○
政府委員(
星野行男君) それでは、
中華航空機事故につきましての経過報告を申し述べさせていただきます。
去る四月二十六日に発生いたしました
中華航空機事故につきましては、
皆様御承知のとおり、死亡者が二百六十四名に上るまことに痛ましい
事故と相なりました。この場をおかりいたしまして、改めて亡くなられた
方々に心より哀悼の意を表しますとともに、御遺族の
方々に対しましては心よりお悔やみを申し上げる次第でございます。また、加療中の
方々に対しましても、一日も早い御
回復を願うものでございます。
政府といたしましては、さきに本
委員会において御報告申し上げましたとおり、
事故発生後、
運輸本省に
運輸大臣を長とする
事故対策本部を、総理府に
運輸大臣を本部長とする
中華航空機事故対策本部を設置するとともに、前
運輸大臣も現地を訪問するなど、速やかな対応をとったところでございます。
また、
事故発生時の救命救助につきましては、消防、自衛隊、警察等の関係機関に直ちに出動していただき、多大な御
努力をいただいたところであり、ここに重ねて
関係者の
方々に御礼を申し上げる次第でございます。
また、現
大臣も五月六日に現地に向かい、直接
事故の実情を把握するとともに、御苦労いただきました関係方面の代表の
方々にお礼を申し上げた次第でございます。
さて、
事故原因の究明についてでございますが、
航空事故調査委員会では、
事故直後から
調査官を派遣いたしまして、
事故に至るまでの
航空機の機体及びエンジンの
状況、
事故時の気象の
状況、
事故現場における
航空機の破損の
状況、
航空機の痕跡等について精力的な
調査を続け、去る五月十日にこれまでの
調査結果の経過報告を行いました。この報告は
事故原因を特定するものではございませんが、操縦室用音声記録装置、飛行記録装置等の解析結果といたしまして、
事故機は着陸進入中機首が急激な上向きの角度となり、失速し墜落に至った
過程を公表するとともに、このような
過程を生じる可能性のある操縦操作上のシナリオの一つ等を明らかにいたしたものでございます。
これを受けまして
航空局は、
事故機と同型の
航空機を使用する日本エア
システム社に対し
所要の安全
指導を行うとともに、関係機関を通じて、台湾
航空当局より
中華航空に対しましても
所要の
指導を行うよう
要請をいたしたところであります。
また、五月十二日、フランス
航空当局から、在来型のA30〇型機の一部についても類似の特性を有する自動操縦
システムが装備されている旨の連絡がありましたため、
航空局では同日、日本エア
システム社及び台湾
航空当局に対しまして、追加して同様の
措置を講じたところであります。
さらに、昨日、
航空事故調査委員会から、
事故機を操縦していた機長及び副操縦士の遺体からアルコールが検出されたことが伝えられたため、
事故原因との関連は明らかにされていないものの、酒精飲料等の影響下における
航空機の操縦を禁止している
航空法の規定を踏まえ、その趣旨の徹底を図るよう、
我が国定期
航空運送
事業者等に対し
指導を行うとともに、その旨台湾当局に対し関係機関を通じて通報を行ったところであります。
今後は、さらなる
事故原因の究明を進めるため、
航空事故調査委員会において、操縦士の操縦操作、
航空機及び搭載機器の機能等のすべての面にわたりまして
調査及び解析を進めることといたしており、また
航空局におきましてもそれに応じて必要な
措置をとってまいりたいと考えております。
次に、補償問題等の被災者
対策につきましては、
中華航空と遺族との間で話し合いが行われることになると思いますので、当面、
中華航空の誠意ある対応を見守りたいと思います。
運輸省といたしましても、必要がありますれば適切な
支援を行ってまいりたいと考えております。
以上、今回の
中華航空機事故につきまして御報告を申し上げましたが、
航空機事故というものは一たび発生いたしまするとまさしく大変な事態を引き起こすものであり、
運輸省の使命は安全の
確保であること、二度とこのような
事故を引き起こすことのないよう安全には万全を尽くさなければならないということを改めて深く認識しているところであります。
このような観点から、今後とも
事故原因究明及び再発の
防止等につきまして万全を期してまいりますので、何とぞよろしく
お願いを申し上げる次第でございます。
以上でございます。