○清水達雄君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました
租税特別措置法の一部を改正する
法律案に対する修正案について御
説明いたします。
我が国の
経済が、期間、深度において最長、最悪と言われる不況から依然として脱却できない最大の
理由は、土地取引が凍結
状態にあることと、企業の
設備投資が極端に低迷していることにあることは全く異論のないところであります。そこで、土地取引の活性化と企業の
設備投資の拡大誘導について税制面からの積極的な対応がなされなければなりませんが、今次税制改正においてはその
措置は極めて不十分であります。
まず第一に、土地税制についてであります。
現行の土地の譲渡益に対する課税は、
平成三
年度に地価高騰に対処するためにとられた極めて高い税率がそのまま残されております。土地取引の実態について見ますと、
平成三年の土地の課税譲渡所得は十八兆円であったものが、翌四年には七〇%も急減して五兆四千億円にとどまっております。これは土地の譲渡所得に対する重課によるものにほ
かなりません。
また、固定資産税の評価額引き上げに伴い、この評価額を課税標準とする登録免許税の税額が急激に
上昇することに対し、今回の
政府の改正案ではその負担調整
措置をとることとしておりますが、土地取引の活性化が重要な課題とされている今、思い切った対策が必要であります。
地価税につきましても、
平成六
年度における固定資産税評価の均衡化、適正化を契機として、今後固定資産税の負担の適正化が図られる見通しとなった現在、地価税そのものの必要性を含めて抜本的見直しか行われるべきでありますが、当面、現在の地価税負担が土地を有する企業にとって過重な負担となっていること、また、過重な地価税負担が土地の取得者側の意欲を減殺していることを重視すべきであります。そのためには、時限
措置として地価税を課税しないことにより、企業の正常な経営能力を
回復させるとともに、土地の流動化を促進すべきであります。
第二に、企業の
設備投資の活性化についてであります。
そのためには、悪化している企業の経営
状況を改善するために所有している土地等を譲渡し、企業全体としての収支バランスを図ることが不可欠の要件であります。したがって、法人の土地譲渡益に対する追加課税については、一律に分離して追加課税を行う現行税制を改め、土地の譲渡益をもって他の事業に係る赤字分を補てんする場合には、その限りにおいて追加課税の対象から除外すべきであります。これにより、土地の譲渡益を活用した企業のリストラの効果的な進展が期待できるものであります。
以上申し上げました
理由に基づき、本
法律案に対する修正案の概要について御
説明いたします。
第一は、
長期譲渡所得の課税の
特例についてでありますが、
平成六年分及び
平成七年分の
所得税に係る税率を現行の百分の三十から百分の二十に引き下げることとしております。
第二は、法人の一般の土地譲渡益追加課税制度についてでありますが、
平成六年一月一日から
平成七年十二月三十一日までの間にした土地の譲渡等に係る特別税率を現行の百分の十から百分の五に引き下げることとしております。一第三は、法人の土地譲渡益追加課税制度についてでありますが、この
法律の施行の日から同日以後二年を経過する日までの間に終了する各事業
年度に係る土地の譲渡等の利益金額が所得金額を超える場合には、その超える金額に相当する金額を土地の譲渡等に係る譲渡利益金額から控除する
措置を講ずることとしております。
第四は、地価税の
特例についてでありますが、個人または法人が
平成六年または
平成七年の各年一月一日に有する土地等については、地価税を課さないこととしております。
第五は、登録免許税の
特例についてでありますが、
平成六年四月一日から
平成九年三月三十一日までの間の
措置として、課税標準が不動産の価額である土地に係る登録免許税について、課税標準を固定資産課税台帳の登録価格の百分の三十五とする
措置を講ずることとしております。
以上が本修正案の提案
理由及びその内容であります。
何とぞ、慎重
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。