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1994-06-20 第129回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十日(月曜日)    午前九時開会     —————————————    委員異動  六月十七日     辞任         補欠選任      上野 雄文君     大森  昭君      中尾 則幸君     大渕 絹子君      渡辺 四郎君     上山 和人君  六月二十日     辞任         補欠選任      大渕 絹子君     久保田真苗君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岩本 久人君     理事                 石渡 清元君                 岩崎 昭弥君                 釘宮  磐君                 有働 正治君     委 員                 太田 豊秋君                 狩野  安君                 鎌田 要人君                 久世 公堯君                 関根 則之君                 松浦  功君                 大森  昭君                 上山 和人君                 久保田真苗君                 安永 英雄君                 長谷川 清君                 山崎 順子君                 続  訓弘君                 西川  潔君    国務大臣        自 治 大 臣  石井  一君    政府委員        自治政務次官   倉田 栄喜君        自治省行政局長  吉田 弘正君        自治省行政局公        務員部長     鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      佐野 徹治君        自治省税務局長  滝   実君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う  関係法律整備に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 岩本久人

    委員長岩本久人君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十七日、上野雄文君、中尾則幸君及び渡辺四郎君が委員辞任され、その補欠として大森昭君、大渕絹子君及び上山和人君が選任されました。     —————————————
  3. 岩本久人

    委員長岩本久人君) 地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は前回既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 関根則之

    関根則之君 しばらくぶりの自治法の実質的な改正でございまして、いろいろと経緯をお聞きいたしますと、大臣を初め関係局長さん、担当の課長さん、また係官、大変御苦労各省折衝等についていただいたというふうに承っております。法案をこういう形でまとめ上げられた御労苦、御尽力に対しまして、まず最初にお礼といいますか敬意を表させていただきます。大変御苦労さまでございました。  ただ、これは大分前から長い時間をかけまして議論してきた問題でございまして、経過的には、平成元年に第二次行革審地域中核都市に関する事項についての答申がなされ、それ以来ずっと議論が続けられてきたわけでございまして、ことしは平成六年ですから五年かかっているわけですね。地方制度調査会答申そのものは昨年の四月十九日ということですから一年ちょっと前ということになるわけでございまして、時間が相当かかっているという感じは否めないわけでございます。  問題が問題だけにそう簡単にはいかなかったということかもしれませんが、相当な時間を要したこと及びその間における各省との折衝で特に大きな問題どういうことで調整を要することになっていたのか、その辺についての経過並び問題点、そういうものを一通りお話しをいただきたいと思います。
  5. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回、地方自治法改正といたしまして、昨年の四月に地方制度調査会から答申がございました中核市制度広域連合制度の創設を主な内容として御提案を申し上げている次第でございます。これは、今先生から御指摘がございましたように、平成元年の第二次行革審の国と地方関係等に関する答申、さらには昨年の四月の地方制度調査会広域連合及び中核市に関する答申もと法案づくりをいたしまして国会に御提案を申し上げたものでございます。  今回の法案につきましては、地方分権推進するという中での具体的な方策として地方制度調査会から御答申がございまして、これをもと法案づくりをして各省とも折衝をしてまいってきたわけでございます。  その中で特に広域連合について申しますと、新たに多様な広域行政需要に対応して適切かつ効率的な広域行政ができるような仕組みをつくり、そしてそこに国からの権限移譲受け入れ体制整備しようというものでございまして、そうなりますと国の各省との関連もいろいろございます。どういう事務権限を国の方から広域連合に委任するのか、また広域連合から国に対して権限委任要請ができるというようなことにしておりますので、どういう要請が出るのかという辺が随分議論になりました。  この問題について、何でもかんでも要請あるいは権限委任ということになると大変大きな問題だというようなこともいろいろございまして、そういう中で、しかしこれは地方分権推進していく上で大変重要な施策でもあるし何とか理解を賜りたいということで、各省折衝いたしまして、結果的に広域連合に対して国は広域連合事務関連する事務を委任することができるということにいたしました。また、要請についても、広域連合事務に密接に関連するものについて要請することができるということで規定を起こして、各省理解が得られたというふうに思っております。  ほかにも少しはございましたが、大きな問題はそういうところであったかというふうに思っております。
  6. 関根則之

    関根則之君 地方分権とか地方自治の尊重とか、総論におきましてはだれも反対する人はいないんですけれども、実際に権限を委任する具体論になりますと各省抵抗が非常に強くなるわけでございまして、今回の広域連合なり中核市なり、そういう制度を新たに設けまして地方に対する事務権限移譲をやっていくということになりますと大変な抵抗も出てくるんだろうと思います。  そういう中で今般の法案の用意がなされたわけでございますが、なぜ今回こういう法律改正をなさるのか、その基本的な物の考え方につきまして大臣から一言御説明をお願いしたいと思います。
  7. 石井一

    国務大臣石井一君) 御承知のとおり、近年、従来のいわゆる市町村単位、あるいは指定都市もございますけれども、その範囲を超えた上での住民のニードというふうな問題点が多くなっておるということでございますし、今後の将来展望を見ましてもそのような住民サイド要請というものが強まってくるというふうなことが想定されるわけでございます。その反面、町村合併というものが必ずしも進んでおるという状況ではございません。こういう中から、地方分権時代に即した方向でどういうのがいいかというふうなことで各専門的な審議会等にも諮問をしておったところでございますけれども、それらの方からも、この際この中核市構想あるいは広域連合構想については推進をするべき時期が来ておる、こういうふうな御示唆がございました。  そういうふうな観点から、地方分権時代に即してこういう措置をとりあえずとっていき、あくまでもこれが制定されるというのは地方サイドの自主的な要請あるいは協議によって進められるわけでございますけれども、自治省はそういう形から側面的に地方要請にこたえるべきではないか、そういう基本的な考え方から今回の提案に至ったわけでございます。
  8. 関根則之

    関根則之君 お話がありましたように、地方団体からの要請等も踏まえて行われたんだと思うんですが、そもそもの基本的な方向というのは、やはり地方分権推進であり地方自治の充実という方向へ日本の地方制度というものを持っていこうと、そういう方向であることは間違いないと思うわけでございます。  その中で、鎌田先輩広域連合の方をやっていただくということで、私は主として中核市制度につきまして考え方をただしていきたいと思いますが、そもそもこの中核市制度を設けた趣旨はどういうことですか。
  9. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 中核市制度は、昨年の地方制度調査会からの答申がありまして、これに基づいて行うものでございますが、御案内のように、現在基礎的団体としての市町村の機能の強化ということが非常に大きな課題になっております。  そういう中で、現実市町村規模能力あるいは態様、さらに発展状況はさまざまでございまして、そういう中で国あるいは県から市町村への権限移譲事務権限強化するということを一律にやろうとしてもなかなか難しいという状況にかんがみまして、まずその発展規模能力に応じた事務配分をいたしまして市町村強化をしていこうと、特に大きな都市強化をしていくということでございます。  したがいまして、政令指定都市以外の都市で比較的規模能力の大きな都市についてその事務権限強化いたしまして、そしてできる限り住民の身近なところで行政が一元的に適切にできるようにしようということでこの法律案を提出しているところでございます。
  10. 関根則之

    関根則之君 市町村規模能力に応じてできるだけ市町村の方へ事務配分していくんだと、多分そういう趣旨だと思いますが、事務配分をするときに公共事務を担当する組織が国と県と市町村という形であるわけでございますけれども、公共事務配分を国、県、市町村間で行いますときの自治省考え方または今回の法案をつくるに当たりましての考え方というものをもう一回整理してお答えをいただきたいと思うんですが、どういうことになりますか。
  11. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 国、県、市町村ということになりますと、基本的に自治省として住民に身近な行政については身近な団体、すなわち地方公共団体で行うのが適当であるという考え方でございます。  そういう中で、今回、県と市町村関係になるわけでございますが、市町村基礎的地方公共団体としてできるだけより住民に身近な行政ができるようにするということでございますし、県につきましては広域的な団体として統一的な事務処理するとかあるいは市町村連絡調整に関するものをするとか、あるいは一般の市町村処理することが不適当というような規模のようなものについて県が実施するというような基本的な考え方、これは自治法二条にもその考え方がございますが、そういう考えでやっていくわけでございます。  今回の中核市の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、市町村規模能力が千差万別でございますので、一定指定都市に準じるような都市についてその事務権限強化していこうと。そして、その内容につきましては、どういう権限を付与するかということになりますと、現在指定都市が持っておりますような権限に準じたものにしようと。  ただ、指定都市に比べて中核市の方はやや小さいわけでございますので、例えば指定都市でやっております国県道の管理でございますとか義務教育職員の任免でございますとか児童相談所の設置というような広域的なものあるいは単独市でやるのは非効率というものについてはこれを除いて、その他の民生、衛生、町づくりといった関係事務については中核市処理ができるようにしようというようなことでございます。
  12. 関根則之

    関根則之君 国と地方団体というふうに分けた場合にはできるだけ地方団体仕事をやらせる、それから同じ地方団体の中でも県と市町村と分けた場合には最も基礎的な地方団体である市町村に優先的に事務配分をしていく、そういう基本的な物の考え方である、そういうふうに受けとめさせていただきます。多分これが地方自治関係する我が国の政治、行政に携わる者の伝統的な考え方であり、しかもそれが十分にいまだ発揮されていない、これからそれを本格的にやっていかなければいけない、そういう非常に大きな課題である、そんなふうに理解をさせていただきます。  ただ問題は、処理しなければならない公共的な事務の中で性質的にまずこれはもうとても地方団体では処理できないと、そういう仕事があると思うんです。これはまさに国防だとか外交だとかこういう問題は、個々の県ごとに軍隊を持つなんという話はとてもできる話じゃないんです。外交権だって同じだと思います。司法の問題もそういう問題があるのかもしれません。分類すれば、そういうだれが見ても常識的に物事の本来的な性格からして、とてもそれは地方団体は無理なんだと、国が当然持つべきだという事務があると思うんですよ。そういう事務以外のもの、国でも処理できるし地方団体でも処理できるもの、そういう性格のものはもうできるだけ地方団体処理するように事務配分を定める、こういうことだと思うんですよ。  そのときに、地方団体処理できる事務というものは相当大きな量があると思うんです。ただ、それを県、市町村間に分類するときに、市町村というのは今幾つあるんですか、三千三百団体と一口に言っているわけですから三千二百幾つあるんでしょうが、それだけの市町村事務配分するといったって、横浜のように三百万を超えるような市から小さなところでは二千、三千というところだってあると思うんで、そういうものを同一に扱うことはできない。だけれども、できれば基礎的な地方団体事務配分することが望ましいんだということ。  そうなってくると、まさに説明のありましたような規模とか能力があれば地方団体処理させるべきもの、それが民主主義方向に沿う、できるだけ基礎的な地方公共団体である市町村処理させることが望ましいことなんだと。ただ残念ながら、そうした場合に望ましいことは望ましいけれども、処理能力がありませんと、こういうことでは、これは技術的にもない場合もあるでしょう、財政的にない場合もあるでしょう、人口が少なければどうにもならないという問題もあるでしょう。いずれにしろ、規模とか能力とかそういうものがないために残念だけれども渡すことができないんだということで、県の段階なりあるいは政令指定都市段階にとどめているということだと思うんですよ。  だから、まさに大臣提案理由説明ではっきり言っておりますけれども、規模能力さえあればできるだけ渡していくというのが望ましいことだと思うんですが、もう一回局長の答弁をお聞きします。
  13. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 国と地方、特に地方の中での県と市町村事務配分考え方は、今先生がおっしゃったとおり、市町村が身近な団体でございますので、なるべく市町村段階でこれが処理できるようなものはそこで処理できるような方式をとるということが望ましいということはそのとおりであると考えております。  ただ、現実市町村実態を見ますと、規模能力が千差万別であるということにかんがみますと、直ちに全部の小さい市町村にまですべて事務権限強化ができるかというとなかなか現実に難しいという問題がございます。  今回、そういうことでそこはこの中核市制度を出させていただいたわけでございますが、今後の問題としては、市町村事務処理能力等も高めつつ、そこに基本的に事務権限強化していくということが必要であるというふうに考えております。
  14. 関根則之

    関根則之君 市町村事務配分を行うに当たって、不公平であってはいけないと思うんです。同じ能力の市に対しては同じような事務配分がなされなければいけない。できるならば全部渡したいところだけれども、それはできない。能力関係がありますよということで、能力に応じて渡さざるを得ない。  そういうことであるとすれば、同じ能力を持っている団体には同じ程度の事務配分がなされていく、こういうことでなければならないと思います。時間がありませんから、一々詰めている暇がありませんけれども、まず面積の問題。  中核市を指定するに当たりまして面積要件がありますね。これはどういうことなんですか。百平方キロ以上なければだめだということのようでございますけれども、まず同じような人口を持って同じような財政力がある、大体地形的にも同じだと。そういうときに、面積の広い市町村面積の狭い市町村とあった場合、どちらが行政処理能力は高いと思いますか。
  15. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回この法律を出させていただきまして、指定都市に準じるような団体について指定都市に準じるような事務を……
  16. 関根則之

    関根則之君 質問に的確に答えてください。
  17. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 面積人口要件にしているわけでございますが、行政というものは財政的な裏づけというものはもちろん必要でございますし、人的な裏づけもありますが、また行政需要まとまりということも考えて、都市行政の中で一定の面的なまとまりということが必要な種類のものもあるというふうに考えているわけでございます。
  18. 関根則之

    関根則之君 行政事務まとまりというのは私は直接は関係ないと思うんです。  どういう説明をなさるのか。例えば都市計画をやる必要があるじゃないかというようなことを考えていらっしゃるんだと思いますけれども、およそ人口が三十万以上あれば、それに伴ってどんな都市でもほどほどの面積を持っているんです。百階も二百階もの建物を真ん中に集中的につくって、一平方キロの中に三十万の人間が住めるなんてそんな都市はありようはずがない。  皆さん方がリストアップした都市の中でも、尼崎人口が幾らありますか。四十九万九千、約五十万あるんですけれども、面積は五十平方キロしかないんです。五十平方キロあれば立派な都市じゃないですか。五キロ、十キロでしょう。その中で都市計画なんて幾らだってできますよ。駅の数だって結構できますよね。小学校も大学だってできると思うんです。  私の選挙区の話を余りすると、何だ、我田引水じゃないかと言われるかもしれませんから言いませんが、例えば横須賀は九十九平方キロしかないんです。これは失格なんですよ。郡山、これは面積が非常に広いんです。東北の市というのはみんな広いのは当たり前ですよね。旭川なんか七百四十七平方キロある。いわき市なんか千二百三十一平方キロあるんです。  これは、財政力が同じ人口が同じと仮定した場合に、面積が広いと行政事務というのは大変なんですよ。ばらんばらんに住んでいるということだから、そっちの方に経費を割かれてしまうんですよ。そっちの方へ労力も割かれてしまうんです。支所も置かなきゃいけないでしょう。道路だって長い道路をつくっていかなきゃいけない。もちろん、過密になれば今度は地下を掘らなきゃいけないという問題が出てきますけれども、一般的に面積が広ければ経費が余計かかる。財政力をそちらへ割かれる、行政処理能力というものをそちらへ割かれるということは決まっておるでしょう。だから交付税単位だって、基準財政需要額を算定する上で何が財政需要を惹起するのかといったら、基本的には人口面積でやっているんですよ。  そういうことをやっている自治省が、同じ人口を持っていながら、面積が広いために行政能力がそっちへ割かれてしまうそういう市を優先的に中核市に指定するというのはおかしいんじゃないですか。同じ財政力、同じ人口であれば、私は面積の狭い方が行政能力は高いと見ているんですけれども、この辺のところをどう考えますか。
  19. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の中核市は、まさに社会的実態として規模能力が比較的大きい団体についてその事務権限強化していこうという考え方でございます。  したがいまして、そういう中でこの中核市には先ほど申しましたように指定都市に準じた事務移譲されるわけでございますが、これが効率的かつ適正に事務処理が行われなければなりません。また、その場合にはある程度の行政需要まとまりというものがどうしても必要になるんではないかというふうに思っているわけでございます。  具体的な例で申し上げますと、例えば今回この中核市につきましては保健所を設置するということになるわけでございますが、保健所が行っております事務はある程度の面的な広がりを前提にした事務が多いというふうにも考えられます。  また、公害関係事務移譲されるわけでございますが、これもある程度の区域の広がりということの中で処理するということが個別に処理するよりも適当であるというようなことが考えられるわけでございますし、さらには、土地区画整理法でございますとか宅地造成規制法都市計画法に基づく土地に係る事務等についても中核市処理するわけでございますが、これらも面積的な広がり関連をする事務であるというふうに考えまして、一定面積要件として百平方キロということを要件といたしまして中核市にするということでございます。
  20. 関根則之

    関根則之君 大臣もちょっとよく聞いておいていただきたいんです、問題点指摘をずっと私していきますから。  ということは、今局長さんがなさった説明を、余り状況を知らない人はああそうかなという気がするんですけれども、そんなことは絶対ないんです。  保健所だって面積が六十から七十平方キロあったら、六十平方キロというのは四角な土地として、八、八、六十四で八キロ、八キロのこれだけの面積があるんです。浦和は七十一平方キロあるんですよ。七キロ、十キロの面積があるんです。保健所一つで足りますか。足りないんです。六十とか七十とか、三十万人以上の人口を養い得る地域というのはそんなに狭くないんです、最初に言ったように。保健所一つ二つは必要なんです。川口だってそうですよ。尼崎だって多分保健所二つや三つあるんじゃないかと思う。それを保健所行政をやらせるためにも面積広がりがなければならないから尼崎失格だ、川口失格だ、浦和失格だとどうして言えるんですか。とんでもない話ですよ。  土地区画整理事業、これだって、今地下鉄七号線がずっと埼玉の方へ延びていきまして、川口通り浦和を通って大宮へ行くんですよ。その土地区画整理なんていうのはもう膨大な、何百億、やり方によっては何千億という仕事を今これからやるんです。そういうところなんです。  だから、局長、概念的にそういうことを言うのはいいんだけれども、もう少し実態に合わせて考えてもらいたいんだよ。さっきから言っているように、これは大変ですよ。全国で人口三十万人以上の市は五十二あるんですか。その中で面積で十九市が失格しちゃっているんです。郡山尼崎を比べてみてください。大臣よく御存じなんですよね、自分の近くですから。選挙区ではないけれども、多分近くでよく御存じだと思う。尼崎なんていうのは、いろいろ難しい行政事務はありますけれども、活力のある町だと思いますよ。郡山、確かに立派な町です。しかし、人口を比べてみてください。五十万ぎりぎりまでいっているところ、やっと三十万に乗っている市、それがたまたま面積が百を超えていたから中核市だということはまことにもっておかしいと私は思います。  それからもう一つ政令で昼夜間人口か何かを定めるということだそうですけれども、夜の方が少なくなければいけない、昼間の方が多くなければいけない、三十万から五十万の都市については。これも論理から逆じゃないかと思うんですよ。昼間流入してくる人口が多ければ、昼間流入してくる人口の少ない市よりも昼間住民税を納めない人たちがどっと入ってくるわけですから、同じ人口があり同じ財政力を持っていても、その市の方が昼間入ってくる人たちのために余計行政能力を割かなきゃいけないでしょう。片っ方、ベッドタウン的な性格があるところは昼間行っちゃうんだから、昼間のことを考えてやらなければいいんですよ。  トイレの量、知っていますか。人一人が一日にトイレを幾ら使いますか。水洗ですから、このごろは五十リットルの水を使うんですよ。水道なんというのはもうからないから得にはなりませんよということを言うかもしれないけれども、やっぱりそれだけの水道を配置するだけの行政事務が出てくるんですよ、昼間人口が多ければ。その昼間人口人たちというのは、勤めている会社は税金を納めるかもしらぬけれども、そこへ勤めて夜は埼玉へ帰って寝る人、あるいは大阪へ勤めていて兵庫へ帰って寝る人、この人たちは税金を納めないんですよ。  そういうことを考えた場合に、同じ条件で昼間人口が多い方が行政処理能力としては下がっちゃうんですよ。あなた方は逆の現象を言っているんでしょう。中核性がなければいけないとかなんとかそういう説明をするんでしょうけれども、中核性なんか問題じゃないんですよ。  だから、私は最初に前提として言ったはずです。中核性なんて問題じゃない。同じ事務があって、それをどこで処理させた方がいいのか、どれが国民のために、民主主義という物の考え方からそこに住む人たちのためになるのかということを考えれば、第一に末端の地方団体である市町村にやらせるのが一番いいという物の考え方だということをはっきり言ったでしょう。そういうことからすれば事務はできるだけ末端の市町村に任せる方がいいんですよ。それをやるために今度の制度改正もやったというんでしょう。ところが、こんなまるで意地悪じいさんがやるみたいな仕掛けをしているんですね。まことにもって私はおかしいと思いますよ。  それじゃ、例を挙げてはっきり皆さん方にもわかるように申し上げましょう。横浜は昼夜間人口どっちが多いと思いますか。横浜なんというのは、昼間みんな東京へ出てきちゃうから昼夜間人口比は八八・七なんですよ。川崎は九〇です。千葉市が九三。これで立派に政令指定都市になっているじゃないですか。政令指定都市にもなれるようなこういう市が今度の中核市では失格なんですよ。人口五十万以上だからいいんだと言うでしょうけれども、その論理を推し進めれば失格でしょう。おかしいじゃありませんか。  横浜なんというのは世界一の都市ですよ。日本一の都市です。東京があるからそうじゃないと言うかもしれませんけれども、東京は都制をとっていますから日本の市の中で横浜というのは一番の市なんですよ。その市だって昼間は自分のところへ来るよりも自分のところから東京へ出ていく方が多いんですよ。どんな立派な市だって、そばに自分よりも吸引力の強い大きいのがいるとだめなんですよ。昼間はみんな行っちゃうんですよ。だから夜間人口の方が多くなる。ベッドタウンなんですよ。あなた方の物の発想から言えば、横浜だって川崎だって千葉だってみんなベッドタウンだ、あんなものは東京に追随しているだけじゃないかと、こういうことになっちゃう。それじゃだめなんですよ。だから政令指定都市にしていますでしょう。それと同じなんです。  川口だって浦和だって四十万をはるかに超えているんです。間もなく五十万になるような都市ですよ。能力はある、面積だって八十平方キロあるんですから、これだけのところへどうして中核市の資格を与えないんですか。間もなく政令市になるんだからいいんだと。それは理屈にならぬ。一挙に政令市を目指しなさいというのかもしれませんけれども、そんなおかしな意地悪な制度というのは私はあり得ないと思います。だからその辺のところを、まあ法案ができちゃって自民党も多分賛成するということになるんでしょうから、こういう問題について今直ちに直せとか反対だとかそういうことを言うわけにいかない、物事はだんだんにしか行かないからね。だから最初に皆さんの御労苦に感謝を申し上げた。  随分苦労もあると思うんです。苦労もあると思うけれども、苦労もあって、あちこちからいろいろ痛めつけられたり議論を出されたりしてなかなかできなかった。できなかったけれども、しかし、それはそれでいいんだということにはならないと思うんですよ。地方制度調査会の御論議を煩わせたわけですよ。これは日本の地方制度に関する最高の審議機関ですからね。この先生方は、我々の先輩も大勢いらっしゃるし議会からも入っているんでしょう。そういう方たちですから、これはその論議というのは尊敬をしなければいけませんけれども、そういう中で、いろんな経緯があっていろいろ難しい問題があって、そもそも都道府県が成り立たないじゃないか、県がどこかへ行っちゃうじゃないかという議論が多分あったと思うんですよ。埼玉県の場合なんか、みんな政令指定都市になったら知事さんが困っちゃうじゃないですか。神奈川だってそうですよ。大阪だってそうですよ。兵庫もそういう問題が起こるかもしれない。その辺に非常に大きな問題があるんだと思うんです。  ただ問題は、県を大事にする県を大事にする、そればっかりで地方行政をやったら大間違いですよ。あなた方は、口を開けばすぐに基礎的な地方団体である市町村を大事にしようと言っているんでしょう。そう言っていながら、何か制度をいじろうとするとすぐに県のことをおもんぱかって、県知事がどう考えるか、県議会がどうするんだ、県が成り立たなくなってしまうではないか、ばらばらになってしまうではないかと、そういうことばっかり考えているんですよ。それも必要ですよ、世の中というのは急には変わりませんからね。改革改革と格好のいいことを言ったって一挙には変わらないんですよ。そういうことに対する配慮も必要だから、それはそれでいいとしても、しかしここにこういう問題があるじゃないかと。これはやっぱり一つ問題点としてしっかり対応して考えていかなきゃいけないと思うんです。  県はやる仕事が幾らでもあるじゃないですか、市が独立したって。広域的な事務処理、計画をつくっていく、地域の環境計画をどうしていくんだ、治水問題をどうするんだと、もういっぱいありますよ。埼玉だって神奈川だって大阪だって兵庫だって県はあると思いますよ。もし本当に仕事がなくなるんなら、仕事を持っていく市に職員を分けてやればいいじゃないですか。失業問題なんて一切起こりませんよ。そんな心配なんか全くないんです。人材をどんどん市町村に渡していったらいいじゃないですか。それをやればいいんで、県は県として立派に知事さんが堂々と存在感を持って行政をやっていく余地というのは残りますよ。そういう本来の仕事をできるような地方制度を考えてもらいたい。  大臣、私と局長とのやりとりを聞いておいでになってどうお考えになるのか感想をお聞きいたしまして、また、これからこういう問題点についての検討を引き続き真剣にやるという気持ちがおありになるかどうかお答えをいただいて、時間でございますので、私の質問を終わりにしたいと思います。
  21. 石井一

    国務大臣石井一君) 関根委員の長年にわたる地方行政に関する御経験をもと実態的なお話をされました。  中央の官庁から見ておりますのと議員になって地方の方へ入りまして見るのと両面ございまして、まさに当を得た御議論の展開だというふうに、私は中央の官庁に余りおりませんで選挙ばかりやってまいりましたから、今御指摘になりました問題につきまして余計説得力があるように感じたわけでございます。  今申しました面積要件につきまして役所が用意しております資料を拝見しておりますと、先ほど必ずしも議論のされなかった地方税に関連して、面積要件が多い方が固定資産税でありますとかあるいは住民税土地保有税等々の関連から今後また税制改正をやる場合にも有利だというふうな指摘もあるようでございます。これは地方交付税法の十二条というふうなものを引用しておりますが、まあ私はここで細かい議論をしようと思っておりません。  それからまた、中核市中核市周辺といいますか、大きな都市とその周辺との関連におきましては確かに昼間人口が多い方が行政に対しましてますます煩雑になり需要が多いんですけれども、周辺町村から多くの人間が流出していくことに関連して需要がふえる関連事務として、旅館営業の規制であるとか興行場の規制でありますとか、あるいは駐車場規制に関するもの、屋外広告等々のこういうふうな問題もあると。  確かにそういうふうな指摘も一点あろうかというふうに考えるわけでございますけれども、しかし、そういうふうなことはそれぞれの事務的な理由といたしまして、やはりもう少し大きな観点から考えますと、確かに御指摘になりました問題点というのは十分配慮をしながら、面積を無視するというわけではございませんけれども、人口並びに行政需要といいますか事務といいますか、そういうふうな観点から今後この中核市構想というふうなものに取り組んでいく必要がある。  また県の問題も、私の県の場合にも、指定都市と県と地方との三つの段差というものを見ました場合に、県から見ればそういうふうな中二階的なものができると何かと処理もしにくいというふうな面が私は出てくるのは当然だと思いますけれども、要は、県なり市の顔を立てるといいますよりも、住民サイドという視点から結局この自治法改正して将来の住民のニードに適応していくというふうなことを考えますと、委員が御指摘になります諸点はそれぞれ非常に説得力があると思います。  したがいまして、今回御審議の段階においては、今申しましたような御議論を踏まえて、今後の運営の意味におきまして積極的に前向きに対応していくことが最も正しい方向ではないかと私は認識いたしておりますので、そういう形で今後努力していきたいということを申し上げたいと思います。
  22. 関根則之

    関根則之君 終わります。
  23. 鎌田要人

    鎌田要人君 私からは、同じ地方自治法の一部改正案の中の広域連合制度について若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一は、国は、その行政機関の長に属する権限または権限に属する事務の一部を別に法律またはこれに基づく政令の定めるところにより当該広域連合またはその執行機関に委任することができるものとされております。我々の期待どおりに国と地方の間が非常に円滑に行われておれば問題はないわけでございますが、現実には国あるいは国の執行機関がなかなか地方に対しまして権限移譲したがらない。こういう実情から見ますと、この条文は非常に架空の、架空のと言うとちょっと言い過ぎですかね、非常に楽観的な思想に貫かれておるように思うのでありますが、この点について大臣の御意見をお伺いいたしたいのでございます。
  24. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回、広域連合制度を御提案申し上げたわけでございますが、これも先ほど申しましたように地方制度調査会答申に基づいたものでございます。多様化しております広域行政需要に適切かつ効率的に対応するとともに、国からの権限移譲受け入れ体制整備するということが大きな特色になっているわけでございます。  今お話しございました国からの権限委任がスムーズにはいかない心配があるのではないかという御指摘でございますが、広域連合が具体の事務処理をするに当たりまして、国からの権限委任を受けることが広域行政需要への対応として適当であると広域連合が判断した場合に、国に対してその権限の委任を要請するような規定もあわせ設けていくわけでございます。  したがいまして、国の方はこの要請を契機といたしまして権限の委任について具体的に検討をすることになりまして、そういう中で権限の実効ある委任が進められるようにということでこの規定を設けているわけでございます。要請を受けた国の方として、法律上何らかの作為義務を負うというものではないのでございますが、委任の可否について十分に検討をし適切に処理されることが期待されるものでございます。  この広域連合というのは一般制度として設けるわけでございまして、具体的にそれぞれの地方団体がこれを活用していただくことでございまして、全国一律に設置されるものではないわけでございます。地域の具体的な広域行政需要に対応して設置されますので、国の権限移譲に当たりましては当該権限を特定の広域連合処理することが適当かどうかということを具体の点に着目して検討を行うということになるわけでございますので、すべての地方団体に一律に権限移譲する場合に比べまして権限移譲の実効性というのは高くなるのではないかと期待をしているわけでございます。  自治省としては、こういう地方側のイニシアチブに基づいて個々の広域連合から個別的、具体的な、かつまた実情に即した委任の要請がされることによって国からの権限委任が進んでいくということを期待しているものでございます。
  25. 鎌田要人

    鎌田要人君 私は地方の十二年の体験から言っているんです。国に権限をよこせと言っても、それはへみたいな権限はよこしますけれども、実体的な権限は絶対によこさない。これはもう私がこの十二年間苦しみ抜いた問題でありますので、その点について事務方に聞いてもしようがない、特に大臣に僕はその決意のほどをお伺いいたしたいということで大臣を御指名申し上げた次第でございますので、大臣によくその点をお考えいただいて、各省庁に対しまして地方分権趣旨の徹底を図っていただいて、事務方に自分たちの権限を死守しないで思い切って地方に渡しなさいということを言ってほしいんです。その点について大臣の御意見をお伺いいたしたいと思いまして、特に大臣を御指名申し上げた次第です。
  26. 石井一

    国務大臣石井一君) 中核市に比べましてこの広域連合趣旨というのは、どちらかといいますと、市町村に対する権限と申しますよりも特定の分野あるいは事業内容を中心に、場合によっては県境を越えた中において事務がしやすいというふうな方向を志向しておるように思うわけでございます。また、広域連合が結成されました場合には、広範な権限をお与えするというよりも、やはり広域的に処理する事業というものを対象に行われるのではないか。私はいろいろ質問を事務方にいたしまして、それじゃ具体的に何県のどれがどう広域連合として結成されるのかと。それに対してはまだ答えがございません。それはしかし将来に対して地方制度調査会の方からの答申もあり、新しいニードに見合うためにそういう先手を打ったというふうなこともあろうかと思うのでございます。  どちらかと申しますと、鹿児島県とか宮崎県なんというのははっきりした権限の分かれたところでありまして、余り広域連合というふうなことが想定されないんじゃないか。しかしながら、東京周辺の世田谷と川崎との接点で何らかの問題点処理しなけりゃいかぬというような場合に起こり得る一つの新しい試みではないかというふうにしておるわけでございまして、必ずしも正しいかどうかわかりませんが、今の御意見を聞きまして一つ感じますことはそういうことでございます。  同時に、こういうふうな状況になりますと、先ほど中核市議論では県の中の問題でございますが、県の上の問題のような話にもなりますとますますもって権限移譲というものは非常に難しいというふうに思いますので、広域連合実態的な運営というものにはまだまだ疑点の残る問題、今御提案になりましたような問題というふうなものがあると思います。  今後、一歩前進と、制度をつくっていただいてから魂を入れる、また間違いがあれば訂正していくというふうな形で、今の鎌田先生の御主張を十分体しながら今後想定される広域連合行政に当たりたい、そのように私は理解しておりますので御了承いただきたいと存じます。
  27. 鎌田要人

    鎌田要人君 大臣に特にこういうことをお願いしましたのは、私も地方の切実な体験に基づいてお願いをしておることでございますので、よくその点を踏まえていただいて御善処方をお願い申し上げたいと思います。  もう一つそれに関連いたしまして、都道府県の加入する広域連合の長はその議会の議決を経、また、都道府県の加入しない広域連合の長は同じくその議会の議決を経て都道府県の執行機関に対し、それぞれ当該広域連合またはその執行機関に委任するよう要請することができるものとされておりますが、その要請が不調に帰した場合の措置は何ら定められておらないわけでございます。この点がどうかと思うのでございますが、国に対しまして要請をしてそれが受け入れられないときには、それに引き続く措置というのが書かれるべきじゃなかったのかと思うんですが、その点はいかがでございますか、お伺いいたします。
  28. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の広域連合制度の特色として、国からの権限委任の規定とあわせて広域連合からの国に対する要請権を設けているということでございます。  この権限あるいは事務の委任の制度は、要請を受けた国あるいは県が、当該要請を契機といたしまして、権限の委任につきまして具体的、個別的に検討をするということによりまして権限事務の実効ある委任が進められるということを目的として設けている規定でございます。要請を国が受けました場合には、国等におきましては当該要請を尊重して委任の可否について十分に検討をするということが必要になると考えているわけでございます。  しかしながら、法律的に申しますと、国等が十分に検討をしました結果、結論的に権限等の委任を行うことが適当でないと判断された場合には、そもそもこの規定が広域連合からの要請を契機として国等が主体的に権限委任の可否を判断するという制度の仕組みになっている性格上、その理由をそのたびごとに公開するといったような措置を法的に義務づけることにはいたしていないわけでございます。  しかしながら、先ほども申しましたように、国として地方から具体的な実情に即した要請がありました場合には、これを真剣に受けとめて十分検討していただくということを私どもは期待しているものでございます。
  29. 鎌田要人

    鎌田要人君 この辺のところが恐らく法案の作成過程で関係各省庁と随分苦労されたところだろうと思いますので、その辺は私もわかっておるつもりでございますので、よろしくお願いいたします。  次に、この広域連合の長は、当該広域連合を組織する地方公共団体事務処理等が広域計画の実施に支障がありまたは支障があると認めるときは、その議会の議決を経て、当該広域連合を組織する地方公共団体またはその執行機関に対し必要な措置を講ずべきことを勧告することができるものとされているのでございますが、ここに言います広域計画の実施に支障がありまたは支障があると認めるときとは具体的なイメージが浮かんでこないのでございますが、どういう場合を想定しておられるのかお伺いをいたしたいと思います。
  30. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の広域連合制度は、今御指摘がございましたように、広域連合で広域計画を作成いたしまして、これに基づいて広域的な行政処理していくということが大きな特徴になっているわけでございます。  この広域連合制度において、広域にわたる事務を総合的かつ計画的に処理するために広域計画には広域連合がみずから処理する事務を規定するとともに、当該広域連合を組織する地方公共団体処理するもの、つまり構成団体処理する事務についても定め、広域連合や当該構成団体がこの広域計画に基づいて事務処理しなければならないというふうにしているわけでございます。  そこで、この広域連合を組織している地方団体つまり構成団体でございますが、そこが広域計画で定められているような事務処理せずに、あるいは定められた方法で処理をしないというような場合、例えばある広域計画で、廃棄物処理広域連合におきまして構成団体がリサイクルをやろうというふうな話になっているにもかかわらず、そのリサイクルを実施しない、励行しないというような場合、あるいは構成団体が独自に処理をしている事務ではございますが広域計画に記載する事項に関連するものについて広域計画の実施の妨げになるような処理が行われる場合、例えば広域連合が設置をする公共施設というものが考えられますが、それについての取りつけ道路等について構成団体がこれを設置するという場合に、それがその公共施設の利用目的にそぐわないような規格で設置されるというような場合などには、まさにさっきお話しございましたように、広域計画に基づく総合的かつ計画的な事務処理ができないというようなことになるわけでございまして、こういう場合を御指摘の問題では指しているということが言えるかと思います。
  31. 鎌田要人

    鎌田要人君 広域連合の初めての出発でございますので、いろいろ試行錯誤の過程もあるだろうと思いますので、十分その辺は心得てやっていただきたいと思います。  次に、市町村及び特別区の一部事務組合の強制設置にかかわる制度を廃止いたしまして勧告の制度に改めているようでございますが、その理由並びに改正の実益をお伺いいたしたいのでございます。
  32. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の地方自治法改正で、従来ございました一部事務組合の強制設置の規定を廃止しております。  従前、都道府県知事によります一部事務組合の強制設置の制度は、過去におきまして都道府県を単位とします恩給組合の設置等について活用された例がございます。ただ、昭和四十四年に埼玉県の交通災害共済というものがこの規定で設置をされましたけれども、それ以降活用の事例がございません。今後ほどんどこの種の活用が予想されないというような状況でございます。  また、このような強制設置の手続については、そもそも市町村自治というものの尊重の点からこれを再考すべきではないかというような意見もございました。さらに、現在の都道府県と市町村関係を考えてみますと、都道府県が市町村の一部事務組合を強制設置するというようなことについては、ほとんどその要請も実益も現在はないのではないかというふうに判断をいたしているわけでございます。  そこで、今後は、公益上の必要から一部事務組合を設けることが客観的に適当であるというふうに考えられる場合におきましては、今回の改正で設けました知事による勧告制度を有効に活用していただければ十分対応ができるのではないかというふうに考えまして、今回、従前の強制設置の制度を廃止いたしまして、勧告の制度に改めるということにいたした次第でございます。
  33. 鎌田要人

    鎌田要人君 わかりました。  その次にお伺いしたいのは、広域連合移譲されます権限または事務は機関委任事務が多いものと思われますが、本来廃止または縮減を進めるべき機関委任事務を前提として権限または事務移譲推進していこうとすること自体に問題があるのではないかと思われますが、この点はいかがでございますか、お伺いいたします。
  34. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の広域連合に国からの権限委任ということで機関委任事務であろうとあるいは団体委任であろうと委任ができるという仕組みにしているわけでございますが、そもそも広域連合は特定の地域の具体の広域行政需要に対応するために設置をされるものでございます。国や県から権限または事務の委任を受けることが適当な場合があると考えられますので、国や県から広域連合に対して直接に権限または事務の委任をすることができるようにという規定を設けたわけでございます。  広域連合に対する国等からの権限事務の委任の制度は、これまで地方公共団体処理することができなかった事務について、広域連合を設けることによってまさに地方側のイニシアチブで当該事務の委任を進めていくことを可能にするために設けたものでございます。この場合、委任というのは全国一律のものだけではございませんで、個別の広域連合に対するものも想定をしているわけでございます。  そうなりますと、その場合に機関委任の方式によることもあり得ると考えているわけでございますが、委任の方式につきましては、広域連合処理する事務、そして国から委任される権限または事務関連等を種々の観点から検討いたしまして、最終的には法律として決定をされるということになるものでございます。  もとより、機関委任事務につきましては、国と地方の適切な機能分担の観点から申しまして、基本的にはその数を必要最小限にとどめるということが必要であると考えているわけでございまして、自治省としては、今後ともいろんな法律の制定に当たりましては可能な限り機関委任事務を増加させないように努めてまいりたいというふうに考えておりますし、また既存の機関委任事務についても絶えず見直しを図って整理合理化に努めてまいりたいというふうなことでございます。  ただ一方で、可能な限り権限の委任、権限移譲ということを進める必要もございますので、広域連合に対しては機関委任事務を含め権限または事務の委任を行い得るというような仕組みにしたわけでございます。
  35. 鎌田要人

    鎌田要人君 次に、広域連合について普通地方公共団体と同様の直接請求制度を設けることとしているところでございますが、この理由についてもお伺いいたしたいのであります。
  36. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の広域連合制度住民の直接請求制度に道を開くということで特色を持っているわけでございますが、これは、今回の広域連合がこれを組織する地方公共団体に規約の変更を要請することができるような規定も設けたり、あるいは先ほど来申し上げているように広域計画に基づいて構成団体に勧告をするというような規定も設けておりまして、一部事務組合に比べましてより独立性、自主性、自律性の高いものとなっているわけでございます。  広域連合にこのような機能を付与しておりますので、これは特別地方公共団体ということになるわけでございますが、そういう団体でございますので、まず選挙につきましても広域連合の議会の議員とか長についての選出方法を、長の選挙については直接または間接選挙、それから議員についても直接選挙または当該構成団体の議会による間接選挙ということに限るというふうにしておりますとともに、住民からの直接請求の制度も設けまして、広域連合行政運営の民主的なコントロールができるようにしたいということでこういう規定を設けているわけでございます。
  37. 鎌田要人

    鎌田要人君 これが最後の質問でございますが、法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による住民訴訟に係る応訴費用の公費負担について、被告であります職員が勝訴、一部勝訴の場合を含むわけでございますが、勝訴した場合に限定しているのはどういうことかということでございます。  すなわち、職員の故意または重過失でない場合、あるいは職員の背任、横領、その他これに準ずる行為に該当しない場合には、応訴費用の公費負担を認めることが適当ではないかと思うのでございますが、この点についての御意見をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  38. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回、いわゆる四号訴訟について、その応訴費用について公費負担ができるというようなことにいたしたわけでございます。  この四号訴訟の応訴費用につきましては、被告あるいは被告になる可能性のある地方団体の職員が、自分の責任に対しまして無用な心配を抱いたりあるいはやる気や職務執行の能率性を欠いたりするようなことがあって職員の意欲を阻害する可能性があるということから、従来からこれを何とか解決すべきだということが懸案となっていたわけでございまして、全国市長会あるいは全国町村会からも法改正の要望が提出をされていたところでございます。  今回の地方自治法改正におきましては、このような要望等を踏まえまして、最も職員の意欲を阻害するのではないかと考えられるケースについて手当てをするということにいたしたものでございます。  ただ、今先生から御指摘がございましたように、これだけではなくて、論理的には被告職員の応訴費用の公費負担について、外形上これを機関としての職務行為とみなし得る場合でありますとか、あるいは故意または重過失でない場合、さらには背任、横領等の行為でない場合ということに限るということも考えられるものでございます。したがって、この点につきましては今後の住民訴訟全体の見直しの中で幅広く検討をされると考えているものでございます。
  39. 石井一

    国務大臣石井一君) ただいま長年の知事の御経験から、広域連合を実施するに当たりましていろいろの問題点につきまして御指摘をいただきました。  確かに、今後の運営において大変示唆に富むものだと思います。特に各省庁からの権限の委任ということに関しまして、今後さらに自治省は今の御注意を守ると同時に、他の関連省庁に対しまして事務の移管ということに対しまして強い政治的な働きかけが欠けておるというふうな感じもいたしましたので、今後この点につきましても留意をいたしまして新しくできます制度が実際に地方自治の進展のためにプラスになる方向で努力をしたい、そのように考えます。
  40. 久世公堯

    ○久世公堯君 ことしは自治省にとりましては大変な年だったと思いますが、この国会で大きな法律二つもお通しになろうとしているわけでございます。一つは政治改革関係の四法案でございますし、また今議題になっておりますこの地方自治法関係二つ法律でございます。  私は、きょうは政治改革関係法と今回の地方自治法改正と申しますか、将来の地方制度ということについてのみ質問をさせていただきたいと思っております。  石井自治大臣には、今地方自治法を審議しておられていろいろと御答弁になっておるわけでございますが、政治改革関係法の方は直接は担当大臣にはなっておられませんでしたけれども、かつて自民党時代選挙制度部会長として、私も副部会長としてお仕えをしていたわけでございますが、それこそ集合は夜九時、十二時まで、深夜にわたって御指導をいただきました。しかも、その間三分の二はお一人でしゃべっておられる。そのくらい大変御熱心でいらっしゃったわけでございます。  そこで質問に入りたいと思いますが、実は私は、こういう抜本的な政治改革、特に小選挙区制をとり比例代表との並立制というのは日本の将来の地方制度にとっても必ず大きな問題になると思いまして、昨年十一月二十六日の本会議の代表質問におきまして細川総理と佐藤自治大臣に尋ねたわけでございます。  細川総理は、地方分権推進を強調されておられます。地方分権の確立のためには、近い将来において都道府県制度市町村制度の抜本的改革が必要であり、首都移転問題もこれとの関連において検討することが重要であると思われます。衆参議院の選挙制度改革は、地方制度の抜本的改革と極めて密接な関連性があるものと思われますが、並立制を中心とする今回の改革はそのあたりのことまで視野に入れておられるかどうか、承りたいと思います。 こういう質疑をしたわけでございます。  これに対する当時の細川総理のお答えはちょっとピントが外れておりまして、要するにこういう答えでございました。  今回の選挙制度改革を初めとする政治改革の実現は、今後地方制度改革を含めた内外の諸問題に対処していく上でいわばベースとか礎になるものである。地方制度がベースになるんだ、それに基づいて地方制度改革が行われるんだ、こう総理は答弁しておられるわけでございます。  また、自治大臣の方は、国民の皆さんの不安、不信というものは政治そのものにあるので、それを改革するのが今回の政治改革なんだから、まずとにかく政治の信頼を回復させていただく、この上に立って地方制度の本格的な抜本的な地方と国のあり方がいかにあるべきかということが議論になるだろうと。  お二人とも、政治改革がベースになるんだ、そしてその上に地方制度改革があるんだ、こういう答弁をしておられるわけでございます。いわば何でもかんでも早く政治改革法案を通さなければいけないという思いからこういう答弁になったんではなかろうかと思います。そこで私が自治大臣に対して先ほど申し上げましたように、やはり政治改革関係法、特に小選挙区制それからブロックを基礎とした比例代表制、これは将来の日本の地方自治制度、特に二十一世紀における地方自治制度とも無関係ではないのみならず非常に大きな関連を持つのではなかろうか、私はこう思います。  そこで、お考えをお聞きする前に私の考え方を述べさせてもらいたいと思います。  私は、やはり市町村のレベルにおきましては、それこそ総合開発計画でいえば新全総、三全総、四全総とずっと一貫して貫かれた国土政策あるいは地方自治の政策は、都市行政と申しますか都市というものを中心として周りの市町村が一体となって行政を進めていくそういう都市行政というものが基盤でございまして、そして将来それが一体になるときには市町村合併も好ましい、これが市町村のこれからの行くべき一つの姿だろうと思うわけでございます。  さて、都道府県の方は、それこそ国、地方を通ずる大行政改革の上に立たなければ都道府県の改革は絶対にできない。今、与党の方では税制改革協議会を置かれて、そのもとに行財政の小委員会を置いておられて、この間その報告書が出ましたけれども、あんな生易しいことでは行政改革もできないし、また国、地方を通ずる抜本的な行政改革、中央省庁から出先機関から特殊法人から、そういうものが大改革されて初めて都道府県制の改革があるものだろうと思うわけでございます。そして、道州制とか連邦制とか、今学者や経済界がいとも簡単に言っていることがそのときに問題になろうかと思います。首都移転というのも、首都移転を契機にして国、地方を通ずる、都道府県、市町村を通ずるそういう改革が行われるのではなかろうか。  本来ならば、選挙制度の改革、抜本的な改革はそういう時期があるいは一番やりやすかったのかもしれません。しかし、これはこれとして今の政治の要請でございますからこのような制度が成り立ったわけでございますが、そういうことを基盤にいたしまして、ひとつ自治大臣の二十一世紀における地方自治への展望、それと今回の小選挙区あるいはブロックを基盤としたところの比例代表、この制度との関連についてのお考えを承りたいと思います。
  41. 石井一

    国務大臣石井一君) 大変広範な重要な問題、また多岐にわたる御指摘でございまして、私もそこまで深く頭の中を整理してまいったわけではございませんが、ただいまの御意見に関しまして、地方選挙という問題に関しましてあるいはまた参議院の制度というふうな問題に関しまして、短期的な見方、そして中期、長期的な見方というふうな問題があろうかというふうにも考えるわけでございます。  今行われております選挙制度、いわゆる衆議院の小選挙区比例代表並立制の導入というふうなことは、昨今の厳しい政治情勢の反省の上に立ちまして七十年ぶりに改正を導入しようというふうなことでございまして、あくまでも個人中心の、あるいはまた金と政治家という問題が大きな問題になりました中でそういう問題を少しでも断ち切ろうという意図の中から、できるだけ人口の格差というふうなものを重視しつつ、特に将来の地方自治等々との関連なくとりあえず政党を中心にした選挙制度を導入し、そういう中から新しい一つの試行といいますか試みを断行しようというところに現在の政治改革のウエートがあるのではないかというふうに考えるわけでございます。  そういう意味から申しますと、一見いろいろな点におきまして将来の地方自治というふうなものをどう展望しておるのかというふうな観点から逆行しておるような面もございますけれども、これはこれとして先行させる必要があるのではないかという感じがいたすわけでございます。  この政治改革の議論の中で、参議院の制度とか地方選挙に関しましても関連的にいろいろ議論をいたしました。  参議院に関しましては、衆議院とは一種異なった第二院としての良識のある府としての選挙制度を導入するべきである。今、参議院でやっております制度を衆議院の方が勝手に導入したのでございますから、これは参議院の方から言われますとまことに不見識な行為だというふうに言われるかもわかりませんが、いろいろ議論をした末に与野党の合意の中でそういう決着がつきましたので、中期的、長期的展望としましては、参議院制度に関しましては、皆様のお知恵もかりて抜本的な改革をし、第二院といいますか良識の府としての国民にも納得のいく制度というものを導入していきたいと。それから地方制度に関しましても、これまでの中選挙区の功罪、それから今後行っていこうとしております小選挙区の功罪というふうなものを基礎に、今後どうあるべきかということを新たに検討しなければいけないと。  ただ、当時既に議論をされましたことは、地域の範囲が変わった場合にそれぞれが違ってくるということの整合性というふうな問題とか、残念ながら統一地方選挙というふうなものが今ばらばらに行われておりまして、年がら年じゅう選挙が執行されておるというふうなことに対してどういうふうな統一をやっていくのか。区域とか基礎の投票方式とかという問題だけでなく、そういうふうな選挙施行というふうな問題に関しましても、あるいは地方の首長に関しても多選禁止というふうな問題をも含めて、新たな角度で検討されるべきではなかろうかというふうなもろもろの問題が残されておるわけでございますが、これらの問題に関しましては、今後、参議院の制度地方選挙は中長期的な中で国会でのコンセンサス、国民の理解というものを求めていく必要があるというふうに思っております。  それから、最後に御指摘になりました久世先生の御意見、私は基本的には賛成でございます。  市町村のレベルに関します市町村の合併というふうなものに関しては、もっと縦横に整合性のとれたものにしていくべきであるというふうなこと。それから都市を中心に進めてまいりました行政というふうなものも、今中核市とか広域連合議論もされておりますけれども、本来そういう中二階的な制度の導入よりも基本的な問題の整理というふうなことをやっていかなければいけないんではないかというふうなこと。それから、道州制の導入というのは、府県という感覚が非常に根強く国民の中にございますので、御指摘のとおり簡単な改革ではいきませんが、やるとすれば抜本的な改革の中で広域行政化を図っていくべきであること。それと同時に、東京に余りにも集中し過ぎました機能というものに対しまして、これまで私が国土庁長官をしておりましたときにも、一極集中を廃除し多極分散型国土の形成というものを国会の中でも百回か千回ぐらい答弁をいたしましたが、現実にそれが本当に動いておるのかということになりますと甚だ問題がございますが、これは基本的な問題として本気になってメスを入れていかなければいけないこと。  中期的、長期的の先生の御指摘に対しましては、基本的に賛成でございます。
  42. 久世公堯

    ○久世公堯君 当時から言っておられたことのお話を再び承りましたが、当時はもう少し気宇壮大でいらっしゃったような気がいたします。どうも新生党に移られてから、また自治大臣になられてから、ちょっとスケールが小さくなられたのではなかろうかと思いながら今お考えを承った次第でございます。  私は今、やがての地方制度改革のことを申しましたが、戦後の行政改革の中で何が一番大きかったかと。JRの改革とか電電公社の改革、これも大きなことではございましたが、最大の行政改革は、昭和二十八年から三十一年までを中心にして行われた市町村合併こそ国、地方を通ずる最大の行政改革だったと思うわけでございます。この次の大きな行政改革というのは、私が先ほども申し上げました中央官庁から出先機関から特殊法人から、そして都道府県というものを含んだ行政改革、それこそ一大行政改革になろうかと思うわけでございます。  そこで、きょうは地方自治法の審議でございますので、政治改革法との関係でございますが、先ほど申し上げました都市行政都市を中心とする圏域の行政が国土政策としても地方自治制度としても進んでいるわけでございます。その点において今度の中核市というのは、想定しておるところの人口、それが小選挙区の四十万ぐらいを中心として二十七万から五十四万ぐらいの幅があると思いますが、どうも中核市と区域において、また都市圏の圏域において重なっている。そして、それが分断されたりする可能性が多分にあるわけでございます。  中核市が分断される場合、また都市圏というものが分断される場合、そういう都市行政というものと小選挙区が一体どういうふうにかかわり合いを持つものであろうか。そして、これからの地方自治制度の運営上この小選挙区というものの区域が足かせにならないだろうか、こういう気がしてならないわけでございます。選挙制度選挙制度地方自治制度地方自治制度と完全に分かたれるものでは私はないと思います。その点のお考え方をまず簡単にお答えいただきたいと思います。
  43. 石井一

    国務大臣石井一君) 簡単にということでございますから、御意見が一致するかどうかわかりませんが、まず一言。  私は町村合併というものを、来年特例法が切れるといいますが、ここで最大に見直す必要があるというふうに考えております。このことにつきまして、また別の機会に委員の御意見を承りたいと思います。  それから、ただいまの件でございますが、今私の手元にリストがございまして、第八次選挙制度審議会の中から、一市が独立するというのは三十二ぐらいございます。しかし三百選挙区でありますから、かなりの部分、広い地域が統合されるというふうなこともありますが、一部そういう分断が起こるという可能性もありましょう。一遍どの程度データが出るか後で調べてみたいというふうに思うのでございますが、ただ今回は何と申しましても人口の格差一対二というふうなことを想定しつつ選挙区をつくってまいりますので、ここで選ばれる国会議員は国全体に対する政治参画をするというふうなことでございますから、必ずしも分断するというふうに考えずに、これはセパレートして考えてもいいのではないか。  実は、この間もアメリカ人が訪ねてまいりまして、選挙制度のことを聞きましたが、アメリカの下院は二年ごとに選挙が行われておりますが、そのたびにバウンダリーが変わっておりまして、ひどいのはビルの中で半分に割るというのがある、こういうことまで言われるのでございます。ところが二年後にまた一緒になったとかという。したがって非常にドライに考えております。  やっぱり小選挙区ということを導入いたす場合には、この地方の厳然とした制度とは別のものだという感覚を持ちませんと、これを一致さすということになりますと相当な格差を広げるとかあるいは別の意味になっていって、地域代表だけを選ぶということになってまいります。こういうところのデメリットもございますので、基本的にはそういうふうにお考えいただきたいと思っております。
  44. 久世公堯

    ○久世公堯君 大臣の御出身の兵庫県、今兵庫県では県会議員が百十五名おられるようでございますが、この中で神戸市から選出をされている県会議員数は何名ぐらい。
  45. 石井一

    国務大臣石井一君) 二十五名から三十名ぐらいじゃないかと思います。  九十人中二十三名。百十五名じゃないように思います。
  46. 久世公堯

    ○久世公堯君 九十四名中二十三名、二五%が神戸市から出ておられる。私はちょっと間違いましたが、神奈川県が百十五名で、そのうち横浜市、川崎市から六十三名、五五%が出ている。福岡県は、九十名のうち北九州市と福岡市から四十二名、四七%が出ている。兵庫県の場合はまだ二五%でございますが、神奈川県が五五%、福岡県が四七%と指定都市の場合はこういう状態でございます。  今度の中核市になりますと、権限指定都市ほどではございませんけれども、この中核市から出られるところの県会議員というのが普通の県会議員さんと比べまして、所掌というのもおかしいんですけれども、自分の目の届く範囲というものが相当この市に移譲されてしまうわけでございます。私はこの指定都市の問題で神奈川県や福岡県の実態を見ますときに、やはり選挙制度としてもこのあたりを考えなければいけないんじゃなかろうか、こういう気がするわけでございますが、そのあたりはどうでございましょうか。
  47. 石井一

    国務大臣石井一君) 御指摘の点は大変ごもっともという一面もございます。  先日、北海道へ遊説に参りましたときに、議員の定数をスクラップ・アンド・ビルドでやっておりますから札幌の道会議員だけがふえて地方の方はだんだん減っている、ところが地方の方の網走とか釧路とかという方は札幌の市以上の大きな面積を持っておる、そこの議員がどんどん減っていく、しかも市の方は指定都市になっておるわけですから権限的にはほとんどのものは市議会の方へ行っておる、そうなると北海道の発展という意味において県議会の存立にかかわるということを申されましたが、今御指摘になったことと同じだと思います。  県会議員、道会議員というのはどこで出ましても全体を代表するわけでございますから、理論的にはその人口を代表して出る、またそれが選挙法にも決まっておりますので、しかしそれだけではいかない、要するに将来の地方自治とその代表である地方選挙をどうするかという非常に重要な問題の指摘であると思います。
  48. 久世公堯

    ○久世公堯君 私もこれは非常に重要な問題だろうと思いますし、また小選挙区になりますと、国会議員あるいは市長、県会議員、市議会議員、ほとんど同一の区域から選ばれる。もちろんそれは役割から分担から違うわけでございますが、そのあたりをどうやって考えていくべきかというのは問題だろうと思います。  それから、先ほど大臣はこれからの課題として市町村合併、特に来年期限が切れるところの特例法のお話に触れられましたけれども、都市の区域を分割しなければならないようなこういう小選挙制度というものが、これから自治省が市町村合併を促進されるに当たって、先ほどから申しました都市行政との絡みで非常に問題になるのではなかろうか。いろいろとお考えをお聞きいただければありがたいと思います。  地方公共団体の連合の方は、都道府県の区域を超えるものでも、まだ今の段階では事務の一体的な処理とか権限移譲の受け皿とかそういう程度であろうかと思います。  これと直接関係ございませんが、私が非常に気になりますのが今度のこの政治改革法案について比例代表の単位としてブロック制がとられたことでございます。しかも、与野党協議とはいっても一夜にしてブロックになってしまったわけでございます。政府案の方は全国単位、自民党案の方は都道府県単位。自民党案の方は長年の自治省的な考え方、都道府県というものを一つの大事な単位にするということで、ブロックというものは余り国民にも親しまれていなければ、行政単位としても、開発計画はございますけれども、国土庁長官として御経験のとおりあの開発計画ほどだれも当てにしていない計画はないわけでございますし、国の出先機関がそれぞれに違いまして長野県や新潟県は北に行ったり南に行ったりするのが実態でございます。それが日本におけるブロック制でございます。  例えば大臣選挙区でございます兵庫県、社会党と公明党の案がちょうど一年ぐらい前に出されましたが、そのときの近畿のブロックはどうなっておりましたか、ご存じでございますか。
  49. 石井一

    国務大臣石井一君) 確かに三重県その他、例外があったように思います。少しおかしい区域になっておったと思います。
  50. 久世公堯

    ○久世公堯君 私はこれは政治改革特別委員会におきましても、社会党は山花大臣に、公明党は石田大臣にお聞きをしたのでございますが、社会、公明案のブロック分けというものを両大臣とも御存じにならなかった。そして、資料を見て答えさせてくれというような始末でございました。  近畿ブロックというのは、社公案によりますと滋賀、京都、兵庫が一つのブロック。それから大阪、奈良、和歌山、かつて自治省におきましても阪奈和合併ということが問題になりましたように、これはある程度考えられておる。滋賀、京都、兵庫なんというブロックはいまだかつてどの世界においても聞いたことがないわけでございます。  私は、ブロックというものはそう簡単に日本の場合におきましては国民に親しまれるものでもなければ、また制度として定着するものでもないと思っております。そういうブロックを少なくとも今度の政治改革法案で比例代表の単位として、そのブロックを代表する議員というものが与野党ともに出てくるわけでございますが、そういうブロックというものは、これから地方制度というものを二十一世紀に向かって考えるときにどういう位置づけを地方制度としてお考えになろうとされるのであるか。  私が先ほど申しましたように、道州制などというのは、経済界は単位が少なくなればなるほど簡単だというぐらいの知識でございますし、学者は勝手なことを言っているわけでございまして、私はそう簡単なものではないと思うわけでございます。ですから、このブロックにつきましては少なくとも自治省は従来ともに非常に慎重であったはずでございます。それが一晩のうちに、選挙制度ではございますけれども、でき上がってしまったと。それについて、ブロックというものが将来の日本の地方制度にどういう意味を持つのかということをお尋ねをいたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
  51. 石井一

    国務大臣石井一君) 私に関連する近畿ブロックが北近畿と南近畿というふうに分類されておりましたことは、私も十分銘記しておるところでございます。  現在のブロック制度の中で問題になりますのは、東京を真ん中に置きまして千葉と神奈川と山梨という形になっております。これなどは非常に特異な問題のあるところではなかろうかというふうにも推察をするわけでございます。また、委員が御指摘になりましたとおり、五年、六年にわたりました議論の中でブロック制を導入するというのは最後の瞬間に出てまいりまして、第八次選挙制度審議会の答申というふうなものもございましたから、そういう理由づけの中からこれが法律になって出ておりますというようなこと、御主張の点はほとんどすべて正しいことを言っておられます。  ただ、ここで考えなければいけない問題点一つは、比例代表並立というふうな場合をやりました場合に、全国単位で二百名のリストを出すということになりますと自民党あたりでも大変な騒動になるだろうと思うのでございます。今、参議院の制度の中でも自民党でリストをつくられる二十数名のリストづくりがもう大変なことでございまして、私も全国組織委員長等をやりましてその苦労を感じております。本来ならば久世先生のような立派な方は一番か二番にならなければいかぬのに、なかなかならぬと。人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずという言葉があるのにかかわらず、それを百名も百五十名もつくるということになりますとこれは大変でございます。  かといって、それじゃ地方、裏表になっております過疎県に対します定員二名というところが一名ずつというふうな選挙をやります場合に、そこは比例の体をなさない。結局、順番をつけようにもパイが一つ二つであったら順番がつかないと、比例代表でありながらどうにもならぬという、この全国とその単位との間のどうにもならぬところからの妥協として今のこと、」とが出てきたわけでございまして、このブロックを選挙制度に導入したからといって、今後こういう形で地方自治を進めていこうとか道州制を固めていこうなんという意図とは全く違うわけでございまして、ある程度日本列島をかまぼこのように切った中から合理的に比例代表として出ていただくという一つの知恵と妥協というふうに御理解をいただきたいと思います。  ただ、九州でありますとか四国でありますとか東北とか北海道とかというふうに、きっちりと地域性のできたところもございますが、関東、東京周辺と北陸、信越あたりはどうにもならぬ状態でございますから、これは過渡的措置として御理解をいただければどうかというふうに思うわけでございます。
  52. 岩崎昭弥

    ○岩崎昭弥君 私は、地方分権、それから中核市広域連合の三点にわたって、また細部にわたっては数点にわたって質問したいと思います。  最初に、地方分権の意義についてでございます。平たく言えば憲法上の位置づけということかもしれません。  このところ、地方自治制度改正しようという意見が数多くあります。その内容を一言で言いますと、現在の中央、地方関係に対して地方分権だというのであります。記憶に新しいところでは、日本新党が旗上げに際して分権を主張しましたし、新党さきがけも自治大臣が所属しておられる新生党も分権を主張しているのであります。連立与党内には地方分権プロジェクトができまして、現在作業が進行中でございます。地方団体も国会もということになりますと、地方分権は政治的ムードというよりも、今や一つの流れをつくりつつあると言っても過言ではないと思うのであります。  こうした新しい風潮の中で、第二十三次地方制度調査会広域連合中核市という分権に係る提言をしました。平成五年四月十九日のことでございます。  また、第三次行革審平成五年十月二十七日の最終答申地方分権推進について大きなテーマとして語っております。  その言うところは、自律的な地方行政体制の確立について述べているのでありまして、基礎的な自治体である市町村地方行政の中心的な担い手として地域社会に関する多様な行政を自主的、自律的に展開していかなければならない。この点については、既に実施段階にある地方分権特例制度つまりパイロット自治体、それから地方制度調査会答申し早期の法制化が求められている中核市広域連合のほか、地方の自立的発展を促すための地方拠点法等も整備されているところであります。また、現在の都道府県の枠を超えて対処しなければならない事態も確実にふえると予想されるが、その際には既存の制度の活用や都道府県による広域連合の積極的な設立によって対応すべきである、こういうふうに述べておるのであります。  こういう政治的、社会的風潮の中で、中核市に関する事務配分の特例と特別地方公共団体たる広域連合に関する制度を設けるために今回の地方自治法の一部改正提案されたのであります。  そこで、まず大臣にお尋ねしたいんです。  日本国憲法は、国の立法、司法、行政の三権に対して、地方地方自治だと言ってきました。この地方自治体がかつては三割自治だと言われた時代がありますが、今では地方分権だと主張しているのであります。つまりは国からの行政上の一部独立を主張しているのでございまして、自治と分権とは形や性格は全く違いますが、占領下の沖縄と日本復帰後の沖縄ほどにその意義が大きく違うだろうと思うのであります。大臣は自治と分権をどのように意義づけられているか、これをお尋ねしたいと思います。
  53. 石井一

    国務大臣石井一君) 時代とともに地方自治に対する一つの見識といいますか方向というものもあるところで変わってくるという御指摘もあろうかと思いますが、民主主義の根幹をなすものが地方自治であり内政の基盤となるものだというふうに認識しております。この基本的認識はいつの時代も貫いていかなければいけないものだと思います。  ただ、今後の展望を考えますと、高齢化の急速な進展とか国際化への対応とかというふうなことで社会経済情勢が変化しておりますから、それに伴って国内的、国際的要請も変わってまいります。住民の福祉に対する考え方、国土の均衡ある発展に対する考え方、個性豊かな地域づくりを積極的に進めるというふうなことにつきましても、これまで以上に各地方団体が命目的な課題に取り組んでいく、そういうことが要請されておるというふうに私は思います。  このような時代的認識と政策課題に的確に対応していくために、住民の身近な行政は思い切って地方公共団体にゆだねると同時に、国、地方間の事務配分に見合った適切な財源配分を行い、財政面を含む地方公共団体の自主性、自律性、これを強化していくことが必要ではなかろうかと思います。そのための基本理念が地方分権であり、これをよく実現していくことが地方自治の一層の充実発展である、これが今日的課題であると、このように認識いたしております。
  54. 岩崎昭弥

    ○岩崎昭弥君 次に、地方分権の基本法の条件というようなものについてお尋ねしたいと思うんです。  今、大臣の答弁の中にも一部ありましたが、行革審平成五年十月二十七日の最終答申地方分権推進を取り上げておることはさっき申し上げたとおりでございます。その中身が重要でして、一つは抜本的な地方分権の必要性、二つ目に国と地方の役割分担の本格的な見直し、三番目に国からの権限の移管等の推進、四番目に地方自治体の財政基盤の強化、五番目に自律的な地方行政体制の確立、六番目に地方分権に関する立法化等の推進などをうたっております。  政府はこの答申に基づきまして、ことしの十二月には地方分権に関する大綱方針を策定することになっておると思います。したがって、地方制度調査会もこのスケジュールに合わせまして、町村合併もありますが、地方分権につき討議、研究中でございます。来年には地方分権推進に関する基本法なるものが制定されると思うのでございます。  私は、この基本法について少なくとも三つの大綱が織り込まれる必要があると考えるのです。その一は地方分権の主体はどこかということです。先ほどもちょっと議論がありましたが、私は市町村と考えるのでございます。その場合に、都道府県と市町村の役割分担はどうなるかということも大事だと思うんです。その二は地方分権推進する手法についてでございますが、市町村能力、力量をどのように向上していくかということもございます。したがって、これまた市町村の新たな合併問題と関連してくると思うんです。それから、その三が行財政上の諸制度の見直しでございます。  以上、地方分権基本法の骨格となる基礎的条件について、大臣並びに自治省の見解をお聞きしたいと思います。
  55. 石井一

    国務大臣石井一君) 私、ただいま御指摘されましたもの、それぞれ大変正しい御意見だというふうに思います。  先日私も第一回の会合に出席をいたしまして、子細にこの議論に注目をしておるところでございます。十一月に大綱方針の骨格を取りまとめるということで、具体的な問題も分権に対する基本理念から始まりまして、基本方針、そして国、地方との権限移譲の問題、財政基盤の問題、行政体制の問題、推進方策の問題、これが具体的な問題として織り込まれるべきものでございます。  しかし、それだけでなく、もう一歩踏み込んで、委員が御指摘になりましたように、また先ほど当委員会でも議論がなっておりましたように、県の権限が強過ぎて市町村権限がどうなのかという問題。しかし、第二点目で御指摘になりました市町村能力も大変千差万別で非常にばらばらである、そういう中から権限だけを与えてもそれが本当に住民のニーズに合ったことにできるのか、こういうふうな中身の検証の問題。そして三番目に御指摘になりました今後これらの諸制度をどういう形で導入していくのか。合併問題をも含めて、非常に時間が限られておりますけれども、十一月までに私はこれらの問題をすべて含んだ中で新しい分権の大綱とともに基本法というふうなものが進められるということを期待しておるわけでございまして、今後この分権部会の真剣な論議を見守りつつ年内に方向性を見出したい、そのように思っております。
  56. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) ただいま今後の地方分権の進め方に関連いたしまして大臣からお答えがありましたとおりでございます。  私ども地方制度調査会の方でもこの地方分権推進についてのいろんな御審議をお願いしておりまして、こちらの方でも中間答申というものをお出しいただくというような運びになっておりますし、一方、政府の方におきまして行政改革推進本部の方に地方分権部会というものを設けまして、そこに閣僚の方々のほかに専門員として学者の方々、地方団体の代表の方々等もお入りいただきまして、鋭意今後の地方分権推進大綱方針を決めるということで取り組みをいただいているところでございます。  そういう中で、今後の地方分権の主体をどうするのか。市町村なのか都道府県なのかということの議論もあろうと思います。私どもといたしましては、やはり市町村も県もそれぞれの役割があるわけでございますので、その役割に応じて分権が進むようにしていくということが大変重要だと考えているわけでございます。  また、その地方分権を進めるに当たりましての受け皿をどうするか、特に市町村能力、力量というものをどのように向上させていくかという点についても大きな問題でございまして、この問題については先般自治省の方でも今後の合併についてどうしていくかということで調査研究委員会を設置いたしまして、その中でいろいろ御検討を経まして一定の結論を得て報告をいただいているところでございます。これらを今後地方制度調査会の方でも御審議をいただきまして、今後の合併が円滑に進むように現在の合併特例法の改正等も考えていかなければならないと考えている次第でございます。  さらには、行財政上の諸制度の見直しをどうするかというお話でございます。まさに国と地方関係、国から地方への権限移譲をどうやっていくか、国から地方への関与をどうやって是正していくかというような問題も大きな問題でございますし、また権限移譲に伴います財源の拡充ということも大きな課題であるというふうに思っております。  いずれにいたしましても、これらの問題につきまして地方分権部会の方で鋭意お取り組みをいただきまして、今後の地方分権推進にふさわしい大綱方針ができるように私どもも努力していきたいというふうに思っております。
  57. 岩崎昭弥

    ○岩崎昭弥君 次に、中核市について数点質問したいと思います。  最初制度趣旨についてでございます。  中核市創設の趣旨について、比較的大きな都市事務権限強化住民の身近で行政を行うためということにしておられます。しかし、一方で自治体を規模別に権限の違いを認めることになり、地方分権の理念からすれば条件つき分権になるのではないかという心配、危惧もあるわけです。この点についてはどう考えていらっしゃるか。  一方、都市と格差の生ずる町村に対して、中核市との合併や、それから今も話にありました来年期限切れになる市町村合併法の見直し、地方分権時代にふさわしい能力、力量のある町村合併を一方では推進していかなければならないという状況もあるわけですので、この点についてお尋ねしたいと思います。
  58. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回御提案を申し上げております中核市制度でございますが、これは都市規模能力に応じた事務権限移譲を行うという観点から、指定都市と同じ程度というまでには至りませんけれども、指定都市に準ずる規模能力を有する都市についてその事務権限強化を図っていきまして、できる限り住民の身近なところで行政ができるようにということを趣旨、目的としているものでございます。  現在、基礎的地方公共団体としての市町村の機能を強化するということは大変重要な課題でございますが、市町村規模能力発展状況もさまざまでございますので、そういう中で、市町村規模能力に応じた事務配分を進めることが適当であるという考え方で今回こういう中核市制度というものを出させていただいたわけでございます。これは、地方分権を進める具体的な方策として第二十三次の地方制度調査会から御答申をいただいたものでありまして、私どもも地方分権を一歩一歩着実に進めるためにはぜひとも必要な制度というふうに認識をしております。また、地方公共団体からもその創設が強く要望されているわけでございます。  もとより、国から地方への権限移譲と抜本的な地方分権が必要なことは言うまでもございません。この点については冒頭大臣からお話を申し上げたとおりでございます。今後とも一層努力をしてまいりたいと思います。  また、市町村の合併についてのお話がございました。  自治省では、平成七年三月末で現行の市町村の合併の特例に関する法律、合併特例法が期限切れになりますので、そのことを踏まえまして調査研究委員会を設置いたしまして、去る三月に報告書を取りまとめられて、それをいただいているところでございます。この報告書におきまして、地方分権を積極的に推進していく上で、また市町村の行財政能力を充実強化していく上で市町村の合併は有効で適切な方策であるというふうに報告されているところでございます。この問題については今後さらに地方制度調査会でもいろいろ御論議いただきますが、合併につきましては一方では市町村の存立にかかわるという問題でもございまして、市町村の自主的な判断が尊重されなければならないという点もございます。  いずれにいたしましても、来年三月には法律が期限切れになりますので、その後の法律改正してまいらなければなりませんので、今後地方制度調査会でいろいろ御論議も御審議もいただき、その答申をいただきまして、合併の効果が一層確実に発揮されるような行財政上の支援措置も検討していかなければならないというふうに考えている次第でございます。
  59. 岩崎昭弥

    ○岩崎昭弥君 市町村の合併につきましては、私も地方制度調査会の一員でございますので大いに議論をしたいと思っております。  二番目に、対象都市要件についてお尋ねします。  一つには、これも先ほど自民党から随分議論がありました人口三十万以上の要件でございますが、地方分権推進の視点からは県の中心都市である県庁所在地都市中核市に含んだらどうだと、こういう意見があるわけです。この点についてどう考えておられるか。  二番目に、面積百平方キロ以上の要件の根拠は何かということです。関根先生からも大いに議論がありました。尼崎その他の都市議論がありましたが、仮に面積が少なくとも人口が同じ自治体では住民ニーズは変わらないし、それぞれ事業をいっぱい持っているわけでございますので、当然含めてもいいのではないかというふうに思うんです。この点については、自治大臣は大いにこれは検討課題であるということもおっしゃったんで、将来はそうしていただきたいと思っておるんですが、もう一度はっきり答えていただきたいと思います。  それから三番目です。昼夜間人口指標も政令で定める中核市要件になっているんですが、これもどういう理由か、お願いしたいと思います。  四番目に、基礎自治体が自立し、主体的に地方行政を担う観点からは、対象都市要件はできるだけ弾力性を持たせた方がいいと思うんです。これも自民党から議論があったとおりでございます。それでシンプルにしまして、分権化の先駆的自治体にすべきだと私は思うんです。  以上の四点についてお尋ねします。
  60. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 中核市要件についてのお尋ねでございます。  中核市は、先ほど来申し上げておりますように、指定都市以外の都市規模能力が比較的大きな市についてその事務権限強化しようというものでございます。この場合、市の規模能力というのは総合的に人口面積にあらわれるというふうに考えておりまして、したがいまして人口面積、そして人口を補完するものとしての周辺地域における中核性というものを中核市の対象の要件といたしているものでございます。  特に今、県庁所在地についてはこれを全部対象にしたらどうかというお話もございました。  県庁所在地と申しましても、これは規模能力はさまざまでございます。県庁があるということだけで一定水準以上の行財政能力があるということに直接に結びつけるということはなかなか困難ではないかと思います。したがいまして、県庁所在都市ということだけをもって中核市にするということはどうかということで、これはそういうことで対象にしていないわけでございます。  それから、面積百平方キロ以上の要件でございます。これは先ほど関根委員からも御指摘がございました。  私どもの考え方は、先ほど申しましたように、中核市移譲される事務関連して効率的かつ適正に事務処理を行うためにはある程度の行政需要まとまりと行財政能力が必要であり、それは人口面積に総合的にあらわれるんだということでこれを要件にしているわけでございます。面積要件につきましては、中核市がその権限行政を一元的、適切に処理するためにはやはり面的な一定まとまりということが必要であるというようなことで要件を設けているわけでございます。具体の事務との関連は先ほど申し上げたので省略いたしますけれども、そういう考え方で今回の法律案を出させていただいているわけでございます。  なお、具体的になぜ百平方キロ以上かということでございますが、これは現在、指定都市のうち最も面積が小さい川崎市が百四十二平方キロでございます。そのことも考慮いたしまして、これに準ずる行政需要まとまりということを必要とするということでそうしたものでございます。なお現在、指定都市は十二市ございますが、人口の平均は約百五十万人、面積の平均は五百平方キロというものでございます。それとの関連を勘案してこういう百平方キロということにもいたしているわけでございます。  それから、昼夜間人口比率のお話でございます。  これは、やはり社会的実態として規模能力が比較的大きい市について中核市にするということでございます。人口五十万人以上、百平方キロ以上の都市ということになりますと相当大きな都市でございます。地域における中核性を当然有していると考えられるわけでございますが、人口三十万人以上五十万人未満の都市については、周辺市町村中核的な都市であるかどうかということを確認する必要があるということで中核性の要件を付加しているものであります。  中核性の要件といたしましては、当該市へ周辺市町村からの人口の流入が流出を上回っているというような場合には中核的な性格を有していると考えられますので、昼夜間人口比率を用いて判断をいたしたいと考えております。これは政令に規定いたしたいと考えております。周辺からの人口が多く流入することによりまして生ずる都市行政需要というものもあるわけでございますので、そういうものに着目しながらこの中核性の要件を付加しているものでございます。  それから、対象地域要件をできるだけ弾力的にして、例えば各県一カ所ぐらいにした方がいいんではないかというようなお話もございました。  これはさっきも申しましたように、今回の中核市制度趣旨指定都市に準じたような規模能力を有するところに事務権限移譲をしてできるだけ身近なところで行政ができるようにというようなことで、それにふさわしい人口面積あるいは中核性という要件を付しているわけでございます。その要件については法律できちんと書いているわけでございますが、中核市要件はできる限り法令において明確に定めるべきであるというのが第二十三次地方制度調査会答申でございます。これを受けて、その辺は要件を明確に法律に書かせていただいたということでございます。  こういうことで、今回の中核市制度地方分権を進める具体的な方策として出されたわけでございますので、まずは着実に一歩一歩地方分権を進めていくことが大変重要であり、そのための制度だと認識しておりまして、地方団体からの要請も非常に強うございますので、そういうことで進めさせていただければというふうに考えております。
  61. 岩崎昭弥

    ○岩崎昭弥君 次に、権限移譲について三点ほど質問します。  その一は、第二十三次地方制度調査会答申にありますように、都道府県と市町村事務配分のあり方は、国と地方事務配分を見直し、国から地方への権限移譲推進するという大きな枠組みの中に位置づけられるべきであるというふうにしているわけであります。こういう観点から見た場合に、中核市は都道府県からの権限移譲であって国からは余り何もないのではないか。この点はどう考えているかということです。  その二は、中核市は原則として政令指定都市移譲されている事務処理するということになっています。ところが、除外される権限では指定区間外の国道であるとか県道の管理事務とか児童相談所の設置があるんですが、児童相談所の設置は一県に一つ二つあればいいのでこれはわかりますが、国道や県道の管理事務ぐらいはやってもいいというふうに思うんです。何でこういうものを外したかということです。  その三は、中核市の目玉は保健所を必ず置けということになっています。保健所の必置だけならば地域保健法の改正で足りるのではないかという意見があります。それだけでは中核市の意味がないような気がするんです。したがって、政令指定都市移譲されている事務そのものも今後拡大の方向で検討してもらいたい、こう考えているんですが、いかがでしょうか。
  62. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の中核市に付与されます事務権限関連してのお話でございます。  行政事務は、できるだけ住民に身近なところで地方公共団体の責任において処理されるということが適当であるということを私ども常々言っているわけでございます。今回の中核市制度は、繰り返しになりますが、市町村規模能力が千差万別でありますので、一定規模能力に応じて事務権限移譲しようという見地から、指定都市に準ずるような都市についてその事務権限強化してできる限り住民の身近なところで行政を行うことができるようにしようということで、都道府県と市町村との間の事務配分をしたわけでございます。  国からの権限移譲というものが直接ないではないかということも御指摘ございました。今後これを進める上で、国から地方へという大きな枠の中でこれを考えていかなきゃならないのは当然でございます。ただ、今回の中核市制度は、地方分権を進める具体的な方策として地制調から答申もございまして、地方分権を一歩一歩着実に進める方策だということで考えておりまして、まずはこれを実施していく。さらに、今後とも国から地方への権限移譲等の抜本的な地方分権推進の改革が必要であるということは言うまでもございません。  この点につきましては、先ほども大臣からお答えがありましたように、地方分権部会で大綱方針を取りまとめるということにもいたしておりますし、地方制度調査会の御審議もいただくことになっております。そういうことで、我々といたしましても今後とも一層地方分権を進めていかなければならないと考えているものでございます。  それから、中核市移譲される事務政令指定都市に比べて事務内容が違っているではないかというお話でございます。  これは原則として指定都市に準じたということにしているわけでございますが、例外といたしまして、都道府県が都道府県の区域にわたり一体的に処理することが効率的な事務その他の中核市において処理しまたは管理し及び執行することが適当でない事務につきまして、中核市処理する事務から除外をされているものでございます。  例えば、都道府県が都道府県の区域にわたって一体的に処理することが効率的な事務といえば、御指摘にありました広域的な交通ネットワークであります国道、県道の管理の事務のようなものでございまして、やはりこれはその管理主体が寸断されるとなかなか効果的な管理、整備というものができかねるという性質がございます。指定都市規模にありましては指定都市処理するということが可能だと考えますが、それ以外の市にありましては都道府県が広域的かつ一体的に処理した方が効率的であるというふうにも考えるわけでございまして、その種の事務については除外をしているわけでございます。  それから、保健所が目玉となっているのでそちらの方の法律だけ変えればいいのではないかという御指摘もございましたが、今回の改正は、都市規模能力に応じた権限移譲という見地からその事務権限強化をしようというものでございます。この中核市移譲される事務につきまして、保健所事務は確かに重要な事務ではございます。しかし、そればかりではございませんで、これ以外にも福祉関係事務でございますとか衛生関係事務でありますとか、あるいは町づくり関係事務等地方自治法に基づきまして中核市事務権限とされるわけでございます。このほか、都市再開発法、都市緑地保全法等の個別法の事務につきましても一括して移譲をされるというふうになっているわけでございます。  これらの事務はどうしてこういう事務にしたかということにつきましては、現在都道府県から指定都市移譲されている事務につきまして中核市にも移譲すべきかどうかを検討して判断をしたものでございまして、将来、法律の制定または改廃がありまして政令指定都市移譲される事務が拡大していくというような場合には、今回の事務移譲に照らして中核市への事務移譲もあわせて検討をしていくことになるというふうに考えております。  御指摘のとおり身近な事務は身近な団体でということは当然でございまして、今後とも、国から都道府県への事務権限移譲に加えまして、都道府県から指定都市中核市への移譲を含みます市町村への事務権限移譲に努力をしてまいりたいと考えているものでございます。
  63. 岩崎昭弥

    ○岩崎昭弥君 時間を節約する意味で、あと四点ほど中核市についてつづめて質問します。  一つは、対象都市の決定についてですが、中核市に移行する場合、当該市の意思を尊重するというか、申請に基づいて指定するということはよくわかるわけですが、都道府県の合意、つまりこれには府県会の議決が必要なんですが、政令都市の場合はそういうことが必要でないので、その点の違いはなぜかということですね。  それから、その次に中核市の財政措置についてでございます。中核市になった場合、地方交付税上所要の措置をとることになっておりますが、具体的に説明を願いたい。保健所の必置により医師を所長として配置しなくてはならず、中核市になることは権限移譲されるものの財政的には逆に地方自治体の負担増となり、中核市の申請が出ないという事態もあるのではないかという危惧をする向きもあるわけであります。  その次に、先ほど言いました都道府県の位置についてでございます。今回の法改正中核市は、地方自治関係、都道府県からの権限移譲を主要な柱にしておりますが、このままでは都道府県の位置づけがあいまいなものになってくると思われるわけであります。したがって、国からの都道府県への権限移譲の道筋を何らかの手段で担保する必要があるのではないかと思うんですが、先ほどちょっと話がありましたが、今後の都道府県のあり方を含めてお答え願いたい。  それから、中核市広域連合との関係です。中核市と接する町村、例えばベッドタウンの町村が都市計画について共同事業を実施するために広域連合をつくることは可能かどうか。その場合、中核市都市計画上の権限広域連合に移すことは可能か。  以上、四点でございます。
  64. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 何点か御質問がございましたが、まず中核市に移行する場合、都道府県の合意を必要とした理由でございます。  中核市の決定に当たりましては、当該市の意向を尊重しつつも、事務移譲を行います都道府県との相互の意思疎通ということが大変重要でございますので、十分に調整を行う必要があるということで、中核市になろうという市が申し出を行うに当たりましては都道府県の同意を要件としたものでございます。また、都道府県議会の議決は、当該都道府県の団体意思を確認する必要があるからそういうふうにしているものでございます。  なお、指定市については確かに法律上都道府県の同意というものは必要はございませんが、実態といたしましては、最近の指定に当たりまして都道府県の同意というものを前提として運用をしているところでございます。  次に、中核市になった場合の財政措置の問題でございます。  中核市移譲される事務に応じましてその事務処理に必要な財源措置を行うことが必要であることはそのとおりでございます。そのため、指定都市と同様の方法で地方交付税の算定上所要の措置を講ずることを考えているところでございまして、具体的な内容は今後詳細な検討を加えていくことにしておりますが、移譲された事務に応じまして、指定都市と同様、基本的には所要経費基準財政需要額に反映させていくということを予定しているものございます。  中核市制度は都道府県からの権限移譲が主であって、そのままでは都道府県の位置づけがどうなるのかというようなお話がございました。  基礎的な自治体であります市町村の機能を特に強化させようということで、今回その第一歩としてこの中核市をやったわけでございますが、これによりまして広域的な地方公共団体としての都道府県の役割というのは基本的には変わらないというふうに考えているものでございます。今後の国から地方への権限移譲、抜本的な地方分権推進ということは、先ほど来お答えしておりますとおり、ぜひとも私どももこれを実現すべく努力をしてまいりたいと考えているものでございます。  それから、中核市等が都市計画について共同事業の広域連合をつくることができるかということでございます。  広域連合は、広域計画を作成いたしまして、構成団体事務で広域にわたり処理することが適当である事務、あるいはこれに関連をいたしまして国等から委任された事務を総合的かつ計画的に処理するために設けられるというものでございます。市町村が共同して都市計画事業を実施するための広域連合を設けるということも考えられるものと考えております。
  65. 岩崎昭弥

    ○岩崎昭弥君 次に、広域連合についてお尋ねします。  まず制度趣旨ですが、広域連合は多様化した広域行政需要、例えば廃棄物の処理地域整備、自然環境保全等に適切かつ効率的に対応するとともに、国からの権限移譲受け入れ体制整備するために創設するのだとされております。ここからは広域連合地方分権一つの受け皿として位置づけられているように見えます。地方制度上、現行の都道府県、市町村という二層性の枠組みがあるんですが、この広域連合はいかなる位置づけになるのか我々には不明確でございますので、説明いただければありがたい。  次に、広域連合の設立と事務範囲についてお尋ねしたいんです。  今日の社会経済情勢の中で広域連合制度の必要性は私は十分にわかります。私が指摘したいのは、この広域連合が主として目指すものは、廃棄物の処理地域整備、環境保全など行政側からのハード事業が中心になっているように思うんです。実はそうではない、特定はされていないということは理解ができるんですが、そのことに余り触れていないのであります。  住民の日常生活の中での行政とのかかわりで広域に処理された事務事業が幾つかあります。例えば戸籍事務、印鑑証明、納税証明等の事務などのことを私は言うんです。今日は御承知のように核家族が多く、夫婦共働きも多いし単身者も多い。しかも、住宅事情で近郊にしか住めない人が多いのが実態であります。住民票や印鑑証明を一つとるにも、職住が離れているために休暇をとって市役所へもらいに行くというのが実情になっているわけです。もしこれを広域行政事務事業で扱ってくれるならば、勤労者は勤め先で昼休みに用事が足せるということになるんですね。  地方自治住民のためにあるものだと私は思っています。私はかつて一部事務組合でそういうソフト事業を提案したことがあるんですが、今回の広域連合においてはソフト面の事業の適用が可能かどうか、また財政上の裏づけもあるかどうかお聞きしたいんです。
  66. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の広域連合を設けた趣旨でございますが、まさに広域連合は、現在多様化しております現実の広域的行政需要に適切かつ効率的に対応するとともに、国等からの権限移譲受け入れ体制整備するということで創設しようとするものでございます。地方制度調査会の御答申がありまして、これをもとに法制化をいたしまして今回御提案申し上げているものでございまして、地方分権の受け皿の一つとなり得るものと考えているものでございます。  そこで、地方分権を進める場合に、市町村と都道府県の関係でどうするかということでございますが、現在、我が国で市町村、都道府県という二層性の地方公共団体を基本とした制度が広く定着を見ておりまして、両者の協力、連携を軸とする現在の基本的枠組みはその意義を失っていないと考えているものでございます。  今回の広域連合制度の創設は、この二層性の枠組みを変えるということを目的とするものではございませんで、また制度上も、この広域連合というのは一般制度等をつくりまして、これをどう活用していただくかは都道府県や市町村あるいは特別区が自主的に御判断をいただいて設置するという仕組みになっているわけでございます。  それから、広域連合に具体的にどのような事務がこれによって処理されるのかというようなお話でございます。  広域連合については、広域にわたるさまざまな事務処理することができるようにということで設置をされたものでございまして、特定の事務処理を想定してこの制度化を図るというものではございません。したがいまして、具体的なニーズについてはそれぞれの具体の置かれた地方団体状況によって異なると思いますが、臨時行政改革推進審議会の答申でございますとか地方制度調査会の論議におきましては、例えば地域の振興、社会資本の整備に関する計画の策定等を行う広域連合とか、産業廃棄物の処理と一般廃棄物の処理に関する事務を行う都道府県と市町村広域連合でございますとか、広域的見地から行う公共施設の整備でございますとか、産業の振興等を行う広域連合というような明示がされております。  そして、今先生指摘住民サービスに関連する戸籍、印鑑登録、納税証明、その他住民票の交付といったようなさまざまな事務について、これが扱えるかということでございます。  現に、広域市町村圏で協議会という形式で住民票の関係の窓口サービスについて、いろいろ広域的に処理をしているというような地域もございます。今後、この広域連合制度が創設されることによりまして、それぞれの地方団体がこの制度を御活用いただきまして、広域的に住民サービス、窓口サービスができるような方法をお考えいただくことは可能であるというふうに思っている次第でございます。
  67. 岩崎昭弥

    ○岩崎昭弥君 最後に、三点質問したいと思います。  一つは一部事務組合との関係、もう一つ権限移譲について、最後に組織についてお尋ねしたいと思います。  一部事務組合との関係についてですが、広域連合は、一部事務組合と同じ特別地方公共団体でありながら、より自主性、主体性を発揮できる機能を有するとされております。現在、一部事務組合が掌握している事務事業、例えば清掃、消防、病院など広域連合が掌握する事務事業とはいかなる違いがあるのか、現行の一部事務組合が広域連合に移行することは可能かどうかということをお聞きしたい。  次に、権限移譲についてです。これは先ほど鎌田先生が知事の経験から問題にされておりました。  一つは、広域連合は国あるいは都道府県から直接権限移譲を受けることができるとされておりますが、いかなる権限移譲されるのか。都道府県の加わる広域連合が幅広く権限移譲を求めた場合、いかなる手順と機関で国は権限移譲の可否を判断するのかということであります。  第二に、第二十三次地方制度調査会答申では国の権限の受け皿とされているが、本当に国の権限移譲されるのか。自治省説明によりますと、各広域連合の請求に基づき、関係法の改正を行って移譲されるとしております。しかし、関係省庁が権限移譲及び改正法に同意をするかどうかは省庁次第であると思うんです。拒否が相次ぐならばこの制度の意義は全くなくなるのではないでしょうかという心配があります。  第三に、広域連合の計画作成に当たって、国の基本構想法律による計画との調和をとらなくてはならないとされておりますが、地方分権の一方策としての広域連合であればこういった規制はなくてもいいんじゃないか、排除した方がいいのではないかと思うのであります。  次に、組織についてでございます。  その一、広域連合地方制度調査会では評議会制、マネジャー制を採用することになっておりましたが、なぜ法案から消えたのかということです。  その二、広域連合が必要と認める場合、国等の機関が意思決定に参画できるとされておりますが、この参画は構成団体と対等の立場で極力限定したものにしなければならないと思います。どのような場合を想定しておられるか、明らかにしてもらいたいと思うんです。  その三、広域連合のプロパー職員の労使関係はどのように考えたらいいのか。任命権者、使用者はだれかということをお聞きしたいと思います。  以上です。
  68. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) まず、広域連合と一部事務組合との関係の問題でございます。  広域連合も現行の一部事務組合制度と同様に広域的な行政需要に対応するための制度でございまして、その対象とする広域行政需要によりさまざまな形態が想定をされるものでございます。例えば広域連合は一部事務組合と同様に地方公共団体が同種の事務を共同処理するという場合もございます。しかし、そのほか例えば産業廃棄物の処理事務と一般廃棄物の処理事務のように異なる種類の事務を共同処理するという場合も想定されるものでございます。  このように広域連合は現行の一部事務組合が処理する事務についても設置できるものでございまして、実際に広域行政の方式としてどのような方式を選択するかということは、地方団体の置かれた状況に応じましてそれぞれ一番ふさわしい方法でこれを選択するということになろうかと思います。一部事務組合の方が簡便でいいという場合もありましょうし、あるいは広域行政機構を強化するという意味で広域連合の方がいいという場合、さまざまあろうと思います。  それから、広域連合は国や県から権限が委任をできるというふうにしているが、どういう権限が委任されるかということでございます。  これは広域連合制度がそもそも特定の事務を想定してその制度化を図っているものではございませんので、それぞれの広域連合への事務権限の委任につきましては、関係省庁や都道府県が広域連合処理する事務やその組織でありますとか組織をしております地方団体広域連合の区域における行政需要状況等を総合的に勘案して行うということになろうと思います。  それから、都道府県の加入する広域連合はその権限の委任を国に求めてまいるが、どういうような手順で国は権限移譲の可否を判断するかということでございます。  これは、広域連合の長が国の行政機関の長に対して国の権限または事務の委任の要請を行うということを受けまして、国の行政機関の長がこれを契機として、委任をしようとする権限広域連合処理している事務との関係等をさまざまな観点から検討をいたしまして、この権限の委任ができるかどうかを検討するわけでございます。権限を委任しようというふうにした場合には、各省大臣、国の行政機関の長は、法律または政令を閣議を求めて閣議で決定をいたしまして、法律案の場合には国会に提出して所要の改正をしていただくということになるものでございます。  それから、国からの権限移譲というのは御指摘のとおり個別法の改正ということでやることになるわけでございますが、関係省庁が法律改正に同意しないことが多くなればその実効性がないんではないかというお話でございます。  これは先ほど来お答えしておりますように、権限要請制度ということがございまして、その要請の範囲を広域連合処理する事務に密接に関連するものに限定をしております。しかし、限定することによりまして現実的で実情に即した要請ということが行われるというふうに考えておりまして、制度的に要請の実効性を高めることになると思います。  それから、広域計画の作成について他の国の計画との整合性の問題でございますが、広域計画に盛り込まれる事項は広域連合やその構成団体の活動の規範となるものでございますから、その広域計画の項目に関する事項を定める各種の法定計画との調和を図るということは、当該広域計画の実効性を高めるという意味でも必要ではないかと考えているものでございます。  それから、組織に関して何点かお話がございました。  まず、地方制度調査会答申でありました評議会制、マネジャー制等を今回の法案では採用していないと、どういうことかということでございます。  確かにそういう答申をいただいておりますが、広域連合は議会と執行機関が並立する議会・執行機関型のほかに、評議会制ということでやったらどうか、あるいはマネジャー制をどうかということで答申をいただいたわけでございますが、これは、現行の一部事務組合制度について組織が画一的であって問題があるということを踏まえて答申があったというふうに理解をしております。  しかしながら、地方団体の議会あるいは長等の機関が関係する現行の法律のほとんどが議会一執行機関型を前提として構成されているということがございます。そこで、この評議会制及びマネジャー制を制度化するということになりますと、各省庁の所管の関係法律のすべてについてその制度の組み立て方を含めて抜本的に検討を行うというようなこともございましたことから、今回の改正法案内容にはこれを盛り込まずに、今後改めて検討すべき課題としているものでございます。  それから、広域連合が必要と認めた場合に、国等の機関が意思決定に参画できるというようなことになっているが、これはどうかというお話でございました。  広域連合は、広域計画に定める事項を一体的かつ円滑に推進できるように協議会というものを設けることができるようにしております。国の行政機関の長も参画できるということにいたします。この協議会というのは広域連合の判断によって設けられるものでございまして、メンバーも広域連合の長が任命をするということにいたしておりますので、むしろこの協議会での協議を契機として、国の行う事業に広域連合の意向を反映させたり、あるいは権限の委任等が行われるということが期待されるのではないかというふうに考えているところでございます。  それから、広域連合のプロパー職員の労使関係はどうかということでございます。  これは普通地方公共団体の職員と同様でございます。また、これらの職員の任命権者は、長等の執行機関に属する職員については当該広域連合の長等でございまして、議会に属する職員については議会の議長ということになるものでございます。  以上でございます。
  69. 岩崎昭弥

    ○岩崎昭弥君 権限移譲については鎌田先生から再三指摘がありましたし、大臣自身も懸念を表明してみえる部分があったと思うんです。この広域制度が生かされるかどうかは、国が、各省庁が権限をきちっと地方に渡すという思想がないとスムーズには発展しないというふうに私は思います。そういう意味で、大臣を先頭にこの法の趣旨に従って各省庁を取り仕切っていただく、こういうことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  70. 有働正治

    ○有働正治君 まず、広域連合制度について尋ねます。  この広域連合制度と大規模開発促進とのかかわりについて聞きます。  財界団体一つであります関西経済連合会は、八九年のベイエリア開発研究会報告書で大阪湾のベイエリア開発計画のために広域連合の必要性を強調いたしました。九一年には都道府県連合制度に関する提言を行いました。その提言の中で、新しい広域自治体が担うべき役割の第一に大規模地域開発など経済活動の活性化ということを挙げているわけであります。  そこでお尋ねしますが、政府のこの広域連合制度の政策的なねらいの重要な一つにこうした大規模開発を促進しやすくするということがあると考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  71. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の広域連合制度、先ほど来お答えを申しましたとおり、第二次行革審の国と地方関係等に関する答申でありますとか、最近では昨年四月の地方制度調査会答申もとに、今回制度化をすべく法律改正をお願いしているところでございます。  これは、広域連合制度につきましては、多様化している現実の広域的な行政需要に適切かつ効率的に対応するとともに、国等からの権限移譲ができますよう受け入れ体制整備するために創設しようとするものでございまして、大規模開発に直接に役立つということを企図して制度化をしているものではございません。  この広域連合は、都道府県や市町村あるいは特別区がそれぞれの広域行政需要を踏まえて自主的な判断のもとに設置をするものでございまして、例えば廃棄物の処理でありますとか消防の問題でございますとかあるいは福祉の問題等幅広く活用されることが考えられるものでございます。
  72. 有働正治

    ○有働正治君 質問に端的にお答えいただければ助かります。余分なことが多過ぎるという感じが私はするわけです。限られた時間でありますので、よろしく。  今、直接的にはそういう大規模開発とはかかわりがないんだとおっしゃいましたけれども、実際問題として全く無関係とは私は言えない。現実に進行しているのもかなりあるわけで、その点はどうですか。
  73. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) これは、多様化しております広域行政需要に適切かつ効率的に対応できる仕組みをつくり、そこに国からの権限移譲ができるようにしようという地方自治法上の制度としてつくるものでございまして、それを御活用願うのは各都道府県、市町村、特別区ということになるわけでございます。さっきも申しましたように、特定の事務を意図したものではございませんので、今御指摘がありました大規模開発のための仕組みとしてこれを考えて御提案を申し上げているものではございません。
  74. 有働正治

    ○有働正治君 直接の目的でなくても、そういうことが推進しやすい状況も結果として生まれることは否定できないんじゃないですか。端的に言ってください。
  75. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 広域行政を進める方式としてどういう方式をとるかというのはそれぞれの地方団体の判断でございまして、一部事務組合の方式もございますし、地方開発事業団の方式もございますし、この広域連合制度もあるわけでございまして、この法律広域連合をつくることと大規模開発とは直接関連するものではございません。
  76. 有働正治

    ○有働正治君 しかし、促進のねらいがそういう団体等から出されていることは私は注目し重視する必要がある。  広域連合制度には、今言われたように、現行の一部事務組合にはないところの国や都道府県知事から広域連合への事務権限の一部委任、あるいは上級機関に対する事務権限の委任要請ができる制度は当然含まれています。こうした権限移譲が大幅に行われた場合、とりわけ開発関連事務移譲された場合に、広域連合それ自体が事実上都道府県や市町村にかわる新たな行政主体となるおそれもあるわけであります。広域連合は実際上何でもやれるということになるわけでありまして、権限移譲が大幅に県等から行われる可能性は否定できないと思うわけであります。  そこで聞きますけれども、その場合に現行の地方自治が空洞化せざるを得ないのではないかということも危惧するわけでありますが、いかがでしょうか。
  77. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 広域連合制度は、広域的に処理することが適当と認められるさまざまな事務処理するために設置されるものでございまして、あくまでも特定の事務処理を想定して制度化を図るものではございません。  処理する範囲につきましてはそれぞれの構成団体が規約で決めるわけでございますが、処理する事務の範囲が広い場合も狭い場合も、それぞれ広域連合ごとによって異なるというふうに思っております。例えば専ら廃棄物の処理ということを目的とするような広域連合もございましょうし、あるいは一定の区域内でもう少しほかの事務も含めて総合的な地域振興をやるという場合も考えられないわけではございません。  しかしながら、総合的行政主体であります都道府県や市町村事務のすべてが広域的に処理することが適当と認めれる事務であるということは想定しがたいところでございまして、広域連合が都道府県や市町村と並ぶ総合的な行政主体として設けられるということはまずないと考えているわけでございます。また、広域連合に対する国や県からの権限の委任は、広域連合処理する事務関連するものに限っているところでございます。  したがいまして、都道府県の事務の大部分が広域連合に委任されるということは想定できないわけでございますし、今後とも都道府県が総合的行政主体としての性格を失うような事態が生ずるということはあり得ないと考えております。
  78. 有働正治

    ○有働正治君 そうはいっても、かなりのものが移譲されて実態的に空洞化の状況が生まれることはあり得るということも指摘しておきます。  中核市制度創設の目的と地方中核都市づくりとのかかわりでありますけれども、まず中核市制度創設の目的とねらいでありますが、平成五年四月十九日の地方制度調査会答申では「社会的実態としての規模能力が比較的大きな都市について、その事務権限強化し、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにして、地域行政の充実に資するため」ということで中核市制度創設の目的を明らかにしています。しかし、その際「できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにして、地域行政の充実に資するため」ということでありますれば、つまり住民サービスの拡充が唯一の目的でこの制度をつくるならばということでありますれば、都道府県と市町村の自治権の拡充なり財政基盤の強化ということが先に私は求められるというふうに考えるわけであります。  同時に、この答申では都道府県と市町村の機能分担について、「都道府県は広域的地方公共団体として、市町村基礎的地方公共団体として、それぞれ責任を分ち、その機能を充実発展させていく必要がある。」と指摘しています。特に市町村の機能の一層の充実ということが今後の重要な課題になるということも指摘しています。しかしながら、市町村規模能力、態様は千差万別であるわけで、また地域的な発展状況もさまざまであることを考慮しますと市町村規模能力に応じた事務配分を進めていくことが適当であるということも述べ、中核市要件として「当該地域において中核的な機能を有していることも要件とする。」と言って中核市制度創設を打ち出しているわけであります。  大臣に端的にお尋ねします。  今回の中核市制度創設の政策的ねらいというのは、地方における中核都市づくり、地方における中核都市の育成ということも一つのねらいではないかと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  79. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 行政事務というのはできるだけ住民に身近なところで処理されることが適当でありますし、また総合的な行政主体であります地方公共団体の手によって行われることが必要であるということでございます。このような観点から、昨年の四月に第二十三次地方制度調査会から答申がありまして、先ほど先生が言われたような趣旨答申がされたわけでございます。  したがいまして、中核市都市の置かれている社会的実態に着目して指定される制度でございまして、都市地域の育成、振興を直接目的としたものではございません。この制度によって地方分権が一歩一歩着実に進む具体的な方策というふうに考えております。
  80. 有働正治

    ○有働正治君 先に進めますけれども、地方における中核都市づくり政策と現実住民への影響の問題です。  まず、中核市をつくれば地方振興が進むのかという問題であります。  今回の中核市制度は、今言われたように、中核都市づくりを目指すものではないと言いましても、大きな流れの中で中核都市づくりが全国的に推進されていることは否定できない事実であります。  具体的に質問します。山口県は、人口減に歯どめをかけ、若年定住と県勢振興の決め手になるものとして中核都市形成を打ち出しておりまして、人口十二万八千人余りの山口市と小郡町二万二千人余りの合併を中心に、防府を含めまして三十万大規模中核都市を目指しています。  そこで大臣中核都市づくりが即地域振興に役立つと考えることは別次元の問題だと思うわけですが、いかがでありましょうか。
  81. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 中核市制度につきましては、先ほど来その設置の趣旨、目的についてはお答えしていたような考え方でございます。  この中核市制度は、そういうことでございますので、地方拠点都市地域などの地域振興立法とは異なりまして、直接に地域経済の振興に資することを目的としているものではございません。ただ、この制度関係都市が十分活用することによりまして当該都市の活性化ということも期待できるものというふうに認識をしているものでございます。
  82. 有働正治

    ○有働正治君 合併による既存人口の足し算だけによる中核市づくりでは地域振興にはならないと私は考えるわけであります。  例えば地元山口財界のシンクタンクの一つであります山口経済研究所がまとめた「やまぐち経済月報」三月号の論文「県内市町村における人口定住促進対策」というのを読みましたが、それによりましても、この中核都市構想に根本的な疑問を投げかけて、中核都市より生活優先の町づくりへの発想の転換をとこういう団体も提言しているわけであります。  そこでは、合併により中核都市が誕生したとして、必ずしも人口の減少傾向に歯どめがかかるとは限らない、県下最大の二十六万都市の下関においても人口は減少傾向にあり三十万程度の中核都市の形成が人口を増加させるとは思えない、仮にこの地域人口が増加したとしても県の総人口は依然として減少すると考えるのが妥当である、人口さえふえればよいという考えにはくみしない、むしろ現に住んでいる人々が健康で快適な生活を送れ、個性豊かな地域、生活の豊かさと生きがいを実感できるような対策を追求すべきであり、地域住民の民意を十分に酌み取り、理解と協力を得られるような生活に密着したきめ細かな対策、地域に合った対策が求められていると言っているわけであります。  こういう点で、地域振興のためにはこういうことが必要ではないかと思うわけであります。大臣、その点いかがでありますか。
  83. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 合併との関連もございますので、私の方からごく簡単にお答えさせていただきます。  この中核市制度ができたことによって合併を行うかどうかというようなことでございますが、これは合併が進むようなことを企図してつくったものではございません。結果としてそれが中核市になろうということで合併に進むというケースもないわけではないと思いますが、それを直接の意図としたものではございません。  市町村が合併を行うかどうかについては、基本的にはまず関係市町村住民の自主的な判断が尊重をされなければならないというふうに思います。中核市を目指して合併を行う場合におきましても、関係市町村によって当該地域の将来像について十分検討が行われ、住民等の十分な理解を得た上で自主的に実施されるというふうに理解をいたしております。
  84. 有働正治

    ○有働正治君 中核市地域振興とは直接的には私は無関係だと、別の対応が必要だということを述べます。  先に進めますけれども、この小郡町の場合に、戦前の戦争遂行の国策のために山口市に強制合併させられた経緯があります。一九四四年四月です。しかも、戦後、町民の発意による住民投票で四九年十一月に分離独立して今日に至っているわけであります。両市町の行政水準を比較しますと、相対的に小郡の方が進んでいます。特に公共下水道は小郡七三%、山口二五%と、これは平成四年普及率ですが、極端な差があるわけであります。水道料も小郡が千三百九十円、山口二千三百八十四円、これは口径十三ミリ、一カ月二十立方メーター使用の一般家庭、平成五年二月時点でありますが、倍近い差があるわけであります。合併により小郡町民が犠牲となることは明らかであり、町民の反対で合併はとんざしてきているわけであります。  さきにも答弁ありましたが、大臣、この点をお聞きします。中核市づくりのための無理な合併で周辺自治体が犠牲になるケースが出ている事態もあるわけでありますが、合併は納得と合意が必要で、いやしくも強引に進めるべきではないというふうに考えるわけでありますが、大臣、お願いします。
  85. 石井一

    国務大臣石井一君) 先ほどから委員のお話を伺っておったわけでございますが、例えば広域連合の目的は大規模開発ではないかと。私は、地方の自治体が大規模開発を意図し、目的とし、希望した場合にはこういう制度が利用されるというふうなこともあるかもわかりません、結果的には。しかしながら、それが目的でこの制度を創設しておるのではないということを局長が繰り返し答弁をしておるんだろうと思います。その結果なり目的は、住民が志向し、そしてその自治体が共同して協議し、そういう中からそういう連合体をつくって申請をしていき、地方の自主的、自律的なもの、自助努力に対して、こちらがそれを認め協力をすると、こういう性格のものではなかろうかと思うのでございます。  また、この中核市におきましても、それをつくることによって地方の経済がマイナスになるとか、地方の進展にマイナス効果が起こるとかというふうな議論をされておるようでございますが、私が伺っておりますのは、一般的に指定都市に次ぐ人口三十万前後の都市が今の国際化、広域化の時代にもっと権限が欲しいと。そういうところから地方自治趣旨に沿って新しい制度をここに御審議いただいておるということでございまして、あくまでこの中核市構想におきましても地方の自主性、自律性というものが主体で進められるべきものではなかろうかと思います。  それから最後に、周辺自治体の犠牲と合併という話をされるのでございますが、私は自治省にやってまいりましてまだ時間もございませんが、昭和三十年前後には一万ほどあったものを三千三百までにやった、そのときには自治省は強制的にいろいろやったんでしょう。しかし、その後ほどんど進んでおらぬという事実を見ますと、自治省が怠慢であったか何か知りませんが、少なくとも合併に対しては何ら手を加えてないと。そうして、その特例が来ておるというわけですから、しかし今度これをやりましたからといって町村合併とは意を異にするものでございまして、新たな一つの発想のもとにこういうことを出しておる、こういうふうに認識しております。
  86. 有働正治

    ○有働正治君 今、大規模開発との関係大臣が述べられましたから私も一言述べたいわけであります。  例えば山口の場合ですけれども、山口県と山口市が強引な合併を迫った直接の口実というのは、当時、小郡町が計画していたJR小郡駅の北側の開発問題がありました。駅の北側の開発は、膨大な事業費がかかり、町単独では無理で国の新都市拠点整備事業でやらないとできないと。そのためには山口市と合併して事業指定要件の県庁所在地になる以外にないという理由があったわけであります。そこで、膨大な開発計画を東京のコンサルタント会社につくらせて何百億もかかるテクノパーク工業団地形成に失敗した山口市としては、千五百億円以上と言われる情報文化都市建設等々の計画を掲げ、合併で大きくなった財政を大規模開発に集中投資しようとしているわけであります。  そういう地域では住民の福祉や教育への投資が犠牲になってくることは目に見えているわけで、多くの自治体でそのことが指摘されて、住民の大きな不安や不満となっているところもあるわけであります。岩手の盛岡の場合も、北東北の拠点都市として機能を果たし得る中核都市の形成のため、隣接の都南村を吸収合併して開発事業を進めるということをやりました。ほかにもそういう点が出ているわけであります。合併させられたところは総合支所が縮小されるとかいろいろ問題も、きめ細かな住民サービスの後退という点で住民の批判が出ているわけであります。  したがって、大臣自治省も言われましたけれども、結果的にそういうことになると言いましたけれども、かなりこれが大きなねらいになっているというのが実態であると私は考えるわけであります。そういう点で、この法案は私は大きな問題点を持っているということを指摘して、時間の関係で質問を終わります。
  87. 岩本久人

    委員長岩本久人君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————午後一時開会
  88. 岩本久人

    委員長岩本久人君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、大渕絹子君が委員辞任され、その補欠として久保田真苗君が選任されました。     —————————————
  89. 岩本久人

    委員長岩本久人君) 休憩前に引き続き、地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  90. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  今回の改正案が成立いたしますと昭和三十一年の政令指定都市以来の都市制度改革となるわけでございまして、午前中から各先生方の御議論を伺っておりまして、評価すべき点が多々あるということがよく私もわかりました。確認の意味で私も質問をさせていただきます。  まず中核市制度ですが、今回の改正によりまして中核市の必要を満たす二十七市の中には既に指定に向けまして準備を始めたところも多いようでございますが、その中で最大メリットはやはり保健所の設置だと市の側からは評価されていると伺っております。今回のこの中核市の指定要件については保健所の設置基準を参考にされたということでございますが、しかしその中核市の対象団体であって既に保健所政令市となっているのは堺市、岡山市など十三市で、残りの十四市は未設置であります。つまり、この十四市につきましては、保健所が設置できるまでは仮にこの法律施行されましても、すぐに中核市にはなれないというように理解をしていいんでしょうか。御説明をいただきたいと思います。
  91. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回自治法改正中核市制度を創設しようとしておりますが、今お話しございましたように、中核市に保健衛生事務を一括して移譲するということにいたしております。そのためには保健所の存在というものが不可欠というふうに判断をしておりまして、そういうことで一括整備法の方におきまして地域保健法の改正をいたしまして中核市には保健所を設置することを制度上明らかにしようとしているところでございます。  したがいまして、中核市になる時点におきましては、保健所が設置されておりまして保健所関連する業務が一括して中核市において処理されるということが必要であるというふうにしております。
  92. 西川潔

    ○西川潔君 市側にとりましては、この保健所を設置するには、例えば新たな専門職、所長さんとなる医師、獣医、薬剤師の確保で、その準備には数年間の作業が必要だというふうに伺っておるわけです。この点、自治体が指定を希望する際に保健所の設置がネックとならないように、もっと弾力的に、午前中関根先生の方からもいろいろ御意見が出ておりましたですが、例えばある程度のめどが立てば認めるというふうな運用はできないものかというふうにも思うわけですが、いかがでしょう。
  93. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 保健所の設置と中核市の指定の政令施行との関係になるわけでございますが、中核市になるにはまず申し出をしていただきます。その際には、現にまだ保健所が設置をされていることまでは必要といたしていないわけでございますが、中核市の指定の政令施行されるまでには保健所が設置をされまして中核市が業務を執行できる体制が整備されることが確実でなければならないということでございます。  このように、事前に保健所を設置する必要まではないのでございますが、中核市になる時点では保健所が設置されておりまして保健所に関する業務が一括して中核市において処理される必要があるわけでございます。
  94. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。  次に、保健所の設置市が指定要件の参考にされたという点につきましては、例えば東大阪市、尼崎市は、保健所政令市であり人口も大変に大きいものがあるわけですけれども、面積要件がこの基準に満たないことによりまして対象から除外ということでございます。  しかし、今回の法律行政サービスが都市移譲されることになった理由は、その方が住民の福祉の向上に役立つからであろうというお話ですが、その意味で、これらの自治体は住民福祉のための能力規模を十分に満たしているのではないか。そしてまた、この面積要件法律の目的をかえって後退させるのではないかという心配もあるわけですが、いかがでしょうか。
  95. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) これは午前中にもいろいろ御質問ございましたが、今回の中核市は、移譲される事務関連をいたしまして、そういうような事務が効率的かつ適正な事務処理が行われるためにはやはりある程度の行政需要まとまりと行財政能力が必要であるということで、これらは人口面積に総合的にあらわれることになりますので、人口面積要件にしているものでございます。  今回中核市移譲をされる事務につきましてはもろもろの事務がございまして、政令指定都市に準じたような事務を、ただ、その中から国道、県道の管理でございますとかあるいは教職員の任免でございますとか児童相談所の設置というものについては除かれますが、ほぼ指定都市に準じたような事務を一括して移譲するというものでございます。福祉行政関係都市行政あるいは町づくり関係事務など多くの事務が一括して移譲されるということになっております。  したがいまして、保健所が設置されているというだけでほかの面積人口要件などを満たさなくても中核市制度の対象とするということは、都市規模能力に応じた事務配分を今回はやろうということを目的としております中核市制度趣旨にはなじまないのではないかというふうに考えているものでございます。
  96. 西川潔

    ○西川潔君 それでは次に移ります。  次に、広域連合についてお伺いしたいと思います。  今回の広域連合の設置に当たりましては、福祉事業の充実のためにも大変大きな役割が期待できるのではないか、こう思うわけでありますが、福祉の面におきましては、小さな自治体にとりまして住民に十分な福祉サービスを行うために人やお金の面など相当御苦労があると思います。例えばゴールドプランではデイサービス一万カ所を設置するというのが目標に定められているわけですが、人口一億二千万といたしまして、単純に割りますと一万二千人で一カ所。一方、特別養護老人ホームの場合は、一カ所五十床といたしまして二万五千人の人口で一カ所となります。  そこで自治省にお伺いしたいわけですが、人口一万二千人の規模を下回る市町村数はどれくらいあるのでございましょうか。
  97. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 現在、市町村は全部で三千二百三十五ございます。そのうち今御指摘がございました人口一万二千人以下の市町村の数は千七百三十九でございます。全市町村に占める割合で申し上げますと五三・八%ということになっております。
  98. 西川潔

    ○西川潔君 今の数字で、特養で二万五千人から三万人、デイサービスで一万二千人を基礎的単位と考えますと、今後福祉サービスを一体的、効率的に進めていくためには自治体の再編成についても考えていく必要があると思うわけです。  例えば福祉先進国と言われるデンマークですが、福祉サービスや教育に関する権限地方への移譲に際して、その受け皿となる基礎的自治体の再編を行うことによりまして福祉政策の発展に結びついていったと伺っております。我が国におきまして自治体の再編成についてどのように考えておられるのか、できれば大臣にお願いしたいと思います。
  99. 石井一

    国務大臣石井一君) けさの委員会の審議におきましても、市町村合併の見直しというふうな問題について各委員からお話があったところでございます。  我が国の三千三百の自治体を総点検してみますと、人口の基準あるいは面積の基準、そういうふうなものが存在いたしておりません。過去の歴史的な経緯の中から地方の自主的な独立存亡の立場ということを重んじまして今日の姿が出ておりますけれども、新しい御指摘の福祉あるいは広域行政というふうなことを考えましたときに、これはやはり来年の特例法が切れる前に一応新たな角度から検討していく必要があるのではないかというふうなことを考えます。今ここでこれを全部やりますとかやりませんとかということは申し上げられませんけれども、今御指摘になりましたような五三%というのが福祉の基準に見合っていないというところがあるという御指摘でございますから、こういうことも考えましてひとつ努力をしたいと思います。  それから、先ほど御指摘のございました中核市の問題でございますが、面積基準だけが外れておっても行政能力があり保健所も存在しておるというところを外すというのもいかがなものか。大都市の周辺にそういうちょうど中間の位置にありますような都市がたくさんあるようでございますが、この件につきましても私の立場から一度検討をしたい、そのように思います。
  100. 西川潔

    ○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。  次に、直接請求についてお伺いをいたします。  今回の法律改正にはリコール請求等における重度の障害を持つ方々の代筆署名が盛り込まれております。この件につきまして、以前から強い要望があり、また国会でもたびたび取り上げられているわけですけれども、まずは自治省の御決断に敬意を表します。  そこで、一点確認をさせていただきたいんですが、今回の改正によりまして、全国に約百二十万人いらっしゃる要介護者、寝たきりのお年寄りの方々がこの制度で署名ができるようになるというふうに理解させていただいてもよろしいのでしょうか。
  101. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 今回の地方自治法改正で直接請求の代筆署名の制度を設けることにいたしております。かねてから御要望があったわけでございます。  現在は直接請求における署名は自署、つまり自分でみずから書かなければならないということに限られているわけでございますが、そういうふうになっておりますので、従前は手の御不自由な方、みずからお書きになれないという方は署名をすることができなかったというふうになっていたわけでございます。  今回の改正におきまして、そういう手が御不自由でみずから書けないという方については代筆署名をすることができるというふうに認めることにいたしましたので、こういった方々につきましては証明ができれば代筆もできるわけでございますので、今までのように直接請求の署名がしたくてもそういった事情でできなかったというようなことは今後改善されるということになるわけでございます。
  102. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。  さて、同様に大きな懸案となっております在宅の寝たきりのお年寄りについてお伺いしたいんですが、この投票権の保障問題です。  一月十四日の政治改革特別委員会でも私はお伺いしたんですけれども、この件につきまして、各会派の先生方から、さらに都道府県の選管から要望が出ているところでありますが、この問題につきましても自治省の決断をできればまた大臣にお伺いしたいと思うんです。
  103. 石井一

    国務大臣石井一君) 寝たきり老人の郵便投票に関する問題でございますが、西川議員は善意でこれを進めようというふうなことでおっしゃっておりまして、私も基本的にはそれには賛成でございますが、ただ、制度を導入する場合には統一的な基準ということが必要でございます。その場合にどの線をとって寝たきりとするのか。中には、寝たきりでないのに寝たきりのふりをすると言ったらおかしゅうございますけれども、なかなかこれは微妙な一つの線を引く問題もございます。  それからもう一つは、今度はその制度が悪用されないかという問題がございます。今現在七十万人という数が出ておるわけでございますけれども、それは今六十五歳の老人の中の二十人に一人だと、こういうようなことでございます。今後、老人の人口が大きくなってきた場合に、それが百万、百何十万というふうにどんどんとふえてきた場合に、選挙の期間が短縮されておる今日それに本当に対応できるのかというふうな問題がございますので、その方向で少しでも身体の不自由な方が御参加いただける方法にはどういうものがあるのかということにつきまして、不在者投票の沿革やそのあり方、実態調査をも踏まえながら検討をさせていただきたい、そのように思っております。
  104. 西川潔

    ○西川潔君 ぜひよろしくお願いします。  いろいろ細かい点もお伺いしたんですけれども、そういう心配もあるとは思うんです。現場でもいろいろ我々もお伺いしてまいりまして、言いっ放してはないんですけれども、できればいろいろ勉強させていただいてここで質問をさせていただいておるんですけれども、どうぞひとついい方向によろしくお願いしたいと思います。  次に、広域連合の議会の選挙制度についてお伺いをしたいと思います。  今回のこの選挙制度は、規約によって自治体みずからつくることができる、こういうふうになっておるわけですが、例えば国の制度としては認められていない在日外国人の投票権を保障したり、あるいは寝たきりのお年寄りや海外在住者の投票制度として代理投票や郵便投票制度、そして投票の在宅サービスなどを決めようとする場合、大臣はこれを許可されるお考えか、そういう考えがおありなのか、最後にこれをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  105. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 広域連合の議員や長の選挙の問題でございます。  今回の自治法改正で、そういう議会の議員や長につきましては「政令で特別の定めをするものを除くほか、広域連合の規約で定める」ということにいたしまして、直接選挙あるいは間接選挙でこれを実施するということになるわけでございます。  そこで、この広域連合というのは、地方公共団体の組合の一類型としてこれを設けるものでございまして、これまで構成団体において個別に処理してきた事務を持ち寄って処理することを基本として設置される特別地方公共団体ということに相なるわけでございます。したがいまして、広域連合の議会の議員とか長につきまして規約で直接選挙の方法をとる場合におきまして、広域連合に対する民主的なコントロールが行われるための選挙の方法は、やはりもとの構成団体において処理されていたときと基本的に同様であることが適当であると考えているわけでございます。また、広域連合選挙の方法として直接選挙を選択する場合には、選挙の公正の要請ということですとかあるいは管理執行に必要な職員、資材の確保という観点もございまして、普通地方公共団体において広く用いられています公職選挙法に定める方法を定めることが通常の例であると考えております。  このようなことから、御質問のような投票の方法を公職選挙法と異なる方法で仕組むということ、それを規約で定めるということは想定されていないものでございます。
  106. 石井一

    国務大臣石井一君) 私から御答弁申し上げますと、原則的な普通選挙あるいは統一地方選挙に導入されていない制度広域連合のところへ持ち込むということは原則的には考えておりません。しかし、広域行政の目的によりまして、この制度を導入することの方がより正確な民意を問うというようなそういうものがございましたら、それはそのときには例えば在日外国人を対象にするとかあるいはその他の方法をとるということも例外的にはあると思うが、原則的には考えておらない、そう申し上げておきたいと思います。  なお、この機会に、委員長のお許しをいただきまして、西川議員などが盛んに御主張をされております選挙におきます手話通訳の導入につきまして、各界の要望も多いわけでございますから、自治省といたしましても次期の参議院の比例代表の選挙に導入するという方向で方針を決めまして、今その予算化に入ったということを御報告させていただきたいと存じます。
  107. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。
  108. 岩本久人

    委員長岩本久人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  109. 有働正治

    ○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案及び同法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案に対して反対の討論を行うものです。  反対理由の第一は、広域連合の導入は、都道府県や市町村の空洞化を招くとともに、行政への住民参加を制限し、地方自治の後退につながるからであります。  国からの権限移譲はともかく、都道府県知事等から権限移譲が大幅に行われた場合、広域連合それ自体が事実上都道府県や市町村にかわる新たな行政主体となりかねないのであります。  また、広域連合の長やその議会の選挙については間接選挙とすることができる規定とされており、行政から住民を遠ざけるものとなるからであります。  第二は、国からの権限移譲を伴わない中核市制度の導入は、都道府県の空洞化につながるとともに、中核市を中心とした住民無視の開発、周辺市町村の合併を促進し、都道府県内での一極集中と過疎化をさらに加速するものとなるからであります。  候補地として挙げられている二十七市の中には、周辺地域を含む大規模開発計画をゼネコン主導方式で進めようとしているところが少なくありません。中核市の指定は、こうした庶民無視の大規模開発を一層促進するとともに、健康や福祉など市民に身近な行政を後退させかねないのであります。  第三は、広域連合制度中核市制度も、第二臨調発足以来、財界などが一貫して要求してきた道州制の導入や大型市町村合併など地方制度の抜本的改変の地ならしをするものだからであります。  新行革審が提唱した広域連合制度は、その審議に加わった関経連の宇野会長が道州制への過渡的措置として提案したもう一方の府県共同体が都道府県連合制度という名称で盛り込まれたと言っていることからも明らかなように、新たな制度再編の呼び水としての性格を持つものであります。合併特例法の期限切れを控えて、政府は市町村合併促進の立場から住民発議制度の導入を検討しており、今回の改正はこうした上からの合併促進の動きと一体のものと言わなければなりません。  今必要なことは、真の意味での地方自治の拡充であります。ところが、地方自治体に対する国の統制強化の指標ともなっている機関委任事務は二年間で二十件もふえ、国の統制が強まっているのが実態であります。新たな広域行政主体を事務権限移譲の条件にするのでなく、現行制度もとでの国から地方への権限移譲を促進することこそ憲法に定められた地方自治の原則を実効あるものとする立場であることを指摘して、討論を終わります。
  110. 岩本久人

    委員長岩本久人君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、地方自治法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 岩本久人

    委員長岩本久人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  112. 岩本久人

    委員長岩本久人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 岩本久人

    委員長岩本久人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十五分散会