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1994-06-10 第129回国会 参議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月十日(金曜日)    午後二時三十分開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月九日     辞任         補欠選任      堀  利和君     菅野 久光君  六月十日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     野沢 太三君      山本 正和君     山田 健一君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         井上 吉夫君     理 事                 片山虎之助君                 久世 公堯君                 村上 正邦君                 梶原 敬義君                 北村 哲男君                 角田 義一君                 足立 良平君                 林  寛子君                 常松 克安君     委 員                 岩崎 純三君                 遠藤  要君                大河原太一郎君                 大島 慶久君                 沓掛 哲男君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 須藤良太郎君                 成瀬 守重君                 野沢 太三君                 野間  赳君                 服部三男雄君                 松浦 孝治君                 松谷蒼一郎君                 一井 淳治君                 上山 和人君                 川橋 幸子君                日下部禧代子君                 菅野 久光君                 谷畑  孝君                 種田  誠君                 三重野栄子君                 峰崎 直樹君                 山田 健一君                 山本 正和君                 藁科 滿治君                 池田  治君                 笹野 貞子君                 武田邦太郎君                 直嶋 正行君                 荒木 清寛君                 牛嶋  正君                 刈田 貞子君                 上田耕一郎君                 吉岡 吉典君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        内閣総理大臣   羽田  孜君        法 務 大 臣  中井  洽君        外 務 大 臣  柿澤 弘治君        大 蔵 大 臣  藤井 裕久君        文 部 大 臣  赤松 良子君        厚 生 大 臣  大内 啓伍君        農林水産大臣   加藤 六月君        通商産業大臣   畑 英次郎君        運 輸 大 臣  二見 伸明君        郵 政 大 臣  日笠 勝之君        労 働 大 臣  鳩山 邦夫君        建 設 大 臣  森本 晃司君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    石井  一君        国 務 大 臣         (内閣官房長官) 熊谷  弘君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  石田幸四郎君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)       (沖縄開発庁長        官)       佐藤 守良君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  神田  厚君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       寺澤 芳男君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近江巳記夫君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  浜四津敏子君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  左藤  恵君    政府委員        内閣官房内閣安        全保障室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障室        長        坪井 龍文君        内閣法制局長官  大出 峻郎君        内閣法制局第一        部長       津野  修君        警察庁刑事局長  垣見  隆君        警察庁刑事局保        安部長      中田 恒夫君        警察庁警備局長  菅沼 清高君        総務庁行政管理        局長       八木 俊道君        総務庁行政監察        局長       田中 一昭君        防衛庁防衛局長  村田 直昭君        防衛庁経理局長  秋山 昌廣君        経済企画庁調整        局長       小林  惇君        経済企画庁物価        局長       谷  弘一君        法務大臣官房長  原田 明夫君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  則定  衛君        法務省入国管理        局長       塚田 千裕君        外務省総合外交        政策局長     柳井 俊二君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     高野幸二郎君        外務省総合外交        政策局軍備管         理・科学審議官  林   暘君        外務省アジア局        長        川島  裕君        外務省経済局長  原口 幸市君        外務省経済協力        局長       平林  博君        外務省条約局長  丹波  實君        大蔵省主計局長  篠沢 恭助君        大蔵省主税局長  小川  是君        大蔵省関税局長  高橋 厚男君        大蔵省銀行局長  寺村 信行君        国税庁次長    三浦 正顯君        文部大臣官房長  吉田  茂君        文部省高等教育        局私学部長    泊  龍雄君        文部省学術国際        局長       佐藤 禎一君        厚生大臣官房総        務審議官     佐々木典夫君        厚生省社会・援  土井  豊君        護局長        厚生省老人保健  横尾 和子君        福祉局長        厚生省児童家庭  瀬田 公和君        局長        農林水産大臣官  高橋 政行君        房長        農林水産大臣官  澤井 義雄君        房経理課長        農林水産省経済  東  久雄君        局長        通商産業大臣官  江崎  格君        房総務審議官        通商産業省貿易  中川 勝弘君        局長        通商産業省産業  堤  富男君        政策局長        運輸大臣官房総        務審議官        兼貨物流通本部  和田 義文君        長        海上保安庁長官  井山 嗣夫君        郵政大臣官房財  楠田 修司君        務部長        郵政省電気通信  松野 春樹君        局長        建設大臣官房長  伴   襄君        建設省建設経済  小野 邦久君        局長        建設省道路局長  藤川 寛之君        建設省住宅局長  三井 康壽君        自治省行政局長  吉田 弘正君        自治省財政局長  湯浅 利夫君        自治省税務局長  滝   実君    事務局側        常任委員会専門  宮本 武夫君        員     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成六年度一般会計予算内閣提出、衆議院送 付) ○平成六年度特別会計予算内閣提出、衆議院送 付) ○平成六年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付) ○公聴会開会承認要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査  (派遣委員の報告に関する件)     ―――――――――――――
  2. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから予算委員会開会いたします。  平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算平成六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、総括質疑を行います。     ―――――――――――――
  3. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) まず、昨日の片山君の私学助成にかかわる質疑に関し文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。文部大臣赤松良子君。
  4. 赤松良子

    国務大臣赤松良子君) 昨日、片山先生から御指摘のございました私立学校等に対する助成につきまして、大蔵大臣及び自治大臣協議をして次のとおり整理し、所管大臣としての私から御答弁いたします。  今回の私立高等学校等経常費助成費補助一般補助減額措置につきましては、私立高校等に対する都道府県助成水準や現下の極めて厳しい財政事情等を勘案しつつ決定したものでありますが、これは同補助金一般財源化、すなわち補助金の廃止を意味するものではございません。  平成七年度以降の具体的な取り扱いについては、国の財政状況私学助成重要性都道府県における実際の助成状況等を勘案しつつ、予算編成過程におきまして適切に判断してまいりたいと存じます。  以上でございます。
  5. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) また、昨日の片山君の質疑に関し、大蔵省及び通産省の事務方のトップにかかわる問題につきまして、速記録を精査いたしましたところ、大蔵大臣答弁になお不明の点がございますので、この際、改めて大蔵大臣からその経緯内容について明確な説明を求めます。藤井大蔵大臣
  6. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 事務次官が各方面を回ったことについて、私の指示があったのか、また私が具体的にその事実を知っているかという点について、私から知りませんと申し上げたのは誤りであり、この発言を取り消させていただきます。私の発言につき委員会を空転させたことにつきましては、心からおわび申し上げます。  なぜ両次官は一緒に行脚したのか、大臣指示かとのお尋ねですが、そのようなことまで指示したり相談を受けたりしたわけではありません。  次官の行脚が税制改革についての協力要請だったのではないかとのお尋ねですが、税制につきましても意見の交換を行うとともに、私ども税制についての考え方をお伝えいたし、協力方を要請いたしました。     ―――――――――――――
  7. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 片山虎之助君の残余の関連質疑を行います。片山君。
  8. 片山虎之助

    片山虎之助君 ただいま文部大臣大蔵大臣から御答弁をいただきました。満足すべきものでも必ずしもないんですけれども、私は了といたします。  さらに、先ほど当予算委員会理事会斎藤大蔵事務次官が出席いたしまして、年末の一連の行動、さらにきのうの発言について、釈明と陳謝がありました。それも了といたしました。  そこで、大蔵大臣に一言申し上げたいんです。私も大蔵政務次官をやらせていただきましたが、大蔵省のお役人は大変有能使命感責任感に私はあふれていると思います。しかし、あふれ過ぎまして時々勇み足があるんです。ぜひ大臣大蔵省の御出身でもありますし、今後、大所高所から適切なる御指導あるいは御監督をお願いいたしたいと思います。特に税制につきましては、何度も言いますように、増税に対しましては謙虚に慎重に、場合によっては憶病に対処していただきたいことを最後に申し添えさせていただきます。  それでは、次の質問に入ります。  昨日も少し申し上げましたが、今回の税制改革直間比率の見直し、消費税増税の背景にやはり高齢化社会における福祉需要の増大ということが挙げられておりまして、実は厚生省において二十一世紀福祉ビジョンというのが先般発表されたわけであります。私はこれの中を読ませていただきまして、いろいろ問題があるんではないか、こういう感じがするんです。  実はこの福祉ビジョンなるものは、昨年の秋に厚生大臣私的懇談会をおつくりになって、そこに諮問されて出てきたものなんですね。それがそのまま公式な福祉ビジョンみたいに世の中ではまかり通っているんですよ。しかし、これは私は、厚生省としても正式にこれがビジョンだと決めたものでもないような気がいたしますし、いわんや内閣として閣議決定も何もしていないんですから、各省庁協議も何もないんですから、これが公式な認知されたものとは思わないわけであります。  したがって、この二十一世紀福祉ビジョンなるものを、何でこういうものをおつくりになるという御発想をされたか、その経過と位置づけを厚生大臣お尋ねいたしたいと思います。
  9. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 八月の九日に厚生大臣に就任いたしまして、それよりさき、実は消費税の問題が議論されたときに、これは昭和六十三年でございますが、私自身が当時の自民党の安倍幹事長と徹夜にわたる論議を重ねたのでございますが、あのときに実は高齢化福祉ビジョンというものの提示を求めた経緯がございます。その段階である程度定性的なものが出たのでございますが、定量的なものは示されなかったのでございます。  御案内のように超高齢化社会あるいは少子社会という二つの大きな流れが急速に進行してまいりまして、社会保障そのものについてやっぱり再検討し、社会保障全体についての再構築を行う必要があると私は前々から考えておりましたので、大臣就任早々事務当局に対してそういうものをつくり上げる必要があると。と申しますのは、国民の約七割以上の人々が老後に対して不安を持っている。そういう現状も踏まえまして、当時はもちろん税制論議はなかったわけでございますが、そういうものと離れて、これから二十一世紀に向かいます日本社会保障のあるべき姿というものを定量的な面においても、つまり財源的な問題についても考えようではないかということでお願いを申し上げまして、懇談会を設け、そして三月二十八日、六カ月余の御検討を賜りましてその案をちょうだいしたと。  その動機と経過は以上のとおりでございます。
  10. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、私は余り時間がないのでいろいろとしゃべれないんですが、内容面につきましてはいい点もあるんですよ。例えば年金医療福祉のバランスを変えるとか、介護対策を大いにやるとか、市町村をある程度表に引っ張り出してちゃんとやらせるとか、いいんですが、私の見るところ目標数値推計値と施策が一つもつながっていないんです。目標数値は夢のようなことを書いてあるんですよ。  例えば老人で言いますと、毎日ホームヘルパーが来る、週に三回はデイサービスが受けられると。いいんですよ。私はそれはいいと思いますよ。それじゃ、例えば特養ベッド数をどうするのか、それからホームヘルパーを幾らふやすのかとか、デイサービス機能をどうするのか。それから特養について言えば、待たずに入れると。それじゃ具体的にそのためのマンパワー確保をどうするんだと。ホームヘルパーの人的なあれが要るわけですから、そこが一つもつながっていないような私は気がする。その点、大臣、どうですか。時間があればもっと細かく言いますけれども
  11. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) もちろん、懇談会の諸先生方において検討をしていただいたわけでございますが、医療年金福祉というのはもちろんそれぞれ別個の問題ではありますが、それぞれ深くつながり合った問題でございます。  したがって、それらのつながり合いをも配慮しながら、これは現在日本にはそれなりの統計がございますが、その統計をできるだけ活用させていただきまして、もちろん一定前提を置いているわけでございますが、推定できる一つの計数をできるだけ合理的にはじいてみようというところから一つ推計値を出しているわけでございます。  ただ、これは年次計画、つまり予算を伴った年次計画ではございませんで、あくまでもビジョンでございますから、一つ傾向値等、つまり一定推定値前提もとにしてはじいておりますので、厳密な意味で積み上げた数字ではもちろんございません。  しかし、やはり統計には一つ傾向を示されているわけでございますから、そういう我々が考慮し得る推定傾向というものを配慮して、そしてその三者の関係も十分考えながら一つの構想を出したものでございまして、これは今までにない一つの画期的な試みであったと我々は考えております。
  12. 片山虎之助

    片山虎之助君 もう本当に時間がなくて困るんですが、今このビジョンの中にケースⅡというのがありますね、説明しませんけれども。それで老人対策は、現状のものがケースⅡでいくと四兆円になるんですよ。それから、児童対策は二兆円が五兆円になると言っているんですよ。ここで五兆給付がふえるんですよね。これもいかにも大ざっぱで、六年後にそういうことができるとはとても私は思えないわけですよね。  そういう点は積み上げられていないんだということは、どういう計算をされたんですか。
  13. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) これを詳細に御説明すると相当時間がかかりますが、若干お許しをいただきたいと思います。  今御指摘ケースーでございますが、ケースⅡの場合は、老人介護対策につきましてはこれが約倍増して四兆円になるという計算をはじいているわけですが、その積算根拠は何かというお尋ねだと思うんですね。  これは一つは、ゴールドプランなどの経費につきましては、御案内のとおり、昨年来地方自治体に対しまして老人保健福祉計画というものをお願い申し上げまして、日本都道府県のほとんど全部に近いもの、若干の漏れがございますが、ほとんどのものがその計画というものを出してきております。そこから高齢者のニーズの増加傾向というものがある程度把握できます。したがいまして、それを一つもとにいたしまして現行制度の一・六倍、額といたしましては三兆二千億になる、こういうふうに私ども推計をいたしました。  また、その中、六カ月以上長期入院老人患者などにかかる医療費のうち、これは一人一カ月当たり二十五万円相当でございますが、これは合計一兆二千億、これが老人介護対策に移管計上しなければならない。したがいまして、合計四兆四千億ということになるわけでございますが、四捨五入をいたしまして約四兆円、こういうことでお話を申し上げたわけでございます。  現在、二〇〇〇年の段階では大体長期入院者は四十万人ぐらいと、こういうふうに推計されるわけでございますが、これから在宅介護を強力に推進した場合にはその約三十万人が在宅介護に移っていくであろうと。これがまた医療費効率化にも結びついていくわけでございますが、したがいまして約四兆円という積算をそこでしたのでございます。
  14. 片山虎之助

    片山虎之助君 老人についてはゴールドプランもあるんですよ。それから、今言われた市町村がつくる福祉計画もありますよ。ところがそれは、今大臣が言われた、積み上げただけなんです、チェックも何もしていないんだから、市町村のものは。いわんやこれが児童対策については何にもないんですよね。今言われたのは、二十五から三十四までの出産、子育ての女性の就業率が六六%になる、望めば全部保育しますよ、しかもかなり質の高い保育で手当てしますよ、それで二兆を五兆にしているんですよね。  私は、これは時間があれば細かくいろいろ議論をしますけれども、ありませんからあれですが、こういうふわふわしたカステラみたいなビジョンで最も厳重な詰めが要る税制根拠にされるというところは私は困ると思う、間に新ゴールドプランなりエンゼルプランをつくらないと。それを税制根拠にして税を幾ら引き上げる、どうするということにつなげるのは、私は大変乱暴だと思いますよ。
  15. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) さっき児童対策児童家庭対策についてお尋ねがありましたが、時間の関係で実は割愛したのでございますが、今のその二兆が五兆円にふえるというところについても我々なりの相当積算がございまして、お許しをいただいて若干申し上げたいのでございます。  ゼロ歳児につきましては、その三三%が育児休業等を利用いたしまして、それから三三%が保育サービスを利用するものといたしまして、残りの三四%は家庭内で保育される、これが一つでございます。  また、一歳から二歳児につきましては、一年の育児休業期間が終了することに伴いまして、六六%が保育サービスの利用をするものといたします。  それから三つ目には、三歳児から六歳児につきましては、現在と同様、大体五〇%が幼稚園を利用し三三%が保育サービスを利用するものとするというふうに推計されますし、また小学校の一年から三年生の学童につきましては六六%が放課後児童クラブ等を利用すると、こういうふうに考えておりまして、上記の区分、児童数年齢別保育単価及び徴収金というものを考慮いたしまして、将来の年齢別児童数推計もと予測年次保育サービス経費を算定したものでございます。  何か大づかみにカステラのように積み上げてきたということではないのでございまして、現在我々が推計できる、あらゆる統計を活用いたしまして推計できる数値というものをはじいているわけでございます。
  16. 片山虎之助

    片山虎之助君 これは大変関係あるのは、国の関係では大蔵省地方関係地方の負担では自治省だと思いますが、恐らく各省庁のきちっと協議したものでないんですね。合意してないと私は思うんですが、大蔵大臣自治大臣、御所見いかがですか。
  17. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 厚生省において相当、今お話、一端が出ましたように、勉強されておつくりになったものと私どもは承知をいたしております。  この税制調査会に出した機械計算の際にも税制調査会の方から三つの条件というのを申し上げましたけれども、それに加えまして、税制調査会からケースⅡを前提にひとつ計算してもらえないかというサジェスチョンをいただいたことも事実でございます。
  18. 石井一

    国務大臣石井一君) 必ずしも事前に協議を受けたわけではございませんが、厚生省の出されましたことを子細に検討し、特に今後の高齢化社会に対応するためにこの資料を基礎に、しかも地方財政は非常に圧迫され直間比率は非常な偏った形になっておりますので、そういうことを基礎に今後の展望を開いていきたい、そのように思っております。
  19. 片山虎之助

    片山虎之助君 今の大蔵大臣の御答弁だと、税調ではさらにチェックするというふうに受け取っていいんでしょうか。  それから、自治大臣、これは箱物ですね、福祉施設整備費だとかマンパワー確保養成費だとか地方団体によってプラスアルファの介護費だとかその他の経費一つも入ってないんですよ。地方単独事業なんか一切入っていないですよ。いかがですか。
  20. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 税制調査会がそのようなことまで入るかどうかはこれは税制調査会の問題でございますが、これは厚生省厚生大臣がお答えになることだと思いますが、やはりこのビジョンについてもいろいろな御議論が出るということは当然お考えになっていらっしゃるんじゃないかと思います。
  21. 石井一

    国務大臣石井一君) そこまで詳しく詰めていないことは事実でしょう。
  22. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 今御指摘の中で、地方単独事業といったようなものは全く含まれていないではないかと。  これは先生よく御存じかと思いますが、社会保障の給付という中にはそうした施設費の単独事業といったようなものは含めないで計算をするようになっております。これはILOの一つの基準でもそうなっているわけでございます。したがって、そういうものは入れていないのであります。
  23. 片山虎之助

    片山虎之助君 いやいや、だからこれが本当の総体的な二十一世紀福祉ビジョンかと言っているんですよ。給付が生きるためには箱も要るんですよ。人も、マンパワーも要るんですよ。そういうものに目配りをした計画になっていないと私は思うんですよ。どうですか。
  24. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 御指摘の点は、実はこれは相当難しい問題を含んでいるわけでございます。というのは、地方単独事業の場合は、御案内のとおり三千三百を超える地方自治体、つまり地方公共団体によりましてそのやり方、計画というものは千差万別でございまして、明確な基準に基づく正確な統計現状ではございません。したがいまして、内容の吟味や整理もできないことから、社会保障、つまり私どもの分野における社会保障の給付費には計上されていないわけでございます。  今回のビジョンにおきましては、住民に身近な市町村を中心としてそれぞれの地域の実情に即しました多様な施策の展開が図られるようその基盤整備が行われることが必要である、そういう地方重視の方向を示していることはごらんいただいておわかりのとおりでございますが、地方単独事業という問題は、社会保障の給付をこれから我々がどう考えていくべきかという問題とは別個の問題でございますが、しかし今委員指摘のように、そういっても箱物社会保障の整備にとっては重要ではないかという御指摘はそのとおりだと思うのであります。
  25. 片山虎之助

    片山虎之助君 いやいや、私は地方単独事業だけを問題にしているんじゃないんですよ。地方単独事業もあるけれども、今もいみじくも厚生大臣が言われた特別養護老人ホームを初めとした箱をどうするんですか。在宅福祉をかなり拡充していくにしても、まだ施設収容型の福祉が強いんですよ。それよりもマンパワーですよ。一番問題なのはマンパワー。それが一つもこのビジョンには入っていないんですよ。これは大変不完全な福祉ビジョンだと私は思いますよ。どうお考えですか。
  26. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 御案内のように、これから福祉重視という面での社会保障制度の再構築をやろうという考え方がこの福祉ビジョンに示されているわけでございますが、現在介護を必要とする御老人の数は約二百万人でございます。二〇〇〇年の段階で二百八十万人、二〇二五年の段階で五百二十万人というこのマンパワーをどうするか。例えば看護職員あるいは介護職員、それぞれの実は数値につきましても、我々なりに今の統計であるいは今の推計推計し得るものはそれなりにはじきまして、そして例えばゴールドプランの見直し、例えば一・六倍という数字を示しているわけでございますが、その数値についても我々なりに積算根拠を持ちながら提案を申し上げているわけであります。
  27. 片山虎之助

    片山虎之助君 いやいや、答弁になっていないですよ。言ってください、箱物マンパワー経費や試算のいろんなあれが入っていますかと聞いているんですから。――だめだ、大臣だよ。
  28. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) いや、箱物については入っていないんじゃないかというような御議論がございましたが、社会保障給付費として我々がはじいているものの中には、例えば老人ホームをどのぐらいつくるかとか、あるいは老健施設をどのぐらいつくるべきかそういうものはもちろん全部入っているわけでございます。  私が申し上げているのは、地方単独事業というお話がございましたので、それについては社会保障の給付費の中には含めておりませんと、こういうことを申し上げたわけであります。
  29. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) 若干補足をさせていただきます。  施設整備費等につきましては、大臣が今御説明しましたように、基本的に今度の推計につきましては社会保障給付費の概念でやっておりますわけですが、施設整備につきましてはいわゆる社会保障給付費、基本的には保険料財源とそれから社会保障に係る租税財源があるわけですが、それ以外の、社会保障給付費に係る負担以外のその他租税ということで分類することになっております。つまり、施設整備費の一般的なものにつきましてはその他租税という中で見ておるということでございます。そういう意味で、施設整備費の通常のもの、それから地方単独事業等でやっているものにつきましてはいわゆる租税財源ということでカバーされている。  今回のは、いわゆる租税財源以外のものをやってございます。租税財源で、今その他租税と言われていますのは、私ども大蔵省の方の数字で国、地方を含めて国民所得比二〇・八%であるというふうに承知をしておりまして、それは私どもの方は今回特に操作するとかという立場ではございませんので見ておらないところでございます。
  30. 片山虎之助

    片山虎之助君 わけわかりませんよ。それじゃあなた、四兆なり五兆なりの中に入っているのかどうか、箱とマンパワー
  31. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) マンパワーにつきましては、社会保障給付費の運営費を老人ホームの運営費と見込んでおるわけでございますが、先ほどの例えはゴールドプラン、ただいまのは完成したといたしました場合の一・六倍というふうに見込んでおります。その中で対応してくることと考えております。  それから、施設整備費につきましても、通常の整備費につきましては国民所得の伸びで伸びていくということでその他租税で見ていただくわけでございますが、通常の国民所得の伸び、今回は五%、四%で見ておりますが、その伸びを上回ってくる増加分につきましては、例外的に先ほどの一・六倍と見込んだ総額の枠の中で見ていくというふうな形で見込んでおるところでございます。そういう意味では対応できるものと、額の上ではそう見込んでございます。
  32. 片山虎之助

    片山虎之助君 あなたの言う目標水準と一・六倍というのは、市町村計画を積み上げたのが一・六倍になっているんですよ。それで一・六倍のマンパワー確保ができるの。
  33. 佐々木典夫

    政府委員佐々木典夫君) お答えいたします。  マンパワー確保ができるかということでございますが、社会保障給付費の中で福祉等の費用につきましては、先生御案内のとおり、例えば老人ホームの運営費あるいは保育所の措置費等が含まれているわけでございます。これにつきましてはいわゆる措置費という観念で人件費が入っておりまして、ただいま予定をしておりますゴールドプラン等の伸びの中で人件費見合いのものは含んでおるということでございますから、当然カバーできるものというふうに考えております。  ただ、私どもとしましては、二〇〇〇年時点で六割増というふうに見込んでおるわけでございますが、これはこれからゴールドプラン等を具体化する中でこの額を計上しておりまして、ビジョン段階でこういたしてございますが、十分に賄える額というふうなことで、そういう前提もとで計上をいたしておる、こんなことでございます。
  34. 片山虎之助

    片山虎之助君 今聞いても大変粗っぽいんですよ。ずさんなんです。私はこれを税制改革の大きな論拠にするのは間違いだと思う。これに基づく老人のための新ゴールドプランなり子供のためのエンゼルプランというのがきちっと出てこなけりゃいかぬのですよ。しかも、大蔵省自治省を中心にして各省がきちっと協議してそれが出てくれば私は税制改革の論拠になり得ると思うんだけれども、これを税制改革の論拠にするのは反対でございますが、厚生大臣、いかがですか。
  35. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) お示し申し上げたのは一つビジョンでございまして、先ほどから申し上げているように、積み上げた数字の年次計画ではもちろんございません。そして、このビジョンの作成というのは税制論議の前に既に着手しているわけでございまして、そのビジョン一つの結果の中から、超高齢化社会あるいは少子社会の中で社会保障の給付費というのが非常な速度で伸びていくであろう、こういう推定値を出しているわけでございます。そして、それが年金医療福祉という各段階におきまして専門的に詰められて年次計画という形で固まってくるわけでございます。  例えば、かつて昭和五十年あるいは五十七年、これは自民党政権時代の場合におきまして、社会保障の今後の将来像等々について御検討をいただきまして定性的なビジョンが出たのでございますが、それは後に年金医療福祉という各分野でさらに詰められまして、これが各種の法改正として具体化していったということがございます。  今度の福祉ビジョンというのは一つの素材でございまして、そういうものを通じましてこれからの社会保障の財源問題等についていろんな論議が深まっていくということになれば、我々としては幸いである、好ましいことであるというふうに考えております。
  36. 片山虎之助

    片山虎之助君 答弁になっていません。私は新ゴールドプランエンゼルプランをどうするのかと聞いたんです。それと税制をどう結びつけるのか。
  37. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) ビジョンという問題と年次計画としての例えは新ゴールドプランというものが一緒に議論されているような感じがいたしますが、御案内のとおり、ゴールドプランにつきましては一定計画がございますが、これを前倒しにしたり、あるいは一・六倍にする構想というものはできるだけ早い機会に、今積算で詰めておりますが、これは出したいと思っていることが一つ。  それからエンゼルプランにつきましては、私どもは、まだエンゼルプランまでいっておりませんのでプレリュードという形で出しているわけでございますが、しかし、それでも政策の方向としては、保育関係では相当多様なニーズにこたえるような保育制度等も提案をいたしておりまして、これもエンゼルプラン・プレリュードからプランに変えるために目下作業をしているさなかでございます。
  38. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  39. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  40. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 側質問の中に、ゴールドプランを見直して新ゴールドプランといったようなものをつくる、こう言われているが、それがまた具体的に示されていないではないかというお話がございました。  先ほど来申し上げたのは、ビジョンというものの性格上、私どもができ得る限りの数字はこういう性格のものでございますということを申し上げてきたのでございますが、先生お尋ねの新ゴールドプランにつきまして目下鋭意作業を重ねておりまして、恐らくこの夏の段階では来年度予算編成に向けまして概算要求をいたさなければなりません。したがって、その段階において新ゴールドプランというものを厚生省としては確定をいたしましてその概算要求に反映させたい、こう考えております。
  41. 片山虎之助

    片山虎之助君 二十一世紀高齢化社会において、福祉増税の一番大きな理由になっているんですよ。それが、今のビジョンは非常にふわふわしたものですよ。カステラのようなもの。だからそれは、きちっとした新ゴールドプランエンゼルプランを概算要求時の八月までにおつくりになると言うのなら、私は増税論議は税率も時期もそれまで待つべきだと思う。いかがですか。
  42. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 答弁はだれに。大蔵大臣、それとも厚生大臣
  43. 片山虎之助

    片山虎之助君 総理に。
  44. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 今御議論をずっと承っておりますけれども、私どもの方は政府税調あるいは連立与党の中で今議論をされております。そういった中で、税制改革に向けての一つの方向というものを示してくるであろうというふうに思っております。それは要するに率がどうであるとかそういった細かい問題については、まさに我々は調査会の中で報告を受けながら、これをまた政府として詰めていかなければならないものであろうというふうに思っております。  いずれにしましても、どういう形で報告をしていただくか、このあたりは今まだ作業の最中であるということでありますから、私からこれ以上申し上げることは控えたいと思います。
  45. 片山虎之助

    片山虎之助君 増税が必要な福祉の需要というのがどうなるかきちっと決まらないふわっとしたビジョン段階で税率や時期を決めるのは、私は問題だと思う。ビジョンじゃなくてきちっとプランが出るんですから、概算要求、二カ月待でないことはない。私はそれまで増税論議税制改革論議は凍結すべきだと思いますが、いかがですか総理。
  46. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 税制論議は、当然今御指摘があったこともあります。それと同時に、やはり何というんですか、特例の措置を今やっておる、そういった中で間違いなく財政の欠陥というものは出てきておるわけでありますから、こういったものにも対応していかなければならないわけでございますし、また不公平税制の問題もあるでしょう、あるいは行政改革の問題もありましょう、そういった問題についてやっぱり議論していく必要はあろうというふうに考えております。
  47. 片山虎之助

    片山虎之助君 わかりますよ、税制の欠陥、財政のいろんなこと。しかし、ネット増税福祉でやるんです。その福祉ビジョンがきちっと決まるまで私は待てないことはないと思います。二カ月待てない理由があるんでしょうか。六月中に成案を得ると言われたそのことですか。
  48. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 片山先生よく御存じの上で聞かれているのではないかと思いますが、福祉ビジョンというのは、言うまでもなく相当長期にわたりました一つの構想でございます。それからゴールドプランというのは、中期的な一つの構想の中で、来年度予算に関するものについて、相当確たるものを持って提案をしていくわけでございます。  税制論議というのも、先生よく御存じのとおり、相当中長期にわたりまして議論をするものでございますから、福祉ビジョンというものがそういうものを考える場合に一つの素材として検討の対象になる。それが何か基準で決まっていくわけではないとは思いますが、そういうものが税制論議の素材になるということは、これまで自民党政権のもとで出してきたいろいろな構想の場合においても行われたわけでございまして、同様のことを今、(発言する者あり)いや、先ほど申し上げましたように、私は事実関係を申し上げているのでございまして、五十年、五十七年のあのビジョンの場合でもそういうものが深くかかわっていったわけでございます。  したがって、私は、税制論議というものもそういうゴールドプランの来年度予算要求が出なければこれはできないといったようなものではなくて、やはり中長期的な展望に立ちまして一つの構想というものを考え、そして来年どうするかという問題はまた別の問題として考えるべきものではないか。これはもう片山先生も、非常に常識的なことでございますので、よく御理解いただけるのではないかと思うのであります。
  49. 片山虎之助

    片山虎之助君 時間がなくなったんですが、総理、急がれるのはやっぱり日米首脳会議とナポリ・サミットにお土産が要るんじゃないかという説がありますよ、私はよくわかりませんけれども。  税制というのは、しかも増税というのは、国民にとっては白昼金品を強奪されるようなことなんですよ、本当に。ちょっと表現がよくないですけれども。だから大変な関心がある。きちっと精緻な議論を積み上げていくことが国民の結局は理解を得る。急がば回れですよ。だから私は、今のゴールドプラン、新ゴールドプランまで、エンゼルプランが形を整える、来年度の概算要求だけじゃありませんよ、そういう時期まで論議をもっと丁寧にやっていくということが必要だと思いますけれども、いかがですか。
  50. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) サミットに持っていくとかお土産、そんなものではない。日本のこの国の国民の生活をどうしていくのかその政策を進めるために財政面ではどう対応するのかということ、これがやっぱり私は基本であるということ、これははっきり申し上げたいと思います。  それから、今のお話の新福祉ビジョンにつきましては、先ほど来大内厚生大臣からもお話してございますけれども、やっぱり厚生省が中心になりながら鋭意これをプラン化していくために努めていくことであろうと思います。その前提もとに、大きな方向を示します福祉ビジョンは現在もう既にあるわけでございますから、これをもとにして税制論議というものは私ども進めさせていただかなければならないということをぜひ御理解をお願い申し上げたいと存じます。
  51. 片山虎之助

    片山虎之助君 このビジョンについてはなお私は議論したいと思います。特に、この後時間があれば聞こうと思いました、適正給付適正負担とこのビジョンの目標がどうつながるのか。この適正の意味は、負担と給付が適正なのか、負担と給付がそれぞれ独立して適正なのか。ちょっと昨日も御答弁がありましたが、私はそれを詰めてこれとつないで議論したいと思いましたが、時間がありませんので、総括質疑中に再度この問題で議論させていただくことを申し上げまして、私の質疑は終わります。  ありがとうございました。
  52. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 以上で倉田君の質疑は終了いたしました。(拍手)
  53. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、梶原敬義君の質疑を行います。梶原君。
  54. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 日本社会党の梶原でございます。  予算の審議が大変おくれまして、やっと参議院に来て、今予算の審議が始まったばかりであります。私ども予算編成にもタッチをいたしましたし、国民生活を考えた場合、あるいは今低迷しているこの経済状況を考えた場合に、一刻も早くこの予算を成立させるのが急務だと考えておりまして、我々も全力を挙げたいと思っております。政府の方も真剣にこれから対応されますように心から要請をしたいと思います。  総理大臣、私どもちょっと過去を振り返ってみますと、羽田総理の指名のときに、私ども社会党の中にもこれは一発で指名ができるかなと参議院で心配をしておりましたが、本当に皆さんが第一回の投票で、社会党の中も皆さん協力をして羽田総理の指名に全力を挙げて一度で指名ができたわけでございます。私も国対の役員をしておりまして、大変うれしく思いました。そしてその後、あのような形で我々の信頼を裏切られて非常に残念な状況の中で政権を離脱した、そういう経緯があります。  そういう状況の中でずっと総理の姿を見ておりますと、内村鑑三さんの信念としておられた一日一生というそういうつもりで頑張ると言われるその総理の姿勢あるいは姿について、我々も心の奥が何となく理解できるような気持ちでおります。  総理の今の心境と、そしてこのような異常な少数与党の内閣、こういう状況をどのように打破、打開していくのか、どういう考えに立っておられるのか、聞きたいと思います。
  55. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) まさにこの十カ月前ですか、ともにスタートした連立の政権、この歩みの中で八カ月間、社会党の皆様方といろんな議論をしながらともに苦労してきたこと、そして一つずつ難しい問題を乗り越えながらやってきたこと、これは私はやっぱり一つの新しい日本の政治の道を示したものであろうというふうに思っておりまして、この八カ月というものを振り返りながら、この歩みに対して私は誇りを持つということを常に言ってまいりました。  ただ、今御指摘がありましたように、ちょうど私自身が指名された直後のことでありました。私もいろんな情報を知らなかったのかどうなんだということをよく言われますけれども、実際に官邸の中に入って、しかも周りが全部かわってしまう、秘書官も全部違ってしまうという中で、外からの情報というのは実際になかなか入りにくかったというのが現実であります。  そういう中で、結論として、いろんな言葉ですとかあるいは受け取り方の行き違いというものからこういうことになってしまったことは本当に残念に思いましたし、また皆様方にいろんな思いをさせてしまったことは、これは私自身本当に、一票をちょうだいしながらああいうことになったということに対してはもう心から申しわけなく思っておったことで、あの日のうちにも私のみずからの言葉でそれこそそれが残念であることを述べだというような次第であります。  いずれにしましても、私どもはこれからもそういった面についても誠心誠意皆様にいろんな面で御協力をお願いしていきたいというのが私の今の思いであります。  そして、少数与党の発足になったわけでありますけれども、衆議院でも申し上げたことでありますけれども、私どもの前に山積いたします内外の課題というのは、これは今はやっぱり避けて通れない課題であろうというふうに思っております。決して楽しい話だけじゃない、みんなつらい苦しい話きりでありますけれども、今ここで我々はそれを避けてはならない問題であろう。これはもう与党とか野党という問題ではなくて、避けては通れない問題であろうということであります。その意味で、そういう課題を、難しい問題でありますけれども、率直に皆様に提示し、そして御協力をお願いするということで、誠心誠意努めていきたいというふうに思っております。  そういう意味で、もう一日一日が一生のつもりでひとつやっていく。内村鑑三先生のお名前を今出していただいたわけでありますけれども、そんなつもりで、やっぱり私たちは誠心誠意尽くしていくことが大事なことであろうというふうに考えておりますので、与党、野党の皆様方にもいろんな面で御理解をいただくお願いを申し上げなきゃならぬと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 この間いろいろ見ていますと、何か自分の選挙がまずどうなるのか、あるいは自分の政党がどうなるのか、あるいは政党と政党の組み合わせをするということは選挙が有利になるかならぬのか、こんな議論ばかりが非常に多いんですね。私はしっかりいいことをやれば必ず国民の皆さんはそれは見てくれる、このように思っております。これはもうだれとは言いませんが、何かもうそればかりせっからで、戦略的にそういうことばかり考えているような気がしてなりません。  私は船戸さんという人が書いた「勝海舟」という本をこの前ちょっとふらっと読みました。この人が書いているのは、薩摩の島津斉彬公と勝海舟が初めて会ったときに、これは鹿児島で会うんですが、この人が非常に勝海舟を評価しておりまして、そのときは砲術師範の奉行か何かで、その彼がこう言っているんですよね。「勝殿は小普請組の出と聞いておったが、よくここまで精励されたものよ。余は自分の力でつき進む者を好ましく思う。きょうは他出しておってここに参っておらぬが、余の庭番に西郷吉之助と申す者がおる。なかなかの利け者だ。勝殿にいつか引き合わせてやろう。話が合うかもしれぬ」ということで、その後何年かして、京都ですか、勝海舟と坂本竜馬の歴史的な出会いがあるんですね。  それはそれといたしまして、島津斉彬公が勝海舟に「勝殿はさらに多くの人の上に立つようになろう。そのときのために、人を用いるには、急ぐな。一つの事業は十年たたねば形がはっきりせぬ。この二つのことを心されよ」と、こう言っておるんですね。  この幕末の維新の皆さんというのは、非常に若いにもかかわらず、外交にしても列強を相手にして外交をする、あるいは国内を統一する。外交、内政についてもそういう点では本当に身を捨てて頑張ってこられた。それに比べますと、今日の我々のリード、政治というのは、きょう先ほどお話がありましたように、例えば国民福祉税の問題にしても、あるいは衆議院で議論になりました核使用のああいう国際司法裁判に対する陳述書の問題にしても、あるいは予算編成を十二月にするべきところをまた先に延ばしてみたり、こういうやり方というのは何だか官僚に引っ張られてしまっておるというような気がしてならない。やっぱり国の基本とか国の方針を決めるのはこれは政治でなけりゃならない、そのように思うわけであります。  そういう意味で、こういう大局あるいは基本の判断というものは、役人がつくった線に乗っていくんではなくて十 これはやっぱり国会議員も大臣の皆さんも、選挙をやっておりますから一番国民の皆さんと接する場面におる。あるいは海外にも行くし、外交はどうするかというような直観は働く。しかし、役人の皆さんというのはもうそんな直観じゃなくて、中国の周恩来が法匪と、こう言っておりますように、そういうことは無理なんです。そういう基本的なものはやはり政治がやらなきゃならないと思うんですよね。ぜひそういう意味では、私は今勝海舟のお話を申し上げましたが、総理のこれから政治をつかさどる決意をもう一度伺いたいと思います。
  57. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) ただいま勝海舟にちなみまして島津斉彬公の言葉を聞かせていただきました。急ぐなという一つの結論であろうと思いますけれども、私はまさに至言であるというふうに受け取らせていただきました。  そして、今お話がありましたように、やっぱり政治がこれをリードするということであります。日本の官僚組織といいますか、あるいは役所のシステムというのは、これはいろんな国、例えばアメリカとその他と比較いたしました場合にも、やはり一つのものを積み重ねて、しかも継続していく、あるいは一貫性を持つ、この意味では私は非常に高いレベルのものであるという確信を持っております。  ただ、私はいつも役所の皆さんにも言いますけれども、やっぱり政治家は、これは一票によって選ばれた議院内閣制というのは、血や心というもの、こういったものを政治の中に注入していく、これが一つの議会制民主主義あるいは政党政治と言われたりしますけれども、そういったものであろうというふうに考えておりまして、私はそういう立場でこれから物をやっていきたいと思っております。  そして、今御指摘のあった中で、特に予算が確かに延びてしまったこと、これは政治改革ということがありました。私は、景気というものももちろん重要でありましたでしょうけれども、これこそ本当は役所の方では年内にやらなきゃいけないというものだったんでしょう。しかし、信頼されないところから、今までも発信しましたが、私が大蔵大臣のときも十兆七千億なんていう補正予算を組みましたけれども、残念ですけれどもはね返ってきちゃうんですね。ですから、どうしてもやっぱり改革だけは進めなきゃならないということがありまして、これが越年になっていろいろと皆様に御心配をおかけしていることを恐縮に存じておるところでございます。  しかし、まさに血や心を注ぐ、その意味で政治というものが全体の政策というものをリードしていかなければならないこと、御指摘のとおりでありまして、私どももそういったも言葉を大切にしながらこれからも政治の運営に臨んでいきたいというふうに思っております。
  58. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 財政の問題やそういう予算関係する問題はまた後に譲るといたしまして、核兵器の使用に関する政府の陳述書についての問題です。  これは簡単に申し上げますと、WHO、世界保健機関は核兵器使用が健康と環境に及ぼす重大な影響を懸念して、国際司法裁判所に法的な勧告的意見を求めたものでありますが、これに対しておとついの衆議院で修正をされました。これは中身の議論をする前に、たまたま衆議院で予算委員会があり、また参議院できょうやっておったからこの修正を国会でやろうということになったわけですが、たまたまそういうことなんで、この点については、総理、責任があると思うんですが、総理の姿勢を伺いたいと思います。
  59. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) この問題につきましては、いわゆる法的な解釈といいますか、それを求められたということでありまして、これは行政の権限といいますか、行政がこれは果たさなきゃならないということで、普通でございますとこれは実は私どもの方が申し上げる、そうすると裁判所の方でそういったものをあれされて、あるときにはこれが外に発表されるというものでありますけれども、基本的に確かにお話がありましたように、いわゆる国際法の考え方、実定的な国際法というものの中で考えたときに、法律の解釈からいくとこうですということを言いながら、しかし我が国としてはやっぱり核というものに対してはこういう考え方を持っていますよということを実は示したものであります。  ただ、これが普通ぱっと読みますとなかなか理解されないものであるということでありますけれども日本としてやっぱり被爆国の立場というものはその中できちんと述べられておるということで、私は御理解いただけるかなという、実は行政が法の解釈という中にいったときには理解されるかなという思いがありましたけれども、残念ですけれども、いろんな議論をする過程の中で、これではやっぱり一般には理解されないぞということでああいう手当てをしたということでございますことを御理解いただきたいと存じます。
  60. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっと外務省にお尋ねをしますが、きょうは十日でありますから、提出期限はきょうでございますが、そもそも司法裁判所から日本政府に対して六月の十日までに陳述してくれ、こういった経過内容、そしてきょう出したのか出さないのか、その出した修正した内容、これについて簡単に報告をしてください。
  61. 高野幸二郎

    政府委員高野幸二郎君) 御説明申し上げます。  問題のWHOの総会決議が採択されましたのは昨年五月でございます。それを受けまして、WHOの事務局長から国際司法裁判所の方に勧告的意見を求める要請をいたしました。それを受けまして、国際司法裁判所の方から日本を含む国連加盟各国に対して陳述書の提出を求めてきたのが昨年九月ということでございます。  その際、提出期限といたしましては本年の六月十日ということで連絡が来ております。それを受けまして、政府といたしましては、本日でございますが、本日六月十日じゅうに意見書を出すということで取り進めております。  陳述書の内容でございますが、第一点は、そもそも問われておりますのは核兵器使用の国際法上の評価という点でございます。これにつきましては、核兵器の使用はその絶大な破壊力、殺傷力のゆえに国際法の思想的基盤にある人道主義に合致しないものであると考えるという趣旨になっております。  もう一点これに加えまして核廃絶に関する日本政府の考え方ということを述べておりまして、その要旨を申し上げますと、唯一の被爆国である我が国としては核兵器が二度と使用されるようなことがあってはならないと考える、我が国は非核三原則を堅持するとともに、今後とも核軍縮、核不拡散の推進に努力し、核兵器の究極的廃絶に向けて努力していく、という内容になってございます。  以上でございます。
  62. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いやいや、聞いていることに答えぬね。内容だ、修正した内容だ。
  63. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 本日中に出す予定で、今最終的な作業をいたしております。  内容につきましては、高野部長から今御報告のとおりでございまして、実定国際法上違法であるとは必ずしも断定できないという表現についてはこれを削除いたしておりまして、骨子は、今申しましたように、「核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力の故に、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないものであると考える。」、この点でございます。
  64. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今言われたのが修正箇所ですね。それから、その中身でございますが、どうもまだあいまいな感じがするのであります。  我が国は原爆被爆の世界唯一の国民であって、そして、なおまた原爆後遺症に悩んでいる方がたくさんおります。広島、長崎。そういう状況の中で、原案を見ますと、当初の原案はこうなっておるんです。「今日の実定国際法に違反するとまでは言えないがこという、この評価のところでこうなって、これが衆議院で、原爆被爆国としてこんなことでいいのか、こういうことで問題になったわけでしょう。したがって、この今修正した箇所というのは、まだあいまいさが残っております。  どういうところにあるか。幾つもありますが、少し読んでみますと、修正した箇所の中にも、「核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力の故に、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないものであると考える。」。「合致しないものであると考える。」という表現と、「ものである」という表現の違いが、非常にこの辺がまた一流の言い回しになっている、結びのところにいきますと。これを「ものである」と、あるいは「合致しない」というのと、英語で表現をしたら、きょう、まあ文書を出していないというんだからなんですが、ちょっと大臣教えてください。
  65. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) まだ英語にいたしておりませんが、日本語で御決裁をいただいているのは「合致しないものであると考える。」、これで私は日本の立場は十分に主張できるものと考えております。
  66. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 衆議院で修正をした修正文の中での「人道主義の精神に合致しないものであると考える。」と「精神に合致しないと考える。」、この二つの表現は英語で言い回しができるのかどうなのか。
  67. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) ほぼ同じものになると思います。
  68. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それでは、総理大臣お尋ねしますが、ここの表現は、英語でそういうことなら、日本語に直してもっとすっきりと、被爆国の日本がやはりこういう表現では私は非常に残念だと、だから、ここは衆議院で修正した箇所を「合致しないと考える。」と。英語で関係ないんだから日本語でも関係ないでしょう、出す文書ですから。  これをひとつ政府の統一見解にしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  69. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) これは、衆議院、参議院の外務委員会、また衆議院の予算委員会の各党の御意見も承り、そして連立与党側とも御相談をした結果、最終的に委員長の裁定で合意をいたした文書でございますので、この点のニュアンスはほとんど変わらないと思いますので、ぜひとも御了解をいただきたいと思っております。  そして、この提出権は政府にあるわけでございますので、十分に院のさまざまな御意見はお承りをいたしますが、最終的な責任は政府にお任せをいただきたい、そして精神においては変わらないということも御理解をいただきたいと思います。
  70. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、その文書の英文のことはいいけれども、我々は、衆議院で決めたからというわけにもいかぬでしょう、参議院ですから。ですから、これは英文で変わらぬなら、「国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないと考える。」、こうしてひとつ政府の、そこは参議院のやっぱり意思として修正というか、修正というより政府の参議院に対する考え方をまとめていただきたい。
  71. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 私にとっては委員指摘の違いがどうしてもよくわかりませんが、こういう形で既にきょうが期限ということで行政府内の手続を進めておりますので、ぜひともその点は御理解を賜りたいと思います。  決して委員のその御指摘が間違っているというつもりで申し上げているわけではございませんが、その辺は立法府と行政府との関係もございます。ぜひともこの点については御理解を賜りたい。精神においてはほとんど変わらない、ほとんどといいますか、変わらないと思っておりますので、御了解をいただきたい。文言の一つ一つにつきまして、てにをはについての問題でございます。
  72. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  73. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  74. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 委員の御指摘の「ものである」という字を削除いたします。
  75. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 この問題につきましてはたくさんまだいろいろと用意をしておりましたが、あと同僚議員もやってくれるようになっておりますから、次に移りたいと思います。  次に、北朝鮮の核開発問題、今大変厳しい状況になっております。私ども社会党といたしましては、北朝鮮が国際原子力機関の要求にもかかわらず燃料棒の交換作業を強行したことは、同国の核疑惑解明への姿勢を疑わせるものであり、容認できない。したがって、今後、北朝鮮が核燃料の軍事転用を行わなかったかどうかを証明できるようにIAEAに協力するよう求めていくつもりであります。  政府の今日置かれている国連あるいは米朝間の交渉の状況等々情勢が非常に動いておりますが、政府の姿勢と今の状況とこれからどのようにしていくか、その対応方針をお聞きします。
  76. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 先生今御指摘のような形で北朝鮮がIAEAの査察を拒否しながら燃料棒の摘出を完了したことは、軍事不転用を証明できなくなったというIAEA事務局長指摘のように大変深刻な事態と受けとめております。その意味でIAEA側は今後の討議は国連の安保理に任せるということになりまして、今後は安保理における措置をめぐって議論が行われることになるわけでございますが、我が国としてはできる限り北朝鮮が話し合いによってIAEAの核査察体制に復帰をしてもらえるようにということで努力をしてまいりたいと思っております。  残念ながら我が国は安保理の現在メンバーではございません。その意味でアメリカ、韓国、日本と、実務者レベルでの相談を既にいたしました。また、韓国とは、あす私がソウルヘ飛びまして、日韓外相会談の中でこの問題を取り上げ、話し合いをしていきたいと思っております。その後中国へ参りまして、中国は安保理のメンバー国であり、また北朝鮮と友好関係にある国でございますので、中国にもこの問題で北朝鮮を説得する努力を重ねてお願いをしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  77. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 国連では制裁決議の動きにずっと一方走っておりますし、一方では北朝鮮の姜第一外務次官が、新聞報道によりますと、米朝高官第三ラウンド会談が開かれれば、国際原子力機関IAEAの通常査察と特別査察を実施、核拡散防止条約への復帰と核燃料再処理施設の廃棄問題についても話し合う、このようなことを明言されたという報道が一方で載っている。そして、金外相が八日に米朝高官会議と査察受け入れを結びつけるような発言をなされた。一方では制裁に進む、一方ではこういう感じがある。これらのことを我々にわかりやすく、どういうように状況がなっているのか説明をしていただきたい。
  78. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 国連安保理がこの問題を取り上げる場合には、警告決議をするという方法が一つあろうかと思います。その次の方法としては段階的経済制裁、これは軍事制裁ではありません、あくまでも経済制裁でございます、段階的に行っていく。もしくは期限をつけて、この間にIAEAの査察を受け入れれば制裁はしないけれども、その期限までに北朝鮮側がそういう措置をとらない場合には制裁を行うという期限つき制裁の決議というのも考えられると思います。それから、即座に制裁決議をするという選択もございます。  アメリカ側は、一年半にわたって既に粘り強く北朝鮮と話し合ってきたにもかかわらず最終的には裏切られたという思いを持っておりまして、その意味では強い措置をとるべきだという考えもあろうかと思います。しかしながら、国際社会全体また国連全体としては、先ほど申しましたように、やはり中国の関与を保っていくということも大事だと考えておりますので、その点ではアメリカもそうした性急な措置をとらずに、できることならこの問題については話し合いで解決をしたいという気持ちを持っていることも事実でございます。  一方、北朝鮮側でございますが、そうした国際社会がいざとなったときには一致して制裁の行動をとるかもしれないというメッセージを、これは北朝鮮側もある意味ではまじめに真剣に受け取って、何らかの形の一般査察、特別査察等を受け入れてもよいというような、これもメッセージを発しているのだろうと、こう思っております。  ただ、それにつきましては、米朝交渉の再開とIAEAの査察受け入れとのタイミングその他、これについては依然として両者の間に食い違いがあろうかと思いますので、できるだけIAEAの査察を確保できるような形で、そして米朝交渉が再開されるような、そこをきちっとした形で決めてもらえるなら私は一番望ましい解決策ではないか、こう考えておりますが、その辺は今後各国とも意見を交換しながら日本なりにできることは努力をしていきたいと考えているところでございます。
  79. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 問題は中国が拒否権を発動するかどうか。これで外務大臣も中国に赴かれるようでありますが、中国とのこれまでの感触が一つと、しかしもし不幸にもそういう中国が制裁に反対した場合に我が国のとる方向、こういうものについて総理大臣は一体どのようにこの時点で考えておられるか。
  80. 柿澤弘治

    国務大臣柿澤弘治君) 総理大臣にという御質問でございましたが、その前に私からお答えを申し上げますと、あくまでも私たちは話し合いによる解決が望ましいと考えておりまして、その点では中国も含めた国際社会の一致した行動を粘り強く努力をしていきたいと考えておりますので、中国が拒否権を使った場合どうするかというようなことはまだ議論をするのは早いというふうに思っております。
  81. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) ただいま外務大臣お話ししたとおりであります。  いずれにしましても、中国も真剣にやっぱり北との話し合いというものを進めてくださっておるということでありましょう。そして何といっても制裁より何より何とか北がそういう国際社会に対して門戸を開いてほしいというのが国際社会の一致した実は願いであるということでありますから、やっぱりそういったものを本当に素直に受け取ってもらって門戸を開いてもらうということが私は大事であろうというふうに思っております。  それから、ただいま梶原委員の方から御指摘がありましたように、第一次官あるいは金大臣がいろいろな発言をされておるということ、こういったものはアメリカにはいろいろなルートがあって話し合っていることでありますから、そういう中でそういった話し合いというものはお互いに理解できるものになってくれること、これが私ども最も望ましいことであろうというふうに思っております。  しかし、いずれにしましても、制裁とかそういった措置をしなくても済むように、ともかくわずかな時間しかないし相当今緊迫した状況にあろうと思いますけれども、あらゆる努力をする必要があろうと思っております。そして、柿澤大臣も明日韓国、そしてその後中国へ参りますけれども、韓国の韓昇洲外務大臣も中国へ今ちょうど行っておられるということであろうと思っておりますので、国際社会は活発に働きかけを今行っておるということが言えようかと思います。
  82. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 我々が非常に残念に思うのは、日本のこれらに関する外交というのは、アメリカがどのように動くかを見てそっちの方向だなと、それで日本日本の外交で動くというその動きがずっと基本にあって、いつまでこういうことを続けるのか、非常に残念であります。政府はもっと一歩突っ込んで、忌憚のない、直接だめじゃないかということを言えるように、そういう北との外交をもう確立しなきゃいけない、そういう努力をしてもらいたいと思います。  社会党も、十一日から党の渡辺総務局長を団長といたしまして、これは結果がどう出るかは別ですが、とにかくやってみるということで、団員を編成して行くようにいたしました。また、自民党も同様に団の派遣を考えておられるようであります。  こういう時期でありますから、ただ待ちだけの姿勢で事ができるわけではないわけですから、最善の努力を尽くすことを要請して……、総理。
  83. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) もう御指摘のとおりでありまして、私どもは隣国であります。その意味で、ただ手をこまねいているとかいうことじゃございません。  ただ、核にかかわる問題であるということで、北朝鮮がどうしても米国との対話というものを強くあれして求めておるようでございます。しかし、我が国もいろんなルートを使いながら直接でも話ができるような対話をしたいといういろんな呼びかけをいたしておるところでありますけれども、残念ですけれども、北との関係は今なかなか難しい状況にあります。  しかし、我が国としても、北が本当に世界に門戸を開くならば、韓国またアメリカその他の国とともに北の民生向上、こういったものに対しても手を差し伸べていくことができるということ、あるいはこういったものがのけられたときには日朝というものの会談に対して大きく一歩前進するんだというようなことも、国会その他での答弁等を通じながらも、実は語りかけておるということも御理解をいただきたいと存じます。
  84. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移ります。  次に、朝鮮総連の京都府本部捜索問題でありますが、去る六日この事件が起こっておるんですが、もう時間がないから、この事件の内容、そしていつからいつまで捜査をしてどうなっているのか、政府の方から答弁願いたい。
  85. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  京都朝鮮学園問題でございますけれども、国土利用計画法違反の容疑で本年に入りましてから内偵を進め、今週の月曜日でございますか、六日に捜索をし、そしてその日に捜査の前提といたしました届け出の有無について新しい事実がわかりましたので捜査を終結したというものでございます。
  86. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  87. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  88. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) 御答弁申し上げます。  この事件は、京都府警が事前に京都市に対しまして、刑事訴訟法に基づきます捜査関係事項照会書、文書でございますが、これによりまして国土利用計画法上の届け出がなされているかどうかということについて照会いたしまして、京都市から公文書で無届けであるという旨の回答を得るというようなことで、所要の捜査を進めてまいりまして捜索を実施したところでありますけれども関係者から届け出をしている旨の話がございまして、再度京都市に精査をしていただいた。その結果、京都市の係官の書類の検索ミスで届け出がないという誤った回答がなされたという事情が判明いたしましたので、捜査を打ち切ったものでございます。
  89. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 じゃ、捜査を何時から何時までやったのか、それをちょっと。
  90. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) 時系列的に若干御説明をさせていただきたいと思います。  国土利用計画法違反の容疑がございましたので、内偵捜査をいたしておりました。そして、ことしの三月二十八日に京都府警察は、京都市の理財局長あてに捜査関係事項照会書で届け出の有無を照会いたしました。そして、四月一日に、同市の理財局長名の公文書でこの照会に対する回答がございまして、三十七筆照会したわけでございますが、そのうちの十筆について国土利用計画法上の届け出はある、残りの二十七筆については届け出がないという公文書による回答をいただいたわけであります。  そして、ことしの六月四日に、京都地裁から捜索差し押さえ許可状の発行を得まして、六月六日朝から捜索を二十一カ所に対して行いました。同時に、その日に関係者からの事情聴取も始めたわけであります。そして、午後に至りまして、ある関係者から届け出をしたんだというような供述があり、またその関係の書類が家にあるというようなことでその書類も見せていただきまして、それではということで午後四時ごろになりまして京都市に対して届け出の有無を、先ほど申し上げましたようなことで電話で照会いたしました。御返事がなかったものですから、また午後五時半ぐらいに至りまして、市に再度催促をしたわけであります。そうしましたところ、届け出があったという電話の回答をいただいたと。それで、夕方から京都市の担当部局の幹部の方に来ていただきまして、またその届け出書、現物などを見せていただきまして事実を確認したと。  どうして、このような事態が起こったんだということについて、私どもに対して京都市からのお話では、係員がその警察からの照会に対して検索照合する際に見落とした単純ミスが原因でありましたというようなお話でございました。そういうことで、その夜に至って、捜索をした先の関係者に対しまして、全部の方に対しててんまつを御説明するとともに、差し押さえました品物については還付いたしたいので手続をとらせていただきたいというような連絡を行ったというものでございます。
  91. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう一度事実関係を少し聞いておきたいと思うんですが、京都市の西部長は、京都府警が告発をしてほしいという要請に対して十三日まで待ってほしい、そういう回答をしたということのようですが、それは事実ですか。
  92. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  六月三日に、確かに京都府警からの係官が京都市に参りまして、京都市の幹部に対して告発を促したという事実はございます。
  93. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  94. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  95. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) 失礼いたしました。若干御答弁を落としまして申しわけございません。  その際に、相手方から趣旨はわかったと。ただ、上司がいないし、相談するので、告発することについては警察から国土法違反事件について告発の要請がなされた場合にはできるだけ積極的に対応するようにというお話もあったけれども、上司がたまたまいないので十日ほど待ってくれというお話があったというふうに承知しております。
  96. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だから、聞いているのを次々にはぐらかすような、警察というところがそういうようなことでは困るんです。  私は、大臣、ここに多分市の関係者が上げたと思われる文書を持っているんです。それをちょっと読んでみますと、「平成六年六月三日に京都府警の担当者が来庁され、届出のない二十七筆のうち、時効となっていない三筆について告発するよう依頼されました。本市といたしましては、十分に調査を行い、国土庁と連絡を取りながら、対応して行く旨を回答いたしました。なお、調査期間は数日を要しますので、本市の方から府警に対して、告発の有無も含めて連絡を入れることを申し伝えました。」という報告書があるんです、  今言うのとちょっとニュアンスが違うんです。どうですか。
  97. 石井一

    国務大臣石井一君) 私もその事務に直接当たったわけではございませんから、そのことについて十分な事実関係を確認する立場ではございませんが、確かに今の報告等、また庁内におきましていろいろ事情を聞きましたところでは、そのような会話が京都府警とそれから京都市役所との間にあったということでございます。  当然その意向を踏まえて進むべきではなかったかというふうなこともございますが、過去この国土利用計画法違反という問題が年々数十件出ておりまして、必ずしも告発というふうなものが前提条件になっていないというふうなケースでこれまで強制捜査に踏み切っている例もたくさんあるようでございます。  今回の場合、いろいろ周囲の状況の中から誤解されるような問題はございますけれども、警察といたしましては正規のルートで京都市に対しまして問い合わせをいたしまして、また公文書で理財局長というはっきりとした公職の名のもとにそういう一つの届け出のミスといいますか見誤りというふうなものがございましたので、そういう形の中からこういう判断をしたものだと、そのように私は理解いたしております。
  98. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 聞いていることに答えておりませんが、もう一度これは事実関係をお聞きします。  府警が捜査の現場に入って現場を引き揚げたのはいつなんですか。
  99. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  捜査の現場とおっしゃいますのは捜索の現場だろうと思いますが、ただいま正確な時間を持ち合わせておりませんが、夕方ぐらいには終わっておると思います。
  100. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう一度聞きます。  何時から捜査を始めて、何時にこれはおかしいということで捜査をやめられたのか、その時間を。
  101. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  午前九時から捜索を開始しました。それから、関係者については昼前ぐらいから、いろんな方がたくさんおられますので、事情聴取が始まっております。そして、午後二時過ぎに一部の売り主の方から届け出があるはずだというお話があった。そして、午後四時ぐらいに京都市に対して京都府警は届け出の有無を電話で照会しております。そして、御返答がなかったものですから午後五時半ぐらいに再度催促をしております。その際に、いや届け出があったんだ、公文書の照会の際には届け出なしとしたものについて、実は届け出があったんだと、そして係員が見落とした単純ミスが原因だというようなことがあれしました。  そして夜の、ですから午後十時半ころから関係者にもう打ち切りましたということをお話しし、押収品を返しますという連絡をとるとともに、十一時四十五分に捜査を打ち切ったことを記者クラブでも発表いたしたということであります。
  102. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 困りますね。  それで、私が持っているその資料によりますと、六日の午後二時三十分ごろ、よく聞いておってください、京都府警から、さきに届け出がないと回答した土地のうち、告発を依頼された三筆のうち二筆について届け出があるのではないかという指摘が京都市役所の方にあり、理財局用地審査課で改めて調査を行ったところ、届け出があったという事実が判明をしたと。それを国土庁、警察に市役所が連絡をしたのは何時何分ですか。私が聞いているから、知っているはずですよ。
  103. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  104. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  105. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) 警察サイドでわかっておる限りを申し上げますが、先ほども申し上げましたとおり、京都市に対して警察から、届け出が実はあるんではないかということで調べてくれと連絡をいたしましたのは午後四時ぐらいと聞いております。  そして、その間京都市がどこへ御連絡をとったか等についてはわかりませんが、私どもの再度の電話連絡、照会で、届け出がありましたということを京都市から御返事いただいたのが午後五時半ごろと承知しております。
  106. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私が国土庁から先ほど調べていただいたのもやっぱり午後五時半です。それから夜の十時まで捜査をしているんですよね。これはどういうことですか。
  107. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  先ほど、十時半ぐらいまでと、打ち切りましたのは十時二十五分ぐらいというようなことを申し上げましたが、午後七時から来ていただいたというのは、この届け出が実はあったんだという思いもかけない事態がございましたので、それはやはりただ単にあったということだけではわかりませんから、現実の届け出書を拝見するなりなんなり、それからどうしてこのようなミスが起こったのだろうかということを市の担当の部局からお聞かせいただくということで、夕方から市の幹部にこの事情をお聞きしておったということでありまして、国土利用計画法違反の被疑者の取り調べというようなものではございません。
  108. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それでは、十七時三十分以降、市役所以外は朝鮮総連に関係する捜査はやってないということですね。
  109. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  届け出が出されていて捜査の続行の必要がないという判断を出します前までに、例えば家宅捜索で着手をしておったところが、夕方の七時あたりを超えてもう少し続行しておったというのはございますが、基本的にはございません。
  110. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 警察たるものが前に言ったことを後からこういう修正するとは一体どういうことか。だめだ。
  111. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  今、言葉を使い分けてお聞き苦しかったかもしれませんが、家宅捜索の問題を申し上げたわけでございまして、取り調べ、捜査、そういうものとは別でございます。
  112. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  113. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。  ちょっと、梶原君が再質問しますから、もう一度しっかり聞いてください。
  114. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう一度お聞きします。  まず一つは、関係者の取り調べはいつからいつまでやったのかということ、それから家宅捜索については何時から何時までやったのか、この二つを明確に答えてください。
  115. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  家宅捜索、二十一カ所ございましたのである程度ばらばらでございますが、一番早いもので午前九時から始まりまして、一番遅かったもので十九時五十分、午後七時五十分終了したものが一番遅いと。  それから取り調べでございますが、これは一番早かった人が午前十一時からでございまして、別の人でございますけれども、後刻おいでいただいて遅くなったということで、午後の十時半ぐらいまでということでございます。
  116. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほどは、取り調べの関係については五時半以降は市役所の関係者といろいろ何かごちゃごちゃ言われたが、それをやったんで遅くなった、十時まで、そう言ったんですよ。そこは違うんですか。
  117. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  夕方やっておったのが市役所の幹部の方の事情聴取だけであったかのように誤解を生むような答弁でございましたら、訂正いたします。  もちろん市役所の方も調べなくちゃいけませんし、またその裏づけをとるために必要な関係者についても取り調べなくちゃいけなかったので、その遅くなった方でございますが、十時半ぐらいまで事情をお聞きした人もあるということであります。ですから、全体の捜査としては午後十時半ごろに打ち切りをすることにしたということであります。
  118. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 まあちょっとミスやったそこら辺を言いわけされると困るんだけれどもね。  要するに、十時半まで取り調べはやった、家宅捜査も午後七時半までやったと。五時半に届け出をしておったという事実はわかりながら捜査を打ち切らなかったというのはどういうことですか。
  119. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  五時半ぐらいに市に再照会したところ、届け出があったという電話での回答があった。こちらからおかけしてお答えいただいているわけであります。  それで、これは大変重要な問題であります。国土利用計画法上、届け出のあるなしということは、ある意味じゃ公証力を持って証明できるのは市だけでございます。ですから、その現実の届け出書の中身、それから取り扱いがどうだったのか、いろんなことを聞かなければ、届け出があったという連絡だけでは私どもとしてわかりませんものですから、ですから午後七時から市の幹部の方に来ていただきまして事情聴取を始めたと。  ですから、所要の、やはり電話の連絡のあったとおり届け出書が出ておるんだということが確認できたのは、もう少し後になるわけでございます。
  120. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕    〔委員長退席、理事久世公堯君着席〕
  121. 久世公堯

    ○理事(久世公堯君) 速記を起こして。
  122. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  市の職員の方々、一人じゃございませんで何人かに来ていただいたわけでありますが、この方々から実際に帳簿なりいろんな関係の簿冊等を見せていただいて、従前、公文書で届け出がないというれっきとした回答をいただいているわけでございますから、それがあるんだということですから、慎重に確かめなくちゃいけません。それで、文書等をお持ちいただき、そしてまた、どうしてそのようなミスが起こったかということの事情をお聞きするのが午後七時過ぎからであります。  その何人か来ていただいた職員の中には、もちろん十時半を超してまだ事情をお聞きした人もありますが、おおよそこの人たちの事情聴取あるいは他の関係者の事情聴取から、午後十時半ぐらいには、これはやはり届け出が現実にあったんだと、市のミスであったんだということがわかって、そこで捜査の打ち切りを決意したのが十時半ということでございます。  ですから、その後においては被疑者として取り調べるようなことはしてないわけでございまして、このような間違いが起こった事情についてお聞きすることはあっても、捜査はもうこの十時半の時点で終わっておるということであります。
  123. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 市役所から十七時三十分ごろ、これは届け出ありました、これ以上のことを確認するのにそんなに時間がかかることないじゃないですか。だから、次々にあなた方がやっていることを正当化するための答弁では、それは困るんです。  この件について同僚の種田議員に関連質問させていただきます。
  124. 久世公堯

    ○理事(久世公堯君) 関連質疑を許します。種田誠君。
  125. 種田誠

    ○種田誠君 今伺っておりまして、問題は、国土法違反の場合は、これは形式犯でございまして、届け出が出ていれば一応犯罪の対象にはならないわけであって、中身がいいとか悪いとかということに関しての捜査の対象にはこれはならないわけでありまして、そういう意味では、この届け出が出ているということが判明すれば直ちにそこで捜査対象となる要因はなくなるわけですから、一応捜査はやめて、そして、もしなぜそういうことになってしまったのかということについて疑念があるとか市役所の方のミスがあったとかというのなら、これは別な問題でありまして、改めて行う筋合いでなければならない。    〔理事久世公堯君退席、委員長着席〕  こういうことをやらないで今のような形でやってしまいますと、憲法上適正な手続というのが求められているわけでありまして、捜査は捜査、行政は行政という形があるわけでありますから、それを混同してしまいますと、人権侵害というおそれが生まれる。  そういうことで、今回の警察のとった措置に関しては間違いであったということを認めることから今回の反省が始まる、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。大臣、いかがでしょうか。まず、大臣
  126. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 大臣、ちょっと待って。政府委員を指名したから、その後で。
  127. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お答えいたします。  繰り返しになりますけれども、届け出があるなしということについての一番確実なといいますか信用力のある証明をするものは、市の公文書であります。それがあるという、ないということでいただいておって、ただ電話一つであるという連絡を受けた午後五時の段階でやめるべきであったとはちょっと私どもあれでございまして、ですから、午後七時以降、関係者に来ていただき、また必要な書類も見せていただき、そして現実に届け出がなされているということを確認するのにある程度の時間がかかったということでございます。  ですから、それによって十時半には、午後十時半には捜査を打ち切るべしということで、疑いがなくなったということでその時点で捜査を打ち切ったというものでございます。
  128. 石井一

    国務大臣石井一君) 確かに御指摘の点、ごもっともなところもあるのでございますが、私ここに書いております報告書を申し上げたいと思います。  午前九時に捜査を開始した。そして午前十一時ごろから関係者に対する事情聴取を始めた。そして午後二時ごろ売り主の方から、届け出をしておるよ、そんなことをしていいのですかという旨の申し入れ等があって、そして午後四時ごろ京都市に対して届け出の有無を電話で照会したところ、五時半ごろに市の方から届け出がありますと、こういう状態になったと。そこで、それを確認するために七時に市の幹部の事情を聴取して、確実にそれが間違いであったということを確認して、そこで十時二十五分ごろにすべてこれは間違いであるという指示を出して、そして十一時四十五分に記者会見をしたと、こういう報告がございます。  この流れを見てみますと、公文書によって警察としては確実な一つの証拠に基づいて捜査に踏み切ったところ、大変異常な予期せぬことが起こったと。しかし、二十一カ所でやっておるわけでございますから、その間に、二時にわかったからといって指示するというわけにもいかないという中に、恐らく相当な混乱状態の中に、これをどう処理するかということで、まあ私も行って見ておったわけでも何でもございませんけれども、ここから推察いたしますのに、警察内部としては真剣な議論をし最終的に決断をしたのが午後の七時であったと。その間、出先の方では次々に、やはりこれは検察からあれを受けておるわけでございますから、そういう中で着実に職務をしておったと。  いずれにいたしましても、こういう事態が起こりましたことはまことに残念でございます。私といたしましては、その後事情を繰り返し聴取いたしまして、そういう意図的なものはなかった、またそういう証拠もあったというふうなことを繰り返し報告を受けましたが、それにしましてもこの時期に、いろいろ国際的、国内的にも問題の多いときに何か意図があるというふうにも見られることについては、これは大変残念である。今後十分これを教訓とし、こういうことが二度と起こらぬということをひとつ強く注意を喚起しておるところでございます。
  129. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣の言は理解できました。  ただ、今言われた中に先ほどからずっと確認したこととちょっと違うことがあるんです。十一時三十分から市役所だけ、市役所の関係者をやった、今そういう報告になっておりましたが、先ほどはそうじゃなくていろんな関係者もやっている、そういう答弁をしているんですから、少しそこは違います。  そこで、これは、外国人の人権も守れないで何が一体国際貢献、日本が外国に対して物が言えるか。私はこの点については、もう間違いは間違いなんだから京都府警は朝鮮総連京都本部に対してあるいは関係者に対してやっぱり謝罪をすべきだと、このように思いますが、大臣、いかがですか。
  130. 石井一

    国務大臣石井一君) 確かに政治的、道義的という意味では御指摘のとおりではないかと思います、これは率直に申しまして。  しかし、警察当局といたしましては、私も昨晩遅くまで長い時間をかけて議論をしたわけですが、やはり大京都市の公式の公文書によって回答を寄せられたもの、これに対しては、やはり相当重たいものでございますから、そういうものを基礎にそういう一つの決断をし厳正にそれに踏み切ったと。しかしながら、ミスが判明した時点において反省をし撤退をしたというふうなことでございますので、いわゆる法的にはやはりそういう根拠に基づいて進めたということでございまして、私はこういう事態が二度と起こってはいかぬというふうに思います。  今後十分慎み、そして今後の教訓にしたいと思いますので、どうかひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  131. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 よしんば百歩譲って、十七時三十分までは今言われるようなことはあるかもしれないが、十七時三十分以降、いいですか、家宅捜索をやったのは十九時五十分までやっているんですよ、十九時五十分。それから取り調べも十時三十分までやっているんですよ。十七時三十分から十九時五十分までの間のことについては、これはもう弁解する余地ないじゃないですか。謝罪すべきだと思う。
  132. 中田恒夫

    政府委員(中田恒夫君) お言葉を返すようでございますけれども、こちらが疑いが解消したということで捜査の終結をいたしましたのは、指示いたしましたのは午後十時半ごろぐらいでございます。捜索の一番遅いものでも終わりましたのは午後七時五十分、約八時でございますので、時間がちょっとずれておろうかと思います。
  133. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  134. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  135. 石井一

    国務大臣石井一君) 長い時間を費やしていただいておりまして、大変申しわけございません。  もう一度だけ確認をさせていただくわけですが、委員の御指摘は、二時ごろからこの問題はおかしいぞというふうなことから大方四時ごろにはそれが判明しておるので、その四時から九時までの捜査は何だ、これはおかしいじゃないかと言いますが、恐らく府警サイドでは五時三十分ごろに最終に市に照会をし七時から市の幹部を招致して、そのときにおいては府のサイドではミスはないだろうと、公文書もあるんだからと、こういう状況の中で出先の方はそのまま進んでおったと。これは客観的な情勢として一つ指摘できる問題ではないかと思うのでございます。  その間に、直ちに二十一カ所にストップの命令をかけるといいましても、やはりそういう形で進んだ捜査の場合にはやむを得なかったという一点もどうかお認めをいただきたいというふうに思うのでございます。  なお、その次に、社会党はさすが十数名の調査団を出されまして、京都市役所でしっかりした説明を聞いておられます。
  136. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 まだ聞いてない。
  137. 石井一

    国務大臣石井一君) その経過を私がそれじゃここで読み上げさせていただきたいと存じます。  「いずれにいたしましても、今回の本市の事務処理ミスは、届出内容について台帳を点検する際に、対象土地を見落とし、その結果誤って京都府警に「届出なし」との回答をしたものでございます。」と。以上が事実の経過でございますが、「私どもといたしましてはこ、これは京都市役所です、「今回の事務処理について十分に反省をし、今後は十分に注意を払い、適正な事務処理に万全を期する考えであります。」と、こういうふうに遺憾の意を表されております。  それからもう一点、京都府警の本部長も昨日の記者会見でこの問題を追及されまして、捜査関係事項照会書による回答をもとに正規の手続をとって行った捜査であり違法性はない、しかし結果的に関係者に迷惑をかけたことは遺憾であり、こうしたことがないように努めると。そして、本部長の総連に対しての感想はどうかということに対して、本部長の見解として、迷惑をかけたことは残念であったと思う、こういう表明が府警からも言われておるわけでございます。京都市からもそういうふうに言われております。  私は、そういう意味から、意図的な、あるいは政治的な、あるいは公正を期さないような、そういう形での捜査ではなかったと。このようなことが二度と起こってはいけないし、警察は厳にその綱紀を粛正し捜査に対して厳正中立にやるべきであると思いますが、今回の問題はそういうふうな経過の中に、混乱の中に、御指摘の点で問題もございますけれども、今後十分これを戒めて教訓としたいと思いますので、どうかひとつお許しをいただきたいと存じます。
  138. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣お話を承りますと、またちょっと変わっているんです。  あなたは十四時にどうも届け出をしているんではないかと言って京都市役所に問い合わせをしたとさっきは言うたんです。今は、十五時半ごろ市役所にどうも届け出があるのではないかと言ったと言って答弁したんだ。これは、だからもうだめです。  それで、十五時にもう届け出があったということを知っておきながら十時半まで捜査を続けたという、これはもう違法ですから京都府警は謝るべきだ。謝罪すべき、遺憾の意を表すべきです。それじゃなけりゃだめです。
  139. 石井一

    国務大臣石井一君) 私が先生に申し上げましたのは、二時に売り主からこれはおかしいですよというような連絡がありまして、府警の方はこれは非常におかしいと、どういうことなんだということで京都市に照会したころ四時ごろ……
  140. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 二時半ですよ、本当は。
  141. 石井一

    国務大臣石井一君) 二時半ですか。ここには二時過ぎと書いてあります。  四時に京都市に電話の照会をして、五時半ごろ再度照会をしたときに届け出があったという電話の回答があったので七時に会議を持った。その間、二時の時点に売り主からそう言われたといって直ちに、それを全面的に信じてそれだけのことを府警がやったんですから、府警は祈るような気持ちでそれは間違いじゃなかったかと、そういう気持ちで混乱をしたということでございまして、この点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  142. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  143. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。
  144. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 自治大臣経過からいって、もう私もいろいろ言いませんが、自治大臣から、この国会の状況を反映して、京都府警が関係者に迷惑をかけて申しわけなかったとわびるということをひとつ指示してください。
  145. 石井一

    国務大臣石井一君) 大変御迷惑をおかけいたしておりますことを、私の立場から大変遺憾だというふうに考えております。  ただいまの御意見を外しまして、まあ各府県、独立し捜査をしておるわけでございますが、警察庁を通じ京都府警に対し、その指示が十分届くようにひとつ私として指示をさせていただきたいと存じます。
  146. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、食糧、農業農村問題につきまして質問をいたします。  我が国の農業を考える場合にどうしても国際的な食糧問題を考えなければいけないと思いますが、今の世界人口は五十五億、二〇〇四年には世界の人口は六十五億、二〇五〇年には百億人に達する、このように言われております。今日でさえ飢餓住民が数億人と言われているような状況であります。一方、世界の農耕地というのは日本の農耕地面積に匹敵するような部分が砂漠化しておる。こういうことを考えた場合に、少し目を先にやると、やがて世界は食糧危機に突入していくだろうということを予測せざるを得ません。  今我が国は世界の乏しい食糧を金で買いあさっておるわけでありますが、やはり将来のことを考え世界のことを考えると自給体制の確立こそが真に世界に貢献する道ではないか、このように思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
  147. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 今お話しありましたように、人口の増加というのは間違いなく今進んでおるというのが実態であります。それと同時に、お話もありましたように、農地の壌廃というのが進んでおるというのもやっぱり現実にあることであろうと思っております。そして、昨年の冷害による不作というものを見ましたときに、我が国としての食糧の生産のための自給力というものをきちんと確保するために対応するということは、今御指摘のありましたように私は大変大切なことであろうというふうに考えます。
  148. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 昨年は、日本国民にとりましては主食である米が予想もしなかった二百万トン、冷夏、長雨で不足をいたしました。人は平成の米騒動、こういう表現を使う方もおられますが、これは、我が国の主食の米を軽視して、金さえあれば何でも買えるという風潮に対する私は天罰ではなかったか、このように思うのです。ただ目先のそろばんをはじいて米の減反を強いて備蓄を怠ってきた政府や政治の責任が問われていると思います。  時を同じくして、ガットのウルグアイ・ラウンド交渉において米の部分開放に合意をいたしました。この合意に当たって、政府は昨年十二月十七日に細川前総理を本部長とする緊急農業農村対策本部を設置いたしました。そして、ガットの次の交渉、六年後の時点までには農業の体質を強化し国際化に対応し得る農業を確立するということを、農家や農業関係者や、もちろん国民全体に約束をされたのであります。  しかし、その後の状況を見てみますと、総理を先頭とする本部の対策というのは一向に目に見えてこない。何をしているのか。これは今問われていると思うんですが、総理、農水大臣、いかがでしょうか。
  149. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) 一生懸命努力をいたしておるところでございます。きょうも午後、緊急対策本部の幹事会を開いていただきまして、熱心に取り組んでおりますし、総理にもお願いしまして、なるべく近いうちにひとつぜひこの緊急対策本部、新内閣になって開いていただくようにお願いいたしております。  そしてまた片一方では、御存じのように、農政審議会を通じまして全国で熱心に意見を聞いていただきまして、それからまたこの国会での御意見、各団体等からの御意見もありますが、こういうものを一生懸命踏まえながら、目下真剣に目に見えるような形に持っていくべく努力をいたしておる最中でございます。
  150. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) ただいま農林水産大臣からもお答えしましたとおりでありまして、私どもとしてはやっぱりこのウルグアイ・ラウンド、これに対して対応するということ、それから先ほどお話がありました、ああいう冷害の中で本当に土づくりが進んでおったならばという議論というのは、実は同じ地域なんかでも土づくりが進んでいるところはある程度の量を確保することができたというようなこともあります。  また、後継者の問題というのも今非常に大きな問題になっておるということでありますから、いずれにいたしましても、そういったものを踏まえながら、まさに一つの大きな転機にあろうというふうに考えておりまして、私どもはいろんなところの意見というものをきちんと聞きながら、これを着実に間違いない将来に向けて今整備することが大事であろうというふうに考えております。  その意味で、多少時間はかかりますけれども、しかし私どもはその方向というものを着実に踏んでいくことを申し上げたいと存じます。
  151. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私ども社会党はさきがけの皆さんと一緒に農村農業問題対策協議会というのをつくっておりまして、そこで政府においでいただきまして農政審や取り組みの対応の状況を聞きましたが、国会議員の皆さんは大変怒っておりました。第一、総理が本部長になった対策会議というのは一体何回開いたのか、二回開いたか開かぬかはっきりわからぬようなこと、そして今農政審でやっている目玉になりそうなことというのはどうも何ら新農政の域と余り変わらない、このままでいけばやっぱり同じことか、これは出れば出るほど失望するような話ばっかりでございまして、農水大臣の今のお話は、それを聞いて、はいそうですかと、このようなことは言えない。そのことだけでもう言いませんが、ひとつぜひ腹によく入れていただきたい。  そこで、米の備蓄について、本当に去年困りましたが、私どもは当面二百万トンぐらいは備蓄せいと、こういう方針を出しておるのは御承知のとおりでございますが、この点についていかが対処するつもりですか。
  152. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) この問題につきましても、我々は平成米騒動という大変苦い経験をいたしました。のど元過ぎて熱さを忘れてはならない、こういう気持ちははっきり持っておるところでございます。  そこで、ミニマムアクセスも受け入れるということになりますと、外国産米、国産米、これらを含んだ生産、集荷、流通、そして備蓄、あるいは新しい用途の開発、もろもろの米に対する新しい管理システムを考えながら、備蓄というものもその中にはっきり位置づけていくようにしなくてはならぬ、こう考えて、目下熱心に意見を承りながら作業を進めておるところでございます。
  153. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今のところ百三十万トンぐらいかなというところは承っておりますが、ぜひこれは総理以下対策本部でも真剣に検討されて、これを我々が必要とするように仕上げていただきたいと思います。要望いたします。要請いたします。  次に、中山間地農業対策についてお尋ねします。  我が国の中山間地農業というのは、総生産量の約四〇%、国土の六割を占める山を守って、豊かな水源を供給し、そして農村、日本の国土を守ってきておるわけでございます。皆さん必死に頑張っておりますが、なかなか希望が持てない寂しい状況です。さらに米の部分開放が追い打ちをかけた状況で、私も中山間地農業地帯の出身で、小さな百姓で育ったんですが、大変な状況です。  総理は、それぞれ地域の特性、創意工夫を生かして何とか頑張ってほしい、こういうことをたびたび言われるのですが、この中山間地農業対策について総理のお考えを改めてお聞きいたします。
  154. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) お話しありましたように、農政上も中山間地帯をこれからどうしていくのかということは、これは実はそういった問題以前の問題として、マラケシュの合意以前の問題として実は議論をされてまいったわけでありますけれども、これからさらにそういった問題は深く掘り下げていかなければいけない問題だろうと思っております。  この中山間地帯に対してはデカップリングですとかいろんな議論があることは私も承知いたしておりますけれども、やっぱり何といってもこの中山間地帯に住む人たち、この人たちは林業なんかも営んでいる人たちであり、またここに定住していただかなきゃならない人たちであろうと思っております。ですから、デカップリングみたいな、ヨーロッパはこれは日本よりさらに大きなものでありますから、むしろ日本は大変小さいということでありますから、そういった中で、デカップリングみたいなやり方がいいのか、それとも本当に定住してそこでちゃんとした収入を得られるようないろんな対応をすることがいいのか、このあたりを本当に詰めていかなきゃならぬと思っております。  そして、私も農政をずっとやってきながら思いましたことは、九州あるいは沖縄から北海道まで日本は非常に列島があります。そういう中で、それぞれの特色を生かすことによって非常に地域も繁栄しているところなんかもある。こういうものを見たときに、それぞれの地域の特性というものをつかみながら対応というものもきめ細かくやっていく必要があろう。やっぱり私は一律のものではいかぬなという思いを、これは率直に言って持っております。  いずれにしましても、中山間地帯の対策というのは非常に重要なものでありますから、私どももこれから真剣にこの問題とも取り組んでいくことを申し上げます。
  155. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私、とにかく創意工夫を凝らして新しい提案をしたいと思うんです。もういろいろ言いませんが、ウルグアイ・ラウンドの再交渉、あと六年、この六年間に一体どれだけ手を打つかというのが、総理が本部長になったことでもあるし、我々も努力をしなきゃならない。  そこで、竹下さんがやったふるさと創生というのがありましたね。これにちょっと似ているんですが、とにかくこの六年間、大蔵大臣は渋い顔していますが、毎年一兆円別枠予算を組む、これが一つ。そしてそのうちの半分を中山間地帯に投入する、その場合にいろいろ条件をつけない。大きな条件をつけるんです。まずその一つは、食糧生産をその自治体、町村単位でやってもらうが、これ以上落とさない、ふやす、これが一つ。それから、過疎の人口減を食いとめていく、若者が定住できるようにみんなで努力をする、これが第二点。第三点は、国土を保全し、緑を守り、環境を守ってきれいな水源を確保する。これだけの条件をつけて、あとは町長以下ひとつやれと、こういうような形で姿をやっぱり見せなければ、総理、口先で何回言ってもこれはだめだ、このように思います。  私は、これに似たような、自治体あるいは農協の幹部がこういう形で一緒になって一戸二戸の地域農家の総合所得を健康で文化的な水準に引き上げるために努力をした、そういう例をよく知っているんです。だから、そういう意味では、何にもなくて、ガットを血を出して認めたわけですから、これはやっぱりそこまで財源も投入すべきだ、このように思いますが、いかがでしょうか。
  156. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 今、一つの御提案ということで私も承りたいと思いますけれども、私たち本当にこれから日本の食糧というものを一体どうするのかということと、あるいは、そこで食糧を生産する人あるいはそこで緑を守る人たち、そういった人たちが定住するためには、また、その地域を誇れるようなものあるいはみずからがいそしむものに誇れるもの、それにはどうしたらいいのかということを今私どもも実は農政審等でも徹底して議論をしていただいておるということでございまして、今御提案のありましたことなんかも含めまして、私どもとしても今後検討させていただきたいと思っております。
  157. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 農水大臣予算を伴うことですから、この際思い切って向こう六年間最善の努力をするということでその分の予算を獲得する、こういうことでひとつ決意を承りたいと思う。あなたがしっかりしなきゃ、大蔵大臣が、はい、そうですかと言うわけないんですから、ひとつ頑張っていただきたい。それが一つ。  それから、森林林業の活性化。木材の生産と供給というのは、まず炭酸ガスを吸って酸素を出す、空気をきれいにする、そして水源、水を供給する、こういうことですから、この点もあわせて真剣に同時に取り組んでいくということ。  この二点を。
  158. 加藤六月

    国務大臣(加藤六月君) 中山間地が活性化し活力を持ってくるということは、単に日本の農村、農業の振興だけではない、我が日本国力全体の発展振興に通ずる、こういう気持ちを持ちまして、そしてミニマムアクセスを受け入れた国民の皆さんの不安を一掃するためにも思いを新たにして頑張っていかなくてはならぬ、この決意を強くいたしておる次第でございます。  また、森林に対しても同じようにおっしゃいました。森林の持つ緑と水というその機能、単に木材産業としてでなしに、そういう機能、今いみじくもおっしゃいましたが、公益的機能は年間三十九兆円にも匹敵するぐらいの機能を持っておる。そこで、農業、林業一体とした中山間地の活性化という問題につきましては私も財政当局と積極果敢に今後やり合っていきたい、こう考えておるところでございます。
  159. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 くどいようですが、大蔵大臣、シーリングの範囲内ではなくて、別枠で一兆円、六年間六兆円、これを組むと腹を決めてください。いかがですか。
  160. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 先ほどからお話を承っておりまして、この中山間地というものは非常に食糧という意味においてもまた地域社会という意味においても重要であるということはお話のとおりだと思っております。  総理及び農林水産大臣からお話のあったように、緊急農業農村対策本部あるいは農政審議会の意見をよく伺いながら対応してまいりたいと思いますが、今この場で一兆円別枠ということについて、まことに恐縮でございますが、お約束することはいたしかねるということだけはお許しいただきたいと思います。
  161. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 総理大臣、もう一回くどいようですが、これは私は本当にそうすればよくなると思うんですよ。ですから別枠で一兆円、今ひとつそれに向けて決意をしてください。
  162. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) これは多くは申し上げません。  別枠で一兆円、ここでどうこうと言われましても、先ほど申し上げましたように、専門の人たちあるいは関係する人たちが必死になって今議論をいたしておるわけでございますので、またこういった議論というものも当然そちらの方にも入っていくことでございましょう。  そういう中で、私どもは、本当にそこに住む人たち、働く人たち、そしてまた生産されたものはある、きちんと確保される、そういう体制をつくるために党が全力を挙げていくということを申し上げることでお許しをいただきたいと思います。
  163. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これは笑い事ではないんです。本当に深刻なんです。ひとつ頑張りましょう。  次に、景気、財政問題、随分私も用意をしたんですが、これに入らせていただきたいと思います。  景気の現状は、住宅の着工、公共工事の堅調な推移、また企業の景況感に明るさが出始めておりますが、部分的には回復をうかがわせる材料も私も見られると思います。が、景気の回復に大きな役割を果たすべき企業の設備投資が依然として低迷して、雇用情勢も、新聞に出ておりますように、大学は出たが特に女性の就職なんかはないと、こういうような厳しい状況が続いております。  はっきりとした回復がなかなかつかめない、低迷している状況ではないか、このように思うんですが、この辺について、経企庁長官、今の景気をどのように見るか、あるいはこれに対してどのような手を打つか、あわせてお尋ねをします。
  164. 寺澤芳男

    国務大臣(寺澤芳男君) 委員指摘のように、今景気の面につきましては明るい面と暗い面と交錯しておりまして、特に我々が考えておりますのは、なかなか企業の設備投資、これが下げ続けておりますということ。それから、やはり企業収益が下げ続けておる。それに伴う雇用の問題がやはり非常に大きな問題としてはだかっているわけであります。  ただ、それ以外に、結局、住宅の建設、これが百五十万戸台をずっと続けておりますし、それからやはり政府の投資すなわち公共投資の堅調な伸びが確実に見られますし、また先ほど発表されました日銀の五月の短観の結果を見ますと、既に前回の二月調査で下げどまりを示していた主要企業・製造業の業況判断のDIが前回調査での予測どおりのマイナス五〇%となりまして、二月がマイナス五六%、これは低いほどいいわけですが、かなりの改善を示したということを先ほどの日銀の短観でも発表されております。  私どもといたしましては、とにかく少し明るくなってきたかなというような感じがしておりますが、ただ、いつ底を打ったのか、あるいは打つのかということについては、まだ足かなるいろんな数値がつかめておりません。今これを一生懸命になって経企庁としてはつかまえておりまして、わかり次第発表しようということになっております。  この対策につきましては、やはり内需を喚起させるということが一番大事じゃないか。二月の十五兆円の総合経済対策、これを着実に実行してまいりまして、内需拡大すなわち規制緩和やその他でこれを完全に着実に実施していくということ、我が国経済の持続的な成長経路へ一生懸命に取り組んでいきたい、こう思っております。
  165. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっとこれだけ、簡単なことですが、お尋ねします。  平成五年度の経済成長実績見込み、六年度の政府が見通している成長見通し、それから大蔵省関係で、税収の計算期間が六月から五月でありますが、平成五年度の税収額、これをお尋ねします。
  166. 小川是

    政府委員(小川是君) それでは、お尋ね平成五年度の税収の状況について申し上げます。  五年度税収につきましては、現在のところ判明しております四月末までの税収実績によりますと、累計で前年比一〇〇・八%でございます。補正後予算の伸び率が一〇二・三%でございますから、一・五ポイント下回っているところでございます。  今お尋ねの五年度の年度を通じての税収の動向につきましては、五年分の所得税の確定申告は補正後予算の見積もりを下回りまして、したがって、申告所得税の税収は補正後の見積もりを下回ることが避けがたいというところでございます。また、あと三月期の決算法人に係る法人税、あるいは消費税、これらの五月分の税収を見きわめる必要がございます。  したがって、まだはっきりいたしませんが、一般会計全体としても補正予算の見積もりで想定いたしました税収の達成は容易ではないと現状で考えているところでございます。
  167. 小林惇

    政府委員(小林惇君) 委員お尋ねの最初の質問でございますけれども平成五年度の我が国経済の実績見込みにつきましては、三月に閣議決定いたしました実績見込みによりますと〇・二%の前年度比の成長率ということになってございます。
  168. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 平成六年度見通しは。
  169. 小林惇

    政府委員(小林惇君) 平成六年度につきましては二・四%ということになってございます。
  170. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵省から、今、四月末まであったけれども、五月のが入っていないと。  五月末で締め切って、きょうはもう六月十日ですから、大体でいいですから、大体ほぼこのくらいになりそうだというのを教えてください。
  171. 小川是

    政府委員(小川是君) 税収につきましては、毎各月発表しているところでございますが、実績が当該月の翌月いっぱいかかりませんと集計が出てまいりません。  したがいまして、確かに五月末は経過したわけでございますけれども、現在これが納付されました結果、金融機関を経由いたしまして税務署に上がり、それを集計している過程でございます。したがいまして、通常でございますと六月の末ないし七月の初めまでお待ちをいただきたいと。私どももまだそれを入手いたしていないという状況でございます。
  172. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、待てないと言ったらどうしますか。
  173. 小川是

    政府委員(小川是君) 恐縮でございますが、各納税者は確かに五月末に納めなければならないものを納めているわけでございますけれども、その結果が各税務署に対して金融機関から納まったという通知書が何十万枚と参るわけでございます。全国の五百を超える税務署でそれを集計いたしておりますものですから、それがまとまってからでないとデータができ上がらないということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  174. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 まあ五十五兆円か六十兆円ぐらいの税金を国が徴収するわけです。そして、その税金が締めて十日も一カ月たってもなかなか出ぬようなことというのは、私も民間の企業で仕事をしたことはあるんですが、例えば民間の企業で工場が幾つもあるとすると、そこの損益決算、試算をすることが翌月どのような戦略を立てていくかということで、本当に早く、次の日にはある程度の状況がつかめるようになっておる、五百の税務署があるかもしれないが、これは今コンピューターの時代ですから、それぞれぱっと集計すればあっという間に出るじゃない。これがどうして十日もたちあるいは一カ月もたってできないのか。  大蔵省というのは本当に古いところなんで、これはちょっと委員長、お答えですが、こんなようなやり方をしている大蔵省のやり方というのはやっぱり打ち破らなければいけない、このように思いますので、この問題について大蔵大臣からお聞きし、院の何らかの意向というものを反映させていただきたいと思う。
  175. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) ただいま事務当局もお答えいたしましたように、ずっと過去かも、ある月の末の数字は大体一月ちょっと経た後、つまり五月末でありますと七月上旬に出せるというような状況になっておりまして、機械化等の限界もございまして、その点はお許しをいただきたいと思います。  ただいま主税局長が申しましたように、少なくとも四月末で一〇二・三%アップというのに対して一〇〇・八%しか出ていない、そして現状としてそれを、補正予算後の税収を確保するのには非常に難しい状況にあるということを御報告いたしたとおりでございまして、そういう実情、数字ではございませんけれども、実態は御理解をいただければありがたいと思います。
  176. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今の時代ですから、駅へ行って切符を買うと、もうどんなことでもコンピューターへぱっと入って瞬間に出てくるのですよ。だから、これはやる気があれば  今から予算を我々は審議して、あるいは国の財政を考え手を打っていく。税金を上げるか上げぬか、これは大変国民に痛みを押しつけることになる。そういうものを審議しているときに、いや税金はもう何カ月かたたなきゃわからぬと。今、大事な税制改革協議会やなんかで方針を決めようとしているが、議論をする資料がない、見込みが立たない、そういうことで国の部署の役割を果たしておる、このように言えない。  これはことしか無理なら来年からでも瞬時にわかるようにするというような方向をどうしたらいいか検討してくれませんか。
  177. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今申し上げましたように、約一月強でございますが、それを少しでも早くする努力というのは、御指摘よくわかります。少し検討させていただきたいと思います。
  178. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間がなくなりましたが、景気の伸び縮みと税収の状況というものを大蔵省から資料をいただいてグラフ化したんです、私が質問するときにわかりにくいかと思いますので。総理大臣大蔵大臣と経企庁長官、ちょっとこれを。(梶原敬義君資料を手渡す)  これを見ていただくとわかりますように、やっぱり景気が落ち込みますともう当然ながら税収が落ち込んだ。バブルの平成二年は六十兆円を超えた税収があり、そしてその余韻を残して平成三年には五十九兆円、六十兆円近い税収がある。そして、平成四年には五十四兆円にがたっと落ちて、平成五年はどうかというと、私もグラフを書こうと思ったけれども、なかなかこれは書けない、残念なんですが。  言いたいのは、ずっと予算を調べてみますと、大体税収の多いときは予算もたくさん行っているんですね。使っているんですね。そして、今度は景気が悪くなるとこのままほったらかしにしていくと。これはきりもみ状態になって景気はさらに落ち込んで税収も悪くなる。だから、何らかの形で財政支出をして景気をよくしなければならない。そうすると、そら建設国債の発行をやれ、そして赤字国債の発行もやらなきゃならないというような状況に追い込まれてくる。  私は、だから言いたいのは、こういう税収の高いときの予算の組み方はやはり悪いときのために少し控え目に組んで、そして後にプールをして、そして悪いときに赤字国債を発行しないでも何とか財政が対応できるようなそういう方法を考えることはできないか。この点について、非常に大きなアウトラインの話でございますが、どうでしょうか。
  179. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今のお話は財政調整資金という言葉で言ったらいいと思いますが、そういうお話だと思います。地方団体においてはそういうことをやっておられるところもあるのは承知をいたしております。  ただ、国がいわゆる特例公債を発行していた時期には、特例公債を発行しながら積み立てるとはどういうことかという御議論が当然あろうかと思いますが、ただ現実に今お話しのように平成二年にいわゆる特例公債を脱却していることも事実でございますから、そういうときからこれはできないのかという御指摘に限定して言えるのかと思います。  御趣旨はよくわかるのでございますが、やはり今非常に財政が下方硬直性というのでございましょうか、福祉施策を中心といたしまして自然増等がありまして、御趣旨はわかるのでございますが、なかなかそこまで手が届かないということが実際やってみての現状であるということも御理解をいただきたいと思います。
  180. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 財政調整資金あるいは決算剰余金をどうするかというような、いろんなのがあるかもしれぬ。私が言っているのは、そういうことを言っているわけではなくて、例えば景気のいいとき、これは防衛費をやり玉に上げるわけじゃないんだが、後で用意をしていることで出している数字だから簡単に申しますと、平成二年の一番景気のいいときに、防衛費は税収の伸びたときに六・一%、それから三年度、これも六十兆を出たときは五・四%、そして四年が三・八、五年が一・九五、それで今回〇・九。  こういうように見てみますと、これは一つの例ですが、いいときにはもうどこもここもだっと予算を組むんですね。この部分をこれから調整していって、そして景気が悪くなったときにそれを使えるような形で、これから景気がそんなに大きく伸びるわけがない、しかしやっぱり循環をする、そういう循環の過程の中で、悪いときのために財政資金をプールして使う、こういうような形がとれないか研究してくれませんか。
  181. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) その考え方は私は財政の基本の一つだと思うんですね。思うんですが、現実に、今申し上げましたように、社会保障政策を中心として非常に下方硬直性があるということからなかなかできないという現状も御理解をいただきたいと思います。  また、防衛費につきまして御議論がございました。これは防衛庁長官がお答えすることかとは思いますけれども、国際政治情勢、国際軍事情勢等々によってことしは〇・九%ということになったわけで、必ずしも景気の問題あるいは税収の問題と関連、連動したものではないということも御理解をいただけると思います。
  182. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私の持っていた時間が一応なくなりました。経済、財政問題、消費税問題でいっぱい用意をしておりましたが、なくなりましたので、外交問題を一言申し上げまして、外交、防衛を中心として種田委員の関連質問に入らせていただきたい。  きょうの毎日新聞を読んでおりましたら、「涙の重み大切に」という記事が載っている。ちょっと読んでみますと、「羽田孜首相は九日、国会内の廊下で韓国、フィリピンの元従軍慰安婦十一人と「偶然」出会い、一人ひとりに「皆様、ご苦労さま。体に気をつけて」と握手した。」云々、ちょっと中を省略いたしまして、「首相に握手されて涙を流す人も。元慰安婦たちは、損害賠償や公式謝罪を求め日本で訴訟を起こしている。首相は「皆さんのご苦労を無駄にしないようにしたい」と語ったが、この言葉の重みを忘れないで。」と、こういう記事が載っておるんです。  この際、戦争が終わりましてもう五十年たつ、もうしがらみもなくなった、だからいいことはいい、悪いことは悪い、この区切りをつける時期だと思いますので、この点につきましても、総理大臣、本当に思い切った、これはもうごちゃごちゃ言わぬで、これが一番いい、こういうようにひとつこれから対応していただきたい、このように要望して、種田議員の関連質問に入らせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  183. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 関連質疑を許します。種田誠君。
  184. 種田誠

    ○種田誠君 関連で、最初に総理にお伺いをしたいと思います。  昨今の報道などを見ますと、総理の普遍的安全保障という言葉に対して、考え方が揺れ動いておるなどという表現がございますが、このことについてまず伺いたいんですが、総理は、普遍的安全保障というのは今の時点でどういうふうに御理解をしておるんでしょうか。
  185. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 与党の統一見解によりますと、普遍的安全保障とは「国連による平和と安全の維持のための枠組みの総体」であるとされておりますけれども、政府としてこれを有権的な解釈を行う立場には今はないわけであります。  なお、御指摘の私の答弁は、普遍的安全保障をめぐる議論との関連で、現行憲法の許容する範囲内で対処することを申し上げた文脈の中で、一般論として我が国が憲法第九条の禁じる武力の行使に該当するような軍事的な措置に参加することはできないという当然なことを述べたつもりでございます。
  186. 種田誠

    ○種田誠君 実はこの普遍的安全保障というのは、私もいろいろ調べましたところ、確かに国際法上はオーソライズされていない言葉であって、あえて言えば我が社会党が考えてきた概念とも言わざるを得ないような意味合いもあるわけですけれども、問題は、連立政権をつくるに当たって、当初原案であった「集団的安全保障(集団的措置)」という表現を連立政権の協議の中において「普遍的安全保障」に変えたというこのことが問題なのであって、どうしてそこが変わったのかということをはっきりさせておくことがこの連立を維持する上で重要なんじゃないかと思うんですが、それはいかがでしょうか。
  187. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 集団的安全保障、これは各国の固有の一つの権限として国連の中でこうやって認められておるということでありましょう。しかし、その中にあって武力を用いてやる行為、こういったものについては、我が国の憲法第九条の考え方からいって、これはいわゆる軍事的な措置に参加することができないということに私はつながるだろうというふうに思います。
  188. 種田誠

    ○種田誠君 そこで、ちょっと整理をしておかなきゃいけないのは、集団的安全保障という言葉は憲法上は出てこない言葉で、国連憲章にはこれは第七章を中心に出てくる言葉でありますけれども、総理は、日本国憲法の上でどの条項がこの集団的安全保障というのを受けているのか、どういうふうに御理解していますか。
  189. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 国連憲章の解釈の問題でございますので私から答弁させていただきますけれども、国連憲章第一条の目的の一というところに集団的措置という言葉がございますけれども、これは基本的に考えておることは、国連憲章第七章に定めますところの平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動を指す三十九条から始まる条項を念頭に置いた集団的措置、通常集団安全保障と言われておりますけれども、その核心をなすものとして考えられていることだと思います。
  190. 種田誠

    ○種田誠君 私が聞いているのは、憲法上集団安全保障というのはどこが受けているのかと、条文でもって。だから、これは法制、局が答えなきゃいけないんですよ。こっちは条約じゃないんだよ。  集団安全保障という言葉を憲法のどの条文から読み取れるのかと。だから、例えば前文のどういうところにあるのか、九条にあるというのか、九十八条二項にあるというのか。
  191. 大出峻郎

    政府委員(大出峻郎君) 日本国憲法の中におきましては、具体的に集団的安全保障ということを前提とした条文といいますか、そういうものは特に設けられているわけではないと思います。
  192. 種田誠

    ○種田誠君 どこが受けているのか、それを聞いている。どこが受けているのかと聞いている。その集団安全保障と国連憲章にあるのを――日本で集団安全保障と我々言うでしょう。そうした場合に、日本国憲法のどこかにそれを受けているわけでしょう、それを集団安全保障を考えることを。前文なのか九条なのか、九十八条の二項なのか、ちゃんと答えなさい。
  193. 大出峻郎

    政府委員(大出峻郎君) 受けているという意味がちょっと私はよく理解できないんです。
  194. 種田誠

    ○種田誠君 集団安全保障を日本が認める根拠
  195. 大出峻郎

    政府委員(大出峻郎君) それは、日本国憲法のもとにおきまして国連憲章というものに我が国が加入をしておるということから我が国との関連が出てくる、こういうことだろうと思います。  具体的な条文というものは具体的にはないと思います。
  196. 種田誠

    ○種田誠君 これでは全く答えていないわけです。  国連が考えている集団安全保障というのを私どもが何らかの形でこれから実行していこうとすれば、日本国憲法に基づいて我々は行っていくわけですから、日本国憲法は集団安全保障というのを受ける条文や趣旨や考え方があるわけです。それがないというようではこれ以上質疑ができませんので、終わります。  これ以上質疑はできません。
  197. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  198. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 速記を起こして。  梶原君の残余の質疑は次回に譲ることといたします。  暫時休憩いたします。    午後五時五十五分休憩      ―――――・―――――    午後六時四分開会
  199. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  まず、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  平成六年度総予算三案審査のため、来る六月二十日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  202. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。  先般本委員会が行いました委員派遣につきましては、報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  次回は来る十三日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会      ―――――・―――――