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1994-05-30 第129回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年五月三十日(月曜日)     午前十時一分開議  出席委員   委員長 山口 鶴男君    理事 衛藤征士郎君 理事 中川 秀直君    理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君    理事 月原 茂皓君 理事 山田  宏君    理事 後藤  茂君 理事 中西 績介君    理事 草川 昭三君       伊藤 公介君    江藤 隆美君       小澤  潔君    越智 伊平君       金田 英行君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       島村 宜伸君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    蓮実  進君       村山 達雄君    谷津 義男君       柳沢 伯夫君    山本 公一君       若林 正俊君    綿貫 民輔君       岡島 正之君    川端 達夫君       工藤堅太郎君    笹山 登生君       鮫島 宗明君    田名部匡省君       高木 義明君    長浜 博行君       二階 俊博君    宮本 一三君       山本 幸三君    伊東 秀子君       坂上 富男君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    三野 優美君       東  祥三君    石井 啓一君       上田 晃弘君    北側 一雄君       谷口 隆義君    富田 茂之君       渡海紀三朗君    穀田 恵二君       松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  羽田  孜君         法 務 大 臣 中井  洽君         外 務 大 臣 柿澤 弘治君         大 蔵 大 臣 藤井 裕久君         文 部 大 臣 赤松 良子君         厚 生 大 臣 大内 啓伍君         農林水産大臣  加藤 六月君         通商産業大臣  畑 英次郎君         運 輸 大 臣 二見 伸明君         郵 政 大 臣 日笠 勝之君         労 働 大 臣 鳩山 邦夫君         建 設 大 臣 森本 晃司君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     石井  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)熊谷  弘君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 石田幸四郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      佐藤 守良君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 神田  厚君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      寺澤 芳男君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近江巳記夫君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 浜四津敏子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 左藤  恵君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       藤井  威君         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局審査部長 関根 芳郎君         警察長刑事局長 垣見  隆君         総務庁長官官房         長       池ノ内祐司君         総務庁行政管理         局長      八木 俊道君         北海道開発庁総         務監理官    加藤  昭君         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁参事官  萩  次郎君         防衛庁参事官  太田 眞弘君         防衛庁長官官房         長       宝珠山 昇君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛施設庁労務         部長      小澤  毅君         経済企画庁調整         局長      小林  惇君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         経済企画庁総合         計画局長    吉川  淳君         経済企画庁調査         局長      土志田征一君         科学技術庁科学         技術政策局長  島  弘志君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君         環境庁長官官房         長       大西 孝夫君         環境庁企画調整         局長      森  仁美君         環境庁自然保護         局長      奥村 明雄君         法務省刑事局長 則定  衛君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    高野幸二郎君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省条約局長 丹波  實君         大蔵大臣官房総         務審議官    田波 耕治君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省関税局長 高橋 厚男君         大蔵省理財局長 石坂 匡身君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         大蔵省銀行局保         険部長     山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆俊君         国税庁次長   三浦 正顯君         文部大臣官房長 吉田  茂君         文部省初等中等         教育局長    野崎  弘君         文部省教育助成         局長      井上 孝美君         文部省学術国際         局長      佐藤 禎一君         厚生大臣官房総         務審議官    佐々木典夫君         厚生省社会・援         護局長     土井  豊君         厚生省老人保健         福祉局長    横尾 和子君         厚生省年金局長 山口 剛彦君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         農林水産省構造         改善局長    入澤  肇君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省畜産         局長      高木 勇樹君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         食糧庁長官   上野 博史君         林野庁長官   塚本 隆久君         水産庁長官   鎭西 迪雄君         通商産業大臣官         房総務審議官  江崎  格君         通商産業省通商         政策局長    坂本 吉弘君         通商産業省産業         政策局長    堤  富男君         通商産業省生活         産業局長    土居 征夫君         運輸大臣官房長 黒野 匡彦君         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         運輸省鉄道局長 秦野  裕君         運輸省自動車交         通局長     越智 正英君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       樋口 忠夫君         運輸省航空局長 土坂 泰敏君         運輸省航空局技         術部長     北田 彰良君         運輸大臣官房財         務部長     楠田 修司君         労働大臣官房長 征矢 紀臣君         労働省労政局長 齋藤 邦彦君         労働省労働基準         局長      石岡慎太郎君         労働省職業安定         局長      七瀬 時雄君         労働省職業能力         開発局長    松原 東樹君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済         局長      小野 邦久君         建設省都市局長 黒川  弘君         建設省住宅局長 三井 康壽君         自治大臣官房総         務審議官    松本 英昭君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 滝   実君  委員外出席者         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      木村 泰彦君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   東家 嘉幸君     山本 公一君   中山 太郎君     金田 英行君   村田敬次郎君     蓮実  進君   江崎 鐵磨君     二階 俊博君   田名部匡省君     宮本 一三君   石井 啓一君     富田 茂之君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     中山 太郎君   蓮実  進君     村田敬次郎君   山本 公一君     東家 嘉幸君   宮本 一三君     田名部匡省君   富田 茂之君     上田 晃弘君 同日  辞任         補欠選任   上田 晃弘君     石井 啓一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成六年度一般会計予算  平成六年度特別会計予算  平成六年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 山口公生

    山口委員長 これより会議を開きます。  平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算平成六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鉢呂吉雄君。
  3. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、日本社会党護憲民主連合を代表して、農業問題を中心に総理並びに各大臣に御質問をさせていただきます。  まずその前に、二、三の問題について最初に質問をさせていただきます。  羽田総理にお伺いをいたしますけれども、四月の二十八日に羽田政権発足をしてちょうど一月を超えようとした段階でありますけれども、この一カ月間、本当に獅子奮迅の活躍と言っていいかどうか、見る人によって違いますけれども総理みずからこの一カ月を振り返っての、総理の言葉で言えば率直な御感想をお聞きいたしたいと思います。
  4. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私ども、まずこの政権少数与党の上に乗った政権であるということ、そういったことのためにいろいろな気配り、心配りをしながら謙虚に努めてきたつもりであります。  そして、その中にあっては、まずやっぱり国民の声を聞こうということのために目安箱をつくる、そしてそういったものを拝見さしていただくということで国民の声を知ること、それから一番大事なことは、暫定予算そして本予算をぜひ一日も早く国会で通していただきたいということのために国会で努めてきたこと。  それからもう一点は、やっぱり日本の国が大きく変革のときにあるということで、政治改革を進めると同時にもう一つ経済改革も進めなきゃいけないということのために、いわゆる規制緩和、こういったことを進めるための各行政改革委員会が実は今度地方分権も含めまして四つになりますけれども、こういったところでお願いをし、またこういったものを進めるために相当な努力をしてきたと思います。  それともう一点は、公共料金、いろいろな御批判もありますけれども所得減税をやった、しかし公共料金が上がりましたということではいけないということで、公共料金を初めとする物価問題、国民生活を少しでも高めるための物価問題、こんな問題と真っ正面から取り組んできたつもりであります。
  5. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今総理から冒頭、少数内閣の船出だということで国民理解を求めてという発言があったのですけれども、私もこの予算委員会総理の御発言を聞きながら、いまだ余りかつてない少数政党による内閣ということで厳しい政局運営を強いられておるということは間違いないだろうというふうに思っております。やろうとしてこういう形になったわけでないことは事実でありますけれども、やはり政権安定性ということは、この日本議院内閣制でありますから極めて大切だろうというふうに思いますけれども羽田総理としてこの政権安定性ということについてどういった考え方をお持ちなのか、今のみずからの内閣のこういう状況に照らしてどのようなお考えをしておるのか、またどういう考え方に立って安定化を進めようとしておるのか、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  6. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 まず第一の問題は、私が当面する内外の山積する課題というものを見ましたときに、これはもう遠回りして、あるいは先送りできる問題じゃないということでありまして、その意味ではこれは野党、与党を問わずみんな同じものであろうと思っております。ですから、そういったものを踏まえて対応していくということであるならば、私は皆様の御理解を得られるものであろうというふうに考えておりまして、そういうつもりで政局運営というものに当たっていかなければならないと思っております。  それからもう一点は、確かに少数与党になったのは、社会党離脱されたということであります。私どもは今お話があったように、結果としてそうなったということでありまして、しかし、私は、我々が真摯に努力をしていくならば、必ずまた御理解をいただけ、ともに一緒にやれる日があるのじゃなかろうか、そんなつもりでこれからも努力をしていきたいというのが私の心からのお願いであり、努力をしなければならないという思いであります。
  7. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 総理は一昨日も横浜で街頭演説をしたようでありますから、そこの内容も新聞報道では、内閣の組閣のときに、社会党のこの離脱の原因になった改新会派結成について、いつ聞いたんだという話で若干の微妙な修正をしたかのような報道もあります。私は、いつ聞いたかどうかというようなこと、これも大きな問題でありますけれども、私ども羽田孜さんと書いたわけでありますけれども、現時点に立って、やはりこの少数政党内閣というのは異常であるというふうに私は思います。また、結果こういう状態になったということの責任は、羽田総理としても十分感じながら、これをどう打開をしていくのかということについて、やっぱり総理みずからの責任でこの方向性を示すべきであるというふうに思いますけれども、この点についてどのように考えておるか。
  8. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 その点につきましては、例えば各党合意というもの、こういったものを踏まえながら着実に、誠実に政策を進めていくということが皆様理解を得られることであろうというふうに考えております。
  9. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 問題は各党理解というよりも、現実にこういうふうになっています。総理は、何かの間違いであった、ボタンのかけ違いだったと、あるいは何とかもとに戻ってもらいたいというようなことで、街頭演説もそのことを盛んに言っておるようでありますけれども、しかし、そのことを行うには、やっぱり総理の重大な決意でもって行わなければなかなかこれはなし遂げられない。私は、この改新会派については解消してもいいというような話もありますけれども、昨年七月の確認事項やあるいは今回の確認事項については私どももそれをよしとしたわけでありますけれども、しかし、やっぱりここに至った誤りをきちんと総理として責任をつけなければ、けじめをつけなければならないところに来ておると思いますね。  確かにこの間、政治手法の違いによるところが大きい。今回の改新結成についても、総理がいつ聞いたかどうかは別として、極めて密室性の中で物事が進んだ。もちろんこれは会派結成することでありますから、連立与党の他の会派関係ないと言われればそのとおりでありましょうけれども首班指名が終わってからあの会派届け出をするまで、まさに国民の目から全然わからないところで、新生党も入った段階会派届け出がなされたわけでありますから、そういった密室性を排除するという総理のやっぱり指導性が今求められておる。  端的にいいますと、権力の二重構造というようなことが言われておるわけでありますから、総理は、演出する者と、それから俳優は分担をしておるんだということをあの発足当時の記者会見でも述べておりますけれども、こういう大きな問題については、やはり総理あるいは新生党党首としてきちんとしたけじめをつけるべきである、そのことなしに政権安定性は望めないというふうに私は思いますけれども総理考え方をお聞きいたしたいと思います。
  10. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 基本的に総理というのは、これは特に連立与党でありますから、もう党にこだわるとか党に籍を置くということではなくて、むしろ連立の上に乗るものであろうというふうに思っておりまして、そのように今日も心がけておるところであります。  それと、もう一点の点につきましては、これはもう何というんですか、だれがどうのとよく議論するわけなんですけれども、真っ正面から、私は連立の中で、あるときにはどなり合いになったって構わぬから大いにやはり議論して、そして本当の民主的なものをつくり上げていくということが必要だろうと思う。  ただ、ある時期においては、あの八カ月間というのはどうしても皆タイムリミットのある問題ですね。ですから、ひょっと見たときにはやはり、強引だというように見られるようなあれがあるかもしれませんけれども、みんな全部、国際的にも国内の問題でも全部限界のある問題であるという中で、だれかがやはり指導性というのを発揮しなければならなかったのだろうと思います。  しかし、これから我々の目指すものというのは、本当に話し合いの中で物事をやっていくということが何といってもやはり重要なことですから、これからそういった問題は、どんどん真っ正面から議論をしていただきながら、新しい民主的な一つのルールというものをつくり上げていってもらうということがこれからの政治に必要なことであろうということを私も考えております。
  11. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 八カ月間の指導性を含めて総理は今の発言をされたわけでありますけれども、そんな今、羽田内閣としても簡単な状況では私はないと思いますね。  羽田総理は、行政政党を分けてというようなことも今発言をされましたけれども、やはりあの政権離脱の、本当に総理がそういうことで結果としても納得し得ないということであれば、ああいう問題については総理指導性を発揮して、やはりそこに民主性ですとかあるいは公開性というものに対する具体的なものを総理みずからが出すべきである、私はそういうふうに思いますけれども、再度御答弁を願いたいと思います。
  12. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私はどこでも公言をいたしておるわけでありまして、ひそかにだれかとどうのこうのなんという話ではない。むしろ私は、みずかちの発言の中でその方向性を示しておると思います。そして、それぞれの政党が、今、日本の国がどうあるべきだ、国家はどうあるべきだ、これからの国の進路はどうあるべきだということを考えれば、おのずと私はそこに話し合いの場というものは必ずできてくるというふうに思っておりまして、私はそういった問題について、これからも、別にひそかに話すということじゃなくて、公の場で私自身の考え方というものを述べていきたいというふうに思っております。
  13. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間がありませんから次に移りますけれども、いわゆる強権政治的な手法というものをきちんと排除する、そういう責任総理には、あるいはこの連立政権の最高の党首を兼ねておるわけですから、私は、そういうものが今求められておるというふうにこの際申し上げておく次第でございます。  次に、外務大臣にお尋ねを申し上げます。  先週末でありますけれどもIAEA国際原子力機関北朝鮮のいわゆる原子炉燃料棒の抜き取りについての交渉が決裂をしたというような段階を迎えておりますけれども、この経過、あるいは今国連あるいはアメリカがどのような協議をされておるのか、この点についての経過報告をまず願いたいと思います。
  14. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 お答え申し上げます。  北朝鮮の核兵器の開発問題につきましては、現在、三月三十一日の国連安保理議長声明を受けて、対話協議による解決に向けて努力が続けられているところでございます。  しかしながら、先生御指摘のように、五メガワット実験炉について、必要な保障措置実施方法を明確化するためのIAEA北朝鮮との間の協議が二十七日に不成功に終わりまして、IAEA代表団は、一部の査察官を残してウィーンに引き揚げるということになりました。  また、北朝鮮は、引き続き実験炉における燃料棒取り出し作業を行っているところでございます。このままの作業のテンポで進みますと、二、三日中には今後の検証が難しくなるという状況も憂慮されるわけでございまして、その点、我が国としても、北朝鮮側本件協議に誠意ある対応をしてもらうべく、いろいろな形で北朝鮮にも申し入れを行っているところでございます。  また、米国といたしましても、米朝協議の再開に向けて決断をしたところでもございますので、何とかIAEAによる査察が今後進行されるよう、目下、米朝、また日米韓、中も含めましていろいろと協議をしているということでございますので、その成り行きが成功裏に進みますように、我々としても、今後とも引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  15. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今、経過は、報告、わかりました。確かに、国連決議経済制裁というようなことの新聞報道もありますけれども、今外務大臣が言われましたように、できる限りそういう形にならないように、対話を重ねて米朝会談の実現がされるように、さまざまな北朝鮮側の意図もあるのかもわかりませんけれども米朝会談を通した平和的な解決といいますか、そういう方向に持っていっていただきたい。  ただ私は、この間の日本政府としての動きを見てみますと、非常に米朝関係、あるいは中国側北朝鮮に話をしてもらうというようなことを繰り返しておる。もちろん国交がないわけですから、そのことはわかります。しかし、日本の安全にとって極めて重大な朝鮮半島のことでありますから、この予算委員会では何か、制裁、経済制裁等に伴う日本政府の物理的なあり方について、内閣として、国会には申し上げられないけれども検討しているかのような発言が繰り返されておるのですけれども日本政府として、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国自体に対してどのような働きかけを行っておるのか、まあ直接、間接でもよろしいのですけれども。  現在こういう状態でありながら、極めてこれが見えない、私はそう言わざるを得ません。これは羽田総理にもお伺いをしたいんですけれども、どんな道を使ってでもやはり直接に働きかけるということは、このことがやはり極めて大切だ。羽田総理の所信表明演説を見ても、日本の平和憲法というものを高く評価しておる、しかも、そういう形をとりたいということで、言葉で言っておるわけですから、具体的な行動として示す必要が今日この朝鮮半島問題についてはあるのではないかというふうに思いますけれども、具体的な行動予定、計画というものがありましたら、お示しを願いたいと思います。
  16. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 総理大臣から御決意の表明があると思いますが、私どもとしては、一昨年の十一月、日朝国交正常化の交渉が、李恩恵問題を契機にして北朝鮮側が席を立つという形で中断をいたしておりまして、その後、呼びかけにもかかわらず会談が再開されていないということは大変残念でございます。  そうした状況にございますので、私どもとしては、北朝鮮に向けて直接に我々のメッセージを伝えたいという思いがありながら、なかなか思うに任せないという点は大変残念に思っております。しかしながら、北京駐在の日本国大使館の館員もしくはニューヨーク駐在の国連代表部の館員等を通じまして、北朝鮮側にも我が国の態度、つまりIAEA査察を誠実に受け入れるようにと、そしてこの問題を平和的に解決するようにという趣旨のことは、再三にわたって申し入れをいたしているところでございます。  今回、五メガワット燃料棒取り出し作業が引き続き行われている、そしてIAEA側がこのままでは査察が実施できないということで引き揚げる段階になりました後も、そうした努力は、これは公にいっどこでということは申し上げられませんけれども、いたしておりまして、そういう方向で進んでいくよう、また、日本としてはそうした強い希望を持っているということを明確に北朝鮮側に知ってもらうよう努力をしているところでございます。
  17. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 前段お話しになったことについてはもうあれしませんけれども、私どもといたしましては、アメリカに対してもあるいは韓国に対しましても、やっぱり粘り強い対話というものをしてほしいということを何回も実は申し上げてきております。それと同時に、ロシアですとかあるいは非同盟の国ですとか、今お話しになったようなところを通じながらも訴えております。  それと同時に、私ども、記者との会見ですとか懇談ですとか、そういったものは表面に出ていくものでありますから、そういった機会を通じながら、私たちがいわゆるこの核の問題に対してどういう考えを持っているかということを率直に述べると同時に、北朝鮮が国際社会のいろんな懸念に対して門戸を、要するに心を開いてもらいたい。ということになれば、私たちも、韓国やあるいはアメリカや中国やそして日本、みんな協力しながら、いわゆる北朝鮮の生活といいますか、こういったものの向上のために我々としても幾らでも協力することができるんだ、そういうことのためにも心を開いてほしいということを伝えておるということであります。
  18. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に、大蔵省は先週の二十七日に税制改革に関する機械的な試算というものを出したわけであります。私どものこの予算委員会にも文書が配られたわけでありますけれども、これを見ますと、消費税率を七%以上で一〇%まで段階に分けて出しておるわけで、名称どおり極めて機械的な試算である。この程度のものしか大蔵省は出ないのかなという、私ども党内でも大変な批判のあるところであります。  もっと要件の出し方についての選択肢を出して、国民がわかるように、きちんと評価を与えられるようなものをつくるべきであろうというふうに思います。大蔵大臣として、このような試算でいいのか、あるいは再提出を私どもは求めたいと思いますけれども、どのようにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
  19. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいまおっしゃっていただきましたように、また二十七日の日には、大島委員質問にお答えいたしましたように、一つの前提を置いて機械的計算を出してもらいたいという話が税調からございました。これは、定量的なものもひとつ見ながら議論したいというお話であったように承知をいたしております。  そのとき税調が条件として言われたことが三つございます。一つは、所得課税の軽減と消費課税の充実という方向はしっかり出すこと。第二番目に、今後の超長寿社会に対応できるための福祉財源も適切に対応すること。第三番目に、この税制改革によって財政体質の悪化につながるようなことのないような、この三つの前提で機械的計算をしてほしい、こういうことでございまして、今の三つの条件にかなうという意味において機械的計算を提出いたしました。  しかし、御指摘のように、これは政策判断が一切入っておりません。政策判断の中には、何%という議論のほかに一体不公平税制をどうするのか、あるいは行政改革をどうするのか、歳出の見直しをどうするのか、これらも政策でございますが、そういうことを一切入れておりませんので、今後、これはまず税調に出す機械的計算でございますが、そこいらを含めて、多くの皆様の御意見、御議論をいただくことだと考えております。
  20. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今大蔵大臣言われましたように、不公平税制の是正ですとか、あるいは行財政改革ですとか、歳出の見直し、歳入の自然増のあり方等々を一つの試算として示して、私は国民の評価を受けるべきだろう。しかも七%以上としておるということは、まさにまず増税ありきの大蔵省の二月のあの考え方を踏襲しておるのではないか。やはりそれ以下の税率ですとか、あるいは国債の償還についても、違った十年でないものを見せる必要があるのではないかというふうに思いますから、もう一度再提出をするのかどうか、御答弁を願いたいと思います。
  21. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいま申し上げたような趣旨でございまして、これから政策議論はぜひやっていただきたいと思います。あのようなものにこだわらずにぜひ私はやっていただきたいというのが、これは率直な気持ちでございます。ただ、自然増収につきましては、参考といたしまして計上しておりますので、御参考にしていただければありがたいと思っております。
  22. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 質問事項はきょう朝お示しをしたのでありますけれども、きょうは共和汚職事件の東京地裁の判決が下されまして、一審の判決でありますけれども、懲役三年の実刑判決という厳しい判決が下されたところです。求刑は三年六カ月だったと思いますけれども。  総理にお伺いをしたいのですけれども、まさに大臣の現職当時の受託収賄罪という極めて国民の大きな批判を浴びたこの事件について、きょう司法の第一審の判断が示されたわけであります。政治改革はまだ道半ばでありますけれども総理としてこの判決についてどのような考え方を持っておるのか。手元にはもう既に行っていると思いますけれども、三年の実刑判決という極めて厳しい判決でありますので、総理考え方をお聞きをいたしたいと思います。
  23. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私ども政治家としてともに政治活動をしていた仲間がこういうことになつたことは、大変残念にまず思います。  それと同時に、例えば公共事業ですとかこういったものを通じながら、そういったところから政治資金といいますかそういうことを得る、こういったところにやっぱり問題があるということでございまして、こういうことの原因は一体何にあるんだろうかということを考えましたときに、もちろん個人の倫理の問題ということは当然ある、それはもう指摘されるまでもないことだろうと思います。  それと同時に、政治に金がかかるというこの根源を断ち切っていかなければいけないだろうということ、そして、そういったものの根源には、やっぱり制度というものが、複数が選ばれる制度というところに問題があったんじゃないのか。むしろそういったものを正して、そういう活動とかそういったものの基本というものは政党がやっていくことがよろしいんじゃなかろうか。そういったもののために、政治改革を何が何でもなし遂げていかなければならぬだろうと思います。  ただし、それを進めるときには、区割りの問題ですとか、今まで培ってきた選挙区が失われるという中で、痛い、つらい思いが当然あると思いますけれども、しかし私どもは、それを乗り越えないと本当の改革がなされないということを今改めて感じておるところであります。
  24. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それでは、ガット・ウルグアイ・ラウンドと農業問題に移らさせていただきます。  この問題については、昨年の十二月にガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の合意案を受け入れをするという苦渋の決断を政府としても、また連立与党各党としてもしたところでございます。私ども日本社会党も、この問題について党内で協議をしながら、最終的にウルグアイ・ラウンドの成功を図る、あるいはまた連立政権に参画をしておるということを重く見ながら、これを了とする、了解をするという判断を下したわけでございます。  しかし、また同時に、私ども、ガット後の国内対策、農業対策については万全を期さなければならないということで、党内にいち早く村山委員長を本部長とする農業農村再建緊急対策本部を設置しまして、今日まで取り組みをしてきたところでございます。  とりわけ一月の上旬には農業、農村再建のための骨子を発表いたしまして取り組みを始めておるところでございまして、私どもといたしましては、この厳しい状況下で我が国の農業、農村の再建を図るために、農政の抜本的な改革を促進をするという視点で、二つ大きくあるのですけれども、世界の農産物貿易のルールについて改めて日本がリーダーシップをとる形でルールづくりを進めるべきである。  そして二つ目でありますけれども、国内のこれまでの農政やあるいは一昨年発表された新政策、こういうものにもう一度見直しを全面的に加えて、例えば基本法の制定ですとか、あるいはまた価格政策、所得政策あるいは地域政策というもの全般について抜本的な改革を図るという視点で行ってきたところでございます。あわせて、与党でありますから、第三次補正予算あるいはまた平成六年度のこの本予算に働きかけをしてきたところでございます。  私どもは、この秋に臨時国会が予定され、このガットの批准がなされるものというふうに考えております。それに向けて今農政審に政府はかけておるということでありますけれども、党としても肉づけをきちんとして国内の万全な対策を図るということで、党内に六つの小委員会を設けて、六月の上旬にはこの成案を得たいということで今進めておるところでありまして、二カ月ほどかかってこれを進めておるところでございます。  したがいまして、きょうは我が党のそういう考え方内閣の皆さんに御提示をしながら、何とか、言ってみれば官僚主導じゃなくて、政治主導で万全な国内対策を講ずるという姿勢で質問をいたしたいというふうに考えておるところでございます。幸い、羽田総理も農水大臣の経験者でございますし、加藤農水大臣も再びの農水大臣でありますから、ぜひ前向きの大臣としての御答弁をお願いをいたしたいというふうに考えておるところでございます。  私ども、秋の批准国会は、そういった意味では、国内対策が万全でないときには重大な決意で臨まざるを得ないというふうな考え方もしておるわけでありますから、そういった方向国会内で各政党が全力を尽くしていただきたいものだなというふうに考えておる次第でございます。  そういった意味で、羽田総理にお伺いをいたしますけれども、昨年の細川総理の、十二月十四日の総理談話、この中にはこのように記載をされております。農家の方々に不安や動揺を来さないためにも万全の対策を講ずるという考えを表明されておりますけれども、この考えについて明田総理はどのようにお考えになるのか、まずそこからお聞きをいたしたいと思います。
  25. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 御指摘のとおり、我々、苦渋の選択をしたわけであります。しかし私どもは、それによって日本の農業あるいは食糧、こういったものがおかしな方向に行ってしまうということは、一億二千万を抱える国として、国家としてゆゆしき問題であろうと思っております。その意味で、前総理があの時点で発表されたことについて、私どもも当然これを受けとめなければいけないし、私自身もこの対策のための本部長を務めることになっておりますから、そのつもりで対応していきたいと思っております。  それに加えて、今新しい食糧問題あるいは農業、農村というのがここのところずっと検討されてきておるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、本当に農業をやるという人を一体どう生かしていくのかということ、あるいは兼業農家をどう位置づけていくのかということ、あるいはそこから生産された例えば農産物、こういったものを加工の人たちが実需として使っていくわけでありますけれども、こういったものに対してどう提供していくのか、あるいは後継者が今大変不足しておるという現状の中で、こういった問題に対してどう対応するのかということ、こういったものをこのウルグアイ・ラウンドの決着というものに合わせて、私たちは本当に難しい問題でも真っ正面から議論しながら、その方向を生み出していくことが大事であろうというふうに考えておりまして、その陣頭に立っていかなければならない、その覚悟で臨んでいきたいというふうに考えます。
  26. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 言葉としては羽田総理の言うとおりだと思います。しかし、あの十二月の十四日の談話に見られるように、農家の不安や動揺を来さない、あるいはまた閣議了解でありましたけれども、農家の営農に支障を来さないように、農家の不安を払拭をしてという文言も入っておるとおり、この受け入れについては大変大きな農家の不安がある。しかも、こういう国会決議に反したということで、政治に対する不信も私は大きいものがあるというふうに思います。  私も地元に帰ってみても、不安感はいまだ払拭をされておらない。もちろん、一朝一夕に施策が出るものでないことは確かであります。羽田総理が就任をされて、本部長をその後継いでおるというふうに言葉では言われておりますけれども、十六の大臣があの緊急対策本部をつくったわけでありますけれども、いまだ一度か、新内閣になってあの本部の会議をやったことがありますか。
  27. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 実質的にはまだ十幾日ぐらいのこの内閣であるということでございますから、そして今農政審議会でもこういった事態に対してどう対応するのかということを真剣に御議論をいただいておりますから、そういうものを受けとめながら、私たちはやるべきことは機動的にやっていきたいと思っておりますけれども、今まだこれは開いておりません。
  28. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほども言いましたように、農政審に任せる。農政審もいろいろな議論をして、若干、米等の食管の方に議論が沸騰しておるようでありますけれども、やはり政治指導性といいますか、この対策本部の指導性を発揮しながら、大臣のさまざまな意見が指導的に発揮されるように、私ども、そういった意味で、農政審の中間答申が出てからではもう遅過ぎるわけでありますから、その前の段階政党考え方も打ち出したいという考え方で今一生懸命やっておるところであります。  そういった意味で、内閣総理大臣がこの本部長をつくっておるわけでありますから、私は、今のような状態で、七月末に農政審答申を踏まえるという形で農政審議会に任せるという手法はやはりとるべきでない。このことが農家には不安を払拭するどころか、まさにある面では深刻化、増幅をさせておるというところもあるわけでありますから、そういった意味で総理指導性を発揮していただきたい。  やはりこの本部の会合あたりは、新しい内閣になったわけでありますから、こう言っては申しわけないんですけれども、農業問題、農村と都市がこういうふうに分かれておる状況でわかりにくいという声も議員の中からはあります、都会の議員の皆ざんには。私はそういった意味で、意思一致をするためにも、この対策本部というものを早急に開いていただきたいというふうに思いますけれども総理のお考えをお聞きしたい。
  29. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 もう御指摘の御趣旨は私もよく承知いたします。しかし、農政審議会というのは、御案内のとおりあらゆる分野の方々あるいは農業者を代表する方々、そういった方々の出席もあるということでありますから、やはりそういったところの声というものに対して我々も謙虚に耳をかさなきゃならぬと思います。  しかし、私の方も、この御審議の過程の中にあって、国会の審議とそれから農政審の審議、その辺を見ながら、私自身やはり一度はまず皆さんの話を直接、私からの考え方も申し上げながら、そういう機会というものをつくっていかなきゃならぬという思いで実はおるところであります。
  30. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 十六の大臣がこの構成のメンバーになっておるのでありますから、そういう意味で積極的な、内閣としての働きかけをぜひしていただきたいと思います。  そこで、まずガット・ウルグアイ・ラウンドの農業分野の合意についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。  羽田総理は、このガット・ウルグアイ・ラウンドの農業分野の合意についてどのような評価をされておるのか、まずこの点からお聞かせを願いたいと思います。
  31. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私どもは、国会の決議を尊重しながら、七年数カ月間、これは大臣というだけでなく、党の責任者としてその他の立場でずっと訴えてまいりました。  ただ問題は、世界各国ともみんな難しい問題を、全部が一つのテーブル、ラウンドというテーブルにのせてお互いに議論しましょうということでありました。ただ、そういう中にありましては、日本がいわゆる関税化というもの、今までの障壁というものを関税に置きかえるというわけですね。この関税に置きかえましようということに対して、私は、関税というものはどんどん下げられていってしまうものであるから、これは受け入れることはできないということをずっと言い続けてまいりました。  しかし、何も一切、日本の米という一つの産品だけをとらまえて、これを要するに貫き通しちゃうということでは実際にガットをまとめることができないという中で、今度のミニマムアクセスというものについては、まさにぎりぎりの選択であったというふうに考えまして、まあ断腸の思いで対応したわけでありますけれども、ガット全体としては、私は新しい自由貿易というものの方向を示したものであろうと思います。  ただ問題は、人口もふえていく、あるいは農地が壊廃していくという世界の現状があるということを考えたときに、農産物というもの、そしてそれぞれの国の主の食物というものはただ単に貿易的な観点だけで考えていいのかなという思いは、率直に申し上げて私の気持ちの中に今でもあるということであります。  いずれにしましても、スタートした以上、そういった中で日本の農民の方々が不安のないようにやはり対応することが重要であろうというふうに思っております。
  32. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 十四日の細川総理の談話の中でも、このように述べておるのです。今回の受諾については、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功、ひいては自由貿易体制の維持強化によってもたらされる幅広い国民的利益、そういう観点でぎりぎりの決断をしたんだというふうに述べておるわけであります。  私も、自由貿易を守るという国民的な利益、そういうことから苦渋の決断になった、社会党もそういう談話を発表しておるところでありまして、そういった中では、総理にお伺いをいたしたいのは、農業については、さまざまなほかのいろいろな貿易になじまない観点もある中で、言ってみれば日本の自由貿易全体を守るという中で農業を犠牲にしても決断をせざるを得なかった、こういう考え方でよろしいのかどうか、確認をしておきたいと思います。
  33. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 冒頭に申し上げましたように、日本の国というのは一億二千万を超える国民があるということであります。しかも、米といいましても、日本の食べる米というのは世界の中でほんの数%とも言えないぐらいのわずかな量しかない、一%をあるいは切るんじゃないのかなという思いさえいたすわけであります。その意味で私は、幾ら自由貿易を進めるからといって、国民の命を支える食糧というものを犠牲にしていいという考えは一切持たないものであります。  ただ、要するに、世界もやはり同じ農産物というものを同じテーブルにのせるということでありますから、そういう中で、これは食糧だけを輸出している国もあるわけですね、そういった立場というものに対してもやはり配慮していかなければならなかったというところが苦渋に満ちた選択であったということでございます。
  34. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 さらに同時に、この七年に及ぶ我が国の交渉の態度といいますか、交渉の評価でありますけれども、私も四年の議員生活でありますから短いのでありますけれども、ガット本部に三度、あるいは三年前でしたか、ブラッセルの閣僚会議にもその前段で行かさせていただきました。昨年の三月にはワシントンに行きまして、国務省、農務省あるいは上下両院の農業の有力議員、デラガルザ下院の農業委員長、まあ羽田総理の話もしておりましたけれども、お会いをしてきました。  昨年の十二月には、羽田外務大臣、当時の外務大臣とは別なんですけれども、党の代表で行きまして、羽田総理が本当に二時三時まで、朝方四極通商会議等をやりながらということについての報告も二度もしていただきながら、そういう経験を持ったところであります。全般を通じまして、やはりこの交渉については、これはいろいろな関税が、高関税を六年間張ったというような前向きの評価もありますけれども、私は必ずしも日本にとっては交渉の成功の分野には入らないだろうというふうに思わざるを得ません。  それはなぜかといいますと、やはり外交交渉でありますから、これは最大の国益を求めて、できるだけ少ない譲歩を図るといいますか、そういうものであろうというふうに思っています。しかし今回は、多国間交渉であるとか、あるいはまた国会決議という極めて重い決議がありました。それが守り貫き通せた場合には、私はそのことが大変大きな役割を果たしたというふうに考えますけれども、結果としてこれを、国会決議を踏みにじるような結果になったわけであります。  必ずしも交渉の経過では日本政府の顔が交渉の段階に見えなかった。七年間を見てみますと、さまざまなサミットはありましたけれども、あるいはアメリカの首脳から米問題が持ち出されましたけれども、ガット段階で交渉しているということで日本は避け続けていったと言ってはおかしいのですけれども、アメリカとECのあの交渉を見ても、やはり二国間の交渉を積み上げる中でガットに反映をしておるという手法もあったわけでありますから、私はそういう意味では、日本の政府として、政治家、大臣を含めての交渉における割合というものも極めて低かったというふうに指摘をせざるを得ないわけであります。もちろん数回の交渉はしておりますけれども、しかし、徹頭徹尾の時間を区切らない交渉の仕方というものはしておらない。  これは私も、山本富雄農水大臣から始まりまして、今度亡くなりました農水大臣、あるいはまた田名部さんや畑さんにも申し上げてきたのです。社会党は何も二国間交渉を推進するということではないわけでありますけれども、しかし、やはり政府当局の最高の責任者が本当に死に物狂いの交渉をしておるのかということについて、再三再四農水委員会でも私は指摘したのであります。私はそういった意味で、今回の交渉の手法には反省すべき点があるのではないかというふうに思うわけでありますけれども総理のお考えをお聞きをいたしたい。
  35. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは、二国間交渉がECとアメリカと行われたということで、まあ地域とアメリカと行われたわけでありますけれども、私は、我々の交渉というのはそれ以上のものであったというふうに思います。  要するに、私たちの顔を見ますと米、ミスターライスなんというようなことで呼ばれたりなんかするぐらいに、これは真っ正面から実は国会の決議というものをもとにしながら議論してきたのです。よその国がいつのときにどこにいたじゃないか、日本大臣は一体どうしたんだという話がありますけれども、とんでもないのであって、それまでの間、それらの国はそういったときには動かなかったけれども日本の国はこの交渉が始まって以来七年何カ月というものは、大変な数ですよ。何十回どころか、もっと数は多かったかもしれない。しかもこれは、向こうを訪ねるだけじゃなくて、向こうから来る人に対しても我々は対応してきたわけでございまして、そのために費やした時間というものは大変なものがあったと思う。  そして、私どもはこの米の問題については、まず日本の農業の実態、あるいはそこで働く農民の問題、農村の問題、農村がそういったものに対してどうやって連携しながら農業を営んでいるかという問題、あるいはそれが環境に及ぼす問題、またそこから生まれてきた文化の問題、こういったものについてまで幅広い実は議論をしてきたということなんです。  ただ御案内のとおり、どこの国もやはりみんな痛みがなくてはこういった問題は解決しないという中で、まさにやむを得ない措置としてああいった対応をせざるを得なかったということでありまして、それでも、絶対にこれは関税以外はだめなんだというものを押し返したこと、それから国家貿易的なやり方というものに対しては、これはいけないというものを、そういったものを残すことができたということ、こういったこと、例えば食糧庁なんかでああいうやり方をすることについては、これは一切だめだという話だった、これも実はひっくり返すことができたということ、こういうものを考えたときに、厳しい結果でありますけれども、しかしその中にあって、国際社会の中で、私どもの主張というものを相当程度理解してもらうことができたのじゃなかろうかという私は確信を持っております。
  36. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 米を自給をするということを譲ったという点では、私は、先ほども言いましたけれども、交渉は何も陳情や要請じゃなくてやはり最大の利益、国民的な国益を求めて何を譲歩するかという点だろうというふうに思いますけれども、そういった点では米を譲らざるを得なかった。もちろん、これは関税化をしたわけじゃないという一定の評価はありますけれども、しかし六年後、その以降のことを考えた場合には、総枠、包括的に関税化というものになるわけでありますから、そういう点で今後に向けての、さまざまな交渉に向けての私は反省にもしていただきたいなというふうに思うから言っておるわけであります。  そこで、時間がなくなりますから一つだけ御提言を示しますけれども、私は、このガット・ウルグアイ・ラウンドで終わったわけじゃなくて、ポスト・ガットが、ポスト・ウルグアイ・ラウンドが始まるというふうに思うわけであります。保利自民党委員からも御質問があったかと思いますけれども、そういった点で、今回で終わったわけじゃなくて、あるいはまた七年後を目指しての方向についてもガットで記載をされておるわけでありますから、農業分野に限ってでもいいのですけれども日本政府として今後どういった方向を目指すのか。  時間がなくなりますから私ども考えも指し示しますけれども、やはり新たな農業交渉の主導的な役割を私は日本が果たしていくべきだろうというふうに考えておるところでありまして、昨今特に言われております地球規模的な環境問題と農業をどういうふうに絡ませるのかといった点も、やはり日本がリーダーシップをとらなければならないだろう。あるいはまた、非貿易的な関心事項というふうに言われておるわけですけれども、環境的な問題も入りますけれども、それを日本政府としてさらにやはり貫き通して国際的な交渉の場に臨むべきであろうというふうに思います。  あるいはまた、保利委員からも提言があったようでありますけれども、私どもも、一月の社会党の骨子の中で、世界食糧の援助機構を国連に創設するように日本がいち早くリーダーシップをとるべきであるというふうに提言をしておるわけでありますけれども総理は、ナポリ・サミットでもこれを提言するかどうか検討いたしたいということで答弁は終わっておりますけれども、私もぜひ今度の七月のサミットにこの問題を提起をしていくべきだろうというふうな考え方も含めて、総理の今後の農産物の貿易ルールのあり方についての日本政府の態度について、お答えを願いたいと思います。
  37. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 お話がありましたように、要するに食糧生産というものは、単に食べる食糧を確保するというだけではなくて、やはり非常に広範な分野があるということで、特に環境問題というのは非常に重要な問題であろうと思っております。  ですから、こういった問題について、ただし、農業でもやり方によっては、例えば、土砂の流出というものを防ぐのじゃなくて崩壊を招いてしまうという、耕種農業の中にはそういうものもあるわけですね。あるいは土地を壊廃してしまうというような実は問題もあるというようなことがあります。そういったところなんかもやはり踏まえながら、しかし、日本の水田農業というものは環境というものに対して非常に大きな役割を果たしているということでありますから、水田農業というものを一体どうしていくのかというようなことも、これからやはり我々が議論していかなければならない問題であろうと思っております。  それともう一つは、非貿易関心品目というお話があったわけでありますけれども、これはつらかった出来事でありますけれども日本の場合にも、昨年は不作であったということのために二百万トンからの米を輸入するということになりました。しかし、これは国際社会の中にあっては、日本に売った国の中で、日本は七十数%の状況だったわけですね。ところが、国によっては六十何%、それでもなおかつこれが利益があるということで、日本に売ってくださった国なんかもあるというようなことをちらっと聞いたことがあります。  しかしいずれにしても、日本の場合には、ことしの場合にはどうしても必要だったのでしょうけれども、これが日本が平常にとれるということになると、あるいは日本の生産力というものがきちんと確保されるということになると、これは必要のないものということがこの間保利委員の方から御指摘があったわけであります。必要のないものを買える国、しかし片方では日本が買うために国際価格が暴騰してしまうというようなことになったら、まさに飢餓と栄養失調に悩む国の場合には食糧を確保することができないという事態も起こってくるという意味で、これは非貿易関心品目という中では、もう一度私たちもやはり議論するべき問題であろうと思っております。  また、世界食糧機構というのについては、これはこの前お話ししましたので細かく申し上げませんけれども、私が農林政務次官のときのフィリピンにおける会議、あるいはその後のローマにおける食糧会議においても同じことが言われたのです。ところが、そのときの視点は、どうも過剰であったということなんですね。過剰農産物を処理するために何か、どこかそういうものをつくったらどうだろうというような考えが見え隠れしたというようなこともありました。ですから、そういうものにも実は利用されてしまうということもあるわけですね。  ですから、純粋に、本当に飢餓と栄養失調に苦しむ人たちに対してどう対応するのか。ケネディ・ラウンドの食糧援助の規約がありますね。そういったもののほかにどういうものが必要なのかということ、これを我々も本気で真剣にやはり考えてみる必要があるのじゃなかろうかな。  ですから食管でも、日本の食管というものはもうなくなして、むしろ、アジア食管というようなもの、アジアの中で食管をつくったらどうだというような話がありますし、この間の保利さんのお話なんか、あるいは国際的な食管というような視点でお話しになったのかもしれないというふうに受けとめましたけれども、いずれにしましても、本当に飢餓と栄養失調の国があるわけですから、金がある国はいいけれども、そうじゃない国は一体どうするのかということを真剣に考えるということ。  それから、日本が本当に必要ないものを、ただあれしてどうするのだということなんかもある。そういったときに援助だとか、そういったものも考えなきゃいけないのだろう。幅広く私たちは考えていかなければならぬと思いますので、鉢呂委員や皆さんから、さらにまた私ども御意見を賜りたいと思っております。
  38. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 農水大臣一つだけ確認をしますけれども、ガット合意における第三の「その他」のところで、この六年の実施の終了の一年前からこの改革をさらに進行させるということでプロセス継続のための交渉を行う。これは米だけじゃないです、全体を行うというふうに文言があるのですけれども、これはいわゆるこの包括関税化の中でさらに関税率を下げるとか、いわゆるミニマムアクセスの量を拡大するという方向の中での協議だというふうにとらえてよろしいかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  39. 加藤六月

    加藤国務大臣 まず、その前段として、先ほど国会批准の問題を含めいろいろ御意見がありました。  私は、まず、完全に総理と意見調整はしておりませんが、今後国連というのは政治的問題が非常に中心になる。そして、今度はガットがなくなって、WTOこそ世界の経済すべてを左右する重要な機構になる。そこで、我が国会としては、ここまで来た以上は、一日も早くこれを批准して、WTOのそれぞれの機関に日本の優秀なスタッフをどんどん送り込んでおいて、そうして六年目に入っていろいろ再考慮、検討しなくちゃならぬ問題もいっぱい、今おっしゃったように出てきますね。それに日本がどうやって主導権を持つようにするかということを、国民の代表であるこの国会が、そういう面において英知を絞っていただければ私は非常にありがたい。概論的な大きな問題として、まずそのことを申し上げておきたい、こう思うわけです。  それから、今の御趣旨の、この関税化の特例措置が七年目以降どうなるのか、ほかのものもどうかという御質問、これは前々からいろいろおっしゃっておられたようでございますが、「七年目以降にこれを継続する場合には、追加的かつ受け入れ可能な譲許が求められる」というように書いてあるわけでございますが、その場合の何が「追加的かつ受け入れ可能な譲許」なのか、特に定めてないわけですね。そこで、六年目のその時点で交渉して、相互が受け入れ可能なものについて話をする、こう私は考えておるところでございます。
  40. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今、農水大臣に違うことをお聞きしたのですけれども、米以外のところの話なわけでありますけれども、全体の農業合意の中の大きな三番目の「その他」という欄で、いわゆる七年目以降については一年前に、あらゆるこの農産品のことでありますけれども、いわゆる改革の継続を図っていくという趣旨の文言があるわけであります。したがって、今すべてのものが包括関税化ということに合意をするということになれば、これがさらに関税率を引き下げるとか、あるいはさまざまなアクセスのものを拡大していくというのがこのガットの基本的な考え方としてあるのかということをお尋ねをしたわけであります。
  41. 加藤六月

    加藤国務大臣 今回の協定の中の「その他の規律」というところについての御質問でございますね。  これは農業産品の、今までダンケル案について私たちが大変不満を持っておったというのは、もうのみ得ないということで交渉をしたことは、委員も御存じのとおりでございます。そこで、今回、輸出国が輸出の禁止あるいは制限を行った場合に対しては、輸入国の食糧安全保障に与える影響が多いということでいろいろな手続を決めておるということ等は、私は今回非常につらい、悲しい立場で受け入れたわけでありますが、まあこういうものは、世界の最大の農林水産物輸入国である我が日本として「その他の規律」のこういうものが入ったということは評価してもいいんじゃないか、それから、それについてのいろいろ手続も書いてあるという点もある面では評価するのがいいんじゃないか、こう思っております。
  42. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣は、細かいことになるかもわかりませんけれども、いずれにしても国会の論議はもう本当に少なかったわけで、ちょっと私の質問に答えてないと思うんですけれども、要するに関税化の流れは、七年目以降もいわゆる関税化をひつ提げるという流れは変わらないということをここで明記をしておるのではないかというところの問題。  それから、先ほど来の問題に触れましたけれども、米の問題についても畑前農水大臣は政府広報誌で、米の七年目以降の追加的な譲許というものについては、違った分野も一つの対象になるという発言をされておるということは、いわゆる米での譲許ではなくて、違った分野といいますから、例えば、米以外の分野の譲許でこれを賄うことができるのか、あるいはまた農産品以外のものでというふうな可能性があるというふうにこれは受け取ってよろしいのかどうか、その辺のお答えを願いたいと思います。
  43. 加藤六月

    加藤国務大臣 畑前大臣発言、今委員が御指摘された後の方に、「環境問題、国土保全問題なども念頭に置いて協議することになるだろうと思います。」こう述べておられるわけでございます。したがって、違った分野も視野の中に入れて検討されるということになりますと、今申し上げました協定の中の六年目の交渉は「非貿易的関心事項の要素を考慮に入れて」行われることになっているのと合わせて指摘されたということで、特定の分野を想定して、今おっしゃったような農業以外の他の分野とか、これだとかという特定の分野を想定して発言されたものではない、こう私は理解いたしております。
  44. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 この点は非常に極めて大事な点でありますから、何も私は特定分野というふうに、農産物以外とかということではなくて、この「受入れ可能な条件の中で」「違った分野も一つの」というような、畑農水大臣は、これは政府広報誌の「政府の窓」といいますか「時の動き」の三月の十五日号の対談の中でこのように述べておるわけでありますから、その後段に環境問題、国土保全問題も、違った分野の一つとしてそういうものも入るかの表現もあるわけで、その辺ちょっと統一見解といいますか、きちんとした考えを示していただきたい。
  45. 東久雄

    ○東(久)政府委員 三月十五日号の「時の動き」に前農水大臣が御発言しておられるところで、そこで今大臣がお答えいたしましたように、後段のところにその点について特に、ちょっと細かいことになりますが、特例措置の第三項にございます「非貿易的関心事項に配慮しつつ、」というのがありまして、それを踏まえてお答えになっているわけでございまして、ただいま農林水産大臣からお答えしましたとおりでございます。したがいまして、特にそういうものを念頭に置いてお話しになったということではないというふうに考えて、今先生が御指摘の他の分野云々ということではな  いと思います。  ただ、ガットにつきましては、その農業協定二十条に、先ほど先生御指摘のとおりの今後の交渉といいますか、レビュー条項というような形で入っておりまして、これは御承知のとおり、ガットは十年ということを一応交渉目標にしていながら、農業については、例えば輸出補助金のカットの問題等大変難しい問題があったわけでございまして、一応六年間ということで締めくくっておりますので、ガットのプンダデルエステの最初の宣言に書いてあるものを踏まえて六年後にレビューするということになっておるわけでございます。
  46. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 米以外のところはそれでよろしいわけですけれども、米のその部分については、ですから、いわゆる国土保全でも環境維持でもいいんですけれども、そういう関係で他の分野ということになりますと、いわゆる関税化の特例措置で七年目以降については、交渉で定められる追加的かつ受け入れ可能な譲許を与えなければならないという中には、米に限定した追加的な譲許になるのか、それ以外のものも可能であるのかということについて明確に御答弁を願いたいと思います。
  47. 東久雄

    ○東(久)政府委員 その点に関しまして、協定の中には何ら言及がございません。この分野はこの分野でというような言及はございません。
  48. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そうしますと、畑前農水大臣がおっしゃられておるような、異なった、違った分野での譲許もあり得るというふうに見てよろしいですかね。大臣がそのとおり言っているわけですから。
  49. 東久雄

    ○東(久)政府委員 畑前大臣の対談の中での御発言は、先ほど加藤農林水産大臣からお答えしましたとおりで、他の分野云々ということを念頭に置いて御発言しておられるわけではないというふうに思います。  それで、先ほど言いましたように、他の分野をどうするかというようなこと、これは明確に否定もされておりませんし、この分野だけでやれというような肯定もされていないというのが今の協定でございまして、それは交渉の過程でどういうふうになるかということになると思います。
  50. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これは事務段階の話ではなくて、畑農水大臣が政府の広報誌の中でしゃべっておることですから、この点は明確にしていただきたい。やはりそういう方向日本政府としていくんだという姿勢だというふうに受けとめてもいいわけでありますから。この中には書いておりません、確かに。交渉で定められるというようなことしか書いてありませんから、双方が納得するというようなことが前提になるというふうに聞いておりますけれども日本政府として米以外のものでそういう譲許的な、追加的な譲許というものについて考えるという大臣の対談の考えだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。  これは、せっかくおりますから、通産大臣はこれは通商政策全般でありますから、畑通産大臣にもお聞きをいたしたいと思います。
  51. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘の問題は、いわゆる七年目以降、それに対する対応の考え方、そしてまたその余地という点に絞られるのではないかなというふうに考えるわけでございますが、あの協定の中に、先ほども総理から御答弁がございましたとおり、非貿易的関心事項という文言が随所に盛られておるわけでございます。  なおまた、最終段階で現羽田総理が出向きました際に、非貿易的関心事項をより重視をしながら、いわゆる五年経過後に話し合いを始めようというような意味合いのものが盛られておるわけでございまして、さような意味合いでの私の立場におきましては、その非貿易的関心事項、例えば環境問題、国土保全の問題あるいは人口問題等々、こういうものが大きく主張をし得る、あるいはまた、この間における大きなその項目にわたります変化あるいはまた位置づけの厳しさ、こういうものが次回の交渉の中では大きく取り上げられる余地がある、こういうことを踏まえての発言というように御理解を賜りたいと思っております。
  52. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そうしますと、米の追加的な話し合いにおいては、そういう環境問題、国土保全の問題等でこの追加的なものというものをくくる、追加的な問題をここの分野で、この国土保全や環境問題や人口問題で行うということがあり得るということで、日本政府としての考え方というものを受けとめてよろしいですね。
  53. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、そういった非貿易的関心事項が大きく主張し得る余地を、羽田総理におかれましても最終段階でより明確に盛り込んでおる。これを踏まえて私は、再協議ができる余地が十分ある、かような認識に立っておるわけでございます。
  54. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に、ミニマムアクセスの米の問題でありますけれども、このミニマムアクセスの米については、この輸入に際してはだれがどのようにこれを決めるのか、同時に、アメリカとこの米のミニマムアクセス部分について既に数量的な取り決めがあるのかないのか、この点についてお聞かせを願いたいと思います。
  55. 加藤六月

    加藤国務大臣 アメリカとミニマムアクセス受諾後の米の数量その他についての話し合いはいたしておりません。  それから、一九九五年から四%、三十七万六千トンか八千トン、これが六年にわたって八%になり、そして先ほど来委員と議論いたしております六年目に今後いかにするかという話し合いになる、このように心得ておるわけでございます。  したがいまして、私も、もういろいろ一部マスコミに、どこそこからミニマムアクセス受け入れ後どんな米を買うとかなんとかという報道がされておるようでございますが、まだいかなる国ともいかなる約束もいたしていないということをここではっきり申し上げておきたい、こう思うわけでございます。
  56. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 羽田総理にお伺いをいたしますけれども、次に国内対策というところに移らさせていただきます。  日本のこれまでの農政の指針になってきましたのは、一九六一年に制定をされた農業基本法であります。これについては、いろいろ基本的な指針というものを示したわけであります。例えば、選択的な拡大ですとか、自立経営の育成ですとか、農業構造の改善の問題があったわけでありますけれども、もう三十五年以上過ぎた中で、まだ三十五年過ぎていませんけれども、三十年以上過ぎた段階で、この農業基本法というのは、今の日本の農業のこの激動する状況下で、役割はもう既に終えたのではないかというふうに思いますけれども、農政に深い理解のある総理大臣からこの点についてのお考えを示していただきたいと思います。
  57. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 基本法、これは農業の生産性の向上あるいは農業従事者と他産業従事者との生活の均衡を具体的な指標として、究極的には農業の発展と農業従事者の地位の向上を図るということを掲げておるところでございまして、この目標というのは、今日の農政においてもやはり引き続き重要な課題であろうというふうに考えております。  ただ、この推移等をこうやって見たときに、確かに農業者の収入というのは上がった、しかし、これは他産業からの収入というものが多かったというようなこともあるわけでございますし、選択的な拡大というようなことで拡大したものが、むしろ逆に、これは拡大してきますけれども、そこから離農していった方たちもあるということでございます。  私自身としては、いろいろとやはり議論をするところはまだあるなという問題、それからあと食糧というものの確保といいますか、そういったものの視点なんというものはどうなのかなというようないろいろな議論を私自身も持つものでありますけれども、いずれにしましても、現在一つの中長期的な視点、今日のような状況を踏まえての中長期的な視点から、農業政策の展開方向、これを一体どうするのかということについて、これもやはり農政審議会の方でも御議論いただいております。  私どもも、そういった皆さん方の意見をよく聞きながら新しい時代に一体どうしていくのかということをきちんと方向を打ち出していくことは、やはり大事なことであろうというふうに思っております。
  58. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 総理は多岐にわたる課題を今やっておるわけですから、なかなか農業分野に思いを全部というわけにはいかないと思います。しかし今の農業基本法はもう役割を担えないような状態になっておる、このことは事実であります。  しかし、農水省はこのことを変えるとかいうことに対して極めて消極的でして、総理も御承知のとおり、一昨年新政策ということで指針を農水省は示したわけでありますけれども、これはあくまでも一つの農水省の中での基本指針でありますから、非常にやはり弱いのですね。  個別的にはもう時間がありませんから話しませんけれども、やはりここで我が党は、食糧も含めて、新しい農業・食糧の基本法をつくるべきである。しかも同時に、これは従来の農業基本法は理念としてあったということも大切なんですけれども、もう少し実践をする法律として、アメリカの農業法のような形で、アメリカの農業法は五年ごとにつくられておるというふうに思いますけれども、もっと農業の実態に影響が加えられるような法律をつくるべきである。  そういう観点で、今環境問題も極めて大切である。また、国民の合意も得なければならない。国民の皆さんが、あのことしの三月の米の騒動で、東京の部かでも、タクシーに乗っても運転手さんが米、米と言ってくれる。そういう面では、ある面では農業の一つ理解になったと言っては、これはちょっと大変な代償を払ったわけでありますけれども、そういったことでは、国民の合意はぜひとも必要であるという点で、安全な食糧を供給するといった視点にも立ってこの食糧・農業の基本法をつくらなければ、やはり農家の人も安心できない。  大蔵大臣はうなずいておりますから、理解はしてくれたのだと思いますけれども、必ず金の問題で、大蔵へ行ったら金がないからということで、どんないいことも、農水省から行くんですよ、行くけれども金がないということでとめられてしまう。やはり法律にきちんと明記をすればこれはやらざるを得ないわけでありますから、私は、そういった意味で新しい農業・食糧基本法をつくるべきである。これはもちろん法律でありますから、国会が指導的な役割を果たすのが本当でありますけれども行政の最高責任者として、また緊急対策本部を設置しているわけでありますから、これをつくるという方向について総理考え方を、前向きの考え方を聞かせていただきたいと思います。
  59. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 基本法の果たしてきた役割についてはもう既に申し上げて、その基本的な考え方についてはやはり今日でもなお私は不変であろうと思っております。  しかし、三十六年からですが、長い時日がたったということと、やはり食糧をめぐる環境というもの、あるいは農村をめぐる環境、農業をめぐる環境というものもやはり大きく異なっているということでありますから、私どもといたしましても、国会の御論議、そして農政審の論議というもの、こういうものを踏まえながら、また、先ほどの新しい日本の食糧あるいは農業、農村の問題というのは、これは単に農林水産省というだけでなくて、自民党の中でも大変議論されましたし、また国会の中での議論というものを踏まえながら一応の方向が出されたわけです。  しかし、今日また新しい事態、そして去年の不作なんという新しい事態も私たち経験をすることになったわけでございますから、今お話しのとおり、国民も食糧に対して物すごい関心を持つようになってきておるということでありますので、こういった御意見なんかも謙虚に私ども受けとめながら、本当に一億二千万人の国民が安心していられるもの、そして、それに対して、食糧を供給する方たちが本当に誇りを持ってできるような農業というのをともどもにつくり出していかなきゃならない、そんなつもりで私も真剣にこれに対応していきたいというふうに考えております。
  60. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 農水大臣にもお聞きをしたいのですけれども、一昨年六月に新政策をつくりました。しかし、これは基本的に農水省の基本方針でありまして、大蔵省あたりにいけば、いやいや、これは農水省の考えたことであって財源のある限りだ、これは当然大蔵省はそういうことも言えるわけでありますけれども、やはり新政策というような一つの方針ではなくて、法律にまでこれは高めるべきである。あるいはまた、あの新政策は国境措置については現状の段階での国境措置でありましたから、こういったガット合意の新しい国境措置といいますか、大枠関税化という方向になった段階での現下の農業政策というものについての明確な指針のためにも新たな立法措置を講ずべきである。あるいはまた、環境問題とか、先ほど言いましたけれども、そういった問題を考えたときに、新政策については、価格政策なり食管の問題なり等々については先延ばしの状態になっています。  後でも質問をしますけれども、そういった意味で、農水省としても新しい食糧・農業基本法について明確に策定する方向で、新政策については亡くなられた近藤元大臣大臣の決意であれを始められたわけであります。私は、そういった意味で農水大臣の的確な指導性が求められておる、そういう点で基本法の見直しといいますか、新しい基本法の策定について、大臣としての決断ある御意見をいただきたいというふうに思います。
  61. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど羽田総理からいろいろその問題についてはお答えになり、またお考えをお述べになったわけでございます。  私たちはこの七年間、食糧の安全保障という問題、農業と環境、農業と国土保全等々の問題を国際的には徹底して訴えて訴えて訴えてきたわけですね。そして、それと今おっしゃっております農業基本法との関係、今改めまして農業基本法を読んでみました。前文、そしてそれぞれの条項、目的というものがございます。そういう中で、今委員がおっしゃったように、やはり国土保全機能だとか環境機能とか、あるいは安全な食糧の安定供給という問題等で、ひとつ農業・食糧基本法を考えてはどうかという御意見が起こってきておるというのを、私も承っております。  そこで、これも総理が既におっしゃいましたのですが、農政審において今幅広い御議論、そしてまた別途、各地区において活発な討論等をいただいておるわけでございます。ここら辺の問題を、十分御意見を承り、中長期的な観点からいろいろ考えていきたい、こう思っておるところでございます。  なお、近藤元次故農林大臣並びに田名部元農林大臣に御努力いただいた新政策、これも非常に重要な、そして大切なことがいっぱい書いてあって、ようやく緒についたところでございます。これについても云々という御意見は私も耳には入れておりますけれども、当面はこの新政策を誠実に、着実に、拡大的に推進していくということが私は大切ではないか、こう認識いたしております。
  62. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 新政策の一定の評価は、これはもちろんそのとおりであります。先ほど言いましたような、それでも状況が大変変わってきたという点で、基本法というものに踏み出さなければこれはもう対応できない、こういう状況になったわけでありますから、対応できないというふうに思いますから、大臣は余り、事務方はそういうふうに言うかもわかりませんけれども、やはり大臣の決断あるやり方でなかったら前に進んでいきませんよ。これは、新政策については評価をいたします。  その点についてもう一度、どうですか、前置きは要らないです、もう時間が余りなくなりましたから。やるんならやる、やる方向考えると。これは、今、後ろの方からもみんなやらなければならぬというふうに言われているわけですからね。我が党もこれはきちんとこの一月に示しているわけですから、言ってください。
  63. 加藤六月

    加藤国務大臣 これから大いに検討させていただきますし、また農水委員会等でも先生方の御意見を承りながら、深く検討していきたいと思います。
  64. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 まあ大臣が大いにとか深くとか言うことを前向きに受けとめながら、時間がありませんから、深く、大いに検討していただいて早急に、深く、大いにということで三年も五年もなったのではこれはもうだめですから、この通常国会が終わるまでに結論を出すような気持ちで基本法に踏み切っていただきたいというふうに思います。  時間がございませんから大きな問題に行きますけれども、国内の農産物の価格支持政策であります。  ガットにおいては、いわゆるこの国内支持政策を削減するということで、二〇%削減の方向になったわけであります。私は、そういった意味では、これからは農産物の価格決定はなかなか困難になってきた。農水省として、私もう少し詳しく説明した方がいいんですけれども、今までの法律に基づいた生産費補償方式ですとか、あるいは農産物の自給のあり方も法律によって仕組まれておるわけでありますけれども、なかなかこれは難しくなったのではないかというふうに思いますけれども、そのことについてお答えを願いたい。  同時に、この六年間については猶予期間であります。既に、保護水準は五兆円から四兆円にしなければならないのですけれども日本国内ではもう三兆七千億程度になっておるという状況でありますから、それだけ日本は内外価格差の是正に努めてきた。私は、きょうは本当は資料を持ってきて各大臣にお見せしたがったのですけれども、昭和六十年からちょうど六十一年ですから加藤農水大臣の時代から農産物が残念ながら下げられてきて、一二%から一七%ぐらい各農産物はこの間生産者価格は下がってきました。  そのことが、先ほど言った国内支持政策、もう既に達成をしておるという状況でありまして、そういう意味では、今後六年間は農家にきちんとした方向を示すために、あるいは体質強化を図るために、毎年毎年この生産費調査で決定をするという、法律にはそうなっておりますけれども、六年程度これは一定の価格で停止をして、六年間はこういう方式で、きちっとこういう価格でいきますということを示して、その中で農家が体質改善、強化を図るという、そういった方向に持っていかなければ、毎年毎年どうなるかわからないということでは、まさに農家は方向、展望を見失っておるということです。  例えばこの六年間は価格を一定のところで変えないんだということについて、農水大臣の御意見を聞かしていただきたい。先ほど言った価格政策についてもお願いを申し上げます。
  65. 加藤六月

    加藤国務大臣 まず申し上げますと、前内閣において農業者に不安を与えないようにと、こう言われたということ、これは今回のガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意というもとにおいての今後新たな国境措置のもとでの農産物の価格安定というものはどう考えなくちゃいけないかということが非常に重要になってきた。そこで、その問題も含めて、今農政審議会で御検討をしていただいておるわけでございます。  そして、今までの農産物価格の毎年毎年やってきたという方式、これはもう委員が御存じのとおりでございまして、効率的な安定的経営体の育成というものを考えながら、対象とする農産物の需給均衡の確保、生産性の向上ということで適正な価格決定をやっておるのでありますが、新たな国境措置のもとにおきましては今申し上げましたようなことで、これから農政審議会の御検討、御議論を踏まえながら、そして委員の御意見も十分勘案さしていただきながら、適切に対応していかなくてはならぬと考えております。
  66. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 価格政策が一定の限界に来ておるということは、これはガット合意上からいけばそういう形にならざるを得ない。  そこで、EUもアメリカもそうでありますけれども、EUなんかもっと前からでありますけれども、いわゆる所得政策に今移行をしております。何か、この所得政策ということになりますと、直接所得補償だということで非常に否定的にとらえられる場合が多いのでありますけれども、ガットで認められておるグリーンボックス、緑の政策では十ぐらいのものが認められております。ああいう認められた政策日本としても活用していく、私はこれがやはり所得政策であろうというふうに思います。  これはもう、例えば農業、農村の基盤整備も一つ構造政策も、言ってみれば所得政策、価格に反映をしないという意味では所得政策でありますし、例えば直接的なということもありますけれども、地域政策、環境政策としても、私は所得政策であろう。EUなんかはそのことを非常に利用しておる。例えば、担い手なんかについても、フランスあたりは新たに農業に参入する方について非常に手厚い、平場でありますと四百万も三百万も年間、所得を補てんをしながら、国が給付をしながら担い手を確保しておるというようなところを日本としても大幅に取り入れていく必要がある。  このことについては、新政策に基づいて緒についたような形になっておりますけれども、これはもう加速度的に施策を講じていくべきだろうというふうに基本的に思いますけれども大臣考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  67. 加藤六月

    加藤国務大臣 私も、ちょうど今から七年前、OECDの閣僚理事会に我が国の農林水産大臣として初めて農水大臣が出席する。そこで、いろいろな議論をしまして、先ほど御指摘になりました補助金の問題、八六年から八八年、AMSを幾らどうやるかという問題等も議論し、またいわゆる直接所得補償制度、デカップリングの、当時はEC、今のEUがどういう方法でどのようにやっておるか、直接、担当大臣やいろいろな人等に意見を聞いたり何かいたしたことを今思い出しておるところでございます。  新政策でいろいろ、先ほど申し上げましたように議論し、そこら辺の問題も決めていただいておるようでございますが、あのEUの中身を見ましても、日本の農業と比較してみますと、デカップリングが大変違うし、困難だし、難しいものがいっぱいあるなと。そこで、私が考えるのは、まず地域地域の振興計画、振興政策、それから農業における新政策、これをまず誠意を持って意欲的にやっていって、そしてその中に今言われておるようなものをどう考え、位置づけていけばいいかということは、これは真剣に考えなくてはならないし、また、実際的に私が頭の中で考えて勉強してみますと、いざこれをやろうとしたら大変な作業と大変な線引きとまた新たな不公平問題というものも起こるようになるのではないかなと思ったり何かしておりますが、一生懸命検討し、勉強はいたします。
  68. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣も加速度的に勉強されて指針を出していただきたいというふうに思いますけれども、直接所得補償についても、私どもも単に農業者に所得、いわゆる補助金を分配すればいいというふうに思っていません。  一つは、やはり労働対価的な就業機会を多く与える、多く持つ。これは林業とも結びついて就業機会をつくる中で、やはり山村あるいは中山間の地域を振興するということに対してもっと大きく踏み出すべきだろう。その場合は、今加藤農水大臣もおっしゃられました地域政策として、何も農水大臣が事細かにいろいろな補助項目をつけるのでなくて、やはり地方自治体を通じて、しかし財政的には支援をするということを明確にして、そういう中で中山間の所得補償というものについて早急に具体化をしていただきたい。  私どもも具体化するものは幾らでも持っております。しかし、昨年のこの特定農山村の活性化法に基づいた、あの指定もさっぱり、三%か四%しか市町村はする意欲がわいてこない。これは、なかなか難しい立地条件のところで新しい作物を導入した者に対して一定の貸し付けをするといったような状態では、なかなかこの中山間を活性化することはもう不可能に近いわけでありますから、もうあの程度のことではどうにもならないということは、私どもも昨年法案を修正させてまで言っておるわけでありますから、ぜひこの点についても加速度的にこの具体化をしていただきたいというふうに思う次第でございます。  時間がありませんから御答弁は求めませんで、次に、食管制度のあり方と転作あるいはまた米の備蓄の問題について農水大臣の御答弁をいただきたいと思います。  まず、今月で一カ月かかって地域農政審を終えたわけでありますけれども報道によれば、地域農政審では食管を全く外して自由化にした方がいいという意見は皆無であったというふうに聞いておりますけれども、農水大臣として今後、例えば食管についてはもっと農家が直接販売ができるだとか、あるいはまた小売の販売の登録をもっと広げるとか、あるいは政府の管轄する米の管理のあり方等についてどういった考え方をしておるのか、あるいは転作についても選択制を広げるといったような方向に行くという考えに立つのかどうか、この点についてまず最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  69. 加藤六月

    加藤国務大臣 農政審議会の諸先生方あるいは専門員の皆さん方が熱心に全国各地で公聴会を開いていただき、感謝いたしております。そしてそれが集約されて、それぞれ記者会見を担当者がされております。その中身を読ましていただきますと、やはり一番多かったのは今おっしゃった米かな、食管制度かな。まあそれ以外にも今おっしゃいました中山間地の問題とか、幅広いいろいろな御意見が出ているようでございます。  せっかく今農政審でそういうことを一生懸命やっておるときに私がいろいろ申し上げるのはどうかと、こう思うわけでございますが、要は、新たな国境措置が今度はできた、そういう中において米の生産、集荷、そして卸、小売、そういう問題について各界各方面からも今日多くの提言をいただいております。例えば連合であるとかあるいは経団連であるとか、いろいろなところからも提言があります。そういう中で農政審議会の論議、検討が進められておるわけでございますが、要は、私が就任のときに申し上げたと思うわけでございますが、生産者が再生産に対する意欲を持ち、また消費者が安定的な供給を受けられるというこの食管制度の基本的考え方を維持しながら、堅持しながらいろいろな対応をしていきたい。  御説明申し上げますと、今おっしゃいました減反問題一つについても大変な報道、議論がいろいろあります。あるいは集荷についてもあります。あるいは米管理の問題についてもあります。あるいは小売問題についても御提言があります。これらは、今申し上げました、要は、生産者に対する再生産の意欲と確保、消費者への安全な食糧の安定的供給という、ここら辺を中心に今後農政審議会の皆さん方の御検討等を賜りながら進めていきたい、こう思っておるところでございます。
  70. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 備蓄については昨年の総理の談話で、中期的な観点に立った備蓄を整備するという発表がなされております。総理の談話でなくて閣議了解の基本方針の中でされておるわけでありまして、この点については、備蓄については踏み出すというふうに理解をしていいかどうか、簡単でいいですから。備蓄問題です。米の備蓄問題でございます。
  71. 加藤六月

    加藤国務大臣 平成米騒動等の問題の際にも私たちは改めて備蓄の重要性というものを痛感し、今後これに対して真剣に取り組みたいと考えております。
  72. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ミニマムアクセス米についてのこの委員会での質疑の中で、保利委員からであったと思いますけれども、これも閣議了解の中で、米のミニマムアクセス導入に伴って転作の強化は行わないというふうに述べておるわけでありますけれども、これについて二つ。  一つは、この転作強化については、いわゆるミニマムアクセス以外の、国内産での需給の変動に伴っての転作の強化等はあるというふうに理解をしていいのか。  それから二つ目の質問でありますけれども、転作の強化は行わないということでありますから、他用途米も転作の一部でありますから、当然これは、他用途米というのはこれを輸入米で充てるというようなことをしない形の基本的な考えに立っておるのかどうか、この二つについてお答え願いたいと思います。
  73. 加藤六月

    加藤国務大臣 前内閣におきましてはっきりと、ミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わないということをはっきり決めていただいております。農政審議会においてもその議論をしていただいておるところでございますが、ミニマムアクセスの受け入れ分を上乗せして転作を強化することは行わない、こういうように解しておるわけでございまして、したがいまして、今までやってきました年々の豊凶変動や消費動向の変化等による生産調整の通常の見直しはあり得る、こう御理解いただきたいと思っております。  それから、今後この輸入米というものをどう扱うかという問題につきましては、先ほど御質問がありましたが、輸入米とそれから国内産米とそれらを含めた備蓄、あるいは用途に応じた需給均衡を確保するということ等で新たな米管理システムというものを目下検討中でございます。
  74. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 加藤農水大臣、新たな需給管理体制ということでなくて、いわゆる今国内で他用途米が転作の一部としてなされております。したがって、いわゆるこれは加工原料米に使われておるわけでありますけれども、これが輸入米に置きかわるということになりますと、当然転作の強化ということにならざるを得ません。実転作の強化にならざるを得ません。実転作の強化というようなことにはなりませんから、基本方針からいけば。したがいまして、輸入米を加工原料米に充てるということにはならない、基本的には国内に流通させることにはならないというふうに理解をするわけでありますけれども、そのとおりでいいですね。
  75. 加藤六月

    加藤国務大臣 お答えします。  今いろいろ議論が行われて、これまた提言がいろいろ行われております。輸入米は国産米とは完全に別個にしろという御意見、あるいは飼料に回せという御意見、あるいは援助に回せという御意見、あるいはまあ調製品にしろという御意見等がありますが、そういう問題も含めて新しい米管理システムを検討中でございます。
  76. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それは大臣、いろいろな検討はいいんですけれども、昨年の基本方針に明確に書いてあるわけですから、他用途米が輸入米で扱うということになりますと、これは当然転作がふえることになりますから、転作の強化をしないということに合致しないわけですから、その辺は今後の検討でなくて明確に言っておいてもらわなければ困りますよ。
  77. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 他用途利用米は、国内の現在の生産調整の転作対策の一つの態様として行われているわけでございます。そういう意味で、将来の生産調整に影響を与えないという場合に、その範囲内で、転作の必要なあり方として他用途利用米の方法というのは将来も多分あるのだろうと思うわけでございますが、輸入米の、ミニマムアクセスのお米を加工用米に充てるということも私はあるのじゃないかと思うのでございますけれども、それは他用途利用米でも供給できないような加工用米の需要というのは多分あるのだろうというふうにも思うわけでございまして、加工用米が他用途利用米と競合するから一切加工用米がだめだという話には必ずしもならないのではないか……(鉢呂委員「いや、数量がそこに影響を与えるということはないということですね」と呼ぶ)これは、他用途利用米が転作の一つの態様として考えられていくという限りにおいて、将来ともそういう方向はあるのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、この点につきましては将来の転作のあり方の問題にもかかわってくるということではあろうと思っております。
  78. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これはもう大切なことでありますけれども、時間がありません。これは転作の強化にしないんだということは明確に去年の方針にうたっているわけですから。これは数量がその分侵すことはないということでありますから、国内産の数量に。ですから、このことは明確にしておいてもらわなければ困ります。  時間がありませんから、最後に、最後にというか、この農業問題の関係でありますけれども、やはり先ほども少し触れましたけれども、財政措置が極めて、総理、これは大切であります、今回の国内対策を講ずる場合に。大蔵大臣はさっきのうなずきから横を向き出しましたが、大蔵大臣、横向かないで、ちょっと大蔵大臣にもお聞きしたいのですけれども、先ほども言いましたように、日本は八六から八八にかけて極めてガットの意向に沿って二兆円以上も削減してきたのです。これはもう農水関係予算を見れば歴然といたしておりまして、一般会計のシェアはどんどんどんどん下がる状態でありますから、私は、このことが逆に農家の今日の状態にもつながってきたと。もちろん体質強化というようなことの意味合いはよくわかりますけれども、しかし、余りにも急激にこれをなしてきたというところで大きなひずみになってきております。  したがって、今回このガットの受け入れを行って、営農に支障を来さない、農家の不安を払拭をするというところのものを言っているだけに、この前も自民党の委員さんからも御質問がさまざまありました、御意見がありましたとおり、やはり日本においてもこの関係予算については重点的な配分をすると。重点的といいますと、何かCランクのような形の表現になるようでありますけれども、絶対枠をふやさざるを得ないだろうというふうに思いますから、この点について総理大臣はどのようにお考えになるのか。あるいはまた、批准国会に当たっては、補正予算、このガット・ウルグアイ・ラウンドに基づく予算というものを組むのかどうか。この二点についてお聞かせを願いたいと思います。
  79. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 やはりこれだけ大きな一つの転換のときを私ども迎えておるわけでありますから、農業に従事する人に対しても、あるいは日本の食糧をどう確保するのかということについても、やはり徹底して、きついことやつらいことも真っ正面から議論していただいて、私は日本の農政の方向というものをこの機会に明確に示す必要があろうと思いますし、私自身その陣頭に立っていきたいというふうに思います。  そして、今お話がありましたそういったもののときに、やはり財源というもの、財政が出動しなきゃならぬことがあるでしょう。そういう中にあっても必要なものについてはきちんと私ども対応しなければいけないと思います。  ただ、今ちょうど本予算の御審議のさなかでありますので、補正について今どうこうと言うことだけは、ひとつお答えすることをお許しをいただきたいと思います。
  80. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今週の六月三日には麦の生産者の価格が決定をすることになります。麦は北海道を主体に、昔は大変多くつくられて、裏作にも転作にもつくられておったんですけれども、ここ数年で作付面積が半減をするような状態になっております。ですから、自給率についても一七%にまでなったのでありますけれども、今は一二%を切るような状態でありまして、当時は過剰麦ということで過剰が取りざたされたのですけれども、今は安全な国内産を使えるということで、むしろ非常に強い。パンをつくるに当たっても春まき小麦が非常に消費者から求められておるというような状況を呈しておるわけでありまして、米審を通じて決定をする運びになりますけれども少数与党でありますから、こんなことを言っては非常にあれになりますけれども、私どもの意見も十分に聞いた中で決定をしていただきたい。  このことがまず一つでありまして、やはり面積が減っておるということは大変問題が大きいわけで、むしろ今は作付面積をふやすための振興策をせざるを得ないような状況にあるということで、麦の値段を、あるいは関連対策を含めて大いなる政治指導性を発揮していただきたい。麦の価格決定について大臣はどのようにお考えになっておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  81. 加藤六月

    加藤国務大臣 近々、麦に関するいろいろな数字が出てくると思っております。今まで政府買い入れ価格につきましてはいろいろ議論をしていただき、そしてまた、私たちがそれを決定するにつきましては、生産費その他の生産条件、需要供給の動向、物価その他の経済事情を参酌して、生産性の向上と品質の改善に資するような配慮をして決定してきたということは、もう委員御存じのとおりだと思います。  そして、昭和六十三年麦価から適用しております算定方式で、麦の主産地、今おっしゃいました北海道……(鉢呂委員「いいです、いいです。それはいいです。上げるという……」と呼ぶ)いいですか。  それでは、麦作に取り組む農家の意欲に及ぼす影響にも配慮しながら、内外価格差等の存在も踏まえ、生産性の向上を価格に的確に反映いたさせたいと考えております。
  82. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それでは、最後の御質問でありますけれども外務大臣にお伺いをいたします。  北方四島、北方領土水域での、これは十二海里内での拿捕事件が続発をしております。昨年は十二隻、ことしに入って三隻の拿捕事件があったということで、それ以上にあそこに日本の漁民の方が越境で魚をとっておるという事態が続いておったのだろうというふうに推測をされるわけであります。昨年からことしにかけてロシアが大変強い姿勢で臨んでおる。発砲事件も、けがが出るというような事態も続いておるようで、一面では大変、国境上のことでありますから憂慮すべき事態でもあるわけでございます。  その中で、あそこの、南クリル島といいますから、いわゆる北方四島の一部を管轄をしておる行政区の区長さん、ポキージンさんから根室市長さんに手紙がありまして、あそこの操業について、南クリルとしてはこれを何とか認める方向で漁業管理も兼ねてやっていきたいという旨の書簡があったということでございまして、日本政府として、領土にかかわる問題でありますから極めて微妙な問題ではありますけれども、過去に貝殻島周辺での昆布漁の採取ということで、これはずっと認められてきて、昭和三十八年に締結をしている。これも拿捕事件が続発をしたということで、このときには領土問題を損なわないという形で、日本の基本的な立場を踏まえて例外的にこれを行うという形でこれが認められて、今日まで民間協定方式で来ておるわけでございます。  そういったことで、今回の問題についてもやはり日本政府としては、領土問題はございますけれども、これはあそこに住んでいらっしゃる方の本当に生活にもかかわることでございますから、何とかこれを例外措置として、この昆布漁と同じような形で認めることができないかどうか。これは水産庁、農水大臣関係があるのでありますけれども、ぜひともこれは具体的な方途を見出していただきたい。御答弁を願いたいと思います。
  83. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 最近、北方領土海域におきまして日本漁船の拿捕等が続いたり発砲事件があったことについては、私ども鉢呂先生御指摘のように大変憂慮をいたしております。  そうした中で、北方四島在住のロシア側の関係者、今、南クリルの行政区長という御指摘がありましたけれども、そちらの方から根室市長あてで、貝殻島の昆布協定方式による日本漁船の操業の拡大に関するテレックスが接到したということは承知をいたしております。ただ、その南クリル行政区長のロシア政府の中の地位とか、またそのテレックスの内容がどのような性格のものであるかという点については、私どもはまだロシア政府側の正式の提案というふうには受け取るに至っておりません。その点では、今後のそうした点での確認が必要であろうかと思っております。  また本件に関しましては、これも先生御指摘のように、北方四島周辺水域における漁業をめぐる問題につきましては、北方領土問題に関する我が方の基本的な立場、これを万が一にも損なうことがあってはならないわけでございますので、そうした基本的な立場に立って何ができるかという点につきましては、現地漁民の皆さんの窮状もよくわかりますので、農林水産大臣とも御協議の上、今後方策を探ってまいりたいというふうに考えております。
  84. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ぜひ精力的な御検討を願いたい。ぜひ、貝殻島の例もあるわけでありますから、領土問題という微妙な問題もありますけれども、前向きの対処の方向についてロシア側と検討を重ねていただきたい。また早急に結論を出していただきたい。外務省の筋では、そういった考え方も、現地においてそういう感触がある発言もされておるようでありますから、ぜひ前向きの対処の方法について御検討願いたいというふうに思っております。  時間が来ましたので、きょうは農業問題、もう少し詳しくと思いましたけれども、半ばで終わりましたけれども総理は農水、農業、水産関係に大変大きな力をこれまでも示してきたわけでありますから、いつになる命かどうかわかりませんけれども、ぜひ指針をきちんとした形で示していただきたいと、ぜひお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  85. 山口公生

    山口委員長 これにて鉢呂君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  86. 山口公生

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。関谷勝嗣君
  87. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 まず最初に羽田総理にいろいろなことをお伺いいたしますが、まずは総理に御就任なされまして本当におめでとうございます。どうぞ頑張っていただきますようにお願いいたしたいと思います。  最近、地元に帰りましていろいろな後援会であるとかあるいはその他の会合に出ますと、有権者の方々から次のような実に素朴な質問をされるわけでございます。それは何かといいますと、羽田総理は言うまでもなく自由民主党の中にかつてはいらっしゃったわけでございまして、その過程においては、私たちの立場から見ますと、本当に日の当たる場所をずっと歩んでこられたということも事実であるわけでございます。  そういう前段階のことがあって、またその後の行動によって総理になられたわけでございますが、私たち自由民主党に残っておるメンバーから見ますと、自由民主党の一番いいときに一番いい立場にあって、まあ言葉は的確ではないかもしれ、ませんけれども、権力の中枢にあって甘い汁を十分に吸って成長をされたと私は思うわけでございます。それは何も私たちが今自民党に残っておるから残念がって言っておるわけでは決してないわけでございまして、何もその甘い汁を吸ったのがいけないと言っておるわけではないんですけれども、そういう生い立ちでもって今日の状態がある。  したがって、先般の選挙のときにも、総理は、我々は、本当に長い間権力のど真ん中にいて、政治の表も裏も功罪も見てきて、これではいけないということで新党を結成するに踏み切ったというふうに何十回となく訴えていらっしゃったわけでございます。ということは、そういう功罪も見てきたわけでございますが、その功罪とは、反省の意味も含めてどういうことであったのであろうか。そういうことがあって出られて新党を結党をされたわけでもありましょうから、そのことをお答えをいただきたいと思います。  ましてや羽田総理は、わかりやすい言葉でやっていこうではないか、永田町の論理であるとかあるいは永田町の言葉はわからないというようなことではいけない、有権者の皆様方、国民皆様方に十分に、安易に理解をしていただく言葉で答弁をするというふうにお約束をしていらっしゃるわけでございまして、皆さん方に、本当に地元の有権者の方々が素朴な質問としてそういうようなことを言うわけでございますから、理解ができるようにひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  88. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私、まさに自民党にあったときに皆様方のいろいろなお心配りをいただきながら大変大切な仕事を務めてきたということ、これは今でも感謝しております。ただ、私は、みずからポストというのを求めたことのない人間なんです。  そして、今お話があったわけでありますけれども、私たちが飛び出たというのは、何も新しい権力を握ろうなんというつもりはさらさらございませんでした。  もう私たちが出たときの理由というのはおわかりのとおり、政治改革をやらなかったら日本の国は沈んでしまうということでありました。しかし、残念ですけれどもあの時点で、総理なんかは相当その最後の段階ではやらなきゃならぬということで一生懸命動いてくださったのですけれども、結局動いていただくことはできなかった。  ということになると、私たちがずっと行動してきたとき、これを振り返っていただくと、国民の皆さんから、何だ、あの連中は結局そのまま信任しちゃったということだったら何なんだということなんで、私たちはもう、みずからがどうなるということ、あるいは政治生命を失うかもしれないということを覚悟をしながら実は飛び出たということであります。  そして、私は、そのときにいつも言ってきたことは、権力を握るつもりはない、私たちは権力をとるつもりはないんですということを言ってきたわけでありまして、ですから私は、いろいろな方のお誘いもありましたけれども、あの当時総理大臣にというようなお話がありましたけれども、それは私たちが言ってきたことと違いますから断りますということで、はっきりと実はお断りしてきた。  そういう中で、総理の座を占める者が思いもかけないなんという甘っちょろい言葉はいかぬぞというお話もあるけれども、本当のところ私は思いもかけずに、まさに図らずも、思いもかけずにこういう席に今あるということ。ただし、ついた以上はこれは真剣にやらなければならぬ、すべてをなげうってやる、そのつもりでおるということです。  それから、功罪ということについてお話がありましたけれども、これは、私は今ここでどうこうということを申し上げるつもりはありませんけれども、何というんですか、いろいろな法律なんかを通すためにいろいろな問題があったということ。あるいは、やはり自分党、自民党というのはやはり複数の議員を当選させなかったら政権を確保できないという中で、一つの選挙区から三人も四人も、お互いにこれで苦しんだものですよね。  結局、関谷さんにしても私にしても、みんな自分の後援会をつくらなければいけない、これは私は自分党と言っていますけれどもね。よその政党の場合だったらそういうものがなくてもできる。いわゆる党が中心になって選挙活動や政治活動というのができますけれども、私どもかって自民党にあったころばそういうことができなかったということであります。  こういうものを正すためにはやはり何とかしなければならないということで、私たちが飛び出して、これから動く、動こうというときに、ひとつこれから政治改革をする中でそういったものを正していこうじゃないかということ。  あるいは、国対政治というのは、私はこれは一概にいけないというものじゃないと思う。しかし、どうもその国対政治というものが何か見えない、あるいはもやもやとしたものがあるというようなことが言われたりなんかしました。そういう意味で、もうちょっと見える政治というものをやるべきだろうというふうに考え、この考え方は今でも私は変わっておりません。  以上であります。
  89. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 今、総理のお答えをお聞きいたしておりまして、今回、そういうようなことで自由民主党を飛び出られたということは、いささか経験したその善悪の悪の部分もどうしてもあったということであろうと思いますし、それともう一つは、政治改革が十分になし得ないのではないかというような二つのことであったと思うわけでございます。そういうようなことは素直に総理も認められておるわけでございまして、私は、それはそれでいいと思うわけでございます。  ここに、日本経済新聞の田勢康弘さんの書いた「政治ジャーナリズムの罪と罰」という本がございまして、その中に「「ヒーロー」の恫喝」という項目があるわけでございますが、その中にも、田勢さんがいろいろなそういうような過去のことを質問されて、そのときに書かれておるわけでございます。  昨年の七月の三日でございますが、日本記者クラブ主催の党首討論会でそういうような代表質問者の一人に田勢さんが指名をされた。そういうことで総理に、そのときは総理ではございませんが、羽田さんに、党首に尋ねられた。「羽田さんはよくそういう説明をされているようですが、ど真ん中で見た「裏」とは何ですか。功罪の「罪」とは何だったのでしょうか」というふうに質問をされた。そうすると羽田氏が答えられて、「あなた方だってわかって聞いているんでしょう。私は若いころ、郵政政務次官なんかもやって、いろんなことを見てきたり、してきたりしているわけです。それでこれじゃいけない、と。」あなた方だってそういうことを知っていて書かないんでしようというような発言があったということでございますが、今の答弁を伺いますと、本当に国対の運営の仕方にいたしましても、総理は、国対政治がすべて悪いわけではないがやはり悪いところもあった、そういうようなことも含めての答弁であったと思うわけでございまして、そういうようなことで私は、ぜひそういう功罪の罪と思われていらっしゃることはもう素直に反省をしていただいて、すがすがしく羽田内閣をスタートをしていただきますようにお願いをいたしたいと思うわけでございます。  それから、政界再編成ということがよく言われるわけでございますが、政界編成には二つの方法があると思うのでございますが、政策を重視をされるのか、それとも、地位を得なければ政界再編もできないわけでございますから、政治手法を重視をするのかというようなことを私はお伺いいたしたいと思うのでございますが、私自身の考えでは、政界再編成も、政策重視といいましょうか、主義主張あるいは理念、政策が一致する者同士が一つの勢力をつくるべきであると考えておるわけでございますが、総理のお考え方はいかがでしょうか。
  90. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 基本的にはまさにそのとおりだと思います。ですから、できるだけ政策が一緒の者、これが一緒になっていくことが私はよろしいと思う。ただ、何というんですか、一つ政治を変革するときというのは、あるときには政策を乗り越えながらやらなきゃならぬ場合もあるということ、私は現実にそういうことはあり得ると思っておるんですね。  それと、私が自民党の中にありましたときに、政策からいくと大分違うものもやっぱりあの中にもあったということでありまして、私は、政策というものは多少あれしましても、中で大いに議論しながら、そしてそのときそのときに一つ方向を出していく。しかし、理念といいますか目標というものは、できるだけやっぱりはっきりと見えるものにしておくことがよろしいんじゃないのかというふうに思います。
  91. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 ざっくばらんにお尋ねいたしますが、それでは、新生党と、例えば安全保障政策であるとか税制改革などいわゆる主要な課題に対して、考え方といいましょうか政策の内容が一番近い政党は、今どの政党だと総理はお考えでしょう。
  92. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は連立与党の上に乗っている総理大臣でありまして、それがどこと一番近いとかなんとかということ、これは言えない。むしろお互いに議論しながらそういったものを収れんしていくということが大事だろうという、私はその手法をとっていきたいと思います。
  93. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 私はぜひ自由民主党という政党名を聞きたかったわけでございますが、お答えがございませんでしたので、私の方から一つ提案をしたいのでございますが、そういう政策が似通っておるというようなことを見ますれば、私はやっぱり自由民主党であると思うわけでございまして、保守連合というものをつくって政策を組むということによって初めて私は政局の安定を得ることができると思うんです。  昨年の選挙の後、本当に政界が大混乱をいたしておるわけでございますが、これはもちろん国内だけのことではなくして、私は国際的にもそういう、どういいましょうか、国力というものが大きく低下をしておると思うわけでございまして、そういうようなことで、私はぜひ怨念を超えて自由民主党と保守連合というのをぜひつくっていただきたいとざっくばらんに思うのでございますが、御意見を。
  94. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は怨念というのは一つも持っておりません。そして、今のお話のありました点については、私はそういう一つの選択というものがあろうと思います。  ただ問題は、政局の安定というのは非常に大事なことでありますけれども、しかし、やっぱり三十八年、これはいい悪いは別として、長いこと一つ政治が続くとどうしても滞るわけですね。そういうものを打破するというのが今世界全体があちこちで蠢動していることじゃなかろうかと思っておりまして、そういう意味では今はまさに一つの揺籃期であるというふうに思っておりまして、この過程を経て安定したものに行くべきだろう。無理して今また、ただ安定させるということだけを考えると、日本政治日本の国というのは変わっていかないというふうに思います。
  95. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 最近、新聞報道でよくなされておりますことでございますが、社会党の久保書記長等々の発言も、あるいは村山委員長発言報道されておるわけでございますが、社会党がまた連立に復帰をする、その場合には政策的な面での一致を私はどこに求めていくのであろうかというようなことを思うわけでございまして、先般の予算委員会、当初の予算委員会におきましても、あの社会党の皆さんが連立に入っていらっしゃいましたときに、社会党の閣僚の皆さん方が、閣内にいる間は自衛隊というものを認めるけれども、これが一たびまた党に帰ったときには自分の考えを述べさせていただくというようなことでおさまったときがありましたけれども、私はああいうようなことも非常におかしな話だと思うわけでございます。  やはり今総理は、政策一本やりでは本当の政局の安定は生まれてこないというお話でございました。それもまた一つの理屈ではありましょうけれども、私は、そういうような今日の少数与党内閣になりましたのも、やっぱりその性格あるいは政治手法などの行き違いで今日の内閣ができ上がっておると思うわけでございまして、私は、そういうようなことで、両々相まって、もちろん政局の安定を求めるためには、まず何といいましても総理が指導力を発揮をして政策の一致というものをやはり第一に求めていっていただきたい、私はそのことをお願いをしておきたいと思うわけでございます。  それでは、そういうようなことで総括質問に入りたいと思いますが、きょうで総括質問も六日目になるわけでございます。したがいまして、質問が重複することは極力避けていきたいと思っておるわけでございますが、重複はいたしますけれども、どうしてもやはり重要な問題として聞かなければならないことがありますので、そういう質問に対しましてはひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。  そういう立場からいいますと、一番最初にまずお聞きしなければならないのは、何といいましても、こんなにその年度の本予算がおくれたということは本当に私は考えられないことだと思うわけでございまして、今回は結局、政治改革を優先するか、あるいはまた予算案を優先するかというようなことでもあったと思うのでございますが、細川内閣政治改革というものを優先した、そしてそれを先に通すべく予算案の越年編成ということをもう年の前から言っておったわけでございますが、私はこれは大変な政治手法のやり方の間違いであったと思うわけでございます。羽田総理もその当時は副総理でもあり外務大臣でもいらっしゃったわけでございますから、私はこういうようなことは決して今後起こさないようにぜひお願いをいたしたいと思うわけでございます。  私が当選一、二回のころでございましたか、ある政治家の先輩の方がこういうようなことを言っていました。そういうお考え方が細川さんの考えにもあったのではないかと思うわけでございますが、予算案なんていうものはほっておってもいずれは成立するんだ、いずれは通さなければ、国の予算がなしで国が動けるわけではないのだから、だからそういうようなことは余り重きを置かずにほかの方を優先すべきだというような話をした政治家がいまして、私はしかしそのとき、おかしいな、予算というのはそんなものではないと思ったわけでございますが、ぜひ、そういうようなことで、もう一度この予算案がおくれました理由を述べていただきたいと思います。
  96. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 おくれましたその理由は、まさに政治改革というものを優先しなきゃならぬということがあったでしょう。確かに景気対策、景気というものに対する考え方、これは私ども、ですから補正予算等を組みながら景気には適切に対処してきたと思います。  ただ問題は、景気のあれが幾ら政治の場から発信しましてもはね返ってきてしまったというのが私は当時のいろいろな空気だと思う。そういう中で、経済界という皆さん方でも、あるいは一般国民の中からも、何といっても政治改革を早くやってくれと。やはり信頼されるところから発信されるということが一番景気に対しての効果もあるのだろうということのためにどうしてもあれを年内に処理をしなければならないという中で、結果として予算というものがおくれてしまったという現実はあります。  しかし、その後いろいろなこともございましたよね。それがさらにまた延びてしまっているということについては、これは内閣予算の御審議をお願いするという立場でありますから、これは私どもも大きな責任を感じておりますし、今関谷委員から御指摘があったこともよく私たちは念頭に置きながら今後の運営に当たりたいと思います。
  97. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、羽田内閣は、社会党連立から離脱をいたしたものでございますから、少数与党というふうになっておるわけでございますが、こういうような不安定な内閣が誕生いたしました責任はどこにあるのだろうかというようなことを思うわけでございますが、このことは総理、いかがでございましょうか。世によく言われますように、二重権力構造の弊害ではないかというようなことも言われたりもしておるのも事実でございますが、そのあたりも含めまして、どうしてこうなったかということ。ましてや、総理御自身にすれば、本当に安定した政局内閣のもとで、力いっぱいの今までの経験豊かな知識とそうした誠意でもって国を運営をされたい、私もまだそういう状態でぜひ羽田総理がスタートをしていただきたい、そのことを私は今も思っております。  総理は昭和十年生まれの方でございまして、私は十三年でございますし、私たちが自由民主党で当選してまいりまして、本当に理想の政治家であったわけでございますから、その方が総理になられたということは本当に順風満帆といいましょうか、そういうような周辺がきちっとされた中で思い切った政治をしていただきたい、私は今でもそう思っております。ただ、こういうような非常に厳しい少数与党というようなことになったわけでございますが、そこに私はやはり原因があると思うのですが、それは何だとお考えでしょう。
  98. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 当時はやはり政策を、難しい政策が幾つもありますね、こういったものを進めていくのに当たって、幾つも余り政党がばらばらであるということではいけないな、そうかといって一遍に一つ政党にするなんということはできるものじゃない、できるだけお互いに協議する場というもの、これを集約していきたい、これは実は私自身も方々でそのことをお話ししてきたところであります。そういったことをそんたくされながら、また皆さんがそれぞれお考えになりながら、新しい政権がスタートするに当たって、こういう形でどうだろうかということをお考えをいただいたことだと思います。  ただ、残念ですけれども、お互いの理解というのがちょっとすれ違いなんかがあったために結果としてこうなってしまったということで、私は本当にこのことは残念に思っておるところであります。  しかし、今課題は確かに難しい問題でありますけれども、政府・与党あるいは野党、これを問わずして、今私どもの前にあります内外の山積する課題というのは、これは避けて通れない問題であるということでありますから、私たちは少数でありますけれども、誠心誠意を尽くして皆様の御理解をいただきながら、これらの難局を乗り越えていかなければいけないという今使命感に燃えておるところであります。
  99. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 官房長官、お尋ねをいたしますが、せんだって静岡県でいろいろ御講演もなさっていらっしゃったようでございました。テレビで見せていただきましたが、本当に威風堂々、内閣総理大臣のような感じを受けました。  まあそれはそれといたしまして、社会党の久保書記長が総辞職を求める発言をされましたが、直ちに官房長官がこれを容認するような発言をされましたですね。これはやっぱり、私はどう考えましても僭越のきわみじゃないか。あなたが総理大臣になったときにはそういうようなこともいいでしょうけれども、それにしても、政府側にいる人がそういうようなことを是認するようなことを言うことはおかしいのではないかなというようなことを思うわけでございますが、その点は今までのいろいろな委員の方が質問されまして反省をされたような御答弁をされておりましたが、私はそういうようなことは本当に間違った、僭越な行為だと思いますが、今は考えはいかがですか。
  100. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 委員御指摘の件につきましては、私も第一報は、直接耳にしたのは新聞記者との懇談の中で、ちょうど京都に出張中でございましたので十分な情報もなしに伺ったわけでありますが、そのときにもくどく実は申し上げたわけでございますけれども、総辞職であるとか何をするとかというのは判断をする立場にはありませんと実はそのときに私はくどく申し上げたのです。  ただ、私どもとしては、あの基本政策合意に社会党の方々がこぎつけるまでに払ったであろうさまざまな御努力というものを、我々の立場から見ればいろいろな言い方があるけれども、しかし、社会党の方々が歴史的にいろいろ努力をしてこられたその立場から見れば、私どもは、大変な努力をなすってこられた、そういう立場から見れば久保書記長の御発言は実によくわかる、こういうことを実は申し上げたのでございます。そしてまたそのことは、私は全体として、総辞職とかああだとかということではなくて、連立というものについてのこの八カ月の努力を含めて社会党の方々がどういうふうにお考えになっているかという文脈で私どもは書記長の御発言を、実にもっともな点が多い、こういうふうに申し上げたところでございます。  ただ、総理からも大分きつく搾られたことも事実でございまして、これからは気をっけさせていただきたいと思っております。
  101. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 そういうような謙虚な姿勢でひとつ頑張っていただきたいと思うわけでございます。  最後に、総理に総括的な立場からひとつお考えを伺いたいと思うわけでございますが、先ほど言いましたように私も国会へ来まして十八年ばかりでございますが、今のようにもう大混乱の政局はないと思うのです、本当に千々に乱れておる。それはもう政界自体がそのように小党分立といいましょうか、また雨後のタケノコのようにいろいろな政党がたくさん出てきておる。あるいは会派がまたできたり消えたりしておる。  その中にあって、政治が個々人のその身の振り方、これもまあいろいろそれは政治家としてその方のライフサイクルから考えて、今これはどうしてもこうやらなければならないというようなこともあるでしょう。そういうようなことはあるかもしれませんけれども、世間一般の常識から見るとそういう動きというのは余り褒められたことではないというようなこともありましょう。政治家が右顧左べんしておると言ってもいいんじゃないかと思うわけでございますが、そういうような中にあって、今回の政治改革を行いました一つの理由にも、二大政党化を求めていこうではないかというようなことでございます。  先ほど、今までのいろいろな質問に対しまして、総理は、いろいろなこういう荒波を越えていく、また混乱を越えていって初めて安定期を迎えることができるのだというお話でございますが、私はいささかその逆の感じを非常に受けるわけでございまして、余りにも節操がない。こんなことではそういう安定期を迎えることができないのではないかな。もっと政治家というものは、その政治を求めていくためには本当に、国民皆様方から見れば、政治家であるということ、そしてまた日本人である、国民であるという、その範を示さなければならないと思うのでございますが、そういう一つの基本的なルールというのを逸脱をしておる、そういうような私は非常に心配があるんです。  そういうようなことでございますので、どういいましょうか、そういうようなことで私はよく言うんですが、怨念を超えて、きちっとできるところはやろうではないかというようなことも言わさしていただいておるのでございますが、私は、ぜひ総理のそういう意味においての考え方、指導力でもって、一刻も早く安定を求めるべく進めていっていただきたい。ですから、本当に大まかな、グローバルなお考え方をひとつ聞きたいと思うんです。  今後どのように、二大政党化であるとか、あるいは政局の安定に向かってこういうところに力を入れてやっていきたい、だから皆協力をしてくれというようなそのお考え方総理への質問の最後として伺いたいと思うんです。
  102. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、ちょうど戦後が五十年もこうやってたちますと、これは日本だけではなくて、御案内のとおり、世界じゅうがやっぱり一つの大きな政治の変革のときを迎えておるということであります。ですから、一つずつの国の名前を挙げると問題がありますからやめますけれども政権ができ上がりましても、相当な数を持ちながらも不安定であって、この次の選挙では間違いなく敗れるであろうなんということが言われたりなんかしているわけですね。ですから、どうしてもやっぱりこれは避けて通れない一つの過程であろうというふうに思っております。  しかも、いろんな世論調査なんかを見ましても、国民はやっぱりそういうものを求めて、そういうものはある程度あることを是認しておるというふうにさえ私は受けとめておるところであります。そしてやっぱり、何というんですか、政治の場から物事は発信していく。ということは、要するに、何も政治が何でもやっちゃうわけじゃありませんけれども、しかし、例えば規制緩和一つとりましても、政治がどうするかによって全体に大きな影響を与えていってしまうわけでございますね。そういうことを考えたときに、できれば一日も早くやっぱり政治が安定するということが大事であって、怨念とかなんとかということにあっては、もう一切これはあるべきではないというふうに私は思います。  そして、国というものを中心に考え、そしてこの国に対する期待というのは世界から物すごい大きいわけですね。これに対して、我々がどうやって的確に、機敏に対応するのかということを考えれば、おのずと私はそこに一つの秩序というのは生まれてくるであろうというふうに考えておりまして、私も今御指摘があったことをよく拳々服膺しながら、そんなつもりで、まあ私は今総理という立場ですから余り政党のあれに対して口を挟むということはどうかと思いますけれども、しかし、同じ政治家としてともに語り合うということは、これは許されることであろうというふうに思いますので、それも変なふうにこだわるということなしに、幅広く皆さんと一緒に語り合っていきたいというふうに考えております。
  103. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 石井大臣にお伺いをいたします。  政治改革の選挙制度の問題でございますが、これはもうあと区割り法案を残すのみになってきたわけでございます。それで、この区割りの問題でございまして、これは審議会に任せておるわけでございますから大臣からどうこうしろと言うわけにはまいらないのでございますが、さりとて自治省としていろいろなその指導は当然してしかるべきだろうと思うわけでございます。各県からもいろいろ事情を聴取いたしておるわけでございまして、何か伺いますと、十七県におきましては、あの第八次の海部内閣時代の案では反対である、非常に強力なる反対の声が上がっておるというわけでございます。  ちょうど私の愛媛県でもそういうケースに入っておるわけでございますが、これは人口を基準にいたしましたことは当然のことではあるわけでございまして、一つ行政区はまた分割しないというような基本的な考え方があるわけでございますが、さりとてその十七県の中では、やはり実生活、就職の状態、仕事の状態であるとか、あるいは通学であるとか、あるいは社会、実生活の流れから見れば、分割にしなければそういうものがすべて実情に合わないというようなところがある。それが反対の大きな理由であるわけでございます。  そういうようなことで、私の松山市なども、松山市を分割をしてほしいというようなことを出しておるわけでございますが、この行政区はもう割らないというのは絶対的なものであるのかどうか。こういうようなことは、実生活、実情をきちっと見て私はやってもらいたい。どうしても審議委員の方々は全国の各地区を実際に御存じであるわけではない。どうしても机上のプランに陥りがちである。それを補うのはやっぱりいろいろな県からの実際の事情を聴取したことであろうと思いますから、そのことを私は十分に検討していただきたいと思うわけでございます。  また、大臣報道を聞きますと、もう来月の二日にはでき上がるなんというようなことが報道されておりますが、そのことは、また事実であるのかどうか、その二つをお伺いいたします。
  104. 石井一

    石井国務大臣 選挙区画定審議会設置法案の第三条では、改革案作成の基準といたしまして、一つ、人口の格差が二倍以上とならないこと、第二、行政区画を割らないこと、そして第三、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない、こういう判断のもとに全国三百の区画を今作成中でございます。  中身について、私が介入すべき筋合いでないわけでございますが、実はこれを考えてみますと、この三つをすべて合理的に合わすということは、これはまことに難しいことでございます。二律背反し、三律ともこれを合わすということは、それを全国三千三百に合わす場合に、これは実に至難のわざだ。だから、これをやっておられる皆様も大変だなというふうに私は思っておるわけでございます。  愛媛県の実情につきましても、詳しいことを必要でございましたら選挙部長にお答えをさせたいと思うわけでございますが、そういう御意向が強く出ておりますこと、また周辺の議会もそういう線で御要望されておりますということを承知いたしておりますが、私はそういう大それた権限を持っておらぬということも御理解いただきたいと思います。  それから、二日にできるということは、私はそこまで申しておりません。ただ、先刻の審議会におきまして、かなり突っ込んだ議論をされました後、三十一日とそして二日というふうなものがあるので、そういう段階を経て、まず基準でございますから、しかも第八次に従ってというふうな声も聞こえてくる状況の中で、おおむねかなりの部分消化されるのではないかと推定するということを申し上げておるわけでありまして、私がこれまた決定する権限ではございません。  さらに細かいことが必要でございましたら、選挙部長にひとつお願い申し上げたいと思います。
  105. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 大臣の答弁と重複する部分があるかとも思いますけれども、小選挙区の区割りの関係につきましては、現在、区割りの基準につきまして、画定審議会におきまして審議を行っていただいているところでございます。今審議会の審議日程として予定されておりますのは、五月三十一日、それからその次に六月二日に審議会を行われるというような予定がございますけれども、審議会におきまして最終的に区割り基準案をいつまとめるかということにつきましては、現在審議会で審議中でございますので、私の方から明確に申し上げることができないということにつきましては御了解をいただきたいと思います。
  106. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 中間報告を、石井大臣、されるんじゃないですか。
  107. 石井一

    石井国務大臣 中間報告は、連立与党と自民党の間の協議の中で、院に対してそれをしてもらいたい、ただし区画の内部について立ち入ることはしない、そういう協議の決定がなされておりますから、それに従いまして、基本的な基準ができました場合には、それは政治改革特別委員会その他の院の機関をもって御決定されることでございます。
  108. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 私は、定数是正、昭和六十一年にも行われたわけでございますが、そのときにも私の選挙区で伊予市、伊予郡というところが隣の愛媛の三区へ移行をされたというようなそういう苦い経験もあるわけでございまして、そういうふうに今まで何十年のこの関係、そしてまた実生活から逆の方向に選挙区が移動をされたりしますと、その定数是正の直後の選挙におきましては、例えば一つの市でございましたら伊予市などは投票率が一六%も低下をしたというようなことであって、やはり選挙というのは有権者の皆さん方が投票に行ってもらわなければどうにもならない話でございますから、そういうようなこともひとつ考えて、やはり先ほどの三つの条件の実生活、実情を十分に掌握してという文書がございますが、その点に私は特段の重きを置いてこれをやっていただきたいと思うわけでございます。  それから、一時よく言われましたが、区割り法案ができ上がって、それの選挙までの周知期間云々ということが、いろいろな立場の方がいろいろな意図を持って言われたわけでございます。公職選挙法の中にもその周知期間なんというのは明文はないわけでございまして、公布の日から施行日までが周知期間といえば周知期間と一般的に言われておるものであろうと思うわけでございますが、その点はそういうふうに解釈して間違いないんでしょうか。     〔委員長退席、後藤委員長代理着席〕
  109. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 一般的に周知期間と言われるものにつきましては、これは法律上の用語ではございません。私ども法律の案を作成いたします際には、その法律が成立をいたしまして公布された場合にその施行をいつからするか、こういうことでございます。  この施行日をいつからするかということにつきましては、当然、選挙区を定める法律の附則において規定をすることになるわけでございますけれども、こういった点につきましては、国会の御議論等を踏まえながら慎重に検討の上、法案提出自体で判断をさせていただきたいと考えておるところございます。
  110. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 藤井大蔵大臣、御質問をさせていただきますが、先般、数人の質問も既にあったわけでございますが、私も新聞の記事を見まして、例の消費税の問題でございます。これは大蔵省は機械的な計算だというようなことで、七%から一〇%まで消費税を上げて、そのときの財源が云々である。そしてその最後に、税率が一〇%で初めて差し引きして七千億円の歳入超過になるというようなことが書かれておりました。新聞に大きく報道されておりましたが、これを見ますと、もう私らはすぐびんときましたが、ああ、また大蔵省がいつもの手で地ならしを始めたなというように強く思ったわけでございます。  これはやはり消費税には、細川内閣からの継続かもしれませんが、一つの目安として七%というものを前段に置いてその話が進んでいっておるんじゃないかな、また、そういうふうに進めていこうとしているのではないだろうかと思うわけでございまして、そのあたり、実際にこれは新聞でも報道されておりましたが、こういうような一つの試算を出して国民皆様方にいろいろ論議をしていただきたい、そのこと自体は私は結構なことだろうと思うのでございますが、もう既に最低七%のアップありきというような考え方でやっておるのはおかしいのではないか。  例えば、七%までしなくてもまだいろいろな、先般大蔵大臣も御答弁されていらっしゃいましたが、行政改革もありましょうし、あるいは益税のものを三千万から二千万に下げるとか、あるいは事務負担を軽くいたします簡易課税制度の適用の上限を四億円から二億円に下げてくるとか、そういうような引き落としていくものがいろいろ出てくると思うわけでございますが、そういうようなことも含めまして、これからのその考え方、消費税に対する考え方。  それとまたもう一つお伺いしたいのでございますが、これは六月末までにまとめるというようなことが連立の中で決められておるようでございますが、それまでの流れ、そして実際に六月までにその結論を得ることができるのかどうか、その現時点での状態を報告をいただきたいと思います。
  111. 藤井裕久

    藤井国務大臣 経緯は、簡単に申し上げますと、税制調査会が、いろいろ御議論のある中で、若干定量的なものもないと議論の端緒ができないというお話があり、一定の条件のもとでひとつ機械的計算をしてほしい、こういうお話がございました。  今関谷委員のお話の懸念ということは、私ども非常にありました。ありまして、まだそういうふうに痛くない腹を探られちゃ困るなという気持ちはありましたが、やはり言われるように、定量的なものが全くないのはいけないということから今回出させていただいたわけでありますが、そのときに条件がございました。  三つございまして、消費課税の充実と所得課税の軽減という方向でやりなさい、第二番目に、今後の長寿社会における福祉施策に適切に対応できるようなことを頭に置いてやりなさい、第三番目に、この税制改革が財政体質を崩すようなやり方はとってはいけません、この三つでやりなさいという条件でございました。  したがいまして、今のような六つの案を出させていただきましたが、もう繰り返しになりますが、このような方向お願いしたいとか、このどれかを選んでくださいとか、政策選択的意図は全くございません。そういう政策選択的意図がないがために、今御指摘の、じゃあ不公平税制をどうするのかとか、あるいは、益税というお話がございましたが、現在の消費税の手直しはどうするのかとか、あるいは歳出の見直しをどうするのかとか、行政改革をどうするのかということについて、これは政策選択になってしまいますもので一切入れていないわけでございますが、それはこれから皆様で大いに議論をしていただいて決定していく政策の部分だと思います。おこがましい形で大蔵省がそんなものに入る方がいけないというふうに考えまして、これから皆様方の御意見を謙虚に承るべき一つの素案だと、素案じゃないんですね、機械計算だというふうに御理解をいただきたいと思います。  また、もう一つの点でございますが、こういうような形で税調がいろいろ御議論いただくとともに、地方の公聴会というのでございましょうか、これに来月早々には出ることになると思いますし、何よりも国民皆様の御理解なくしてこういうことはできるはずがないのでございまして、そういう努力は今後ともいろんな形で続けますし、また、国民の世論の代表でいらっしゃいます国会皆様方の御理解を得なければならない。特に、冒頭にお話ありましたように、私ども少数与党でございます。野党と言われる最大会派皆様方の御理解なくしてはとてもできません。そのために最大限努力をしてまいりたいというのが私の率直な気持ちでございます。
  112. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 厚生大臣にお伺いしたいのでございますが、この消費税アップの問題も、一〇%にしないと実際に福祉対策はやっていくことができないというようなことで、福祉の充実を図ろうとする意味が非常に大きいものですから、その分だけまたこの消費税を上げていかなければならないというようなまた論調にもなっておるわけでございます。  せんだって大内大臣が、ゴールドプランも今度は新ゴールドプランというようなことで洗い直さなければならない、そういうふうに大臣は思っていらっしゃるという答弁も他の委員質疑にございましたが、私もそういうようなことで、今日まで高負担高福祉というのが国内では理解されたようなところもあった、あるいはまたその方向に持っていこうとするものであったと思うのでございますが、もうそこまで、高負担をしてまで高福祉をしてもらいたくないという声が最近大分出てきておるわけですね。北欧諸国でも今から十数年前には高負担高福祉政策内閣がずっと続いておりましたが、結局ある時期には、もうこれ以上の高負担ではとてもやれないということでその政府がかわりましたけれども、私はそういうようなことで、新ゴールドプランというのもそういうようなことも勘案されて進めていく、そういうような状態になってきておるのではないだろうか。  国民皆様方もいろいろな税負担というもの、もちろん直間比率の見直しもありますけれども、そうではなくして、個々の税負担率もやはりどんどんふえてきておるわけでございますから、そういうように感覚的にも、考え方も大きく変わってきておると思うのですが、その新ゴールドプランの考え方の内容についても説明をいただくと同時に、大臣考え方を伺いたいと思います。
  113. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 ただいま関谷先生御指摘の、日本の今後の社会保障のあり方といたしまして、高福祉高負担、こういう政策はとるべきではない、このお考えは全く私どもも賛成でございます。  と申しますのは、今日本国民負担率は、平成六年度予定でございますが、三七・五%でございます。高福祉高負担をとっているスウェーデンの場合は約七六%でございます。フランスでも実は六二%台を記録しておりまして、ドイツ、イギリスの場合は五〇%台という面と比べますと、なお日本の場合は低い水準にございます。  それはなぜかといいますと、自助努力というものと公的保障というものを適切に組み合わせる社会保障をつくろうではないか、これは自民党の皆さんの時代から実はとってきた方向でございまして、これをやはり日本は貫くべきである。アメリカの場合は御存じのとおり自助努力というものが中心でございますが、今申し上げたような高福祉高負担という政策をとる場合には、どうしても税金でこれを賄っていく。そして国民の皆さんには税金という面でたくさん納めていただくということになりますと、これは経済、社会の活力が失われてくる。そういう意味から、私どもは適正負担、適正給付というものを考えていきたい。  何が適正であるかという問題は、例えば年金、医療、福祉、それぞれにつきまして、国民皆様のコンセンサスをいただかなければならない問題でございまして、私どもが年金制度の改正という形で今法改正をお願い申し上げておりますのも、実は、その目助努力と公的保障というものをそれなりにバランスを考えて御提案を申し上げている次第でございます。  御指摘のゴールドプランの見直し、つまり、新ゴールドプランの問題につきましても、実は、概算要求がこの夏に行われるわけでございますので、できればそれに間に合わすような形でそのプランを確定をしたいと思って今鋭意作業を進めているところでございますが、御案内のとおり、要介護、つまり介護を要する老人の数が急速にふえてまいりますのと、そのニーズが多様化してまいりますので、それに見合った、今までのプランというものを相当量的にも変えていく必要がある、また、その多様化の問題も考えなければならぬ。今ちょうど検討中でございますので、その全容をまだ御報告申し上げる段階ではございませんが、そのような考え方に立って、先生の御期待にこたえてまいりたいと思っております。
  114. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 規制緩和のことにつきましてひとつ触れておきたいと思うわけでございますが、羽田内閣は、細川前内閣の方針を継承いたしまして規制緩和に努められる、また景気回復にも、そういう一つのものとして規制緩和を挙げておるわけでございますが、世間の注目を集めて発足しました平岩研究会の報告にいたしましても、どういいましょうか、かけ声に終わったなというような声が多いわけでございますし、また、二月の日米協議の決裂を受けまして危機的な状況の中で急遽三月の末にまとめました対外経済改革要綱においても、アメリカからは大した評価もされなかった。  こうした結果になった原因は、いろいろ官僚の強い抵抗ももちろんあったと思うわけでございますが、どういう規制を、大臣皆様方十分に御存じの方もいらっしゃるとは思うのでございますが、ぽかっとその役所の大臣になっても、そのすべての、今どういう規制を直せるかというのを理解しておるかどうか、問うこと自体が私は無理だろうと思うわけでございまして、それは官僚の人は何十年ずっとその役所にいるわけでございますから、彼らの理屈から言われますと、一年少しいる大臣ではなかなか対抗はできないと思うわけでございます。  羽田総理も各閣僚に対して役所の指導監督を強く指示されたと伺っておるわけでございますけれども、なかなか現実問題としてはそれができてないんじゃないかと思うわけでございまして、所管大臣でございます総務庁長官にお伺いいたしたいと思うわけでございますが、具体的に、基本的なこういうようなところに重きを置いて規制緩和をやりたいということがおありだろうと思うわけでございますが、その点について総務庁長官にお伺いいたしたい。  それから、いわゆる規制の多い官庁といわれますと、今まで一番多かったのが運輸省、そして通産省というところであったわけでございますが、その運輸省、通産省の各大臣はどういう規制をなくそうとしておるのか、その例を一、二挙げていただきたいと思います。
  115. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 お答えを申し上げます。  昨年の九月の緊急経済対策、また、ことし二月の行革大綱発表時におきますところの規制緩和、こういったものを取りまとめをいたしまして、今国会に一括法で四十本、個別法で二十四本というふうに国会提出を考えておるわけでございます。その他、報告届け出の緩和等もやってきたところでございます。  では、今どういう問題に取り組んでいるか、そういう点になりますと、現在いわゆる行革本部において三部門、いろいろやっておるところでございます。  これを一、二申し上げてみますと、例えば土地住宅関係では、建築資材の基準・認証の問題、容積率の問題、あるいは土地利用規制などの問題を今検討いたしておりまして、何とかこの住宅問題で国民の皆さんに良質な低廉な住宅が供給できるように、また、海外との関係もその中で緩和できるものは緩和していくというようなことでやっております。  また情報通信関係では、電気通信事業のサービス、料金の規制の問題、それから、いろいろこれから考えてまいりますと接続の問題がございますので、ここにはいろいろな規制がかかっております。この問題を検討などをいたしているところでございます。  それから流通関係では各種の販売規制、それから市場アクセスの問題では各種の基準・認証の問題を、例えば電気用品の問題、これは外国の基準・認証との問題も関係ございますので、ここら辺の規制を、国際的な整合性と申しますか、そういった問題で今調整をいたしたいと思っておるわけでございます。あるいは輸入手続の簡素化の問題がございます。  また金融関係では、金融サービスや社債の発行制限の問題、保険関係の規制の問題を緩和しよう、こういうようなことを今個別的に検討いたしております。  先生御指摘のように、規制緩和、いろいろな議論はあるのでございますけれども、なかなか前へ進みにくい。前の方針は、一万何千件あるやつを一割削減しろというような形でいってもなかなか実質的な効果が上がり得なかったというのが実情でございますので、そういった意味で、専門部会を設けて、そこをぎりぎり詰めていこう、こういう方針で今やっておるわけでございます。  しかし、まだこれから検討しなければならない課題がたくさんあるわけでございますから、これは五年をめどに、この平成六年度におきまして年度ごとの計画を、要するに五年計画をきちんと立てる、そういう形でやってまいります。そうしますと、今までの規制のすべてはその年度計画の中に見直し問題が一応入ってきます。ここら辺をそんなぐあいにやっていこうと。  それから、やはりいろいろな社会的規制もございますし、法律ができますと規制がふえていくわけでございますので、これは法制局にもお願いをしまして、法律ができる場合は、原則、例えば五年なら五年の見直しのそういった条項を掲げて、できるだけ規制がふえないようにしよう、そういうような具体的な取り組みを今いたしておるところでございます。
  116. 二見伸明

    ○二見国務大臣 最初に運輸省の取り組むべき基本的なことを申し上げますと、運輸省は確かに許認可事務が大変多いのだけれども、実は昨年、省内に事務次官を中心に推進本部をつくりまして、事務次官が本部長となって削減の本部をつくりまして、三年間を目途に二割の許認可事務を削減しよう、平成五年中には一割を削減しようというので、現在一生懸命やっている真っ最中です。  目に見える削減を二、三申し上げますと、例えば鉄道のグリーン車なんてありますね。あれは今認可制だけれども、これはもう届け出制でいいとか、スキーのリフト料金ですか、これはかつては認可だった。それが今は届け出制だけれども、これは届け出も要らない、自由に決めていいというふうに考えております。  それから、私、マイカー族、オーナードライバーなんです。車を自分で運転するんです。車検、車両の定期点検ですか、これもかなり緩和しようというふうにやりまして、今は六カ月点検、十二カ月点検、また六カ月点検、二十四カ月点検、こうなっていますね。その六カ月点検の部分はやめてしまおうと。十二カ月点検、二十四カ月点検も、点検をする対象項目も削除しよう、こういうふうに今考えておりまして、これは大変国民生活にはプラスになります。例えば、六カ月点検をやめただけで、現在運輸省で、千四百ccから千八百ccクラスの自家用車を例にとりますと、全国平均大体一万五千円ぐらい六カ月点検にかかっている、これがゼロですから。十二カ月点検は現在二万二千円程度かかっておりますけれども、これが、点検項目を削減しますので、一万八千円程度になるだろう。二十四カ月点検は、現在六万七千円前後だけれども、それも五万九千円前後に下がるだろうというふうに我々予想をしております。  もちろん、これは整備業界にはかなり厳しいことになります。いわゆる整備売上費は恐らく五千億円を超える減になるだろうというふうに我々は予想しておりますが、規制緩和をすれば、結局これはそれを利用する国民の生活に資するものでなければなりませんから、ある部面では厳しい対応を迫られてくることが出るのはやむを得ない、大変申しわけないけれどもやむを得ないことだなというふうには考えております。  以上です。
  117. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生御指摘のとおり、実は私自身も、通産省は規制緩和のある意味では推進力、旗振り役である、そういう位置づけ、かような意味合いで、今二番手にと言われましたことを私自身もいささか心外に思うわけでございますが、数字の上から見ますと、確かに平成四年三月の時点での許認可件数が、運輸省が千九百六十六、通産が残念ながら千九百十五という数字でございます。  私も実は意外だなという意味合いで内容をチェックいたしますと、鉱山保安あるいは高圧ガス保安等安全環境関連がこのうちの九百二十一件でありまして、そういう特殊な例、あるいは助成措置、振興行政の関連が三百六十三と、ちょっと違った分野の、いわゆる一般的に言われます規制緩和等々の分野とはちょっと違った要素がある、この辺は御理解を願いたいと思いますが、引き続き、例えば都市ガスの大口供給者に対する、関連法案を今回国会の方に出しておりますが、あるいは大店法の問題等々、積極果敢に取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  118. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 時間が来たのですけれども、次の小澤先生の了解をいただきまして、あと一問だけちょっと質問させていただきたいと思うのでございます。  農林大臣、そう難しい話じゃないのですけれども、きのう地元でちょうど米穀小売組合の会合がございました。いわゆるお米の販売店でございますが、そこへ行きましたら、タイ米とか中国のお米が売れなくて困っておる、それは、ブレンドじゃなくしてセットで売っても、タイのお米とか中国のお米はお米屋さんに置いて、ほかのものを持って帰る。ですから、内地米が三割でアメリカとかオーストラリア米が五割であるとかいいますと、その八〇%のものを持って帰って、あと二〇%のものは置いて帰るというようなことで、タイ米だとか中国米がもう余って困る、売れないということです。  それで、考えてみますと、これはまた来年は四%、約三十七万九千トン入ってくるわけでしょう。それから二〇〇〇年にはもう七十五万八千トンというお米が入ってくる。まして、その年、内地米がいわゆる豊作であれば当然余ってくるわけですから、そういうところのお米は国民皆様方は欲していないわけでございましょう。ですから、お伺いいたしますと、ミニマムアクセスのお米は、どこの国からどれだけとるなんというのは決めようがないそうですね。それを決めるとまたガット違反だということをお伺いいたしたわけでございます。  これはまた大変なことなのですが、そのことに対してはどういうふうに対処をされるのか。もうどんどんそういうものがたまってくる、最後は廃棄をしなければならなくなってくるというようなことになってくるわけでございまして、これは対策を何か講じてもらわなければお米屋さんは大変なことになってしまうのですが、農林大臣、対策をよろしく。
  119. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 恐縮でございますが、私の方からお答えをさせていただきます。  今委員御指摘のとおり、タイ米等につきまして消費者の購買意欲がやや低いという事情は確かにございまして、特に三月かなり仮需が起こったということもあって、その反動もあろうと思うのでございますが、このところ売れ行きが落ちているという状況にございます。  私ども、五月に入りましてから、タイ米の在庫調整を目的にしまして、卸売業者と小売業者の方々に、当初我々が予定をしておった率よりも半分程度の引き受けでも差し支えないというような対応をいたしておりまして、在庫調整を図ってまいっているところでございます。さらに様子を見ながら、後の話はまた検討したいと思っております。  それから、ミニマムアクセスによって入ってまいりますお米は、今委員御指摘のとおりどこの国から入ってくるかということをあらかじめ考えておくわけにはなかなかいかないわけでございますが、一般的に言いまして、日本に向けた米の輸出を一生懸命やりたいという国が非常に多いわけでございまして、今回の緊急輸入とは違って、ミニマムアクセスのお米というのは、かなり輸出国側にとっても日本の需要に向けて合ったようなものを入れてくるという対応になる面が一つあると思っています。それから、私どもの方も、事前にわかっております話でございますから、国内でどういうような処分の仕方をするのかというようなことを十分念頭に置きながらその輸入を図ってまいりたいというふうに考えております。     〔後藤委員長代理退席、委員長着席〕
  120. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 終わります。
  121. 山口公生

    山口委員長 これにて関谷君の質疑は終了いたしました。  次に、小澤潔君。
  122. 小澤潔

    小澤(潔)委員 総理、御苦労さまです。大臣の先生方も御苦労さまです。委員長も御苦労さまです。  まず私は、始まる前に意見をちょっと申し上げてみたいのです。と申しますのは、先週の金曜日に、私国立在住ですから、国立の市役所からお知らせが参りました。いささか感ずるところがありますので総理に申し上げますので、所感をお願いをいたしたいと思います。  前段と後段を省きまして、真ん中をひとつ読ませてください。  「国立都市計画道路三・四・四号線の整備事業執行のお知らせ」、都市建設部長實實という部長でございますが、   この事業は、事業費の半分程度を国庫補助金を受けて推進する事業計画であります。   しかし、ご存知のとおり国の平成六年度予算が未だ国会で議決されておりませんので、当該事業の予算配分も受けられず事業執行が出来ない状況であります。   従いまして、今後の予定としましては国の予算が決定し当該事業の補助金額の内示後、東京都知事に事業認可申請を行うことになりますので、この先事業を始められるまでなお相当の期間を要すると思われます。 後段も省きます。  これは、やはり新規事業ですからこうなっていると思うんですが、三千三百余の日本じゅうの自治体がやはりこのとおりだと思うんですね。総理は、細川総理から引き継いで、以前は副総理までしておったのですからもう言われなくてもよくわかるはずでありますが、こういったことがやはり景気浮揚にまず響いておることも間違いない事実である。これらを踏まえて、一生懸命我々も国民の信託にこたえながら、予算は必ず通すということでやっておるわけでありますが、ひとつ、この今私がお知らせを読んだ感想でも結構ですし、所感があれば一言申してみてください。
  123. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 各都市の事業量といいますか、市町村の事業量は補正予算等を今充当してあるということがございますから、これは私は各地方都市には、市町村にも仕事は行っておると思います。ですから、景気そのものに対して今まだどうこうということじゃないと思います。しかし問題は、新規のものについて、確かに配分が行かないためにこれが工事が始まらないということはあるいはあり得るのかなというふうに考えております。  いずれにいたしましても、このように予算がおくれておることについては大変遺憾でございまして、私ども各党の御協力をいただきながら一日も早くこれを実施し、そして、通していただきまして、執行をしていきたいというふうに考えます。
  124. 小澤潔

    小澤(潔)委員 やはりこういったことがもう景気の浮揚を妨げておることは間違いございませんので、我々も頑張りますから、お互いに頑張ってまいりたいと思います。  それでは、総理の基本姿勢について、普通の言葉の通ずる政治について申し上げてみたいと思います。  総理は、五月十日の所信表明演説で、「私の出身地信州の文豪、島崎藤村が郷里、馬籠で語った中に「血につながるふるさと、心につながるふるさと、言葉につながるふるさと」という味わい深い言葉があります。私はかねてこの言葉を言いかえまして、「血につながる政治、心につながる政治、普通の言葉の通じる政治」を心がけてまいりました。」「普通の言葉で率直に議論し、」とあります。  そこで私は申し上げたいわけでありますが、この表現を私なりに拡大解釈をいたしました。例えば明治政府以来、村長、町長、市長、区長はそれぞれなじみ深く、区市町村の長で普通の言葉のようでありますが、大臣、知事というと何か普通の言葉とはなじまないような感じもいたします。昔からの貴族政治用語を踏襲しているのではないかと思います。例えば右大臣、左大臣とありましたね。こんなわけで、今流行の新しい政党名のごときものと同類の呼び名に改称するお考えはありませんか。総理にお伺いしたいのです。  ただし、知事につきましては、地方自治でありますから国からの干渉はいかがかと思います。ただ、知事もどうかなと考えます。私としては、この際、やはり区市町村にちなんで国も長をつけたらどうかな。例えば大蔵大臣は大蔵長、総理大臣総理長というふうにしたら、今のところはもう大臣でなじんでいますからいいんですが、余りにも古い故事がありますので、この際、新しくしたらどうかということを申し上げました。御意見承ります。
  125. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この普通の言葉というのは、ちょうど私が昭和四十四年国会に議席を得ます。その選挙の際に訴えまして、それ以来こういう言葉でできるだけ話していこうということでありました。また、特に大蔵省の大臣等を務めましたときに、各大臣を務めますときに、ともかく英語の言葉は必ず仮名振って解釈をしておいてほしいということ。そして私ができることといえば、難しい財政、金融、税制、こういったものについてやはり国民にわかりやすく説明する、そしてそういった人たちの声を吸収する、これがおれの仕事だと思う、ついては難しい言葉はできるだけかみ砕いて表現してほしいということを申し、まあそんなことに努めてまいりました。  ただ、政治の場、特に国会の場で使われる言葉も、どうしてもやはり法律をもとにしながら法律用語で語られるという中に、全然何のことを言っているんだかさっぱりわからぬ。例えば農林の場合でも水田利用再編対策というと、えっ何のことだろうと、なかなか理解されないというようなことがあるわけでございまして、こういった問題なんかもうちょっとわかりやすくしていくことは大事なんじゃないのかなというふうに思います。  それと、今言われたような長と言う方がわかりやすいぞと言われることは、そうですね、よその国へ行きますと長官なんというふうに呼ばれたりなんかする場合もありますけれども日本の場合には、今小澤委員の方がいみじくも言われたように、いや日本の場合には大臣と言うのが案外もうなれているのかなというお話もあったのですけれども、ともかく、いずれにしても、我々が使うそういう公の言葉というもの、あるいはネーミング、名前をつけるときですね、今ネーミングと私が言いましたが、横文字をやたら入れちまうということになるとますますもってわからなくなってくるというので、そのあたりのところをよく注意しながら、そして外国に通じない横文字の言葉なんかもあるわけですね。ですから、その辺もよく気をつけながら、政治というものが国民に身近なものになるようにしていかなきゃならぬ。  しかし、普通の言葉で語りましても、いつまでもただ普通のあれではいけないのであって、あるときには厳しいこともリードしなければならない、あるときには決断をしなければならない、そういう姿勢で臨まなければいけないということを改めて思います。
  126. 小澤潔

    小澤(潔)委員 はい、わかりました。  アメリカあたりは長官のようですし、また台湾へ行くと部長ですね。そして中国へ行くと主任でも日本大臣と同じである。こういった言葉も使っておりますが、いずれにしろ私は思いましたので、率直に申し上げたところであります。  それでは、まず農政問題について質問をしてみたいと思います。  東京には、定数が四十三、国会議員、超党派で四十三名おります。その中にあって私は今なお農業を営んでおる小澤でありますが、いわば農業に対しては貴重品の価値があるのではなかろうかと自分ながら自負しております。そこで、きょうは農業問題について質問いたすわけでありますが、今は亡きおやじから、かつてこういったことを身にしみるほど聞かされた言葉があります。  かつての悪代官以来、百姓、農民生かさず殺さずの政策をとっておるのが現状で、今なおそれが続いておる、心しなさいということで、私も地方議会におりましたが、法の改正はやはり国である、こういった観点から国に参ったのもその一つでもあります。  まあ終戦後ですから、思い出しますと、農薬も大したものがないし、畑の仕事も本当に大変だったことが走馬灯のごとく今よみがえってまいります。炎天下、あの土用の太陽の煮えたぎる下で、オカボ、陸稲ですね、草むしりをした苦い経験、懐かしい経験もあります。手はみんなもう泥だらけですから、ついこのひじでふくんですね、汗を。その癖があって、今なお上着ても脱ぐとついこれやっちゃうんですが、そんなエピソードも出たところでありますが、そしてまた、サツマのつるっ返しをしたり、田んぼにあっては、朝、家じゆうで田の草、除草剤がありませんから、昔は手でどろどろに、何というんですか、草を全部手で寝かしたんです。  こんな苦しい思いもあるし、それもうち一軒でない、近所じゅうがそれをやっているからまあ競争でやれるんですが、本当に懐かしい思いであり、この農民の汗を政治にぶつけたら日本政治ももっともっとよくなるということで、私は絶えず農民とひざを交えながら、また多くの友人とひざを交えながら、今回もこの質問に当たってはいろいろと税制面、そしてまた農業行政、あらゆる角度から、農民の代弁者として、農民から言われた点をこれから大蔵大臣、そして農水大臣、また自治大臣、建設大臣等々、総理にもお願いをしてまいりたいと思っておりますので、どうもお答えが長いようですから、なるべく簡潔にしていただいて、よろしくお願いをいたしたいと思います。  初めに、国民に食糧を安定的に供給していくため、自給力をどのように考えているのかをお尋ねいたします。  御承知のとおり、世界の食糧情勢は、昨年アメリカの大洪水といったった一つの出来事でも世界の穀物の相場が急騰いたしております。長期的な世界の穀物需給は、今後生産性が向上したとしても、人口の増加、異常気象、農耕地の荒廃などによって、二十一世紀には逼迫基調に陥ることは明らかであります。先進諸国の中で最低の自給率の我が国が世界の食糧を買いあさるようなことは許されません。  そこで、今回のような米不足が起こることのないように十分な備蓄を行うことは当然のことでありますが、むしろ将来に備え、国民に食糧を安定して供給していける潜在生産能力、すなわち農地、労働力、生産技術、資本を我が国においてどのように確保し、いつでも国民の食糧が十分に生産できる体制を整えることが国の努めでありましょう。しからば、我が国の潜在生産能力が現在どの程度の現状にあるのかを明らかにしていただき、安全で不安のない食糧供給のあり方についてお答えをいただきたいと思います。農水大臣、よろしくどうぞ。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  127. 加藤六月

    加藤国務大臣 国民にとって食糧というのは、基本的に、基礎的な物資であり、国の最も大切な仕事、任務であると考えておるところでございます。  我が国の潜在生産力につきましては、平成二年に公表せられました農産物の需要と生産の長期見通しの検討の一環として試算を行ったことがございます。それによりますと、現状程度の農地面積、まあ五百万ヘクタール程度を前提に熱量効率を最大化した場合に、昭和三十年当時と同水準の二千キロカロリー程度の熱量供給が可能とされておるわけでございます。  なお、食品の安全性の確保及び持続的農業生産確立の観点から、農林水産省といたしましても、環境保全型農業を強力に推進しているところでございますし、その他にも表示の適正化等の措置も今講じておるところでございます。
  128. 小澤潔

    小澤(潔)委員 次に、農業、農村の持つ多面的機能をどのように評価し、政策にどう位置づけるのか、お尋ねをしてまいりたい。  農業や農村は、農作物の生産供給のみならず、環境の保全、農村景観としての安らぎと潤い、災害の防止、水資源の涵養、日本文化の伝承などの重要な役割を果たしてきました。一方、現実を直視すれば、農山村地域では、若者の都会志向、農業や林業で生活できない経済基盤、高齢化の著しい進行、生活基盤の未整備などによって、集落や村が崩壊しようとしている実態があることは御承知のとおりであります。  しかし、人々は家族で支え合い、地域で助け合い生活しているのでありまして、そこで、農業、農村の持つ大切な機能、役割を的確に評価し、これらの地域に住む人々が農業や林業で安心して生活でき、生き生きと暮らせる農山村となるよう政策を実施すべきであると考えます。そのため、これらの機能を享受する都市の住民が応分の負担をしてしかるべきでありましょう。この財源によって所得補償政策を実施すべきと考えますが、農林水産大臣お願いをいたします。
  129. 加藤六月

    加藤国務大臣 農業、農村の持つ機能、役割、今委員のおっしゃったとおりだと私も思います。そして、それらを今後どう農林水産行政に展開していくかということにつきましては、一昨年、長時間をかけて検討していただきましたいわゆる新政策がございます。  また反面、今日の現状を見ますと、関係従事者の高齢化、あるいはまた耕作放棄地等の問題も逆に出てきておりまして、そこで、国土資源というものを有効に利用していくということから、魅力ある農業と活力ある農村を実現していくことが不可欠であると思います。  そういう中で、今申し上げました新政策の中では、経営感覚にすぐれた意欲的な農業者が生産の根幹を担う力強い農業構造を実現しますとともに、国土の均衡ある発展のため、農村が多様で活力ある地域として発展できるような各般の施策の厚みを増すとともに、早急にその新政策の実施をしていくことが大切であると考えておるところでございます。
  130. 小澤潔

    小澤(潔)委員 総理は、所信表明演説で、「ウルグアイ・ラウンド農業合意による影響も踏まえ、早急に農業再生のための抜本的対策を確立するとともに、農山漁村地域の振興に全力を挙げたい」、このように申されております。総理の意を体すべき農林水産大臣の今の答弁をお聞きになったと思います。  従前より所得補償政策については、もう各歴代の農林大臣がだめだということできっぱり断っているようでありますが、社会党の先生方も多く質問をしておりますし、今回は大臣が細川さん、そしてまた羽田さんにかわったんですから、多少変わったかなと思いましたが、やはりだめだということも聞いておりますので、さてそれができないというならばということでお願いをしたいのですが、条件不利地域の自治体や第三セクターなどに大幅な助成措置を行って雇用をつくり出したり、青年が就農しようとする場合の奨励施策など、住民が定着てきる政策を確立する必要があると考えるものでありますが、総理、いかがでしょう。
  131. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは先ほど鉢呂さんの方にもお答えしたことでありますけれども、やっぱり今度のウルグアイ・ラウンドというのは、一つの画期的な新しい方向を示したものであろうと思っております。ですから、私どもはそういったものを踏まえて、今でもやっぱり農業、農村の中に問題が幾つもあるわけですね、そういったものに対して一つの新しい方向というのは今度の場合に見えたわけでありますから、こういった機会を私どもしっかりとっかみながら、やっぱり足腰の強い農業というものをつくるために、基盤整備はもちろんでありますけれども、そういったものを確保するようなことも考えるというようなことも大変重要な課題であろうと思っております。  ですから、今お話があったように、就労の機会というものをしっかりとつくること、農村の中にあって就労の機会をつくること、もう一つは、今お話があったようにやっぱり新規参入者、こういった人たちを迎え入れるようないろんな仕組みというものを我々はさらに拡充していく必要があろうということを改めて今考えておること、そして私自身、陣頭に立ってこれらの問題を進めるために全力を尽くしていくことを申し上げたいと存じます。
  132. 小澤潔

    小澤(潔)委員 今、力強いお言葉を承りましたので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。  さて、次に文部大臣お願いしましょう。  食糧は我々の生命活動の源泉であることは言うまでもありません。主食である米問題で世間が大騒ぎとなり、日本農業政策の底の浅さが露呈したことも事実でありましょう。  ところで、小中学校教育の中において、農業や林業といった、毎日の食や自然を担う分野の教育が余りにも不十分であると思わざるを得ません。小学校五年生の社会科の中で、主食である米について勉強することになっておりますが、たまたまうちの孫が、小澤潤一郎というのですが、孫はかわいいです。この話をしましたら、おじいちゃん、本があるよということで本を持ってきました。何か二冊の本があるようですね。後ほど回しても結構ですが、そういったわけで、主食である米について勉強することになっております。  特に都市部では生育中の稲を見たり触れたりする機会がほとんどないということも聞いております。一生を通じて避けることのできない食の学習をないがしろにしてきたと言ってよいでしょう。米ばかりでなく、野菜や牛乳や卵がどのように生産者の努力によって生産しているかを、実体験を通じて学ぶことのできる学習の場を小学校の低学年から取り入れるべきであると考えるが、所見をお伺いをいたします。
  133. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 お答えいたします。  先生のおっしゃることはまことに同感でございます。私どものように昭和一けた生まれでございますと、非常に食糧の足りないときに若い時代を過ごしまして、非常に食糧というものについてのありがたさというのは骨身にしみているわけでございますが、最近の若い方、子供たちはそうでもないということでございます。ことし初めの米不足ということで、日本でも必ずしも米が余っているばかりでない時代、ないときというのがまたあったということは、一つの大きな経験ではなかったかと思うわけでございます。  こういうときには、やはり実際にお米がなくなったらどんなに困るかということを子供に教えるいいチャンスではなかったのかなというようなことも、この四月あたりには感じていたわけでございますけれども、それはともかくといたしまして、小学校の低学年の子供にも、実際に勤労をしてみる、あるいは栽培をしてみるということを通じまして、そういう生産者の方たちの御苦労などもわかるようにぜひしたいというふうに思っております。  例えば、各県にそういう指定校をつくりまして、実際に子供たちにそういう体験をさせるというような試みもいたしておりまして、それは少し数は少ないわけでございますが、モデルでございますから、モデルからその経験を、それを指定されてないところにも伝えることができるわけでございまして、こういう試みもいたし、それを通じて子供たちに生産の喜びあるいは勤労のとうとさというものを教えていきたいというふうに考えております。
  134. 小澤潔

    小澤(潔)委員 いろいろとまた申し上げようと思いましたが、大分細かく答弁もありましたので、再質問はやらないことにして、ひとつ意見として若干申し上げますと、もう小中学校、高校多いのですから、なかなかこの教育も大変と思いますが、やはり近在には農家が必ずあると思いますので、そういったところを、今も話は事実大臣からもありましたが、その辺を利用しながら、農民の苦しみ、卵、牛乳、肉、こういった農家の苦しみも体験をさせ、たまには山も、もう高校生になれば民宿もできますし、そして山の体験もやはり教えるべきである。ひとつ意見として申し添えておきたいと思います。  続いて、大都市地域にも農地があり、農業が行われていることは御承知のとおりと思いますが、三大都市圏の都市農業の問題についてお尋ねいたします。  私の出身は東京都でありますので、東京の農業の実態を取り上げて質問いたします。  東京の農業は、一万五百ヘクタールの農地で農業を営み、千二百万都民の消費する野菜の一一%を供給いたしております。このことは、人口百二十万人の山形県や大分県の一県分の年間消費、野菜の一県分を賄うに相当するわけであります。決して少ない数字ではないと思いますし、農地の七割は市街化区域内にあって大切な農産物を生産しているということを御承知でありましょうか。大臣、ひとつどう評価されますか、お願いをいたします。
  135. 加藤六月

    加藤国務大臣 都市近郊地域におきましては、都市計画法と農振法等の適切な運用によって調和ある土地利用を図っておるということは、もう委員と私と全く共鳴するところでございます。こういう中で、今おっしゃいましたように、生産緑地地区内や都市近郊における農業が推進されまして、都市住民に対する野菜等生鮮農産物の供給等の役割が発揮されており、私は重要であると考えておるところでございます。
  136. 小澤潔

    小澤(潔)委員 よく御理解をしていただいて、ありがたい限りです。  次に、建設大臣にお尋ねいたします。  都市農業も、単に農業生産のみならず、都市において貴重な緑としての機能や地下水の涵養、防災空間など、都市住民が安全で健康的な生活を営む上で大切な役割を担うなど多面的機能を持っていることを評価し、生産緑地法によって農地を都市計画に位置づけたと言ってよろしいでしょうか。  さらに、生産緑地法に基づいて生産緑地地区に指定された農地については、三十年間という長期にわたって農業以外への利用を厳しく制限し、農業では生活できないという経済上の理由をもっては、制限の権利救済たる買い取り申し出ができないことになっていますが、非常に厳しい制限を加えていると解釈してよろしいでしょうか。  また、買い取りの申し出のほか、買い取り希望の申し出がありますが、これは市町村長は買い取りの義務はなく、制限の解除もないということでよろしいでしょうか。お願いいたします。
  137. 森本晃司

    ○森本国務大臣 生産緑地に対する委員の御質問でございますが、今委員が御指摘いただいた、そのとおりだと私も思っております。生産緑地というのは……(小澤(潔)委員「もうそれで結構です」と呼ぶ)それでよろしゅうございますか。
  138. 小澤潔

    小澤(潔)委員 ありがとうございました。長くなりますと質問時間がなくなりますので、勘弁してください。  農林水産大臣お願いをいたしたい。  農業振興地域の整備に関する法律に基づき指定されている農業振興地域では、みずから居住する住宅や分家住宅、一定の商店などの建築が許されるそうでありますが、間違いありませんか。また、農振地域には基盤整備等の農業振興施策を積極的に実施していると聞いておりますが、それでよろしいでしょうか。
  139. 加藤六月

    加藤国務大臣 農振地域は、都道府県知事がおおむね十年を見通して農業の振興を図ることが相当と認められる土地を対象として指定しておるというのは、委員も御存じのとおりでございます。
  140. 小澤潔

    小澤(潔)委員 済みません、大臣質問で間違いないですね。
  141. 加藤六月

    加藤国務大臣 間違いありません。
  142. 小澤潔

    小澤(潔)委員 ではそれでありがとうございました。  しからば、平成三年十一月二十一日付農林水産事務次官通達を見ると、生産緑地地区は、農振地域以上の規制が行われている農地でありながら、融資事業を除き、基盤整備などの国の施策が行われないことになっております。この点を早急に改善し、農道や土地改良などの基盤整備を伴う農業振興施策を積極的に実施すべきであろうと考えるものでありますが、農林水産大臣お願いをいたします。  話を聞くところによると、覚書はしていない、このような説明でありますが、その辺、本当にないのかあるのかもあわせてお願いをいたしたいと思います。
  143. 加藤六月

    加藤国務大臣 まず、後段の分でございますが、そういうことをいたしておりません。  それから、従来から金融、税制措置の施策に加えまして、集荷施設等についても補助、融資の対象といたしております。
  144. 小澤潔

    小澤(潔)委員 覚書はないと聞いておりますので、大臣が言うのですから間違いないと思いますが、私はあると聞いておったのですが、後日またよく調べてみたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  ところで、都市計画法による線引きが東京で行われたのが昭和四十五年十二月であります。もう二十三年という長い月日が流れたわけで、この間に世の中が大きく変化してきております。都市の中にむしろ農業があってよい、あるべきだという都市住民の意向はより強まっております。この際、実態を踏まえた政策を展開すべきではないでしょうか。  農林水産省でできないというならば、生産緑地地区を所管する建設省に生産緑地振興担当部局を設置することはいかがか。生産緑地は、農林漁業の用に供されて初めてその機能が発揮されるものである以上、それぞれの業が振興され、適正に管理できるようにすべき責任が建設省にはあると考えておりますが、いかがでしょう。両大臣お願いをいたします。
  145. 森本晃司

    ○森本国務大臣 建設省といたしましても、農林水産省と十分協力しながら、生産緑地を最大活用していくことが大事かと思っておりますので、委員の御指摘も踏まえまして、生産緑地について一層の取り組みを行ってまいりたいと思います。
  146. 加藤六月

    加藤国務大臣 生産緑地法をつくったときの経緯と経過にかんがみ、建設省とも十分相談しながらやっていきたいと思います。
  147. 小澤潔

    小澤(潔)委員 今の答弁を聞いておりまして、ひとつまた両省でなおさらに努力をしていただきたいと思いますので、一言申し添えておきたいと思います。  次に、農地の相続税納税猶予制度の改善について質問いたします。  農地の相続税納税猶予制度は都市農業にとって重要な制度でありますが、今回の生産緑地法の改正に絡んで、生産緑地地区に指定されていないと猶予制度の適用ができないとされていますが、両制度の間で適用に矛盾が生じており、次の三点について早急に改善すべきであると考えるが、大蔵大臣にお答え願いたい。  一点目は、生産緑地法では、直接畑を耕作しない鉢花温室や畜舎などの生産施設、農業生産の上で欠くことのできない農具舎などの貯蔵保管施設であっても指定することができますが、相続税納税猶予制度では、このような施設はすべて制度の適用ができないことになっております。農業生産に必要なものは認めることが筋だと思います。農業を一生懸命やっていきたいという農業者の期待にこたえていただきたいと思います。  二点目、猶予を受けた農地について、生産緑地法に基づく買い取り申し出を行った場合、申し出の日から起算して二カ月以内に、猶予してあった本税と利子税六・六%を付して納税しなければならないことになっています。しかし、生産緑地法では、買い取りの申し出から三カ月経過しないと、どこが買ってくれるのかわからないし、もちろんお金も手元に入ってきているわけでもないのに納税しなさいというのは、余りにもひどいやり方ではないでしょうか。法治国家らしく、きちんとお金が入ってから納税できるよう、納税期限の延長を認めるべきでありましょう。  三点目は、生産緑地地区を相続税納税猶予制度では都市営農農地と言うそうですが、この都市営農農地がくせ者でありまして、平成三年末までの猶予制度適用の場合は二十年経過すると免除できたのでありますが、都市営農農地では、その人が死んだら免除するということで、終生営農となって、生きている限り、体が言うことをきかず、はいつくばっても営農しなさいということになっております。大蔵大臣、あなたがその立場であったらどう思われますか。  三点についてお答え願いたいと思います。
  148. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいまのお話は、すべて仕組みを御存じの上の話と思いますので、余り仕組みをくだくだ申しません。  この相続税の納税猶予というのは、あれは昭和五十年にできた制度だと思います。そして、お話しのように、農業の置かれている特別な立場、農地を相続される方の特別な立場に配慮してああいう制度ができたと思います。  ところが、平成三年、これは前の内閣の時代でありますが、大変な御議論をいただいたと承知をいたしておりますが、そのときには、要するに、そういう仕組みの中でやはり相続税を逃れるようなことが往々に行われているではないかというような議論もありまして、結局、三大都市圏の中の特定市、百九十市だけでございますが、これが今御指摘のような生産緑地というのでございましょうか、都市営農農地というのでございましょうか、そういう仕組みになったわけでございます。だから、全般的に農地は今までどおり相続税の納税猶予というものが認められて、二十年というのが生きているわけでございますが、特別の特定市について御指摘のことがございます。  それにつきまして、いろいろ細かい条件についての御指摘でございますが、そういう趣旨から、あのときは建設省も含めて、また、国会の多くの皆様の大議論を経てこれは決まったわけでございますので、どうかその点を御理解をいただきたいと思います。  農地だけが対象だという問題、二カ月・三カ月問題、それから二十年から、亡くなってからという問題は、この制度をつくった実際の本旨がそうなっているということで、ぜひ、小澤先生のように都市農地を実際やっていらっしゃる方にとってはいろんな御疑念もあろうかと思いますが、平成三年の改正のとき、都市計画全般を含めまして、そのように大議論の末、整理されたという点も御理解をいただきたいと思います。
  149. 小澤潔

    小澤(潔)委員 さて、さきの問題も大事だが、この制度が町づくりにとって大問題であるということであります。  一点目は、都市営農農地が公共の収用対象事業で買収されたといたします。その農地で、仮に一億円を猶予していると想定した場合、二十年経過していると、本税の一億円と利子税一億三千二百万円を納税しなければなりません。終生ですから五十年という場合もあるでしょう。その場合は利子税だけで三億三千万円となり、だれも都市計画事業に協力するわけがないと思います。事業に協力する場合は、利子税の免除措置を講ずるべきだと考えます。  二点目、生産緑地の買い取り申し出により買い取られた場合や、行政の都合で都市計画変更を行い、生産緑地地区を廃止した場合については、本税の二〇%以内で抑えるような利子税の免税措置を講ずるべきと考えるものであります。  三点目、猶予適用農地を道路などにし、国や地方公共団体に寄附した場合は、本税、利子税とも免除してしかるべきではないでしょうか。  大蔵大臣、前向きな答弁をお願いをいたします。  三点目については、もう最初に申請、早く言えば申請ですね、してあってからその制度をとれば寄附は認められるんですが、制度に入ってから寄附したいから免除しろというとだめだというんですね。これでは、もう寄附する人もありませんし、こういった措置をお願いしたいということです。よろしくどうぞ。
  150. 藤井裕久

    藤井国務大臣 先ほどの趣旨はもう繰り返しません。  また、今のような問題が出ていることも私は承知をいたしておりますが、バランスからいいますと、むしろ生産緑地を選定されなかった、選ばれなかった方は、農地でありながら当然通常の税金をお払いになっているということ等々のバランスから考えまして、今のようなケース、つまり途中で都市営農農地をおやめになる方、それが収用である場合ももちろんでございましょうが、当初からもうこれは生産緑地としないで税金を払うとおっしゃった方々とのバランスなどを考えまして平成三年の税制が仕組まれておりますもので、御事情はよくわかりますけれども、お許しをいただきたいと思います。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  151. 小澤潔

    小澤(潔)委員 続いて、都市環境保全のための相続税制の改善について質問いたします。  都市の環境を保全するために必要な山林などの緑は、著しく減少が進んでおります。その裏には、相続税が絡んでいることを耳にいたします。国木田独歩の小説にあるように、平地林と言われる武蔵野の雑木林は、農業と一体となって管理された自然空間として非常に価値あるものと思いますが、相続が発生すると一挙に消滅してしまいます。一方で、建設省は都市公園だ、都市緑地だと、わざわざ税金を投じてつくっているわけでありますから、この際、思い切って税制を改善し、緑地保全地区や生産緑地地区等に指定され、一定の制限を受ける平地林について保全ができるよう、相続税の特例制度を創設すべきであると考えるものであります。  次に、市民農園でありますが、都市の市民は、日ごろ土に触れる機会がほとんどありません。さきに学校農園について質問いたしましたように、子供も農作物がどんなふうに生えているのかもわかりません。都市から農地が少なくなればなるほど、機会が失われていきます。都市住民の心身の健康のためにも、土に接し、額に汗することのできる市民農園は大切な都市の施設であると言えましょう。これがまた相続税によって消えていってしまうのであります。  市民農園ばかりではなく、地方自治体が借り入れて公共的利用がされている土地については、連立与党の税制改正大綱にあります、小規模宅地を「国の事業の用」に供している土地について、引き続き事業の用に供される場合は相続税評価額の八〇%を減額する措置を行うこととされておりますが、この措置の考え方をさらに拡充し、地方自治体が利用するものに拡大するとともに、面積も小規模宅地にとらわれずに適用すべきであると考えるものであります。  なお、関連して、先ほど申し上げましたように、最近は物納が非常にふえております。農地も例外ではありません。この物納された農地については、市町村にぜひ貸すなり売却するなりして、市民農園や学校農園などとして活用ができるよう道を開いていくべきではないかと考えるものであります。大蔵大臣の賢明な御判断をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。  また、建設大臣にも答弁を願いたい思いますが、まだまだいろいろと残っておりますので、よくこれらを精査していただいて、農民に対してひとつ喜んでもらえるような点をお考えをいただいて、後ほど答弁をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  林業政策について若干申し上げ、答弁をいただき、もうこれで終わりにしたいと思います。  我が国は、国土の約七割を森林が占めている森林国であり、森林は、木材等の生産のほか国土保全や水源の涵養など、農地と同様に多様な機能を有しており、特に過密化が進む大都市にあっては、緑地空間、自然環境としての機能に期待が寄せられています。  しかし、森林を守り育ててきた山村の基幹産業である林業は、木材輸入に伴う価格の低迷、労働者の高齢化と減少、生産費の高騰による採算性の悪化によって、森林管理が極めて困難になってきております。そこで、森林の適正管理を促進する施策を実施し、国土の保全と豊かな森づくりを進めるべきと考えるものであります。  まず初めに、森林・林業施策の基本的な進め方について所見を農林水産大臣お願いをいたします。  次に、治山事業に対して二千二百億円余の予算を計上され、森林整備に力を入れられていることに最高の敬意と感謝をささげるものであります。  さて、森林の持つ公益的機能を発揮させるため、近年の災害の発生や、快適な生活環境の保全が強く叫ばれているもとで、治山事業の一層の拡充のための措置を講ずるとともに、経営的に厳しい状況にある林業経営の改善のため、そのコストの大半を占める造林に対する融資制度の抜本的な改善を図り、経営の体質強化を進める必要があると考えますが、農林水産大臣お願いをいたします。  また、このような公益的機能を維持増進させるため、国として補助事業により積極的な取り組みが行われ、また地方財政措置による支援が行われています。こうした支援措置は、公益的機能の維持増進だけではなく、山村の活性化等について市町村等の評価が高く、積極的な対策を期待しているが、今後どのようにしていく考えか、お答えを自治大臣お願いいたします。  次に、森林の相続税問題について質問いたしたい。  二月二十五日の朝日新聞の投書欄に、「厳しい林業に税でこたえて」という五十五歳の林業家の投書がありました。中身を読みますと、江戸時代からの家業で代々、杉、ヒノキを育ててきたが、傾斜三十五度の山で林道もつくれない。適齢伐期になって木を売っても、跡地に造林する費用で消えてしまう。植えて十年ぐらいは手入れの費用が毎年かかるし、過酷な労働に見合う賃金も払えない。そんな中、父の死で相続が発生し、大都市に近いばかりに高く評価される林地。樹齢に応じてかなり高い相続税がかかる。伐期になるまでに二回の相続。相続なしでも林業の利回りは一%と言われる。緑を育てる私たちに林業が続けられるよう税制の緩和を、と訴えております。  さて、この林地の評価倍率が平成四年の評価で著しく上昇した首都圏について、平成五年においてくくりの見直しが行われ、評価の適正化が図られた結果、平成五年の評価倍率が平成三年の水準に引き下げられたところであります。この措置は、森林の重要性や林業経営の実情を配慮された大蔵省国税当局の英断であると高く評価するものであります。  しかし、平成三年の評価が、既に林業経営目的以外の取引、例えば送電線鉄塔用地など、開発含みの取引で、しかも小規模な取引の価格をもとに評価されていることが適正な評価であるとは言いがたい。林業で利用している以上、全国どこでも平均的な評価であるべきであり、林地、立木の一層の評価の引き下げを行うよう改善すべきであります。  大蔵大臣に答弁をいただきますが、時間が来ておりますので、後ほどいただきたいと思います。そして、その答弁の最後のところは、まず改善の意思がないということもわかっておりますが、山林を持つ皆さんが、もう力強く、後に残してもいいから国会の場でこれを明らかにしなさい。読むとまた、一枚ですから——読みましょうかね、いいですか。
  152. 山口公生

    山口委員長 いいですよ。
  153. 小澤潔

    小澤(潔)委員 それでは、委員長の許可がおりましたので、読ませていただきます。  改善の意思はないということはわかっておりますが、あえて言います。  何らかの新たな措置を講ずるべきである。森林や林地を本当に守っていこうとするならば、将来にわたって林業経営を継続する林地並びに立木について、一定の土地利用規制を行うものに限って相続税の納税を猶予する特別措置を講ずるべきである。さもなくば、相続のたびに林地が分散・小規模化し、不在村林業者が増加、森林の荒廃はますます激しくなると推察いたします。  林業経営の安定と、都市住民にとって貴重な森林を保全し、子孫の環境を守るため、国の税金によって森林・林業が破壊されることのないよう、農地と同様の相続税納税猶予制度を創設すべきであると考えるが、大蔵大臣の答弁をお願いいたします。  まあ、これも無理ということになりましょうが、山林を持つ皆さんの切なる願いですから、やがてこれが大臣がかわるごとに実現するように、ひとつ小澤潔、あえて言っておいてもらいたい、こう言われましたので申し上げたところであります。  まだいろいろありますが、税制問題、環境問題、これで終わりたいと思います。  委員長、お手配どうもありがとうございました。大臣、ありがとうございました。終わります。
  154. 山口公生

    山口委員長 答弁はいいのですか。
  155. 小澤潔

    小澤(潔)委員 答弁は後ほど、済みませんが、ここでするより、後でいいのを下さい。よろしくお願いします。
  156. 山口公生

    山口委員長 これにて小澤君の質疑は終了いたしました。  次に、近藤鉄雄君。
  157. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 羽田総理総理就任おめでとうございます。  総理は、就任前に農林大臣をされました。その後大蔵大臣をされました。そして外務大臣もおやりになったわけでありますが、歴代の総理大臣の中でこれだけの立派なキャリアを持って総理におなりになった方は、必ずしも多くないんです。例えば、羽田総理が尊敬されるに違いない竹下総理は、大蔵大臣、官房長官をされました。しかし、外務大臣や通産大臣はされませんでした。中曽根総理日本の保守政治のいわばチャンピオンであった中曽根総理は、外務大臣はされなかったですし、大蔵大臣もされませんでした。通産大臣、運輸大臣科学技術庁長官、防衛庁長官ですね。三木武夫総理は、外務大臣、通産大臣をされましたけれども、大蔵大臣をされなかった。  ところがあなたは、財政の中核である大蔵大臣、そして外交の最高責任者である外務大臣をされた。しかも国内政治で最も大事な農林大臣もされたわけでありますから、三拍子そろって総理になられたわけでありますので、私は、すばらしい総理大臣におなりになるキャリアをお持ちで現在を迎えられた、きょうの日を迎えられたと思うわけでありますので、大いに御期待を申し上げたいものだと思うわけでありますけれども、ただ、長い友人でありますから率直に申し上げて、しからば、農林大臣としての羽田総理の実績はどうでしょうか。  今、私は農村を回り、いろいろな方と話し合っておりますけれども、自由民主党が中心で行われてきた農政時代からもそうでありますが、現在ほど農家の人々の中で農政に対する不信感の強いときはない。そして、昨年の秋の異常な米の不作にも関係がありますけれども、町の主婦の間にでも我が国の農政に対して非常に厳しい批判が続出しているわけでございますが、まず第一にあえてお尋ねしたいのは、なぜ日本の農政はこんなにうまくいかなくなってしまったんでしょうか。二度農林大臣をされ、しかも自由民主党の総合農政調査会長として、また農林部会長として我が国農政の中心にあったあなたに羽田農政の総括をしていただきたい。そして、総理大臣として何を新しい農政として考えられていらっしゃるのか、承りたいと思います。
  158. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 ちょうど私が担当いたしましたときには、やっぱり一つの大きな、農政でも転換のときであったろう、転換といいますか、大きな変化が、一つの結果が出てきたときであったろうと思っております。  その一つは、農村で農業を後継する人たちが非常に減ってきておるということがあろうと思います。  それから、価格の問題につきましても、今までは価格をどんどん上げることができたけれども、どうしても、この価格に対するいろいろな意見というものが出てくるようになった。特に、実需する人たちにとってみますと、製品は自由化されているけれども、しかし原料の方は自由化されておらないという中で、そういった実需者たちが大変困るというような状況が出てきておろうというふうに思っております。  それともう一つは、自給率というのが相当低くなってきた。これは、畜産というものが進んでくる中にあって、そういうものが相当低いものになってしまっておるというときに私は登場したということでありました。  そういうことで、私が申し上げたことは、どうも農政を議論するときにいろんなタブーがありました。そういったタブーというものを打ち破るべきであろう。それから、だめだといって頭を抱えておったのではもうだめになってしまうということで、物事に挑戦していく、その姿勢を持つ必要があろうということで、例えば価格なんかについては合理化をしながら、それに対して対応できる体制をつくるということ。あるいは新規参入に対して、今も、きょうも御指摘がありましたけれども、新規参入に対しての物の考え方というものを導入していかなければいけないということ。だから、だめだ、だめだというんじゃなくて、日本の場合には一番多くの消費者を抱えていることも世界の中で言えることでありますから、しかし、よそからも日本に対する輸出というものを要求してくるようになってくる。だとすれば、加工のものですとかあるいは若い人たちなんかが食べるものについては輸入してもいい、そのかわり高級品あるいはそれを加工したものは輸出するという考え方を持ったらどうだというようなことで、こういったものを助長するようなことをしてきたということであります。  しかし、二度やりましたけれども、結果的には一年足らずということでありました。ただしかし、ここにきょう江藤さん、皆さん、あなたもそうだったけれども、みんな総合農政調査会ですとか、あるいは農林部会長ですとか、農水の委員長ですとか、こういうものをずっと続けておりましたから、やっぱり責任というものは、大きな責任があることは私は自覚しております。しかし一つの、みんなが物を考えようという方向だけは、私は確立されてきたんじゃないのかというふうに思います。
  159. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 総理は宮澤内閣の大蔵大臣であったわけでありますけれども、あの当時から、景気対策についてもっと抜本的な手を打つべきではないかという議論がございました。私も当時は労働大臣として同じ内閣におったわけでありますけれども、あれ以来依然として景気は低迷を続けておるわけでございますけれども、どうですか総理羽田大蔵大臣を、羽田財政を今どのように総括をされて、そしてこれからどのような新しい財政展開を図ろうとしていらっしゃるのか、承りたいと思います。
  160. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これもまた一つの転換の、大体私がなるときは何か必ずあるときなんですけれども、ちょうどやっぱりバブルが崩壊したということでありまして、まさに景気は本当にどうなっちゃうんだろうかという非常に心配がありました。当時、自民党の政調あるいは執行部の皆さん方とも相談しながら、十兆七千億という史上最高の手当てをいたしました。そして、特にその中にありまして、財政投融資なんというものを、これは存分に、法律を変えながらさらに枠を拡大するとか、あるいは地方の単独事業、こういったもの等につきましても一一・五%伸ばすというようなことで、私は大きな措置をしたというふうに思っております。  それとあわせて、例えば証券界は例の不祥事件があったということで、これは完全に沈滞しておるということでありまして、東京証券取引所なんかへ行きましたときにも、余りどうも大臣が今行くのはという話があったのですが、今だから行かなきゃいかぬということで出かけていきながら激励すると同時に、やはり信頼を取り戻す、あるいは本当に大衆が要するに金融資産として株が持てるような、そういう体制をつくっていくことが必要なんじゃないのかというようなこと、あるいは不動産等についても、相当みんな抱え込んじゃってどうにもならぬ、この滞りを解消するための、これは自主的にやっていただくことでありますけれども、その方向性をつけたというようなこと、これが私は一つの成果といいますか、我々が取り組んだ最大のものであったろうと思います。  ただ問題は、予算を編成しておりまして、公債の残高、これが非常に大きくなって百八十数兆、あの当時は百八十七兆か八兆ぐらいだったと思いましたけれども、ともかく大変なものであった。そういったことのために、元利、金利、まあ元利ですね、こういったものを支払うことのために財政は非常に硬直化してしまっておったということで、なかなか新規需要に対してこたえるということができなかったのじゃないのかなというふうに思っております。いずれにいたしましても、私どもこれからこの財政運営等について考えなければならないものは、やっぱりどうしても、そういった公債等を大きく発行することによって後代にツケを残さないようにしなきゃいけないということを考えなきゃいかぬと思うのです。  それともう一つは、当時からもう黒字が大きくあったということもあります。それと同時に、日本の科学技術の基本ですとかあるいは高等教育ですとか、そういった分野なんかでの施策というものがちょっとおくれているぞ、施設なんかがおくれているよというような指摘もありました。そういう中で、新しい資本といいますか社会資本というもの、こういった物の考え方なんかが生まれてきたのもそのときであったろうというふうに思っておるところであります。  いずれにいたしましても、財政というものについての健全化を図らなきゃならないということと、財政を効率よく使いながら次の、あしたの日本のために金を使っていくということがやはり重要であろう。そしてそういったときに、ただお金を出すというだけではなくて、金融ですとか税制ですとか、そういったものもやっぱり合わせていくということで、ミックスした政策というものが非常に重要であるということを感じた次第であります。
  161. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 羽田外交でありますけれども、これも大変厳しいときの外交であったと思います。ただ、細川総理とクリントン大統領はどうも同じ世代であり、同じ、まあハンサムな、何か二人同士が気が合うような、大変私たち、細川・クリントンという日米関係はある意味ではみつ月を予想もしておったわけでございますけれども、ことしの二月の細川・クリントン会談はいわば破綻をしたわけですね。お互いノーと言い合ったということでありますけれども、その後の日米関係は非常に険悪なものになった。  総理はあの当時、外務大臣として数日前からワシントンへいらっしゃつていろいろ事前折衝されたわけでありますけれども、結局、細川さんは初めての総理大臣であり、余り外交その他経験もなくて、なった。とすれば、私はあえて申し上げますが、細川・クリントンの外交の決裂というものは、これは当時の副総理羽田外務大臣責任ではないか、こういうふうに思いたくなるわけでございますが、それだけ気質的に細川・クリントンで合いそうな二人がああいう結末になった、そして厳しい日米関係になったということについて、あなたはどういうふうに総括をされるわけでありますか。
  162. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは今御指摘がございましたように、細川総理責任というよりは私自身の責任であろうというふうに思っております。  ただ問題は、やはりクリントン政権というのが登場いたしましたときのキャッチフレーズ、これはまさに結果重視ということでありましたね。結果重視であって、幾ら協定を結んでもその結果がだめだったらこれはだめよという姿勢で対外的な経済問題に取り組まれておるということでありました。そして彼らはやっぱり一つの窓口を開こうと。しかしアメリカ自身も、そうかといって、ただ今まで座しているというよりは、この間に、今日までの間にいろんな、教育ですとかあるいは研究開発ですとか、売り込むための努力というのをされてきて、例えば右ハンドルの車なんかもつくるようになってきた、売る気にもなってきたということだろうと思うんですね。それに対しまして我が方は、ガットが一つ方向を進み、WTOなんという、国際貿易機構なんというものが新しく発足するときであるということでありますから、そういう中にあって日本自身も、ただアメリカから言われたからやるというんじゃなくて、日本も市場を開放していきましようということなんですね。  ですから、お互いがお互いの立場をすぐ理解すれば余り問題にならなかったわけですね。お互いがやっぱり過去、しかもつい最近の過去というものを見詰める。しかし、例えば日本の場合には、彼らは結果重視、そして話しているとどうも数値目標的なものが見えてくるということになると、あの半導体の協定のときにどうだったんだろうか、かつての自動車、ブッシュさんが来られたときの自動車のときはどうだったんだろうか。あれは民間のレベルでやったものが、いつの間にやら何か政府約束みたいな形になってしまったために追い込まれるということがあった。これになってはいけない、結果重視、数値目標、これはいかぬということで、我々は真っ正面から実は反論をしたわけです。しかし、先方も、自分たちはただ尺度をあれして制裁するものじゃないんだよというような話なんかありました。しかし、いずれにしましてもあのときは不調でした。  しかし、その後、マラケシュでまたお互いにもう本当の腹のうちを割りながら話したときに、お互いがどういう立場で物を言ったかということをよく理解することができたということでありまして、私は実はあのときでも、もっと話せばわかるはずだということを言っておったのですけれども、あのときはもう一応十一日という日が来ちゃったということでありますから、残念ですけれどもだめでした。  しかし、私は、これは失敗というよりは、本当に日米関係というのが、やはり互いに思う存分語り合う、そしてそこから道を開いていくという意味では、日米関係の新しいスタートである。ただ、これを大人になったとかどうのこうのなんて私は申し上げているんじゃない。本当にお互いに語り合うことによって、道を開く一つのきっかけをつくることができたと思います。  そして、細川さんとクリントンさんとの本当の話し合いは、その前の方は私でありまして、本当の話し合いはやはり地球的な、グローバルな協力ということで、エイズの問題ですとかあるいは環境問題ですとかそれから安全保障の問題ですとか、そのほか政治的な問題ですとか、これは完全に実は合致をしたわけでございまして、その意味でも、先ほど前段で申し上げた部分がきちんとこれから進んでいくならば、私は、日米関係というのはさらに強固な新しい時代を迎えるという確信を持っております。
  163. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 きょうは羽田農政、羽田財政、羽田外交の批判のために私は立ったわけでございませんので、私なりに実は、今総理お話しされたことについていろいろ意見もございます。ただ、これはまた別の機会に譲りまして、むしろこれからどうするかという問題について議論を進めたいと思うわけであります。  外務大臣外務大臣がこのたび羽田内閣に入閣されたわけでありますけれども、この委員会でも、また本会議でもいろいろな厳しい批判が同僚議員からありました。いろいろマスコミなんかでも、柿澤外務大臣に対していろいろな厳しい批判があることは大臣御存じのとおりでございますが、私はあなたを長い間知る友人として、いろいろな議論があっても、あなたがこの際羽田内閣外務大臣のポストにつかれたのはそれなりの相当の決意があってだというふうに思うわけであります。  毀誉褒貶は他人のこととして、自分は、まさにあの本会議で細川内閣に非常に厳しい批判をされたわけでありますけれども、その中でも外交というのは非常に大きなファクターであったと思うわけでありますが、あえてそれを踏まえて、羽田内閣に入って、羽田総理を補佐しながら、細川外交になかった新しい日本の外交の展開を期すと、そういう決意を秘めての今度の入閣であると私は考えて、まあ同僚の議員の皆さんがどう考えられるかあれだけれども、私は私なりに羽田外交に期待をするものは大きいわけでございますが、一体何を、柿澤外務大臣羽田総理を補佐しながら新しい日本の外交の展開をしようと考えていらっしゃるのか、承りたいと思います。
  164. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 近藤先生御指摘のように、このたび外務大臣に就任するに当たりましては、戦後五十年の最大の激動期に当たっているだけに、その責任の重さを痛感をいたしております。  また、日米関係は我が国の基軸になる外交関係でございますので、この問題について何としても打開を図りたいということがまず第一の課題であろうかと考えまして、就任以来カンター代表とも直接話し合い羽田総理大臣がマラケシュで羽田・カンター会談ということでおまとめになりました問題点を整理して、経済包括協議の再開にこぎつけることができたわけでございます。  御承知のとおり、冷戦時代は米ソ二大国が世界の構造また秩序を維持しておりましたが、その崩壊の後、これから我が国も含めて先進諸国が協力をして世界経済の牽引役につかなければなりません。その意味でも日米関係の確立は絶対の課題でございます。また同時に、日本とEUとの関係も強化をし、そして、日本が真に先進諸国の三極の一つとして役割を果たせるような仕組みをつくっていくことが大事であろうかと存じます。  また、第二の課題としては、世界の中で最もダイナミックに経済が発展しておりますアジア、そのアジア・太平洋地域に属する日本として、このアジアの発展に寄与していくということが大事であろうかと思います。経済的発展がアジア諸国の社会的な成熟を、そして政治的な民主化を進めるということも念頭に置いて、日本としても建設的な役割を果たせるものと考えております。  第三に、アフリカや中南米等、今まで日本の外交としては比較的手薄であった分野、この点についても、日本がグローバル・パートナーシップということで協力をしていくことが大事であろうと考えておりますので、その点につきましても、微力でございますが、努力をしてまいりたいと思っております。  そして最後になりますが、やはり冷戦構造後の世界の平和と安定と繁栄を維持していくためには、国際的な機構の再編成が必要でございます。国連の再編成、そしてちょうどガットがWTOに改革をされる時期でもございますので、そうした国際機関における改革の中で日本も積極的な役割を果たし、国際機構の言貝としての責任を担っていく、これが大事なことであろうと考えておりまして、これは常々私が申してまいりましたことでございますので、ぜひともこの機会に、羽田内閣の青貝として努力をさせていただきたい、こう考えております。
  165. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 我が国の外交の中で経済が果たす役割は非常に大きいわけでございますが、総理いなくなっちゃってちょっと残念だけれども、私は羽田外交の大きな問題は、日米経済交渉でいろいろ理由があってまとめることができなかった。そして、そのまとめることができなかったにもかかわらず、新聞等の伝えるところによりますと、夜中にUSTRのカンターを呼び出して夜明けまで折衝をした。私は、どうも余りこれはいい絵じゃないと思うわけであります。  いやしくも羽田さんは、当時は副総理外務大臣ですからね。だから、その副総理外務大臣羽田さんがゴア副大統領かクリストファー国務大臣と夜を徹して明け方まで議論するのはいいけれども、まあこういうことを言っちゃあれだけれども、たかがカンターですよね。きのうまで弁護士をやってきた、クリントンがいわば急に任命した、そういう事務方に我が国の外務大臣・副総理が明け方まで議論して、そして、まとめ切るならともかく、まとまらなくて、そして両方のボスであるクリントン、細川さんに、言ってみれば外交的恥をかかせたということです。私はこれはおかしいと思うのです。  あえて言いますけれども、日米外交が大事です。日本の国際外交は大事です。あなたは経済の専門家だから、経済については頑張ってもらいたいけれども、しかし経済だけに限るような外交ではもうないので、もっと広く、今外務大臣もおっしゃったけれども、広く、一体中国をどうするんだとかソ連をどうするんだとかアフリカをどうするんだとか、日本がグローバルに果たさなければならない役割は非常に大きいと思うのです。  私はあえてあなたに一言言いたいんですけれども、経済専門家であるだけに、早速カンターさんと電話連絡していろいろ折衝したりした。これはいいと思うけれども、しかし、それで日本外務大臣が勤まるものではないのであって、むしろ総理、私は、向こうがカンターなら我が方は、かつてあったように、対外経済担当国務大臣ぐらいつくって、それはここに任せるということにして、そしてもっと日本の外交はグローバルな大きなスパンで、領域で積極的な日本の外交、まさに日本らしい外交、日米外交に矮小されることは私はいいことでない、こう思うのでありますが、どうですか。  せっかく経済専門の柿澤さんを外務大臣にしたのでありますけれども、この点について、むしろ経済専門の国務大臣を置くというお考えがあるかどうか、この際承っておきたいと思います。
  166. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今日のように経済問題が、大変世界の各地とこうやって話すような時代になってくると、あるときには必要かなという思いを持つことがあります、ただ、かつてそれを設置しましたときに、屋上屋だなんていう実は批判もありました。その辺が、外交政策と経済政策をどのようにこうやって仕分けていくのかなということがちょっと難しくて、今回の組閣にあっては特別にそれを設けなかったということであります。  しかし、私は、今の御意見というのは常にやはり念頭に置きながら、本当に必要と考えるときには、そういったものも設置することも考えなき必、いけないのじゃなかろうかと思っております。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  167. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 私は、実は細川総理訪米の直後にワシントンに参りまして、そしていろいろな人と会ったのです。自民党の仕事で行ったのでありますが、せっかく行ったのですから、いろいろな人と会ったのだけれども、私の心安いワシントンのある優秀な記者が、これが、ベンツェン国務大臣がずっと東南アジアを回りましたね、中国に行って、そのときの同行記者であった。  非常にベンツェンに信頼があって、何でも、オフレコのいろいろな話を聞いておったそうでありますけれども、こういう場でそんな話をするのはどうかと思うけれども、参考までに申しますが、ベンツェンが東南アジアのいろいろなリーダーとずっと会って回ったわけです、北京を含めて。みんなからひがまれた。なぜアメリカは日本ばかり大事にするんだということで、いろいろクレームがついたら、ベンツェンいわく、実は、日本なんかどうでもいいんだ、我々が大事なのはあなただ。インドネシアであり、中国であり、何でありと、名前は言いませんでしたけれども、そういうような言い方をしたんだ。  だから、日米経済交渉というものをそんなにアメリカは大事にしてないよ。第一、クリントン政権は、今経済は結構うまくいっているんだ。問題は、二年後、二年半後の大統領選挙ですから、二年後に経済がよくなってくれればいいんであって、今はほどほどでいいんだ。ただ、モトローラとかいろいろな問題があるから、これはぶつけておいて、日本から譲歩されることは悪いことではないけれども、本気で日本の内需拡大を求めているのは、二年後の大統領選挙に、そのころアメリカが経済成長のいわば原動力を失っちゃう、そのときこそ日本に市場を開放してもらって、どんどん日本に物を売って、アメリカ経済を支えてもらいたいんだ。そういう話を、大変優秀な記者が私に話をしてくれた。私は、アメリカ外交の一面を見た思いがいたしますよ。  だから、当時の副総理外務大臣が、もうカンターばかりと夜を徹して議論する、私はそれは正しいことじゃないと思うんです。もっとグローバルな問題について日本の外交を展開することにぜひひとつ、あなたが総理大臣なんだから、ぜひやっていただきたいと思います。  そう申し上げた上で、日米経済問題に戻りますけれども、私はそのときに、私の大学の同窓生なのでありますけれども、アメリカの大統領経済諮問委員会委員長のタイソン教授、タイソン委員長や、プリンストンから同じくCEAに行ったグラインダーさんなんかと一時間ばかり話をしたのでありますけれども、早速私は言ったのです。  あなた方は、数値目標、ニューメリカルターゲッティングと言うんだけれども、マーケットエコノミーの前提のニューメリカルターゲッティングはおかしいじゃないか、こう言ったら、すかさず言うんですね。ミスター近藤、ニューメリカルターゲッティングじゃないんだ、言っておくけれども、ニューメリカルインディケーティングだ。わかりやすく言うと、日米間のこの六百億ドルの経常収支の黒字、日本と世界との千三百億ドルの大幅な経常収支の黒字を一体どうするんだということなんですね。それは、いろいろなことを日本が言っておる、だけれども一体どうなるか全くわからぬのだから、少なくとも、これはタイソンさんの好きな言葉だけれども、トラジェクトリー。トラジェクトリーといったら、軌跡をかいてみる。軌跡をかいてくれ。そのとおりにならない。ならないのはわかり切った話だ、自分だってみんなわかっているんだ。だけれども、全く何にもわからないで、ただ、それはマーケットエコノミーだからだめだなんということばかり言われたのでは困るので、ともかくかいてみてくれ、こう言うんですね。  そこで、通産大臣、日米経常収支の黒字が六百億ドルほどありますけれども、その中でメジャー、一体どの商品の輸出がこの六百億ドルという経常収支の黒字の原因になっておりますか。
  168. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 現在、御案内のとおり、千三百億ドルの経常収支の黒字という中にございましての対アメリカの問題が一番大きな問題を抱えておるわけでございまして、私どもは、先ほど来御指摘がございましたとおり、やはり何としても、これは経済分野に限らず、すべての問題のかぎを、この経常収支の黒字を圧縮するという方向での全般にわたっての取り組みが今我が国に課せられておる一つの大きな課題である、こういうような意味合いで問題をとらえさせていただいているわけでございます。
  169. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 通産大臣からお答えがないから、もう時間がないので私から申し上げますけれども、日米貿易収支の黒字の中でメジャーな四品目を挙げれば、自動車ですよ、問題は。それから事務機械ですね。そして半導体製品。そして、あえて言えば、自動車部品ですよ。この四つが日米経常収支黒字の大きな原因になっているわけでありますが、これをどうするかですよね。  そして、あえてグローバルに申し上げれば、千三百億ドルの日本の経常収支黒字なんだけれども、私は自動車業界に何らあれもないんだけれども、あえて、わかりやすいから申し上げますけれども日本は年間千二百万台の自動車をつくっています。これは、乗用車からトラックから小型車から一切合財含めて千二百万台ですね。そのうち七百万台を、大ざっぱに言うと辛うじて国内で消費しているわけですね。それで、五百万台の自動車を売りまくっているわけです。世界じゅうに売っているわけです。売りまくるという言葉は悪いんだけれども、まあ売っているわけですね。そこで千三百億ドルです。  とすれば、一体これから日本の経常収支の黒字を、ことしじゃなくていいです、来年でなくていいかもしれない、三年、四年後でいい、五年後でいい。しかし、自動車業界に例を挙げれば、それは半導体業界なり事務機器業界なり、あらゆるそういう日本のメジャーな輸出産業も同じような問題になっているわけだけれども、こういういわば輸出依存型の産業構造日本は維持しながら対米経常収支の黒字を解消しようとするのか、それとも、ほかの産業構造、輸出構造に切りかえることで対応しようとしているのか。その点について、まず経済企画庁長官、マクロの立場から、そして、特にミクロの産業別の立場から通産大臣は一体どう考えていらっしゃるのか、私、承りたいと思います。  何もそのとおりにならなければどうだなんというアメリカ政府みたいなことは言いませんから、これは我が日本国の国会予算委員会なんだから、私たちに対して、一体どういうふうに通産当局、経企庁当局は考えているのか、教えていただきたいと思います。
  170. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 お答えします。  今までの日本の対応の仕方は、どうも、円高になってきた、それから直ちにコストダウンをやって、また輸出を回復する、また円高になるというようなことでやってきましたけれども、今後は、もっと積極的に内需を拡大して、もちろん、そのためには規制も緩和して、そして市場アクセスをふやして、競争力のある外国の製品を積極的に迎えるという形での、円高を前提とした経済の改革というふうに基本的には持っていくべきだと私は思います。
  171. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 実はけさほど、新しく経団連の会長になりました豊田会長もお見えになりまして、やはり今、包括協議の中でも自動車そしてまた部品の問題等々、そしてまた、何といっても今対米の経常収支の問題の大きな位置づけが自動車そしてまた自動車部品にされておるわけでございますから、これから先の一つの問題点はやはり現地生産の問題等々、こういうような問題が今大きな問題として、我が方からいえば産業の空洞化等々の問題があるわけでございますが、この辺の問題をとらえながら問題解決への前進を図っていかなければならない。  そういうような意識の中で、御案内のとおり、今産構審におきまして各分野でそれぞれの中間報告等々がなされつつあるわけでございますが、今先生が御指摘のような意味合いでのこれからの大変革を産業界においても取り上げていかなければならない。そういう取り組みを今事務方ともども、そしてまた産業界ともども大きくこれまた変革への要素をつくり出す、そしてまた御指摘のような問題解消に向けての取り組みを始めつつあると、こういうように御理解をいただければありがたいと思います。
  172. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 両大臣の御説明はわからないんじゃないのです。ただ、だからアメリカはフラストレーションを脱し得ないんですね。日本は産業構造を変えますと、こう言う。それは皆さん同じことをおっしゃるんです。  だけれども、やはり具体的に、もう一回前に戻って、それじゃ自動車をどうするんですか、事務機械をどうするんですか、それじゃコンピューターとか通信機械をどうするんだと。そして、片一方で輸入拡大するわけだから、じゃ何を買うんですか、どうしたら買うんですか。  繰り返して言いますけれども、そんなとおりにならなくても仕方ないんです。ただ、今は、まさに大臣がおっしゃったように、アメリカは現地生産がふえている。したがって、アメリカへの輸出が減るでしょう。そのかわりアメリカの国内では日本の自動車の生産がふえる。それでいいんですよ。だから、かくかくしかじかの理由で日米貿易、自動車貿易はこう変わっていくんですということが理屈が立つわけですね。それは何とかなるでしようと。それはマーケットエコノミーだと言うのであれば、きょうは通産省の幹部もいらっしゃっているようだけれども、通産省は要らないと思うんですね。アダム・スミス様にお任せすればいいんです。アダム・スミスの市場経済がすべてをちゃんとやってくれるからですね。だけれども、私はそんなことかなと思うのでありますが、だったら通産省、大臣以下まさに我が国の新進気鋭の官僚を集めて世界から恐れられている、ノートリアスMITIだと。何をしておるんですか。  もう一回聞きますけれども、具体的にじゃ自動車産業をどうするんですか。自動車産業の輸出入構造をどう変えようとしているんですか。間違ったっていいんです。間違ったっていいんだ、そんなことはいろいろ変わってくるわけですから。だけれども、まさにタイソンの言うトラジェクトリーを書いてみてください、トラジェクトリーを。どうですか。
  173. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 今先生の貴重な御意見は、それなりに受けとめさしていただいておるわけでございますが、いわゆる通産行政のありようといいますものも、いわゆる戦後、今日までの歩みと大きく、これまた産業分野の構造変革とともに、あるべき姿も変えていかなければならない。そしてまた、少なくとも、今具体的に御指名がございました自動車の分野におきましては、自動車産業分野の関係の方々がこれまた民間サイドで自主的に、そしてまたアメリカの自動車産業業界の方々との触れ合い、接触等々も大変かなり進んでおるわけでございまして、ある意味におきましては、最近はその辺の問題解決の要素が極めて大切であり、大きく進みつつある、これを踏まえた中での通産行政といいますものをこれから進めていかなければならぬと、こういうように考えているわけでございます。
  174. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 タイソンと会って話をしておったときに、彼女はいみじくも言うんです。そういうことで明確に絵が描けなければ結局円高でしかないと、こう言うんですよね。だから私はすかさず、そう言ったって円高というのはドル安でしょう、そうするとアメリカは困るんじゃないですかと、こう申し上げましたら、グラインダーが早速、そんなことはない、アメリカの国民総支出の中に占める輸入の割合は一割でありますと、その一割の中で日本からの輸入はたかだか二割だと、だから、アメリカの全体の全国民総支出の中に占める日本からの輸入は二%ですと言う。一割の二割だから、それはそうですね。  しかも、その二%の全部を日本から買わなくてもいい、どうしても日本から買う必要のある一部の輸入品が上がるだけ。あとの商品はアメリカは世界でほかから買えるから、だからドル安になったって構わないんだと、円高になったって構わないんだと、こういうことを言ったんでありますが、大蔵大臣、その後日米もいろいろな為替の動きがあって、必ずしもグラインダーが言うようなことじゃないように思いますけれども、どうですか。  ドルの、円の為替のレートについてどういうようにお考えになるのか。さっきグラインダーが言ったことが正しいというふうに判断されるのか。どうですか。
  175. 藤井裕久

    藤井国務大臣 もう十分御承知のように、レートそのものがどのくらいがいいかということを私は申し上げることができないことはお許しいただきたいと思います。  ただ、お話にありましたように、一国の為替レートが非常に振れるということは、非常にその国にとってもいろいろな影響があることはもとよりでありますが、世界経済にも私はいろんな意味の影響があると思います。今輸出入の話がございましたが、資産価値の問題等々もあるわけでございますから、それら全体を含めて、一国の為替レートが極端に振れるということはやはり望ましいことではない。しかも、G7の通貨当局はいずれもそういう気持ちを持っております。毎回、例えば宣言にするかしないかは別として、共通のそういう認識を持っているということは間違いないということを御理解いただきたいと思います。
  176. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 円高が進むことがアメリカ経済に対してもよくないということは、最近のいろいろなG7における議論だとか、ある程度の協調、為替安定政策にも見られるように、私は、グラインダーが言うほどそんなに簡単じゃないという感じがいたします。  ただ、申し上げたいことは、これは総理、日米経済折衝、今度また包括協議が再開して、そして今度は数値目標がないよと、今度は定量的、定性的、よくわからぬけれども複数の基準でやるんだというようなことで一々やっているようだけれども、私はそういうやり方について非常に疑問なんですね。  もうずばり言って、アメリカから何も言われなかったら、日本は六百億ドルの経常収支の黒字を続けるんですか。それで、世界から何も言われなかったら、日本は千三百億ドルの黒字を続けるんですか。これは日米問題じゃないと思うんですよ。日本の問題なんですよ。だから一々アメリカに行って、クリントン先生に羽田生徒が実はこういうふうに書きました、答案を持っていって、ああおまえよかったよかったと褒められるような、そういういいかげん、そういういわば他律的なものじゃなしに、日本の問題としてこの六百億ドルなり千三百億ドルをどう変えるんだと。だから、アメリカが数値目標を示さなかったからよかったよかったと、今度は定性でいいからいいんだと、そういう甘いことでは、総理、いけないので、いまいち本当に日本の問題として、アメリカの国会はどうでもいいんです、我々日本国会の問題として、日本政治の問題としてこれはやめるべきだと、解消すべきだと、こう思うんですよ。  だから、私はあえて通産大臣、これ以上同じことを聞きませんけれども、ぜひひとつ帰られたら、優秀なお役人が通産省にはたくさんいるんだから、叱咤激励して、もうアダム・スミスさんだけでいいんだということなら通産省は要らないんですから、詰めてくださいよ。それは、ソニーであれ、富士通であれ、日立であれ、東芝であれ、そういうメジャーな各輸出会社はみんな計画を持っていますよ。計画がないはずがないんだから、それを全部出してもらって——全部理屈があるんだ。輸出がふえる、輸入が減る。何か風で動くのでも何でもないんです。もう具体的な各商品ごとの取引で決まるんだから。そうでしょう。それがわからないでやっているはずがないんです、日本の企業は。それを集めてください。そしてトラジェクトリーを書いてみてください。そして、じゃどうするんだということで、それをぜひひとつ通産省、そして経済企画庁も入ってやっていただかないと私はだめだ。  大体今の円高対策というのは円高追従型なんですよね。円高追従型。だから、だれかさっきおっしゃったけれども、円高でしょう、一割円高だ、合理化しよう、一割コストを減らす、またもとと同じです。また輸出だ、コストを削減するんだから。また輸出がふえますよ。繰り返しですよ。どうするんですか。結局地方の中小企業はみんなだめになっちゃいますよ。そうでしょう。そして、労働大臣いるけれども、労働者は過労死するかもしれない、マンガチックに言えばですよ。こういうゲームの仕方はまさにノーウイニング、勝ち目がないゲームですよね、こんなことは。だから、円高追従型の経済政策じゃなしに、むしろ円高是正型の総合戦略に思い切って日本政策が変わらなければ、私は日本の空洞化は避けられないと思うわけであります。  私はあえて申しますけれども、レーガン時代にも、レーガンは、強いドルがアメリカ経済のシンボルだと言って、強硬なドル高政策をやったわけです。そのときアメリカの産業は完全に空洞化しちゃったんです。しかし、その空洞化しちゃったアメリカ産業の中で、アメリカのハイテクを支えてきたのは三つあった。何だ。それは防衛なんですよ。そして宇宙開発に象徴される大型プロジェクト、研究開発プロジェクト、そして大学教育ですね。そこにお金をつぎ込んで、アメリカのハイテクを支えてきた。だから、ドル高がとまってドル安に、プラザ合意があった。そのとき、みんなアメリカの経済は吹き返してきたわけです。  しかし、日本はどうですか。こんな状況を続けたら、全く日本はだれかが言った普通の国になっちゃいますよ。全く普通の国だ。何にもなくなっちゃう。普通の国になっちゃう。それでいいんですか、科学技術庁長官。一体、こういう中で日本のハイテクを支えるためにどれだけの科学技術政策をあなたは今度の予算でとろうとしている、とったんですか、承りたい。
  177. 近江巳記夫

    ○近江国務大臣 お答えを申し上げます。  まず、今の我が国の科学技術活動の現状の問題ですが、先生も長く科学技術関係をされていたわけでございまして十分御認識されておると思いますが、我が国の自然科学部門におきます研究開発費の総額、平成四年度の実績によりますと、総額十二兆八千億、対GNP比二・七%でございます。これは、先進国におきましては遜色のない水準に達しておると思います。  その中で特徴的なことは民間が非常に大きいということでございまして、平成四年度におきましては全体の八一・九%、政府は一八%でございます。こういう中で、非常に厳しい経済環境のもとで、最近民間の研究開発投資意欲というものが若干減退してきております。平成四年度には前年度に比較いたしまして一%、一千十九億円減少、このようになっておるわけでございます。これが一つの心配点でございます。  そこで、積極的な国際競争の中でどういう対策をとるかということでございますが、今まで、技術ただ乗り論といいますか、日本は応用面では非常に投資をするけれども、基礎研究、この点が非常に足らないという批判が随分あるわけでございます。そういう点で、政府といたしましても、この基礎研究の分野におきまして総力を挙げたい、こういうことで頑張っておる次第でございます。  そういうことで、今年度予算におきましても、政府全体では約二・三%の伸びでございますが、今回は二兆三千五百八十五億、四・一%、こういうことで、政府全体として関係各省、総理を中心とされまして非常に力を入れていただいておるということは言えるんじゃないか、このように思うわけでございます。  しかしながら、御承知のように、平成四年四月閣議決定されました科学技術政策大綱、ここで、今後長期的にどのように取り組んでいくか。何といいましても、研究開発投資を拡充をいたしまして、研究施設設備の充実等を図って基礎研究に力を入れる、さらに原子力、宇宙、海洋、ライフサイエンス等の先端科学技術を推進する、こういう基本的な方向は定まっているわけです。しかしながら、御承知のように、十八号答申あるいはそれに基づいて決定されました閣議決定におきまして、政府の研究開発投資額をできるだけ早い時期に倍増する、ここまでの意気込みは示していただいたわけでございますが、なかなか、ときどきの財政事情を踏まえてというところがございまして、全体としては科学技術関係は伸ばしてはいただいておりますが、倍増ということからいきますと、まだという感じがするわけでございます。  そういう中で、先日総理も、所信表明演説におきまして、科学技術を未来への先行投資として位置づけられたわけでございまして、また、本予算委員会におきましても、日本は知的創造力が最大の資源であり、科学技術の振興に全力を尽くしたいと答弁されたわけでございます。そういう点で、私自身も、この科学技術庁、そういう振興のまとめ役ということもございまして、関係各省の御協力をいただいて、何としても、二十一世紀を間近にいたしておりますので、総力を挙げて頑張っていきたいと思うわけです。  実は、先般、この五月三日から七日まで、日仏科学技術協力協定に基づきまして、ハイレベルの会合ということでフランスへ参りまして、フィヨンさんあるいはロンゲさん、各大臣にもお会いしたわけでございます。そのときに、フランスはあれだけ山岳地も少ない、有効利用の面積の広いところでございますが、しかしフランスも少資源の国だ、立つ道は科学技術立国として立つのだということでございまして、特に基礎研究を初め総力を挙げたいという、そういうお話が随所にあったわけでございます。  そういうようなことを考えてまいりますると、日本は全く少資源の国でございますし、そういう点で政府全体として、このように閣議決定もいただいておるわけでございますから、全力を挙げまして今後科学技術、特に基礎研究に力を入れて頑張っていきたい、このように思う次第でございます。  以上です。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  178. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 文部大臣から承りたいと思ったのですが、ちょっと時間がなくなりそうなので、同じ趣旨で文部大臣、頑張ってください。  そして総理、こういう円高の中で日本を普通の国にしないように、やはりきちっとした、自信を持った、ハイテクを中心として日本の経済が発展するようにぜひひとつ、大蔵大臣も余りけちけちしないでやっていただきたい、こういうことでございます。  そこで、通産大臣、私はきょう通商白書を持ってまいったのですが、これは読んでみたら非常によくできていますよね。私、歴代通商白書は読んでいるのだけれども、特に今回の通商白書は非常に明快でわかりやすい。特にわかりやすいのは、日本の経常収支の黒字というのはいわゆるISバランスだ、すなわち日本国民貯蓄マイナス投資で、差額が国内で使われないから黒字なんだ、こういうISバランス論で非常に見事に書かれておって、さっきちょっと通産省に対して言い過ぎたかもしれませんが、さすが通産省だと、こう思うのですね。これはいい白書です。  ただ、そういうふうに申し上げた上で、私はちょっと大蔵大臣の顔を見て、結局通産大臣は、この白書に言っているようにISバランスが経常収支の黒字だから、これをなくそうというなら社会基盤整備にもっと投資すべきだ、こういうことですね。しそれなら、やはり大蔵大臣が余り、国債は二百兆もあってどうだこうだと言わないで、通産大臣がこう言っているのだから、しかも今のような経常収支黒字を続ける限り、さっきのように円高がどんどん進んで、日本は本当にもう産業的には空洞化して普通の経済になっちゃうんだから、とすれば、もっとここは通産省ときちっと話をつけて、内閣として積極的な社会投資、社会基盤整備投資を進めるべきだと思うのですけれども、大蔵大臣、どうですか。
  179. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ISバランス論で議論してもどちらでもいいのですが、要は日本の内需というものをもっと拡大しなければいかぬということだと思いますね。Sを減らすためには消費をふやすわけでもいいわけですし、また投資というものは公の投資もあるし民間投資もあるわけでありますから、それら全体を通じて内需が拡大していくということが大事だと思います。  そういう意味で、ここ一両年やってきた公共投資政策というのは、私は相当なレベルだと思っております。現に、IGでいいますと平成四年度が一〇%ぐらいだと思うのですね、IGベースでいうと。今度の平成六年度は一二%ぐらいになると思うのですね。そういう意味で、私は相当努力をしていると思います。  ただ、私がいつも申し上げておるように、この間うち議論になって、このごろまた静かになりましたけれども、どうも公共投資政策というか国債政策をやり過ぎるから金利が上がってきたのじゃないかという議論がございましたですね。今、金利の水準が少しまた落ちてきておりますからそういう議論も薄くなりましたが、私は、金利が上がった理由はいろいろあると思いますから、今のだけとは全然思っておりませんが、そこいらとのバランスも見ながらやらないと、やはり金利高どまりということは景気にはマイナスであるということもありますから、私どもとしてはそのバランスを見ながらやっている、そしてぎりぎり限度いっぱいやらせていただいたと思っておりますし、消費だとかあるいは民間投資だとかいうものに対しても、できる形でのサポートをしていくのが政府の仕事だと思っております。
  180. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 通産大臣、それでいいですか。
  181. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先ほど御指摘がございました白書の問題等につきましても、これは閣議におきまして、内閣としましての認識の中での決定であったわけでございまして、従来から大蔵省サイド、大蔵大臣等々のさらなる御理解をいただきながらこの中のそれぞれの問題解決に進んでまいりたい、こう思っております。
  182. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 大蔵大臣、今国債は残高幾らありますか。
  183. 藤井裕久

    藤井国務大臣 本年度末で二百兆をちょっと超すというところでございます。
  184. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 そういうのは大蔵大臣、先ごろ新聞にも発表されたと思うのでありますけれども、一体、日本の対外債権債務はグロスで、そしてネットで幾らそれぞれありますか。
  185. 藤井裕久

    藤井国務大臣 先日平泉委員からもその御指摘があったわけでありますが、そのすぐ後に平成五年末が発表になりまして、少し数字がふえまして、全体では二兆ドルでありますが、ネット六千億ドル、こういう数字になっております。あのときは五千億ドルでお答えしております。
  186. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 日本の対外債務というのは一兆五千億ドル前後。これは日本の債務ですからね。私は返せないことはないと思うのですね。  だけれども日本の対外債権二兆ドル、これは円でいいますとやはり二百兆を超えますね。問題は、日本人の持っている貯蓄を、ほかのことは整理してわかりやすく言いますと、国債という形で二百兆円を持つのか、対外債権という形で二百兆円を持つのか、どっちがいいかです。大臣、どっちが安全だと思いますか。  つまり、二百兆円と二百兆円、両方大体同じ額です。そうでしょう。だから、日本国民の貯蓄を、もう一回繰り返します、国債という形で二百兆円持っている。対外債権という形で二百兆円持っているわけです。どっちがいわば貯蓄の持ち方としていいのか、どっちが健全であるとあなたは考えるのですか。
  187. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今の問題を、どっちがいい、悪いではなかなか申し上げにくいと思いますが、このような対外資産の純増ということは、私は国民の勤労の成果だと思います。  ただ、さっきから御議論があるように、経常収支の連年の積み上げによってこういうことができている。そしてそのことは、もうさっきお話しのように、いいことではないわけですね。一国だけが恒常的に多額の経常収支の黒字を続けるということはいいこととは思っておりませんから、そういう意味からも限界があると思います。損得論は一概に言えないと私は思っております。
  188. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 プラザ合意で日本の急激な円高に変わりましたね。当時二百四、五十円が半分ぐらいに減ったのだ。そのときに日本の対外債権が相当あったと思うのですけれども、半分に円高になったときに、日本の対外債権はどれだけ減額をしたのですか。
  189. 藤井裕久

    藤井国務大臣 細目の数字は事務方から答えさせますが、ただ申し上げておきたいことは、すべてがドル債権ではないということは十分御理解をいただけると思います。  また、元本で減っても、これはもうよく御承知のように、日本の対外投資家は、為替レートの変動と同時に、金利の水準とか株価の状況とかいろいろ見ながら投資をしているわけでありますから、表に出たその元本のドルの減価分だけでこの物事は評価できないようには思います。
  190. 加藤隆俊

    加藤(隆)政府委員 我が国が保有する対外債権債務につきましては、通貨別の統計を把握いたしておりませんので、どの程度この円高によって減価したかということは数字的には把握いたしておりません。
  191. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 それは大蔵省、怠慢だと思うのですね。日本の対外債権というのは日本国民の貯蓄ですよ。まさにISバランスだ。それをどういう通貨で保有していて、これが変動したらどこでだれが損するんだということが全くわからないで大蔵省はやっているのですか。日本でだれがやっているんだ、それ。大蔵省がやらなければ、だれがやっているのですか。
  192. 加藤隆俊

    加藤(隆)政府委員 この点につきましては、我が国の対外債権債務残高を、統計を作成するためには、民間のそれぞれの取引主体から報告を求め、それを集計したものでございます。通貨別に把握してないのは、主として報告者の便宜、作成コストとか手間とか考えまして、便宜ドルなり円なりにまとめて報告をいただいている、こういうことでございます。
  193. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 それは私、納得できないのですけれどもね。そんなにずさんなんですか、我が国の大蔵省、政府というのは。  繰り返します。日本国民の貯蓄ですよ。貯蓄をどういうカレンシーで持つかによってみんな違ってくるわけです。それは民間がやっているから仕方がないとぶん投げておいて、そして為替が変動したときに国民がかぶる。例えば、プラザ合意で半分に下がった。ドルで持っておった銀行家は、そのドルの価値の目減りを一体どうして償却をしているのですか、したのですか、承りたい。
  194. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今申し上げましたように、ドル債権で全部持っているわけじゃございませんですね。そしてそれらは、民間の主体が民間の責任において、為替の変動の状況とかそれから投資先の金利の状況とか株価の動きなどを見ながら、みずから最も有利な形で運用しているのだと私は思います。  それはずさんという御批判をいただきましたけれども、それは今事務方が申しましたように、コストあるいは民間の立場、今の規制の緩和じゃありませんけれども、そういうことからいって、これを全部通貨別には把握をしていないという状況でございます。銀行は、恐らくそういう外貨の状況はスクエアに持ってきていると思います。
  195. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 私は、大臣、納得できないのですよ。非常に乱暴ですよね。  そして、結局そうした為替差損は国民が全部かぶっているのですよ。例えば生命保険、例えば証券、例えば銀行、みんなドルで持っておったわけだ。減価したんだ。そのロスは何も国が補助しているわけじゃないでしょう。そうすると、金融機関の中でやりくりしているわけですよね。だから、そういう為替差損は結局国民が負担しているのですよ。  あえて言えば、私は、今度のバブルだってそうですよね。きのう、おとといなんかの新聞にも、民間金融機関の不良債権残高が幾らとか何兆円と出ていました。そして、少し減ったというのだけれども、減ったことはいいことなんだけれども、じゃ、だれが返済したのですか、それは。預金者ですよ。結局預金者は、もらうべき金利が安くなったんだ。そして借りる人は、本来安く借りられる金利を高く借りたのですよ。それで不良債権が幾らかでも償却できたのでしょう。  だから、為替バブルの責任も、そして金融バブルの責任も、国が補助金を出しているなら話は別ですよ。そんなことしているはずないんだから。だれが負担している。みんな国民じゃないですか。これが生活大国への道。国民の貯蓄に全部かぶせているんだ。それは勝手にやっていることでわかりません、大蔵省の金融監督がそれでいいのですか、大蔵大臣
  196. 藤井裕久

    藤井国務大臣 対外債権の問題については、繰り返しになります。今申し上げたように、どのような通貨でどういうふうに保有しているか、それは各保有主体が自己の責任においてやっているはずでございます。私は、プラザ合意以来の二年間に損があったと思います。これはあると思います。  それからもう一つの、金融の不良資産の問題でございますが、山を越したのは事実だと、そういうふうになりつつあると思います。これは業務純益の中でやっていることももうよくおわかりのとおりです。一時、公的資金によってという話もありましたが、公的資金なしで民間金融機関の自助努力によってこれが行われているというふうに御理解をいただきたいと思います。(近藤(鉄)委員「金融機関は」と呼ぶ)金融機関の自助努力によって行われている。(近藤(鉄)委員「不良債権は」と呼ぶ)不良債権は今お答えしたとおりです。自助努力によって行われていると考えております。
  197. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 私は、繰り返しますが、大蔵大臣、それはやはり金融機関の監督をし、また国民貯蓄の監督をしている大蔵省の責任だと思うのですよ。だから、それは今出せない、わからないなら仕方ない、わからないことはね。だけれども、そういうずさんなファイナンシャルマネジメントじゃなしに、やはり国家として国民の貯蓄がどうなっているんだという、本当に、まじめな国民が働いて貯蓄しているんですよ。それはどうなっても、しかしそれは金融機関がやっているんだというのなら大蔵省は要らないんだ。さっきは通産省要らぬと言ったけれども、今度は大蔵省も要らなくなってしまう。だから大蔵大臣、詰めてくださいよ、そこは。大蔵省ができなかったら日銀だっていいんだ。そこはきちっと、どういう形で国民が貯蓄を海外資産で持っているのか。少なくとも、大蔵省が知らないで、それはわかりませんと、民間のやっていることです、そんなばかなことはないと私は思います。  大蔵大臣、国債二百兆、大変だ、わからないじゃないんですよ。では国債は何ですか。国債は、我々国民国民に金を貸しているんです。大蔵省はいわばブックキーパーだけだ。帳簿をつけているだけなんです。国民国民に貸しているんです。そして、あえて言うけれども、国債を持っている人は貧しい人じゃないですよね。いわば中所得、高所得階層が国債を買っているんです。  じゃ、だれが国債の利払いをしているのか、利子、元本を払っているのか。貧しい人は必ずしも税金を払っていないから、結局払っているのは中高所得階層ですよ。言ってみれば、私が私に金を貸して、私がその利子、元本を払っているみたいなものなんですよ。同じインカムのグループがやっているんですよ。そして、結果的に立派な道路ができる、病院ができる、大学もできる、科学技術の振興ができる。むだじゃないんですよ。  日本の大蔵省は対外債権の管理はずさんだ。大臣が今そうだった、ずさんだ。極めてずさん、信用できない。だけれども、国内債権の管理は見事ですよね。主計局が厳しくやって、もう大事なところにしか貸し付けないんだから。でしょう。だから私は、同じ二百兆、二百兆なら、対外債権は危険なんですよ。しかも、結果的にそういうことで対外債権をふやせばふやすほど、これはまさにセルフディフィーティング、ますますもって減価してくるんだ、こっちの方は。ふえればふえるほど減価してくるんですよ。そうでしょう。だから、私はやはりそこはもっと真剣に、国民の貯蓄形成なんだから、対外債権はもうこれ以上上積みしないで、国債に回していただきたい。  日本は経済大国だから、発展途上国の経済発展のために金を使わなきゃならぬ。これはわかるのです。だけれども、もう細かいことは言いませんけれども日本を中心として、日本の資金のその流れを見てみる、追っかけてみると、日本の資産はほとんど株式投資でしょう。債券投資でしょう。八割ぐらいがそうですよね。直接投資。これはほとんどは欧米諸国なんですよ。発展途上国に行ってない。そこはもうまさに民間金融機関、民間事業だから、そこはよくしたもので危ないところに金を出したくないのです。みんな金持ちに金を貸しているんだ。でしょう。だけれども、結果的には、円高になったらこれは全部また消える。プラザ合意以降の円のあれと同じことを繰り返すかもわからない。だから私はくどいようだけれども、もっと真剣に国民の貯蓄の管理を、大臣、やってくださいよ。  私は、実はきょうこういう本を持っている。この間ワシントンで買ってきたのです。これはクルーグマンというMITの教授の書いた、私の友人なんだけれども、将来ノーベル賞をもらうんじゃないかと言われている新進気鋭の経済学者が書いて、今ベストセラーです、アメリカで。題して「ペドリング・プロスペリティー」。繁栄を、ペドルというのは行商する、売り歩く。俗説経済学者を批判しているんですね。  これは中央公論に翻訳が出ています。たまたまフォーリン・アフェアーズの記事の翻訳が中央公論に出ておりますから、ひとつ見ていただきたいのだけれども、言っていることはこういうことなんです。通説は、俗説は、経常収支の赤字というのはその国の経済の弱さだ、競争力のなさだ、だからアメリカはだめだと。そして、経常収支の黒字は、例えば日本、これは経済の強さだとこう言っている。この論文が「コンペティティブネス ア・デンジャラス・オブセッション」、競争力その危険なオブセッション。取り込みというのかな、こう取りつかれているという。もう競争力、競争力、アメリカがそうだろうと思う。大体さっきのタイソンもそう、けしからぬ、労働大臣のライシュも大体この競争力論者で、間違いであると、こう言っているんだけれども考えてみるとなるほどそうなんですよ。  なぜ経常収支の黒字があるかといったら、日本は国内経済の底が浅いから、マーケットが小さいから、物をつくっても売れないんですよね。アメリカ経済は経常収支が赤字だと言っていますが、マーケットの底が深いからどんどん吸収しちゃうんですね。そしてお金はどうだ。お金も本来なら黒字でもうけたお金が日本に返ってきていいんですよ。しかし、日本に返ってこない、投資機会がないから、魅力がないから。だからアメリカに行くんですよ、アメリカは魅力があるから、投資があるから。  だから俗説は、経常収支の赤字というのはこれはその国の経済の弱さで、経常収支の黒字はその国の経済力の強さなんだけれども、そうじゃないんだということでクリントン政権に批判を、猛反省を求めている。これはベストセラーだ、今アメリカの。ぜひひとつ経済関係閣僚は読んでいただきたいと、こう思ってきょう持ってきたわけでありますけれどもね。  そう考えてみると、私は、通産大臣、今藤井さんをいじめたけれども藤井さん何とかしろと言ったけれども、ISバランスは、Iは何も政府じゃなくたっていいんだよね。それはまさにあなたが言ったとおりだ。もっともっと民間活力をマーケットに導入していくと、積極的に投資が国内に向かうようになるんです。これはやはり通産省の責任重大じゃないですか。もっと国内のマーケットを魅力的にするように、通産大臣、これは考えてください。どうですか。
  198. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 今先生の専門的な知識を交えての御指摘を賜ったわけでございますが、御案内のとおり新規市場創造プログラム等々、今御指摘のような線に沿っての魅力ある市場形成に向けての取り組みが始まっておるわけでございまして、先生の御意向をさらに受けとめまして力を入れてまいりたい、こう考えております。
  199. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今近藤委員からいろいろな面にわたりましてありましたので、簡単に一言ずつ言います。  私は、経常収支の黒字が一国だけ累増していくことはよくない、これはもうさっきから申し上げているとおりですから、この国会で何度も申し上げております。その結果、対外債権だけが累増していくこともいいことではないと思っております。したがって、今やっていることは、おっしゃった言葉で言えば、日本の市場の深みをつける、内需拡大政策でございますね、これをやっていると御理解をいただきたいと思います。  一九六八年ごろから恒常的に黒字がたまる体質になっちゃっているんですよね、昭和四十三年ごろから。それが直す直すといって直さなかったという御指摘を今なさっていたと思いますが、本当にこれは努力しなければならないことだと思います。  通貨別管理は、御指摘もありましたので勉強してみますが、非常に多い保有主体がある中で、これを通貨、マルクだ、ポンドだというふうに本当にやることができるかどうか。ちょっと御指摘があったということは謙虚に受けとめさせていただきますが、今、はい、わかりましたとはなかなか申し上げにくいと思います。  国内投資の問題は、やはりそういう市場の懐を深くする意味において大事だと思いますが、これもさっき申し上げましたが、国債政策というのは、一言で言えば民間資金を公に持ってくるわけですから、大事な面も非常にありますが、余りに民間資金がタイトなときに持ってきたら、これはやはり金利高どまりになるし、歯どめないことをやればそういう体質になることは、また非常に日本の経済にとって悪いということだけは御理解いただきたいと思います。  次に、対外投資がどういうところに行っているかですが、直接投資に関する限りは相当アジアに行っているということも御理解をいただきたいと思います。  次は、証券投資でございますが、この間のAPEC蔵相会議でも資本市場をうんと大きくしていこうじゃないかというような話も出ておりますし、アジアにおける経済の力がつくに応じて、アジアへ向けてのそういう金の流れというものも非常にこれからふえていくんじゃないかというふうに考えております。
  200. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 総理、お疲れでしょうけれども一言、総理。  総理のおっしゃっている実質所得倍増計画、私はそれはおもしろいアイデアだな、こう思ったのだけれども、何か途中でちょっとおかしくなったようになっているんだけれども。  私は、経企庁長官、よく内外価格差と言われますけれども、内外価格差じゃないと思うんですよ。これは内々価格差だ。というのは、輸入港までは恐らくストレートで来ているわけですね。そこから今度は末端の消費に行くまでに上積みになっちゃうんですよ。だから、何か内外価格差、だれか悪いみたいに、外人が悪いみたいに言っているけれども、僕は違うと思うんだな、これ。内々価格差なんですよ。  そこで、それの関連で私はぜひ経企庁長官お願いしたいのは、もうちょっと内々価格差を調べてください。例えば生産者価格と末端価格。例えば、ある織物は原価の、工場価格の三倍で東京のデパートで売られている。果物だってそれは相当高く売られているんですよ。だから、これは内々価格差を、内外価格差の勉強は物価レポートによく出ていますけれどもお願いしたい、経企庁長官。内々、すなわち生産者の工場渡し、農場渡しの価格と、そして末端の小売価格がどう違うのか。これはひとつ経企庁、調べていただいて、レポートを出してくださいよ。  私は、物価局長関係者を呼んだけれども、びびっているんだな。いろんな業界がありましてと言うんだけれども、だけれども、どこが見る。私だって、生産価格と末端価格の差がゼロなんて思わないんです。そんなやぼなことは言わないんです。しかるべき流通マージンがあっていいんだけれども、ちょっとひど過ぎるんじゃないですか。ひど過ぎる。(発言する者あり)いや、サクランボは、結構東京は安いんです。これはもう流通過程、それは個別の例はともかくとして。  これは、そういうことをするから高くなっちゃうんであって、だから本当は内外価格差は、私も経企庁長官をやったけれども、内外価格差というところに逃げないで、内々価格差、生産者の現場と末端の消費者がなぜそんなに違うかということを調べて、それを減らす努力をぜひしてほしい。それは国民の実質所得の増大に大きく貢献しますよ。それは、長い目で見て流通過程の合理化なんですよ。  そして、私はあえて言いますけれども、これは運輸大臣、そういういわば産地価格を求めて日本国民がこれからどんどん日本国じゅう歩き回ってくる。きょうは山形に行って安いサクランボを買おうとか、きょうはどこに行って安い牛肉を買おうだとか、今度はどこへ行って仏壇を安く買ってこようだとか。これは仏壇も含めて本当に相当価格差がある。ですから、ぜひひとつこれは、経企庁長官、ちょっとここで決意を言ってください、やるということを。
  201. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 内々価格差ということですね。内外価格差もさることながら、生産地から最終消費者に渡るまでの間の価格差というものを、多分いろんな、企業の秘密とかマージンが品物によって違うとか、難しい点はあるのだろうと思いますが、企画庁に帰りまして早速検討させていただきます。よく意味はわかります。
  202. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 ぜひひとつ寺澤長官のもとで内々価格差の解明をやっていただきたい、強く要望しておきます。  そこで、またちょっと貿易収支に戻るんだけれども、今日本のGNPに対して、経常収支の黒字は大ざっぱに言って三%ですね。この三%を解消する話をしているわけでありますけれども、仮に解消したとしましょう。すると、輸出は抑えるのはしんどいから輸出はそのままにしておいてやる、輸入を増大します。そうすると、GNPの三%のものが入ってくるわけですから、単純に考えますと、日本の労働者の中の三%の仕事がなくなるわけですよ、単純に考えちゃうと。  そうすると、労働大臣、今失業者が先ほどの統計で百九十五万でしょう。失業率が二・九%か三%だ。だから、単純に考えて、貿易収支の黒字を解消するということは、さらに国内に三%の失業者をふやすことになるんですよ。すなわち、日本は経常収支の黒字を解消することにおいて三%のいわば潜在失業者を抱えていると言える。だから、三プラス三で六%。それにプラスするのに、いわゆる日本の雇用形態の特殊性ということで、さらにいろいろな企業内失業がある。こう考えると、日本の実質的な失業率というのは結構高いんじゃないか、こう私は考えるのですけれども、まず、労働大臣の所見を承りたいと思います。
  203. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 今近藤先生御指摘のようなことは、例えばあす突然に起きるということではないわけでございまして、先生が常に物事をグローバルに考えておられる姿勢、先生が自民党の国際局長のときに、私、次長でお仕えをした懐かしい経験もありますし、先生が労働大臣のときに、私、文部大臣でございましたが、常にグローバルな視点で物をおっしゃっておられたわけです。  先ほどからのずっと御論議を聞いておりまして、要するに、日本一国だけがこれだけ貿易黒字を続けるということは世界経済にとって決していいことではなくて、いずれしっぺ返しが来るかもしれない。そうなると、アダム・スミスに任せるわけにもいかぬだろう。ある程度こういうものを合理的に、具体的に減らしていかなければならないということになれば、時代が変わって、産業構造が変わる。人口構成も変わるから、数は変化するから、産業構造は変わる。いろんな要素が今あると思うのですね。  あるいはこれから産業構造を変えていくためのいろんな要素があると思うけれども、それに最も重要なものとして、そういうグローバルな視点というのでしょうか、貿易黒字を減らすような形で具体的に産業構造が変わっていかなければならないとすれば、労働政策の中で一番難しいのは、産業構造が変わったときに失業が出ないようにすること。何とかこれが一つの経済の中でやりくりできるようにするとか、あるいは新しい職能を身につけさせてうまく移れるようにするとか、そこが、失業なき労働力の移動というのが一番難しいことだと思います。  まさに労働行政の正念場を迎えるというふうに思いますし、我が国の雇用保険制度とか、それを使った三事業とか、すべてそういうような観点で、就職が困難になる人たちを早く仕事につけさせていかなければならないとか、仮に一たん失業しても早くまた仕事につけるようにした方がいいとか、そういうことでいろいろな細かな施策をやっておりますが、時代を先取りしてそういう政策をやっていきませんと、グローバルな変化についていけないということはあり得るなと危機感を抱いております。
  204. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 だから通産大臣、またあなたに戻して恐縮だけれども、一体どういう産業構造になるかということの方向が見えないと、労働大臣、迷っちゃうんだよね。どこに持っていくんですか、これは。
  205. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生御指摘の雇用問題、先生も御案内のことと存じますけれども、とりわけ本年に入りましてから、通産、労働間におきまして、再三この問題の協議をさせていただいております。  ただいま、月のうち何回か連続して協議をさせていただいているわけでございますが、その中で、今御指摘がございましたように、この産業構造調整等々の将来ビジョン等々、こういうものが明確でなければ雇用問題もなかなか展開が難しいというような御指摘もいただいているわけでございますが、先ほど来申し上げましたような意味合いでの、ただいまようやく本格的な、近く産構審の答申等々もいただくわけでございますので、それを踏まえてまいります。  なおまた、今既に企業内にございまして、これは釈迦に説法でございますが、窓際族から、最近は出窓族というものもあり得るのだ、この辺もひとつ慎重に考えろというような御指摘も賜っているわけでございまして、先生の御意向を十分念頭に置きながらの取り組みが展開されておりますが、さらなる懸命の努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  206. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 ぜひそうしていただきたい。  ただ、通産大臣、さっき産構審のお話があったけれども大臣、私も大臣をやっておったけれども、よく何とか審議会がたくさんあるのですよね。これは隠れみのになっておって、審議会の結論を出して、こうなりましたということで決まっちゃって出てくるのだけれども、私はこれはおかしいと思うのですよ。それは学校の先生もいいけれども、我々野党だけれども与党、野党含めて結構これは現場で苦労しているのですよね。  だから、これは総理お願いしたいのだけれども、何でもかんでも審議会中心の政治をひとつやめていただきたいのですね。何か立法府、行政府、司法府に今度は審議会府があって、大事なことはみんなここで決まっちゃうわけ、ここで。そして、審議会で偉い人が決めましたから、おまえたちばかな政治家はもう議論したって意味がない。そんなことはおっしゃらないけれども、ついつい、審議会でこう決まりましたと。それは産構審のメンバーも私は個人的に知り合った方が多いけれども、まあ近藤鉄雄とどっこいどっこいじゃないかという気がするのですよ、議論してみたら。  だから、ひとつ国会で議論させてくださいよ、総理。もっと審議会の議論を国会でしなきゃ。それはおかしいと思うのです。みんな審議会で議論して決まりました、あとは法律が出てくるだけなんだから。こんなばかなことはないのです。だから、我が国の立法府は立法府として本来の役割を果たしていないのです。  だから、もっともっと審議会に——審議会の経過だってあの後から通産省にもらって、これだけある。こんなに膨大な資料を、私は役人やって覚えているんだけれども、つくって審議会で議論していくんでしょう、先生方。結果的に審議会がお決めになりましたと言ってくるんだ。なぜ国会へ出さないんですか、それだけ膨大な資料を。国会に出しなさいよ。審議会に出している資料を国会に出しなさい。
  207. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 けさほども新聞に出ておりました基本問題の小委員会等々、ようやく通産相たる私に対する諮問機関としての答申が、中間報告的なものが出てくる。こういうことを踏まえまして、御指摘のとおり、これはやはりあくまでも国会で論議を願うその一つの素材を提供する、こういうような意味合いにおきましては積極的にやってまいりたい、こう考えております。
  208. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 中間的にもよくマル秘としてじゃんじゃん審議会にも持っていって、学校の先生はそれを集めて論文を書いた者があるのだから、我々にも中間報告をどんどん出していただいて、これは国会議員も議論に巻き込んでいただきたい、こう私は本当にまじめに思うのです。  例えば、私の選挙区の山形でスリッパをつくっているのですよね。年間日本国は九千万足のスリッパを使う。だけど六千万足輸入なんです、中国、インドネシアから。三千万足は日本でつくっているのです。そのうち一千万足は我が山形県、我が選挙区で、二十四の中小零細企業のスリッパメーカーがやっているのですね。この間行きました。そうしたら、汚いところでガタガタガタガタとこうやって、スリッパをミシンでやっているわけですよね。  私は、昨年の秋に中国へ行きました、深川だけですが、香港、深川。それから、夏インドネシアへ行ってきたんだけれども、同じ工場を見ても、それは賃金が向こうは五千円でしょう。日本で十万、十二万、十五万ですからね、それは二十分の一、三十分の一。それで機械は向こうの方が新しいのですよ。だって去年つくった工場だもの。こっちは十年前の機械でやっている。賃金が二十分の一、三十分の一で機械は新しいのですよ。  そういう人たちが、例えば隣の中国は十二億いるわけだ。十二億の中国の人たちの雇用は全部シャットアウトしてやる。日本だけが、十二億の十分の一だけれども、これだけ高い生活水準を維持できるような経済というもの、社会、国際環境にはないですね。そうすると、十二億の中国の人たちと一億の日本人、そしてこんな所得に差があるのだ。それがどういうふうに国際的に共存ができるかという、そういう国際経済の仕組みを本気で考えていかないといけない時代じゃないですか。  だから、外務大臣、あんまり日米だけにうつつを抜かさないで、やはりそういうグローバルな分野の中の日本経済を考えていただかないと、本当に日本の外交はないし、日本の民族の将来はないということをぜひひとつ強く外務大臣にも私はお願いしたいわけであります。  そこで、農業問題にちょっと触れますが、私はウルグアイ・ラウンドの決着については不満です。これは昨年の九月の予算委員会でも私申し上げたのだけれども、ウルグアイ・ラウンドの問題というのは世界貿易の拡大発展ですからね。そのための関税率を下げるとか規制を緩和するということなんだけれども、しかし、そういう考えだったら、米はごくごくマイナーな問題でしかない、実質関係ね。  私の友人に、豪州の今の貿易大臣のピーター・クックという人がいます。これはかつて労働大臣で、私も労働大臣でして、あれがILOの事務総長に立候補したいからということで来たのです。私は、大いに賛成だ、今のアンセンヌさんはどうも消極的だからおれがやって変える、こう言うから、応援をするから頑張れ頑張れと言って応援したら、選挙になってしまって内閣がかわって、そして今貿易大臣として来たのです。いわばケアンズ・グループのリーダーですよね。  それで、私のところに来て、近藤さん、米をどうするのだと言うから、私は、ウルグアイ・ラウンドの目標が世界貿易の拡大発展とすれば米という問題は大した問題でないだろう。しかし、国内的にはいろいろな問題がある。それはもう畑大臣よく御案内のとおりだ。それだけじゃなしに、大事なことは農業以外の問題で商品の生産をすることじゃないか。農産物だけじゃだめだというのはアメリカがいい例だ。アメリカは世界最大の農産物輸出国でしょう。アメリカの農業の生産性は世界最高ですよ、さっきの意味とちょっと逆になっちゃうけれども。しかし、アメリカは経常的な貿易収支の赤字に悩んでおる。こういうふうになると、農産物だけではだめだということはわかっておるでしょう。  だから、日本ができることは、あなた方ケアンズ・グループをいわば脱ケアンズ・グループ化することだ。すなわち、農産物一品輸出という経済構造から脱却して、多角的な商品生産をして多角的に安定した貿易ができる構造に変えることが私は本当の日本の国際貢献だと思うよ、だから、そういうことで日本は貢献すべきだ、こう思うと言ったら、ピーター・クック大臣は、それはあなたが言うことに賛成だと言って握手して帰ったのですよね。  私は、この話をさきの予算委員会でも申し上げて、だから細川総理、あなたは国際的にも受けがいいのだから、世界に向かってそういうことを発信しなさい、そして世界の貿易の発展にもっと協力しなさい、こう言ったんだけれども、どこまでまじめに聞いていたか、結果的にはウルグアイ・ラウンドに変に妥協してしまって、私はいまだにその点について納得できないでいるんだけれども、そのときの、まさに農林のため、農業者のために努力した当時の畑農林水産大臣が今や通産大臣だからね。  今度はウルグアイ・ラウンドがWTOにかわって、新しい体制でガットも世界貿易を拡大しようというときに、まさにチャンス到来なんで、どうかひとつそういう多角的な我が国の経済協力、発展途上国への経済協力に従来以上に、まあジェトロもいろいろやっているようだけれども大臣のリーダーシップで取り組んでいただきたいということを要望しますが、どうですか、大臣
  209. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘がございましたとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドによりまして、WTO、これを基軸に今後の世界経済の発展を期していかなければならない。そういうような意味合いにおきましては、この国際的な経済行為のありようといいますものも一つの区切りをつけまして、新たな展開をやっていかなければならない。そういう中にございます。ただいま先生の御指摘でございますし、我が方におきましてもその問題意識を持って取り組みを進めてまいりたい、こう考えております。
  210. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 畑通産大臣、やはり日本の通産大臣は大したものだということを世界に示せるようにぜひひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。  そこで、話があっちこっちいたしますけれども、雇用問題にもう一回戻ります。  先ほどたまたまスリッパ工場の話をいたしましたけれども、通産省や経企庁に承ると、これからの産業構造はハイテク、高付加価値でいくんだ、そして単純労働は、ローテクは輸入でするんだ、こうおっしゃるのだけれども、それは、その言やよしだ。だけれども、もう四十も過ぎて五十にもなってだんだん老眼になってくるような、いいおばさんたちだけれども、これは、あなた方ハイテク、高付加価値やれと言ったって、どうなんですかね。私はインドネシアや中国を見てきて、もう二十前後の若い人たちがたくさん一生懸命やっていらっしゃる、日本人と同じ、まじめですよね。どっちがハイテク、高付加価値化可能かといったら、どうも向こうの方が可能なような感じがする、機械も向こうが新しいし。そうでしょう。  だからそういう形で、先ほど言いましたけれども日本が三%分買わなければならない、貿易収支を改善するためには。そうすると、三%をどうするんだという形の新しい雇用機会の創出を一体どこに求めるか、もう一回労働大臣の見識を、考えを聞きたいのです。
  211. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 先ほどのお答えと重複してしまうわけですけれども、正直申し上げて、産業構造がどういうふうに変化していくということが予想がつけば簡単でございますが、それはもちろん雇用政策という面もゼロではありませんが、産業政策の問題でございましょうからそう簡単に予測するわけにはいかないわけで、当然、経済にしても産業にしても雇用にしても、いわゆる高度化あるいは高付加価値化というのでしょうか、そういう要請があることはわかっております。  ただ他面、今近藤先生おっしゃったような、私は、日本全国それぞれの地域の地域産業とか地場産業というものが大切にされるような、そういうふるさと社会やふるさと産業が残るような国であってほしいと願っておりますけれども、ただこの高度化の中で、いわばだんだん弱っていくというか、衰退していきやすいそういう産業から、まだそういうところで働く勤労者、労働者の方々が新しく次のところへできるだけ速やかに移っていけるような雇用政策をとっていくべきだということだと思います。  もうあとは、具体的なことは労働大臣の大先輩である先生の方が私よりはるかにお詳しいわけでしょうから、それは情報提供の問題もありましょうし、新たな雇用機会の創出、まあ、この新たな雇用機会の創出というのは単語で言うと簡単なんですが、実際には相当大変なことで、いろいろな配慮をしてそうした方々が移っていけるような雇用機会をどう準備するかということでありましょうし、産業雇用安定センターにも活躍をしてもらわなければなりませんし、特定求職者雇用開発助成金制度、これも大いに使っていかなければなりませんし、何か衰え始めた産業の中で直ちに失業者が出ないように雇用調整助成金を使う、こういうことだと思いますが、とりわけ中高年がこれから問題になってくるかなと思います。
  212. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 これまた繰り返しで、だから通産大臣、早く決めてくださいよ、まずどう持っていくかということを。残念ながら労働省、私も大臣しておったけれども、やはり産業構造が決まってからそれに適用するような雇用政策をいくわけだし、必要な技術訓練でしょう。それはわかりませんと、アダム・スミスさんに聞いてくださいと言われたら困るのですよ、それは。わかるでしょう、僕の。だから、多少間違ったっていいのですよ。大体こういう方面へ行きそうだ、これこれだということを労働省と通産省がもっと本気で、真剣に詰めていただかないとこれはとんでもないことになりますと私は思いますので、くどいようだけれどもお願いするわけであります。  そこで厚生大臣、この二十一世紀福祉ビジョンという非常にきれいな資料を私読ませていただいて大変勉強になったのだけれども、ちょっとこの議論をしたいのですけれども、福祉関係のまず労働者ですね。看護人とか看護婦さんとかそういう福祉センターの従業員というのは、若い人はもちろん大事ですよ、だけれども、御年配の方でもできるのじゃないでしょうか。  もう時間がないから私ははしょって申し上げますけれども、例えばスリッパでもニットでも半導体でも四十四、五ぐらいまで働いた御婦人の方々に、さあこれからハイテクだ何だという形じゃなしに、むしろこれから高齢化社会でますますそういう社会福祉施設のニーズが出てくるのだから、ある程度訓練をして、そしてそちらの方に積極的に雇用していただくということはどうでしょうか。  そしてついでに、もう時間がないから農林大臣、私は農業というのを、若い人が一生懸命やらなければならないのだけれども、御年配でもできる分野があるのですね。例えばサクランボをとるとかリンゴをとるだとか、イチゴだとかナス、キュウリだとか。最近はリンゴだってサクランボだってカキだって桃だってみんな矮小化していますからね。だから、お年寄り方だってとっていけるわけですね。これは、今の高度技術、ロボット化の時代ですから、ロボット化できますよ。だけれども、何百億のロボットよりも、多少年はとっていらっしゃつてもお年寄りの方がはるかに精密、精密と言っては変だけれども、よくおやりになるのじゃないですか。  だから、例えば老人ホームを果樹地帯の真ん中に置いちゃう。そして四季折々の果樹をずっと周りに植えるのですよ、蔬菜も含めて。そして、八月は何や、六月は何、こうやっていけば、それは私は——だから私は、労働大臣、人間の雇用というものを、新日鉄に勤めたらもう一生終わりまで新日鉄ということじゃなくていいと思うのです。一生、半導体なら半導体じゃなしに、ここまでは半導体、ここから先は農業、ここから先は福祉関係、それぞれ年代に応じて違うわけですから、能力や向き不向きが、と思うのです。  そこで厚生大臣、私はヤングオールドとオールドオールドという分け方をしているのです。すなわち、ヤングオールドは四十五歳から六十五歳までを私を含めてヤングオールド。私はもう少したつとオールドオールドになっちゃう。だから、ヤングオールドの二十年間にそういう福祉関係の仕事をして、そしてそれなりの貯蓄をして、そして後半の二十年は今度はオールドオールドとして面倒見ていただく。そうすれば雇用の需給関係がバランスして、しかも通産省の考えている産業のいわば構造転換にも合う、こう思うのだけれども、そういう発想について厚生大臣、どうお考えになりますか。
  213. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 近藤先生にはいつもいいアイデアを教えていただいておりまして、私はそれを聞いてできるだけ実現するようにふだん努力しておるわけでございますが、今のお話でございますが、今保健医療あるいは福祉関係で働いている人は約二百五十三万人でございます。これが西暦二〇〇〇年の段階になりますと大体三百四十六万人ぐらいになりますので、約百万人ぐらい実はここで雇用創出ができるという事態を迎えております。ですから、率で申し上げますと三・九%が五・一%ぐらいまで膨れてくる。  したがいまして、今先生が御指摘になりましたように四十歳後半の女性に対して職業訓練をしてさしあげますと、これがそこを埋める一つの労働力に十分なり得るわけであります。もちろん男性もできるだけ進出していただきたいと思っているのでございますが、確かに先生御指摘のような点が相当これから期待をされますので、私ども今いろいろなナースセンターあるいは福祉人材センター等々を活用いたしまして、そうした潜在的なマンパワーの開発という問題に力を入れてまいりたい、こう思っているわけでございますので、具体的にどういう分野でそういう方が必要とされるか、これからなお一層勉強したい、こう思っている次第でございます。大変いい御提案だと思っております。
  214. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 先週末新聞を騒がせたのは大蔵省の二〇〇〇年の財政試算というやつですよね。これはもう大変な財政の需要があって、しかもその問題は福祉関係ですよね。年金であり医療であり福祉だ。これが膨大に伸びる。したがって、三%の消費税なんというのはおろか、七%だってだめだ、一〇%やらなければだめだなんということを、これはまあ必ずしも新聞の記事が正確でないと、こう言われておりますけれども、そういう形で取り上げられて、我々は大きなショックを受けたわけでございます。  私もこれを読ませていただいて、レポートをいただいて思うのだけれども、このニーズはわかるのですよ、今後必要なことは。だけど、これを一体全部国がやる必要があるのか。これを国がやるとしたら巨大なマンモス福祉国家になってしまって、これは大変だな、こういう感じがしますよね。そして、もうちょっとこれは民間活力を導入したらどうかと思うのですな。  そこで、これまた通産省さんにも御相談したいと思うのだけれども、今我が国の最も拡大するマーケットはどこかといったら、もう自動車じゃないかもしれませんね、パソコンでもないかもしれませんね、VTRでないかもしれません。もういっちゃっているんです。どんどんふえるのはこの福祉関係です。医療であり、福祉であり、年金なんだ。この大きなマーケットを民間企業から隔離するんですか。これは国がやることだといって取り込んじゃって、そして日本の産業はほかのことをもっとやってみろ、こう言うのか。それとも、この巨大な拡大するマーケットをもっとオープンにして民間企業に積極的に介入してもらって民間にやらせろ、こういうふうにして、やるもの全部やらせてしまうということなのか。  時間がないからはしょって申しますが、大蔵大臣、例えば保険だって、年金、膨大な年金需要だ、こういうことです。なぜこれ全部国がやる必要があるのか。例えば生命保険、昔は生命保険も意味があったと思うのですよ。だけど、八十過ぎた人は生命保険をだれにやるのですか。八十過ぎた人の息子は五十ぐらいだ。もういいかげんの年ですよね。その人に何も、おやじが死んだからといって生命保険をだんとウン千万やらなくたっていいんじゃないですか。働き盛りのだんなさんが亡くなったときに、女房がいる、子供がいる、だから生命保険で面倒見るというんだけれども、七十、八十過ぎて亡くなったときに生命保険というのは一体どういうものなんだ。そんなことよりはむしろ、老後はずっと面倒見てもらう年金だとか介護サービスだとかそういったものを考えた方がずっといいんじゃないでしょうか。  だから、そういう福祉マーケットというものを、お金の面でもマーケットを、労働力の面でもう一回これを見直す必要がある。だから私は、これからは高齢化社会だ、少子・高齢化社会、こう言って、少子で高齢化、大変だ大変だ、こう言いますけれども、そういう大変だよという見方で考えるのか。まさにそこにエクスバンディングマーケットがある、こういう見方で考える。そこにもつと積極的に民間企業、保険も銀行も信託も、そして産業も切りかえていく、雇用もそっちに持っていくということをもっと本格的に考えれば、それは消費税を一〇%に上げるんだみたいな、もう国民が気絶するような案を大蔵省は示さなくても済むと思うのだけれども、大蔵大臣、厚生大臣、どうですか。
  215. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 時間がないので早目にお答えいたしますが、先生の、企業の持っているそういう活力、民間企業の活力を最大限に活用してそういう市場経済の機能を活用せよと、これは私は、具体的に活用する分野があればこれからも大いにしたいし、その基本的な考え方、賛成でございますが、御指摘のように、国や地方公共団体がみんな福祉や何かを面倒見て考えているのではないかという御指摘は、実は、その福祉ビジョンはまさにそうではなくて、自助努力、民間の活力の活用、それに公的支援というものを組み合わせた考えであることは御理解をいただきたいのでございます。  これはもう具体的に例示すれば至るところに立証されるのでございますが、例えば今の社会保障費の総額は、六年度の見通しで五十九兆円です。この中で、公的資金というのは十七兆円です。そして、二〇〇〇年の段階ではこれが百兆円になりますが、大蔵省の機械的計算をもってしても二十四兆でございまして、したがって、国や地方団体だけがこの問題をカバーしようとしているのじゃなくて、その多くの部分を実は民間が負担しているということもこのビジョンの中身になっておりまして、決して北欧型の、つまり税金によって、つまり公的資金によって全部社会保障を見るという考え方とは根本的に違う考え方、ポリシーを我々はとっている。そして、その福祉という問題がエクスバンディングマーケットとして、これが非常に注視すべきマーケットであるということも、もう政府全体としてもこれは考えていかなければならぬと思っておりますので、決して国、地方団体だけでこの問題をやろうとしているのではないということだけは御理解をいただきたいと思います。
  216. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 大臣のお話も僕らはわかるんだけれども、これまた懇談会、審議会にこだわるわけではないけれども、高齢社会福祉ビジョン懇談会、ずっと立派な先生がいらっしゃるけれども、これは商売人がいないんですよね。みんな学者とか評論家ばかりなんですよ。だから、もっと日本の、金もうけのうまいなんというとこれは言葉がいいかどうかだけれども、いるわけですよ。こういうものを民間委嘱で。  だから、通産大臣、あなた、こういう大事な問題は、これはエクスバンディングマーケットだと厚生省に任せておかないで、厚生省と通産省でひとつ競争してくださいよ、どっちがやれるか。それで大蔵省も、まず税金を上げることを考えないで、年金を、生保、損保、信託、証券、銀行があるんだから、大蔵省の担当企業、これに食わせるわけですよ。売りに出しなさい。福祉プランというものをセールにするんですよ、セールに。民間のいろいろな、金もうけのうまい人がたくさんいるんだから。それで売るところがなくて困っているんだ、本当に。だから経済はよくなっていないんだ。  こんな大きなマーケットなんだから、通産省、大臣、通産省のいろいろな企業にこれを持っていって、ひとつ食ってみろと。どういう補助金、補助金でなくていいから、税制をすれば、どういうふうにすればあなたはできるんだ、投資をできるんだと。日本生命、こういうことがあるんだけれども、どうやったら、あなた方、日本生命、これはマーケット化して、採算よくできるか。そして、厚生省だけに任せないで、もう通産省と大蔵省が両側から食い込んで、食い込んで、食い荒らして、最後に、いよいよだめなら、主税局長がいるから、主税局長に頼んで税金を上げる、こういうわけですよ。早過ぎるんだな。  だから、総理、何か六月中に税制改正案を決めて、そしてサミットか日米首脳会談に持っていくというお話があるようだけれども、私は時期尚早であると思うんですよ。そういう議論を徹底的にしていかないと、軽々に所得税減税をして、その見合いでどうする、しかも私は、アメリカであれG7であれ、日本の長期的な福祉政策だとか、日本の長期的な税制改正がいかにあるかなんということについてまじめに考えているはずはないと思うんです。ふまじめだとは思わないけれどもね。それは我々が考えることなんです。時間を切ってやる、まあいつまでも、年末ぐらいならいいですよ、来年の税制改正ぐらいまで我々ももう頑張って議論しますけれども、六月といったら一カ月しかない。話が詰まるんですか、そんな話。おざなりなことしかできないでしょう。  私は、日本の外交というものは、こっちが答案を書いていって、そしてクリントン先生に、こうこうできました、まあ頑張ってくださいと、何か及第点つけてくださいよという手合いの外交はもうやめたらいいと、これはまじめに思うんです。そんな国がありますか。自分の国の税制改革を一々決めて、そして一々お伺いを立てている国があったら教えてください。あるはずがない。もっともっと日本は自信を持っていいんですよ。だから私は、デンジャラス・オブセッションという言葉があるけれども、まさにデンジャラス・オブセッション・オブ日米経済関係ですよ。日米経済関係に取りつかれ過ぎだ。そして、日本の全体、グローバルな視野を失っていると思うんですよ、日本の外交は。もっと総合的な判断をぜひやっていただきたいというふうに思います。  大蔵大臣総理大臣、ひとつどうですか。総理だけでいいや、ちょっと時間がないから。
  217. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今大変御示唆あるお話を伺いましたこと、私どももこれから参考にしてまいりたいと思っております。  ただ、六月にまとめるというのは、ただクリントンさんに持っていくとかそういう話じゃなくて、いずれにしましても、この間のいわゆる特例の措置をいたしましたときに全党一致で抜本的な改革をやるということになっております。そして、八月には予算編成に入らなければならぬわけですから、それまでの間に、六月の末ごろまでの間に一つ方向を示すということが非常に重要なことであるということであろうというふうに考えております。  今保険の話なんかも、これは今言われるように、八十になってから何千万円もらったってしようがない。そういう意味で、保険の分野でも非常に大きく物を考えていかなければならぬだろうと思う。  それともう一つは、今御指摘がありましたように、審議会の制度というものも、学者の人ですとかあるいは大企業の人ですとか、そういった人だけでなくて、案外民間の中の、例えば中小企業の経営者の中に大変な考えを持つ人がある。もうちょっと私たちも審議会のメンバーについては柔軟性を持って考えなければいかぬのじゃないかなと私も実は日ごろ考えておりますので、ありがとうございます。
  218. 近藤鉄雄

    ○近藤(鉄)委員 いろいろ申し上げましたけれども、最後に、日本の貿易収支の黒字解消という問題は日本の問題です。ですから、日本みずからの問題として具体的な黒字解消のトラジェクトリー、軌跡を示すことです。その簡単なものは、私は住宅だと思うのですね。  例えば、今輸入資材で建つ住宅が年間千五百戸だそうです。ところが、一戸建ての独立家屋が五十万戸あります。そこで、例えば一万戸の独立家屋を二口当たり一千万円の建築資材を輸入して使えば、これで十億ドルなんですよ。だから、年間五十万戸建つうちの一割、五万戸が輸入資材を戸当たり千万円分輸入するだけで何と五十億ドル、日米間経常黒字の一割くらいがそこでなくなるわけです。五十万戸独立家屋が毎年建つのですから、それをプラスアルファで一割アップすることができればそうなる。  これは、通産省も建設省もジェトロもいろいろ努力しているようでありますので、もうくどくど言いませんけれども、住宅関係の輸入というものは、日本の黒字解消のための最も具体的な一番パワーのある分野だということであります。皆さんいろいろ努力していらっしゃいますけれども、従来以上に努力して、日本人にもアメリカ的な住生活の体験もしてもらうと、ある意味では生活文化革命にもなる。いろいろな社会インパクトがあると思いますが、ぜひひとつ積極的にこれまで以上に取り上げていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  219. 山口公生

    山口委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。  次に、細川律夫君。
  220. 細川律夫

    ○細川(律)委員 まず、総理にお尋ねをいたします。  総理は国会議員になる前はサラリーマンであったと聞いております。そのサラリーマンとしての経験をこれまでの政治活動にも十分生かしてこられたと思いますし、また、この内閣でも十分生かしていかれることだろうというふうに思います。総理が初めて衆議院の長野二区から立候補されましたときに、選挙公報で、生活に直結する政治ということを訴えまして、十年余のサラリーマン生活をしてきた、生活の苦労については実感としてわかっているつもりだ、こういうふうにおっしゃって、サラリーマン生活を政治活動に生かす、こういうことを言われたと聞いております。そういうことからか、マスコミでは総理のことをサラリーマン宰相というような呼び名で呼ぶところもございます。  そこで、総理にお聞きいたしますけれども、このようにサラリーマン宰相というふうに言われておることについて、総理のお気持ちを聞かせていただきたいと思います。
  221. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、サラリーマンであったということ、まだそういうところから一人ぐらいそういう政治家が出ることもいいだろうということで実は立候補の基本にいたしたわけです。  そして、今サラリーマンとしての願いですとか、そういった気持ちはどうかという話でありますけれども、当時私のころは、ともかくまず就職するということ、そして安定したところにというので移る人たちが多かったわけですね。それと同時に、例えば残業というものをさせてくれない、なぜおれに残業をさせないのだ、えこひいきがあるじゃないかといった時代でございました。  ただ、最近になりますと、これはもちろん都会と地方の人たちと違うのじゃないかと思う。むしろ地方の人の方、もちろんこれは全部が全部ということじゃありませんけれども、割合と広いうちから通っている人たちもおります。そして、地域の人たちが結構スポーツですとかあるいはボランティアですとか、そういうサークルなんかをつくって非常に活発に生活している人たちなんかありますね。  ところが、都会の場合には、何といっても世界のトップクラスの豊かさというものを我々手にしたなんということを言われるのですけれども、それじゃ通勤はというと、一時間半も二時間もかかる。そして、大変なローンを抱えるということと、狭いうちで空間が非常に少ないというようなこと、そういう中で、手に入れたけれどももう疲れてしまったとか、ローンを支払うのに大変だとか、いや、せっかくつくったと思ったら狭かったというようなことで、そういうことの悩みなんかを持っているのかな。それと、通勤時間が長いということはやはり大変な問題であろうというふうに思っております。  そして、核家族化がそういう中でもまだ進んでいくということでありますから、老後というものに対して心配を持っておるというようなことでございまして、今サラリーマンの人たちは、勤め先の建物は立派になっているけれども、そこに通うまでの間、そしてみずからのうちの空間というものは非常に狭い、ここに問題がある。  そして、もう一つは、みんなが学校に行くようになったものですから、我が子もということのために子供を塾に通わせる。そして、何とかいい学校に入れたい。そんなことのために大変な悩みを持っておるということで、ゆとりある生活をしているかということになると、どうもちょっと問題があるなという思いを今持っております。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  222. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今総理の方からは、ゆとりあるのがちょっと欠けているというようなお話がございました。  そこで、総理は前内閣からの政策を引き継いでいく、こういうことでありますけれども、前内閣での大きな政策の柱といたしまして、これまでずっととってきました産業優先の政策から生活者あるいは消費者重視の生活に転換をしていく、こういうのが前内閣で御提起をされたところでございます。  そこで、私は、この前内閣のときに細川総理がちょうど所信表明で言われたことが非常に印象深く記憶に残っておりますので、この点をちょっと申し上げながら、豊かさあるいはゆとりとかいうようなことについて考えてみたいというふうに思います。  このとき総理が所信表明で言われましたのは、こういうことを言っております。「終戦から今日に至るまで我が国は、経済成長や産業の発展という目標に向かってわき目も振らずにひたすら走り続け、いつの間にか経済大国と言われるまでになりました。」「国民皆様方には、これほど努力し世界有数の経済力を有するに至ったにもかかわらず、豊かさを実感できないのはなぜか、」こういった「戸惑いを感じておられる方も多いのではないかと思います。」こういうことを率直に言っておられます。  そして、また一方ではこういうことを言っております。「我が国は、これまで経済的発展に最大の重点を置き、その本来の目的であるはずの国民一人一人の生活の向上や心の豊かさ、社会的公正といった点への配慮が十分ではなかったことを率直に反省すべきであります。」こういうふうに述べられて、いわゆる産業優先から生活者・消費者重視へ転換をすべきだ、こういうことを力説をされたわけでございます。  こういうことを羽田内閣も引き継がれることと思いますけれども、このいわゆる産業優先から生活者あるいは消費者重視への転換、こういうことについて総理はどういうふうに認識をしておられるのか、お考えを聞かせてください。
  223. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 産業か消費者かというあれは非常に難しいわけでありますけれども、しかし私どもも、産業が発展することが消費者あるいは生活者というものもやはりよりよくなっていくのだろうという思いを持ちました。  しかし、皆さんと一緒に歩んだ八カ月の間の中で、やはり生活者というところに目を向けていきませんと、確かに住宅を持たせましょう、持たせましようといっても、二時間も遠いところじゃこれはどうにもならない、結局は疲れ果ててしまうということになるわけでございまして、やはり私たちは生活者というものに対してもう一度目を当ててみる必要があろうということ。  それと、今お話があったように、やはり物の豊かさということもあるけれども、あのバブルで、これは余りいいことじゃないのですけれども、バブルがはじけたから、いやもう外で食事するよりはうちに早く帰ろう、そして縁台で隣のおじさんと将棋や碁を打つ、あるいは家庭の人たちと一緒になべをつっつく、そんなことにむしろ心の豊かさというものを感じたよなんということが言われたわけであります。  いずれにしましても、私たちはもう一度、ただ生活の合理化だとか、あるいはただ豊かになるということだけでなくて、本当の内容、質を高めること、これを真剣にやはり考えていくというのが、今ちょうどバブルが終わったこのときであろうというふうに思っております。
  224. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今総理も豊かさについて、あるいはゆとりについていろいろお考えを述べられましたけれども、今のサラリーマンの方々が一体何を一番望んでおられるのか、こういうことについては、私はこの間の五月一日のメーデーに参加をさせていただきましたけれども、このメーデーの一番のスローガンの中に、勤労者といいますか労働者の願いがこもっているだろうというふうに思ったのです。  そのメーデーの中心テーマといいますか、メーンスローガンはこういうふうになっております。「働くものの連帯で「ゆとり・豊かさ・公正な社会」を実現し」こういうことがメーンスローガンになっておりまして、このことを一番今の働く人、労働者の人たちは望んでいる、こういうことであろうというふうに思います。  そこで、ゆとり、豊かさ、そして公正な社会を築くために政府は一体どういうことをこれからやろうとするのか、このことについてお答えいただきたいと思います。経企庁、お願いいたします。
  225. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 お答えいたします。  現行経済計画におきましては、私今お答えするのは、千八百時間の目標を達成するという観点からの政府が何をしているかという意味の答えなんですが、今「生活大国五か年計画」の計画中に、年間総労働時間千八百時間を達成することを目的といたしまして、まず労働時間短縮のための制度の拡充として、労働基準法の改正による週四十時間労働制への移行、時間外・休日労働の法定割り増し賃金率の引き上げ、年次有給休暇の計画的付与制度の活用などを提言しております。残業を減らして有給休暇をぜひとってほしいということであります。  また、労働時間短縮に向けた条件整備としては、フレックスタイムの普及、いわゆるサービス残業等が発生しないよう企業に対する指導を今一層しております。  現行経済計画策定後、我が国の年間総労働時間は着実に減少を続けておりまして、千八百時間の達成に向け生産性の向上を図るなどしてこれからもより一層努力してまいりたい、こう思っております。
  226. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今経企庁の方からは、ゆとり、豊かさを実現するために労働時間の短縮を実現をしていきたい、しかもその労働時間は年千八百時間を達成をしていきたい、こういうことでございます。  今、日本の労働者の労働時間というのは、他の国から比べますと大変長いというのが特徴でございます。今経企庁の方では千八百時間の達成ということを言われましたけれども、果たして「生活大国五か年計画」、これは平成八年に終わるわけなんですけれども、千八百時間、達成できる自信はおありでしょうか。
  227. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 「生活大国五か年計画」、平成八年までに千八百時間を達成しようということで、これは自信があるかないかというか、ぜひこういうふうに持っていきたいというふうに考えております。  今回労働基準法が四月から新しいものになっておりますが、その前に労働基準法を改正いたしました。したがって、昭和六十三年から労働時間が減り始めまして、昭和六十三年、平成元年、二、三、四、五とこの六年間で二百十一時間実労働時間が減少しただろうと言われておりまして、そうしますと平均一年間で三十五時間ずつ減少した。この割合がそのままいけば千八百総実労働時間に持っていける、こういう状況にございます。ただ、業態によっていろいろなぶれがある、また中小企業等の規定については先生御承知のとおりではございますが。
  228. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今労働大臣の方からは割と簡単に達成できるようなお話でありましたけれども、しかし現在でもなかなか労働時間が多い。  これは、昨年平成五年度で労働省の方の統計が出ております。「労働経済の分析」というのが公表されておりまして、これによりますと、景気に特に左右されやすい生産業といいますか、製造業の生産労働者の年間実労働時間というのは二千八十時間というようになっているのです、日本の場合。これに比べまして、アメリカでは千九百四十三時間、イギリスでは千九百二時間、ドイツが千五百八十二時間、フランスは千六百八十二時間、その差は大変あるわけなんです。特に、フランスとの差は一年間で三百九十八時間、ドイツとは何と四百九十八時間、こんなに差があります。一日八時間労働でいきますと約二カ月間も、ドイツから比べると日本の労働者は製造業で働き過ぎている、長く働いている、こういう実態なわけですね。そもそもこういうふうに長く働き過ぎているといいますか、先進主要国と比べて日本の労働者は長い労働時間というこの実態について、労働大臣、どういうふうにお考えです、そもそも。
  229. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 それはなぜかとおっしゃられれば、やはりこの日本的社会というか、日本人の非常にまじめで勤勉な部分もあったでしょうし、あるいは後発の先進国として、もっと先へ行っているところに追いつけ追い越せということもあったでありましょう。いろいろな事情があろうと思いますし、残念ながらヨーロッパあるいはアメリカの方が、ヨーロッパが一番先だと思いますが、いわゆるバカンスというような考え方はうんと先へ行っておるものですから、そのようなことが現在のような差になって残っていると思います。  ただ、今先生がおっしゃった数字は、多分平成元年とかそれくらいの数字でしょうかね、二年とか……(細川一律)委員「三年ですね」と呼ぶ三年ですか。その差は徐々に縮まってきているのが実態だとは思っておりますし、また、フランスやドイツはなぜか、一役所にも申し上げたのですが、所定外の労働時間の統計がありませんので、その辺の比較はできないなと思っております。  もちろん、いわゆる長期休暇、有給休暇がとれないというのか、実際与えられていてもそれをとらないというようなことがありますので、これをとりやすくさせるような工夫ということで、労働省といたしましても、連続休暇取得促進要綱というのを策定をした。要するに、有給休暇を事前の話し合いで、あなたはいつごろ、あなたはいつと決めていけばとれるんでしょうが、実際有給休暇を持っておっても、残しておっても、あす休む、あさって休むというとなかなかうまくいかないというような部分がこういう状況を生んでいるんだと思いまして、ですから私は労働省の皆さんにも、労働省なんだから有給休暇を完全消化をし続けてもちゃんと局長から次官になれるようでなくてはいかぬねと、こういうことは言っておるのですけれども
  230. 細川律夫

    ○細川(律)委員 千八百時間を達成するためには、有給休暇を完全に消化をすること、あるいはまた、私は休暇をふやすということも大変大事じゃないかというふうに思うのです。  それで、休暇についてはぜひ総理のお考えをお聞きしたいのですけれども、どうでしょうか、例えば五月一日、これを休日にする、あるいは祝日にして休みにするとか、あるいはもう一つ、八月十五日は、ちょうどお盆のころなんですけれども、太平洋戦争が終わって、過去の行為をみんな反省をして、そして二度と戦争はしない、こういうようなことを誓った日でもありますから、あるいはその日を平和の日とかそういうふうにしてこれを休日にする、そしてお盆の連休を少しふやすというようなことで労働時間を少なくしていくというようなことが必要じゃないかと思うのですけれども総理、どうですか、その点。
  231. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この点についてはもう細川委員もよく御存じだと思いますけれども、やはり祝日の増加というのは、国民生活活動、いろんな方面に与える影響が大きいこと、あるいはその日が、国民がこぞって祝って、あるいは感謝し、また考えて、またあるときには行動をする、本来はそういうものであるはずですね。  それから、あと、私どもが今聞いている中でも、祝日の日数というのは先進国の中では最も多いということで、アメリカなんかが十日ですとか、イギリスが八日ですか、それからフランスも十一日というようなことで、日本は十三日ほどということでございますから、非常に多いということは言えると思います。  ただし、今お話がありましたように、全体の労働時間ということからいきますと日本は高いから、こういう意義のある日というものを休日に選んだらどうなのかという御意見、これは私は一つ考え方でもあろうと思います。そして前から、働く者の日というようなことで五月一日を、それから平和を祈念する日というので八月十五日というのは、これは私も多少言ったことがあるのですけれども、あと環境の日ですとか、あるいは障害者の日ですとか海の日ですとか、いろいろと候補は幾つもあるわけなんですね。  ですから、そのあたりを一体どう考えるのかということと、もう一つは先ほどもちょっと申し上げたように、休日というものをただ休みの日が一日ふえたということでのんびりと暮らしてしまうのではなくて、やはり意義ある日にしなければいかぬということ、それから休暇というものの活用いかんによっては人間をクリエーティブする、そういうことでいろいろな、これから働く者に対しても働く職場に対しても大変プラスにもなるというようなことで、むしろある職場なんかは積極的に休暇を与えて、外国に行ってこいとか国内を全部旅行してこいなんという、そんな会社も今生まれてきているということでありまして、そういうものを総合して私たちは考えようと思っております。  いずれにしましても、今御提案になったそういう休日等については、これから私たちがやはり議論していかなければならぬ問題であろうというふうに受けとめさせていただきます。
  232. 細川律夫

    ○細川(律)委員 それから、先ほど出ました有給休暇の取得の問題なんですけれども、これは今付与日数が大体十六日ぐらいで、日本人の場合は半分ぐらいしかとってないのですね、半分よりちょっと上ぐらい、八日ぐらいですか。これはいろいろな世論調査なんかからのいろいろな回答を見ますと、有給休暇をなかなかとりにくい、そういうあれが出ているのです。例えば上司がいい顔をしないとか、あるいは同僚に迷惑をかけるのでとれないとか。一体そういうのをどういうふうにしてこれから完全消化ができるようにしていったらいいのか、そこのあたり政府はどういうふうに考えておられるのか。労働大臣
  233. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 これは一つは、国民運動というのか啓発というのか、こういうことがとても大事だと思います。大体半分ぐらいと言われておりましたのが、このような時代で生活大国ということで、有給休暇はきちんととりましようということで、現在というか平成四年の数字では五六%ぐらいと徐々に上がってきているわけでございましょうが、実際には、私先ほど申し上げましたように、また細川先生御指摘のように、とれる権利は持っているけれども、とりたいと思うけれども、実際、急に休んでいやな顔をしてとれないとか、場合によっては出世に響くとかいうようなこともあろうかと思いますから、これはもう国民全体の意識改革がとても大切だと思っております。  そして、先ほど申し上げましたように、労働省として今進めておりますのは、組合との話し合いでもよろしいのかと思いますが、事前に、例えばこの方の有給休暇はいっと、こう決めて、年の初めに決めてしまう、あるいは年度の初めに決めてしまうような形になると堂々ととりやすいというような形にもなっていくと思っております。
  234. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ぜひ政府の方でそのような御指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。  そこで、もう一つお伺いしたいと思いますけれども、ゆとり、豊かさを実現をするということで、働く時間といいますか、労働時間を短くする。今話を聞かせていただきましたけれども、ゆとり、豊かさを実感できるというのは、自由な時間がふえればふえるほど時間的ゆとり、心の豊かさを感じられるというふうに思いますけれども、そういう労働する時間というのはいわば拘束時間でございます。二十四時間のうちに拘束時間をより少なくする、そういう意味では労働時間もそうですけれども、働きに行く、労働の現場に行く通勤時間といいますか、これも短くしなければいけないと思いますし、またこの通勤時間そのものが大変な混雑などで自由にならない、快適でないということがあると、これまた豊かさから見ると逆のことでもあろうというふうに思います。  そういう意味で、特に首都圏の交通事情といいますか、いわゆる通勤通学の電車というものなどは大変な混雑でございまして、東京一極集中の象徴のようなものがこの通勤通学のときのいわゆる混雑ではなかろうかというふうに思います。私自身、電車でこの国会へ通ってくるときに感じますのは大変な込みようでございまして、ぜひ総理あるいは運輸大臣にも、これも実際に乗っていただいて実感をしていただきたいと思いますけれども、このいわゆる通勤通学、首都圏のこの混雑をどういうふうに解消していかれるのか、ひとつ運輸大臣にお答え願いたいと思います。
  235. 二見伸明

    ○二見国務大臣 実は、私も通勤通学の大変なことは体験者でございまして、私は常磐線の土浦から来ますから、ちょっと時間を早めたりしますと常磐線がすごく込むし、上野で山手線に乗りかえるときの苦労は大変なものです。私はそれを見ながらいつも、これで経済大国と言えるのかというのが私の実感です。ですから、私は通勤通学時間帯の混雑を緩和するというのが運輸行政の最も大事な仕事だというふうに思っています。  これは、私は二つの面、ソフトとハードがあると思うのです。ハードというのは、鉄道新線をつくる、あるいは複々線化を進めるというハードの整備、これは必要です、絶対に。輸送力増強ということで。しかし、混雑する時間が限られているわけですね。そうなると、ソフトの面では、フレックスタイムの導入とか時差通勤の促進とか、そういうことを本気になってやらなきゃならないというふうに思っています。  実は、そのための協議会も経済界、労働界あるいは関係者の間でできておりまして、昨年できまして、一生懸命フレックスタイムを推進しているわけです。大手町部会・丸の内部会というのがあるのかな。大変フレックスタイムの実績が上がってきていまして、大体、平成四年現在で千人以上の従業員の企業で三三・五%がフレックスタイムを導入した。ただし、できる人からということで、人数にすると数%なんですけれども、企業としては三三・五%それに同調してきたということは、私は一歩前進かなというふうに思っています。そのソフトの面も強力に推進をしたいというふうに考えておりますし、各界の労働界、経済界の御協力をぜひとも得たいというふうに考えております。
  236. 細川律夫

    ○細川(律)委員 通勤通学、特に首都圏の通勤通学の混雑解消を目標として、首都圏では二十世紀の最後の最大のプロジェクトだろうと言われております常磐新線の建設が既にもう進んでいるわけなんですけれども、これは二〇〇〇年までに完成ということでありますけれども、どうですか、これはきちんと二〇〇〇年には開通するんでしょうか。
  237. 二見伸明

    ○二見国務大臣 常磐新線を二〇〇〇年に開通することが最大の目標であります。そのために全力を尽くします。というのは、もしできませんと常磐線がパンクしてしまうんですよ。ですから、常磐新線はどんなことをしてでも二〇〇〇年までにつくります。私は工事は着々と進捗しているというふうに思います。  若干申し上げますと、平成五年一月には秋葉原−新浅草間について工事施工認可を受けて建設に着手しておりますし、本年一月には守谷−伊奈谷和原間について工事施工認可を受けたところであります。その他の区間につきましても、早期着手に向けて、各地方公共団体において都市計画の手続等が進められているところであります。というわけでございまして、二〇〇〇年開通目指して、開業目指して全力を挙げて頑張ってまいりたいと思いますので、あわせて御支援をよろしくお願いしたいと思います。
  238. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今東京での一極集中、そこで働く人たちのゆとり、豊かさの問題などにつきましていろいろお伺いをしてまいりましたけれども、この一極集中、過密の正反対が過疎の問題であろうかと思います。いわゆる東京の方に、首都圏の方に集中をする一方で、田舎の方では過疎になっております。  この過疎での一つの問題が、東京の方は物すごく込むのですけれども、一方田舎の方では、乗り合いバスがもう少なくなってきてどうしようもなく大変なんです。田舎の人はお年寄りなんかは車を持っていない、あるいは障害者あるいは通学者の方なんかが、この乗り合いバスがだんだん少なくなり、回数も減っているということで大変困っておられる。  そして、これについては国の方から補助金が出ている。しかし、その補助金がことしの平成六年度で終わりというようなことになっているわけなんですね。これは全国で過疎地というのは大変困っておられる、困ることだろうというふうに思いますので、ぜひこの地方のバスに対しての補助というのは続けていただきたいというふうに思っておるのです。このことについて運輸省、お答えいただきたいと思います。
  239. 二見伸明

    ○二見国務大臣 確かに御指摘のように、過疎バスというのは大変な問題だと思います。特に過疎地方にとってこれは非常に深刻な問題だと思います。  それで、地方バス路線維持費補助制度というのは平成六年度までの制度ですので、平成七年度からの新しい補助制度の創設をしなければならないというふうに考えております。このため、地方バス問題に関しての懇談会を設けまして、学識経験者、地方公共団体、事業者、労働組合等の有識者の方々に忌憚のない意見を交わしていただいているところでございまして、実は先日もこの問題について御党の方々から陳情をいただきました。私も大変これは注目しているところであります。懇談会では六月末を目途に取りまとめをすることになっておりますけれども、それを受けまして平成七年度以降の新補助制度案を作成いたしまして、概算要求をしたいと考えています。  いずれにいたしましても、地域住民の生活上必要不可欠な地方バス路線の維持は当省の最重要政策課題の一つと位置づけており、所要予算の確保を含め、制度の充実に遺漏なきを期してまいりたいと全力で頑張ってまいりますので、御理解をぜひともお願いをしたいと思います。
  240. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ありがとうございました。  続いて、せんだって名古屋空港で起こりました中華航空機の事故の問題についてお伺いをいたします。  去る四月二十六日、名古屋空港で発生いたしました中華航空第一四〇便の事故についてでありますけれども、この事故では、乗員、乗客合わせて二百七十一名のうち、実に二百六十四名の方がお亡くなりになり、七名の方が負傷をされたところでございます。事故でお亡くなりになられました方々については御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の皆様方には心からお梅やみを申し上げる次第でございます。また、入院をされておられる方々の一日も早い御回復を願うものでもございます。  私も、事故の翌々日、この現場に行きまして視察をいたしましたけれども、この飛行機の機体の残骸といいますか、損傷を見るにつけまして、大変な事故であったというふうに感じました。  そこで、総理にお聞きいたしますけれども総理は所信表明演説の中でもこの事故に触れられましたけれども総理のお国の長野の方も大変多く犠牲になられたようでございます。この航空機事故についての総理の感想をお述べいただきたいというふうに思います。
  241. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この事故は、まさに悲惨な事故でありました。私どもは、その原因というものを一日も早く的確につかむということがまず第一でありまして、また、第二の問題としては、こういったことが再び起こらないように、管制のミスということじゃありませんでしょうけれども、いずれにしても、そういったことをやっぱりきちんと対応していくことが必要であろうというふうに思っております。  ただ、あのときには伊藤大臣あるいは佐藤大臣に現場へ赴いていただきました。そして、そのときの感想をいろいろと聞きますと、当時の地元の警察並びに地元の町村が実に見事に連携をとりながら、この事故の後の対策、事後対策、こういったものに非常によくやられたこと、また消防の皆さん方も非常にうまく連携がとれておったということ、こういう報告を受けたわけでございまして、そういった問題等も我々日ごろ気をつけなきゃならぬなと思っております。  それからもう一つは、この問題で今大きな課題といいますか、これは補償の問題であろうというふうに思っております。ただ、現在は、中華航空の方が、ともかく誠意を尽くしながら遺族の皆様方あるいは犠牲になられた家族の方々とお話し合いをされておるということでありますから、私どもが今どうこうということをコメントすることは控えたいと思っておりますけれども、ともかくこういった問題が円満に終わりますこと、うまく片づいていきますことを心から願いたいというふうに思っております。  なお、ファクス便でもやっぱりこういった問題についての御意見が寄せられていることもあわせて申し上げたいと思います、
  242. 細川律夫

    ○細川(律)委員 航空運輸行政の最も大切な安全、空の安全、これは行政としてもきちんとやっていただかなければならない問題ですけれども、この運輸行政の最高責任者であられる二見大臣、この事故についてはどういうふうにお感じでしょうか。
  243. 二見伸明

    ○二見国務大臣 事故の内容につきましては委員御案内のとおりでありますけれども、まず経過報告いたしますと、航空事故調査委員会においては、事故発生後直ちに調査官を現地に派遣しまして、事故現場において調査を実施し、また、ボイスレコーダー、フライトレコーダー等の詳細な解析を鋭意進めているところであります。五月十日の経過報告におきましては、進入時に操縦及び自動操縦装置の動きが適正に行われなくなり墜落に至ったというのが一つ考え方として存在すると報告を受けております。  というわけですが、実は私は、この事故が四月二十六日、私が運輸大臣を拝命したのは二十八日です。その直後に事故調査委員会委員長の竹内さん、それから事務局長の木村さん等と会いました。いろんなお話を伺いました。それで、私の方からお願いしたのは、この事故の原因は厳正かつ公平、公正に究明してもらいたい、しかもそれをできるだけ早く、なおかつ拙速に陥らないで究明していただきたいという話をしました。と同時に、事故究明の段階で公表してもよいことがあればできるだけ公表していただきたい、途中経過報告なりなんなりで報告していただければありがたいという要請をしました。  そのときに、私は、事故調査委員会の竹内委員長の話が大変示唆に富むといいますか、いいなと思ったのは、刑法の世界では疑わしきは罰せずということになっている、我々はそうではない、疑わしいものあるいは理論的にこういうこともあるんじゃないかと思ったことはとことんまで調べます、それが単に事故の原因を究明するだけじゃなくて、それ以後の安全対策に大変大事だから、疑わしきは罰せずじゃなくて、おかしいと思ったこと、理論的に考えられることは徹底的に究明をいたします、こういうことでございました。私は、その態度は大変調査官としてきちんとした態度だというふうに思っております。  我々も、この事故を単に原因を究明するだけじゃなくて、ここから二度とこういうことを起こしちゃならぬという教訓を酌み取り、そのための安全対策を講じていきたいというふうに思っております。  細かいことがございましたらば政府委員に答弁させますので、御指示、御指摘いただきたいと思います。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  244. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今大臣の方から、事故調査については厳正、公正、そして早く出すようにと、こういうことをおっしゃられたわけなんですけれども、この航空機事故は、国際航空機事故ということもありまして、この特徴は何といってもいろいろな国が関係をしているということだろうと思います。飛行機は台湾の中華航空のものでありますし、これを製造したのはフランスのエアバス社、事故の発生地は日本でありまして、そしてその乗客は日本人あるいは台湾の人が多い、こういうことでございます。したがって、こういう関係者はお互いに利害関係が対立をいたしておりますので、この事故の発生原因が一体どこにあったのかということについては、それぞれの関係者が大変注視をしておりますし、本人たちにとっては大変重要なことだろうというふうに思います。  そこで、たまたま日本で落ちたということで日本がここで事故原因を究明をすることになるわけなんですけれども、しかし、漏れ聞くところによりますと、例えば今までにフランスの運輸省、日本の運輸省に当たるフランスの航空局の方からは、これは操縦士のミスだというようなことが、これを示唆するような事故情報が運輸省に届けられたりとか、あるいは台湾の方では、台湾の運輸省である台湾交通部というところは、この事故は九〇%は飛行機自体の機器の故障が原因だと、こういうような見解を発表したりしているわけなんです。お互いが非常に自分の有利なように、激しく見解が違うところを発表しているところでございます。  そういう中にあって、この事故原因を究明していく事故調査委員会というのはなかなか大変だろうと思うのです。そのためには、きちんとした職務の独立性がなければならないと思いますし、実際上はまた台湾とかフランスの方のいろいろなところからの協力も得なきゃいかぬ。一体どういうふうにしてさっき大臣の言われたような厳正、中立に職務の独立性を全うするように事故の原因をつかんでいくのか、そこのあたりどういうふうにされるのか、ちょっと説明をしていただきたいと思います。
  245. 木村泰彦

    ○木村説明員 ただいまお話がございました外国の政府機関の事故調査に対する参加でございますが、国際民間航空条約によりまして我が国が全責任を持って事故の解明に当たるということになっております。  先ほどお話ございましたように、機体の製造国はフランス、エンジンはアメリカ、運航国は台湾ということでございますので、事故発生後直ちにこの三カ国が日本へ参りまして、日本の事故調査に対して情報提供をするという形で参加したわけでございまして、事故原因の究明はあくまで日本が中心になって行うということでこれらの国はすべて了解しているところでございます。
  246. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今のお答えでは私のこの疑問に答えていただいてないような気がいたします。この事故原因が何であったかを究明をしていくこの事故調査委員会の職務というのは大変大事なことであろうと思いますので、大臣の言われたように厳正、公正に職務を行われるように、ひとついろいろな御配慮をいただきたいというふうに思います。  そこで、事故原因は一体何かというようなことについて、これは関係者一同極めて関心があるところでございまして、関係者ばかりじゃなくて一般の国民からいたしましても原因は何であったかというようなことについては強い関心を持っているところでございます。その事故原因について、どうも私は心配な点といいますか、疑問に思うといいますか、これだけは少し確かめておかなければいけないなというようなことが二つございます。  一つは、事故の直後、すぐ後に報道をされたりしたところでありますけれども、操縦士の遺体からアルコール分が検出をされたと、こういう報道があったわけでありますけれども、一体そういうのは事実なのかどうなのか、あるいはいいかげんな記事であるのかどうか、ここのあたりはいろいろあろうかと思いますけれども、こういうような疑問が既に出ている以上きちんとこのあたりは、はっきりしているならはっきりしているで、ひとつ運輸省の方からどうなっているかをお答えをいただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、墜落事故が一体いつだつたのかということについても国民の皆さんが大変疑問を持っておられます。というのは、フライトレコーダーあるいはボイスレコーダー、それがとまったのは、電気がとまったから機械の計器がとまったのか、それとも墜落をしてその計器のあれがとまったのか、そこのあたりが大変重要だということで、国民の皆さん方もこの問題については一体どうなっているんだろうという素朴な疑問も持っております。したがって、これについて今までの調査でわかっているならばお答えをいただきたいと思います。
  247. 石井一

    石井国務大臣 警察、消防、地域住民、自治体等が一致結束いたしましてこの事態の処理に当たったわけでございまして、その間、ただいま御指摘の最初の点でございますが、機長及び副操縦士からはかなりのアルコールが検出されたというふうに伺っておりますが、担当官から具体的な問題、報告させたいと存じます。
  248. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  詳細は鑑定中でございますけれども、機長につきましてはミリリットル当たり〇・一三ミリグラム、副操縦士につきましてはミリリットル当たり〇・五五ミリグラムのアルコールをそれぞれ検出したということでございます。
  249. 細川律夫

    ○細川(律)委員 もう一つ、墜落事故の方については、時間、時刻。
  250. 木村泰彦

    ○木村説明員 墜落時刻につきましては、およそ八時十六分ころと思われますが、正確な時刻につきましては、先ほどお話ございましたように、ボイスレコーダー、フライトレコーダー、最後の方、記録がきちんとしていないというところがございますので、今他の情報等を合わせまして解析中でございまして、何秒というところまでまだ特定できていないという状況でございます。ボイスレコーダーとフライトレコーダー、今後非常に細かく解析をいたしまして、できるだけ正確な解析をしていきたいというふうに思っております。
  251. 細川律夫

    ○細川(律)委員 もう一点お尋ねをしたいと思います。それは、亡くなられた二百六十四名の方々の補償の問題でございます。  亡くなられた方々は、これは全然責任がないわけでありますから、当然遺族の方々に対しては損害を補償をしなければならない。遺族の方からは当然損害賠償の請求もできるわけでございます。この補償につきましては、既に中華航空の方では台湾の遺族に対しては千六百四十万円の提示がなされているようでありますけれども、その提示の際に、日本人に対しても同額の補償の額を提示をする、こういうふうに言われたということが報道もされているところでございます。そうしますと、千六百四十万ということでありますと、今の日本におきます命の代償としての金額からは余りにもかけ離れているところでございます。今後大きな問題として発展していくであろうというふうに思いますけれども、政府の方ではこの点についてどういうふうに対処されていかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  252. 二見伸明

    ○二見国務大臣 この補償問題につきましての現在までの経過につきましては、委員のお話にありましたように、去る五月十五日に中華航空が台湾側の遺族に対し補償金約千六百四十万円の支払いを提示するとともに、台湾籍以外の他国籍乗客への補償金についてもこの金額と同等の補償を考慮している旨公表をしたと、これは聞いております。実はこの問題は、本来的に中華航空と遺族との間でお話をしてもらうところでございまして、日本の遺族に対して幾ら提示されたかということは我々まだ把握しておりません。  いずれにいたしましても、私は、この問題は中華航空と遺族の間で話し合われるものでありますけれども、この話し合いの中で、我々としては、中華航空が誠意ある対応をとるというそのことを期待をしているわけです。中華航空が誠意ある対応をとるということに我々は期待しながら、じっと見守っているというのが現状でございます。
  253. 細川律夫

    ○細川(律)委員 この事故におきましては、日本人がたまたま乗った飛行機が台湾の飛行機だったということで、日本で事故が起こり、しかも日本人が亡くなられた、そうした場合に、乗っていた航空機が台湾のものだった、外国の航空機だったということで補償が少ないということになりますと、どうも同じ外国へ行っていても、日本の飛行機に乗っていたならば、日本の場合にはもう無制限に損害賠償が受けられる、こういう制度になっておりまして、大変そこには矛盾も感じるところでございます。  私が思いますのには、例えば日本で交通事故に遭いましても、その車がたとえ日本の車でなくて外国の車、あるいは運転している人が日本人ではなくて外国人の場合でも、いずれにしても自賠責で亡くなった場合には被害者は三千万をいただけるということになっているわけでございます。  そういうことを考えますと、日本から出発する飛行機、あるいは日本に来る、あるいは日本に到着するそういう飛行機というのは、いずれにしても日本人がたくさん乗っているだろうと思いますので、少なくとも自賠責と同じように三千万程度は補償がされるようなそういう制度が何かつくられないのかどうか。そこのあたり運輸省の方としてはどういうふうに考えておられるでしょうか。
  254. 二見伸明

    ○二見国務大臣 私も、細川さんの心情というのはわかる気がいたします。  まず現状を申し上げますと、日本発着の外国航空企業四十四社の賠償責任限度額につきましては、それぞれの国が批准している条約等で決める限度額か各企業が約款により引き上げた限度額を適用しており、その額は約一万ドルから十四万ドル、国によってかなり差があることは事実です。我が国の航空企業は、平成四年十一月に運送約款を改正し、限度額を撤廃しております。  各国航空企業の責任限度額を引き上げることは、それぞれの航空企業及びそれが属する国の政府によって決定されるべきことでありまして、一律にこれを引き上げを実現するということはなかなか難しいのかなというふうに思います。  ですが、各航空会社ごとに損害賠償限度額が異なるのは不公平じゃないかという細川さんの御意見も私よくわかりますし、その御指摘もそのとおりだというふうに思います。したがいまして、どのような解決方法があるのかということは、これはちょっと私なりに研究、勉強さしていただきたいというふうに思いますので、御了解をぜひともお願いをしたいと思います。  なお、この事故の究明につきましても、我々本気になって当たってまいりますし、日本人遺族との補償の問題、これは我々政府として間に立つなどできる筋合いのものじゃありません。だけれども、我々としては、必要があればできるだけの支援はしたいというふうに考えております。どういう支援ができるのか、どういうことでお役に立てるのか、それはもうこれから始まってみなければわかりませんけれども、できるだけのことは支援をしたいというふうに考えております。
  255. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大きな事故でもありますし、国民の皆さんの関心も大変高いところでもありますし、遺族の皆さん方の悲しみがさらに増すような形で損害賠償の問題が変な形にならないように、ひとつ政府の方でもよろしくお願いをしたいというふうに思います。  次に、埼玉土曜会、ゼネコンの汚職の問題についてお伺いをしてまいります。  きょうも新聞などでは「またか…ゼネコン汚職」というようなことで、愛知県の副知事の贈収賄事件が報道をされております。そしてまた、きょうは裁判所では共和事件の判決が出まして、阿部被告人には三年の実刑が下ったという報道でございます。  昨年の三月に自民党の前副総裁でありました金丸信被告人が巨額の脱税事件で逮捕されて以来、ゼネコン汚職というものはかつてない大きな疑獄事件となりました。ゼネコンの上位三社の鹿島、清水、大成など、この埼玉土曜会事件でも本当に多くのゼネコン、すべてと言っていいぐらいのゼネコンの会社が関係をいたしております。  そういうゼネコン汚職、贈賄側も収賄側もかつてない未曾有の中でこの一年間過ぎてまいりましたけれども、この埼玉土曜会事件については、ついに三月の十一日には元建設大臣の中村喜四郎代議士が斡旋収賄罪で東京地検特捜部に逮捕される、こういうことになりました。この中村代議士については、本人が任意出頭、任意の取り調べに応じない、そういうようなことで、実に二十七年ぶりに衆議院に逮捕の許諾請求も出されたところでございました。ついにこのゼネコンの汚職の関係では国会議員が逮捕されるという、大変不名誉な事態が発生をしたわけでもございます。  これらのゼネコン汚職、また中村代議士が逮捕されるに至ったことにつきまして総理は一体どのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  256. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私ども、中村代議士とは、ともに一緒のグループで勉強したりあるいは活動した仲間であります。それだけに大変残念であるということをもう率直に申し上げたいと思います。  ただ問題は、やはり政治といわゆる企業との関係というのが、企業献金というのは当然あるわけでありますけれども、しかし、あっせんとかそういったことによって事件が起きていってしまうということについて、これはそういうものを断ち切るための対応というものをやっていかなければならないことだろうと思っております。  今度国会を一応通過して、今、区割り、そして実施時期を待っております政治改革の関連法案、この中には透明度の強化あるいは罰則の強化など、腐敗防止という点につきましてかなり思い切ったものが盛り込まれておるというふうに承知いたしておるわけでございまして、腐敗防止には相当な効果があるものというふうに考えております。その意味で、この法律を一日も早く通していただき、これが実際に実行されていくようにしていくことが大事じゃなかろうかということを改めて考えるところであります。
  257. 細川律夫

    ○細川(律)委員 この埼玉土曜会の談合につきましては、鹿島の清山信二副社長が中村代議士に一千万円を渡しまして、当時の公正取引委員会委員長でありました梅沢節男氏に刑事告発を断念するように、そういうふうに依頼をしたことが今回の贈収賄事件でございます。  この埼玉土曜会の談合の事件につきましては、公正取引委員会の方は刑事告発を見送りました。しかし一方、今度の中村代議士の起訴というものは、公正取引委員会委員長に告発断念の働きかけがあったということでございます。したがって、公正取引委員会の方では、この告発見送りと中村代議士の働きかけには関係がないだろう、こういうふうな見方をしているのだろうと思います。  しかし一方で、業者の方から告発見送りの依頼が中村代議士に行った、中村代議士はそれに応じて告発見送りの働きかけをした、それは刑事事件として立件をされて今裁判になっている。一方では、この談合については刑事告発をしてない。こうなりますと、どうもその関係がおかしい。これはどうもこの働きかけによって刑事告発を断念したのではないかと、一般人だったらだれでもそういうふうに思うのではないかというふうに思います。  そこで、まずお聞きをいたしますけれども公正取引委員会の方で告発をしないというふうに決めたその経過といいますか、まずそこをちょっと説明をしてください。
  258. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お答えを申し上げます。  お尋ねのいわゆる埼玉土曜会事件につきまして告発を行うか否か、これにつきましては私ども既に対外的にも申し上げているところでございますけれども、この問題につきましては検察当局とも意見交換を行いまして、法律上及び事実認定上の問題点を十分に検討した結果、独占禁止法の規定に違反する犯罪ありと思料して告発を相当とする事実が認められるに至らなかった、そのところから公正取引委員会として、私どもの判断で告発を行わないこととしたものでありまして、いかなる意味でも外部からの働きかけによって影響されたというような性質のものでは全くございません。  なお、申し上げるまでもないことでございますけれども、独占禁止法上、公正取引委員会は独立してその職権を行使する行政機関とされておりまして、私どもは、法律の定めるところに従い、独占禁止法違反行為に対して厳正に法運用を行ってきておりますし、今後とも法運用の厳正さを期して国民の期待にこたえてまいりたいと考えておるところでございます。
  259. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今、職務の独立性ということも言われましたけれども公正取引委員会が独立をして職務を遂行していくということと検察庁と相談をしてやっていくということとはどういう関係になるのですか。
  260. 中井洽

    ○中井国務大臣 委員御専門で既に御承知だと思いますが、独占禁止法違反の罪は公正取引委員会から検事総長への専属告発事件とされておりますし、これを不起訴とする場合には、検事総長は直ちに法務大臣を通じて総理大臣に文書でもって報告する、こういう形になっております。また同時に、不当な取引制限等の罪を起訴する場合には東京高裁が専属管轄権限を持つ、こういう規定などがあり、日本の法律上大変重大な地位を占めておる、このように考えております。  告発をされました後は、公訴維持に当たりますのは検察当局でありますので、したがいまして、公正取引委員会が告発を行うに際して、その円滑、適正を期するため、法律適用上あるいは事実認定上の問題点について公正取引委員会と検察が意見、情報を交換する場を設けることは十分合理性のあること、このように考え平成三年一月からは告発問題協議会を設け、随時協議をする、こういう形にいたしております。
  261. 細川律夫

    ○細川(律)委員 公正取引委員会の方には委員として、検察庁の検事の方も一人の枠として入っておられるはずだと思いますし、また検察庁の方から検事が出向として、公正取引委員会の方には出向されているでしょう。そういう検事に、その取引委員会の中で検事と相談をすればいいじゃないですか。そこにいるのですから、何も検察庁とわざわざ連絡協議会をつくらなくてもいいじゃないですか。
  262. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま法務大臣から御答弁ございましたように、公正取引委員会の独占禁止法違反行為に関する専属告発権は大変重い意味を持っているところは、ただいまの法務大臣の御説明どおりでございまして、その意味で、私ども平成二年の六月に独占禁止法違反行為に関する告発基準というものを公にしているところでございますけれども、運用といたしまして、その告発基準に該当すると考えられました違反事件につきまして、ただいま法務大臣からも御説明がございましたように、検察当局との間で法律上あるいは事実認定上の問題点の検討を行います。  そして、私どもは、これも先ほど法務大臣から御説明がありましたように、私どもの告発を受けて公訴を提起するか否か、そして公訴が提起された場合の公判維持、これを担当されるのは、申すまでもなく検察当局でございます。したがいまして、私どもは、この非常に重い意味を持つ独占禁止法違反行為についての告発権の行使は、あらかじめ検察当局と十分協議の上で、当該事案が検察当局とされても公訴の提起及びその後の公判維持に相当程度の可能性を持ち得るもの、やはりこのようなケースに絞ることが、私どもに課せられたこの専属告発権の有効な行使につながるものであり、また、我が国の独占禁止法の法運用におきまして、この告発体制というものを有効に定着させ得るもの、そういうふうに考えて、そのように検察当局と協議をしているものでございます。
  263. 細川律夫

    ○細川(律)委員 不満でありますけれども、ちょっと先に進ませていただきます。  この埼玉土曜会の談合事件につきましては、これは公正取引委員会の方で排除命令も出ておりまして、それについては土曜会の会員の各社、皆同意をいたしておりますし、課徴金も、命令が出ましてそれも既に払っております。会社そのものが全部この談合は認めているわけなんですけれども、にもかかわらず、なぜ公正取引委員会の方では刑事告発をしなかったのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
  264. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねにございましたように、このいわゆる埼玉土曜会事件につきましては、公正取引委員会として、行政上の処分、及びカルテル行為でございますので課徴金の納付命令を既に実行したところでございます。  ところで、本件のような入札談合につきまして行政上の措置をとるためには、法人企業間において当該入札談合が存在することを立証すれば足りるわけでございます。談合行為に関する合意、すなわち競争入札に当たりまして、あらかじめ受注予定者を決定し、その受注予定者が結果的に受注できるように協力をするという事業者間の合意でございます。そこで私どもは、関係人六十六社が埼玉県発注の特定土木工事について、あらかじめこのような合意のもとに受注予定者を決定したと認められた本件について、公正取引委員会が行う行政処分につきましては、事実認定上の問題はクリアしたわけでございます。  しかし、これに対しまして、法人企業間における独占禁止法違反行為、すなわち不当な取引制限行為について刑事責任を追及する場合には、これは当然のことながら違法性についての認定にとどまらず、やはり行為者個人のいわば責任を問えるだけの根拠がないと成立をしないわけでございます。  具体的には、役員あるいは従業員といった、それぞれの企業の個人の具体的な違法行為の特定が前提となるわけでありますが、本件におきましては、私ども、残念ながらそのような具体的事実を認めるに至らなかったものでございまして、そのために検察当局と、先ほど申し上げましたように法律上、事実認定上の問題を十分に協議した上で、最終的には私どもの判断で告発を見送らざるを得なかった、これが事実でございます。
  265. 細川律夫

    ○細川(律)委員 個人の行為が認定をできない、したがって告発をしなかったのだ、こういう説明でありますけれども、埼玉土曜会は六十六社でありますけれども、この会員は、会員という形で登録されているのは正副二人なんです。正副二人で百三十二名、これは全部名前はわかっているわけですね。それから、相指名業者などと裏ジョイントを組んだ。自分の方が本命で受けて、そして落札をする、そうすると相指名業者の中で自分も欲しかった人に対しては、裏ジョイントでこの仕事を下請に出す。こういうことも、二百二十六件もはっきりわかっているのじゃないですか、地検の方では。それから、そのほかにも資料がいろいろ、そちらには供述調書もありますし、会議のメモだとかそういうのも全部挙がっているでしょう。個人として特定できないはずないじゃないですか。  それからもう一つ公正取引委員会の方に資料があると思いますけれども、この六十六社に対して実際に受注をした実績、あるいはまた土木工事についての入札に参加した、これについての細かいこと、あるいは施工協力、そういうことで全部出させたでしょう。そういう出させた報告書のようなものがあるんじゃないですか、公正取引委員会の中に。それに全部書いてあるんじゃないですか、事細かいことを、だれが出席してどういうことだということを。その資料をぜひ出してほしいのですがね。
  266. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねの、本件の行政処分に関しまして、私どもは当然の、とながら、立入検査を含む公正取引委員会としては最大限の審査活動を行ったわけでありまして、ただいまお尋ねがございましたような関係者からの報告書の徴求、これは法第四十六条に基づく資料徴求でございますけれども、これも必要な限り収集をしているわけでございます。  しかし、先ほどもお答え申し上げましたように、私ども行政処分を行いますには違法性を認定するのに足りる証拠でございましたけれども、さらに刑事処分を求めるためには、個人の行為の特定を含めて、残念ながら私ども、これを独禁法違反行為として刑事処分を求めるに足るだけの具体的な資料を私どもの力では得るに至らなかった。そのために、先ほど来申し上げておりますように、残念ながら告発は断念せざるを得なかったというのが事実でございます。  なお、私ども審査活動の必要上、法律に基づく関係事業者からの報告書は必要な範囲で徴求をしておりますけれども、これは申すまでもなく独占禁止法違反事件の調査のために収集するものでございますから、仮にそれ以外の目的に使用すれば、事業者の秘密の保護や今後の事件審査に支障を生じるおそれがございますので、私どもの法第三十九条に規定されております守秘義務との関係もございます。報告書の提出につきましては、何とぞ御容赦願いたいと存じます。
  267. 細川律夫

    ○細川(律)委員 この事件は、一方で、この土曜会の会長会社の方から、そこの副社長が一千万円を渡して刑事告発をしないようにということで中村代議士に頼んで、中村代議士はそれでそういうことを依頼をしている。それで、実際に刑事告発がなされていない、そこに疑問があるんじゃないかというのが国民のみんなの関心事だろうと思うのです。  したがって、実際にそういうふうに個人が特定できないのかどうか。私は特定できるんじゃないか、そういう資料が公正取引委員会にはあるんじゃないか、こういうことを言っているわけなんです。したがって、ぜひこの資料は出していただきたい。
  268. 山口公生

    山口委員長 理事会において相談をいたします。
  269. 細川律夫

    ○細川(律)委員 それでは次に、もう時間がありませんから最後の質問になるかと思いますけれども、この一年間、いろいろゼネコン汚職、疑惑の大変な一年でありましたけれども、今後こういうことが起こらないようにすることがこれからも大変重要になってこようかと思います。そういう意味で、これから政府がどういうことを、この入札談合が起こらないようにするための施策を行っていくのか、お答え願いたいと思います。
  270. 森本晃司

    ○森本国務大臣 先ほど来、委員から御指摘がありましたように、昨年起きました一連の不祥事件、国民政治に対する信頼をなくしたということで、私たちも大変遺憾に思っているところでございます。  これは、発注する側にも、さらにそれを請け負う側にも、それぞれのモラルを向上させていかなければならないというところで、今私たちはその綱紀粛正に全力を挙げているところであります。  同時に、それだけではなしに、そういった不正が起きるというシステムを変えていかなければならない、このようにも考えておるところでございまして、公共工事の入札・契約制度の透明性、客観性、競争性を一層高めていくということで、先般来この場でもたびたび御報告をしておりますが、七億三千万円以上、例えば国の工事ついては、それは従来の指名競争方式から一般競争方式を取り入れる、また同時に、それ以下の指名競争方式の場合も大幅に公募を行うとか、そういった改革を行ってまいりたいと思います。  さらに、入札制度にあります工事完成保証人制度の問題についても、履行ボンド制が行えるように今スタートしたところでございます。一つ一つ、もう一度私たちもこの制度そのものを見直しながらやってまいりたい、このように考えております。  なお、こういった取り組みをしているやさきに昨日の事件が起きましたこと、大変残念に思っておるところでございますが、さらに引き締めてやってまいりたいと思います。  以上でございます。
  271. 細川律夫

    ○細川(律)委員 わかりました。ありがとうございました。
  272. 山口公生

    山口委員長 これにて細川君の質疑は終了いたしました。次回は、明三十一日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時三十三分散会