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1994-06-03 第129回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月三日(金曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     会 長         櫻井 規順君     理 事                 尾辻 秀久君                 吉川 芳男君                 藁科 滿治君                 長谷川 清君                 山下 栄一君                 立木  洋君     委 員                 岡  利定君                 佐藤 静雄君                 関根 則之君                 楢崎 泰昌君                 南野知惠子君                 瀬谷 英行君                 堀  利和君                 前畑 幸子君                 森  暢子君                 乾  晴美君                 河本 英典君                 小林  正君                 星野 朋市君                 中川 嘉美君    事務局側        第三特別調査室        長        堀籠 秀昌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業資源エネルギーに関する調査  (二十一世紀へ向けての企業行動あり方に関 する件)  (エネルギー供給課題対策に関する件)     —————————————
  2. 櫻井規順

    ○会長(櫻井規順君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、二十一世紀へ向けての企業行動あり方に関する件につきまして、自由討議の形式で意見交換を行いたいと思います。  議事の進め方といたしましては、まず各会派に意見開陳をしていただき、意見開陳が一巡した後、各要員から意見提言等を御自由にお述べいただくという方法で行いたいと存じます。  それでは、意見開陳をお願いいたします。  御意見のある方は順次御発言を願います。  なお、意見開陳は着席のままで結構でございます。
  3. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 二十一世紀へ向けての企業行動あり方につきまして、私の意見を申し上げます。  我が国企業は、その持てる経営資源競争力向上のために効率的に配分することにより、我が国経済的地位向上に寄与するとともに、国民に対し生活の安定と所得水準向上をもたらしたと言えます。しかし、企業を取り巻く環境変化の中で、従来の生産者重視シェア拡大第一主義、長期継続的取引等企業の倫理や行動原理が国際的な競争条件個人生活面においてさまざまな問題を生じさせており、我が国企業行動あり方そのものが問われてきております。  今後は、従来の日本型経営システムが持つ長所を伸ばすと同時に、その短所を改善しながら個人自己実現機会が十分与えられ、かつ地域社会国際社会一員にふさわしい企業行動への変革が求められております。  このような基本的認識に基づき、以下数点につきまして問題点意見を述べさせていただきます。  第一は、安定した雇用確保生活大国に向けた労働時間短縮促進であります。  日本企業の強さは、質が高く忠誠心に富んだ労働力にあると言われております。その根本は、失業の不安がなく安心して働けることにあると言えます。しかし、現在、戦後最悪の経済情勢下にあり、景気回復動きも見られるものの、中高年のホワイトカラーを中心として雇用情勢は依然厳しいものがあります。企業は安易な解雇を行うべきではないと考えます。政府は、企業雇用維持努力支援するなど雇用の安定に万全を期するとともに、景気回復のための機動的な需要喚起対策の一層の努力が必要となっております。  中長期的に見ますと、今後の産業経済発展国民生活の安定、充実が図られるよう、労働力確保雇用の安定と職業能力開発促進、特に高齢者女性が働きやすい環境整備推進する必要があります。  また、生活のゆとりを確保していくために労働時間の短縮が必要です。景気の低迷もあって平成五年は千九百十三時間となりましたが、完全週休二日制の普及促進年次有給休暇完全取得促進連続休暇普及拡大所定外労働削減等により一層の労働時間の短縮推進するとともに、週四十時間労働制実現に向けて、中小企業においても労働時間の短縮が円滑に進められるよう積極的な援助施策推進することが望まれます。  第二は、障害者雇用促進外国人労働者問題であります。  障害者雇用の場においてその能力を十分に発揮しながら活躍できるような社会をつくることは極めて重大な課題です。このため、障害者雇用が一層促進されるよう、障害者雇用対策を総合的に推進するとともに、重度障害者に重点を置いた職業リハビリテーション充実雇用のための援助措置拡大地域における福祉施策との連携等に努めることが期待されます。  また、国際社会における相互依存関係の深まりと我が国国際的地位向上に伴い、労働分野においても国際社会に対する積極的な貢献が求められております。特に、外国人労働者問題については、適正な就労の確保等合法的な外国人労働者受け入れ体制整備するとともに、不法就労問題に対しても適切な対策が必要であります。  第三は、長期継続的取引慣行改善であります。  我が国企業間取引を見ると、系列に代表されるような長期継続的取引のウエートが大きいところに特色があります。しかし、海外から、市場参入しようとする際には価格以外の制約要因となり、自由な競争が阻害されているという市場閉鎖性が批判されております。このような疑念を解消し、自由で公正な競争秩序確立するためには、従来に増して透明で開放的なものにしていくことが望まれます。このため、独占禁止法の厳正な運用による競争条件整備企業内容開示制度の強化による経営明確化等を通じて、内外に対して公正で透明な取引環境整備する必要があります。  第四は、企業社会貢献活動推進であります。  社会一員としての企業像確立を図るためには、企業活動の成果を社会に還元していくという視点が重要であります。このため、企業福利厚生施設地域住民への開放や企業自身社会貢献活動への積極的参加ボランティア休職休暇制度の創設やボランティア活動のきっかけとなる情報機会提供等従業員が自主的に多様な社会貢献活動参加し得る環境整備を図る必要があります。また、今後の高齢化社会を迎えてボランティア活動が評価されるように、企業従業員採用の際これを考慮することも考えるべきであります。  社会貢献活動促進のための税制上の問題としては、寄附金免税枠が不足していることがあります。企業寄附金平均値で見た場合、免税枠の不足はありませんが、社会貢献活動に熱心な企業では免税枠を使い切っていることから、その天井を高くすることによって全体の水準を引き上げていくことが政策課題であると言えます。  第五は、企業海外進出現地社会との融和であります。  企業海外進出は、我が国産業発展の大きな要因であるとともに、相互依存関係にある世界経済の繁栄と成長に不可欠なものとなっております。そこで、海外進出規模拡大に伴い、経営幹部への現地人の登用、部品現地調達促進社会貢献活動推進進出先での環境面配慮等を通じて現地社会との融和を図っていく必要があります。  政府は、企業がより円滑な形で海外での企業活動推進できるようガイドラインを提示するほか、海外制度情報収集提供に努めるなどの支援策を講じるべきであります。  また、企業海外進出に伴う産業の空洞化問題については、企業競争力のある高付加価値製品先端技術を導入した製品など新たな分野に進出していく必要があります。このため、企業研究開発による技術革新を積極的に行うとともに、政府においても、将来の産業展望を踏まえつつ円滑な産業構造の調整に努めることも重要であります。  第六は、内外価格差の是正と充実した消費生活確立てあります。  我が国国民所得は名目上世界最高水準にあるとはいえ、内外価格差の存在により実質的な購買力は低くなっています。内外価格差縮小傾向にありますが、なお欧米諸国に比較し依然割高となっており、これをさらに是正するため、経済的規制緩和推進するとともに、生活者消費者視点に立った透明な市場ルール確立を図ることが必要であります。また、消費者企業との間に情報収集能力等の格差が拡大しており、消費者自律性を高めるためには規格表示を含む消費者への情報提供消費者教育の一層の充実等、十分な環境整備を図る必要があります。  最後に、第二期調査会調査報告のフォローアップに関する物流問題であります。  物流問題をめぐっては、道路混雑緩和、窒素酸化物等環境問題、労働力の不足問題、省エネルギー等が提起されております。したがいまして、従来の提言に加えて、弾力的、機動的な政策実施体制整備と総合的な物流対策の策定、地域共同集配システム構築推進、モーダルシフトの促進、低公害車目標数値達成年度を提示し、そのための金融税制上の優遇措置の一層の拡大などの施策を行う必要があります。  以上であります。
  4. 山下栄一

    山下栄一君 今、網羅的な御提言がございましたんですけれども、私の方からはある程度絞りまして意見を申し上げたいと思います。特に企業社会貢献活動、とりわけ従業員社員ボランティア活動につきまして少し意見を述べたいと思います。  国民また市民のボランティア活動への関心が特に近年急速に高まっておるわけでございますが、その背景といたしましては、先ほどもございましたように、高齢化社会に急速に進んでおると、その辺から住民の皆さんの特に福祉部門へのボランティア、お役に立ちたい、そういう意識が非常に高まってきておるということがあると思います。  もう一つは、やはり生きがいとしてのボランティア活動、こういう観点が特に最近は強いのではないか、このように思います。人のために働くということで格好よさとか一つのブームみたいな面もあるわけでございますが、やはり経済的な豊かさの実現とともに、心の貧しさといいますか精神的に非常に充実しておらないという観点から何かしたいと、そういう国民意識があるのではないかと思うわけでございまして、これは一時的な現象ではなくて、私は非常に定着した、ある程度恒久的な一つ動きなのではないか、このように思います。  人間の生き方として社会貢献は必要である。人のために働くということが自分自身の精神の拡大といいますか心の広がり、こういうことにつながるのであると、そういう生き方としての社会貢献活動ボランティアと、そういうとらえ方が定着し、広がっておるのではないか。そういう意味で、近年のボランティア活動への意識の高まりは非常に定着力が出てきておる、このようなとらえ方をしておるわけでございます。  ボランティア団体、現在五万三千、こういうことが全国社会福祉協議会報告によりましてあるわけでございますが、これは昭和五十五年と比べますと三・三倍の広がりである。また、参加人数におきましても四百三十万人、国民の三十人に一人と。国民というのは成人者だけではなくて赤ちゃんも含めてという意味でございますが、子供も含めてボランティア活動参加人数四百三十万人、これも昭和五十五年に比べますと二・七倍ということで非常に広がりがあるわけでございます。  ただ、男女比で申しますと、男性一人に対して女性三人ということで、やっぱり女性参加が大変多い。とりわけ主婦の方が約半分であるということでございまして、主婦約四六%、定年退職者が一三%、合わせて六割近くと。特に四十歳以上の家庭の主婦また仕事を終わってからのリタイア以後の方々参加者が七一%となっているわけでございます。中間の会社で働いておられる方々サラリーマン参加が非常に少ない、約六%ということでございます。こういうふうに考えますと、企業としての支援がないとサラリーマン層ボランティア活動参加はしたくてもできないという状況であるということでございます。  そういう観点から、企業社会貢献ボランティア活動への取り組みについて少しまた意見を申し上げようと思うのでございます。企業は、特に従業員生活保障、また社会への、お客さんへの商品サービス提供という観点から社会貢献しているというとらえ方もあるわけでございますが、さらに地域に対する貢献、こういう意識がなければだめであるというように思います。  勤労者従業員社会貢献活動企業による支援ということでございますが、まず時間的な支援ということで、制度といたしましてボランティア休暇ボランティア休職制度、これが特にバブル以後、一九九〇年以降ふえておるわけでございますが、まだまだ全体としては非常に少ない。外資系の大企業中心に導入が少し始まったという程度でございます。  これも労働省の調査によりますと、約六千の三十人以上の企業を対象にした調査でございますが、このボランティア休暇休職制度を導入している会社は約三百社、〇・五%と、一%にも満たない数でございますし、この制度を設けておっても利用率が非常に低いということでございます。特に一カ月以上ボランティア休職制度があるというところは、制度を導入しておる中でも利用しておるところは一七%と、こういうことでたとえ制度が導入されても利用率が低いということでございます。  この理由としましては、導入されてからまだまだ新しい制度で定着しておらないということもあると思いますし、社員の方のキャリア形成の上からまだまだ長期休暇ボランティア休暇に対する戸惑いがある、また休職中のかわりの社員確保が非常に難しい、そういう理由もあるのではないかと思います。  さらに課題といたしましては、これの利用拡大するためには、休暇休職期間中の経済的な保障、こういうことが不可欠であると。導入されておりましても無給のところがまだまだ多うございまして、全額支給という会社も一部あるわけでございますが、こういう休職期間中の経済的な保障、また帰ってからの復職後の配置がスムーズにいくかどうか、こういうこともございます。またボランティア派遣先での事故災害、これに対する対応、こういうことがこれからの課題ではないか。特に事故災害への対応につきましては民間ボランティア保険、これに対して会社支援する、保険料を支払うということも考えられてきております。  さらに、時間的支援と並びまして、従業員への、また勤労者へのボランティア参加意識を広げるためには、会社みずからが情報をどんどん提供していくということが不可欠であると。現在行われておりますのは、社内報とか会社における掲示板とか、また少し進んだところでは、社内においてボランティア研修講座を設けるとか、また社外への研修の呼びかけを企業が積極的に行うということも行われておるようでございます。さらに広がりを持つためには、会社の中にボランティアに関するアドバイザーコーディネーター、こういう方が配置されておるということ、会社に一人はそういう方がいらっしゃると、こういうことも会社として考えていく必要があるのではないか。  この観点から、今国として考えておられるのは、厚生省でございますけれども、県レベル社会福祉協議会による要請事業に、例えば農協とか生活協同組合と並んで企業にも呼びかける。商工会議所等を通じて、社協がやります要請事業参加していただく呼びかけを行っていくと、こういう事業が今年度から始まるようでございますけれども、まだまだこういう行政レベル企業に対する支援というのが低いように思われます。こういう社協要請事業企業が積極的に社員参加させていくということも必要ではないか、このように思います。こういう観点アドバイザーコーディネーター社内に配置すると、こういうことがないとなかなか広がっていかないのではないかと思います。  と同時に、地域という観点から申しますと、現在ボランティア活動に対する情報提供窓口というのはボランティアセンターというのがあるわけでございます。県レベルにおきましては全県配置されておりますが、市町村におきましては約半分だと。実際、現場を見ますと、ボランティアセンターといいましても社協の中に、センターというよりも一人相談員がいらっしゃるというところもまだまだ多いということで、県市レベルボランティアセンター充実ということもこれからの大きな課題であろう。そこへ相談に行けば、意欲があれば、こういうボランティア団体がありますよ、また、福祉を初めとして環境保護、その他学習指導とかスポーツの指導とか、そういうさまざまな分野ボランティアのメニューがありますよという情報ボランティアセンターに行けばすぐに用意されておると。こういう観点から、ボランティアセンターにおける情報提供のための情報システムの配備ということもこれからの大きい課題であろうというふうに思います。  こういうふうにいたしまして、企業を通して社員ボランティア参加できる体制を考えていく必要があるのではないか、このように思います。  こういう形で企業従業員ボランティア活動への支援を行っていく、時間的支援また情報提供、こういうこと。さらに企業全体として、企業組織としての取り組みという観点から、先ほどもお話ございましたけれども、民間ボランティア団体民間営利団体支援、育成ということも企業として積極的に取り組んでいく必要がある、このように思います。  まず資金支援、これは先ほどもございましたように、ボランティア団体任意団体が大変多いということで、税制上の配慮をするために特定公益法人制度改善弾力的運用、こういうこともこれからの課題であろうというふうに思います。また資金のみならず技術の面におきましても、企業の日常蓄えておられる力といいますか技術力、これをボランティア団体支援していく、こういうことも必要であると思います。  また、地域における企業貢献ということで、例えば学校教育にも支援する、非常勤の社会人講師として企業のすぐれた人材を教壇に派遣するというふうなことも地域貢献としてこれからますます大事になっていくのではないか、このように考えております。  以上、簡単でございますけれども御報告を申し上げたいと思います。
  5. 立木洋

    立木洋君 企業行動あり方の問題について、網羅的に述べることはできませんので、若干強調したい点を述べることにしたいと思います。  一つの問題は、これはもう問題になりましたけれども、産業空洞化の問題についてしかるべき対策が必要ではないかという問題です。  日本企業海外直接投資額は、一九八〇年からの十年間に十四倍強にふえました。これは大変な伸びです。それで結局見てみますと、海外生産比卒というのは三・四%から六・四%になっております。バブルの崩壊後、多少減少する傾向は出ておりますけれども、しかし、バブル以前の水準は依然として維持しているという状況が続いています。  日本企業が出資する海外現地企業雇用者数は、一九八七年以降六年間で百万人ふえました。去年十月の段階で二百五十五万九千人というふうになっています。  それから、今後の問題はどうかと見てみますと、経済企画庁がことしの四月十三日に発表した九三年度の企業行動アンケート調査、これは九四年一月の段階ですが、それによりますと、九三年度の海外生産を実施してきた実績見込みというのが四四・三%、ところが、九八年度になると五〇・九%の企業海外に進出すると。ですから、今後もこれは依然として伸びていく状況を示していると言えるわけです。  海外生産での部品調達割合は、現地調達が六割を突破し、国内部品産業への深刻な影響があります。また、現地生産による日本への逆輸入、これも八三年から九一年の八年間にヨーロッパの約七倍近く、北米では五倍近く、アジアでは九倍近く逆輸入の比率がふえるという状態になっています。  ですから、この傾向はやはり今後の問題としても重視されなければならないし、産業空洞化に対する真剣な対策が必要だというふうに考えざるを得ないわけです。  とりわけ労働者生活と権利、地域経済への重大な影響を及ぼす工場閉鎖事業縮小海外移転などについては、その計画の変更から中止までをも含めて、行政上強力に指導できるようなことが当然考えられるべきではないだろうか。  もう一つは、逆輸入に対する製品輸入促進税制だとか、あるいは海外進出については外国税額控除制度など税制面で有利に働く制度がありますけれども、これらについては抜本的な見直しをも検討されるべきではないだろうかというのが第一の点です。  二つ目の問題は雇用の問題についてですが、確かに現在の雇用というのは、依然として冷たい状態が続いてその回復状態が見えておりません。しかし、私は、短期的な問題をここで述べようというわけではなくて、中長期的に二十一世紀の問題を展望したときの雇用あり方ということを考える必要があるんではないかという問題です。  それは、まずこれからの社会というのが少子・高齢化社会になっていくという状態があるわけですが、実際に高齢者雇用対策雇用問題がどうなっているのかと見ますと、働きたい意欲を持ち、そして働くことができる条件にありながら実際に働くことができない高齢者の問題というのが解決される見通しが果たしてあるんだろうか。六十歳から六十五歳までの年金の問題との絡みで今問題になっていますけれども、この問題ですら見通しがない。そうすると、こういう高齢化社会になった場合の、働きたくて働ける条件がある人が働くことができないという問題をどうするのかという問題が非常に大きな問題の一つであろうと思うんです。  それからもう一つの問題は、やはり女性社会進出というのはどんどんふえてきております。しかし、現実を見てみますと、女性に対する雇用の面での差別というのは依然として根深いものがある。これはすべての問題を挙げることはできませんけれども、去年、東京における大学が就職問題について調査をされた内容が出ているんですけれども、それを見てみますと、就職のための資料が請求されていながら、男子には配付されるけれども女子には配付されない、あるいはセミナーの就職についての通知は男子にはあるけれども女性にはなかったとか、それから募集の問題では女子に対する募集はない、あるいは女子に対しては特別の条件がつけられるという差別がある。こういう調査が全部五〇%以上という高い数字が出ているんです。  雇用の実際の状態を見ればもっといろんな問題があります。述べる時間がありませんけれども、そういう差別の問題が解消されないと、雇用あり方が本当に今後どうなるかというのは大きな問題だろうと思います。特に女性の場合には、最も働き盛りの年代で働く意思がありながら労働に従事できない、条件が整わないために従事できないという、依然としてそういう状態で、外国とは異なる事態に置かれているわけですから、これらの問題はやはり解決されなければならない重要な問題だろうと思います。  それから障害者雇用の問題についても、法定雇用率の問題、民間では一・六%になっていますけれども、大企業中心にこれはほとんど未達成だという状況があります。  こういう雇用の問題について、やはり将来のあり方、これは企業あり方の問題として非常に重視されなければならない問題だろうというふうに思います。そういう意味では可能な限り労働条件改善し、そして雇用あり方、これの改善に努めていくということが企業あり方としても当然検討されなければならない問題ですし、行政面もこの点での注視を関係者にお願いしたいというのが二つ目意見です。  それから、特にこのこととの関連で申し述べたいことは、先ほど労働時間の問題については同僚委員も申されましたけれども、これはもうあわせて述べることはいたしませんが、一つの問題として存在するのは、企業における引当金や準備金、いわゆる内部留保と言われている問題です。これが非常にやっぱり企業あり方として検討されなければならない点だろうと思います。  これは産構審基本問題小委員会の中間的な取りまとめて、昨年の二月に実施された通産省のアンケート調査によりますと、企業の利益配分をどういう優先順位で行うのかというデータが出されております。その最も多いのが内部留保、これが最高なんです。利益配分の第一位です。そして株主への配当が第二位です。それからその後が従業員の給与というふうになっているんです。ところが、三位になっているから比率がどうなのかと見ますと、内部留保に比べて従業員の給与の割合というのはわずか十分の一なんですね。それから、株主への配当と比べて従業員の給与は九分の一余りという状態なんです。  大蔵省の法人企業統計年報によりますと、八六年から九三年までの期間に、資本金十億円以上の四千二百四十五社で何と六十一兆七千億円以上内部留保がふえました。百二十四兆一千億円と、国の予算の一・七倍になっているというのが昨年の状態であります。  この問題についてかつて問いただした場合に、この引当金、準備金などは高度成長期の産物だから整理する必要があるというふうに日本政府も認めてきたものです。ところが、一応認めるものの、大企業からの要望があると実際上はこれがかえってふえているという傾向にあります。今日日本にあるのは、引当金が六種類、準備金が二十二種類、うち実際にはこれらの引当金、準備金というのは実態からは大きくかけ離れていて、利潤の費用化による税金逃れの手段となっているという指摘がなされるような状況であります。  この引当金、準備金等は、国際的に見てみますと、アメリカでは二種類、イギリスでも二種類と、極めて限定されたものであるということを見れば、日本において引当金六種類から準備金二十二種類も存在するということがいかに国際的な状態から見て異常であるかということも明白だろうというふうに思います。  こういう問題を十分に見直すことが可能ならば、これはいわゆる労働者生活水準を引き上げ、さらには労働条件を積極的に変えていく上でもより有利な状況をつくり出すことができるんではないかというふうに考えるわけです。とりわけこの問題については、日本政府自身も整理する必要があるということを述べてきた経緯もあるわけですから、やはり見直しの問題については十分な努力が今後図られるべきではないかということが申し上げたい第三の点であります。  最後の点は、もう時間が来ましたから簡潔にいたしますが、中小企業対策の問題です。  中小企業は、外国と違って日本の場合には事業所数で九九%、従業員数で八〇%、それから製造業出荷額では五二%を占めるという点で、日本経済の中でも中小企業が占めているシェアは絶大なものがあります。もちろん、そこで働いている中小企業労働者のためにも中小企業経営基盤の強化というのは大切な点だということは言をまたないところであります。  中小企業の七割近くが大企業の下請企業になっているということがあるわけで、つまり大企業と中小下請企業との関係ですね、この問題についてはこれまでも繰り返し議論をされてまいりましたけれども、いわゆる大企業による減産率を超える発注の削減だとか、あるいは海外への調達切りかえによる発注の一方的な打ち切りだとか単価切り下げなどを厳しく抑えていくということが必要ではないだろうか。  特に、親企業と下請取引関係を公正、対等なものにするという点ではもろもろな制度がありますけれども、それの完全な実施と、さらには充実させるための見直し等々が大切ではないだろうか。さらには中小企業の自立化、これを強化する方向。同時に、例えば大型店の出店や地域中小小売店との共存共栄の原則、こういうものも町づくりや環境の面からも十分に配慮していく行政的な措置が必要ではないだろうかというふうなことを特に補足的な意見として強調したい点で述べたいということで発言したわけです。  以上です。
  6. 藁科滿治

    藁科滿治君 具体的な意見を申し上げる前に、中間報告骨子案全般についての印象を一言申し上げておきます。  中間報告骨子案を拝見いたしますと、項目の整理的な性格の域を出ていないと、率直にそういう印象を非常に強く持ちました。したがって、それに対する意見も出しづらい。これは私だけの意見じゃございませんで、数人の委員から同じような意見が出ております。  今回の審議経過で、国会全般の日程調整もありまして、関係省庁のまとめの説明がない、資料で提起されるというような手順の流れもございましたから、一面でこういった事情になった背景は私なりに理解しておりますが、それであれば余計、委員の立場からすればもっと踏み込んだ丁寧なやっぱり骨格提案というものが必要ではないか、こういうふうに私は強く感じておりますので、今後の運営の展開を含めて要望を申し上げておきたいというふうに思います。  さて、具体的な内容でございますが、数点申し上げたいと思いますが、経営システムの検証あるいは企業行動、両面にかかわる問題として、まず第一に我が国労働市場の構造の問題でございます。  これは参考人の花見教授からも厳しく指摘のあったところでございますが、正規従業員とその他の従業員との構造的な問題点がある。たしか先生は、この問題の検証、解明なくして日本労働雇用問題の改善はなしというような観点からいろいろ御指摘をいただきましたが、この点は今後我々の調査会の委員も含めてさらにフォローをしていくべきではないか、このように考えております。当然、外国人労働者問題なども含めながら対応していくべきではないか、このように思います。  それから、この問題の関連事項として第二に申し上げたいのは、男女の格差の問題でございます。  この問題は古くして新しい問題でございますが、たまたま昨日、ILOの専門委員会におきまして、日本のこの問題に対する報告書が実質的には拒否をされる、報告書の内容は十分でない、こういうことだろうと思います。そして結論的には、さらに客観的な基準を示しなさいと。男子に対して女子が六〇・五、こういう状況の中で、抽象的な説明では理解できない、こういう再勧告が行われたわけでございます。この点は経済力に見合った日本の立場ということも含めて、今後もっと深刻な踏み込んだ討論が必要ではないか、このように考えております。  それから、第二の大きな問題として申し上げたい点は、雇用と採用のあり方の問題でございます。  先日、私、予算委員会でも総理以下に御質問いたしましたが、バブル経済の背景の中で経営サイドはやや採用ラッシュ、こういう事態が続き、今長期不況の中で、その反動も含めて大変厳しい雇用状況にあるわけでございます。  幾つか問題点を指摘したいわけでございますが、ここでは一、二点に絞って申し上げます。  まず一つは、中堅のホワイトカラーの問題。これは管理者も含めてでございますが、最近こういった層が我々のところによく見えるんですが、管理者層がユニオンをつくろうという大変切実なところに追い込まれている。こういった層から、私も初めて聞く言葉なんですが、出窓族というのは知っているかと言われまして、窓際族というのは知っていたんですが、はっと気がついたら体が社外に出ているというわけです。  これほど大変厳しい状況にあるわけで、今リストラのもとに出向出向の大合唱。労働省もこれを奨励するような方向で行政指導をやっておりますけれども、もう少し丁寧な教育訓練など温かい対応をした上で決断をする、こういうようなことが必要ではないか。こういう層は、経営にとっても中堅の実力者であると同時に、一方で生活の面でも教育、住宅、その他で大変苦しい、日本を支えている中核のメンバーでありますから、こういう点も大いにやっぱり考えていかなきゃいかぬのじゃないかということでございます。  それからもう一つは、もう毎日のように新聞では採用に向けての暗いニュースが出ているわけでございます。全般に大変厳しいんですが、特に女子の大卒等の採用はもうほとんど門戸が閉ざされている。ある経営者は最近女子が定着するから採用しないんだとこんなことを平気で言っているわけでございます。こういう点はやはり今後の日本経営あり方として、また行政指導あり方として十分反省しなければならぬことではないかというふうに思っております。  これらの問題は、一方で国の生活大国五カ年計画という観点から言えば、雇用は二〇〇〇年には大変な数で不足する、こういうことが想定されているわけでございますから、バブルで一気に採用し、不況で一気にはじき出すじゃなくて、相手は人間ですから、もう少し長期的な視点に立って、まさにこの調査会の特徴はそこにあるわけでございますから、そういう視点に立って丁寧な対応をしていくべきではないかということを申し上げながら、ぜひこれらの課題については今後フォローをしていただきたいということを強く要望申し上げておきます。
  7. 櫻井規順

    ○会長(櫻井規順君) ありがとうございました。  以上で意見開陳は終わりました。  それでは、各委員から意見提言等を自由にお述べいただきたいと存じます。  発言される方は挙手をお願いいたします。どなたからでも結構です。どうぞお述べください。
  8. 長谷川清

    ○長谷川清君 今までのお話も聞かせていただいたし、今回中間の報告をまとめるに当たりまして、今までのいろんな勉強を通しまして私が思うのは、産業といえば一次、二次、三次産業があります。一次は非常に日本社会ではコストが高い。ですから、これは近代化、合理化の余地を残しており、コストダウンが社会全体のために役立っていくという創意工夫と努力の余地を残している。しかし、ここのテーブルではむしろ二次、三次の産業。二次産業で、この問も参考人からありましたように、物づくりというこの産業で、経団連がヒューマンに基づく、新しい経営の哲学の基本に人間というものを据えて物をつくっていこうと、このことは私は非常に大きな一つの事柄ではないかと思います。  これは、今は提起をした、方針でうたった段階でありますけれども、これが本当に企業活動の中で定着し、本当に物づくりの中で生きていくということが出てまいりますと、かなりこれからの産業というものに変化が起こってくると期待できると思う節がございます。  それから、この二次と三次の関係の中で、今までは二次産業政府も主力を置いて、どんどん物を生産してそれを売りさばき、それは国内だけではなくて輸出をして世界じゅうで売りまくって、国際収支一千三百億ドルと言われるような記録をいつも更新してきて、それが問題になった。こういう点などについても構造的に変化が起こってくるだろうと思います。  一方、三次産業はいろんな意味で自然増で膨らんできておりますけれども、これからの社会全体の価値観が変化をする、そういう中にあって、例えば福祉という問題一つを考えましても、今現在の福祉に対するシステムは質量ともに非常に低い。この状況をこれから改善しようというときでございますから、例えば医療にかかわっている従事者は百五十四万人ぐらいいらっしゃいますが、これはさらに二〇二五年、新ゴールドプランの方向で見ましても百万ぐらいのけたでの陣立てが、新たなる供給力、マンパワーというものが必要になってくる。  このことは新しい雇用の創造につながってくるし、百万けたの話になりますと、当然これは今の教育システムのみならず、専門学校であるとか教育職業訓練であるとか、そういったさまざまなシステムというものが当然出てこなきゃなりません。それに従事する人々というところにも新しい分野ということで、二次から三次への移行というのが経過の中で出てくるだろう、こう見るわけです。  エネルギーの分野にいきますと、午後の話題になりますけれども、そういう分野に供給しているエネルギーという部分においても構造転換的なものが関連してくると思います。ただ、そこら辺の一次、二次、三次のいろんな変化というものを計算に入れましても、今の推移状況からいきますと、そのもとになっております、支えるエネルギーというものの総量が二〇〇〇年を超える段階までいかない問に枯渇する、非常に不足状況になる、約七%ぐらいの不足状況が出るという問題がございます。  きょうの午前中のテーマは、産業それ自体の構造転換から質の転換、そして一言で言うならば、それは画一から個人個人の、一人一人の細かいニーズに基づく方向へと社会全体が進むことをあらわしている、このように思うんです。そうなりますと、やはり個人個人の、一人一人の幸福の指数というものを上げていくような、そういうことに役立つといいましょうか、それを支援していくような産業というものがこれから伸びていくんだということをも意味してくると思います。すべてがだから、そういう点においてかなりの分野がその価値観を変えてくるであろうということが言えると思います。  以上、感じましたことを申し上げさせていただきました。
  9. 堀利和

    ○堀利和君 調査会のメンバーでありながら、きちんとした資料も十分読めないまま、あるいは資料をみずから努力して準備しての発言ではありませんので、言ってみればかなり枠を広げたような意見になろうかと思います。  私が特に関心があるのは、企業社会貢献という問題であります。私なりに大きく三点申し上げたいわけです。  まず一点は、企業社会貢献という観点からいいますと、その企業が生産する生産物、あるいはサービスの場合はサービスの中身になりますが、そういったもの、あるいはその生産過程において、いわば反社会的な影響地域社会なりに与えないということも言うならば一つの大きな社会貢献だろうと思うんです。典型的なものは公害というふうにも言えるかと思います。  先日、この社会貢献についての議論の中で私も一つ意見を申し上げさせていただいたのは、一例を挙げたのは、ある石けんといいますか、洗剤をつくっている会社がシャンプーのキャップに、目の見えない者がさわってリンスとシャンプーとの違いがわかるようにする。頭を洗うときには皆さん目を閉じて一応洗うと思いますので、これは目の見える者にも非常に便利だということを申し上げたわけです。そういう意味では、反社会的な公害はもちろんですけれども、製品利用する消費者の立場に立って、しかもその消費者の中にはハンディを持っている者もいるという観点で、企業にとっての社会貢献のやはり一つ課題は、みずから生産しているもの、サービスしているものそのものが消費者、人に優しいものとしてやるべきだろうと思います。これが私は一つのまた社会貢献意味でもあろうと思います。  二点目は、きょうのお話にもありましたけれども、地域に対してボランティア活動としてどう貢献するか、あるいは自主的に行っているボランティア団体に対して資金面でどう援助するか、こういうことがまたはっきりした社会貢献であるわけです。  私も従前から、企業地域社会に対してどうやってボランティア等の貢献ができるのかということでいろいろ疑問も持っておりました。先ほどの話でも、今度厚生省が県の社協を通して企業地域ボランティアの橋渡しをするというようなことで動き出したわけですけれども、非常にこれは結構なことで、企業から見ますと、地域の中にどういうニーズがあるかというのがなかなかわかりにくい。  逆に地域住民からしますと、あの会社は一体どういう会社なんだろうか。そういうボランティアとか地域社会貢献するようなことを考えているんだろうか。また、その企業の中の事情が全くわからない。言うなれば、企業企業でそういう社会貢献地域貢献ということを考えていても、あるいは地域住民からすれば企業に対して希望は持っているんだけれども、それが双方には全く意思疎通なくわからないまま、せっかくの、善意も含めたものが生かされないということがあるわけです。  そういう点で、個別企業をやはりうまく統括、コーディネートするようなものというのがやはり必要であろうし、そういう点では積極的にその地域のニーズを企業に伝え、また企業の事情も含めた貢献度については、地域社会の事情に精通したそういった社協等のセンター地域に対して語りかけるということが大変重要だろうと思うんです。それがうまく活用といいますか、動いていくことで企業地域というものを結びつけることができるんだと思います。  そういう点で二点目は、そういったシステムを積極的に、また充実したものにやはりしていくということが企業社会貢献を進めていく上でも大変重要だろうと思います。  三点目は、これは社会貢献というふうに言えるかどうか迷うんですが、実は昨日払、勉強会をする中でいろいろお話をやりとりしてきたわけです。その中で日本社会の将来、二十一世紀を見たときに、これは日本だけでありませんけれども、外においてはやはり地球規模の環境というものが大変大きな問題になるだろう、当然なっているわけなんです。  つまりグローバルな観点から、地球環境というものと日本産業企業がどうあるべきか、やはりそこが大きな観点だろうと。それは持続可能性のある社会、世界というものを維持していかなきゃならない。そういう観点からいうと、持続可能性の危機という問題を考えたときには地球規模での環境というのを重視しなきゃならない。  今度内に向かって考えたときに、少子社会の問題が大変重要だろう。つまり二十一世紀を迎えるに当たって、この九五年に現役労働者人口がピークに達して、二十一世紀に入りますと徐々にカーブが下に下がってきまして、現役労働者が減っていくという人口構成にこれはもう必然的になっていくわけです。こういう少子社会が、つまりこの日本社会を支える人間のエネルギーというのはどんどん減少していく、それによって日本社会そのものが維持できなくなっていってしまう危険性があるだろう。やはり持続可能な社会というものを考えたときには、後世代を支える今の子供たちをいかにどう育てるかといいますか、これは別に国家のために子供、人間を育てるわけじゃありませんけれども、しかし、やはりそういう観点で考えたときに大変重要な課題なんです。  そこで私思いますのは、企業地域住民あるいは地域貢献ということでボランティア活動、外に出ていくということもそうなんですけれども、逆に考えたときに、先ほどのお話でも、学校へ社会人として講師に出ていくということ、これは非常に重要だと思うんです。  しかし、今の子供たちというのは、自分の親が昼間あるいは夜もかもしれませんけれども、どんな仕事をしているのかということが非常に見えてこないんですね。昔は、農村型社会の場合には、生活局面と生産局面がいわば空間的にも同じところですから、親が働いている姿というのを見るわけですね、大変汗流して苦労している姿を。ところが、今の工業が進んだ社会というのは、生活局面と生産局面とがある意味で完全に切り離されてしまっている。  通勤時間が一時間、二時間かけてということからいいましても、つまり子供には、うちのお父さんがあるいはうちのお母さんがどんな仕事をしているか、どんな大変なことをしているかというのが見えてこない。よく言われる、日曜日になって疲れてごろごろ寝てはかりいるお父さんしか見えないというんですね。ということを考えたときに、これから二十一世紀を支える子供たちがそんなふうな育ち方をして果たしていいんだろうかと思うわけなんです。  そういうときに、これは学校制度の問題あるいは企業の側の問題もありますけれども、例えば、子供が学校を一日平日に休むことを制度で認めて、自分のお父さんでもお母さんでもいいです。親が働いているところに半日でも一日でも見学といいますか、そういう機会をつくるということが私は必要だと思うんです。社会見学では国会にも見学の子供たち、学童も来ますし、あるいは電力会社を見にいくという社会見学がありますけれども、自分の親が働いている姿というものを本当に見る機会がない。日曜日は大体の場合は休みということになれば見る機会がない。やはり自分の親がどれだけ汗を流して苦労して働いているのかという姿を見るというのは、これから育っていく子供たちのことを考えるときに大変私は重要なものだろうと思うんです。  そういう点では、一斉に学校が休みを決めても、これは受け入れる側の親が働いている会社の都合もありますのでそれは無理でしょうから、一人一人の子供がそれなりの条件のもとで一日子供の有給休暇といいますか、とれるような形をとると。そして、企業の方では子供が来たのではなかなか仕事もスムーズにいかないかもしれないけれども、まあ小学校のうちの高学年になった一日ぐらいは親にぴったりくっついて企業の中で親子が歩き回ってもいいでしょう。そういうような受け入れを企業がすることで、私は、これからの子供たちが二十一世紀を支える大人になっていく過程で、そういうものも一つのいわば企業にとっての広い意味での社会貢献になるんじゃないだろうかというふうにも思っております。  そんなことも、これは文部省なり学校制度の問題あります、受け入れる側の企業の問題もあるでしょうけれども、企業地域ボランティアとして出ていくだけじゃなくて、そういった子供たちを育てていくという目的からいっても、私はこういう観点もある意味では必要なことじゃないかなと。勝手ながら、資料なり厳密な分析を持った意見ではなくて申しわけありませんけれども、そんなふうに思います。
  10. 長谷川清

    ○長谷川清君 今、少子化という問題が出て、これは非常に大きな問題で構造的な問題だと思うんですが、これはやっぱり四つ五つの原因がそこにはあると言われているんです。  一つは、やっぱり共稼ぎがふえてきたということ。二つには、女性の所得がふえた、高所得化してきたということ。それから三つには、やっぱり晩婚というか、今まで二十四歳で結婚していたのが平均二十七歳になった。二十七歳で結婚するということになりますと、二十九歳ぐらいで第一子を産んで三十二、三歳で第二子を産んでとなると、だんだん高齢出産になっていく、ですからどうしてもその辺は一人か二人でもうやめちゃうということにつながっているということがあります。  それから、医療、医学、医術がどんどん発達してきていますから、従来はいわゆる死産していたのがどんどん未熟児で、産み落とされていくと言っては語弊があるけれども、生まれてくるわけです、こんなに小さいのが。そうしますと、これもやはり子供は子供ですから子供のカウントの中に数は入りますけれども、現実はといいますと、これはもういわゆる未熟児が五体満足な成長を遂げて社会一員になるという展開はまずなくて、ほとんどの人がずっと施設の中で、あるいは身体障害者施設に入って四十歳ぐらいまでそういう囲いの中にいる、こういう事実があります。  少子化という問題、それは住宅事情もありますし、そういったいろいろの要素、要因にこれからの対応のかぎがある。その一つ一つを私たちは今これから福祉という構造の中で少子化問題を取り上げていくという視点に立っていると思うんです。今、それは成案中の問題ですからこれからになるんですけれども。  やっぱりそういうふうに考えますと、税金を払う側とそれから受け取らなきゃいけない側というものとのバランスが、需要と供給じゃありませんが、非常に構造的に需給関係が崩れている。これを一つずつ洗い出してやる中の一つの大きなパートが今の堀先生が言われた少子化問題なんじゃないかというふうに思うんです。
  11. 乾晴美

    ○乾晴美君 少子化の問題は、今、長谷川委員からおっしゃられたとおりだと思いますけれども、私は一つそれにつけ足したいのは、男女平等というか、そういった男尊女卑の思想が、子供を産まないという女性がだんだんとふえてくる一つの大きな原因だろうと思うんです。  それは、女性就職をちゃんとして働いてやめない姿になると、採用させないというか、女性の大卒の採用が少ないという話が先ほどございました。女性が子供を産んで一生懸命働いている、そういう姿に対して男性が、昼ごろになると今晩の晩御飯何にしようかとか子供のことを考えるような子持ちの女性にはこの大事な仕事を任せられないというような悪口も言ったり、そういう態度が見えますと、若い女性はそれを見ていて、ああいうふうに言われるなら私はもう子供を産まぬでおこうとか、結婚しないで一生懸命この仕事をしていこうと。自助努力なんて言われるんだから、将来子供を産んで一生懸命子供の教育に投資するよりも、自分の一生は自分で責任を持っていけるように働く方を選ぼうというような女性も出てきて、本当は男性は気づいてないでしょうけれども、職場の中に男尊女卑というか女性べつ視の思想があれば、ますます女性は子供を産まないだろうというように思うわけです。  ですから少子化問題は、今、長谷川委員がおっしゃったもろもろのことにプラスして、男女平等教育をどうしていくかということも重要な要点に入るのではないかというように思っております。
  12. 南野知惠子

    南野知惠子君 今の問題にいろいろと追加して考えてみるんですが、やはり少子化の原因というのは、本当に若いカップルが適切に子供を産んでいけるかというところの環境もちゃんと見ていかなければならない。  そうすると、若い人たちにそれだけの大きな給料が与えられているかというのも一つの問題です。一人の人は子育てに今約二千万円ぐらいかかるとおっしゃっています。それで、何人が適切かというのは別なんですけれども、二人の子供を産むとすると四千万はかかる。では若い人たちが今住宅という問題についてどう考えているか。やはり自分たちの一軒の家が持ちたい、また中古でもいいからアパートを買いたいとしても、ここに三千万、四千万かかると、それを何年で返すかと。それも一つの計算の中に入るんですが、そうすると、若い人たちが本当に七、八千万をしょって生活ができるのか、それをどこで見てあげるのかということも一つあると思うんです。  そして、結婚して子供ができた、その子供を預ける。今、福祉の問題でも保育所の問題が盛んに問われていますけれども、その福祉の保育所の問題にしても時間の制限があるから、ではだれが連れていってだれが迎えにいくのか。そこで御主人の協力というものがどのような形であるのかということで、家庭生活内の仕事の役割分担ということがそこで大きくまた見直されてくるのではないだろうかと思うんです。  最近の男性は比較的優しいですから、そこら辺も見てくださってますけれども、やはり両方とも仕事を持っていれば、仕事は一生懸命したい、そして家庭の中でも円満にいきたいとなるところで、男女平等という形の家庭生活というものも一つ環境としてあるのではないかというふうに思っております。
  13. 森暢子

    ○森暢子君 ちょっと女性が続いておりますが、ついもう男女平等と男女差別のそういう話題になりつつありますが、今皆さんがおっしゃったように、教育の段階から、やはり男も女も一緒だ、同じ人間として弱い立場の人もどういう人も同じように育てていき大きくなっていこうという教育が大変大切だと思います。  ちょっと恥ずかしながら、私は実は孫ができまして、それでちょっと娘夫婦を見ておりますと、連れ合いの方が全部お風呂へ入れます、私はしたことないです。へりで見ているだけです。それから洗濯も連れ合いの方がやります。それから食事の洗い物も全部やるわけです。それで私見ておりまして、いや変わったなと思っております。今の若い人たちの意識というのは大分変わりつつあります。買い物も男の人でも参ります。それで、見ていて別におかしいこともないし、私の役割はもう全然ないということで、どういうところでどんな教育を受けたかといいますと、今は産院ですね。産院が父親教室というのを開きまして、それが満員です。もう父親がみんな行きましてきちっと教育を受けているということで、この教育の大切さというのを実感しております。よくぞここまでやってくれたという思いなんですが、やはり教育というのは大変大事だというふうに思っております。  これからもこうあってほしいということで、その中から男女の役割分担も平等になっていこうし、女性がこれから社会の中で一人の人間として仕事を持って生きがいの中で働いていくということもだんだん社会の中で認められていくんではないか、このように思うんです。  しかし、特に私が申し上げたいのは今話題になっております高齢者女性雇用の問題なんです。それで、どなたかがおっしゃいましたが、これから雇用は不足してくると。そうした場合にだれが働くか。では外国人から労働者雇用して、特に基礎的な重労働のあたりを外国人労働者が受け持つか、そして私たち日本人はきれいな仕事をしてそれで済んでいくのかということも大きな問題であります。特に高齢者は、例えば六十歳で退職した場合、まだまだ蓄えてきたたくさんの専門知識とか技術を皆さん持っているベテランなんです。もうその道のベテランが、まだ働きたい、しかし雇用の場がないというのが現状であります。  それで、これはちょっと郵政省のことを言ってあれなんですけれども、郵政省が今回時間制職員というのをきちっと決めまして、一日四時間働くんです。ですが、パートタイム労働者のようにではなくて、それをきちっと身分保障しようということで、保険もきちっとやりますし、それから賃金もきちっと体系化し、そしてボーナスも出す。こういうことで四時間働いて構わないという時間制職員という制度をつくりました。郵政省が各省庁に先駆けてこれをつくって、ただ不安定な雇用ではなくて、きちっとした雇用体系の中で、例えば退職後四時間働く、あと四時間はゆっくりとゆとりの時間にするというものをつくったわけです。  この中で、六十歳で退職した人がもう五、六年働きたいということで、そういうところで雇用される。それから、女性が出産、育児でもう退職せざるを得ないという方が郵便局にも多いわけです。そして、その人たちは窓口のベテランなんです。例えば小さい郵便局へ行きますと、郵便局の話になって悪いんですけれども、一人の女性が全部の窓口を担当しているわけです、貯金も保険も郵便も。そういう人はなかなか見当たらない。その方がお産してやめていって次の人といっても、何でもいいから女性ならばいいというわけにいかないわけです。そういうベテランの人に育児が一応落ちついたころにもう一度来ていただくという制度としてもこれは大変いいんではないかということで、郵政省としては誇りにしている一つであるわけですね。  こういうふうな制度をもっと各省庁がそれぞれ積極的につくっていただくと、高齢者女性がもっと安心して働いていけるんではないかと思います。  それから女性なんですが、今はもう女性は大変な就業意識を持っておりまして、働きたい、そして自分の一生の仕事としてやり通していきたい、こういう思いの人が大変多くなってまいりました。しかし、いろいろと今おっしゃっているように、雇用と採用とかいろんな面で男女の格差があるということは確かであります。  その中で女性が働き続けるための、今南野先生がおっしゃいましたような保育所の問題、それから育児休業の問題ですね。これはようやく大勢の方のおかげで男女ともとれる育児休業法というのができました。しかし、その中で給料保障がありません。ですから、育休はとりたいけれども給料が入らない、賃金が入らないので私は我慢して産後の休暇が過ぎたら出ようかという人も多いわけです。  その中で、ようやく民間で賃金の二五%を保障しようというのが、民間に勤めている人で育児休業をとった人に給料の二五%を保障しようという制度ができます。これは大変すばらしいことで、保険とかそういうものが掛けられるわけです。これが広がっていって、少しは育児休業がとりやすくなるというふうなことをどんどんこれからいろんな各省庁の中で、国のレベルでやっていただけたら大変これはいいんではないかというふうに思います。  それともう一点だけ、企業社会貢献のお話が出ておりました。この中でも、やはり企業の中に勤めていながら何か社会貢献をしたい、もっともっと国際貢献をしたい、こういう人たちが多いわけです。それで、会社に勤めながら、海外青年協力隊というのがございますが、これが二年間なんです、二年間。その海外青年協力隊の人たちといろいろと現地でお話ししましても、もっとやりたい、一年でようやくなれて、二年目にこれからやろうということになるともう日本に帰らなきゃいけない。そして、一度やめて行くからもとの職場に戻れないというふうなことでなかなか大変だそうですけれども、それをもう少し、三年ぐらいにしていただきたいというのが大変多いそうです。  その中で一つ、シニア協力隊というのがあるんです。つまり、六十歳で退職してその後海外に国際貢献で行きたい、これが今JICA、国際協力事業団の中にあるそうですね。こういういろんな制度をどんどんつくっていただいて、そして会社に勤めている間から国際貢献をどうするか、または六十歳で定年過ぎた後自分の専門知識を生かしてどのように貢献していくか、こういうことをどんどんやはり国の中でつくっていくことがこれからの企業行動あり方一つの大きな問題ではないかというふうに思っております。  以上です。
  14. 南野知惠子

    南野知惠子君 もう一つお話しさせていただくとすれば、やはり高齢化社会、少子社会ということを含んだ形で、もちろん労働者の問題もあるんですけれども、看護婦という職種を皆様方どのように思っていただけているのかというのが一つ気になることでございます。  これから少子社会を迎えますと、二〇二〇年あたりに女性の十八歳人口の八人に一人が看護職を選ばなければならない。そのときに本当にそういう形で看護職を目指してくるのだろうか、今看護職が置かれている労働条件の中で魅力があるのかなということも一つ考えていかなければならないと思うんです。  ある生産年齢が来ると子供を産んでどうしようかといって退職していく。その中でのリプレースというのがなかなか難しいということも一つあるんですが、もう一つ労働時間の短縮という問題が入り込んできまして、それは大変いいことなんですけれども、バイが決まっている中で週休二日制をとるということは、その中で大変苦労をしているし、本当は休めてないけれども休んだ形にしなければいけないというような難しいあれの合わせ方ということもあるようでございます。そういったものの実態調査もしていきながら、本当に効果的な週休二日制がとられているか、それに見合った賃金がとられているかということも考えてみなければならないのではないだろうかと思うんです。  診療報酬というもので看護婦に対する人件費が大きくなっているからそれは大変難しいんだという問題点もあるんですが、それはその労働の数とそれから正看准看の比率というところもあわせて見なければいけないのではないかなと思っております。  それと、さらにもう一つつけ加えさせていただくならば、この前決算委員会でもお話しさせていただいたんですが、中医協という一つの縛り、縛りといいますか、百七十万ぐらいの医療労働者がおる中で看護職は八十五万人を占めているんです。その看護の問題が中医協で検討されて、私たちそれに従わなければといいますか、その枠で検討を進めていきますので、その検討課題に従った業務体制をとるようになってくるわけなんですけれども、その中医協に看護職が一人も入っていない。看護労働を考えていくときに、その中医協というものの中にやはり看護職が入って我々の職種を考えていかなければいい検討ができないのではないか。そういった一つの業界に対する縛りがそこにありますものですから、中医協にぜひ看護職を入れて、看護のあり方をマンパワーを含めて検討していただきたい。  これから産業日本の健康政策ということにかかわってくるわけですので、きょうはそういった意味では陳情的になりますけれども、やはり中医協に看護職を入れて検討してほしいということをお願いしておきたいなと思っております。御検討いただきたいなと思っております。
  15. 長谷川清

    ○長谷川清君 今の関連で、私は、そういう制度は今ありませんけれども、社会的な職務給とでも、ジャイアンツの松井がバーンとホームラン一本打ではそれが大体所得で幾ら、町のお巡りさん、そして今言った看護婦さんといった納得性のあるものには。特に看護業務というのは非常に専門知識を必要とするばかりではなくて、労働の価値と質量という点からした場合の社会的ステータスというか、そういうものが今現在正しく扱われているかというと、私はやはりどちらかというと陰の火みたいな感じになっていると思うんです。さっきも申し上げたように、そういう意味ではこれからの時代は逆にその必要性が高まる。まず数の上で、そして質と処遇という点で改善される方向に向かわなければ、現実にまたしていかなければ、私は、これからはやはりそういうところに風が向いてくるという時代でなければならぬと思うんです。そういう点では同感だということを申し上げたいわけです。
  16. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  ちょっと一言つけ加えさせていただきますと、看護職の特徴といいますのは、今赤ちゃんが生まれかけている。けれども、私の時間八時間でこれで終わりですよと言って帰れない。また、今お亡くなりになろうとしている方のお世話を一生懸命させていただいているときに、私の労働時間これで終わりですよと言って帰れない。そういった問題点をいっぱい抱えております。例えば、夜十二時で終わったにしても、いろいろと次の人たちと申し送りというのがあるんです。それで一時、二時になっても仕方がないといいますか、それが私たちの役割だと思うわけです。そして帰りますと、あしたの朝は八時から勤務、そういったローテーションだってあり得るということです。  病院に入院されると、看護婦は天使だなと、お医者さんは神様だなと言われるんですが、健康な時点でそれを御理解していただけるとなおいいなというふうに思っております。
  17. 長谷川清

    ○長谷川清君 それは経済ベースで言うと、二次産業は合理化もできるんです、コストダウンもできるんです。機械化、合理化、いろいろやれるんです。ところが、看護だとか福祉だとかサービスだとか、三次産業は特に合理化やコストダウンがしづらい。やれる分野もありますが、非常に薄い。そういうものに対する価値。だから、これは非常にコストが上がるということです。  そのことは、社会的仕組みや制度やそういう中で補っていかざるを得ない分野だと。それが今度は、労働力が高まってくるということですから、そういう分だけ全体が薄く広くみんなでそれを制度的に見ていく。私が社会的、職務給的発想だと言うのはそういうことだ、そういう社会に入っていこうとしていると。非常に大ざっぱですけれども、各論は別としてそういうことだと思うんです。
  18. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 気がついたことを二、三申し上げたいというふうに思います。  今の経済が立ち直るかどうかというのは、これ現在非常に大問題でありますが、先ほど立木委員が言われましたけれども、産業の空洞化が進んでいるという意味では、まさしくそういう傾向にこれからいかざるを得ない日本産業構造であろうというぐあいに思っているんです。  現に、立木さんが数字を述べられたように、日本の生産はそういっては悪いんですけれども、ともかくも労働力という点から一言えば非常に高価な労働力日本では使うわけですから、外国に立地ができる二次産業がどんどん海外に出ていく。そして海外の中でも、例えばマレーシアとかインドネシアであるとか、そういう労働の質が高くかつ賃金が安いところに二次産業がシフトしていくというのは避けられない現状じゃないか。そのために日本の経済の復興が、例えて言えば数量的には大変消費はふえているんだけれども日本の国内の生産が上がってこない。そして、日本の国の中の設備投資は若干ふえたという報告がけさの新聞に出ていましたけれども、総体としては二次産業海外への投資に指向して、国内で投資をしていかないという意味では、日本の経済の復活というんでしょうか、成長というのはこれからおくれていかざるを得ない状況にあるんじゃないか。若干悲観的な話をして申しわけないんですけれども。  実のことを言うと、この委員会でいろいろ議論されている中で労働力の問題があります、労働市場の問題があります。その労働市場を一体どういうぐあいに見るのか。生産人口がある年をピークにして減っていくんだと、それに非常に近づいていることも間違いないというぐあいに思います。果たして労働市場がずっとタイトになっていくんだろうか、今現在、採用市場でも非常に大変な状況でございますけれども、そのような状態が続いていくんだろうか。西欧諸国においては八%とか一〇%ぐらいが当たり前の失業率ということになっています、それがいい悪いは別でございますけれども。労働市場がこれからタイトになっていくんだろうかということをどういうぐあいに見るんだということをこの委員会できちんと結論づけてからでないと、労働市場の問題はなかなかできないんじゃないかというような印象を持っているわけです。  その中で、特に先ほどから論題になっております高齢者の話とそれから女性の話は、これは相当深刻な話でして、特に高齢者の方は全くもってどういうぐあいに措置をしていけばいいのか、少なくとも現時点においてはだれも知恵が出てこない。  この間、実は道路公団が公共料金の値上げをするという話で私のところにおいでになりました。そのときに印象的に申し上げたのは、いや道路公団というのは、いわゆるもぎりですか、出札口のところに、いろいろ高齢者対策も兼ねているんでしょう、そういう方が非常に多く採用されているわけです。ところが、日本道路公団の高速道路はチケットを渡すやつを全部機械に変えちゃったわけですよ。ああいうのもおかしいじゃないかと。高齢者の職場の確保として、機械に置きかえる省力だけが目的じゃないんですから、そのようなことも考えるべきじゃないかということを申し上げたんです。  いずれにしても、高齢者対策というものをこの委員会としてどういうぐあいにやっていくんだということは、題が企業行動あり方というのでちょっとあるいは外れるのかもしれませんけれども、もし労働問題を取り上げて大きな場所を占めることになるとすれば、やっぱり高齢者問題をやらなきゃいけない。  それから女性問題については、若干私はいろいろなことを考えているんですけれども、今税制改革で、それにあわせて厚生省が二十一世紀に向けての福祉ビジョンというものをお出しになりました。これは介護の問題が一番中心になって大きく取り上げられているわけですけれども、実は人間としての幸せという意味からいえば、近親者が自分の家におじいさん、おばあさんを置いて介護してあげるというのが一番理想ではあるわけです。ところが、女性就職が進んでいる、社会参加が進んでいる。そのために人間としての幸せが阻害されている面もあるのではないか。そこら辺との調和を一体どう考えるんだろうか。  私は、厚生省が御発表になりました介護を拡充するというのは、介護されなければぐあいの悪い方がおいでになるわけですから、それはそれとして賛成でございますけれども、あえて申し上げれば、人間としての幸せは、よその人に介護されるのじゃなくて、自分の家庭で介護されることがいいんじゃないかという気もしているわけです。そこは十分これから恐らく福祉ビジョンの関係で議論されることだと思いますけれども、そういう点についても、女性就職、職業問題とどういうぐあいに調和をとって考えるのかということを思っているわけです。  それで、さらに申し上げれば少子問題、先ほどからありましたけれども、例えば、保育所とかなんとかというのは結局少子を奨励しているようなものだというような気もするんです。物事は常に表と裏の議論がありますから、裏の議論もしっかりやってみる必要があるんじゃないかと思います。  それからさらに、二十一世紀へ向けた企業行動あり方という観点から申しますと、これは真っ正面の表題だと思いますが、それは結局のところ、これからの企業は人間に優しい企業でなければいかぬということに尽きると思うんです。私どもの生活は、先ほどから幸せとかいってちょっとあいまいな概念を使っていますけれども、やっぱり私どもが求めているのは人間としての幸せをどうやって生んでいくかということですから、人間とのかかわり合い、つながり、優しさを持たない企業はこれから滅びていくはずだと思います。  従来は非常に利潤の追求をされてきました。ある一定の経済水準に達した、これからどれだけ成長するかよくわからぬという時代になってまいりますと、人間とのつながりあるいは優しさというものを持たない企業というものは、先ほどからちょっと議論に出ておりますけれども、やっぱり国民からは見放されていく。そういう観点から申しますと、西欧諸国の企業あり方等々に照らして、社会貢献というものは非常に強く考えなきゃいかぬ。結局、企業行動あり方というのは、社会とのつながりを企業がどの程度持っていったらいいのかということに尽きると思うんです。  ただ、企業というのは経済原則で動いておりますから、利潤がなきゃだめということです。だけれども、その利潤を生むためにも企業社会とのつながり、それを強調しなければならないんだということにだんだんなってくるんじゃないだろうか、そんな感じがしているわけでございます。  そういう意味では、企業社会貢献をするために、前、星野委員が一生懸命言われましたけれども税金の面ですね、参考人の方も、どなたかちょっとお名前失念しておりますが、言われました。やっぱり政府が援助するとすれば、ガイドというんでしょうか、何とか指針というのも結構ですけれども、そうじゃなくて、やっぱり実際上税制とか、補助金は余り歓迎しないと思いますが、そのような面でしっかり対応することが必要だ。特に私、税制のことは興味を持って見ているわけですけれども、現在の税制社会貢献に対してはほとんど評価していません。ぜひこの調査会社会貢献についてのあり方、国の、政府あり方というものを議論していただきたい、かように思っております。
  19. 佐藤静雄

    ○佐藤静雄君 労働力需給の見通しに絡めて、私はこの際、外国人労働者の待遇のあり方と申しましょうか、あるいは扱い方と申しましょうか、それをきちっとやはり見通す必要があるんではないか、こう思っております。  というのは、もう一部のサービス産業あるいは海運、水産業、これは外国人労働者なしには成り立たないくらい労働力が逼迫している。この間も水産審議会で話をしたのでございますが、今は二割五分あるいは三割ぐらいは認めようという海員組合の立場があるんですが、それを五〇%まで認めないともう水産業が成り立たないというような状況もございます。あるいは、地方に行ってごらんになるとわかりますように、中小企業はもう外国人労働者なしにはやっていけないところが非常に多くなっている。  そこで問題は、これからの労働力需給の中で外国人労働者というのを今みたいに日陰者にしないでちゃんとオープンにして、しかもそれを我が国労働力需給の中にしっかりと組み込んでやっていかざるを得ない、こう思うのでございますが、その際に非常に大きな問題が起きてまいります。  例えば、国籍取得の問題であるとかあるいは待遇の問題であるとか、あるいは就学の問題、いろんな問題が出てまいりますけれども、そういう問題もやはり国としてきちっと見通して措置をしておかなきゃいかぬというふうに思うわけでございますが、その点もひとつこの調査会意見としてきちっと書き込んでいただきたい、こういうふうに思っております。
  20. 星野朋市

    ○星野朋市君 今、楢崎委員から非常に重要な御発言がありましたので、それに関連して私意見を申し上げたいのですが、まず切り口として一つ、さっき藁科委員から中間管理層のいわゆる失業の問題というのが提起されました。しかし、これは御承知のように、経団連が日本企業の生産性の国際比較というのを調査して、実に驚くべき結果が出たわけです。日本企業は強い強いと言われておったのだけれども、ホワイトカラーを含めたいわゆる日本企業労働生産性は、実は経済が弱いと言われているフランスにも劣る。アメリカ、ドイツ、イギリス、ヨーロッパ諸国に対して日本のホワイトカラーを含めた労働生産性は大体八〇前後であると、こういう調査結果が生まれたわけです。  日本企業の国際比較ということになると、日本の十社ないし二十社、これが非常に国際競争力が強いということであって、全体を見てみるとそういう結果だと。ということは、これは経営者にとってはやはりショックなことである。国際化と言われる中でやはり国際競争力ということになれば、当然経営者は自社の体制を少なくともヨーロッパ、アメリカ並みにしなくてはならないということで、この中間管理層のリストラということが始まっているわけです。  調査によりますと、バブル期に日本のホワイトカラーは大体百五十万人ぐらいふえたということが言われています。これは私も会社の経験がありますからわかるんですが、どうしても間接部門がふえていって、直間比率でいうと大体大きな問題が起こってくる。日本の賃金は既にドル表示で名目上世界一であります。これは固定費でありますから、当然経営者はそこに目をつけなくちゃならぬ。それがいわゆる社内失業者、いろんな見方がありますけれども、これは想定で約二百万人ぐらいと言われている。そうすると、現在の失業者二・九%がほぼその数字でありますから、実際に日本の失業というのは表に出せば約倍になるという実態があります。  日本企業が、要するにアメリカ並みに企業の収益ということを重視することで、やはり利益が出なければ企業は活性化しないわけですから、それを欧米並みにするのかどうか。日本は幸い雇用調整助成金制度というのがあって、かなり企業内でそれを抑えておりますけれども、今日本が国際化という段階でそのどちらを選ぶかという重大な岐路にあると思うんです。  要するに、日本的な雇用を守りながら企業の収益は思うままに任せない状態に置いておくのか、それともはっきりと効率化を図って、しかし失業は顕在するのか、どちらを容認するのかという今実際は岐路にあると思うんです。  そこで、今のいわゆる企業内失業者、余剰人員を抱えながら企業の収益を図るとなると、実は経済成長をもっと高めなくちゃならない。今、日本で経済成長の認められている数字、公の数字というのは依然として宮澤内閣のときに提唱された名目成長五%、実質成長三・五%、この数字だけが生きているんです、これは税制の問題に絡んでは時間がありませんから詳しく申し上げませんけれども、大蔵省の試算もこの数字を使っているんです。いわゆる間接税一〇%引き上げないと税収の不足が起きますよというあの根拠もこの名目成長五%、それに弾性値一・一を掛けた税収見積もりの上に成り立っている。現状はどうか。恐らくこの数字はかなり架空のものであるという認識はもう一般論としてあります。今年度も経済企画庁が出しておる数字は二・四%、これもかなり難しい数字という状況。  この日本の経済成長をどのくらいで見るかということ、これは午後からエネルギー問題でも同じ視点で私は申し上げますけれども、ここのところを国民的なコンセンサスを得ながら早く決めないと、今言ったような企業労働問題も同じ形で比例して起こってくると思うんです。だから、企業内失業を抱えながら景気をよくしてくれということは、実はバブル期の経済成長というのを頭の片隅に残したままの議論になりかねない。そういうことをこの調査会としてははっきりさせて、日本の成長というのをどういうところで見るか。そうすると、今公の数字になっている名目成長五%、実質三・五%というのに付随して、労働不足の問題も同じ視点から論じられているということになります。私の提言は、だから一番根本はここにあると思っているわけであります。  それから、御議論の中で出てまいりましたいわゆる短時間労働者、森先生から郵政省の四時間労働者の問題出ましたけれども、これはまさしく昨年成立した短時間労働者に関する法律がございます。これは一部にはパート労働法と言われであたかも女子のパート労働者のための法律かのごとく一般に言われたわけですけれども、これはまさしく高齢者の継続的ないわゆる短時間労働、これに対する対策であったわけです。それが今郵政省でそういう形でまさしく実現した、こういう手は打たれているわけです。  それからもう一つ高齢者の所得に関する問題では、今労働省は六十歳からなるべく六十五歳までの継続的な雇用ということで、本来ならば今国会に提出されるはずでありました所得保障の問題、六十歳から六十五歳に至るまでの間に賃金が相当量減った場合はこれを保険でもって補てんするという、これは新しい法律が出るはずですから、そこも労働省は手を打っているわけです。そういうことを私は付言して申し上げたい。  それからもう一つ企業行動あり方なんですが、前に私は経団連の役員に対して、企業が学生を雇用するときに、学生時代にボランティアをやったというこの評価をすべきではないか、こう申し上げたら、どう勘違いしたのか、ボランティアばかりやっているというような形では採れないでしょう、こういう話があった。そうじゃないんだ、同じ基準で採るんだったならば、学生時代にある程度ボランティア活動をやった人たちをその評価の一つの基準にすべきだ、こう申し上げたことがあります。  アメリカでは、御承知のように大学の入試に関しても、評点が同じならば高校時代にボランティアをやった者を採るわけです。そういう仕組みができ上がっているわけです。日本はまだその点が欠けていますから、高校時代のボランティアというものもある程度はやっていますけれども、要するにそういう組織というか仕組みができ上がっていない。現に高校の若い女生徒、これが老人ホームへ行ったり病院へ行ったりすることによってかなりのボランティア活動ができるときに、老人ホームも助かるし、その女子高校生自身も改めて老人と触れたということの感激といいますか、そういうものを持ってくるわけです。  このシステムをある程度完成しないと、これからの介護医療であるとかそれから老人対策であるとか、そういうことに金銭的なものを伴う雇用の問題と絡めるとこれは財政的に決してうまくいくものではない。これを大いに活用すべきである。企業はやはり学生時代を通じてある程度のボランティアをやった人たち、これを採用の評価の一つの基準にする、私はそういうふうに提言したいと思っております。  以上であります。
  21. 立木洋

    立木洋君 若干同僚委員の発言に関連して述べたいわけですけれども、企業あり方の問題の基本を考える場合には、日本生活している日本人、こういう社会の中で成長し発展してきた企業ですから、日本社会に対して責任を持つということが私はやっぱり必要なことだと思うんです。  先ほどお話がありましたように、日本の場合には賃金が高まってきているから、やはり安い労働力を見つけて海外に出ていく可能性が強まってくる。あるいは今の日本の賃金が世界で最高の水準だというふうなお話もありました。私は、基本はやっぱり企業栄えて国滅びるというふうなあり方であってはいけないと。ということを私は特に重視したいのは、今の構造的な不況の根底になっているのは、やはり消費需要が極めて低迷して購買力が低くなっているというところに大きな問題があるわけですから、私はそのことを特に先ほどの内部留保の問題で指摘をしたわけです。  それで言いますと、今確かに名目賃金で言えば最近の円高で世界で一番高いというふうな話がありますよ。これ円高によるんですよ。それで問題は購買力平価、つまりどれだけの品物が買えるかという購買力平価は、OECDによる民間消費支出の購買力平価をその後数年間の各国の消費者物価指数の変化を用いて延長した推計値を経済企画庁が出していますけれども、この購買力平価によると、いわゆるドイツの場合には日本の一・七倍です。アメリカの場合には一・五倍です。イギリスの場合には一・四倍です。日本の人々がやはり豊かに感じない、賃金が一番高いというふうに言われながら高いというふうに感じないという状態がこの購買力平価にあるんです、一つの問題は。  それから労働費用、これは御承知のようにどれだけのものが、いろいろ福祉の問題とかその他でどう使われているかという点を見ましても、これは労働省が出している賃金労働時間制度等総合調査報告による数値によって割り出してみますと、平均為替レートで換算して日本労働費用を一〇〇とすると、アメリカの場合には一一六、それからドイツの場合は一七〇です。それからもう一つの評価の仕方で、同じように労働時間単位当たりの賃金、これを購買力平価で換算すると、やはり日本の場合には一〇〇で、アメリカが一四四でドイツが一五六です。  ですから、実際に買える品物がどれだけ買えるのか、日本でもらっている賃金で、それからどれだけ労働者福祉問題を含めて労働者に必要な費用が使われているのかというふうな問題を見ると、日本のいわゆる所得として労働者が得ている水準というのは世界一じゃないんですよ。世界で十三位なんです。  だからそういうことを考えると、今問題にされているのは労働者の賃金を上げる必要はないというふうな議論があるので、企業あり方は内部留保なんかの問題をよく検討して、いわゆる本当に雇用を安定させ、労働者が働く意欲が出るようなそういう企業あり方というのを考える必要があるんじゃないかということを私は一言だけ述べておきたいんです。
  22. 堀利和

    ○堀利和君 もちろん、企業というのが利潤の追求であり、効率性を高め国際競争にも打ちかっていかなきゃいけないというのは当然だと思うんです。先ほど来からのお話の中でも、それはもう当然なことだと思うんです。  ただ、企業行動としての雇用の問題で一言意見を申し上げたいんですが、先ほど高齢者雇用のことで、例えば高速道路の料金所が今自動化されて人がいなくなったと、高齢者がそういうところで働くような形をとってもいいんじゃないかという御意見もありましたけれども、実はこれから高齢社会を迎えるというときに、高齢者の問題はもちろん福祉とかそういう一分野に限定された問題ではなくて、社会全体、社会そのもののあり方が問われるんだろうと思うんです。したがって、ここでも議論されているように、雇用の問題としても高齢社会とは密接な関係があると思うんです。  そこで、企業の効率性あるいは利潤の追求ということは当然にしましても、視覚障害者の問題で一言例を挙げさせていただきますと、視覚障害を持った女性の新しい職業分野として電話交換手という仕事がかなり以前は期待されていたわけです。しかし、電話交換手も要らなくなる、自動化されると。これは一つの効率性でもあり、もちろん技術が進んできたということがありますけれども、期待された視覚障害を持った女性の新しい分野、電話交換手が結局これはもう先細りになってしまって働く機会がなくなってくる。これはこれである意味企業の側からすれば当然のことでもあろうと思うんです。  しかし、イタリアを見ますと、イタリアでは視覚障害者の電話交換手というのは千数百人ぐらいいるんです、これは数年前の数字なんですけれども。つまり日本のように、効率性を求めて自動化すれば企業にとってはある意味で有利かもしれませんけれども、視覚障害者社会参加し働く機会という観点から、オートメーション、合理化、効率化として自動化しないで視覚障害者が電話交換手として働く分野企業が保ち続けるということがあるわけです。  こういう例から見ましても、一方では効率性、成長率を高めるなり競争に打ちかっていくということが必要なんですけれども、高齢社会なり障害者の問題から雇用を見ますと、企業にとって効率のいい雇用として、働く機会を仮に狭められた場合に、その働く機会を失った者はいわゆる社会保障といいますか、福祉においてそれなりに生計を立てるということになるわけです。  御案内のように、アメリカでADA、障害者法というものがかなり知れ渡りましたけれども、そこに流れている一つの考え方というのは、障害者がどんどん社会参加し働く機会を得ることで、福祉の受け手からタックスペイヤーになっていく。社会保障福祉が決してそれを切り捨てたり、別にそのことが悪いと言っているわけではないんですけれども、一人でも障害者社会参加し働くことの保障といいますか、権利を通してむしろ障害者が積極的に納税者になっていくと、こういう考え方もあるわけですから、そういう点で、高齢社会あるいは障害者の問題から企業がどういう雇用を創出していくのかということも私は極めて重要な問題ではないかなということを意見として申し上げたいと思います。
  23. 長谷川清

    ○長谷川清君 一分か二分で答えだけを申し上げたいんですが、楢崎先生が再提起しました高齢者労働あるいは所得という問題です。  せっかく今シルバー人材センターが全国六百六十カ所設置されておる。これは三千三百全市町村にそれをつくっていこうということで、大体五分の一程度しか設置されておりませんが、これはやはりスピードを高めでできるだけ早く設置することがまず前提になりますけれども、今ある六百六十カ所、約五十万近い人たちがいらっしゃいます。これは大きい企業や国家公務員の場合には天下って次に仕事がありますけれども、特にシルバー人材センターに集まっている人々は、中小零細を卒業して、そしてそこに自分が今までやってきたことの特技を登録をしておくことによって仕事ができるわけでございます。  ですから結論は、各企業はできるだけ発注量を高めるということ。今現在は官民の比率でいきますと官が七〇%、民が三〇%近い、三〇%の中には個人の家庭からの注文もありますから、いわゆる民間の各企業の発注量を高める。そして、いかにきょうあすに、将来に向かってこれを育てていくか。このことが労働力の、いろんな意味で失業率とか雇用力だとかいう数字以上に現実的にはそれを緩和していく。失業率が二・四になっても、いろんな意味でそれが緩和されていく、そういうところに現実があると思いますから、せっかくの材料をもっともっと民は活用してほしい、このことをこの委員会の名において一つ提起できないか。要望です。
  24. 乾晴美

    ○乾晴美君 先ほど高齢化社会に向けて介護をどうするかということで、女性と介護との問題が大きくかかわると言いましたけれども、これは先ほど森委員の方から男女平等が進んでいると言ったけれども、介護の問題というのは女性の問題だけではありませんで、介護というのはまさに男女でやっていかなきゃならないんで、介護の問題が女性の問題だと思っているというところに男女差別というのがあるんだという問題意識をやっぱり持っていただきたいということを一言申し上げたいと思います。
  25. 櫻井規順

    ○会長(櫻井規順君) まだ御意見があろうかと存じますが、予定の時間が参りましたので、二十一世紀へ向けての企業行動あり方に関する件についての意見交換はこの程度といたします。  各要員から貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  26. 櫻井規順

    ○会長(櫻井規順君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を再開いたします。  産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、エネルギー供給課題対策に関する件につきまして、自由討議の形式で意見交換を行いたいと思います。  議事の進め方といたしましては、まず各会派に意見開陳をしていただき、意見開陳が一巡した後、各委員から意見提言等を御自由にお述べいただくという方法で行いたいと存じます。  それでは、意見開陳をお願いいたします。  御意見のある方は順次御発言を願います。
  27. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 我が国のエネルギー政策は、二度にわたる石油危機の発生を境に供給源の多角化を基本として考えられてきました。この結果、一時は全消費エネルギーの約八割近くを占めた石油も、昨今では二割程度の大幅低下を見ておりますし、産業界を中心とする省エネルギー化も成果を上げております。  しかし、今後の我が国を取り巻くエネルギー情勢を見通しますと、先延ばしできない重大な課題が随所に見られております。その中で待ったなしの課題は、温暖化等の地球環境問題であります。忍び寄る憂慮すべき事態に対する国民の関心が高まる中で、解決すべきは、この地球環境問題に配慮しつつ、我が国が抱える資源エネルギーの供給構造の脆弱性を克服して、いかにして国民生活の維持に必要なエネルギーの安定供給を確立するかに尽きるのであります。  現在、世界のエネルギー情勢は、共産圏の石油生産の減退に伴い再び石油供給の大半を中東地域への依存へと進みそうな気配を見せております。しかも、発展途上国のエネルギー消費の旺盛な急増傾向が続いており、今後ともその傾向が続くとなれば、遠からず世界のエネルギー需給は逼迫すると心配されております。  これらの事情を考慮し、我が国は従来よりエネルギー使用の効率化を高めることが急務とされてきました。それにもかかわらず、一貫して高い伸びを続ける民生、運輸の両部門については、今後相当のエネルギー使用の効率化が求められることになります。  このようなエネルギー情勢のもとで、最近注目を集めている大規模コージェネレーション等を活用した環境調和型エネルギーコミュニティーの形成は時宜にかなったものと言えます。したがって、省エネルギーに係る設備投資促進税制及び低利融資等の支援策の実施とともに、同関連技術の開発推進は強力に展開されなければなりません。  このように、国民挙げて省エネルギー努力をしなければならない我が国のエネルギー政策でありますが、需給構造の改善等、中長期的視点に立脚しつつ、その安定供給の確立を期すことが最も大切なことは初めに申しました。その具体的展開について以下四点について述べます。  第一は、依然として石油に多くを依存する我が国エネルギー供給体制改善強化を図るために、石油にかわるエネルギーの導入を促進することについてであります。そのために、太陽光発電、水素利用国際クリーンエネルギーシステム、石炭液化等ニューサンシャイン計画の研究推進が急務となります。その際、民間における技術開発促進のための助成措置の見直しとその抜本的強化策が求められます。また、これら石油代替エネルギー開発の成果をより国民に身近なものとするためには、ソーラーシステムの普及、地域エネルギーの開発利用等、新エネルギー技術の先行的導入の後押しか何よりも必要であります。  第二は、新たなエネルギー供給形態を可能とする技術動向、あるいは需要家のニーズの変化に対して柔軟に対応することについてであります。そのため、必要に応じて制度の見直しを行うとともに、エネルギー需給高度化の実現に必要となる大規模投資については、その持つ意義から重要な社会資本として推進する必要があります。当面急務とされる石油については、平常業務における生産、販売活動に対する規制の緩和により、強靭な石油産業実現とともに、精製体制の合理化、高度化、石油関連技術開発、石油製品販売業の構造改善策を一体として展開する必要があります。  また電力については、大都市圏を中心とした需要の増大に適切に対処するために、電源立地施策として原子力等立地初期段階施策の抜本的拡充とともに、中小規模まで含めた水力、地熱の開発が急務とされます。このほか、需給調整に対応の幅を広げる広域運営の強化、分散型電源の導入と活用、負荷平準化に資する適切な料金水準整備等の対策強化は言うまでもありません。  一方、近年、排出される二酸化炭素の少ないことからクリーンエネルギーの一つとされる天然ガスについて、その安全性の向上とともに料金の長期安定を図る観点から、地方都市ガス事業における天然ガス化への原料転換は不可欠となりましょう。対応が求められております。  第三は、石油、電力及びガスのいわゆる既存エネルギーについて、その安定供給に資する開発、備蓄についてであります。  具体的には、現在の我が国のエネルギー需給のうち最も重要な位置を占める石油の場合、産油国との関係強化にも資する石油の自主開発を積極化し、石油大消費国としての国際的責務にこたえることが必要であります。また、緊急時に備えた石油備蓄の一層の拡充を図るため、九〇年代半ばには国家備蓄五千万キロリットルの達成に向け毎年その積み増しを行うことが必要であります。あわせてLPGについても、民間備蓄分として五十日分程度の備蓄水準を維持する必要もあります。  一方、石炭については、国内炭鉱の円滑な構造調整を図るとともに、確認埋蔵量が二百年を超え、地域の偏在も少なく、かつ経済的優位性を有するものだけにその活用には大いに意義があります。そのため、海外炭の中長期的な安定供給の強化を図るとともに、国際的な石炭の効果的な利用促進と化石燃料であるがゆえの地球環境問題誘発への対応を図るため、クリーンコールテクノロジーの開発普及は欠かせないところであります。  このほか、天然ガスの場合その特性から長期輸入契約等が基本となり、安定供給を確保する上での効用もあることから、その積極的な開発を推進すべきであります。  第四は、これら各種既存エネルギーの開発を進めるための国際協力の推進についてであります。特に、エネルギー消費が地球環境問題と密接に関与していることから、その解決には我が国単独での取り組みには限界もあり、各国間の協調体制は欠かせません。そのため、近年、エネルギー消費の伸びの大きい発展途上国に対するエネルギー関連技術の協力、あるいはエネルギー安定供給取得のための国際的システムの整備等が急がれています。  こうした流れの中で、我が国は一九九〇年十月に地球温暖化防止行動計画を定め、二〇〇〇年までに一人当たり二酸化炭素排出量をおおむね一九九〇年レベルの水準で安定化させるとの目標を設定したところであり、その達成へ向けた力強い取り組みが求められています。その際、水力、地熱及び太陽エネルギー等の再生エネルギーの活用とともに、二酸化炭素の発生の極めて少ない原子力を非化石エネルギーの中核と位置づけ、国民の理解を得て立地促進ができるように、原子力発電に係る情報の積極的な公開、広報の充実が求められています。こうした真摯な態度により国民からの信頼を得るとともに、国際的な合意を前提とした核燃料サイクルの確立等、原子力の開発利用を図る必要があります。  以上、四点について申しました。  このほか、未利用エネルギーの供給可能性を最大限に引き出すために、河川水、ごみ発電等を活用した地域熱供給システムの導入により目覚ましい効果を上げている事例等に留意すべきであることもつけ加えておきます。  いずれにしても、資源小国の我が国が、今後長期にわたり膨大なエネルギーを使用する現在の社会経済システムが果たして維持可能なものとなり得るか否か、官民一体の努力が必要であることを申して、私の意見を終わります。
  28. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 それでは、私の意見を発表させていただきます。  人間は火を使う動物であるという言葉に象徴されるように、人類はさまざまなエネルギーを利用することによって文明の高度化を図り、生活を豊かなものにしてきたわけであります。特に、十八世紀後半の産業革命以来、エネルギー消費の量とその利用技術のレベルは一国の運命を左右する要因一つになっております。そのため、調達形態は今や地球的規模へとスケールアップすると同時に、第二次大戦後はその供給も従来大半を占めていた石炭から石油へと交代したところであります。以来、世界は低廉かつ豊富なエネルギー情勢に恵まれたものの、その後二度にわたる石油危機に見舞われたわけでございます。  埋蔵する資源に乏しい我が国の場合、輸入エネルギーへの依存度が高いことから、これら石油危機の及ぼす影響は深刻をきわめ、その後のエネルギー対策は何よりもその安定的確保に基本戦略を置く官民を挙げての展開となったわけであります。その結果、石油供給源の多様化とともに、石油備蓄等の目標に向けて着実な歩みが続いてきたことも事実であります。  しかしながら、平穏裏に推移しているかのごときエネルギー情勢も、中長期的に展望しますと新たな課題をはらみ、予断を許さない事態があり得ることも念頭に置かなければならない状況となっております。すなわち、非OPEC途上国あるいはOPEC諸国の石油生産がピークを過ぎ、九〇年代後半には減産に転ずると見られる中で、中国等発展途上国におけるエネルギー消費の伸長は著しく、今や一大消費勢力となっているということであります。仮にこうした動静が続くとなれば、その純増分のエネルギーを賄うため多量の確認埋蔵量を誇る中東地区への依存度を再び強めざるを得ないとされるなど、世界のエネルギー需給は長期にわたり逼迫状況を一段と強める公算が高くなってまいります。  国際エネルギー情勢の強い影響を受けるエネルギー資源のほとんどを海外に依存し、そのセキュリティーの乏しい脆弱な供給構造を持つ我が国として、エネルギー利用の効率化の推進は国是であると言えると思います。そして、何よりも石油代替エネルギーの積極的導入を中心とする、最適なエネルギーミックスの展開による供給安定の強化をいかに確立するかに我が国の国家的安定がかかっていると申し上げても決して過言ではないと思います。  そのために、既に石油以外のエネルギーの開発導入策として、例えば長期契約等安定供給が可能でありかつ二酸化炭素の排出の原単位が小さいという特性を持つ天然ガスや、また賦存量が膨大であり、地域偏在も少なく経済上の有利性も有する石炭等を中核的な石油代替エネルギーとして導入の拡大を図っているところであります。しかし問題は、石油代替エネルギーの大部分が先ほど来御意見がありましたとおりの化石燃料であるため、これらの燃焼に伴って排出する二酸化炭素は一向に減少しないということであります。  今日、周知のように、地球は活発化する一万の経済活動による化石燃料の多量使用が原因となって引き起こす温暖化を初め、オゾン層の破壊や酸性雨等、深刻な環境問題の調和をいかに導き出すかという大きな壁に直面しているわけであります。特に我が国の場合、世界第三位の石油消費国であるだけに、その被害のもたらす事実の大きさのゆえに国際的に課された責務は極めて重いものがあると思います。  したがって、今後とも世界が持続可能な開発を可能ならしめる上で環境保全、経済成長、エネルギー供給を三位一体としてとらえる必要が出てきたということ、そしてその具体策の一つである地球温暖化防止行動計画において、先ほど意見がございましたとおりの一九九〇年のレベルを維持するということにしております。  そのため、石油代替エネルギーとして太陽光発電、再生可能エネルギー技術の開発導入等、革新的クリーンエネルギーの供給とともに、エネルギー利用効率の向上及び産業廃棄物の焼却処理に伴う余熱の供給や発電を積極的に推進する未利用エネルギーの活用技術が不可欠となってきております。  幸い、我が国では代エネ法が制定される一方、新エネルギーについては昭和四十九年度よりサンシャイン計画、また五十三年度よりムーンライト計画がおのおの展開されてきております。これまでそれぞれ四千三百億円と千四百億円程度の財投資金を投入しておりますが、その中には基本的な技術確立に伴い実際の需要サイドにおける技術的実証へと移行しつつあるものもあります。  しかし、これら新エネルギーについて課題がないわけではありません。太陽、風力等の新エネルギーの場合、エネルギー密度が希薄であり、かっ低経済性とともに自然条件に供給が規制されるため導入には一定の制約が伴うということが判明しております。また水力、地熱等再生可能エネルギーについても、自然環境との調和、立地地帯の小規模化等の条件を考慮すれば、導入には同じく限界があると言わざるを得ません。その際、技術以外の要素である経済性あるいは関連規制策、制度環境の未整備といった問題の存否を吟味し、それが認められる場合にはその解決に向けての施策の展開が必要となることは言うまでもありません。  こうした中で、高度な技術が集約して生み出される原子力エネルギーでありますが、今日世界が直面するエネルギー問題の解決の一助となり得る人類の貴重な知的資源となっております。このような位置づけを与えられる原子力エネルギーの利用は、まず発電の分野で実用化され、我が国では現在四十六基の商業炉があり、総発電実績の約三割を有するまでに至っております。  その理由として、原料のウランを安定した先進国に依存することに加え、発生する単位当たりのエネルギーが大きいということが挙げられると思います。さらに、プルトニウムや回収ウランを再利用できる核燃料サイクル技術確立すれば、純国産エネルギーをみずから得ることができるわけであります。そして、二酸化炭素や硫黄酸化物、また窒素酸化物等の排出がないこと等、環境への負荷が極めて小さいことから、近年エネルギー政策における原子力の位置づけは世界的にも高まってきております。  しかしながら、原子力はエネルギー源としてすぐれた特性を有するものの、一方において施設の安全確保、放射性廃棄物の処理、処分等、その安全管理に係る極めて重要な課題があります。事実、チェルノブイリ発電所の事故以来、国民意識の中に原子力に対する不安や不信が醸成されたため、電源立地について年々困難をきわめております。また、プルトニウム自体機微な物質であるため、国の内外において核燃料サイクル政策に対する不信感を招来しないよう、我が国の原子力政策や計画について明示していく必要があります。  さらに、事故、故障の未然防止対策の一層の向上を図るため、内外の運転管理試験、検査等に係る情報について分析評価、データベースの整備充実、関係者間の情報伝達等、原子力に係る情報についてくまなく提供、公開し、地域住民を初めとする国民の理解の増進を図るべきであります。そして、これが行われずしてその利用自体が前へ進まない状況に至ると申し上げても決して過言ではないと私は思います。  このように、原子力を初め各種の次世代エネルギーは人類が今世紀に生んだものであり、いまだ開発途上にある技術であることは明白であります。ただ、これらの技術は広範な技術領域に立脚しており、各種の先端技術あるいは極限技術等を一体化した巨大システム技術としての特性を有することも事実であります。したがって、今後その完成を目指し、幅広くかつ高度な技術や知識を集大成することによるさらなる発展とその成果が待たれるところとなっております。  ただ、現在の社会情勢は技術に関心を示す若者が減少し、今後の推移によっては技術系人材の不足あるいは国民全体の技術に対する関心の喪失といった形で、我が国の将来に一抹の影を落とそうとしております。しかしながら、エネルギーは古代以来さまざまな文明の興亡に重要な役割を果たしているという事実を踏まえ、同分野にすぐれた人材を集め、活力ある研究開発推進を行い、多くの革新的技術や知識を生み出す必要があると思います。  二十一世紀における社会の基盤と目されるエネルギー関連技術の形成と、技術の持つ潜在的な可能性を生かすための真の挑戦を目指し、今後エネルギー問題は国民全体で取り組むべきものとして論議が深まることが望まれるということを最後に申し上げまして、私の意見の一端といたします。
  29. 立木洋

    立木洋君 きょうのテーマは二十一世紀に向けたエネルギー供給課題対策というテーマですが、もちろんこのテーマは資源エネルギーの消費構造を改めるということ、つまりエネルギーの消費のあり方の従来型の構造を抜本的に見直すという問題や、さらに環境に優しいエネルギー政策へ転換するという問題とかたく結びついている問題であるということは明らかですが、これらの問題についてはこれまで述べる機会がありましたので、きょうは供給の問題ということに限定して若干の補強的な発言をさせていただきたいというふうに思います。  一つの問題は、国内資源の活用を重視するという観点から、国内炭の問題についてもう一度よく見直してみる必要があるんではないかという問題です。  通産省の資料によりますと、現在のようなエネルギー需要の伸びが続くと二〇一〇年には供給が難しくなるという見通しが指摘されております。そこで、まだまだ日本にとって供給可能な国内炭に対して目を向けて、その利用についてもう一度検討する必要があるんではないかという問題です。  国内炭の埋蔵量は二百億トンというわけですから膨大な量が埋蔵されており、そのうちの可採量だけでも二十億から三十億トンと言われているように将来性を持っているということが考えられます。また、需要の面を見ても、現在、日本エネルギー供給の構造では第一次エネルギーの一八%を石炭が占めているわけですから、日本のエネルギー構造の中で石炭が不要になったというわけではなくて、やっぱり一定の重要な地位も占めている。もちろん、石炭を採用する場合には環境への影響が当然問題になるわけですが、つまり二酸化炭素や硫黄酸化物や窒素酸化物等の排出が環境に与える影響の問題があります。  ここでは、先ほど同僚委員も指摘されましたように、これまで進めてきたクリーンコールテクノロジーの開発と普及を一層進めることがこの問題の解決に当たるのではないか。それは石炭の生産、流通、消費のあらゆる段階で石炭をクリーンエネルギーにする。ここではCO2やSOx、NOx排出を除去して地球温暖化や酸性雨への影響を減少せしめるという技術的な努力、また石炭のガス化や液体化技術の開発によって石炭を固体として取り扱う上での問題を解消するということもあわせて進めるならば、その一定の利用の可能性を開くことは可能だろうと思います。もちろん、国内の石炭採掘などにおける経済効率性の問題についてはいろいろ議論があるところですけれども、しかしこの点でも、深部の採炭やあるいは保安技術などを積極的に進めることによってこれらの問題を解決する努力を進めるならば、この問題も決して不可能な問題ではないだろうというふうに考えるわけです。  私が特に強調したいのは、二十一世紀に向けて石炭の需要は世界的に増大する傾向が見られるという問題です。国際的にも埋蔵量が大量にあり、可採年数だけでも三百二十八年というわけですから、石油に比べても豊富な量を石炭は占めております。中でもアジア・太平洋地域での石炭の需要というのは今後大幅な需要増が見込まれる。こういう状況の中で、いわゆるクリーンユースの実現を国際的な共同の努力によって進めていくということによって環境への影響を減少し、そして効率性も高め、必要な国内における資源を活用するという問題については、当然もう一度光を当てて取り組む必要があるんではないかということが第一の点であります、  二つ目の点は、新たなクリーンエネルギーの開発に関連しての問題です。  太陽や風力などの新しいエネルギーの開発を進めて、一次エネルギー供給の一〇%以上をこうした再生エネルギーでの確保に努めることは可能であるということがさまざまなところで指摘をされています。これらの新しいエネルギーは、高温熱や一度に大量のエネルギーを必要とするような用途にはもちろん不向きですけれども、家庭用の熱需要だとか電力の需要などは低温や低圧がほとんどですから、自然エネルギーの導入の可能性は大きく、また現にこれを進められていることはさまざまの視察で見ることができたところであるわけです。  ですから、仮にソーラーシステムを全住宅に導入すれば、家庭で使う温水の約六〇%が太陽熱で賄えるということになるわけですし、これは最終エネルギー消費の三%にも匹敵するものです。また、大規模なオフィスビルやホテルなどでの業務用の冷暖房、照明、給湯などの面でもコージェネレーションの導入とあわせて自然エネルギーの役割は決して小さくなく、この分野でも導入の可能性はあるということが既に示されつつあります。  こうした点では総合的に見るべきで、経済効率だけではなく有効利用技術開発を国が積極的に推進をして、低温あるいは低圧等の面でより多くこうした自然エネルギー、再生エネルギーの確保に努めていくような設備投資についての税制、金融、財政上の優遇措置を国としてもより進めていくことが必要ではないだろうかというふうに考えられる点です。  それからもう一つの点としては、原子力発電、とりわけプルトニウムの利用の問題についてです。  これはもう既に何回か述べてきましたけれども、一九八八年にいわゆるシビアアクシデント、過酷事故対策の必要性が国際的な会議で勧告をされて問題になりました。日本としてはなかなかそれを受け入れなかったわけですけれども、九二年になってやっと対策として検討が始められ、二〇〇〇年をめどにこの問題を受け入れた形で設備改造工事を進めるということが問題になってきております。  この対策の対象としては、運転中の四十五基あるいは試運転中や建設中の六基を合わせて五十一基が対象になっております。これらはより安全性を強め、高めようというものであるわけですから、国民の要求に目を向けたものとして当然好ましいことであるというふうに考えます。  しかし、問題はこれで安全対策が既に終わりということではなくて、安全性が確保されていない現在、さらに新増設という問題については見直すべきであって、安全性の強化についてもより一層強められなければならないというふうに考えます。特に放射性廃棄物の問題は、今さまざまな廃棄物の環境に与える影響が大きな問題になっておりますが、この特殊な放射性廃棄物の問題は依然として未解決であって、これらの問題は国際的にも国内的にもさまざまな問題になってきているわけですから、環境に対して必ずしも原発の利用が絶対的にクリーンだと言えないこともあるわけです。このこともあわせて指摘しておきたいというふうに思います。  特に、この問題で今回述べたいことはプルトニウムの利用の問題です。  高速増殖炉の路線で、このプルトニウムの利用によって再生を目指していくといういわゆる核燃料リサイクルの政策を進めておいて、つい先日「もんじゅ」の臨界が行われました。しかし、これらの問題は、当初この核燃料リサイクルの政策を推進しようとしていた政府の考え方、見通しの点から見て幾つかの違いが出てきている。  一つは、この問題について言うならば、日本は燃料が極めて少ないんだから、これによっていわゆる再処理の段階で新しいプルトニウムがつくられる、そのことによって日本の燃料の問題についての二足の新たな見通しが生まれるというふうな見通しを立てました。しかし、現実には今国際的には余剰のプルトニウムが予想に反して大量に存在するという状況がありますし、またコスト高からアメリカ、ヨーロッパでは高速増殖炉から手を引くという状況があって、結局この「もんじゅ」の問題についても当初の建設見積もりの六倍の六千億円も費やしたという状態があります。  高速増殖炉の使用済み燃料の再処理の問題についても、第二工場については御承知のように延期されて、新たな段階で検討するということで見通しが立っていません。第一工場の六ケ所村で行われた内容につきましても、いわゆるトムスク7で起きた化学爆発の危険性からの安全性の問題が見逃しにされていたという点についてアメリカの調査報告書の指摘もあり、日本政府も化学爆発の潜在的な危険の存在を事実上認めて、畑通産大臣も他の事故をかけがえのない教訓材料として生かすように努力しなければならないという指摘がなされているわけです。これらの問題については検討しなければならない点が改めて指摘されたと言えると思います。  このようなプルトニウムの存在は、ただ単に技術上、経済上、安全性だけの問題でなくて、今日核兵器へ容易に転用されるとして国際的にも厳しい問題になっているわけで、こうした問題からもやっぱり軽視すべきではないというふうに考えます。  先般行われた原子力委員会では、有権者の意見を聞いたとき複数の人々がプルトニウムの利用計画の一時凍結を提案していますし、プルトニウムの利用については過大な期待をかけるべきではなく、安全に大きな問題が懸念されるということは政府関係者の中でも指摘されている点です。さらには膨大な予算投入を見直すことも改めて指摘をされている点だと言われております。  ですから、この点では通産省が五月九日に見直しの方針を明らかにしましたけれども、それはプルトニウムの利用を多少繰り延べただけで、プルトニウムの需給のバランスにしても量を少し減らしただけで事実上見直しの問題にはなっていないということもあわせて考えるならば、政府部内における意見やあるいは専門家等におけるプルトニウムの利用の問題についての指摘をやっぱり真正面から受けとめて、核燃料リサイクルについては抜本的に見直しを行うべきであるということを述べたいわけであります。  最後の問題としては、エネルギー財政のあり方についても一般会計、特別会計合わせたエネルギー対策関係費一兆二千八百十五億円、これは九三年度ですが、これが再生可能な新エネルギーの開発や利用促進の費用を合わせても二百九十一億円にしかすぎないと、新しいエネルギーの開発についての予算をもっと計上すべきではないかという問題があることもあわせて述べておきたいわけです。  もう一つは、エネルギー問題はあらゆる分野に関係があるわけですから、エネルギー産業という見地からこの問題を優先的に考える機関、あるいは政策調整を主としている実質的な権限を持たない機関などの組織や機構では総合的に対応することができないわけですから、この点でも地球環境を守るエネルギー政策を総合的に進めるために必要な民主的な行政機関を置く、つまり指導に対して権限のある機関が設置されるべきではないだろうかということも最後の問題として指摘しておきたい点です。  以上です。
  30. 櫻井規順

    ○会長(櫻井規順君) ありがとうございました。  以上で意見開陳は終わりました。  それでは、各委員から意見提言等を自由にお述べいただきたいと存じます。  発言される方は挙手をお願いいたします。どなたからでも結構です。どうぞお述べください。
  31. 岡利定

    ○岡利定君 今までこの調査会でエネルギー問題についていろいろと勉強させていただきました。それらを通じてなお私自身がすっきりした結論が得られないというか、もう少し勉強して、そしてそれなりの結論を出してやれるものならきちんとやっていくというような形のことを考えていくべきじゃないかと思っている点を二つ述べさせていただきます。  一つは、エネルギーの供給の関係で天然ガスの取り扱いでございます。天然ガスについては、原子力で増大する需要を満たしていくこと、これも大事なことなんだけれども、先ほどからお話がありましたようなこともあっていろいろと問題もある中で、増大するエネルギーに対して必ずしも十分な対応がし切れない面がある、だからほかのエネルギー源を利用してやっていくということが必要だというようなお話が大抵あるわけでございます。  そこで、天然ガスがまだ有効であるというところまでは大体一致してくるわけでございますけれども、天然ガスの将来性ということになったときに、何かここで学者先生あるいは関係者のお話を聞いておりましても、将来性ありという意見と、いやもうちょっと限界なんだと、両方の意見があったような気がいたしております。特にその辺、ガス事業関係の方と電気事業関係の方との間に違いがあったような気がして、それぞれの観点からの、見方というのはあるのかもわかりませんが、大変重要なエネルギー源であるということから、今回の取り扱いであるかどうかは別としましても、この辺についてもう少し詰めた議論というのが聞きたい、あるいは考えてみたいなと思っております。  そして、将来性ありというようなことであるとすれば、去年でございますか、芝浦工業大学の平田教授が壮大なパイプライン構想をここで御紹介になりました。もし可能であったとしたら大変すばらしい構想でありますので、そういうのを積極的に取り上げるというようなことも大切じゃないんだろうか、その前提として天然ガスの将来性の問題というのをきちんと詰めるというのがいかがだろうかというのが一点でございます。  もう一つは、エネルギー需要が大変増大してくるということの中で、それに対応してどうするかという議論がありますが、これは大変重要でありますけれども、一方、省エネルギーの必要性ということについてもいろいろと言われてはおりますけれども、学者先生のお話、あるいは私もその節質問したこともありますけれども、お話ですと、具体的な省エネ対策あるいは省エネ商品の開発となると余り熱心に取り組まれておらないというようなお話も承りました。増大するものに対応する措置も大変大事ですけれども、こういう事態になってきますと省エネが大変大事だということで、省エネの必要性はみんなわかっているんですが、具体的な推進策なんかについても打ち出していったらいかがか、この調査会でも取り上げていただいたらいかがかなと思っておりますので、申し上げさせていただいた次第でございます。  ありがとうございました。
  32. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 エネルギー問題をずっと議論させていただいて、幾つかの視点があるというぐあいに思います。  一つは、供給が十分できるんだろうかという問題、どれが一番供給ができるのか。それに対してリスクだとかいろいろな問題が派生的に議論されておりますが、いずれにしても供給の問題は十分確保できるのか。それからもう一つは、今仰せになりましたけれども、今度は省エネの議論がございまして、供給はともかくとしてエネルギーコストを低減させるために省エネのことを心がけるべきではないかという問題。それからもう一つ観点として、実は地球環境の問題がエネルギーにはくっついているんだよという問題、大まかに分けると三つぐらい出てきているのかなというぐあいに思っております。  それで、エネルギーの供給については実はいろいろな先生方の御意見に分かれているんですけれども、現時点で見ると、石油にしろそれからLNGにせよ相当な供給が将来とも確保できそうな感じの議論が行われているんです。また、原子力エネルギーのウランあるいはプルトニウムについてはもう既に過剰だとかいう議論も行われておりますけれども、要するにそのようなエネルギー発生源としての燃料については十分な確保ができるんじゃないか。この問は、もう何ともならぬよというお話もございました。しかし、総体として私がいろいろお伺いをしてみると、少なくとも現時点で世界的なクライシスが起こらない限り、エネルギーの供給は当分の間確保できるというぐあいに考えられているわけでございます。  それで私は、エネルギー問題を議論するときに一番きちんと整理をしておかなければならないものは環境問題だと思っているんです。私は、この問から本調査会における質問の中心環境問題に置いてずっと発言をしてまいりました。あと、現在のままCO2が増加し続けるならば、地球温度が何度上がり、何メーター海面が上がるというような話もございました。ごく最近、先週だったと思いますけれども、日本の気象庁が五十年後の問題について学会で御発表になったということもございました。  私は、エネルギー問題を議論するときには、例えば供給源をどうするのかということで、原子力をどのように考えるかで各委員の間に少しずつ意見の相違があるように思っておりますけれども、その視点をどこに向けるのか、どこから議論するのか。すなわち、CO2の増加というものは避け得べからざるものであるのか、それとも一九九〇年代の原単位を確保していればいいのか。そこら辺の議論を十分詰めて、その上で原子力がいいのか、太陽エネルギーをやらなきゃいけないのか、そういう議論がなされなければならないんじゃないかというぐあいに思っているんです。  私は供給面について申し上げますけれども、先ほどサンシャイン計画並びに優しいエネルギーの発生源ということで太陽発電のお話もございました。先般、調査会でお世話を願いまして、太陽発電の工場で御苦心のほどを拝見させていただきました。しかし、あのお話を聞いてみますと、現在の原価の五分の一にならないと商業ベースというんでしょうか、経済ベースに達しないというお話を承りました。  確かに太陽エネルギーというものを利用するということは地球に優しいことだと思いますけれども、経済性に合わない太陽エネルギーを、そしてさらに五分の一まで研究開発をしなきゃいかぬということを前提として考えると、太陽エネルギー、もちろん勉強することは結構なことだと思いますし、趣味でというと言い過ぎになるかもしれません。地球に優しいのは太陽エネルギー、いいねというのはそれなりのお考えだと思いますけれども、それが一国の経済のエネルギー源になっていくにはほど遠いというぐあいに思っているんです。それは水力についてはもうほとんど限界に達しているとか、いろいろな問題がございますでしょう。  そうすると、次のエネルギーを一体何に求めるのかという議論をやっていかなきゃいかぬわけですが、石油もあるよ、石炭になりゃもっとあるよ、こういう話ですから、その中で選択をするということになれば、地球環境というものにどういうぐあいに優しいのかということ、さらに経済的に言えば、経済効率はどのエネルギーがいいのかということを頭に置いて議論をしなければいけないのじゃないか。ただ単純に、太陽エネルギーがいい、風力がいい、水力がいい、地熱がいいという議論では済まないのじゃないか。それの前提となるものはやっぱり環境問題と同時に経済効率の話になってくるというぐあいに私には思われてならないんです。  そこで次に、省エネについて申し上げますと、実はこれもお世話を願いまして、NKKを拝見させていただきました。あのときに製鉄技術はここ十数年の間に原単位一〇〇から六一になった。しかし、それが非常に変化率が少なくなってきて、もう改善の余地が余りないということになってきていますが、これも実はエネルギーを大事にしろという抽象的な物事ではなくて、経済の問題とそれから地球環境の問題が当然入ってくるはずだというぐあいに思っています。  そうなってくると、さて先ほどもちょっと手がないというお話がありましたけれども、去年だったと思いますが、省エネ二法が出てまいりましたが、あれでは実は、何とか計画をつくれ、そして認可を受けよ等々の規制がくっついて、こんな煩わしい法律を本当にやるのかというような感想を持ちました。私は商工委員会に属しておりませんので公式の立場では発言する機会がございませんでしたけれども、省エネのそういう煩雑な手続をやったことの結果としてどれだけのことができるのか。  通産省のエネルギー需給計画、地球環境年に即した五カ年計画あるいは二十年計画を拝見しますと、実は省エネの部分が物すごく大きいんです。通産省の事務方に聞いてみますと、いやこれは希望的な数値なんです、半分もできりゃ大変結構なんです、CO2を一九九〇年の原単位にするためには幾ら発生源を抑えても二〇〇〇年に持っていくことはできないのでそこの部分を膨らましたんですと、正直にあるいは省の決定に反してか知りませんがしゃべってくれております。省エネも大変結構ですけれども、省エネにそんなに期待することはできないのじゃないかという感想を私は持っているんです。  そういう意味では、実はこの調査会では私もそんなに強硬に発言もしておりませんし、平和を保つために余り強硬に主張もしていないんですけれども、やはり原子力の問題をきちんと考えていかないといけないのじゃないか。実はこれは政党間のいろいろな駆け引きあるいはいろんな問題がございまして、従来全部避けて通っていたわけです。しかし、この調査会が真っ正直にこの問題に取り組むとすれば、原子力の問題に危険性があることはだれしもわかっている話なんです。危険性はあるけれども進めるのか、危険性があるから進めないのか、これをはっきりこの調査会で議論をしていかなければならぬだろうというぐあいに思っているんです。  さらに進んでいくと高速増殖炉の問題が出ますが、これは実は五十年後のエネルギーの話でございますので、勉強を続ければいいなという程度の話でございましょう。ただ、北朝鮮の問題に絡んで世界じゅうがプルトニウムについて神経過敏になっているときでもございますから、この問題はちょっと遠い先の話ということでも構わぬとは思いますけれども、原子力の話だけは十分やっていただいて、ただいま運営をしている原子力はしょうがないけれども次はだめというような議論だと、このエネルギーの調査会の仕事は進まないのじゃないか、中途半端に終わるのじゃないかというぐあいに思っておりますので、ちょっと私の最近の所感を申し上げました。  もう一つ、地球環境の話で、我が国は一九九〇年に原単位をとめおくと、こういう話でございますけれども、実は国際的にはめちゃくちゃになっているんです。  特に私が一番心配しているのは中国の石炭発電です。これは上品に申しますと、技術提供をしたらいかがでしょうかとかいろいろなことが言われていますけれども、技術提供をしたって実はお金がかかるんです。そのために中国がどういうぐあいな態度をこれからおとりになるかよくわかりませんけれども、ほっておいたら酸性雨が降ってくるということはほぼ間違いがない、現在は除しん装置、脱硫装置とか十分な手当てをなさっておられないように聞いています。中国は今や経済発展が大変なもので、石炭発電がこれから次々と出てくるように思います。この問題も実は考えてやらにゃいかぬ。  それから、アメリカはどうもこの問題には真剣に取り組んでいないとか、いろいろ国際的な問題がありまして、我が国だけが今全世界の中でいい子になろうとしているという現実もしっかり頭に置いておかなきゃならない、そんな感想を持ちました。
  33. 星野朋市

    ○星野朋市君 楢崎さんの後にすぐ私というパターンじゃまずいんですけれども。  私は、午前中にも申し上げましたけれども、日本の経済成長の目標値が依然として実質成長三・五%という形で残っている、そこに一つ問題があると思うんです。私はかねてから資源エネルギー庁が作成した二〇一〇年までのエネルギー需給計画というものに異論を唱えておりました。それの最大の問題は、要するに、三・五%成長で日本のエネルギーのGNP対比、いわゆる弾性値を〇・三八という、それは一九九〇年に策定をしたときの十年前の平均値をとってさらにそれを引き延ばしたという根拠がおかしいと言い続けてきまして、これはあらゆる機会をとらえてそういうことを申し上げてまいりました。  ついに予算委員会でも当時の森通産相からこれはかなり達成が難しいということで、今エネルギー需給計画に関しましては見直しか行われているはずでございます。多分このときには、弾性値は使わないで、エネルギー増加率一%という単位がとられると思うんですけれども、依然として日本の成長率は三・五%という数値のもとで計算されるんですね。そうすると、今楢崎先生がおっしゃられたとおり、かなり難しいと思われる形での省エネというのをそれに織り込んでいるわけです。  それで、これはまさしくCO2の排出量を一九九〇年という一つの基準値がありますから、二〇一〇年までに日本の石油の依存率を全体エネルギーの五〇%以下にするというまた別の目標があるわけで、そうすると残りは何に頼るか。石炭は一億四千万トンというのがありまして、そのほかには岡先生がおっしゃったようにLNGの伸び率をかなり期待している。それから、原子力発電を最終的にその時点で七千二百万キロワットもしくは七千二百五十万キロワットという想定をしているわけです。  そうすると、二〇一〇年までに原子力発電を、現在三千万キロワット台ですから、約四千万キロワット果たしてふやせるのかという難題があるわけです。これが難しいとなると、結局石油依存度五〇%以下という目標が崩れちゃう。そうすると、CO2の問題がそこに発生してくる。  それで日本の原子力については、今長谷川先生おられないですけれどもあの人が専門家ですが、これは科学技術庁の原子力局でも、あるいは立地条件その他からは難しいかもしれない、しかしその目標は達成するために効率を上げるんだという形で暗黙の了解ができているというような状態です。  あと、プルトニウムの問題もありますけれども、日本全体のエネルギー問題を考えますと、目標二〇一〇年に七千二百万ないし七千二百五十万の原子力発電、ここはどうしても動かせないんじゃないか。あと期待できるのは、今言ったLNG。新エネルギーについては、どう見てもその間ではやはり全体のエネルギーの三%ぐらいでしかない。  問題は、要するに石油の問題にかかわってくるわけですけれども、日本一国の石油状況だけ考えていていいのかどうか。今一番経済発展を遂げている地域はまさしく環太平洋地域でありまして、世界の中で二〇一〇年までのエネルギー需要の伸びが最も高いのは環太平洋地域、しかも、石油の伸び率が最も高く期待されるのもそこである。そういうことになりますと、石油の需給に中東依存度がますます高まってまいりまして、各国が日本並みの備蓄量を確保したとすると、石油に対する需給のバランスが大いに崩れる可能性がある。これは、日本だけが備蓄を持っていてほかの国は使用量だけ輸入するもしくは自国生産すると、こういう形ではおさまらない。現に中国は、恐らく今年か来年にかけて石油の輸入国に転ずるだろう。そういうことを考えると、日本一国だけが今の安い石油を安定的に確保できるかどうかというのはかなり疑問視されるところであります。  それで、日本の全エネルギーの供給需要計画も、問題は三・五%成長という度合いをもう少し実質的に落とすべきであって、それによる需給計画というものを立てないと、今の計画がまた一年、まあ二年ぐらいはもつでしょうけれども、そういう形で修正せざるを得ない。要するに、基本的な目標設定に対してすべてがかかわってくることであります。せっかく今そういう見直しをしているさなかではあるんだけれども、一番基本的な日本がこれから望むべき成長率というのは那辺にありやということは、早急に政府が決めるべきか、もしくは幾つかの望ましい成長率のもとで、こういう制約があるけれどもどうなのか。もう少し低い成長率であればこういう形の生活というのが資源その他の制約を抱えながら問題なく推移するんだとか、そういうような今や国民的コンセンサスを得るための時期に来ているのではないか、私はかねてからそう思っております。  そうでないと、エネルギー問題にこれも究極的にかかわるわけでありますけれども、今日本が一年間に輸入する財の総トン数、それから日本で消費し一部外国に輸出していく数量を差し引いて、日本国内に一年間にどのくらいのものが堆積するかという統計は全くとられておらない。これは、いかにこの分を減らすかということを考えないと、これ全部エネルギーの問題にかかわってくるわけであります。そういうことで、私は成長率というのはもう少し低い段階で満足すべきものだという持論でありますから、それに付随してエネルギー問題、それから日本一国ではなくて世界的なエネルギーの需給関係、こういうものもそれに絡んでくると思っております。  午前中の労働問題、それから午後のこのエネルギー需給ともども大きな制約条件のもとで、日本の経済成長はどうあるべきかということは一番基本的な問題であろうと思いますので、この調査会からの提言をお願いしたい、こう思っております。
  34. 佐藤静雄

    ○佐藤静雄君 エネルギーの問題を論ずるときに、今星野先生からもお話がちょっとございましたが、やはり地球的規模の問題あるいは人類の問題としてとらえていく必要があるんではないかというふうに感じております。特に、エネルギーと環境と人口と食糧、これは当面人類が直面している一番難しい問題でございます。これはすべてパラレルに絡み合っているわけでございます。  例えば、先進国はエネルギーを使いほうたい使って今の繁栄を築いておるわけでございますが、発展途上国は今から一生懸命頑張って経済を興さなきゃいかぬ。これは中国あるいはASEAN、みんな同じでございます。それに今度はインド、アフリカというふうについできますと、環境あるいは人口、そういう問題が極めて厳しい状態になってくるわけでございます。したがって、エネルギー問題を一国の経済ベースで論ずるのはもう古いんじゃないか、やっぱり地球的規模で国際的な問題としてある程度合意をしていかなきゃならぬ問題であろうというふうに私は考えます。  そういう視点に立って物を考えていけば、例えばエネルギーと環境という問題を一つとらえても、環境税の問題あるいは炭素税の問題、そういう問題を真剣に議論しなきゃならぬのではないかというふうな感じがしておるわけでございます。その視点での議論がちょっと今まで浅かったのではないか、こういうふうな反省をいたしておるところでございます。  また、そういう問題を論じていけば、世界のエネルギーのベストミックスということもやはり考えていかなきゃいかぬ。ベースとなるエネルギーは何だということになると、石油、石炭、それに原子力しかないわけでありまして、もちろんソフトエネルギーあるいは新しいエネルギーの開発も必要でございますけれども、今我々人類が享有しているエネルギーは石油、石炭、そして原子力であります。したがって、これらの割合をどのようにすれば地球に一番優しいのかという議論を重ねていく必要がある。それには、世界で一番の経済大国になっている日本が世界に呼びかけていく必要があるという気がしてなりません。そういう提言をこの調査会でしていくべきであろうというふうに私は考えます。  それと、これは私個人のことになって大変恐縮なんでありますが、私どものところは今日本で一番の原子力発電の地帯でございます。私どもは、一生懸命原子力発電の安全性を確保しながら原子力発電を推進してまいりました。ところが、これも去年の調査会で申し上げたのでございますけれども、日本国民はエネルギーのありがたさを忘れてしまっている、需給がタイトのときにだけエネルギーの重要性を思い出す。昨年の調査会では大変ラジカルに物も言いました。この東京のネオンは何だ、きき過ぎた冷房は何だ、こんなことをしているから問題が一つも前に進まぬのだ、そういうことも申し上げました。  ところで、原子力発電の地帯は、新潟そして私ども福島あるいは石川、いずれをとってもインフラの整備がほとんどできておりません。高速道路は開通しておりませんから到達するまでに一時間以上、今ほぼ二時間かかっている。新幹線もございません。大事だ大事だ、推進をしなきゃならぬと言いながら、我々のこの地方のインフラの整備、それを全然怠っていて、そして推進してくれというのは少し虫がよすぎるんじゃないか。私どもの県では、見せしめに十基ある原子力発電を、定期点検という制度がありますから五基も一緒に定期点検してしまえ、そうすれば東京は真っ暗になるはずだからと、そういう議論まで今は真剣にやっておるわけでございます。  したがって私は、国民がエネルギー、食糧、環境、人口、こういうことをもう少し本気になって勉強する必要がある。これも昨年の調査会で発言をいたしましたが、義務教育段階から今言いました四つの問題については国民にしかと教えておかなきゃいかぬ、そういうふうな気持ちでなりません。  原子力発電地帯からのことを一言つけ加えて申し上げたいと思います。
  35. 南野知惠子

    南野知惠子君 今、佐藤先生もおっしゃられましたけれども、教育という問題、また研究という問題は、原子力問題について、エネルギー問題について大変有効な方向になっていくのではないかと思われております。今、各エネルギー源の話がなされましたけれども、それをどう消費していくかということについて、やはりもっと小学生の段階からの教育というものが取りざたされていいのではないだろうかと思っております。  そういった省エネの問題を考えていきますときには、やはり建物、建築という問題も考えていただき、お昼の電気というものは消してもいいような個人の建物の環境も考えていき、また特にお湯のパイプを通すのであれば、そのパイプはどのようなところを通っていった方が効率がいいのかと。特に、病院の建築に専門家がいないわけですが、病院の建築を考えていただくときには、そのパイプをリネン室などに通していただくと患者さんが入院してこられたときには暖かいシーツがいつも持っていける、また便器も持っていけると。そういった建築のあり方というものも省エネと関連して必要になってくるのではないかと思っております。  それと同時に、ごみをどのように燃料化していくかということも大きな課題になってくるだろうというふうに思われております。  そういった利用方法ということで、太陽光線を使って今道路などの表示器にも多少使われたりいたしておりますけれども、ああいったものがもう少し大きく利用されるといいなと思っております。夜パチンコ屋さんのそばを通ると大変明るいというようなことがあります。そういった意味では、パチンコ屋さんの電気の節減ということとあわせて、これは話題が違うんでしょうけれども、パチンコ屋さんからもう少し税をもらってもいいのではないかというようなことも関連いたして気持ちを申し上げました。
  36. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 もう言いいですか。  お隣に佐藤先生がおいでになって、この問から福島県は原子力発電地帯であるというお話をずっと承ってきました。今インフラのお話がございました。要するに、高速道路は通っていないし云々と、こういうことでございましょう。  原子力発電の立地の話になりますけれども、立地をするに際しまして、確かに原子力は全く安全という施設ではございません。そういう意味では安全の上にも安全をというのは当然でございますけれども、同時に、受け入れ側から見ると、余り利益というんですか、見返りというのか、何かそういうものが十分できていないような感じがいたします。佐藤先生がインフラという形で申されましたが、これは物すごいお金のかかる話でございますけれども、同時に、電源立地に際しましては、電源立地の地方公共団体に対して交付金を出すというような制度もございます。  それから、去年でしたか、特別立法で暫定措置として、三年だったか五年だったか忘れましたけれども、電気料金を半額にするための交付金を支給する、しかしそれは三年だよということになっているんです。電源立地の方に聞きますと、年数が切られているものですから、一号基、二号基つくったらもうそろそろ期限が来るよということで、それじゃ三号基こしらえようかというようなことで、一つの立地地点に割合多くのあれができておりますけれども、しかもそれも恒久的な話じゃなくて、ごく一時的な話だと思います。  私、この前の調査会でも発言をいたしましたけれども、電源立地をいたしますと、危険性があるからお金を出すという話じゃなくて、やっぱり大きな場所を使ってそこに立地をするわけですから、少なくともその近辺の、半径どれくらいかわかりませんけれども、その近辺の市区町村に例えば企業立地をするあるいは住むということになれば電力料金を思い切ってまけてしまう、ただというわけにはいかないでしょうけれども、思い切ってまけてしまうというような施策があってしかるべきではないだろうか。そうすることによって東京の一極集中と言われるような問題も少し地方に分散をしていく、そういう効果もあるのではないか。  ところが、現時点では電力料金の一元化と称しまして、いわゆる地域による電力の変更というのですか、それは許されておりません。したがって、交付金という形で交付されているというぐあいに聞いておりますけれども、何かしらその施策も中途半端だなと。伺ってみると、通産省と大蔵省との間でいろんな折衝が行われて値切られたんだと、こういう話を通産省から聞きますけれども、私は、電源立地をやるなら、そして地球環境というものが大事なら、そして原子力発電の立地というものが国のためにとって大事ならば、そのような思い切った施策をとるべきではないか、こういうぐあいに考えておりますので、付言させていただきます。
  37. 森暢子

    ○森暢子君 エネルギーの問題なんですが、今お聞きした、特に原子力の問題です。  これは先生方がおっしゃいましたように、危険であることはもうみんな認めているということなんです。ですが、いろいろな事情があり、クリーンであるとかいうふうなことで今日本ではどうしても必要であるということで、先生からはっきり危険性があるということは認めた上で、では進めるべきか中止するべきかということをしっかり議論すべきだという大変はっきりした御提言がありまして感心してお聞きしたんです。基本的には危険性というものが、やはり一度事故が起こると広範個に国境を越えて広がってくる。大きなものになるし、一度それを被曝した人が、その人だけじゃなくて、もし母親だったら子供にまで遺伝する、こういう恐ろしい、あってはならないことです。しかし、日本では安全性というのはすばらしい技術を持っていますからいいけれども、まだまだ世界にはなかなかそこまでいかない国がたくさんあるということを考えます。  それともう一つは、おっしゃったように廃棄物の処理の仕方がまだ解決ついていない。廃棄物はたまる一方、それをどうするかというのは大変な課題であるということを考えた場合に、それともう一つはプルトニウムの再生産の問題ですけれども、やはり核兵器への転用の不安というものが国際問題にもなりかねないということになると、これは将来的には中止していった方がいいのではないかという考えを持っております。  ではどうするか。それならエネルギーをどこからどう求めるかということなんですけれども、まず省エネ政策というものが必要だと思います。地球にあるいろんな資産を自分たちはその中から取り出していろいろな物をつくりました。もう、いっぱい生産したわけです。それをみんな消費して、そしてそのごみが、廃棄物が出て、それがまた問題になっているとか、こういう繰り返しである使い捨て文明というものを教育の中でしっかり教えて、そしてどういうふうにそういう地球から与えられた有限の物、これをどのように人間として生きていく問に使っていき、そしてもう一度地球に戻していくかという教育がまず一番ではないかと思います。  それからもう一つは、公的機関で省エネ政策というものをいろんなところで実施していく。各都道府県でそういう政策を立ててやっていただくとか、そういう省エネ政策が大変重要ではないかと思います。今、南野先生がおっしゃったように、病院の建築または学校建築、いろんな建築の中でどのように効果的にエネルギーを使っていくかということも大事だと思います。  それから二点目は、やはり新しいエネルギーの開発、これが要ると思うんです。その中で、今佐藤先生が石油と石炭と原子力に頼らざるを得ないということをおっしゃったんですが、もちろんそうだと思います。私もそう思いますが、石油も石炭も有限の資源じゃないかと思うんです。これから無限にある資源ではないということになりますと、ではどうしたらいいか。こうなりますと、やはり太陽光ですね。太陽熱を利用したエネルギーの開発というものに力を入れて、研究、開発、そういう方向。それから風力とか、これも余り力にはならないかもわかりませんけれども、そういうところに政府が予算をつけて、研究開発をしていくという方向をこれからつけていくのも大事なんではないかと思います。  この間一緒に視察いたしました三洋マテリアル、あそこの方が、自分のうちの屋根に太陽光をつけられて、自分のところの電気は全部賄って、余った電力は電力会社に売っているというふうなお話でしたが、家一軒に太陽光パネルをつけるのに五、六百万かかるということで到底これは庶民ではできないなということを言いましたら、今回、千戸、それで費用の半分は補助する、こういう政策を通産省が出されたわけです。そうしますとつけようかということになりますし、今私は岡山なんですが、岡山の県庁の屋上に太陽光のパネルをつけて電気を使っているわけです。それから、時々見ますと、道路標識に小さい太陽光をつけて使っているところも見受けられます。  そういうものがだんだん社会の中で見られるようになり、政府も補助して、今すぐ原子力をストップとかいうのではなくて、次第にそういう方向へ持っていくべきではないか、こういう意見を持っておりますので、申し上げておきます。
  38. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 我々は、やはり五十年後、五十年前あるいは百年後、こういうふうに刻んで物事を考えてみる必要があると思うんです。  今確かに、電力会社は原子力が大事だということのPRを一生懸命やっています。電力会社にしてみれば、そろばん勘定して原子力ほど大事なものはないと言いたいところなんでしょう。しかし、片方はどうかというと、北朝鮮で燃料棒を出したの入れたのというだけで地球がひっくり返るような騒ぎをしている。そして、経済制裁をやらなきゃいかぬというようなことを一生懸命言っているわけですよ。  相手が弱いと思うと、かさにかかっていろいろと重箱の隅をつっつくようなことも言いたくなるんだろうと思うけれども、我々だって弱い立場に立つと、鯨なんかろくに食べたことないんだけれども、日本人が鯨食うのけしからぬと言って、自分たちは毎日のように牛肉を食っている人がそういう勝手なことを言うんですよ。だから、そういう身勝手なことをやっぱり許しちゃいけないという気がするんですよ。  それで、五十年前のことを考えてみると、原子力なんということは我々の念頭になかった。ただ、軍隊で、あのころ希望的観測として、敗色濃厚になってきた、だが我が国ではマッチ箱一つくらいの爆弾で戦艦を吹っ飛ばすような研究が今行われているそうだ、こういう流言飛語が飛んだことがある。その流言飛語は、考えてみれば日本でも原子力の研究をやっていたんだなと、今にして思えばそういうことです。しかし、あのころは原子力発電も何もなかった。原子爆弾も我々は知らなかった。だけれども、電灯はついていたし、電車は走っていたわけです。また、そのまた五十年前のことを振り返ってみると、百年前になると電気もろくになかった。そのころの人間が今日の電気のことを思いついたかというと思いつかなかったですよ。  我々今これから先、原子力発電を除外して物事を考えられるかといっているけれども、五十年たち、あるいは百年たったらどうなるかわからないですよ。そのかわり人口もだんだん減っていくんですからね。減っていってあと何百年かするというと日本列島も空っぽになっちまうという説すらある。だから、五十年、百年先のことは正直言ってわからない。わからないけれども、我々としてはやはりできるならば物騒なものはなるべく後回しにして、安全第一にして考えていく、無害なエネルギーをこれから考えていくというふうにした方がいいような気がするんですよ。  現在のそろばん勘定だけでいったのでは、これはもう希望が持てないと。やはり我々は将来に希望を持っために安全なエネルギーと資源の活用、開発ということに重点を置くべきではないかというふうに思うんです。  確かに、原子力発電というのはまかり間違うとチェルノブイリみたいなことになる。ああなったら、あんな広い国だから、まだよその国に余り迷惑をかけないで済むかもしれないけれども、日本の近辺の朝鮮半島なり中国大陸なりロシアなり、すぐ近所の国でもってあの種の事故が起きた場合には、日本だけ気をつけていても、我々が被害者にならないという保証はないわけですよ。  そういうことを考えたならば、やはり我々は将来は日本だけじゃなくて、お互いが安全な資源エネルギーを開発するという方向に全知全能を傾けるというようにした方が、政治のあり方としてはいいんじゃないかと、そんなような気がいたします。
  39. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 今資源を大事にということでお話の中で私思いましたのは、都庁なんかでも階段を上ろうと思っても、なかなか階段を見つけられない、エレベーターの前に立つしかないというような状況やら、私は愛知県ですけれども、有名になりました愛知芸術文化センターでも、ドアをあけないと階段がなくて、ホールからはエレベーターかエスカレーターのところに行かなければならないという状況で、これからは公共の建物自体に、そういうことも考えた設計というものに取り組んでいかないと、やはり資源の方ばかりの節約ということだけでは済まないということもあるような気がいたします。これからは建築というものに関しても、なるべく資源を使わなくてもいいような状況ということも、将来に向かっては考えていただかなければいけないのではないかと思います。  私、先日ちょっと中国へ一週間ほど行かせていただいたんですけれども、テレビ塔に上りましても、別にお天気は悪くないんですけれども、かすみがかかったように遠くが見えないというスモッグの状況。それから飛行機から下を見ましても、大連の空でもかすんでしまっていまして、なかなかいい空が見られない、青い空が見られないという状況を見まして、私ども日本でも十五年か二十年前には川崎、四日市を通ると車の窓を閉めなきゃ、とてもつらいにおいがしたというあの状況をついこの間のように思い出さざるを得ないんです。そういう世界的に一生懸命経済発展のために走っている後進国、今のうちからやはり対処していただかなきゃいけないことがたくさんあるような気がいたします。  私、つい三日ほど前に、ちょっとお酒を飲みながらの席で御説明を聞いたので、また改めてきちっと一度御説明いただきたいなと思っているんですけれども、ガソリンの中に遠赤外線というものを通しますと、大変な瞬発力というか、爆発力というのがよくなって、要するに公害が少しでも防げるとか、またそれを通すことによって汚水がきれいな水にできるというような、下水なら下水だけですけれども、飲み水に使うことはできませんけれども、そういうような研究をしていらっしゃる方のお話をちょっと聞きました。もう一度きちっと聞きたいと思っておりますけれども、資源をどういうものを使おうということだけではなくて、少してもいい方向の研究に、これから資源を求めるばかりではなくて、日本は特によそからの資源を使っているわけですから、アルコールに遠赤外線を通すとというようなことを言われたと思っておりますけれども、アルコールならば自分の国で幾らでもっくれるわけですから、そういうことの研究にもっと目を向けていただけたらとも思います。
  40. 櫻井規順

    ○会長(櫻井規順君) ありがとうございました。  おおむねこの辺で意見が出尽くしたとは言い切れない、お顔を見てみますともっともっとという感じがいたしますが、エネルギーの供給構造のあり方を我々は今課題にしているわけでありますが、これは需給関係によって決まるわけで、需要の構造に対して我々がどう供給するかという対応関係になろうかと思います。ですから、大変高品質、そして大量に要るエネルギーに対してはそれに対応したエネルギーが必要になりますし、それからトースターでパンを焼いたり、冷暖房や電灯にはまたそれにふさわしい供給が必要になろうかというふうに思います。それは需給関係の調整の中で出てくるかと思います。  そういう意味で、今出されましたように、我が国の経済成長に対応した我が国の電力供給のあり方、そしてまたその電力供給と環境との問題、一国的な視野ではなくて、アジア、世界というふうな視野で需給関係を見、かつ環境の問題として見ていくということが提起されてまいりました。多くの先生方からもそういう御提起をいただいているわけであります。これは三年間の二年目でありまして、中間報告でとにかく今のテーマをまとめまして対応し、三年目になお掘り下げた問題を、追求課題をつないでまいりたいと思います。  そういう意味で、きょうのこの自由討議調査会であったわけでありますが、この辺で意見交換を終わりたいと思います。  各要員から貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  本日、産業関係、資源エネルギー関係のそれぞれのテーマについて意見交換を行いましたが、調査会調査に関する中間報告書を提出することになっております。本日、委員の皆様が述べられました御意見は、理事会で十分協議いたしました上、中間報告書に反映させていきたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十四分散会