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1994-08-25 第130回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年八月二十五日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  八月二十四日     辞任         補欠選任      上山 和人君     瀬谷 英行君      長谷川 清君     吉田 之久君      喜屋武眞榮君     青島 幸男君  八月二十五日     辞任         補欠選任      翫  正敏君     西野 康雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三上 隆雄君     理 事                 守住 有信君                 今井  澄君                 清水 澄子君                 風間  昶君                 高崎 裕子君     委 員                 笠原 潤一君                 鎌田 要人君                 佐藤 静雄君                 清水 達雄君                 陣内 孝雄君                 南野知恵子君                 溝手 顕正君                 矢野 哲朗君                 会田 長栄君                 稲村 稔夫君                 瀬谷 英行君                 中尾 則幸君                 堀  利和君                 泉  信也君                 小林  正君                 山崎 順子君                 吉田 之久君                 浜四津敏子君                 横尾 和伸君                 青島 幸男君                 西野 康雄君    国務大臣        建 設 大 臣  野坂 浩賢君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  宮下 創平君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  小澤  潔君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 重夫君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部団        体課長      小川 秀樹君        総務庁行政監察        局監察官     宮川萬里夫君        環境庁企画調整        局長       石坂 匡身君        環境庁企画調整        局環境保健部長  野村  瞭君        国土庁長官官房        水資源部長    山岸 俊之君        国土庁計画・調        整局長      糠谷 真平君        国土庁土地局長  山田 榮司君        国土庁地方振興        局長       松本 英昭君        国土庁防災局長  村瀬 興一君        運輸省鉄道局技        術企画課技術開        発室長      野竹 和夫君        気象庁地震火山        部地震火山業務        課長       栗原 隆治君        建設大臣官房技        術審議官     尾田 栄章君        建設省建設経済        局長       小野 邦久君        建設省河川局長  豊田 高司君        建設省道路局長  藤川 寛之君        建設省住宅局長  梅野捷一郎君        自治省行政局行        政課長      川村 仁弘君        消防庁防災課長  高田  恒君        消防庁防災課震        災対策指導室長  森村 和男君        会計検査院事務        総局第二局長   森下 伸昭君        会計検査院事務        総局第三局長   天野  進君    参考人        住宅金融公庫総        裁        高橋  進君        環境事業団理事  長藤 史郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成三年度一般会計歳入歳出決算平成三年度  特別会計歳入歳出決算平成三年度国税収納金  整理資金受払計算書平成三年度政府関係機関  決算書(第百二十六回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成三年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十六回国会内閣提出)(継続案件) ○平成三年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十六回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、上山和人君、長谷川清君及び喜屋武眞榮君が委員辞任され、その補欠として瀬谷英行君、吉田之久君及び青島幸男君が選任されました。  また、本日、翫正敏君が委員辞任され、その補欠として西野康雄君が選任されました。     ─────────────
  3. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 平成三年度決算外二件を議題といたします。  本日は、建設省環境庁国土庁及び住宅金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 清水達雄

    清水達雄君 自由民主党の清水達雄でございます。  野坂建設大臣宮下環境庁長官小澤国土庁長官、御就任まことにおめでとうございます。安定性のある連立政権として国民期待にこたえるべく、三閣僚の方々の今後の一層の御努力、御精進をお願いする次第でございます。  私、国会に出てまいりましてまだ二年ちょっとでございますけれども、今まで主として土地税制の問題などを中心に、予算委員会大蔵委員会決算委員会などでも質問をずっとし続けてきたわけでございます。  現在、問題になっておりますのは地価税の問題、これは非常に不合理な税制である。というのは、固定資産税適正化が行われておりますと、その意味でも二重課税的になっておりますし、それから一番よく利用された土地について地価税が課せられて、その効果コストアップ要因にしかなっていない、土地対策にはならないというふうなことで、地価税の問題というのは、法律が成立するときの附帯決議でちょうどことしが見直しの年ということになっておりますので、これは十分検討していただかなければならないと思います。  それから、土地長期譲渡所得課税につきまして三九%というふうな高率課税がなされておりまして、これはいわば取引禁止税みたいな状況になっている。これでは土地流動化が進みませんし、それから資産の移しかえというふうなものがうまくいきませんとマクロ経済に非常に大きな影響を与えるという問題があります。  これらの問題につきまして、自・社・新党さきがけというふうな中でうまく合意を得ていくということはなかなか難しい問題だろうと思います。私は、特に野坂建設大臣にもこれからもいろいろお願いをして、連立の中での合意がうまくいくようにひとつ御指導、御協力をお願いしたいと思うのでございますけれども、この問題はきょうは触れませんで、非常に大きな問題でございますので、税制改正に向けて今後我々としても懸命に努力をしたいというふうに思っているわけでございます。  それで、きょうばいろいろありますけれども、まず国土庁四全総点検作業といいますか、調査部会報告というのがなされております。  今、労働力の需給の問題でありますとかあるいは円高によりまして、製造業中心として海外生産シフト、移転をするという動きが非常に強まってきております。このことは、地域経済活性化という問題にとりまして非常に大きな影響を与えているわけでございます。景気も悪いので地方税収も非常に落ち込んでおります。事業税とか、あるいは都道府県民税法人の部分とか、大変落ち込んでいるわけでございます。  この問題は、今後の国土政策地域政策を考える場合に極めて大きな課題であるというふうに思っているわけでございますが、国土庁として今度の調査部会での検討などを通じまして、国内経済空洞化といいますか、こういう問題と地域経済への影響というふうなことについて実態をどう認識されておられるのか、具体的にどんなふうな対応をしていったらいいのかということについてお伺いをしたいと思います。
  8. 糠谷真平

    説明員糠谷真平君) お答え申し上げます。  最近の地域経済の動向を見ますと、全体として見ますと、大都市圏地域に比べまして地方圏経済の方が落ち込みが軽微だという従来にない特徴があるということはございますけれども先生指摘のように、最近円高がさらに進展をしているということもございますので、産業立地国内だけではなく海外との立地競争にもなるということで、生産シフト海外シフトをする、あるいは産業空洞化が起こるということは今後大変懸念すべき問題だというふうに認識をいたしております。  本年六月に出ました国土審議会調査部会報告におきましても同じような認識に立っておりまして、今後の地域経済産業方向といたしまして、製造業の高価値化あるいは対個人サービスを初めとする高度三次産業発展を図っていかなければいけないと、こういう見解が示されているところでございます。  今後の方向といたしましては、そういう意味で、従来のように単に大都市圏から工場を持ってくる、誘致をするということだけではなく、地域、地場の独自の技術を生かしました企業の育成といいますか、そういったことが重要になってくるんではないかと思っておりまして、そういう意味では工場立地条件整備というものをもっと広く、生活環境整備あるいは研究開発基盤整備やそのネットワーク化といったようなことを含めたハード、ソフト両面施策の充実が重要ではないか、こういうふうに考えているところでございます。  今後、私ども、新しい国土計画の策定に向けてさらに作業を進めていくということになろうかと思いますが、産業空洞化、その地域経済への影響、今後の地域経済振興施策のあり方は重要な問題だと考えておりますので、さらに一層検討を進めてまいりたいと思っております。
  9. 清水達雄

    清水達雄君 今後の国土政策方向として、これは五全総の中で検討され位置づけられると思うのでございますけれども、新たな国土軸とか、地域連携軸構想というふうなものが出てきているわけでございまして、地域連携をとり合って、余り大きくない機能でも相互連携し合いながら集積を高めていって地域活性化につなげていこうというふうな考え方だろうと思うんですね。  このことは、いろんなイベントをやるとかいうふうなことではかなりわかるし、あるいは高度な施設について相互にうまく利用し合うというふうなことでもかなりよくわかるわけでございますが、経済活性化という点についてどうも私は余りよく理解できない。よくわからない。  こういうふうなことがやっぱり今後の国土政策の本当の何か中心的な役割というふうに位置づけをされているように思うんですけれども経済活性化、特に地方経済というのは力が弱いですから、これをうまく盛り上げていくことにどういうふうな役割とかを果たし得るのか。新しい国土軸とか地域連携軸をつくるということは、いわゆる国土の均衡ある発展にとって私は非常にいいことだと思いますが、経済に与える影響というか効果という点についてどんなお考えを持っておられるのか、伺いたいと思います。
  10. 糠谷真平

    説明員糠谷真平君) 最近いろんな地域から提唱されております新しい国土の軸あるいは地域連携軸構想といいますのは、交通情報通信ネットワーク基盤といたしまして、今御指摘観光とか文化とかイベントとかそういったものの連携、あるいは施設連携ということだけではなく、産業面も含めまして多様な交流連携を図って地域活性化を図ろう、こういう考え方だろうと思います。  交通基盤あるいは情報通信基盤整備によりまして、例えば産業関係に着目をいたしますと、新しい市場が開拓をされる、あるいは新しい供給源が見つけ出されるということもございますし、これは国内外を含めてでございますが、あるいは地域間の研究開発機関ネットワーク化連携が図られるというようなことがあろうかと思います。そういうことによりまして、各地域の有する人材、資源あるいは市場等が結びつくということによりまして地域経済活性化に資するということが大変大きい効果があるんじゃないかと思っております。  ただ私ども、今ございます国土軸構想地域連携軸構想が単に交通情報通信基盤、ハードなネットワーク整備ということだけではなく、今申し上げましたような効果を発現させるためには、連携仕組みづくりといいますか、ソフト面が大変重要だろうと思っておりますので、そういった面を含めましてまだまだ詰めていかなければいけない点が多いと思っております。これも新しい計画に向けての大きな課題ではないかと思っております。
  11. 清水達雄

    清水達雄君 先ほどの答弁の中にもあったんですけれども、今後の地域経済活性化にとりまして製造業の高価値化でありますとか対個人サービスを初めとする高度三次産業育成が重要だということを言っているわけでございますけれども製造業の高価値化というふうなものも、デザインだとかいろんなことを考えて従来よりも高級な品質のものにして高く売れるようにしようというふうなこととか、対個人サービスという点が私もどうもちょっとよくわからないんですけれどもサービス産業、特に法人なんかのサービス産業というのは比較的地方で全部こなし切れないで大都市に依存するというような面がかなり強くて、そういうものを地域内で十分供給もできるようにしていくとか、いろんなことがあるような気もするんです。  この辺について具体的にどんなことを考えていったらいいのか、こういう立派な言葉で言われても、実際に地域政策や何かをやっている人たちは何をどうやっていったらいいのかというのはなかなかわかりにくいわけでございまして、その辺について御説明をお願いしたいと思います。
  12. 糠谷真平

    説明員糠谷真平君) 製造業の高価値化といいますと、言葉の解釈といたしましては国内生産活動を創造的で高度な技術を生かした付加価値の高いものに移していく、こういうことでございますけれども、具体的に申し上げますと、最近の円高に伴います地域産業動きの中からも見られるところでございますけれども労働集約型で大量生産のめどが立った組み立ての簡単なものは途上国に移行していくのもやむを得ない。国内には技術開発のテンポの速いもの、これはやはり途上国に移すわけにはいかないということで、そういったものにシフトをしていくということでございますとか、先ほど先生指摘ございました手の込んだ付加価値の高いものに移していく、そういったようなことが一つのイメージではないかと思っております。  それから、高度三次産業というものにつきましては、やはりこれからの国民のニーズということを考えますと、情報通信医療福祉あるいは生活文化、余暇・レジャーといったような面の需要が高まるということだろうと思いますので、そういった面を特に最近の情報通信技術進歩ども含めながら進めていく。対事業所支援サービスあるいは対個人サービスというところにそういうものの例が見られるのではないだろうか、こういうふうに思っております。
  13. 清水達雄

    清水達雄君 それから、農山漁村地域の問題なんですけれども、従来の対策にとらわれない新たな視点都市とは異なる生活空間として魅力の向上に取り組む必要があるというふうな言い方をしているわけでございまして、中山間地域を初めとして人口は減少しますし、それからかなり耕作放棄的なことが起こってきて、今後の中山間地域というのは非常に問題が多いというふうに思うんですけれども、「従来の対策にとらわれない新たな視点」というのがどうもよくわからない。これは概要の中にこんな言葉が使われているんですけれども、これについてどんな内容を考えておられるのか、御説明をお願いいたします。
  14. 糠谷真平

    説明員糠谷真平君) 最近の渇水問題でも明らかになったことかと思いますけれども農山地域は、農業生産あるいは林業生産という生産の場として重要だということだけではなく、都市住民生活にとっても大変重要な国土空間であるということがはっきりしてきたんじゃないだろうかと思っております。  そういう意味で、農山村の空間というのを国土政策上も大変重要な、都市住民にとっても重要な国土空間であるという認識を強める必要があるんじゃないだろうかと思っておりまして、そういう意味では農山地域都市地域交流、これは従来からも言ってきたところでございますけれども、単に観光レジャーとして出かけていくということだけではなく、農山地域生活文化、そういったことを知ることによって都市地域にとって農山地域がどういう意味を持つのかということをはっきりさせていく、そういうことが農山地域のこれからの施策の拡充にも役に立つのではないだろうか。  こういうことかと思いますし、それから最近の国民価値観の変化ということでUJIターンなどというものも大変活発になってきておりますので、単に交流からだけではなく、さらにそれが農山地域での定住につながるということもあるのではないだろうかということで、生活空間としての重要性というものも考えて施策を進めていく必要があるのではないだろうか、こういう意味で言っているのではないかと思っております。
  15. 清水達雄

    清水達雄君 私も役人時代を通じまして地域政策についてはいろいろかかわりを持ってきましたし、それから四全総をつくるときは国土庁にもいたわけでございますけれども、どうも地域政策というのは、一言で言うと、言葉だけでうまいことを書いて実際の政策実体は非常に薄いというふうに私は常に思い続けてきているわけでございます。これは今まで地域政策に使われてきた国の資金とかその資金量等を見てもらってもすぐわかる。後進地域国庫補助負担特例なんというものは本当は一番大きな地域政策なんですね、金の面から言うと。  それで私は、今度の新しい全国総合開発計画をつくる場合には、今後は従来とは違った非常に難しさがあると思いますので、例えば生活社会基盤整備についてとか、国土の荒廃を防止する観点とか、あるいは産業振興とかいう点につきまして、何か細かいことをべらべら、たくさんやる必要はないかもしれませんけれども、何かかなり大きな政策税制でありますとか補助であるとかあるいは規制緩和とかいうふうなことをいろいろ考えなきゃいけないんじゃないかなと。  例えて言うならば、中山間地域などについていわゆる農業振興地域とか農用地転用等余り厳しくしておく必要はないんじゃないか。だんだん人口も減っていきますし、そういうふうなところについてはもっと人が自由に住めるような自由度を与えるという規制緩和みたいなことも考える必要があるんじゃないかと思います。  それから山林が非常に荒れてくるものについては、都市部公共団体に山でも買ってもらって、そこに都市部人たちがいろんな研修であるとかあるいは山の管理とかをやりに来てもらうというふうなことを考えるとか、あるいは観光とかなんとかでどんどん汚されるけれども、それをきれいにする金というのはそんな地方にはないとかいうふうな点に着目した何か財政上の措置を講ずるとか、いろんなことがあると思うんです。  あるいはもっと大きく言うならば、税制につきまして法人税制をどうするか、これはなかなか難しいと思いますけれども地方に立地すれば税金は安いよと、何かそういう大きな観点での実態的な政策の中身の検討をぜひやっていただきたいというふうに思うわけでございます。これは答弁は要りませんけれども、要望をさせていただきたいど思います。  それから次に、建設省建設大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、いわゆる全総計画の中で、四全総では高規格幹線道路一万四千キロを二十一世紀初頭までに整備をするということにしましたし、建設省も大蔵省や経企庁などとも相談しながら二〇〇〇年までに九千キロメートルを供用するということにしているわけでございます。平成五年度末で六千百二十キロほど供用されているというふうに承知をしているんですけれども、どうも九千キロの達成ができるのかなという感じが非常にしております。  けさも自民党の道路調査会で伺いましたけれども、二千キロぐらいの事業区間を持っているべきところを今一千キロを切っちゃっているというような端境期みたいな状況にあるというような話もあったわけですが、何か今の世の中が生活重視とかいろんなふうなことを言われると、どうしてもそっちの方に細かい知恵を絞り出すような努力ばっかり各官庁はやっちゃって、基本的に大事なところにだんだん手抜かりが生じそうな感じがして私は心配をしているわけでございます。  そういう意味からも、やっぱり一番の基盤になるところは、これは道路も治水もそうですけれども、しっかりやっていくということがどうしても大事なわけでございまして、本当に九千キロの供用達成できるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  16. 藤川寛之

    説明員藤川寛之君) 今もお話がございましたように、四全総の中で一万四千キロの高規格幹線道路ネットワーク整備しよう、いわゆる交流円滑化を図るための最重要基盤としてやっていこうというようなことで、大変整備は私どもとしても急がれているというふうに考えているところでございます。  今もお話がございましたように、現在平成五年度末の供用というのは六千百キロ程度でございますが、現在進めております第十一次道路整備五カ年計画では、この高規格幹線道路ネットワーク整備をやはり最重点課題一つとして私どもとしても重点的に整備を進めたいというふうに考えておりまして、五カ年計画では平成九年度末に供用延長を七千八百キロにしようということで努力しているところでございます。この七千八百キロが供用されますと、供用率が五六%ということになりますし、また、この五カ年計画の期間内におよそ千九百キロぐらいの供用を図ろうというような目標を立てまして今整備の促進に努力しているところでございます。  この五カ年計画整備ペースでその後進められれば、およそ二〇〇〇年には九千キロが達成できるということでございまして、私どもとしては今の五カ年計画目標達成のために今後ともできる限りの努力をする、そういう中で二〇〇〇年までには九千キロを供用いたしまして、何とか地域の御期待にこたえるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  17. 清水達雄

    清水達雄君 実は、昨年の十一月十九日に建設大臣から道路公団に対して施行命令が出されまして、三十四区間千百八十四キロメートルという施行命令が出ましたけれども、これへの事業着手が今できていない。できない理由は、平成六年の七月一日から料金を改定しようというのが凍結をされちゃっているというわけでございます。私は料金の値上げと事業の実施というものがこういうふうにリンクされているというのは、一つにはそうしないとなかなか料金も上がらないよという一つの歯どめにはなるのかなという、そういう手をちゃんと大蔵省は考えてやらせているというふうに思うのです。  しかし、現実にこれ一般の民間企業やなんかを考えても、値段を上げたら売れないから値段は上げないけれども、しかし何か仕事をとめておくというふうなのはないわけですよ。料金を凍結されているから施行命令を出したその整備計画区間についての事業を着手しないというふうなことというのは普通はないんですよね、これ。こういうことまで考えて料金を凍結したのかどうか。いろんな公共料金値上げ問題が一斉に出ましたから、とにかく一晩か二晩で凍結とこうやっちゃったわけですけれども、やっぱり物事によって仕事ができないような状況を承知の上で料金凍結をするというふうなことというのは私はどうも納得できない、そういうふうに思っているわけでございます。  そういう意味からも、とにかく早くその料金値上げの認可をやって、けさも概算要求までには凍結を解除するというふうな話がありましたが、確かに来年度の予算の要求をするのに、来年度仕事ができるのかどうかわからぬという状態では要求できないわけでありますから、そういう意味で早急に認可を行って、早期に施行命令区間事業着手ができるようにしてほしいと、これは建設大臣にぜひお願いしたいと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  18. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) お答えをいたします。  清水先生建設省の官房審議官や国土庁の事務次官等の経験もありまして、建設省の使命と任務なり考え方は既に御案内のとおりでありますから多くを申し上げることはないと思います。  前内閣は不景気の状況認識して、何としても景気を高揚させなきゃならぬ、そういう意味で高速道路料金値上げ等は、公共料金は一斉に年内はストップということが決定されまして、我々としても前政府の決定された年内凍結は守っていかなきゃならぬ。内閣の継続性からいって当然だと考えてそのように措置いたしました。  お話がございましたように、既に施行命令が千百八十四キロメートル三十四区間出ておるんじゃないか、大臣が施行命令を出しておるのに事業に着手ができないとは一体何だ、早急にやれというのは当然だと考えております。したがいまして、それをやるためには高速道路料金の問題に手をつけなければ、料金を認可してその上で事業着手ということの仕組みになっておるわけでありますから、そのような措置をしなきゃならぬ、こういうように基本的には考えております。  したがいまして、何としても現在の景気の状況、いわゆる景気に第一段階は入ったとはいえ、確たるものはないという状況でございますから、それらのことを勘案をしながら対処、対応しなければならぬということも考えております。したがいまして、道路公団の皆さん方に酷なお願いでございましたが、国民期待に沿うように、できるだけのリストラをやるように、どの程度の経費の節減ができるか十分に検討してもらいたいということをお願いいたしました。  この間、答申が出てまいりまして、建設費が四百八十億円、維持費としては年間四十一億円程度は出せる、その上でサービスをしたいと。そのサービスは、人を減らしてサービスができるかという御反論もありますが、現在、渋滞の度を加えております料金の人のところが非常にふくそうするということで、そこは素通りをして後で金を払うというような方向にしたらどうか。あるいはパーキングエリアやその他のところの自動車の置き場が狭くてなかなか入れない、そういう点を広くしながらサービスをして速く自動車が動くように、渋滞をなくするように努力しなければならぬということを話し合ってまいりました。  その上で、できるだけ負担を少なくしていかなきゃならぬと思っておりますが、公共事業に当たりましても、現在の財政状況から考えますと、国道も主要地方道も県道も町村道もそれぞれ建設省としては対処して、生活者優先ということも十分頭の中に考えておかなければならない。したがって、高速自動車道路の必要性というのは御指摘のとおりでございましてやらなきゃならぬわけでありますが、ここは人が通らないところでございますし、言うなれば一極集中排除の功も成りますし、交通の安全という面についても十分な効果が上げ得るというふうに考えております。したがいまして、燃費の節約にもなりましょうし、あるいは人件費の節約にもなる。  したがって、そういう点をもろもろ考えてまいりますと、施行命令が出された問題については速やかにやりたい。御指摘がありましたように、概算要求が終わるその時期には考えていかなければならぬではないかということをもろもろの情勢を勘案して熟慮しております。  したがいまして、御指摘のように、千百八十四キロメートルにつきましては大臣の施行命令も出ておることでありますから早急に実施に入りたい。そのためにはいつから公共料金を実施するかということをあわせて明示していかなければ事業着手はできませんので、省内では大所高所から検討して、御指摘がございましたように十分それらの事情を勘案しながら速やかに高速道路の大臣命令については着手をしたいと考えております。  それから、料金の問題については着手と同時に発表しなければなりませんから、年内は凍結ということは決まっておるわけですけれども、いつから料金の実施をやるかということについては現在省内で取りまとめ中でございますし、経済閣僚懇談会でこれは決定をして閣議に諮るということになっておりますので、現在の経済情勢も勘案しながら、現在供用開始は四八%しかでき上がっておりませんので、御指摘のように二〇〇〇年までに一万四千キロということを頭にたたき込んで、早急に御期待に沿うように実施をし、料金の認可についてもできるだけ国民のニーズに沿うような形で善処してまいりたい、このように考えておりますので御了承いただきたいと思います。  以上です。
  19. 清水達雄

    清水達雄君 大臣から大変力強い御答弁をいただきまして、ぜひそのようにしていただきたいと思います。  マスコミとかがいろんなことを言われますが、マスコミが何と言おうともやるべきことはきちっとやる、ただそのための理解はちゃんと求めるというふうにしていかなければならぬだろうというふうに私は思います。それから、認可をするということといつ上げるかということとはまた別の話ですから、とにかく早く料金値上げ認可はやってしまう、それで仕事ができるようにするということはぜひとも急いでいただかなければならないというふうに思っているわけでございます。  それから、従来、高速自動車国道のいろんな計画、基本計画区間にするとかあるいは整備計画区間にするとか云々というのは国土開発幹線自動車道審議会を開催してやっているわけで、大体三年間に一回ぐらいやっているわけですね。そういうことからいきますと、ことしの秋に本来なら大体開催されてもいいころになるわけです。  実は、私は山梨県の出身なんですが、中部横断自動車道というのがありまして、私の地元のところはまだ予定路線にしかなってなくて、まだその一番最初の段階が何にもできてないわけです。そこをとにかく何とか基本計画区間にしていただきたいということと、一番真ん中のといいますか、甲府盆地の部分はこの間の千百八十四キロの中に入れていただいて増穂−双葉間というのは施行命令が出ているわけですけれども、これから清水に至る区間については早く整備計画に上げてやって第二東名とつなぐとかいうことにしませんと、山梨県というところは中央道一本しかありませんから、気象条件が悪くなると事故や災害も起きるし、中央道がだめになると全く陸の孤島になってしまうというふうなことにもなっていますので、とにかく早く国幹審を開いて基本計画区間にちゃんと入れてもらうとか、さらに整備計画を追加して事業を進めてもらうとかいうことをぜひやってほしいと思うのでございます。  料金凍結の問題とかいろんなことがあるわけですけれども、今後、国幹審はいつごろ開催されるのか、その辺についての予定というか見込みというのを教えてほしいと思います。
  20. 藤川寛之

    説明員藤川寛之君) 今、先生からもお話がございましたが、国土開発幹線自動車道につきましては国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て、まず予定路線から基本計画策定区間に昇格させる、それから基本計画が策定されますと整備計画を策定する、これも国幹審の議を経てということになっておりまして、そういう手続を踏んで整備を進めることになっているわけでございます。私どもといたしましても、この国土開発幹線自動車道につきましてはまだまだ整備がおくれておりまして、この整備の促進を図る必要があるわけでございまして、そういう手続につきましては逐次やはり適切な時期にやっていこうというようなことで努力しているところでございます。  今もお話がございましたように、前回の国幹審が開かれましたのは平成三年十二月ということでございますので、ことしの暮れ、十二月で三年を経過することになります。今も御指摘がございましたが、この高速自動車国道につきましては有料道路事業整備しております関係で、どうしてもやはり採算性の確保というのが前提にございます。そういうことで、私ども現在、予定路線の区間を何とか基本計画策定に向けて格上げしたい、それから基本計画が策定されている区間については整備計画を策定したいというようなことで、いろいろその整備効果であるとか具体的な路線の検討であるとか調査を進めているところでございます。また、大変重要な視点として採算性がどうなんだというような検討も必要でございますので、そういう検討を進めているところでございます。  それで、今後いつ国幹審が開かれるかということでございますが、御承知のとおり整備計画を策定するためには環境アセスメントをやらなくちゃいけないわけでございます。この環境アセスメントに結構時間がかかりますので、私どもとしては、今も大臣のお話がございましたが、施行命令区間に関連する料金改定の認可をできるだけ早くやりまして、採算性の見通しというようなものの前提をはっきりさせた上でできるだけ早く環境アセスメントに着手する。この環境アセスメントは、平均いたしますと大体十カ月程度で手続ができる予定でございますので、私どもとしてはできるだけ早く国幹審が開かれるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  21. 清水達雄

    清水達雄君 ぜひそのように御努力をお願いいたしたいと思います。  それから、幹線交通問題でもう一つはリニアモーターカーの問題がございまして、運輸省に御質問をしたいと思うのでございます。  このリニアモーターカーにつきまして、山梨で実験線の建設を今進めているわけでございますが、事業の進捗の状況等から見て、走行試験の開始が一年おくれて平成九年春からになると数日前の運輸事務次官の記者会見で述べられたわけでございまして、当初の予定から比べると三年おくれになるというふうなことになっているわけでございます。実験線の全体のつくり方についても、当初は四十二キロほどを考えておったのを十八キロぐらいにとにかく縮めてやろうというふうなことにもなってきているわけなんですけれども、どうしてこんなふうにおくれるのか。  用地の問題が云々というふうなことも言われますけれども、ことしの八月の起工承諾率というのは九七%ぐらいになっているわけでございまして、一つぐらいの場所がうまくいかないからまた一年もおくれてしまうというふうなことになってしまうのかどうなのかということもあるわけでございます。どうしてこんなふうにおくれるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  22. 野竹和夫

    説明員(野竹和夫君) お答えいたします。  山梨のリニア実験線につきましては、平成八年春に走行実験を開始し、平成十年度までに実質的な実用化のめどを立てることとし、先生先ほど御指摘がございましたように、先行工事区間の工事を重点的に進めてきたところでございますが、この区間の用地取得に最大限の努力を払ってきたにもかかわらず、用地取得は予想外に難航し、残念ながらいまだ完了していない状況でございます。特に、工事上非常に時間がかかるところでまだ買えていないという状況がございます。また、一部のトンネルにおきましても地質不良によって工程に若干おくれが生じているという状況もございます。  このようなことから、先生指摘のように、先行工事区間における走行実験開始は平成九年の春にならざるを得ない状況になっておりまして、またこれに伴いまして実質的な実用化のめどが立つのも平成十一年度にずれ込む見通しとなっております。
  23. 清水達雄

    清水達雄君 リニアの技術について、これが本当にうまく実用化できるようになるのかどうかというふうな話もいろいろあるわけでございます。しかし、東海道新幹線につきましてももう既に三十年を経過しているわけでございます。コンクリート構造物でございますからこれは永久に使えるということには恐らくならない、石でつくったものならそうかもしらぬけれども。これはやっぱり五十年とかなんとかたってきますとちょっとした補強とか保守工事程度でうまくいくのかどうかという問題がかなりある。  私は、輸送需要との見合いだとかいろんな議論があると思いますが、東海道新幹線の代替機能を持つ路線というものをつくっておかないと、一番大きな軸である東海道新幹線がうまく使えないというふうなことになったら、これは日本経済に物すごい大きな影響を与えるということになってしまうわけでございます。そういう意味で、やっぱり中央新幹線ルートにこれから本当の実験をやろうとしているリニアの技術を確立して、できるだけ早く整備をしていかなきゃならぬというように思っているのでございます。  私も前に宮崎の実験線の車両に乗ったことがありますが、何か非常に軽っぽい感じのもので、こんなもので大丈夫かなと思うような気がしたんですけれども、最近は車両がよくなってきているというふうな話もありますが、物すごく電力を使うというふうな話もあったりいろいろするんです。  運輸省としては、リニアの技術が実用化にたえ得るようなものになるというふうな、そういう自信を持ってやっておられるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  24. 野竹和夫

    説明員(野竹和夫君) お答えいたします。  超電導リニアの実用化技術の開発を進めるために、鉄道総研、JR東海、鉄建公団の三者によりまして、先ほどお話がありましたように、現在山梨リニア実験線の建設を進めているところでございます。  この山梨のリニア実験線におきましては、時速五百キロメーターという超高速での連続の走行試験でございますとか、二つの列車が高速ですれ違うというような実験でございますとか、トンネルに高速で突入したときにどのような影響があるかというような試験でございますとか、あるいは複数の列車を同時に制御するような試験でございますとか、そのようなシステムの安全性あるいは安定性に関するような実験を行うほか、実用化に向けたシステムの経済性などの確認も行う予定でございます。  運輸省といたしましても、この山梨実験線において今申し上げましたような試験を三年間かけて行いまして、先ほど申し上げましたように、十一年度中には超電導リニアの実用化のめどを立てたいというふうに考えております。
  25. 清水達雄

    清水達雄君 今のお話で、山梨の実験線で経済性についての検討材料になるようなものが何か出るようなお話ですけれども、これはどういうことでしょうか。
  26. 野竹和夫

    説明員(野竹和夫君) お答えいたします。  山梨の実験線におきましては、建設費がどのような額がかかるかとか、それから運営費がどのくらいかかるかというようなこともあわせて確認をしたいということで考えております。
  27. 清水達雄

    清水達雄君 これから山梨の実験線でやられる実験を見ますと、両方から走ってきてすれ違いがどうだとか、トンネルに入ったり出たりする衝撃とかいろんなことがどうだとかといった程度の、そういう走行に伴う影響が問題がないようにどううまくできるかといった程度の話で、リニアを走らせる、それもしかも乗客を乗せてある程度いい状況においてうまく走らせることができるかというような点については、もうほとんどいいということになっているというふうに思っていいんでしょうか、そこは。あとは、すれ違ったらどうだとか、トンネルに入ったり抜けたりするときがどうだとか、そういうことをやる、あるいはある程度長期間走らせてみるとかいうのが山梨実験線の役目なんでしょうか。
  28. 野竹和夫

    説明員(野竹和夫君) 今まで宮崎の実験線でかなり長い間いろんな実験をやってございますので、基本的に高速で浮上走行するということにつきましてはかなりのところまで来ておるというふうに考えております。  山梨実験線におきましては、そういった成果を踏まえましてさらに高度化した技術で実験を行う予定でございますけれども、基本的な問題につきましてはかなり来ているということで考えておりますので、先ほど申し上げましたような実験を行うことによって実用化のめどが立てられるというふうに考えております。
  29. 清水達雄

    清水達雄君 大体実用化のめどが立つような状況になるというふうに理解をさせていただきたいと思います。  それから次に、住宅金融公庫の問題についてお伺いをしたいと思うんですけれども、御承知のように、住宅金融公庫の基準金利が財投金利に連動して変更されるということで、今金利が非常に動くというふうな状況にありまして、平成五年においては七回も金利変更が行われたという、これは全く目まぐるしい話で、住宅金融みたいな特に公的金融などを考えるとちょっと普通じゃ考えられないような状況だと私は思うんです。  こういうことが行われますと、エンドユーザーはいつ申し込んだらいいかということを常にいろいろ悩んだり考えたりする。それから事業者の方も、非常に金利が安くなったから今が買いどきですよと言ってみたらまた下がるとか、下がってきたと思ったらまた上がっちゃうとかというふうなことで、やっぱりエンドユーザー、事業者が非常に困っているというか、一言で言うとそういう状況にあるわけでございます。  これは昔から、もっと年二回ぐらいに、今民間の住宅金融の変動金利制の金利変更というのは年二回になっているわけですが、ああいうふうなことにできないのか。もちろんこれは一般会計から利子補給をやりますから、利子補給が今やっているよりもふえるようなことがあっては困るという大蔵省の心配もあると思うんですけれども、たとえ二回の変更にしても、次の金利変更について調整済みの変更を行っていけば私はできると思うんですよ。これはやっぱり何とかしないと、こんな状況を続けていたらまことにみっともない話だというふうにも思うんですが、この点について、具体的な案をつくって大蔵省に要求をし、相談をぜひしていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  30. 梅野捷一郎

    説明員梅野捷一郎君) お答えいたします。  ただいま御指摘ございましたように、最近のような経済情勢の中で大変金利が激しく変動しておりまして、財投を原資としております公庫の金利もしたがってそれに沿って今御指摘のようにたびたび改定をされるというふうなことで、その結果として、最終需要者なり事業者の安定性という面から見ますと大変不安定な状況であるということは御指摘のとおりでございます。  公庫の原資というものが財投を原資としているわけでございますし、今日ではそれが大変大量な、膨大な金額にも上がっているわけでございますし、一方ではそれをいわゆる住宅資金としてお貸しするときに金利差を補給しなきゃいかぬ。その両面から考えまして、公庫の金利の決め方というものを現在と別のルールで定めていくというこ  とにつきましては、今のような点から見ますと、公庫の融資制度全体の運営がどういうリスクにさらされるのかというようなこととか、あるいはほかの政府系の金融機関、これは財投全体の運営の問題になろうかと思いますけれども、そういうものとバランスをどうするのかというような、いろいろ検討する課題は大変多いわけでございまして、御指摘のような点につきまして、今後中長期的な視点からぜひ研究をしてまいりたいというふうに思っております。
  31. 清水達雄

    清水達雄君 私は今の答弁は大変不満でございまして、中長期的観点からなんというそんな話じゃないと。こんなものは今やっている仕組みで、例えば半年間の利子補給額が幾らになるかというふうなことを別途計算だけしておいて、あとはそれをもとに調整をやって、次の金利変更でやっていけばいいと思うんですよ。こんなのはやる気があればすぐできる話だと思うんです。すぐできる話だと思う、こんなことは。やる気がないからやらないだけの話、形式的にやっていれば気楽だからやっているという程度の話だと私は思うんです。これはやろうと思えばできる。  これ、もう一度答弁してください。
  32. 梅野捷一郎

    説明員梅野捷一郎君) 中長期的な課題としてと申し上げましたのは、全体の融資総額も十数兆円というような大変な規模でございますし、補給金も四千億を超える規模でございますので、これが今後のそういう金利変動とか経済変動の中でいろんな状況が想定されるわけでございますので、そういう先々のいろいろな変動のことも考慮しながら結論を出さなければいけないという、そういう意味で申し上げたわけでございまして、今御指摘のような、五年やあるいはことしのこういう金利変動のときにしばしば改定をされるという事象そのものが需要者にとって大変計画性に障害になるというような観点については、御指摘のとおりでございますので、私どももいい解決策がないかという姿勢そのものは真剣に取り組みたいということでございます。  今申し上げましたように、別のルールというものを定めようということになりますと、ことしあるいは来年というだけではない、もう少し長い間の問題も加味しながら検討しなければいけない、こういうことで申し上げたわけでございます。
  33. 清水達雄

    清水達雄君 そのもう少し長い間の問題も考えに入れるというのはどういうことですか、具体的には。
  34. 梅野捷一郎

    説明員梅野捷一郎君) さしあたり、例えば年二回あるいは年に三回というふうなルールにした場合に、当面の経済見通しのようなことから見ますと、補給金の可能性の幅とか、そういうものがある程度の幅の中で想定できるというふうなこともあり得ると考えられるわけでございますが、金利に影響する経済変動あるいは貸し付けの資金そのものの出方がどうなるか、そういうことをいろいろなケースについて、各経済状況の中でいろいろなケースがあり得ると思われるわけでございまして、短期的にやり方を変えるというわけにはいかないということだろうと思いますので、そういう点も十分検討しながら研究しなければいかぬということでございます。
  35. 清水達雄

    清水達雄君 どうも答弁の内容が私には理解できないので、後からじっくりとお話をさせていただきたいというふうに思います。  これはやっぱりある意味で踏ん切りみたいな話でございまして、私も住宅総務課長をやっていたときに、段階金利制というもっと跳び上がるような話をやったわけです。あのときにでもこれをやっておけばよかったなというふうに今思うんです。だから、こういうのはやっぱり踏ん切りのような話であって、段階金利制に比べてこんな話なんというのはへみたいな話ですよ。そういうことを言ってくださいよ、大蔵省にも。  これは大臣、こんなおかしなこと、七回も金利変更をやっているなんというようなばかな話は僕はあり得ないと思うんです。これはやっぱり大臣の政治力ということにまたなければならぬという感じもするんですけれども、どうでしょうか、今の私のあれを聞いた御感想といいますか、お考えは。
  36. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) お答えをいたします。  先生からお話のあった点については十分配慮しなきゃならぬ、こういうふうに思っております。  一つは、ちょっとポイントは違うと、こういう御指摘になるかもしれませんが、現在不況である、ようやく底はついた、これから第一段階に入っていく、こういう時代に三月までに約五十万戸の住宅金融公庫の申し込みがあった。それが越年してきた。六月の十四日までに約十三万何千戸か申し込みがあった。したがって、予算としては九兆六千億あったんですが、使い果たすというような状況になってきた。それでは、ことしはもうこれでやめるのかということになれば、景気に好影響を出すためには消費の拡大が必要だと。  二番目には、住宅建設が波及効果を及ぼすので一番効果がある。したがって、この住宅建設の要望についてはこたえていかなければならぬというふうに私どもは考えております。したがって、九月の下旬にはどういう状況になろうとも受け付けをしよう。受け付けをして、そしてそれに対する金融の問題についてはどう対応するかということを考えていかなきゃならぬ。  もちろん、郵便貯金等の融資を使わなきゃならぬわけでありますが、建設省としては景気を出すための一助としても繰り上げ償還はやむを得ないと。郵便貯金等の特別会計でやってまいりますと、それが余り波を打ちますと計画が変更になりますけれども、今は急場の時期で繰り上げ償還もしていかなきやと。  したがって、償還財源というのは繰り上げ償還の一兆幾らを含めて約三兆七千億円程度ございますから、それを回していくと将来安定をした住宅金融公庫対策が立つんではないか。今は三・九%だ、今度は日銀の動きによって四・一になる可能性があるだろう。こういう点については、どう利子補給をするかということも大蔵当局とも相談をしていかなきゃならぬと思っておりますが、先生が御指摘になったように、国民の安定した生活、民心の安定というものを考えて、大きく波動変動しないように対処、対応していかなきゃならぬ。お説については十分検討して早期に結論を出していきたい、こういうふうに思っております。  以上です。
  37. 清水達雄

    清水達雄君 大臣のお話しになったように、やっぱり住宅金融公庫の融資額というのは極めて大きいし、それから融資期間も長いですから残高も物すごい額になるということがあって、今の財投の仕組みの中でうまくやっていけるのかどうかという問題は確かに出てきていると思います、今回のような場合には。  昔から、例えば住宅金融公庫の貸付債券の流動化というふうな問題。これは住宅金融公庫と言ったわけじゃありませんけれども、住宅貸付債券の流動化問題というのはありまして、私はどうも今回のようなことを考えると、これはすぐ答えを出す必要はないかもしれませんけれども、やっぱり住宅金融公庫の貸付残高の中で流動化をさせて民間の金に変えていくというふうなことも考えないと、財投の原資だけでうまくやれるかどうか、この問題は今後検討を要すべき問題じゃないかなというように思っているわけでございます。  それからもう一つ住宅金融公庫資金交付に関する問題でございますけれども、民間の住宅金融ですと同時決済といいまして、家の引き渡しをするときに抵当権や何かの設定の申請もやり、それから資金を交付して、要するに一日のうちに全部ばさっと決まってしまうわけです。金のやりとりとか抵当権の設定についての登記の申請とかといったようなことがやられているわけです。  ところが、住宅金融公庫の場合には、私も経験がありますけれども、家の引き渡しを受けると工務店に金を払わなきゃならぬのですけれども、そのときに住宅金融公庫の金は全部出ないわけでございまして、最終の金が出るのは恐らくそれより一カ月以上後にならないと金が出てこない。そうすると、金を払うのについてつなぎ融資が要るかなというふうな話が非常にあるわけでございます。  中古住宅などについては、いわば同時決済的な方法というのが、あるいは準同時決済というような方法をとっているんですけれども、建て売り住宅とかマンションについてはそういう仕組みがありませんので、一カ月以上も後にならないと金が払えない。そうなりますと、現実に起きている問題として、買った人がまた売り払って逃げてしまったというような例もあるんですよね。  そういうこともありますし、それからつなぎ融資につきましても、これは建設省で不動産業課が主体になって研究委員会か何かがつくったものを見ると、つなぎ融資だけでも二十万円ぐらい金がかかってしまうとか、抵当権だ何だかんだというようなことをみんな入れますと、手数料とかいろんなものが出るというようなことがあって、主婦連の方などはそんなことよりつなぎ融資をやるということに非常に抵抗しているというようなこともあるわけです。  そこで、私は、これは総裁にはお話ししなかったんですけれども住宅金融公庫に事務的にお話をしましたら、建て売り住宅やマンションにつきましても平成五年十月から同時決済方式や準同時決済方式の仕組みをつくってくれたんです。これを各金融機関にこういう仕組みでやってくれといって流してくれた。ところが、金融機関がこれに乗ってこないというふうな状況がある。何で乗れないかというと、資金を交付したり何かする日が毎月の十日と二十五日というふうになっていますから、そこに一遍にいろんな仕事が重なってしまって、司法書士もみんな来なきゃいかぬとか金融機関側も立ち会わなきゃいかぬとか、いろいろなってくるから、とても何かやり切れないというようなことのようなんです。  だから、資金交付日を十日、二十五日じゃなくて、週に一回ぐらいずつやればこれは現実には可能になるんじゃないかというふうに思っているんですが、その点につきまして住宅金融公庫総裁から、何か実効を上げる工夫はないものかどうか、お伺いをしたいと思います。
  38. 高橋進

    参考人(高橋進君) 今の問題、先生の御指摘のような問題があることを十分承知しております。私ども、できるだけ利用者の方が使いやすいように、またわかりやすくするということを基本的な考えでおるわけでございます。今、問題は先生がおっしゃいましたからここで重ねて申し上げません。  ただ、ひとつ御理解いただかなければなりませんのは、資金交付日を月三回にしておりますということは、本来からいいますと、いつでも御希望になるときに資金交付できるようにするのが一番よろしいわけですが、二回に限定しておりますのは、先ほどからいろいろお話のありますように、国の財投資金をできるだけ効率的に運用する。公庫は一方で回収金をいただいているものですからそれを使う、財投資金はできるだけ少なくする。ということは、同時に公庫は基本的に逆ざやでございますから利子補給をしなきゃならぬ、財投資金をたくさん借りると。その補給金を一般会計から補給していただいておりますが、それもできるだけ少なくしたい。そういうことがございまして月二回ということで限定しています。これが回数をふやしますと、財投資金も多くなるし補給金も多くなるという問題が一つございます。  それともう一つ、いろいろ私どもの大きなお金を運用していただいておりますのは九百の金融機関、窓口までを入れますと一万八千の金融機関の方にお願いして御協力をいただいてうまくやっていただいている、こういうことがございますが、金融機関サイドもやはり資金交付日をたくさんにするといろいろ事務的な問題があるというようなこともございまして、なかなかその回数をふやすということ、先生の御指摘の利用者の面からいうといいのでございます、同時決済方式をやるためにはよろしい面があるんですが、そういった問題があるということが一つございます。  私ども先生からも常々御指摘いただいている制度でもございますものですから、これからまずできるだけこういう制度があるということをさらに金融機関にも周知いたしていきたいと思っております。  またなお、不動産取引の円滑化につきましては、建設省におかれましてもこういった問題も含めていろいろ御言及いただいておりますものですから、私どももそういったことに参加しながら、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしてまいりたいと思っております。
  39. 清水達雄

    清水達雄君 ひとつ御努力をお願いしたいと思います。  それから、最後に国土庁長官に。監視区域の解除、緩和の問題なんですけれども、解除したのは群馬県だけなんですね。あとはみんな緩和をしてきているわけです。今のような地価情勢、私は立法当時も国土庁にいたんですが、こんな運用をされるとは夢にも思っていなかったんですよ、監視区域の問題につきまして。これは今まで随分言ってきたんですけれども、もっと早く、規制緩和という観点からいっても、こんなものは労力が今かかっているだけの話でございましてね。  だから、まず長官にお答えいただく前に、群馬県では解除した、同じような県で解除しないところで地価動向に何かその差が出ているのかどうか、それを事務当局からお答えをいただきたいと思います。
  40. 山田榮司

    説明員(山田榮司君) 今お尋ねの件でございますが、群馬県の地価動向を申し上げますと、地価公示に基づきます対前年変動率によりますと、住宅地、商業地とも平成四年度地価公示がピークでございまして、その後二年連続下落をしているということでございます。  それで、昨年、通達で経済生活圏域を一にしている近隣の自治体と連絡をとれということで、群馬県は特に栃木県と連絡をとったようでございます。いずれの県も二年連続の下落でございますが、群馬県の方が下落率が高いというふうな状況でございます。
  41. 清水達雄

    清水達雄君 私は、どうも公共団体が一たんつくった組織をがたっと壊すのは非常に困る、これは役人の世界の常識でもあるんですけれども、というふうなこともあってじゃないかと思うんですが、なかなか一遍に解除したりなんかしないということなんですけれども、これは国民にとっては大変な手間暇かかる話をやっているわけで、今お話があったように、解除した群馬県の方が地価の下落率が高いというふうなことを言っているわけですよ。  こういう意味で、これは長官の政治力、指導力で早く解除がなされるようにぜひよろしくお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  42. 小澤潔

    ○国務大臣(小澤潔君) 先生国土庁においでになったことも承っておりますので私の答弁はもう無用ではなかろうかとも思いますが、せっかくの質問でございますので答弁をさせていただきます。  先生指摘のとおり、監視区域制度は機動的かつ弾力的な運用を前提といたしており、都道府県等における一層的確な運用のための通達を昨年十一月に出したところであります。この通達に基づいて、既に四十七都道府県市、これは全体の約八割に当たるようでありますが、この四十七都道府県市において緩和、解除が実施されたところであります。都道府県等においては引き続き地価の動向、土地取引の状況等に関する調査、把握に努めているところであり、今後とも地域の実情に応じて的確な運用がなされるものと考えております。  国土庁といたしましても、各都道府県等と緊密な連携を図りつつ、地価動向、土地取引状況等を総合的に検討、勘案し、適切に対応してまいりたいと思います。
  43. 清水達雄

    清水達雄君 終わります。
  44. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 自由民主党の矢野哲朗でございます。  先輩の清水達雄先生、まさに建設、国土のオーソリティーでいらっしゃる、その後を受けてということでありまして、甚だ素人的な質問になるかもしれませんけれども、ぜひとも真摯な答弁期待申し上げたいと思います。  この一年間を振り返ってみますと、建設行政をめぐる動向は、ゼネコン問題に端を発して公共工事の入札・契約制度の改革、このことがまさに最大の眼目であった、テーマではなかったかと思っております。  当然のことながら、公共工事をめぐる一連の問題は、建設行政その枠にとどまることなく、まさに政治改革の実現、このこととも深くかかわり合う問題でありまして、我々中央そして地方の政界を含めても、公共工事の入札等をめぐって国民から批判をいただかないような、まさに信頼回復をすべく、その改革、改善に全力を尽くしていかなければいけない、こう私なりに政治家の一人として強く認識をするところでございます。  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、改革、改善に対して相当検討を積み重ね、そして一つ方向性を打ち出されたと思います。条件付一般競争を初めとして公共工事全般にわたるひとつここでそのまとめを建設省、加えまして、当然公共工事の七割の発注高を数えるわけでありますから地方公共団体の元締めである自治省、そのまとめをお伺いしたいと思います。
  45. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) お答えをいたします。  去年一年間、大変ゼネコン等の一連の不祥事がございまして、私ども建設行政を担当いたします者として大変反省をいたしておるわけでございます。  去年一年間いろいろな御論議をいただきまして、中央建設業審議会におけるいろいろな御建議とか、あるいは政府ベースといたしましては行動計画をことしの一月十八日に策定いたしました。入札・契約制度につきましては、少しでも不正の起きにくいシステムに改善すべきではないか、こういうことが現在進めておりますいろいろな改革の要点でございます。  具体的には、先生指摘のとおり、条件つきではございますが一般競争を本格的に導入をすること、あるいは一般競争をやらない、引き続き指名競争契約で事業を執行するものにつきましても、指名競争契約制度自体をより以上に、やはり透明性が確保され、競争性にすぐれ、客観性がきちっと担保されるような、そういう制度改革をしていこうということが基本的な考え方でございます。  それと同時に、やはり入札・契約制度によって国も県もいろいろな事業をしているわけでございますが、特に公共団体の方々が最近大変多くの仕事をしておられるわけでございまして、公共団体の皆様方につきましても、やはり国の行動計画に準じて、これを参考として入札・契約制度の改革をしていただこうというような基本的な考え方によって現在自治省とともにいろいろ鋭意制度の改革に取り組んでいるところでございます。
  46. 川村仁弘

    説明員(川村仁弘君) 地方公共団体の入札・契約手続の改善、この課題につきましては、昨年、建設省との間で協議会を設けましていろいろと議論をいたしまして、一般競争入札等多様な入札方式の活用とか、あるいは指名基準の策定、公表といった入札における透明性、公平性の確保とか、あるいはまた監査の徹底、こういった改善策を取りまとめまして昨年の末に地方公共団体の方に通知させていただきました。  今後、その成果が上がるよう私どもとしても十分指導を続けていきたい、かように考えております。
  47. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 概略の説明をいただいたわけでありますけれども余りにも問題が問題だっただけに、着地点を何とか覆い隠そうということではないんでしょうけれども、軟着陸したいということなんですかね。  それだけの検討結果を広くもっと、こういうことで透明度をもっと増しますよ、今後はまさにこれだけの改革をするんだから、明治何年来続いた何十年間の改革ですよ、だからこんな改革をするのでひとつ国民の皆さん注視してくださいねと、こういうふうな行動が何か私は感じ得なかったのであります。ですから、改めて検討結果、そして今後の公共工事の入札手続については万遺漏なきを期したい、ここまで努力します、こういうふうな広く国民に訴えるような努力をしていただきたいなと。あと一度ひとつお願いします。
  48. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) お答えします。  造詣深い矢野先生の御質問でございますから、そのとおり納得できるかどうかわかりませんが、一つは、私ども建設省としては、今局長お話しになりましたように、起こりにくいというか起こらないということを原則にして、一般競争入札なら談合はできぬだろうというふうに考えております。  しかし、現実に談合も行われておる。最近、東北地建で、七十の塗装業者の皆さんに指名競争入札でやったんですけれども、談合があった。したがって、指名停止処分を三カ月間やりました。最近はまた茨城県知事等の問題に絡んで、この業者については、民間も官公工事も十二日間の営業停止処分をいたしました。厳重にいたしますが、原則は、ゼネコン汚職の絶滅は発注者と受注者の態度いかんにあるだろう、こういうふうに思いますので、その点は徹底して指導教育をしていかなきゃならぬ。  具体的には、入札問題については、国の直轄事業は七億三千万、公団公社等は二十三億四千万、これは御案内のとおりでございますが、これは一般競争にすると。しかし、お示しがあったように、土木建築業者は大半が中小企業でございますから、一般競争入札になれば強いものがとっていく。全部とっていけば中小企業は分解作用を起こす、こういうこともあります。したがって、そのために今までABCDとランクがついておる。ところが、Bも、Aに近いBもあればCに近いBもある。  その辺で、今まで起きた問題は、自分がしたくても、資格があるのに指名競争入札のために指名が入らない、こういうことがありますね。したがって、こういう仕事は出します、皆さん方からやれる能力があると思われる方は手を挙げてください。手を挙げて申請をして、そして我々は、若干人が必要でありますけれども、精査をして、この人なら能力があるという方々を指名して、そして透明性をはっきり出して、そこで激烈な競争をしてもらって進めていく、こういうことをやらなければならぬではなかろうか。  どの程度効果があるかと。今、自治省からも建設経済局長からも話がありましたように、効果があるためにやるわけでありますが、どのようにそれをくぐっていくかというようなことも問題になるでありましょうし、一つ一つやりながら効果度を見てこれから対応していかなきゃならぬ。  そして、業界の皆さんに申し上げておるわけですが、いわゆる三K論議というのがありますね、汚い、危険、きついとか、そういう業態ではなしに、三A運動というものをやって、例えば安全で、明るい職場で、温かい職場をつくる。そういう中で、やっぱり業界というものも心の持ち方、そういうことを強く進めて、業界の刷新といいますか、受注問題等についても広く国民の皆さんに御理解をいただけるような体制をとっていきたい、こういうふうに念願をし、具体的な問題としては今申し上げましたような諸点についてまず明確にして、その効果度の状況から見て進めていこう、こういうふうに考えておるところでございます。  以上です。
  49. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 建設大臣の覚悟のほどをお伺いしました。ぜひ建設行政の顔になっていただいて、ひとついっときも早く国民の信頼回復をかち得ていただきたいと思います。  加えまして、一連の改革の中で幾つかの問題提起をさせていただきたいと思います。  条件付一般競争入札ということでありますから適格者かどうか慎重に精査しますというふうなことなんでありますけれども、人の考えでありますから、それ以上のものをやりたい、努力をしたい、こういうことは当然のことだと思うんですね。そうしますと、えてして期間内に工事が終わらないということも発生するんじゃないのかなと。  加えて、談合の一つの原因であった工事完成保証人制度ですか、これもひとつ訂正していこうということで今回なくなったわけであります。そうしますと、工事完成の担保をどうやってとっていくのかなと。その辺での御説明をいただきたいと思います。
  50. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、工事完成保証人制度というのは、どちらかというと従来長い間の慣行で、全国の発注者がほとんどこれを使ってきたという実態がございます。ただ、人的保証であることとか、あるいは無償で工事の完成を担保してもらうといったような制度であるということから、内外ともにいろんな観点からの御批判もございます。  私どもは、中央建設業審議会の建議あるいは政府の行動計画におきましても、今後なるべく工事完成保証人による工事の施工の担保というものをやめていこう、特に相指名業者の中から選定をさせるというようなことはこれは直ちにやめなければいけない、こういう考え方で今改革の方向を決めているところでございます。    〔委員長退席、理事今井澄君着席〕  ただ、では全国の発注者が何の担保もなしに工事の請負契約をするということはどうかということもございます。全国には相当数多くの公的な発注者の方々がおられるわけでございます。大変規模の小さな発注者の方々もおられます。こういうふうな方々は、やはり何か事故が起こった場合に直ちに対応がなかなか難しいということもございまして、何らかの形の担保制度、履行保証制度というものを構築すべきではないかという御意見もございました。  目下、私どもでは内部に研究会をつくりまして、新しい履行保証制度のあり方はどういうものが一番いいのかと。従来のように工事完成保証人、それから金銭保証人、履行保証保険というこの三つの制度と並んで、あるいはこの三つの制度の中にさらに追加すべきものがあるかどうか、あるいは現行の制度の中でもより以上に的確な運用が可能なものがあるかどうか、そういうものを今研究をいたしておりまして、年内を目途に結論をいただいて、これは平成七年度からということになろうと思いますけれども、履行保証制度について平成七年度を目指して新しい制度を実施していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  51. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 この行動計画に入る以前に、試行ということで、昨年の九月ですか、条件付一般競争入札の試行の結果を建設省は出されたわけであります。十三工事のうち入札を完了したのが四件にとどまった、その結果、公告から入札までの日数が四十一日から四十六日かかってしまったと。慎重に対象企業かどうかというような精査のための日数だと思います。反面、今までの指名入札では指名から入札まで平均十日程度だったということになるわけです。速やかなる発注並びに対象業者の速やかなる選定、相当物理的に手間暇がかかるのかなと。  こういう一つの報告があるわけですけれども、その辺での対処の方法をどう考えていらっしゃるか。
  52. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) お答え申し上げます。  確かに先生指摘のとおり、制限付一般競争を導入する場合にはそれなりのやはり手間と時間がかかる、人的能力もかなりのものがかかるということは事実でございます。  先生指摘になりましたとおり、私どもでも昨年の秋から試行的に何件かの一般競争をやってみましたけれども、当初やりましたものはやはり従来の指名競争に比べて数倍の時間とそれから手間がかかる。これはもちろん初めてやるわけでございますから、いろいろ事前に受注者側に十分説明をするとか、あるいは発注者側のいろいろな意味での勉強ということも必要ではございますけれども、やはり一般的にはそういうものがかかるということは言えるわけでございます。  そうなりますと、今後一般競争を本格的に導入していく場合にどう対応していくのか。なれてまいりますとやはりそれなりに時間も短縮できる。私どもの試算というか感じで申し上げて恐縮でございますけれども、数倍よりはやはりもっと現実的に少ない労力とあれでもできるだろうと思うわけでございます。  さはさりながら、一般競争の数が多くなってまいりますと、トータルとしては大変な人員あるいは労力ということにもなってくると思います。これにつきましては、現在、私どもでは大変厳しい定員削減計画を進めておりまして、現場における、特に地方建設局における人員等につきましては厳しいものがあるわけでございますけれども、これにつきましては的確な業務執行の改善をとにかく進めていくという中で対処をしていくということを基本に考えたいというふうに思っております。  例えば具体的な一般競争の期間が四十一日から四十六日という御指摘もございましたけれども、現在私どもが実施しようとしております制限付一般競争は公告から入札まで四十日ということにしておりまして、この期間は最低限やはり必要である。その期間の中において技術資料等を十分精査する時間、公告の時間あるいは苦情に対してお答えをする時間というようなものもあるわけでございまして、こういうものについてのいろいろな業務執行の合理化、改善を進めて今後の事務量の増大に対応してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  53. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 先ほど申し上げたように、公共工事全体の七割方が地方公共団体の発注になっている。それからいくと、数的にはまさに膨大なものになると思うんですね。そうすると、建設省の今話された悩みの数倍の悩みが地方公共団体にまさに生まれるわけでありまして、ですからその辺の対応の仕方、ぜひ地方公共団体も含めてどうやっていくのかということに真剣にひとつ取り組んでいただきたいと思います。まさに建設省の悩み以上、数倍の悩みを抱えている、この現実をぜひとも直視しながら今後の対応をひとつ考えていっていただきたいなとお願いを申し上げます。  それから、今回の改善に当たりまして予定価格を公表した方がいいものかどうなのかという議論も中建審でかなりちょうちょうはっしゃられたようであります。予定価格を事前に行うことによって、予定価格を探ろうという不正な動きはなくなるだろうというふうなことで、予定価格を事前に発表したらどうなんだと。しかしながら、予定価格がわかっていれば個人の努力、競争入札という中での努力がどこまで図れるのかなということになるとこれまた問題があるなと、いろんな論議を呼んだようであります。それで、まさに今検討中ということになっていますかね。ですから、この件について今後どう対応していくのか、現状をひとつお伺いしたいと思います。
  54. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) 予定価格制度の公表の問題でございますけれども先生指摘のとおり、昨年来の中央建設業審議会の特別委員会等の御論議では、非常に活発な御審議あるいは御論議をいただきました。  予定価格制度をやはり公表するのも考えてみる一つの意見ではないかという御意見があったことも事実でございますけれども、結論的に申し上げますと、予定価格制度は現在の会計法の基本原則でございまして、あらかじめ発注者が定める予定価格の中で競争をしていただくということが現行の会計法の物の考え方ということでございます。これを明らかにするということになりますと、やはり今の入札・契約制度の根本の問題にもなるということもございますので、これは結論として、従来と同様予定価格制度につきましては厳正な管理のもとに競争をしていただくという前提で公表しないということになっているわけでございます。  ただ、中長期的には今後いろいろな制度の改革の問題というのもあるいは御論議になるだろうということもございます。具体的に、中央建設業審議会等の結論では、中長期的にはいろんな意見もあろうから引き続き検討してみてはどうかということも報告の中にうたわれているわけでございますが、当面は予定価格制度は厳正な秘匿あるいは厳正な管理のもとに、その中で競争をしていただくということになっておるわけでございます。
  55. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 先ほど大臣から一部お答えをいただいた経緯もありましたけれども、改めましてお伺いします。  建設業の数としてはほとんどが中小企業であるという現実がございます。加えて、その中小企業が地方の雇用を確保してきた、地方に多大なる貢献をしてきたことも事実。ですから、建設行政の一つの目的は、地方の中小企業の建設業をいかに健全育成するかということも大きな一つの目的になろうかな、こう思うわけでありまして、ですからいたずらにこの一般競争の枠拡大ということもいかがなものか、こう思います。  ですから、その辺で今後の地場の中小企業、建設業の健全な育成を図るためにどのようなお考えを持っていらっしゃるのか。加えて、今後地方の中小企業が目指すべき一つのビジョンは何なんだろう、その辺を明確にしながら、ひとつ頑張れよと、こういうような中長期のビジョンの提示も必要かな、こう考えるわけでありますけれども、その辺での考えをひとつお伺いしたいと思います。
  56. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、建設業が地域の雇用あるいは地域経済の支えに大変大きな働きを持っていること、影響を与えていること、御指摘のとおりだと思います。それと同時に、日本の建設業は九九・四%、九九%以上が中小建設業者の方々でございます。    〔理事今井澄君退席、委員長着席〕 そういう点もございまして、入札・契約制度は建設業の方々、実際の地元の建設業に大変大きな影響を与えることもまたこれは事実でございます。  私ども現在やっておりますのは、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、ある一定の規模以上の大きなものに制限付一般競争を導入する。国の工事でございますと七億三千万以上、公共団体あるいは県の工事でございますと二十四億三千万以上でございますけれども、それ以下のものにつきましてはいろいろ制度の改善を加えた上で引き続き指名競争契約でやっていくということになっておるわけでございます。  今後これをどういうふうに考えていくのかということにつきましては、制限付一般競争を導入するということがまだ現実にこれからの課題といいますか、今やっている課題でございます。平成六年度当初予算から始まったばかりでございます。それと同時に、政府部内におきましても、いろいろな発注者の方々がおられますので多少準備に時間をかけておられるところもございますし、やはり本格的なそういう制限付一般競争の実施の状況というものを十分勘案しないと、直ちにこれを例えば中堅あるいは中小の規模工事についても及ぼしていくというのはこれはなかなか問題もあるわけでございます。  私どもは、とりあえずある一定の規模以上のものについて制限付一般競争を導入するわけでございますが、その実施状況、事務量の増大の問題、発注者の方々のいろいろな御心配あるいは工事の実際の施工監督の必要性の増大とかいろんなことを総合的に勘案いたしまして、今後慎重にやはり検討していかなければならない課題、こういうふうに考えているところでございます。  それと同時に、全国九九%以上が中小建設業の方々でございますので、今後の入札・契約制度の改革の方向も含めて、例えば具体的なビジョンみたいなものをきちっと建設産業政策として示す必要があるのではないかという御指摘がございました。  これにつきましては、かつて昭和六十年、六十一年、建設冬の時代と言われましたころにも建設産業ビジョンというものを産業としてお示しをしましたことがあるわけでございますが、その後の平成好況と申しますか、バブルの景気というようなこともございまして大変経済環境が激変をしてしまいました。それと同時に、新しい入札・契約制度の改革も行われるわけでございますので、私どもなるべく早急にこれからの建設産業政策大綱みたいなものをつくりまして、全国の建設業者、関係の団体あるいは発注者も含めて関係者に広くお示しをするようなことも一つ産業政策としては有効ではないか、こう思っております。目下、建設省の中に有識者に集まっていただきまして懇談会をつくりまして、いろいろ議論をして年度末までに何らかの一つの提言をしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  57. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 時折、中央での会話なのでありますけれども地方の建設業の協会から、ぜひ地場でこういう大きな工事を受注したいという協会としての働きかけを我々受けるわけであります。そんなときに、当然地方の地場の代表でありますから、その先兵となっていろんな働きかけをさせていただきます。そんなときに、今まではどうだった、そういうふうな経験があったのかどうなのか、技術的にどうなのかなという議論が必ず出てまいります。経験は与えてやらなければ積むことができないわけであります。ですからその辺も、地場の中小企業にそれなりの機会が与えられるような一つ方向性もそのガイドラインの中にぜひ組み入れて、先ほど建設大臣がおっしゃったように、明るく温かくそして安全だというふうな、ひとつ希望の持てる地方の中小の建設業の育成にぜひ努力をいただきたいと思います。  一方で、建設行政の中でどうあるべしというふうな今の一つの行動計画だと思うのでありますけれども、反面、公正取引委員会では、一応こういうふうな法的な一つの枠組みがあるからこれを守ってやりなさいという一つのガイドラインがやはり相並行して検討し、出されたわけであります。このガイドライン制定の経緯並びにそのねら  いについてお伺いをいたします。
  58. 小川秀樹

    説明員(小川秀樹君) 御説明申し上げます。  先生からのお尋ねでございますけれども、入札ガイドラインの目的なり策定経緯なりということでございます。  まず、このガイドラインの目的でございますが、端的に申し上げますと入札談合の未然防止の徹底ということでございます。背景を若干申し上げますと、公正取引委員会といたしましては従来から入札談合に厳正に対処をしてきたところでございまして、しかるに最近、ここ二年度間ぐらいの状況を見ましても、入札談合事件の審決と申しますか事件の数が三十二件に上りまして、同じ期間の全体のカルテル事件数と申し上げてもよろしいかと思いますけれども、三条、八条事件の審決の数が五十八件ということで、カルテル事件の五割から六割が入札談合事件と、そういうようなややゆゆしき状態になっておるということでございます。  そういう状況に対して、公取としては引き続き法の厳正な運用、対処をせざるを得ないわけでございますが、他方でこういう事件が起こらないように未然防止の徹底を図る必要があるということで本ガイドラインの策定をいたしまして、事業者や事業者団体のいろいろな入札に関連した活動がどういう場合に独占禁止法上問題になるかというあたりをできるだけわかりやすくお示しをして、御理解を深めていただくことにより入札談合の未然防止の徹底を図る、そういったことが目的なわけでございます。  経緯を簡単に申し上げますと、昨年の十月二十一日にこういったガイドラインをつくるという方針を公表させていただきまして、その後内容の検討を進めまして、本年三月四日でございますが、ガイドラインの原案を公表いたしました。その原案を公表いたしまして、関係の各方面、関係団体、各省庁に意見照会ということでお送りをいたしまして意見をいただいたわけでございます。いただきました意見をつぶさに検討させていただいて、それらも参酌いたしましてさらにわかりやすいものにするということで、原案を一部修正いたしまして本年の七月五日にこのガイドラインを公表いたしたわけでございます。
  59. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 公取の存在というのは、いざ問題が起きたときに、あれというふうな存在なんです。日ごろ建設省とのいろんな技術指導やらあり方のコミットはするんでしょうけれども、問題が起きないとなかなか公取の存在は実在感が日ごろないというふうなのが現状だと思うのであります。  今話されたように、日ごろの未然防止ということが大変大切なことだということになりますと、建設省とも十分連携をとりながら適宜指導していくということが私は必要だと思う。それが今までは、ややもすると日ごろ全く関与しません、問題があったら出てきますよ、こういうふうな姿勢なものだから、いざ問題が起きたら大きいというふうな話になってしまう。ですから、その辺は常時広くひとつこうあるべしというふうな業者とのコミットを図っていただきたい、その辺を強く私お願いしたいと思います。  正直申し上げて、公正取引委員会というのは商売をやっている方々には何かすごく怖い存在だ、公正取引委員会が出てきたらそのときは終わりだぞ、こういうふうな感じもしないではない。だから、日ごろからそうではなくて、未然防止ということを十分徹底されたいということを強く要望させていただきたいと思います。  会計検査院の報告で目につくわけでありますけれども、以前、工事ミスというふうな指摘が大変見受けられた。反面、昨今、工事ミスの以前に設計ミスというふうな指摘が多々見られるようになったわけであります。平成元年に五事業、二年度には七事業、三年度には五事業、四年度には三事業、こういうことで、これは工事の設計が過大、工事の設計及び施工が適切でない、こういうふうな指摘でございます。  会計検査院にお伺いをいたしますけれども、こういうふうな一つの傾向、その辺の状況をちょっと御説明願いたいと思います。
  60. 天野進

    説明員(天野進君) お答えいたします。  御指摘の設計不適切として決算検査報告に掲記しましたものの対応について若干御説明申し上げます。  橋台、橋脚、擁壁等の設計に当たりまして、鉄筋の配置間隔を適正なものより大きい間隔としているもの、あるいは鉄筋の径を適正なものより細い径の鉄筋としているもの、擁壁に作用する土圧を適正なものより小さく計算しているものなどでございまして、これら誤った設計に基づいて施工した構造物が不安定な状態となっていたというものでございます。  そして、このような設計不適切な事態が生じた理由といたしましては、発注者側から設計を受託した設計コンサルタントにおいて誤った設計をしていた、それから発注者側において設計コンサルタントから受領した設計計算書及び図面等について十分な審査を行っていなかったというようなことでございます。  このような設計不適切とされました指摘事例につきましては、先生御案内のように、近年地方自治体等において公共工事に係る事業量が増加しており、これに伴いまして工事の設計については設計コンサルタントに委託している例が増加しております。このような状況から、会計検査院としても、この設計委託の成果物でございます設計計算書及び図面等が適正なものとなっているかどうか、こういう観点からの検査に重点を置いて実施している、こういうような状況から指摘事例が近年ふえている、こういうような状況でございます。  したがいまして、設計不適切な事態を防止するためには、本院の指摘事例などを十分参考にしていただきまして、設計コンサルタントの成果物に対する審査体制の確立を発注者側にお願いしたい、こういうふうに考えてございます。
  61. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 今、披瀝させていただいた数値はすべて地方公共団体発注物件であります。ですから、当然地方公共団体の実情としてそれだけのスタッフを抱え切れない、こういうふうな現状があろうと思いますし、なおかつ設計コンサルタントに今度出しても、その設計コンサルタントに出した結果、それが適切かどうかというふうな判断をするスタッフまでは雇えないのかな、そういうふうな地方公共団体、県、市町村の実情があるのかな、こう思うわけでありますけれども、その辺での実態並びに今後の育成指導を自治省はどう考えていらっしゃるのかお伺いをいたします。
  62. 川村仁弘

    説明員(川村仁弘君) 公共事業量の増加、あるいはまたお話のございましたような職員が技術上実施を対応できないような設計、こういったものに関しまして、地方公共団体で設計業務の外部委託というものが行われる例は相当多いと認識しております。  公共工事全般についての設計事務の外部委託の状況というものは、実は当方調査しておりませんけれども、ただ市町村が行います庁舎とか体育施設、こういった主要公共施設の新規建設に当たってどうしておるのかということに関しまして、平成二年の十月一日現在で調査したものがございます。それによりますと、市町村のうち九六・五%の団体が全部ないし一部なりこの設計事務の外部委託を行ったことがあると、こういうふうに言っているわけでございまして、非常に広い範囲で行われているということでございます。  御指摘もございましたが、地方公共団体において外部委託するに当たって、やはり十分このチェックといいますか、そういうことに留意していくべきではないかと、かように存じております。
  63. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 十分注意をしてチェックしていくということは当然であります。しかし、それができなかったからこういう事例が摘発をされたわけでありまして、ですから自治省としてはこの建設行政のそういった一つのノウハウは残念ながらそれほど持っていないのかなと。しからば、建設行政といかにコミットしながら地方自治体のそういったスタッフの充実強化を図っていくかということが必要だと思うのであります。  改めて申し上げますけれども、さっき事例として指摘させていだたいたのはみんな地方公共団体の発注事例でありますから、ですから改善をしなきゃいけないというようなことはこの前提だと思うのであります。  ですから、その辺での自治省、建設省連携の中での地方公共団体としてのそういうふうな体制の強化、その辺は今後どう考えていったらいいのかなと、こういうことなのでありますけれども、この質問にはだれが答えていただけますか。
  64. 尾田栄章

    説明員(尾田栄章君) 先生ただいま御指摘のとおり、設計に関します会計検査報告がなされておりますものはすべて都道府県等の発注にかかわるものでございます。  それで、私ども建設省で直轄で行っております内容につきましてお話をさせていただきまして、そういうものをどういう形で都道府県あるいは市町村の中で適用していただければいいのか、その辺のところで参考にしていただければという趣旨でお話をさせていただきたいと存じます。  私ども建設省の直轄で設計業務を外部に委託いたします場合につきましては、その成果につきまして業務工程のそれぞれの区切りごとに、まず委託先でございますコンサルタントにおきまして照査技術者というものを定めまして、その照査技術者が照査をする。また、発注者におきましても調査員というものを定めまして、これが厳正な照査をする、そういうダブルチェックの形で進めておるわけでございます。  また、確実なチェックを行うそういうために、照査に関しますマニュアルというものをつくりまして、そして例えばその設計で使われております設計理論が妥当かどうか、あるいはそこでとられておりますような仮設工法が適正かどうかというようなチェックを厳正に実施してきておるところでございます。そういう意味で、一番基本は職員の技術力の向上とそういうチェックシステムをどうつくっていくかというところにあろうかと思います。  ただ、先生指摘のとおり、地方公共団体におきましてはそういう技術職員がなかなか確保できない、こういう事情もございます。そういう中で、私どもといたしましても自治省と綿密な連携をとりつつ地方公共団体のそういう技術力が確保されるように、あるいは向上が図られるように、私どもが持っておりますような照査に関しますようなマニュアル等の情報提供をする、あるいはそういういろんな技術情報の交換をする、そういう中でそういうミスが起こらないよう今後努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  65. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 今のお話建設省のノウハウはこうだよというようなお話を聞かせていただきました。  県レベルではある程度のスタッフは雇えるのかな、こう思うのでありますけれども、まして市町村は本当にその余裕すらありませんから、ぜひとも自治省と連携をとってください。それでもって万遺漏なきをひとつ図られたい、そういった一つのマニュアルの指導徹底を図られたいと、ぜひひとつお願いを申し上げたいと思います。  先ほど清水先生から土地監視区域の質問がございました。小澤国土庁長官から答弁をいただいたわけでありますけれども土地監視区域のもともとの考え方、本来ですと地価というのは、一番の物理というのは時の需給関係で決定されてしかるべきだ。しかしながら、土地監視区域というのは、需給は全く触れずしてそれでもって地価だけを注意しながら規制対象にしていく、そして投機熱を冷やしていくんだ、こういうふうな対症療法的な発想だと思うのであります。  元来、地価の高騰、私の考えでありますけれども、非常に乱暴な言い方でありますと、地価の高騰を十把一からげで罪悪視するということは果たしていかがなものかなと。生産財に運用される地価が、例えば一億円出しても償却できる地価だったらその投資家は一億円も高くないわけであります。しかし、問題点は、宮澤総理時代に年収の五倍ぐらいの投資で持ち家を持てるようなひとつ体制をとろう、こういうふうな一つ方向づけ、つまり問題点は宅地供給というものをいかに確保するか、このことがやっぱり問題だと思うのであります。  ですから、この間のバブルのときに国内が騒乱して、地価の高騰はまずいんだ、これは罪悪だ、こういうふうに決めつけてしまった。それ以降、地価の高騰はピークを過ぎて下落傾向が始まった。反面、事業をやっている方が資産価値がなくなって再投資するにも再投資できなかった。つまり、そこに経済活動に関与する地価というものは安くあってしかるべきという必要性は決してないわけでありますね。  ですから、いたずらに地価の高騰は悪いんだ、こう言うことはどうなのかなということからして、いかに供給を促進するか、そういうふうなことからして全体の土地流動化を図るんだと。今まさに地価下落傾向がスタートした、それでもって弾力的、機動的に規制区域は運用するんだ、こういうふうな一つのスタートだったというふうに先ほど清水先生も質問されました。  加えて、群馬県の事例、私は隣の栃木県でありますが、栃木県はちゃんと監視区域を持っていますけれども、群馬県は外してそれ以上に土地が下がったということになれば栃木県も右へ倣えとしたいわけですね。しからば日本の国土全体、じゃ今こういうふうな状況になったら監視区域はどうなんだろうなということで、ひとつ長官にあと一度、少し思い切りやっちゃおうやというぐらいの英断を持った答弁をいただきたいなと思うのでありますけれども、いかがですか。
  66. 山田榮司

    説明員(山田榮司君) 大臣がお答えになる前に、群馬と栃木の例が出ましたので、若干実務的な問題でございますのでお答えさせていただきたいと思います。  先ほど地価の動きにつきまして、監視区域、群馬は解除いたしまして、栃木は緩和ということでございますが、緩和、解除する前の状況では群馬の方が下落率が大きかったというふうなことを申し上げたわけでございます。ただ、監視区域の運用につきましては、これは都道府県が運用主体でございます。したがいまして、地価の動向だけではなく、土地取引の実態とかあるいは金融その他のいろんな経済情勢、あるいは地元のプロジェクトみたいな、一種の体感温度みたいな、現場で感じられる地域の実態等を総合判断して都道府県知事が御判断いただくわけでございます。  そういう意味で、群馬と栃木といろいろ御相談したようでございますが、大きな違いと申しますと、地価の動向のほかに、群馬の方では法人取引が栃木に比べて少なくなってきた、特にバブルの高騰期に群馬はかなり県外資本が大挙して入ったのが、大変少なくなってきたというふうなことも判断の大きな要素であったというふうに私ども聞いているわけでございます。
  67. 小澤潔

    ○国務大臣(小澤潔君) 矢野先生の質問は、監視区域制度は地価の抑制に対して効果がなかったのではないか、また、思い切って長官はということは、廃止すべきではないかとも受けとめられるわけでありますが、それらについてお話を申し上げたいと思います。  監視区域制度は、先ほども清水先生に申し上げたとおりであり、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがある区域においては土地取引の届け出対象面積を引き下げ、著しく適正を欠く価格につきましては引き下げ指導や勧告を行うものであると思います。土地対策に関しましては、土地税制の活用、土地関連融資の規制、住宅宅地の供給促進など各般の施策の総合的な実施に努めてきており、これらの施策と相まって、監視区域制度  の的確な運用が今回の地価の鎮静化、下落に相当の効果を発揮したものと認識いたしております。  先生の質問の要旨は、廃止をすべきであろう、かようにもとれましたが、先般の総理府の世論調査、平成六年六月の発表によりますと、先ほども清水先生にも申し上げましたように、八割近くの者が常時または必要に応じて公的機関による土地取引の監視を行うべきである、このような世論調査も出ており、また、公的機関の監視は全然必要ない、こういった答えも八%になっておることも事実であります。  また、平成五年の十一月には局長通達、また課長通達も出したところであり、これらを勘案しながら国土庁といたしましては関係都道府県、また政令指定都市等々と相提携をしながら密接な連絡をとり、今後さらに検討を深めてまいる所存であります。
  68. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 私も効果がなかったという発言は差し控えさせていただきたいと思います。確かにそれなりの効果があったかなと、これは私も同じ考えでございます。半面、それ以上にやっぱり原因をつくったのは当時の金融政策だったというふうに私考えておりまして、ですからこの地価はどのぐらいなんだろうなと、目安の提示は当然必要。それにより監視区域が連動しますよ、こういうことではないと思うんでありますね、公示価格やいろんなところで一つの目安が把握できるわけですから。相場よりも高い値段で取引するのはだめだよと、こういうことをセービングさせる。じゃ、その取引がなければこの監視区域の制度の必要性がなくなってきた、こういうふうに考えるわけです。  ですから、そういう実態もあろうと思いますので、また時の経済は生き物でありますから、いつどういう金融政策のもとにまたバブルの再来もあるかもしれません。そのときにはまた機動的運用をすればいいのでありますから、その辺を臨機応変に対応していただきたいな、このことをお願いさせていただきます。  また同じ質問になってしまうのでありますけれども、角度を変えまして、羽田前内閣のときに公共料金の一律凍結というふうなことを決定されました。時の永野日経連会長が、傍若無人な高速道路料金の値上げは容認できないと、この一言からスタートして、公共料金はすべて凍結というふうな一つの時の世論だったかなと、こう考えております。  半面、先ほど建設大臣から、その後も大変な血の出るような苦しみの中にリストラをやり、合理化をやりと、こういうふうな一つの話がございました。私は、地元の高速道路なんか走りますと、いつの間にか料金所が無人化になっているな、こういうのも一つの合理化かなと思いながら私なりに常日ごろのリストラに対する姿勢というものを評価していたんでありますけれどもね。  ですから、料金改定認可イコール高速道路、高規格高速道路の着工、この一連の仕組みの中で、今回こっちがだめになったから着工も見当がつきませんよと、こういうふうな一連の原因、結果になってしまっている。その原因をつくったのが、今まさに申し上げたような日経連会長の非常に乱暴な発言だったと私は思うんです。  ですから、その辺私は十把からげて公共料金すべて凍結、あのときの羽田内閣の判断が果たしてどうだったのかなと。そのことについては現総理に全体的なことは御感想をお伺いするにしても、高速道路料金だけはぜひ建設大臣、あの決定たるやどうだったんだろうと、その辺の所感をお伺いしておきたいのであります。
  69. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) 矢野先生にお答えをいたします。  最近いろいろな発言がありまして、それの批判は別にして、高速自動車道路というものはいかに我が国に貢献をしておるのか、あるいは交通の安全にどのような貢献度を示しておるのかということを考えますと、私は大いに貢献をしておる、こういうふうに第一番目には理解しております。  高速自動車道路は、通行人もありませんし、自動車のみでありますから、自動車も傷みませんし荷物も傷めない、燃費は縮小できる。したがって、三十年間で償還するのは四十年間にしようと。行き着くところ、三日かかるところは一日で行けるんじゃないか、こういう考え方。  だから、この会長が、公共料金は諸悪の根源というような御発言だったかどうか定かでありませんが、私は、高速自動車道路は必要に応じて進めるべきである、こういうふうにかたく信じております。  特に、全国の知事あるいは市町村長がおいでになると必ず高規格道路の推進方を要請されますし、最近では地域高規格道路もあわせて推進をして、そして一極集中を排除しながら日本の国土の均衡ある発展を図っていくことが必要ではないのか、こういうふうにお話しになります。私もそのとおりで、建設省としては国土の均衡ある発展をして一極集中を排除するためにも自動車高速道路は必要である、こういう認識に立っておりますが、当時の内閣は年内料金凍結、こういう決定が出たものでありますから、それは守らなければならぬというふうに考えております。守りますが、既にもとの建設大臣施行命令を出しております三十四区間にわたる千百八十四キロ、これについてはもう命令を出しておるわけですから、これはどうしてもやらなきゃならぬ、近々に工事着手してもらいたい、こういうふうに思っております。  料金の方については、工事着手よりもおくれて、国民のニーズと経済状況というものを勘案してできるだけ早期に決定をしますが、実施の時期についてはいましばらく検討中でございますので御理解をいただきたい、こういうふうに思っております。  全体の予算、公共事業の中で組み込んだらどうかということでございますが、きょうもお話がありましたように、公団は既に自動車高速道路で十七兆円にわたる借入金をしておりますので、これらの利子補給も最低限行って、受益者負担の軽減を図っていくと同時に、国民交通安全なり生活の安定に向けて必要のある高速道路は進めていくということであります。  したがって、結論を申し上げますと、命令が出た千百八十四キロは早急に進めます、工事着手いたします。料金の認可につきましては、いつから実施をするということをまだ決めてはおりませんけれども、できるだけ負担を軽減するように最大努力をして、国民の皆さん方の御理解と御納得と合意を得てぜひ踏み切っていきたい、こういうふうに考えておりますので、よろしく御支援をお願い申し上げたい。  以上であります。
  70. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 お立場上、前内閣の決定は甚だ遺憾だということまでお聞きしたがったのでありますけれども、それまでは無理だと思いますので、あえてここで質問をやめさせていただきますけれども、今、施行命令が出ているんだからなるべく早い時点で料金改定認可をいただきながら着工をひとつ図りたい、こういうふうなお話でございました。ぜひ御努力いただきたい。  これは地方の話になりますが、我々栃木県は数少ない海なし県でありまして、仲間から栃木県は海産物うまいものがあるんだけれども食べられない、残念だな、栃木県にあるものはシイタケだけか、こういうふうな指摘を受けまして、海に対する願望は非常に強いものがございます。しからば、栃木県の渡辺知事が海の家という、通称海の家じゃなくて、百五十億もかけて栃木県にあの海原をひとつ身近に感じていただきながら海原を見て大望を抱いていただくような青年を育てようということで海の家をつくった。こういう経緯からして、海なし県の我々としては海に対する非常に大きなあこがれがございます。  そうすると、そのあこがれを実現するのが北関東横断道路になるわけであります。一部、昨年の施行命令時点に優先区間を群馬県、栃木県、それから茨城県に指定されまして、もう既に待ち構えているわけでありますけれども、具体的なお話としてひとつ北関東横断道路、今後こうやりますよ、こうしますよというふうな御意見まであわせてちょうだいをしておきたいと思うのであります。
  71. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 時間が経過しておりますから簡潔に。
  72. 藤川寛之

    説明員藤川寛之君) 御指摘のとおり、北関東横断自動車道路でございますが、北関東地域基盤施設といたしまして大変重要な役割を担っているというふうに私ども考えておりまして、この路線につきましては、昭和六十二年に新たに国土開発幹線自動車道に追加された路線でございますけれども、私どもとしても鋭意この道路の建設の促進に努力してまいりたいというふうに考えております。  具体的には、今もお話がございましたが、群馬、栃木、茨城の三県で既にもう施行命令が出た区間がございます。合わせて五十六キロでございますけれども、これにつきましては、先ほど大臣からもお話がございましたが、料金改定の認可をできるだけ早くやる、それと同時に工事実施計画の認可をできるだけ早くやって、本格的な用地工事に着手してまいりたいというふうに考えております。  また、平成三年の十二月に基本計画が策定された区間がございます。これも群馬、栃木、茨城、三県で合わせまして八十キロあるわけでございますけれども、これにつきましてもできるだけ早く次の整備計画に昇格するように調査等を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。  若干あと予定路線の区間もございますが、この区間につきましても次のステップに向けた調査等の推進を図っているところでございまして、私どもといたしましても、地域基盤として大変重要な路線でございますので、今後ともこの建設の促進に努力してまいりたいというふうに考えております。
  73. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 終わります。
  74. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ─────・─────    午後一時十七分開会
  75. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成三年度決算外二件を議題とし、建設省環境庁国土庁及び住宅金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 清水澄子

    清水澄子君 このたび新しく就任されました環境庁長官にお尋ねいたします。  ことし十二月には懸案の環境基本計画が策定されるなど、今後の環境行政に対してさまざまな期待が高まってきているわけですけれども、長官は環境行政に対してどのような抱負と、そしてどのような基本姿勢でお臨みになるのか、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。
  77. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) まず、十日前に任命されまして、いろいろまた御厄介になりますが、よろしくお願い申し上げます。  今、清水先生の方から基本的な環境行政に臨む私の心構え、基本方針についてのお尋ねがございましたが、今日の環境問題は申し上げるまでもなく地球環境全体に及んでおり、影響を与えておりますし、また広がりがそれだけ広いということ、それからまた将来の世代、我々の世代ばかりでなくて子々孫々にまで影響を持つというそういう意味で時間的な空間的な広がりを持つ問題となっておりまして、我が国の内政、特にまた地球サミットが行われて以降、外交問題においても重要課題一つというように認識をいたしておりまして、その担当をいたすことにつきまして本当に責任の重さを感じておるところでございます。  今、先生からお話しのように、昨年の十一月に環境基本法が、包括的な法案が全会一致で成立をいたしましたので、この基本法の枠組みのもとで新たな環境政策を総合的かつ計画的に推進するために、まず効果的な実効性のある環境基本計画を年内をめどに策定をしたいというところで全力を挙げて今取り組まさせていただいているところでございます。  申しましたように、環境分野で国際的にこれから我が国がリーダーシップをとっていくということが求められておりますので、積極的にこれは国際貢献の一つとしても取り組んでまいりたいし、また、内にありましては自然環境の保全と適正な利用とか、あるいは大気、水、あるいは土壌環境等々非常に広範な領域に環境保全の問題がございますので、これらの充実強化には精いっぱいひとつ取り組まさせていただきまして、せっかく環境基本法という法律ができましたものですからその肉づけをより一層強化してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  78. 清水澄子

    清水澄子君 新鮮な気持ちをぜひ今後の環境行政の中で具体的に実効性のあるようにひとつ御尽力いただきたいと思います。  そこで、実は地球環境基金についてお伺いしたいわけですけれども、二年前にブラジルで開催されました地球サミットでは環境と開発に関するリオ宣言が採択されました。そして、そこではいわゆる国際的なさまざまな環境と開発に対する原則が確認されまして、その具体的な行動計画でありますアジェンダ21において、持続可能な開発を行うためには国や企業だけではなくて民間の環境NGOに非常に大きな期待を寄せられているわけです。  そこでお尋ねしたいわけですけれども、長官は一九九三年度に発足しました地球環境基金の意義と、そして環境NGOの役割についてどのように認識していらっしゃいますか、お尋ねいたします。
  79. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) 今、先生の御指摘のように、環境問題への取り組みというのは国とか地方とかそういうパブリックセクターだけではどうにもならないわけでございまして、いろいろ外国におきましてもNGOの活動が非常に活発に行われておりますが、こういった途上国等の現地のニーズに対応したような草の根の環境協力ということが非常に大切でございまして、これはいわば国民一人一人の足元からの行動を促進するという意味で極めて私は重要な役割を果たしておるものと思っております。しかし、我が国におきましては歴史的な文化的な背景等もございまして、欧米諸国に比べましてNGOの活動基盤が総じて率直に申しまして脆弱であると言わざるを得ないと思うのです。  そこで、今御指摘のリオ宣言その他の趣旨を踏まえまして地球環境基金がつくられたわけですが、これは国と民間の双方が力を合わせまして基金を造成して地球環境保全に取り組むNGOの活動に対する支援を行うものでございまして、その意義は非常に、極めて深いものであると思っております。  環境庁としても、例えばこの六月には環境教育シンポジウムをNGOの方々と共に共催したところでもございまして、今後ともこうしたさまざまな機会を通じましてNGOとの協力を図ってまいりたい、そして環境基金もその設置の目的に沿ったものとして有効にひとつ今後ワークするように努めてまいりたい、このように思っております。
  80. 清水澄子

    清水澄子君 今この基金の目的をはっきりおっしゃったわけですけれども、この基金はやはり民間の環境NGOを育成していくということに大きな目的があると思います。  ところが、ことし初めにその助成団体の対象に通産省、そして農水省のいわゆる政府関係の公益法人二十一団体がひそかに追加されていたということが報道されたわけですけれども、その趣旨とこの経緯、これをどのようにお考えになっていらっしゃるか。そして、その後どういう措置をとられたのかお聞かせいただきたいと思います。
  81. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) 新聞報道等によりまして、今先生の御指摘のような事実が一部の新聞で報道されたことは事実でございます。  結果におきまして、今御指摘のような八十一件の助成決定を昨年の十月ごろだと思いますが、いたしました。しかし、なお追加的な二十一件等につきましては、その段階ではまだ財源のめど等もつきませんでございましたのでこの発表は留保いたしまして、財源のめどがきちっとしてから決定したいということでこれを延ばしましたが、年度末までには今御指摘のように通産、農林の中央競馬会でございますとか、あるいは自転車振興会からの基金への助成等も見込みが立ちましたものですから、内容的には検討いたしておったようでございますが、財源の見通しもつきませんものですから、これを見通しのついた段階で発表するということで二段階にしたというように私は理解しております。  したがって、特にそこに新聞で報道されるような何らかひそかにやったとかそういうことではないのではないかというように、説明をお伺いいたしまして私なりにそういう実感を持って受けとめさせていただいております。  しかし、二段に分けるようなことがございますとそういう多少疑惑を受けるという可能性もございますので、この発表の仕方その他については十分注意をしてこうした案件は決定しているんだけれども、しかし追加的なものはあと財源の見通しがきちっとした段階で明確にこれを発表いたしますとか、そういうような留保をつけて発表しておけば、このような疑いは持たれることはなかったのではないかというように私は感じております。
  82. 清水澄子

    清水澄子君 それは環境庁側の説明だろうと思いますけれども、現実にそれは非常に選定の過程において不透明であった、この事実はやはりお認めにならないといけないと思うんですが、いかがですか。
  83. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) 事業団の中に助成のための専門委員会を設置しておりまして、十分その案件については御検討していただいておるというように承っておりますので、私としてはその間の経緯ちょっと詳細に事務的な説明は申しかねるわけでございますが、全体としてはそんな基調ではなかったかなということでございますので、もしその必要があれば事務当局の方から当時のこの決定までの経過については御説明をさせていただきたいと思います。
  84. 石坂匡身

    説明員(石坂匡身君) 今、大臣の方からアウトラインの御説明を申し上げたわけでございますが、もう少し選定手続につきまして詳細に申し上げさせていただきたいと思います。  御案内のように、昨年の五月に環境事業団に基金が開設されまして、六月二十三日から八月十日までの間助成応募を募ったわけでございます。二百五十八件にも達する要望が寄せられたところでございます。これを受けまして環境事業団では本制度の趣旨を踏まえまして、民間の環境保全活動に詳しい方々、今大臣が専門家の方というふうに申し上げましたけれども、助成専門委員会というものを開催いたしまして、その意見を聞きまして慎重に審査をいたしました結果、助成するにふさわしい案件といたしまして百二件を選定したわけでございます。  しかし、初年度、極めて限られた財源面の制約もあったものでございますから、当初見込み得た財源によりまして直ちに助成決定を行う案件として八十一件、その後民間拠出を中心とする財源状況に応じて助成する案件二十一件に分けまして、十月に八十一件について助成を決定いたしまして公表したわけでございます。こうした経過を考えますと、十月の時点で助成するにふさわしい案件百二件のすべてを公表して、そのうち財源手当てのついた八十一件を決定したというふうに申し上げるのも一つの方法であったかもしれません。  しかし、財源の事情もあったということから、財源が不確実なものにつきまして公表するのはいかがかというふうな観点もございまして、公表を控えたという経緯でございますけれども、今委員が御指摘になりましたように、大変誤解を受ける、あるいはわかりにくいという御批判があったことは重々反省をしております。  環境庁といたしましては、これらの経緯も踏まえまして、後半の二十一件につきまして、よく財源状況を見きわめた上で案件を確定するようにということで事業団の指導を行ったところでございます。結局、五年度の助成案件は全体で百四件ということで確定をいたしましたという経緯でございます。
  85. 清水澄子

    清水澄子君 結局、お伺いをしていますと、いわゆるなぜ環境NGOの育成かという基本的なスタンスのところが、やっぱり官が民を指導してやるのだという発想があるところに大きな問題があるのじゃないだろうか。やはりこういう新しいNGO参加型の環境保全、これからの行政はそういう住民参加とかNGO参加がこれはもう当たり前になっていく時代なんですね。  そういうときにできてきたこの基金に対して、上ですべて選定をするというときには、それがより多くの人にオープンにされていて、そしてだれが見ても公平性がある、そういう形の選定基準といいますか、この助成案件に対してどういう選定基準で臨んでいるかということがやっぱり皆さんにわかるように、そのことがさらにNGO環境運動を高めていく、私はこのように思いますけれども、この点については長官いかがですか。ぜひ長官に、今度そういう方向でやるということをお答えいただきたいと思います。
  86. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) 選定基準の詳細につきましては、私もまだちょっと詳しくは承知しておりませんけれども、おおむね先生のおっしゃられる趣旨は全く同感でございまして、NGOという活動が特別な民間のボランティアその他の意思に基づくものでございまして、これは大変尊重していかなくちゃいかぬ。したがって、国が助成する場合に、地方公共団体とかいろいろな団体に補助金を出す場合と若干趣を異にしているなということを先生の御意見を聞いてわかりました。  こういう点ほどの程度公開していいものやら、これは事業団の責任において決めることでございますから、大衆討議にかけるというわけにもまいりません。しかるべく検討委員会におきまして、それらの意向が反映されるような仕組みをまずつくること、そしてなるべくNGOの団体の方々が結果として納得できるようなものでないと、私どもはこれだけ熱心にやっておるのにそれだけれども除外されたとかいう疎外感を持つような配分は決して好ましくないし、事業団の方で適正であると判断した場合は、そういうことを十分考えて、公平公正な、しかもNGOの皆さん方の強い意思を尊重したような格好で配分をしていかなくちゃならぬと思いますから、具体的な基準その他についてどうあるべきかということはなお検討させていただきますが、先生のおっしゃる点は大方大体同意できるところでございます。
  87. 清水澄子

    清水澄子君 ぜひそういう方針で臨んでいただきたいと思います。  ところが、現実に環境事業団の助成要求件数というのは非常にふえてきているわけですね。平成六年度三百六十三件、そして金額は二十二億八千七百万円ということです。しかし、それに対していわゆる採択した件数は半分以下なんですね、百五十七件。そして、金額にしては五億八千二百万円で四分の一しか満たしていない。こういうふうな助成要望件数の大半をかなえていくために、今後環境庁はこれに対してどのような政策をお持ちなのか、そのことについてお尋ねします。
  88. 石坂匡身

    説明員(石坂匡身君) お答え申し上げます。  先ほど平成五年度の配分につきましていろいろと問題点の御指摘がございました。そうしたことも踏まえまして、この平成六年度、確かに件数にいたしまして半分ぐらいしか配分ができなかったというのはおっしゃるとおりでございます。  ただ、この配分に当たりましては十分に検討いたしまして、例えばなるべく多くの助成要望に応じられるようにするために一団体の採択は一件までとするというふうなこと、あるいは助成額のバランスも、海外活動と国内活動、さまざまいろいろな分野がございますけれども、その区分の間のバランスについても考慮いたしましたし、また活動を行う民間団体の間の連携と協力、これが必要でございますので、このネットワーク形成型の活動というふうなものも重視をいたしました。それから、前年度からの継続案件につきましても十分精査をいたしまして、着実に進展が見込まれるというふうなものを採択するというふうな、いわばなかなか限られた財源の中ではございますけれども、いかにすれば御要望いただいている方々になるべく御満足いただけるように配分できるかということに意を用いたところでございます。
  89. 清水澄子

    清水澄子君 今は平成三年度決算の審議になっているんですが、長官が今度就任されて驚かれたんじゃないかと思うんです。平成三年度のとき環境庁全体の予算が五百三十八億二千三百七十四万円。私も初めて環境委員会に属したとき驚いたんです、四百億幾らだったんですよ。それで、ようやくことしは六百七十三億円です。  そういう一つの省の予算が非常に少ないわけなんですけれども、先ほどおっしゃったように、今後環境行政というのが日本の内外政策のやはり重要な課題になってきている。そういう中で、全体の予算も少ないわけですけれども、この環境基金は、当時二千億円の基金というふうに出されていたと思います。しかし実際には、政府の出資金は十億円にすぎないわけですし、民間からの寄附も非常に伸び悩んでいるわけです。ですから、環境庁は地球環境基金の将来についてどういう構想をお持ちなのかということについて、これは大臣どのようにお考えになりますか。
  90. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) 環境庁の予算が少ない点は、実際環境庁の予算がどのくらいか、今度概算要求に当たりまして私もいろいろ説明を受けましたが、確かに少ないです。この環境庁という役所が発足以来二十年、しかも企画調整的な機能を持っておるということが主たる業務であるから、事業の実施その他が事業官庁と違いまして規模が小さくなることはこれはやむを得ないなと思います。しかし、先生今おっしゃられたようないろいろ個別の助成問題その他で、環境庁でなければできないようなことはきちっとやっぱりしていかなくちゃいけない、こう思うんです。  環境基金につきましても、今御指摘のように、国の出資が十億、十億というようなこと、それからそのほかに国から補助金を出しましてやっておりますが、この建前はもっともっと広報その他を通じて民間からのやはり自発的な拠金も期待をしておる構想でございますから、この大きな方針でございますが、国の資金だけで全部という建前ではないようでございますから、どうかひとつこれからもこの必要性をよく民間の方々にも訴えて、そして民間資金の導入もきちっとできるようにしたいなと。これは広報をして理解を求めるしかございません。  しかし、国も応分のやっぱり予算要求もいたしましてそれなりの充実を図っていくということでなければなりませんが、将来幾らになればいいかというようなことは今のところちょっと申し上げる段階ではございませんし、NGOの今後の発展あるいは規模その他を勘案して決定すべき問題でございますから、十分その重大性、重要性というものは認識しながら対応してまいりたい、このように思っているところでございます。
  91. 清水澄子

    清水澄子君 次に、ちょっとダイオキシン類による汚染対策についてお尋ねしたいと思います。  ことしの十一月に京都で第十四回目のダイオキシンの国際シンポジウムが開かれると思いますけれども、それに当たりまして、最近、摂南大学の宮田教授らのグループによる魚介類のダイオキシン類の全国的な汚染状況の調査結果が発表されておりました。この調査によりますと、大阪湾、東京湾などの魚介類が大変ダイオキシン類によって汚染されているという結果が発表されているわけです。環境庁も昭和六十年から有害化学物質汚染実態追跡調査を行っていると思いますけれども、しかしそのダイオキシン類の発生原因、また魚介類などへの汚染のメカニズムをどのように把握していらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
  92. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) お答えを申し上げます。  まず、ダイオキシン類の発生原因なりメカニズムにつきましては十分つまびらかにされているとは言えませんけれども、現在のところ、ごみ焼却炉などの燃焼過程、また紙パルプ工場などの生産過程などで非意図的に生成することが指摘されているところでございます。  魚介類への汚染メカニズムにつきましては、環境庁における環境調査におきましても、大気あるいは河川や湖沼の底土、また魚介類でダイオキシン類が検出をされておりますが、魚介類への汚染は、何らかの形でダイオキシンが魚介類に摂取され、濃縮されたものと考えているところでございます。
  93. 清水澄子

    清水澄子君 それらが具体的にどういう状況かということをお聞きしたがったわけですけれども、これらの原因物質の一つでありますPCBというのは一応七二年に使用が禁止されている。しかし、これらについても貯蔵のPCBの管理はそのまま放置されているのが現実だと思います。  しかし、これはきょうは質問をやめますけれども、ダイオキシン類の発生原因と見られる都市ごみ焼却炉の問題とか金属精錬関係の燃焼炉とか、また紙パルプ工場、そういうふうにいろいろなところで汚染源があらわれているわけですけれども、それらについてそれぞれ監督官庁が違うわけですね。ですから、環境庁としては、そういう関係各省とどういう対策をお立てなのか、お聞かせください。
  94. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) ダイオキシン類の除外対策についてお尋ねがございましたが、まずごみ焼却炉につきましては、昭和五十九年から六十年にかけまして環境庁と厚生省が共同でダイオキシン汚染の緊急実態調査を実施したところでございますが、さらに厚生省におきましては平成二年の十二月にダイオキシン類削減のためのガイドラインなるものを作成いたしまして、都道府県に対しまして指導を行ったところでございます。  また、御指摘のございました金属精錬工場についてでございますが、これも一般的にはダイオキシン類がここから発生すると言われているわけでございますが、我が国におきましては精錬工程において用いられる金属スクラップを事前に処理するということが行われておりまして、混在物の除去をここで行っていることでございますので、ダイオキシン類の発生は我が国では防止されていると考えられております。  また、紙パルプ工場の塩素漂白工程等で発生するとされたわけでございますが、平成二年度に環境庁、厚生省及び水産庁が共同いたしまして実態調査を行っておりますが、環境庁ではその結果を踏まえまして、平成四年の三月でございますが、漂白過程における塩素使用量の削減などを盛り込んだ対処方針を定めまして業界団体、地方公共団体、また通産省に対しまして対策の推進方を要請したところでございます。  このように、環境庁におきましては関係省庁と協力をいたしながらダイオキシン類発生の実態調査でありますとか防止対策を推進しているところでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  95. 清水澄子

    清水澄子君 もう時間がありませんので、最後に一つだけ長官にお願いします。  今のお話を聞いていますと、問題は日本では起きていない。確かにこの問題が起きたら大変なことなんです。先ほど長官が、環境汚染の問題は将来の世代にまで影響があるというふうにおっしゃっていましたように、ダイオキシン類の人体への影響というのは起きたらもうこれは次の世代にずっと引き継いでいくものなんです。  それですから、母乳汚染とか、今後、人間の体に大変影響が大きいために早期に予防しなきゃいけない。そういう意味でも今、産業廃棄物とかさまざまな一般廃棄物とか、廃棄物処分場からたくさんの灰とかが大気中に放出される。そういう問題で東京都でもたくさん毎年ダイオキシン類がふえているという実態調査もありますので、今後、こういうのんきなことを言っていないでぜひ早急に対策を立てられる、そういう体制をおつくりいただきたい、私はこのことをお願いしておきたいと思いますが、二言長官お願いいたします。
  96. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) 先生のおっしゃられるとおりでございまして、起きてからでは遅いわけで、被害が発生してからでは遅いわけで、ダイオキシンにつきましても私新聞で拝見しましたが、学者先生の調査によって非常に微量である、これ自体では人体に影響は全然ないということのようですが、蓄積されたり、その結果が重大な結果になる以前に予防的な、環境というのはとっても重要だと思うんですね。  そういう意味では、毒性の強いダイオキシンでございますから、重要な課題でございますから、発生源とか環境汚染の状況等をよく見まして、また関係各省庁とも連絡をとりながら総合的な対応はしてまいりたい、このように考えております。
  97. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 中尾でございます。  小澤長官、御就任大変おめでとうございます。  私は、きょう災害と通信体制の整備について絞ってお尋ね申し上げます。  皆さん御存じのように、昨年の七月十二日に北海道南西沖地震が発生いたしました。奥尻島を中心に、亡くなった方、行方不明となった方、二百三十名でございます。その後、関係各町村あるいは道庁それから国の各機関、関係者の皆さんの努力によりまして奥尻島初め各地被災地は少しずつ復興を進めておりますが、ただ余りにもつめ跡は大きく、なかなかそれがもとのままに戻るということには遠い状態であります。  私が伺いたいのは、この災害を教訓とし、行政面でどう生かしていくのか、まず国土庁長官にお尋ねしたいと思います。
  98. 小澤潔

    ○国務大臣(小澤潔君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、北海道南西沖地震等の災害を通じまして、防災情報の収集、伝達、特に津波情報の迅速かつ確実な伝達の重要性が再認識されたところであります。こうした経験等にかんがみ、昨年十一月、国土庁を初めとする関係七省庁で「沿岸地域における津波警報の徹底について」の申し合わせを行ったところであります。  この一環として、気象庁においても、近海の地震では二、三分程度で津波予報を発表できるようにする等、津波警報の発表と伝達の迅速化、確実化等に努めているところであります。  今後とも引き続きこれらの対策を強力に推進してまいる所存であります。
  99. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今、長官からも御説明ございましたけれども、災害時においてまず緊急を要するのは、警報あるいは的確な情報をいかに住民に伝達するかだろうと思います。災害対策用の無線網は各種各系統がございます。特に今急がれているのは、地上系ネットワークと衛星系ネットワーク相互補完ではないかと私は思うんです。つまり、通信衛星を使った防災情報システムが各地方自治体で運用開始、あるいは整備計画中であると聞いております。  その現状について消防庁に伺いたいと思いますが、時間の関係で若干こちらで説明させていただきますと、財団法人自治体衛星通信機構というのがスタートしたのが平成二年二月でございまして、通信衛星スーパーバードを使って、現状では十九都県が加入、利用しているというふうに聞いております。そして、整備中が六道県、本年度はさらに六の県でこの通信機構に加入というような予定になっているというふうに聞いております。  そこで伺いたいんですけれども、十九都県のうち、各市町村段階でのいわゆる地球局の整備状況はどうなっているか、消防庁に伺いたいと思います。
  100. 高田恒

    説明員(高田恒君) お答え申し上げます。  現在、運用中の都県は十九ございますが、その中の十八におきまして全市町村に地球局が整備または整備中となってございます。
  101. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 全国各都道府県に衛星系通信ネットワークができ上がるのは、今十八がもう各市町村に衛星系の通信システムができているというふうに伺いましたけれども、全国各都道府県の完了予定というのはいつごろになりますか。簡潔にお願いします。
  102. 高田恒

    説明員(高田恒君) お答え申し上げます。  消防庁といたしましては、消防防災無線通信ネットワークの信頼性の向上及び機能の高度化を図るため、通信衛星を活用するよう全都道府県に対しまして指導いたしているところでございます。  具体的な進め方といたしましては、地上系の防災行政無線の再整備に合わせ地域衛星通信ネットワーク整備を図ることが適当と考えておりまして、ほとんどの自治体でもその方向で現在整備を図っているところでございます。消防庁といたしましても、そのような中でできるだけ早期に整備が促進されるよう指導してまいりたいと考えております。
  103. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 できるだけというのは、その時期、めどはいつぐらいかと私は聞いているんですけれども
  104. 高田恒

    説明員(高田恒君) お答え申し上げます。  現在、地上系の防災行政無線が整備されているところでございますが、その更新時期、それぞれの自治体においていろいろ差がございます。十五年から二十年ぐらいがございまして、私どもとしては、多額の経費を要する無線の整備の中におきまして、そういう地上系との更新のタイミングをはかりつつということで、今後できるだけ速やかにということでございますが、各自治体のそういった事情を踏まえまして速やかに整備を促してまいりたいと考えているところでございます。
  105. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間がかかるということだけがわかりました。そう簡単にいかないということ。私、このために時間を費やしているんじゃないんですが、これは富山県の例を前回の災害対策特別委員会でも引き合いに出したんですけれども、こちらから説明します。  富山県庁、三十五市町村、二十二消防本部で地球局を設置しております。スーパーバードBを使っておりまして、衛星通信システムを整備していると。設置費用が一局大体、チャンネル数によって違うんですけれども、二千六百万円から一千六百万、確かにかかるわけです。ところが、私がきょう申し上げたいのは、お金をかけないでも──例えば双方向性、これはかかるんです。当然その方がいいわけです。次世代のマルチメディアの時代を迎えるとそれなんですけれども、しかし災害は待ってくれない。あすにも起こるときに、例えば奥尻の場合に何分かかったのか。これは五十分というのがありますけれども、十六分だとかテレビ放送が例えば字幕を出したのが七分。もう七分のとき津波というのは来ているんです。だから、私どうやって情報を緊急に伝達するかということについて申し上げているわけです。  時間もありませんので、お手元に資料をお配りいたしました。平成五年度の第二次補正予算で三十五億円を使いまして、これは気象庁が津波地震早期検知網ということで全国百五十カ所に整備いたしました。先ほど国土庁長官からのお話もありましたけれども、大体七、八分かかっている、いわゆる地震発生から津波警報を発令するまで。それを新規の機械を導入して二、三分に短縮したいということでございます。  それで、観測施設からずっと図を上がってきますと、気象庁本庁、マイクロ回線、これは地上回線でございまして、その後、気象衛星通信所、これは埼玉県の鳩山にある。そして「ひまわり」にぶつけていくわけです。「ひまわり」にぶつけて、さて右側におりできますと、地方気象台、これは受けるようになっているんです。ですから、二分で届くというのはこの理屈だろうと思います。  ところが、その津波予報の点線の右をちょっとごらんいただきたいと思うんですが、報道機関、地方公共団体等とあるんです。これは行政のシステムの違いなんです。ここまでは気象庁なんです。ところが、この点線は自治省、つまり消防庁の管轄なんです。せっかくの情報がもう瞬時に行けるようなシステムになっておきながら、これは自治省の所管でございまして、これは行かないんです。  私は、六月の災害対策特別委員会でこのことを申し上げました。国土庁長官も、これはもう早急に検討したいと言っているわけです。その後どうなったのか伺いたいと思います。
  106. 森村和男

    説明員(森村和男君) 地震時の津波警報、注意報について、早急に地域住民に伝達し、避難の指示を行う必要がありますので、現在、各地方団体におきましても、迅速に住民に伝えるということで先ほど申し上げました地域衛星通信ネットワーク整備を推進しているところでございます。  先ほど先生が御指摘になりましたように、気象庁が開発いたしました緊急情報衛星同報システムのお話でございますけれども、これの受信については、既に一部の地方団体等で動きがあるということで聞いております。  消防庁といたしましても、現在、気象庁等といろいろと協議をしておりまして、また気象庁におきまして、気象審議会でございますが、震度階、津波警報、注意報の提供のあり方についていろいろ御議論いただいているところでございます。この答申を踏まえまして、関係地方公共団体、それから気象庁と、気象庁の緊急情報衛星同報システムの運用状況等を勘案いたしまして、十分に協議いたしまして進めてまいりたいと思っております。
  107. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 確認したいんですけれども、各地方公共団体が「ひまわり」を受信したいというそういう動きが出てきているということですか。
  108. 森村和男

    説明員(森村和男君) 地方公共団体におきましても、緊急情報衛星同報システムの受信について聞きたいという動きが出ております。
  109. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 気象庁に確認させてください。  このシステムは四月に運用開始になりました。これは本当は気象業務法第三章第十五条の、法的にいろいろあるんですが、ちょっと時間がないので割愛させてもらいますけれども、その気象業務法に問題点はないか。  それから、例えばそれを配信、いわゆる電波を配るというか、それについては問題はないのか。つまり、各市町村の受信ですね、例えば奥尻町なら奥尻町の役場の上にパラボラをつけます。これ双方向性は金がかかりますので、単一の受けたけは二、三百万円と聞いておりますので受けるだけでいいと私は申し上げているんです。それについては問題はないのかどうか、それだけ確認させてください。
  110. 栗原隆治

    説明員(栗原隆治君) お答え申し上げます。  第一点の気象業務法十五条の改正の件でございますが、十五条といいますのは気象庁が津波予報を通知すべき機関が規定されておるわけでございまして、市町村長等が受信施設を設置しまして気象衛星の「ひまわり」を利用した津波予報を受信することを妨げるものではない、そのように考えております。したがいまして、気象業務法の改正を行う必要はないと私ども考えております。  それから、第二点の気象衛星「ひまわり」を利用した市町村における受信は可能かどうかでございますが、これにつきましては届け出が必要でございますが、利用については可能でございます。  以上でございます。
  111. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 大変ありがたいというか、力強い御回答をいただきました。  つまり、私がきょう申し上げたいのは、やればできるということなんです。これは調べて二、三百万円なんです。ですから、いろいろ聞いたら補助金の対象じゃないと。命を守るために二、三百万円を惜しむ町村は私はないと思うんです。つまり、なぜ問題なのかというと行政の枠ですね、例えばここまでは消防庁、運輸省関係あるいは自治省云々、こうなるからです。  ですから、そのネックを取り払ってやらなければならないんじゃないかと、私が回りくどく申し上げているのはそこなんです。つまり、二、三百万円でできますよというそういうシステムというか、私、行政指導という言い方は嫌いなんですけれども、ガイドラインを示すべきじゃないかと思っているんです。例えばこういう方法がありますよということをやればこれは解決できる。きょうは郵政省はお呼びしていませんけれども、電波法の問題もありません。何にも支障はないんです。ですから、ここでやっぱり二、三百万円で済むことを私は導入すべきだと。  それから、あわせて無線網を、いわゆる衛星「ひまわり」を使っただけではこれはうまくいかないんです。せっかくダイレクトに届くわけですから、同報系の無線、例えば各戸でどういうふうに受信できるかというシステム、これについては時間がありませんので深く言いませんけれども、いわゆる屋外の拡声機や家庭に設置した受信機、これで住民に直接伝達する、これは同報系と言いますけれども五三・六%。それから移動系、これは役場の職員あるいは消防団員が情報を伝達する、いわゆる携帯式の移動系システム。つまり同報系が五三・六%、これは衛星系だけじゃやれないということはわかりますけれども、少なくとも現地に直接おろすというシステム、ガイドラインをつくるべきじゃないかと思います。  それの提案といいますか、これ再三私は申し上げました。まず消防庁さんから、一言これについて御見解を伺いたいと思います。
  112. 高田恒

    説明員(高田恒君) お答え申し上げます。  既に同報系が整備されている市町村においては、それを結ぶことによって迅速に情報が住民の方に流れていくということは十分可能でございます。これにつきましては、先ほどお答え申し上げましたように、気象庁または地元地域、自治体等の全体の中でどう考えていくか、十分協議して進めていきたいと考えております。
  113. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 国土庁、同じような質問です。最後に長官に伺いますけれども国土庁考え方をちょっとお伺いしたいと思います。
  114. 村瀬興一

    説明員(村瀬興一君) 先ほどからいろいろお話が出ておりますように、いざ津波が発生いたしました場合に、その情報を迅速に住民に伝えるということが極めて重要であるというふうに考えております。  最初に国土庁長官がお答え申し上げましたように、私どもも関係省庁とよく相談いたしまして、先生がきょういろいろ、前回の災害特別委員会でもお話がございましたように、そういう方向で関係省庁と相談をしながら進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  115. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間がないのでもう一言、済みません。  局長、ガイドライン等の指針をつくるというようなそういうお考えはございませんか。
  116. 村瀬興一

    説明員(村瀬興一君) ガイドラインをつくるという考えはございませんが、私ども事務的に自治省ともいろいろ相談してございますが、お話を伺ってみますと、先生も先ほどおっしゃいましたように、補助金を出すというほどの額ではございませんので、地方財政措置の中でいろいろ配慮していきたいというふうにお考えだと伺っておりますので、御希望のある市町村につきましてはそういうことで対処できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  117. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 最後になりますけれども、新国土庁長官に決意のほどを一言伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  118. 小澤潔

    ○国務大臣(小澤潔君) 先生指摘の市町村による「ひまわり」からの津波予報の直接受信は、住民等への津波予報の伝達の迅速化、確実化を図る上で有効であると認識をいたしております。  国土庁といたしましては、ただいま局長からも答弁がございましたが、消防庁、気象庁等の関係省庁と緊密な連携を図りつつ、市町村において衛星を利用した津波予報の伝達システムが早期かつ有効に機能するよう努めてまいる所存であります。
  119. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 終わります。ありがとうございました。
  120. 会田長栄

    ○会田長栄君 日本社会党・護憲民主連合の会田でございます。村山内閣建設大臣として就任をされ、政治の安定、生活向上、そして政治の信頼の回復のために日夜御努力されている大臣に、心から感謝と敬意を表したいと思います。  さて、本日は建設省国土庁環境庁決算審査日でありますが、私は建設省中心としてこの一年、ゼネコン問題ということが国会でも国民の前でも大きな話題になって、政治の不信というものも極度に達したときでありますから、一年を顧みて質問をしたい、こう思っているところであります。とりわけ、このゼネコン問題というのは参議院の決算委員会が実は最初に議論を始めたところでございますから、本日の決算審査日に当たりましてこれは総括的に大臣にお伺いしてまいりたい、こう思っているところであります。よろしくお願い申し上げます。  金丸前衆議院議員の巨額脱税事件の捜査の過程から発覚したゼネコン疑惑は、茨城県の竹内知事、宮城県の本間知事、仙台市の石井市長など、二県一市一町にわたる自治体首長が逮捕、起訴され、一大公共事業汚職に発展しましたことは御承知のとおりだと思います。一方、中央政界では、いわゆる埼玉土曜会の告発問題に関して中村喜四郎衆議院議員が院の許諾を得てあっせん収賄罪で逮捕、起訴されているのも御承知だと思います、まあ釈放になりましたが。これらゼネコン汚職で起訴された者の総数は三十名、うち収賄側八名、贈賄側二十二名であり、これに関係した大手総合建設会社は鹿島建設、間組、清水建設、西松建設、三井建設、大成建設、大林組、飛島建設等いずれも我が国建設業界のトップ企業であります。  そこで、なぜこのような大規模なゼネコン汚職が発生したのか、その背景及び原因をどのように把握しているのか、また公共事業を所管する建設行政の上で問題はなかったのか、まず建設省当局より御答弁をお願いしたいと思います。
  121. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) お答えを申し上げますけれども、昨年来一年間大変な一連の不祥事がございまして、私ども大変憂慮すべき事態というふうに考えておるわけでございますが、今回の一連の事件の背景と原因がどういうところにあるのか、こういうお尋ねでございます。  基本的には、やはり発注者あるいは建設業者の方々のモラルの問題というのが一番だというふうにも思うわけでございますけれども、やはり発注者及び受注者の関係を律しております入札・契約制度につきまして幾つかの制度的な疲労、あるいは過去何十年とわたってこの制度でやってきたというようなことによるいろいろな制度的な、現代に対応できていないといったような面も含めまして幾つかの原因があったというふうに考えておるわけでございます。  また、建設産業は、これは既に先生おわかりのことでございますけれども、基本的には受注産業ということもございまして、公共、民間を問わず、やはり発注者の力が大変強いということもございまして、必然的に受注確保のための営業活動に重点が置かれるということにもなってしまうわけでございます。特に、バブルの崩壊によって民間の建設投資が大変落ち込んだ、何とか公共工事の受注あるいは公共投資の契約に入ろうといったようないろいろな意味での競争が激化をしたということもございまして、今回のような行き過ぎた受注活動あるいは営業活動にこれがつながったのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  いろいろな要因がそれなりに複合して今回のような一連の不祥事が起こったものというふうに考えております。
  122. 会田長栄

    ○会田長栄君 局長、モラルの問題といってここを一番大事にするのはわかりますよ。そして、二十年来こういう制度のもとにやってきたということであれば、二十年来こういう風習が残っていて、発注、受注との関係のもとで国民の前に二十年もこういうことが行われていたのかという疑念を持たれますよ。そうでしょう。二十年にしてようやくそれではこういう大問題として国民の前にさらけ出したのかと疑いが持たれますからね。これはもちろん発注、受注との関係もありますけれども、結果的には入札にかかわる営業活動の問題ということにかかわってくるんだろう、こう思っておりますから、そこは再度答弁してください。
  123. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) 基本的には、御指摘のとおり、やはり入札・契約制度の間におけるいろいろな問題というのが最大の課題だというふうに思うわけでございます。やはり少しでも不正の起きにくいシステムを今後構築していかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  124. 会田長栄

    ○会田長栄君 そこで、二つ目にお聞きしたいのは、昨年の総選挙後の特別国会で、当時の細川総理は所信表明の中で、政治腐敗の温床となってきた政官業の癒着体制の打破に全力を尽くすと述べられました。これは御承知でありますね。これまでの建設行政を顧みて、政官業の癒着というものを、またそういう批判を建設省当局は一体どのように受けとめているのかということをお伺いしたいわけであります。
  125. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、昨年、総選挙後の特別国会におきまして、当時の細川総理が所信表明の中で、政治腐敗の温床となってきた政官業の癒着体制の打破に全力を尽くす、こういうふうに述べられたわけでございます。私ども役所側も十分このことをもちろん知っておるわけでございます。  今回のこの一連の汚職事件、不祥事につきまして、建設行政、これは発注行政、建設産業政策あるいは幅広く建設行政全体を含めまして、国民の方々の信頼を大きく損なったということは大変遺憾に思いますと同時に憂慮すべき事態、こういうふうに考えているわけでございます。この際、一連のいろいろな改革とあわせて、建設業における政官業それぞれの真摯な自己改革の徹底を期すということが一番の問題だろうというふうに思うわけでございます。  従来から、政官業の癒着体制の打破ということを元総理もおっしゃったわけでございますけれども、これにつきましては、やはり長い間の産業を取り巻くいろいろな関係というものの中でいろいろな御批判が出てきているということは十分承知をいたしております。こういうようなことのないように、建設行政を実施しております私どもも、国、地方を通じ発注者自身がみずから襟を正すとともに、建設業界に対しましては事業活動の適正化でございますとか、あるいはいろいろな意味でのモラルの確立を含めて強力に、従来からもやってまいりましたけれども、今後、より以上に指導を強めてまいりたい、こういうふうに思っております。  先ほどの一連のお話の中で、一連の不祥事はよく新聞紙上に出ておりますように、発注者側の天の声があったとかなかったとかいう御議論があるわけでございます。これにつきましては、今後裁判の過程等で事態がいろいろ明らかになっていくということもあるわけでございますけれども、先ほど先生指摘のとおり、やはり入札・契約制度の改革を少しでも不正の起きにくいようなシステムに変えていく、それが結局、政官業の癒着体制といういろいろな意味での御批判のあるものをやはりつくりかえていく一つの有力な手段になるのではないか、こういうふうに思っております。  私ども建設省といたしましては、昨年末、省内に設置をいたしました業務執行改善推進本部におきまして、建設行政の全般にわたる改善策につきまして具体的なスケジュールを示して今後の取り組み方針を明らかにしたわけでござまいして、今後とも積極的にこれらの制度を進めることによって一刻も早い国民の方々の信頼回復に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでござ  います。
  126. 会田長栄

    ○会田長栄君 次に、野坂建設大臣にお伺いいたします。  組み合わせば違いますが、連立政権になって野坂建設大臣は三人目でございます。細川内閣の五十嵐建設大臣からは、一連の公共事業汚職に対する所見が既に両院の本会議あるいは予算、建設委員会等で示されておりますが、建設省所管の決算審査に当たり、改めて野坂大臣からこのゼネコン問題の一年を振り返っての所見、建設行政の反省、今後とるべき方策等について所信をお聞かせいただきたいと思います。
  127. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) 会田先生の御質問にお答えをいたします。  冒頭に激励のお言葉をちょうだいいたしまして、非常に感激を覚え、感動いたしております。御期待に沿うように全力を挙げて建設省の明朗化を進めてまいりたい、このように考えております。  御指摘のありましたように、公共工事をめぐる不祥事件の多発は極めて遺憾に思い、国民の不信を買ったことについては残念のきわみでありますが、信頼回復のためにあらゆる手段を行使していかなければならぬ、このように考えておるところであります。  第一に、私は旧連立の皆さんと一緒に与党の立場におりました。いかにしてゼネコン汚職をなくするか。指摘がありましたように、政官業の癒着の断ち切り方、どこに問題があるだろうかということで、御案内のように使途秘匿金というものについてはやっぱりそのにおいがするという判断をいたしまして、法人税の三七・五%に加えて、四〇%の追加課税を一挙に課して絶滅を図ろうということを提案し、現実に今年度から実現をしておるところであります。  そして、二番目の問題については、どのような手段でやるべきかという点について考えてまいりました。今局長お話をいたしましたように、建設省所管の直轄工事、こういうものについては七億三千万円以上、あるいは公社、公団等については、先ほど清水先生には二十三億四千万と言いましたが、正しくは二十四億三千万で間違いでありましたけれども、これらについては一般競争入札をやって、広範には談合ができない方法で取り組もう、こういうことを考えました。  しかし、先生方からお話がありましたように、九九%は中小零細企業の土建業者が多い。したがって、ランクづけはいたしておりますけれども、能力ある者については指名競争入札に参加すべきだ、させるべきである、こういうふうに考えております。したがって、手を挙げた者については書類審査をして、大丈夫、これならいけるという方々を政官業の癒着を断ち切る意味で事前審査を行いまして我々が指名をする、そこで激烈な競争を進めていくということをまず決めたわけでありますから、第一回それについては行ったという経緯がございますので、その効果度を一定期間十分に我々は監督監視をして、その上で効果がないということになればさらに厳しく進めていかなきゃならぬ。  三番目は、やっぱりやった場合については大きな損失であるということを業者自身に知ってもらわなきゃならぬ。今も先生からお話がありましたように、大手五社を初め準大手のそれぞれ三十人にわたって贈収賄の皆さんが検束された。この事実の上に立って、御案内のように茨城県知事に贈った飛島建設等については、公共事業も民間事業も合わせて十一百間という営業停止処分を断行いたしました。  先ほども申し上げましたように、東北地建におきます七十社にわたる問題についても厳罰に処するということにいたしたわけでございますが、考えてみますと、私も人間でありますから、官工事といいますか公共事業について、そのような場合には現在は民間も一斉にすべてを処分しております。民間も営業行為をしてはならぬということにいたしておりますが、今検討しておりますのは、公共事業の際は三カ月も四カ月も一年以内でも営業禁となり指名を外す。民間の場合はそこまでやるべきかどうか。そうしなければ家族が生活でき得ないということもありますので今検討中でありますが、十分痛さというものを身にこたえるようにそれぞれの業界の皆さんには知ってもらう。  しかし、それらを全部なくするためには何といっても襟を正さなければならぬということがあります。発注者というのは、建設省は割に、割にといいますかチェック機能が多いわけでありますが、地方自治体、公共団体の場合は、天の声とかそういうものをよく聞くわけでありますが、その点のチェック機能がないということが言われるわけでありますから、自治体の場合は地方公共団体が件数は九〇%、その金の動きは七〇%というのがほとんど地方公共団体に属しておる。お話がありましたように、茨城県知事の問題や宮城県知事の問題や仙台市長の問題、すべて地方公共団体に端を発しておるわけでありますから、この発注者にどう建設省は教育指導していくか、そういう点については、ノウハウも監督の問題についても今お話がありましたように局長等から通達をして、合議で自治省とも十分話し合って今後の対応をするということをまず確認しておるところでございます。  そして、受注者については、この間も私は朝飯は一緒に食っても結構だということでお話をしましたけれども、申し上げましたことは、アメリカの業界は三割程度安い、日本の方が高いというお話があるが十分に検討してもらわなきゃならぬ、こう言いましたら、例えば他の国々は川の砂を直ちにコンクリートにすることができるけれども、日本の場合はもう川砂もない。したがって、山を砕いて石を粉砕し、水で洗って運搬をするということになれば高くなりますというようなお話もちょうだいしました。しかし、トップがそのような考え方では国際場裏に勝利することはできませんと。したがって、トップ自身が三割高ければ安くなるような方途を十分に心がけて、それぞれの技術者の皆さん方を規正強化して、世界に冠たる日本の建設業界というものを打ち立てていかなければならぬではないですかということも申し上げたところであります。  会田先生から御指摘がありました諸問題、この一年間を振り返ってみて、十分これに対応するためにあらゆる方途を講じてまいりましたが、その上に立って、さらに問題が起きるということになれば、皆さん方のお知恵を拝借しながら一つ一つ前進をさせ、そのようなことがない明朗な職場というものを確立して、業界に明るい日差しが来るように最大努力することが建設大臣としての使命と任務の一環であろうというふうに考えておりますので、そのような態度で臨んでまいりたいと考えております。  以上です。
  128. 会田長栄

    ○会田長栄君 自信と確信に満ちた答弁、まことにありがとうございました。どうぞその線に沿って御努力を願って、国民の政治信頼の回復のために御努力願いたいということを再度お願い申し上げておきたい、こう思います。  ところで、これは失礼かと思いますが、私は連立政権前は建設委員会に所属しておりました。この一連のゼネコン汚職問題について、当時の建設大臣であります中村喜四郎衆議院議員ともやりとりをしました。その際、中村大臣は自信に満ちた答弁でございまして、入札、自己改革を含めて徹底的にこういうことが二度と国民の前に出ないようにしていきたいという自信の答弁をされました。しかし、その当時、今度は逆に言えばその答弁と裏腹に、今日批判の対象となっておりますところの公取委との関連で、実は疑惑に満ちたことで逮捕され、今や裁判中であるということも事実であります。  国会でうそをつくわけでありますからまことにこれは大変なことでございますけれども、入札制度改革について本当だったことは間違いないのでありますが、いかんせんそういうことが関連しておりますから、この機会でありますからこの種の問題についての感想が建設大臣としてあれば一言聞かせていただきたい、こう思います。
  129. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) 元建設大臣の中村喜四郎さんにかかわる問題については、現在裁判で係争中でございますので、私はコメントを申し上げる位置にない、こういうふうに思いますが、そのような疑念がかかったことについては極めて遺憾に思っております。  以上です。
  130. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは最後になりますが、ゼネコン汚職事件の捜査結果については、国会報告が本年の六月六日になされているわけです。その後、ゼネコン問題全般について制度的な面を含めての再発防止策等についてはまだ国会に報告はございません。  きょう改めて野坂建設大臣から自信と確信に満ちた答弁をいただいたわけでありますが、国民の皆さんの政治不信の根源になったゼネコン問題でありますから国会の場を通じて報告することが今日政治を安定させる上でも最も大事ではないか、こう私は思っているところであります。  ゼネコン問題全般に関する政府からの報告というものを、二度とこういう問題が再発しないように今後の国会の場でも改めて議論しておく必要があるという観点の上に立って、建設大臣から国会に報告する必要があるのではないかと私は思うのですが、その点での所見を聞かせてください。
  131. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) 大臣へのお尋ねでございますけれども、いろいろ従来の経緯というものを含めまして最初に私の方から御答弁を申し上げさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、ゼネコンの一連の不祥事につきましては、ことしの六月に衆議院の予算委員会におきまして、東京地検によるゼネコン汚職事件の捜査処理に関する報告というものが行われたわけでございます。同時に、この問題につきましては、従来から衆議院、参議院の予算委員会におきまして集中審議あるいは参考人招致等によっていろいろな議論が行われてまいりました。決算委員会等におきましても、昨年もこの問題を取り上げていただいたわけでございます。  政府ベースといたしましては、中央建設業審議会のいろいろな建議を踏まえて、ことしの一月十八日には政府で行動計画というものをつくりまして、関係の省庁あるいは公団、あるいはこれを公共団体にも参考にしていただくという意味で、あらゆる発注者がこれに基本的には準拠し、かつ参考にしようということで、行動計画というものをつくりましてこれを全世界に発表いたしました。これによって、現在、国あるいは関係公団等の発注業務はこれを着実に進めていくということを基本的な考え方にしておるわけでございます。  先生御案内のとおり、これだけの一連の大きな事件があったので、その後のいろいろなものを含めて国会の場でひとつ報告をすべきではないかという御指摘もあるわけでございますが、私どもといたしましては、いろいろな機会あるいは集中審議等の場で、国会の諸先生方、委員先生方に対して従来の事件の発生の経緯あるいはその後の対応方針等を十分御説明してきたというふうに考えております。それ以外にも国民の皆様方にいろんな場を通じて、業界団体を通じ、あるいは関係の協会への指導というものも通じて、あらゆる場を通じて今の不正の起きにくいシステムへの変更あるいは改善というようなものについて説明をしてまいりました。  政府の国会での報告、改めて全体が必要ではないか、こういうような御指摘もあるわけでございますけれども、捜査につきましては法務省御当局から既に御報告もございます。それと同時に、今後の方向につきましてはあらゆる場で、委員会等も含めまして私どもは御説明をしてまいりましたので、今後はむしろこれを着実に実施をしていく、そういうことこそ大変重要な課題ではないか、こういうふうにも思っておりまして、大臣の御答弁の前に従来の経緯というもので御説明をさせていただきました。
  132. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) 一連の経緯について小野局長から御説明を申し上げました。  会田先生からは、それで大丈夫かという疑念を含む確認でございますけれども、六月に衆議院の予算委員会あるいは参議院の予算委員会等において、ゼネコン汚職事件の捜査処理に関する報告、こういうことが行われて集中的な審議が行われました。先生方に熱心に御討議をいただきまして、その結果、先ほど私が申し上げましたように、一般競争入札の導入、指名競争入札の透明性、こういうものを明らかにして、手段と方法をきっちりと決めながら、これからそれに向かって全力を挙げ、監視、監督を行いながら一年間の成果を見たい。  私はその最高責任者でありますから、自治大臣にも御相談を申し上げ、地方の入札の方法についても十分考慮しながら配慮してそれの整々たる入札制度を行っていかなきゃならぬ。こういうことによって政官業の癒着をどのようにして断ち切るかということをこの中に見出していきたい、こういうふうに考えておりますので、せっかく御質問でございますから、そういう決意を持ち、新たに導入した制度について十分活用してまいりたい、成果を上げていきたい、こういうことを申し上げて答弁にかえる次第でございます。
  133. 会田長栄

    ○会田長栄君 ありがとうございました。  それでは最後になりますが、道路整備と河川改修について具体的な二点についてお伺いしていきたい、こう思っております。  その第一点は、常磐高速道、これの完全供用の見通しというものを聞かせてください。
  134. 藤川寛之

    説明員藤川寛之君) 常磐自動車道でございますが、これは川口市が起点で仙台市に至る道路でございまして、全長が三百五十キロあるわけでございます。いわき四倉から仙台市間につきましては、昭和六十二年に新たに国土開発幹線自動車道に追加された区間ということでございます。  現在の状況でございますが、川口からいわき中央間、これは百八十七キロでございますが、この区間につきましては既に供用しているところでございます。  いわき中央から仙台にかけてでございますが、いわき中央からいわき四倉間は十三キロでございます。この区間については現在用地買収等を鋭意進めているところでございまして、できるだけ早期に供用を図るよう事業の推進を図っているところでございます。  また、いわき四倉から富岡間、これは三十キロでございますが、この区間については昨年の十一月に施行命令を発したところでございまして、料金改定の認可をできるだけ早くやろうというふうに考えておりますが、それとあわせて工事実施計画の認可を行いまして、できるだけ早く本格的な工事用地をスタートさせたいというふうに考えております。  また、富岡町から亘理町の間七十八キロにつきましては基本計画の策定区間でございますが、この区間につきましてはその次のステップといたしまして整備計画の策定というのがあるわけでございますが、その整備計画の策定に向けて現在路線選定あるいは環境調査等の調査を推進しているところでございまして、できるだけ早く整備計画に格上げできるように努力してまいりたいというふうに考えております。  また、その先の区間につきましては一般国道六号の仙台東部道路という形で整備が進んでおりまして、私どもとしてはこの仙台東部道路をしばらくの間、常磐自動車道と機能的に同じ役割を果たすところでございますので、その辺を利用していきたいというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、大変重要な路線でございますので、私どもとしては具体的にいっ全部でき上がるかというのはなかなか申し上げにくいところでございますけれども、私どもとしてはできるだけ早期に全体の建設、供用が図れるように今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  135. 会田長栄

    ○会田長栄君 できるだけ早く、重要な路線、わかりました。  なぜ私は毎たび、これは建設委員会でも同様ですが、ここでも同様に繰り返すかということなんですよ。それは大臣も御承知だと思いますけれども、この四倉から相馬まで、亘理までに至る間というのは日本有数のエネルギー基地なんですよ、これは。原子力発電所、火力発電所、全くここがとまるようだったらもう関東一円は半分以上終わりなんでないかというぐらいのエネルギー基地なんです。ところが、それだけでとまらないんですよ、今度。東京電力は原子力発電所二基増設するという申し入れを福島県にしました。東北電力は浪江・小高の原子力発電所の用地買収をするということを二十七年ぶりに申し出ました。その上に広野火力発電所、新地と続くと、この一帯というのはまさしく世界一のエネルギー基地になるんですよ。  どうもあそこに高速道路を通してみたって通る自動車の台数が少ないから、これは料金の面からいって採算に合わないからそう速やかにできない、したがってちょびちょびとやる、こういう判断に私は立っているのも一側面あるだろうと思いますが、この点は建設省建設大臣にだけ言うのも酷なんです。  これは通産省、そもそもこの原子力発電所の基地と設定をして開発したところから、通産行政というのは建設大臣に対してここは一日も早く高速道路を通してくださいとお願いしなきゃならなかった。そのことが漏れていたために、できるだけ早く、重要路線などという表現で現実には建設省としては計画どおりいっているのでありましょうけれども、なかなかいかなかった、いかない現状にあるというのは事実なんです。  その点で大臣、通産省にも責任ありますよ。それは原子力発電は安全でありますということを宣伝していますよ。それほど安全なら、何でJリーグのサッカーが盛んになってきたのでトレーニングセンターを五百億円かけてあの浜通りにつくりますなどということを言いますか。これは大変なことなんですよ。これはまさしく建設省と通産省あるいは科技庁を含めて政府が総合的に私はやらなきゃならない道路だと思っているんです。だから毎たびこれは粘っているんです。またやったなと言われるかもしらぬけれども毎たび粘っている。どうぞその点、大臣、私のこの意見を踏まえて、ひとつ今後対応してもらいたいと思います。  どうも政府として一貫していないんですね。なぜといったら、この道路の宮城県との境に相馬というところがあります。相馬港というのは国際港になりました。国際港になれば当然陸揚げが多くなるということなんですよ。陸揚げが多くなれば大型トラックをどのようにして中通り地区に運ぶかというのもこれ重要な課題なんですよ。これは東北中央自動車道という形で線は引かれているようでありますけれども、これも実は遅々として進まない。  そういう意味からいったら、私は、政府が総合的に一体どのようにしていったらいいのかということを踏まえて、いわゆる常磐高速道とか東北中央自動車道とかというのは配置していかなきゃいけないんじゃないかと思うから改めてお聞きしたわけでありますから、この点、大臣初め、大臣には通産、科技、このことを含めて政府一体で対応できるようにこの機会にお願いしておきます。  同時に、建設省にあっては、そういうエネルギー基地であるだけに計画を促進できるように、できるだけなどと言わずに、各首長が七期もやらなきゃ見通しが立たないというのではちょっとこれは政治上私はぐあいが悪いと思うんですよ。せめて五期、長くても六期ぐらいにこの話が出たら解決してやるぐらいの気持ちがあっても国政上私は確かなんだとこう思いますから、その点ひとつ御意見を聞かせてください。
  136. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) 建設省の使命と任務は今さら申し上げる必要はないと思いますが、国土の均衡ある発展を旨として地域の特性ある地域づくりを推進するというのが任務でございまして、我々はそれに従って、今もゼネコン汚職の問題にありましたように、公平公正に進めてまいりたいと思っております、第一点は。  第二点としては、先生指摘があったように、採算性を無視してはならぬというふうな話がありましたが、そうすれば人口の過密のところだけが高速道路が通って、過疎のところは過疎が過疎を呼ぶという結果になるのではなかろうか、こういうふうに思います。したがいまして、全国の均衡ある発展ということになれば、その料金はプール制を厳然として守っていかなければ国土の均衡ある発展はできない。今お示しがございましたように、東北中央道や常磐道路、これらについての重要性については毎回演説をされておるようにお聞きをいたしましたので、重く受けとめて十分対応し対処していきたい、このように考えておりますので、よろしく御協力をお願いいたします。  以上です。
  137. 会田長栄

    ○会田長栄君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  最後になりますが、端的でいいです、一級河川大草川の砂防事業の見通しについて簡潔に答弁ください。
  138. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 簡潔にお答えいたします。  この大草川の砂防事業につきましては、現在福島県で砂防ダムと流路工を行っているところでございます。現在、県の方でも一生懸命やっておりまして、できるだけ早くということで二、三年のうちには何とかしたいということでございます。一生懸命やらさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  139. 会田長栄

    ○会田長栄君 わかりました。三年という言葉が出ました。よろしくお願い申し上げます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  140. 小林正

    ○小林正君 新緑風会の小林正でございます。  まず初めに、環境庁長官にお尋ねしますが、どうも元職の防衛庁長官のイメージが大変強く私の印象に残っておりますが、今回の御就任の経過を踏まえまして御質問させていただきたいと思います。  就任の経過というのが前職の方の発言をめぐっての結果ということでございますので、あの就任に当たっての長官のコメントを新聞で読ませていただきますと、この種の問題については慎重に対処しなければならぬというような趣旨の発言があったというふうに記憶をしておりますけれども、来年がちょうど戦後五十年という節目の年で、日本の近代、現代の歴史、そしてすぐれてさきの戦争とのかかわりの中でその事実認識の問題とそこから導き出されます価値判断、歴史観といいますか、そういう関係ですね、どちらかというと歴史観と歴史的な事実認識というものが混同されて使われ論議をされてきたのではないかなという反省を私自身も持っております。  かつての決算委員会でも歴史認識や歴史観に関して申し上げたことがございますけれども、少なくとも直接的に国の外交政策にかかわる歴史的な事実認識というものについては、国政に携わる者ができるだけ認識の一致をさせていく、そのことの努力をしていくことが国民に対する私どもの責務ではないか、そのことを国会段階でもやり抜こうではないかという提起をさせていただいたことがございます。  今回の問題も、どちらかといいますとその問題をめぐっての事実認識と価値判断、外交政策上の問題にかかわる分野にまで及んで問題になってきた経過がございます。このことについて、環境庁長官としての就任の経過を踏まえての御見解を承りたいと思います。
  141. 宮下創平

    ○国務大臣(宮下創平君) 前桜井長官があのような発言によって辞任をされたということは、まことに遺憾なことでございまして、残念なことだったと存じます。基本的には、今先生のおっしゃられたような歴史的な事実というものを厳しく受けとめなくちゃならないという点は私も同感でございます。私、村山内閣の一員として今度参画させていただくわけでございまして、基本的に村山総理が過般の臨時国会で表明されましたように、大変あの大戦によって、特に侵略的な行為でありますとか植民地支配によって多くの国や方々に耐えがたい苦痛や悲しみを与えてきた、このことを深く受けとめて、そして我々は政治家としてもこの国の将来を案じた場合に、戦争はやっちゃいけないんだという決意を深く持って臨まなくちゃならないという気持ち、これはもう総理のおっしゃられたとおりでございます。  私は防衛庁長官もやりましたけれども、防衛庁長官時代からも、我が国が侵されるようなことがあればこれに応戦するのは、必要最小限度の自衛力を持って民族を守っていく、国民の生命、財産を守るのは当然だけれども、政治家としては、外交的な枠組みの中で戦争ができないように、戦争をしないようにこれをきちっとしていくことが政治家の任務であるということは先生方のこの当院においても私申し上げたように記憶いたしておりますし、そのとおり信じております。  そんなことでございまして、桜井前長官の発言があのような形で批判を受けるということはまことに残念な遺憾なことであったと存じまして、私どもはその深い反省の上に立って、またきちっとこの内閣としての一体性、価値観のもとにやってまいらなきゃいかぬ、このように感じておるところでございます。
  142. 小林正

    ○小林正君 歴史は最良の教師だということが言われておりまして、ただ問題なのは、その歴史から学ぶ生徒が常に最良であるかどうかが問われているという言い方もございます。  そういう点からいたしますと、来年は戦後五十年という大きな節目の年を迎えるわけで、そのことを考えますと、五十年前の歴史とそれから新たな二十一世紀へ向けて歩み出す日本の新しい歴史との関係の中で、古い歴史から何を学び取って新しい歴史の一ページに加えていくのかという課題がやはり求められていると思います。このたびの総理の東南アジア歴訪につきましても、過去への反省とそして新しい未来志向の歴史云々ということも報道をされているわけでありまして、求められているのはやはり新しい一歩をどう踏み出すかというところに大きな意味があるんだろうと思うんです。  そういう点を含めて考えてみますと、過去の歴史に学びながらこれからどんな新しい一歩を踏み出せるかということが極めて重要で、外交政策上の課題としても古い歴史の中でもたらされたさまざまな諸課題について誠実にこたえていく。言ってみれば戦後補償問題を含んだ課題についての責務と、そして新しい時代への一歩を踏み出すことは不可分に結びついていると、そのことをやっぱりきちんと党派を超えた全体としての共通認識としてとらえていく必要があるんじゃないかなということを考えているわけでございます。  ぜひそうした視点に立って、来年は戦後五十年ということでございますから国会決議の問題も論議をされるでしょう、同時にまた政府としても一定の見解をお示しになるという時期が来るだろうと思うんですが、共通の認識に立った上で新たな一歩になるような決議なり声明というものにならなければ、何のための取り組みかということが問われてしまうというふうに思います。この問題についてもう二度と繰り返さないということが必要ではないかなということを私としては感じているわけでございます。今、長官のお話を伺いまして、大体その趣旨として理解をさせていただきます。  次に、きょうの本論に入らせていただきますけれども、ことしは夏が大変暑くて耐えがたい。都会で暮らすには余りにも都市集中、関東で言えば東京圏に三千万という人口が集中している中で冷房がじゃんじゃんたかれてヒートアイランドになっている、耐えがたい暑さ。都会を脱出してどこかへ行ってしばらく涼みたいという方は大変多かっただろうと思うんです。加えて水不足という追い打ちがかけられているわけで、大変つらい夏をお互いに過ごしたというふうに思いますが、その対処の仕方として、そういう肉体的にも大変苦痛な時期はむしろ体を休めて英気を養って、涼風が立ち始めたころまた元気で働く、こういうことが大事だと思うんですね。  そういう点で、日本の国民は暑い夏をそういう形で避けながら秋の新しい仕事へ向けてスタートできるような体制になっているのかどうなのかということを考えますと、お盆前後に高速道路が渋滞したというマスコミの報道にもありますように、どちらかといえば郷里に帰ってお盆を過ごして帰ってくるというのが唯一のレジャーみたいなパターンが戦後ずっと今日まで続いてきて、最近時間的なピークについては若干の変化が出てきているようでありますけれども、そういうのが基本的には変わっていない。この問題をどうするのかというのが大変大きな課題だと思うんです。  そして一方で、労働時間が千八百時間志向ということで、余暇をどう生きがいに使えるかという課題も出てまいりました。加えて、プラザ合意以降の経過でいえば円高の問題があって内需拡大というのが、これは前川リポート等の経過もあって取り組まなければならないということもございました。  そうしたことがあって、八七年からいわゆるリゾート法というものの制定が急がれて、全体としての合意形成の中で施行されてきたというのが客観的なこの間の事実経過であったというふうに思うわけでございます。しかし、自治体にとっては地域おこし、地域振興といいますかそういう意味で、さらにはまた企業にとっては有利な投資先というものを求めてこの法に基づく優遇措置を受けながら、全国各地域でリゾート法に基づく取り組みがされてきた経過がございます。  そのことが一体今日どうなっているのか、七年を経過して問い直しがされているわけでありまして、法制定時からいろいろな指摘もありましたし、この間の経過でいえば議員立法という形での取り組みをされたところもございますし、この改廃をめぐってはさまざまな論議が展開をされてきたわけでございます。せっかくそういう形で進められてきたにもかかわらず、今日の実態の中でいえば四十一道府県、そして実際にこれが実施されている実施率でいいますと、未実施のところが八三%を超えているというような状況でございまして、国土面積のほぼ六分の一を占める指定地域の中にあってそうした状況が今放置をされているような段階であります。  当初のもくろみと違って、バブルが崩壊をするというような状況ももちろん同時進行としてあったこともこの問題の一つの原因であろうというふうに思いますが、同時にまた、この法の持っている弱点といいますか欠点といいますか、そういうものが結果として必然的に今日の事態を招来したということも言えなくはないのではないかというふうにも指摘をされているわけであります。  そうした今日の状況につきまして、ことし一月の新聞各紙でこの問題が総務庁の行政監察の調査結果、これは九二年度ですけれども、そのこととあわせまして指摘をされたわけでございます。ある新聞では、八三%が未着工で、バブル崩壊色濃く、見直し勧告が総務庁からされたとか、それからずさんさが目立つとか、見直しという指摘がかなりございますし、日経新聞の論説ではずさんな計画が露呈をしたと、いろいろ指摘がされているわけであります。  今日のこうした状況につきまして、七省庁がかかわっておったわけですけれども、特にきょう決算に御参加の建設省環境庁国土庁、それぞれどういうふうに今日の状況を受けとめておられるか、まず順にお願いをいたします。
  143. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) リゾート法の取りまとめをさせていただいております立場でございますので、まず私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  ただいま御指摘にございましたように、昭和六十二年にリゾート法が制定されまして、現在まで四十一地域の承認、指定をいたしておるわけでございます。その間、経済情勢等のいろんな変動もございまして、御指摘のように必ずしも計画どおり事が運んでいない点もあるわけでございます。ただ、私どもとしては、リゾートの整備というのはかなり長期的視点に立ってこれを考えていかなければならないものと思っておりまして、そういう点である程度長い目でこれは見ていかなければならないものだろうというように考えております。  それにいたしましても、ただいま御指摘にもございましたように、今年一月に総務庁の方から行政監査の結果をお伺いしたわけでございますが、国土庁といたしましてはこの問題に平成四年度から実は取り組んでまいっております。そういうことで、国土庁自身の研究会の報告も昨年、平成五年二月に御報告をいただいておったわけでございますが、今回の総務庁の監査の報告も大体これと同じような路線でなされていると考えておるわけでございます。  そういうこともございまして、私どもも総務庁の方の勧告を受けまして、今年一月二十七日に都道府県の担当課長会議を開催いたしまして、その間のいわゆる経済の変動等諸情勢の変動に伴いまして総合保養地域整備の推進方策を検討する、これは自主的な基本構想の見直しも含めて検討をしてもらいたいということ。それから、その総合保養地域整備に関しましていろいろと公的な制度、施策等もあるわけでございますが、そういう施策というものが従来の施策の延長の中でありますので、リゾート整備という観点から必ずしも横断的になかなか見られていない面がありまして、そういう点を十分に周知をしていただきたいということで実は要覧を配付いたしました。  それからまた、情報提供の一環としては、先生も大変御造詣の深い外国の例も参考にしていただくというようなことも含めまして、国際シンポジウムを開催したりいたしております。また、勧告で御指摘のありましたことの中に基本構想の承認、変更の手続に非常に時間がかかるというようなこともございましたので、標準事務処理期間を設けるなどいたしまして、その点についても改善を図ることといたしております。  これらのことにつきましては今年六月二十九日に総務庁の方にも回答をいたしておるわけでございますが、国土庁といたしましては引き続きそういう改善すべき点は改善を加えつつ、中長期的視点に立ってこの法の適正な運用とリゾート地域整備に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  144. 石坂匡身

    説明員(石坂匡身君) 環境庁の担当する部分につきましては、このリゾート法の中で基本方針の策定及び基本構想の承認に際し環境庁長官は主務大臣から協議を受けるという立場でございます。  基本方針につきましては、環境庁との協議を踏まえまして、自然環境の保全との調和、その他環境の保全に十分配慮すべき旨が基本方針に書き加えられてございます。  それから各県各県の基本構想、これが主務大臣に承認あるいは変更がございますと、その際には環境保全の観点から審査の上意見を環境庁としても申し上げるということでございまして、関係自治体に対しましても基本構想が環境の保全に十分配慮されたものとなるように指導をするなどの助言、指導に努めてきたところでございます。  今、委員が御指摘になられましたように、この総務庁の勧告におきまして、環境庁に対しましても都道府県に対する主務省庁の指導について環境保全に配慮した特定施設整備の円滑な推進を図る観点から協力するという指摘を受けてございます。この中では四県五事例の具体的な例もあるわけでございます。  こうした指摘を受けまして環境庁は、主務省庁と協力をいたしまして都道府県に対し、環境調査の実施や関係機関等との調整をさらに的確に行うということなどによりまして、基本構想の具体化が環境の保全に十分配慮されるものとなるように指導するというような所要の措置を講じたところでございまして、今後とも対応をさらに的確に行うよう主務省庁と協力して対処してまいりたいと考えております。
  145. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) お答えを申し上げます。  リゾート法の対応等につきまして、私ども建設省といたしましては、やはり所管施設の重点的な整備ということが大変大きな課題だと認識をいたしております。先生指摘のとおり、近年の景気動向等から民間事業者による特定施設整備が必ずしも当初の状況どおり進んでいないわけでございますけれども、先ほど国土庁からも御説明がございましたとおり、何といっても総合保養地域整備を着実かつ計画的に進めるということが大変重要な課題であると認識しておりまして、今後とも地域基盤となるような所管施設の総合的な重点的な整備というものに十分意を用いていきたいと思っております。  総務庁から御指摘を受けました点につきましては、私どもも七省庁の中の一員としていろいろな場で勧告の趣旨を踏まえて関係の公共団体指導しているところでございますが、詳細な御報告は先ほど国土庁の松本局長からございましたので省略をさせていただきます。
  146. 小林正

    ○小林正君 今、三省庁からお話がございましたが、行政監察を出された立場の総務庁から、この問題を含めまして御見解をいただきたいと思います。
  147. 宮川萬里夫

    説明員宮川萬里夫君) お答えいたします。  総務庁におきましては、関係行政機関から勧告に基づいた措置について回答を求めることとしております。本件におきましても、先ほど御答弁がありましたように、関係省庁から勧告に基づく所要の改善措置を講じたとの回答を本年六月末までに得ているところであります。改善措置につきましては、当庁の勧告の趣旨に沿ったものであると認識しております。  以上であります。
  148. 小林正

    ○小林正君 勧告の趣旨に沿うそれぞれの省庁の対応がされていると受けとめているというふうに認識しているというお答えでございました。  冒頭、国土庁からお話がございましたけれども、その中で長期的に評価はすべきものという点は確かにあろうと思います。四十一道府県の中で、バブル崩壊とかその他の要因によってかなり悪戦苦闘しているというようなのが大方でありますけれども、宮崎県のシーガイアとか長崎県のハウステンボスとか、そういったところについてはこの状況の中でも健闘しているというような話も伺っているわけです。きちんとしたインフラの整備とかきちっとした対応で、投機的な問題ではなくて取り組んできたところ、そういうところが成功しているというようなくくり方もされているわけです。  先ほど御答弁にもありました国土庁の研究会の報告によりますと、「今後のリゾート整備のあり一方について」ということで、詳細にわたってリゾート法の実施状況とその問題点等を含んで、今後の展開もあわせて非常に綿密な報告がなされているわけです。これは内容的にも大変すばらしいものだというふうに思いますが、この報告と、それからこれに基づいた具体的な対応といいますか、それがどういう形で今日展開をされているのか、国土庁からお話を伺いたい。
  149. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) お答え申し上げます。  御指摘のように、昨年二月に国土庁の総合保養地域整備研究会からの「今後のリゾート整備のあり方について」という報告をいただきました。  その基本的な考え方というのは、やはりリゾートの整備というのは、先ほど委員指摘のように、二十一世紀に向かっての我が国の趨勢、余暇の増大とか生活の多様化とか価値観の多様化というような趨勢に合ったものであり、またそのことを通じて地方活性化という面でも意味のあることであるという意義を唱えまして、そしてその整備には十年、三十年という長い期間を要するものであることから、長期的視点に立って着実にリゾート整備を積み重ねていく姿勢が重要であるというようにいたしております。  そして、この政策の理念といたしましては、国民のためのリゾート、すなわち家族そろって一週間程度滞在できるリゾート、それから第二に地域のためのリゾート、地域づくりに資するリゾート整備を、第三に新たな国土形成におけるリゾート、自然環境の保全と豊かな国土の創出をと、こういうことで政策理念の御提言をいただいているところでございます。  具体的には、それぞれその地域地域の特性がございますので、多様なリゾートの整備ということを掲げておられまして、大規模なリゾートの中にも小規模なリゾートを組み合わせるような多様なリゾートの整備が必要であろうと。その小規模なリゾートというのは何かといいますと、農山村型リゾートとか、グリーンツーリズムあるいはエコツーリズム、アグリツーリズムというようなことを言っておりますが、そういう形のものを組み合わせて、全体として長期的にリゾート地域整備していくことがいいのではないか、こういう御提言をいただいておるところでございます。  こういう御提言を受けまして、国土庁といたしましては、まずリゾート整備に対する専門的視点からいろいろ御指導いただく必要があるだろうということで、アドバイザーの派遣制度というものを平成五年から設けております。それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、いろいろと公的支援施策というのが多面にわたっておりまして、それを組み合わせるとかなりのことができますので、そういう公的施策というものを一つにまとめて御紹介をして、それらを活用して公的な面でできることは公的な面でやっていくように、参考に資するためにそういう冊子をつくりましてお配りをするとか、それから専門的な情報の提供を行うとか、それから今年ですか、国際シンポジウムを開催するとか、そういうことを行ってまいったところでございます。  今後ともこの研究会の報告の趣旨に沿いまして一層努力を続けてまいりたいと思います。どうかよろしく御支援をお願いしたいと思っております。
  150. 小林正

    ○小林正君 この報告書は、今概略御説明いただいたように、大変内容的にはすぐれていると評価をいたします。  しかし、問題はそれをどう具体的に展開をするかという課題だろうと思うんですね。現在あるリゾート法そのものについてさまざまな問題が出てきたという経過からすれば、今御指摘をいただいた国民のための、地域のための、それから国土形成に向けてという大きな三本柱、大変重要なテーマであるというふうに思いますけれども、とすれば、現行のリゾート法それ自体をどうするかという課題がどうしても出てくるはずなんです。ですから、そのことにかかわってやっぱり切り込んでいかないと、すばらしい報告ではあるけれども具体的にじゃどうするのかというときに、やはり現行リゾート法との関係が出てきてしまうということになりかねないのではないかというふうに思うわけであります。どちらかというと、四十一道府県がそれぞれ申請をして承認をされているというような、四十七都道府県の中でほとんどが出しているというような状況、そしてまたパターンとしては、ホテルがあって、ゴルフ場があって、テニスコートがあってというような形で考えてみますと、極めて画一的なといいますか、そういうような状況。  そして、問題点として環境上指摘をされたのが、水の問題と産業廃棄物といいますか、そういう廃棄物処理問題というのが出てきている。これらはインフラ段階で言えば基本的に整備されていなければ条件として整っていないような問題であるわけですけれども、そういうような問題が地域住民との関係でネックになっている。そして、建てられるホテルはどうかというと、地域とは無縁な自己完結型のホテルで、ホテルの中ですべて事が済む。地域との交流も何もないというような状況の中で、地域社会からすれば全然かかわりのない存在になってしまっているというようなことも言われています。  そして、もう一つさらに言えば、そのホテル代なり宿泊費が非常に高いということ。当初言われておりました一週間程度の滞在型のという前提に立って考えますと、家族四人で出向いていって幾らかかるのかというようなことを考えると、とてもでないけれども、せいぜい一泊して慌てて帰ってくるような状況にならざるを得ないというのが実態じゃないかと思うんですね。  フランスなんかの場合ですと、月収の二〇%から四〇%程度で宿泊施設が契約できて、そこで長期滞在が可能になるといったようなことですから、特に無理算段をしなくても年間計画の中でこの時期はここで過ごすということが日常的に行われるような条件整備がされているわけです。  そういう点で考えますと、このリゾート法で目指しているだれのためのという基本認識に立って考えますと、自治体にとっては地域おこし、地域振興、そして企業にとっては投資先だ、こういうことになってくると、そこには国民とか市民というものが介在する余地がないわけです。やっぱり企業の民活ということになれば有利な投資先ということでしかないわけですから、そうなると地価の高騰を招くといったような状況も出てくるわけです。  この問題について、NHKが報道特別番組をかつて組んだことがあるわけですけれども、その中でリゾート法が東京マネーを地方へ流すチャンネルづくりの役割を果たした、こういう指摘をしております。そのことが結果としてその地域の地価を上げていく、つまりかつての狂乱地価の言ってみれば一定の役割をリゾート法が果たしたというような指摘もされる、当初の計画とは全く異なる結果がそこに出てきてしまった、このことについてどうするのかということも課題だろうと思うんです。  そうした問題について、報告書でもえんきょくな言い回しで触れられているんですけれども、そうした実態なり国民のためのという視点に立って考えた場合に、この報告書を具体的にどう展開するのかということをもう一回国土庁の立場で御答弁をいただきたいと思います。
  151. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) お答え申し上げます。  今、先生からも御指摘がございましたように、報告書の中でも多様なリゾートの展開ということを言っておりまして、確かに大規模開発、大規模な施設整備だけがリゾートではない、いわゆる小規模な、また国民の身近な憩いというものも大切にしたリゾートの整備というものを一緒に考えていくべきだ、こういう立場でございます。  そういうことでございますので、私どもといたしましてもこの小規模リゾートというもののあり方について実は研究会を設けまして、その研究会の中でいろいろと農山村のごくありふれた自然を利用した、そういう短期間滞在型のリゾートを組み合わせていくべきではないかとか、そういうことについての御提言をいただいておるところでございます。  そういうことで早速、来年度の概算要求には、特に過疎地域等の自然環境がいいところにおいてそういう滞在型の施設整備、あわせて周辺の環境整備等も行うようなそういう事業について一定の補助をしていく、あるいは山村地域において都市とそういう地域の人々が交流をする、そのときの滞在施設等にも支援していく、そういうような予算を来年度の概算要求にも要求する準備をいたしておるところでございます。先生の御指摘も肝に銘じながらそういう多様なニーズに合ったリゾートの整備を今後とも進めてまいりたい。  ただ、リゾート法そのものの考え方は非常に長期的に考えておりますので、もちろん中核的な大規模な施設もある、それから今申し上げましたようなそういう国民の身近なニーズに合った小規模なリゾートの整備というものもあわせて、それらを広く含んでリゾート整備法ができていると私は理解しておりますので、今後ともその適切な運用に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  152. 小林正

    ○小林正君 確かに、ナショナルプロジェクトとしてグランドデザインで日本全体を、日本というのは南北に非常に長いし、東西にも広く広がっているわけですから、そういう点を考えれば北海道と沖縄の南北交流とか、それから日本海側と太平洋側の交流とか、そしてまた中部山岳地域というものもあるわけで、日本全体を通してそれぞれの地域の特性が生かせるような形で、しかも国が大きなプロジェクトとしてそういうものへ向けて、国民が日本のそうした非常に多様で自然に富んだ風土というものを愛することができるような機会をできるだけ提供していくというのは非常に大事な課題だというふうに思うんです。  それは、きちんとしたリゾートに対する、あるいはレジャーそのものに対する理念というものをしっかり持った上でグランドデザインができて、その上で大きなプロジェクトとして展開していくということが基本的にはやはり内需拡大のきっかけにもなっていきますし、それが先ほど来言われております道路整備の問題等とかさまざまな課題にも関連をしてまいりますから、そういうことをどんどん国として進めていく課題は私は非常に重要だと思うんです。  それは、今四十一の承認をされているというようなことでは都道府県単位みたいな形で、それぞれの県が我が県でもという形でお互いに先を競うような形で出てきた経過からすると、大きなプロジェクトとしてやっていく課題と、そしてもう少し小さなテーマとして、これも今ありましたけれども、やっていく課題というのが同時にあるんだろうと思うんです。だから、都道府県単位でやるというような発想でいいのかどうか、それはリゾート法の運用上の今後の問題としてというようなお話もございましたから、ぜひそういうことを踏まえて承認の段階でどうするか。既に承認したものについてどうこれからやっていくのか。大体国土の六分の一近い面積が使われないでそのまま残っているというふうな状況というのは、これは看過できないだろうというふうに思うわけでございます。  一つはそういう大きな課題と、もう一つはやはり小さなテーマとして、小ぶりで地に足の着いた大衆型リゾートの方向ということも指摘をされております。これが画一的な大型高級リゾートに対して対応していく、今の需給関係で言えば国民が求めている課題だろうというふうに思いますから、そうしたことが必要ではないかなというふうに思います。    〔委員長退席、理事今井澄君着席〕  そこで、各国の例は直接日本に当てはめる必要はないんですけれども、小ぶりで地に着いたという点で一つ、かつての西ドイツで取り組んできた事例があるわけですけれども、西ドイツにおいては過疎化する山岳農民、農村の維持振興策と結びついた農村リゾート政策というものを展開してきた。そして、ECは食糧生産国土保全、農村景観維持のために山岳農民に直接的所得給付を行っている。このハンディキャップ、条件不良地域対策とともに政府として「農村で休暇を」というのを呼びかけ、農村での民宿を中心としたリゾートを奨励している。都市の子供たちが家族と一緒に農村に出かけ、農業と農村生活を知ることは健全な成長のために好ましいとの国民的理解がある。農家民宿は安い長期滞在を可能とする一方、農家に所得増加をもたらす。これなら農村景観の保全と両立したリゾートになる。「農村で休暇を」政策は、農家収入の一〇ないし二〇%、多いところでは四〇%にも達する経済効果を農村にもたらしている。こういう実態でドイツでは行われている。  日本も中山間地域、山岳地域もあるわけです。また、非常に美しいリアス式海岸の景観のいい海岸線もあるわけですから、そういうところとの都会の交流、そういうことのために農村の活性化と結びついた形でそれが進められれば大変に効果的ではないかなというふうにも思います。さっき申し上げましたナショナルプロジェクトと言われるようなことを長期的な展望に立ってやったフランスのラングドック、ルシオンの例というものも考えてみますと、相当やはり長期的に腰を据えた取り組みとして、しかもリゾート法の一条にありますように、美しいところに何かをつくるというよりも、むしろ最も地中海沿岸でおくれていた地域で自然的にも条件の悪いところを手を入れてすばらしいリゾートをつくったという、そしてそれが結果としてカンヌやニースのような高級リゾート地域とは違った庶民的なリゾートとして今大成功をおさめているという状況も一方にあるわけです。  ですから、やはりそうした視点に立って、地域活性化と結びついて、少なくとも東京までが出向いていってその地域に混乱を引き起こすような形ではないナショナルプロジェクトとしての対応が必要だろうと思うんです。地価対策としても、これは相当長期的な展望とそれから対策を講じて国として取り組んでいるわけです。ですから、世界に誇る日本の国土ですから、そういう意味でいえば非常に利用価値の高いところがたくさんあるだろうというふうに思います。  それから、一つ日本の例として御紹介をしておきますと、新潟県の塩沢町の石打丸山スキー場開発というのがある。同町の石打二百七十六戸は平均五十アールの稲作と炭焼き、養蚕を営み、冬季は出稼ぎの多い地域であった。四九年、地元の青年ら有志が出稼ぎをしなくてよいようにとスキー場開設に取りかかり、四十年間の努力によって今では百万人を超えるスキー場に成長した。開発と営業は地元の手でなされ、索道五社、そして旅館二百四十六軒、ロッジとホテル九軒、食堂七十一軒、商店七軒、売店十五軒、プロスキースクールほか十二軒など、全戸が経営に参加をしている。石打丸山開発は、住民の自治、地元住民資本の経営、農業との両立、経済だけでない文化、教育の充実と国際化等々に内発的発展を具体的に実践してきたモデルと言っていいのではないかという指摘もされております。  地域おこしというのがまさにその地域の人の参加によってつくられて、そしてそれが経済的にも潤っていく、リゾート開発が地域振興と両立し住民と調和できる、そういうようなものとしていったときに、この報告書で言っております地域のためにという二番目の柱が生きてくるんじゃないかというふうにも思いますし、出稼ぎはそれによってなくなったということ、そのことがやっぱり大事だろうと思うんです。  前国会の終わりに、こうした農村が、それぞれの農家が中山間地域等で民宿ができるようなお取り組みも、自民党の議員の皆さんが積極的に取り組まれた参議院段階での経過もございまして、私も大いに賛同したわけでありますけれども、やはりそうした地についたものが大事じゃないかなという気がいたします。  昨年フランス映画でマルセル・パニョルという詩人が書いたシナリオで「マルセルの夏」、そして「マルセルの城」という映画が放映をされて評判になりました。これは都会に住んでいる一家がプロバンスの農村に出かけていってそこで一夏を過ごす話なんです。小さな家を借りて、そこで子供たちがいろんな自然に出会って勉強する、体験をするというような話で非常にほのぼのとした映画でしたけれども、やはりそういう一夏を過ごせるような、しかも都会の生活を農村に移して日常的な生活としてそこで生活ができて農村の人たち交流ができるというような、そういうようなことが本当の意味都市と農村の交流だとかいろんな面でいいのではないかなという気がしますし、子供たちにとっては、声も立てられない、廊下も走っちゃいけないというようなホテルで一泊を過ごすような状況よりもはるかにいいんじゃないかなという気もします。  そういう点で、今後国土庁においてぜひ新しい発想に立った、このリゾート法に頼らないでもっと大きなグランドデザインを持ったものとして構想をしてやっていただきたいなというふうに思いますが、そうした点について長官の御決意をいただければ大変ありがたいと思います。
  153. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 大臣からお答えがあります前に若干説明をさせていただきたいと思います。  御指摘のように、ヨーロッパでは今やいわゆる農村型のツーリズムというのが非常に主流になってきつつあるというふうなことを私どもも伺っております。先ほど新潟県の石打丸山スキー場の例がございましたが、実はこれもリゾート地域の中のそういう一つ施設整備として取り上げられているものでございます。  したがいまして、今先生指摘のようなことが今後の一つの大きな流れである、それと同時に全体としての長期滞在型のリゾートの整備ということもこれも流れである、そういうものが両々相まっていわゆる国民の余暇需要、そういうものに対応していければと、こういうように考えておるところでございます。  リゾート地域でない地域においても、先ほどちょっと申し上げましたが、全く今先生がおっしゃいましたと同じような趣旨で私ども来年度の概算要求にもそういうことに対する支援措置を要求しようと今しているところでございます。
  154. 小澤潔

    ○国務大臣(小澤潔君) 総理府の世論調査を見ましても国民のリゾートに対する潜在需要は相当大きいものがあり、こうした国民のニーズに対応いたしました多様なリゾートの整備を長期的視点に立って着実に推進していく必要があると考えております。  このため、総合保養地域整備法の適切な運用に努めるとともに、国等の関連支援施設の活用促進、地方公共団体に対する情報提供、助言指導等により、大規模リゾートにおける多様な施設整備農山漁村等における小規模リゾートなど多様なリゾートの整備を積極的に支援していく所存であります。  以上です。
  155. 小林正

    ○小林正君 終わります。
  156. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 公明党の横尾和伸でございます。  去る七月二十日に公明党の石田委員長が衆議院の本会議におきまして代表質問をいたしました。その冒頭に、まず渇水問題について、国民生活そのものに直結する大変大事な問題だと、この件についてまず厳しく正確な視点生活者をとらえ、また守っていくんだと、そのことをお訴えし、また質問をした次第でございますけれども、その指摘のとおりその後渇水も厳しくなりまし  た。  言うまでもないですけれども生活用水におきましては影響人口は全国で一千万人を超える、こういう状況になっております。また、十八時間断水とかあるいは連続四十三時間断水、こういった事態も起こっていますし、また工業用水についてはアジアから三万トンわざわざ輸入する、こういった全く新しい事態も起きておりますし、操業の縮小のみならず全面的な操業の停止をする、その懸念を抱いている企業さえも出てきた。また、農業用水に至っては、稲の立ち枯れの問題、水争いでけが人が出る、あるいはこっそり水田に水を引くといういわゆる水泥棒、これが横行するという地域も出てきております。  上水、工水、農水ともに悲惨な状況が日に日に顕在化しているわけでございますけれども、こういった問題に対しまして国でもそれぞれの省庁、また地方でもそれぞれの分野で渇水対策本部をつくっています。大変看板がどこに行っても見られる、最近珍しくない状況になりましたけれども。ところが、看板は大変結構なんですけれども、その看板を掲げて何をやっているかというと、いわゆる取水のカットをどうする、どうなった、あるいは給水をどのぐらい制限するか、そういういわゆる制限をするための伝達機関というふうに成り下がっているのではないか。水の広域的な融通の話などはほとんどない。どうやって有効に利用するかという話はほとんど聞いたことがありません。  ほとんどというのは、全くないわけではなくて、まあ一例ぐらいは知っていますけれども、例えば荒川の流量が幾ら幾らになったから五〇%取水をカットするんだ、その内容を関係者に伝達するためだけにむしろ渇水対策本部があるのかなと。だとすると、ちょっと違うんではないか。渇水対策というのは水をもっと有効に利用するということに知恵を絞ろうじゃないか、そういうことだと思うんですけれども、どうも実態は違っているようでございます。  毎秒一トンの水を開発するのにダムをつくる。場所にも時期にもよりますけれども、百億から三百億、もっとかかるところもあるかもしれません。また、そうやって開発をした水についても、通常、生活用水、工業用水ですと十年に一回の見直しをする。許可水利権の更新ですけれども、これにも実は、単なる更新であっても、中身が変わらないものであっても二カ年を要するような大変な労作業が必要だ、こういうことをやっているわけです。河川管理そのものの内容ですが、締めつけばかりがそういった意味でも厳しいわけでありますけれども、河川管理能力を国民生活のために十分に生かして、河川水の弾力的な有効利用をこういうときこそ、あるいはこういう事態になる前に予測して十分な手は打てたのではないか、また打つべきではないか。そういう観点から見たときに、なぜそれができないのか、大変その点に疑問を持つわけでございます。  まずそこで、これらの水の利用、いわゆる流水の占用と言っているそうですが、一定のルールに基づいて厳格に運用されているものと思います。それは水利権だと思いますけれども、その水利権の基本認識について伺いたいと思います。早い話が、水利権なしで水がとれるか、そういう問題でございますが、端的にお答えをいただきたいと思います。
  157. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) お答えいたします。  今、先生お尋ねの水利権というものはそもそもいかなるものか、水利権がなければ水はとれないのかというような御質問でございますが、そもそも河川の流水というものは有限な公共の資源として人々の日常生活産業活動にとって不可欠なものであるというふうに認識されております。したがいまして、その使用に当たりましては、水利使用の許可、いわゆる水利権と申しておりますが、水利権というのが必要でございまして、こういう許可を通じまして公共の福祉が増進されるよう努めているところでございます。したがいまして、許可に際しましては、関係機関、例えば農業用水ですと農水省だとか、それぞれの省庁、関係機関とも十分調整を踏まえながら厳格な審査を行うことといたしておりまして、したがいまして一たん許可が与えられた場合には水利権として保護がされるわけでございます。  そういったことも考えまして、許可後も水利使用が適正に行われているかどうか、遊休化しているかどうかというようなことを十分審査いたしまして水利行政を実施していかなければならない、そういうものであるというふうに認識しておるところでございます。
  158. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、次に伺いますけれども国土庁が出しておられます「日本の水資源」、いわゆる水資源白書、これによりますと、日本の河川の水は年間九百億トン程度利用されている。そのうちの百三十億トンが上水、工水が百億トン、農業用水が五百五十億トン、約七割を占める、こういう記述がございます。また、これは年間総量で見ておりますので、夏期の一時期に換算しますと、農業用水は夏期に集中的に使いますので、それを私なりにざっと換算しても七割のものが九割、夏期には大体九割程度は農業用水として使われている。今もそうでございますけれども、そういうことについては事実であるかどうか、念のために国土庁にお伺いしたいと思います。
  159. 山岸俊之

    説明員(山岸俊之君) 国土庁の水資源白書等では、河川からの水の各用途ごとの使用量につきまして年間の総量として把握しておるわけでございます。農業用水につきましては、農業用水の占める割合について、これはかんがい期にどのぐらいかという正確なデータは有していないわけでございます。しかしながら、一般的には農業用水の使用量は先生お話しのようにかんがい期に集中しているということから、年平均の割合であります七割よりは相当高くなるものと認識しております。
  160. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 そこで、相当部分を占めるのが農業用水だということなんですが、先ほどお伺いしました、水の利用は全部水利権の行政でカバーされている、水利権なしては水はとれないということでございましたが、その水利権の種類に許可水利権と慣行水利権があると思います。河川流水の利用のほとんどを占める農業用水の許可水利権と慣行水利権のおのおのについて、その件数と合計水量及びシェアをお教えいただきたいと思います。
  161. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) お答えいたします。  先ほど、川から水をとるには水利権というものが必要であるという御説明を申し上げましたが、そのうち農業用水はどれだけかということでございますが、農業用水では許可水利権、許可を受けて水をとっているものと、昔から、うんと古いものではもう千年ぐらい昔、あるいは聖徳太子がつくったせきからとっていらっしゃるというような土地改良区もあるというような状況の中で、まず許可水利権、許可を受けてとっていらっしゃる水利権というものが一級河川、二級河川合わせましておよそ一万八千件と把握しております。最大取水量の合計が毎秒およそ六千七百立方メートルというふうに把握しているところでございます。これは許可を受けて水を使っている、いわゆる許可水利権の約八〇%に相当いたしております。  それから、許可を受けないで昔から慣行的に水をとっておるというものを慣行水利権と申しておりますが、こちらの方は一級河川、二級河川合わせまして、これもおよそでございますが十二万件の届けがございます。このうち届け出書に最大取水量を記載する欄がございますが、それを合計いたしますと約四万一千件ございまして、最大取水量の合計が毎秒約四千九百立方メートルというふうになっておるというのを把握している状況でございます。
  162. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 許可水利権の件数と慣行水利権の件数については全貌はわかりましたけれども、量的には慣行水利権の量が一部分しかわかってないので、これは比べるわけにいきません、残念ですけれども。件数からいきますと、慣行水利権が許可水利権に対して九割、合計のうち許可水利権一万八千件、慣行水利権十二万件、こういってほとんどが慣行水利権だと。そして、その数量はわからないということでございますが、私はちょっとここは問題があるんじゃないかと。  今、水で苦しんでおりますので、皆さん関心が高いと思いますので、もうちょっと説明させていただきますと、河川の水を利用することがほとんどでございますけれども、そのうちの年間平均で七割、夏季でいくと九割程度、その部分の水のほとんどがどうなっているかわからない、こういう事実をおっしゃっているんだと思います。私は、そういう意味で慣行水利権について問題点が幾つかあるんじゃないか。  これは物の本によって勉強して私なりに納得したことですので、必要があればその本も紹介しますけれども、内容を申し上げますと、慣行水利権には次の三つの大きな問題がある。一つは、内容が不明確である。取水の限度が量として明示されていない場合がほとんどだ。そして、見直しの機会がない。発電のための水については三十年に一回見直しをします。また、その他の許可水利権については十年に一回、先ほどちょっとその手続も大変だという話をしましたけれども、その見直しの機会が全くない。また三番目には、取水の実績の記録が残ってない。これが実はほとんどの分なんです。  そういう三つの大きな問題がある河川行政そのものが、何かこのままではいけないんではないか。つまり言いかえれば、残りの一割か二割だけがわかっている。一割か二割の分について厳しく何%カット云々ということをやっている。残りの九割はどこへ行っちゃっているのかわからない。そういうわからないことを前提に、残りの一割ないし二割のものをぎりぎりやっている。これはちょっと矛盾があるんではないか。ちょっとではなくて、言葉ではちょっとと言いましたが、かなり矛盾があるんではないか、こう思います。  そういう意味で、慣行水利権、私は別に農業者の方を攻撃するつもりはありません。先ほども冒頭に言いましたように、農業者の方も大変な被害を受けていますし、つまりそこに計画性なりコントロールができないいろんな要素があるんだろうと思うんですけれども、それをやっていくべきだということを実は申し上げたいのです。  特に慣行水利権で今申し上げているので内容的にちょっと踏み込みますけれども、慣行水利権は個人で持っているものではなくて村落共同体が持っている。共同体でその権利を行使するときには個々の構成員のオーケー、承諾が要る。一人でもノーと言ったら動かない、こういう絶大な影響力を持っている。そして場合によっては、それが補償で解決するような場合にはお金は個々人に最終的には配られる、こういうことなんですけれども、実際にはそういった水利権は、先ほど言った理由から、不要になってもまた未使用になった場合でも手放さずにずっと持ちっ放しでいる。それが前提になって河川管理、ダムをつくったりなんかはその上に積み重ねていくわけですから、実は何をやっているのかわからない。  ちょっと脱線しますけれども、先ほど言いましたように慣行水利権は共同体で持っているものですから、相続税みたいなものほかかりません。しかし、実際には個々の一人一人の意見が物すごく大きく影響する、こういう矛盾があって、私たち個々人が家とか土地とかを持った場合には相続税がかかって大変なんですけれども、共同体でということで、実態とは別にオブラートがかかっているために相続税については免除されてしまう、こういった問題もちょっとあるんですが、この問題は時間もありませんのでまた次回、別な機会に譲るとしまして、要はこういった慣行水利権、どこに行ってしまっているのか、どうなっているのか。  ちなみに私の地元であります福岡都市圏、これは水で大変困っている。慢性的な水不足で有名な地域でございますが、この地域、三十年前と今と比較しますと、農業用水の大体九五%ぐらいは平均すると水田に使っているそうなんですけれども、その水田が三十年前、昭和三十五年と平成二年を比べたわけなんですが、ちょうど半分になっている。数字で言いますと、昭和三十五年は二万三千ヘクタール、平成二年が一万二千ヘクタール。五二%にほぼ半減している。しかし、前使っていた水はどこかに行っちゃって、その水を有効活用しているということは一切ない。どうなっているんだろうと。それは当然なんです。ほとんどが先ほど言ったようにわからないということが前提なんですから、そのわからないところに潜り込んでしまうのは当たり前なんです。そういった意味で大変な矛盾があると思うんですけれども、この問題、限られた日本の資源を有効に活用するということの重要性がさらにもっともっとこれから大きくなろうと思うんです。  そういうことを前提にしますと、その重大性に応じて河川管理の透明性をレベルアップする。それは一つには慣行水利権の中身をわかるようにするということもありますけれども、それも含めて河川管理の透明性をレベルアップすべきだと思うんです。これは言いかえれば、実質的には規制緩和に当たるんじゃないか。つまり、一部分だけをきりきりやってがんじがらめにして実際は水の活用が図られないという広い意味での一種の規制、その規制を外すというのは、実は中身をわかるようにしてみんなが納得できるように透明性を上げていくということが大切なんだ。七割、八割とわからない部分があるということを前提に河川管理がなされているとしたら、今後渇水が続いたとしても何がなんだか、何をやっているのかわからない、こういうことになりますので、新しい時代の河川管理のあり方を踏まえて、これからの河川管理、どう対処をされていくのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  163. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 大臣にお尋ねでございますが、その前に事実関係を少し御説明させていただきたいと存じます。    〔理事今井澄君退席、委員長着席〕  慣行水利権につきましては、先ほど先生指摘のとおり、主として農業用水を中心に旧河川法、これは明治二十九年、昭和ではございませんで明治二十九年に制定されました。それ以前から水をとっていたというものでございまして、新河川法ができましたときに水利使用の許可処分を受けたとみなされる水利用というふうになっております。  明治二十九年以前に使っていたわけでありますが新しく許可を受けたとみなされる水利使用でございますが、これにつきまして、先生指摘のとおり、権利内容が大変不明確なものが多いというのは事実でございます。この河川の水の適正な利用を図る観点からも、その取水実態を的確に把握することが大変大事だということを認識しておるところでございます。したがいまして、建設省におきましても昭和四十四年から、特に都市地域におきまして慣行水利権を選びまして、その取水実態等につきまして詳細な調査を実施しております。  それからそのほかに、ダムの建設計画を策定する際には下流の慣行水利権というものの実態を調査いたしまして、足らないのか余っておるのか、足らないときにはダムから補給しましょうというようなことをいたしておったり、また大口の慣行水利権に対しましては取水量の報告を求めるというようなことも行っておりまして、いろんな立場、いろんな機会をつかまえまして取水実態の把握に努めておるところでございます。  それからまた、農業をされている方自身が、取水施設の改築、土地改良事業等の実施の時期などもとらまえまして、利水者に対しまして慣行水利権から今度は権利内容の明確な許可水利権に切りかえていただくように指導を行っているところでございます。  ちなみに、平成四年から五年の二年にかけました慣行水利権の許可水利権への切りかえ件数というようなものをちょっと調べてみました。そうしますと、この二年間で約三百件に上っておることがわかりました。  このように一生懸命やっておるわけでございまして、今後も取水実態の把握に努めまして、より一層許可水利権への切りかえを促進してまいって、はっきりした権利内容、不明確さがないようなものにしてまいりたいと思っているところでございます。
  164. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) お答えをいたします。  今、河川局長が申し上げましたように、慣行水利権に関する改善問題につきましては、限られた水資源を有効に利用して水需要の逼迫に対処するためには、ダム等の水資源開発を促進することはもとより、節水の促進、農業用水等既存用水の合理的転用などの水利用の合理化を図るための施策を進めていくことが重要であるということは一般的に言えるだろうと思っております。  例えば、先生の同僚の皆さんが木曽川問題でもおいでになりましたけれども、ちょうど留守でお会いできませんでしたが、毎秒五十トンずつを海に流すというような、いわゆる漁業権者の方々たちが生態系が変更するからそれ以上は無理だという話でおしかりがございましたけれども、中部地方建設局が音頭をとりまして、約十三回にわたりまして緊急取水の協議会を開きまして、三重県なり岐阜県なり愛知県なり、三県が別々であれば水の分捕り合戦等もあろうかと思いますけれども、調整ができて、現在は十四トンとか二十トンとか五十トンを常時流すというようなことはやめて、上水の利用というものを十分に考えてやっております。  特に農業用水等は、五十トン流すその余水をやるというようなことではなしに、四〇%制限をしておったものを現在は御了解を得て六〇%にし、ダムをお使いになっておる皆さん方は三五%をそのまま流用して流しておるということで、十分に検討しながら十三回にわたる協議事項の中でこれには対応しておるということをあわせて申し上げて御理解をいただきたい、そういうように思います。
  165. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 先ほど河川局長からお話がありました慣行水利権の中身が明確化されて許可水利権にしているのは二年間で三百件にも上ると。大したものだと思ったんですが、よく考えてみましたら十二万件あるんですね。十二万件のうちの三百件、二年間でやっとやったと。これで今申し上げている有効利用が図れるのかどうか。やっぱり基本的にこの問題、もしできない、不可能であるならば河川管理の方法を根本から考え直すか、あるいは今不可能に近いけれども何としてでもやっていくか、どちらかだと思うんです。  この問題につきましてはまた次の機会にしたいと思いますけれども、ひとつそういう問題点がありますので御指摘をしておきたいと思います。  次に、同じ河川の問題で、最近、河川の放流水を利水面に活用することについて、これはダム群連携事業と称しているんですか、概算要求をされたんだと思うんですけれども、この方針を建設省が発表されたというふうに聞いておりますが、事実でしょうか、お伺いします。端的にお聞きします。
  166. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) お答え申し上げます。  今、先生お尋ねのダムをつなぐ連携事業というのがどうかということでございます。  今度の概算要求に当たりまして、既設のダム同士を結びます連絡水路を建設いたしまして、その水路を通じまして、洪水期末期やあるいは融雪期の無効放流を隣の他のダムのあいているところにためるということによって渇水時の河川流量の確保を図るということを目的といたしますダム群連携事業というものを新たに平成七年度の概算要求に盛り込みたいと思って今作業を進めているところでございます。
  167. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 ある意味で大変結構な話だと思うんです。流域面積の多いダム、少ないダム、特徴があると思うんですけれども、その長短をうまく活用するということで私は評価したいと思うんです。  同じ趣旨のことが、もしその導水管をつくらなくても既存の施設の利用で可能な場合、つまり流域面積が多いために、例えば六月の梅雨の時期には水をうんと流してポケットをあけておかなきゃいけない、逆のところでは渇水用に水をためなきゃいけない。ところが、たまっていないということが下流であったとする。そうすると、上流でむだに流さなきゃいけない水を下流でためておく。これは短期的な対策というよりも中期的な問題ですけれども、これがもしできると場所によってはかなり有効なものになるのではないか。  ですから私は、導水管をつくってそれを実現するのは結構なことだと思うんですけれども、つくらなくてもできるところがあったらそれは実施するような方向で制度を改正するなり、あるいはそのような運用に変えるなり、そういう努力をされるべきだと思うんですが、建設省のお考えを伺いたいと思います。
  168. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) お答え申し上げます。  今、先生から、もっとほかの方法もある場合にはもっと積極的に考えるべきではないかという御意見だと承知しておりますが、確かに渇水時におきまして限りある河川水を有効に活用するためには、ダムで貯留を行うということだけではなくて、川の中下流部でも適切な低水管理、いわゆる水管理を行うことが必要だと認識しておるところでございます。  したがいまして、これまでも気象状況等を十分把握しながらダム群を統合管理するというようなことで、ダムからの放流の無効にならないような適切な運用に努めているところでございます。  さらに、中下流部の調節池あるいは湖といったものを利用いたしまして無効放流を貯留できますよう、例えば首都圏で申し上げますと霞ケ浦と利根川を結ぶ霞ケ浦導水事業、それから利根川と江戸川を連絡いたします北千葉導水事業といったものを現在鋭意実施しているところでございまして、これらの施設が完成いたしますと、より一層有効な水利用が図れるものと考えているところであります。  そういうようなこととあわせまして、ダム群連携事業が有効である場合には、こちらの方も進めて適正な水管理に努めてまいりたいと思っているところでございます。
  169. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 次に、海水淡水化、これも水資源開発の一つの手法だと思いますけれども、場所によっては、また時期によっては大変有効なものになると思っております。その点についてコストが割高になるのではないかというようなことも言われておりまして、私、実は海水淡水化の技術面を担当されております通産省産業施設課からペーパーでお答えをいただいております。  海水淡水化のコスト、大体日量五万トンから十万トン程度のものを行った場合には、諸条件によって変動はあるものの、一トン当たり約三百円から三百五十円程度でできますと、ペーパーでこういうお答えをいただいているんです。時間があればこのことも通産省からこの場でも確認をしたいと思ったんですが、ペーパーがありますのでここではちょっと省略をしますけれども、こういった問題、ダム開発から比べると平均よりも高くなる。  しかし、ダム開発そのものが、例えば沖縄地域とか福岡地域においてはもう既にこの単価では開発できない状況になっている。そうしますと、ダム開発よりも海水淡水化の方が、あるいは同等ぐらいで海水淡水化で一部分は賄えるんではないか、こういう可能性も十分出てきているわけなんです。そういった意味で厚生省は、既に二年前、平成四年からダムと同じように海水淡水化で水資源開発を大規模に行う場合でも、水資源開発として二分の一ないし三分の一の補助を出すという制度をつくっております。また、最近ですけれども、通産大臣も大いに活用すべきだということを言っておられます。  そこで、建設省はどうか。建設省は所管でないと言われるかもしれませんけれども建設省は何といっても主流でありますダム開発、これを実際に進める場合には、現場では用地交渉等ではどういう位置づけなのか、どういうときに必要なのかということに対しては正確な理解が必要であろうと思うんです。そういう観点から建設省は海水淡水化についてどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  170. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) お答え申し上げます。  ダムをつくるのと海水淡水化するのとどちらがいいか、あるいはどういう場合が適しておるかというようなことを考えてみますと、それぞれ特色があるわけでございまして、すなわちダム建設というものは地形・地質条件で建設費が大変左右されるわけでございます。そのほか水没者の皆さんに大変な、多大の御迷惑をおかけするというようなこと。それから、水源地対策を含めまして完成までに大変長い時間がかかるというようなこと。そういう問題があるわけでありますが、その反面、一たんダムをつくりますと比較的大規模なものが多いわけでありますので、多種多様な水需要にも対応できる。それから、ランニングコストも安いというような点がございます。  一方、それに比べますと、海水淡水化施設につきましては浄水場などの水道施設の機能も一遍にあわせ持つというようなことで、ダムと違いまして建設期間が短い、それから海の水を原水といたすために、ことしのように雨が降ったり降らなかったりというようなことに影響を受けないわけでございます。そういう利点があります。その反面、今度は運転に要するエネルギーやコストが大変高くつく、それをいかに低減するかというのも課題になっておるわけであります。  このように考えてみますと、その場その場に応じて、ダムあるいは海水淡水化施設ともそれぞれ特質に応じまして、水需要の逼迫の程度あるいは必要となります水量、それからダム建設の実施可能性というようなことをいろいろ考えまして、それぞれ特質に応じて、各地域の実情に応じて選択していくというのが一番よいのではないかというふうに思っておるところでございます。
  171. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 終わります。
  172. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 分譲マンションは平成五年で二百六十万戸を超えるという状況になっており、私もマンションに住んでいるんですけれども、札幌では住民の二五%がマンションに入居している。築後十年を超えるマンションが七年末には十五万戸も生じるというふうに推計されています。修繕費の積み立てが十分ではないなど大きな社会的な問題になっているわけです。  私、この間、北海道マンション管理組合連合会の下河原会長、全管連の会長も兼ねておられますが、などを初め多くのマンションの管理組合の役員の皆さんと親しく懇談を重ねながらいろいろ御要望を聞かせていただきましたけれども、これは個別の問題もありますが、共通の切実な問題が浮き彫りになったと。ここでは適切な管理とか取引についてマンション対策に国や自治体など行政が力を入れなければならないという思いを強くして質問をするわけですが、大きな問題の第一は何といっても修繕積立金の問題です。  建設省の通達で、宅建業者はマンションの分譲時に長期修繕計画の策定、これに基づく適切な特別修繕積立金の積み立ての周知に努める、こういうふうになっているわけです。しかし、宅建業者は全く無視しているのではないかというのが実態で、修繕積立金は月一万円は必要だというふうに言われている中で、実態は本当にひどい状態なんですね。  私の調査でも、積立金というのは月千円から二千円、入居して修繕費はこれでは足りないということで四回も五回も値上げする。あるところでは八百円の二十倍の一万六千円に値上げをしてやっと修繕ができたというところがあります。新しいところでも、昨年の五月に新築したマンションが月千五百円から千六百円の積立金と。そして、もうこれではだめだということですぐ二倍に上げたけれども、ローンの支払いを月々幾らと計画を立ててやっている中で、こんな二倍三倍と上げられてはもうとても返せないということで、話が違う、説明を聞いていないと反対をする方が三分の一もおられるというような深刻な実態もあるわけです。  私は、六月と八月にチラシだとかいろいろなことで調べてみました。住友不動産で積立金月千三十円から千六百九十円、三井不動産で千三百六十円から千六百二十円、丸紅不動産で千四百六十円から千七百円と。一時金で十万から二十万ぐらいあるところもありますけれども、これも焼け石に水で、こういう建設大臣の認可を受けているような宅建業者、大手ですよね、ここでさえ余りにも低い積立金だということで、これは大手の業者を含めてもう通達の趣旨から完全に乖離しているという重大な問題だということで、ここは直ちに指導をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  173. 小野邦久

    説明員(小野邦久君) お答え申し上げます。  計画的な修繕に要する積立金の額を宅建業者が目安として示すことが適当ではないか、こういう御趣旨の御指摘でございますけれども、新築のマンション等を販売するに際してこれを説明することを義務づける、具体的な修繕積立金の適切な目安をきちっと説明するように法律的に義務づけるということにつきましては、当該修繕積立金の費用というのはやはり管理組合で決めていただくというのが基本的な考え方でございますので、必ずしも適切ではないというふうに考えております。  しかしながら、管理組合におきましても適切な額の積み立てが現実に行われるようにいろいろな角度から指導をしていくということは重要なことでございまして、先生指摘もございましたとおり、私ども平成四年十二月にも各業界団体の長あての通知におきまして、宅地建物取引業者にあってはマンションの分譲時に、それから管理業者の方々、既に例えば入居しておられるようなマンションの管理を業とする管理業者にあっては管理の受託時に、マンションの実態に即した例えば長期修繕計画の策定でございますとか、あるいはこれに基づく適切な修繕積立金の積み立て、あるいは適時の劣化診断の実施の必要性といったようなものについて、管理組合に対する周知に努めるように通達によって指導をしているところでございます。  また、昭和六十二年には、財団法人のマンション管理センターというところにおいて修繕積立金の算出方法が具体的に示されておりまして、管理組合におきましてはこうした方法を参考として適切な額を定めることが望ましいというようなことを考えておりまして、その周知にも努めているところでございます。
  174. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 それで、周知に努めながら現実は改善されていないということで、ここをぜひ強力に指導していただきたいということなので、大臣、一言お願いいたします。
  175. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) 高崎先生お話、よくわかりました。月に千四百円から千六百円の積み立て、しかも大手の不動産会社が経営しておるマンションをどう修繕するかというような点でございますけれども、言うなれば分譲マンションの場合は、ここは高崎さんが入っておる、ここは野坂浩賢が入っておる、ここは今井君が入っておるというようなことになりますから、そこでリーダーがおって、どのようにして修繕をしてもらうかということで、相手の宅建業者がそれだけ積み立てておるのならばちゃんとしますという契約があるかどうかは別として、やる場合は一致してやっていかなきゃならぬ。  その場合に、分譲マンション、我々の方から宅建業者には強力にこれから指導してまいりますが、お入りになったときに契約書があるだろうと思いますね。それらの点について標準管理規約等の作成、普及を我々は徹底して、中身の修繕等については金融公庫から出していただくような配慮をしておるというのが現状でございますので、十分でないということになれば、さらに担当者に説明させますので、お尋ねをいただきたいと思います。
  176. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 これはぜひ指導を強めるということでやっていただきたいというふうに思います。よろしいですね。
  177. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) わかりました。そのように指導します。
  178. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 それで、ここで公的支援、援助ということが大変重大になってくるんですけれども、ここも大臣よく聞いていただきたいんですけれども、大規模修繕とか給排水管の取りかえというのが大変負担になっています。公的援助が強く求められていることで、今お話ししたように修繕に当たっての積立金が少ない、そこで超低利の融資がどうしても必要になってくる、あるいは修繕計画の策定での劣化診断の専門的調査についても費用が要るというようなことで、公的融資制度の拡充ということが大変強く求められており、総務庁の勧告でもここは指摘されているわけですね。  特に、修繕の時期というのは、高齢化をしていく、年金者がふえる、退職者もふえるという問題、あるいは若い方にとってはこれ以上の負担は大変だというさまざまな問題があり、現状の制度の説明は結構ですので、これについてぜひ公的支援を拡充するという立場でここはお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  179. 梅野捷一郎

    説明員梅野捷一郎君) 大規模な修繕に際しましては当然大変な費用がかかるわけでございますし、いろいろな条件の方々が集まって合意を形成しながら進めるということでございますので、そういう結果として必要な資金につきましては、従来からも住宅金融公庫の融資ということでやっておるわけでございますが、今後につきましてもそういうものをなるべく整備いたしまして、使いやすい資金を用意して積極的な大規模修繕をしていただくという方向で取り組みたいと考えております。
  180. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 住宅金融公庫の返済期間については、ことしから五年が七年に延びるということなど制度の拡充があるわけですけれども、これについてさらに一層拡充するということでここはぜひお願いしたいと思います。
  181. 梅野捷一郎

    説明員梅野捷一郎君) これからこの大規模修繕というものは大変年数もたってきましたのでいろんなところで重要になってまいりますので、これに対します資金的な手当てについては、今のような方向をさらに強化する方向検討していきたいと思っております。
  182. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 それから、次に大きな問題になっているのは建てかえなんですけれども、これは高齢化をして退職はする、年金生活という中で建てかえの資金の問題は非常に深刻になっており、平成十七年には、つまりあと十年後にはマンションの総戸数の一八%がそういう問題に突き当たるだろうというふうに言われている中で、そのときを待ってやるのではなくて、今から先行的に対策を強化するということが求められており、そのための調査を実施していると思いますが、公的援助がどうしても必要になってくるという点での具体的対策、ぜひやっていただきたいという問題。  それから、建てかえに特にかかわってきますが、一部借地になっているケースもあり、あるマンションですけれども駐車場が借地で、それが容積率にカウントされてマンションが建った。しかし、この借地が途中で売られたり借地を拒否されたときに、建てかえ時に容積率が変わってくるということで、建てかえ自体が困難になるというような問題があるわけです。  こういうことも含めての建てかえの問題について、公的援助、対策、これはぜひ強化をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  183. 梅野捷一郎

    説明員梅野捷一郎君) 建てかえにつきましては、先ほどお話ございました大規模な修繕と同様に大変重要な点でございまして、それに必要な資金につきましては、これにつきましても公庫で拡充をしてきているところでございますが、これから先につきましても、今までのさまざまな公庫の融資の条件を、来年の予算要求につきましても今検討中でございますが、例えば建てかえ加算というようなことができないかどうかというようなことも考えながら拡充に努めているところでございます。  また、その敷地の条件がいろいろなことがあって、都市計画制限その他でなかなか建てかえが計画上できないというようなケースが散見されるわけでございます。それぞれの個別のケースによりまして敷地の条件がいろいろな経緯や条件があって、これをもってやればいいという方向が必ずしも一律には言えないわけでございますが、大きくは例えば再開発的な手法というようなことも活用しながら、できるだけ円滑に建てかえが進むような方向で個々のケースに合わせてやっていくということが肝要ではないかというふうに考えてしるところでございます。
  184. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 この建てかえとの関係で、我が党の上田議員も繰り返し質問をしてきたわけですけれども平成六年度から優良建築物等整備事業が発足したわけです。ちょっとこれについて簡単に御説明いただいて、六年度に始まったということですけれども、これはぜひ拡充していただきたい、そして全体として公的支援という立場で頑張っていただきたいというふうに思いますので、この点お願いいたします。
  185. 梅野捷一郎

    説明員梅野捷一郎君) 再開発の関係として、従来から一般の再開発、任意の再開発、民間でおやりになります共同建てかえでありますとか、そういう問題を支援するために優良建築物整備促進事業という助成制度がございました。その制度の枠組みの中でマンションの建てかえもそういうものが使えるようにしていこうということで、一部その方式を取り入れまして助成する方法になったわけでございます。  先ほど御答弁申し上げましたように、広い意味の再開発というような取り組み方をしないとなかなか進まないということでございますので、そういう一環でさらに助成の内容等についても今後の問題として大いに検討してみたい、拡充についても検討してみたいというふうに思っております。
  186. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 これは重要な、そして切実な問題ですので、ぜひよろしくお願いいたします。  それから、これも大きな問題なんですけれども税制対策なんですが、一つは、建設省が管理組合に督励をしているということで、修繕積立金が今ずっと行われているわけです。修繕のために積み立てをしているのに、これ預金にしているんですけれども、この預金の利子に二〇%の税金がかかるわけです。これで相当な負担になってくるので非課税措置にしてほしいという声がどこでも出されてくるわけです。それで、これについては大蔵省とも相談をしたということがあるというふうに言われてきましたけれども、ぜひこれは実現する方向で大蔵省と協議、検討していただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  187. 梅野捷一郎

    説明員梅野捷一郎君) 修繕の積立金についてのそういう御要望があちこちから寄せられていることは私ども承知して、またその点については検討もしたわけでございますが、一般の戸建て住宅におきます修繕のための資金というものとのバランスの問題もあるし、非課税の問題、全体のバランスの問題というようなこともございますので、そういう全体の中でなかなか困難であるというようなことでございます。
  188. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 これは今後とも検討するということで過去には答弁しておるわけですから、重大な問題ですので、ぜひここは大臣、検討していただきたいんです。  あわせてお答えいただきたいんですが、それ以外に固定資産税の問題もあるわけです。これもマンション管理組合の皆さんから強い要望なんですけれども、マンションの税金は一戸建てと比べて物すごく高いというふうに言われています。札幌で平均して一戸につき十五万から二十万負担しているんです。これ仮に二百坪の敷地に百戸のマンションが建てば、ここで二千万の税金を負担する。これ二戸建てと比較すると二千万なんというのは明らかに高いのははっきりしているわけです。  マンションというのは一棟建てば百戸、つまりそれだけ地域がつくられていくという点で非常に一戸建てとは違う、町ができるという点でいろいろ公共的な立場で物を考えていただかないと困ると思うんです。:戸に四人家族で百戸のマンションというとそこに四百人が住んでくるということで、固定資産税、札幌市でいうと二百六十億から二百七十億をマンションの住民が負担しているのに全く還元がないということなどを含めて、こういうマンションに対する固定資産税の減免措置はぜひ促進していただきたい、あるいは公的支援を強化していただきたいという問題があります。  北海道の場合、冬が厳しいんです。積雪寒冷地というのは冬の期間凍結をして解ける、そういうことの繰り返しの中でコンクリートですからひび割れも大きくなり、損耗が本州のマンションよりも著しいということも指摘している中で、二戸建て、木造ですが二五%という補正が行われているんですね。ところがマンションには全くないという点で、積雪寒冷補正をマンションにもやっていただきたいという問題もあります。  マンションの中に道路があります、公園があります。マンション以外の人がこれを自由に使っているという場合にはやっぱり非課税や減免措置をすべきだというふうに思うんです。札幌では、集会所が公民館的役割を持っているということで、管理組合が法人のときには一〇〇%、法人でないときには五〇%、それぞれ減免をするというようなことをしておりますが、自治体によってもちろん違うんですけれども、こういう改善も、マンションの公共性ということを考えて自治省に強く要望していただきたいということです。  この税金の問題、非常に重要な問題で、ここはぜひ建設省が今のような立場で大蔵省、自治省に対して強く要望していただきたいということで、ここは大臣にぜひ決意も含めてお伺いしたいと思います。
  189. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 時間が経過しています。
  190. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) お答えします。  いわゆる修繕のために預金をしておる分については利子を免除せいということですね。お話はわかるんですが、僕の家を修繕するからこれは修繕費として預金をしておくと、これも減免せいと。一つが出れば全体的に蔓延をして、預金であるのか修繕費の預金であるのかはっきりわからないと。そういう点もありまして、今住宅局長お話し申し上げましたように、非常に難しい面があると思います、大蔵省の折衝の場合は。しかし、せっかくのお話でありますから、重く受けとめておかなきゃならぬだろうと思っております。  二番目は、例えばマンションが建って、廊下とか路地とか、普通の道路と同じなんだから税金はかけるんじゃないと。だけど、その敷地の中に入っておるマンションの間を通るのは廊下といいますか、敷地としての固定資産税はかかるだろうと思いますね。これは道路だとだれが通ってもいいというようなこともありましょうけれども、一応敷地内は宅地として取り扱っておる、こういうことであろうと思います。  したがって、先生は重大な問題であるとおっしゃったように重大だと思いますけれども、ほかの分と並べてまいりますとなかなか容易じゃないなということを、聞きながら感じてはおりますが、せっかくの強い御要望でございますから、大蔵省と相談をしてみてまた御報告をしなけりゃならぬと思っております。
  191. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 もう時間ですので終わりますが、この道路については、もう既に地方税法で、私道でも公共の用に供する道路は非課税ということでマンションの敷地も含めて可能だということで、東京都では既に実施もされているわけですから、これは大蔵省、自治省に、建設省が本当にマンション住民の立場に立ってぜひやっていただきたいというふうに御要望しておきます。  はい、と一言。
  192. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) 要望を聞きましたので、検討して各省と折衝してまいりたいと思います。
  193. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 終わります。
  194. 青島幸男

    青島幸男君 二院クラブの青島幸男でございます。  両大臣とも、長時間にわたっての御答弁で御苦労さんでございます。  私は、きょうは一点だけ、長良川の問題についてお尋ねを申し上げます。  この長良川の河口ぜきの話が持ち上がって閣議で了承を得たのは、私の調べによりますと昭和四十三年ということで随分古い話でございまして、初めて私が当選してここへ参りました年でございますから、およそもう二十五、六年になろうと思うんですけれども、あのころから考えますと、経済的にも対外的にもいろいろ様相が変わってまいりました。ですから、当時考えられた河口ぜきの用途とか目的とかというものもかなり変わってきておるんじゃないかと思いますね。  八郎潟とかあるいは宍道湖の前例もございますけれども、所期の目的を持って、そのときはそれなりに重大な目的と公共のために多くの予算を費やしてもそれは当然のことだということで発足をし事業を行ったわけですけれども経済上あるいはいろいろの要素の変貌とともに、所期の目的と違った格好になってきまして、遂にはうやむやになってしまったというようなケースも見えるわけでございます。  この長良川というのは、歴史的にも長い親しみを住民には与えておりますし、距離も長うございますし、いろいろ蛇行もしております。これに関しまして農業関係者あるいは漁業関係者あるいは潤沢な水資源に立地しました工業も盛んになっておりますし、それらの方々の利害が非常に錯綜しておりまして、しかも大規模な工事でございますから一朝一夕にできるわけではございませんで、長年月かかります。ですから、その長年月の間に時代あるいは経済的な変化も伴って、最初Aの人に有利であってBの人には不利だからというような状況もあったものが、今度は逆になったりするということもございまして、いろいろと利害が錯綜してきまして、当初考えられていたことといろいろ違ってきた。  もう一つは、自然環境を破壊するのではないかということで、争いが始まってからもう十二年になります。何でこんなに変わってきたんだろうと。それぞれの錯綜している利害、かつて美濃部さんが、たった一人でも反対したら橋はかけないというようなことをおっしゃって、これは有名な文句になったんですけれども、私はこれが完全に正しいとも思いません。ということは、やっぱり憲法上認められております個人の権利というものを徹底的に尊重しなきゃならないというのは民主主義の基本でございますけれども、また一方、多くの方々の公共の福祉というものも大切にせないかぬということもよくよくわかっております。ですから、個人の権利と公共の福祉をどういうところで納得させ、どういうふうに折り合いをつけていくかということが行政の一番の眼目だと私は思います。  そういうことで、長良川の河口ぜきの問題はさまざまな意見とさまざまな利害が錯綜しておりますので、一長一短にこうすればいいんだとなかなか言いにくいところがあるということは重々承知しておりますけれども、たった一点明確にお尋ねしておきたいのは、大臣はこの問題について基本的にどういうお立場で臨もうとしていらっしゃるか、この点だけ明確にお答えいただきたいと思います。
  195. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 大臣に基本的認識をお尋ねでございますが、先立ちまして、少し長良川河口ぜきのこれまでの経緯について若干だけしゃべらせていただきたいと存じます。  長良川は、昭和三十四年九月、あの有名な伊勢湾台風によりまして大変大きな災害を受けたわけでありまして、引き続きまして、昭和三十五年、三十六年、いわゆる昭和三大洪水というもので大変大きな被害を受けまして、日本の中でも大変危険な川というふうに位置づけられておるわけでありまして、抜本的な治水対策としてどうしたらいいか、その中で河道しゅんせつをするのが最もいいんではないかという結論に至ったわけでございます。その結果、河道しゅんせつをいたしますと海の水が奥深くまで入ってきて大変困るということで、どうするかということで河口ぜきが必要ではないかと。あわせまして、当時、利水面でも逼迫しておりまして、中部圏の水に対処するために河口ぜきの設置が検討されました。  その後、昭和四十年に至りまして、河川法の規定に基づきまして木曽川水系工事実施基本計画というものが定められまして、その中で河口ぜきが治水上必要であるということが位置づけられました。引き続きまして、昭和四十三年十月に、水資源開発促進法に基づきまして、これが閣議決定を経て内閣総理大臣が木曽川水系水資源開発基本計画というものを策定いただきまして、その中で位置づけられたものでございます。  その後、四十六年十二月に、建設大臣から水資源開発公団に事業実施方針というものを示しまして、水資源開発公団が関係者と交渉を積み重ねられまして、昭和六十三年二月に、特に一番関係の深い漁業組合の方、二十二漁業組合の方の着工同意を得ることができまして、六十三年三月から本体工事に着手することができたわけでございます。現在は、すべてのゲートがほぼでき上がっておりまして、ほぼ完成しておるという状況でございます。  それからなお、平成五年三月、去年の三月でございますが、この木曽川水系の水資源開発基本計画、内閣総理大臣が決められるものでございますが、これが全部変更いたされまして、このときも長良川河口ぜきは利水上必要であるということが改めて決まったような次第でございます。  この間、事業着手以前から、三十八年から四年間にわたりまして約九十名の学者の先生に環境調査を十分やっていただきまして、その結果、画期的な魚道も設置したりしておるわけでございます。  さらに、昨年の十二月に、当時の五十嵐建設大臣が現地を視察されまして、ことし二月一日に示されました「平成六年度の長良川河口堰建設事業の進め方について」というものに基づきまして、現在、学識経験者から成ります調査委員会の御指導、御助言を得ながら、公開、公表という民主的なルールのもとに、防災、環境、塩分、この三分野を中心といたします調査を四月一日より実施しているところでございます。  地元の皆さんの意見を十分聞きつつ、地元の役に立つものをつくってまいりたいということで今までの経緯を説明させていただきました。  ありがとうございました。
  196. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) 長良川の河口ぜきの問題を基本的に建設大臣はどのように考えるか、イエスかノーかどっちだというようなお話になりますと、イエスかノーかもなかなか言いにくいんですが、長良川沿岸の六十七万人の方々の生命と財産を守っていかなきゃならぬという意味で、三県の知事初め関係市町村を挙げて、なぜか不思議なほど連日のようにおいでになります。また、反対もありまして、天野礼子さんといいましたか、そういう方が中心でたくさんおいでになります。どっちもいいことを言われます。  長良川は今日まで、来年度やればほとんど河口ぜきは一〇〇%終了する、こういう状況になっております。ただ私は、いろいろと条件をつけられれば、その条件はやっぱりのんでいかにゃいかぬ。前の東京都知事ではありませんが、先生おっしゃったように、全体の利益になるならばそれは理解してもらう。理解してもらうためには、問題点があればそれをのんでいこうと。のんでいって、一つ一つやらなきゃならぬという意味で魚道の問題等についても試験実施をしまして、それぞれアユが上っていくということは確認しましたっしかし、反対派の方から見れば上り方が少ない、三分の一少なくなっておるというような御意見もあります。ありますが、それならば、京都大学の何々先生をもう一人追加して審議委員の中に入れろと、そうおっしゃればそれをのんで交渉して入ってもらう。  いろいろなことを述べますけれども、総体的に申し上げて、五十嵐建設大臣が当時申し上げましたように、いろいろと意見を聞こう、そして不足する点は補足をして、そして体制というものを充実していこうと。そのためには公開で調査をしよう、新聞社もテレビもあるところで公開で調査をして、その結果は公表しよう、皆さんにわかってもらうために公表しようと。そして、その調査は一年がかりでやりましょう、だから来年の三月まではやろうと。  この間たくさんおいでになりまして、岐阜の地方裁判所では反対派の皆さん方が訴訟を起こされておりましたけれども、それは全面敗訴ということになりましたから、沿岸の皆さん方はこれで勝負はついたんじゃないか、建設大臣は一体何しておるんだ、早くやれというような意見が大勢でございましたが、私からは反対の皆さん方もまだ問題点がたくさんあるとおっしゃっておりますと。したがいまして、来年三月までは公開調査、そして公表、そして民主的な手続によって裁断を下すということが一番民主的なあり方ではないのか、その上に立って結論を出してまいりたいと。裁判所が結論を出したとしても、我々は住民の皆さんと約束をしておるので、民主的な手法に従って、手続に従って最終的な結論を出してまいります。  ただ、天野さん以下反対派の皆さん方は、こうおっしゃっております。我々は決して事業の邪魔はせぬのだ、整々と事業をやっていけ、しかしこの問題については自然の流れというものを大事にしなきゃならぬ、そういう提言もございましたので、長良川を初め全国の河川をもっときれいな川にして生活環境をよくする、そういう意味でも非常にプラスになった面がたくさんあったということを私みずからは評価をしておるというのが現状でありまして、先生がおっしゃるように、イエスかノーか、基本的にはどうかということでありますが、沿岸住民の皆さん方の御意向、そして民主的な手法による調査、公開、裁決手段、そういうものを相合わせまして国民の利益になる方法で結論を出したい、こういうふうに考えております。
  197. 青島幸男

    青島幸男君 結論といたしまして、私は、大臣のおっしゃられたことを大変心強く受けとめました。民主主義の基本というのはそういうものだろうと思います。  私も正直申しまして、あのせきが実際には非常に有効で、沿岸の住民の生産手段としてもあるいは居住地域としても安全かつ有効にできるもの、非常に大きな役に立つんだという意見もあることも承知しておりますし、また、あれは沿岸の利権の塊であんなものない方がいいんだという学者の御意見も聞いております。私もどっちだかわかりません。あと十年、二十年たった先にこれがどっちになるかということは本当に私もわかりません。  大臣の今おっしゃられたのは、利権がどうのということじゃなくて、訴訟が決着をしたからそれでいいんだ、もうにしきの御旗をしょっているんだからどんどん推し進めるというような御見解ではなくて、居住地としても安全を守らなきゃならない。御承知のとおり、水がないとなれば全くなくなってしまいますし、降れば怒濤のごとく降って安全が損なわれるということもあるのが我が国の実情でございますから、そういうことも勘案いたしますと確かにおっしゃられるとおりだと思います。  今まで巨大プロジェクトの中でもめごとが続いているのは、一番だめだったのは私は成田だと思いますね。あれはやっぱり成田の住民の方々との間に十分な話し合いがなされないまま強行したからだ、当時の自民党内閣が、というふうに私は思っております。あのときに成田空港を早く建設しなきゃいかぬということは私も重々承知しております。羽田で間に合わないことはわかっております。それがきちっとした格好で、いまだに一本しか滑走路がないわけですね。あのときに衆参で早く空港をつくろうじゃないかというので空港建設促進の決議をしたことがありましたね。私たった一人反対したんですよ、とっても度胸の要ることでしたけれどもね。しかし、両院で決議して臨むような問題ではないという信念を持っていましたからそうしましたけれどもね。  大臣がおっしゃられるように、住民との話し合いの上で、不毛の論議ではなくて、なるべく公の席で公開に、双方がきちっとした論理的な話し合いを積み重ねて、今どうしたらいいかというのを衆議した上で決着をなして、その上で民主的なルールにのっとってやっていただくというのが、やっぱり基本的に一番大事なやり方だと思いますので、その御意見を伺いまして私はちょっと安堵の胸をなでおろしたわけでございます。  今後、この河川にかかわらずさまざまな問題が出てくると思います。その一つ一つについても政府がそういう形で臨んでいただきたいということを切に要望しまして、時間がちょっと余りますけれども終わります。  ありがとうございました。
  198. 西野康雄

    西野康雄君 護憲リベラルの会の西野です。  まず、環境庁の方からやりましょうか。  先日、大阪の方の新聞、毎日新聞ですけれども、尼崎コスモ工業団地の問題で、「尼崎市南初島町の尼崎コスモ工業団地を巡る問題は、企業側からの公開質問書という形で公になって既に四カ月近くがたった。虚偽の公文書を作成してまで工事費をごまかしていた市の不正の実態が明るみに出た」というふうなことです。この工業団地というのは、環境庁の外郭団体、前の公害防止事業団、今の環境事業団です、これが二次に分けて用地を造成、二十三社の入居企業の注文に応じて建物を建設、そして九二年四月に完成したわけです。これを一たん市が引き取って、そして今度は企業に五年間市からリースをして、そしてそれをさらに買わせていたと。買わせていたんですが、ところが市が事業団から受け取った金額と企業への譲り渡す金額に大きな食い違いが出てきた。二十四億円というものが市の方に入っていて、企業の側が、これはおかしいやないか、どないなってんねんというふうなことで、今裁判にまでなってきております。  そういうようなことで、環境事業団は何ぼほどで受けて、そしてそれを市に渡したのか、そういうふうなこと、譲渡価格からまずちょっとお伺いしたいと思います。
  199. 長藤史郎

    参考人(長藤史郎君) お答え申し上げます。  御質問の尼崎コスモ工業団地でございますが、これは私ども事業団から建設譲渡の事業の一環で契約の相手方、尼崎市に渡してございます。先生おっしゃいましたように譲渡は二回に分けて行われておりまして、第一回目の譲渡価格につきましては五十九億三千百十万七千九百九十三円でございます。第二次分につきましては総額で五十三億二千六百四十四万四千九百八十四円でございます。二回合計いたしますと百十二億五千七百五十五万二千九百七十七円で、私どもは尼崎市に譲渡を申し上げてございます。  以上です。
  200. 西野康雄

    西野康雄君 それは一次、二次ですけれども、その二十三社からの入居企業の注文に応じて建物を建設とかそういうふうなことですから、一社ごとのそういうふうな価格というのはわかりませんか。
  201. 長藤史郎

    参考人(長藤史郎君) 私ども環境事業団では尼崎市と契約しておりまして、尼崎市に譲渡する土地には今の値段で申し上げたわけでございます。  先生、今おっしゃいました入居企業との関係は、尼崎市が地方自治法でございますとかいろんな制約の中で御自身で判断されて個々の入居企業と契約されております。私どもとしてはその個々の入居企業との間の数字は存じ上げておりません。
  202. 西野康雄

    西野康雄君 恐らく中小企業の方々が入居するときに、環境庁が一生懸命中小企業のためにつくってくれているんや、まさか市が利ざやを取って、それも二十四億円というような。それで、この金がどこへ行っているのかさっぱりわからへんと。それは、きっちりと会計の中に入っていてやっていうんならそれも意味はわかるんやけれども、この入ってきた企業の方が、その金がどこへ行ったかさっぱりわからない、行方不明であるというふうなことですよね。  そういうふうなことであっては環境庁自身も困るでしょうし、今後環境事業団がこういうふうな形でいろいろとやっていく上においてもトラブルがあっちゃこつちゃで発生をしてくる、こういうふうなことではあかんのやないか、そやからそこのところをきっちりと今後押さえておかなあかんと思うんですね。それは監督の環境庁もそうではないかなと思うんですが、その辺の所見、ちょっとお伺いします。
  203. 長藤史郎

    参考人(長藤史郎君) まず環境事業団の方からお答え申し上げますが、私どもでは尼崎市に譲渡申し上げた段階で債権債務関係が確定しているわけでございます。その先の再譲渡先であります入居企業と尼崎市の関係は、その両者が当事者で決めておりまして、先ほど申し上げましたように地方自治法だとかいろんなものにのっとりまして御自身でお決めになっております。したがいまして、私どもがその金額についてどうこう申し上げる立場にはないんじゃないかというふうに今考えております。  ただ、私どもがつくりました団地でございますので、そういった紛争が生じていることは大変残念な事態だということは認識しております。尼崎市と入居された企業の間で現在話し合いが継続している最中だと伺っていますので、私ども事業団としてはこの話し合いがうまく進みまして適切な解決が得られることを期待するものでございます。
  204. 石坂匡身

    説明員(石坂匡身君) ただいま事実関係につきましては環境事業団の方から説明申し上げたとおりであるというふうに承知をしております。  事業団の方から説明ございましたように、工業団地の再譲渡先である入居企業と尼崎市との契約関係に係る問題であるというふうに考えておりまして、尼崎市において処理されるべき性格のものであると理解しておりますけれども、当然のことでございますが、適切に処理されることを期待しております。
  205. 西野康雄

    西野康雄君 ちょっと聞いていると、うちはもう関係おまへんねんというふうな感じでむかっ腹の立つことは立つんですが、こればっかりやっていると時間がございませんので、また後日いろんなところでやらせていただきます。  先ほどトイレへ行きますと、議員さんお二人が渇水の話をなさっておられまして、ダムはつくるな水はほしい、それならどないしたらええねんと言うたら、片一方の議員さんが地下水、地下水とおっしゃっていましたが、これはある程度僕はそういう意味においては当たっているなと。つまり、今での河川行政あるいは水行政というのは余りにも河川に頼り過ぎていたと。ダムつくりゃいいってなもんですけれども、しかし、もう豊田局長もよう知ってはるでしょうけれども、ダムの水をためる技術というのは大変で、そして放流をする、かえって水が不足する、そういうふうなことが随分ある。このごろスキー場だとかゴルフ場だとかが上流の方にできて一気に水が入ってくるものですから、大慌てで放流をする。放流をしたら、今度は雨が降らなくなって過剰放流という批判を受ける。一気に放流をしたら下の方で水害が起きてくるとかそういうふうなことで、ダムの水を放流する技術というのは大変に難しいものがあるんじゃないか。  だから、そういう意味においてもダムだとかそういうふうなものだけに頼るのではなくて、水源の多様化ということがこれから一番必要ではないか、そういうふうに思うわけです。そういう意味でちょっと渇水の問題等々お伺いをいたしますが、先ほども横尾先生の方から水利権の問題が出てまいりました。水利権というのは非常に固定化してきているというふうな感じがするので、水利権を管理している建設省の意見というんですか、農業用だとか工業用の水利権の固定というものが随分と批判を浴びてますが、その辺に対しての建設省の対応をお伺いいたします。
  206. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) お答えいたします。  先生指摘のとおり大変渇水で、さてどうするかということで今いろいろ考えられておるわけでありますが、特にダムだけに頼らずにもっと水源の多様化を図るべきだと。御意見ごもっともで、私たちもその御説に従って今後検討を進めたいと思っております。  まず、特に都市近郊の農地の宅地化あるいは製造業をめぐりまして社会情勢、経済情勢が変化いたしまして、回収水が増加いたしました。というようなことで、川から取水しております農業用水や工業用水に余剰が生じている地域があるということも事実でございまして、私たちはそれを上水道に転用すべきことを考えるべきではないかということを十分承知してその方向検討しているところでございます。  したがいまして、ダムによる水源開発を図るというのは一つの方法でありますが、申し上げましたように、農業用水などの既存用水の合理化、転用を図るというふうなことも進めてまいりたい。それから、さらに工場の方には回収水の利用のさらに一層の促進もお願いをしたいと思っておるところでございます。さらに、中水道と下水道の利用につきましても一層の促進を図るべきではないかということで、その方面の検討もしておるところでございます。  なお、地下水の点について触れられましたが、地下水はなるほど一見大変よい地域と地下水をこれ以上くみ上げては困るという地域がございますので、地盤沈下の状況を見ながら適正な管理が必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  207. 西野康雄

    西野康雄君 ようけ答えていただいたんですが、結局水利権の見直しは必要ではないかというその部分はどないしはりましたか。
  208. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 大変失礼いたしました。  答えたつもりでいたわけでありますが、水利権の見直し、特に都市近郊の農業用水については実態が変わっておるということは十分承知しておりますので、水利用の実態を把握いたしまして転用に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  209. 西野康雄

    西野康雄君 それは二点目にもかかわることです。二点目はもうそれで大体のことはよくわかりました。  そして、三間日に移りますが、ことしの渇水を見たときに河川水に頼る水行政がいかに危険であるかということを物語っているわけですが、いかなるダムも建設してはいけないんだ、そういう偏狭な意見を述べるつもりもございませんし、今後のダム計画、ダム建設の前倒しというものも検討されているというふうなことを聞いておりますが、その辺どのような内容になっておりますか。
  210. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) お答えいたします。  水利用のための水源といたしましては、現在、河川の水、地下水、海水、雨水及び下水処理水等があるわけでありますが、現在、河川水の利用は都市用水の約七割というふうな状況でございます。  一方、我が国におきましては、欧米諸国の河川に比べまして地形や降雨特性が大変違うということで流量の変動が大きいということでございますので、水利用に当たりましてはダムの貯留施設の必要性は相対的に外国と比べて高いわけでございます。しかしながら、ダム等の整備状況を主要都市におきます国民一人当たりの貯水量という目で見てみますと、例えばニューヨークと比べますと東京は十分の一、パリの三分の一というような状況でございまして、欧米諸国の水準にはまだ至ってないという状況でございます。  こうした中でことし渇水が発生したわけでございますが、まず何よりも国民一人一人の皆さんに節水が大切であるということを認識していただきたいと思うわけでございます。続きまして、雨水や下水処理水の有効利用を極力進めるべきだと、こういうふうに考えております。なおかつ、これでも足らないときは、初めてダムによる河川水の開発が必要になると考えておるわけでございまして、このような立場から、なお今後ともダムの必要性があろうかと思いまして、水源地対策や環境に十分配慮いたしまして、河川の水開発に努力をしていきたいと思っております。  なお、今回の渇水にかんがみまして、渇水が頻発をしている地域におきましては、ダム等の建設につきまして通常費に加えまして重点化枠というものも投入してまいりたいと思っておりますので、よろしく御支援をお願い申し上げる次第であります。
  211. 西野康雄

    西野康雄君 主な都市の一人一日平均給水量を見ると、大阪が五百四十八リットル、東京四百四十リットル、札幌三百十三リットル、福岡三百三十三リットルというふうなことで、豊田局長は今節水節水とおっしゃったんですが、ところが、一つの矛盾があるのは、節水をすれば、短期的に見ると水道事業の方が赤字になってくるというふうなことですよね。そうすると、地方都市なんか余り節水節水を呼びかけない、ふだんはたっぷり水を使うてくれよと、こういうふうなことになるわけで、その辺の兼ね合いみたいなものを建設省はどう考えてはりますか。
  212. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) これは私からお答えした方がいいのかどうかちょっと迷ったところでございますが、水道事業者の立場から申し上げれば、これは私の想像でございますが、多分河川に水があるときにまできるだけゆったりとした生活をしてください、それから水がなくなったら我慢してくださいというのが理想的な水の使い方ではないかと思うわけでございますが、ただ、そうかといって水をじゃぶじゃぶ使うというのが私はよいとは思っておりません。  やはり、一人一人が節水に心がけることが大事でありまして、私どもも県あるいは市町村に事あるごとに水は大事な資源であるから大切に使ってください、そのかわり若干高くなってもある程度やむを得ない面があろうかと思いますが、とにかく大事に使って、有効に使ってくださいということをお願いをしておるわけでございまして、ダムをつくる際にもそういうことが大事だということを地域の皆さんにも認識していただくよう努めておるところでございます。一生懸命やらさせていただきたいと思っております。
  213. 西野康雄

    西野康雄君 ふだん節水のことを言っておかないといざとなると節水というものはできないもので、福岡のような節水ごまだとかそういうふうな形のものをどんどん入れていくということが大事なポイントと違うかなと思います。  国土庁にちょっとお伺いいたしますが、フルプラン計画、これも河川水に頼りっきりな部分があります。下水道の再生処理水とか地下水とか、そういうふうなものの利用は念頭にないのか。  先日、各務原市へ行きましたら、ことしの渇水でも大変に余裕がある。そばに木曽川が流れているんですけれども、木曽川の水源を頼っていない。水源の涵養林等をつくって、地盤沈下しないような水量というものまで全部調査して研究をしているというふうなことですね。  ですから、今後そういうふうな地下水だとかいろんなものが利用できるというふうなところになると、そういうふうな都市づくりというものも必要ではないかなと思うんですが、その辺はどういうふうなことを念頭に置いておられますか。
  214. 山岸俊之

    説明員(山岸俊之君) お答えいたします。  フルプランでございますが、水資源開発促進法に基づきますいわゆる水資源開発基本計画ということでございます。  現行のフルプランにおきましても、この需要と供給計画におきまして、河川水以外の地下水などの利用可能な水量なども考慮しておりまして、さらに不足する水量について河川水の開発計画を立てているところでございます。  また、水資源の開発に当たりましては、水源の涵養、それから水利用の合理化、自然環境等への配慮、これらにつきましてもフルプランの中のその他の重要事項というところで促進、保全を図っているところでございます。  今後でございますけれども、この表流水の開発とか、先ほど来お話に出ておりました地盤沈下に配慮した地下水利用などもあわせまして、さらに既存水利の有効利用、あるいはお話の出ました下水道などの再生処理水、海水淡水化、雨水等の雑用水の利用、これらを総合的な観点から水資源開発計画検討する、こういうことが重要と考えております。
  215. 西野康雄

    西野康雄君 時間もございません、少し質問をはしょりますが、先ほど豊田局長が長良川河口ぜきに画期的な魚道、こういうふうなことをおっしゃいました。私はあの魚道を見ていると、せせらぎ魚道だとか、若干魚道の距離が短いかなと。海水域から淡水域へ入っていくあの辺の対応の部分、逆の場合もそうですけれども、非常に距離が短いかなというふうな思いもいたしております。今後まだ改良の余地があるなと思うんですが、淡水魚保護協会の方から、ちょっと事前にお渡ししておりますけれども、木村さんという方が一生懸命魚道のことをば研究をなさいました。それで、私自身もこれはいいなと思って提案をさせていただいているんですが、その辺の御意見についてお伺いをいたします。
  216. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 時間が経過していますから、簡潔にお願いします。
  217. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) お答え申し上げますと、現在、ロック式魚道だとか呼び水式魚道だとかあるいはデニール式魚道といったものをつけておるわけでございますが、さきの国会でも先生から御指摘あるいは御提案がありましたことを受けまして、私たちも一生懸命その後勉強いたしまして、せせらぎ魚道というものをつくってはどうかということで、これは長さ、現在考えておりますのが三百二十メートルぐらい、これを短いと言われるかもしれませんが、現在のところでは一応日本では一番長い魚道ではないかと思っております。幅は十五メートルのものをつくり、ふちと瀬を持ちながら緩やかなカーブきついカーブ、流れの緩いところきついところといったような、できるだけ可能な限り自然の川に近づけた魚道、私たちはこれをいわゆるせせらぎ魚道と申しておりますが、こういうふうなものをつくってまいりたいと思って、現在、水資源開発公団で工事をしておるところでございます。  これもやがて完成しようかと思っておりますが、こうすることによりまして、泳ぐ力の弱い魚や強い魚、あるいはエビやカニも一緒にいろんなものが上れていくというようなもの、そういう魚道を目指してまいりたいと思っておるところでございます。木村先生の御意見も参考にさせていただきまして、一生懸命やってまいりたいと思っております。
  218. 西野康雄

    西野康雄君 本当に、カニやエビやと言うけれども、なかなか難しいんですよ。だから、いろんなところでロープを流したりしながら、上流の方の漁民の方々に対しての配慮なんかをしておるわけで、五百メートル、長いか短いか、もう少し改良の余地みたいなものをやっぱり研究してもらいたいなと思います。  最後に、大臣に、水利権や下水道再生処理水、雨水の利用など、ダムや河口ぜきに頼らない水源開発というものをどんどん進めてもらいたいなと思います。その所見をお伺いして、終えさせていただきます。
  219. 野坂浩賢

    ○国務大臣(野坂浩賢君) 懇切丁寧な注意深い御質問をいただきましたが、我々も国土庁長官と一緒に、ダムをつくるのは大体二十五年から四十年かかりますので、なかなか容易じゃないと。天から降る雨等についても十分検討する必要があろうと。今やっております法務省はそういう構造になっています。それから国技館あるいはドーム、そういうところについてもつぶさに見て、採算点がどう出るか、しかしそれ以上のことが、効果があれば普及する必要もあろうということで、子細に検討して、先生の要望にこたえて対応することを具体的に進めております。九月二日に第一発から始めようと考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  220. 西野康雄

    西野康雄君 ありがとうございました。
  221. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 他に御発言もないようですから、建設省環境庁国土庁及び住宅金融公庫決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る九月一日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会      ─────・─────