○立木洋君 そうですね。
これは大変な問題なんですよ。核不拡散、つまり核兵器が拡散しないように防止する、予防するというアメリカの基本的なこれまでの
対応というのは、非軍事的な
措置で
対応するというのが基本だったんですよ。この拡散対抗構想というのは、非軍事的な
措置では不十分だから軍事的な
措置で
対応するというふうに決めたのがこの拡散対抗構想なんですよ。極めて重大な問題なんです。
これは、去年、アスピン長官がこの問題について詳しく何回か説明していますよ、NATOの国防相
会議に出る前の演説だとか、それから科学アカデミーにおける十二月七日のアスピン長官の演説だとか。
その最も典型的なものを、若干特徴的な点を言いますと、
一つは、核不拡散のために軍事的な、攻撃的な
立場をとるということをアメリカが決定したことです。これが第一です。
第二には、核兵器を新たに持とうとすることはアメリカに対する脅威だと。アスピン長官の発言を引用しますと、彼らは、つまり核兵器を開発しようとする彼らですね、彼らはまだ核兵器を持っていないかもしれないし、もし持ったとしてもそれを使わないかもしれないが、米軍が脅威にさらされることを想定しなければならなくなるだろう、脅威は現実であると。いいですか、つまり、疑惑であっても、核兵器が持たれているかどうかわからない、また使わないかもしれないけれどもアメリカの脅威だと。つまり大変な過剰反応ですよ。それに武力で攻撃すると言うんです、反応すると言うんです。これが二つ目です。だから、
先ほどあなたが言われた、一発か二発かとそれが想定されても、持っているかどうかまだわからない、だけどやっぱり制裁の問題を
考えているんです。
三つ目の点、これについて新しい兵器の開発が必要だ。核兵器が開発されているかどうかそれをスパイする設備だとかそういう機材を開発せぬといかぬ。それからまた、どういうところにあろうとも核兵器の開発を未然に破壊するそういう新たな武器を持たなければならない。これが三つ目の特徴です。
最後には何か。核兵器の使用さえ認めている。アスピン長官は、こう言っているんです。この新しい核の脅威は新しい核の
対応を必要としている、それは以前の
対応のものとは全く異なったものだということまで述べているわけです。これらの問題は、今直ちにアメリカがやるということじゃないんです。しかし、こういう構想をアメリカが持っているということですね。
これに基づいて、アメリカの議会
調査局の報告「一九九四年の朝鮮危機――軍事地理、軍事均衡、軍事選択」、一九九四年四月十一日に出された報告によりますと、この朝鮮に対する選択肢が八つあるんですね。第一には、うまくいって米軍が南朝鮮から撤退する。撤退です。第二が、軍事的現状を維持する。第三番目が、抑止と防衛態勢の改善を図るということです。四つ目以降から、前進防衛の実施、五つ目が
北朝鮮の封鎖、六つ目が敵の核施設の破壊、七つ目が先制攻撃の実施、最後が核兵器の使用ですよ。これは
国連において、いわゆる原発の施設に対する攻撃はやっぱり控えるべきだ、やってはならない、重大なことになるからというふうなことで何回か決議された内容もあるわけですね。
そうしますと、このような大変な
事態を想定されて、既にアメリカ自身がそういう計画を持って、
日本に対してもそういうことが説明されて、それにもかかわらず、そういう問題については一切明らかにしないで、そしてアメリカとはまた制裁などの問題については一切話し合いをしていませんというのは私はいただけない、これは重大な問題があるわけですから。
そこで、私はお尋ねしたいのは、この構想をアメリカは昨年の十月二十日にNATOの国防相
会議で提起をしました。提起した結果、NATOではこのアメリカの拡散対抗構想にどういう結論を出したんでしょうか。述べていただきたい。