる。しかるに日本の祝日に日本の国旗が上がっておらぬ。  余談ですけれども、私なんか結婚式には国旗をプレゼントするんです。たった四千円ですよ。独立日本、独立世帯、これを新世帯に。国旗だけは持っておらぬのですよ。両方の御両親は布団からはしから細かいものまで買うですが、実は国旗がないんです。そして、近ごろ国旗が祝祭日にどんどん少なくなっておる。そこで、人に文句を言うかわりに私は自分でやろうと結婚式にはずっと国旗をプレゼントしておりますが、そういう思いを込めて、ここは国会の周りでございますから、ひとつ内閣として具体的に、何のことはないと思います、外務省はやっておるわけですから、外国の賓客のときは。  これに対して一言だけ御返事をいただきたいと思います。
  155. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 大変気合いのこもったお話を傾聴させていただきました。  国民の祝日における国旗掲揚につきましては、これは改めて言うまでもないんですが、建物等を所有または管理する方々の自主的な御判断ということが適当と従来とも考えているところであります。  国会周辺の官公庁の建物につきましては、これは官公庁の建造物が非常に集中しているというようなことでありますが、ここではもちろん今日もしっかり祝祭日には国旗を立てているということでありますが、引き続ききちんと国旗を掲揚していくようにいたしたい、こういうぐあいに思っているのであります。  外国の賓客等が来られたときの歓迎の意味の現在やっているような状況というのは、あれは外国の賓客に対して非常に敬意を込めてああいうようなデコレーション的な掲揚もさせていただいているということでありまして、あれはあれなりにさせていただきたい、こういうぐあいに思っております。  必ずしも意に沿うお答えでないかもしれませんが、しかし官公庁等につきましてはしっかり掲揚していくようにいたしたい、こういうぐあいに思う次第であります。
  156. 守住有信

    守住有信君 官公庁の方ではございませんで、路上でございます。道路、歩道の上にちゃんとポールが立って、上の方にはこういう道具までついております、ぽっと差し込めばいいように。せっかくハード面もある。路上でございますね、歩道の上、これを利活用いただければ。  それで、私は外務省に言いました、儀典長以下に。そうしたら外国、国際性ですから、おっしゃいましたようにそのとおりです。ならば独立日本我が国のシンボルは天皇制と国旗と国歌だと思っております。ポールがあるんですから、内政審議室かどこか知りませんよ、所轄、総務庁かもしれませんが、命令一下、ちゃんとしてください。休みだけど、ちゃんと委託して。掲げるのは民間の会社の連中でございます。これも見ております、私は祝日前。国旗を上げるとき、車で来まして、民間人ですよ、下請の。脚立持ってばっばっと、こうやっておるんですよ。  ひとつ我々国会議員も、また閣僚の皆さんもやっぱり国会の周辺に、外国とのあれは重大でございますよ、同時に我が日本というものも考えながら国際社会の中の日本、こういうことじゃないかと思いますので、いささかどら声を上げた次第でございますが、具体的によろしくお願い申し上げます。  それから引き続きまして、この間の決算委員会質疑でも矢野委員の御質問でございました。建設省に対する公共事業のゼネコン汚職以来のお話の流れで、実はそれの本当の実態は直轄事業ではなくていわゆる補助事業、あるいは自治団体の単独事業でいろんな問題が起こっておる、こういう御指摘もございましたし、また一つのああいうコンサルタント会社、今はみんな設計委託でございますから、そのコンサルタント会社と発注側、いわゆる内部のコントロール機能がない。  そこで、これはやっぱり建設省だと思いました。建設省のあれは技術審議官でございますか、そのときの答弁、説明の中に、コンサルタント会社に専門の役職を置く、それから発注側に、役名忘れましたけれども専門のあれを置く。こういう国のシステム、直轄事業のシステム、このお話がございましたが、ただ、やっぱり指導するのは自治省でございます。そこで、自治省は実は行政局の行政課長さんだけがお見えでございまして、どうも自治団体、地方自治の名に隠れて何でも国は公共団体に対するそういう点は指導できないんだろうかと。  それで、技術専門性を持っているのは建設省でございます。この建設省と自治省が本当に末端まで組んで、県や市のいわゆる発注事務の中、チェックとかいろんなことが自主的にできないだろうか。私は矢野さんのお話をお聞きしておりましてこれを痛感したわけでございます。自治省は課長さんがお見えで、ちょうど建設省の日でございましたもので、そこらをまた後で聞きますと、建設経済局長と自治省の行政局長の命令でいろんな点を地方へ、県、自治体の方へ通知を発せられたということも聞いておりますけれども、そこらあたりのところをもう一遍自治省、行政局長お見えですか、大臣も最後にひとつお願いしますけれども、お願い申し上、げる次第でございます。
  157. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) ただいま先生御指摘のように、地方公共団体におきます一連のゼネコン汚職問題というのはまことに残念でありかつ遺憾で、私どもも常々地方自治信頼というのは十分この厳粛な事実を踏まえながら日々歩んでまいらなくてはならないと考えておるところでございます。したがいまして、これに従事する地方公務員のいわゆる綱紀の粛清につきましてもかねてから繰り返し注意を喚起してきたところでありますが、先般来残念な結果を生んだことを申しわけなく存じておる次第でございます。  これからも公務員のいわゆる秩序を維持するために一層の努力を努めてまいりたいと考え、業務のチェック体制あるいは監査、倫理意識の向上等、それぞれの分野にわたりましてチェック機能を果たしてまいりたいと考えておる次第でございます。  今、二番目に先生おっしゃいましたいわゆる不祥事件に対する対策でございますけれども、建設省から御説明もあったようでございますけれども、地方公共団体の入札あるいは契約手続改善につきましては、お話のように建設省と自治省と協議会を設けまして、その実態調査を行いまして、一つには一般競争入札等の多様な入札方式を活用していくということ。二番目には指名基準の策定あるいは公表、入札の経過さらには結果の公表等指名競争入札における透明性及び公平性の確保をやっていくということ。さらに、三番目といたしまして監査の徹底でございます。徹底した監査を行っていくということ。四番目に、共同企業体の運用の改善を行いまして、改善策を取りまとめまして昨年末に地方公共団体に通知をいたしたところでございます。  各地方公共団体におかれましても一連の不祥事を厳粛にとらまえられまして、この通知の趣旨を踏まえられ、入札契約手続改善に現在取り組んでおられるところでございます。  例えば、平成五年度におきましては二十六都道府県九指定都市において制限付一般競争入札の施行が行われたところでございます。また、現在各地方公共団体が行いました改善策につきまして、私どもといたしましてフォローアップの調査を行っておるところでございまして、調査結果を踏まえまして今後とも機会をとらえて必要な指導を行ってまいりたいと存じておるところでございます。
  158. 守住有信

    守住有信君 建設は技術行政世界でございますので、なかなか今県や市の方には技術屋がおらぬということで、コンサルタント任せ、そして執行面も任せ、国の場合と違いまして。建設省には、定員は七千人も減ったけれども、立派な技官の諸君がおる。運輸省もそうでございます。他の省も公共事業にはみんなおりますけれども、自治団体にはその層が薄いなということを痛感して、その結果いわゆる県や市の、大きな市でございますけれども、小さい町は財政力がそんなにありませんから、大きなところならあれですけれども、そういう傾向をややもすればたどるのかな。ただ入札の業者との関係だけでなくて、目が届かぬ、コンサルタント任せ、そういう技術行政からくる問題もあるんだなということも感じた次第でございます。  そこで実は、会計検査院は安中に研修センターをつくりまして、しかも合宿方式でございまして、会計検査院だけでなくて各省庁の内部監査の諸君のノウハウ、層を厚くする。さらには私は、地方自治団体、各県、政令都市はもちろんですけれども、あるいはそういう主要都市の監査関係、会計監査の職員もそこに集めて、国と自治体、検査院が一緒になって研修をやっていただく。しかも合宿方式ですから、遠慮なしのコミュニケーションもできます、夜は飲みニケーションもできます。そういう形で技術行政の問題をずっと広げていかれれば、業者の問題は別でございますけれども、内部でずさんさというものはだんだん消えて技術レベルが上がっていくんじゃないか。  私はこういう思いに駆られておりますので、私が検査院に成りかわって申し上げますけれども、どうか自治大臣、検査院の安中の研修所に各県や主要都市の会計監査の関連の監査委員とかいろいろ積極的に参加させていただきますように、この点もあわせてお願いを申し上げます。答弁は要りません。  これは自治大臣の命令ではっと、命令といったって、地方自治とは言いながら、こういうのはやっぱり自治体の末端まで、一建設省やなんやかやじゃないというので、私どもは今度の決算警告決議の中にも、建設省だけじゃない、自治団体、もちろん業界が一番ですよ、業界が一番ですけれども、こういう点にも触れて与野党合意でやろうということに今相なっておる次第でございます。  検査院は独自でございます、政府から離れておりますね。ところが、自治団体を見ていきますと、一部ではございますけれども、本当に独立しておらぬですよ、監査担当はこれは市長の任命ですよ。そういうことになっておる。だから一緒の方を向いておられる。監査委員も委嘱される。こういうことで、県議会だって、私は決算委員ですから、議会の監査委員会が何をやっておるかというと、出納長の説明を聞いて、ほかの委員会とか予算委員会はこうこうこうですよと、それが本当にだんだんわかってきたわけです。  そこで、検査院は専門家の集団として、検査の能力、ノウハウをどんどん自治団体にも伝えていく。それからまた、公共事業でございますから、建設省を初め運輸その他各省庁特徴を持っておる。本当の専門性を持っておる。それの補助事業とかあるいはまた単独事業もあるわけですから、そこの強化をひとつ私はこの決算委員会で、平成三年度の最後に、そういう縦割りでなくていろいろな役割地方も含めて組んでやるという仕組みをつくっていただきたい。そして、単なる一片の通牒じゃなくて、末端をちょっちょっと内部的にも抽出してみて実例でやっていただいたら、私どもはこの決算委員会地方自治にも、直接命令じゃないけれども及んでいかないと、今政府ばかりやられておりますけれども、自治団体も含めて本当の国民信頼というものは得られないと思っておりますので、各大臣の皆様方、よろしくお願い申し上げる次第でございます。時間がございませんので、一応この項目は終わらせていただきます。  次が、三番目の運輸省。  これは新幹線大いに頑張って、九州新幹線なんか白紙でございまして、博多まで高架で来て、ここでぶつっと切れておるんですよ、まさしく映像で見ても。これは一生懸命お取り組みください、この問題は避けますけれども。  あと、私感謝申し上げたいのが、熊本空港の霧対策です。空港ができまして二十数年、欠陥空港と言われておりました。細川知事のころは、何かヨーロッパで昔風の大型の扇風機を何個も置いて霧を吹くというふうな、細川さんがそんなことを言うたんです。それで、私はひとつ勉強しようと思いまして、科学技術庁のJICSTというデータベースがあります、それで細川さんがやった電子応用機械技術研究所の端末のところでJICSTを引っ張り出しまして、六つの言葉を入れました。飛行場、滑走路、霧、雲、欠航、欠航率ということを入れましたら、かちかちと打ち出してきまして、こんな長文の文献です。IATAのルールです。通信料と情報料はたった四千円でございました。それでやったら、カテゴリーⅠとかカテゴリーⅡとかカテゴリーⅢがある。それでまたこれを打ち込みました。そうしたら、滑走路の端から何百メートルでこうで、高度な電波を使った自動照明器具のシステムを知ったわけでございまして、石原運輸大臣のころは私はまだわからなかったものですから、欠陥空港、霧空港たいと。  それで、細川さんのころですけれども、県知事には三百万ばかり出してもらって、東海大学の気象班になぜ霧が発生するのか調査していただいた。オホーツク海の、釧路は濃霧でございます、暖流と寒流の接点ですから。北海道は北方四島も横に置いた観光でございますけれども。熊本はなぜ霧が発生するのか。この原因も調べまして、それから航空局と、これは大蔵省もそうでございます、主計官。それで航空局と一緒に参りまして、今思い出しますと、主計官が、日本地方空港はみんなカテゴリーⅠだ、成田だけがⅡだ、全部Ⅱにしたら千五、六百億かかると言う。それなら、釧路がもっとひどい実態ですから、一番ひどい釧路と熊本をということで、これを継続事業で導入していただきました。そして、いよいよ完成します。  それで、これからが大事なパイロット訓練、ソフトですから。パイロットに命を預けておる。余談ですけれども、国内パイロットが例のストライキをよくやるものだから、私は反対しやせぬかと思った。ところが逆だったですね。国際線に出たいんですよ、国際線の方は習熟せにゃいけませんけれども。国内線、三社ありますね、全日空もJASもJALも入れておりますけれども、釧路と熊本。それで、パイロットはみんな交代制ですから、熊本行きとか釧路行きと決まっておるわけじゃないから、全員訓練せにゃいかぬ。これがもう少しで始まり出しますもので、ひとつ大いにNHKでも使うて、NHKは来ておらぬかな、大いに国民の皆さんに熊本空港は大丈夫だよ、釧路へ行っても大丈夫だよというふうなことをはっきり知ってもらわにゃいかぬ。そういう意味で、新幹線よろしくという意味と、熊本空港本当にお世話さまでございました、主計官も継続事業予算をつけていただいてということの感謝を申し上げる次第でございます。    〔委員長退席、理事今井澄君着席〕  あともう一つございまして、警告決議を論議しておりましたら、例の米の緊急輸入、農水省は食糧庁以下大変だったと思います。これをやっておりましたら、あわせてもう一つ厚生省の航空とか船舶とかの検疫体制、これに気がついたわけでございます、米は飛行機なんかでは来ませんけれども。これの行政監察でございます。この行政監察、私は検査院と行政監察と実は両面から見ているわけでございますが、見直しが必要な検疫体制、要旨でここにございます。平成五年七月の勧告で詳細な、時代の変化に即応していない検疫、厚生省の検疫がずっと出ておりまして、これは生活衛生局だと。農林省の問題、緊急の問題に今なっておりますけれども、ミニマムアクセスも今後ありますから、国民を安心させる米の輸入ということと、いろんな病気その他、人間も動いておりますし、ますます国際化時代で品物も食料品その他いろいろ入ってきておる。  この検査体制について、もう時間もございませんから余り申し上げませんけれども、厚生省の行監の勧告を受けた後の具体的なお取り組み、どのように取り組んでどのような成果を上げつつあるのか、これをまず政府委員の方から御説明いただきたいと思います。
  159. 小林秀資

    説明員小林秀資君) お答えいたします。  まず、検疫所はコレラ等の検疫伝染病の国内侵入防止、それから輸入食品等の安全性の確保、ですから今先生お話しになりました米の緊急輸入の検査も検疫所の方で検査をさせていただきました。こういう仕事を行っているわけですが、いずれも国民の健康を守る上で重要な業務と我々は思っております。  このような状況の中で、御質問にある勧告を踏まえまして、まず無線検疫を行うことができる対象船舶の拡大を図るとか、それから支所における会計事務の本所への移管、それから稼働率の低い検疫艇の廃船などを今までに行ってまいりました。  総務庁の御指摘を受け、現在省内において検疫業務全般の検討を行っておるところであります。成案を得た上で改革に取り組んでまいりたいと考えておりますので、いましばらくお時間をいただきたいと存じます。
  160. 守住有信

    守住有信君 いましばらくと言ったけれども、やっぱりめどをつけていつごろまでにはということを官僚のリーダーとして、私だって官僚だったけれども、ばちっと目標を決めて部下を指揮していかにゃいかぬわけだな。そこのところをひとつ。
  161. 小林秀資

    説明員小林秀資君) 検疫体制の見直しにつきましては、実は検疫所だけの見直しで済まない、具体的に申しますれば伝染病予防法との関連がございます一そういうことから、伝染病予防法の方をどうするのかというところもまだ詰まっていない段階でございますので、まことに申しわけないんですが、時期を明確には今のところできないということで御理解をいただきたい、このように思っております。  ただ、御指摘がありましたように、国民の税金でこれらのものが運営されているわけですから、できる限り早く改革に取り組むということは大事だと思っておりますので、一生懸命頑張りたいと思います。
  162. 守住有信

    守住有信君 私は、いろんな外国とのルールとか、その見直しなんかは時間がかかると思うんです。ところが、国内的に検疫所が三段階に分かれておる。この実践の方の、これは草取りまでしておったというじゃないか。出ておるよ。  やっぱりみごとなものですな。総務庁の行政監察というのは小人数で各省庁、検査院、これが具体的にえぐってくれておるから、私は国会議員として、これなんてイデオロギーなしてございますからね、政策なしなんだから。  そこで、現場の方、外国との関係とか、これはお互いに諸外国と貿易船、航空機、いろいろあると思います、私は素人ですけれども。現場の方のいろいろな内部のあれは全部できなくてもまず進めて、実践論で、そして最後は二段階論とか、こういう進め方があると思うんです。そこらの手法をもう一遍積極的に考えていただきたいと思いますのでよろしくお願いしておきます、またいずれ決算委員会をやったときには。  それからもう一つ、せっかく自治大臣がお見えでございますので自治の問題で、実はこれは総務庁長官にも大蔵大臣にもお話ししたい。行政改革、行財政改革、ところが地方が忘れられておるんじゃないかと。実は、前の内閣のときに石田総務庁長官にも地方の行革、地方の行財政改革、今マスコミその他は中央政府ばかりでございますが、地方に対する行財政改革。定員も組織も財政も、いろんなものがございますね。ここがどうも今まで世論その他社説いろいろ、中には社説の中に入れておるところもありますけれども、マスコミその他世論は余り言わぬですな。そして、地方分権地方分権と。大きな流れはわかりますけれども、チェック機能ががっちりしておらぬと任せてどうなりますか。そういう私は不安感を持っておる。  例えば、私の足元の熊本市でございますが、具体的に言います、自分の選挙区の一番足元、熊本県民の三分の一がおります。この熊本市政が、まずは外郭団体が幾つあるか。いっぱいつくっておりますよ。その他社団法人、民法上の公益法人、これがあります。公社と名のつくものでも福祉公社、下水道公社、地下駐車場公社、国際交流事業団、水道公社、あるいは病院その他いろいろ、病院とか福祉はこれは当然ですね。  それから定員が、これはあそこが平成三年に四町合併いたしましたのである程度はふえると思います。申し上げますと、五千九百八十一名から六千六百三十九名、一一%、六百五十八名ふえておる。もちろん四町が合併しておりますから、このときの当時の定員をマクロで言いますと四百人。普通なら合併すれば合理化が図れるはずですよ。町長もおらぬことになっておるわけですから、町長以下とか共通部門とか。ところが、合併したからというけれども、合併の前で言えば一一%、合併したのが四百人ですね。これは実質はもっと三百とか三百五十とかになってしかるべきだと思うんです。  それから問題は、それは役職も四町合併しましたからちょっとはふえたかもしれぬが、係長以上の役職者が千二百六十七名から千八百八十七名、約四九%。しかも、中をまた分析しますと、私も人事をやっておりましたから分析しますと、局長がおります。県庁には局長なんかおりません、企業局長ぐらいですよ、あとは全部部長ですよ。局長局長級部長、部長級課長、課長級──課長は課長でおりますよ、部長は部長でおるんだが、課長級課長補佐、補佐、補佐級係長、それから係長。九段階。名目は係長であり補佐であり課長、部長。級という処遇でこういうふうにしておる。それからまだ、これは退職直前当時に一ランク昇格させて退職金も幾らと。  だから、私はこういう点が、一体市の監査員は何をしておるのか、市会議員は何をしておるのかと。だから市政刷新に向かって我々は取り組んでいくわけでございます。こういう具体的なのがあるわけでございまして、よその市になければ幸い。決して首長だけのゼネコン汚職だけじゃないということを、およそ自治体にも目を向けてやっていかにゃいかぬなということを、本当は国会議員である私も、選挙民の三分の一がおりますし、私は市内生まれ市内育ちでございます。しかし、それを離れて、熊本市がこういうことで、市だけでなくてほかもここまではなくてもそういう傾向がありはせぬだろうか。  それで、理念的に言うなら、地方自治と国政との接点の問題でございますね。ここをひとつ、実は総務庁長官内閣官房、財政再建もございます、大蔵省その他、自治省、御一緒になりましてね。これも見ました。「地方行革、自治省が指針財政悪化対応へ組織など見直し」という記事が載っておりました。ごく最近の新聞報道で、「自治省は十四日、地方自治体行政改革推進のための指針をまとめ、連立与党の行革プロジェクトチームに提示した。」と。それで内容がずらっと書いてございますね。  こういうふうに与党自体も三党で一緒になって、地方にも目を向けぬとしり抜けになって、行革あるいは行財政改革、地方自治体ももう百兆円超しましたので、国ばかり二百兆とか隠れが四十兆といいますけれども、地方債自体も百兆を超しておる。そしてこういう実態がある。それで鏡で照らすものがいない。国の各省庁は検査院あり、行監ございますね。向こうは一体どうだろうかと。こういうことを、一方的な話でございますけれども、これからの行財政改革に取り組まれる場合、必ず地方の問題にあわせてメスを入れて具体的な対策を、地方自治の名に隠れて自由放任ということにならぬように、ここを皆さん全閣僚にお願い申し上げる次第でございます。
  163. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 先生から地方の行革推進につきまして貴重な御意見を賜ったわけでございますが、今お話ございましたように、全都道府県及び全部の政令指定都市、さらにはほとんどの市町村におきまして、これまで行政改革の大綱を作成いたしまして、ただいま熱心に取り組みますとともに、事務事業見直しあるいは組織、機構の簡素化等についても積極的に取り組んできておるところでございます。  今日、地方分権推進が大きな課題となっておるわけでございますが、社会情勢の変化に適応する簡素でかつ効率的な行政システムを確立することが今日私どもに与えられた大きな責任でありますとともに、この総点検を行いまして、自主的かつ主体的な地方行政の改革を進めていかなくてはならないと考えておるところでございます。  先ほど先生からも御紹介がございましたように、自治省におきまして省内にプロジェクトチームを設置いたしまして、地方公共団体の行政改革推進に関する方策を詰めてきたところでございます。六月にその基本的な考え方と重点検討項目を整理し、中間報告をまとめたところでございますが、先生が先ほど御紹介ございましたように、この検討結果を踏まえまして、今月中にも地方公共団体に対しまして行政改革推進のための指針を示しまして、地方公共団体の行政の改革の一層の推進に努めてまいりますとともに、それぞれ関係省庁と協議を進めながら、これは国だけの問題でございませんので、先生がおっしゃいましたように、地方分権を進める上にとりまして地方公共団体に与えられた大きな課題でもあります。これを十二分に推進しない限り、地方分権を口にすることはできないと私どもも認識をしておりますので、積極的に取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。  ただ、お話の中にありました、一つ地方公務員の職員の問題でございますけれども、地方公共団体の最近の動向といたしまして、何といっても基本的には事務事業見直しをいたしまして減員をしていかなくてはならないのでございますけれども、社会福祉、特に病院部門の増加とかあるいはゴールドプランの推進等、高齢化社会を前にいたしまして市町村保健センター等の設置等で非常に多くの増員要因を抱えておるわけでございます。あるいは景気対策を含みます単独事業推進のためにもその要員があるわけでございますが、さらに厳しい地方行財政を踏まえながら、今後も地方公務員の定員管理の適正化につきましては十二分にその努力を果たしてまいりたいと考えておるところでございます。  先生御指摘の熊本市におきます具体的な事例をお話し賜りましたけれども、私ども若干のことは承知をいたしておりますけれども、今の御意見をさらに踏まえながら、この熊本市の実情につきましても、より組織、機構の簡素化、合理化、そして適正な執行体制が確立されますように一層県ともども指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。  さらに、監査につきましてお話がございましたが、地方は監査委員制度についてルーズにやっておるわけではございませんので、職業者である公認会計士などの方を初め行政関係者等、それぞれ監査委員として適任者を選びまして、さらに全国的にも監査委員協議会を設けまして、適宜監査委員の研修等も行いまして、この都道府県、市町村に至る間、監査制度の十二分な機能が果たせるように、そしてそれぞれ監査委員制度の適正な監査を通じまして、住民関係各位の信頼が確保されるように努力をしておるところでございますので、さような努力もひとつお認めをいただきますようお願いを申し上げておく次第でございます。
  164. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 先ほどは総務庁の行政監察につきましてお褒めをいただきましてありがとうございました。私ども中央行革推進本部を二月に設置いたしまして、行政改革、規制緩和、特殊法人の整理合理化に取り組んでおります。これに真剣に取り組むことが地方自治体も同様の方向で行革を進めていただけるものと確信をいたしている次第でございます。自治省とよく連絡をいたしまして対処いたします。
  165. 守住有信

    守住有信君 特に自治大臣、先ほどは各般にわたってありがとうございました。私が見ておりますのは監査委員じゃございません、その下で働く職員。例えば、会計検査院の場合は独特の組織と人事体制でございます。政府と、全く各省庁と分かれておる。ここの点。監査委員は別でございますよ。そこの下で命令で働く職員、これが何かどうも市町村の方を見ておる、こういううわさを聞くわけでございまして、監査委員そのものではないので、その体制の下で働く、監査委員も一人一人万能ではございません。専門知識が要ります。それは下の諸君、事務局でございますね。  こういうことを多少感じておりましたので、そういう事務局長とか事務職員も、監査委員もそうだけれども、会計検査院の総合的な研修に国の職員も地方自治体、特に大きな市をも入れて大いに研修を深めていただく、そして各省庁も一緒になってその場でやっていくというのが私は一番いい方法じゃないのかなと、こう感じましたので申し上げました。監査委員に失礼になりますので訂正して、その下の事務局以下の方がちょっと気になっておるということだけを、これは採用は市長がやりますので、よろしくお願い申し上げておきます。  もう一つ、先ほど横尾委員や陣内委員から水不足の問題、いろんな角度から出てまいりまして、もうその部分は省略いたします。実は海水の淡水化、逆浸透方式、これをいち早くお取り組みなのは私は通産省だったと思います。工業用水でございましたな。そういう研究開発、あるいはまた那覇市においてもう今工事中でございますね、海水の淡水化。  そこで、ついこの間も自民党本部の方で工業用水の会合がございましたが、一つだけ気になるのが実は天草の大矢野町、離島でございます。水不足で水道料金が日本で一番高い。これは八代の方から、氷川水系から引っ張ってこにゃいかぬわけで、それで一番高いんですけれども。そこで、あれは川上町長といいますが、通産省の方だろうと思いますが、海水の淡水化のプロジェクトを取り上げようとなさいましたところが、周辺は漁村でございます。天草でございます。真水になる方はいいんですけれども、あとの濃い塩分の方をどこへ捨てるかという問題で、沿岸漁業をやっておりますので、これを東シナ海まで貨物船かなんかで持っていって捨てるには物すごくコストがかかるということで、議会でわっとなりまして、それで消えちゃったんですよね。  しかし、これから今度は厚生省も海水の淡水化にお取り組みになる。そのときもやっぱり通産省が一番研究開発が早いんですから、また縦割りにならぬように横と連携して、農水の方は山の方でございます、下流の方もありますけれども。いち早くお取り組みになっておる通産の研究その他と厚生省の水道ですな、生活衛生局、これと組んで研究開発にお取り組みになって、こっちの水道廃棄物にならぬように、産業廃棄物にならぬようにそこらあたりも十分念頭に置いて、私は専門家じゃございませんけれども、この水飢睡を機会に大いに取り組んでいただく。  それと、もう一つ提言がございますのが熊本です。福岡も大変でございましたね、筑後川水系。源流は阿蘇の小国とか南小国にありますし、大分の竹田の方もありますけれども大騒ぎだと。熊本の南の方は球磨川という三大河川がとうとうと流れて、上には河川局がダムをつくろうということで、代々反対運動があります。なかなかえらい反対運動がありますが、努力しておられます。  大きな川がずっと流れておるんですよ、御承知のとおり大河川で。工業用水ダムがありまして、二割足らずしか使っておらぬ。あとの八割はみんな不知火海に流し、そのままなんです。ただ、イグサがございまして、日本一のイグサ、あの時期だけは農業用水で使わにゃいかぬ。いろんな方策があると思いますが、私は熊本県が乗り出せと。今まで厚生省、上水道は市町村の義務でございますね。これからは県が配給役で乗り出す。球磨川のいい水を一次処理ぐらいしまして、農業用水のための備えもやって、それをずっとパイプで天草や何かへ引っ張っていく。  かつて、今申し上げました大矢野の氷川水系はパイプで海の底を通った。台風のときに貨物船が逃げましてそこへ停泊する。貨物船がいかりをおろしておる。いかりは真っすぐ揚がるんじゃない、動き出すとき、ばんばんと斜めに揚がるんです。これをひっかけて大問題になったんです。  ついでに、これは郵政省だ。KDD丸が、今は海底ケーブル、無人で地下一メートルぐらいを掘って、そこに海底ケーブルを入れ込むんですが、KDD丸の上にはその機械が乗っておるんです。そういうので八代の方、球磨川の入り口から天草の方へとか、そういうのを海底に埋めるパイプですな。そういうことを発想いたしておりますので、熊本県も、三つですね、企画開発部の水資源開発室、衛生部、それから企業局。工業用水だけじゃ大赤字ですから、この三つが組みまして今調査を始め出しますので、どうかひとつ厚生省と通産省、こっちが工業用水でやっておりますので、また水利権の問題が出るんですよ。  それで、建設省は河川局に水利調整室という見事なプロがおられますな。やっぱりプロ集団でないと、こういう三つぐらいの省庁を組み合わせた施策、それで県と市町村の施策と組んでいかにゃ本当にこれはだめだ。私は生きた熊本という場を、特に県南の地域を念頭に置いて意見を申し上げておる次第でございます。  時間がございませんので、肝心な郵政省のことをやらにゃいけません。六番目に掲げておきました郵貯の自動振替サービス。これは預金じゃございません、総合口座から振替で送金や入金もできる決済、この機能。  そこで、自治団体から申し上げます。調べていきますと、三千三百ございますが、実は四五%しか利用されておりませんで、銀行ばかりでした。こんなアンフェアなことはない。私は郵貯をふやせと言っておるんじゃない。機会均等ですよ。選ぶのは市民であり、日本国民選択の自由の中で選ぶんです。両方利用できるようになって、あとどっちを使うかはそれぞれが判断してお選びになる。どっちかというと法人の方は銀行等でしょうし、一般大衆の方はどう動くか、それは選択の自由、だ。  私は自衛隊も去年、自衛隊の基地に実は銀行二社、生保二社が入っておるんですよ。郵便局だけが入っておらぬのだ、せっかく内閣委員長になりましたので。ところが、防衛庁はぱっぱっと手を打ってきておる、基地司令にずっと。それで、今は郵便局が入ってCDとかATM委託をやっております。  ところが、自治体のことを申し上げましたが、国の方、まず欠けておるのはどこだと申し上げますと、国税庁の還付金と収納金、どうも来年度から実施すべく国税庁は検討中だと。間違っておったら言ってくださいよ。それから文部省の大学授業料、これはだめですよ、銀行だけなんだ。選択の自由がない。それから、既に厚生年金、国民年金、ちゃんとお使いでございます。恩給年金、共済年金、これは全部お使いでございます。厚生省も児童扶養手当とか特別児童扶養手当とか、これは来年度に向けてせっかく調整中とお聞きしております。  そこで、このように、本当は大蔵省の財政法、会計法との絡みがあるんだな、日銀を通じてどうのこうのという。だから、個別制度でいくしかないんです。だから我々は努力しておる。郵便局長も、特定局長地方自治団体をみんな回っております。  そして、私は、基本的は何も郵便局のためではない、市民の選択の自由、どっちも使える。銀行等も結構です。郵便局も結構です。それぞれが自分の都合のよいものが選べるという制度が、私は日本の過疎も含めた社会の中の一軒一軒に及ばにゃだめだと、こういう信念の持ち主でございます。  そこで、今幾つか申し上げましたけれども、大体そういうふうなお取り組みで受け取ってよろしゅうございますな。国税、厚生の児童扶養手当、特別児童扶養手当、それから文部の大学授業料。何かまだ積極的でないところはここへ来て一応言ってください。論争しようじゃありませんか。
  166. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 先生御指摘のように、郵便官署におきますいわゆる地方公共団体の公金の収納の取り扱いにつきましては、六十三年に地方自治法の一部改正をいたしまして取り扱えるようにいたしました。郵便振替法の五十八条の規定の公金に関する郵便振替の方法によることにしたわけでございます。  私もこの問題につきましては、特定局を含みました全国二万四千の郵便局が地方にきめ細かく配置されておるわけでございますから、できるだけこれが活用されることは、その機能から申しましても利便性から申しましても一番いいことであると考えておるところでございますが、当該地方公共団体の長がこの指定をするわけでございまして、これからもその利便性について地方公共団体の長の理解が深まるようにしてまいらなくてはならないと思っておるわけでございます。  先生は、長い経験と、また国政に参画されましても郵政事業について熱い情熱と経験をお持ちでございます。  率直に申し上げまして、非常にきめ細かく地域に存在するわけでございますけれども、民間金融機関と比べてみますと、照会をしてみますと、若干この振り込みからそれぞれの窓口に入る期間が民間金融機関よりも長くかかるということと、もう一つは、残念ながら手数料が随分高いということ、この面について経験豊かな先生のお力でもって改善をいただきますならばさらにこの件数はふえていくと存じますので、ぜひよろしく私からもお願いを申し上げたいと存じます。  以上でございます。
  167. 皆合達夫

    説明員(皆合達夫君) 国税庁の状況を申し上げたいと思います。  先生御指摘のとおり、ただいまでは国税の納付あるいは還付金の関係につきまして郵便貯金の振りかえというのは利用できないわけでございますが、そのことにつきまして、納税者の利便ということもございますが、その導入に伴います費用等もろもろの要素がございます。そういったことを勘案する必要があると考えておりまして、そうした観点から今後いろいろ検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  168. 守住有信

    守住有信君 費用が出ましたけれども、金融の自由化でコストが高くなっていきまして、銀行界も今までのようにただというわけにはいかぬという動きがどんどん出ております。これだけは念頭に置いておいてください、今こうだからじゃなく。  それからもう一つは、国の政府関係機関地方公共団体、何ぼ財政投融資で貸しておっただろうか、何千億か。私は運用課の課長補佐をしておりまして、妙な県とか政府関係機関の文書はとめました。かつて田中角さんがぶっとめたことがあるんですよ、それを見習いまして。ただし、翌年の三月三十一日までは貸しますけれども。一番低利、長期ですよ、二十年、三十年。とにかくとめる。では銀行はどうだと。公金の預金で銀行いた、だいておるんですよ。  時間がありませんのでこの程度にさせていただきまして、あともう時間が一分になった。  インドネシアのパラパ衛星。これを社会党の菅野先生と、日本語教育その他、インドネシアへ行ってまいりました、豪州も行ってまいりました。パラパC、何と何十カ国、いろんなテレビ会社が利用しております、日本だけがない。来年はパラパ、もっとロシアから、中国から、朝鮮半島、日本から、全部入ったエリアのKuバンドを飛ばして、今まではCバンドです、日本は入っていません。今度はKuバンドができ上がる。フランスのアリアンで打ち上げます。アメリカの製品です。そうしたら全部入る。  ちょっと申し上げると、マスコミ等も国境を越えるテレビという表現はよくない。国境の相互交流テレビということで、あといろいろ一緒になってやってまいりますNHK、民放さんとも。よろしくこの点だけをお願い申し上げまして、何か。
  169. 大出俊

    国務大臣(大出俊君) 時間がないんですけれども、答えさせていただきます。  さっきの国庫金あるいは地方公共団体の公金につきましても、ここにもきちっとありますが、もう多く申しませんが、郵便局で扱えるもの扱えないもの、収納、支払い、両方についてございます。おっしゃるようないろんな隘路はありますけれども、今全部扱わせていただこうというので話をしているところでございまして、おっしゃるとおり、二つの機関をきちっと置いておいて、あとは選択国民の皆選択でございますから、そういうことにさせたい、そう思って進めてまいりたいと存じます。  今のインドネシアのパラパ、バンドCですね。Kuバンドをやがて打ち上げるということで非常に範囲も広くなるということで、現地邦人もいれば、邦人企業もたくさんある。何で一体国外映像放送を日本はやってくれないのか、NHKならNHKがと、こういうお話もあるのでありますけれども、前国会で放送法の改正をいたしましたからやれるようになりました。  ただ、今民放連の皆さんの側からは手が挙がっていない。しかし、NHKということになると、料金を取って映像放送をしております関係で、無料でやれるのかということになると非常にこれは難しい問題がございます。民放連の皆さんですとスポンサーがとれますけれども、これはNHKがスポンサーをというわけにまいりませんで、そういうことがございますから、これはひとつもうちょっと時間をかしていただいて、Kuバンドが出てくるのはもっと先でございますので、十分ひとつ事務当局とも改めてまた御相談をさせていただこう、こう思っております、簡単でございますが。
  170. 守住有信

    守住有信君 ちょっと時間を超しました。終わります。
  171. 清水澄子

    清水澄子君 外務大臣、国際人口開発会議への御出席御苦労さまでございました。  日本ODAは今年度一兆六百三十四億円に達して、アメリカを追い越して世界一の援助供与国になっております。しかし、日本ODAについてはさまざまな批判があるわけですけれども、この間、大臣がカイロに行っていらっしゃるときでも、そこで日本の外務省は、日本が国際的に人口問題に非常に協力しているんだということをアピールしようとして報告された、我が国は日米包括経済協議での合意を踏まえて、今後七年間に人口、エイズ対策として三十億ドルを途上国に援助すると語って、その目玉にコンドームの大量配布を掲げた。そうしたら、そこに参加していた記者たちが、ケニアではコンドームは余っているんだ、病院に風邪薬やアスピリンがない、実情を無視した物資援助では意味がないと反論したというふうな報道もなされているわけですけれども、こういうたぐいのことがずっとODA問題でいつでも指摘されてきたと思います。  そうした中で、去る九月六日に、公正取引委員会ODAの資材調達をめぐって談合の疑いがあるとして大手商社に一斉に立入検査をいたしました。外務大臣はこのことについてどのような事実確認を行い、そしてその事実に対してどのような感想をお持ちなのか。
  172. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 日ごろからODA問題について深い御関心をお持ちいただいておりますことを心から敬意を表したいと思います。また、先般の人口会議に私どもも出席をさせていただいて、我々の人口問題に対する考え方を申し上げたわけでございますが、これらにつきましてもいろいろ御指導をいただいておりまして、感謝を申し上げたいと思います。  前段のお話は前置きですから一々御答弁を申し上げることはどうかと思いますが、一言だけ申し上げますと、人口会議におきましては私どもは人口問題の解決についてどういう協力をするかという視点お話を申し上げたわけでございまして、他の医療等についての問題がある、医薬品その他についてニーズがあるということであれば、それはまた別の問題として私どもは議論をするべきではないかというふうに思っておりまして、まあこれはよくあることでございますけれども、少し問題が混同されて議論をされることがございまして、それは私どもも言葉足らずでもあろうかと思いますが、多少残念な思いがいたしました。  本論でございますが、先生御承知のように、私ちょっと旅先でこの第一報を聞いたわけでございまして、第一報を聞きましたときには実は大変残念な思いをいたしました。ODA、御指摘のようにもう大変巨額な額に達しております。これらはいずれも国民の皆様方からいただく税金、お預かりをする税金で賄っているわけでございますから、この問題は、ほかすべてそうでございますけれども、殊さら神経質に考えていかなければならない。透明性でございますとか効率性でございますとか、十二分に注意を払うべきものであるというふうに思っておりまして、これまでも何度もそうした注意は喚起してきたところでございます。  公正取引委員会による調査が現在進められているわけでございまして、その結果を待たなければならないわけでございますが、いずれにしても、仮にもこういう疑惑を持たれたということについては極めて残念なことでございます。私どもとしては、こうした事態を厳粛に受けとめなければならないというふうに思っているわけでございまして、日ごろから関係者に対する指導といいますか指示といいますか、そういうものをしてまいってはおりますけれども、さらにこの際一段と、もう一度襟を正していかなければならないというふうに考えております。
  173. 清水澄子

    清水澄子君 日本ODAについては、アンタイドよりもタイドが多いという批判があります。今回の無償協力については、やはり納税者に利益を還元するという、そういう建前に立って国内の業者から資材調達を援助条件にしているわけです。しかし、円高という国際経済の流れの中で、無償協力についてアンタイドの枠を広げるとか、公正取引委員会関係業者三十数社への一斉立入検査を契機にして一応見直しを図っていく必要があるんじゃないかと考えます。  特に、昨年来、建設業界の談合問題が大きな政治問題になっておりました。その際に、契約方式が指名競争入札だったために談合になりやすかったという指摘がされているわけですので、やはりJICAはこの指名競争入札方式を改めて一般公開入札方式を採用する必要があると思いますけれども、その点どのようにお考えになりますか。
  174. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) もう清水委員十分御承知でございますが、今回、公正取引委員会から調査を受けております問題は、まだその結果が出ておりませんので、我々も正確に事の次第を把握しているわけではございませんが、例えば外国から人が日本へ来て技術を学んで帰る、そういうときには、やはり日本で学んだ技術を持って帰国をされるときに日本で勉強したときに使った機材を持っていってもらうということがこれから先都合がいい。あるいは我が方から出かけていって指導をするときには、こういう機材が一番うまく仕事ができると考える場合には、どうしても日本の国内で調達をして物品を持っていくということはあることでございます。    〔理事今井澄君退席、委員長着席〕 そうしたことを踏まえて、その物品の調達の方法についていろいろ合理的な方法を考えていかなければならないということだと思います。  今、委員指摘入札制度その他についても十分考えなければならないというふうに思っておりまして、先般、私旅行から帰りまして、翌日早速JICAの総裁を呼びまして、十分注意をすると同時に改善方を研究することを指示いたしました。研究をしてくれるものと思っておりますが、まず一つは、公正取引委員会の調査の結果を待つことと、それから並行してJICAはJICAで独自に調査もしてもらわなければなりませんし、改善の方法についても議論をして、いい方法を見つけなければならないというふうに思っております。  また、この間の一般的な問題については、経協局長来ておりますので、局長からちょっと御答弁をさせていただきたいと思います。
  175. 平林博

    説明員(平林博君) 今、大臣からも申し上げましたとおり、一担当者あるいは責任者といたしまして本当に今回の件につきましては遺憾に存じておりますし、最大限できることを改善を図り、また襟を正すように我々自身を含めて律していきたい、こういうふうに考えております。  技術協力につきましては、機材が少数であることもありますし、また多種多様で件数も多い、あるいは海外向けの仕様が必要ということもございます。いろんなことがございますので、今まで指名競争入札ということでやってまいりましたが、国際協力事業団にはできるだけ一般競争入札を原則とするように、よほど例外的な場合にのみ特殊な形態をとるようにということを今指示しておりまして、その結果を待っております。  また、無償資金協力につきましても、実は多くの部分はアンタイ化されておりまして、日本の無償資金協力のひもつき度というのは低いのでございますが、できるだけこの点につきましても制度の中で企業が自由に競争できるように、これは制度の問題もさることながら企業のモラルとか商慣習の問題だと考えておりますが、それもあわせまして今後疑惑の起こらないように、またいい援助ができるようにできるだけのことはやってまいりたいというふうに考えております。
  176. 清水澄子

    清水澄子君 それでは、一般公開入札方式に改めるということで理解してよろしいですね。
  177. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 今、局長答弁申し上げましたように、十分研究をして、方向としてはその方向で改善をさせたいというふうに考えております。
  178. 清水澄子

    清水澄子君 では、次に厚生大臣にお伺いいたします。  在日韓国人の援護年金の請求の問題なんですが、七月十五日に元日本軍の軍属でありました石成基さん、陳石一さんの障害年金の請求却下取り消しの裁判の判決が東京地裁で出されました。この裁判で、原告側より証拠として日韓請求権協定についての韓国外務部の見解が提出されているわけですけれども、その見解を見ますと、在日韓国人の戦傷者は日本政府に援護補償を請求することができるというふうになっております。厚生省は、この見解に基づいて新たに在日韓国人の戦傷者が障害年金を申請したときどのように対応なさるのでしょうか、お答えください。
  179. 佐野利昭

    説明員(佐野利昭君) 今お尋ねの件でございますけれども、先生よく御承知のとおり、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましては、その対象者を日本国籍を有する者に限定をされているという、そういう国籍要件が設けられているわけでございます。これは、遺族援護法が恩給を停止された軍人等を救済するために国籍要件を有する恩給法に準拠して制定されたものであるということでありますし、また、この援護法が制定された当時の背景といたしましては、サンフランシスコ平和条約において朝鮮半島や台湾などいわゆる分離独立地域に属する人々の財産請求権の問題は帰属国との特別取り決めの主題とするということとされていたという歴史的な経緯によるものでございます。  ところが、韓国との間では、財産請求権問題に関する特別取り決めといたしまして昭和四十年に日韓協定が締結されまして、補償の問題は在日韓国人を含めまして法的には解決済みとなっているというふうに私どもは承知いたしております。  なお、恩給法あるいは遺族援護法の国籍要件の合理性につきましては、既に台湾人の元日本兵が補償を求めた事件に関する最高裁判決が平成四年に出ておりますが、ここでも認められているところでございます。  したがいまして、現在の状況におきましては、厚生省としては、在日韓国人の戦傷病者が障害年金を請求されましても、これに対しては却下をせざるを得ないというのが法律的な取り扱いでございます。
  180. 清水澄子

    清水澄子君 経過はよくわかっておりますので、質問時間がもう限られてますから協力していただきたいと思います。  次に、厚生大臣、いろいろそういう経過はあると思いますけれども、今回のこの件について裁判の判決ではやはり行政、立法側の不作為が指摘されておるわけです。  今回の在日韓国人の戦傷者がどこからも救済されないというそういう谷間に置かれているわけでございますけれども、厚生大臣はこういう問題について、やはり戦後五十年という大きな節目に当たってこういう問題も何らかの私は対策を立てる必要があるんじゃないかと考えますけれども、大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
  181. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) あれは七月十五日の地裁の判決だったんでございますが、厚生大臣として被告人の立場におりまして、私は生まれて初めてでございました。一応国の主張が認められたという意味ではほっとしながらも、正直なところ個人的には心に残るものがあることも事実であります。  しかし、先ほど来お答えしておりますように、この在日韓国人の皆さんに対する補償の問題は昭和四十年の日韓協定において完全かつ最終的に解決済みとなっているという認識なものでございますから、元日本軍軍属の方には大変お気の毒ではありますが、遺族援護法の国籍要件を撤廃することはできかねる、大変お気の毒だと思っておりますが、そういうことでございます。
  182. 清水澄子

    清水澄子君 大臣、じゃ一人の人間としてこのままでいいと。例えばこの中の一人が援護法の法制定当時からその支給対象になっていれば一人四千七百万円というそういう支給を受けているわけですね。これは厚生省の計算なんですよ。  ですから、そういうことが日本の方で法的にそれを排除してきてしまって、そしてその人たちは何らの措置を受けられないという中で、大臣として一人の個人としてどうですか、人間としてはどのようにお考えになりますか。
  183. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 先ほど来申し上げていますように大変心痛むのでありますが、どうも遺族援護法以外で何かできないかというようなことになりますと、これは厚生省としての範囲を超えてしまうものですから、まことに残念でございますが、厚生省としては御要望のような方向を打ち出せない点を御理解いただきたいと思うのであります。
  184. 清水澄子

    清水澄子君 本当に日本というのは法律で四角四面で、やはり人権というのはどこかで問題が、これは何か救済されなければいけないという問題が起きてきたらどこかで検討すべきことだと思うんですが、そういう点もう一度検討していただきたいと思います。  そこで、それでは今までの御答弁の中でも、日韓条約でこれは解決済みだと全部日本側は説明をされているわけですね。  ところが、さっきの裁判所に提出されました韓国の外務省の書類、これは外務部長官が出しているんです。これはことしの一月二十六日に請求権協定の二条二項に対する韓国政府立場というのでここに見解を述べているわけですけれども、これが裁判所に出されているわけですね。そしてその中身は、私がさっき申し上げましたように、この在日韓国人の戦傷者は日本政府に援護補償を請求することができるということがここにはっきり述べられているわけです。  そうすると、日本政府がもう解決済みと言っていることとここで明らかに解釈が食い違っていると思います。その点で外務大臣はこの食い違いがあるということはお認めになりますか。
  185. 折田正樹

    説明員(折田正樹君) 委員指摘の韓国外務部の見解は原告側証拠として提出されたものでございますけれども、在日韓国人戦傷者のいわゆる補償請求権が日韓請求権・経済協力協定第二条二(a)の「財産、権利及び利益」に当たり、したがいまして同協定の解決対象には含まれていないというのが考えでございます。韓国外務部の言いますいわゆる補償請求権が何を意味するのかは必ずしも明らかではございませんけれども、これが戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく権利ということでございますれば、先ほど来厚生省の方から御説明がございましたように、同法の国籍条項及び戸籍条項により、韓国人に対して同法律の適用はなく、そのほかにも在日韓国人戦傷者の請求を根拠づける法的根拠は見当たらない次第でございます。  日韓協定上の「財産、権利及び利益」というのは、別途、合意議事録二(a)というのがございまして、「法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利をいう」というふうになっておりますところ、今申し上げましたとおり在日韓国人戦傷者の請求には法的根拠が見当たらないということでございますので、我が国といたしましては、これらの請求は協定上の「財産、権利及び利益」には当たらない、そういうことで協定上の請求権として完全かつ最終的に解決されたものと考えている次第でございます。
  186. 清水澄子

    清水澄子君 私が質問したことに答えてください。私は解釈を聞いていません。食い違っているということはお認めになりますかということを伺いました。
  187. 折田正樹

    説明員(折田正樹君) 私どもの理解するところでは韓国外務部の見解は、日韓協定第二条二(a)において同条第一項の完全かつ最終的な解決の対象から除外されている「財産、権利及び利益」が「法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利をいう」という点を含めまして日韓請求権・経済協力協定そのものの考え方について日本政府と異なる見解をとっているものではないというふうに思いますが、在日韓国人のいわゆる補償請求権が法的根拠を有する実体的権利であって日韓協定に言う財産、権利、利益に該当するかどうかという点が異なっているということでございます。
  188. 清水澄子

    清水澄子君 もう時間がありませんので、これで終わりますけれども、食い違っているというこのことをやはり明確にひとつ大臣、研究してください。お願いします。
  189. 堀利和

    ○堀利和君 障害者施策推進についてお伺いしたいと思います。  まず、五十嵐官房長官にお尋ねしますが、昨年、法律の題名も変えまして障害者基本法として改正されたわけですが、改正された法律によりまして地方障害者計画というものを全国の市町村が策定する努力規定が定められたわけでございます。この六月に施行されたわけですけれども、これから国として、政府として市町村に対して何かと行政指導を行ってすばらしい計画策定に努力されていただくことをお願いするわけですけれども、この行政指導に当たって総理府の中にございます障害者対策推進本部において検討されているということでございますので、その辺の検討状況と官房長官の基本的なお考えもあわせてお伺いしたいと思います。
  190. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) お話しのように去年の十一月に障害者基本法が改正されたわけでありますが、これに基づいて都道府県及び市町村が障害者計画を策定するということで、鋭意現在そういう作業を進めているところであります。  都道府県では、全都道府県が障害者計画を策定されました。また市町村におきましては、全市町村の一割ぐらいでありますが策定が済んだところで、他のところについては今努力を続けているところであります。  このような状況を踏まえまして、総理府としても、障害者にとって最も身近である市町村が障害者施策の推進に主体的かつ積極的に取り組んでいくというために、現在各関係省庁と連携を図りながら、市町村の障害者計画の策定に際して、この際指針となるべきガイドラインを作成しよう、そして市町村の障害者計画の策定を一層促進していくように、こういうことで全力を挙げて今取りかかっている、こういうことでございます。
  191. 堀利和

    ○堀利和君 そこで、来年度に向けて新ゴールドプランあるいはエンゼルプランの策定、実施に向けて厚生省でもあるいは連立与党の私どもの方でも検討しているわけですけれども、どうも障害者の方が置き去りになるのではないかと大分私自身心配もしております。私は、そういう点で、ゴールドプランのように、あるいはエンゼルプランのように、障害者に対しても具体的な数値目標を立てたプランというものを策定すべきではないかというふうに思っております。  昨年、新長期計画、そして障害者基本法ということでかなり進んできておるようにも思いますけれども、何といっても具体的な施策を進めるにはやはり具体的な数値目標が必要だろうと思うんです。そういう点で具体的なプランの策定ということを強く望むわけです。  具体的なところになれば、どんなふうな名称ということも挙がってくると思いますが、お年寄りの場合、高齢者にはゴールドプランということであり、子供、子育て支援についてはエンゼルプランということですから、私としては障害者ですとノーマライゼーションプランというものがいいのではないかなと思っております。  といいますのも、デンマークのミケルセンという方が、みずから第二次世界大戦中にレジスタンスとして身を投じて、ナチスに収容されて収容生活をするわけです。みずから知的障害者の精神薄弱の施設に働いていて、その体験が重なる中で、障害者も地域で当たり前に一人の市民として暮らすことがノーマルである、そういう社会こそがノーマルな社会だというそういったノーマライゼーションの理念、思想を広げ、北欧に広がったという経緯があります。  そんなことで、障害者にもノーマライゼーションプランという具体的な数値目標を立てたものをぜひつくるべきではないかというふうに思いますが、厚生大臣、この辺どのようにお考えかお伺いしたいと思います。
  192. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 障害者の施策につきましては、官房長官が先ほどもお話しになりましたが、昨年三月に政府全体で取りまとめた障害者対策に関する新長期計画に基づき、厚生省といたしましても施策の充実に努めているところでございます。  さらにこれを具体的な内容に充実できないかという御趣旨の御質問考えますが、障害者につきましては、障害の種類や程度が多様であり、それぞれに応じたきめ細かな対応を必要とするなどの特性があろうかと思います。したがって、具体的な目標のようなものが設定できるかどうか検討すべき論点もあろうかと存じます。  その際、先生方の御努力により昨年成立を見た障害者基本法に規定されました都道府県、市町村障害者計画の策定状況なども念頭に置きながら今後検討を行ってまいりたいと、こう考えておりますし、先生の今御提案のノーマライゼーションプラン、役所の中でもかなりこの言葉が論議の中で出てきていることは事実でありまして、特にプロジェクトチームで先生大変御活躍いただいておりますことに心から感謝を申し上げるものであります。  これも、ただいま申し上げましたように障害の状態や程度が多様なことなどから、計画の具体化に当たってはやはりかなり検討を要することがあるんじゃないかと思います。したがいまして、この新しい計画につきましては、厚生省といたしましては保健福祉分野について早急に検討を開始する必要があるものと考えております。  実は、来週、厚生省の中に事務次官を本部長とする障害者保健福祉施策推進本部というのを設置することに決定いたしまして、ここで厚生省の担当する保健福祉分野については検討を開始する予定になっております。  また、先ほどの繰り返しになりますが、地方の障害者計画の状況をももちろん踏まえながら、関係省庁とも連携をとりつつ努力してまいりたいと、こんなふうに考えております。
  193. 堀利和

    ○堀利和君 前向きなところを本当にありがとうございます。省内に推進本部を設けてということでございますから、今後具体的なプランが練られていくんだろうと思うわけです。  そこで、こういった具体的なプランを策定するに当たりましても、現在は障害別に三局三課に障害者関係の担当部署が分かれております。こういうプランを立てるにしましても、やはり三局三課に分かれていたのでは十分今後進まないところも出てくると思いますので、推進本部の設置ということはもちろん大変うれしいことではございますけれども、近い将来この三局三課を例えば障害者保健福祉部とか、そういった部に一本化するような方向に組織編成、願わくば局にまで格上げしていただければ幸いなんですが、そういった組織編成、一本化するというようなことについてのお考えについてはどうでしょうか。
  194. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えいたします。  来週設置されます推進本部におきましては障害者保健福祉施策について幅広く検討していくこととしておりまして、効果的な障害者施策が十分展開できるようにという目標のもとにやっていくわけでございます。今先生の御指摘くださった障害者関係、三局あります。これが一本化した方が障害者の皆さんに便利でありその方が問題がないのか、あるいはそうじゃない方がむしろいいのかといったような問題も含めてこの本部で検討をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。
  195. 堀利和

    ○堀利和君 やはり障害者の施策を進める上では一本化が望ましいだろうと思うんですね。といいますのも、三局三課が分かれていることによりまして、つまり子供と大人とが分かれているんですね。障害別に言えば、身体障害、精神薄弱、精神障害というふうにも分かれています。今やもう地域福祉ですけれども、この地域を見ましても、市町村レベルでは今の縦割りの行政の弊害というのが出ているんですね。同じ市町村の中でも障害によって窓口が違いますし、県の措置権とかまだ残っていたりいろいろありますので、そういう点では政策の総合的な観点から見てもぜひ組織的に一本化を進めていただきたいということをお願い申し上げたいと思うんです。大臣、その辺のところは、何回もお聞きするようですけれども、どうでしょうか、政策的にも私はお願いしたいと思うんですけれども。
  196. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 今後の障害者施策の推進に当たりましては、ただいま先生お述べになりましたように、年齢や障害の種類のいかんを問わず、地域において障害者が適切なサービスを受けられるような施策の体系をつくり出すことが肝要だと考えておりますから、その線に向かって研究を進めてまいりたい、こう考えております。
  197. 堀利和

    ○堀利和君 ありがとうございます。ぜひ前向きに御努力いただきたいということをお願いしたいと思います。  次に、ソリブジンの薬害についてお伺いしたいと思います。私も当決算委員会で取り上げた関係もあり、ソリブジンによる副作用に関する調査結果が出ましたので、それも読みまして御質問させていただきます。  日本商事株式会社に対しての処分も出ましたし、いろいろ医師の問題も指摘されております。ただ、今回のソリブジンの薬害については、私は、日本商事株式会社と医師と、あるいは厚生省の行政側の総合的な過失というふうに見るべきだろうと思うんですね。しかし、厚生省としては責任はないというふうにどうも言い切っているようなんですけれども、私は厚生省としても責任があると言っていいと思うんです。  特に、指摘されてもおりますけれども、副作用が報告されたときに、最終的に出荷停止に至るまで、その間においてすら患者さんがこの副作用で亡くなっているということを考えたときに、その御遺族の方の声を聞きましてもやはり厚生省に対しての不満というのも非常にあるんですね。御遺族のそういった声に耳を傾けたときに、大臣どんなふうな思いを持たれるのか、あわせて厚生省としての責任ということについてお聞きしたいと思います。
  198. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えいたします。  ソリブジンと抗がん剤の併用による副作用で多くの犠牲者を出してしまったわけでございますが、お亡くなりになった方にはまことにお気の毒で、お慰めする言葉に窮するわけでございます。また、今回の問題について国民の医薬品に対する信頼を損なったことは、これまたまことに遺憾なことであると認識しております。しかし、本件に関する厚生省あるいは中央薬事審議会の対応は、それぞれの段階でその時点では適切であったと考えております。しかしながら、本件に関してはその後こういう状態になりましたから、いろんな調査を実施しましてその原因を明らかにしてきたところでございます。  そして、その内容を見ますと、薬事行政等に対しても医薬品の安全性確保に関して治験から使用までの広範な問題を提起しているものと考えられます。このため、当面、医薬品の安全性を一層高めるために、医薬品の臨床試験の実施に関する基準の普及徹底や医薬品の副作用に関する緊急安全性情報の大量即時伝達システムの確立を図ることとしております。さらに、専門家から成る検討会を設置して、これらの問題も含めて治験のあり方から適正な使用に至る総合的な対策を検討して、再びこのような事態を生じさせないよう全力を尽くしてまいることが私どもに与えられた責務じゃないかと、こんなふうに考えておるところであります。
  199. 堀利和

    ○堀利和君 いろいろ改善のための意欲というのも感じるわけですけれども、ことし一月三十一日に総務庁の行政監察局から薬事に関する行政監察結果に基づく勧告というのが出ております。その中でも臨床試験の段階で被験者に対して十分なインフォームドコンセント、特に同意については書面による同意書をとるべきであるというようなことから、その数字を見ますと、調べたところでは二十六人中三人しか書面では出ていないというような事例も出ていましたし、GCPでも第一相の健康な方への臨床試験については同意書を書面でとるようにとなっていますから、その辺についてもきちんとしたインフォームドコンセントによる書面による同意書をとるような形でやはりやるべきだと思うんですけれども、この辺についてはどうでしょうか。
  200. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えします。  治験に際しましては被験者の人権保護が最優先とされるべきだと考えております。このために厚生省といたしましては、平成二年から医薬品の臨床試験の実施に関する基準を設けまして、その中で、治験に当たっては患者に説明を行い、自由意思による治験への参加の同意、いわゆるインフォームドコンセントでございますが、を取りつけるよう指導をしてまいりましたところでございます。  また、この基準の円滑な実施、定着を図るために作成いたしました医薬品の臨床試験の実施に関する基準マニュアルにおいては、原則として患者の同意は文書によるべきであるとして、治験にかかわる医師、医療機関及び製薬企業等を指導しているところであります。しかし、先生今御指摘くださいましたように、文書による同意取得の割合は正直のところまだ低い状況にあり、今後治験にかかわる医療関係者、製薬企業に対してはこの指導の徹底を図ってまいる所存でございます。  なお、今先生おっしゃった治験の第一相というのでしょうか、あの皆さんには全部文書で同意をいただいてあるということは聞いておりますが、申し添えさせていただきます。
  201. 堀利和

    ○堀利和君 ぜひ第二相、第三相の方にも書面による同意書を徹底させていただきたいというふうに思います。  次に、今申し上げた治験の第一相から第三相までの制度でも、我が国では届け出制になっているんですが、米国の場合には許可制になっているんですね。そういう点でも、ぜひこの臨床試験の第一相から第三相までを許可制にして一回一回きちんと確かめて、そしてさらにその次に進むような形を私はとるべきだろうと。それは本来新薬を開発している製薬会社の側も行く行くはメリットとしてもその方がいいだろうし、きちんとした許可をとる中でやはり安全な確実な開発というのが進むと思いますので、その辺についてはどうでしょうか。
  202. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えいたします。  治験時の被験者の安全性の確保のために、先ほど申し上げましたが、医薬品の臨床試験の実施に関する基準の普及に努めてきたところでありますが、今後、治験に関する相談指導体制を充実強化するとともに、今申し上げました基準の普及徹底をさらに進めてまいりたいと、こう考えております。  したがいまして、今先生御提案といいましょうが御指摘の問題も含めまして、専門家から成る検討会を設置し、治験のあり方について、諸外国の治験に対する規制等を参考として現在の日本状況に適した方策を検討してまいりたいと、こんなふうに考えておるところであります。  ちなみに、アメリカのあれは、今先生は許可制とこう御解釈くださいましたが、FDAの規制は私が聞いたところの範囲では、治験薬を臨床試験に供する前にFDAに申請しなければならない、ただしFDAから三十日間何も通告がなければ企業は臨床試験を開始できるというような内容のようでございまして、必ずしも厳密な意味での許可制かどうかというのはちょっと役所の方では疑問もあるようでございますが、いずれにせよこういったアメリカの状況ももちろん参考にしながらこの検討会で少し検討させていただきたい、こう思っております。
  203. 堀利和

    ○堀利和君 そうであれば、やはり我が国我が国にふさわしいやり方ということでぜひお願いしたいと思います。  関連して、今の米国のFDAの審査状況を見ましても、我が国の中薬審のスタッフを見ましても、聞くところによると米国のFDAの審査スタッフは三十倍ぐらいいるというふうにも聞いています。そういう点で、やはり質と量の面から見てもさらに強化すべきだろうと思っておりますし、同時に薬事審の審査員と臨床試験に当たっている治験医とが重なっているというケースも実際あるわけですから、この辺は区別してやらなきゃいけないだろうと思うんです。つまり、答案を書いた人とそれを採点する人が同じ、あるいは同席しているということはやはりまずいことですから、それはスタッフの人的な補強ということの質的な問題もありますけれども、そういうところもけじめをするような形の強化というのもお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  204. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えいたします。  中薬審での審議には専門分野の最新の科学的知見が必要でございますから、その委員には医学、薬学等の第一線で活躍なさっていらっしゃるまさに一流の学者、研究者の皆さんにお願いしているところであります。一方、新医薬品の治験におきましても、治験を倫理的、科学的に実施するためには、薬効評価等の分野でこれまた第一線の優秀な学者の皆さんが製薬企業の求めに応じて指導的な役割を果たしているのが現状でございます。  このため、優秀な先生ほど、薬効評価の分野の委員が治験に関与する場合も御指摘のようにあり得ることであり、治験への関与をもって委員から排除することが果たして現実的かどうか、ちょっとまだ私ははっきりお答えはできかねます。  また、中薬審では審議の公正、公平を期さなくちゃなりませんから、そのためにもし委員が治験に関与し、申請資料の作成者などであった場合には、そのときには退室をしていただく、そしてその品目の審議には加わらないこととなっております。なお、今後は医薬品の審査体制の一層の充実を図るため、専門家から成る検討会を設けて中央薬事審議会の組織や運営のあり方についても検討してまいりたいということを申し添えます。  なお、先ほど先生おっしゃったアメリカのFDAと私ども厚生省の薬品審査担当職員数はまさにけたが違うのは事実でありまして、FDAの方は約二千五十人のようであります。厚生省は数十名という数でございます。薬事審議会の方は、参考に申し上げますと、新薬の関係の担当の先生方、委員の皆さんは大学関係者が九十七人、研究所の関係者が四十六人、病院関係者が二十五人の皆さんにお願いをしております。
  205. 堀利和

    ○堀利和君 こういう薬に関しては特に人の健康、命にかかわることですから、スタッフをふやしていただきたいと言っても厚生省一存でできるのかどうかということは、大変これ政府全体の問題にもなります。  そこで、総務庁長官にお伺いしたいと思いますけれども、昨今、規制緩和行政改革ということで進んでいるわけですけれども、当然私も経済的な規制緩和を進めたり行政改革を進めなきゃいけないと思っております。  ただ、こういった人の健康、命あるいは福祉、環境、こういうことにかかわることについては私はむしろ規制強化するということも必要だろうし、行政改革というのもただ人を減らすということではなくて、むしろ人をふやすところもあって、それも行政改革だろうというふうに私は認識するわけですけれども、今のこの薬事審議会、新薬のこういった手続の厚生省の行政を見ていてもやはりそういったことが言えると思うんですが、総務庁長官として基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
  206. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 堀委員の御質問お答えいたします。  今、行政改革、規制緩和を進めておりますけれども、御指摘ありましたように、経済規制につきましては原則自由、社会規制につきましては必要なものについて規制をしていくという観点でいたしております。したがいまして、お話のありましたような人の命と健康、環境、福祉、こういうものにかかわる問題につきましては十分な配慮をすべきものというふうに心得ております。また、そういう立場政府としても対応しているということで御理解を賜りたいと思います。  なお、定員の問題につきましては、総定員全体としては抑制ということで厳しく対応してまいりました。しかし、その中でも必要な分野につきましてはそれなりのきめ細かな配慮もするということで対応してまいりましたことは堀委員も御承知だろうと思います。そういう立場でこれからも定員の問題については対応するつもりでございます。
  207. 堀利和

    ○堀利和君 政府全体としてそのような観点から規制緩和あるいは行革というものをぜひ進めていただきたいことを要望したいと思います。  次に、柔整の保険請求の不正問題については五月三十日の当委員会でも取り上げまして、その際、医療保険審議会において専門部会を設けてこの問題を早急に取り上げて進めるということの答弁をいただいたんですけれども、これは今どうなっておりますでしょうか。
  208. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 御指摘ありましたように、五月三十日の決算委員会で近く設置をするという方向で御答弁申し上げました。若干手間取っておりますが、その方向に従いまして医療保険審議会に部会を設置するということでお諮りをいたしたいと思っております。現在、日程調整をしておりまして、できるだけ早く審議会開催をお願いしたいと思っております。
  209. 堀利和

    ○堀利和君 その際、療養費専門部会において、あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅうあるいは柔整、いろいろな当事者の関係の団体の方をやはり代表としてメンバーに加えるべきではないかというふうにも私は思っておりますが、大臣、その辺の御検討はいかがでしょうか。
  210. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えします。  委員の構成につきましては、専門部会の設置について、今、局長できるだけ早くと言っておりましたが、いずれ開かれます医療保険審議会で御審議いただくこととなりますので、その場での御意見を踏まえ、やはりふさわしい委員が選び出されるように意を尽くしてまいりたいと、こう考えております。
  211. 堀利和

    ○堀利和君 よろしくお願いします。  それでは次に、文部大臣に基本的なお考えをお伺いしたいと思います。  お手元に配付させていただきました資料でございます。これは昨年の十二月二十日に国連総会において採択されたものでございますけれども、障害者の機会均等化に関する基準規則というものでございます。  そのうちの規則六、教育というところに当たるわけですけれども、この教育のところの規則を私なりに読みまして、これはまだ政府として公式に訳されたものというのはないわけでして仮訳なんですが、これを一読しまして、基本的には障害を持つ人たちも統合された場での教育、いわゆる統合教育というものが原則であるというふうに読めるかと思うんですけれども、この基準規則の教育についてはどういうものがうたわれているのかということについて、まず文部大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  212. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生の御質問は、国連で採択された障害者の機会均等化に関する基準規則の規則六に関してでございますが、我が国では障害を持っておられます児童生徒のうち、通常の学級での指導を受けることが困難な、または通常の学級の指導では十分な教育効果が期待できない児童生徒に対し、特別の配慮のもとにより手厚くきめ細かな教育を行うため、盲聾養護学校または小中学校の特殊学級等で教育を行っているところでございます。  御指摘の国連の障害者の機会均等化に関する標準規則では、教育の分野に関し統合された環境における教育の機会均等の原則が提言されております。しかし、一方では特殊教育の重要性もこの文書の中で述べられていると承知しております。
  213. 堀利和

    ○堀利和君 私なりに申し上げますと、原則と言うときには例外というものを想定しているんですね。例外なき原則はないといいますか、そういうようなものというのは確かにそのとおりだと思うんです。大臣が言われたように、原則は原則ということでこの内容をお読みになっていただいたわけですけれども、しかし一方で、特殊教育といいますか、統合ではない分離された場での教育も認めているんだというような答弁だったんですが、私はそういう答弁では納得できないんです。  これを一字一句読んでいただければその辺のところはにじみ出てくると思いますが、その点に関して私なりに申し上げますと、原則は統合された場での教育である。しかし現実、実際においてすべての障害を持った人たち、子供たちに統合された場での教育というのは現実には確かに不可能なところがございます。現状では、やはり実態としてはまだまだ分離せざるを得ないケースも出てくるわけです。そういう点では確かに特殊教育といいますか、統合された環境でない教育というのもここでは認めておりますけれども、しかしそこには前提として統合された場で教育することが望まれると。つまり、やむを得ない事情においてのみ分離された場での教育だとしても、それは固定したものでもないし、その方向をよしとしてもいないと思うんです。  あくまでも原則としての統合された場への教育の統合、特殊教育の普通教育への統合ということを目指すべきであるというふうに私は理解するんです。その辺が後ろの方でも出てきます。六の八ですか、そこのところを読めばそこが十分うたっていると思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
  214. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私どもの訳に従ってこの規則六の教育のところを少し読んでまいりますと、最初は先生がおっしゃった統合されたということに関して言及しております。その部分は一部読ましていただきますと、「各国は、障害のある児童、青年、成人に対する統合された環境における初等、中等、高等教育の機会均等の原則を認めなければならない。」そして八において、これも一部読ましていただきますと、「通常の学校システムが未だすべての障害のある人々のニーズを十分に満たさない場合には、特殊教育が考慮されることとなろう。」と。「場合により特殊教育は障害のある一部の生徒に対する最も適切な教育形態として現行においては考慮されることがあろうことが認められる。」ということでございますので、我が国の現在の特殊教育制度はこの規則の趣旨に反するようなものではないと理解しております。  今後とも、心身障害児の教育は大切な教育施策の一つとしてその一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
  215. 堀利和

    ○堀利和君 時間がありませんので終わりますが、最後に九のところで、要するに例外という形で固定してもやむを得ないといいますか、その方がいいかもしれないという価値判断をしているのが、聾者あるいは盲聾者の教育についてはその方がいいかもしれないというふうに、そういう意味で九のところにこういう明記しているわけなんです。  そういう意味で、私は原則は統合された場での教育というものをうたっているということで理解しておりますので、また機会を得まして大臣とこのお話をさせていただきたいということをお願いして終わりたいと思います。
  216. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私は最初に、動燃が北海道幌延町に計画しております高レベル放射性廃棄物の貯蔵研究施設、いわゆる幌延問題について質問いたします。  御存じのように、立地計画からもう十年たっております。幌延を取り巻く周辺町村、それから北海道知事あるいは北海道議会、これ反対決議をしております。私も当委員会でいろいろ質問してまいりましたけれども、科学技術庁あるいは動燃は地域住民を初め道民の理解を得てと繰り返し答弁されてきています。しかし、平成三年度の決算の場でありますけれども、平成三年度、住民の理解を得るため、これ広報対策費とございまして、動燃、科学技術庁合わせて八千三百万円となっております。会計検査上これは全く問題はないということなんですが、これ十年間いろいろ一億円近いお金を使って何ら理解を得られるどころか膠着状態が続いている、私は大変問題だと思っております。この背景には、十年前私も報道記者をしておりまして、あのボーリング調査の強硬姿勢、あれがもう既に間違っておったわけです。ボタンのかけ違いじゃなくて、ボタンの穴のないところにボタンを押し込もうというふうに私は思っております。  時間もございませんので、五十嵐長官に早速伺いたいと思います。  長官は九月十日に行われましたテレビ番組の収録やその後の記者会見で、政府として反省しなければならない、科学的に計画し、地元の了解を得ることが大事だというふうに述べられました。事態の膠着を打開するためへの大変私は貴重な発言だろうと思っております。この問題に対しこれまで真摯に取り組んでこられた長官の姿勢を改めて伺いたいと思います。
  217. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 貯蔵工学センターの幌延立地問題に関しましては、ただいま中尾委員お話のように、この問題が、当初は幌延の前に下川という予定もあったんでありますが、その後幌延の低レベル放射性廃棄物貯蔵ということがあって、そしてさらに高レベル放射性廃棄物貯蔵施設並びに深地層試験場のいわゆる貯蔵工学センター計画に変わりながら、自来十年余を経ているわけであります。  今日の原子力発電の上での最大のネックといいますか、放射性廃棄物の問題があって、政府としても非常にこの問題については苦慮して、しかし重要な事柄でありますからさまざまな計画を練りながら今日に至っているわけでありますが、しかし、さまざまな幌延に関する諸問題が経過の中であったりしながら、結局なかなか地元の理解が得られない。歴代の科学技術庁長官やあるいは動燃の理事長はやはり一貫して地元の理解協力を得てというお考えを述べて、またその努力をいたしてきているというふうに思うのでありますが、一方、北海道は横路知事がこれに反対という立場を明らかにして、また道議会でも今日は反対決議がされているというようなことで、また幌延周辺の市町村におきましても反対もしくは慎重の自治体がほとんどであるということもございまして、大変に難航を続けているところであります。  さまざまに関係者は苦労して、一体どのようにしてこの問題を打開していくかということで、毎日本当に思案に思案を重ねているというようなことなんですが、私はこの際、やっぱり原点を振り返るような思いで、改めて動燃事業団と地元の道あるいは周辺市町村等との話をしっかりやってみたらどうだと、そして複眼的な発想で思案を凝らしてみてはどうかというふうに思っておりまして、そんな意味で先日発言をさせていただいたような次第であります。
  218. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 五十嵐長官にもう一問伺います。  おととい十四日に、長官は札幌市内の講演で、深地層試験場の分離建設が解決の有効な手段になり得る、そしてまたガラス固化体の一時貯蔵は茨城県東海村の核燃料再処理工場敷地内もあり得るやの御発言をしたと思います。この発言をどう理解したらよいのか、最後に一言、時間がございませんので端的にお答えいただきたいと思います。
  219. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) あの貯蔵工学センターは、大きく分ければお話しのように二つ柱がありまして、一つは高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の一時貯蔵施設であります。三十年ないし五十年、最近は学者によっては百年ぐらい必要だという方もいるのでありますが、相当期間一時貯蔵して、その上で最終処分地に持っていくという計画なのであります。これは実は諸外国の例を見ますと、フランスでもあるいはイギリスでも、諸外国ではいずれも再処理工場の敷地内に一時貯蔵施設を設けているというのが通常の姿でございますものですから、一般論としてそういうようなことも一つ考え方だと、そういうふうなことも含めてこの際多面的に検討してみてはどうかと、こういう意味でございます。  深地層に関しましても、地元の懸念はやっぱり、それは試験施設だけでなくて最終処分地につながるんではないかという懸念がいろいろありまして、その辺の不安がやっぱり一番問題点でもあろうと思うし、今申し上げましたようなさまざまな問題点についてもきちんと議論をしながら検討をしていくということが大事じゃないかという趣旨でございます。
  220. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 科技庁長官にも一言伺います。  今、五十嵐長官からもお話がありました。やっぱり複眼的にあるいは原点に立ち戻ってと。私もそのとおりだと思います。この問題は十年もたっております。私はこの際、この膠着状態を打開するためには、仕切り直しも含めた政策の見直しあるいは新たな視点が私はもう今や必要なのではないだろうかと思っております。どうお考えになるか、一言だけお答えいただきたいと思います。
  221. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) お答え申し上げます。  日本は、申し上げるまでもなく資源の限られた国でございますから、原子力の平和利用ということは必須でございますが、原子力の開発利用をしていく上では当然高レベルの放射性廃棄物というものが出てきまして、その貯蔵という問題は出てまいります。  この貯蔵工学センターのことでございますけれども、これは幌延町が大変熱心に誘致をしてきていらっしゃるという事実がございます。ですが、片や、今御指摘がございましたように、北海道の中におきましては反対あるいは慎重にしてほしいというような動きがあるということも十二分に承知をいたしております。当然私どもは、従来からと同じかと思いますけれども、やはり地元の皆様の理解がなければこういうことは推進もできないというふうに思っております。  今、五十嵐長官からもお話がございましたけれども、幅広くいろいろな方々の御意見、それから今委員がおっしゃいましたように、新しい視点も加味しながら考えていくというふうな姿勢は堅持していきたいというふうに思っております。御指導いただきたいと思います。
  222. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 この問題、これから地元住民を含めて、十年後の見直しということも含めて、両長官には特に全身全霊を振り絞って解決に当たっていただきたいと思っています。改めて機会を見て御質問させていただきます。きょうはありがとうございました。  続いて、厚生省に伺います。  サハリン、シベリア、大陸等からの残留邦人の帰国援護について伺います。  一九九〇年五月から始まったサハリンからの残留邦人、日本人でございますけれども、集団一時帰国は、民間ボランティア団体の本当に血のにじむような努力で、ことしの第七次集団帰国まで四百人、付き添いを含めて延べ四百六十五人の帰国が実現いたしました。しかし、サハリンを初め大陸では今なお消息がつかめない人が数多くおります。大陸にはサハリンから二千九百七十二人が渡ったと言われているような資料もございますけれども、これも定かではございません。  こうした調査も含め、一時帰国あるいは永住帰国への援護措置は私は十分だとは思いません。戦後五十年を迎えるに当たり、抜本的な支援策が必要ではないかと思います。簡単にお答えいただきたいと思います。
  223. 佐野利昭

    説明員(佐野利昭君) 御承知のように、昭和六十三年度からサハリン及び旧ソ連本土の残留邦人に対しまして、一時帰国援護で帰国に必要な往復旅費の支給を始めたところでございますが、その後、平成三年度からは日本におきます国内滞在旅費を、特に受け入れのない、肉親のない方が帰国を申請されたときに出されたというふうな形のことをやってきておりますし、また対象の拡大もいたしております。
  224. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それはわかっていますから、質問の本質だけ。
  225. 佐野利昭

    説明員(佐野利昭君) ですから、そういう形の援護措置をさらに拡大しなくちゃいかぬという点につきましては私どもも十分理解をいたしておりますが、これからもそういう先生の御趣旨に従ったような方向性を持って努力をしてまいりたいと思っております。
  226. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 厚生大臣に伺います。  サハリン初め大陸等の残留邦人の調査、帰国への支援のほとんどを民間のボランティア団体、現在名前を変えまして日本サハリン同胞交流協会が行ってきました。私も十二年前の一九八一年それから八二年、そして第三次の一九九一年にも私サハリンに行っております。この方々がどれだけ苦しい、もう本当につめに火をともすような努力がなされてここまできたわけです。この交流協会等の献身的な努力がなければ四百人もの日本人の一時帰国は実現できなかったと私は断言いたします。大臣はこうした民間の努力をどう認識されているのかお答えください。
  227. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えします。  民間ボランティア団体であります日本サハリン同胞交流協会ほかの皆様方が、サハリン及び旧ソ連本土の地域の残留邦人に対し帰国にかかわる情報提供や帰国手続の支援などの活動を行ってくださったことによって、歴年多くの方が一時帰国及び永住帰国を実現できていることはまさにおっしゃるとおりでありまして、私としても大変感謝しているところであります。  実は、私も数年前、自民党の村田敬次郎先生が団長の一行に加えていただいてモスクワからハバロフスクへやってまいりまして、日本人墓地を墓参する前に当地の市場を見学いたしましたら、花を売っているコーナーの御婦人方が、もう私よりもちろん年配の六十代後半ぐらいの皆さんが大部分でしたが、十数人の中ほとんど日本人でいらっしゃってびっくりしました、ああいうところにこんなにたくさん日本人がいらっしゃるのかと。  そんな意味もございまして、外務省にもお願いしたりしてそういう消息の調査とかあるいは永住帰国の意向調査といったものも力を入れていかなくちゃならぬ、こんなふうに考えております。
  228. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 調査というのは大変なんです。五十嵐長官いらっしゃるから、サハリンで調査するとはどういうことかということは、私が行ったときは電話はない、ゴルバチョフ体制の前でございましたから、そういう厳しい条件の中でやるわけです。現地調査それから帰国手続、事務一切、出迎え、宿泊、そして見送りまでやらなきゃいけないんです。日本の感覚じゃだめなんです。その費用は皆さん浄財を集めてやっているわけです。  確かに当時の日本と旧ソビエトの問題はございました。私も悔しい思いを何度もいたしました。スパイ容疑で私も二日間勾留されたこともありますから。私は、この戦後処理、戦後五十年、村山内閣が標榜されましたのは大変結構なことだと思います。もちろん対外政策も大事ですけれども、対内政策、これをしっかりやっていただきたい。  こうしたボランティアの方々が第八次はもう万策尽きた、国でやっていただきたいと言うんです。ところが調査というのはそう簡単にいきませんよ、これは。ですから、そういう民間ボランティアの方々のノウハウを生かしながら何らかの形で支援をすべきだと私は思っております。これについてのお答えをいただきたいと思います。
  229. 佐野利昭

    説明員(佐野利昭君) ただいま大臣も申し上げましたように、民間団体、ボランティア活動に対しましては大変感謝もいたしますし、その活動を高く評価いたしております。しかしながら、ボランティア活動の性格から見まして、国が直接それに対して助成をするというような形はいかがなものかなと、こういう感じもいたしております。  いろいろとこれからその団体の活動が、何か国の活動と接点を持ってできないかどうか、そういう面は研究していきたい、こう思っております。
  230. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私もおとなしくしていようと思ったんですけれども、ちょっといかがなものかなというのは、私はそれこそいかがなものかと思いますよ、これは。これはやめていただきたい、そういう言い方は。  なぜかと言いますと、中国残留邦人の場合は、これは平成六年度、今年度からボランティア団体を支援する形でその一部を国の事業として位置づけ、これよく聞きました。これは仕方がないんですね、今言うようにボランティア団体にすぐ出せない。しかしその現状をどうするかが政治じゃないでしょうか。私は、まだ二年と二カ月しかたっておりませんけれども、そういうことを言うからだめなんですよ。はっきり申し上げます。  ですから、こういった、例えば調査は難しいかもしれないけれども、迎えに行って、それをだれがやっているのか。一銭も出ないんです。そのことを放置したらだれがやるんですか、私は聞きたい。もう一度。
  231. 佐野利昭

    説明員(佐野利昭君) 私の申し方が先生の御機嫌を損じたようでございますけれども、私どもといたしまして、民間のボランティア活動に直接資金を提供するというような形はなかなか法的に難しい面もございます。したがいまして、何かうまい方法がないかどうかというようなことを含めて検討させていただきたい、こういうことでございます。
  232. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そう言っていただければいいんです。うまい方法がないかです。そのことを言っていただきたいんです。  時間もないので、はしょります。  ただ、厚生省ばかり私いじめるつもりで来たんじゃないんです。最近、一生懸命努力されています。一九九一年度、第三次帰国から滞在費十三万四千円、これ少ないんです。例えば日本のホテル代、一週間から十日ぐらい滞在するのですけれども、お土産も買っていきたい。サハリンへ行ってごらんなさい、わずかな年金で、日本へ来たらジュース一本買うといったら大変なんです。ですから、十三万四千円のこういう努力も認めます。期間も短縮しました。今まで十年に一回だったら帰ってきていいというんです。そうしたら死んじゃうじゃないですかと。これ厚生省頑張りまして五年に一回になりました。七十歳以上は三年に一回。  でも、あの異国の地に何年もいて、もう本当にその人たちの思いを、私は実際寝泊まりしてきました。七年に一回だとか五年に一回だとか、幾らかかるんですかと私は申し上げたいんです。ですから、その十三万四千円の滞在費の問題それから一年に一回帰ってきたかったらどうぞと。何万人いるんじゃないんですよ。その期間の短縮の問題、それから費用の援護の問題、これについて端的に伺います。
  233. 佐野利昭

    説明員(佐野利昭君) ただいま先生から御評価いただいたように、私どもとしてもできるだけの努力を続けてまいったところでございます。御期待に沿うような形に果たしてできるかどうかということは、最近の財政状況から見ましてなかなか難しい面もあろうかと思いますが、できるだけの努力をしてまいりたい、こう考えております。
  234. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 滞在費の件、物価を勘案して少しずつ上げているんですが、来年すぐ上げられるかどうかちょっと私この場ではお答えいたしかねますが、お気持ちはよくわかりました。  それからもう一つ、本年四月に中国残留邦人等の円滑な帰国の云々という法律が議員立法で公布されて、この十月一日から施行されます。この残留邦人等の意味はサハリンその他も含まれておるわけでございまして、これに沿って帰国の促進に最善の努力を尽くしてまいりたいと思いますし、来年度の概算要求の中で、まだこれから交渉があるわけでございますが、毎年の一時帰国の実現、これは中国の残留邦人の皆さん、それから今関係のサハリンあるいは旧ソ連本土の方にもそういう該当の方がいらっしゃればもちろん適用されますし、またサハリン等からの集団一時帰国を民間団体に委託するという経費も要求はしてございます。
  235. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 大臣のそのお答えをいただいて、私もきょうは少しゆっくり寝れるかなと思っております。ありがとうございました。  まだまだ聞きたいこといっぱいあります。例えば、中国で言う定着促進センターみたいな、里帰りするときに年老いた人たちを、両親を頼ってもいないとか、例えば親兄弟のところに一緒に住めないとかいろいろあるわけです。そういった面でもいろいろ御配慮いただきたいと思います。  次の質問がありますのできょうはこのぐらいにしておきます。厚生省ばかりじゃない、外務省もそうです。外務省も大変努力されています。来年は五十年です。節目だからというのではなくて、この異国の地で大変厳しい思いをされた日本人の皆さんをお忘れなく。カザフもあります。いろいろ大陸もまだまだ調査していないところがいっぱいあります。よろしくお願いします。  では次に郵政省に伺います。  きょうは光ファイバー網の全国整備の政策について御質問いたします。  私が言うまでもなく、光ファイバー網の全国整備は我が国産業政策におきまして最も重要な問題となっております。二十一世紀におきましてはB-ISDN、すなわち広帯域の光ケーブルのネットワークをさまざまに活用するいわゆるマルチメディア社会実現する、将来は自動車産業あるいは電機産業をしのぐ、いわゆるリーディングインダストリーになるという話がある。きのうのテレビでも、バーチャルリアリティー、いわゆる仮想現実で、例えば会社に行かなくても会議ができる、例えばこの質疑も、私は北海道だから北海道にいて、いわゆる空間を演出するという時代が来るやに、そのような夢が語られております。  初めに、郵政大臣に御質問申し上げます。  大臣は光ファイバー網を中心とする情報通信基盤整備の重要性をいかに認識されておるのか、お伺いしたいと思います。
  236. 大出俊

    国務大臣(大出俊君) 短い時間でございますが、お答えをさせていただきたいと存じます。  私は、B-ISDNと今おっしゃいましたけれども、一九八三年ですからちょうど十一年前になるんですけれども、非常に苦い経験があるのは、INSという構想がありまして、これは電電公社の副総裁北原安定さんを中心に、これはジュネーブでテレコム国際会議などでも講演しておりますし、彼は本も書いている。強引に車に乗せられて三鷹へ連れていかれた。電気通信学園があって、三鷹市が全面協力をしてやった実験です。三年近くやりました。初めて光ファイバーというものを見たり聞いたりしました。これ、東北大学の西澤潤一先生が開発、三十年前ですね、今から言うと。だから、日本なんですね。  そして、このINS構想というのはテレビ電話から始まりまして、今はビデオ・オン・ディマンドとかカラオケなんかも乗せてというんですが、当時からあった構想。今、京阪奈でやっている新世代通信網パイロットモデル実験がありますけれども、内容はほとんど同じ発想ですね。ところが、あれが三年ちょっとで消えた。今度ばかりは消せない、こう思っています。  短い時間ですから余り僕言いませんけれども、死力を尽くして、これは京阪奈で百八十二の企業が出てきておられましたけれども、ついこの間も関連企業の皆さんを集めて朝食会をやりましたら随分集まってくれました。これはアメリカのゴア構想、スーパー情報ハイウエー構想がありますけれども、慌てることはありませんけれども、しかし急がなければならない、こう思っております。  あとまた事務当局に聞いてください。
  237. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今、大臣からありまして、これは十一年前ですね、INS構想、日本が本当はやっていたんです。ところが、黙っている間に、これは規制緩和おくれたりいろいろあるわけです。だから持っていかれたんですよ。情報スーパーハイウエー構想、ゴア、クリントンの目玉商品です。余り時間がないから言いませんけれども。  ただ、今回の電気通信審議会いわゆる電通審の答申で、二〇一〇年までにこれ整備するというのですよ、光ファイバー。百二十三兆円の市場が生まれるというのです。雇用が二百四十三万人。すごいですね。ところが、光ファイバーの全国整備には御存じのように三十三兆円から五十三兆円かかるのです。だれが出すかですよ。それに多分地中化の問題があります。これは建設ですね、きっと。これに四十二兆円かかるのです。  私が申し上げたいのは、私も若干このいわゆるニューメディアに踊らされたといいますか、そういう中でずっと見てきておりました。この十年間、ニューメディアで大変失敗しております。これはなぜかというと、ハード先行なんですよ。私は逓信委員会でも随分申し上げました。ハード先行なんです。だれが使うかというのが全く欠落している。今回もそうです、はっきり言って。ですから、一言で言うならば、このハード先行に対する反省をやっぱり今しっかりしなきゃいけない。  そこで、一つ聞きます。それじゃ、このような社会的なコストをかけて、百二十三兆円もの市場を創出すると言っておりますけれども、その具体的なビジョン、一言で答えてくださいというのは大変でしょうけれども、あと三、四質問ありますので一言お願いします。
  238. 山口憲美

    説明員山口憲美君) 簡単にそれじゃ御説明させていただきますが、失敗というふうなことで御指摘ございました。それは端的に言いますと、いわゆるニーズというものに対してこたえていなかったということだろうという、これは答申の中にも書いてあるところでございます。  そこで今回は、いわゆる線を引くということに合わせまして、アプリケーション、利用という分野の開発、これにも積極的に取り組むようにと。要は、利用を促進しそしてまたそれがネットワークの投資を誘発する、そしてその投資が進むとまた利用が起こる、「好循環」という言葉で書いてございますが、そういう環境をつくるようにと、こういう提言をされております。
  239. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今いろいろありましたけれども、ただきょうも新聞に出ていましたビデオ・オン・ディマンド、いわゆるこっちからスイッチを押すと好きなビデオが出る。ところがよくよく考えてください。百二十三兆円の市場規模になる。何十兆円のお金を使って、貸しビデオの問題じゃないんですよ、やっぱり。これは改めて今度時間があったら聞きますけれども、例えば通信の融合をどうするか、例えば外国で言っている、放送と通信をどうするか、テレビ局が例えば通信に参入できるか、そのぐらいの大きなマクロの世界でなければ、貸しビデオみたいなのはこれは結構ですよ、それじゃ追いつかない。私は指摘しておきます。
  240. 大出俊

    国務大臣(大出俊君) これ中尾さんおっしゃるとおりで、百二十三兆円の需要創設というと、トヨタ自動車が年間の売り上げ八兆ですよ。NTTが一生懸命やって六兆ちょっと欠けるんですね。トヨタ系のあのぐらいのものを十社つくって八十兆でしょう。百二十三兆といったら、十五か十六かあんな大きなものができなきゃできないんですね。  ところが、アメリカを見ますとはっきりしているんですよ。日本の場合は、CATVなんというのは一年間で五十五万世帯ふえて、それでも百六十三万世帯なんですよ。ところが、あっさりアメリカは一千万超えちゃっているんですね。コンピューター会社と提携して、新しく今おっしゃるアプリケーションを考えようというのが三百四十八社。具体的な企業提携ができているんですね、どんどん。やってできない芸当じゃないんです。時間がないんでこれ以上詳しいことは避けますけれども、やらきゃならない。だめだというんじゃなくて、大変だというんじゃなくて、そこまで持っていけばできる。  ゴアさんがプレスクラブで演説しているのを聞きますと、国際的な提携の上で何と四百五十兆ぐらいのたくさんのアプリケーションをつくって、つまり工業化社会というものは壁にぶつかった、ここから先は知的産業なんだという演説をしていますが、四百五十兆といったら日本のGNPですからね。ですからそれはやらなきゃならぬところに来ている。だから、失敗を振り返って今度はやろうという気になっているとさつき申し上げたんで、とてもじゃないが郵政省だけではできません、本当にみんなで業界も挙げて、皆さんにも御協力いただいてやるということにしたいんです。お答えいたします。
  241. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 放送行政局長、電通審の答申並びに光ファイバー網整備に係る郵政省の政策方針はまだまだ聞きたいところ私も本当に多いんですけれども、この光ファイバー網整備にも大いに関係あります放送のディジタル化について伺いたいんです。  ことしの二月、江川局長たたかれましたね。局長の言っているのは間違っていないんです。これはハイビジョンの問題があります。ハイビジョンというのはこれはディジタル方式じゃないんです。NHKさんがいるから家電メーカーが一生懸命開発したけれども、世界の趨勢はもうディジタルなんですよ、ディジタルなんです。ですから、発言を取り消すというのは必要なかったと私は再三申し上げました。ハイビジョンにこだわり過ぎては放送政策の整合性はとれない。例えばCS、いわゆる通信衛星、CSはもうディジタルへいくんです。今のBS、今度一九九七年に打ち上げる、これまだ旧式の、旧式と言ったらあれですけれどもアナログ方式なんですよ。こんなことで情報スーパーハイウエーなんて、こんなものあり得ませんよ。 一言。
  242. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 簡潔にお願いします。
  243. 江川晃正

    説明員(江川晃正君) 放送のディジタル化の必要性はもう先生が御指摘のとおりで、私たちも全くそのように考えております。それにつきましては世の中も先生がおっしゃるのと同じように、我々が考えるのと同じように認識していただき理解していただくために、多くの識者を集めまして放送の全体のディジタル化の道筋とプログラムなどを今研究しておりまして、懇談会を設けて来年三月にもその答えをいただき、それにのっとって郵政省は仕事をしてまいりたいと考えております。
  244. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 これで質問を終わりますけれども、ここは大変な正念場ですので、大出郵政大臣、ひとつ指導力を発揮して頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
  245. 小林正

    小林正君 本院本会議で七月二十一日、新緑風会、我が会派の吉田之久議員が自衛隊の合憲問題について質問したのに対して、村山総理から「専守防衛に徹し自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は、憲法の認めるものであると認識する」という御答弁がございまして、これはかなり自衛隊問題についての社会党の基本政策の劇的な転換であると、大変に大きなセンセーショナルな出来事として報道をされました。    〔委員長退席、理事今井澄君着席〕  この問題についてきょう大出郵政大臣にお伺いするというのは大変失礼で申しわけないんですけれども、長年安保防衛問題の権威として造詣の深い大臣でもありますし、同時にまた著作もこの問題では出しておられるという立場から、失礼を省みず御質問させていただきたいと思います。  また、翌日の二十二日に共産党の橋本議員からシーレーン防衛の問題、AWACSの問題リムパック等の問題について質問をされ、これも合憲という判断を示されたわけであります。このことについて八月一日のNHKの九時半からの「クローズアップ現代」という番組の中で、社会党の衆参議員の調査を行って、この中で自衛隊合憲賛成が三四%、そして反対六%、やむを得ないというのが五八%、こういう数字になって示されたわけでございます。  直近の九月三日の党大会の中ではこの方向が確認をされるということになったようでございますけれども、この点についてまず第一点お伺いしたいのは、自衛隊合憲という場合に、無条件の合憲なのかそれとも条件つきの合憲なのか、党の立場として。いずれであるか、端的にお答えいただきたい。
  246. 大出俊

    国務大臣(大出俊君) お断りをしておかぬといかぬのですけれども、小林さん今おっしゃっておりましたけれども、私はただいま防衛問題を閣内で担当してはおりませんので、そこにはそこの担当者がおりますし、ついこの間まで党の方の安全保障部会の部会長を私やっておりましたから、その意味では責任を持ってきたんですけれども、目下はそれも後を譲っておりますので、そういう意味で党とも相談いたしましたが、私からそこのところを明確なお答えができないという立場に実はございます。  そこで、あらかじめお話を聞いております点をどういうふうにお答えをするかということで申し上げると、防衛、安全保障、自衛隊問題について、今条件つきとおっしゃいましたが、社会党も解釈改憲を行った結果というふうに受けとめていいかという先生のメモがございまして、恐らくそこのところだろうというふうに思っておりまして、基本政策の転換を図ったと考えてよいかというふうにもう一つついておりましたので、それについて今と関連いたしますが、同じことになると思うのでお答えいたします。  さきの臨時党大会において確認されたように、社会党は、戦後半世紀を経て必要最小限度の自衛力の存在を容認する国民意識が形成されてきたと、ここが大きなポイントの一つであります。いろんな世論調査その他を見ましても、必要最小限度の、つまり自衛隊、これは必要なんだというそういう認識が非常に多くなっているということが一つ。  それから、東西冷戦の終結がございまして、歯どめなき軍拡志向の危険性が消えたと。これはまだ大きな問題はあるんですよ。実は今日本の防衛費というのは、一昨年が四兆五千百八十八億、それから昨年の四兆六千四百六億円、これは一・九五%の伸びなんですけれどもね。これ何とか、世の中変わったんだから、つまり冷戦構造がなくなったんだからというので、私が部会長をやっておりまして各党とお話をして、概算要求でちょうど四兆七千三百億で一・九五伸ばすという概算要求が出ておりましたから、何とか減らそうじゃないかというので悪戦苦聞いたしましたが、結果的に本当にしばらくぶりで〇・九という伸びで抑えた。つまり、四兆六千四百六億円が四兆六千八百三十五億円ということで〇・九%伸びる。このときにやっぱり環境が変わったんだなという気がしています。  そういう意味で、そのことが二つ目の理由で状況が変わったわけでありますから、そういう意味で歯どめなき軍拡志向ということでなしに状況が変わっている、だから何とかこれを軍縮の方向に持っていきたい、これが二番目。  それから、ずばり容認をする、認めるということになれば、今までは逆な立場ですから中に入れない。そうじゃなくて、中に入ってイデオロギー抜きの新しい安全保障というものを真剣にお互いが考えていくという、そういう段階に来たんじゃないのかという意味で、現在の自衛隊というものを憲法の枠内にあるというふうに大きく政策転換をして認めるという立場をとったと。そういう意味では改憲ということではなしに、今申し上げたようなことがあるから思い切ってここで政策転換をすると、我々の。そして憲法の枠内なんだというふうに認めて中に入って、今言った三つの状況の変化がありますから、ひとつ憲法の本当の理念に従ってこれから減らしていく方向に努力をしていきたい、こんなふうに思っております。
  247. 小林正

    小林正君 この問題を取り巻く周辺の状況が変化したので、したがって憲法の認めるところと、こういうことでございますね。  そうすると、例えば今までの論議の経過で言いますと、軍縮過程にある自衛隊は合憲だというような言い方もかつてありました。だからそういう論議ではなしに、今日の情勢の中で条件つけないで合憲ですと、こういうことでよろしいですか。
  248. 大出俊

    国務大臣(大出俊君) そういうことです。
  249. 小林正

    小林正君 それから今のお答えの中にもあったんですけれども、実は今度の党大会の運動方針の中で、今おっしゃった点について、我が国の防衛費は世界第二位、南北朝鮮の合計の二・五倍、ASEAN六カ国の三・五倍という実態にあると。そして、この現実を招いた責任は解釈改憲を重ねて自衛隊の肥大化を進めてきた自民党と、それを阻止できなかった我が党にあり云々と、こうなっておるわけですね。  そうすると、今日の自衛隊の存在について、自民党は解釈改憲を積み重ねて今日の肥大化した自衛隊をつくったと、それを現状追認したという社会党は解釈改憲を行ったというふうに判断してよろしいですか。
  250. 大出俊

    国務大臣(大出俊君) あの方針書に書いてございますからそこはお読みになっておられると思うのでありますけれども、三回の大会を経て、最後は九三宣言をめぐってでございますけれども、三回ばかり自衛隊問題をどうするかという議論をしてきた。直視するというところから存在を認めるというふうに変わってまいりまして、したがって、今方針書を持っていませんから記憶で申し上げますけれども、そこから先はつまり認めるというところに入っていく道筋しかないところまで来ていたわけですね、九三宣言というのは。  その前の大会で、自衛隊の現実を直視する、つまり現在、さっき申し上げたようなところまで来ている自衛隊、金で言えば四兆五千百八十八億、四兆六千四百六億円、そういうことになってきているというその現実を直視して、そして具体的にと。つまりそれは党内検討をして次の段階で合憲、今のところですね、ここまで入っていくという道筋の議論をしていた、これは御存じだと思うんです、あのころは党においでになったから。  だから、そういう意味で言いますと、私どもが解釈改憲をと考えたのじゃなくて、現在ある自衛隊、いろんな形で来たんだけれども、ここまで来たら条件は変わったんだから解釈改憲とかなんとかというものじゃなくて、ずばり私どもがとってきた政策をここで変える、変えて認める、こういうことなんですね、簡単に言えば。
  251. 小林正

    小林正君 私は、政策を転換すること自体をいけないとは言っていないんです。私が申し上げているのは、社会党の論理に従えば、今日の肥大化した自衛隊は解釈改憲の積み重ねの結果だということを方針で言っているわけですから。ということを認めた社会党もまた解釈改憲なのかという質問をしているわけですよ。ですからイエスかノーでお答えいただければいいんですが、いかがでしょうか。
  252. 大出俊

    国務大臣(大出俊君) だから解釈改憲ではないと、社会党は政策を転換したんだと言っているわけです。
  253. 小林正

    小林正君 そうおっしゃっているわけですから、そういう答弁として承っておきますけれども、私は情勢の変化というのは、実体が存在して憲法上は認めないんだというようなことがずっと長く続いてきた、そのことを是正しなければならないと。この方法は二つあるんですよ。一つ憲法を変えることです。もう一つは解釈改憲で乗り切ることなんです。ほかにはないんですよ、方法は。  ドイツの場合は、私の記憶では基本法を今まで三十六回も変えて、憲法にない現実に合わせて憲法を変えてきているわけです。そういう手続をしているわけなんです。これも憲法尊重の精神だと思うんですね。  ですから、そういう点で言うと、政策として決めましたということは、社会党のこの方針の論理からすると第三の道はないんですよ。解釈改憲かあるいは憲法改正、それによって憲法を現実に沿うものにしていくということしかないじゃありませんか。答弁は結構です。私はそういうふうに認識をいたします。この問題はいずれ今後またいろんな場面で論議をさせていただきたいと思っております。  それから、二点目として日朝国交正常化問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、この間、大韓航空機事件あるいはラングーンのアウン・サン廟爆破事件、そしてさらにさかのぼれば朝鮮動乱等、世界を震撼させるような事態が朝鮮半島で起こってまいりました。その事実認識の経過については、従来、政府として言ってきた認識というものがございますね。この三つの問題について、時系列的にこれがどういう内容であったのか。その細かなことは結構ですから、朝鮮民主主義人民共和国がこれにどうかかわったのかという点だけについてお答えをいただきたい。
  254. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 時系列的に今お話のございました問題について申し上げてみたいと思います。  昭和五十八年十月九日、ビルマ、現在のミャンマーにおきまして爆弾テロ事件が発生をいたしまして、同国を公式訪問中の全斗煥大統領一行の閣僚四名を初め、韓国、ビルマ両国の二十一名が犠牲となったという事件がございました。この事件につきまして当時のビルマ政府は、同年十一月四日、本件爆弾テロ事件は北朝鮮の指示による犯行である旨明らかにいたしました。我が国政府は、このビルマ政府の発表を受けまして官房長官談話を発表いたしました。これは十一月七日のことでございますが、このようなテロ行為を非難するとともに、約一年間にわたりまして北朝鮮との各種交流を制限するなどの措置を実施した次第でございます。  次に、昭和六十二年十一月二十九日、バグダッド発アブダビ、バンコク経由ソウル行きの大韓航空八五八便がこれまたビルマ、現在のミャンマーのアンダマン海域上空で空中爆発をいたしまして、乗員及び乗客全員百十五名が犠牲となった事件がございました。我が国は、事件の真相究明のため韓国を初め関係各国政府と緊密な協力を行うとともに情報の収集に努めまして、その結果、同事件は北朝鮮の組織的テロ行為によるものであると確信するに至ったわけでございます。航空機等に対するテロ行為は世界の平和と秩序に対する許しがたい行為であって、特に同事件において我が国の偽造旅券が行使され、あたかも日本人が関与したかのごとき偽装がなされたことはまことに遺憾なことでございます。  もう一件、李恩恵事件と申しますか、問題と申しますか、これは九一年五月、同人が失踪中の日本人女性である可能性が高いと警察当局が判断するに至ったことを踏まえまして、日朝国交正常化交渉の際に、本問題についての実務者協議を開催して北朝鮮側に消息等についての調査を強く求めてきたものでございます。これに対しまして北朝鮮側は、本問題は韓国の陰謀であるなどの主張を繰り返して我が国の要求に応ぜずに、九二年十一月には我が国がこの問題を取り上げることに反発する形で日朝の国交正常化交渉が中断をされました。  いずれにせよ、我が国としては邦人保護の観点から、本問題につき引き続き粘り強く北朝鮮側に提起をしてまいりたい、こう考えているところでございます。
  255. 小林正

    小林正君 日朝国交正常化交渉というのは、先日の村山総理大臣の所信表明演説の中でも、核疑惑の問題が安全保障上極めて重大であるという指摘もされているわけでございまして、対話路線による解決というのがやはり何よりも重要だというふうに思っております。  そういう意味で、今正常化交渉の前提条件になる幾つかの問題について、それが交渉の進展なり糸口を見出せない状況になっているわけでありますが、こうした事態の中で、この二つの大きな事件について事実関係と、従来外務省が確認をしてきている事実認識の問題について、連立与党内閣の中で閣内の不統一があるのかないのか、その点についてだけ官房長官の御答弁をいただきたいと思います。
  256. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) お答えをいたしたいと思います。  党の考えにつきましては、私は御案内のように三党連立のしかも官房長官でありますから、いわば調整役というような立場での役目でございますので、ここで党の立場について述べるというそういう立場にはないということを御理解いただきたいと思います。  官房長官としての立場からいえば、先ほど来の河野外務大臣のお話の趣旨というのは、これは今日政府の全体としての統一された見解である、このように存ずる次第であります。
  257. 小林正

    小林正君 この問題についても、前提条件が解決をされて交渉の糸口がつかめ交渉再開に至るということがやはり何よりも重要だというふうに私は思います。これを過去を問わない形で、条件も全然付さない形でやった場合に、核疑惑問題も含んで今後の我が国の安全保障上の問題に発展する危険性もあるわけですから、その点については今後閣内の統一ということを十分進めていただきたい。また、そのための努力をしていただきたいと思いますが、これもまた改めての時期にいろいろ御質問させていただきたいと思います。  それで、最後に日の丸・君が代についても総理が御答弁をされておりまして、国旗・国歌については長年の慣行により日の丸が国旗、君が代が国歌であるとの認識国民の間に定着しており、私もそれを尊重したい、こういうような答弁でございました。そして、これも大変恐縮なんですけれども、社会党のこのたびの運動方針の中では、このことを強制させないという立場から文部省の動きを徹底的に監視するということになっているわけです。  社会党の委員長総理大臣である、そして総理大臣として文部大臣を任命されて、その総理大臣が文部大臣を徹底的に監視する、こういう構図になっているわけです、別の側面から見ますとね。このことは、これは国家行政組織法上の重大な問題だと私は指摘をしたいと思うんですが、従来、文部省としてこのことについて指導要領で位置づけて学校現場の指導をされてきました。  私は、この日の丸・君が代問題というのは、例えばフランスでは、第五共和制の中で憲法に三色旗とラ・マルセイエーズと、それから自由、平等、博愛ということが憲法に明定されているわけです。したがって何の疑いもないわけですね。しかし、日本の場合は慣習法的な扱いになっていろんな論争を呼んでいることも事実ですけれども、学校現場で混乱を招くような対応というのがこの間あったと思うんです。  したがって、このことについては首相のこの答弁で私は問題解決を政治的にしたというふうにすべきだと思うんです。そうしないと、また文部省を徹底的に監視しますという方針を受けて学校現場が混乱をするという事態は十分想定されるわけです。したがって、文部省として従来進めてこられた指導方針を引き続き進めるのかどうなのか、その辺の御答弁をいただきたい。
  258. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 従来の方針を全く変えるつもりはございません。  ただ、監視するということは、それは立法府行政府をコントロールするというのは当たり前でございまして、立法府行政府に対して持っている権限は、例えば首班指名、あるいは予算決算の承認、あるいは法律の制定権、条約の批准権等々ございますし、それに加えまして議員個人個人の皆様方が国政調査権というものを持っておられるわけでございまして、国政調査権の発動として行政を監視していくということは半ば当然のことだろうと思っております。
  259. 今井澄

    ○理事(今井澄君) 時間です。
  260. 小林正

    小林正君 時間になりましたのでやめますが、私は、できるだけ国民が疑いなくそのことが位置づけられるような手だて、努力というのは政治が解決するべき課題だというふうに思いますし、また日の丸・君が代について議論してはいけないということは全くないわけです。と同時に、フランスでもあのラ・マルセイエーズの内容は市民革命のときの歌ですから非常に血なまぐさい内容になっていて、これがこの前のアルベールビルのオリンピックのときにフランス国内でも問題になったという経過もありますから、そのことを避けるという必要は全くないだろうというふうに思いますが、一貫した方針というものはぜひ堅持して今後とも文部省として対応すべきであるということを申し上げて、終わります。
  261. 山崎順子

    山崎順子君 新緑風会の山崎順子です。  私は、十五年間離婚講座や離婚二〇番等を通しまして二万人近い人々の相談に乗ってまいりました。そういった立場から、今回、法務省民事局参事官室から出されました婚姻制度等に関する民法改正要綱試案の中の離婚制度について、配慮の欠けている部分について法務大臣と厚生大臣にお尋ねをしたいと考えております。  まず、昨年ですが、我が国昭和平成史上最高の離婚件数を記録いたしました。中高年離婚がただいまふえておりますので未成年の子供を持つ親の割合は減っておりますけれども、毎年何人くらいの未成年の子供たちが親の離婚を経験しているか、またその子供たちの何割が母親に引き取られ父親から養育費を受けているか、法務大臣、御存じでいらっしゃいましたらお答え願いたいんですが。
  262. 前田勲男

    国務大臣(前田勲男君) ただいま離婚の現状の数字について御質問がございましたが、私承知いたしておりますのは、常識としては、現在平均して二分四十七秒に一組が離婚されておるというふうに理解をいたしておりまして、その離婚によって子供がどういう立場におられるか、数字等は現在承知をいたしておりませんが、かなりな数に上っておる、深刻な状況であるということは存じておるところでございます。
  263. 山崎順子

    山崎順子君 先ほど大臣は私の方にいらして、離婚の本を急いで読んでいて女房に変に思われたとおっしゃられて、私は離婚や家族関係の本を三十冊近く出しておりますけれども、もし私の本を読んでくださっていれば数もわかったのではないかと思うんです。  申し上げますと、平成四年は十七万九千百九十一件の離婚がございまして、子供の数は、概数しかとれないんですけれども、残念ながら正確な数字は厚生省も出していらっしゃらないんですが、およそ十九万人いると思います。それから、平成五年は十八万九千件の離婚がございましたから、これもまだ数は出ておりませんが、未成年の子供の数は二十万人に多分なるだろうと私の推量ですが思われます。  そのうちの七割がこの数年間ずっと母親の側に引き取られておりまして、そしてまた母親が引き取った子供たちに全く養育費を送っていない父親というのが七五%以上おります。そして、かつては送ったけれども今は全く送っていない父親が一〇・六%、ですから今現在養育費を受け取っている子供たちというのは一四%にすぎないんですね。この数字を大臣どう思われますでしょうか。
  264. 前田勲男

    国務大臣(前田勲男君) ただいま伺いまして、不幸にして別居という状況になり離婚という状況になった場合に、特に経済力の弱い女性、かつまたそれまで夫の収入のみに頼って生活をしてこられた女性にとりまして、生活費、養育費というのはまさに深刻な死活問題だと、かように理解をいたしております。
  265. 山崎順子

    山崎順子君 おっしゃるとおり、大変これは低い数字で、残念な数字なんです。ところが、今大臣がおっしゃったように、女性の就業も悪いですけれども、もし女性の収入が高ければ、またその離婚時に慰謝料や財産分与等がかなりの額を得られていれば子供たちの生活にそれほど影響はないと思われるのですけれども、では慰謝料や財産分与等はどの程度払われているか、これは厚生大臣、御存じでいらっしゃいましょうか。
  266. 佐々木典夫

    説明員佐々木典夫君) 児童家庭局長でございますが、今のお尋ね、私どもの方で正確な数字は、申しわけございませんが、把握いたしてございません。
  267. 山崎順子

    山崎順子君 厚生省で最も最近の調査というのが昭和五十三年なんです。もちろん家裁の調停に出された方たちの財産分与や慰謝料は毎年出ておりますけれども、その家裁の調停で離婚なさる方というのは離婚をした人の一割もありません。ほとんどは協議離婚ですから、その協議離婚の実態というのは厚生省が調査をなさらなければわからないというのがありまして、昭和五十三年以来なされていないわけです。それでも家裁の調停で徐々に金額が上がってきておりますから、それに合わせますとまあこのくらいかなというところなんですが、まず協議離婚も調停離婚も半数の妻たちが財産分与も慰謝料も一銭ももらっていないというのがただいまの現状です。そして、あとの受けた方たちであってもせいぜい三百万とか四百万なんです。  そうしますと、ずっと専業主婦で、今子供を引き取って、そしてゼロかまたは三百万か四百万で新しい生活をスタートさせる、その上に養育費は一割ぐらいのお父さんしか払っていないということになれば、子供たちの状況というのは大変ひどいと思われるんです。  私は、子供たちが離別によってどのような影響を受けているか、養育費は払われているか、その母親の精神状態はどうか、別れた父親と子供の行き来はあるのかといった調査をこの十何年やってまいりましたけれども、そこでは、母親が健康であること、経済的に安定した生活が送れていること、また母親が離婚を後悔せず明るく前向きに生きているということの三点がしっかり確保されていれば、子供たちには離別によるマイナス影響はほとんど出ていないということが判明したんです。むしろ、人の心を思いやり、母を助ける優しさや強さ、自立心が育っているという結果も出ております。  さてそこで、子供の福祉にとって必要なことは母親の経済的安定だということはもうお二人にもちゃんとわかっていただけたと思うんですけれども、年収を申し上げますと、実は三人ぐらいの一般世帯では五百十三万という年収が昭和六十二年に出ているんですけれども、そのときの離別母子家庭の年収といいますのは百八十五万円なんです。全体の一般世帯の三六%にしかすぎないんですね。こういったことを見ますと、収入が大変低いということをわかっていただけると思うんですけれども、そういった低い収入ではもちろん余裕のある生活ができないことは明らかですし、そこで働く場の確保ということが一番大きな問題になるんですが、父親からの養育費というものも母子の生活を安定させる大きな要件となると思います。  我が国では、離婚後、母親の七割が引き取り、そして行き来もしない、養育費も払っていないという現状の中で、しかしながら離婚はただいま大変中流化しておりまして、決して払えないような無職や失業中や大変収入の低い父親ばかりではなくて、大抵は支払い能力がある父親なんです。  このような嘆かわしい現状を、法務大臣としては、なぜ養育費が支払われないのか、その辺をどうお思いになるかお聞かせ願いたいのですけれども。
  268. 前田勲男

    国務大臣(前田勲男君) 現実問題としまして、別居中の夫より支払われるべき生活費や養育費等の家事債権でございますが、それぞれのケースがあろうと思います。本来、円満に履行されることが望ましいわけでございますが、残念ながら、今先生お話しのように、この生活費、養育費等々は債権として一括で払うものではないという一つ特徴がございまして、毎月々払うべきものであるというのが一般的でございますし、かつまた長期的にわたるということもございまして、その間、別れた夫が新たな結婚をしたりといういろいろそれぞれの事情があることから、履行の確保を図るということが現実問題としてはかなり行われていないのではないか、そう推察をいたしております。
  269. 山崎順子

    山崎順子君 確かにケースによってさまざまなものがあると思います。そして、一括して履行されないもので毎月毎月支払われるものだからなかなか履行されないということもあるかと思いますけれども、現実には、例えば毎月養育費をきちんと取り決めて、それを調停調書にしたり裁判の判決にしたり公正証書にしたりということがありましたら、そこにまた強制執行文言をつければ、毎月の履行がおくれても最終的に全部、最後まで支払う金額すべてをいついつまでに支払うというような強制執行にしておけば必ず履行は確保されるということがあるんですけれども、まず多くの人たちは、どうせ決めても支払われないだろうということを思う方たちや、また父親は、自分が親権者、監護者にならないことによってもう親としての義務はないんだというふうに思ってしまうような父親も多いんですね。  またそれから、日本社会全体が、例えば離婚した人が周りにいたとします、友人や知人に。そうすると、そのときにしっかり会社の例えば上司であってもだれであっても、君は子供にちゃんと養育費を払っているかいということを聞くような、そして払っていなければそれは人間失格じゃないかと言うような、そういう雰囲気というのはまだ日本には全くない。離婚してかわいそうぐらいにしか思わないという雰囲気がありまして、そこいら辺はやはり養育費のことがきちんと明文化されていないということが問題なんじゃないかと思うんですね。  八百七十七条の解釈によって現行法では養育費支払いは十分だというふうにおっしゃる方もいますけれども、法務大臣はこの点に関して、今の法律で養育費が支払われていないということが明らかですが、十分だと思われますでしょうか。
  270. 前田勲男

    国務大臣(前田勲男君) 現在の民法上の問題としては、別居中の夫に対して生活費や養育費の支払い義務、これは先生おっしゃったとおり、明文で規定をされているところでございますが、現実、先ほども申し上げたとおり、守られていないというのが多々ございます。    〔理事今井澄君退席、委員長着席〕  ただ、私としましては、その家事債権の履行確保につきましては、現行法でございます家事審判法や民事執行法によって適切に債権確保が図られるように、現行法のもとでは努力をし、お願いを申し上げたいという立場に現在ございます。
  271. 山崎順子

    山崎順子君 ただいま私は離婚後の養育費についてお聞きしたんですが、別居中のこともお答えいただいたんですけれども、ただいま出ております試案の中で、現行法では足りないところを、ぜひ養育費の明文化ということを書いていただければと思うんですけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
  272. 濱崎恭生

    説明員(濱崎恭生君) 技術的なことでございますので、まず私、事務当局の方からお答えさせていただきますが、御指摘のとおり、養育費の分担義務という形で別に規定をすべきじゃないかという御意見は私ども承知しておりますし、また法制審議会でもその点については議論の対象になったわけでございますが、これは現在の民法八百七十七条等の規定で明確なのではないかということで、特にその点の改正をするまでの必要はないのではないかという審議の結果でございます。  御指摘のように、離婚後も親である以上は養育費を分担しなければならないという意識、これが浸透しているかどうかという問題はあろうかと思うわけですが、むしろ私どもあるいは法制審議会の審議におきましては、それは法律上そういう義務があるということはかなり一般に周知されているのではないだろうか、法律の規定上どうなっているかというよりも、むしろ国民の意識の問題なのではないだろうか、こういうふうな感じでおるわけでございます。法律の規定をそういう形で明確にしなくても、現在の規定で実体法上の手当てとしては十分なのではないか。  ただ、大臣が申し上げましたように、履行確保という問題については、これは将来検討すべき重要な課題であるということは法制審議会の議論の中でもそういう認識でございますし、私どもとしてもそういうふうに考えているところでございます。
  273. 山崎順子

    山崎順子君 将来検討すべき課題とおっしゃいましたけれども、現実に何人の子供がいるかということで先ほど法務省の方ではつかんでいらっしゃらないという状況がございまして、二十万人もの子供たちが毎年親の離婚を経験し、養育費もなく低レベルの生活に甘んじ、そして経済的に豊かでなければやはり親子関係だってぎくしゃくいたしますし、母親も健康を損ね、その生活というのはかなりすさんだものになっていきますから、そういうときに養育費というのは大変大事なんですね。  ですから、将来にわたって検討するのではなくて緊急性があると私は思っておりますけれども、一昨日法務省の方がヒアリングにいらっしゃいましてそのときおっしゃった言葉は、全くではないですけれども緊急性がないので今回の試案には入れなかったということでございました。  今現実に別居中のことで言いますと、五十代の方が、離婚というか家を出ていった別居中の夫によってその夫名義の家を売られてしまって家を出ざるを得なくなった。そうやってもう声も出ずに泣きそうになって私のところにいらした方もありますし、また夫が出ていった後の別居中、お金がなくて子供と心中しようかと思った人もいます。それは離婚後も同じことなんですが、私は今でも緊急性があると思っているんですけれども、その点についてまた後でちょっと大臣の御意見をお伺いしたいと思いますが、その前に今回の試案について少しお話ししたいと思います。  このたび婚姻制度等に関する民法改正要綱試案が出されましたけれども、この中に五年の離別別居期間による破綻主義離婚を認める項目がございます。破綻した婚姻関係によってより深く傷つくのは対等な関係に立てない社会的弱者の側です。したがって、社会的弱者が一日も早く離婚できるように制度を改善することが個人の尊厳と子供の福祉のために必要だと思います。  五年の別居期間による離婚を認めることは、試案が指摘するように、裁判の過程でお互いを非難し合わなくて済むことから不当に傷つけ憎み合うことを回避できますし、そのことが離婚家庭はもとより離婚後の子供への福祉という面からもプラスに働くことは明らかです。また、女性は家庭に入り子供を産み育てるのが仕事という価値観のもとに、家庭に入らざるを得なかった女性たちに離婚後の人生の準備期間を与えるという面でも好ましいことですし、何より愛情や信頼がない不幸な婚姻は一日も早く解消していいし、解消できるようになるための積極的な道を開くことになります。  そういった意味で、私も今回の破綻主義には賛成なんですけれども、しかし今回の試案は社会的弱者が離婚するまでの間、つまり別居中パニックに陥らずに、また追い詰められずに主体的に離婚を選び取れるようにするための配慮が欠けていると私には思われます。これでは強者のためだけの破綻主義強化であって、明らかに公平を欠き、人権擁護に欠けます。この点について法務大臣の意見をお聞かせください。
  274. 濱崎恭生

    説明員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、今回離婚原因につきましてはいわゆる破綻主義ということを、これは講学上あるいはこれまでの裁判の傾向として既にそういうことがとられておりましたわけでございますけれども、それを踏まえまして、破綻主義による離婚原因ということを明確にするということで、その一つの柱として五年以上も共回生活をしていないということ、これは一般的に申しますれば婚姻関係が回復の見込みがない程度に破綻しているということの極めて典型的な徴表ではないかということで、これを離婚原因として取り上げるという試案を公表しているわけでございます。  もとより無条件にということではございませんで、離婚を認めることによって夫婦の一方あるいは子が精神的、社会的、経済的に著しく過酷な状況に置かれるという場合には離婚請求を棄却することができるという道も設けているわけでございます。  そういう手当てをした一方で、別居中の事象に対する手当てが不十分なのではないかという御指摘でございますけれども、別居中あるいは離婚後を問わず、家事関係の債権債務関係、これは私どもの所掌する民法の立場から申しますれば私人と私人の権利義務関係でございますので、一定の裁判等の手続を踏んでそれをきちっと確保される、そのためにできるだけの手当てをするということでございまして、それ以上のいろいろ行政的な手当てというのはまた民法の範囲外の問題でございます。  そういうことで、履行確保の手段をもっともっと検討すべきではないかということは、先ほども申しましたように私ども重要な課題と受けとめておりますし、決して緊急性がないというふうに申し上げているわけではないわけでございます。  この間担当者が説明したかと思いますけれども、やはりこういった問題は民事執行法あるいは家事審判法、そういう手続法の全体の中で考えなければならないということで、この問題についても含めて検討するということになりますと、今進めておる試案で公表しました範囲内での改正というものが全体として少し先送りになるということ、そういうことを踏まえまして、法制審議会ではこの際試案に掲げております範囲内で改正を実現して、御指摘のような問題はなお重要な課題として受けとめて、今申しましたような観点からいろいろそういった家事債務の確保についてさらに幅広く検討したい、こういう法制審議会の意向でございまして、私どももそういうふうに考えているところでございます。
  275. 山崎順子

    山崎順子君 私人間でとおっしゃいましたけれども、現実には、別居した人が家裁に例えば生活費の申し立てをいたしましても、ほとんどの場合一年か二年かかってしまう。また、家裁では命令権がございませんから、夫の方が嫌だと言えば生活費が全く来ないというような別居中の現状がございます。  ですから、まず別居した人が申し立てをしてから一カ月以内に生活費の支払い命令が出るように家庭裁判所に専門部を創設するとか、また生活費や離婚後の養育費の履行確保の制度を、先ほどもおっしゃったように、今は大変手続が煩雑で普通の方たちがなかなかできない、またこれも時間がかかるといった問題がありますので、このあたりを速やかに創設なさるとか、また別居中の不動産については夫名義の家が多いですけれども、そういったものの名義のある人が、例えばそこに妻が住んでいるのに別居をしているからといって所有名義人の配偶者が勝手に抵当権設定や売却等の処分をしてしまいますが、そういったことをできないようにするとか、そういったさまざまなことがすぐに手当てができるのではないかと思われるんですね。  そういったところで、例えば民法部会ではやはり民法の範囲内でのことしかやれないという、縛られてしまう危惧がございますから、ぜひとも必要な関連法の改正もともに今回の試案でまた提言していただければと思っております。  それと同時に、先ほど申しましたような養育費についても、父母は親権の有無にかかわらず未成年子の養育費を負担する義務を負うという規定をしっかり民法上に設けて、また民法七百六十六条一項を改正し、子の監護をすべき者その他監護に必要な事項とあるのに加えて、養育費の額及び支払い方法についても協議で定める旨きちんと明示してほしいと思います。  以上、時間が制限されておりますので細かい提言までは触れられませんでしたが、このような提言を、現実に今既に困っている母親たちや子供たちが大勢いることを考え、今回の改正に加えていただけるよう検討していただけるかどうか、一言で結構です、法務大臣、お答え願います。
  276. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 簡潔にお願いします。
  277. 前田勲男

    国務大臣(前田勲男君) 簡潔に申し上げます。  緊急性というお話もございましたが、私も今後極めて重要な検討課題だと、かように理解をいたしております。  現実には大変家事債権履行の確保についても、例えばこれは申し立てが履行されなくて初めて申し立てできるというような現実とはちょっと乖離をいたしておるということも理解しております。重要な課題としてとらえてまいりたいと思っております。
  278. 山崎順子

    山崎順子君 どうもありがとうございました。  これで質問を終わります。
  279. 風間昶

    ○風間昶君 風間です。  前回の九月一日にもやらせていただきましたが、現在行政改革の推進が緊急の課題になっておりますのでそのような観点から、また公益法人について幾つかお聞きしたいと思います。  まず、類似の公益法人がたくさん設立されておるようで、同じような目的を有する公益法人ばかりがふえることが本当に公益の増進に役立つのかという素朴な疑問を私は持つわけです。  例えば一例、郵政省にお伺いしたいわけですけれども、四十三年に設立された放送番組センター、そして平成三年に設立された放送番組国際交流センター、国際交流という字面が間に入っているだけで放送番組に関する公益法人が二つございますが、どこが違うのか、それぞれの内容について簡単にまずお伺いしたいと思います。
  280. 江川晃正

    説明員(江川晃正君) 昭和四十三年に設立されました放送番組センターがやっております仕事は大きく二つございまして、その一つは教育、教養系のすぐれたテレビ番組の放送権を確保し、民間放送局に低廉な価格で貸し出す番組の調達供給事業というのが一つでございます。もう一つは、放送番組を収集保存し、一般の人に無料で公開する、これは館内でのみ見られるものでございますが、放送ライブラリー事業と言っておりますが、この二つの事業を行っております。  それに対しまして、先生御指摘平成三年、ほぼ二十年後に設立されました財団法人の放送番組国際交流センターのやっておりますのは、NHK、民間放送事業者等が制作したすぐれた放送番組の海外提供を促進するために、英語とか現地の言葉、何語とかに吹きかえるなどによって放送番組の外国版を制作する等の事業を行っているところでございます。  つまり、先生御指摘のとおり、ともに放送番組に関する公益法人ではございますが、放送番組センターは我が国の放送の健全な発展を主たる目的とするものに対して、放送番組国際交流センターの方は我が国と諸外国の相互理解の増進、開発途上国を初めとする世界の放送の発展に寄与することを目的とするという意味で、異なるそれぞれの目的を遂行している団体でございます。
  281. 風間昶

    ○風間昶君 ということは、国内と国外というふうに単純に考えていいわけでしょうか。  そうしますと、国内向けの放送番組センターは基本財産が四億円で常勤の役職員の方が二十四名、一方、海外に吹きかえをされている放送番組国際交流センターは非常勤役職員の方が五名で二十一億円、基本財産と人数のバランスが随分この二つでは異なっているわけですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  282. 江川晃正

    説明員(江川晃正君) 御指摘のとおり、二十一億円という大きな金を持っているところが五名ぐらいで、四億円というところが二十数名というのはおっしゃるとおりでございます。  なぜかといいますと、まず四億円の方から申し上げたいと思いますが、放送番組センターは、民間放送に教育番組等を提供する調達供給事業については基本財産の運用益のほかに、主にNHK、それから民放でございますが、負担金、番組配給収入等によって事業を行っているというところでございます。それからまた、放送ライブラリー事業については、基本財産とは別に平成五年度現在で約六十八億円の専用基金というものを造成しまして、その運用益によって事業運営を行っているという、単に四億だけでないという部分があるわけでございます。そして、このセンターの事業は放送番組の購入、コピー、それからビデオ化などをし、またそれの管理、貸し出し事務という実務が伴いますので、それに相応する数として二十四人が今いるわけでございます。  一方、先生御指摘の二十一億円強の財産で五人でやっているのはどうなのかということにつきましては、これは放送番組国際交流センターでございますが、この主な業務は、先ほども申し上げましたけれども、我が国の放送番組の外国語への吹きかえでございまして、その作業には十分な語学、外国語の堪能な人などが必要になります。しかし、そういう人を抱え込むということはとても大変でございますから、そういう能力、仕事に対しては多くを外部委託で行っているということで職員数が少なくなっているわけでございます。  以上のような理由から、基本財産と職員の関係というのがアンバラのように見えますが、仕事との関係では一応バランスがとれたものになっていると考えているところでございます。
  283. 風間昶

    ○風間昶君 なるほどこういったようによく説明を受けるとわかるわけですけれども、説明を受けないと何が何だかわからない。中身が同じようなことをやっているのではないかということで、どんどん公益法人がふえていくということが大変また大きな問題を呼び起こしているわけであります。  民間主導でつくられるのではなくて、近年、特殊法人の設立が抑制されているために行政側の主導によって自主的に特殊法人の役割を果たすような公益法人が設立されているような数が多く見られるわけですけれども、また逆に一方では、東京オリンピック後に設立されたスポーツ振興資金財団という公益法人があるにもかかわらず文部省の主導で平成元年にスポーツ振興基金が特殊法人日本体育・学校健康センターの中に設置された例もあるわけで、このように政府や先ほども守住委員の方からありました地方自治体の一サービス部門が独立して事業を行うような場合には、やはり行政改革という観点からは本当にこれでいいのかという私は疑問を持つわけでございます。  折しも平成四年の六月に総務庁が行政監察の中で公益法人に対して監督強化をすべきであるという監察報告を出しておりますし、現在連立与党では特殊法人の整理統合を進める方針と伝えられております。これはこれでまた行革のためには重要な課題でありますけれども、同時に、形は民法法人であっても実質特殊法人のようなものが次々できていったのでは何にもならないと思うわけです。一見、官僚のOBの方の社会保障政策というふうな見方もできないわけではないわけであります。  そこで、この公益法人指導監督連絡協議会というんですか、これを所管しておられる、いわば公益法人を政府全体で見る立場にある総理府から、平成四年に総務庁が行った行政監察を勧告したその後のフォローアップの状況を伺いたい。特に、九月一日の決算委員会でも質問させていただきましたが、三百三カ所に上る休眠法人について総務庁の勧告後どの程度整理が進んでいるのか、官房長官にぜひお伺いしたいと思います。
  284. 石和田洋

    説明員石和田洋君) ただいま先生がお取り上げの総務庁の行政監察結果に基づく勧告でございますが、非常に多岐にわたる事項について指摘をしておるわけでございます。  このうち各省庁がそれぞれ対応すべき個別の問題については各省において措置するということでございますが、ただいま先生の御指摘もございましたが、私どもは公益法人等指導監督連絡会議というものを主宰いたしまして、各省庁が共通して統一的に指導監督すべき事項について合意形成をする、さらにその意思決定に基づいて実効を上げるという場を設けているわけでございます。  先般の平成四年六月の勧告につきましても、従来から意思決定してまいりました公益法人の設立基準に関する申し合わせ、それから公益法人の運営に関する指導監督基準といったようなもの、あるいは休眠法人、これも先生御指摘のことでございますが、休眠法人の整理をどのように具体的に進めるかというような事項、あるいは公益法人が恣意的に運営されないようにということでその役員の届け出をどのような形でするかといったようなことについて申し合わせをしてきたところでございます。  今回のこの勧告に対しましても、この場を利用いたしまして会議を開き、これまでの運用基準がより徹底するように、具体的な成果を上げるようにということで申し合わせをしたところでございます。  なお、休眠法人の整理の状況ということでございますが、これは実は六十年に休眠法人の整理についてこの会議で申し合わせをしたわけですが、当時、休眠法人と言われるものが国レベルの団体数で見ますと七十五法人ございました。これがこの会議の申し合わせの成果ということもございまして、昨年十月現在の調査では三十三というふうに半分以下の数になっている状況でございます。  なお、都道府県においても公益法人というのをたくさん抱えているわけでございますが、この数字を見てみますと、六十一年現在で六百ほどあったものが、これも昨年、平成五年十月一日現在では三百八十七ということで、四割近く減っているという状況でございます。
  285. 風間昶

    ○風間昶君 二万五千五百にも上る公益法人の中で休眠法人が総務庁の監察で三百三カ所があれされて、今のお話ですと国レベルで七十五が三十三に、都道府県レベル、六百近いのが三百八十七と。二万五千もある中で、本当にこれをやっていく、これだけでさえやるとしても何年かかるかわからないというような状況であります。  設立時の基準はとにかく厳しいというのはわかるにしても、実際に各担当省庁が各課ごとに監督するところが分かれている、いわゆる分散管理方式をとっているわけでありますけれども、この方式だと意思や見解の統一が図りにくいという難点が一方ではあるのではないかというふうに思いますので、総理府として意思や見解の統一を図る方策としてどのような方法を採用しているのか。  また、先ほど指導監督連絡協議会のガイドラインについても少しお話ありましたけれども、連絡会議というのは何を話しているんですかね。連絡会議というのは、こういうことが各省庁からあったということであって、その運用の統一を図るために、じゃどうしようかというふうにはなっていないのではないかというふうに疑いたくなるわけで、その辺のところはどうなんでしょうか。運用の統一を図るための措置についてお伺いしたいと思います。
  286. 石和田洋

    説明員石和田洋君) ただいまの御質問の前にちょっと。  休眠法人の整理に十年もかかってこれだけだというお話ございましたが、実は休眠法人というものが、その実態が確かに休眠状態にあるということを確認するのに、私たちの基準では一応三年ぐらい活動の実績がないというようなことを踏まえながらやっておりますので、どうしても時間がかかるということがございます。  それから、整理するには、これも私ども今御質問の連絡会議で整理するといっても、公益活動をやってきた実績がある団体をそう簡単に整理するということは難しゅうございますので、例えば聴聞会を開くとか、いろいろな経済関係がないかといったようなことを調べながら廃止していくということですので、どうしても手続に時間がかかるということがございます。  それから、今御指摘の公益法人等指導監督連絡会議でございますが、これは単に各省庁の実施状況あるいは指導監督状況を報告し合うというだけの会議ではございませんで、今まで、例えば昭和四十七年からいろいろな形で基準づくりというものをやっております。例えば公益法人設立許可基準等に関する申し合わせ、この申し合わせについてどのように措置がされたかということについても報告を受けるような仕組みになっておるわけでございます。  例えば、添付書類というものが非常に多いというような話はまあ必ずしも公益法人の指導監督だけに限りませんが、よく言われる問題でございます。そういったものについてもできるだけ削減していくとか、会計基準ですとか、それから具体的に法人の設立を取り消すというときには非常に大きい問題を伴いますので、モデルのようなものをつくって、各省庁にそのガイドラインに沿って廃止の手続をしていただくというようなことをやっておるわけでございます。
  287. 風間昶

    ○風間昶君 各省各課のつくられた、つくられるときは厳しく、しかし一たんつくられちゃうともうその監督は担当課に任せたままになっていて、しかも各省各課ばらばらで運用があるならば監督の強化にはつながらないというふうに私は危惧するものですから、運用の統一を図るためにもう少し、一工夫も二工夫もぜひしていただきたいというふうに思います。  また、もう一方の面から、公益法人は税制の面でも優遇措置を受けているわけですけれども、上場企業以上に社会責任というのは大きいわけでありますから、僕は財務内容とか事業内容をきちっと公開すべきであるというふうに思うわけです。平成二年四月十一日の衆議院予算委員会でも村山総理大臣、そのときは村山衆議院議員が同様の御見解を表明していらっしゃいます。  そこで、公益法人の財務内容とか事業内容の公開については現行法で無理なのかどうなのか、明確にしておいていただきたいと思いますけれども、官房長官、いかがですか。
  288. 石和田洋

    説明員石和田洋君) 公益法人一般について財務内容を公開すべきかどうかという判断につきましては、私ども直接所管する立場にはございませんが、現在の制度では、公益法人の活動というものが非常に多岐にわたっているということもあるいはあろうかと思いますし、また設立について主務官庁というものが設けられて、許可時点で財務内容についても相当厳しい審査を経ているものだという前提で設立されているというふうなことから、現在の仕組みでは公益法人の活動を公開するというふうにはなってございません。  ただし、民法上、財務の一般的な状況については届け出るという義務がございますので、ごく大まかな様子は登記された事項を見れば知ることができるという程度でございます。これを好ましいこととしてこのままにしておくかどうかということは、実際に公益法人の運営をどうすべきかということで、もっと別の観点から議論、検討すべき問題ではないかというふうに考えます。
  289. 風間昶

    ○風間昶君 今のお話ですと、もう一回確認ですけれども、政令や省令の改正、創設では公益法人の財務内容あるいは事業内容を公開させることはできないわけですね。現行法の枠内でもできる限り透明性を高めるように努力すべきではないかというふうに思うわけです。  例えば、現実には、どこにどのような公益法人があってどんな活動をしているかということを知っている人は、関係者は知っているかもしれないけれども、少なくともその辺ぐらいの情報を国民に知らせておかなければ特定の者だけ知っているということになって、不特定多数という公益性に反するのではないかというふうに思うわけです。省庁によっては公益法人要覧をつくっているところもあれば、つくっていないところもあるわけです。これはやっぱり全省庁がつくるべきであり、それだったら法律改正しなくても対応できると思いますけれども、指導監督連絡協議会の重要な課題として今後検討して、ぜひとも全省庁が公益法人要覧を発行するように官房長官の方からも督励していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  290. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 平成四年六月の公益法人に関する総務庁勧告では、御指摘のようにさまざまな問題点が指摘をされております。これらにつきましては、今ほども説明員からお答えをいたしましたが、その後真剣な検討が各省庁等でもなされまして、平成五年六月二十五日の公益法人等指導監督連絡会議で公益法人の設立及び指導監督基準の運用について改善の申し合わせを当時いたしまして、各都道府県についてもそれぞれ通知を出したりしているところでございます。  しかし、今も御指摘がございましたように、なおまたさまざまな問題点があるということもそのとおりであろうというふうに思います。何せ膨大な作業でありますから一気にというわけにはまいりませんものの、これからも連絡会議を十分活用しながら、御指摘の点をよく踏まえて十分な検討を行い、公益法人行政の適正な推進についてなお努力をしてまいりたい、このように思う次第であります。
  291. 風間昶

    ○風間昶君 ぜひとも督励をしていただきたいと思います。やっぱり公益法人を見る立場にある総理府が許可とか監督の基準を各省庁に示す以外今回の力もないわけですから、そういう意味では、アメリカのように国税庁が一元的に許可権限を持つような方式、これがいいか悪いかは別にして、具体的に検討すべき時期に私は来ていると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、郵政省に伺います。  テレビの難視聴地域の解消問題で、先ほど中尾委員の方からも、光ファイバーを含めたいわゆる高度情報通信のお話がありましたけれども、むしろ私は、北海道の山合いの中とか、あるいは海沿いのところでまだまだテレビが十分見られないというところがありまして、均衡ある国土の発展という観点から難視聴地域を解消するのは大きなまた重要な課題であるというふうに考えているわけです。  随分前からテレビ放送の難視聴解消に向けては取り組みがなされているようですけれども、具体的にまず現段階におけるNHKと民放の難視聴世帯がどのぐらい残っているのか。それから、難視聴解消に向けて電気通信格差是正事業や衛星放送の受信設備設置制度によって支援を行っていることもこの間教えていただきましたが、難視聴解消を行うに十分な予算があるのかどうか。全国的に難視聴世帯の解消までどのぐらいあと期間がかかるのか。この三つについて教えていただきたいと思います。
  292. 江川晃正

    説明員(江川晃正君) 今どのくらい全国で難視、見にくいところでございますが、難視のところがあるのかというお尋ねにつきましては、平成四年三月に郵政省が調査をいたしました。その数字をベースにその後解消の施策を打ってまいりましたから、その施策などから推計いたしまして、現在、平成五年度末の数字で申し上げますと、難視聴世帯数は、全国でございますが、NHKについてはおよそ五万以上、それから民放についてはおよそ十一万世帯以上と推計いたしております。そして、それらの難視聴世帯を解消していく施策、難視聴解消対策と申しておりますが、先生今御指摘いただきました衛星放送受信対策基金とか、電気通信格差是正事業ということでやってございます。  NHKにつきましては、御指摘の衛星放送受信対策基金という制度でやっておりまして、これは通信放送機構というところに三十億円の基金を積み立てまして、その運用益の一部を使っているというところでございます。平成五年度までに累計で約二億円弱の助成を行ってまいりまして、平成六年度では七千万円程度を予定しているところでございます。  それから、民放テレビの難視解消につきましては、電気通信格差是正事業という枠組みでやっておりますが、平成三年度にでき上がりました施策で、五年度までに累計で十五億円の補助を行っておりまして、平成六年度で約五億円を予定しているところでございます。  それで、そういうことをやって何年で終わるのかという最後の御質問になろうかと思いますが、この手法のみを続けていって本当に先生御指摘の、例えば北海道の山間のあちらの方まで行けるのかどうかというところは多少難しい部分はあろうと思います。  したがいまして、最後には、例えばもっと衛星をいろいろと使い込むとか、CATVのネットワークを使い込むとかなどなどのことも併用してやらなければいけないと考えておりますが、ひとまずただいま申し上げました二つの施策でやっていけるとして、相当の部分まで解消できるなというのが、平成三年度から十年計画で動いておりますので、平成十二年度には相当の部分が一応解消できるのではないかなと期待しているところでございます。
  293. 風間昶

    ○風間昶君 災害などの場合、やはり放送による住民への情報提供が生活者重視社会実現に欠かせないわけですけれども、今の電気通信格差是正事業、この過疎の部分の事業とあわせて高齢者の多い地域の難視聴解消を優先的に実施することができないかなということをあちこちの漁村なりなんかに行って感じたんですけれども、この辺はどうですかね。
  294. 江川晃正

    説明員(江川晃正君) 先生のおっしゃいます要望というのは、確かにいろいろなところであろうかと思います。  それで、難視聴解消事業の対象地域といいますのは、地域住民からの要望に基づきまして地方公共団体において解消すべき地域を定めるわけですが、そういう解消すべき地域の必要性とか緊急性とかを考慮して優先度を定めて毎年度ごとに申請してきているものでありまして、この優先度を定める上で、放送が住民への情報提供の有効な手段であるという認識から御指摘のような点につきましても地方自治体で配慮をしてやっているものと私たちも考えておりますし、また機会あるごとにそういう要望にこたえられるようにしていってほしいということも申し上げていきたいと考えております。
  295. 風間昶

    ○風間昶君 今まさに地域住民の要望を受けて私は伺っているわけですけれども、ぜひお願いしたいと思います。  郵便事業について、地域の振興に地元の郵便局が随分さまざまなアイデアを凝らしてやっております。  北海道の一番北に稚内というところがございます。そこのところに抜海という地域がありまして、そこの海辺でとれた貝殻を張って、それでおもしろ郵便という形で郵便局長さんが工夫されてやっておりますけれども、郵便事業はよく地域振興に取り組んでいるというふうに思います。そういう意味で、手で文字を書くという文化を失わないためにも郵便局の地域振興施策をもっとPRすべきではないかというふうに思っております。  いろんなさまざまなことを、ふるさと小包とかおもしろ郵便とか活き活き情報交流サービスをやられているのは知っておりますが、もう少し付加価値型の郵便を利用してもらうための手段として、私は、郵便番号簿、ぽすたるガイドに付加価値型郵便の通信販売が可能になるような総合カタログをつけるといった方法だとか、あるいは地域の名物だとか何かを写したふるさと切手がございますして、北海道も六月七日にエゾシカを扱った切手がありますけれども、アイデアとしては、電報のようににおいや香りのついた切手とか、あるいはそこの郵便局だけの切手の発行とかということを考えたいと思うんです。  そういう意味で、就任早々、全国の二万四千の郵便局は情報通信ネットワークの国民的基地であって、一生懸命に勉強してお役に立つつもりだというふうにおっしゃった郵政大臣の郵便局の地域振興施策についての御決意をお伺いしたいと思います。
  296. 大出俊

    国務大臣(大出俊君) お答えをいたします。  今、委員お話がございましたように、本来私は、京浜工業地帯の中心の鶴見の郵便局で郵便を何年か配っておりましたり、貯金、保険などの募集から集金から、事故の解決をする、これは監視員という職でございますが、内務事務を含めましてやってきた経験がございます。  かつまた、方々に、私の同年輩ぐらいですけれども、これが特定局でございますから、いまだに同期の何人も地方の特定局長を続けている。今お話がございましたようにたくさんのアイデアがございまして、地域に非常に大きな対国民という意味の根を張っている。  こういうふうにいろんな連絡がとれておりますが、今お話しのふるさと小包の扱いあるいはふるさと風物など代表的な風物を題材としたふるさと切手、ふるさと絵はがきの発行、これはだんだん今ふえてきておりまして、活き活き情報交流サービス、あるいは郵便局の窓口で住民票を申し込むと、区役所とのネットワークができておりまして、そこで住民票がとれる。これも次第にふえてきております。  また、窓口のスペースなどを使いまして、ふるさと物産展というふうなことでいろんな地域の特色のあるものをそろえて物産展を行っている局も出てきています。カルチャー教室であるとかあるいは絵が中心になっている手紙展であるとか、今お話がございました地元の特産、これは特にホタテガイなんというのは、ホタテガイにレターを書いて送るという、これは現にやっておるわけであります。あるいはイカを利用した郵便、片一方はホタテメール、片一方はいかがめーるというのはいかがなものかと思いますけれども、いかがめーるというわけでございます。  いわゆるおもしろ郵便ということになるのでありますが、これはぜひ皆さんのお知恵もいただいて、二万四千のネットワークの中心になっている局でございますから、非常にいいアイデアも今お話しをいただきましたけれども、ぜひもっともっと広げていただきますように、私どもも研究させていただいて、懸命にひとつ対国民という意味の、利益という意味でやっていきたい、こういうふうに思っております。
  297. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。終わります。
  298. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 亀井運輸大臣のアルバイトスチュワーデスについての指摘をめぐって、空の安全のあり方とかあるいは女性の雇用形態のあり方ということが今大きな問題になっております。きょうもスチュワーデスさんとか航空関係の方が大変心配されて傍聴に来られておりますけれども、大臣の発言の二カ月前の航空法の審議のときに、私も大臣の発言の趣旨と同じ立場から警告を発していたところです。  私の質問に対して、運輸省の北田さんは、客室乗務員の重要な任務として、こう答えられました。急減圧等の機械故障、客室に火災が発生した場合、緊急着陸等の緊急事態が発生した場合など旅客の救助、消火活動、緊急脱出など、搭乗者の安全確保にかかわる措置を講じなければならない。つまりスチュワーデス、客室乗務員には保安任務の義務が課せられているということです。  九三年十月からことしの二月のわずか五カ月間にJALだけで客室内の事故は六十一件も報告をされています。空港を離陸して大分たってからですけれども、乗客が雑誌に火をつけたと。ライターも燃やして小爆発が起こった。これを客室乗務員の方が消して適切に処理をしたというようなこともありますが、例えば急病人とかけが人が出るというケースもかなりあり、お客さん同士が傷害事件を起こすというようなときにも、例えば心臓発作を起こした方に人工呼吸をして心肺蘇生をするというようなことで命が助けられたというケースもあるわけです。  このように大変飛行機の中ではいろいろなことが起こるということで、特にアンカレジの事故の際に指摘されたのは、これはがけ下に落ちて大破したんですけれども、脱出に問題がありと。それは十一名のスチュワーデスのうち、初のフライトをしていたスチュワーデスがそのとき五名もいたんだという問題が指摘されて、新人配置の基準がそれ以降変えられたということもあるんです。今度はジャンボの十三人編成で九人もこういうアルバイトを配置しようというような大問題だということで、訓練すればいいんじゃないかというふうな意見も出ていますけれども、訓練するのは言ってみれば当たり前のことなわけです。十分訓練してもらわないと、私たち乗客としては不安でたまらない。  ところが、アルバイトでわずか一年でやめていくということを考えますと、二カ月半訓練をしても、残る期間は九カ月半なんです。そして、これは長くて三年ということですけれども、こういう形で次々と入れかわり、そしてアルバイトでどうして安全が確保できるのかという問題がこの形態の中から起こってくるわけですね。将来的には、現在のスチュワーデスをすべて国際線に持っていって、国内線はほとんどアルバイトで賄おうという考え方だと言われています。これでは私は安全上とても大きな問題が生じてくるということはもう当然で、この点について大臣の考え方をまずお聞きしたいということ。  同時に、雇用形態の問題ですけれども、こういうことがどんどん許されるなら大きな問題となるわけです。リストラ、リストラと言うわけですけれども、工場を縮小するというようなことは全くないんですね。逆にどんどん設備投資を拡大する。路線も便数も増加していくと。そうであれば、人員を恒常的に補充していかなければならないというのが実態だと思うんです。恒常的に必要な人員なわけですから、私はアルバイトではなくて正式採用すべきだというふうに考えるわけですけれども、この点、大臣いかがでしょうか。
  299. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 今、委員が御指摘の点についてお答えしたいと思います。  このたび私ども行政指導をスチュワーデスの確保に関してやりましたことは、委員指摘のように、スチュワーデスは極めて安全要員として重要な役割を果たしておると思います。そうしたスチュワーデスの新規雇用に関して、従来のスチュワーデスとは極端に違った、月々十四、五万円程度の収入にしかならない。女の子が出てきて、なれない仕事について、アパートを借りて生活するのがやっとだというようなそんな労働条件。これも三年間たったらもうそれでお払い箱と。また、事故に遭った場合もその補償について明確なものがない。  そうした極端な格差のあるスチュワーデスに従来のスチュワーデスと一緒に勤務していただくということは、訓練だけではどうにもならない一体感の問題、使命感の問題等についてやはり問題が起きてくると。乗客の安全を考えた場合、スチュワーデスの新規の確保についてはそうしたことについて一体感を損なわない、そうした配慮をすべきだということで行政指導したわけでありまして、今後スチュワーデスの雇用形態が全体としてどうあるべきかということについては、また別な観点から私は検討されるべき問題だと思います。  このたび行政指導をやりましたのは、同じチームの中でそうした極端な差別といってはあれですけれども、そういうことを持ち込むことはやはり問題だという観点から指導したわけでございます。
  300. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 私は、そういう意味では恒常的に必要な人なわけですから、やっぱり正式採用ということで考えるべきだと思うんですけれども、大臣はこの点いかがでしょうか。
  301. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) スチュワーデスにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、事故の際においてはもう独占的にいわば乗客の安全を、身を守るという立場になってこようかと思います。そういう意味では、スチュワーデスのモラルをどう確保するかということは、私は当然必要な視点であると、このように思いますけれども、それがどういう雇用形態がいいのか悪いのかというような問題は、やはりまた別の観点から検討されるべきことだと思います。
  302. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 安全性の観点から大臣が指摘された問題は本当に私は重要な問題だと思いますし、その問題を解決していく道というのはやっぱり正式採用の道だというふうに思いますので、そういう形で進められるべきだということで運輸省としてもきちっとやっていただきたいなというふうに思います。  次に、労働大臣にお尋ねいたします。  今、私は雇用形態のあり方としても大きな問題であるということを指摘したわけですけれども、これも指摘したんですが、一時的に必要な対策ではなくて、もう恒常的にこういう人員というのは必要だと。それにもかかわらず本採用が完全にストップされる、本来必要な人員にアルバイトでどんどんつないでいくという、こういうことが許されていくならば、もうすべての職場がこうなっていいということになるわけで、働く人たちの権利の保障ということもやっぱりなくなっていくと思うんですね。国内線すべてに次々とアルバイトが恒常的に業務についていく。全く同じ仕事をするのにこういうふうになっていく。こういう就業形態が許されるならば不安定雇用というのがふえていく、これに拍車をかけていくことになると思うんですね。こういう問題が一つある。  それからもう一つは、私も働く女性の一人ですけれども、そういう立場からの問題点で指摘したいんですが、一年間契約というのは働く女性の能力をいわば切断する形態だというふうに言わざるを得ないと思うんです。  同時に、国内線をアルバイト化し今までのスチュワーデスを国際線に組み込むということは、今国内線で仕事をされているスチュワーデスさんの実情を考えますと、本当にこれは大問題だと思うんです。子供を育てながら、あるいは病人を抱えながら、親を見ながらということで、国際線の勤務はその勤務形態からいってもう無理だと。国内線勤務をしているそういう人たちが国際線に持っていかれるということになると、こういうことによって働き続けることができない、退職せざるを得ないという問題が起こってくるわけです。現に、そういうことで退職に追いやられたという方もたくさんいるわけで、明らかに女性が働き続ける、そういうことを妨害するという問題にもなるわけで、大臣、この点いかがでしょうか。
  303. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) お答えいたします。  まず、御指摘の件でございますが、日本航空において経営改善の取り組みを行う中で労使間で協議を行いながら検討されておる問題であると承知をしております。  一般論で申しますと、企業がその企業活動を維持するためにどのような労働者を採用するかは基本的には当該企業が自主的に判断するものであると考えております。ただし、労使協定がありまして協議約款がある場合には、これはまた労使で協議をしていただくものでなくてはならないと思っております。  なお、近年、多様な雇用形態で働く労働者が増加する傾向にあるようでありますが、すべての労働者がそれぞれの意欲と能力を十分発揮できるようにすることが重要であると認識をしております。今後ともそのために労働省といたしましては環境整備に努めてまいりたいと思います。
  304. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 私は、大臣の本当のお言葉を聞きたいと思うんですけれども、働く女性の立場からどうかということと、やっぱり大臣も問題にされた若年定年制につながる、三年でもうだめなんだということ自体が憲法違反ということでもう既に問題になっている、そういう問題なんだという点で大臣どうでしょうか。
  305. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) 私がかつて労働組合運動をやっておりますときに、ある企業で、十八歳で採用いたしまして二十五歳で定年になる、いわゆる若年定年制というものが導入をされました。その際、私どもはそれは少しますいんではないかというところで反対をした経験があるということを新聞記者の方にお話をしたわけでございます。そういう経験から言えば、若年定年制ということは雇用制度としては余りよくないんではないかということを申し上げたと思います。
  306. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 こういう問題であるということで、労働省としては、労働大臣としては本当にこの問題は波及が大きいですので考えていただきたいというふうに思います。  安全性の問題、雇用形態の問題にとどまらず、もう一つ重大な問題が労働者派遣法違反という問題としてあります。アルバイトスチュワーデスの採用というのはJALの子会社がやります。これを請負、業務委託とも言いますが、請負でJALの仕事をすると。請負というのは請負先の指揮命令は及ばないわけですね。ところが、JALではこのアルバイトスチュワーデスはパイロットの指揮命令下に及ぶわけです。  ですから、これはもう明らかに請負ではなくて労働者派遣法で派遣になり法違反だということで、これは私運輸委員会でも取り上げ、労働省は調査を約束いたしました。もう二カ月になるんですけれども、結果が出ないのは私大変問題だということで、調査中の結論が出ないうちにこういう重大な問題のあるアルバイトスチュワーデスが採用されるということはあってはならないわけで、この調査、早く出していただきたいと思います。
  307. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) 今、委員からお話がございましたように、労働省といたしましては慎重に今調査中でございます。事務当局の方に私の方からも早く調査するように指示をしておりますので、いずれ調査が完了いたしましたらまた御報告する機会があるんじゃないかと思います。
  308. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 九月中に御報告いただけますね。
  309. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) 今、真剣に慎重に調査をしておりますので、でき次第。
  310. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 また運輸大臣にお尋ねいたしますけれども、コスト削減と言いながら、委員会でも指摘したんですけれども、JALはほかから機材を借りて運航しながら、一方で自社の機材は、四機で八百億もするんですけれども、これをアメリカの砂漠に遊休させている。アルバイトの五億なんてもう問題じゃない金額ですよね。それから、大臣もこれ指摘されていますが、関連事業への投資百十六億円も投資して、さらに赤字のホテルにつき込んでいくというむだ遣いがあると。  それから、長期為替先物予約で八六年から十年間で合計二千億のマイナスということで、これはもう日航の監査報告でも本体の経営に影響を与える、是正すべきと指摘をされて、それを無視してこういう莫大な赤字になっているわけで、こういうことに私はメスを入れなければならないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  311. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 経営がリストラを行う場合、先生いろいろな御指摘がございましたけれども、私はリストラというのはただ単なる人員整理とか給料を下げるとか、これも外科手術的にはもちろん必要な場合があると思いますけれども、基本的には経営体質を強化していく、企画力とか管理能力とか、そういうものをやはりきちっとしていくことがリストラの私は中心的課題だと、このように考えております。  そういう意味では、安全面に影響が及ぶようなことについてリストラを切り込んでいく以前に、やはりそうした問題について私はきちっと経営者はやっていくべきだと、このように考えております。そうして、それでもなお構造的な赤字が出てくる、そういうような問題については国民の納得が得られるという状況の中においては国がこれを税制面、いろいろな面で支援をしていくべきだ。やはりリストラは、安全面にまで影響が及ぶようなところについては極めて私は慎重というよりもそれは避けなければならない、このように考えております。
  312. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 それでは、次に運輸大臣と農水大臣にお尋ねいたしますが、過積載規制に伴う対策の問題です。  この過積載については規制強化され、今大きな問題になっているんですが、これまで定量積載の二、三倍積んでいて、それが規制になった。一台で行けるところが二台、三台ということで、トラック業者の方が運賃、料金にはね返るということで、しかし適正運賃が収受できない、大変だと、深刻な問題になっています。  そして、北海道は今農産物の収穫期ということで車両不足、運賃が上がらざるを得ない、価格に影響を与えるという重大問題があり、北海道の指導漁連など水産関係十二団体の方が本当に大変だと。サケ、鮮ホッケとか、買い控えにより市場内に山積みとなった事例、イワシは昨年より四〇%浜値下げになったと。一層混乱に拍車がかかり、経営が根底から揺るがされるという、こういう陳情がありました。トラック業者、トラック協会の皆さんからも聞きましたが、適正運賃が収受できないと。水産物を挙げましたが、タマネギ、ビート、米、本当に大変なんですね。  私は、運輸、農水両大臣にかかわる重大な問題で、両方の経営基盤が保障できるような対策を講じてほしい、適正運賃が収受できるように各大臣とも密接に連携をして特別の対策を考えていただきたいというふうに思いますので、運輸大臣、農水大臣、それぞれお願いいたします。
  313. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) ただいまの御質問の件は、一方では交通安全にやはり大変重要なかかわり合いを持つ問題でありますので、このことについては荷主、運送業者、また末端の消費者を含めて全体の協力というのが私は不可欠だと、このように考えております。そういう意味では荷主の方を含めてきちっとした理解が得られる、そうした状況をつくるために運輸省としても各省とも協力しながらこれについては対応していきたいと考えております。
  314. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 基本的には運輸大臣のお話のとおりでございますが、関係省のお話し合い等によりましてこの問題についてはある種の前進もございました。運輸省の方で、自動車について事業者間の車両移動の弾力化という点で秋季繁忙期について特別に認めるとか、あるいは自家用車両の有償輸送についても秋季繁忙期について特別な配慮をお願いしたというようなことで、一つ一つ具体的な改善を図っていきたい、さように思っておるところでございます。
  315. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 終わります。
  316. 下村泰

    下村泰君 まず最初に、学校における医療行為についてお伺いいたしますが、現在経管栄養ですとかあるいは導尿、おしっこのことですけれども、医療行為ということになっておりまして、既に以前からそうした医療行為を必要とする子供が学校に通う場合の対応について議論が大分なされております。  国連の国際障害者年行動計画は、障害を持つ人をその人間的なニーズを満たすのに特別の困難を持つ普通の市民ととらえております。これを私なりに学校現場あるいは教育に当てはめて考えますと、学校に子供を合わせるのではなくて子供に合った学校をつくるべきだと思うんですね。  この論法でいくと、まるで戦前の軍隊みたいに洋服に体を合わせろなんて言われたってそうはうまくいくものじゃないんですけれども。  先ほどの医療行為なんですが、導尿や経管栄養は治療としてのものではなくてこれは生活のためのものではないかというふうに考えると、例えばおしっこをすることあるいは栄養をとること、厚生大臣、文部大臣に伺いますけれども、両大臣にとってこれは医療行為ということになりますか、おしっこをすることとかあるいは栄養をとることということが。こういうふうな考え方になるわけですね。  だから、こうした行為が医療行為をしていると言われるために、普通学校へ入学しても養護学校へ行くことになるにしても二時間ごとには必ず処置せにゃいかぬ。そうすると、お母さんとかお父さんとかそういった方々がケアをしなきゃならないということにもなるわけで、本人もあるいは親もお互いに依存しなきゃならないということになるわけなんです。実際に学校ではどうかというと、意外と先生方がおやりになっていらっしゃるのが実情だというふうに承っております。  こういった子どものQOL、すなわちその生活をいかによくするかという視点から考えますと、導尿などに対しては特例的な対応を現実に即して行わなければならないというふうに考えるんですが、厚生、文部両大臣はどういうふうにお考えになりましょうか、お答え願いたいと思います。
  317. 寺松尚

    説明員寺松尚君) 今、先生御指摘の尿道にカテーテルを挿入して行う導尿、あるいは胃や腸にチューブを留置いたしまして、経管栄養というものでございますが、そういう行為は私どもは医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ、人体に危害を及ぼすおそれがあるというような行為であるというものに該当するのではないかと考えておるわけであります。このために、これらの行為を反復、継続する意思を持って行う場合には、医師や看護婦などにより適切に行われるべきものであると、このように考えております。  今、先生御指摘の養護教員の方々の中には看護婦さんの免許を持った方々もいられるやに聞いておりまして、そういう方々によります導尿あるいは経管栄養というようなものは適法ではないかと考えておるわけであります。
  318. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ただいまの先生の御質問と学校教育との関係でございますが、医療的な介護を必要とする児童生徒については、学校が医療機関と密接な連携を図りつつ対応するということが必要であると考えております。  なお、恒常的また常態として医療的介護を必要とする児童生徒については、本来、病院等に入院し病弱養護学校等の教育を受けることが適当であるということを考えております。
  319. 下村泰

    下村泰君 例えば、先ほど厚生省の方がお答えくださいましたけれども、学校に保健婦さんというのがいらっしゃった場合に、そういう方がこれを処置してもいいということになるわけですね。
  320. 寺松尚

    説明員寺松尚君) 今、先生がおっしゃいましたように、看護婦さんとか保健婦さんというような方々によりましてやられる場合には結構ではないかと考えております。
  321. 下村泰

    下村泰君 もう厚生省の方結構です。  そうしますとどうでしょうか、文部大臣、各学校にこういうお子さんのいる場合には、これを周知徹底してそういう方々を配置するということは今後考えられますか。
  322. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生のおっしゃっていることも私、理解できないわけではございませんけれども、学校は教育機関でございまして、子どもの障害の種類と程度に応じて必要とされるさまざまな医療的介護を行えるような医療管理体制を整えるということは大変難しい問題でございます。
  323. 下村泰

    下村泰君 そういうところなんですね、実は。例えば厚生省と文部省と、そういうことの連絡をお互いにとり合ってくださって、現場においてそういう処置は幾らでもできるんじゃないかということはもう毎回申し上げて、とにかく日本の役所というのは縦割り行政はしっかりしていますが横の連絡がまるでないんですね。やくざと同じなんです、いつも言うように。隣同士が手をつながないんだ。何回もそういうことは申し上げているんですが、どうですか、厚生大臣。
  324. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 先生のおっしゃることも私わからないわけじゃございませんが、先ほど私どもの局長が御答弁申し上げましたように、先生の今の御提案は人体に危害を及ぼすおそれのある行為に該当するという考え方に立っておりますから、やはり養護の先生が看護婦さんとかあるいは准看護婦さんの資格を持っていただきたいなと、こんなふうに思っておるところであります。
  325. 下村泰

    下村泰君 これはイタチごっこになりますからもうやめますけれども、こういうことはしかし大臣同士でちょいとお話し合いになってある程度幾らでもカバーできるんじゃないかと思いますけれども、もうこれ以上聞きません。  次は、神経難病の方々への介護のあり方について伺います。  進行性の筋ジストロフィーとか進行性の筋萎縮症、側索硬化症などという難病の方々が、これが進行しますと二十四時間の介護が必要となります。それを現在は家庭が担っているわけなんですが、ホームヘルパーあるいは訪問看護制度の充実を国としては言われているんですけれども、現在のところほとんど機能していないのが現状です。行政が派遣するためには、マンパワーの確保を待ってしかも家族の生活保障も同時に成り立つようでなければならないわけなんですが、その意味で介護体制を整える一つの方法として、患者家族がケアをする場合に仕事をやめてつかなければならないわけなんです。ですから、生活保障をするという必要があると思うんです。  また、家族がほかに介護人を確保する場合はその費用を補助するような方法もあっていいと思うんですが、こうした二十四時間のケアを必要とする人々への対応について厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。また、今申し上げました二つの方法についてのお考えもあわせて伺いたいと思います。
  326. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えいたします。  在宅で療養されている難病患者については、平成六年度予算においても地域保健医療の推進という観点から、従来から行ってきた訪問診療事業を全都道府県に拡大して実施するとともに、新たに神経・筋難病患者等の緊急一時入院事業を創設するなど、施策の充実を図ってきたところでございます。  また医療保険においては、本年四月の診療報酬改定で在宅患者に対する継続的な医学的管理や患者等からの相談への二十四時間対応を評価する在宅時医学管理料を創設いたしました。  また本年十月からは、訪問看護事業の対象を難病患者等に拡大するとともに、特に神経・筋難病の患者については回数制限を撤廃するなどの措置を講ずることとしております。  また福祉においては、重度の身体上の障害等のため日常生活を営むのに支障のある身体障害者の家庭等に対しホームヘルパーを派遣する制度を設けているところでございます。  今後の難病対策のあり方については、現在公衆衛生審議会の難病対策専門委員会において検討を行っているところでございまして、その御意見も踏まえて総合的な対策を推進してまいりたいと考えております。
  327. 下村泰

    下村泰君 よろしくお願いします。  次に、有料道路の料金割引について伺いますが、今般、有料道路の料金割引の対象が拡大されまして、自分で運転できない重度の身体障害及び知的障害の人で介護者が運転する場合も適用されることになりました。これは大変ありがたいことで、当事者にとっては最大の福音です。今までそれがなかったんで、通勤あるいは通学、あるいは通院、通所、こういうことで随分悩んでいる方々がいらっしゃいましたけれども、これは大変この方々にとっては幸せなことになった、こういうことなんです。  ところが、どうもお役所のやることはどこか手抜かりがございまして、喜ぶ一方に嘆かわしいことも出てまいりまして、実は車が一台に限定されるわけなんです。一台に限定されるというのは、例えばこれを通勤に使っているとすればナンバーか何かを全部登録されるわけですね。これを何かの理由でほかの方に送ってもらうとなると、この車でしか動けないわけで、ほかの車に乗って帰ってくるということはできないわけなんです。こういう不便さが出てくるんです。  こういう方々というのはいろんな方々がまた世話をしてくださったりなんかするものですから、いつでもその車というわけにはいかないということもあるわけなんです。一台限定というのはどうもそこのところが、むしろ仏つくって魂が入ってないような困り方なんですね、利用する方々は。この制度の趣旨が必ずしも生かされているとは思えないんです。  それから、重度の知的障害とされましたけれども、知的障害の場合、重度も軽度も状況は同じように介護者の運転が必要なんです。その点どうかということです。本当に軽い知的障害の方々は御自分で運転免許を持っている方もいますけれども、そういう極度に軽い方と普通に言われる知的障害の軽い方というのとは重度の差はそう余りないと思います。  さらに、これは指摘だけにとどめておきますけれども、無人のチケット機械の場合があります。中にはこれが取れない障害を持ったドライバーが多いわけです。チケットがこう出てきますね、あれに手が届かない方もいるんですよ。そういう方もあるんで、こういうのは何とかカバーしていただけないかなということの、これはお願いなんでございますけれども。  その介護の運転が必要だということについて今申し上げましたような不便さがあるわけなんですが、これをどういうふうに建設大臣の方はお考えでしょうか、お聞かせ願えれば幸いです。
  328. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) お答え申し上げます。  先生が今おっしゃったように、現在は、肢体不自由者の方が運転される場合のみに割引料金を適用しておりましたが、お示しがありましたようにその割引料金の対象者を拡大するということにしました。例えば、今までは肢体不自由だけだったけれども、目が悪かったり、耳が聞こえなかったり、あるいは精神薄弱、そういう方々にも適用しようということは今お褒めいただいたわけでありますが、それはいいんですが、その次が問題です。  いわゆる自動車登録制による、だから一台だけに限るのじゃないか、こういう御指摘でございます。そうすれば、目が悪いとか体の調子が悪いとかというと、介護を要する人は他の人が運転してもそれはいいんですが、問題は自動車の種類によるんですね。その種類についてはいろいろな議論をしておりましたけれども、日常それを使用しておるという、また介護者の方々がしょっちゅうかわるということではなしに、かわった場合もその自動車をお使いいただいて、こんなことを言うとしかられるかもしれませんが、悪用されないように、まじめにそういうことをやってもらうために当面まず試行的に実施をして、状況を眺めてさらに判断をしたい、こういうふうに考えておりますので、まず一段階ずつ間違いなく実施をしていこう、こういうふうに考えておる次第です。
  329. 下村泰

    下村泰君 通知によりますと、事務所へ参りまして障害者手帳を出せば、そこで五〇%割引のチケットがいただけるというふうになっておるんですが、その場合でもやはり決められた車を使わなきゃならぬ、こういうことになりますか。
  330. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) お答えします。  身体障害者の手帳に自動車の登録番号を載せていただいて、その番号を示してもらってその自動車を確認するという方式をとることとしております。
  331. 下村泰

    下村泰君 そうしますと、先ほど私が申し上げましたような、幾らか緩やかにしてある程度の幅を持たせるというようなことは当分できませんね。
  332. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) いろいろ議論がありましたけれども、有料道路を枠拡大をやるわけですから、当面登録者番号で進めていこう、その方が整々として間違いないだろうと。初めからその他大勢ということになりますと、番号証を借りてやる場合というようなこともあるので、善意の方ばかりですからそういうことはないんだという判断も一つの見識でありますけれども、まず枠を広げて、介護者運転の場合も認めて、自動車は登録のある一台に限るということをとりあえず進めるということに決めました。
  333. 下村泰

    下村泰君 行く行くはひとつ幅をつけてください。お願いします。  今度はLD児の方々の就労問題についてお伺いしたいと思いますけれども、私はもう八年も前からこの学習障害児の問題を取り上げてきました。  この子たちがやがて今に就職するようになりますよ、就職する時期になったらどういうふうになさるんですか、労働省としてはやがて差し迫って困り果てる問題になりますよということはもう前々から申し上げてきたんですけれども、こういうお子さんたちの就労問題に対して労働省は果たしてどういうふうな対応をなさるのか、果たしてやる気があるのかないのか。労働大臣は私と御一緒に社労問題をさんざんやってきたんですから、委員会で。お互いにビルマの戦友でもありますし、ここらでひとついい回答を出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  334. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) お答えいたします。  いわゆる学習障害を持つ方々につきましては、職業につくことが困難な方もおられると伺っております。こうした方々の雇用の場を確保するためには、一人一人の職業上の問題点を把握いたしまして、適切な職業が選択されるようにきめ細かな相談、援助を行うことが必要だと考えております。このため、公共職業安定所におきましては、きめ細かな職業指導、職業紹介を行うほか、必要に応じて地域障害者職業センターと連携をいたしまして各職業リハビリテーションを行い、その就職の促進に努めているところでございます。  議員のお話では、一歩進んだ対策をと、こういうお話なんですが、今後の問題につきましては、必ずしも満足のいくお答えかどうかわかりませんが、その範囲や判定方法について文部省や厚生省で進められておる研究の結果なども踏まえつつ、労働省としても学習障害を持つ方々が就職する上での問題点や事業所における必要な配慮などについて調査研究を行いまして、こうした方々の雇用の促進に努めてまいりたいと思います。
  335. 下村泰

    下村泰君 一言だけ言っておしまいにさせてください。  労働大臣に申し上げておきますけれども、現場の職業紹介所やその他では一生懸命やってくださっているんですよ、出先では。ですから、本省の方がもう少し本腰を入れてやっていただきたい、こういうことを申し上げておきます。ありがとうございます。
  336. 翫正敏

    ○翫正敏君 翫正敏です。  さきの本委員会におきまして、私は五十嵐官房長官にルワンダ周辺のザイールなどへの自衛隊の派遣について反対する立場から質問いたしました。特に、装甲車や機関銃、自動小銃などで武装した自衛隊の部隊をルワンダ周辺のザイールなど数カ国へ派遣するなどということはとんでもないことであるということで反対を申し上げたわけでありますが、過日このことが決定されたということで、非常に残念であり、また今回改めて抗議を申し上げたいというふうに思うんです。  ところで、五十嵐官房長官、午前中に村山総理から、今度自衛隊が部隊として機関銃などを持って派遣されるザイールなどの周辺諸国との間に派遣に当たっての協定を結ぶという、こういう答弁がございましたが、協定というものの内容とか性格について簡単に説明してください。
  337. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) お答え申し上げます。  PKOの派遣に際しましても関係国との間で取り決めをつくっておりますが、従来PKOの場合におきましては、通常口上書の交換という形で我が国がどのような要員あるいは部隊を派遣するかということを通告いたしまして、相手国、受け入れ国でございますが、そちらの方からこれに同意するという返事をいただいております。  人道的な支援につきましては、国際平和協力法のもとで行いますのは御承知のとおり今回が初めてでございますが、PKOの先例を参考にいたしまして、今関係国と話をしているところでございます。
  338. 翫正敏

    ○翫正敏君 カンボジアへ自衛隊が派遣された前例でいきますと、このときには国連のPKO、つまりUNTACの権限というものが非常に明文化されておりまして、そしてカンボジアの最高国民評議会、SNCが唯一の政府であるということをうたって、そして紛争四派の明示をしながら、   すべての警察は、法律及び秩序が効果的かつ公平に維持されること並びに人権及び基本的自由が十分に擁護されることを確保するため、UNTACの監督及び管理の下に活動する。UNTACは、SNCと協議の上、このような目的の達成を確保するために必要な範囲内で、カンボディアの全地域にわたって他の法の執行及び司法上の手続を監督する。 このようなことがパリ和平協定の中の部分に書かれているわけです。  つまり、警察とか司法とかということについては、これは国連PKO、つまりカンボジアではUNTACがこれを行うということだったんですけれども、今度の場合自衛隊は機関銃とか自動小銃で武装して派遣されるわけです。つまり、他の主権国ですね、ザイールということで言えばザイールの国の中でそういうふうな活動をするわけですけれども、警察権とか裁判権とかいうようなものについての協定は、例えばザイール国その他の周辺すべての国に当たりますが、こういう国とは結ばないんですか。
  339. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) 今、翫先生おっしゃいましたとおり、ザイールに派遣される場合はザイールの主権のもとに派遣されるわけでございますから、ザイールの同意を得るということで今話をしているところでございます。  ただ、UNTAC、カンボジアのPKOの場合には御承知のとおり大変多岐にわたる活動を行っておったわけでございますが、今回は人道援助ということでございまして、難民高等弁務官、UNHCRの調整のもとで各国から部隊、あるいはNGOが派遣されていることもございますけれども、各国からの要員あるいは部隊がザイールならザイールの同意のもとで活動するということでございます。  したがいまして、いずれにしてもこれはザイールの同意をいただいた上で活動するということでございます。
  340. 翫正敏

    ○翫正敏君 カンボジアにおきましても人身事故がありましたけれども、今度そういうことがあってはならないんですけれども、武器、特に機関銃、自動小銃を持っていくわけですから事故が絶対起きないということは言えないと思いますが、そういう場合の警察権とか裁判権、そういうものはすべてザイールの場合にはザイールの国にそれがある、そういうふうに理解すればよろしいんですか。
  341. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) 現在話をしておりますので、取り決めの中にどの程度書くかということはまだ確たることは申し上げられませんけれども、一般論といたしまして、軍隊がある国に、受け入れ国の同意のもとでその国にある場合におきましては、一般国際法上軍隊はその裁判権等からは免除されるというのが慣習法として確立されているところでございます。
  342. 翫正敏

    ○翫正敏君 じゃ、協定など一切結ばなくても、自衛隊の隊員が車両とか、それから武器とかそういうものによって人身等の事故を現地の人やその他の人に与えるということがあっても、その警察権とかそれから裁判権というものは、すべてそういうものは日本の国に所属すると、こういうことになるんですか。それでいいですか。
  343. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) 軍隊の地位につきましては、一般的には派遣国の管轄権のもとにあるということが言えると存じます。具体的な場合に応じましていろいろ話し合う必要はあろうかと思いますけれども、一般論としてはそのように言えるものと思います。
  344. 翫正敏

    ○翫正敏君 人道援助ということで、今度は国連の活動のもとに国連の要請によって行くということではございませんので、我が国の判断で派遣し、我が国の判断であるときには撤退もするという、こういうぐあいになるわけなんですが、そういうときに、派遣する国との間に単に口上書によって受け入れをします、来てください、来てもよろしいというそういう口上書による同意だけで、そのような事故が起こった場合どうするかとかということを一切協定を行わずに日本の自衛隊を派遣するということは、それはさまざまな点で今後問題を生ずるのではないかと思います。  これは官房長官が管轄されて派遣されるんだと思いますが、どういうふうにお考えでしょうか。そういうことでよろしいとお考えですか。──ちょっと待ってください。もうさっき聞きましたから、いいという判断をされたんですから、大臣、どうですか。柳井さんはいいと言われたんですから。
  345. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 今の質問は、今までの御質問あるいはそれに対する答弁、そういう上に立っての新しい質問でありますので、とりあえずまず政府委員からお答えさせます。
  346. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) 最後のお尋ねに関しまして一点だけ確認をさせていただきたいと存じますが、今回の派遣は我が国独自の判断ということではございませんで、難民高等弁務官からの要請に基づきまして、これに応ずるということは我が国が判断をしたわけでございますけれども、もとは難民高等弁務官からの要請がございまして、これに応ずるという形で派遣されるものでございます。  また、これまでいろいろな国の部隊も派遣されておりますので、そのときのザイール等受け入れ国における取り扱いぶり等につきましても、難民高等弁務官といろいろ調整をしながら遺漏なきを期してまいりたいというふうに考えております。
  347. 翫正敏

    ○翫正敏君 大臣、例えばザイールですが、ザイールと難民高等弁務官事務所、それから日本国というこういう関係になるとしますと、それぞれでそういう私が先ほどから指摘しておりますような協定によって、いわゆる自衛隊の他国における地位の協定みたいなものですね、性格上そうだと思いますが、そういうものを結ぶという考え政治的にはないというふうに承ってよろしいですか。
  348. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) こういう問題の処理につきましてはいろいろなやり方があると存じますが、一つは、おっしゃいますような多国間と申しますか、多角的な取り決めによって処理するということも一つ考えであると思います。  ただ、今回のような、比較的短期になると思いますが、そういうような人道援助の場合につきましては、必ずしも多国間の協定をつくるということではなくて、難民高等弁務官と受け入れ国との間の話し合い、さらに派遣国と受け入れ国との間の話し合いというような形で個別に処理をしているようでございます。今までザイールにもかなりの国の部隊が出ておりますが、特に多国間のものはつくっておりません。
  349. 翫正敏

    ○翫正敏君 日本の場合は他国において武力行使をしないということが、私は自衛隊そのものが憲法違反であると考えておりますが、そのことはともかくとして、政府憲法の解釈からいいましても、他国において武力行使をしてはならない、これは憲法違反である、こういうことになっていますね。ですから、ほかの国のいわゆるフランスやアメリカの軍隊がやっているのと同じというわけにはいかないはずであります。  そのことから考えて、日本の自衛隊は他の国の軍隊とは、国際法上はいざ知らず、少なくとも国内法上の問題点としては違うという観点に立って明確な、特に今度の場合は機関銃とか自動小銃とかそういうものを持っていくわけですから、使わないということを願っておりますけれども、そういう状態を願っておりますが、そういうものを持っていく以上、やはりこれは協定というようなものを結んで、地位とか、そういう場合どうなるのかということを明確にすべきだと私は思いますが、大臣、政治的なこととして考慮されるかされないか、そのことだけお答えください。
  350. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 今、説明員からずっと説明したとおりでございます。  国連難民高等弁務官を中心にこれらに関してはそれぞれ調整をいただいているわけでありますが、二十一日に先遣隊とあわせて今回、玉沢防衛庁長官も現地に入ることになっております。もちろん既にこれらに関するさまざまな話し合いというのは進んでいるわけでありますし、また従前フランスやあるいはアメリカのそれぞれ軍が入っての経験というものもあるわけでありますから、それらも踏まえつつ、我々といたしましても御趣旨のような点もよく体しながら万全を期してまいりたい、こういうぐあいに思います。
  351. 翫正敏

    ○翫正敏君 アメリカ軍やフランス軍と日本の自衛隊は違うということだけ申し上げておきたいと思います。  きょうは主には河野副総理質問しようと思って準備してきたんですが、もう時間がなくなってきたのでありますが、河野副総理自民党の総裁をしておられますのでお聞きします。  仄聞するところによると、自民党としては憲法改定、自民党の立場からいえば改正かもしれませんが、そういうことについては凍結をしたと、このように最近聞いたことがあるんですけれども、こういう方針になったんでしょうか。
  352. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) どういうふうに申し上げていいか迷っておりますが、ちょっと前置き長くなるのを申しわけありませんがお許しをいただいて。  そもそも自由民主党という政党が昭和三十年の十一月に、「党の使命」あるいは「党の政綱」というような二つの文書、まだ幾つかたくさんあるわけですが、その中の二つの文書の中で自主憲法の制定ということを言ったわけですね。これはもう先生よく御存じのとおり、例えば「党の政綱」の中では独立体制の整備、昭和三十年のことでございますから、独立体制の整備という項目を挙げて、「平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主的改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行なう。」と、こういったような文章を書いております。それから「党の使命」の中にも、独立体制の整備という視点に立って自主憲法の制定をうたっているわけでございます。  しかし、それ以来もう三十数年が経過をして、歴代の総理・総裁、自由民主党から選ばれた総理大臣もこの自主憲法制定に意欲を燃やされた時期もございましたが、そうでない方もおられ、それは国民の中で憲法問題について非常に関心が高まったりあるいはそうでなかったり、国際情勢の変化、国内的な変化もあったと思います。そういう国内外の情勢なども見きわめながら、時に総理大臣になられた自民党総裁であっても、私の内閣では憲法改正政治課題にはいたしませんとか、そういうことを言われた方も何人かおられました。最近では、国内の憲法論議についてどちらかというと国民の中に定着してきたという認識を述べられた方もいらっしゃいます。  しかし、昨年一時憲法論議というのが少し盛んになった時期がございまして、この時期に党の執行部が、自民党内にはずっと前からございます憲法調査会、自民党の憲法調査会に国民的論議をもう一度やるべしというような、やってみてはどうかというような提案をされて、当時憲法調査会の会長でございました栗原祐幸衆議院議員は、党の憲法調査会をかなり頻繁に開かれまして、そこで中間報告というのを出されました。  その中間報告の中では、憲法論議を喚起して国民的論議に高めることが今求められているという意見がその中に述べられているわけです。しかし、憲法見直しを行う上で国民各界各層の参加を求めることが必須条件だということをここでは言われているわけでございます。いずれにしても、点検すべき事項についてはさらに深く論議を行い、内閣あるいは国会の議論に資するようにしていく必要があるということで集約をしておられて、具体的にそこで今何をしようという、今どの点についてどうしようということは述べられておりません。  長くなって恐縮でございますが、先生御指摘の凍結したのではないかというお尋ねは恐らく、自民党内にございます二十一世紀委員会という二十一世紀をにらんでいろいろな政策の点検をしようという組織がございますが、その中で、これは二十一世紀委員会は石原慎太郎さんが委員長でございましたが、石原委員長のもとでいろいろ議論があって、その中で憲法論議についても議論がございました。その中で石原委員長は、九条の問題はしばらく横に置いて他の部分について議論をすると。つまり、憲法改正論議をするといつも九条かということになるから、ここは九条はむしろ横に置いて、その他の部分について議論をするという方法も必要ではないかという提言をしておられるということだと思います。  この二十一世紀委員会のそうした提言は党の中でさらに議論を深めるということを考えておりまして、この問題が直ちに党の方針とかということになっているわけではございません。
  353. 翫正敏

    ○翫正敏君 終わります。
  354. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 他に御発言もなければ、平成三年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  355. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 御異議ないと認めます。  これより平成三年度決算外二件について討論に入ります。  平成三年度決算の議決案はお手元に配付のとおりでございます。  なお、内閣に対する警告案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。  案文を朗読いたします。     議決案  一、本件決算は、これを是認する。  二、内閣に対し、次のとおり警告する。  (一) 平成三年度の一般会計税収は、バブル崩壊の影響等により、当初予算額に対し一兆九千五百億円の減収となっており、さらに、平成四年度には八兆五百億円、平成五年度も七兆一千七百億円の減収と、連年にわたり税収決算額が当初予算額を大幅に下回る税収の見積り違いが生じたことにより、その後の財政運営に支障を来していることは誠に遺憾である。    政府は、今後、可能な限り正確な経済見通しの策定に努めるとともに、有効な資料の収集や適切な見積り方法により、税収見積りの精度向上に更に努力すべきである。  (二) 公立の義務教育諸学校の教職員給与費等に対する国庫負担金について、事業主体である都道府県が教職員の実数や標準定数を誤って算定したことなどにより、連年、過大に交付されていることは誠に遺憾である。    政府は、義務教育費国庫負担金等の算定誤りの原因を究明し、都道府県に対してこれを踏まえた指導の徹底を図り、今後このような事態が生じないよう関係事務の適正化に努めるべきである。  (三) 国民年金の保険料について、収納未済額、不納欠損額が毎年度多額に上っており、殊に、国民健康保険の保険料は納付するが国民年金の保険料は納付しない者が相当数見受けられる状況にあることは、国民年金制度の健全な運営の観点から看過できない。    政府は、国民年金制度に対する国民理解をなお一層深める努力をするとともに、保険料の収納に当たっては、市町村において国民健康保険との連携を図りつつ国民年金の保険料未納者に対して積極的な納付督励を行うよう指導するなど、国民年金の未納保険料の解消に一層努力すべきである。  (四) 我が国に緊急輸入された米の一部に、異物の混入やカビ・異臭等の発生が見られるという事態が生じ、輸入米の安全性に対する国民の不安を生じさせたことは遺憾である。政府は、輸入米の安全性に関して、輸出国に協力を求めるとともに、検疫の強化及び精米、流通等の各段階でのチェックに努め、いやしくも不純物、汚染米が、国民の口に入ることのないよう万全の措置を講ずべきである。  (五) 公共工事入札契約をめぐるいわゆるゼネコン汚職事件の発生によって、公共事業に対する国民の不信を招いたことは極めて遺憾であり、地方公共団体に対する指導及び建設業界に対する指導監督をはじめとして政府はその責任を厳しく反省すべきである。    政府は、建設業界事業活動の適正化を図るとともに、公共工事入札契約手続について透明性・客観性を高めるなどのため、本年一月に策定された「公共事業入札契約手続改善に関する行動計画」に基づき、実効ある改革を行い、もって、公共工事をめぐる不祥事件の再発防止に努め、国民信頼回復に全力を尽くすべきである。  (六) 国の補助事業地方公共団体が発注した公共工事に関して、近年、設計業務を委託された設計コンサルタントの成果物に対する審査が不十分なまま施工された結果、構造物が不安定な状態となっている事例が見受けられることは遺憾である。    政府は、設計業務の外部委託に係る設計計算書及び図面等に対する地方公共団体の審査体制が確立されるよう、その指導等に努めるべきである。  以上であります。  それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  356. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 私は、日本共産党を代表して、平成三年度決算外二件について、これを是認することに反対の討論を行います。  反対理由の第一は、十年連続増額の軍事費、戦略援助的性格を強めているODA、日米構造協議で大幅増額を約束した公共事業費の増額など、アメリカと財界の要求を優先し、国民本位の財政構造となっていないことです。新中期防初年度に当たる三年度は、これまでの軍拡の口実であったソ連の脅威がなくなったもとでも前年度比五・五%増と突出しており、在日米軍のための思いやり予算は、ブッシュ大統領が海部総理に直接新たな負担増を要求したために、前年度比五・七%増と異常に膨らんでいます。公共事業費も、日米構造協議で約束した十年間で四百三十兆円の公共事業計画の初年度という位置づけから、大企業本位の事業を中心に前年度比五%増と大幅にふえているのです。  反対理由の第二は、その一方で、老人医療自己負担の大幅引き上げ、児童手当の支給期間の短縮、生活保護費の連続大幅削減など、福祉と国民生活を直撃するものとなっていることです。老人医療費の患者負担の増額によって年間一千億円が新たな高齢者の負担となり、病院にかかりたくてもかかれない高齢者をさらに生み出しています。生活保護費を三百四十六億、前年度比三・一%も削減したことは受給者を切り捨てるということであり、窓口での申請拒否や、保護を必要とする人までも打ち切るやり方が自殺者まで出し、社会問題となりました。消費税も、廃止の国民世論に耳をかさないばかりか、せめて生活必需品の非課税をという要求も無視したのです。  第三に、バブルが崩壊し、日本経済が深刻な不況に突入することがはっきりとしてきた時期にもかかわらず、国民の懐を温かくするための本当の景気対策を全く講じようとしなかったことです。大企業中心の公共事業や軍事費増大の予算をただ執行し、戦後最悪の不況と呼ばれる今日の事態を招いた政府責任は重大と言わなければなりません。  第四に、五年ぶりに税収がマイナスとなった時点で組まれた補正予算も、生活保護費五百七十二億円など国民生活関連予算の大幅なカット、建設国債の発行などによって切り抜けようとし、その一方で防衛庁関係費五百三十九億円の増額をするなど、一層国民生活を圧迫するものであり、到底是認できるものではありません。  以上が本決算について是認できない理由です。  この際、警告決議について一言申し添えます。  決議案(二)の教職員給与費等に対する国庫負担金について、教職員の実数や標準定数を誤って算定し、過大に交付されているという指摘ですが、本来、都道府県が措置する教職員の給与費等の二分の一を国庫負担することになっているにもかかわらず、算定に当たってさまざまな制限を課し、実質的には二分の一をどんどん切り下げているのが実態です。このことを見過ごした指摘をすることには私どもは賛成できません。しかし、警告決議は全体として賛成するものであることを明らかにして、私の討論を終わります。
  357. 守住有信

    守住有信君 私は、自由民主党を代表して、平成三年度決算外二件に対し、これを是認することに賛成するとともに、委員長提案の警告案に賛成の意思を表明するものであります。  是認に賛成する第一の理由は、平成三年度における我が国経済財政運営がおおむね適切であったことであります。  我が国経済は、昭和六十一年十一月を底とする長期にわたる景気上昇を続けた後、平成三年度に入って後退局面を迎えましたが、この間、いわゆるバブルの発生、崩壊という現象を戦後初めて経験しました。ところが、今でこそバブルの発生とその崩壊による経済的影響の大きさは常識となっており、政府としてもまさに今後の重要な教訓とすべきものでありますが、平成三年度予算編成時等においてこのことを正確に見通すことは非常に困難な面があったこともまた事実であります。  そうした中で、平成三年度については、実質経済成長率で三・六%を確保するなど経済活動の水準はなお依然として高く、労働力需給は引き締まり基調で推移し、消費者物価の上昇率も対前年度で二・八%の上昇にとどまっております。また、景気に対しては、経済実態以上に企業家等の心理が冷え込み、国民経済に悪影響が及ばぬよう、年度末には緊急経済対策を決定し実施しております。  賛成する第二の理由は、大幅な税収増となった前年度までとは異なり、厳しい税収動向の中にあって、平成三年度は真に必要な財政需要に適切に対応しつつ、公債依存度の引き下げを達成したことであります。  我が国財政は、平成二年度において特例公債依存体質からの脱却を実現しましたが、歳出の徹底した節減合理化等により、平成三年度においても引き続き特例公債を発行することなく予算を編成し実行しました。また、建設公債についても可能な限り発行額を縮減し、平成三年度の公債依存度は前年度の一〇・六%から九・五%に低下しております。  賛成する第三の理由は、国民が豊かさを実感できる経済社会実現に向けた基盤整備を着実に進めたことであります。  平成三年度は二十一世紀に向けた社会資本整備の指針となる公共投資基本計画の初年度に当たりますが、予算においても生活関連重点化枠などを通じ、下水道、環境衛生、公園など、国民生活の質の向上に結びつく分野に重点を置いて社会資本の着実な整備が図られました。また、高齢者が安心して生涯を過ごせるよう保健福祉サービスの充実を図る高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランも着実な成果を上げております。  以上、三点に絞って賛成の理由を述べましたが、財政執行上の個々の問題につきましては、会計検査院から指摘された事項のほか、本委員会審査の中でも反省ないし留意すべき点の指摘がありました。政府は、これらの指摘を真摯に踏まえ、今後一層財政の効率化及び行政の適正化に努め、国民の信託にこたえていくよう強く要請いたします。  最後に、決算の議決について一言申し上げます。  当参議院においては、昭和六十一年度決算以来五カ年度にわたり、決算を是認しないと議決するのみで警告決議は行いませんでした。しかし、国会における決算審査は、国会の議決により成立した予算及び関係法律について政府執行が適正かつ効果的、効率的なものであったか否かを検討し、誤りがあればこれを正すとともに、将来の財政運営等の改善に役立てることにその目的があります。  そうした意味で、我が党は、従来から決算審査の場に政治的な対立を持ち込むべきではなく、専ら政治的思惑によって決算を否認することは決算審査の意義を失わせるものであることを、不肖私も自由民主党の代表として、当決算委員会だけでなく本会議においても強く主張してまいりました。  本委員会における決算審査を踏まえ、政府に対し財政監督、行政監督の実を上げるためには、決算の内容がずさんであるとか予算執行に重大な非違がない限り、決算自体は是としつつ、審査の過程で明らかになった具体的な改善点について政府に対し警告決議を行うということが重要であると考えます。  このことを最後に申し上げまして、私の賛成討論を終わります。
  358. 今井澄

    ○今井澄君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成三年度決算外二件に対し、その是認に賛成するととももに、委員長提案の警告案に賛成する旨の討論を行います。  我が党は、これまで決算の是認に反対してまいりましたが、今回賛成に至った理由についてまず申し述べたいと思います。  本院の決算議決において、我が党は、その是認には反対するものの、政府予算支出の非効率性や政策遂行上の問題点について、全会一致による内閣への警告決議という形でその改善を迫ってまいりました。  そうした中、平成元年の参議院通常選挙における当時の与野党の議席数の逆転の結果、第百十六回国会において昭和六十一年度決算が憲政史上初めて本院で否決されたことは記憶に新しいところであります。  その審議の中で、我が党を含む当時の野党は、決算を是認するか否かにかかわらず、委員会審査の集約として政府の財政運営等の問題点を警告として議決すべきであると強く主張いたしましたが、自由民主党から、決算を是認しないときは警告は行うべきではないとの意見が示され、結局、全会一致をもってする警告決議は日の目を見ることができなかったのであります。その後、平成二年度の決算の議決まで実に五カ年度にわたり同じ状況が続いていることは極めて残念なことであります。  国の決算を否認するという本院の議決は内閣にとって極めて重いものであり、本委員会で海部、宮澤両総理もまことに遺憾である旨の答弁をしております。しかし、本院で警告なしに決算の否認議決を繰り返しても、目に見える形で是正、改善の効果を与え得ていないという事実に我々は思いをいたさざるを得ないのであります。  一方、昨年夏の細川連立政権の発足以降、政府・与党の一角を占めるに至った我が党は、予算編成及びその後の執行に重大な責任を負っており、殊に村山総理を首班とする現政権を支える与党として、国民にとってより一層望ましい予算執行及び行政運営が行われるよう、その責任を果たしていかなければなりません。  こうしたことを考え合わせると、議題となっている平成三年度決算の是認に賛成し、予算執行及び行政運営等の改善を求めるために警告決議を行うことこそが重要であると判断したのであります。  それでは、三年度決算関係する具体的事項について我が党の所見を申し述べます。  第一に、政府の財政運営についてであります。  平成三年度においては、バブル崩壊の影響により経済情勢が極めて不安定となり、景気の先行きを心配する国民の声が日増しにふえていたにもかかわらず、政府は景気判断を誤り、年度末になってようやく緊急経済対策を決定したことなど、機動的な財政運営を怠り、その後の景気の調整過程を深刻化、長期化させたと言わざるを得ません。  複雑きわまりない経済の動きを的確に見通すことは至難のわざと認めつつも、今後は、経済の先行きを十分に把握し、タイムリーな経済対策が講じられるよう、政府において一層努力すべきであります。  さらに、三年度、四年度、五年度と合わせ十七兆円もの税収の見積もり違いは、その後の財政運営に重大な支障を生じており、次年度以降の予算編成に当たっては、経済見通しや税収の見積もり方法に工夫改善を加え、その精度の向上にさらに努力すべきであります。  第二に、公共工事入札契約をめぐるゼネコン汚職に関してであります。  公共工事に絡む一連の不祥事件の発生により、政官業の癒着構造が明らかとなり、国民の不信を招き、政治に対する信頼を揺るがせたことは極めて遺憾であります。  これを契機に、政府は一丸となって公共工事に関する入札契約制度の実効ある改革に努め、再びこのような不祥事が起きぬよう万全の措置を講じ、国民信頼回復に全力を尽くすべきであります。  第三に、財政執行の個別的な事項についてであります。  三年度の検査院の検査報告においてももろもろの事項について指摘がなされておりますが、政府においては、これを真摯に受けとめ、事態の改善に取り組むべきであります。  三年度の決算審査において、我が党の委員から、柔道整復師による不正な保険請求、地球環境基金の助成団体選定の不明朗さ、米軍車両有料道路通行証の不正使用等について質疑がなされ、その是正、改善を求めたところであります。とりわけ、最近見逃すことができない問題として、抗ウイルス剤であるソリブジンの副作用によって多数の死者が発生したことが挙げられ、医薬品に対する安全性の確保等、厚生省の業務行政が厳しく問われているのであります。  以上、るる述べてまいりましたが、政府はこの我々の指摘や提言に謙虚に耳を傾け、今後さらに予算の適正かつ効率的な執行や政策の効果的な実施に全力を傾注することを要請して、私の賛成討論を終わります。
  359. 風間昶

    ○風間昶君 私は、公明党・国民会議を代表しまして、ただいま議題となりました平成三年度決算外二件に対し、その是認に賛成し、また、委員長提案の内閣に対する警告案に賛成する旨の討論を行います。  我が党は、これまで決算の是認に反対してまいりましたが、その理由はまず、昨年の平成二年度決算議決の際の討論において述べているように、決算を是認するか否かの二者択一的な議決形式に問題があるということであります。  そもそも決算審査は、国会が議決した歳入歳出予算政府が所期の目的に従って適正妥当に執行したか否か、その予算に裏づけられた政策の効果が予定どおり発揮されているか否かについて判断を行うべきと考えます。  したがって、決算審査の集約としての警告決議を行わないで、単に決算の是認の有無のみを採決することは決算審査の本旨にこたえるものではありません。  我々は、決算を是認するか否かにかかわらず、決算審査にあらわれた予算執行行政運営等の問題点を整理して警告議決をすべきであると主張してまいりました。しかし、自民党の強い反対で、昭和六十一年度決算以来、五カ年にわたり警告決議が行えなかったことは、決算を重視する参議院として極めて遺憾なことであります。  平成三年度決算審査に当たりましては、昨年からの政治状況等の変化を踏まえ、与野党という政治立場を超えて、予算執行実績とその効果、財政の健全化、行政の効率化等に関する諸問題につき、決算審査の本旨に沿った熱心な質疑が行われ、その結果、先ほど委員長から御提案のあったような警告決議案が各会派の協力を得てまとまったことは大変喜ばしいことであります。  政府は、警告決議案にある各項目について速やかに改善の措置をとるとともに、平成三年度決算検査報告で指摘された二百五十件、百三十三億円余のむだ遣いについて厳しく反省し、不当事項等の指摘を繰り返し受けることのないよう一層努力すべきであります。  また、委員会において我が党からも、行政改革の観点から、公益法人の見直し、水利権行政と渇水対策、風倒木処理問題等について指摘、提言をいたしております。  政府は、これらを含め、今後一層財政の健全化と行政の効率・適正化に努めるべきであり、このことを最後に要請して、私の賛成討論を終わります。
  360. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  361. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、平成三年度一般会計歳入歳出決算平成三年度特別会計歳入歳出決算平成三年度国税収納金整理資金受払計算書平成三年度政府関係機関決算書の採決を行います。  第一に、本件決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  362. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 多数と認めます。  第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  363. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 全会一致と認めます。よって、平成三年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。  次に、平成三年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  364. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと議決いたしました。  次に、平成三年度国有財産無償貸付状況計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  365. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと議決いたしました。  なお、これらの案件審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  366. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、内閣に対する警告について関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。武村大蔵大臣。
  367. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) ただいま御決議のありました税収見積もりの精度向上につきましては、従来から努力を重ねているところでございますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力をしてまいる所存でございます。
  368. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 次に、与謝野文部大臣。
  369. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ただいま御決議のありました義務教育費国庫負担金等にかかわる事項につきましては、御決議の趣旨に沿い、教育委員会等に対し十分指導を行い、再発防止に努めてまいる所存でございます。
  370. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 次に、井出厚生大臣。
  371. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) ただいま御決議のありました国民年金の未納保険料の解消につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、一層努力してまいる所存であります。
  372. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 次に、大河原農林水産大臣
  373. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) ただいま御決議がございました輸入米の安全性につきましては、御決議の趣旨に沿うよう今後とも万全を期してまいる所存であります。
  374. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 次に、野坂建設大臣。
  375. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) ただいま御決議のありました公共工事入札契約をめぐる問題につきましては、御趣旨に沿って建設業界事業活動の適正化を図るとともに、政府として策定した行動計画に基づき入札契約制度の改革を着実に実行するよう一層努力してまいる所存でございます。  以上です。
  376. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 次に、野中自治大臣。
  377. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) ただいま御決議のありました設計業務の外部委託に係る地方公共団体の審査体制の確立につきましては、その趣旨を踏まえまして、関係省庁とも連携の上、適切な指導に努力してまいる所存であります。
  378. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 以上をもちまして関係国務大臣の発言は終了いたしました。  審査の終了に際しまして、一言ごあいさつを申し上げます。  平成三年度決算審査は昨年十月に着手し、ほぼ一カ年を経過いたしました。この間、委員の皆様方の熱心な調査、審査によりここに終了する運びとなりました。また、会計検査院政府関係機関等の格段の御協力のもとに審査を進め、本日、審査を完了することができました。ここに改めて深く感謝を申し上げる次第であります。  以上、一言お礼と閉会のごあいさつといたします。どうも御協力ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時二分散会