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1994-07-06 第129回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年七月六日(水曜日)    午後一時四十分開会     —————————————    委員異動  七月五日     辞任         補欠選任      刈田 貞子君     武田 節子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         浦田  勝君     理 事                 大塚清次郎君                 谷本  巍君                 野別 隆俊君                 林  紀子君     委 員                 井上 吉夫君                 北  修二君                 佐藤 静雄君                 高木 正明君                 吉川 芳男君                 稲村 稔夫君                 中尾 則幸君                 三上 隆雄君                 村沢  牧君                 井上 哲夫君                 星川 保松君                 風間  昶君                 武田 節子君    国務大臣        農林水産大臣  大河原太一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    説明員        農林水産政務次        官        吉田 達男君        農林水産省経済        局長       東  久雄君        農林水産省経済        局統計情報部長  嶌田 道夫君        農林水産省構造        改善局長     入澤  肇君        農林水産省農蚕        園芸局長     日出 英輔君        食糧庁次長    永田 秀治君        食糧庁管理部長  堤  英隆君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (平成年産米生産者米価に関する件)     —————————————
  2. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ただいまから農林水産委員  会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  昨日、刈田貞子君が委員を辞任され、その補欠として武田節子君が選任されました。     —————————————
  3. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 農林水産政策に関する調査のうち、平成年産米生産者米価に関する件を議題といたします。  まず、平成年産米生産者米価について政府から説明を聴取いたします。堤食糧庁管理部長
  4. 堤英隆

    説明員堤英隆君) それでは、平成年産米穀政府買い入れ価格につきまして、去る六月二十七日に算定方式とそれから留意すべき事項につきまして米審諮問をいたしまして、さらに本日試算値についてお示しをしましたので、その概要につきまして御説明をさせていただきます。  お手元資料がお渡ししてございますが、まず「諮問」につきまして朗読をさせていただきます。     諮問   平成年産米穀政府買価格決定に関し、我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、地域における生産性の高い稲作農家生産費及び所得を考慮して算定すること及びその際留意すべき事項につき、米価審議会意見を求める。   平成六年六月二十七日          農林水産大臣 加藤六月  それから、引き続きまして「諮問説明」につきまして朗読をさせていただきます。   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式によりその時々の需給事情等に応じて行ってきたところであります。   このような中で、最近の米をめぐる諸情勢にかんがみ、生産性の高い稲作担い手となる農家生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性の向上を図り、国民の納得の得られる価格での米の安定供給に努めることが重要な課題となっております。   また、米の需給事情につきましては、昨年の未曾有の不作にかんがみ、安定的な米の供給を確保するため、平成米穀年度末の在庫数量を百三十万トン程度とすることを目途として、平成六年度及び七年度における転作等目標面積を七万六千ヘクタール緩和することとしたところでありますが、依然として潜在需給ギャップが存在しており、引き続き水田営農活性化対策を実施しているところであります。   他方、一般経済情勢の面では、労賃物価等について、鈍化しているものの引き続き上昇がみられております。   以上の事情総合勘案の上、本年産米穀政府買価格につきましては、引き続き、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家をその地域において稲作を実質的に担っている者であるとし、このよう生産者生産費基礎とし生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかと考えております。つきましては、このよう考え方により政府買価格算定すること及びその際留意すべき事項につきまして米価審議会の御審議を願い御意見を賜りたいと存じます。  それから三つ目に、「平成年産米穀政府買価格試算」というのがございますので、これにつきまして御説明をさせていただきます。  平成年産米政府買い入れ価格算定につきましては、平成年産以降採用されてきておりますいわゆる地域方式に基づきまして行っております。本年産米価をこの地域方式により算定することにつきましては、先般六月二十七日のいわゆる前期米価審議会においてお諮りをし、ことしにつきましては暫定的に採用することについて大方の御了解をいただいたものというふうに考えております。  それでは、一ページをお開きいただきたいと思います。  一ページに算式がございますけれども、これは前三年の評価がえ生産費平均分子といたしまして、前三年の平均収量分母といたしまして、六十キログラム当たり価格を求めるというものでございます。  本年産につきましては、従来のルールにのっとりまして直近三カ年のいわゆる平成年産それから四年産、五年産米生産費調査結果を算定基礎として用いているところでございます。  算定対象農家とり方につきましては、冒頭申し上げましたよう地域方式ということによっております。この地域方式基本的な考え方につきましては、御案内のとおり、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家を、その地域におきます稲作を実質的に担っている生産者というふうに位置づけまして、算定対象というふうにいたしております。  具体的な算定対象とり方につきましては、まず(注)にございますよう全国を九つの農業地域に区分いたします。次いで、地域ごとに六十キログラム当たり平均生産費を求めます。このようにして求めました地域ごと平均生産費を指標にいたしまして、それ以上の生産性を上げております農家を選定いたしております。ちなみに、このよう手順によって算定対象となっております農家戸数シェアというのは四三%程度というふうになっております。また、販売シェアにつきましては六〇%程度というふうになっております。  それから、一ページの分子のところでございますけれども、算定対象農家の十アール当たり平均生産費につきましては、物財それから雇用労働費など実際に支払っております費用につきましては生産費調査結果を物価修正するということにいたしておりますし、それから家族労働費につきましては都市均衡労賃評価がえをするということにいたしております。実際に支払いを行っておりません自己資本利子なり自作地地代につきましても一定評価方法によって算入をいたしております。これらを合計した評価がえ生産費算出いたしまして、これを分母であります算定対象農家平均単収で除しまして求める価格というものを算定いたしております。  この求める価格につきましては、いわば米全体の農家庭先段階での価格というふうに考えていただければよいかというふうに思っております。  それから、二ページをごらんいただきたいと思います。  二ページに算定値をお示ししてございます。1が求める価格ということでございますが、2の基準価格につきましては、いわゆる求める価格に最寄りの検査場所までの運賃を加算したものでございまして、一万五千八百五十三円というふうになっております。  3は、今申し上げました基準価格基礎にいたしまして、銘柄間の格差でありますとか、それから等級間の格差といったことを前提に三類一等価格算出したものでございます。  本年産におきましては、一番右側のところにございますよう調整額といたしまして六十キログラム当たり三百十円というものを加算しておりますが、これは当面の米の需給の状況から見まして、制度別用途別の多様な需要に的確に対応していく上で平成年産米の適正な集荷を確保するということが緊要な課題となっていること等を考慮いたしまして、所要の調整を行って据え置きというふうにいたしております。  それから4は、いわゆる基本米価というふうに呼んでおりますが、ウルチ一−五類、それから一−二等平均、それから包装込み生産者手取り予定価格ということでございます。基本米価につきましても前年と同額というふうになっております。  それから三ページにつきましては、一類から五類、それから一等から三等ということで価格一覧表が載せてございます。  それから、四ページをお開きいただきたいと思います。ここに算定要領というものがございます。算定要素とり方につきまして整理をしてございますが、本年産政府試算におきます算定要素とり方につきましては、昨年と基本的に同様の考え方に基づいてやっております。  まず、(1)家族労働費でございますけれども、家族労働費につきましては、生産費及び所得補償方式のもとで都市均衡労賃によって評価がえを行っております。都市均衡労賃といたしましては、前年と同様に都道府県別米販売数量によって加重平均いたしました事業所規模五人以上千人未満事業所製造業賃金を採用いたしております。  なお、生産費調査の改正によりまして、平成年産生産費から新たに、生産と一体的な生産管理労働につきましても家族労働算入されるということになっておりますが、米価算定におきましては、従来からこれに経営管理労働も含めましたいわゆる企画管理労働全体を別途算入してきたところでございます。本年もこの整理に従いまして、ここでは生産管理労働を除きまして評価がえを行って、別途企画管理労働につきましても算入をするということでやってきております。  それから、四ページの下に一時間当たり労賃を掲げております。このうち、男女込み労賃は直接家族労働評価に用いておりまして、男子労賃自給肥料等に係ります間接労働評価というふうに用いております。なお、労賃単価は、前年産に比べまして男女込み労賃で二・八%、男子労賃で二%の上昇というふうになっております。  それから五ページでございます。五ページのアは五人以上千人未満規模労賃でございますが、現物給与等調整前のものでございます。都道府県別労賃のデータの制約から労賃規模あるいは期間につきまして修正を行っておりますが、その計算手順整理しているところでございます。それからイでございますけれども、イはアの労賃に加算いたします現物給与相当額加算手法につきまして、ウは労賃から控除する通勤手当相当額減額手法ということで整理をいたしております。  続きまして、六ページの(2)でございますけれども、物財それから雇用労働費物価修正手法でございます。  物価修正につきましては、生産費調査調査期間歴年ベース、一月から十二月というふうになっております。それから、できる限り直近までの物価動向を反映させる必要がございますので、従来、基準期間あるいは比較期間とも各年の一月ないし五月平均物価指数を用いるということを基本としております。本年産につきましても、このような従来の考え方を踏襲いたしまして、基準期間比較期間とも一月ないし五月をとるということにいたしました。  それから、平成年産生産費調査から、生産管理労働に付随いたします物財費でございます生産管理費が新たに物財費に計上されるということになりましたほか、土地改良負担金計上範囲の拡大なり農機具等減価償却費計上方法見直し等が行われたところでございますが、米価算定におきましても、各年の生産費につきましてその調査結果をもとに算入をいたしたところでございます。  それから、(3)の副産物価額でございますが、副産物はわら及びくず米でございまして、生産費から控除されますけれども、掲げております係数生産費調査にあらわれました各年の副産物価額物価修正する係数でございます。  それから、続きまして(4)の資本利子でございます。  資本利子借入金自己資金に区分しておりますけれども、この割合は三年に一度行っております米生産費補完調査結果によっておりまして、本年産におきましては、平成年産米についての補完調査結果を用いております。  具体的な金利とり方につきましては、借入金金利につきましては、補完調査にあらわれました借り入れの実態にその後の実勢を織り込んで算出をいたしております。一方、自己資本利子につきましては、実際には支払いを行っていない部分についての一種の擬制計算でございまして、本年の場合につきましては、昨年と同様に農協の定期貯金直近五カ年の平均利率四・二九%をとっております。  それから、七ぺ−ジの(5)の物件税及び公課請負担ということでございますけれども、物件税それから公課請負担は、収益の有無にかかわらず稲作を行っているということによって賦課されるものを従来どおり計上をいたしております。  それから、(6)の地代でございますけれども、まず自作地地代につきましては、生産者が実際に、支払いますものではございませんけれども、所得付与部分として従来から価格算入してきております。本年産につきましても、従来同様土地資本利子考え方によりまして、固定資産税評価額に十年利付国債平均利回りということで五・四一一%を乗じて算出をいたしております。  それから、小作地等地代につきましては、生産費調査実績値を掲げて算入してございます。  それから八ページでございますけれども、(7)の企画管理労働費でございます。これにつきましても、各地域稲作実質的担い手農家算定対象といたしまして米価算定を行うという観点から、前年産と同様、米価算入をいたしているということでございます。  それから(8)の算定値は、以上の各要素を積み上げました十アール当たり評価がえ生産費でございまして、平均で十三万三千六百四十六円というふうになっております。これを六十キログラム当たりに引き直すために、次の2で十アール当たり平均収量算定しております。十アール当たり平均収量は三カ年の平均で五百十二キログラムというふうになっております。  なお、平成年産の十アール当たり平均収量は四百九十キログラムと低い水準になっているところでございます。  それから、最後に九ページにつきましては、以上の結果を原生産費価格決定年評価がえ生産費ということで整理したものでございます。  以上のとおりでございます。よろしくお願いします。
  5. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 次に、平成年産米生産費調査結果を聴取いたします。嶌田統計情報部長
  6. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 引き続きまして、平成年産米生産費の結果につきまして、お手元にお配りしました資料に基づき御説明いたします。  御承知のとおり、平成年産の米は、未曾有冷害に見舞われまして作況指数が七四となっております。生産費調査では、正常な状態のもとでの生産費を求めるという趣旨から、昭和二十七年以降一貫して災害率二〇%以上の農家を除外して集計しております。したがいまして、これから御説明いたします平成年産の場合、集計対象農家が前年に比べ少なくなっております。  まず、農家調査全国の結果を十アール当たりについて、一ページの表で見ますと、費用合計から副産物価額を差し引いた生産費は十三万五千百三十八円で、前年に比べ五・一%増加し、資本利子地代全額算入生産費は十七万二千六百三十三円と、前年に比べ三・四%増加しております。このよう生産費が増加しましたのは、先ほど御説明いたしました集計対象農家関係によるものでございます。  次に、四ページから五ページにかけまして詳細がございますが、物財費のうち冷害の影響の大きかった費目について見ますと、肥料費は低温のもとで生育障害受精障害を避けるため施肥量を控えたことから減少しておりますが、農業薬剤費いもち病の発生により投入量が増加したこと、賃借料及び料金は収量の減少により委託作業が減少したものの、価格上昇したことによりましてそれぞれ増加しております。また、農機具費水準の低い北海道、東北の集計対象農家が少なくなったこともあって増加しております。  労働費につきましても、同様の理由により労賃単価上昇をしたことなどから増加しております。  なお、六十キログラム当たりで見ますと、十アール当たり収量が前年に比べ七・八%下回っておりますので、全算入生産費は二万一千八百十八円と前年に比べ二一・一%増加しております。  作付規模別に見た生産費について四ページから五ページにかけて十アール当たり生産費が出ておりますが、生産費作付規模が大きくなるにつれて低下しておりまして、このよう階層間格差は主として作付規模の大きな階層ほど農機具効率的利用等が行われ、稲作労働省力化も進むことにより労働費農機具費などの費用が低下することなどにより生じているところでございます。  次に、別冊でございます。別冊農業生産組織米生産費調査の結果を御説明いたします。  この調査平成年産から参考として調査を行っているものでございます。協業経営体と書いてございますが、協業経営体とは複数の世帯が一定の協定に基づき組織化し、米の生産販売収支決算を共同で行い、収益を分配しているものをいいます。また、全作業受託組織とございますが、全作業受託組織とは複数農家が組織化し、組織内また組織外の農作業の全部を担うものの、生産された米はすべてそれぞれの農家に帰属するものをいいます。  協業経営体につきましては一ページの表にありますように、十アール当たり算入生産費は十三万五千九百九十四円、六十キログラム当たり算入生産費は一万七千百十一円となっておりまして、これを先ほど御説明しました農家調査の結果と比べますと十アール当たり算入生産費、また六十キログラム当たり算入生産費ともに約八割の水準となっております。  全作業受託組織につきましては、十アール当たり算入生産費は十三万六千三十二円、六十キログラム当たり算入生産費は一万九千二百六十八円となっておりまして、これを農家調査の結果と比べますと十アール当たり算入生産費では約八割、六十キログラム当たり算入生産費では約九割の水準となっております。  以上が平成年産米生産費農家調査結果及び農業生産組織調査結果の概要でございます。
  7. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 以上で説明の聴取は終わりました。     —————————————
  8. 浦田勝

    委員長浦田勝君) この際、大河原農林水産大臣及び吉田農林水産政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。大河原農林水産大臣
  9. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) このたび農林水産大臣に就任いたしました大河原太一郎でございます。  農林水産行政がまことに重大な時期を迎えておるこのときでございまして、責任の重大さを痛感しておるところでございます。  委員各位の御教示と御鞭撻に基づきましてその責任を果たしていきたい、さように考えております。二十一世紀に向かって農林水産業の展望を何とか開く努力をいたしたい、さように思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。(拍手
  10. 浦田勝

  11. 吉田達男

    説明員吉田達男君) 私、このたび農林水産政務次官を拝命いたしました吉田達男でございます。  今日、日本の農林水産行政は幾つもの重要な課題を抱えておりますが、大河原大臣を補佐いたしまして、全力を傾けてこれに当たりたいと存じております。  委員各位の御指導を賜りますようによろしくお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)     —————————————
  12. 浦田勝

    委員長浦田勝君) これより平成年産米生産者米価に関する件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 まず最初に、大臣政務次官、御就任まことにおめでとうございます。心からお祝いを申し上げる次第でございます。  お二人とも、大臣は五十年、それから政務次官は四十年、それぞれ農政の御経歴を積まれまして、全国農家あるいは農業団体から慈父のように慕われておられる方でございます。その蓄積されました御経験と、将来を見通しての広い視野に立たれての御見識に心から御期待を申し上げる次第でございます。何分よろしくお願い申し上げます。  さて、平成六年度の米価でございますけれども、政府は、連立与党との夜を徹しての折衝によりまして、米価審議会に対する諮問案がこの朝決定されたわけでございます。これは新政権が誕生して初めての政策決定でございまして、連立三党の息の合った、しかも決断に富んだこの決定は、私ども非常にこれからの政権の行方として大切な礎石であったというふうに考えておるわけでございます。しかも、連立三党派の代表の方々は、本委員会におられます村沢先生初め皆これはもう農政に関しては大変な経験と良識の持ち主でございまして、それと折衝された政府側もさぞかし御苦労が多かったものというふうに推察をするわけでございます。  しかし、両者が切磋琢磨して立派な実ができたということ、これを本当に私ども喜んでおるわけでございます。関係者が深く現在の農業を憂い、そして農家の実情を深く認識されまして、農家に対する深い愛情に裏打ちされた折衝、これがやはり本当に血の通った農政ではあるまいかというふうに私は考えておるところでございます。当事者の方々に心から敬意を表する次第でございます。  さはさりながら、この折衝過程におきまして今後の米価決定のため十分検討を必要とする諸点も見受けられたわけでございます。それらについて若干お尋ねをいたしたいと考えております。  その第一は米価算定方式でございます。これは二十七年からずっとやってきたと言えばそれまでのことでございますが、平成六年度米価について地域算定方式で行うという方針を決定されましたが、これはどのように考えても現在の米をめぐる厳しい情勢から乖離しているんではないか、実態とかけ離れているというふうに思わざるを得ないのであります。米作の実態を勘案しないで農家の一番大切な米の値段を決めていくということは私はちょっとおかしいんではないかと。  そこで、お教えをいただきたいのでございますけれども、現行の算定方式は、これは歴史的な経緯は知っております。知っておりますけれども、地域ごと平均生産費以上の農家のみを対象としておりますから、これで一体生産量のどのくらいカバーしておられるのか、まずそこからお尋ねをしていきたいと思います。
  14. 堤英隆

    説明員堤英隆君) この生産費で求めております算定対象農家平均作付規模としましては、戸数のシェアでこの地域方式四三%、それから販売数量シェアで六〇%、それから生産数量シェアで五八%というシェアというふうになっております。
  15. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 そのように高いとは私は考えておりませんでした。ある種の資料からいくと、生産量のうち三分の一しかカバーしていないのではないかという議論もございます。これについては議論でございますから、農業団体を含めてこれから大いに議論をしてもらいたいと思いますが、少なくとも量として半分ぐらいの量しかカバーしていないということ、これは政府は、経営面積が大きい、そして政府が目指す近代化した経営農家に誘導しようという気持ちがあるからこうなっておるわけだろうと拝察をしておるわけでございますが、そのような政策誘導、これをこの辺でもう一回ゆっくり勉強し直していいんじゃないかというのが私の気持ちでございます。  さらに、問題は、昨年の大冷害に際しまして、生産費調査では二割以上の減収農家を集計対象から外しております。これは後ほども質問いたしますけれども、東北、北海道あるいは九州の農家群からすれば、二割以上の被害を受けた農家を外してしまえば対象は極めて少のうございまするし、これはやっぱり稲作実態から見て非常に乱暴なことでございます。  これは、統計手法がずっと続いている、三十年も四十年も続いているからここで手法を変えるわけにいかぬとおっしゃいますけれども、生産者米価というのはその年その年の生産実態あるいは所得実態、それに合わせてやはり米価を決めていく、法律にもそう書いてあるわけでございます。やはりそういう点から見ますると、統計の一貫性を維持したいというお気持ちはわかりますけれども、このように乱暴な、二割以上は切り捨てるというよう手法が続いている、これは到底私は納得できない、農家も納得しないと思います。この辺でこの手法を検討し直すことが私は必要だと思うのでございますが、その点についても御意見を賜りたいと思います。
  16. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 今、先と言われましたように、昭和二十七年から一貫いたしまして、二〇%以上の被害を受けた農家を異常な生産状態のものとみなしまして、集計対象農家から除外してきております。これは、米の生産費調査は正常な生産状態のもとでの生産費算出するという考え方から統計理論に基づき行っているものでございます。  仮に、例えば昨年のような作況に応じまして除外する災害率を変えるということにいたしますと、これは凶作の変動を大きく受けた生産費となりまして、正常な生産状態のもとでの生産費算出するということができなくなりまして、標本については同一基準で継続して調査するという統計理論にも反することになりまして、また先と言われました統計の連続性の確保もできなくなりますものですから、これは少し問題があろうかと考えております。
  17. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 いや、私は統計の連続性あるいは何といいますか合理性をそこでやめろというのではなくて、このような異常な事態が、しかも全国に広い幅で出てきた場合に米価決定する資料として使うのがおかしい。それはそれで結構でございますよ、平均値をとって平常の平年作で物を考えればそういうことになるということはわかっておりますけれども、少なくともその他経済的な事情を勘案してと法律にあるわけでございます。あなたの出してくる資料は、それは米の値段を決めるごく一部の資料だというふうに私は考えます。その他の経済事情あるいはその他の財政事情、何でもいいですよ、それはどういうふうに処理されるわけですか。
  18. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 現在の食糧管理法に基づきましては、米価算定上はコスト主義ということを基本的に考えております。物価その他ということのコストを基本としながら、今先生おっしゃいましたように、さらに経済事情その他の需給事情ということを勘案して決定する、こういうことであろうかと思います。そういう意味ではこの勘案事項として、やはり基本的には米の需給事情がどうであるかということはかなり大きなウエートを持つのではないかというふうに思っています。  現在、過剰の状態が続いているわけでございますが、そういった需給事情、それから先ほど申し上げました経済事情、そういったことを総合的に勘案して対処すべきものだというふうに考えているところでございます。  なお、生産費上、冷害等を受けました場合には、三年間の生産費をベースにいたしますので、その生産費の中に冷害等の影響というのは当然あらわれてくるというふうに見ております。
  19. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 これは技術的なことでございますが、今後の参考までにお伺いいたしますけれども、二〇%以上の被害農家を切り捨てたといいますが、サンプリングとなった農家の数は平成五年で幾らであったのか、平成六年ではどのような数の客体をおとらえになったのか、それを聞きたい。  それから、災害の大きかった北海道、東北あるいは九州の農家では二〇%以上の被害農家がほとんどだというふうに思われますけれども、この地域では何%の農家対象調査をされたのか、伺っておきたいと思います。
  20. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 五年産、六年産と先と言われましたが、六年産はまだありませんので、五年産で申し上げますと、まず調査しました農家全国で二千八百三十戸でございます。そのうち災害等または十俵未満農家は外しておりますので、我々が調査しています俗に言う販売農家といいますのは千五百二十六戸になっております。  それを地域別に見てみますと、北海道が七、それから都府県全体では千五百十九でございまして、東北は百八十四、北陸二百六十二、関東・東山二百九十二、東海百五十五、近畿二百九、中国百五十六、四国百七、九州百五十四となっております。  なお、どれだけのウエートかということでございますが、北海道につきましては、調査農家のうち七戸でございますから、約六%という数字になっております。
  21. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 与党になりまして時間が非常に限られておりますので、この問題についてはこれぐらいにしておきますが、今御答弁にありましたように、調査農家、客体はこんなものでございます。こんなものから全体の趨勢を決められる。私はこの地域方式地域算定方式にはやはり重大な欠陥があるのではないか。これをやはりこれから勉強しながら、ひとつお役所の方にも勉強していただきたい、私の方でも勉強いたしますから。どうしてもこの点納得できないものですからお尋ねをした次第でございます。  次に、米の問題についてお聞きをしようかと思ったのでございますが、けさ諮問案が出たので、私の方も関与してできたわけでございますから省略をいたしますけれども、この中で一つだけお聞きしておきたいのでございますが、ことしの政府管理米の集荷目標、そのうち自主流通米の目標はどのようなものか、あるいは政府米はどのくらい期待しているのか、それをお聞きしたいと思います。
  22. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 本年産の限度数量は七百三十八万トンでございます。そのうち自主流通米が四百十万トン、政府米が二百六十万トン、その他酒米とかモチ米ということになっております。
  23. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 お答えをいただいた二百六十万トンの部分について食糧庁、自信がございますか、お答え願います。
  24. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 結局、本年産につきましては全体的に需要が約一千万トン、日本の場合一千万トンでございますが、それに対しまして転作目標面積を七万六千ヘクタール緩和いたしまして、全体的に生産量を約千六十万トンという形で生産をいたしております。かつ現在の復円状況を見ますと、かなり農家方々の御意向に沿った復円をいたしました結果、復円がおおむね順調に行われている、かつこういう天気でございますので生育状況もよいというふうに聞いております。したがいまして、全体的な量の問題につきましては、これからまだ不安な面はございますけれども、基本的に需要量を上回る六十万トン、これは在庫造成となるわけでございますが、そういった目標で展開をしているということが一つございます。  さらに、それに加えまして今御指摘のように集荷対策ということをきちんとしておく必要があるということで、私どもとしては当面のこの端境期につきましてはまずやはり自主流通米という形で集めていくことになろうと思いますが、徐々に九月、十月、十一月、十二月というふうになりますとやはり自主流通米だけでは全体的にだれてくるということになりますので、政府米の集荷についても確実なものにしていきたいというふうに考えているところでございます。
  25. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 次に、食管制度の改革についてお尋ねをしたいと思うのであります。  政府の数次にわたる世論調査におりますように、大多数の国民は米の国内自給を望んでおります。これは政府で三回調べて三回ともそうなっております。  需給調整等を含めた食管制度の見直しに当たっては、これはもちろん国内自給体制を維持していく、そういう制度を私は根幹にしなきゃいかぬというふうに思っておりますけれども、ミニマムアクセスの受け入れによる米の生産、流通に与える影響、これは当然だんだん量がふえてくるわけでございますから、国内の生産規模の縮小あるいは価格の低下圧力にならないかというふうに非常に私どもは心配をしておるわけでございます。したがって、十分な政策的対応が行われない場合、将来我が国の水田農業による米の国内自給体制を維持することが非常に難しくなるんではないかというふうに私は危倶をいたしております。  そこで、お尋ねをしたいのでありますが、今農政審で検討しているとおっしゃらずにお答えいただきたいのでございますが、まず食管法の根幹である第三条の政府売り渡し義務について、今後食管法改正を検討する場合にどのように扱っていかれるか。それから二番目は、集荷業者指定の見直しあるいは集荷業者も小売ができるような制度改正、これを私は弾力的に行っていく必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、その点についての御見解。それから、小売段階ではそうきついことを言わないでいいと私は思うのであります。小売段階では一層の競争原理が働くような規制の緩和、一層の緩和をしていただきたい。  それから、もう一つ大きな問題でございますが、米の検査を民間に委託する、思い切って食管業務を合理化する、食管体制を簡素合理化するということをやはり私はこれから中心課題に据えていかなきゃいかぬと。これは当然身を切る思いで非常につらいことではございますが、食管を国民の食管にするためには私はそこまで突っ込んで検討しなきゃいかぬというふうに思っておるわけでございます。  そこで、基本部分生産調整あるいは備蓄制度、価格制度あるいは流通制度、管理制度に思い切った改善措置を導入すべきと思われますが、根幹については大臣からお答えをいただきたいと思います。
  26. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) ただいま、食糧管理制度の改正の今後の問題についての御質問でございますが、これはすぐ先生からおしかりを受けるかと思いますが、現在農政審議会において議論を重ねておるところでございます。事は重要でございますので、私どもとしては速やかなる中間報告を求めて、政府として農水省としての案を固めたい、さように思っておることをお許し願いたいと思うわけでございます。  ただ、御指摘にもございましたように、基本的な食料である、あるいは基幹的農産物である米については、その需給調整価格の安定、これは何としても必要でございまして、生産者のためにも消費者のためにも図られなければ相ならぬわけですが、その場合の手法として、システムとしてどういうシステムがよろしいのかという点についていろいろ議論が分かれておるようでございますが、我々としては根幹と言われる部分需給調整価格の安定等についての国民食料の確保、この根幹は維持されるような米管理のシステムが樹立されるように努力しなければならない、さように思っております。
  27. 堤英隆

    説明員堤英隆君) 先生の方から四点、食管のことについて御指摘がございましたので御説明させていただきます。  まず一つは、第三条の関係でございますけれども、これは御案内のように、食管法三条で農家方々政府への売り渡し義務を課しております。これは、結局政府が管理すべき米穀ということで、国民が必要といたします量の米につきまして生産者から確実に集荷を行うということのためにこういった義務が設けられております。そういう意味では、現行の全量管理制度の基本をなす極めて重要な規定というふうに考えております。  したがいまして、今後の全体的な需給をどういうふうに見るか、それからその中で政府の役割をどういうふうに見るのか、そういったこととも絡んでこの三条の義務をどう扱ったらいいのかということの中で検討を進めてまいるべき性格のものというふうに考えております。  それから、集荷業者、小売・卸業者の規制の一層の緩和ということの御指摘もございました。  実は、昭和六十三年に米流通改善大綱というものをつくりまして、集荷関係、それから卸、小売関係につきましてもかなりの規制緩和をし、それから新規参入という形をとってきております。特に小売関係につきましては、特定営業者でありますとか、ブランチでありますとか、そういう形で消費者の方々の利便に供するような形での新規参入ということもやってきておりますので、こういった流れはこれからもきちんとやっていくべきだというふうに理解をいたしております。  それから最後に、米の検査の民間委託の点でございますけれども、これはなかなか難しい問題であるという認識をいたしております。  特に、我が国の米につきましては、現在、品質面あるいは規格面、安全面ということにつきましてかなり関係者、国民の皆さん方の御信頼も厚いというふうに見ておりますが、それはやはり政府がそういった形の検査に長年入ってきていたということも一つの要因ではないかというふうに見ております。他方で、やはり非効率性でありますとか、人員が多いであるとか、そういった御指摘もございますので、やはり効率的な検査体制にいける形で私どもとしてはさらに努力をしていかなきゃならない、こういうふうに考えております。
  28. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 私は日本社会党を代表して、このたびの米価算定に当たってのこの委員会でございますけれども、新しくこのたび八十一代の村山内閣の農林水産大臣に御就任された大河原新大臣に対して心から祝意を申し上げる次第であります。ただ、この変革、激動の時期でありますから、その御苦労と、日本農業の発展に大いなる御期待もまた申し上げる次第であります。  あわせて吉田政務次官、実は同じ会派で、百姓の会の会長と事務局長という立場でやってきた仲でありますから、お互いの農業の心、土の温かさを知っている相同士でありますから、これからの日本農業、食料政策に過ちのないようにひとつ御奮闘を御期待申し上げる次第であります。  きょうは米価委員会でございますけれども、新大臣たまたまの御出席でございますから、まず第一に、日本農業の最近に対する大臣基本的な認識とその方策についてお尋ねをしたいと思っております。  そこで、私が考えることを前段申し上げて、御回答をいただきたいわけであります。  我が国は、平和憲法とすぐれた教育制度のもと国民が勤勉、勤労に励んだ結果、世界有数の経済大国になったと思うわけであります。それは、経済優先、輸出依存型の経済政策の継続によってなし得たと思います。しかし、陰では農林漁業の大きな支えと犠牲の伴ったこともまた事実であります。  その間政治的には、自民党は戦後一貫して強さと巧みさを求めてきた政党である、私はそう認識をしております。逆に、私ども社会党は優しさと協調を求めてきた。その相まった効果で現在の日本の発展があったのだ、こう思って、それなりの評価をいたすわけでありますけれども、しかし自民党の一党支配が余りにも長く強かったため、その歯どめ、チェック・アンド・バランスが欠けて行政の硬直や腐敗の政治を生み出したし、それが現下の政局だと思わざるを得ないわけであります。  世界は変わり、日本も変革を求められております。日本丸を安全に運転して、世界のリーダーとしての貢献を求められているわけであります。それは、強力なエンジンと高度な情報機能、そしてあわせてそれを機敏適切に制御する機能を相持ち合わせた政権が必然であり、それが村山連立内閣であると信じるわけであります。  しかし、我が国は世界最大の食料の輸入国であり、自給率は先進諸国中最低であります。これを裏から見るならば、食料の世界最大の自由貿易国であると言わねばなりません。国内的には、農業後継者はUターンを含めても著しく低下しているという実態があるわけでありまして、今後の日本農業に極めて不安を感じる次第であります。  そこで、大河原新大臣は過去に食糧庁長官、農水事務次官を経験され、私も若かりし農協青年部のころは国会内外で相討論した関係もございます。いわば日本の農業の中心的役割を担ってきた大臣であります。したがって私は、この現況の農業に対する責任の一端も新大臣にあるのではないかと思っております。しかしながら、これだけ実力、実績を伴った新大臣でありますから、この難局を切り開くためにまた大いなる期待も寄せられるわけでありますから、そういう観点に立ってこれから質問を進めてまいりたいと思います。  そこで、米価を決めるにしても、日本の農業を語るにしても、日本の食料の自給率をどうしていくか、そのことによって日本政府の政策が、そしてまたそのことによって国民、消費者の理解も違ってくると思いますから、日本の食料の自給率をどう持っていくのかを新大臣からまずお伺いいたしたいと思います。
  29. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 国内の自給率問題については、やはり御指摘のよう農政最大の課題の一つだと思うわけでございます。  御案内のとおり、近年の推移につきましては、これはカロリーベースの計算でも五〇%を割り、四六が現在の数字がと記憶しておりますが、そのようにほっておけば自給率が低下するというような局面でございますが、今後の問題としては、やはり国内資源を最大限活用してこの点についての自給率維持を図るというのが当面の課題であるというふうに思っておるわけでございます。  ただ、これについてはやっぱり中長期の見通しも必要でございますので、現在、農政審議会等において長期見通しの点についても、この取り扱いについて検討を願っておるということでございます。
  30. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 新農政では一貫して規模拡大という方向へ持っていこうとしておりますけれども、そうなった場合の地域農村社会の人口構造も含めて、地域社会の運営等も含めてどうお考えですか。
  31. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 新農政等におきましても、効率的で安定的な経営体の育成と、それによって生産性の高い担い手を中核にするということで政策を進めるのが一つの中心でございますけれども、そこには兼業農家方々もおり、各種の地域社会としての方々もおるわけでございますので、それぞれが農山村地域においては農業なり林業等についてもかかわって、それぞれの所を得るというようなことが大変大事であるというふうに思っております。
  32. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 有能な担い手の育成ということを言われておりますけれども、確かにそうだと思います。しかしながら、私は現況の農業政策では、少なくとも価格政策ではそういう有能な青年が残らないというのが実態であると思うんです。農村の指導者はその市町村の議会議員であり、農協の理事であり、農業委員であると思います。そういう人たちの後継者がほとんど農業に従事してないという実態。なぜかと言えば、そういう立場の人たちこそ日本の農業の将来に展望を持ってないから自分の息子をその職につけさせない。そこに私は認識の原点を置いて、有能な青年を農業に従事させてその場に定着させようとすれば、これは確かにUターン族を吸収する方策もあるでしょう。しかしながら、今農村に住んで、農村で生きてきた人たちが能力的にも体力的にも経験的にも一番適切な人間なんです。都会から脱落者と言えば問題がありますけれども、都会の環境に合わないで地方の環境に帰ってくるというそういう人も大歓迎です。そういう人も入れなきゃ、これからの農業は大変でしょう。しかしながら、今ある有能な青年を出さないということが私はより大事がなと思うわけでありますから、その意味で今回の米価決定諮問米価は私は不満であります。  けさも堤部長が審議の経過の説明に来たときにも申し上げました。私は、青年に希望を持たせる、そして農業・農村に誇りを持たせる、そういう米価でなけりゃならないと思います。しかしながら、きょうのニュースを見てみなさい。各社共通して、また自民党政権に戻った、世の中が逆戻りしたという表現をしています。なぜそういう報道をするかというと、基本米価でこれだけ農協が要求している、少なくとも二万六百幾らですか、その程度のことは基本米価にしてあげなきゃならない。しかし、日本が国際社会に生きていくために国際価格と比較して高いから、どうぞ生産者農家の皆さん、これで我慢してくれよと。将来、生産性向上のため努力したことについては還元しますよというぐらいのことを言わないと、消費者からマスコミから批判されてしまう。逆にまた、情と理の米価であるという表現をした人があるけれども、これが適正な当たり前の価格なんだという表現をしてもらわないと国民から認められないのかなと私は思うわけであります。これについてのお考えを伺いたいと思います。
  33. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 三上委員のお話、各般にわたっておられるわけでございまして、極めて厳しい条件、内部から問題、脆弱化が噴き出している日本農業の現状から見て、その再建の方向を進めるためには、端的に例えばやはり後継者問題、こういう問題に着目して、新農政も言っておりますように、生涯所得において、また年間労働時間等において他産業並みが確保できるような経営体を育成いたすというようなことが眼目であろうというふうなお話が一つあったわけでございます。我々も農政を進める上においては後継者確保、そのような後継者に農業を担っていただくということが可能なような政策をやはり考えていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。  第二点は本年産米生産者米価決定のお話でございますが、これは各般の御議論を各方面からちょうだいいたしたところでございます。冷害あるいはガット・ウルグアイ・ラウンドの問題というものを加味した米価算定等の御要求もございましたが、他方ではやはり国民注視のもとにおける米価算定一定のルールに従って米価決定するということでございまして、その算定の結果を勘案いたしまして本日米価審議会諮問したような案を決定したところでございます。  米価についてはいろいろなお考え、三上委員ようなお考えもあることも承知しておるわけでございますが、基本的に稲作生産構造といいますか稲作の構造については、やはり一方ではその担い手となられる方の効率的で安定的な経営体をつくっていかなくちゃならないという生産性向上の側面と、価格あるいは所得の確保と両面を並行的に考えて進めなければならない、さように思っておるところでございます。
  34. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 今の農業者のつらいことは、実態とは違う批判をされることだと思います。日本の農業は過保護だ、生産性が弱いという言い方をしますね。最近、特にマスコミで批判する方々はそういう言い方をしています。そこで、過保護だというそういう認識はどこから来るのかを確認したい、こう思っております。  日本の一般会計予算、昭和三十年代はおおよそ三十兆円台であったはずであります。そして、その当時の農林予算はこれまた三兆円を超えております。おおよそ一一%。現在は七十四兆円ですね、若干の予算の構成は違ってきたにしても。その中で農林予算は三兆四千億前後です。そして、現在の三兆四千億台の予算についてはいわゆる公共投資の生活関連予算というものも相当部分含まれております。それを差し引くと二兆五千億より実質農林予算がないということになるわけでありますから、そうなれば、現在は国の予算に対する農業予算の割合は三・五、六%ということになります。三十年代から見れば約三分の一になっておる。  しかも、それを諸外国に比較してみますと、日本が国民一人当たり二万六百円だそうであります。これは大蔵省の資料から抜粋したものであります。アメリカは三万三千八百円、ECは一万九千三十円、この部分についてはECが若干日本より少ないわけでありますけれども、この中で価格支持額が、日本が二千六百二十六円に対してアメリカは八千六百六十七円、おおよそ日本の三倍であります。ECは一万七千百八十円ということで日本の約七倍という比率が出ているわけであります。  そしてまた、国家予算に対する比率を見ても、日本は三・六%、さっきと若干違いますけれども、三・六%。アメリカは四・一%、ECは六三・三%が国家予算に対する農林予算だそうです。農業総産出額に対する農業予算の比率を見ると、日本は二二・四%、アメリカは三二・三%、フランスは二九・三%、ドイツは四五・九%。どの観点から見ても日本の農業は過保護でないというのがこの一面から見ても私は明白であると思うわけでありますけれども、一般的には日本の農業は過保護である、そしてまた生産性が弱いという指摘がある。あるからこそ、意識ある農民ほど農業に見切りをつけて就労しないという実態があると思うわけであります。それについての御見解をいただきたいと思います。
  35. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 三上先生の御指摘でございますが、農業過保護論は各方面から出ます。ためにする議論も大変多い、経済界その他で。我々はかねがねこの点については大変憤りを感じる場合もあるわけでございます。  それはそれといたしまして、この農業保護の尺度というものは、委員は予算ということで端的にお話があったわけでございますが、もう一つは、政策的保護がどの程度消費者負担を財源にして行われているかどうかという両方をかみ合わせて保護の水準を決めなければならないというふうに考えるわけでございますが、我が国の農業関係に対する保護水準は、何と申しましても消費者負担に依存する部分が相当ある。本来ならばEC、アメリカのように財政支出で真っすぐにやってほしいものが消費者負担に転嫁されて賄われている部分があるわけでございまして、そういう意味で、我々としては今後はやはり財政支出という形で進めなければならない、消費者負担型ではなくて、財政支出という形で政策の推進が図られなければならない、さように思っておるところでございます。
  36. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 そこで、ガットの問題に触れたいと思いましたけれども、私の時間内で締めたいと思いますから、最後にこの機会にリンゴの問題を取り上げてみたいと思います。  明日と明後日の二日間、国の日程として行われる公聴会があります。この公聴会を最後にして政府の判断で解禁するかしないかという重要な時点に来ているわけでありますから、その公聴会のあり方、これは昨年のニュージーランドから入るときは極めて非民主的に行われました。今回は農蚕園芸局を中心として十分な対応をしているようでありますけれども、この民主的な運営について、きのう通告を申し上げておきましたから、日出局長からその対応を御説明いただきたいと思います。
  37. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) あす、あさって両日に公聴会が行われるわけでございますが、全国から公述の希望を申し出た方が三百七十名ございます。この中から百人を抽せんし、さらに学識経験者として十人加えまして百十人の方々で公述をしていただくというまことに実は他に例を見ない形ではございますが、こういった機会にぜひ公述をしたいという方の御希望に沿った形で公聴会を行おうとしているわけでございます。もちろん、この公聴会の開催に先立ちまして全国説明会を三回、それから各地九道県で現地の説明会を行いまして、検疫措置の内容等について周知に努めてきたところでございます。    〔委員長退席、理事大塚清次郎君着席〕  あすとあさって、私どもといたしますれば公述人の方々あるいは傍聴人の方々の御理解、御協力をいただきまして、できる限り民主的な運営の中で円滑な公聴会が開かれるように努めたいというふうに思っている次第でございます。
  38. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 そこで、一つ最後にお願い申し上げておきますけれども、あす、あさって二日にわたっての公聴会でありますから、相当広範な意見があると思います。そしてまた時間的にも余裕がありますから、どうぞひとつ、単なる植物防疫法にのっとった公聴会であるかもしれませんけれども、議論になる問題には適切に対応できるように人事を配置していただきたい。それは単なる植防の関係だけでなく、政治的に経済的にある程度お答えのできるようなそういう人も配置していただきたい、その点については大臣からひとつ御見解をいただきたい。
  39. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) さらには日出局長からお話があると思いますけれども、純粋の植物防疫問題以外にリンゴ生産者の皆さんはアメリカリンゴ、ワシントン州その他から来るその競争力を大変危惧している面がございまして、それへの的確な対応、これが一つの問題でございますし、またそれと関連の問題等で出てくる場合における適切な役所側の対応については当然配慮すべきものと考えておるところでございます。
  40. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) 三上先生のお話に対しましては大臣のお答えで尽きているかと思いますが、とりあえず私どもは、あすの公聴会は植物防疫法に基づきます公聴会でございますので、病害虫の防除技術が確立されているかどうかという観点につきましての御意見を承るわけでございますが、当然のことながら、これ以外に今大臣お話し申し上げましたようなアメリカ産リンゴの競争力の問題等々を懸念する声もございます。あしたはまた私どもとしますと、意見を申し上げられた公述人の方たちに対して私どもの考え方を申し上げる、そういう形での公聴会はちょっと難しいかと思っておりますが、これから先公聴会が終わりました後も、先生お話しのよう基本的に幾つかの問題ございますので、こういうことにつきましては生産現場の方々のお話をよく承りながら、今後の対策あるいは施策を考えていきたいというふうに思っておる次第でございます。
  41. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 公聴会の趣旨からいけば、法の制度からいくとその内容の公聴会ですけれども、せっかく何百人もの意見を聞くんだから、少なくともそこに誠意ある回答をできるように対応願いたいと思っています。  時間がもう少しありますから、最後に米価の問題をもう一回振り返りたいと思います。  先ほど佐藤委員も質問されましたけれども、昨年度の大凶作のこの結果が米価算定の基準に算入できないというお答え、先ほど佐藤委員も言いましたけれども、これは特定の個人あるいは地域の被害ではないわけであります。全国的な被害でありますから、そういう普遍的なものは、たまたまある、広範にあるというそういう事情からいけば、平常時の算定値を求めるためという理由であるようですけれども、やっぱり入れるべきであると思うわけであります。  なお、その議論については、災害については農災法でそれは救っておりますよというお答えもありますけれども、それは少なくとも二〇%、三〇%の足切りがあって、その分は農家の負担ということになっているわけでありますから、その分入れればどういう結果が出るのか。東北、北海道の大冷害地を含めればどの程度の影響力が出るかをお答えいただきたいと思います。    〔理事大塚清次郎君退席、委員長着席〕
  42. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 先ほど佐藤先生にお答えしましたように、統計のルールといたしまして二割以上の被害農家を外しまして私ども生産費計算しているという状況でございます。  先生今言われましたように、そういう共済金等いろいろ入れた場合どうかということにつきまして、生産費上はそういう共済金を入れるというようなことにつきましてはちょっとなじまない面がございますものですから計算してございません。例えば共済金などは非常に振れが、ある年にもらう、ある年はもらわないというようなものでございますので、非常に生産費が振れます。そういうようなこともございまして生産費計算上は外してございます。
  43. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 いやいや、それ聞いているんじゃないんです。それを入れたらどういう結果に算定値が出てくるかということです。
  44. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 今言いましたようなことでもって生産費上入れてないわけでございまして、入れたらどうなるかということでございますが、私どもそういう計算しておりませんので、残念ながらお答えできません。お許しいただきたいと思います。
  45. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 終わります。
  46. 星川保松

    ○星川保松君 今回は新党さきがけを仲介役にして、まあなったかどうかわかりませんが、我が国の第一党と第二党が連立政権を樹立したということは私は大変意義深いことだと考えておるところでございます。  私なりにこの大連立政権に期待をするところがあるわけであります。今まで国論を二分するような議論がいろいろな部門についてあったわけでありますが、それらについて大連立政権を通して国民的なコンセンサスができ上がれば、大変政権としての立派な役割を果たしてくれることになるのではないか、こう思っておるところでございます。  今は政権の支持率は余り高くないようでありますが、それは今までの対立した状況を見ている国民がやはり不安感を感じておるのではないかと思います。これから新政権がそういう相違点をすり合わせてやっていけば大変支持率が上がってくるんじゃないかと、こう私なりに思っておるところでございます。  米価についても国論を二分するような二つの見解があるわけでございます。今回もマスコミ等では、政府の方では下げていきたい、こういう意向だと伝えられており、生産者の方では何とか上げてほしい、こういうことになっておるわけでございます。今回は、この米審をめぐって生産者の皆さんが大勢やってまいりまして、私もいろいろと米価について話をしたのでありますが、きょうに至っても、やはりどうも生産者としては納得がいかない、こういうことなんです。  それで、なぜだろうということでいろいろ話をしてみました。そうしますと、米価を考えるその基礎がどうも二つあるようなんです。一つはいわゆる内外価格差というところから出発していく考え方ですね。そうしますと、やはり下げるべきだと。マスコミの論調もそのようであります。  先日、私のところに大蔵省の農水担当の主計官が話しに来たんですが、資料の紙一枚持ってまいりました。それを見ましたら、まず真っ先に書いてあることがこの内外価格差ですね。しかもその内外価格差は、生産者価格と消費者価格とが違うのでありますけれども、高い方の、差の大きい方の価格差をまず一番最初に掲げて持ってきたわけです。下げるとは言いませんが、あなたの魂胆は私はわかったからもう聞かなくてもいい、こう言ったんですけれどもね。結局、そこから米価を考える考え方なんです。そうしますと、内外価格差を縮める、なくしていく方向にいくとなれば、これは米価は下げていくということになっていくのは必然なんです。それでは納得いかぬというのが生産者の皆さんなわけですよ。生産者の皆さんのことをよく聞いてみますと、生産者としては日本の国民の命を保障する食料を確保する、今もう米しかないわけでありますから、米がそういう役割を果たすんだと。そうした場合は、生命の保障ですから、これは価格の問題ではないんです。もう価格を超えた問題であるわけです。  だから、そこから発想していきますと、日本の一億二千万の人々の生命を保障する食料としての米を確保しなければならないというところから出発しますと、価格はもう第二の問題なんですね。そうすると、それをきちんと生産できるようにするためには、やはりそれなりに価格を上げていってしかるべきではないかと、こういう発想なわけです。  早く言うと、防衛の問題なんかも、日本は丸腰、丸裸で国が守れるのかということになると、いやそれは危険だ、そういうわけにはいかない、海を守るためにこれだけの軍艦が必要だ、それから空を守るためにはこれだけの航空機が必要だ、陸を守るためにはこれだけの戦車やなんかが必要だと。その最小限度日本を守るための国防の力、そこまではだれも価格の問題とかなんとか言わないわけですよ。経済の問題じゃないんですね、国を守るというところからきますと。それを超えて果たしてそんなにたくさん要るのかどうかというところから経済の問題、財政の問題が論議されるわけです。  それと同じように、もうそれよりも大事な食料の確保、今の確保、国民の生命の保障というところ、そこをきちんと決めて、ここまではもう毎年毎年価格の問題としては論じない、それ以上のことについて論じようというふうにしなければいけないのではないか。その米価にまつわる発想の土台が違うから納得いかないのではないかということを、私と生産者の皆さんと話し合いながらそういうところにいったわけなんです。  だから、毎年毎年いわゆる内外価格差というところからこの価格をいろいろ発想するのではなく、きちんとしたまず国民の命を保障するというところからやっぱり発想すべきではないか、こう思うんですが、これは大臣どのようにお考えでしょうか。
  47. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 米価問題を考える場合の、それぞれの発想の視点からの食い違いを論じて、やはり食糧安全保障という視点から米価問題は考えるべきだという御所論の一つでございますが、実は内外価格差問題はあることは確かです。殊に為替相場がどんどん円高になっていくとそれが極めて大きく出ておるわけでございますが、我々の基本的な考えは、土地条件、労賃その他が大変差のある米の輸出国、米国であるとかあるいは逆にタイ、こういうものと比べればそう簡単に内外価格差縮小なんでいうことば困難である。ただ、やはり消費者の方々あるいは国民合意を得るためには、できるだけ生産性の向上の努力をしておる、その努力を足場にして米価も適正に決定していくということのために私は内外価格差問題は論ずべきであるというふうに思っておるところでございます。  そういう意味で、非常に高い次元からのお話でございますけれども、それぞれ消費者の意識も多様化しておるわけでございまして、国民合意に向けてそのような努力をいたすべきであるということについては私も賛成でございます。
  48. 星川保松

    ○星川保松君 それについても国民的なコンセンサスをつくっていかないと、毎年同じような議論を蒸し返ししていくということになるわけでありまして、それじゃどういう形で国民的コンセンサスを得るかということになるわけですが、それは農水省としてはいつも農政審議会ということをおっしゃるわけでありますけれども、前に私言ったことがあるんですが、農政審議会でその国民的コンセンサスを得るというのは不十分じゃないかということを言っているわけです。  それから、いわゆる新政策についても私言ったんですが、新政策というものは法律でも何でもない、新しい方向というものを打ち出したにすぎないということになっておりますし、本当のコンセンサスというのはやっぱり国会だと思うんですね。  国会に出して、そしてその論議をする。特に今回は日本の代表的な第一と第二の政党が政権を持っているわけですから、それが共同提案の形で出してくるわけですから、その点でもうかなり大きなコンセンサスができ上がって出てきて、そして今度国会でもってそのコンセンサスをとるということは、やはり法律の形にしてこれを出してきていただいて、そこで国民的な検討をする、そして国民的コンセンサスを得るという方法でなければいけないと思うんです。そうした場合は、そうした基本的な食料に対する考え方というものも、法律にして出してくれば、ひとりでにその方向に私は向かって動いていくんじゃないかと思うわけです。  ですから、農業基本法が今あるわけですけれども、三十年して基本法というのはどうも今の時代にそぐわなくなっておりますので、その中に食料をいかにするかというようなこともきちんと盛って、そして法律の形でこれをつくり上げていくという中で国民的コンセンサスをとっていくべきではないかということから、やはり私は新しい農業基本法をこの際出して、それで国会の論議に付してはどうか、こう思っているんですが、これは大臣どのようにお考えでしょうか。
  49. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 大きな農政の転換期に当たって、二十一世紀に対して日本農業課題を切り開いていくということは各方面の御論議があるわけでございまして、そういう意味で、今委員御指摘の食料・農業基本法等の制定を推し進めるという議論があることも承知しておるわけでございます。  この点については、農政審議会において、ウルグアイ・ラウンドの合意後の問題、あるいはさらに、ウルグアイ・ラウンドの影響いかんにかかわらず、日本農業自体が大変困難な事態を迎えておるので抜本対策を講じなければならない、そういう視点から主要な政策について御論議を願っておりますが、やはりその政策の柱が立った上で、これを一つの体系としてまとめて法制定へということの道筋を踏むべきものと私は考えるわけでございまして、農政審議会においても、いずれ法制定の要否あるいは食料・農業基本法の制定の必要性というような点についての御論議に及ぶものと私は期待しておるわけでございます。
  50. 星川保松

    ○星川保松君 最後になりますが、いわゆるデカップリングの問題でありますが、EU加盟諸国は既にもうデカップリングというものを取り上げているわけでありまして、私はスイスのデカップリングのことをちょっと調べてみたのでありますが、スイスでも一生懸命取り組んでおるようでございます。  そして、中山間地の農業というのは、これは農産物を提供しているという以外に、自然環境保全のための水から空気からいろんな役割を果たしておるわけでありまして、その公共的な役割を果たしている分については、農産物の価格では報いられることがない。  ですから、その点については農産物の価格とは別個に補償してやらなければならないというような立場でデカップリングの問題に各国が取り組んでおるようでありますが、日本の中山間地をこれからどうやって振興していくかということにかかっては、やはりこのデカップリングの問題を真剣に取り上げていくという方向でなければいけないんじゃないか、こう思うのでありますが、それらについてひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  51. 入澤肇

    説明員(入澤肇君) 昨年制定していただきました特定農山村法の審議のときにも、中山間地につきましてデカップリング、これは直接所得補償というふうに訳しているんだと思いますけれども、をやれという御議論もございました。私どもは、それはなかなか今日本で直ちにやろうといっても条件が整っていない。例えば、いっどこでどういう農業経営をやったらどのぐらいの農業所得が上がるのかということがなかなか算定できない。そういう中で、役人流に言えばデカップリングのための実施要綱が書けないんだと。  そこで、特定農山村法を制定していただきまして、中山間地域におきまして最適な土地利用計画、これを各地域でつくってもらう、その上で最適農業経営計画をつくってもらう。そうしますと、ここは農業をやるんだ、ここは林業に転換するんだ、あるいはここはもう農業はできないから公共用地とか何かに回していくんだというようなことがわかります。  そうしまして、まず農業を各地域でどの程度やったらどの程度所得が上がるかということがわかりますと、平場と比べてそれじゃどうかという比較ができます。さらに他の社会保障政策との関連もいろんな計算ができると思います。  その後に初めてスイス的な、私もこの日曜日にスイスの農政について、転換が今なされているということである文献を読んできたんですけれども、スイスのような政策転換に入っていけると思うんですけれども、私ども日本農政はまだそこまでいっていません。まず基盤整備をきちんとやりまして、標準的な農業所得がどのぐらいであるか、どういう農業経営をやったら定住条件が整備されるのかということを十分に見きわめた上で私は所得補償政策は考えるべきだと思います。それまでの間、定住条件を整備するために何をやったらいいかということはまた別の問題として考えなくちゃいけない。  去年からことしにかけまして、私ども水と緑の基金というのを都道府県と市町村につくっておりますけれども、この基金を活用しながら、土地利用、土地改良施設の維持管理とか何かにつきまして、本来農家が負担する部分について一定の助成をする、こんなことを国土保全のための経費の支出のあり方としてこれから拡充強化していくことがまずあっていいのではないかなというふうに考えているわけでございます。
  52. 風間昶

    ○風間昶君 大河原農林水産大臣、また吉田政務次官、御就任おめでとうございます。公明党の風間でございます。  まず、米の備蓄についてお伺いしたいと思います。  米の備蓄を求める声が国民の各層から非常に高まって、平成の米騒動とも言われて本当に国民の関心は大きいものになっているんじゃないかというふうに思います。もちろん、集荷の問題だとか、売り惜しみだとか、輸入のおくれなどのいろんな理由はあったろうけれども、やはり何といっても、昨年の作況指数七四という未曾有の不作に対して期末在庫が極端に低下していたということは、私は物すごく大きな問題だったんではないかというふうに思います。そうした中で、備蓄の問題を考えることがもう避けられない状況になってきているんではないか。  現在の食管制度でも需給調整をねらいとした政府米の回転備蓄方式があるけれども、要するにそれは単純な期末在庫の数量目標だけを掲げているのであって、最低限の備蓄の数量ということを視野に入れて、それを明確にやっぱり位置づけていかないともう間に合わなくなっていくのではないかというふうに私は思うわけです。今回の米騒動の原因というのは、原因というか問題は、現行制度の単年度需給均衡という事実、その考え方のやっぱり弊害とも言えるんではないかというふうに私は思うわけです。だからこそ、結局二百数十万トン入れなきゃならなくなっちゃったわけです。  そうなりますと、具体的な備蓄の量といいましょうか規模、形態、それについての財源、これまでもあるわけでありましょうけれども、やっぱりそういう具体的なところまで詰めていかないとだめではないかというふうに思うわけです。  そこで、昨年ですか計画が出たようですけれども、そういうことを含めて、米の備蓄ということに関して政府基本的なお考えをお聞きしたいというふうに思います。
  53. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) 国民の主食であります米につきましては、作柄の変動等にも対応し得る安定供給が必要であるというふうに考えておりますが、一方で、過去も過剰米処理に相当の財政負担を要したということにも留意する必要があろうか、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、在庫保有のあり方につきましては食糧管理制度の役割を十分に果たし得るよう検討していく必要がある、こういうふうにも考えているところでございますが、当面、安定的な米の供給を確保するために水田営農活性化対策の見直しを行いまして、平成米穀年度末、平成八年十月末の在庫数量を百三十万トン程度とすることをめどとして転作等の目標面積を七万六千ヘクタール緩和することとしたところでございます。  それから、お尋ねのありました形態についてでございますけれども、貯蔵方法につきましては多様な方法があろうかと思います。この多様な貯蔵方法を検討していくことがまず重要ではないかと、このように考えております。このために、本年度におきまして低温でのもみ貯蔵、長期保管の有効性に関する基礎的な調査を実施することとしているところでございます。現在やっておりますのは、低温での玄米の保存というのをやっております。しかし、もみ貯蔵の方がはるかに長くもてるということもありまして、そういう基礎的な調査を実施することとしております。  さらに今後、ウルグアイ・ラウンドの農業合意を踏まえまして、安定的な国内生産が可能となり、国民への安定供給を確保できるように、中期的観点に立った備蓄を含む新たな米管理システムの整備について検討を進めることにいたしておる次第でございます。  以上でございます。
  54. 風間昶

    ○風間昶君 財源についてはまだお答えいただいていないんですが。
  55. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) 財源も含めまして今後の検討課題であるというふうに考えております。
  56. 風間昶

    ○風間昶君 米の備蓄の問題というか、在庫の問題は非常に大事な問題であろうと思います。僕は戦後生まれですから本当に苦しいときはわからないんですけれども、大臣はそれを当然御経験されていらっしゃいますのであれでしょうけれども、先ほども星川委員がお話しされておりましたが、米に限らず食料の安定供給というのは要するに国の責任だろうというふうに思いますし、そういう意味で言えば、コストがどうだとかこうだとかという財源を超えて、本当に必要なものは国がやっぱり責任を持ってやるということは当然のことではないかというふうに思うわけです。  全然次元は違いますけれども、エイズの問題にしたって、死と背中合わせになっているからこそ、お金がないからといって措置したわけじゃないわけで、お金がなくてもやっぱりやらなきゃならない。そういう意味で、食料というのも私はそういうふうに思うわけであります。  四十五年、五十五年でしたか、両方ピークに二度にわたる過剰米の処理に莫大なお金がかかったという経験も日本としてあるわけで、そういう財源ももう一方では議論していかなきゃならないでしょうが、やっぱり食料は人間が生きていく上での、そしてまた健康にかかわる最低限のものであって、それが途絶えるということで戦も起こったりいろんなことが起こってくるわけであります。さっき星川委員がお話しされたように、グローバルなことでありますけれども、米を含めた食料の確保という観点から、食料基本計画というか食料備蓄計画というか、そういうものを視野に、先ほど大臣は政策を柱にしてから審議していかなきゃならないというふうにおっしゃいましたけれども、もうちょっと基本的な問題でそういう食料の確保を位置づける。  そういう意味での方向性というのは、きちっとやっぱり大臣としてもお持ちでしょうし、諸外国で、それこそ戦争を経験して、国内で大変だったことを踏まえて、国家の安全保障と同じように食料の安全保障をイギリスだとか北欧がやっているわけです。そういう例もあり、また我が国も検討していかなきゃならないさまざまな問題があるかと思いますけれども、そういう意味で、食料の確保という観点から、大臣としてこういうふうにしていく方がいいといいましょうか、それは踏み込んだ御発言はちょっと難しいかと思いますけれども、だんだん米を食べる人たちが少なくなるとかなんとかより、むしろつくる人はもういなくなってしまう方が先に出てくるおそれを非常に持っているものですから、ぜひ大臣基本的なことについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  57. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 食料の安全保障問題との関連、備蓄との関連、いろいろ御指摘がございました。御意見として拝聴したところでございますが、備蓄問題については、先ほど事務の方からも答弁申し上げましたように、先生の御理解のとおり、回転備蓄みたいなランニングストック、さらにその上に災害その他不意のいろいろなアクシデントに対してこたえる棚上げ備蓄、上に積み上げた棚上げ備蓄として備蓄をすべきだと、それが一つの問題でございます。  棚上げ備蓄をする場合においては、これは非経済的な備蓄でございますから、最後は大変なコストがかかる。財政負担を伴う。それでも食料の安全保障のためにはこの財政負担はやむを得ないという、やっぱりここでも国民的な合意がどうしても必要であろうと思います。  昨年の不作等にかんがみまして、各方面からもその備蓄についての強化、これは大変真剣な議論も行われておりますし、農政審議会等でも、米管理のあり方、食管制度のあり方と関連いたしまして議論の中心の一つになっておるようでございますので、我々としても、それらの報告をそう遠くない機会に得られると思いますので、それを参考にして検討いたしたい、そういうふうに思います。  それからもう一つは、ガット・ウルグアイ・ラウンドは、御案内のとおり、自由貿易を通じて世界経済の発展成長を図るというようなことでございまして、どうも物とか経済的な視点に徹し過ぎていたわけでございますが、今後の問題としては、やはり食料とか人口問題、そういうものについて大いに国際的なコンセンサスを高めなくちゃならないと私どもは思っておりまして、ちょっと早いんですが、ポスト・ウルグアイ・ラウンド、その場合においては我々としては、特に輸入国日本としては食料と人口問題、これについて世界各国に訴えていくべき立場にある、さように存じておるところでございます。
  58. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  59. 林紀子

    ○林紀子君 私はまず初めに、諮問されました今回の米価について一言申し上げたいと思います。  今まで私たち日本共産党は、米を生産する農民に他産業で働いた場合と同じ程度の労働報酬を補償すること、このことを強く主張してまいりました。    〔委員長退席、理事大塚清次郎君着席〕これは農家生産意欲を保障し、担い手を確保する基礎的な条件であり、社会的な公正という意味からも当然であると思うからです。国産米の増産と安定供給が今多くの国民の要求になっています。この立場から、据え置きではなくて、生産者米価の大幅な引き上げこそ必要だということを強く申し上げておきたいと思います。  質問に入りますが、ことしの一月七日、自民党は本院に農水大臣畑英次郎君問責決議案を提出いたしました。この問責決議案の中では、畑元農水大臣がガットのドゥニ議長調整案を受け入れたことは、米の実質関税化を初め、重要基幹農産物の総自由化を招き、国益を大きぐ損なったこと。三度の国会決議に反し、国会を著しく軽視し、農民を初め国民全体を欺いた責任は極めて重大であること。また、食料の安全保障を放棄し、我が国国民の生命を他国に牛耳られることになりかねないこと。農政史上かつて例を見ない大失態であることなど、厳しく批判をしております。  大河原大臣はこの問責決議案の発議者の一人でしたね。ですから、今もこうした見解にお変わりはないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  60. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 一月のそのときにおける畑農林水産大臣に対する問責決議の発議者の一人であったことはそのとおりでございます。御案内のとおりでございます。  昨年夏以来、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉は七年にわたる交渉が最終段階を迎えたわけでございまして、そして十二月十五日に農業協定を含む全協定が妥結した。その際、その交渉が極めて秘密主義に行われた。外交交渉だからやむを得ないというお話はありましたけれども、米を守るその基本的立場はちっとも変わらないんだということを最後の最後まで言いながら突然の受け入れを決めた、そういう秘密主義。  しかも、重要なる国益に関するガット交渉でございますので、交渉の節目節目において閣僚ベース、トップレベル、それが関係主要国と当たるべき性格のものでございましたが、この点については御案内のとおり、米国あるいはEUはそれこそトップクラスの閣僚が交渉に当たったわけですが、我が国では残念ながら実務者にその交渉を任せっ放しだったという点が大変問題ではなかろうかという点。  それから最後に突然の合意、これについても、米の例外措置、これは確保できましたがいろいろ加重条件が加わった。それやこれやで、農民の当時の気持ち、これを私どもは代弁した、私はそう思っておるところでございます。  ただ今後の問題としては、御案内のとおり妥結後にも、この四月十五日には当時の羽田外務大臣が細川内閣の終わりの時期にモロッコのマラケシュにおいて協定の案文書の確認の最終署名を行い、その際、各国においてこれの受け入れの批准促進ということもございましたし、今後もその流れがあるわけでございまして、外交交渉の継続性という点なり、国際社会の重要な一員である日本の立場というようなことを考えて重く受けとめなければならない、さように思っておるところでございます。
  61. 林紀子

    ○林紀子君 問責決議案で大臣を初め三人の方が発議としてこういうことを出された。ところが、今回連立政権の樹立に当たりましては、三党合意では、ガット・ウルグアイ・ラウンドの合意を踏まえてというふうにうたっているわけです。ガットの農業合意は、これだけ厳しく畑英次郎農水大臣には迫っておりながら、受け入れる、そういうことになるわけでしょうか。そうしますと、そのときの見解と全く違ってくるんじゃないか、矛盾があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  62. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) まず前提として申し上げますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドは農業協定だけではございません。十五分野にわたる協定がございます。御案内のとおり、新しくサービスなり知的所有権、その他各般の十五分野にわたる協定でございまして、これはいずれも国益に関係するところでございます。膨大なる協定でございまして、いずれ国会においてそれぞれの分野別審議が行われるわけでございます。したがって慎重な審議が必要だろう。  それからもう一つは、アメリカなりEU等主要国の受け入れ状況、すなわち批准の状況等も十二分にこれを眺める必要がある。先生も御案内と思いますが、アメリカでも今度の農業協定ではウエーバーで保証された品目が関税化される、これを認めたようでございますが、果たして国内の最終の審議でそれが受け入れられるかどうかという問題もございます。余計なことは申し上げませんが、牛肉輸入法という点も、ガット・ウルグアイ・ラウンドの新協定では抵触するからその廃止も言われておりますが、果たしてそこまでいくか。  さらにはEUにおいては、ガットの批准自体がEC議会で可能なのか、加盟十二カ国の各国議会でこの承認が必要なのかというような法律問題も出ておりまして、今EUの司法裁判所で審理中だというような問題もあります。いずれにいたしましても慎重なる姿勢で見る点もあるわけでございます。先ほども繰り返しましたが、我々としては、外交関係の継続性あるいは我が国の国際社会における一員としての重み、そういうものを考えてこの問題には対応していかなければ相ならぬ、さように思っておるところでございます。
  63. 林紀子

    ○林紀子君 確かに十五分野ありまして、それぞれの分野で困難なところもあると思います。しかし、農水大臣ですからこの農業の分野ではどうか、そのことはもう問責決議にきちんとお答えになっていらっしゃる、そういうことじゃないんですか。  そうしましたら、もう受け入れることはできないという結論は農業分野ではきちんと出ているんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  64. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) 先ほども申し上げましたように外交交渉の継続性、それから国際社会における責任というものの重みも受けとめて、今後のことに慎重に対応することは当然だというふうに思いまして、そう結論的に決めつけてもう受け入れないのが云々だというようなことにはならないと思いますし、大筋で受け入れる姿勢をどうするか検討するというようなことかと思うわけでございます。
  65. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、大河原大臣の立場といいますのは、みずから問責をなさった畑大臣と同じ立場なんじゃないかなと思うわけです。六月六日の本院では、政府のガット報告に対して大河原大臣が当特質問をなさいました。  そのときには、「食糧の自給率が先進国の中で際立って低い我が国が、国民の生命、農村、国土を守るために何で主食である米を守り切れなかったのかこと大変格調高く鋭い調子でおっしゃったわけですから、ぜひこの立場を守って今後の農政を進めていただきたいということを強く申し上げたいと思います。
  66. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) お話してございますけれども、羽田総理大臣のウルグアイ・ラウンドに対するあの国会報告の私の質問の全文を読んでいただきますと、最後が肝心でございまして、この協定についていろいろ問題がある、指摘したとおりだと。ただ、農家なり国民に対して理解を得るためには抜本対策がどう行われるか、それいかんにかかっておるということを私は強調したつもりでございまして、そう御理解を願いたいと思います。
  67. 大塚清次郎

    ○理事(大塚清次郎君) 以上で農林水産大臣に対する質疑は終わりました。  引き続き、政府当局に対する質疑を行います。
  68. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大臣は御退席になりますけれども、御就任おめでとうございました。そして、吉田政務次官の御就任もおめでとうございました。おめでとうございますと申し上げたけれども、これから大変な時期を迎えているので本当に御苦労さまでございますというふうに言うべきかなとも思うわけであります。  時間は三十分しかございませんから、そう基本的な問題を十分にやりとりできるよう質疑時間ではございません。したがいまして、私はきょうは米価審議会生産者米価諮問をされたわけであります。  そこで、それに関連をいたしまして、特に生産費調査を中心にいたしました問題に絞って質問を申し上げたいと存じます。少々技術的なことなどもあったりいたしますので、吉田政務次官には最後にちょっと御感想を聞くというような形になろうかと思います。それまで御辛抱をお願いしたいと思います。  そこで、まず最初に統計情報部に伺いますが、まず米の生産費調査をやられていること、これは科学に基づいてやっていると思われていますか、それとも文学に基づいていると思われますか。
  69. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 私どもが行っております米の生産費調査につきましては、統計理論に基づき客観的に調査を行っているところでございます。
  70. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 文学に基づく統計調査というのは聞いたことがありませんから、それで正しいわけでありますが、科学であればそれなりに私はいろいろとお聞きをしていきたいと思うわけであります。  そこでまず、今度の調査でいきますと、北海道で実際に調査されたものは七戸ということになりますね。この七戸を調査されたということになったその経緯と、そしてその七戸の農家の傾向というのをちょっと伺いたいのであります。  というのは、本来であれば百十七あるいは百十九戸が調査対象になるわけですね。それが七戸ということになりました。どうして七戸になったのか、どういう方法で七戸ということになったのか。それから、その七戸の農家というのは北海道の農家水準でいったら経営規模、米販売規模にいたしまして大体どの水準にあるか、細かいことは要りません、上中下くらいでも結構でありますから教えていただきたい。
  71. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) まず前段の、なぜ七戸になったかということでございますが、これは先ほど来申し述べておりますように、私どもが行っております米の生産費調査は、正常な生産状態での生産費算出するという考え方から、昭和二十七年以来、被害率二〇%以上の農家集計対象農家から除外しているということのために、北海道におきましては調査農家戸数百十九戸、このうち脱落農家などもございますので、今先生が言われたように百十七でございますが、そのうち七戸になっておるわけでございます。  それから、ではこの七戸がどのような性格を持っておるかという御質問でございます。これにつきましては、この七戸につきましては調査継続農家でございまして、三年、四年と過去二年間にわたりましてこの農家が北海道の中におきましてどのような位置づけになっておるかというのを調べてみました。それにつきましては、まず三年産でございますが、これは、北海道全体を一〇〇といたしますと、この七戸の標本農家は一〇一、これは生産費でございます。それから四年産におきましては、北海道一〇〇に対しまして標本農家が九八というよう生産費水準になっておりまして、両年ともほぼ北海道全体の平均になっておるというふうに考えております。
  72. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ちょっと今お答えがなかったのは、私の方で聞かなかったのかな、七戸というのがどうやって選ばれたのかということを聞きたいんですよ。
  73. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) まず、その百十七戸をどうやって選ぶかというのが本当は前段にあるわけでございますが、これは米の売り渡し農家数の比例に応じまして各道県別に比例して配分する。それで、北海道におきましては配分された標本数を各地域に任意に配分するというようなことで、百十七戸の調査農家を抽出しているわけでございます。抽出しましたこの百十七戸のうち、言うなれば被害卒二割以上をカットしましたところ、残ったのは七戸、消去法で七戸が残ったということでございます。
  74. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 科学ですからね。  そうすると、こういうことはちょっとないかもしれませんけれども、じゃ日本全国がこういう状態になったときは、そうすると統計調査は不可能ということですね。この水準で全部計算をしてやるんですか。
  75. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 全国このような状況になったというそういう極端な事例におきましては、確かに私どもとしてはこれは生産費調査はできないだろうと思いますが、今年につきましては全体の調査農家戸数二千八百三十戸ございまして、千五百二十戸が集計対象農家となっております。これは、統計理論的にいきましても十分な標本数は確保できたというふうに考えております。
  76. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、もう一つの観点から聞きます。  大変表現がよくなくて申しわけありませんが、海に小用を足す、そのときに小用の成分はアンモニアが何%ということで、そうすると、そのアンモニアの何%というのが海の水にも適用しますか。
  77. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 私は科学の知識が余りないものでございますので、どうも先生のおっしゃっている意味がよくつかめないわけでございますが……。
  78. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 意味がわからない。三万五千分の七です、北海道の調査というのは。三万五千分の七というのは一体統計的にどれだけの意味がありますかというんです。  だから、私は今、海に小用を足したときに、通常の尿の中にアンモニアが幾ら入っている、それを海に放出したら、海の水もアンモニアが何%あると推定ができますかと、こう聞いているんです。
  79. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 私どもの生産費は、言うなれば母集団に対しまして何月標本農家がとれるかということでやっておるわけでございます。したがいまして、七戸といいますのも、言うなればそれだけ北海道におきます被害年二〇%以下の母集団が減ったということを反映しているわけでございます。  ただ、その標本理論からいいますと、この七戸といいますのは必ずしも十分な標本ではないだろうと考えております。しかしながら、この七戸の持つ代表性、北海道における代表性につきましては、先ほど申しましたよう調査継続農家でございますので調べましたところ、北海道の平均に対しましてはぼ平均生産費というふうになっているということでございます。
  80. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私が科学がどうかということを最初に伺っているのは、いろいろそのことにも意味があるんです。科学であれば、事実、実態とできるだけ近づけるという努力、実態を正確にできるだけ把握するということ、これが常に踏まえられていなければいけないということになると思うんです。北海道の農家については、これでは実態を本当に把握できているかどうか、できるかどうか。三万五千分の七で実態が把握できたと言えるかどうか。こういう問題があると思います。  それからもう一つ。去年のような大災害、大冷害作況指数七四でしょう。経験したことがないんですよ、統計が始まって。科学というのは、未知のものが起こったときはその未知の部分をどう解明するか、どう実態としての把握をするかというようなことをみんなやらなきゃいかぬですよ、科学であれば。実態をできるだけ正確に把握しなきゃいかぬのですから。  そうすると、あなたは今までとられてきた統計的手法、つまり違う言い方をすれば二〇%前後のところくらいがこの変動でもって例外のものになったという状態、平年からのそのくらい程度のぶれのところを想定している統計的手法でしかないんですよ。そうでしょう。だから、去年の災害の問題がいろいろと勘案されてないという不満が農民の中にはいっぱいあります。それは実態を反映する統計にならないからなんです、去年の場合は。  だから、そういう災害の体験をしたら、体験そのものを今度生かすように統計の手法についてもいろいろな手法があるんですから、いろんな方法が考えられるんですから。たった一つの方法だけが金科玉条というわけじゃないんですよ。それは創意工夫をいろいろとしてみる必要があるんじゃないですか。初めて体験した、今までなかった新たな知見が起こったら、その知見に基づいて対応していくというのが科学でしょうということを私は申し上げたいんで、一番極端な例である北海道を今例にとりました。  ほかの県にいたしましても、多くのところは二〇%の範囲の想定からさらにもっとはみ出す部分がふえているんです、大きいんです。そういう状態のときというのは、やっぱり特別な物の考え方をしなきゃならない、対応策を考えなきゃならない。そのために統計というのはどういう役割を果たし得るのかということも含めて、私は前向きな検討を要求いたしますが、その辺はいかがですか。
  81. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 私ども、何回も繰り返して恐縮でございますが、生産費につきましては、正常な生産状態のもとでの生産費ということで従来から計算しているわけでございます。  先と言われますように、仮に昨年の状況に応じて除外する災害率を変えるというふうになりますと、これは凶作の変動を大きく受けた生産費となりまして、その年々によりまして生産費の変動が非常に振れることになります。これはもう釈迦に説法でございますが、標本につきましては同一基準で継続して調査するという一つのルールがございまして、また統計の連続性もございます。また、生産費調査の目的でございます母集団の長期的な構造変化、生産性向上を的確に反映するという一つの目的もございますので、やはりなかなか難しい問題だろうというふうに考えております。
  82. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、今ここで結論も言えと言ったんではないです。ことしは今のところは天候は順調だと言っています。しかし、まだ今の状況だとどうなるかわかりません。もう私が何回か言っているから食糧庁はよく御存じだと思うけれども、天明の飢饉は七年間続いたんです。そして、天保の飢饉は九年続いているんです。そういう連続することがあるんです。すると、去年あのような状況だったのが、ことしまた連続しないとはだれも保証はできないです、今の段階で。もし、ことしまた同じことが起こったら、もう生産費調査というのは非常に面倒なことになりますよ。  それから、たまたま今回は東北、北海道ということでしたが、全国的にかなり大きな被害を受けたとき一体どうするんですかという問題も出てきます。そういうことを全然想定をしないで生産費調査をただ従来どおりやっていればいいということにはならないでしょう。いろいろと検討してみる余地はないんですか。それを私は言っているんです。もう前に決めたことだから何もやらないでもいいと言うんだったら、そのとおりだと言うんだったら、これは科学じゃないですよ。どうですか。
  83. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) なぜ二割の農家をカットしているかということにつきましては、先生も御承知のとおり、正規分布した場合の二シグマの両側をカットするところの……
  84. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 だから、二割の範囲でみんなやっているわけだと。それはわかっていて聞いているんじゃないですか。
  85. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) でありますから、こういう状態が変わってきた場合には、それらの二割の数字も動く可能性は将来あるかとも思います。  しかしながら、現在の一つのルールにおきましては、合言いましたようなことでもって正常な状態の生産費算出せざるを得ない、こういうふうに考えております。
  86. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 とてもじゃないけれども、今のようなあれでは納得できませんからね。生産費調査の問題というのは今後論争の的になっていくと思います。  もう一つ伺いましょう。  統計の継続性継続性とおっしゃった。継続性継続性といったって、継続しているものもあれば継続してないものもあるんです。そうでしょう。例えば物財費調査で、農機具なりなんなりの償還金の計算の仕方一つにしたって、ついこの間変わったばかりでしょう。調査対象農家を選んでいくのにも、経営規模の大きいものに誘導していくという政策的な意図もあるから、結局小さいところはなかなか協力しないみたいな形で、調査対象にはなっていても事実上は調査からはじかれていくというようなことも起こっているかもしれませんよ。  ですから、余りにも統計の実態が実感と違い過ぎる。これがもう一般の農家の気持ちなんです。だから、実態に近づけるためにどうしたらいいかということを真剣に考えてもらいたい。そのことを強く要求を申し上げて、私の時間あと十分しかありませんから、今度は食糧庁の方にお伺いをしたいと思います。  また比喩みたいなことを伺って大変恐縮ですが、食糧庁次長、海外の米というのは、輸入米というのは本当に安いと思っていますか。まず、その辺から伺います。
  87. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) お尋ねのことでございますが、価格だけということで考えましたら、それは間違いなく安いと思います。
  88. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 価格というのは何でしょう。比較をするときは何で比較するんですか。
  89. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) トン当たり、ドル表示でも円レートでも同じですけれども、そういうことでございます。
  90. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 僕の聞いているのと全然——とぼけておられるのか、それとも取り違えておられるのかわかりませんが、ドルとか円とかバーツとかいろいろとありますよね。それはどうやって比べるんですかと聞いたんです。
  91. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) それは、やはり日本円に換算してだと思います。
  92. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 日本円に換算するにはどういう方法を使うんですか。
  93. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) 一応ドルで換算します。
  94. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 それを最初に言えば問題ないんだけれども、私がなぜそんなことを聞いているか。ドルで換算すると言うけれども、ドルは一体どれだけ動いているんですか、ドルの価値というのは、対日本との間で。これで比較できますか。ついに百円を切った。この間までは百三十円だった。またさらに少し前へ行けば百五十円だった。数年の間に物すごい変動でしょう。これが物差しになりますか。私はこれを例えて言っているんです、ゴムひもに目盛りを打っているんだと。ゴムひもに目盛りを打ったもので物をはかって、それで比較はできないですよ。  食糧庁は、外米が安いとかなんとかと言われることを気にしているようですけれども、本当に真剣に比較をする方法を考えてもらいたいと私は思うんです。  例えで僕は言います。その国の普通の製造業の労働者がその国の賃金で、その国の貨幣で十キロの米を買うのに何分間働かなきゃならないか。これで見ていったら、確かにアメリカは我が国よりはちょっと条件がいいようであります。アメリカの労働者がアメリカのマーケットで——国宝ローズではない、国宝ローズではもっと高くなりますから、普通のマーケット価格で、消費者価格で買ったとき一時間、六十分ですよ。日本の労働者は、九一年の価格水準でいきますと十キロで百十分です。ドルで言ったら何倍になりますか。実際の労働量で言ったらこれだけの違いしかないんですよ。  タイは、ちょっと古い資料しかありませんから、九〇年の資料ですが、それで言っても、日本の労働者の三・五倍働かなければ十キロの米が買えないんです。タイの労働者がタイの賃金で、タイの消費者価格で買うというためには日本の労働者の三・五倍働かなければいけないんです。だから、タイ米は安いなんて言えないです。日本よりもずっと高いんですよ、タイの製造業の労働者にとっては。  例えばこのようなことも大いに国民の皆さんに理解してもらうということが必要だろうと思って私は申し上げたんですけれども、食糧庁はその辺のところを大宣伝する気はありませんか。
  95. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) いろんなデータ等もあろうと思いますので、PRについてはいろいろ配慮してまいりたいと思います。
  96. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 どういうPRをやりますか。これからやられる計画があったら教えてください。
  97. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) 今直ちにと言われましてもございませんので、検討をしてみます。
  98. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 直ちにと言われてもといったって、外国からの米は安い安いと言われてきていることに対して、今まで食糧庁は実際を理解してもらうための努力というものをしていなかったということになるんですか。
  99. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) 円で換算して考えれば、これはタイでの場合はそうかもわかりませんが、日本に入ってきて、今先生がおっしゃるように日本の労働者が買う場合になりますと、外国産米と国産米を比較してみますれば、やはりタイ米は相当安いということになろうと思います。
  100. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、日本の農業の基幹作物として米を今後しっかりと守っていこうと国会決議をやって、それに対して、ウルグアイ・ラウンドをのんだという形にはなったけれども、しかしその国会決議の中に、特に我が参議院には完全自給という言葉も入っているんです。だから、その精神を踏まえていけば、国産米をしっかりと生産をしてもらうということが大事なんです。  一方では、外から来る米が安いのは当たり前だなんて食糧庁が考えていたら、僕は大間違いだと言っているんです。ちゃんとこういう計算の仕方をしたら日本の米だって決してそんなに高いわけではないですよ。何でアピールするようなことを——何も私が言ったことをそのまま言えと言っているんではないです。そのとおりのことをやれと言っているんではないです。例えばこういう方法があるじゃないか、何かそういうことをやっているんですかと聞いているんです。
  101. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) 先ほど私が申し上げましたように、国産米が安いか高いかということになれば、やはり国内の製造業に勤めておる人でも所得はあるわけで、その所得のある人が買う場合に、やはり国産米と比較すればタイ米で入ってきている方が安いということになると思います。
  102. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 こういうのをこんにゃく問答と言うんですよね。なってしまったんですよね、残念ながら。  僕の時間がもう来てしまいましたから下がらざるを得ないんですけれども、食糧庁がそういう姿勢でいるということについてはどうしても納得できない。国産米をしっかりと生産を確保していってもらう、そのために農林水産省全体でいろいろな施策をやっているわけでしょう。その施策の中にも、それは僕らだっていろいろと見解の違うところはいっぱいありますよ。あるにしたって、そういう努力を皆さんはしているつもりでしょう。そうしたら、外から来る米といったらあれですけれども、自給をするということを建前にしていったら、少なくとも一方では意識的に外国の米の方が安いからその方がいいじゃないかみたいなことを言われる側面があるとしたら、それに対する反論なんというのはとっくに準備していなきゃならない。これからでも遅くないから、いろいろと工夫してやってもらいたいと思いますが、どうですか。
  103. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) よくその点もわかりました。
  104. 星川保松

    ○星川保松君 吉田政務次官、この前倒就任なさったときに私も大変御期待を申し上げましたのですが、交代をなさってがっかりしておったのですが、再び就任されまして大変喜んでおるところでございます。ひとつよろしくお願いいたします。  きょうの米審でことしの米の価格については山を越えたということだろうと思います。いよいよ今度は、来年の米の生産体制についてどうなるのかというところに農家の皆さんの関心が移ってくる、こう思うわけでございます。そうした場合に、まず農家の皆さんが心配しておりますのは、転作について何とかひとつ一律転作でないという方法をとってもらえないかと、こういうことを言っているわけです。それについて農水省はどのような見解をお持ちでしょうか。
  105. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) 今、先生お話しのように、これからの生産調整のあり方につきまして、私ども内部でいろいろ勉強いたしておりますし、また農政審議会でもいろんな御議論を賜っているわけでございますが、現在行われております生産調整の方式につきまして、先生今お話しのように、一律的であるとかやや強制的な感がぬぐえないといったような批判、あるいは奨励金の体系が複雑過ぎてなかなか生産者側が計算できないといったような問題等々、実はいろんな問題が提起されているわけでございます。  私どもといたしますれば、将来の生産調整のあり方を検討いたしますときには、こういった点を十分取り入れた形での新しい方式を考えなきゃいかぬ、そういうような時期に来ているんじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  106. 星川保松

    ○星川保松君 まだその段階で、それから先は検討しておらぬということですか。
  107. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) 今私ども、具体的にこういう形でこれからの生産調整をやっていきますということにつきまして、まだ申し上げる段階ではございません。  私どもの検討が足りないだけじゃなくて、命農政審議会あるいは各方面でいろんな御提案、御提言をいただいているところでございます。その中でも、先ほど申し上げましたように、現在の生産調整の方式につきましては、いろんな意味で厳しい批判なり御意見があることも事実でございます。こういうことを踏まえながら、これからの望ましい稲作経営体を育てていくというよう観点に立ちまして検討を急ぎたいというふうに思っている次第でございます。
  108. 星川保松

    ○星川保松君 できるだけ早くその方針を出して、農家の皆さんが安心して希望を持って稲作ができるようにしてもらいたい、こう思っておるところでございます。  それから同じように、他用途米についてもいろいろ生産者の方で不満があるようでございますが、他用途米についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  109. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) 他用途利用米制度についてでございますが、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、国内的に実施するに際しまして、ミ、ニマムアクセス分の輸入米などをどのような用途に振り向けるかということと密接に関連すると思います。今後における新たな米管理システムを検討していく中で、このことについて検討することとしているところでございます。  なお、平成年産の他用途利用米は、従来どおり転作作物として位置づけまして、可能な地域で取り組むこととしているわけであります。この場合、価格条件それから数量につきましては、生産者側と実需者側で双方納得のいくよう十分に協議していただき、その合意に基づきまして実施することとしているところでございます。現在、その協議が鋭意進められているところでございます。
  110. 星川保松

    ○星川保松君 これもできるだけ早く方針を固めて打ち出してほしいと思うわけでございます。  それから、特に土地改良等の農家の負担金といいますか、債務が非常に膨らんでおりまして、これがいろんな面で障害になっておるわけであります。いわゆる新農政規模拡大を図っていくということでありますけれども、この負担金が多いためにそれをカバーしても余りあるような小作料でなければ貸す方も出すわけにはいかぬと。ところが、そんなに高く借りて生産しても、規模拡大をしようとする農家の方が今度は採算がとれないというようなことで、いわゆる賃貸による土地の集積というものも進まないというようなことで、大変大きな障害にこれはなっていると思うんです。  私の地元の皆さんと話をしたんですが、最近終わったところで、年間三万五千円ぐらいの償還があるんですね。そうした場合に、貸す方も安くては引き合わぬ、高くては借りられないということで、こんなことではもう規模拡大なんていったって進めようがないなと、そういうことになっているわけです。その点を何かいい方法で打開してあげませんと、新農政も進まない、それからそれにこたえようとする農家も動きがとれないというような状況下にあるんです。ここのところをひとつ何かいい方法を打ち出していって打開してあげないことには、今後、農水省の計画のよう農政は進んでいかぬと思うんですが、これについてはどのようなお考えでしょうか。
  111. 東久雄

    説明員(東久雄君) まず土地改良の負担金の問題が中心であったかと思うのでございますが、それは私どもの所掌とちょっと外れますので、少しそういう意味で私の知識の中でということでお答えさせていただきます。  その負担金につきましては、反当たり一定額以上になる場合には、負担金の一定額を超える部分を後ろに償還をずらすというような形で、負担増が大きく農家にかからないようにという制度を一つ今持っております。  それから、負担金ということではございませんが、農家の今度は負債全体の問題でとらえさせていただきますと、負債につきましては、これはいわゆる再建整備資金というようなものをつくっておりますし、またリリーフ資金ということで、整備資金で借りてきたものがなかなか返せないときにリリーフ資金というようなものも用意しております。  それから、先日お認めいただきました新しい法律に基づきます農業経営基盤強化資金の中でも限度額一億五千万の借入金ができるわけですけれども、要するに新たな展開をしていくために必要な借入金について、負債につきましても一部その中に入れ込むことができるような低利の融資もつくりました。  また、さらにいろいろ農政審の方でも今の負担金の問題も含め負債全体の問題について議論が進んでおります。それらの検討状況も見て、さらに必要かどうかということをいろんな御意見を踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  112. 星川保松

    ○星川保松君 そういえば、私は通告の方に農家の負債対策と書いてあるものですから、私の頭にあったのは、特に土地改良等の負担金ということがあったわけでございます。  今お話がありましたように、いわゆる平準化というのですか、そういう方法もとってもらったわけですけれども、それでもなお、今回私のところは大変な冷害を受けて、それでさしあたりの償還分を先延ばしという方法をとることになりまして話をしましたところが、いやそんなことをしたら後の方がかえって苦しくなるからもう苦しくとも返済しますよと、こういうことで、せっかくつくってくれた制度もほとんど用をなさなかったんですよ。ですから、ただ後へ延ばしてやるということではなくて、何とかとにかく全体を軽くするような、これは負債全体についてですけれども、何かそういうことをしてやらないことには先に進まないと思っておるものですから、そういうこともひとつ十分考えてほしいと要望して終わります。
  113. 風間昶

    ○風間昶君 佐藤先生も稲村先生もおっしゃっていたんですけれども、私もやはり生産費算出に当たってぜひ確認をしておきたいと思いますので、質問させていただきます。  さっきから二〇%以上減収した農家は異常な生産農家だと、その言葉が非常に私は異常だなと思って聞いておったんですけれども、統計から外すということはしょうがないとしても、先日公表された農家経済の中での農家農業所得は五年度で平均六・七%も減少している。今回の主力稲作農家の北海道、東北には二〇%以上減収したところがかなり多いわけです。そうすると、統計の対象となる農家が減少して、まさにこれは統計上の誤差が生じてくるのではないかというふうに思うわけです。先ほども統計の連続性という、何が連続性なのかということをもう一度やっぱり統計をする人がしっかり考えなきゃならないじゃないかと思うわけです。北海道が七戸で、最も多いのが東北の百十数戸ですか、ちょっとさっき聞き漏らしたんですけれども、それをまず教えていただきたい。  いずれにしても、そうやって出された生産費を参考にして生産者米価を決めるというのはまさに実態に合わないと私は思うわけで、生産性の高い稲作農家をポイントにしてやるという政府説明がひょっとしたら価格を引き下げるための言い回しでしかないというふうにさえ危惧するわけですけれども、昨年の米審でも抜本的に今後の米価政策を早急に検討すべきだというふうに言っているわけですから、先ほど佐藤先生からもお話あったように、この七四という作況指数、もう二度と起こってはいけないことでありますけれども、北海道、東北だけでも補完調査をしておくことが次の時代に必要でないかなという印象を受けたわけです。  それで、統計情報部の方に地域別の最も多い絶対数量で示していただきたい。そして、その後次官に、今までのやり取りをお聞きになってまさに次官が政策的な判断をする立場にあると思います。それを次官にお伺いしたいと思います。
  114. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) まず最初に、誤解があってはいけないと思いますので、生産性の高い農家を排除することにより生産費を下げるというようなお話もちょっとあったようでございますが、これは逆でございまして、北海道、東北はまさしく生産性が高いということは生産費が安いわけでございます。その安いところの地域の標本数が少なくなったといいますことは、逆に言いますと生産費はその分だけ上がったということになっておりまして、それがことしの生産費調査の特徴でございます。  それから、どの地域の標本個数が多いかということでございますが、都府県全体で千五百十九とっておりまして、そのうち一番地域別で多いところは関東・東山の二百九十二となっております。なお、その全体の調査した中でどれだけ、逆に言うと歩留りがよかったということになるのでしょうか、それの一番よかったところは近畿でございます。大体八七%近くの農家が残っております。以上でございます。
  115. 風間昶

    ○風間昶君 最初の生産費コストが上がっているという、僕は、だからそれは統計的な手法での観点でしかないと思うので、実態ではないと思います。  それから、先ほど千五百十九戸調査のことをさっきは千五百二十戸と言いましたし、その前のときには千八百二十六戸と言った。これはどうなっているんですか、ごちゃごちゃ変わってきている。
  116. 嶌田道夫

    説明員嶌田道夫君) 先ほど千五百二十六と言いましたのは全国の数字でございます。それで、今申しました千五百十九というのは都府県の数字でございます。都府県の数字に北海道を足しまして千五百二十六ということでございます。
  117. 風間昶

    ○風間昶君 次官にもお願いしたいと思います。
  118. 吉田達男

    説明員吉田達男君) 昨年の例を見ない不作に加えて、検体をサンプリングする過程で非常に少ないためにその地域を代表する係数が出されていないじゃないかという危倶があるという御指摘でございます。この扱いについては、前期米審においても今年度の係数を出すに当たっての統計方法が御議論されたわけですが、その過程におきましては継続的な統計学の原理を維持するという流れの中で作業をいたしまして、サンプリングの検体数が少ないことについて全体的な統計学の許容の範囲において出されているものと見解を持っております。  ただし、先ほどから御指摘のございます趣旨を踏まえて、今後につきましては適切な数値算出ができますように、また国民の皆さんに御納得、説得力のある手法がとられますように、研さん、検討させていただきたいと存ずる次第でございます。
  119. 風間昶

    ○風間昶君 ぜひ検討する時期に来ているんじゃないかというふうに思いますので、よろしく御検討をお願いしたいと思います。  次に、来年からラウンドの合意実施時期に入るわけですけれども、御承知のように、来年三十八万トン、その次が四十六万トン、ぴったりじゃないのでしょうけれども、三年目には輸入米が五十数万トンですから、計算上三年間で累積百三十七万トンになるわけです。そうすると、政府が今後の目標としている先ほどお話のあった百三十万トンの米の備蓄水準とほぼ同じ量になるわけです。一方では、今回の米不足騒動でも消費者の、日本の国民の食文化としての国産米に対するこだわり、それともう一つは去年の十一月、先ほど佐藤先生もおっしゃっておりましたけれども、総理府が行った世論調査で、国産米維持を希望する方が七七・四%ですか、非常に高いということからすると、米の需給を考えると過剰傾向ですよね。先ほど統計部長もちょっとおっしゃっていました。まさに過剰にこれは直面せざるを得ないというふうに考えられる。米の部分開放で米の需給を安定化させるために、一つの方法としては減反強化ということもまたあるでしょうけれども、さきの政府はミニマムアクセスに伴う減反はやらないということを表明しておるように記憶しています。そうすると今度は、逆に過剰米を海外に食料援助をするとかということも一つの方法じゃないかと思います。現在行われている食料援助は資金供与というふうに理解しておりますけれども、現物供与をしちゃいかぬという国内法も国際法上もないわけですから、この点とういうふうに食糧庁はお考えになっているのかお聞きしたいと思います。
  120. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) ミニマムアクセスにより輸入された米の一部を援助用として利用するということも一つの考え方であろうと思いますが、その場合には援助に関する国際的原則との関係、それから財政負担等の問題について各関係省庁とも連絡をとって十分検討する必要があるのではないかと考えております。  それからなお、ミニマムアクセスにより輸入される米の処理に当たりましては、新規用途の開発、加工用米への弾力的対応等により、国産米と輸入米を一体とした全体需給バランスの維持が図れるよう、中期的観点に立った備蓄等、用途に応じた需給均衡確保ができる新たな米管理システムについて検討を進めているところでございます。
  121. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  122. 林紀子

    ○林紀子君 今、消費者は、やっぱり食べたい日本のお米ということで、国産米志向が大変強いものがあります。しかし、これにつけ込んでいるのではないかと言わざるを得ないような状況というのも生まれているわけで、実はここに少しお米が入りました五キロの袋がありますけれども、広島県大竹市の方から私のところに届けられたものなんですね。これを見てみますと、一日見ただけでも大変白い米粒が入っておりますし、砕けたような米粒も入っている。これは大竹市内のコンビニエンスストアで買ったものなんです。これは無許可販売の業者なんですけれども、食べてみましたら大変へとつくし味がないということで苦情を言いましたら、仕入れ先の九州の販売店から営業課長さんというのが説明に来たというんですね。その説明によりますと、ヒノヒカリ一、二等米七〇%、規格外米三〇%をブレンドして売ったものだ、国内産米なんだということを強調したわけなんですけれども、値段というのが何とこの五キロの袋で四千九百八十円、ですから十キロに直しますとおよそ一万円なんですね。これは大変ひどい状況なんじゃないかと思うわけです。  七月三日付の朝日新聞にも中国米と加州米を多少混ぜて国産米ということにしている、こんな報道もあったわけですけれども、消費者が泣き寝入りするようなことがないように実情を調査して厳しく指導するべきだと思うわけです。特に、無計可販売の店にもぜひ足を運んでいただいて巡回指導をしていただきたいということをここで強くお願いしたいと思います。  それからもう一点なんですが、表示の問題です。これ国内産一〇〇%と赤いラベルが張ってありますから、真っ先にこれに目がいくわけですね。ところが、今食糧庁の方から指導をしている精米調製年月日とか製造販売業者の名前、精米工場の名前一切書かれていないわけなんですね。この表示というのは、規制緩和などというかけ声がいろいろ出てきておりますけれども、やはり消費者保護という立場からこの表示制度というのは規制緩和などはするべきではなくて、消費者がどういうお米を自分たちは食べているのかというのがもっとはっきりわかるような表示の強化ということを考える、そういう方向でお考えいただきたいということもあわせてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  123. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) ただいまの無許可販売店の点でございますが、これにつきましては私どもも決して唯々としているわけではございませんで、都道府県と一緒になりましてこれの指導に当たっております。また、事例的には裁判にまでなっている事例もあるわけでございますが、非常に粘り強く指導しないとできませんので、この点御理解をいただきたいと思います。  それから、表示についてでございますが、米の適正かつ円滑な流通を確保する上でこれはもう絶対に不可欠だというふうに考えております。表示については、今先生がお話ししたとおりでございます。  私どもは、都道府県知事の指定する大型精米工場において製造される袋詰め精米については食糧庁長官の指定する検定機関が検定を行う、それからまた小売り業者の店頭で精米、袋詰めされるものについては食糧事務所、それから都道府県の職員が随時巡回等を行いまして、帳簿、書類等によりまして確認を行う、こういった措置を講じているところでありますが、今後とも精米表示の適正な確保がなされますように、これにつきましては一層の努力をしたい、こういうふうに考えます。
  124. 林紀子

    ○林紀子君 ぜひ消費者保護という立場で強化をしていただきたいと思います。  次に、集荷対策についてお伺いしたいと思いますが、各県の経済連では今年度の集荷対策として不正規流通米を防止するために限度内米穀について系統委託時に六十キロ当たり最高一万二千円を前渡金として農家に支払うことを決めだということを聞いております。六月二十九日付の農業新聞ですが、この前渡金支払い状況といいますのは、六月の末で二十五の経済連、百八十一万トンに上る、支払い総額は三千五百六十億円。大変な資金が必要なわけですけれども、この融資による金利分の新たな負担額、これをどうするかというのが問題だと思います。    〔理事大塚清次郎君退席、委員長着席〕  キロ当たり二百円前後かかるというふうにも聞いているわけですが、これを生産者の負担にするというようなことはないと思いますが、確認をしておきたいと思います。いかがですか。
  125. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) お答えを申し上げます。  全国の集荷団体におきましては、売り渡し委託数量を確保し、円滑な集荷につなげるために臨時特例措置として、みずからの資金により売り渡し委託時における一定水準の前渡金支払いを実施しているということでございます。  今回の取り組みにつきましては、全国集荷団体が主体的に行っておるものでありまして、その具体的な取り扱いにつきましては関係者間で協議が行われた、こういうことでございます。
  126. 林紀子

    ○林紀子君 政府の方からは予約概算金というのが出ているわけですね。しかし、この予約概算金というのはこれまで財政当局などから見直しというのがたびたび求められてきました。今回、経済連がこういう前渡金を支払うということによって政府の予約概算金見直しということがますます強力に圧力がかかってくるんじゃないかという心配もあるわけですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  127. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) 予約概算金につきましては、集荷の円滑化を図る観点から、事前売り渡し申し込みを行いました生産者の方に対し六十キロ当たり三千円を支払う、こういうことになっておるわけでありますが、六年産米の予約概算金につきましては昨年に準じた支払いを行うように現在関係部局と調整を進めているところでございまして、結論が得られ次第速やかに支払いを行うこととしております。
  128. 林紀子

    ○林紀子君 ぜひ財政当局の圧力に負けないようにきちんと払っていただきたいと思います。  そして、集荷対策というのはやはり政府が、食糧庁が第一義的に考えるものだと思うわけですけれども、この今年産の集荷対策というのを団体だけに任じておいていいのかどうか。政府は集荷対策に財政措置を新たに講ずる考えはないのかどうか、これもぜひお聞かせいただきたいと思います。
  129. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) 本年産米価決定当たりまして、当面の米需給の状況を踏まえまして、早場米を含めた六年産米の集荷対策について、政府管理米を確保することにより本年の端境期における需給操作を円滑に進めるという観点から、円滑な集荷のための環境づくり対策として、本年政府米の協力金あるいはUターン助成、それから他用途利用米の流通の円滑化助成、自主流通米の早期集荷・流通助成、あるいは早期執行助成等を行うことにしているわけであります。
  130. 林紀子

    ○林紀子君 政府米の集荷が困難になっている、これは何よりも生産者米価が余りに低いためだ、これが一番の根本的な原因だと思います。ですから、私は最後に、生産者米価据え置き、十八年前の米価と同じなどというようなことでは絶対にだめだ、これを大幅に引き上げるようにということを重ねて要求をいたしまして質問を終わります。
  131. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会