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1994-06-06 第129回国会 衆議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月六日(月曜日)委員長指名で、次 のとおり分科員及び主査を選任した。  第一分科会皇室費国会、裁判所、会計検査  院、内閣及び総理府所管経済企画庁環境庁  、国土庁を除く)並びに他の分科会所管以外  の事項〕    主 査 宮本 一三君       後藤田正晴君    志賀  節君       鉢呂 吉雄君    草川 昭三君       渡海紀三朗君  第二分科会法務省外務省及び大蔵省所管)    主 査 山本 幸三君       江藤 隆美君    衛藤征士郎君       小澤  潔君    村山 達雄君       山口 鶴男君    石井 啓一君  第三分科会文部省及び自治省所管)    主 査 山本  拓君       伊藤 公介君    島村 宜伸君       村田敬次郎君    谷津 義男君       山田  宏君    伊東 秀子君  第四分科会厚生省及び労働省所管)    主 査 土田 龍司君       近藤 鉄雄君    柳沢 伯夫君       高木 義明君    三野 優美君       中島 武敏君  第五分科会総理府環境庁)及び農林水産省  所管〕    主 査 鮫島 宗明君       高鳥  修君    若林 正俊君       笹山 登生君    坂上 富男君       谷口 隆義君  第六分科会総理府経済企画庁)及び通商産  業省所管〕    主 査 長浜 博行君       中川 秀直君    中山 太郎君       川端 達夫君    細川 律夫君       穀田 恵二君  第七分科会(運輸省及び郵政省所管)    主 査 東  祥三君       越智 伊平君    関谷 勝嗣君       深谷 隆司君    岡島 正之君       後藤  茂君  第八分科会総理府国土庁)及び建設省所管  〕    主 査 北側 一雄君       東家 嘉幸君    野中 広務君       綿貫 民輔君    月原 茂皓君       中西 績介君 ――――――――――――――――――――― 平成六年六月六日(月曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 山口 鶴男君    理事 衛藤征士郎君 理事 中川 秀直君    理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君    理事 月原 茂皓君 理事 山田  宏君    理事 後藤  茂君 理事 中西 績介君    理事 草川 昭三君       伊藤 公介君    江藤 隆美君       小澤  潔君    尾身 幸次君       越智 伊平君    狩野  勝君       後藤田正晴君    近藤 鉄雄君       志賀  節君    島村 宜伸君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       東家 嘉幸君    中山 太郎君       蓮実  進君    宮里 松正君       村山 達雄君    谷津 義男君       柳沢 伯夫君    若林 正俊君       綿貫 民輔君    安倍 基雄君       岡島 正之君    川端 達夫君       笹山 登生君    鮫島 宗明君       田名部匡省君    高木 義明君       長浜 博行君    二階 俊博君       柳田  稔君    山田 正彦君       山本 幸三君    伊東 秀子君       坂上 富男君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    三野 優美君       東  祥三君    北側 一雄君       谷口 隆義君    若松 謙維君       渡海紀三朗君    穀田 恵二君       中島 武敏君    松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  羽田  孜君         法 務 大 臣 中井  洽君         外 務 大 臣 柿澤 弘治君         大 蔵 大 臣 藤井 裕久君         文 部 大 臣 赤松 良子君         厚 生 大 臣 大内 啓伍君         農林水産大臣  加藤 六月君         通商産業大臣  畑 英次郎君         郵 政 大 臣 日笠 勝之君         建 設 大 臣 森本 晃司君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     石井  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)熊谷  弘君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 石田幸四郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      寺澤 芳男君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近江巳記夫君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障室         長       坪井 龍文君         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局経済部長 矢部丈太郎君         公正取引委員会         事務局審査部長 関根 芳郎君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         総務庁行政管理         局長      八木 俊道君         総務庁行政監察         局長      田中 一昭君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         科学技術庁原子         力局長     石田 寛人君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君         法務省刑事局長 則定  衛君         外務省総合外交         政策局長事務代         理       野上 義二君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    高野幸二郎君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省条約局長 丹波  實君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         国税庁次長   三浦 正顯君         文部省高等教育         局私学部長   泊  龍雄君         厚生大臣官房総         務審議官    佐々木典夫君         厚生省老人保健         福祉局長    横尾 和子君         厚生省年金局長 山口 剛彦君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省構造         改善局長    入澤  肇君         通商産業大臣官         房長      牧野  力君         通商産業省通商         政策局長    坂本 吉弘君         通商産業省貿易         局長      中川 勝弘君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         中小企業庁長官 長田 英機君         郵政省電気通信         局長      松野 春樹君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設大臣官房総         務審議官    内藤  勲君         建設省建設経済         局長      小野 邦久君         建設省都市局長 黒川  弘君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省道路局長 三井 康壽君         自治大臣官房総         務審議官    松本 英昭君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 滝   実君  委員外出席者         参  考  人         (前公正取引委         員会委員長)  梅沢 節男君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の移動 六月六日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     尾身 幸次君   中山 太郎君     蓮実  進君   村田敬次郎君     宮里 松正君   岡島 正之君     山田 正彦君   川端 達夫君     柳田  稔君   工藤堅太郎君     宮本 一三君   田名部匡省君     山本  拓君   二階 俊博君     土田 龍司君   石井 啓一君     若松 謙維君   穀田 恵二君     中島 武敏君   松本 善明君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   尾身 幸次君     江藤 隆美君   蓮実  進君     中山 太郎君   宮里 松正君     狩野  勝君   柳田  稔君     安倍 基雄君   山田 正彦君     岡島 正之君   若松 謙維君     石井 啓一君 同日  辞任         補欠選任   狩野  勝君     村田敬次郎君   安倍 基雄君     川端 達夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平成六年度一般会計予算  平成六年度特別会計予算  平成六年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 山口鶴男

    山口委員長 これより会議を開きます。  平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算平成六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、本日は、特にゼネコン問題等についての集中審議を行います。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。中井法務大臣
  3. 中井洽

    中井国務大臣 このたび、本委員会より、東京地方検察庁において捜査処理をしたいわゆるゼネコン汚職事件捜査結果について報告を求める旨の御要請を受けましたので、法令の許す範囲内で、御報告いたします。  東京地方検察庁においては、平成五年七月十九日から本年二月七日までの間に、竹内藤男茨城県知事ほか六名を収賄罪または受託収賄罪により、株式会社間組本田茂代表取締役会長ほか二十一名を贈賄罪により、それぞれ東京地方裁判所に公判請求し、続いて、本年三月二十九日、鹿島建設株式会社清山信二代表取締役社長斡旋贈賄罪により、本年四月一日、中村喜四郎衆議院議員斡旋収賄罪により、それぞれ東京地方裁判所に公判請求し、同月二十五日までに、それまで起訴した事件補充捜査を除き、ゼネコン汚職事件捜査を終了いたしました。  本件は、社会的な関心が高く、これに関する報道も数多くなされたところでありますが、検察は、刑事事件について、刑事責任の有無及び程度を明らかにするとの観点から、事案真相を解明するために捜査を行い、犯罪嫌疑が十分認められるものについて、犯情に応じ、起訴するか否かを決するという職責に基づき、かつ、その権限の範囲内で、厳正公平、不偏不党の立場を堅持しつつ真相の究明に当たり、法と証拠に照らして適切な事件処理を行ってきたものであります。  捜査処理具体的内容等については、引き続き政府委員から御説明いたします。
  4. 山口鶴男

  5. 則定衛

    則定政府委員 引き続きまして、捜査処理具体的内容等について御説明いたします。  第一は、本件捜査処理の概況についてであります。  東京地方検察庁において捜査処理を行ったいわゆるゼネコン汚職事件については、金丸信衆議院議員に対する所得税法違反事件捜査過程で、大手総合建設会社から地方公共団体首長らに対する多額の資金の流れが存在することが判明し、これらについて贈収賄罪嫌疑が濃厚となったことから、東京地検は、平成五年六月二十九日、本格的な捜査に着手し、以後刑事事件として取り上げるべきものについて順次立件して捜査を尽くした結果、同年七月十九日から本年四月一日までの間に、関係者合計三十名をいずれも東京地方裁判所に公判請求いたしました。  公判請求した三十名のうち、収賄側被告人は、中村喜四郎衆議院議員及び竹内藤男茨城県知事ら地方公共団体首長を含む合計八名、贈賄側被告人は、鹿島建設株式会社清山信二代表取締役社長ら合計二十二名で、関係した大手総合建設会社は、鹿島建設株式会社株式会社間組清水建設株式会社西松建設株式会社三井建設株式会社大成建設株式会社株式会社大林組及び飛島建設株式会社合計八社に及んでおります。  なお、一連の捜査過程逮捕した者の総数は三十四名で、このうち七名は不起訴処分となっています。  また、公判請求した事件わいろ金額合計は、二億七千九百万円に上っております。  本件は、関係者多数の複雑な事案であったため、強制捜査に着手してから捜査をおおむね終了するまでに約三百日間の長期間を要しておりますが、東京地検では、全国の地方検察庁から、検察官二十五名、検察事務官二十七名の応援を求めるなどして捜査態勢を整え、これら応援者を含め、検察官七十八名、検察事務官八十五名を本件捜査に専従させました。この間、取り調べ対象者の数は、延べ約九千二百名、捜索箇所は約二百三十カ所、押収証拠品は約二万四千点に上りました。  第二は、具体的な捜査処理状況についてであります。  まず、二県一市一町にわたる地方公共団体首長が関係した事件捜査処理について御説明いたします。  その一は、石井亨仙台市長に係るいわゆる仙 台ルートであります。  東京地検は、平成五年六月二十九日、収賄側として石井市長ほか二名を、贈賄側として間組本田茂代表取締役会長ほか五名を逮捕し、関係箇所捜索・差し押さえ、関係者取り調べなどの捜査を遂げ、同年七月十九日、石井市長ほか一名を収賄罪で、間組本田会長間組加賀美彰代表取締役清水建設上野晃司代表取締役社長西松建設吉川泰代表取締役社長及び三井建設成島昭代表取締役社長の五名を贈賄罪で、それぞれ東京地裁に公判請求しました。さらに、石井市長が、鹿島建設鈴木和己東北支店次長大林組萩原惟昭元代表取締役社長大成建設橋本喬代表取締役社長らからも収賄していた事実が次々に判明したため、順次これらの関係者逮捕するなどして捜査を遂げた上、同年十一月七日から本年二月七日までの間に、それぞれの事実について、関係者とともに石井市長東京地裁に公判請求いたしました。  公訴事実の要旨は、石井市長は、単独で、または他の者と共謀の上、平成四年四月十六日ごろから同年十一月二十五日ごろまでの間、前後四回にわたり、仙台発注仙台国際文化交流会館新築道路整備等公共工事に関して、指名競争入札入札参加者指名されるなど有利な取り計らいを受けたことに対する謝礼等趣旨のもとに、間組本田会長ほか四名から現金一億円、鹿島建設鈴木東北支店次長らから現金一千万円、大林組萩原元副社長らから現金一千万円、大成建設橋本元副社長らから現金二千万円、合計一億四千万円のわいろを収受し、本田会長らはそれぞれこれらのわいろを供与したというものであります。  その二は、大山真弘茨城県猿島郡三和町長に係るいわゆる三和ルートであります。  三和ルートにつきましては、東京地検は、平成五年七月十九日、大山町長ほか四名を逮捕するなどして捜査を遂げた結果、大山町長がほか一名と共謀の上、間組大津留孝東関東支店長らから、三和町が発注を予定しているスポーツセンター新築工事につき指名競争入札入札参加者指名するとともに、その工事発注予定価格を教示されたい旨の請託を受け、平成三年八月一日ごろ、大津留支店長らから、現金一千四百万円のわいろを収受した事実により、平成五年八月九日、大山町長ほか一名を受託収賄罪で、大津留支店長ほか一名を贈賄罪で、それぞれ東京地裁に公判請求しました。  なお、三和ルートにつきましては、本年二月十五日、東京地裁において、大山町長を初め全被告人に対し、いずれも有罪の判決が言い渡され、確定しています。  その三は、竹内藤男茨城県知事に係るいわゆる茨城ルートであります。  東京地検は、平成五年七月二十三日、竹内知事逮捕して、関係箇所捜索・差し押さえ、関係者取り調べなどの捜査を遂げ、同年八月十二日、竹内知事収賄罪で、間組本田会長ほか一名を贈賄罪で、それぞれ東京地裁に公判請求し、さらに、竹内知事が、飛島建設植良祐政取締役名誉会長清水建設吉野照蔵代表取締役会長鹿島建設清山元副社長らからも収賄していた事実が次々に判明したため、順次これらの関係者逮捕するなどして捜査を遂げた上、同年十月十一日から同年十二月六日までの間に、それぞれの事実について、関係者とともに竹内知事東京地裁に公判請求しました。  公訴事実の要旨は、竹内知事は、平成二年二月二十八日ごろから平成四年十二月二十二日ごろまでの間、前後七回にわたり、茨城発注ダム建設植物園温室新築等公共工事に関して、指名競争入札入札参加者指名されるなど有利な取り計らいを受けたことに対する謝礼等趣旨のもとに、間組本田会長らから現金合計五千五百万円、飛島建設植良名誉会長らから現金一千万円、清水建設吉野会長らから現金一千万円、鹿島建設清山元副社長らから現金二千万円、合計九千五百万円のわいろを収受し、本田会長らはそれぞれこれらのわいろを供与したというものであります。  その四は、本間俊太郎宮城県知事に係るいわゆる宮城ルートであります。  東京地検は、平成五年九月二十七日、本間知事ほか三名を逮捕し、関係箇所捜索・差し押さえ、関係者取り調べなどの捜査を遂げ、本間知事がほか一名と共謀の上、平成五年一月下旬ごろ、大成建設橋本元副社長らから、宮城発注県立癌センター病院本館建築等公共工事に関して、指名競争入札入札参加者指名されるなど有利な取り計らいを受けたことに対する謝礼等趣旨のもとに、現金二千万円のわいろを収受した事実により、同年十月十八日、本間知事ほか一名を収賄罪で、大成建設橋本元副社長ほか二名を贈賄罪で、それぞれ東京地裁に公判請求いたしました。  以上が地方公共団体首長が関係した汚職事件捜査処理状況であります。  次に、中央政界関係について御説明いたします。  東京地検は、以上申し上げました大手総合建設会社及び地方公共団体首長に係る贈収賄事件捜査過程で、鹿島建設清山元副社長が、いわゆる埼玉土曜会告発問題に関し、中村喜四郎衆議院議員に対して現金一千万円を供与した事実を把握し、これが斡旋贈収賄罪に当たる嫌疑が濃厚となったことから、まず、本年三月八日、鹿島建設清山元副社長を再逮捕いたしました。中村議員につきましても、検察当局において、国会議員の地位の重要性や憲法に定められた不逮捕特権趣旨を十分に尊重し、在宅で捜査を続ける可能性についても慎重に模索いたしましたが、中村議員出頭を拒否するなどの状況にあり、真相解明の必要上、同日、逮捕状請求を行い、同月十一日、衆議院において、中村議員逮捕についての許諾の議決がなされましたことから、同日、中村議員あっせん収賄の事実により逮捕いたしました。そして、関係箇所捜索・差し押さえ、関係者取り調べ等捜査を行った結果、同月二十九日、鹿島建設清山元副社長斡旋贈賄罪で、本年四月一日、中村議員斡旋収賄罪東京地裁に公判請求いたしました。  公訴事実の要旨は、中村議員は、平成三年七月上旬ころから平成四年一月中旬ころまでの間、前後数回にわたり、鹿島建設清山元副社長から、公正取引委員会における埼玉土曜会の会員による独占禁止法違反事件調査状況及び告発見通し等に関する情報を入手した上で、告発等に関する職務を独立して適正に執行すべき職責を有する公正取引委員会委員長らに対し、告発すべきものと思料される場合であっても告発しないように働きかけてもらいたい旨のあっせん方請託を受けてこれを承諾し、その報酬として、平成四年一月中旬ころ、東京都内において、現金一千万円のわいろを収受し、清山元副社長は、そのわいろを供与したというものであります。  最後に、以上申し上げました事実以外の事実に関する捜査結果について付言いたします。  鹿島建設から元国会議員に対し政治団体を経由して、いわゆる迂回献金が行われていたとの報道がなされた件については、贈収賄罪のほか、政治資金規正法違反等の成否についても鋭意捜査を尽くしましたが、何らかの犯罪嫌疑ありとして訴追するに足りるものを認めることはできませんでした。  また、三井建設の元役員が、同社から国会議員への献金のために現金を預かり保管中、これを着服、横領したとの事実が判明いたしましたが、これにつきましては、既に被害の全額が弁償されていること、被害会社もあえて処罰を求めていないことなどの諸事情を考慮して、不起訴処分に付しております。  このほか、東京地検では、本件に関してなされた種々の報道等をも視野に入れつつ、慎重に捜査を続けてまいりましたが、既に公判請求した事実以外には犯罪嫌疑ありとして訴追するに足りるものは認められませんでした。  以上が東京地検によるゼネコン汚職事件捜査処理に関する報告であります。     ―――――――――――――
  6. 山口鶴男

    山口委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  平成六年度総予算審査のため、本日、参考人として前公正取引委員会委員長梅沢節男君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山口鶴男

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  8. 山口鶴男

    山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田正彦君。
  9. 山田正彦

    山田(正)委員 けさ未明、ペリー国防長官の方で、実は重大なお話があったようであります。北への先制攻撃も開かれたオプションである、そしてまた、日本など関係国独自にその経済制裁も可能である、そのような声明があったようですが、この件については、私の後、北側先生に北朝鮮の問題で詳しく質疑させていもらいたいと思っております。  ただいま法務大臣刑事局長から、いわゆるゼネコン汚職事件についての捜査が終結した旨の御報告がございました。私は、私ども政治家にとっても考えなければならないと思うこと、また、検察首脳にとっても今後の捜査において参考にしてもらえれば、そう思うことを二、三質問させていただきたいと思います。  今の報告では三井建設の元役員について不起訴になった旨述べておりました。新聞等報道によりますと、元自民党幹事長が、茨城県の緒川ダムの受注に関して、当時の竹内県知事三井建設工事させるよう働きかけ、天の声を出させたという事件であります。  当然私どもは、斡旋収賄罪で立件されるかと思っておりましたが、不起訴に終わってしまいました。これはあくまで新聞報道によることではありますが、私どもの感覚としましては、竹内知事はその供述において、元自民党幹事長から頼まれておったこと、これは認めておったのではないのか。また、三井建設首脳も一千万円が元自民党幹事長に渡ったであろうと思っていた節が見られること。  なおまた、検察庁においては、当然のことながら関係書類の帳簿類、捜査押収してあったと思いますが、その帳簿類からして、元自民党幹事長に一千万が支出されておったというところをつかんでおったんじゃないか。そして、そのころまでは、実は自分が着服、横領したという三井建設の元役員も、いわば認めておったのではないのか。ことしの一月の二十日になって、どうやら前言を翻したようですが、それまでの捜査の事情、そちらに至るまでの捜査の事情について、刑事局長にどういう状況であったか、まずお聞きしたいと思います。
  10. 則定衛

    則定政府委員 お答えします。  当委員会からの報告の要請がございまして、種々検討いたしました結果、先ほど報告いたしましたとおり、起訴等の処分をしたもの以外に、刑法の贈収賄罪を含み犯罪嫌疑ありとして訴追するものは見当たらなかったという報告をさせていただいたわけでございまして、それ以上に、今せっかくのお尋ねでございますけれども起訴されなかった事実に係ります関係者の氏名や、それから捜査過程、その内容等につきましてお答えすることは、捜査の内容に踏み込むということでございまして、厳に慎むべきことであると心得ておりますので、御容赦願いたいと思います。
  11. 山田正彦

    山田(正)委員 このいわゆる元自民党幹事長嫌疑で、例えば議院における面会証の調査、そこまではやっておったのか、なかったのか、その程度までは答えられませんか。
  12. 則定衛

    則定政府委員 重ねて、申しわけございませんけれども、今の内容、その捜査の活動内容ということでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  13. 山田正彦

    山田(正)委員 私どもは、当然これだけの情況証拠があれば強制捜査に入る、逮捕して捜査するということが当然だと思っておりましたが、どうやらそれもできなかったようであります。  ところで、その三井建設の元役員、業務上横領、すなわち一千万は自分が着服したというのですから、少なくともその業務上横領罪で逮捕できなかったものかどうか。着服金額が一千万、こうなりますと、私ども弁護士の長い経験からいたしますと、普通の人でしたら即逮捕されるところじゃないのか、なぜそこまで強制捜査に踏み切らなかったのか、その理由を国民の前に明らかにしていただきたい、そう思っております。
  14. 則定衛

    則定政府委員 この三井建設役員につきましては、今御指摘のように、着服、横領罪ということで検察は立件いたしまして、これを起訴猶予にしております。その場合に、既にその事実が判明いたしましたときの被害の回復の状況でありますとか、あるいは被害会社側の処罰意思の問題等からこの身柄についてどうするか、これらにつきまして判断したものと思いますけれども、いわば原状回復がなされているといった点などから、あえて身柄の措置はとらなかったものというふうに理解しておるわけでございます。
  15. 山田正彦

    山田(正)委員 泥棒が盗んだ金を返したからといって、それで泥棒の罪が免れるということはありませんです。もう多分、すべての方が御承知だと思います。そうであれば、この業務上横領罪が親告罪、告訴を取り消したということであれば考えられますが、これは親告罪でもございません。そしてかなりの金額、一千万という金額を横領しておって、それを返したからといって、すなわちもう弁済は済んでいる、会社側もこれを処罰してくれという意思がない、これでそう考えるのは、私は大変おかしいのじゃないか、国民としては納得できないのじゃないか。  また、強いて考えるならば、あの時点で三井建設の元役員が、自分が着服、横領しておったのだと言い始めた。彼は、長い間業界の業務役というのですか、いわゆる裏金、献金を処理してきておったという人物であったとしたら、長い間ですから信用もあったと思うのです。その方が、この件に関してだけは、一千万円もの大金を着服、横領した、これは何とも我々国民としては不自然な話に映るわけです。  やはり、これについてはそういった事情もあり、また一千万円という多額の着服金ということもあり、そうであったら私どもの常識からすれば、当然これは逮捕強制捜査、そして検察庁としても十分追ってきたいわば緒川ダム事件についての一つの決着を図ろう、そういうところにいくはずだと思うのですが、もう一度則定局長、その件について。
  16. 則定衛

    則定政府委員 重ねてのお尋ねでございますけれども検察といたしましては、事案に即して必要なもろもろの捜査態勢をしき、また身柄等についての扱いについても、その具体的な案件の捜査処理にふさわしい方途を選択したということを申し上げられるわけでございまして、その具体的な中身について答弁するということは、捜査の秘密ということで御理解いただきたいと思っておるわけでございます。
  17. 山田正彦

    山田(正)委員 刑事局長のお話を聞いておってもなかなか納得できないのでございますが、私は、この三井建設が一千万円もの着服、仮にそれが本当だとして、着服、横領されていながら、それを処罰したくないという態度そのものが、いわゆるゼネコン体質、政治家との癒着といいますか、それを端的にあらわしているものじゃないか、そう思えてならないわけであります。  そこで、実は、なかなか本当のこと、実際のことが聞けないようでございまして、私は、この予算委員会において、三井建設の首脳、また着服、横領した元役員、これを国会に証人として喚問していただいて徹底的にその事実の究明を図っていただきたい、そう思うところでありますが…… (発言する者あり)それは要求してもいいのだけれども、この国会……(発言する者あり)ちょっと話を聞いて。この国会において予算の審議を一日も早く上げなければならない。ところが、いつまでも予算の審議をやらずに、こういうことをぐだぐだぐだぐだと細川さんの事件以来やっていること、これを考えますと、私は、今回は予算審議を先行してもらうために遠慮させていただきたい、そう思っております。(発言する者あり)  先ほどの刑事局長報告にも少し触れておりましたが、鹿島建設から元国会議員、元自民党の郵政相のことだと思いますが、四千万円が国民政治協会、それから自民党、そして本人と、いわゆる迂回献金がなされた件であります。  これは、もともと東京タワーを経営している日本電波塔株式会社が芝公園内で高層ビルを建設するに当たって、厳しく法規制されるところを、当時官房副長官であった元郵政相が建設省に働きかけ、局長通達でできるようになった謝礼として同人に渡されたお金であります。  まずは、これがなぜ斡旋収賄罪にならないのか、刑事局長にお聞きしたいと思います。
  18. 則定衛

    則定政府委員 これまた、私ども検察から報告を受けておりますのは、一連の各種報道等いろいろ具体的に取りざたされておりましたので、それらも視野に入れて必要な捜査を尽くしたということでございまして、いずれも先ほど御報告いたしましたように、これまで起訴した分以外に起訴すべきものは見当たらなかった、こういうことでございます。  したがいまして、起訴されなかったものにかかわります内容について、関係者の氏名等を含めましてこの場で明らかにするということはいたしかねますので、その点につきましても御了解いただければと思っております。
  19. 山田正彦

    山田(正)委員 仮にそういう贈収賄事件斡旋収賄罪が立件できないとしても、これは政治資金規正法二十二条の二、これに実質的に違反する行為であるとはとられませんか、刑事局長
  20. 則定衛

    則定政府委員 その点につきましても、内容に立ち入ることでございますので、法務当局から答弁するのは差し控えさせていただきたいと思っております。
  21. 山田正彦

    山田(正)委員 どうやらなかなか刑事事件としての立件は難しいということであります。  ところが、今私どもは新しい政治改革を志しているところでありまして、その中で政治資金規正法、例えば新しい党の政治資金団体の受け入れ、そして党、さらに個人にと、企業献金の場合に非常に明らかでありますが、いわばそれを免れる行為として、抜け道として同じようなことが考えられないのかどうか。いわば政治資金規正法のあり方という問題、殊に新しい選挙制度になってからのもの、それにも関連することではないかと思われますので、自治大臣にひとつこの点をお聞かせ願いたいと思います。
  22. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 このたび成立いたしました政治資金規正法、新しい改正法でございますけれども、この改正法におきましては、企業等の団体献金は政党、政治資金団体それから資金管理団体以外のものに対しましては一切禁止することとされ、制限が強化されたところでございます。  お話のございました、一たん政党に献金されたものが政党を通じて政治家の関係政治団体等に対して配分される場合についてのお尋ねであろうと思いますけれども、これは基本的には政党運営にかかわる問題であると考えておりまして、政党から政治家の関係政治団体等に対して支出された事実は政党の収支報告書に記載され、国民の前に公開されるものでございまして、そのあり方についての当否は国民の判断にゆだねることとされたところでございます。
  23. 山田正彦

    山田(正)委員 ゼネコン汚職の報道について最高検の中津川総務部長が、関係者への直接取材や捜査着手を予告するような記事が逃亡や証拠隠滅、人権侵害につながることがある、そういうことを言っておりますが、マスコミの過熱した報道合戦が捜査の侵害になれば大変であります。報道の自由とも絡んで大変難しい問題ですが、やはりこの件について法務大臣にお答えいただければと思います。
  24. 中井洽

    中井国務大臣 過日の法務委員会等におきましてもそういった御質疑がなされたわけでございますけれども、マスコミはマスコミで報道の自由また国民の知る権利、これに基づいて膨大な人員を投入して事件をいろいろな意味で調査をして報道されておられるんであろうか、このように考えておりまして、法務大臣としてこれらの報道についてあるいは報道姿勢について、意見やあるいは感想を申し述べるということにつきましては差し控えさせていただきたい。  ただ、被疑者とされた人あるいは容疑者と目された人たちの人権問題ということについても十分配慮されてほしい、このことは法務大臣としてだけじゃなしに一個人としても感じておるところであります。
  25. 山田正彦

    山田(正)委員 警察庁の刑事局長にお聞きいたします。  愛知県警において今奥田副知事がゼネコン汚職で逮捕されていますが、事実究明のため、これはとことん頑張っていただきたいと思っております。今、私の手元の三月十日の日経新聞の記事に、大阪の天王寺区役所庁舎の建設工事が、事前に同社に寄せられていた談合情報どおり共同企業体が受注したとなっています。このような記事は枚挙にいとまがありません。ほとんどの公共工事が談今されていると言われております。  私の認識では、それを取り締まる側にある警察が、談合があっても贈収賄の疑いかなければそのまま放置しているのではないのかと見受けられます。このままでは幾ら入札制度を指名入札制度から公開入札に変えていったとしても、取り締まりがしつかりしていなければ一緒だと考えております。警察として本腰を入れてこのような談合事件、そういったものに取り組む意向があるかどうか、お聞きしたいと思います。
  26. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  警察といたしましては、刑罰法令に触れる談合につきましてはこれまでも所要の捜査を行ってきたところでございますが、今後とも厳正に対処いたしたいと考えております。
  27. 山田正彦

    山田(正)委員 さて、まだいろいろお聞きしたかったんですが、時間が参りました。ゼネコン汚職について厳しい取り締まりをお願いいたしましたが、社会的にゼネコンも悪の権化みたいに言われてまいりました。しかし、中には黙々とまじめに働いている人が数多くおります。また、下請、孫請、その他生業のためにも頑張っている中小、小さい零細な土木建築会社もいっぱいおるわけであります。この人たちが日本の社会資本の充実を下で支えているという現実、このようなことからもこの人たちのことを考え、一日も早くこのような疑惑、汚職がなくなるようお願い申し上げます。  最後に、総理大臣に、改革を志す羽田政権としてこのようなゼネコン汚職に対する取り組みについてお聞かせ願いたいと思います。
  28. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 今お話がありましたように、公共事業あるいはそれに携わる人たち、これは本当は国民の福利増進、このために大変大きな役割を果たしてきている人たちであろうというふうに思います。また、公共事業というのは、これは公のものでありますから、もう申し上げるまでもなく、これは信頼性というものあるいは透明性というものがなければならないということでありまして、相次ぐ不祥事の発生というものに対しては本当に遺憾に思うところであります。  このために、本年一月には「公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画」、これを政府として策定したところでございまして、現在それに基づいて一般競争方式の本格的な採用、これを初めとする入札・契約制度の抜本的な改革や、独占禁止法の厳正な運用などに取り組んでおるところでございまして、入札談合などの不正の根絶のためにその着実な実施を図っていくということで、これから公共事業に対する信頼というものを 高める必要があろうというふうに考えております。
  29. 山田正彦

    山田(正)委員 どうもありがとうございまし  た。
  30. 山口鶴男

    山口委員長 この際、北側一雄君から関連質疑の申し出があります。山田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北側一雄君。
  31. 北側一雄

    北側委員 公明党の北側一雄でございます。  それでは、限られた時間でございますので、お答えの方も簡明にぜひお願いしたいと思っております。  まず最初に、総理、昨年来、一連のゼネコン汚職事件が続いたわけでございます。国会議員が一人逮捕され、また四人の首長逮捕される、こういうふうな非常に厳しい状況でございます。この一連のゼネコン汚職事件に対する認識について改めてお聞きをしたいと思います。簡単に、できれば。
  32. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 今も申し上げましたとおり、こういった公共事業、これを施行していくということは、これはまさに国民の福利増進になるということ、あるいは国の活力につながることであるということで、これは本来最も信頼されるものでなければならないということでありますけれども、そういう中にいろんな形で介入するというようなことがあったということ、これが今日の事態というものを招いてしまったことであろうというふうに思っております。  こういうものを踏まえて、先ほど申し上げましたように、この一月に「公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画」、これを策定をいたしたところでございます。また、これは今後、海外からの入札というものを認めるということでありまして、より透明性の高いものにしていくということが重要であろうというふうに考えております。
  33. 北側一雄

    北側委員 まず、ちょっと私お聞きしたいのは、国会議員のいわゆる口ききと言われることについてなんですけれども、今回の事件検察当局は常に国会議員の職務権限があるかないか、この問題で非常に大きな壁に捜査上ぶつかっておるわけでございます。  法律上の職務権限があるかないかと、事実上その法律上権限ある者への影響力を強く持っている、事実上の決定権を持っている人というのは、これは必ずしも一致しないわけでございまして、よく天の声、天の声と言われますけれども、この天の声を発する人が必ずしも法律上の職務権限ある人とは限らないというわけなんですね。  私はこの一連のゼネコン汚職事件を振り返って、やはり我々国会の一つのけじめとして、国会議員のこういう公共工事指名、落札についての入札行為、こういうものについて何らかの規制があっていいんではないか。  例えば、公共工事発注権者に対して国会議員指名、落札に関して口ききする、あっせんする、そしてその対価として金銭の授受を受けたような場合には、これは法律上の職務権限がなくても私は何らかの罰則というものがあっていいんではないか。もちろん、これは法制上はいろいろな問題点がきっとあるかと思うんですけれども、一度この機会に私は検討をしていただいてもいいのではないかというふうに考えるんですが、総理、いかがでしょうか。
  34. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 現行の刑法上では、公務員が請託を受けて他の公務員に職務上の不正の行為をさせ、または相当の行為をさせないようにあっせんしたことの報酬としてわいろを収受したときは五年以下の懲役に処するということになっております。  御指摘の行為がこれに当たるとすれば、刑法上の斡旋収賄罪、これにより処罰されることになりまして、これに当たらなければ刑法では処罰はされないが、そのような行為にどのように対処するかにつきましてはまだ種々議論されておるところでございますけれども、私どもといたしましてはそういったものを踏まえながら適切にやはり対応していくということを申し上げることだろうというふうに思っております。
  35. 北側一雄

    北側委員 確かに、政治資金規正法違反の罰則、今回政治改革の一連の改革の中で非常に厳しくなったわけでございます。この政治資金規正法違反だけではなくて、やはり収賄罪について、今問題になっているような公共工事に絡む国会議員の口きき、その対価として一定の金銭の授受がある、このような場合に何らかの罰則を設けること、その設けるには法制上さまざまな問題点があると想像できますけれども、それを前向きに一度検討してみたらどうかと思うんですね。  法務大臣、いかがですか。
  36. 中井洽

    中井国務大臣 ただいま総理大臣からお話がありましたように、刑法百九十七条あるいは刑法百九十七条ノ四、それぞれで刑法の構成要件に該当すれば、刑法により処罰がなされることは議員御承知のとおりでございます。今国会あるいは従来からの御議論の中で、職務権限のない議員の口きき、こういったことについて論議があったこと、承知をいたしております。  また、今北側議員は、公共事業の入札に関してだけ考えろ、これは初めて御議論のあったところではないか、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、ただいま総理から御答弁がありましたように、議員の皆さん方での種々の御議論、これらを踏まえて適正に対処していきたい、このように考えているところでございます。
  37. 北側一雄

    北側委員 私は、法制上にいろいろ問題点があるだろうということは承知の上でお話ししておるんですけれども、やはり公共工事というのは、これは国民の税金を使ってやるわけですから、結局その対価というのは税金でございますので、やはり厳しい規制があってしかるべきではないかというふうに考えます。ぜひ検討をしていただきたいというように思うわけでございます。  次に、総務庁長官にお尋ねをさせていただきますが、昨年の十月四日の予算委員会でございますけれども、我が党の日笠さんの質問に答えまして総務庁長官が、公共事業に対する行政監察はやりたい、それはなるべく早くやりたい、「平成六年度の行政監察の中にこの課題を取り入れて取り組んでまいりたい」、このような決意をお述べになっておられます。  この一連のゼネコン汚職事件というものを、ここである意味では一つの決着をつけるためにも、私はことしは特に重点的にこの公共工事の入札また契約について、徹底した行政監察をやっていただきたいというふうに思うわけでございます。できるだけ早い時期にとり行っていただきたいと思いますが、いつごろ実施できるのか、その辺の大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  38. 石田寛人

    石田国務大臣 お答えを申し上げます。  入札あるいは契約制度の問題につきましては、昨年の十二月二十一日、建設大臣の諮問機関であります中央建設業審議会から「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」という建議が行われたわけでございます。それを受けて、政府平成六年の一月の十八日に「公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画」、こういうものを決めたわけでございまして、一定金額以上の契約について一般競争入札を導入するなどの措置を着実に推進をするというふうにいたしておるところでございます。  総務庁でも、今御指摘がございましたように、公共事業発注の競争性やあるいは透明性を確保するという観点から重大な関心を持っておるわけでございますが、何しろ新しい制度ということになりまして、そういうことで平成六年度の第三・四半期以降というふうに決めているわけで、できるだけ早くいたしたいと思っております。したがいまして、目標としては、平成六年の十月から十二月、これは第三・四半期になるわけでございますが、実は予算がちょっとおくれておるわけでございます。  特に、新規事業につきましては本予算が通過しないと執行できないような仕組みになっているわけでございますので、やはり新しい制度を導入して、そしてその制度が本当によく機能しているか どうか調べるためには、ある一定の実行期間がなければならないわけでございますので、監察局としてもできるだけ早くやりたいのでございますけれども、その実行状況を少し経過したところを見ないと実態がわかりませんので、そこら辺を踏まえて、今申し上げましたように第三・四半期以降に行政監察をいたしたい、こういうふうに思っているところでございます。
  39. 北側一雄

    北側委員 ぜひ、ことしの行政監察では重点的な監察をお願いしたいと思います。  建設大臣にお伺いいたします。  公共事業の入札・契約制度の改善につきまして、昨年来、建設省としても非常に力を入れられまして、さまざまな制度の改革、かなり思い切った制度の改革をなされました。また、税の関係でいいましても、使途不明金に対する課税強化とか、私は、かなり思い切った改革をしておるというふうに評価をしておるわけでございますが、この公共事業の入札・契約制度の改善について二、三お聞きをしたいのです。  まず、一般競争入札の導入が今回図られました。一月十八日の閣議了解した政府の行動計画で、当面は一定規模以上の大規模工事に一般競争方式を採用するというふうに決められました。国の直轄については七億三千万円以上の工事、公団、都道府県、政令指定都市については二十四億三千万円以上の工事を対象として、今後一般競争入札を導入する。この金額なんですが、今後、この一般競争入札の対象範囲、これからもさらにこれを拡大する必要があると建設大臣はお考えなのかどうか。
  40. 森本晃司

    ○森本国務大臣 お答えいたします。  今御指摘がございましたように、私たちの方も、今回の不正事件が起きたことに対して反省をいたしまして、発注者それから受注者ともに反省をするとともに、不正の起きにくいシステムをつくらなければならないということで、今委員がおっしゃった点について取り組んでまいっているところでございます。  そこで、一般競争方式の対象範囲を拡大するかどうかという点でございますが、これは、一つは不良不適格業者の参入の可能性、拡大いたしますと可能性が大きくなるということ、それから発注事務、これが増大するということ、それから中小企業者への影響を勘案して先ほど御指摘がございました七億三千万円以上というところに限るとしたところでございますが、将来におきましては、そういった資格審査体制の充実や、発注及び工事監督に係る事務量の軽減を図るとともに、中小企業に対する影響を勘案しながら、その対象については十分に慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
  41. 北側一雄

    北側委員 この一般競争入札の導入といっても、これはすべてにわたって一〇〇%一般競争入札というのは、これは無理な話でございまして、もちろんそこには一定の限界というのがあるわけで、大臣の御答弁のとおりだと思うのですが、ただ、現在この七億三千万円以上、また都道府県、政令指定都市については二十四億三千万円以上、こうなっているところは、やはりその制度の定着とともに、この一般競争入札の対象範囲を拡大する方向でやっていかねばならないのではないか、もちろん限界はあると思いますが、そう思うのです。  それとの関連で、もう一点お聞きしたいのは、ボンド制度の問題でございます。  履行ボンドについては、年内中に検討なされるというふうにお聞きをしておるのですけれども工事完成保証人制度が廃止されますので、これにかわり得る制度を検討しなければならない、それが履行ボンド制度である。だから、履行ボンド制度については、できるだけ急いで検討しなければいけない、だから年内中なんだ、これはよくわかるのですね。ただ私は、この際、履行ボンドのあり方の検討とともに、入札ボンドについてもその導入ができるのかどうか、ぜひ研究をしていただきたいなと思うのです。  先ほど大臣がおっしゃった一般競争入札の導入に伴う問題点、例えば事務量の問題、それから不適格者をどう排除するのかという問題、さらにはダンピングなんかどうするんだとか、こうした問題について、この入札ボンドというのは非常に効果的でございます。この入札ボンドについても、履行ボンドの検討とともに、ぜひ研究をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  42. 森本晃司

    ○森本国務大臣 ボンド制につきましては、工事完成保証人制度がなくなるということで、我々はまず履行ボンドについて、今委員がおっしゃっていただいたように、研究会をスタートさせて年内にめどをつける予定でございます。  入札ボンドについては、さまざまな角度で検討しなければならないと思っておりますが、先般発足いたしました学識経験者の皆さんによる研究会で、履行ボンドをまず年内につけるということと同時に、入札ボンド制についてもその中で検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  43. 北側一雄

    北側委員 ぜひ入札ボンドについても積極的に研究、検討していただきたいというふうに思います。  自治大臣にちょっとお聞きいたしますが、先ほど申し上げましたように、都道府県、政令指定都市については二十四億三千万円以上の工事を対象として一般競争入札を導入するんだと政府は一応決めたわけでございます。ところが、東京都が先般の六月の二日に、一般競争入札の対象を五十億円以上の工事というふうに、政府が決めた基準よりも少し緩やかな基準で一般競争入札の導入を図ろうとしているわけですね。これは、その政府の方針とやや異なりはしないのかということでございます。  一月三十一日には、建設省、自治省が全国の知事、政令市長にこの政府の行動計画を受けて通知をしているわけでございますが、先般のこの東京都の決定は、私は、ちょっとほかの自治体にも悪影響を与えはしないかというふうに心配をしております。自治大臣、いかがでしょうか。
  44. 石井一

    石井国務大臣 この事態を深刻に受けとめまして、地方公共団体の入札・契約制度の具体的な改善策については、建設省とも協議の上、いろいろな施策をとっておりまして、また、それの報告またフォローアップ等が寄せられておるところでございます。  具体的な東京都の案件につきましては、政府委員からひとつ答弁させたいと存じます。
  45. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 地方公共団体の入札・契約手続の改善につきましては、私ども、建設省とも協議をいたしまして、昨年中に既に通知をいたしまして、いろいろ改善方策についてお願いをしているところでございます。  このうち、公共工事、都道府県、指定都市につきましては、一定規模以上のものについてということで、二十四億三千万円ということを言っております。既に昨年中から各都道府県、試行を随分やってまいりまして、多くの県、指定市で試行が行われております。また、平成六年から基準を設けてこれをやるというようなことになっておりまして、そういう中で二十四億三千万円以上のところもありますし、またそれ以下のところでやろうというような団体も中にはございます。  東京都の事例でございますが、私も詳しくこれを承知しているわけではございませんが、新聞報道で見ますと五十億円以上というようなこともあるようでございます。ただ、東京都の場合、公募型の指名競争入札というものもやっておりまして、そちらの方でこれより低い金額のものについてもほぼ同様な格好で公募しまして、そういう意向のあるものについて入札参加できるような格好にいたしますので、御指摘のような問題もそちらの方で救われるんではないかというふうに思っております。
  46. 北側一雄

    北側委員 東京都というのはほかの自治体に与える影響というのは非常に大きいと私は思います。今回のこの五十億円以上の工事としたという決定については、恐らく暫定的にまず五十億円以上でやってみようという趣旨というふうに私は理 解はしておるのですけれども、やはりほかの自治体が政府の方針に従って、また、政府の方針以上に一般競争入札の導入については積極的にやっているわけでございますから、その辺、ぜひ東京都ともよく連携をとっていただきたいというふうに思うわけでございます。  これは建設大臣にちょっとお聞きしますが、公正取引委員会が五十九年のガイドラインに比べましてかなり詳細なガイドラインの原案、公共事業に係る事業者及び事業者団体の活動に関する独禁法上の指針の原案を三月にかなり詳細にしてつくりました。五十九年度の内容に比べると相当具体的に書かれておりまして、私は非常にいいことだ、いわゆる談合と言われるものが一体どういうものなのかをある程度明確に具体的にする指針として、非常に私は重要なガイドラインだというふうに評価をしておるわけでございますが、この内容について、建設省、どういうふうに評価をなされておりますか。
  47. 森本晃司

    ○森本国務大臣 今度公正取引委員会から発表されました公共入札ガイドは、今委員がおっしゃっていただきましたように、従来の建設業ガイドよりもはるかに前進したものだというふうに私たちは受けとめておるところでございます。殊に、審決事例に即して具体的にかつ明確に記述されております。そういった点から、私たちは独禁法の理解が一層進むものだと全体的には評価しております。  しかしながら、個々の項目を子細に検討した場合に、一つは、事業者がみずから合理的な意思決定を行うために必要な情報収集、二つ目は、自社の技術力のPR等の一般的な営業活動、三つ目は、共同企業体の結成のために行われる情報交換等々、幾つかの項目について適法な事業活動と違法行為との境界が不明確な部分や、あるいはまた事業者に誤解を招くような部分も散見されているところでございますので、このような部分については表現方法をさらに適正化していただくよう今御意見を申し上げているところでございます。  全体としては高く評価をしているところでございます。
  48. 北側一雄

    北側委員 公正取引委員会にお聞きをいたします。  今の建設大臣の御答弁、さらにはこの原案をいつごろまでに大体確定しようとなされているのか、御答弁をお願いします。
  49. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お答え申し上げます。  ただいま、私どもがこの三月に原案を発表いたしました「公共的な入札に係る事業者及び事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」、いわゆる公共入札ガイドラインについてお尋ねをいただきました。北側委員から、そしてまた、今御答弁のございました建設大臣からも、この原案の内容については積極的に御評価をいただいているということは、私どもにとりましても大変心強いことでございます。  ただいま建設大臣から全般的な御評価はいただきながら、かつ個別の表現等についていろいろと御意見がおありになるということでございましたが、私ども、建設省を含めまして関係行政官庁あるいは内外の関係経済団体から、現在御意見、御要望をこの原案をお示しをしてできるだけ広く伺っているところでございます。  まだ意見があるからこれから出したいという、そういう連絡などもございますので、もうちょっと時間をいただきまして、これらの意見を参酌をいたしまして原案について十分な検討を行いまして、しかる後に、私どもとしましてはできれば本年夏をめどに、この原案について必要な検討を行いました上で、公的なガイドラインとして策定、公表したい、こういうふうに考えているところでございます。
  50. 北側一雄

    北側委員 ありがとうございました。  それではゼネコン疑惑の問題はちょっと置いておきまして、北朝鮮問題について総理の方にお聞きをいたします。  一昨日、総理は会津若松の方で記者会見をなされて、この北朝鮮問題について、北朝鮮は世界世論を率直に、素直に受けとめて胸襟を開いてもらいたいと述べられて、対話による事態打開にぎりぎりまで努力しよう、努力しなきゃいけないというふうに対話での解決の姿勢をまず強調されまして、その上で、一般論として国家はどんな非常事態にも対応できる態勢を持つのが大切だというふうなお話をなされました。  これは具体的に日本政府としてどのような話し合いによる解決の努力をしようとなされているのか。また、一般論として述べられているところのこの非常事態への対応としてどのようなことが想定されるのか。  さらには先ほど山田委員の方からも若干お話がございましたが、これはちょっとまず確認をしたいと思うんですけれどもペリー国防長官がNBCテレビのインタビューで、経済制裁について、国連安保理でまとまらない場合でも、関係各国で独自に制裁を行うことは完全に可能だと話したというふうに私は聞いておるのですけれども、これは間違いないのかどうか。もし間違いがないのであれば、これに対してどのような御見解をお持ちか、総理にお聞きしたいと思います。
  51. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 私ども政府としての基本的な姿勢は、会津で述べましたように、ともかく対話によって北朝鮮が国際社会に胸襟を開いてもらう、そしてIAEAの査察というものを、この保障措置を完全に受け入れてもらうということが何といっても大事だということであります。  しかし、ブリックスIAEA事務局長が国連に報告をしたというのを見ましても、現状の分析については、実験炉の燃料棒の検出ができなくなっておるという状態、過去のいわゆる運転歴、この検証、検認が難しくなったというようなことで、これが軍事転用というものがなされたのか、なされないのか、こういったところについても検証する方法がなかなかなくなってきたんじゃないのかということで一応の報告があったということでありまして、国連としてもこういった新しい事態にどう対応するのかということが検討されておるということであろうと思っております。  我が国といたしましては、やはり何といっても北朝鮮が門戸を開いてもらうということが一番大事なことで、これに対しては今後ともいろんなルートを通じながら、これは全部申し上げることはできませんけれども、いろんなルートを通じながら門戸を開くようにこれから努力していくということが大事であろうと思っております。  ただ問題は、そうやっていろんなカードが使われる中で、なかなかこれが遅々として進まないということになれば、これは国連としての議論というのが起こってくると思います。それが起こってきた場合には、私どもとしては憲法の許される範囲の中で対応していく、国際社会と協調していくということを申し上げるところであります。  ペリーさんの発言について、これは間違いかどうかということについては、今、私の口からこれらついてどうこうということを申し上げることは控えたいと思います。  なお、きょうは担当のアジア局長も来ておりますので、もしあれでしたら子細を聞いていただきたいと思います。
  52. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのペリー長官のインタビュー内容でございますけれども、これはちょっとまだテキストを入手しておりませんので、内容を確認いたしかねる次第でございます。  ただ、週末に日米でまさにこの問題についていろいろ協議を行いましたのですが、米行政府の関心は、国際社会として安保理を通じてどういうふうに対応するかということに目下のところ絞られておりまして、したがって、安保理がだめだった場合どうするかとか、ましてや軍事的なオプションどうこうというところではなかったということは申し上げられると思います。
  53. 北側一雄

    北側委員 どうもありがとうございました。
  54. 山口鶴男

    山口委員長 これにて山田君、北側君の質疑は終了いたしました。  次に、尾身幸次君。
  55. 尾身幸次

    尾身委員 最初に、予定をしております質問をいたします前に、一つ通産大臣にお伺いしたいことがございます。  昨年十二月の内藤前産業政策局長辞任問題につきまして、私自身は熊谷前通産大臣の対応が極めて不当なものであり、許されるべきものではないという認識を持っている点で、我が党の同僚議員と全く考えを同じくするものでございます。  ただ、私自身はかつてまさに行政官として通産省で働き、なかんずく現在の通産省の幹部ともまさに机を並べた者でございまして、かつての同僚の、あるいは後輩の心中を察しまして、その具体的内容に立ち至ってここで議論することはあえて差し控えさせていただきたいと思っているわけであります。  ただしかし、ここで一点だけ通産大臣に確認をしたいことがございます。  現在、既に六月に入っておりまして、通産省を初め中央の省庁の幹部の人事異動が予定されるシーズンに近づいております。通産省におきましては、昨年十二月の内藤前産業政策局長をめぐる人事がこれだけ世間の耳目を集め、国会を初め多くの批判と反響を呼んでいるという事実を重く受けとめて、今後の大事につきましては、だれが見ても公平、妥当で、かつ適材適所でその実行を図っていただきたいと念願をする次第であります。  通産省は、日本の経済の発展を支えていく極めて重要な役割を持った官庁でございます。私自身、通産官僚の一人として、かつて人生の相当部分をここで働かせていただきましたし、またもし生まれ変わることがあれば通産省で働きたいと念願をしているわけでございます。その私がここで、現在自民党の国会議員として、万感の思いを込めて、だれが見ても公平、妥当な適材適所の人事の実現を大臣に要請する次第であります。  この問題につきましては、通産大臣、もとより事務当局とも打ち合わせていただいていると思いますが、御所見を伺わせていただきます。また、事務当局の代表として、牧野官房長からも一言お答えをいただきます。
  56. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま尾身先生から、長らく身を置いておられました、そしてまた、ある意味におきましては、情熱を込めてのお取り組みを賜った通産行政の、その役所にかかわる人事の問題につきまして、大変、いわゆる当然あるべき姿を指摘されながらの御質問を賜ったわけでございます。  そういった先生のお立場を十分承知をいたしております私としましては、ただいまの御指摘を重く受けとめさせていただきまして、御指摘がございましたとおり、あくまでも公平、妥当な適材適所、この人事を、そしてまた事柄を進めるに当たりましては、次官、そしてまた官房長等々と十分お打ち合わせをしながら、意見を聞きながら、批判を受けることのないように対処してまいる所存でございます。
  57. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 ただいま大臣からもお答え申し上げましたとおり、尾身先生から、政治を担われる立場と同時に、通産省の大先輩としての立場を踏まえ、御指摘いただきました点は、私としても十分これを肝に銘じて承ったところでございます。今後とも大臣とも十分に相談しつつ、次官とともに公平、妥当で適材適所の人事を実施していく所存でございます。
  58. 尾身幸次

    尾身委員 それでは、最初に中小企業問題について質問をさせていただきます。  通産大臣に質問させていただきます。  この不況のもとにおきまして、御存じのとおり中小企業は、親企業からは値下げを求められ、また仕事の量は少なくなる、売り上げは激減するというように、極めて苦しい状況にございます。  そこで、そういう状況のもとにおる中小企業に対しまして、実は政府関係の金融機関からの既往債務、既に借りております債務に対する金利が極めて高く、その金利負担が多いということで中小企業が泣いているのが現状であります。いろんなリストラをやっておりますけれども、リストラは限界で、この金利負担の高いことだけが非常に経営の圧迫要因になっているという声がちまたで聞こえるわけであります。  もとより昨年の補正予算でも、あるいは今年度の予算案におきましても、新規の貸し付けにつきましては割合と安い、四%前後の低い金利の金が出ていることはよく承知しております。しかし、今まで借りている債務のものにつきまして、この金利の低い資金に借りかえができないという事態はゆゆしい事態でございまして、この点につきましてしっかりとした改善策をすべきであると思いますが、通産大臣のお考えをお伺いいたします。
  59. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 本問題につきましては、尾身先生を初め御関係のお立場から強い御指摘を従来から賜っておるところと、かように承知をいたしておるわけでございます。  既往債務を何としても軽減を図る、かような意味合いにございましては、いわゆる思い切った出資等々の具体的な対応策等々もお示しを賜ったいきさつ等もあるわけでございますが、そういう中にございまして、先生既に御案内のとおり、この長期固定金利制度、これを堅持しながらも、しかもそういったお立場の中小企業対策を強力に推進をしていかなければならない。かような視点に立ちまして、先生方の御推進等によりまして、返済資金緊急特別貸付制度等々の問題が展開をされておることも御案内のとおりであるわけでございます。  いずれにしましても、こういった、とりわけ従来の予想を上回る厳しい実態にございましては、政府系金融機関等々を初めといたしまして、十二分にその実態の御相談に応じながら物事を弾力的に対応する中におきまして、ただいま尾身先生御指摘のような問題の解決に引き続きベストを尽くしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  60. 尾身幸次

    尾身委員 今、弾力的に御相談をしながらと言いますが、大臣、末端はそうなっておりませんのですよ。  私の知っている中小企業の例で、約四億ぐらいの金を六・八から七・六%ぐらいで借りている企業がありまして、受注も二〇%も減って、コスト削減も非常に難しい、値下げを要求されるという中で、低い金利の金に借りかえたいという申し出を、これは中小企業金融公庫の例なんでありますが、したところが、既往債務については到底これを認めるわけにいかない、今おっしゃるとおり、財投金利が長期固定だから、貸す方もできないのだというお話でございまして、それでは今度は、わかったから、解約をして民間金融機関に借りかえたいという話をしたら、それも困る、我々は長期固定の金利で借りているので今さら解約をされても困ると言われている実例があるのですよ。そういう実例を、大臣御存じですか。
  61. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 企業そのものの置かれております実態等々、例えば赤字を出しておる、あるいはまた赤字のボーダーラインであるといったような意味合いのものには積極的にというようなことを我が方の立場といたしまして督励をいたしておるわけでございますが、ただいま先生御指摘にございましたような、当事者からすればまことに問題解決に不十分であるというようなお気持ち、お立場、そういうものもあろうかというように考えますので、さらに力を入れてまいりたいと考える次第でございます。
  62. 尾身幸次

    尾身委員 もう一つ例があります。もう一つは、これは商工中金の話なんでありますが、協同組合で五十億ぐらいのお金を借りています。組合員と、組合が借りてまた組合員に又貸ししているのと、両種類あるのでありますが、その金利が大体六・五から八・五ぐらい、平均七%前後の高い金利になっています。新しい貸し付けば四%ということなんでありますが、しかし古い七%前後の金利がどうしても足かせになって、いろんなリストラをやっているんだけれども、経営圧迫の最大の原因になっているという非常に強い訴えがあるんです。  これは、民間で借りれば今の状況のもとではもっと低い金利で借りられるものを、政府関係の中小企業の金融機関で借りているだけにそれができないという実態になっております。そういうことがこれからも続いていいというふうにお考えでしょうか。
  63. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 従来から大きな問題としてお取り上げを賜っております。ただいま御指摘の内容であるわけでございまして、十分これからも問題意識を持ちながら事柄の対応を進めていかなければならない、かように考えているわけでございます。
  64. 尾身幸次

    尾身委員 大蔵大臣に、予定していない質問で恐縮でございますが、これは大臣はよく御存じですから。  大蔵省の方から、財投金利が高いから低い金利で借りかえさせちゃいかぬと、また返させてもいかぬということを指導していると思うんですよね。その辺についてちょっと御意見を伺いたいと思います。
  65. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 尾身委員は全部仕組みを御存じの上での御質問でございますから、仕組みの話はあえて繰り返しません。  長期固定ということは、財投のあり方としてやはり守っていかなきゃならないということはあります。その中でできるだけのことをやろうということで、通産大臣とも御相談して、御承知のように六・五%を上回る分の三年間の徴収猶予、その中で、回すための運転資金については相当低利の貸し付けをやるということで今お願いをしている次第でございます。  仕組みの根幹にかかわる点ではもう尾身先生よく御存じのとおりでございますので、根幹の部分を動かすこと、あるいはまた恐らく案としては、そこを動かさないために多量の出資をしろというたぐいのお話かとも思いますが、まあ一兆とは言わないまでもそれに近い額の出資というようなことも漏れ承っておりますが、今の財政事情の中ではそれはなかなかできないので、今その仕組みの中でできるだけのことをやらせていただくというところを御了解いただければありがたいと思います。
  66. 尾身幸次

    尾身委員 この問題、既往債務の金利引き下げという問題については、今大蔵大臣がおっしゃいましたように、例えば六・五%以上の金利の既往債務について、政府関係金融機関の一%程度の金利の引き下げをするということをするといたしますと、仮にそれを出資でやる場合には、私どもの計算では六千六百億必要だということでありますが、これはいわゆる建設国債対象経費になりますから、政治の決断でできるわけなんですね、出資でありますから。  ですから私は、今大蔵大臣がおっしゃったように、貸す方の政府関係金融機関の都合を考えれば金利を安くすることはできないかもしれないけれども、この不況下で高い金利の金を、民間よりも高い金利の金を借りさせられている中小企業の立場から見たら、到底今のようなお答えでは容認できないと私は思うわけでございまして、我々自民党としては、この点については、予算の組み替え要求も含めまして今検討中でありますから、この点を申し上げておきます。  出資をすれば六千六百億という計算でありますが、直接の補助金で出せばもっとずっと低い、例えば四百億とかそういう数字になるわけでございまして、この点は、本当に不況で困っている中小企業の立場に立って対応していただきたいと思っているわけであります。  次の質問でありますが、これは通産大臣にお伺いいたしますが、そういう高い金利の金だから、安い金利の金を民間から借りられるからその返済をさせてくれというと、これがまた現実の末端に行きますとそうなっていないわけであります。今までどおり借りていてもらいたい、返されても困るんだ、なぜなら、郵便貯金の財投からずっと長期で借りているんだから、今さら返しても困るということになるわけであります。そうすると、民間企業で貸すところがあっても返せないということになるのであります。  しかし片方から見れば、中小企業金融公庫なり国金から返されても困るという金を無理に返すと、これはけんか別れになります。将来また借りようと思ったときに、おまえはあのとき無理に返したじゃないか、もう貸さないよと言われたら、十年、二十年先の経営が心配だということで、そこでまた泣き寝入りをしなければならないような実情にあるわけでありますが、中小企業関係金融機関に対して、中小企業がもっと低い金利で借りられる当てがあるから返したいといったときに、弾力的に認めるお考えはございますか。
  67. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま既に大蔵大臣からもお話がございましたとおり、長期固定金利制度、いわゆる金利が上昇する時期におけるメリットの問題等々総合的なことを考え合わせますと、基本的な分野に属する仕組みにつきましてはなかなか対応ができにくいというのは、これは残念ながら現実の姿であることは御指摘のとおりでございますが、そういう中にございまして、先般来の諸政策等々を活用しながら、いささかでもその痛みを和らげる努力を引き続き進めてまいりたい、かように考えております。
  68. 尾身幸次

    尾身委員 大臣、私の質問を聞いておられたでしょう。  要するに、返したい、民間の金融機関で借りかえをしたいんだといったときに、弾力的に認めるように指導してもらいたい。非常に合理的なんですよ。それを、今まで貸していたんだから高い金利の貸付金をそのまま置いておけということを言われているのですよ、末端が。それに対して、指導している通産省としてどういうお考えか、もっと弾力的に認めるということをやらなくていいのかということを聞いているわけです。
  69. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 いずれにしましても、個々のケースのお話し合いを十分窓口で親切に受けとめをし、よく相談に乗るようにと、そういう行政指導を引き続き努力を重ねてまいりたいと考えております。
  70. 尾身幸次

    尾身委員 そうすると、どうしても返したいといったときは、これからの長期的な関係を壊さずに弾力的に相談に乗るというふうに受けとめてよろしいですか。
  71. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、いわゆる窓口と当事者との間で十分話し合いを進めるように、そしてまた、にべもなく断るということではなくて、いろいろ相談に乗るという姿勢が大切と、かように考えております。
  72. 尾身幸次

    尾身委員 この点については、また予定の質問じゃなくて恐縮ですが、大蔵省からそういうことをとめられているという話もありまして、これは大蔵大臣からも、今の通産大臣の答弁に御賛成かどうか、お伺いをいたします。
  73. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 お話しのように、第一線の話でございまして、運用の話だと思いますが、通産大臣が今言われたことに尽きているように思います。
  74. 尾身幸次

    尾身委員 次の質問に移ります。  次の質問は、中小企業対策費の話なんでありますが、この予算案におきまして、実は一般歳出予算の合計が、昨年が三十九兆九千百六十八億でありますが、本年度の予算案は四十兆八千五百四十八億ということで、二・三%の伸びになっていると思うわけであります。これに対して政府の提出した原案によりますと、一般会計中小企業対策費は、昨年の千九百五十一億円から、ことしは千八百七十七億円ということで、三・八%減の七十四億円減ということになっておりますが、この点については通産大臣はしっかり御認識しておられますか。     〔委員長退席、後藤委員長代理着席〕
  75. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生御指摘のとおりの内容であることも承知をいたしております。なおまた、それに伴います他の方法等々も加味されておるということも先生御案内のとおりでございます。
  76. 尾身幸次

    尾身委員 これは、どうしてこんなことになったかというと、商工会等の小規模企業対策費、その指導員関係の費用が、実は昨年から地方交付税 で一部を賄う、いわゆる一般財源化をするということになったわけであります。そこで六年度の増分は、この地方交付税で百六十二億賄うことになったから、それを合計すれば中小企業対策費はトータルとしてふえているというふうに説明をされているわけであります。  しかし、私どもはこの一般財源化した自治省の財源について、本当に商工会の指導員等の経費に使われているのかどうかということについて極めて大きな疑問を持っております。一般歳出の中小企業対策費は、もう十二、三年前でありますが、昭和五十六年度が最高の金額でありまして、二千五百億円あったわけであります。しかし、その後十数年の間に、シーリングの適用のためにだんだん実は中小企業対策費が少なくなって、かつて二千五百億円あった中小企業対策費は、今年度の予算案におきましては千八百七十七億円と非常に大きく実は下がっているわけであります。  それじゃ、この間における一般会計全体の予算はどうなのかといいますと、一般歳出はこの五十六年で三十二兆五百四億円、平成六年度の原案で四十兆八千五百四十八億円で、五十六年度と比べて一般会計の予算は、シーリング等々がありますけれども、一・二七倍、二七%アップになっているわけであります。この間に、中小企業対策の予算は二千五百億から千八百七十七億と二五%ダウンになっているのであります。このように、全体の実は予算規模が伸びている中で、中小企業対策費の予算だけが比率をどんどん減らしているということは、私は非常に問題であるというふうに思っております。  実は、このことに私ども自民党政権時代に気づきまして、ここ数年間は中小企業対策費はほぼ横ばい、千九百五十億前後で横ばいということで、私ども大蔵省と折衝して頑張ってまいりました。一昨年は千九百五十六億円であったのでありますけれども、昨年は一般財源化を七十五億円いたしたわけでありますけれども、しかしその状況のもとにおいても千九百五十一億と、ほぼ同額を我々は確保したわけであります。  そして、ことしの予算原案になって、政権がかわった途端に、実はこの中小企業予算を少なくとも前年と同じくらいに維持するという基本的な方針が守られないで、一般財源化をさっき申しました百六十二億したのに対しまして、実にこの一般会計の方の中小企業の予算が七十四億円も減少をしているわけであります。  そういう実態で、つまり国の予算を、中小企業予算を七十四億円も減少させて、それでは自治省の方の一般財源でこれが使われているかどうかということについて、極めて疑問なのであります。この点について、通産大臣のお考えをお伺いいたします。
  77. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘がございましたとおり、いわゆる自治省サイドにおきます地方交付税移行分というようなものの姿かたちの中にございましては、ただいま先生が御指摘ございましたような問題点を抱えておる。そういう中にございまして、自治省サイドにおきましても、この地方交付税移行分につきましての取り扱い、なおまた、我が方と自治省とにおける十分な協議の中で、万遺憾なきを期してまいりたい。さような意味合いの中で、厳しい現在の実態を踏まえて、引き続き努力を重ねてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  78. 尾身幸次

    尾身委員 自治大臣にお伺いをいたします。  今の補助金の一般財源化を行ったわけでありますが、この所要額を基準財政需要にカウントする、そして地方交付税から見るということを言われているわけでありますが、本当にこの商工会等の経営指導のために使われる保証があるのかどうか、その点についてお伺いをいたします。
  79. 石井一

    石井国務大臣 数字的な御指摘は確かに正しいところがあると認識いたしております。  商工会とか商工会議所の経営指導員等の人件費に係る補助については、地方の事務として同化し定着していることから、平成五年度から三年間で逐次補助率を引き下げて一般財源化を実施することとして、所要額を普通交付税の基準財政需要額に算入しておるところでございます。  普通交付税の算定においては、商工行政費の中で標準的な団体における所要一般財源を単位費用として措置し、さらに各地方団体の経営指導員数等の実情を勘案して、的確な算入となるように基準財政需要額の算定を行っておるところでございます。
  80. 尾身幸次

    尾身委員 保証があるかどうか。
  81. 石井一

    石井国務大臣 いや、この点は私は、交付税がいわゆるひもつきの財源でないということでございましても、これを交付した地方におきましては、それを慎重にかつ確実に支出するということには確信を私たちは持っております。
  82. 尾身幸次

    尾身委員 自治大臣の答弁ですと、基準財政需要に計算をしておけば地方公共団体はその額を確実に商工会の指導員等の支出に使うということでありますが、これは保証できるのですか。もしそれが保証できるとしたら、私は中央の地方行政に対する干渉ではないか、地方分権に反するんじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  83. 石井一

    石井国務大臣 理論的にはそういうことになろうかと思いますが……(尾身委員「どういうことになるの」と呼ぶ)地方分権に対する介入ということにはなろうかと思いますが、過去の長年の慣例等々の中から、地方交付税というものはやはり地方の実態を踏まえて、また行政の実態を踏まえて、合理的かつ効率的に努めておることが必要だということ、これは一つの合意のもとに定着して進んでおると思いますので、私といたしましては、それを強く、そういう対応がなされておるということを期待しておる、こう申し上げておきたいと思います。
  84. 尾身幸次

    尾身委員 自治大臣といえどもこれは命令はできないんですよね。期待しているだけですね。そうすると、地方公共団体によっては、確かに基準財政需要の計算に入って、お金はもらった、しかし一たんもらったお金は、各県に渡ってしまえばそれは地方自治の原則によって各県で独自の判断で使うということになるわけですね。  そうすると、例えば非常にお金のない県においては、もっと自分の県で判断をして、必要な仕事がある、必要な支出先があるということになったときは、商工会の指導員等の補助金をそちらに回すというおそれもあるし、またそれができるというのが今の財政システムの仕組みだと思うのですが、いかがですか。
  85. 石井一

    石井国務大臣 これは議論をしておるのもなかなか難しいのですが、地方の自治団体が恣意的に行政を執行するというふうなことは、もう非常に、一つの数限られた例外的なものだ、基本的には私は、やはりその趣旨をわきまえて十分予算が執行される、そのように信じております。
  86. 尾身幸次

    尾身委員 私はその点は、そういうものが本当に商工会の関係に使われる保証がない。しかも財政厳しい折から、一般財源化ということもある種の考え方ではありますけれども、しかし、今年度の予算において一般財源化を百六十二億もして、その分を地方財源にした瞬間に、今度は国費の方を、中小企業対策の国費を七十四億円も減額をするというような、細川、羽田政権と続いた政権は、私は、中小企業をないがしろにするものであるし、中小企業に対して極めて態度が冷たい政権であると言わざるを得ないのであります。  そしてもう一つは、私はそういう意味で、安易に役人の言うことをうのみにしてこういうふうに中小企業の予算を減少させたり、あるいは金利についても、困っている中小企業をそのままにしておくということは、やはりこの細川、羽田政権は中小企業対策に力を入れない、官僚の言うことをうのみにする政権ではないか。我々自民党のときは、少なくとも中小企業対策については千九百五十億程度の数字を、一般財源化した年も確保してきているわけですよ。ことしからなんですよ、急に七十億も削ったのは。そういう態度で本当に中小企業をしっかりやっていけると思うのかどうか。  私はそういう点で非常に疑問でありますし、また、この点については、それならば、一般財源で出してくれるのならば国の財源で出してもらいたい、どこからか必ずお金が出るのなら、国の方から出してもらいたいと思います。もし、そうじゃなくて、国のお金が足らないので一般財源でそういうお金が見れるほど地方交付税を含めた一般財源にゆとりがあるのならば、私は、地方交付税の所得税とか法人税のうちの三二%とかあるいは消費税の何%とかいう率はいろいろありますが、そういう率を切り下げて、三二%を三〇%にして、その二%分を国庫に回して、国の方からきちっとひものついた金を出して、各地域の商工会やそういうものの指導をきっちりとした全国統一基準でやっていただきたいというふうに思います。そういうふうにするのが筋だと思うのですよ。  地方の一般財源が、いわゆる地方財源が余っていて国の方が足らないから、こういうこそくな手段でそちらに負担をかけていくというのは本末転倒のやり方ではないかというふうに思いますが、その点について、これは自治大臣と大蔵大臣と両方から御意見を伺いたいと思います。
  87. 石井一

    石井国務大臣 繰り返すようですが、一般財源化の対象となった小規模の事業対策は、既に都道府県に同化定着しておる事務で、都道府県において毎年度算定される交付税算入額を目安として、地域の実情を踏まえて適切に対応される、そのように考えておりますけれども、確かに、表向き中小企業という予算の枠というふうな面から見たら、後退しておるという、そういう印象も与えるでしょう。事実上それがその目的に合った方向で執行されておるかどうか、また、そういう形での新しい枠づけというふうなものができるかどうか、私の立場でひとつ検討をさせていただきたい、そう思います。
  88. 尾身幸次

    尾身委員 自治大臣の答弁は、私の質問と答えが違っていますよ。要するに、そういうことをやるほどのゆとりがあるのならば、三二%を三〇%ぐらいにしたらどうですかということを質問しているんですよ。これは官僚の話じゃないんですよ、政治家の基本の話ですから。そのことについての御意見を伺っておきます。
  89. 石井一

    石井国務大臣 その点については、事実地方でどういう予算の執行が行われておるかをも含めて、ひとつ検討させていただきたいと存じます。
  90. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 まず、交付税のあり方というか、地方財政のあり方だと思います。尾身委員は大変そういう道の権威でいらっしゃって、反論するようで恐縮でございますが、私は、なるだけこれからは地方分権という中で、地方が自由に使える金というものをふやしていくのが方向ではないかな、こう考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。  また、中小企業対策でございますが、私は、中小企業というものは、一般会計もさることながら、税制、金融による面が非常に多いわけでございまして、この点については相当私は充実した気持ちでいるということが一つと、もう一つは、平成五年度の補正は、もう御承知と思いますが、三次にわたる補正で二千百億円、つまり平成五年度当初予算を上回る補正の金を一般会計から出しているということも御理解いただきたい。
  91. 尾身幸次

    尾身委員 違う答えをしているじゃないですか。私は地方分権の話をしている。
  92. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 地方分権の話は、前半に申し上げたとおりでございます。
  93. 尾身幸次

    尾身委員 いいことを大蔵大臣はおっしゃってくださいましたよ。地方分権の方向で、地方が自由に使えるようなお金をふやすことがいいんだというお話でしたね。これは中央から見ると、ある種の基準に基づいて商工会の指導員の予算は必ず使ってもらわなければならない予算なんですよ。地方が自由に切り込まれたら困る予算なんですよ、商工会のは。あれは地方の県立の高校の補助金のカットの問題と同じなんですよ。中央から見て全国一本の基準で、指導員についての補助金等はつけてもらって、面倒を見て、各地の中小企業が差別のないような対応をしてもらわなきゃならない問題なんですよ。地方が自由に使うようにしてもらっちゃ困るんです、この金は。  そういう意味で、大臣のお考えと、私は、今の地方分権はいいですが、これをやる……(藤井国務大臣「一般論として」と呼ぶ)一般論といっても、この話を私はしているんですから。  それで、そういうことでいいのかどうか、もう一遍通産大臣にお伺いします。今のようなことを続けていって、商工会の経営指導のことができなくなってくるんじゃないかということです。
  94. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘ございましたとおり、とりわけ中小企業庁、通産省の立場にございましては、この地方交付税措置への移行に伴いまして、尾身先生御指摘のような、実際の目的に反したお金の使われ方が行われるということがあってはならない。かような意味合いにおきまして、もう既に先生御案内のとおり、地方交付税法等の改正が既に行われておりますし、なお、今回の措置の趣旨、内容の徹底のため、我が方からも、なおまた自治省からも、各都道府県あて文書も出させていただいておるところでございます。  なおまた、これはいささか先の問題になりますけれども、この五年、六年、七年度が終わった後につきましても、やはり配置基準の指針化、各都道府県における補助対象職員配置変更の事前確認等を内容とする文書等々の問題をきちっとやっていかなくちゃならない、そういう問題意識も持たせていただいておりまして、ただいま御指摘のような意味合いにおきますこの趣旨を、そしてまた、その効率を高めるべく、引き続き努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  95. 尾身幸次

    尾身委員 このような形で、六年度予算の一般財源化が中小企業の国費の支出の部分を切り込むような、大幅に切り込むような形で行われることは、最初に私どもが政権のときに一般財源化をしてきた趣旨と大幅に異なるものでありまして、こういうやり方をやるのであれば、平成六年度案の一般財源化はやめて、むしろ国費の方からきちっとした指導員の補助を出していただきたい。  私自身が今一人だけで決めるわけではありませんが、我が党の中で、持ち帰りまして、この点の組み替え要求の検討も含めましてやらせていただく。そして、本当に中小企業が安心できるような体制を我が党としてはとっていくつもりでありますので、その点だけを申し上げさせていただき、そして、この一連の中で、細川政権から引き続きまして、また羽田政権が、中小企業に対する政策に熱の入れ方がどうも足らないんじゃないかというふうな点だけを指摘いたしまして、次の問題に移らせていただきます。  消費税の問題について幾つかの質問をさせていただきたいのでありますが、先日、いわゆる機械的試算というのを大蔵省が政府税調に提出をいたしました。その資料についての質問をさせていただきますので、できましたら、委員長のお許しをいただいて、委員各位、それからサービスでマスコミの皆様にもその表をお配りをしていただいた上で質問をさせていただきたいと思いますので、よろしく御了解をいただきます。
  96. 後藤茂

    後藤委員長代理 はい。
  97. 尾身幸次

    尾身委員 最初に総理にお伺いをいたしますが、税制改正について、実は私自身、あるいは自民党も正式に対応を決めていないのが実情であります。いわば確定的な結論を持っていないというのが実情であります。しかし、現時点で政府の見解を幾つか確認したいことがあるという意味で、総理、大蔵大臣、それから厚生大臣に幾つかの質問をさせていただきたいと思うわけであります。  総理は、今月中に成案を得て年内に実現するということを明言しておられますが、どうも状況を見ておりますと、その検討が余り進んでいない。政府税調は検討しておりますけれども、いわゆる政府・与党内で余り進んでいないで、今月中の結論というのは難しいんじゃないかというふうに私には印象づけられておりますが、今まで総理が国会で答弁されていたことについては、今日ただいまでも確固たる自信を持ってお約束できる状態で しょうか。
  98. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 これは約束とかいうよりは、ともかく税制、このままでは年内に一つの方向を出し、また翌年からの本格的な税制ということができないということでありますから、今、私ども与党の税制協議会の中におきまして、これはたしか非常に幅広い分野からの今検討をしていただいておりまして、私どもとしては、何とかやはり月末までに方向を出してもらいたいというふうに願っておるところであります。
  99. 尾身幸次

    尾身委員 今お配りしました資料の「税制改革に関する機械的試算」について質問をいたします。  この試算について質問いたしますと、どうも大蔵省の官僚の土俵の上で相撲をとるような感じもするわけでございまして、どうかなと思ったのでありますが、しかし、税の問題はやはり数字で議論をしませんといけないというふうにも考えまして、あえてそれは承知の上で、この資料に基づきましていろいろな質問をさせていただきます。  最初に、大蔵省が第一段階で出した資料は、七%から一〇%に消費税を上げることが前提であるかのような資料でございまして、後からいろいろなところで反発をされて、その結果として四%から六%という数字も出したということでありますが、私は、この一事を見ても非常に官僚主導の税制改正であるという感じを持っております。  もとより大蔵省が出したのでありますから、最初に七%、一〇%を出した段階で大臣が知らなかったということはないわけでありまして、当然御承知の上で税調にそういう資料を出したと思うのでありますが、そういう点について、私は、大臣は今ちょっと反省しておられるんじゃないかなと思います。その点も含めて、どういう考えかをお伺いします。
  100. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 何度か委員会でお話ししておりますが、簡単に経緯を申します。  税制調査会がいろいろ私どもの諮問に対して御議論をする中で、定量的な物の見方もしたいので数量的なものを出してほしい、こういう話がありました。それについて三つの条件がありました。一つは、諮問にあるように、消費課税の充実、所得課税の軽減という方向であること、第二番目に、今後の福祉社会を見据えたときに、それに適切に対応できること、第三番目に、その試算によって財政体質が悪化しないこと、この三つを前提にしてくれということで御依頼がありました。  私どもは、今尾身委員のお話のように、こういう定量的なものを出すとひとり歩きをするんじゃないかということについて大変危惧を持っておりました。危惧を持っておりましたが、しかし税制調査会の気持ち、立場というものもよくわかりますから、私は事前に、二十七日でありましたが、自由民主党大島委員の質問にも答え、各マスコミの方にもるる申し上げまして、これはそういう前提の機械計算である、政策選択の選択肢ではないということを強くお話をしてこれを出させていただきました。  そういう前提でありますから、それでは仮にこういう前提で出してみたらどうかということでありますから今のようなさらに複数のものを出したのであって、物の考え方としては、今申し上げたように統一した気持ちでやっているつもりであります。
  101. 尾身幸次

    尾身委員 大臣、私は、機械計算で選択肢ではないというのはおかしいと思うんですね。これはやはりこのうちの幾つかを選んでくださいという意味じゃないんですか。(藤井国務大臣「違います」と呼ぶ)それだとすると、政府税調にそういう資料を出すのは一体どういう意味があるんですか。
  102. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今のお言葉でそのまま申し上げれば、選択肢ではありません、機械計算であります。したがいまして、これからいろんな御議論が始まる。現にこの表の中には、不公平税制と世に言われているものについて何にも触れておりません、行政改革も触れておりません、財政支出のあり方についても触れておりません。これがまさに政策選択の問題だと思います。さらに、そういう場合において、今後の税制はどうあるべきか、基本的な政策選択の問題でありまして、それらを自由に御議論いただくための一つの指標というんでしょうか、そういうものと御理解をいただきたいと思います。
  103. 尾身幸次

    尾身委員 それでは、内容についてお伺いをいたします。  この今政府が提案をしております所得税減税は、これは景気対策としてやっているのか、直間比率の見直しという税制体制の変更ということでやっているのか、どちらかを明確にしていただきたいと思います。  景気対策ということであれば、私は、六・二兆円でありますが、あるいは建設国債とか特例公債を出して、その財源で支出を丸々ふやすという形で行って、そして将来自然増収でそれを取り返すということもあるのではないか。それから、六兆円の減税をしても、まあ高額所得者ならば半分も使わないんじゃないか、そのまま銀行の預金がふえるだけなんじゃないかというふうにも思うわけであります。  それから、直間比率の見直しということならば、今度は所得税を六兆円引き下げて、そして消費税を六兆円引き上げる、所得税を引き下げるメリットと消費税を引き上げるまあこれはデメリット、これの比較考量をすべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、どうもいろんな行きがかりを見ていますと、政治的要請として景気対策をやろうということを考えて所得減税を出したところが、大蔵省の官僚の諸君がこれにいわば便乗して、かねてねらっていた安定財源である消費税の増税、これをまあたくらんだというふうにも考えられるわけなんです。  考えてみれば、消費税というのは、実は私も調べてみましたけれども、ずっと導入以来、平成二年、三年、四年、五年、六年と、平成五年も、この不況下においてもずっと消費税の収入はふえ続けている。これを見て、やはり所得税や法人税は減るけれども、消費税は景気が悪くてもどんどんふえるんだから、こういう財源に切りかえた方がいいというふうに考えてこれに便乗したんじゃないかというふうにも思うのでありますが、その点についてのお考えをお伺いいたします。
  104. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 まず経緯を申し上げますが、結論から申しますと、今尾身委員御指摘の全く正反対ということを結論で申し上げたいと思います。  と申しますのは、昨年の八月、細川内閣成立以来、各種改革の一つとして税制改革を標榜してまいりました。当時の国会議事録をお調べいただいても出ておりますが、私は今後の長寿社会のあり方として、消費課税の充実、所得課税を軽減することが時代の方向であるということを終始申し上げてまいりました。そういう中で景気問題が出てまいりました。当時の景気の状況はもう御指摘というか、よく御承知のとおりでありまして、そういう中で、景気対策として所得減税もやるべきであるということから、私どももそれに踏み切ったわけであります。  そのとき、御指摘のように、貯蓄に回るのじゃないかという御議論もいろいろありました。我々も検討いたしました。学問的にそうだと、そういう面も多いということをこの委員会で答弁もいたしております。しかしながら、政府として、当時の状況から見て、あらゆる政策手段をこれに使うということが大事である。減税政策、公共投資政策、政策減税、公定歩合政策ということからこれに取り組むことにいたしました。  しかしながら、本来の趣旨は、今申し上げましたように、これからの社会のあるべき姿としての税制構造の中で、この減税というものを、当時の、当時とは今も含めてでありますが、景気状況の中で先行的に減税をするということと決定した次第でありまして、これが経緯であるということを御理解いただきたいと思います。
  105. 尾身幸次

    尾身委員 今の大臣の答弁、私が理解するところでは、もともと直間比率というものの見直しという考え方があったんだ、そこへ景気対策の問題が出てきて、所得減税を先行するということでやったんだというふうに理解していいですか。
  106. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 趣旨はそのとおりでございますが、私もこの委員会でよく申し上げたように、直間比率ということは余り使いたくありません。私は、直間比率ということをこの国会で使ったことはありません。  つまり、所得税が持っている問題、そういう中で今後の長寿社会を全うするには、この勤労者階級に非常に偏った所得課税というものでこれを渡っていくということは難しい。そして、どの税制にもメリットとデメリットがあると思います。そのメリットをおのおの生かしながら、デメリットをなるだけ少なくしながらやっていくということが各種税目のバランスをどうとるかという政策判断だと思います。
  107. 尾身幸次

    尾身委員 どうもそういう抽象論でやっていても切りがありませんから、具体的にこの表についていろいろ指摘したりお伺いをしたりいたします。  一つは、一兆八千億の償還財源が必要だということになっているのでありますが、これは、三年分の所得減税を先行してやると十八兆になる、その十八兆を十年間で返すから一兆八千億だ、こういうことになっているわけですね。これは何も十年間で返さなくても、通常の国債並みに六十年間で返すというふうにすれば、つまり景気対策としての所得減税先行という考え方で考えれば、六十分の一にして三千億ずつ返せばいい、こういうことになるわけですね。その点について。
  108. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 御指摘の趣旨はわかりますが、私どもこういう複数案を出した中にはその点も加味しております。したがいまして、これも政策選択だと思います。  ただ、財政当局の立場で申し上げれば、昭和五十年、大平大蔵大臣の時代でありますが、赤字国債を初めて発行したとき、これを十年で始めております。しかし、昭和六十年だったか、これを今おっしゃったように赤字国債といえども六十年にしてしまったことは事実でありますが、財政当局の立場からいえば、赤字国債である以上は、これを同一世代の中で解消していくという意味において十年が望ましいとは思っておりますが、今、先ほどから議論申し上げておるように、これは政策選択の一つであると考えております。
  109. 尾身幸次

    尾身委員 ですから、さっきお伺いして、この表は政策選択を出したんじゃないですと大臣はおっしゃったんですよ。だけれども、一・八兆にするか三千億にするかというのは政策選択でしょう。つまり、一つの案を出して、三千億の案は出てないわけですよ。それだけ指摘しておきます。中身はよく大臣御存じだから、これ以上議論してもしようがありません、前へ進まなきゃいけませんから。  それから次に、いわゆる益税問題。消費税の益税が相当あると言われているわけでありまして、益税の解消が大事だという論調が非常に多いわけであります。免税点の問題、簡易課税の問題、限界控除の問題、まあいわゆる三点セットで言われているわけでありますけれども、この益税の額というのはどの程度のものがあるというふうに試算をされておられますか。その点について、これは事務当局でもいいです。
  110. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 一つだけ。もうよく御承知と思いますが、益税と中小企業の特例措置とは私ども分けて考えておりまして、益税というのは消費者の方からいただいていながらこれを国庫に納めないということだと思います。それから、中小企業の特例というのは制度として法律上しっかり認められているものでございまして、その二つは分けて考えたいと思いますが、おっしゃるとおり、制度としてあるものに三点セットございます。その具体的な数字は完全につかめていない点もあるのでございますが、事務当局からわかる範囲でお答えします。
  111. 小川是

    ○小川(是)政府委員 益税につきましては今大臣から答弁申し上げたとおりでございますが、制度の減収額、制度がもたらす減収額につきましては、かつて、中小事業者に対する特例による理論上の消費税の減収額といたしまして、平成二年に衆議院予算委員会に提出したものがございます。  平年度の減収額で、免税点制度によりまして約〇・三兆円程度、簡易課税制度によって〇・二兆円程度、限界控除制度によって〇・一兆円程度、端数の問題がございますが合計では〇・五兆円程度、こういうことを御報告したことがございます。
  112. 尾身幸次

    尾身委員 もう一遍局長にお伺いしますが、当初のスタートの時点と現在時点とでは多少数字も違うと思うんです。これは現在時点に直した数字と考えていいですか、それともスタート時点ですか。
  113. 小川是

    ○小川(是)政府委員 ただいま申し上げましたのは、平成二年の時点におきまして推計をいたしたものでございます。現時点ではこれを行える状況にございませんが、考え方として申し上げますと、免税点につきましては、三千万円以下の売り上げの中小事業者の方に係るものでございますから、事業者の方の売り上げは年々ふえていく、そういたしますと、三千万円を超える方が出てまいりますから、ただいま申し上げました減収額が特に顕著に大きくなっていくということは考えられないわけでございます。  また、簡易課税……(尾身委員「数字がないんならいいですよ、もう説明しなくて」と呼ぶ)具体的な数字といたしましては……(尾身委員「全体の枠がふえているんだから、ふえるという議論もあるんじゃないですか」と呼ぶ)それはちょっと今の点を御説明させていただきたいのと、この後、簡易課税制度につきまして制度の改革が行われました。したがいまして、私どもは当時の推計といたしまして、簡易課税と限界控除につきましては七割程度縮減されたのではないかということを当時御説明した経緯がございます。  いずれにしましても、現時点での推計値はございません。
  114. 尾身幸次

    尾身委員 この原案は、機械的試算は福祉ビジョンのケースⅡというのをベースにしているわけでございますが、その積算の考え方は一体どうなっているか、厚生大臣にお伺いをさせていただきます。
  115. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 御案内のように、今ケースについては四つ出しているわけでございます。先生の御指摘はケースⅡということでございますので、その積算の考え方について若干御説明申し上げます。  福祉ビジョンの試算のうちのケースⅡの場合は、福祉重視型と我々称しているわけでございますが、いわば社会保障の再構築を行うという考え方に基づきまして、年金・医療・福祉等という社会保障の各分野のウエートを、これまでは五、四、一でございましたが、これを五、三、二といったような、社会保障の構造そのものを変えていくということが総論的に申し上げることができます。  具体的に申し上げますと、まず年金につきましては、現在国会で御審議をお願いを申し上げております年金改正法案に基づきまして、六十歳前半の年金の見直し、それからネット所得スライド制の導入といったようなものを通じまして年金制度の抜本的な改革を提案しております。  医療につきましては、これまでの医療費の動向に基づきまして、今後の総人口やあるいは高齢化の進展等を基にいたしまして、その上で在宅ケアの推進など医療費が五%程度効率化されるであろう、こういう見通しのもとに算定をいたしております。  福祉等のうち、例えば老人介護対策につきましては、地方で策定されております老人保健福祉計画に係る高齢者のニーズの動向、これは自治体によってさまざまでございますが、しかし、一つの方向性を持っておりますので、その動向を踏まえ まして現行のゴールドプランの所要額を大体一・六倍にしたい、こういう考え方に立ってやっておるわけでございまして、福祉ビジョンの試算は、このように各分野ごとに一定の政策的な選択要素を仮定いたしまして算定したものでございます。
  116. 尾身幸次

    尾身委員 今厚生大臣からケースⅡの概略のお話がございましたが、これは実は大変大きな問題を含んでいるわけでございます。年金については新しい年金制度、それから医療費については多少の合理化をする、それから福祉関係については重点的に相当ふやす、こういうことなんでありますが、この裏には、先ほど大蔵大臣は試算だ、試算だと言いましたが、実は消費税を幾らにするか、上げるのか上げないのかという問題を裏に含んだビジョンなんであります。  ですから、その厚生大臣の言われているそういう福祉ビジョンをとって、それに合わせたお金を全部消費税の引き上げで賄うのか、あるいはもうちょっとそこを合理化して、お金を持ったお年寄りならば自分で払ってもらうような意味での、払える人の受益者負担というような制度を入れるかという、そういう点の実は選択の問題でありまして、厚生省厚生省の方で福祉ビジョンをつくって、二十一世紀福祉ビジョンといって一・六倍に福祉をふやす、そしてそれをそのまま大蔵省が認めて、それに見合う財源を消費税で、年金生活者や所得税も払っていないような人からも消費税という形で取り上げるということをやるべきなのかどうかということを、実は両々相まって検討しなければならない問題であります。  したがいまして、この福祉のあり方の問題と消費税をどうするかという問題はまさに政策選択の話でありまして、それを、両者が同じ考え方のもとにおいて政策選択をしなければならない問題だというふうに考えております。  したがって、私は、政府税調であの試算という数字を、五兆五千億かなんかの数字がここにありますが、五兆六千億とか五兆五千億が社会保障関係費にかかるんだということを前提として、これをどうするかという議論を政府税調の場でやるということはいかがかなと。つまり、政府税調の委員の先生方は、実はこの福祉ビジョンの将来について、それが妥当かどうかということと、片方でその消費税を負担する人が苦しい中から負担をする、その負担をしてもらうことが妥当かどうかということを両方ともセットで考えて政策選択をしていかなければならないというふうに思うわけであります。  そういう意味から考えると、私は、これから本格的な高齢化社会を迎えるに当たりまして、今の厚生省の考えで、まあ言えば非常に甘い、悪い言葉で言えばばらまき福祉的な考え方でできているのではないか、少なくともそこのところについて厳密なチェックをしていかなければならないんじゃないかなと思います。  ですから、これだけ高齢化社会にこれからなっていくときに、今までのややおんぶにだっこ的な福祉をどんどんどんどんふやしていって、それに見合う負担をどんどんふやしていくという、高福祉高負担社会に行くという考え方が今の政府の基本的な姿勢の中にどうも見られるように思うのであります。  例えば老人ホーム一つとってみましても、非常に所得が多かったり、あるいは資産が多いような老人に対しては、コマーシャルベースの老人ホームをつくるとか、あるいは株式会社ベースでやるとか、そういうことを規制緩和によってやるべきだ。そしてまた、規制緩和によっていわゆる介護を業とする介護産業のようなものも興していくということも政策の選択の幅に入れるべきではないかというふうに思うわけであります。高いお金を払ってもいいから立派な介護を受けたいという人、まだそういうことができる人には自助努力でやっていただくということをやっていかなきゃいけないんじゃないか。  それから、保育園の問題にしても、もっと実は時間があれば詰めたいんでありますけれども、保育関係については、いわゆる無認可の保育園というのがかなり業として成立しているという状況でございます。それを無認可だということで冷たく扱わないで、そういう業として成り立つ保育業というものをどんどん業として育てて、自助努力によって自分でお金を払って、例えば公立の保育園ですと六時とか八時で時間が切られてしまう、しかし無認可の保育園というのは十時とかまでやっているところもある。そのニーズに応じてサービスを供給して、しかし片方ではコマーシャルベースの相当料金も高いものを取っているという、そういうこともどんどんやっていくべきではないか。  しかし他方、どうしても本来の福祉の光を当てなければならない恵まれない人には、安心して老後を過ごせるような福祉の充実がこれはまた必要である。そういう点のチェックを私は今、これから六割アップにいたしますとかホームヘルパーの数を何万人にふやしますとかいう、そういうことの中に、福祉関係について、恵まれた人、自分で能力のある人に対しても国がおんぶにだっこ的な意味でやっていくようなところについてはやはり切り詰めていかなければいけないんじゃないか。そうでないと、片方で年金生活者や低所得者が負担をする消費税というのがあるわけでありますから、これはそういう点を考えなきゃいけないと私は思うのであります。  その点について、厚生大臣にお考えをお伺いしたいと思います。
  117. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 今、私は先生の御意見を聞いておりまして、物の考え方といたしましては大体同じ考え方に立っております。  御案内のとおり、今度の福祉ビジョンにおきましても、基礎的な国民のニーズにつきましては公的な措置によってこれに対応する、それから多様なかつ高度なニーズについては民間の活力を最大限に活用する、こういう考え方に立っておりまして、決してばらまき福祉というような物の考え方には立っておりません。これは北欧型の高福祉高負担という考え方もございますし、またアメリカ型の自助努力中心という考え方もございますが、今申し上げたとおり、基礎的なニーズについては公的負担、そして多様、高度なニーズについては民間、自力の負担、こういう考え方に立っているわけでございます。  したがいまして、先生がおっしゃいますような自助努力といったようなものあるいは利用者負担といったようなものは最大限にやはり活用しなければならないといったような点についても、我々なりに相当留意をいたしております。  例えば年金の負担につきましても、現行は一四・五%でございますが、これは将来三〇%近くまで御負担をいただかなきゃならぬ。また医療の面におきましても、食費等についてはその一部負担をお願いしなければならぬ。それからホームヘルパー等でも、高額所得者の場合は、場合によっては全額これを御負担いただかなきゃならぬ。あるいは特別養護老人ホームの場合につきましても、一定の所得がある人については相当の負担をお願いするというようなことを積み重ねておりまして、決してそうした自助努力あるいは利用者負担といったようなものを軽視しているのではなくて、御負担いだだけるぎりぎりのところについて我々なりの一つの政策的な方向を示しまして、その両者を調整する、バランスをとるということに最大限の留意をしている次第でございます。     〔後藤委員長代理退席、委員長着席〕
  118. 尾身幸次

    尾身委員 今いろいろ厚生大臣からお話がございました。私はこれ以上この問題を突っ込んでいますとちょっと時間が足らないんでやめますが、やはり高額所得者には相当負担をしてもらうという言い方をされておられますけれども、私が申し上げたのは、介護産業とか保育産業とか、そういう産業をコマーシャルベースでつくり上げるという、あるいは保険の問題とか、そういう民間産業として福祉の問題を考えていくことを一方でやらないと、国の事業中心でやっていくことは非常に 問題があると思っています。  それから、これは多分大蔵大臣以下大蔵省は、五兆五千億の金をここに出して、試算は出しておきますが、実際にやるとなったら、二兆円や三兆円は切り込みますよね、査定で。税金を集めるときは、この数字を出して集めておいて、一たん税金が決まったら、必ず二、三兆円は切り込むんですよ。だから、税金を出す段階でこの二、三兆円ぐらい切り込んでおかないとバランスがとれないというふうに私は思っております。もっとも、切り込むことに別に反対しているわけじゃありません。ありませんが、そういう種類のものであるというふうにこの五兆円は理解をしておかないと、政策判断を間違うということだけを指摘しておきます。  もう一つ、これは余り詳しい御答弁は要りませんが、年金制度の改正につきまして、在職老齢年金について実は六十歳から六十五歳までの人が年金受給年齢に達してきたときに、六十歳を過ぎて六十五歳までの間に働くと年金がどんどん減額をして、所得二十万円とか二十五万円ぐらいの収入を得て働くと年金がほとんどもらえなくなって、働いたことによる収入がほとんどふえない、こういう実態に現在の制度はなっております。  新しい制度は少しこの点が改善をされておりまして、標準的な人で見て六十歳の時点で退職時三十八万円の賃金があった、そして年金額は、このままいくと二十一万四千円という数字になる、そして、その人が平均的な退職後の賃金が大いに減額して二十万七千円ということになるというのが標準的なパターンだということで、私、実はこれは厚生省から資料をいただいているんでありますが、今まで三十八万円もらっていた人が働かないと、六十歳から二十一万四千円の年金生活になる。ところが、収入を二十万七千円得るような職場で働くと、やはり年金が減額されて、それで、労働省の方の高年齢雇用継続給付というのが追加で来まして、年金は減額されるんですが、労働省の給付が増額をされて、合計で三十二万五千円になるということになっております。  つまり、六十歳を過ぎて標準的な人が、三十八万取っていた人が働かなければ二十一万四千円もらえる、働くと三十二万五千円になる。実は働いても十一万円ぐらいしか収入がふえないんですよ。これはその分だけ年金が減額するんです。これは、いわゆる積立方式でなくて賦課方式をとっておりまして、世代間扶養という考え方をとっているものですからこういうふうにするんだというのがお役所の説明なんであります。  しかし、その結果として、実は六十歳から六十五歳までの人で本来ならば労働市場に残るべき人が、年金の減額がまだまだ相当あって、一生懸命働いても、二十万円取るような職場で働いても結果的には十万円そこそこしか収入がふえないということのために、私は、労働市場参入が非常に阻害されてくると思うのであります。ですから、この制度は非常によくない。  今の福祉の考え方と同じなんでありますけれども、やはり定額的に年齢別にずっと年金の額を決めて、働いて収入があってもなくても年金額は一定であるという制度にしないと、六十歳から六十五歳までの人が実は働く意欲をなくして、労働市場から、システムができていても本人の意欲がなくなって撤退をしてしまうという非常に大きな社会的なむだが起こると思っております。  ですから、この点はぜひ直していただきたい問題点でありますし、そういうことも直すということを含めて全体のシステムそのものをもっと自助努力の方向に持っていかないと、私は、高齢化社会に対応できないと思いますので、この点、時間がありませんから御答弁は要りません。指摘だけさせていただくわけであります。  それから、主税局にお伺いをいたしますが、私は、所得税率、国税、地方合わせて六五%というのはちょっと高過ぎるかなと実は思っております。一般的に言って所得税を減税して消費税を増税すると、所得の低い人に、あるいは所得税を納めることすらできない人に対して負担が重くなって、所得の高い人が有利になるということになることはどうしても否めない事実であります。そして、有利不利の分岐点は実は七百万円あるいは八百万円と言われております。七百万円以上の所得の人は有利になって、七百万円以下の所得の人は不利になるというふうに言われているわけであります。  これは大蔵省の事務当局に、幾ら以上の人が有利になるのか不利になるのか計算をしてほしいと言ったところが、所得税の減税の方式が決まるまでは計算が出せないということでございましたので、あえてこれは伺いません。  ただしかし、七百万円で仮にそうなったときに、今の所得階層で七百万円以上の人が全体の何%、七百万円以下の人が全体の何%かという数字だけはわかるはずでありますから、その数字を教えていただきたいと思います。
  119. 小川是

    ○小川(是)政府委員 平成四年分の「民間給与の実態」という、民間に勤務しているサラリーマンの方のデータで申し上げますと、納税者数の合計が約三千七百万でございますが、そのうち年間の給与収入が七百万円以下の方は約三千万強、八二・九%を占めております。
  120. 尾身幸次

    尾身委員 そうすると、いわゆる税制改正の損益分岐点が七百万といたしますと、納税者の八二%が増税で一八%が減税になる、そういう結果になるわけであります。所得税の減税あるいは増税のやり方等々によりましてどういうふうになるかわかりませんが、しかし、こういう問題を含んでいるということだけを今日の段階では指摘しておきます。  そこで私は、本当に消費税の増税をする必要があるのかどうかということについて、私なりに、納税者の立場からもっと切り込めるところがあるのではないかというふうにいろいろと考えてみました。  この六兆円にも上る大幅な減税が行われれば、その効果が期待されて景気が全体に上昇する、それによる自然増収ということも当然見込めると思うわけであります。それに一つは、先ほどの償還を六十年償還にすればこの一・八兆というのは〇・三兆になる。つまり一・五兆円だけお金が浮くと。それから社会保障についても、五兆五千億というのを大蔵省が少し切り込めば二兆円ぐらい切り込める。そうすると二兆円お金が浮くと。先ほど益税の話がございましたが、三千万ほどはあるということでありますが、中小企業に配慮もしながら、この点の制度改正、益税というよりも制度に伴う減収額ですか、について多少の手直しをすることによる増収も期待できる。  それから、一番大きいのは実は自然増収でありまして、私は今五%、一・一の弾性値と考えておりますけれども、今の落ち込んでいる税金の状況から見たら五兆円ぐらいの自然増収はこのほかに私はあると思っております。  実は平成四年度の大蔵省の見積もりは、決算額は、最初の当初予算に比べて何と八兆円も収入が減っているんです。つまり、低い方に八兆円見間違えている。それからその逆に、昭和六十二年、六十三年度は五兆円から六兆円も収入を低く見積もっていて、結果的には五兆円、六兆円の増収があったわけであります。だから、五兆円、六兆円あるいは八兆円というのは動き得る数字なんであります。  つまり、景気の下降局面あるいは非常に悪くなる局面においては大蔵省の見通しよりも税収が少なくなるかわりに、景気の上昇局面においては、過去五兆円、六兆円という予想外の収入増があって、これをどうしようかといって困ったこともあるということであります。ですから、こういう点を考えると、これを全部足すと約九兆円になるんですよ、九兆円に。  そうすると、こっちの計算でいくと、ああそれなら五%ぐらいでもおさまるじゃないかというふうにもなるわけでありまして、私は、この辺の何%にするかという議論は、ちょっと考え方を変えただけで大いに変わるというふうに考えております。  それが証拠には、細川総理があの例の国民福祉税を出したときに、何と今大臣がおっしゃっている五兆五千億に対応する数字は一兆円なんですよ。福祉に一兆円使うだけで七%の税金を上げなきゃならないと言ったんですよ、あのとき。あの一兆円というのを、知らないうちに厚生省は五兆五千億まで上げてきて数字を直しています。ですから、一兆円しか福祉に使わないときでも七%の税金が必要だなんて言った同じ政権の続きが、厚生大臣は同じ人ですから、今度は五兆円もお金が要るなんていうふうに言ってきて……(大内国務大臣「あれ関係ない」と呼ぶ)いや、関係ありますよ。あのときも七%ということだったんだから。そういうような安易なことで増税を決めることは、私は非常に問題があるということだけを指摘しておきます。  これから我々もいろいろ検討しますので、私ども最終的な結論を決めているわけではありませんが、いろいろな選択があると思うんですよ、六月末に。大蔵省、財政当局の言うとおり、七%までの消費税アップを認めるのか、あるいはいろいろな歳出合理化とかいろいろな見直しをして五%程度までにしてやるのか、あるいは所得減税をしばらく続けて、景気の回復を待って自然増収を見てから決めるのか、いろいろな案が考えられるというふうに思うわけでありますが、私自身は、安易に七%というような数字になることについてはこれは極めて問題があるということだけを指摘させていただきます。  最後に、細川、羽田政権の性格であります。  政治は立法関係を通じて官僚に強く、官僚は規制を通じて民間に強く、民間は選挙を通じて政治に強いという三角関係があるわけなんでありますけれども、自民党が野党になってから政治の力がどうも弱くなって、官僚が民間に強いあるいは官僚が経済界に強いという一つのところだけになってきて、官僚支配的な政治が非常に強くなっている、その性格が非常に強くなっているというふうに感ずるわけであります。消費税の問題にしても、中小企業対策の問題にしても、規制緩和はきょう挙げませんでしたが、そういうことにしても、そういう性格を非常に強く持っている。羽田政権の性格は、一つは官僚支配であるというふうに思います。  もう一つは、私は、中小企業と農業に対して極めて冷たい政権であるというふうに思っております。中小企業の交際費の切り込みもいたしました。それから農業についても、ガット・ウルグアイ・ラウンドで安易な妥協をいたしました。中小企業予算の切り込みもしております。  我々は、そういう意味で、政権をこの七月には自民党に戻していただいて、もっと中小企業や農業のことを考えた政策を実行したい、そして、官僚主導でなく党主導の政策でそういうことを実現をしていきたいというふうに考えていることを申し上げまして、時間の関係がございます、あと同僚議員に残りの質問を譲りますので、これで終わらせていただきます。
  121. 山口鶴男

    山口委員長 この際、若林正俊君から関連質疑の申し出があります。尾身君の持ち時間の範囲内でこれを許します。若林正俊君。
  122. 若林正俊

    若林委員 過日、私の質問に対しまして、きょう、公共料金引き上げ実施見送り措置についての政府統一見解が示されたところでございます。私の意見にまともに答えていないので、実は納得できません。  私は、民間企業について問題を指摘しました。また、企業規模の大小ではなく、民間対行政のあり方について指摘したつもりでございました。その点、理解が食い違っていて意見がすれ違うわけでございます。  しかし、きょうはこれ以上詰めませんけれども、基本的な政府の姿勢として、民間企業の料金の認可等につきましては、認可等の行政権限の実行が法律の定める基準の範囲を超えることがないよう常に慎重な配慮が必要で、いやしくも行政の都合で民間が負うべきでない部分まで行政介入をすることは慎むという基本的な姿勢がなければならないと私は考えていますが、経済企画庁長官、いかがでございましょうか。
  123. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 民間企業に係る公共料金の認可については、御指摘のように関係法令の範囲内で行うことが当然であると考えております。  今回の公共料金引き上げ実施見送り措置は、関係法令に照らして慎重に検討した結果、法令に反するものではないと判断しております。
  124. 若林正俊

    若林委員 個別具体的な認可の停止については、本日は論じません。  私は、そういう政府の行政の姿勢について、常に慎重な配慮をして行わなければならないという観点で、過日質問を申し上げ、御意見を申し上げたわけでございますので、今後のこともございますので、この点を重ねて強く主張をさせていただきまして、質問を終わります。
  125. 山口鶴男

    山口委員長 これにて尾身君、若林君の質疑は終了いたしました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  126. 山口鶴男

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中川秀直君。
  127. 中川秀直

    中川(秀)委員 私は、自由民主党を代表して、引き続きゼネコン問題、また公共事業にかかわる入札システム、また政治とお金の問題等について、総理並びに関係大臣の御所見を伺いたいと思います。  まず、今朝、法務省よりゼネコン汚職事件捜査処理報告がなされましたが、これについて若干のお尋ねをいたします。  公判請求をしたのは計三十名ということでございます。私の知り得るところ、東京地検特捜部の所属検事というのは、応援部隊を除けば常時大体三十名くらいと伺っておりますが、やはりそういう人数でこれだけ大がかりな事件捜査をするのでありますから、物理的な限界もいろいろあったんだろうと存じます。必ずしも三十が三十ちょうどということではないと思いますが、新聞等でもゼネコン各社の献金リストなどというものも報道をいろいろなされました。  これについては、この報告の最後に、本件に関してなされた種々の報道等をも視野に入れつつ捜査をしたけれども、公判請求した事実以外には犯罪嫌疑ありということで訴追するに足りるものは認められなかった、こういうことでございます。  私は、それについてこの段階でいろいろ疑義を挟もうとは思っておりません。ただ、取り調べた九千二百人、押収資料件数二万四千点、こういう報告も前段にございますが、このうち、公判請求をした事実にかかわるものがどのくらいの割合で、犯罪ありと、嫌疑ありと、訴追するに至らなかったものがどのくらいの割合のものなのか、答えられたら答えていただきたい。
  128. 則定衛

    則定政府委員 せっかくのお尋ねでございますけれども捜査の全過程で押収した品目、あるいは事情をお聞かせいただいた概数、こういうことでございまして、今委員御指摘の起訴分、不起訴分といいましょうか、この辺は明確には把握しておりませんし、また仮に把握していたとしましても、捜査の具体的な中身につながっていくということで、申し上げることはいたしかねることだろうと思っております。
  129. 中川秀直

    中川(秀)委員 それでは、私も質問するので図書館から、この一年間種々、各般にわたって報道されたり、あるいは紹介をされたさまざまなゼネコン疑惑というものについて資料を集めてみました。まあ膨大な量で、このぐらいあります。  そういう中で、この四つのルート、もう一つの中央政界関連ですか、計三十人の公判請求をしたということに至った経緯等について、やはり国民の中にはなぜ東日本の自治体ばかりが公判請求されたのかな。ある報道では、検察幹部のお言葉と して「「こちらにはいろんな選択肢がある」。検察幹部は余裕たっぷりに話す。特捜部がゼネコン汚職の構図を把握した自治体は約四十とされる。「事件はいくらでもある」(検察幹部)わけだ。」こういう報道もなされておるわけでございます。  なぜそれが仙台ルート宮城ルート、あるいは三和町ルート、茨城ルートと、こういうふうになったのか。やはり捜査の能力の限界もあって、重要な犯罪事実が浮かび上がったものに絞り込んだのか、一罰百戒的な捜査にならざるを得なかったのか、その点について明確なお答えをひとつ国民に向けてなさっていただきたい。
  130. 則定衛

    則定政府委員 お答えいたします。  この種の犯罪捜査といいますものは、いろいろな端緒を得まして、それに発展的にいろいろの資料を追加収集して、それで一定の嫌疑を認めていく、こういうことに一般的になるわけでございますけれども、今回の東京地検のいわゆるゼネコン汚職事件捜査は、けさ御報告いたしましたように、金丸前衆議院議員の巨額脱税事件に関連いたしまして収集した証拠の分析等が一つの大きな端緒になっているわけでございます。  それを基礎といたしまして、必要な捜査活動を進めた過程で今回起訴いたしました一連の、東北地方中心の汚職事件というものが証拠上固まっていったということでございまして、その他どのような地域にどのような嫌疑があったのかといった点につきましては、これはまさに具体的な捜査のその中身及び成否といいましょうか、こういったところでございまして、また、先ほど委員言及されましたように、いわば一定の陣容で効率的にかつまた証拠の収集ぐあい等を勘案いたしまして進めました結果がこういうことでございますので、そういう点で御理解いただけば、こう思います。
  131. 中川秀直

    中川(秀)委員 法務大臣刑事局長、いろいろこの一年取りざたをされたさまざまな疑惑の中には、それは公判請求されたものだけではなくて、報道の量も先ほどこんなにあったと申しましたが、例えば都庁臨海疑惑などというものも随分報道されている。都議会でもいろいろな議論もなされた。一々申しません。そういう問題もたくさん出たわけですね。これはもう国民が読んだりあるいは知らされたりというようなことがあったわけです。  ただいま刑事局長の御答弁では、巨額脱税事件に関連して入手した証拠の中から犯罪嫌疑があるものとして計三十名の公判請求をした、こういうことなんですが、それ以外にも、今申しましたように、何も東京のみならずいろいろなケースが報道された。そういうものもやはり検察庁の立場からすれば、今後も常に厳しい目を光らせて、もし犯罪嫌疑があればやはり追及をしていく、摘発、解明をしていく、こういう姿勢が当然必要だろう、こう思うわけですが、その点についてどのようなお気持ちでいらっしゃるか、御答弁ください。
  132. 則定衛

    則定政府委員 お答えいたします。  いわゆるゼネコン汚職事件、こう申しますと、概念的には大変広いことだろうと思います。したがいまして、果たして今回の東京地検の一連の事件がいわゆるゼネコン汚職事件というものをどの程度掘り起こしたのか、これは確かに議員の御指摘のとおり真実はわからないと思います。  ただ、今おっしゃいますように、仮に今後のいろいろな捜査過程で、ゼネコンを含めましていわゆる汚職事件というものが認知できるということになりました場合には、検察としてそれらについて照準を合わせて必要な捜査活動を行い、また適正な処理をしていくというふうに考えております。
  133. 中川秀直

    中川(秀)委員 ともかく捜査当局、検察庁として、私も昔記者時代に担当したことがありますが、大きな事件を終えるとこれでこの関係分野は一段落だと、そういうような嫌いもなかったわけではないような気がいたします。だが、やはりこれだけ国民に大きな疑惑を与えてしまったことでございますから、これからも、今御答弁の趣旨で結構ですが、常に厳しい目を持って努力をするということでなければ、本来の使命を達成するということにはならないんじゃないか、この点は法務大臣もよく肝に銘じてしっかりやっていただきたい、こう思います。  さて、最近の報道ですが、ゼネコン業界の御意見番と言われる佐古さんという大成建設の相談役が、今の建設業界には浄化作用がないと言って怒っておられるという記事が載りました。この方は日本建設業団体連合会の会長もかつてなさった、今名誉会長、おやめになったようですが、こういう方ですけれども。  総理、ともかくこういう談合事件、またそれに及びますいろいろ世間で大きな疑惑を持たれたことは今まで何回もあるわけです。例えば一九八一年、静岡県の談合事件というのが摘発されまして、その当時、中央の談合組織である建設同友会というものは解散したんですよ。一九八一年ですね。今回もこの事件を契機に、いわゆるKK会と言われた経営懇話会という大手ゼネコンの談合組織が解散したわけです。一九八一年にその建設同友会というのは解散して、今回解散したKK会、経営懇話会がいつできたかというと、一九八三年なんです。つまり、二年後にはまた復活しておる。実はこういうことを何回も繰り返してきたわけですね。  ともかく業界全体の利益の享受のために始まった談合なんですが、時代の変化とともに、例えば足並みが乱れて、談合は裏献金によって天の声を得ようとする。そういうことで、まだそういう体制が崩れてまいりますと疑獄事件が起きる。今回の疑獄史に残る大事件もやはりそういう側面もあったんではないかと言われております。  やはり建設業界というのは、日本を支える五十二万社、八百万人という一大産業です。これからもあすの日本を築くという意味で重要な産業です。こういう業界がやみ献金とか談合とかあるいは政官癒着とか、こういったものをいつまでも繰り返していくということでは、私は真の発展はない、こう思いますし、やはり二度とこういうものを繰り返さない改革というものが今こそ求められているんだろう、こう思います。  まことにおかしいことですが、全体が腐敗していれば腐敗しているほど、その腐敗全部を抽象的、一般的な正義で検挙するということはできないわけですね。やはり、元来刑事責任の追及というものは最後の手段であって、業界のモラルの向上というのは業界自体がやるべきことであろうと思います。  また、同じように政界も、単に自分自身の身辺をきれいにするというだけでは足りるのではない、やはり政界全体のモラルの向上を考えなければ結局身を滅ぼすことになりかねない。自民党が政権からおりたのも、巨額脱税事件を初めとするさまざまな事件に対する国民の批判だと思います。  同じように、大変きつい言い方で恐縮ですが、これは「週刊東洋経済」という中に、「新政権の建設行政が旧竹下派の衣替えである新生党によって牛耳られないかは、なお注視の必要」あり、こういうことまで書いているものもあるわけです。これはいささか失礼な言い方かもしれませんが、私が言っていることではなくて、こういう論調もあるわけですね。私はまさにそのとおりではないか、こういう感じが強くいたしますが、それについて総理の御所見はいかがですか。
  134. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 きょう報告を受けながら、この疑惑というものが非常に深いものであったということを改めて知らされたわけであります。  いずれにしましても、今問題になっております大手のゼネコンというのはそれぞれが歴史と伝統を持っている、しかも大変高い技術を持っておる会社であるということであるだけに、まさに、本来でしたら技術あるいは価格、こういったものによって評価され、競争されていくものであろうというものが、何か公共事業というものに限ってそういう談合というような形で進められていくというところにやはり問題があったんだろうというふ うに思います。  また、それと同時に、今お話がありましたけれども、やはり政治がこれに絡まぬようにするということが大事なことであって、自民党が当時政治改革大綱をつくり、政治改革というものをつらくても苦しくてもやらざるを得ないという思いにみんながなったのは、まさにそういったものがもう繰り返されないようにという思いであろうというふうに思っております。  いずれにしましても、政治資金を含みます政治改革法案も通ったときでありますし、また、こういった問題が明るみに出、しかもそういった問題の一つの方向が出されたときでありますから、しかも戦後ちょうど五十年たっておるこのときでありますから、このときをとらまえて、ちょうどこの機会に少なくも公のものにそういったものがまつわることのないように、私はやはり一つの大きな転機であろうというふうに考えております。
  135. 中川秀直

    中川(秀)委員 総理のそういう御決意、お気持ちであるならば、これは建設大臣にも聞いていただきたいですが、先ほど申しましたとおり、今度解散した経営懇話会等々、そういう大手の談合組織ができまして、事件が発覚すると解散をしている。何回もそれを繰り返してきている。ほとぼりが冷めると、また二年ぐらいすると復活する。  もしこの次にそんな組織ができたということが報道されたり伝えられたり、あるいは話題になった場合はどうなさいますか。解散を命ぜられますか。そのぐらいのことはやはり総理として、大臣として、私は言うべきではないかと思いますが、いかがですか。
  136. 森本晃司

    ○森本国務大臣 今中川先生から御指摘がありましたように、いろいろと不祥事件が続いたことは大変残念に思っております。  まず、今我々としてはそういう不正の起きないシステムをつくる、そのことに今全力を挙げているところでございます。そういういろいろな会ができるかどうか、その辺はその推移を見なければなりませんし、その趣旨も十分見ていかなければなりませんが、そういったものができた段階でよく我々としても検討させていただきたいと思います。
  137. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 今の御趣旨は、まさにそういったものが繰り返されるということはいかぬということでありまして、それはもう御指摘のとおりであります。本来ですと、業界の組織というものはお互い切磋琢磨する、あるいはお互いの本当の親睦の会であるはずのものがそういうふうになっていくということ、これは厳に慎まなければいけないことでありまして、これはもう監督官庁としてそういったものに対してきちんとした目くばせをして、そのかわり、またもう一つは透明性のある一般競争入札というものにしていくことがやはり何といっても大事なことだろうと思います。
  138. 中川秀直

    中川(秀)委員 建設大臣、総理もああおっしゃっているんだから、検討するじゃだめですよ。一般競争入札、まあ制限つきだけれども導入していくわけだから、そんな組織ができたなんということがわかったら、直ちにやはりそういうことは困るよと当局として言わなければ、また同じことの繰り返しをして国民から疑惑を持たれますよ。その点は総理のおっしゃったとおりにしてくださいよ。答弁は要りません。  ここでちょっと総理や関係大臣にお伺いしたいんですが、三日付の毎日新聞、朝日新聞等々で、建設業界から一億円の寄附が明るみに出た日米交流団体ジョン万次郎の会、小沢一郎新生党代表幹事が会長というが、そういう会が一九九一年秋、自動車、電機・電子、電力など財界の主要団体に対して文書で五千万―六千万に上る目標額を一方的に示して寄附を要請して、総額五億六千万円を集めていたことがわかった。  関係者によると、文書による寄附要請があったのは、自動車、電機・電子、鉄鋼、電力、銀行の経団連主要五団体など。九一年九月ごろ、同会の事業、第一回日米草の根交流サミット、これは一九九一年の十一月に東京と京都市で開催をされたものですが、この実行委員長だった松永信雄元駐米大使の名前で各業界に先はどのような金額の拠出を求める文書が届いた。このほか、通信、運輸業界などにも目標額を示して文書や口頭で寄附の要請があって、総計二百以上の企業、団体がこれに応じた。  ジョン万次郎の会の事務局が関係者に配付した収支報告によると、こうして集まった寄附は五億六千万円に上った。これに国際交流基金からの助成金、これは間違いだと思いますが、日米親善交流基金ですね、この日米センターから六千万円、こういうものを加えて、計六億二千万円で第一回サミットと関連の記念事業を行った、こういう報道がなされております。  そしてまた、一方の新聞では、この寄附集めに監督官庁の幹部が口添えをする形で協力をした。また、九二年十一月にこれが財団法人に切りかわる際、先ほど言った金額以外に財団の資金として計二億三千万円を集めた。  会づくりは、小沢氏と小沢氏の側近で当時衆議院委員部長の平野貞夫現新生党参議院議員が進めた。九一年夏、平野氏が経団連を訪ねて、会のために三十億円必要だ、協力してほしいと資金集めを要請した。経団連側はこれを断ったため、会側は、通産、郵政省などの幹部に協力を依頼。また、この集会の後援者として外務、大蔵、厚生、農林、通産、運輸、郵政、建設、自治の各省が参加をした等々のことがいろいろと報ぜられておるわけでございます。  私は、この会の趣旨、行われたことも、他のまた報道や、あるいは私自身もちょっと調べてみたんですが、日米間のトップ同士の交流だけでなくて、国民レベル、草の根レベルで相互理解促進を支えよう、こういう御趣旨で、例えば第一回のときには、アメリカ市民を五百三十人招いて、全額かどうかわかりませんが、航空運賃からホテル代、食費まで日本が負担するという、そういう形で東京と京都で行われた。  この趣旨自身は決して間違っていることではないと思うのであります。問題は、こういうお金集めの仕方、そして、それにいろいろな監督官庁の幹部が口添えをする形で協力をした。しかも、これは集めたのが、時間的な経過を見ると、三カ月で五億六千万円も集めた。このことはいささかやり過ぎなのではないかな。あるいはまた、新聞がこうやっていろいろ取り上げているように、一任意団体のためにそういうことまで行政がいろいろお手伝いをせねばならぬのか、こういうことについてはいささか疑問を持つ国民もたくさんいらっしゃるのではないかと思いますが、これについて御担当の閣僚はどう思われますか。
  139. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 御指摘の団体は、外務、通産、郵政、建設、運輸、自治の六省庁の共管ということで認可をされていることは中川先生御指摘のとおりでございます。その目的につきましては、世界各国との草の根の交流を促進するという目的でございまして、そうした趣旨を踏まえて、所要の審査を経て認可をされた団体でございます。  その寄附のあり方につきましては、報道されていることは承知をいたしておりますが、私ども直接承知をいたしておりませんので、その点についてはコメントをする立場にございません。
  140. 中川秀直

    中川(秀)委員 団体の認可のことを伺っているのではないのです。認可されたのは、この団体は、先ほど言ったジョン万次郎の会としての草の根サミットが行われてから、九二年の十一月。イベント、そのサミットが行われたのは九一年十一月。一年でこれだけの財団がすぐ認可されることも異例なことだと思います。財団というのは普通なかなか簡単には認可がおりません。わずか一年でおりたということも異例なことだと思いますが、その認可される一年前に行われたサミットに三カ月で五億六千万というようなお金が集められ、しかも、それにいろいろな役所の幹部が関連をして口添えをするという、一任意団体にされる行政の皆さんの行為がどうなのか、どう感じるのか、こういうことを伺っておるわけですが、総理、どうですか、御感想は。
  141. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 今お聞きいたしますと大変幅広い分野から集まっておるということでありまして、ジョン万次郎あるいは日米、こういったものに対していろいろな皆さん方が理解されたのかなという、これは率直な思いでございます。
  142. 中川秀直

    中川(秀)委員 いや、それは私も先ほど言ったように、総理、趣旨は重要なことだし大切なことだ、こう私も思うわけです。ただ、一任意団体としてやる事業、それについて監督官庁のお役人がいろいろな業界に、頼むよ、こうやられるのは、そしてこうやって大きく報道されていることは、やはり少しやり過ぎなのではないかという印象を持つわけですね、現職の官僚たちが。そのことについてともかく総理の御感想をお伺いしたわけですが。  ちょっとそれじゃ先へ参りますけれども、もう一点、これについて、外務省の外郭団体である国際交流基金、ここから、決算報告を見ると、特定寄附金五億二千九万円、国際交流基金というのは外務省の外郭団体ですね、ここからお金が出ているようになっている。ところが、先ほど言ったいろいろな業界は、ジョン万次郎の会に寄附するということで依頼を受けてお金を拠出したはずなんですが、国際交流基金の特定寄附金、特定寄附金というのは、これは当然大蔵大臣も御存じですが、いわゆる税の減免措置、いわゆる指定寄附の、特定寄附の免除が受けられるわけですね、そういう国際交流基金に寄附して、そこからまたジョン万次郎の会に出た、任意団体に出た形をとっている。  さあ、これは国税庁、そういうふうにひもつきみたいにこの国際交流基金の仕組みを使うことは許されているんですか。特定公益増進法人への企業の寄附は、損金扱いの枠がおおむねあるわけですね。損金扱いになるわけですね。その寄附は使途を指定することが認められているんですか、これに寄附しますとか、このジョン万次郎にいずれ行くんですとか。  私は、いろいろ税調なんかで伺っていたときは、そういうことはよくないことだ、認められないことだ、それはいけないことだ、そういうことは厳重に注意しますという話だったと思うんですね。こういう措置を使うということは、国際交流基金にもひもつきみたいに行くなんということは、当然法的責任が出てくるのではないですか。企業はまだそういうひもつきでやるということについてはやはり法律に触れるのではないですか。いかがですか。
  143. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 実は突然のお尋ねですが、現行税制上、法人が支出いたします寄附金については、一定の限度の範囲内にございまして損金算入可能となっているわけでございますが、さらに、教育、科学の振興、文化の向上、社会福祉の貢献といったようなことについて、公益性の高い寄附金については、これを支援するため、寄附者が特定公益増進法人に対し、使途を指定して寄附をする場合には、その寄附が特定公益増進法人制度を悪用する脱法的なものとなるおそれが強いことから、制度の適用は原則としては認めておりません。
  144. 中川秀直

    中川(秀)委員 それでは、原則として認めないものを何で認めたのでしょうか。
  145. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 国際交流基金、これは対日理解あるいは国際相互理解、国際友好親善といったようなものを促進する極めて公益性の高い法人といたしまして昭和四十七年に特定公益増進法人認定をされております。  そこで、この国際交流基金が行っております特定寄附金制度は、基金が実施することとされております法定の業務の範囲内で国内の民間企業等が使途等を特定して基金に寄附を行い、基金はその寄附目的に従って海外の研究機関等に対して資金助成をするというものでございますが、これはいろいろな理由、四点、ちょっと長くなりますのではしょりまして、そういったいろいろな理由がございまして、厳密に適正な運用が担保されておりまして、脱法的なものとなるおそれはないとの判断で損金算入が認められているわけでございます。
  146. 中川秀直

    中川(秀)委員 私のお尋ねした点について明確な御答弁とはとても言えないので、ちょっと調べてちゃんと答えていただきたいのです。
  147. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  148. 山口鶴男

    山口委員長 じゃ、速記を起こしてください。  三浦国税庁次長
  149. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 一般論でお答えしておりましたので、本件につきましてはまたよく調べてみたいと思っております。(「さっきは、調べないでいいって言ったわけ」と呼ぶ者あり)いいえ、制度論を申し上げたわけでございまして、本件についてはまた調べてみたいと思っております。
  150. 中川秀直

    中川(秀)委員 これは六月三日付で大手の全国紙の三面に大々的にこの点も触れられて報道されていることですね。当然税務当局としてはその時点でもう調べて、私もこのことはお尋ねしますよとこういうふうに伺ったわけだから、当然その辺は調べて御答弁していただかなければならぬことであります。  委員長、これは御調査の結果を待ちますが、しっかりした御答弁をお願いしたい、こう思います。いつまでに御答弁いただけますか。
  151. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 至急調べましてお答え申し上げます。
  152. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  153. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こしてください。  中川委員の御指摘の問題につきましては、本日の委員会終了までに、国税庁において調査の上、明確な答弁をするということでございますので、質疑を続けてください。  中川君。
  154. 中川秀直

    中川(秀)委員 先ほどからお話し申し上げているとおり、私は、こういう民間の交流は、趣旨は大賛成でございます。ただ、それに係るお金の集め方というものは、やはり常識の範囲内でやっていくべきであって、そういうものに官僚がかかわったりということは厳にやはり慎んでいくべきではないか、かように思っておるわけでございます。  ここで、先ほどもちょっと触れたんですが、当時衆議院委員部長、まあ委員部長といえば事務総長、また事務次長、渉外部長、その次にナンバーフォーでしょうか、そういう要職にあった平野貞夫さん、今参議院議員でいらっしゃいますが、この方が経団連にお願いに行かれた、会のために三十億円必要だ、協力してほしいと。経団連は断った、こういうことでございますけれども、九一年夏というと、平野さんが衆議院委員部長をおやめになったのは九二年の二月の二十八日でございます。つまり、完全に現職中に、衆議院と  いうこういう公正な立法府の審議を支える重要な、中正公正なそういう事務部門の、補佐機関のその重要な役をやっていた方がこういうことで走り回られる。まあ御郷里が土佐であって、ジョン万次郎も土佐清水であって、お気持ちはよくわかるんですが、やはり公的な立場と、こういう民間の一任意団体の事業と、ここもけじめというものが当然必要なんではないかと私は思います。  そういう意味で、こういうサミットに、事務局長格としておやりになっている。平野さんは新聞の問いかけに答えまして、談話で、会長の小沢さんは九一年の六月終わりから八月中ごろまで入院しており、資金集めにはかかわっていない、経団連幹部には三十億円は無理だと言われたが、業界の人を紹介してくれた、私は当時公務員だから直接金集めはやっていない、通産省や郵政省で協力してくれたのだ、こういうことを言っているわけですが、この談話にしてもやはり問題がある、ないとは言い切れないと私は思います。  総理、この一連のことをこうお聞きになられて、今総理が党首をなさっておられる新生党の議員さんのことでございますから申しにくいと思いますが、一般論として、そういう立場の人がそういうことにかかわっていろいろ動いていかれる、特に衆議院の事務局の人が動かれる、これは公的 な立場上、ふさわしいか、ふさわしくないか、これはどう思いますか。
  155. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 基本的には、これは善意のものであり、また、あのとき、時代というのは、そういった活動というのは必要だったというふうに思います。そして、その代表といいますか、理事長ですか、これに松永さんがっかれておるということで、まあ半分公のような一つのあれがあるのかなという実は思い、そしてその後、その財団ですかが設立されてそういう活動を進めておるということ、そのことを考えたときに、一概にどうかなという、なかなか感想だけとしては言えませんけれども、ボランティアみたいなものの場合ですと、確かに余り国が関与するというよりは、個人がそういったものを進めていく、それの善意の集まりというものが本来一つの筋道なのかなという思いはいたしますけれども、この場合には、半分何か公みたいな感じのものがあるという、私は、今お話をお聞きしながら感じております。
  156. 中川秀直

    中川(秀)委員 松永さんは、このときは当然もう大使もおやめになられて、民間人でいらっしゃいますね。元駐米大使ではあられたけれども、民間人でいらっしゃった。その方が理事長であるから半分公というのは、総理ちょっと若干、そうですがと言うわけにもまいらぬような気がいたします。  それよりも私は、なぜ常識が必要かというと、例えば衆議院委員部長とかあるいは役所の局長さんとか、こういう方が経済界に三十億円出せ、こういう話はやはり私は国民の目から見たらちょっと度を過ぎているのではないか、これは常識的に考えてもそう思うのです。そこを総理が、半分公だからしようがないな、こう言われたら、そういうことはもうどんどんこれから、私またいずれお尋ねしますが、いろいろな役所が認可法人をつくって、財界に何ぼ出せと言った。経団連、冗談じゃない、この不況下にと、断った。そんな報道は最近だけでも三つか四つ出ております。そういうことを助長してしまうことになるのではないかと思います。もう一度総理のお考えをお聞かせください。
  157. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 ただ、今この会をあれするというのについて、それぞれの省なんかが関与といいますか、あれ六省庁ですかね、あれが一緒になって今度……(中川(秀)委員「それはまだ認可する前の話なんですよ」と呼ぶ)ええ、ですから、いずれにしましても、そういったところが関与しながら財団がつくられるということでありますから、私は、その点ではある程度、まあ公というものじゃもちろんありません、これは民間のものでありましょうけれども、今確かに御指摘があった中にはいろいろとあいまいなものだとか難しいものがありますけれども、しかし、割合とちゃんとした目的のために、いろんな関係の省庁なんかがバックアップしながらやっておるというようなものもあろうと思います。よく私もその辺はこれから考えてみたいと思います。
  158. 中川秀直

    中川(秀)委員 やはりけじめというのは必要なんじゃないか。そんなに官的な、公的なものでやるなら公でやったらいいのであって、民間でやるものは民間でやる。行政が、もちろんそんな権限があるから出せとは言っていないと思いますが、要請をされる方は、やはりそういう人が頼んでくるんだからといって断れない部分だってありましょう。やはりそれはけじめというものがあるんじゃないか。  しかも衆議院委員部長というお立場は、私は、立法府の審議を円滑に進めていくための補佐機関、まさに中正公正の第三者として、いろいろ公正な行政あるいは職務に精励しなければならぬ立場の人です。そういうものがけじめがつかないようでは、政治改革とおっしゃっても、やはり中身はいろいろ今までと変わらないのではないか、こういうことを言われてしまう。ここは私はきちんとしていただかなければいけないと、やはり常識的にそう思うわけでございます。正直この問題ばかりやってもいられないので、いずれこの調査結果をはっきりしていただきたい、こう思います。  私、ゼネコン問題でいろいろこう思いますのに、やはり調査取り締まり体制というものも、例えば建設省は、この談合問題なんかの取り締まりを行うのは建設経済局の建設業課建設業構造改善対策官ですが、二人いるそうであります。また、独禁法が専門の公取も、静岡談合事件以来、八二年ですか、手がけたのは六件ぐらいであるということも聞きます。また、警察庁の警察白書、あるいは法務省検察統計年報、これで犯罪統計をまとめているんですが、刑法九十六条の談合というものは項目もないわけですね。摘発しても、それは競売・入札妨害の項目に統計をされているようでありますが、やはり捜査員としては、数字にあらわれない談合事件なんかやっても功績にはならぬ、そんなものもないとは言えない。  公取も最近は審査部門の人数をふやす、五年間で五十七人ふやすということですが、談合の調査件数は確かにふえているのだが、事建設業関連についてはほとんど昔の水準と同じですね、数字を見ますと。そんなことで、やはりいろいろなこういう取り締まり体制も相当の決意を持ってやらなければならないのではないか、私はそのことをそう思います。公取委員長、どうですか。
  159. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、私ども独禁法違反事件の審査、これにつきましては、当然のことでございますけれども、独占禁止法の運用強化という時代の要請もございます。私どもの体制も、徐々にではありますけれども着実に体制の整備を図ってきておりまして、ただいま事件の件数についてのお尋ねもございましたけれども、違反事件の中でも特にこの入札談合事件、これに限って申し上げますと、入札談合事件につきましては、最近大変違反事件の中でも割合が多い状況でございます。  ただ、違反事件の中の建設業に限ればもちろんそのうちの一部ということでございますけれども、私どもといたしましては、私どもの現在の体制のもとで、建設業も含めまして違反事件一般、そして特に最近件数のふえております入札談合事件につきましては、私どもとしまして能力の限りを尽くして審査に当たっているつもりでございます。
  160. 中川秀直

    中川(秀)委員 公取委員長、ちょっと資料がどこかにあるのですが、ラップ事件あるいは印刷業界のシール談合事件、ありましたね、最近。公取がやった。その裁判の場で異例な弁論が行われているのですよ。それは、ラップ業界なんというのは、どっちかといえば規模はそう大きくないわけです。中堅企業とかそれ以下なんですね。そういう事件は厳しくして、もっと大きな談合については極めて甘いではないか、中小企業ばかり摘発するのか、こういうことを弁護士さんが異例な弁論の中でおっしゃっておられるわけですね。件数を見ても建設業、やはり少ないんですよ、今おっしゃったとおり談合事件については公取も今頑張っているわけですが。そういう意味で私は、答弁は要りませんが、きちっとこれからはやっていくべきだ、このように思います。  それから今度、国税庁に使途不明金のことを伺いたいと思います。  九一年七月から九二年六月までのいわゆる九一事務年度ですね、この一年間に国税当局が把握した使途不明金、これは建設業の場合は三百八十二億、企業種の六八%と報道されております。これは何%の調査ですか。
  161. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 実調割合で申しまして一四・七%でございます。
  162. 中川秀直

    中川(秀)委員 その計算でいくと、建設業界は一四・七%の調査で三百八十二億というと、一〇〇%もし実調したら約四千億円ぐらいの計算になりましょうか、計算上のことですが。
  163. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答えいたします。  よく業種あるいは企業種につきまして、私どもの調査の結果から推計というお話がございます。計算上の推計はそういうことに、まあ考え方はございますけれども、私ども問題が多いというところを選定いたしまして、その結果がその調査結果 でございますので、それを全数に推計いたしますと、必ずしもそういうわけにはならないというぐあいに考えております。
  164. 中川秀直

    中川(秀)委員 私がお尋ねした実調率一四・七%というのは、これは建設業を含む使途不明金の実調率でしょう。建設業界だけの実調率ですか。
  165. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 企業種でございます。
  166. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。それにしても大変な巨額のものです。私の推計四千億というのはいろいろ、必ずしもそうではないかもしれないが、少なくとも三百八十二億というような一年間の使途不明金どころではない数字だろう、これは言えると思います。  そこで、やはりこの使途不明金について最近国税庁も、かつては部内通達で、使途が判明してもその情報を直接活用することは避けるなど、慎重に取り扱うようにという通達を各国税局に出したようであります。これは企業から得た情報を直接相手にぶつけるな、こういうことで、課税するなという意味ではないと説明をしているようですが、第一線の調査をいろいろ制約する結果になっているのではないか、こんな御指摘もあります。  そこで、最近国税庁はここへ来て、この使途不明金の調査についてはそれなりの強い姿勢で臨む、こういうことを検討しているようですが、一番重要になるのは青色申告の承認取り消しですね。ともかく青色申告法人、取り消された場合は、いわゆる決算で欠損金が生じた場合、翌年以降五期分の法人所得が控除ができなくなりますね。これはもう企業にとっては大変なことですから、使途不明金についてはこれは厳格にやらなければならなくなってくる。  この取り消しについて、取引の全部または一部を隠ぺい、仮装して帳簿記載した場合は承認取り消し、この法人税法の規定を適用する。ところが、使途不明金の多くは自己否認によるものだ。これについては、この取り消しに当たるのか当たらないのか、学者によってもいろいろ意見はあるようです。  しかし、税務署長の指示に従わないときは承認を取り消すことができるという法人税法百二十七条というのがありますね。それを使って、この使途不明金がもうこんな膨大に出た場合は、これは税務署長が場合によっては取り消しますよ、きちんとしなければ、ということが言えるはずで、その辺を使ってやはり建設業界に対してもこの点についてはきちっとした指導をしていくということが重要だと思いますが、これはそういう方向できちんとやりますか。
  167. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答えいたします。  御指摘のように青色申告承認取り消しには四つのやり方があるわけでございまして、ただいまその一つの方法をおっしゃったわけでございます。もちろん私ども、そういったやり方も一つの対応策であろうかというぐあいに考えておりますが、それも含めまして要するに全体の、記帳全体に問題があるかどうかということから、この青色申告の取り消しについては個々の実態を踏まえて検討するという姿勢でございます。  今のようなやり方も当然含めて今後とも運用したいというぐあいに思っております。
  168. 中川秀直

    中川(秀)委員 それはいつまでにお答えを出すおつもりですか。
  169. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 いつまでに私どものやり方、運用につきましてこれを変更するとかいうものではございませんで、現在でもこの四つの方法を適切に運用していくということでやっておりますので、いつまでに私どものやり方を変更するということはございません。
  170. 中川秀直

    中川(秀)委員 予算委員会で時間をとってこれからの方針を伺っておるわけなんで、やはりきちんといつごろまでにはそういう方針を決めるということを言っていただかないと、ともかく行政改革の強化にもありますが、速やかに調査検討いかんですという、そんな検討なんということではもうない。これだけ大きな疑獄史に残るような事件まで出てきたわけですから、しっかりとした姿勢でこの問題についても答えを出していただかないと私はいけないんじゃないかと思いますよ。もう答えは要りませんが、しっかり早く結論を出してください。  それから、天下りについてもいろいろ取りざたをされました。これは中村建設大臣の時代に、ゼネコンヘの建設省からの天下り、これは凍結をする、こういうことで、五十嵐大臣のときに、九二年度は百四十五人、九三年度は二十人弱になった、日建連加盟の大手はゼロになった、こういう記者会見も行われたようであります、ことしの三月ですか。  私は、国民の税金の使い道にかかわることで、能力のある公務員が退職後その能力を生かすということは、確かに惜しむべきものもあると思う。だが、これだけ大きな社会問題化した事件の後で、これはやはり今後とも引き続き慎むべきものではないか、このように考えますが、建設大臣、いかがですか。
  171. 森本晃司

    ○森本国務大臣 昨年の八月に建設省として自粛を決めました。六月一日現在また調査をしたわけでございますが、幹部職員は大手、非大手を問わずゼネコンに就職した者はおりません。また、幹部職員以外の職員については、大手ゼネコンへ就職した者はおりませんし、非大手のゼネコンに就職した者も二十三名にとどまっております、例年は百五十名ほどというふうに伺っておりましたが。  今後とも、先生御指摘のとおりに、国民の信頼にこたえるためにも、建設省みずから決めた方針を当面は粛々とやっていかなければならないと思っております。
  172. 中川秀直

    中川(秀)委員 なぜ天下りが横行するか、それは仕事が入ってくるからだ、十億円単位の公共事業を一つでも持ってきてくれれば幾ら高給を払っても元が取れる、こんな談話も業界の幹部からなされたということも報道されております。やはり今大臣の御答弁のとおり、私は粛々とこれは自粛をしていくべきだ、このように思います。  それから公取委員長、今度の一連の疑惑事件の中でも、公取の「改めて問われる「独立性」」という記事が報道されました。これはどういうことかというと、公取対策に公取のOBが業界に天下りをして当たられた。依頼者の要請で動くのは当然だ、そう公取の幹部が、天下りをした人が言ったというのです。  特に、これは両方絡むのですが、検察庁にも絡むのですが、最高検の検事や部長だった人が、当然検察庁経験者が公取の委員に一人は出ることになっていますね、今までの例で。その方がおやめになってまたゼネコン等に顧問弁護士でお入りになる、そして公取対策に公取OBが当たられた、こういう報道がなされているわけですけれども、やはりこれも同じように国民の感情からしても慎んでいくべきことではないか。もちろん強制力はないかもしれませんが、私はそのように思いますが、御所見はいかがですか。
  173. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 申し上げるまでもなく、公正取引委員会の職務の執行に当たりましては、これは独立してこれを行うと法律で定められておりますし、私どもも、その法律で定められております職務執行の独立性というものを極めて重要な公正取引委員会の行動原理と承知をしております。  したがいまして、今のお尋ねでございますけれども、いかなる意味でも、例えば公取のOBから私どもが私どもの仕事について何か圧力を受けるようなことは、これは全くございません。  それから、天下り云々というお話でございますけれども、私どもにつきましては、御指摘のような天下りということは私はちょっと思い当たるところはございません。  もちろん今おっしゃられましたように、例えば法務省検察庁を経験をした人が公取委員になっているという例は、これはございます。そしてその人が退官後に例えば弁護士を業となさるということは、これはあるわけでございます。しかし、仮にその方が今の御指摘のように民間企業の顧問弁護士として業務をなさるということは、これは あり得ることだと思いますが、そのことと私どもの職務の独立性が何らかの影響を受けるということは、これは全く関係がございませんので、そこははっきり申し上げさせていただきます。
  174. 中川秀直

    中川(秀)委員 職務で影響を受けたかどうかということは、また受けてもらっては困るわけで、それはもう当然だろうと思います。受けないというお立場でおやりになるのが当然だ。ただ、国民の目から見ますと、こういう報道もなされる、何かそうした関連があるのではないか、こういう疑問が生じることは、私は率直な感情としてそうだと思います。やはりそういうことは慎んでいくべきではないか、かように私は思います。  時間がありません、次へ参りますが、昨年の十二月二十日に公共工事積算手法評価委員会というものの報告書が出ました。これは当然建設省が関係をして、公共工事の積算は正しかったんだろうかということを抜本的に考えようという機関で、大変結構なことです。  この報告書で見ましても、一九九三年の物価資料等により、資材単価、労務単価及び機械経費について日米両国を比較したところ、資材単価は三割から五割程度、労務単価はほぼ同額から二倍程度、機械経費は、ブルドーザーやクレーン等、工事に用いられる機種を平均して三割程度我が国が高いという傾向が見られた。工事費の総額について、建設省の積算基準でアメリカの内務省の積算結果と比較をしてみたところ、我が国は三割高い結果が出た、こういう報告がなされたわけであります。  私は、後ほどちょっと触れたかったのですが、時間があるかどうかわかりませんが、公共事業の腐敗の根因というものは、入札制度も関連をいたしますが、やはりこういう価格政策にも大きな原因があるのではないか、こう言われても仕方がないと存じます。  実は、これは九三年九月のことですけれども茨城の県立医療大学ですか、この指名競争入札ですね、十二の共同事業体のうち約六企業体が最低予定価格を下回る価格を提示して失格になった。十二の企業体の指し値は最低で八億七千五百万、最高が十三億六千万、こんな大きな価格差の入札結果があった。これは実はそれなりに建設省の中でもショッキングなこととして受けとめられたことがあるわけです。  私は何を申し上げたいかというと、建設省の外郭団体である建設物価調査会の報告書でも、日本のオフィスビルの価格は米国の二倍から三倍になっている、こういうことが書かれているのです。また、確かに日本の場合は地震国ですし、いろいろそういうもので鋼材なんかもアメリカの一平方メートル当たり八十八キロに対して日本は百三十八キロも使わなきゃいけない、こういうこともやはり耐震設計ということでコストが高い理由にもなっている。  しかし、それでこんなに違うはずはない。例えば、金額ベースで見るとアメリカは一平方メートル当たり四万から五万、日本は九万から十万、こんなに違っているわけですね。それから、驚くべきことには、さっきの報告と違うのですが、日本の建設労務者の賃金は、この建設省の外郭団体の建設物価調査会の報告でも、実はアメリカの労務者の労賃に比べて日本の労務者の労賃は、半分かそれ以下なんです。それ以下なんですよ、大臣、よく勉強してください。あなたの方の外郭団体が調査した結果なんです。労賃は米国の半分以下なんです。  しかし、労賃は安いかわりに工数が物すごく大きい。そして間接工事費なんかが物すごく大きい。それから、やはり本社経費が非常に大きくて、一般管理費が原価の九%から二八%も乗せられている。しかも、いろいろなセメントやそういう建設資材なども、半値八掛け五割引きなんて言われるような世界で、材料費の中にもいろいろな問題点がないとは言えない。  いずれにしても、建築費がアメリカに比べて二、三倍高い。公共事業については、建設省のこういう見積もり委員会でも三割も高い。三割というと公共事業費についてどのくらいになるのですか。大変な金額ですよ。例えば一般公共事業、補正予算あるいは都道府県、市町村分、これを入れれば普通、公共工事というのは約四十兆ぐらい、こう言われていますが、三割といったら十二兆じゃありませんか。仮に三十兆としたって九兆円ですよ。一九九一年から二〇〇〇年までの社会資本計画四百三十兆円に三割といったら、百二十九兆円ですよ。  私は、大蔵省主計局が、いろいろなそういうものはもう厳正に見積もってきちんとやっているんだろう、こう思っていたのですが、どうもいろいろこういう三割アメリカより高いんだというような話を聞きますと、改善の努力ありどころか、なぜ今までこんなことがもっと真剣に議論されへ検討され、そしてこういう報告書が去年十二月に出ていますが、真剣にやられてなかったんだろうか。  ここにはいろいろ書いてあります。ともかく、一般管理費の内容の見直し、受注者の費用情報の把握と見積もりへの反映、物価調査機関の公表内容の充実とこの調査結果のチェック体制の強化、積算に関する基準、情報等の公表、特に輸入資材の活用の促進や積算への反映、工事規模に着目した資材単価の設定等々、こういう提言がいろいろなされているわけですが、大蔵大臣、どうですか、このことについて。
  175. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 御承知のように、公共事業費の総体は、そのときの財政の事情あるいは経済の情勢だとか、あるいはおのおのの公共投資の水準だとか、あるいは他の施策との優先度などを見ながら全体としての姿をつくらせていただいております。  今のお話は、具体的に言いますと、個々の事業官庁の予定価格算定の問題に非常にかかわっているように思います。私どもといたしましては、予定価格の算定についても、個々の官庁が今お示しのようなものも参考にしながら、かつ、今後こういうものを下げていくという方向で御努力になっているものと考えております。
  176. 中川秀直

    中川(秀)委員 御努力になっているものとして考えているでは、大蔵大臣、困るんですよ。調査をした結果三割高い。いろいろなものがある。もう繰り返しませんが、先ほど私が申し上げたとおり、もっと真剣にやらなきゃ国民の理解なんか得られないじゃないですか。何が税制改革ですか、そういう話になってしまうでしょう。これは、私は今回の事件を契機に真剣に取り組むべき課題だと思いますよ。総理、いかがですか。
  177. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 この問題に直接関係するわけじゃありませんけれども、きょうも行財政を推進するための流通関係の部会がありました。そこでも内外価格差というものはやはり三六%とか四〇%もあるということでありますので、これを一つの目標にしながら、これを半減していくぐらいのことができないのかということを実は問いかけたわけでございます。  今中川委員から御指摘がある点は、やはりそういったものをもっときちっと積算していくということ、この間公共料金の問題もありましたけれども、そういったあれについても、もっと積算をきちんとしていくということが非常に重要であろうというふうに考えております。
  178. 中川秀直

    中川(秀)委員 ぜひ総理、よろしくお願いします。  ともかくもう歳入も不足しているし、厳しい状況になっている。国民の目も大変厳しい。また、国際的にも日本のそういう不透明性に対する批判が物すごく強い。政府も財政当局もそんなおおような態度ではいけない。何よりも建設省がそんなおおようなことではいけないんじゃないですか。建設大臣、どう思いますか。
  179. 森本晃司

    ○森本国務大臣 中川委員御指摘のように、アメリカと比べて三割ほど高いという指摘がされております。建設省といたしましても、今省内に事務次官を筆頭として建設費の内外価格差の縮減方策を検討する内外価格差検討委員会を発足させまして、その問題に全力で取り組んでおります。  いずれにいたしましても、詳細な実態掌握を行いまして、輸入資材の活用とか、あるいは省力化、省人化、機械化等々を図りまして、御指摘どおり軽減させなければならない、このように考えているところでございます。
  180. 中川秀直

    中川(秀)委員 その御決意で、また当委員会にも、これは重要な予算の部分です、九兆円も違うよなんて言われて納得する国民なんか一人もいませんので、やはりきちんとその結果も報告をし、いつまでにやるんだということも明示をしつつ、総理の御決意のようにお進めいただきたい、このように思います。  時間がいよいよないのですが、ある報道の中に、「官公庁こそ談合の育ての親」、こういうような記事も載りました。つまり、談合というものは行政の協力なしには絶対に成立しない。入札において首尾よく落札するためには、インハウス設計に基づく予定価格、つまり、行政があらかじめ立てる上限価格ですね、こういうものの情報をあらかじめ知っておく必要がある。行政、企業ぐるみの談合の陰の運営者は行政ではないか、こういう厳しい御指摘も数多くなされておるわけです、報道の中には。  私は、我が国の会計法だって、明治以来、指名入札なんというのは日本の伝統ではないと思いますよ。明治以来、秘密にすべき場合あるいは非常急遽の場合だけしか随意契約を認めない。また、今の会計法でも、競争に付することが不利と認められる場合に限られているわけですが、ともかく粗悪工事を防止するためには指名制が必要だったとか、自治省だって、本来自治体が選択すべき問題だとか、あるいは大蔵省は、具体的事実をつかまえずにそんなこと言ってもしようがないから、各省の改善策の相談に乗るしかないとか、あるいは会計検査院は、幾ら国費がむだになったか、具体的に数字を出さなければいけないから、一般論の警告はしにくいとか、そういうこと等々でずっと来た。  また、談合そのものがなかなか一般競争入札でもなくならないのですよ。既に一般競争入札をやっているところでも、もう時間がないから事例を挙げませんが、最近の報道でも、岩手県でも六月の一日ですか、トンネル工事やら何やら、いろいろ談合情報があって入札を延期している。長野、総理のところでもこの一月十五日、一般競争でも談合、クエスチョンマークがついていますが、情報どおり入札した、そんな事例がたくさん報道されている、これから政府がやろうとしている一般競争入札でも。  談合そのものを生む体質があるのです、我が国の中に。これは悲しいかな、消費者の利益よりも生産者、だれもが生産者である目分を第一に考えて、消費者である自分には引っ込んでもらって、会社人間になり、そういうことをやってきた。ともかく内なるカルテル体質、内なる談合好みの体質というものが考えてみれば日本の社会には伝統的にあった。また、そういうものに甘かった。利益なき競争よりも競争なき繁栄や成長に魅力を感じてきた。それがまた海外から批判を受けてきておるわけですね。  私はそういう意味で、今度の入札制度の改善もいいですよ。私は、もう時間がないから要点だけ言いますが、入札ボンドにしろ履行ボンドにしろ、欧米の場合はそういう第三者の中立機関が審査をやるんですね、格付といいましょうか、能力審査を。行政が、発注者がかかわらないわけですよ。私は、こんなもの一年で結論を出すというのは当たり前のことであって、もう必ず前向きの答えを出さなきゃだめだと思います。  それからまた、細かい点でたくさん聞きたいことがあったんですが、もう二十四億に今度しますでしょう、SDR何ぼで、建設省。今度の一般競争入札の入るところ。都道府県の中には五億、十億でもうやっているところもあるんですよ。これ地方自治違反ですよ、そんなもの。二十四億にみんな合わせなきゃいかぬです、今度。既に低いところで一般競争入札をやっているところが二十四億に合わさなければいけない、そんなばかな話ないんじゃないですか。五億、十億でやっているところは五億、十億でやらせてあげたらいいじゃないですか、現にやっているところがたくさんあるんですから。事例は挙げませんが、たくさんありますよ。石井大臣のところでも、神戸市なんというのは五億でやっているんですよ。  そういうことをやっている状況の中で、ともかく私は、これははっきり言いまして、イギリスなんかは談合したということがわかった場合は二年間指名入札リストから外されるんです。日本は長くて三カ月、二カ月。二年間も外されたら会社をやっていけないですから、大変厳しいことですけれども、ともかくみんな失うものが大きいですから、直接の損失だけじゃなくてイメージダウンというのもありますし、ということでそういうものは非常に厳しくやっている。  日本だってそのくらいのことまで考えていかなければ、大変なことだけれども、一遍に無理かもしれないが、徐々にそういう方向に行かなければ、私こんなこと言っていても、ごまめの歯ぎしりですぐは余り改善できないと、あきらめようかと思うぐらいの気持ちになっていますが、何回もこういうことをやってきた。恐らく一年後か二年後にまた同じことが出てくる体質があります。可能性があります。そこまで思い切ったことを日本も考えて、より透明な、そして業界全体も胸張って発展していくような体質を今こそつくっていかなければどうにもならぬ。このことを私は声を大にして言いたい。  発注者である建設省やいろいろなそういう関係者も、みずからの発注権限を温存しようなんということにとらわれるべきではない。はっきり言って、今度の政府の改善案だってとらわれておりますよ。どう考えたってとらわれております。まさに入札、履行ボンドを損保ではもうやっているわけですから、一部分。日本だって素地がないなんていったって、やってやれるところがあるんですよ、今の損保会社でも。そういうものも導入をしていく。発注権限にとらわれるべきでもない。ともかくそういうことを、本当に勉強させていただいて、思います。  入札監視委員会だって、これはみんな事後機関じゃありませんか。事後の報告と苦情の申し立てをどうするかというだけで、前向きのそういうものではない。むしろ民間にそういう第三者機関を、入札、履行ボンドをつくらせた方がよっぽどいい。また、公取のいろいろな今度のガイドラインというのも非常に不透明ですね。シロかクロかだったのが今度灰色というのをつくっている。建設省からもそれについてよくわからないじゃないかと、建設業界からもわからないじゃないかと意見が出ているでしょう。もっと明確なものをつくって厳しい姿勢で臨んでいかなければ、こういうものは再発を防げませんよ。  私はそういうような思いで、政府当局は大変な熱意を持ってこれをやらないと、せっかくここで集中審議した意味もない。総理、どうですか。
  181. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 もう御指摘があったことは、一々私もごもっともだろうと思います。  やっぱりこれだけ大きな犠牲というものを私たちは払ったわけでございますから、その意味でもそういった問題に対して透明性を持たなきゃいかぬ。しかも海外からも、自分たちがそういった機関といいますか、そういうあれに入れないからとか、あるいは先ほど日本の文化というようなお話がありましたけれども、政治改革のときも贈答文化というのは日本の一つの体質だなんということを言われておりましたけれども、しかしそんなものはもう許されない時代になっているということを知りながら対応すべきであろうというふうに考えます。
  182. 中川秀直

    中川(秀)委員 自治大臣、さっき私ちょっと聞いたんですが、地方自治体、これは縛るんですか。建設省のその二十四億という基準や何億という基準が今度出ますね、一般競争入札の基準が。ところが、自治大臣のところは、神戸市なんかもう五億円でやっているわけですよ。それで縛られるんですか。意見を言わなきゃおかしいじゃない ですか、自治省として。
  183. 石井一

    石井国務大臣 その反面、先ほどの御質問の中にもございましたが、東京都で五十億というような御指摘もございました。地域性あるいはその規模等々、いろいろその辺の整合性で一つの調整をしなけりゃいかぬというふうにも思います。ばらばらであるということ自体、非常に大きな問題の提起であろうかというふうに思いますので、この点につきまして建設省と協議を進めたい、そのように思います。
  184. 中川秀直

    中川(秀)委員 きちっとそうしないと、自治体にとっては、そこに合わさなければいけないのかと、文句を言っているところもたくさんあるんですよ。ここはよく気をつけてください。  それから、細かいことがたくさんあるんですが、ともかくいろいろな、入札監視委員会なんというのもできますね。これは建設省のOBなんか入れないでしょうね。  その点の御確認をひとついただきたいと思いますことと、それから、予定価格なんというのはなくしてもいいんじゃないか、こういう議論もあるんですよ。予定価格というのは、実はアッパーリミット、最高限度額なんですが、最高限度額をなくしてしまうと、今度は高くなるおそれがあると言いますが、一般競争入札になって談合がなくなれば、むしろ下限の調査基準価格まで下がってしまうことはあり得ても、高くなるなんというおそれはないんじゃないですか。そういう意味では予定価格をなくした方がいいという議論もある。  ともかく、政官との癒着が行き着くところまできた建設業界を立ち直らせるためには、やっぱり弱まり始めた談合組織を勇気を持って徹底的にやめてもらうことだ。そして、例えば発注者が決める予定価格などもなくすことは十分検討に値するんじゃないか。こういう価格が天下り役員を通じて入手される、あるいは落札業者を調整するのが一般的な談合だから、そういうことをなくしていくことがもとを断つことになるわけで、そして応札者には工事の見積内訳の提出を義務づけるという方法もある。それなりの見積もりをしなければならないわけだから、簡単に応札はできません、経費もかかることですから。そういう提言もあります。  現実に、行監のこれは平成六年二月号に出ているんですが、昨年十月にやった「競争契約参加手続に関する調査」でも、いろいろ過去の施行実績とかあるいは労働福祉の状況とか主観的事項の評価が結構入っている。調べた十八省庁、二十法人でそういう主観的事項を入れたのが四八・六%もある。やっぱり私は、こういうものもなくしていかなければいけないんじゃないかと思う。  総括して建設省、答弁してください。
  185. 伴襄

    ○伴政府委員 種々御指摘ございましたが、一つは入札監視委員会、これは全く建設省以外の学識経験者の方で、公正中立な方を選んでおります。大学の工学部の先生、法学部の先生あるいは弁護士の先生、あるいは公安委員会の方、教育委員会の方というような方々を選んでおります。  それから、予定価格の話でございますが、これは予決令で秘密になっておりまして、もちろんその予決令の問題になるわけでありますけれども、やはりあらかじめ予定価格を知らせますと、それをもとに協定価格ができるとますます談合を助長するんじゃないかという意見がありますし、それから、その予定価格の近辺に価格が張りつくという問題というのもありまして、いろいろ議論はいたしましたけれども、当面はこの予定価格の公表はしないということにしております。ただ、その積算の透明度は、積算基準等のあるいはやり方につきましての透明度は高めたいというふうに思っております。  それから、主観的事項のカウントの話でございますが、これも確かに行政監察で御意見ございましたけれども、極力その主観的事項の点は減らそうということで、一般競争の場合は、これは完全に客観点だけでやりたいと思っておりますし、それから指名競争の場合も、その主観点の割合をうんと低くしまして、しかもその主観点を出すときにもなるべく客観度、透明度を高めるという、そういう算定方式にしたいというふうに考えております。
  186. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  187. 山口鶴男

    山口委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。  次に、坂上富男君。
  188. 坂上富男

    坂上委員 どうも委員長御苦労さんでございます。また、羽田総理以下、皆様方本当に御苦労さんでございます。  私たち社会党に与えられました質問時間、一時間三十分でございまして、そのうち私が一時間やらせていただきまして、細川委員から三十分やらせていただきます。少しぐらい食い込んでも構わぬよという御伝言でございまして、きちっとやりたい、こう思っております。また、私の一時間のうち十五分から二十分ぐらい、ちょっとゼネコンでない核問題等についての北朝鮮の問題をめぐりまして中心的に質問をさせていただきます。あとの四十分はゼネコン問題に集中して質問をさせていただきたいと思います。  総理、あれでしょうか、総理は、総理にまだ就任なさる前の四月二十三日、報道各社のインタビューに答えられまして、集団的自衛権をひとつ行使容認の方向で憲法論議をしょうじゃなかろうかという発言をなさっておるわけでございます。私うっかりしておりましたが、この発言は、他の閣僚の皆様方からも発言があったけれども、この予算委員会で撤回または訂正があったわけでございます。総理はどうなったろうかと思って調べてみましたら、あるいは私の勘違いかもしれませんけれども、平泉委員の質問の際に、柿澤外務大臣への質問に前後いたしまして、これをやや訂正されたような答弁もあるようでございますが、総理、集団的自衛権行使容認の方向で依然として憲法論議を希望しておるんでございますか。
  189. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 集団的自衛権について、私は、何というのですか、これを検討するというような気持ちというのは、特別に今までも持っておりません。  いずれにしましても、我が国としてできるものは、我が国に対します攻撃に、もし攻撃があった場合ですね、こういったものに対してこたえるための最小限のやはり武力行使ということでありまして、我が国がいわゆる国連の中で言われるところの集団的自衛権というものを行使できる立場にない、あくまでも日本の場合には日本自身に加えられたもの、こういったものに対して対応するべきものであろうというふうに思っております。
  190. 坂上富男

    坂上委員 羽田外務大臣当時の会見要旨によりますと、こういうふうなことが一問一答の中に出ておりますから、お聞きをしておるわけでございます。  平和を乱すものだという認識に立った時には個別自衛権、集団的自衛権は認められると言われている。われわれも大いに議論すべき問題だ。 こういうふうな会見がありまして、新聞のトップの見出しの中で、  「今の憲法を作った時点で今日のような事態は予想されなかった。世界の国々が間違いなく侵略とか平和を乱すものだと認識した時、集団的自衛権は認められるのではないかと言われる。我々も大いに議論していくべきだ」と述べ、これまでの政府の憲法解釈では認められないとしてきた集団的自衛権の行使も容認していいのではないかとの考えを示唆した。 という記載があるわけでございまして、そういう意味で、これはもう当然大事な問題でございますから、再度確認をして、そういう意思がないというなら、ないとお答えいただければ結構でございます。
  191. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 これは個別自衛権あるいは集団的自衛権ということで、国連の憲章の中にあってはこれがみんなそれぞれ持てる権限であるということで、我が国も当然その権限というものは有するものであろうと思います、これを国際社会から見たときには。しかし、我が国はそのとき に、武力が発動できるというのは、我が国自身に何か問題が起こったときにこれに対して対応すべきものだけであって、これは最小限のものであろうというふうに思っております。  ですから、私どもは、まさに我が国としては憲法に許された範囲の中で物事ができるということでございまして、国際的には認めておるといいますけれども、日本の場合には憲法に許された中でしかできないものであるというふうに私は考え、今後ともそのとおりでいきます。
  192. 坂上富男

    坂上委員 次は、今度は核兵器使用についての国際法に違反しないという国際司法裁判所に陳述書を日本政府として提出をする用意をしておる、こういう報道がなされておるわけでございますが、これも大変な問題を含んでいるんじゃなかろうか、こう思っております。  これは、総理の方になりますか、外務大臣ですか。外務大臣には、きょうは真っ正面から御質問いたしますから、どうぞ率直な御意見を、簡単にひとつぴしっと答えていただければ結構でございます。
  193. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 今、坂上先生御指摘の点は、WHOから国際司法裁判所に対して、核兵器の使用は国際法違反にならないかどうかという点についての各国の意見書を出すようにというようなことで、今各国が意見書を提出することを求められているわけでございます。  御承知のとおり、我が国は世界で唯一の被爆国として核兵器の悲惨さを十分に承知している国でございますし、核廃絶のために努力をしなければならない立場にあるわけでございますが、純粋に法律論として申しますと、国際法上、実定法としてこれが国際法違反だというような形の法律の定めがございませんので、実定法上の判断としては国際法違反とはならないというのが、法律解釈として今まで日本政府がとってきた立場でございます。  今回についても、いろいろまだ議論中でございますが、法律論としてはそうなるな、ただ、国民感情としては、核廃絶のために努力をしなければならない、その意味では核不拡散体制の維持強化、また核実験等の停止等、そうした面で着実に努力していくことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  194. 坂上富男

    坂上委員 外務大臣の御答弁によりますと、法律解釈はどうかというような問い合わせだから、現行の国際法には違反しない、こういうように解釈上、答弁に向けて準備をしておるというような趣旨のように理解をするわけでございますが、法律の解釈や国際法の解釈、そういうものを国際司法裁判所が照会をしたり陳述書を出させたりすることはないと思うのですね。やはり一定の事実に基づきまして、そして日本政府はどのように解釈し、日本政府はどのように対応するかということが問われているのでございまして、それには長い、日本がこうむったいろいろの問題をこの中に出して、そして国際法違反であるかどうかということを日本の立場でお答えをすることが大事だろうと私は思っておるわけでございます。  そこで、今ちょっと触れられたのでございますが、我が日本の国には、誇るべき非核三原則があります。まずこれに反します。それから原子力基本法、これがありますが、これにも反します。平和利用と言っているんです。核不拡散条約も、核兵器をなくするというふうになっておるわけでございます。  お話がありましたとおり、私たちは広島で、長崎で、本当に世界人類初めての悲惨な被爆を受けたわけでございます。かかるがゆえに私たちは、日本国憲法ができ、あるいは世界に向かって核兵器廃絶のための運動を政府を挙げてやっておるわけでございます。もしこれを、日本の解釈としてここは国際法に違反しないということになりますと、どうも日本は核兵器の使用を認める、こういう論理につながると私は思うんでございます。  どうぞ総理大臣あるいは外務大臣、まだ準備中だそうでございますから、これは本当に国会で徹底的な議論がなされなければならぬと私は思うんでございます。この事態を、本当に直接被爆を受けた長崎の人、広島の人たちはどう聞くでございましょうか。核兵器の使用を認めるといって世界に宣言するわけでございます。これはもう大変なことでございまして、ひとつ御検討のほどを要請をしたいと思います。  したがいまして、こういうような問題は、いっ回答なさるつもりなんでございますか。どうぞ。
  195. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  ICJ、国際司法裁判所からの書類に対する関係国の回答は、六月十日までに出してほしいというふうな要請になってございます。
  196. 坂上富男

    坂上委員 六月十日というのは、ことしの六月十日ですか。あす、あすじゃないの、もう。
  197. 丹波實

    ○丹波政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  198. 坂上富男

    坂上委員 これはひとつ緊急に御討論をいただいて、我が党はこれはもちろん反対ですよ、多分、私は平でございますが。ほかの党だって、みんなそうなんじゃないの、これ。  こういう回答を出されたんじゃ、とんでもないことでございますから、総理、ひとつこれにどう対応しますか。こんな大変なことを、核兵器の使用を認めるなんというような回答をなすことは大変なことなんでございますが、きちっとした答弁を総理からいただきたいと思います。十日だそうでございますから。
  199. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 この点につきましては、先ほど外務大臣からお答えも申し上げたわけですけれども、我が国は、唯一の被爆国として、核軍縮を特に重視しております。核兵器の廃絶は究極的なやはり目標であろうというふうに思っております。また、核兵器の使用につきましても、核兵器が使用されることがあってはならないというふうに基本的に私も考えていることを申し上げたいと思います。核兵器の使用というのは、その絶大な破壊力あるいは殺傷力のゆえに、これは国際法の思想的な基盤にある人道主義の精神にも合致しないというふうに考えております。  ただ、純粋に実定国際法上の評価として言いますと、これは今日まで諸国の国家慣行ですとかあるいは国際法学者の学説などを客観的に判断した場合、今日の実定国際法に違反するという判断が国際社会の法的認識として成立するには至っていないというふうに言えるんじゃなかろうかというふうに考えるところであります。
  200. 坂上富男

    坂上委員 日本がこれについてどう解釈し、どう対応するかということの回答を求められているんであって、世界の学者がどう言っているからなんという話を聞いているわけじゃないと私は思うんですね。  でありますから、なるほどこういう説もあります、こういう説もあるけれども、やはり被爆を受けた日本であれば、日本自体がこうやって憲法をつくり、非核三原則をつくった、それからまたいろいろ原子力基本法をつくった。こういうようなことは、やはり日本独自の解釈の中から回答なされなければならぬ問題だろう、こう私は思うものですから、何か外務大臣の答弁、総理大臣の答弁ともに聞いておりましても、世界の学者はこう言っているからまあ実定法上違反しない、だからもってと言うのだったら、司法裁判所はこんなことを聞くはずはないんです。日本は本当にどう対応するのか、これについてどう考えているのか、場合によっては核兵器を使用しても日本異議なしか、こういう質問だろうと思うんですよ。  まあ大変難しいかつ重要な問題でございますから、ここで私が議論してもそれほど始まる話には見えませんから、これはもう全体の問題でございますから、どうぞひとつ委員長、これは十日の回答でございますから、もうできているんじゃないかと思うんですが、これはできていたら、出してくれよ、原案を。ちょっと見せてください、外務省
  201. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先ほど申しましたように、目下検討をし、また関係者の御意見も伺っているとこ ろでございます。  先生の御趣旨もよくわかりますが、国際司法裁判所からの質問の内容が、今先生がおっしゃったように今後どうすべきかということでなく、国際法上の実定法上の違反かどうかという判断を求められているということでございます。この点、ちょっと政府委員の方から説明をさせますので、それの趣旨で答弁をすることになっておりまして、できるだけ先生の将来に向かっての考え方というのは盛り込みたいとは思っておりますが、質問の形式がございますので、おのずから限界があるというところだけはぜひとも御理解をいただきたいと思います。
  202. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  203. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こして。
  204. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 本日の予算委員会の終了前までに、その国際司法裁判所からの問い合わせ、また我が方の回答の案、骨子を出させていただきます。
  205. 坂上富男

    坂上委員 いま一つ核に関連する問題でございますが、動燃のプルトニウム残留、約七十キロと言われております。これは正確ではないんですが、言われている。  これに関連をいたしまして、アメリカでは停止権限法案が下院に提出をされて目下審議中だ、こういうお話でございます。そして、その提出しました「マーキー議員は提案理由の説明で、東海工場でのプルトニウム残留量は核爆弾九個分にも当たるとし、「日米の協議が前提にしていた考えで工場が運転されていない以上、十分な保障措置が適用されるまで工場は停止すべきだ」と指摘し、法案が日本のプルトニウム利用を標的にしたものであることを明言している。」そして大事なことは、科学技術庁の事務次官がおっしゃっているわけでございますが、この「法案は、残留があたかも軍事転用されるかのような一方的な解釈に基づいている」、こういうことなんですね。  だから、これはやはり本当にこういう軍事転用などということは毫もないんだというようなことでありますれば、アメリカによく説明をし、それこそ外交でしませんと、何かこれを読むと、私もびっくりしたわけ。いわゆる軍事転用の何か危険があるんだろうか、こういうふうに実は見たわけであります。  私たちも、きょう朝の予算部会で議論をいたしましたが、これだけは、ちょっとこういうことはないんです、こういうこともアメリカから誤解を受けると大変だから、説明をして了解を得て国会に答弁できる、こういうような対応をとられるのか。これもまた大変な問題なんでございますが、外務大臣ですか、科学技術庁ですか、どっちです、これは。どうぞ。
  206. 近江巳記夫

    ○近江国務大臣 お答えを申し上げます。  先生のまずお尋ねのマーキー法案の問題でございますが、まず一つは、現在米国議会下院におきまして、エドワード・マーキー議員が、計量上の不一致等によりIAEAが核物質の不転用を確認できない場合は、日米原子力協定の包括同意を停止するとの趣旨の修正条項を国防支出権限法案に盛り込むよう提案して、現在その審議過程にある、これは承知しております、聞いております。  本修正条項につきましては、提案理由によりますると、動燃事業団の工程内滞留量問題に端を発しているということでございますが、IAEAは本問題に関しまして五月二十五日付で、核物質は所在不明ではなく、申告され、完全な保障措置のもとにある、そういう立場を明確にいたしておるわけであります。そもそも本修正条項にございます包括同意の停止の要件に、これはもう全然合致しないと考えております。  また、二国間協定の解釈につきまして、一義的には外務省の判断するところでございますが、当庁といたしましては、本修正条項にございます包括同意の停止につきましては、日米原子力協定上「核拡散の危険又は自国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大を防止する」場合には、包括同意を停止する旨が既に規定されております。この協定は、一九八八年の改定時に、米国議会の審議を経て締結されたものであるところでございまして、今回の修正条項は、この日米協定上の包括同意を停止する場合に相当しないと考えております。  いずれにいたしましても、現行の日米原子力協力協定に基づく協力関係の円滑な遂行に不都合がないこと、また日米の全般的な関係が悪化することがないことが重要でございまして、米国議会の審議状況を十分把握していきたいと考えておりますし、その点につきましては、米国議会に対しまして十分な理解を得るべく全力を挙げて努力をいたしてまいります。
  207. 坂上富男

    坂上委員 時間もありませんから、一応今の答弁をもって、軍事転用などと疑われるような行為すらないというふうに聞いておきます。しかし、こういう問題がもう日本の新聞の中に載ってくるということに、私は本当に戦慄を覚えるわけでございます。  今言った三つの問題、こういうような状況下において、北朝鮮にいわゆる核疑惑ありなどということを私たちは言うことができるでしょうか。私たちは言わなきゃならぬと思いますが、日本が核兵器の使用を認めますなどというような宣言、世界に宣言する、あるいは今言ったような問題が出てくる。日本は何を言っているんだなんていって、開き直られるおそれがあるんじゃないかと私は実は心配しているわけです。これはまあ私の言い分でございます。  でありますから、こういうような問題だけでもきちっと気をつけてやっていただきませんと、私は、本当に外交の上においても北朝鮮との関係においても、なかなか日本の主張というものは通らないんじゃないかと大変心配しますので、どうぞ総理、率直にひとつお訴えを申し上げるところでございます。  私、まだやりたいんでございますが、もうこの部分は、ほとんど時間なくなりましたから、たった一点だけ、総理。  総理、この間会津若松へ行かれまして、非常事態に対応できる態勢を持つのが大切だ、こうおっしゃいました。この内容は、どういうことを含むんでしょうか。
  208. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 それは、どこの部分のところかでございますけれども、もし今の状態が進んだ場合に一体どうするんだという質問があったとすれば、日本の国としてやっぱり憲法で認められた範囲の中において対応というものをするということで申し上げたんではないのかというふうに思います。
  209. 坂上富男

    坂上委員 いま少しっきたいんでございますが、これはこの程度で。  総理、大変私は嫌な質問で、また不愉快な思いをなさるかもしれませんが、しかしまた、ミスター政治改革と言われる総理大臣でございますから、少し聞かせてもらいます。  御存じのとおり、外務大臣時代に、総理は、奥様と羽田外務大臣自身の財産報告をすることになっておって、なさったわけでございます。そういたしまして、今回総理になられましてからまた申告なさったのと、一つは五千万円を借金していることの届け出を外務大臣時代にしていなかったというんですね。これはまあ落とされた、こういう話でございます。それから奥様の二千万円、これも落とされた。合わせまして七千万円をまあ届け出なかった、そして今回届け出た、こういうことでございます。  まあこれはうっかりということもあるんですが、しかし、細川さんの一億なんて庶民にとっては大変な問題だ、こうなって、一億に近い金、七千万でございますから、これを忘れるというのも、どうもやっぱり少し問題なんじゃなかろうかと実は思っておるわけでございます。  そこで、いろいろ私も調査をさせてもらいました。それで、総理は御存じかどうかわかりませんが、総理の事務所の控えの中には、間違いなく二千万円奥様が借りているんだということが書かれているそうでございます。で、外務大臣当時、外 務省から記者団に報告のコピーが配られました。あわせまして、内閣報道室からも内閣記者会に配られました。いずれも二千万円が書いてないんですね。いずれも書いてない。しかるに、羽田事務所の真壁さんだそうでございますが、この人の控えのコピーには二千万円の記載があるというんですね。そういたしますと、一体どうなんだろうということを私はいろいろと推理をいたしました。  それで問題は、やっぱりどっかに何かがあるんですね。  一つは、全部書いてあったんだと、本当は。それで、外務省の方に写しを出したんだ。だけれども、これはよくないということで、リコピーですから、その二千万円のところをこう消してリコピーをして出したという場合が一つ想定されるわけです。それから、両方とも書いてなかったんだと。後から、どうもこれも書いておかなきゃならぬと思って控えに二千万円を真壁さんが書いたんじゃなかろうか。  こういうようなこと、どっちかなんじゃなかろうかと思いますが、今はっきり言えることは、真壁さんの控えと記者団に配られた二つのには、真壁さんの控えには二千万が書いてあり、記者団に配られたものについては全く書かれていない。これはまあどうなのかわかりませんが、ミステリーなんでございましょうが、あるいはまあ疑惑などということにはならないんだろうとは思いますが、この点ひとつお聞かせください。
  210. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 これは私もちょっとあれなんでございますけれども、昨年の資産公開の際には、事務所の方には妻に二千万円の借入金があると連絡しておりましたけれども、親族からの借入金については記載を要しないものと誤解したようであって、記載を要しないのは生計を一つにする親族からの借入金のようであり、記載ミスであるということが本当のところであります。
  211. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと総理、余り私も所望じゃないんですが、真壁さんの控えに二千万書いてあるんだね。それから、各社にみんな配られたものについては、二千万が抜けているんですね。だからどういうわけですか、これは。これだけ聞かせてください。
  212. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 これは、率直に申し上げまして、どこでそれが抜けたのかということについて、私も実は承知しない。私も、この間家内が何か新聞に出ていると言いまして、冗談じゃないよ、私はちゃんと報告してあれしたんだよという話でございまして、それが今どうしてあれしているのかということは、今あれしますと、二千万円の借入金があると連絡しておったけれども、親族からの借入金については記載を要しないものというふうに要するに事務方の方で誤解したようであって、記載を要しないのは生計を一つにする親族からの借入金のようであり、記載ミスであったということであります。  要するに、記載を要しないのは生計を一つにする親族からの借入金のようであり、記載のミスであったということであります。
  213. 坂上富男

    坂上委員 総理はまだ私の言っていることを完全に御理解なさらないで答弁していると思うんです。  真壁さんの持っておる控えの中には二千万が書いてあるというんです。それと同じものを真壁さんは写しとして外務省に出しているんです。それには二千万がないというんですよ。これがミステリーだと言うんです。だから、総理、親族のを書くとか書かぬとかという問題ではないんでございまして、何で真壁さんの控えに書いてあって、これはもう一度調べてください、書いてあるそうです。それから、各新聞社に配られたのには二千万が書いてないというんだ。これはミステリーだわね。だけれども、疑惑まで通じるかどうか、これはわかりません。しかし、そういうことのないように祈りますが、次回でいいですから、ひとつ御報告してください。  これは、大臣、ずっと大臣ばかり務めていられるかわかりませんか知りませんが、政治倫理審査会というのがあるんです。それで、こういうのはその政治倫理審査会の対象になるんですね。でありますから、これはどうですか、みずから審査を受けて、きちっとするのも一つの手だろうと私は思っているんですが、いかがです。
  214. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 これはまあ審査会にというあれでない、本当に記載ミスだと思いますので、その辺は調べてみたいと思っております。
  215. 坂上富男

    坂上委員 今度はゼネコンの問題でございます。  ゼネコンの報告書、いただいてよく読ませてもらいました。意見が二つ分かれているんです。何だ、こんなの新聞に書いてあるのを書いて出しただけじゃないかといって、よく国会議員が黙っているものだ、国会が黙っているものだ、こういう意見は私のところへも来ています。しかしまた、そうでない、起訴しない不起訴の部分までここで書いてあって検察としてはよく書いたものだ、こう言って褒めている人もあります。意見が二つに分かれております。  私は率直に申しますと、今回のゼネコン捜査、一罰百戒で終わったんじゃなかろうか。徹底的な捜査によってゼネコンの不正、不当なことについて掃除なさった、自治体や中央政治の掃除ができたというには余りにもお粗末なんじゃなかろうか、やはり一罰百戒でしがなかったんじゃなかろうかと、率直なゼネコン捜査に対する私の考え方です。もちろん大変な御努力をなさったことは私は知っていますよ。だけれども、やはり結果的に、じゃこの報告書をもとにいたしましてゼネコンはどう反省すべきか、国会はどうすべきか、そして捜査はどうあるべきかということがここで議論なされるべき問題だろうと私は思っているから、今申し上げるわけでございます。  そこで建設大臣、さっき中川先生がちょっとおっしゃった、最近のもので、大成建設相談役の佐古一さんが、「いまの建設業界には浄化作用がない」「建設業界の「無反省」ぶりに匙を投げている。」こうやってゼネコン捜査が終わっても少しも反省がないということが書いてあるわけです。特に石川六郎氏、柴田平両氏を名指しをして、依然として要職に座っておる、これではゼネコンのいわゆる反省や改革などというのはない、浄化作用はない、こう言っておるわけでございます。二、三年我慢すればもう風が去って、またもとに戻れるなんかというお考えがゼネコンの皆様方にあったら、これは大変でございます。こうやって堂々と出ているわけであります。  また、皮肉なことに大成建設は、この翌日名古屋で家宅捜索事件が出たでしょう。大成建設だというのだね。これは、だからまあ目くそ鼻くそのたぐいなんだかどうかわかりませんが、まあ何はともあれ、この方のおっしゃることは事実なんでしょう。建設大臣、どういうお考え、どういうふうに御指導なさいます。
  216. 森本晃司

    ○森本国務大臣 委員御指摘のように、先般の新聞に佐古さんのそういった話が載っておったことは、私も拝見しております。  殊に、その直後大成建設がそういった状況になったということにつきましては、今我々が省を挙げて、あるいはまた業界を挙げて、こういった談合が起きないように全力で取り組んでいるやさきだっただけに、非常に私も残念に思えてならないわけでございます。それは過去のことであったといえども、我々はさらに襟を正していかなければならないと思っております。  業界の要職につきましては、我々は見守ってまいりたいと思いますし、これからもさらにそういった不正なシステムが起きないように全力を挙げて取り組ませていただきたい、このように考えているところでございます。
  217. 坂上富男

    坂上委員 建設省が民間にくちばしを入れられないのはよくわかるのでございますが、やはりこれだけ出ている以上は建設省の方としてもしかるべき指導方法があるのではなかろうか、こう思っておりますので、どうぞきちっと対応していただきますようお願いをしたい、こう思っております。  さて、法務省でございますが、ゼネコン捜査について、これはもう新聞を引用させてもらいますが、五月十八日の朝日新聞に十カ月の舞台裏を検証なさっているわけでございます。その中にずうっと経過が書いてあります。まあいろいろ、必ずしも正確でないと思いますが、大筋このとおりですか。刑事局長、大筋。
  218. 則定衛

    則定政府委員 私もそれをよく読んでおりますけれども捜査の大筋は先ほど私どもから冒頭に御説明いたしました捜査報告書に記載しておるとおりでございまして、新聞独自でいろいろと書いておられることにつきましては、法務当局といたしましては、それがまさに実態に合っているかどうかコメントをいたすということになりますと、その細かな捜査の手続等につきまして踏み込んだ答弁をさせていただくということになりますので、コメントさせていただくのは差し控えたいと思っております。
  219. 坂上富男

    坂上委員 細かいことを言っているっていうんじゃないんですよ。この順序を聞いているんです。大体ここに書いてありまして、こういうことが書いてあるわけよ。  最初の捜査は金丸脱税事件から帳簿がゼネコンから押収をされて、それをもとにしていろいろと検討をした、そしてそういう結果の中から汚職が発覚をしていって、ずうっと押してきた、こういうあれなんですね。  そこで十二月にはこういうことが書いてあるんですね。特捜部に政界内偵班が極秘に編成されたのは、自治体ルート捜査がほぼ終結した昨年十二月のことだ、こう書いてあるわけであります。  そこでこの中から、鹿島から中村喜四郎元建設相、これはN、一千万円供与疑惑、鹿島から渡辺秀央元郵政相(W)側へ四千万円献金三井建設(M)が梶山静六代議士(K)あてに支出した一千万円疑惑、清水建設(S)から大塚雄司元建設相(〇)側へのやみ献金疑惑などである。したがって、皆さん方がGNとかGWとかGMKとかGSOとかという名称でもって捜査対象者を名前をつけてやっておられたそうでございますが、この次が問題なんです。  「多数の政治家に流れた盆暮れの献金は、すでにこの段階で、ほとんど捜査対象からはずれていた。」十二月なんですね。十一月か十二月だろうと思うんです。これは本当にこの時期にはもう外れていたんですか、どうですか。いわゆるたくさんの政治献金、いっぱい出てきたわけでしょう。
  220. 則定衛

    則定政府委員 一連のいわゆる東京地検ゼネコン捜査過程でいろいろな金の出入りを検討いたしましたことは冒頭御報告をいたしたとおりでございますけれども、いっ、どのような金銭の流れにつきましてどういう犯罪嫌疑捜査活動を行ったのかといったことにつきましては、これは起訴しましたことを除きまして、捜査の秘密と申しましょうか、刑事訴訟法の四十七条の規定、あるいは関係者の名誉といったこともございまして、私どもの方からいっ、どの時点ですべて消えたということを含めまして答弁するのは差し控えさせていただきたいと思います。
  221. 坂上富男

    坂上委員 これは刑事局長、私は十二月の初めにこの席上で法務省に質問をしているんです。そこでこの膨大もない政治献金について検察捜査をしているのかと聞いたんです。適正に捜査をしていると御答弁があったんです。  だけれども、私に答弁したときはもう捜査の対象から外れていたんじゃないですか。まかり間違いますと私にうその答弁をしたことになる。だから、私は詳しく答えてくれと言っているんですよ。これはもう国政調査権に基づくものです。こういうことは捜査の秘密じゃありません。もうこういうような政治献金、膨大もない政治献金だ、三井と鹿島。これは大変なことだ。この二つを私はこの間挙げて質問した。新聞に出ていることはわかっております、それに基づいて、捜査の端緒として捜査していると思いますと、こう言っている。  一体、国会での答弁というのは刑事局長が適当に答えているのですか。やはり担当捜査官と捜査の上でいろいろな相談をして答弁なさっているのだろうと私は思っているわけでございますが、しかし、それは言えることと言えないことがあるからこういうような答弁になっているのだろうと思うのですが、これはどうですか。ただ、私に対する答弁がうそを言われたのでなかろうかと思うものですから、こうやってきつい質問をしているのです、局長。もう少しきちっと答弁をしてください。
  222. 則定衛

    則定政府委員 私ども法務当局からいろいろ捜査の進展等につきまして御答弁いたします内容は、当然のことながら検察の方から求めております報告に基づきまして、また法令で許容される範囲でできるだけ御協力するという観点でやらせていただいておるわけでございまして、当時、御指摘のように前任の刑事局長が答えております内容につきましては、もとよりその当時の検察の動きを踏まえて答弁していることに相違ございません。
  223. 坂上富男

    坂上委員 本当によく打ち合わせをし、私の質問にきちっと答えるとすれば、あの答弁は私は間違っている答弁だと思いますよ。捜査の秘密に名をかりて答弁を隠すようなことをしてもらっては困ります。私は、法務省はまじめな役所であることは信じているし、またずっとそういう対応をさせてもらってきているから文句つけたくないのでございますが、ゼネコン捜査が終わったというのだ。  だから、これについて我々はどう反省し、どういうふうに対応したらいいかということをやるためにこうやって報告書を出してもらって質問をしているわけでございまして、おもしろがって、だれが悪いことをしたんだ、だれがうまく逃れたのかなんということを聞いているわけじゃないのでございまして、どうやったらこういう金権腐敗の政治というものを打ちどめすることができるかということを実は聞いているわけでございますから、やはりきちっと答えていただかないといけないのでございます。  さてそこで、これは金丸脱税捜査に絡まって押収した帳簿からいろいろとこのゼネコンの問題が出てきた、こういう話でございます。そこで、今、小沢一郎代議士への捜査はこの終結の中に入っているのですか、それともゼネコンとは別口のことになっているのか。  私の調べたところによりますと、一つは公職選挙法違反が岩生地検、それから政治資金規正法違反が東京地検捜査をまだ続行しておると聞いておりますが、このゼネコン捜査報告書の中にも含まれて終わったというのだろうか、あるいは今のような捜査が続けられているのだろうか。捜査が続けられているとするならば、いつごろ結論が出るのだろうか、お聞きをいたしたいと思います。
  224. 則定衛

    則定政府委員 お答えいたします。  結論的には、委員御指摘の二件につきまして現在捜査中ということでございます。この二件につきまして今回のいわゆる東京地検によるゼネコン捜査処理報告書に記載しておりませんのは、先ほど御指摘のとおり、いわゆる金丸巨額脱税事件から端緒を得て、一連の大手総合建設会社に絡む汚職事件という一つの枠の中で、どういう捜査及び起訴をしたのかということでくくらせていただいているからでございます。
  225. 坂上富男

    坂上委員 そうすると、まだこの捜査がこれから続けられるということでございますが、ぜひ厳正公正なひとつ捜査を期待をいたしたいと思っております。  さて、もう時間もなくなってきたのでございますが、どうも検察庁の報告書を見ますと、もうほとんど捜査の秘密、こう言っているわけでございます。国政調査権はこれで泣いているんじゃなかろうかと私は思っているのであります。本当に国政調査権を行使をするには一体どうしたらいいんだろうか。刑事訴訟法四十七条、これはいわゆる国政調査権に基づいて、今おっしゃったところの秘密だと言われる部分についても提出命令、国会報告させることができる。  かつてロッキードのとき、灰色高官、この問題が起きまして、灰色高官の名前を言うことも四十七条ただし書きに該当すると。よってもって、灰色高官というのはこうこうしかじかの人たちでございましたといって報告がなされました、秘密会で。しかしながら、もう一時間もたたぬうちに全部秘密がなくなったそうでございますが、これは余り秘密にすることはないんだ。もう捜査の影響はないんだし、国政調査権というのがあるんだから、議員だけが知っているんじゃない、議員が知らぬだって国民の方が知ってもらえばいいのでございますから、これはやはりどうしたら私たちが期待をするところの詳しい捜査資料、関係資料が提出てきますか、四十七条との関係において。検察庁、お答えください。
  226. 則定衛

    則定政府委員 従来から国政調査権には法令の許す範囲内でできるだけ御協力申し上げるべき立場にあり、また現に申し上げてきたと考えております。  今委員御指摘のとおり、捜査過程で入手いたしました捜査資料そのものを国会の場に提出されたいという御要請が仮にあったといたしました場合に、この捜査資料を検察当局が入手するために種々の特別の権限で認められていること、それからこの国政調査権と司法運用にかかわります刑事訴訟法四十七条との兼ね合いの問題等々から考えましても、そのものを国会の場に御提出することはいたしかねると考えております。
  227. 坂上富男

    坂上委員 もう少し検察庁、勉強していただかぬといかぬと思いますが、ここに判例時報を私は持ってまいりました。刑事訴訟法第四十七条と国政調査権、こう書いてあるわけでございます。  まず、「高裁の判例及び法務省の見解は、いずれも不起訴事件捜査記録についても、本条の適用がある」、提出できるというのですね。それから「公益上の必要と国政調査権」、「学説及び政府の見解とともに、国政調査権に基づく資料の提出要求があったときは、本条ただし書にいう「公益上の必要」がある場合に当たるとしている。」  さて、そこで、これについてどういうふうにするかといいますると、国会の決議によって要請があった場合、どうしても捜査上の秘密を保つ以上は、これ以上は無理だ、比較考量して判断をする、こうなっておるわけであります。  そこで法務大臣、こういう解釈なんですよ。それで今度は指揮権、十四条の問題で最終的な決定権限は法務大臣にあるとこの中に書いてある。読みましょうか。時間がないから読みませんが、これは後で読んでください。どうしますか、法務大臣、要求があったら。
  228. 中井洽

    中井国務大臣 本日の報告書も、坂上議員が過日予算委員会で御要求いただき、お答えを申し上げ、委員会の御要請のもとに提出をさせていただき、御質疑を賜っているわけでございます。  私も、大急ぎで本日に間に合わすために事務当局がつくりました案をもとにいろいろなことを申しましたけれども、先ほど御指摘の四十七条との関係これあり、これが精いっぱいの法令の範囲内での御協力である、このように考え、お出しをいたしたところでございます。
  229. 坂上富男

    坂上委員 委員長に申し上げます。  今法務大臣刑事局長の御答弁を聞いておりますと、これ以上資料を出せないということでございます。そうだといたしますと、本当に私たちは政治改革というものをどういうふうに考えたらいいんだろうか、国会の審議権というものはほとんどできないんじゃなかろうか、こう実は思っておるわけでございます。かかるがゆえに、私たちは証人喚問を要求しなければならぬ、こういう事態が起きてくるわけでございまして、できるだけ証人を呼ばないように、できるだけ資料でもって事がわかれば、それをきちっとしたい、こう実は思っているわけでございますが、遺憾ながら、まだかたくなな御答弁のようでございます。  再度私はお願いをいたしますが、きちんとした、立派な研究会の報告書でございますから、法務省で御検討の上、お願いをしたいと思いますし、予算委員長にも提出すべき資料を後で申し上げさせていただきますので、ひとつ委員長で御配慮のほどを、この席でもお願いを申し上げたいと思っております。  いま一つでございますが、十五日前後になると、深山さんの証人喚問があるということでございます。そこで、この予算委員会ではまさに、正式ではございませんが満場一致で、まあほぼ満場一致という状況の中で、証人喚問、証言のテレビ撮影を許すという法律改正しようじゃないかということになりまして、委員長の方から議運の委員長の方にされたそうでございますが、今度そちらの方では、一体いつごろこれは協議に入るかというと、来週だそうですね。  来週ということになりますと、十日までにこれができませんと、仮に十五日でありますと、五日間呼び出し期間が必要でございますから、もうテレビの開放は不可能ということになるのでございまして、十四日に法律改正すればいいじゃないか、これはまた証人に対して不利益を与えるものでございまするから、やはり呼び出す前に、五日前に、テレビが解禁になりましたよということを証人に連絡しなきゃいかぬ。いろいろ調べてみると、今のところどうも不可能のようで、また静止画像でやらざるを得ないみたいな状況なのでございますが、今週中に物になれば何とかなるわけでございますが、特段委員長の御配慮ができれば、そういう状況だそうでございますからひとつお願いします。  それから、きょう内藤さんの参考人喚問、何かお気の毒に、アメリカで倒れられたそうでございます。これも一つ問題なんでございますが、説によりますと、来ていただきたいと希望する方、必死になって御連絡があった。これには来ていただきたくないという人もまた連絡があった。間に挟まれまして、これは、どうも病気が出たんじゃなかろうか、私は実は大変心配しておるわけです。それはそれで、一体どういう理由で、どういう今の状況なのかも、ひとつ正式に、この際委員長の方から発表していただきたい。  そこで、私の要請ですが、証人採用をする、あるいは参考人採用をするという場合は、確かにいろいろなあつれきがあると思います。やはり院は、国権の最高機関がやるわけでございまするから、そういう証人や参考人を何らかの形で守るという対応もしなければならぬと思っておるわけでございます。  まあ内藤さんの問題の是非は別といたしまして、御健康が害されるような結果になって本当にお気の毒だと思っておりますが、そういう証人、参考人というのは国政調査に基づいて今後の政治のあり方を問うところの大事な関係者でございますから、どうぞひとつ大事にして、そしてきちっと、そのかわり、白は白、黒は黒と証言をしてもらう、あるいは参考人から意見を述べてもらうということが大事だろう、こう思っておるわけであります。委員長、簡単で結構でございますから、ちょっと内藤さんのお話をお願いしたいと思います。
  230. 山口鶴男

    山口委員長 議院証言法に対する要望、さらに参考人、証人等国会がお願いをいたしたときの御本人に対する対応の問題等の御提議がありましたが、これらの問題は、理事会において相談をし、また、議運委員長に要請すべきものはいたしたいと思っております。  さらに、内藤参考人の問題について、事務局が御本人とも連絡をとりまして、理事会に報告をいただいたことをそのまま読み上げます。  六月三日夜半より、ワシントン在住の同氏と鋭意連絡をとったところ、可能な限り出席する義務があると認識しているが、学術員としての米国滞在であるため、研究活動等種々の契約上の制約があり、目下全力でこれらの日程を調整しているとのことであった。  六月五日未明、幾度目かの連絡の末、最終的に、帰国の上、当委員会への出席を決め、具体的手順等の詰めも終了したが、午後十一時十五分、同夫人から連絡が入り、同氏は、空港に向かう車 中において吐血、途中の病院に入院したため、本日の出席は不可能となってしまったとのことであった。  なお、六月六日午前零時三十分現在診療中で、詳しい病状等は夫人にもわからないとのことであったが、本人は大変出席について気にしており、突然の事情により欠席とならざるを得ないことを御理解いただきたいとの伝言であった。  以上であります。
  231. 坂上富男

    坂上委員 できたら証言法の改正も、何か間に合うようにお願いをいたしたいと思いますし、また、参考人の保護といいますか、そういうことについても御配慮のほどもお願いをしなければならぬと思っておるわけでございます。  最後でございますが、「鹿島建設から元国会議員に対し」云々と、これは渡辺秀央先生だろうと思いますが、どうでしょうか。  それから、その二行目に「政治資金規正法違反等」の「等」というのは一体何を指しておられるのか。  それから、三井建設の元役員さんの話でございますが、「現金を預かり保管中、これを着服、横領」というのですね。「着服、横領」というのは、自分のポッポへ入れたというのですね。使ったというのではないのですね。これはどういう形態ですか。形態だけ、お話しできるでしょう。まあ金をばらまいて歩いた、飲んで歩いてそれで一千万使ったというのか、何かそれを自分がポッポの中に入れておいた、預金をしておいた、うちにとっておいたとかというようなこともあるわけでございますが、この形はどうですか。それで、これは梶山静六先生だろうと思いますが、どうです。
  232. 則定衛

    則定政府委員 まず、元国会議員という点でございますけれども、これは、かつて国会議員の職にあった人、こういう意味でございまして、それ以上特定して申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、使い込みか、まあ横領の形態でございますけれども、とにかく自己のものにするという行為が明らかになった時点でそれを認定しておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、起訴しておりませんので、最大限申し上げられることは今のとおりでございまして、どういうことになっておるのか、この点につきましても、また答弁を差し控えさせていただきたいと思っております。
  233. 坂上富男

    坂上委員 細かしいことを言うのも恐縮ですが、法務省だから申し上げますが、普通私たちは、元国会議員と言いますと、まあまあ率直な話、この間国会議員にならなかった人を指さないで、その前に国会議員にならなかった人を指すわけです。でありますから、今私たちの前に国会議員をなさった人は前国会議員、こう言うわけでございます。だから、元と言うと、これは元の人たちで迷惑受ける人がいっぱいいるから私は聞くわけでございまして、やはりこれは前の方じゃなかったですか。それぐらい言えるでしょう。  それで、法務省、やはり言葉遣いをきちっとしていただかぬと、これはこういう質問が出るのです。あげくの果ては答えられませんじゃ困るんだな。どうぞきちっと。
  234. 則定衛

    則定政府委員 お答えします。  御指摘のように、元職、前職の使い分け、私どももよくわかっております。今回、いわば元職ということじゃなくて、かつてその職にあった者、つまり、何といいましょうか、国会議員といいます一つのポストというのじゃなく、身分といいましょうか職、そういう意味で、特定の一つのポストにあります場合には、その前職ということと使い分けさせていただいておりますので、そういうことで御理解いただきたい、こう思っております。
  235. 坂上富男

    坂上委員 もうこれで終わりますが、一つは、本件捜査は、私はやはりこういう意味で十分な意味があったとは思っているんです。地方における癒着の構造を徹底的にやはり破壊をしたということですね。地方重視、地方分権に今行こうとするとき、最人権限を持っておる諸君がこれをこの際きちっとしておきますということは、癒着の構造破壊のために大変私は価値があったと思っています。ただ、二人を除きますと、四人、首長が裁判になっておりますが、いずれも三選以上の知事さんたち、一人本間さんは別ですがね。どうも、やはり三選禁止というのは、この際、権限を受ける前に、これはしかし憲法上の問題もありますから、一つ検討すべき問題ではなかろうか、こう思っているのであります。  それで、もう一つ、前の前かな、堀田元官房長がおっしゃっていますが、調べを相当厳しいものとして今回続けていくか、あるいは自白をあきらめて司法取引制度を導入するか、贈収賄や難しい事件の摘発はあきらめるか、この三つに一つだがどうだろうということを投げかけているわけでございます。  もちろん、検察はどんな困難にも対処されると思うのでございますが、前にも先生がおっしゃいました。どうも、やはりこれだけの法律ではこういう不正というものをただすわけにはいかないんじゃなかろうか、やはり公共事業の発注権限者に対しましては、報酬をもらった場合は、国会議員わいろの供与を受けたということにして処罰すべきものではなかろうかというようなことも提案をされているわけでございます。これはもう本当に提案でございますが、率直な話、捜査当局、捜査に当たられまして、どんな感じですか。  本当に不眠不休の検事の捜査があったんだろうと思うんです。だからエラーするのも出てきて、参考人をぶん殴るなどというとんでもないことが何か三つとか起きたとかという話ですがね。これじゃ検察は、やはり一生懸命にやっても、まあまあこういう問題が起きるとすべてがだめになるなどと見られがちでございますが、そういうことはないと思いますし、また私も、前回三ケ月法務大臣に言ったんです。本当にこういうことでおじけないで、金沢君のような問題におじけないで頑張っていただきたいと言って、期待したわけよ。だけれども、一件しか起訴できなかったというんでしょう、中央。何かもうちょっと工夫がなかったものだろうか。  しかし、法律の専門家でございますから、私が言っても口説きになるか知りませんけれども、やはりこういうふうな金脈、不正をただすには、どうしても、今の状況から見たら、もういわゆる特別立法化が必要なんだ、こういうようなところに到達をしたんじゃなかろうかと私は実は思っているわけでございます。どうですか、法務大臣。それから刑事局長、率直に遠慮しないで、この法律をつくってくれればやりますぜと言ってくださいよ。
  236. 中井洽

    中井国務大臣 堀田さんの記事につきましては、私も読ませていただきましたが、法務大臣としてコメントをさせていただくのは差し控えさせていただきたい、このように考えております。  お話のありました、政治腐敗を防止するために新しい罰則を設けよ、こういう御提言でございますが、過般の委員会でもお答えをしましたように、国会の中におきまして、その他の政治腐敗防止策とともに十分御論議をいただくことを、私どもとしては期待をいたしております。
  237. 則定衛

    則定政府委員 御指摘のような、捜査手続といいましょうか手法等について法律上の手当て等の提言が堀田元検事からなされているわけでございますけれども、いわゆる司法取引の問題等々につきまして、これを導入するかどうか、つまり、国民の真実発見を期待するところ等との関係その他、刑事手続全体についてやはり見直す中で種々考えていく必要があるんだろうと思っております。  また、実体法の問題その他、これは私どもの立場からいたしますと、検察といたしましては、いわゆる法執行機関でございますから、その与えられた実体法と手続法の中で、まさに法と証拠に基づいて、厳正適正に、かつまた不偏不党の立場で日夜努力して期待される役割を果たしていくべきものだ、こういうふうに認識しているわけでござ いますので、今後とも、そういう観点で職務遂行に努めますよう、法務当局としてもそれなりの力を尽くしてまいりたい、こう思っております。
  238. 坂上富男

    坂上委員 どうもありがとうございました。
  239. 山口鶴男

    山口委員長 この際、細川律夫君から関連質疑の申し出があります。坂上君の持ち時間の範囲内でこれを許します。細川律夫君。
  240. 細川律夫

    細川(律)委員 私は、まず、埼玉土曜会の談合事件についてお伺いをいたします。  これまでにも、埼玉土曜会事件についてはしばしば取り上げられてまいりました。特にこの談合の場合にいろいろ疑問が呈されましたのは、なぜ刑事告発がされなかったかという点でございます。特に、平成二年の六月二十日には、公正取引委員会の方では積極的に刑事告発を行うということを明言をいたしておりましたし、また、日本政府としましても、日米構造協議の最終報告で、アメリカ政府に対して、公取の方で刑事告発を積極的にやるということを約束をいたしていたからでございます。  しかも、埼玉土曜会の問題については、この談合というものが、もう典型的な建設入札談合だと言われていたからでございます。しかし、刑事告発はございませんでした。今回、中村元建設大臣が斡旋収賄罪逮捕起訴されたために、再びこの土曜会の談合事件がなぜ刑事告発されなかったかという疑惑が起きてきているわけでございます。  そこで、また、私の方からもお伺いをいたします。  これまでの質問で私も取り上げてまいりました。それに対する公正取引委員会からの回答というのは、企業としては談合が認められたけれども、個人レベル、役員レベルでの談合の違法性が証拠として得られなかったということで、この告発をしなかったということでございました。  そこで、お伺いいたしますけれども、この埼玉土曜会の談合について排除勧告あるいは課徴金の納付命令を出しております。この対象の百二十九件ですか、これがすべて刑事告発の対象として調べられたかどうかをまずお聞きしたいと思います。
  241. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまのお尋ねのいわゆる埼玉土曜会事件でございますけれども、この事件は、御案内のように、埼玉県発注の土木一式工事でありまして、私ども、関連土木工事業者六十六社について審査を行ったところでございます。今のお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、この六十六社の埼玉県発注の土木一式工事入札に係るいわゆる談合事案につきまして、必要な審査は可能な限り行ったつもりでございます。  したがいまして、ただいま個々の入札案件すべてについて審査をしたのかというお尋ねかと存じますけれども、私ども、もちろん可能な限り資料の徴求も含めまして審査を行った結果の排除処分でございます。
  242. 細川律夫

    細川(律)委員 公正取引委員会の方では、平成四年五月十五日、刑事告発をしなかった、こういう記者会見といいますか公表をいたしております。そのときに、平成二年六月二十日以降の事実について、検察当局とも意見交換を行った上で告発を行わないことにした、こういうふうに発表しているわけなんですけれども、そうしますと、今委員長がお答えになったこととちょっと違うんではないでしょうか。
  243. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねは、本件につきまして刑事告発を行うか否かにつきまして、お示しのように、平成四年五月十五日、私どもの排除処分であるいわゆる勧告を行いましたときに、あわせまして、本件につき告発を行うか否かに関して、平成二年六月二十日以降における事実について検討した。そして、検察当局とも意見交換を行った上、途中は省きますけれども、結論として告発を行わないこととした、こういう発表をしているわけでございますから、いわゆる排除処分、行政処分でございますが、この行政処分を私どもとして行ったということ。  それから、本件についての告発を行うべきかどうかの検討につきましては、ただいま御質問にもございましたように、平成二年六月二十日以降における事実について検討した結果、告発を行わないことにした、こういうふうに、いわば二つに分けているわけでございます。  したがいまして、私どもが行いました行政処分、いわゆる排除処分でございますけれども、これにつきましては、平成二年六月二十日以前の事実、これについてももちろん審査をしております。これは、私どもが行いました勧告についての発表と申しますか、勧告についての公表文の中にもこのように表現をしておりますけれども、六十数社の事業者が、時期としまして、遅くとも昭和六十三年四月以降いわゆる談合行為を行った、こういう認定をしているわけでございますから、その点は、平成二年六月二十日以前の事実についても行政処分の対象として審査をしているということでございます。
  244. 細川律夫

    細川(律)委員 私が聞いておりますのは、なぜ刑事告発については平成二年六月以降の談合行為だけ検討したのか。それ以前の昭和六十三年以降のと全部について刑事告発をするかどうかを検討すればいいんじゃないですか。なぜ六月二十日以降としたのか。その点を言ってください。
  245. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 平成二年六月二十日と申しますのは、これは私どもがいわゆる告発基準なるものを公にした日がその日であった、こういうことでございます。  私ども、独占禁止法違反行為に対しまして、法律上罰則の規定がございます。それからまた、公正取引委員会の検事総長に対する告発権の定めがあるわけでございますから、法律上、これは申すまでもなく、告発を該当事案に対しては行うべき一般的な仕組みになっていたことは事実でございます。  ただ、この点は御説明を申し上げたいのでございますけれども、実は、カルテルを中心とする独占禁止法違反行為に対しまして、従来からの運用例で申しますと、昭和五十二年以前につきましては、私どもが排除処分を行いましても、五十二年改正で設けられました課徴金制度がございませんでしたので、その当時、カルテルについて排除処分を行ってもなかなかカルテルの再発を抑止する効果がないではないかという大変強い御批判が実はございました。  その御批判にもこたえる形で、そして、私どもがカルテルを中心とする独占禁止法違反行為に実効のある抑止手段を備えなければいけない、こういうことで、実は国会で五十二年独占禁止法改正法が成立をいたしまして、その結果として、その一環でございますけれども、今申しました違反行為のうちの最大の分野でございますカルテルにつきましては、カルテル期間中の売上高に一定の算定率を乗じて、その結果算定される額を課徴金として徴求をする、こういう課徴金制度が導入をされたわけでございます。  これはカルテル参加者に対して極めて強い抑止力、経済的な負担を課するものでありますから極めて強い抑止力があるということで、公正取引委員会の運用方針といたしまして、課徴金制度導入以降は、実はつい最近まで特にカルテル行為に対しては、公取の行う排除処分及び課徴金の徴求、これによってカルテルの抑止を図ってきた、そういう事実、慣行がございました。  ただ、率直に申しまして、期待をしておりましたカルテル抑止効果というものが必ずしも十分でないということが私どもの経験でわかったわけでございます。そこで、先ほど委員から御指摘もございましたけれども、内外から独占禁止法の厳正、強力な執行をという要請が特に強まってまいりました最近の状況にかんがみまして、私ども、排除処分及び課徴金の納付命令、これに加えて、やはり特に例えば国民生活に広範な影響を与える悪質、重大な事案については刑事告発も辞さない、積極的な刑事告発を行う方針にいわば運用方針を転換をいたしました。そして、それを発表いたしましたのがこの平成二年六月二十日でござい ます。  したがいまして、私どもの判断といたしまして、いわば世に刑事告発をこれからは公正取引委員会として違反行為に対して積極的に行うという方針を明らかにそのときいたしたものですから、それ以前に行われた行為を対象として告発を行うことは必ずしも妥当ではないと判断をいたしまして、この方針を発表いたしましたお示しの平成二年六月二十日以後の行為についてのみ刑事告発の対象となるか否かを検討したものでございます。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  246. 細川律夫

    細川(律)委員 今の説明でいきますと、これから刑事告発を一生懸命やるよ、こういうふうにきょうそれを発表すれば、これまでの、きょうまでの、ずっとこれまで悪いことをやっていたのは全部刑事告発しないということになるんじゃないですか。全くもう関係ないことになる。それはおかしいんじゃないですか。今まで悪いことをしていだからこそ、きちっとそこで今までの悪いことについて刑事告発をするのが当然であって、これから一生懸命やるぞと宣言したら今までのことは全部何にもなかったことになりますなんということは、これは私は大変おかしいというふうに思います。  しかも、公取の方としては、昭和六十三年からの分をずっと調べたわけでしょう。そこで大変な悪いことをしているということがわかったわけでしょう。当然これはやるべきじゃないですか。それを、しかも、これから刑事告発をするぞという宣言をした後、その後だけをやるなんということは、これはかえって、私は、刑事告発をしないという何か線引きをしたというか、理由づけをつくったような、そういう気がしてなりません。といいますのは、公正取引委員会の方でいろいろな調査をしてその証拠資料を収集して、その中でいろいろ悪いことをしているということがわかったわけですね。しかも、刑事告発をしなきゃいかぬような悪質なところが出てきたわけでしょう。  そういう意味では、私は一部資料を持っておりますけれども、大変な談合をずっと長い間やってきたというのがはっきりわかるのですよ。裏ジョイントをずっとやっていまして、本命でとった人がとれなかった人に裏ジョイントで割合を決めて下請をさせているというのがずっと出ている。これを皆さんは知っているじゃないですか。  そういうのを知りながら、告発の時期を、刑事告発をするぞという宣言をした後にその対象を絞ったということについて、私は大変意図的なところがあるということで納得できないところでございます。  一つだけちょっと例を申し上げますと、平成元年の八月三十日に入札があったのですけれども、これは荒川終末処理場四号汚泥焼却炉築造土木工事、これは西松建設が十六億三千五百万円で落札をいたしております。  この工事で救済というのが行われているわけですね。この救済というのが、相指名者の中に佐田建設あるいは若築建設、こういうのがありまして、十社のうち二社ありまして、これが裏ジョイントでちゃんと下請に出しているのですよ。例えば、佐田建設に対してはその救済の割合が三〇%、三割。そして若築建設は一〇%、一割。佐田建設に対しては四億九千五十万円、若築建設に対しては一億六千三百五十万円、こういうことで、ちゃんと裏ジョイントで出している。  こういうのがずっと全部出ているのですよ。こういうのがはっきりしているのを、私は、なぜその期間を区切って、それ以前は全然その対象にしなかったのか大変不可解でなりません。  そこで、時間がありませんから聞きますけれども、それでは、今委員長が言われました平成二年の六月二十日以降、これの対象の中でいろいろ裏ジョイントをやって相指名者に対して下請をさせて救済をしている、そういう例なんかもいろいろあったわけでしょう。そういうのを調べれば、企業じゃなくて個人がその違法行為をしているということは特定できるんじゃないですか。そういうのはいっぱいあったんじゃないですか、ないというふうにおっしゃいますけれども。ちょっと答えて。
  247. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、本件埼玉土曜会事件につきまして私どもの排除処分を行うための調査は、もちろん平成二年六月二十日以前の状況も調査をいたしました。そして、六十三年四月以降におきまして、これは遅くともといういわばカルテルの開始時期を認定をしているわけでございますけれども、県発注の土木工事につきまして、あらかじめ受注予定者を決定する旨の合意のもとに受注予定者を決定し、その予定者が受注できるようにしていたいわゆる談合の事実が認められたことから、平成四年五月十五日に排除勧告を行ったものでありまして、ただいま先生の御指摘のいわゆる救済事例などを含めまして、そのような個別の行為も私どもできる限りの調査をいたしまして、本件違反行為の認定に必要な調査を行ってきております。  ただ、これは改めてお答えを申し上げることになりますけれども、法人企業間における不当な取引制限行為について刑事責任を追及するためには、例えば役員、従業員といった個人が不当な取引制限に該当する行為を行っていることを明らかにする必要があるわけでありまして、本件につきましては、私どもは個別の行為も可能な限り調査をしたわけでございますが、結論として、検察当局とも意見交換を行った上で、これらの点を含めまして告発を相当とする具体的な事実が認められるに至らなかったため告発できなかった、こういうことでございます。
  248. 細川律夫

    細川(律)委員 平成二年六月二十日以降のもので、平成二年の十一月十三日、これは荒川右岸の流域下水道で第十六区十号工事、これで救済が行われていますよ。大林組がこれを落札をいたしておりまして、これは佐伯建設に救済をしていますよ。大林組は十八億九千四百万で受けて、佐伯建設に一〇%、一割の救済をして、一億八千九百四十万、こういうことをちゃんとやっているわけですよ。  こういうことを調べていけば、個人のものは全部わかるでしょう。このときの大林組の会員というのは北田という人と来代という人。それから佐伯建設の人は、佐藤春一と宗像清一ですよ。名前までちゃんとわかっているでしょう。そういうのを調べればわかるじゃないですか、個人がどういうふうにやっているか。それは調べたのでしょう。そうすると、個人が特定できるでしょう、個人の違法性も。  じゃ、ここではっきり聞きますけれども、この二年の六月二十日以降、これが四十三件ですか、談合がありますね。この中で個人の関係で違法行為が特定できたのは何件あるのですか。全部できなかったのですか。答えてください。
  249. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねの埼玉土曜会事件全体の中の一部の個別談合についての行為、これにつきましてももちろん私ども可能な限り調査をしているわけでございますから、その個別具体的な点について詳細をお答えいたしますことは、これは今後の同種の事件の処理に影響を及ぼすおそれもございますので答弁は御容赦願いたいと思いますけれども、私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、可能な限りそのような個々の入札についての事案についても調査はしております。  ただ、結論といたしまして、本件については、先ほど申し上げましたように、検察当局とも意見交換を行った上で、告発を相当とする具体的な事実が認められるに至らなかった、こういうことでございます。
  250. 細川律夫

    細川(律)委員 ちょっとそこにいてください。  だから、全部認められなかったのですか。三十五件全部認められなかったのですか。
  251. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 本件は、埼玉県発注の土木一式工事全体にかかわるものでございます。したがいまして、お尋ねのその個々の入札というものは、もちろん大事な全体の一部でございますけれど も、全体としての談合行為の把握ということは、これはもう申し上げるまでもないわけでございますけれども、参加をしている事業者が、この一連の入札すべてにつきまして、あらかじめ入札予定者を決めてしまって、その受注予定者が受注できるようにするという全体のいわば仕組みが問題なわけでございます。  その全体の仕組みの認定につきまして、私ども行政上の排除処分はいたしたわけでございますけれども、これを刑事告発の対象とするには、検察当局とも協議の上で、具体的な事実が認められるに至らなかった、そういうことでございます。
  252. 細川律夫

    細川(律)委員 三十五件あるわけでしょう。三十五件、一件一件調べたわけでしょう。それが全部だめだったのですか、特定できなかったのですか、それを答えてください。
  253. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 私が申し上げておりますのは、この埼玉土曜会事件は、県発注の一連の土木工事一式でございますから、この入札談合事件と申しますのは、もちろん個々の入札行為が今御指摘のように数十件、これはいわば集合しているわけでございますけれども、この特定の発注者である埼玉県が発注する入札につきまして、全体としての受注予定者について、あらかじめこれを決めて相互に拘束するという事業者間の合意がいわば基本的に問題になるわけでございまして、もちろん個々の入札行為それぞれが具体的にどのようであったかということにつきましても、私どもとしてできる限りの調査をしてきたわけでございますけれども、それを含めて全体としての認定の問題を申し上げておるわけでございます。
  254. 細川律夫

    細川(律)委員 もう時間が来ましたから、大変不満な答えだけで、あらかじめこの点についてはきちんと答えてくれるように申し上げていたのですけれども、全体のところでの枠組みについては認められるけれども、しかし個人個人のあれが認められないから刑事告発ができなかったというのが今までの理由だった。だから、細かいところについての個人個人のあれが特定できなかったのかという私の質問に対しては何ら答えていただけないので、またの機会に私の方は質問するということで、きょうは終わります。
  255. 中西績介

    中西(績)委員長代理 これにて坂上君、細川君の質疑は終了いたしました。  次に、中島武敏君。
  256. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、きょうは羽田総理に、ゼネコン疑惑についての基本的な姿勢をお伺いいたしたいと思います。  総理は、五月十八日の衆議院予算委員会における我が党の松本善明議員の質問で、清水建設の献金リストに総理の名前があることに対して、建設会社から私の複数の政治団体献金を受けたとの報告がある、また、建設会社からちゃんと政治献金は受けている、それは適正に処理していると答えられましたけれども、この建設会社という中に清水建設が含まれているのかどうか、それから、清水建設が含まれているとするならばその献金額は幾らなのか、それは政治資金なのかそれとも選挙資金であったのか、選挙に関する寄附ですね、これだったのか、また、処理したというのですけれどもどのように処理をしたのか、一体清水建設からいついつ何回お金が来ているのか、こういう問題について明らかにしていただきたいと思うのです。
  257. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 これは、私のところに建設会社複数からちょうだいしていることはございます。これはあくまでも政治団体に寄附を得たということでございまして、適正に処理しているというふうに私どもの方の事務所から報告を受けておるところでございます。これはどういうふうにあれしているのかということは、例えば政治資金規正法の法律に基づいて、あれは自治省の方ですか、こちらの方に届け出をしておるということであります。
  258. 中島武敏

    中島(武)委員 清水建設から受け取っておりますか。
  259. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 これは個々のあれについて申し上げることは控えさせていただきたいと思います。複数の建設会社からいただいておることは間違いないと思います。
  260. 中島武敏

    中島(武)委員 それはとんでもない話なんですね。これが発表になりましたのは九三年三月二十六日の毎日新聞なんです。そのときにあなたの事務所は何と答えたかというと、あったかなかったかわからない、早急に調査する、こういうふうに答えているのですね。ところが、それから一年数カ月たっているのです。早急に調査するというのですけれども、調査しているのかどうかも今の答弁ではわかりません。  大体、政治倫理綱領で「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」とあることは総理も御存じだと思うのです。しかも、あなたは一国を代表する総理大臣であります。こういう問題について議員から、私も今質問をしているのですけれども、質問されて、そしてこれに素直に答えられるというのが誠実な態度ではないかと思うのです。もう一度ちゃんとしっかり答えてもらいたいと思うのです。
  261. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、私どもの方といたしまして資金としていただいたもの、こういったものは自治省の方に届け出てあるということでございまして、それは例えば書式にきちんとのっとったものによって答えておるということでありますから、私は率直にお答えしているというつもりでございます。
  262. 中島武敏

    中島(武)委員 この清水建設のリストというのは五十七名の国会議員に及ぶのですね。もう総理御存じだと思うのです。しかもSAから、申し上げるまでもなく、ずっと。しかも、盆暮れにわたって巨額のお金が出されているのですね。これは政治の買収なんですよ。いいですか。  それで、このことによって政治も行政府もゆがめられるとか、公共工事がゆがめられるとかいう問題ですね。しかも、これは保険だとゼネコンの方は言っているわけですよ。自分たちが工事を受けることのできるための保険なんだ、こういうことを言うゼネコンだっているわけなんです。  だから明らかにしなければならないと私は思うのだけれども、いいですか、総理は北陸新幹線建設促進議員連盟の会長平成二年からやっておられる、現在まで。今北陸新幹線が工事中なことはよく御存じだと思うのです。私は、日本鉄道建設公団から資料を取り寄せたのです。そうしますと、今総理に伺っている清水建設、この清水建設はたくさん北陸新幹線について受注しているのです。  これを見ますと、里見トンネルほか一件、約十三億円。清水建設、日本国土開発、井上工業。清水建設がJVの代表であります。これは平成元年十二月二十八日、こうあります。それから、その次に清水建設が工事を受けているのはいつかというと、これは平成四年の三月二十七日なんです。これは御牧原トンネル(中)ほか一件です。清水建設、これが代表で加賀田組とJVを組んでいるのです。このとき総理は大蔵大臣なんですよ。覚えておられると思うけれども。これは、この清水建設からお金が来ているというふうに発表されているのですけれども、もしそうだとすると、もっと大蔵大臣としてちゃんとお金をつけてもらいたいということを思ってお金を持ってきているのかもしれない。いいですか。  それから、平成四年五月十二日、このときも総理は大蔵大臣ですよ。大蔵大臣で、里見トンネルほか二件です。約二十二億円。清水建設、日本国土開発、井上工業。清水建設が親ですよ。代表ですよ。まだあるのですよ。もう幾らもあるのです、これは。平成五年五月三十一日、約七億円。いいですか。それからまだありますよ。御牧原トンネル(中)ほか二件、清水建設、約二十二億円。これぐらいあるのです。だから、大臣の職にあるときにも清水建設からお金が来ているのかどうなのか。  それから、盆暮れといいますけれども、昨年の 選挙は、公示が七月四日で投票日は十八日です。そうですね。そうすると、そのときにこの清水建設からお金が来ているということになったら、それは一体何のお金だったのか。これは場合によっては、選挙に関するものだということになれば公職選挙法違反の疑いも出てくるかもしれないのです。いいですか。痛くない腹を探られるのですよ、痛い腹かもしれませんけれども。だから、総理がちゃんとこういう問題についてはきっぱりと清水建設からどうであるのかということを、一般的なゼネコンからとか建設会社からと言うだけでなくて、こういう点をきちっと発表して初めて国民はわかるのじゃないですか。
  263. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 政治資金というものは、例えば複数の議員に渡したりなんかすることがありますよね。ともかく、だれだれのところに行っている、じゃ、私のところにはどうしてだ、これはとても困るというので、名前は公表しなくてもいい、百万円以下のものは公表しなくてもいいということになっているわけでございまして、今盛んに幾つも工事を挙げられましたけれども、私は新幹線の工事をどこの会社がやっているのか何が関与しているのか本当に一つも知りません。  ただ、新幹線全体に対して、これは私ども、全国あるいはこの北陸新幹線、こういったものに対して予算というものをつけていただいて、それでできるだけ一日も早く地方と中央との格差というものをなくしてほしい、こういったことのために運動したことは確かに御指摘がありましたとおり。  ただし、私はいつも言っているのですけれども、北陸新幹線ということだけでなくて、むしろ全国の新幹線に対して対応すべきだということを言っておるわけでございまして、そこにどこの業者が入ったのか、どこの業者を指定してほしいとか、そんなことを、今まで私自身政治活動の中でそういうやり方というのは一切してこなかった人間なんです。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  264. 中島武敏

    中島(武)委員 この件でどうしてもなかなか総理は個別のゼネコンの名前を言おうとしないのですけれども、何で言わないのですか。なぜ明らかにできないのですか。こんなことは明らかにしたって当たり前のことでしょう。むしろ、先ほど失礼を申し上げていますけれども、痛い腹か痛くない腹かと言いましたけれども、そういうことをきっぱりはっきりさせるためにも、はっきり答えるべきなんです。答えないのだったら、清水建設がどうかと言わないのだったら、なぜ言わないのかということを言ってもらいたい。
  265. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 政治資金というのは、基本的にその政治家を育てるとか、あるいはその政党に一つのあれをしてもらいたい、要するに自由主義なら自由主義あるいは社会主義なら社会主義、何々主義なら何々主義、これを助長するためにやってほしいというものが政治献金というものであり、また、政治資金規正法があるもとであろうと思う。  なぜ言わないのか、なぜ出さなくてよかったのか。例えば上限の問題について、今度だって政治資金を決めるのに物すごい時間がかかりましたよね。これはなぜかというと、やはりどこの人に上げたのだということになりますと、その企業に対してなぜ私にくれないのかという話になってしまう。そういうことがあるので、これは私は何々だから今いいだろうということでやれば、じゃ、今度ほかの者についてどうなんだという話になる。そうすると、それぞれがみんな発表していったら、とても、献金する企業の方もだれだれに特別にやったということで今度ほかの人に恨まれてしまうというようなこともあるのだということ、これはぜひともひとつ御理解をいただきたいと思うのです。
  266. 中島武敏

    中島(武)委員 全然理解できませんね、そんなお話は。お話は理解できないけれども、結局総理はこの問題については明らかにしたくないということですよ。  それじゃ時間の関係もあるからちょっと先へ進みますけれども、このゼネコン疑惑の問題について徹底的な解明が必要だと思いますのは、先ほどから申し上げておるように、総理自身の政治姿勢にもかかわるということはもちろんなんですけれども、その総理の背後にいて事実上政治を動かしている小沢一郎氏の問題、これにもかかわる問題だから私はこのことについて聞きたいと思っているのです。  具体的に言いますと、小沢一郎氏のことなんですけれども、小沢一郎氏は、昨年の総選挙における公選法違反の事実を私がこの場で明らかにしたのです。追及したのです。昨年の十二月三日です。ここで指摘しました。  岩手県で公共事業、これは胆沢ダムのダムサイトの地質調査にかかわる問題です。東北地建が発注しているわけですが、これを受注していた日特建設が小沢氏側に選挙に関する寄附を行っていたのです。これは明らかに公選法百九十九条、また、出した方にしてみれば二百条違反であることは明瞭なんです。その後、弁護士十数人が昨年十二月二十一日に小沢一郎氏及び日特建設の氏名不詳の役職者を最高検に告発したと承知しております。この件の捜査状況はどうなっているか、この問題について法務大臣に伺いたい。
  267. 中井洽

    中井国務大臣 お尋ねの件につきましては、平成五年十二月二十一日最高検で受理をいたしまして、盛岡地検に移送し、現在鋭意調査中であります。
  268. 中島武敏

    中島(武)委員 まだ捜査中なんですね。  その後、小沢氏は、岩手県の選管に訂正届を出しているのです。これは訂正して済む問題ではありません。岩手県の選挙管理委員会への小沢氏側の訂正届によりますと、訂正届の理由として何を挙げているか。実はこういうことが書かれている。「選挙に関する寄附ではなく、「小沢一郎くらしと政治研究所」に対する政治献金として受領し、同団体名で領収書を発行し、処理したもの。選挙期間中の選挙資金の処理と一般政治資金の管理とを一部同じ場所でおこなったため、事務手続上のミスが発生したものと思われる」こういうふうに言っているのです。  私は、ここに実は私が入手した領収書を二つ持っております。これによりますと、平成五年七月十三日、金額は三十万円、衆議院議員候補者小沢一郎、出納責任者後藤忠雄、それで後藤の判が押してあります。それで、この後藤さんという方の書き込みかなと思うのですが、五年八月二日「寄附金」と書いてある。この五年八月二日というのは収支報告を提出した日なんです。だから、非常にはっきりと意識して、間違いじゃないのですよ。これは寄附金として受け取ったと出納責任者が領収書を発行しているものなんです。いいですか。ところが、同時にもう一つ別の領収書があるのですよ。同じく平成五年七月十三日付、三十万円、小沢一郎くらしと政治研究所、そして研究所長の印という判が押してあります。  私は、これは訂正届に書かれているような、ちゃんと小沢一郎くらしと政治研究所の名前で領収書を発行し処理したものなんだけれども、しかし、場所がちょっとダブつたりしておったもので、同じ場所だったもので、事務手続上のミスだった、こういうふうに言っているのは、果たしてそうかという気になるのです。こういうものがどうしてあるのですか。組織的にこれをやっているということになりますと、大変な問題ですよ。  それからさらに、小沢氏が日特建設からの政治資金という点を訂正したのです。そのときに、前澤工業株式会社東北支店五十万円、創和建設株式会社東北支店百万円、これもあわせて訂正しているのです。この二社について建設省を通じて私は調べました。そういたしますと、創和建設は、選挙期間中、公共工事を受注していることは明瞭であります。建設省からの報告です。これも明瞭な選挙違反じゃありませんか、公職選挙法違反。  私は、こういうふうに領収書なんかをも書きかえて、これは書きかえたものとしか思えないのですよ、今お示ししたように。しかも、組織的にこ んなことをやっているとすれば大問題なんですね。私は、そういう点で、新たな建設会社の名前も出てきている、捜査中だそうですけれども、この点も含めてきっぱり厳正に捜査をする必要があるんじゃないか。法務大臣
  269. 中井洽

    中井国務大臣 お尋ねでございますが、先ほどお答えを申し上げましたように、現在調査中の個々の事件について法務大臣としてお答えをすることはできません。
  270. 中島武敏

    中島(武)委員 今私が申し上げた二つ訂正している部分がありますね。その点についても捜査はちゃんとやりますか。しかも単なる事務手続上のミスで変えたものとは思われないということを、私は今証拠も示して申し上げたのですけれども、この点、はっきりさせてください。
  271. 中井洽

    中井国務大臣 先ほども事務当局からお答えを申し上げたと思いますが、小沢議員に対する告発事件は現在二件でありまして、一件がお話がございました公職選挙法二百条二項違反の罪、もう一件が平成六年二月九日東京地検で受理をいたしました政治資金規正法二十五条一項違反の罪、平成四年度の収支報告書に虚偽の記入をした、こういうことで告発がなされ、この件につきましても現在捜査中でございます。
  272. 中島武敏

    中島(武)委員 では、今私がお話しした件は、厳正に捜査しようとかそういう法務大臣の決意はないのですか。これだけはっきりしているのですから、もう建設省も全部認めているのですよ。そのことについて、そらさないで、ああ、わかった、当然だ、それぐらいのことはちゃんと言わなければだめですよ。
  273. 中井洽

    中井国務大臣 検察当局が適正に処理するものと考えております。
  274. 中島武敏

    中島(武)委員 何とも、法務大臣はもっとこれは厳正に対処してもらいたい。  では次の問題ですけれども、実はこれもゼネコン汚職の問題なんです。一応終わったかのごとく言われておりましたけれども、しかし最近、愛知県副知事の大成建設からの収賄事件が発生している。終わったどころかむしろ、あるいは拡大しているのではないかとさえ思われるわけですね。  五月十三日の衆議院会議での所信表明に対する代表質問で、我が党の不破委員長の質問で、総理は何と答えたか。総理は、汚職事件については法と証拠に基づいて適正な捜査処理を行ってきたと考える、一連のゼネコン疑惑を引き起こした建設業界に対しては、建設省において厳正な指導を行っていると承知している、こういうふうに答弁されましたけれども、今も建設省は厳正な指導を行っているとお考えですか。
  275. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 厳正な指導を行っているはずであるというふうに、私は、これだけのいろいろな問題があったことでありますし、またそのために新たな、例えば入札方式なんかについても進めておるということでありますから、間違いなくこういったことが再び起こらないように厳正にやはり注視し、そしてあるときには監督し、また助言もしているというふうに私は信じております。
  276. 中島武敏

    中島(武)委員 それでは具体的に伺います。  これは建設大臣に伺いたいと思うのですけれども、昨年私が独自に入手しました会計検査院の資料に基づいて明らかにしたあの東京湾横断道路のトンネル工事、六工区の問題です。  この問題について、落札価格が予定価格のすべて九九・七%であった。実に九九・七%で六工区とも一致しているのですね。この六工区が全部一致する確率というのは千兆分の一なんです。一般的にはあり得ないのです、こういうことは。いいですか。偶然の一致とかあるいはたまたまそうなったとかいうことは考えられるものじゃないんです。これは明らかに談合があるというふうに考えざるを得ないものなんです。  それで、この工事をめぐっていろいろな疑惑が言われました。飛島建設、これは赤字会社ですから公共工事の受注はできないはずなんですけれども、この受注をめぐって金丸氏が介在したのではないかとか、いろいろ言われました。これは御存じのとおりであります。それで、前建設大臣も、率直に言って問題を感じる内容である、こういうふうに答弁された。その後、私の申し入れで調査を約束されました。調査の結果について御報告ください。
  277. 森本晃司

    ○森本国務大臣 東京湾横断道路のトンネル工事に関しまして、報道や、あるいは先生の国会の質疑等におきまして、談合あるいは情報の漏えいがあるのではないか、こういった御指摘を受け、それにかんがみまして、前大臣が事務次官に調査を行うように指示していたところであります。  一方、東京湾横断道路株式会社におきましても、一連の指摘にかんがみまして、特に社長の命令によりまして会社内に調査委員会を設置いたしまして、自発的に調査確認を行っており、会社から結果について説明したいという申し入れがありましたので、この結果について昨年十一月、担当部局及び事務次官が会社から説明を受けたと承知しております。  会社からの説明によれば、指摘されている談合、情報の漏えい等については、当時の役職員までさかのぼって聞き取りを行うなどして、そのような事実はなかったことを確認しているとのことであります。また会社の業務執行体制についても問題はなかったとのことであります。  建設省としましては、御指摘もいただいておりますし、公共性にかんがみまして、今後ともさらに適切に会社を指導してまいりたい、このように考えております。
  278. 中島武敏

    中島(武)委員 今のお話を聞いておりますと、東京湾横断道路株式会社が調査をしたことを報告してそれを聞いた、こういうお話なんですね。結局、建設省が独自で調べたものではありませんね、これは。何のことはない、疑われているところから話を聞いて、こんなものかということのようですね。これは私は、建設省として、先ほどの総理の言葉ではないが、厳正な指導を行っている、こういうふうになるのかどうか。東京湾横断道路株式会社だけではないんです。談合ということになれば、その会社も疑われる、同時にしかし、事業を受けた方の側も、これも疑われるのですよ。そして、そちらの方もあわせて調査しなければいけないのです。  大臣、御存じだと思いますけれども、建設業法三十一条がありますね。この建設業法三十一条で調べれば調べられるじゃありませんか。何で調べないのですか。そんな、疑われている横断道路からの報告だけうのみにしておられる。これは厳正な指導とは言えない。この点どうなんですか。
  279. 森本晃司

    ○森本国務大臣 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法というのは民間の資金及び経営能力及び技術力を積極的に活用していくというのが法の趣旨でもございますし、これに基づきまして、商法上の株式会社に工事を実施させているというところでございます。  この法律においては、民間活力の活用という趣旨を生かすために、国の過剰介入により会社の自主性を損なうことのないように、国による指導監督を財務に関することに限定している、こういう状況であります。  しかしながら、一連の御指摘もございまして、前大臣が調査を行うように指示したところでございますが、会社でも自発的に調査、確認を実施されていたことから、その結果について担当部局、事務次官が会社から説明を受けたものであります。
  280. 中島武敏

    中島(武)委員 私の質問を聞いておったのかな。随分とぼけた返事を返してよこすじゃないですか。それはあなた、さっき言っておった話だ。私が言っているのは、建設業法三十一条を行使するならば、これは必要な場合にはあらゆる建設業者に対して調査を行うことができるとあるのです。だから、この問題についてやっているのかどうかということです。  あなた、民間活力と言いますけれども、この事業は一体どれだけの事業か。一兆四千億円の事業ですよ。しかも、資金計画はどうかといえば、地方自治体の出資金九百億円、政府保証債五千八百 億円、民間借入金は千八百億円ですが、道路開発資金三千七百五十億円、何のことはない、一兆を超える政府関係資金が使われているのですよ。  それで、その会社に疑惑が持たれて、なるほど問題があるというのに会社の言うことだけうのみにするとか、あるいはそれにまつわって六工区全部、九九・七%に関係したゼネコン、これを調査できるにもかかわらずやらないとは、一体何たる怠慢ですか。私は、そういう点で厳正にこれははっきり調査することを要求します。
  281. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、三十一条には一般的な調査権限というものがございます。必要な場合に職員をして立ち入らせることができるということになっておりますけれども、先ほど先生の御指摘になりましたとおり、東京湾横断道路につきましては、民間活力という形でその会社自体に建設をやらせるということで、特別の法律ができているわけでございます。  その法律に基づいて、ゼネコン数社が相当の工事をやっているということはもちろん事実でございますけれども、それについての疑いというものにつきましては、先ほど大臣から御報告がございましたとおり、会社がまずみずから調査をした、それを私どもの建設事務次官のところへ報告に参った、こういうことでございまして、そういうような形での会社みずからの調査というものを、建設省といたしましては、一つの調査の結果である、こういうふうに受けとめたということでございます。  御案内のとおり、三十一条に一般的な権限はございますけれども、これはあくまでも建設行政上の一般的な一つの調査権限ということでございまして、犯罪捜査のためにやるものではございませんし、そういう観点からは、今のような一つの会社自体の調査を省として一つの結果と受けとめるということも、一つの方法ではないかというふうに思っております。
  282. 中島武敏

    中島(武)委員 もう時間が終了しておりますので終わりますけれども、それは違いますよ。一般的な規定だからできないんだという話じゃないのですよ。ちゃんと書いてあるじゃないですか。何と書いてあるかといったら、請負契約に関する不誠実な行為、これになると。何でもできるというわけではないのです。こういう重大な疑いがかかっているときにこの三十一条を発動しなくて、一体いつ発動するのですか。そういう問題ですよ。これは建設大臣もしっかりしてもらいたい。  また総理も、このような疑惑について、やはり政府自身が解明をしておくということが最も望ましい姿勢なのじゃないのですか。宮澤総理のときに、それはもう当然だ、監督官庁なんだから政府自身が調査をすることは当然だ、そういう答弁を何回かやっていますよ。だからこういう点で、私はこの問題を通じて、総理からやはりそういうことはそのとおりだということをはっきり答弁を聞いて終わりにしたいと思うのです。
  283. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 私は、今の報告がありました、これは別に何も職務を怠慢しているとかあるいは軽く扱っているというものじゃないと思いますけれども、さらに厳正に指導していくようにこれからもしていきたいというふうに考えます。
  284. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  285. 山口鶴男

    山口委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。外務省時野谷北米局長
  286. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 先ほど中川先生より御質疑がございました国際交流基金の特定寄附金についてお答えを申し上げます。  国際交流基金は、対日理解、国際相互理解及び国際友好親善を促進する極めて公益性の高い法人として政令、具体的には法人税法施行令第七十七条第一項一号でございますが、に掲名されている特定公益増進法人であり、国際交流という分野で中心的な役割を果たす特殊法人でございます。  国際交流基金の特定寄附金につきましては、同基金が行う資金助成は、あくまでも基金における厳正な審査を経た基金自体が行う事業であって、当該事業に充ててほしい旨の寄附者の意思を踏まえてその原資を受け付けている、こういう性格のものでございます。
  287. 山口鶴男

    山口委員長 大蔵省小川主税局長
  288. 小川是

    ○小川(是)政府委員 特定公益増進法人の特定寄附金につきましては、当該法人が行う資金助成は、あくまでも当該法人における厳正な審査を経た法人自体が行う事業であって、ただいま北米局長からお話がありましたように、当該事業に充ててほしい旨の寄附者の意思を踏まえてその原資を受け取っておられる、そしてその事業に充てておられるというものでございます。  この国際交流基金が受け付ける寄附につきましては、現在の税法上、いわゆる特定公益増進法人に対する寄附として、一定枠のもとに免税の適用が受けられるものである、こういう性格のものでございます。
  289. 山口鶴男

  290. 野中広務

    野中委員 本日は、ゼネコンを中心とする集中審議が行われることに連立与党の提案によりましてなったのでございますが、私はきょう、平成六年六月六日付で「東京地検によるゼネコン汚職事件捜査処理に関する報告」を承りまして、その三ページにおきまして、中央政界関係について説明を承りました。  特にその中におきまして、いわゆる埼玉土曜会告発問題に関して、中村喜四郎代議士に対して現金一千万円を供与をしたということで、鹿島建設清山元副社長逮捕をされるに至り、あるいは中村代議士の逮捕許諾に至る経過をお伺いをしながら、断腸の思いでございます。  ただ、その当時を若干振り返りながら、まことにお忙しい中お気の毒でございますが、当時の梅沢公取委員長にお出ましをいただきましたので、最初に梅沢前公取委員長にお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  そもそも埼玉土曜会というのは、一九七二年に八社で創立をされました。それから若干、私自身思い起こしますと、八八年の二月に当時の埼玉県の畑知事の本の出版パーティーでこの土曜会が、パーティー券一千枚、すなわち三千万円を一括購入したということが言われてまいりました。  また、九一年になりまして、一月に日米構造協議で独禁法の刑事罰の強化が言われるようになりました。その後、公取にも独禁法に関する刑事罰研究会が同じく一月の十七日につくられました。同じくその十七日に、逮捕をされました中村前建設大臣が、自由民主党独禁法特別調査会の会長代理に就任をしたのでございます。これは、倉成会長が非常に病気等でございまして、その当時代理になられたことを私も思い起こすのでございます。  その後、五月の二十七日に土曜会の問題で公取が第一回の立入調査をやられ、六月の上旬に埼玉土曜会が解散をした、こういう一連の経過がございまして、私もその年の十一月に党の総務局長を仰せつかりまして、選挙の実務を預かることになりました。  埼玉県の知事選挙が非常に取りざたをされる時期でございましたので、私も鮮明に覚えておるわけでございますし、当時は、参議院議長をおやりになりました土屋現知事がお出ましになるお話がありましたり、あるいは現改新におられます山口敏夫代議士が、あっちへ行きこっちへ行き、まことに複雑怪奇な動きをされましたりいたしまして、随分私も迷惑をしたり、時には当時の金丸副総裁の名前を上手に使いながら、この人が政界の確かに泳ぎの上手な人でありましたから、何を考えておられるのかわからぬほど動き回られたことを今思い起こしておるのでございます。  そこで、梅沢委員長にお伺いをいたしたいのは、中村喜四郎氏が鹿島の清山元副社長に土曜会の問題について請託を受けたということを言われておるわけでございますが、そういう事実はあったのでございますか。公取委員会に何かを働きかけたということがあったのでございますか。
  291. 梅沢節男

    梅沢参考人 現在、司法手続が始まっておりま す事件についてのお尋ねかと存じますが、私自身は、当時公正取引委員会に在籍しておりまして、知り得る範囲のことは当然ございます。ございますけれども、これは先週の参議院の予算委員会でもお願いを兼ねて申し上げたわけでございますけれども、この司法手続の始まっている問題につきましては、私自身の考え方といたしましても、現段階で司法手続の外でいろいろなことを申し上げるべきではないというふうに考えておりますので、大変申しわけないんでございますけれども、御質問の点も含めまして、お答えをしかねるところでございます。
  292. 野中広務

    野中委員 あえて私が、梅沢委員長にお出ましをいただいて、今の答弁より聞けないことを知りながらお出ましをいただきましたのは、先ほど申し上げましたように、九一年の一月十七日に公取が独禁法の刑事罰研究会をつくられた同じ日に、中村喜四郎氏は我が党の独禁法特別調査会の会長代理に就任をしておるのであります。  ただ、そのちょっと前の九〇年の十二月十八日、小沢一郎氏は梅沢公取委員長と面会をされておるわけでございます。そして、その後の、これは梅沢さんに関係ありませんけれども、直後の十二月二十六日、鹿島建設清山元副社長に小沢幹事長がお会いになっておるわけでございます。  したがいまして、私は、梅沢公取委員長がちょうど九〇年の十二月の十八日、当時の小沢幹事長とお会いになりましたか、その点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  293. 梅沢節男

    梅沢参考人 当時の詳細の日程を私、手元に持っていないわけですけれども、要するに平成二年の十二月の十八日ということでございますね。その特定された日時であるかどうかはわかりませんけれども平成三年の通常国会に提出すべく課徴金の引き上げに関しまして独占禁止法の改正法案、与党との最終段階に来ておりまして、恐らく私、当時幹事長のみならず重立った方々に最終の調整として党本部にその法案の問題で、つまり刑罰の法案じゃなくて、その前の年につくりました課徴金の法案の問題で、あるいはお会いしているかもわからないと存じます。
  294. 野中広務

    野中委員 実は、九二年の三月二十三日に埼玉県議会が土曜会の問題について百条調査特別委員会をおつくりになりました。したがって、その翌日、三月二十四日に私はアポイントをいただいて、そしてこれは逆に、当時の梅沢委員長に刑事告発をしてくださいと、畑知事を向こうに回して戦うために刑事告発をしてくださいと梅沢さんにお話しに行ったことを鮮明に覚えております。  梅沢さんは、幾らおっしゃられましても、事犯が確定できませんので、非常にそれはできないことでございます、こういう回答をされたことを今覚えておるのでございますけれども、何かコメントをいただけますか。
  295. 梅沢節男

    梅沢参考人 これは、野中委員がみずから仰せの質問でございますので、私の今記憶にある限りできちんとお答えすべきであろうと思います。  平成四年の二月でございますか三月でございますか、今手元に資料がございませんからあれでございますが、確かに早い時期に、野中委員がアポイントをとられて私のところへ来られたことを承知いたしております。  ただ、今おっしゃったような内容の話を私はしたという認識は持っておりません。まことに申しにくいんでございますけれども、確かに埼玉県の知事選挙との関係でということでこの土曜会の事件を話題にされた、これは記憶にございます。  当然のことながら、公正取引委員会は、独禁法二十八条によりまして独立の職権行使をする機関でございますから、そういった政治の話とか選挙との絡みで公取の処分を云々されるということは、やはり私は筋が違うだろうというふうな趣旨のことも申し上げ、恐らく私の記憶では、野中委員も早々に私の部屋からお引き揚げになったと思っておりまして、告発をしろと、それはできませんというふうな応対をした覚えは私はないんでございますけれども
  296. 野中広務

    野中委員 確かに、政治的な絡みで公取委員会が何かを言うことはできませんと。ただ、私はぜひ、知事選挙が視野にあるわけでございますから、刑事告発できるものなら早くしてくださいと言ったら、そういうことは非常に難しい問題で、困難でございます、こういう御回答で、私は早々に引き揚げたわけでございます。  以上のようなことがありましたので、先ほど来いろいろ、残念にも中村代議士の問題が出ましたけれども、中村代議士が独禁法問題等に関係をし、あるいは鹿島の清山元副社長に会う以前に、小沢一郎幹事長が既に清山社長にも、あるいは公取委員長にも、今公取委員長からお話の内容は聞きましたけれども、お会いになっておるということをここで確認をしたわけでございます。  わざわざお越しをいただいてありがとうございました。  さて、本日最初の審議の際に、改新の山田正彦委員から質問が行われまして、その中で、私は予算委員の一人としても聞き捨てできない発言がなされましたので、このことについてまず申し上げたいと思うのでございます。  それは、質問の中で、「私は、この予算委員会において、三井建設の首脳、また着服、横領した元役員、これを国会に証人として喚問していただいて徹底的にその事実の究明を図っていただきたい、そう思うところでありますが……それは、要求してもいいのだけれども、この国会……ちょっと話を聞いて。この国会において予算の審議を一日も早く上げなければならない。ところが、いつまでも予算の審議をやらずに、こういうことをぐだぐだぐだぐだと細川さんの事件以来やっていること、これを考えますと、私は、今回は予算審議を先行してもらうために遠慮させていただきたい、そう思っております。」こういう発言をされました。  私は、もちろん山口委員長の名誉のためにも、当予算委員会の名誉のためにも、正式な予算委員のメンバーでなく、本日ぽっとゼネコン問題に出てきて発言をして、そしてこんなもの、私どもは今日まで、予算委員会を始めましてから、私はこの前も総理に言うたように、政権与党の方から、むしろこの予算を早く通したいという熱意が伝わってこない、こう言って私は非常に苦言を呈しました。そして、この六日も、我々は実際は総括質問で終わって、きょうはできればもう分科会なりそういうところへ入ると思っておりましたけれども、与党の中から、やはりゼネコン集中審議をやりたいということで、それじゃゼネコン等の審議をやろうということになったわけでございまして、それを何か、総理みずから聞いておったと思うんです。こんな発言は私は許すことはできません。  「いつまでも予算の審議をやらずに、こういうことをぐだぐだぐだぐだと細川さんの事件以来やっていること、」この委員会をおくらしてきたのは細川さんみずからであり、そして連立与党が我々と一緒にやろうという、そして政府一体になってやろうというそういう状況が出てこず、途中で政権の交代が行われ、社会党が連立離脱を行い、その間、政策等の多くの詰めの問題で日時を費やしてきたから今日に至ったんではありませんか。  我々は、公聴会もまた二日普通はやるのを一日に縮めて、何とか予算審議を促進したい、そういうことでやってきたのに、連立与党の側からトップ質問に立った山田委員が、かかる不届きな発言をすることは、私は絶対に容認することができないのであります。  改めて総理のお考えをお伺いしたいと思いますとともに、委員会として、この問題は明確にけじめをつけていただきたいと思うのであります。  以上。
  297. 羽田孜

    ○羽田内閣総理大臣 けさは、私もこの委員会で聞いておりました。  確かに、ぐだぐだですとか、あるいはこういう、時間がないから証人喚問はしないというのを聞きまして、心ない発言であるなという実は思いを持ったものであります。  我々としては、本当に一日も早くやはり予算を御審議いただきたい。そして今、私はあわせて、各大臣の方々も出席をさせていただきながら、ほかの委員会も開いていただいていることに対しては感謝をいたしておるところでありますので、いろんなあれがあると思いますけれども、我々としても誠意を持っていきたいと思っております。
  298. 野中広務

    野中委員 総理が山田正彦委員の発言をそばで聞いておりながら、私は、その連立与党、政権を代表する人として、私が言うまでこれについて一言もあのとき発言をされなかったことを残念に思います。あんなことが自分たちの仲間の中から出るなどというのは、予算委員会に対する冒涜であります。  委員長、私は、この問題については、委員会としてのけじめをきちっとつけていただきたいと思います。御協議をお願いします。
  299. 山口鶴男

    山口委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  300. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こして。  野中委員に申し上げます。ただいまの野中委員の提言につきましては、理事の間で話をいたしました。不適切な発言については、きちっと対応するようにいたしたいと存じます。  野中君。
  301. 野中広務

    野中委員 委員会の名誉が保持されるよう期待をして、解決を見守りたいと思います。  さて、ゼネコンの疑惑と人権について私はお伺いをしたいと思うのでございます。  法務省というのは、不正をただし、そして検察庁を所管されまして、社会悪と勇敢に闘っていかれる役所であるとともに、一面、人権を擁護される役所であります。法務大臣、そのことは十分御認識でございますね。お伺いします。
  302. 中井洽

    中井国務大臣 そのように認識いたしております。
  303. 野中広務

    野中委員 実はこの中間報告、ゼネコンに対する捜査報告の中にも書かれておりますけれども、最後の四ページでありますけれども三井建設役員が、先ほど山田正彦委員が申されました、同社から国会議員への献金のために現金を預かり云々という問題についてでございます。  最初に私はお伺いをいたしたいのは、最後の項で、元国会議員と、そしてこの三井建設役員が、同社から国会議員への献金のために現金を預かり、これを着服、横領したという、この政治家の名前は数多くあのとき報道されましたけれども、わざわざこの二つに絞って立件されなかった事項を明示し、そして起訴に至らなかったゼネコン問題を、他に多くあったにもかかわらずこの二点だけ報告書に載せられた理由は何でありましょうか、これをお伺いいたします。
  304. 則定衛

    則定政府委員 お答えいたします。  法務当局といたしましては、従来から、関係者の名誉、人権の保護や将来の捜査や裁判に対して不当な影響が及ぶことがないように、これを防止する観点から、原則として、起訴されていない事案については関係者の氏名を含め、その捜査結果を公表しないことをやってきたわけでございます。  他方、いわゆるゼネコン汚職事件につきましては、当委員会からその捜査処理の結果についてできるだけ詳細に報告されたいとの御要請がありましたので、国会の国政調査権の行使に対して最大限の御協力をするという観点から、法令の許す範囲内において可能な限り御報告したものでございます。  ところで、御指摘の二点につきましては、新聞等で相当程度に具体的な形で元国会議員等にかかわる種々の報道がなされましたために、これに関します検察権の行使に社会的な注目が集まっていたことなど諸般の事情を考慮いたしまして、さきに述べましたような捜査、公判への影響の有無、関係者の名誉、人権の保護などの観点から説明の範囲、程度についても慎重な検討を加えました上、可能な限度で御説明したものでございます。
  305. 野中広務

    野中委員 そうすると、この最後に述べられました二つの事犯については、これが公正、真実であるということを改めて確認をされるわけでございますか。確認いたします。
  306. 則定衛

    則定政府委員 この最後の二点と御指摘がありますけれども、第一点のいわゆる迂回献金等の問題については、何といいましょうか、何ら犯罪として訴追するものを認めなかったという限度において御報告をしているわけでございます。  一方、三井建設役員の件につきましては、関係証拠等を照らし合わせて、着服、横領したという限度において検察事件処理をしたということでございます。
  307. 野中広務

    野中委員 ことしの、平成六年の一月九日付のA新聞で、この三井建設に絡みましては実名の国会議員名を出して、ダム工事受注に関して一千万円を授受した旨の記事が大々的に報道をされたのであります。このような金銭授受、県への働きかけ、請託の事実は、一切事実無根のことがA紙に報道をされたわけでございます。  私は、今回の問題で、捜査の機密ということで個人の人権というものが一体どうなるのか、こういうことをまことに痛切に感じる一人であります。  というのは、この新聞報道をされるときに当梶山代議士の事務所には一切の事前の取材もございませんでした。あるいは、ここで言われておるいわゆる竹内知事は拘留中の身でありまして、取材も不可能であったと思うのであります。また、後ほど調べてみましたら、三井建設側への取材も一切なかったと聞いております。あるいは竹内知事の弁護士に対する当該記事に関しての取材も一切なかったと確認をしております。こういうことを聞き、あるいは茨城県庁の関係者は全く内容をも知らなかったということを言っておるのであります。  以上の事実に照らしまして、記事の内容が捏造とはいえ、三井建設の経理状況竹内知事捜査官への供述内容を記者が把握することはあり得ないと客観的に思われるわけでございます。だのにA社は、今回ゼネコン事件をめぐる記事で常に他のマスコミを抜いてスクープ記事を書いておられました。この新聞社と捜査当局の報道癒着の疑いは払拭をできないのでありますし、また、その内容を一部把握をしておるのであります。これは世論の形成を図る検察のリークと言われても私は仕方がないのではなかろうか、こういうように思うわけでございます。  当時を、一月のころでございますから、振り返って考えてみますと、この記事が掲載されたころ、もう政治家の具体的な名前の出た人たちの逮捕は一月の三十日、Xデーであるということがうわあっと一連に言われるように、まことしやかに流されました。そして、だれしもがもうそれが真実であるかのように言われました。  そして、その当時の状況をもう一度見てみますと、一月の二十一日ごろに、自治省の選挙管理委員会でありますけれども、ここから全国の各都道府県の選挙管理委員会に、総選挙ありきという内容が流されました。各都道府県の選挙管理委員会は市町村に対して、特にもう雪の降る時期でありますから、ポスター掲示板が大丈夫かというような問いかけをして、慌ててポスター掲示板の発注をしたところも一月二十日ごろに具体的にあったのであります。そして、そういう中において、御承知のように一月の二十六日、二十七日、二十八日、三十一日、衆議院第一議員会館、第二議員会館の面会証の捜査が特捜部によって行われたということが一斉にマスコミに報道をされたのであります。  こういうことを考え、そして、一月二十一日というのは政治改革法案が参議院で否決をされた日であります。一月二十六日、二十七日は両院協議会が開かれ、一月二十八日のトップ会談で法案の、この間私も申し上げましたけれども、与野党合意がされるという絶妙なタイミングの中でわけのわからない流れがずっと行われて、そして新聞報道がされて、特定の議員の名誉は著しく傷つけ られ、そして、本日このような報告のように、三井建設役員がみずから着服をしておった、けれども結果として不起訴になった。こんなことで一体、あの当時の背景を考えながら、傷つけられた議員の名誉は、法務大臣、どうして回復されるのですか、お伺いいたします。
  308. 中井洽

    中井国務大臣 いろいろな観点からお尋ねを賜ったと考えております。私どもはいろいろな事件捜査は常に不偏不党、厳正公平にやっておる、このことが一つであります。  また、リークをし、情報操作をしているんじゃないか、こういうお怒りでありましたけれども、このようなことはあり得ないことと確信をいたしているところでございます。  同時に、報道機関の犯罪調査に関するいろいろな報道につきましては、報道機関の報道の自由というものもあろうか、また国民の知る権利、こういったものもあろうかと思いますが、一方、被疑者、被告人、あるいはまたその家族等のプライバシーあるいは名誉、同時に円滑な捜査の遂行に対する支障の有無等いろいろなことも調和をさせていただきたい、このように法務大臣としては考えているところであります。
  309. 野中広務

    野中委員 私は、法務大臣から一般論で申されても、この事件は、この政治家の生涯を通じ、家族を通じて払拭することはできないと思うのであります。  それではお伺いをいたしますけれども、あの国会が政治改革を含めて大詰めを迎えている最中に、なぜ二十六日に面会証捜査をされたのか、その日をお選びになったのか、私はお伺いをしたいと思うのです。  なぜならその時点で、後日の新聞報道によりますと、着服供述をしているにもかかわらず、四日間も面会証の調査をやられたわけであります。じゃ、この三井の松岡という元役員はその言われておる梶山事務所へ来たという面会証の確認がされたのでありますか、まずそれからお伺いします。
  310. 則定衛

    則定政府委員 せっかくのお尋ねでございますけれども、特定の国会議員捜査の対象になっていたという趣意の御質問でございますし、また、具体的に検察がどのような捜査をしたのかということを明らかにされたいということでもございます。残念ながら、これらのことにつきましては明らかにすることができませんので、御了解願いたいと思います。
  311. 野中広務

    野中委員 なぜ私が言葉を荒げてこういうことを申し上げるかというと、当時、さっき申し上げましたように、一月の二十日ごろから選挙管理委員会にずっと総選挙ありきと流された。そして今度は面会証の捜査が行われた。そして山花政治改革担当大臣は、二月七日の東京都内で開かれた全逓中央委員会であいさつして、ゼネコン疑惑の捜査の政界波及について同氏が担当検事と昨年接したところという話をしながら、今回の政治改革法案の成立のおくれが影響していると心配していると懸念を示した、こういう話をされたわけでございます。  現職の閣僚が検察事件捜査について、前年の暮れに検事と会うたところ、こういう話で担当検事と会うたということをわざわざ全逓の中央委員会で発言をするというのは異常じゃありませんか。こんなことが政治改革担当相と検察庁の間において行われておったのですか。私は、検察庁の名誉のためにも明らかにしてもらわなくてはならないし、私どももこのことについては一定の内容を掌握しております。それだけに明らかにしていただきたいと思います。
  312. 則定衛

    則定政府委員 御指摘の山花前大臣の御発言につきましては、当委員会でその後山花大臣が訂正、撤回されたと私ども承知しております。  一方、私ども法務省といたしましては、当時そのような報道がなされましたので、これに適合するような事実があったのかどうか、これは調査いたしました。その結果、そのような事実は認められないという報告を受けております。
  313. 野中広務

    野中委員 私は非常にファッショ的なものを感じるわけでございます。今後、政治家のみならずだれでもこういう、不正はただされなければなりませんけれども、一部マスコミに乗せられることによってその人の生涯を傷つけてしまう。そして今、最後には玉虫色にこんな報告書で済まされてしまう。これは耐えられないことだと思うわけでございますので、この機会にあえて申し上げて、そして法務省全体に私は厳粛な反省を求めておきたいと思うのでございます。  個人の人権がどのように重いものであるか、そして疑いを持たれた人間、それはその人が死んでいっても残り、仮にそれが事実でなかったとしたら、そういう事犯を調べた人たちはもう転勤して、あるいは退職したらそれで事終わりなんであります。そういうことがいかに大きな人権侵害になるかを改めて私は、今度の一連の、一月のあの報道以来、政治改革法案の成立、山花大臣、弁護士ですよ、こんな人が担当検事と会うたところといって大きな中央委員会で発言するというようなあり方に、私は政権の危険さと、そして検察のあり方について重大な疑問を感ずるものであります。  したがいまして、せっかく山田議員は証人喚問をしたいけれどもやめるとおっしゃいましたので、私の方から事態を明らかにするために三井建設の元役員松岡氏の証人喚問を求めたいと思います。
  314. 山口鶴男

    山口委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  315. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こして。  ただいま野中委員の御提起の問題は、理事会において協議をさせていただきます。
  316. 野中広務

    野中委員 柿澤外務大臣にお伺いをいたします。  私は、五月二十四日と六月の二日、それぞれあなたの政治倫理についてお伺いをしてまいりました。特に五月二十四日、台湾の事務所についてお伺いをいたしましたけれども、二度の確認に対して、あなたははっきりと、絶対にありませんとおっしゃいました。六月二日の質問では、私が呉さん、張さんあるいは田中さん等の名前を挙げましたら、あなたはその人たちを知っておるとお答えをされながら、最後は事務所の存在を否定をされている。したがいまして、私は、私の質問を続けることができないということであなたに調査を求めまして、質問の保留をいたしました。調査結果をお伺いをいたしたいと思います。
  317. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私は、最初の野中議員の質問に対しましても友人がいるということは申したつもりでございます。名前はお挙げになりませんでしたから私の方も特定をいたしませんでした。また、事務所を持っているかということでございますから、事務所は持っていないというふうにお答えをしたところでございます。現在でも事務所を持っているという認識は持っておりません。
  318. 野中広務

    野中委員 あなた、香柿会というのについて私が触れましたり、あるいは呉さんあるいは元立法院の議員であった張さん等について触れ、あるいは田中英光さんに触れましたら、地元に私の非常に親しい方々がファンクラブをつくってくださっている、何かあなたは芸能人みたいな感覚でおっしゃいましたけれども。  私のところに香柿会という看板をかけたあなたの事務所の写真、そしてこの前私見せましたけれども、あの写真もあなたがわざわざお越しになって事務所で撮ったものだということを呉さん自身が書いて、あなたに手紙を見せたでしょう、あなたは顔が青くなっていたけれども。それを持ってこられたわけでございます。それでもあなたは、それはファンクラブで、そしてその事務所は私は知らないとおっしゃるんですか。
  319. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 香柿会についても二度目のときに野中先生が御指摘になりましたので、それは私が最初に、もう十五、六年前になりますけれども、台湾を訪ねたときに親しくなったといいますか、私に好意を持ってくれた方々がそういう会をつくってくれたということは申し上げたはずでございます。看板を掲げたかどうか私も存じません が、まあ台湾へ来たときにはいつでもおいでくださいというようなことを言われましたので、サロンのようなものというふうに思っておりましたが、事務所とは認識はいたしておりません。
  320. 野中広務

    野中委員 サロンのようなものだということであなたは否定をされます。私どもは、参議院の審議を含め、我々調査をいたしまして、まだまだ私のところにはいろんな情報が寄せられております。  例えば、あなたの地元の有権者から、台湾で仕事をするのなら政治献金をせいと言われた、柿澤さん、この間言っているのはおかしいじゃないかというようなことを私におっしゃってこられました。私は、その人の名前も電話番号も聞いておるわけでございます。  また、私のところには、柿澤のような親台湾派を攻撃するなと。私も台湾は大切な関係のところだと思っております。そして、今日の日本を思うときに、蒋介石総統の決断なくしてあったであろうかとも思うことがあります。けれども、外務大臣をあなたはおやりになるのです。そういうあなたが、やはりあれは台湾派だからこれ以上責めるなといって私に言ってくる人がある。し  この間の晩なんか、六月二日の晩、私は十一時ごろここで質問しているのですよ。十一時ごろ質問をしていたら、院内テレビとここにおった人ぐらいじゃないですか。外へは出ていない。それに、夜明けに私のところに嫌がらせの電話がかかってくるんだ。一体どういうことなんですか。  私はそのことをあなたに求めようとは思いませんけれども、あなたは議員になってからその直後に一回行ったきりである、この十年行ったことがないと言われましたけれども、もう一遍確認しておきます。間違いありませんね。
  321. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 当初の御質問に対して、私は回とは言っておりません。二、三回行ったのではないかというふうに言いました。それから、最後が十年ほど前であったというふうに申したつもりでございます。
  322. 野中広務

    野中委員 そうすると、あなたは蒋経国総統の葬儀には行ってないのですか。あなたの秘書が行かれただけですか。お伺いします。
  323. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 承知をいたしておりません。
  324. 野中広務

    野中委員 承知をしていないというのは、行ってないということなの、行ったか行ってないかわからぬということなの、どっちなの。
  325. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 多分御質問の趣旨は日本の方だと思いますから、田中さんの話だと思いますが、前にも申しましたように、私の友人で、そして選挙のときにはボランティアとして手伝ってくれる方でございますが、年のうち何回か台湾へ行っておりますので、その人が行ったかもしれませんけれども、それは柿澤の代理として行ったのではないし、秘書として行ったのでもないと理解をいたしております。
  326. 野中広務

    野中委員 あなた、先に勘ぐって早々と田中さんの名前をお出しになりました。蒋経国総統のときには柿澤弘治秘書代理として田中さんが行っていらっしゃいます。あなたは、私が聞く前に何でそんなに早々と言われるほどみずからの立場を今擁護しようとするのですか。私は、ここで明らかにしておきたいと思うのでございますけれども、あなたと一緒に行ったという同志の人がおるのですよ、皆。  だから、これから我々は改めてお伺いします。あなたについては、フランスやらカンボジアやら、あるいはベトナムやらインドネシアやら、いろいろな話が入ってまいります。何かウナギの話やら入ってきますから、ウナギはなかなかつかめませんから、つかみにくいウナギでございますけれども、私ども調査をして、台湾を含めてあなたがきょうまで言ってきたことがうそであったら、あなたは政治家として責任をとりますね。
  327. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先ほどプライバシーというお話がございましたが、そういう意味でも、きちっとした証拠でお話をいただけるなら私もお答えをいたしますが、そうでなければお答えはできません。
  328. 野中広務

    野中委員 それはプライバシーの意味が違います。少なくともあなたは外務大臣であります。これから限りなく、中国問題を含めて、重要な局面を迎えなければならない人であります。そういうときに、私はなぜ懸念をするかというと、雑音であればよろしい。この間中東へ行かれたときですら、あなたの台湾問題について非常に中国側から不愉快な表現が私どものところに伝わってきておるじゃありませんか。  だから、私は、一国の外務大臣としてあなたに、私自身もあえてあなたの名誉を考え、私自身のまた政治的あり方も考えながら、なぜなら私には連日、おまえのようなやつ、徹底して洗ってやるとがんがんやられているのですよ。だから、それはあなたの周辺だとは私は言わない。けれども、なぜ柿澤をこんなにいじめるのだ、そういう話が、具体的にあなたの名前が出てくる。官房長官の名前も出てくる。けれども、このごろあなたばかりだ。  だから、私はあえて、あなたの内容が明らかになつくそうしたときにはあなた自身責任をとられますかということをお伺いしているわけであります。もう一度お伺いします。
  329. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私、先ほど親台湾派とか、そういう言葉が出ましたけれども、台湾との間では国交がありませんので、その意味で、日本に親愛感を持ちながらなかなかコンタクトができない方々がたくさんいらっしゃる。そうした方々を自民党の方々もいろいろな形でお手伝いをしてこられた。これを私もまさにボランティアとしてお手伝いをしただけでございまして、先はどのように、お金を出さなければ手伝ってやらないとか、そういうようなことは言ったことはありませんし、その点ではやましいことはありません。  また、私も、中国は日本と大事な関係だと考えておりますし、その点で、中国との外交にも一生懸命取り組んできたつもりでございます。
  330. 野中広務

    野中委員 私が親台湾派だと言っているのじゃないのですよ。あなたの御存じの、あなたは自分は否定されましたけれども、あなたの後援会顧問をしておられた呉さんが日本の友人に送られた手紙の中に、この前読みましたように、私は衆議院議員柿澤弘治台北事務所の、いわゆる台湾の外交部認可の顧問としていろいろな仕事を柿澤議員にかわってやっております、こう書いて、そして同封の写真は柿澤事務所成立のときの写真であり、座っておる人が柿澤議員であります。私、見せたでしょう、ここにあるけれども。そう言って、呉さん自身も立っているのです。  もう一つ来ておる手紙には、また私は衆議院議員柿澤さんの後援会のお手伝いをしておる、柿澤さんは我々台湾にとって大変熱心な台湾派の人でありますと、こう書いてあります。だから言うたのですよ。私が断定したのじゃない。呉さんがこういう手紙を書いて出していらっしゃるわけであります。
  331. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 それは彼が、私がいろいろと家族的な問題でもお手伝いをした、その恩に報いようと思って善意でいろいろな形でやってくれたんだろうと思います。その中にそういう言葉があったかもしれません。  しかし、野中先生も御承知かもしれませんが、私はフランス政府に留学をさせてもらいました。そのお礼、お返しをしたいと思って、フランスの学生を毎年一人ずつ引き受けて、十三人引き受けております。そのほかいろいろな形で国際的な、これからの日本の外交を進めていく上でもきちっとした人脈をつくっていくことが大事だと思って一生懸命やってきたわけでございまして、今のお話もそうしたものの一つということでございまして、私がそこにやましいものを感ずるものは一つもございません。
  332. 野中広務

    野中委員 やましいとかやましいんじゃないとか言っているんじゃなしに、あなたの事務所があったということを私は言っておる。しかも、それはあなたの親しい呉さん自身が事務所の手伝いをしており、事務所の写真は、真ん中に座っておるのが柿澤さんで、その後ろに柿澤さんの写真が 上げてある。そして、台湾と日本の国旗とが両方つながっておるところにあなた座っておるじゃないですか。それを私は言っているんです。これ以上は、私が今申し上げましたように、我々事実に基づいてもう一度あなたにお伺いする機会があります。そのときはあなたは政治家としてきちっと対応されるべきであります。  さて、あなたはこの間、閣僚として資産公開をされております。その資産公開の中に、外務大臣は都心の一等地を所有をして、これを賃貸住宅としてアフリカのジブチ共和国の大使館が借り上げているということが報道をされておりますけれども、事実でありますか。
  333. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 一等地とは言えませんけれども、私がずっと住んでいたところが、選挙で私自身が移転をいたしましたので、その後を人に貸しております。その方が今たまたまジブチの大使館の職員であるということでございまして、これは全く私的な契約でございます。
  334. 野中広務

    野中委員 それもまた外務大臣としてのこれからの倫理にかかわる問題でございますので、私どもは注目をしてまいりたいと思います。  時間がありませんので、熊谷官房長官にお伺いをいたします。  あなたはこの週刊文春をお読みになりましたか。五月二十四日の私の質問に対しまして、あなたはいろいろ言われたけれども、一つだけ、いわゆるソ連との関係で私が関与したと言われる二百四十億ドルのプロジェクトについては全くのでたらめだ、こうおっしゃいました。けれども、この週刊文春の中では、いわゆるあなたのそれぞれ親しい杉森康二さん等が証言をしていらっしゃいます。  また、当時このプロジェクトが発表をされたときには、外務省の次官とか大蔵省の主計局長から大変な抗議が出たということ、あるいは当時閣議においても多くの問題が出たということはその当時の新聞も報道をしております。それでもあなたは全くでたらめだとおっしゃるわけでございますか。
  335. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 この二百四十億ドルのプロジェクトというのは、数字を集計をしたわけではございませんが、私はそのときの御質問にもお答えも申し上げましたように、そのころ民間のプロジェクトがどれぐらいあるのかというのをいろいろな銀行も、団体も、その他もろもろに聞いたことは事実でございます。しかし、それは民間の商談でございまして、あたかも経済援助、こういうふうに言われるわけでありますが、民間の方々がソ連の方々と、今はロシアでございますけれども、当時はソ連でございました。まだ十五の国に分裂をいたしておりませんで、さまざまな形で聞き書きした話を参考にしていたことは事実でございます。  しかしながら、そのような数字を経済援助として出す根拠もございませんし、第一民間のプロジェクトでございますから経済援助にはなり得ないわけでございます。国家が補助をするということではないわけでございます。まして、小沢当時幹事長の当時のソ連共産党との話し合いの中では、そのような金額をめぐって話し合うような状況ではございませんでした。  したがいまして、私は、そのようにとらえられるのは全くでたらめだということを申し上げたわけでございます。
  336. 野中広務

    野中委員 あなたは純民間のように言われておりますけれども、しかし、その当時の報道等を調べてみますと、いわゆる北方四島の日本の主権を確認した場合の対ソ経済協力の対処方針というのを固めていらっしゃいます。そして、政府出資の日ソ経済交流振興センター(仮称)を設立して中長期的な産業、都市基盤整備に一兆三千億を資金協力。さらに、これからは民間かもわかりません、日本輸出入銀行のアンタイドローンの使途としての約五千億を緊急融資、四島返還に伴う住民、ソ連軍の移転経費として四、五千億を支出する、こういう柱がちゃんとペーパーとして向こうに持っていかれているじゃないですか。
  337. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 向こうにと言いますけれども、向こうに持っていっておりません。そのような話し合いに入る以前の段階で交渉は難渋しておったわけでございます。  現実に私どもは、ドイツがいわゆる当時のソ連とさまざまな経済援助をしたり、そういったことは私も銀行等を通じて調べました。しかし、今のようなものを向こう側に渡したり、話をしたり、およそ政府の了解もなしにそのようなことができるわけもございません。したがいまして、さまざまな議論があったことはあったんでしょうけれども、しかし、今申し上げましたようなことをソ連側にどうこうしたということはございません。
  338. 野中広務

    野中委員 これは、あなたは小沢さんより先に一度行かれたりして先導的役割を果たして、また一緒に行っておられるわけであります。これは自由民主党訪ソ、訪米団の一覧資料であります。政治家としてはお二人、小沢さんと行かれたわけでございます。このときにそれぞれ通産省あるいは外務省等からも随行が行っておるわけでございます。すなわち、政府関係機関の人たちも連れて、あなた方は日航チャーター機で行っていらっしゃるわけでございます。しかも随行記者団も非常に多く行っておるわけでございます。  そういう中で、おれのポケットには役人が書いたペーパーが入っているんだ、そういうことを小沢さんは言っているじゃないですか。それは、あなた方はやはりそれを持って北方四島の返還を含めて話しに行かれた。何で行ったんですか、あなた。
  339. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 私は今おっしゃられた、おれのポケットには役人がつくった何がしか入っているというような話は今初めて伺いました。およそ、あのときの交渉はとてもそのような話に入るような状況ではなかったわけでございます。  その前の、北方領土の問題についての認識のところでやりとりがなされていたのでございまして、このことは、当時の交渉には外務省の当時の駐モスクワ大使もきちっと同席しておりまして、我々が非常に交渉に難儀した、難渋したということでございまして、とても経済援助の話を前提にしたり、経済援助を提起するような、そんな状況ではなかったのでございます。
  340. 野中広務

    野中委員 そう言われますけれども、当時閣議ですら関係閣僚からこれに対する批判が出たことは、当時の報道も明らかにしておるところでございます。  それを受けて、今度はロシア共和国から最高会議のハズブラートフ議長を初めとする一行が、平成二年十二月の十三日と平成三年二月二十六日の二回計画がありましたけれども、先方の都合で中止になって、そして平成三年の九月の九日に一行がやってまいり、次に平成四年の七月三十一日にまた、これはクラフサフチェンコですか、この人を団長にしてやってきておるわけでございます。これはすべてあなたが段取りをされたわけでありますか。
  341. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 党で、当時私は自由民主党の副幹事長をやっておりまして、そのようなことをお手伝いしたことは事実でございます。しかしながら、当時、これは経緯を申し上げますと、安倍幹事長時代から大変にロシアの、当時のソ連の問題については、自民党としても何とか事を打開しようということで努力がなされまして、さまざまな形で協力がなされ、ゴルバチョフ大統領が来られたときには、私も当時副幹事長でございましたけれども綿貫幹事長を中心に、病身でございました安倍元幹事長等にも出ていただいて交流をするというようなこともやりました。さまざまな努力がなされたことは事実でございました。  しかしながら、その後これがうまくいきませんで、ロシアも状況がどんどん変わってくる、そういう中で何とか少しでも、当時もうソ連共産党が崩壊をいたしまして、党間交流の中で新しい政党もできてくる、そういう中で議会のリーダーたち、そういう人たちと交流を進めていこうということの一環として、自民党の中にこれは記録が 残っているはずでございますけれども、自民党の仕事としてやったことは事実でございます。
  342. 野中広務

    野中委員 おっしゃるとおりでございまして、私が実に不可解なのは、平成四年の七月三十一日にロシア共和国最高会議代表団一行が来たときであります。これはモスコーから成田に着きまして、そして直ちに、十七時に十分の小沢一郎前幹事長と懇談をして、すぐ十九時から熊谷副幹事長主催夕食会をニューオータニの四十階で、バルゴで開催をされております。そして、すぐその朝、もう八時にホテルを出て、羽田から新千歳空港に向かっておるわけでございます。小沢さんとあなたにだけ、東京へ来て翌日は北海道へ飛んでおる、こんなことが、私ども、一体何でこういうことになったのか。  これから限りなくあなたは政権の中枢においてやっていかれる人であります。私どもはそういうことを考えるときに、例えば小沢幹事長のときなどは、平成元年の十一月の十三日からずっと幹事長在職中に、実にソ連そしてロシアから十五回来ているのです。そのうち多くはあなたが立ち会っていらっしゃる。こういうことがこれからの我が国に大きな国益上問題を起こさないように、私はあえて指摘をしておきたいと思うのであります。  最近、このときのクラフサフチェンコさんが何かお越しになるといったような話すら聞くわけでございますだけに、あえて申し上げておきたいと思うのであります。
  343. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 その御指摘の件は、もう正直申しまして、私どももどういうふうに接遇していいか、外務省とも相談をいたしました。当時は党の事務局職員がいろいろな案をつくっていただいたというふうに記憶をいたしております。北方領土の問題を見ていただく、北海道に触れていただく、その住民の気持ちに触れていただく、そのことが必要ではないかという御示唆がございまして、向こう側との日程その他の調整でたしかそのような計画をつくったというふうに記憶をいたしておりまして、格別何事かあったというふうには思っておりません。
  344. 野中広務

    野中委員 私はこの週刊文春の記事を取り上げながら、我が党の資料をも精査をしてあえてこの場であなたに申し上げましたことは、これから一国の外交を進めていく上において、柿澤外務大臣のあり方あるいは熊谷官房長官のあり方に非常に疑念を持つところが多いからであります。  さて、きょうは残念ながら、この後、前内藤通産省産政局長に来ていただく予定でありましたけれども、空港の直前において吐血をされて入院と  いう異常事態で、迎えることができませんでした。  内藤さんを我々が参考人として決定した後に随分いろんな話を私は聞いております。時間がありませんから、ここであえてこれを言うことは避けたいと思うのでありますけれども、先般熊野次官も、この内藤局長を大臣がやめさすに至った状況というのは直前に知ったわけだという話がございましたけれども、あなたは去年の九月のもう二十日過ぎに、通産OBの福川さんに会って、内藤の首を切る、こう言っているじゃありませんか。そして、これを福川さんは熊野さんに報告をし、あるいは児玉元次官にも報告をしておるということが明らかになりました。熊野次官が直前に知ったなどというのは全くのうそでありまして、九月の二十日過ぎにはもうあなたはこれを首を切るということを通産OBの諸君に明らかにしておるわけでございます。  あなたは立法府を利用して、そして、行政府の人間が行政府の中の主要大事について、立法府というところを利用して悪質きわまるやらせ質問をして、立法府のあり方に大きな汚点を残した、私は許しがたいことだと思う。考えがあったらお聞かせを。
  345. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 私は、ただいまも出された福川さんの件を含めて、元事務次官をやっておられる方々に、今のような通産省の状態でいいんですかということはお話をいたしました。しかし、首を切るというようなことを言った覚えはございません、その当時は。いろいろその後の進展の中であのようなことになったわけでございまして、そのような事実はございません。
  346. 野中広務

    野中委員 私は今の発言は絶対に容認することができません。先ほど申し上げましたように、役人の首をとるのにあなたがどういう表現を使ったかは別として、少なくとも事前に通産省のOBの人たちに話をし、そしてこの間、わざわざ自分が辞表を出すことを覚悟の上で大塚次長はここで証言をして、そして明らかに熊谷大臣からのやらせ質問があったことを立証したわけであります。  こういう状況が、我が国の将来の通産行政のあり方、あるいは役人がこれから安心して我が国の行政府の事務に営々として従事していく、そういう道をあなたは危険な道へと追いやるような態度をとっておられるわけであります。そんな恐ろしい人が政権の中枢におるということを私は許せませんし、今の答弁をそのまま容認することはできません。
  347. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 私は、ただいま申し上げましたように、その人事を、首を切るというようなことをお話をしたことはございません。ただ、現在のこの状況はどうしてこのようになったのか、私はこの通産省の中を離れて大分時間がたっておりましたので、先輩の方々とそういう議論をいたしたことでございまして、今のようには思っていないわけでございます。
  348. 野中広務

    野中委員 私は、あえて熊谷官房長官の名誉のために、ソ連問題あるいはロシア問題についても、あのころ現に中山外務大臣、橋本大蔵大臣等から、中尾通産大臣を含めて大変な批判が出たということも、当時のその閣議が明らかにしておることでもあり、また、あなたは自分が中心になってやられたんだと思う。  あなた、副幹事長のときに、自民党の副幹事長サインで、熊谷弘のサインで、二億から党の金が出ているんですから。副幹事長というのは何人もおるのです。五人も六人もおるのに、たった一人、熊谷弘のサインで党の金が二億から出るというのは異常なことです。こんな恐ろしいことをあなたはやってきた。だから、今の答弁は私は絶対に承服することができない。日本を危なくする。
  349. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  350. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こしてください。  野中君の質疑は保留いたします。  この際、山田正彦君から発言を求められておりますので、これを許します。山田正彦君。
  351. 山田正彦

    山田(正)委員 本日の私の発言中、一部穏当を欠き、不適切な部分がございました。この際、その部分を撤回し、陳謝いたします。
  352. 山口鶴男

    山口委員長 この際、御報告いたします。  去る一日の分科会設置の際に、分科員の配置及び主査の選任につきましては委員長に御一任いただいておりましたが、分科員の配置につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりといたします。     ―――――――――――――   第一分科員      後藤田正晴君    志賀  節君      鉢呂 吉雄君    草川 昭三君      渡海紀三朗君   第二分科員      江藤 隆美君    衛藤征士郎君      小澤  潔君    村山 達雄君      山口 鶴男君    石井 啓一君   第三分科員      伊藤 公介君    島村 宜伸君      村田敬次郎君    谷津義男君      山田  宏君    伊東 秀子君  第四分科員      近藤 鉄雄君    柳沢 伯夫君      高木 義明君    三野 優美君       中島 武敏君   第五分科員       高鳥  修君    若林 正俊君       笹山 登生君    坂上 富男君       谷口 隆義君   第六分科員       中川 秀直君    中山 太郎君       川端 達夫君   細川 律夫君       穀田 恵二君   第七分科員       越智 伊平君    関谷 勝嗣君       深谷 隆司君    岡島 正之君       後藤  茂君   第八分科員       東家 嘉幸君    野中 広務君       綿貫 民輔君    月原 茂皓君       中西 績介
  353. 山口鶴男

    山口委員長 また、各分科会の主査は次のとおり指名いたします。         第一分科会主査 宮本 一三君         第二分科会主査 山本 幸三君         第三分科会主査 山本  拓君         第四分科会主査 土田 龍司君         第五分科会主査 鮫島 宗明君         第六分科会主査 長浜 博行君         第七分科会主査 東  祥三君         第八分科会主査 北側 一雄君以上であります。  この際、暫時休憩いたします。     午後六時五十六分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕