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1994-06-07 第129回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成六年六月一日(水曜日)委員会に おいて、設置することに決した。 六月六日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       中川 秀直君    中山 太郎君       川端 達夫君    長浜 博行君       細川 律夫君    穀田 恵二君 六月六日  長浜博行君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 平成六年六月七日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員   主 査 長浜 博行君       斉藤斗志二君    中川 秀直君       中山 太郎君    海江田万里君       川端 達夫君    豊田潤多郎君       西川太一郎君    岩田 順介君       畠山健治郎君    細川 律夫君       穀田 恵二君    兼務 栗原 博久君 兼務 今村  修君    兼務 長内 順一君 兼務 枝野 幸男君  出席国務大臣         通商産業大臣  畑 英次郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      寺澤 芳男君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房長     涌井 洋治君         経済企画庁調整         局長      小林  惇君         経済企画庁国民         生活局長    坂本 導聰君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         経済企画庁総合         計画局長    吉川  淳君         経済企画庁調査         局長      土志田征一君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       清川 佑二君         通商産業大臣官         房審議官    稲川 泰弘君         通商産業省環境         立地局長    高島  章君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         通商産業省生活         産業局長    土居 征夫君         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         資源エネルギー         庁石炭部長   市川  南君         中小企業庁長官 長田 英機君         中小企業庁計画         部長      村田 成二君         中小企業庁小規         模企業部長   山田  豊君  分科員外出席者         経済企画庁調整         局調整課長   野村  誠君         環境庁企画調整         局企画調整課環         境保全活動推進         室長      小沢 典夫君         国土庁地方振興         局東北開発室長 高津 定弘君         大蔵省主計局主         計官      金田 勝年君         大蔵省主計局主         計官      藤井 秀人君         文化庁文化部著         作権課長    梶野 愼一君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 六月七日  辞任         補欠選任   中山 太郎君     斉藤斗志二君   川端 達夫君     豊田潤多郎君   細川 律夫君     岩田 順介君   穀田 恵二君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   斉藤斗志二君     中山 太郎君   豊田潤多郎君     藤村  修君   岩田 順介君     畠山健治郎君   寺前  巖君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   藤村  修君     海江田万里君   畠山健治郎君     細川 律夫君   矢島 恒夫君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     西川太一郎君 同日  辞任         補欠選任   西川太一郎君     川端 達夫君 同日  第一分科員枝野幸男君、第二分科員長内順一  君、第五分科員栗原博久君及び今村修君が本分  科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成六年度一般会計予算  平成六年度特別会計予算  平成六年度政府関係機関予算  〔総理府経済企画庁)及び通商産業省所管〕      ――――◇―――――
  2. 長浜博行

    長浜主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府所管経済企画庁並び通商産業省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算及び平成六年度政府関係機関予算通商産業省所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。畑通商産業大臣
  3. 畑英次郎

    畑国務大臣 平成六年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  我が国経済は、ストック調整長期化、中長期的な不透明感閉塞感から、景気は依然厳しい状況が続いておりますが、最近、一部に明るい動きが見られ始めており、景気最悪期を脱しつつあるものと期待をいたしております。  一方、世界経済先進諸国経済回復兆し等明るい展開が生じつつありますが、欧米での深刻な失業問題を背景として各国において国内経済優先動きが強まりつつある状況のもと、我が国市場閉鎖性指摘する声が根強く見られます。  我が国としては、できるだけ早い時期に景気を本格的な回復軌道に乗せ、我が国経済を安定的、持続的な成長軌道に戻していくとともに、経済改革の一層の推進を図り、来るべき高齢化社会の到来に向けて、中長期的に活力のある豊かさに満ちた経済社会構築することが必要不可欠であります。  また、顕在化しつつある地球環境問題、冷戦構造終結後の安全保障等、グローバルな課題への責任ある対応主体的役割を果たすことが一層重要となっております。  私は、このような認識のもとに、平成六年度の通商産業省関係予算等の作成に当たり、次のような基本方針に沿って、諸施策実現を図ることとした次第であります。  第一は、「創造的革新に向けた構造調整支援」として、新たな事業展開への支援中小企業対策繊維産業対策等推進するとともに、「将来の発展基盤整備」として、情報化推進技術研究開発基盤強化を行うものであります。  第二は、「国際協調型分業構造構築」として、輸入促進途上国等支援等推進するとともに、「地球的課題に対する責任ある対応」として、旧ソ連東欧支援エネルギー環境国際協力等推進するものであります。  第三は、「環境調和型経済社会構築」として、省資源・再資源化対策等推進するとともに、「総合的エネルギー政策の新展開」として、安定的かつ柔軟なエネルギー供給体制構築等を行うものであります。  第四は、「ゆとりと豊かさを実感できる生活実現」として、総合製品安全対策高齢化社会への対応等推進するものであります。  この結果、一般会計は、八千九百八十六億三千七百万円を計上しております。特別会計につきましては、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計六千八百四十五億七千三百万円、電源開発促進対策特別会計四千百六十二億五千四百万円、特許特別会計七百五十三億四千万円等、当省所管の五つの特別会計にそれぞれ所要予算額を計上しているところであります。また、財政投融資計画につきましては、財投規模べスで九兆九千五百七十八億円を計上しております。  以上、平成六年度における通商産業省関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。  通商産業省関係予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと思います。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  以上でございます。
  4. 長浜博行

    長浜主査 この際、お諮りいたします。  ただいま畑通商産業大臣から申し出がありました通商産業省関係予算重点事項説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 長浜博行

    長浜主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――    平成六年度通商産業省関係予算及び財政投融資計画について  平成六年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  まず、平成六年度における通商産業省一般会計予定経費要求額は、八千九百八十六億三千七百万円であり、前年度当初予算額八千八百九億七千七百万円に対し、百七十六億六千万円、二・〇%の増加となっております。  財政投融資計画は、財投規模ベースで九兆九千五百七十八億円と前年度当初計画額九兆四千四百四十四億円に対し、五・四%の増加となっております。なお、この中には産業投資特別会計からの出融資四百十六億円が含まれております。  次に、重点事項別に、予算及び財政投融資計画概要につき御説明申し上げます。  第一の柱は、「創造的革新に向けた構造調整支援と将来の発展基盤整備」であります。  我が国経済は、一部に明るい動きが見られ始めているものの、依然として厳しい状況が続いている中、特に経済の中長期的な不透明感閉塞感を打破し、できるだけ早い時期に我が国経済を安定的、持続的な成長軌道に戻していくとともに、経済改革の一層の推進を図り、中長期的に活力ある豊かさに満ちた経済社会構築することが必要不可欠となっております。  このような状況の下、まず第一に、中小企業を始め、意欲ある事業者による現状打破を目指す試みや構造的な環境変化を克服して活力維持強化するための事業活動技術開発を加速する必要があります。  そこで、新たな事業展開に向けた構造調整支援のため、新規分野を開拓するための独創的な技術開発を行う中小中堅企業支援新規予算二億五千万円等を計上しております。  また、中小企業対策を強力に推進するため、平成六年度中小企業対策予算として、前年度比九十九億円増の総額二千百四十六億円(他省庁計上分五百九十億円、一般財源化分二百三十七億円を含む。)を計上しております。  具体的には、中小企業新分野進出等事業費補助金創設のための新規予算二億五千三百万円を始めとして中小企業構造調整支援に二十二億六千四百万円、小規模企業対策推進のため六百三十九億五千百万円一商工会・商工会議所経営指導員に係る人件費等の一部の一般財源化分二百三十七億円を含む。一を計上するとともに、中小企業事業団の高度化事業強化のための出資二十億円等による中小企業経営基盤強化商店街空き店舗対策等を実施するための予算九億八百万円等による中小企業活性化支援推進を図ることとしております。さらに、政府系中小企業金融機関についても、所要貸付規模確保し、中小企業金融の一層の円滑化を図ることとしております。  また、繊維産業について、情報化対策等による構造改善推進するため、四億六千九百万円を計上しております。  第二に、創造的革新基盤となる情報化持続的発展基盤の根幹をなす研究開発といった、広い意味の社会資本整備を加速し、将来の経済発展基盤整備することが必要であります。  このため、具体的には、映像情報化社会実現のための基盤強化に十三億七千九百万円、新情報処理技術開発に四十九億八千六百万円、情報処理振興事業協会高度プログラム安定供給事業等産業投資特別会計からの出資四十三億円を計上することにより、情報化投資促進情報産業構造改革情報処理技術フロンティア拡大を図ることとしております。  また、基礎的独創的な研究開発又は社会的使命に応える研究開発を強力に実施するため、先導研究等内容とする産業科学技術研究開発制度を総合的に推進するための予算二百三十五億八千四百万円等を計上しており、一般会計における平成六年度科学技術振興費は、前年度当初予算に対し一・九%の増加となる総額六百億円を計上しております。また、基盤技術研究センター事業推進するため産業投資特別会計において二百六十億円の出融資を予定しており、これらの予算等により、研究体制整備研究開発推進包括的国際研究協力推進を図ることとしております。  なお、工業所有権行政を積極的に展開するため、ペーパーレス計画の着実な推進等審査処理促進施策の充実に三百二十六億九千二百万円計上する等、特許特別会計歳出予定額として七百五十三億四千万円を計上しております。  第二の柱は、「国際協調型分業構造構築地球的課題に対する責任ある対応」であります。  まず第一に、欧米での深刻な失業問題を背景として各国において国内経済優先動きが強まりつつある一方、我が国経常収支黒字が拡大している状況の中、自由貿易体制維持強化するとともに、調和ある対外経済関係構築することが必要であります。  このような観点から、輸入拡大等市場アクセス改善のため、輸入促進地域に対する支援に六億五千万円、政府調達公告のデータベース構築新規七千三百万円を計上するとともに、途上国等支援及び先進国との産業協力資金協力技術協力のため、途上国裾野産業(サポーティング・インダストリー)育成に十億七千五百万円、日米等産業基盤技術研究協力プログラム創設新規二億五千百万円、小型民間輸送機(YSX)の開発に向けた調査等推進に十二億三百万円、貿易保険特別会計への繰入れに二百四十二億五千万円、ODA予算総額四百八十五億六千五百万円等を計上しております。  第二に、国際社会に占める我が国の立場にかんがみ、ロシア等市場経済移行諸国支援や、安全保障、地球環境問題、技術人口等地球的課題に関する国際的な取組みについて、我が国が積極的・主体的な役割を果たす必要があります。  このため、旧ソ連東欧に対する市場経済化民主化支援のため、企業リストラプランの策定を内容とする企業改革等技術的支援の拡充に五億六千二百万円、不拡散型輸出管理による安全保障輸出管理体制構築に五億四千五百万円、化学兵器禁止条約の円滑な実施に二億四千六百万円を計上しております。また、エネルギー環境国際協力推進のため、TREE(国際共同研究開発)構想の推進に一億六千五百万円、グリーン・エイド・プランの推進に百四十億一千八百万円、国際環境アドバイザー制度創設新規二千百万円等を計上しております。  第三の柱は、「環境調和型経済社会構築総合的エネルギー政策の新展開」であります。  第一に、地球環境問題の顕在化や都市型・生活型環境問題の深刻化対応するため、社会的に有効なメカニズムを構築していくとともに、事業者の自主的・積極的行動促進していくことが必要であります。  このため、省資源・再資源化対策推進に二十八億三千二百万円、企業活動への環境配慮組み込み促進に八千万円、オゾン層保護対策総合的推進に五億一千八百万円、化学物質自主的安全管理推進に一億一千四百万円を計上しております。  第二に、中長期的に内外エネルギー情勢緊迫化が予想される中で、需給両面において、エネルギー政策の新展開を図るため、①新たなエネルギーセキュリティ確保、②新エネルギー開発導入省エネルギー対策推進③電源立地総合的推進、原子力・水力・地熱の開発導入推進④エネルギー政策国際的展開促進する必要があります。  このため、エネルギー関係特別会計予算として、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計については総額六千八百四十五億七千三百万円、電源開発促進対策特別会計については総額四千百六十二億五千四百万円を計上しております。  具体的には、まず、新たなエネルギーセキュリティ確保のため、石油公団による天然ガス開発段階への出資に十二億円、LPG国家備蓄推進に十一億円を計上するとともに、石油備蓄推進に三千四百十三億四千七百万円を計上しております。  次に、新エネルギー開発導入等のため、住宅用太陽光発電システム普及促進新規二十億三千三百万円、クリーンエネルギー自動車普及促進に二十億一千六百万円等を計上しております。  また、電源立地総合的推進のため、要対策重要電源立地推進対策交付金創設等に十七億四千五百万円等、エネルギー政策国際的展開のため、発展途上国における省エネルギー対策促進に四十九億七千万円等を計上しております。  第四の柱は、「ゆとりと豊かさを実感できる生活実現」であります。  多様な価値観実現が可能となるような経済社会構築するため、消費者生活者の視点を重視し、総合製品安全対策東京一極集中是正地域活性化流通システム活性化効率化推進高齢化社会への対応生活創造によるゆとりある社会実現等推進する必要があります。  このため、具体的には、事故防止対策及び被害救済対策両面からなる総合製品安全対策推進に七億四千七百万円、流通システム活性化効率化推進に百三十八億五千万円、高齢化社会対応するための医療福祉機器技術研究開発普及促進に十一億九千九百万円、住環境改善のための生活価値創造住宅開発プロジェクト推進新規八千五百万円、伝統的工芸品産業振興に五億七千万円等を計上しております。  また、東京一極集中是正地域活性化については、産業配置促進費補助に六十六億五千五百万円、産業業務施設配置促進対策産業投資特別会計からの出資十二億円、工業用水道整備事業推進に他省庁計上分をあわせ二百五十七億円、休廃止鉱山鉱害防止事業推進に三十九億七千四百万円等を計上しております。  以上のほか、アルコール専売事業特別会計につきましては、歳出予定額三百二十八億一千五百万円、貿易保険特別会計につきましては、歳出予定額九千七百三十六億七千百万円を計上しております。  以上、平成六年度通商産業省関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明いたしました。     ―――――――――――――
  6. 長浜博行

    長浜主査 以上をもちまして通商産業省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 長浜博行

    長浜主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。  質疑持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。豊田潤多郎君。
  8. 豊田潤多郎

    豊田分科員 新生党の豊田潤多郎でございます。  私は、本日の持ち時間、主に中小企業対策中小企業関係のことにつきまして、御質問をいたしたいと思います。  早速でございますが、きょうのお尋ねするポイントは、大きく言いまして三つございます。まず第一が、中小企業政策基本理念ということでございます。それから第二が、中小企業政策具体的政策手段といたしまして、金融税制、そしてこの委員会議論になっております予算というものが挙げられようと思いますが、それらにつきましての現状につきまして少し御説明をいただければということが第二点でございます。それから第三のポイントは、そのうち、特に現在予算委員会のこの審議におきまして議論審議されております予算につきまして、少しその中身を詳しく御説明、あるいはお伺いいたしたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。  まず第一のポイント中小企業政策基本理念ということでございますが、その前に、まず中小企業実態がどういうものであるかということにつきまして、直近の、一番新しい入手できるデータ、平成三年ベースですけれども、それによりますと、中小企業事業所数というのが六百四十八万ございます。これは全事業所のまさに九九・一%という数字になっておりますし、また、従業員数につきましては、四千三百四十万人、これは全体の七九・二%、八割という数字になっております。そのほか、製造業出荷額、これが百七十七兆円ということでございまして、全製造業の五割を超える五一・八%、また、卸売業販売額、これが三百五十六兆円ということで、全体の六二二%、六割強を占めております。また、小売業について見ますと、その販売額が年間百十兆円ということで、全体の七八%、八割近いという数字になっているわけでございます。このように中小企業は、我が国経済の中におきまして、また社会構造の中におきましても、大変大きな位置を占めている、大きな役割を担っていると言えるのではないかと思います。  このような中小企業に対する政策を、これはほかに大蔵省、また労働省の所管もございますが、主に通産省が中心になって政策を進めておられるわけでございますが、まず基本的な点につきまして、最初に大臣の方に、このような役割を担っている中小企業に対しましての政策基本理念というものについてお伺いいたしたいと思います。
  9. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま豊田先生から、中小企業の置かれております実態数字をもって、パーセンテージをもって明快に御指摘を賜ったわけでございまして、ただいま御指摘数字に見られますとおり、まことに日本のいわゆるこの分野における大黒柱的な存在である、かように申し上げても決して過言ではないというふうに考えるわけでございます。  さはさりながら、中小企業の置かれております実態といいますものは、戦後五十年たちましたいわゆる構造調整等々に求められております、その辺の厳しさをまともに受けざるを得ない大変なピンチに立たされておる、かようにも受けとめるわけでございますが、私は、そういう中にございましてもやはり、いささか当たりさわりがあるかもしれませんけれども、ピンチはチャンスという事柄もございますから、いわゆる受け身ということよりも、これを機会にさらなる飛躍を目指して、あるいは体質強化を目指しまして力を入れる、あるいはまた関係皆様方にもやる気を起こしていただける、そういうような条件整備が必要ではないかなというようにも考えるわけでございます。  最近はさような意味合いの中における大店法等の問題、いろいろ御心配等々を煩わしておるわけでございますが、御指摘がございましたとおり、この通産省中小企業庁における行政的な取り組み、そしてまた、いわゆる税制の問題、制度改革の問題、万般にわたりまして力を入れていくことが必要ではないかなというように考えるわけでございまして、今ようやくいささか景気回復への兆しが見えるという中にございまして、残念ながら中小企業分野が極めて厳しい姿に置かれておる、そういうことを念頭に置きまして、従来にまさる力を入れていかなければならない。昨年度における三次にわたります補正予算等々におきましても、幸い積極的な取り組みができる予算、あるいは制度、そしてまた金融措置等々がなされておりますので、この面を引き続き十二分に活用をし、力を入れさしていただきまして、中小企業関係皆様方の、そしてまた国民各界各層皆様方の御期待にこたえてまいりたい、かような基本的な考え方を持っておる次第でございます。
  10. 豊田潤多郎

    豊田分科員 どうもありがとうございました。  次に、第二のポイントでございます中小企業政策の具体的な政策手段ということにつきまして、これは金融でございますとか税制あるいは予算、そのほかのいろいろな政策施策があろうかと思います。これらの具体的な政策手段等につきまして、現況がどのようになっておりますか。例えば、金融でありますと貸付残高の問題でございますとか、そのような内容につきまして、ちょっと簡単に、一通り御説明をお願いいたします。
  11. 長田英機

    ○長田政府委員 先生今お話しございましたように、中小企業対策予算金融税制が中心でございます。  予算につきましては、平成六年度現在の予算案におきまして、これはいろいろ計算の仕方がございますが、実は商工会、商工会議所経営指導員の地方交付税への移行分及び特別会計分を含んで計算いたしますと二千百四十六億円ということでございまして、前年度より九十九億円の増加がなされている。これによりまして中小企業の新分野進出、あるいは新規事業支援、あるいは小規模企業対策ということの充実が行われるということでございます。  また、中小企業にとりましては、今大臣からもお話がございましたように、中小企業の自助努力をいろいろ助成していくということで、金融が非常に大きな役割を果たしております。この金融におきましては、平成六年度の規模を申し上げますと、中小企業金融公庫、国民金融公庫、それぞれについて申し上げますと、貸付規模は、前者は二兆八千五百二十五億円、後者は三兆七千九百四十億円というふうに、それぞれが九・四%増あるいは八・四%増ということで、大幅な伸びでございます。  また、税制も非常に大きな役割を果たしております。これは中小企業に対する各種の租税特別措置が講ぜられております。平成六年度につきましても、例えば省力化とか省エネルギーのための設備投資に対する減税を継続、充実いたしましたし、あるいは新規事業育成のための投資育成会社に対する準備金の積み立てというような新しい制度創設したところでございます。このような措置を通じまして、中小企業対策を積極的に、大臣が申しましたように、これからも展開していくというような考え方でございます。
  12. 豊田潤多郎

    豊田分科員 今御説明ございました予算金融税制というようなところが大体大きな柱になろうかと思いますが、大臣からお話もございましたし、一般的にも言われておりますが、中小企業対策の場合には、基本的には市場メカニズムのもとで、中小企業の自助努力というのをいかに引き出していくかということが大事ではないかということから、従来も予算面よりもむしろ金融対策のところにかなりのウエートが置かれていたような気もいたします。もう少しその金融の面につきまして、例えば、今伸びのお話がございましたが、政府系の中小企業三機関の貸付残高、そしてそれが、例えば信用保証協会等の保証債務残高等も含めまして、総貸付残高の中にどれぐらいの比率を占めるのか、最も新しい数字で結構でございますので、その辺の数字もちょっとお聞かせいただければと思います。
  13. 長田英機

    ○長田政府委員 中小企業政府系の三機関、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金、平成五年三月末のこれらの合計の数字でございますが、貸付残高は二十八兆円でございます。それからさらに、中小企業向けの信用保証の債務残高が、やはり平成五年末で二十四兆円でございまして、これを合計いたしますと五十二兆円ということになります。  ちなみに、中小企業向けのいろいろな各種商業銀行、民間金融機関、政府金融機関、こういうものの中小企業向けの貸付残高は五年三月末で三百十七兆円でございまして、それに対しまして今の五十二兆円、これを割り算いたしますと二八%というようなことになります。そういうような数字になっております。
  14. 豊田潤多郎

    豊田分科員 ありがとうございました。  三百十七兆円の中小企業貸付残高の中で政府系のものが五十二兆あるということは、金融面で中小企業向けの配慮がかなりなされている、私はこのように思います。むしろきょうは予算関係のことをこれから議論させていただきたいと思いますので、今後も金融面につきましても、あるいは税制面につきましても、特に税制関係は直接の御所管ではないかもしれませんけれども、大蔵省ともよく御協議をされまして、税制金融、ともに今後とも力を入れていっていただきたいと思います。  時間の関係もございますので、第三のポイントになりますけれども、予算のことにつきまして少し詳しくお聞きいたしたいと思います。  予算でございますけれども、過去十二、三年さかのぼってこの中小企業対策予算を調べましたところ、ちょうどもう十二、三年前になりますが、昭和五十六年、五十七年ごろが中小企業対策費のいわゆるピークでございました。これは中小企業庁、もちろん通産省本省も入れまして通産省分、それから大蔵計上、労働省、これらも含めまして、もちろん主に通産省が中心ではありますけれども、政府全体といたしまして一般会計二千五百億円という数字が、昭和五十六年、七年がピークでございました。ところが、通産省計上分につきましては五十七年以降、それから政府全体といたしましては五十八年度以降、毎年予算額は少なくなってきておりまして、一番底になりましたのが平成元年。平成元年は、政府全体で千九百四十二億円という数字にまで下がってきております。二千五百億円ありましたものが、年々下がってまいりまして千九百四十二億円になったということでございます。通産省所管予算につきましても、ほぼ同じような傾向で、五十六年のピークから毎年下がりまして、平成元年が、政府全体の中小企業対策予算同様、千三百四十三億円ということで、五十六年の通産省の計上分千八百十七億円から約五百億円ほど落ち込んでいるということであります。  その後、平成元年を底といたしまして、平成二年、三年、四年と政府予算、また通産省計上分のものも上がってきておりまして、多少の波はございますけれども、この平成六年度の政府案によりますと、中小企業対策全体、政府全体では二千百十四億円、これはちょっとベースの取り方が違いますので、最初御説明がございました二千百四十六億円の数字とちょっとベースが違いますけれども、二千百十四億円が政府全体で、そのうち、それに対応するものとしては、通産省分が千二百八十六億円という数字になっております。平成元年以降は総じて予算はふえてきているわけでございますが、それとて、十二年あるいは十三年前の二千五百億という政府全体のベースから見ますと、二千百十四億円ということで約四百億円足らず、これも低い水準になっているということであります。もちろん、通産省計上分につきましても、同様の千八百億円余りのものが千二百八十六億円ということで、これもおおよそ五百億ほど落ち込んでいるということでございます。  そこで、お聞きいたしたいことは、先ほど御説明がございました、平成五年度以降、商工会、商工会議所人件費等をいわゆる一般財源化という地方交付税への移行措置などをとられたということで、国の一般会計で見る限りにおきましては多少予算が減りましても、国全体の施策、地方への移管分も含めますと、むしろ充実しているということになるのかとも思いますが、それにいたしましても、ここ十数年の、十年余りの動きを見ておりますと、かなり予算的に厳しい状況になってきているのではないか、このような思いがいたします。  予算の額が多いだけが必ずしもいい施策になるとは言えないと思いますけれども、この点の予算が少なくなってきておりますことにつきまして、年々財政再建ということで厳しいシーリングがはめられたり、各省非常に御苦労なさっているところではあろうかと思いますが、このような予算が減少している中でどのようにその中身の充実を図っておられるのか、あるいは予算が減ってきておりますこと自体について所管官庁としてどのような思いを持っておられるのか、その辺についてお尋ねをいたしたいと思います。
  15. 長田英機

    ○長田政府委員 長期的な予算の動向でございますが、先生の御指摘のとおり、これは五十六年、七年を最高レベルといたしましてずっと減少してまいりまして、元年、二年、三年、そのあたりから若干上向き、横ばいというような感じで推移してきております。  これにつきましては、御指摘のとおり、実はいろいろな政府全体の財政の状況によるシーリング制度、こういうことも、特に中小企業の場合には経常経費の割合が多いわけでございますから、いろいろなそういう影響、あるいは途中で特別な予算枠が平成三年にできたというようなこともいろいろ影響してきているわけでございます。予算一般会計の金額がそういうことで減ってきていることは事実でございますが、我々は、その間におきまして、中小企業対策に手が抜かれないように実はいろいろな経済情勢に応じた工夫をしてきておる、あるいは予算効率化もいろいろ実施してきておるというようなことでございます。  それで、お話がございました、例えば平成五年、六年、これは七年も計画されているわけでございますけれども、商工会や商工会議所の補助対象職員の人件費を地方財政の方へ移管いたします。移管いたしますと、現実に、それは中小企業対策そのものでございますが、そちらに移管されますものですから、こちらの方に予算のある程度余裕が生ずるというようなこともございまして、その移管した分も合計しますと、実は平成六年度は、先ほど申し上げましたように、総額で言うと九十九億円の増加を見ているわけでございます。  そういうふうに考えてまいりますと、五十六年、七年からずっと予算は減りまして、平成元年で底をついて、若干横ばい、上向きで来ておりますけれども、この五年、六年から、そういう地方移管分も含めて考えますと、実質的に中小企業予算はまたふえてきているというふうにも考えるわけでございます。  また同時に、補正予算につきましては、財政当局にいろいろ御協力いただきまして、これは昭和六十年から始まったわけでございますが、何と六十一年に二百三十四億円を計上して、それ以降、それを上回る補正予算が毎年毎年計上されているというようなこともございまして、そのようなことを通じましても、中小企業対策、毎年毎年、中小企業の担当の方はきっといろいろ工夫をしているのだと思いますが、そういう工夫を通じまして、中小企業対策にそごのないように努力しているつもりでございます。
  16. 豊田潤多郎

    豊田分科員 大変御苦労なさっておられることもよくわかりますし、今後もその御努力はぜひともお願いしたいと思います。  もう少し中身について見てみますと、今のような一般会計予算措置を一般財源化するというような形等の対応もさることながら、昨年秋、十一月に、いわゆる中小企業のリストラを支援する、長い名前の法律でございますけれども、そのような法律で新しい施策展開されたり、私も通産省皆様方、かなりよく頑張っておられる、また中小企業対策にいろいろな施策を打ち出しているというふうに理解しておりますが、ここ数年あるいはさかのぼっていただいても結構でございますが、そういう金額面のみならず、例えば新しい施策、法律で手当てをされたいろいろな施策が幾つかあろうかと思います。その辺につきまして、何年にこういうものをやり、こういうことに力を入れてきたというようなことにつきまして、簡単に御説明いただきたいと思います。
  17. 長田英機

    ○長田政府委員 幾つかの例を申し上げさせていただきますと、例えば中小企業事業関係でございますと、高度化事業の関連でございますが、新法制定、平成二年度にいわゆる地域の活性化法というのをつくりました。それから平成三年度に、労働省と一緒に、労働環境をよくしようという労確法を行いました。それから平成四年度に、集積活性化法というのをつくり、平成五年度に省エネ・リサイクル法、また平成六年度に、今年度でございますが、繊工法の改正が行われました。こういう事業に対しまして、集団化事業をやりますときに高度化資金が出ていくという意味で、私、中小企業事業団というふうに申し上げております。  それから、事業団の研修事業につきましても、仙台校を平成三年度、三条校を平成四年度開校、それから中小企業大学校の研修事業の充実を平成六年度に行うというようなこともございます。  また、小規模企業対策の方に目を転じてみますと、地域プランナー派遣事業平成二年度に行い、ミニ全国物産展開事業を五年度に行い、村おこしの村おこし館をつくろうというのをこの平成六年度の予算に入れているわけでございます。  また、その指導事業につきましても、診断・指導事業をいろいろ充実していくというようなことでございまして、さらに大店法緩和による中小小売への影響軽減対策としては、リテール・サポート・センターを創設する、これは平成四年度でございますが、そんなようなことをやっております。  そのほか、金融につきましては、小企業等経営改善資金の充実とか、あるいは中小公庫につきましては、いろいろな新分野進出、あるいは新規事業の育成、そういうような融資制度の充実を相当程度図っております。  いろいろございますけれども、かいつまんで申し上げますと、以上のようなことでございます。
  18. 豊田潤多郎

    豊田分科員 今いろいろな施策につきまして御説明がございましたのですが、一言で結構でございます、それらは総じて効果が上がっているのかどうか。これは、当局からは当然効果が上がっているとおっしゃるお答えになろうかと思いますが、今までそういう工夫をされてこられたいろいろな支援策、それぞれ適時適切に私は効果が上がっているもの、あるいは上がっていなければならないと思っておりますが、その辺につきまして、当局からちょっと簡単に一言コメントをいただければと思います。
  19. 長田英機

    ○長田政府委員 私どもとしましては、こういういろいろな対策を通じましてやはり日本の経済がずっと発展してきている、最初大臣も申し上げましたように中小企業が非常に大きな役割を果たしてきている、それに対応しまして中小企業対策がずっと行われてきているというようなことで効果を発揮してきていると思います。  ただ、どういう効果を発揮してきているのか、あるいはもっと効果が発揮できないかというような点につきましては、私ども毎年毎年その政策のレビューというものを行いながら、より効率的な施策を行っていかなければいけない、そういうふうに考えております。
  20. 豊田潤多郎

    豊田分科員 今まさに中小企業庁長官がお答えになられたところが極めて大事なポイントではないかと思われます。  政策をただ打ち出してそれをそのまま、ただ新しいものを、施策を打ち出したからといって、それが本当に効果が上がっているかどうか、これを常にレビューし、見直していく。そして必要でないものは大胆に切り捨て、必要なものは、どんなに予算を重点的に配分するにいたしましてもそちらに力を入れていくという、限られた予算の中でできるだけ全体として効果を上げていく施策を続けようとすれば、これは常に皆様方担当の方大変だと思いますが、見直しを常に行っていただいて、より効果のあるもの、より効果の大きいものに政策を次々と打ち出していっていただきたい、そのような御努力を引き続きぜひお願いいたしたいと思います。  最後に、そろそろあと二分ぐらいの時間でございますので、締めに入りたいと思います。  まず私自身、実はこの中小企業関係、御案内の方もございますが、ちょうど十一年前の予算になります昭和五十八年度予算を、大蔵省の主計官補佐通産三係の主査という立場でまさに担当させていただきました。私自身は大蔵に二十年ほどおりましたのですが、予算関係も長うございまして、ちょうどこの中小企業庁予算を担当させていただいた。十一年ほど前になります。  その後どのようになってきているのか、常々気になっていたところでございますけれども、毎年大変厳しいシーリングのもとで御苦労が絶えないなということで、我々のときも大変厳しい財政状況の中で、通産省の、あるいは中小企業庁の方々と工夫に工夫を重ねて何とか予算をまとめ上げたような次第です。これからもますます財政面では厳しい状況が予想されると思いますが、ぜひ当局の皆様におかれましては財政当局ともよく連携をとられまして、きめ細かい、そして常に知恵を出していただいて、工夫された予算づくりに励んでいただければ、このように思っておるところでございます。  最後に、大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、今までの三十分ほどのやりとりでございましたが中小企業関係議論をお聞きになられまして、私自身、中小企業対策というのは極めて大事な分野ではないかと思っておりますが、今後その中小企業政策に取り組まれる大臣の心構え、また決意ということをお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  21. 畑英次郎

    畑国務大臣 豊田先生はこの分野につきましての、大蔵サイドにおけるお立場あるいはまた地方の実態を踏まえての大変御熱心なお取り組み、かねがね敬意を払っておるところでございます。  御指摘ございましたとおり、従来を上回る大変大きな激動期、そういう時期でありますだけに、中小企業対策といいますものは、これまた従来とは比較にならない重要性を持っておる今日の姿、こういうことを受けとめまして、先ほど申し上げましたような意味合いで、経済活動の中心勢力、そのやる気を起こしていただけるような条件整備に、層一層の予算あるいは税制金融面から強力な支援を申し上げてまいりたい、かような気持ちを持って対処してまいりたいと思っております。
  22. 豊田潤多郎

    豊田分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  23. 長浜博行

    長浜主査 これにて豊田潤多郎君の質疑は終了いたしました。  次に、長内順一君。
  24. 長内順一

    長内分科員 長内順一でございます。  最近、大変話題にはなっておりますけれども、その実態がなかなか見えないとも言われておりますマルチメディア、新しい産業になるわけでございますが、これにつきまして、端的にマルチメディアの振興についてお伺いをいたしたいと思います。  私たちの先輩の代議士、大変立派な方がたくさんいらっしゃいますし、大変お力のあった、実行力のあった方もたくさんいらっしゃったわけでございます。しかしながら、どうしても解決ができなかった政治のテーマ、たくさんあるでしょうけれども、その中で過疎と過密の問題というのが一つあろうかというふうに認識をしているわけでございます。これは何も我が国ばかりじゃございませんで、さまざまな国で、非常に発展した地域とそうでない地域の格差が非常に大きくなっておる。  私は北海道の出身でございますが、北海道などというのも大変広いところでございまして、ただ札幌に一極集中しているために、やはり過疎と過密の問題、避けて通れない問題になっているわけでございます。  そこで、この過疎と過密の問題の解決に当たりまして、先日、二年ほど前にアメリカで誕生いたしましたクリントン政権の中でゴア構想というのが、副大統領のゴアさんの名前をとったように伺っておりますが、ゴア構想というのが発表になっております。これは何かといいますと、皆さんもう御承知のとおり、光ファイバーケーブルなるものを全国に張りめぐらせまして、そしてそこで情報のハイウェーをつくるということでございます。  従来から、情報のネットワークと交通のネットワークは、まさにこの過疎と過密の対策の非常に重要なポイントであるというふうに私どもは伺っておるわけでございます。そういう意味で、このゴア構想が発表になりまして情報ハイウェーが広く広がるにつれまして、このマルチメディアという言葉が非常に大きくクローズアップをされてきたところでございます。私もこの概念についてはまだまだこれからという部分がございますが、きょうは所管大臣でございます畑大臣に、このマルチメディアをどのようにとらえていらっしゃるのか、まず御認識をお伺いしたいと思います。
  25. 畑英次郎

    畑国務大臣 長内先生はこの分野のエキスパートというように承知をいたしているわけでございますが、正直申し上げまして、電気通信分野等々、従来は我が国が世界の中でも先進的な立場を占めておった。ところが、今御指摘がございましたとおり、アメリカを初めとする諸外国でそれなりの熱心な取り組みの中でいささかおくれをとった要素も指摘をされる昨今の実態、そういう中にございまして、最近の景気不況の中から構造調整等々の問題が大きく取り上げられておることも御案内のとおりでございます。  そういう中にございまして、新しい分野としての魅力ある産業構成、こういうことを考えますと、このマルチメディアの分野というようなものが極めて大きな魅力ある今後の課題事業である、こういうように受けとめさせていただいておるわけでございますが、この問題をめぐりまして、ようやくおくればせながら国民的関心が高まりっつある、あるいはまた中央官庁におきましても、それぞれのお立場で本問題に積極果敢な取り組み展開されつつあるというように考えるわけでございます。  私はもう一つの視点としましては、ただいま先生も御指摘ありましたとおり、一つの国民的課題、過密過疎の解消ということを考えました場合に、このマルチメディアといいますものを大きく取り上げていただくことによって、地方に、過疎地域に若い方々が定着をするという一つの大きな要素はこのマルチメディアの活用、あるいはまたネットワークの徹底した普及、こういうことにも大きく私は解決策を見出すことができる。かような意味合いで、二十一世紀に向けた最大の、ある意味では魅力ある分野の柱である、かように位置づけをさせていただきまして、通産省におきましても今後引き続き努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  26. 長内順一

    長内分科員 大臣のお考え、二十一世紀を展望されたまことにすばらしい御見解だと私は受けとめさせていただいたわけでございます。  このマルチメディアというのはいろいろなとらえ方を今されているわけでございますが、一つは、非常に多様な情報を処理することができる。今まで情報というのは文字情報が中心でございましたけれども、このマルチメディアにおきましては映像、それから音、こういうものも全部情報化できる、こういう意味で情報素材が多様化するということが一つ。それからもう一つは、すべからく処理のしやすいゼロイチの世界に置きかえることができる。いわゆるディジタル化、電子化ということでございますが、今までは映像だとか絵画だとか音をディジタルのゼロイチの世界に置きかえるというのはえらい手間とお金と労力がかかったわけでございまして、それがいとも簡単にできてしまう。そして、今大臣がお話しになりましたようなネットワーク化による双方向性といいますか、ツーウエーでいろいろな形のことがやりとりができるということが一つ。電子的、電気的にはそんなことが一つポイントになるのではないかな、私はこんなふうに思うわけでございます。  ただ、今大臣の方からもお話しございましたように、この産業分野というのは、いろいろな積算の方法がありまたその箇所によっても違いますけれども、マルチメディアだけで約五十六兆円なんというようなお話もございますし、関連を含めましたら百二十三兆円の大変大きな市場である。また、これから雇用の問題につきましても二百四十万人なんという数字も挙がっているわけでございます。  これは算出根拠によって違ってくるわけでございますけれども、私はこのマルチメディア産業振興というのはこれから二十一世紀の日本にとって欠くべからざる非常に重要な産業の柱になっていく、こういうふうに確信しているわけでございますけれども、引き続き大臣に、このマルチメディア産業を含む高度情報化社会というか、こういうものの実現のために通産省としては具体的にはどんな形で取り組んでいかれるのか、御所見を伺いたいと思います。
  27. 畑英次郎

    畑国務大臣 本問題につきましては、先般高度情報化プログラム等々、通産サイドにおきましても、大きく問題意識を持ちましての取り組みを始めさせていただいておるわけでございますが、きょうはもうざっくばらんに申し上げれば、やはりこういった分野のこれからの大きな期待の中にございましては、今大きな政治課題であります規制緩和の問題等々、全般にわたって従来の規制といいますものを大幅に見直して、そういうことの中から自由闊達にこのマルチメディアあるいはまた電気通信のネットワーク等々の問題が推進できますような条件整備、環境整備、これを急がなければならないというように考えるわけでございましてこれはひとり通産省だけの立場ではなくして、私自身も、新内閣の強力に推進をしなければならない大きな政治課題、内閣挙げて本問題に取り組んでいかなければならぬ、こういうような意味合いで引き続き努力を重ねてまいりたいというように考えております。  御承知のとおり、日笠郵政大臣のもとでもそれなりの問題が報告書が出されておるわけでございますが、それらを一体化しまして強力な展開を図ることが喫緊の課題、かように受けとめさせていただいております。
  28. 長内順一

    長内分科員 ただいま大臣の方からの御認識で、やはり一省庁だけの問題じゃなくてもっと幅広く根っこを張って、そして他省庁も巻き込んでというようなお話がございました。私も、これは今非常に大事なお話を大臣はされたなというふうに伺っております。どうしても縦割り行政の中におきまして分野が限られできますと、このような幅広い産業の育成に大変な支障を来す、こんなことも考えるからでございます。  率直に、通産省としまして他省庁との関連をこれからどんなふうに考えていかれるのか。通産省大臣にこのようなことを伺うのはちょっと潜越かと思いますけれども、決意を含めて他省庁との関連、展開についてお願いしたいと思います。
  29. 畑英次郎

    畑国務大臣 私は、今お話がございましたとおり、かつて、これはかつてと申し上げた方がいいと思いますけれども、世上の一つの世間話の中では、通産、郵政が仲が悪い、お互いの権益争いがあってなかなか難しいということを間々、残念ながら耳にしたこともかつてはあったわけでございますが、最近におきましては、通産そしてまた郵政それぞれのお立場におきましても、これだけの大きな国家的な大事業、画期的な大事業、二十一世紀の魅力ある産業分野、そういうことの意味合いでの協調ムードが大変高くなっておって、事務段階におきましても横の連絡等々を緊密にされておるということを私自身も承知をいたしておりますし、私の立場でもそれを推進をしなくてはならない。  そしてまた、私はこれにもう一つ、自治省等々がいわゆる事業債等々の問題、あるいはまたこの問題は、県市町村段階のさらなる理解と積極的な支援展開されませんと、この問題の推進がいささかはかどりが鈍るというような意味合いを考えますと、先ほど来申し上げますように、そういった各省庁それぞれすべて関係がある。あるいは文部省の学校教育の段階からもこういった問題を、幼児教育の中からあるいは小学校教育の中できちっとしておかないと、これらの問題に対する問題が残念ながら今日かなりおくれている、諸外国に比較しましてもおくれている。あるいは、足元の官庁のいわゆるパソコン等々の問題も極めておくれをとっておる。さような意味合いでは、私はダイナミックな展開をやるべき体制と協調ムードに一層努力を重ねていかなければならない、かような気持ちを新たにさせていただいておるところでございます。
  30. 長内順一

    長内分科員 大臣の御認識、私も全く同感でございます。つきましては、できますれば今のような形の、例えばこういう情報化に関する、省庁を越えた横の連絡会議等、具体的な形で大臣が提案者になってお進めになるお考えはありませんか。お伺いしたいと思います。
  31. 畑英次郎

    畑国務大臣 実は、これから一つの大きな政治課題としまして、御案内のとおり公共事業費の上積み問題等々も検討がされておるわけでございますし、そういう中で、私の個人的な立場にございましては、やはり新社会資本、こういった分野と大きく結びつけをしなければならない、さような意味合いで、ただいま先生御指摘のような気持ちを、引き続きあらゆるチャンスを活用しながら努力をしてまいりたいな、こう考えております。
  32. 長内順一

    長内分科員 きっとそういうことがすばらしい結果を生むのではないかなと私は思います。  それで、今からもう十年くらい前になりましょうか、アルビン・トフラーという方が「第三の波」という本を書きました。まことにこれはセンセーショナルな本でございまして、私も当時は民間会社のサラリーマンをやっておりましたけれども、三十を過ぎればスクラップになってしまうような印象を受けるような、時代の大きな変化、農業社会の改革が第一次の産業革命で、例のイギリスで行われました十八世紀の産業革命というのがいわゆる工業の革命である、そして今度は情報化だというようなお話がたしか載っておりました。  当時は、まさかこんな社会が来るのかななんというような形で私はそれを拝見しておりましたけれども、まさしくわずか十年くらいで世の中がそっちの方向へ大きく動いてしまっているこの現実を見たときに、やはりこれは、今大臣おっしゃったように、一官庁だとか一地域だとかで対応できる問題ではとてもございませんで、あらゆる産業がありまして、この産業ベースにこの情報化産業というのはまさしくあるという認識でございますので、ぜひとも今の御答弁、力強く推進していただきたい、このようにお願い申し上げます。  さて、余り抽象的な形で議論していても時間がやってまいりますので、ちょっと細かいことについてお伺いしたいと思います。  いわゆるマルチメディア産業というくくりなんですが、これは大変難しいくくりになっておりまして、なかなか予算書を見てもこのくくりがどんな形で、どんな事業がマルチメディア産業振興事業なのかなということがよくわかりません。そんなことで、まず、これから二十一世紀へ向けて大きな日本の産業の基幹となるこのマルチメディア産業振興のために、通産省の関連といたしまして、マルチメディア産業関連の予算は本予算でどのくらい見込まれているのか、またその事業内容についても、大変初歩的なことで恐縮でございますが御答弁いただきたいと思います。
  33. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 我が省のマルチメディア関係事業及び予算についての御質問でございます。簡単に整理をして申し上げたいと思います。  今大臣からお答え申し上げましたように、新社会資本整備という大きな旗のもとに関係省庁と連携いたしまして、昨年来各種の事業展開してまいりました。その一つの柱が平成五年度の補正予算でございます。  これは、第二次及び第三次の補正予算を通じまして、マルチメディア支援センター及びマルチメディア人材育成センターというものを創設いたすことといたしました。これは、御承知のように、マルチメディアがこれから普及していくためにはそれの人材育成がポイントになるわけでございまして、若手、学生とかあるいは社会人とかいったものが、そういう機会を使いましてそこでマルチメディアを制作、現実につくって技術を高めていく、そういうためのセンターを創設いたしたわけでございます。あわせて、各種の先端的なマルチメディアのソフトウエアをそこにデータベースとして置いていこう、こういう構想で、約二十三億円ぐらいの予算を使いまして、これを現在長野県の音楽村のところを中心に建設をしておるところでございます。  あわせまして、同じく平成五年度の第三次補正で、私どもは、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、地方公共団体を通じまして地方の人々のマルチメディアに対する関心を高め、技術の向上が必要であるということで、地方の情報センターというのを全国で六カ所設置いたしました。これは北海道でも千歳の空港ターミナルに建設することになっております。  これらを合わせまして全部で三十五億円ぐらいの予算を計上し、これがいずれも平成五年度の三次補正でございますので、これを全速力で今やっておるというのが一つの大きな柱になるわけでございます。  あわせまして、平成六年度では、さらに地域の産業情報等を発信する必要があろうということで、ハイビジョンあるいはマルチメディア含めまして、全国約二十カ所でそういうソフトウエアをつくるための制作プロジェクトに助成を行おうといったようなものを展開いたしておりまして、これで約十二億円計上いたしております。  さらに、ハイビジョンあるいはマルチメディア等の新技術を医療とか行政等に反映させていこう、医療でいえば例えば遠隔診断とかいうためのモデル事業を行っていこうといったようなことで、これも約十億円弱の金額を計上しておるというのが現在の状況でございます。
  34. 長内順一

    長内分科員 先ほどの、五十六兆の市場だとか百二十三兆の市場がこれから育成すればでき上がるかのような、そういう市場に対しての予算としてはちょっと現段階ではどうなのかなというような感じがありますけれども、内容につきまして非常に突っ込んだ形でお取り組みになっているということについては評価させていただきたいと思います。  また、私が申し上げたいのは、従来のように建物をつくったり、それから大きなホストコーンピューターをどんと与えてそれで何かをやるということから、ぜひともこれからは、こんなことに使いたいので、いわゆるソフトの部分を重視したような、そんな予算編成、施策取り組みをお願いしたいな、こんなふうに思うわけでございます。  時間が非常に少なくなっておりますので、この施策その他につきましてもうちょっとお伺いしたいところなのですが、はしょらせていただきまして進ませていただきたいと思います。  今、いろいろなやりとりの中で、やはりこの産業振興、これが非常に大きなウエートがある。またそのためには、ほかの省庁と連携してやることもそうですけれども、私は、やはり産業振興ということにおいては通商産業省が腰を入れて本気になってやったときに大きな成果に結びつくもの、このように確信をしておるところでございます。  このマルチメディア産業、もう一方で大変な大きな問題を抱えているわけでございまして、残された時間、この問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  実は、先日、六月の二日なのでございますが、フランスのパリにおきまして日欧電気通信フォーラムという、日本とヨーロッパの国々が一堂に集いまして、これからの次世代情報化社会をどういうふうに迎えていくかというような話し合いがあったわけでございます。  この中で、さまざまな課題が提起されておるわけでございますが、その一つは、通信網接続のための規格の標準化、通信をやるときの信号の基準化だと思うのですが、これは多分郵政省の所管になると思うわけでございますけれども、そのほかに、マルチメディアの普及には法体系の整備、知的財産権などに関する国際的な調整も必要である、このような指摘が実はあったわけでございます。  私は、このマルチメディア産業振興に当たってどうしても避けて通れない問題について申し上げたいと思います。それは何かといいますと、著作権の問題でございます。  先ほど申し上げましたように、マルチメディアというのは素材がそれぞれいっぱいあります。絵であってみたり映像であってみたり、さまざまな素材があるわけでございます。これを利用して、いわゆるディジタル化をしてそれで情報処理をするわけでございますが、従来持っているこういう絵画それからさまざまな作品、美術品もあるでしょう、映像もあるでしょう、こういうものというのは、ほとんどの場合が著作権の対象になっております。これを使うときにはお金を払わなければならない、こんなふうになっておるわけでございます。それから二つ目は、これをディジタル化して処理するコンピューターのソフト、これも実は著作権法の中で保護されているものでございます。ですから、まさしくマルチメディアというのは、現時点においてはさまざまな著作権の中において息づいているものだ、こんなふうにも言えるのじゃないかなと思うわけですね。  ところが、これを使うときに今の時点では非常に使いにくいわけです。なぜかというと、どこに使いたいものの作者がいるのか、これは著作権の対象はどんなふうになっているのか、こんなことを一回一回確かめなければなりません。マルチメディアというのは、もう膨大な情報の素材から一つのものをつくり上げていくわけでございまして、そのときに、どうしてもこの著作権の問題が大きな垣根になってくるわけでございます。  そこで、お伺いしたいと思うのですが、このマルチメディア産業の健全な発展のためには、著作権の使用許諾、それから譲渡実務の簡素化、いわゆる使っていいですよということ、またこれの集中化、どこか一カ所に行けばそういうものについて全部登録されている、いわゆる情報バンクといいますか、こういう形のものがぜひとも必要と私は考えておるのでありますけれども、この点についての所見をお伺いしたいと思います。
  35. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 マルチメディアに関しまして、既存の多くの著作物を利用しなければならないというところから、著作権処理をめぐる手続が煩雑となるということは、先生まさに御指摘のところでございます。  こういうことのために、通産省といたしましては、マルチメディアソフトの制作に際しての著作権処理を円滑化するという観点から、去る二月、当省の所管団体でございます財団法人知的財産研究所が提言を出しました。「エクスポージャー94-マルチメディアを巡る新たな知的財産ルールの検討-」という公開草案でございます。これを公表いたしまして、この提言の中で、先生今御指摘ございました権利の集中処理機構の設立なども提案をさせていただいております。また、文部省さんにおいても、著作権の保護の観点から、著作権審議会におきまして、権利保護のあり方の明確化等について検討されていると聞いております。  現在、先ほど申し上げましたこの提案につきまして、研究所の方で内外の産業界や著作権の権利処理団体に意見照会を行ってございまして、この意見照会の結果を踏まえて、当省として、文部省さんとも連携しつつ、今後さらに検討を深めてまいりたい、かように考えてございます。
  36. 梶野愼一

    ○梶野説明員 ただいま御指摘いただきましたように、マルチメディアソフトというのは、多種多様、大量にディジタルデータ化されました著作物が利用されるというふうに考えております。そういうことで、マルチメディアソフトの制作に当たりましては、著作権の保護と、そして文化的な所産でございます著作物の効率的な再利用の両面を考慮した、適切かつ円滑な権利処理が必要と考えております。  こうしたマルチメディアの問題を含めました著作権問題につきましては、文化庁の諮問機関でございます著作権審議会におきまして、マルチメディア小委員会を設置して審議を行っているところでございます。昨年十一月には第一次報告書が取りまとめられたところでございますけれども、これらの報告書を踏まえまして、望ましい権利処理のルールづくりのための取り組みを、権利者また制作者サイドそれぞれに、私どもとして積極的な取り組みを働きかけているところでございます。
  37. 長内順一

    長内分科員 この問題は、大変時間的に急ぐ問題なんですよ。というのは、今現実に、マイクロソフト社のビル・ゲイツなんという会長が、さまざまな美術館、博物館へ行きまして、そこの著作権を買い取って歩いている。ひょっとしたら、将来こういうものを使う場合にはマイクロソフトの了解を得なければ、今もうコンピューターのソフトというのはそうなんですが、それと同じような形になってしまう可能性があるわけです。アメリカでどんどんこういうものの版権を押さえられてしまった場合に、将来日本で何かをやろうという場合には、一回一回アメリカの了解を得なければ何もできないというような、そんなことにもなりかねないわけです。  そんな意味では、今おっしゃったように、文化庁でさまざまな形で御検討いただいているようでございますが、これは本当に速やかに、なかなか難しい問題があることも十分承知はいたしておりますが、これはもう速やかに実施をしていただきたいな、こんなふうに私は思うわけでございます。  これは御承知のとおりなんですが、レコードだとか、作詞だとか作曲だとか、こういうもので、音楽に関してJASRACという団体がございまして、そこへ行けばいろいろなものの著作が全部おさまっているなんというようなことも漏れ伺っておりますけれども、ぜひともそんなことへ向けての法整備、それから、マルチメディア自体は現在の著作権法ではちょっとクリアできないような問題もたくさんあるわけでございまして、この辺の法整備を速やかにお願いしたいと思いますが、文化庁の御見解をいま一度伺いたいと思います。
  38. 梶野愼一

    ○梶野説明員 先ほどはちょっとはしょりまして御答弁申したわけでございますけれども、著作権審議会マルチメディア小委員会の第一次報告書では、具体的に三点の提言がされているわけでございます。  まず一つは、マルチメディアソフト制作時におきます既存の著作物に係ります権利処理のルールのあり方については、権利者と制作者それぞれの関係団体において、マルチメディアソフトの素材として利用される著作物の適明かつ円滑な権利処理ルールのあり方を検討し、協議する場を設け、また、両者の間の協議の窓口となる団体を設けること。  二つ目には、マルチメディアソフトの素材として利用される既存の著作物の適切かつ円滑な権利情報処理ができる体制の整備につきましては、著作権権利情報集中機構(仮称)を設立し、権利の所在情報の提供体制の整備のために、多様な分野の著作物に係る各権利者団体の管理している権利所在情報を統合し、それらの情報を利用者に一つの窓口で提供するシステムを構築すること。  そして三つ目に、さらに、権利の集中管理体制の整備充実、各団体における新しい利用形態に柔軟に対応できるような著作物の利用許諾方法の改善及び各関係団体間の連携協力推進を図ること。  こういう具体的な提言を受けておりまして、文化庁といたしましては、この提言を受けまして、昨年十二月以来、まず権利者と制作者のそれぞれの関係団体におきましてこのような情報公開の研究を行う連絡協議会を設けるよう、関係者の積極的な取り組みを行うよう働きかけをしておるところでございます。そうしたことで、順次こういった新しい権利処理ルールのあり方の形成に向けて努力がなされていくように努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  39. 長内順一

    長内分科員 時間が来たようですので終わりたいと思いますけれども、ただいま議論したような件、それからもっともっといろいろな問題があるわけでございますが、いずれにしても、この情報化社会の到来、これは高齢化社会や何かと同じでございまして、避けて通れないものであるという認識に立っております。どうか、通産省の皆さんが中心となって、この産業が大きく発展していくように全力でお力添えをいただきたいというふうにお願い申し上げまして、終わりたいと思います。
  40. 長浜博行

    長浜主査 これにて長内順一君の質疑は終了いたしました。  次に、岩田順介君。
  41. 岩田順介

    岩田分科員 おはようございます。本日は、鉱害問題について若干の御質問をさせていただきたいと思います。石特委員会がさきの選挙以来一回もまともな審議をしておりませんで、この機会を利用させていただきたいと存じます。  既に御承知のように、石炭鉱害関係の二法案が平成四年に改正されまして、十年間の延長になりました。したがって、平成十四年三月末までが期限ということではっきりした法律でありまして、しかも二年経過いたしまして、私が感じるところ、それから資料を見させていただきましたところ、工事はなかなか順調に進んでいるとは言いがたい、こういう状況であります。とりわけ農地の場合は、いわゆる確認期間が三年間、おしりの三年間残しておかなければならぬという枠組みになっておりますから、あと五年しかないんですね。しかも農地の進捗状況が非常に悪い。  つい先ごろまで農水大臣をお務めになった畑通産大臣でありますから私としては好都合でありますけれども、残る期間で相当ピッチを上げても困難ではないかというふうにも心配をするところでありますけれども、果たして完了に向かってどういうお考えなのか、一体どういうふうに進めていかれようとしているのか、まず冒頭ぜひこのことをお伺いしたいと思います。
  42. 畑英次郎

    畑国務大臣 本問題につきまして、岩田先生、ざっくばらんに申し上げれば、ただいま地元の実例あるいはまた厳しい問題、十二分に実態を踏まえての御指摘を賜ったわけでございまして、さような意味合いでは、この鉱害処理問題、御指摘のようにいよいよある意味ではピッチを上げなければ到底すべての問題が解消できない。そういう中にございまして、先生御案内のとおり、平成四年の十二月に定めました鉱害復旧長期計画、この中では数字としまして三千九百億円というような数字があるわけでございますが、この処理促進、いろいろ御懸念の点も御指摘のとおりでございまして、たまたま本年度は五百億程度の予算、その中にございまして復旧関係が四百億というような数字にも相なっておるわけでございますが、とりわけ御指摘のございました農地を絡めます問題等々が大変な懸念材料の一つであるわけでございます。  鉱害復旧を進める上での大きないわば支障と一なっておるこの農地等を中心とするいわゆる復旧不同意問題。これに対応すべく新たなルール化について石炭鉱業審議会のただいま了承を得たところでございますので、これを本年夏あたりから実施に移してまいりたい、解決を急いでまいりたいというように考えておるわけでございますが、岩田先生御指摘のとおり、いずれにしましても、これは残されました期間の中で完全解消ということが与えられた政治課題というふうに受けとめまして、層一層努力を傾注をしてまいりたい、このように考えております。
  43. 岩田順介

    岩田分科員 まさに大臣のおっしゃったように、過去の石炭鉱害の復旧の歴史というのは思わしくないさまざまな歴史もあるんですが、きょうはそのことは問いません。  そこで、当初の予定よりも随分おくれてきたんですね。一体これはどういうことが原因なのか。きょうは農水省は呼んでおりませんが、通産省にお伺いしたいと思います。簡単に。
  44. 市川南

    ○市川(南)政府委員 累積鉱害の早期解消を進めてまいります上で、とりわけ鉱害申し出未処理物件の早期処理が重要でございます。しかしながら、これら未処理案件の中には、過去の鉱害賠償事跡の把握の困難なものなど、判定に時間を要する案件が多数あるわけでございます。また、より複雑かつ慎重な工法選定の検討を必要とするということから、基本計画作成に時間を要する案件が増加しているというのが実情でございます。  また、近年、農地を中心といたしまして、被害者の過大な要求などによりまして復旧工事に着手できない、いわゆる復旧支障案件が相対的に増加してきておるわけでありますが、これが、ここ数年、鉱害復旧事業の実績の低迷の主因となっていると判断をいたしております。  こうした状況の中で、平成十三年度末までの鉱害二法の法期限内に鉱害処理を終了させなければならない。このためには、鉱害認定処理、復旧事業の実施、効用回復の確認という各段階にわたりまして解決、処理を一層促進させることが必要と考えております。
  45. 岩田順介

    岩田分科員 責任の問題というふうに私は言いましたのは、今石炭部長がおっしゃっていることも当然これは最終段階で予測されることであったのですね。私は皆さん方がサボっているとは言いませんが、いわゆる不同意案件だとか支障案件、これは想定できておった問題にもかかわらず、こんなになぜ農地が残ったのかというのを僕は意識して今お尋ねをしたわけであります。冒頭の大臣の発言もありましたからその辺ははしょりますけれども、これはやはり被害者のことを思えばもう少し、農地の場合は美田を復旧するというのは当然のことですから、やったかどうかという内容についてお聞きしたがったのですが、それはこの次の機会にいたします。これは大事な問題ですよ。  ところで、新ルールについて大臣がおっしゃいましたのでこの部分ははしょっていきたいというふうに思いますが、つまりおくれている、新ルールをつくって夏ごろから施行したいということでありますが、新ルールの中で連絡協議会というのがございますね。これは農水、通産、それから施行者、石炭鉱害事業団、県、市町村というふうにありますけれども、これは常設のものか、どういう位置づけなのか、お伺いをしておきたいと思います。
  46. 川田洋輝

    ○川田政府委員 御指摘の連絡協議会は、新ルールの中での重要なポイントと我々は位置づけております。案件ごとに設置をするというものでございますが、内容を申し上げますと、農地などにつきまして、これまでの施行者を中心とした調整努力が必ずしも実を結んでこなかったことにかんがみまして、復旧工事の施行者、国の関係行政機関及び関係地方公共団体、具体的に申しますと、農政局、通商産業局、関係県、関係市町村、石炭鉱害事業団及び復旧工事の施行者の六者が一堂に会しまして、個別の案件ごとの最終的な解決方法について意見調整を行いますことによりまして、不同意案件の円滑な処理を図ろうとするものでございます。  最終的な解決方法につきましては、復旧と金銭補償の組み合わせがいろいろあるわけでございますが、個別の事案ごとに、適用し得る方策とその適用の順序、優先順位につきまして共通認識を醸成いたしまして、事案の的確な処理を目指すというものでございます。  なお、連絡協議会に付議する案件の熟度を確保いたしますために、復旧工事の施行者の施行環境の整備に向けた努力及び地元調整に尽力した関係地方公共団体の意見を勘案するということにいたしておるところでございます。
  47. 岩田順介

    岩田分科員 つまり、これは福岡県しかもうないんだろうと思いますね。ですから、福岡に常設をして、案件ごとに当該市町村長の出席も要請をして共通認識を醸成する、そしてどういう方法でいくかという方向をお決めになるということだろうと思いますが、一つは、個別案件ごとにとり得る処理方針の確認と優先順位づけを行い、これはよくわかるんですよ。関係者間で処理の方向に関する共通認識を醸成するというのは、これはどういうことなんですか。  今おっしゃいましたが、手短に御説明を願いたいと同時に、なぜこれを聞くかというと、これは一生懸命、農業の場合は農政局、その他の物件は通産局がこうだこうだと一緒に御議論をされるんだと思いますが、ある意味では、市町村長さん方に皆さん方がやはり教育訓練もされるんじゃないかというふうに思いますよ。それはいいんですよ。それはいいんだけれども、いわゆる責任がどうなるのか。これは少なくとも法律のどこにも市町村の責任というのはないんですよ。協力しなければならぬという事項が幾つか出てくるんですが、私は責任はないと思いますね。しかし、連帯責任は出てくると思いますが、その点は一体どういうふうにお考えなのかというふうにお伺いしたい。  さらに、これは同じことなんですけれども、例えば、Aという市の市長さんが出られるわけじゃなくて、Aという市のいわゆる責任者が、担当者が行かれると思うのだけれども、地域における社会的責任、行政責任というのは重たいのですよ。そういうことでお聞きしたのですが、いかがですか。
  48. 市川南

    ○市川(南)政府委員 連絡協議会の運営の中で、関係市町村の役割についての御指摘をいただいたところでございます。  まず最初に申し上げさせていただきたいことは、法期限内のできるだけ早期に鉱害復旧を行うということは、先ほど御指摘いただきました関係県というのは福岡県になるわけでありますが、福岡県、また関係市町村の強く期待するところというのは御承知のとおりであります。  同時に、この不同意案件を中心とします復旧諸案件の処理促進を図るという上で、地元の事情に詳しく、また総合調整機能を持っている地方公共団体の協力が不可欠であるということであります。この処理に当たりましては、それぞれ案件ごとに複雑な事情が絡んでおるわけでございます。人の問題、またその関係の物件とのかかわりのぐあいとか、地元の事情を詳細に把握をしている市長さん、町長さん、村長さんのお力添えをいただかなければ解決のつかないところであります。  こういうような観点から、平成三年六月の石炭鉱業審議会答申におきましてもこのように表現をされているところでございますが、特に被害者を含む地元関係者間の利害調整に係る問題につきましては、鉱害以外の問題に与える影響が大きいことにかんがみ、地元公共団体の調整能力に期待するという趣旨が明記をされておるところでございます。  あくまでも、先生御指摘のように法律に定められているものでもありません。位置づけといたしましては、決定機関ということではなくて調整する機関である、こういうことで、先ほど申しました地元の地方公共団体のお力、お知恵をいただく、こういう位置づけと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  49. 岩田順介

    岩田分科員 私は国会に来て四年少々にしかなりませんけれども、冒頭から、市町村の協力要請というのは非常に重要なことであろう、それについては協力していただける環境と体制をつくるべきだということを言ってきたのですよ。これは比較的あなた方はしなかった。この後に及んでというか、ここに来て期間が短くなった、お金もない、どうしようかというときに、市町村のこういうことを調整機関と言われるが、これは連絡調整を越えて決定をするというふうに現実はなるわけですよ、選択肢を決定するわけですから。そんなことを言ったって決定するということに僕はなると思いますよ。  責任問題を私はお伺いしたのは、どうも私の印象では手のつけやすいところから着手してきたという歴史じゃないですか。だから残るのですよ。当然こういうふうになるのですよ。したがって、市町村は、真剣に地域振興と鉱害復旧を考えていたところはあなた方が要請しなくてもぐんぐん一生懸命やっていますよ。アンバランスがありますね。当然の結果です。  これは公開をするのですか、連絡協議会というのは。情報の公開はどうするのですか。
  50. 市川南

    ○市川(南)政府委員 先ほど申しましたように、決定機関ではなくて調整機関であるという位置づけもございます。これは原則公開は考えておりませんが、その内容につきましては何らかの方法で広報するということで考えております。
  51. 岩田順介

    岩田分科員 ルールは考えてないということですけれども、密室はいけないです、これは。被害者はいずれにしても私的所有権、所有物ですから、これは勝手にそういうことをしちや困るのですよ。それから市町村長も困ると思いますね。全体の同意を得て初めて調整能力が発揮されるわけですから。現地の被害者に当該市町村長が行って説得するのは、事業団が行くわけじゃないですよ、通産省が行くわけじゃない、自治体が行くわけですから。その辺のことを考慮して、紋切り型にこれはだめですと言うんじゃなくて、公開を全部するというふうにいかない部分もあるでしょう、これは行政をする者としては気をつけていくべきだということを私は申し上げておきたいと思います。  さて、連絡協議会をつくりまして復旧方法を選択するわけですが、abcdという四選択肢がございますね。時間がありませんから、四つの選択肢が例示されてありますが、とりわけその中で、実施計画案どおり計画地域全体を復旧する場合に、土地収用法をかけるということとそれから施行者による訴訟の提起というふうにございますね。私はこれは余り感心をしないわけでありますけれども、こういうふうに提起された理由に非常に乏しいと思うのでありますが、一体これはどういう考え方なのか、お伺いをしておきたいと思います。
  52. 市川南

    ○市川(南)政府委員 ただいま先生御指摘をいただきました新ルールで示された最終的な解決方法、四つの形態を示しているわけでございますが、この中で工事の強行というのが入っておるわけでありますが、それについてどういう考えかという御趣旨かと思います。  当省といたしましては、新ルールの中で第一義的には復旧の確保を目指すという従来の考え方に何ら変更がないわけでありますけれども、限られた法期限の中で鉱害処理を完了するということ、また、復旧を望む多数の被害者の立場を踏まえまして、利用できるすべての方策を洗い出し、示していくことが任務であると考えているわけであります。この方面の法律家の助言もいただきまして最終的に四つの解決方法を明示したところでございますが、この中で復旧の強行についても取り得べき選択肢の一つとして位置づけているところでございます。  具体的な案件の適用につきましては、連絡協議会での協議を経て方向づけられるわけでありますけれども、例えて申しますと、計画区域が広範な地域に及ぶ場合、利害関係人の数が多い場合、大多数の被害者が復旧に同意しているというようなことで、地区全体についての社会的要請が極めて高いというような案件におきまして、当該不同意が社会通念上不当であるということが認められる場合について、最後の手段として復旧の強行ということを想定をしているわけでございます。
  53. 岩田順介

    岩田分科員 社会通念上不当と思われる場合にこういうことをするというふうになっているのですが、これはよくよく、利用できるすべてのものを適用して新ルールをつくったという御説明ですが、土地収用法なんというのはそう簡単に、あるからといってできるものじゃないですよ。これは強制法なんですね。強権法とも言えるんですよ。  僕はごね得を絶対許しちゃいかぬと思います。かといって安易に使うべきではない。釈迦に説法ですけれども、昭和十三年ですか、いわゆる国家総動員法のもとにつくられた鉱業法の中に収用法というのがあって、これで収用したという歴史がありますよね。戦後は二十六年に施行されておりまして、その中に鉱害復旧のことが入っていることも私よく存じていますが、全体的にこのルールを見てみますと、まずあなた方が何をやるか、何を努力するかということは今までどおりやっていかれると思うのだけれども、その努力をするという方策がにじみ出ていないというのが私は気にかかるのです。これは安易にやっちゃいかぬというふうに思いますよ。この点、一体いかがなんですか。  さらに全体を見てみますと、これは恐らくいろいろ一年間研究されて、ケーススタディーもやられていると思います。どれくらい、どういう地域のどういうところで残るのか、それからその対象に有資力が何社あるのか。これくらいは皆さんの中に整理されているからこういう結論が出たのだと思いますが、それは一体どうなんですか。
  54. 川田洋輝

    ○川田政府委員 まず私の方から、土地収用法に関連する運用に当たっての基本的考え方を申し述べさせていただきたいと思います。  先ほど来私どもも説明をし、先生からも御指摘をいただいているところでございますが、鉱害復旧を進めていくに当たりましては、これから関係機関により構成をいたします連絡協議会の場において円満な解決に向けた調整を行って、さらに地元被害者の意向を十分踏まえた上で、地域の実態に即した復旧の促進に努めていくことが必要であるということは、まさしく御指摘のとおりでございます。しかしながら、関係者間で調整に向けたあらゆる努力がなされ、多数の被害者から同意を得ながらも、一部の不当な理由による不同意者のために長期間にわたって復旧に着手できないような状況に立ち至っている案件が存在していることもまた御存じのとおりかと存じます。  そこで、当省といたしましては、不同意者に対しましては今後も粘り強く協力を要請してまいりたいと考えておりますが、限られた法期限内での完全処理を計画的に図ります観点からは、不当な不同意案件につきましては、関係県及び関係市町村の意見を尊重しつつ、あくまで最後の手段として土地収用法の適用などによる復旧の強行を行うことも想定しておくことが必要であるというふうに考えておるところであります。
  55. 市川南

    ○市川(南)政府委員 個別案件についてどのような適用を考えているかという御趣旨だったかと思いますが、この新しいルールを作成する過程で、県の方からも不当な理由で長い期間にわたって滞っている案件がかなりある、こういうことで聞いております。そういうことで、県、地元といたしまして調整があり得る案件があるということを聞いておるわけであります。  ただ、しかしながら、このすべての案件が、申し上げておりますところの社会通念上不当であるかどうか、最後の手段たる復旧の強行を行うべき案件であるかどうか、これは先ほど申しました連絡協議会の運営の中で、個々具体的な案件に即しましてこれから整理をしていく、こういうことになってまいるわけでございますので、具体的な案件について固有名詞を申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  56. 岩田順介

    岩田分科員 先ほど長官がおっしゃいましたように、最後の最後の手段ということは当然のことであろうというふうに思いますね。  最近この土地収用法がかけられた例というのは、大騒動になりました成田ですね。それから、きのうのニュースで言っておりましたが、新幹線の用地買収がうまくいかないということで群馬と長野の一部の二十数キロについて土地収用法の申請をしたということ、これは鉄建公団か何かでしたね、ありましたけれども、これについても、相当やはり議論があって、協議があって、同意のための努力が尽くされたのでありまして、なおかつこれでも解決しないと思いますよ、この新幹線の問題は。したがって、私は慎重な上にも慎重、使わないということでもって事前の努力をすべきだろうというふうに思います。  それから、有資力にかかわる復旧について、これは適用する場合がケースとして考えられますか。
  57. 市川南

    ○市川(南)政府委員 有資力の鉱害物件につきまして土地収用法が適用されるかどうか、こういう御指摘でございましたが、現在土地収用法におきまして、地方公共団体、それから石炭鉱害事業団がこれの主体となり得るということになっているわけでございます。したがいまして、有資力者、民間の鉱害責任者が施行する、こういう場合には土地収用法の対象にはなりませんので、民事訴訟の問題として対応する、こういうことになろうかと思います。
  58. 岩田順介

    岩田分科員 民事訴訟の場合というのは、選択肢のbの二項にありますね。施行者からの訴訟の提起ということでしょうけれども、これも僕は再三石炭委員会でやってきたことなのですが、石炭社が有する鉱害復旧についてどれぐらい進捗しているのか。フィニッシュのときは国と一緒に終わるべきではないのか、そのためには支援措置があればもう少ししてもいいじゃないか、十分していると思いますけれども、してもいいじゃないかということを申し上げてきたのですよ。これまた同様に残ってきましたね。  したがって、これもやはり民法上の措置になりますが、裁判などになりますとこれは十年も二十年もなりますよ。これもやはり石炭社との、いわゆる有資力との協議、彼らの促進方については十二分に協議してくださいよ。そうしないと同じような結末になるわけですから。同じような結末というのは、被害者は個人の場合ですから、個人の場合というか、それぞれが財産を持っている個人の場合が相当該当するわけでありまして、この点も憂慮しておりますので、ぜひ御配慮の上進めていただきたいというふうに思います。  それから、もう時間がなくなってしまいましたが、最後の質問にしたいと思いますけれども、いわゆる裁判などになりますと、これは個人が裁判をして勝てるはずはないのですよ。第一、鉱害があるという挙証能力はありませんよね。しかも相手は石炭社であったり国であったりするわけですから、その点は十二分に配慮すべきことということが第一であります。  さらに、通産省、きょうは農水省お見えになっていませんが、僕はこれはぜひ畑大臣に肝に銘じておいていただきたいと思いますが、今長官もおっしゃいましたように、不同意案件が多くなっている。農地の場合は年々補償の問題だとか換地だとかさまざまな要因があると思いますよ。これらを十把一からげに悪だとして断罪するかのごとき対応は僕はよくないと思います。  これはだれが見てもごね得である、過大評価であるということは、これは当然やるべきでしょう。一定の措置は必要だと思いますが、農地問題に限って見るときに、日本の戦後の、戦前からもそうですが、日本の農政と鉱害問題と無関係だったかどうかということは言えると思いますよ。陥落で水びたしになる。できぬわけですから補償するわけですよ。年々補償する。そうすると、これが五年や三年じゃなくて三十数年にわたって続いてくるわけですから、当時三十五歳の人が七十歳のおじいちゃんになって、今さら鉱害復旧して田んぼつくれといったって、つくれませんよ。その過程において農政というのは一貫してないのですよ、大臣、米をつくろうというのかつくるなというのか。したがって、煩わしいところは横に避けて着工してきたという歴史もありはしませんか。  きちんとした農政が筋として通っておれば、美田に復元するための積極果敢な鉱害復旧を農水省はやってきたと思いますが、僕はどうもやっているとは思えない。努力はしたけれども、十分であったとは思えない。そのことを肝に銘じて、ひとつ農水省とも協議の上、今幾つか申し上げました強制的なやり方については十二分に配慮して、この調整の努力こそが鉱害復旧のあなた方の要請であるというふうに申し上げたいのですが、いかがでしょうか。
  59. 畑英次郎

    畑国務大臣 岩田先生から、長年にわたります現場実態を踏まえての貴重な御指摘を賜ったわけでございます。  なおまた、私的なことを申し上げて失礼でございますが、私もお隣の大分県という意味合いでその実態をいささか存じ上げている立場でございますが、御指摘のございましたとおり、とりわけ市町村の段階でのいわゆる実態、実情、地元事情に明るい方が中心となって調整機能を発揮願う、このことが一つの大きな解決へのポイントであろうというふうに私は考えます。  かような意味合いでの物事を中心に置いて、これからも真剣な取り組みをしてまいりたい、かように考えております。
  60. 岩田順介

    岩田分科員 通産大臣、農水大臣の御経験の上に市長も御経験になった畑大臣に多大の期待を寄せまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  61. 長浜博行

    長浜主査 これにて岩田順介君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後三時二分開議
  62. 長浜博行

    長浜主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。斉藤斗志二君。
  63. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 自由民主党の斉藤斗志二でございます。  きょうは限られた時間、三十分でございますので、質問も手短に、また御答弁も簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  まず経済企画庁より、景気対策に関連しての質問をさせていただきたいと思います。  不況が史上最長に及び、国民は生活不安におびえています。本年の景気見通しは、政府は二・四%と実質GDP成長率を見込んでおるわけでございますが、六日、昨日発表されましたOECDの見通しでは〇二八%でございます。我が国の民間調査機関でも、政府見通しよりもかなり低い水準で今年度予測を立てているわけでございますが、二%近い見積もりでの差異、このような大きな差異は、国民にとりましても重大な意味を持つのだというふうに思います。例えば、政府見通しを信用して設備投資や在庫投資をして、結果、経営を誤らせることもなしとは言えないわけでございまして、そういう意味で政府の存在ということについての重さをまず尋ねたいわけでございます。  この二、三年、経済企画庁景気見通しはどうも当たらないという指摘もございます。特に九二年、九三年、このあたりはかなり実態とかけ離れたものではないかなというふうに思うわけでございます。  そこで、経済見通しが、特に本年、また来年、このようにかなりの差異が生じるということもあり得るわけでございますが、そのような場合、経済企画庁はどんなような責任をおとりになられるのか、お答えいただきたいと思います。
  64. 野村誠

    ○野村説明員 お答えさせていただきます。  まず、OECDの見通しのお話でございましたけれども、つい先日、OECDの事務局の方から、上方改定して九四暦年の日本の成長率〇・八という発表がございました。詳しいところまで発表されておりませんけれども、我が方が承知している限りで申し上げますと、九五暦年については二・七%という成長率をOECDが予測しておりまして、年度に直しますと〇・八よりかなり上回るものと思っております。  さはさりながら、我々が経済見通しでお出しいたしました二・四よりは低い見通しを持っていることは事実でございますけれども、幾つか要因がございます。一つには、彼らの場合、政策効果を少し小さ目に見ているということ、それから、足元の明るさについてもやや過小評価しているということ、そして外需のマイナスの寄与度を少し大きく見ている、こういったことがあるかと思います。  いずれにいたしましても、企画庁といたしましては、これまで政府投資や住宅投資が堅調に推移しておりますし、このところ消費に明るさが見え始めている、これに所得減税の効果が加わって内需が膨らんでいく、それを受けて設備投資も年度後半には立ち上がってくる、こういう前提のもとで、二・四%という成長を確保できる、また確保すべきであるというふうに考えております。  過去二、三年、見通しが大きく狂ったということは先生御指摘のとおりでございまして、これにはいわゆるバブルの崩壊の影響というものをなかなか見通せなかったというあたり、厳粛にとらえております。昨年につきましては、冷夏、長雨、円高といった予想外の出来事がかなり見通しを狂わせたということでございます。
  65. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 時間がないのでこれ以上突っ込みませんけれども、余りにも見通しと結果がかけ離れているということが続きますとこれはゆゆしき問題だし、責任問題だと思いますし、さらに、民間調査機関の方がよく当たるじゃないかという話になったときに、経済企画庁のその部分での責任問題が必ず生ずるのだということをまず申し上げておきたいと思います。  次に、現行の景気対策でございますが、私は、まだまだ不十分だというふうに思っております。特に民間投資部門に力強さが感じられない。確かに、減税による消費喚起並びに公共投資等々の部分についてはそれなりの効果が出ているのかなというふうに思いますが、それだけではやはり日本の本格的な景気回復はおぼつかないわけでございまして、そこで経済企画庁は、この民間投資部門、どのような対策を講じているのか、また、そうすべきなのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  66. 野村誠

    ○野村説明員 先生御指摘のとおり、今次の景気回復の最大のキーポイント、民間設備投資がどれぐらいの強さで、またいつから立ち上がってくるかであると認識をしております。  民間設備投資の弱さにつきましては、二つの側面がございます。一つには、いわゆるストック調整といいましょうか、バブル期に二けたの設備投資の伸びが三年も続いた、この結果、設備が余っている、これを調整しなければいけないという要素がございます。これにつきましては、かなりこの調整が進んできております。今年度の設備投資調査等でも、やや上向きのものが見え始めております。  それからもう一つの側面は、やはり中長期的な不透明感、ビジネスマインドが冷え込んでいるということであろうかと思います。この点につきましては過日の総合経済対策においても強く認識をいたしまして、一つには、ビジネスマインドを改善するための安定的な金融環境をつくるため、不良債権等の処理を急ぐための対策、それから二つ目に、新規事業展開を図るためのさまざまな政策、そしてより一般的に、規制緩和ということをさらに推進することによって民間ビジネスの振興を図る、こういったことを考えており、今後ともこういった方向で進めていきたいと思っております。
  67. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 日本は大きな曲がり角に立っているわけでございまして、特に中小企業においてはその対応が深刻な状況でございます。生き残り作戦のための環境づくりをぜひ国を挙げて講じていただきたいことをお願い申し上げておきます。  時間の関係で、次、環境庁関係に参ります。経済企画庁、ありがとう。  環境庁にお尋ねをいたしたいと思います。  昨年十一月に施行されました環境基本法で、六月五日が環境の日と制定されたわけでございます。一昨日に当たります。各地で記念事業、記念行事も実施されたわけでございますが、私も選挙区の記念行事に参加いたしてまいりました。環境保全と汚染防止、環境美化を地球規模でさらに推進させる必要性を改めて痛感したところでございます。  私の選挙区では、重要な地場産業として製紙業がございます。なかんずく、中小企業が大部分を占める家庭紙業界は、リサイクル原料である古紙利用をより高めようと鋭意努力しているということも、その環境の日の記念事業の中でも披露されております。家庭紙にとどまらず、教科書その他の用紙につきましても、再生紙の使用比率の向上が望まれているところであるわけであります。  去る四月に、文部大臣はこのようにコメントをされている、環境庁から学校の教科書に再生紙を使うよう申し入れがあったことを明らかにしたということでございます。これは新聞報道がなされているわけでございます。  そこで、環境庁にお尋ね申し上げたいわけでありますが、環境保全の対策上、古紙利用促進は欠かせないというように思いますが、その点いかがでございますか。
  68. 小沢典夫

    ○小沢説明員 環境の日の取り組みにつきましては、先生みずから大変御尽力をいただきまして、お礼申し上げます。  お尋ねの古紙利用促進と環境保全の関係でございますが、おっしゃるとおり、これは非常に重要なことでございます。若干のデータで説明申し上げますが、近年、国民生活の向上でありますとか、オフィスのOA化等に伴いまして紙ごみの発生量が非常に増大しております。横浜市とか大阪市等の調査によりますと、一般廃棄物の中で紙の占める割合が、重量比でいいまして三割から四割程度に及んでいるという状況でございます。こうした紙ごみは、埋め立てますと埋立用地が必要になります。また、減量のために焼却するとすれば、そこから二酸化炭素でありますとか窒素酸化物などが発生するという問題がございます。また、紙の原料は木材でございまして、これは非常に重要な地球の資源であります。重要な資源は、一度使って捨ててしまうということではなくて、できる限り繰り返し使うこと、つまりリサイクルを行うことは、地球環境への負荷を少なくするためにも非常に有効なことでございます。  なお、そのほかにも紙の製造段階で見ますと、原料に天然パルプを使うよりも、いわゆる古紙再生パルプを使った方がエネルギー消費量でありますとか、大気汚染などの負荷も減らすことができるというデータがございます。  このように古紙のリサイクルというものは、資源の調達とか製造段階でもそうですし、使用後の廃棄等の段階でもそうでございますが、環境保全に役立つ非常に有効なものであるというふうに考えております。このため、環境庁といたしましては、リサイクル法等の個別、具体的な措置を講じられる通産省とも協力をしまして、今お話のありました再生紙のいろいろな機会での利用拡大など、古紙リサイクルの促進に関する国民各界への普及啓発などの面で鋭意努力を払っているところでございます。
  69. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 ただいま環境庁から、環境保全その他環境対策を講ずる上で古紙利用の促進というのは欠かせないという基本的な、また力強い御答弁をいただいたわけでございます。  そこで、今度は通産省にお尋ねを申し上げたいと思うわけでございますが、まず最初に、最近の古紙利用に関する状況はどのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。
  70. 土居征夫

    ○土居政府委員 我が国の古紙利用率は、二十年前の昭和四十九年に三六・二%であったものが平成五年度五三・一%と順調に推移してきておりまして、今や世界でも最高水準にまで来ております。平成四年度、五年度におきましては、全体としての景気の低迷によりまして、紙の需要も減った。特にその中でも古紙の利用率が高い段ボール原紙等の板紙、これの需要が低迷しておりまして、そういった意味で、古紙の利用率は実はその間でも伸びておりますけれども、当初予想したほどの伸びではない、そういう状況でございます。
  71. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 そこで、次に行きたいと思いますが、通産省はリサイクル法というのを制定されておられます。平成三年でございます。リサイクル法に基づく古紙利用率目標というのが、略称といいますか、通称といいますか、リサイクル五五計画というのがあるわけでございますが、この達成見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
  72. 土居征夫

    ○土居政府委員 再生資源の利用の促進に関する法律、いわゆるリサイクル法におきましては、事業者消費者、国、自治体、これが幅広い協力体制のもとでリサイクルを推進していくわけでございますが、紙につきましては、平成六年度末を一応の目標にいたしまして古紙の利用率を五五%に向上すること、これをゴールといたしております。  しかしながら、先ほど申しましたように、景気の低迷を背景といたしまして、平成四年度、五年度の古紙の利用率は伸びてはおりますけれども、当初の予定ほどには伸びておらないということで、平成五年度は五三・一%というところにとどまっているところでございます。  今後、この目標期限であります来年三月までまだ一年弱ございますので、この古紙の利用率を少しでも目標の五五%に近づけるように、関係事業者にさらに働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
  73. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 今通産省からもこの目標達成のための決意をお聞きいたしたわけでございます。関係業界を初め、また使用者も含まれるのだと思いますけれども、この大きく掲げた目標達成のために、限りない行政からの応援また行政を行っていただきたいというふうに思うわけであります。  実は、この古紙利用、トータルで五五というお話は聞いたのでありますけれども、次に、全体の目標としては五五であるけれども、これはそれぞれ個々の製品でもその比率を上げていかなければ、この目標の達成はなかなか難しいのではないかと私は思っているわけでございます。  そこで、家庭紙、とりわけトイレットペーパーにおける古紙物とパルプ物の比率についてお伺いをいたしたいと思います。  この家庭紙、特にトイレットペーパーというのは、一般紙と違いまして、一般紙の場合、パルプを使いましても再生可能、リサイクル可能な製品と分類できるわけでありますが、このトイレットペーパーに関しましてはリサイクルできないんだということの前提に、この古紙物とパルプ物の比率はどんなものか、お伺いしたいと思います。
  74. 土居征夫

    ○土居政府委員 正確な統計がございませんので、一応業界の統計をいろいろもとにしまして推定をするしかないわけでございますが、この方法で推計いたしますと、平成五年度におきまして、大体古紙を使ったトイレットペーパーが七に対しまして、バージンパルプの製品が三というふうに推定しております。平成五年度で、古紙製品とパルプ製品に分けまして、大体古紙製品が七、パルプ製品が三の比率になっております。
  75. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 今通産省の方からは七対三だという御答弁をいただいたわけですが、過去にさかのぼりますと、実はこの比率がかなり有意的に違ってきているんだということが指摘できるかなというふうに思います。  御案内のように、ほぼ十年ほど前という統計をとりましょうか、これは八割を優に古紙物は超えていたわけですよね。そして、二割以下がパルプ物だったということでございます。そうしますと、伸びてきたものは何かということになると、当然パルプ物が伸びてきた、こういう統計上の数字になるわけでございます。私は、先ほど環境庁からのお話、そういう大きな方針にかんがみたときに、過去は過去として、特に今後の問題といたしまして、こういったトレンドを維持することは果たしていかがなものかなというふうに思っておりまして、その点通産省のお考えをお伺いしたいと思います、特に今後の問題として。
  76. 土居征夫

    ○土居政府委員 確かに、先生おっしゃいますように、トイレットペーパーの中で古紙利用製品の比率が落ちてきて七割くらいになっておるというのは事実でございます。これは、これまでのプラザ合意以降の経済の拡大期、いろいろと消費も多様化いたしまして、特に老人とかそういったいろいろなジャンルの方々がやはりやわらかいバージンパルプのトイレットペーパーを好まれるというような商品の選択で、ここまで変わってきた要素があるかと思います。  ただ、今先生おっしゃいましたように、全体としてのリサイクル五五という目標もございますし、我々としては、一方ではそういう消費者の商品の選択の拡大という問題もありますし、それから実は、このトイレットペーパーにつきましては、この不況期にもかかわらず需要がどんどん伸びております。これはまた、生活の洋式化とかいろいろな角度から伸びておりまして、実は全体としての供給不安があっては将来ともいけませんものですから、そういった問題も考えながら、総合的にこれからいろいろと業界にはお願いをしていこうというふうに考えております。
  77. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 答弁の中で、総合的な判断、これは買うお客さんの立場もそれなりの配慮をしなければならない、こういうような意味合いかと思いますが、私は基本的に、つくる側からいうと、やはりリサイクルということを中心に置いての議論をなされなければいかぬというふうに思っておりますので、重ねてその点強く申し入れておきたいと思います。  そこで、このような中、パルプ一〇〇%の家庭紙製造設備が今後増設されるのではないかというふうに聞いてはおりますが、この点についていかがでございますか。
  78. 土居征夫

    ○土居政府委員 バージンパルプによりますトイレットペーパーの工場の新増設計画、新聞報道によりますと二社の計画が出ておりますけれども、正式には我々としては報告もまだ求めておりませんので、今後、この辺の具体的な計画については確認をしていきたいというふうに思っております。
  79. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 今後、調査等々、資料等々の関係で把握されるということでございますが、パルプ一〇〇%の家庭紙製造設備の増設ということについて再度お尋ねをしますが、これについて問題はないのかという質問でございます。
  80. 土居征夫

    ○土居政府委員 先ほどもちょっと触れましたように、この構造不況期にもかかわらず、今、紙の需要が全体減っている中で、実はトイレットペーパーの需要はここ数年三%ないし四%という非常に高率で需要が増大しております。こういった中で、やはりトイレットペーパーは国民生活に密接に関連する必需品でございますので、昔トイレットペーパー騒動もございましたが、そういう供給不足に陥らないような安定的な、長期的な供給体制の確保というのも一面では必要でございます。  したがいまして、これは、バージンパルプだけではなしに、古紙を使っておられる中小企業製品につきましても、今後需要の伸びに見合った生産体制の整備拡充、こういったものが必要になるのではないかというふうに考えておりまして、そういうことで、総合的にも、申し上げましたように、需要の将来見通しということも一応考えながらいかなければいけないということでございます。  ただ、先生御指摘にありましたような、一方では環境保全、リサイクルという問題がございますので、古紙製品を使ったトイレットペーパーをなるべく選択するように、一層の普及啓蒙活動、これは通産省としてやっていかなければいけないというふうに考えております。
  81. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 そこで、これは私、直接聞いているわけではありませんが、仄聞するところによると、全家連、全国家庭紙工業組合連合会の方から、分野調整法に基づく調査の申請があったというふうに聞いておりますが、この点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  82. 土居征夫

    ○土居政府委員 今御指摘分野調整法第五条に基づく調査の申し出書、これは郵送によりまして昨日送付をされたという事実を確認しております。  送付されたばかりでございますので、今後、関係法令に照らしまして、必要条件を満たしているかどうか確認をして手続を検討してまいりたいというふうに考えております。
  83. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 そうしますと、そのような申し出は受け取ったということで理解してよろしゅうございますね。
  84. 土居征夫

    ○土居政府委員 これは法律上いろいろと要件がございます。したがって、その要件に合致しているかどうかということも含めて、受理については判断しなければいけません。したがいまして、郵送によって送付されましたので、今後資料の内容等については、場合によったら正式の受け付けの前にいろいろと確認を求めることになるかもわからないというふうに考えております。  一点、問題は、結局、これによります中小製造業の生産とか事業の縮小のところなんでございますが、基本的に、これは先ほど言いましたように、需要が全体として伸びておりまして、確かに中小分野のシェアは減っておりますけれども、中小分野自体の生産の増加も一部確認されておりますので、その辺の要件は、また受け付けの問題とも絡んでまいりますので、その点は確認させていただきたいと思っています。
  85. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 時間の関係がございますので、最後に行きたいというふうに思います。  先ほどは環境庁からもお話をお伺いしたわけであります。私は、政府の中で環境保全に対する考え方が一致しないとか一貫性がないということは、それはあってはならないことだというふうに思っておりまして、ぜひ環境庁並びに通産省、足並みをそろえまして、この環境基本法並びにリサイクル法等にのっとって対応を講じていただきたいと思うわけでございます。  ここに、平成二年の三月に「地球環境保全のための普及啓発等の推進について」ということが申し合わせされているわけでございます。これは関係閣僚会議幹事会の申し合わせということでございます。その中で、再生紙の利用につきまして、「再生紙の利用は、森林資源の保全等を通じ地球環境の保全に資するものであり、率先して可能なものから再生紙の利用を実施していくこととする。」四番目に「関係団体等への働きかけ」というのがあるわけです。「上記の施策関係団体、地方公共団体等においても実施されるよう働きかけることとする。」こういうような内容で、皆さん方が当事者としてなされているわけでございまして、私はさらに一層のこの推進促進をお願い申し上げたいというふうに思います。  最後に、大臣にお尋ね申し上げたいと思いますが、この古紙利用促進に関しまして、今後の通産省政策はどのように展開をされていくのか。特に、大臣はもう最高の地位の方でございます。私としては、政府にもっと積極的にかつ財政的な支援措置も含めまして、この環境対策の一環としての古紙利用に邁進していただきたいと思うわけでございますが、大臣、いかがでございますか。
  86. 畑英次郎

    畑国務大臣 斉藤先生のこの分野に寄せます並み並みならぬ御決意は従来から承知をいたしておるわけでございますが、御指摘がございましたとおり、これからの二十一世紀に向けましては、環境問題、そしてまた、たまたま先生からも御指摘を賜りましたが、森林資源の問題、これはある意味では人類そのものにかかわる大きな重大問題であることは御案内のとおりでございまして、そういう中にございまして、ただいま古紙利用の問題等々につきまして種々御指摘を賜り、御意見を伺ったわけでございます。  私自身もチェックをいたしましたところによりますと、残念ながらと申し上げた方がいいと思いますけれども、通産省の古紙利用促進、これにかかわります予算が三千万円程度ということでございますが、これからも引き続き力を入れてまいりたい。  そしてまた、何といっても、この紙のリサイクルの促進につきましては、それぞれの分野の方々に御理解を願いますとともに、国民的な合意としましての協調体制、こういうものがあって初めて前進可能であろうというようにも考えるわけでございまして、各古紙の回収促進対策としての、従来から言われております分別回収の問題、システムの確立、講習会の開催あるいは啓蒙普及活動、そしてまた古紙回収業界に対する支援等々の問題がこれからも引き続き大切であるというふうに考えます。あるいはまた、製紙原料としての利用促進対策としまして、紙製造事業者における古紙利用の一層の推進、なおまたコンクリート型枠の製紙原料以外の新規用途の開拓を進めていくこと等々が、私どもに与えられておる課題であるというように考えておるわけでございます。  いずれにしましても、再生紙等の使用促進対策としまして、広報活動の徹底あるいは講習会の開催、モデル事業等の各種の啓蒙普及活動を行うことが大切、こういうように考えておるわけでございますが、従来のいきさつを踏まえて層一層問題解決に向けての努力を図ってまいりたい、かように考えております。
  87. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
  88. 長浜博行

    長浜主査 これにて斉藤斗志二君の質疑は終了いたしました。  次に、枝野幸男君。
  89. 枝野幸男

    枝野分科員 民主の風の枝野幸男でございます。さきがけ・青雲・民主の風を代表いたしまして、通産省予算に関しまして二、三のお尋ねをさせていただきたいと考えております。  まず、製造物責任法、PL法に関連いたしました部分についてお尋ねさせていただきます。  御承知のとおり、今製造物責任法案が商工委員会審議をされております。これは製品被害の防止という側面を考えまして、万が一被害に遭ってしまった場合の事後的な救済の手段、これを製造物責任法という形で確保していこうという法案でございますが、言うまでもなく製品被害は、発生した場合の事後の救済も大切ですが、そもそも製品被害を生じさせない事前の予防というものが大変重要であると考えております。  そうした中で、本年度の通産省総合製品安全対策推進についての予算が、前年度から比べましておよそ二倍ほど確保をいただいております。まさに製品安全といった場合には、PL法の対象になる製品の中でも、その部分は通産省皆様方所管をされている製品でございます。この総合製品安全対策推進に関する予算、この具体的な使途といいますかその方向、それについて御説明をお願いいたします。
  90. 清川佑二

    ○清川政府委員 先生御指摘のとおり、製造物の問題につきましては、事故の防止対策というものがまず第一にあり、そしてまた救済対策となるわけでございまして、通産省におきましては、製品の安全性にかかわる消費者の実質的な利益の増進を図るために、製造物責任制度の法制化とあわせまして、事故の防止対策、そして被害の救済対策の両面から成ります総合製品安全対策推進を図ることといたしておりまして、平成六年度予算案におきましては七億四千七百万円余りの予算を計上いたしております。枝野委員の御指摘のとおり、これは前年度の三億三千二百万円程度に比べまして、約四億円余りの増額となっているわけでございます。  主要な点に限って申し上げますと、第一には、製造物責任制度を初めとする総合製品安全対策につきまして、周知徹底を図るために消費者事業者双方に対して教育啓発を行うもの、約二億四千万円でございます。このうち、特に中小企業向けにつきまして、普及啓発、啓蒙事業といたしまして約一億五千万円を計上いたしております。第二に、安全規制対象品目を中心としました、市場に流通する製品の安全性の検査、確認、このために約一億六千万円を計上させていただいております。第三に、原因究明体制を整備するために、一つには、通商産業検査所における原因究明関連の基盤技術の体系的整備、二つには、民間検査機関を活用した原因の調査分析、三つには、原因究明、関係機関の紹介あっせんネットワークの整備ということのために約一億一千万円を計上しております。  なお、以上のほかに、警告表示を中心とした表示の統一化や個別品目ごとの表示、取り扱い説明の適正化、アフターサービスの充実等に関する調査研究、そしてまた消費者相談体制の充実等を行うことといたしております。
  91. 枝野幸男

    枝野分科員 ありがとうございます。  今のお話の中にもありましたが、製造物責任制度導入するに当たりまして、消費者の側から見た問題点と、もう一つ、中小企業の皆様が、この法律ができることでいろいろと商売にならないのじゃないかというふうな不安を強く持たれているというようなことが審議の中でも出てきております。  これについて、今のお話の中で中小企業に対する法案の内容等の周知徹底というお話がございましたが、それに加えて、ある程度中小企業としてPL法に備えて対応しなければならない部分がないわけではないというふうに思いますが、この点について何か予算的な措置というものはとられておりますでしょうか。
  92. 長田英機

    ○長田政府委員 このPL対策の問題が生じましたときに、率直に言いまして、どういう制度なのかというようなことで、中小企業の方がいろいろ不安を持たれた点はあったと思うのです。しかしながら、我々中小企業庁としましては、そういう中小企業の代表の方と随分勉強会を何回も何回もやりまして、こういう制度なんだと、さらに、この制度が確立するまでには審議会の場に中小企業も参加いたしまして、そして十分な議論を尽くして制度ができたわけでございます。  そういうようなことで、大分中小企業者の理解も浸透してきておりますが、しかしながら、先生おっしゃいますように、なおPRということをやっていく必要があると思うわけでございます。  特に、施行までに一年間の期間がまだございますので、これの間に私どもとしては、平成六年度予算におきまして、商工会、商工会議所が小規模企業を対象として実施する講習会等の事業に対する補助あるいは組合が実施する製品事故等に関する調査研究、ビジョン作成あるいは広報指導ということに対する補助、さらに、中小企業事業団が実施しますところの中小企業者、商工会、商工会議所のいわゆる指導担当者等を対象にした講習会等、これは教育でございますが、こういうような点について予算の用意をいたしまして万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  93. 枝野幸男

    枝野分科員 ありがとうございます。  総合製品安全対策、これは消費者の立場から見ましても、それから実際に製品をつくっておられる中小企業の皆様にとられましても、非常に大切な問題であると考えております。  平成六年度の予算は、どちらの側面から見ましても、前年に比べて大変大きな額をとっていただいたというふうに非常に満足をいたしておりますが、ぜひ今後ともこういった方向、特に生活者主権という立場から総合製品安全対策は重要であると思いますので、よろしければ大臣に一言、今後に向けました決意を述べていただければと思いますが。
  94. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま枝野先生御指摘のとおり、ある意味におきましては画期的な政策展開ということに相なるわけでございますし、とりわけ中小企業のお立場、いささか将来に対する御懸念、御心配、極めて大きいものがある、そういうことを考えますと、御指摘対応策につきましては、これまた思い切った力を入れていかなければならない、さような姿勢を持って今後とも対応してまいりたいと考えております。
  95. 枝野幸男

    枝野分科員 ありがとうございました。  それでは次に、中小企業対策について二、三お尋ねさせていただきたいと考えております。  中小企業対策という側面では、例えば金融支援でありますとかさまざまな支援の形があると思いますが、何といっても中小企業がきちんとした経営をしていって発展していただくためには、お金とか物とかというハードの面だけではなくて、経営内容改善あるいは技術改善といったところ、ソフトの面、人の面というものがこれからの時代、ますます重要になるのではないかと思っております。  そうしたことで私も勉強させていただいた中で、中小企業対策としてこうした、特に人の面についての予算も十分にとっていただいていると思いますが、そのうちまず第一点目といたしまして、商工会等の事務局長さんの設置費、これが昨年度の当初予算ですと、単価が四百万円が四百十万円に、それから設置箇所について、二千二百十カ所から二千三百七十五カ所へ百六十五カ所の増ということになっております。これで、二千三百七十五カ所ではすべての商工会に行き渡っているわけではないと思いますが、どういった基準で、どのような商工会のところにこうした事務局長の皆さんを配置しているのか、あるいは、これからこの事務局長さんの設置費等について今後の整備の計画、そういったものについてお教えいただければと思います。
  96. 山田豊

    ○山田政府委員 お答え申し上げます。  商工会及び商工会議所において、経営指導員等を通じて行う経営改善普及事業の円滑かつ効果的な推進を図るために、商工会等の一般管理事務の責任者として事務局長を設置しているわけでございまして、これを置くことによって、経営指導員等が経営改善普及事業に専念して、小規模事業者に対し的確な指導助言が行えるよう、指導環境の向上の一環として、事務局長の設置にかかわる経費を今まで補助していたところであります。  平成六年度予算案におきましては、平成五年度予算上二千二百十カ所であったものを二千三百七十五カ所とし、百六十五カ所の設置箇所数の増を行ったところであります。また、先生御指摘のとおり、補助単価の引き上げも行っておりまして、四百万円から十万円アップして四百十万円ということで、指導環境体制の整備を図ったところであります。  それから、先生御指摘の配分基準についてでございますけれども、現在、都道府県に対しまして、まず第一に、経営指導員が設置定数どおり設置されていること、それから第二に、常時雇用職員が原則として三人以上であること、第三に、原則として地区内の小規模事業者数が三百一人以上であることなどの要件を示しているものでありまして、これらの要件を満たすものとして都道府県から要望があるものについて配分する考えでございます。  また、今後どのように整備していくかというお尋ねでございますけれども、近年の小規模事業者をめぐる厳しい経営環境を踏まえまして、平成六年度においては、先ほど申し上げましたとおり、百六十五カ所増の二千三百七十五カ所、補助単価も十万円アップで四百十万円としたところでありますけれども、今後ともその拡充について検討してまいりたい、かように考えております。
  97. 枝野幸男

    枝野分科員 ありがとうございます。  もう一つ、今のお話にも出てまいりましたとおり、現場で直接に中小企業の皆さんに対して、中小企業の皆さんを中心として経営指導を行っておられる経営指導員あるいは補助員の皆さんに対する補助でございますが、こちらは前年度と比べまして、経営指導員さんで十二名の増、補助員さんで三名の増という予算になっているかと思います。このあたりのところ、事務局長さんの設置費の補助の増加に比べて少ないように思いますけれども、そういった点も含めまして、こちらの方の配分の基準あるいは今後の状況といいますか、見通しといいますか目標、そういったものをお教えいただければと思います。
  98. 山田豊

    ○山田政府委員 お答え申し上げます。  小規模事業者の経営の改善、発達を図るために、今まで商工会、商工会議所経営指導員等を設置して経営改善普及事業推進に努めてきました。  お尋ねの経営指導員等の設置人数につきましては、個々の商工会等の規模、地区内の小規模事業者の数等によって差があるところでありますけれども、全国合計では、平成六年度予算案において経営指導員八千七百八十五名、補助員四千二百七十九名、記帳専任職員三千九百八十人が計上されているところであります。  なお、経営指導員等の増員につきましては、近年は毎年度経営指導員十二名、補助員三名の増員を実施してきたところであります。  お尋ねの配分基準でございますけれども、経営指導員について申し上げますと、地区内の小規模事業者数に応じて定める経営指導員設置基準に基づき算出した定数の範囲内で設置することになっておりまして、その範囲内で今まで設置してきたところでございまして、例えば小規模事業者数が三百人以下のところは経営指導員が一名設置されるとか、三百一人から千人のところは二名設置されるとか、そういうような基準を設けておりまして、その範囲内で今まで設置をしてきたところであり、これからもその範囲内で予算の拡充に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  99. 枝野幸男

    枝野分科員 予算的にもいろいろと御苦労があるとは思いますけれども、たまに商工会、商工会議所等をお尋ねしますと、事務局長さんあるいは指導員さんは非常にお忙しくお仕事をされている、努力をされているという様子を目にしております。ぜひとも今後とも、できるだけ数多くの予算をとって、こういった方々ができるだけゆとりを持って仕事ができるような状況、それが中小企業の発展につながると思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  もう一つ、さらにちょっと細かくなりますが、中小企業の中でも特に下請企業の問題に関しまして、下請企業振興協会というところに対する予算がつけられております。下請中小企業のアドバイザーの費用、これが本年度で百三十六人、あるいは常設顧問弁護士ということで三十名、そういった予算がつけられております。下請企業の振興ということも非常に重要で、その指導をしていただくアドバイザーあるいは弁護士の皆さんの具体的な活動内容といいますか、どのような実績を上げておられるのか、そしてこれからどういった形でその業務を拡大させていきたいというふうにお考えになっているのか、そのあたりをお教えいただければと思います。
  100. 村田成二

    ○村田(成)政府委員 ただいま先生御指摘のように、全国及び都道府県の下請企業振興協会、全部で全国を含めまして四十八協会ございますけれども、そこの活動を通じまして、私ども特に力の弱い下請中小企業振興に相努めてまいっておるわけでございます。具体的にはいろいろな活動をやっておりますけれども、大まかに申し上げますと、この協会、下請取引のあっせんと、それからもう一つは下請取引に関しますいろいろな苦情、紛争等の処理、あるいは相談指導事業というのを行っておるわけでございます。  ただいま先生御指摘の下請中小企業アドバイザー、これはこの中でむしろ、域内を巡回等いたしまして、直接対面で経営技術指導を行うというような役割を担っているわけでございます。現にこういった活動の成果といたしまして、例えば昨年の臨時国会で成立させていただきました新分野進出法がございますけれども、そういった新分野進出に絡みますいろいろな相談、技術指導、経営指導を行って具体的に承認申請に至っているような例も幾つか見受けられる、こういった成果を上げてきておるわけでございます。現在、先ほど先生おっしゃいましたように、百三十六名ということで平成六年度予算案に計上してお願い申し上げておるわけでございますが、平成五年度に比べまして二十名増強という形で着実なる増加を図っているところでございます。  それからさらに、顧問弁護士でございますが、これにつきましては、現在のところ下請代金法に限りませず、取引に関する幅広い法律問題、特にこういった法律問題に疎い下請の皆さんに懇切丁寧に幅広く相談を申し上げる、こういうふうな制度として発足してきているわけでございますけれども、残念ながら今までのところは五カ所、五人という程度にとどまっております。ただ、今回、平成六年度予算案におきまして、これを一挙に先生御指摘のように二十五名ふやしまして、三十カ所、三十名という形での大幅増加を図っているところでございます。  いずれにいたしましても、昨今のいろいろな景気変動ないしは構造変化の中で、親事業者によります工場移転、閉鎖、これに伴います下請中小企業としての対応というものの必要性が増大してきておりますし、それからまた、不況期でもございまして、親企業あるいは下請企業間の苦情、紛争案件というものも増加してきております。こういったいろいろなアドバイザー制度あるいは顧問弁護士制度を通じまして、懇切丁寧にきめ細かな御相談に応じられるように引き続き努力をしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  101. 枝野幸男

    枝野分科員 私も弁護士をやっておりまして、短い期間でございましたけれども、やはり下請の中小の企業の皆さんが法律的な知識がないということで、非常にトラブルがひどくなってしまってから私のところにいらっしゃって、もうちょっと早く御相談に来ていただければもっと手を打てたのにというふうなケースは決して少なくございません。せめて一日も早く、例えば何とか、一つの協会に一人の弁護士さんはいていただけるような状況をつくっていただければと思いますし、また、聞いたところによりますと、弁護士さんに対する謝金というのでしょうか、それが国からの分と県からの分と合わせて年間八十万円程度と聞いておりますが、弁護士としての経験から考えますと、これは弁護士さんの方もかなりボランティア精神がないとできない仕事かなというふうに思っております。  そうした点についてぜひとも充実を図っていただきまして、中小企業、その人の面というところでこれからもすばらしい行政を進めていっていただきたい。特に、人の問題でございますので、お金の問題だけではなくて、どういった人がどういった指導をされるかといったことが何よりもポイントになると思います。  そういった点も含めまして、大変恐縮ですけれども、大臣に今の点について御所見を伺わせていただければと思います。
  102. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま枝野先生から御自分の御経験、そしてまた実態を踏まえての御指摘をいただいたわけでございまして、この分野に限らず、引き続き中小企業関係、零細企業関係、そしてまた現場の相談業務、指導業務、こういった点に力を入れてまいりたいと考えておるわけでございます。
  103. 枝野幸男

    枝野分科員 それでは、もう一テーマほど聞かせていただきたいと思います。エネルギー問題でございます。  実は、先々週になりますか、柏崎にあります原子力発電所を見学させていただきまして、私も原子力発電所を見学するのは初めてでございまして、理屈の上では安全なのだということをわかっていて、決して原発反対派であったわけではないのですけれども、実際に現場の原子力発電所を見させていただいて、なるほどこれであれば、ある程度の反対はあっても、それは納得していただいて進めていかなければならないのだなというふうなことを、私なりに理解してまいったつもりでございます。  ただ、そうは申しましても、安全性のより高い、そしてクリーン度のより高いエネルギーというものに可能な限り切りかえていくというふうな努力というのは、決して怠ってはいけないだろうと考えております。  そうした中で、ことしの予算の中でもつけられておりますが、太陽光発電、太陽光のエネルギー、これはまさに、少なくとも地下に眠っている核でありますとか石油石炭のように有限なものではありませんし、また、そのクリーンさというものでも他に比較のしようがないものであろうと考えております。ぜひともこの太陽光の発電システムというものが一日も早く実用化、そして普及をしていくことが非常に重要だと考えておりますが、ことしの予算の中で、住宅用太陽光発電システム普及促進対策ということで、初めて二十億円余りの予算がつけられております。その具体的な事業内容と申しますか、そこのところをまずお教えいただきたいと思います。
  104. 川田洋輝

    ○川田政府委員 太陽光発電システムは、御指摘のとおり大変クリーンな石油代替エネルギーとして、地球環境問題への対応エネルギーセキュリティーといった観点から、極めて有用なものであると認識をいたしております。  この太陽光発電の導入促進いたしますため、私ども通産省では、従来から、まず第一は、低コスト化のための技術開発推進するとともに、第二に、太陽光発電システムの公共施設などへの試験的な設置事業、フィールドテスト事業と呼んでおりますが、これらの推進事業者が設置するに当たって税制上の特例措置を講ずるほか、第三に、商用電力系統への連系ガイドラインの整備を行うとともに、各電力会社も分散型電源としての太陽光発電からの余剰電力の購入条件の具体的内容を発表して購入を進めるなど、予算税制制度面の環境整備を講じてまいったところであります。  この太陽光発電システムにつきましては、こういった近年の環境整備の進展、基本的技術の確立など、一般的普及に向けた素地形成がなされていると考えられるわけでありますが、既存電源と比較した場合にはどうしてもコストが高いということがございまして、これが普及を阻害しているという状況にございます。  今後、こういった問題を解決して普及促進を図ってまいりますためには、個人住宅の屋根を活用して導入の先鞭をつけていくということが必要であるというふうに認識されるわけでございます。したがいまして、先生御指摘住宅用太陽光発電システム普及促進対策というのは、個人住宅への太陽光発電システムの設置に補助を行うことによりまして、太陽光発電システムを設置する主体を創出するとともに、その設置していただく方にモニターとなっていただきまして、運転データなどの収集によりまして、消費者ニーズに合致した機器性能の向上、保安対策の検討に資したいと考えるものであります。  具体的に申しますと、七百件程度の個人住宅を対象といたしまして、一キロワット当たりの補助金の上限を九十万円として太陽光発電システムの設置費用の二分の一相当の補助を行うとともに、あわせてシステムの設置行為者に対する設置ノウハウ、一般個人などに対する保安管理方法などの指導事業及び太陽電池の保安方式の簡素化のための調査事業を行うことといたしておりまして、平成六年度予算案におきまして二十億三千万円新規予算として計上させていただいているところでございます。本予算を活用いたしまして実施を力強く進めてまいることによりまして、さらなる技術開発の進捗と相まって、量産化、規格化、標準化などによりますコスト低下を誘発して、ぜひ太陽光発電システムの普及の基盤形成に資してまいりたいというように考えておるところでございます。
  105. 枝野幸男

    枝野分科員 ありがとうございます。  今のお話ですと、一キロワット当たり上限が九十万円、大体普通の家庭用ですと三キロワット程度、六百万円ぐらいが購入するのに必要だ。そうしますと、どんな御家庭でも、補助があっても三百万円程度の自己資金をつぎ込まないと、この太陽光発電システムをつけることができない。電力料金を考えてみますと、単純な経済的な損得だけではなかなかこれをやっていただけない。なおかつ、それでもモニターとなっていただけるという方は、やはりエネルギー問題あるいは環境問題等について、非常に強い関心と将来についての意思というものを持っていらっしゃる方だろうと思います。ぜひそういった方々にたくさん出てきていただくような御努力を、そしてそうした方々が出てきていただいたら、その人たちにも投資をしていただいて、ともに将来のためにモニタリングをするのだというふうなことで、ぜひともこれをいい方向に進めていくために努力をしていただきたいと考えております。  そのあたりのところについての御所見を最後に伺わせていただきたいと思います。
  106. 川田洋輝

    ○川田政府委員 まさに委員御指摘のとおり、私どもで試算をいたしますと、年間で節約される電気料金が八万円という程度のところでございますので、二分の一補助を前提といたしましても、投資の回収ということで単純計算しますと、三十年以上かかるということに相なるわけでございます。  私どもとしては、ぜひこの予算を今後の太陽光発電の大きな第一歩、画期的な一歩としたいというように考えておりまして、この二十億三千万円の予算が、将来に向かって見ると、光発電の大きな一歩になったということが言えるように、今お話しのように広く呼びかけまして、ぜひこの七百戸という戸数を、我々も努力を要するのではないかと今思っておるところでございますけれども、ぜひとも有効に活用してまいりたいというように考えておるところでございます。
  107. 枝野幸男

    枝野分科員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いいたします。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  108. 長浜博行

    長浜主査 これにて枝野幸男君の質疑は終了いたしました。  次に、畠山健治郎君。
  109. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 私は、主として通産省並びにエネ庁に関してお尋ねをさせていただきたいと思います。  非鉄金属資源の銅、鉛及び亜鉛や、先端産業では欠くことのできないレアメタル資源は、主産業の基礎資材として、また国民の日常生活にとって必要不可欠な重要物資でありますことは申し上げるまでもございません。  しかしながら、我が国の非鉄金属産業は、長年にわたる金属価格の低迷、エネルギーコストの上昇、鉱害防止費用の増大等を主因として、産業基盤が弱体化してまいってきております。また、昭和六十年秋以降の急激かつ大幅な円高と金属価格の低迷によりまして未曾有の苦境に立たされ、特に国内鉱山は、鉱山数あるいは従業員ともに激減いたしておるのが現状でございます。  さらに、昨今の情勢は、猛烈な円高と国内外の経済不振を背景とした需要の低迷で、金属価格はかつてない低位に置かれ、先行きに危機感があふれておる状況になってございます。加えて、ガット・ウルグアイ・ラウンドがこれに追い打ちを加え、産業の存廃が問われる状況になっておるのが昨今の姿であろうかと存じます。  このような中にあっても、我が国の非鉄金属産業は基礎素材供給の重要な役割を担っておりますことは、申し上げるまでもございません。したがって、残り少ない国内鉱山の休閉山、国内製錬所の縮小等によっては、非鉄金属の安定供給に問題が生じ、日本経済の諸産業に及ぼす影響は大きいものがございます。  特に、鉱山県秋田と言われてまいりましたが、残念ながら、ことしの四月で花岡鉱山が閉山をして、鉱山ゼロという姿になってしまいました。  かかる観点から、これまで主に地元から受けた陳情、請願等を中心にして、以下の事項につきまして、それらが本年度の予算にどう反映されておるのか、あるいは反映されておらないのか、それらの理由等々につきまして、率直にお考えを承りたいと存じます。  まず、国内鉱山、製錬所対策についてでございます。  鉱山の生命線は探鉱にございます。これまで、探鉱助成や関税制度維持あるいは経営安定化融資制度等、それぞれ大きな努力を払われてきておりますことは評価をいたしたいと存じます。しかし、今までとは違って、比べ物にならないほどの深刻な状況になっておりますことは、先ほど申し上げましたとおりでございます。そういう立場から、従来以上の強力な支援、援助をしていただかなければならないのではないかと存じますけれども、その点はどうなっておるだろうか、お伺いを申し上げたいと存じます。     〔主査退席、川端主査代理着席〕
  110. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま畠山先生、大変ざっくばらんに申し上げれば、先生のお地元の今日までの歩み、そういう実経験からいたしまして、事柄の深刻性を十二分に踏まえた御指摘をいただいたわけでございまして、先生御指摘のとおり、この非鉄金属が、我々国民生活、そしてまた産業活動に必須の基礎的資材であって、我が国にとりましてはいわゆるこの分野の安定供給の確保ということが極めて重大な項目、かように受けとめさせていただいておるわけでございます。  そしてまた、国内鉱山並びに国内製錬所は非鉄金属の最も安定的な供給源である、したがって、経済合理性を有する国内鉱山及び国内製錬所の維持、存続は、これまた極めて重要であるというように認識をさせていただいておるところでございます。  したがいまして、御指摘のとおり、今後とも引き続き有望鉱床を発見するための国内探鉱を推進いたしますとともに、省エネルギー、環境保全に資する新製錬技術開発を開始する等、国内鉱山対策、国内製錬対策の充実を図っていかなければならない、かように考えておるところでございます。  平成六年度、国内探鉱関連予算等々が約二十億円程度計上されておるわけでございますが、ただいまの畠山先生の御指摘の趣旨を体しまして、引き続き努力を重ねてまいりたいと考えておるところでございます。
  111. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 ぜひひとつ頑張っていただきたいと、重ねてお願い申し上げたいと思います。  次に、休廃止鉱山対策の強化についてでございます。  休廃止鉱山における坑廃水処理義務につきましては、一昨年、画期的な新制度を発足させていただきまして、高く評価をいたしておるところでございます。  新制度の一層の充実を期すために、資源環境センターの育成等、引き続き指導、支援強化すべきであると存じますし、鉱害防止技術開発促進を図るべきと考えますけれども、いかがなっていらっしゃるでしょうか。
  112. 高島章

    ○高島(章)政府委員 今先生御指摘いただきましたように、休廃止鉱山の坑廃水処理につきましては、いかにこれが重要であるかという認識のもとで、これまでもいろいろの施策の厚みをつけてきたところでございます。今御指摘ございましたように、一昨年に金属鉱業等鉱害対策特別措置法の改正を行いまして、新たな制度のもとで坑廃水処理の政策を一段と発展させてきたところでございます。  御指摘ございました財団法人資源環境センターというものに、鉱害防止業務のいわば指定機関といたしまして、これからも積極的な支援をしてまいりまして、ぜひ坑廃水処理の実を上げたいと思っておるわけであります。関連事業といたしまして、新たに技術開発とか国際協力、鉱山跡地利用対策も積極的に行ってまいりたいと存じております。  それから、二つ目に御指摘ございました鉱害防止技術開発についてでございますが、金属鉱業事業団において実施されておりまして、その成果が多くの休廃止鉱山の鉱害防止工事の実施に活用されているわけでございます。  なお、鉱害防止対策を着実かつ効率的に実施するために、平成五年度補正におきまして金属鉱業事業団に出資をしたところでございますが、この事業団におきましては、技術研究所を秋田県の小坂町に設立するということを承っておるところでございます。
  113. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 昨今、鉱害問題がこのとおり大変厳しい時節柄でございます。環境問題が問われる時期でございますから、ぜひひとつその観点からも努力をしていただきたいというふうに思っておりますし、一方また、企業からいたしますれば、鉱山はやめても鉱害対策はきっちりやらなければいけないというようなことで大変な負担になっておる現状でございます。ぜひひとつ、そういう二つの面から、今後とも引き続き御支援を賜りますように重ねてよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  次に、鉱山所在地市町村の振興対策でございます。  鉱山跡地利用の問題あるいは鉱山資源の有効活用等に対する助成制度の拡充強化を行い、特にリサイクル・マイン・パークの計画の推進に当たっては、所在市町村の活性化対策に最大限の配慮をしていただかなければならないのではないかと思います。まさに鉱山町は企業城下町でございまして、鉱山がなくなると全く惨めな姿になってしまうわけでございます。ぜひひとつその点からも、十分なる御配慮を賜りたいと存じます。
  114. 高島章

    ○高島(章)政府委員 御指摘ございましたように、鉱山地域の活性化を図るというのは、私ども非常に重要なこれまた政策の柱でございます。  御指摘ございましたリサイクル・マイン・パーク計画は、鉱山が既に有しておりますインフラとかすぐれた技術力などを有効に利用することによりまして、鉱山外部からリサイクル資源を受け入れまして金属等のリサイクルを強力に推進するというものでございます。  通産省といたしましては、この計画の推進のために、技術開発面、法制面、さらには資金面からの助成策について現在検討中でございますが、地域の活性化とも密接に関係いたしますので、所在の市町村とも十分相談をいたしまして、具体的にぜひこの計画は実りあるものになるように検討を進めてまいる所存でございます。
  115. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 特に、先ほど申し上げましたように、花岡鉱山は雇用対策というようなことから、このリサイクル・マイン・パークに大変大きな期待を寄せてございます。これに期待をしながら、雇用を、当初は二十人というほどの予定で残しておったわけでありますが、何か大きな期待を寄せてもよさそうだ、通産に対する大きな期待がございまして、当初二十人の予定が四十五人の、何といいますか雇用を確保して、その準備をしていらっしゃる、こういう実態でもございます。ぜひひとつこの期待にこたえていただきますように、もう一つ具体的なお話がありましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
  116. 高島章

    ○高島(章)政府委員 先ほど申し上げましたように、今具体化に向けましていろいろな青写真をつくり、そして関係方面にいろいろ声をかけまして、このマイン・パーク計画が実の上がりますように、省を挙げて取り組んでおるところでございます。  今御指摘ございました雇用問題にも非常にいい影響を与えているということでもございますので、ぜひそれに本当にこたえられるように、中身の濃いものにすべく努力してまいりたいと思っております。
  117. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 次に、国内石油並びに天然ガス探鉱開発について、お伺い申し上げたいと思います。第七次五カ年計画に基づく基礎調査の計画どおりの実施と、ポスト第七次五カ年計画の策定について、お伺いを申し上げたいと存じます。  平成六年度は第七次五カ年計画の最終年度になっておるやに伺っておりますが、基礎物理探鉱、探査及び基礎試錐につきましては、予算確保の上実施すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。また、ポスト第七次五カ年計画を策定すべきだと思いますが、あわせてお尋ねいたしたいと存じます。
  118. 川田洋輝

    ○川田政府委員 国内の石油、天然ガス資源は、最も安定したエネルギー供給源でありますとともに、その開発は、我が国が世界に向け自主開発を進めてまいります上での技術力の向上の場となるなどの大きな意義を有するものと考えております。  このため、通産省といたしましては、昭和二十九年度以来、石油審議会の七次にわたる五カ年計画の答申に基づきまして、基礎調査を初めとする各種の施策展開してまいったところであります。  平成二年度を初年度とする現行第七次五カ年計画は、今委員御指摘のとおり、平成六年度をもって終了することとなっておりますが、現在審議をしていただいております平成六年度予算案におきましては、基礎調査などの所要予算確保するということにいたしておるところでございます。  ちょっと具体的に申し上げますと、まず第一に、国内石油天然ガス基礎調査委託費につきましては、平成六年度には百三十一億七千九百万円の予算を計上させていただいておりまして、石油審議会の答申に基づき、陸域、海域の基礎物理探査、陸域、海域の基礎試錐を国が石油公団に委託して実施をすることといたしております。  第二番目に、天然ガス探鉱費補助金として、平成六年度予算では四十四億七百万円を計上させていただいておりまして、企業が行う天然ガスの探鉱開発を積極的に促進するため、国内の天然ガス探鉱を行う企業に対して、所要額の二分の一を限度として補助金を交付するということといたしておるところでございます。  予算を成立させていただきましたら、ぜひこういう予算で充実した施策展開に努めてまいりたいというように思っておるところでございます。  また、委員御指摘のさらなる国内石油、天然ガス開発のためのポスト第七次五カ年計画についての論議でありますけれども、実はこの点につきましては、昨年の十月に通商産業大臣から「今後の国内石油及び可燃性天然ガスの資源開発のあり方について」、いわゆるポスト七次計画についてということで諮問をさしていただいておりまして、現在、この石油審議会の開発部会及びその下に設置をされております技術専門委員会審議が進められているところでございます。  私どもといたしましては、六月の下旬ごろにこの審議会でお取りまとめをいただくように承っておりますので、この審議会の答申をいただきまして、それに即して今後の国内石油、天然ガス開発推進してまいりたいと考えております。
  119. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 鉱山県と並びまして、秋田はまた石油、ガスの数少ない資源県というふうに言ってもよろしいかと思っております。国内資源、極めて貴重な存在でありますので、ぜひひとつ今後とも探鉱開発のために特段の御努力をお願い申し上げたいと存じます。  次に、石油、天然ガスの探鉱開発にかかわる技術開発推進についてお尋ねを申し上げたいと存じます。  油田、ガス田の発見率及び油、ガスの回収率の向上等は、効率的な探鉱開発を図るため、現在進められておる技術開発の一層の推進を図るべきだと考えます。この開発にかかわるお考え方をお尋ね申し上げたいと存じます。
  120. 川田洋輝

    ○川田政府委員 石油、天然ガスの開発でございますが、最近その開発対象地域の開発条件がだんだん厳しくなってくる状況にございます。したがいまして、今後探鉱開発効率化してまいりますためには、技術力の向上、強化が従来以上に重要となってきているものと認識をいたしております。  このため、石油公団におきまして、油田、ガス田の発見率の向上、石油、ガス回収率の向上、探鉱開発プロセスの効率化、こういった観点から、我が国企業等との共同研究を実施をいたしますとともに、第七次国内石油及び可燃性天然ガス資源開発五カ年計画、先ほどお触れになりました計画でございますが、この計画の中におきましても、国による基礎調査を実施する際に、技術開発の成果を現場で実証、適用するなど、技術力向上に向けた努力を行ってまいっているところでございます。  特に、平成六年度におきましては、従来の探査技術では油田、ガス田の発見が難しい地形、地質における探査技術の研究、国内のフィールドを用いた原油回収増進技術の研究、掘削コストの大幅低減のための小口径掘削技術の研究などにつきまして、重点を置きながら技術開発を一層推進をしてまいりたいと考えております。
  121. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 この技術開発は、単なる国内対策だけじゃなしに、国際的な技術として要請される問題かとも思っております。ぜひひとつそういう面からも積極的に取り組んでいただきますように、重ねてお願いを申し上げたいと存じます。  最後になりますが、天然ガス探鉱費補助金の確保と、地方公共団体の行う共同探鉱に対する支援についてお伺いを申し上げたいと存じます。  国産天然ガスは地域社会の大変大事なエネルギー源でございます。原材料としても重要な役割を果たしております。この天然ガスの生産を確保し、さらに拡大をするためには、積極的な探鉱事業推進する必要があろうかと存じます。天然ガス探鉱費補助金を確保すべきであろうと思いますし、また、地方公共団体が行う共同探鉱事業に対しても積極的に御支援をしてもらわなければいけないのではないかというふうに考えます。その点について率直な御意見を承りたいと存じます。
  122. 川田洋輝

    ○川田政府委員 国産の天然ガスは、お触れになりましたように、地域社会における重要なエネルギー源であるばかりでなくて、我が国全体としても、その開発は海外における自主開発を進める上でも重要な技術力向上の場となるということは先ほども触れさせていただいたとおりでありまして、天然ガス探鉱費補助金につきましても、ぜひとも所要予算確保し、この探鉱開発を今後とも推進をしてまいりたいと考えておりまして、先ほどもちょっと御紹介させていただきましたが、平成六年度予算におきまして、天然ガス探鉱費補助金四十四億七百万円を計上させていただいておるところでございます。  その中で、委員お触れになりました地方公共団体がその地域のエネルギー需給を踏まえ、探鉱開発推進を図ることとされている案件につきましては、政府といたしましても、その地域の経済社会における重要性を勘案し、引き続き政策的な支援を行っていくことが必要であろうと考えておりまして、天然ガス開発探鉱事業の中で位置づけてまいりたいというように思っております。  さらに少し触れさせていただきますと、平成五年度の四十四億七百万の予算確保させていただいて、物理探鉱五班及び試掘五坑を実施あるいは実施中であるわけでありますが、このうち秋田県で実施されました新鮎川AK-1という試掘では、産ガス試験において良好な成績をおさめておるように聞いておるところでございます。ぜひともこういう形で、地方自治体のお進めになる探鉱事業につきましても積極的に推進をしてまいりたいというように考えておるところでございます。
  123. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 時間が少し残りましたので、ガス開発に伴う大型プロジェクトじゃなくて、ローカルなプロジェクトとして、当然パイプの敷設が必要になってまいります。多額の経費を要するわけでございますから、自治体単独でもというようなことはなかなか大変かと思います。ぜひひとつ、この新たなパイプラインの敷設に対するそれ相応の御支援をぜひお願いいたしたいというふうに思いますが、お考えを承りたいと存じます。
  124. 川田洋輝

    ○川田政府委員 天然ガスにつきましては、非常に環境上すぐれたエネルギーということもありまして、その需要は着実に伸びてきておるところでありまして、今後とも需要に見合った天然ガスの供給を進めていくという見地から、供給基盤整備していくということが大切な要素であろうというように思っております。  御指摘のパイプラインは、天然ガスの効率的かつ安定的な輸送手段でありまして、その整備を図っていくというのは重要な課題であるというように認識をいたしておるところでございます。  このパイプライン建設につきましては、その投資規模あるいは資金回収の期間などから見まして、事業者の負担をできるだけ軽減をしていくというようなことが望ましいということは言うまでもないことと思っておりまして、私どもこうした観点から、日本開発銀行の低利融資制度の適用、いい条件での適用など、これまでも推進してきておるところでございますけれども、今後ともこの天然ガスの着実な普及、そのためのパイプラインの着実な展開ということに支援をしてまいりたいというように思っております。
  125. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 ありがとうございました。ひとつ積極的な御支援を重ねてお願い申し上げまして、少し時間が残りましたけれども、終わらせていただきます。ありがとうございます。
  126. 川端達夫

    川端主査代理 これにて畠山健治郎君の質疑は終了いたしました。  次に、穀田恵二君。
  127. 穀田恵二

    穀田分科員 私は、絹織物の関係産業についてお聞きしたいと思います。  午前中、大臣は、日本の中小企業は大黒柱だということをおっしゃいましたし、その大黒柱がいろいろ腐っているようでは困るわけですよね。ですから、それに対してしっかり保護をしていくというか大事にするということが今求められていると思うのです。そこで私は、とりわけ伝統産業、地場産業である丹後ちりめんや西陣織に対しての大臣の根本的な認識といいますか、そこをまずお聞きしたいと思うのです。  御承知かと思いますが、たまたまおとといでしたか、日経新聞にも載りましたけれども、丹後ちりめんでいいますと、総生産量は一九七三年、昭和でいいますと四十八年のピーク時は九百九十六万反ありました。そして、今では大体二百四十一万反ということで減り出しています。一方、韓国や中国からの輸入につきましては、一九七五年が六十五万反、今では大体二百三十九万反、これは一九九二年だと思いますけれども、急増していて、丹後ちりめんの国内供給合計に占める割合は、丹後では丹後ちりめんの割合が年々低下をして、今や四割を切るという状況になっています。四割を切っています。  それから西陣の状況はどうかといいますと、織機はここ四年間で三千二百台も減ずる。帯の生産量はピーク時に比べると三割。大体ピーク時というのは八百万本を超えていたと思うのですね。そして今や二百六十万本。それから着尺でいいますと、これまた最高時が、ピーク時が昭和四十一年で大体六百万から五百九十万反でしたけれども、今では二十六万反というような現状になっています。  ですから、そういう意味でいいますと、本来、繊維産業でもとりわけ京都の場合には絹と絹織物、こういう産業が、外国からの輸入も相まって極めて深刻な事態に直面しているというふうに言えると思うのですが、その点での基本認識だけまずお聞きしたいと思います。
  128. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま先生の御指摘をいただきました丹後ちりめんにまつわります新聞記事、私も実は拝見しまして、あれを読みながらいわゆる日本の伝統産業、そしてまた今日の規制緩和、市場開放の問題等々、いろいろそういうような相反する事柄の実態を踏まえる中にございまして、物事は、やはり私は、とりわけ国際的なルールの中でもこの繊維関係分野は違った意味合いでの共通理解がある、こういうことの中で物事の解決を図っていくべきではないかな、こういうふうにも考えているわけでございます。  なおまた、養蚕農家、生糸業者、そしてまた織機の機織りさんといったような三者間におきます問題も従来からずっと、長らく生糸相場等々の関連の中でもいろいろ関係者が悩み、そしてまた、ある意味では協調し、力を合わせて解決も図ってきた。  そういうことを考えますと、今問題となっております繊維貿易分野の問題は、そういった特殊性、あるいはまた伝統産業、そういうものを踏まえた中での対応をこれからもやっていくべきであろう、こういうような考え方に立っておるわけでございます。
  129. 穀田恵二

    穀田分科員 特殊性、それから共通性という言葉はわかるのですが、問題は、この二十数年来の生産量やその他輸入の増大による落ち込み、こういう中で、産業自体が成り立っていかない事態に立ち至っているという点での認識はおありでしょうか。
  130. 畑英次郎

    畑国務大臣 私自身の今手元にございます資料を拝見しましても、十年前の五倍といったようなデータ等々もあるわけでございまして、とりわけ、これは名前を挙げてはどうかなと思いますけれども、中国関係等々から大変な数量が輸入をされておる、こういうような、いわゆる危機状態にあるなというような認識を持たさせていただいております。
  131. 穀田恵二

    穀田分科員 そこで、ちょっと見ていただきたいのですが、これは明紗つづれというのですね、紗のつづれ。これは値段でいいますと、仲間内で取引しているのは大体一万円なんです。ところが、皆さんのところに出回るときには大体五、六万だと思います。同じく、これは明つづれというのですが、大体幾らかというと、五、六千円です、仲間内で。それで、売り値は三万から四万、これは帯ですね。ところが、これは本当は、じゃ、日本でつくったらどのくらいするかといいますと、仲間内で大体三十万から二十万、売り値は百万なんです。こういうものが十万本来ているのですね。  これを見たらわかりますけれども、これを見たらというとあれですけれども、これも希なんです。こう比べますと寸法がちょっと違うのですね。普通は八寸というのですが、これだと違うのですね、寸法が少し、見たらわかるのですけれども。これくらい、ある意味ではいいかげんだということもおわかりいただけると思うのです。  こういう実態は、大臣にというよりも、そういうふうな形で値崩れなり非常に重大な事態がこれまた起きているということは認識していられるのですか。
  132. 土居征夫

    ○土居政府委員 絹製品の輸入につきましては、今先生御指摘がありましたように、地元の業界あるいは工業組合等からいろいろとお話を伺っておりまして、特に今お話がありましたような二次製品の問題もございますけれども、その前に織物等、生糸、絹糸につきまして、今いろいろと二国間で規制をやっておるわけなんですが、それの脱法的な輸入の問題が非常に強く御指摘をされまして、そういった問題とあわせて認識をしているところでございます。
  133. 穀田恵二

    穀田分科員 認識しているということですから。  さらに黒共、これは要するに喪服に締める帯ですね。それも非常に入ってきていまして、国内産の小売は大体一万円くらいです。ところが、中国産のものは二千円から三千五百円ということなんですね。だから、そういう意味でいいますと、問屋筋では一本五百円から二本千五百円で買えますから、もう太刀打ちできないわけなんですね。  こういう形で、いわば二つありまして、値崩れが起きていくということと、それとやはりこれ自身の問題で、先ほど言いましたように、明らかに粗悪品の傾向があるというようなことで、これ自身が、逆に言えば和装全体に対する不信を招くというようなこともあるのですね。  それで、さらに大事なことは、同じようなつづれでも実は違いまして、帯というのは、御承知かと思いますが、これは当然こういうふうに折るわけですね。ところが、明つづれの場合にはどうなりますかというと、こういうふうにこう帯がくるわけですね、それで、明の、中国産の場合は、残念ながら端がかたいのです。どうなるかというと、こう締めますと、こことここがかたいものだから非常に使いにくい。日本のつづれの場合には真ん中がしかつとしていますから、締めた瞬間に非常に着やすい。それで、おなかと胸が動きやすいということになるのですね。だから、そういうことからしましても、やはりこれは重大な違いがあるわけなんですね。  こういう問題からしても、ある意味では、先ほど絹製品の輸入の関税の問題若干ありましたけれども、私はこの際に、これがどこからの製品かということについては原産国表示を入れるべきだと思いますが、一言、大臣
  134. 土居征夫

    ○土居政府委員 原産国表示の問題につきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンド等でも国際貿易上の問題がいろいろ議論されておりまして、原産国表示の規定を義務づけいたしますとそれがまた制限的な貿易になるということから、国際的にはなかなか義務づけがなされていないところでございまして、そういった中で、実はインサイダー同士で公正競争規約という形で、業界の中で自主協定として実施している例はございますけれども、政府輸入の条件として原産国の指定をするということにつきましては、国際ルール上なかなか難しい問題があるということでございます。
  135. 穀田恵二

    穀田分科員 それは後でも言いますが、ではもう一度聞きます。  そういう値崩れを起こす、そして十万本の輸入によりまして非常に業界全体が打撃を受ける、こういうことになったときに、私は国内法の問題として、中小企業基本法二十二条を発動して輸入規制を行うべきだというふうに考えるわけですが、その点についての御見解をお伺いしたい。
  136. 長田英機

    ○長田政府委員 中小企業基本法二十二条でございますが、中小企業基本法と申しますのは、中小企業のあり方あるいはその施策に関しまして基本的な考え方やその方向を書いているわけでございまして、この条文そのものから直接に何か規制が出てくるとか、例えば輸入制限をするとか、そういうものが直接出てくる性格の規定ではない、基本法の規定でございます。  一つそこを御理解いただきたいのと、そしてこの二十二条の規定の考え方といたしましては、この二十二条に基づいて輸入品の関係の調整という表現がございますが、この調整はいわゆる緊急避難的な措置といたしまして、そしてガット等の国際的ルールとの整合性が保たれつつ講ぜられるというふうに、この基本法の解釈として考えているわけでございます。  したがいまして、二十二条に基づく輸入規制を行うべきではないかという点に関しましては、直接的に規制というものは出てこない。あと、国際的なルールに合致した場合にこの規定が適用されたことになる、こういうふうに考えていただければいいのではないかと思うわけでございます。
  137. 穀田恵二

    穀田分科員 そうすると、中小企業庁が出しているこういう本はどうなるんです。二十二条の解説に当たって、しかも二十二条はよく読むと、今の直接規制はしないということですが、「中小企業に重大な損害を与え又は与えるおそれがある場合において、緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限等必要な施策を講ずるものとする。」と書いていますよね。ということは、必要な施策を講ずること、必要な施策というのは当然そういうことが可能なわけでして、これでいくと、どういう条件のもとだったらそれが可能なのかということになると思いますが。
  138. 長田英機

    ○長田政府委員 先生御指摘のとおり、この二十二条から直接輸入制限とか関税が出てくるわけではございませんで、それは当然関税法の改正とかあるいは輸入貿易管理令とかいろいろなこと、ほかの法律もあるかもしれませんね、そういうような措置が出てくるということになるのだろうと思うのでございますが、重要なことは、この規定は、国際的なガットのいろいろなルールがございますね、そういうルールに沿ったものの範囲でそういうものが行われるという解釈を申し上げたわけでございます。
  139. 穀田恵二

    穀田分科員 それはわかっています。問題は、施策としてそういう方向を出すということを私は言っているのですね。つまり、具体的な法律を全部変えることが必要だ、それはそのとおりです。問題は、それじゃ、逆に言えば、どういう条件であればこの基本法の考え方に合致するのかということを一つはお聞きしたい。  もう一つは、MFA協定は、現在でいえばガット同様の国際ルールですから、同じように発動するという可能性はあると思うのですよね。その二つの点はいかがですか。
  140. 長田英機

    ○長田政府委員 この二十二条の解釈として、いろいろな議論があるかもしれませんけれども、私が申し上げたい点は、ガットなどの国際的ルールに合致しているということが必要であるという一つのこの二十二条の解釈、そういうふうにするわけでございまして、その次に、具体的ないろいろなケース、テーマ、そういうものが、それでは果たしてそのガット等の国際ルールに反しているかどうかという個別の問題になっていくのでないか、そういうふうに考えるわけでございます。
  141. 穀田恵二

    穀田分科員 どうもかみ合いませんね。  それではもう一度お聞きしますが、この法律にある、輸入によって中小企業に重大な損害を与え、または与えるおそれがある場合においては、輸入の制限等、必要な施策を講ずるものとする、この解釈それ自身は、今の日本の絹織物や西陣織や丹後ちりめんだとか、そういった事態にないとお考えですか。これに当てはまらないとお考えですか。
  142. 長田英機

    ○長田政府委員 私は中小企業庁長官でございますので、個々の商品がどういう現状にあってどのような国際的な関係にあるかということを存じませんものですから、どういうケースの場合にどうだというところまでは、私としてはちょっと申し上げにくいと思います。  いずれにせよ、国際的なルール、先生はそれを読んでいらっしゃいますが、そこには国際的なルールということは明記してございませんけれども、この中小企業基本法の解釈として、国際的なルールに従ったものでないとそこの発動はできないというふうに考え、解釈しているわけでございます。
  143. 穀田恵二

    穀田分科員 どうも、その解釈というのは私はちょっと違うと思いますね。つまり、今お話がありましたように、個々の商品ということじゃないですよね。これは、確かに一つの商品ということを示すと同時に、絹製品全体を指しているわけですからね。西陣織というのは、それは一つの商品で単にネクタイや帯とかいうのじゃなくて、絹織物全体ということで指しているわけですから。ちりめんだって、これは別に、一つの商品といえば商品かもしれないけれども、大きな業界の一つですね。個々の商品というよりも、この基準に――中小企業基本法の二十二条の言うその中身に当てはまるかどうかをまず聞いているのです。  私は、それの判断がしかねるというのはおかしなものだと思うのです。そうすると、それじゃこれは、判断しかねるとなると、一つ一つの業態なり、日本の繊維産業がこういう事態に当てはまるか当てはまらないかということによって判断できないとなると、何のためにこの法律はあるのですか。
  144. 長田英機

    ○長田政府委員 この二十二条の解釈といたしまして、ガット等の国際的なルールに適合性があるということ、解釈上、私どもそういう態度をとっております。  したがいまして、いろいろなケースがございましょうが、そういうようなケースがガット等の国際的ルールに合致しているかどうか、それとの関係がどうなっているか、これは私、中小企業庁長官として全商品の現状を存じ上げておるわけではございませんので、その商品とかあるいはその業種とか、そういう分野について論ぜられるべきことではなかろうか、そういうことを申し上げておるわけでございます。
  145. 穀田恵二

    穀田分科員 では聞きますが、私が聞いたのは、ガットとの適合性の前段で、つまり、この法律自身は中小企業基本法だから、今の中小企業実態の中で実際進行している事態はこの二十二条に当たるのではないか、その上で、その対策を打つ際に、施策を打てと書いているわけだけれども、その施策を打つに当たって、ガットとの関係で適合性があるかどうかというふうな判断じゃなかろうかと私は思うのだすね。  事実、同じようにMFA協定に基づく輸入制限の発動につきましても、逆に言えば全世界は、欧州もアメリカもそうなんですけれども、やっているわけですね。だから、個々の商品が逆に言えばガットに、商品というよりも産業といってもいいでしょうけれども、適合するか適合しないかというのは、今のMFA協定の考え方からすれば、もちろん十年後にそれをやめるという問題はまた別ですが、今の段階で言えば、まさにそのこと自身は、国内法の観点からも、MFA、つまりガットの範囲内で行われている繊維全体の考え方からしても十分に適合性があると私は思いますがね。
  146. 土居征夫

    ○土居政府委員 MFAの問題をお尋ねでございますし、かつ繊維ということで、基本法との関係もございますので、あわせてお話し申し上げます。  いずれにしても、今度のMFAといいますか、繊維セーフガード措置の取り扱いに関する提言では、市場撹乱についての一つの国際的な物の考え方というのがあるわけですが、やはり日本の置かれた通商政策上の立場、近隣諸国との関係で、アジア諸国の発展に協力していくという意味で日本の市場をほかの国以上に開放していかなければいけないという問題とか、あるいは今言われています内外価格差の解消、その他、流通改革ですね、消費者対策の観点からは安い輸入品がどんどん入ってこなければいけないという側面もございます。  そういう政策バランスの中で、日本の場合には、国際的な権利であるけれども、さらに政策判断を加えて慎重にこれを運用するというのが今度のMFAの答申でございまして、先ほどの中小企業基本法二十二条の問題につきましても、「緊急に必要があるときは、」と政府が判断するときに、やはり中小企業対策ということは最大の問題としてまず一番に考えなければいけないのでしょうけれども、あわせて、先ほどのような流通改革とか消費者対策という観点も含めて、あるいは自由貿易という観点も含めて、この運用を考えていかなければいけないということでございまして、そういった意味で、日本の場合には、国際ルールはあるけれども、その中で特に慎重な運用を迫られているということだと思います。
  147. 穀田恵二

    穀田分科員 今もお話しありましたけれども、提言の中には、撹乱という場合の基準もありますね。最後の方で、そういう政策的な判断が必要だということは書いてあります。  その前に、それじゃ、どういう場合にそういう発動をすべきかという問題についても書いていまして、市場が攪乱、あわせて、具体的には、輸入の伸び率が一気にふえたとき、市場占拠率と総輸入におけるシェアがふえたとき、それから輸入の価格が国内産より低いときでしたね。大体その三つですね。  そうしますと、逆に言えば、先ほど私がお話ししたその繊維という考え方、大きくMFA協定、ガットの中にもあるMFAということになりますと、その三つの基準からしますと、絹の場合に先ほど述べた問題が、いわば輸入が一気に伸びている、市場がそれで占拠されてシェアが一気に変化する、輸入価格が非常に問題である。  それから消費者という問題もございましたが、消費者の問題に関しましては、先ほどお話ししましたように、消費者はこれが中国産だということで買っているわけじゃないのです。買えば、さっきお話ししたように、帯を締めたときには逆に上と下が締まって、どうも着づらいなということがわかればまだいいですが、わからないような現状がある。そういう中にあってみれば、まさにそういうことに対して、消費者の利益からいっても、本来、私はこれは中国産でこういう、中国産が悪いわけじゃないですが、中国産の今の現状は残念ながらこういうところがなにですよとか、これは中国産ですよとか、だから値段が安いですよと言って買われるのだったら、消費者にとっていいと私は思うのです。現実はどうかといったら、消費者の手元に行くのには、残念ながら、これが中国産ですとか、これは日本産ですと行くわけじゃないでしょう。だとしたら、消費者の利益にとってもまずいわけですよ。  だから、そういう意味でいいますと、私は、先ほど言った市場撹乱、そういうものの判断からしても、市場の問題から判断しても、逆に言えば国内法的に言えば、二十二条を発動して、それでMFA協定全体の中にあるそういう繊維取り決めの関係を発動して対処するということが必要なんじゃないですか。しかも、中国も前に言っているでしょう。この間のことを言えば、自主的に規制をしなければならないんだという動きもあるわけでしょう。  だから、何も中国のところでやっているのが、中国がつくって持ってきているというだけじゃなくて、中小企業庁長官も御承知のとおり、もともとこれ、日本の商社が行って逆輸入しているわけですからね。中国がどんと持ってきているだけじゃなくて、もともとこれ日本の商社がダイナミックに、行って十万本くらいばあんと輸入してきているということが現実ですよ。そういうことですよ。だから、先ほどお話しあったように、何かそのことによって自由市場とかアジアのというよりも、どちらかといえば日本の商社がもうけていることの関連でこんなことが起きているわけですから、それは当たり前だと思うんですがね。
  148. 土居征夫

    ○土居政府委員 繊維セーフガード措置の提言のお話からございましたので、これは一般論でございますが、これはルールの一般的な考え方を答申いただいたわけでございまして、これに基づく通産省としての手続といいますか、ルールというのは定めていないのです。  したがって、考え方として、今お話がありましたように、技術的な判断要素の中で輸入の伸び率だとかありましたけれども、ただ、これは輸入の伸び率だけじゃなしに、輸入浸透率、どのぐらい今現在輸入比率が高いかとか、あるいは国内産業がどれだけ厳しいか、これは確かに丹後その他絹の産地も厳しいわけでございますが、ほかの産地でも、場合によってはもっと厳しいところもあります。  そういう国内産業の厳しい度合いとかそういったところを総合的に判断するという考え方の提示があったわけでございまして、そのときに、あわせてやはり消費者の問題、あるいは流通の問題、その他日本のアジアヘの協力の問題、そういったものを総合的に判断しろという考え方の提示があったわけでございまして、これは、これに基づいて本件についてどう判断するかというのは、この場は適切ではないと思うので、差し控えさせていただきたいと思います。
  149. 穀田恵二

    穀田分科員 今の市場の開放や自由主義貿易という話が基底にあると思うんですが、私は、この繊維問題でいうならば、少なくともこの二十数年来というもの、アメリカにおいてもヨーロッパにおいても、MFA協定に基づくそういう取り決めで発動をして、それで規制をするという事例は数限りなくあると思います。ところが、日本だけはしていない。しかも、中小企業基本法も、できて以来一度もこの二十二条を発動していない。ここを私は問題にしているわけです。  だから、時間もあれですが、やはり私は、現実に起きてきている産業全体に対する打撃、とりわけ繊維産業がそういう打撃を受けている。その中で、絹織物や西陣織、丹後ちりめんが打撃を受けている。そういうときに当たって言うならば、せめて二十二条を発動し、そしてMFA協定全体の考え方からも適用して、そういう措置をとるべきだというのが今の日本の考え方じゃないでしょうか。  その辺、大臣、いかがですかね。
  150. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま、それぞれの事務方の立場から御説明があったわけでございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、本件のいわゆる問題意識、そしてまたその厳しい実態、そういうことは私どもの方におきましても十分承知をいたしておるわけでございまして、そういう中に、御案内のとおり繊維産業審議会の提言等々が行われているわけでございますから、ただいま御回答申し上げましたように、総合的な政策判断等を加味しながらこの問題の検討を加えていきたい、こう考えております。
  151. 穀田恵二

    穀田分科員 総合的な判断、その際に、私は本来この中小企業基本法二十二条の発動要件というのが、少なくともこれらの中小企業庁が書かれている「中小企業基本法の解説」や「中小企業基本法のあらまし」、こういう中に、それぞれの本の解説の中にも要件というのは当然書かれているわけです。  「「重大な損害」とは」、それは「生産施設の遊休度、合理的な水準の操業度維持の可能性、企業の倒産状況等の点から判断されよう。」もちろん、先ほどありましたように、ガット第十九条とありますよ。それと、「「緊急に必要があるとき」とは中小企業の生産する物品が価格、品質等の面で競争力が弱いため」、だから、こういうふうなものの価格、品質ということからしましても、私は発動する要件に満ちているんじゃないかと。だから、ここを調べてほしい、そういう角度から調査をして、そういう発動するための調査をできれば行ってほしいということをひとつ提言したいと思います。  それと最後に、これはガットで十年後にフェーズアウトする、こういう時期を迎えているんですよね。あと十年でガットの一般ルールにフェーズアウトする、統合する、だからもう横並びになってしまって全部規制がきかなくなってしまう。こういう時期だからこそ、今やらなければ。新しい法律をつくれと言っているんじゃないんですよ。この二十二条とMFA協定に基づいて、せめてそういう措置をとってくれ、そのために、解説にある基準に当たらないのかどうかということで事実を調べていただいて、善処してほしいと思うんです。  いかがですか。
  152. 土居征夫

    ○土居政府委員 今お話がありました十年でガットヘの統合というのは、実はMFA協定のことでございまして、ただ、ガットに統合するんですが、実はそのセーフガードというのが残っております。したがって、今この繊維セーフガード措置も、そういう意味で、今後十年間は少なくとも繊維についての特別の対策だということになっているわけでございます。  いずれにしても、この二十二条の関係も、「緊急に必要があるときは、」という政府の判断といたしまして、具体的には、この繊維の中小企業の場合には繊維セーフガードについての提言を受けて、この考え方で物事を進めていくということになりますと、市場撹乱という判断だけじゃなしに、やはり国内のいろんな諸要素を総合判断をして、これは輸入制限になりますものですから、具体的なこの発動を決めていくという考え方になるんだというふうに考えている次第でございます。
  153. 穀田恵二

    穀田分科員 終わります。
  154. 川端達夫

    川端主査代理 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。  次に、栗原博久君。     〔川端主査代理退席、細川(律)主査代理     着席〕
  155. 栗原博久

    栗原(博)分科員 日ごろ、中小企業に対しまして通産省の皆さんが特段の御努力をされていることに、まずもって敬意を表する次第でございます。  私どもの日本の国は世界のGNPの一五%前後の経済力を持っておりますし、また五百兆円に及ぶ力を持って、まあ力といいましょうか、そういう実績を上げている。これはすべてやはり国民のたゆまぬ努力であり、また、最も下支えであります中小企業の力もまた小さくないと、中小企業の方々のやはり懸命な努力にこれまた敬意を表するわけであります。  全国で約六百五十万の事業所のあるこの中小企業、その約八割近いものが本当に小規模の零細企業であると言われております。この中に、今日いろいろ経済問題が出ますと、あるいは日米経済摩擦等が出ますと、とかくやはり大企業の問題だけが出まして、中小企業の問題がなおざり、まあ、なおざりということじゃありませんが、日の目を見ないような立場で語られているんじゃなかろうかと思うんです。やはり我が国が本当の経済力を持つためには、そのばね力のあります中小企業の力にかかっておるわけでありまして、この中小企業の担当の中小企業庁ができてから約四十五年近くなっておるということであるし、また、中小企業基本法は三十年を経るということであります。  こういう中で、中小企業政策を見ておりますと、やはり不利の是正について政策の手段を置いている、あるいはまた助成策を講じまして、それをいろいろカバーしているというふうに見るのであります。特に中小企業の皆さんは、金融の面をいかにしていただくかということで強い願望があると思うのです。あるいはまた、商工会とか商工会議所等を通じての、やはり末端企業に対する経営指導の面について、これは一生懸命にやっていることなのですが、ただこの中で、相対的に見まして、中小企業はやめていく人が多いけれども、新規開業が少ない。ここにやはり中小企業の本当の実態が浮き彫りになっているのではなかろうかと私は思うのです。要するに、この企業を取り巻く環境は大変厳しいと思いますし、その出口がなかなか見えてこないというところに、経済不況とリストラクチャリングの動きも否めないと思うのであります。  この中で、ひとつ畑大臣にお聞きしたいのでございますが、今後、このような厳しい状況の中において、我が国中小企業をどのように誘導されていくかということについて、御所信を賜りたいと思うのです。
  156. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、今日までの日本経済の歩みの中にございましては、中小企業そしてまた零細企業、そういったお立場の方々が、それこそ真摯なお取り組みの中で、ある意味におきましては日本経済を大きく支えて今日までの歩みがなされた、こういうように承知をいたしておるわけでございます。  最近の円高傾向の問題あるいは構造改革の問題等々を踏まえまして、とりわけ産業の空洞化等々によって関連の中小企業のお立場、あるいはそれにまつわる零細企業のお立場等々、大変厳しい実態に置かれておる、そういう姿がございます。これからも、日本の社会の中にございましては、中小企業を一つの大きな柱としまして、お互いが認識、位置づけをしていかなければならない。さような意味合いでの、中小企業の方々が経営継続、そしてまた後継者確保等々ができますような、我が方におきましては条件整備といいますか、ただいま御指摘がございましたように、予算あるいは金融措置等々、そういった分野におきます税制等々がとりわけ大きな柱に相なっていることは御案内のとおりでございます。  そういうことに引き続き努力をしてまいりますとともに、これはいささか当たりさわりがあるかもしれませんけれども、中小企業のお立場の方々におかれましても、これだけ厳しい中にございましても、一つの意識改革といいますか、新しいビジネスチャンスをつくりだす、そういったような意欲をそのお立場からの、視点からもお持ちを願い、それに対する我が方の行政サイドからは条件整備を相呼応してやっていく、こういうことが今日求められておるのではないかなというようにも考えるわけでございます。  とりわけ、ただいま地方分権等々の問題が言われておるわけでございますから、個性のある町づくり等々の中にございますいわゆる中小企業のお立場、商店街のお立場、商工会のお立場、こういうものをより活性化を図ることもこれまた大切な要素ではあるまいかというように考えておりまして、今後さような意味合いでの努力を重ねてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  157. 栗原博久

    栗原(博)分科員 やはり企業も自助努力でしょうから、なんじが努力しなければ、天が助けるわけじゃありませんから。  ただ、政策誘導として、やはり国として可能な限り、特にこういう世界の経済の流れでは中国とかASEANが大変力をつけてまいりまして、私ども日本の中小企業分野に大変蚕食してまいっている。その中に、また国内の大企業がやはり安い労働力等を求めて、あるいはまたビジネスチャンスを求めて、他のこういう国に進出しておるわけですね。  そうしますと、やはりそれに付随しておりました下請の企業がそれに引きずられて、実は海外に出ていってしまう。だから、そういう中小企業の集積しております地域においては、ある程度力のある中小企業であることが多いわけですね。私ども新潟県でいえば、三条、燕というところの地場産業がございますが、これはどこの地域でもそうだと思うのですが、明治以来ずっとお互いが仕事を分散し合いながら助け合ってまいった。その一つの優良な企業がなくなりますと、そこにほかの企業が存立する意義をなくしてしまうわけであります。  ここで、私は大臣にお尋ねしたいのでございますが、こういう中において産業の空洞化、特にこれに対してどのような、さっきも言ったように、これはもう一企業の力ではどうにもならぬわけですから、経営努力というようなものを当然集中せねばならない。しかし、これは政策的な問題である、こういう点をどのようにお考えになるかということを少し突っ込んでお聞きしたいと思うのです。
  158. 畑英次郎

    畑国務大臣 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、とりわけ円高に伴います御指摘のような産業の空洞化、これが大企業にとどまらず、最近は中小企業におきましても、海外投資あるいはまた雇用の問題、労賃の問題等々、諸要素が加わっての、大変お互いが心配せざるを得ない現状にありますことは、先生御指摘のとおりでございます。  そういう中にございまして、考えてみますと戦後五十年、この辺でやはり、経済界におきましても、既に御案内のとおり、大きく改革が求められておる、あるいは産業構造の調整ということがただいま既に進行中である。新しい分野を、産業をそこに創造し、お互いが努力をしていかなければならない。あるいは高度情報通信ネットワーク等々の問題がただいまいろいろ論議をされて、これに対する期待感も大きい。今度はそういうことを踏まえた中におきます中小企業、零細企業等々のお立場、いわゆる新しいビジネスチャンスをお互いが求めていく、つくり出していく、そういうことも求められておる今日の姿ではないかなというようにも考えるわけでございます。  今度は雇用のあり方等々につきましても、いろいろ今終身雇用制の問題等々が論議をされておりますが、あらゆる意味合いでいろいろ変革が、好むと好まざるとそこに改革せざるを得ない、やっていかなければいけない、そういう中にございます中小企業も、お互いがこれからそういったような、失礼でございますけれども、まずは意識改革もお願いしながら、やはり中小企業におきましても、若い方々が意欲を持って取り組めるような、先ほど来申し上げております条件整備、これに力を入れていき、当事者の方々のさらなるお取り組みをも促すような努力を私どももやっていかなければならない、かように考えている次第でございます。
  159. 栗原博久

    栗原(博)分科員 これは世界経済の潮流でございますから、それをとめることもなかなか難しい点はわかりますが、中小企業対策の一つとして、やはり公共投資対策の中において、中小企業に対するビジネスチャンスをもっと公的な面に設けていただくということは政策誘導できると思いますので、この点、ひとつお考えおき願いたいと思います。  さてその中で、新潟県、先ほど私が申しました三条、燕地域が新潟県の地場産業の中核でありまして、特に産地型集積、そういうことを実は言われている企業群でございますが、私どもの三条、燕市、人口は十三万人のうち、実に三万人の方がこの燕の金属洋食器あるいは金属ハウスウエア、三条においては作業工具あるいはまた利器工匠具等、そういうものに従事されておって今までずっと、特に海外の方に輸出されておるわけでありますが、その中で、実に事業所が四千六百あります、この二つの市で。そして、零細企業が多くて、三人以下が六三%、九人以下では八七%、三十人以上の企業がわずか百四十九企業で三%しかないというような現状なわけですが、それであっても、やはり伝統産業を守りまして懸命に努力をしてまいった。  しかし、あそこについに円高というものが押し寄せてきて、たとえ努力してもこの円高不況というものをもう回避できない状況の中に生き延びていると思うのであります。特に、先ほど申しましたアジアNIESの追い上げというのが厳しいわけなので、この中で彼らは懸命に、やはり事業転換あるいは製品の高度化とか、デザイン等の斬新なものをつくるとか、そういうふうにやっておりますが、それでもやはりいかんせん力が足りない点もあると思うのです。こういう点について、地域を限定しての質問は大変恐縮でございますが、これは日本全体の産地型集積の企業群において言えることだと思うのですが、今後どのようにこういう地域を誘導していくかということをお聞きしたいと思います。  それから、特にこのアジアNIESの模倣品、そういうものが大分出ておるわけで、こういう模倣品に対してどのように対応できるのかということもお聞きしたいと思うのです。あるいはまた、ガットのウルグアイ・ラウンドにおいて、こういうものにどのように対応できるかなということをちょっとお聞きしたいと思うのです。
  160. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 模倣品の件につきまして先に御答弁申し上げたいと思いますが、この模倣品につきましては、品物が海外市場にあります限り我が国の法律の適用が及ばないことは当然でございまして、したがいまして、その国の市場で商標権、意匠権などを確保した上で権利行使を行うということが基本になることは先生御高承のとおりでございます。  しかしながら、政府といたしましても不正商品問題の重要性は十分に認識いたしておりまして、模倣品製造国、流通国、これらの国に対しまして、政府に取り締まりの要請を行う、あるいは制度を持っておらない発展途上国における知的財産保護制度整備に関する要請をし、またその制定に関する協力を行うなどをいたしてございまして、解決に向けて積極的に取り組んできております。  また、先生御指摘の今般のウルグアイ・ラウンドでございますが、知的財産の保護につきまして国際的なルールづくりが合意をされております。なかんずく、不正商品貿易につきまして、水際措置を強化するというくだりがございました。こういう一連の中で不正商品の防止に今後とも努めてまいりたいと考えてございます。
  161. 村田成二

    ○村田(成)政府委員 先生のお触れになりました第一点の地域との関係について、一言お答え申し上げたいと思います。  まさしく大臣からもお答え申し上げましたように、それからまた先生も御指摘になりましたように、やはりいろいろな努力を中小企業がしていく、その努力を地域をベースにどういうふうに助長していくか、支援していくかというのは極めて大事なポイントだろうと思っております。ただ、最近いろいろ消費者ニーズも変わってきておりますし、先生おっしゃるように発展途上国の追い上げも非常に厳しいものがございまして、そこにどう対応していくかという場合には、やはり地域をベースにしながらも、いわゆる中小企業の持てる力をお互いに集積し合って、それで活性化していくということが必要だろうと考えている次第でございます。  そういった観点から、実は平成四年四月にいわゆる集積活性化法というものを御審議、可決いただいたわけでございますが、現在四十六地域におきまして、そういった中小企業の地域における相互の集積、触発というものを進めているところでございますし、先生御指摘の三条、燕地域もこの地域の一つに指定されているわけでございます。私どもといたしましては、こういった指定を受けて、さらに製品の高付加価値化あるいは中小企業のさらなる活性化のための努力を支援してまいりたい、かように存じているところでございます。
  162. 栗原博久

    栗原(博)分科員 三条、燕のみならず、それに対応する地域に対して機敏な、また適切なる対応施策をやはりお願いしたいと思います。  そういう中で、全国には商工会が二千八百ほどあるというふうに承っておりますし、あるいはまた全国の商工会議所には百五十万人の会員がおられるということで、商工会議所あるいは商工会もやはり地域の小規模企業の担い手として努力をされておるわけであります。その中でまた、金融の面とか経理の指導とか、技術改善など多面にわたりまして指導し、あるいは各種の情報等も提供しているのが現在の商工会議所であるし、今後ともその会議所に対する期待は大きいわけであります。  我が党は、今回のこの中小企業対策の中で、商工会あるいは商工会議所経営指導員などの人件費の一般財源化の問題で、通商産業省の分の一般会計予算が昨年に比べて本年度は大幅に減額されているというような点を見ておるわけでありまして、こういう点について、やはり地方交付税等でその減額分を賄うというお考えのようでありますが、地方自治体がその主体性の中において、果たしてちゃんとこの減額分、全額きちんと人件費として商工会あるいは商工会議所の方に支給されるかどうかとなりますと、私も一抹の不安を抱いておるわけでありますが、この点についてひとつ御所見を賜りたいと思うのであります。
  163. 山田豊

    ○山田政府委員 お答え申し上げます。  商工会、商工会議所経営指導員等は、先生御指摘のとおり小規模事業者に対しまして金融、経理等の相談指導事業を行っておりますけれども、その設置にかかわります人件費につきまして、都道府県が補助をする場合に国から補助するというような仕組みになっているわけであります。  この経営指導員等の人件費にかかわる補助についてのお尋ねでございますけれども、経緯的に申し上げますと、臨調答申で、既に地方公共団体の事務として同化定着している補助金については一般財源措置に移行すべきという趣旨の提言がなされております。こういったことと、既に経営改善普及事業制度創設以来三十年余りを経過して、地方の事務として同化定着しているというようなことにかんがみまして、平成五年度から三年計画で一般財源化を実施してきているわけでございます。  先生お尋ねの御懸念の点につきましては、一般財源化に当たっては、自治省、大蔵省など関係省庁との連携のもとに所要の地方交付税の措置が講ぜられることになっておりまして、都道府県に対しても本措置の趣旨、内容の周知徹底を中小企業庁としても図ってきているところでございます。
  164. 栗原博久

    栗原(博)分科員 市町村に周知徹底を図る以前に、やはり自治省に十二分に各配分について、あるいは大蔵省の方にもそれをお含みおき願うように当然御処置をされることであると思っております。ただ、私としては、この点について大変懸念を持っていることだけひとつお伝えさせていただきたいと思います。  この中で、我が国は、昭和六十年代の経済の要するに行き過ぎといいましょうか、バブルの崩壊の中で、大変経済活動が今日下降方向に向かっておるわけでありますし、日銀では、インフレなき持続的成長経路への移行を目指して、その政策運営の中で公定歩合を昨年二月に〇・七五ですか、九月に〇・七五ということで、現在一・七五という金利を継続しているわけであります。その中で、やはり中小企業は何としても金融が当面の、モルヒネじゃございませんが、金融で救済するのが最有効措置だと思うのです。  現在の金融の情勢についてちょっとお聞きしたいと思うのでございますが、よくいろいろなデータあるいはまた中小企業の経営者からお聞きしますと、大変苦しいというのが楽というよりもずっと上回っているということでありますし、かつては景気の拡大期においては、やはり中小企業の借り入れば民間の市中銀行の方が多かった。最近はもう市中銀行よりも政府系機関の方にウエートが伸びておるわけであります。そうは言っても、やはり企業は自分の借入金の九割近くは民間の市中銀行に依存しておるので、こういう金融のレートが低い中において、特に政策的なものであります政府系の三機関ですか、現在におけるその貸し出し状況ですね、そういうものはどのようになっているか、もし資料がございましたら少しお聞きしたいと思うのであります。
  165. 村田成二

    ○村田(成)政府委員 お尋ねの点は貸し出し状況というふうなことで理解させていただきたいと思いますが、全体的な話を申し上げますと、現在中小企業向け貸出残高、これは民間金融機関を含めまして三百十七兆ございます。政府系三機関の債務残高、これが五十二兆円でございまして、約一六%を政府金融機関でカバーしている、こういうことになっておるわけでございます。
  166. 栗原博久

    栗原(博)分科員 わかりました。その程度でいたし方ありません。  それで、お聞きしたいのでありますけれども、政府金融機関は当然、余り保証協会の保証をとるべきでないと私は思うのですが、やはり最近、保証協会の保証というものも大分とっているようでありますし、保証の場合は普通保険ですか、これは保証協会が保証して担保を徴取する、あるいはまた無担保の保険ですか、これは担保をとらなくても人的な保証をとるということ、あるいはまた特別小口保険というのがあるらしいですが、これは全く無担保・無保証でやるということであります。  この中で、保証協会というものが、選挙区を歩くと言われるのですが、要するに弱い者に貸すわけですから、もっと業務を機敏にやらねばならないとは思っておりますし、そしてもう一つは、やはり保証協会の役員が経済実態を余り知らない都道府県の天下りの方が大体どこの県も入っているようでありますが、こういうものを特に規制緩和の中において、これはもっと金融のわかる方がやはりそういうような対応をするようにしていくべきだと私は思うのですよね。  そこで、ちょっと、保証協会の代位弁済と、それから求償債権が今どのような形になっているかということをお聞きしたいと思うのです。
  167. 村田成二

    ○村田(成)政府委員 まず、代位弁済の状況でございますけれども、平成五年度におきまして約三千六百億円、前年に比べまして一八・七%の増加でございます。  ただこれは、代位弁済は増加傾向にあるわけでございますけれども、全体の保証債務残高に占めます代位弁済の比率というものを見てみますと、もちろん上昇はしているのでございますが、昭和五十年代、代位弁済が非常に多かった年代でございますけれども、その昭和五十年代に比べますと、かなり低い水準になっております。ちなみに、具体的に数字を申し上げますと、例えば代位弁済比率は、昭和五十二年度で二・八三%、五十三年度で二・八六%でございまして、平成五年度はそれに対しまして一・四三%ということになつているわけでございます。  それから、第二点の信用保証協会の求償権及び回収額の状況でございますけれども、平成五年度末の求償債権、これは一兆七千三百九十億円でございます。前年度に比べまして二八・三%の増ということになっております。また、平成五年度末の回収額は千百五十七億円という状況でございまして、回収率というものを見てみますと、ここのところ減少傾向にあったのでございますけれども、平成五年度末において六・二四%ということで、一応歯どめがかかりっつあるという状況かと見ております。
  168. 栗原博久

    栗原(博)分科員 我が党は、今回の予算の中に中小企業等の特別対策費の追加として、約九千三百億くらいこれから求めるというような準備をしているようであります。特に、この中におきまして、中小企業信用保険公庫ですね、今のこの分、相当の額を実は出していると思うのですが、やはり金を借りられない、保証が欲しいから保証協会を実は利用するわけでありまして、金融機関の業務を軽くするとか、金融機関の業務が円滑に、実はこれでトラブルが起きましたら、求償権とか代位弁済は保証協会にしてもらえばいい、だから簡単にというか、事務量が少なく金融機関は貸せる、そのために保証協会はあるわけではないだろうと私は思うのですよ。  本来、保証協会は金を貸せない人に対して、万が一国なりが責任を持ってやるのだ、そのためにも皆さんは無担保・無保証の特別小口保険というものを昨年ですか、五年ぶりにこの額を上げたということでありますが、もう少しこの額を上げていただいて、本当に金を求めている方に融資がされるように、制度改善というものあるいはまた制度の遂行について十二分に行政指導をしていただきたいことを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  169. 細川律夫

    細川(律)主査代理 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  次に、今村修君。
  170. 今村修

    今村分科員 社会党の今村であります。  青森県が抱えている大きな課題であります核燃料サイクル施設問題と、むつ小川原開発問題についてお伺いをしたいと思います。  ところで、このむつ小川原開発の地域に昭和五十九年七月、電気事業団体連合会、通称電事連という団体が核燃サイクル施設の立地を要請する、こういうことになったわけであります。そして、その後、六ケ所村につくられた核燃サイクルに関する立地協定やあるいは安全協定やすべての協定に、この電事連という団体は立会人として判を押す、こういう取り扱いになっているわけであります。ところが、この電事連という団体、見てみますと、法人格がないという団体になっているわけですね。これは一体どういう団体なのかな、こんな疑問を持つわけであります。また、監督する官庁はどこが監督官庁になるのか、この辺について、お伺いをしたいわけであります。  これは、立地協定を含むすべての協定に判を押している、あるいは立地を要請したという内容だけじゃなくて、一九九一年二月、青森県の知事選挙がありました。この知事選挙の前に、日本原燃サービスの会社の中に選対本部をつくって知事選挙を正面を切ってやった、こういう団体であります。  当時、選挙をやった、これは現職に対立をした候補者の一人に、前環境庁長官、山崎さんという方がいます。その方が、選挙を終わった後にこんなパンフレットを出しました。この中に、電事連が何をやったかということがすべて書かれています。昨年出された週刊現代、この中にも一連のシリーズの中で書かれています。また、たしか年末だと思いますが、毎日新聞、これにも、当時電事連がどんなことをしたかという詳細が報道されています。こんな団体がそんなことをする権限があるのかなという気持ちもまたするわけです。こんなことをした電事連という団体をどう思っているのか。同時に、この電事連は昨年また、自民党に広告費として、一年に十億円というお金を出していた。この問題が出て、ここ数年間にわたって莫大な金を広告費として出していた団体だ。  こう見てみますと、チェックをする部分がどこにもない。こんな内容で、まあ好き勝手と言えば変ですけれども、そんな形で動いてきた団体、こういうぐあいになっているわけです。そういう点で、この団体がどういう団体であり、この選挙に深くかかわったということについて通産省としてどんな認識を持っているのか、あるいはこれは自民党に多額の広告費を支払ってきた、この支払ってきたことに対する通産省としての御見解をお願いをしたいと思います。
  171. 川田洋輝

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の電気事業連合会と申しますのは、会員でございます各電力会社相互間の連絡を緊密にして、電気事業の健全な発達を期するということを目的といたしまして、昭和二十七年十一月に設立された団体であるというふうに承知をいたしております。この電気事業連合会は、民法三十四条によって設立されたいわゆる公益法人ではございませんので、同法でいう主務官庁というのは存在しないわけでございます。なお、個々の電力会社につきましては、通産省が電気事業法に基づいて規制を行っていることは御承知のところでございます。  それから、第二点の部分、電気事業連合会が九一年二月の知事選挙でどういう活動をしたかというお問い合わせでございますが、当時の青森県知事選挙におきまして、電気事業連合会がどのような活動を行ったかということにつきましては、当省の承知するところではございません。  一般的に、当省では電力会社に対して、電気の使用者の利益を保護するという観点から、必要な範囲内で電気事業法に基づいて、先ほども触れましたように、電気事業法に基づく規制を行っておるということでございまして、これ以外のことについては、ほかの関係法令のもとで、電力会社あるいは電気事業連合会が自主的な判断をしていくということになるものと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、当省としては、電力会社みずからが社会的に良識ある行動をとっていくもの、あるいは電力会社から成る電気事業連合会という団体が社会的に良識ある行動をとっていくというふうに思っているところでございます。  それから第三点目に、昨年の十月でございましたか、自民党の出版物に対する広告費が支払われていたという点に関してでございますが、私どもとしては、本件につきまして、昨年十月、たしか十月の五日以来というふうに承っておりますが、大きく報道され、社会の関心を集めたことがございまして、早速電気事業連合会に報告を求めましたところ、自民党関係の出版物である自由新報などに対して広告料を支出していたとのことでございました。  なお、この広告費につきましては、電気事業連合会におきまして、世の中の誤解を招かないようにすべきであるとの観点から、平成五年十月、たしか十月十三日と承っておりますが、その日に廃止する旨の表明を行っておるというように、私聞き及んでおるところでございます。
  172. 今村修

    今村分科員 再度お尋ねするわけですが、この電気事業連合会、電事連、法人でないので監督官庁がない。青森県民にすると大変な話なんです。この電気事業連合会がこんな文書をつくって青森県に、我々に要請したんですよ。そして県と結んでいる、地元六ケ所と結んでいるすべての協定に電気事業連合会は立会人として判を押しているんです。これは、申請を、青森県に要請した団体として責任を持つからと、協定の中に書かれているんです。それが法人でない。それでは、我々青森県民はだまされたということですか。判を押したけれども、我々は、この電事連が判を押したということは、十電力会社がこのことに全部責任を持つという理解を持っているんですが、そういうことで理解していいですか。  それから、知事選挙にかかわった話は余り深くしたくはありません。しかし、広告料を出したときには電事連に話を聞いて、あれだけ新聞やあちこちをにぎわせた知事選挙、特に、山崎さんという方を応援に行くと言った猪木さんが、途中で現職の応援に行く、くらがえをした、その陰には一億円の金があった、こういう報道までされているわけでしょう。そんな内容は一つも聞いていないんですか。この点、もう一回明らかにしていただきたいと思います。
  173. 川田洋輝

    ○川田政府委員 二点にお触れになりましたが、電気事業連合会が、構成員たる電力会社共通の問題意識に立って、御指摘の核燃料サイクルに関しまして立地推進の要請を行い、また、地元自治体と日本原燃産業株式会社等との間の協定の立会人として署名した事実があることは、承知をいたしておるところでございます。  電気事業連合会から聞くところによりますと、この協定については県の要請を受けて立会人として署名をしたというふうに言っておることを私どもも承知をいたしております。この立会人につきましては、「通説判例」によりますと、この団体はいわゆる権利能力なき社団となるわけでございますが、これについても社団と同様、保証契約も含めゆて契約の主体となることができるということになっておるところでございます。電気事業連合会が、信用力のある団体としてそういうことを行ったのではないかと私ども思っておるところでございます。  それから、選挙に関することにつきましては、先ほどもお答えさせていただきましたように、電気事業連合会が当時の青森県知事選挙においてどういう活動を行ったかは、当省の承知するところではないわけでございます。
  174. 今村修

    今村分科員 別の質問もありますから、これは確認をしておきたいと思いますけれども、電気事業連合会が青森県に核燃の立地を要請した、それから、各種協定に判を押している。この点は、これに加盟している十電力会社の意思に基づいて、その十電力会社がそれを保証するという内容になっているという理解をしていいですか。この点だけ確認をしたいと思います。
  175. 川田洋輝

    ○川田政府委員 御指摘の協定におきます立会人の性格について、関係当事者にいかなる意思があったかを、厳密に言うと私ども承知していないわけでございますが、仮にこれを保証人的なものと解釈するといたしまして、先ほど御紹介いたしましたように、「通説判例」によりますれば、いわゆる権利なき社団についても社団と同様、保証契約を含め契約の主体となることができるということにされているところでありまして、また、その結果としての債務は、その構成員全員に一個の義務として総有的に帰属するものであり、構成員各自は取引の相手方に対し、直接的には個人的責任を負わないということになっておりますが、全体として総有的に帰属するということになっておるということが判例としてあるようでございます。
  176. 今村修

    今村分科員 解釈とか判例じゃなくて、きっちりした形で責任を持つというスタイルに変えるように、ぜひとも指導していただきたいと思います。  それから、むつ小川原工業開発地域、これはいわば新全総に基づく形で開発をされた工業開発地域になっているわけです。敷地が五千二百八十ヘクタール、工業用地として二千八百ヘクタール。当初の計画によれば、石油精製一日百万バレル、石油化学一年間百六十万トン、火力発電三百二十万キロワット、これを行う工業開発ということで計画がつくられたという内容になっています。  しかし、残念ながら幻に消えてしまっているというのが現状になっています。土地を売った農民は昭和六十年代、すばらしい開発がこの地域にできると思って農地を全部手放したという内容になっているわけです。しかし、今は何もない。立地されているのは当初の計画になかった核燃だけ、こういう状況になっています。しかし、この地域でこの計画に基づく工事だけは進められています。一日五十万トンの水をつくり出すための工事、この地域に十二万人の人間が住むという造水の工事、これは工事だけは進められているわけです。しかし、どこのどなたもこの石油開発石油コンビナートができるとは思っていない、金だけはどんどん当初の計画で投入をされる、こんな内容になっています。  こういう状況の中で、経団連はむつ小川原開発部会というのをつくって、いわばこの地域の工業開発を見直すという形の取り扱いを検討を始めた、こう聞いています。既に報告が出されたという話を聞いていますが、出されていますか。  それから、通産省は、むつ小川原工業基地将来展望検討委員会を設置して中間報告を取りまとめた、こういうお話を聞いているわけでありますけれども、この取りまとめの内容をぜひとも公表していただきたい。以上であります。
  177. 高島章

    ○高島(章)政府委員 二点御指摘をいただきました。  第一は、経団連の報告でございます。これにつきましては、我々承っているところでは、経団連の中にむつ小川原開発部会という部会がございまして、そこで平成五年の六月に、むつ小川原工業基地の開発と企業立地の促進のために検討すべき課題といたしまして、むつ小川原開発株式会社の増資、それから、土地分譲の促進等につきまして、同社からの要望を了承したというぐあいに承っておるところでございます。  それから、第二点目の御指摘でございます、むつ小川原工業基地将来展望検討委員会と名づけております中間取りまとめについてでございます。もう既に御指摘ございましたけれども、このむつ小川原工業基地はいろいろな計画を持ってスタートしたわけでございますが、我が国に残されました非常に数少ない臨海型の大規模な工業基地でございまして、その開発は、東北地方の産業振興はもとより、国土の均衡ある発展に大きく寄与するものであると認識をしているわけでございます。通産省ではこういう認識のもとに、産業立地政策の観点から、今申し上げました委員会を設立いたしまして、長期的なむつ小川原工業基地の将来展望について検討を行いまして、同じく昨年の十二月十六日に中間取りまとめを行ったところでございます。  ただ、この中間取りまとめは、委員会内部の検討を中間的に取りまとめたいわば内部資料ということでございまして、その内容を大々的に公表することはしていないわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、むつ小川原工業基地というこの大規模な工業基地の有しておりますポテンシャル、それとこれを顕在化させていくためのいろいろな課題、さらにはこの基地の開発の方向等につきまして、関係の方々からいろいろなアイデアをいただき、その検討を行い、まさに中間的に取りまとめたものでございます。
  178. 今村修

    今村分科員 新全総に基づいて、いわば青森県がこの地域の巨大開発を行おう、当時県は、県の職員数百名を動員して、土地を買うために走り回る。今なお青森県庁の中には一つの部屋があって、これは部を上回る部屋であります。一つの部を上回る部屋をつくって、むつ小川原対策に乗り出している、こういう状況になっているわけです。  しかし、今もって当初の計画は一つも実現しない、こういう経過になっているわけでしょう。どこかで総括をして、どこかで将来に向けての展望を県民や土地を売った人たちに明らかにするという責任は国にもあるんじゃないですか。この点は一体どうするんです。     〔細川(律)主査代理退席、中川(秀)主査     代理着席〕
  179. 高津定弘

    ○高津説明員 東北開発室長でございます。御説明させていただきます。  むつ小川原開発は、御承知のとおり、新全国総合開発計画におきまして、大規模工業基地として位置づけられまして、現在の第四次全国総合開発計画におきましても、長期的視点に立ちまして、その有効利用を積極的に推進するというふうにされておるところでございます。  企業立地につきましては、いまだその途上にあるというふうに思っておりまして、その工業開発を通じて地域の開発を図るとともに、国土の均衡ある発展に資するというむつ小川原開発基本理念を堅持しながら、今後とも地元青森県などの意向を十分に尊重いたしまして、本開発推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  180. 今村修

    今村分科員 抽象的な形じゃなくて、これは具体的な形を求めているわけですね。あの広大な土地が今なお核燃サイクル以外は立地をしないという状況で、そのまま草が生い茂っている状況というのは、まさに見るに忍びないという状況ですよ。しかし、当初の計画に従って港湾は整備はされる、道路だけはつくられる、工業用水のための工事は進む、こんな形になっているのです。こんなむだな話ありますか。  一定の目的を持って、そのために工事が行われるというのであれば話は別ですよ。そうではなくて、できもしない、将来あり得ないじゃないかとだれもが言っている内容で工事を進めているというこの状況。その中で通産省が一つの中間的取りまとめをした、こういう内容になっていますから、県民を含めて、これは県議会で問題になっているのです。しかし、国が明らかにしない条件を明らかにするわけにいきません、こう言って明らかにしていないのです。  しかし、この通産省のつくったものはあちこちに漏れていますね。基本的にはこういう話になっていますと、あちこちで言われていますよ。そうしたら出してもいいじゃないですか。それを読み上げますか。もう既に、これだけ検討委員会で検討したのですから、それがむつ小川原関係閣僚会議の十四省庁会議で合意を得るという内容になるかならぬかは、これからの手だての問題でしょうけれども、しかし、この中間取りまとめを明らかにして、できればこんな方向で検討しているというものを提示してもいいじゃないですか。再度、御答弁をお願いします。
  181. 高島章

    ○高島(章)政府委員 繰り返しになりまして恐縮ございますが、最終的に、決定的なものとして政府の仕事にいろいろな注文をいただくという形のものでございませんで、まだ関係の諸先生方からいろいろなアイデアをちょうだいした段階での中間的な取りまとめということでございます。  したがいまして、そのことから、当然に今後とも、いろいろいただきました提言、アイデアに基づきまして、通産省で何ができるか、関係方面にいかなることを働きかけていくのかということにつきまして、我々は引き続き検討、努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。
  182. 今村修

    今村分科員 国はそんな言い方をしますけれども、今この地域に土地を持っているむつ小川原開発株式会社、この資本金の増額問題が出ています。三十億を六十億にする、この土地が売れないために、国と県が土地代を援助するという話になっています。その話がどこから出てきたか。これはさっき答えていただいた、経団連が取りまとめた取りまとめ事項の中にそのことがあるわけでしょう。  そして経団連はどういう話をしていますか。十二月七日付の日経新聞によれば、この地域については総合エネルギー基地と位置づけ、現在立っているほかに、LPG、LNG、この基地にしていきます、こう出しているのでしょう。なおかつ、パルプや木材の輸入港にする、産業廃棄物をリサイクルする工場をつくる、こう経団連は発表しているわけです。その延長の中に、国は土地の援助代を出す、資本金引き上げについては、北海道東北開発公庫からまた十億出す、こんな話になっているわけでしょう。一方では、そんな具体的な話をしながら、肝心かなめのところになると、国は何も話を言わぬ。大臣、この検討委員会の中間取りまとめ、ぜひとも発表していただけませんですか。
  183. 畑英次郎

    畑国務大臣 正直申し上げまして、私自身もこの問題につきまして深く認識をまだいたしていない段階でございますが、中間取りまとめの中身が、場合によっては事柄を、最終的な報告を取りまとめるのに、現段階ではまだ問題ありというような事務方の認識かなというように、今お話をお伺いしながら感じておったわけでございます。私なりにひとつ、いささか認識を深めたい、さような気持ちを述べさせていただいておるということで、御理解をいただきたいと思います。
  184. 今村修

    今村分科員 大臣、経団連のむつ部会で一定の考え方を出して、具体的に進めているわけです。その進めている中で、資本金の増額問題が出てきて、国や県は土地を売却するものにいわば援助金を出す、こういうスタイルで進んでいる。その経団連のむつ部会は、それに基づいていろいろな考え方を出している。そっちだけは一方で進む。  しかし国の方だけは、いろいろなことを検討していますけれども、対外的に発表しません。通産省でいろいろ検討した内容は、全部経団連に出ているでしょう。むつ小川原開発会社に行っているでしょう。現地の日本原燃に行っているでしょう。県に行っているでしょう。知らぬのは我々と県民だけですよ。こんなばかな話はありますか。出してもいいじゃないですか。大臣、ぜひとも検討してください。このことを強くお願いします。  最後になりますが、この地域に核燃施設が立って、核燃の施設を我々に提示したときに、それぞれの施設の建設費というのがこの中に書かれています。これは商業ベースですから、その建設費がどのくらいかかるかによって、採算が成り立つか成り立たないかという話に、イコール延長する話につながるわけです。再処理工場の建設費が当初七千億という話をしていました。これは去年日経新聞に七千億のものが一兆七千億になる、こういう新聞報道がなされているわけです。このことについて、通産省はどのぐらい把握していますか。この点をお答え願いたいと思います。
  185. 川田洋輝

    ○川田政府委員 青森県六ケ所村の再処理工場の総工事費についてのお尋ねでございますが、まず会社設立当時、昭和五十四年の時点でございますが、この時点の事業目論見書におきましては、概算で約六千九百億円と見積もられていたとのことでございまして、多分先生御指摘の七千億というのはこの数字に該当するのではないかというように思います。それが法律に基づきます事業指定を申請いたします時点、平成元年の時点でございますが、この時点では約八千四百億円と見積もられております。  現時点の状況でございますけれども、最終的な建設費につきましては、現在の状況は、当該再処理工場に関する安全規制の途中の段階でございますので、詳細な設計がまだ決まっておりません。それから、機器、建物の製造、建設についての個別契約交渉を終えていないものが多く残っておりまして、これらについては契約価格が決まっていないことなどから、現時点では明確にはなっておらないというように承知いたしております。  御指摘のように、商業的な事業として、民間事業で進められるものでございますので、経済性向上のための努力というのは、これから一生懸命関係者で追求していくべきものでございますが、事業費見積もりについては、ただいま申し上げましたような状況にございます。
  186. 今村修

    今村分科員 大臣、ことしの年末か来年の二月、フランスから高レベル廃棄物がこの六ケ所に入るのです。こう発表しているのですよ。詳細が我々に知れないうちに、物事だけはどんどん進むというスタイルになっているのです。こんなやり方はまずいと思いますよ。この建設費に我々がなぜこだわるかというと、商業的にペイしないという感覚を持っているからです。  特に一点だけお聞きしておきますが、プルトニウムの長期計画を今変更するという話になっていますね。この中で、プルトニウムを本来、高速増殖炉で燃やして、プルトニウムをさらにふやすという内容ではなくて、今使っている軽水炉という原子力発電で燃やす、いわゆる取り扱いをする、MOX燃料にするという話になっていますね。経済的に言えば、まさにむだな話なのです。せっかく取り出したプルトニウムを軽水炉にまた戻して燃やすなんというのはむだな話。こんなむだなことについて、通産省としてはどんな見解を持っているのですか。
  187. 川田洋輝

    ○川田政府委員 まず、基本的な考え方でございますが、我が国はエネルギーの長期的な安定供給の確保、使用済み燃料に含まれる放射性廃棄物の処理、処分に伴う環境負荷の軽減の側面などから、再処理リサイクル路線をとってきておるところでございます。  プルトニウムの利用効率の観点からは、高速増殖炉による利用が理想的ではありますが、高速増殖炉の開発に今後かなりの時間を要することが考えられております。このため、現時点での扱いといたしまして、使用済み燃料を再処理することにより回収されましたプルトニウムにつきましては、将来のプルトニウム利用時代に向けて、必要な技術体系の確立及び体制整備を長期的かつ着実に進めていくことが重要であるとの観点、国際的な核拡散懸念を惹起することのないよう、余剰プルトニウムを持たないようにするとの観点に加えまして、エネルギー資源であるプルトニウムを活用するという観点から、FBRなどの新型炉の研究開発用に利用するもの以外は、全量MOX燃料に加工の上軽水炉で有効に活用していくということが適切であると位置づけているところであります。
  188. 今村修

    今村分科員 大変ありがとうございました。  以上で終わりますけれども、ただ一点、資料については公開する、このことだけは強くお願いをしておきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  189. 中川秀直

    中川(秀)主査代理 これにて今村修君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  190. 中川秀直

    中川(秀)主査代理 平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算及び平成六年度政府関係機関予算総理府所管経済企画庁について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。寺澤経済企画庁長官
  191. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 平成六年度の経済企画庁関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁予算額は、五百五十七億円余であります。  また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として、六千四百十三億円を予定しております。  以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。  第一に、適切かつ機動的な経済運営の推進に必要な経費として、十三億九千万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、足元の経済状況を的確に把握するため早期政策判断システムの開発運用、公共料金関連事業における効率性指標の開発調査及び国民生活安定対策等、経済政策推進に必要な経費であります。  第二に、地球社会と共存し生活者を重視する社会実現に必要な経費として、三十三億六千万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、消費者安全施策推進消費者被害原因究明機器の整備及び国民生活センターの機能の充実強化のために必要な経費であります。  第三に、国際協調の推進に必要な経費として、四百三十二億五千万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、まず海外経済協力基金に対する交付金四百二十八億円余であります。  本基金の平成六年度の事業規模は、九千四百億円を予定しており、このための資金として、一般会計において、前述の交付金のほか出資金三千二百十九億円が大蔵省に計上されるとともに、財政投融資計画においても、資金運用部資金等からの借入金六千四百十三億円が予定されております。  また、市場アクセス改善のための積極的な取り組み途上国援助における自助努力支援推進、旧計画経済諸国の開放市場経済移行くの知的支援強化などに必要な経費が含まれています。  第四に、経済分析、情報収集及び情報提供機能の強化に必要な経費として、十八億八千万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、経済基礎統計の充実、消費者、地方公共団体等との間の情報提供、収集機能の強化などに必要な経費であります。  以上、平成六年度における経済企画庁関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。
  192. 中川秀直

    中川(秀)主査代理 以上をもちまして経済企画庁についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  193. 中川秀直

    中川(秀)主査代理 この際、分科員各位にお願いを申し上げます。  質疑持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。
  194. 海江田万里

    ○海江田分科員 寺澤長官に御質問いたしますけれども、寺澤長官は最近民間シンクタンクのエコノミストと面談をしまして意見聴取をしておるというようなことが新聞などにも出ておりましたけれども、私は大変いいことだと思います。最近お目にかかった民間のエコノミストの方たちが今の景気、景況について一体どういう考え方を持っておられるか、お話しいただきたいと思います。
  195. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 六月二日の朝、朝食をともにしながら民間のシンクタンクのトップの方々と懇談をいたしました。内需中心の経済あるいは円高のもとでの日本の経済運営のあり方、規制緩和その他、幅広い意見の交換をさせていただきました。  民間の方々の非常に鋭い御意見、私自身がほとんど三十余年間民間だったものですから、その意見がやはり政府にも当然反映されて、採択すべきものは思い切って採択していこうというふうに思いました。特に規制緩和については非常に強い御要望がありました。
  196. 海江田万里

    ○海江田分科員 長官、これからもそういった集まり、続けていくおつもりでしょうか。
  197. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 できればこれからもずっと定期的に、民間の、シンクタンクの方々のみならず、いろいろな階層の方々と率直な意見の交換をして、そして勉強をしていきたいと思っています。
  198. 海江田万里

    ○海江田分科員 長官自身も民間の御出身であるということで、ぜひそうした姿勢を続けていただきたいとお願いするわけでございます。  きょう、経済企画庁から月例経済報告が出ました。夕刊各紙、この月例報告の内容を取り上げておりますが、私、従来から思っておったのですけれども、月例経済報告の総合判断ですね。今月の場合は、「総じて低迷が続いているものの、一部に明るい動きがみられる。」というのが総合判断でございます。先月の総合判断はどういう表現になっておるかというと、「部に明るい動きがみられるものの、総じて低迷が続いている。」言葉の前と後ろをひっくり返したということでございますけれども、このひっくり返しにどれだけの意味があるのかということを御説明いただきたいのです。
  199. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 経済の予測というのは、特に現時点での経済、これはもう専門家の海江田委員ですから言うまでもないのですが、数字が後から後から追っかけてまいりまして、現時点を把握するのは非常に至難のわざであります。そこで、ニュアンスとか明るさとか、若干文学的な表現が、本当はサイエンティフィックにやらなければならない経済学という学問があるにもかかわらず、景気を把握する場合はどうしても必要になってくる。  御指摘のように、「我が国経済は、総じて低迷が続いているものの、一部に明るい動きがみられる。」ということをきょう申し上げましたのですが、それはやはり、産業面での在庫調整、これが今までに見られず進展しておりますし、それから、停滞傾向にあった生産、これに一進一退の動きが見られる、私としてはやや明るい動きが出ているなというような感じでそれを見ておりました。そこで、そういうような表現になったわけであります。
  200. 海江田万里

    ○海江田分科員 私が申し上げたいのは、もうこれは寺澤長官重々御承知だろうと思いますけれども、一般国民にといいますか、例えば新聞を読んでおる、あるいはテレビを見ておるような人たちに、今の景気の状態がどういうふうになっておるのかということをもう少しずばりと直接的にお話をいただけないだろうかという気がしておるわけであります。  「総じて低迷が続いているものの、一部に明るい動きがみられる。」それで、先月が「一部に明るい動きがみられるものの、総じて低迷が続いている。」ということですから、もう少しわかりやすく言えば、天気予報で言えば、「曇り時々晴れ」だったのが、まあ「晴れ時々曇り」になってきたかな、そういう理解もできないわけでもないわけでございますけれども、私は、やはり経済企画庁がこの総合判断の中で、こういうようなやり方というのは、これは何も今に始まったことではありませんで、一番わかりにくかったのは、たしか九一年の九月か十月でございましたか、減速しつつも拡大中であると。  一体これはどういう意味なのかということが今もってわからないのですが、企画庁の長官でなくてもよろしゅうございますけれども、あの減速しつつも拡大中であるというのが一体どういう意味を持っておったのか、ちょっと御説明いただけたら幸いでございます。
  201. 土志田征一

    ○土志田政府委員 当時の状況を御説明いたしますと、ちょうどバブルの後という形でございまして、六%といったようなかなり高い成長だったわけでございます。それに対して、政策的に引き締めて適度な成長まで落とそうということで、スピードを落としていったわけでございます。したがいまして、まだその時点では、そのままでとまれば、それはまだ拡大の中でのスピードダウンという状況でとらえることもできたというふうに思っております。  ですから、その時点での判断は、長い拡大の中で一時的に何とかスピードダウンをして、それで順調な、緩やかな成長路線に、当時の言葉で言いますとソフトランディングさせよう、そういう状況であるというふうに認識をして書いていたわけでございます。
  202. 海江田万里

    ○海江田分科員 おっしゃりたいことはわからないでもないわけでございますけれども、やはり非常に国民にわかりにくいということ。  私、この減速しつつも拡大中であるという表現を一般の中小企業の経営者の方にお話をしましたら、この方は年配の方だったのですけれども、ちょうど戦争中の大本営発表みたいだということを言った方がおりまして、実際には当時は景気が後退をしているにもかかわらず、これは太平洋戦争の中で、撤退をしておる、あるいは退却をしておるのに転進だという言葉の置きかえで事実を糊塗したような事実があったわけでございますけれども、そういうような、何かしらやはりお役所のつくる言葉というのが非常にわかり、づらいと。  しかも、場合によっては、それが企業の経営者あるいは消費者の判断を間違えさせることになりはしないだろうか。こういうことがありますものですから、私は、もう少し一般の方にわかる表現でこの総合判断をやっていただきたい。とりわけ日本新党の寺澤さんが長官になられたわけでございますから、ぜひそういう方向で御努力をいただきたいと思います。長官の御意見を。
  203. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 委員のおっしゃるとおりです。  日本の国民のためにわからない日本語を使ってみても全く意味のないことであって、そして、この「総じて低迷が続いているものの、一部に明るい動きがみられる。」というのは、例えば、もうこれ以上日本の景気は悪くならないのではないか、ただし、今すぐ回復する、すなわち今が底だよというふうなことはまだ言えませんという意味であります。
  204. 海江田万里

    ○海江田分科員 今の経済企画庁のこの月例経済報告の考え方といいますか、私は、あつものに懲りてなますを吹くという言葉がございますけれども、どうもそういう状況じゃないかなという気がしておるわけでございます。私は、特に長官に、この六月の経済報告、大いに期待したわけでございますけれども、底入れ宣言が出なかったということで、七月にはぜひ期待をしたいわけでございます。  それはどういうことかというと、この六月からそれこそ五兆五千億、全体で六兆円にも上ろうとする所得税、住民税、全体六兆になりますと相続税の減税なんかも入りますけれども、恐らくこれからこの程度の大きな規模の減税というのは財政の事情からいってなかなかやりにくくなるということだろうと思いますけれども、この乾坤一てきの大減税をやったわけですね。もう六月のボーナスから人々は手取りがふえるわけでございますけれども、果たしてその手取りがふえた分を消費に回していいものなんだろうかどうなんだろうか、消費に回しても結局この後また景気が二番底を打つようなことになったのではたまらないから一体どうしたらいいのだろうかということで、この経済企画庁の判断というものを注目しておるわけでございますね。  ですから、私はそういう意味において、この六月の判断あるいはこれから出るでありましょう七月の判断というのは非常に重要である。しかも、そのとき、わかりにくい言葉でなくて、わかりやすい言葉で、景気は平気ですよ、あるいは皆さん方が減税によって手取りがふえたお金を消費に有効に回してくれることによってさらにこの景気回復に浮揚力がつくのだということを訴えかけてもらいたい、そういう気持ちがするからであります。ぜひ七月のときは前向きの判断を示していただきたいと思います。
  205. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 七月の景気状態にもよりますが、委員のおっしゃるように、当然のことながら、国民がわかる言葉で経済企画庁としてははっきり物を言うべきだろうと私も思いますので、以後そのような線で進めていきたいと思います。
  206. 海江田万里

    ○海江田分科員 少し視点を変えまして、もう少し中長期的な日本の経済の問題点につきまして経済企画庁の意見を聞かせていただきたいわけでございます。  ことしが一九九四年である。二十一世紀まで残された期間もわずかでございますけれども、この一九九〇年代の後半あるいは二十一世紀の初頭の、これから大体十年ぐらい、日本の潜在成長力が一体どのくらいと見ておられるかということをお聞かせいただきたいと思います。     〔中川(秀)主査代理退席、主査着席〕
  207. 吉川淳

    ○吉川(淳)政府委員 今後の潜在成長率は何%かというお尋ねでございますけれども、御存じのとおり、潜在成長力に関しましては、資本ストックあるいは労働のストック、その質、さらには、一番難しい問題といたしまして今後の技術開発の可能性、それから最近は規制緩和でも御議論ございますように、制度的なものがどのように変化するか等々、なかなか難しい問題がございまして、私どもも勉強しておりますけれども、今この場で、今後どれくらいの潜在成長率かというのをちょっと申し上げかねる状況にございます。
  208. 海江田万里

    ○海江田分科員 もちろん、特に技術革新ですとか技術進歩をどういうふうに見ていくかというのはなかなか難しいところでありますけれども、やはり私は、この潜在成長率の問題はきちっと議論をして、そして例えばこういう予算委員会分科会の場でありますとかあるいは予算委員会の場でもよろしゅうございますけれども、ある程度の数字は出していただかないと、それこそこれから高齢化社会を迎えるに当たってどういう準備をしたらいいのかということの、その一番の根本的な根拠のところが非常に希薄になってしまうんですね。そのあたりいかがでしょうか。
  209. 吉川淳

    ○吉川(淳)政府委員 若干数字の問題を別にいたしますと、例えばこれまでの成長のトレンドがございますけれども、そのようなトレンドが維持されるのかどうかとか、それからさらには、現在非常に経済の国際化が進んでおりますので、例えば他の先進国に比べてそれよりは高い成長率が可能かどうか、そういう一種の、何と申しますか、数字にまで至りませんけれどもやや定性的な感じでの検討は現在も続けておるところでございます。  ただ、例えばこれまでの成長に比べて屈折するのかしないのかということにつきましても実はなかなか、今の足元の状況等についての正確な判断等々が必要でございまして、もう少しその辺につきましても時間をいただければと思う次第でございます。  それから、実はこれまで諸外国、先進諸国に比べて高目の成長ということでやってまいったわけでございますけれども、だんだんと経済の国際化が続いてまいりますと、その結果として、資本の生産性あるいは労働の生産性、そういったものも何か国際的に均等化していく可能性もありまして、そうしますと、その面からは他の先進国並みの成長になっていくということも考えられるということで、いろいろ中で議論しておりますけれども、なかなかこの問題も現在のところはっきりとした答えが出せないでおる状況でございます。
  210. 海江田万里

    ○海江田分科員 なかなか経済企画庁では数字が出しにくいというお話でございましたけれども、例えば民間でしたら、日本興業銀行がことしの春に「潜在成長率の下方屈折」というレポートを出しておりますね。これはもちろんお読みになっておりますね。もしよかったら感想を。
  211. 吉川淳

    ○吉川(淳)政府委員 民間の方でもいろいろ作業をやっておられまして、今興業銀行のお話ございましたし、他のシンクタンクでも出しておられるところでございます。  ただ、この場合も、たまたま三年間のこういう不況がございますので、そういうふうな意味合いからとらえるのがいいのか、実は私ども計画局におきましては、やや超長期といいますか、そういう見通しもやってきておるところでございまして、例えば十年近く前に、二〇〇〇年を目指した長期の見方、それから数年前でございますけれども、二〇一〇年の見方というのをやっております。  そういう十年ないし二十年ぐらいの単位でとらえますと、日本経済自体はもう既に八〇年代ぐらいから、それまでの二けた近い成長といったことから屈折をしているのではないか。当時中成長と呼んでおりましたけれども、そういう中成長の流れの中で、さらにやや足元が不況等であれになりまして、成長率が中成長の中でもちょっと下がっているんじゃないか、こんな印象もありまして、私どもこれは年内にと思っておりますけれども、二、三年前に出しました二〇一〇年までの流れでこの問題を考えてみたい。  といいますのは、やはりどうしても今この三年の不況に影響されますので。当然この間には設備投資等が落ちましたので資本ストックは多分非常に減速しておりますから、その限りにおいてこのすぐ先の中期的な成長率は落ちると思いますけれども、ちょっとやはりその点はこの三年間の調整過程に影響され過ぎているのではないかということで、むしろ二〇一〇年ぐらいの視野で考えてみたらと思っておるところでございます。
  212. 海江田万里

    ○海江田分科員 私も二〇一〇年ぐらいの中長期的なスパンで見るということは賛成でございますけれども、やはりここの議論を少しオープンにしていただきませんと、例えば日銀の総裁なんかは、これは記者会見で何度も聞かれておりますけれども、潜在成長率の低下はないというようなことを言っておりまして、これは先ほど私が財政の観点からのお話をちょっとさせていただきましたけれども、実は財政だけじゃありませんで、マーケットに与える影響というものも非常に大きい。今ファンダメンタルズは日本はしっかりしている、アメリカ、ヨーロッパから比べればしっかりしておるということで、ファンダメンタルズというものが一つの物差しになっておりますけれども、潜在成長率というものが一つの物差しになったとき、果たして日本の例えば為替の問題にしろ株価の問題にしろ、今のような視点でいいものだろうかどうなんだろうか、そういうことも考えていかなければいけないと思うのですね。  そういう意味において、私は潜在成長力の問題というのはきちっとオープンのところで議論をやって、今政府委員が下方屈折をしておるということはお認めになったと思うわけでありますけれども、そういうことをやはり責任ある立場の方がお認めいただきたい、そして議論をオープンにしていただきたいと思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  213. 吉川淳

    ○吉川(淳)政府委員 今、日本銀行の金融政策とのかかわりにおける潜在成長率のお話がございましたけれども、これは現在アメリカでもFEDの方でそういう数字をお持ちで、その関連で金融政策が考えられている。そういう点は承知しておりますが、若干これは国民の方にはわかりづらい議論になるかもしれませんけれども、この場合はやはりインフレ率との関係で焦点が当たっているものだと思っておりまして、つまり、先生に非常に失礼な言い方でございますけれども、インフレを加速しない形での需要政策をやらねばならないということでございますので、当然その需要政策とのかかわりにおける生産力の上昇率、こういうようなことになる関係でおやりになっていることだろうと思います。  こうなりますと、私が先ほど申し上げましたようなやや長期的な成長力の見方というよりかむしろ、もうかなりこれまで既に投資されました結果による資本ストックの上昇とか、あるいは労働の場合はこれはまたこれで労働移動が十分に柔軟性があるものかどうかというのが入りますけれども、もう少し中期的とはいってもこの先二、三年、その限りでの成長力の可能性といったことになるんじゃないかと思っております。  この辺になりますと、やはり非常に足元の、資本ストックがどうだとかあるいはさらには需要が変わって動いていく場合に十分に生産能力がついていくだろうか。これは特に私どもはマクロの生産能力といった形でとらえますけれども、実際の需要の動きからいたしますと、もう少し需要が変わっていくわけでございますから、そういうところで本当に過剰能力があるのかどうかとか、そういうふうな少しかなりきめ細かい検討をしなければならないと思っておりまして、ちょっと口幅ったいようでございますけれども、申されておられます本当の潜在成長力、経済が持っている生産要素を十分に発揮したときのそういうものと、マクロの経済政策金融政策、財政政策の運営の場合の今後の可能な能力増とはちょっと概念が違うような感じがしております。
  214. 海江田万里

    ○海江田分科員 恐らくお聞きになっている方も話の途中からわかりにくくなったのではないだろうかと思いますが、経済の話、非常にわかりにくい話ではありますけれども、やはりそういう問題を一つ一つ、できるだけ私は、例えばここに座っておる委員長でありますとかあるいはここにいる同僚議員ですとかそういう人にもわかるように御説明いただいて、そして議論を、きょうは大変残念でありますが時間もありませんで、議論を深めるというところまで至りませんでしたけれども、私はこれから、ぜひ長官、民間の、経済のわかった長官が経済企画庁の長官になられたわけでございますから、先ほどお話をした景気の総合判断の表現の問題も含めて、国民にわかりやすく経済というものを語りかけていただきたいと思います。一言。
  215. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 国民にわかるような説明、それは当然のことでありまして、今後ともそれに心がけてやってまいりたいと思います。
  216. 海江田万里

    ○海江田分科員 私、この後政務幹事会がございますので失礼をさせていただきますが、羽田総理は言語明瞭、意味不明瞭と言われておりますけれども、どうも、この経済企画庁の月例経済報告の総合判断は、言語不明瞭、意味も当然不明瞭になる、こういうことを一言言いまして、私の質問、時間を残しましたけれども終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  217. 長浜博行

    長浜主査 これにて海江田万里君の質疑は終了いたしました。  次に、西川太一郎君。
  218. 西川太一郎

    ○西川分科員 私は、学校を終えてから、今は亡き、名労働大臣としてその名をはせました石田博英先生の秘書を九年間、東京都議会議員を十六年間、国の政治と地方の政治を身をもって今日まで歩んでまいった者でございます。私の選挙区は、東京の下町、具体的に申しますと東京第六区、荒川区、墨田区、江東区という、下請企業、小規模企業の圧倒的に多い、通産省の分類によれば雑貨その他の範疇に属する業種の多い地域の選出議員であります。  今私が一番つらいのは、お世話になっているいろいろな身近な方の中に、倒産そして廃業、こういう人たちが続出をしている。自分の無力を今さらながら感じて、非常に深刻な思いをこの不況に対して持っている一員でございます。  私は、寺澤長官は直接今まで存じ上げませんでしたが、しかし、その御著書やいろいろな御活躍を漏れ承り、今回の羽田内閣の組閣人事の中では、一番適材の方が適所につかれたというふうに喜んでいる一人であります。官庁エコノミストの牙城と言われた経企庁に民間の、しかも世界経済のバイタルセンターでありますウォール街を中心に三十数年の御活躍をされてきた長官が乗り込んでこられたということ、多いに期して待つべきものがあるというふうに期待を申し上げておりますことを冒頭に申し上げたいと存じます。  かつて、経済学の泰斗でありましたアルフレッド・マーシャルは、ロンドンのイーストエンドを歩いて、事象の分析には、冷静な頭脳をもってすることではあるけれども、しかし温かい心を忘れてはならぬ、こういう有名なせりふが残っておりますが、長官におかれましては、この我が国大変な不況の中、温かいお気持ちでひとつ施策の遂行に当たっていただきたいとお願いを申し上げます。  以下、通告に従いまして、順序よくお尋ねをしていきたいと思っております。  第一点は、ただいま申し上げました今回の平成不況、いろいろな分析がございまして、ちょっとした大きな本屋さんに行きますと、もう何種類もバブル崩壊後の経済状況についての解説書があります。そのうちの何冊かを読んでみますと、主として資産デフレという分析が主流ではありますけれども、そうでもない見方もあるようでございます。  一体経企庁は、このたびのこの平成不況と一般に言われている長期、深刻な不況を、いわゆる踊り場的な、次に行くための調整期間の不況とごらんになっているのか、それとも我が国経済が基本的にその体質の変更を迫られるような構造的な過程の中で生じてきている現象とつかまえておられるのか。その分析いかんによって当然対症療法も違ってくるわけでありますから、私はこの分析をどこに中心を置いてしておられるのかということは大変重要ではないかというふうに思うわけでございます。  そこで長官に、今回の不況の原因について経企庁としてはどうとらえておられるのか、ぜひ御見解を承りたいというふうに存じます。
  219. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 今回の平成不況の原因につきましては、私としては三つある、こういうふうに思っております。一つは、通常の景気循環で見られる動きである。二つ目は、委員も御指摘になったようなバブルの崩壊。そして三つ目は、去年から始まった急激な円高。  通常の景気循環で見られる動きのほかに、今申し上げたようにバブル期の過度の投資や消費に対する反動が生じたこと、企業や金融機関などのバランスシートが悪化したこと、さらには、バブルの崩壊が家計や企業のマインドを冷やしたこと、そういったバブル崩壊のいろんな影響も加わって長期化深刻化したところであろうと思います。さらに、先ほど申し上げたような去年の急激な円高の進行などもあって、景気回復が先送りされたと思います。  この景気状況を、私は基本的、構造的な変革によるものであるというふうに受けとめております。
  220. 西川太一郎

    ○西川分科員 ただいまの長官の分析というものは、私も、素人でございますけれども実はそんな感じを持っておりまして、従前のように単なる俗に言う踊り場不況ではない、いわゆる景気循環の一つの谷に入ったというだけのことではないんだろう。バブルの崩壊という一つの現象もありましたけれども、実はもっと構造的な問題もあるのではないか。例えば、自動車でありますとか家電でありますとか機械でありますとか、我が国のリーディング産業と呼ばれるセクターが軒並み東アジア諸国にその優位性を奪われつつあるなどということも深刻につかまえていかなければいけない。これにつきましては後ほどまたお尋ねをいたしますが。  そういう長官の、経企庁の分析を正しいといたしますと、さきに、本年二月にいわゆる我が国史上最大の景気対策を十五兆を超える規模で行ったわけでありますが、五年度中だけでももう三次にわたって次から次と景気対策をしていただいた。七次にわたる公定歩合の引き下げもあった。こういうようなことが現時点でどれぐらいその効果をあらわしてきたか。  OECDが、日本についてはひとつ来年度は上方に修正をしなければいかぬだろうというような、ちょっと明るい材料もありますし、いわゆる失業率の底入れもあって、反転をしているというような報道もあります。そういうようなことも私ども承知をいたしておりますが、実際には仕事がない。さっき申しましたとおり、規模の小さいところはまだどんどん倒産を続けているということもございまして、一体この十五兆というものはどれだけ効果があったのかな、こういうふうに思うわけでございます。これをひとつ大所高所から、企画庁としてはどうごらんになっているのか、ぜひお聞かせをいただきたいというふうに存じます。
  221. 小林惇

    ○小林政府委員 ただいまの委員の御指摘に関連いたしまして、本年二月の総合経済対策は十五兆円ということでございましたけれども、在来の対策と異なりまして、単に需要を追加するというためのいわゆる内需拡大策ということだけではなくて、最近いろいろ検討が進んでおりますけれども、規制緩和に代表されます将来の我が国経済活力喚起のための発展、環境整備というようなことも大事な項目として上げた次第でございます。  在来の景気対策のみでございますと、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、円高の影響でありますとか、国内の民間需要の予想以上の落ち込みというようなことがございまして、対策の効果が目に見えにくかったということは否定できないというふうに思っております。しかし、現在政府投資あるいは民間住宅建設等、下支え要因等もございまして、これらを端緒として経済活動が活発になり始めておるというのが現況であるというふうに理解しております。
  222. 西川太一郎

    ○西川分科員 ただいまの局長さんの御説明、大筋で私は理解をいたしますが、景気回復の芽を膨らませていく、発展、喚起、こういうお言葉をお使いになったと思いますけれども、具体的には、引き続いてどういうような施策を講ずるべきと企画庁はお考えになっておりますか、その辺を敷衍していただければありがたいと思います。
  223. 小林惇

    ○小林政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、所得減税というものの実施をこれからやるところでございますけれども、そのほかに、消費あるいは設備投資を含む内需拡大のための諸施策を盛り込んだ平成六年度予算を一刻も早く通していただきたいということでございますけれども、この六年度の本予算とあわせまして、平成五年度の三次補正の結果を着実に実行していくということが肝要であるというふうに思っております。  それから、特に三月末に対外経済改革要綱というものを取りまとめたわけでございますけれども、それの中心になっております、先ほども申し上げましたけれども、規制緩和を初めといたしました国内の経済改革を強力に実施をしていくということがポイントになろうかというふうに考えております。
  224. 西川太一郎

    ○西川分科員 そこで、従前のいろいろな産業をそのまま成長させていくということももちろん大事であります。一方、産業の空洞化現象を起こさないようにしながらも、国際競争力を維持していくということも必要であります。しかし、我が国は、先ほど少し触れましたとおり、キャッチアップを東アジア諸国からされているということも、今までの主たる産業分野でも見られているというふうに存じます。  私は、連休中に、中国の天津に経済使節団を編成して行ってまいりましたけれども、かの地ではもう全く話にならないほど条件がすべてよろしゅうございます。しかし、そうかといって、そこにすべての日本の産業が移るということは、我が国技術移転の問題も含め、深刻な問題になります。  そこで、これからの日本の産業をリードする、そういう牽引車的な新機軸を打ち出すべきではないか。実は個人的には、税制改革も単に福祉の社会をつくるというだけではなくて、そういう産業の基礎的な分野開発する費用もこれからはどんどん捻出をしていかなければいけないのじゃないかという意見を持っております。  それはさておくとして、リーディング産業が打撃を受けているという今日のいわゆる再編成の問題、こういうものを、とりあえず将来のことはいずれとしましても、今日我が国の牽引車を現役で果たしている産業に対する直撃、これに対してどう対処するのか、これは非常に大事な問題だと思いますので、この辺ひとつ企画庁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  225. 吉川淳

    ○吉川(淳)政府委員 産業転換に伴いまして、次の主導的な産業は何かということでございますけれども、産業のとらえ方といたしまして、一つは需要の増加が約束されているものがございます。しかしながら、今先生も申されましたように、需要の増加が約束をされておっても、今度は国際競争力とかそういう観点から見てどうなのかという点がありますので、若干この辺、二つに分けまして、考えてみますところを申し上げたいと思います。  まず、将来一応堅調な需要が見込めるものが既にございます。例えば、今回の不況の折でも伸びました住宅関連がございます。それから、これはもう少し前からでございますけれども、環境関連の産業がございます。それからさらに、先ほどお触れになりましたけれども高齢社会に向かっての福祉関連の産業もございます。それから、恐らくこれに情報通信の関係産業が加わるのだろうと思っております。したがいまして、こういうやや需要主導で産業が伸びていくということにつきましては、多分大方の御意見も余り変わりがないのだろうと存じます。  したがいまして、問題は、さらに日本の製造業を中心といたしました対外的な競争力を維持していけるようなものということになるわけでございますが、この辺につきましては、恐らく一つはやはり、さはさりながら現在も世界のマーケットの中でなおしかるべきシェアを占めておる、これは輸出でございますけれども、占めておりますような産業はある程度さらに、この円高のもとではございますけれどもなお合理化努力その他によりまして、やはりこれは急に落ちてもらっては困るという感じがあるのだろうと思います、これはリストラということでございますが。  なお、申されました、産業の一種のニューフロンティァの開拓ということでございますが、これは少なくとも何か新しいものが今私どもの目前にあるということはございませんので、これにつきましては、結局基本的には技術開発を進めていくということが基本であろうという感じがしておるところでございます。  それで、そこから何が出てくるか。少し前は例えばバイオテクノロジーとか、それから最近またいろいろございますけれども、マルチメディア関連とか、これは技術の方からのアプローチでございますけれども、この辺につきまして、残念ながらこれまであったような議論以上のものが今のところなかなか見出せない状況にございます。  したがいまして、この二月の対策のときも御議論になったところでございますけれども、やはり技術開発支援していく必要があるだろうということで、その面での取り組み、それから先ほども局長が触れましたけれども、規制緩和といった形で新しい産業が出てこないのだろうか、こういう二つの大きな政策の方向があると思います。
  226. 西川太一郎

    ○西川分科員 どうぞひとつ、中長期といいますか、そして現下の経済情勢、総合的によいお知恵を出していただいて、官民問わず、早急にこの不況対策、そして我が国経済のリストラに、経企庁が御活躍をいただくように御期待を申し上げたいというふうに思います。  次に、少し角度を変えまして、物価問題、特に内外価格差という問題について三問ほど、残り十分ほどの時間でございますので早口でお尋ねをいたします。  長官にできれば御答弁を願いたいというふうに存じますが、国民が豊かさを実感できない、こうよく言われております。その一つの要因として内外価格差が存在をする。食料品や衣類や化粧品などは欧米諸国に比べて、我が国を一〇〇とすると場合によっては三〇、四〇の指数で欧米諸国ではそういうものが表示をされるほど差がある。  円高還元セールなんといっていろいろなところでやっていますけれども、大して、随分安くなったなという感じはないわけでございまして、むしろ海外旅行へ行って現地で買ったりタックスフリーのお土産屋さんで買った方が安いなということを、これだけ海外に大勢の人が出ますと、実感として持っているわけですね。昔は一部の人しかそんなことはわからなかったけれども、今はもうOLの方々も、若いサラリーマンの皆さんも、地方のお年寄りも、何でこんなに日本の物は高いのかね、こういうようなことが言われて久しいわけであります。  この状況は一体どうなっているのかということと、二つ重ねてお尋ねいたしますが、しからばこの内外価格差というのはどういう要因で発生しているのか、この辺につきまして、長官の御見解を賜りたいと存じます。
  227. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 まず、状況なんですが、経済企画庁で調査した生計費全体の内外価格差の実態調査によりますと、平成四年の東京の物価水準は、ニューヨーク、ロンドン、パリ及びベルリンと比較して一から三割程度割高となっております。  それで、日本の物価は比較的安定しておりまして、今比較したような欧米の物価が上がっておりますので、このままでいきますと内外価格差というのは縮小したかに思えるのですが、残念ながらさにあらず、円高が非常な勢いで進行しております。したがって、もし平成四年のこの調査結果をもとに各国消費者物価全体の上昇率を用いて大まかに試算いたしますと、円レートが上昇したために、平成五年の内外価格差は四割から五割やはり拡大しているというふうに試算をされます。  これがどうしてそういうふうになったのかということなのですが、主なる背景としては、輸入する貿易財につきましては、輸入制限などの制約がある、規制がある。それから日本の商慣行、商売のやり方、ビジネスのやり方などがいろいろ複雑なやり方があることによって流通段階の正当な競争が制限されている。あるいは貿易財ではないものにつきましては、いろいろな規制や商慣習、高い地価、土地の値段、それから一部貿易財に比べて生産性が低くなっているなどが挙げられるのではないかと思います。
  228. 西川太一郎

    ○西川分科員 私、実は時間の都合で申し上げなかったのですが、ただいま長官が御答弁をいただく中で私の問題提起をしようと思ったことをずばり言っていただきまして、大変ありがたいというふうに思っております。  そこで、これが最後の質問になりますが、しからばこの内外価格差を是正していただいてお金の価値が非常に出てくるといいますか、こういうことは、これからの税制改正は、羽田内閣が掲げております、細川内閣以来の一連の国民生活を重視するという改革路線というものにとっては大変重要な政策ではないかというふうに私は思います。これにつきましてどんな政策を講じられるのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  229. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 国民の実質の所得というのを上げようと思ったら、やはりインフレなき成長ということで経済運営をしていくのがちゃんとしたやり方だと思うのですが、特に私の長年の海外生活から実感として感じるのですが、やはりもう一つは物価を安くする、物価を安くすることによって豊かな生活ができる。そうなってきますと、内外価格差があるということはまだ物価を安くする余地があるというふうにも積極的にとれるわけであります。経済企画庁としては、何とかして、物価を安定させるのではなくて安くするという、積極的にそこに踏み込んでいきたい、こういうふうに思っております。  当然のことながら、実際どうやるかということにつきましては、規制緩和、これは非常に大事だと思います。それから、先ほど触れましたような商慣習の是正、これを直していく。それから非常に低い生産性部門の生産性を上げていくという、いろいろな施策の着実な実施ということが必要かと思います。  なお、経済企画庁といたしましては、物価を引き下げて生活を豊かにするという観点から、物価のより一層の安定、あるいは物価を安くするという方向を検討するようにという羽田総理の御指示もありまして、物価安定政策会議というのを始めます。そこで識者の御意見をいただきながら、内外物価差の是正、縮小を初めとする物価問題のいろいろな課題について早急に検討してまいりたいと思います。
  230. 西川太一郎

    ○西川分科員 経企庁は水先案内人のようなお仕事もされて、我が国経済が健全で活力ある方向に行くように促していただく、そういうガイドラインもおつくりをいただいている。しかし、強制力を持っているわけでもない。しかも影響力の及ばない圧倒的な民間セクターが景気を左右するというような難しい環境の中で努力をされるわけでございます。しかも、我が国は、何も大げさに振りかぶって申し上げるわけではありませんが、明治以来西欧列強に追いつけ追い越せでやってきた。いわゆる理念型を西欧の文明社会に求めて我が国の経営をしてきた。そういう中で、欧米で長らく実際の経済界で御活躍の長官がこの衝につかれたということを、私どもは冒頭申し上げましたとおり大いに御期待を申し上げておるわけでございます。  しかも、経企庁は、単にソフトの分野で調査をしたり物を発表するというふうに見られがちでありましたが、このたび、明治二十九年民法制定以来極めて画期的と言われる消費者保護、健全な経済活動を維持しながら消費者の保護をしていくという、特にお名前を出して恐縮でありますが、坂本国民生活局長が本当に努力をされて、こういう法案が今審査の途上にあるわけでございます。私どもは、経企庁の存在をこの世の中に示す本当に大きなエポックを画するものではないか、こう思っているわけでございまして、どうぞますます長官を先頭に国民のために温かい政治をしていただく、よき知恵を出していただく官庁として頑張っていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  231. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 西川委員の熱い御要望にこたえるために、経企庁、一生懸命にこれから働いてまいります。
  232. 長浜博行

    長浜主査 これにて西川太一郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管経済企画庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力により、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時二分散会