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1994-06-23 第129回国会 参議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十三日(木曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月二十一日     辞任         補欠選任      加藤 紀文君     林田悠紀夫君      喜屋武眞榮君     島袋 宗康君  六月二十二日     辞任         補欠選任      林田悠紀夫君     加藤 紀文君  六月二十三日     辞任         補欠選任      聴濤  弘君     吉川 春子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         井上 吉夫君     理 事                 片山虎之助君                 久世 公堯君                 村上 正邦君                 梶原 敬義君                 北村 哲男君                 角田 義一君                 足立 良平君                 林  寛子君                 白浜 一良君     委 員                 岩崎 純三君                 遠藤  要君                大河原太一郎君                 大島 慶久君                 加藤 紀文君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 成瀬 守重君                 野間  赳君                 服部三男雄君                 松浦 孝治君                 松谷蒼一郎君                 溝手 顕正君                 一井 淳治君                 上山 和人君                 川橋 幸子君                日下部禧代子君                 谷畑  孝君                 種田  誠君                 肥田美代子君                 三重野栄子君                 峰崎 直樹君                 山田 健一君                 藁科 滿治君                 池田  治君                 笹野 貞子君                 武田邦太郎君                 直嶋 正行君                 荒木 清寛君                 牛嶋  正君                 刈田 貞子君                 吉岡 吉典君                 吉川 春子君                 島袋 宗康君    国務大臣        内閣総理大臣   羽田  孜君        法 務 大 臣  中井  洽君        外 務 大 臣  柿澤 弘治君        大 蔵 大 臣  藤井 裕久君        文 部 大 臣  赤松 良子君        厚 生 大 臣  大内 啓伍君        農林水産大臣   加藤 六月君        通商産業大臣   畑 英次郎君        運 輸 大 臣  二見 伸明君        郵 政 大 臣  日笠 勝之君        労 働 大 臣  鳩山 邦夫君        建 設 大 臣  森本 晃司君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家考案委員        会委員長)    石井  一君        国 務 大 臣         (内閣官房長官) 熊谷  弘君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  石田幸四郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  神田  厚君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       寺澤 芳男君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近江巳記夫君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  浜四津敏子君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  左藤  恵君    政府委員        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長        谷野作太郎君        内閣法制局長官  大出 峻郎君        内閣法制局第一        部長       津野  修君        内閣総理大臣官        房管理室長    石和田 洋君        警察庁刑事局保        安部長      中田 恒夫君        警察庁警備局長  菅沼 清髙君        総務庁人事局長  杉浦  力君        総務庁行政管理        局長       八木 俊道君        北海道開発庁総        務監理官     加藤  昭君        防衛庁長官官房        長        宝珠山 昇君        防衛庁防衛局長  村田 直昭君        防衛庁装備局長  中田 哲雄君        防衛施設庁建設        部長       森本 直孝君        経済企画庁調整        局長       小林  惇君        経済企画庁物価        局長       谷  弘一君        経済企画庁総合        計画局長     吉川  淳君        科学技術庁科学        技術政策局長   島  弘志君        科学技術庁科学        技術振興局長   新  欣樹君        沖縄開発庁総務        局長       渡辺  明君        国土庁長官官房        局長       藤原 和人君        国土庁地方振興        局長       秋本 敏文君        外務省総合外交        政策局長     柳井 俊二君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     高野幸二郎君        外務省総合外交        政策局軍備管理        ・科学審議官   林   暘君        外務省アジア局        長        川島  裕君        外務省北米局長  時野谷 敦君        外務省経済局長  原口 幸市君        外務省条約局長  丹波  實君        大蔵大臣官房長  小村  武君        大蔵省主計局長  篠沢 恭助君        大蔵省主税局長  小川  是君        大蔵省理財局長  石坂 匡身君        大蔵省理財局た        ばこ塩事業審議        官        寺本  泉君        大蔵省国際金融        局長       加藤 隆俊君        証券取引等監視        委員会事務局長  杉崎 重光君        文部大臣官房長  吉田  茂君        文化庁次長    林田 英樹君        厚生大臣官房総        務審議官     佐々木典夫君        厚生省健康政策        局長       寺松  尚君        農林水産大臣官        房長       高橋 政行君        食糧庁長官    上野 博史君        通商産業大臣官        房総務審議官   江崎  格君        通商産業省産業        政策局長     堤  富男君        通商産業省機械        情報産業局長   渡辺  修君        運輸省運輸政策        局長       豊田  実君        郵政大臣官房財        務部長      楠田 修司君        郵政省通信政策        局長      五十嵐三津雄君        労働大臣官房長  征矢 紀臣君        建設大臣官房長  伴   襄君        自治大臣官房総        務審議官     松本 英昭君        自治省行政局長  吉田 弘正君        自治省財政局長  湯浅 利夫君        自治省税務局長  滝   実君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○委嘱審査報告書に関する件 ○平成六年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成六年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成六年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付)     ―――――――――――――
  2. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  締めくくり総括質疑に入るに先立ち、委員長から閣僚各位に申し上げます。  本予算委員会は、現下の経済状況にかんがみ能率的に審議を進めているのでありますから、閣僚各位にも緊張感を持って審議に参加願いたい。少なくとも居眠りなどがないように注意いたしておきます。     ―――――――――――――
  3. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) この際、御報告いたします。  本委員会は、平成六年度総予算三案につきまして、内閣委員会外十五委員会にその審査を委嘱いたしておりましたが、各委員長からそれぞれ審査概要について報告書提出されました。  つきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  なお、このほか、報告書は既に印刷して皆様のお手元に配付いたしております。
  5. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、平成六年度総予算三案の締めくくり総括質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。  締めくくり総括質疑質疑割り当て時間の総計は六十三分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党三十二分、日本社会党護憲民主連合二十五分、日本共産党四分、二院クラブ二分とすること、及び質疑の順位につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりとすることに決定いたしました。  以上、御報告いたします。     ―――――――――――――
  6. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 平成六年度一般会計予一算平成六年度特別会計予算平成六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  7. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) この際、委員長から石田総務庁長官に対しお尋ねいたします。  公明新聞記事の問題につきましては、本委員会理事会合意趣旨に沿っていないことについては遺憾に存じます。  この点について石田長官に再度伺っておきます。石田総務庁長官
  8. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 昨日の訂正の記事についてでございますが、理事懇談会協議をされた趣旨に沿ったものでないとの御指摘をただいまちょうだいいたしました。  公明党委員長として意が尽くせなかったことについておわびを申し上げ、今後十分配慮してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  9. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) それでは、これより締めくくり総括質疑に入ります。久世公堯君
  10. 久世公堯

    久世公堯君 質問に入ります前に、ただいまは予算委員会最終段階でございます。そのときに、政権協議でございますとか政権構想とか、日程も決まらないうちにまことに不謹慎きわまる話でございます。自民党の中でも、党内の問題とはいえ、不信任案云々というのも同じでございます。これは、与野党立場を離れて、参議院を軽視したものであり、参議院予算委員会の権威にかかる問題だと思うわけでございます。  特に与党の党首がそこに並んでおられるわけでございますので、ひとつこの点について、総理、お考えを聞かせてください。
  11. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私どもといたしましては、国民生活に直結いたしますこの重要な予算審議しているさなかであります。そういう中で、これは私の不徳のいたすところか、あるいは弱い政権であるということかもしれませんけれども、不信任案問題が起こる、それに対しての対応政権構想等の動きが出てくるということで、私は大変残念なことであるというふうに思っております。  今はもう政争なんかやっているときじゃない、これを私たちみんなが自覚しなきゃならぬ、私はそのように確信しております。
  12. 久世公堯

    久世公堯君 会期延長の話もいろいろ新聞等で出ておりますが、そんなことは絶対ないと思いますが、総理
  13. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この問題は、もう従来から、国会の中で御議論いただくということでございますから、私が内閣としてそのことについてここで申し上げることは差し控えたいと存じます。
  14. 久世公堯

    久世公堯君 それでは、質問に入りたいと思います。  今回の予算例年から三カ月おくれております。今週の月曜の公聴会でも、この予算のおくれが国民を不安にし景気に非常に影響しているという発言がございました。景気は今ようやく底を打って、そして回復の兆しにある。しかし、景気回復を軌道に乗せるためには企業の自助努力を後押しするところの財政の役割が非常に大きいと思います。三カ月おくれました予算の内外にわたるツケが非常に大きいと思いますが、総理、いかがでございますか。
  15. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 正確に申し上げますと、予算提出等が一カ月半ほどおくれたということであろうと思っております。しかし、そういったものに対応するために今度の五兆五千億に上ります減税をするとか、あるいはそういったものを含めて史上最高補正予算対応するということで、私は景気そのものに対しては相当大きな効果は上げておるというふうに思っております。  ただ問題は、やはり新規事業等について暫定予算あるいは補正予算の中で対応できなかったものがあるということで国民生活には影響を及ぼしているだろうというふうに思っておりまして、予算に対して責任をまず負わなければならない私どもといたしまして大変恐縮に存じておると同時に、これをきょうでも一日も早く成立させていただいて、速やかに実施していくことが今私どもの務めであろうというふうに考えております。
  16. 久世公堯

    久世公堯君 今、総理は一カ月半提出がおくれたと言われましたけれども、ここ十カ月を振り返ってみますと、自民党の方は昨年の九月以来四回にわたりまして総合経済対策政府に要望してまいりました。二次補正、あのときに藤井大蔵大臣は、一般論としてはあり得るとか、絶無とは言いがたいとか、頭のいい藤井さんには珍しい言葉を発せられました。そして、我々は年内予算編成を強く要望いたしましたが、政治改革優先だということでおくれ、三次補正提出もおくれ、私どもはたった一日でこれを審議したわけでございます。  当初予算が遅延をいたしまして暫定予算を組む、そして細川内閣は瓦解をする、政治空白が長引いた、そして暫定補正まで組んだわけでございます。おくれにおくれたあげく、ここ数日は先ほど申しましたように非常に参議院を無視したような不謹慎な問題が出てまいったわけでございます。  異例ずくめ、これは一にかかって与党政府責任だと思いますが、総理、いかがでございますか。
  17. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 確かに数の少ない基盤の上に乗った内閣であります。しかし、少なくも一つずつの問題に対して私たち誠心誠意お答えをしてきているつもりであります。やはり政治というのは、政府与党、しかも予算というものに対しては、これは国をどうするかという問題でありますから、ともに責任というものは負わなきゃならない。しかし、一元的に私たちがお願いを申し上げている、いわゆる予算をお願いする立場であるということであって、私たち責任はさらに大きいということを自覚いたしております。
  18. 久世公堯

    久世公堯君 大蔵省も、消費税に火のつくことを恐れて年内編成を見送られたという意において責任があると思います。大蔵大臣、いかがでございますか。
  19. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 各種のいろいろな政治的な情勢の中で、今お話のあった十二月でございますが、十二月十七日、越年編成を決定したわけであります。その結果、提出が三月四日になったということは例年に比べて不正常な状況であったということは率直にお認めいたすべきことだと考えております。
  20. 久世公堯

    久世公堯君 自民党は常に国民的な立場に立って予算を促進してまいりました。特に私ども参議院自民党はそれをやってまいりました。また、野党全体の献身的な協力があったからこそ今日を迎えられたと私は思うわけでございますが、これについての総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  21. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この予算の途中の経過について私がコメントする立場ではございませんけれども、しかし、予算が例えば六時、六時半に終わる、それから終わった後この予算関連法案等につきまして夜の十時、十一時、大変遅い時間まで御協力をいただいたことについて私は感謝を申し上げております。
  22. 久世公堯

    久世公堯君 一つ申し上げたいのでございますが、地方自治体はこの予算のおくれのために迷惑千万でございます。越年編成でまず自分たち予算がなかなか立たない。おくれた。そして、今六月の議会が開かれておりますが、予算の執行と契約に甚だしい支障を来しております。補正予算で多少公共事業はつないだけれども、非常に迷惑をこうむっておりますが、この責任につきまして、まず大蔵大臣、次に総理にお尋ねしたいと思います。
  23. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) ただいま総理からお答えがありましたように、このような状態の中で国民生活にいろいろな意味での影響があった、地方団体にも影響があったということは率直にお認めすべきことだと思います。  ただ、その中で最大限努力させていただいたことをあえて申し上げれば、前内閣ではありますが、佐藤自治大臣との間で二月五日の日に、ぎりぎりではございましたが、地方財政対策を決めさせていただいた等々によって、異常な中でできるだけの努力はしたつもりでございます。
  24. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この点について、ただいま大蔵大臣お答えしたとおりでございます。
  25. 久世公堯

    久世公堯君 一昨日、政府税調答申がございましたし、また与党の方の税制改革協議会報告も出されたわけでございます。これ、いろいろあるわけでございますけれども、この答申は、特に政府税調答申は、ネット増税実質増税、これの路線をしいたものだと私は思います。まあいわば政府に対してネット増税を正面から迫っていると、こういう印象を強く受けるわけでございます。  また、税制改革協議会の方の報告書につきましても、基調は同じでございますが、一番大事なことが書かれておりません。それは、政府が決定しなければならないのは、一つには消費税率税率を幾らにするか、そしてその時期をどうするのか、もう一つは、ことしは暫定所得税減税をやりましたけれども、この所得税減税をどうするか、この二点が一番大きいと思うわけでございます。  そこで、総理は何回もこの席で六月中に明らかにするということを公約しておられますし、また、十二月いっぱいには法案をつくるということを公約しておられますが、今市申し上げました消費税率減税の規模、それから消費税の実施時期、これについて総理から承りたいと思います。
  26. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) まず一つの問題は、今度特例措置として対応をしたわけでありますけれども、これをどのように続けていくのか。今度の場合にはまさに特例でありますけれども、例えば同じ減税をするにしても、これを今後どのように内容を詰め、そしてこれを恒久的なものにしていくのかということがやっぱり一つの問題であろうと思っております。  それから、この点につきましては私ども景気とかそういったことではなくて、やっぱり税制構造そのものを変えていくんだということ、これを視点にすると同時に、もう一点は、今御質問のあったことでありますけれども、このことによって当然税収は穴があいてくるということでありますから、これをどうやって埋めるのかということ、それともう一つは、公共事業積み増し等についてもいろんな御意見があるところでございまして、そういうものに対しての対応をどうするのかということ、これをやっぱり詰めていかなければいけません。  それと、もう一点の時期の問題でありますけれども先行期間というものを置くのか、先行期間を置いた場合にはどの程度置くのかという問題について、これも詰めなきゃならぬだろうと思っております。もう、この六月末というまでには日にちはございませんけれども、今、政府税調答申をいただいたということ、そして今、連立与党の方でもまた野党皆さん方のところとも御連絡をとりながらこの協議を進めておるところでございますから、そういった中で、徹底して議論をしていただいた中で、我々としてどういう方針で臨むのかということを決めていかなければならないというふうに考えております。
  27. 久世公堯

    久世公堯君 総理が今おっしゃったことは、この報告書なり答申に十分書いてございます。そんな考え方ではなくて、税率が決まらなければ実際上はどういうふうにやっていくかということは全くわかりません。重ねてお願いします。
  28. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) ですから、この問題につきましては、こういった問題を中心にして与党の中で今真剣な実は議論がなされておるということでありますから、その結果を、私たちはまた今度党の方から答申をいただきまして、これに対して政府でどう対応するのかということを決めていくべき問題であろうというふうに思っております。
  29. 久世公堯

    久世公堯君 私にはこんな雑音が聞こえるんです。解散可能性があれば税率を入れない、あるいは入れても低目にする、解散可能性がなければ七%以上にする、こんな雑音が聞こえてくるんですが、いかがでございますか。
  30. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) それはあくまでも雑音でございます。
  31. 久世公堯

    久世公堯君 私はここに一枚の紙を持っておりますが、これは税制改革協メンバーでございますけれども、五月十九日作成の中に社会党名前がずらりと入っているわけです。梶原さんのお名前も入っているし、角田さんの名前も入っているわけでございます。五月十九日のメンバー表の中にこういうものが入っているわけでございます。これはどうお考えでございますか。
  32. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) これは与党の方の話でございますけれども与党皆さん方が常に申し上げているのは、いつでも席はあけてありますということで、実は各部会等がございますけれども、たしか社会党の方が委員長あるいは座長をやっているところは代行という名前を今全部使っているんじゃなかろうかと思っております。
  33. 久世公堯

    久世公堯君 おっしゃるとおり、与党メンバーの方が代行になっておるわけでございます。  これを見ますと、ちょうど社会党が離脱をしたときに、渡辺淳一さんが「風のごとく」という随筆に「逃げた女房」ということを書いてございました。羽田総理奥様はいい奥様だから逃げた女房の経験がないかもしれませんけれども、この逃げた女房に恋々としておられる、それが図らずもここにあらわれたんではなかろうかと思います。  また、社会党やさきがけとの政権協議関係税率というものが云々される。私は税制改革というような国民的な課題を政党の離合集散の道具とするということは極めて問題であると思いますが、いかがでございますか。
  34. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私はいつもここでも申し上げていますように、今私どもの目前に山積する内外の課題、特に国内の問題につきましてもこれは避けて通ることはできないということでありまして、それと同時に、そういう避けて通れないものは国民にも率直に訴え、日本の国の今の状況というものを率直に訴えながら対応する、これが新しい政治であろうということを実は申し上げ、また久世委員とも選挙制度を変えたらそういう政治をしなきゃいけないということを常々お話ししてまいったわけであります。  私どもは政争の具ということじゃなくて本当に今何が必要なのかということを議論して、税というものはなるべく低い方が国民のためにもこれはいいことであるわけでございますから、そういった問題を含め、そしてどういうところが倹約ができ、どういったところの改革ができるのか、こういうこともあわせて議論をしながら、できるだけそれは低いものが一番望ましいことであろうというふうに考えておりますけれども、決して政争の具ということでこういったものは扱うべき性格のものではないということを申し上げたいと思います。
  35. 久世公堯

    久世公堯君 もうお読みになったと思いますが、昨日の読売新聞の社説にこう書かれております。  「政局が極めて流動的であるだけに、税制改革の行方も予断を許さない。だが、そうした時期だからこそ、なおさら税制改革を政権争奪の取引材料にすることなく、あるべき税制の姿を政策協議の中心にする決意を求めたい。」。  御感想いかがでございますか。
  36. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私はその新聞の論説は全く正しいと思いますし、また久世委員もそのつもりでさっきからの御質問をいただいておるのだろう、またあるいは叱咤されているのだろうというふうに私は受けとめております。
  37. 久世公堯

    久世公堯君 大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。  八月の概算要求までにはこの税制改革に見合う歳出の削減というものを各省庁に示す必要がある。そのスケジュールはどうなっておりますか。
  38. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 本日、平成六年度予算の締めくくり総括をやっていただいている非常に重要な段階でございます。そういう意味からいうと、平成七年度をどうするということは言及すべきことではないと思っておりますが、ただ基本的な物の考え方として、この予算委員会においても何度も御議論がありますように、財政というものの節度を失ったらば経済の体質そのものを悪くするというこの基本原則だけは守ってまいりたいと思っております。  同時にまた、国民の皆様の税金によって成り立っている財政という観点を常に持ちながら財政の健全化のため努めてまいりたいと思います。
  39. 久世公堯

    久世公堯君 十二月までに法案をつくるということを公約しておられますが、十二月までに法案というのはそう簡単につくれるものではない。これまでのスケジュールはどうお考えでございますか、大蔵大臣
  40. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 総理が今言われたような非常に重要な時期でありますが、この骨格をまとめて、その後、骨格に基づいて国民の皆様そして各党の皆様の御理解を得ながら法案の作成に取りかかってまいりたいと思っておりますが、その後の国会の状況については行政府が言及すべきことではないと思っております。
  41. 久世公堯

    久世公堯君 今回の税調答申にも、あるいは与党の方の報告書にも行財政改革の必要性というものを非常に大きく強調しておられるわけでございます。そして、加藤税調会長も、パフォーマンスかもしれませんが、このことを殊のほか強く言っておられるわけでございます。断固たる行財政改革が必要だということはあらゆる新聞、論調に言われているわけでございます。また、与党の方の税制協議会の行財政改革小委員会の方で「政治責任」ということが書かれております。  「行政が自らの改革に努めるべきことは言うまでもない。しかし、自己改革には自ずと限界があると言わざるを得ず、政治がそのリーダーシップを発揮し、行政の改革を図るべく議会の場を通じて行動することが求められている。議院内閣制の下、行政の大きなかじ取りを行うことはまさに、政治責任である。」。  どうお感じでございますか、総理
  42. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私はかねがねこの委員会でも申し上げましたとおり、まさに行政であろうと経済であろうと社会改革であろうと、やっぱり政治のリーダーシップというものは必要です。というのは、改革というのは必ず痛みを伴うということでありますから、この痛みを伴うことにつきまして、国民の審判を受けた政治、そしてそこから選ばれた内閣というものが大きなリーダーシップを持っていかなきゃならぬことは当然であろうと思っております。  それだけに、私は政治の改革というものを、みずからの痛みというものを、痛みを伴わなかったならば、残念ですけれども国民あるいはその他に対して改革を求める資格さえないという思いを持っております。
  43. 久世公堯

    久世公堯君 ただいま国民の痛みということをおっしゃいました。この痛みというのは、思い出しますと、大平総理が一般消費税を打ち出されましたときに選挙は惨敗をされたわけでございます。そしてその後、増税はできない、したがって鈴木内閣におきましては第二次臨調をおつくりになった。そのときの行管庁長官は中曽根さんでいらっしゃいます。そして、増税なき財政再建のもとに中曽根内閣におきまして臨調をやり上げたわけでございます。そしてまた、そういう臨調による行革を前提として売上税を出し、消費税を出したというのが当時の自民党でございました。  その歴史を振り返って総理はどうお感じでございますか。
  44. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私はその後みずからが行財政調査会長等も務めた人間でありますけれども、今お話がありましたように、中曽根元総理が行管庁長官として進められるときに、たしか鈴木善幸元総理自民党本部に来られまして、行財政改革をする、このことについて私たちは今ルビコンを渡り、これを焼き切りましたということを実は言われたと思います。  そしてその後、中曽根行管庁長官が采配を振るいながら、例えば三つの大きな特殊法人について民営化する、こういった方針を出されて進められてきたと思いますし、また私どももお互いにみずからが担当いたします例えば人員の削減問題等につきましたり、例えば営林署ですとか、そういったものの統合等について汗を流してきたという思いを今新たにいたしております。  ですから、まさに政治というものがリーダーシップをとらなければこういったものは進んでいかないんだということ、そしてやっぱりそれを率直に国民に訴えていくということが大事なことであろうというふうに思っております。
  45. 久世公堯

    久世公堯君 今もお触れになりましたが、あのときの一番大きな改革は何といっても三公社の改革だったと思います。その改革前と改革後の実態、人員と株の売却によるお金の面と両方、総務庁長官
  46. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 御報告申し上げます。  臨調発足前の昭和五十六年一月一日現在と直近の平成五年の一月一日現在の旧三公社関係の職員数を比較いたしますと、JR関係で約二十二万六千入減、NTT関係で約八万六千入減、JT関係で約一万六千入減、合計三十二万七千入減となっております。  また、旧三公社関係の株式売却につきましては、JR関係平成五年度にJR東日本の株式二百五十万株を売却いたしまして日本国有鉄道清算事業団に約一兆八百億円の売却収入、またNTT関係で昭和六十一年度から六十三年度にかけて五百四十万株を売却いたしまして国庫に約十兆一千億の歳入があったと、このように報告を受けております。
  47. 久世公堯

    久世公堯君 今お話がありましたように、あのときの改革は人数にして三十二万、それから金目にして十兆を超える金額だったわけでございます。これはちょっといろんな計算方法もありますので異論は若干あるのでございますけれども、まあ大変な成果を上げたわけでございます。  そこで、今これから一大行財政改革をやるときに、人数にして何万人あるいは財源にして一兆円とか五千億円のオーダーのものがございましょうか、石田長官
  48. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 御指摘の点については大変重要な課題だと思います。そういうような御議論があることを承知しておりますが、やはり今日政府が進めようとしている行財政改革の問題につきましては、これは将来にわたっての基本的な仕組みをつくることでございますので、今直ちに計数的な数字をお示しすることは困難でございます。
  49. 久世公堯

    久世公堯君 加藤税調会長はインタビューに答えられまして、国鉄や電電だって成果が上がるまでには十年かかった、そう言っておられるわけでございます。  この与党の方の小委員会報告書を丹念に読ませてもらいますと、かけ声ばかりであって具体策が全くないわけでございます。ただ一つだけございますのが、国土三庁の統合問題でございます。国土庁と北海道開発庁と沖縄開発庁でございます。  総務庁長官、官房長というのは各省におりますが、地方の地方支分部局に官房長というのがおりますでしょうか、いや、政府委員は結構でございます。御存じでございますか。
  50. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 北海道開発庁にあると存じております。
  51. 久世公堯

    久世公堯君 さすがは総務庁長官で、北海道開発局には官房長に官房次長というのが二人もいる、こういう組織でございます。  ところで、石田長官は片山委員質問に答えて、この三庁統合はやる時期が問題だと言いながら、羽田政権としての意思として現在やるということを決めているわけでございます。決めたとはっきり言っておられます。ただ、自分のお考えとしては、何かよくわかりませんが次の内閣の冒頭だと、こんなことを言っておられます。  もう一回重ねて御答弁を願いたいと思います。
  52. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 私が申し上げました趣旨は、現在の内閣におきまして北海道、沖縄両開発庁等を設けておるわけでございますし、またそれなりの法律に基づいた予算も組んで現在執行しております。  そういうことを考えますと、現時点で直ちに廃止をするというようなことは困難だということを申し上げたわけでございまして、将来この三庁統合の問題についてどうするかという方針を決めるべきではないとか、そういうことを申し上げたわけではございません。  そして、もう一つ私が申し上げましたのは、やはりかなり反対論も強いわけでございます。ですから、新しい政権ができたそのときに内閣の編成のあり方として三庁統合の姿勢を明確にすることも一つの方法ではないか、このように申し上げたところでございます。
  53. 久世公堯

    久世公堯君 この三庁統合というのは、今までに臨調答申も含めて三回答申をされているわけです。今の御答弁はどう見ても先送りとしか思われないわけでございますが、北海道開発庁と沖縄開発庁の本庁の人数、それから地方支分部局の人数とをお聞かせいただきたいと思います。
  54. 加藤昭

    政府委員加藤昭君) 北海道開発庁の平成六年度の定員は、本庁では八十八人、地方出先機関でございます北海道開発局が七千八百九十人でございまして、合計七千九百七十八人となっております。
  55. 渡辺明

    政府委員渡辺明君) 沖縄開発庁の定員、平成六年度でございますけれども、本庁八十八人、沖縄総合事務局千一八十一人、合計千百四十九人となっておるところでございます。
  56. 久世公堯

    久世公堯君 国土庁は四百五十九人かと思いますが、今お聞きになりましたように、本庁は偶然ながら両方とも八十八人ずつでございます。それから局の方になりますと、北海道が七千八百、沖縄の方が約一千名強でございます。要するに、本庁だけでございましたら八十八人ずつしかおらないわけ。しかも、この北海道開発庁と沖縄開発庁の予算の編成、そして予算をとったら今度は各省に移しかえをして各省が執行する。非常に複雑になっているわけでございます。  そこで、この三庁を統合しても、実態はこの本庁の統合だけだったら全く意味がない。しかも、もし国土庁というものの外局としてまた北海道開発庁と沖縄開発庁があるとこれはまことに奇妙なものだと思いますが、総務庁長官、いかがでございますか。
  57. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 予算の仕組み等についても今御指摘がございましたけれども、大変複雑になっておるわけでございます。しかしながら、今までの行政の流れといたしましては、やはり各省庁がばらばらでは調整がとりにくいわけでございますから、こういうような形で沖縄、北海道の開発を進めてきたことにはそれなりの意味があろうかと存じます。  もう一点、特に沖縄の問題につきましては、昭和四十七年に復帰をいたしまして以来の一つの地元に対する行政の約束事と申しますか、そういったことで現在も進められておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題については、遠い将来というようなことではなくて、近き改革の課題として当然私はお互いに検討をしなきゃならない問題だと、このように思っているところでございます。
  58. 久世公堯

    久世公堯君 今は両長官は、佐藤、左藤、字はちょっと違いますが、同じサトウでいらっしゃいます。  過去の大臣でこの国土庁、沖縄、北海道の一つを兼務した大臣はだれですか。
  59. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 前政権におきましては、上原さんが三つの長官を兼任しておられました。
  60. 久世公堯

    久世公堯君 その三つを兼任した感想はどうお聞きになりましたか。
  61. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 現実に長官としての責任立場に立ちますれば、やはり地域の考え方を優先したい、三庁統合の意見もあったわけでございますけれども、その問題については大変頭を悩ましたと、このように伺っておるところでございます。
  62. 久世公堯

    久世公堯君 私は、自民党で兼任された綿貫さんのお話を聞いたことがあるのでございますけれども、部屋も三つあれば車も三台あるけれども忙しくてたまらぬと、こういう感想をお聞きしたことがございます。  私は先ほどからの御答弁を聞いてきて、今度の答申で唯一の具体的な行革はこれしかないんです、答申を全部読んでも。それでも今おっしゃったように先延ばしのあるいは自信のない答弁だと思うわけでございますが、せいぜいできて、まず三大臣を一人の人が兼ねる、それからさっき申しましたような本庁だけの統合で、あと実態は今までと変わらない、その程度ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  63. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) この問題につきましては、現在、与党でも最終的な議論の段階でいろいろな議論が行われているところでございますから、あるいは臨調以来の十年以上にわたります長い御議論になっているわけでございますので、そういったことをにらみながら現実的に政府の中で十分議論をしなければならない問題だというふうに思います。
  64. 久世公堯

    久世公堯君 将来の問題として、これは十年か二十年タームの問題として、北海道庁自身と北海道開発庁、特に開発局ですね、それから沖縄総合事務局と沖縄県、これを区域が一緒なんでございますから統合するということをお考えになりますか。
  65. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 北海道の行政のあり方、沖縄の行政のあり方、いわゆる県としての行政のあり方と国が直轄的にやっている事業とはちょっと区分が違うわけでございますから、なかなか合体することは困難であろうかと思います。  しかし、もし仮に三庁統合ということが決まりますれば、やはり今までの開発庁をつくってきた趣旨も十分検討して法律改正をして、できるだけ一体化して行政を進める、そういう方向になるべきものと、このように思っております。
  66. 久世公堯

    久世公堯君 これはひとつ長い将来の問題として御検討賜りたいと思います。  もう一つ、この行財政改革で異常に力を入れておられますのが特殊法人の整理合理化でございます。大変な意気込みでございます。そして、中期答申におきましては、二年と書いていたものを一年の前倒しをしておられます。そう簡単に前倒し一年はできるものではないと私は思うんです。もうこの問題だって臨調以来三回も答申が出ておりますし、もっと具体的な基準から具体例まで出ている答申だってあるわけでございます。そんな大きな意気込みであるならば当然その辺の腹案があるはずでございますから、あの五つの基準、その具体例を三つずつおっしゃっていただきたいと思います。
  67. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 与党におきます税制協議会の報告の中に「行財政改革の推進」というのが第三章に掲げられているわけでございますが、その中には五つの視点が織り込まれておるわけでございます。  一つは、七年度の早い時期において特殊法人の整理合理化に関する推進計画の策定を目指すということ。そういう基本の考え方のもとに、事業目的をおおむね達成しているものは廃止または縮小する。また、同種の事業を実施して非効率的なものは統合する。こういうようなことは、基本的な考え方として私は当然のものであろうというふうに思っておるわけでございます。  そういった意味におきましては、特定の地域を対象としてその意義が低下しているもの、また全国を対象とするものへ統合するかどうか、ここら辺の問題は十分検討をしなければならない問題であると思います。それから、企業的経営によって効率化を図ることが可能なもの、いわゆる民営化できるもの、こういった問題も重要な視点であろう、そのように思っているところでございます。
  68. 久世公堯

    久世公堯君 私は具体的な法人名をお聞きしたんであって、お答えになれない。これも全くの空念仏のように聞こえて仕方がないわけでございます。  もう一点、これは各省庁のイニシアチブによってやれということが中期答申以来書いてございます。これは、先ほど私が、この与党の小委員会の方で「政治責任」というところを読みました。各省が自分で自分の体を切ることはできない、したがってそれは政治によってやれということを与党は言っておられます。総理、これについてどうお考えでございますか。
  69. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 各省庁のイニシアチブでというのは、これは逃げというよりは、例えばゴア副大統領なんかも各省庁の責任によってこれだけの人数を出しなさいということを指示しておりますね。  こういったものは一つ国民的な世論、そしてその世論にこたえるために各省庁もやっぱり真剣に取り組むということでありまして、ただ政治のリーダーシップといいましても、特殊法人のできたときの一つの性格ですとか意義ですとか、そういったものもある。そして、実際に今どういう行政をやっているとか、細かい実は問題がありますから、とにかく一つの方向というものを示すのがやっぱり私は政治であろうというふうに思っております。
  70. 久世公堯

    久世公堯君 私は、各省庁みずからはなかなかできない、ぜひとも今度できる行政改革委員会でやらせていただきたい、このように考えます。  それからもう一つ、行財政委員会に国の地方出先機関の抜本的見直しということが書かれております。観点は非常に結構でございます。地方自治の見地からも望ましいと思います。  地方出先機関と一口に言っても、行政事務をやっているものと現業とで随分違うわけでございます。行政事務と申しますのは財務局とか通商産業局とか地方農政局とか、現業の方は国税局とかあるいは直轄事業をやっているところだろうと思いますが、この地方出先機関の改革論は、単に経由とか補助金の配分とか許認可とか、こういう問題になりますと、本省と重複をして非常に問題でございます。また、府県の区域を越えるもの云々とございますが、これもいろいろ議論のあるところでございます。  権限を与えるなら与える、それから与えないならそれをやめて本省で一元化するという議論が昔からあるわけでございますが、総務庁長官はどのようにお考えでございますか。
  71. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 先生の御指摘は極めて重要な問題であろうというふうに思うわけでございます。  地方のいわゆる部局、こういったものが時代の変化に即応しないということになると大変なことになりますので、特に私どもとしましては地方分権の進捗状況、こういったものを見ながらこの改革、合理化を検討してまいりたいと思うわけでございます。  また、現在、国と地方の関係等の改革に関しまして見直しの実施要領というものを出しておるわけでございます。これは、権限の移譲であるとか、あるいは国の関与、必置規制の廃止、緩和、それから機関委任事務の整理合理化の問題、それから補助金等の整理合理化の問題、これを今各省庁にお願いをしまして、基本的に見直しをしてもらいたい、それをぜひ九月の末までに御報告をいただきたい、そしてこの御議論を今後の行政改革もしくは地方分権の議論へとつなげてまいりたい、このように考えているところでございます。
  72. 久世公堯

    久世公堯君 大蔵大臣大蔵省の出身でございますが、近畿財務局、東海財務局以外の財務局長を経験された本省の審議官、局長は現在おられますでしょうか。
  73. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 数名おります。三名だと記憶しております。
  74. 久世公堯

    久世公堯君 本省ですよ。
  75. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) はい。
  76. 久世公堯

    久世公堯君 通商産業局の局長をやって、本省の審議官、局長をやっている方はどのくらいおられますか。
  77. 畑英次郎

    国務大臣(畑英次郎君) 通商産業局長の経験者、そういう経歴をお持ちの方々、通産省の局長審議官、相当数おる、こう申し上げることができると思いますが、この十年間に絞りますと通産局長経験者が二十六名というような数字に相なっております。
  78. 久世公堯

    久世公堯君 今、十年間でとおっしゃいましたが、現在はほとんどおられないはずでございます。要するに、地方局というものの局長をやられた人が本省の審議官にも局長にもなれない、ならない、これが実態がと思います。建設省などは地建局長をやらなければ河川局長にも道路局長にもなれない、だから地建というのは非常に力を持っている、こんなことが言えるんじゃないかと思うわけでございます。  私は、要するに行政改革というのは、一つは各省庁の地方自治体不信、また大蔵省の各省不信、こういうところにあろうかと思います。性悪説に立っての機関が地方出先機関と思いますけれども総務庁長官、いかがでございますか。相手を信じないから置いてみるんだということです。
  79. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 地方におきます行政というのは国民との密着性の上において極めて大事でございますので、当然そういった経験をしている人たちが将来本庁でまた仕事をしていくということは国民と行政との密着性を重視するという角度から極めて重要だ、このように思っているところでございます。  先生御指摘の点については、今後十分また機構、定員等の議論のときにそのお考えを検討させていただきたいと存じます。
  80. 久世公堯

    久世公堯君 総務庁長官大蔵大臣、まず隗より始めよというお言葉を知っておられますか。
  81. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) よく承知しております。
  82. 久世公堯

    久世公堯君 行政改革というのは、やはりどこかがやらなければいけない。両者とも行財政改革に責任を持っているところでございますから、大蔵省は財務局、特に府県単位の財務事務所、それから総務庁は管区行政監察局、行政監察事務所を廃止もしくは縮小される御意思はございますか。
  83. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 特に財務局につきましては、御承知のように大蔵省の総合出先として主に国有財産の仕事と金融行政をやっておるわけですが、昭和四十二年にこういう行政改革をやろうじゃないかという本格的な動きが出てから、約六千六百名ぐらいおりました人間を二千名減らしております。それから、財務部というのがみんなございました。今、久世委員御指摘のように、財務事務所にするとか、あるいは九州に二つ財務局があったのでございますが一つを廃止して格を落とす、支局にするということをやってまいりまして、私はそれこそまず隗より始めよではございませんが、みずからに一番厳しく当たるように部内によく言っております。今後ともそういう方針で続けたいと思います。
  84. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 総務庁としては行政監察局を各県に配置をいたしております。また、それぞれの地方にも中心拠点に局を置いておるわけでございますが、これは今後の行政を進める上におきましてどういう点が問題であるのかというものを吸い上げる大きな機構になっておるわけでございますので、組織そのものはできるだけ簡素にいたしたい。また、定員等の問題についても努力をしてきたわけでございますが、行政監察そのものをなくすというような方向にはならないであろう、こう思っております。  また、行政相談委員が全国で約五千人おりまして、その方々が非常によくいろんな法的知識のない方々の御相談に応じてやっておりますので、そういう面の手助けも行政監察でやっておるわけでございますので、そこら辺の機能は御評価いただければありがたいと思います。
  85. 久世公堯

    久世公堯君 まず隗より始めよ、やや前向きの御答弁をいただきましたが、両大臣、よろしくお願いいたします。  総務庁長官、太田薫さんを御存じですか。また、行政改革に果たされた役割はどうですか。
  86. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 前に総評の議長をやっておられた方というふうに承知をいたしております。今まで労働運動のリーダーとして大変長い間大きな影響力を行使された方というふうに理解をいたしております。
  87. 久世公堯

    久世公堯君 行革に果たされた役割は。
  88. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 臨調のメンバーの中にも御参加をいただいておりますので、いわゆる労働側の代表としてのいろいろな御提言をされてきた、このように承知をいたしております。
  89. 久世公堯

    久世公堯君 第一次臨調のときの七人委員の一人、その後行政監理委員会委員六年の御経験でございます。  ちょうど二、三週間前、私は新聞を読んでおりましたら投書欄に「行財政改革で財源は十分だ調布市 太田薫(無職八十二歳)」、こういう投書がございました。ちょっと読んでみます。大事な部分だけを読んでみます。   いま、政治の焦点は、減税を続行するのか、さらに高齢化の進行による福祉の財源をどうまかなうかにある。そこで、消費税率引き上げが登場して、社会党は反対のようだが、財源をとうするかを明らかにはしていない。それでは景気回復の内外の要請にこたえられない。 それからずっと省略をいたしまして、  当時のスタッフの試算では、その実施で浮く財源は一九七九年価格で五兆円(現在ならば十兆円近い)となる。   具体案をくわしく書くのは無理だが、談合による政府発注の禁止、もはやへき地でないから北海道開発庁の統廃合はもちろん、民間で六十歳定年制さえゆらぐリストラの時、特殊法人で六十五歳以上・年金三十万円以上の官僚出身者の退職、首切りにならないかぎりで行政需要の多い官庁への配置転換などは認めるべきだ。 と、こういう投書を出しておられます。  実は、昭和三十七年から三十九年、私も第一次臨調に出向いたしておりました。ここにおられる片山先生、それから内閣法制局長官の大出先生、若き二十代のお二方も私とともに第一次臨調に出ておったわけでございます。私も太田さんに直接お仕えをした。八十二歳で今やこの国を思う熱情新たなりという感を深くしたわけでございます。  総理、いかがお考えでございますか。
  90. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 太田さんは、太田ラッパと言われるくらい、この行革についても一つのラッパを吹かれたという方でございまして、まさにその方がその当時をまた思い起こしながら今日の状況というものを憂えて語られたものであろうというふうに思いまして、今お言葉を改めて感慨深く聞かせていただいたところであります。
  91. 久世公堯

    久世公堯君 行革のことについていろいろ申し上げましたけれども、行財政改革は大変難しいわけでございます。しかも政治のリーダーシップなくしては絶対にできません。これはどうしてもやってもらわなければいけない。官僚の壁、官僚の牙城に羽田内閣は挑戦をしてもらわなければいけないわけでございます。  総理、お考えを最後にお聞かせいただきたいと思います。
  92. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) まさに戦後ちょうど五十年を迎えるときでありますから、この戦後つくられた一つの組織というもの、これはもう本当に真正面から全部を見直すべきであって、何々統合というだけではなくて、やっぱり聖域のないものとして私どもは見きわめなければいけない。そして、ある程度何年の中でやるもの、あるいは十年でやるものというふうにして長期的な一つの方向も示していくべきであろうと思っております。  その意味でも、先ほど御指摘がございましたように、行政改革の推進委員会というものの法律を今国会で御審議いただいておりますけれども、まさにこれが進められるように行政を監督、監視していくものであろうというふうに思っておりますので、これの速やかな成立もお願い申し上げまして、私どももそのつもりで取り組まなければいけないという覚悟を新たにするところであります。
  93. 久世公堯

    久世公堯君 税制改革、時間があれば後で申し上げますが、次は地方自治に移りたいと思います。  中期答申あるいは与党の行財政委員会でいろいろ書いておられますが、石田長官、総論だけで中身がないと私は思いますが、いかがでございますか。
  94. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 地方自治をどういうふうに将来考えていくかということについては、いわゆる地方分権を含めて数多くの議論が今までございました。もう三十年来この議論をしているんではないかというふうに思います。まさに古くて新しい問題だというふうに思いますが、したがいましてこのさまざまにありますところの議論をどうまとめていくのか、どう政治のスケジュールにのせていくのか、ここが一番大きな問題ではなかろうか、このように思っておりますので、行革推進本部でも地方分権の専門部会を設けましてこれから鋭意検討をいたしたいというふうに思っております。  また、各省庁が現在の状況をもう一遍洗い直してみるということについても先ほど申し上げたとおりでございますので、それらの成果を踏まえてさらに前進を図ってまいりたいと思います。
  95. 久世公堯

    久世公堯君 この中期答申の中でも、地方自治基本法あるいは地方分権推進法、こんなものをつくるだけで地方分権ができると思われますか。
  96. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) しかし、そこでやはり将来の地方自治のあり方というものを描く以外にない、やはり基本的な法律をきちっとつくるということが大事だと思います。これは細川政権のときに、実は分権大綱をつくるのは年度内というふうにしておりました。それを年内にというようなことになりましたから、要するに基本法をつくるという作業は一年早まった、このように思いますので、この短い期間に鋭意各般の御意見を承って何とかその方向でまとめてまいりたいと思います。
  97. 久世公堯

    久世公堯君 私は、地方分権の国会議決を昨年やりましたが、全くその意味がないと思いますし、こんな法律をつくったって意味がない。地方分権というのは国、地方を通じて、中央省庁から出先機関から特殊法人から補助金から、あらゆるものを国、地方を通じてやらなければ分権は確立しないと思いますが、総理、いかがでございますか。
  98. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) その御意見には私も全く賛成でございます。
  99. 久世公堯

    久世公堯君 地方消費税につきましては、片山委員がこの前非常に理路整然と、そして大蔵省の言い分、自治省の言い分も全部聞かれましたから、あえて繰り返しません。  今度の答申を見ましても、何と申しますか、地方分権のところはやたらに詳しいわけでございます。そして、この答申の方では、こういう議論があったああいう議論があったと議論が羅列をされております。そして、最終的にはなお検討課題のようになっているわけでございますが、この間、片山委員も言っておられましたけれども、多段階の取引ごとに付加価値というのが出てくるわけです。北海道でつくり、仙台で流通をし、東京のスーパーやデパートでそれが消費されるということであれば、それぞれの地域におきまして付加価値が生まれる。それをひとつ地方税で仕組んでいくということは非常に意味があると私は思うわけでございます。  それぞれの付加価値というものが生ずる、それに地方消費税ということで課税をしていく、地域経済の活性化にもつながる、こう思うわけでございますが、総理、いかがでございますか。
  100. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 地方分権を進める、これを確実なものにするために自主的な財源というものはやっぱり必要なものであろうというふうに思っておりまして、この間税調でも大変御議論をいただいておるわけでありますけれども、今お話がありましたように、本当の結論はまだ出されておりません。  しかし、これは別に地方の特別の独立した財源というものを否定したものではないわけでございまして、今後私どももそんなに時間をかけずに議論していかなきゃならぬ課題で、そしてまたその方向性あるいは結論というものを出していかなきゃならないんだろうというふうに考えておりますけれども、これはやっぱり余裕、時間というものが多少まだ必要な問題であろうというふうに考えております。
  101. 久世公堯

    久世公堯君 前向きの御答弁をいただいたわけでございますが、私はこの予算委員会で一昨年以来、羽田総理石田長官のお口から地方分権地方分権というのは耳にたこができるぐらい聞きました。それだけ熱意を持っておられるのは結構なのでございますが、私はここにのし袋を持っております。これを見てください。(資料を示す)大変立派なのし袋です。私が使っておりますのはこの程度でございます。(資料を示す)総理総務庁長官、まさに総理総務庁長官が言っておられます分権分権というのは、こののし袋なんです。中身が入っていない。ひとつ中身を入れていただきたい。  総理、ぜひ地方消費税という中身を近い将来において入れていただきたい、こう思いますが、いかがでございますか。
  102. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) もう、のし袋をお持ちになってまでの御熱意、久世委員の御熱意というものは私も十分受けとめたいというふうに思っております。  ただ、与党並びに政府税調の方でもこれだけ議論いたしましてもまだクリアされない点が残っておるという難しい点があることは御承知いただきたいと思っております。  その意味で、私どもといたしましても、やっぱり地方の独立の財源というものはどうしても必要なんだということは理解しておりますし、そして今までは地方分権、分権というのはいろんな形で言われておりました。それから地方の時代ということも言われておりました。しかし、このところ、この三年ぐらいの間ですか、本当に地方でも主体性を持ってやろう、そして地方の歴史とかあるいは環境とか、置かれた地位というもの、これを生かしながら創意工夫しようというすごい意欲が今出てきたところでありますから、私たちはやっぱり地方が主体性を持って物事ができるように財源問題も本気で考えるときが今来たというふうに思っておりまして、今、久世委員の本当に熱心なお気持ちというものも体してそれぞれのところで議論していかなきゃならぬ問題であろうというふうに考えております。
  103. 久世公堯

    久世公堯君 自治大臣、お考えを聞かせてください。
  104. 石井一

    国務大臣(石井一君) 地方の立場で大変強力な今の御発言をいただいておりますこと、私の立場としても感謝を申し上げたいと存じます。  昨日の答申はこの辺が大変日本的な表現でございますが、「更に検討を深めつつ、幅広く検討を行い、可及的速やかに結論を得るべく審議を行う」、こういう言葉でございます。この言葉こそこの問題がいかに難しいかということを示唆しておると思うのでありますが、きょうの御議論をも踏まえまして、総理なり大蔵大臣も十分意を体して前進をされると確信をいたします。  実は昨日、加藤税調会長が答申を出されましたときに、総理がわざわざ、地方税については結論は出ておらないけれども、これは仕事を与えてお金を与えぬということでは筋が通らない、この改革のときに何らかのメスを入れなければ本当の地方分権も生きた政治も出てこない、こういう発言をされたというふうに私は聞いておるわけでございまして、今後、内閣が続く限り私も力いっぱいやらせていただきたい、そういう決意でございます。
  105. 久世公堯

    久世公堯君 今、自治大臣が触れられましたが、加藤税調会長が答申をお渡しになるときに、総理も地方の独立税ということを検討するということをおっしゃったそうでございます。大変心強く思っておりますが、総理、いかがでございますか。
  106. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 先ほども申し上げましたように、まだクリアしなければならない問題があります。税というのは整合性がなきゃならぬという一つの問題もあります。しかし、やっぱり主体性を持って行政ができるように独立したものをさらに充実するということは重要であろう。今、法人税に偏り過ぎているという面がありますから、こういった点をきちんと正しながら一つの結論を出していくということが大事であろうということを改めて申し上げたいと存じます。
  107. 久世公堯

    久世公堯君 次に、公共料金値上げの凍結と地方自治の問題をお尋ねしたいと思います。  凍結というのは何か目的が必ずあるわけでございますが、今度は突如こういうものが出されました。今まではちゃんと目的は示されておりましたが、企画庁長官、いかがでございますか。
  108. 寺澤芳男

    国務大臣(寺澤芳男君) 公共料金につきましては、四月に物価問題に関する閣僚会議において公共料金の取り扱いに関する基本方針を取りまとめ、公共料金の厳正な取り扱いの趣旨を一層徹底いたしました。  しかしながら、公共料金についてはさまざまな御批判が寄せられている現在の情勢を考慮いたしまして、総理の決断に基づきまして、既に政府において決定または認可が行われたものを除き、本年じゅうの公共料金の引き上げの実施を見送ることが五月二十日の閣議で了解されたわけであります。  また、今回の公共料金引き上げ実施見送り措置の対象となる公共料金に係る事業について、関係省庁において現在総点検を行っているところであります。
  109. 久世公堯

    久世公堯君 役所の書いたものをそのままお読みになったわけでございますが、私が聞いておりますのは、一体その目的は何だということを聞いているわけでございまして、役所の作文を読んで聞かせてもらうのが目的ではございません。  それから、大体公共料金というのは本来個別の法律で関係規定に基づいてやっているわけでございます。一体、法律で定められた公共料金を行政の裁量でやれるのでございますか、企画庁長官。
  110. 寺澤芳男

    国務大臣(寺澤芳男君) 具体的に五月の十八日に総理がこれを決断されまして、そして記者会見もいたしまして、五月の二十日の閣議で決定した。その間に各省に連絡をいたしまして、法的な問題、その他の問題をクリアしたというふうに私は理解しております。
  111. 久世公堯

    久世公堯君 私は経緯を聞いているのではなくて、法律と行政というのはそんなものかということをお聞きしているわけでございます。不満でございますが、次に移りたいと思います。  この公共料金の中で、例えばバスであるとか地下鉄のように、ほかにもございますけれども、国の認可を要件としている場合がございます。しかし、東京都の場合も含めてでございますが、全部議会でクリアをしてその上で認可申請もやったら、突如総理からそういうお声がかかったというケースでございますが、これについて、運輸大臣。
  112. 二見伸明

    国務大臣(二見伸明君) 例えば東京の場合は、都営のバス、地下鉄あるいは高田馬場から走っておりますいわゆる路面電車等を含めまして、凍結によりまして都庁では約五十三億円の歳入減になると思います。私は、その点については都の方で何とかカバーしてもらいたいと思っておりますが、この件につきまして地方自治の立場から、議会が承認をしたんだから、議決したんだからいいではないかという議論があるのは私もよく承知しております。  ただ、交通機関というのは国民の足でございますし、また公正な能率的な経営もしてもらわなきゃならぬ。例えば東京の場合は、民鉄もある、民バスもある、あるいは営団もある、都営の地下鉄もある、競合しているわけですね。そういう場合には私は、公正の確保という面から見ても、先生の御議論のあるのはよくわかるけれども、民鉄には運輸省が関与する、こちらは都議会だけでいいんだというのはちょっと公正という面から見ては疑問があるんではないか。したがいまして、東京都の場合なんかを考えますと、やはり国が認可に関係することはあってしかるべきではないかというふうに考えております。  先生の御議論のあるのは私はよくわかりますけれども、競合しているということを考えれば、公正の確保という面から見ても国が認可にかかわるということは非常に大事なことだというふうに考えております。
  113. 久世公堯

    久世公堯君 あくまでも地方の議会は民主的に審議をされているわけでございます。私は民間も地方団体も同等だというのには大変異論を持っております。今は規制緩和が要請されております。また、総理を初め、地方分権を推進しておられます。ひとつこの際に、この認可手続というものを大幅に簡素化するか、あるいは必要のないものについては廃止をする、そういうお考え、運輸大臣いかがでございますか。
  114. 二見伸明

    国務大臣(二見伸明君) 申請が出てくれば運輸省は法律に基づいてきちんと審査をいたします。今、国民の足にかかわることあるいは国民の安全にかかわることについては、これは経済的規制ではなくてむしろ社会的規制という観点が強いのではないか。社会的規制が強いという面については、私は慎重にしていきたいというふうに考えております。
  115. 久世公堯

    久世公堯君 これは、こんなことを言っておりましたら、(発言する者あり)今声がありましたように、到底いつになっても規制緩和もできなければ地方分権も確立しないと思いますが、総理、いかがでございますか。
  116. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今度の場合には、まさに地方の問題については地方の議会で議決したもの、これはその結果認可申請されてくるということで、今度の場合にはもう七月ごろに一つの方向を出さなきゃならぬものがあったということで緊息にああいったことを申し上げ、そして地方に対しても実はお願いを申し上げたところであります。しかし、そういうことをもとにしまして、もう一度我々としてもそれぞれの機関の問題について総点検をしようということをしたわけであります。  しかし、今御指摘がございましたように、公共料金と言われるものについてももう少しやっぱり民間に責任を持ってもらう、あるいはそれぞれの機関に責任を持ってもらうということも重要であるということがほかの分野でも実は議論されておるわけでありますから、まさにこれからの中で私どもは検討する値打ちのある問題であろう、価値のある問題であろうというふうに……
  117. 久世公堯

    久世公堯君 公共団体だということを特に言っているんですけれども
  118. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) はい、その問題を含めてでございます。
  119. 久世公堯

    久世公堯君 時間もございませんので、国際関係、外交問題について二点だけお尋ねをいたします。  一つは、参議院予算委員会のこの十数日の間というのは最も北朝鮮問題が揺れた時期でございます。ただ、カーター元大統領が訪朝をされ、金日成主席との会談の結果、米朝協議なり南北対話を通じた核問題解決に向けての動きが出てきたわけでございますが、外務大臣、ごく最近の動きと日本のこれからの対応についてひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。
  120. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) けさまた新しい動きがございまして、日本時間のけさ早く、米国時間で二十二日の午後五時半でございますが、クリントン大統領が緊急記者会見をおやりになりまして、米国側から北朝鮮側に外交チャネルを通じて先般のカーター・金日成会談の内容を確認いたしましたところ、北朝鮮側から核の再処理はしない、そして現在あるIAEAの査察機器、査察官等はそのまま継続をするという返事が来たということで、七月上旬にも米朝の正常化のための米朝会談を開く方向で努力するということでございまして、カーター・金日成会談を受けて、米朝の話し合いの路線に進んでいくことになりました。これは我が国が、総理がしばしば申し上げておりますように、話し合いによる解決という方向へ進み出したものと歓迎をいたしております。  この米朝会談が進む過程で、北朝鮮も言っておりますように、IAEAの特別査察を含む完全な査察への復帰、そしてNPT体制への完全な復帰によって核開発疑惑が解消されるよう期待をいたしておりますし、我が国もそのために引き続き関係諸国と連携をとって努力をしてまいりたいと思っております。
  121. 久世公堯

    久世公堯君 もう一点はナポリ・サミット、その前の日米首脳会談、これは二月に物別れ以来初めての会談になるわけでございますが、この日米パートナーシップが非常に重要さを増しておりますときに、一体総理はどのあたりにこれを考えておられますか。  また、クリントン政権の対外政策自身命いろいろ米国内で批判があるわけでございますけれども、これからの国際社会の平和と繁栄のためには、日米の果たす役割というのは非常に大きいわけでございます。我が国のパートナーとしての米国が建設的な役割を果たす意味において、この日米首脳会談というものは非常に大きいと思います。が、外務大臣及び総理のお考えを承りたいと思います。
  122. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 国際経済全体が停滞をしている中で、今回のサミットの主要課題は成長と雇用ということでございます。その意味では、各国の我が国の景気回復に対する期待も非常に大きいわけでございますので、これも政府としてとってまいりました諸施策が効果を発揮し、さらに本年度の予算を成立させていただきまして、執行して景気回復を着実に実現するということが大事ではないかと思っております。  そのほか、ロシアが今回はサミットに、政治対話に参加をいたしますので、ロシアを加えた形での新しい国際情勢の分析、その中でのウクライナの問題、北朝鮮の問題等がいろいろと議題になろうかと考えておりますので、我が国の積極的な関与か期待されていると考えております。
  123. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 我が国にとりましても、日米関係というのは日本外交のやっぱり機軸であろうというふうに思っておりますし、また、日米のパートナーシップというものは世界の平和と繁栄の確保にとって不可欠であろうというふうに思っております。  そして今日、地球レベルのグローバルな課題というものは非常に大きくなってきておりまして、私は、日本とアメリカが本当に胸襟を開いて、そして互いの持つ能力というものを発揮することによって世界に対して大変大きな貢献をすることができるだろうというふうに考えております。その意味で、率直な語り合いというものが今申し上げたようなことについてなされるべきであろうと思っております。  そして、私どもは間違いなく、その中でいろんな不協和音みたいなものが聞こえてまいりますのは、やっぱり経済問題が、一つの摩擦というものが残っておるというところがあろうと思っておりますので、間違いない前進を図れるような語り合いというものもこういった場でなされることが必要であろうというふうに考えております。いずれにしましても本当の信頼関係というものをつくり上げることが大事であろうというふうに思っております。
  124. 久世公堯

    久世公堯君 通告はいたしておりませんけれども、ここ数日来、円高問題が大変大きな問題になっております。ついに百円を割るということまで起きたわけでございますけれども、これは経済界はもちろんのこと、国民一般がこの円高問題に対して大変不安に思っているわけでございます。この点について政府のお考え、今後の対応をお聞かせいただきたいと思います。
  125. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 二十一日のニューヨーク市場の動きについてでございますが、その少し前からドイツ・マルクなどを中心にしましてドルが非常に売り込まれていた。こういう事態の中で二十一日には、円も含めてというか円が中心でというか、そういう中でドル安が進行したわけであります。既に私はその日の朝でございますが、この動きは思惑的なものである、急激な変動は日本の経済にとっても世界の経済にとっても好ましいことではないということを発表いたしまして、G7の通貨当局は共通の認識を持っております。  それはどういうことかというと、このような思惑的な動き、急激な変動というのは、私が今申し上げたように、その国の経済のみならず世界経済にとってマイナスだ、世界のインフレなき持続的成長という政策協調の中心課題にも反する、こういうことで一致しております。私どもは、そのとき加えて申し上げたことは、為替市場においてこれらの国々と適時密接に連絡し合いながら確固たる措置をとってまいりたい、対応してまいりたい、これが政府の姿勢であります。
  126. 久世公堯

    久世公堯君 最後に、羽田内閣政治姿勢についてお尋ねをいたしたいと思います。  この少数連立内閣、連立内閣につきましては、細川前総理はヨーロッパはみんなそうだとか胸を張られたわけでございますが、羽田内閣は少数連立内閣でございますから、議院内閣制のもとではもともと成立をしない本質的な性格を持っておられます。今回の予算もあるいは法案も私ども野党が全面的に協力、なぜ羽田さんのためにこんなに深夜までやらにゃいかぬのだろうか、そういうことをつぶやきながら羽田総理の政策に御協力をした。(「国民のためにやっている」と呼ぶ者あり)もちろん国民のためでございます。  こういう内閣でございますが、けさ朝日新聞に、これも大変失礼にわたるかと思いますが、社説にこう書かれておりました。「少数政権として発足した羽田内閣は、その成り立ちからも、閣僚たちの見識を欠いた言動などからも、「不信任」に値する落第内閣だといってよかろう。」、こう書かれておりました。これについての御感想を。
  127. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 朝日新聞の社説がどういうところをとらえながらそういうことを書かれているか知りませんけれども、私はまさに少数与党を背景とした非常に基盤は脆弱な内閣である、しかし私どもの直前に山積いたします内外の諸問題というのはいずれも避けて通れないものであるということで、各党の皆様方に誠心誠意を尽くすならば必ず御協力いただけるものであるということで私は申し上げ、今日までまさに一日が一生のつもりで努めてきたということであります。それに対しまして、各党の皆様方も御協力をいただきながら、深夜まで予算に関連する法律等について進めてきていただいたこと、そしてまた、その間にも幾つかの問題で建設的な御意見をいただいたこと、私は感謝をいたしておるわけでございます。  そしてこの間、それは確かにいろんな指摘をすれば、問題といいますか、議論される発言もあったでしょう。しかし、少なくもこれからの日本の進んでいくべき道については私は一つも誤っているものはなかったというふうに確信をいたしております。
  128. 久世公堯

    久世公堯君 総理のここでのお言葉でも、一日一生あるいは誠心誠意、これもよく承りました。しかし、世論調査の特に羽田内閣の不支持率が高まってきております。そして、その数字を見ますと、期待が持てない、それからリーダーシップに欠けているというのがその大きな原因のようでございますが、これについてどうお考えになりますか。
  129. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) これは、私はまさに報道だと思いますよ。少なくも私は、これからの日本の進むべき道について決して遠慮することもなく一つの方向性を示してきたはずでありますし、また皆さんからおしかりを受けますように、公共料金の凍結だとか、あるいは物価問題についての発言ですとか、あるいは国際的な問題についての発言につきましても、私は少なくも間違った発言はしておりません。  これからの日本の進むべき道は、私がどうなろうとも間違いなくそのとおり進んでいく。この点はもう少し報道の諸君も、片言隻句なんかとらえないでもっと本気でもうちょっと、私はいろんな発言をメモされるのを見まして、たった五歩か十歩歩いている間にちょこっとした質問をされて、それに答えたことによってそれが大きな活字になったりなんかする、このあたりは報道ももっと勉強しなきゃならぬ。私ははっきり申し上げます。
  130. 久世公堯

    久世公堯君 私どもここで理事席に座っておりますと、各閣僚の御答弁の実態がよくわかるわけでございます。官僚の書いたのをそのまま読んでおられる方、それから官僚のお書きになったものにちょっと自分なりの口をつけて読まれる方、いろいろタイプがございます。しかし、この羽田内閣ほど官僚主導が目立っているのはないと思います。私は、本来、官僚というのは政策を企画立案まではいいけれども、最後の決定は政治がやるべきものだろうと思います。その政治のリーダーシップ、そこについてのお考えを聞かせてください。
  131. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私は自民党時代からこの台閣に列してきた者であります。その経験から照らしましても、それは一時期なれない問題はありますでしょうが、しかし、私はむしろ官僚の方の答弁の数というのは昔に比べれば激減しておる、閣僚によって答弁をしていることが圧倒的に多いというふうに思っておりますし、また私どもがリードしたことについて官僚の諸君も、やっぱり戦後の一つの大きな転換のときであるという認識を持ちながら、難しい、例えば規制緩和の問題についても世の中が言うようなものではなくて割合と踏み込んだものをやってくれておるということについてむしろ私は感謝しているぐらいのつもりでありまして、決して官僚によって振り回されているとかなんとかいうより、今私は、官僚と一緒になりながら新しい政治が動きつつあるということを確信を持っております。
  132. 久世公堯

    久世公堯君 私は、むしろ閣僚の答弁が多いのは、こちらが閣僚にお願いしているわけでございまして、前の細川内閣のときに政府委員を廃止するなんということをおっしゃいましたが、今見ておりまして、この内閣政府委員を廃止したら大変なことになると私は思っております。お考えを聞かせてください。
  133. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 政府委員を廃止するというのは、何というんですか、新しい選挙制度、そういったものなんかも進む中でそういったことを進めていこうということを、私はこれは自民党時代から議論をした問題でございます。  やっぱり、政府委員と一体になりながら物事をやっていく必要があろう、あるいは官僚諸君が積み重ねてきたものをきちんとつかんだ上で、分析した上で閣僚が発言していくべき問題であろうというふうに思っておりまして、これは自民党時代、そして今日まだ大きな変化になっていないけれども、しかし閣僚がみずから答弁し、そしてできるだけわかりやすく答弁しようということのための努力というものは私は顕著であったというふうに思っております。
  134. 久世公堯

    久世公堯君 「綸言汗のごとし」という言葉の重み、これもひとつ総理にぜひお願いをいたしたいと思うわけでございます。  以上で終わります。
  135. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 以上で久世君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  136. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、角田義一君の質疑を行います。角田君。
  137. 角田義一

    角田義一君 社会党角田でございます。  まず最初に、今、自民党久世先生からお尋ねがございました急激な円高の問題について若干お尋ねしたいと思います。  まず、大蔵大臣、各国の協調介入が必ずしもスムーズにいっていないやの報道もあるのでございますけれども、その辺はいかがでございますか。
  138. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) G7の通貨当局は、公式には私この仕事につかせていただきましてから三回でございますが、ステートメントを発表したことも発表しないこともあります。しかし、それらを通じてすべて共通の認識があります。  それは、先ほどもちょっと触れましたが、一国の通貨が急激に動いたり思惑的に動くということはその国のみならず世界経済にマイナスである、したがってそういうような事態に対しては適宜お互いに緊密に連絡をとり合いながら確固たる対応をする、これが共通の認識でございます。  そういう中で、日本政府の基本方針は今お話ししたとおりであります。外国がどうこうということは私は言及するのは差し控えさせていただきたいと思いますが、共通の認識がある。この事実を申し上げたいと思います。
  139. 角田義一

    角田義一君 共通の認識だけしておられたのでは困るんじゃないんでしょうか。認識に基づいて要請をするというアクションは起こしたのでございますか、いかがでございますか。
  140. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) G7通貨当局とはあらゆるレベルで適宜連絡をし合っております。これは、文書であることもあれば電話であることもあります。内容は御容赦をいただきたいと思います。
  141. 角田義一

    角田義一君 内容は御容赦をということでございますが、私はアクションを起こしているというふうに理解してよろしいのでございますか。総理、いかがでございますか。
  142. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この問題につきましてなかなか物が言えませんのは、やっぱりその言葉一つによって思惑が動くということがございます。しかし、大蔵大臣が今御答弁申し上げましたのは、もう本当に一日に二度も三度も連絡をとり合っております。そして、適時適切な対応をしておるということでお許しをいただきたいと思います。
  143. 角田義一

    角田義一君 もしこのような円高が進みますると、最近やっと景気回復してきたのじゃないかというようなことも言われておるわけでございますが、その景気回復の芽が摘まれるんじゃないか、こういうことで非常に国民も心配しておるわけでございますけれども、これはいかがでございますか、総理
  144. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この点については、先ほど大蔵大臣からお答えしましたように、やっぱり急激な為替の変動というのは一国の経済だけではなくて世界に影響を及ぼす。特に、日本ですとか、ドイツですとか、アメリカですとか、こういった国の急激な変動というものは本当に世界に影響を及ぼすわけですね。その意味で、それぞれの通貨当局の首脳がそれぞれの立場で発言をなさっているということも御理解のとおりであります。  ですから、我が国といたしましては対応として一体何をするのかということになりますと、やはり我が国が、これからの経済運営をどうしていきますよ、例えば予算が通ります、それをどうやって執行していきます、ということを強力に打ち出すことですとか、あるいはそのほかの経済政策、例えば規制緩和等をどう進めるか、こういうことを着実に鮮明にしていくことが、こういった問題を安定させていく方向になろうというふうに考えております。
  145. 角田義一

    角田義一君 今日でも、御案内のとおり、家電であるとか自動車産業等でかなり産業の空洞化が叫ばれておりまして、このまま推移しますと日本のリーディング産業が衰退するんじゃないかと大変心配をされておるわけであります。    〔委員長退席、理事片山虎之助君着席〕  私は、この際やはり空洞化をどう避けるのか、これは非常に深刻な問題だというふうに思っておりますが、総理、いかがでございますか。
  146. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今、空洞化の御心配、そして一方では、国際的に投資というものがまた求められておるということであろうと思っております。ですから、日本が黒字を積み上げた、これを国内であるいは返済、そういったものだけではなくて、むしろ投資に使うべきだと言われている。しかし、そうなりますと、当然国内は空洞化してくる。私は空洞化で恐れますのは、雇用というものが喪失されるということ、これについても恐れます。  それと同時に、またサービス産業とかそういったものをあれしていけばいいじゃないかという議論もありますけれども、やはりその国の技術というものを高めたり、そのことのために実際に実物を生産する場もなければいけないということであろうと思っておりますので、その意味では、国内で生産というものが進められるような体制の整備というものは必要であろうと思います。しかし、一方、また新しい産業というものを創出させていくということが非常に重要なことであろうと思っておりまして、国としてそういったものを助長させるような対策というものを積極的にとっていくことが今必要であろうというふうに考えます。
  147. 角田義一

    角田義一君 サミットにお出かけになるわけですけれども、(「お出かけになるのか」と呼ぶ者あり)まあ、普通にこのままいけばなるんでしょうけれども。そのサミット、ナポリ・サミット自体はいずれ開かれることは間違いないわけでありますから、日本の黒字体質ということは当然私は大きな問題になろうかと思います。  政府もかなり思い切った規制緩和措置をやらなきゃならぬということで取り組んでおられるようでございますが、これはよほど腹をくくった規制緩和政策というものを出さないと、ちょっと国際社会の中で孤立するんじゃないかということが一つ。その場合に、やっぱり国内で非常に大きなまた摩擦も起きる。特に、新産業はすぐできればいいですけれども、なかなかできないということになりますと雇用不安も起きてくる。さらに、来年の新卒の若い芽を持った方々の就職もまた一層難しくなるというような懸念もあるんじゃないか。この辺のかじ取りは、私は非常に難しいというふうに思いますけれども総理はどうでございますか。どう対応されますか。    〔理事片山虎之助君退席、委員長着席〕
  148. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) これは、確かに御指摘のございましたように、そう簡単な問題でないことは私どもも認識をいたしております。  しかし、例えば規制緩和等につきましても、これは石田長官がみずから各省を図られましたり、あるいはこの数日も各省の皆さん方あるいは大臣を集めまして陣頭指揮をとっていらっしゃるということ、そして問題が残ったときには総理みずから出馬するようにという、昨日もわざわざ官邸にお見えになって私に対して御報告をいただくと同時に叱咤されたところでございまして、そういう意味で私どもはこの規制緩和に対しては対応していきたいというふうに思っております。  ただ、この対応は競争力というもののあるものが、サービスですとかあるいは物ですとかあるいは投資、こういったものが日本に参入できる体制をつくるということは、これはやっぱり対外的にも喜ばれることであろうと思います。それと同時に、そういったことをやることがむしろ国民生活のレベルを上げていくことにもなるんだろうというふうに考えております。  しかし、それを進めたときに痛みが伴う。確かに改革というのは痛みが伴うものであって、痛みが伴わないとしたら何の効果もないということになろうと思っております。しかし、私は、ただ痛みが伴うがそれはしょうがないんだよと切り捨てるのではなくて、やっぱりそういった非生産的なものについては生産性を上げるように、これは国としてもいろんな角度から支援していくことが重要であろうというふうに思っております。  しかし、この間の例の携帯電話、こんなもの一つとりましても、ただ売り切りというふうに変えただけで毎月毎月何か三倍三倍というような売れ行きになり、しかも数社だったものが二十社まで、企業がよそからも参入し、国内からも生まれてくるということで、そこに新たな雇用なんかも創出されるということでありますから、そういった新規雇用というものをどうやって進めるのか、規制緩和をやった場合にどういう雇用が生まれてくるのか、こんなところもきめ細かく私どもは目配りし、対応する必要があろうというふうに考えております。
  149. 角田義一

    角田義一君 総理、ちょっと一言だけ御答弁が漏れているんです。  円高がさらに進んだことをいいことにして、そういうことがあっては困るんですけれども、例えば企業が一層、来年の大卒であるとかあるいは女子学生であるとか、こういう者の雇用に対して差別をするというようなことになっては、これは私はゆゆしいことだと思います。  実務的なお話をまず労働大臣から聞いた上で、総理の決断をちょっと聞いておきたいと思います。
  150. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 来年の雇用につきましては、特に女子学生のことについて大きな問題となって、総理を中心として閣僚会議をつくってみんなで一生懸命各界に話しかけておるということはもう何度も御答弁申し上げましたけれども、実際これは女子だけでなくて男子にとっても厳しい状況が続いているのは確かでございまして、ここにまた円高というのが加わってまいりますと、そういうようなことでなかなか新規採用は難しいというような空気が出てくるおそれがありますから、より一層懸命に産業界に対してきちんと話をしていかなければならないと思っております。  特に労働力というのは、いずれ若年労働力は減少してまいりますから、その辺も説きまして、将来は確実に労働力不足になりますよというようなこともお話しをしながらお願いをして歩いていこうと思っております。
  151. 角田義一

    角田義一君 総理、いいですか。
  152. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) これはまさに労働大臣が今お答えしたとおりでございます。
  153. 角田義一

    角田義一君 いよいよきょうは締めくくり総括でございまして、順調にいけばきょう予算が上がる、こういう段取りになるわけでございますが、私ども社会党も、今は政権から離れておりますけれども、この予算をつくるについては当時、与党の皆さんと一緒に汗をかいた者として予算の成立には協力をしてきたつもりでございますが、少数与党を率いる総理として、きょういよいよ予算が成立をする、こういう状況になっておるわけでありますが、まず、その感慨といいましょうか感想といいましょうか、一言申してほしいですな。
  154. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 確かに、私があれだけ多くの皆様の得票をちょうだいしながら、結果としてはいろんな行き違いがありまして少数与党を背景とした政権ということになりました。しかし、社会党はあのときにも、みずからが参画した予算あるいは関連法案、こういったものについては我々も責任を持たなければならないということを談話としても発表していただいたという中で、今日まで本当に私は御協力に対しては感謝をいたしております。そして、与党野党とも、国民生活に直結する予算あるいは関連法案、これだけはないがしろにしてはいけないという思い、これは私は国会議員としてそういった思いを持っていただいたということは、本当に大変ありがたかったことであると思っております。  今、感慨はどうかと言われましたけれども、感慨は本当にひとしお深いものがあるという思いでおります。  ですから、これが成立した暁には、一日も早くこの実施を滞りなく進めることによって国民生活に対して本当に潤いを与えると同時に、今の景気に対してもいい影響を与えて、国民がやっぱり日本の経済あるいは国民生活に対して希望の持てるもの、これをなし遂げることができるんじゃなかろうか。おくれましたけれども、ちょうど三カ月間、ほぼ三カ月分の補正も組まれておったということで、私は今度の予算が始動しますと、本当に力強い、景気を押し上げるためのプレッシャーになっていくんだろうというふうに思っておりまして、この点は非常に感慨深いものを持っております。
  155. 角田義一

    角田義一君 世間では、予算が成立をすれば羽田政権というのは一つの大きな仕事といいましょうか任務を遂げたわけでございますから、しかも今日少数政権である。先ほど久世先生もお話しになったけれども、議院内閣制のもとで少数政権というのはいかがなものかという議論もあります。やはり安定政権というものを目指さなければ今日ならぬじゃないか。国内外の極めていろいろ問題が山積している、こういう状況の中で、やはり予算が成立した後安定政権を目指すべきじゃないか、こういう議論があるわけでありまして、その方策をどうするかということは、これは真剣に内閣としても私は考えなきゃならぬ問題だというふうに思うわけでありますが、予算成立後の政局に臨む総理としてのお気持ちというものはどういうものがあるのか、お尋ねしたいと思うのであります。
  156. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 大変これは難しい問題で、まさに予算がまだ成立しておらない段階で後の政局について語ることはいかがかと思います。  ただ、私ども昨年皆様と一緒にこの政権を発足させたときには、一番の大きな目標、これは当面おくれておりますから予算ということがありますけれども、我々のやっぱり目標というのは改革であったろうというふうに思っております。  この改革というのは、まず国民の皆さんにも多くの問題をお願いする。そのためにはまず政治改革ということで、法案は一応通りましたけれども、区割り法案が通っておらない、あるいはこれを実施する期日がまだ決まっておらないということであります。これをもし通さなかったとするならば、残念ですけれどもほかにこの関連するものが全部だめになってしまうということでございまして、これをどうしても通さなければいけない。  それにあわせて、先ほど来申し上げております規制緩和を初め、行政改革、地方分権の問題、そして税制改革の問題、これはやっぱり長期にわたっていく問題でありますから、こういった問題というのはこの改革の一環としてなし遂げなければならないだろうというふうに思っております。  ですから、今後の政局を占うことはやめますけれども、私どもはそういったものにつながるようにということで今日までともかく誠心誠意を尽くしてまいったつもりでございまして、この姿勢というものを貫いていくことが重要であろうというふうに思っております。
  157. 角田義一

    角田義一君 私ども社会党は、昨日、新しい連立政権を目指すべきである、安定した政権を樹立しなければならないということで国民の皆さんに私ども考えを天下に公にし、連立与党の皆さん、そしてさきがけ、そして自民党の皆さんにも実は御提示を申し上げて御検討を願っておる、こういうことでございまするが、(「それがけしからぬ」と呼ぶ者あり)御提示を申し上げておる、協議はこれからで、予算が通ってから。御提示を申し上げた、こういうことでございます。  これを総理はごらんになったでございましょうか。もし御感想があれば承りたいと思います。
  158. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 先ほどおしかりを受けておりましたけれども、この問題について話し合いというのをされておるということでありますし、これは基本的には、私はもうずっと私の内閣が始まって以来申し上げておりますように、過去の八カ月の歩みというものは私は間違いなかったということ、その意味で社会党の皆様とも一緒にまた新しい政治を目指すことができればということ、そして常にその場所はあいているんですということを実は申し上げてまいったわけでありまして、お互いに垣根を乗り越えながら物事を進めていくということが間違いなく新しいこれからの日本の政治というものに進んでいくんだろうと、これは間違いのないことであります。
  159. 角田義一

    角田義一君 総理細川内閣から羽田内閣へ移ったわけでありますが、羽田内閣が発足した当初何人かの閣僚の皆さんが、やれ有事法制を急ぐべきであるとか、集団的自衛権を行使しなければならぬだとか、憲法の規定がいかがかとかいうような、私に言わせるとややはしゃぎ過ぎのような発言をする大臣がおった。そして、国会が始まったら今度は一転して憲法を守っていく、憲法のもとでやっていきたい、こういうようなことを言う。  憲法というものはそんな軽々しいものではないと私は思っておる。やっぱり腹の底にずしっと憲法の精神というものを入れて国政を運営しなければならないんじゃないか、こういうふうに私は思うのでございますが、総理として憲法と国政の運営についての基本的な立場、心構え、このことをまず私は改めてお聞きしておきたいと思っております。
  160. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) ちょうど私ども内閣が発足したとき、これは核の疑惑の問題等大きく世間の中でも議論がされておったということで、そういった御質問等があったことなんだろうというふうに思います。こういったことに対して、有事というのはこれはもう五十何年のころから議論されておることでありまして、これはこの国そのものが攻撃を受けたときにどう対応するかという問題であったんだろうと思います。  ただ、要するに安全保障の問題は、各党、社会党も含めた合意のときにも相当議論になったことでありまして、ポスト冷戦という中において、宗教紛争ですとか、あるいは国境の紛争ですとか、また歴史的なものを背景とした紛争というものがあっちこちで起こっておる、こういったものに対して国際社会がどう対応していくのかということ、これは我が国としても私どもは知らないことですということではない、やっぱり国際社会の中で理解されてこそ日本が生きられるということであろうということで、そういう思いが割合と議論されておったときであったということで、それぞれの方が思いを述べられたんだろうというふうに思います。  しかし、私の内閣が発足いたしましたときに、今この内閣で憲法を改正するということは一切考えておらないんだと。ですから、憲法を遵守しながら我々は対応していかなきゃならぬということ。  私は所信表明の中でも申し上げましたけれども、この憲法についてのいろんな議論もあります。そして、個々の問題については、私は議論していくことも必要であろうと思っております。しかし、この憲法の普遍的な一つの基本に流れる考え方というものは、私はますます輝きを増してきたというふうにさえ考えておるということ。  そして、日本の国は平和の中で今日の五十年というものを過ごしてきた。そして、五十年、この平和の中で努力をしてきた。また、そういう中で世界の国も日本を理解してくれたということであろうと思っておりますから、私はこういった中で培われた技術ですとかあるいはノウハウですとかこの思いというもの、これを世界の紛争地に対してもいろんなところに対しても語りかけていく、あるいは普及等についてお手伝いをしていくということで、むしろこういった問題に対しても積極的に進めていくべきである。  平和の中で培ったものを私たちはみずからのものにしながら、世界に積極的に呼びかけていくという姿勢が大事であるということは、これは私の二カ月間のずっと貫き通した基本的な考え方であるということを申し上げたいと存じます。
  161. 角田義一

    角田義一君 後でまたいろいろお尋ねしたいんですが、私は、自由民主党の政権の当時もアジアに向かってどういうことを言ってきたかと。やはり、日本は平和憲法というものがあって、それゆえに絶対に軍事大国にはならないということをずっと歴代の自民党政府は言い続けてこられたと思うんですね。私はそれはそれなりに評価するんです。  したがって、何か憲法上のいろいろな解釈なり整合性をめぐって、いろいろ日本の憲法に不都合があるからこれを変えたらどうかというような御議論は、それはアジアに対して一体どういうことになるのか。そのことを考えないでやることは私は非常に危険だと思っておるのであります。長年にわたるアジアに対する日本の公約、憲法というものをどういうふうにアジアに訴えてきたか、このことを忘れてアジア外交というようなものも展開できないだろうし世界で生きていくことはできないと私ども社会党は思っておるわけでありますが、総理はどう思いますか。
  162. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 自民党時代から私どももアジアに対して今御指摘のあったとおりのことを申し上げました。  私たちは、憲法を遵守するということ、あるいは不拡散の決議というものをしながらこれに基づいて核というものは一切持ちませんということ、そして我々は専守防衛に徹するということ、こういったことを実は世界に向かって宣明し、アジアに向かっても宣明し、そして今日までそのとおりの行動を私たちはしてきたというふうに考えております。  今の憲法論議でいろいろと言われておることは、そういったことを踏まえながら、ただそのポスト冷戦という中にあっていろんな紛争が起こってきておりますが、そして今までは例えばアメリカとソ連邦というものが一つの秩序をつくっておったというふうにと思いますけれども、しかしそういった問題に対しては国際社会が協力して対応することの方がより効果があるんだろうということが言われておりまして、そういう中で日本が何ができるのかということが議論されておるんだろうというふうに思っております。  私は、この憲法の示したところの基本的な考え方、押しつけた押しつけられたといろんな議論もありますけれども、基本的な考え方というものはほとんどの皆さん方は変わっておらないというふうに思っております。  今後とも、先ほど申し上げましたように、少なくも私たちは、平和で培ったこの日本の今日というもの、これを土台にしながら国際社会に向かって貢献をしていく、役割の分担をしていくこの姿勢というもの、そして世界に平和をもたらすんだ、平和をつくり出すんだということ、そしてその平和をつくり出すためには、できるだけ対話とか経済の協力だとか、あるいは彼らが紛争をやめるんだったらその復旧とか復興といったものに対して協力をしていくんだ、これを中心にしてやっていくのがやっぱりこれから日本の生きる道だろうというふうに私は考えております。
  163. 角田義一

    角田義一君 総理、いよいよ来年は終戦五十周年を迎えるわけであります。大きな歴史の転換点に日本は差しかかるわけであります。その際、例えば永野前法務大臣の遺憾な発言によりまして本人はおやめになる、しかも政府がアジアの各国政府に対して釈明をしたりおわびをしなければならないというようなそういう事態が起きる。これはやはり私は深刻に考えなければならない問題だというふうに思うのでございます。  この終戦五十周年を迎えるに当たって、どういうお立場でこれを迎えるのか、そしてどういう立場で世界にメッセージを出すのか。これは、日本にとってこれから生きていく上で私は大変大事だというふうに思いますが、どういうふうに思われますか。
  164. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この問題につきましては、ちょうど五十年というのは一つの節目であるというふうに私は認識をいたしております。  その意味で、かつては、開戦の五十年のときにどう思って、宮澤内閣の時代にもそのことを発言をしておったわけでありますけれども、今度は終戦、敗戦の五十年という一つのときであるということを考えたときに、あの大戦というものは一体どういうものだったのか、これを深く検証しながら、そして私どもといたしましては、いろんな、これ、何もよそにだけでなく国民の人たちにもおわびする、これはもちろん大事なことで、国民にも原爆の犠牲者もつくってしまったこと、東京の空襲によって犠牲者をつくってしまったこと、また満州等に開拓なんかに行った人たちも、みずからの子供を扼殺したような人たちというのを実際に私は承知をいたしております。こういうものが戦争というものがもたらした大きなものなんですね。  ですから、こういった戦争というのは我が国のためにも再びしちゃならぬねということ、それともう一つはこのために近隣諸国を初め多くの国の人たちに心の奥深くまで傷をつけてしまったこと、あるいは身体に傷つけてしまったこと、このことについてはやっぱり率直に反省すると同時に、おわびすべきものはするということだろうと思うんです。  そして、こういう歴史があったんだということ、私はこの歴史を認めることは決して何も冒涜するものでも何でもないんであって、このことをきちんと次の世代の人たちにも伝えていく。ですから、戦争というのはいかに不毛なものかということを知らしむることが私は大事だと思うんですね。  そして、日本はしかしその後その土台の上に立って平和憲法のもとに今日まで五十年営々として平和の中で努力してきた、これが今日の日本をつくり上げたんですね。このことを土台にして私どもは、世界のいろんな難しい問題に対して積極的に、どこがどう動いたから自分も動くというんじゃなくて、みずからが戦争をまず起こさせないこと、戦争が始まったとしたらこれは戦争というのはよくないよということを伝えること、そしてお互いが紛争が終わったならその復旧、復興、こういったものに対して対応していく。  いわゆる反省の上に立って、私は、未来に向かっては日本は世界に対して平和をもたらす国なんだということ、これを世界に宣明していくことが大事、そして行動していくことが大事であろう、今日まさにその行動を起こしているということが言えるんじゃなかろうかというふうに思います。
  165. 角田義一

    角田義一君 私は、終戦五十年たちまして、やはりアジアの人たちと過去の問題について共通認識を持つということが極めて大事だというふうに思います。そのためにはいろいろな施策をしなきゃならぬとは思いますが、その前提にやっぱり一つのけじめというものもつけていかなきゃならぬ問題があるだろう。  二つあると思います。  一つは、従軍慰安婦の問題でありますが、これはいろいろ法的には議論のあるところでしょうが、しかし、現実にあの方々が裁判まで提起されておるということですから、これを政府として果たして放置しておいていいのかどうか。これは五十年を機に何らかのけじめというものは要るのではないかというふうに私自身は思うのでございますけれども総理はどうお考えでございますか。
  166. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この問題は、一つの人道的な問題であるということで、たしか宮澤内閣の時代、八月四日でございましたか、官房長官の声明を出されまして、こういった問題に対してどう対応するのかということを政府としては速やかにひとつ考えていきたいということを声明として出されたというふうに私は記憶いたしております。  そういったものを踏まえながら、政府としてもどのような対応をすることがいいのか、関係の国とも協議をしながら今議論を進めておるところでございまして、そういった問題についての一つの方向、けじめというものをつけていくことはやはり大事なことであろうというふうに考えております。
  167. 角田義一

    角田義一君 私は、来年が一つの節目の年でありますから、やはりその節目の年というものをお考えになって対応されるべきだというふうに思いますが、いかがでございますか。もう一遍聞いておきます。
  168. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この問題は、そういう政府の声明も発せられておるということでありますので、いつまでも延引するということは許されないことだろうというふうに思っております。  今まさにそういう時を迎えるわけでございますから、お互いにやっぱり理解が深まらないとこれは結論は出せないんですけれども、そういう時に向けて私どもとしては積極的な努力をする必要があろうというふうに考えております。
  169. 角田義一

    角田義一君 昨日、私どもの同僚の清水澄子議員が、参議院の外務委員会におきまして、中国人の強制連行問題についていろいろお尋ねをいたしました。  政府は、戦時中の中国人の強制連行に関する調査報告書の作成の事実をお認めになり、強制連行を公式に認められたわけであります。したがいまして、私どもは今後どういうふうにこの問題に対応するかということが非常に大きな問題になってこようと思います。やはり、日本への強制連行で亡くなられた犠牲者への慰霊、さらには遺族と生存者への謝罪を政府が公式に行うべきだというふうに私は思います、補償の問題はさておきましても。この事実を認めた以上は、これはやはり真剣、深刻に、真摯な態度で私は政府対応しなきゃならぬと思うんです。  これは官房長官ではなくて、総理みずから私はお答えいただきたいと思います。
  170. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今お話がありましたとおり、家族の皆さん等がまさに心を痛めた問題でございます。こういったものに対して、おわびすべきものはきちんとやっぱり対応することが必要であろうというふうに思っておりまして、いずれにいたしましても、いかに対応すべきかは我々としても速やかに議論をしたいと思っております。
  171. 角田義一

    角田義一君 これは、総理、くどいようですけれども、真剣にひとつ対応するということでよろしゅうございますか。官房長官答えますか、どうしますか。
  172. 熊谷弘

    国務大臣(熊谷弘君) ただいま総理お答えしたとおり、外務省としてもそのような事実を確認いたしたわけでございます。私ども真剣に検討をさせていただきたいと思います。
  173. 角田義一

    角田義一君 午前中の質問はこの程度で打ち切らせていただきまして、休憩してください。
  174. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 角田君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  175. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算平成六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、角田義一君の質疑を行います。角田君。
  176. 角田義一

    角田義一君 核兵器使用が国際法上違法かどうかという問題について若干お尋ねをしておきたいと思いますが、核兵器の使用は国際法上やはり違法である、こういう意見陳述書を出した国もございますし、そういった見解もあるわけでございますが、条約局長、公平な立場で国際法上違法であるという論拠、そういう主張をする説もあり、そういう国もあるわけですから、ここら辺の根拠をまずちょっと御説明願いたいと思うんです。
  177. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 各国がICJに対しまして陳述書を提出しておるようでございますけれども、基本的には公開されておりませんで、新聞報道とかあるいは内々の意見交換の情報として幾つかの国が国際法上核兵器の使用は違法であるという議論を展開しておるようでございます。  ここでどの国がどういうと言うことは差し控え。させていただきたいと思いますが、あえて先生の御質問でございますので、そういう国がどういう論拠をしているかなどいう推定、私の推定として申し上げますと、一つはやはりジュネーブのいわゆる陸戦法規が規定をしておりますところの害敵手段の制限の一般原則、それからもう一つは、一九二五年のジュネーブ議定書が規定しておりますところの、例えば毒ガスの使用の禁止といったような原則に論拠をして違法論を展開しているんではないかなという推測をしておる次第でございます。
  178. 角田義一

    角田義一君 国連総会における決議等も、その部分に関しては根拠の一つになっておるんじゃないでしょうか。
  179. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 私が承知しておる限りそういう国はまだ承知しておりませんが、あるいはあるかもしれません。しかし、この点についての私たち考え方は、国連総会の決議は拘束力はないということでございます。
  180. 角田義一

    角田義一君 私がお尋ねしたいのは、我が国が仮に国際司法裁判所から意見を求められて、核兵器の使用というのは国際法上これは違法である、こういう意見書を仮に出したとして、それが大変な国益を損なうことになるのか、国際社会で孤立を招くようなことになるのか。私は全然逆だと思うんですけれども、どうですか、総理、この違法であるというのを仮に出したとして、日本の国際的な評価はどうなりますか。最初に外務大臣からちょっと聞きます。
  181. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 今回の陳述書につきましては、法律論として実定国際法上必ずしも違法とは言えないという考え方、それから政策論として国際法の基盤にある人道主義に反する、その意味では我が国としては核廃絶に向けて努力をする、その二点を政府の原案としては用意したわけでございますが、その前半の部分が誤解を招いたということで削除をいたしました。  違法と断じた場合に国益を損するかどうかということでございますが、これなかなか判定の難しいところであろうかと思います。  先般もこの席で申し上げましたように、米ソ冷戦構造時代には、米ソが大量の核兵器を保有し、その報復力、その抑止力によって恐怖の均衡、平和が保たれていた。そういう中でそれなりに核兵器が均衡の平和という意味で役立っていたわけでございますが、しかしそれが冷戦構造終了後大きく変わってきているということは私もここで申し上げましたし、その点で、今回その部分を削除して、核廃絶に向けて日本政府としての政策をそれを主軸にしていくということを鮮明にしたわけでございます。
  182. 角田義一

    角田義一君 私は、今回政府の国際司法裁判所に出した陳述書というものは、国際司法裁判所の求めに真正面から答えていないと思うんですね。国際司法裁判所はやはり核兵器使用は国際法上許されるのか許されないのか、違法か適法かということを問うておるわけで、そのところを削除して出したんでは私は国際司法裁判所の意向に沿ってないと思うんですよ。これ、どうですか。まともに答えてないんじゃないですか。
  183. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) WHOからの国際司法裁判所に対する問い合わせがWHO憲章等に照らしてどうかということでございますので、その核兵器の持つ大量の殺りく性等から考えて人道主義に反するということを答えたことはそれなりの意義があると思っております。
  184. 角田義一

    角田義一君 国際司法裁判所は、国際法上の義務に違反するかどうかということを問うているんですよ。そうじゃないんですか。
  185. 丹波實

    政府委員(丹波實君) この点は、先生のおっしゃることもわかりますけれども、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないということを言っておりますし、他方におきまして、核が現存しておるということを前提に今後ともまさに核軍縮を進めていくということを言っておりますが、その裏に、核兵器が現存しておって、その現存しておる限りにおいては一定の抑止力としての役割を果たしているということも裏に込められた考え方がそこにあるというふうに考えております。  したがいまして、直接的な表現にはなっておらない部分もあるかもしれませんけれども、一定の限度内でICJの意見陳述の要請にはこたえているというふうに考えておる次第でございます。
  186. 角田義一

    角田義一君 相変わらず私は日本の政府は、冷戦は終わった終わったといっても基本的に冷戦構造と同じような考えを持っているんじゃないですか。もうソ連がなくなってロシアになって、日本が外交的にも経済援助もする、つい最近はアメリカとロシアが太平洋でもって合同の艦隊の訓練をやっているじゃないですか。核抑止論にいつまでも日本はしかみつくわけですか。どうですか、外務大臣。
  187. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 先ほど申しましたように、冷戦構造に比べて核抑止論の持つ意味というものが変わってきている、低減してきているということは事実であろうかと思います。先生御指摘のとおりです。  ただ、依然としてロシアは大量の核兵器を持っておりますし、また今、北朝鮮の核疑惑に見られますように中小国に対する核拡散というような問題が起こってまいりますと、今の抑止力理論というのも一〇〇%まだ否定できるところまでいっていない。中国においては最近も核実験が行われるという状態でございます。そうした現実を認識しながら一歩一歩着実に核廃絶に向けて努力をしていくことが我が国政府としては現実的な対応ではないか。  広島、長崎の被爆者の皆さんや国民の願い、理想主義というものは私どもも体して行動しなければならないと思っておりますが、それを現実に実現する道筋としてはそうしたやり方でいくことが現実的であろうと考えているわけでございます。
  188. 角田義一

    角田義一君 パワーポリティックス、いわば核抑止論と。これは政治の問題ですな、戦略の問題ですから。その核抑止論と現実に核兵器が使われた場合の違法性の問題というのは分けて考えて決して私は論理的な矛盾はないと思うんですよ。どうですか。
  189. 丹波實

    政府委員(丹波實君) この点は先生のおっしゃるとおりでございまして、私たちも純粋の国際法の議論と抑止力の考え方は、考え方としては分けて考えておるわけでございますが、今、外務大臣が申し上げましたとおり、ヨーロッパにおきましてもアジアにおきましても核の抑止力というものは現存していることも事実でございまして、日米安保条約のもとでアメリカの核の傘に依存するということを三十数年間言い続けてきて、今日に至ってそれは要らぬということがもし政治の御決断であれば、それは先生おっしゃるとおり一つのオプションであろうかと思います。しかし、それはもちろん私の述べることではございませんけれども。  以上の考え方でございます。
  190. 角田義一

    角田義一君 私は、これは政治が決着をつける問題だと思っているんです。要するに核抑止論と核兵器の違法性の問題とは一応分けて考えてもそれは構わない、結構なことだということを今はっきり条約局長は言っているわけですが、そうすると、政府の決断なんですよ、これは。百歩譲って核抑止論を仮に日本がとったとしても、やはり違法性の問題は別なんだから、違法だということをはっきり言うべきだということが一つ。  それからもう一つ。むしろ日本こそ核抑止論から脱却をする、世界をそういうふうに持っていくための一つの大きなこれは意見を言うチャンスじゃないかと思うんですね。  その二つの理由からいって、私はこの国際司法裁判所の意見に対してはっきりと違法だと言うのが被爆国たる日本の政府責任じゃないですか。どう思いますか、総理大臣。
  191. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 法律解釈というだけでなくて、確かにこれの結果が政治的な一つの方向というものを定めていくことになろうと思っております。  しかし、今言われている理想とかあるいは日本という国が唯一の被爆国であるという中にあって、そういうものを発言していくということは私は大事であろうというふうに考えます。  ただ問題は、先ほど来お話がありますように、ともかくつい最近でも中国は核実験というものをしているのが現実なんですね。ただし、中国が常に言っているのは、みずから先に核を使うことはしませんと私たちは言っているんですよと、そしてほかの国に比べれば実験の数は少ないんですよと言っているんですけれども、一番最近に核実験をされているのが中国であるということでありまして、現実にやっぱり核があるということですね。  それじゃ日本はどうなんだとこの間もいろいろと議論になりましたけれども、日本は非核三原則によって核はつくらず、持ち込まず、それから使用せずというこの三原則というのを持ちながら今日やっておるわけであります。そのかわりこれはやっぱり核抑止力に対応できるアメリカとの安全保障条約というものがある、そういう中で日本もそういうことが主張できるというのが、残念ですけれども国際政治の現実であるということです。  ですから、私どもはこれから、先ほど外務大臣からも御答弁申し上げましたように、もう核というものについての実験というのはお互いにやめていこう、お互いに縮小していきましょう、そして将来は廃絶するんだということを一つずつ着実に積み重ねていくことが、残念ですけれども政治というものは現実であるということでありまして、政府として対応するときにはそういうことであろう。しかし、私たちはその場所場所によって核廃絶の発言というものはいろんな形でしていくべき問題であろうというふうに思っております。
  192. 角田義一

    角田義一君 総理、これは非常に大事な問題なんです。私は、政府は相変わらず、国際司法裁判所に対しては意見を言わないが、相変わらず核の使用というのは国際法上違法ではないんだということに固執するのか、それともそれから脱却をしようとするのか、これは大きな違いだと思いますよ。しかみつくのか、それともその論理から脱却しようとするのか、これだけ聞いておきましょう。
  193. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) まさにこの前WHOから国際司法裁判所に寄せられたのは、一つの法の解釈というものについて各国の陳述を求めるというものでありましたけれども、日本は先ほどお話があったように、実定国際法上はこれを否定することはできないが、厳密にはちょっと言葉を今記憶しておりませんけれども、できないが、しかしこの大量破壊兵器、大量に人を殺りくするようなものについてはという言い方が、「が」というのをつけながら日本の政治姿勢というものをそこで述べているということは、私は、非常に注意深く、しかも私どもは核というものはいけないよということをそこで見事に宣明しておったというふうに理解しております。
  194. 角田義一

    角田義一君 私の質問に答えてください。  私は、この国際法上違法でないという政府の見解というものに固執するのか、それを墨守するのか、それともそれから脱却をするために努力するのかと、こう聞いておるんです。これが質問のポイントですから、はぐらかしてもらっちゃ困りますよ。
  195. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 今回の予算委員会等の御議論、また国民各層からお寄せをいただいた声を反映して、角田先生の今おっしゃった方向へ一歩を踏み出そうということであったかと思います。  その意味で、従来からの自民党内閣時代の答弁書、また細川内閣時代の答弁書との外交の継続性の問題もありますので、その点も配慮しながら、しかし先生のおっしゃる方向へ踏み出そうと努力をしているということを御理解いただければと思います。
  196. 角田義一

    角田義一君 総理
  197. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 先ほど私が御答弁した中で、非核三原則について、使用せずということでありますけれども、持たず、つくらず、持ち込ませずですから、使用することはないということであります。  それから、今の問題につきましては、先ほど私も申し上げましたように、後段の部分で述べているのはまさに我が国の政治姿勢でありまして、そういったものをこれから国際的な場裏において日本として発言し、行動していくということが私は重要なことであろうというふうに思っております。
  198. 角田義一

    角田義一君 くどいようなんですけれども総理はなかなか話し方がうまいのだけれども、私はもうずばり言っているんです。だから、核兵器を使うことが必ずしも違法ではないんだというそういうことに墨守しないで、それから脱却をするというふうに日本政府もやっていくんだということなのかどうか、それにしがみついているのかどうか、これを聞いているんです。
  199. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) しがみついているということじゃないんですけれども、やっぱり日本というのは一億二千万の国民というのを抱えている国であるわけです。国民の生命、財産というのを私たちは守らなきゃならぬということなんで、現実に核実験をしたり、核をつくろうとしているところがある、また、だんだん核軍縮は進めておりますけれども、やはり米ロとも相当な量を持っているということは現実なんですね。  ですから、そういう現実というものを踏まえながら、しかしそういう中で日本は持たない国でありますから、それをいろんなところで主張しながら、本当に軍縮を進めさせると同時に核廃絶に持っていくというのは国際的にも、日本のような国がそういうことを主張していくことは国際的にも私は理解されるものであろうと思いますし、それが、大きな現実を踏まえて物を言っていきませんと、残念ですけれども理想論だけではなかなか進まないんだということを、これはぜひ理解していただきたい。そして、日本の国はまさに非核三原則というものをこれからもやっぱり我々は貫き、そして世界から核をなくしていくということのためには、これはいかなる内閣でもそう進めていくものであろうというふうに私は確信をいたしております。
  200. 角田義一

    角田義一君 くどいようだけれども、私は日本の国家をこれからどうやっていくかということだからこだわるんですよ、猛烈にこだわるわけ。  私は、理想主義者の面もあるけれども、現実主義者だと自分では思っているんです。今の国際社会の現実を見れば、もう既に核抑止力というもの。から脱却をしなきゃいかぬじゃないか、その先頭にやはり日本というのは立つべきではないのか、そうなれば、やはり違法性の問題にいつまでもこだわっておったのではいけないのではないか、これを私は聞いているんですよ。そこをもっとはっきり言ってもらえませんでしょうか。
  201. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私どもはそういった理想というものは持つ、それもただ理想とするのではなくて、これを現実のものにしていこうということの努力というものは、これから私たちは不断の努力をしていかなきゃならぬと思っております。  しかし、先ほどから申し上げておりますように、まさに核の現実があるという中で日米安全保障条約というものを私どもは持っているというのが現実なんですね。ですから、そういう中で物事を進めていきませんと、まさに今の安保条約というものはまだ私たちは持っていなきゃならぬということを言いながら、これをただ言葉だけで否定してしまうということだけでは国際的な関係あるいは国際的な発言というものも責任の持てないものになってしまうということを私は恐れているのでありまして、私はやはりそういう現実を踏まえた中で一歩一歩核廃絶に向かって、それから核というものがどんなに苦しいものだよということについて、核というものがどんなにつらいものだよということについて、やっぱり世界に向かって鮮明にしていく。  例のあの原爆ドーム等について私がああいう発言をしておりますのも、歴史的なとか、時間をかければいろんなことがあるんだろうけれども、しかし、あれをもう一度再現するなんということは絶対許されないことだと。そのためには、私たちとしてできることであるから、これはいろんな法律だとかそういったものがあるだろうけれども、これを何とかひとつ検討させたいというのも私たちの姿勢のあらわれであるというふうに理解をしていただきたいと思います。
  202. 角田義一

    角田義一君 これは時間があればもうちょっとやりたいですけれども、必ずしも私は総理の御答弁に満足できません。しかし、これはもう長いこれからの日本の課題ですから、引き続いてまたやっていかにゃいかぬというふうに思っております。  そこで、北朝鮮の核疑惑の問題でございますが、事態がある意味では大分好転をしているような印象を受けるのでございますけれども、アメリカ政府から今日の状況についてどういう報告を日本は受けているのでございますか。
  203. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 実はけさ早朝七時ごろクリストファー国務長官から私のところへ電話がございまして、先般、外交チャネルを通じて北朝鮮側に確認を求めた三点についてはすべて受け入れるという返事が来たということでございました。  その三点とは、五メガワット原子炉に燃料の補給をしないこと、それから使用済みの燃料を再処理しないこと、そしてIAEA査察官と査察装置、カメラでございますが、これを核利用検証のために寧辺にとどまらせること、これについては合意したという返事が北朝鮮から来たということでございますので、それにこたえて、七月上旬に第三回の米朝協議を開催する用意がある旨を北朝鮮に伝えたということでございました。こうした状況は建設的なものとして米国政府は歓迎している、そしてその米朝協議が行われる間は国連における制裁協議を停止するということも決めたということでございました。  私の方としては、とりあえずの日本政府考え方としてそうした話し合いに向けて前進したことを歓迎する、今後、米朝協議を通じまして北朝鮮のNPT体制への完全な復帰、また特別査察を含む査察の完全実施に向けてぜひアメリカとしても協議を続けてもらいたいということをクリストファー国務長官にはお願い申し上げ、この点、羽田総理にも御報告をいたしたところでございます。
  204. 角田義一

    角田義一君 私ども、事態が好転することを歓迎するわけでございますが、やはり総理、いかがでございますかね、この一連の成り行きを見ておりまして、日朝の国交正常化ということを改めて私は大きな問題として考えなきゃならぬときに来ておるんじゃないかなと。これについてどうお考えでございますか。
  205. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 残念な不幸な中で日朝の話し合いというのは途絶えておるわけでありますけれども、私は、常々申し上げてまいりましたように、ともかく隣国でありますから、やっぱり本当に真正面からいろんないいことでも悪いことでもつらいことでも互いに話し合える関係というものはつくる、これはかって田中角栄総理の時代に日中国交正常化をしたのもまさにそういうことであったんだろうというふうに思っております。  ですから、今度のカーターさんが行かれたことによって一つの道が開かれた、そして本当に米朝が話し合える、あるいは両方の大統領が互いに、韓国と北朝鮮の主席が互いに話し合えるという一つの環境ができてくるという中にあって、当然私は、また隣国である日朝の間の話し合いというものが本当に開かれること、そして本当に腹を開いて互いに北東アジアあるいは両国の関係の安定、平和、これを語り合い、そういったことが前進していきますと、まさにあの国の民生向上等についてもいろんな国と一緒になって私ども協力することができるんだろう、このことをずっと願いながらこの委員会等も通じながら私もメッセージを送り続けておるということであります。
  206. 角田義一

    角田義一君 かつての日中国交回復に先立ちまして、キッシンジャーさんが中国へ行く、ニクソンさんが電撃的に北京へ行くという形で国交が正常化した後、日本が後からいろいろ関係があるにもかかわらずついていったような、ああいう事態がございましたですね。私は、日本政府はこのままいくとそんなようなことになることをまた心配するのでございますけれども、朝鮮との関係で、どうなんでございますか、やっぱりアクションをきちっと起こすべきじゃないんでしょうか。どうなんですか。
  207. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 核疑惑という大変微妙な問題というものを抱えているとき、そしてこういった問題を解決するためには、北朝鮮としても、隣国の韓国と話すより何といっても核の問題についてはアメリカと話さなければならないということであろうと思っているんです。  ですから、私は、頭越しとか、私たちが隣国なのになかなかできないということがありますが、しかし、隣国であるからなかなか話し合えないということは、世界の地図を見ましても、どことどこの国、どことどこの国を見たときに、みんなやっぱりなかなか難しさというものはあるものでございますね。しかし、私たちは、北朝鮮との関係を本当に話し合わなきゃならない、また話し合える関係にならなきゃならぬという思いを持っておりまして、今までもいろいろなルートを通じながら話しかけはいたしておりますので、そういう環境ができたならば、ただ頭越しにやられたとかあるいは横から後から行ったとか、そんなことじゃなくて、今の中国関係だってそうですよね。  今まさに私たちは、あるときには中国の声というものを国際社会に向かって代弁してあげているときもあるわけですし、また国際社会の声を中国に対して率直に訴えてあげていることもあるわけで、今、世界の中であの国との関係といいますと、日本の関係というのは一番中国も大事にしているんじゃなかろうかというふうに思っておりますので、私は、北朝鮮との関係もそういう関係になっていくように、そして韓国も北朝鮮も、また北朝鮮に対して韓国や日本が本当に一緒になって協力できる体制というものをつくり上げることが日朝関係あるいは北東アジアのためにもよろしいんじゃなかろうかというふうに考えながら、そんなつもりでこれからも対応していきたい、委員から今御指摘があったことをよく念頭に置きながら対応したいというふうに思っております。
  208. 角田義一

    角田義一君 総理にこの北朝鮮の核疑惑に関連をしまして最後に一つだけお聞きしておきたいと思うんですが、私どもの同僚の上山委員を初め何人かの委員からあった、在日朝鮮人の子女等に対するいろいろな迫害事件等が起きておるわけでありますが、私は、いかなる事態になろうとも、在日韓国朝鮮人の人権というものは基本的にやはり日本政府が保障しなきゃならぬと思うんです。このことをはっきりと政府が表明するということが今日の時点で私は一番大事だというふうに思っております。  いろいろ細かい具体的な事例はもう時間がありませんから私触れませんけれども、この辺は総理はそのことを考えるというふうにおっしゃっているわけなんで、その後どういうふうにこの問題について取り組んでおられるか、ちょっと聞いておきたいと思うんです。大事なことです。
  209. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今、日本にいらっしゃる在日朝鮮人の皆さん方というのは、もう二代目の方もありあるいは三代目の方もあるということでありまして、まさに日本の中で生活し、生きていらっしゃる方たちであります。そして、あるときには一つのかけ橋になっていく人たちでもあろうというふうに思っております。  それと同時に、何といっても人権は、この間のウィーンでの宣言ではありませんけれども、やっぱり普遍のものであるということであろうというふうに考えておりまして、少なくも一緒に生活している人たちの人権というものについては、我々はこれを大切にしていかなければいけないということ、これは実はそれぞれの担当の閣僚の皆さん方にもそういったつもりで対応してほしいということを要請いたしておるところであります。
  210. 角田義一

    角田義一君 積極的にやっぱりこれはやってもらわぬといかぬと思います。  時間がありませんから、外務大臣、ちょっとお尋ねします。  いよいよ予算が大詰めに来た。そこで、外務大臣、かつて自民党におられたときに自民党を代表して質問されております。その中で、我々も苦労してつくった、一翼を担ってつくったこの本件の六年度予算、これが出しおくれの証文であると、こういうふうに決めつけておられるんですけれども、これはどうでございますか、今もそう思っておられますか。
  211. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) お答え申し上げます。  もっと早く出ていればよかったという意味でございます。それが成立した暁には景気に対してもプラスに効果をするものと期待をいたしております。
  212. 角田義一

    角田義一君 はっきり言いましょうか。「今回の越年予算編成を見ての印象を一口で言うならば、何のめり張りもない出しおくれの証文と言わざるを得ません。」と、こう言っているんです。めり張りのない出しおくれの証文というのは価値がない予算だと、こういうことじゃないですか。どうですか。
  213. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 予算はなるべくめり張りがあった方がいいと思っておりますが、私も予算編成に携わったことがございますけれども、なかなか難しい面もあるということも事実でございます。今後ともめり張りのある予算をつくるべく我々も努力をしなければいけないと思っております。
  214. 角田義一

    角田義一君 答えていないですよ。私は、この予算はめり張りのきいてない出しおくれの証文かどうか、そのことは今でもそういうふうに思っているのかと聞いているんです。ちゃんと答えてくれなきゃだめじゃないですか。
  215. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 時期についてはもっと早ければよかったと思っております。  めり張りにつきましては、さらにめり張りのある予算であればよかったと思っております。
  216. 角田義一

    角田義一君 あなたはそこに座ってどういう立場なのかわかっているでしょう。予算をお願いする立場ですよ。お願いする立場が、この予算に対してめり張りのきかない価値のないものだと、こういうことでいいんですか。もう一遍ちゃんと説明してくださいよ。納得ができないですよ、私は。そんなことではだめです。
  217. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 現実の予算編成の中でそうなった事情もよくわかりますので、これを早期に執行していただいて景気の下支えに活用するということが大事だと思っておりますので、その点はその表現は不適切であったかと思います。
  218. 角田義一

    角田義一君 よろしいですか。あなたはこの前の冒頭の予算委員会で、この質問については撤回はしないと言っているんですよ。だめだよ。
  219. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  220. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  221. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 先生が引用されました代表質問自民党を代表して質問をしたということでございまして、現在、内閣の一員としてこの予算の成立に力を注いでいるわけでございますので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  222. 角田義一

    角田義一君 いいですか、私は誤解がないように言っておくが、あなたは非常に有能な人材であるということを高く評価しているんですよ。しているんです。ただ、私にはっきり言わせれば、政治的にはそこにお座りになる資格がないんじゃないかと思っているんです。私はそう思っている。政治的にはですよ。やはりこういう事態になることだって、まああったかどうかわからないけれども、あなたはみずからの不明をここで恥ずべきですよ。そういうことをはっきり言わなきゃいかぬですよ。不明を恥ずべきだと私は思うんだよ。  委員長、不明を恥じなかったら私はここを動きません。
  223. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  224. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  225. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 不明を恥じるべしたという角田先生のお言葉どおりでございます。不明を恥じます。
  226. 角田義一

    角田義一君 これから、ちょっと税制改革の問題について川橋委員の関連質問をお許しいただきます。
  227. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 関連質疑を許します。川橋幸子君。
  228. 川橋幸子

    川橋幸子君 税制改革につきまして、大蔵大臣、そして総理にお伺いいたします。  先週十七日、金曜日夜のときにも同じような問題意識から質問いたしまして、その場ではわかったような気がするわけですけれども、でも、後で記録を起こしてみますと、どうもわからないことが多うございます。  そこで、まず第一点は、昨日、政府税調与党協、それぞれ結論が出そろいました。さて、今後羽田内閣としてはどのようなスケジュールで決めていかれるのでしょうか。
  229. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) ただいま御指摘のように、税制調査会の答申、そして与党協議会のそれぞれ報告がまとまりました。  私は、その二つの物の考え方は、私どもが前内閣以来目指しておりました基本的な方向と軌を一にするものだと考えております。これの具体案をつくるのは私どもの仕事でございます。  現在、与党の中でいろいろ御協議をいただいておりますが、私どもはそういうものをよく見きわめながら、またこの国会で各党の皆様方からあった御意見をよく踏まえながら、最終的に結論を政府において出すことになると思います。
  230. 川橋幸子

    川橋幸子君 時間差といいますか、減税の先行実施期間といいますか、これについては景気対策との関係でどのようにお考えですか。
  231. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 基本的な問題の一つに、今言われております時間差という議論があるのは承知をいたしております。現在の景気情勢からいえば、それは多くの方々の御意向ではないかと私どもも想定をいたしております。  したがいまして、今と同じような段取りを踏みながらある程度の時間差を決めていくべきことだと考えております。
  232. 川橋幸子

    川橋幸子君 ある程度とはどの程度をお考えですか。
  233. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) それこそまさに今連立与党でいろいろ御議論になり、各党の皆様の御意向などを承りながら最終的に決めることでございまして、決定はいたしておりません。
  234. 川橋幸子

    川橋幸子君 政府としての見解はあるのではないですか。大臣としての見解はおありじゃないですか。
  235. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 恐縮でございますが、ただいまのような段取りを踏んだ上で政府としての決定をすべきことだと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  236. 川橋幸子

    川橋幸子君 所得、消費、資産のバランス、これを考えるのが中長期の税制改革とおっしゃっておられますけれども、資産課税については余り触れられていないのですが、どうお考えですか。
  237. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 当然のことながら、税というのは今の社会を支える仕組みでございますから、資産も入っているのは当然のことでございます。  平成三年において土地税制に関する基本的な税制改革が行われました。現在も、いろんな御意見があったのでございますが、その基本を守って今回もやらせていただいておりますが、これも重要な資産課税の一つであると思っております。  今もしお考えの中に利子及び譲渡所得税の問題がおありでございましたら、あえて先走りますがお答えさせていただきますが、これもいつもお答えしておりますように、所得把握の執行の体制と並行しなければこれは絵にかいたもちになるということも事実でありまして、私どもはこれはその執行の体制を検討しながら積極的に取り組んでいく課題だと思っています。
  238. 川橋幸子

    川橋幸子君 積極的には結構なんでございますけれども、その答えがなくて、消費税の引き上げの方だけの印象が強いのではありませんか。
  239. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) これは今申し上げたように、把握体制をどうするかということの中に、今税制調査会等で御議論をいただいているのは二つの裏づけが考えられております。  一つは、年金の一元化の際の年金番号が活用できないかという問題、もう一つが、住民課税台帳のナンバーが活用できないかという問題です。これと別に、税だけの番号というかそういう仕組みをつくることは、コストからいっても、またこの間はちょっとおしかりをいただきましたけれども、感情的にも私は適当じゃないと考えておりまして、この二つの進み方と並行すべきものであって、それができない限りは今の仕組みがセカンドベストであるということははっきり申し上げられると思います。
  240. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでどうやって三つの税のバランスをおとりになるんですか。
  241. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今申し上げたように、資産の中の重要な税制である土地税制については、世のある部分の方は高過ぎるではないかという御批判もあるようなことでやらせていただいております。これはバランスの重要な一つだと考えております。  また、セカンドベストという言葉を使わせていただきましたが、利子及び譲渡所得についてもしかるべく課税が行われて、数年前までは譲渡所得税は課税がなかったわけでありまして、私は、そのバランスの回復をやっていると、このように考えております。
  242. 川橋幸子

    川橋幸子君 不満足ですけれども、時間がありませんので先に進みます。
  243. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  244. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  245. 角田義一

    角田義一君 ちょっと整理をさせていただいた方がいいと思いますね。  外務大臣、みずからの不明を恥じるという御答弁がありましたけれども、大体普通、不明を恥じると言えばそれで済むんだけれども、事態が事態だから申し上げるんだけれども、これはあなたが自民党を代表して御発言をしたこの内容、じゃ、これは不明だから削除するということまで含むのか。こういうことになると予測できなかった、自分がこういう事態になったことを予測できなかったということを不明として恥じるのか、この発言は発言として残すということなのか、これははっきりさせてください。
  246. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 今、角田先生のおっしゃったとおりでございまして、個人として不明を恥じるということでございます。
  247. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  248. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  249. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、また税金の話に戻させていただきます。  大蔵大臣国民はそれぞれ基本的なデータを欲しかっていると思います。情報を欲しかっていると思いますのですが、今のところ国民が目にしているのは政府税調の中で示された機械的な試算だけでございます。あれで十分だとお思いでしょうか。
  250. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 重要な資料だと思います。しかしながら、より一層多くの方々に今おっしゃったような意味での実情をお示しするということは私たちの非常に重要な課題だと考えております。
  251. 川橋幸子

    川橋幸子君 大蔵大臣の目からごらんになられて、どんな資料が必要で、いつごろまでにお出しになることが適切だとお思いになりますか。
  252. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 既に出してはおりますけれども、そういうものを何回も何回も繰り返しお示しすることだと思いますが、我が国の置かれている財政状況、そして世界各国の状況から見ての日本の税制のあり方、税負担のあり方等々でございます。
  253. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは全く試算というものとはほど遠い資料ではないでしょうか。
  254. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 試算は、前々から申し上げておりますように、税制調査会がまず定量的な御議論をいただくための一つのめどであり、それを同時に国会にもお出しし、またマスコミの方にも報道していただき、そのことによって多くの方々に見ていただいておりますが、これはあくまでも一つの計算例でございまして、私どもが一番大事なことは、今の日本の財政が置かれている状況、あるいはこの日本の税制というものがどういう位置づけかというようなことをよく説明することだと思っております。
  255. 川橋幸子

    川橋幸子君 伺いますと、税制改革の主要な課題は特に財政再建にあるということですか。
  256. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 財政のあるべき姿を申し上げるということがバックグラウンドであるということは当然のことでありまして、これを申し上げないということはかえっていけないと思っております。  税制改革のあり方は何かということは、もうるる申し上げておりますが、これからの長寿社会を支えるときの負担のあり方の問題であるというふうに考えております。
  257. 川橋幸子

    川橋幸子君 どういう負担が求められるのか、そういうデータを国民が知りたがっているのではないですか。
  258. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) したがって、諸外国においてどういう負担のあり方をやっているか等々も周知する重要な事項であると考えていることを申し上げております。  さらに、もし今御質問のことであるならば、我が国においてもそのような状況をお示しすることであることは当然のことであります。
  259. 川橋幸子

    川橋幸子君 大変隔靴掻痒のようなお答えで残念でございますけれども、私から申し上げさせていただきますと、どういう世代層、どういうライフステージの人たちがどのような負担になっていくのかということではないんでしょうか。
  260. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) それも重要な資料だと思います。
  261. 川橋幸子

    川橋幸子君 それも、ですか。
  262. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) それも含めて重要な資料だと思っております。
  263. 川橋幸子

    川橋幸子君 不公平税制といったとき、益税の問題等もございます。こういうものについてのデータはいかがですか。
  264. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) それはデータの出し方というよりも、国会では何度も御報告をいたしておりますし、私はいろいろな場において、テレビ等々においても、中小企業特例という問題はこういうことがありますということをお話をいたしております。
  265. 川橋幸子

    川橋幸子君 定量的なデータが欲しいというのが国民の気持ちじゃないでしょうか。
  266. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) この委員会において何度もこのことはお話ししておりまして、今あちらからお話がありましたが、益税ということと中小企業の特例は違うということも何度も何度もお話をいたしておるつもりであります。
  267. 川橋幸子

    川橋幸子君 それは例で申し上げただけであります。  もう時間がございませんが、私が申し上げたいのは、六月中の成案というものは、拙速をやってはいけないのではないか、そういう意味でございます。
  268. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 私どもは、昨年の八月、前内閣以来、あるべき方向をずっとはっきりと申し上げてまいりましたし、二月十七日には御見も加わっていただきまして、税制改革協議会で週数回にわたる大変熱心な議論も進めてまいりました。そういうことの積み上げの中で今最終段階を迎えているということであって、私は拙速とは考えておりません。
  269. 川橋幸子

    川橋幸子君 かつて自民党の中曽根さん、お名前を申し上げちゃいけないのでしょうか、国民消費税にノーと言ったのは、それは増税ノーではなくて、手続について異議を申し立てたのではないのでしょうか。
  270. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) これも、先ほどから御論議がありました増税なき財政再建という時代が昭和五十年代の後半にありました。それは五十四年の一般消費税から出てきた問題であることもよく承知しております。私はそのとき大蔵政務次官もやっておりましたが、あれは非常に歴史的な意義のある行政改革をやられた、これはさっきお話も出たけれども、そう思っております。  また、その次の中曽根税制改革、これについても、やはり私はそういう経緯をずっと踏まえて出てきた一つ税制改革に対する御提案であったと考えております。
  271. 川橋幸子

    川橋幸子君 それから、財政再建のための増税ということは政権の命取りになるということも御記憶だと思いますが、そのことはいかがでございましょうか。
  272. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) もう一度繰り返させていただきますが、これからの長寿社会における国民の負担のあり方、仕組みというのを中心に置いて税制改革を行っているということと、これも本委員会で申しましたが、財政と戦争が国を滅ぼすという重要な格言があることも私どもは常に頭に置いております。
  273. 川橋幸子

    川橋幸子君 最後に、総理に伺います。  政治が国を滅ぼすこともあるわけでございますので、総理国民の理解を得るというその御努力をここでもう一回お約束いただきたいと思います。
  274. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今までは一つ税制の方向を出すために出し得る資料というものを提供してきたわけでございますけれども、やはり税というのは国民の支持、理解というものがなければならないということでありますから、あらゆる機会をとらまえながら国民の理解というものを得るための最大限の努力をするのがやっぱり政府としての務めであろうというふうに考えます。
  275. 角田義一

    角田義一君 最後に、私から総理にお尋ねしたいと思うのでございますけれども、今後の政治のあり方の問題なんです。  細川内閣というのは、政治改革を断行するという形で国民の支持を得てきた内閣でありますが、細川さんがああいう形でおやめになったわけであります。やはり政治に対する信頼というものは、これは私は一番大事だというふうに思います。  総理も御承知だと思いますけれども、ドイツのトーマス・マンという文豪がおりますが、あの文豪がナチスに追われましてスイスあるいはアメリカに亡命をする。その中で彼はこう言っております。政治を軽べつする国民は軽べつに値する政治しか持てない、こういうふうに彼は言っておりまして、政治に携わる者としては私は非常に重い意味があるんじゃないかというふうに思っておるのでありますが、総理はどういうお考え政治に基本的立場で臨んでおられますか。そのことを聞いて、私の質問を終わります。
  276. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今も御指摘があったのは全くそのとおりでありまして、その国民にふさわしい政治ということが実は言われておるわけでございます。その意味で、やっぱり政治というものが身を正すと同時に、一つの方向等につきましても本当のことを語れるような政治になっていかなければならないのだろうというふうに考えておりまして、そういう政治をともどもに目指していきたいというふうに考えます。
  277. 角田義一

    角田義一君 終わります。
  278. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 以上で角田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  279. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、吉岡吉典君の質疑を行います。吉岡君。
  280. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 総理にお尋ねします。  総理がここで公約だと言われた税制改革ですが、これは結論として増税になる、そういう改革だというふうに確認していいですか。
  281. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今後本格的な高齢化社会というものに適切に対応していくということになっていきますと、どうしても国民に対し一般的な税負担、こういったことを求めていくこと、これが必要であろうと思っております。今回の税制改革におきましても、福祉などの公共サービスの増加に適切に対応するとともに、財政を悪化させないよう、所得税減税や先行減税に伴うつなぎ公債の償還のための財源は税制改革の中で賄っていくべきものであろうというふうに考えております。
  282. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 先ほども最終段階に来ているということでしたけれども、そうだとすれば、もう消費税税率、腹の中では決めておられると思います。何%にしますか。もしそれが言えない場合には、消費税税率を現行のまま据え置くこともあり得るのか、それともパーセントを、決定は別として引き上げはやらざるを得ないということなのか。この点、お伺いします。
  283. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今、政府税調の方でも御議論いただいて結果を、一つの方向を出していただきましたし、また与党の方でも野党の皆さんともいろんなお話をしながら今一つの方向を出しつつあるということでございまして、今ここで税率を申し上げるということはできないということと、もう一つは、やっぱり私どもの方といたしましては行政改革、こういったものも推進をしていくということでありまして、そういったものを踏まえながら増税の規模というものはできる限り抑えていくべきであろうというふうに私ども考えております。
  284. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 税率を上げるか上げないか。
  285. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 税率につきましては、これは今のままの税率であるとするならば、現在の所得減税というもの、これは特例措置でありますけれども、今後また特例措置じゃなくて恒久的な税制ということで中身を変えながらも大体同額のものをやるとしていったとすれば、そういったものにはきちんと対応しなければいけないことと、もう一つは、公共事業の基本計画、こういったものについても積み増しというものが要請されておりましたり、そのほか幾つかの政策課題というものがあります。こういうものに適切に対応するために、そういったことも含めてやっぱり税率というものは議論されるべき問題であろうというふうに考えます。
  286. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 端的に、そうすると据え置くこともあるということですか。
  287. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 据え置くことがあり得ると私も実はお答えしたいわけなんですけれども、しかし、それをやったとすれば、残念ですけれどもこれから続けた減税というものはできないでしょうし、新しい行政ニーズに対しても、幾ら行政改革をやったとしても、行政改革というのは直ちに金が出てくるものじゃないということ、ということになるとその間また赤字国債を増発しなきゃならぬということになって、結局はめぐりめぐって国民の負担になるということを考えなければいけないと思っております。
  288. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 わかりました。総理税制改革の公約は増税の公約であり、最悪の大衆課税と言われた消費税税率は引き上げるという公約であることだけは明らかになりました。これは国民から見ればとんでもないことでありまして、私の立場からいえばお引き取り願う以外にないということを言わざるを得ませんが、次の問題に移ります。  固定資産税の評価がえの問題であります。  我が党は、きのう自治大臣に対して固定資産税の評価額の引き下げと評価方法改善の申し入れを行いました。  自治大臣、お伺いします。  自治省通達による固定資産税の評価がえで固定資産税の大幅な増税が起きたために大変な社会問題、政治問題になっております。こういう今日の事態というのは予想されていた事態ですか、どうですか。
  289. 石井一

    国務大臣(石井一君) 昨日、皆様から大変御熱心な御要望がございまして、私もその後担当者を呼びまして何らかの手が打てないかというふうなことを検討もしたわけでございますが、要は、我が国の地価というものが一物三価、四価というふうにそれぞれ異なっておりまして、以前から固定資産税に対する一つの評価がえということは大きな問題になっておりました。また、固定資産税の評価が案外大都市には甘く、それから農村地帯と申しますか、それには厳しいというふうな評価が言われておったこともございます。また、その評価の規模が大変大きくて、一億七千筆というふうなことで相当な事務量である。  そこへもってきて、今回大きく評価がえいたしますときに、いわゆる調整措置というふうなものをやりまして、課税標準額は地価公示額に比べてはるかにそれよりもいろいろの調整の措置をした等々いろいろ配慮をし、御不満の少ないことを念頭に今日まで努力をいたしてまいったわけでございまして、一部の強い批判があるということは理解いたしておりますが、これは次の評価がえのときに十分調整をしていただきたい、そのように思っておる次第でございます。
  290. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私がお伺いしたのは、こういう騒ぎが起こることを予期していたのかどうかということです。話はそこから進めたいのです。
  291. 石井一

    国務大臣(石井一君) そういうことを予期して進めるわけはございません。
  292. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 予期せざる事態だったそうであります。だとすると、起きた事態は直していかなくちゃならないという問題が起こるわけですが、その前にもう一問お伺いします。  私らが調べたところでは評価額が十九倍、二十倍に上がっているという例もあるんです。自治省がつかんでおられるのではどの程度に上がっているというふうに御認識ですか。
  293. 滝実

    政府委員(滝実君) 評価額の問題については、その前にその前提となる時点修正のお話を申し上げた方がおわかりがいいんだろうと思うのでございますけれども、今回の評価がえは従来の評価方式とやや変えまして、評価時点の一年半前を価額調査基準日という格好で今回も従来と同様に出発いたしたわけでございますけれども、最近の土地の値動き、こういうようなことも予想されたものでございますから、特別に今回は一年前でございます平成五年一月一日の時点における地価動向も勘案して時点修正を行う、こういうことをやらせていただいたわけでございます。  その結果、例えば具体的な例で申しますと、東京都の特別区は平均して、七月一日現在では、一年半前には四・〇五倍であったものが、今回は時点修正の結果三・三一倍に落ちたとかあるいは神戸市は四・〇三倍が三・三〇倍に落ちだとか、こういうようなことで、時点修正を加えることによってそういうような間の少なくとも物理的に取り得る最近の地価動向を勘案した評価がえを行わせていただいたというのが、この実態でございます。
  294. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 まことに奇妙な答弁があったものです。大臣は予期せざる事態が起きるほど大騒ぎになっているというときに、あなたの答弁は高くなるのじゃなくで反対に低くなったというように印象づけようとする答弁です。そんなものは三百代言にもならない答弁です。  そこで私は、きのう申し入れた点に沿ってお伺いしますが、今回の評価がえに際しては、九三年一月時点の公示地価に基づいて評価額が修正されております。九四年一月時点の公示地価は平均五・六%のマイナスと地価の下落が続いております。したがって、三年後の評価がえを待つまでもなくこういう地価の下落を評価額に反映させる方法を検討すべきだと思いますが、大臣いかがですか。きのう申し入れた点の一つです。
  295. 石井一

    国務大臣(石井一君) 研究課題だとは思います。  しかしながら、一億七千筆、どれだけの膨大な量が、しかもやはりこれに一応不公平なこともできません。大都市の一部にそういう異常が起こっておりますが、全体的には先ほど局長も答弁いたしましたように、公正中立に、これまで固定資産税がいささか問題があるというところを地価公示額からきっちり七割をめどにこういうものを設定した。しかしながら、御指摘のとおりその一年後、地価の下落が起こった。下落が起こっているということは、ある意味では庶民のサイドからすれば歓迎すべきことなのかもわかりません。その中に、固定資産税という問題でそういう問題提起が大都市の一部であるということも事実だと思います。  そういう中に、公正を期し、また所期の目的を達成し、なおかつそういう暫定的な措置が行われ、それが全国的に説得のできる方法なのかどうか、この点について一応研究をさせたいと思います。
  296. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 自治大臣にちょっとお伺いしますが、自治省が「固定資産税Q&A」という資料をつくって出していますが、これは御存じですか。
  297. 石井一

    国務大臣(石井一君) たまたまそれは私読んでおりません。
  298. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 大臣は研究課題だというところまではおっしゃった。検討の余地があるということまではおっしゃった。それを私らは三年後じゃなくて今やってもらわないと、逆転区があるわけですから。地価より高い評価額があるわけでしょう。これは三年後までほうっておくわけにはいきませんよ。そこで全国的にいろいろな騒ぎが出ている。それに対する答えを準備して、そういうものは大体一切やらないと、問答無用だと言わぬばかりの中身ですので、こういうことを自治省が言っているということを、大臣、念頭に置いて指導していただきたいと思います。  ついでですから一つだけお伺いしておきたいんですが、不服審査要求が出ていますね。これが私の知るところでは前回に比べてはるかに大規模に出ているわけですけれども、この状況だけ教えてください。
  299. 滝実

    政府委員(滝実君) 全国的に悉皆調査をするというわけにもまいりませんので、主要な都市を中心にして私どもで調べてみました。  全国の政令都市で調べてまいりますと、平成三年には政令都市合計で、東京都の特別区も入れまして約千六百件でございます。これに対しまして今回は七千三百件ばかり、こういう状況でございます。
  300. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私どもの調査ではもう全国で数万件に及んでいる、こういう認識です。そういう大変な騒ぎになっているわけです。ですから、改めて私どもはこの通達の白紙撤回ということを強く要求するものであります。もともと憲法上やっぱり租税法律主義に反する、一片の通達でこんなことをやるのは。  それが私どもの主張だということもあわせて問題提起し、大臣が検討する、研究するとおっしゃったところまではいいわけですが、そのテンポを三年後でなく現在に早めていただくことを再度要請いたします。
  301. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 以上で吉岡君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  302. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋君。
  303. 島袋宗康

    島袋宗康君 本日六月二十三日は、沖縄県戦没者慰霊の日でございます。本来であれば羽田総理大臣に出席していただきまして、私もまた参列をする予定でありましたけれども予算委員会の最終日ということでございますので、それもかなえることはできませんで残念に思っております。  また、最後の質問者でありまして、私の持ち時間も二分間ということで制限されていますので、突っ込んだ質問もできません。  そこで、慰霊の日の意義を踏まえて、世界の恒久平和を願って、羽田総理に我が国の安全保障問題と国連の問題についてお尋ねしたいというふうに思います。  まず初めに、歴代の政府は、我が国の安全保障政策を憲法と日米安保条約に基づくと主張してまいっております。しかし、実態はなし崩し的な憲法解釈と限りない米国主導の安全保障政策であります。そこで、羽田内閣は戦後五十年の節目に、一大プロジェクトとして我が国の安全保障政策の国民的なコンセンサスづくりをするために改めて取り組むお考えはないかどうか、総理の御決意を承りたいと思います。
  304. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 安全保障政策についてなし崩しというお話、あるいは憲法についてのなし崩し的な解釈というふうなお話があったわけでありますけれども、私どもはなし崩しで今日までやってきたというふうには考えておりません。そして、この日米安全保障条約というものが機能するといいますか、一つの抑止力として今日まで日本の国が安全でしかも安定した経済の発展あるいは国民生活の成長というものを遂げることができたことは、私は評価いたしておるところであります。  そして、確かにポスト冷戦ということで、冷戦構造というものが変わったということはもう間違いないことでありますけれども、しかし、御案内のとおりこのアジアにはまだ実は不安定要因があるということで、単に日米というだけではなくて、アメリカのアジアに対するプレゼンス、こういったものについてはアジアの人たちもこれを評価されておるということであります。  しかし、今お話がありましたように、安全保障というものは地域住民ですとかあるいは国民の中に本当に理解されるものでないときちんとした機能をなすことができないということ、このために私たちは、さらに国民の理解を得るために、日米安全保障条約を初めとして我が国の防衛政策等についてもさらに理解されるものに努力をいたしていかなければいけないということを今感じておることを率直に申し上げます。
  305. 島袋宗康

    島袋宗康君 政府はこれまで、日米関係は我が国の経済、外交、防衛の基軸であると主張してこられました。しかし、戦後五十年近くも他国の軍隊に軍事基地を提供し、駐留を認め、しかも今日ではその駐留軍経費の七〇%まで負担するに至っております。まことに異常な状態ではないでしょうか。これは、日本の平和や安全を米軍を傭兵化することによって担保するという点では、まさしく二重の異常であります。  よって、正常な日米関係の構築のためにも、日米安保条約の再点検、再検討の時期に来ていると私は思っております。総理の御見解を承りたいと思います。
  306. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私どもは米軍に対する駐留経費等の負担というものをしております。ホスト・ネーション・サポートといいますか、こういったことを進めております。これは事実でありますし、また確かに沖縄を初めとして基地を提供していることも事実であります。  しかし、これは何もアメリカを傭兵としてということではありませんで、アメリカの駐留しているものがある、そこに抑止力というものが働き、そしてこのアジアの地区全体もやっぱり平和に包まれておるということであろうというふうに考えておるわけでございます。  ただ、こういった負担等につきまして、私は国民の皆さんの理解を得るために我々もさらに努力をしていかなきゃならぬし、基地問題等につきましても、それぞれの基地の所在する地域の皆様方に理解をいただけるような努力というものはさらにする必要があろうと思っております。  それから、先ほどきょうは慰霊の日というお話がありまして、私どもも何とか出席したいということでありましたけれども、御案内のとおりの状況であります。しかし、各党の御理解をいただきまして佐藤長官が出席させていただいたということであります。ともかく、沖縄のあの当時の惨事を私たちは改めてきょうまた思い起こすことが大事であろう、そしてそういった災禍、戦禍というものを再び繰り返さないように、きょうこの日にまた心を戒めることが大事であるということもつけ加えさせていただきたいと思います。
  307. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 島袋君、時間が来ておりますので短く。
  308. 島袋宗康

    島袋宗康君 この時点で安保理常任理事国入りを希望する羽田総理の国連に対するイメージ、いわゆる日本が常任理事国になることによって国連をどう変えていくのか、そこで果たすべき日本の役割について展望がございましたら承りたいと思います。
  309. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 明年はちょうど国連の創設五十周年ということになります。そういう中で、国連の役割もポスト冷戦という中で非常に大きく変わってきておる、しかも地域の平和とか安全のために国連に対して要請というものが相次いでおるという状況であろうと思います。  そういう中で、国連そのものも改組しようという動きになっておりますし、また始まったときに五十一カ国だったものが今百八十四カ国になっておる。しかし、常任理事国は五カ国であり、そして非常任理事国を含みましても十数カ国ということでございまして、地域に偏在しておるということ、あるいは戦勝国だけであるということ、核保有国が常任理事国であるということ、そういった問題等もありましょう。  いずれにいたしましても、やっぱり新しい時代の要請する国連、そして国連にかわるものが今ないという現実でありますから、私どもは、この国連というものが今の時代のニーズにこたえる国連に改組するために日本は積極的に発言をすると同時に、やはり戦後五十年というものを日本は平和の中で、また世界の理解の中で今日を迎えることができたということで、そういうものを国連の場で発揮していくことが私は日本に与えられた使命であり、また日本のこれからの生きる道であろうというふうに考えております。  そういう意味で、国連の常任理事国に推薦されるならば、我々としては持てる力を十分発揮して世界の平和をつくるために全面的に働いていくことが必要であろう、積極的に働くことが必要であろうというふうに考えているところであります。
  310. 島袋宗康

    島袋宗康君 ありがとうございました。
  311. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 以上で島袋君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、平成六年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ―――――――――――――
  312. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) それでは、これより平成六年度総予算三案に対する討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。久世公堯君
  313. 久世公堯

    久世公堯君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成六年度予算三案に対し、反対の討論を行います。  景気の低迷など現下の我が国を取り巻く諸情勢を考えますと、予算年内編成と一日も早い成立が政府のとるべき道であります。しかし、連立与党政治改革への固執と自分勝手な権力闘争が予算編成とその審議を大幅におくらせました。この国民不在の政治責任はまことに重大であります。まさに、内閣の職務、責任の放棄にほかなりません。  さらに、総理の北朝鮮問題に対する軽薄発言からもわかるように、陳謝やおわび、言い直しばかりしているような確固たる理念を持たない羽田内閣は、総辞職をし、我々自由民主党に政権を返上すべきことを強く主張するものであります。  以下、反対の主な理由を申し上げます。  まず反対の第一の理由は、景気対策が不十分なことであります。政府景気対策として強調する所得税・住民税減税の実施は今年度限りのものであり、来年度以降の減税について何ら明言していないのであります。加えて、事あるごとの将来の消費税増税を強要する態度では、景気への効果は到底期待できません。  反対の第二の理由は、国民生活重視の方針が全く実現されていない点であります。  公共事業の配分比率の変更幅は、虫眼鏡で見なければわからないほど微々たるものであり、生活者重視のめり張りのきいた配分変更が実現されたとは到底言えません。また、計画の中間点を迎える高齢者保健福祉推進十カ年戦略も、推進率が五〇%を超えている施策はわずか二つにすぎず、高齢化社会への対応としては全く不十分であります。さらに、二十一世紀福祉ビジョンの目標数値は単なる理想にすぎず、実際の施策と全くつながっておりません。これをもって増税の根拠とされたのでは、国民はたまったものではありません。  反対の第三の理由は、私立学校助成費の大幅削減であります。  交付税率を現状に据え置いたままでの減額分の交付税への移行は地方への負担転嫁にほかならず、このような政府の姿勢は絶対に容認できないのであります。  反対の第四の理由は、財政の実態を国民の目から覆い隠している点であります。  政府が行ったNTT株活用事業資金の繰り上げ償還とその補てんとしての建設国債の発行という措置は、会計上の操作により赤字国債を建設国債へ振りかえたにすぎず、実質は赤字国債の発行と何ら変わらないのであります。さらに、総額二兆四千九百二十二億円にも上るいわゆる隠れ借金も財政の実態を故意にゆがめるものであり、こうした政府財政手法は絶対に認めることができません。  反対の第五の理由は、財政再建に積極的に取り。組む姿勢が見られないことであります。  国債残高が二百兆円を超えようという厳しい財政事情にありながら、政府は国債依存度を五%以下とするさきの財政再建目標を平成十一年度まで先延ばししたにすぎず、目標達成のめどは全くないと言っても過言ではなく、政府の姿勢を厳しく糾弾するものであります。  最後に、細川前総理の疑惑解明に不誠実な態度を取り続け、国民政治不信をいやが上にも増大させているほか、北朝鮮をめぐる有事への対応も全く考えていないようないいかげんな連立政権に断固抗議をし、再度総辞職を求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
  314. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、北村哲男君。
  315. 北村哲男

    ○北村哲男君 私は、日本社会党護憲民主連合を代表して、ただいま議題となりました平成六年度総予算三案に対し、賛成の討論を行います。  戦後既に半世紀近くが経過し、既存の社会構造及び政治構造に腐敗と閉塞状況が蔓延するに至り、その打開のためにまず政治改革が行われたことは歴史的必然であったと言わなければなりません。六年度予算においては、こうした認識の上に立ち、あらゆる行財政への見直しの第一歩をしるしたわけでありますが、本格的な所得税減税を含む景気対策、生活者の立場に立った公共事業の推進、福祉政策の充実、さらに防衛費の縮小などと、従来とは違った施策が盛り込まれたことは大いに評価できるものであります。  以下、平成六年度予算に賛成する主な理由を申し述べます。  賛成の第一の理由は、大規模な景気対策が盛り込まれている点です。  所得税、住民税等の減税は総額六兆円を超え、自民党政権下ではなし得なかった本格的なものであります。さらに、平成五年度第三次補正予算を合わせた公共事業費の総額は前年比二〇%を超えており、加えて中小企業対策、土地・住宅対策等まことに時宜を得た効果的な対策が盛り込まれるなど、減税をあわせてようやく明るい兆しか見えてきた景気回復の歩みをより確実にするものと大いに期待されます。  賛成の第二は、生活者重視の姿勢が強く打ち出されていることです。  生活関連公共事業として住宅、下水道、ごみ廃棄物処理対策などの予算が大幅に増額されたほか、今年度新しく自然公園、地下鉄工事等が公共事業費に計上されたことは高く評価されるところであります。さらに社会福祉では、いわゆるゴールドプランの単年度事業費が初めて五千億を突破しているほか、子育て支援予算が一段と充実強化されており、積極的に評価されるものであります。  賛成の第三は、防衛予算の伸び率を〇・九%に圧縮していることです。  冷戦構造終結を受け、今こそ軍縮と恒久平和実現のために我々は国際社会の先頭に立って努力していかなければなりません。今回の防衛費の圧縮は、こうした我が党の年来の主張を受け入れ正しい認識のもとに行われたものとして、まことに適切であると評価するものであります。  賛成の第四は、歳入面でも不公平税制の着実な是正が図られていることであります。  公益法人の収益事業からの寄附金や企業交際費、使途不明金についての課税強化を図るなど、従来の自民党政権下では既得権益として手がつけられなかった租税特別措置、非課税措置等に対して大胆な整理合理化のメスが入れられており、高く評価できます。  連立与党が取り組んだ平成六年度予算編成は新しい政策づくりへの第一歩でありましたが、そこで示されたさまざまな改革は、多くの国民の理解と支持を得て今後とも着実に推進していかなければならないものだと確信しております。  我が党は、活発な政策論議を繰り広げ、これら改革のさらなる推進に全力で取り組む決意であることを申し述べ、私の賛成討論を終わりたいと思います。(拍手)
  316. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、吉岡吉典君。
  317. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、議題となっている九四年度政府予算三案に対し、反対の討論を行います。  予算が六月二十三日にやっと採決に付されるというこの事態は、細川前内閣羽田内閣国民の生活要求や政治腐敗一掃の要求に逆らい、小選挙区制強行と細川前首相の金権腐敗擁護を貫いたことがもたらしたものであり、羽田内閣政権担当能力を持たないことを示すものであることをまず指摘するものであります。  反対の第一は、五年ぶりの赤字国債の発行など、十三兆六千四百三十億円の国債発行を図るとともに、国債残高削減のための定率繰り入れを停止するなどのやりくり予算だということであります。これにより、歳出に占める国債費の比率は一八・七%となり、国債残高は二百兆円の大台を上回るという不健全な予算であります。  第二は、戦後最悪と言われる不況の中で、不況に苦しむ国民の苦境を打開し、国民本位の経済の発展を展望できる抜本的な不況対策が求められていました。しかし、本予算景気回復の最大の目玉は六兆円規模の所得減税でありますが、これは所得のいかんにかかわらず一律二〇%の減税というもので、しかも今年一年限りの措置であります。  政府は、来年度以降も減税を続けるには、その財源として消費税の増税を認めよと国民に迫っています。六月中に結論を出し年内法案を通すという政府の増税計画のごり押しに断固反対するものであります。  不況の悪循環を打開するためには中小企業や雇用問題について抜本的対策が求められていますが、中小企業予算は十二年連続の削減という現状です。その一方、大銀行が抱える不良債権処理のためには巨額の減税措置を設けているのであります。  第三に、政府は高齢期にも健康で安心できる社会といいながら、年金の支給開始を六十五歳に引き上げ、入院時の食事代として一日八百円の患者負担を求める年金、医療の大改悪を押しつけようとしているのであります。  第四に、生活者重視などの言葉とは裏腹に、郵便料金、国立大学授業料など公共料金を軒並み値上げしようとしたことであります。これでは減税も吹き飛ぶという批判の前に、一部の引き上げについては年内は凍結しましたが、これも値上げ先送りされたにすぎません。  第五に、アメリカの強い要求を受け入れ、AWACS二機の購入など正面装備を増強するとともに、在日米軍への思いやり予算を大幅にふやすなどにより、今や世界第二位となった軍事費をさらに拡大していることであります。  以上の理由から本案に反対の意を表明し、討論を終わります。(拍手)
  318. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、白浜一良君。
  319. 白浜一良

    ○白浜一良君 私は、新緑風会及び公明党・国民会議を代表して、ただいま議題になっております平成六年度予算三案に対する賛成討論を行うものであります。  昨年八月の連立政権発足以来十カ月が経過し、この間、連立政権は、まず実現を目指した政治改革も完結直前であり、ガット・ウルグアイ・ラウンドにも積極的に対応するなど、難しい諸課題に真正面から取り組んでまいりました。連立政権がこうした改革の道を歩み続け政治の閉塞状態を打破してきたことは、大きな成果であり、高く評価すべきものであることをまず申し上げます。  さて、現在の我が国の経済事情を概観いたしますと、先ごろ発表された経企庁の月例経済報告や日銀の短観にも見られるとおり、在庫調整や資本ストック調整が進み、我が国の景気はようやく長いトンネルの出口に差しかかり、個人消費にもやや明るさが見えてまいりました。しかし、その一方で、依然として雇用、企業の設備投資等の面で厳しい情勢が続いております。  また、我が国の財政は、平成四年度決算において税収が戦後初めて二年連続して減少、その後の税収動向も注意が必要な状態になっております。さらに、公債残高は五年度で百九十兆円の巨額に上り、国債費が政策的経費を圧迫するなど、財政運営は構造的にますます厳しさを増し、機動的施策が強く望まれています。  政府は、以上のような経済・財政事情を踏まえ、平成五年度第三次補正予算とあわせ、可能な限り景気に配慮し、今後急速に進展する高齢化社会、核家族化、少子化社会を見据えて国民生活の質の向上を図るとともに、深刻な状況に陥っている財政の健全化に重点を置き平成六年度予算案を作成したものであり、一日も早い成立が望まれているところであります。  以下、本予算案に賛成する理由を申し述べます。  賛成の第一の理由は、景気に対し十分な配慮がなされていることであります。  本予算案において、公共事業費は対前年度化四・〇%増と、一般会計全体の伸び率一・〇%増を大幅に上回る伸びとなっております。しかも、五年度第三次補正予算と合わせたいわゆる十五カ月予算として見れば、公共事業費は実に二二・六%の高い伸びが確保されているのであります。  加えて、国民が待ち望んでいた五兆五千億円に上る所得税・住民税減税が盛り込まれ、公共事業の拡大と相まって、施策が相乗効果を発揮し、景気浮揚に大いに役立つものと期待されるのであります。  賛成の第二の理由は、生活者重視の予算配分となっている点であります。  公共事業費の事業別の伸び率を見ますと、廃棄物処理施設一四・四%増、水道一〇・〇%増、市街地整備九・五%増など、国民生活と密着した分野に手厚い予算配分が行われております。  福祉の面においても、ホームヘルパーやデイサービス等の事業の大幅拡充、在宅介護支援センターの充実を目指すゴールドプランの着実な実施を図っているほか、出生率の低下、核家族化の進展に対応しエンゼルプラン・プレリュードを創設するなど、児童家庭対策へ本格的に取り組む姿勢が見られ、極めて高く評価できるものであります。  このほか、文教及び科学振興費、中小企業対策費につきましても、おのおのそれを支えるマンパワーの充実に向けた施策が図られており、ハードからソフトヘの時代の流れに沿った事業が展開されております。  賛成の第三の理由は、国際化の進展に対応した内容となっている点であります。  本予算案における経済協力費の伸びは四・四%増と、主要経費中、実質的に最も高い伸びとなっており、厳しい財政状況の中でも国際貢献に対し特段の配慮が見られます。  内容的にも、途上国における人づくり支援に関する予算を大幅に増額するほか、エネルギー、人口、環境保全、公害防止など地球的規模の問題、さらに人権、難民といった今日的課題にも積極的に対応し、極めて適切な施策として国際的にも高い評価が得られると確信するものであります。  賛成の第四の理由は、防衛費が適切に計上されていることであります。  東西冷戦の終結という国際情勢の大きな変化を踏まえ、防衛費の伸びは〇・九%増と実に三十四年ぶりに低い伸びとなっております。  現下の厳しい財政状況のもと、防衛力全体として均衡のとれた態勢の維持、整備に努め、正面装備の予算を極力抑制する一方、隊舎、宿舎などの充実にはきめ細かな配慮が見られ、まことに適切な計上となっております。  以上のとおり、平成六年度予算案は、資金の重点的、効率的配分が必要とされる中で、景気浮揚の施策と国民生活の向上に最大限努力しております。本予算景気を大いに刺激し、その回復のテンポを速めるものであることを確信し、私の賛成討論といたします。(拍手)
  320. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算平成六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  321. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 多数と認めます。よって、平成六年度総予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  322. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十三分散会      ―――――・―――――