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大木浩君 いろいろと御
意見がございましたけれども、昨年八月に細川政権ができました、それからまた最近羽田政権ができたということでございまして、この両政権とも
外交ないしは
安全保障についてはおおむね自民党以来の、前政権以来の基本的なものは継ぐんだと、細かい点は別といたしまして、そういう
お話をしておられますし、きょう、上田
先生の
お話は別といたしまして、ほかの連立与党の
先生方の
お話というのは、この問題については、
安全保障とかそれから全般的な
外交姿勢ということについてはそれほど大きな差はないと思います。
ただ、たまたま上田
先生がおっしゃったように、共産党としては従来からの
日米安保条約あるいは現在の米軍の
アジアにおけるプレゼンスというものについて、むしろネガティブな
評価をしておられるように私は受け取っておるわけです。しかし、今
先生自身もおっしゃったように、現在のところ国際的な集団
安全保障体制というものは十分にできておりませんから、過渡的には
日米安保
体制というものを、少なくとも従来の自民党
政府あるいは現在の羽田政権もそうだと思いますが、おおむねこれを認めておるということでありますし、
アジア各国もそれぞれ限られた
経済力の中である程度軍事力を持っておる、こういう
状況でございますから、私は、にわかに今の
日米安保
体制というものを崩す、あるいはアメリカの
アジアにおけるプレゼンスというものを全くネガティブなものだと見ることについては、いささか同意はできないという感じであります。
しかし、これは基本的な問題でありまして、これ以上ここでは
議論をするつもりはございませんが、少なくとも私個人としては、あるいは自民党の大多数の人はそういう考えを持っておるんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
と同時に、
日本も現在、先般来のカンボジアにおけるPKO活動等々、
自衛隊というものをある程度そういった国際的な仕事に関与させるということについても、これもやはり私は現在の
状況では
一つの政策として妥当な選択ではないかというふうに考えておりますということだけを申し上げておきたいと思います。
それから、二番目に
ODAの問題ですが、これは私も実は自分でかなり外務省の役人のとき以来
ODAに関与しておりますから、ずっと
ODAの歴史というものを振り返ってみますと確かにいろいろと試行錯誤もございましたし、何せ
ODAというものは
日本のどの役所にとっても新しい経験だったわけであります。たまたま
ODAというのが
一つの
外交政策の大きな要素ということからも外務省がかなり
中心になってやってきましたから、外務省にとっても非常に新しい経験だったということで、当然そこには試行錯誤があり、また結果としていろいろな過ちもあったと思いますけれども、
ODAというか開発途上国に対する
経済協力、援助というものはやはり相手があることでありまして、
一つは相手の政権というものがある、相手の行政組織というものがある、それから相手の社会的ないろんな慣行というものがあるということを考えますと、なかなかやっぱり全く
日本と同じ物差していいの悪いのと言っても、それはできないという面もあると私は思います。
ですから、その点は割り引きして考えなきゃいかぬし、いろいろと間違いもあったけれども、まあまあ最近の十年二十年といった歴史というものは、少なくとも私は
アジアにおきましてはそれなりの
成果を上げてきたのではないかというふうに考えます。
ですから、これからは基本的には、やっぱりそれだけの積極的な効果があったという前提で、しかしまだまだ足らざるところはどういうところがあるんだということを考えるべきではないかというふうに考えております。例えば、NGOの
役割というのは非常に大きいし、今後ますますそれは拡大していってもいいわけですけれども、しかしNGOだけで相手国に対する
経済援助というものを全部見るというわけにもなかなかいかないでしょう。ですから、NGOをさらに質的にもあるいはできれば量的にも強化するということについては全く
賛成でありますけれども、同時に
政府ベースの
ODAというものもさらに改善をしながら続けていくということが必要ではないかというふうに考えております。
それから、多くの
先生方から
経済協力の
基本法云々の話が出ました。これも各政党が基本的に一致しておるならば、それを
一つの
基本法にまとめ上げるということもいいと私は思うんですけれども、一体どういうふうに
基本法を使うかと。
先ほど国会の関与をもっとしっかりと明記しろというような
お話もございました。それはそれでいいんだと思うんです。
ただ、関与といいましても、例えば個々の
経済協力案件についてあらかじめ始める前からいいの悪いのと、こういうところまで関与するというのは、相手国との
外交政策をスムーズにやる上においてかなり問題があるんじゃないかということがあるので、私は事後的にはしっかりと審査をする必要もあるし、あるいは決算
委員会的な事後のいろいろな
検討というものもする必要があるしというようなことは思いますけれども、ですからどういうふうに使うか。単に、抽象的にいろいろなお経的なものを並べただけじゃ余り意味がないんじゃないかという感じがするわけでございます。ですから、これはそういった面も含めて、本当にその
基本法をつくることによって
現実にこういうことがきちっとよくなるんだというようなことがあるなら、これはまあいいですけれども、ただ何かお経をつくって、結局
外交的にはもっと機動的に
経済協力をやりたいんだけれどもできない、時間がかかるというようなことではかえってまずいんじゃないかという感じがするわけでございます。
それから、第三に、きょうは余り皆さんの御
議論の中にこういったことは出てこなかったんですが、
アジア地域における各国の
経済発展あるいは
日本との
経済関係あるいは貿易とか投資とか、そういった
経済関係一般でありますけれども、これは
アジア諸国もいわゆる
経済的なテークオフをしまして、だんだんに強い
経済力を持つということでございまして、これからの
アジア諸国と
日本との
経済関係というのは、一方においてもちろん近隣諸国として、また友好国として
協力関係もありますけれども、同時に競合関係もあるわけであります。ですから、どうやって平和的な競争というものが維持できるか、これは相当難しい問題だと思います。そういう点につきましては、やっぱりきょうの
テーマが
アジアの
安全保障とそれから
繁栄という言葉も入っていますから、これは
日本と
アジア諸国がそれぞれ
経済的に共存共栄できるためにはどういうことが必要かということもいろいろと
議論をしなきゃならぬというふうに考えております。
それから、これは多少個別的な問題になるんですけれども、非常に重大な問題として、例えば最近の
アジア諸国と
日本との間で
一つ難民問題がございます。これはもうここのところ数日、大分テレビの方でもいろいろと問題が取り上げられておるわけでございますけれども、やはり人の動きというものをどういうふうにとらえるかということをよく考えておかないと、例えばここ二、三年ちょっと下火になっておりますけれども、外国人労働者問題というのも、最近はちょっと
日本側の景気が悪いものですから、むしろ余り使えないという方の問題がありますけれども、一時はとにかく外国人の労働者を欲しいというのがむしろ企業側の意向であった。しかし、
現実に入ってきた後の、何と申しますか態勢というのができ上がっていなくていろいろの問題を起こしたということもありますし、それからいろいろと外国人が入ってこられるのに伴ってのネガティブな問題というのも実はないではない。例えば麻薬の問題とか、いろいろ犯罪の問題もありますし、そういった問題について私は、労働者ばかりじゃありませんけれども、外国人が入ってこられることについての問題というのは、
日本側の態勢をよほどきちっと整えておかないと、結局、言葉では友好だ友好だということでどうぞおいでくださいと言っても、結果的に問題が生ずるという考えを持っております。
したがって、これにつきましては、
先ほど言いました国と国との間の
経済関係、あるいはもっと文化関係、社会関係全般ももちろんありますし、そのまた一部としての外国人の入国問題というのをよほど気をつけて扱わないと、これが
一つまた問題点になるんではないかというようなことだけ、問題だけ
指摘いたしまして、きょうは私の発言を終わりたいと思います。