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1994-05-23 第129回国会 衆議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年五月二十三日(月曜日)     午前十時一分開議  出席委員   委員長 山口 鶴男君    理事 衛藤征士郎君 理事 中川 秀直君    理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君    理事 月原 茂皓君 理事 山田  宏君    理事 後藤  茂君 理事 中西 績介君    理事 草川 昭三君       荒井 広幸君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小此木八郎君       小澤  潔君    金田 英行君       後藤田正晴君    近藤 鉄雄君       志賀  節君    島村 宜伸君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       東家 嘉幸君    中山 太郎君       萩山 教嚴君    村山 達雄君       谷津 義男君    柳沢 伯夫君       若林 正俊君    綿貫 民輔君       上田 清司君    川端 達夫君       工藤堅太郎君    笹山 登生君       鮫島 宗明君    杉山 憲夫君       田名部匡省君    高木 義明君       長浜 博行君    二階 俊博君       山本 幸三君    吉田 公一君       伊東 秀子君    大出  俊君       坂上 富男君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    三野 優美君       東  祥三君    石井 啓一君       北側 一雄君    谷口 隆義君       渡海紀三朗君    穀田 恵二君       志位 和夫君    松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  羽田  孜君         法 務 大 臣 中井  洽君         外 務 大 臣 柿澤 弘治君         大 蔵 大 臣 藤井 裕久君         文 部 大 臣 赤松 良子君         厚 生 大 臣 大内 啓伍君         農林水産大臣  加藤 六月君         通商産業大臣  畑 英次郎君         運 輸 大 臣 二見 伸明君         郵 政 大 臣 日笠 勝之君         労 働 大 臣 鳩山 邦夫君         建 設 大 臣 森本 晃司君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     石井  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)熊谷  弘君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 石田幸四郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      佐藤 守良君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 神田  厚君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      寺澤 芳男君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近江巳記夫君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 浜四津敏子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 左藤  恵君  出席政府委員         内閣官房内閣外         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房外政審議室         長       谷野作太郎君         内閣官房内閣安         全保障室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障室         長       坪井 龍文君         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         内閣総理大臣官         房審議官    石倉 寛治君         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局経済部長 矢部丈太郎君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         総務庁長官官房         長       池ノ内祐司君         総務庁行政管理         局長      八木 俊道君         総務庁恩給局長 稲葉 清毅君         北海道開発庁総         務監理官    加藤  昭君         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁長官官房         長       宝珠山 昇君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁装備局長 中田 哲雄君         経済企画庁調整         局長      小林  惇君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         経済企画庁総合         計画局長    吉川  淳君         科学技術庁長官         官房長     井田 勝久君         科学技術庁研究         開発局長    石井 敏弘君         科学技術庁原子         力局長     石田 寛人君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君         科学技術庁原子         力安全局次長  工藤 尚武君         環境庁長官官房         長       大西 孝夫君         環境庁自然保護         局長      奥村 明雄君         沖縄開発庁総務         局長      渡辺  明君         国土庁長官官房         長       藤原 和人君         国土庁計画・調         整局長     糠谷 真平君         国土庁土地局長 原  隆之君         国土庁地方振興         局長      秋本 敏文君         法務大臣官房長 原田 明夫君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省条約局長 丹波  實君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         文部大臣官房長 吉田  茂君         文化庁次長   林田 英樹君         厚生大臣官房総         務審議官    佐々木典夫君         厚生省社会・援         護局長     土井  豊君         厚生省年金局長 山口 剛彦君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         通商産業大臣官         房総務審議官  江崎  格君         通商産業省通商         政策局長    坂本 吉弘君         中小企業庁長官 長田 英機君         運輸大臣官房長 黒野 匡彦君         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         運輸省鉄道局長 秦野  裕君         運輸省港湾局長 坂井 順行君         海上保安庁長官 井山 嗣夫君         郵政大臣官房長 木村  強君         郵政大臣官房財         務部長     楠田 修司君         労働大臣官房長 征矢 紀臣君         労働省職業安定         局長      七瀬 時雄君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設大臣官房総         務審議官    内藤  勲君         建設省道路局長 藤川 寛之君         自治大臣官房長 遠藤 安彦君         自治大臣官房総         務審議官    松本 英昭君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 滝   実君         消防庁長官   紀内 隆宏君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   松永  光君     越智 伊平君   野田 佳彦君     鮫島 宗明君 同月二十三日 辞任          補欠選任   江藤 隆美君     小此木八郎君   越智 伊平君     萩山 教嚴君   村田敬次郎君     金田 英行君   谷津 義男君     荒井 広幸君   工藤堅太郎君     吉田 公一君   杉山 憲夫君     岡島 正之君   田名部匡省君     上田 清司君   三野 優美君     大出  俊君   不破 哲三君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     谷津 義男君   小此木八郎君     江藤 隆美君   金田 英行君     村田敬次郎君   萩山 教嚴君     越智 伊平君   上田 清司君     田名部匡省君   吉田 公一君     工藤堅太郎君   大出  俊君     三野 優美君   穀田 恵二君     志位 和夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計予算  平成年度特別会計予算  平成年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 山口鶴男

    山口委員長 これより会議を開きます。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算平成年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。深谷隆司君。
  3. 深谷隆司

    深谷委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいまから質問をさせていただきたいと思います。  羽田総理大臣、ついきのうまであなたとは同じ政党で席を並べて大いに議論したものであります。そのあなたが最高の地位の総理大臣につかれたことを心からお祝いしたい気持ちではありますが、大変複雑でございます。ようやくあなたは政権の座に着いたけれども、どうもあなたの後ろにあなたよりもっと大きな力、よく権力の二重構造と言われていますが、そういう力が存在していてなかなか思うことが言えない、そういう感じがいたしまして、何だかお気の毒なような気持ちも正直しておるのでございます。  しかし、私たち政治家でありますから、議論は国家国民立場に立ってすべきで、さまざまな複雑な思い、私情は捨てて、これからあなたにいろいろ質問させていただきたいと思います。  何といいましても、最初に問題にしたいのは予算です。本当でしたらもう今ごろは新年度予算はとっくに通って、そしてそれが使われていなければならないのでございます。ところが、平成年度予算実質審議にきょうから入る。これは大変なおくれでございます。景気が悪くて国民皆さんが非常に苦しんでいる最中に、こういうときにこそ一刻も早く予算を通していかなければならないのに、五月の二十三日、こんなに遅くなったということは重大な責任だと言わざるを得ない。  今まで戦後このぐらいの時期までおくれ込んだのは、私の知るところでは昭和二十三年、二十九年あるいは三十年と三回だけです。そのうちの二十三年は憲法発布の翌年でございますからこれは無理もないことで、あとの二回は選挙等が行われて再び予算を提出した、つまり再提出をしたときでございます。今度のようにいわゆる政治的な駆け引きであるとか、あるいは政府側のスキャンダルを中心にした、そういう状況から予算がおくれて今日に至るような状況というのは、戦後かつて一度もないと言わざるを得ないのでございます。  予算を通すことによって国の方向を明白にする、国民皆さんに、今は苦しくとも乗り切っていけるのだといったような自信をお与えする、それが最高責任者である総理の当然の責任だと思います。羽田総理、この責任をどうお感じになっておられるか、まずお尋ねいたします。
  4. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 まず冒頭に御発言のありました、二重のというお話がありました。私は今日まで、自民党を離れてからも私自身言葉で自由に割合と語っているということをまず御理解をいただきたいし、しかし、今御指摘のあった点、私も拳々服膺しながらやはり率直に語っていきたいということをまず申し上げたいと思っております。  なお、予算というものは国の方針、その年の方針を示すものである、全くおっしゃるとおりでありまして、確かに私どもは、この間政治改革というものをどうしてもやらなきゃいけないという中で越年をしたという事実はあります。そして、その後のお話は今御指摘のあったとおりであります。  そういう中にあって、私ども補正予算等によって対応する等の措置をしてまいりましたけれども、しかし御案内のとおり、その後組みました暫定予算というものでございますと、新しいどうしても必要なものというのは全部を組み込むということはなかなかできないということでありまして、このおくれてきた責任というものは、やっぱり私たち政治家としても大変大きな責任感じておるところでございます。  私ども誠心誠意これに対して取り組んでいきたいと思いますので、また御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。
  5. 深谷隆司

    深谷委員 本来は、昨年の暮れに新年度予算編成をしなければなりませんでした。それを越年させたのは、ただいま総理が言われたように、専ら政治改革法案を通したいという、もうとにかくしゃにむにこれを通したいという前総理大臣並びに与党の目標のためであったと思う。予算を組んだら所得減税に入らなければならない。そうすれば消費税の値上げをしなければならない。そうなると社会党が離脱するおそれがある。だから先へ回そう、先へ回そうということでおくれてしまったのでございます。  そして、三月四日に初めて平成年度予算案が提出されました。ところが、そのときはもう当時の細川さんの疑惑というものが全く公になっていて、につちもさっちもいかなくなるといったような状態をつくっていたのでございます。予算委員会において、その疑惑を解明するためにということで、我々は資料の請求をしばしば求めた。そして、細川さんも誠心誠意資料を提出すると申されたのですが、その資料は全くのお笑いぐさ、何の証拠にもならないようなものを、しかも偽造して出すといったような、まことにおかしな状況が続いた。  そこで、我々は質問の中で、その疑惑に答えるためには細川総理深山正敏さんという秘書喚問などが必要だ、こういうことを申し上げたら、真っ向からこれを否定して応じようとしない。いわば細川総理個人疑惑国会がとまり、予算委員会審議の扉は閉ざされたまま、いたずらに日を追うてしまったわけでございます。そして、四月の二十五日に細川さんはその予算を投げ出しておやめになってしまった。こんな無責任総理大臣というのは聞いたことがない。  ところが、その細川総理のおやめになったことを羽田総理は潔いやめ方だと、こうおっしゃった。私はその言葉にはあきれて物が言えなかった。今そのことを振り返って、あなた、どうお思いになっておられるか、お答え願いたいと思います。
  6. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この言葉についてのやりとりというのは、もう細かく申し上げることもあれだと思いますけれども、私は重く受けとめるという意味で申し上げたことで御理解をいただきたいというふうに存じます。
  7. 深谷隆司

    深谷委員 この間、十八日の当委員会であなたはこの言葉を取り消されたのですが、今おっしゃったのでは、事態を重く見るという意味で潔いと言ったと、全く矛盾した、何の意味だかわからないことをおっしゃっているのです。どういうことでしょうか。
  8. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 国会がああいう事情の中でとまってしまっておるということに対して、みずからがここにとどまることによってこれをさらに延引させるということで、みずからの身を処するという意味辞任をされたということを重く受けとめるという意味でございます。
  9. 深谷隆司

    深谷委員 重く受けとめるという言葉じゃないのです。潔いとあなたがおっしゃったことを申し上げているのです。  細川さんの疑惑が白日のもとにさらされて、もうにつちもさっちもいかなくなった。マスコミはこれを取り上げて、このままいたのでは必ずつぶされると判断したから投げ出したのです。あなたの尊敬してやまない竹下元総理は、おやめになる前に、自分やめるのと引きかえに予算を通してくれと言った。そして通した。  いろんな問題があるかもしれないが、こういう通し方、こういうやめ方が潔いというものであって、こういうような、自分疑惑が明らかになるからといって逃げてしまったものを、潔いなどという言葉でおっしゃるというのは全く不適切、しかもそのときあなたは副総理なんですから、その責任も含めて明確にもう一回お答えいただきたい。
  10. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 一国の総理という立場でございますから、予算等審議、これを前にしておやめになったということは、確かに今御指摘がございましたような意味では潔いという表現にはならぬだろうということを、これを私も自覚しながら、この間わざわざ取り消したということであります。
  11. 深谷隆司

    深谷委員 まあ、後でその自分言葉を恥ずかしいとお思いになったから取り消したのでしょうから、これ以上そのことは申すまいと思いますが、しかし、あの辞任を重く受けとめる、こうあなたはおっしゃった。そうすれば、当然細川総理疑惑解明はおやめになっても引き続いてやっぱり議論していかなきゃならぬと思うのですね。  というのは、細川総理辞任されたときに新たな事実をおっしゃった。また、後日、八塚秘書という方が記者会見を開いて釈明しましたけれども、このときもまた予算委員会では言わなかった新たな問題をみずから発表した。それは、一億円佐川から借りて返した、そのための貸付金台帳というものを提出した、そこには利子もみずから返したようにきちんと書いてあるが、その利子政治献金でいただいて適切に処理した、そういう事実を明らかにしたわけでございます。これは重大なことなんです。  なぜかといえば、これまで細川総理は身の潔白を証明するために書類を提出した、誠心誠意全部出しましたと言ったその書類がインチキがあったということですようそがあったということですよ、貸付金台帳の中には金利まできちんと書かれているのですから。それは政治献金であったという重大なうそ偽りを後に明らかにしたわけでございますから。そして今までの発言を通しても、とにかくうそを並べ立てている、NTTの問題も含めて。  これは総理大臣辞任したということにかかわりなく、国会を侮辱し、当委員会をないがしろにしたのでございますから、きちんとこの問題についてのけりをつけなければならぬと思う。総理大臣は、そういう意味で我々が要求している深山氏の喚問であるとか細川総理喚問に対してどう対応するか、お答えいただきたい。
  12. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今御指摘のありました点につきましては、いずれにしましてもみずからが説明したいということをずっと申し上げてこられたことで、私が隣におりながら見ておりましたところでは、ともかく細川総理は、皆さんに御理解をいただけるようにということのために大変ないろいろな努力をされておったというふうに思っております。  しかし、結果がこの間の記者会見の結果ということで、今まで出しておったものは違っておったじゃないかということ、それがうそという言葉に今表現されたわけでありますけれども、私は、うそをつかれたというふうには思いませんけれども、しかし、みずからもみずからの問題についてこれを正していきたいということは言われておったことであります。そのことを私はやっぱり重く受けとめていきたいと思っております。  ただ、その証人喚問いかんについては、個人という立場でお答えできるものではない、これはやっぱり議会の中で、委員会の中で御議論いただくべき問題であろうというふうに思っております。
  13. 深谷隆司

    深谷委員 細川さんの答弁にうそがないというふうにあなたはおっしゃっているようですが、うそはたくさん出てきているんですよ、現実に。うそを本当についているんですよ。そうお感じになっていませんか。
  14. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 資料等につきましては、これは佐川の方でつくられたものであるということだというふうに私は理解をいたしておりまして、本人がうそをつくという意味では私はなかったんじゃないのかというふうに思っておるのです。
  15. 深谷隆司

    深谷委員 あなたのそのお言葉は私は納得できません。しかし、はっきり申し上げて、細川総理をかばうのは、気持ちとしてはわからなくはありません。あなたは副総理だったのですから、責任者の一人ですから。しかし、いたずらにかばうことは細川総理のためではないし、いわんや国家国民の声を代表する国会総理大臣としての姿勢としては間違っていると私は思います。むしろ、積極的にこの疑惑を解明させるために努力なさいとあなたが彼に進言するくらいのことをすることが大変大事なことだと思いまして、これ以上は申しませんが、あなたはその努力をするように私は要請いたしたいと思うのです。  いずれにいたしましても、そういう混乱予算審議が延びた、そしてその後の羽田政権誕生までの混乱でまた延びてしまった。あなたは予算のおくれというものは責任があるということをおっしゃった。責任があるということは、言いかえればあなた自身の怠慢も含めて努力が足りなかったということですから、これは国民の前に申しわけないと改めて謝罪すべきだと思いますが、どうでしょう。
  16. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私どもといたしましても、ああいう中で辞任された、そして組閣がおくれたということがございまして、これはもう一義的に予算というものは政府の方で編成をし、国会で御審議をいただくというものでありますから、これはその責任者といたしまして私自身がやはり責任を持つということであります。こういったことで大変おくれたことについては心から申しわけなく存じております。
  17. 深谷隆司

    深谷委員 私はそういうような観点に立てば、これからの予算審議はできるだけ早く進めて、この国会の中で予算を成立させるという強い決意がなきゃいかぬと思う。ところが、最近の動きを見てまいりますと、積極的に何でも何でも国会の中で解決して、この六月二十九日までには予算を成立させるというそんな意欲が伝わってこない。もしかしたら本気ではないのかしらといったような疑いさえ私は持っているのですが、そこいらのあなたのお考えをおっしゃっていただきたい。
  18. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私自身財政をお預かりしたひとときもあったわけでございまして、この予算というものがきちんと動いていかないことになりますと、本当に国のあちこちに問題が起こってくるということでありまして、これは内閣として、どうしてもやはり一日も早く通過させていただくということが重要である。これはもうぜひともこの機会に野党の皆様方にも御理解をいただきますように、私は心からお願いを申し上げたいと存じます。
  19. 深谷隆司

    深谷委員 熊谷官房長官にお尋ねしますが、あなたは最近、今国会の会期の延長はやむを得ないとおっしゃっておりますな。いや、マスコミの報道で出ておりますよ。それはどうですか。
  20. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 私は、マスコミに直接お話をしたことはございませんが、過般の参議院の予算委員会あるいはその前の予算委員会理事会におきまして、今総理が申し上げたとおりの予算をぜひ早期に上げていただきたいというお願いを申し上げる経緯がございました。  そのときに、もし上がらなかったらどうするのかという御指摘がございましたので、私どもとしてはぜひ上げていただきたい、会期内に上げていただきたいということを申し上げたわけでありますが、議論している間に、上がらなかったときにはどうするのかと、そのときには予算はどうしても成立させていただかなければなりませんのでということを申し上げましたけれども総理からおしかりをいただきまして、おまえは六月二十九日までに上げるようにお願いをすればいいんだ、こういうことがございまして若干訂正した経緯がございますけれども、会期を延長をするというようなことを直接許容するような発言をしたことはございません。
  21. 深谷隆司

    深谷委員 あなたは総理大臣から注意されたというのでしょう。何で注意されたんですか。会期延長に触れたからですよ。それがなくてどうしてあなたは総理大臣に怒られるのですか。あなたは、どういう質問の経過とはいいながら、会期延長もやむを得ないとおっしゃった、だから総理が怒ったんでしょう。違うのですか。
  22. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 おしかりというか、注意を受けたわけでございますけれども、私どもとしては会期末に成立をさせていただきたいということを、これはもう大勢のいる前で繰り返し申し上げてきたところでございまして、会期延長の話を私が直接お願いをした経緯はございません。
  23. 深谷隆司

    深谷委員 はっきり申し上げて、会期延長の議論が主要閣僚の中から公然と出てくるといいますのは、やはりこの会期内に予算が成立してしまうと内閣不信任案が出るかもしれない。そうなると、少数与党ですからひとたまりもないんですね。そうすると、総辞職するか解散するしかない。六月の解散などということになったら、あなたの嫌いな中選挙区でやらなきゃならない。それは困る。だから、小選挙区制度の中で選挙をやりたいから、できるだけ時間を延ばしたい。また政治改革法案の問題で予算が人質になるということだと私は思うんですよ。一連の小選挙区か中選挙区かということに対する動きを眺めると明白ですよ。  大体、選挙区割りの案を審議会に任せているのに、それに対して枠をはめるのは問題だと総理大臣がおっしゃっているのに、そのほかの担当閣僚はさまざまな形で圧力をかけているじゃありませんか。
  24. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 不信任案を出されるのを避けるためですとかあるいは選挙の法律を通すために予算がおくれていいなんというのは、断固こんなことは思っていないことだけははっきりと明確に申し上げたいと思います。  そして、先ほど注意したというのは、そういったことが、要するに理事会でいろいろと詰められながら説明したにしても、そんなふうにとられる発言することはまずいよということを実は申し上げたわけでありまして、決して熊谷長官がこの予算審議というものをおくらせていいとかそういったつもりではないということ、これは明確に申し上げたいと思います。  それから、確かに区割りですとかあるいは選挙について今審議会で御議論いただいておる、これはやはりできるだけ早くと思うのは、担当の閣僚としてはそう思うでしょう。しかし、それぞれの担当の閣僚の人たちも、いわゆる審議会に御審議をお願いしていることであるから、これは我々がどうこうと言うものじゃないねということは自覚をされておるということは、これは私に対してその閣僚が話されておることでありますものですから、そこは間違いないことを御理解をいただきたいと思います。
  25. 深谷隆司

    深谷委員 選挙区割りの法案は審議会にゆだねていますから、政府皆さんがそれに枠をはめるような、あるいは急がせるような、そういう発言をするのは問題なんですよね、実際。  ところが、現実に、例えば石井自治大臣、あなたは連立与党の政策合意にまで、できれば新たなる確認に沿って今国会で法案を審議、成立させたい、次期総選挙は確実に新しい制度で実施さるべきだと強調したんですよ。これはやはり枠をはめているんですよ。だから急いでくれということですよ。担当大臣がこう言えば急げということに答えはなってくる。違いますか、大臣。
  26. 石井一

    石井国務大臣 私は、政治改革特別委員長以来この問題に深く携わってまいりました。自民党側からは御承知のとおり松永光議員が私のカウンターパートとしてこの交渉に当たってまいったわけでございます。  総総合意が終わりました後紆余曲折いたしましたが、最終的に党閥の協議になり、そこで新たに、一つ、審議会の委員は公正中立な人を任命しようではないか、もう一つは、要するに国会に対して中間報告を求める、こういうことを決めたわけでございまして、その線に従って着実に委員会の審査が進められておるということを申したわけでございます。  また、その連立与党間における合意については「今国会」という文字があるというふうなことを申したわけでございまして、質問にお答えいたしますが、私は、この任命に直接関与いたしておりません。また、七人のメンバーにお目にかかったこともございませんし、そういう問題について触れたことは一切ございません。自治大臣としてこの問題にどう関与すべきかということはわきまえて対処いたしております。
  27. 深谷隆司

    深谷委員 審議委員にだれとも会っていないからということは何の理屈にもならないんですよ。マスコミを通して、今国会で早くやれ、六月二十九日までにやれ。それをせかすということは、六月二十九日までといいますと予算審議ぎりぎりですよ、どう考えたって、物理的に。その前に選挙区画の法案が出て審議するなんてゆとりは全くないんですよ。だから、外でそういうことをわいわい言うこと自体が圧力をかけるということなんですよ。  五月一日にテレビ朝日の番組の中で、熊谷官房長官は短期間で区割り法案をつくることは可能だとおっしゃった。そして、七月には小選挙区比例代表並立制に基づく選挙は可能だとも言われた。これじゃ周知徹底期間もない。第一、そんなことはあなたがテレビで言う立場ですか。
  28. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 そのテレビ番組は、まさに連立政権が成立した直後の番組でございまして、私ども、どういうふうに今後政権として事柄を進めていくかということの中で御質問をいただいたわけでございますが、連立の合意というものを私は引用いたしまして、この連立の合意には、可能な限り今国会において同法案を審議、成立させるというふうに合意がされておりますので、このことを重視して進めていくべきだ。先ほど自治大臣がお話をされましたように、審議会の勧告を受けて、その後は政府として最大の努力をすべきだ、そういう意味合いを込めて発言をしたものでございます。
  29. 深谷隆司

    深谷委員 熊谷官房長官、なりたてでうれしいかもしれないが、べらべらべらべら余計なことをしゃべらぬ方がよろしいですよ。国民に誤解を招くだけなんですよ。  各大臣のそういう発言についてまだ指摘したいんですけれども、もう時間がありませんから、もう一回羽田総理に伺いますが、予算はこの会期中に何としてでも上げる、会期は延長しない、この辺について明確にお答えいただきたい。
  30. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 会期について私が云々することは、これはまさに院の御審議そのものを損なうことになりますから、私はこれは控えたいと思いますけれども、私はどうしてもやっぱりこの会期の中でやっていただきたいなという思い、そして、これから誠心誠意そのために努めていきたいということを申し上げさせていただきます。
  31. 深谷隆司

    深谷委員 会期をどう決めるかは国会で決めることですけれども、この会期中に何としてでも予算を通すという政治家としての姿勢は、必ず守り通していただきたいことを申し上げたいと思います。  それにいたしましても、ここに居並ぶ大臣のお顔ぶれを見ますと、本当に予算をきちんと早く通そうといういい顔ぶれかどうか。まあ人の見方はいろいろでしょうが、私は首をかしげたくなるような、そういう感じがいたします。適材適所でないような感じの顔ぶれだと言う人もいるんですよ。  羽田さん自身が外務大臣のときに、四月十三日から十七日までウルグアイ・ラウンド閣僚会議に出席のためにモロッコを訪れていた、そのときに実質的に総理大臣がほとんど決まるような光景ですからね。普通なら、総理大臣になる人がみずから自分の政策や政治理念を掲げて天下をとろうというのですが、どうも違う人が、回りくどいこと言いませんが、陰で小沢さんがそんなことはみんな決めているようですから、大体まあこの内閣の顔ぶれも適材適所でなくなるということはうなずけるような気がするんですね。  私は、そういうような内閣の顔ぶれですから、予算の仕上がりについても、その他もろもろの問題についても、大きな心配を持たなければならないというふうに思っているわけです。  政策やイデオロギーの違いから、途中から社会党が離脱をいたしました。その結果、この内閣はどちらかいうと新生党と公明党主流の内閣、この二つの内閣といったような、そんな状態になっているわけでございます。あとの方たちは、まあいろいろな方もいらっしゃるけれども、法務大臣が早速首になったとしたら、その後に中井さんが法務大臣におつきになった。うわさによると中野寛成さんが本当は候補者だったそうで、電話したけれども通じなかったから、しようがないから中井さんになったという話も新聞に出ている。  羽田総理に伺いますけれども、適材適所で立派に選んだ顔ぶれだと、あなた、自信を持っておっしゃれますか。
  32. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 そのとおりであります。
  33. 深谷隆司

    深谷委員 私は、権力の二重構造という言葉がしばしば聞かれるのを残念に思います。実際に政権を担当している総理大臣、大臣がずらっと表面におられる。しかし、その背景で、大きな力でその政治の方向を曲げようとか、このように進めようとか判断している人がいる。  私は、民主政治というのは、だれが一番力を持っていて、だれがどういう発言をして、その責任はだれがとるか、これが明確になっていることが非常に大事なことであろうと思うのでございます。そういう意味では、権力の二重構造と言われているのはまことに残念なことだし、責任の所在がはっきりしないということに関して言えば、これからは非常に不安だな、こう思うわけでございます。  小沢一郎さんという方が、社会党に羽田首班指名に参加させた直後に改新という大会派をつくることによって、社会党を結果的には離脱させるということになってしまった。そのときに、どんな女と寝ようがいいではないかと発言したといって、これは大問題になった。まあこういう委員会で再び申し上げるのが恥ずかしいぐらいに大変下品でお粗末な言葉ですよ。しかも、これは女性をべつ視した差別の言葉であることは言うまでもないのであります。本当なら、小沢さん自身どういう気持ちで言ったのか聞きたいところだ。その責任を明確にすることが本当は民主政治なんだが、二重構造ですから、権力の二重構造でおられない。まことに残念だと思うのでございます。  熊谷官房長官、あなたは参議院の答弁の中で、このことについて聞かれて、伝聞にまつわる事柄だからコメントはできないと最初言って、さらに追及に答えて、もしこのことが事実なら遺憾であるといったような意味の答弁をなさったのでございますが、もう一回、どう思っておられるのか、この機会に伺いたい。
  34. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 女性担当大臣ということで御質問をいただいたわけでございます。私自身、報道等でそのことは承知いたしましたけれども、事実関係について調べる立場でもない、しかしながら、もし事実であるとすれば適切でもないし、好ましいとは思えないというふうにお答えしたとおりでございまして、今もそう思っております。
  35. 深谷隆司

    深谷委員 熊谷官房長官、小沢さんの発言は四月二十五日のことなんですよ。もう一カ月前なんです。あなたは一番小沢さんと近いと言われている方なんですが、いまだに、いわゆる報道に伝えられているような発言がもしあったとしたら遺憾であるという、そういう姿勢ですか。おかしいじゃありませんか。小沢さんにあなたは直接ただして、責任を持って答える立場ではないんですか。もう一回伺います。
  36. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 政府が調査をするような性格のものではないというふうに思っております。
  37. 深谷隆司

    深谷委員 新生党の最高の実力者が女性べつ視の発言をして、それに対して、女性の問題を担当する担当大臣が今のような言葉でいいでしょうか。そんなおかしなことで本委員会が通ると思っているんですか。もう一回答弁願いたい。
  38. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 国会議員としてのお立場は持っておられると思いますが、政府が事柄の性格からいたしまして調査をするような性格のものではないというふうに思っております。
  39. 深谷隆司

    深谷委員 調査などという大げさなことではないんですよ。あなたは小沢一郎さんの指示に従って動いている方だ。一番身近だということはわかっているんだ。直接小沢さんに真意を確かめて、間違いなら間違い、女性に対して申しわけないことを言った、謝罪する、そういう立場をとるのがあなたの役目でしょう。それが女性担当大臣でありながら他人事のように、あれから一カ月もたって、参議院のときの答弁はまだわかりますよ、聞いてなかったんだから。しかし、今日の答弁は許せない。怠慢としか言いようがない。あなたは直ちに小沢さんに質問して真意をただしてここで答弁すべきだ。それができないなら、この問題で審議が進められない。
  40. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 ただいま私が小沢先生の指示を受ける立場だというお話ですが、私が指示を受けるのは羽田総理からでございまして、そういう立場にはございません。  また、内閣に置かれた女性問題担当大臣というのは、一々の国会議員の言動に責任を持つ立場ではないというふうに思っております。
  41. 深谷隆司

    深谷委員 小沢さんという方の立場が重いものですから、この発言はマスコミにも取り上げられ、女性の議員たちも立ち上がって抗議をし、しかも国際的な大きな笑いぐさにもなっている。こういうときに、官房長官が参議院で質問をされて、まだ聞いていないならわかったけれども、あれから一カ月もたっていまだに御本人にただしていないということはおかしい。今すぐにでも行って、どういう真意か、間違いなら間違い、これからそういう考え方は申し上げません、政府としてもそういう方向で進みますと、きちっと答えを出すのが私は責任だと思う。だから、そういう意味では今のような答弁では納得できません。
  42. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この問題につきましては、我々の会議がありましたときにも小沢氏の方から、あれはすぐ直後だったと思います、とんでもないことをまたあれしてしまって申しわけなかった、それで、まず大変女房に怒られましたということを本人が述べておったということも率直に申し上げたいと思います。
  43. 深谷隆司

    深谷委員 今の総理大臣の話は一応わからないではないのですよ。しかし、私は官房長官の姿勢を聞いているんだ。怠慢だと言っている。責任を持って答えなさいと言っている。それだけの努力は女性問題担当大臣としてすべきでしょう、こう申し上げているのです。
  44. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 今総理お話がございましたけれども、真意は伺いまして、状況も伺いまして、私自身の、先ほど、もし事実とすれば適切でもないし好ましいものではないということもあわせて伝えたいとは思います。
  45. 深谷隆司

    深谷委員 直接小沢さんにあなたの立場からお話をして、女性担当大臣としてこれをただして、その答えについてきちっと後日報告することを求めます。
  46. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 そのようにさせていただきます。
  47. 深谷隆司

    深谷委員 この一連の発言に関しまして、今度は小沢さん自身が去る十六日に千葉市で開かれた集会で、朝日新聞をアカ新聞かブラックジャーナリズムかと思ったと発言して、今の論調が続くなら国の将来を危うくすると発言したと言われます。  これについて総理、どうお感じになりましたか。
  48. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは、報道に対していつもこうやって会見をする立場の者として自分の真意が伝わらなかったりなんかする、そういったことに対して語られた言葉でしょうけれども、しかしこの言葉そのものは、やはり適切でない発言であろうというふうに思います。やはり言論の自由というものはあること、我々はこれを大事にしていかなきゃならぬというふうに思っております。
  49. 深谷隆司

    深谷委員 私どもも、マスコミの報道がいつも納得できるものではないと思っているのですよ。我々でも納得できないようなことがよくあります。例えば物事をすぐ右か左かに分けたがる。政治改革法案でも、問題があるぞ、疑問があるぞと言っただけで慎重派、守旧派、片一方の方は何でもやれやれと言ったら改革派、この二つに分けて、そして世論の批判を、問題があるぞと提起しただけであおるような、そういう記事もかつてあった。  あるいは昨年の七月の選挙などは、自民か非自民かという二つの対立で、自民でなければすべていいなんというような感じの報道もあった。だから、自民党を抜けただけで高い評価を与えられたり、ごく最近自民党をやめただけで大臣になってしまう人もいるのですから。  こういうマスコミの取り上げ方というのは問題があるとは思いますが、しかし自分が言ったことに関して記事になった、このことについてはやはり自分責任を感ずるべきなんです。自分言葉として言った場合には、それはとことん自分責任を負うというのが当然の姿だと思います。今総理大臣が問題がある発言だというふうに御指摘なさって、総理はそう考えていないということが明白ですから、これ以上申し上げるつもりはありませんが、ただ一言だけあえて加えますと、このようなマスコミの論調が続くなら国の将来を危うくすると言われたけれども、私は、このような傲慢な政治家の勝手な振る舞いが続く限り、日本の将来が危うくなると言いかえておきたい、このように思う次第であります。  さて、先ほども触れましたけれども、社会党が離脱いたしましてから、新生党と公明党中心の内閣の顔ぶれになったことは明らかでございます。私は一番心配なのは、公明党というのはイコール創価学会だ、こう言われているわけですよ、一つの宗教集団ですからね。  憲法第二十条は、信教の自由を保障しております。何人もみずからの信ずる宗教を妨げられることはない。言いかえれば、国が特定の宗教を支持したり、そのプラスになるようなことをやってはいけないという当たり前の憲法の原則であろうと私は思うのでありますが、公明党の大臣がこれだけ多くなって政権に参加すると、そういう心配がないかと私は非常に不安になってきてしまうのでございます。恐らく、これは私一人の心配ではないだろうと思う。  そこで、羽田総理に伺いたいと思うのでありますが、憲法で規定されている宗教、信教の自由、こういうことについてあなたのお考えを伺いたい。どうぞ。
  50. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 何人たりといえども、みずからの信ずる宗教、これを侵すことはできないということであろうというふうに思います。
  51. 深谷隆司

    深谷委員 あなたは、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会の会長であった。あの靖国神社には、二百四十六万六千二百七十一柱、かつて不幸な戦いでお亡くなりになった人たちの霊が祭られている。戦争責任の問題はこの際別にしたとしても、日本及び日本人の将来のために命を捨てていった人たちが多く祭られていることは確かだ。  だから、今を生きる私たちは靖国神社に参拝しなければならない、そういう立場だとは思うのですが、しかし靖国神社に参拝するたびごとに、これは公的な参拝なのか私的な参拝なのか、しばしば大問題になってしまうのであります。それは、靖国神社がその名のとおり神道であるからでございます。  あなたは総理になってから靖国神社にお参りに行かれたと聞いておりますが、いつ行かれましたか。
  52. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 靖国神社につきましては、国のために、たしか国の命令によって戦い亡くなった方々、これが祭られておるということ、こういったことであります。私はそれと同時に神を信ずる人間であります。その意味でお参りには行っております。  ただ、私は、内閣総理大臣という立場になりますと、御案内のとおりやはりアジアの各国の中にこの戦いによって傷ついた方々がおられるという現状もあります。そういったときに内閣総理大臣が、しかもそのときの指導された方々が祭られておるということになりますと、ここにお参りするということは、いろいろな国の人たちの心をまた傷つけてしまうということがあります。ですから、私は総理になる前にお参りをしております。
  53. 深谷隆司

    深谷委員 いずれにしましても、憲法で規定している信教の自由ということを守る、その他のいろいろな配慮もありますが、そういうことで靖国神社の参拝に非常に配慮している、それはよくわかるわけですね。  そういう観点からいきますと、今の政権が公明党と新生党主流になっているということで、宗教上の心配を持つ向きもございますが、そういうことはお考えになっておられませんかと伺いたいんです。
  54. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この点につきましては、宗教というのはやはり高い一つの理念、理想というものを持っておる、そういったことを常に腹の中に置きながら、そういう高い理想を追おうということで政治活動もされておられる方が私は多くあると思います。これは日本だけではなくて、他の国でも、例えばキリスト教何々党という党なんかがあるとおりでございます。
  55. 深谷隆司

    深谷委員 私はそういう不安をぬぐい切れないのですけれども、たまたま、こうした折も折ですが、五月二十六日号の週刊文春で、「羽田首相は池田大作創価学会名誉会長の密使か」というセンセーショナルな見出しで報道がなされたんですね。びっくりいたしました。  それによりますと、信頼すべき複数の創価学会関係者の証言として、ゴールデンウイーク中の総理は、初の外遊の途中、バチカンでローマ法王ヨハネ・パウロ二世と会見することになっていたが、法王が骨折されたために、バチカンの総理大臣に相当するソダーノ国務長官を表敬訪問、その際池田親書を手渡した、こう書いてあるのでございます。  にわかには信じがたい話でございますけれども、仮にも責任のある出版社が出した週刊文春ですから、火のないところには煙は立たないような気がしてならないのです。あなたは何しにバチカンに行かれたんですか。
  56. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私がバチカンに参りましたのは、大体イタリアを訪ねますとちょうどローマも訪ねるわけでありますから、そこにありますバチカン市国、ここを訪ねるということはしばしばあることでございます。  そして、私は常に宗教関係の皆さん方にも申し上げているんですけれども、やはり宗教というのは人のために一つの安心をもたらすものである、そういう意味で、宗教の皆さん方がそういうことにきちんと立ち上がっていただくことがありがたいねという思いを常に持っておりますから、そういうことを申し上げたわけであります。  しかも、今のあれは、親書を持っていった、そんなことはあり得るものじゃありません。しかもこの間、参議院の審議の中では、文書は持っていかなかったけれども、おまえさんの発言の中で言葉で言ったんじゃないのかというようなことまで言われました。しかし、どうしてそんなことがあり得るんでしょうか。  私は、今日まで二十五年間というものは、一つのいわゆる常識、普通の常識に基づいて行動してきた人間であります。それはあり得ませんし、またそんなことを、あるいは公明党の方はもちろん、創価学会の方も私に対し依頼するはずもないものであるということだけははっきりと申し上げておきます。
  57. 深谷隆司

    深谷委員 一国の総理大臣が、一宗教団体の親書を持ってメッセンジャーボーイに行くなどということは、本当に考えられないことですね。私もあなたの言葉を信じたいんですよ。しかし、仮にもそういう一応評価されている出版社が出している記事に堂々と載っているのでございます。  そこで、それでは、それを否定なさるならば、その雑誌社に対して名誉棄損で告訴なさったらいかがですか。
  58. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今までもそういうことをおやりになりましても、ただそれがまた新たな記事を呼んでいくというだけであります。  しかし私は、少なくも皆様が最も尊重し、しかも国権の最高機関であるこの国会の場で、私は参議院でも、そして今この委員会でもそのことを否定しておるわけでありますから、私は、もうまさにそんなことに値するものでもないというふうに思っております。
  59. 深谷隆司

    深谷委員 総理大臣が宗教団体の名誉会長の親書を持っていったという記事が公然と出されている。ほかのスキャンダルじゃないんですよ。ほかのスキャンダルなら無視するということもあるでしょう。しかし、総理大臣のことについてここまで書かれていて、それを黙殺するなどということは、私はおかしいと思う。やはり事の黒白をはっきりつけるために、むしろ刑事告訴を行うべきだ。明確な答えを出すために名誉棄損で、親告罪ですから、刑事告訴を行って、関係方面から明確な答えが出るようにするまでこれは努力すべきが一国の総理大臣としての責任だと私は思う。
  60. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、ここまではっきりと国会の場で言っていることですから、むしろその雑誌社の方がこうこうこうであったということをきちんと、これは本当に言論の自由を守ってほしいという気持ちがその人たちにあるとするならば、私はきちんとした対応をすべきものであろうというふうに思っております。
  61. 深谷隆司

    深谷委員 私は、その言葉に納得できないのですよ。当然その雑誌社に抗議し、事実を明らかにするために名誉棄損で告訴することがどうしてできないのですか。簡単なことじゃありませんか。
  62. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは、単なる個人の名誉というものではございません。ですから私は、名誉棄損とかなんとかというより、ここまで明確に私は物を申しているのです。私の直接の言葉で物を申しているのです。また、テレビ等がこれを映しているのです。間違いなく私はその雑誌社の方はそれをごらんになっているというふうに思っております。
  63. 深谷隆司

    深谷委員 それだけ自信を持っておっしゃるなら告訴すべきだ。こだわり続けるわけではありませんが、告訴して黒白をはっきりさせるべきだ。ここで申し上げたからうそはないんだという発言が、前総理細川さんから何回聞かされたことか。納得できない。
  64. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 いずれにしましても、この問題につきましてはきちんとした理解というものが求められないといけない。そういう意味で、この問題については検討するようにということは私は指示してございますから。  しかし私は、私個人としては、個人の名誉とかなんとかというものじゃない、国家の、一国の総理がそんなメッセンジャーボーイなんというのはやり得るものではないんであるから、そのことを私は今はっきりとここで申し上げているわけですから、当然そういったものに対して行動を起こされる。そうでないと、本当に嫌なことにだんだんだんだん発展していってしまうということになろうと思っております。
  65. 深谷隆司

    深谷委員 ぜひ、刑事告訴も含めて断固たる対応をして、この答えについては明確にしていただきたい。  念のために申し上げますが、何らかの形で、これが事実としたら、あなたは責任をおとりになりますね。
  66. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 当然であります。
  67. 深谷隆司

    深谷委員 それでは、あなたのその言葉をとりあえず今日の場合では信じて、次に移ります。  羽田総理、あなたは五月十八日に突然、公共料金の値上げ、年内凍結をすると発表なさいました。ことし一月の郵便料金の値上げや国立大学の入学金など、とりわけ四月からの公共料金の値上げは大変なもので、国民生活を直撃しました。国民の間からは、所得減税をどんなに言われたってこんなに公共料金が上がったんでは何にもならないという悲鳴にも似た声が生まれています。だから私は、この予算委員会でこのことを強く質問しようと思っていた。  まあ、先を越されたとか越されないという話じゃありませんが、国民のために公共料金を凍結させようという考え方は間違いではありませんし、いいことでございますから、これは一応了解しようと思ったのですが、詳細眺めてみると、どうもおっしゃっているほどの、あるいは大々的に報道されるほどの中身ではない。むしろ羊頭狗肉といったような代物であるというふうにわかって、私は失望と怒りを禁じ得ない。  考えてみますと、この公共料金の値上げの発表は余りにも唐突でございました。発表いたした日は十八日で委員会開催中であった。暫定予算の補正の審議の最中だった。そして、いつものように官房長官は、定例の記者会見があるから失礼いたしますと言って、それで出かけていかれた。その場で、四時だと思いますけれども、発表なさったのですね。  それで、羽田総理大臣は一日じゅうこの質疑に答えていたのでございますが、公共料金の凍結は全く触れていない。戻ってきた官房長官もこの公共料金凍結について触れない。最も国民の生活に密接な関係のある予算審議する当委員会で、同じ日に大臣が一日答弁を重ね、官房長官もおられたにもかかわらず、わざわざここを抜け出して記者会見で発表するというのは、一体どういうわけなんだろうか。私は、選挙目当てのPR効果かな、あるいは不人気政権政権浮揚の戦略の一つかなと、冷ややかに見るしか判断のしようがない。  そこで、まずお尋ねしたいことは、羽田総理、一体この公共料金の凍結はいつ御決定なさったのですか。
  68. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この点につきましては、たしか当日、中川さんからの質疑の予定の中にたしかあったような気がいたしておりましたけれども、残念ですけれども、全然そこに至る前にあの委員会が終了してしまったということはありました。  いずれにしましても、私どもは、これは前内閣の物価問題に関する関係閣僚会議、これは前内閣につくられたものでございましたけれども、その中で「公共料金の取扱いに関する基本方針」、これをもとにしながら、閣議でも経済企画庁長官を中心にしながら何回も発言があり、そういった中で我々としても勉強していこうということで、時期ですとかあるいは幅ですとか、そういった問題についても慎重に配慮すべきだという議論があったところでございまして、この方向がおおよそあれしてきましたのは、十八日の日に発表いたしましたので、ちょっと今正確には覚えておりませんけれども、それの二、三日前ぐらいに私どもとしてはそういった準備というものを具体的に実はあれしておったということはございます。
  69. 深谷隆司

    深谷委員 聞くところによりますと、大体一週間前あたりからあなたは考えて、それでその日に、つまり十八日のお昼に口頭で熊谷官房長官に指示した、こう言われているんですが、そうですが。
  70. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 最終の決断といいますか、それをしたのは今御指摘のあったようなことだと思います。
  71. 深谷隆司

    深谷委員 公共料金の凍結ということになりますと、これに直接関係する省庁があるわけですね。当然事前に綿密な打ち合わせがなければおかしいんですね。それはどういうふうに打ち合わせたのか、ひとつ関係省庁を代表する大臣にこの際伺ってみましょうか。  大蔵大臣、それから通産大臣、自治大臣、運輸大臣、いつ公共料金凍結のお話総理から直接指示されましたか。
  72. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 私どもの所管している問題は火災保険料でございます。これにつきましては、前々から申請は出ておりましたけれども総理の御決断によって年内凍結するということであり、これに従って行動することといたしました。(深谷委員「いつ聞いたんですか」と呼ぶ)前の日でしたかに聞きました。
  73. 石井一

    石井国務大臣 今、私それを想起しておるんですが、たしか発表の前日であったと思いますが、私にお話がございまして、私は省内でそれに関連をしておりますものに関する手続等を精査いたしまして、これはこの時期を選んだ一つの政治的決断だと判断いたしたわけであります。  自治省の関連のものは質問されておらないかもわかりませんが、各自治体が今後、そういう要請はいたしますけれども、自主的な判断で決定する、そういうシステムになっておることを申し添えておきたいと思います。
  74. 二見伸明

    ○二見国務大臣 運輸省関係ではいろいろ公共料金の引き上げの申請は来ているわけでございますけれども、省内でいろいろ検討してまいりました。現在も検討をしております。  実は、公共料金凍結についての話というのは、官房長官から十八日の朝だったでしょうか、日にちは定かじゃありませんけれども、ちょっと話がありまして、私は、公共料金をこの時期凍結することについては賛成だけれども、地方のバスや離島航路についてはかなり影響があるので、運輸省としてもこの問題についてはいろいろ考えているんだよという話をしたことを、日にちはちょっと覚えてはおりませんけれども、そういう意見を交わしたことは……(深谷委員「大体いつごろ」と呼ぶ)十八日……(深谷委員「十八日は当日ですよ」と呼ぶ)その前の日だったか当日の朝だったか、そんなことだったように記憶しております。
  75. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 今回の問題は、総理の政治的決断ということで私も承知をいたしたわけでございますが、通産省関係では、電力・ガス等々、直接のこの問題でのかかわりはございませんので、事前の相談ということはございませんでした。
  76. 深谷隆司

    深谷委員 今伺いますと、みんな直前に聞いたと言うのですよ。考えることも判断することも、相談することすらもちろんできない。そういうときに、とりあえず記者会見だけやってこいという感じで、公共料金凍結だ、そう言えば国民は喜ぶと思っているんだ。しかし、中身が伴わなければそれは失望に変わるだけなんですよ。  寺澤経済企画庁長官、当然あなたは早くから相談があったはずだし、公共料金の凍結によってどのぐらいのメリットがあるか、経済の状態に効果があるか計算されているはずですから、それらを含めてお答えいただきたい。
  77. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 お答えいたします。  私が聞いたのもそんなに早い時点ではなかったんですね。一日ぐらいか二日前だったと思います。十七日ぐらいだったか……。  公共料金の引き上げを年内延ばすということについて、全体の経済に与える影響ということについて、今数字をちょっと持ち合わせておりませんので、持ち帰って、今とってまいります。
  78. 深谷隆司

    深谷委員 公共料金の凍結というような大事な問題ですから、当然経済を預かる経済企画庁長官は心得ていなきゃいかぬのですよ。お役人さんからもらった資料がありませんからといって、いまだに頭にたたき込んでいないということは、私は、大臣としてまことに怠慢だし、けしからぬことだと思うのですよ。今あそこで一生懸命聞いている。あなたは聞かぬでよろしい。役人の答弁を聞くならあなたに質問しないんだからもう結構ですよ。  要するに、私が言いたいのは、細川さんが国民福祉税を発表したときとそっくりだということなんですよ。何の相談もしないで突然出す。トップダウン方式というのは形はいいかもしれませんけれども、しばしば事を誤るのですよ。中身が伴わないのです。形だけになってしまうのです。今度の公共料金の凍結というのはまさにその典型的なものだと思う。  しかも、国が痛みを感じるような公共料金はもうあらかた終わっているのですよ。羽田総理あるいは官房長官の言われた中身を見ますと、NTTの問題とか、あれは民間ですよ、仮にも。タクシー料金の値上げとか火災保険料とか、そういったものでしょう。あるいは地下鉄とかバスといったような地方自治体の問題。国がみずから心を痛めながら公共料金の凍結をするというのではなくて、それは先に済ませてしまって、こういう民間だとか地方公共団体にしわ寄せを与えるようなことだけで公共料金を凍結するというのは勝手な振る舞いじゃありませんか。どうでしょうか。
  79. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは私ども新しい内閣が発足してということでございますから、確かにその前の公共料金というのは大分以前に実は上げておるというのが現状であります。  ただ、私どもはそういうものをやりながら、今お話がありましたように、減税措置等がとられても公共料金が次から次へと、しかも一遍にずらっとこうやって並ぶ形で出てくる、これでは全体の空気を冷やしてしまう、ということになりますと景気にも悪い影響を与えるということで、私として決断をさせていただいたということであります。
  80. 深谷隆司

    深谷委員 その決断は遅過ぎるのですよ。本来なら一月あるいは四月の時点で、細川さんの副総理なんですから適切な助言を行って、そのときに公共料金の値上げをとめるべきなんだ。あらかた上げちゃったんです。今になって民間だとか地方自治体のその公共料金か、あるいはそれに類するものだけ凍結する。それは身勝手なのですよ。  じゃ、今まで国の関係で上げたものについてはどうするのですか。とめますか。
  81. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは、既に上げたものをとめるということはただ混乱を引き起こすだけのことでございますから、それはいたしません。ただ、今度の問題の措置によりまして、やはり公共料金というものの料金設定についてのあり方、そういった問題についてそれぞれの機関というものが私は学習したものであろうというふうに思っておりまして、今後のためには私はプラスになるというふうに確信をいたしております。
  82. 深谷隆司

    深谷委員 国民の生活を向上させるために、景気を回復させるために所得減税を行う。その半分は公共料金で消えてしまうなどというのは政治の無策ですからね。しかも、その公共料金値上げはほとんどもうやってしまった、国の関係は。残っているのはわずかに民間、地方公共団体。そこにしわ寄せを持ってきて、あたかも公共料金を凍結させたというような顔をするのは羊頭狗肉だと私は言っているのですよ。  地方自治体の、例えば東京都などの場合は、交通料金の値上げは三月に都議会で決めているのですね。いろいろな議論がありましたよ。都民のことを考えて、さまざまな検討を加えて、苦渋の選択の中から東京都議会は結論を出した。今になってこれを凍結しろということになったら、あなたがふだんから言っている地方分権とか地方の自治を大事にするという言葉とは裏腹になるじゃありませんか。どう思いますか。
  83. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 当然、御指摘がありましたように、地方の公共料金につきましては、地方公共団体において最終的には判断するものであるというふうに考えておりますけれども、基本的には、経営の効率化ですとかあるいは推進等の一層の努力、そして影響というものを最小限にとどめていただくように期待を私たちはしたいと思っております。
  84. 深谷隆司

    深谷委員 今地方の時代と言われて、地方の分権が叫ばれて、地方の自治を尊重するという状態のときに、都議会で決定してしまった後に、何の事前の話もなしにいきなりそれを覆すような発言をするということは私は重大な責任だということを申し上げて、今の答弁とはいささか違うのですが、まあ百歩譲って、それではもう一つ伺います。  東京都の交通料金の凍結、わずか二カ月でございますが、ざっと計算しますと五十三億円ぐらいの損失になるのですよ。この五十三億円は借金で埋めるか東京都の一般財源から埋めるかということで今大変みんな頭を悩めている。国が公共料金の凍結を言うのは否定しない、しかし、自分たちの五十三億円のこの赤字、借金か一般会計からかということになる。いずれにしてもこれは全部都民がしょい込む。だから、国がそういうような思い切った決断を下すならば、国がこれを補てんすべきだという声があり、私もそのとおりだと思うのですが、このことはどういうふうに判断なさっていますか。
  85. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この問題につきましては、やはり国の方で補てんするというものであってはならないというふうに思っております。ですから、やはり私どもといたしましては、効率化等を本気で図っていただくように御努力をいただきたいということをお願いを申し上げたいというふうに思っております。
  86. 深谷隆司

    深谷委員 国の公共料金を上げた際に、効率化とか行政改革とか思い切ったことをやらないで、地方自治体がこういうことで困って現実に五十三億も赤字になるということに対して、そういう改革を求めるというのでは答えになっていないのですよ。  運輸大臣あるいは自治大臣、こういう行き方に対してどう思いますか。そして、どうやって手だてを尽くすつもりですか。
  87. 二見伸明

    ○二見国務大臣 五月十三日に都バスの運賃の引き上げと都営地下鉄の申請が来ていることは承知いたしております。我々としては事務方でこの問題を今厳正に精査している真っ最中でございますが、今ここで結論めいたことを言うわけにいきませんけれども、私は、公共料金年内凍結の線でもってこの問題を考えたいというふうに考えています。  当然、都側に五十三億のマイナスがあるわけですけれども、私は、それはこの際、都は都でもってやはり解決していただく以外にないんではないか、国からその分を補てんするという考え方は、それはちょっと無理なんではないかというふうに考えています。長い時間かけて、都は都でやはり、大変だろうけれども、この赤字分は吸収をしてもらいたいというふうに考えております。
  88. 深谷隆司

    深谷委員 全く身勝手な発言ですよ。やっぱり公共料金を凍結させるというなら、国がみずから、国の分から凍結させていくべきですよ。それをやるのが当然なんだ。自治大臣どうですか。地方にこんな負担を与えていいですか。
  89. 石井一

    石井国務大臣 私、先ほど申し上げましたように、地方自治の精神に反するというよりも、やはり基本的な政治姿勢というものを示し、そして地方にその協力を要請する。しかし、委員指摘のように、都議会の地下鉄の問題等、長年苦慮し検討をされ、赤字を検討された後、各派も議論をされておる、こういうふうなことでありますから、それぞれに問題はあろうかと思います。  しかし、まあ話を政治論に変えて恐縮でございますけれども、それでは常に要請のあるものを必要に応じて上げていくべきかといえば、やはりこれは国の基本的な政策として、あるときには凍結をする姿勢を示しながら、その中から国なり地方の協力を求めていくというのも政治じゃないでしょうか。一方的にそれを、ツケを国へ回すというふうなこと、過去にやったこともございませんし、現内閣においてはそういうつもりはないと私は確信をいたしております。
  90. 深谷隆司

    深谷委員 何回も繰り返しますけれども、それは、この国を担当している諸大臣として、せっかく今言われている地方自治の尊重、地方分権の尊重ということに逆行するということをはっきりここで申し上げておきたいと思います。  公共料金の凍結について一連の経過を私は聞いてみまして、まず政策決定の唐突さが明らかになったと思うのですね。国民立場に立てば、公共料金が抑えられるというのはよいことなんですけれども、私が今明らかにしたように、効果は非常に薄いし、何よりも経済担当の一翼を担う大臣や幹部が詳しい内容を知らされていないまま進んでいる。政策決定のシステムが、成熟した今の民主主義の世の中で果たしてこれでいいのだろうかと、私は率直な疑問を抱かないわけにはいかないのであります。だれがどうやって決めているのか、国民の側から見れば極めてそら恐ろしいことと映っていくのではないでしょうか。細川内閣の轍を踏まないように、羽田総理の反省を促したいと思います。  次に、不況にあえぐ中小企業の問題に触れてみたいと思います。  その前に、通産大臣、あなたはこのたびめでたく農林水産大臣から横滑りなさった大臣。中小企業ということに対してどういうふうなお考えを持っているか、まず基本的な考えをこの際明らかにしてください。
  91. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私自身の認識といたしましては、何といいましても日本の産業分野におきます事業所数におきましては九〇%を上回る、九九%に近い、そういった実態にもあるわけでございましたし、なおまた、従業員数等々におきましても四千万人といったような大きな数字を抱えております中小企業の位置づけ、これが軸となっての今日の産業分野の発展、そういう中にございましての今日の不況という実態に、心から政策展開に力を入れていかなければならない、かような気持ちを新たにいたしておるところでございます。
  92. 深谷隆司

    深谷委員 今、あなた早速お勉強なさったのですが、事業所数では七九%台ですよ。九〇%を超えていませんから、数字も間違いですから、勉強してください。  いずれにいたしましても、中小企業というのは日本の経済を支えている圧倒的な人たちの姿でございます。この中小企業が今最も不況の痛手を受けておりまして、倒産件数も非常にふえてきている。今の倒産件数の状況とそれに対する大臣のお考えを伺いたい。
  93. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 最近の詳細なデータを把握はいたしておりません、手元に持ち合わせばございませんけれども、最近の民間信用調査機関等々によりましては、総金額におきまして負債の金額が一千億を超えるといったような数字も、そういうようなデータも出ておるわけでございますので……(深谷委員「倒産件数を聞いている」と呼ぶ一件数は今確実に私の記憶の中にはございませんけれども、厳しい実態の中にございまして、対応策を急がなければならない。さような意味合いにおきまして本年度予算の早期成立を心からお願いを申し上げたい、その気持ちでいっぱいであるわけでございます。
  94. 深谷隆司

    深谷委員 負債総額、三千億だと私は聞いていますがね。違いますか。一千億だと。それから、倒産件数も出ているんですよ。平成五年で一万四千五百六十四件の倒産件数がありますが、その中で一億円未満の資本金の中小企業が一万四千四百四十一、こういう数字が出ているんですよ。つまり、倒産のほとんどなんです。こういう数字も知らないで、あなた、通産大臣が勤まるんですか。幾ら急造内閣とはいっても、中小企業が今どのくらいあるのか、倒産の状況はどのくらいあるのか、そんなことも把握しないで、どうやって中小企業対策が生まれるのですか。もう一回答弁してください。
  95. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘のございましたような厳しい実態にある、それを踏まえましてさらなる努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  96. 深谷隆司

    深谷委員 厳しい実態がわかっていないんですよ、数字の上でも。だから私は言っているんだ。今からでも遅くありませんから、徹夜してでも勉強なさい。それがあなたの役目ですよ。  その中小企業の苦しみは、一つは販売不振の不況型倒産に見られるように、ここ数年続いた不景気のために起こっています。景気を回復すること、これはもちろん中小企業のためのみならず今日の急務であることは申し上げるまでもないことでございます。  それからもう一つ、これも不況に関連はしますけれども、大企業がこの経済状態の中を乗り切るためにリストラを、つまり事業の再構築を盛んに行っているわけです。そのしわ寄せを一身に受けているのが中小企業であるというそういう実態がある。親企業が不況に加えて円高等の影響を受けて生産拠点を中国やアジア地域に移して、この地域で生産される競争力の強い製品がどんどん日本に流れ込んで、これが中小企業の苦難を一層深めているのです。この現状を把握しておられますか。
  97. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま先生御指摘の問題は、いわゆる産業分野における空洞化等々の表現をもって大変な大きな問題に相なっておることを承知をいたしておるわけでございますし、なおまた、一つ具体的な例を申し上げれば、従来輸出の花形でありましたテレビ等におきましても、輸入超過といったようなまことに懸念される姿に今日あることも承知をいたしておるところでございます。
  98. 深谷隆司

    深谷委員 私は構造的な困難さだと思うんですね。だから、景気がある程度回復しても、中小企業、特に製造業なんかの場合は低位安定水準でとどまってしまって、またがってのように設備投資に力を注ぐというようなエネルギーにはならないような感じがするんですね。そういう状態が予測される中、通産省としては具体的にどのような中小企業対策をお考えになっているか、お話しをいただきたい。
  99. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 御案内のとおり、中小企業対策におきましては、従来から国段階からの手助けをする補助金という姿もいささかはあるわけでございますが、その主流、本流といいますか中心になりますのは金融支援、こういう姿が展開をされておる実態にあるわけでございまして、さような意味合いでは、いわゆる三次補正等々の段階での取り組みを、ただいま食いつなぎをさせていただいておるという厳しい実態にあるわけでございますので、先ほど来申し上げますような本予算の成立を何としてもお願いを申し上げなければならない、かように考えておるところでございます。
  100. 深谷隆司

    深谷委員 中小企業対策で金融支援というのは当然のことでございます。  ただ、通産大臣、あなたそうおっしゃったけれども、じゃ、今の金融機関が中小企業に対して貸し渋りを行っている、それから公定歩合あるいはさまざまな対策の中で状況が変わってきているのに、貸出金利というのは下がっていない、こういう現状にあることをどう思いますか。
  101. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま先生御指摘のケースといいますものは、従来からも残念ながらしばしば問題視されておる実態にもあるわけでございまして、こういった時期におきましてのさらなる要請、指導、こういうものをきちんとやっていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  102. 深谷隆司

    深谷委員 金融機関がバブル当時の貸し出し競争の結果、巨額の不良債権を抱えているというのはわかるのですけれども、一方ではそのころの高い金利で貸し出したお金が残っているのですよ。貸出金利と預金金利の差で稼いだいわゆる業務純益が九二年度は史上最高水準だというのですね。だから、貸し渋りといって中小企業に貸し渋る理由はないのですよ。  景気を回復させるためには、中小企業が立ち上がらなければならない。私は、金融機関も政府の指導によって中小企業に貸し渋りをやめて、金利も当然のごとく抑えて積極的に協力するという姿勢がなければいけないと思うのですが、通産大臣は大蔵大臣に対してそういうことを要請しておりますか。
  103. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘のございましたような趣旨に沿っての対応をただいま努力をさせていただいておるわけでございまして、大蔵側に対しましてもさような意味合いでの要請をいたしておるところでございます。
  104. 深谷隆司

    深谷委員 いつ大蔵大臣とこのことについて話し合いましたか。
  105. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 御案内のとおり、私自身が今回この新しい立場につきまして、さような意味合いで藤井大蔵大臣と問題点の指摘等をさせていただく中、そしてまた、その後のいわゆる閣議等におきまして、閣僚懇談会等におきましていわゆる我が方の立場の主張をさせていただいておるということでございます。
  106. 深谷隆司

    深谷委員 そして、その成果はいかがですか。
  107. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 これから私自身がさらなる努力をしていかなければならない、そういう問題意識を持っての取り組みをさせていただいております。
  108. 深谷隆司

    深谷委員 はっきり申し上げまして、型どおりの答弁ではだめなんですよ。中小企業はそんな言葉で救われないのですから。  具体的に申し上げますと、例えば、政府関係中小企業金融機関、これは積極的に中小企業に低い金利で貸し出しを行っているのですね。これは結構なことだし、これは拡大しなければならない。しかし、それまでに借りていた債務は高い金利なんですね。この金利を今の水準に下げてあげるということはとても大事なことですが、このことについてあなたはどう考え、どう大蔵大臣と話し合いましたか。
  109. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま委員指摘の問題が中小企業の現場におきましては大変な大きな問題である、さような意味合いでの問題意識を持ちながら、資金枠の拡大等々やらせていただく中にございまして、ただいま私自身が大蔵大臣にこのことを具体的にお話をしたということはございませんけれども、事務方を督励しましての取り組みをさせていただいておるということでございます。
  110. 深谷隆司

    深谷委員 今まで借りた債務の金利が高いのでこれを下げる、今の水準に直すということについてあなたの明確なお考えを聞かせてください。
  111. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 借りかえという問題につきましては、いわゆる……
  112. 深谷隆司

    深谷委員 借りかえを聞いてないのです。金利を今の水準に下げられますかということです。
  113. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 金利につきましては、やはり現行低金利、そしてまた、これに比較するに高い金利といいますものが絶えず企業者側にございましては念頭にあり、大きな問題視をされておる。かといって、すべてを借りかえを認めるというわけには、これまた釈迦に説法でございますけれども、現実問題なかなかいかない。あるいは場合によっては利子補給をさせていただく等々、あるいは地方行政の御協力もお願いしながら中小企業対策の振興を図らせていただいておる、こういうような実態にございますが、さらなる問題意識を持っての取り組みをやっていかなければならない、かように考えております。
  114. 深谷隆司

    深谷委員 通産大臣、申しわけないのですけれども、長期固定金利で——大蔵大臣によく聞いてくださいよ。そんな簡単なものじゃないのですよ。金利を下げるということは、今まで長期固定金利でお金が回ってきておるからできないという返事なんですよ。できないのですよ。それから、借りかえという問題も簡単にいかないのですよ。だけれども、その中で何とかならないかということを私は尋ねておるわけなんですね。あなたはそういう仕組みというのを御存じないみたいですから、これ以上は聞きませんけれども。  いや、今そこで聞いたってだめなんです。今までのあなたの質問に対する答弁は、こういう大蔵省の今までの財政の運用の仕方とか、あるいは中小企業に対する貸し出しの金利の問題とか、借りかえの問題とか、どういうシステムででき上がっているか、全体像を御存じないんだ。まあ、農林水産大臣からかわったから無理もないと思いますが、それでは中小企業者が気の毒過ぎる。だから早く勉強なさって、できないことはできないが、こういう方法がありますよという具体的な政策を打ち立てることがこれからのあなたの責任ですからね。どのくらいおやりになっているか知りませんが、そういう真剣勝負で事に当たることをあなたにはっきり強く申し上げておきたいと思います。  親企業と下請企業の新たな系列関係、今後こう考えますと、より低いコスト、より高品質な製品を中心に再編成されていくであろうと私は思います。こういうような状態をつくっていくという社会情勢の中で中小企業を守るためには、経営者、従業員の方たちがさまざまな勉強もし、工夫もし、そしてこれに取り組んでいかなければならないのです。生産、販売方式の工夫とか、情報機器の応用によってコストダウンを図るとか、あるいは個性ある製品を開発するとか、時代の変化に対応していくことが必要なんですが、それには中小企業は、それを学ぶ機関も少ないし、ゆとりもないのです。そういう中小企業に対して、積極的な政府の対応が必要だと思うのです。この点はどうでしょうか。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  115. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘のございましたような問題が今日の喫緊の課題、さような位置づけの中でさらなる努力を重ねてまいりたいと思っております。
  116. 深谷隆司

    深谷委員 さらなる努力を重ねたいとおっしゃっていますが、今までの努力がどうであったか、まだ多分御存じないと思いますから、早目に勉強して、さらなる努力をするようにしてください。  中小企業を取り巻く環境の中で影響している一つに固定資産税の問題があるのです。地価は相当下がっているのになぜ固定資産税が上がるのか、これはやはり、中小企業者だけではありませんけれども、特に大きな問題です。固定資産税が上がるのは、評価額を公示地価の七割程度に引き上げたからです。もちろん激変緩和策はとっていますが、まだ高水準なんですね。  問題は、評価の時点であります。九二年七月一日を基準日として九三年一月一日時点の公示地価を参考に修正するということになっているのですが、修正日と賦課期日が一年ずれていることになります。ですから、九三年の一月から今日までの一年間の間に地価の動向が反映されないから固定資産税が高くなってしまう。九四年一月一日の公示地価を見ますと、大都市圏の地価は引き続いて下がって、東京の渋谷の一部は四〇%下がっている。商業地や住宅地といったような私どもが住んでいる町、その下落幅は三〇%を超えている。こういう評価額が公示地価を上回る逆転現象も起こっているわけです。実勢価格に合わせて適正な固定資産税にすべきだと思いますが、自治大臣、いかがでしょうか。
  117. 石井一

    石井国務大臣 確かに東京の都心部におきましてはそういう矛盾があるということ、私も多少土地問題をやってまいりました立場から認識いたしておりますが、ただ、いろいろの議論がございまして、我が国には一物三価があり、それぞればらばらの価格をしておる。特に固定資産税は、農村地域、過疎地域においてはそのような問題は全くない。大都市における変動が今のような形で動いておりますが、私も就任いたしましてから、確かにこの問題は何とかならないのかということをお役所の中で議論をいたしました。  今日まで私に返ってきております回答は、次の時期に調整をする、今回は損をされるかもわからぬが、この次には必ずそれの余剰が出てくる、それ以上の事務的な、全国で固定資産税の筆という区域が一億三千筆とか人口より以上の多いものを出していくという場合には、事務的には全く不可能だという回答が来ております。しかしながら、大都市に住まれ、固定資産税にあえいでおられる皆さん方の方法につきまして、深谷議員も下町の議員でございます、こういう方法があるんじゃないかというふうなことで、事務的に処理できることであれば、私は私なりに努力をしたい、そのように考えております。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  118. 深谷隆司

    深谷委員 固定資産税の評価の問題について、激変緩和のとき私も参加した一人なんですよ。それから、事務的に間に合わないということをおっしゃったのですけれども、それは去年の一月の話でございまして、もう今や五月の下旬になっているわけですから、ここまで時間が経過しておりますから、対策としては立てられないことはないのですよ。  我々もこれから提案してまいりますけれども、いずれにいたしましても、現実において固定資産税が高いために中小企業が困っている。この次には今損した分戻っできますよなんということをおっしゃったが、それはちょっと考えられないことでございまして、今の発言、記録にとどめておきますから、私の言ったこととどっちが正しいかいずれわかりますけれども、そんなふうな状態で、固定資産税の問題が非常に大きな問題を中小企業に投げかけている。これをしっかりとらえて、何ができるか考えてください。  また、中小企業の問題で言えば、承継税制の問題、相続税の問題、この間もさんざんやりました。さまざまな中小企業を苦しめている要因というのはあるわけです。だけれども、それは国が一緒になって頑張って検討していけば、それらの問題は国の解決できる範囲に随分入ってくると私は思うのですね。  この間、三月二十三日でございましたが、中小企業が集まって日比谷公会堂で総決起大会を開いたのですよ。そのときに、中小企業問題を解決するために国会に特別委員会をつくってくれ、そういうスローガンがありました。私はこれは傾聴に値することだなと思いました。中小企業問題だけを考える特別委員会、これは院の構成の問題でございますが、大変大事だと思う。通産大臣どうお考えですか。
  119. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私も問題の重要性、そしてまた厳しさ等々を踏まえまして、心情的にはその考え方に立つものでございます。
  120. 深谷隆司

    深谷委員 同じことを総理大臣にも伺いたい。
  121. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これはもうまさに院の問題でありますけれども、例えば商工委員会の中にやはりいろいろな小委員会をつくったこともございます。そういったことは検討でき、しかもそういったところで成果を上げることもできるのじゃないのかなというふうに私は考えます。
  122. 深谷隆司

    深谷委員 これは院の構成の問題でございますが、総理大臣及び担当大臣がどういうお考えか、どういうふうにリードしていくかということは大事な要素でございます。商工委員会の中に小委員会をつくるということもそれは結構なことでございますが、今日の経済を支えている多くの部分に中小企業が存在しているというわけですから、このことを考えますと、小委員会などというような小さなものでなくて、やはり特別委員会ぐらい設置することは当然だと私は思い、院内でこれからそういう提言も含めて努力してまいりたいと思っておりますから、関係閣僚もそのようなお考えで御協力をいただきたいと存じます。  それでは次に、外交問題に移らせていただきます。  羽田政権樹立に当たりまして、連立与党間で、いわゆる基本的な政策の確認事項というものがつくられたわけであります。その中の安全保障をめぐる問題で、去る十八日、我が党の中川理事質問いたしましたが、総理の答弁が極めてあいまいでわかりづらいということ、あるいはさらに、外務大臣を含めた他の発言が矛盾する点も多いということで、しばしば審議が中断されてしまったわけであります。  そこで、改めて統一見解の提出となったわけでございますが、これが相変わらず連立与党の統一見解というふうになっているわけです。既に、連立与党から一番勢力のある社会党が離脱しているわけでありますし、さきの質疑意味合いからすれば、本来この統一見解は政府のものでなければおかしい、政府が統一見解を出すべきだと思うのでありますが、総理、いかがでしょうか。
  123. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先日の御指摘も、委員長の方から、党の統一見解というお話でありました。それと同時に、これは、党ではいろいろなやはり議論をしていきます。我々、やはりその党の上に乗るわけでありますから、そういった議論というものは大切にしていかなければいけませんけれども、政策そのものにはやはり一つの継続性というものが必要であるわけでありまして、そういった党の見解というものを拳々服膺しながら、そしてまた継続性というものを大事にしながら、そこで私どもは政策を進めていくことが重要であろうと  いうふうに思います。
  124. 深谷隆司

    深谷委員 日本が国際社会で生きていくためには、国際法にかかわるような解釈が明確な形でなされていないと大変な立場に追い込まれる可能性がある、それは言うまでもないことでございます。今度の連立政党の統一見解を見ましても、明確になるどころか、かえって一層不明確になっていると私は思うのです。  具体的に伺いますが、「日本国憲法は、国連による普遍的安全保障を理念としていることを認識し、」こう書いていますね。総理、日本の憲法がいつから国連による安全保障を理念とすることになったんでしょうか、お尋ねしたい。
  125. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 普遍的安全保障というのは非常に幅広いものを指しておるわけでございまして、平和を構築していくために非常に幅広いものを考えておる。これは憲法の理念というものにほぼ合致するんではなかろうかというふうに思っております。
  126. 深谷隆司

    深谷委員 日本の憲法は国連の安全保障を理念とするなどというふうには書かれていないんですよ。それはそうなんですよ。憲法ができたときと国連憲章ができたときというのは、一年足らずしかないんですよ。だから、日本の憲法は国連憲章を土台としてつくったものではないんです。昭和二十一年七月九日の第九十帝国議会でも、当時の金森国務大臣は、国連憲章と憲法九条はむしろ相反するといったような、そういう答弁もなされているんですね。だから、最近になって、あるいはこの数日間の間に、今申したような普遍的安全保障を理念とした憲法というふうにすりかえられてしまっているんですね。  今の答弁で定かではありませんから、どうかひとつ、いつから国連による安全保障を理念とするということになったのか、もう一回お尋ねしたい。
  127. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 国際平和というものを大切にしていこう、維持していこうというのは、これは日本国憲法あるいは国連憲章、こういったものはやはり同じ、基本的には同じような考え方であろうというふうに申し上げたいと思います。
  128. 深谷隆司

    深谷委員 条約局長は、国際法の世界の中で普遍的安全保障という言葉は確認されませんと言っている。あり得ないものを憲法の理念とするというのは全くおかしな話じゃありませんか、どうですか。
  129. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 確かに国連憲章の中にも、その普遍的安全保障という言葉の文言については、これは明記されてもちろんおりません。ただ、要するに幅広く国際平和というものを考えるという意味で、これは連立与党の中でつくられたものであるということであります。
  130. 深谷隆司

    深谷委員 普遍的安全保障というのは一体何なのか、それはわからないはずなんですよ、国際法で確認されてないんだから。そういう言葉なんて存在しないんですから。世界で通用しないんですから。  大体この言葉は、社会党と連立政権を組むときの政策協議の事項の中で、与党間の政策合意の中で初めて登場した言葉なんですよ。朝鮮半島情勢への対応のあり方をにらんで新生党の、また名前が出てきますが、小沢一郎代表幹事が当初、国連による安全保障という言葉を使おうとしたんですよ、これは国連の集団的安全保障という意味ですけれどもね。ところが、これに対して、それでは武力行使の可能性もあるということで、これを受け入れられないと社会党は反対した。委員長も御存じでしょう、この点は。久保社会党書記長がそのときに持ち出してきたのが普遍的という言葉でございまして、それで折り合いをつけたんですよ。  だから、現実に国際社会にない普遍的という言葉が登場してしまって、今こういうような、総理もわかったようなわからないような答えしか出ないんですね。だけれども、その社会党がもう離脱したんですから、総理、この際、この普遍的というのを除いてしまったらどうでしょうか。
  131. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これはあくまでも連立与党の合意でございますから、私ども内閣がこれを除いちゃうという性格のものでないこと、これはぜひ御理解をいただきたいと思うわけであります。
  132. 深谷隆司

    深谷委員 それだと、後でまた聞きますが、これは政党間の統一見解だということで全部質問から逃げられるんですよ。政府の明確な答えが出てこないんです、これでは。だから政府の統一見解を出さなきゃならぬということを私は言っているんですよ。問題があると、これは政党間の合意だからと言うんですよ。だけれども、その政党が、社会党が去ってしまったんですから、社会党の言葉の折り合いで普遍的というのをつけたんだから、これを除くのは当然じゃないんですか。政府はそういう考え方でこれは対処していくべきじゃないんですか。
  133. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 このことにつきましては、例えば自民党でも、大綱ですとかあるいは党則というもの、あるいはその一つの公約ですとか、そういったものはありますよ。しかし、自民党が内閣の時代でもそれが全部それじゃ実行できたかというと、そうでない。やっぱりそういったものを大事にしながら追求していくということであろうというふうに思っておりまして、やはり本当に平和というものを世界、国際社会が共同してつくり上げようという、こういったその理念というもの、これを普遍的と言ったことについて、私はこれを取り消すというものではなかろうというふうに考えます。
  134. 深谷隆司

    深谷委員 それは詭弁なんですよ。国際的に普遍的安全保障という言葉がないんですよ。それを連立政権を組むために無理やり言葉のあやでのっけたわけですよ。これから先立って世界に向けて平和を訴えると言うが、普遍的な安全保障なんかで国際社会に通用すると思っていますか。こんなの通用するはずがないんですよ。だから、それならば明確な形で文章をつくった方が誤りがないと言っているんですよ。  ある外務省の人は、普遍的安全保障と集団的安全保障を、どう違うのですかと言ったら、まあ普遍的安全保障というのは集団的安全保障に黄な粉をまぶした程度の話ですよ、こう言っているんですよ。何の意味もない。だから、そういうようなあいまいな答弁では困るし、総理自身がそこのところがわかっていないのではないかというふうに思うんですね。  もう一回、総理、私の言ったことに対して答えてください。
  135. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 国連によります集団安全保障より、普遍的安全保障といったときは多少、若干広い概念があるということであろうと思いますけれども、普遍的安全保障の重要な要素というものは国連による集団安全保障であり、その意味でほぼ同じ意義を有するというふうに考えます。  そして、国際的安全保障という言葉もありますけれども、これは国際法において確立された概念でございませんけれども、これも普遍的な安全保障と同様の意味で使われることもあるというふうに承知いたしております。
  136. 深谷隆司

    深谷委員 国連憲章の七章に「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」の規定がありますが、これらは国際社会に受け入れられているので普遍的安全保障という表現になった、そういう解釈だろうと私は思うのですが、そうですが。
  137. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 ちょっと済みません、もう一度そこを、間違えますといけませんから。
  138. 深谷隆司

    深谷委員 国連憲章の第七章に、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」の規定がありますね。それが国際社会で受け入れられているので普遍的安全保障という表現となった、この前もそうおっしゃったのですね。
  139. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 そういったものも含めてそういうことであります。  ただこれは、そのまま日本が、じゃ軍事的なものに対応するかということになりますと、そこは、日本はこの憲法に許される範囲の中で対応するというふうに御理解をいただきたいと思います。
  140. 深谷隆司

    深谷委員 それは理論的でないのですよ。第七章のこの規定に基づけば、四十二、四十三条の規定にも従うということになるのですよ。一方で国連に積極的に協力しますと言って、もう一方では憲法があるからできませんでは、国際社会では通用しないということなんですよ。この矛盾をどうするかということなんですよ。  この委員会でも問題になりましたが、柿澤外務大臣は有事立法は検討すべきと主張して、神田防衛庁長官は集団自衛権の憲法解釈は変わることもあると言い、熊谷官房長官は有事立法の実務的な準備は完了しているとさえ明言している。こうした一連の発言は、むしろ社会党が離脱したために自由に物が言えるようになったのかなという印象があるのですが、いざ厳しい委員会質問に遭うとにわかにトーンダウンして前言を次々と取り消す、あるいは撤回する、おわびするということになったのです。一体何が本音だか私にはわからない。国家の将来を決する大問題についてこんな無責任発言が横行していることは重大なことと言わなければなりません。  私は、総理責任を含めて厳しく糾弾いたしますとともに、もう一回、この際政府の統一見解を語っていただきたいと思います。  外務大臣に聞いておりません。総理大臣の考えを聞いているのです。
  141. 山口鶴男

    山口委員長 統一見解を述べるのですね。
  142. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先ほど外務省の者の発言云々という御指摘もございましたので、私なりに答弁をさせていただきたいと思います。  まず、連立与党見解についてでございます。(深谷委員「ちょっと待ちなさい。委員長質問でないことをしゃべろうとしている」と呼ぶ)普遍的安全保障につきましては……
  143. 山口鶴男

    山口委員長 外務大臣、私は、政府の統一見解を述べるんですね、こう言ってあなたの名前を言ったわけですが、それをお答えになるわけですな。
  144. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 政府の統一見解ではございません。先ほど外務省の者の発言について御指摘がございましたので……(深谷委員「そんなこと聞いていません」と呼ぶ)
  145. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私どもは、まさに普遍的安全保障という言葉でこの連立与党の中では合意がなされておるわけでございますけれども、私どもは、普遍的安全保障といいますかそういった概念というものは、集団安全保障といいますか、それに合致するものであろうというふうに思っております。  ただ問題は、今御指摘がありましたように、軍事的なものについて我々はやはり憲法に基づいて進めるものであるということ。それから、今御指摘のございました第七章についての、これは一つの国連軍のようなものをあらわしているのではなかろうかと思いますけれども、この国連軍については、いまだこれが構成されたことがないということ、これから近い将来にこういったものがあるかどうかということについてもまだ議論にはなっておらないということであろうと思いますし、もしこういうものがまたできるとすれば、そこで協定というものが結ばれてくるのであろうというふうに私は考えておりまして、そのときに私どもは議論すべき問題であろうというふうに考えます。
  146. 深谷隆司

    深谷委員 今、政党間で合意した統一見解、全く矛盾したことが書かれているということを申し上げました。この点は本日の羽田総理の答弁を聞いても同じであります。国連憲章と我が国の憲法と一体どっちを優先するのか、その選択決定のときは、常任理事国入りの問題も含めて極めて近い時期に訪れると私は思うのです。  そこで、この際、先ほども申しました、繰り返して申しますが、政府の統一見解を明らかにしてほしい、そう思います。
  147. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  148. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こしてください。  ただいま理事皆さんと相談をいたしました。普遍的安全保障に対する政府の解釈及び集団安全保障と憲法との関係、これに対する見解、二つの見解を政府として出していただくように求めます。
  149. 深谷隆司

    深谷委員 ちょっと委員長政府の統一見解を私、ここで発表してくれと言っているのですよ。それを聞いた上で、どうしても納得できない、まとまらないならば、今の委員長の取り上げ方で結構ですということですよ。
  150. 山口鶴男

    山口委員長 それじゃ答えていただけますか。答えていただければいいし、そうでなければ私が申したことを出していただけばいいです。
  151. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今私が理解をいたしましたのは、いわゆる国連憲章と憲法とどちらが優先するのかということ、あるいは四十二条ですか、七章第四十二条、こういったものが日本としてどういう対応をするのかというふうに理解したのですけれども、それでよろしゅうございましょうか。
  152. 深谷隆司

    深谷委員 それと、さっき申し上げました普遍的安全保障についての明確な答え。
  153. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この普遍的な安全保障につきましては、これは連立与党の中で合意をしながら話し合った問題でございますから、これはあくまでも私たちはこういった考え方というものを一つの考え方のあれとして、基準として進めます。しかし、先ほども申し上げましたように、これは、政権というのは、私どもは前政権のものを継続していきますということを申し上げ、これは宮澤内閣のころからのことを私は申し上げたわけでありますけれども、外務大臣当時そのことを申し上げてきておりますわけで、やはりそれを基本にしながら物事を進めていくということ、これであります。  それから、今の憲章とということでありますが、私どもは、国連憲章というのは大事にしていかなければならない。しかし、おのずとそこにはやはり憲法というもの、これの許される範囲であるということは言えると思います。  それから、たしか四十二条でしたか、こういった問題については、我々としては今日までたしかハイチなんかですか、こういった問題について対応したことがございます。そういったことで、私たちがやはり憲法に許される中で対応していくんだということ、これはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
  154. 深谷隆司

    深谷委員 肝心なところがあいまいなんですよ。要するに、我が国には憲法というのがあります。しかし国際社会に協力しなきゃならない。しかし国際社会には国連憲章というのがある。一体どっちを優先するのか。これに対する答えが明確でないんですよ、武力行使の問題も含めて。だから、もっと明確な答えを言っていただかないと納得できないんですよ。
  155. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  156. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こして。  羽田内閣総理大臣
  157. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 一つ訂正させていただきたいと思います。  私、先ほどハイチの問題につきまして四十二条と言いましたが、あれは四十一条の間違いであったことを訂正させていただきます。
  158. 山口鶴男

    山口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  159. 山口鶴男

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。羽田内閣総理大臣
  160. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先ほどの問題提起に関しまして、次の二点について見解を申し述べさせていただきます。  憲法と条約との関係につきましては、憲法の尊重擁護義務、これを負っております国務大臣で構成されます内閣が憲法に違反する条約を締結することができるとすることは、これは背理であること、また、条約締結手続が憲法改正手続よりも簡易であることなどから、一般には憲法が条約に優位すると解されます。なお、以上のことは、国連憲章との関係でも同様であるということでございます。  二つ目に、国連による平和と安全の維持のための枠組みの総体に関し、憲法との関係で問題となり得るのは、憲章第七章のうちの軍事的措置に関する部分であろうと考えられますが、これにつきましては、日本としてどのように対応していくかについては、従来から申し上げてきたとおりで、憲法の枠の中で対応してまいるという考え方であることを重ねて申し上げさせていただきます。  以上であります。
  161. 山口鶴男

    山口委員長 質疑を続行いたします。深谷隆司君。
  162. 深谷隆司

    深谷委員 今総理大臣から御答弁がございましたが、まだ私どもには納得できる内容ではありません。  といいますのは、国連憲章というものと我が国の憲法というものは、明らかにその条文において矛盾しているのですよ。それは、国連憲章というものができ上がって、その背景をもとにして日本国憲法はつくられたものではありませんからね。どうしても、そこには矛盾が生まれてきてしまっているわけですね。しかし、これから常任理事国にも積極的に入ろうという日本の立場からいきますと、その矛盾をそのまま内蔵した状態で国連に参加し、協力するということは不可能なのですね。しかも、今日までの議論の中で、各大臣は、そういう問題を考えながら検討しようという、かなり積極的な、前向きな態度をとったけれども、それをいずれも取り消してしまっている。そういうことになると、一体どういう形で臨もうとしているのか、極めてあいまいだと言わざるを得ない。  ですから、我が国はこれから国連にどう対応するかということも含めて、今の答弁では私どもは納得できる状況ではありません。しかし、恐らくここで私が幾ら申し上げても、これ以上の御回答はないと思いますので、政府といたしましては、改めて政府の統一見解をおまとめになりまして、内外ともに了解できるような内容を備えていただきたい。この統一見解の提出を、委員長を通してお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  163. 山口鶴男

    山口委員長 ただいまの点につきましては、理事会で相談をさせていただきます。
  164. 深谷隆司

    深谷委員 税制改革の問題とか、抜本的な不況対策とか、あるいは北朝鮮に対する核査察問題など、今非常に多くの問題を抱えているのでありますが、追及したいと思いながら、残念ながら時間をなくなしてしまいましたので、この点については、また後日に残すといたしまして、最後に一言申し上げたいと思うのであります。  私は、いろんな角度から質問いたしてまいりました。しかし、残念ながら、国民が求め、そして私たちが求めている答えとはいささか違う、そういう状況が各所に見受けられたことは残念であります。  私は、衆議院の本会議羽田総理、あなたの所信表明演説を聞きました。率直に言ってまことに迫力のない演説で、私たちの心を揺さぶるようなそういう訴えがなぜかなかったのであります。もどかしい思いに駆られたものであります。世界の荒波の中をこの大切な国家と国民を乗せて、今、日本丸は出航しようとしているわけです。まなじりを決して、しかも自信と誇りを持ちながら敢然と立つ総理の姿を私たちは求めているのでありますが、残念ながらその期待にはこたえてくれませんでした。  あなたの政権が社会党やさきがけの離脱で衆議院でわずかに三分の一強、参議院で四分の一と、驚くべき少数与党になってしまったことがそういう背景にあるのではないかと思います。私は、本来なら細川政権から羽田政権にかわったあのときに、圧倒的多数の第一党に政権を渡すべきであったと改めて強く思うものでございます。それが憲政の常道です。  それから、去る二十一日の夜に久保社会党書記長が、総辞職をして新連立をつくるということなら参加することにやぶさかでないという声明を出した。そうしたら熊谷官房長官は、社会党が連立政権に復帰するなら総辞職も視野に置くとおっしゃった。総辞職をするか解散するか、総理大臣の決めることだ。それを官房長官が堂々と、総辞職も視野に入れるなどといったような越権行為、女房役の方がはるかに強い、そんな発言があるなど、まことに不愉快千万な状況が生まれております。ちょっとした甘い言葉が社会党から出たら、恥ずかしげもなくそれにすり寄っていく、権力の立場を放したくないために何と節操のない姿勢か、私はこのことに怒りを持って不満を明らかにさせていただきたいと思うのであります。  羽田総理、あなたはかって小選挙区制の中で限りなく二大政党化されていくとおっしゃった。そして、一方に問題があったら他方に政権を移す、そういうところに、お互いの緊張とか切磋琢磨して日本の政治が前進するとおっしゃった。私は、今がその政権交代の機会だと思うんですよ。不信任案を出されたらひとたまりもなく倒れるような状態の中で、一体何ができるというんでしょうか。権力の二重構造とかで、たとえ強権的な黒幕がいたとしても、この自然の道筋というものは変えることはできないということを申し上げておきたいと思います。  権力におもね、右顧左べんする人たちの多い中、我が自由民主党は一日も早く政権を奪取して、国家国民のためにすべてをささげる覚悟がありますことをここに表明いたしまして、私の質問を閉じたいと思います。(拍手)
  165. 山口鶴男

    山口委員長 この際、衛藤征士郎君から関連質疑の申し出があります。深谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。衛藤征士郎君。
  166. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 羽田総理、本当に御苦労さまでございます。また、内閣総理大臣御就任おめでとうございます。私ども野党といたしまして、当然その立場を踏んまえて少々きついことも申し上げなきゃなりませんが、あらかじめ御了解をいただかなければなりません。  さて、私は、羽田政権の性格とその統治能力、ガバナビリティーについてお尋ねをしてみたいのであります。  羽田政権は、言うまでもなく連立少数与党内閣であります。その少数与党、その数は衆議院五百十一名の国会議員の中で三分の一強でありましょうか。参議院にありましては四分の一ぐらいだと思います。これは極めて異常といいますか、不正常な少数与党、まさに少数与党の内閣そのものでありまして、国民も大変心配しておるし、私ども野党でさえも心配しておるのであります。  なぜならば、官房長官が、六月二十九日の会期末には予算関連あるいは予算案あるいは法律案等々が上がらないかもしれないということをおもんぱかり、参議院の方で、ひょっとすると会期延長もお願いしなければならないということを官房長官みずから言及せざるを得ないというのはここにあるわけでありまして、絶対多数の内閣であれば官房長官のこういう発言はないのであります。  先般、我が党の中川秀直議員が総理の連休の訪欧についてただされました。そのときにコール首相のお話も出てまいりまして、先方様の方から二年ごとに日本の総理大臣がかわっちゃかなわない、二年ごとにかわる総理とおつき合いをするのは疲れるというような話も出たというような、そういう話も出たのでありますが、さほどに我が国の総理、特に今次の連立与党少数内閣に対しましては、内外ともにその政権基盤の弱さ、そして統治能力、執行能力、そういうものについて不安があるということは、これは否めないことじゃないかなと私は思っております。  組閣のときに、あの呼び込みのときに記者会見がありますが、各閣僚就任の初記者会見の折に数多くの閣僚たちが、いや今承ったばっかりで、急な指名で驚いている、まだ急な話を受けたばっかりで何もわからないというようなニュアンスのことが率直にテレビで全国放送されたのでありまして、実は国民は大変不安に思ったわけであります。二十人の大臣は、その職にありましてナンバーワン、プロフェッショナル、トップだ、みんなこのように思っておるその方がこういう発言をされますと、大丈夫かな、こういう気になるわけであります。  また、柿澤外務大臣、神田防衛庁長官、あるいは熊谷官房長官の発言等々の撤回とかあるいは発言の修正あるいはおわびといいますか、こういうことが繰り返されますと、内閣に対するガバナビリティーにますます疑念が出てくることは私一人ではない、このように思うのであります。  そして、心配なことがあるわけでありますが、先般、南アフリカ共和国大統領の就任式典に我が政府は特派大使を出しました。こうした特派大使の選任というものは、これは総理責任においてなされるものだと私は思いますが、間違いございませんか。
  167. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは外務大臣から官房長官に上がり、そして私のところに最終的に参ります。
  168. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 総理は、外務大臣を歴任された方でありますし、しかも前内閣のときのナンバーツー、副総理でもありました。そして、大変外交にも精通されている方でもあります。南アフリカ共和国大統領就任式典、いかに重いものであるかはおわかりいただけると思うのであります。  これには、アメリカはゴア副大統領、クリントン大統領夫人を列席させておりますし、イギリスはエジンバラ公、ハード外相を赴かせ、ドイツはキンケル外相、フランスはミッテラン大統領夫人、お隣の韓国は韓元副総理大臣を派遣する、こういうことでもあります。  そして、大統領に御就任されましたマンデラ氏は、一九九〇年、平成二年十月三十日、私どもの衆議院で、第百十九回国会開会中の衆議院で格調の高い演説をされました。御記憶あると思います。このときの総理大臣は海部総理大臣であり、外務大臣は中山太郎外務大臣でありました。それほどまでにマンデラ大統領が我が国に対する熱き思いを持っておりました。また、我が国政府国会も、マンデラ新大統領に対する熱き思いもあったでありましょう。  そうしますと、少なくともこの南アフリカ共和国大統領就任式典には、時の総理、海部総理なり、あるいは外相、中山太郎代議士を派遣するというようなことを考えてしかるべきではなかったかと私は思うのでありますが、この特派大使は中西啓介代議士でありました。  中西啓介代議士は、調べてみますると、一九九三年十二月十七日から十二月二十日、ハンガリー共和国首相の国葬にも特派大使として派遣されております。これは辞任直後でありましょうか。  問題発言の引責辞任をした防衛庁長官中西啓介代議士をして、我が国政府が、国会が南アフリカ共和国に対して、どれほどその国の大統領就任式をお祝いしておるかは、だれもが言わなくてもわかっていることであります。なぜ中西啓介特派大使を選任されたのか、総理のお答えを承りたいと思います。
  169. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これからの新しい新生南アフリカであります。そういう意味で、若い、まさにこういったものについてこれから多く日本は支援していかなければならない、そういう中で、中西さん、私は適切な人であろうというふうに考え、この人選というものを承認したということであります。  なお、私自身も南アを支援する副会長というのを務めております。
  170. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 これは、柿澤外務大臣から総理の方に、中西啓介氏を特派大使として派遣したいという、そういう申し出があったのでありますね。それとも、そういうことではなくして、総理みずから、南アの共和国大統領就任式典には中西さんがふさわしいと思って総理がお決めになったのですか。お聞かせください。どうでございますか、そこは。
  171. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、これは基本的に外務省から、そして官房、そして官邸に上がってくるという性格のものであります。しかし私は、先ほども申し上げましたように、やはりこれからの新生南アフリカでありますから、この南アフリカを強力にやはり支援できる、そういった人が行っていただくことがふさわしいという中でこれを認めたということであります。
  172. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私も時々外国に出ます。つい先般、英仏海峡トンネル、ドーバー海峡トンネルの開通式典にも私は参加してまいりました。  外国に出ますと、滞在したその国の大使館に行きまして、大使初め首脳の皆さんと話しますが、ヨーロッパにありまして、私はすぐ聞くことは、国連加盟国、アフリカ全体で四十九カ国あるんだが、この四十九カ国の中で、どの国がこれからのアフリカをリードし、また、どの国が我が国にとってもヨーロッパにとっても大切な国と思うかいと、こういうことを聞くのです。すぐ、どの人も南アだと言うのですよ。南アフリカ共和国と言うのです。  私は、やはり外務大臣を歴任された羽田総理でありますから、もう少しこの辺のところは配慮してよかったのではないか、こういう感じがするということだけは申し上げておきたいと思います。  さて、この一年間に防衛庁長官が四人かわっております。中山利生氏から中西啓介氏、そして愛知和男氏、そして神田厚氏と、この四人の代議士が一年間、それぞれ交代していったわけであります。一年間の間に四人の防衛庁長官がかわる、交代をする。  しかも、愛知前長官は五カ月間で交代をするということになってしまっておりますし、また、この交代の前に、米国のペリー長官が連休前の四月に日本を訪れて、朝鮮人民共和国、いわゆる北朝鮮の核疑惑に伴う北東アジアの安全保障等について日米両首脳が会議をしている。また、これをしっかりと担保するために、愛知前防衛庁長官は連休を活用して訪米することになっておったのであります。外交の継続性、そういうものを考えてみても、当然愛知防衛庁長官が留任されるものとみんな思っていたんじゃないかと思うんです。  ところが、愛知防衛庁長官更迭、そして神田厚防衛庁長官が御就任されたわけでありますが、一年間に四回も防衛庁長官がかわるということは真のシビリアンコントロールにひびが入りかねないし、また、大事な国益と最優先すべき外交を軽視した人事と言わざるを得ないわけであります。この点について、総理はどのようにお考えでありますか。
  173. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 外交ですとかあるいは財政ですとか安全保障ですとか、ともかく国際的に関連のあるものについては継続することがいい、これは私も十何年来言い続けてきたことであります。  ただ、今度の場合には、もう御案内のとおり一つの新しい政治の変革というもの、枠組みというものが変わったという中で対応したということで、御理解をいただきたいと思います。
  174. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私は、この大事には、羽田孜新総理の政治哲学なり政治信念なりあるいは政治理念、そういうものが生かされていないような感じがするわけでありまして、申し上げておるわけであります。  人事は国内の政治事情とかあるいは政治的な思惑によって動かされるものでないことは、それはよくわかっております。しかし、人事というものは政策そのものでありますし、人事は政治そのものである、それは当然のことでありましょう。こういったことを考えますと、防衛庁長官の大事については、これまた私は総理にきついことを申し上げますが、もう少し真剣な対応があってしかるべきではなかったかということを申し上げておきたいと思います。  さて、新生党の閣僚の中で大臣を更迭されたのは愛知防衛庁長官だけではないかと思います。熊谷通産大臣は官房長官に横滑りに就任されましたし、また、畑農水大臣は通産大臣にこれまた横滑り、こういうことであります。私は思うのでありますが、愛知防衛庁長官だけをなぜあえて更迭しなければならなかったのか、また疑問に思えてくるわけであります。  熊谷通産大臣は、日米経済包括協議、これを継続して解決する立場にありました。また、畑農林水産大臣は、ポスト・ガット・ウルグアイ・ラウンド、ガット・ウルグアイ・ラウンドの妥結を受けて、国際化の競争にさらされる我が国の農業、林業、水産業の振興をこれから図っていく立場でもあります。そういう重要な閣僚が、農林大臣が通産大臣に行く。  しかも、通産大臣のお仕事は、ガット・ウルグアイ・ラウンド成功、妥結のために最先頭になって引っ張っていかなければいけない。農林大臣のお立場はどちらかというと、私が言うまでもありませんでして、ガットのテーブルに着いて、ガット加盟国の一国としてその責任と役割を担いながらも、我が国の米の問題等についてはいろいろ嫌なことも言わなきゃならぬというような、そういうお立場に立つ、つまり体を張って日本の農業を守る、こういうときに、全く正反対の立場におつきになってしまう。  この人事はどう見ても私は納得がいかないのでありまして、これは私だけではなく全国民がそのように思っておりますし、また、農家の皆さんお話ししますと、きつい言葉ですが、農林大臣がさっさと私ども農民を見捨てて通産大臣に行っちゃった、こういうことさえ言っておるのでありまして、いかに私どもがそうではないと言っても、やはりそういう姿に映ってしまう。  ですから私は、畑通産大臣にあっては、羽田内閣総理大臣からお話のあったときに、やはり自分立場を主張して、ガット・ウルグアイ・ラウンドに思いをいたし、自分としては何としてでも留任をして日本の農業を守るんだということを申し上げるべきではなかったかと思いますが、畑通産大臣、こういうようなやりとりはございましたか。
  175. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 事大事につきましては、やはりその人事権者が腹を決めて決断をされる、それを尊重してベストを尽くす。  なおまた、自分立場についてのいわゆる留任等々の働きかけをするというようなことよりも、やはり内閣挙げてこの問題にはお取り組みがされつつある、この辺も御理解を賜りたいと思っております。
  176. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私は、連立与党少数内閣であるがゆえに、例えば閣議に当然諮らなきゃならないことが閣議に諮られず、突然総理記者会見するとか、こういうことになりかねないわけで、このことを心配しております。  私どもも、深夜の総理特別記者会見、未明の決断記者会見、もう随分ならされてきました。今回は、真昼の総理の特別記者会見を受ける形で熊谷官房長官が公共料金の年内凍結を発表されたのでありますが、先ほど同僚の深谷隆司議員の方からこの問題についての質疑がございました。  私はあれを聞いておりまして、たった一つだけ……。  十八日の日に決断をして、十八日の午後四時ですか、熊谷官房長官が記者会見で発表になった。これまでの間、当然、予算委員会等も私どもはやっておったのでありますが、その日の朝なりなんなりに閣議があって、少なくともその日のことですから、熊谷官房長官の公共料金年内凍結重大記者会見、重大事項でありますが、それについては、羽田総理のもとで閣議があって、閣議に報告をして、あえて了解とも言いませんよ、閣議に報告をした上でそのような措置をとられたのかどうか。この点、総理にお尋ねしたいと思います。
  177. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 その日は昼に私、正式には御指示をいただきまして、それから作業をいたしまして四時の記者会見で発表申し上げました。閣議で公表はいたしませんでしたけれども、翌々日の閣議に御報告し、最終的な合意をいただいたということでございます。
  178. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 官房長記者会見のその翌々日の閣議で報告し、了解をいただいたということでありますが、本来でありますと、こういうことはやはりしっかり閣議を開いて、そして閣議で、できるならば報告、了解、その上に官房長官の記者会見等あってしかるべきだったと思います。  私どもは議院内閣制の制度をとっているということを、総理官房長官、肝に銘じてください。大統領制の国ではありません。アメリカのクリントン大統領ならば、それは大統領制の国でありますから、そういうことをしても結構でありましょう。しかし、我々の国は議院内閣制をとっているということを忘れないでほしい。これだけはしっかり申し上げておきたいと思います。  さて次に、ガット・ウルグアイ・ラウンド後の農林水産振興についてお尋ねをいたしますが、その前に私は、ちょっと読み上げたいペーパーがあるんです。  これは、我が党の村田吉隆代議士が韓国に参りまして一週間ばかり滞在をいたしまして、韓国政府がガット・ウルグアイ・ラウンドの妥結に向けて、十二月に入った二週間、最終的な折衝をブラッセルあるいはジュネーブでいかに行ったかという、ガット・ウルグアイ・ラウンド後の記録であります。総括であります。これは韓国政府のものであります。  これを見て私は驚いたのでありますが、今まで国会に報告されておりましたこととは随分違うのではないかということであります。つまり、衆参で六回、私どもは米に関する特別な決議、国会決議を行いました。参議院の一回の国会決議には、「完全自給」とまで、そういう言葉も入っておるわけであります。  そして、前内閣細川総理を初め関係閣僚は、ナンバーツーの副総理・外務大臣でありました現総理もさよう、また、今通産大臣に御就任された当時の畑農林水産大臣、それから現官房長官の熊谷前通産大臣も、答弁では、国会決議を踏んまえてしっかりやってます、任せてください、任せればいいんですと。外交交渉ですから、これは機密事項もありまして皆さんには報告できません、しかし、やってますから任せてください、こういうようなことでありました。  私どもは、さようですか、お任せしますということで、ずっとお任せをしてきたのでありますが、さて、途中で、十月の初めでしたか中旬でしたか、我が国政府が米国と秘密裏に交渉いたしまして、もう妥結しちゃった、こういうようなすっぱ抜きの記事が報道されたりもしました。これを時の政府はやっきになって否定をいたしたのであります。  ところが、このことが、この韓国の政府のペーパーを見ますと、実は日本政府から、アメリカ政府と秘密の交渉をしてまとめたということを内々に通知があった、そして、ガットのサザーランド事務局長も、秘密保持を条件に関係国にそのことを通知した、こういうことを言っておるわけであります。これは余りにも我々をばかにした話でありまして、じゃ、我々は一体何をやっておったのか、こういうことであります。  そして、これを見ますと、韓国の許農務長官、つまり韓国の農林大臣ですが、許長官は、十二月二日には折衝の現場にもう既に出向いておりまして、十二月二日それから十二月三日、許長官はシュタイヒェンEC農業担当執行委員長と会談する。十二月四日、許大臣はガットのサザーランド事務局長と会談をする。また、米国のエスピー農務長官と第一回会談をやる。午後には長官はサザーランド事務局長と会い、さらに韓国の立場を説明する。さらに、午後七時からは韓国の許大臣と米国のエスピー大臣の第二回会談が行われる。そして、四時間のマラソン交渉を続けて、第三回会談を翌日にするとか、十二月五日の日には許並びにエスピー第三回会談が行われると。  このときに、「日本に比べかなり有利な開放条件の関税化十年猶予、ミニマムアクセス三ないし五%に韓米の意見が接近した。」と報告をしております。そして、午後四時に、ガット・ウルグアイ・ラウンド・ミニマムアクセス交渉グループのドゥニ議長が、わざわざ韓国の農林大臣をインターコンチネンタルホテルに訪ねて面談をして、会談をしているんですね、ここで。  畑通産大臣にお尋ねいたしますが、大臣は昨年の秋にジュネーブに赴かれたと思います。そのときに大臣は、ドゥニ調整案が出てきたように、かなめの人物であります、アクセス交渉グループの議長でありますこのドゥニさんにお会いされましたか。それをまずお尋ねいたします。
  179. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私といたしましては、いわゆるまとめ役の立場にあります責任者のサザーランド事務局長に対しまして、最終的な、その秋の段階でお目にかかっての最後の話し合いをさせていただいたということでございまして、ドゥニーさんにはお会いをいたしておりません。
  180. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 大臣、それは何月の時点でありますか。
  181. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 たしか十一月上旬であったと記憶をいたしております。
  182. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 十一月上旬といいますと、みんながい言葉のように十一月十五日、十一月十五日と言ってきたその日が間近であります。そして、十一月十五日から十二月十五日のこの一カ月間で最終調整が行われるということはみんな知っていたわけであります。そのときになぜ大臣はドゥニ氏に会わなかったのか。  そして、お尋ねしたいことがありますが、かなめの人物、カンター米通商代表との会談は今までに持ったことがありますか。そのとき大臣は、何日間、何泊何日で出張されたのですか。
  183. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ちょっと事前の私の基本的な立場を申し上げさせていただくわけでございますが、いわゆる事の展開を図る一つの話し合いのスケジュールというものを私なりに頭の中に置きまして、いわゆる仲裁、調停案方式しか、相対峙するルールの解決でございますからそれしかない、そういうような意味合いの中から、責任者のサザーランド事務局長を中心としての物の考え方で展開をさせていただいたということをまず御理解を賜りたいというふうに考えます。  そしてまた、今お話のございましたように、エスピー農務長官との話し合いをアメリカ側に対しましては軸としてさせていただいたということでございますので、カンター氏とは私自身はお目にかかっておりませんけれども内閣としましてのそれぞれの立場での接触をしていただいたということは御案内のとおりでございます。
  184. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私どもは、昨年の十二月七日、八日、そのあたりですね、予算委員会を開いておりまして、この議事録を見ましても、八日の日に我が党の保利耕輔代議士あるいは柳沢伯夫代議士が質疑をされております。その質疑のときにも、もう十二月八日の段階です、大詰めの段階ですが、大臣は、大丈夫だ、任せてくださいと、こういうようなことでありましたが、一方、韓国の方では大臣みずからが、農林大臣みずからが現場に赴いて折衝している。そして金泳三大統領は十二月七日の日にクリントン大統領に電話をしている。最後の詰めを行っておるのです。  そしてこの記録をずっと見ますと、その金泳三大統領が折衝現場に対して、これはマジノ線と書いてありますが、これから先譲ってはならない一線を引いて、断固譲るなということで、最後の最後まで督励しているのですね。  それじゃ、我が国の細川総理はそういう態度をとったか。何もそういう態度をとられていないし、またこちらにおったナンバーツーの副総理である羽田孜外務大臣もそういう措置をとられていなかったと思う。最後の最後まで韓国は頑張った、二週間にわたって頑張ってますよ。日本はとうとう一度も現地に行かない。  私、覚えておりますが、十二月八日の夜、私自身国会対策委員長室におりました。そのときに鳩山官房副長官が参りまして、もう夜九時前でした。そのときに、実はあしたの朝、畑農水大臣をジュネーブに出張させたい、ぜひ許可を願いたい、こういう話でありました。まあ結構ですよ、国会決議をしてあるんですからどうぞどうぞと、こういうことでありましたが、翌朝になりましたら、いや、あれは取りやめになった。理由は、もう今から行っても間に合わぬ。つまり、現地ではすべて終わっているから間に合わぬ、こういうことでありましたが、これを見る限りは、韓国の方は最後の最後まで頑張っておるということでありまして、十三日のときも許大臣とエスピーの最終会談が行われている、こういう現状であります。  少なくとも私は、農林大臣は現地に出向きまして、一週間でも泊まり込んで、テーブルをたたいて、最後の、七年間に及ぶガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の米問題の決着をつけてほしかった。その努力の跡が見られないから、米問題が起こったときも国民は白けてしまうのです。また、全国の農家の皆さんあるいは農林水産業の皆さん政府に対する失望を強めるのです。自民党政権のときもございました。こういうような山場がありました。そのときには、関係大臣は即現地に出向いて折衝、折衝、そしてトンボ返りもしてきましたよ。なぜそういうことをやらなかったのか。  そして最終局面では、覚えていますが、十二月の十一日、たしか羽田外務大臣は、自由民主党幹事長、政調会長からきつく要請があって行ったのではなかったかと思いますよ。とうとう農林大臣は行かずじまいで外務大臣が行きましたけれども羽田総理、十二月十一日に赴かれて、どういうような最後の交渉をされたのか。この韓国のレポートがずっと書いてありますが、お尋ねします。
  185. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは残念なんですけれども、この問題等についての考え方あるいは議論というのは日本と韓国の立場と違いました。日本との関係では、例えばカナダですとかアメリカあるいはEC、こういった四極の会議で日本に対して幾つかの問題についてこれをどうしても押し込みたい、これが実は畑さんがなかなかうかがうことができない、あるいはそのタイミングを見ておったというところ、その辺が違うところであります。  それから、私は、最終的に日本の国会の決議にあることを話すと同時に、それだけではなくて、要するにあのころは一つの方向が決まっておりまして、韓国の扱いは途上国と一緒の扱いということになったわけでありますけれども、我が国の場合にはそうはいかない。しかも、この問題は韓国と違って、我が国の場合には、あなた御自身私と  一緒に実は出張したこともあるように、七年間我々はずっとやってきているわけですね。そういう中で、一体日本という国に対してどこまでができるのかということについてのいろいろな議論をしてきたことを踏まえながらのことであったというふうに思っております。  私としては、今度一つの方向を出すときには、やはり環境問題ですとかあるいは食糧安全保障ですとか、そういった問題についてきちんと考えてもらいたいということで、これを文言の中に入れていただいたということであります。
  186. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 この問題で締めくくりたいと思いますが、韓国では黄首相、国務総理責任をとって十二月十六日に辞任をしたわけですね。それでもこの黄総理は、十日の日には最後までベストを尽くすようにという激励、督励を現場にもしておるわけでありますが、すべてこうした責任をとられた。そして、韓国の農林大臣も責任をとって辞任する。そして、金泳三大統領も十二月九日、大統領の職をかけて米市場は絶対守るとの公約を守れなかったと国民に謝罪をしたわけであります。  これによりまして、韓国の財界あるいは学界等々あらゆる分野の皆さんから、韓国農業に対する関心、韓国農業を守れという声がほうはいとして起こってきた。そして、大統領はこれを受けまして、一月六日の大統領の年頭記者会見のときに、農漁村の競争力強化のために農業特別振興基金に値する農業特別税を新設すると、これを明らかにしまして、三月五日の国会でこれが可決されている。そして、ことしの七月一日からこれが施行されることになったわけであります。  これは、既に韓国政府が農漁村の投資に予定をしている四十二兆ウォンの漁村開発予算とは別枠で、毎年毎年一兆五千億ウォンをことしの七月から十年間の期限で合計十五兆ウォンを徴収して、これをガット・ウルグアイ・ラウンド後の韓国の農林水産業の振興のために充てる。日本の一円が韓国の六ウォンでありますから十五兆ウォンということは二兆五千億、こういう金額になるわけでありますが、こういうことを既にやられたわけです。  私は、細川内閣のナンバーツーだった羽田総理、それからその当時の農林大臣のこともあえて言及しましたけれども、事このように韓国は頑張った、責任もとった、そして韓国に農業振興基金もつくった、こういうことでありますが、総理、どうですか。我が国も、このポスト・ガット・ウルグアイ・ラウンド対策として、韓国のようなこうした特別な農業振興基金をつくるべきではありませんか。総理にお尋ねいたします。
  187. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私どもは、先ほども申し上げましたように、もう自民党内閣の時代からこの問題はずっと交渉し、そしてそういったことを踏まえながら、いわゆる日本の農業を一体どうするのかということのためのいろいろな議論を続けてきました。しかし、今度のものを踏まえて、今農政審の中でも議論されておりますし、それで私たちはその議論というものを踏まえて、間違いない日本の足腰の強い農業、これをつくるために対策本部を設けてあるわけでございまして、私どもは、この答申をいただきながら的確な対応というものをしていかなければいけないというふうに思っております。
  188. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 総理がツルの一声で公共料金の年内凍結を、引き上げ凍結をされたわけですね。このガット・ウルグアイ・ラウンド問題、七年間に及ぶ問題でありますから、私はこの場において総理の御英断があってしかるべきじゃないかと思いますよ。やります、こういったたぐいのものをやるんだ、そういうようなお気持ちをもう少し前向きに踏み込んで御発言、御答弁いただけませんか。
  189. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私はやはりこの機会に、例えば後継者の問題なんかもあるわけでございます。そのほか、やはり日本の農政の中で大きく展開していかなきゃならない問題がある。こういったものをよく今農政審の中で議論いただいておりますから、これを踏まえながら私どもは間違いなく的確に対応していきたいということだけを申し上げたいと思います。
  190. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 次は、財政制度審議会の答申について大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。  私は、昭和五十九年から平成五年までの過去十年間の財政制度審議会の答申、建議書、報告書等々、全部ずっと目を通してみました。とりわけその中でも公共事業について私なりに精査をしたつもりであります。  平成五年十一月二十六日の財政制度審議会が「公共事業の配分のあり方に関する報告」をしております。お尋ねしたいんですが、藤井大蔵大臣は公共事業の配分のあり方に関して諮問を、ずばりこういうような諮問をしたのでありますか。お尋ねいたします。
  191. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 諮問は、より抽象的に財政のあり方について御諮問を申し上げた次第でございます。
  192. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 大蔵大臣の諮問機関である財政審でありますが、今御答弁がございましたとおり、藤井裕久大蔵大臣は、この財政制度審議会に対して極めて抽象的な諮問をしたにもかかわらず、この財政審は、公共事業の配分のあり方に対しまして、御丁寧にもAランク、Bランク、Cランクと公共事業のランクづけまでしてくれたのであります。過去十年間の財政審の答申、報告、すべてどこを見てもそのような差し出がましい、これはまさに国会に対して差し出がましいことであると思いますが、財政審答申の中に盛り込んできたのであります。  そして、これを見ますと、公共事業については、Aランク「生活環境整備」、Bランク「国土保全」、Cランク「産業基盤整備」の三つの類型に分類しなさい。そして、Aの分類は住宅、下水道等々といろいろ書いてあります。Bは治水、海岸等々書いてあります。そして、Cランクには工業用水、漁港、沿岸漁場整備、港湾、農業生産基盤等々と書いてあります。そしてさらに、三類型の優先順位は、A、B、Cの順とすることが適当である、このような答申まで書いてあるわけですね。  そしてさらに、このようにも書いてあります。Aランクの公共事業については集中的に投資するように、Bランクの公共事業については長期的視点から着実に実施しなさい。問題は、Cランクです。全体としては重点的かつ抑制ぎみに扱いなさい。抑制ぎみにということは、予算を削りなさいということなんですね。これは本当におせっかいな、厚かましい答申だなあ、このように思います。  そして、「おわりに」と書いて、配分の問題は平成年度だけに限られるものではなく云々、こう書いておりますが、最後に、政府は公共事業に対するニーズの変化を的確に把握し、情勢に応じた適切な配分に努めるよう希望すると、最後は美しい文章になっていますが、しかし、はっきりとA、B、Cランクが示されました。  これについては、どうしてこうなったのかということで調べてみますと、十月二十六日の第二回のヒアリングで、農林水産省、運輸省、建設省の官房長等を呼んでヒアリングをしている。私は、農林水産省、運輸省、建設省の官房長が、このときのヒアリング、関係者のヒアリングにどのような気持ちで臨まれたのか、そしてどういうようなヒアリングがあったのか、承りたい気持ちでいっぱいであります。  それにいたしましても、大臣どうですか。こういうような僭越な、大蔵省主計局に対する極めてきめ細かい裁量というものを私はすべきではないのじゃないかと思いますよ。大蔵省というのは、天下の大蔵省で、主計局長以下それぞれ主計官等が本当に哲学を持ってやっているはずですよ。これをこういう形できめ細かくランクづけをする。さらに言うならば、それをもっときめ細かくランクづけすれば、あるときボタンを押せばもう自動的に予算が決まってくるということになりはしませんか。  私は、この問題について申し上げたいと思いますが、大蔵大臣のお気持ちを、御見解を承っておきます。
  193. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 財政制度審議会は大蔵省の独自の諮問機関でございますので、その内容に立ち入ってまでは申し上げませんが、やはり基本的には財政のあり方、これが放漫に流れてはいけない、そのときおのおのの施策がどうあるべきかということを御意見としていただいたものと思っておりますが、私は、公共投資政策につきましては、基本的に言いますと、今、本当に本格的な長寿社会が来る前に、大いに推進していかなければならない問題だと思っております。  それからもう一つは、公共投資、今挙がっているものはみんな大事なものだと思っております。ただ、今までの進捗状況等々を見ますと、より生活環境に密接しているものがおくれている、こういう認識で、その書き方は今御指摘のような御意見があろうかと思いますけれども、よりおくれているという分野により重点的に投資しなさい、こういう趣旨として受けとめ、今御審議をいただいております平成年度予算編成させていただいている点を御理解いただきたいと思います。
  194. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 財政審のメンバー表もあるのでありますが、大変残念なことでありますが、このメンバーの皆さんが、ガット・ウルグアイ・ラウンド後の農林水産業のあり方等々について深い思いやりなりあるいは配慮なりが足らなかったと思うし、全然それが生かされていないわけです、この「公共事業の配分のあり方に関する報告」を見ますと。なぜならば、A、B、CのCランクに、大切な漁港であるとかあるいは沿岸漁場整備とか港湾とか農業生産基盤、土地改良事業ですが、こういうものをほとんどこの中に入れたということについては理解に苦しむわけであります。  また、農業後継者が農業生産基盤整備、土地改良事業の地元負担金の重圧に必死に耐えながら、あすの希望を見出して頑張っているわけです。また、水産漁業後継者にとっても、漁港とか沿岸漁場の整備は海の男の命そのものなんですね。これを頭から否定するようなこの国づくりの基準をここに示すことは間違いだと私は思います。  私自身も、こういうことが行われますと、農村、山村、漁村、過疎地域から見ますと中央に対して何となく差別感とか、あるいは政府、中央に対する疎外感を伴う嫌悪感さえ覚えてしまうのです。  だから、どうでしょうか、総理、また大蔵大臣、このA、B、Cのランクづけは、御丁寧な平成五年の財政審議会の答申でありますから、これは今年度限りでありますから、もう今年度限りにして、来年度からはこれについては取りやめにしてもらいたい。Aランク、Bランク、Cランクのこういう枠組みは完全に、声は小さいですが、やめてほしい。大蔵大臣、よくお答えをお願い申し上げます。
  195. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 その答申の趣旨というものは、今申し上げたように、公共投資というものはみんな大事だけれども、より生活環境を重視すべきだということだと思います。  ですから、今、衛藤委員お話しの、地方を都会に比べて差別しているのではないかという点についてでございますが、今回公共投資で一番伸ばしましたのは農村集落排水事業でございまして、これは一六%でございます。その次が廃棄物で一四%、その次が上水道。そこいらの、上水道になりますと非常に地方のウエートが高うございまして、都会、地方という問題ではなく、農村につきましても生活に関連するものについては非常にウエートを置いている、また、そういう平成年度予算を提出させていただいているということを御理解をいただきたいと思います。  もう一つ、ウルグァイ・ラウンドの関連でございますが、先ほど総理が答えられましたように、ウルグアイ・ラウンドに直接関連する予算措置については現在農政審なり対策本部で議論になっておりますが、既に前政権の時代にお決めいただきました新政策を加速的に前倒しをいたしまして、平成年度第三次補正予算あるいは平成年度予算で農村整備あるいは構造改善あるいは新金融政策等やらせていただいておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  196. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私が申し上げていることは、そういうことはわかった上でのことなんです。集落整備ですね、この排水事業、よく知っています。伸び率一七%、わかっています。その事業規模もよく知っていますよ。そういうことを言っているのじゃないんです。つまり、先ほど申し上げましたとおり、国づくりの公共事業を、基準、物差しを使ってAランク、Bランク、Cランクとするのはおやめなさい、やめた方がいいですよと、このように言っているんです。  これは今大蔵大臣から中央、地方というようなことで御答弁がありましたけれども、私は、自治省が作成した行政投資実績表というのを持っているんです。これを見ますと、やはり中央の方がどう見たってはるかに投資額は多いんですよ。地方の方が少ないんです、これは。こういう統計資料に基づいて私は言っているんで、私の観念的なことを言っているんじゃないんです。  そこで、この財政審は大蔵大臣の諮問機関ですから、そして単年度年度のこういう諮問をしてもらうのですから、これは前内閣細川総理のときのことでありまして、今は羽田内閣総理大臣にかわったわけですから、ここで切りかえたらどうですかと言っておるのです。  なぜならば、細川さんは日本新党の旗上げのときに日本新党の政策綱領を掲げていますよ。その中にはっきりといわゆる都市部を、生活者を重視するんだということをにじみ出しているわけでしょう。だから、細川総理は、事あるごとにそのことを総理になられてもどんどんどんどんアピールした。だから、大蔵大臣の諮問機関であっても、委員がそれぞれこのことを踏んまえて、内閣最高責任者である総理の御発言を踏んまえましてAランク、Bランク、Cランクなんてやったんだと私は思うのです。だから、もう内閣はかわったのです。  また、私は、細川内閣が急に支持率が落ちてきたのはこのおかげだと思いますよ。このランクづけをしたから一気に支持率が急落したんだと思いますよ。冗談じゃなくて、長い間国づくりの第一線で命をかけてきた農村、山村、漁村、過疎地域の皆さんのこのお気持ちはやはり支持率にあらわれたなと私は思うのです。  羽田総理は農業を大事にされた総理大臣であります。農林大臣も経験をされました。でありますから、私が言うまでもなく、ぜひ羽田内閣の重要閣僚であります藤井大蔵大臣、財政審のこの平成年度予算に対する、要望はこれで結構ですが、もうことし限りにして、このAランク、Bランク、Cランクは、この財政審答申は平成年度予算についてのみ有効で、後は無効、これだけにするんだということを言ってください。言わなければ、次から次とまた申し上げますからもうはっきりとここで申し上げてください。藤井大蔵大臣、お願いします。
  197. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 まず、英語の話はこれは財政制度審議会がお決めになったことであり、それにとやかく申し上げることは差し控えさせていただきますが、やはり物の考え方として私は正しいと思っております。都会を優先するというニュアンスはそこにはないはずでございます。都会、農村を通じて生活の環境に影響するもの、密接なものを重点的にやろうということでございます。  もちろん、都会の中でも非常におくれているものはございまして、例えば地下鉄のような、都市交通のようなものはやはり非常におくれていたから、これは重点的にやっていかなければならないと思います。また、逆の例で、さっき申し上げたように、農村における排水施設のようなもの、これは最重点になっているわけでありまして、ひとつそういう物の考え方については、どうか御理解をいただきたいと思います。
  198. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 それでは羽田内閣も、せっかく我々がこのように地方、農村、山村、漁村、過疎地域にもっと政治の光を、そして公正な、均てん化した国づくりをしてください、そのあかしとして公共事業のランクづけはもうおやめなさいと、このようにいろいろ言っているのでありますが、今の大蔵大臣のお話でありますと、やる、従前どおりやるというぐあいにとられるのであります。私はそれはやめてほしいと思うのです。  漁港建設あるいは港湾建設、港湾を見ましても、ガット・ウルグアイ・ラウンド後、空港とか港湾とか、国際化に対応して早くやらないと、これこそ関税障壁として問題になりますよ。現になっているのでしょう。こういったことをあえて一番Cランクにして抑制的にするということは、それは理解できませんし、予算委員会の権威においてもそれを了とするわけにいきません、これははっきり言って。そんなものじゃないですよ。大臣、これについては検討すると、このようにお答えできませんか、検討してみると。
  199. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 衛藤委員のせっかくの御質問なんでございますが、物の考え方としては私は正しいと思っております。  そして、今Cという例でおっしゃいましたが、同時に「重点的」という言葉を使っているわけでございまして、私は、例えば農村の基盤整備事業など、本当に大事なものは重点的に予算措置をしていくという意味も含まれているように考えておりまして、一律にどうこうということもないし、ましてや都市と農村の問題を言っているのではないということを改めて御理解をいただきたいと思います。
  200. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 そういう理解もできるのですが、大臣がそうおっしゃるなら、ではこのAランク、Bランク、Cランク、取っていいじゃないですか、今あなたそうおっしゃっているんだから。そうでしょう。お取りになったらどうですか。Aランク、Bランク、Cランクというのをおやめになったら。だって、あなたはそれでいいと言っているじゃないか。正しいんだと言っているんだから、何もあなた、このランクづけすることないでしょう、わざわざ。なぜやるのですか。  つまり、これがないとますます、少数与党として、数が少ないので、執行権が弱くなったので、野党が多いので、大変、今度予算編成ごたごたするぞ、こういうことまで思っておるのですか。
  201. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 繰り返しになって大変恐縮でございますが、財政制度審議会が言われていることにいろいろなことを申し上げる立場にないのはお許しいただきたいと思いますが、それを受けて、政府としてはその思想に基づいてやっているということで、今私がるる御答弁申し上げておりますように、農村と都会の問題ではない、生活環境に密接したものに重点を置くということ、そしてまた、たとえ、Cという言葉がいいのかわかりませんが、それにおいても必要なものは重点的に採択をしていく、こういう趣旨であるということを改めて答えさせていただきたいと思います。
  202. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 そういうことはすべてわかっておるんです。すべてわかっておるんです。  さっきも言いましたように、全国の農業高校を卒業する若い諸君で農業後継者になる人は本当に少ないんですよね。二千人ぐらいでしょうか、もう今は。何名でございますか、今。千百になりましたか、もう。二千人のこのオーダーがもう千百になっちゃった。なぜですか。  また、そういう後継者と話すと、このランクづけはやめてください、もう泣けてくる、死ぬ思いだ、こう言うのです。また漁村に行くと、彼らがそう言うのですよ。あるからおたくが予算編成が楽になるものではありませんでしょう。あるから何か特別な、そういう意味もないじゃないですか。大蔵大臣がしっかりすれば、ちゃんと采配すればできることじゃありませんか、これは。なぜそんなにこだわるのですか。なぜこだわるのですか、それに。大臣、ひとつもう一度答弁してください。
  203. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 再三お答えしておりますように、私は物の考え方として、どっちが重要じゃないとかそういうことを言ってないわけでございまして、今の時点において公共投資をどう考えていくかという物の考え方は正しいと思っております。そして、それに基づいて予算編成をさせていただいていることを御理解をいただきたいと思いますし、おれたちが差別されている云々につきましては、ひとつ衛藤委員からも十分そういう方々にお話しいただきまして、そういう趣旨とは全く違うのだということをそういう皆様に御理解いただけるようにしていただければありがたいと思います。
  204. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 もう時間がなくなってしまいますのでこれ以上申し上げませんが、大変遺憾であります。残念であります。しかし、私は気が長いから、きょうだけではありませんから、またこの問題については大蔵大臣とじかにお話もさせていただきます。そして、粘り強くお話をさせていただき、農村、山村、漁村、地方、過疎地域の声をしっかりと反映し、地域の皆さんがあすの生業に希望が持てるような、そういう政治の一つの指針を出してもらうようにあらゆる努力を私はしていきます。大臣、これで終わったわけではありませんので、そのつもりにしておいてください、お願いを申し上げておきます。  次に、四全総の点検と新全総についてお尋ねをいたしたいと思います。  仄聞しますと、ことしの十月ぐらいから五全総の作業に入るやに聞いておりますが、国土庁長官、四全総の総点検、見直し、またそのポイントがどこにあったのか、またその反省点を生かして五全総ではどういうようなところに力点を置いてこれをつくるのか、国土庁長官の御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  205. 左藤恵

    左藤国務大臣 四全総の策定の後に経済社会の情勢が大きく変わっておりますので、長期的な視点に立って国土政策の対応する方向を明らかにするために今見直しの作業が実施されておりまして、来月の中旬あたりを目途に報告がまとまる予定というふうに聞いております。  この見直しの作業が出ました段階で我々いろいろ問題を具体化していくための努力をしなければなりませんが、今後予想される本格的な、一つは人口の減少、高齢化の非常な急速な進展、これに対応していかなければなりません。それから二つ目には、人と自然が共存する国土づくり、こういうものに努力していかなければならない。それから三つ目が、我が国の国際化の進展、そういうものに一層対応していかなければならない。  こういった点が重要課題として考えられますので、この全総計画の策定につきまして、国土審議会からの新しい答申を得た上で判断してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  206. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 ただいまお話が出ました国土審議会の了解を得て五全総を決定をする、こういうようなお話でありますが、国土庁長官として、五全総というのはいつからスタートさせて、おおむね何年間で、その投資規模、いわゆる公の公共投資と民間と大体どんなものだというおよその概念はございますか。
  207. 左藤恵

    左藤国務大臣 今そういった作業が行われておりますので、こういった状況を見た上で我々考えなければなりませんが、五全総といいますか、その次の見直しの焦点として当てなければならないのは、ちょうど紀元二〇〇〇年ごろのことを考えなければならないのじゃないか、このように思っております。
  208. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 今大臣からおおむね紀元二〇〇〇年ごろを想定して作業にかかる、こういうことでありますが、私は、四全総前倒しといいますか、早目に作業にかかるということは大変結構なことだと思いますし、またこの四全総の見直し、点検、三つの視点が今出されましたが、これをよく踏んまえて五全総に生かしてほしい、このように思うのです。  とりわけ我が国は世界に類を見ない超高齢化社会を迎えますし、そのスピードが物すごい速さですし、また情報化社会、これも間違いなくアメリカに追随するくらいの超情報化社会が来る、これも間違いない。そしてさらには国際化社会が来る。しかも三十七万平方キロの小さな長い列島国家であります。そのことを考えましたときに、ある意味では、これから日本がつくる国土形成というものは、全く新しいモデルを世界に示すのではないかなと思うのです。  恐らく世界じゅうにこういう我が国のような例はないわけですね。それだけにヨーロッパを初め各国の皆さんが、国の状況が似ていますから、小さな国ですから、大変関心を持っている。私はそのことをよく聞いております。  それだけに、この五全総というのはひとつ気合いを入れて取り組んでほしい、このことをお願いしたいのですが、その中でもよく報道されております新しい国土軸ですね、これについてぜひ真剣に取り組んでほしいと思います。  今ある東京から東海道、山陽道、九州に行くのを第一番目の、第一の国土軸とよく言われますが、これは明治時代の富国強兵のためのハードな国土軸であったことは間違いない。産業振興の国土軸であったことは間違いない。これに対して第二番目の新しい国土軸を全国につくろう。例えば日本海側には日本海新国土軸をつくろう、あるいは太平洋側には太平洋新国土軸をつくろう。  特に太平洋側の新国土軸については、かつて昭和四十年に国連のワイズマン博士を団長とするワイズマン・レポートにのっとって、このワイズマン博士は、新しい太平洋新国土軸のことを第二東西道路、ザ・セカンド・イースト・ウエスト・ロードと位置づけまして、その第二東西道路は、東京から来て、豊橋からずうっと書き込んであるわけです。それが今私どもは第二国土軸、わかりやすく言いますと東海道、南海道、四国道、九州道、こういうような表現をしてきたのでありますが、この第二国土軸、東海道、南海道、四国道、九州道、第二東西道路、新しい表現をもってするならば太平洋新国主軸、それから日本海新国土軸、これは何としてでも五全総の中に明確に国土軸として位置づけなければならない、私はそのように思っておりますが、大臣、この点についていかがでございますか。
  209. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しのとおり、これから地域間の交流、連携を深めて国土を構成していく上において今のお話の新たな国土軸の構想というものは非常に大切な問題で、西日本、東日本それから日本海海岸、各地からいろいろなそうした提案が行われております。そして、先ほど申しましたように、二十一世紀の国土づくりの議論を深めていく上でこれは非常に大切なことだ、このように考えておりますので、当然に今国土審議会で審議されております四全総の総合的な点検作業、ここの段階でこういった問題は提案されてくる、このように考えておるところでございます。
  210. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 この第二国土軸、新しい国土軸の実現に向けては、国土庁に作業部会ができましていろいろと議論されておることもよく知っておりますし、また建設省の方にも海峡部分の、海峡横断建設のためのプロジェクトの研究チームといいますか、そういうものもできておることもよく知っております。  これは概念図でございますが、東京から第二東名で豊橋に来て、それから津、五條市、和歌山市、徳島、四国を縦断して松山、そして九州の大分に上がってくる、こういうようなことになっておるわけであります。  この中で、特にこれから問題になるのは、この伊勢湾口の上の、海の上の約二十キロのこのルート、これは伊勢湾架橋と言っています。橋で約二十キロをつなごう。それから紀淡海峡、約十キロ、これはトンネルでやろう。それから、九州−四国の海底トンネル、豊予海峡トンネル、これは約十四キロを海底トンネルでということでありますが、先般ドーバー海峡トンネルができました。ユーロトンネルですね。あれはトンネルの長さが約五十キロでありますが、この九州−四国間の海底トンネルもちょうど五十キロぐらいの長さになるわけであります。勾配を千分の十五ぐらいにすればちょうどそうなります。  千分の十五なんていいますと、えらい勾配がきついねと言うかもしれませんが、北陸新幹線の高崎−軽井沢間で、横川と軽井沢間の北陸新幹線の勾配は千分の三十でございますから、総理御案内のとおりであります。横川と軽井沢、あの間は新幹線の勾配が千分の三十、それでもすいすい行くわけですから、その半分の勾配の千分の十五をとっても、この九州−四国豊予海峡トンネルは五十キロの長さを切る、こういうことになるわけです。英仏海峡トンネルも五十キロの長さで六年間で掘りました。英仏海峡トンネル、六年間で掘りましたが、その技術は我が国の川崎重工、三菱重工、こういうところが大活躍をされたことは御承知のとおりであります。  そして、六年少々で掘れたということでありますが、それは衛藤君、九州なんか島じゃないかと言うかもしれませんが、九州は実はオランダとちょうど同じような実力を持っています。面積もほぼ同じ、それから県民総生産もオランダのGNPとほぼ同じです。それから人口はオランダが約一千五百万、九州は一千四百五十万、面積も四万平方キロ、ほとんど同じぐらいです。GNPも二千八百八十億ドル前後、大体オランダと同じです。  この四国の島ですが、これは本州−四国連絡架橋によりまして、四国は半島になったわけです。もう島ではないのです。半島になってしまったわけですね。ですから、中国地方とこの四国を合わせますと、これまたオランダ以上の国家にも相当するわけですから、この豊予海峡トンネルというのは、ある意味では国と国を結ぶ新しい日本の二十一世紀の幕あけのトンネルでもある、ユーロトンネルに決して遜色がない、こういうことであります。  すべてがこのように、どの海峡部分のプロジェクトにいたしましても極めて大きな意味を持っておる。第一の国土軸がハードの国土軸ならば、この第二の国土軸をソフトの国土軸として、研究とか住居とかあるいは文化とか、リゾート、リサーチ、いろいろの面のソフト部分も含まった、まさに総理のお好きな言葉の共生軸ですね、共生の新しい軸として、ソフトな軸としてもこれを生かせるわけであります。  実はこの九州−四国豊予海峡トンネルについては、鉄建公団でもうすべて調査が終わっておるわけでありまして、十七億円かけまして調査をして、報告書も出て、青函トンネルの建設技術をもってすればこの九州−四国海底トンネルは建設可能であるという報告書が出ているのは御案内のとおりであります。  また、紀淡海峡も着々とそういう調査が進んでおりまして、とりわけ伊勢湾口の海の上の二十キロは建設省がどんどん調査をしている。そして、前回の国土審議会で、御案内のとおりこの海の上をわざわざ国道四十二号に格上げをした。伊勢湾の海の上を、二十キロを国道四十二号に格上げしたということは、建設省が責任を持ってつくるというシグナル、サイン、意思表示でしょう。  こんな点を含めまして、私は、この太平洋新国土軸、第二国土軸、同じように日本海新国土軸の建設は極めて直近の問題である、しかるに四全総に明確に位置づけてほしいということをしっかり大臣に申し上げたいと思いますが、大臣、この点について明快な御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  211. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しの、四全総の見直しというものが答申として出てまいりました。さらに、新たな国土の軸を確定するというふうな意味で、もう既に平成年度から予算には調査費が組まれておりますけれども、本年度の今御審議いただいております予算にも調査費が組まれておりますので、これを活用して御趣旨の線を確定するといいますか、固めていきたい、このように考えておるところでございます。
  212. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 今大臣から、確定していきたい、固めていきたいという明快な答弁をいただきました。大変頼もしく思っております。ありがとうございました。さすがはベテラン大臣でございます。ありがとうございました。  さて、この四全総絡みのことでありますが、私は国土庁長官に申し上げたいことがあるのです。それは近々発表になります地方拠点都市ですね。地方拠点都市、この点についてお尋ねいたしますが、もうそろそろ、この地方拠点都市については作業が進んでおって、あとはすり合わせだけでもう発表の時期に来ていると思うのです。このように国土庁の絡み、それから建設省が所掌するところの地域高規格道、これももう発表の前に来ておる。  平成年度、三年度、実質税収入が落ち込むような極めて不況のこのときに、また景気も悪いこのときに、むしろ発表できるものは前倒しで、地方拠点都市の追加箇所も決まっているわけですから、また地域高規格道のすり合わせで、もう発表だけですから、地方拠点都市は九月ごろでしょうなということではなくて、私は今国会会期末までにも発表してほしい。  また地域高規格道についても、地方にとっては地域高規格の自動車道あるいは高速道、それに連動する、九州なら九州ブロック、北海道なら北海道ブロックの各ブロック軸となる地域高規格道というのがあるわけですから、それを早く発表する、調整してすぐ出す。  そのことが景気誘発効果にもなるし、またそれだけではなくて、明るい一つのこれはアナウンスメント効果も間違いなく出てくる、私はこう思っておりますが、関係の両大臣からこの点について、地方拠点都市、地域高規格道、いっこういう作業で発表する、ひとつそのことをお答え願いたいと思います。
  213. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しの地方拠点法に基づきます地方拠点の都市地域につきまして、今まで四十四地域指定されておりますが、先般新たな指定都市、地域指定につきましてヒアリングの申し出がありまして、二十五道府県、それから二十六地域につきまして四月中旬からそのヒアリングを行っておりまして、この整理がつき次第指定していきたい、このように考えておるところでございます。
  214. 森本晃司

    ○森本国務大臣 先生からお尋ねいただきました地域高規格道路網計画でございますが、先生がおっしゃっていただいているように、それぞれの地域の交流あるいは連携等々図っていく上からも極めて私も大事なものだと思っております。できるだけ早い時期に、きょうも先生からおっしゃっていただきましたので、早期にその指定をしたいと考えておるところでございます。
  215. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 重ねて両大臣にお尋ねいたします。六月二十九日が今国会の会期末でありますが、この国会の会期末までにこれが整いますか。お答えいただきたいと思います。
  216. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話でございますが、今そういった調整をやっておりますので、六月二十九日という日を限られますと非常に難しい問題でございますが、それを目標に努力をさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
  217. 森本晃司

    ○森本国務大臣 今進めておるところでございます。できるだけ早い時期にその指定をさせていただきたい。先生の御熱意を聞かせていただいて、そうさらに感じているところでございます。よろしくお願いします。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  218. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 急なことでしたから、大臣とそれぞれの各スタッフとの打ち合わせ、よくできていないと思います。それは理解をいたしますが、八十日間も予算がおくれている、こういう状況ですから、国民にその分をお返しするためにも、できるわけですから、やってください。  例えば、地方拠点都市の追加発表にいたしましても、昨年の例を引けばと、こうなると九月になっちゃうんですね、九月に。作業工程を同じようになぞらえていくとですね。それでは困るんです、はっきり言って。だから、そうならないように、少なくとも六月二十九日の今国会会期末までに全力を挙げてやってほしい。羽田総理は、公共料金の年内凍結を打ち上げたわけでありますから、そのことから見ましても、今もう既にこう固まっているんですから、できないはずはないんです。ぜひ、強くこの点は私の方から要請をさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。  なお、国土庁長官にお願いがあるのです。この新しい国土形成についての絡みでありますが、四全総ともすべて絡んでくるんです。関西新空港ですね、この関西新空港については十分な配慮をしてほしい。これは国土庁長官だけではなく、関係各大臣に、細かいことはもう言いませんから、ぜひお願いいたします。  関西新空港の着陸料が高いために、JALが貨物便を関西新空港には乗り入れを見送るなんて、何とも情けない話なんです、はっきり言いましてね。ほかにいっぱいあります、こういうことが。全体構想の問題やら、いろいろあります。また、それに絡んで神戸空港の問題等もございまして、そういうこともいろいろ絡んでくるでしょう。そんなことを四全総の中で十分に、新しい国土形成に絡めてお考えいただきたいと思います。  次に参りたいと思います。  次は、各省庁の行財政改革についてお尋ねをいたしたいと思います。  私は、先般、各省庁に対しまして行財政改革のアクションプログラムを示してほしいということをお願いをいたしました。これに対しまして各省庁からそれぞれそのプログラムが示されてまいりました。  まず、羽田総理にお尋ねをいたします。羽田総理は、前細川総理と同じように、細川内閣と同じように、行財政改革については、それをにしきの御旗として真剣に取り組む、こういうことをおっしゃっておられますが、まず総理のその決意を承りたいと思います。
  219. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 行政改革につきましては、これは国政運営上の何といっても最重要課題であろうというふうに考えております。二月の十五日の日に閣議決定した今後における行政改革の推進方策、ここでも規制緩和、地方分権、これは行革と一体となってでありますけれども、それから行政情報公開、あるいは行政組織、特殊法人の改革・合理化等、これら各般の改革課題につきまして方向づけを与えております。  私どもも、この基本的な考え方、これに基づきまして、各般の改革課題につき勇断を持って積極的に対応していきたいというふうに考えております。
  220. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 今、羽田内閣総理大臣から、行財政改革についての決意、大方針が披瀝されたわけでありますが、大変結構であります。  今国民が一番求めておりますのは行財政改革、それから規制の緩和ではないか、私はこのように思っております。もちろん景気対策もありますが、とりわけ行財政改革断行、それから規制緩和の実行、このことを強く望んでおるわけであります。  私は、先週末に各省庁に対しまして、これから取り組む五年間の行政改革の計画を示してほしいとお願いをいたしました。また、第八次定員削減計画に基づく定員削減の実績を示してほしいということをお願いをいたしました。また、今後五年間程度の規制緩和のアクションプログラムを示してほしい、このようにお願いをいたしました。各省庁から、きょうこのようにそれぞれいただいております。このことは、各大臣は御承知なんでございましょうか。まず総務庁長官、お尋ねいたします。
  221. 石田幸四郎

    石田国務大臣 伺っております。  詳細、御報告申し上げますか。(衛藤(征)委員「いや、結構です」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
  222. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 これは総務庁長官の方から各省庁に対しましてお願いをしていただいたもの、このように理解してよろしいでしょうか。  私の手元に、特殊法人の改革を含めましてるる細かい各省庁の方針が出されておりまして、大変結構なことであります。私は、中央は行政改革、財政改革をやるが、地方の方が行財政改革がやや緩慢ではないかという感じがするわけでありまして、まずこの点につきまして、自治大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  223. 石井一

    石井国務大臣 昭和六十年に次官通達を出しまして、地方の行政改革大綱の策定を促してまいりました。それに従いまして、事務事業の見直し、組織・機構の簡素合理化、行政改革に積極的に取り組むという姿勢がその後継続されておるわけでございまして、具体的に地方の公共団体が創意工夫を凝らしてこれらの問題に取り組み、機関委任事務の整理合理化、国の関与、必置規制の見直し等に努め、国・地方を通じてこの効率が上がるように努力をいたしております。  私、きょうの質問に対処するという意味でいろいろ事情を聞きましたが、ある部門においては地方の方がずっと進んでおるよ、こういうふうな報告も受けておる次第でございます。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  224. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 ただいま自治大臣から、ある分野については地方の方が進んでおる、確かにそうでございますが、ただ、地方にありましては、福祉の分野にありまして、ずばり言いまして、細川総理国民福祉税ではありませんが、その冠を伝家の宝刀のごとく仕出して、この福祉分野の定員といいますか、また地方の外郭団体、関連団体、そういうところの定員が私はふえておるのじゃないか、このように見ております。  また、国にありましても同じことが言えますし、私がちょうだいをいたしましたこの第八次定員削減計画等々を見ましても、詳しく精査をしますとこれはまだまだであります。まだまだであります。まして特殊法人、公社公団等々の分野に至りましては、統廃合すべきものもありましょう。  こういう統廃合のことにつきましても、総務庁長官はお考えがあろうかと思いますが、この点についても、総務庁長官のお考えをまず承りたいと思います。
  225. 石田幸四郎

    石田国務大臣 国家公務員等の定員の問題につきましては厳に抑制をしてきたわけでございまして、平成年度においても二千人ぐらい、二千三十三名ですか、削減をいたしたところでございまして、アメリカ、イギリスとの比較を見ますと、一千人に対する四十人程度ということでございます。アメリカは八十人ぐらいになっておりますから、二分の一ということで、今までの自民党政権下におきましての努力の継続が今行われているというふうに承知をいたしておるところでございます。  そういう中にありまして、しかしこれからの社会の推移に従って行政も変えていかなきゃならないわけでございますから、特殊法人等においての見直しも当然それは聖域ではない、各省庁の問題も将来にわたって考えなければならないというふうに考えておりますが、しかし実際に精査しながらやっていかなきゃなりませんので、行革大綱には二年をめどにというふうに考えて、各省庁にこれからいろいろお願いをするところでございます。  なお、今後の税制改革等の問題もございますので、当然与党の方からも野党の方からも、それだけの税制改革をやるに当たっては、国民に対するお願いとして身を削るような、要するに行財政の改革が必要だという御要求が出てくるものと思っておりますので、それらのお話を承りながら、さらに前倒しで考えることもあり得る、このように決意をいたしているところでございます。
  226. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 ただいま石田総務庁長官から、おおむね二年を目安にしてこの具体的なアクションプログラムをつくっていくんだ、こういう御答弁がありましたが、私は、二年も結構ですが、やはり五年というような一つの期間が最低必要ではないかと思います。  大臣御案内のとおり、我が国は少子・高齢化社会にどんどん進んでいる、西暦二〇二五年がほぼピークだろう、このような認識に皆さん立っておるわけであります。それでは、西暦二〇二五年といいますと今から三十一年目ですか、こうなるわけですね。  だから私は、当然国家を運営する総理大臣やあるいは総務庁長官にあっては、ピークをちゃんと今から見据えて、三十一年後の西暦二〇二五年の一つの通過点、出発点であることしという、そういう認識に立ってほしいと思うのです。二年ごとでぶつぶつ切るのではなくして、西暦二〇二五年というものをしっかり見据えて、それではどうするんだというようなそういう行財政改革の視点、コンセプトといいますか理念、そういうものをしっかり確立してほしいな、このように思います。  いやが応でも若い人は減りますし、また、いやが応でも今の福祉、例えば医療、年金、あるいは教育の水準、こういうものは少子・高齢化社会になっていくにしてもだんだん高めていかなければならない。しかし納税者は、若い人はどんどん減っていく、高齢者はふえていく。何としてもここで工面、工作をしなければならない。そのときに二年刻みでは、私は到底それに対応できないように思うのです。  ですから、ピークの二〇二五年というものをまずそこに置いて、そしてこの三十一年の中期的な、決して長期的と言いません、まさに中期的な行財政の展望の視点があってしかるべきではないかと思いますが、そういう決意を持って取り組まれるかどうか、総理大臣にお尋ねしたいと思います。
  227. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 我々といたしましても、今御指摘になったようなことを踏まえながら対応しなければいけないというふうに考えております。
  228. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 さようでありませんと、総理の頭の中にある、大蔵大臣の頭の中にあるいわゆる税制の改正、そういうものがまず整わないわけですね、条件整備が。交通整理ができないわけです。そういうものがまずあって、そしてこの三十一年をグロスで見て、マクロで見て、それからどうするかという話が始まるし、またその前にあるべきことは、言うまでもなく行政改革の断行であってほしい。それは中央もそうですが、地方もそうあってほしい、私はこのように思うのであります。  この大号令をかけて実際にやっていくためには、私ども三権の府である国会ですね、国会もそれに対して襟を正し、常に緊張してそれに当たらなければならない、私はこのように思っております。五百十一名の衆議院議員、二百五十二名の参議院議員、衆参七百六十三名の国会議員、この代表者の数が適正かどうか、そういうことも、これは国会の作業、仕事でありますが、我々はやらなきゃならない。当然、我々としてそういう問題を整理せねばならぬ。まあ、次の選挙は小選挙区比例並立制の選挙になりましょう。絶好のチャンスでもあります。  私は、かねてからこのように考えておりました。地方に行革をお願いする。国もやらなきゃならない。外郭団体もやらなきゃいけない。そのためには我々がみずから範を垂れる、そうでなければ絶対にできない、このように思ってまいりました。私も、かつて若いときに町の町長をやったことがあります。そのようなことをいたしました。しかし、血のにじむような努力をさせられました。行革ということは、口では簡単に言いますが、大変なことです。財政改革も横並びで大変なことでありますし、またそれを担保する税制改革もなおさら大変なことであります。言うまでもございません。  私は、この時期にありまして、総理初め関係閣僚の御苦労が身にしみてわかるわけでありますが、連立与党少数内閣であるだけに、この問題についてはよほどの意気込みと指導力を発揮してもらわないと難しいんではないか、言い過ぎかもしれませんが、絵にかいたもちに終わってしまうんじゃないかと、このように思うんです。  それを支えるのは、むしろ私たち野党だと思っていますよ。是は是、非は非として、建設的に、我々野党はやはり内閣を助けるときには助けていく、こういう姿でなきゃならぬと私は思っております。そこにありまして、ためには、私たちが襟を正すということは、国会議員の定数を削減すべきだと私は思っているんです。  私も、参議院議員六年間を経験しました。参議院に六年在籍した者として、本当は参議院のことについて言う資格は少しはあります。しかし、あえてきょうは言いませんが、衆議院にあっては五百十一名、三百の小選挙区になるわけです。三百であります。そして、比例区が二百であります。そして、参議院の方には地方区があるわけであります。百五十二あるわけであります。そして、衆議院と同じ比例区が百あるわけであります。  どこをどう見たって、これは私は合理化、削減せねばならない。でなければ国は動かなくなってしまう、私はこのように考えております。具体的な数字を私は持っておりますが、あえてきょうは申し上げませんが、大幅に削減をせねばならぬ、このように思っているということを申し上げたいと思います。  関係大臣にお尋ねいたしますが、行財政改革あるいは規制緩和、こういうものはすべて私ども国民負担率とかかわりを持ってくるわけであります。この国民負担率というのは、先ほど申し上げましたとおり、高齢化社会ピークの二〇二五年というものを常に念頭に置きながら国民負担率を定め、それに向けての努力をせねばならぬ、私はこのように思っておるわけでありますが、総理総理の頭の中にある西暦二〇二五年の国民負担率は何%でありますか、お尋ねいたします。
  229. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 租税と社会保険料、これを合わせて、やっぱり五〇%の中におさめるというのが、私どもが従来から勉強してきている方向づけであろうというふうに思っております。
  230. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 総理の御答弁のように地方税、国税、いわゆる租税、社会保障負担金、合算したもののGNPに対する割合、それが総理の頭の中にあるのは、国民負担率はおおむね五〇%と言いますが、ずばりここは総理、大変なことなんです。  おおむねではなくて、先ほど申し上げましたように、高齢化社会二〇二五年の通過点であることし、羽田内閣がスタートの一年を切ったわけでありますが、そんなことを視野に置いたときに、やはりその通過点の一人の内閣総理大臣として、私は五〇%以下だ、そういうふうにしっかりとした目標設定はできませんか。それが税制改革に絡んでくるし、それが規制緩和にも財政改革にも絡んできます。もう一度そこをひとつ総理にお尋ねしたい。
  231. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この点につきましては、まさに福祉を一体どのように進めていくのかということ、これは今議論をいただいて、この間も福祉ビジョンというのを打ち出していただいておりますけれども、そういう福祉、それに対する負担というのは一体どうするのか、こういったものも議論していかなければならないわけでありまして、私どもとしてはやはり五〇%、これを超えないようにしなければいけないという強い思いを持ちながら、そういうものの内容等についても国民皆さんに率直にやはり訴えていく必要があろう、あるいは御負担についても訴えていく必要があろうというふうに考えている。もちろんその中では、今お話がありました行政改革というようなものも進めていかなければならぬということであります。
  232. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 総理にお尋ねいたしますが、国の公債費比率ですね。これは総理は大蔵大臣も経験されておりますので言うまでもありませんが、この公債費率がだんだん上がってくる。地方の公債費率もさようでありますが、今総理が御発言された、西暦二〇二五年には国民負担率を五〇%以下にしたい。この公債費率ですね、この辺のところの総理の関連性ですね。当然総理は公債費率を抑える、それはおおむね羽田内閣のときには公債費率はこれぐらいだというのがなければ国家運営できないと思いますよ。それはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  233. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これはいろんなあれがありましょうけれども、いわゆる国債としての今の財政の中に占める割合はおよそ二〇%ということであろうと思っております。  ただ、これが今年度の末には二百兆を超すということになりまして、非常に財政が硬直化してしまうということでありますから、この財政の硬直化をともかく何とかほぐすためにも、新たな公債というものを発行しないように我々は努めていかなければならないという思いで、今いろんな財政支出に対して対応しておるところであります。
  234. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 今総理からお答えがありましたが、この公債費率ですね、御案内のとおり特例公債、それから建設公債ございますが、いずれにいたしましても公債については利払いが伴うわけでありまして、その利払いこそ私どものこの緊縮財政をもたらしてきておるわけでありまして、これを解決しない限りは二十一世紀を目指した福祉ビジョンも何もあったものじゃないわけであります。  また、国民負担率を西暦二〇二五年に五〇%にするといっても、その辺のところをしっかり解決しなければならない。財源の担保が必要なんであります。  総理にお尋ねいたしますが、国民負担率を、例えば総理の頭の中は五〇%ですが、四九%ぐらいに落としていく、あるいはそれを切るということについては、総理としては、国家運営上何と何と何、せめて三点ぐらいは、これはやらないと国民負担率は下がらないなという数字があると思うのです、総理の頭の中にですね、大蔵大臣経験者の総理として。それはいかがでございましょうか。
  235. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは、何と何と言うのは大変難しいのですけれども、当然、これは中長期にわたる話でございますから、私どもといたしましては、行政の改革というものを進めながら、効率のいい、しかも簡素化したものにしていかなければならないということがやはり何といっても重要なものであろうというふうに思っております。  それともう一つは、やはり福祉につきましても、適切な負担、適切な福祉を供給するということでありまして、この点についてもやはりみずから自立していただく、みずからが負担していくという部分というものも考えていかなければならないのだろうというふうに思っておりまして、こういったものを組み合わせていくことが必要であろうというふうに考えます。
  236. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私は、総理のお言葉から真っ先に出てくるのは、インフレなき経済成長をまずつくるんだ、そういう経済社会をどんとつくるんだというのがまず出てくるかなと思っていたのですが、やはり国民負担率を下げるということは、インフレなき経済成長を堅持することでしょうね、まずは。そして、経済のパイを大きくしなければ国民負担率が下がるわけないわけですから、まずこれをやらなきゃいけない。  それから、きついことではありますが、医療保険や公的年金の改正というものにやはり手をつけない限りは難しいことでしょう。それからもう一点は、政府だけではできません。行政だけではできませんから、当然民間活力のお力をかりなければならない、こういうことじゃないかなと私は思います。  そして、そういったことをやるためには、どうしても国民の意識改革といいますか、これがないと、どんなに強力な内閣、強力な総理であっても、それはできないわけですね。そんなことをあわせてやるということを我々は真剣に取り組まなければならないな、このように思っておるわけでありますから、どうか総理初め関係の閣僚におかれましても、こういうことについて全力を挙げて取り組んでほしいということを強く要請しておきたいと思います。  次に、私は、在外邦人の選挙権の行使についてお尋ねをいたしたいわけであります。  御案内のとおり、憲法の前文にもはっきりと、また憲法第十五条にも、国民に対する選挙の、選挙権の保障がなされております。憲法で守られたこの選挙権の行使、権利でありますが、これが在外にいらっしゃる約七十万人の在留邦人の皆様にはいまだないわけであります。この点について担当の自治大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか、まず質問を申し上げます。
  237. 石井一

    石井国務大臣 先刻、自民党も御参加いただきました超党派の視察団で、オーストラリアあるいはマレーシアを訪問いたしまして、現地での公聴会も行ったところでございますが、現地の皆様方の強いこれに対する要望というものも深く認識をしてきたところでございます。  御案内のとおり、昭和五十九年に政府提案でこの問題は国会に提起をされたわけでございますが、審議未了で廃案になっております。五十九年から今日まで約二十万人の在外の皆さんの人口がふえておる、こういうのが現実でございまして、これを事務的にどう処理するか。世界百数十カ国で同時にこれを行い、そして我が国で行われる総選挙に同時にそれを開票時に間に合わせるというふうなことになりますと、相当な事務的な準備をしなければいかぬというふうな問題もございます。郵便投票というものについては、例外的に認めておらない我が国の現状でもございます。  また、短期滞在者のみならず、前回の法案は短期滞在者に絞ったわけでありますが、外地へ出てみますと、永住権を持って出ておられる方の方が特に強いというふうなこともございまして、その他もろもろの問題がございますが、先日もこの公聴会の報告会といたしまして、自治、外務両省の担当官を招致し、具体的に問題点を指摘し、一日も早くこれらの事務的な問題が整理され、ぞして国会に御審議を願うという方向で努力をしてほしいということを強く要望しておるところでございます。
  238. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 御案内のとおり、米国とか豪州とかブラジルとか、多くの国で在外選挙の実現を求める署名運動や陳情が行われておることは、もう御案内のとおりだと思います。  私は、日本が国際国家としてPKOを初めそれぞれきめ細かい国際貢献をするに当たり、七十万人になんなんとする在外邦人が、自分の国際人としての原点である自分の選挙区、自分のふるさと、そのことに思いをいたすときに、やはり選挙権が行使されることが国際人として自覚を高め、真の国際人たるゆえんではないかな、私はこのように思っておりますから、総理、また自治大臣、ぜひ早急に在外邦人に選挙権行使の道を開くようにお骨折りをいただきたいと思いますが、総理のお考えを承りたいと思います。
  239. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この問題につきましては、過去にも在外選挙法案、これを政府提出をいたしました。ただし、そのときに廃案になっております。その後、皆様からもいろいろと御指摘がありながら、これについて検討を重ねると言って、もうどのくらいたちましたか、相当な年数が経ておると思います。  そして、今私の手元にあります「サミット国の在外選挙制度の概要」というのを見ましても、サミット加盟国の中でも、イタリアが今法案審議中、それでカナダは公務関係者だけということでありますけれども、そのほかの国にありましては、全部の人たちを対象とするとか、あるいは在住十年、二十年以内の人を対象とするというふうにして、実際に郵便投票あるいは代理者投票、また大使館で投票するというようなやり方で実際に行われているわけですね。  ですから、そういったことを考えたときに、今自治大臣からもお話がありましたように、問題点は確かにあります。しかし、問題点をただいつまでも問題点としているだけではこれはどうにもならないので、今お話がありましたように、なるべく早い時期にそういった権利がきちんと確保されるように対応することがやはり私ども、当然これは民主主義、しかも議会の皆さん方としてお考えになるのは当然であろうというふうに考え、私どもも、せっかく御指摘いただきましたことを旨としながら対応してまいりたいというふうに考えます。
  240. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 最後に、公共料金の凍結問題についてただしておきたいことがあります。それは、日経連の永野会長の発言であります。  五月二十一日のこれは朝日新聞でありますが、公聴会に出席する云々の問題でありますが、「高速道路料金をめぐる公聴会には、」云々という中に、「地域の発展のために高速道を通すには、料金の引き上げが必要だということだろう。しかし、東京の人間まで」、この相手、「大分県」と書いてありますが、「大分県の費用を負担するのはおかしい。高すぎる日本の高速道料金は世界で物笑いの種らしい。」こんな表現をしているわけですね。私は、日経連の会長にあるまじき発言だと思いますよ、これは。ちょっと行き過ぎた発言じゃないかと思うのですね。二十四日にはこの建設省絡みの公聴会に出席をされるようでありますが、建設大臣、この点についてはきつくひとつ注文をつけておいてください。  とんでもない話でありまして、この高速道路等はプール計算でやることはわかっているわけでありますから、先に行った地域がどんどん供用して、そして便益を享受して、そして後発組がプール計算でずっとできていくわけでありますから、先のできたところだけはいいんで、後は知らないよというような、これはいかにも全国を束ねる経済界の重鎮の発言としてはちょっと私は誤解を招く発言だと思います。大臣、この点についてどのようにお考えですか。
  241. 森本晃司

    ○森本国務大臣 先般永野会長とお会いいたしましたときも、私の方から、均衡ある国土の発展という点から考えまして、これからの高速道路の必要性等々も訴えをさせていただきました。会長からもその点については御理解をいただいたわけでございますが、今委員のお読みいただいた点について、私もこれは全体として物事を考えていかなければならないと思っております。  二十四日の公聴会は、これは私も出席しないわけでございまして、永野会長あるいはまた大分の知事さんも御出席いただきますので、それぞれ御議論いただきたい、このように考えておるところでございます。よろしくお願いします。
  242. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 大臣、私が要請しておるのは、大臣から、二十四日にというんじゃないんですよ、きょうでも、この予算委員会が終わりましたら、予算委員会質疑の件について詳しく、きつく永野会長に努めてお話をしておいていただきたいということです。よろしいですか。
  243. 森本晃司

    ○森本国務大臣 永野会長と会う機会、恐らくあると思いますが、委員のきょうの状況についてまたお話を申し上げさせていただきたいと思います。  以上です。
  244. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 先般私は、夜、10チャンネルの「ニュースステーション」というのを見ておりました。その日の晩のテーマは高速道路料金等の公共料金問題のテレビでありましたが、そのとき「ニュースステーション」のニュースキャスターが心外な発言をしたんですね。その心外な発言というのは高速道路料金値上げの絡みでありまして、何でも、道路公団、首都公団等には朝から晩まで仕事を全くせぬでお茶を飲んでいる人が何百人もいるという発言をしましたよ。びっくりしたわけであります。何十人じゃないですよ、何百人もいるという表現をしたんですよ。  これは、それを所管する建設大臣のPR不足か怠慢か、何であるのか、ちょっとこの点についてコメントいただきたいと思います。大臣、いかがですか。
  245. 森本晃司

    ○森本国務大臣 行財政改革について言われているところでありまして、また建設省も全力で取り組んでいるところでございます。  殊に道路公団あるいは首都公団につきましては、国民皆さんの御理解を得るために、まず経営の合理化を図らなければならないということで、走行台距離にいたしましても、あるいは建設費、職員一人当たりにどれだけかということを、随分合理化を今日までしてまいりましたし、さらに今度の料金値上げをお願いするという段階で、私どもといたしまして両公団に厳しくそのことを申し上げている点でございます。  今委員からおっしゃっていただきましたコメントにつきましては私も随分誤解があるなと思っておりますから、またきちっと私の方からも申し上げてまいりたいと思っております。  以上です。
  246. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 この点については大臣をしてよく調査をして、その確認の上に、これまた10チャンネルですから、しっかり対応してください。そして、またいい機会にその報告をいただきたい、このように思っております。  実は熊谷大臣の発言について一言申し上げたいことがあったのでありますが、時間が参りましたから、後日またこの発言について取り上げたいと思います。  連立与党少数内閣でありますから、その自覚をしっかり持たれまして国民の負託に十分にこたえていただきますように特に注文をいたしまして、私ども野党ではありますが、建設的野党として予算を一刻も早く上げるべく、あらゆる我々は我々としての職分を果たす。そして、八十日間も予算審議がおくれておる今日の状況であり、これは挙げて連立与党の責任であるということを、予算委員会理事会でも与党側の理事が統一見解を出した経緯これありでありますから、ひとつその辺のところを十分踏んまえて、内閣としての仕事、とにかく働く内閣として、どの内閣よりも働く内閣として実務に御精励ありますようにお願いを申し上げまして、私の質疑を終わります。(拍手)
  247. 山口鶴男

    山口委員長 次に、大出俊君。
  248. 大出俊

    大出委員 昨年の十月に、臨時国会予算委員会の冒頭に細川さんに質問いたしました。以来細川さんの後をお受けになっている羽田さんに、前任者である細川さんのおっしゃっていたことも含めて、少し冒頭に承りたいと思っているのでありますが、さらにその前に、羽田さん、せっかく連立与党ということで一生懸命私も悪戦苦闘しました。譲れないところ、徹夜で苦労をしました。  だから、それだけに、羽田さんを立てて、政策合意を片っ方でつくって、さて新しい連立政権をと、そうなったら、これは本当にひとつすっきりいかなきゃいかぬだろうということで、党内を羽田さんでまとめるという意味努力しようということになりまして、まあ随分苦労をしたつもりでありますが、結果的に二十五日に衆議院の本会議、二百七十四票という票が出たときに、やれやれというふうに思ったわけであります。  まあこの中に私を含めて七十票、私どもの党の票が入っているわけであります。参議院の方も百二十七という票が出てくる。これも随分苦労をいたしましたが、今の与党の皆さんの方は、参議院の議席からいくと四分の一足らずしかないんでありまして、私のところの六十八票ばかりの票がやっぱり入っているわけであります。  ところで、さて、すっきりいったなと、いろいろなことがあるけれども、我慢するところはして、国民皆さんのために何がやれるか、一生懸命頑張らなきゃいかぬなということを本部の三役などで相談をいたしまして、委員長に私が、これで決まったんだが何時ごろだろうかねと聞いたら、党首を集めてという話があって、四時ごろじゃないかと言う。  さあ、それが、四時が五時になっても、六時になっても、七時になっても、さっぱり何の連絡もどこからもない。そのうちに、テント村というのが組閣のときはいつもありますが、そこにいた私の仲よくしている記者の方から電話がありまして、大出さん、そちらに何か連絡行ったかと言う。何にもないと。いや、どうも妙なことになっているようだと言うんですね。その時点で、羽田総理委員長の村山から電話を入れたわけでありますけれども、あなたは知らないと、こうおっしゃる。  これは幾らそう言われても、その後でまた、まだ組閣ができない、後の段階ですが、保安林問題の本会議が開かれたときに、あなた、私に直接、本当に私は知らなかったんだから、ひとつ何とかまた御協力をという話がありましたけれども、これは考えようがない、そんなことは。ですから、私はこの点は総理にはっきりしておいていただきたいのでありますけれども、私どもの票を入れてあなたが総理におなりになっているのだから、本来なら今度その時点で態度を明らかにして、やめて不思議はないんだと私は実は思っているのですよ。本会議で協力してくれとおっしゃったけれども、私は答えなかった。あなたの人柄は知っているけれども、その時点でやめるというのが、少なくともその意思表示をなさることがあなたの筋なんだろう。  三時間か四時間か、総理の執務室にいて、あなたが本当に知らなかったんだとすれば不思議な話。組閣の権限はあなたにあるんでしょう。三時間も四時間もたったって組閣のしようがないなんということで、何でそうなったんだというのがあなたにわからぬはずがないじゃないですか。そうでしょう。  改めてこの点、総理からどうお考えなのか冒頭に聞いておきたいと思います。
  249. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今いろいろな、憶測という言い方はあれでございますけれども、されながらのお話でありましたけれども、しかし実際に私、要するに組閣をするのにその準備に当たって、各党からそれぞれいろいろなお考え方を聞いていただかなきゃならないということでありまして、その作業をそれぞれ進めていただいておるということでございまして、その間、私としてはまさに実際に知らなかった。むしろ村山委員長が、私が呼びかけしまして、その席に来られてお話をお伺いし、えっという実は思いを持ったというのが本当のところでございまして、あそこの官邸というのは、残念ですけれども、ふだんこうやって連絡してくる記者なんかでもなかなか電話がかけられないようなんですね。そういったことのために、実際にそれは承知しておらなかった。  というのは、その以前に私は各党の皆さん方とお話し合いしながらお互いにこれは合意ができたこと、それからテレビのニュースを見てそれを発表されておるお話を聞きながら、これは本当によくまとめていただいたんだな、まさに政策合意というものを大変真剣にされる過程の中でお互いにそういう環境ができてきたんだというふうに私は率直に思って、何の疑いもなく会議に臨んだというのが、それはあなたはお笑いになりますけれども、実際に官邸の中にありますと、一時期のああいう瞬間においてはそういうあれというのはあります。  そして、あそこに、周りに来ている人たちも、みんな初めての人たちなんですよね。ですから、それはそういうことはあり得るんだということ、これはぜひ御理解いただきたいし、ただ、残念ですけれども言葉の行き違いとかそういったもののために、結果としてああいうことになってしまったことは本当に大変恐縮に思っておるというのが私の偽らない心境であることを御理解いただきたいし、私はそのつもりで、今日まで内閣を運営してくるに当たりましても、やはりあのときの合意というものを大切にしながら今日まで来ておるということでも御理解いただけるというふうに思っております。
  250. 大出俊

    大出委員 随分長い答弁をされましたが、びっくりして聞いていたのですがね。これは知っていて今のような答弁をなさっているならうそを言ったことになる。そうでないと御本人が言っているのですからね。そうでないとすると、随分これまた頼りないことになる。  四時ごろに各党の責任者に集まっていただいて、お話し合いをして、こんな方向で組閣をという話になるんだというのが委員長である村山君の私に対する説明なんです。だからみんな待っておったのです。それが五時になっても六時になっても七時になっても何の連絡もないということになると、その間テント村の方に聞いてみたら、総理は執務室に入ったまま何にもしていませんよと。つまり、これは私に言わせれば、何にも知らないでそこまでいっちゃったんだ、そういうこともあるということになると不思議な気がしまし−て、しかしこの問題で議論してもしようがない。  そこで、日本ではないところで私のところの書記長の久保君が物を言っています。受けて委員長の村山君も物を言っているわけでありますけれども、私は副委員長でございまして素通りもできぬ、これは。  そこで総理気持ちを聞いておきたいのです。新聞記事等をお読みになっておられるわけだけれども、先ほど私ちょっと当時のいきさつを申しましたが、私はあのときにやめるべきだと思っておりました。すっぽりこれは抜けたのだから、あなたを支えていると十が抜けた、向こうの方はあなたのサイドは四十しかないのだから。そういうことも含めて、予算については、これは国民皆さん責任を負わなければなりません。協力していかなければなりません。編成にも携わっています。そう思っています。しかし、そこでけりがついたとき、あなたはどうなさるおつもりですか。
  251. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私の方は、今お話がありましたように、現在の体制というのは確かに少数与党であります。しかし、少数与党でありますけれども、この前の本会議でも申し上げましたように、私たちに今課せられている課題というのは、これはお互いにやはり避けて通れない問題であろうと思っております。  ですから、誠心誠意申し上げると同時に、少なくも皆さんと一緒に合意された問題、こういったものを我々が誠実に進めていくときに、私は、与党、野党という別なく皆様から御協力いただけるであろうというふうにも思っておりまして、ともかく一日一日を誠心誠意をもって務めていくということであろうというふうに思っております。
  252. 大出俊

    大出委員 私は、どうも性格が激しい方だものですから、質問していくとどうもこれは信任できないなんということもやがて出てくる気がいたしまして、そうなると、今不明確なお答えでございますから、それならそれできちっとしなければならぬときが来る、こう思っておりますので、そこまで申し上げて、次の質問に入りたいと存じます。  そこで、まず永野なる人、法務大臣をおやりになってすぐやめた方でありますけれども、これは任命されたのは羽田さん、あなたであります。だから重大な責任があると私は思っているのでありますが、しかもこれは国際的に非常に与えた影響が大きい。いろいろな記事がございます。また国内的にも迷惑をかけた方々もたくさんある。そういう意味で、任命権者という立場であなたはどういう責任をお感じでいらっしゃいますか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  253. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、あの方の人格、そしていろいろな政治行動もともにしてまいりまして、信頼を申し上げておりました。しかし、結果としてああいうことになったことは大変残念でありますし、やはり任命権者としましては申しわけない結果であったというふうに思っております。
  254. 大出俊

    大出委員 つまり、南京大虐殺はでっち上げ、もうたくさん議論があったのだろうと私は思っておりますから多くは申し上げませんが、これは私の方でも調べてみましたが、歴史的な一つの時点に起こった問題でございますから、きちっとしておく責任が私はあると思うのですよ、政府の側でもこれは。  そこで、南京事件、これを総理、どうとらえておいでになりますか。大虐殺という表現がございますが、どうとらえておるのか、ちょっとひとつ最初にお答えをいただきます。
  255. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この問題につきましては、事実関係についていろいろな議論があること、これは私も承知しておりますけれども、日本軍が南京入城後、非戦闘員、これの殺害あるいは略奪行為があったということは、否定のできない事実であったろうというふうに思っております。
  256. 大出俊

    大出委員 これは、家永さんの第三次教科書裁判がございまして、東京高裁、これは高校の教科書の書き直しという問題をめぐる問題でございますが、この判決が出ております。  これを見ましても相当多数の方々が、つまり虐殺と呼ばれるものを大量な殺害ということに変えてみても、大変な被害があった出来事であるというふうに教科書の検定をした側も最終的に述べております。しかもこの判決の一番最後にも、いろいろな反論があるけれども、どの反論を見ても南京大虐殺と呼ばれるものの一つ一つをとらえているというふうにしか見えないという判決の結論でありますから、そこのところはこの際きちっとしていただく。  それからもう一つ、九〇年でございますけれども、当時の南京事件のころにおられた外国高官の方々、何人もお名前が挙がっておりますけれども、今合併されたドイツ、旧東ドイツの公文書館などにある資料を見ますと、写真もございますし、また大量の死体処理の、宗教団体が請け負っておりますけれども、そういう問題もございますし、非常にはっきりしてきている、こういうふうに思っておりますので、この際総理に一つ提案を申し上げたいのであります。  来年の八月の十五日にちょうど五十周年が参ります。前の戦争のちょうど五十周年でございます。したがいまして、侵略戦争であるということも、細川総理もきちっと私の質問で御本人が経験を述べて認めておいでになりますし、今、南京の大虐殺と言われる事件についてもたくさんの資料が出てきております。  本会議で村山委員長が述べておりますが、過去に目を閉ざす者は現在を見ることができないという西ドイツのワイツゼッカーさんの有名な発言じゃありませんけれども、この機会に、五十周年が参ります機会に国会で、謝罪と反省、不戦の決議とでもいいましょうか、そういう国会決議を、懸案でございますから、各党いろいろお考えを持っておられるわけでございますから、もう機会はこれしがなかろうと私は思っておりますし、今回のこともありましたので、それだけに、これは総理もその意味ではいろいろお考えがあると思うのでありまして、ぜひひとつ、これは政府国会も一緒になりまして、いろいろな事件が取り上げられておりますけれども、調べるところはきちっと調べて、やはりはっきりした反省というものの上に立った決着をつけておきたいものだ、こう思っているわけであります。所管の仕方はいろいろありますけれども総理のその意味におけるひとつお答えをいただきたいと思います。
  257. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この大戦、あるいはその以前の問題、そういったことによって多くの国の人たちが耐えがたい苦しみあるいは痛みというものを持ったというこの事実、こういったことを我々はやはり率直に認識すること、そしてそういったことを反省すると同時に、過去に、残念だけれどもこういう歴史があったということはやはり将来に伝えていく必要があろうというふうに思います。そして、私どもはその反省の上に立って新しい日本の行き方というものをそこからやはり探り出していくべきであろう。  その意味で、私はかつて自民党におりましたころにそういったこと、ちょうどあれは真珠湾のころでございました。しかしそのときは残念ですけれども、成功しませんでした。まあ将来五十周年のときには、敗戦五十年のときにはそういったことをやるべきであるということを言っておった人間でありまして、これは基本的には国会の問題でありますから、私がどうこうと言うことは今差し控えますけれども、しかし、そういう認識を常に持っていなきゃいかぬ、やはり歴史に目を閉ざしてはいけないということ、これははっきりと申し上げることができると思います。
  258. 大出俊

    大出委員 これは、私も旧軍の豊橋予備士官学校出身の少尉でございまして、私の同期三百何十人ほとんど沖縄で死んでおりまして、豊橋の十一期というんですが、皆さんが御存じの方には、鐘紡の会長を昨年七月までやっておられた伊藤淳二君であるとか、これは私一緒にやっておった仲間でありまして、大正大学の学長で、亡くなりましたが安居香山君、これは僧籍にあるお坊さんですけれども。また、目黒の雅叙園観光ホテルですか、あそこで総支配人をやっている工藤勉君、彼なんか沖縄本島のつもりで行ったら宮古島に持っていかれまして、本島は全部死んでいます、一人残らず死んでいますけれども、宮古島なものだから生きておりまして、今ホテルの総支配人をやっております。  みんな私の数少ない生き残りでございまして、沖縄返還国会のときも、週末沖縄に調べに行くたびに胃が痛む思いをしたのであります。それだけにむだな、本当に優秀な諸君を殺したなという気がいつもしておりまして、今でもそうですが、総理、これは国会の問題だとおっしゃるけれども、やはり政府国会ということでないと物事は前に進みません。もう一遍ここのところ、何とかひとつやってみようという気持ちにおなりかどうかということで承っておきたいんですが。
  259. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今の御質問は決議の件ですね。これは、先ほども申し上げましたように、国会決議そのものはやはり国会でお決めになることですから、私が今とやかく言うものじゃありませんけれども、しかし、気持ちは全く同じ気持ちであるということであります。
  260. 大出俊

    大出委員 次に、安全保障の問題につきまして少し申し上げておかなきゃならぬことがございます。  つまり、私どもの方の質問ではございませんで、与党、今の連立与党の皆さんと私どもとの間のやりとり、主としてやりとりをしておりましたのは皆さんの方は小沢一郎君でございまして、私の方は久保君ですが、そういうことでいろいろやりとりが行われた。で、政策合意という意味でまとめたものがございます。  これについての議論でございますが、これはやはり私ども皆さんとやりとりをして、この安全保障にかかわる問題は私どもが相手なんで、この統一見解というのは、質問なさった方々と皆さんとの間で、皆さんの方でつくったと言われる統一見解でございまして、私どもは全く入っていないんだが、なぜ普遍的安全保障という言葉が出てきたかというところは、相手は私どもなんです。そこのところだけははっきりさせて、もう一遍ひとつ御検討いただきたい、はっきり申し上げますが。  実は、何回ものこれはやりとりがあるのであります。本来なら久保書記長が申し上げなきゃならぬところでございますが、書いたものがありますからそれを申し上げておきます。官房長官が恐らく所管されておられるんだと思うのですがね、熊谷さん。  普遍的安全保障というのは何か。これは国連加盟各国の軍縮を前提にしながら、それぞれの国の主権のもとでの軍隊ではなく、これは実は説明が要るのでありますが、普遍的安全保障というのは、名前を挙げませんが、普遍的安全保障ということで論文を書いておられる学者もおいでになるし、いろんな歴史的経過がございます。私どもの党が九三年宣言案に入れている文章でございます。  そこで、日本国憲法とほとんど同意語であるという考えを持っているのですが、各国の主権のもとにおける軍隊をお互いに減らしていこうじゃないか、少なくしていこうじゃないか。軍縮をメーンに据えて、八党合意でも軍縮がメーンになっていますが、メーンに据えてやっていこうじゃないか。そして国連に委託しようじゃないか。軍隊というんでなくて、警察権限という形で委任していこうじゃないか。そして百八十四カ国じゃなくて、地球上のあらゆる国は国連に入ってもらおうじゃないか、まさに普遍的に。そして、日本国憲法もそういうことでございますが、戦争を起こさない、そういう理想を掲げて普遍的安全保障という物の考え方を進めていこうじゃないかということなんです、考え方は。  ですから、小沢さんに久保君が質問をした、それはどういうことかというと、皆さん連立与党の側で社会党に対してお出しになった、皆さんまとまっておったんだから、お出しになった中身というのは、安全保障(集団的措置)とこう書いてあったんです。安全保障(集団的措置)。これは問題がある。集団的措置とは何だ。  ここに国連憲章第一章「目的及び原則」がございます。その第一条がございます。第一条の一「国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとる」。つまり軍事力によって集団的措置をとろう、軍隊で。これが前段なんですね。つまり集団的措置というのは軍事力によって鎮圧するということ、書いてあるとおりであります。  これは日本国憲法の建前からいってどうあってもとれない。だから、山口さんがよく御存じですけれども、長い議事録ございます。国連に加盟するときに、岡崎勝男さんのときですけれども、宣言を出し、書簡を出して、留保条項のない国連憲章でございますから、それに似た措置をとって外してきているという認識なんですね。だから、そういう意味で、集団的措置と出されれば話に乗れませんというところにいって、小沢さんの方と久保君の方とで別れたわけでありまして、その結果として、安全保障(集団的措置)、武力による鎮圧ということになるんですが、これを削除して普遍的安全保障ということに変えたという事情がある。  となると、この普遍的安全保障というのは、さっき申し上げましたように集団的措置に言う武力による鎮圧というものを否定をしている、そういう性格の普遍的安全保障という文言である。これは久保君がここに小沢さんたちとのやりとりを例に挙げて記述しておりますが、こういうことになる。  この間から深谷さんもいろいろ御議論をいただいて、ここにテレックスを持っていますけれども、おられますけれども皆さんとやりとりをした相手方は私どもでございまして、したがいまして、そこのところは熊谷さん、私どもが抜けた皆さんだけでおまとめになったものでございますので、私どもは納得できない。  しまいの方で憲法でくくろうという気持ちがわからぬわけではないけれども、こういうくくり方をすると、どうしても玉虫色で残るのではないか、集団的措置が、ということになりかねませんので、やはり将来のためにきちっとすべきものはしなきゃならぬ。そういう意味で、一言お答えいただいて、熊谷さん、御再考願えますか。
  261. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 ただいま委員の御指摘の件につきましては、けさほどもお答えしたのでございますけれども、これは実は連立与党の統一見解でございまして、政府の統一見解ということではなかったわけでございます。ただ、先生のるるお話によりまして、基本合意がどのような形でっくられたかということについては、私どもも大分理解が行き届きました。  いずれにいたしましても、先ほど総理が、この見解に対して政府としてどういうふうに考えているかということは、深谷委員はまだ納得しないという御指摘ではございましたけれども、申し上げたところでございます。
  262. 大出俊

    大出委員 それじゃ、これはどっちにしても私どもが入っていないんですから、しかも私どもが相手なんだから、熊谷さん、あなた連立与党の一人ですよ、そうでしょう。だから、これはやはり理事会で相談をしていただかぬと、深谷さんのおっしゃったこともごもっともでしょうし、ぜひそれはそうしていただけぬかと思うのですが、いかがでございますか、委員長
  263. 山口鶴男

    山口委員長 この点は、先ほど深谷委員から御質問もありまして、そして理事会として扱いを相談することにいたしております。  関連ある問題でございますので、この点については、理事会で相談いたしました上で対処いたします。
  264. 大出俊

    大出委員 次の問題でございますが、今の朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮と一言で言っておりますが、ここの核疑惑なるもの、そこで国連の経済制裁云々、まあ中には海上における阻止行動云々、あるいはこれは四十一条、二条の絡みがございますけれども、つまり非軍事的制裁、軍事的制裁、こうあるんですが、そういうやかましい議論が行われておりましたり、まあ柿澤さんだの神田さんだの大分、これは新聞記事でございますけれども見ますと、まあ随分踏み込んだことを言うたものだなと思う記事がたくさんあります。神田さんという人は旧来そんな人じゃないんだがな、国対委員長を一緒にやってきた仲だけれども、こんなことを何で言うんだろうかなと思ったりしたんだけれどもね。  そこで、総理にひとつ承っておきたいんだが、これは背景があると、私の取材をしている限りで言えばそう考えざるを得ない。総理に承りたいと思っておりますのは、四月の十五日に総理はモロッコのマラケシュでアメリカのゴア副大統領とお会いになっていますな。それから、四月二十一日にペリー国防長官が日本に来られて、防衛庁長官がお会いしたんでしたね。  このときもいろいろ政府側との折衝があったんだと私は思っておりますけれども、このときにいろいろ私のところへ飛び込んでまいりました外務省からのメモといったらいいんでしょうか、これによりますと、アメリカサイドの皆さんの考え方は、国連決議というのは、経済制裁なら経済制裁を国連で決議する、これはできないのではないか、できないだろう、できなかろう、だんだんこれははっきりしてきている。  そうするとこれは大変なことになる。各省庁の事務方、大臣におなりになった方は余り安全保障だ防衛だというのに詳しい方ばかりじゃないわけですからおわかりになってなかったのじゃないかと思うのでありますが、そういう大変な雰囲気になった。私は電話で何回も何人もの方と話しているからよくわかる。大変だと言う。本当に大変なんですよ、実は。  国連決議なしに行動を起こそうとしたらえらいことになる。私はそれはできないと思っている。アメリカといえども国際世論に反してやるということはできないから、できないと思っている、今でも思っている、できなかろうと思っている。  そこで、総理に承りたいと申し上げたのは、マラケシュでゴアさん、ゴアさんという人ははっきり物を言う人です。プルトニウムなんというものは、副大統領になる前から、日本のプルトニウムをフランスとの原子力協定、そんなことで日本があかつき丸で運ぶなんてもってのほかだというんで、やめさせろというようなことをアメリカ議会で演説ぶっているのですから、ゴアさんという人は。はっきりしている。ペリーさんという人も実は非常にはっきりしている人だ。私、この間もアメリカへ行ってやりとりもいろいろな方としましたが、ペリーさんの話を聞いてみると非常にはっきりしている。だから、恐らく国連決議で経済制裁というのは無理だろうという判断をしておられたんだと思う。  羽田さん、お会いになっておられるのですが、どういう判断をなさいましたか。
  265. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今、せっかくのいろいろな御指摘でございますけれども、御案内のとおり、国連は制裁決議というものも別にしているわけじゃございませんね。そして、まさに北朝鮮に対して慫慂しようということで、議長声明という形で出されております。そのときに、国連の決定のないものについてどうということについて、これは仮定のあれについて私から今御答弁することはお許しをいただきたいと思います。
  266. 大出俊

    大出委員 私は冷静に、論理的に物を言っているのです。皆さんとかく北を刺激するからとかなんとかと言って封殺しようとするんだけれども、その皆さんがいっぱいしゃべつちゃっているわけですよ。神田さんにしても柿澤さんにしても熊谷さんにしてもペラペラ、ペラペラいっぱいしゃべっちゃっている。しゃべっちゃっておいて、今度はそれを聞くと、いや、刺激することになるからと。それはないですよ、筋が通らない。  そこで、踏み込んで聞きたい。皆さんにまず承りたいのは、今朝鮮半島における状態はどういうことになっているのか。休戦協定による休戦中なんですよ。そこで、専門的な方に聞きたいのだが、休戦協定、陸、空、海、どうなっていますかね。経済封鎖だ、制裁だといった場合に、休戦協定との絡みになりますが、どうなっていますか。
  267. 山口鶴男

    山口委員長 大臣、だれか答えますか。
  268. 大出俊

    大出委員 事務当局、そんなことをしちや困るので、柿澤さん、あなたが答えてくれますか。
  269. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 朝鮮半島が現在いわゆる朝鮮事変の後、休戦協定のもとに置かれていることは事実でございます。ただ、それとこの北朝鮮の核疑惑対応の問題とどうかという御質問でございますが、これは先ほど総理からお話がありましたように、我々平和的な話し合いによる努力をしているところでございますので、直接触れることは差し控えたいと存じます。
  270. 大出俊

    大出委員 柿澤さん、見当違いな答弁をされちゃ困るのです。暖かいとか寒いとか冷たいとか、今の状況がホットだとか、そういうことを聞いているんじゃないんですよ。論理を聞いている。休戦協定にはどういうふうに書いてあるかと私は聞いているんだ。  私が今あなたに水を向けたのは、あなたが十日の日に、私のところに来ているのがあるのですが、あなたは国防の専門家だと御自分でおっしゃっているんですね。これは十日の日の外務省の記者クラブのテロップです、あなたのおっしゃったままの。これを見ると、有事立法と緊急立法の説明をあなたはされて、一番最後のところで、違和感を持っていると、国防の専門家として。専門家だから今御存じかと思って聞いた。  そこで、停戦協定がここにありますから、あなた方がお答えにならぬから私が言いましょう。これは、朝鮮における軍事休戦に関する、ハイフンを引きまして、一方国際連合軍司令部総司令官と他方朝鮮人民共和国軍最高司令官及び中国人民義勇軍司令との間の協定、一九五三年七月二十七日板門店で署名、こうなっていまして、今私が陸、海、空と聞きましたが、この十四項にあるのです。  この休戦協定は、いずれかの側の軍事支配下にある対抗中のすべての陸軍に適用するものとする。これらの陸軍は、非武装地帯及び相手方の軍事支配にある朝鮮地区をお互いに尊重しなければならない。尊重し合わなきゃいかぬという義務が陸軍に課せられている。  次、この休戦協定は、対抗中のすべての海軍に適用するものとする。これらの海軍は、非武装地帯及び相手方の軍事支配下にある朝鮮の地域に隣接する水域を尊重しなければならず、また、いかなる種類の朝鮮封鎖にも従事してはならないとなっています。休戦協定ですよ。いかなる種類の朝鮮封鎖にも従事してはならないとなっています。  空についても、隣接する水域の上空の空間をお互いに尊重し合わなきゃいかぬとなっているのです。  そこで、この協定は、署名者、朝鮮人民軍最高司令官、朝鮮民主主義共和国元帥金日成、中国人民義勇軍司令彭徳懐。彭徳懐さんが名前を並べているのです。そして、国際連合軍司令部総司令官、合衆国大将マーク・W・クラーク、クラーク大将ですよ。そこに南日さんが、今の北朝鮮の側の南日さんが、代表になっていませんが、署名しておりませんけれども、立会人の形になっている。北の金日成さんと中国の彭徳懐さん。こちら側はクラーク大将と、北朝鮮の側は、署名者ではないんだけれども南日将軍が立会者の形でバランスをとって署名しているというのがこの休戦協定なんですよ。  それだけに、北の方々が言っていることも一理ある。国連が経済制裁を決議したとすると宣戦布告とみなす、こういう論理が出てくる。  そこで問題は、これは本当は一つ一つ聞かなければいかぬのだけれども、またなかなかお立ちにならぬから私の方で申し上げます。国際連合憲章の百三条というのがありまして、「雑則」というところなんですが、非常にこれは知らない方が多いんですけれども、こうなっている。「国際連合加盟国のこの憲章に基く義務と他のいずれかの国際協定に基く義務とが抵触するときは、この憲章に基く義務が優先する。」つまり、国際連合が経済制裁なら経済制裁という拘束力のある連合決議をすると、百三条に基づいて休戦協定を超えるということになる。法的解釈ですから間違いはないんですよ。超えるということになる。  そうなれば、後から申し上げますが、防衛庁の海上自衛隊の皆さんが言っているのは、決議されたときに北に向かって走っていく船があるとすれば、それは違反をしている船だ。違反者だ。だから海上における封鎖の任務につけるという論理ですよ。中身、詳しくとっております、後で申し上げますが。悪いんだという解釈ですよ、海上自衛隊の皆さんは正直だから。国際連合が経済封鎖を決議したら、決議違反なんだぞ、北だって南だってどこも。にもかかわらず北に行くなんということになれば、それは悪いんだ、違反者なんだ。ごもっともなんですよ、この論理は。それだけにこの協定に署名をしている彭徳懐さん、中国ですよ、だから、めったなことでは四十一条の非軍事的な経済制裁といったって署名なんかしませんよ。  私はいろいろな方に知り合いがありますけれども、今中国の方はそうおっしゃらぬけれども、今でも北の方は血盟の同志と言いますよ、中国の方をとらえて。長い年月がたっているけれども、お互いにあれだけの大変な被害をこうむった朝鮮戦争をやったんだ。その結果に基づく停戦協定なのです。停戦中で今まで来ているわけですよ。  ですから、私はそういう意味で、決議ができないとすればどうなるかといったら、方法は二つしかない。多国籍軍という形で動くという方法があるかどうか、あるいは独自な方法で封鎖云々の活動をやるということ、こういうことになる。  その場合に、ここにも問題がある。当時の朝鮮戦争のときに、国連と日本の間において軍隊の地位に関する協定が結ばれているのですよ。これは現在でも生きているのです。ぴしっと生きている。日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定、昭和二十九年二月十九日、東京で署名。これは多国籍軍なんですよ。今でも多国籍軍なんです。アメリカ、カナダ、ニュージーランド、グレートブリテン、南アフリカ連邦政府、オーストラリア、フィリピン、フランス、イタリア、九つある。  そうしますと、これはどういうことになるかといいますと、多国籍的にという制裁行動になるとすると、中心はこの国々なんですよ。これに加わることがあり得るかもしらぬが、この国々なんです。独自にといったら、この国々が腰を上げなければ、アメリカは独自に韓国とという方法しかないのです。  さっき私が申し上げた、各省が非常に大変なことになるというふうに専門的な官僚の皆さんが心配したというのはここなんです。国連決議が行われるとすると、日本国憲法というのは国連の方を向いているんだから、日本国憲法、国連決議、日米関係とこう三つそろえれば、三種の神器だから、国内的に何とか、いろんな政党があるけれども、おさめていけるんじゃないのかというのが官僚の皆さんの考えだったのですよ。何人も私は話を聞いていますがね。  ところが、どうもアメリカの状況というのはそうでないというふうに見ざるを得ない。中国はうんと言わない。だから議長声明になっているでしょう、今。拘束力ないんですよ。そうすると、例えばアメリカが動くことを承認するという行為があっても、それは拘束力がないんですよ。拘束力がないと国連憲章百三条は生きない。逆に、停戦協定が生きたままになる。そうすると、北が言っているように、下手に動いたら、それは停戦協定違反になる。だから、宣戦布告と同等にということにならざるを得なくなっちゃうんだ、これは論理的に。  ここに今日の最大の問題があって、だから国連決議ができないとすれば、それはアメリカの側は、大国ですし、大きな軍事力を持っていますから、いろんな言い分はあるでしょう。また、いろんなやり方もあるでしょう。あるでしょうが、国際的に筋の通らぬことはできないのだから、いかに大国でも。だから私は、そういう意味で冷静に物を判断する必要がお互いにある、そんなに極端なことはできない、そう初めから考えている、これは。  そこで、この論理について、これは外務大臣に聞くよりしようがないのでしょうが、柿澤さん、これはどうお思いになりますか。
  271. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 ただいま大出委員がるる御説明になられましたように、朝鮮半島を取り巻く情勢は非常に複雑でございます。それだけに私どもとしては、前政府からでございますが、話し合いによる解決のために関係諸国と連絡を取り合ってきたところでございますし、また議長声明という形でやっていただくよう国連代表部の方でも努力をしたところでございます。  ただ、北朝鮮の核疑惑問題が北東アジアにおける安全の脅威となっていることも事実でございますし、またそれが世界各国の大きな安全保障上の関心事であることも事実でございます。  その意味で、大出先生の御指摘の種々な困難はございますが、我が国としては、いろいろな場合、例えば国連で決議が出た場合にどのような対応をしなければならないか、これは前内閣以来、憲法の範囲内でできる限りの努力をすると、一般論でございますが申し上げているわけでございまして、それぞれの部署においてもそうしたことにつきましては検討してもらっているものというのが私のあのときの発言の趣旨でございました。
  272. 大出俊

    大出委員 どうも柿澤さん、私が聞いていないことを一人でしゃべられても困るのですよね。  私が申し上げているのは、法律的にこれはこういうことになるのだがと言っているので、そこを聞いているわけです。休戦協定があって、国連と日本との地位協定もあってこういうことになるということを申し上げているのです。何かあなたの演説を聞いたことになりましたがね。  そこで、こういう状況なのに柿澤さん、あなたは随分——まあ神田さんのところからいきましょうかね、少しお暇なようだから。  神田さんは、憲法解釈の見直し問題について、現行憲法の範囲の中でと考えているんだが、しかし日本の置かれている立場も考えていかなければならず、さらに緊迫した状況の中でどういう議論をし、どういうふうに結論を出したらいいか。つまり集団安全保障について、そちらの方に憲法の枠内でと考えながら動いていかなければならぬということを示唆したと、神田さんが。  これは柿澤さんの方は非常に激しいんですね。有事立法の必要性について、有事はできるだけ起こらぬよう未然防止の策をとっていくのが重要だが、しかし仮に、あなたが有事、緊急云々というのは、あなたのテロップ、つまり記者会見のメモで言っているからわかっていますから、重ねておっしゃらぬでもよくわかっていますから。だから括弧していますよ、有事は。起こったら、つまり生じたら、どんな問題が起き、どんな法制が必要なのかは検討の必要があるということを前提にして、有事立法を検討するということが必要だということを前提にして、集団的自衛権について、個別的自衛権と集団的安全保障の中間にある集団的自衛権が抜けているのは憲法解釈としては不自然である。  集団的自衛権は、稲葉誠一さんと私で相談して、私が予算の部会長時代に質問主意書を稲葉誠一さんの名前で出した。鈴木善幸さんが回答をよこした。何年もたちます。稲葉さんはまだ御健在だけれども、あれからずっと守られてきていて、随分たくさんの方が、公明党の市川書記長さんなんかもあの答弁書を中心にして湾岸戦争のときに立派な質問をなさっていましたがね。そういうことなんだ、歴史的に。  それをどうも変えようという、集団安全保障、そこへ入っていこうという。ちょっとこれは幾ら何でも乱暴だという気が私はするんだけれどもね。物事をUターンして取り消せば済むというものじゃない。あなたは今までちょいちょい取り消しておられる、まだ取り消すのかもしらぬけれども、そうくるくるくるくるじゃ困るんだよ。  私はあなたの本会議質問を聞いていたものだから、あれも読んでみたけれども、驚いたよ。もうぼろくそだ。私どもが入っていた細川内閣、ぼろくそ。政権よこせと。この前参議院でだれかがやっていたから我慢しているんだけれども政権よこせと言ってすごんでいる。そこで、あっという間に今度はそこへ座っているじゃないか、これはどういうわけかなと思ってね。世の中の変わり身の早さどころの騒ぎじゃないなと思っているんですけれども。  各省庁の事務方が非常に心配した時期に出てきた皆さんの御発言、神田さん、ひとつどうですか。
  273. 神田厚

    ○神田国務大臣 お答え申し上げます。  私は、憲法解釈を変えなきゃならないということを言ったのではありませんで、こういう事態になってくれば議論として憲法問題にまで発展していくことがありましようということを話したことでございまして、憲法解釈を変えるべきだというふうな話ではございませんで、羽田内閣では方針が出ておりますから、そういう現行の憲法の解釈の形できちんとやっていきたい、こういうふうに思っております。
  274. 大出俊

    大出委員 もう一遍聞いておきたいのですが、柿澤さん、この集団的自衛権の行使は、急迫不正の侵害があって他に方法がないという場合の最小限度の実力の行使というのが専守防衛の論理ですから、これが九条なんですから、そういう意味で憲法の許容する範囲ではないということになっておるわけです。そこのところをもう一遍承りたいのですが、いかがですか。
  275. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 集団的自衛権が個別的自衛権とともに独立国家として、主権国家として我が国にあるということは、憲法解釈上も認められていると思いますが、憲法九条によってその行使は許されていないというのが従来からの政府の解釈、考え方でございます。羽田内閣につきましても、その考え方を継承していくということでございますので、私も内閣の一員としてそれを守ってまいります。
  276. 大出俊

    大出委員 それで、委員長、ちょっとお願いがあるのですが、資料を配らせていただきたいのですが、よろしゅうございますか。ちょっとこれを配ってください、事務局。  これはどういうことかといいますと、どうも私は我慢がならぬのだ。柿澤さんが述べておられる中身なんですが、本はここにあります。「日本を変える二〇〇人の直言」。柿澤さんのおっしゃっているようなことになると、昔に戻っちゃって戦争することになっちゃうのでね。これは、私と違った立場のお考えの皆さんがたくさんおられることも百も承知です。承知ですが、これだけは、手法を含めて、どうあっても納得できない。これは、そこに柿澤さんにおられることが困ると私は思っておる。  ちょっとひとつお配りいただいてから説明させてください。  この右の肩に書いてありますように「日本を変える二〇〇人の直言」下巻、産経新聞「沈黙の大国」というのがこれは二月ごろですか、前に出ております。これは四月二十五日の刊なんですが、「集団自衛権の容認が早急に必要」という表題。今の集団自衛権、集団の自衛権の容認が早急に必要。  これはPKOから入っていくのですが、「国連平和維持活動(PKO)協力法の見直しはじっくり考えるべきだという意見もありますが、迅速に見直すべきだと思います。課題は平和維持隊(PKF)の凍結解除、さらには文民部門を含めてPKO要員に対する警護活動を含めることでしょう。」  ここの次に問題があるのですね。「相手の武装レベルを考えて抑止力となる武器を持っていくことを考えるべきです。」相手の武装力と比べて抑止力となる武器、これは私は外国を歩いてPKOに要員を出している国々の方とも話しています。ここに装備年鑑がある。自衛隊の持っている武器。専門家の柿澤さんにこれは後で聞きたいのですが、抑止力となる武器を持っていけばいいと言うのだけれども、どんな武器を持っていけば抑止力となるのですか。「相手の武装レベルを考えて抑止力となる武器を持っていくことを考えるべきです。自衛のためですから、憲法上の問題はありません。」とあっさり言い切っちゃうのですけれどもね。だから長いこと議論してきているので。  「これまで憲法を狭く解釈してきたので、必要以上に手足をしばって自衛隊を出しました。この矛盾がカンボジアで」云々とこうありまして、「日本はようやく一九八〇年代の伝統的PKO、いわゆる戦わないPKOに参加するため国内法を整備した段階ですが、平和執行部隊を提唱するガリ国連事務総長の報告も出ています。必要なら戦うというPKOの時代となりました。」必要なら戦うというPKOの時代になりました、これは柿澤さんが戦うんじゃなくて、若い方が戦うんでしょうね。「日本は一周遅れのランナーであり、二周目のPKOに参加できるよう国内法制をきちんと整備すべきです。」  こう言われると、私はかちんとくる。自衛隊の皆さん、カンボジアに行かれた方々からも、何回か、何人か私に電話をよこした方もいます。奥さんにすると、もう二度とPKOなんかで行ってもらいたくないと言うのですよ。みんな奥さん、子供さんあるんだから、心配してくれる方いっぱいいるわけですね。だから、行かなきゃならぬことになるかもしらぬにしても、あっさりこう言われたんじゃ。やはり議論するところはして、これを仮に出すにしたって、みんなであれだけの議論をしている、お互いに。こう簡単に、一周おくれのランナーだから、二周目、戦うPKOになったんだから、参加するように国内法制全部直せと。  「自衛権を認め、かつ国際の平和と信義に依拠して日本の安全をはかろうという日本国憲法の精神からみて、平和執行部隊にも参加できると考えます。」平和執行部隊に参加できると言ったって、ソマリアの例もあればボスニア・ヘルツェゴビナの例もあるじゃないですか。旧ユーゴ、ボスニアなんというのは、私は、ついこの間スウェーデンとノルウェーを歩いてきた。ツズラまで行ったらストップさせられた、突破すれば大惨事が起こると。  今スウェーデンでも応募する人がどんどんどんどん減っているというのですよ、たくさん死んでいるから。しかも、べらぼうな金がかかってどうにもならぬから、システムを全部変えたというのですよ。スウェーデンがそうですよ。だから、ツズラでとめられた、大迂回をした。ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、三カ国の部隊ですよ。  だから、今ここであなたのおっしゃるように、「平和執行部隊にも参加できると考えます。」こう簡単に言い切られても、私は危惧の念を持つ。アメリカでさえ平和執行部隊、強制部隊に対する国内的な大きな議論が起こっている。引き揚げるところは引き揚げているじゃないですか。そうでしょう。そこへ踏み出せとおっしゃる。  「問題は政府見解の見直しです。現在の政府見解は自衛隊が武器を使う場合は正当防衛に限定しています。自衛権ならびに国際協調の範囲内なら警察的な活動として武器を集団で使用しても、憲法九条上、なんらさしつかえないと考えます。」これも問題があるのですが、時間の関係もありますから多くを申し上げません。  次の問題。「いままでの政府の法制局的な自己規制の強すぎる憲法解釈は変えるべきです。首相」これは羽田さんだ、「首相がリーダーシップをもって政府見解をこう定めるべきだといえばいい。」というんだ。「憲法違反だという人は裁判所で争えばよいのです。」と書いてある。  こんなむちゃくちゃな話はないでしょう、幾ら何でも。それは私と全く立場の違う方々であっても、民主的な国会というのはあるわけでしょう。委員会もあるわけでしょう。幾ら何でも「首相がリーダーシップをもって政府見解をこう定めるべきだといえばいい。憲法違反だという人は裁判所で争えばよい」、これは言うべき筋合いじゃないですよ、幾ら物の考え方が違っていても。私と正反対の人でも、民主主義というのは手続ですよ。ここまで言っちゃっては、しかもこれが本になって出てきちゃっては。四月二十五日ですよ、これは。  その次。「北朝鮮のミサイル開発や中国の海軍力増強の動きは脅威にはなっていないといわれるものの、脅威となる可能性はあります。」北朝鮮と中国を真正面からというのは、やはりこれは考えなければいかぬと私は思うのですがね。「とくにシーレーンの安全を考えたら、東南アジア諸国連合を含めたアジア・太平洋の集団的な安全保障を考えていくべき」である。念を押しておきますけれども、集団的安全保障という概念と個別的自衛権、集団的自衛権というのは、概念としてぴしっと別なものです。チャンポンにしちやいけないのですね。  「これまでの政府解釈で国が守られるのかと政府自らが問うべきです。個別自衛権は認めるが、集団自衛権は認めないという自己規制の効いた政府の憲法解釈では、自衛の責任は果たせない時代を迎えて」おります。  これは柿澤さんが恐らく反論をいろいろなさるのでしょうけれども、していただいて結構なんだが、こういう考え方を大臣におなりになる前にお書きになっていたのだから責任がないとおっしゃるかもしらぬが、事外務大臣ですよ。これは総理が御任命になったのでしょう。なったのでしょうけれども、ここまでこう述べておられて、写真入りで立派に市販されている本に載っかっているということになると、これは考えてもらわぬと困ると思うのですが、まず柿澤さん、ひとつ何かお述べください。
  277. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私は、外務政務次官として一年九カ月いろいろなところで国際紛争の現場にも行ってまいりました。ソマリアにも飛び込んでまいりました。そうした中で、冷戦構造崩壊の後さまざまな地域紛争が各地に発生している、そして、そこで痛ましい犠牲者が出ていることに心を痛めてきたわけでございます。  そうした中で、カンボジアの和平をめぐって我が国がアジアの友邦国としてその和平のために努力をする、その一環としてPKO法の御議論をいただいてまいりました。そして、自衛隊の方を初めとする多くの方々に現地で御努力をいただいた結果として、カンボジアの今日の和平が実現をいたしているわけでございます。  ただ、そうした中で、ガリ事務総長はさらに新しい平和へのアジェンダ・フォー・ピースというのを出されました。そして、これからの国連の役割について大いに議論をしてもらいたいという御提言であったかと思います。その意味では、私が政府を離れた立場でもございましたので、そうした国民的な議論を起こしていただきたいという思いもあってこうした形の発言をいたしました。これは文章で書いたものではなく談話でございますが、しかし、ここに書かれたことは私は責任は持ちます。あくまでも議論をしていただきたい。  ただ、こうした問題をいつもタブーにして避けて通ってきて、本当に我が国の安全と平和が守れるのだろうか、これは私の真剣な悩みでございまして、その点についてはぜひとも御理解をいただきたい。お考えの違う方々はいらっしゃると思います。しかしながら、そうしたことを議論することが私ども政治家の役割であり、そして、国民皆さんに率直に問いかけることが私ども責任だと考えております。  ただ、政府の一員でございますから、現在羽田内閣羽田総理の御判断のもとで、先はどのように方針を守るということを申し上げているわけでございます。
  278. 大出俊

    大出委員 今の議論、あなたのお話、じっくり反論していただこうと思って水向けたんですが、さっきも言いましたが、それならころころころころ変わらぬ方がいいですよ。元自民党の皆さんでも立派な方がたくさんいますよ。時の総理と真正面からぶつかり合っても一歩も引かない。堂々とやめちゃった方も何人もいるでしょう。そうでしょう、自分の意見が通らなきゃ。ころころころころ変わるのがどうも、しかも外務大臣がこんなことを一々そこらに振りまかれちゃたまったものじゃないと思うのですがね。  これは新聞記事ですが、「柿沢外相が表明 将来要員派遣も」「柿沢弘治外相は二十日夜、明石康・旧ユーゴ問題担当国連事務総長特別代表と」、これは電話なんですね、電話であなたは会談をされた。ボスニア・ヘルツェゴビナで活動している国連防護軍、UNPROFORですか、ここへの要員派遣問題について、現時点では難しいが、中長期的には派遣をすることを検討する。こんなことも余り簡単にあなた幾ら外務大臣でもね……。  そうしたら逆に明石さんの方が、お気持ちはわかるけれども短兵急を避けてください。向こうの方が心配しているんですよ、明石さん自身が。ああいう困難な地域だから。外務大臣になったあなたが簡単にそんなことを言って、明石さんが心配しているんですよ、このお返事というのは。そうでしょう。私は危なくて見ていられぬじゃないですか、これは。
  279. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 明石特別代表が旧ユーゴスラビアで大変御苦労されていることは、もう皆さん御承知のとおりでございます。アメリカ、ヨーロッパ諸国等いろいろな意見がある中で大変御苦労されている明石代表に、私は日本人の一人として、明石代表が今とっている方策は私どもとして支持できるものなので、ぜひ頑張っていただきたいということを申し上げたわけでございます。  それから、UNPROFORと言ったわけではありません。その地域において、私どもとしてももう既に明石代表のもとには外務省の職員を差し向けておりますが、そうした形で文民の方、またその他のさまざまな人道的な活動に携わる方々についても御協力ができないか、これは私ども課題として考えていきたいということを申し上げたわけでございます。明石さんがそれに対しては、国内の政治情勢もよくわかりますので、余り短兵急におやりにならない方がとおっしゃったことも事実でございます。
  280. 大出俊

    大出委員 随分つらい思いをしておられる明石さんだと思うのですよ。アメリカあたりで、どこからおまえ給料もらっているんだなんて、アメリカ議会で明石さんはたたかれたりしているんだから、どっち向いているんだなんてね。しかし、国連の立場で、偏らずに真ん中にいて一生懸命やっているのが明石さんでしょう。だからこそ短兵急におっしゃらぬ方がいいというふうにあなたに言うんでしょう。話は逆じゃないですか。それじゃ激励にならぬじゃないですか。  そこでもう一つ。柿澤さんは、相手の武装レベルを考えて抑止力となる武器を持っていけと言うんですが、そんなことを言えばどんな武器を持っていくんですか。めちゃくちゃじゃないですか。あなた、武器をどこまで御存じか知らぬけれども、私は大抵の武器を知っているんですがね、士官学校時代の教官だから。しかも自衛隊の部隊も随分よく歩いているから。  それじゃ、向こうが戦車を持っていたらどうするんですか。何を持っていくのですか。私は、PKOに出しているいろいろな国の話も聞いてみた。迫撃砲を持っているところがある。機関銃、このくらいが精いっぱいですよ。聞いてみると、しょせん攻撃に出られないんだというんですよ、PKOというものは。常に受け身なんだというわけですよ。すると、大きな武器を持っていると、巻き込まれたときにどうしても使うというんですよ。大変な被害をこうむるというんです、それによって双方ともに。  だから、持っていける程度の武器しか持つべきでないというのがほとんどの国の言い分ですよ。特殊な国が迫撃砲を持っているんですよ。私は、迫撃砲を撃ったことも、実弾射撃したこともありますし、重機を撃ったこともありますし、軽機の射手を長らくやっていた、高崎連隊のときには。知らぬわけじゃない。わからぬわけじゃないんですよ。  そこで、おもしろい、なるほどということを書いておられる小川和久さん、これはまさに専門家です。彼が言っているんです。つまり、矛と盾があるとすれば、PKOというのは防ぐ方だというわけです。攻める方じゃないというんですよ。だから、もし攻めるんだというならば、攻めに転じるというならば、まず歩兵部隊は、重迫撃砲の最大射程四キロの範囲内で今守りに徹しているのをやめて、連隊戦闘団の姿が軍事活動そのものなら、そこに持っていけというわけだ。  つまり、陸上普通科連隊というのがある。そこに戦車中隊をつける。そこに砲兵隊特科大隊をつける。対戦車ヘリコプター、ヘリボーン作戦をやれというんでしょう、それをつける。ということで連隊戦闘団を編成しなければ、どんな武器を持っていったって一生懸命守るという武器でしかない、同じことだという。これはもう原理原則なんですよ、どこの国だって。それを向こうの、相手の武装レベルを考えて抑止力になる武器を持っていけなんということを言ってしまっては、国防の専門家じゃないですよ、あなた。  だから、総理、もうやめますが、私は今ここでどうということはできませんけれども総理に一言申し上げておきます。こういうふうなことをお書きになるということになると、総理、どうなさいますか、これは。いや、これは総理の問題で、柿澤君が自分やめるというなら別だ。総理の問題だ。
  281. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは、議員としてはいろいろな私は議論はあると思いますよ。しかし、私ども内閣を発足させまして、その後の閣議でも、やはりこの閣僚たちは憲法というものを遵守しながら職務に精励していただきたいということを皆さんにお願いをいたしたところでありまして、私は、柿澤大臣もそのつもりで精励していただけるというふうに確信をしております。
  282. 大出俊

    大出委員 ここにある柿澤さんの論理、これをお持ちの——四月二十五日ですよ、出たこの本は。そうでしょう。この辺御承知で置いておかれるということになると、検討しますとでも言うんならいざ知らず、これは私はそうでございますかと引き下がれぬのですがね。もう一遍ひとつ心境を聞かしてくださいよ、総理。まあお読みになってくださいよ、これ。危なくて。外務大臣なんだから。
  283. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今、内容を全部あれじゃございませんけれども、もちろん柿澤さんの部分は全部お読みいただいたわけでありますけれども、この問題のいろいろな議論があることは私も承知しております。しかし、今私ども内閣は、この憲法の中で行政を進めていこうということで閣僚のみんなの了解も得ているわけでございますから、それでひとつ進めさせていただきたいというふうに存じます。
  284. 大出俊

    大出委員 予算審議している最中だから今はという意味であれば、今はという言葉、今はと言うんだけれども、まあ私どもの方の聞いている皆さんの意見もありますので、少し委員長、これ、ちょっと相談してみていただけますか。
  285. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  286. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こしてください。  それでは、私から外務大臣に申し上げます。  大出委員が取り上げました集団自衛権の容認が早期に必要というこの文章、この文章の考え方は現在変わりませんか、この考え方は信念として変えたのか、その点を明確にしていただくことが一つ。  それから、これに関連して大出委員指摘をいたしましたその後の大臣になってからの発言、この考え方は現在もそのまま同じなのか、この考え方をお変えになったのか、この二点について明確に答えてください。  柿澤外務大臣。
  287. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私も国会議員としていろいろな経験をし、その中でいろいろなことを考え、またいろいろと発言をしてきたことも事実でございます。その考え方につきましては、私なりの経験に裏づけられたものでございます。  しかしながら、先ほど来申しておりますように、現内閣におきまして閣僚の一員として内閣方針を守っていくという点も、変わりがございません。
  288. 大出俊

    大出委員 これはちょっと答えになりませんね。いいですか、この「二〇〇人の直言」という本は今町の書店で売っているんでしょう、全部これ。知らない人は、これを買うじゃないですか、あなたはこういう意思だということで。そうでしょう。そんな今のようなことじゃ……。  これは無理もないんだな。ここに本会議の議事録もあるけれども細川さんに、「総理は、先般、内閣の改造に失敗しましたが、もろもろの課題に対処する経済改革政権に向けての内閣改造ができないのであれば、この際、思い切って現在の連立を解消して、自由民主党に政権をお譲りになってはいかがですか。(拍手)私たち自民党には、多士済々、多くの人材がおります。いつでもこの国難に対応すべく、その責任をお引き受けする用意のあることを申し添えさせていただきます。」と、こう言っているんでしょう、あなたは。そうでしょう。そこでここまで、こう変わってしまうんですからね。  だから、ちょっとはっきりしていただかぬと、これは、いいかげんなことにしておくと……。(発言する者あり)変えないなら変えないでいいですよ。言ってくださいよ。
  289. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私の三月の衆議院の代表質問について触れられましたので、その点についてだけ申し上げますが、私はその中で具体的に問題点を指摘して、そうした点を是正していかなければならないということを提言をしているつもりでございます。  形容詞等でやや華麗に過ぎたという点はあったと思いますけれども、しかし考え方につきましてはそのときの考え方と変わっておりませんし、また連立政権につきましては、先般社会党も含めて行われました政策合意の確認、これは細川内閣のスタートのときの大枠の合意に比べて具体的な問題について、これは大出先生も御苦労されたわけですけれども、かなり突っ込んだ形のものになっているという意味で私どもは評価をして、その確認書を実現するというためにお手伝いをしたいということで参加をさせていただいたわけでございます。(発言する者あり)
  290. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  291. 山口鶴男

    山口委員長 それでは、速記を起こしてください。  十分間休憩いたします。     午後四時三十一分休憩      ————◇—————     午後四時四十三分開議
  292. 山口鶴男

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、外務大臣から答弁を求めます。柿澤外務大臣。
  293. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先ほど三月の代表質問につきまして形容詞云々と表現したことは、不適切でございましたので取り消します。  また、この文章に書かれている内容につきましては、その段階で私が考えたことでございまして、これにつきましても、その後の、今大出先生が御指摘のソマリアの例、ユーゴスラビアの例等、なかなか容易でないということも実感をしておりますので、現在は現行PKO法に基づく活動、そして自衛権については従来の考え方を踏襲していくということでやってまいります。(発言する者あり)
  294. 山口鶴男

    山口委員長 大出俊君。
  295. 大出俊

    大出委員 三月の本会議お話しになった代表質問の中身を挙げましたが、華麗に過ぎたというお答えは、私もかちんとさっききましてね、何ちゅうことを言うかと思ったんだ。私が党を異にいたしておりますから我慢しておったんですけれども、当時はおたくは自民党さんを代表してお話しになったんですから、そこはちゃんと踏まえて言っていただかぬと、これは納得できないことができ上がりますので、一言申し上げておきます。  もう一つ、やはりここまでのことをお書きになったり今までの御答弁を見ていますと、最初のころのですよ、十日の日に打ち合わせて変えましたが、果たしてこれお引き受けになってよかったのかなという気がするわけでございまして、これから先のことはぜひひとつ御注意いただきますように申し上げておきます。  次に入らせていただきます。  これは憲法と絡みまして、かつまたシビリアンコントロールと絡んでいる問題でございまして、私も自衛隊の制服の皆さんのことも比較的よく知っているつもりでございますから、まるっきりわからずに質問をする気はないんであります。しかし、先ほど私が申し上げましたような雰囲気の中で次々にいろいろなことが表に出てくる。きちっとしておかないとこの国の将来にとって非常にこれは難しいことになる、そういう心配がございまして、実はたくさんあるんでありますが、三つだけ特徴的なものを申し上げてまいりたいと思っているんでありますが、その前に一言だけ申し上げておきます。  日本列島というこの国は、戦争などということになると耐久力はゼロどころではない、マイナスですよ。崩壊してしまいますね。この点だけはひとつ、いろいろな、町の中に、日本の参戦は秒読みであるとか、第二次朝鮮戦争問もなくであるとか、三カ月以内なんというのまであるんですね、本屋さんずっと見ると。これはいけません。  そういう意味で、ぜひひとつこれはお考えおきいただきたいんでありますが、一九九三年九月現在で調べた中に、今運転中の原子力発電所、四十六基ございます。そして、ほとんどの原発が日本海に集中している。とりわけ福井県には全体の約三割に当たる十四基の原子力発電所が並んでいるんですよ。  いろいろな本が出ていますが、朝鮮民主主義共和国の皆さんの国土、北朝鮮の皆さんの国土から計算すると七百キロ、遠いところでも八百キロですよ。後からTMDのところで、これは私はそれこそ死力を尽くして調べて知らぬことというのはありませんが、これはスカッドのAというのはもうないんでありますが、そうすると、スカッドのB、C、特にCでありますが、Cが届いてしまう、ここは、距離でいえば。ここに十四基並んでいるんですよ、福井だけで。  これは、今ミサイルがあることは、ついこの間アメリカへ行って私、国防省といろいろやりとりしてまいりましたが、向こうも認めている。飛んできたらどうするかということなんです。十四基もあるところに飛んできたら、原爆が一遍に三つも幾つも落ちたことになるんです。これはチェルノブイリどころの騒ぎじゃない。とんでもないことが起こってしまいます。  そうなったら、それこそ核爆弾、核ミサイルが飛んできたんじゃないんだけれども、その必要ないんだ、普通のミサイルでいいんだ、研究してみましたが。そうすると、それだけで中部地方から東日本全部に死の灰が降ってしまう。そうなると、これは壊滅状態です。そんなことは何が間違ったって、だれが考えたってできないことでございます。  それからもう一つ、エネルギー小国ですから、石油公団によるエネルギーの備蓄、これは最近はどんどんどんどん基地ができています。ここに図面がございます。それはもう秋田県に半地下、久慈に地下、むつ小川原、苫小牧東部、福井は陸上。白島洋上、これは洋上。上五島、これも洋上。みんな備蓄基地。菊間地下、串木野地下、志布志陸上、これだけあるんですよ、国家備蓄をやっている石油備蓄基地が。日本全体の消費量の七十日分備蓄するというわけですから。上五島とか、白島は福岡県ですよ。  これはそれこそ朝鮮半島からすると目と鼻の先ですよ。長いものは要らないのです。これはトータルどのくらいあるのかと調べてみたら、原油で四千万キロリットルあるのです。四千万キロリットル。日本全体の消費量の七十日分。これをばかばかっとやられたら、それこそ間違いなく九州の例えば西海岸だとか、端から血の海になっちゃいますね。  そうすると、いろんな本がいっぱい出ていますが、何ともどうもやり切れぬ気がする。本当のことをやはりお互いに詰めて議論して研究しておかぬことには間違いが起こると実は思っている。できない、何があっても。こんな雰囲気になって、さっき私は申し上げましたが、つまり休戦協定があるんだから、つまりそこに中国が署名されているんだから、だから安保理決議といったって、これは賛成しないのは当たり前じゃないですか。そうなったら安保理決議に基づく経済制裁はできないことになる。そうしたら、さっき申し上げた多国籍軍的なことでやるか、独自にやるかしかない。方法はない。  そうなったら、国連憲章百三条というのは厳として存在をするので、停戦協定が生きちゃうのです。北の言うとおりになっちゃうのです。宣戦布告とみなすになっちゃう。そういうことになるのだから、次から次から次から、表に出しちゃいけないのに、皆さん、各省庁の方々が次から次からお出しになる。  そこで、三つ聞きたいと申しましたのは、まず第一に、つまり、まあ通常の言葉で言うと海上における阻止行動と言ったら一番いいんだろうと思うのですが、どこがということは申しません。ひとつお答えをいただきたいのですが、これは外務大臣になるんでしょうか、防衛庁になるんでしょうかわかりませんが、防衛庁長官、神田さん、お答え願えますか。海上の阻止行動というのはどういうことを言うのですか。どこの国がじゃないのです。海上の阻止行動、海上における阻止行動、阻止する行動、これは何ですか。
  296. 神田厚

    ○神田国務大臣 海上の阻止行動というのは、我々は今のところ想像をしておりません。そういうふうな状態が起こらないように努力をしたいと思っております。
  297. 大出俊

    大出委員 どこの国がどうと言っているのじゃないのですよ。海上における阻止行動という行動があるので、この根拠はどうなんだと聞いている。  申し上げましょうか。「戦争状態ではない平時に国連加盟国の海軍が安保理の要請に基づいて実施するもの」を海上阻止行動と言っているわけですよ。これはそんな状況が起こるも起こらないも、それは一つの意識があなたにあっての話なら別だが、海上における阻止行動というのは、今私が言ったようなことになっている。定義です、これは。  そこで、それじゃ海上における阻止行動というこの行動は、大きなところで言って何と何と何ができるのですか、阻止する側で。これは大臣がお答えください。国連の解釈です。
  298. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生おっしゃっておられるとおり、通常、最近新聞等で括弧つきに海上封鎖という言葉が出てまいりますが、これはいわゆる戦時の封鎖ではございませんで、先生おっしゃるとおり、最近の例を挙げさせていただきますと、一つはクウェートの事態、それから二つは旧ユーゴの事態、三つ目はハイチの事態の三つの事態に関連いたしまして安保理が三つの決議を出しております。  それで、基本的には同じ表現ですが、核心をなしますのは、まず貿易の禁止ということが前提にあって、それを実効あらしめるために各国に対して、海上におきまして第三国の船舶の積み荷と目的地を検査、確認するという行動を要請するというのが骨子でございまして、そういう意味で、いわゆる海上封鎖活動とかなんとかという言葉は、ここでいいますところの検査、確認の行動であるという、そういうぐあいに御説明させていただきたいというふうに存じます。
  299. 大出俊

    大出委員 やはり専門家丹波君の答弁で、そのとおりなのでありまして、実は今、丹波君が話しておりますのは、すべての例はここに全部記載されてありまして、印刷したものがございます。そこのところをここで確認しておきたかったので質問をした、こういうことでございます。  そこで、先ほど私は、決議があるのにその決議に従わずに入ってきた船ということを申し上げましたが、つまり阻止行動、具体的に今お話がございましたが、禁輸品がある、そうすると、その水域を通る船に停船を命じて、国連が決めて禁止されている禁輸品があると行き先変更を命じることができる、こうなっている。この場合、向こうへ行っちゃ困りますよ、向こう行ってくれ、これは平時なのですから、戦争しているのじゃないのだから。その船は、じゃあというので、禁止されている品目を載せていたのだからというので、どこかへ戻っていく。  その場合に、指示に従わないで抵抗すると、警告射撃、ヘリコプターを使っての強行乗船、認められているかいないか。それから、武力行使をすることはできません。これも答えておいてください。ただ、相手が武力で抵抗することになったときに、特定の状況の場合は、それに見合った措置ということが決められている。特定の状況の場合は、それに見合った措置、あわせてそれに見合った措置とは何か。丹波君、もう一遍答えてください。
  300. 丹波實

    ○丹波政府委員 まず、先生ぜひ御理解いただきたいと存じますのは、私、過去の例を三つ挙げましたけれども、日本は現実にこういう活動に参加しておりませんので、その現場で具体的にどういう活動が要請されているのか、私たち現実には知らないわけでございます。そういう意味で正確にお答えできるかどうか自信がございませんけれども、基本的にはしかし今問題になっておりますのは第三国の商船が主体だろう、恐らく圧倒的には商船が問題でございまして、したがいまして、商船が大砲を抱えて走っているということはちょっと考えられませんので、向こうから実力の行使が行われるという状況はちょっと想像しにくいということがまず第一でございます。  したがいまして、何と申しますか、実力の行使がこちらで行われる必要があるという状況が本当に出てくるのかどうか、ちょっと想像しにくいなというふうに思いますが、過去たくさんの例がございますから、全部調べてみなければ正確なお答えはできないのじゃないかというふうに考えます。
  301. 大出俊

    大出委員 という今の答弁にありましたように、だから、ここから先は防衛庁、神田さん、あなたのところ、本当にいろいろやっておられるのですね。私も非常に苦労して、まああそこに防衛局長村田君もいるけれども、私が調べたのをあなた知らぬだろうと思うけれども、調べてみた。記者の方の取材メモまで起こしてもらったりして調べてみた。  ところが、去年の十二月、これは防衛庁の海幕の方からですよ、海上自衛隊の皆さん、海幕の方から記者クラブに、海上の阻止行動について勉強会をやりたいのだけれどもつき合ってくれと申し入れたのですよ。制服の方々ですよ。それで記者クラブの方に集まってもらって何をやっているかというと、言った人もわかっているのだ。これは不思議な話だけれども安保さんというのですよ。安全保障の安保と書く。安保公一、この方は、私も何遍も講演にお伺いした市ケ谷の自衛隊の幹部学校の少佐の方ですよ。この方が出てきて説明しているんですよ、記者クラブの方々を集めて。あなた方は何にも、国会の中に安全保障委員会という委員会もあるんですよ、何にも制服の皆さんは聞いたっておっしゃらない。実際にはこういうことをやっている。  そこで、海上における阻止行動、これは御存じのように自衛隊法に言う八十二条に「海上における警備行動」、ございますでしょう。宝珠山さん、あなた御存じのとおりです。この警備行動を中心にして組み立てているんですよ、海上自衛隊の皆さんは。この阻止行動をやるときにはどうするかというのを組み立てている。決議を国連がしたらこうなるああなるとやっているんですよ。  そこで、ことしになってから逆に今度はクラブの側が海幕に申し入れたんです、出てきてくれと言って。それでいろいろと問題になってきて、さっき申し上げたようなことで、いっぱい新聞にも出てくるし、テレビでやったり、WESTPACなんて皆さん御存じでしょう。総理、後から一言聞きますが、WESTPACなんて、私ここにカセット持っていますが、これはここまで出てくればそれは聞きたくなるでしょうね、恐らくクラブの側だって。これはWESTPACというカセットです。  これは八億円かけている、アメリカの国防省は。日本でも三菱重工とか三菱電機だとかNECとかみんな入っている。発注しているんだから、アメリカ側が防衛産業に。アメリカはロッキード以下ずらっとみんな入っているんですよ。全部で十四。それで、これは足かけ六年かけてシミュレーションやっているんですよ。  そうすると、まず第一に、戦争が起こったとすると、これはシミュレーションだから、私はあおっているんじゃないんだから、聞いている人が聞いたって私がしゃべっている中身はわかるんだからいいんで、聞いておいていただきたいんだけれども、起こった第一日、戦争が起こった。そうしたら、北から飛んでくるミサイルは三発。北九州市、福岡市、玄海原発。全部射線までわかっているんですよ、このカセットで。五月三日にフジテレビが放映しているんです。六時が一回、十一時が一回。十分ちょっとの中身ですが、ショッキングなものです。  二日が抜けている。三日がある。三日は四カ所ですよ。ミサイルが飛んでくるんですよ。北の発射地点まではっきり出てくる。飛んでくる。シミュレーションですよ。これは築城、自衛隊の築城の飛行場、御存じでしょう。皆さんの方だって見ているでしょう。築城それから佐世保、福岡飛行場、岩国、四カ所です。佐世保なんかミサイルたくさん飛んでくるようになっている、これを見ると。  こうなってくるからクラブの方だっておさまらないんですよ。だから、今度はクラブの方から申し入れて海幕の皆さんと話し合っている。こんなことまで出てくるんですよ。たくさんあります、取材メモだから切りがないから言わないけれども。  今の丹波君の答え、よくわからない答えをしたけれども、禁輸品をいっぱい積んでいたんだけれども、抵抗されて向こうが武器を使ったらどうするんだと言われたら、使えませんと言う。法改正が要ると言う。法改正すればこれは有事立法ですよ。緊急だの云々だのじゃない、そんなことはどっちも一緒です。そうするとどうなるかというと、自衛隊の船が三隻なら三隻で取り囲んで、武力行使のできるほかの国の船を連れてくると言うんです。そんなのんきなことを言ったって成り立たないでしょう。そういう研究をやっておられるんですよ。  だから私は、取材された皆さんの本当の話を聞いてみると、一つ、海上における阻止行動というのはこういくんだということを持っておられるというんです、いろいろやってみると。何にも出てこないでしょう。だから私は、こういうことははっきりするところははっきりして、いけないものはいけないとはっきりする、議論すべきものは議論しておく、その必要がここまで来ればあるんですよ、この国の将来のために。だから取り上げる。これが一つ、海上における阻止行動。  次に、このルールズ・オブ・エンゲージメント、交戦規定と称するものであります。これは演習に使っておられる、交戦規定をつくって。この交戦規定というのは、憲法九条で交戦権は認めないんですからね。そうでしょう。そうすると、交戦をするんだということで交戦規定をつくるということになると、ここに問題がある、初めから。だから、長いことできていないんですよ。指示みたいな形にしている。おさまらなくなっているんですね。  だから、そういう意味で交戦規定をつくるならつくるで、これは沖縄タイムスが非常に細かく取材をしていますよ。私が調べてみても、なるほど沖縄タイムスの皆さん、よく調べたものだなと思うぐらいのことが書いてある。時間がもったいないからこれ以上は余り言いませんが、この交戦規定は憲法との関係というものをどうしても無視できない。  だから、アメリカには戦争権限法という法律もある。大統領の戦争権限というのはぴしっとそろっている。日本でも交戦規定なんというものは、本当は議会の側から、あるいは皆さんの方で、背広の側から制服の皆さんに話をして限界を決めてつくっていくという姿勢が本当はなきゃいけない、皆さんの側は。逆になって制服から出てくるようじゃうまくない。これが二番目。  もう一つ、これは私は、時間の関係もありますから先に用紙を配っちゃった方が早いんだけれども、これ配ってくれますか、事務局の皆さん。  これは畠山事務次官の記者会見で、テープを起こしたのです。新聞には載ってない。それとこれも一緒に、これは空幕長石塚さんですかな、これも配ってください。  これは他意はありません。悪意もありません。こういう問題がある、しかもこれはこのままやれば憲法違反だ、しかも自衛隊法違反、専守防衛に反する、こういうことになる。そのことを明確に私はしておきたいから取り上げている。  逃げまくっておられたんだが、最終的にあることを認めた。その大きな紙の方が事務次官の記者会見でございまして、クラブで事務次官がいたし方なくしゃべった中身なんですが、九四年の二月三日です。表に出ておりません。テープは防衛庁の方にもあります。広報が持っている。これは同じものです。これは九四年二月三日。で、空幕長、航空幕僚長、海幕長は林崎君だけれども、これは空幕長の石塚君ですね。九四年の二月四日。翌日です。  そこで、申し上げたいのは、この表題にございますように、下に線が引いてあるのは私が引いたのですが、大きな紙ですが、行動規定第二部というのが航空自衛隊にある。行動規定第二部。そういうものはない、こう言ってこられたんですが、この記者会見であることを認めた。  どういうことかといいますと、「第二部という研究案そのものがあるかと言われれば、あります。」これは畠山さんの、事務次官の会見の冒頭です。これが最初の線引いているところ。その次の線が「研究途上にある案なんです。」との言い分。で、内容については事柄の性格上差し控えるんだが、一般論ということで、過去の外国の事例があって、だからそれを参考にしてやっているんだという。  どういう事例かといいますと、フォークランド紛争なんですよ。インビンシブルという英国は空母を持ってきまして、シーハリアー四十何機載せてあって、フォークランドの外の海上に排他的な空域をこしらえた。排他的空域、ほかの飛行機を入れないという意味で排他的、こういうことなんです。  で、この排他的空域を認めたのは空幕長会見です。小さい方の紙です。紙の上に三つか四つ線が引いてありまして、下に二つ線が引いてありますが、「中身は「秘」です。」と言っていて、「一般的には、(排他的空域については)」こうございますね。で、空幕長の方は上から三番目に「特に有事、」と言っていますね。今、いるというわけですよ、特に有事。フォークランド紛争の例があるように、こういうことです。  朝鮮海峡がございますね。中心線、ここを基準にして三つぐらい案がある。十二海里というのが領海です。その上が領空です、十二マイル。領空ならば自衛隊法三条のとおり、任務のとおりなんだ。陸上自衛隊は陸上において、航空自衛隊は空において、海上自衛隊は海上においてこの国を守るというのが三条なんだ。  ところがさて、ここで、行動規定二部で規定している中身というのは領空じゃないんです。領空じゃない。ずっと向こうへ出ていって、領空外に出ていって、一つの案は二十海里。そういうところに排他的空域をこうつくる。排他的空域とは何か。つまり、ここにはほかの飛行機は入れない。これは英語でいうとトータル、トータルというのは完全なという意味です。トータル、トータル・イクスクルーシブ、排他的、こういうことになりますが、トータル・イクスクルーシブ・ゾーン、つまり完全かつ排他的空域、こういう表現になりますが、それをつくる。  で、自衛隊法上の防衛出動が下令されていない前に、下令されてからじゃ間に合わないというんですよ、防衛出動の命令が出ないうちに、出ない前に排他的空域をつくっておいて、そこに入ってくる航空機というものに対して警告を発して、従わなきゃ落とすというわけです。  フォークランド紛争の英国の排他的空域というのは後で国際法上大きな問題になっているんだ。私も国際法を随分調べてみたが、排他的空域に対する法的根拠というのは見つからない。しかし、この行動規定第二部にはそうなっている。そして、この行動規定第二部というのは、総論の一番最初に法改正が前提になっている。中身は七つも八つもありますが、前提になっている。わかりやすいところを今私は申し上げたわけですが、撃ち落として、向こうの飛行機のパイロットがパラシュートでおりてきたら、捕まえたらその捕虜をどこへ持っていくかまであるんですから、細かいことを言えば。  ですから、私は悪意で言っているんじゃないと申し上げているんですが、ここまで、線を引いてあるところをお読みいただけりゃわかるんだけれども、法律改正は考えてないと畠山さん、前の方で言っているんだが、実は今の法律で対処できないところについても検討をしている、いいですか、ここのところは非常に微妙なんだが、している可能性があると、こう言っておいて、それで、下の方へ行きますと、いろんな制約が解消されて、そういう環境になればというわけですよ。結果的に格上げをして、これは法改正が要るんですが、格上げをして行動規定にするということ、一番最後のところは「格上げされて、現実化されて行動規定の一部をなすということも考えられないわけじゃない。」と言い切っている。  そうすると、このままで放任はできないという気が私はいたしておりまして、この辺で承りたいんですが、三つ申し上げました。時間の関係で極めて省略をして申し上げましたが、防衛庁にこの三つ、私が申し上げたことについて、あるのかないのか、一体、今申し上げたクラブとの海上阻止行動についての話し合い、行動規定第二部、この行動規定第二部はそこにおいでになる防衛局長は、憲法との絡みがあるとすれば調査しますなんてことを言っておいでになるが、そこらを一遍ここで答弁してください。
  302. 村田直昭

    村田(直)政府委員 先生の御質問が非常に広範多岐で長時間にわたっておりますので、それにぴたっと御答弁できているかどうかは定かではありませんが、まず第一点の海上阻止行動についてでございます。  この件につきましては、先生は自衛隊法八十二条の海上警備行動について触れられましたが、当然のことながら海上警備行動は、防衛庁長官が、海上における人命、財産の保護または治安の維持のため特別の必要がある場合に、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に命ずるというものでございまして、ただ、先生がその前に御指摘された海上封鎖あるいは海上における、先ほど条約局長から説明のありました検査というような言葉ですが、これについては具体的内容がまだ明らかにされてないわけですね。  前回のイラク・クウェートの際に国連の決議に基づいて行われたこともございましたが、その内容についてはやはり詳細にまだ具体的なものがないということでございますので、私どもとしては、経済制裁の実効性確保という目的が直ちに自衛隊法八十二条に規定する海上警備行動の目的と合致するかどうかということについては、十分これから研究しなければならぬということで、今直ちにお答えをどちらかということで申し上げる段階にはないということでございます。  それから、海上自衛隊幹部学校の、先ほど先生がお触れになりました、一等海佐の方が防衛庁記者クラブに国際法のブリーフィングということでブリーフィングをしていることは、私どもも十分承知しております。  それから、防衛庁のROEについてのお尋ねでございますけれども、いわゆるルール・オブ・エンゲージメントということでございますけれども、その概念、内容がまだ明確になっているというわけではございません。  御質問の趣旨が我が国に対する武力攻撃等に際し自衛隊が対処する場合の要領というようなことであるとするならば、防衛庁におきましても現在、年度の防衛、警備等に関する計画、年防というものがございまして、それが外部からの武力攻撃等が生起した際に自衛隊が対処する場合における基本的事項を定めておる。そのほかにも個々の対応について各種の規則を定めております。  そういう意味で、ルール・オブ・エンゲージメントの基本になるところはございますけれども、さらに、実際の有事の際の自衛隊の対処要領に関することについては、まだなお研究すべき課題が残っておりまして、今後も研究を深めていく必要があると考えております。昨年ですか、統合演習が行われた際に、一部演習上のルール・オブ・エンゲージメントを作成しましてそのような研究の一助としているところでございます。  それから、第三点目の行動規定第二部という先生御指摘書類でございますけれども、この書類については、私どもこの文書は、研究案としてそのようなものはございます。そして、これはあくまで研究としてまとまったものではなく、引き続き研究をこれから継続すべきものとされておりまして、いわば研究途上の案でございます。  本来的には行動規定というものがございまして、これに基づいて、法律並びにこのような行動規定に基づいて自衛隊の行動が律せられているわけでございますが、今のように二部と申しますのは、それに至る以前の研究過程にある案でございまして、このような中で各種の研究をしているわけでございますが、自衛隊が運用のあり方について常々研究をするということは当然のことでございまして、自衛隊としては、各部局において日ごろから各種の研究を行っているところでございます。そして、これはあくまで法改正を前提としているものではないということについては私ども確認をし、かつ、そのことについても部外に積極的に説明をしているところでございます。  そして、今御指摘の中で、いわゆる領空以遠の空域を排他的空域に指定して領空内と同じ扱いをしようという内容を記されているというようなことが先生から御質問がありました。このような具体的内容については事柄の性質上お答えすることを差し控えたいということでございますが、御指摘のように、領空以遠の空域を領空と同じように扱うといったような研究は行っていないところでございます。言うならばその意味は、単にある航空機が領空以遠の一定の空域に侵入したことを理由に、当該機の飛行を阻害するような措置をとるというようなことの研究は行っていないということでございます。  なお、排他的空域というものの国際法上の議論についてはいろいろあるわけでございますけれども、例えば先生御存じのとおり、エア・ディフェンス・アイデンティフィケーション・ゾーン、ADIZというのがございますけれども、これにつきましても当然のことながら、防衛庁が設定しておりまして、その中に入ってきた自衛隊の航空機について一定の報告義務を課すというようなことによって、いわゆる自衛隊機等と他の飛行機との区別を、その識別を明らかにするというような意味で課しておりまして、こういう意味でもある種の空域というものは設定をしているわけでございまして、空域を設定することが必ずしも問題があるというふうにならない、つながるわけではないと考えているわけでございます。  なお、先生の御質問、非常に長かったわけでございまして、全部についてお答えしているかどうかわかりませんが、もし、さらに御質問があればお答えしたいと思います。
  303. 大出俊

    大出委員 これは三つ申し上げて、ちょっと私が長く話し過ぎた感がございます。時間が気になって少し速く申し上げたわけなんでありますけれども、実は今のお話、納得いたしかねる。随分苦労して、私もさっき取材メモまで起こしてもらってと言ってありますが、いろんなことがわかっているんです。  しかも、今ここに差し上げた文章をよくお読みいただくとわかるんですけれども、今は環境が許さないというんですよ。行動規定第二部というものは法改正を必要とするんだけれども、今は環境が許さないというんですよ。  熊谷さんがこの間記者会見で言っておられましたね、いろいろ有事立法あるいは緊急立法あるんだけれども、今出したら大混乱が起こるなんてね。相通ずる認識なのかどうか、それは知りませんよ。知りませんけれども、どこまで村田防衛局長が知っているのかわからぬという逆に疑問が出るんだ、あなたの今の答弁を聞いていると。余り知らないんじゃないかなと思っているんだ、制服の皆さんの方でやっていることを。それが非常に困るんです。  そこで、畠山さんがいみじくもここで言っているように、状況が許せば、諸制約がなくなって軍事的に見て十分望ましいということになれば格上げして実施する、こう言うんですよ。そうすると、非常にこれは気をつけないと怖いことができ上がる。  そこで、私はここで三つ申し上げたんですが、皆さんの方は、海上における阻止行動でわざわざ記者クラブにまで出かけていって説明しているんですよ、こうなっているんだって言って。我々に何の説明もしないですね。  それから、ROE、交戦規定、これも、今あなたの答弁で一つだけ認めたのは、演習に使ったと、こう言う。そうでしょう。交戦規定というのは、ほかの国では明らかにしているでしょう、どこの国だってみんな。これはシビリアンコントロールの中心なんだから。出してちっともおかしくないじゃないですか。昔の陸軍だって、作戦要務令なんというものは公開して町で売っていたんです。当たり前です、そんなことは。  だから、あなた方は何でも隠して、何でも秘なんです。それこそ、こんなものがと思うのまで。それじゃ、国会があったって、安全保障委員会があったって、議論も何にもできないじゃないですか。間違ってますよ、これは。  もう一つ、ここで、また少し話が長くなり過ぎてうまくないのかもしらぬけれども皆さんの方の制服の方々の方も明らかにすべきだと言っているんですよ。知っていますか。公に言っている。だから、今あなたが答えて認めたんだから、出してもらいたいんですよ。議論をしたいんです。交戦規定なんかについてもきちっと議論しておかないと、とんでもないことが起こる。議論しなきゃならぬ、どこの国もやっているんだから。アメリカだって、戦争権限法まで議会できちっと議論しているんだから。そうでしょう。これが一つ。  海上における阻止行動だって、皆さんの方は研究してあって、だからクラブに申し入れて、クラブに出てきてくれという、話をさせてくれというわけです。今度は、クラブの方が申し入れて話をしている。国会は何にもしていない。これは村田さん、あなた、知らないで済まないんだ。制服の皆さんがやっていることをあなた方が知らないじゃ済まないんだから。二番目、出してください。  それから、行動規定第二部。使ってないで、単なる研究だと言うのならば、出してください。そうじやなければ出せないんだ、皆さんは。なぜならば、東京の航空総隊本部に保管している人、起草に当たった人、間接的ながらみんな聞いてわかっているんです。総則がどうなっているかまでわかっているんです、これは。畠山さんがここまで言っているんだから、これは次官の記者会見、表に出てないんだが、テープをそのまま起こしたんだから、だから、あなた方はひとつ出してもらいたいんだ、これは。三つ。  まず、答えてください。
  304. 村田直昭

    村田(直)政府委員 お答えいたします。  行動規定第二部でございますけれども、行動規定第二部につきましては、先ほども御説明しましたように、これは研究途上のものでございます。そして、もし、今先生も御指摘のように、この研究が煮詰まってその成果が決まり、かつ関係部局の間で合意ができるようになれば、その内容の、一部については当然行動規定として現実に使用されるべきものになろうかと思いますけれども、あくまで行動規定第二部と申しますのは研究途上のものでございまして、まだ未定のものでございます。  それと同時に、この行動規定の内容といいますのは、要するに作戦の態様というもの、侵攻態様に対する対応を研究しておるものでございますから、当然のことながら手のうちを明らかにするというようなことにもなりますし、そういう意味で、行動規定の一部について、一部ということはありませんけれども、行動規定についても明らかにしていないと同じように、これを以上二つの理由から御提出することは差し控えさせていただきたい、こう考えております。  それから、ROE、ルール・オブ・エンゲージメントにつきまして、米軍も公開しておるというように先生申されましたが、私どもでさえ、米軍のROE——ROEという性格については私ども知っております。ここで言うまでもないことですが、もう一回繰り返せば、事態に対する国家としての方針及び軍事的な対処方針並びに部隊の行動の具体的基準が記載されて、国家の軍最高指揮権者から各級指揮官を通じ部隊に示されるものであるということですが、具体的内容については私どもとしても知り得ない。  若干ですが、米軍との演習を通じて知り得るというケースはございますけれども、知り得ないわけでございまして、私どものルール・オブ・エンゲージメントについては、一つは、最上位の問題は年度防衛計画、年防でございますが、それ以下の各種の規定によって示されているわけでございまして、そういう年防自体が、今までの国会の御要求に対しても、手のうちを明らかにするということで提出を遠慮させていただいているという状況にございます。  そういうことからいいまして、これらのものを提出するということは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、先生が言いましたように、私ども、先ほど申しましたように、海上自衛隊の幹部学校の研究員がそういうような資料でブリーフィングしたということは私承知しておりますので、これについては、そういうようなブリーフィングをした資料でございますので、ちょっと内容を検討した上で、出せるかどうかちょっと検討をしてみたいと思っております。
  305. 大出俊

    大出委員 ブリーフィングした資料まで検討してみる。まるっきり何にも出さないで、何のために安全保障委員会はあるんですか、国会の中に。アメリカだってそれは全部公開してはいませんよ。いませんけれども、議論ができるように公開しているんだ。議論ができないじゃないですか、それでなきゃ。  これは全く異なことを承るんだけれども、これでやっていると動かなくなりますからね。その気はないんで、うちの国対の方からは、予算については協力すべしということになっているから、協力してやっていけということになっていますから、だから気をつけて聞いているんですけれども。  そこで、私が非常に気にするのは、これも日にちをちゃんと申し上げましょう。ことしの一月十八日の午後六時、海幕の会議室、林崎海幕長のあいさつ。これはみんな記者の皆さんもおったわけだから。  こういうことですよ。これは聞いておる方がびっくりしたわけですけれども、「三矢図上研究は方法に問題があった。がしかし、今なおやっておく必要があり、やっておくべきである。当時の理解が間違っていた。」うちの岡田春夫さんの理解が間違っていたということにこれを読むとなるんだけれどもね。間違っていたら直さなきゃいかぬけれども。「理解が間違っていた。自分たちのやっていることを隠すと、何をやっているのかわからなくなる。したがって知らせるべきである。記者諸君、皆さんの御協力をお願いする。」という出だしなんです、話は。林崎さんは海上幕僚長ですよ。  さっき私は阻止行動をいろいろ申しまして、丹波さんも私の思っているようにお答えになっているけれども、これはやはり今みたいに、そのブリーフィングした、安保君がしゃべった中身まであなたは割り引いたようなことを言う。そういう姿勢じゃうまくないんですね。やはり制服の皆さんだって、それは世論がやはりこっちに向かなきゃ困るでしょう。  それで、三矢図上研究が出てくる。だから、今線を引いたのを簡単に申し上げれば、三矢図上研究のあのころ、松野頼三さんが小委員長で三矢小委員会をつくった。今あのころの関係者で残っているのは私と楢崎君ぐらいしかいないかもしらぬけれども。この三矢研究の中に、状況がずうっとこう進んできて、さてここで、領空侵犯措置強化の下令と、こうくる。領空侵犯措置強化の下令が行われると、さっきの行動規定第二部になる。これは当時の三矢研究のとおりだ。それから、海上における警備行動強化の下令。これは八十二条だけではできないのですよ。さっき海上自衛隊が持っていると私が申し上げたのが出てくるわけです。つまり熊谷さんが言っている、今出したら大混乱が起こるという。じゃ、どういうときに出すんだということになる。  そうすると、林崎さんがいみじくも三矢図上研究をぽんと持ち出したというので、記者がびっくりした。私にすぐ連絡があったのです。だから起こしてもらったら、今こういうことなんです。  これは、三矢研究でいうと、二週間の国会を開く、そして第一グループの法令、今は有事立法というのは第一類、第二類。第三類が出てないんですよ。防衛庁、そうでしょう。一類、二類は出ているが三類はないでしょう、いろんな問題があって。そうすると、第一グループから始まって、二十七件、二十八件、二十二件、十件、合計八十七件、今のような問題も含めてぽんと国会に出てくるのです。二週間で押し通すのです。  だから、この今私が線引いているここに、状況が許せばと、こうなる。今は法改正しなきゃならぬところまで踏み込んでいるかもしれないと言っているでしょう。そこまではっきりしてきているのです、最近は。だから、私はこの際、出せるものは出して、論議の仕方はいろいろあるわけだから、なぜそういう気にならぬかと。制服の諸君までそう言っているんだから。  これをお調べになっていただきたいのだが、局長、私が今申し上げた一月十八日の午後六時の海幕の会議室、ちょっと答えてください。
  306. 村田直昭

    村田(直)政府委員 お答えさせていただきます。  私、新聞紙上でそのようなことを発言したような、括弧書きで書いてある記事は見ました。しかし、それがどなたがそのような発言をしたのかは承知しておりませんが、私、最初に先生が申されました、自衛隊についての理解を深めるために大いに資料を出して議論すべきだということについては、防衛庁は全くそのように考えておりまして、必要な資料については十分にお出しをし、議論をより深めるということは、私どもも先生の考え方と全く一緒でございまして、常々そのように協力しているつもりでございます。その点はまずもって申し上げたいと思います。  それから、三矢研究につきましては、今先生いろいろお話しになりましたが、確かに、四十年三月でございましたか、予算委員会で大変議論を呼んだわけでございますが、その後、そのときに資料を廃棄してしまったために、詳細については現在防衛庁において把握できないという状況になっております。  もちろんそのときの議事録等を通じて、それから岡田春夫議員が出した資料というものは今残っておりまして、それがそのものであるかどうかということについては、私どもまだ、資料を廃棄してあったものですから認定できないということで、私どもとしては、当時防衛庁として、昭和三十八年度統合防衛図上研究(三矢研究)についてという文書を御提出しまして、自衛隊は毎年防衛計画を立てているけれども、三矢研究は防衛計画ではないということと、三矢研究がどのように行われたかについては、状況の推移に応じて、我が国に対する外国からの武力攻撃に米軍と共同して対処するため等の目的で研究が行われたということと、それから三矢研究の文書は防衛庁で正式に決定された文書ではなくてあくまで幕僚の研究であるというようなことと、というようなことについて、それからその際にこの研究については事前に内局にも連絡があり、かつ内局の者も参加してこの研究が行われておるということによってシビリアンコントロールは確保されているというような文書を四十年の三月十日に出しておるところでございます。
  307. 大出俊

    大出委員 村田局長、この排他的空域をつくる行動規定第二部、府中の航空総隊司令本部にちゃんと保管している、保管している場所までわかっている。しかも、これはそこだけじゃないんですよ、地方に今全部配付しちゃったんですよ。村田君、私が出したらまた、今のあなたの答弁と一緒だ、それは研究中のもので、あずかり知らぬものだと逃げる。それじゃいけないというんだよ、私の言っているのは。  だから、どこまで出せるかを真剣にあなた方は考えなきゃおかしいじゃないですか。今の三矢図上研究だって、こっちから出したんだ。それで小委員会をつくって松野頼三さんが一生懸命取り組んだんだ。そうでしょう。あのときは制服の皆さんだって真剣だったんだ、僕も携わっていた一人だけれども。だからそんないいかげんな答弁じゃ困るんだ。どこまで出せるんですか、実際にやっているんだから。相談してみてくださいよ。それは少し相談してよ。出せるところまで出してくれなきゃ困る。
  308. 村田直昭

    村田(直)政府委員 お答えします。  行動規定第二部の配付につきましては、各方面隊の司令官あてに出しておるところでございまして、各部隊に全部配付しているわけではございません。しかし、この性格については、先ほどから申し上げておりますように、航空自衛隊では有事における自衛隊の行動について、年度の防衛、警備等に関する計画で対処の基本事項等について定めているわけでございますが、さらに航空自衛隊は、そのもとで、例えば報告要領、符号等の、各部隊に共通する具体的な基準や手続について、行動規定として別途定めているわけでございます。  これも当然のことながら、先ほども申しましたように、我が方が侵攻態様等に応じて対応する手順を決めているものでございますから、これは手のうちを明らかにするということでお出しできないということで申し上げているわけでございますけれども、他方、その行動規定第二部の方は、これは日ごろから各部局で、既に決定された規範となっているものではありませんで、これからさらに改善向上すべく研究をしておるものでございまして、現在研究の途次にあるものでございます。そして、引き続きさらに研究を深めていこうというようなもので、もしそれが内容的に固まり行動規定として決まれば、手順を踏んで決まれば、それは本来、先ほど申しました行動規定の方に移っていくということでございます。  したがって、研究途上にあるものであるということと、やはり手のうちを明らかにするということから、提出は差し控えさせていただきたいということでございます。  もちろん、それ以外の防衛庁の、自衛隊の行動にかかわるもので、十分御議論いただけるようなものであれば出せるわけでございますけれども、各国ともそういうような手のうちを明らかにするような資料については部外に出さないということが通例ではないかと、これは私どもそう考えておるわけでございます。
  309. 大出俊

    大出委員 今のようなことになってくると、これは議論のしようがないんです。結局そうなれば今度はこっちが出さなければしようがないんだ。そうでしょうが。出さなければならなくなれば、相当程度わかってきているから出しようもなくはない。なくはないが、また三矢図上研究みたいなことができ上がりますよ、そんなことしたら。そうでしょう。だからそれは出したらどうだと言っているんだ、私の方は。ちょっと相談してみてよ。
  310. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  311. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こしてください。  大出委員に申し上げますが、大出委員が提起されました問題、角度は若干違いますが、十八日中川委員もやや同様趣旨の問題を提起をされました。その際、秘密会等々で議論することもあっていいのではないかというような御指摘も中川委員からあったわけです。  羽田総理もこれについては理解できるというような発言もいたしておるわけですから、したがいまして、十八日の委員会で中川委員から提起されました問題との兼ね合いも含めまして、理事会で相談をさせていただきます。  大出君。
  312. 大出俊

    大出委員 それじゃ、今の点、わかりました。  こちらからとなると、また今まで私もひどい目に遭ったこともありまして、どこから出たかとか、何とかかんとかってまた、ですから何とかそうでなくて、悪意で言っているんじゃないんだから、審議の仕方もあるんだから。皆さんが出す気になるのが筋だと、海幕長もそう言っているんだから、と思ったんですが、次の機会にいたしましょう。  そこで、これは外務省でしょうね。実は時間のあるところで話したいこともあるんですけれども、六時で切れるんですかね。  これは外務省の外交政策局に承りたいんですが、おたくの方がいろいろ方々説明に歩かれていろんなのを持ってこられております。「北朝鮮の核兵器開発問題 現状と今後の対応」なんていうのをお持ちになって歩かれる。ここにもいろいろな問題がありますけれども、このときに説明をいろいろしていかれたメモがここにある。ここに詳細なものがございます。これ、ちょっと見過ごせないんで、ちょっと承りたい。  三月の二十三日付でございますけれども、「北朝鮮の核兵器開発問題 現状と今後の対応」というようなものをお持ちになって説明をなされた、そのメモ。この「安保理でこうなっている。」というところから始まりまして、「安保理決議が経済制裁に進むと、中国はどう出るか。一貫して、圧力はかえってマイナスになるという立場で、恐らく中国は拒否権を行使するだろう。」と見ているんですよ、ここで。  ここから始まりまして、そこで四番目に、「一、物の流れを止める」というんです。これ「(送金)」なんですよ。二番目、「人の流れを止める」というんです。これ「(再入国許可問題)」です。三つ目、交通、「船を止める」、こうある。「(万景台号)」というんですか、特定の船ですよ。これは御存じの方、多いと思う。「この三つが考えられる。」というんですね。「いずれも現在の国内法では対応し切れない。しかし、履行できないと、国際的非難を免れない。」  「送金については、大蔵省が海外に五百万円以上の持ち出しを禁じているが、これを切り下げても効果があるのかどうか、その有無はともかくとして、日本からの送金に国際的な関心が集まっているというのが現状である。」「船舶の入港についての権限は、自治体の長に権限がゆだねられており、善良な管理者として安全を理由としてしかとめられない」というのです。国には権限がない。「再入国許可をどうする」、どうするかといったって、憲法二十二条もあるのですからね、これは簡単にはいきませんよ。憲法違反になっちゃいますから。しかし、ここでそう言っている。  それで、「来週月曜日までに各省庁に検討してもらった結果を持ち寄ってもらうことにした」、こうなんです。「有事の可能性もなきにしもあらずと考えている。」「米軍の日本の基地からの発進を迫られたらどうするか。」「五、六、七月は政権にとっても厳しい」なんということまで書いてある。だれだとは申しません、またいろんなことになりますから。  だから、ここまで申し上げたんだから説明してください、ここで。外務省柳井局長、ちょっと、私ここまで言ったんだから、ここにあるんだから、答えてみてください。
  313. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大出先生がお示しになりましたメモがどのものであるか私ちょっと承知いたしませんが、これまでいろいろな機会に各党からの御要望もございまして、安保理における審議状況でございますとか、あるいは、その後どういうことになるのか、どういうようなことが考えられるのかというような、いろいろ御質問がございました。  そこで、大きな前提といたしましては、これは大臣あるいは総理からもお話がございましたように、現在、とにかく話し合いでこの問題を解決するということでやっているわけでございますので、そういう話し合いが決裂したような場合にどういう措置をとるのかということについて確定的なことは申し上げられない。ただ、しかし、そうは申しましてもいろいろ研究はしているのだろうというような御質問も種々ございまして、そこで、私どもとしても、過去の例などを中心といたしまして、どういう問題があるか、どういう研究を、まあ内々でございますけれども、内々こういう問題点について研究をしているというようなお答えをしたことはあると存じます。  ただ、何らかの方向を出したということは、これは事実としてもございませんので、そういうようなことを申し上げてはいないと存じます。
  314. 大出俊

    大出委員 これ、だれが答えるのですかね。  官邸に、石原官房副長官が中心になって、構成は、外務省国際情報局長、それから公安調査庁の次長、防衛庁防衛局長、それから警察庁警備局長内閣情報調査室長、安全保障室長、これだけで、正規の機関じゃないのですね、これは。この集まりは何という名がついているのですか。
  315. 坪井龍文

    ○坪井政府委員 庶務は、今先生おっしゃいました内閣情報調査室の方でやっておりますので、あれでございますが、私も参加しております。  今御指摘のとおり、正規の機関ではございませんが、かねてから行革審等でも指摘がございまして、各省庁のいろいろな情報を統合しまして、統合しましてというか、中枢に集めて、それなりのいろいろな情勢分析をしたり判断する資料にすべきだというお話がございまして、もう数年以上前だと思いますが、今先生がおっしゃったような形で、合同情報会議というふうに我々通称呼んでおりますが、そういうところで情報の交換をやっているということでございます。
  316. 大出俊

    大出委員 時間が大変なくなりまして、実はさっき申し上げた中身と絡んでおりまして、ここで少し中身に入った議論をしようかと今思ったのですけれども、非常に気になることがこの中にはたくさんございまして、しかし時間の関係もござ思いますから後に譲ることにいたさざるを得ません。  ところで、不公平税制の是正、景気対策、注文が参りまして、大変にこれは途中でまずいんですが、まだ軍人恩給の関係、欠格者の皆さんの軍人恩給を、最短恩給年限十二年でございますから、そういう意味でその資格に欠けるという意味で欠格者、この方々の問題なども実はあるのですけれども、残念ながらそこまで入っている時間がないような気がいたします。  そこで私は、総理が一番いいかな、ちょっと羽田さん、大蔵大臣をおやりになっていたからあなたでいいんじゃないかという気がするのだけれども、税制改革についての合意もあって、直間比率問題がいろいろ議論になって、合意書もできているわけですが、このときにどうしても納得いかぬということで、国民の合意を得るということをメーンにして、つまり今の消費税を廃止する。きちっと廃止する。そして二十一世紀に向けての福祉ビジョンその他も出てくるわけでございますから、そういうところで高齢化社会を控えて財源がどういうふうに動いていくのかということも子細にこれは検討しなきゃならぬだろう。そういう意味で、さてそこから先、新しい角度で間接税——消費税と言っているのじゃない、消費税廃止なのですから、間接税、これを国民の合意を得るということで考えていこうということで、私どもはそういうことで皆さんとのやりとりに臨んだわけでありまして、これがいろいろ変わりましたが、この考え方は変えていない。  そこで、まず一つ承っておきたいのは、不公平税制の是正と言われるものでございます。  総理、日本に税制のループホールと言われるもの、例えばこれはアメリカのレーガン大統領のとき、レーガン税制改革というのがありまして、ちょうど税制改革協議会、二十四回ばかり私が出てやっている時代、加藤六月さんそこにいるけれども、彼が座長でいろいろやった時代があるのですけれども、この不公平税制の是正の前にまず抜け穴ですな、ループホールと言われるいろいろな、トーゴーサン、クロヨンなどと言われますね。一〇〇%取られている、あるいは九割以上取られているのは雇用関係を結んで給料もらっているサラリーマンなんだ、しかし自営業の方はどうなんだ、あるいは農家の方はどうなんだというふうにやっていくと、クロヨンと言われたり、九、六、四と言われたり、トーゴーサンと言われたり、あるいはそこにピンがついたり、このくらいしかし大きな穴があいている税制はないのですね。  だから、総合課税の方向に行こうというのでグリーンカードの問題を取り上げて、実は山田耻目君が本当に大蔵委員会で一生懸命やって、私が助太刀に参りまして、大平さんに予算委員会で山田君を後ろに置いておいてこの問題を詰めた。大平正芳二人いるのかと言って詰めた。外国記者クラブへ行って、そんなことはめったにできませんなんて言っておいて、今度は大蔵委員会では暮れまでにはとはどっちが本当の大平さんだと言って詰めて、やっとグリーンカードが決まった。それをまたつぶした経緯まであるわけですね。  あのときに総合課税をやっておけば、原則二っあるのですよ、垂直的公平、水平的公平。水平的公平というのは、職種が幾つも違っても公平に税金というものは納めなきゃならぬし、制度もつくらなきゃならぬという意味ですよ、サラリーマンであっても、あるいは自営業であっても。これはもう皆さんが御存じのとおり。垂直的公平というのは応能主義で、余計もらっている人は余計払えというのが簡単に言えば原則ですよ。それには直接税しかないのです。総合累進という方向で行く以外にない。その前に、こんなに穴だらけになっているループホールと言われるもの、税のトーゴーサン、クロヨンと言われるものを本気で埋めていく気にならなければ、国民が信頼する税制はできないと私は思っている。  その意味総理、ひとつどうお考えか、大蔵大臣おやりになっていましたから、お答えいただきたいのです。原則を承っておきたいと思います。
  317. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今お話ありましたように、確かにグリーンカードというものが導入されたとしますと、これはどんな仕事をしている人であろうと、やはりそれぞれ収入というものが捕捉されるということになって、いわゆる今のような直接税の、中堅サラリーマン、こういったところが非常に割を食ってしまうということはなくなるであろうというふうに思っております。  ただ、今日まで、今トーゴーサンピンというような御指摘があったわけでありますけれども、過去に相当そういう議論があったという中で、少しずつ、少しずつというよりは相当、連年正されてきているというふうに私は見ております。ただ、問題は、やはり不公平というものはまだあるぞということで、前回の福祉税問題があったときもいろいろと議論されましたけれども、こういった問題につき、正すべきものは正していかないとやはり理解されないだろうというふうに思います。
  318. 大出俊

    大出委員 少しこれは議論をしたいのですけれども、私ここに持っているのは、英国の納税の手続、納税のシステムを、私が行ってもらって、訳してもらったものがここにある。フランスのもここにあります。  そこで、一つ取り上げて物を申し上げておきたいのは、何となく今与党の皆さん中心に進めていただいているんだけれども、大蔵省あり、税調ありですね。税率七%という数字が、消費税的なものの税率七%というのが最近やたら出てくる。よくないですね。これは七%先にありきじゃなかったはずなんだ。  そこで、一つ例を挙げて申し上げますと、ここに図がかいてありますのは、私がかいたんじゃないんです。付加価値税の父と言われたフランスのモーリス・ローレさんなんです、これは。私がローレ氏に会って、細かく詰めた。いいことを言いましてね。そうしたら、私とやりとりをしてきたことがいつの間にか筒抜けちゃっていまして、後で気がついたら、私の通訳をしてくれた方が国税庁の御出身だったのですね。これには私は驚いて、人間というのは妙なことに水が漏るものだなと思ったんですけれども。ローレさんという人はすぐごうかいで説明してくれる方で、私にこう言うんですね。野党の社会党という党の人が一人で私を訪ねてこられたのは、これは初めてだと言うんですね。あなた、熱心だから非常に好感持ったというわけですよ。  それで、六十年も反税闘争をやってきたフランスだというんだ。つくった法律を大衆運動でつぶされる。またつくったらつぶされる。三年あったらつぶれるということになってしまう。そこで、いい法律だと思っていないと言うんですよ、付加価値税というものを、ローレさん自身が。しかし、フランスにとっては、これはやむを得ない法律だ、これがなければ。理由はと言ったら、所得税が取れないと言うんですよ、個人申告だから。個人申告だから取れないと言うんですよ。必要経費を云々と言って、職場でおれは必要経費これこれ税務署に認めさせて、払ってないと言ってみんな威張るというんですよ。あの人は官僚でしたからね。これはどうにもならぬというわけですよ。  ところが、ここで清水信次さんが、これは私が国対委員長消費税廃止闘争をやったときには先頭に立って、私の前で常にしゃべっていた方なんですが、彼はここで取り上げていて、一体サラリーマンが何人いるか知っているかと言うんですよ。そして、サラリーマンの数をぴしっとここで挙げて、四千六百二十七万人いると言うんですよ、サラリーマンがこの国には。  この源泉徴収システムはどこからできたか彼は調べたのです。ヒトラーのいた時代のドイツ。みんな兵隊にとってしまって、税務署員が減っちゃったら、企業に責任を負わして税務署の代役をさせる。賃金台帳をこしらえて、全部そこで天引きをやった。日本もそれ以後この制度を導入してきた。それが今の賃金台帳、サラリーマン課税のシステムだと言うのですよ。遺産だとちゃんとここで清水信次さんは言っている。そのためにサラリーマンはとにかくひどい目に遭っていると。クロヨン、トーゴーサンということになっているから、そこでつまり消費税を導入する、上げるということだから反対したというのが当時の彼の考え方だというわけですよ。改めて最近読んでみて、そう彼は書いている。  だから、モーリス・ローレの言っているのは同じことなんですよ。サラリーマンが個人申告だから税務署とぶつかり合って話がつかないだらけ、だから納税書の上に書いてあると言うのだ、払わなければいけないのだと。それでも払わないと言うのですよ。ローレさんが説明するのです。だから、じゃどうすればいいのだ、財源がないのだから。しようがないから付加価値税というものを考えたと言うわけですよ。これはっぷされないかどうかとまで考えたと言うのですよ。しかし、何とか動いていると言うわけですよ。ここのところがやはり原点ですよ。  垂直的公平、余計収入のある人には余計払ってもらう、水平的な公平、職種間の格差がないように税金は取っていくという原則、ここに戻って不公平税制を是正しようとすると、富岡さんですかな、こういうことになるのですね。十一兆何千億ですか、大変な……。ですから、不公平税制を徹底的に是正をしたらどうなるかということ、これは中央大学の富岡さんの試算ですね。最近本を出されていますよね。富岡さんの試算、随分詳しいですよ、この中身というのは。あっけにとられるぐらい詳しい。  だから、そういう試算もあるのだから、やはり不公平税制、その前のループホールを埋める。レーガン税制改革が高く評価されているのは、確かに減価償却その他で企業優遇はしたけれども、片一方で抜け穴になっているものを全部埋める努力をしたというところに、トーゴーサン、クロヨンを許さないという努力をしたというところに評価が高いのですからね。  だから、これは加藤六月さんおいでになるけれども、彼が座長で、夏の暑いときに、人がみんな休んでいるときに税制改革協議会を一生懸命やってきた仲だけれども、やはり原点に立って不公平税制を是正する、与党の皆さんおいでになるのだから。そういう意味で、そこにひとつまず原点を置いて不公平税制を是正する、ループホールをなくす。この二つの原則で、そして垂直的、水平的という二つの公平で国民を納得させる、サラリーマンを納得させる努力をするということをしていただきたいと思うのですが、いかがですか、時間がないので原則しか聞けませんが。
  319. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今お話しのとおりだと思いまして、まず垂直的公平のために、私は所得税が基幹税であると思います。やはり国によって、税制というのはその国の国民性とか歴史とかいろいろなものに関連していると思いますが、日本は現在において垂直的公平を保つために所得税が中心である、この原則は守っていかなければならないと思っております。ただ、余りに今超過累進が世界的に見ると日本の方が急角度になり過ぎてしまっているという問題で、消費課税の充実、所得課税の軽減という話が出てきて、このこともまた十分理由のあることだと思っております。  不公平税制でございますが、政策減税というものを一概に否定してはいけないと思います。しかし、所得税というものは総合課税が原則であるというこの原則はぎっちり守っていかなければならないと思います。政策減税の中には、皆様が当然是認してくださるものも多いと思うのですね。住宅の取得の問題とか生損保の問題とかいろいろあります。利子もあります。  そこで、今おっしゃっていた中で、やはり利子それから株式の譲渡益の総合の問題が非常に中心的なお話だろうと思うので、私もそうあるべきだと思っております。思っておりますが、執行の裏づけができない限りは、これは新しい不公平を生むということも事実でございますから、この執行の裏づけ、具体的に言いますと、世間では納税者番号という言葉を使っておりますが、そういうたぐいの執行の裏づけと並行して議論することによって本当の総合課税が実現できると思いますが、今それについての御議論もいろいろ世論はあるという現状であることは御承知のことと思います。検討は進めてまいりたいと思います。
  320. 大出俊

    大出委員 七%、これは国民福祉税を細川さんがお出しになったときに私は本当に腹が立った。あなたのあのときの答弁も随分無責任ですよ、藤井さん、何を答えるのだと思って聞いていたら。  あれで計算をしてみて、とっさにあのときにいろいろやってみた、人の知恵もかりて。すると、七%ということにすると、年収で八百万から九百万のちょうど真ん中ぐらいから下は全部増税になっちゃうのです、細かく試算してみて、学者の知恵もかりたけれども。  私は、今一つ間違うと、大蔵ベースで、あなたの出身の大蔵ベースで進めようとすると、斎藤君じゃないけれども、とんでもないところに行ってしまう。  これは、大蔵大臣、あなたが大臣なんだから、もっともあなたは神奈川で、私は年じゅう一緒だからだけれども、やはりそこは大臣がというところでひとつ、今私が申し上げた原則に立って、間接税という名前を簡単に言うけれども、大型間接税を言っているんじゃないのですよ、今の消費税はつぶしてしまいたいんだから、消費税をなくせというのが私の言い分なんだから。間接税を認めないわけじゃない。  だからそういう意味で、まずああいう、要するに税率を上げるのが先にあるという式の物の考え方だけはやめてもらいたいのですよ。国民は納得しないです。そう思いますので、そこのところをちょっともう一遍聞いておきたい。
  321. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 先ほどのお答えでも若干触れましたように、やはりこれからの本当の長寿社会を安定させていくためには、これは実際、給付を受けられる方にとっても、また負担する方にとっても、過度に所得課税に偏るのはよくない。広く薄い消費課税の充実は必要である。私は今でももちろんそう思っております。そして、超過累進の問題、逆進性の問題も、所得税など全部を含めてどの程度の超過度がいいのかというのを見ていくべきだと思っております。  また同時に、そういう七%先にありきとは全然考えておりませんで、とにかくそういう私の今申し上げた方向でまず連立与党で御議論をいただいておりますし、何よりも少数与党でございますから、国会の各党の皆様の御理解をいただいた上で、そういう方向で処理をいたしたいというので努力をしております。  また、大蔵省の職員の一部の人間が突っ走っておるというお話がございましたが、全くございません。私が今のような信念に基づいて組織として行動しているということを御理解いただきたいと思います。
  322. 大出俊

    大出委員 もう一つここで承っておきたいのですが、総理は、日米交渉、細川さんのときに急遽飛んだり苦労されましたね、見ていて本当に気の毒になったことがあるんだけれども。これは数量規制その他を決めてという、あれはブッシュさんのころから諮問機関をつくって諮問して、答申が出たりしていて、数量規制はそこに出ていたことですよ、読んでみると。  だが問題は、サミットが参りますね。七月の七日ですか、八日ですか、そのころだと思うのですが、そこまで羽田さんの内閣が存在するかどうか、これは私は知りませんがね。だけれども、ともかく景気対策を含めて、円高問題も含めてどうしようとお考えなのかという点をずばりひとつ答えていただきたいのです。
  323. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 ただいまの問題につきましては、担当の皆さんがアメリカで今話し合っている最中であろうというふうに思っております。  私は、ちょうど不調に終わりましたときにも、これは率直にカンターさんとはもう普通の言葉でやり合ったものです。そして最後に話したことは、要するに私の方は私の方でまず自主的にやりましようということを申してきたのですけれども、いずれにしても黒字というものが大変大きく、しかも長く続いておるということには、これはやっぱりいら立ちを持つというのは当然であろうと思っております。  その意味で、やはり我が国として市場を開放する、しかもそのことがやっぱり国民生活を向上させるんだという信念に立てば、そういう中で規制緩和ですとかそういうものの対応、あるときにはマクロの政策というものをあわせて進める、そういうことによって内需を拡大。ということは、要するに、向こうの競争力のあるものは日本に参入することができるということになりますと黒字は解消されていくであろうということになろうと思っております。それによって国民生活もよくなっていくんじゃなかろうか、かように考えております。  しかし、今基本的なところについて議論をいたしておるということでありますから、私はそんなふうにして道を開くことが、日米ということだけではなくて、日本がやはり国際的にこれから生きていくためにもよかろうし、また国民生活のためにもいいというふうに思っております。
  324. 大出俊

    大出委員 もう一つは、対米関係が一つの主軸になるんだろうというふうに思いますけれども、景気対策、これは企画庁長官になりますか、総理でよろしければ総理でお答えいただきたいのだが、これ、円高問題も含めてどう見ておられるのですか。時間がありませんから私の方でしゃべらぬことにしますが。
  325. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 景気の現状につきましては、非常に厳しく見ております。  まず、やはり企業の収益それから設備投資、これはずっと減り続けておりますし、それに円高が非常に足を引っ張っている。ただ、一部には、例えば個人消費の明るい動向もありますし、あるいは住宅建設の高い水準での伸びもありますが、やはり総じて日本経済というのはまだ低迷が続いていると思います。  これに対する対策なんですが、結局、やはり抜本的に経済改革をやっていかなければいけないのじゃないかと私は思います。特に、日本の官主導の経済ではなくて民主導の経済、規制緩和、そういうものと、それから総合経済対策の実現、それから早く予算を成立させることによって早い手を打っていくという、そのようなことを着実にやっていくことだろうと思います。
  326. 大出俊

    大出委員 早い予算をというので、それが一つの基本にございますから気をつけて聞いているわけなんですが、それじゃ時間の関係もございますから、どうしても承っておきたいことが、これは総理のおいでになるところで、ある。  それは戦後処理なんですけれども、軍人恩給の欠格者と言われる方々、資格がない方がまだ二百五十三万人おるのですよ。ここに正確な資料がございますけれども、二百五十三万人おいでになる。そしてこの方は、旧軍人あるいは軍属として在職していた期間があって、二百五十三万人。ところが、最短恩給年限というのは、軍人恩給の場合、加算を入れて十二年でございますから、一カ月足らなくても十是らなくてももらえない。気の毒なケースだらけ。  私はかつて内閣委員会、若いとき十六年やっていまして、ずっとこの恩給と取り組んできた一人です。そこで、最近陳情に来られる方、今申し上げた二百五十三万の中で、平和祈念事業なんということをやって書状とか銀杯とかを渡す、こういうことにした、御存じのとおりなんです。  ところが、それじゃ書状、銀杯の資格者はどのくらいいるかというと、百八万人いるんです。三年に切りましたから、百八万人。それじゃ一体、平成元年から今日六年まで、書状を元年で渡すということにしてやると、どのくらい申し出た人があるかというと、三十二万一千人、百八万の中で。ところが、この中で請求権のある人を拾っていったら二十六万九千人。だから、約七十万の方々は申請をしないのです。書状、銀杯、御苦労さまでした、恩給は払えないけれどもと言って、書状を渡して銀杯をと、そして高齢者については懐中時計と旅行券などというものまであるのですけれども、申請しない。  私は長く恩給をやっておるものですから訪ねてこられる方々がたくさんいまして、今でもたくさんおるのですが、話を聞いてみますと、ここで詳しく申し上げている時間はないけれども、こういうことなんです。  おれたちは鉄砲を持って弾が飛んでくる下を大陸に行って戦ってきた。仲間がたくさん死んでいく中で命を何とか持って帰ってきた。ところが、戦後こんなに年月がたつのに一銭の恩給年金もくれない。ところが、最近は自衛隊の皆さんがカンボジアへ行っても最高二万円から手当くれるじゃないかというわけですね。書状、銀杯で気を済まそうにも済ましようがないというわけですよ、たくさん来る方に聞いてみると。だから、何とかしてくれ、してくれと言って、次々死んでいくわけですよ、御年配の方が多いから。事務局長やっているような方が私ぐらいの方ですから、何年かいたというような。  私は、この前内閣委員会質問をいたしまして、戦後補償を、もう来年五十周年来るんだから、けりをつけようじゃないか。どうするか。最短恩給年限は加算を入れて十二年。連合艦隊に乗っかっておって、船が故障したから横須賀の軍港に入って三カ月間修理をした、三カ月加算がつかなかったというだけで、二カ月足りないから、十一年と十カ月でもらえないという人もいる。  それから、現地除隊をして華北鉄道に勤めて、とうとう私ども努力して、華北鉄道は現地人を雇って鉄砲を持たして鉄道警備をやったんだから軍隊と一緒だと言って、やっとそこまで認めてもらったら、正規の職員となっているものだから、准職員だった期間が四、五カ月あったからそれだけ足りないからもらえないと、こうなる。そういう方々がずらっと今でもいるわけですよ。  だから、一挙に片づけるためには、十二年に満たない方について十一年ならどうするか、一年減額すればいいんだ、これは。十年だったら、十二年ないんだから、二年減額すればいいんですよ、減額の仕方はいろいろあるけれども。減額方式をとっていって、今自衛隊の方だってPKOで行けばお金もらえる世の中なんだから、場所によっては二万円なんだから。だから相当な金になりますよ、行っている期間によっては。そういう世の中なんだからという陳情も来る。わかる。一緒にいて足りない方は、戦後、今日は一銭ももらっていないけれども、十二年に足りた方は今まで軍人恩給をもらっているんだから。そうでしょう。泣くに泣けないから請求をしないんだ。  だからこれは、来年の八月で五十年ということにもなるわけですから、けりをつけるという気になっていただけぬかという気がする。方法はいろいろあります。そうでなければこの方々は亡くなっていってしまうんだから。総理、これ、お考えがございましたらひとつ聞かせていただけませんか。
  327. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは当時、たしか五十九年の戦後処理問題の懇談会、まさにこのときに一応の決着をつけようということで、平和祈念事業特別基金というのが設立されたはずでございますね。  そういう中で対処されてきたということでありまして、これがやはり不満であるからということ一で今のお話になっておるわけなんですけれども、これはどういう対応をするのかということは非常に困難な話でありまして、例えばこれは官に勤めている方の場合には、これは恩給とそれが継続される、しかし民間の場合にはないというこの不満というのもあることを私ども承知しておりますけれども、そういったものも含めて実はこのときに処置をしたというふうに私ども承知いたしておりまして、我々として今どう対応するのかというのをここでお尋ねがありましても、なかなかこれは実際のところ難しいということを申し上げざるを得ないというのが率直なところであります。
  328. 大出俊

    大出委員 さっき私が申し上げましたように、十六年も私は内閣委員会にいましたから、永山忠則さんが内閣委員長で、靖国神社国家護持法案でこんなになっちゃって、担架で委員長は運ばれた。私は心配して飛んでいったこともあるんですよ。小宮山重四郎君だなんだ、藤尾君だの、三原朝雄さんだのみんな理事で、一番印象に残るのは、恩給で本当に一生懸命やってくれたのは、千葉の、自民党の筆頭理事をやっておられて……「椎名悦三郎さん」と呼ぶ者あり)椎名悦三郎さんじゃないんだ。ちょっと今ど忘れをしましたが、運輸次官をおやりになっていた、また運輸政務次官を重ねてやった伊能繁次郎さん。伊能繁次郎さんと私、それから民社党の受田新吉さん、御熱心でね、公明党の鈴切康雄先生、この四人で、実は伊能さんと私と鈴切先生と受田先生で内閣委員会に恩給小委員会をつくったんですよ。こんなになっていましたから。  それで線を引いてここでと決めて、これで片づくかと思うと片づかないで、また線を引いて、それで片づくか、片づかないでまた線を引いて、それで片づかない。満鉄から、満州電電から林野から何からみんな入れて、華北鉄道も入れて延々とやってきた。今度は日本に来てからの通算も全部手直しをしてやってきた、本当に。いよいよ残ってどん詰まりなんだ、これ。だから私は今減額方式を申し上げたのだけれども、気の毒ですよ。まだこれ二百五十三万欠格者がいて、書状、銀杯、百八万人、三年で切ったら有権者がいて、それで二十六万九千人しか該当しないとなると、七十万残っているんですから。そうでしょう。  だから総理、これは国会のことは国会でやってくれというお話が出てくるとは思うんだけれども官房長官、やっぱりこれは、皆さん与党なんだからね、そういう意味で、私が平成五年三月二十五日に質問をしていろいろな提案をして、内閣委員会で恩給小委員会開いてくれと言ったら、牧野委員長が開きますと約束をしたままになっちゃった、これは。  だから、やっぱり内閣委員会なら内閣委員会で小委員会なら小委員会をきちんとやって、この方々、代表者も決まっているんだから、ぜひひとつ来ていただくならいただいて御意見を承るところは承って、皆さん気持ちが済むとすれば、来年五十年なんだから、どうしたらいいかというのを、私は私の案があるけれども、もう一遍みんなで考える、その責任がありますよ。私も出征兵士だけれども、召集令状で出ていった方はたくさんあるんだから。そうでしょう。  だから、死ぬに死ねない気持ちがあるんだから、そういう意味でぜひひとつここのところは皆さんのお知恵もかりたいので、これは官房長官、そこらのところを少し皆さんの方に、それなりの方々もおられるわけだから、その気になっていただけぬかという気がするんだが、いかがでしょうか。
  329. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 委員の御指摘の点につきましては、先ほど総理がお答えしたのが政府立場でございます。  ただ、これは院の問題として取り上げてはいかがかという先生の御指摘だと思いますが、これは政府立場として云々する立場ではございませんけれども内閣をお預かりする一人として、与党の皆様方には、連立与党の皆様方には、先生の御指摘をそれぞれの場でお伝えをさせていただきたいと思います。
  330. 大出俊

    大出委員 じゃ、最後になりますが、これはどこが答えていただけばいいのかわかりませんが、シアター・ミサイル・ディフェンスと言われているTMDというものがございます。北の、朝鮮民主主義人民共和国の皆さんが開発をされているミサイル。  二つ聞きたいんですが、スカッドBというのは射程おおむね三百です。スカッドCというのは五百五十から六百キロぐらいです。そして、去年の五月二十九日に新潟沖日本海に北朝鮮の蘆洞というところから撃ったミサイル、試射ですけれども、仰角上に上げて落としていますから、あれは五百五十キロぐらい飛んでいるんですけれども、それを学問的に逆算をすると千キロとなる。ノドン一号と世の中が言っているものですね。三つ。そこにテポドンと称するものが二つ出てきておりまして、これは、ニュースソースはアメリカであることを明らかにして、このテポドンについての出所は、ジェーン年鑑を出しております「ジェーン・ディフェンス・ウイークリー」であります。  これは私、アメリカにこの間参りまして、国防省のチャールズ・フリーマン国防次官補、担当の次官補でございますが、お話をいろいろしておりますけれども、このテポドン、大砲というんですが、日本語に訳せば。大砲一と二、射程どのくらいなのかというやりとりもしておりますが、そういう長射程のミサイルを北は開発中でございますという答弁をフリーマンさんしていましたが、これが射程が二千キロ、テポドン一。テポドン二、これが三千五百キロ、おおむねそういうことになっている。  これはなぜわかるかというと、空を赤外線センサーをつけている衛星が回っておりまして、それがキャッチをして、だから、「ディフェンス・ウイークリー」で、ジェーン年鑑の出している、情報はアメリカと言っているのはそこに理由があるわけですね。  日本という立場からして、この北のミサイルに対してどういうふうにするかといったら、何の手段も何の方法もない、これは。ない。こういう状況で、去年の五月ごろからですけれども、アメリカのウィズナー国防次官補、ドイッチェ国防次官補、入れかわり来る。そしてSSC、事務レベルで去年の十二月にハワイでやって、ことしの連休のさなか、五月のあれは二日か四日かどっち.だったか忘れましたが、ワシントンDCでおやりになっている。三時間やっておられるその一時間半はTMDだ、こう言う。それから、安保協議委員会でも一番最後に継続した日米協議になっている、ついこの間の。  そうなると、二つ申し上げたいのでありますが、今のこの状況で、さっき私がアメリカのシミュレーションの話をいたしましたが、これもみんな絡んでいるのですけれども政府として、TMDにかかわる問題、どう受け答えをなさっているのか。アメリカ議会の状況からすると、直接利益を得る国から金を出させる、こうなっている。それが条件。そして予算が通っている。そうなると、そこに行き着いてきつつある。政府としてどうお考えなのかというところを承りたいのです。
  331. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 大出先生御指摘の戦略ミサイル防衛、TMDにつきましては、アメリカ側からいろいろな御提案がございます。現在のところそれを、これも先生のお話にありますが、SSCの場でいろいろ聴取をしながら、我が国の安全保障における役割、また日米の協力のあり方その他を目下検討中でございます。専守防衛という前提に立っての我が国としては、ミサイル防衛についてのあり方は、これは検討していかなければならない課題でございますが、財政的な負担もいろいろありますので、目下慎重に検討中ということでお答えをさせていただきます。
  332. 大出俊

    大出委員 あと一分ぐらいですから結論にしますが、これは国民の税金ですからね。つまり三つ、ミサイル防衛計画が三つになっていまして、ナショナル・ミサイル・ディフェンス、アメリカの国のミサイル・ディフェンスがございます、ナショナル・ミサイル・ディフェンス。シアター・ミサイル・ディフェンス、つまりローカルの、日本なんかの場合ですね、韓国の場合。研究開発と、三つになっていて、百八十億ドルですよ、五年間で。シアター・ミサイル・ディフェンスだけで百二十億ドルですよ。一兆二千億なんです、これ。それを日本に金出せと。私が行ったときにも、しきりに私にその話をしましたよ、アメリカ側が、国防省は。私は与党だったからわざわざもう大変なパンフレットをつくって待っておられましてね。そういうこと。  そうすると、こういう話が出てくる。横綱曙という人を普通の自分のうちへ連れてきて、ふろへ入れるようなことになるというんですよ。何でだと言ったら、片足突っ込んだら湯がなくなるというんですよ。  つまり、一兆二千億もの金を今の防衛予算で出せといったって、去年は四兆五千五百十八億ですよ。ことしは四兆六千四百六億円ですよ。今度はちょうど四兆八千三百五十億ぐらいになっているわけですよ。そうでしょう。そうすると、この中でといったって、ふたをあけたら人件糧秣、ぽんと四〇%はそれで消えちゃう。まあ後年度負担、後年度負担だから、その当年度負担でいくと、これが四〇ぐらいになっちゃうと八割超えちゃう。そうすると、金なんて出しようないのですよ、防衛予算で。これが現状なんですね。  そのぎりぎりに来ているんだから、これは総理もお考えをいただきたいんだが、使うのは国民の税金なんですからもう一遍承りたいんだが、今外務大臣ああいうふうに言いましたが、本当のところこの受け答えは、プロトタイプのものが七年にできるんだからと、四十個ぐらい、そこから始まって具体的な話がある、アメリカ側から。私ども知っている。だからもう一遍承りたいんだけれども、本当のところ、これはどうする気なのか。先へ行けば行くほどいろんなことになってしまうので、ここで念のために聞いておきたい。
  333. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 ただいま外務大臣からもお答え申し上げましたように、現在事務レベルで、実際に一体どういう機能を持つものか、こういったものを話しております。しかし、いずれにいたしましても、これは政策判断をやっぱり要するものであろうというふうに思いますので、私どもは、まず我が国としてこういった防衛をどうするのかということを考えながら対応していかなければならぬ問題だろうというふうに認識をいたしております。
  334. 大出俊

    大出委員 じゃ時間が参りましたから、ありがとうございました。終わります。(拍手)
  335. 山口鶴男

    山口委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十四日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十一分散会