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1994-06-07 第129回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成六年六月一日(水曜日)委員会に おいて、設置することに決した。 六月六日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。      後藤田正晴君    志賀  節君      宮本 一三君    鉢呂 吉雄君      草川 昭三君    渡海紀三朗君 六月六日  宮本一三君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 平成六年六月七日(火曜日)     午前九時一分開議  出席分科員   主 査 宮本 一三君       金田 英行君    佐藤 剛男君       志賀  節君    鉢呂 吉雄君       草川 昭三君    竹内  譲君       山名 靖英君    宇佐美 登君       渡海紀三朗君    兼務 中田  宏君 兼務 藤村  修君    兼務 松沢 成文君 兼務 秋葉 忠利君    兼務 小森 龍邦君 兼務 山口 鶴男君    兼務 和田 貞夫君 兼務 山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官熊谷  弘君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 石田幸四郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      佐藤 守良君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 神田  厚君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近江巳記夫君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         人事院総裁   弥富啓之助君         内閣総理大臣官         房審議官    石倉 寛治君         内閣総理大臣官         房管理室長   石和田 洋君         警察庁長官   城内 康光君         警察庁長官官房         長       廣瀬  權君         宮内庁次長   鎌倉  節君         総務庁長官官房         長       池ノ内祐司君         総務庁長官官房         審議官     上村 知昭君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       根本 芳雄君         総務庁行政管理         局長      八木 俊道君         総務庁行政監察         局長      田中 一昭君         北海道開発庁総         務監理官    加藤  昭君         防衛庁長官官房         長       宝珠山 昇君         防衛庁教育訓練         局長      上野 治男君         防衛庁人事局長 三井 康有君         科学技術庁長官         官房長     井田 勝久君  分科員外出席者         衆議院事務総長 緒方信一郎君         衆議院法制局第         一部長     内田 正文君         参議院事務総長 戸張 正雄君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   中川 俊彦君         裁判官訴追委員         会事務局長   舟橋 定之君         国立国会図書館         長       加藤木理勝君         内閣総理大臣官         房参事官    香川 弘明君         総務庁行政管理         局企画調整課長 坂野 泰治君         総務庁青少年対         策本部次長   遠山 耕平君         大蔵省主計局主         計官      金田 勝年君         大蔵省主計局主         計官      五味 廣文君         文部省学術国際         局学術情報課長 長谷川裕恭君         自治省行政局行         政課長     中川 浩明君         会計検査院事務         総長      安部  彪君         最高裁判所事務         総長      金谷 利広君         最高裁判所事務         総局総務局長  涌井 紀夫君         最高裁判所事務         総局民事局長  今井  功君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 六月七日  辞任         補欠選任   後藤田正晴君     佐藤 剛男君   志賀  節君     金田 英行君   鉢呂 吉雄君     金田 誠一君   草川 昭三君     竹内  譲君   渡海紀三朗君     宇佐美 登君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     志賀  節君   佐藤 剛男君     後藤田正晴君   金田 誠一君     石橋 大吉君   竹内  譲君     山名 靖英君   宇佐美 登君     小沢 鋭仁君 同日  辞任         補欠選任   石橋 大吉君     渡辺 嘉藏君   山名 靖英君     若松 謙維君   小沢 鋭仁君     枝野 幸男君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 嘉藏君     山崎  泉君   若松 謙維君     福島  豊君   枝野 幸男君     中島 章夫君 同日  辞任         補欠選任   山崎  泉君     鉢呂 吉雄君   福島  豊君     斉藤 鉄夫君   中島 章夫君     錦織  淳君 同日  辞任         補欠選任   斉藤 鉄夫君     赤羽 一嘉君   錦織  淳君   五十嵐ふみひこ君 同日  辞任         補欠選任   赤羽 一嘉君     草川 昭三君 五十嵐ふみひこ君     前原 誠司君 同日  辞任         補欠選任   前原 誠司君     渡海紀三朗君 同日  第二分科員山口鶴男君、第三分科員松沢成文  君、秋葉忠利君、第四分科員山原健二郎君、第  五分科員小森龍邦君、第六分科員藤村修君、第  七分科員中田宏君及び第八分科員和田貞夫君が  本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成六年度一般会計予算  平成六年度特別会計予算  平成六年度政府関係機関予算  〔皇室費国会裁判所会計検査院内閣及  び総理府所管経済企画庁環境庁国土庁を  除く)並びに他の分科会所管以外の事項〕      ――――◇―――――
  2. 宮本一三

    宮本主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、皇室費国会裁判所会計検査院内閣及総理府並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管についての審査を行うことになっております。  平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算及び平成六年度政府関係機関予算皇室費について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。鎌倉宮内庁次長
  3. 鎌倉節

    鎌倉政府委員 平成六年度における皇室費歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費平成六年度における歳出予算要求額は五十二億八千五百二十八万四千円でありまして、これを前年度予算額四十八億三百三十二万七千円と比較いたしますと、四億八千百九十五万七千円の増加となっております。  皇室費歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億九千万円、宮廷に必要な経費四十六億九千八百五十三万九千円、皇族に必要な経費二億九千六百七十四万五千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費六億五千五百九十六万二千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費四十億四千二百五十七万七千円でありまして、前年度に比較して、四億八千百九十五万七千円の増加となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度と同額になっております。  以上をもちまして平成六年度皇室費歳出予算計上額説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  4. 宮本一三

    宮本主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、皇室費については終了いたしました。
  5. 宮本一三

    宮本主査 次に、国会所管について審査を進めます。  まず、衆議院関係予算説明を聴取いたします。緒方衆議院事務総長
  6. 緒方信一郎

    緒方事務総長 平成六年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成六年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は六百六十二億二千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四十七億七千万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、六百三十九億八千五百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し五十億五千五百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、本年一月から創設した政策担当秘書に係る経費議員室電話設備更新経費その他議員歳費等増加によるものであります。  なお、議員会館整備に要する調査費を引き続き計上いたしております。  第二は、列国議会同盟東京会議開催に必要な経費でありまして、会議運営費等に係る経費一億七百万円余を計上いたしております。  第三は、衆議院施設整備に必要な経費といたしまして、二十一億二千三百万円余を計上いたしております。  この主なものは、各所冷房用冷凍機設備改修費国会審議テレビ中継設備整備費、第一議員会館駐車場整備費及び本館等庁舎の諸整備に要する経費並びに国会周辺等整備に必要な土地購入費でございます。  第四は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  7. 宮本一三

    宮本主査 次に、参議院関係予算説明を聴取いたします。緒方衆議院事務総長
  8. 緒方信一郎

    緒方事務総長 平成六年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成六年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は三百七十六億八千五百万円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、約二十一億七千七百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百六十六億一千八百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し二十四億三千百万円余の増加となっております。これは主として、平成六年一月から創設された政策担当秘書に係る経費増加によるものでございます。  第二は、列国議会同盟東京会議開催に必要な経費でありまして、会議運営等に必要な経費五千三百万円余を計上いたしております。  第三は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、十億八百万円余を計上いたしております。これは、国会審議テレビ中継設備整備費、本会議及び委員会開会表示設備改修費並びに本館等庁舎整備に要する経費でございます。  第四は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、平成六年度参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  9. 宮本一三

  10. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 平成六年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成六年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は百五十一億七千五百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億九千五百万円余の増額となっております。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百三十億九千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三億七 百万円余の増額となっております。これは主として、図書館業務機械化国会サービス充実のための経費図書館資料収集保存対策経費及び関西図書館プロジェクト調査経費について増額計上いたしたことによるものでございます。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、五億四千八百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、二千二百万円余の増額となっております。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、十五億二千六百万円余を計上いたしております。これは、主に本館改修に要する経費で、前年度予算額と比較いたしますと、一億三千四百万円余の減額となっております。  以上、簡単でありますが、国立国会図書館関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  11. 宮本一三

  12. 中川俊彦

    中川裁判官弾劾裁判所参事 平成六年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成六年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は一億二千二百五十一万円余でありまして、これを前年度予算額一億一千五百八十二万円余に比較いたしますと、六百六十九万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費等増加によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  13. 宮本一三

  14. 中川俊彦

    中川裁判官弾劾裁判所参事 平成六年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成六年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は一億三千九百九万円余でありまして、これを前年度予算額一億三千二百二十万円余に比較いたしますと、六百八十八万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費等増加によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議めほどをお願いいたします。
  15. 宮本一三

    宮本主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、国会所管については終了いたしました。     ―――――――――――――
  16. 宮本一三

    宮本主査 次に、内閣及総理府、ただし経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。熊谷内閣官房長官
  17. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 平成六年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管平成六年度における歳出予算要求額は百六十二億八千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額百五十四億一千万円に比較いたしますと、八億七千五百万円の増額となっております。  次に、総理府所管平成六年度における歳出予算要求額は九兆一千二百五十七億三千七百万円でありまして、これを前年度当初予算額八兆七千百二十八億五千二百万円に比較いたしますと、四千百二十八億八千四百万円の増額となっております。  このうち、経済企画庁環境庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費のうち主なものについて、以下、順を追って御説明いたします。  総理本府に必要な経費三百九十二億九千五百万円、警察庁に必要な経費二千二百六十五億二千万円、総務庁に必要な経費一兆七千九十六億六千二百万円、北海道開発庁に必要な経費一兆一千百三十六億二千八百万円、防衛本庁に必要な経費四兆一千四百十九億五千三百万円、防衛施設庁に必要な経費五千四百十三億六千万円、科学技術庁に必要な経費四千六百三十六億一千百万円、沖縄開発庁に必要な経費三千五百二十三億五千百万円等であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、政府広報栄典関係平和祈念事業特別基金事業推進総理大臣官邸基盤施設整備等のための経費でありまして、前年度に比較して一億四千万円の減額となつております。  警察庁に必要な経費は、警察庁、その附属機関及び地方機関経費並びに都道府県警察費補助等のための経費でありまして、前年度に比較して四十九億一千万円の減額となっております。  総務庁に必要な経費は、総務庁一般行政、恩給の支給、統計調査等のための経費でありまして、前年度に比較して六十三億九千七百万円の減額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における海岸漁港住宅、下水道、環境衛生施設都市公園農業農村整備造林、林道、沿岸漁場整備等事業経費及び治水治山道路整備港湾整備空港整備農業農村整備のうち国営土地改良事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等経費でありまして、前年度に比較して二千五十九億五千五百万円の増額となっております。  防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等運営武器車両及び航空機等購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して二百十一億三千三百万円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、基地周辺対策事業提供施設整備補償経費基地従業員対策提供施設移設等のための経費でありまして、前年度に比較して二百十七億六千八百万円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、創造的・基礎的研究充実強化科学技術振興基盤整備国民生活の質の向上に資する科学技術推進科学技術による国際社会への貢献、宇宙、海洋、原子力、物質・材料系科学技術ライフサイエンス等先端科学技術分野研究開発推進、エネルギーの安定確保並びに原子力安全対策及び核不拡散対応充実強化等経費でありまして、前年度に比較して二百六十億三千六百万円の増額となっております。  沖縄開発庁に必要な経費は、沖縄における教育振興保健衛生対策農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する海岸漁港住宅環境衛生施設都市計画農業農村整備造林等事業経費及び治水治山道路整備港湾整備空港整備農業農村整備のうち国営土地改良事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等経費でありまして、前年度に比較して六百三十四億二千二百万円の増額となっております。  また、以上のほか新規継続費として、防衛本庁において一千八百十五億五千七百万円、国庫債務負担行為として、総理本府において五十億四千百万円、総務庁において一千百万円、北海道開発庁において三百四十三億六千六百万円、防衛本庁に おいて一兆五千六百五十六億二千二百万円、防衛施設庁において一千五十九億五千五百万円、科学技術庁において一千百五十七億二千二百万円、沖縄開発庁において百十八億八千九百万円を計上いたしております。  以上をもって平成六年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  18. 宮本一三

    宮本主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  19. 宮本一三

    宮本主査 内閣について質疑申し出がありますので、これを許します。山口鶴男君。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 分科会で質問するのは大変久しぶりでありますが、何か聞きましたら、予算委員長分科会で質問した例はないのだそうでありまして、そういう意味では異例のことでありますが、私としてはどうしてもこれは聞いておかなければいかぬと思うことが一つありますので、この際、お伺いをいたしておきたいと思います。  最初に、これは内閣法制局長官にお伺いした方がいいのではないかと思いますが、私どもが、国会法百四条で予算委員会が議決をいたしまして、土井衆議院議長を通じて国税庁、法務省、東京地検に対して資料提供記録提出を求めました。ところが、三月の九日になりまして、要求には応じられません、提出することはいたしかねると。要するに、すべてゼロ回答だったのであります。  この国政調査権は、憲法六十二条に議院国政調査権、「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録提出要求することができる。」こうあります。まさに憲法六十二条の規定に従って、衆議院議長を通じ、議院として資料記録提出を求めたのであります。  これに対して応ずることができないという回答をしたのは、一体、憲法の何条の規定根拠があるのですか。憲法規定によって我々は要求をした。これをお断りするという以上は、憲法規定によってお断りしたのだろうと思います。その憲法規定をお教えをいただきたい。
  21. 大出峻郎

    大出政府委員 いわゆる国政調査権は、憲法第六十二条に由来するものであり、国政の全般にわたってその適正な行使が保障されなければならないということは言うまでもないところだと考えております。  一方、憲法第六十五条によって、内閣に属することとされている行政権に属する公務の民主的かつ能率的な運営を確保するために、国家公務員には守秘義務が課せられておるわけであります。  そこで、国政調査権国家公務員守秘義務との間において調整を必要とする場合が生ずるわけでありますが、国政調査権に基づいて政府に対して要請があった場合に、その要請にこたえて職務上の秘密を開披するかどうかということは、守秘義務によって守られるべき公益国政調査権行使によって得られるべき公益とを、個々事案ごとに比較考量することによって決定されるべきものと考えておるわけであります。  個々事案について右の判断をする場合におきまして、国会政府との見解が時としては異なることがあるといいますか、避け得ない場合があろうかと思いますが、政府としては、国会国政調査活動というものが十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の努力をすべきものである、これが国政調査権と行政府におけるところの守秘義務との関係についての一般的な考え方であります。  そして、憲法上の根拠というお話がただいまございましたが、「行政権は、内閣に属する。」ということが憲法六十五条によってうたわれ、そして、したがいまして行政権行使につきましては、内閣はこれについて責任を持って対応しなければならないということでございます。そういうことと、具体的な個別の法律において守秘義務が課せられておるということがありまして、それと国政調査権との調整の問題として、先ほど申し上げたような考え方に沿って処理をされるべきものというふうに考えておるわけであります。
  22. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 法制局長官、私の聞いていることとお答えになったことはどうもすれ違っているような気がするのです。法制局長官がお答えになりましたのは、主として国会法百四条に基づく国政調査権と、それから国家公務員法百条に基づく公務員の守秘義務、これとの関係をお答えになっているのですよね。私が聞きましたのは、そうではない。  私ども国会は、国権の最高機関です。国権の最高機関たる国会が、憲法六十二条でこの国政調査権を明確に与えられておる。これに対して、この調査権をお断りする、応ずることができないというようなことをお答えになる憲法規定は一体何か。法律を聞いているのじゃないですよ。憲法六十二条に相対する、断るという権限を明記した憲法は一体どこにあるのかと、こう聞いているわけです。
  23. 大出峻郎

    大出政府委員 先生御指摘のように、国政調査権根拠となる規定憲法第六十二条ということであるわけであります。この国政調査権に対しまして、内閣がこれに対してどう対応するかということについては、いろいろなケースがあり得るかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、「行政権は、内閣に属する。」ということとされており、そして内閣は、したがいまして行政権行使につきましては、これは内閣の責任を全うするという立場にあるわけであります。そういう意味合いにおきまして、時として行政府所管をしておるところの秘密というものが明らかにされた場合に、適正な行政運営というものができない、したがって、その行政運営について的確なる責任を負い得ないというようなケースがあり得るかと思います。  憲法上、調査権に対して行政府はどう対応できるかということは、具体的な規定が設けられているわけではありませんけれども、憲法六十五条によるところの行政権というものを内閣が全うするということとの関連におきましても、守秘義務国政調査権との調整という問題があり得るということかと思います。
  24. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 どうも私の聞いていることにお答えになっていないのですね。憲法四十一条で、国会は国権の最高機関だ、こう明記されている。そして、憲法六十二条に国政調査権が付与されている。それで我々は要求をした。土井議長のお名前をもって、いわば議院として要求をした。これに対してお断りになった。お断りになった権限は憲法のどこにあるかと聞いたら、そういう規定憲法にはない、こうお答えになった。ただ、憲法六十五条ですか、内閣には行政権がある、だからと、こう言っているのですが、しかし、憲法には国政調査権をお断りする名目的な条項というのはありませんね。  しかも、国会は国権の最高機関なんですよ。最高機関である国会にちゃんとした権限がある。片や最高機関でないこの行政府国会に連帯して責任を負うべき行政府ですね。しかも、憲法には明確な条項がない。それでお断りをするなんということは、これはまさに越権行為じゃないですか。ぶしつけですよ、そんなことは。あえて言えば憲法違反だ。  私は、衆議院法制局は、これは国権の最高機関の法制局として権威あるお考えを持っているだろうと思うのです。衆議院法制局の見解を聞きましょう。
  25. 内田正文

    ○内田法制局参事 お答えいたします。  確かに、守秘義務等があるということだけで、それによって資料提出要求について拒否をするということについては賛成いたしかねますけれども、ただ、先ほど法制局長官からも御説明がありましたように、行政権を全うするという観点から守秘義務というものが出てくるわけでございまして、その公益性というのはやはり憲法から発生してきたものであろうということになります。そうしますと、国政調査権によって得られる公益と守 秘義務によって守られるべき公益、ここにはやはり調整の必要はあるのかなというふうには思っております。  ただ、守秘義務等があるから、単にそれだけで拒否するというのはどうかと思います。もう少しケース・バイ・ケースによって具体的に検討して、国会側が納得できるような説明をすべきではないかというふうに理解しております。
  26. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 さすが国会法制局で、内閣法制局よりは前向きな答弁がありまして、結構だと思います。  要は、憲法六十二条による国政調査権があるのだと。内閣にはそれは行政権があるでしょう。しかし、内閣守秘義務があるからといって、それで、この憲法四十一条で定められた国権の最高機関たる国会が、憲法六十二条の規定による国政調査権によって資料提出を求めた場合に、守秘義務があるからといってお断りするのはいかがかと思う、やはりそこは立法府を納得させるだけのものがなければいかぬ、個々のケースについて納得をさせる積極的な姿勢がやはり必要ではないか、こういうお答えだったと思います。  まさにそういった見解は、一〇〇%満足ではありませんけれども、ある程度国会の立場を考慮された立派な一つの答弁ではないか、見解ではないかと私は思います。どうですか、法制局長官、今の見解は。
  27. 大出峻郎

    大出政府委員 ただいま衆議院法制局の方からお話がありましたとおりと私どもも考えております  政府側の先ほどの国政調査権守秘義務との関連における考え方といいますのは、これは、秘密であるがゆえにすべての場合にその提出というものをお断りをするということではございません。そういう考え方に私ども立っているわけではございませんで、国政調査権国家公務員守秘義務との関係において調整を要する場合には、国政調査権要請にこたえて職務上の秘密を開披するかどうか、すなわち国会法第百四条の求めに応ずるかどうかということは、守秘義務によって守られるべき公益国政調査権行使によって得られるべき公益とを個々事案ごとに比較考量することによって決定されるべきである、こういう考え方に立っておるわけであります。  したがいまして、秘密なるがゆえにすべてお出しできませんということを申し上げているのではなくて、秘密である場合におきましても、国政調査権との調整を行う、そのときには、両者の公益というものを比較考量した上でそれについての答えを出す、こういう考え方に立っておるということを御理解いただきたいと思います。
  28. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 冒頭、衆議院法制局の見解で結構でありますとお答えになっただけでいいのですが、その後いろいろおっしゃられると、どうも何か言いわけがましく聞こえるわけでありまして、予算委員会のときには私がそこに座り、法制局長官はすぐそこに座っておられて、隣組なのですから、もっと好意ある御返答をいただくように。とにかく、衆議院法制局の見解と同じだ、こういうことですね。  そこで、お尋ねをいたしたいと思うのですが、今度は官房長官にお尋ねしたいと思います。  今、内閣法制局長官が長々とおっしゃられたようなことを、私どもが要求いたしました場合、国税庁あるいは法務省の刑事局は全く同様なことを文書であるいは口頭でお答えになっておるわけであります。  法務省の場合は、刑事訴訟法四十七条、この本文とただし書き、この場合のただし書きの「公益」とは一体何か。それで、「公益」とは国会法百四条による国政調査権だということはもうこれは認めておられる。ただ、その場合、公益上の必要がある場合に当たると考えられるが、要求にかかわる書類を提出して、その存否及び内容を公にすることが相当と認められるには、保護されるべき公益国政調査権行使による公益と比較考量して、どちらが優先するかということを考えなければいかぬというようなことを、法務省の刑事局も同じようなことを言っておるわけです。  問題は、このような政府回答根拠になっていますのは、昭和四十九年十二月二十三日、参議院予算委員会における政府統一見解、これであります。これは、振り返ってみますと、田中金脈が国会で問題になりましたときに、田中さんの所得等が問題になって、それを明らかにせよという要求に対して、当時の政府政府の統一見解で示した考え方だと思うのです。  これによると、先ほど法制局長官が答えたようなことが書いてあります。この守秘義務によって得られるべき公益国政調査権行使によって得られるべき公益とを個々事案ごとに比較考量することによって決定さるべきものであって、今回のこの判断は、この事案においてはどうも明らかにすることができないというようなことだったと思うのですが、その後、このロッキード問題が問題になりましたときの当時の村山大蔵大臣の答弁、こういったものが一連の政府のお答えの根拠になっておるように思います。  しかし、もう随分昔の政府統一見解ですよね。時代が大きく変わっていると思います。この際、国政調査権、しかも、先ほど私が言いましたように、国会は国権の最高機関、憲法六十二条で国政調査権がきちっと国会には与えられておる、そういう状況を考えました場合に、私は、政府統一見解を改めて、もっと前向きに国政調査権政府は協力するという態度であってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
  29. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 委員長が御指摘のとおり、経緯は議会の子にくどくど申し上げるまでもございませんが、そこで、この解釈、いわゆる三木内閣の時代のこの解釈について、基本的なところでは法解釈として変更することは私ども考えておりません。  しかしながら、ただいま委員長御指摘のように、この中にもございますように、個々の事実について比較考量を行うに当たって、政府として、国会国政調査活動が十分その目的を達成できるよう政府の立場から許される最大限の協力をすべきものである、その意味合いのところに、先ほど来委員長が御指摘のように、時代が新しく変わってきている、そのことを踏まえてもう最大限の協力をすべきだと、これは委員長も再三この経緯の中で御指摘をなすっておられたというふうに私ども伺っておるところでございますけれども、このことはまさにそのとおりだと思いますし、私どももそういうふうに対応すべきものだと思うところでございます。
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ロッキード事件が問題になりました際の三木内閣、当時、あの三木内閣におきまして、刑事訴訟法四十七条本文とただし書きとの関係が大いに国会での論争の的になりました。そして、当時の三木総理大臣と稲葉法務大臣とのいわば英断によって、このただし書きによる「公益」というのはまさに国会国政調査権である、そういう立場から、いわゆる灰色高官ですね、お金をもらったけれども職務権限がないとか、あるいはお金をもらったけれども既に時効が成立をしているとか、そういった問題に関しても、秘密会ではありましたが、法務省の方から国会に対してその事実を発表するという画期的な出来事があったことは御存じのとおりだろうと思うのです。  私はそういうことを考えました場合、ことしの二月二十二日、この予算委員会で議決をして、衆議院議長名をもって政府資料提出を求めた。しかし、三月の九日に至ってゼロ回答であった。その後、いろいろやりとりをいたしました結果、この根抵当権設定に関する申請書、根抵当権抹消に関する申請書、これを法務省が非常な努力をして国会提出をいただきました。この点は、私は一つの成果であったと思っております。  また、国税庁も、本人ないしはその代理人が税務署に参りまして、所得の申告書、それを閲覧したいという場合は閲覧させて、そして今度、税額は幾らであった、課税金額は幾らであった、所得額は幾らであったということを引き写して、そし てそれを、そのことは正確であるという証明を税務署長が出してもよいというところまで国税庁長官が示されたこと、これも私は一つの前進した政府の姿勢であったというふうには思います。  しかし、国会が求めました重要な資料記録については未提出のまま今日に至っておる、このことは残念でなりません。  そこで、私はもう時間もありませんからお伺いするのですけれども、官房長官、今の羽田内閣、これは細川内閣の政治改革を引き継ぎ改革を実現する、そういった性格を持つ内閣だ、こう認識してよろしゅうございますか。
  31. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 そのとおりでございます。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうしますと、お聞きしたいのですが、細川政権を樹立する際には、日本社会党、新生党、公明党、日本新党、民社党、新党さきがけ、社会民主連合及び民主改革連合の八党派で「連立政権樹立に関する合意事項」というものをつくり、そして八党覚書というものを作成したことはもちろん御存じだと思います。  そこで、私はこれを改めて拝見したわけですが、このように書いてある。「八党派は、国民の負託にこたえ、政治倫理を重んじ、自由民主党政権の下では、なしえなかった抜本的な政治改革を実現する連立政権の樹立を決意した。」こうあるわけです。政治改革とは何ですか。公選法を改正すること、政治資金規正法を改正することだけですか。私はそうではないと思うのですが、政治改革とはどういうものを含むのですか。
  33. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 まさに委員長御指摘のとおり、選挙制度でありますとか、個々の技術的な問題のいわゆる改正、改革にとどまるべきものではございませんで、基本的な日本政治の置かれた状況、あるいは腐敗その他の起こってきたものに対する厳しい批判、そういうものを根絶し、なおかつ、新しい時代にこたえ得る政治機能の回復を目指すシステムにつくり変える、こういう趣旨で、非常に広い範囲のものであると承知をいたしております。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 政治機能の回復のために努力をするのだ、こうお答えになりました。当然、そうなれば政治機能の中で最も重要なのは行政府ばかりじゃなくて国会ですから、国会改革というのも重要な柱であるということはお認めになりますね。  かつて、マスコミがこれらの問題についていろいろ社説で論評いたしました。その一つを申し上げますが、「これまで、国政調査権は自民党一党支配の中で徹底的に封じ込められ、行政優位の体制をつくりあげた歴史ではなかったのか。野党時代に苦汁をのまされた経験はなかったのか。」私どもは数々あります。ですから、先ほど申し上げた政府統一見解はおかしい、改めるべきだ、もっと国政調査権を尊重せよということは、私、社会党の国会対策委員長、書記長時代に随分強調したことがございます。まさに「苦汁をのまされた経験」の連続でございました。「国政調査権の拡充は、政治改革とりわけ国会改革の大きな柱にすべきものである。」こう述べています。このことについて賛成ですか、反対ですか。
  35. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 まさに国会活動が幅広い調査に基づき、データに基づき行われるのは当然でございまして、その意味で、政治改革の基本的な方向は国政調査権の最大限の活用というものが含まれると私も思います。
  36. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 結構な答弁でした。  同時に八党覚書に次のようなことがございます。「行財政改革に積極的に取り組み、規制緩和、補助金の見直し、また情報公開を推進する。」とあります。私は、この政治改革、そして今羽田政権が行財政改革、特に規制緩和、補助金の見直し等、懸命に努力をしていることは評価をいたしたいと思います。そして、情報公開も推進する。まさに国政調査権に基づく資料要求というのは、行政府がもっと情報公開をせよということではありませんか。そしてまた、この八党覚書でこの情報公開をやると誓っておられるわけですから。  私は、そこで最後にお伺いをしたいと思うのです。  結局、今日まで、守秘義務によって、あるいは刑事訴訟法四十七条本文によって、国政調査権に対しておこたえすることができませんというようなことを言い続けてきた行政府、そしてその根拠になっている昭和四十九年の政府統一見解、これはぜひ改めていただきたい。この統一見解を改める御意思があるかないか、最後にお伺いをしておきたいと存じます。
  37. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 冒頭にもお話を申し上げたところでありますけれども、この統一見解の基本スタンスというものは、私ども踏襲といいますか、修正をする必要はないと思っておるわけでございます。  ただ、その中にも実は示されているところでございますが、まさに委員長が御指摘の部分でございまして、国政調査権政府がいかにこたえていくかという部分について、やはり委員長の意味されたところに政府は十二分にこたえられるように、少なくとも改革を標傍する政権である以上は十分にこたえていかなければならない、そういうふうに思うところでございます。
  38. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ありがとうございました。今後の政府の姿勢を十分見守っていきたいと存じます。
  39. 宮本一三

    宮本主査 これにて山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして内閣についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  40. 宮本一三

    宮本主査 次に、総理本府について質疑申し出がありますので、順次これを許します。竹内譲君。
  41. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 公明党の竹内譲でございます。よろしくお願いします。  私は、まず最初に、京都の和風迎賓館の話についてお伺いをしたいと思っております。  我が国は、世界有数の経済大国となりました。また、国際社会の中での役割もますます大きくなってきております。関西国際空港が今年度に開港されますし、また、関西文化学術研究都市の基盤整備等に伴いまして、今後外国からの賓客もさらに増加すると思っております。これまで経済的側面に偏りがちでありました外交、国際交流を、文化的側面から強化していくことが重要な課題であるというふうに思っております。  その中で、日本らしい雰囲気とたたずまいを持つ和風の迎賓館を京都につくることによって、対日理解の促進を図っていくべきである。そしてまた、東京の一極集中是正という面からも文化の都京都に和風迎賓館が必要であるというふうに私は思っておりますが、まず政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  42. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 委員御指摘のとおり、京都に和風の迎賓館をつくるべきではないかという議論にこたえまして、特に平安建都千二百年記念事業として地元京都から強い御要望をいただいている京都和風迎賓館施設の建設につきましては、先般、学識経験者等で構成される調査研究委員会から報告をいただいているところでございます。今後、本年が平安建都千二百年ということを踏まえまして、速やかに関係省庁等との調整を進めまして、政府の方針を決定してまいりたいと考えております。
  43. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 これは平成三年ぐらいからいろいろ話があった件でございますが、総理府として現在までに取り組んでこられました内容の状況、推移について簡潔にお教え願いたいと思います。
  44. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 お答えいたします。  京都和風迎賓等施設につきましては、近年の関西圏の国際化の進展等に伴いまして、このような国際交流基盤施設の必要性が指摘されて、また京都府知事などからも同施設の建設に係る要望が出ておりましたものですから、平成三年以来、総理府において調査を進めてまいりました。平成五年 度のこの調査研究におきましては、先ほど官房長官から申し上げましたように、京都和風迎賓等施設の立地場所、管理運営、和風の建築態様等について検討をしているところでございまして、先般、学識経験者等で構成される調査研究会から、その検討結果の骨子として基本構想について報告を受けた、こういう経緯でございます。
  45. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 これまでの委員会の報告書の中で、京都が望ましい、そしてまた場所についても京都御所の中の饗宴場跡グラウンドが望ましいと考えられるというふうに明確に書いてあるわけでございますが、これはこういう方向で進んでいるというふうに考えてよろしいわけでしょうか。
  46. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 基本構想がそういう形で報告がまとまりましたので、そういうことで、今後の事務的な詰めが残ってございますが、報告書の方向で私どもも検討したいと考えております。
  47. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 そこで、私は提案を三つほどしたいというふうに考えております。今まで皆さんがやってこられたこと、これは大変重要なことであるのですが、それを単純に引き継ぐというのでは余り意味がない。やはりこの羽田新政権として特色のあるものを出すべきであるというふうに私は思っておりまして、三つほど要望したいというふうに思っております。  一つは、利用対象がやはり国民に広く開かれたものであるべきだ、閉じられた世界というのでは困るというふうに私は思っております。また、従来の形にとらわれないレベルでの、さまざまな国民あるいは外国の方々との交流ができるような、そういうアイデアをぜひとも盛り込んでいただきたいというように思っております。  それから二つ目が、環境配慮というものをやはり考えてほしい。我々、環境調和型の産業の育成とかいろいろ合意事項の中でも言っておるわけでございますが、特に京都御苑はオオタカが住んでいるとか、いろいろな生物もたくさんおります。そういった意味で、環境配慮というものにぜひとも重点を置いて考えてもらいたい。  そして私が申し上げたい三つ目は、やはり京都自体の持つ歴史、文化の遺産というものを本当に有効に生かす、そういうソフト面の充実を考えてもらいたい。つまり文化教育面での充実、ここが私が最も言いたいことでございますが、現在変革の、混沌と混乱の中に今おるわけでございますけれども、実はこういう混乱の時代を生きる知恵の本質を我々に教えてくれているのは京都ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。その知恵のストックが静かに眠っているのが京都だというふうに思っておりまして、そういった意味で、今まで京都は千二百年、政治と権力の表舞台また裏舞台として本当に生き抜いてきたわけでございます。  言葉をかえて言うならば、ジャパン・アイデンティティーそのものがあるのではないか。そういう意味で、ジャパン・クラシックアイデアとも言えると思いますが、そういったものが内蔵されている。そこで我々としては、やはりこの京都の文化というものを学んで、教科書として、この変化の時代を生き抜く知恵を京都へ来たら本当に体験できるんだという、そういうものをぜひともつくっていただきたいというふうに思うのです。     〔主査退席、鉢呂主査代理着席〕  特に京都へ来られる方は、いろいろな建物、歴史的建築物等いろいろ見て回る方が多いですけれども、実はそういう歴史的経緯とか、そこでどういった人間の愛憎が生まれて、そしてどういったさまざまな権力闘争や文学が生まれてきたのかということを余りよく御理解なされていない方が残念ながら多いというふうに私思っておりまして、そういった意味で、この歴史の本質、文学、また絵画、こういうものが本当に学べるソフトというものを考えてもらいたいというふうに思っているのですね。  例えば、ここは私が言いたいことなのでちょっとくどく言いますが、平家物語というものがございます。平家一門の運命、とりわけ彼らが劇的に没落、滅亡した事件でございますけれども、それは同時に、王朝貴族社会から中世武家社会へと日本の歴史が大きく変わる転換期であったというふうに思うのですね。  この今の時代というのも、ある意味で中央集権から地方分権の時代、あるいは戦後三十八年続いてきた自民党の時代が終わって新たな連立政権の時代へと入る、まさに大きな歴史的な転換期だというふうに私は思っているのですね。また、明治維新以来続いてきたこういう中央集権体制といいますか、そういったものが大きく変わる、新しい二十一世紀へ向けて日本が変わる時代だというふうに思っておりまして、そういった意味で、例えば平家物語から学ぶ、こういう歴史の知恵というものが十分あるんじゃないか。中学生、高校生にそういうものを学んでもらえるようなソフトをぜひとも考えてもらいたい。  そういうことを考えることがやはり前政権とは違ったアイデアで、私は、どちらかというと、単にハードだけをつくればいいといった趣旨で進んできたというふうに思うのですね。そうじゃなくて、新しい連立政権というのがこれだけソフトについて本当に真剣に考えているということを出せば、国民の皆さんの、また世界の皆さんの共感を得るんじゃないかなというふうに思っているわけでございます。その意味で、京都は国民的、国際的公共価値であるというふうに私は申し上げたいと思うわけでございます。  そういった意味で、少し長くなりましたが、この要望をぜひとも反映させるような形で、ここはじっくりと考えて、拙速はよくない、アイデアを一ひねり二ひねりもっとよく考えて、本当にいいものを最終的にはつくるという方向で考えてもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
  48. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 京都を愛する委員のお話、私ども大変感銘を受けました。そして、御提言のポイント、いずれも大変貴重なポイントだと思っております。今後の作業に十分に材料として取り入れさせていただきます。ありがとうございます。
  49. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 そこで、具体的な話はこれからだとは思うのですが、一応念のため確認しておきたい。  建設費とかあるいは建設期間、それから先ほど饗宴場跡地という話もございましたけれども、これは代替地が必要であるということになってくると思います。それについての政府の見解をお願いいたします。
  50. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 やっと研究報告が出たところでございます。これは基本的にどんな機能を充実していくかということについての基本構想を出していただいたわけでございまして、そういう意味で、これから各省協議をしていかなきゃいかぬ状況でございます。  おっしゃいましたように、先ほど何点が御指摘をいただきました内容はこの報告書でも書いてございまして、施設の機能として、「国公賓等の賓客の接遇に必要な機能としての宿泊機能および会食機能、多様な外交・国際交流の展開に必要な会談・会議機能および晩餐機能が想定される。」というのが一つの原則。第二番目に「京都を中心とした我が国の文化の紹介・体験を通じて我が国への理解を深めてもらうことや、そうした文化や情報を報道の機会を通じて国際的に発信することについても、今後さらに検討を行っていく必要がある。」こういう、お申し越しいただいた点を配慮した報告が出てまいっております。  この辺の金額その他もこれから詰めていくことでございまして、平成六年度の予算が通りましたら基本設計についてのあり方を検討していく、こういう段階に入るわけでございますので、ひとつもうしばらくじっくりと時間をかけて熟成をさせたい、こう考えております。
  51. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 建設関係についてはそのようなことでございますので、当然、設計の絵はこれからである、まだである。また、そういう建設関係をめぐる思惑とかあるいは先取りでいろいろな動きがあるとか、そういうことは一切ないというふうに理解してよろしいわけですね。
  52. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 まだそういう意味での各論に入ってございませんので、私どもとしてはこれからの詰めをいたしまして、いいお答えができるように持っていければと考えております。
  53. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 それで、これも私の問題意識の中でございますが、管理運営の問題なんですけれども、国を主体とするのが望ましいというふうになっておりますけれども、第三セクター方式とか財団法人を使うとか、そういった多様なやり方、この辺についての検討状況はいかがでございましょうか。
  54. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 議員御指摘のような方向の報告書が出てございます。しかし、それをいただきましてこれから関係省庁との詰めをしなければなりませんので、各論にわたる段階での話はもうしばらく時間をいただきたいと考えております。
  55. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 私は、やはり東京の一極集中是正、そしてまたせっかく関西新空港ができるわけでございますし、そういった意味で、関西への外国の方々の訪問というのも本当に多くなると思います。地方分権の意味からも、また首都機能移転の意味からも、ぜひともこれは、よく検討しなければなりませんが、そういう点も踏まえてできる限り早急に結論を出してもらいたいと思います。  そういった意味で、コンセプトを今までとはがらっと変えて違ったものにして、そして連立政権として本当に目玉となるようなものに仕立てた上で早急に結論を出してもらいたいというように思っております。その意味で、政府の今後の閣議決定なり閣議了解というものが私はキーポイントになるというふうに思っておるのですが、この辺についてお考えをお聞かせ願えませんでしょうか。
  56. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 先ほど来答弁を申し上げましたとおりでございますが、まだ構想段階ということでございまして、将来の道筋として委員の御指摘は大変理解できるところでございますが、この構想をきっちりと詰めていくということが一番早道ではないかと考えておるところでございます。
  57. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 ひとつよろしくお願いします。  それでは次に、国立国会図書館の関西館の件についてお伺いをしたいと思います。  国立国会図書館も今、毎年大変な量の蔵書を収納しておりまして、どんどんキャパシティーが少なくなってきているというふうに私、認識しております。それでまた、欧米諸国におきましても、国立図書館の充実には目覚ましいものがあるというふうに思っております。例えば、英国では九六年の完成を目指して国立図書館新館の建設が進んでおります。また、フランスでも世界最大級の新しい図書館を建設中でございます。また、米国の国立図書館は職員数で日本の五倍、貯蔵資料数で九倍に及ぶ、規模も段違いでございます。  そういった意味で、日本におきましてもやはり新しい国立国会図書館の設置というものが必要なのではないかというふうに思っておるのですが、政府の御見解を賜りたいと思います。
  58. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 国立国会図書館といたしましては、ただいま仰せのように各国の図書館がいずれも新しい準備を進めていることでもございますし、当館自体が収蔵能力がだんだんと飽和状態に達するときも見えておりますので、新しい関西のプロジェクトを進めてまいるつもりで努力しているところでございます。
  59. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 現在の国立国会図書館の収納状況と収納の限界性についてお教え願えませんでしょうか。
  60. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 昭和六十一年に新館を建設させていただきまして、当面の解決はついたと思ったわけでございますが、その後、御承知のように出版数も極めて多うございまして、納本の数だけでも毎年図書で十万冊、これは購入分も含みますけれども、十万冊になっております。雑誌その他を図書に換算しますとさらにその三倍以上の数になるという見込みでございます。  そういうようなことで、現在の書庫の飽和状態になる時期を予測いたしますと、これは平成十二年、紀元二〇〇〇年には大体九〇%になるであろうと見られております。したがいまして、それから二、三年後にはもう完全に飽和状態になるであろう、そう見ております。
  61. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 そういたしますと、ますます関西館の設置というものが必要であると私は思うわけでございますが、しかも建設にはそれなりの時間もかかるというふうに思っております。そういたしますと、この辺の今後の関西館の建設の計画について、現在までの状況も踏まえて、今後の計画についてお教え願いたいと思います。
  62. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 先生が今おっしゃいましたような事情でございますので、鋭意準備を進めているのでございますけれども、本年度の予算でプロトタイプの作成経費をお願いしてございます。プロトタイプができますと、これによりまして、国立国会図書館法に建築委員会規定がございまして専門家をお願いしてございますが、この建築委員会に、どういうような形の図書館をつくるのがいいかというようなお諮りをしなければなりません。そのための一つの前段階の作業でございます。そのプロトタイプの作成を、今年度予算が成立しましたならばできる限り速やかに進めたいと思っております。それに基づきまして、さらにその後の進め方を関係方面とも御協議しながら進めていかなければならないと思っております。  この目標といたしましては、やはり先ほど申しました飽和状態になります平成十二年から十五年ごろを目標にしなければいけないのではないかなと思っておるところでございます。そういうような計画であります。
  63. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 若干確認でございますが、場所についてはどのようにお考えかということと、それと、私、恐らく七、八年かかるのじゃないかというふうに思っております。そうすると、もう今年度ぐらいにいろいろな意味で重要な建築基本計画を決定していかなければならないのではないかというふうには思っておるのですが、その点に  ついてはいかがでございますか。
  64. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 場所につきましては、関西文化学術研究都市の中の一区画について地元から非常な御要望もございますし、また、私たちも研究いたしまして適当なところではないかと思っております。それは、具体的に言いますと精華・西木津地区というように思っておりますけれども、何せ土地の所有権を得ておりませんので、なかなかそれ以上のことを申し上げる段階には至っておりません。  そういうようなことで、その土地を中心にしましてこれから計画をいろいろと進める準備をしていかなければならないと思っております。
  65. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 やはりこれは和風迎賓館と並んで、情報の公平な提供、あるいは文化情報の発信、また東京一極集中の是正という意味におきまして、関西空港と相まって非常に重要なテーマであるというふうに思っております。そういった意味で、ぜひとも推進を本当に強力に進めてもらいたいと思っております。  政府の今後の取り組む決意を改めて官房長官にお願いしたいのですが、いかがでございましょうか。
  66. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 委員御案内のとおり、本件は国会が中心になってやっていただきまして、それに対して政府が対応していくというのが筋道であろうと思います。まだ国会の方から政府に対してお話はございませんが、委員御指摘のように、国会の方で態勢が整い、我々の方にお声をかけていただく態勢になれば、対応をしてまいりたいと考えております。
  67. 竹内譲

    竹内(譲)分科員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  あと、私の方で実は恩給関係の質問をしたいというように考えておりましたけれども、これは同僚の山名議員が後ほど代表して一括して質問するということでございますので、質問をそちらの方に譲りまして、私の質問はこれで終わります。  ありがとうございました。
  68. 鉢呂吉雄

    鉢呂主査代理 これにて竹内譲君の質疑は終了いたしました。  次に、宇佐美登君。
  69. 宇佐美登

    宇佐美分科員 さきがけ・青雲・民主の風を代表しまして、総理府、中でも、許可をいただきまして特に総務庁に行政改革と行政改革委員会設置法案について質問をさせていただきたいと思います。  今回、総理の所信表明や先ほどの官房長官のお答えにもあったように、羽田政権は改革政権を標榜しており、その行政改革に対する姿勢というもの、その意気込みというものは高く評価されるべきものだと我々も考えております。その中で、行政改革のあり方について質問させていただくわけですけれども、昨年、平成五年十月二十七日に第三次行革審の最終答申が出ました。その点を幾つか御質問させていただければと思います。  まず、その答申の中で、「行政改革の推進については、いまだ道半ばにある」と言っているわけですけれども、現実問題として我々そして官房長官も、地元にお戻りになれば、何やつているんだ、行政改革はどうなっているんだと。税制改革と言われているけれども、税制改革の前にやるべきことがあるのではないか。普通、会社でも同じように、まず調子が悪くなってきたら経費から削減すべきものである。つまり税金というものは、国民にあるとき政府がもう少し増税してほしいというお願いをする。しかしながら、その前にスリムになるべきところはスリムになって、努力すべきところは努力をして、つまり行政改革を行って、後に税制改革があるべきだと恐らく官房長官を含め羽田政権も考えていらっしゃると思いますけれども、先ほど申しました行政改革の推進について、今どの地点、簡単に言えば達成度についてどのように認識されているのか、お答えいただければと思います。
  70. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 委員御指摘のとおり、改革という枠組みの中で行政改革、行政レベルの改革というのが何よりも重要な項目だというのは、羽田内閣もまた同様の認識を持っておるわけでございます。  そこで、もう来し方を振り返る必要はないわけでございます。羽田内閣としてどのように行革を進めていくかということでございますけれども、御案内のとおり、行政改革は単に行政改革の一部として取り上げるのではなくて、広い意味での行財政改革の一環として取り上げていくというのが細川内閣以来の基本的な考え方であったと思います。さきがけの方々も御参加をいただいて、いわゆる税制協議会の中に行政改革の部分も一重要委員会として構成され、検討していただいているわけでございます。政府としてもその検討と即応いたしまして、強力な検討体制をしきながら、できるだけ早い時期に行政改革の当面の道筋をつけていく。  そして、長期的には今後も、これも委員に私がくどくど申し上げる必要もないわけでございますけれども、五年計画といいますか、そういう形で進めていく。これを監査といいますか、管理する体制といいますか、そのために行政改革委員会も今国会審議をお願いしようとしているわけでございますけれども、そうした組織もつくる、こういうことで、まさに改革の最も大事な方向として取り組む問題であるというふうに考えているところであります。
  71. 宇佐美登

    宇佐美分科員 行政改革の監視機関、我々はこの国会においても修正案を提出しようと考えているわけですけれども、今まさに官房長官がお話しなさったように、行政改革を監視していく機関というものが必要である。特に、先ほど申しました行革審の最終答申の中で、「民間有識者等から成る強力な第三者的な推進機関(規制緩和オンブズマン(仮称))を設置する。同機関は、国民の要望・意見を収集・整理し、行政に反映させるとともに、政府における改革の実施状況の点検、評価その他公的規制の緩和に関し、必要な提言を行う。」としているわけです。特に、これは一番最初に前段として「規制緩和の継続的推進を確実なものとするため、」とうたつているわけです。  また、同じ最終答申の中で、「今後の行政改革の推進体制」ということにおいて、「行政改革の実効ある推進が内外共に求められる重要課題であることを踏まえ、今後の行政改革の推進体制については、次により、内閣における強力な推進体制」これは行政改革推進本部等で今やっていただいていると思いますが、「及び権威ある第三者機関による推進監視の両体制によることとすべきである。」とうたつているわけです。また、その中身に関しまして、②として「政府による行政改革の実施を厳しく監視するとともに国民の意見を政府の施策に的確に反映させるため、行政改革に関する言わばオンブズマン的な役割を持つ権威ある第三者機関を設置する。」としております。  きょうは総務庁の方から行政管理局の企画調整課長に来ていただいておりますので、この最終答申における、まずは「第三者機関」、第三者的機関とも表現しているわけですけれども、これに関してどのような認識をなさっているのか、お答えください。
  72. 坂野泰治

    ○坂野説明員 行政改革の推進に当たりましては、国民の方々の御批判や御意見を十分踏まえながらその実施に当たる必要があると考えております。行政改革の実施責任はあくまで政府にあるといたしましても、各省庁の内部における検討だけでなく部外の方々の、いわば窓を外に開いた形で評価や御提言をいただくことが非常に大切なことであると考えておるわけでございます。  行革審の最終答申にある「第三者機関」というものもこのようなお立場からの御提言と理解をしておりまして、今回国会に御提案を申し上げております行政改革委員会も、このような考え方を踏まえて御提案を申し上げたものというふうに御理解をいただきたいと思います。  なお、行革審の最終答申が「言わばオンブズマン的な役割」と表現しておられますのも、国民の立場に立って、いわばお目付役的な役割を果たすように期待をされてこのような御指摘があったものと理解をしておるわけでございます。
  73. 宇佐美登

    宇佐美分科員 オンブズマン的な役割まで行政改革委員会に盛り込んでいるんだという御見解を示していただいたわけですけれども、実際にオンブズマンというのは諸外国にもあるわけですけれども、その認識について、もう少しはっきりとお答えいただけますか。
  74. 坂野泰治

    ○坂野説明員 オンブズマンというものがどのようなものであるかということでございますけれども、オンブズマンというものは古くスウェーデンで始められた制度というふうに理解をいたしております。基本的には、国民の方々から行政に関するいろいろな苦情がある、そういうものを受け付けて、中立的な立場からその原因なり対応策を個別に検討されて、勧告等の措置をとられるものということでございます。  ただ、この行革審の最終答申で言われています「言わばオンブズマン的な役割」というのは、オンブズマンそのものではなくて、先ほども申し上げましたように、行政改革を進める上で国民の方々のいろいろな意見を吸収し反映をしていく、そういうこととしておっしゃられたものと理解をしておるわけでございます。
  75. 宇佐美登

    宇佐美分科員 総務庁にとって非常にいい理解の仕方をしているんだなと正直思うわけですけれども、それでは、オンブズマン的な役割というのをどのような形でこの行政改革委員会に盛り込んでいるのか。その政府の考え方を坂野課長、教えていただけますか。
  76. 坂野泰治

    ○坂野説明員 行革委員会設置法ではその任務を、一つは、規制の緩和を政府推進いたします上で、その実施状況について監視をすることということになっておるわけでございます。これの活動に当たっては調査権あるいは各資料収集権その他の権限をこの委員会が持ちまして、その活動の一環として、各界からさまざまな意見あるいは資料等の収集をするということが前提とされておるわけでございます。そういういろいろな活動の中 で、政府の規制緩和の実施状況について調査をされ、評価をされ、そしてまた、必要な改善措置等をとるように政府に対していろいろ御提言をしていただくものと理解をいたしております。
  77. 宇佐美登

    宇佐美分科員 総務庁の皆さんには設置以来非常に御苦労があったかと思いますし、この行革審の最終答申を見ていても、十二年、今から考えればもう十三年たっているわけですから、行政改革の推進というものを国民が非常に期待しているということは、総務庁の皆さん、昼夜を通しての仕事を通じてもよく御存じだと思います。  しかしながら、行政改革について国民の意見というものが本当に通っているのか、政府に反映しているのかというのが、我々政治家が地元に帰れば、またいろいろなところでいろいろな皆さんとお話しする中で最初に言われることです。また同時に、もちろん先ほどお話もあったように、政治に対する不信というもの、政治家に対する不信というものもあるわけです。行政改革に対する不信というものと同じぐらい、時にそれ以上に行政に対する不満というもの、そして不信というものがあるわけです。  そこで、総務庁の役割として、行革の最終答申にあった国民の要望、意見を収集し行政に反映させ、政府における改革の実施状況の点検というものも行っているのではないかと思うのですけれども、このような答申というものが出てきたときに、総務庁の皆さんはどのように考えたのか教えていただけますか。
  78. 坂野泰治

    ○坂野説明員 私ども総務庁はいろいろな役割を持っておりますけれども、特に行政管理局の任務といたしまして、行政改革の推進に当たる役割を果たしてきておるわけでございます。その推進の機能をどういう形で果たしていくかという上で、日々直接の業務として、関係各省に対してさまざまな行政改革の事項の実施をお願いをしていくということもございますし、同時にその推進の機能を果たす上で、今回御提案申し上げておりますような行革委員会あるいはかつては行革審というようないわば第三者機関、そういう方々の御意見も十分に受けて、それを現実のものとしていくということも私どもの役割と考えておるわけでございます。  行革審の最終答申で、政府の実施状況を厳しく点検評価する、そういう役割が重要だという御提言をいただいたのは、私どもこれまで一生懸命やってまいりましたけれども、なおいろいろ残された課題がある、そういうものをさらに一生懸命やるべきだ、そういう意味での御督励というふうに私どもは受けとめたわけでございます。
  79. 宇佐美登

    宇佐美分科員 まさに今、坂野課長がおっしゃったように、さらなる行政改革というものを国民が期待しているんだと思うわけです。そのためにも、先ほどお話があったように、現在内閣総理大臣のもとに置かれている行革推進本部と、我々は行革監視委員会と言っておるわけですけれども、その監視との対になっての行政改革を進めようというわけだと思うのです。  その中で、昨日、行革推進本部の輸入促進・市場アクセス改善・流通作業部会本部専門員の意見というものが上がってきたわけですけれども、その中でも「規制緩和へのアプローチの仕方」というものがありまして、特に今問題にしております行革委員会に関して、「官僚並びにその経験者を排した行政改革委員会を早急に設置するとともに、委員会は許認可等に限らず、民間活動に対する全ての公的な関与・介入につき、自主的・主体的に勧告権を行使すべきである。」というふうに言っているわけです。  また、「規制緩和の視点」ということで、総論の中の一部を申し上げますと、「規制緩和の対象を狭く許認可等のみに限るべきではない。行政指導、市場メカニズムを制限する価格支持制度、さらには関税を含め輸入促進や市場アクセス改善の妨げとなっている諸制度等、国・地方を通じた国民生活や企業活動に対する公的な関与・介入全般とすべきである。」とうたつているわけです。  これに関連して、また行革委員会設置法案についてお伺いさしていただきたいと思いますけれども、所掌事務に関しましてお話し申し上げます。  第二条にあるわけですけれども、「許可、認可等行政の各般にわたる民間活動に係る規制の改善の推進に関する事項」、そして第二に「その他行政の制度及び運営の改善の推進に関する事項」とあるわけです。今のこの推進本部の専門員の、個人的な御意見も含めてだと思いますけれども、意見の中で言っているのは、規制の改善というときに、第一項第一号「許可、認可等行政の各般にわたる民間活動に係る規制の改善」と特定するわけではなくて、期待しているのは次の第二号「その他行政の制度及び運営の改善の推進」というわけです。ところが、勧告権を見たときに、第四条で「委員会は、必要とあると認めるときは、」というくだりの中で、結局は第二条の第一号、先ほど申しました「許可、認可等行政の各般にわたる民間活動に係る規制の改善の推進」にのみ勧告権を与えているのがこの法案でございます。  我々は、この専門員の意見もありますし、また、経団連を含め産業界からの御意見等を含めまして、勧告権に関して、許可、認可などの、先ほどうたった第二条第一号以外、つまり第二条の第二号「その他行政の制度及び運営の改善の推進に関する事項」に関しても勧告権を付するべきだと考えて、いるわけですけれども、いかがですか。
  80. 坂野泰治

    ○坂野説明員 この行革委員会の任務、御指摘のとおり、一つは規制緩和に関する政府の実施状況の監視、もう一つがその他行政の制度ということになっておるわけでございます。  規制緩和と一口で申しますが、この条文でありますように、民間活動に係る国の関与、介入、一般的にはそういうふうに理解をしてよろしいのではないかと思っております。ただ、若干御指摘ございましたが、税制などの問題はやや次元を異にするのではないかというふうに考えております。  この勧告権をこの規制関係にのみ付与した条文にしておるということでございますけれども、これは経済改革研究会のレポートにもございましたけれども、特に規制緩和については非常に具体的な問題である、かつ具体的な改善措置がいわば末端まで、現場まできちんととられなければならない性格のものであるということでございます。  一般的にこの委員会の権限として、「意見」という提言機能がありまして、これを政府内閣は尊重することになっております。したがって、それで十分かとは思うのでございますけれども、その意見を受けて政府が具体的な措置を講じたその状況を見て、なおこういう具体的な問題についてさらに改善を促進する必要がある、そういうことがあり得るのが規制緩和ではないかというふうに考えまして、かつ経済改革研究会でも、特にこの規制緩和に関して勧告の権限を与えよという御提言でございますので、このようにいたしたわけでございます。     〔鉢呂主査代理退席、主査着席〕
  81. 宇佐美登

    宇佐美分科員 官房長官、今お聞きになったと思うのですけれども、先ほど冒頭にお話があったように、羽田政権というものは行政改革、行財政改革とおっしゃっておりました。その旗のもとに集まっていることかと思いますけれども、その行政改革の意気込みを示すためにも、先ほど申しました「その他行政の制度及び運営の改善の推進に関する事項」に関しましても勧告権を与えるというのは、先ほどの行革審の最終答申ですが、「当審議会としても、公的規制の実質的半減を目指した具体的改革方策の提言を行ってきたところであるが、行政の体質そのものに及ぶ改善や我が国社会経済構造に大きな変化を与えるような改善は、なお不十分であると言わざるを得ない。」と、そんなことを言っているところもございまして、一つ一つ具体的な規制改善というものも必要でございますけれども、その他の行政の制度、つまり行政の体質そのものに及ぶ改善に関しても、改革に関しても、この行革委員会の権限を強めることによって考えるべきかと思いますけれども、官房長 官、いかがお考えでしょうか。
  82. 坂野泰治

    ○坂野説明員 官房長官がお答えになる前に若干御説明をさせていただきますが、先ほどの繰り返しになるかもしれませんけれども、この行革委員会は、規制緩和以外、行革全般についてその推進を積極的に行う、そういう役割を持っておるわけでございます。例えば、政府では、規制緩和以外に行政情報公開の推進あるいは地方分権の推進あるいは総合調整機能の充実強化、そういうものについてもこの行革審の最終答申を受けて積極的に取り組もうとしておるわけでございます。  そういう政府が取り組もうとしておるものをいわば第三者的にきちんと見ていただく、そして必要があればいろいろ御支援をいただくあるいは御提言をいただく、そういうための機関でございます。政府の行革推進本部といわば車の両輪となって行革の推進に当たる強力な体制をつくりたい、そういう考え方でこの委員会の設置を御提案申し上げているわけでございます。そういう意味で、私ども、規制緩和以外のいろいろな課題についても積極的に取り組む、そういう考え方でこの委員会の設置法を提案していることを御理解いただきたいと思います。
  83. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 行政改革委員会の機能のあり方については、委員初めさきがけの皆様方も討論の中に入ってつくられた、いわゆる細川政権のもとで組み立てられたみたいなものでございます。さまざまな問題点の整理の中で、現在御提案をさしていただいております内容となっているわけでございます。  走りながら考えるといいますか、そういう点も大事かと思います。何よりも行政改革には、これは抵抗がございます。率直に言いまして。難しい問題でございます。そういうものについて、改革の方向について志をともにする国会の方々の強い、厚い御支援なくしてはこの改革の方向はなし得ないと私は思うのでございまして、委員の御提言、私は大変貴重な御意見だったと思いますが、そうしたものも取り入れられるためには、まず第一段階のこの委員会設置法の早期成立というものが大変大事ではないかというふうに思いますので、その点もひとつぜひ委員の御理解を得たいと思うのでございます。
  84. 宇佐美登

    宇佐美分科員 官房長官から、我々さきがけも、今はさきがけ・青雲・民主の風という統一会派を組んでおりますが、皆さんも一緒になって連立与党時代にこの行革委員会について議論はあったとおっしゃられているわけですけれども、当時、二月十二日の与党政策幹事会に対する行革プロジェクトチームからの提言にも、総務庁案については問題が多いので、今後法案提出まで、当時の連立与党の中に対応する組織をつくり対応をしてもらいたいと。この後、省庁別チームの中で結局はこの総務庁案が通ったわけですけれども。  また、この政策幹事会の中で、我々の井出正一先生の方からは、また引き続き議論すべきである、委員会の中で修正すべきところは修正していこうということで、我々さきがけとしてもフリーハンドを持って今回の委員会に入ったわけですけれども、残念ながら現在の政府・与党の方からは修正案を出していただくことがなかったので、我々は修正してさらなる改革というもの、羽田政権を行政改革政権として位置づけ応援していこう、そんな観点から我々は修正案を出していこうと思っておりますので、官房長官も御理解いただければと思います。  あと時間が残り少なくなりましたけれども、所掌事務に関してですが、情報公開の調査審議が盛り込まれているわけです。先ぼどの坂野課長のお答えによりますと、この委員会は、一つが民間活動に係る規制の改善の推進であって、もう一つがその他行政の改善の推進だよとお答えいただいたわけですけれども、実は第二条の第二として「委員会は、行政機関の保有する情報の公開に係る制度に関する事項調査審議する。」とうたつているわけですが、この情報公開の調査審議というのは一体どこからこの委員会に盛り込もうという考え方が生まれてきたのか、御説明いただきたい。  と同時に、もし、本格的に行政改革、特に規制緩和の監視というものを考えるならば、これは法案の中にも書いてありますけれども、委員は五人をもって、また予算の方は、総務庁案、総理府案として一億四千六百万が今計上されているわけですが、その予算の中で、たった五人の委員の中でこの議論ができるとは思いがたいわけです。できれば、我々としては、所掌事務から情報公開を除き、先ほどから申しております許認可等の規制の改善の推進と行政改革の推進にできるだけ専念していただいて、我々の言うところの行政改革監視委員会をつくっていただきたいと思っているのですが、坂野課長、その情報公開に関しての所掌事務についてお答えください。
  85. 坂野泰治

    ○坂野説明員 御指摘のとおり、行政改革委員会所掌事務には、行政情報公開の制度について調査審議する任務が盛り込まれております。  この行政情報公開の問題は、臨調以来の行革の重要な懸案となっておるわけでございます。臨調答申以来既に十年以上の期間がたっておるわけでございますが、特に総務庁が中心になっていろいろな研究会をつくってやってきております。しかし、なかなか具体的な進捗がはかどらないという状況の中で、先生も御所属の会派を含め、いろいろ各党から、情報公開の法制化に向けて積極的に取り組むべきだという御提言も重ねていただいてきた、そういう状況にあるわけでございます。そういう環境を受けましてこの行革委員会を考えますときに、かねてからの重要な課題について本格的に取り組む必要があるというふうに政府として考え、去る二月の行革大綱にもその方針を盛り込んだ、そういう経過でこの任務が盛り込まれたということでございます。  なお、委員五名で十分な審議ができるかというお話でございますけれども、この委員会は、本委員は確かに五名でございますけれども、この運営に当たっては専門委員の制度を設けるということを考えております。これは第三次行革審などでも設けられた制度でございまして、そういう専門委員を活用いたしまして、幅広にかつ専門的な審議を深めていただくような工夫は凝らしていきたいと思っております。
  86. 宇佐美登

    宇佐美分科員 我々も情報公開というものをできるだけ早くやっていただきたいと考えているわけですけれども、その専念が必要ならば、また情報公開に関してはその情報公開に関する、審議会という表現がいいのかわからないのですけれども、そういう委員会を設置してやっていくこともできると我々は考えていますし、この修正を考えるときには、もちろん情報公開を別機関としてやるべきであるということもあわせて御議論していきたいと思っております。  それでは、まさに情報公開、この行革委員会、行革監視委員会の情報公開に関してなんですけれども、我々の考えるところ、議事録というものは逐次公開すべきであると考えておりまして、衆議院法制局を通しまして企画調整課からの御回答をいただいたところ、「会議または議事録を公開するか否かは、本来、当該会議体が合議して決めるものである。」というお答えをいただいております。  まさにおっしゃるとおりで、この会議体そのものが議論をして考えていただければと思うわけですけれども、法律として基本的に公開であるということを盛り込んで、会議の秘密、参考人のプライバシーを保護するための部分もあるかと思いますけれども、基本的に議事録、会議録というものを公開すべきである。また、これを法案に盛り込むことも可能であると衆議院法制局から答えをいただいているわけですが、その点について、情報公開をしようと言っているこの改革委員会会議の情報を公開しないというのは本末転倒になると思われますけれども、いかがでしょうか。
  87. 坂野泰治

    ○坂野説明員 ただいま先生御指摘ございましたように、こういう審議会、いわば合議体としての機関の性格上、その会議あるいは議事録の公開、非公開は、基本的にはその合議体として御決定を いただくことが適切ではないかと私どもも考えております。  ただ、この行革委員会について、私どもが非公開にするとかしないとか、そういうことを前提として決めておるということではございません。今申し上げたように、この委員会ができました上は、あくまでこの委員会の方針としてお決めをいただくべきものというふうに考えておるわけでございます。  ただ、これまでの例を見ますと、臨調あるいは三次にわたる行革審もそうでございましたけれども、それぞれ何物にもとらわれず、自由闊達な御論議を交わしていただく必要があるということから会議及び議事録は非公開とされた、そういう実績はございます。ただ、そういう場合であっても、国民の方々に審議の内容をわかりやすくお伝えするという工夫はいろいろ凝らされております。例えば、会長や委員の方が会議が終わった後記者会見をされる、そしていろいろなこういう議論があったということをお伝えになる、あるいは、議事概要という資料を作成いたしまして、どなたにでも差し上げる、最近、パソコン通信のネットにも乗せまして御自由にごらんいただけるようにもしておりますが、そういう形でもやる、そんな工夫を既にやっております。  私ども、この行革委員会ができましたときは、ぜひこういう工夫は少なくともやっていただきたいし、先生方にも多分そういうことについてはいろいろ御協力をいただけるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  88. 宇佐美登

    宇佐美分科員 時間もなくなりましたけれども、最後に、この行革委員会、行革監視委員会というものは三年という期限を区切っているわけですけれども、我々は、行政改革というもの、この監視というものができるだけ早い形でその成果を得られるためにも、またその成果をやっていただくためにも、皆さんおわかりのように人間というのは非常に弱いものでして、期限というものがありますとできるだけゆっくりゆっくりやって最後に詰める、どんなところでも同じでしょう。そんな中で、三年という期間をあけることなく、まあ一年では短過ぎるのかもしれない、それでは二年ぐらいの形でこの行革委員会というものを、行政改革監視委員会というものをつくって、行政改革をどれほど政府の中でこの一年、二年でやってくれるのか、そこを見ていただいてしっかりとやっていただきたいと考えております。  この三年の根拠と、我々が言っている二年というものの考え方を考慮した御回答をいただければと思います。
  89. 坂野泰治

    ○坂野説明員 行政改革を進める上で集中的な努力を払う必要がある、おっしゃるとおりだと思っております。ただ、集中的な努力を払うということと、そういうものをチェックし推進していく期間がどの程度の長さ置かれればいいかということはそのままイコールにはならない。やはりいろいろな活動を行っていく上で一つのサイクルというのがございます。規制についていろいろの提言をし、それをいわば法律改正も含めて施策に変え、そしてその後をチェックしていく、そういうサイクルを考えましても三年程度は適当な時間ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  90. 宇佐美登

    宇佐美分科員 ぜひとも、所掌事務から行政情報の調査審議というものを除き、別機関としてやっていただき、二年という集中的な時間をもって審議していただければと思います。  我々さきがけ・青雲‘民主の風も総務庁を全力でバックアップし、行政改革政権としての羽田政権を全力で御支援させていただきたいと思っておりますので、皆さんの御協力をお願いして質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  91. 宮本一三

    宮本主査 これにて宇佐美登君の質疑は終了いたしました。  次に、山名靖英君。
  92. 山名靖英

    山名分科員 公明党の山名でございます。  質疑通告に基づきまして若干の質問をさせていただきます。  まず最初に、動物保護に関する問題でございます。  動物保護の問題につきましては大変長い歴史を持っておりまして、特に欧米諸国等では十九世紀の中ごろからこの問題の取り組みがあったようでございます。おくればせながら我が国も二十年前、一九七三年に動物の保護及び管理に関する法律というのが制定をされおるわけでございますが、この法律を見てみますと、動物の虐待の防止あるいは動物の適正な取り扱い、こういった動物の保護という事項を定めながら、かつ国民の間に動物を愛護する気風というものを養っていこう、さらに生命尊重、友愛あるいは平和、こういった情操の涵養に資していこう、極めて高邁な理念をうたっておるわけでございます。二条でも、何人も動物をみだりに殺したり傷つけたり、または苦しめることのないようにするのみではなく、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない、こういうふうにうたっております。  その高邁な理念、非常に私は結構なことだと思うのですけれども、それにも増して最近いろいろな動物虐待の実例というものが出てきておるわけでございます。このいわゆる動物の保護及び管理に関する法律、この法律のもとにこういった今行われているような虐待等の課題が果たして解決できるだろうか。むしろ、この法律の後半部分も含めて一貫して流れるものは、そういった保護という理念は当然うたっておりますけれども、全体の流れの主流はむしろ管理法ではないか、こういう私は印象を受けておるところでございまして、したがってまず第一点目の質問として、この現行の法律についての御見解をお聞かせいただきたい、このように思っております。
  93. 石和田洋

    石和田政府委員 ただいま先生御指摘のように、動物の保護及び管理に関する法律というものは昭和四十八年に議員立法という形で成立した法律でございますが、当時、先生御指摘のとおり、国民の間に動物を愛護しようという機運が非常に高まってこういう法律が制定されたわけでございます。  御指摘ございましたように、その一条には動物の保護とそれから管理という両面をうたってその目的を掲げているわけでございますが、確かに最近特にペットブームといいますか、動物を飼う人の数が非常に多くなったという反面、また動物を扱う扱い方が適切でないというような話が非常に多く聞かれるわけでございます。  ただ、この法律の目的は、先生の方からも御指摘ございましたように、単に管理するという面からの法律ではございませんで、保護という面も非常に大きな一つの柱としておるわけでございまして、現に私ども総理府の方でも、一定の期間を動物愛護週間というような形で定めまして、その期間に重点的に動物に対する認識を改めていただくというような広報活動なども実施させていただいておるところでございます。
  94. 山名靖英

    山名分科員 この法律の第十二条に、総理府に動物保護審議会というものを置きまして「動物の保護及び管理に関する重要事項調査審議する。」こういうふうにうたわれておりますが、この動物保護審議会、今までどのような形で審議をされ、どういった結果を生んでおりますか。
  95. 石和田洋

    石和田政府委員 この動物保護審議会は、御指摘のように動物の保護管理法で設置が義務づけられておるわけでございますが、今までこの法律にのっとって、主として都道府県においてこういう基準で動物の保護管理を進めてほしいというような基準、づくりをやってまいりました。  この法律が対象としております動物は、当然のことながら人間が一定の目的で飼うというような動物を対象にしておりますので、例えば希少動物をどうするかというようなことではないわけですが、この審議会で今までつくってきた基準というのは、動物の飼われる目的に応じて、例えばペットとして飼われる動物であるとか、あるいは動物園とかサーカスのような場所で展示用に飼われて いる動物、あるいは産業動物といいますか、毛皮や食肉を目的として飼われている動物、それから実験用に飼われている動物というような、それぞれの目的に応じて飼われている動物の扱い方についての基準を定めたり、あるいは、例えば実験動物でもその実験動物として飼っている間の飼い方をどうしたらいいかというような基準を定めたりということがこの審議会の主な活動でございます。  また、そうした一定の諮問を受けて答申をするという活動のほかに、審議会として動物の扱い方について意見を内閣総理大臣に対して申し出るという仕組みがございまして、実はこれは一つの例だけでございますが、昭和五十年に沖縄で海洋博の開催期間中に闘牛をやろうというような動きがあったのに対して、まあ五十年という時代背景もあったと思いますが、適切ではないというような意見を申し出るというような活動もしてまいりました。
  96. 山名靖英

    山名分科員 ところで、先ほど申しましたように、最近特に動物の虐待の事象というのがふえておりまして、ことしに入ってからでもかなりいろいろな目を覆いたくなるような事例がございます。  例えば、本年一月に明石市では動物小屋でウサギ二十二匹が鈍器で殴られ惨殺をされたとか、あるいは熊本では洋弓の矢によって顔などを貫通した猫二匹が見つかったとか、富山では雑種犬三匹が校庭の鉄棒に首つり状態で惨殺されていたとか、東京の板橋区でも鴨が背中から腹にかけて弓矢で射抜かれていたとか、愛知県では盲導犬四匹が針金で首を絞められて虐殺をされたとか、とにかく枚挙にいとまがないわけでございます。  こういった捜査等は警察がやるわけですけれども、動物保護法、この違反で取り締まりといいますか捜査をするわけではないわけで、いわば小屋に入れば器物損壊罪、こういったたぐいになる。さらには、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律、これは洋弓等を使っているという、使用禁止のものを使ったということが取り締まりの、捜査の対象になっておるとともに、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金、こういう罰則が今で言う動物保護法よりも極めてきつい、強い、こういう観点で警察の捜査も入っておるわけでございます。  そこで、こういった事象に対して動物保護管理に関する法律に基づいて今後どう対処できるのか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  97. 石和田洋

    石和田政府委員 確かに、動物保護管理法では動物の虐待に対して一応の罰則規定があることはございますが、これが適用されたという例はないわけです。どうしても、ペットといいますか動物が身の回りに多くなればそれだけ、動物に接する接し方の中には、非常に適切さを欠いたり、あるいは残虐なものがあるということは避けられないとは思いますが、こういう罰則によってそうした虐待というものを取り締まるという方向、そういう考え方もあろうとは思いますが、私どもとしては、むしろ動物に対する思いやりとかあるいは動物の行動について十分な知識がないとか、そういった飼い方あるいは動物自身の性格、性質といいますか、そういったものに対する十分な理解がないために起こるケースが多いのではないかというふうに考えまして、総理府の方では、主として動物の飼い方あるいは訓練の仕方といったようなものを中心に啓蒙活動を進めていきたいというふうに考えております。
  98. 山名靖英

    山名分科員 基本的には私もそう思います。  ただ、泥棒でも何でも人間がすべて善ならば法律は要らないわけでありまして、そういうものが犯され、そして秩序と混乱を防ぐために法が存在し、強制力を持たない法というのは法としての体はなさない、私は基本的にそう思っております。当然動物の嫌いな方、あるいはまた一方で、最近とみにふえている動物公害と言われる実態、これについても認識をしております。また、日本人の心というのは、本来やはり動物愛護の精神は十分備わっている、こういう認識を私は持っておるわけでございますが、そういった精神と極めて乖離したそういうのを見るにつけ、非常に心を痛めるものでございます。  先に行きたいと思いますが、先ほど申されました動物の正しい飼い方なりそういう啓発の問題について、動物保護の立場からどういった取り組みをされているのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  99. 石和田洋

    石和田政府委員 まず第一に、動物についての知識を十分に持ってもらうということが一番重要ではないかというふうに考えまして、いろいろな形でリーフレット、パンフレットのようなものをつくって、動物に応じて、動物愛護団体と言われるような団体がございますので、そうした団体を通じて普及活動に努めたり、あるいは先ほどもちょっと申し上げましたが、動物愛護週間というような時期をとらえて、私どもの方からも全国何カ所か出かけていって、動物の飼い方や動物に対する接し方などをイベントというような形で実施したりしております。  それから、毎年、例えば動物は一たん飼ったら生涯飼い続けるというようなことを身につけてくださいというようなその年々のいろいろな標語をつくって訴えたりということを進めているところでございます。
  100. 山名靖英

    山名分科員 ところで、そういう虐待とともに、従来から問題にされ、むしろ諸外国から日本に対する批判として出ている問題の一つに、いわゆる動物実験の問題がございます。この動物実験については私もいろいろ調べてみましたけれども、何といいますか、一定の枠を超えた、まさに無造作な感じの動物実験が行われている。当然動物実験によって人類が受ける恩恵といいますか、動物実験によって得たいろいろな開発、研究が今日の世界の、また我が国の医療等の発展をもたらしたことは私は十分理解はできますし、認めるところでございまして、全面的に動物実験を廃止せよというような立場には立たないわけでございますけれども、この動物実験についての欧米諸国の動向、どの辺認識されておるのか。  さらに、最近地方自治体が払い下げを受けた動物に対して、大学とか研究所に対する、その払い下げを拒否をし廃止をしていこう、こういう動きがふえておりますが、そういった払い下げ問題についてどれぐらいの地方自治体が取り組んでいるのか。  さらには、これは文部省の所管になるかと思いますが、特にこの動物実験を大量に行う大学において、施設の問題あるいは設備の問題、それから管理やチェックをする組織、機能の問題、こういった現状についてお聞かせをいただきたい。
  101. 石和田洋

    石和田政府委員 まず最初の動物実験について、欧米諸国でどういうふうなことになっているかということでございますが、実は私どもも必ずしも体系的に把握しているわけではございませんが、聞くところによりますと、例えばヨーロッパあたりでは動物実験を実施するような施設の設置について、あるいはそこで動物実験に当たる研究者についてはそれぞれ免許が必要だというような規制があったり、あるいはアメリカでは動物実験をするについては、その施設内で一種の倫理委員会のようなものを設けて、そこで実験の仕方を議論するというようなことがあるようでございます。我が国では、残念ながらそういう仕組みはないわけですが、ところによっては施設で自主的にそういう倫理委員会のようなものをつくって議論しているという例はあるようでございます。  それから、動物を引き取ってその後実験動物用に払い下げるということをやめている都道府県が、先生御指摘のとおり、確かに幾つか最近出ているようでございます。私どもの承知している限りでは、ここ数年のうちに五つほどの県、市でそういう例があったようでございます。  私どもは、この動物実験につきまして、この法律に、先生が最初お読みいただいたように、動物を苦しめてはいけないというような規定もございますので、そういう精神にのっとって、一定の基準で実験動物を使用してくださいという基準を示 してはいるわけですが、一方で、動物実験というのはどうしても欠かせないということであれば、そういう県あるいは市で収容した動物を払い下げるということを一律に禁止するというようなやり方が一番適切かどうかというのはまたいろいろ議論があろうかと思いますので、その辺は先生の御趣旨を踏まえて、私どももこれから研究していきたいというふうに考えております。
  102. 長谷川裕恭

    ○長谷川説明員 文部省といたしましては、大学におきます動物実験の精度の向上と飼育管理面の適正化を図りますとともに、実験動物の管理と研究者に対する研究支援や学生等に対する教育を行うこと、これらを目的といたしまして、医学部の附属教育研究施設として動物実験施設の新設、整備を行ってきているところでございます。  平成五年度までに、医学部を置く国立大学四十二大学中四十大学に設置済みでございます。また、公私立大学につきましては、医学部を設置する三十七大学を含め、四十三大学に設置をされているところでございます。  もとより、大学におきます動物実験に当たりましても、動物福祉の立場から十分な配慮が行われるべきことは当然でございまして、文部省といたしましては、大学における適正な動物実験の確保のために、昭和六十二年の学術国際局長通知によりまして、適切な実験計画の立案、適切な飼育管理、動物に無用な苦痛を与えないような配慮など、動物実験の実施に当たりまして留意すべき事項について各大学を指導いたしますとともに、各大学においてこれらの事項を盛り込んだ動物実験指針を定めること、そして、この指針の適正な運用を図るため、学内に動物実験委員会を設けることについて指導したところでございます。  現在、動物実験指針につきましては、医学部を置く全国立大学及び大多数の公私立大学において制定されているところでございまして、今後とも、適正な動物実験の確保のため、この趣旨の徹底と実験施設設備の整備充実等に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  103. 山名靖英

    山名分科員 時間が余りありませんので、この問題の最後の点として、私は、何点かの要望を含めてお願いをしたいと思うのです。  特に、この動物実験については大変な批判も高まっているところから、やはり姿勢としては、いわゆる三R運動というのがありますが、代替法それから動物使用数の軽減、それから苦痛の軽減、この三点について、十分この基本姿勢というものをこの精神においてぜひ進めていただきたい。  それから、現行の法律についての法改正、例えば動物虐待の罰則、三万円以下というこういった第十三条、あるいは代替試験法の問題からいいますと、ドレーズとかあるいはLD五〇とか、こういった動物実験が今現実に行われておるわけでございまして、こういう残酷な動物実験にかわる試験法の開発をぜひ政府としても急いでいただきたい。  さらには地方自治体の取り組みとして、地方に動物保護審議会、こういったものを置きながら、この動物保護行政をさらに推進をしていただきたい。そのために政府として財政的あるいは技術的援助、例えば繁殖制限のための公費負担制度の創設だとか、こういったものをぜひ今後お考えいただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。この点について簡単に一言だけ御見解をお示しください。
  104. 石和田洋

    石和田政府委員 私どもの方には、先ほど先生御指摘の動物保護審議会というものもございますので、先生のきょうのお話を踏まえながら、こういう審議会での議論なども踏まえて取り組んでまいりたいと思っております。
  105. 山名靖英

    山名分科員 では、次の質問に移りますが、いわゆる恩給の未受給者対策、いわゆる恩欠者の件でございます。  戦後処理問題、大変難しい問題でありまして、従来からいろいろと取り組みをされ、六十三年度からは平和祈念事業特別基金、こういった中でこの恩欠者問題に精力的に取り組んでいただいていることを、まず高く評価をさせていただきたいと思います。  ところで、この平和祈念事業特別基金制度のもとに、戦後強制抑留者、あるいは引揚者、あるいは恩欠者に対する贈呈事業というものが進められておるわけでございますが、現実問題としてなかなか進展をしていないのではないか。請求者に対する認定についても非常にパーセントが悪い。こういう実態について、やはり今後大きく改善をしていく必要があるのではないか、このように思っておりますが、今後の見通し等についてお聞かせいただきたいと思います。
  106. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 恩給欠格者に絞ってお尋ねだと思いますので、その点で御説明いたしますと、書状等の贈呈事業の対象者は平成元年当時、百八万ということで推定されておりまして、書状等の請求者数については、平成六年の三月末で三十二万一千の請求があることからしますと、平成六年三月末現在の請求率は約三割となるという計算ができるわけでございます。  この請求率がどういう意味を持っているかということにつきましてはさまざまな見方がございますが、そもそもこのような事業内容に御不満があるので請求しないという方もあるいはいらっしゃるということも聞いておりますし、あるいはまた、広報の不十分さみたいなことの御指摘も受けておるわけでございます。この事業は、長年にわたりまして関係者の方々の大変な御努力で進めてきたわけでございますが、私どもとしましては、できるだけ早く、あるいはより多くの方に請求をいただくようにしたいと考えておりまして、そのために、事業の趣旨について十分な御理解をいただくような努力をしていかなきゃいかぬと思っております。今後とも適時適切に広報を行いまして、一層の周知徹底を図りたい、こう考えております。
  107. 山名靖英

    山名分科員 この贈呈事業については、そういう点ではこれから努力をしたいということでございますが、現実問題この申請者が少ない。これは、例えば昭和四十六年一時恩給、これは対象者百万に対して三十万人、昭和五十年施行の一時金対象者は三十万人に対して申請は九万。過去の例からいいますと、本当にそういった意味では申請者が少ないという実態があるわけでございまして、これはもう相当本腰を入れてやらなきゃいけない、私はそう思っております。  とともに、ここである程度一線を引くという意味からも、この対象者の見直しというものをやはり図るべきではないか。これはもう今までも何回となく取り上げられた問題でございますけれども、この対象者になっている基準が、外地勤務等の経験があり、加算を含め在職三年以上の本人、このいわゆる対象者の線引きですね、やはりこの枠というものをさらに拡大をして、服役一年以上の人たち、これを加えましても増加対象予定は六十四万人ですから、今まで予算を組みなから請求が少ない、認定が少ない、こういった中で、予算措置としては十分そういう点での配慮のできる金額ではないか、私はこういうふうに基本的には思っております。  それで、まさにこの戦後処理の問題としては、こういった形の待っていらっしゃる、七十を超えていまだに、紙切れ一枚で召集されながら、紙切れ一枚、一つのあかしとしてもらえない、こういう人たちが余りにも多く待っているという現状認識をしっかりやっていただきまして、この問題に対する早期の取り組み、実現をぜひ私はお願いをしたい。これについてはぜひ官房長官からお答えいただきたいと思います。
  108. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 先生の御指摘の中にもございますように、この問題は実に長く議論をされてきたところでございます。どこかで線引きをいたしますと必ずまた問題が起こってくるということで、そこで今まで苦労しながら事業を確立してきたところでございまして、先生御指摘のとおりでございますので、ここではもう繰り返しません。  そこで、この要件を緩和するということでございますけれども、まさに先生の御指摘の中にあり ますように、他の戦争犠牲者とどう均衡させるか、それから、基金の運用益で事業を行うという制約がある中で、基金も三百億とだんだん積み上げてきておりますけれども、その果実でございますからおのずから限界がある、現行の事業を早く進めなければならない、こういうことも念頭に置きながら、先生の御指摘の点を頭に置きまして、引き続き検討させていただきたいと考えます。
  109. 山名靖英

    山名分科員 今官房長官から決意のほどを聞かせていただきましたけれども、ぜひとも、この慰藉事業についてのさらなる前進のために格段の努力をお願いを申し上げまして、時間でございますので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  110. 宮本一三

    宮本主査 これにて山名靖英君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  111. 山原健二郎

    ○山原分科員 きょうは、旧日本赤十字社及び旧陸海軍の従軍看護婦に対する慰労給付金の問題について質問をいたします。  この給付金制度は、ちょうど十五年前ですが、昭和五十四年度に創設をされまして、当初日赤従軍看護婦が対象でございましたが、その後、旧陸海軍の従軍看護婦も対象に加えられたわけであります。そして、現在も二千名を超える元従軍看護婦の方々がこの給付を受けているわけでありますが、今さまざまな問題が起こっておりまして、この点についてお尋ねをしたいと思います。  その一つは、これは従軍看護婦の処遇に関しまして、昭和五十三年八月三日に各党による合意が交わされました。そのことを、合意文書には、第二項で、「恩給制度を準用し、戦地加算を考慮して、兵に準ずる処遇とする。」となっています。  そして、この慰労給付金制度はこの各党合意を尊重して創設された、こういうふうに、私も関係者の一人でございまして、思っておりますが、この点について間違いありませんか。簡単にお答えいただきます。
  112. 石和田洋

    石和田政府委員 先生御指摘のとおりでございます。昭和五十三年八月三日に六党の合意というものがございまして、それが発端になっております。
  113. 山原健二郎

    ○山原分科員 当時、内閣委員が各党連名で、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、当時の新自由クラブ、最後は全部責任者が名前を書きまして、こういう合意文書ができているわけです。これをつくるためには随分長い時間もかかって、当局の方も苦労されたわけでありますけれども、ともかくここまで来たことを皆喜んだわけです。  そこで、この各党合意を受けて政府総理府は、恩給制度という対応は難しいが、その合意を尊重して慰労給付金という制度を創設したわけでございます。この国会でも答弁をしてまいりました。「兵に準ずる処遇とする。」という項目も含めたこの各党合意について、政府としてはこれを尊重する立場に立って対応することが求められておると思いますが、そのように理解してよろしいですか。
  114. 石和田洋

    石和田政府委員 御指摘のとおりの理解で私どももおります。
  115. 山原健二郎

    ○山原分科員 この慰労給付金制度が発足をしました時点では、一九七九年度、昭和五十四年ですが、慰労給付金の水準は兵の普通恩給年額とほとんど差がない状況でスタートしたのでございます。もちろん兵の恩給には最低保障などがっくため、それらを含めた恩給年額と比べますとかなりの格差があり、「兵に準ずる処遇」とは言えないのではないかと、制度発足当時から、この点は国会でもしばしば問題になってきたところでございます。けれども、最低保障などを含めない普通恩給年額との比較では、ほぼ同額に近い水準であったと思います。  それらは、お配りしました資料(一)でごらんになればおわかりになると思いますが、一日でこれはわかるわけでして、実勤務期間が三年以上六年未満の層でございますと、普通恩給の方が一・二倍、六年以上九年未満の層で同じく一・一倍の格差になっていますが、九年以上で比較すると、慰労給付金の方がわずかに低いが、倍率では一・〇倍で、ほとんど変わらない水準でございました。発足当時はこういう給付水準であったのでございますが、この数字にも間違いありませんか。
  116. 石和田洋

    石和田政府委員 間違いございません。
  117. 山原健二郎

    ○山原分科員 ところが、現在はどうなっているかという問題ですが、資料の(二)を見ていただいたらわかりますが、平成五年度で比較をしてみますと、格差の小さい層でも二・七倍、実勤務期間三年以上六年未満の層では四・一倍もの格差になっております。  一日でわかりますようにグラフにした資料(三)を見ていただければよくわかりますが、発足当時は慰労給付金と恩給の水準を示す線はほとんど重なり合っているわけですが、現在はまさに天と地とほどかけ離れてしまっておりまして、こうした実態になっていることは、これは間違いないと思いますが、この事実も確認していただきたいのですが、いかがでしょうか。
  118. 石和田洋

    石和田政府委員 私、ちょっと恩給の方につきましては必ずしもはっきりいたしませんが、慰労給付金につきましては、現状はこの資料のとおりでございます。
  119. 山原健二郎

    ○山原分科員 数字は確かにこういうふうになっているわけだ。本当にこういう差が出たということを、私も、先般日赤の会がありまして出席しまして、これを見て本当にびっくりして、こんなふうになっておったのかなということを痛切に感じました。  これは、恩給は所得保障を図るという年金的性格を有するため、その額の改定にはベースアップ等を考慮した総合勘案方式が用いられているとともに、生活保障的意味合いから最低保障が設けられているわけでございましく慰労給付金は各党合意に基づいて給付額が決定されたものであり、その後の改定は、その実質的価値の維持を図るため、消費者物価の上昇率などを勘案し、これまで三度実施されましたが、両者を単純に比較できない面もわからないではありません。  私もちょうど十六年前に、この従軍看護婦さんたちの問題をこの予算の分科会で取り上げたことがありまして、これだけ聞きますと、この格差はどうしてこう生まれたのか。給付水準が、各党合意の「兵に準ずる処遇」に反しないのかという疑問を持つわけですが、これは当局はどうお考えですか。
  120. 石和田洋

    石和田政府委員 確かに御指摘のように恩給と比較した場合にそのような差があるということは事実だと思います。  ただ、一番初めに先生御指摘のように、この慰労給付金自体が五十三年の六党合意というものを背景に発足したわけでございまして、その趣旨は、この点についても先生たびたび御指摘のとおり、恩給とは違って生活保障的なものとして給付するという性格ではなく、日赤の救護看護婦として、あるいはその後始められました旧陸海軍の従軍看護婦として、いわば召集令状のようなもので戦地に派遣されたというその御苦労に報いるということで発足したというふうに私ども承知しているわけですが、その御苦労に報いるということに対して五十四年度にこのような予算措置が講じられ、その実質的な意味が失われないようにということで私どもその後四回ほどの改定をしてきたわけでございます。
  121. 山原健二郎

    ○山原分科員 これは、各党合意に達するまでの長い署名運動あるいは政府に対する当事者御自身の交渉とか、それから各党もまた総務庁長官に対してしばしば交渉を持つとかいうようなさまざまな積み重ねの上、その上に出てきたものですから、「兵に準ずる」というこの言葉は我々にとっては非常に重いものがあるのです。だから、それを思い出していただいて何らかの救済措置を講じていただかないと、あれだけ苦労して成立したものがこういう結果になるとはよもや思わなかったであろうというふうに思うのです。  私はこの署名した皆さん全部知っておりますけ れども、中には亡くなった方もおいでるわけですが、考えてみますとそういう思いを込めてこれをやったわけでして、例えば皆さんもう十分御承知と思いますが、これは赤紙なんですよ。私もこれで戦場へ連れていかれた一人ですけれども、同じなんですね、「戦時召集状」。そして、この召集状が参りますと、「八月十日午前九時大阪市東区大手前日本赤十字社大阪支部ニ参著シ此ノ召集状ヲ以テ届出ラルヘシ」、これは本当に数日の間にこれを持って指定された場所へ行って、その間子供が生まれておろうが乳幼児を持っておろうが、そんなことはもう参酌なしに、兵と同じく軍隊に入り、そして戦場へ連れていかれるというのが実態なんですね。まさに女性兵士と言ってもいい生活を送ったわけでございまして、これは中にはもう戦場で倒れた者もおります。  ちょうど私、秋田県出身の中川利三郎君という代議士がおりましたのを御承知と思いますけれども、彼は南方フィリピンにおきまして切り込み隊長をやって、米軍の捕虜になって九死に一生を得るわけですが、行く途中でバシー海峡で船が次々と沈められるという中で、これも最近出たすばらしい歌集を見ましてびっくりしたのですが、こういう歌が出ているのですよ。   っぎつぎと我にぶつかる屍あり髪の長きは看   護婦ならむこういう短歌ですけれども、当時の戦場を知る者にとりましては、実際どれほど悲惨なものであったかということを私は痛切に感じておりまして、海に投げ出された兵士、油で真っ黒い顔で死んでいるわけですけれども、死体の見分けはっかぬけれども、髪の長いのは一緒に船に乗っておった看護婦さんであろう、こういう歌なんですね。  そういうことを考えますと、本当にこれは、その処遇につきましては、「兵に準ずる処遇とする。」というこの合意の背景にはこういった戦争の悲惨さとかいうものが織り込まれているわけでして、日本の政治家にとってもこれはただごとではない思いを持ってこの合意ができたわけです。  だから、熊谷官房長官、恐らくあなたもいろいろ経験を持っておられると思いますが、こういう思いでできたこの各党合意、これはもう政治家の判断で、それは事務当局あるいは省庁の場合にはなかなか踏み切れない面があるかもしれませんが、これは政治家として判断をしなければならぬものじゃないかという議論がもう圧倒的に出てまいりまして、そしてこういう結果になったわけですね。この点についての熊谷官房長官の見解を伺っておきたいのです。
  122. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 昭和五十三年八月と申しますと、実は私当選してちょうど丸一年たったときのことでございまして、私どももその御苦労については仄聞をし、本当に敬意を表している次第でございます。  この制度につきましての実情についての先生の御指摘がございました。六党合意というのがやはり基本的にはベースでございますけれども、消費者物価もこれはどんどん上がってくるわけでございますし、そうしたものを踏まえて今後とも適切に対処してまいりたいと考えるところでございます。
  123. 山原健二郎

    ○山原分科員 恩給の方は、これは技術的に非常に難しい面もあるということは私もよくわかっています。恩給の場合は最低保障という措置もなされますし、そのために、最低保障措置が適用される恩給受給者と比べますと、同等の実勤務時間を持つ従軍看護婦の慰労給付金が二分の一から三分の一に近い水準になるという問題があったわけでして、この点では多くの議員がこの問題を取り上げまして、制度が発足しました直後でも国会で何回か取り上げられ、何とか改善する方法はないのかという質問がたびたびなされているのです。  例えば、昭和五十四年三月二十三日、参議院予算委員会政府側の答弁が出ております。これも、なかなかそうはいきませんよということで、例えば今ちょっと局長お話しになりましたが、「これはやはり戦地で苦労した一種の年功に着目しての措置でございますので、そういう老齢者に対する優遇措置は外しまして、本来の恩給計算で兵の恩給額計算をいたしますと、たとえば十年の方であれば二十六万四千九百円ということになるわけでございます。そういったものに着目して、準じて金額を定めたということでございます。」  それからもう一つ。これは、昭和五十四年五月二十四日衆議院内閣委員会ですが、当時の手塚説明員の答弁はこう言っております。「特に軍人恩給の場合には、老齢者に対する優遇措置ということで最低保障制度を持ち込んでおりますが、今度の日赤救護員の方々、いろいろ検討しまして、そうではなくて、戦地で苦労した年功的な給付ですね、それを見るということになりますと、恩給の場合も裸にしますと、大体今度日赤の看護婦さんに出した水準と同じになるのでございます。」こういうふうに答えておりまして、これは質問した議員がそれぞれこれに対してはもう全く納得がいかぬということで、これは議論のあったところです。  それ以上今進まないで来ているわけですが、しかし、少なくとも政府の言い分は、老齢者優遇措置を外した年功計算で兵に準じた額になっているというふうに答えてきましたが、ところが現実はどうかといいますと、軍人恩給の最低保障というような優遇措置を外した普通恩給額と、従軍看護婦に対する慰労給付金の額とは同じ水準になっていないのです、この点も。  総務庁から資料をいただきましたが、最低保障措置を外した普通恩給の額ということで、五十歳以上五十五歳未満の年齢層の場合ですが、従軍看護婦でこういう若い方は現在もうおりません。しかし、あえて比較しますと、在職五年の兵の普通恩給額は十八万五千八百円、対応する従軍看護婦の慰労給付金が十三万円、同様に八年で普通恩給二十六万二千三百円に対して十八万円、十一年で普通恩給三十三万八千八百円に対し二十三万円、十四年で普通恩給四十三万百円に対し三十三万、十七年で普通恩給四十五万四千九百円に対して三十五万、こういう状況でございます。  そこで、優遇措置を考慮に入れない普通恩給額と比べましても格差は歴然としておるのでございます。これでは制度発足の説明とも矛盾するのではないかというふうに思うわけでございますが、この点どう説明されますか。
  124. 石和田洋

    石和田政府委員 この制度が発足し、あるいは発足する前後の経緯は先生御指摘のとおりでございまして、私どももよく承知しております。ただ、その後、恩給の改定というものがどういう経緯を経て今に至っているかということは必ずしも承知しておりませんが、もうこれも先刻先生御案内のとおり、生活保障があったり、最低保障があったりということで、恩給の仕組みとこの慰労給付金の仕組みというのが、発足の経緯からして基本的に差がございます。  私どもの理解といたしましては、五十四年度にこの慰労給付金が始められたときに、その比較として恩給、兵に準ずる扱いということで定められたもの、実質的な価値ができるだけ維持されるようにということでその後努めてまいったわけでございます。それは当然のことながら、この慰労給付金が始まったについては、日赤の救護看護婦の皆さん、陸海軍の従軍看護婦の皆さんの御苦労にこういう形で報いたいという趣旨が生かされるようにということで、物価上昇によって余りにも目減りがするような場合にはそれに対応するという手当てをしてまいったわけでございます。
  125. 山原健二郎

    ○山原分科員 ここへ私は当事者の方のお手紙を、嘆願書となって、これは日本赤十字社社長の山本正淑さんに対する手紙ですが、その写しを私はいただきまして、これを見ますと、長文の文章ですが、どれほどの苦労をしておるか。  召集のときからもう乳飲み子を置いていかなくちゃならぬ、親が病気であろうが何であろうが入隊しなきゃならぬ。それは兵と一緒ですわね。それから、戦場へ行ってシベリアへ抑留される、中国の捕虜になる、もう同じように生活をさせられ ているというようなことで、私どもの最後のときは、もう看護婦さんたちは皆青酸カリを持たされたわけですからね。そういう生活をしてこられて、そしてこの運動を始めまして、これは長い運動で、署名運動も随分、一睡もせずに署名運動をやったというような経験もあるわけです。  それが五十三年四月十八日の衆議院内閣委員会においては、恩給法等の一部改正法案の附帯決議として、戦地勤務に服した旧日赤看護婦等について旧軍人軍属に準じて適切な措置を講ずることの一項が設けられた。これは「御支援いただきました全国の皆様、日赤本社社長様初め職員の皆様、国会議員の方々に心より感謝申し上げます。あのときの喜びは万感胸に迫るものがございましてた。あの喜びから十五年、長い年月は瞬く間に過ぎ去りました。」  しかし、今見ると、「「兵の恩給に準ずる」制度として奔走しましたが、年々その格差が広がるばかりでございます。現状では、兵に準ずるものとは全く考えられません。」「これは、女性なるがゆえの差別ではないでしょうか。現在、私たちの平均年齢は七十三歳、慰労給付金が支給された当時は千百四十名、現在千名足らずでございます。毎年国会請願のため地方より上京することが大変難しい年齢となってきました。多くの会員が抱いております元赤十字看護婦としての献身的な、そして自己を顧みないで青春をささげてきました私たちでございます。よわい七十数歳になりますと、健康の問題、そして生活のことが心配になってきました。年金生活者の私たちにはつつましい生活をしなければならないのが現状でございます。」こういうことまで書きまして、要請が三項目にわたって出ております。  これを見まして、当時予算委員会分科会で私が質問する日です、これはもう各党がやって、積み上げて何とかしなければいかぬということで、最後に質問するときの、大臣が稲村佐近四郎総理府総務長官でありましたが、そのとき私が質問台に立とうとする直前に、主査が谷川和穗さん、後に科学技術庁長官になった谷川さんでしたが、谷川さんが寄ってきて、山原さん、もう政治判断以外にはないです、これは政治家の責任です、だから、きょうは長官が一歩進んだ答弁をするはずです、こう言いましたので、私質問しますと、これは何ともほうっておけないからこの国会中に解決するという言葉がずばり出てきたのです。そうして、質問が終わって外に出ると、当時の局長が、きょうは山原さんの質問に対して長官がちょっと足を踏み入れたので、もう後へ引くことはできませんからこの制度はできると思います、私たちも一生懸命やりますということでできたんです。  これはみんなの苦労が重なった結果でございまして、たまたま私がその席上で質問者になったものですからそういうことが実現できたわけでございまして、そのことを考えますと、今これだけの格差が出てまいりますと、本当にこれは何とか結論を出していただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、一つは政治家の決断であるということと、今戦地加算を含めまして十二年に満たない人はこの慰労給付金の対象となっておりません。こうした問題は軍人恩給の分野でも同じようにございまして、この恩給欠格者の処遇については一九八九年度から一応の対応策がとられることになりまして、兵の恩給欠格者には書状及び記念品が贈られるという措置がとられております。ところが、元日本赤十字及び元陸海軍従軍看護婦で慰労給付金の支給対象外の人たちには何らの措置もとられておりません。  これも要求の一つになっておりまして、これも「兵に準ずる処遇」をするという合意から見るならば問題を持っているわけでして、同様の措置を求める声が関係者の間には大変切実な問題として出ているわけですが、これなども改善できないものなのかどうか。これは少しの決断によってできると思うのですが、この点、官房長官、ぜひ決断をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  126. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 御指摘の慰労給付金の支給年限に達しない者についても書状を贈呈すべきではないか、あるいはいわゆる三問題の関係者に、いわゆる恩欠あるいは戦後強制抑留者、引揚者、こういった方々に平和祈念事業特別基金の事業としてさまざまなことをしているわけでございますが、こうした点についても準ずるといいますか、広げてはどうかという御趣旨かと存じますけれども、まさに先生おっしゃるとおり、さまざまな御苦労をなすっていただいて六党合意の措置に達したものでございまして、これを今おっしゃられたところにまで広げるというのは、法の趣旨、つまり基金法、これは先生に解説する必要もないわけでございますが、この法の趣旨に照らしても少し問題があるといいますか、難しいというのが現在の私どもの判断でございます。  ただ、先生の非常に説得的なお話がございました。私どももそのことを頭に置きながらも、あの六党合意をベースにいたしまして、消費者物価の動向等も参酌して今後とも適切に対応していきたいというのが先ほど来申し上げてきた私どもの考え方でございます。
  127. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間が来ましたので、これでおきますが、私が言ったことはもうわかっていただけたと思います。  それで、来年は戦後五十年ですから、こういう問題、しかももう年がいかれてなかなか国会へも要請にも来がたいという情勢もありますし、そういう意味で、せっかく十六年前に各党が必死の思いでつくったものを、この趣旨は、「兵に準ずる」ということがもう牢固たる趣旨でございまして、それに基づいて前進できるような措置をとっていただきたいということを心から希望を申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  128. 宮本一三

    宮本主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理本府についての質疑は終了いたしました。  午後三時より本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時三分開議
  129. 宮本一三

    宮本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  総務庁について質疑申し出がありますので、順次これを許します。中田宏君、
  130. 中田宏

    中田分科員 総務庁の役割というのがますます重要になってくる中で、行政改革ということについてきょうはお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  行政改革というのが、規制緩和やあるいは地方分権なども含めて、これは細川政権から始まった今の連立政権の大きな役割である。この間ある新聞で世論調査があって、その答えを見ても八割の人が官僚制度の改革を望むというような形でアンケートの結果も出ておったわけですけれども、それに加えまして先般五月二十七日に大蔵省が発表した税制改革に関するいわゆる機械的な試算というのがございました。消費税の税率など幾つか出ておったのですが、その中で、やはり多くの国民の皆さんが、そしてマスコミもすぐに取り上げていましたけれども、行政の効率化、行政改革というのが全く抜け落ちた形でああした税率なりというものが出てくるのはおかしいのじゃないかというような話が大分最近になって高まっているわけであります。とにもかくにも、そういう意味でも行政改革というのは今内閣においてもまず徹底してやっていかなければいけない使命だと思うのであります。  そこでまず大臣にお伺いをしたいのですけれども、総務庁が設置されてことしてちょうど十年、十年一昔というだけありまして一つのやはり区切りだというふうにも思います。総務庁が最初できましたときに、国会の中においては齋藤国務大臣 が「総務庁は、各種総合調整機能の相互補完関係をより緊密なものとするという基本的考え方に基づき、行政機関の人事、機構、定員及び運営の総合調整機能と行政監察機能の総合的運用を図る」というふうに答えているわけでありますけれども、これに照らして、まず、この十年、総務庁のやってきた成果、これをちょっと大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、よろしいでしょうか。
  131. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 総務庁が設立をされまして十年ということで、私ども総務庁としても大変その意義を痛感をいたしております。したがいまして、その十年の節目に当たる行事等も考えているわけでございますが、総務庁はいわゆる総合調整機能を持った官庁でございますので、そういった意味で行政改革を基本的に推進をする立場、それから青少年問題、老人問題あるいは交通問題等を含めてさまざまな各般の行政の総合調整的な役割を果たしているわけでございます。  その中で一番大きなのは、やはり行政改革を推進をしてきたというようなことであろうと思うわけでございます。その中で一番大きな課題でありましたのは、三公社五現業と言われたようなこの三公社の民営化の促進、これは当時の総理が率先して当たられたわけでございますけれども、そういった問題を推進したところに大変大きな歴史的な意味があったというふうに思っておる次第でございます。  今まさに総務庁としては、新しい日本の社会状況を迎えておるわけでございまして、その中で特に、バブルの崩壊後の経済的な低迷というものもあるわけですが、世界的な規模におきます経済社会の変革、それに伴った大きな経済社会の変化を推進をしなければならない、促進をしなければならないという、そういう問題に直面をいたしておるわけでございます。そういった意味におきましては、規制緩和などは今後の経済社会の変化を促進する、またそれをし得る大変大きな行政の柱になるであろうというふうに私は思っているわけでございます。  一方におきまして、今御指摘がございましたように、これから税制改革をやっていかなければならないわけでございますが、同時にまた、それをお願いをする立場の政府としては、行政改革に真剣に取り組んでいかなければならない立場にあるというふうに考えておるわけでございまして、そういった意味で、行革審等の答申の意義を含めて行革大綱に織り込んで、今、規制緩和、地方分権あるいは行政改革委員会あるいは情報の公開問題等推進をしようとして決意を新たにいたしておるところでございます。
  132. 中田宏

    中田分科員 これは今申し上げたとおり、当初から行政機関の人事、機構、定員及び運営の総合調整というようなことをうたっているということを考えるならば、もちろん総合調整ということと、それからその行政機構の統合整理というのがやはり総務庁に課せられた大変に大きな課題であるというふうに思いますので、これはもう本当に総務庁がいわばこれから先の、先ほどのアンケートの中にも出ていたような官僚制度というものを改善をしていく、そのために一番大きな旗振りをしていただかなければいけないわけであります。  そこで、幾つかその点についてお聞きをしたいのですが、まず行革審の中にもありまして、そして設置が決まっています行政改革委員会、これに関しまして、監視という文字を入れるとか、推進本部もあわせて、監視を入れる入れないというような話もあったわけでありますけれども、あるいは三条委員会にするか八条にするかというようなものもありました。私も総務庁の担当で、予算やらそうしたものにも入れさせていただいたものですから、その経緯は最終的にはよくよく承知をさせていただいたわけであります。  そこから先、これからその行政改革委員会の中身、委員の人選ということが大変重要になってくるというふうに思います。もちろん、これは最終的には総理大臣の指名ということになるわけでありますけれども、その前に、各地、いろいろなところから、これは平岩経団連会長だとかあるいは連合の山岸会長などもおっしゃっておりますけれども、官僚OBは排除した方がいいのじゃないかというような声がいろいろなところから出てきています。  私も全く同感でありまして、今まで官僚機構そのものが、やはり政治も今まで求められてきたわけですが、ある意味では自己変革というのは、これは自分のことを考えて首を絞めるというのはなかなか難しい話でありまして、それをやっていこうというのが行政改革委員会ということであるとするならば、この官僚OB排除というのは基本的に正しい方向じゃないのかなというふうに考えるわけでありますけれども、この点についていかがか、お伺いをしたいと思います。
  133. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 行政改革委員会の問題についてお触れになったわけでございますけれども、これは、やはり行政改革全般、さらにまた、情報公開法の制定に向けてのさまざまな御審議をお願いするわけでございまして、これはまさに、情報公開法の制定ということになりますれば、五十年に一度あるかないかの大変大きな行政改革になります。そういうようなことでございますから、多分にすぐれた識見を持つ方をこの委員会のメンバーに充てなければならないわけでございます。  ただ、今お話がありました、官僚OBを排除せよというお話、これは新聞等でも十分拝見をいたしておりますが、同時に、私としては、委員の選定につきましては、やはり総理の専任事項でございますので、総理のお考えはまだ承っておらないわけでございます。さらに、総理の方で候補を決めて、そして衆参両院の確認を得なければならないというようなことでございますので、当然、そこら辺の今おっしゃった御議論というのは総理の頭の中にもあるでしょうし、また、両院の審議の場でもそのような御意見もさらに出てくるであろうというふうに思っております。それらの経過を経まして、立派な委員が選定されることを心から期待を申し上げておるわけでございます。
  134. 中田宏

    中田分科員 大臣今おっしゃったとおり、これは最終的には総理が決める話なわけでありますけれども、往々にして、こういう話になりますと必ず横やりといいますか、いろいろなそうした人選リストなりというものが、各省庁やあるいは総務庁からも考えられるのかもしれませんが、そこら辺に関して、官僚OBということに関しては、とりわけよく注意をしていただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。  ちょっと具体的な話をさせていただきたいと思うのですが、いわゆる土光臨調、第二次臨調以来、三回にわたって答申されてきたいわば行革に、北海道開発庁沖縄開発庁国土庁、この三庁を統合せよといったことがあるわけでありますけれども、この進捗状況について、お考えどうなっているかをお聞きをさせていただきたいと思います。
  135. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 三庁統合の話は、これは昔からあるわけでございまして、そういうような提案がなされながらなかなか具体的にはなっていない、今日までそういう状況が何度も繰り返されてきたというようなことでございます。  ただ、私どもとしましては、そういう経過もございますので、できるだけ慎重に検討をしていかなければならないと思いますが、現在直ちに三庁統合問題が俎上に上がっているわけではございませんで、行政機構、まあ行革審にもございますけれども、六つの大がかりな一つのまとめ方といいますか、そういったものも提起されたわけでございますが、十分な御議論があってそうなったわけではない、中期的な課題として検討すべきだというようなお話であったわけでございますので、そこら辺を含めたことで考えていかなければなりません。  これは私の総務庁長官としての個人的な見解になろうかと思うのでございますが、まず今、当面、こういった機構の問題を論議する場合に大きなインパクトを与え得るのは、地方分権の議論を 進めることになっておりますが、やはり中央の権限あるいは地方の権限、この立て分けをどうするか、地域のそういった意見を尊重しながら地方行政を進めていかなければなりませんが、ここら辺の強化、そういうような問題で地方分権大綱を設定し、地方分権基本法というようなことが取りまとめられるというようになりますれば、その問題が必然的に浮かび上がってくる、機構の問題が当然その先に見えてくるであろう、こういうふうに思っております。  それからもう一つは、やはり首都機能の移転の問題がございます。これもかなりもう議論としては前へ進んでいるわけでございますので、そういったものがもしかみ合うことができれば、まさにそういった省庁統合の将来のあり方の議論というものがもう少し積極的な意味で見えてくるのではないか、むしろそこら辺をクリアした上でやっていった方が実質的ではなかろうかな、このように考えておりますことを申し上げたいと存じます。
  136. 中田宏

    中田分科員 今大臣のお言葉の中から、十分な議論があったわけじゃないというようなお言葉があったわけでありますけれども、これは答申が三回出ているわけでありまして、これが地方分権と当然絡むのはよくよく理解をしているわけでありますけれども、そうすると、今の大臣のお答えだけ聞いていると、実務レベルで全然進んでいないような気がするわけでありますけれども、研究をしたり、そうしたことを、今の地方分権以前といいますか、今の体制の中で進めようという御努力がなされているのかどうか、担当者の方いらっしゃったらお願いをしたいのですが。
  137. 八木俊道

    ○八木政府委員 五十七年の第二次臨調におきまして、この三庁統合の問題が検討課題として提起されて以降、大分時間が経過しておることは事実でございますが、何分、北海道地域、沖縄地域の開発問題等、行政運営上の特殊性といった点に着目をいたしまして、慎重な取り扱いを続けてきたことは事実でございます。  経過的に申しますと、国土全体の整合的な開発行政、その他の行政運営という角度から、三庁相互の連絡、協議を密にするという行政運営上の措置を講じていることが一つございます。それからもう一つは、これは二度ほど試みがあったわけでございますが、三つの役所を一人の国務大臣が御担当いただく。第三次の中曽根内閣と最近の細川内閣でこのケースがあったわけでございますが、運営の一体化を図ってまいろうではないか。当面の工夫としてはそうした実績はございます。  役所自体の統合につきましては、大変これは実体行政にも絡む、そしてまた両地域の開発制度にも絡むなかなか難しい課題でございますし、地元の問題も多々ございますので、政府全体としては検討を継続中ということでございます。  作業の段階は申し上げたとおりでございます。
  138. 中田宏

    中田分科員 今ちょっとお話を聞いておっても、これは全然進んでいないのだということをおっしゃっているように聞こえるわけであります。第三次中曽根内閣と細川内閣というと、これはどのくらいでしょうね、かなり年数的に間もあるわけでして、ある意味で言うと、たまたまそうなっているのじゃないかぐらいの話で、それがむしろ総合的に調整をしながら進めているというのだったら、中曽根内閣以来ずっとそうなっているぐらいの理屈ならそれはよくわかりますけれども、私ば、これは総務庁のとにかくこれから先のリーダーシップ、この旗振り役というのを行政の中で大いに発揮してもらわなきゃいけないわけで、そういう意味では、これに関してもいささか不満が残る御答弁だというふうに言わざるを得ないと思います。  ちょっとほかの話題に移らせていただきたいと思います。  交通安全対策室というのが御庁の中にあるわけでありますけれども、当然、春、秋と交通安全キャンペーンが展開をされていたりするのは私も承知をしておりますけれども、さてさて、じゃ総務庁がやっているこの交通安全対策、これはどれほどの効果を出しているのかどうか、まずデータ、その他効果というものをお教えください。
  139. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 交通安全の問題につきましては、第二次交通戦争と言われているような状況がずっと続いておりまして、交通事故死者一万人をはるかにオーバーしたままずっと来ているわけでございます。その中で、昨年は特に総理にもお願いして、安全運動に対するさまざまな施策を展開をいたしておるわけでございますが、おかげさまで昨年度は死亡事故が五百九人減って一万九百四十二人になりまして、四・四%減というようなことでございます。そんなこともございまして、私も総務庁長官になりましてから、草の根対話運動というので、この交通安全の問題についても、大分それから福井というふうに各県の知事さんを初め関係者の方々と懇談をしながら、いろいろと推進をしてきているわけでございます。  しかし、先生御存じのとおり、すべての人たちがこの陸上交通に関係があるわけでございますので、一つ一つのそういった安全運動並びに安全施設等の行政上の措置というものはそれなりにやってきておりますけれども、一億二千万すべての人々にかかわる問題でございますから、やはりそういった国民の方々の自覚が一番大事でございます。  特にシートベルトの問題、これを着用しますと自動車の交通事故死というのはかなりの数で減るだろうと言われておりまして、そのキャンペーン等もいろいろやっておりますけれども、なかなかそういった利用者の自覚がそこまでいっていない、そういうような問題とぶつかっているわけでございまして、これもまた、ことしも春と秋に全力を挙げてこのキャンペーン等をやって成果を上げたい、こういうふうに思っております。  また、例えば救急ヘリの問題、こういった問題も今検討いたしておりますので、あらゆる施策を通じて交通事故死者数を激減させる方向に努力をしてみたい。それなりの今までの成果も、今申し上げたように、結果的にそうなっておりますので、成果が全くないというような状況ではない。かなり努力をしてきた成果、これからまたもう一歩ことしはそこから減らしたい、こういうような気持ちで頑張っておるところでございます。
  140. 中田宏

    中田分科員 交通対策というのは、これはもう当然警察と連携をよくとっているんだろうというふうに思うわけですけれども、普通考えますと、それだったら基本的に行政構造の改善に旗を振っていく総務庁としては、そこら辺、警察ともっと連携をとってやる。それを突き詰めるならば、やはりこれもより実効性のある機関というものをつくって、もっと縮小していくべきだろう。総務庁のこの交通安全そのものが、警察と連絡をとって、総務庁が率先して交通安全対策室を、はっきり言うならばなくすというぐらいの総合調整をしていくべきだろうというふうに思うわけでありますけれども、その役割分担、そこの部分ちょっとお答えをいただければと思います。簡単にお願いいたします。
  141. 八木俊道

    ○八木政府委員 行政組織の問題でございますので、私から御答弁申し上げます。  交通安全行政、これは警察のみならず、やはり何と申しましても道路を所管するところの建設省、そしてまた自動車の運行につきましては運輸省、その他、例えば通産省、厚生省、文部省、労働省、大変多数の役所にまたがる総合行政としてこれを展開する必要があるわけでございます。そうした角度から、この交通安全対策基本法、そしてまた基本計画、そしてまた中央交通安全対策会議、こういった総合的なフレームをつくったのが四十年代の初めの時期、最初の交通戦争のころでございました。  そのころに、まさに調整機関として私どもの交通安全対策室が発足したわけでございます。総合計画のもとで関係各省の政策を整合的にバランスよく展開していく、足らざるところはブッシュをしていく、こうした調整機能を果たすべく努力しているところでございまして、その調整機能につきましては、今後一層強めるべく努力していく べきものであろうと考えておる次第でございます。
  142. 中田宏

    中田分科員 これは当然そういうお答えが返ってくるわけでありましょうし、やっていることはある程度それぞれ意義があって、違うんですよというお答えが返ってくるのはわかるわけであります。予想されるわけであります。  しかし、交通安全は、これは警察ともちろん絡んでくる。老人対策で言うならば、これは厚生省と絡んでくる。それから青少年対策で言うならば、これは文部省や警察と絡んでくる。ですから、ここら辺を統廃合をしたりして、真っ先に行政機構を縮小しながらより効率性のあるものを追求していくというのが総務庁の課せられた使命なんだろう。みずから率先してそれをやっていくという姿勢が必要だと私は思うんですね。ですから、それはもうそれぞれ特殊事情があるし、役割分担が違うというようなことを言っていれば、これは切りがないわけです。  この間九州でたまたま新聞を購入しました。今、嫁さんが出産で九州に帰っていて、私も一日行ってきた。その帰りに熊本で新聞を買ってきたら、北九州市がリストラクチャリングをやる。これは御存じですか。北九州市が三年計画で仕事シェイプアップ作戦というのを展開をしていくということなんだそうです。こういうふうに計画を立てて、三年間というふうにきちっと定めて、その経費削減効果は二十二億円というのを予定をしている。  この二十二億円の中には、局長のかばん持ちの廃止。市議会に歩いていくのに一々、近い距離でかばん持ちが歩いていくのを中止する。大臣におつきかどうかわかりませんが、かばんだけ持っているような方がいるのかどうかわかりませんが、北九州ではそういうのは廃止をしよう。  それから、ここなんかはまさに参考にしてもらいたいところなんですが、建設局が道路パトロールをやっている、それから環境局がごみの不法投棄監視というふうに、ばらばらに市内をパトロールしていたのを一緒にして総合パトロール制度をつくる。これはそれこそ、建設局と環境局というのがばらばらに、我々がやっていることそれぞれ意義あるんですよと言ったらまとまらない話なわけですよ。  こういうのを、恐らく市長がリーダーシップをとってしっかりと役所の中を統合していった。結果で二十二億円、三年間でやっていく。二十二億円、一つの北九州市ができるわけですから、これは国がやったらどれほどの金額になるかというのは、もうそれは兆ぐらいの単位になっていくというのは皆さんおわかりだと思いますが、兆ぐらいになるんじゃないかと思います。こういうふうな統廃合というのをやっていくというのが私は総務庁の役割なんじゃないかなというふうに思うわけです。これは、大臣、いかがでございますか。
  143. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 例えば行政機構のそういった削減の問題もございましょうし、定員の問題もあります。じゃ、今までの行政の中でそういった成果が上がっていないのかといえば、これはかなり上がっているわけでございまして、例えば公務員の数は、人口千人当たりについて約四十人というような数字になっておりますが、これはアメリカに比べますと半分、フランスに比べますと三分の一というふうになっているわけでございますから、それなりにやはり行政機構のそういった圧縮といいますか、そういった問題については成果を上げてきている問題だと思います。  ただ、それは同時にまた、それでよしとするのじゃなくて、間断なくそういう努力をしなければなりませんから、定員問題なんかもいわゆる五カ年計画を立てて着々と今やっているわけでございます。何しろこれは万般にわたる問題でございますし、国家公務員だけでも五十万人を超す機構なわけでございますから、口で言うほどそう簡単にはいかないわけです。やはりそれぞれの省庁が真剣になってそこら辺の業務の見直しを、洗い直しをしながら、そういった国民の皆さんの御期待にこたえる、そういう決意が何よりも大事ではないかというふうに私どもは思っているところでございます。  もちろん、これは総務庁としましても、そういった点については行政監察等も大いに全国的に活用しまして、全体のそういった機構、定員の問題、あるいはそれぞれの省庁が実施している業務についても、その都度、欠陥ありといえば監察の結果を各省庁に申し上げて、その改善方を強く要求をいたし、手直しをさせているところでございます。
  144. 中田宏

    中田分科員 もう時間がなくなってきたので、これを最後にさせていただきたいと思います。  今の北九州市役所、今年度から始まって一九九六年まで三年間かけて三千五百件の事務を整理をするということです。総務庁の今こちらにおられる方は、この件どなたも御存じない顔を先ほどされておったわけでありますけれども、こういうことを地方が努力をされている中、国は本当に率先してやらなければいけない。ましてや、その際一番先頭に立って、みずからも含めて旗振りをしていくのが総務庁の役目であり、そういうことを抜きにして税制の問題だとかというのは語れなくなってくるわけであります。  もちろん、冒頭申し上げたように、これは連立政権の重大な政策でありますから、その部分、むしろこういった地方の例もぜひ研究もしていただいて、国の中でこういったことをやっていく。これは先ほど申し上げたように、環境局と建設局なんというのがけんかをし始めたら切りがないわけですよ。それぞれ、できる、できないというのは言い始めたらまた切りがない。でも、それをやっていこう。市民から見たらそれは当たり前なんですね。一緒にやればいいじゃないかというような話は世の中ごろごろあるわけで、今大臣、口で言うほど簡単じゃないとおっしゃいましたが、それをむしろやっていくのが総務庁の働きだということを期待もしていますし、積極的にぜひ要望を強くさせていただきたいというふうに思います。ぜひ、最後に大臣、御決意のほどを聞かせていただきたいと思います。
  145. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 御趣旨のほどはよくわかります。しかし、単発的な問題だけを取り上げて具体的にやるということになりますれば、これは行政監察を使いながら個別の問題をつぶしていかなければならない、また、それはちゃんと年度的な計画を立てましてきちんとやっているところでございます。  いろいろな事例を出されましたけれども、そういった個別の問題を一つ一つつぶすのも大事ですけれども、やはり総合的に行政というものが社会経済の活性化あるいはそういったメリット、そういったものを生んでいくようなそういう大きな仕組みをつくらなければならないのも事実でございます。例えば、規制緩和をやって内外価格差をやれば数兆円規模のメリットがあるというふうに言われているわけでございますから、そういう大がかりなものと個別の問題というのをやはりきちっと立て分けながら私どもとしては推進をし、実質的な効果を上げていきたいと思っております。
  146. 中田宏

    中田分科員 ぜひお願いします。  これにて終わります。
  147. 宮本一三

    宮本主査 これにて中田宏君の質疑は終了いたしました。  次に、小森龍邦君。
  148. 小森龍邦

    小森分科員 同和問題について、かいつまんだ質問をさせていただきたいと思います。  かねてから、公明党委員長、そして今日では総務庁長官に就任をされておられるわけでありますが、この問題に対する大変な理解をお持ちいただいておりまして、心から感謝をいたしておる次第でございます。  そこで、若干の事柄をお尋ね申し上げるわけでありますが、先般、衆議院予算委員会におきまして石原慎太郎議員の方から、表現問題といいますか、賤称語をめぐる議論があったようでありまして、その中身を聞かせてもらいまして、私、まことに遺憾に思っております。とりわけ、部落差別 の賤称的意味を持つ四つという言葉を、何か運動側が、あるいは被差別部落民の側が、一つ、二つ、三つ、四つという呼び方をする、そういう呼び方でも四つは問題にするんだというような言い方をしておりまして、それが何が悪いかというような意味のことでございました。  総理大臣、文部大臣さらにまた外務大臣も関連して答弁をなさっておるわけでありますが、私は、そういうときには積極的に、同和問題担当の大臣、総務庁長官とか、あるいは人権擁護局を抱えておる法務大臣とか、答弁に割り込んでいってしっかりした整理をしてもらわなければならぬ。国会の議論というのは非常に影響が大きいわけでありますから、少々その啓発事業をやったところで国会の議論というのが相当大きい影響を持つ、こういう考え方に立つわけでありますが、あの議論について石田総務長官はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  149. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 日本は基本的にやはり、人権問題に対する意識またそれを改善をしていこうという意識、そういったものも低いというふうに言われてきたわけでございます。しかし、近年、そこら辺、大分皆さんの意識も向上してきて変わってきているように思うわけでございます。  石原議員の御発言については、さまざまマスコミの御批判のあるところを総合的にとらえて、自分なりに表現の自由という観点からおっしゃったのだと思うのですが、やはり言葉の問題というのは、それによって、その言葉を投げかけられた人たちが心理的に非常に大きな精神的なショックを受けるというようなことでございますから、当然それはそれぞれが心して、言葉の使い方なども新しい時代に即応した形で選択をしていかなければならない、基本的にはそういうことだろうというふうに思っております。しかし、これはいずれにしても、全体的にそういうような差別をなくしていくような努力をする以外ないわけでございます。  先ほど、委員会においてそういう問題があったら、どんどん法務大臣なり総務庁長官なり割り込んで議論をすべしというようなお話がございました。それについては十分留意してまいりたいと存じます。
  150. 小森龍邦

    小森分科員 四つという言葉を必ずしも石原議員が肯定をされておるわけではないと思うけれども、あのような言い回しでやればその言葉が平気で使える、これは表現上の問題なんだという、平気で使えるという巧みな手法を使っておると思うのですね。  それで、法務大臣は、この間私の所属する法務委員会でちょっとこのことを議論しまして、やはりこういうことをやゆ的に発言されるということはそれはいかがなものかというような意味の答弁がありまして、法務大臣の真意は私わかったのでありますが、あのような言い回しで殊さらに四つという言葉を出してくる、このことについて総務庁長官はどういうふうにお考えか、お尋ねしたいと思います。
  151. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 石原氏のその議論というのは私も聞いてはおりましたけれども、先ほど申し上げましたように、石原議員は、いわゆる小説もたくさん書いていらっしゃるわけで、そういった意味での表現の自由、昔から使われていた言葉の中に弊害があったとしても、それを例示的に使うことの方がより的確に事を表現できるのではないか、それを制限するのはおかしい、そういうような御議論であったわけですね。しかし、そのことによって表現の仕方が制約をされるということは確かに私はあるとは思います。だけれども、あえてそういった問題を考えながらも、そういった特定の方々を傷つけるような表現というものはやはり避けるべきであろうというふうに思うわけでございます。  昔のいろいろな文章を見ておりましても、そういうある特定の人たちを傷つけるというようなやり方、それがいわゆる文学的表現というような形で用いられているとは私は思わない。やはり人間の本質論、そういったものを論ずるというのは、鎌倉時代からの流れの中にもある。そういった意味で、人間の存在そのもの、本当に基本的に人間は平等でなければならない、また、人間が生きていくためのさまざまな権利の主張というものをやはり認めていかなければならないという、その流れの中で考えるべき問題であろうと私は思っております。
  152. 小森龍邦

    小森分科員 大体長官の考えておられることはわかりました。  表現の自由という問題、それから差別語、賤称語によって世の中が一層非文明的な方向に向かうということとは、それを対立させて考えますと石原議員のような考え方になると思いますけれども、表現というものを豊かにし、それを自由にするということは人を傷つけるということではないわけですから、それは統一的に考えるべきものである。  また、殊さらに何か運動側が表現の自由を追い込めておる、こういうふうな言い方をしておりますけれども、私は「朝まで生テレビ」に四回ほど表現の問題で出演をいたしましたけれども、みんな自由に議論しておるわけです。それからまた、そういうことが自由でないということを言う人は、本当に自分がそういう自由でない立場に立たされたことがあるのか、そこら辺も私は問いたいわけであります。  したがって、けさほども私は外務大臣に、外務大臣の答弁を不満といたしまして、少しばかり私の意見を述べておきましたが、こういった差別というものが増幅するような、そういうふうな議論の際には、ひとつ担当大臣でもあるということで総務庁長官を先頭に前向きの姿勢でこのことが整理できるような努力をしていただきたい、かように思います。  さて、きょうの私のお尋ねをしたい問題は、部落問題の根本的解決、こういうことでお尋ねをしたいと思うのであります。  長官も御存じのように、我が国には数を数えれば約六千部落の被差別部落が存在をしておった。でも、都市化現象などで一つが二つになったり、そこから消えたり、ほかのところへ行ってしまったりというようなことで、私は五千七、八百ぐらいではないか、こう思っていますが、今四千六百三部落が指定をされておる。あとの千部落は、同和対策事業特別措置法とか今日の地対財特法とかの枠外に存在し続けてきた、こういうことがございます。  結局、日本の部落問題という視野から考えると、一体これをどうするのか。四千六百三についてはその効果測定みたいなものが今行われていますけれども、手つかずであった一千部落は一体どうなるのか。政府にはやはり政策的にそこまで考えてもらえないと、憲法の保障する「すべて国民は、法の下に平等」だとか、あるいは同対審答申が言うところの行政の責任ということを果たしたことにならないと思うのでありますが、その点、担当大臣として、地対財特法の枠内での行政事務の進みぐあいは私も大体承知しておりますので、残された一千部落をどうするかということについて、見解を賜りたいと思います。
  153. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 私も、この問題について大変詳しいわけではないので、総務庁長官になりましてから、特にこの未指定地の問題については話をいろいろと聞きました。  現在の地対財特法、この流れが一つあるわけでございまして、そういった地対法の失効までの間に対象地域として事業が実施された地域のみ、そういう形で進んでおるわけでございますが、平成四年三月に一部法改正がございました。そのときでも、新たな対象地域の追加を行わない、しかもこれは全会一致であるというようなことでございますので、私としてはその枠をしっかりとはめられている立場と申しますか。そういうような立場でございます。  しかし、小森先生はそれじゃだめじゃないかというふうにおっしゃるのでございますが、私どもとして一番重いのは、衆参の両院で、それぞれの院で全会一致によってこのことが成立をしたとい うことでございますので、それを乗り越えて何とかやらなければならないということになりますと、これは手が出ないというのが、正直申し上げて、まさにそういうような状況にあるわけでございます。  その間の議論、どのような議論がありましたか、これは先生の方が詳しいわけでございまして、もし必要があれば、また政府委員の方から答弁をさせたいというふうに思います。
  154. 小森龍邦

    小森分科員 長官が答弁をなさるような論法があるということも私は大体承知をしておるのですが、法律を進めるということは、もちろんその法律に基づいていろいろなことを進めるということは政府の任務です。しかしながら、法律がほかのことをするなとは決めていないわけですね。ところが、えてして法律の枠ということを言いまして、それは、例えばきょうおいでの審議官とか、あるいは地対室長とかの答弁ということになれば、私はその点は、肯定するわけではないが、その人の立場に立てばなかなか枠を超えられぬことだと思うのですね。  しかし、政治家という立場になれば、やはりその枠を超えた次元の問題も考えてもらわないと、現実に我が国の社会矛盾というものが残るわけですから、そういう意味で、長官がそういうことを言われれば、満場一致というのは、それはやむを得ないからじゃないでしょうか。そこのところで、物事が全面的に悪くなるのをちょっと歯どめのかかるときに、それを反対だという立場はやはりとるべきではないのですね。だから、満場一致論と、そのもう一つ前の地対財特法ができるときにはこれ限りということを政府は言ったのです。これ限りということを言うたときに反論が出なかったじゃないかと言うけれども、それは採決の前に、少しよいことが持続するときに、それに対して反論しないというのは私は常識だと思うのですね。  だから、私はそのことについては前の塩崎総務長官のときにも言うたのですけれども、そんな場面でそれを反対と言えるか。そんなことを理由に言ってはだめだということを言うたことがあるのですけれども、今の総務長官の話はちょっと私はがっかりしますよ。やはり政治家としてどうするかということは、これはもう放置しておいてはいかぬのですから。  この間、私は決算委員会分科会では四千六百三部落のことはいろいろなことを言っておるが、しかしそれでもいろいろ問題は残っているのですよ。問題は残っているが、一応四千六百三の枠組みは政府がやろうとしてやりかけたところだということはわかる。しかし、一千部落が残っておるということは、日本の部落問題をどうするか。我が国政府は日本の差別をどう解決するかという重大な課題に立ち向かわなければいかぬわけですね。  そういうことで、ちょっと私は、総務長官のその答弁は政治家の答弁とすれば不満ですけれども、どうお考えですか。
  155. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 一千カ所の未指定地が残っているという判断、これは今までも行政側にもいろいろ議論があったわけでございます。ですから、やはり行政側の立場に立てば、そういうような枠の中で仕事をせざるを得ない、推進をせざるを得ない立場があるわけで、もしそれを改善しようとするなれば、やはり私は、政党間の御議論をちょうだいすることが非常に大事ではないか。  確かに、私の立場から何か物を言うということになりましても、これはやはり政党政治というようなことでもございますので、そういった意味で、そちらの方との議論も十分した上でないと申し上げられない立場であることもまた御理解をいただきたいと存じます。
  156. 上村知昭

    ○上村政府委員 お答え申し上げます。  先日の決算委員会でも御答弁申し上げたことで恐縮ではございますが、未指定地域の問題でございますけれども、指定地域につきましては、先生先ほどお話ございました地対財特法の制定のときまでの間に、昭和四十四年の同対法から始まりまして六十二年まで十八年間、これは相当な長期かと存じますけれども、これだけの期間に門戸を開いてあったわけでございまして、特に最後の六十一年度につきましては、さらに申し出はないかということを再度地方公共団体の方にも申し上げさせていただきました。  そうしましたところ、六十一年度には一件も申し出がないということでございまして、これは地域住民の方々の合意と選択、それを受けました当該地方公共団体の判断ということでございまして、私どもといたしましては、この十八年間に指定すべき地域というものはすべて指定されているのではないか、そういうふうに判断をして差し支えないのではないかというふうに考えているところでございます。
  157. 小森龍邦

    小森分科員 もう少し政治家同士の話をしようと思うたら、審議官が割り込んできたので、ちょっとそれに触れておかなければいかぬのだけれども、結局、審議官、あなたは物を解決するとかしないとかとは関係なしの世界でそういう見解が出るのですね。要するに、手を挙げなさい言うたら手を挙げなかったのだから仕方がないじゃないか、こういう議論なんやね。  行政というものは、なぜ手を挙げないか、そこを考えなければいかぬ。そのためには、我が国の明治以後の融和政策とか同和行政とか言われてきたその長い歴史の中で、本当に厳しい差別を受けておる者は、そこらでなまはんかに手を挙げてさらしものになるだけではないか、こう思っておる者が相当おるのですよ。それは簡単に言うたら政府の啓発が足らぬのでしょう。だから、それはそういう理屈は我々には全然聞こえない話ですな。算にかからぬ話です。だから、それはあなたはやるまいとしての議論ですから、そんなもの聞いたってだめじゃないの。だから、もうそれはよろしいわな。  私は総務長官にちょっと示しておきたいと思うのは、これは島根県の市町村の地図なんですね。黄色のところが指定されておる地域なんです。赤が指定されていない地域なんです。五十七市町村  のうち、市町村の数はうんと赤の方が多いのです、こうやって面積的に見ると半々ぐらいかと見えますけれども。それで、その指定されていない町村の今度は部落の数といったら、これはもう四対六か六割五分対三割五分かぐらいで未指定の方が多いのです。  その地域は島根県でいいましたら大学進学率はどれぐらいかということで、指定されておる地域だけの数字が出てきておるのですけれども、一六%なんです、大学進学率が。これはもう全国の水準の半分よりはるかに低いのです。そうすると、今度は指定されていない地域の、同和行政が取り組まれていない、そのくらいだから同和教育の観点も非常に薄い、それで一体大学進学率はどれぐらいだろうか。これは私の推定だけれども、二八%よりもはるかに低いということは、これはもう事実ですな。  そういうものが残っておって、おまえのところは何にもしなかったのだからといって、次の子供たちにそういう理屈が成り立ちますか。今の時期にどうやってやるかということが問題でしょう。いや、私は総務庁長官に尋ねている。あなたは事務的にしか答えられぬ。ここは法律の枠を超えた話なんだから。そんな、法律の枠内でやるというんだったら、法律が悪かったらいつまでも悪いとおりにいかなきゃいけぬのだから。長官の方から答えていただきたい。
  158. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 先生のおっしゃることはよくわかりますが、しかし、具体的にそれを改善をさせ、よう、改善のルートに乗せようということになりますれば、やはりそれぞれの地域からの意見がなければならない。そういうような意見がないところに中央から一方的に何かを押しつけるというようなことはできないはずでございますから、やはりそれぞれの地域の方々、特に行政の責任者等が積極的にそういったことを中央に申し出てくるということになりますれば、これは当然検討の方向に行くであろうというふうに思います。今未指定 地という問題を、そういった地域の了承なしに一方的に中央からもう一遍考え直せよというような、そういうわけには私はまいらないと思います。
  159. 小森龍邦

    小森分科員 それが二段構えの逃げの論理になるのですね。部落問題というのは、だれも好きこのんで部落民になっておるわけじゃない。生まれてみたら差別されておった。差別される立場にあったら、やはり直感的にいろいろ自分の防衛策を考えますな。同和対策審議会の答申が言っておる「寝た子をおこすな」という考え方、これは要するに本来自己の利益を追求するという意味では前向きの考えではないけれども、したがって同対審は「寝た子をおこすな」という考え方には同調できないというようなことを書いているのだけれども、「寝た子をおこすな」という考え方になるということの社会的な事情というものを考えたら、君らのところは言ってこぬからそれで終わりよというのじゃ、それはもう身もふたもないわね。行政の責務とか国民的課題とかということをちぎって捨てることになりますよ、それでは。私はそれは納得いきませんね。  それで、総務長官が公明党委員長の時代に私どもの団体の中央委員会においでをいただいて言われておる言葉を、私は非常に感銘深く聞いておったのです。  それはどういうことかというと、六五年の答申、これはちょっと時代がずれていますけれども、「六五年の「答申」、六九年の「特別措置法」以来、環境整備の面では大きな効果はあったが、根本的解決のためには、「基本法」が必要だ。」政治家石田さんはそういうことを言っておるわけですね。  そしてもう一つは、「現行「地対財特法」が来年三月に切れるが、」というのは今から数年前の話で、「その後について、政府は一般施策への移行の考え方だ。」これは今審議官が言うたような考え方ですね。「これは本質を論議しない安易な考え方だ。」今は移行を考えるべきではない、こういう意味のことを政治家石田、当時代議士ですね、公明党委員長は言われておるのですね。  しかし、それが大臣になったら、そのことの方向に向かって、困難なことがあるということのお話はわかりますけれども、困難なことがあるけれども、政権を担当したということになればそれなりに近づいていかなきゃいかぬわけでしょう。私は、そういう意味の熱意がちょっと先ほどの答弁ではなかなか私の耳に入りにくい、聞こえない、こう思いますので、そういう点ではどうでしょうか。
  160. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 こういった問題については、私はやはり一つは大きな立場で人権の問題を議論をしていくということが大事であろうと思うわけでございます。同和問題もあり、あるいは女性問題もあるし、障害者の問題もありますし、外国人の問題においても差別が存在をする、そういった中でいろいろな精神的な苦痛を感ずる人が多いわけでございますから、そこをどう打ち破っていくかというのは、一つは制度の問題であると同時に、やはりそれぞれの人間がその問題を掘り下げて、そして自分の考え方を持つ、人権を守っていく、人権を尊重していくという哲学を養っていく、そういうような作業が私は一番大事であるというふうに思っているわけでございます。  最近、環境問題でもさまざまに議論をされておりますように、人間と自分を取り巻く環境というものは一体のものであるというふうな考え方に立ちますれば、環境破壊というものは当然少しずつ是正をされていく、そういう方向になっていくというふうに思っているわけでございます。例えば、一切衆生という言葉がありますけれども、その一切衆生というのは情非情にわたるというような定義もあるわけでございまして、そういう考え方に立てば、それなりに動植物に対しても人間の考え方というのは少しずつ変わってくる、優しさを持ち得るものというふうに私は思うわけでございます。  そういうわけで、今小森先生がこういうような御議論をされているということ、そういったことがいろいろな角度から世間の人たちに伝わっていくということは非常に大事な問題ではないだろうかというふうに私は受けとめておるわけでございます。ですから、私たちの党内におきましても、そういった問題に対していろいろな議論をしてまいりました。してまいりましたが、具体的になりますれば、一体どういう方法がいいのかというのは極めて難しい問題であろうというふうに思うわけでございます。しかし、そういう議論を積極的にしていく、そういう考え方を主張していくということが必要であろうというふうに思っているわけでございます。  私も、だからそういう考え方を全く捨てたわけじゃないのですけれども、やはり新しい内閣が編成をされてさまざまな問題について困難なところを今やっているわけでございます。そういう中で、今先生が御指摘のような問題については、まだどうも政府部内でもそういった議論が全く展開されていない、議論が進展をしない、そういうような状況ではないかと思うわけでございまして、今後もさまざまな諸機関に議論をお願いをして、そしてその議論を踏まえながら前進をさせてまいりたいもの、このように思います。
  161. 小森龍邦

    小森分科員 もう時間がありませんから、これは総務長官、あなたにぜひ考えておいていただきたいと思いますことは、連立政権ができてから、実は御存じの私どもの団体の上杉佐一郎委員長がこういうことを言ったのです。社会党、公明党、民社党、つまりかつての同和問題の野党協が二十人の大臣のうち過半数を占めた。過半数以上です、十二人であったか十三人だったか。だからこれは物すごい可能性が出てきた。今度の第二次連立についても、かつての自民党に比べてもなお比較にならない可能性がある。人権への可能性ですね。ということは、内には部落解放基本法ということを言っておるわけです。そうすると、先ほど総務長官の答弁されておることと運動側の現政権に対する認識というものは、それは相当の開きがあるということになるのですね。  私はこの間ちょっと言いましたけれども、審議官もおられただろうと思うし、室長もおられたんじゃないかと思いますが、歌の文句にありますね、うれしがらせて泣かして消えるというのがね。それじゃ運動は最後は情けない思いをするだけですからね。大臣になられたからそれは難しいということも私もわからぬでもないですけれども、やはり政治家であるし政党のリーダーであるし、そこはひとつ誠意を持って進めていただきたい。  以上のことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  162. 宮本一三

    宮本主査 これにて小森龍邦君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤剛男君。
  163. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 佐藤剛男でございます。  総務庁長官並びに政府委員の方々に伺わせていただきます。  私は、青少年問題とそれから家庭の問題を取り上げてみたいと思っております。  この問題は、政治家も、また言う人は青少年問題は重要なんだということは皆言うのですが、私は青少年の将来を非常に憂えている者の一人なんですが、この問題をいかに政治家が、また関係者が取り上げて、掘り下げて、そして国際的な中でやっていく二十一世紀の非常に重要な課題だと私は思っております。その意味におきまして、幾つかの例をとりながら問題提起いたしたい。  総務庁に青少年対策本部が設置されております。それから青少年問題についての審議会が総務庁に設置されております。まず最初に、石田大臣、最近時点のこの審議会に御出席されましたでしょうか。
  164. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 今、日にちを確定することはできませんけれども、三月に一度出席をさせていただきまして、いろいろ御意見を承りました。
  165. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 歴代の総務長官の出席はどんな状況なんだということで、過日、総務庁の質問 をとりに来られた方に私お話ししたんです。そうしましたら、平成になってからでございましょうか、大体五回開かれているうちの一回総務庁長官は出席しておる。平成元年で約四十回開かれているんでしょうか、出席されているのは八回。ですから、簡単に言いますと五回に一回、そういう形で、日本政府の一番トップが、重要な青少年問題、出席率ではかるわけじゃないけれども、そのようなのが現状であります。  そこで、嫌みを言うわけじゃございませんが、この問題は非常に重要なことだと私は思う。というのは、青少年問題というのは各省に絡んでいるわけですね。教育問題がある、科学技術行政の問題でもある、あるいは青年海外協力隊の方へ行きますれば外務省である。そういうことで、歴史を引きますと、かつては内閣総理大臣のところに対策本部というのがたしかあったと思うのです。そこら辺の歴史をもう一回確認の意味で、最初は内閣総理大臣のところにあったが、いつの時点で総務庁に移ったか。それから、総務庁がいわば責任を持ってやっておるけれども、今私が質問したように、出席率四回に一回であるとか五回に一回であるとかという状況になっておるんだということを、政府委員、ひとつ御説明願いたい。
  166. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  青少年対策本部の沿革でございますが、昭和二十四年に衆議院参議院で非行防止に関する決議が行われたことに応じまして、内閣官房に青少年問題対策協議会が設置されました。その協議会が、翌二十五年に、総理府附属機関として中央青少年問題協議会として改組をされたわけでございます。そして三十三年には、その事務局として中央青少年問題協議会事務局が設置をされております。  そして昭和四十一年には、青少年行政における調整機能を強化するためにそれを改組しまして、青少年局が設置されたわけでございます。そして同時に、中央青少年問題協議会を内閣総理大臣の諮問機関として青少年問題審議会に改組をいたしました。  しかし、昭和四十三年に、行政機構の簡素化、一省庁一局削減というそのことのために青少年局が廃止をされて、現在の青少年対策本部になっているわけでございます。  その後、昭和五十九年に総務庁が設置をされたことに伴い、青少年対策本部とそれから青少年問題審議会が総務庁に移管をされて今日に至っております。しかし、青少年問題審議会が総理大臣の諮問機関であることは変わりがございません。
  167. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 私も行政をやっておりましたからよくわかるのですが、恐らく一局削減のあおりを食っているのだろうと思うのです。違ったら言ってください。それで対策本部という形にしておるけれども、何とか本部というのは、結構残っておるのが各省庁にあるのです。実際に余り動いていない部分というのはあります、形だけの部分というのは。  私が心配しておりますのは、本審議会で将来の日本の青少年の問題をやるなら、内閣総理大臣がみずから飛び出していって、出席して、日本の青少年の重要性等を訴え、こういうことをこうやるんだ、ひとつ審議会の先生、大いにどんどんあれをしてくださいというような位置づけにあるものだろうと私は思います。  なぜそういうことを私が申し上げるかといいますと、今アメリカが病んでいる、精神的に。それで、私はアメリカの病んでいる理由というのは、大まかに言うと三つあると思うのです。  その一つは、若い者が麻薬を吸う、これが一つのアメリカ風土を脅かしているものであります。  それから第二は、離婚が多いということです。これは御承知のように、父親が違うという兄弟が随分いる。それから、アメリカの中で犯罪を調べてみますと、七割はいわば片親のケースが多いのです。これは統計ですからそうなんだろうと思います。  それから第三は、これまた人口は日本の倍なんだけれども、いわば訴訟社会になって弁護士が多い。こっちの司法試験が難しいのかどうなのか問題があるのですが、向こうが七十万、こっちが三万ですか、そのぐらいの大きな差があって、いわばぎらぎらした社会がある。  もう一つつけ加えれば、下院制というか、下院の任期が二年だ。二年ごとにしょっちゅうかわるから、日本とアメリカの摩擦問題だ何だというのが取り上げられたり、がちゃがちゃやっている部分がある。  私はそういうところにアメリカの一つの悪いモデルがあるのではないかと思っております。  その一つの問題が、先ほどの離婚が多いということ。これはどういうことかというと、家庭基盤が弱いということ。家庭基盤の方を日本側で翻って見てみますと、日本の一世帯、青少年白書では今何人になっていましたですか、平均の各世帯の数。――すぐ出なければいいです。これは三人を割ってしまった。  ということは、非常に親との触れ合いかない。ですから、平成五年の青少年白書も指摘しています。家族と一緒に食事をしないというケースがふえている。私ども政治家というのは一緒になって食べてなんていませんけれども、子供を置いて、女房は別々に行き、自分は別々に行くというような生活をしている。かわいそうだなと思いながらそういうことをやりますけれども、一般の家庭というのも、家庭の団らんがない。お父さん、お母さん、子供が一緒ではなく、子供だけが一人で食べるというのが半分ぐらいある。数の少なくなった割にはぬくもりというものが、触れ合いが非常に少なくなってきているというのが現状であります。  家庭基盤が非常に弱くなったという問題は、これは政治家がしっかりと取り上げなければならない問題で、これはコインの裏表でありまして、簡単に言いますと青少年問題です。青少年というのは、最近無気力な青少年が多いのです、そういうことを言ってはいかぬですが。それは、そういうものと家庭の問題というのをうまくやらぬと、二十一世紀、二十一世紀と言うけれども、私は決して楽観視していない。  それから、もう一つの事例を申し上げます。次長、今十八歳の人というのは何人人口がおると思いますか。
  168. 遠山耕平

    ○遠山説明員 十八歳の人口は全国で二百三万六千人でございます。
  169. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 そうなんですね。私は何も知ったかぶりで言おうとしているんじゃないですが、ちょうど去年十八歳人口というのはピークだった。大学受験も難しかった。十八歳というのは、高校三年卒業しているか、社会に行くか、大学に行くかという、こういう状況であります。その人たちが二十一世紀、六年後どのぐらいになると思いますか、次長。――いいです。何も私は知ったかぶりじゃないですが、そのぐらいのことはひとつ青少年関係をやっている方々はしっかりと把握しておいてくださいということです。  十八歳の人が日本の人口でどれだけいて、どうなるか。五十五万人減るんですよ、六年間に。私のうちの娘が今十三歳になったんです。それで中学一年です。それが十八歳というと六年後の話ですが、そのときの十八歳の人口は百五十万人です。  ことし生まれている人というのはどれだけおられますか、次長。
  170. 遠山耕平

    ○遠山説明員 平成五年で百十八万五千人でございます。
  171. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 そうなんですよ。百二十万人を割っているから、ある意味では、二百五万人といったって、何年後かになると半分近くになってしまっている。そういうふうなことが今の人口問題であり、人口問題というとこれは年金の問題だとか大蔵省の問題だとかあるいは厚生省の問題だというふうに取り上げられては困るのです。総務庁はしっかりとやってもらわければいかぬ。というのは、人数も減るんだから、しっかりとした質のいい青少年をつくってもらわなければならない。  昔からこういう言葉があるのです。一年の計は稲をつくるにあり、十年の計は木を植えるにあり、百年の計は人をつくるにあり。これで今日の日本をもってきているのです。百年の計が人づくりというところでございますから、人づくりに対しまして一つの政府の取り組み、それから施策、こういうようなものが私は極めて重要なものであると思っておるし、その根底に、今、私は家庭の崩壊とは言わないけれども、家庭の基盤が非常に弱くなっている。  家庭基盤の問題で、大平総理のときに家庭基盤についての問題のアドバイザーグループをつくったことがあるのです。家庭だけじゃないですが、いろいろなアドバイザーグループをつくられました。私は大平総理が非常に御立派だと思っておるのは、太平洋何々アドバイザーだ・田園都市だ何だということをやっておった。そういうふうな観点から、将来の日本、この国ですよ、日本国を考えてくるときに、国を思っている若者たちというのが非常に少なくなってきた。国旗法が日本にはないぐらいだから、これまたこれまでの政治家も悪かったわけでありますけれども、こういう問題がある。  それから、やはり家庭の中で、しっかりした伝統というものを尊重するという一つの日本の精神構造がなければならないと私は思っておる。これは一つの、例えば政、祭祀といいますけれども、親の面倒を見て、あるいは祖先の祭祀、お墓を守ってくれる。これは何も長男でなくたって構わないわけですから、次男だっていいのですから、長女だっていいのですから、次女だって構わない、子供が少ないわけだから。そういうふうなきちんとした形のものがないと、非常にもろい体質になってきつつあることを私は非常に懸念いたしているわけであります。  そういう面が幾つかの面に出ている。これは例えば子供が、中学生くらいからが始まりですけれども、工学部に行きたがる生徒がここのところ少なくなってきた。技術離れという状況。それから、日本は博士の数が少ないんだ。アメリカに比べて博士の、物理学なら物理学をやっている人の数というのは十分の一ですよ。人口はアメリカは倍かもしれないけれども、日本の人口を同じように比較したって向こうは五倍になってしまう。ドイツの方が日本より五倍になっている。科学技術立国の面においてもそういう問題がある。そのように、技術の面からの切り口とか人口の面からの切り口とか、そういう面のことについて少し本格的に総務庁しっかりと腰を上げてやっていただけないかということを、長官、私は質問をしているんじゃない、私の意見を申し上げているのですから、石田長官の御意見を承りたい。
  172. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 国の将来が、いわゆる力のある、心の思いやりのあるそういう青少年を育てる、そういったことが基礎的な課題であることは私もよく承知をいたしておるわけでございます。  その中で、今、将来に向かって、少子化の問題と同時に、本当に日本の社会あるいは日本の国全体を支えていこうという青年が、そういう考え方を持つ青年が少なくなってきたということについては、先生御指摘のとおりだと私も感じておるわけでございます。  そうしますと、結局、子供たちがどういう面でそういった気持ちを持てるのか、そこをやはりよく見詰めていかなければならないと思うのですが、これはある大学病院の院長をやっておった方で、もうお亡くなりになったのですけれども、その方が、若い学生に対して、大学を出てインターンになります、そうするとそういった人は必ず重病人に担当をつける、本当に死に直面している病人と相対峙させることによって、人間のそういった苦しみ、それからまた命の大切さ、そういったものを体験させるんだ、私のところはそうしているんだというお話を聞いて大変感銘を深くしたことが記憶として残っているわけでございますが、やはり青年というのは、まさに未知の力があるわけでございますから、そういういろいろな局面を体験させることによって、その人の思いなり知恵なりというものが、あるいは知識なりが生かされる方向が出てくる、そういうふうに私は思います。  それが家庭でできないということになりますればこれまた大きな問題であるわけですが、家庭は家庭で努力すると同時に、やはり行政側としてもそういうようなさまざまな能力を開発するチャンスをより多く与えて、そして、健全なというような、そういう模範的な答弁ではなくして、言葉ではなくして、本当に力強く人生を歩んでいけるようなそういうようなチャンスをより多く与えながら青年を育成していくべきであろう。そういった意味では、海外青年協力隊なんというのは非常に大きな意味がある、このように感じているところでございます。
  173. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 ありがとうございました。  総務庁長官のところに青少年対策本部というのがあって、審議会があるのですから、審議会のときにはきちんと出て、対策本部、本部というのはきちんと各省庁集めて、陣頭指揮に立ってひとつやっていただきたいと思いますし、もしそういうことをやれなければ、総務庁に置くんじゃなくて、今度は内閣総理大臣、昔の、昭和二十四年でしたか、そのときに戻って内閣総理大臣みずからがやるようなシステムをむしろ考えていくようなお話になるだろう。これは総務庁みずから行政機構のことをやっておられるわけですから、ひとつそこら辺までを、足元をよく考えてやっていただきたいと思います。  それで、この機会ですから、一、二私はアイデアを出しますので、検討願いたい。  私の場合、福島県というのは平成七年に国体をやるのです。それで国体のために随分建物をつくっています。これは五十回国体になるのです、平成七年。ですから、戦後、毎年毎年国体をやってきているのですよ、各県。それから施設もつくってきている。バレーボールだ、あるいは何とか何とかのいろいろな施設を持っているのです。  それで、私は、一つのアイデアとしては、そういう国体施設等々をうまく活用して、国際的な青年の交流を県ごとに回していくのですよ。ことしは福島県、来年は山形県、再来年は何県というような形。それで、施設自身はきちんとしたものができるから、後はその中身のソフトウエアですから、そこのところに重点的にやって、ここの土地はアフリカの人を呼ぼう、アフリカ年にしよう。こっちが出かけていくのが青年海外協力隊、向こうの人たちを、例えば中南米の人たちの年、それからアフリカ、東南アジア、東欧諸国のところの人たちを呼ぶ。そして、青年たちが交流する。  青年海外協力隊というのは、でき上がったのが四十年で、当時、総理になられた海部さんが非常に尽力されたプロジェクトなんです。それで、これは非常に私は買っておりますのは、実際にはアメリカのピースコー、平和部隊に倣ったあれだけれども、一万人の人が実績として出ているわけです。今度平成六年からは福島県の二本松にもその訓練所ができまして、毎年毎年六百人の人が出かけていきます。海外に出ていく。それから、海外からも、行く前に語学を教えに来ますから、五十人から百人の海外の人たちが来る。こういうふうな一つの青年の国際的な交流ができているわけですけれども、これは全国の中において長野県と東京にありますけれども、今度の福島が三つ目、これはもう限られている。ですから、交流というものが限られているが、全国的にこういう問題はやらなければいけない、青年の国際交流は。  それをうまく活用するのは、国体なら国体の施設をやりながら、何年置きでもいいですよ、ひとつ試みて少しその対策を、青年海外協力隊の問題は外務省だと考えないで、応援する方、応援部隊は青少年対策本部というのがあるんだから。青少年対策本部というのは、国際化をするということであれば、海外から連れてきて交流するというのは非常に意味があるのです。アメリカの平和部隊 と日本の平和部隊とが皆集まれといってやるだけだって意味があるんだ。そういう時代に今日本は来たと私は思っておる。  私自身、今のPKOをやっているソマリアのところに、ソマリア大使館の一等書記官にいたことがある。日本人ただ一人ですよ。大使館があったわけじゃない。そのときにあったのはケニアで、昭和四十三年から四十六年で、まだ一ドル三百六十円で千ドルしか持っていけない、大使館も小さい、大使を入れて六人しかいないところで見ていた。そのときに兼轄していたのは、五つ兼轄していたのです。ケニアもやって、ウガンダ、マラウイ、ソマリア、ザンビア。今PKOでやっていますソマリアがそうです。マラウイというのも、日本人いなかった。しかし今やマラウイには、青年海外協力隊が一昨年には約百三十人おった。日本の青年海外協力隊、今二千人常時行っていますけれども、そのうちの三番目になっていた。  ですから、一つの布石を打つと、二十何年なりますと、出てくるのです。ですから、二十一世紀といっても、もう今、世紀末ですよ。政治はおかしくなっている。経済もおかしくなっちゃった。そうでしょう。家庭もおかしくなりつつある。しかし、官僚はしっかりしてほしい。ぐらぐら、がらがらしている、がらがらと言うと申しわけないですけれども、今ばらばらの連立だから、そういうふうになっているわけだ。しかし、対策本部の官僚はしっかりし、そして自信を持ってあらゆる角度から、対策本部というのはこうなんだということで、各省庁を集めて対策、政策をつくっていってほしい。  ことしは国際家族年だなんて言っているけれども、国際家族年に関係してこれはという何か予算要求でもするんですか、青少年問題について。そのぐらいのことをばりっと考えることが必要だと私は思っています。これは一つの提言。また私、機会があったときやりますからね。だから、よくこの問題は検討していただきたいと思います。  第二が、青少年問題について各県、地方では一生懸命やっている人たちがいるんです、若い人たちが。何とか協議会をつくって、団体を集めて、あるいはソフトボールの何々から、こういろいろなことをやっている。今私が申し上げたように、将来の時代を背負うのは青年だ。それはそうなんだ、私だって二十年後生きているかどうかわからないんだから。二十一世紀になればこれはもう若者の時代に任せるしかないわけです。  そのために、一つのあれとしては、そういう一生懸命やっているのは、ちょうど消防で一生懸命やっているのと同じごとく、消防には勲章みたいなものがあるんです。藍綬褒章みたいなものもあるんです。そういう青少年の関係についてやっている人たちについて、褒賞を含め、叙勲を含め、そういうふうなものの一つの道というものを考えてみていただきたい。私は十分じゃないと思うのです、いろいろな面で。今例えば教育貢献者というのは青少年関係を担っている人もいるから重複をしている部分があると思いますけれども、そういう面でのものをやっている役所は総務庁なんだから、総務庁でひとつ自信を持ってそういうふうな人づくりを考えていただきたいというふうに思います。  それから第三は、家庭の問題になりますとどこが官庁かということになるんですよ。大臣、そうでございましょう。どこが官庁だ。  ですから、今例えば東京の中小企業の店が税金、相続税かかって、八百屋さんが税金かかってしまって、今度は千代田区にいられないで向こうに行ってしまうわけだ。相続をした瞬間に相続税はかかるわ、今度譲渡所得税をまたばかみたいな税金にしてしまったから三九%かかっている。これは二六%に直すのは最低限必要だと思いますけれども、そういう一つの相続という面についても、家をつぶしてしまうわけだ。  ですから、親を面倒見て、祭祀、墳墓、位牌、そういうようなものの面倒を見ている人のところに対しては相続税を非課税にする方式とかいうようなこをどこから要求するかというと、この官庁は出てこないんですよ。中小企業は中小企業のところの面で中小企業の税金というような話が出てくるけれども。ですから、そういう問題は何も中小企業に限らない。農家にも関係してくる部分だ。均等相続を私は否定しているんじゃないですよ。均等相続があっても、その祭祀をしている人には税金をかけない。そういう子供には、親の面倒を見る子供には税金をかけない。そういうふうなことをいろいろ考えていくということが、先ほど言いましたコインの裏表、青少年対策は青少年の問題ということじゃなくて、家庭の問題との絡み、青少年白書にも書いてあるわけですから。そういうことをじっくりと考えていただきたいと思う。  それとあわせて、外務省の方のところの青年海外協力隊といって外に出す部分だけではなくて、一つの大きな運動を、国体に絡むような、青少年の国体、一年ごとにずっとくるくる回してやりますといろいろな知恵を出してきますよ、五十年もやると。そういうようなことをひとつやってみる。ハードウェアだってあるんだから、サッカー場だってあるし野球場だってあるんだから。問題は、要は人を連れてくればいいわけだから。人を連れて日本を見にいらっしゃい。若い者たちが日本に来て、ああ日本というのはいい国だな、学びたいなという、人に徳があるごとく国に徳がなければ日本国はこれは危ない、だめになってしまうわけです。  今の状況を眺めてみると、私はおかしいと思っているんだ。政治はおかしくなってくるし、経済はおかしくなってくるし、めちゃくちゃになってしまう。国が解体されてしまったらどうしようもないわけで、私は何も保守的なことを言っているわけじゃないですが、その点については真剣に考えていただきたいと思いますが、最後に、私の敬愛しております総務長官、ひとつ御所感を。
  174. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 海外交流というものが、日本の将来にとってもその交流をする国にとっても大変重要な課題であるというふうに思っております。今まで総務庁推進をしてきましたのは、どちらかというと視察型と申しますか、そういうようなものが多かったのでございますけれども、今先生がおっしゃるように滞在型といいますか、本当に人間と人間との交流を考えたそういうものは十分考えられると思いますので、大至急検討いたしたい。一部これからの海外交流については視察型はもうやめようじゃないかという流れになっていますので、先生御指摘の問題については十分計画的に組めるのではないか、こんなふうに思っておるところでございます。     〔主査退席、草川主査代理着席〕
  175. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 どうもありがとうございました。よろしくお願いを申し上げます、
  176. 草川昭三

    草川主査代理 これにて佐藤剛男君の質疑は終了いたしました。  次に、金田英行君。
  177. 金田英行

    金田(英)分科員 予算委員会の総括で行政改革、特に縦割り行政の弊害についてお話しして、時間がなくて地方の方にも地方行政機関のあり方についていろいろと御質問する機会を失ったものですから、この分科会を利用させていただきましていろいろな質疑を交わさせていただきたいと思います。  私、物事というのは、敵と味方というのかな、こういつて言い合っている形の中では決して生まれないのだろう、いい結論は出てこないのだろうという考え方を持っております。私も役所におりまして、ちょうどそこに大臣秘書官がおりますけれども、そういう秘書官で、何だってこんな予算を通すのにこれだけ朝から晩までほかの公務を犠牲にしながら何日間もこの予算委員会に全閣僚が拘束されているのか、これでいいのかなというふうに思ったこともありました。何とかしてこれを解放させてもらって本当に公務につかせていただきたいうちの大臣をそうさせたいなというふうに思ったこともございました。でも、何か今ま でのしきたりというのはなかなか直らないようでございますけれども、何とかそういった点も今までの陋習にとらわれないで新しい国づくりをしていかなければならないんだなというふうに思います。  つきましては、私、ライフワークとして国会で取り組みたいと思っておるのは、この行政機関のありようでございます。余りにも肥大化してしまっている。そして行政機関というのは、私考えてみますと、国民の道具でなければならない、国民が本当に使いやすいような機構でなければならない、そういうふうに思っております。いい大工さんは自分のかんなとか大工道具を大変大切にして、いろいろな道具に凝るというようなことがあると思うのですけれども、とにかく行政を進める上でこの行政機構がどうあるか、どういう機構にするかということは、大工さんのちょうど大工道具のようなものでございまして、本当にわかりいい、それですぐれて機能を発揮できるような、そういう機構に常時つくりかえていかなければならないものだろうというふうに思っております。  きょうは総務庁長官も本当にお忙しいところ済みませんが、総務庁長官と自治省の皆さん方と、地方の行政機関がどういうふうにあらなければならないのかということについて若干の議論をさせていただきたいと思います。私もこういう機会を与えらて本当にうれしく思っております。  ところで、地方行政機関のあり方ということについては、過去長い間行革審の答申だとかいろいろなことで、地方庁をつくるべきだとか、地方出先機関の統廃合の問題だとか、あるいは府県連合といいますか、広域行政が求められているので府県連合をつくるべきだとか、あるいは道州制にすべきだとか、いろいろな議論が審議会の中でも行革審の中でもされてきましたし、また世の中でもいろいろな議論が闘わされて発表されております。  そういったことについて今まで行管庁あるいは総務庁、そういったことでどういうふうにその答申なりそういう考え方を受けとめて、そしてどういうふうに対応してきたのか、一体何がなされたのか、そういったことについてお尋ねしたいと思います。
  178. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 今御指摘をいただきました問題については私も過去のことは余りよくわからないわけでございまして、話を聞いておる程度でございます。答えが不正確になってはいけませんので、管理局長の方から答弁させます。
  179. 八木俊道

    ○八木政府委員 近年における地方出先機関の合理化の経緯は、五十八年の臨調答申以来のことでございます。ブロック機関につきましては、運輸省の陸海運局の統合とか、地方貯金局、簡易保険局を地方郵政局に統合する等のブロック機関段階の対策を講ずる一方、県単位機関につきましても財務部とか地方行政監察局等の縮小、改組、それから支所、出張所につきましては、これは各省の大変多数の支所、出張所にわたりまして、五十九年度に六百四十ほど、平成元年度に二百七十ほどの機関の統廃合、全体として機関のスリム化を図っているところでございます。  二回で、先生御指摘の国の行政機関の出先機関全体のあり方はどうかということでございます。国の総合出先機関を設けてはどうかという御議論も確かにございます。  それの一つの先駆的なサンプルといたしましては、北海道開発局が建設、農林、運輸省の各公共土木事業関係する総合出先機関というのが一つございます。それから、沖縄でございますが、沖縄復帰時点におきまして、国の出先機関の総合的な機関として、沖縄総合事務局を置く、こうしたケースがございますが、おおむねは各省縦割りで配置している。  各省の行政事務の性格によりまして、この事務は県知事さんに機関委任する、この事務は国直轄で処理する、そうした事務の仕分けをしながらやっているということでございまして、いろいろと検討課題はあるわけでございますが、現状の状況は以上でございまして、全体としては、行政機関の組織の効率を上げる観点から、機構の簡素化、統合等に取り組んでいるといった経過でございます。
  180. 金田英行

    金田(英)分科員 確かに今までの行政改革で、地方出先については、各省の出先機関の数をなるべく減らしなさい、隣町にあったものを合わせて一つにしなさいというような合理化はたくさん進めてきました。しかし、それだって人はなかなか減らなかったし、考え方、哲学の違いじゃなかったし、行政効果、効率化というのか、それはなかなか進んでこなかったという実態があるのだろうというふうに私は理解しております。ですから、こういった隣り合ったものをくっつけて数を少なくしなさいというような行政改革にはもう限界が来たんじゃないかというふうに私は考えています。  それしかできなかった、縦割りの中で数を減らしなさいという行革しかできなかった、もっと思い切った行革というのはなかなかできなかったということについて、一体その障害、例えば地方出先機関の統廃合だとかいろいろなことが縦割りの中では、数多く出張所なんか統合しなさいということはあったのですけれども、そういった地方庁構想だとか出先機関の統廃合だとかいろいろな案があって、それが具体的にいろいろな問題を含んでいたことはそれ自体わかりますけれども、そういったことに真剣に政府として立ち向かってこれなかった、そしてそれがなかなか実現しなかったということについての障害は何だというふうにお考えでしょうか。八木局長さんにお尋ねします。
  181. 八木俊道

    ○八木政府委員 ただいま先生御指摘の、まだまだ不十分ということでございますが、五十年代後半以降の出先機関の整理の考え方といたしますと、交通通信の発達に伴う行政の広域化の問題、それから社会経済、日常生活圏の拡大に伴う広域行政需要といったところに対応する行政のあり方ということからも、余り小さな機関を多数展開するよりは、集中して行政能力、行政水準を高めようということで、ある程度の努力はいたしてきた次第でございます。  あわせまして、その間におきまして、行政コストの節減を図り、行政の簡素化を進めるという角度からの機関の見直しということも当然要請されたわけでございまして、機関の統廃合によりまして相当数の定員合理化が可能になったということでございまして、昭和五十七年から見ますと国家公務員の定員は今年度までに約三万九千人の減ということでございます。食糧事務所とか統計情報事務所あるいは各種の作業現場等の統廃合を初めといたしまして、各機関の合理化によりまして相当程度の人員の集中に伴う行政体制の合理化といったところに努力をしてきたところでございます。まだまだ足りないではないかというあるいは御指摘かと存じますが、相当地道な努力はやってきたということは申し上げさせていただきたいと存じます。
  182. 金田英行

    金田(英)分科員 第八次までにわたる定員削減、大変な効果を上げておられて、行管庁並びに総務庁さん、もう行管庁はないわけですけれども、総務庁さんの御努力については敬意を払っているつもりでございます。  しかし、これからは、考え方、仕組みというのを大幅に変えていかないと新しい行政改革はできないんじゃないか。どこのボタンを押したらどういうふうな行政が展開していくかという形で、今余りにも配線図が複雑になり過ぎて国民がわからなくなっている。実際に各省の役人でも、これはどうなってどういう仕組みでできているのかということになってくると、隣の省庁のことはわからないというのが実態なんだろうというふうに思うのです。もう少し簡素な行政機構にしていくことがぜひとも必要だというふうに私思っております。  定員面から見ますと、国家公務員約八十何万おるわけでして、この霞が関のいわゆる中央省庁というのにはわずか三万人ぐらい、四・五%の職員しかいないので、実際は九五・五%という国家公 務員は、これは自衛官を除くのですが、九五・五%という国家公務員は地方の出先機関、中央省庁でないところに存在しているわけです。  やはりこれからの行政改革、行政機構の合理化、そういったことを考えていくときのその主戦場というのは地方出先機関の整理統合、ありようを見直す。もう少し縦割りでない、地方に縦割りの弊害を押しつけるのではなくて、総合行政として地方公共団体と接するような仕組みがないと、地方の役場の人たちも、もう中央省庁に余りにも権限が集中しているとか、あるいは余りにも行政が複雑怪奇になって、縦割り中心になっていることによって総合行政が展開できなくなっている悩みというのは現実にあるわけであります。  それで、これから行政改革に取り組んでいただく。私は政治改革はもう済んだと思っています。区割り法案がこれからありますけれども、政治改革は済んだ。さて二十一世紀に向かって我が日本がやらなければならない一番大事なものは、財政改革もあるでしょう、しかし私は基本的には行政改革が一番喫緊の課題だなと。現在の行政機構を引きずっていってはなかなか効率的な行政ができないし、トップの考えていることがすっと下に伝わらない。そしてプライドの高い行政官、細かく縦割りに割れた行政機構では対応できないなというふうに思っているものですから、とにかく行政機構の簡素合理化こそ今喫緊の課題だと思っているわけです。  ついては、この国会に行政改革委員会設置法なんかを提出してございますけれども、こういった委員会をつくって、地方出先機関の改革についてこの委員会でどのように取り組むつもりでいるのか。過去いろいろな答申が出されているそのフォローというのですか、そういったこともやると聞いておりますけれども、そこら辺、何を考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  183. 八木俊道

    ○八木政府委員 行政改革委員会設置法案につきましては、この国会政府から御提案申し上げまして、本会議における趣旨説明質疑を終わりまして、内閣委員会に御検討をお願い申し上げているところでございますが、その役割は、規制緩和の推進と行政情報公開制度の確立、それから第三点としまして、その他全般的な行政改革のフォローアップでございます。  第三点の問題に関連するわけでございますが、地方行政の合理化、そしてまた地方支分部局の合理化問題は行政改革の大きな問題でございますので、この行政改革委員会の設置が認められますれば当然重要な検討課題になるかと存じますが、具体的にどのような段取りでどのような細目の御検討をいただくかにつきましては、まさに国会の御審議をいただいてから、国会同意の人事でございます。委員会が発足した後に、委員会自体の御検討、御審議にまちたい。私ども大きな期待を抱いているところでございます。
  184. 金田英行

    金田(英)分科員 細川内閣、そしてそれを受け継ぐ羽田内閣ということで、地方分権ということを随所で言われております。確かに、中央集権の是正ということで、中央の権限を地方に移さなきゃならないということはこれからの大変大きな課題になっていくわけですけれども、地方に分権するといった場合に、その分権の受け皿というものが必要だろう。どこにその中央の権限を移していくんだということ、その受け皿づくりをまず急がなきゃならない。  例えば、四十七の都道府県に全部分権して移していいのかというような問題も、いや、そこについてはいろいろな地方公共団体の長の選挙の性格だとか、それからその地方公共団体の資質等もあって、なかなか国のそういった中央の権限を移すことはできないんだとか、いろいろな受け皿論議が盛んでありますけれども、受け皿について、地方分権と現実に今の内閣でも言っておられるわけですから、じゃ中央の権限をどこに移す気でいるのか、受け皿についての若干の感想なり考えていることがありましたら、お尋ねしたいと思います。
  185. 八木俊道

    ○八木政府委員 現在政府で準備しております仕組みは二つございます。  一つは、この五月三十日に発足をいたしました行政改革推進本部における地方分権の部会がございます。総理を本部長といたします関係閣僚と学識経験者九名から成る会合でございます。ここで年内いっぱいをめどに詰めていただきまして、そして地方分権に関する基本的な方向を定めた大綱方針を立案するという取り組みが一つ予定されているわけでございます。  もう一点は、先ほど御答弁申し上げました行政改革委員会における今後の法律案成立後の取り組み、こういうことになるわけでございます。  いずれにいたしましても、政府の今の考え方は、地方分権は極めて大事な課題であると考えているわけでございまして、都道府県、市町村という二層に分かれた地方公共団体を基本にいたす現在の地方制度ということの前提におきまして、住民に身近な行政はできるだけ住民に身近な自治体で処理するという考え方でございます。そうした基本認識を踏まえまして地方分権の推進に努めてまいりたいと考えているわけでございまして、きょうは自治省からも御出席をいただいているようでございますが、総務庁としても行政改革の一環としてこれは取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  186. 金田英行

    金田(英)分科員 これから地方出先機関をどう構築していくか、あるべき姿はどうなのか、最も効率的な地方の出先機関はどういう態様であるべきかということをじっくり議論する前に、いろいろな物事の考え方を整理しておかなきゃならないというふうに私考えております。  例えば、今現実に法務事務なんというのは地方の法務局、法務省の出先機関で国がみずからその登記事務に携わっております。しかし、戸籍法、これも国の事務なんですが、戸籍法は、役場の戸籍係というところでまさに機関委任事務として、法務省の指揮を受けながら機関委任事務として役場が処理しているというような形で、同じ国の事務でありながら、あるものは国直轄の出先を置いて国が直轄で処理している業務があるかと思えば、あるものは機関委任事務として地方公共団体にやらしている事務がある。  そういったことについて、ここら辺の区別、何が役場に機関委任事務でおろされて何が直轄であるいは直営でやらなきゃならない事務なのか、そこら辺の区別の仕方について、自治省さん、地方自治担当の役所として基本的な考え方がもしあるとすれば、お尋ねしたいと思います。
  187. 中川浩明

    中川説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、国の事務を地方においてどのように処理するかという方式につきましては、機関委任事務という方式と、それから国の直轄の機関を設けて処理するやり方と、二通りのやり方をやっているのが実態でございます。ただ、どのような事務をどのような形態で処理するかということにつきましては、一義的な基準あるいは原則というものがあるとは必ずしも思われませんで、一般的に申し上げれば、過去のいろいろな歴史上の経緯とかあるいは当該時点におきます国の行政機関が存在しているかどうかというようなことから判断がされて行われているものではなかろうかというふうに思っております。  ただ、機関委任事務は、事柄の性格上国の事務とはなされておりますけれども、実態的には地方公務員が地方公共団体の予算を用いまして実施している事務でありますので、できる限り地方の事務として処理ができるものについては機関委任事務から団体の事務に移していくというようなこと、あるいはそもそも全体の量を減らしていくというような整理合理化が必要ではなかろうかと考えているところでございます。
  188. 金田英行

    金田(英)分科員 直轄でやろうとあるいは市町村に委託しようと、変な言い方ですけれども市町村に委託とあえて言わせていただきますけれども、そんなやり方あるいはまた地方事務官というような制度がいまだ解消されないで残っているわけです。そういったときに考えてみますと、片や国があり、片や地方公共団体がある、この中で憲 法でも地方自治というのが保障されているというか守られているといいますか、地方自治の権限というのがあるわけです。これについてしっかりとした哲学とか理解を持っていないと、ここら辺の地方出先機関のあり方を議論するときに必ず議論になってくるんだろうと思うのです。  国と地方というのは別の存在だ、確かに地方公共団体というのは別の存在としてあるわけです。ただ、地方自治権と申しますか、地方自治というのは一体どこから出てくるんですか。先ほど八木局長から、地方に密接な仕事は地方にやらせたいというようなお話もあったわけですけれども、そもそも国と地方というのはどういう関係なのかということについて、地方自治権というのは、国があるから地方自治があるんだ、そもそも地方自治というのが先にあってその上に国という形で出てくる、法律的にもいろいろな考え方、二通りの考え方があるわけでありますけれども、自治省さん、この点についてどのように考えておりますか。それぞれ別だということですか。     〔草川主査代理退席、主査着席〕
  189. 中川浩明

    中川説明員 多くの行政事務というのは、国と地方がお互い協力し、有機的につながる中で、協力体制の中で処理をされているというのが実態でございまして、現実の問題といたしましては、事務処理に当たっては、国、地方がお互い協力、共同して処理をしているという関係にあると思っております。  ただ、憲法で定めております地方自治の理念として、地域において選ばれた首長あるいは議員がそれぞれの地域において責任を持って当該地域における仕事を総合的に処理をするという制度が地方自治の制度でございますので、国と地方との関係においては、そのような地方自治の制度、趣旨を尊重して適切な対応が必要である、このような考え方で対応しているところでございます。
  190. 金田英行

    金田(英)分科員 国という存在があって初めて地方自治というのがあるんだという、それが通説だというふうに私は理解しておるんですが、この際、地方と国とは別だという考え方は、いろいろなこれからの行政機構を考えていく上で、むしろ邪魔な考え方だというふうに思います。お互いに、国も地方も、住民のため、国民のため、そしてあらゆる行政ニーズに応じてどうそれぞれの仕事を分担し合うかという関係でしかないんだ。これは地方固有の事務、これは国固有の事務というような考え方をしていきますと、その境目がだんだんわからなくなってくる、そういうふうに思っております。例えば、この仕事は地方にやってもらおう、これは国がやりましょう、そういう便宜的な分け方でいいのではないか。  余り地方自治権というようなことを固有の権利だみたいな考え方をしていきますと、だんだん行政機構は複雑怪奇になる。地方の事務もやるけれども、国の事務もやる。地方庁というものの考え方をこれから私述べさせていただきますけれども、地方庁という事務は、国の業務をやるのが地方庁なんだけれども、県の業務もやらせていただきますよというような考え方、あるいは市町村も指導していきますよというように、県と地方庁が統合してやっていく。これについてはより強く国の指導がある業務だ、この辺については地方に相当程度任されている業務だというような程度の差として物事を考え抜いていかないと、効率的な地方出先機関の組みかえはできないかなというふうに思っております。  そこの辺もう時間がなくなりますので、共生の論理、お互いに生きていく、それぞれが本来は一体なんだというような考え方をこれからしていかなければ、そこら辺の基本的な整理がいかないとうまくいかないのかなというふうに考えている次第です。  それから、次に移りますけれども、地方庁の設置というようなことがあります。縦割り行政の弊害を打破するためにもぜひこれには取り組んでいただく時期なんだというふうに考えております。この前の決算委員会のときにもちょっと取り上げさせていただきましたけれども、国が縦割り行政でそれぞれの行政、地方支分部局を持っております。持っておるために、大分非効率な関係が出てきております。  仙台に例えば地方建設局があり、農政局があり、運輸局があり、通産局があり、財務局があり、あるいは営林局があるというふうに、各省はそれぞれの地方支分部局をそれぞれの箇所に配置しております。それらの地方支分部局を統合することによって、これはアイデアとして過去の答申にもあるわけですから、そういった地方出先機関を整理統合することによって集中のメリットを相当発揮できるのではないか。例えば局長は八人も要らないとか十人も要らない、あるいは総務課長は一人で済むとか、それから、あそこの部署は五時になったらみんな帰っちゃうけれども、こっちの部署は夜毎晩徹夜しているとかというような実態が、同じ屋根の下で各省の職員が一緒に生活することによって、今まで縦割りでしか見てこなかったことが、一緒のかまの飯を食うというか、一緒の屋根の下で生活することによってお互いのよさ、悪さが相当出てくるはずであります。  現実に、北海道開発局という組織で、建設省の会計の仕方、運輸省の会計物品の調達の仕方、農林省の物品の調達の仕方、そういった縦割りでいろいろな指示が来るのですが、それを各省と相談しまして、一つの会計処理の仕方で整理していただいて効率的に仕事がされるようになっておるというような、そういうメリットも出てきているわけですが、とにかくそういうふうに各省の出先をまず結わえる。結わえることによって統合のメリットが相当出てくる。そういうことによって、各地方公共団体、県庁や市町村には縦割りで、農林省がこう言っているからということじゃなくて、地方庁としての政策として一たんくくることによって、その政策が総合性を帯びて地方公共団体を指導できるようになっていく、そういったことが考えられると思うのですが、そのことについて御所見、御感想があれば、お尋ねしたいと思います。
  191. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 先生がそのような御意見をお持ちであるということについて、詳しく今お話を承ったわけでございます。  地方庁の問題につきまして、私も行政改革の問題につきまして今各地をずっと回っているわけでございます。例えば九州の大分へ行きましたら、平松さんもやはり地方庁というお考えをお示しになりました。それからまた名古屋へ行きましたときも、名古屋の財界の人たちも、地方庁という構想に立つべきだと。古くは大阪の宇野経団連の副会長さんですか、展開をされていることもよく承知をいたしているわけでございます。この前の予算委員会では、自民党の平泉先生から、州制度、州というものを考えなければいかぬという御議論がございました。これから地方分権の議論を専門委員の人たちに進めていただくわけでございますが、この問題はかなり詳しくいろいろな御意見の開陳があるだろうというふうに思っております。  ただ、考えまするに、やはり今の地方の受け皿としての県あるいは市町村という二重構造の中にもう一つ持ち込むことになりますね。同時にまた、強力なそういった権限を持つ地方庁ということになりましたときに、それをどこがチェックするか。いわゆる県知事の行政については県議会で意見をいろいろチェックをするという機構になっておるわけでございまして、そういった住民サイドの意見をどのように反映させるかというのが、この地方庁をもしやるとすれば大きな問題になってくるのではなかろうか。いずれにしても、そういった意見を十分拝聴しながら方向性を考えてまいりたいと存じます。
  192. 金田英行

    金田(英)分科員 地方庁について石田長官のおっしゃること、よくわかります。屋上屋を重ねるのではないかとか、県にも議会があり地方庁の議会をどうするんだとか、地方庁の長官を公選制にすべきなんだとか、いろいろあると思いますけれども、それはそれで県議会を統合して地方庁に移すとか、公選制にするんだとか、六省庁案も第 三次行革審で出ております。閣僚がたった六人じゃさみしいでしょうから、各ブロック担当の関係大臣を置いてもちょうどよくなるのではないかとかいろいろなことがあるので、まあやろうと思えばやれるわけでして、いろいろな弊害はそれなりに除去できる。  それの対応策というのは私ここで述べてもいいのですが、時間がありませんので述べませんが、いろいろな欠点があります。問題点もあります。しかし、今それをやらなきゃならない時期にもう来たんだ、そしてその弊害はそれなりに対応して除去できる状況にあるんだ。とにかく行政改革についてとっさにただ結わえてしまえということじゃなくて、当座はこれだけやって財政再建のための人身御供にするというような行革はやめて、もっと将来を見据えた真剣な取り組みの行政改革にしていただきたいというふうに思っております。  終わります。
  193. 宮本一三

    宮本主査 これにて金田英行君の質疑は終了いたしました。  次に、藤村修君。
  194. 藤村修

    藤村分科員 石田総務庁長官を初め、本当にきょうの機会を与えていただきましてありがとうございます。私は、改新一日本新党一所属の藤村修でございます。  きょうは、総務庁が監督官庁にもなっていらっしゃる民間の一財団法人でございます財団法人交通遺児育英会という財団につきまして、実はこれは石田長官ももう長年、この団体の応援団として評議員を務めていただいたりあるいは多方面で本当にいつも御指導いただいている、もう二十五年にもなるある意味では古い財団法人でございますが、非常に社会的にもきょうまでいろいろなキャンペーン、運動をしながら、大きく言えば日本国民全体によって支持され、そして交通遺児たちがその奨学金を受けて進学が果たせた、こういう団体でございます。一団体ではございますが、非常に社会的インパクトも意味も大きいものですから、きょう取り上げさせていただきました。  今、話の内容をコンパクトに、実は問題点を朝日新聞が四月十七日付、日曜日でございますが、これは社会面トップで全国で出ましたものですから、非常に全国の方々に御心配をいただいているという現状がございます。まず、私自身がこの問題を取り上げるに当たりまして、ちょっと御紹介をさせていただきたいと思います。  私自身も学生の時代に、まだ交通遺児という言葉すら世間では認知もされていない、昭和四十四年、五年あたりなんですが、ちょうど当時昭和四十五年あたりが交通事故の過去のピークで、死亡者が二万人を超すようなそういう時代でございました。そのとき私は学生で、そういう社会の問題に対して何か学生でできることはないだろうかということを考えている中で、交通遺児たちがいた。そのときにはまだ交通遺児という言葉もよくわからなかったわけです。  つまり、自動車事故で大半が父親を亡くしまして、そのこと自体が大変な大きな災害ではございますが、それに加えて、結局、一家の大黒柱を失うことで今度は子供たちの進学が非常に困難になっている。当時まだ昭和四十五年ですから高校進学率は今ほど高くはないわけですが、でも、ほぼみんなが高校へ行く中で、高校すら進学できない交通遺児がいる。そういうキャンペーンが、訴えが全国で起こりました。  そのとき私は地方の学生で、そのキャンペーンに呼応して、何か我々でできることはないだろうかということで始めたのが学生たちによる募金運動でございます。この募金運動が、今はあしなが募金という形で春秋、春秋とずっともう二十何年続いておりますので、ここの会議室にいらっしゃる皆さんも街頭などでいつもお見かけをされたり、あるいはもう大半の方が応援をしていただいている。  きょうまで延べ一億二千万人、ほぼ全国民がこの募金運動に応援をしていただいたような、そういう募金運動の最初から実は学生時代に携わっ  て、そういう交通遺児のボランティア運動に加わった一員でございますので、特に今こういうことで、この財団法人交通遺児育英会が社会的に何か内紛があるとか、そういうことが書かれておることに対して非常に心配もし、監督官庁でもございます総務庁の方にこの件できょうお尋ねをさせていただきたいと考えました。  この朝日の大きな記事でございます「官僚支配だ」あるいは「私物化だ」、お家騒動のように書かれております。当然、監督官庁の総務庁の方でも、この件、これだけの社会的な問題に今なりつつありますし、いろいろ事情聴取などされたかと思いますが、まず、私自身これにずっと携わる中で、総務庁のOBの方が理事長に天下ったということでございますし、それからそれ以後の運営自体も含めて、やはり何か官僚が支配しているようなイメージを与えているのではないかということでございますが、まず、総務庁の方の御所見を担当の方からでもお伺いしたいと思います。
  195. 根本芳雄

    ○根本政府委員 お答えいたします。  今、先生御指摘の天下りとか官僚支配という意味がどういう意味合いなのか、ちょっとわかりづらいのですが、この交通遺児育英会、この運営につきましては、先生御承知のように評議員会がございます。大勢の有識者あるいはいろいろな方がいらっしゃる。その中で選ばれた理事の方々、この理事の皆さん方を拝見しますと、大変立派な方、東大の総長とか文部大臣をやられた方、あるいは大変大きな企業の皆さん方、そしてまた先生がやられたような活動をずっと二十数年どころか三十年も続けられている、こういう方が大勢なさっているわけです。  その皆さんの中から今回宮崎理事長が互選された、こういうことでございますので、これは総務庁であろうがどこであろうが、どういう方であろうともそういう適正な手続に従ってなられたということで、これは、見出しにはそういう言い方がしてございますけれども、必ずしも正確な言い方ではないのではないか、こういうふうに考えております。
  196. 藤村修

    藤村分科員 私自身も、天下りとか官僚支配だとかいう言葉がどういうものかは、正確でないと思います。  それで、総理府の方で、これは何か世間ではそういう言葉が取りざたされて批判の対象にもなることがあるということで、役所からそういう民間の団体に理事や役職員を送り出すような、そういうことの実情調査があるということでございますが、まずその天下りというものの考え方と、それからその調査について少し教えていただきたいと思います。
  197. 香川弘明

    ○香川説明員 御説明させていただきます。  各省庁が所管しております公益法人のうちで、これは最新のデータでございますが、平成五年十月一日現在で元公務員が常勤役員に就任しておりますものの数は七百十二法人でございます。そしてまた、元公務員の数は九百六十九人というふうになっております。  これら公益法人の役員の人選につきましては、法人の事業が適正かつ円滑に行われますように、それぞれの法人におきまして自主性を持って各界から適材を登用しているというふうに私どもは認識しております。また一方、各省庁、監督官庁におきましては、それぞれ所管法人の運営が健全に行われますように、役員の人数とか任期あるいは構成等にも十分留意しながら、厳正な指導監督を行っているところでございます。  また、今後ともこのような国民の誤解を招くことがないように、一層厳正な指導監督を行っていくべきものというふうに考えております。
  198. 藤村修

    藤村分科員 今の天下りというのは、元公務員がそういう民間の団体に就職されるということであろうと推定いたしますが、この朝日の記事、大きな記事でございますけれども、総務庁OBの宮崎さんは「無給、天下りとは言わぬ」というふうにおっしゃっていて、無給であれば天下りでないのかなという感覚もあるのです。  ただ、その後に私自身調査をいたしています。 まず、この総務庁OBの宮崎新理事長が御就任になってから、今日までの二十五年間理事長は元警察のOBでございまして、亡くなったことによって二十五年ぶりに新理事長が生まれたわけですが、その後にいろいろ方針が変わり、内容が変わっているということを調べて聞いております。  例えば一つは、今まで、この団体自体が民間の善意を集めて進学が困難な交通遺児に奨学金を出す、あるいは指導、教育をするというふうな性質からも、できるだけ事務局体制は簡素にということではあったようですが、宮崎新理事長就任早々に理事長室というのができたそうであります。  あるいは、そこに週二回は来ていただいて、それで、私自身もそこの中の者であったことがありますからよく知っておりますが、ある意味で今日までは非常に運営が民主的にというか、みんなで相談をしながらやっていたものが、どうもこの新理事長が就任されて以来いつも理事長指示で事が運んで、内部の会議すら行われていない。  それから、これは内部のことでございますけれども、もう一つ、人事面においても、総務庁のOBの方が二万入っていらっしゃって、これは職員でございます。それで、この方、まだ二年にならない総務庁のOBの方は今までは課長待遇であって、それが宮崎新理事長が就任された途端に課長を飛び越して事務局次長に、ある意味では二段跳びで出世をされた。そして実質上の事務局の監督に当たらせているという。ですから、これは宮崎理事長自身の監督ではないにしろ、官僚支配だというものが今一つそこに出てきているのではないだろうかと思います。  それからさらに給与面で、これは規程なりがあるわけでしょうから、やはり規則どおりにやるのが、当然監督官庁もそういうことをきっちりと指導されるのだと思いますが、その総務庁OBの方が二段跳びで昇進されたのに伴って昇給をされた。もう一方の、やはり総務庁のOBの方がいらっしゃる。この方は昇進はされませんでしたが、右へ倣えで同じように二段跳びの昇給をされてしまった。これは同会の給与規則上もちょっと考えられない非常な厚遇といいますか、規則に違反しているのではないかと思えるわけです。  総務庁という役所が各行政官庁の給与面とか人事面とかいうことについて調整なり指導なりをされるという立場で、特に総務庁の監督下にあるこの財団法人交通遺児育英会のことについてこれらの事実があるということを御承知なのかどうか、あるいは、これらを考えたときにやはりこれは問題があると思えないかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  199. 根本芳雄

    ○根本政府委員 お答えいたします。  二つ御質問があろうかと思いますけれども、一つは、理事長がかわったからいろいろ変わった、これはおかしなことではないか、それからもう一つは、給与をぱっと上げてしまったのはどういうことなのか、こういうことだろうと思います。  第一点につきましては、実はこの交通遺児育英会、二十数年の歴史がございますけれども、会長は最初永野重雄さんがやられて、その後武田豊さんにかわられた。そして理事長は、ことしの一月亡くなるまで警察庁出身の石井さんがずっとやられていた。それから専務理事は玉井さんが創立以来ずっとなさっていた、大変長い期間、要するに四半世紀にわたってこういう体制でやっていられて、そしてこのたび、理事会でいろいろ議論があった上で、今度は宮崎さんがなられた、こういうふうに伺っています。そういう意味で、それだけ長い間同じことをやっていたのが、少し方針が変わるとか、あるいはやり方が変わるということは、企業でもどこでもあり得ることなので、これは、特に問題にすることがあれば別として、現在のところは、私どもとして問題にすることはないのではないか。  それから、口頭でちょっと伺いましたけれども、理事長室というのも、もともとの会議室にちょっと机を入れて使っている、通常は会議室として使うのだ、こういう報告を受けておりますので、わざわざ狭い事務室の中に理事長室を設けたのではなくて、週に何回か仕事で来るときに使う、その他のときは、もともと会議室として使っていたのでそのまま使っている、こういうふうに聞いております。  それから、給与の面でございますけれども、これは事務局の方に聞きますと、前々から昇給のことは考えていたので、別に総務庁の出身の人だけではなくて、もともと生え抜きで採用された方も、また新日鉄出身の方も一律にそれにふさわしい昇給をした、こういうふうに報告を受けておりますので、先生御指摘の、一部だけ厚遇したということには当たらない、こういうふうに口頭で報告を受けております。
  200. 藤村修

    藤村分科員 一点目、二点目は、中のことでなかなか見えにくいわけですが、給与については、これは規則があるわけですね。それで、過去もずっと、今室長お答えいただいたとおり、新日鉄のOBの方とかあるいは総務庁からも、今日まで何代か入れかわって来ていただいて、ただ、今日までの二十五年間については、発足当初を別として、おおむね役所から来ていただく方については、若い人たちが働きやすいようにという配慮も非常にあって、ある程度黒子的な役割で、それも待遇的にもいつも課長待遇ということで、大抵の方は六十歳を過ぎているし、ほぼ昇給もストップをする、そういう世間の通念に従ってやっておった。  ところが、今回、規則上も、まず二年にも満たない方が二段階の昇任、そして俸給表によりますと、何か四段ぐらい飛び上がったということ自体が、まず規則にはちょっと書かれていないものですから、そういうことができるのだろうかと。もちろん、ほかの方もそれに従ってやったとすれば、これはお手盛りの給与ではないかということが、やはり民間の善意を集める団体としては批判が来るのではないでしょうか。  そういう意味で、そのことをまずお調べになるか。総務庁の役所の中でもそういうことはやはり問題になろうかと思いますし、監督されておる財団法人がそういう実態にあるということについて御承知かどうか、もう一度お聞かせを願いたいと思います。
  201. 根本芳雄

    ○根本政府委員 給与につきましては、この交通遺児育英会は、基本的には大体公務員の給与を援用して運用しているということで、しかも、その運用につきましては、仕事の実績だとかあるいは重要度とか、そういうことを勘案して決めていく、こういうふうに聞いております。そういう意味で、私ども、先生が御指摘のようなことは今のところない、通常の手続に従って上げたと考えております。  例えば、ここの玉井専務理事は、ずっと専務理事をやっていらっしゃるわけですけれども、実は指定職の八号俸という給与をここ三年間取っていらっしゃるわけですが、これは二千万という大変なお金でございますけれども、これも理事会の承認を受けて取っていた、こういうことでございますので、その資格あるいは仕事、そういったものを勘案して理事会あるいは職員につきましては内部の給与規程その他で検討して決めている。ですから、その全体の中のバランスの中で果たしてどういうことなのかと。それで、先生御指摘のように、一万円、五千円というお金を集めていてそういう高い給料を払うのはおかしいということになれば、全体、玉井専務の給与についても問題になる、こういうことになってしまうのじゃないか。  今までの、過去ずっと二十四年間、朝日新聞の記事によりますと、玉井専務さんのお話の中で、これは玉井さんの端の方だけしか引用されていないので、ちょっと間違っている部分があるのかもしれませんけれども、米びつに手を突っ込むと。これはもう先生ずっとこの運動をやっていらっしゃるわけですから、そんなおかしなことはない、きちんとした経理をずっと二十数年間続けていらっしゃるわけですから、そういう意味では、 きちんと運用されている、過去のやり方でやっていらっしゃる、こういうふうに私ども認識しております。
  202. 藤村修

    藤村分科員 給与のことで詳しくお答えいただいたので、ちょっと詳しく御説明したいと思います。  役員の場合はもちろん理事会ということで、私は、高いからいけないとか安いからいけないとかと言っているのじゃなしに、昇給なりきっちり規則に従ってやるならば、だれも文句は言えないし、言わないわけですね。それで、今の総務庁からのOBの方お二方で、お一方が昇給、昇任もされた、ところがお一方は昇任は全然ない、課長待遇のままである、しかし同じように昇給をしたというのは、規則上そういうことは書いてないわけですし、これはちょっとお手盛りと言われても.しようがないのかなということを申し上げたかったわけで、これについてもう少し調べていただいて、また後日にでもお答えいただいても結構でございます。  次に移ります。  この財団法人、本当に国民の善意をずっと集めて募金運動、それから何より、あしながおじさんという制度をつくったのもこの財団の特色で、これは社会的な広がりを見せて、過去、このあしながおじさんからは百十五億円ぐらいのお金を、毎月のように庶民の本当に小さなお金を集めて、いただいているわけでございます。  そういう中で、一方、交通遺児の数はぐんぐん減ってきた、あるいは実際に事故の補償金などもふえた関係もあって、この育英奨学金を必要とする人の数は、当初からいえば四分の一ぐらいになったということでございます。その間ずっと、過去、運輸省の補助金も受けてこられたのですが、昨年になって、返還金も年間十八億ぐらい返ってくるということから、昨年はその補助金もゼロになった、あるいはあしながおじさんのそういう寄附もお断りしていいのじゃないか、あるいは私たちの関係した学生の募金運動のこういうお金ももうお断りしていいという、ある意味では豊かになって財団が今あるというところでございます。  ところが、ちょっとわからないのは、平成七年度に関して、またこの財団法人が、過去のいわゆる補助金枠というのか、それを利用するために三億七千万円の補助申請を行っていらっしゃる。去年、もう補助金はゼロになってほぼ要らない、そして寄附の方も、大きなあしながの寄附も、あるいは学生の募金運動の寄附もお断りしているという財団が、平成七年度に関してまた三億七千万の補助金申請をしているというのは、これはちょっと理解にかたいわけであります。宮崎さんが過去常々、こんなに資金があって補助金をもらっているのかと疑問符を投げかけられていたほどの財団法人でございますから、これはどういうわけか、よくわからないのですが、お答え願いたいと思います。
  203. 根本芳雄

    ○根本政府委員 お答えいたします。  今の宮崎理事長の御発言とか、平成七年度の補助金の申請の手続については、私どもはまだ報告を受けておりません。ただ、これは基本的には、理事会でいろいろな御議論をした上でこういう仕事をするということで、この場合は運輸省に申請するのであろうと思います。そういうことで、私どもは、これについて、今のところ、それなりの事由があってやられると、そして運輸省において基本的にそういう観点で審査されると、そういうことだろうと思います。全体として後でおかしいというようなことがあればともかく、今の段階で私どもでこれについて対処するということはあり得ない、こういう段階でございます。
  204. 藤村修

    藤村分科員 これらの問題点の中で、過去ずっと御支援をいただいてきた石田長官に、こういう現状があるということも御認識をいただきながら、私は二つのことを申し上げたいと思うのです。  一つは、私も含めてですが、過去、そういう全国のボランタリーな学生たちが交通遺児を救済しようとして運動を始めた、そして、それによって奨学金が細々と出し始められた、そして、その奨学金を受けて今度はその受けた人たちが、民間の財団ですので、単に奨学金を貸す団体にとどまらず、教育、指導という面に非常に力を入れられた、そういうことでこの奨学金を受けた学生たち自身がまた、これは後輩たちのためにということで募金運動にも立ち上がった、ある意味では恩返し運動と言えると思います。  そういう民間の育英財団でございますが、単にお金を貸すだけでない、ここは、官でやる日本育英会を含めてやっぱりちょっと違う味のあるところだと思うんですね。そういう運動が広がりを見せ、そして若い人たちの間にそういうボランタリーな気持ちが広がっていく、これが日本の社会に非常に必要なことではないかと思うんです。  特に、ちょっと話は飛びますが、高齢化社会と言われて、当然行政が、国が施設を整備する、医者をあるいは看護婦を配置する、こういうことは必要ですが、それに加えてボランタリーな気持ちを持った周りの人たちがお年寄りを介護、介添え、支えていくというようなそういう気持ちの盛り上がりを、この運動は二十五年間、約四半世紀、あしなが運動あるいはあしなが募金という形で、一つのモデルとして社会に提供してきてくれてはいないだろうか。  そういう中で、総務庁OBが理事長さんに今回就任されたことで、何かもとのお役所流の育英財団になってしまったのでは、過去の二十五年の本当に善意の結晶が何か水の泡になってしまわないだろうか、そういう心配を抱くわけでございます。ぜひとも、総務庁が監督をされる中で、そういう新しい発想といいますか、私は去年の選挙のときにもこういうフィランソロピーという考え方を訴えて出てまいりました。これから高齢化社会に向かう中で、行政は行政で当然必要なことをしていくのだけれども、それに加えて、やっぱり民間の活力といいますか、交通遺児育英会も本当にあしながおじさんだとか学生の募金が支えてきている、そういう民間の活力を誘導しながらこの運営について指導監督していただきたいなということが一つ希望でございます。  それからもう一点は、この新聞記事では、玉井専務理事は辞任をされておりますので、今、専務理事ポストは空席でございます。今後、当然これがまた出てくるんだろうと思いますが、今後よその官庁も含めて、こういう民間の財団で、ずっと二十五年、そういう形でやってきたものに対してはもうこれ以上役所からOBを送るというふうなことはしていただきたくない。その辺について、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  205. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 いろいろお話を承りました。過去の二十数年にわたる、まさにボランティア的な発想でこれだけの事業を育ててこられたということは、大変社会的にも意義のあることだというふうに思っているところでございます。  確かに、これからの高齢化社会を考えましても、行政がオールマイティーではございません。やはり財政的な面でもすべて行政が賄えるというような問題ではないわけでございますから、そういった一つの大きな流れをつくってきたことについては、当然行政側としてもそれを尊重すべき姿勢でまいらなければならないというふうに思うわけでございます。  ただ、監督官庁というお話でございますけれども、私どもがそういったそれぞれの団体に一番期待をいたしておりますのは、その団体が設立の趣旨に沿って活動をしていただくことが望ましいわけでございまして、そういった社団法人みたいなものが公益性を認められてできたわけでございますから、それがいわゆる本来の目的以外の収益活動をやるというようなことは、これはやはり設立の趣旨とは違うわけでございますので、厳に慎まなきゃならない。現に私も、各省庁に対しまして、そういう目的以外のことで収益活動というものは厳に慎むべきだと。いろいろな恩典もあるわけでございますから、そのことを考えてもそういった収益事業は厳に慎むべきであるし、それは 厳重に監視していただきたい、監督していただきたいということを申し上げた経過がございます。  ですから、今御指摘になった問題がまさにそういった社団法人あるいは公益法人の中で行われるというようなことであれば、行き過ぎについてはもちろんいろいろと御注意も申し上げ、御注文も申し上げるということになろうかと思いますが、やはり自主的に運営をしていただくべきそういう一つの機構なわけでございますので、もし問題ありとせば、その機構の中でのいろいろな御議論の中で修正をしていただくことが一番望ましいことだということを付言さしていただきたいと思います。
  206. 藤村修

    藤村分科員 石田長官、ちょっと勘違いされているかもしれません。収益事業という部分は全くきょうまで問題になったこともない、実は一つもございませんので。(石田国務大臣「いや、そういうことはやっちゃいけませんということを全体的に申し上げているわけです」と呼ぶ)はい。  総務庁の方では、公益法人の運営に関する指導監督基準ということできっちりこれは出されておりまして、こういう基準のもとで当然進めていただける。ただ、先ほどの室長の方に、今お答えいただかなくて結構ですが、給与規則に反して云々という部分は、これはやっぱり明らかにそういうことがあるかどうか、それはちょっとお調べをいただきたい点と、それから次期専務理事のことでまた相談がもしあったとしたらどう受けとめられるのか、どうお答えになるのか、これ以上送らないのか、そういうことをお答えいただいて、最後にしたいと思います。
  207. 根本芳雄

    ○根本政府委員 私ども、給与については、何度も申し上げましたように、基本的には規程がある、それから、当然理事会としての基本方針があり、監査法人にきちんと見ていただいている、そういうことで何もない、こういうことであれば私どもは問擬する必要はないと考えています。ですから、今どうなっているのか、私どもは報告は受けておりませんが、口頭では、そういう規程に従ってやっている、当然また監査法人に違うことをやれば指摘される、それを待って私ども対応すれば足りる、こういうふうに考えています。  それから、専務理事については、これは私どもが送るとか送らないということではなくて、まず、先ほども申し上げましたように、理事会というよりも理事に評議員から選ばれて、その理事の間で互選、こういう格好でございますから、私どもが送るとか送らないというよりも、この評議員会の皆さん方、そして理事の皆さん方がこの人がいいというふうに人格、識見を含めて考える、こういうことだろうと思いますので、私の方から送るとか送らないとか、こういうことを申し上げる立場にはございません。この財団法人とかあるいは社団法人の運営につきましては、基本的には私的自治の原則、本当にまずいところがあれば指導申し上げる、こういう立場でございますので、何度も申し上げますけれども、これは理事会の問題である、こういうふうに申し上げたいと存じます。
  208. 藤村修

    藤村分科員 石田長官には、今後とも本当に御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。  それから給与について、やっぱり規則に違反しているということが、特にこういう民間の善意でやっている財団ですから、そういうことが社会的にも問題になるということがあってはいけないものですから、その辺はよく注視していただきたいと思います。  これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
  209. 宮本一三

    宮本主査 これにて藤村修君の質疑は終了いたしました。
  210. 宮本一三

    宮本主査 次に、防衛庁について質疑申し出がありますので、これを許します。秋葉忠利君。
  211. 秋葉忠利

    秋葉分科員 社会党の秋葉でございます。  実はかなり前のことになりますが、江田島の第一術科学校におけるリンチ事件というのがありました。私の選挙区のすぐ近くなもんですから、関心を持ちまして、いろいろと調べて、そのことをきょうは伺いたいと思うんですけれども、その前に、長官に一つ伺っておきたいんですが、実は、このところマスコミでも報道されておりますように、我が国政府が国際司法裁判所に対して、核兵器の使用は国際法違反ではないという趣旨の陳述書といいますか、そういう意見を送付するということが報道されております。  その点について防衛庁長官としてのお立場からお考えを伺いたいのですけれども、これは一般論としてお答えいただければ結構なんですけれども、仮に、ある国、A国というふうに呼んでおきたいと思いますが、その国が国際司法裁判所に対して核兵器の使用は国際法違反であるという陳述書を出した場合と、その全く逆の陳述書を出した場合とを比べて、仮に防衛担当者から考えた場合に、核兵器の保持ということの関連で、核兵器を使うことは国際法違反だということを主張する政府のもとで核兵器を保持することの方がいろいろと障害が多いだろうというのは常識として考えられますけれども、長官もそういうふうにお考えになるかどうか、お願いいたします。
  212. 神田厚

    ○神田国務大臣 直接のお答えになるかどうかわかりませんが、外務省の方が取りまとめて陳述書を出そうということでございます。ただ、私は、やはり今日本がとっております核の政策は非核三原則を守るということでありますので、そういう精神でやっていきたいというふうに思っております。  外務省が今一生懸命取りまとめておりまして、連立与党の話し合いとかいろいろな御質問などを勘案しましてやっておりますので、一方的な話し合いにはならないんではないかと思っております。国の従来からの答弁は答弁としてありますが、私どもはやはり非核三原則の政策に沿って答弁書は書かれることが望ましいと思っております。
  213. 秋葉忠利

    秋葉分科員 ありがとうございました。  非核三原則を堅持する。もっともそのうちの一つはかなり危うくなっているという一般的な理解がございますので、そこのところも考えに入れると、非核三原則を守ると言いながら、一つもう危うくなってしまっている、それを一体どうすれば守ったことになるのかというのが自然な、常識的な次の疑問になるわけですけれども、そこのところはとりあえず置いておいて、私が今お伺いいたしましたのは、非核三原則の問題ではなく、これが国際法違反であるかどうかというところに関して、違反であるか違反でないかというどころは例えば非核三原則とも関連するところですけれども、にもかかわらず、外務省は、これが国際法違反ではないという立場を主張しようとしているわけです。  そのこととは別として、その影響ということを考えるに当たって、やはり防衛の担当者から考えた場合に、これは常識的な答えを私はお願いしているつもりでございます、特に踏み込んだ、日本がどうする云々ということを伺っているわけではありませんけれども、認識の問題として、やはり防衛庁長官であっても常識は通用するんだということをここで確認しておきたいわけでございます。  その意味で、核兵器の使用は国際法違反であるというふうに主張する国にあって、その国の防衛担当者がそれでも核兵器を持つということは恐らく逆の場合と比べてより困難であろう。それは一般論ですから、特別な個々の場合にはまた違った原則が出てくるかもしれませんし、事情が出てくるかもしれません。しかしながら、一般論としてはそういうふうに考えるのが普通だろうというふうに私は思うのですけれども、長官もそういうふうにお思いになりますか。そこのところを一点だけ伺って、次の質問に移りたいと思います。
  214. 神田厚

    ○神田国務大臣 先生のお話もよく伺っておりま すが、私ども、核が使われないということを厳密な意味では考えておりますし、そういうところで、被爆国であるという事情もございまして、私ども自身は非核三原則の政策をきちんと守っていくということでございます。
  215. 秋葉忠利

    秋葉分科員 済みません。前半のところの核が使われないという、それは前提ですか。それとも具体的な事実認識として核は使われないということをおっしゃったんでしょうか。
  216. 神田厚

    ○神田国務大臣 前提というよりは、私ども実感として核は使われないべきであるというふうに考えておりまして、そういうふうに思っております。
  217. 秋葉忠利

    秋葉分科員 核は使われるべきではないというお立場だと思います。  そうすると、これはそういった国際的な常識がいわば国際法の基礎にあるわけですから、どちらかというと長官のお考えでは、核の使用というのは国際法違反に近い、少なくとも、違反とは言わなくても違反に近いというお考えだというふうに解釈してよろしゅうございますね。
  218. 神田厚

    ○神田国務大臣 これ以上詰めていただきましても、なかなか微妙な問題でございまして、先ほど来から答弁をしました範囲で委員の方が御推測をいただけると思っております。
  219. 秋葉忠利

    秋葉分科員 ありがとうございました。いっか機会をとらえて、公式の場ではなく、長官の率直な個人的な見解をお聞かせいただければ大変ありがたいと思いますので、きょうはこの問題についてはそれだけにしたいと思います。  江田島の自衛隊の第一術科学校における、これは通称ですけれども、リンチ事件というのがございました。大分前の話になります。約二年前でしょうか。そのときも週刊誌等にはかなりセンセーショナルな報道がなされました。そのうちの幾つかについては具体的に調べましたけれども、事実の部分もありましたし、私が確認できない部分もございました。しかしながら、それ以上に、まあ被害者と言っていいと思いますけれども、実は被害者の二人の少年にも私は会ってまいりましたけれども、その中で痛感いたしましたのは、これが非常に重要な教育問題であるということです。  自衛隊の存在そのものは、自衛隊というのはそもそも教育機関ではありませんから、その学校において立派な人材を育てるということが、何といいますか、その人間のポテンシャルを最大限に開花させるといったような教育本来の目的が必ずしも第一義的な目的ではないと言われても、そうかなというふうに納得する面があるわけですが、同時に、若い人を養成するという教育的な面もある。その教育的な視点がいささか欠けていたのではないか。いささかというのはかなり自衛隊に対して親切な表現を使っているつもりですけれども、そういう実感を持ちました。  その観点から、その後の対処について、まず、事件の概要については改めてここで申し上げるまでもないと思いますけれども、その後、教育的などのような配慮を行われたのか、事後処置について伺いたいと思います。
  220. 上野治男

    ○上野(治)政府委員 お答えいたします。  先生、今御指摘の事件は、平成四年四月に起こった事件でございます。確かにリンチと言われるものがあったということは事実だろうと思っております。問題は、これが自衛隊の中の組織だから起こったということではなく、我が国で最近各種のリンチ、学校におけるリンチ問題がいろいろ話題になりますが、それとほぼ同じような意味で起こってきたのだろうと思います。学校においては、一年違えば神様も同様というような感じの中で先輩が非常にのさばるとか、そういう面があろうかと思います。  自衛隊の今おっしゃられました江田島にある第一術科学校の生徒部というのは、一つは私どもの職業訓練の場ではございますが、あわせてこれは普通の文部省の基準に合わせた高等学校として設置しております。したがいまして、それに合わせての教育も行っているということは事実だろうと思います。  したがいまして、この事件が起こりました後に、この教訓として幾つかの問題を引き出してみました。先ほども申し上げましたが、必ずしも自衛隊だから起こったということではなくて、世の中によくあるものの一つという理解の仕方もあったわけでございますが、問題は、いずれであっても、先輩が非常に後輩思いの先輩ではあるのでしょうけれども、新たな、まさに歓迎するような気持ちだったんだろうと思いますが、先輩が出てきてしごきをしたということだったと思います。  問題は、学校におきましては、特に自衛隊の組織では階級制度もありますし、上の階級の者の指示あるいは命令に従うということは常に重要でございますから、そういう面で平素も学生の間から先輩が後輩の面倒を見る、指導する、そういう能力を養うということを重視しております。  しかし、そういう中でこういう事件が起こったのだという反省の中から、従来学生同士でもって先輩が後輩を指導するということを重視してきましたが、この機会に、学校の中で今までありました学校の班編成あるいは分隊の編成のような編成を従来より小さなものにつくりかえております。従来は六十何人の学生に対して一分隊につくっておりましたが、その翌年は一つの分隊が二十数人、そしてその下に十数人の班で編成する、それぞれに幹部がついておりますが。ですから、一人の幹部が十数人を面倒見ればいいというような形でもって非常にきめ細かく指導できるような形にしていって、学生自身におけるお互いの指導強化というよりは、むしろ教官による、熟練した先輩による指導というのを重視するようにしてきた次第でございます。
  221. 秋葉忠利

    秋葉分科員 今のお答え、私半分唖然として伺っておりました。これが本当によくあるものの一つとして自衛隊としては処理をなさったわけですね。今おっしゃったように、これはほかの学校においても起こっているいじめと全く同じだという認識しかお持ちになっていない。その舌の根が乾かないうちに自衛隊の学校の中には階級組織というものがあるということをおっしゃっているじゃありませんか。  それでは、ほかの日本の高校とか中学とかそういったところで起こっているさまざまないじめ事件の背景にも同じような階級組織というものが、自衛隊と同じような階級組織が全く同じに存在するということですね。そういう暴論を何で平気で言えるんですか。階級組織がこの背景に非常に大きくあるということはあなたも今お認めになったとおりじゃありませんか。そのことを言いながら、よくある事件の一つだ。どうしてそういうことが言えるんですか。全く反省がないというふうにこれはとらざるを得ないですね。  私は、実はあの江田島の術科学校の方や当時の自衛隊のいろいろな方々とお話をいたしました。その方々のこの問題についての対処の仕方というのは、それは問題は私はあると思いましたけれども、それなりにきちんと自分たちの問題意識を持って、どういう方向で解決をしていったらいいかということを考えておられた。そういう方も中にはいらっしゃいました。そういった方々の真摯な反省をまるっきり生かしていないじゃないですか、今の答弁では。ですから、私はそういった方々にかわって非常に今憤っています。これは、この分科会ではなくて、もう少しきちんとしたところで改めて洗い直して検討しなくてはいけない問題だということを今認識いたしました。その点について感想を聞かしてください。
  222. 上野治男

    ○上野(治)政府委員 お答えします。  今の答弁、言葉が足りない面があったかもしれませんが、私の申し上げておりますのは、自衛隊だから起こるんだということでなくて、やはりこの問題の解決の仕方としては、この人たちの多くは十五歳から十七歳の若い生徒さんでございましたから、将来がある未成年の人を指導するにはどうしたらいいだろうかということを考えたときに、自衛隊だからと考えるより、むしろ若い人に 起こりがちな問題としてとらえて対策を練った方がよりよい解決ができる。  最近、残念なことでございますが、各地でもって私的制裁、リンチの問題というのが話題になります。だから、自衛隊があっていいというのじゃなくて、自衛隊も同じような問題を起こしてしまった。だとすると、同じような見地から解決策を考えた方が将来にとってあるいはその当該の学生さん、生徒さんたちにとってみていい結論が出るだろう、そういう見地から申し上げているわけでございます。そういう面で言葉が足りなかったらばお許しいただきたいと思います。
  223. 秋葉忠利

    秋葉分科員 ほかの学校と同じように若い人を預かっている教育機関だという認識があって、その点においてほかのところと変わらないということをおっしゃいました。  それでは伺います。  その術科学校の担当教官であった「ますだ」二等海曹ですけれども、教育に関して、若い人の特にこういった問題について、さらに、ここは全寮制ですから非常に閉鎖された社会である。しかも、新聞も自由に読めない、ラジオも自由に聞けない、外出は禁止されている。非常に厳しい制限がついて、これはほかの学校とはまるっきり違います。しかも、上下の階級社会である。しかも、そこにおいては予科練時代からの、予科練時代といいますか旧大日本帝国軍隊時代からのあしき伝統であるしごきが残っている、そしてそういったものが脈々と流れている。  そういった背景をすべて含んで、なおかつ適正な、そして子供たちの立場から考えるとやはり心理的にもあるいは身体的にもきちんとした配慮の行き届くような教育が行われているという主張だと思いますけれども、この「ますだ」さん初め教官の方々が、そういったことをするに足る十分な教育的な訓練をどこで受けたのか、どういう資格を持っているのか、それをお答えいただきたいと思います。
  224. 上野治男

    ○上野(治)政府委員 お答えします。  現在、江田島の術科学校の生徒部で行われている教育は、これは四年制の通信教育という形になっておりますが、その学校の中心になる部分は十五人の教官がおりますが、その人たちはいずれも高等学校の一級ないし二級の資格を持った人たちで構成されておりますし、すべて普通の教官として、しかも科目はほとんどが通常の高等学校と同じ科目が教えられておるものですから、そういう面では同じだろうと思っておる次第でございます。
  225. 秋葉忠利

    秋葉分科員 「ますだ」二等海曹に対して行われたその後の処置はどういうものであったかお答えください。
  226. 上野治男

    ○上野(治)政府委員 お答えします。  今の問題は、確かにおっしゃるのはわかりますが、学校ということを考えますと、今私が申し上げました十五人の高等学校の教官の資格を持った人たち、その人たちが学校の教官でございます。そして、そのほかに学校にいろいろな形でもって教育の補助をする人たちがおりますが、今先生御指摘になりました二曹というのは、そういう面では教育の補助者ということだろうと思います。ですから、そこに行き過ぎがあったのだということは私どもとしては反省しなければならない問題ですし、それが今後の課題として出てくるわけでございますが、あくまで学校の教育の場でいけば教育の補助者であったと思っております。
  227. 秋葉忠利

    秋葉分科員 名前はどうでもいいのです。実質的にどういうことが行われたかということが問題で、しかもこのリンチ事件が起こったのは学校の教室内ではありません。いわゆる生徒部と言われているところですから、これは寮です、はっきり言って。それで、寮の担当をしていたのがこの「ますだ」二曹じゃありませんか。今までのお答えはまるつきり答えになっていない。  それから、「ますだ」二曹のその後の処置についても、これは処分の理由というのもかなりわかりませんけれども、その後、結局は横須賀の教育隊に転勤されているはずですね。これも非常に異常な形で行われている。そもそも、もともとは阪神基地隊というのですか、そういったところが任命権者になっていたものが、任命権者が変わって転勤をするということは、非常に自衛隊の中にあっては異常な状態であると言われながら転勤をしている。これはやはりかなり厳しい態度で自衛隊の方は臨んだというふうに私はとっておりましたけれども、今のお話では、要するに一生懸命言い逃れをされているにすぎないじゃないですか。  この人がかなり重要な役割を果たし、リンチ事件の背後にいて、少なくとも最低限このリンチ事件を察知してそれで適正な指導をし得る立場にあったにもかかわらず、そういったことをしなかったというだけでも重大な責任だと私は思いますけれども、諸般のいろいろな人たちからの聴取をしてみますと、この方が、僕は個人的にこの人を云々して、恨みがあって言っているわけではありませんけれども、事実関係としてかなり重要な役割をリンチ事件において果たしている、その認識があったからこそ転勤したわけじゃないですか。それだけの処置をしておきながら、今の答えは何ですか。教育の補助者だからまるっきり関係がないみたいな話じゃないですか。そういうことをやっているからいつまでたってもこういった問題がなくならないというふうに私は思います。それで、時間がありませんので、これについてはまたほかのところで十分時間をとって質問をしたいと思いますし、この後のさまざまな問題についても、問題提起をしていきたいというふうに思います。  ここで、実は私がもう一つ申し上げたいことは、この術科学校に入った生徒たち、最終的には健康を回復いたしました。一〇〇%回復したと言えないかもしれませんけれども、少なくとも私がこの生徒あるいはその両親に会った時点ではそれほど大きな障害が残るといった状態ではありませんでした。ですから、それは不幸中の幸いでしたけれども、しかし、そこで非常に大きな問題として提起されたことは、自衛隊のこういった若い人たちのいわばリクルートの仕方が非常にフェアではないという問題が提起されました。  例えば、この片方の生徒ですけれども、仮にA君というふうにしておきましょう。このA君は、もともと飛行機が好きだったので、ともかく飛行機に乗りたかったということで、熊谷にある航空学校ですか、そこに入ったということだったのですけれども、結局どうしてそこに入ったかというと、もともとの説明が、防大にも行けるぞ、ここに入れば防大にも行けるんだ、それから、高校も普通科があって、ちゃんと勉強すれば普通の学校にも行けるんだというようなリクルートのされ方をした。ところが、入ってみたら普通の教育というのとはほど遠く、訓練、訓練、しかも電気科だった。普通科はなかった。みんなが授業中は寝ているような、非常にたるんだ雰囲気の中で、とてもこういうところには耐えられないというのでここをやめて、今度は術科学校に、その間にしばらく時間はあるのですけれども、入ってきたというようなことを話してくれました。問題としては、こっちの問題の方がやはり大きいんじゃないかというのが親御さんの感想でした。  子供の夢をかなえたいというのは親の非常に切なる思いです。その観点からして、少し自分の子供に対して甘い考えを持っているところがあったのかもしれません。しかしながら、やはりリクルートの仕方として、ありもしないこと、例えば後で資料で見ましたけれども、実際に自衛隊の中の組織から防大に入る人というのは、本当にラクダが針の穴をくぐるような難しさだということがよくわかりました。それをあえて、こういうところに入れば防大に行けるんだぞというようなことで何もわからない子供をつるとか、ありもしない普通科が中にあって、それで大学にも行けるんだというようなことを言ってリクルートをしたりといったようなところ、これはやはり非常に大きな問題なんじゃないでしょうか。そのあたりのところ、認識をお聞かせいただきたいと思います。
  228. 三井康有

    ○三井(康有政府委員 お答え申し上げます。  自衛隊員の募集活動でございますけれども、これは、地方連絡部の広報員というものが行う学校に対する説明会や家庭訪問等の個別広報と、もう一つ繁華街などにおいて行われます広報、展示等の市街地広報というものがございます。このほか、広報媒体を利用いたしました募集活動としましては、テレビ広告、各種ポスターとかパンフレットの配布、ビデオの活用といったものがございます。  実際の募集に当たりましては、こうした各種の募集方法をあわせまして、より良質な隊員等を確保すべく最大限の努力を払っておるところでございます。このような募集活動の際に、自衛隊の職務内容、勤務条件やあるいは身分、給与といった処遇についても適宜説明を行いまして、職業としての自衛隊員というものが正しく理解されるように努めているところでございます。  学校に行けるとかいった点でございますけれども、自衛隊におきましては、大学の二部でございますとか専門学校といったような学校への通学とか通信教育を希望する隊員につきましては、部隊長等の許可などを受けて部隊から通学をさせているという実情がございまして、募集の際にこういった実情を説明することはございますが、特にこれを誇張しているといったものではないというふうに理解をいたしております。
  229. 秋葉忠利

    秋葉分科員 具体的にリクルートをされた生徒がそのことに不満を持っているわけですから、それを今申し上げているわけで、そこのところはやはりきちんと聞いていただかなくては困ると思います。  そういうことはやらないはずになっているからそういった例が存在しないということは、この被害者の、自分が実際に受けた問題について、結局防衛庁の方でまるっきり存在を無視しているということになるわけですが、実は、今そういうような説明をしたのは、この二人の生徒がリンチを受けた後にその自衛隊の術科学校の人たちから受けた態度と全く同じなんですよ。  例えば、保険がきかないというようなことを脅されたり、保険を使うととんでもないことになるぞというようなことを脅されたり、それから具体的にだれがやったのか教えてくださいと言っても会わせなかったり、それから何回電話をしても電話が返ってこなかったりとか、そういうひどいことをやっている。それで、そういうことに対して質問すると、いや、こちらではきちんと対応していますというような答えしか返ってきていない。今のお答えと全く同じです。そういったところが実は問題だという問題提起をしたがったわけですけれども、図らずも、私が申し上げるのではなくて、皆さんのお答えが私の問題提起をしたいことをそのまま如実に見せてくださいましたから、これはまた別のところでしたいと思います。  もう一例、実はこの一連の問題に関連して問題提起をしておきたいことがございます。  それは、これは小平の調査学校でしょうか、これもかなりセンセーショナルに報道されましたけれども、昨年の冬ですね。結局、いろいろな問題点がございますけれども、この学校の中で行われていたことの一つは、投書作戦。その投書作戦そのものというのはそれほど悪いことではないと思います。どういうような組織でも、やはり自分たちの信じている目的のためにさまざまな世論に訴えかけるということは必要ですから、それはそれで構わないと思いますし、どこでもやっているところだと思いますけれども、問題なのは、こういったところで実はうそをついた。本当は本人が書いたのじゃないのに、にせの投書と言っていいかもしれませんけれども、そういう虚偽の行動、うそをつくことをいかにうまくするかといったようなことを教えているというところが非常に私は問題だと思うのです。  これは学校というのですから、当然生徒がいるわけでしょう。その生徒が教わっている内容は何かといえば、教育の一つの目的というのは真実を追求するということがあるわけですけれども、その逆の、いかにうまくうそをついて人をだますかということを教えられたということになると思うのですけれども、その点はいかがですか。
  230. 上野治男

    ○上野(治)政府委員 今先生の御指摘になりましたのは、昨年の一月の朝日新聞に掲載された記事に基づいてのことと思います。  その新聞の記事によりますと、十年ちょっと前に自分がそういうような教育を受けたという記事になっております。それに基づきまして、私どもで幾つか調べてみました。新聞に投稿したことがある云々ということにつきましては、詳細なことはわかりませんが、おおむねそのようなことが行われていたということは事実であろうと確認されております。詳細についてはわかりません。  したがって、私ども、正直なところ言いまして、今日の社会において、そのようなことが現実に行われて、それが効果があるのかと言われますと、今のように非常にマスコミの発達した社会においてかなり時代錯誤なものだな。ですから、少なくとも今日にはそういうような教育は行われておりませんし、当時もそういうことが行われていたのかなという感じをむしろ持った次第でございます。
  231. 秋葉忠利

    秋葉分科員 それともう一つ問題提起をしておきたいのですが、自衛隊の、少なくとも私が聞いた限りでは、少し親切な表現をしたとしても、誇大広告をして人を集めている、こういう実態があるわけですけれども、にもかかわらず、自衛隊の質の低下といいますか、新入隊員あるいは教育を受ける人たちの質の低下ということがかなり問題になっているという結果が出ているそうですけれども、質の低下についてはどういうふうに認識されておりますか。
  232. 三井康有

    ○三井(康有政府委員 突然のお尋ねでございますので、具体的なデータといったものは今持ち合わせておらないのでございますけれども、先生御案内かと思いますが、昨今の募集状況と申しますのは一時と比べまして大変なさま変わりをいたしておりまして、実は応募される方が大変多くて、これに反し採用の枠というものは極めて小さい。このために、ここ一両年はおかげさまで大変良質の隊員が採用されておるという実情にあるわけでございます。
  233. 秋葉忠利

    秋葉分科員 時間が参りましたのでこれで質問を終了いたしますけれども、この問題、さっきも申し上げましたけれども、ここで一応総括をして、それなりの満足のいく対応ができて余り問題がないという形で一件落着というふうに私は考えていたのですけれども、今のお答えを伺いまして、実は問題はもっと根が深いところにあるという認識を新たにいたしましたので、また機会を改めてこの問題について再調査をしたいと思います。ぜひ御協力をお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  234. 宮本一三

    宮本主査 これにて秋葉忠利君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  235. 宮本一三

    宮本主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。  最高裁判所当局から説明を聴取いたします。金谷事務総長
  236. 金谷利広

    ○金谷最高裁判所長官代理者 それでは、平成六年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。  平成六年度裁判所所管歳出予算要求額の総額は二千八百八十三億一千九百七十九万八千円でございまして、これを前年度当初予算額二千八百三十八億九千八百九十七万四千円に比較いたしますと、差し引き四十四億二千八十二万四千円の増加となっております。  これは、人件費において十九億七千八百七十一万九千円、裁判費において十七億五千五百十八万七千円、施設費において三億六千百三十八万一千円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において三億二千五百五十三万七千円が増加した結果 であります。  次に、平成六年度歳出予算要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず人的機構の充実、すなわち増員でございます。  民事訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件、破産事件の適正かつ迅速な処理及び司法修習体制の充実を図るため、判事補十人、裁判所書記官五十人、裁判所事務官七人、合計六十七人の増員をすることとしております。  他方、定員削減計画に基づく平成六年度削減分として裁判所事務官等三十二人が減員されることになりますので、差し引き三十五人の定員増となるわけでございます。  次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。  裁判運営の効率化及び近代化のため、庁用図書等裁判資料整備に要する経費として七億三千二百四十四万一千円、複写機、計算機等裁判事務能率化器具の整備に要する経費として九億二千四百四十五万七千円、調停委員に支給する手当として六十九億二千六百二十四万九千円、裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として二十九億九百四十七万一千円、通訳人謝金等に要する経費として三億八千三百六十九万円、証人、司法委員、参与員等旅費として九億五千百九十二万一千円をそれぞれ計上しております。  また、裁判所施設の整備を図るため裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として百二十五億三百九十七万二千円を計上しております。  以上が、平成六年度裁判所所管歳出予算要求額の大要でございます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  237. 宮本一三

    宮本主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  238. 宮本一三

    宮本主査 質疑申し出がありますので、これを許します。松沢成文君。
  239. 松沢成文

    松沢分科員 新生党の松沢成文と申します。  きょうは裁判所関係で質問させていただきます。よろしくお願いいたします。  私は、もとより一年生議員でありまして、裁判所の行政がどんなふうに行われているのか、今まで本当に門外漢で知りませんで、今予算の説明がありましたけれども、きょうは何といいますか、国民の目の高さで、ふだん一般の国民が裁判所についてどんな思いなりあるいは要望を持っているか、そんな観点から質問させていただきますので、非常に基本的なことが多いと思いますが、よろしくお願いいたします。  まず第一問日なんですが、裁判所に提起される民事訴訟の件数が非常に多くなってきていると聞いていますけれども、その事件数の動向ですね。どんなふうになっているのか。また、可能であれば、なぜ多くなってきているかというその社会的な背景について、裁判所の方ではどんなふうに認識をされているのか、そこら辺をお聞かせいただければと思います。
  240. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  今御指摘にございましたように、民事事件は最近非常にふえております。代表的な第一審の訴訟事件について新受件数、新しく受けた件数を申し上げますと、最近では平成二年が底でございました。それから三年、四年とふえておりまして、昨年度、平成五年度の件数を申し上げますと、地方裁判所では十五万一千二百二十一件、簡易裁判所が二十二万八千八百四十件、合計いたしまして三十八万六十一件、こういうことでございます。  これはどういう原因かということでございます。  裁判所の事件がどういうことで裁判所に来るのかというのはいろいろな原因があろうかと思いますけれども、私どもが考えておりますのは、やはり何といいましても最近の経済の状況、特に経済不況というのが非常に大きな影響を与えておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。例えば、今までですと取引がうまくいっておったのが不況のために払えなくなったという場合、あるいはクレジットの関係で最近事件がふえておりますが、そういうことで予定しておったところ景気が悪いためになかなか収入が得られなくて、その関係でクレジットなりカード代金が払えなくなった、このようなことで事件がふえておるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  241. 松沢成文

    松沢分科員 三十八万というすごい数の裁判を処理しなければいけないということですが、これだけの事件があるからかもしれませんが、国民の方では、とにかく民事の裁判は遅いというか時間がかかる、これはかなり大きな批判になっていると思うのですね。迅速な裁判というか迅速な解決までなかなか進んでいかない。裁判にどれぐらい日数がかかるのか、その辺の実情についてお伺いしたいのですけれども。
  242. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 これも地方裁判所の第一審の通常訴訟で見てみますと、最近は審理期間はだんだんと短くはなっております。これは、平成二年度で申しますと平均審理期間が十二・九カ月ということであったわけですが、昨年度の平均審理期間は十・〇カ月ということで、三カ月近く短くなっております。それから、簡易裁判所の方で見てみますと、やはり第一審の通常訴訟事件では、平成二年は三・一カ月ということでありましたが、昨年度は二・六カ月ということで、次第に短くはなってきております。  しかしながら、これは全体の事件でございまして、争いのある事件ではどうかということを見てみますと、これは対席事件と申しまして、被告が争っている事件でございますが、その審理期間を見ますと、昨年では地方裁判所では十六・九カ月ということになっております。その中でも非常に困難な事件と申しましょうか、審理期間が六カ月を超える対席事件で見てみますと、二十三・八カ月ということでございまして、二年近くと、なおかなりの期間を要しておる。裁判所ではいろいろな工夫をしましてこれを短くしようということで努力はしておりますが、現実は今のような状況にあるということでございます。
  243. 松沢成文

    松沢分科員 もう一点の国民からの声として、民事裁判は時間がかかるというだけじゃなくて、それを利用する国民の方からしてみれば大変利用しにくいといいますか、利用の仕方がよくわからないという声を聞くのですけれども、その辺の理由というのはどの辺にあるというふうに認識されていますでしょうか。
  244. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 民事裁判の使命は、これは申し上げるまでもなく、個人の紛争を適正迅速に解決をしまして、国民の権利の実現、救済というところにあるわけであります。そういう民事裁判が十分機能しているということが言えるためには、そういう紛争を裁判所にたやすく持ち込むことができる、それが適正な手続で妥当な結果をもたらす、こういうことが必要ではないかと思います。  こういう点から現在の裁判、民事裁判を見てみますと、適正公正というような点については大方の信頼を得ておるものというふうに考えておるわけですけれども、ただ、これが十分国民に利用しやすいものかと言われますと、なお問題はあるというふうに考えておるわけでございます。  その理由といたしましては、一つは、いわゆる五月雨式審理と申しまして、法廷で書面の交換に終わってしまう、何をやっているのか傍聴席から見てなかなかわかりにくいというような点がございます。また、判決書でございますけれども、何分これは法律自体が非常に古い法律なものですから、しかもこれは正確に判決は書かなければいけない、こういうようなことから一般の人には聞きなれない法律用語が用いられる、あるいは文章が長くなりがちだ、このような点がございまして、なかなか国民からわかりにくいというような御批判があるということも事実でございます。
  245. 松沢成文

    松沢分科員 法律に詳しくない一般の私たち国民にとって、裁判所を利用するというのは大変に難しいといいますか、違和感があるわけなんです けれども、そうした人が裁判所を訪れたときに、裁判所の人がどういうふうに対応をしているのか、できれば具体的にその辺のところを教えていただければと思うのです。
  246. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 一般の国民の方々にとりまして、一番身近な裁判所は簡易裁判所でございます。簡易裁判所におきましては、今お話のございましたように、裁判手続に十分精通しておらない一般の方でも手続が容易に利用できるようにいろいろな工夫をしておるわけでございます。  その一、二を申し上げますと、一つは、簡易裁判所ではどういうことをやっておるのかというような手続をわかりやすく書いたリーフレットというようなものを窓口に置いております。  また、訴訟やあるいは調停の申し立てをするためには書面が必要なわけですけれども、その中には説明書に従って空欄部分を埋めると簡単に訴状あるいは調停の申し立て書ができる、こういうような定型用紙を窓口に備えつけておいて利用に供している。  また、簡裁の窓口ではいわゆるオープンカウンターということでこれを整備いたしまして、担当の職員裁判所に来られた方にそこで座っていろいろな手続的な相談に応じるというようなこともやっておるわけでございます。
  247. 松沢成文

    松沢分科員 いろいろこれまでお話を伺ったのですけれども、民事訴訟において迅速で国民の利用しやすい裁判を実現するために裁判所としてはどんな工夫をされているのか、その辺についてもお伺いしたいと思います。
  248. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 先ほどもちょっと御質問にございましたように、なかなかわかりにくいというようなことがあったものですから、最近ではそれを何とかわかりやすくしようということで、いろいろな工夫をしておるわけであります。  一口で申しますと、法廷を単に書面の交換の場ということにするのではなくて、実質的な討論の場にしまして審理を充実する。どこが争っておるかという争点をできるだけ早く確定しまして、その争点に絞って集中的な証拠調べをして結論を出す、こういう試みをしておるわけでございます。  そういうことで、各地の裁判所におきましては、例えば訴状を出した際に訴訟の進行に関する希望を聞きましたり、あるいは期日と期日の間に不明な点を明らかにしまして、できるだけ期日をむだのないように運びたいというようなことをやっておるわけであります。これは運営改善と申しておりますが、これを各庁でいろいろ工夫をしております。  また、このような運営改善の動きを助けるために、ラウンドテーブル法廷という法廷をつくりまして、今までの法廷は裁判官が高い段の上に乗るということでございますが、一つのテーブルを囲みまして裁判官、当事者が座る、そこでいろいろ議論をして争点を煮詰めるというような工夫もしております。  それから、電話会議といいまして、三者が同時にできるような電話を裁判所に備えつけまして、スピーディーにいろいろな連絡をする。  それから、判決書についても、先ほど申しましたけれども、なるべく平易、簡明な文体を用いて、形式的な記載あるいは重複記載というようなむだを省きまして、争点に絞って詳しく書く、このようなわかりやすい判決書をつくろうというようなことを全国で試みておるということでいろいろ努力をしておるということでございます。
  249. 松沢成文

    松沢分科員 ちょっと耳なれないラウンドテーブル法廷ですか、これはもう日本の裁判所で施設として既にあって使っているわけなんですか、私知らなかったのですが。
  250. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 試験的ということでございますが、二、三年前から全国の裁判所にある程度の数を入れまして、どういう使われ方をするか、いろいろ検討しておるというところでございます。実際に入っております。
  251. 松沢成文

    松沢分科員 迅速な民事裁判というのを実現するには、簡単に考えれば裁判官の数をふやしていくというのが一つの解決方法だと思うのですね。やはり日本もかなり欧米に近いような訴訟社会にだんだんとなってきて、よくアメリカなんかと弁護士の数がこれだけ違うんだ、法律にかかわる人の人数が絶対的に不足しているなんという議論はされています。裁判官裁判所職員をふやしていくことも当然必要だと思うのですが、先ほど予算の説明の中に少し触れられていたようですけれども、その辺についての努力というのは裁判所の方ではされているのでしょうか。
  252. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 先ほどから申し上げておりますように、国民の裁判所に対する期待というのは非常に大きくなっておるというふうに考えております。その期待にこたえるためには、やはり裁判は適正かつ迅速に処理をしなければいけない。そのためにはいろいろな、先ほど来申し上げておりますような運用上の工夫というのが必要であることはもちろんでございますけれども、そのほかに、必要な場合には増員ということも必要でございます。先ほど予算の説明にもございましたように、ことしも増員のお願いをしておりますし、今までもずっと必要な増員のお願いをしてきたということでございます。
  253. 松沢成文

    松沢分科員 その増員の簡単な内訳等、細かい点はわかりますか。どういう部署でどういう人をふやすのかというのがわかったら教えていただきたいのですが。
  254. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 平成六年度で申しますと、先ほど説明がありましたように、裁判官が十名、それからその他の職員が五十七名、全体では六十七名ということでございますが、その内訳を申しますと、民事訴訟の充実ということで、裁判官が十人、書記官、事務官が二十三人、それから破産事件の処理でございますが、これが書記官が二十人、それから執行事件の処理、これが書記官が十人、そのほかに司法修習生の関係事務官が四人、こういうことでございます。  これを具体的にどこに配置するかということでございますけれども、これは御承知のように、全国各地に裁判所がございまして、都会地は非常に忙しいというようなところがございます。それで、その忙しい一つの裁判所の中でも、比較的余裕のある部署とそれから忙しい部署とございますので、その忙しい部署にこういうようなお認めいただいた増員というのを振り向けるということでやっておるわけでございます。
  255. 松沢成文

    松沢分科員 迅速で利用しやすい民事裁判を実現するということですけれども、それには当然何らかの法的な処置というか、立法上の手当ても考える必要があると思うのですけれども、もうそうしたことも既に検討してやられているのでしょうか。
  256. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 迅速で利用しやすい民事裁判を実現するためには、現行法のもとで許される範囲において訴訟運営を改善するということで、先ほど来申し上げておるところでございますが、それだけではなくて、現行法の運用上の工夫では賄い切れない事項につきましては、その法律の整備ということも必要であろうかと思います。現在、これは法務省に置かれております法制審議会の民事訴訟法部会というところでございますが、ここで民事訴訟法の改正作業というのが進行しております。  具体的に申しますと、平成二年の七月からこの作業が開始されておりまして、既に四年近くたっておるわけでございますけれども、そこでは民事訴訟法を抜本的に改正しよう、こういうことでございます。この目標としましては、来年秋ぐらいに何らかの改正要綱というものをつくりたいということで、その法制審議会の民事訴訟法部会では検討がされておるところでございます。  裁判所といたしましても、この民事訴訟法を使うという立場から、現実に第一線で仕事をしております裁判官あるいは裁判所書記官等の意見を伺いまして、この法制審議会の場で裁判所の希望なり意見というものを申し上げて、できるだけこの 民事訴訟法の改正作業がスムーズに進むようにいろいろ協力をしておるというところでございます。     〔主査退席、和田主査代理着席〕
  257. 松沢成文

    松沢分科員 私たち市民の側からすると、本当に通常の、市民間の少額の金銭的なトラブルみたいなのがありますよね。そういう事件について、もっと簡単で便利な裁判のやり方みたいなのを日本でも考えていく必要があるのじゃないのかなというふうに思うのですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
  258. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 確かに御指摘のとおりでございます。今御指摘のような趣旨から、先ほど申しました民事訴訟法の改正作業の中では、簡易裁判所の扱う事件の中でも特に少額な事件につきまして、一般市民が利用しやすい少額事件手続というのを設けようではないか、こういうことが提案をされております。  この手続では、一般の市民の方が当事者となった事件について、原則として一回の審理で判決がされる。証人尋問とか、あるいは書証の提出というようなものにつきましても、そう専門的なことでなくても訴訟ができるようにというような提案がされておるわけであります。  また、現行法のもとにおきましても、先ほど申しましたような訴状等の定型書面の備え置きをやっておりますし、それから、簡易裁判所の民事訴訟につきましては、民事訴訟法の中で、簡単にするという趣旨の特則がございますが、それが設けられておりますので、それを活用して、少額の事件はやはりその訴額に見合ったような負担で迅速に解決できるようにということで運用上の工夫を重ねておるというところでございます。
  259. 松沢成文

    松沢分科員 ありがとうございました。  ちょっと話の観点を変えて、東京都区内の簡易裁判所について、聞くところによりますと、近くこれを統合する計画があるというふうに聞いているのですけれども、恐らく十幾つ今まであったと思うのですよね。それを一つに統合ということになると、いろいろな問題もあるのかなと思うのですが、まず、そういう計画があるのかどうなのか。また、あったら、その計画の内容は具体的にどういうものか教えていただきたいと思います。
  260. 涌井紀夫

    ○涌井最高裁判所長官代理者 現在、東京二十三区内には、霞が関に東京簡易裁判所というのがございまして、それ以外に合わせまして十一の簡裁がございます。合わせますと十二ということになりますが、今回、その簡裁をすべて霞が関にできます新しい庁舎に統合したい、そういうふうな計画を進めております。  これは既に六十二年に国会の方で法律を制定していただきまして、ただ、その新しい庁舎を建設する必要がありますものですから、なかなかその実現までに時間がかかっておったわけなんですが、この秋にはいよいよ庁舎が完成いたしますので、新しい、大きな東京簡易裁判所が発足する予定になっております。  これまでの簡裁に比べますと、小さい組織に分かれておりましたのが、裁判官を初めとします人的な陣容の面でも、また施設とか設備の面でも非常に大きな規模の組織になりますので、そのスケールメリットといいますか、そういう点を活用しまして、これまで以上に充実した司法サービスを提供できるような、そういう体制をつくっていきたいというふうに考えております。     〔和田主査代理退席、主査着席〕
  261. 松沢成文

    松沢分科員 計画がもうそこまで進んでいるとはちょっと知らなかったのですけれども、確かに、そのスケールメリットを生かしてですか、一つにまとめることによって中身を充実していくということだと思うのですけれども、ただ、これを利用する一般国民の側から見て、身近に簡易裁判所があるということが、小さな争いでも裁判所を利用しようという形になっていくと思うのです。例えば交通の便なんかも含めて、霞が関に来なくちゃいけないわけですよね。その点、逆に利用する側から見れば、より不便になると見てもいいと思うのですけれども、その辺についてはいかがお考えなんでしょうか。
  262. 涌井紀夫

    ○涌井最高裁判所長官代理者 東京都区内、二十三区内の交通事情だけから申しますと、非常に公共の交通機関が発達しておりまして、霞が関地区と申しますのは、いわばそういう交通網の中心部分になりますので、裁判所を使っていただく都民の方の立場から考えましても、交通の便でそれほど不便ということはないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  しかも、実は霞が関地区と申しますのは、今申し上げました簡裁以外に、地方裁判所、家庭裁判所がございますし、また検察庁もございます。さらに弁護士会も皆ここに集中しておるわけでございまして、一種の司法センターと申しますか、そういうふうな性格を持った地域になっておるわけでございます。したがいまして、ここへお出かけいただくと、司法に関するそういう総合的なサービスが受けられる。そういう意味では、司法サービスを利用していただく立場から見ましても、従前より充実したと申しますか、そういうふうなサービスが受けられる、そういう便利さもあるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  263. 松沢成文

    松沢分科員 そうですね、そういう面も確かにあるかと思います。  そうしますと、新しい東京簡易裁判所で、せっかく新しくなるのですから、国民に対する司法サービスのあり方として、新しいところで何かこれまでにない工夫をされているのかどうか、その辺もお伺いしたいと思うのですが。
  264. 涌井紀夫

    ○涌井最高裁判所長官代理者 先ほども御説明しましたように、とにかくこれまで十二の小さい組織に分かれておりました組織を統合いたしまして大きな規模の組織をつくるわけですので、従前のような小さい組織に分散していたのではなかなかできなかったような、そういう新しい工夫をいろいろやっていきたいと思っております。  例えば、先ほど民事局長の方からも御説明いたしましたように、簡裁にいらっしゃる方にとってはどういう手続を利用したらいいのかがなかなかわかりにくいという点がございます。従前も受付の窓口で係員がいろいろ御相談には応じておるわけでございますが、小さい組織ですと、相談に専属するといいますか、そういうふうな職員を確保するということはなかなか難しゅうございますが、今回の新しい東京簡易裁判所では、受付センターといいますか、そういうセンターを設けまして、そこではいらっしゃった方と裁判所のベテランの職員が座ってじっくりと相談をさせていただくという、そういうサービスのできるようなセンターもつくっていきたいと思っております。  それから、やはり多数の裁判官が確保できますので、事件の種類、例えば訴訟事件とか督促事件、あるいは調停事件、そういう事件の種類によってある程度専門化した事件処理ができるわけでございまして、それはやはり事件の迅速適正な処理という面では随分これまでよりいい形の処理ができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、もう一つ考えておりますのは、最近の技術を導入いたしまして、コンピューターなども積極的に使っていってはどうか。例えば督促事件のような事件というのは、これは非常に件数が多うございまして、ある程度機械的にコンピューターを使って処理できる分野というのがございますので、そういう事件の処理には積極的にコンピューターを導入いたしまして、これまで以上に迅速に、しかも正確な処理ができるような体制というのもつくっていきたい、そういうふうな工夫をいろいろ考えておるわけでございます。
  265. 松沢成文

    松沢分科員 ありがとうございました。  日本の社会もだんだん欧米化してきて、これまでの日本の社会のよさというのは、余り争い事を表で争わずにというところが多かったのですが、ここまで都市化した社会になってくると、こうした裁判所のニーズというか、大変重要になってくると思うのですね。そういう意味で、本当に迅速 で開かれた、そしてまた利用しやすい裁判所づくりを目指して、ぜひともこれからも御努力をいただきたい、そんなふうなことを要望させていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  266. 宮本一三

    宮本主査 これにて松沢成文君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして裁判所所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  267. 宮本一三

    宮本主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。  会計検査院当局から説明を聴取いたします。安部事務総長
  268. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 平成六年度会計検査院所管歳出予算について御説明いたします。  会計検査院平成六年度予定経費要求額は百四十八億八千五百三十七万一千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、一、人件費として百二十八億三百七十一万円を計上いたしましたが、これは総額の八六%に当たっております。このうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十二人を増置する経費も含まれております。  二、旅費として七億九千六百九十一万八千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が七億一千九十三万七千円、外国旅費が三千五百二十三万円であります。  三、施設整備費として二億五千三百三十二万四千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎事務室等改修工事費一億六千二百五十万八千円、宿舎改修工事費八千五百六十一万九千円であります。  四、その他の経費として十億三千百四十一万九千円を計上いたしましたが、このうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費一億一千五百七十六万四千円、会計検査の充実強化のための経費七千四十三万九千円、検査業務の効率化を図るための経費二億五千九百七十七万八千円及び検査要員の充実強化のための研修体制の整備経費二億一千三百三十一万八千円が含まれております。  ただいま申し上げました平成六年度予定経費要求額百四十八億八千五百三十七万一千円を前年度予算額百四十億三千八百十三万一千円に比較いたしますと、八億四千七百二十四万円の増加となっております。  以上、簡単でありますが、本院の平成六年度予定経費要求額概要の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  269. 宮本一三

    宮本主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  270. 宮本一三

    宮本主査 質疑申し出がありますので、これを許します。和田貞夫君。
  271. 和田貞夫

    和田分科員 内閣に対して独立した地位にございます会計検査院のことでございまして、私は皆さん方の任務というものは極めて重要な任務を持っておられるのではないかと思うのですが、まあしかし、会計検査院に対する質問というのはする者もごくまれであるというように私は自負いたしておりますが、あえてきょうは質問をさせていただくことにいたしました。  そこで、現在検査院の職員の皆さん、総じて何名おられるわけですか。
  272. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 千二百四十三名でございます。
  273. 和田貞夫

    和田分科員 政府機関の各省庁、支分局、出先機関、研究機関、あるいは国が資本金二分の一以上を出資した法人、国が一部を出資した法人、国が出資した法人がさらに出資している法人、並びに都道府県、市町村、学校法人、NHK等々、検査を対象とする箇所は大体何カ所ございますか。
  274. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 検査対象箇所でございますけれども、全体で三万八千九百三十カ所でございます。これは平成五年の検査の対象箇所数でございます。
  275. 和田貞夫

    和田分科員 これは検査を対象にした箇所であって、もっとないですか。
  276. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 会計検査院の検査対象でございますけれども、これは毎年必ず検査しなければならない必要的検査対象と選択的検査対象があるわけでございます。国が必ず検査しなければならない対象は、国の機関とか国が資本金の二分の一以上を出資している政府関係機関、公団、事業団等でございます。  それから、会計検査院が必要と認めたときに検査する対象でございますけれども、これは国が補助金や貸付金等の財政援助を与えている都道府県、市町村その他の各種法人等とか、国が資本金の一部を出資している法人、あるいは国が資本金を出資したものがさらに出資している法人等があるわけでございますが、財政援助等を行っている先につきましては会計検査院が必要と認める場合に検査指定をいたしまして検査するわけでございまして、ただいま申し上げました数字は、必要的検査対象と、それから会計検査院が必要と認めて昨年度検査の対象といたしました箇所でございます。
  277. 和田貞夫

    和田分科員 国民の税金を使ってそれぞれ事業を実施しておるわけでございますので、税金を納める側にとっては、税金を取られるときに高い、安いという、自分の税金の負担率についてとやかく言いますが、一たん国庫の方に入ったりあるいは自治体の方に入ったりして使われてしまったら、余りどうこうということを言わないわけなんですね。やはり自分が納めた税金というのはどういうようなところに使われて、どのような効果を上げるために税金が使われておるんだということは、国民の皆さんに深く関心を抱いてもらわなければいかぬ。その役目を皆さん方がやっておられるわけでございますから、必ず検査の対象にするところももちろんのことでございますが、やはりもっとその枠を拡大して、税金が少しでも使われておる団体、箇所についてはできるだけ積極的に検査をやり遂げていくということが必要ではなかろうかと思うのであります。  そのためには今の千二百四十名では、去年の実績を見ましても、実地検査施行箇所数というものを見てみますと、実施率が九%にしかなっていない。そうすると、この数字だけでも十一年かからぬとなかなか実施できないわけでしょう。そうすると、時代も変わっていくし、様子も変わっていくし、あるいは特にその事業が単年度の事業の場合はもう五年も十年も全然検査の対象にならぬというようなところも出てくるわけでありますから、できるだけそのサイクルを短時日の中で、短期間の中で検査をやり遂げるということの方がより効果的だと思うわけなんです。  そのために、この千二百四十名では私は非常に少ないんじゃないか。検査という大事な仕事をしてもらっておるわけでございますから、もっと堂々と予算を要求して、もっと堂々と人員の確保のために努力をして、そして機能を強める、組織を強めていくということに努力をすべきじゃないか、こういうように私は意見として申し上げておきたいと思うわけでございますが、事務総長、ひとつその点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  278. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 ただいま先生お話ございましたように、会計検査院の検査体制の充実強化を図ることは非常に重要だと私どもも考えておるわけでございまして、予算、人員につきましては従来から必要な範囲で関係当局に要求しておりまして、段階的にその充実を図ってきているところでございます。  このような観点から、平成六年度におきましては、会計検査機能を充実強化するため、検査業務に従事する職員につきまして所要の増員、十二名でございますが、定員削減がございますので純増 で三名でございますが、増員を図ることにいたしております。このほか、検査水準の向上を図るために、コンピューターの活用による検査の効率化とか、それから職員の資質とか検査能力の向上を図るための研修体制の整備に力を入れることによりまして検査の充実を図りたいということで、これらの経費要求しているところでございます。  ただいま大幅に検査要員の増加を図るべきではないかというような御意見がございましたが、私どもといたしましては、昨今の財政事情等もございまして、国の経費節減とか定員削減といったような施策にも配慮しながら、着実に漸進的にその改善を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  279. 和田貞夫

    和田分科員 そんなことじゃ、あなた、事務方の一番の責任者としてそういう消極的なことではいかぬやないか。やはりこの検査業務というものは、検査院の仕事というものは、先ほどから申し上げているように非常に大事なことなんだ。国民からいただいた税金をどういうふうに使っているかということを国民の前に明らかにする大事な仕事なんです。それが、千二百人が二千四百人になり、三千六百人になり、もっともっとその税金の使い方というものを国民の皆さんに知っていただく、そしてその政策の効果というものはこういうようにあらわれておりますよというような、後で言いますが、そういうような検査の内容にしてもらうならば、これは税金のむだ遣いではないのです。  財政事情がどうであれこうであれ、会計検査院の仕事として大事なんだという観点に立つならば、事務総長、それでは非常に消極的じゃないか。それでは職員がついていかぬじゃないか。もっと勇気ある態度で臨んでほしい。質問に対してもう一度答えてください。
  280. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 私どもは、先ほど申しましたような考え方で対処してきているわけでございますけれども、限られた人員、予算で最大限の能力を発揮するために種々のいろいろな創意工夫を凝らしてきておるわけでございます。一つは組織体制の整備、それから二番目は職員の検査能力の向上、それから三番目は検査計画の策定による検査の重点的な実施、それから四番目はコンピューターを利用した検査ということでございます。  まず検査体制の整備ということでございますが、私どもの組織というのは財政全体を機能的、効率的に検査できるような局課編成になっているわけでありますが、あわせて社会経済情勢の変化に対応し得るような組織体制の整備を行ってきております。例えば、昭和六十二年にはODA検査を一元的に所掌する外務検査課を新設しておりますし、それから平成三年には年金関係の検査を行う上席調査官、年金担当を新設しております。  それから第二でございますけれども、研修を充実しまして職員の検査能力の向上に努めたい、その意味で研修内容の充実と研修環境の整備を図ってまいりたいと思っております。  それから、検査を非常に綿密に行うために、検査計画を策定して重点的、効率的な検査を行うということで、計画段階で非常に事前準備を十分にやって検査効率を上げたいと考えております。  それから第四番目でございますが、コンピューターを活用した検査によりまして、検査対象の選定とか、データの突合とかいうことによって検査効率を向上させたい。  こういうことで諸施策を講ずることによりまして質的な面で検査水準の向上を図ってきているところでございますが、予算要求におきましても着実に検査機能の充実を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  281. 和田貞夫

    和田分科員 要らぬなら要らぬでいいよ。私は、人をふやせと言っておるわけよ。新規で人をふやせというふうに注文しているのに、あなたが先ほど説明なさった予算じゃ少ないというように言っているのに、これで十分やというようなことじゃもう審議する必要はないじゃない。会計検査院として内閣に独立した権限を持って、税金の使い方というものについて国民の皆さんに知っていただくためには、人手不足だ、もっと人をふやしなさいということを私は言っているのに、それは要らぬ、要らぬというようなことじゃ、もう何をか言わんやじゃないか。  つけ加えて言うならば、調査官という任務についている人は、他の省庁に転勤をしたり出向したりすることができない人ばかりなのです。そうでしょう。できるのですか。各省庁に職員として異動していくことができないでしょう。会計検査院でプロパーの皆さんが、一部の省庁から出入りしている人があるとしても、ほとんどの調査官というのは一にかかって検査の業務を担当しているわけですよ。そうすると、いわゆる専門職、専門官的な存在なのです。そうすると、一般の、普通の行政職と違って優遇措置を講じてやるというような温かい思いやりが事務総長には必要じゃないですか。  その上に立って、人も少ないから人をよこせ、もっと人をよこすために予算をつけてくれということをあなた自身が言ってあげることが、職員の皆さんがあなたを信頼し、もっと検査業務を活発にやらなければいかぬということで意欲が起こってくるのじゃないですか。あなたみたいなそういう消極的なことでは一体どうなるのですか。私はやはりもっと物事に積極的になってほしいということを強く要望しておきたいと思うのであります。  時間がありませんので次に行きますが、やはり今の会計検査院のあり方というのは、ただ税金の使い方、いわゆる予算の執行状況について、正確であったかどうであったかということに付随したことでなければ効率性ということについての検査結果もやれる権限に今ないわけです。私はさっきから言っているように、やはり内閣に独立した検査機関であるのですから。例えばアメリカの検査機関は業務監査までやっておるでしょう。政策の効果というものがどうであるかということまで結論を出しておるじゃないですか。国民の皆さんはそれを望んでおるのですよ。  例えば、一つ中小企業の例をとってみますと、通産省の中小企業庁の施策でございますが、きょう始まったことじゃない、もう二十年も三十年も前からやっておる政策なのです。特にこの不況の中では中小企業の皆さんが大変なのです。単に土木建築業だけじゃなくて、文房具から、被服から、靴から、調度品から、消耗品から、そういうものも役所は官公需として注文を出しておるでしょう。中小企業の皆さんにその機会を与えるために、中小企業政策として協同組合を組織化させて、各県の中央会に加入をさせて、そしてその中から官公需を希望される協同組合は言ってくださいということで、中小企業庁は官公需の適確組合ということで認定をして、そして毎年一回閣議で決定をして、閣議の決定したことを通産大臣が各省庁に通達をし、中小企業庁長官の方から各省庁の中小企業の担当官に通達をし、自治大臣の名前や建設大臣の名前で各都道府県やあるいは公団公社に連絡をしておる。  ところが、そういう手続をしておるんだけれども、中小企業庁の施策によって指導いたしましても、鉛筆一本に至るまで新しい中小企業者の新規参入の官公需受注というのはできないというのが実態なんだ。いわば建設業だけの談合体質じゃなくて、鉛筆一本に至るまで官公庁の隅々にわたって談合体質があるのです。談合体質があるために、中小企業政策を出しても現実の問題としてそのことが受け入れられておらないという実態があるわけなんだ。せっかくたくさんの中小企業の予算を使って、そして中小企業政策を打ち出し、閣議まで決めておるにもかかわらず、その結果どうだということを出してもらうのが会計検査院の大きな仕事じゃないですか。  そういうところまで会計検査院の権限を強めてもらうことによって、国民の皆さんの大きな期待にこたえてもらう会計検査院になるんじゃなかろうかと私は思うわけです。そういうことについて ひとつお答えいただきたいと思います。
  282. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 会計検査院といたしましては、国の会計経理を監督してその適正を期し、是正を図るということを目的としておりまして、物品の調達について先生今お話がございましたけれども、その検査につきましても契約事務が適正かとか、それから物品の調達が経済的、効率的に行われているか、こういう観点から従来検査を実施してきているところでございます。  したがいまして、検査は国の会計経理の適正を図るという目的でございまして、御質問のようにそれぞれの省庁でどういうような形で発注して契約をするかというようなことにつきましては、会計法令上の問題とか事務処理上の問題につきましては私ども当然検査するわけでございますけれども、中小企業の方々の中でどういうような形で購入契約をするかというようなことにつきましては、私どもの検査の対象には必ずしもなじまないのじゃないかというように考えているところでございます。  ただ、そういうことで実際に納入されたものが価格として割高になっているというような事態がありますれば、それは不経済な事態でございますので、私どもの場合には会計経理上の問題として対処していくということになろうかと思います。
  283. 和田貞夫

    和田分科員 現在の会計検査院法によれば確かに今言われたようなところで、私の希望しているところまで手を突っ込んで検査するということができないということはよくわかります。しかし、先ほども例を挙げておりますように、アメリカの会計検査制度はどうなんだ、イギリスの会計検査制度はどうなんですという先進各国の会計検査の制度の実態というもの、これはやはり把握してくださいよ。そうして、改善することについては改善すべきじゃないですか。内閣に独立した機関なんですよ。内閣要請することができないんですよ。  そうすると、あなた方自身が憲法の九十条に明記されておりますように、組織と機能は法律によって定めるということになっておるのですから、だから、機能を強めるということも法律を改正すればできるじゃないですか。あなたの方がこうやりたいということで法律を国会へ出してくれば、何者といえどもそれを否定するものがないじゃないですか。憲法でちゃんと保障されておる、機能を強めていく、組織を強めていく、そういう権限を内閣から独立した機関として持っておるにもかかわらず、そういう消極的なことでは私はいかぬと思うのです。  海外の実情等も把握して、そして機能を高めていくというお考え方があるのかどうか、お答え願いたい。
  284. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 私ども、海外のいろいろな最高会計検査制度につきましての調査というのは、従来からずっとやってきているわけでございます。それぞれ、各国によりまして、その成立の経緯とか、制度、機能、権限等に差があるわけでございますが、それはそれぞれの各国の実情を踏まえたものであろうかと思います。ただ、そういうような状況については、私ども、今後とも十分調べた上で研究してまいりたいとは思っております。  それから、会計検査機能の充実強化を図るべきだということで先生から御意見賜りましたが、私どもは、法律上与えられた権限の範囲内で最大限の努力をしているわけでございまして、国民の負託にこたえて、適正かつ効率的な予算執行なり会計経理が行われますよう鋭意努力を重ねてまいりたいと思っております。
  285. 和田貞夫

    和田分科員 機能は、今の会計検査院法という法律に規定された機能を今お持ちなんです。それで、会計検査院制度というのを改めていこうというお考えというのは、全くないのですか。
  286. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 会計検査院の組織、権限につきましては、憲法の九十条二項によりまして、法律で定めるということになっているわけでございます。それに基づきまして会計検査院法が国会の御議決によりまして成立しているわけでございますので、私どもはその法律の権限の範囲内におきまして最大限の努力を重ねたいということでございます。
  287. 和田貞夫

    和田分科員 「会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。」というごとで、確かに今お答えになったように、現行の会計検査院法という法律のもとでの権限は今事務総長お答えになったことに尽きるわけです。  私の希望は、私の意見は、私の望みは、あるいはもっと言うならば税金を納めておられる国民の希望というものは、自分たちの納めた税金が一体何に使われておるのか、内閣が政策を打ち出して、その政策の実現のために予算化して、予算を執行しておる、その予算を執行した結果、その政策が空回りになっておるのか、その政策が功を奏してその実効性というものが如実にあらわれておる、極めて効果があらわれておるということになっておるのかということを国民が知りたいわけなんです。その権限が今ないわけなんですから。  だから、アメリカの例をとってみれば、アメリカはそういうところまで検査することができる機能を持っておる。そうすると、アメリカ以外に、ヨーロッパの各国はどういうような検査の制度というものになっておるかということを、あなた方は十分、百も承知のはずだと思うのです。その上に立って、日本の会計検査院制度も国民の皆さんの負託にこたえて、国民の皆さんの期待にこたえて、会計検査院制度を改めて機能を強めていこう、強めていくためには法律を改正する必要がある、その法律の改正案を国会に出してくれたらいいじゃないですか。  何も、現行の法律そのままいけということは憲法に書いてませんよ。憲法は、権限と組織を法律で定めるということになっておるわけです。その法律を変えれば機能を高めることができるじゃないですか。組織を充実することができるじゃないですか。そういう積極的な姿勢になってほしいということを私は言っておるわけなんです。おわかりですか。そういうことについてどうだということをお答え願いたいということを言っているのですよ。
  288. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 法律を改正して組織なり権限をどうすべきかということは高度に政策的な問題でございますので、私がこの場でお答えを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。私どもは、先ほどお答え申し上げましたように、与えられた権限の中で最大限の努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。  検査の方法といたしましても、私ども、合規性の検査から始まりまして、経済性、効率性、有効性ということで非常に多角的な検査をしておるところでございまして、こういうような検査をさらに一層充実させていきたいというふうに考えておるところでございます。
  289. 和田貞夫

    和田分科員 議事録に残るわけでございますが、私がこういう質問をしたということをひとつ検査官に報告しておいてください。あなた方の方がそうならなかったら、内閣に言うたところで、内閣から独立した検査院の法律を内閣が改正しようというようなことにならぬですよ。国会の方は、あなた方の方からの要求がなければ、要請がなければ、法律を変えようというようなことにはならぬですよ。あなた方自身の方が、機能をもっと高めることによって国民の期待にこたえることができるのだということであれば、みずから、これは事務方だけじゃなくて検査官を含めてそういう結論を出してもらって、そして一日も早く機能を強め、組織を強めるための法律の改正のためにひとつ努力をしてもらいたいということを私は意見として言っておきます。  改めて、先ほども申し上げましたように、職員の充足についても、私は積極的になってもらいたいと思います。あるいは検査官というのは、検査官だけじゃございませんが、会計検査院職員というものは他の省庁に異動するということができ ないのでありますから、専門職であり専門官であるわけですから、他の行政職と異なった給与体系というものを持っても当然じゃないですか。そういうことについてもひとつ積極的に努力してもらいたい。  こういうことを強く要望いたしまして、きょうのところは質問を終えさせてもらいますが、ひとつできるだけ機会をつくって、私も積極的にこの意見が充足することができるよう努力し頑張りたい、こういうように思いますので、肝心かなめのあなた方の方がその気になっていただきたいということを最後に申し添えまして、私の質問を終わりたいと思います。
  290. 宮本一三

    宮本主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして会計検査院所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時二十分散会