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1994-02-24 第129回国会 参議院 厚生委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年二月二十四日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月十七日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     西山登紀子君  二月二十二日     辞任         補欠選任      横尾 和伸君     広中和歌子君  二月二十三日     辞任         補欠選任      広中和歌子君     横尾 和伸君  二月二十四日     辞任         補欠選任      佐々木 満君     斎藤 文夫君      勝木 健司君     寺崎 昭久君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         会田 長栄君     理 事                 大島 慶久君                 大浜 方栄君                 菅野  壽君                 高桑 栄松君     委 員                 岩崎 純三君                 尾辻 秀久君                 斎藤 文夫君                 清水嘉与子君                 西田 吉宏君                 今井  澄君                 大森  昭君                日下部禧代子君                 菅野 久光君                 勝木 健司君                 寺崎 昭久君                 萩野 浩基君                 横尾 和伸君                 西山登紀子君    国務大臣        厚 生 大 臣  大内 啓伍君    政府委員        厚生省生活衛生        局長       柳澤健一郎君    事務局側        常任委員会専門  水野 国利君        員          説明員        環境庁水質保全        局水質管理課長  小島 敏郎君        環境庁水質保全        局土壌農業課長  猪股 敏郎君        農林水産省構造        改善局建設部整        備課長      橋本  正君        農林水産省農蚕        園芸局植物防疫        課長       吉村 正機君        林野庁指導部治        山課長      工藤 裕士君        建設省都市局下        水道部下水道企        画課長      倉林 公夫君        建設省河川局河        川計画課長    尾田 栄章君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○水道原水水質保全事業実施促進に関する法律案(第百二十八回国会内閣提出、第百二十九回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 会田長栄

    委員長会田長栄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。委員異動について御報告いたします。  去る二月十七日、吉川春子君が委員辞任され、その補欠として西山登紀子君が選任されました。     —————————————
  3. 会田長栄

    委員長会田長栄君) 水道原水水質保全事業実施促進に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 大島慶久

    大島慶久君 まず私は、安全で良質水道水の提供を確保するための努力がいかに重要であるかということを改めて申し上げ、順次質問をいたしたいと思っております。  古来、一般に我が国は水が豊かな国と言われてまいりました。確かに我が国降水量年間平均約千七百五十ミリ、世界平均降水量約九百七十ミリの二倍の降水量があります。また、世界にはその日その日の水の確保に大変な思いをしている砂漠地帯人々もいることを考えれば、我が国の風土は水に恵まれたと言っていいかと思います。  ところが一方、国連の資料によれば、人口一人当たりの年間降水量は約五千五百トンにすぎず、アメリカの約二万九千五百トンの二割にも満たない量でもあります。このため、我が国では天から降った恵みの雨を何度も何度も繰り返して使わざるを得ない。つまり、水源地に降った雨をダムにためてそのすぐ下流の村が使う、使った後の水が川に流れてその下流の町や村の水道原水農業用水として使われる、そしてそこで使った後の排水がまた次の町で使われるといった循環利用があるわけであります。  さて、このような水の反復利用状況思いをはせるとき、使った後の水をきちんときれいにして次の人にバトンタッチすることがいかに重要かということを思わざるを得ないわけであります。そうすれば国民が求める安全で良質水道水の原料である良質水道原水確保できる、そうなるはずであります。ところが、実際にはそういっていない。これはなぜなのか、どうすればいいのか、このような観点から本法案について幾つかの質問をいたしたいと思います。  まず、本法案が必要となってきた理由とねらいとするところについて、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  5. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) ただいま大島委員指摘のように、豊かで良質の水が常に国民供給されてきた、これは日本の一つの大きな誇りでございますし、美しい自然やすばらしい四季というものが日本にはあることとともに大変大事な要素であったと思うのでございます。そのことは、外国に出てみますと本当に身にしみて痛感させられるところでございました。  ところが、その良質の水も、近年御案内のような異臭味被害といったようなものが広範に出てまいりまして、約二千万人の人々異臭味を感ずるという事態を迎えました。また、発がん性指摘されておりますトリハロメタンといったようなものが約六十を超える事業所等において検出される、そういう事態が生まれまして、この日本誇りであった水、なかんずくその中の水道水に対する国民信頼感が低下してまいりました。  これまで良質のそうした水道水供給する上では浄水場における浄水処理によって対応してまいったわけでございますが、これは技術的にもまた効果の面でも限界に達してまいりまして、どうしても水道原水自体水質保全というものが強く求められるところとなりました。もちろん、この良質水道水確保するためには、水質基準を初めまたいろんな諸法もございますが、既存法律だけをもってしては良質水道原水確保することができないという事態に直面をいたしました。  私どもとしては下水道合併処理浄化槽及び河川浄化事業等事業を積極的に実施する必要性を痛感いたしましたために、特に浄水場取水口上流地域におきましてそれらの事業を精力的に進めてまいりたい。なかんずく夏場になりますとトリハロメタンがピークに達しまして、これが水道汚染という問題を引き起こしてまいっておりますので、できるだけ早くこの種の法律案を制定することによりまして国民生活にとって不可欠な良質の水を国民の皆様に保障したい、そういう決意に立ってこの法律案提出させていただいた次第でございます。
  6. 大島慶久

    大島慶久君 次に、この法案概要を、要点のみで結構でございますので御説明いただきたいと思います。
  7. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) この法案でございますけれども、ただいま大臣が申されましたような趣旨で、すなわちトリハロメタン異臭味合成洗剤等水道水で生じている問題全般を視野に入れまして、安全で良質水道水供給確保するため、水道取水口付近上流地域におきまして、下水道合併処理浄化槽整備及び河川浄化事業等事業実施促進を図るものでございます。  この法案三つのポイントがございます。  第一点は、水道事業者からの要請があった場合に、下水道整備河川浄化事業などの水道原水水質保全事業実施促進するため、都道府県または河川管理者都道府県計画または河川管理者事業計画を策定することが第一点でございます。  それから第二点といたしまして、これらの計画においては、水道原水水質保全事業の種類、実施主体実施区域水道事業者が負担する費用の額などを具体的に定めて確実な実施を図ることでございます。  三つ目といたしまして、国及び地方公共団体水道原水水質保全事業実施に必要な資金の確保などの支援措置を講ずるということでございます。  さらにまた、雑排水などを各戸ごとに処理する合併処理浄化槽整備に関する事業実施する市町村は、実施区域内において雑排水を排出する者に対しまして必要な助言または勧告をすることができることといたしまして、国は合併処理浄化槽整備実施する市町村に対し費用の一部を補助することができることとしておるというのがこの法案概要でございます。
  8. 大島慶久

    大島慶久君 私も安全で良質水道水供給確保することは極めて重要だと思っております。また、昨今の水道水水質問題の原因となっている水道原水水質汚濁対応するために、問題を抱える水道取水口上流計画的、集中的に下水道合併処理浄化槽などの整備、それに河川事業などの実施促進しようというこの法案国民の求めるものであると考えます。しかし、厚生省が当初考えていた水道水水質問題の解決策はもっと幅広いものではなかったのではないかという気がいたします。  昨年二月に厚生省は、水道水源水質保全に関する有識者懇談会から「水道水源水質保全対策の推進について」という報告書を受けておられるはずであります。この報告書の「水道水源水質現状水道事業課題」というところで指摘されている水道水質問題は一体何であったのか、説明をいただきたいと思います。
  9. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) ただいま御指摘報告書でございますけれども水道水水質水源である公共用水域地下水水質に大きく左右され、例えば水道の原水中に有害物質が混入し水道浄水処理能力を超える場合は、水道事業努力のみでは水質基準に適合した水道水供給することは困難になるという基本的な認識を示すとともに、飲料水供給という国民の健康に直結する水道事業の立場から見た水道水源水質の問題を指摘しているところでございます。  具体的には、トリハロメタン異臭味などの問題を生じさせる生活排水等水道水源水質汚濁の進行を指摘しているほか、さらに水道原水における有機溶剤等化学物質検出、それから農薬、肥料による水道水源水質汚染、さらには水質汚染事故の発生といったような問題などが同報告書において指摘されているところでございます。
  10. 大島慶久

    大島慶久君 今御説明のあったような指摘に対して、本法案でも環境庁法案でも対象としていないものがあります。厚生省からは、水道水質の問題については今回提案されている二つの法案既存法律解決を図るという説明を受けていますけれども環境庁も同じ認識であると理解をしていいのでしょうか。少なくとも環境庁が所管する法律、例えば水質汚濁防止法湖沼法解決を図るべきであるならばこれらの法律の体系で解決を図るという理解をしていいのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  11. 小島敏郎

    説明員小島敏郎君) 昨年の二月に厚生省有識者懇談会報告が出されまして、その後厚生省におかれましては昨年の十一月に生活環境審議会答申を、そして環境庁においては十二月に中央環境審議会答申をいただきまして、政府部内におきまして具体的な検討をしてまいったわけでございます。  昨年十二月の中央環境審議会答申では、トリハロメタン対策のほかに有害物質による水質汚濁防止あるいは農業による水質汚濁の問題、地下水汚染の問題、カビ臭問題等各般対策が提言をされております。また、その具体的な対策を講じるに当たりましては、まず既存の諸制度活用を図るとともに、この既存制度では対応困難な場合には法制度も含めて新しい対応策を講ずるべきだというふうにいただいております。  そこで、環境庁といたしましてはこの答申を踏まえまして、有害物質対策については水質汚濁防止法によるなど既存法制度——これらの法制度の多くは昭和四十五年の公害国会において整備をされたものでございますが、これらの法制度活用を図りまして、新たな法制度が必要とされるものとして今般提出をさせていただきました特別措置法案を取りまとめたということでございます。また厚生省におかれましても、生活環境審議会答申を踏まえて事業促進法を取りまとめられたというふうに理解をしております。  したがいまして、環境庁といたしましては、御指摘のとおり今回提案されている二法案のほか、その他の問題につきまして既存法制度活用による各般対策を進めることによって水道水に係る公共用水域水質保全というものを図ってまいりたいと考えております。
  12. 大島慶久

    大島慶久君 この問題について、さらに具体的に農薬問題を例にとってお伺いをしたいと思います。  近年、農業では非常に多くの農薬が使われております。農薬農業生産性を高めるために効用がありますけれども農薬そのものは毒物、劇物で、農薬を扱う人々にきちんと使用上の注意事項がわかるようにしていなければ中毒などの大きな事故原因となりかねません。  そこで、まず農薬取締法規制概要農水省にお尋ねいたします。
  13. 吉村正機

    説明員吉村正機君) 農薬取締法におきましては、我が国で製造販売する農薬農薬取締法に基づく登録を受けなければ販売できないということになっておりまして、登録をするに当たりましては、各申請者毒性あるいは薬効、薬害、環境への負荷といったようないろいろな関係データ整備いたしまして私どもの方に提出してまいります。  そのデータを十分検査した上で、特に安全性毒性の問題につきましては厚生省残留農薬安全性評価委員会の御検討をいただきまして、これで一日摂取許容量というものを設定いたしまして、それに基づきまして現場における安全な使用法内容をラベルに記載して初めて農家使用に供されるということになっております。
  14. 大島慶久

    大島慶久君 農薬についての一般的な規制内容について今お伺いいたしました。水道原水農薬汚染を防ぐ対策ということではどうなんでしょうか、そのような対策が講じられていなければ、農業者は安心して農薬を使えません。  ところで、農薬取締法には水質汚濁性農薬についての規制があります。これは本来、飲み水の水質を守るために役立つべき規制だと思います。ところが現在、水質汚濁性農薬指定されている農薬には既に使われなくなった農薬もあると聞いております。  そこで、環境庁にお伺いいたしますけれども、現在水質汚濁性農薬にはどのようなものが指定をされておりますか。また、その中には水道利用理由として指定されたものがあるのでしょうか。
  15. 猪股敏郎

    説明員猪股敏郎君) 水質汚濁性農薬指定されている農薬現状でございますが、現在テロドリン、エンドリン、PCP、ベンゾエピンロテノンの五剤がございまして、いずれも水産動植物、具体的には魚でございますが、それに対して著しい被害を及ぼすおそれのあるために指定されたものでございます。このうち、現在でも農薬登録があり使用されているものは、ベンゾエピンロテノンの二剤というふうなことになってございます。  また、公共用水域水質汚濁による人の健康への被害のおそれの観点からも水質汚濁性農薬指定ができることになっているわけでございますが、これまで水質環境基準健康項目でございますが、それが設定されていた農薬有機燐がございましたが、これの公共用水域での検出が長年にわたって基準値レベルで見られなかったというふうなことで指定をされてはございません。
  16. 大島慶久

    大島慶久君 水道の利水を考え指定されたものがないということは、水道では農薬が問題にならないということになるんでしょうか、あるいは環境庁では水道の問題が把握できないということになるんでしょうか。仮にそうなるとすれば、環境庁農水省は今までの運用方法水道水の問題を解決できるとお考えになられているわけですか。
  17. 猪股敏郎

    説明員猪股敏郎君) 農薬水質汚濁防止の問題というのは大変私どもも重要な課題考えておりまして、これまで農薬取締法に基づきまして、登録段階登録保留基準を満たすような使用方法、そういった規制も行っているわけでございますし、あるいは使用段階先ほど申し上げましたような政令指定といった規制等実施、そういったこともやってきているわけでございます。また、公共用水域での水質監視強化、さらにはゴルフ場使用される農薬水質監視、そういったことでやはり水質問題というものは重要ということでやってきているわけでございます。  しかし、公共用水域から農薬検出される場合が見られるわけでございまして、そうした安全性の不安に対して十分対応していく必要があると私ども考えております。そうしたことから、昨年十二月の中央環境審議会答申を踏まえまして、今後公共用水域における農薬による水質汚濁防止の一層の強化を図っていく必要があるというふうに考えているところでございます。
  18. 大島慶久

    大島慶久君 昨年十二月の中央環境審議会答申には、環境基準に定めた農薬、すなわち水道水質基準に定めた農薬について水質汚濁性農薬指定検討するとあります。この具体的なスケジュールについて環境庁にお尋ねをいたします。
  19. 猪股敏郎

    説明員猪股敏郎君) 水質汚濁性農薬指定につきましては、相当広範な地域にまとまって使用され、その使用に伴いまして公共用水域水質汚濁原因となって人畜被害が生じるおそれがある農薬について行うとされておりまして、その指定に当たりましては答申を踏まえ、現在公共用水域での検出状況を勘案しつつ鋭意検討を進めているところでございます。  今後、農業資材審議会の意見を聞きますとともに、関係省庁とも十分協議させていただきまして、できるだけ速やかに検討を行っていきたいというふうに考えております。
  20. 大島慶久

    大島慶久君 環境庁環境基準に定めた農薬ということで範囲を限定しておられます。そもそも水質汚濁防止上必要があれば農薬取締法水質汚濁性農薬として指定して規制をすればいいのであって、総合的な方策により達成しなければならないということになっている環境基準とは関係なく検討していけるのでしょうか。環境庁はなぜそうしないのかということをお伺いいたします。
  21. 猪股敏郎

    説明員猪股敏郎君) 水質汚濁性農薬指定につきましては、農薬取締法によりますと、農薬使用により公共用水域水質汚濁が生じ、その汚濁に係る水の利用原因となりまして人畜被害を生ずるおそれのある場合等において行うというふうにされているわけでございます。この中で、いわゆる水質汚濁による人畜への被害を生ずるおそれの判断につきましては、環境基本法によりまして人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として設定されております水質環境基準、私どもとしてはこれが目安になるものというふうに考えております。  またこのようなことから、昨年十二月の中央環境審議会答申におきましても、水質環境基準が改定された状況を踏まえ公共用水域での検出状況を勘案しつつ検討すべきと提言しているところでございます。
  22. 大島慶久

    大島慶久君 最近、CNPという除草剤を多く使う地方胆道がんが多いと言われております。CNPのみならず人の健康に悪い影響を与えるおそれが指摘される農薬について、農薬による水質汚濁防止を所管する環境庁といたしましては、水俣の轍を踏まないように未然防止観点から厳しく対応すべきだと思いますが、環境庁にはこのようなお考えはあるのでしょうか。
  23. 猪股敏郎

    説明員猪股敏郎君) 農薬による水質汚濁未然防止を図るために、環境庁におきましては、農薬登録に当たりまして登録保留基準を定め登録できなければ販売できないわけでございますが、使用方法等規制等を行いますとともに公共用水域での水質監視を行ってきたところでございます。今後とも、これらの施策の強化によって農薬による水質汚濁未然防止徹底を図っていきたいというふうに考えているところでございます。  また、CNPのことにつきましては現在厚生省におかれまして専門家検討がなされておるわけでございまして、その評価の結果が明らかになった段階でその内容を十分踏まえまして、関係省庁とも連携をとりつつ必要があれば適切な対応を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  24. 大島慶久

    大島慶久君 厚生省残留農薬安全性評価委員会で、CNPについて問題なしという結論が出されればいいわけであります。仮にそうでなかった場合には、環境庁農水省はどのような対応をとっていこうとされているのか、そのお考えをお聞きしたいと思います。
  25. 猪股敏郎

    説明員猪股敏郎君) 現在、CNPの問題につきましては、厚生省におかれまして専門家による慎重な検討がなされているところでございまして、現段階ではどのような対応をとるかというふうなことにつきましてはお答えできない状況でございますが、評価委員会評価結果が明らかになりました段階で、その内容を十分踏まえまして必要があれば適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  26. 大島慶久

    大島慶久君 我が国の米は諸外国の米より安全でおいしいと言われております。私もそれを本当に誇りに思っている一人であります。もちろん我が国農業者は皆そう思っていると思います。外国との関係もあり、農業後継者確保の問題もあり、我が国農業は今大変な状況にあるわけであります。  農薬問題について国の責任で機動的に対応して、農産物はもちろん水道水にも安全な農薬を安心して使えるようにすべきだと思います。現在の法制度では機動的に対応できないというのならば、そもそもの農薬取締法を改正してできるようにすべきではないかとも考えられます。環境庁農水省にはこのような考え方も必要かと思いますが、いかがでしょうか。
  27. 吉村正機

    説明員吉村正機君) 農林水産省といたしましては、農薬取締法におきまして、農薬による水質汚濁防止観点から水質汚濁影響を与えるおそれのある農薬につきましては環境庁長官の定める基準に基づいて登録時の検査を行い、基準を満たさない場合は登録を保留する、これは先ほど来のお答えのとおりでございます。  水質汚濁性農薬指定して都道府県知事許可制にゆだねることにより当該農薬規制するというのが具体的な規制内容になっておりまして、また同時に、農家側に対しましては農薬使用時期、使用方法等安全に使用するための基準を設定してこれを提示しているところでございます。さらに、水質の安全ということを確保いたしますために、農薬空中散布時におきましてその危害防止措置、あるいは公共用水域水質影響に配慮した農薬適正使用等についても日ごろから指導徹底を図っておるところでございます。  今後とも、水質保全重要性を十分認識いたしまして公共用水域での農薬による水質汚濁防止に万全を期してまいる考えでございますが、さらに水道原水を含めまして水質保全徹底を図るために中央環境審議会の御答申をいただいたわけでございますが、これを踏まえまして農薬取締法運用強化を行うことも検討しておりまして、現行法の仕組みの中で十分対応していけるのではないかというふうに考えております。
  28. 猪股敏郎

    説明員猪股敏郎君) 農薬によります水質汚濁防止につきましては先ほども申し述べさせていただきましたが、農薬登録段階における使用方法規制とか、使用段階における指導とか規制等によって総合的に対応していくというふうなことが大変重要ではないかというふうに考えておりまして、これまでもそういう観点から農薬取締法に基づいて水質汚濁登録保留基準の設定を昨年から開始しているわけでございますが、そういったことを行ってきているわけでございます。  また、近年問題になっておりますゴルフ場使用される農薬による水質汚濁防止につきましても、関係省庁と連携をとらせていただいて重点的に監視指導を行ってきた結果、最近では指針値を超過する例は非常に少なくなってきている状況にございます。  このような状況考えまして、現在の制度運用強化によりまして農薬による水質汚濁防止を図ることは十分可能であると考えております。今後は、昨年十二月の中央環境審議会答申を踏まえまして、農薬による水質汚濁防止徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 大島慶久

    大島慶久君 この問題についてはさらにいろいろと御検討していただきたいと思います。  次に、視点を変えて厚生省にお伺いいたしますが、全国の水道事業者の数はどの程度あるんでしょうか。また、そのうちで規模の小さな水道であるいわゆる簡易水道は幾つあるんでしょうか。
  30. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 平成四年三月末現在における全国の水道事業及び水道用水供給事業の数は一万二千四百六十四でございます。そのうち、給水人口が五千人以下の規模の小さな水道事業である簡易水道事業の数は、全体の水道事業の八四%に当たる一万三百九十ということになっておるわけでございます。
  31. 大島慶久

    大島慶久君 今お答えをいただきましたが、小さな水道であるいわゆる簡易水道が非常に多いということです。この法案では、水道事業者の要請があって初めて措置が講じられます。ところが、小さな簡易水道では技術者の確保も大変でありましょうし、またそのようなところでは要請すべきタイミングや講ずべき対策のメニューについての技術的な判断が非常にしにくいと思うわけです。  そこでお伺いいたしますが、厚生省はこのような状態をどうお考えになられているのか。私は、この法案を実効あらしめるためには水道事業者の規模を大きくしていかなければならないような気がしてなりません。厚生省では水道の広域化を進めていると伺っておりますが、その内容についてお伺いいたします。
  32. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 本法案は、水道事業者からの要請に基づき都道府県または河川管理者水道原水水質保全に資する事業実施促進するための計画を策定するものでございます。その要請の要件や計画に盛り込まれる事業内容等につきましては、法案に基づき定める基本方針あるいは施行通知におきましてできる限り具体的に明らかにしていきたいというふうに考えておりまして、小規模な水道事業者でも必要な場合に適切に対応できるように努力いたしたいと考えておる次第でございます。  一方、先生がただいま御指摘のとおり、水道における技術力を高めていくためにも規模の大きな水道に再編成していくことは重要な政策であると考えているところでございまして、厚生省としても水道広域化対策を積極的に進めてきているところでございます。  具体的には、水道法に基づきまして水道事業の経営の合理化を図るための水道事業の統合等を行う広域的水道整備計画、これを適切に策定するよう都道府県指導すること、またこのような広域的水道整備計画に基づく水道施設の整備に対する補助を行うなどを実施してきているところでございます。今後、これらの政策を一層充実させることによりまして水道事業の基盤強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  33. 大島慶久

    大島慶久君 私は、国民は水というものはいつでもどこでも必要な量の水を提供してくれるものと考えているのだと思います。ところが、いまだに水道が普及していないところも地方によっては数多くあるわけであります。これは早急に解決していかなければならない問題だと思うわけですが、厚生省国民すべてが水道を使えるようにするためにどのような対策を講じられているのか、お伺いいたします。
  34. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 我が国では、平成三年度末現在、水道の普及率は九四・九%でございます。これまで全国の市町村等の努力によりまして相当な普及を見ているところでございます。しかし、いまだに国民の二十人に一人に当たる約六百三十万人の人々水道という極めて生活の基本にかかわる施設を利用できない状況にございます。  水道が普及していないのは主に農山漁村部でございまして、使用している井戸の水質汚染の問題や生活水準の向上に必要な生活用水の確保ができず、早急な水道の普及が求められているところでございます。一方、これらの地域では、地形的な条件から必要な水源が得られにくいこと、人口密度が小さいために効率的な施設整備が難しい等の問題がございます。  このため、平成元年度から簡易水道等施設整備費の中に新たに国庫補助制度を創設するなどによりまして水道未普及地域の解消を図ってきたところでございますが、さらに平成六年度予算案におきましては、主に農山漁村部の水道整備する簡易水道等施設整備の予算につきまして前年度比一五%アップと大幅な伸び率を確保したところでございます。今後とも、これらの国庫補助制度を有効に活用するなどにより、国民すべてが水道利用できるようにするため水道施設の整備を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  35. 大島慶久

    大島慶久君 もう一点、地方の簡易水道には水洗便所を使おうとしても使えないところが数多くあると聞いております。一昔前には今のように水洗便所やシャワーが普及するということは考えていなかったということになると思います。これは今の社会状況考えれば大変な問題であります。  厚生省はこの点どのように水道施設整備を進めようとしているのか、お伺いいたします。
  36. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 簡易水道は主として農山漁村部に整備される小規模な水道であるために、都市部の水道とは異なりまして小さな集落ごとに余り多くない水使用量を前提として計画されたものが多いわけでございます。このため、これまでの簡易水道施設では農山漁村における水洗便所あるいはシャワー、さらにはガス温水器といったような普及に十分な水量、水圧が得られないおそれが生じてきていることは事実でございます。  例えば、農山漁村部においても水洗化を促進するための下水道農業集落排水施設などの事業意欲が高まっているわけでございますが、このような施設が整備される前提として、水道整備により所要の水量、水圧、これを確保することがまず必要になってくるのでございます。  このようなことから地方の発展を支える生活基盤としてレベルアップした簡易水道施設の整備が求められてきておりまして、平成六年度からは地方生活基盤整備水道事業、これを創設いたしまして、地方においても生活先進国にふさわしい水準の水道施設の整備を推進することとしているところでございます。
  37. 大島慶久

    大島慶久君 水道水使用量がふえるということは冒頭申し上げましたような水の反復利用が進むということになり、使った後の水をきちんときれいにして次の人にバトンタッチすることが極めて重要になってまいります。私は、この観点からきれいにした排水を身近なところで環境に戻す合併処理浄化槽整備が重要だと思うわけであります。  また、農山漁村に若者を引きつけるためにもまず水洗便所が使えるかどうかということが、これは都会では当たり前でありますけれども地域によっては極めて重要なことだと思います。家々がまばらにあるようなところで水洗便所を使えるようにしようと思えば、どうしても浄化槽に頼らざるを得ないわけであります。ところが、同じ浄化槽でも単独処理浄化槽では雑排水を処理しないために水が汚くなってまいります。ですから、合併処理浄化槽整備を将来に向けての社会資本としてしっかりと整備をしていく必要があると思います。  そこで厚生省伺いますが、単独処理浄化槽にかえて合併処理浄化槽整備促進するために現在個人設置への補助制度がありますけれども、現在の補助制度は個人の補助申請という形をとっていますのでなかなか地域全体としての計画的な整備が進みません、という問題が指摘をされています。そこで、このような問題に対して厚生省はどのように対応してこられたのか、また今後対応していこうとされているのか、お伺いいたします。
  38. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 厚生省では、昭和六十二年度からこの合併処理浄化槽設置整備事業によりまして、個人を設置主体とする合併処理浄化槽整備を推進してきたところでございます。全国的にも相当な普及を見ているところでございます。地域においてさらに一層目に見えた水質改善効果を上げるためには、合併処理浄化槽を一戸一戸ばらばらに整備するのではなく、集落等を単位としてまとめて面的な整備を図っていく必要があることは委員指摘のとおりでございます。  そこで厚生省では、市町村におきまして策定することとなっている一般廃棄物処理計画の中で、合併処理浄化槽整備区域を設定するよう各市町村指導しているところでございまして、国庫補助制度運用面においてもこのように計画的な整備を行う市町村に対して優先的な配慮を行っているところでございます。  また、昨年二月の生活環境審議会浄化槽専門委員会の報告では、住民等が合併処理浄化槽の保守点検や清掃等の維持管理を適切に行うための組織を整備する必要があることが提言されているわけでございますけれども、このような組織の整備によって住民の維持管理をするための経費や手間が軽減され、浄化槽の維持管理を請け負う業者にとってもより効率のよい維持管理の実施が可能となると指摘されており、この報告書の提言の方向に沿いまして住民の組織的な維持管理の推進について各市町村を適切に指導してまいりたいと考えているところでございます。
  39. 大島慶久

    大島慶久君 ぜひそういう方向で推進をしていただきたいと思います。  そこで、大臣にお伺いいたしますけれども大臣はこの水道原水水質保全対策を緊急に進めるべきということで積極的なイニシアチブをとられてきたわけでありますけれども合併処理浄化槽整備を進めるため本法案及び関連予算に盛り込んだ施策についてぜひ力強い答弁をいただきたいわけでありますが、いかがでしょうか。
  40. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 御指摘のように、水道原水水質保全につきましては緊急かつ効率的な対策が求められているわけでございまして、こうした観点から、本法案におきましては特に御指摘合併処理浄化槽整備促進することに大きな重点を置いているわけでございます。  具体的に申し上げますと、市町村が住民に対しまして合併処理浄化槽整備のために必要な助言あるいは勧告を行う制度を創設いたしまして、同時にこれとあわせまして、合併処理浄化槽設置のための補助制度を法定したところでございます。平成六年度予算案におきましても、合併処理浄化槽整備につきましては、この法定補助制度対応するものといたしまして新たな補助制度の創設を予定しているところでございます。これは予算額にいたしまして総額百十九億円、対前年比の伸び率では一七・八%、非常に高い伸び率になったわけでございます。  このような本法案及び関連予算の活用によりまして合併処理浄化槽整備が強力に推進されるものと考えておりまして、今後、都道府県あるいは市町村水道事業者等に対しましてこれらの活用を十分指導してまいり、もって国民に対しまして良質水道水供給確保するために全力を尽くしたい、こう思っている次第でございます。
  41. 大島慶久

    大島慶久君 極めて前向きな御答弁を大臣からいただきまして安心をいたしております。  時間がもうわずかになりましたので、再度大臣にお伺いをいたしますが、平成六年度予算編成に当たり、水道施設の整備のために予算面でどのような確保をしておられるのかお聞かせをいただきたいことと、あわせて国民に安全で良質水道水供給確保するための大臣の決意を再度お聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  42. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 国民の皆さんに対しまして良質なしかも豊かな水道水を保障するということは、国及び自治体あるいは水道事業者に課せられた大きな使命かつ責任である、こう自覚をしております。  そういう見地に立ちまして、生活関連に属します水道水のための公共事業というものに対しましても今度は細川内閣として相当な配慮を払っていただいたわけでございまして、特に水道施設の整備費につきましては、平成六年度予算案では前年対比一〇%増、額にいたしまして一千七百六十八億円を計上しているところでございます。  特に安全で良質水道水確保するための施策といたしましては、一つは、より安全で良質水道水をつくり出せる高度な浄化施設の積極的な整備促進、そのために六十四億円の予算を確保したわけでございます。二つ目には、水道水源汚染の自動監視システムを含む水質検査施設の充実といたしまして、これは額はわずかでございますが五億円。それから、水道水を高い建物にも直接供給できるようにするための水道管路近代化事業の推進。この辺は御案内のとおり欧米に比しまして日本は著しくおくれているところでございまして、三階以上の高層のところにも水道水供給できる、そのために約三十三億円などの予算を計上いたしましてこれらの事業を遂行してまいりたい。  今後とも、生活先進国に相ふさわしいレベルの高い水道施設整備に取り組んでまいりたいと思っている次第でございます。
  43. 大島慶久

    大島慶久君 質問を終わります。ありがとうございました。
  44. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 東京に住んでおりますと、お水といいますと水道水のことでありますし、その水道水の味が水というものの味だというふうに思っているわけでありますけれども地方に出かけますとその水道水の水が違うというふうに感ずることがございます。  ありがたいことに、先ほどの局長の御答弁にもありましたように水道の普及率が九四・九%、こんなふうになってきたわけでございまして、どこで飲んでも変な味だとかにおいのないものであってほしいというふうに思うわけでございます。また、赤ちゃんのミルクに使いましても、病人やお年寄りが飲んでも安全なものでなきゃいけないというふうに思います。しかも、毎日使うものでございますから気持ちよく使えるものでなくてはなりません。  こう考えますと、いい水道水をつくるということ、そして、それをまた私どもの家庭に確実に届くようにすることの陰に大変な関係者の御努力があるということを感ずるわけでございます。本日はこの安全で良質水道水供給確保のため必要な法案の審議ということでございますけれども、水について日ごろ疑問に思っていたことも含めて幾つかの質問をしたいというふうに思います。  まず最初に、水道水質基準についてでございますけれども厚生省は昨年の十二月に新たな水道水質基準を施行したわけでありますけれども、この水道水質基準ではそれ以前の基準と比較してどのような項目を追加されたのでしょうか。そしてまた、新たな基準というのが水道行政にとりまして確実に守ることができるようなものなのでしょうか、その辺についてまずお伺いしたいと思います。
  45. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 今おっしゃいました新しい水道水質基準でございますけれども、今回の水道水質基準の改定に当たりましては、WHOの水道水質に関する基準の見直し等の国際的な動向も踏まえまして、厚生省生活環境審議会水道部会水質専門委員会における検討をいただいた上で、従前の水質基準項目にさらに項目を追加したところでございます。  すなわち無機物の二項目、これはセレンとナトリウムでございます。それから一般有機化学物質十項目、これはトリクロロエチレン等でございます。さらに総トリハロメタントリハロメタンの各項目でございます消毒副生成物を五項目。さらにチウラム等の農薬も四項目追加いたしまして、水質基準基準項目としては四十六項目ということになったわけでございます。  一昨年の十二月にこれを決めました後、昨年一年間周知期間がございまして、これからはこの新しい水質基準を各水道事業者が確実に守るように厚生省としても十分指導に努めてまいりたいと考えております。
  46. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今回は、水道水質基準のほかに監視項目それから快適水質項目というものをつくっていらっしゃるわけですけれども、それはどのような目的でつくったことなのでしょうか。  また、その化学物質につきましては、水道水質基準としたものとそれから監視項目としたものがあるようでございますけれども、その仕分けの考え方についても教えていただきたいと思います。
  47. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 今回の水質基準の見直しとあわせまして、新たに水質基準を補完するものとして監視項目とそれから快適水質項目を通達により定めまして、それらの項目の水質監視等についても指導しているところでございます。  監視項目は、健康に関連する物質のうち、全国的に見て水道水中での検出レベルが低いことなどから現状では水質基準項目とする必要性はないが、将来にわたって水道水安全性確保を期することができるよう水道として体系的、組織的な監視を行うことによりその検出状況を把握し、水道水質管理に活用するために設定したものでございます。  それから快適水質項目は、安全性の視点というよりも国民のニーズの高度化にこたえられるよう、おいしい水などより質の高い水道水供給を目指すための目標を示すものでございまして、水道事業者等においてその積極的な活用を求めているところでございます。
  48. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 この新しい水道水質基準の中にトリハロメタンがあるわけですけれども、このトリハロメタンというのは水道原水の中の有機物質と浄水場で注入します塩素が反応してできるものだというふうに伺っておりますけれども、この法案トリハロメタン関係につきまして厚生省に再度お尋ねしたいと思います。
  49. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 本法案により実施促進しようとする水道原水水質保全事業は、各家庭から未処理で流されている台所排水などの生活排水を適正に処理するための下水道合併処理浄化槽等の整備、あるいは河川のしゅんせつ、導水などの河川の水の浄化事業などでございまして、これらは水道水のもととなる水道原水水質保全に幅広い効果が期待できるものでございます。  トリハロメタンにつきましては、その原因となる有機物質の濃度が下水道では八四%、それから合併処理浄化槽では七四%削減ができる、こういうデータがございまして、本法案に基づく水道原水水質保全事業実施によって相当な削減効果が期待できるものと考えております。
  50. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 本法案とは別に環境庁トリハロメタン対策の特別措置法を提案しているわけでございますけれども、この特別措置法では、規制だけではなくて事業についてもその計画に含めるというふうになっているわけです。  環境庁にお伺いしますけれども事業促進に関しては本法がありますにもかかわらず、なぜ環境庁措置法の中にも事業に関しての規定があってそしてその計画が必要なのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  51. 小島敏郎

    説明員小島敏郎君) 今回、トリハロメタンにつきまして環境庁特別措置法案厚生省事業促進法案、両方出ております。これらの法律は、その目的、対象、対策の仕組みに違いがあるということで二つの法律になっておりますけれどもトリハロメタンということにつきましてはこの両法案は安全な水の確保ということで共通の目的を持つものでありますから、これが一体的に機能するように所要の規定を置いているわけであります。  トリハロメタン原因になります有機物、これは工場、事業場からも出てまいりますし、今厚生省の方からお答えいただいたように各家庭排水からも出てまいります。これらにつきまして、工場、事業場あるいは各家庭から出てくるもの、そういうものが原因になっている地域におきましては、工場あるいはその生活排水全体に対する対策をとらなければならないわけであります。  その地域につきましては、水系を全体としてこれを見て対策を講じていく必要があるわけでありますが、そのうち厚生省法案浄水場に近いところにおきまして集中的な対策をとっていただくということになっておりますから、これも非常に効果的な対策であると思います。  そういう意味で、環境庁の特別措置法におきましては非常に広い地域におきまして工場、事業場に対する規制措置、そして事業実施ということでありますし、厚生省はその地域の中における一部の地域において集中的に事業実施してできるだけ早期に安全な水を供給できるようにする、こういう関係になっていると考えております。
  52. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今御説明伺いましたし、事前にも環境庁厚生省のペーパーを読ませていただいたんですけれども、なぜこうして独立した法律にならなきゃいけないのか、一緒になってもいいんじゃないかという疑問がどうも解けません。しかし、そうはいいましても、両省におきまして両方の守備範囲というのを分けて間違いなくやっていただくということでございますので、縦割り行政のはざまの中で水道事業者の方が困ることがないようにぜひ両省にお願いしたいというふうに思っております。  それから、環境庁にもう一つお伺いしたいんですが、規制の部分なんですけれども、これは環境庁が独自でなさるわけですが、環境庁の特別措置法の中でトリハロメタン規制水質汚濁防止法よりも緩やかな規制になっているわけですが、トリハロメタンというのが発がん性物質だということでございますので、水質汚濁防止法の中で他の有害物質と同じようなきつい規制をしてもいいんじゃなかったのかという疑問がありますが、この辺いかがでしょうか。
  53. 小島敏郎

    説明員小島敏郎君) 水質汚濁防止法におきましては、規制対象とする物質及び項目というのは、それ自体が直接または自然的な変化によって人の健康に害を及ぼしたり、あるいは生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるということでございます。したがいまして、排出者に直接的な責任があるということで排出行為そのものに対しまして直罰をかけている、こういう仕組みになっております。  しかしながら、今回のトリハロメタンの問題は、公共用水域においてそれ自体が有害であるというものではないフミン質などの有機物、これが浄水場の中で加えられる塩素と反応して初めて有害な物質に転化をしていくということでございます。したがいまして、フミン質等の有機物の排出という行為とトリハロメタンの発生ということの間には、浄水場における塩素注入という人の手が介在をするということでございますから、排出者の責任とトリハロメタンの生成という関係は間接的なものというふうに理解ができるわけであります。そういうことで、水質汚濁防止法が想定する規制対象物質とトリハロメタンの問題とは性格が異なるということで、新たな制度対応しようということでございます。  そういうことから、トリハロメタンの問題につきましては、工場、事業場から有機物が出てくるという排出行為そのものを処罰の対象として考えるということではなくて、改善を勧告しあるいは命令をする、しかしその命令に従わないという事柄をとらえて罰則の対象とする、こういう構成をとったわけでございます。
  54. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 しつこいようで恐縮なんですけれども水質汚濁防止法では、そのもの自身が必ずしも有害でないような、例えば大腸菌でありますとか、そもそも有害でないBODまで厳しく規制しているわけですね。発がん性物質のトリハロメタンそのものが直接人に害を及ぼすのではないということでございますけれども、その原因となりますフミン質等のものについてどうして環境基準をつくるということができないのか。済みません、もう一度お答えいただきたいと思います。
  55. 小島敏郎

    説明員小島敏郎君) 今、委員指摘の点は生活環境に係るものの御指摘かと思いますけれども、生活環境に係るものも工場、事業場から排出をされて、それ自体が例えば水が臭いとかあるいは魚が酸素がなくなって浮いてくるとか、そういう公共用水域そのものにおける害といいますか、そういうものが出てまいりますから、そういう観点に着目をする規制ということは、工場、事業場からそういう有機物が出てくることをとらえて処罰の対象とするということでございます。今回のトリハロメタンは、人の健康に害を及ぼすという観点からある種の有機物を規制していこうということでございます。  その場合には、先ほど申しましたように工場、事業場から出てきた有機物というものが自然界で変化をするのではなくて、浄水場における塩素の注入ということで、一たん人の手を介在するということで因果関係がある種中断をされてくるということも考えられますので、それにふさわしい法律の仕組みが必要であろうというふうに考えたものでございます。
  56. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 環境庁、ありがとうございました。  それでは厚生省にお尋ねいたしますけれどもトリハロメタンは昔から水道水に、こういう消毒の仕方をやってきたわけですから昔から入っていたわけですね。そしてまた、かなり以前からトリハロメタン発がん性については指摘されてきたというふうに思います。さらにこのほかにも塩素と反応して生ずる未知の物質があるかもしれませんし、生活や産業に使用される化学物質の種類はどんどんふえていますから、これらが水道水に含まれるというようなこともあるかもしれません。  そもそも水道水質基準というのは科学の進歩におくれないように常に検討されなきゃならないというふうに思いますけれども、そういうふうに考えますと、何か三十年ぶりに大幅な水質基準が改定されたと言っているのは随分ゆっくりしているんじゃないかという気もするんですが、この辺いかがでございましょうか。
  57. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 先生今御指摘のように、水道法第四条に基づく水質基準は、諸外国状況等を踏まえながら水道法制定の一年後の昭和三十三年に初めて制定され、その後、随時必要な改定は行われてきているわけでございます。  近年、トリクロロエチレンを初めといたしました有機塩素系の化学物質による水道水源汚染事例の増加や、ゴルフ場使用されている農薬による水道水源汚染の可能性につきまして高い社会的関心が寄せられるなどの状況が生ずるとともに、浄水処理に用いられる塩素と水道原水中の有機物が化学反応を起こして、そして発がん性指摘されているトリハロメタン問題が生じてきたわけでございます。  これらの状況対応するために厚生省といたしましては、トリハロメタンあるいはトリクロロエチレン等三物質、それからゴルフ場使用農薬三十種等につきまして通知等による暫定水質目標等を定めまして、それらを活用した適切な水質管理を行うよう水道事業者等に対して指導を行ってきたところでございます。  さらに、各種有機物質等の知見の集積が進みまして、WHOや米国環境保護庁、EPAにおける一九八〇年代後半の水道水質に関する基準の見直しの動向等を踏まえまして、平成四年十二月に水道水質基準の抜本的な見直しを行ったものでございます。
  58. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 これで終わりでなくてこれからさらに検討を続けていただきたい、恒常的に検討を続けていっていただきたいというふうに思うわけですけれども、これについては厚生省いかがですか。
  59. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 先ほども申し上げましたように、平成四年の十二月に行いました水質基準の見直しとあわせまして、将来にわたって水道水安全性確保を期するために、新たに水質基準を補完する項目といたしまして監視項目を通達により設定したところでございます。監視項目につきましては、水系単位で体系的、組織的な監視を行うよう各都道府県指導しておりまして、その監視結果を全国的に収集、検討した上で、必要があれば水道法に基づく水質基準項目としていく考えでございます。  また、現在のところ水道水質に関する基準を定めていない物質であっても、今後の科学技術の進歩によりまして新たな化学物質等の使用の拡大等も考えられますので、人の健康影響に関する知見の収集や水道水中における検出状況に関するデータの蓄積などに努めていかなければならないと考えているところでございます。このため、平成六年度から新たに水質監視項目及び未規制物質の基準化にかかわる検討を行ってまいりたい、そのような予定にしているところでございます。
  60. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 平成六年からそれの予算が準備されているわけでございますね。ありがとうございます。とりあえず今後の検討に期待することにいたしたいと思います。  次に、少し観点を変えまして外国の問題に触れてみたいと思います。  私ども外国旅行をいたしますと、どこの国でありましても水道の水は直接飲んじゃいけないというふうに言われているわけでございます。しかし、先進国はむしろ我が国よりも水道の歴史も長いと思いますし、なぜ飲めないのかと大変奇異に思うんですが、その辺はどうでしょうか。
  61. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 外国旅行のお話でございますけれども、それぞれの国で水の中に含まれているミネラルなどの組成が異なっていることから、短期間の旅行では胃腸がいわばその水になれないために下痢等を起こすことがある、こういうふうに言われております。  しかし、欧米先進諸国におきましては水道水水質確保につきまして十分な配慮がなされており、この安全性という面は非常に高いものというふうに承知しているところでございます。
  62. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 各国ともそれぞれ水道の水の安全性につきましてはいろいろ工夫していらっしゃると思うんです。例えばライン川の水はスイス、フランス、ドイツ、オランダと流れていくわけですけれども、一番最後になりますオランダ、最下流ですから水道の水の安全性確保に相当いろいろ知恵を絞ってやっていらっしゃるんじゃないかとも思うんですが、何か特別な工夫をしているかどうか、その辺についておわかりだったら教えていただきたいと思います。
  63. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) その前に、先ほど私、欧米というふうに申し上げたら、今大臣から欧州はいいけれどもアメリカはだめだ、こういうお話がございました。  ただいまの先生の御指摘でございますけれども、御指摘のオランダでは、ライン川の最下流に位置しているために上流部の諸国から水質汚染影響を受けやすい、こういう条件下での水道原水利用ということが行われているわけでございます。このため、水源水質汚染事故が発生したとき迅速に対応できるように上流地域と連携した監視体制をとっているほか、水道原水を一たん大規模な貯水池に貯留いたしまして、河川水質汚染事故により取水が停止されたときにも給水を停止せずに済むように対応しているというふうに聞いているところでございます。  それからまたアムステルダムでは、一度ろ過しました水を砂丘に浸透させ、それを再度地下からくみ上げて浄水処理する方法を用いているとか、あるいはロッテルダムでは、長期にわたり貯水池に貯留させ不純物を沈殿させた後、さらに急速ろ過、それからオゾン活性炭を用いた高度浄水処理、これを行っているというふうに聞いているところでございます。
  64. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今お答えいただきましたように、水道についての努力というのは相当大変なことだと思いますが、それの前に水源水質確保ということがまず大事ではないかと思うわけです。  その面で、ヨーロッパでは水質水道水水源保全のためにいろいろこれも手段を講じているというふうに伺っております。その辺について、今お話も少し出ましたけれども、再度お話を伺わせてください。
  65. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 欧州諸国の水道水源でございますけれども、欧州諸国におきましては、水道水水質確保する上で水源水質を清浄に保つことが重要であるという認識の上に立ちまして、各般にわたる水道水源保全対策が講じられていると承知しております。  例えば、イギリスやフランスやドイツ、スイス等では、きれいな地下水水道水源として保全するために、水道用井戸を中心としました広い地域水道水源保全区域を設定しまして土地利用規制等を行っているということでございます。  このほか、イギリス、ドイツ等で行われている農業との調和による農業硝酸塩対策、それからイギリスで行われている水道の取水地点と下水道排水口の位置の調整、こういったようなものが特徴的なものであるというふうに考えております。
  66. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今幾つかのお話を伺いましたけれども、そういうヨーロッパの国々の水道水源保全対策に比べますと、我が国では安全で良質水道水供給するための施策というものに高いプライオリティーが与えられているのだろうかというふうに疑問に思うわけです。  そこで、本法案では土地の買い取り事業促進するというふうになっておりますけれども、その対象が水道施設の周辺に限られているわけですね。これはどのような効果がある事業なんでしょうか。
  67. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 御指摘の土地の買い取り事業でございますけれども法案の第二条四項六号の土地の取得に関する事業につきましては、水道施設に隣接する土地を水道事業者が取得することによりまして住宅や工場等がその土地に立地する可能性がなくなり、未処理の生活排水や工場排水によって水道原水を直接汚染しなくなることをねらったものでございます。  例えば、水道の取水施設の上流ごく近くに工場が立地した場合に、その排水が十分希釈されることなく直接水道の取水施設に達することが考えられ水道原水に重大な影響を与えることが懸念されるわけでございますが、本事業実施によりこうした事態を未然に防止することが可能となるというふうに考えているところでございます。
  68. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 次に、林野庁にお伺いをしたいと思うんですけれども、今ずっとお話を伺っていますと、やはり原水を確保するために相当な規模のもの、例えば井戸を中心としてその周辺の森林を囲い込んで開発を規制するというようなことも必要ではないかというふうに思うんですが、林野庁では例えば森林法で水道水源を守るためにどのような開発の規制が行われているのか、その辺を教えていただきたいと思います。
  69. 工藤裕士

    説明員(工藤裕士君) 先生御案内のとおり、森林は量的な水の供給はもとより質のよい水の供給にも重要な機能を有しているところでございます。  水道水源地域の森林につきましては、こういった森林の有する水源涵養機能を高度に発揮させるということが必要でございます。このため、良質な水を確保する上で重要な森林につきましては水源涵養保安林等に指定いたしまして、立木の伐採、土地の形質の変更等につきまして水質保全観点に立ちまして都道府県知事許可制というぐあいにしているところでございます。  それから、保安林以外の森林につきましても林地開発許可制度によりまして、水質保全観点を踏まえまして一定の規模を超えます土地の形質変更につきましては都道府県知事許可制というぐあいにしているところでございます。  また、健全な森林の維持、造成というものを通じまして水源涵養機能の高度発揮を図るために、荒れた荒廃森林の整備とか水質保全施設の整備等を含みます治山事業、このほか造林事業とか水源林造成事業というものもございますけれども、こういうことを適切に実施いたしまして水質保全を図っているところでございます。
  70. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 その保安林の指定の実績はどういうふうになっているでしょうか。特に、水道事業者の要請によりまして保安林を指定する仕組みになっているというふうに思うのですけれども水源涵養保安林の指定状況等につきましてちょっと教えていただきたいと思います。
  71. 工藤裕士

    説明員(工藤裕士君) 保安林の指定の件でございますけれども水源涵養等の公益的機能の目的を達成いたしますために保安林整備臨時措置法という法律がございます。この法律に基づきまして、保安林整備計画に従いまして計画的に推進してきておりまして、平成四年度末現在、保安林の面積は八百三十六万ヘクタール、全森林面積の三割でございますけれども八百三十六万ヘクタールに達しております。  特に、戦後の我が国経済の発展に伴いまして増大してきました水需要に対応いたしまして、流域保全上重要なもの、これは水源涵養保安林と指定しておりますし、また局所的な用水源保全するもの、これは干害防備保安林として積極的に指定してきておりまして、平成四年度末にはこういった水源を守るための保安林は六百十一万ヘクタールにも達しております。
  72. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 先ほどの保安林と指定されたところに開発は許可制度になっているということでなかなか開発されるようなことはないという御趣旨のお話があったわけでありますけれども、保安林というのは水道原水水質保全のために指定したわけですから、一度指定しましたならば指定したもととなりました水道がそこから取水しなくともいいというふうにならない限り解除できないはずではないかと思うんですが、森林法ではそういうふうになっているんでしょうか。森林法の解除のところの条文を読ませていただきましてもそれは大丈夫なんだろうか、ちょっと心配になることがあるわけなんですね。  もしはっきりとしていないのでありますれば、水道事業者の要請によって保安林に指定された、そうしたらこの水道事業者からの申し出がない限り指定を解除しないという仕組みがやはり必要なんではないかというふうに思うんですが、そこらあたりはどうなっているんでしょうか。
  73. 工藤裕士

    説明員(工藤裕士君) 保安林制度、これは水源涵養等の公益的機能、公益目的を達成いたしますために、特にこれらの機能を発揮させる必要のある森林を保安林と指定いたしまして、森林の保全と適切な森林施業の確保を図るということによりまして森林の有する公益的機能を高度に発揮させる、こういうことを目的としているところでございます。  こういった目的にかんがみまして、森林以外の用途に転用するための保安林の指定の解除に当たりましてはできる限り転用を回避する、こういうことをしておりますとともに、やむを得ず転用する場合につきましても解除面積を最小限にする等、保安林の指定目的の達成に支障を及ぼすことがないよう慎重に対処しているところでございます。  先生が先ほど質問ございました特に飲用水等の水源として重要な保安林、これにつきましては、保安の指定の解除の申請があった場合におきまして市町村長とか直接の利害関係を有すると認められます水道事業者の方々、こういった方々の同意がなければ指定の解除を行わない等、地域における水の確保に支障を及ぼすことのないよう対応しているところでございます。  今後とも、水源として依存度の高い保安林につきましては、市町村長や水道事業者の方々との連携を強めましてその保全に努めていきたいというふうに思っているところでございます。
  74. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 私は今森林の保全の例を取り上げて伺ってまいったわけでありますけれども、特にヨーロッパの諸国に比べてみますとどうもまだ飲み水の水質を守るという重要性認識がちょっと薄いんじゃないかという感じがしてなりません。  そこで、ちょうどこういう法案が出されている機会に、できますれば林野庁にもこういう法案に加わっていただきまして、そして水源の周囲の森林を保全する姿勢を明らかにしていただきたいなというふうに思っておりました。いろいろ伺っていますと、林野庁では既に森林法というのができている、それでかなり実効を上げておられるという自信をお持ちのようでございますので、ぜひこれからも水質保全のために一層の努力をまず林野庁にお願いしておきたいというふうに思います。  それから次に、少し開発途上国の援助についてお伺いをしたいと思うんですが、開発途上国の方々というのはこの水の問題、大変深刻な問題であろうというふうに思います。いわゆるべーシックヒューマニズムの本当にもとであります水道整備必要性というのは非常に高いと思いますし、またそれを支援する意味というのは、特に先進国の一員として我が国にも大変大きな責任があるのではないかというふうに思うわけです。  そこで厚生省にお尋ねしたいんですが、我が国水道分野の援助、ODAの関係、二国間の関係でいいんですが、どのようなことになっているのか、ここ数年で結構でございますので少し教えていただきたいと思います。
  75. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 我が国の開発途上国に対します水道分野での国際協力についてでございますが、大きく分けますと、無償及び有償の資金協力と、それから専門家の派遣、研修員の受け入れ、開発調査の実施に代表される技術協力の二つに分けられるわけでございます。  それぞれにつきまして平成二年度から四年度までの過去三カ年の協力実績を見てみますと、無償資金協力につきましては、これは相手国は二十四カ国でございまして四十一件、約三百二億円となっており、内容といたしましては、開発途上国の中でも特に財政能力の乏しい国の環境衛生などの基礎生活分野に対して行っているもので、例えばネパール国に対する浄水場の建設などがあるわけでございます。  それから、有償資金協力につきましては十カ国、十五件、約一千百五十四億円となっておりまして、内容としましては、開発途上国の経済開発と福祉の向上を目的として行っているもので、例えばタイ国に対する送水管、排水管の新設などがあるわけでございます。  それから技術協力につきましては、専門家派遣は、一年以上相手国の受け入れ機関に所属し現地で技術指導をするとともに、今後の開発計画などをアドバイスする長期専門家が七カ国、延べ三十六名、それから現地でのセミナーの開催や特定のテーマでの技術指導を行う派遣期間一年未満の短期専門家が九カ国、計五十四名が派遣されております。  開発途上国から我が国への研修員は三十三カ国、百十五名となっておりまして、国の研究機関や水道事業体などで受け入れているところでございます。  また、開発調査は十カ国、十三件実施されており、例えばモンゴル国に対する水供給の基本計画策定などがございます。
  76. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 私も外務省から少しデータをちょうだいしたんですが、ちょっと数字が合わないのですが、全体的に見て環境関係のODAがかなりふえて、特に九二年には国連の環境開発会議がございましたから急にふえているわけですが、その中でもかなり上下水道の援助が多くなっているわけですね。  ですけれども、その中でも有償、無償がふえていますが、技術協力がちょっとお寒い感じがいたしますし、それから今専門家の派遣についてもお伺いしたんですが、いわゆる専門家が派遣されているという状態を拝見しましても、セミナーに出ているとかなんとかということで、有償、無償のものについて具体的な指導をしているという状況がちょっと薄いんじゃないかというふうに思っていたんですね。外務省も、専門家については厚生省が窓口で直接やっているのでというようなことでございましたけれども、やっぱりどんな分野でもそうだと思いますが、特にこの分野での専門家確保というのは非常に難しいのでしょうか、ちょっとその辺お伺いさせていただきたいと思います。
  77. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 私ども、国際協力のために開発途上国に派遣する場合には、主として都道府県あるいは大都市等の自治体の職員にお願いしている例が非常に多いわけでございます。そのような関係から、現在本務を持っている職員に長期あるいは短期に途上国に行っていただくということで、いろいろ隘路はございますけれども、先生の御趣旨をこれから十分に生かせるように、できるだけこの途上国援助の面につきましても今後発展させてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  78. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 特に私は、こういう仕事の中身を見ますと、一人一人の技術者の努力専門家の派遣、こういった事業が非常に有効ではないかというふうに思うわけですね。今局長も言われましたけれども、これはこの分野だけではないと思いますけれども、この分野は今おっしゃるようにほとんど公務員でございますので、何かうまく仕掛けをつくればかえって民間の人を出すよりも出しやすいような面もあるんじゃないかと思いますので、ぜひ御研究いただきたいというふうに思っております。  そこで、大臣にお伺いしたいんですが、今ずっと開発途上国のお話をしていたわけですけれども、一昨年の国連環境開発会議の資料によりますと、途上国におきます全疾病の八〇%、そして死亡原因の三分の一は汚染された水によるものだと、こういうわけでございます。我が国国民に対して安全な水を供給しよう、これはもちろん大事なことでありますけれども、途上国の方々にも安全で良質な水を供給する、このことに厚生省としてやはり取り組んでいかなきゃいけなんじゃないかと私は思うんですが、大臣はどんなふうに思われるか、お伺いしたいと思います。
  79. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 良質で安全な水の供給という問題は、もちろん我が国国民のためのみならず、人道的にも特に日本のような立場にある国は積極的に対応していかなければならない、こう考えております。  先ほど局長から御説明申し上げましたように、その人的支援あるいは資金的な支援あるいは調査活動等々の実態につきましては数字等を挙げて御説明申し上げたわけでございますが、特に発展途上国の疾病あるいは死亡等の原因の中に水質汚濁汚染といったような問題が非常に大きなウエートを占めていることは先生御指摘のとおりでございます。  したがいまして、そういう問題に対しましても日本としては特に積極的な協力姿勢を確立し、また実行しなければならないと思っておりますし、特にコレラなどの伝染病の予防に対しましては、最も効果的な手段であることは御案内のとおりでございます。したがいまして、このような開発途上国に対する水道分野の海外協力につきましては、国際協力を積極的に推進する我が国の取り組みとしては極めて重要な課題であると認識をしております。  水道は開発途上国にとりまして極めて基礎的な重要な問題でございまして、非常にニーズも高いのでございます。国連におきましても開発途上国における清浄な飲料水供給に重点的に取り組んでおりまして、厚生省といたしましても外務省等との連携のもとに積極的に開発途上国に対する支援を強めてまいりたいと思っております。  特に、我が国水道の技術水準というものは世界的にも非常に高いものでございまして、それらの技術移転につきましても、当該国の状況に応じまして積極的に対応していかなければならない。このために、開発途上国における水道関係技術者の養成のための訓練センターの運営などによりまして、開発途上国の状況に見合いました技術協力につきましても積極的に協力し、支援してまいりたいと思っております。
  80. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 最後にもう一問お願いしたいんですが、先ほど大島委員指摘されましたけれども、全国の水道事業者の一万三百九十は簡易水道事業者であるというようなことで、給水人口も平均六百九十人程度、小さな水道事業者ですね。そうしますと、こういうところでもまた大都市の水道でも、同じように高度の浄水施設を整備しようといっても非常にこれは無理があるというふうに思います。先ほど水道の広域化だとかあるいは規模の拡大について御指摘がございましたけれども、すぐにできるわけじゃございませんので、この法案を発動させるための要請を行う際、あるいはどのような事業を行ったらよいのか判断して計画内容に同意する際に、技術的なことが判断できる技術者が必要じゃないかというふうに思うわけです。  こういう観点から伺いたいんですが、簡易水道にも適用できるような高度浄水技術を研究開発して、簡易水道がみずから安全で良質水道水供給ができるように支援すべきだというふうに思いますが、こういった研究開発の面で厚生省はどのようにお考えでございましょうか。
  81. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 先生御指摘の研究開発あるいは研修の面につきましても、この法案に基づいて事業を推進する上におきまして非常に大切なことであるという認識に立っております。  そのために、厚生省の機関である国立公衆衛生院の特別課程水道工学コース、あるいは水道工学に関する専門的な知識、技術を授ける日本水道協会との共催の研修等の充実、さらには新しい技術開発等につきましても今後鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  82. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 最後でございます。大臣にお伺いしたいわけですが、先ほど大臣の開発途上国に対する姿勢等をお伺いしたわけでありますけれども、国内だけでこれが済むわけじゃないということでございます。安全で良質水道水供給というのは、現在の世代だけではありません、将来の世代に責任を果たすことができるかどうかという問題があるわけです。  そこで、最後に大臣に、水道行政の責任者として今後の水道行政に取り組む決意についてお伺いさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
  83. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 既に私どもの決意の一端につきましては申し述べているところでございますが、今委員指摘のように、水道は人が健康で文化的な生活を営む上で欠くことのできない重要なものでございます。このため、我が国のすべての国民に現在のみならず将来にわたりまして安全で良質水道水をいつでも供給できる、こういう体制をつくるために、水道原水水質保全水道水水質管理の徹底、または生活先進国にふさわしい水量、水質、水圧で水道水供給するために必要な水道施設の整備水道の未普及地域の解消など、それらの施策に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  また、欧米諸国との情報交換や交流に努めるとともに、我が国に対しまして支援を求めております開発途上国に対する援助などの面でも国際社会の中での我が国にふさわしい役割を可能な限り果たしてまいりたい、内外にわたりましてそうした良質水道水確保のために全力を尽くしたいと思っている次第でございます。
  84. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございました。
  85. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 尾辻であります。率直に申し上げて、遺族会の代表でありますので、まず大臣及び厚生省の皆さんに、このたびの平成六年度予算で戦没者遺族処遇に対しまして格別の御配慮をいただきましたことに厚く御礼を申し上げます。  鹿児島市で生まれ育ちまして、子供のころは私の家の二百メートルぐらい離れたところにきれいな水がわき出しておりました。私どもの子供のころでありますから、今の子供たちが氷をかじるみたいなもので、夏場はそこへ行って冷たいおいしい水を飲みました。本当においしい水だったという記憶がございます。  今、麹町の宿舎におりますが、あの麹町の宿舎の真ん前には、昔ここで水がわき出していたんだよという立て看板とその跡が残っております。文字どおり清水谷だったんだな、こう思うわけでございます。  よく日本人は安全と水はただだと思っておると言われますけれども、まさに我が国、もともとは大変豊かな水資源に恵まれている国だと思います。よく水に流す、こう言いますけれども、豊富な水があって、しかも地形的に流れが速いから水に流してしまえば何でもすぐきれいになるんだな、こう思うんです。またかつて、外国船の船員さんたちは日本に寄港するのを大変楽しみにしていたとも聞きます。日本に来るとおいしい水が飲めるということだったんだと思います。  ところが、その日本の水がどうもこのごろ危険な水になっているんじゃないか、最近そんな報道があり社会問題にもなっておる今日、この法律というのはまさに水道の水に対する国民の信頼を取り戻そう、そういう趣旨だと理解をいたしておりまして、私も高く評価をさせていただくところであります。  そんな立場から、ぜひおいしい水を取り戻したいなと思いつつ、以下幾つかの質問をさせていただきます。ただ、三人目になりますと、もう前の皆さんがかなりお聞きになっておりますので、できるだけ私なりに、そして重複を避けて質問させていただきたいと思いますが、そんなことはもう答えたとはぜひおっしゃらずに、そう言われますと私は気が弱いものですから後の質問ができなくなりますので、親切に答えていただきますようにあらかじめお願いして質問をさせていただきたいと思います。  そこでまず、改めてでありますが、現状についてお尋ねをしてみたいと思います。  現状というと、先ほどから話題になっておりますトリハロメタンであります。最初はこの間きなれない、ちょっと舌をかみそうな物質、何だろうなと思っておりましたけれども、最近では浄水器のテレビのコマーシャルにまで出てまいりますから、変な言い方ですが、妙にポピュラーなものになってしまいました。しかし、発がん性のあるものが水道の水の中に入っているんじゃないかと言われると、これは看過できないわけでございます。現状というとまずこのことがあります。  それから、もう一点申し上げておきたいと思うんですが、先ほど清水先生も言っておられました。東京や大阪だけでなくて全国各地に広がっておる水道の水がどうもカビ臭いという問題であります。  素人はもう臭いにおいがするだけで絶対にこれは安全でないと思ってしまうわけでありますし、また当然のことながら、臭い水で飯を炊いてもコーヒーを入れてもうまかろうはずもありません。神経質な人はふろにも入れないという話もないわけじゃありません。たしか三、四年前だったと思うんですが、大阪で花博が開かれたときに、外国から来たお客さんがふろの水が臭いと言って騒ぎになったという話も聞いたことがあります。どうも、さっき申し上げた外国船の船員の皆さんが日本に来るのを楽しみにしていたということとは逆の話になってしまったなと思わぬでもありません。  以上、現状について私からは二点申し上げたわけでありますが、こうした現状について今何が問題だと思っておられるか、私が申し上げたことを含めて改めてお話をいただきたいと思います。
  86. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 水道水問題の現状でございますけれどもカビ臭いといったようなそういう異臭味の問題、それから発がん性指摘されているトリハロメタンが含まれている問題などがあることは先生ただいま御指摘のとおりでございます。  水道水異臭味を訴える水道利用者の数は、これは平成三年度の統計でございますけれども約二千万人、水道事業体の数にして五十二に上りまして、国民水道水への不信感の大きな原因になっているのではないかと考えられるわけでございます。  それから、水道原水に含まれる有機物質と浄水処理過程で用いられる塩素とが反応して生じるトリハロメタンにつきましては、これも平成三年度におきまして、河川の水などを水源とする水道のうち水道水中のトリハロメタン濃度が基準値の七割を超過したのは六十三カ所でございまして、これに関連する給水人口は約二百五十万人というところでございます。
  87. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 やっぱりかなり深刻な状況も生まれつつあるのかなというふうにお聞きをいたしました。  そこで、今御説明がございました先ほど来話題になっておりますトリハロメタンについてでありますが、さっき清水先生もお聞きになっておられました。改めてでありますが、このトリハロメタンのメカニズムといいますか、何が原因でできてくるのかということについてお尋ねをしたいと思います。  ただ、恥をさらすようでありますが、かつて学生時代に化学の授業は、ほかの科目もそうでありますが、からっきしだめでありまして、化学の先生からはおまえの脳みそには日が当たってないんじゃないかとまで言われた記憶もありますので、そういう私にわかるように御説明いただくと大変ありがたい、こういうことでお尋ねをいたします。
  88. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) トリハロメタンでございますけれども、これは水道原水中のフミン酸などの有機物質と浄水処理過程で用いられる塩素とが反応して生じるものでございます。このような水道水トリハロメタン生成の原因となる有機物質には、人の日常生活に伴って生ずる台所やふろなどの生活排水やし尿に由来するもの、それから工場や事業所等の有機排水に由来するもの、それから三番目といたしまして、植物成分等が土壌中で分解縮合して生成するものや水生生物の成分から生成するもの、こういったようなものなどがあるわけでございます。  また、トリハロメタンの生成量に影響を及ぼす要因といたしまして、水温、反応時間などといったものが挙げられます。水温につきましては、水温が高いほど塩素と有機物質の反応速度が速くなりましてトリハロメタンの生成量が増加する。そのため、水温の高くなる夏場にはトリハロメタン濃度も高くなる傾向がございます。反応時間につきましては、塩素との接触時間が長いほどトリハロメタン生成量は増加する。そのために、浄水場から給水栓までの距離が長く、使用までの時間が長いほどトリハロメタンは多く生成される。  こういうように、トリハロメタンは大変複雑な要素が絡み合って生成されるものということが言えるのではないかと思います。
  89. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 複雑なお答えというか、複雑なことがあるんだと、こういうことでありましたので、そういう意味では非常にわかりにくいんですが、たった一つわかりましたことは、やっぱり塩素の消毒でこれが発生してくる、こういうことのようでございます。  そう言われると、塩素で水道水を消毒するというのは何も今に始まったことじゃなくて、昔からやっていたんじゃないか。じゃ、昔からそれはなかったのか、こういうふうに思うわけであります。どこかのテレビが、エイズの危険性を厚生省は随分昔から知っていたんじゃないかなんということをこの前やっていましたけれども、ついついそんな心配をしたくなるわけでありますが、お聞きいたしますと、我が信頼する厚生省は決してそんなことはない、そして水道事業者が自分たちの技術で対応してきたんだというお答えもいただいておるわけであります。  そこで、昔からあったんじゃないかということに対して、具体的に水道事業者がどのような対策を講じてきたのか。また、その対策というのは今後も限界なくやっていけるのか、やっぱり限界があると思っておられるのか、お聞きをいたします。
  90. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 今おっしゃいました水道事業者でございますけれどもトリハロメタンの濃度の状況を把握するとともに、トリハロメタンの生成の原因となる有機物質をできるだけ沈殿除去した後で塩素を注入する中間塩素処理などによりましてトリハロメタンの低減対策を講じてまいりました。  ところが、塩素注入方法の改良等については、水道原水にマンガンや鉄が多く含まれている場合には適用できないこと、それから汚濁物質の濃度の変動に十分対応できないことなどの理由によりまして必要な低減効果が得られない場合がございます。  また近年大都市の水道事業体などで整備が進められておりますオゾン処理、活性炭処理の設備などによる高度浄水施設、これには原水の水質に応じた最適処理方法の検討に時間を要すること、それから高度な技術力が必要であることなどから、我が国水道事業の大半を占めている小規模な水道事業体におきましては簡単には採用できないものであるというのが現状でございます。
  91. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 現状についてざっとお尋ねをしてまいりました。  そこで、今お答えいただいたような現状を踏まえて、今後どういうふうに私たちが対応していくのか、対策を講じていくのかということでございますので、そのことについてお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、ただいまもお話をいただきましたトリハロメタン対策についてでありますが、生活排水対策のための各種の事業を進めることと工場の排水規制というこの両面から進めなきゃいかぬのだろうと、思うわけでございます。  それで、まず規制の方からお尋ねをいたしますけれども、工場排水規制についてはこれまで水質汚濁防止法で行われてきたわけであります。ところが今回、わざわざ別に新しい法案環境庁から出されております。  お尋ねしたいことは、なぜ水質汚濁防止法で他の有害物質と同じようにこのトリハロメタン規制を行わないのだろうかということでございます。水濁法では不十分なところがあるのか、こう思ってしまいますし、規制として一貫したものでやるにはむしろ同じ法律でやった方がいいのではないかと、こうも思うわけであります。今回の環境庁法案は、私が理解いたしますには水濁法よりもどうも緩やかな規制になっておるように思うわけでございまして、この辺について環境庁伺いたいと思います。  それから、あわせて環境庁にもう一点お伺いをいたしておきます。  トリハロメタン先ほど来申し上げておりますように発がん物質だと思っておりますが、危険な状態になってから対策を講じるというのではなくて、事前予防法的に対策を講じる必要があると思うわけであります。この辺について水道事業者と連携をとって十分な規制を行う必要性があると考えるわけですが、この点についてもあわせてお尋ねをいたします。
  92. 小島敏郎

    説明員小島敏郎君) 水質汚濁防止法規制有害物質につきましては例えばシアンなどがございますけれども、工場から出た途端に魚が浮いたりして、これはもう有害物質なわけであります。そういう害を及ぼすわけでありますが、今回のトリハロメタンは、工場から出て川で魚が死ぬとかあるいは臭いとか、そういう害が直接生ずるものではありません。したがいまして、工場、事業場から出たところでこれが悪いことだというふうにして規制をするということにはなじまないのではないか。  今の水質汚濁防止法はそういう仕組みをとっておりますけれどもトリハロメタンのメカニズムからいきますと、工場、事業場から出たときはそういう有害物質ではない、つまり有機物質であります。人の健康という観点から見れば、そういう発がん性物質が出てくるわけではない。これが浄水場に取り込まれまして塩素と反応して初めて人の健康に害を及ぼす物質になる、こういうメカニズムが従来水質汚濁防止法規制をしておりました有害物質と違うということでございます。  したがって、その防止対策につきましては浄水場での対応ということも一つ入るわけでございます。そういう意味では、原因と結果の間に浄水場での塩素の注入という人の手が入りますので、従来の水質汚濁防止法とは違う仕組みをとるべきではないかというふうに考えたものでございます。  したがいまして、そういうことから、水質汚濁防止法では工場、事業場から汚染物質が出てきたところでもう罰則をかけるわけでありますけれども、そこまでのことだろうか。そういう排出行為自体が違法性があるということではなくて、やはり工場、事業場に対して勧告をし命令をし、行政庁がそういう命令をしたにもかかわらずこれには従わないということにその違法性の根拠を求めるべきではないだろうかということで、直罰規定ということではなくて命令に対する違反について罰則という仕組みをとったものでございます。緩やかな規制ということではなくて、事柄に応じた規制の方法を採用しているということで、こういう方法によりましても工場、事業場からのトリハロメタン原因物質についての十分な効果が見込めるというふうに考えております。  次に、水道事業者との連携ということでございますけれども先ほど厚生省の方からお答えいただきましたように、今までトリハロメタンについては浄水場において必要な対策を講じていただいておりますが、それにも限界があるということで、そういう限界があるという場合につきましては公共用水域での対策ということが不可欠になるわけであります。  そういう場合には、原因が家庭排水でありますとか、工場、事業場から出てくるものでありますとか、いろんな原因があるわけでありますし、事柄が人の健康にかかわるものでありますからこれは確実に対策を講じなければいけないということで、水質保全に関する計画をつくって目標を設定して、それぞれ工場、事業場に対する規制、それから各種の事業というものを講じていく必要があるわけであります。  そういう対策をとる場合に、水道事業者がどのようなトリハロメタンの生成防止のための措置を講じているかということについて計画をつくって規制等を行っていくわけであります。都道府県の知事が水道事業者に意見を聞いたりあるいは要請を受けたりして最初のアクションをとるということをしておりますし、さらに水質保全計画をつくって計画的にやっていくわけでありますが、その際にも水道事業者の意見を聞いて計画を策定していくというように、水道事業者との連携に気を配りながらトリハロメタン対策を講じていく仕組みをつくっております。
  93. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 お答え趣旨というのは、これはそのもの自体ではまだ有害物質ではない、これに塩素が加わったときに有害物質になるんだ、だからこのもの自体だけでなかなか規制しづらいんだと、こういうお話だと思います。言うならば、ちょっと表現は違うのかもしれませんが、必要条件ではあっても必要十分条件にまではなってないんだと、こんなことなんでしょうが、そしてまたそれはおっしゃるとおりなんでしょうが、これが流れていって塩素と結合するとそうなるということは紛れもない事実だし、水道の水で流れてくるときには必ずそうなるというのも必然であると言ってもいいと思うので、申し上げたように、ぜひ事前予防的に水道事業者との十分な連携をとっていただきたいと思いますので、そのことをお願いしておきたいと思います。  それでは次に、この法案の効果について何点か伺ってみたいと思います。  今までのお話を伺っていても、どうしても水道の一番もとの原水がきれいになることがこれはもう基本だし、肝心なことだと思います。さっきからテレビのコマーシャルを出しているんですが、このごろテレビのコマーシャルで、臭いにおいはもとから断てなんというのがあるからやっぱりあの例えだなと思いつつ今申し上げているんですが、一番もとの水がきれいになることが本当にこれはもう一番いいことであって、特に、途中で一遍汚れた水ですけれども責任を持ってきれいにしましたから皆さん安心して飲んでくださいと言われても、飲む側はそれほど気持ちのいいものではない。最初からきれいな水だったんですよと言われるにこしたことはない、こう思うものですから、次の質問をするわけですが、そうなるとやっぱり下水道整備というのが一番の柱になるんじゃないか、こう思います。  そこで建設省に、この法律案の中で下水道についてどのように考えておられるのか、まず一点お尋ねをいたします。  それから続けてもう一点、建設省と農林水産省にお尋ねをしておきます。  建設省の下水道農林水産省農業集落排水施設という、ちょっと見には似たような施設があって役所間の縄張り争いもないわけではないという話を聞いたりもしますが、これについてどのように整備を進めておられるのか。特に水源地における整備の仕方、両省にお尋ねをいたします。
  94. 倉林公夫

    説明員(倉林公夫君) ただいま先生のお話にもございましたおいしい水、安全な水の確保、こういった問題は河川管理や下水道整備を担当しております建設省にとりましても最重要課題であるというふうに考えておりまして、生活排水を浄化いたしまして水道水源を含めました公共用水域水質保全を図るためには、先生御指摘のように下水道整備が最重要課題であるというふうに認識しております。  ただ、下水道の処理人口普及率というのは、平成四年度末におきまして水源地域も含めてまだ四七%と非常に立ちおくれておりまして、このため政府においては、第七次下水道整備五カ年計画に基づきまして鋭意その整備を進めているところであります。  この法案におきましても、今申しましたように下水道整備水道原水水質保全に資する事業の中で最も重要かつ効果的なものであるというふうに位置づけられていると認識しておりまして、建設省といたしましても、本法案に基づきます都道府県計画水源地域で下水道事業が位置づけられました場合には、その推進に可能な限り協力してまいりたいというふうに考えております。  それから、いろんな事業があるというお話でございますが、建設省といたしましてもすべての地域下水道整備することというのはできない、適当でないというふうに考えておりまして、家が離れて立地しているような場合はパイプでつなぐよりも各家ごとに合併処理浄化槽というようなもので処理をしていくことが適当であるというふうに考えておりますし、農村部でも中小規模の集落ではやはり小規模分散型の農業集落排水事業が適しているのじゃないかというふうに考えております。  そういった観点から、お尋ねの下水道農業集落排水整備に当たりましては、原則として千人程度以下の規模のものについては農業集落排水、それ以上のものについてはまとめて下水道整備していこうというような原則で対応しておりまして、個別に各事業ごとに調整を行っているわけでございます。  さらにそういったものを進めまして、計画段階から維持管理まで見通した調整というのを進める必要があるんじゃないかということで、都道府県市町村と調整を図った上でそういった各事業整備区域、整備スケジュールなんかを定めます全県域汚水適正処理構想というようなものを建設省としては応援していきたいというふうに考えております。水源地におきましては、そういった調整をさらに効率的に進めていくことが重要ではないかというふうに考える次第であります。
  95. 橋本正

    説明員(橋本正君) 今建設省からお話がございましたけれども農業集落排水施設は、農業振興地域内におきまして処理水の農業用水としての再利用、それから汚泥の農地還元を図り農村地域に適した小規模分散型の汚水処理システムとして高い評価を得ているところでございます。  汚水処理施設の整備に当たりましては、個々の施設の機能、特性等を踏まえまして、関連する施策とも連携しつつ地域に最も適した施設で整備していくことが重要であろうかと考えております。つきましては、農業集落排水事業実施に当たりましては、地方公共団体の担当部局におきまして下水道との協議、調整を図りつつ総合的な効果発現に努めているところでございます。  本法案の対象地域であります水源地域は、都市と比べまして汚水処理施設の整備が著しくおくれている農山村地域に多く存在していると考えておりますので、農林水産省といたしましても、水源地域の公共用水域水質保全を図る観点に立ちまして、農業集落排水事業の積極的な推進に努めてまいりたいと考えております。
  96. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 どっちがいいとか悪いとかなんということを申し上げるつもりは全くございません。いずれも非常に重要な施設だと思っております。ぜひ関係省庁が連携して、こうした事業に積極的に取り組んでいただきたいということだけをお願いしておきます。  次に、合併処理浄化槽についてお尋ねをしたいと思っておったんですが、先ほどもうほとんど大島先生がお尋ねになりました。必死になって、私が尋ねたいと思っていることでお尋ねになってないものはないかと思ったんですが、その中で一つ残っておりました。  この整備について、さっき申し上げたように私は鹿児島の出身でありますので、鹿児島の例をとってどの程度整備されておるかということをお答えいただきたいと思います。
  97. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) お尋ねの鹿児島県におきましては、昭和六十二年度当初は実施市町村——昭和六十二年度はこの合併処理浄化槽に対する補助制度が初めてスタートした年でございますけれども、これはゼロであったものが、平成五年度は鹿児島県の全市町村の五五%に当たる五十三市町村がこの事業に取り組んでおります。近く新たに取り組みを予定している市町村を含めますと約七六%に達するのではないかと考えており、同県は比較的順調に事業を進めておられるというふうに理解しております。
  98. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 順調に頑張っておるということで私のナショナリズムを満足させていただきまして、大変ありがとうございます。  そこで、さっきの大島先生の御質問伺いながらどういう形で整備が進められていくかなというふうに聞いておったんですが、私の理解が間違っていたら御指摘いただきたいと思います。私が理解いたしましたのは、この設置はやっぱりあくまでも個人の意思にゆだねられておるのではないか、こういうふうに理解したわけであります。そうなると、個人の意思にゆだねられるということであれば果たして本当に十分な整備を進めていくことができるのかとついつい思ってしまうものですから、本法案の中ではこの問題に対してどのような対策を講じようとしておられるのか、具体的な対策があったらお尋ねをしておきます。  さらにもう一点あわせてお尋ねをしておきますが、合併処理浄化槽整備水道を所管する厚生省が担当しておるものでありますから、これは先ほど大臣から随分丁寧な御決意をお述べになったようでありますので、もうあれで十分だとおっしゃればあえて再びお尋ねいたしませんけれども、また何かつけ加えてお話しになることがあればお答えいただければと思います。あわせて二点お尋ねをしておきます。
  99. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 先生御指摘のようにこの合併処理浄化槽の設置は個人の意思に任されてきたものでございます。しかし、水源地においては個々の家庭が排出する生活排水水道水のもととなる河川等の水の主要な汚濁原因となっているということから、本法案では特に市町村が住民に対し合併処理浄化槽の設置に関し助言や勧告ができるという規定を設けているわけでございます。このような住民の方々の協力を得る前提といたしまして行政としては必要な対応がまず求められると考えられ、そのような観点から、この法案では市町村整備事業に対して国の補助に関する規定を設けたところでございます。
  100. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 先ほど建設省の方から御説明がございましたように、本来安全で良質な水を供給するための対策というのはたくさんあるわけでございますが、先生御指摘のようにその中でも下水道整備というのは非常に重要である。しかし、にもかかわりませず、現在の下水道整備の普及率は四七%にとどまっている。また地域等によりましては、そういうものをするよりももっと効率的なものもあるというお話がございましたとおりでございまして、それを補完していく重要な対策の一つが御指摘合併処理浄化槽整備であると考えておるわけでございます。  というのは、合併処理浄化槽というのは下水道整備費の大体三分の一ぐらいの経費でできます。つまり非常に安価であるということが一つ。それから、この設置が大体一週間ぐらいでできますので、早急な設置による効果というものが期待できる。そういう意味で、水道水源地域のような緊急かつ効率的な対策を講ずる必要がある区域におきましてはこれは極めて有効な対策である、こう考えている次第でございます。  そういう意味で、今回の平成六年度予算におきましてもこの予算の確保につきまして全力を尽くしまして、この対策を一つの柱としながら、安全で良質水道水確保のために担当行政省といたしまして努力を尽くしたいと思っている次第でございます。
  101. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 次に、河川管理者としてのお立場の建設省にお尋ねをしたいと思います。  従来私ども河川管理者という河川行政に携わっていただいておる皆さんにはとにもかくにも治水ということをお願いしてまいりました。特に、再三申し上げておりますように鹿児島でございますので、去年なども大変な水害がありまして、あんなことになるともうとにかくまずは治水をお願いしたくなるわけであります。しかし、今日のこういう水道水の問題なんかが出てきますと、水量の問題もありますけれども、やっぱり河川管理者として、流れる水の質、まさに水質についてもいろいろ御配慮をくださいということを申し上げなきゃならぬわけであります。ですから、今申し上げたようなことで今度は川の中を流れる水質についてどのような対策をしていこうと考えておられるのか、お尋ねをしてみたいと思います。  あわせてもう一点、具体的なことを申し上げるんですが、場所によっては川の中にというか、川から水道の水を取り出す取り出し口があります。もう一つは汚れた水が流れ込むものがあります。通常、当然上流の方から水道の水をとってその下流で汚れた水が流れ込む、こう思うんですが、これが場所によっては、変な話ですが逆さになっているところもないわけではないと聞いたりいたしますので、こんなことも申し上げて今後の対策についてお尋ねいたします。
  102. 尾田栄章

    説明員(尾田栄章君) ただいま先生御指摘のとおり、河川管理者といたしましても水量と水質の一体管理ということは大変重要な仕事の一つ、特に河川法の目的におきましても流水の正常な機能の維持ということが大きくうたわれておりまして、河川管理上最も重要な課題の一つと考えておるところでございます。  そのため、河川管理者といたしましても水質管理のため、先ほど来議論が出ておりますとおり、流域におきます下水道等の整備とあわせまして、河川の中での仕事といたしまして河川の直接浄化、これは礫間浄化ということで石の塊を詰めた層の間を河川水を通すということによりまして有機物なんかを直接除去しよう、こういうものでございますが、そういうもの、あるいはヘドロのしゅんせつ、浄化用水の導入あるいはダム貯水池の水質保全等々の事業を積極的に進めておるところでございます。  また、ダム事業そのものは、もちろん大きな目的の一つは下流の洪水被害を軽減するということではございますが、それとあわせまして河川の水量を確保いたしまして量と質の一体管理をする、こういう大きな機能も持っておるわけでございます。そういうものを総合的に対策を講じつつ、御指摘の水量と水質の一体管理ということの実を上げていきたいと考えておるところでございます。  また、水質面だけについて申しましても、全国の一級河川では平成四年につきまして千六十二地点で水質観測、水質調査を行っておりますし、一級河川のうち、平成五年度で申しますと六十五水系の百二十九地点におきまして直接水質の常時監視を行っておるところでございます。そういうことで流域の市町村の方々ともども必要な量、質の管理の実を上げたいと思っておるところでございます。  それから三点目、御指摘をいただきました水道水源の取水位置と排水口との関係でございますが、おっしゃいますとおり上流に上がりますとそれだけ水質面ではよくなるわけでございますが、一万水量の確保ということで申しますと逆に厳しいという面も出てくるわけでございまして、その辺のところを十分勘案しながら個別具体の状況に応じて適切に対処してまいっておるところでございます。また、特に大都市なんかで水道水源がとられておるその直上流に著しい汚濁をした支川が流入しておるというような場合には、その支川を下流につけかえるといいますか、場合によっては浄化をしながらつけかえるというような流水保全水路の整備というような事業も推進をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、この法の精神にのっとりまして積極的に河川管理者としても対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  103. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 おっしゃるとおりに個別に見ればいろんな事情があるんだと思いますが、とにかくおっしゃるような水量と水質の一体管理ということで御努力いただくようにお願い申し上げておきます。  そこで、いろんなことをやっていただきたいわけですが、そしておいしい水を飲みたいわけでありますが、いずれにいたしましてもそれをやるとすれば金がかかるわけであります。今私たちが端的に心配するのは、じゃ金のかかった分だけ水道料金が高くなるのかな、このことでございます。個人的に言わせていただけば、安全でおいしい水が飲めれば少々の、たくさんは困りますが、少々水道料金が上がるのはやむを得ないかと思ったりもいたしますが、いずれにしても、そもそも日本人は安全と水はただだと思っておりますから、ただのものが高くなるのはとんでもない話でございます。この辺についてどう見ておられるのか、お尋ねをします。
  104. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 水道事業者は、基本的には水道事業者の要請によって上流事業に機能を付加する特別の部分につきまして一定の費用負担を行うものでございまして、全体の事業費から見れば非常にごく一部であろうかと思われます。したがいまして、水道料金への影響も通常は軽微なものであろうと見込んでおります。  水道原水水質保全事業実施に要する費用の試算にはさまざまな方法がございますけれども、したがって一概には言えませんけれども、例えば処理人口三万人程度の下水道の終末処理場につきまして急速砂ろ過による高度処理施設を導入する場合、地元の負担は約二億円、この部分が水道事業者費用負担の対象となり得るわけでございます。仮に給水人口十万人程度の水道事業者がこの費用を全額負担すると仮定いたしますと、水道水一立方メートル当たり約一円十銭程度の水道料金に相当いたしまして、一カ月に二十立方メートルの水道水利用する標準的な家庭の場合の水道料金では月二十二円程度の負担であろう、こういうふうに試算されるわけでございます。  ちなみに、全国の水道料金の平均でございますけれども、一カ月二十立方メートルの平均が二千六百七十円ということになっておりますので、それの約一%程度であろう、これは一つの試算でございますけれども、こういうふうに考えられるわけでございます。
  105. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 月二十二円程度なら、それで安全でおいしい水が飲めるならと、こう思いますので、ぜひその辺に狂いのないように今後進めていっていただきたい、このように思います。  ところで、この本法案が適用される地域について今の段階で余り具体的にはお答えいただけないかとも思いますが、どのようなことを考えておられるか、お答えいただける範囲でお答えくださるようにお尋ねいたします。  それから、先ほど申し上げましたように環境庁からも法案提出されておりますが、これもどのような地域で適用されると考えておられるか。  以上二点お尋ねいたします。
  106. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 厚生省地域でございますけれどもトリハロメタンにつきましては、平成三年度のデータによりますと全国六十三の水道事業者水道水基準値の七割を超えるトリハロメタン検出されているわけでございます。こういうような問題が生じている地域の傾向といたしましては、特に人口の増加等に下水道の普及がいわば追いつかないなどによる未処理の生活雑排水による汚濁が進行しているケースが多くなっているわけでございます。  したがいまして、本法案はこのような地域で、水道事業者努力のみでは水道水水質問題を解決できない未処理の生活雑排水の問題が生じている地域などでの適用ということが考えられるわけでございますので、現時点で幾つということは言えませんけれども、その範囲内であろうということが一応想定されるわけでございます。
  107. 小島敏郎

    説明員小島敏郎君) 環境庁の方でございますけれども、特別措置法は主としてトリハロメタンに対する法律でございます。  これの要件は、一つは水道水質基準を超えるかまたは超えるおそれのあるところということでございますから、今厚生省の方がおっしゃいました六十三の事業体、これは二百五十万人の給水人口というふうに考えておりますが、まずこれがベースになります。もう一つの要件が、浄水場における対応では水道水質基準確保することが困難なところということでございますから、そこからさらに絞られてくる。三つ目の要件が、総合的な対策が必要な水域、これは六十三の事業体、二百五十万人の給水人口、こういうところを見てまいりますと、その発生源が専ら生活排水のところもございます。こういうところは総合的な対策ということが必要ないというふうに思っておりますので、工場、事業場等も含めた総合的な発生源があるというところに適用するということでございます。  その具体的な場所等は都道府県知事が判断をされますので現在申し上げられませんけれども検討の対象はその中の十数水域程度であろうというふうに考えております。
  108. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 いろいろお尋ねしてまいりましたけれども、こうした水道の水をきれいにしていくためには、本法案でねらっておるようないろんな事業を進めていくことと、環境庁のお立場である規制をするということとの両面があるんだろうと思いますし、これがうまくかみ合っていかなきゃできないんだろうと思います。  そこで最後に、役所の縦割りにとらわれずに総合的な対策を推進することが望まれると思いますので、ぜひこのような観点から大臣の御決意を伺って、私の質問を終わります。
  109. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 先ほど来御指摘をいただきましたような安全で良質水道水確保するためには広範な対策が必要でございます。したがいまして、今御指摘いただきましたように各省庁が文字どおり手を取り合いまして総合的に取り組んでいかなければならないと考えておりまして、そうでなければまた効果も発揮できない、こう考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、私どもの省のほかに農林水産省あるいは建設省の三省を主務官庁といたしまして、同一の基本方針のもとで各種の事業が効果的に遂行できるようにしなければならない、こう考えておりまして、実は農水省、建設省とも緊密な連携をとりながらこの立法も考えたのでございます。  また、今申し上げた事業促進だけでは十分ではなく、工場等についての排水規制も必要である場合におきましては、環境庁から提案されております特別措置法案による措置も適用されるようにするなど、両省庁の施策が組み合わさって水道原水水質保全に大きな効果が期待できるものと考えておりますので、御指摘のような各省庁の緊密な連携のもとに、縄張り争いではなくて国民のために協力してまいりたいと考えております。
  110. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 終わります。     —————————————
  111. 会田長栄

    委員長会田長栄君) 委員異動について御報告いたします。  本日、佐々木満君及び勝木健司君が委員辞任され、その補欠として斎藤文夫君及び寺崎昭久君が選任されました。     —————————————
  112. 西山登紀子

    西山登紀子君 水道水源は人の命と健康にとって欠くことのできない水の源でございますので、まず国の基本姿勢、現状認識について大臣にお伺いいたします。  私は京都の出身なんですけれども、京都は琵琶湖を直接の水源とする京都市、それからおいしい地下水水源とする地域など、比較的良質水道水源に恵まれたところでございます。しかし、その京都市でも夏になりますと決まって臭い水の問題が発生いたします。また、地下水にも最近トリクロロエチレンが検出される、あるいはゴルフ場の開発に伴って水源汚染問題に住民運動が盛んに起こってくる、こういうふうな状況になっております。  命の水、水道水をもっときれいでおいしく、そして安全でしかも安く求めたいというのが共通する住民の切実な願いになっていると思います。本法案もそのための一環であると思うわけですけれども、水の問題というのは当面のそういう要求にこたえるだけではなくて、将来にわたって水道水源そのものをきれいにして後の世代に引き継いでいく、こういった長期的な展望もまた必要であると考えております。  こういう点については大臣も御異論はなかろうかと思うわけですけれども、現在、水道の原水を取水する公共用水域などの水質保全関係法はたくさんあります。水質汚濁防止法あるいは農薬取締法河川法など直接かかわるものだけでも六本、関連法律を含めますと三十本近くあるわけなんです。ところが、残念ながら安全でおいしい水の供給ということができていなくて国民に重大な不安を与えていると思います。これは厚生省有識者懇談会報告書の資料を見ましても、例えば大阪府民の場合ですけれども、七〇%の方が水道水の不安を感じたことがあると答えているわけです。  私は、開発優先、産業の成長優先の余り、現行法活用だけでは深刻な水質汚染を食いとめることができなかったという結果ではないかと思いますけれども水道水につきましての国の基本姿勢と現状認識について大臣の御意見をお伺いいたします。
  113. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 私どもが若いころには、まさか水をボトルで買って飲もうなどということは夢にも思っていなかったのでございますが、今委員指摘のように、先ほど来御議論がございましたように、水道水については異臭味や合成洗剤の混入あるいは発がん性指摘されておりますトリハロメタン等々の新しい事態が出てきたのでございます。これは生活様式あるいは生活の質の変化あるいは産業の発展等々による新しい事態であると思っておりまして、そうした国民の信頼が失われつつある水道水を何とか信頼の持てる水道水に変えていかなければならぬ、これが私ども行政当局の責任であると思っておるわけでございます。  それらの点につきましては、これまで浄水場等における処理によりまして対応をしてまいったのでございますが、技術的な効果等の面で限界が起こってまいりまして、水道原水そのものをきれいにしなければ対応できないという事態が生まれてきたことは御案内のとおりでございます。  既存法制度、今御指摘がございましたように、広く見れば三十本ぐらいあるわけでございますが、この既存法律対応できないという分野が出てまいりましたのは、一つは生活排水を処理するための事業促進しないとやはりなかなか目的を達成できないという面と、もう一つはトリハロメタンに対する規制というものが重要になってきた。この二つの事項につきましては新たな法制度が必要であると考えまして、厚生省といたしましては今御審議いただいている法案提出させていただいたのでございます。  この法律案によりまして、下水道合併処理浄化槽及び河川浄化事業等実施が行われまして、特に浄水場取水口上流地域においてこれらの事業を精力的に積極的に推進したいと考えておるわけでございます。本法案に基づく事業をそういう形で推進することによりまして、何とか一刻も早く良質で安全な水を確保することに行政当局としての責任を果たしていきたい、こう考えておる次第でございます。
  114. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、安全で良質水道水確保するためには、水源にまでさかのぼった、しかも総合的な水道水源保全対策を盛り込んだ水道水源保全法というようなものが必要だったと思うんですけれども、今回二本という形で出てきております。  今、同僚委員からもいろいろ御質問がありましたけれども関係省庁がいろいろな省益優先とか縦割り行政、こういう弊害を排して一致協力して事に当たっていただきたいと思いますけれども、この点についての大臣の御所見をお伺いします。
  115. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) 御指摘のとおりでございまして、国民のための良質で安全な水道水確保でございますから、それが各省庁の縦割り行政によって阻害されるということがあってはならないと思っております。先ほどの御指摘にもお答え申し上げましたように、特に事業面では、建設省や農林水産省厚生省が一体になりまして同一の基本方針に基づいて総合的な事業実施されるように努力いたしますとともに、規制面におきましては、環境庁から提案されているものと一体になりまして我々としては良質で安全な水道水確保するために努力を尽くしたい。  つまり、まさに今、各省庁がそれぞれの立場に固執せずに国民の立場に立って総合的な水道水対策というものを確立し実施すべきときが来た、こう考えておりまして、御期待にこたえるように努力をさせていただきたいと思っております。
  116. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、この法案の基本の問題についてお聞きしたいと思いますが、水質に関して一番心配するのは国民でありますけれども、何といっても水道事業者だと思います。水質基準を守る義務があるからなんですが、この事業者の皆さんの声を反映してこの法案ができたと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  117. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 本法案は、水道水源水質保全に関する有識者懇談会生活環境審議会水道部会の御検討を踏まえているわけでございますけれども、これら委員会には水道事業体や水道事業体で構成している社団法人日本水道協会からも委員として参加していただいております。  また、水道事業者都道府県水道行政担当部局などの意見については、直接または水道事業者の団体を通じることなどにより十分聴取しながら取りまとめていったところでございます。  さらに、水道事業者の団体や水道労働団体からは、本法案の早期制定についての要望を多数いただいているところでございます。
  118. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本水道協会という組織がありますが、厚生省の懇談会の報告に沿ってこの法案を作成してほしいという要望を出されているわけです。  この懇談会報告は、例えば上流域の水道水源水質保全対策としては、「ゴルフ場や廃棄物の処理施設等の設置を含む開発行為について、所要の規制措置が講じられるような途を開くことも必要である。」、こういう提言をしていらっしゃいます。さらに、その水道水源周辺の一定地域の工場排水農薬使用についても一定の規制的な措置も必要だと、こういうふうに切実に要望をされているわけですけれども、要はもとからきれいにしてほしいということだと思います。  この厚生省案には残念ながらこの点が落ちているのではないかと思いますが、どうしてお入れにならなかったのか、あるいはこの点も視野に入れて行政的に進められるのかどうか、お聞きをいたします。
  119. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 水道原水水質保全するための方策には、水質汚濁防止法農薬取締法、廃棄物処理法等の既存法制度によるものと、新たな法制度を必要とするものがございます。農薬規制や廃棄物処理施設の設置に係る規制につきましては、既存法制度による対応を図ることが適当であると考えたものでございます。本法案は、生活環境審議会水道部会におきまして御審議いただいた結果を受けまして、既存法制度では十分に対応できない対策を進めるための新たな法制度について取りまとめたものでございます。  厚生省といたしましては、水道原水水質保全に資する事業実施促進を図るとともに、既存法制度による規制等が十分行われるよう関係方面に働きかける等によりまして、水道水水質問題が生じないよう今後も努めてまいりたいと思っております。
  120. 西山登紀子

    西山登紀子君 既存法律ということなんですけれども、そういう既存法律では限界に達しているというのが現状ではないかと思います。また、そういう業者の要望にもこたえながら地方自治体ではそういう面の規制内容とした水道水源保全条例など工夫をしているところが出ているわけですから、私は、今度の有識者懇談会の提言の方向での国の努力、こういった点もやはり必要ではないかというふうに思っております。  次に、水質の検査体制についてお聞きいたしますが、水道水の安全確保のためには水質検査体制の確立と整備、これが不可欠ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  121. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 先生の仰せのとおりだと存じます。
  122. 西山登紀子

    西山登紀子君 ところが、現状は非常にお寒い状況なわけです。  日本水道協会が平成三年度末に水道水質管理状況調査というのを実施されています。これはA、B、C、D、四つのランクに分けて調査をしておられるんですが、AとBというのは二十六項目です。Cはトリハロメタン、トリクロロエチレンなどに係る検査。Dというのはゴルフ場使用農薬に係る検査なんですけれども、このD、水道用水供給事業者七十六事業者中六十一事業者、八〇・三%しか検査をしておりません。上水道事業者千九百五十事業者中千百三十五事業者で、五八・二%しか検査されていない。これは自己検査のみではなくて共同検査や委託検査を含めての数値です。簡易水道に至っては一万百八十二事業者中五千百九十四事業者、五一・〇%しか検査ができていないわけです。  水質検査をせずに水道供給しているという実態は私は非常に驚くべきことではないかと思うんですけれども水質基準強化拡大をされた現在、この点をどのように改善されるのか、お聞きいたします。
  123. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 安全で良質水道水供給するには水質検査は不可欠でございます。このための水質検査体制を確立することが重要であろうかと存じます。  新しい水質基準が施行されました平成五年十二月時点では、自己検査及び厚生大臣指定する検査機関等公的な検査機関への委託により必要な検査は実施されている状況にございます。
  124. 西山登紀子

    西山登紀子君 私が問題にいたしましたD、ゴルフ場使用農薬などの検査は五一・〇%というようなことでありまして、ゴルフ場問題は一九九一年度に第三次のピークというようなことでかなり以前から問題になっているわけですけれども、そういう実態があったということ、これは非常に重大だと思います。改善を要望したいと思います。  次に、厚生省は平成四年十二月、都道府県知事あてに「水道水質に関する基準の制定について」という通知を出しておられますが、これによりますと、検査体制の整備に関して「検査機器の整備を行う等、水質検査の実施体制の整備につき必要な措置を講じられたいこと。」として、水道整備課長通知でこういうふうに指示をしていらっしゃるわけです。「水道事業者等は、原則として水質検査を行うために必要な検査施設を自ら設置しなければならないものであること。」、これは「原則として」、こういうふうになっているわけですが、こういう点は非常に大事な点だと思いますけれども、どうでしょうか。
  125. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 新たに水道水質基準に関する省令が平成四年十二月に公布されたことに伴いまして、新しい水道水質基準を施行する際の指導上の留意事項につきまして各都道府県に対する通知を行っております。この通知におきましては、水質検査については水道事業者等がみずから行うことを原則としつつ、地方公共団体の検査機関や厚生大臣指定指定検査機関も一定の役割を果たしていくことを前提としているわけでございます。  今後、都道府県が策定している水道水質管理計画に基づきまして自己検査体制の整備を一層推進していくこととしておりますが、新しい水質基準に基づく水質検査を行うためには高度な検査機器や技術が必要となるほか、原水水質を体系的かつ組織的に監視する必要があることから、中小規模の水道事業者が共同で検査する体制につきましても計画的に推進をすることとしておるわけでございます。  厚生省としては、これら水質検査体制の整備を進めるため、水道事業者が共同で整備する水質検査施設に対する国庫補助の拡充等につきましても努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  126. 西山登紀子

    西山登紀子君 今、共同検査体制というふうに言われたわけですけれども、この厚生省の通知は原則として必要な検査施設をみずから設置するということを第一番目に掲げられているわけであります。この自己検査体制は非常に重要だと私は思います。  現状はどうかということで先ほどの調査で見てみますと、水道用水供給事業者数七十六事業者のうちいわゆるC、トリハロメタン、トリクロロエチレンなどに係る検査の自己検査ができるものは五一・三%、先ほどのD、ゴルフ場農薬などの検査ができるのは一八・四%であるわけです。また、上水道事業者千九百五十事業者のうちCの自己検査ができるものは百四十六事業者、七・五%、Dの自己検査ができるのは二・一%、これしか自己検査ができないわけなんですね。厚生省からいただいた資料を見ましても、新しい基準の四十六項目が検査可能なのは百四事業者しかありません。  厚生省は、給水人口十万人以上はすべて自己検査ができる体制の整備を目標にされているということをお聞きしましたけれども、この基準で見ましても、人口十万人以上の事業者は百八十九、それに用水供給事業者七十六を加えて二百六十五の事業者のうち百四事業者、これが三九%に当たるわけですけれども、この三九%の事業者しか新しい基準の四十六項目を自己検査できないという現状にあるのではないでしょうか。  これで検査体制が十分かというと私はそうではないだろうと思いますので、この点早急に整備する必要をどのようにお考えでしょうか。
  127. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 水道水質基準の全項目について検査できる能力があることというのは望ましいわけでございますけれども現状ではそれを原則としつつ、先ほどのように地方自治体の検査機関等に委託するということが必要な段階であろうかと思います。  したがいまして、都道府県水質管理計画を策定し、検査のできる事業者等の機能を最大限に活用するようにしていること、あるいは水道事業者水道原水水質が正常であれば適宜水質検査頻度を少なくすることができるものであり、これにより水道事業体によっては全項目検査を年間に一回行えば十分であるというようなことなどによりまして、必要とされる検体数に対応できる状況をつくってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  128. 西山登紀子

    西山登紀子君 懇談会の報告は、この検査の体制についても「今後の検討課題」としてこのように指摘をしております。   水道水原の水質監視については、現在、関係各行政がまちまちの方法で測定し所有している水質データを相互に交換し、総合的に評価した上で、対策に結び付けるシステムをつくるためにはどうすればよいか。また、水系や地域を単位とする総合的な監視体制や連絡体制の整備を進めていく必要があるが、そうしたシステムはどうあるべきか。 というふうなことで検討課題を提起しているんですが、これは重要な指摘だと思うんですけれども検討されますでしょうか。
  129. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) ただいま御指摘有識者懇談会報告書の中にある「今後の検討課題」についてでございますけれども、問題の性質上直ちに施策に移すことは困難であるものの、今後引き続き検討すべきものとして掲げられているものでございます。  厚生省としては、まず新しい法律の施行に伴う対策の具体化が緊急の課題であると考えておりますが、報告書の中で今後の検討課題とされている水系や地域を単位とする総合的な監視体制や連絡体制のシステムのあり方についても、今後必要な検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  130. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、この法案の第四条ですが、水道事業者の要請があってということになっているんですが、この水の問題というのは非常に重要な問題でもありますし、水道事業者の要請があって対策を立てるというふうなことでは非常に不十分でありまして、私はもっと積極的に行政的に動く必要があるんじゃないかというふうに思っております。  日本水道協会の「汚染事例の紹介」というのが平成五年四月二日発表になっておりますが、過去十年間、現在も継続している汚染事例を含めまして百三十八例あります。かなりの事故でありまして、取水停止も起こっております。  その原因を見てみますと、汚染原因というのははっきりしております用地域も場所もそれからその本体もはっきりしているわけですね。工場だとかゴルフ場だとか下水・し尿処理場だとか鉱山だとか、そういう原因がはっきりしているし地域もはっきりしている。取水口から五キロ以内あるいは十五から二十キロ以内も二・九%ほどあるわけなんです。  このように場所もはっきりしているし汚染原因もはっきりしているわけですから、行政が水道事業者の申請がなくてももっと先手を打った水道水源保全するという事業をやる必要があるんじゃないか、この点についてお聞きをいたします。
  131. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 下水道合併処理浄化槽整備あるいは河川事業等は水道原水水質保全に効果がある事業でございますけれども、それぞれの事業目的に応じて推進され、公共用水域水質保全が図られるべきことは当然のことと考えているところでございます。  個々の事業実施のみを待っていては、水道原水水質汚濁の進行により水道事業者努力のみによっては水道水質基準確保が困難となるおそれが生じている場合もあることから、本法案では、特に水道事業者の要請に基づき、取水口上流地域で具体的な事業実施を各種の促進措置によって集中的、計画的に促進しようというふうにしているものでございます。
  132. 西山登紀子

    西山登紀子君 ぜひ水道事業者の要請待ちにならないようにということを再度お願いいたしまして、次の質問なんですけれども、今度この法案では申請する水道事業者も負担を持つというふうになっておりますが、この法律を有効的に働かせるためには二つの問題が大事ではないかと思っております。  一つは、さきの日本水道協会の「汚染事例の紹介」によりますと、この水道水源水質保全に係る水道事業者の要望が国、都道府県等に対しては二百九十件あったわけですが、そのうち解決したもの、対応が講じられたものは四六・二%で半分以下なわけです。あとは未解決になっています。それでは要望しても解決しないというようなことになりまして不信感が拡大をし、要請しにくくなるのではないかと思いますので、こういった面で水道事業者とそれから要望される側の信頼関係というものをつくるのが非常に大事だと思います点と、もう一つは、やっぱり費用の面で水道事業者に過大な負担が及ばないような配慮が必要ではないかと思いますけれども、この点についていかがですか。
  133. 柳澤健一郎

    政府委員柳澤健一郎君) 水道事業者の要請や都道府県計画等の策定が円滑に行われることとなるように、基本方針の周知徹底等に万全を期してまいりたいと存じます。
  134. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に、大臣にお伺いしたいわけですけれども水質関係法律が三十本近くあっても水道水に対する国民の不信が大きくなってきている。その上、新しい法律が二本制定されましても信頼の回復が十分できないということにしてはならないというふうに思います。  私は、この二つの法律は不十分な点もありますけれども運用次第では水道水源水質保全が改善される、そういう可能性もあるというふうに思いますので賛成でございますが、この運用次第という面もございますので、大臣にその点の決意をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  135. 大内啓伍

    国務大臣大内啓伍君) ただいまの御指摘のとおりであると思っております。制度的な枠組みができましても、その運用がスムーズに行われなければその目的を達成することはできません。  特に今回の法律は、第四条によりまして、水道事業者からの要請があり、それを受けて地方自治体が計画を立て、そして今度は実施主体がこれを実施する。その場合には、先ほどの御指摘のように各省庁がばらばらでやったのでは効果が上がらないという問題もございまして、それらの点が一つ一つのところでちゅうちょされたりとどまってしまったりいたしますとこの法律の目的を達成することはできません。  したがいまして、厚生省といたしましては、この法律案の中身が確実に施行されますように各面における指導体制を強化してまいりたい、それによって委員指摘の諸点について御期待にこたえるような結果を出したい、こう思っている次第でございます。
  136. 会田長栄

    委員長会田長栄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。  水道原水水質保全事業実施促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  137. 会田長栄

    委員長会田長栄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 会田長栄

    委員長会田長栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会      —————・—————