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1994-02-22 第129回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年二月二十二日(火曜日)     午前十時十九分開議  出席委員   委員長 山口 鶴男君    理事 衛藤征士郎君 理事 越智 通雄君    理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君    理事 後藤  茂君 理事 中西 績介君    理事 杉山 憲夫君 理事 渡海紀三朗君    理事 草川 昭三君       伊藤 公介君    江藤 隆美君       小澤  潔君    鹿野 道彦君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       白川 勝彦君    島村 宜伸君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       東家 嘉幸君    中山 太郎君       穂積 良行君    松永  光君       御法川英文君    村田敬次郎君       村山 達雄君    柳沢 伯夫君       若林 正俊君    綿貫 民輔君       伊東 秀子君    池田 隆一君       今村  修君    岡崎トミ子君       坂上 富男君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    三野 優美君       加藤 六月君    工藤堅太郎君       笹山 登生君    月原 茂皓君       松沢 成文君    山本 幸三君     五十嵐ふみひこ君    石井 紘基君       長浜 博行君    山田  宏君       石井 啓一君    河上 覃雄君       谷口 隆義君    二見 伸明君       高木 義明君    中野 寛成君       穀田 恵二君    中島 武敏君       松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  細川 護熙君         法 務 大 臣 三ケ月 章君         外 務 大 臣 羽田  孜君         大 蔵 大 臣 藤井 裕久君         文 部 大 臣 赤松 良子君         厚 生 大 臣 大内 啓伍君         農林水産大臣  畑 英次郎君         通商産業大臣  熊谷  弘君         運 輸 大 臣 伊藤  茂君         郵 政 大 臣 神崎 武法君         労 働 大 臣 坂口  力君         建 設 大 臣 五十嵐広三君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     佐藤 観樹君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)武村 正義君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 石田幸四郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 上原 康助君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 愛知 和男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      久保田真苗君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      江田 五月君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 広中和歌子君         国 務 大 臣 山花 貞夫君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障室         長       坪井 龍文君         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局審査部長 関根 芳郎君         警察庁長官官房         長       廣瀬  權君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁警備局長 菅沼 清高君         防衛庁参事官  熊谷冨士雄君         防衛庁長官官房         長       宝珠山 昇君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁人事局長 三井 康有君         防衛施設庁長官 米山 市郎君         防衛施設庁総務         部長      草津 辰夫君         防衛施設庁施設         部長      江間 清二君         防衛施設庁労務         部長      小澤  毅君         経済企画庁調整         局長      小林  惇君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         科学技術庁研究         開発局長    石井 敏弘君         法務省刑事局長 則定  衛君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省経済協力         局長      平林  博君         外務省条約局長 丹波  實君         大蔵大臣官房総         務審議官    田波 耕治君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆俊君         国税庁次長   三浦 正顯君         文部大臣官房長 吉田  茂君         文部省高等教育         局長      遠山 敦子君         文部省高等教育         局私学部長   泊  龍雄君         文化庁次長   林田 英樹君         厚生大臣官房総         務審議官    佐々木典夫君         厚生省保健医療         局長      谷  修一君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         通商産業省通商         政策局長    坂本 吉弘君         通商産業省通商         政策局次長   前田 正博君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         郵政大臣官房財         務部長     楠田 修司君         労働大臣官房長 征矢 紀臣君         労働省職業安定         局長      七瀬 時雄君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済         局長      小野 邦久君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 三井 康壽君         自治大臣官房長 遠藤 安彦君         自治大臣官房総         務審議官    松本 英昭君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君         自治省財政局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     御法川英文君   後藤田正晴君     白川 勝彦君   伊東 秀子君     岡崎トミ子君   鉢呂 吉雄君     今村  修君   山本 幸三君     松沢 成文君   武山百合子君     山田  宏君   穀田 恵二君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   白川 勝彦君     穂積 良行君   御法川英文君     佐藤 敬夫君   今村  修君     池田 隆一君   岡崎トミ子君     伊東 秀子君   松沢 成文君     山本 幸三君   山田  宏君     鮫島 宗明君   中島 武敏君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 敬夫君     鹿野 道彦君   穂積 良行君     後藤田正晴君   池田 隆一君     鉢呂 吉雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  記録提出要求に関する件  平成五年度一般会計補正予算(第3号)  平成五年度特別会計補正予算(特第3号)  平成五年度政府関係機関補正予算(機第3号)      ――――◇―――――
  2. 山口鶴男

    山口委員長 これより会議を開きます。  平成五年度一般会計補正予算(第3号)、平成五年度特別会計補正予算(特第3号)、平成五年度政府関係機関補正予算(機第3号)、以上三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳沢伯夫君
  3. 柳沢伯夫

    柳沢委員 細川内閣が、昨年の八月の九日でしたか、発足を見ましてから六カ月を超える時間が経過をいたしております。この間、細川内閣規制緩和経済改革という名のもとで進められようとしておる、それからまた、所得税負担フラット化消費税の大幅引き上げ、これを税制改革のもとで進められようと企てられておる、こういうように私は見ておるわけですが、こうした細川内閣政策基本的な考え方を通観して、私としては、細川内閣はいわゆる新しい保守主義、ニューコンサバティズムの考え方に立っておられるように見させていただいておるんです。  一九七九年でしたか、サッチャーさんから始まって、アメリカレーガンに引き継がれ、日本の我が自民党政権にもいささかの影響を与えた、こういう一つの政治的な思潮でございますけれども、これにより一層細川内閣基本方針というのは合致した道を歩んでおるように見受けております。そうして、その基本的な考え方が昨今の我が国経済が直面している困難、これに対する対応、さらに日米関係を初めとする国際関係への対処の結果に必ずしもいい影響を及ぼしていない、私はこういう考え方に立っております。  以下、そういう観点から、最近行われました日米包括経済協議、それから平成六年度に向けての経済見通し、さらに平成五年度の補正予算絡みの諸側面につきまして質問をさせていただきたい、こう思うわけであります。  基本的に、私が質問をする、また批判をさせていただく基本的な考え方というのは、私は新保守主義に対して、決してサッチャーさんにしてもレーガンさんにしてもいい結果を生まなかったという考え方評価に立っております。我々自由民主党は、先ほども申しましたように、若干この思潮影響を受けた点もありますが、基本的に、自由を基本としつつも社会的な側面、自由がもたらすいろいろな社会的な影響、こういったものに注意深く配慮をしていく、こういうのが我々自由民主党の伝統的な考え方であると言っていいと思うのです。  私の友人のある学者は、ある雑誌の賞をいただいたときにこういうことを言っております。それは、自由民主党の四十年間にわたる政策を見てくると、西欧的な基準ではこれは明らかに社会民主主義であった、こういうことすら言っておるのです。私はこの評価を非常にうれしく実は受けとめたわけであります。  そういう観点からしまして、昨今の細川内閣のいろいろな時局に対処する方針が色濃く新しい保守主義に染められておって、そのことが決していい結果を生んでないということを申し上げたいのであります。  私は、日米包括協議が始まったときと申しましょうか、日米関係につきまして、細川総理改革をスローガンに掲げられておる、それからクリントンさんは変化を同じく選挙キャンペーンのときから掲げられておったわけで、またそれぞれのキャリアが知事さんであったというようなことで、非常にある意味で共感を呼んだ関係を築かれたということは、これはうなずけるんですけれども、私の今言ったような考え方からしますと、これはおよそ改革変化中身が正反対。  つまり、クリントンさんの変化は、レーガン、ブッシュ両政権のもとで新しい保守主義をずっと進められた、それによってもろもろの社会的緊張が生まれた、彼らのねらいとする経済効率一点張りのそういう考え方が、経済活性化に彼らが期待するほどには、我々客観的に見ても成果は上がっていない、こういうことのアンチテーゼとしてクリントンさんはチェンジと言ったのです。  細川総理は、その一周おくれのランナーみたいなものなんでございますが、要するに新保守主義を、日本もこれはもうかなり大きな影響を受けましたからわかるんですよ。全面的に否定しようなどとは言ってないんですが、そういうクリントンさんによって否定された新保守主義を担いでいらっしゃる。それで改革しようとしている。クリントンさんは新保守主義変化させなきゃいけないと言って出てきたわけですから、変化改革という言葉面は非常に相似ているんですけれども、およそその方向は反対だということなんです。  したがって、私は当初からこのことを党内でも指摘しておったのでございますけれども、この日米関係は、総理クリントンさんの個人的な関係というのはなるほど非常にしっくりいっているということに見受けられるけれども、これはしっくりいきっこないよということをかねてから私は予想をいたしておったわけであります。  つまり、細川総理改革アメリカにとって政策的に都合がよい限りは支持されるでしょう。受け入れられるでしょう。もっとやれと言われるでしょう。しかし、総理改革という路線は、絶対に米国の要求を断る場合の理由にはなり得ないんですよ。彼らはおよそその理由を挙げたときには違和感を感じざるを得ない。こういう構造のもとで、今の日米間、少なくとも日米首脳間の政治的な力学関係というのはでき上がっているんですね。したがって私は、今日、この前の日米包括協議がああいう格好で決裂を見たというのは、ある意味予想どおりのことだったなという感じが実はいたしておるのでございます。  そこで、具体的にお尋ねしますが、先般の包括協議決裂に関しまして、両国は一体どこで対立をしたんだ。また、決裂したと言って対立をついに埋め切れなかったわけでありますが、この理由を何回聞いても、はっきり言ってよくわからないんです。これは羽田総理外務大臣の御説明もあったし、また総理の御説明もあったんですけれども、どうもよくわからない。  特にわからない点をこちらから言いますと、マクロ経済についても、減税が一年限りだったというようなことで向こうが不満だった、これも決裂の背景というか理由だったというようなことも伝えられ、またそんな口ぶりでの御説明もいただいたような気がいたします。  しかし、なかんずくセクター別の問題について、客観基準数値目標につながり、数値目標を採用した場合にはこれは管理貿易につながって、これは細川政権がかねてから掲げている、先ほどの新保守主義思想に基づく規制緩和と相入れないというようなことだったというふうに言われているんですが、さて、このセクター別協議対象になった優先分野と称せられるものについて申しますと、そういった御説明ロジックが通用するというか適用されるのかなというのは、少なくとも政府調達には恐らく適用されないんじゃないかなと思うんですね。  そうすると、完全民間保険分野自動車及び自動車部品の点にだけ、今言ったことのこの対立点がそこの点で生じたのかなとも思うんですが、これらのことについていまいちすっきりした御説明をいただいてないものですから、御説明を賜ればありがたいと思います。
  4. 羽田孜

    羽田国務大臣 今もお話がありましたから細かくは申し上げませんけれども対立点は、今政府調達の方はよろしいだろうけれどもというお話がありましたけれども、例えば自動車及び自動車部品については、これは確かに民間のものなんだなという感じ先方にもあったんじゃなかろうかと思っております。  ですから、この問題というよりは、全体の問題といたしまして、いわゆる客観的基準という中でどうしてもやはり定量的、その中で数値目標的なものが実は中に入ってきたということでありまして、手続面ですとか、あるいは規制を緩和する部分ですとか、こういった問題については相当話がいっておったわけですけれども、もう御案内のとおり、これがそういう話ができたときに将来どんなふうに伸びていくのか、ここの部分がやっぱりぶつかってしまったということでありまして、私どもといたしましては、今お話がありましたように、我々としてはやはり規制緩和をしていこう、あるいは行政の介入というのをできるだけ避けていこうという考え方の中で、これはちょっと受け入れるわけにいきませんねということでありました。  ただ、これの問題になっているのは、基本は、今まで日米間で幾つかの協定がありましたですね、八〇年以降三十三とかいいましたけれども、そういった協定がどうもうまく機能しておらなかった、そのためにもやはり一つの数値的なものがこうやって入れられなければなかなか物差しとしてはかることができないんだということで、先方はそういう疑いがあります。今度、私の方といたしますと、そういうものがひとり歩きしてしまっていわゆるターゲットになってしまう、これは困りますよというところのぶつかり合いだったということを申し上げたいと存じます。
  5. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ちょっと私、きょうも、いつもそうなんですが、なかなか予定した事項が全部質疑できないんですよね。これは時間が短いものですから、大変恐縮ですけれども端的に御答弁いただければと思います。  そういうことなんですが、羽田外務大臣、要するに私が聞いているのは、客観的基準数値目標でとると管理貿易につながりますよというそのロジック、こういうロジック管理貿易のところまでいくと、管理貿易はなぜだめだ、それは民間を一々政府が指揮、指示するということは規制緩和に真っ向から違背しますからね、したがって我々はこれを採用できないんですよという御説明なんで、だとするならば、それは純粋民間の話というふうに我々は受けとめていいんですねということを確かめているんです。だから、保険自動車及び自動車部品であるということなんですねと。  というのは、政府調達については若干局面は違うし、また物の値段も違うんですけれども、私どもはきのうの保利議員及び中川議員質疑の中においても、国家貿易については、これは義務的なんだというぐらいに、ある意味国家の意思が貫徹できるものだという想定のもとで貿易秩序というのは成り立っているわけですね。だとすると、政府調達については、これは管理貿易になるよとかならぬよとかということは本来問題になり得ないことじゃないですか、したがって、もしそのロジックアメリカとの間で対立したということであれば、事柄の範囲としては純粋民間調達部門だったんですねということを確かめているんです。
  6. 羽田孜

    羽田国務大臣 政府調達部門と申しましても、政府の方の関係でこういう行政需要がありますよということでこれは提示するわけでありますから、これは今度民間がみんな応札するわけですね。ですから、そういう意味ではこうこうこういう手順についてはみんながはいれるようにすることは政府としてできますけれども、後はこれはやはり競争していただかなければならないということでありますから、これに対して余り政府が恣意的に物をやるということは許されないわけでありますから、当然これにもやはり客観的な基準は入ってこようと思っております。
  7. 柳沢伯夫

    柳沢委員 どうもちょっとしっくりしない面もありますけれども、どうもその辺は交渉の上でもちょっとあいまいにされて交渉されていたのかなという印象を私は受けました。しかし、そういうことはもうちょっと、せっかく交渉なさるんですから、ロジカルにきちっと、交渉でどこが対立しているんだ、どこをどう解決すればいいかと。我々の立場からすると、この交渉全体を評価させていただかなければならぬのですよね。  それからまた、我々の党は現在野党ですけれども、やはり責任を持っているという立場からしたら、何かこれ、解決の方法はないだろうかと我々なりに考えさせていただきますよね。そういうときに事態を正確に把握できないというんじゃ、何だかわけがわからない話になってしまうわけでございまして、その意味でお尋ねしたのですが、どうやら交渉の上でも若干あいまいな面がありながら交渉した、こういうように私は受けとめさせていただきます。  次に、そこで、そもそもアメリカの主張というものについてどういう考え方をしておったのかということについて論を進めさせていただきたいと思うのです。  まず、日本外務省は、私も使わせていただいたんですが、包括経済協議あるいは包括協議、こういうふうに言われるのですね。私、ちょっと英語で聞いたんですね、これは何の訳なんだと。恐らく、交渉アメリカへ行ってやっているわけですから、まさか日本語でやっているわけじゃあるまい。だとすると、この本来の、本当の交渉の表題というか、こういうことで交渉しましょうというのは何なんだ、こういうことを聞いたら、ジャパン・US・フレームワーク・フォー・ア・ニュー・エコノミック・パートナーシップだ、こういうことなのですね。  これを包括協議というふうに訳しているのは、私は、これ自体が非常にミスリーディングだな、こう思うのですけれども、それはそれとして、話を進めるために、この場合のフレームワークというのは一体、これはマスコミなんかも話し合い枠組み、こう書いてあるのですね、話し合い枠組み。そういうことでも通じるのかと思うんですが、話し合い枠組みじゃなくて、ここにあるように、やはり新しい経済のパートナーシップ、ですから友好関係とでも訳しましょうか、そういう新しい経済関係枠組み。ですから、これは話し合い枠組みじゃなくて、話し合い対象なんですね、私の見るところ。  したがって、アメリカの新聞なんかを見ますと、フレームワークトークスとかフレームワークディールという言葉が使われているんですね。そういう言葉を使って報道がなされていますよ。そういうことからすると、私は、このフレームワークという言葉を使って、そして現実にその中身を見ると、マクロ経済政策はどうですかとか、あるいはセクター別にはどうですか、ミクロ経済ではどうですかというようなことを言って、それでマクロ以外にミクロというかセクター別の話で、しかも優先分野ということを個別に並べられて、このことでやるんですよ、これがまさにフレームワーク考え方なんですよというその途端に、いわば個別の交渉というものにこれでもう入らされたんですよね。したがって、交渉の帰結というものが、今日アメリカが主張したようなこと以外には、もうその段階からして私はちょっと考えられなかったんじゃないかなと思います。  当時、あの七月の段階でしたか、サミットの段階でございましょうか、宮澤さんがまだ総理の座にいらっしゃった当時ですが、よく話をされた。ターゲットを決める、あるいはベンチマークを決める。これはマクロのベースでやるべきなのか、あるいはセクター別にやるべきなのかというのは随分論争があった。人によってマクロならいいじゃないかと言う、人によってセクター別ならいいじゃないかと、そういう議論があったこと、皆さん御記憶のとおりですよ。それで、フレームワークということでセクター別交渉の中に入っていったんですよ。  それで、この期に及んで完璧に、何というんですか、クローズ・オン・ザ・フェースですよ。ぴしゃっとドアを、まさに家の中へ入ろうとする途端に門前払いというんでは、これはなかなか公平に見て納得的な状況だとは私は思えないわけでございます。  そのフレームワークのことをどうお考えだったのか、ちょっと御説明いただけますか。
  8. 羽田孜

    羽田国務大臣 包括協議と我々が全体的に呼んでおりますのは、今お話があったとおり、マクロの面、そしてセクター別の構造面、それと地球的展望に立った協力のための共通課題というこの三つの大きな分野がある。ですから、それがまさに包括協議ということでありまして、今お話があった枠組みの問題というのは、セクター別あるいは構造面での協議及び交渉というのがこの五つのバスケットによってつくられている、これを枠組みというふうに理解をしているんじゃなかろうかと思っております。
  9. 柳沢伯夫

    柳沢委員 フレームワークという言葉もなかなか難しい言葉なんで、ニュアンスを我々が完璧にとらえられるかというと難しいんですけれども、いずれにしても、私は、先ほど申したように、我々の七月段階での議論を顧みて、それからセクター別協議をするということを認めた以上、ある程度のことはもうその段階で考えられる。  したがって、もしこれがノーと言うのであれば、九月に細川総理クリントンさんに、あれを進めましようと言っちゃだめなんですね。その段階でむしろ別のそれこそフレームワークをつくらないと、非常に困難な交渉局面にお互いが入り込んでいってしまう、こんなことはもう当然予想されますね。私はそう思いますよ。ですから、その点でも私は大変不満であります。  それから第二番目に、これはもう先ほど来私がお話ししているとおりでございまして、クリントン大統領のキャンペーンからの彼の主張、それから、その後においてクリントンさんが経済再生だとか、あるいは最後に、経済安全保障とまでは言わなかったんですけれども、まさにアメリカ経済の衰退というものをもう一回復活させようということを彼は自分の政権のメーンテーマに取り上げてやってきておるわけでありまして、そういうことについての、何と申しますか、我が方の備えというようなものについても、私はいささか不満な点が正直言ってあります。  それはどういうことかというと、きのうちょうど保利委員から、アメリカ大使館のPR文書で実に説得的な具体的な数字を挙げての資料をつくっているぞよという御注意がありましたが、私はそのとおりだろうと思うんです。  というのは、アメリカは貿易の交渉をするに当たっても、学者が非常にプラグマティックであるせいだろうと思うんですけれども、どんどん新しい分析をし、調査をし、そしてデータを提供しているんですね。これは必ずしも政府への資料提供ということじゃなくて、公にされているものでありますけれども、非常に進んでおります。  私は専門家じゃありませんから、新聞や雑誌でのぞく程度でございますけれども、それでも、例えば製品輸入のGDP比はどの学者が分析したとか、あるいは産業内貿易の総貿易に対する比率についてどこやらの教授が分析して出しているとか、あるいは、まあこれは言っていいと思うんですが、ローラ・タイソン、今のCEA委員長は、ハイテク産業については産業政策が必要なんだと、これは貿易理論から言っているわけですね。「誰が誰を叩いているのか」という、あの有名な本でありますけれども、そういうことを言っている。  それから、ついでに言うと、為替レートについてだって、為替レートが経常収支に影響するのかしないのかという大論争がどうもあるらしいんだけれども、これについても、ちゃんとした学者が分析をして、経常収支に影響を与えるんだという理論構成をして論陣を張っている。だから、アメリカ政府の主張あるいはアメリカの在京の大使館がどんどん資料として流しているようなものというのは、そういう周到な準備、オールアメリカンのそういうものに基づいて行われているということを我々は知らなきゃならぬと思うんですよ。  そういう意味で、何というか、野党の質問ですから余りしゃべっちゃいけないということなんですが、ついつい私の方のおしゃべりが多くなっちゃうんですが、我が方はどうなんだ。我が方は前川リポート一本やりですよ。前川リポート一本やり。つまり、内需の振興と規制緩和による市場開放ですよ。  しかも、これについては間違っているんだという学界での批判がありますね、前川リポートなんか大間違いなんだと。皆さん御承知のとおり、貯蓄・投資のバランス論からする反論ですよ。そんなことできっこないじゃないかという反論がある。これらについて、政府は論争をするときにちゃんと問題の整理をしてきちっとやっているんだろうかと。アメリカのそういう調査分析とアメリカ政府の主張、それから日本のいろいろな調査分析と日本政府の主張、こういったものについて私は、役所は世界に冠たるシンクタンクだというようなお褒めの言葉もあるわけですけれども、ちょっとこのところ、そういった意味では力不足、手薄ではないかという感じを否めないのであります。  そういうようなことで、この辺のアメリカ政府の主張の背景にあるものと我が方の対応について、背景の問題ですよ、ちゃんとできていると思いますか。どなたでもお答えいただきたい。
  10. 羽田孜

    羽田国務大臣 この点につきましては、これはそれぞれ交渉者同士で長いこと話し合ってきまして、そういう中でそれぞれの個別分野についての話し合いというのは相当進んできたということ。  ただ問題は、先ほどからお話がありましたように、いわゆる定量的なものという中にあっていろんな見方があるわけでありますけれどもクリントンさんなんかが言われたのは、幾つもの例を挙げながら話されておりまして、私は、あの話し方というのは、私自身が先方と話したのと同じような実は言い方をされておりまして、そういう話というのは案外、クリントンさんの記者会見なんかの話を聞いておりまして、これは全く同じだなというふうにも思っておりまして、私は、その点は我々の方はきちんとやっぱり把握しながら対応しておったというふうに思っております。
  11. 柳沢伯夫

    柳沢委員 私は、羽田外務大臣が非常にわかりやすい言葉で外交交渉に当たられているというのは、外務大臣が自民党時代に農業交渉をやっていた姿をそばで見ていますから、それはもう十分わかるんです、非常に説得的な議論をされているのは。  しかし、私が言っているのは、さっき触れたような大使館のPR文書等を含めても、本当に備えというものが、準備というものが十分なんだろうか、アメリカに比べてちょっと手薄なんじゃないかなということが否めませんよと、私の印象として否めないということを指摘をさせていただいて、もうちょっと頑張ってもらいたいということですよ、このことの趣旨は。そういう感じがします。  例えば、もう私なども非常にここのところは自分自身の判断を持ち得ないでいるんですけれども、これだけの内外価格差がありながらなぜ輸入が伸びないんだ、これが全部規制のためなのかと。どう思いますか。そんなに日本経済、がんじがらめに規制だらけですか。これだけの内外価格差がある。百七十円ぐらいだと、購買力平価は。それが百十円を切るような為替レートになっている。もうかるに決まっているじゃないですか、商売をやれば。そうでしょう。  なぜそれなのに輸入ができないのか、輸入されないのか。全く素朴な疑問ですよ。答えがないじゃないですか。答えは、じゃ規制なんでしょうか。私は規制だと思いません。ありっこないんですよ。だから規制を持ち出したってだめなんですね。私は、現実に我々が見ておるそういう事態を考えると、どうしても貯蓄・投資のバランスの問題に行き当たらざるを得ない。どういうことか。総理、こういうことなんですよ。  総理がよく言うように、八〇年代までは日本は経常収支は赤字だったんです。これは日本が、昭和でいうと五十五、六年ごろですよ、それまでは我々の国の経常収支は赤字でした。これは、経済がそれほど盛んでないということのため、貯蓄に比べて投資がすごかったんです。ですから赤字になっちゃうんですよ。そうして、今度は日本経済が完璧に成熟して大経済になった。貯蓄の方は高どまりしている。それに比べて投資がそんなにべらぼうに行われるわけないですよ。行われれば低成長の経済にはならないんですよね。成熟した経済にはならないんですね。ですからどうしたって、貯蓄が高どまりしていて投資はそれほどでないということから、どんどんどんどん貯蓄・投資のバランスは拡大しているんですよ。  後、じゃこれはどうなるかというと、恐らく日本経済がもっともっと力がなくなっていく、また高齢化していく、貯蓄が下がってくるでしょう、投資が上へ上がることはないでしょう、そういうことの中でしかこの経常収支の問題は解決できないんじゃないのかしら、私は、現実にこれだけの内外価格差があるにもかかわらずなぜ輸入がされないかということの答えが見つからないがゆえに、そんなことを思わざるを得ないというのが私の考え方なのでございます。  それはいずれにしてもよろしゅうございますが、そこで今後の対処方針ですけれどもマクロの部門の減税については、これは誤解だったんでしょう。私は、そう言っては悪いのですが、アメリカの在京の大使館が変な偏見を持っているんですね。これはどういうことかというと、細川内閣改革をやろうとしている、それに対して邪魔をしているのは自由民主党と官僚である、これ、ステレオタイプの彼らの考え方なんですよ。私はそれを聞いている。注意した方がいいと言われている。  自民党のことは自民党で処理します、これは。大間違いですから。処理しますけれども、役人のことは皆さんで処理してもらわなきゃいけない。こういう偏見があった、ステレオタイプの先入見があった、固定観念があったがゆえに、減税を技術的な理由から、財源の裏打ちがないのにというこの健全財政の観点から一年にした、そのことがえらく何かマクロ細川政権のやろうとしていることを妨害した、こういうような全くステレオタイプの思考からくる印象を抱いたのだろうと思うので、こんなものは私、誤解を解くのは簡単じゃないか、こう思うのですが、どうですか、その点は。
  12. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに、先方の皆さんと話し合ったときに、今御指摘のとおりのやはり誤解というのはあったと思う。これはしかし、私どもの方もちょうど非常に限られた中で対応しなければならなかったというところで、ことしの一年限りのああいう措置ということになっておって、ことしのうちに、これから後のことについて話すというものがやはりきちんと伝わっておらなかったというふうに、私自身も率直に感じたところであります。
  13. 柳沢伯夫

    柳沢委員 そこで、セクター別の問題が残るわけでございますけれども、私は、総理はどういうふうに思われているか知りませんが、経常収支ってどうしてこんなに日本は大きくなっていると思われますか。先ほどの前川リポートの線で内需拡大と規制緩和による市場開放があれば、これはかなりの程度縮減できるものだという性質のものと思うのか。あれは世の中の恒等式ですよね、経済学が教える。逃れられないんですね、恒等式というのは。真理を言っているだけなんですから。  この貯蓄・投資バランスからする我々の経済、我々の社会が持っている貯蓄と投資の構造からは逃れられないということであるとしたら、規制緩和なんてやったってだめなんですよ。アメリカが満足するような事態というのは、これは極端に言うと時間の経過しか本当の意味で解決できない。  日本社会の構造が、年齢別の構造、私は主としてそういう社会構造の問題だと思うのですが、経済構造ではないと思うのですが、経済構造でできる面はないとは言いませんよ、しかし、基本的にはそういった社会構造の問題なんですよ。そういうようなものを、さもできるかのようにやったのが前川リポートだとしたら、現在もその路線でやっていらっしゃるわけですけれども、一体どういうふうにこの問題をとらえているのか。総理どうぞ、ちょっとお答えください。
  14. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そこにいい知恵があれば、これはもう本当に問題ないところだと思います。まさにそこのところで一番頭を痛めているわけでありまして、歴代の自民党政権もそのことでまさに頭を悩ませてこられたというふうに思っているわけでございます。  総需要政策ももとより必要でございますし、また規制緩和とかあるいは市場の開放とか、そうしたこともこれはやはりそれなりに推進をしていかなければならないことだと思っておりますが、基本的に、先ほど来お話しのISバランスといったようなことをどういうふうに考えていくのか、またその対応を考えていくのか、その辺のところについて何かいい知恵を考えなければならない、その点でまさに頭を痛めているというのが今日の段階である、こういうふうに思っております。
  15. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ですから総理、そこのところなんですよね。総理もなかなかいい知恵ないんじゃないか。この貯蓄・投資のバランスは、日本の国民あるいは国民経済の非常に深いところに根をおろしている問題であるという認識であれば、そうしたらもうちょっと現実的な対応が出てきて当たり前だと思うんですよね。  つまり、時間の経過しか基本的にはこれはなかなか解決できない。むしろ日本もこれから十年先か二十年先か、まあ二十年先以降でしょうけれども、これは今のアメリカと同じような悩みを持つ時代が必ず来るんじゃないかと思うんですね、この理論の教えるところに従えば。私はそう思うんです。  そういうようなことからすると、この時間の間は、今も総理もちょっとそういうニュアンスのお答えがありましたけれども、やっぱりだましだましやっていくしかないんですよ、日本語で言えば。そうでしょう。相手に対してばあんと原則ではねつけてやって、いいことないじゃないですか。じゃ、総理が言う主張が通ったって、これは直るんですか。今私が言ったように、これだけの内外価格差があるのに輸入がふえないというのは規制のためだと思いますか。そんなことあるわけないじゃないですか。日本だって自由経済やっているんですよ。えらい誤解なんですよ。  ですから、私は、これはすぐれていわゆる現実的な対応をするしかないと。こんなことで国家間の対立を呼び起こし、安全保障の問題まで云々されるようなことというのは、外交政策として私は愚の骨頂だと言わせていただきたいのであります。いいですか。  そこで、通産大臣が非常におもしろい発言をなさっているんですね。これは「官僚批判は誤解黒字削減に努力 通産相表明」という日経の二月十八日の記事ですけれども、「熊谷通産相は十八日の閣議後の記者会見で、」云々ということで、その発言内容を言いますと、「できないというだけでなく、できることは自主的に取り組むべきだ。民間サイドも」これは「対策を」というのは新聞がつけ加えているんですが、「(対策を)考えていると確信している」と語り、云々ですね。こういう記事がございました。私は、このことを非常に重大に受けとめております。当然だと思うんです、むしろ、今の私の文脈からいうと。  それから、そういう記事を言いましたら、地元から、私の事務所の者ですが、通産大臣が、地元の地方の新聞ですが、こういうことを言っている。「イエスと言えることもある。やるべきことは自発的にやる。規制緩和、競争政策民間サイドヘの友情ある説得などだ。」こう言っているんです。  これをやっていただきゃいいんですよ。何でこういうことがもうちょっと外交場裏で意見交換として出て、双方の納得、向こうもなかなか国内問題を抱えているようですから、とったとったとこうやらなきゃいけないということがありますから、細川政権としてはそれはちょっとのめない話かもしれませんが、しかしこれだけの一これは結果があらわれた後じゃだめなんです。十日の菊なんですよ、これは。彼岸過ぎての麦に肥というやつなんです。だめなんです。時期おくれ、証文の出しおくれというやつですね。そういうことではだめなんでございますので、この点の真意を通産大臣にお聞きいたしたいと思います。  なお、通産大臣は私と同じ選挙区でありまして、このたびの通産大臣御就任、まことにおめでとうございます。また、御活躍を大変敬意を持って眺めさせていただいております。御答弁をお願いします。
  16. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 お答えいたします。  まず、引用された私の記事の前に、委員が先ほど来の御質問の中で、自動車あるいは自動車部品交渉についてどういうことであったかというのをまずお話しした上でお話ししたいと思うんです。  この数値目標という議論が、実は民間経済活動の中で一番実害があった分野でございます、過去におきまして。つまり、自主的にこういうことをしますよと言うと、それが約束として受け取られ、できなかった場合にはこれを懲罰する、制裁を加えるという苦い体験の上でこの交渉が始まったわけでございまして、我々も、日米フレームワーク協議分野別の協議が始まったわけでありますけれどもアメリカ側の考え方が具体的に、いわゆる抽象論じゃなくて具体的に示されてみますと、実はびっくりしてしまった。  例えば、三つございますが、一つは、日本が部品をどれぐらい輸入するのか、それから完成車をどれぐらい輸入するのか、あるいはアメリカへ進出している日本の企業がどれぐらいアメリカの部品を調達するのかということについて具体的な数字を出しまして、毎年トレンド、つまり毎年今までの数字の二割ずつふやすようにしなさい、あるいはGEを初めとするアメリカのビッグスリー並みの調達比率にしなさいというような話を出してきたわけであります。  これは約束してもできっこない話でありますので、私どもはそれはできませんと、しかし何もかも断るということではなくて、あらゆる意味で、アメリカ側の部品会社あるいは完成車メーカーが日本の市場に入ってくる、その調達の機会をふやすということについてはどんどん協力しますよということでお話し合いをしてきたわけでございます。  私は、そういう文脈の中で、今時期おくれの話ではないかということを御指摘をいただいたんですが、そうではなくて、アメリカ側にも、政府が介入をして具体的な購入、調達額を示すようなことはできませんけれども民間側がいろいろな形で自主的に努力をして、アメリカ側の輸出拡大のチャンスをつくってやるということについては、その重要性を理解していると思うし、また自発的にいろいろな工夫をされるだろう、こういう意味で問いかけを今でもやっておるわけであります。  私は、この交渉はあくまでも民間、先ほど来先生が御指摘なられたように、ほかの政府調達保険も実は規制緩和分野が主でございまして、この自動車及び自動車部品分野中身がほとんど民間の活動に依存するものでございますので、実は正直言いましてアメリカ側の要求をそっくり受け入れるわけにはなかなかまいらない、こういうことで交渉がとんざをしたということでありますけれども、何度も申し上げますように、だからといって何もかも勝手にやるということを申し上げているわけではありませんで、政府がやれることは最大限やるつもりでおりますし、また民間側にも我々は自主的な努力を期待をしている、こういう意味でそういう発言を申し上げた次第でございます。
  17. 柳沢伯夫

    柳沢委員 そういうことであれば、私は、技術的な問題というのはある程度折り合いをつけていくことが可能である、こういうように思います。  ただ国民は、今熊谷通産大臣がおっしゃったようには受け取ってなくて、私が先ほど来触れているように、細川さんは規制の撤廃だ、政官業の癒着は金輪際これを絶つんだと、やっていることはそうでもなさそうなんで、どうも行動と言葉がなかなか一致しないななどと思っていますが、まあ本当のことを言えば、アメリカの競争政策などというのは、同じ灰皿にもたばこも残さないくらい、普通の社交の行事でも業界の人が集まったときはそのぐらい神経質にやっている。そういうような国ではもともとないんですから、そんな風土というか、そんなものを我々前提にして対応する必要は毛頭ないんじゃないかというふうに私は思います。  そこだけやっているわけにいきませんので次に進みますが、私は細川政権に対しては冒頭申したような見方をしておりますので、細川政権経済見通しの問題にどうやって取り組まれるのかなと、大変興味を持って眺めておったのですよ。経済見通しというのはもちろん長き伝統のもとで行われていることですけれども、これは我が自民党の綱領の中には「経済の総合計画を策定実施し、」という言葉があるんです。つまり、計画経済じゃないんです。言葉は似ているんですが、経済計画を我々はある程度いつでも見通しとかその他いろんな表現でつくって、そうして経済に対して取り組んでいく、こういう経済運営の方法をこれまでとってきまして、その具体的なあらわれが経済見通しなんですね。  それで、細川内閣は、さっき言ったように新保守主義、ニューコンサバティズムで、とにかく市場重視だ。これは、細川さんの党の綱領を私も見させていただきましたけれども、市場重視ですね。規制緩和、官民の癒着などというのはもう金輪際しないんだというようなことで、癒着はしなくていいわけですけれども、もう連絡調整というようなことも一切しないという思想のもとにでき上がっている。  これは私は、そういう思想を持った新生党さんあるいは日本新党さんと、そちらに居並んでいらっしゃる民社党さん、社会党さんが一緒にいるというのは、まことにもってこれはもうとても私の頭では理解のかなわない事態なんですが、それはそれで、政治はいきさつというか行きがかりでできることもありますから、わからぬでもないということにしておきましょう。  しかし、少なくともこの経済計画を漫然と、自民党政権のときと全く同じで、そのことについて、これをどういう方式で策定するというようなことについて何の考えもなくこれに臨んだというのは、余りにも惰性だし、本当に自分たちが経済運営というものを考えるときの基本をどこに置いているかということについて、私は納得できる話ではないと思います。いかがでしょう。
  18. 久保田真苗

    ○久保田国務大臣 経済見通しの作成につきましては、現在非常に転換期にありまして、今後内需拡大という方向へ……(柳沢委員中身を聞いているんじゃないの、どうして漫然と過去を踏襲したかということを聞いているの」と呼ぶ)漫然と過去を踏襲したというよりは、過去の経験に即した実態の中から、今起こっているいろいろな問題をその中へ織り込んだというふうに考えております。
  19. 柳沢伯夫

    柳沢委員 これは、今財務副長官をやっている、アメリカ経済学界の中でも俊秀と言われているあのローレンス・サマーズが朝日に投稿していますね。管理貿易をやらせるつもりかということを言って、それじゃアメリカ管理貿易を推し進めるのかと自分たちは今日米包括協議の中で言われているけれども、何を言っているんだ、日本は中期的な、あるいはその政府政策の中で見通しを活用している国じゃないかと、非難の材料にしているのですよ。  本当に管理貿易をしない、一切そういうことはもう市場に任せるんだというようなことであるとしたら、このことについて策定することの意味、自分たちの政権あるいは自分たちの政権経済運営に対してどういう意味を持つかということについて何の考えもなかったということでは、私は到底納得できない。私は注目していました。いや、もう答えはいいですよ。  そこで中身に入りますが、中身でいろいろ聞きたいことはある。正直言ってありますが、この一番ポイントの経常収支が二・八%になっている。このことは何かメッセージがあるんですか、メッセージとしての意味があるんですか。
  20. 久保田真苗

    ○久保田国務大臣 確かに、経常収支は来年度十三兆二千億円というふうに―十三・八兆円です、失礼しました。というふうに出しております。本年度の見込みよりも六千億円、八十億ドル、こういった減少を見込んでおります。  これは、昨年来黒字が縮小していくという・・・・・・(柳沢委員「そんなこと聞いていないんだ、何がメッセージなんだ」と呼ぶ)メッセージというよりは、これは私どもが考えている、黒字を縮小していくという望ましい姿を出しているわけでございまして、これによって必要な経済運営を政府立場から行う。しかし、先生が言われましたような、介入していくというようなことを考えているのではなく、マクロ調整その他の手法によってこの目的を政府として実現していきたいという姿でございます。
  21. 柳沢伯夫

    柳沢委員 経済企画庁長官はそうおっしゃいますが、私けさのラジオで聞いたのですけれども外務省の外務審議官ですね、経済担当の松浦さんは、GDP比ですか、二・八%というのをやはり国際公約にしたらどうかということを言っておるわけですね。外務大臣びっくりされていますが、そういうことを言っているんだそうですよ。もうラジオで流れているのです。そういう意味で私は、ここのところは、じゃ最初、去年の七月の段階にあったマクロのいわばベンチマークをつくるということでそういうことをあらかじめここで言われているのかなという意味で聞いたのですが、そういうお答えぐかなりそれに近いお答えだというふうにお受け取りさせていただきます。  それから次に、私時間がないものですから、細川内閣一つ立場にとらわれた経済政策がうまくいっていない理由として、総需要政策の問題があるのですよ。  これは、私も質問させていただいたのですが、あのときはウルグアイ・ラウンドが妥結しようとしているときでしたので余り言えなかったのですが、昨年九月の細川内閣最初の緊急経済対策を見ますと、藤井大蔵大臣、あのとき私言ったでしょう、大蔵大臣あるいはこの細川内閣というのは、総需要政策に対して冷たいですよと。これを見ればわかるのですよ。トップは規制緩和なんですよ。九月のこの緊急経済対策に基づいて策定した予算は、十一月の三十日でしょう、出してきたのは。  だから、あのときの議論で私は言ったのですよ。十月に経済がまた底割れしたかもしれないというおそれがあった、であるならば、こんな総需要政策に対して冷たい内容のこの九月の決定をそのまま予算化するのじゃなくて、時間があるんだから、またあったんだから、考え直したらどうですかということをあのとき指摘したのですよ。一兆円の公共事業と言いましたよ。おざなりなものですよ。しかし、中身を見たら三つに分かれていて、わずか公共事業は三千億ですよ。  これも要するに、規制緩和というものに、何だか知らないけれども政権の命運をかけるような経済運営をしている。ばかばかしいじゃないですか。日本経済は苦しんでいるんじゃないですか、そのために。いかがでしょう。
  22. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 これ、柳沢委員とこの間のときも御議論したように、私は総需要政策を軽んじているということは一度もありません。ただし、総需要政策だけではなかなか解決しないということだけは言いました。  そこで、今のお話ですけれども平成五年度予算そのものが私は景気に相当前向きに取り組んでいるものであり、同時に、第一次補正予算、これは前内閣のときでありますが、六月につくられた予算は、九月のとき四〇%執行されているわけですね。あれは非常に大きな総需要政策なんです。その上積みの話なんでございますから、そこのところは御理解をいただきたいと思います。第三・四半期にいろいろの問題があったのは、いろいろほかの要因があるということもあわせて御理解をいただきたいと思います。
  23. 柳沢伯夫

    柳沢委員 しかし藤井大蔵大臣、そう言われると、私は第一次補正が非常に重要な機能をしているはずだからということはまだ納得できます。私、予想していました、その答弁は。しかし、第三・四半期はまた別の話と言われると、お言葉を返さざるを得ませんね。円高はいつから進んだのですか。  ですから、そうじゃないのですよ。十一月は円高によって、あるいは冷夏、長雨によって新たな需要の減退というものがあったのです。十一月三十日に出された第二次補正は、その事実の認識に立って出し得たはずなんですよ。まあ、これ以上の議論はしません。  それから次に、農業予算の問題に入らせていただきます。  農業予算は、まずこれも実にわからない、はっきり言って。総合経済対策では、この閣議決定だか了解だか、閣議じゃなくて経済対策閣僚会議ですかによると、農業の国際化対応のための緊急対策ということで二千三百億円計上すると書いてある。ところが、現実の予算書を見ますと、そうなっていないんですね、これは。分かれちゃっているんですよ。それで、今言った緊急の対策で計上されているのは、これは、公庫の出資金を別とすれば、千二百四十五億二千万ですよ。そして、その片割れの方は、これは通常の公共投資になっている。これはどういう思想ですか、ちょっと簡潔に説明してください。
  24. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 御案内のとおり、ウルグアイ・ラウンドの決着に伴いまして、農村、農家の方々のこの問題に対する将来の不安等々、そういうものを緊急に解決をする取り組みを始めておるというような意味合いのものを我が方は要求をさせていただきまして、緊急な農業対策としての計上の一つ枠組みの中でお示しをさせていただいた、こういうように私の立場では受けとめさせていただいているわけでございます。それが、あわせて景気対策への要素といいますものを加味しながらの予算計上である、かようにお受けとめを願えればありがたいと思うわけでございます。
  25. 柳沢伯夫

    柳沢委員 質問に答えていると思いますか。何にも答えてない。そんなでたらめの答弁でこの貴重な時間を費やされたんじゃ、私は困るんですよ。  関係閣僚会議の了解では二千三百億円だと言いながら、これは分かれているんですよ。どういう根拠があってこういう処理になっているんですかと聞いているんです。
  26. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今、柳沢委員が言われたのは、二千二百八十五億円ということを二千三百と言っておられると思います。これは事業費ベースでございます。したがいまして、国費ベースでは千二百四十五億円である、このようになっております。
  27. 柳沢伯夫

    柳沢委員 そうですが、これ。私はこの予算書を見て、まあそうならそうでいいですよ。公共事業の追加の方に四百九十二億とか、その他いろいろ載っかっていますから、これとのかかわりがあるのかなと思いました。しかし、そういうことであれば、それはまたそれでいいです。問題は、その先にあるのです。  問題は、これをきのうの答弁で農水大臣は、前倒したとおっしゃいましたね。この前倒しという意味説明してください。どういう意味か。私の問題意識ですよ。どこから持ってきた金なのか。御案内のように、土地改良については十カ年計画を策定していますね。そのうちのどこから持ってきたんだ。だから、私が聞きたいのは、六年度予算に本来計上すべきものを五年度の第三次補正でやったのかということですよ、具体的に言えば。  もっとその先を言えば、もう時間がないから私のポイントを申しますと、私はこれはインチキだと思っているのですよ、正直言って。これは、ほらウルグアイ・ラウンドで厳しいことを受け入れたから早く農業農村対策をやりますよというそのポーズの要請と、もう一つは、まことに冷たいながら、財政審を使って農業基盤整備などというのはCランクだよということとを、両方の要請を満足させるためには補正を組まざるを得ないのですよ。  しかもゼロ国債はやらない、これも同じ意図から出ているのですよ。本当は、こんな繰り越しなんということをやらせるよりも、ゼロ国をやる方がはるかに常識的ですよ。なぜやらないか。それは、ゼロ国をやったら現金ベースの国の予算ではシェアアップになっちゃうからですよ。そうすると、財政審で答申したCランクということと両立てきなくなるから、補正に持ってきたのですよ。それはわかっている。  わかっているから、私はあえて聞きたいけれども、これは総理大臣への質問ですよ。農業に対して本当にどう思っていらっしゃるのか。特に、このウルグアイ・ラウンドを受け入れた段階で、農業基盤整備をやって、そうして早く競争力のある農業をつくりたいというのであれば、私は財政審のあの報告自体を、事情変更の原則に基づいて修正するということがまず第一になきゃならない。  何となれば、基盤整備のようなものは、補正予算で二千三百億ぐらいの事業経費をやったやらないで、そんなものでは根本的な変更は農業基盤には及ばないからなんですよ。ここ数年間は頑張ってもらわなきゃならない。少なくともウルグアイ・ラウンドの隠れた、シャドータリフがどんどん下がっていく段階ぐらいには、必死になって農業基盤投資やらなきゃだめでしょう。  財政審の報告、直してください。
  28. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 これは、財政審は正規の機関であって、それがお決めになったことを直すという関係のものではございません。  ただ、私どもはいつも申し上げておりますように、公共投資はみんな大事なんですね。ただ、特におくれているのが生活関連であるということから、そういうものにまず力を入れましょう、しかし同時に、産業基盤の問題についても重点的にやりましようというのが財政審の答申でありまして、私はそのことは正しいと考え、そのような方針のもとに予算編成をさしていただきました。
  29. 柳沢伯夫

    柳沢委員 時間が終了しましたので、私はもう質問をすることができないのでございますけれども、本当に農業が大事かどうかですよね。本当に、ウルグアイ・ラウンドの後に、市場開放なり部分開放した後に立ち行くような農業を死に物狂いになってこの段階でつくるかどうかですよ。これは藤井大臣、幾ら先輩でありましても、私はそのままこれを受け取るわけにいかないですね。  しかも、私はあえて大蔵省にも言ったんですよ。この段階で予算を積むなと言ったんです、私は。予算は要らない。一番やらなきゃならないのは、皆さん方の、ウルグアイ・ラウンドを引き受けた後に何とかやらというこの本文をつくり、閣議了解でやりましたね、「農業施策に関する基本方針」、そのところにもこれうたわれておるのでございます。この「新しい食料・農業・農村政策の方向」で「農家負担に配慮しつつ、大区画ほ場整備の積極的推進など農業生産基盤の重点的な整備」をすると書いてあるんですよ。
  30. 山口鶴男

    山口委員長 時間が参りましたので、簡潔に願います。
  31. 柳沢伯夫

    柳沢委員 はい。  ですから、そこのところを先に直すのがもう一番先決だ、私はそう言ったんですよ。形じゃないんです。農業を本当に力強くするのは、本当に施策を打つことなんです。  以上を申し上げまして、私の質問を終わります。
  32. 山口鶴男

    山口委員長 これにて柳沢君の質疑は終了いたしました。  次に、島村宜伸君。
  33. 島村宜伸

    ○島村委員 島村宜伸でございます。  実は、十八日以降の我が党の代表議員のいろいろな質問等を伺っておりますと、人間考えることはやはり同じなんだな、こんなふうに思うわけでございまして、予算委員会の性格上、経済あるいは景気の問題に特に集中して御論議がありました。特に先般の日米包括経済協議等についての質問もありましたので、多少ダブることはやむを得ないのでございますが、なるべく重複を避けたいと思いますし、既に懇切な御答弁をいただいた分については簡潔で結構でございますから、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。  まず、二月十二日の未明、総理は夜中の好きな方でありますが、これだけは時差の関係でやむを得ませんが、日米包括協議が物別れに終わった、こういう記者会見がありました。それはそれなりに、できないことはできないとお互いに率直に認め合うのが大人の関係であり、成熟した関係だ、格好よくやっておられるなと私率直に思いました。しかし、これだけ胸張っておやりになるからにはきっと裏でそれなりの理解が得られたんだろう、善意にそうとらえたわけであります。  しかし、結果で見ますと、何か子供にたんかを黙って言わせておいて、後から、後ろからけ飛ばしたクリントンという大人がいた、こんな感じがしないではない。何か国民福祉税のときの二の舞のような印象すら私は覚えたわけであります。  事実、総理は、日米関係は深刻化しないと。なるほど相互補完の関係にいろいろありますから、簡単にお互いがすべてを決裂するということはあり得ないでしょうが、しかし、その後の自動車電話問題の制裁発動の動きや円高の急速な進行などを見ますと、これはまさに懸念すべき状況にある、私はそう思うんですね。  つきましては、これに対して政府の対応をいつまでにお決めになるのか、また、どのような方向でお決めになるのか、既にできているのかどうか、御答弁願いたい。総理に伺います。
  34. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 包括協議があのような形になりましたことは、大変残念なことだと思っております。しかし、このことをもって日米関係全体がおかしな形にならないように、このことについては両国におきましても認識が一致をしているところでございまして、また事実このたびの首脳会議におきましても、経済の問題を除きまして、グローバルな関係等々につきまして合意を見たことは御承知のとおりでございます。また、安全保障等々の面につきましても、今後さらに日米間の緊密な関係というものを構築をしていこう、こういう点についても認識が一致をしているところでございます。  今回、数値目標などをめぐりまして合意に至らなかったわけでございますが、この点につきましては本委員会でも既にお答えをしておりますが、先般から関係省庁による会議、私も入ってやっておりますが、それからまた、ちょうど同じころに民間日米経済会議というものも持たれておりましたので、そこでいろいろ論議をされてきたことを踏まえて、その方々のお知恵も今拝借をいろいろしているところでございます。  民間の方々のそうした御意見も参考にしながら、今後できる限り早く、七月にはサミットもあるわけでございますが、そんな悠長なことを言っているわけにもまいりませんし、可及的速やかに何とか打開の糸口を見つけてまいりたい、このように思っております。
  35. 島村宜伸

    ○島村委員 今回の首脳会談ですね、総理は直前まで政治改革問題で大変きゅうきゅうとしておられた。準備不足だったんじゃないか、率直にそう思うんですね、物理的にも。  御承知の、昨年のいわば東京サミットにおける日米包括協議の合意ですね、この段階でもう既に数値目標が最大の焦点ということは百も承知しておられたわけですから、何の案も持たずに行ってノーと言えば、それは角が立つのは当然だと思うんですね。  私は、米の問題のときもそうですけれども、やはりこれは事前に担当大臣、羽田総理じゃありませんが、ぎりぎりに行って徹夜でお話し合いするというんじゃなくて、大臣みずからがどんどん出かけていって、事前の折衝を十分積み上げて、そこへ総理が出かけていくというのが本来のあり方じゃないか、こう思うんですね。そういう意味で、この点についてどうお考えか、反省を含めてお答えいただきたい。
  36. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題は、昨年の七月から話が始まりましたことはもう申し上げるまでもありません。その後も私ども、クリストファー長官ですとかあるいはカンターさんとも、国連ですとかあるいはシアトル、特にシアトルの場でカンターさんなんかとも話しております。クリストファーさんとはこういった問題について電話でも話しましたり、その他何回も向こうでお会いしたりなんかしてお話ししております。ですから、全体的に規制を緩和するとかあるいは透明性ですとか、そういった問題については相当詰まってきておったということであります。  ただ、問題は、これの成果というものをはかる物差し、客観的な基準という中にある数値目標といいますか、そういったところで実は真っ正面からぶつかりました。しかしこれは、お互いが気まずい思いというよりは、お互いに何とかひとつしたいな、しかし、どうも今まで日本の場合には結果が出ないから、おれたちはやっぱりこういうものが必要である、我々の方は今までの経験から、自動車ですとかあるいは半導体なんかの経験からいきまして、どうしてもそれを入れるとひとり歩きしてしまうよ、しかも、実際にあなたの国で今議会の皆さん方が法案を出そうとしているのは、まさにそういう数値目標みたいなことを言われているじゃないですかというお話でした。  しかし、私どもは、残念ですけれどもこれはだめだったなということで、早くやろうと言ったんですけれども、相当こっちは粘っていました。ただ、先方が言うのは、こういう話というのは、例えばカナダとかヨーロッパなんかでも実は年じゅうあって、うまくすぐまとまらぬことがあるけれども、またお互いに話し合っていこうよ、余りきゅうきゅうとした気持ちにならぬ方がいいんじゃないのかなというような話が実は互いにあったということであります。  ただ、私も言ったのは、幾ら日米の安全保障だとかあるいはその他の分がよくいっていても、残念だけれども経済の面がおかしくなるとどうしても国民的なフラストレーションというのはたまってきちゃうだろう、それでお互い議会を持っていて言葉のやりとりがやはりありますから、そういったところから日米関係というものをおかしくしてしまう可能性があるんだから、そこで何とかまとめようなんというので相当話し合ったところを御理解をいただきたいと思います。  いずれにしましても、私どもとしましても、実際のあれはいいところまでいっているわけですから、そういったことを踏まえながら一日も早く対応をしていきたいというふうに思っております。
  37. 島村宜伸

    ○島村委員 実は私、今回の質問に当たって二時間もらっておけばよかったなとつくづく思っているんですけれども、たまたまちょっと過密日程で寝不足なものですから、一時間にしてもらってちょっと時間が足りないので、簡潔で結構ですから御答弁願いたいと思います。  実は私は、質問要旨にもありますように、経済動向や景気対策等についても質問を十分用意しているんです。これだけでも一時間必要なんですが、結局日本経済をよくするも悪くするも、景気をよくするも悪くするも、その基本はやはり日米関係は捨てがたいわけでして、そういう意味で今のその御答弁、ちょっと私は不満なんですね、正直言うと。  それならばなぜ――昨年十三円、一〇・四%の円高ですよ。これは減量済みの日本企業にとっては大変な負担を強いるわけで、それにさらにまたついせんだっては百一円台を記録するなど、百円までいくんだという説が常識化するような感じがないではない。私は、そういう点で少しく日米関係を余り粗略にしちやまずいんじゃないか。今お話を伺えばその部分だけだとおっしゃるけれども、それならばなぜあんな急速な変化が出てくるのか、スーパー三〇一条までちらつかせるような状態がなぜ出てくるのか。新聞報道等だけではないんでしょうけれども、その点だけは十分意を配ってほしい、こんなふうに思います。  ところで、経済動向について一つ伺いたいのですけれども平成六年度の実質経済成長率、既に御質問もありましたが、政府は名目三・八%、実質二・四%を一応見通しておられますが、民間調査機関の経済見通しによると、国民経済研究協会、私の知る範囲ではこれがマックスと思いますが、一・六%、ミニマム、野村総研がマイナス〇・四%、これらに比べて極めて高い数字を示しているんですが、政策努力の部分はどの程度見込んでいるのか、またどのような担保に基づいているのか、お教えいただきたいと思うのです。  ちなみに、この経済見通し基本になっている円ドルレートは百十円十八銭と伺っております。これが現在のような円高の推移の中で果たして修正しなくていいんだろうか。ちなみに、日経NEEDSによると、一ドル百十円で成長率がプラス〇・五%、一ドル百円の場合には成長率はむしろマイナス〇・二%となっていますが、結果的に成長率は〇・七%の落ち込みということになるわけですね。これをこのままほうっておいて、このまま三・八、二・四で走られるかどうか、ちょっとお教えいただきたい。これは総理に伺いたいですね。     〔委員長退席、後藤委員長代理着席〕
  38. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 このところの円高が、きょうは六円ぐらいになっているのかと思いますが、我が国の経済にどういう影響を与えるかということについては、今しばらく方向を見定めていく必要があると思いますし、見守る必要があると思います。現段階で直ちに六年度の見通しの計数への影響を論じるということは必ずしも適当でないのではないかというふうに思っております。  相当規模の経済対策も講じておりますし、また景気に配慮した当初予算というものも考えておりますし、そうしたことが必ずや経済をいい方向に持っていくであろうというように考えているところでございます。
  39. 島村宜伸

    ○島村委員 時間がないので焦るのですが、景気対策について伺いたいんですね。  いわゆるアナウンス効果を含めて考えると、やはり景気対策というのはタイミングが非常に大事だ、こんなふうに思います。そういう意味で、昨年九月に打ち出されたいわば約六兆円規模の緊急経済対策、結果的には実効を上げ得なくて、経済界は次の景気対策を渇望しておられることは御承知のとおりです。  事実、昨年十二月の経済改革研究会の最終報告、いわゆる平岩レポートでも、「早期の景気回復を図ることが必要である。」と指摘しているところであります。何度か、政府から対策が打ち出されるのだとマスコミ報道だけが先行したわけでありますが、結果的には裏切られて、経済界は非常に落胆しているようであります。  その上、平成六年度予算の年内編成は見送られましたし、政治改革にしか頭が回らなかった細川内閣経済無策の内閣である、何かそんな評価を定着させたように思います。いわば経済を人質にとって政治改革に狂奔し、これが今日の不況をより深刻化させたと思うわけでありますが、これについて総理はどう判断されておりますでしょうか。     〔後藤委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるように、確かに政治改革など諸般の状況があったことは事実でございます。しかし、諸般の状況はございましたが、景気対策にも万全の対策を講じてきたつもりでございますし、また今後ともできる限りの対策を講じてまいりたい、このように思っております。
  41. 島村宜伸

    ○島村委員 去る二月八日打ち出された総合経済対策、総額十五兆円、これはもう最大規模だ、史上初だと、こう吹聴なさっておられますが、いろいろ中身を拝見してみると、平成六年度予算で本来やるべきものがみんな取り込まれているという事実にも行き当たるわけであります。  いわばできもしない、その上財源問題にこだわり続けて結局は減税を先行させる、そして財源は赤字国債だということになったわけでありますが、結果は同じでも景気に与える影響というのは大変違ったと私は思うのですね。特に私は、三年連続六兆円、計十八兆円のいわば減税ということで内需拡大を期待したアメリカ自身も、結果的には裏切られて、非常に怒らせる結果になった、こんなふうに思いますが、この二点についてはどうお考えでしょうか、総理
  42. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 確かに六兆円ということについて、日米首脳会談のときにもそのことについては満足のいくものではないという話がございました。しかし、このことについては、年内に一つの方向が出るはずであるからそのことにぜひ理解を持ってもらいたい、こういうことを申し上げたところでございます。必ず税制改革の抜本的な見直しというものを進めていくことによって景気に対していい状況というものをつくりだしていく、そのように受けとめてもらいたい、こういうことを申してきたところです。
  43. 島村宜伸

    ○島村委員 私、きょうは素直に黙ってその後は質問を繰り返さないのですが、これは納得しているわけじゃありませんのぐ時間に追われているということを御理解いただきたいと思います。  ようやく決まった所得税、住民税の減税措置でありますが、これは平成六年度のみに限られているわけですね。その一方で、福祉の充実の名のもとに社会保険料の引き上げが制度的にもう既に決定されている。ある試算によると、年収三百万円クラスの所得層にとっては減税効果を上回る引き上げになっている、このようなことでは減税が国民の消費マインドを高めるということには到底ならないと私には思えるわけであります。  この点については、既に我が党の橋本政調会長も御指摘になったようでありますが、社会保険料の引き上げの影響をいわば経済見通しに織り込んでいないのでは問題じゃないか、こう思うわけですが、この点、大蔵大臣どうお考えでしょうか。
  44. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 私は、これからの長寿社会と申しましょうか高齢化社会の中で、負担の関係をどういうふうに物を考えていくかというのは、やはり大変大事なことだと思います。  今御指摘のとおりでございまして、税金という面が確かにありますが、社会保険料という面もあります。受益者の自己負担という面もありましょう。そして、給付がいかにあるべきかというようなものもあって、それらのバランスを考えながら一つの結論を出していかなければならないと思っておりまして、私は税制だけではないという島村委員の御指摘は全くそのとおりだと考えております。
  45. 島村宜伸

    ○島村委員 きょうはやむを得ず時間配分をしてきましたので、政治改革問題について申し上げたいと思います。  政治改革四法案、一月二十八日に、施行日を入れず、修正部分を残したまま成立するという異様な結果を見ました。これは、御承知のように、政治改革自身のこの法案は本来廃案になるべきだった、私はそう思っています。それは、参議院のいわば良識が発揮されて否決、しかも両院協議会がまだ平行線で協議中、こういう認識の中で、にわかにトップ会談というおかしないわば作為でこれがずるずるっと通る形になってしまった。  総理はよくトップ会談というのを好まれますけれども、トップ会談ってよくお考えいただきたいんですよ。これは、主権者の国民もつんぼ桟敷、主権者に選んでいただいたいわば代弁者たる国会議員自身もつんぼ桟敷、わずかにトップとトップが会って話し合うということですが、しかもこのトップ会談、行政府の長である内閣総理大臣と、いわば野党第一党の自由民主党の総裁だけで決めてしまった。こういうことはやはり憲法の精神にも反しますし、また同時に民主政治をいわば破壊することだ、私はそう思って憤っているわけであります。  私は、公約もしなかったことを、一内閣の延命のためにこういう形になったことを非常に好ましくないと思っていますが、その点について総理はどうお考えでしょうか。
  46. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 この点につきましても、本委員会でも再三お答えをしてきたところでございますが、トップ同士の会談というものは政党政治の一つのあり方ではないかというふうに思っております。今まさにそのことが協議会において進められて詰められているということでもございますし、また国会におきましても今後御論議がなされるわけでございますから、十分こうした点につきまして御論議をいただきたいものだ、このように考えております。
  47. 島村宜伸

    ○島村委員 一言だけ総理に確認しておきますが、私は不本意に思っていますけれども、先般両者であの合意をしましたね。このことをあなたは遵守なさいますね。イエスかノーかで結構です。
  48. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 合意につきましては、当然のことながら遵守いたします。
  49. 島村宜伸

    ○島村委員 私は、何か慎重派の代表みたいに言われて大変迷惑をしたのですが、迷惑を承知で今まで良心に基づいて行動してきた人間です。  そこで申し上げたいのですけれども、政治改革というのだったら、私は、幾つかの視点で検証してみる必要がある、こう思うのです。  その一つは、やはり政治を改めて変えよう、よりよくしようというのですから、例えばこれを選挙制度を変えるということに置きかえてみるにしても、新しい制度に置きかえることでやはりよりよい政治の成果が生まれ得るかどうか、これはまず一番大事なことですよ、政治は結果ですからね。  二つ目は、国民の皆さんが求めたのは清潔な政治でしょう。だとすれば、この新しい制度によってより政治が浄化されるかということを検証してみる必要があると思うのですよ。  三つ目は、やはり多くの犠牲を払ってかち得た自由と民主主義ですから、少なくもより自由でより民主的な政治というものが確保できるか、こういう観点からも物を考えてみる必要がある、こんなふうに思うのですね。  四つ目は何かといえば、やはりよりすぐれた政治家を生み得る制度であるかどうか、こう考えてみる必要があると思うのですが、私はどの角度から見てもこれは全部違うというふうに思うのですね。  そこで、私は非常にテレビなどで横着な言い方をするのですが、むしろわかりやすいと思うのは、世界で小選挙区あるいは比例制あるいは並立制をやっている国はいろいろありますが、総理、どうでしょうね。それぞれ世界の国の実例、先例を見て、この国がこういう成功をしているじゃないか、何か例をあなた御存じですか。今の四つの視点でお考えいただいて、日本の政治よりもっとこんなすぐれたものがあるという国はどこにありますか、教えてください。
  50. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それぞれの国によりまして制度がどのように機能しているか、それはその国の政治的な状況なり、あるいはまた歴史なり、あるいはまた政治に対する国民の成熟度なり、さまざまな要因があろうと思います。ですから、一概に論ずることはできない、先進国の中だけでも論ずることはいかがかと思いますが、今おっしゃったような幾つかの視点というものは私も基本的に極めて大事なポイントだと思っております。  しかし、制度ができただけで、おっしゃるように変わっただけで、完全に今の政治についての問題が、政治における問題点が完全に解決をするのかと言われれば、それはそうでないこともまたこれは事実であろうと思います。制度に万全なものはあるはずはございませんし。  しかし、少なくとも今までの個人中心の選挙というものから政党中心の選挙というものに大きく変わっていく、こういう点におきまして、例えば政治資金規正法であるとか、あるいはその他政治と金にまつわるさまざまな問題につきましても、罰則の強化であるとか透明性の問題であるとかさまざまな点で、今度出させていただいた四法の中にはそうした制度面における改善の諸点というものが含まれている、このことによって相当に大きな変化というものが、改善というものが期待できる、このように考えているわけでございます。
  51. 島村宜伸

    ○島村委員 総理がすべての専門家でないのは当然ですから、これを一々言ってもこれはむだなことかもしれませんが、私ははっきり言って横ばいならまだいいと思うのですよ。私は悪くなるとはっきり思うのです。これは今までの経験、いろんな世界の実例を見ても失敗例しかないのですよ。これを、何でこんなものをずるずるやってしまうのか。我々自身も政治家として非常に良心が痛むわけですね。  それで、今の問題について、政治改革担当大臣の山花さんと自治大臣の佐藤さん、ちょっとお答え願えますでしょうか。
  52. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今委員御指摘のとおり、選挙制度を考える場合には四つの基準と、こうお話がありましたけれども、私も大事な基準だと思っております。  同時に、そのお話の中でも、第二番目に政治とお金にかかわる問題についてもお挙げになっておったと思うわけですが、私は、今回の政治改革の目標は、国民の政治不信を解消しなければならないというところにあったと思いますし、政治改革の原点は腐敗の根絶、こうしたところにあったと思っています。  そうした観点から政治改革を考えますと、選挙制度だけではなく、やはり政治資金の問題、あるいは罰則強化を含めての腐敗防止策についても大事な要件だったと考えているところでございまして、今総理お話しのとおり、四法一体ということで御審議をお願いしたのはそうした気持ちからだったということについてもぜひ御理解をいただきたいと思うところでございます。  腐敗防止という観点からですと、政治資金の制度について公開基準の引き上げ、そして企業・団体献金の問題についての今回の対応ということもありましたし、また、腐敗防止ということにつきましては、一昨年十二月以来の幾つかの議論してきた問題につきましてかなりこれが盛り込まれているということだと思っております。  とりわけ連座制の問題、連座制の枠を拡大したこと、そして内容として立候補の制限を科したこと、加えて罰則の強化等々を含めれば、全体として御指摘の問題についてかなり検討して盛り込まれていると私は考えているところでございます。
  53. 島村宜伸

    ○島村委員 自治大臣に御答弁いただく前に、今の山花大臣のお話なんですが、私は腐敗防止って大賛成なんですよ。大賛成なんです。私はだれよりも改革派だと思っているのです、自分でも。だから、腐敗防止とかいうようなこと、これを一生懸命言うと何か政治改革つぶしと随分言われました。国民は景気対策も求めているんだ、同時並行でできるじゃないか、これまた政治改革つぶしたと言われました。しかし、これは同時並行でできることでもありますし、腐敗防止は、この今の国民の怒りや我々の反省の中で、これをばねにやる絶好のチャンスだったと私は思うので、こういうことをやれば、もっと難産も何もしないで早くできたことだと思うのです。  制度については、国民の主権にかかわることですから、むしろ選挙前に公約をして、こういう形になります、こういうふうになりますよということをよく理解していただいた上で、その是非を我々は論議すべきだった、こう思うのですが、どうもこの辺は引き抜かれたことは非常に残念に思っているわけです。  では、次に自治大臣、同じ質問で。
  54. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 だんだん質問の幅が大変広くなっているので、どこの部分にお答えしたらいいのかわかりませんが、経過的には、一昨年の十二月、緊急改革というのをやりましたが、私も当時社会党の責任者という立場で出てまいりました。もっと罰則強化のことやらあるいは政党助成のことは申し上げましたが、もうそのときに自民党さんは、中選挙区制ではもう罰則強化のことも限界なんだということで、緊急改革というのをやったわけですね。  したがって、今山花政治改革担当相から申されましたけれども、罰則強化をする場合でも、お互いに同士打ちという中選挙区制の制度である限りは、これ以上お金の問題もあるいは罰則の強化の問題もできないというところから今の制度で出発をしておるわけでございまして、その成果につきましては、山花大臣から言われたとおりだと私は思っております。
  55. 島村宜伸

    ○島村委員 世界各国にどこかいい例があるかどうか。
  56. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 これは、世界各国の問題は総理からも言われましたけれども、ドイツはドイツでそれはそれなりいいところがあると思います。アメリカアメリカでまたいいところがあるんだと思うのです。もちろん制度として、何か言えば欠点はあるかもしれませんが、それは一概に、すべて押しなべて言うことはなかなか難しいことではないかと考えております。
  57. 島村宜伸

    ○島村委員 今の問題ですが、勉強すればするほど、これは成功例がなくて失敗例だけなんですね。これはお互いにもっともっと謙虚に反省し、勉強する必要があると思うのです。  大体、この中選挙区制は制度疲労でだめなんだ、小選挙区制なんだ、初めからおかしな発想が生まれて、もうそこへ駅は決まっていて、どんどんどんどん我が党の党内論議も進んだわけですがね。ただ、その当時いろいろ名分とされたのは、政権交代が起きない、長期政権だ、だから政官財の癒着が起きたり汚れが生ずる、こういう意見がありました。しかし現実に、何遍も指摘されるように、中選挙区制下でいわば現内閣が誕生しているわけですね。  そして同時に、今回士打ちのお話がありました。同士打ちというのは、小選挙区制になったらありませんか。現実はあるんですね、やっぱり。そういうことも含めて、それで政治がきれいになると思ったら大間違いですよ。  ここに、この間小選挙区から中選挙区制に移った、鹿児島一区へ移った奄美のお二人の選挙直後のインタビューがありますよ。後で皆さんごらんいただいたらいいです。これによると、今まで政策論争がなかったから云々という名分も、おかしいのは、中選挙区制になって初めて政策論争ができたと保岡議員は言っているのですね。また徳田議員は、中選挙区制になったら選挙費用が十分の一以下だったと言っているんですね。こういうことがはっきり目の前にありながら、こういうものを全然無視しているということ自体がおかしい。  今、小選挙区比例代表並立制は、総理五つと言いましたけれども、六つですね、イタリーがふえましたから。これらの国の中で一番代表格は、やっぱり韓国だと思いますよ、日本に一番参考になるのは。これは東亜日報の鄭求宗という支社長の話ですが、これは小選挙区制というのは金権をあおるよ、利益誘導も激化するよと、はっきり経験においてあれして、いるわけですな。  また同時に山花さん、あなた御自身、これは前に指摘されたことがあると思います。ここに小選挙区制は民主主義の敵だとあなたはおっしゃっているのですよね、去年の四月六日。これは社会新報ですからおかしなもの書きませんよ。そして同時に、並立制もその実質は小選挙区制だから反対だと言っているんですな。  それが、何か知らないけれども、これが内閣に加わるとまるっきり百八十度変わってしまう。政策論争だ、政党本位だと言うけれども、それでは選挙中の公約って一体何なんだ。内閣が別のものができたら一遍にその公約がほごになってしまうとすると、政策論争なんて全く無意味になっちゃうじゃないですか。この辺ちょっと山花さんからお答えいただきたい。
  58. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今御指摘の社会新報記事、当時の自民党から単純小選挙区制ということで提案があったということについての反論の中での一文だったと思っています。  選挙の公約とのかかわりについて、これまでも幾度か御質問いただいておりますけれども、選挙における最大の公約は非自民の連立政権をつくろうというところにございました。今御指摘の選挙制度につきましての選挙前の各野党の皆さんとの話し合いの合意文書におきましては、いろいろこれまで検討してきたけれども、与野党の合意を得ることができなかった。そして、あの当時の状況ですから、今もなかなか難しいんじゃなかろうかということから、運用制を軸として与野党が合意できる内容のものをつくっていこうという形で、その後、今の与党の合意についてもつくり上げているところでございます。  当時の社会党としては併用制ということを中心として考えてきた中、選挙におきましては、比例代表を組み込んだ選挙制度をつくることにより抜本的な政治改革を行っていこう、もちろん腐敗防止、そこの問題が最大のテーマでしたけれども、選挙制度についてはそういうように上げてきたところでございまして、選挙が終わって、国民の審判の結果、大義を受けて政権交代ということについて責めを果たさなければならない、そう考えた中で、当時新党さきがけから呼びかけがありました二百五十、二百五十の並立制の問題についても、これを基本としてということについて私たちとしてはこれを選択したところでございまして、政権交代、非自民の連立政権、この大義を重んじたということが決断の最大の理由でございました。
  59. 島村宜伸

    ○島村委員 山花さんは弁護士ですから、随分言い回しをなさるなと思って同情しながら聞いているわけですが、やはり並立制は小選挙区制ですからだめですと言っていることは、ここにちゃんと記事に全部残っているんですよ、はっきり。社会新報ですから、あなた、命令一下こんなもの修正したらよかったんじゃないですか。併用制とか運用制じゃないんです。並立制もだめだとあなたおっしゃっているんです。今それをあなた、推進して一生懸命やっておられる。これは政治家として恥ずかしいと私は考えるべきだと思いますよ。  それで、このことについての結びに申し上げたいんですが、地方の時代とか女性の社会参加、地位の向上、こういう時代に、今度の制度だと、要するに長野県と福島県は十二人の議席が今度は五議席になってしまうんですね。そしてその他の秋田、栃木、群馬、新潟、富山、鳥取、岡山、山口、香川、愛媛、長崎、十一の県は半分以下にやはり減るんですよ、議席が。比例区があるじゃないかと言うけれども、ブロックの中で自分のところの比例区の代表が確保できるという保証は何もないわけですよ。こういうこと自体も問題だし、小選挙区制が定着しますと新人は出られなくなりますよ。いわんや婦人なんか参加できなくなりますよ。  私は、こういうことは国民の皆さんがだんだんわかった時点で非常に批判が出てくると思うし、最近になってようやくマスコミがマスコミのいわば責任を果たすように、その報道をするようになった。私はこういう今の行き方は非常に怖いと思うんですね。改革という言葉だけがひとり歩きした。いわばまさに新体制がひとり歩きして翼賛選挙、そして戦争へ突っ走ったあの過去の経験がまたよみがえるようで非常に危険なものを感じるわけであります。  さて、私はきょうはちょっと視点を変えて、次の質問をしたいと思います。  それは、きのうも水野委員から御指摘があったようでありますが、例の政教分離の話ですね。少しくひもときたいと思うんです。  私はかねがね創価学会と公明党の政教一致の実態というのは違憲の疑いがあるし、問題が多いな、こう考えてきました。少なくとも公明党以外の議員の人はみんなそう思ったし、公明党の人でも良心的な方はそう思っておられたんじゃないかと思います。  それはそれとして、私は、中選挙区制のもとならお互いに共存するのもいいのかな、私は本来的には、考え方が全く違う政党がいろいろあることはいいことだと思っている人間ですから、議論はしますけれども、それはそれなりに認めてもいいと思っていたんですが、問題は、これで四法案がまあ一応成立するということに仮定しますと、選挙制度は小選挙区比例代表並立制になるわけですね。そして政党助成が行われるということになる。こうなると、これはほっておけなくなってくるわけであります。  私たちは真の政治改革がいかにあるべきかということで、民主政治研究会というのを発足させました。そんな中で、一流の学者や評論家の話をいろいろ聞いて勉強したわけですが、その中から生じた疑問の一つが、いわば政教一致の実態にある公明党へ政党助成をすることは違憲である、こういう指摘が実はありまして、我々もそのとおりだというので実は勉強したわけであります。  その結果、私は、この点について非常に先行きを考えると恐ろしいなと思うことは、今までは公明党という独自の政党ですから、国民の側でも一応そういう判断をなさるからおのずから限界があった。しかし、今度は小選挙区制ということになると、これが一応表向き姿を消して、それ以外のいわば公明党と提携した議員にその組織やお金が、まさに莫大な資金力がどんと回るということになると政治が壟断されるおそれが出てきた。  私は、そういう意味で、その道に通じた学者の方とか評論家あるいは元公明党所属の議員の人、あるいは学会の幹部だった人、いろいろ実は勉強させていただいたところであります。  それで、問題は、こういうことごとについて政教一致か否かということをこれから伺うわけでありますが、まず最初に伺いたいことは、宗教法人創価学会は収益事業の一つとして機関紙聖教新聞を発行しているわけです。販売は全国の学会員、大半は幹部とのことですが、聖教新聞販売店の看板を掲げて、この店舗が全国に約千五百軒あるそうであります。  一説によると、この部数は毎日新聞より発行部数が多いということでありますが、この聖教新聞はこの店舗から各学会員宅に配達されているわけでありますが、問題は、同時に公明党の政党の機関紙公明新聞も同じ聖教新聞販売店で配達しているということであります。いわば政教一致のサンプルみたいな形でありますけれども、政党機関紙の配達と集金、これらについて税制面ではどのような判断がなされているのか、まず関係の方からお答えをいただきたい。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  60. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 簡単にお答えします。  御案内のとおり、宗教法人は、法人税法の政令で定めます三十三の特掲されております事業、これが収益事業でございまして、これに該当する事業を営んでおる場合には、その限りにおきまして、当該事業から上がる所得につきまして法人税が課されますが、自己のと申しましょうか、政党の新聞の販売でございますと、これは政党活動、公益活動でございますので、そのような新聞につきましては収益事業に該当いたしません。
  61. 島村宜伸

    ○島村委員 後でこれはまた詳しくいろいろ質問する機会を持ちたいと思いますが、いろいろ皆さんに御披露したいことがたくさんありますので申し上げたい。  同じく選挙に関連してですが、宗教施設で固定資産税がゼロという学会の全国の施設が、選挙に入ると公明党支援の前線基地に早変わりするわけですよ。これらについて税制上問題がないのでしょうか。
  62. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 まことに申しわけないのですけれども、今担当の者が来ておりませんので、すぐ調べて御返事いたします。
  63. 島村宜伸

    ○島村委員 やむを得ません。  御承知のように、日本国の憲法第二十条、信教の自由、国の宗教活動を禁止しているわけですね。これは読みたいのですが時間がありません。八十九条は、公の財産の支出利用の制限の中で、宗教上の組織にいわば支出をすることについては禁じているわけですね。  そういう判断からいたしますと、私は勉強すればするほど、どうもこれはまさに政教一致だということが明快になってくるわけですが、まず、創価学会の絶対者として知られる池田大作氏が、細川連立内閣の公明党所属大臣について創価学会の信者に対してこう言っているのですよ。デージンは皆さんの部下だからと言っている事実、ここに一テープがあります。こういう考え方も私は政教一致の一つだと思います。時間の関係があるから、もっと本当はたくさんあるんですけれども部分を言ったのです。  次に、平成五年七月七日、昨年の衆議院選挙に先立って、その間近に開かれた本部幹部会の席上で、池田会長は、激戦区の公明党候補の名前を一人ずつ挙げて激励するとともに、候補者五十五人の全員当選を厳命しているわけでありますね。私は、これ自身もまさに創価学会と公明党の実態を物語るものだ、こんなふうに思うのです。  そこで、余りこういう話ばかりしては退屈するでしょうから、これをちょっと見ていただきたい。総理、皆さん、閣僚の皆さん、これを見てください。この表は、東京都二十三区の区会議員選挙の当選者の結果なんですよ。この一番下にオレンジ色の線があるのが、これが最下位当選のライン、この上の黒い玉、これが公明党の区議会議員の選挙ですよ。いいですか。これは政教一致、だれが見てもそう思うと思うのですね。こんなことをほかの政党で可能でしょうか。これは、宗教丸抱えの組織的な活動がなければこんなこと絶対不可能ですよ。  大内大臣、あなた東京の方でいらっしゃいますが、東京では区議会議員の選挙が一番難しいのです。それは当然ですよ。お隣近所あるいは親戚、知人、同業の人、同窓の人、同郷の人、御主人や奥さんや子供の関係で、一票を七人も八人もが当てにして、それをみんながもう、こうお互いに奪い合って、訴え合って、それでかち取った結果が選挙の当選につながるのですよ。これはこれは見事なまでに全部上位当選、ビールの泡のようでしょう。総理、どうですか。これをごらんになって、これが全く政教分離だとお考えかどうか、ちょっとお答えいただきたい。一言でいいです。感じるままでいいです。
  64. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私は、その選挙の実態というものについてつぶさに存じませんので、コメントすることは差し控えさせていただきます。
  65. 島村宜伸

    ○島村委員 それはおかしい。あなたはこれをごらんになって、こういう選挙の結果を日本新党なら出せますか。風の起きているときの日本新党ならともかく、風がやんでしまったらどうなっちゃうんでしょうか。一般の政党でこんなこと、常識的に考えられますか。  新生党の羽田党首、どう感じられますか。こんなこと、おたくの政党ならできますか。できるかできないかでいいんですよ、どうぞ。それだけでいいです。
  66. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに公明党さんの場合には、信徒の方なんかがやはり多く組織されている政党であるということは、これはあると思います。ですから、私は、例えば共産党さんなんかもやはりそういうことが言えるんじゃないかと思います。  我々の場合には、残念ですけれども、まだその組織というものはそんなにきつくないということです。
  67. 島村宜伸

    ○島村委員 社会党のかつての委員長山花さん、どうお感じですか。時間がないですから、イエスかノーかでいいですよ。
  68. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 それぞれ選挙のときに努力しておるというのがそれぞれの立場でございますけれども、今拝見したことで、できればまた後で勉強させていただきたいと思っております。今ちょっとこう見ただけではよくわからないというのが率直な印象でございます。
  69. 島村宜伸

    ○島村委員 山花大臣、勉強させていただくということですが、あなたはいつまで大臣をやっているか知りませんが、少なくも、後で勉強した結果を報告してもらえますね。要求しておきます。  では、次に民社党の大内委員長、どうでしょうか。
  70. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 なかなかできることではないと思っております。
  71. 島村宜伸

    ○島村委員 大変正直で、むしろ好感が持てますね。  要は、これはたまたま一面しかごらんに入れてなくて残念なんですが、これは各年次全部できているのですよ。全部絶対の当選なんですよ。問題は、こういう組織が散らばって、今度は公明党と提携する議員がこの恩恵を受けるとなったら、これは大変なことなんです。  総理、あなた御自身の支持率が高い高い。私も随分これは勉強したんですわ。そうしたら、やはりいろいろ調べてみると、この間学者の方何人かと食事したら、言っていましたね。いろいろ勉強してみたら、やはり創価学会の支持というのはばかにならないそうですな。創価学会と労働組合、それからもう一つはあなた御自身の人気ですよ、確かに。  そして同時に、その他の会派の方々も、支持率こそ内閣を支えるものだという意識に立っているから、今まで自民党なら、竹下けしからぬ、宮澤けしからぬと、こうやってやっておいても、支持率なんか全然低くなっても、自民党政権はつぶれっこないと思っていたから、自民党の支持者とは全然違うんだ、だから、こんなものは恐れることないよと、こういう話でございました。  ただ、私はこの組織的な活動というのは非常に怖いと思うのですよ。例えばテレビなどで、電話番号を言って、皆さん賛成か反対か言ってください。皆さんおかけになったことありますか。私の支持者からも何人か質問を受けましたが、こういうことを言うのですね。電話をかけたら全然かからない、全部電話回線がふさがっていると言うのですよ。  テレビで見ていると数字がばんばんばんばん片っ方だけ上がっていくんですな。電話の組織網があると言うのですね。全部ふさがってしまうわけですよ。一般の素人がこれはこう思うなんて思って、考えて、ダイヤルを回したころにはもう結論が全部出ているのです、圧倒的な差ですから。これを見て時の流れだと国民は勘違いするわけですね。こういうことも含めて、私は、今の段階からこれらをなおざりにしていると先行き大変なことになるな、こんなふうに思うのです。  今私がこういうことを申し上げている意味は、何も政党間の争いを云々と言っているのじゃないのです。もう少し純粋な立場で、さっき申し上げたように、憲法二十条、憲法八十九条、まさにこれに違反するということなんですよ。政党助成なんかできないということになるのですよ、総理。  要するに、政教一致しているとすれば、いわば創価学会は公明党というものを抱えている組織なんだということになれば、逆に言うと、公明党に政党助成をするということは、これは創価学会にお金を出すということになってしまうのですよ。  先ほど来私が指摘していることは、今まで非課税だという恩恵を受けていながら、それを政治的に利用するのはけしからぬじゃないか、こう言っているのは、その恩恵自身も憲法違反になるわけですね。私はそういう点を言っているわけでありまして、この点について、もし政教一致が事実であると認定されれば、政党助成は適当でないと私は判断するけれども、これはどう思われるか、まず細川総理に伺いたい。
  72. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 政党助成法による助成というものは、国会議員数であるとか得票率であるとか、そうした要件を満たすものに対してなされるわけでございますから、それが憲法に反するものであるというふうには私は考えておりません。
  73. 島村宜伸

    ○島村委員 今の総理考え方はおかしいんじゃないですか。政教一致だという認定があった場合、これが一般の常識でそう判断された場合、そこに政党助成を行うことは憲法違反だと私は申し上げているのです。もう一度お答えいただきたい。もう一回条文を読みましょうか。
  74. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは政教一致があるという前提のお話でございますね。しかし、それは仮定のお話でございますから、私が申し上げたのは、あくまでも政党助成法による幾つかの要件、先ほど申し上げましたような要件を満たす場合に助成が行われるということでございますから、そのことは憲法に反するものではない、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。
  75. 島村宜伸

    ○島村委員 いかにも細川さんらしい御答弁ですけれども、私ははっきり言って不満ですし、まやかしたと思う。  続いて、今の同じ質問を、山花大臣、あなたはどうお考えになりますか。
  76. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今の総理の答弁と同じ気持ちでございます。
  77. 島村宜伸

    ○島村委員 かつての……(「聞くなって、むだだよ」と呼ぶ者あり)私もそれを知っていて聞いたのです。ある意味で嫌みです。これはあと伺ってもみんな同じことをおっしゃるのでしょう、佐藤大臣に伺っても。無意味だと私も思います。(発言する者あり)そうですね。一応法制局長官、せっかくお座りでございますからちょっと伺いましょう。簡単に。政教一致という認識があった場合ですよ。
  78. 大出峻郎

    ○大出政府委員 御質問につきましては一般論として申し上げさせていただきたいと思いますが、今回の政党助成法による政党の公費助成というものは、政党が国民の政治的意思を集約し、国家意思の形成に参画するという公的側面を有することなどに着目をいたしまして、一定の定義をされた政党、法律によって定義されました政党に対して公的助成を行うものであるわけであります。  他方、憲法八十九条の関係でございますが、平成五年二月十六日の最高裁判決によりますというと、憲法第八十九条に規定する「宗教上の組織若しくは団体」につきましては、宗教と何らかのかかわり合いのある行為を行っている組織ないし団体のすべてを意味するものではなくて、特定の宗教の信仰、礼拝または普及等の宗教的活動を行うことを本来の目的とする、そういう組織ないし団体を指すものというふうに解されているところであります。  このことからいたしますというと、憲法上の「宗教上の組織若しくは団体」は政治資金規正法上の政治団体と異なるものでありますし、したがいまして、政党助成法上の政党となるということもないと考えられますので、政党助成制度が八十九条との関係で問題を生ずるということはないというふうに考えているところであります。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 島村宜伸

    ○島村委員 法制局長官までこんな答弁になってしまったのは恐ろしいことだと思いますよ。しかし、きょう私残念ながら、先ほど来申しているように時間がないので、恐らく最後の質問になるんでしょう。この時間にもう一つ申し上げておきたいと思います。  宗教法人としてのあり方についてです。  創価学会の年間資金について、収益事業だけで平成四年の申告所得百三十七億円、こうなっています。ほかに財務と称して、会員から何千億円、銀行振り込み方式の巨額な金を集めていると聞きます。これはもちろん非課税で、しかも幾ら集めてもどのように使ったか一切公開していない。公開の義務はないのかどうか、まず伺いたい。  時間がないから続けます。  次に、今日の民主主義社会で、一つの組織が何千億円という非課税のお金を集めて、使い道も非公開、このようなことは我が国はもとより世界じゅうでも私は類例を見ないことではないか、こう思うわけであります。本来、税制面で国家が宗教法人を保護しているのは精神面の公益性があるからでしょう。創価学会の場合、公益性どころかいろいろと問題が多過ぎると思うのは私だけではないはずであります。  例えば、宗門との紛争で寺院に押しかけてパトカーが呼ばれるケースが非常に多いと聞いています。あるいは一億七千万円の入った金庫が金庫ごとごみ捨て場に捨ててあった。こんなことは常識でとてもとても考えられないことですよ。そうじゃないですか、委員長。そうですね。  そして、平成三年七月には、国際証券を舞台に七十億円を投じて株を買い、損失補てんを受けている。これは新聞にでかでかと記事が出ましたよ。これは、勝手に株に証券会社の人が使ったんだと言って言い逃れをされているけれども、そんな勝手に七十億円も人の金を使えるものですかね。世間常識で、常識でいいですから考えてほしいのですよ。  要は、政党を抱えたり金を捨てたり財テクをするような豊富な金がうなっている教団に非課税のいわば恩恵を受ける資格があるのかどうか。加えて政教一致となれば、政党助成はそのまま憲法違反の疑いの中にお金が出されるということになるわけであります。こんな事実を、今この不況と闘っている、私のところは零細企業者が多いのですけれども、中小企業者が知ったらこれは怒りますよ、本当に。本気で怒りますよ、冗談じゃないと。もう税金なんか納めないと、こうなりますよ。  この点についてどうお考えになるか、私はぜひ総理以下もう一度、今度は責任ある答弁を伺いたい。  総理、まず伺いたい。
  80. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 その辺の実態については私も承知しておりませんので、何ともお答えをいたしかねます。
  81. 島村宜伸

    ○島村委員 もし事実だったらどうしますか。もう一度伺いたい。もし事実だったらどうしますか。
  82. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 もし事実だったらと、そういう仮定のお話でございますから、答弁は差し控えさせていただきます。
  83. 島村宜伸

    ○島村委員 これは事実なんですよ。事実だったらどうですか。であったとしたらじゃなくて、事実であったらどうですか。事実なんです。
  84. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今申し上げたとおりでございます。
  85. 島村宜伸

    ○島村委員 やっぱり答弁することが差し支えがあるようですからこれ以上は追及しませんが、皆さんの御判断に任せます。  大蔵大臣、御答弁いただきたい。
  86. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 島村委員の御質問に対して、一般の公益法人としてお答えせざるを得ないと思います。  もう仕組みはよく御存じのとおりでありまして、収益事業は中小企業並みの課税、そして一定の寄附金枠というものが認められている、本来事業については非課税、こうなっております。  ただ、私ども国税当局を抱えている立場で申し上げますと、本来事業の中に何かおかしいものがあるのではないか、それに課税すべきかどうかということは国税当局の判断の外でございまして、どうかその点は所轄庁の問題としてお考えをいただきたいと思います。
  87. 島村宜伸

    ○島村委員 今、所轄庁とおっしゃいましたけれども、たまたま藤井大臣、あなたも閣僚のお一人です。主要大臣のお一人なんですから、ぜひ内閣の中でこの点をよくお考えいただきたいと思います。  一応責任者として、自治大臣に伺いたい。
  88. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 一つは、固定資産税の減免の問題につきましては、基本的には宗教法人の境内地の中につきましては、これは非課税ということになっておるわけでございます。ただ、創価学会の会館というのですか、あれがそこに当たるのかどうかは私もつまびらかではありません。  それから、今の島村委員の御質問は、創価学会というものと公明党というものは人格が一緒であるという前提に立って御質問なさっているように私には受け取れるわけでございます。あくまで政党助成というのは、五人以上の現職議員と二%以上の得票率という前提に立って政党に対してやるものでございまして、創価学会と公明党というのは、私は人格が違うというふうに理解をしておるわけでございますから、政党の中身になるべく入らないでということで、あの政党助成の要件というのは、政党の中がいいか悪いかではなくて、客観的な条件に基づいて政党助成を行うというふうになっておるわけでございますので、そう考えておるところでございます。
  89. 島村宜伸

    ○島村委員 もう時間がないのですけれども、正直過ぎるのが玉にきずだと、佐藤さん、あなたのいい意味の私は評価を聞いたことがあるのですが、そういう答弁をしなければならないあなたのお立場もわかりますから、これ以上追及いたしません。  結びに、文部大臣、あなたには、宗教団体の責任者としてちょっと御判断を伺いたい、今の質問
  90. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 宗教法人を担当しておりますが、創価学会と公明党とは別の人格であるというふうに考えておりますので、政党である公明党に対する問題は宗教法人とは関係のないことだというふうに思います。
  91. 島村宜伸

    ○島村委員 ちょっと大臣、私は、創価学会と公明党イコールという答弁でなくて、今のいろいろ指摘のある創価学会の行き方について疑問を持たないですか、こういう意味で伺いたい。
  92. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 宗教法人として宗教活動をしておられる創価学会という点で、宗教法人としての問題はあるのかもしれませんが、それにつきましては、現在のところ、それを細かく調査をするということは宗教法人上認められておりませんで、その点についてはつまびらかにしておりません。
  93. 島村宜伸

    ○島村委員 時間になりましたから、残念ですが、非常にしり切れトンボでやめますけれども、きょう私が皆さんにお見せした表は、たった一回だけの結果であって、これは全部あるわけです。それから都議会もあるし、大阪の府会、市会もあるし、いろいろな地域の、大体全部こういう表ができているのです。調べれば調べるほどまさに政教一致の実態を私たちは認識するわけで、こういう点だけは詭弁を弄さず、まじめに、いわば法の正義というものを守っていただきたいと要望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  94. 山口鶴男

    山口委員長 これにて島村君の質疑は終了いたしました。  午後一時半から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ――――◇―――――     午後四時十八分開議
  95. 山口鶴男

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。白川勝彦君。
  96. 白川勝彦

    白川委員 自由民主党白川勝彦でございます。  ちょっと委員会がおくれましたが、きょうばいろいろと総理自身にとりましては随分こたえられたことになるかと思いますが、聞けば聞くほどどうも問題がかえって複雑になってくるようでございますので、きょうはこれらの問題を今までの先生方のいろいろな視点を踏まえて聞きたいと思うのでございます。  大変長時間になりますので、その間、五分でいいから、まず藤井大蔵大臣に聞きたいと思います。  あなたは、大臣就任直後の記者会見で、前の内閣の林大蔵大臣が、証券業界だったでしょうか、どこかから献金を受けたとか要請したということがございまして、そのことに関連して、あなたはそういう点はどうされますかというお話を聞いたときに、私は所管事項の団体その他からは献金を受けませんと、まことに細川内閣の発足にふさわしいような立派な答弁をしているわけでございますが、調べによりますと、その二日後に、塩元売協同組合あるいは塩裕会というのでしょうか、ほとんど同じような団体のようでございますが、そこから一千万円の献金を受けられた、こういうことでございます。これは事実でしょうか。そして、あなたはそのことをいつ知りましたか。
  97. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 ただいま白川委員の御引用になりました八月九日の記者会見について、私は所管業界からの献金については厳しく対処してまいりたいというお答えをいたしております。  八月十一日の件は今御指摘のとおりでありまして、それは長らく私個人の政治的支持基盤でもあったということもあり、その団体から退職慰労的なものと承ったので、そのときは、それまでの私の個人の政治的支持基盤ベースの中での問題ということで受け取りました。  しかし同時に、私は今の立場とこのことを混同したことはただの一度もございませんが、同時にまた、何がしかの誤解もあってもいけないし、みずからの身を律するためにこれを返済することとしたということも既に御承知のとおりであります。
  98. 白川勝彦

    白川委員 あなたが一千万円を受け取ったと。趣旨はまた後で聞きますが、いつごろ一千万円を、あなた直接なのか事務所なのかわかりませんが、受け取ったのを知ったかということを答えておりませんので、答えてください。
  99. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 そのときに知っております。
  100. 白川勝彦

    白川委員 ああそうですが。じゃ、あなたが直接受け取ったのですか。
  101. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 退職慰労的な意味を込めて政治献金をしたいというお話がありました。私どもの事務所では、そういう手渡し的なことは一切やっておりませんから、事務方間の事務的処理によって行われております。
  102. 白川勝彦

    白川委員 一千万円の退職金が出るとなると、まあ昭和五十年ごろから、すなわちあなたがおおむね議員になったころからずっと務めているようでございますが、その組合との関係は、別途塩裕会というのがあって、そこはそこで別途給料その他は払っていたかわかりませんが、政治的な献金は、額は多いか少ないか知りませんが、知ったと思うわけでございます。  そういうのを受けていながらなおかつ、どういう仕事をしていたのかわかりませんが、我々政治家がある団体の顧問だとか、あるいは副理事長を若干務めたようでございますが、それが終わったから退職慰労金というのは、通常我々は、私も幾つかの顧問をやっていますが、まずもらったことはございません。退職慰労金的なお祝い金というのは、しょせんは口で言ううまい言葉でございまして、それはやはり大臣の祝い金もしくは政治献金と言われてもいたし方ないんじゃないかなと思うのでございます。  もし退職慰労金的なものであれば、それは政治団体ではなくて個人の所得ということになるのでしょうが、その辺、あなたは大蔵大臣でございますから、ちゃんと答えてください。
  103. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 ただいまお答えいたしておるとおり、これは政治献金でございます。その趣旨がどういう意味合いを込められているかという意味において今のお答えをした次第でございますので、御了解いただきたい。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  104. 白川勝彦

    白川委員 まあ、趣旨をああだこうだと言うのは、かつていろんな汚職だとかそういうときに、政治献金か汚職かということで争われたことでございますが、この塩関係というのは文字どおり、平成三年の十二月に御案内のとおり中間報告が出て、現在もこの塩の専売制度というのをどうしたらいいだろうか、この審議会でも非常に難しい問題を一生懸命議論をされているようでございます。  そういうところを、あなたが一政治家としてそこの応援をするのは一向に構わないと思うわけでございますが、その所管大臣になったとき、そこから一千万円、しかも調査によりますと、とりあえずそれは組合が持っていた金を立てかえていたんだ、それで九月ごろ各社から二十万ないし三十万集めて、トータルで二千万円を用意した、そして、本当はさらに一千万をやりたいというんだけれども、ちょうどそのころからゼネコンがぼんぼんぼんぼんはじけてきちゃったもんで、つい渡さずじまいで一千万はプールしていた、しかし今回、あなたの方から返されたので、その二千万をもう一回みんな各会社に返した、こういうふうに聞いておるわけでございます。  じゃ、あなたはこの間、そういう問題をどう考えていたんでしょうか。いろいろ考えた結果、やっぱりこれはまずいということで返したんでしょうか。それとも、何かきっかけがあったのですか。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 はっきり申しまして、八月十一日のときは退職慰労的なものであるということで安易な気持ちがあったことは事実です。これはもう率直に申し上げておいた方がいいと思います。しかしながら、現在、当然私の立場とこれと混同したことは一切ございませんが、より身を律さなければならないという観点からお返しをした次第であります。
  106. 白川勝彦

    白川委員 あなたがそう思ったきっかけは何ですかと聞いたのです。
  107. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 そういう御意見もあるということを仄聞したからでございます。
  108. 白川勝彦

    白川委員 これは、私は直接この取材をした新聞記者から聞いた話なんでございますが、よく聞いていてください。  いろいろ周りの事情を聞いたらそういう事実があったらしいというので、この組合の、また政治団体の代表者である人に、あるいはそこの組合に行って取材をかけたのが二月四日だそうでございます。そうしたら翌日、二月の五日、土曜日でございますが、現金をそろえて藤井事務所から、これは返す、こう言ってきたそうでございます。みずから思ったのでなくて、これが問題になりそうだということで慌てて返したんじゃないんですか。
  109. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 四日、五日のことはちょっと正確には記憶しておりませんが、二月のごく初めだと思います。私は、今こういう状況でございますので、事務所には全く行ったことがございませんが、事務所からそういう話があったことは事実であり、そういうことは適正にすぐ処理するように事務所に申しつけた次第であります。
  110. 白川勝彦

    白川委員 半年間いただいたものとして、若干心苦しいと思っていたのかどうかわかりませんが、新聞社が動いたら、土曜日というのは今普通金融機関は閉まっております、さすが大蔵大臣だから一千万円ぐらいどこにでもあるのかわかりませんが、一千万をキャッシュで持っていかれたということは、やはり心の中に、昔の言葉で言えば重くのしかかるものがあるお金だから返した、少なくとも退職慰労金などという大胸を張って言える話ではないということだったからこうしたと思うわけでございます。  細川内閣は発足の当時、政官財の癒着を断つんだと、最近は政官業と言うのでございますが、それがかなり大きなキャッチフレーズであったような気がいたしますが、まさに塩の専売制度というのは今盛んに議論しているところでございます。  そこの組合から直接一千万、向こう側は二千万ぐらい現に用意していて出そうと思っていたそうでございますが、そういう趣旨のお金を受け取るということは、直接請託があったとは言いませんが、逆に塩のことをよく知っているあなたにしてみれば、これはそういう問題について所管大臣になったんだからよろしくという意味合いが以心伝心でつながってくるのが当たり前ですよ。個別の請託があろうがなかろうが、もう非常に外形的にはわいろ性の高い政治献金である、こう思うわけでございます。  私は、こういう問題で、もう内閣改造も早いようでございますので、きちんと責任をとるという意味で、あと十日か二十日か知りませんが、そんなところに恋々とするよりも、細川内閣はそういう問題には厳しいんだということをみずから身で示さなければ、政官業の癒着だ癒着だ、それがけしからぬというのは単なるうたい文句にすぎない、私はそう思います。  その点、藤井大蔵大臣の責任のとり方と、こういう問題に関しての、大体御本人も認めておるとおりでございますが、こういう事態が現実に発覚したわけでございますが、総理の御所見を承りたいと思います。
  111. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 その一連の経過について大蔵大臣御自身から御説明がございました。弁明がございました。今後しっかり身を律していきたいということでございますから、そのお言葉を重く受けとめたいと思います。
  112. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 経緯はもう白川委員よく御存じのとおりであります。昭和五十一年以来の、いろいろなことをやってきたことに対する退職慰労的なものであった、これは一つの事実であります。しかし、そういうことであったので安易であったということは私は率直に考えております。  そういう前提に立って、今、みずからに対してより身を律していかなければならないというふうな気持ちを持っておりますし、厳粛な気持ちで今後の仕事に当たってまいりたいと思っております。
  113. 白川勝彦

    白川委員 責任をとるとか、そういうのを重大に思うというのは、いろいろ政治家の対応のまずさということで問題にされ、そういうことはしないのだというところが細川内閣の新鮮なところだというところでかなり高支持率があったのだろうと思いますが、こういうところだけはわずか半年足らずぐらいの間に、だんだんだんだん悪いところだけはまねしてくるということで、権力というのはそういう魔力があるのかなという気がいたすわけでございます。  まあ一千万の問題でございますから、時間はこのぐらいにしておきます。一億でございますから、この十倍かけなきゃいけないわけでございますので、ひとつよろしくお願いいたします。  さて、それでは細川さんにこれからお聞きすることになるわけでございますが、私が十二月の初めだったでしょうか、この一億円の問題を予算委員会で質問したわけでございます。それから随分いろいろな委員会でいろいろな人が問題にされてきたわけでございまして、私も、どなたかがこの質問をするということが事前にわかるときは大体傍聴するようにしていたつもりなのでございますが、後で振り返ってみると、こんなに大勢の人が質問したのか、きのう事務局から議事録を取り寄せましたら、この一億円問題だけのコピーで、厚さにしてニセンチぐらいあるわけでございまして、相当いろいろな人から、いろいろな角度から質問をされ、それに対して総理は、あなたはいろいろな形で答えているわけでございます。  私も改めてきのう夜、三時間から四時間ぐらいかけて全記録をずっと精査をさせていただきました。そして、その上に立って、多分皆様方もいろいろな意味で、時間の都合があったりした関係で聞けなかったであろうところ、あるいは私がずっとあなたの答弁を聞いていながら、やはりここはおかしいのじゃないかなということを、もう一回改めて別の角度からきちんとお聞きをしたい、こう思うわけでございます。  そして、きょうはあなたが、まあきょうもおかしいものを出しましたけれども、これをもって返したということなのかもわかりませんね。しかし、こんな一枚の紙切れで、回答書ですか、あれを見させていただきましたけれども、このぐらいの紙一枚で解決するのなら、何も我々大事なこの国会の場で多くの時間を要しないのですよ。それからまた、あなたが、この書類でもってもう疑問は氷解したはずだというようなことを含めて出された六枚の、六点セットがあるわけでございますが、これらを最終的には私は全部一つ一つ論破したい。  だから皆さん方も、本当に総理が、細川さんが言っているのが正しいのか、それともこの書類で本当に疑問が氷解したと思えと言うのか、じっくりと聞きたいと思いますので、ひとつ腹を決めてお答えを賜りたい、こう思うわけでございます。さてそこで、今まであなたがずっと答弁したことの中でくるくるくるくる変わっている。なぜ変わったか。それは、みずから経験したことじゃないから変えられるわけです。みずからの記憶が間違っていたのだと言うなら、間違ったにしても、どうして間違ったかということは言わなければいけないと思うわけでございますけれども、何分にも自分の体験したことじゃないから、そういうふうに聞いていたのだけれども、さらによく聞いてみたら実は違っていたので答弁を変えますというのが多々あるわけでございます。これを我々の世界では伝聞というわけでございます。あなたも新聞記者をやっていたのだから、伝聞というのはそういうものでございます。  特に、よくさらにお聞きしますと、あなたは直接なかなか深山さんとこの問題をじっくり詰めていないところもあるようだ。事務所の者に詰めさせていると言うから、こういうのを伝聞の伝聞というのです。証拠法でいいますと、刑事訴訟法でいいますと、こういう証言は特に証拠価値が薄いというわけでございます。伝聞の伝聞だから、幾ら変えたってしようがないわけでございます。  そういう意味で、これからお聞きすること、あなたが直接体験したことについては、あなたは責任を持って答えてください。そして、何分にも十何年前のことだからどう思い出しても、随分、もう二カ月ぐらいこの問題あるんでいろいろ思い出していると思いますが、いろいろ考えても思い出せないことというのはこれはあるわけでございますから、どうしても思い出せないということは結構でございます。  しかし同時に、自分に関係ないことについては、それは聞いたということであるならば、そのことについてはこういうふうに聞いていましたということを幾ら言っても、その矛盾が出てくると、さらに追及すると、いや、それはこうでしたと言われちゃ困りますので、そのことは私はきょうは余り追及しないようにしたいと思います。ですから、まずあなた自身が直接体験したことを中心に聞きますので、お願いしたいと思います。  さて、あなたが佐川清さんというのに初めて会ったのはいつごろで、どんな経過で、どこで会いましたか。  私の質問は終わっているんですが。
  114. 山口鶴男

    山口委員長 まだ手を挙げられないものですから。
  115. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 お待たせしまして申しわけございませんが、また答弁が食い違ってもいけませんから、資料を見てできる限り誠実にお答えをさせていただきたいと思います。正確にお答えをさせていただきたいと思います。  佐川氏との交友関係の始まりは、佐川氏が父の所有しております細川家代々の京都別邸を知って気に入りまして賃借をするようになったことでございまして、これは佐川氏の隣人でありました元参議院議員の河本嘉久蔵さんという方が、もう亡くなられましたが、私に父との賃貸借契約仲介を依頼をされてきたことが発端でございます。  したがって、佐川氏は父の所有する住居の貸借人という関係でございまして、いわゆるタニマチと政治家という関係とは異なるということでございます。佐川氏には、その後、御希望によって同じく父の所有しております赤倉の別荘を賃貸をいたしました。さらには、私が所有しております湯河原の別荘も賃貸をいたしました。  そのようなことでございますが、私が佐川清氏と知り合うようになりました時期は、佐川急便という会社がまだ問題を起こしておりませんで、会社として成長を遂げつつあったころではなかったかと思います。そのように記憶をしておりますが、その後、いわゆる佐川急便事件が起ころうなどということは想像もしていなかったということでございます。
  116. 白川勝彦

    白川委員 いろいろ述べていただいて丁寧なんですが、その賃貸借が成立した時期というのは、まあお父様とのことでございますが、書類上、大体総理は確認されているでしょうか。それらに確定日付があれば、それよりも前なのか、それとも貸した後にお会いするようになったのか。  今いろいろ述べられましたが、年号で言うと大体いつごろかというのが具体的には触れられていませんので、まあ昭和五十四年とか五年のあたりじゃないかと思うのですが、もし賃貸借は、そのときは河本先生に言われてただ父に取り次いだだけで、そのときは会わなかったとか、そういうことをあなたの記憶に基づいてお聞かせいただくと大体の時期がわかると思うわけでございますが。
  117. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 父と佐川との関係につきましては、事務所を通じて調べてみましたが、父の方に聞いてみましたが、京都の別荘の方につきましては、最初の契約が昭和五十五年一月一日から契約をいたしております。昭和五十九年十二月三十一日までの間、その後更新をしておりますが。  それから、赤倉の別荘の方につきましては……
  118. 白川勝彦

    白川委員 それでいいんですが、その辺を基準にどっち、それよりも前なのか後なのかをちょっとお聞きしたいのです。  そのお貸ししたのが一月一日ということであれば、そういう話に、あなたは河本さんから言われてそういうことになったわけでございますので、例えばその賃貸借契約が成立する前に何らかの意味で佐川さんにお会いしたことがあるのか、それともそういう契約その他には一切立ち会っていないものだから、例えば佐川さんが京都別邸を借りて住むようになってからお会いしたのか、そういうことをちょっとお聞きしたいのです。いつごろからという、そのちょっと時期をお聞きしたいものですから、記憶をたどってお願いしたいのですが。
  119. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 恐らくその日時よりも若干前ではないかと思います。しかし、記憶は定かではございません。しかし、父に紹介をしたということでございますから、多分、その直前か何かわかりませんが、その少し前にはお会いしていたのではないかと思っております。
  120. 白川勝彦

    白川委員 あなたのお父様が所有されているわけでございますが、その賃貸借契約とかそういうものは、お父様が直接佐川清さんもしくは佐川関係者とやられたんでしょうか。それとも、どなたか代理人が佐川側のどなたかとやられたんでしょうか。それとも、その契約にあなたも、まあお父様、御高齢かどうかわかりません、今は御高齢のようでございますが、当時の年格好などで、あなたもしくはあなたの事務所の方がむしろ代行してあげたのか。その辺のことをもしあなたが知っておられたら、あるいは関与しておられたらお聞かせ願いたいなと思うんです。
  121. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 京都の別荘の方は、先ほども申し上げましたとおり、私の父の所有物件でございまして、十四、五年前に父を佐川氏に、先ほど五十五年と申し上げましたから十四、五年前に佐川氏に紹介したということになるわけでございますが、佐川さんに貸しておりますのは父でございまして、父と佐川氏との間の賃貸借関係につきましては私の関知するところではございません。私は立ち会ってもおりません。  しかし、今回月刊誌に掲載されたこともございまして、私の事務所から佐川急便の本社に問い合わせをいたしましたところ、京都の別荘は佐川側の迎賓館兼福利厚生施設ということで使っているということでございまして、そのときの契約につきましては、父の方の担当者が、だれかわかりませんがその者が立ち会ってしているということで、父そのものは恐らく佐川氏と知り合ったのはそれからしばらく後のことではないかというふうに思っております。
  122. 白川勝彦

    白川委員 はい。それでは、まあ大体京都別邸が清和商事、正式には清和商事なんですが、に賃貸されたその前というよりもむしろ後みたいな感じで佐川さんと最初にお会いした、おおむねこのようにお聞きしたいと思うんですが、それを具体的に年号で言うと昭和五十五年の早い方かもしくは昭和五十四年の遅い方、その辺あたりというふうに大体理解していいか。そんなのは別に大したことでないんで、後で揚げ足とったりしませんが、まあ大体そのころだ、昭和五十年だとかそういうときではない、こういうふうに承っておきます。  さて、これは各種の証拠というか書証によりまして、昭和五十五年八月十九日に、佐川グループがハワイに建てた保養施設の完成の式典に佐川清御夫妻が行っているわけでございます。そこに細川さんも参加されている、そして、そういうビデオがある、こういうようなことが確認されておりますが、このことは、ビデオもあることでございますから、日付を含めて、よろしいんでしょうか。
  123. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私はちょっと記憶をしていないんでございますが、昭和五十五年の八月十九日、ハワイの佐川グループの福利厚生施設のオープン式典に参加したとかいろいろ言われているということでございますが、また、今も何かビテオがあるというお話でございました。先般の委員会でもそんなお話がございましたが、当時も今もそうでございますが、まあ超過密のスケジュールで私も動いておりますので、当時ハワイにも何度か足を運んで、各種の行事に、県人会等々の行事もあったかと思います、そうしたものに出席をしておりますので、一々そういう細かいところまでは記憶をしておりません。
  124. 白川勝彦

    白川委員 記憶ですから、人間によってあったりなかったりするのは、これ、人によってしようがないことでございますのてしようがないと思うのです、忘れることはいっぱいあるわけでございますから。  では、こちらはどうでしょうか。昭和五十六年三月、東京佐川急便株式会社に高松宮御夫妻が訪問をされた。そのときに、あなたが同席をされて、一緒に撮った写真もあるというようなことが佐川急便関係の書類にあるわけでございますが、これは御記憶にございますか。
  125. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 その写真も拝見をいたしました。写真に出ておりますから、それは事実であろうと思いますが、残念ながら記憶はしておりませんでした。
  126. 白川勝彦

    白川委員 何かあなたの奥様が、この高松宮御夫妻を東京佐川急便の御視察というのでしょうか、そういうようにするようにいろいろと御努力されたのはうちの主人なんですよ、こういうようなことをおっしゃっておるというようなことをどなたかが聞いておられました。  そんなようなことが言われているわけでございますが、その高松宮御夫妻とあなたがどういう関係なのかわかりません。また、宮様というのがどういう基準で、どういうとき、どこを視察するのか、私もそういうことは余り詳しく知りませんが、あなたはその辺の事情は詳しいお家柄でございますのでお聞きしたいのですが、そういうことはないのでございますか。それとも、あったかどうかわからぬけれども、現在も、行ったこと自身を覚えていないくらいだから、記憶がないということなんでしょうか。
  127. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 どういうところを御視察をなされるのかということは私もわかりません。それから、私自身がそういう御紹介をしたかどうかということにつきましても、先ほど申し上げたように、全く記憶をしておりません。
  128. 白川勝彦

    白川委員 大体いつごろから佐川さんと知り合い、それから佐川さんとのつき合いが始まったかという二つあたりの具体的な例を出したわけでございますが、このほかにも、これはもう記録その他がないのでございますが、佐川さんと知り合いになってから、次にお聞きいたします、昭和五十七年五月ごろ融資の申し込みをした、こうあなたは一貫してお答えになっているわけでございますが、最初に佐川さんに知り合ったときから、この融資の申し込みをする、これは多分御記憶があろうかと思うんでございますが、この間に、今私が申し上げただけで、例えば最初に何かで会ったと思いますと。それから、もしこれが事実だとしたら、ハワイで一緒に会って、多分それは間違いないんだろうと思います。別に会ったって悪いことじゃないんですから。それから、東京佐川急便の本社、本社というか工場でお会いしたと。  都合三回はあるわけなんですが、三回ぐらいのものなんでしょうか、それともその倍の六回ぐらいなのか、それとも十回ぐらいはもう既に会っていたという、大ざっぱな感じで結構でございますが、その融資を申し込むときに、もう既に十回ぐらいは会っていてかなり懇意の仲だったのか、その辺のことは今後お聞きすることに大事でございますので、大体何回ぐらいお会いしているんだろうか。細かい数は別に聞きませんが、おおむね教えていただきたいと思います。
  129. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 主として京都におられましたから、京都に行ったときにお目にかかっていたと。しかも京都に行って必ずしもお目にかかるということではございませんでしょうから、五十五年から五十七年、その間に何回ぐらいかということはちょっとはっきりいたしません。
  130. 白川勝彦

    白川委員 そういたしますと、私も別に何回というところに意味があるんじゃなくて、そんなところに意味があるんじゃなくて、ただ、今申し上げた三回、特別の用のときだけじゃなくて、何か都合で京都に行ったとき、あなたの方で時間が合えば、また、向こうの方の時間もあると思うのでございますが、お会いすることもあった、こんな関係であった、こうお聞きしてよろしゅうございますでしょうか。――はい。じゃ、そういうことで。  ですから、一回とか二回ということじゃない仲であなたは佐川さんに融資の申し込みをされたわけですが、これはもう一貫してあなたのお答えになっていることなんで、この辺はまあ逆に動かすことができない事実なんだろうと思うんですが、昭和五十七年の五月ころ、佐川清さんに京都で会った、そして一億円の融資の申し込みをした、こういうことを言っておられるわけでございます。細かいことはさらにお聞きしますが、この辺は大体よろしゅうございますでしょうか、そういうことで。佐川清さんに京都で会って、その折、直接あなたが融資の申し込みをした、こういうことはよろしいんでしょうか。
  131. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 多分そういうことであろうと思います。  五十七年の五月ごろ、京都でお目にかかっているのであろうというふうに思います。
  132. 白川勝彦

    白川委員 さて、これは記憶があることなのでその前後のことをもうちょっと突っ込んでお聞きしたいと思うんですが、この一億円の融資の申し込みは、やはりいろんな事情があって、これも後でお聞きしますが、一億円くらいのどうも融資をどこかから受ける必要がある、ついては佐川さんに頼めないだろうかということで、ほかにも用があったか知りませんが、佐川さんにこの一億円の融資の申し込みをする、こういうことを主たる目的として会ったときに融資の申し込みをしたのか、それとも全然別の、何か遊びに行った折に軽い気持ちで一億円貸してくれませんかと、こう言ったのか。  この辺はその当時のことを思い出して、このときはどうしても佐川さんにお目にかかって一億円を御融通できるものなら融通してもらいたいということを頼もうと、こう思って行ったんでしょうか、それとも何かのついでに、軽い気持ちで頼んだということなんでしょうか。
  133. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ほかの話もあったかもしれませんが、そのことは覚えておりません。
  134. 白川勝彦

    白川委員 まあ、答えにはなっていませんが、いいでしょう。  あなたは、とにかくあなたが直接佐川清さんに一億円の融資の申し込みをされたんでしょうか、それとも第三者を介してされたんでしょうか。
  135. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、京都で私がお目にかかったというふうに記憶をしております。
  136. 白川勝彦

    白川委員 融資を申し込む際に、ただ一億円貸してくれというわけにはいきませんので、何らかの理由とかそんなものは述べられたんじゃないかと思いますが、そのときのあなたの理由は、記録によりますといろんなことを言っておりますが、最終的には、そのときは熊本の御自宅の修理関係にお金を要するんだということを中心にお金が必要なんでお貸しいただけないか、こう聞いたと。マンションのことは必ずしも触れなかったと言っているのですが、大体要約するとそのようなのですが、それでよければお答えいただきたいと思います。
  137. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 どこまでその理由説明をしたかはよく覚えておりません。今言われたようなことを主として話してお願いをしたのではないかというふうに思っております。
  138. 白川勝彦

    白川委員 そのあなたの申し込みに対して佐川清さんはどのように答えられたのでしょうか。結構ですよと、こう言ったのか、それともちょっと考えさせてくれとか、どのような答えをされたんでしょうか。
  139. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そのときだったか、それから時間がたってだったか、その辺は覚えておりませんが、いずれにしても融資の窓口として当時の東京佐川急便を紹介をされました。その後の借入並びに返済に関する事務処理の一切は事務職員に任せて、あちらの担当者としてもらったということでございます。
  140. 白川勝彦

    白川委員 そんなに飛ばさぬで結構なので、時間はゆっくりありますので。  そのときに佐川さんは基本的に結構ですよというふうに言われたのでしょうか。それとも、ちょっと考えさせてくれとかということを言われたか、そこを聞いているだけなんです。
  141. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 その辺はちょっと定かに覚えておりません。即答であったか、あるいは結構でしようと言われたのか、あるいは検討させてくれと言われたのか、その辺はちょっと覚えておりません。
  142. 白川勝彦

    白川委員 あなたがいろんなところで書いているのを見ると、かなり早くからつばの方の話は出ているのですね、つば、刀のつばの方は。京都で最初にこの融資のことでお会いしたときに、ひとつ担保として、父から預かっているつばがあるが、これをひとつ担保にとかということはもう最初のときから出たんでしょうか。それとも、後で出てきた話なんでしょうか。
  143. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは担当者があちらの窓口と折衝する過程で出てきた話であるということでございます。私はそういうことは申しておりません。
  144. 白川勝彦

    白川委員 湯河原の土地に、後でお聞きするように、最終的には根抵当権が設定されているんですが、あなたがこういうのが問題になる前に書かれたものの中には、刀のつばと湯河原の土地を貸してくれれば、それを担保にとは言いませんが、まあ貸す条件として、じゃ湯河原を貸していただけませんかというようなことがかなり早いうちから述べられているのでございます。  これは記憶でございますから、そういうふうに当時述べられたというのは割合に私は事実に近いんじゃないのかな、こう思うのですが、湯河原の土地をいわゆる根抵当権でというような話が最初から出たんでしょうか。それとも、最初のうちは佐川さんから湯河原の別荘を貸していただければというようなことだったのか。その辺、あなた自身が述べていることでございますので、記憶を呼び起こして答えてもらいたいなと思うんです。
  145. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 刀のつばを、これもあくまでも正確かどうかわかりません、記憶をたどっての話でございますからその辺はそのように御理解をいただきたいと思いますが、刀のつばを担保とし、あわせて湯河原の別荘を担保とするとともに、湯河原の別荘を賃貸することによって融資を受けることになったということでございます。  しかし、その辺の細かい経緯につきましては、同一の機会でございますからどちらが、今申し上げたのは三点ございました、つばとそれから湯河原の担保とそれからその賃貸、三点ございますが、そのどれがその同じ機会であったかどうかということはちょっと定かに覚えておりません。
  146. 白川勝彦

    白川委員 じゃ、もう一つお聞きしたいと思うのですが、そのときは一億円の融資をお願いに行くというのがかなり主たるものだったか重要なものだったか、それで、京都に行ってお願いしたんだ、こう言っております。それに対していつごろまでにとか、そのうちいずれということではなくて、普通、貸してほしいと言えばすぐなのか、まあそのうちにということなのか、数年先なのかというあたりの大体の、口で言わなくてもわかると思うわけでございますが、あなたは、あなたの希望としてはいつごろまでに貸してほしいというような気持ちで、あるいはそんなようなニュアンス、口で言わなくてもニュアンスを聞けばわかるわけでございますが、いつごろまでに融資してもらいたいというような気持ちでお願いをしたんでしょうか。
  147. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 できるだけ早くというニュアンスを込めて申し上げたと思います。
  148. 白川勝彦

    白川委員 それに対して、後でわかるとおり、実際はあなたの御主張によりますと、十月六日が最初三千万、それから十一月十日に三千万、十二月十五日に四千万と随分細切れで、かつ半年後になるわけでございます。  佐川さんは当時もう既に立派に、企業も非常に急成長でございまして、そんなに、あなたの方から一億円を融資をしてほしいと言えば、半年後に貸せるような人ではない、こう私は思っているわけでございますが、佐川さんはそのときに、いろいろな条件があるからそれが詰まれば結構ですがというようなことだったのでしょうか。あなたの希望に沿いますよという形で、できるだけ早くあなたの御希望に沿うというような返事をしたんじゃないんですか。
  149. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 その後の折衝につきましては、すべて事務所の職員が東京佐川の担当の窓口としておりますので、その数回の交渉を経て決まっていったということでございますから、まあ半年後ぐらいになるわけですが、そのとき別にせっついたという記憶もございませんし、そういうことで、やはりそれだけのものを貸していただくわけでございますから、それなりの時間がかかるんだろうなというふうに多分思っていたんだろうというふうに思っております。
  150. 白川勝彦

    白川委員 ただで貸してほしいというんじゃないんだと、無利息で。銀行金利をつけてお借りしたいんだというようなことは最初からあなたが申されたことなんですか。それとも、そんなことは言わなかったけれども、後でつけられてきた条件ということなんでしょうか。
  151. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 その辺の細かいことは、恐らく事務担当者が話し合う中で、それじゃ金利はどのくらいにしましょうとか、そういった話はそこでの話で決まったことだと思っております。
  152. 白川勝彦

    白川委員 最後に、融資の申し込みをお話ししたときに、あなた以外にあなた側のだれか、すなわち深山さんとかだれかあなたの関係者がおられたんでしょうか。それともあなた一人だったでしょうか。
  153. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 多分、私一人ではなかったかと思っております。はっきりこれも記憶にはございません。
  154. 白川勝彦

    白川委員 さて、いずれにいたしましても、後のことはほとんどあなたが実は知らないことだというふうにあなた自身が言っておるんで、聞きようがないから、退屈であったかもわかりませんが、最初のところはこうやって聞いたわけでございます。  しかし、実際にこれが作動するためには、言うならばトップ会談ですわな、佐川清さんと細川護煕というトップ会談で融資をするしないという話が決まった。ただし実務部隊、今の政治改革でいうと十二人委員会みたいなのはそこから始まるわけでございますけれども、いつごろ東京佐川と具体的に交渉してくれ、東京佐川のだれだとかというのは、だれからだれに話があったんでしょうか。
  155. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私の事務所の職員が東京佐川の方と数回交渉を、そのトップ会談、いわゆるトップ会談の後いたしました。いつ、だれとというのはちょっとわかりません。私の方はわかりますが、相手側はわかりませんが、とにかく昭和五十七年の九月二十九日に刀のつばを父の承諾を得て担保提供をいたしました。(白川委員「いいんです、そこはまた後で聞きますから」と呼ぶ)その辺はよろしいですね。
  156. 白川勝彦

    白川委員 いや、私が聞いておるのは、深山さんもしくはあなたの事務所の職員が一緒にいたのならばそのような話をもうあなたがしなくてもいいんですが、事務職員は知らないわけですから、あなたが佐川さんから一億円の話はつけてきたから、だれかが何かを言わなければ事務員はわからぬわけですよ。そのことを聞いているわけです。それは、あなたはだれにどういう形で、この話があるから後は進めてくれよと言ったかどうかということを聞いているんです。
  157. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私の事務所の深山秘書にそのことを話したというふうに思っております。
  158. 白川勝彦

    白川委員 そういたしますと、あなたの方から深山氏に、佐川さんから一億円を借りるという話は一応つけてきた、ただ、細かいことはどこになるか、だれがどういう形になるかはわからぬけれども、来たら対応しておいてくれよ、こういうふうに申していたと、こうお伺いしてよろしいですか。――じゃ、うなずかれましたので、そういうふうに聞いておきます。  さて、そこから先のことは、あなたはいろいろ述べておられますけれども、先ほど申し上げたとおり、ほとんどあなた自身は関与していないと、こうおっしゃっているわけでございますが、これは本当なんでしょうか。まあ実際は知らないんだ、だから深山、後はよろしく頼むよと言っていたきり、ほとんど自分がこの一億円の貸借については関与してないというふうにお聞きしていいんでしょうか。
  159. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるとおりでございます。
  160. 白川勝彦

    白川委員 しかし、答弁の中で、実印だけはさすがあなたは自分で持っておられて、実印は渡したのかサインしたのかわかりませんが、それは自分でしたと、これは記憶にございますか。
  161. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 実印はいつも私自身が所持しておりますので、そういうことであったろうかと思います。
  162. 白川勝彦

    白川委員 そうすると、必要があるときは実印をあなたは渡すんでしょうか、それとも、この書類にサインをしてくださいと言って、書いて、そのときは押してあげて、それだけはあなたが直接されるということなんでしょうか、そこをお聞かせ願いたいんですが。
  163. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 渡す場合もございます。今でも私が持っておりますが、事務所の責任のある者に預けて、そして目の前で押してもらうこともございますし、また、本当に信頼をしておりますから預ける場合も今でもございます。
  164. 白川勝彦

    白川委員 本件の場合はどうだったんでしょうか。判こを押すと、大体あなたは三枚の書類にあなたの実印を押されているわけでございますが、これは判こを預けてあとはつくらせたのか、それともあなた自身がサインをして判こを押したのか、記憶がありますか。
  165. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 記憶はございませんが、これだけの大事な問題でございますから、多分目の前で判こを押してもらったか、あるいは自分で押したか、そのどちらかではないかと思います。
  166. 白川勝彦

    白川委員 この三枚の判この押してあるうち二枚、「覚え書」と「根抵当権設定契約書」のここには手書きのサインと判こが押してあるわけでございますが、このサインは同一人のサインのように見えますけれども、これはあなたの直接の手筆でしょうか、それとも第三者のものでしょうか。
  167. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私の字でございます。
  168. 白川勝彦

    白川委員 それでは、あとのことはほとんど実際は聞いてもあなた自身は体験されてないことなんだろうと思うのですが、そうばかりも言っておられませんので、大事なところだけはもう一回改めて聞きたいと思うのです。  その前に、ちょっと深山氏の役割といいますかお聞きしたいと思うのですが、あなたの公設秘書であったことは、これは記録上明らかなんでございますが、あなたはほとんど私的なこともこの深山さんに任せていたのでしょうか。あなたの財産いろいろな今までの議論の経過の中で、そんなにいっぱいあるとは実は承知してないわけでございます、私自身は。  すなわち、その前後売ったんでございますが、おばあさまから相続された荻窪の土地。それから湯河原の土地と建物、土地は高いんですが、建物は小さいわけでございます。それから、私はまだ見たことありませんが、熊本の御自宅。それから、前から若干の、若干というかある程度の財産はあった、こう言っておりますので、その他の、僕は余りこの辺知らないんですが、流動資産というのでしょうか、まあお金もしくは株券のたぐいですね、比較的簡単に換金できるもの、この程度のものしかないんじゃないのかなと。  大財閥で、とても一人じゃ管理できないから執事的な者に管理させておくというほどのものではないんじゃないのかな、こう思っているわけでございますが、このほかにも、いやいや、あなた、忘れていますよ、こういう大きな果実もしくは資産を生むほかの財産があるんですよと。あるんでしょうか。
  169. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 大体今おっしゃったようなところだろうと思います。
  170. 白川勝彦

    白川委員 そういたしますと、土地を売るということになれば、これは三つしかない土地でございますから、同時に、これはまた実印がなければ実際は売れませんよね、そして、その実印は大体あなたが持っておられるということですから、これは事実上処分できない。  そうすると、その他の流動資産的なもの、株とか定期預金とかそういうようなものが私的なものも任せていたといっても主たるものになる、こう思うわけでございます。こういうものは、ある程度は深山氏はあなたにかわって自由にやっていたんでしょうか、それとも余り自由裁量はなくて、これをやっていてくれよと言うとやっておくということになるのでしょうか。  そして、年々あるいは月々この流動資産的なものがふえる要素というのは、当時あなたは参議院議員であったわけでございます。それから、知事のときは知事の俸給をもらったと思うのでございます。ほとんど切れ目がございません。また、知事が途中で退職された場合は退職金などがある。ほかにもあなたは個人的な収入があるのかわかりませんが、こういう個人的にあなたの収入と思われるものもあわせて深山氏の方に任せていたというか、一応彼が管理する口座の中に入れておいて、いろいろ差配させていたのでしょうか。  私的なことも私は余りやらないで深山さんに任せてある、こうおっしゃっているものですから、大ざっぱの状況をお聞かせ願いたいのです。もうほとんど任せていたのか、それとも、管理はさせていたけれども、具体的には指示をして事務代行的なものなのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  171. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 一言で言えば、ほとんど任せていたというふうに申し上げていいかと思います。相続した土地の代金を株などで運用していたわけでございますが、どのような株式の運用をしていたか、一々細かくは記憶をしておりません。そうした点はすべて任せておりました。  そのほか、株式の運用でありますとか借入金の返済、そういったような業務は主として深山秘書が担当しておりましたが、そうした業務の大まかな報告は、大事な問題については当然それは受けていたと思います。
  172. 白川勝彦

    白川委員 給与の点だけ。年々、月々フローで入ってくるのでは一番大きいと思いますので。給与その他もあなたが直接受け取るのではなくて、事務所の者が管理する口座の方に振り込まれるというふうにしていたのか、そこは大事なことだと思いますので。
  173. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 多分事務所の方にすべて一度集めるという形、それからまた受け取るという形をとっていたというふうに記憶をしております。
  174. 白川勝彦

    白川委員 大体の、深山氏のやるような仕事は浮かび上がってきたと思うのですが、さてもう一回ちょっと話をもとに戻します。  あなたは一億円の融資を申し込まれたのが五十七年の五月ごろである、こうお聞きしておるわけでございます。また、今までのお話を聞いておりますと、熊本県知事選に出馬の意向を固めたのも大体五月ごろである、今まであなたがお答えになっているのを見るとそういうふうに書いてあるような気がするのです。  この点は、いろいろ出馬といっても、内心で思う場合と外に向かって言うことによって大分違うと思うのですが、一般的に、おれは熊本県知事選に出ると外に向かって言うようになったのは五十七年の五月ころと、こう承っておいてよろしいのですか。
  175. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるように、腹の中でいつごろから思ったか、正式に表明をしたのがいつであったか、ちょっとその辺のことも今私も定かではございません。それはその当時の記録を見れば、いつ出馬表明をしたか、いつごろから新聞等で話題に上るようになったか、その辺は調べてみればわかることだと思います。
  176. 白川勝彦

    白川委員 あなたは一億円の融資を申し込むというような間柄でございますのぐ佐川さんも知らない人じゃないし、また頼りにするところも一方ではあったんじゃないかな、こう思うんですが、佐川さんに、私は熊本県知事選に立候補したいんだ、あるいはするんだがというような話をされたことはありますか。あったとすれば、いつごろでございますか。
  177. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それはちょっとわかりません。どの辺の時点でそのことをお話をしたか、お話はしていると思います。していると思いますが、どの辺の時点であったかということはちょっとわかりません。
  178. 白川勝彦

    白川委員 そのような話をいつの時期かわからぬけれどもしたことはしたとおっしゃいましたが、それに対して佐川さんは、大いにやってみなさいよとか、いや、ぜひ応援するから頑張ってくださいとか、単なる頑張ってというのはだれでもやるのですが、金銭的な意味を含めて応援するからひとつ頑張ってくださいというようなことを言われたんじゃないかなと思うんですが、御記憶にございませんか。
  179. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっとその辺は全く覚えておりません。政治に関心のある方ですから、多分頑張れぐらいのことは言われたんじゃないかという気はいたしますが、あるいは応援しようと言われたかもしれません。しかし、それはちょっと記憶にはございません。
  180. 白川勝彦

    白川委員 あなた自身は、佐川さんというのは御案内のとおり、当時も大変羽ぶりがよかったわけでございますが、当然選挙になればいろんな意味で出費がかかるのは、もう長く政治をやっていればわかるわけでございますが、佐川さんからもできるだけの御支援はいただきたいと、こういう気持ちは当然おありになったのじゃないでしょうか。それとも、いや、これだけはかたくお断りしたいんだというような気持ちがあったのでしょうか。
  181. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 かたくお断りしようなどという気持ちは全くございません。それはもう、いただけるものならありがたくいただこう、そういうことでございます。  ただ、まあ、父の所有しております家の賃貸などでもお世話になっておりますから、また重ね重ねそこでお願いをするということはいかがなものであろうかと、そういう判断はそのときにあったであろうというふうに思っております。
  182. 白川勝彦

    白川委員 そういたしますと、まあ、一番最後まででいいんでございますが、佐川さんからは、結果としては知事選に関しては金銭的な御支援は具体的には受けていないと。それは、五万や十万の陣中見舞いまでは、候補者みずから、私もわかりませんが、要するに、あなたの記憶に残るような多額なものは佐川さんから五十八年の二月の選挙が終わるまで受けていないと、こういうふうにあなたは記憶しておるのですか。
  183. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっとここのところは今しっかり申し上げておきたいと思いましたので、さきの国会で、佐川急便からの借入金が知事選に備えるためであるというふうに、答弁で誤解をされた点があるかと思いましたので、ちょっと時間をいただいたのですが、私がさきの国会で申し上げたのはそういうことではございませんで、佐川急便から知事選に備えるために一億円を借り入れたわけではございませんし、知事選に使ってもおりません。  私が申し上げましたことは、当時、私は、相続した荻窪の土地を売却をした資金などを運用したり、あるいは手持ち資金を含めてそれなりの資産はございましたものの、そういった資産は知事選に備えたり、あるいは税金の支払いのために確保をしておく必要がございましたので、マンション購入代金と山門や土塀などの修理費用をできれば借用したいと思っていたということでございます。
  184. 白川勝彦

    白川委員 結論から申しますと、あなたは、知事選に関してば佐川さんからは金銭的な応援は受けていないと、こういうふうに裏から言ったと同じことだと思うわけでございます。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着     席〕  そこで、あなたが今申されましたが、ある程度の資産を持っていたと、こう前からおっしゃっておるわけでございますが、それはそうだと思うわけでございますが、そのある程度の資産というのは、おおむねどのぐらいなんでしょうか、あの当時の記憶を言ってもらいたいのですが。  荻窪の土地を売って、あれは差し押さえになっていた関係がございますので、相続税を払わないと売れないわけでございますので、二億くらいで売って三千五百万円ぐらいの相続税は払った。しかし、譲渡所得税その他は、後で、来年の、五十八年の三月十五日までに払えばいいわけでございますので、一億七千万円は少なくとも、五十七年の四月に売った荻窪の土地があったと思うわけでございます。これが一つのロットでございます。これと同額ぐらいのある程度の資産があったのか、いやいやそんなものじゃない、その五倍ぐらいがあったのか。そのある程度というのを、ある程度で結構でございますから、教えていただきたいのですが。
  185. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私の認識では、今お話の中にございました荻窪の物件、これが、処分したときに代金は二億円、税引き後で約一億二千百万円くらいでございました。
  186. 白川勝彦

    白川委員 いえ、だけれども、所得税は後で払うわけでしょう。
  187. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そうです。それから、知事の退職金、これが合計で約七千万円程度ということでございます。それは一回目が、一期目の知事退職金、六十二年に……
  188. 白川勝彦

    白川委員 いえ、そんなことは聞いていません。ちょっと質問の趣旨を取り違えているようでございます。  あなたが一億円の融資を申し込んだ当時、既にもう荻窪の土地は売ってありました。そして、相続税を払うと一億七千万円ぐらい、それは間違いなくお金としてあなたの手元にあったと思うんです。その融資をしたころ、その一億七千万という金は多分そのままあったんだろうと思うんです。その後マンションを七月に買っていますから取り崩されていますが、それは頭に入れないで、一億七千万、荻窪の土地を売った代金はとにかくある。それがありながら一億円をお借りしようと、こうしたわけでございますので。  だから、ある程度のお金というのは一億七千万プラスある程度ほかのものもあったんじゃないだろうか。そこにさらに一億円が来てあなたの当時の全体として動かせる財産が決まるわけでございますが、そのことをお聞きしているのでございます。融資を申し込んだころ、あなたは幾らくらいのいわゆる株だとか定期預金、比較的すぐ換金できるものをお持ちだったのか、その額を聞いているんです。
  189. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私の政治団体に対する貸付金というものも六千万ほどございました。それは昭和五十八年から六十二年の間に返済をされておりますが、そうしたもの。それから参議院議員としての報酬。それから、その後五十八年に知事になって以降は、もちろん知事の報酬として年に一千万から一千四百万円程度。それから家賃の収入が年に六百万から八百万円程度。それから参議院議員の互助年金が年に二百三十万から三百六十万円。それから講演料が年に百三十万から百八十万。そのほかに、恐らく一番この点だろうと思うんですが、お聞きになっているのは従来からの預貯金とか資産の運用益はどのくらいかということだろうと思いますが、それは数千万円ということでございまして、二千万だったか五千万だったか、ちょっとその辺は定かではございません。
  190. 白川勝彦

    白川委員 ちょっと私の質問の趣旨をよく聞いておいてください。難しいことを聞いているんじゃないんです。  全然金がなかったわけじゃないわけですね、五十七年の四月に荻窪の土地が売れて。相続税だけは払わないと差し押さえになっておりまして抵当権が設定されていましたからだめだったのでこれは売ると同時に払って、これが約三千五百万とあなたは述べておられます。ただ、残りの税金は五十八年の三月十五日までに払えばいいんですから、融資の申し込みをしたころは一億七千万はとりあえず荻窪の土地で入ったと思うのでございます。  しかし、それだけでは、後でお話をしますが、山門の修理だとか、あるいは翌年どうせ三千五百万前後の税金を払わなきゃいけないとか、また一方ではマンションも買わなきゃならない、それから知事選への出費も要るだろうというような前提をする中で、あなたは、これだけでは心もとないということで一億円の融資を申し込むことになったわけです。  その融資を申し込むころ、一つ一億七千万円という荻窪の土地を売ったまとまった金があるのですが、それと同額ぐらいの別の財産があったのか、いや、とてもそんなになかったというのか、それとも、冗談じゃない、荻窪の土地を売った一億七千万の倍ぐらいの三億四千万ぐらいはあったんだとか、大ざっぱでいいですからその辺をお聞かせをいただきたいということなんです。その後のことはどうでもいいのです。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着     席〕
  191. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、数千万ということしかちょっと申し上げられません。  ただ、繰り返し申し上げておりますように、政治団体に六千万円を貸し付けていたということ、それからまた、知事選のためにさらにいつどれだけ費用がかかるかわからないという、そういう状況でございましたのぐ必要なときに政治団体にすぐに貸し付けられるように、私自身の資産をできるだけ残しておく必要もございましたし、それからまた、相続した荻窪の土地の売却に関しまして、先ほどお話がございましたように税金を払わなきゃならぬという、こういう事情も生まれてくるということが予測をされておりましたから、そういう分を留保しておく必要があったということでございます。  したがいまして、山門とか土塀などの早急な修理、あるいは東京の住居の早期の購入、こういうための費用ということで、個人的な支出を必要とする資金につきましてはどこからか借り入れをする必要があったというように記憶をしております。
  192. 白川勝彦

    白川委員 はい、大体わかりました。  一億円の融資の申し込みをするころ、一億七千万円という荻窪の売った土地、相続税だけは引かれますが、それはとりあえず手元にあった、それに数千万くらいあった、こういうお答えだと思うわけでございます。そうなると、確かに融資の必要性が出てくるのだろうと思うのです。  服部議員への答弁の中で、六千万円の貸し付けと四百万円のあなた自身の個人からの政治団体への寄附というのがあって、六千四百万円を昭和五十七年の間に支出していると。これは、時期がいっかは私も答弁を読んだ限りではわかりません。それから、七千七百万円のマンションを現実にあなたは購入されているわけでございます。それから、知事選を控えての忙しいときでございますから一千万円ぐらいの生活費も要るだろうということであれば、それだけでもざっと単純に計算をして一億五千万ぐらいはかかるわけですから、二億数千万ぐらいの財産ではちょっと知事選への準備資金は不安である、わかるような気がいたします。  さてそこで、もう一回もとに戻しますが、私はどうしてもわからないのです。あなたが知事選を控えてこれから大変お金が要る、そして佐川さんという人は大変お金を持っている方でございます。個人的にも会社としてもいっぱい持っておられます。しかも佐川さんは、さっきあなたがおっしゃったとおり、京都の別邸、これは文芸春秋の記事によれば十億円ぐらいの改修費をかけておる。また、赤倉の方の別荘も昭和五十五年前後にお貸しをしておりますが、これも私の地元だからいろいろ調べてみましたら、大体五億円前後の改修費をかけておられる、こういうふうに聞いているわけでございます。  だからあなたは、心苦しいから資金援助まではなかなかよう言えなかったんだと、こう言っているわけでございますが、佐川さんという人はそういうふうに非常に気前のいい方でございます。本当にどんどん出す人なんでございます。もうもらった方がびっくりするくらい出すんであって、その佐川さんが、細川さんのところとは、さらに湯河原まで含めますと三つの物件を借りるようになったのは、僕は、細川家に対する憧憬とか好意的なものがやはりあったんじゃないだろうかな、こう思うのです。  そういう関係がなかったら、やはりそのように、京都別邸も貸してください、赤倉も貸してください、古くても直しますよ、そしてまた、湯河原も貸していただくということにはならなかった。憧憬までは言えるかどうかわかりませんが、少なくともあなた個人に好意的な感情を持っていた、これだけは間違いないと思うわけでございます。高い家賃を取られる憎い大家だという感覚は少なくとも持っておられないと思うのですよね。  さて、そういう人が、その細川家の統領息子が父祖の地に帰って知事選に出る、言うならば乾坤一てきの戦いをするときに、佐川さんが金銭的な支援をあなたにしなかったというのは、私は、佐川さん、前にもお話ししたとおり、新潟四区出身で、いい意味でも悪い意味でもよく知っておるわけでございますが、常識的に全く考えられないのです。一銭もそういうものはいただいておりませんというのは、私はどうしてもわからないのです。  むしろ多額の応援があつくそれが佐川さんの場合は自然だ、こう考えるのは別にげすの勘ぐりじゃなくて、私と佐川さんと同郷だということで、彼のビヘービアを知っている人間として、いや、一億円の貸借はありましたがそれ以外には大したものはないのですというのは、どうも理解できないのです。何かそこのことであなた自身が真実を語っていないのではないかな、こう思うので、もう一回、重ねてになりますが、あなたの知事選ということに関して、佐川さんは何らかの応援をしなかったのか、お聞かせ願いたいと思います。
  193. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今の問題にお答えをする前に、ちょっとよくしつかり申し上げておかなければならぬと思いますのは、さきに月刊誌に掲載されました京都別荘の修理費のことでございますが、まあ、本来これは父と佐川氏との間の契約のことでございますから私に関係のある話ではございませんが、その改修の費用が十億円ほどかかったというふうなことが出ておりました。そのことにつきましては、とてもそのような大きな金額ではなかったということでございます。もし確認をされたいということであるならば、ぜひ佐川側にお問い合わせをいただきたい、このように思っております。また、父との賃貸借契約が終了しました場合には、もちろんこれは原状回復して返していただくという契約になっております。  それから、赤倉別荘の方につきましても、先ほど五億円というお話がございましたが、これもそのようにはかかっていないというふうに言われております。ただ、これも私の直接かかわる話ではございませんから、それも直接、御必要があれば御確認をいただきたいと思います。  それで、知事選のために全く献金がなかったかどうか、こういう趣旨のお尋ねでございますが、これは、先ほども申し上げましたように、知事選の費用というものは、荻窪の土地売却代金など私の手持ちの資産で賄ったということでございまして、そういう報告を私も受けております。  それで、知事選のための献金というのは、調べさせましたが、昭和五十八年二月の知事選挙のために特に佐川から選挙資金、献金を受けたということはなかったということでございます。それは選管にも確認をいたしました。佐川の方にも問い合わせをいたしましたところ、会社の組織も再編成されて帳簿も残っていないので、また担当者もいないから現在わからないという回答でございました。  私の五十七年以降の政治団体の政治資金収支報告書につきましても、前国会で理事会にお渡しをしておりますとおりでございまして、報告書の中の昭和五十七年分に東京佐川から新昭和研究会、私の政治団体でございますが、その新昭和研究会に対する百三十万円の寄附ということについての記載がございますが、先ほど申し上げましたように、選管に確認をいたしましたけれども、これは知事選のための寄附ではないということでございます。
  194. 白川勝彦

    白川委員 どうもあなたは書類万能のようなところがあるんです。しかしまた一方では、都合が悪くなると記憶にないとか、お父さんのことだから私は全然知らぬとかいろいろ使い分けられるような気がするんですが、選管で調べて、選管が十数年も書類をとっているのかどうかわかりません。自治大臣、もしわかったら教えてもらいたいんですが。  逆に、選管に書かれている程度の金というのは、上限もございますから大した金じゃないんです。佐川さんが出されるとしたらそんなはした金じゃないんです。当然裏なんです。裏だから、選管の記録を見てもあるわけもないし、そんな小さなことを問題にしているんじゃないんです。もっと記憶に残る、生々しい記憶に残るものが私はあるのではないのかな、こういうふうに思われるんですが、あなたはないとおっしゃる、こういうことでよろしゅうございますか。
  195. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そういうことでございます。先ほども申し上げましたように、父の家の賃貸借などで大変お世話になっている、そこにまた重ねてそのようなお願いをすることは心苦しい、こういう気持ちが当時あったと思います。
  196. 白川勝彦

    白川委員 知事選というのは非常にスケールの大きな選挙で、お金がかかる選挙だと思うんでございます。  あなたは佐川印刷というのを知っていますか。聞いたことありますか。何かつき合いがありますか。
  197. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 名前は聞いたことがございます。
  198. 白川勝彦

    白川委員 つき合いはございますか。
  199. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ございません。
  200. 白川勝彦

    白川委員 それでは、私は、あなたは真実をどうも話しているような気がしませんので、私の直接体験したことをお話ししましょう。  私は昭和五十六年に今の家内と結婚いたしまして、私は佐川さんを知らなかったんですが、地元の私を支援している方が、これは郷土の非常に大先輩だからぜひ会うようにと言うので、何分にも十二年前のことでございますから、翌年ということ、夏ごろということは記憶しているんですが、一度佐川さんのところをお訪ねしたことがあるんです。そして、京都別邸の中にも案内していただきました。そして、あの広い広間の中で舞子さんを呼んでのごちそうもいただきました。郷里の代議士が来たというので歓待をしてくれました。  実は私、そのときに、今選挙で大変なんだよという話を聞いたんですよ。何ですかと言ったら、細川だよと言ったんですよ。佐川さんから、清さんから直接私が聞いた話なんですよ。これは私が直接経験したことですからね。で、印刷所の方か何かが来て、ポスターみたいなのがその辺に、部屋の中に散らばっていました。いや、佐川印刷というのがあって、非常に知事選はでかいものだから、うちでもってこれを刷ってあげているんだというようなことを私は佐川さんから聞いた。  実は、細川さんは覚えておられるか知りませんが、昭和五十六年の一月、山崎防衛政務次官を団長に、たしか防衛費が六%超すとか超さぬとか、福祉を超えたとかということでアメリカに一度一緒に行ったことがございますよね。それで私は細川さんという人を新聞紙上だけでなくて具体的に知ってたんです。  ああ、あの細川さんが熊本の知事選に意欲があるのかということを実はその場で初めて知ったんです。それも単なるうわさ話じゃなくて、もう大分選挙も始まってきて、いっぱいポスターを張らなきゃならないんだ、それをうちの佐川印刷で今刷っているんだというようなことをそこで初めて聞いたんですが、これは私が直接体験したことでございます。夏ごろと記憶しておりますが、何月何日までは私も、記録を調べればどこかでわかると思うんですが、古いからわからないんですが、そういうことを私は聞いておるわけでございます。  それでも佐川印刷さんという方とおつき合いかないとか、あるいは佐川さんから何らかの意味で金銭的な、そういうのも一つの金銭的な応援と言ってもいいですよね、多額のポスターをかわりにどんと寄附してもらうとかというのは。そういうこともないということなんでしょうか。
  201. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 お互いにそうだと思いますが、大方の場合に、どこの印刷屋さんにポスターを頼むかというところまではなかなか本人は知らないんじゃないでしょうか。私の場合は、大変申しわけございませんが、どこの印刷屋さんにそれをお願いしたか、その辺はわかりません。
  202. 白川勝彦

    白川委員 単なる印刷屋じゃないんですよね、選挙をやりますと、ポスターをつくるというのは、そのデザインとかを含めて。佐川印刷というのはかなり立派な技術を持った印刷でございまして、社内報その他を手がけていますから、非常に質の高いものでございます。  同じように私は経験したのですが、新潟県なんかでも佐川さんが、私は実は一度も応援を受けたことがない、むしろいつもライバルを応援されていたんでございますが、応援されるという場合、佐川印刷がだあっともう大量にそのポスター、しかもいい紙の、いいコート紙のやつをどんと刷っていただいて、それをばあっと張るのを体験しているものですから、これも体験しているのでございます。  熊本県知事選に出るとなると、まああなた、熊本の出身だといっても全国区だったわけですから、熊本市内にいろいろな意味で知名度を高めるということでポスターあるいは広報物その他もつくられたんじゃないかな、こう思うんですが、それは知事選なんかの場合は相当大きな額なんです。それを有償で頼めばそれはまあ一商行為かもわかりませんが、大体佐川さんの場合は、それをそのまま寄附をするというのがあの人のパターンなんです。  なぜあなたの場合だけ単なる一出入りの業者みたいな感覚でお手伝いしたんでしょうか。本当にそうなんですか。私は、あなたの広報物その他は、今でもあるかもわかりませんが、多分印刷は佐川印刷株式会社と書いてあるんじゃないかと思います。あるいは、書いてなくても実際は負担されたと思うのですが、それでもそういう支援は受けたことがない、あるいは、それは単なる、私の知らない、下の者が事務的にやったことだ、こうおっしゃるんですか。
  203. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そこまでは承知をしておりません。大変申しわけございませんが、承知しておりません。
  204. 白川勝彦

    白川委員 私は、あなたが、今までの主張の前提上そういうふうに答えざるを得ないというようなことはわかりますが、どうも真実を述べているような気がいたしません。だから、みんながしつこくしつこく聞くのは、あなたの御答弁を聞いていても、あなたはこれが正しいんですと、こう言うのかもわかりませんが、聞いている我々は常識に合わないということなんです。あるいは、経験則上そんなことは考えられないなということをあなたが言うものだから、いろいろな人がいろいろな角度から質問するわけでございます。  具体的にもっと詰めていきたいなと思うんでございますが、さて、あなたは一億円を本当にいただいたんですか。いただいたというか、受領したんですか。それは確認しているんですか。
  205. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 何回も申し上げておりますように、三回に分けて、先ほど御指摘もございましたが、五十七年十月六日に三千万円、十一月の十日にまた三千万円、十二月の十五日に四千万円、計一億でございますが、東京佐川急便より借入をいたしております。
  206. 白川勝彦

    白川委員 それはあなたが直接いただいたということを確認しているんですか。それとも、いただいたというふうにただ報告を受けただけなんですか。どちらなんですか。
  207. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、これだけ資料を御提出申し上げているわけでございまして、その資料にも記載をされておりますわけでございますから、そういう契約のもとに借入をした、こういうことでございます。
  208. 白川勝彦

    白川委員 私は、あなたが経験しなかったことは、既に忘れてしまったということは、しつこく聞きませんでしたよ。私もローヤーでございますから、記憶がないものは幾らやったってしようがないんだから。ただ同時に、記憶がないことは紙に書いてあるから事実なんですよという、そういう言い方はしないでください。  あなたは、都合一億円というのをこうしていただきました、これがそうですというふうに例えば秘書さんを通じて確認をしたのか、それとも、そういうことは全部やらせたと言っているんだから、ただそういうふうに聞いておるということなのか。そういうあなたの経験に基づくことをお話しくださいということなんです。
  209. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それはおっしゃることはわかりますが、客観的な事実から、客観的な状況からして、これだけのものがあるわけでございますから、またこちらもそれをお願いしたと申し上げて、これだけのデータをそろえてお出しをしておるわけでございますから、そういうことがあった、それはもうまさに体験に近いものである、こうお考えをいただいたらいいと思います。  ただ、私は、それは事務所の職員がその後の交渉というものは当たってまいりましたし、その三千万円、三千万円、四千万円という三回に分けたものの現物をこの目で見たという体験はございません。
  210. 白川勝彦

    白川委員 さてそこで、まあ一億円、それはあなたのおっしゃるとおり確かに来たんでしょう、一億円という金がね。ただし、あなたは一億円貸してくれと言った。結果としては三千万、三千万、四千万に分けられて、かつ銀行金利だ、かつ、つばは出せ、担保物件は出せ、湯河原の別荘は貸してくださいよ、普通の銀行から借りるのとほとんど変わりがない、そんな融資をあなたは佐川さんから本当に期待されたんですか。それとももっと普通の、気前のいい、やわらかな融資だったんだと思ったんじゃないですか。  しかも、返済はなぜか一年後に一括返済となっている。どうしてそんなような融資をあなたは最初から期待をし、深山氏が最終的には向こうから言われたのかこちらから申し入れたのかわかりませんが、そういう融資条件になったということについて、あなたはそういうことを知っておられたんでしょうか。
  211. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まあ事務交渉段階でどのような経緯でそういうふうになったのか、私も承知はしておりません。ただ、まあ恐らく会長の方からは、私からの話だからそれは特別に考えろというふうな話があったんだと思いますが、事務担当者の間では、そのようなものをやはり担保に出してくれ、こういう経緯だったんではないかというふうに思っております。
  212. 白川勝彦

    白川委員 まあ、そのように承っておきましょう。ただし、佐川グループというのは佐川さんが圧倒的な力を持っている会社でございまして、佐川さんがこうしてやれと言えば、いや銀行金利だとか、あるいは担保だとかということを余り言われない、そういう仕組みになっているんです。その辺にだから疑点があるということなんでございます。紙に書いてあるからそうなったんだというのは、後で追及しますが、実はそういう言い方というのは、事実の探求の上で、紙に書いてあるから、そういったものじゃないです。事実というのは行動でございまして、紙じゃないんです。そういうことなんです。  さてしかし、あなたが紙に随分執着されますので、あなたは、一億円借りたけれども、これは間違いなく返したんだと何度も何度も口を酸っぱく言われているんですが、返した以上は、返したときに、しかもあなたが直接渡邉社長に返したわけじゃない、事務方がきちっと事務方に返したのならば、トップ同士でない場合がやった場合は、当然領収書というものをもらってくるのは当たり前のことだと思うわけでございます。そしてあなたは、いや、もらってきた、こういうふうに言っている。しかも、この提出された書類の中に領収書というのが一枚変なのがくっついていますよね。ですから、領収書は発行したんだということを主張したいんだと思うのでございます。  そこまであなたが紙に執着されるというのであれば、返したということを一番端的に証明するのは領収書なんですよ。それ以外のことは証拠価値がぐっと薄くなるわけでございますが、前から言っているとおり、あなたはこの領収書を今もって提出できない、現物を。これはどういうことなんですか。いろいろ問い合わせたと思うんですが、ここが一番ポイントであなたが一億円と金利の分の領収書をばさっと出したら、私たちはこんなに何もしつこいこと言いませんよ。いろいろなものは出てくるけれども、一番直截明快なこの領収書が出せないというのは一体何なんですか。
  213. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 再々これも委員会で御答弁申し上げているとおり、何回も事務所が変わったりしておりまして、その間の資料というものが保存されていない、大変申しわけないことだと思いますが、そういうことでございます。
  214. 白川勝彦

    白川委員 あなたは、一番大事なことですから、領収書は、金利、元金、そういうのをそれぞれ払ってきたときに、本当にもらってきていたんだなと、このことは深山氏に確認してありますか。
  215. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 その都度確認は、多分報告は受けていたというふうに記憶をしております。
  216. 白川勝彦

    白川委員 いえいえ、特にこれが問題になりまして、やはり領収書を必死になって探したとかあなたはおっしゃいます。ついては、この領収書は、今までの流れからいいますと、多分深山氏があなたのかわりに東京佐川急便側に行って支払って、そしてその都度領収書をもらってきたと思うわけでございますが、そのもらってきた深山さんに、そしてそれを基本的には管理していた深山さんに、あなた、もらってきていて、それはちゃんととっていたんだなと、ここはまず確認されたんでしょうか。これは問題が起きてからでもいいですよ。深山さんにきちんと確認されたんでしょうか。
  217. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは適当な間隔を置いて、まあ大体毎年一回ということになっておりましたから、初めのときに二回分合わせて返しておりますが、あとは大体年に一回ということでございますが、大体返していると、いるかどうかということについての報告は聞いておりました。
  218. 白川勝彦

    白川委員 いえ、いろいろな委員会で領収書を出してください、こういう要求があって、あなたはあなたの事務所に対して領収書を探せ、こういうことを強く指示して必死になって探したけれども、今もって見つからないというのがあなたの御答弁でございますが、一番これに直接関与された深山さんは平成三年の三月まであなたのところに勤めておられますよね。あなたの答弁によるとそうなっておるんです。  それで、このお金を返されたのが平成三年の一月三十一日だ、こうあなたは強く主張されています。というと、全額の元利金の返済が終わるまで基本的に深山さんがいたし、きっと深山さんがこのことは担当されたんだろうと思います。その深山さんに、本当に一億円を払った、それはあなたは払ったというふうに確認しているのですが、領収書はもらってきていて、あるときまではその領収書はちゃんと持っていたかと、こういうことは深山さんにあなた自身が確認したんですか。そこを聞いているのですよ。なくなる前に――最初からないのならば幾ら探したってないですよ。まず、あったかなかったかということをあなたは確認したんですか。
  219. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 返したかどうかということについては、これはもう当然重要なことでございますから、そのことの確認は繰り返ししてまいりました。しかし、一々領収書をもらってきたかどうかというようなことについては確認はしておりません。  しかし、最終的に、この委員会が始まりましてから、この問題がいろいろお疑いを持ってお尋ねをいただくようになりましてから、事務所の者が深山に対しまして、領収書はどうかということで探したけれども、それが見つからない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  220. 白川勝彦

    白川委員 伝聞の伝聞という話をしましたが、ここが一番大事なところなんですよ。私たちだってこんな話で長く時間をとりたくない。いっぱいあなたには聞きたいことあるんですよ。しかし、大事なことだから私だけでなくていろいろな人が聞いているのですよ。このために国政は随分停滞していますよ、こんな一億円の問題のために。  その大事なことなんだから、問題になってからあなたが一度ぐらいは深山さんに会って、本当に領収書は払った都度もらってきていたんだと、そして私はどういうところに保管していたんですというようなことを、これだけ大きな問題になっているんですから、事務所のだれかに任せるというんじゃなくて、あなたが直接深山さんに聞かないでどうするんですか。そういうことをしたんですかしないんですかとお聞きします。
  221. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、私の事務所の方で繰り返しそのことは確認をしているということでございます。私自身で直接に深山に確認はしておりませんが、私の事務所長からそのことは責任を持って確認をしているということでございます。  この点につきましては、これも繰り返し本委員会で申し上げてきているところでございますが、先ほども申し上げましたように、四回ほど事務所を移転をしておりますし、その都度書類も整理をしておりますために、もう終了した案件につきましては資料が見つからないということで、なかなか職員からも事実関係を確定することは困難であるというふうに報告を受けております。これは深山秘書だけでなくてその周辺の人間からも聞いておりますが、なかなか関連する問題につきまして適切な、的確な報告がない、こういうことでございます。
  222. 白川勝彦

    白川委員 そんなことじゃやはり答弁にならないんですよ、結論からいうと。だからこれは時間がかかっているんですよ。  そこで、じゃ、こういうふうにお聞きしましょう。  深山さんは、平成三年の三月、おやめになられた、退職された。まあ、返済は終わっていますが、抵当権抹消という大事な仕事はまだ残っているわけでございます。基本的には、こういうあなたの私的な財産の管理というようなことは、深山さんからどなたに引き継がせたんですか。そこをまずお聞きしたいんです。
  223. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 その後は事務所の者が入れかわり担当をしております。特定の人間ということではございません。
  224. 白川勝彦

    白川委員 平成三年の一月というと、今から何年前ということになるんでしょうかね、四、五、六、三カ年になるわけでございますが、あなた、七回移った、移ったと言っていますが、平成三年の一月からは何回事務所を移転しているんですか。
  225. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっと不正確になってもいけませんから、後でそれは調べてお答えいたします。
  226. 白川勝彦

    白川委員 担保としてつばを預けていたそうでございますね。これはどなたにお預けしていたんでしょうか。佐川清さんでしょうか、それとも、渡邉廣康さんの方に保管してもらりていたんでしょうか。あなた、知っていますか。
  227. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 東京佐川急便から借入をしたわけでございますから、東京佐川急便に預けていたというふうに思います。
  228. 白川勝彦

    白川委員 それは推測ですね。
  229. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは推測というよりも、東京佐川から借りていたわけでございますから、それは当然そういうことであろうと思いますし、また、委員会に、理事会に御提出をした資料におきましてもそのようなことが明白であろう、このように思います。
  230. 白川勝彦

    白川委員 事実というのは、紙に書いてあるからそのとおりの事実だなんというものじゃないんですよ。私は東京佐川急便が、会社がこんなつばなんというのを持っていたって何もないんで、多分この全体のいきさつの中では佐川さんが預からせてくれということだったんじゃないかなと私は思いますが、まあそれはいいでしょう。  いずれにしろ、あなたは平成三年の一月三十一日に返された。返されたときに、つばだけは返してもらったんで、そのことはよく覚えているんだ、こういうふうに言っています、あなたは。ただ、実際はあなたが経験したことじゃないんですが、それは、深山氏がそういうふうに言っていたということを直接か間接かに聞かれたからそうおっしゃっているんですか。
  231. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 深山秘書がそのように申したということもございますが、その刀のつばは大変由緒のある、また、そこに至るまで、私の手元に参りますまでに、手元に参りますまでにというか、父のものでございますが、いろいろいわくのあるものでございますから大変大事なものでございますし、そういう意味で、それが返ってきたかどうかということについては深山秘書にしっかり確かめたというふうに記憶をしております。
  232. 白川勝彦

    白川委員 つばが返ってきたのはあなたはしっかりと確かめたと。しかし、これはそんなに特殊なケースじゃないんですよ。大体普通、例えば高利貸しと言われるような人でも、全額支払ったときというのは、担保の解除のたぐいの書類というのはこれはもう引きかえに返すというのが大体金銭の貸借の常識なんですよね。  それはあなたは、個人的には刀のつばに非常に感情の思い込みがあったと言うか知りませんが、私はこんなのほとんど興味がないもんですから知らないんですが、無銘である以上、どんなに高くてもそう数千万するものではないというふうにお聞きしております。  それよりも大切なのは、経済行為として大事なのは、やはり湯河原の土地の根抵当権の抹消ということなんでございます。この根抵当権を抹消する書類というのは、つばは間違いなく返してもらったんだけれども、根抵当権の方の抹消に必要な書類はそのとき一緒に返してもらわなかったというのは、どうも私は合点がいかない。こんなのは多少金の貸借の常識のある人ならば、貸す方も借りている方も常識ですよ。当然、あなたの公設秘書であった深山さんもそのぐらいの常識を持っておる人だと私は思うんでございます。  ところが、それがなぜ返されなかったのか。私は、本当のことを言うと、あなたがるる主張されているような返済という事実、大変だったか軽かったかは知りませんが、毎年毎年一千万プラス金利を払ったと、ようやく全部払い終えたということの実感があれば、そのとき、つばはもちろんでございますが、当然あなたの代理人としてそのことをやっておる深山さんは抵当権抹消の書類をもらってくるはずなんですよ。それをもらってこない。私は、ここからして本当に返済という事実があったのかな、こう思っているんです。  ですから、領収書がないという主張も、こういうことを含めて私は、領収書があれば、これをなくするということは常識的では考えられないんです。なぜならば、この根抵当権が抹消されるのは平成五年ですよ、去年の三月に抹消しているんですから。この抹消されるまでは死んでも失っちゃいけないのが領収書なんです。その領収書がないんだ、引っ越しがたびたび重なったもんだから、既に実際は返済が終わったんだからいつでも取り消せるんだというような主張は世間では通用しない、私はそう思うわけでございますが、あなたは、直接体験したことでないからというふうに言うかもわかりませんが、私の主張に対してどういうふうに反論されますか。
  233. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 一億円の借入の完済に伴いまして、先ほど申しましたように刀のつばは、これは完済時の平成三年一月三十一日に担当職員が返還を受けたわけでございますが、湯河原の根抵当権の抹消につきましては、その後当方から再三督促をいたしました。にもかかわらず、債権者側の事情、これは、御承知のように佐川急便事件というものが起こって佐川側の混乱があったわけでございまして、そういったような事情でおくれまして、登記は平成五年三月十二日になったというふうに聞いております。  債権者側の事情というのは、もう少し詳しく、事務職員の話によりますと、東京佐川急便が平成四年の六月に消滅をして、佐川急便に合併をされて代表者の変更などがあったというようなこと、それから第二には、担保の設定の権利書などが私の方の事務所に戻されるのがおくれた上に、抹消手続に際しましても、会社名とか代表者の変更などのために、法務局や債権者側との往来で半年ぐらい経過をしたといったようなことがあるというふうに聞いております。
  234. 白川勝彦

    白川委員 私が聞いているのは、取り込み事情というのはずっと後ですよ。平成四年になってからですよ。平成三年の一月、これは社会的な常識として全額返済したときに担保抹消の書類とかというのはもらうのが、そんなに弁護士なんかつかなくてでも世間の常識なんですよ。その世間の常識的なことをしなかったということがまず第一わからない。その後のことは単なる取ってつけた理由ですよ。  それから、何よりも抵当権を抹消するためには、やはり弁済したなら弁済したという書類が要るんです。証拠書類が要るんです。それは一番確かなのは領収書なんです。この領収書は、少なくとも去年の三月、これが抹消されるまではどうしても事務所としては大切に保管しておかなきゃならない書類で、重要書類の一つなんです。その重要書類を、引っ越ししましたから紛失したと言っても、大体大事なものというのは大事なところに一カ所にまとめてあるものですよ。それが全部なくなったというなら別でございますが、あなたが別に実印をなくしたとかという話は聞かないから、それはなくなっていないのだろうと思うのです。  最初からないから出てこないんだと私は言わざるを得ないと思うのでございますが、ただ、あなたは領収書を本当に深山さんが持ってきたのか、その深山さんがずっと持っていた領収書をだれに引き継がさせたのか、そういう一番大事なこと、それをしないために何十時間もこういう議論をしなきゃいけないのですが、そのことをあなたが任せた深山に直接会って確認しない。事務所の者を介してと言いますが、事務所の者を介してというのは、さっき言ったとおり伝聞の伝聞だから、それが仮に真実だったとしても誠意を持って真実を明らかにするという態度じゃないんです。  どうしてもあなたは、これだけ問題になっている、忙しいかどうかわかりませんが、大事なことなんですから、このために何十時間も国政が停滞しているんだから、直接、深山さん、いなくなったわけじゃないんでしょう、いなくなったわけじゃないんだから、呼んで、あの当時のことを二人でよく思い出しながら、忘れたものは忘れたでいいけれども、真実はこうだったという努力をしないでいて、私は誠心誠意努力しています、こう言っても、私は、あなたは口で言うのとやっていることは別だと思うのです。  どうしても私は、真実を明らかにする意味で深山正敏氏を証人喚問しなければ、幾らこんなやりとりをしたって間接の間接の事情しか来ないわけでございますので、委員長によろしくこの証人喚問のことをお願い申し上げます。
  235. 山口鶴男

    山口委員長 理事会において相談いたします。
  236. 白川勝彦

    白川委員 いや、ちょっと待ってください。何度も各委員会で問題になっているわけでございますが、理事会に理事会にということでは私はいかぬと思うのでございます。ぜひこれは呼んでもらいたい。ぜひ呼んでもらいたい。それは委員長が強い意思でそういうふうに言ってもらわなきゃいけないと思うわけでございます。  そして私は、総理、あなたがるる答弁しています。後でこの紙に書いたことだって、裏を返せばこの紙はでたらめなことを言っているという紙なんですよ、理解しょうによったら。そういうものを出して、本当に努力をしようとしないで、あなたはさっきから見ながら言っているのですが、私は書類に基づいて答弁してもらう必要はないんです。あなたの記憶に基づいて答弁してもらいたい。忘れたことについて、なぜ忘れたかなんて言って、そんな強いこと言っていませんよ。  あなたの御主張は、佐川急便なるものからもらったこの書証をつなぎ合わせて事実はこうだったと言っているだけなんです。それではやはり本当の意味で私たちは信用もできなければ、どうしても私は真実は明らかになってこないと思うのです。  だから、ここでもう一回申し上げますけれども、あなたはまず深山氏になぜ会わなかったのか。直接会おうとしない。佐川急便に対しても今回手紙を出したそうでございます。こんな手紙でどうこうということじゃなくて、もっと大事な書類を出してもらいたいということを前から言っているわけでございますが、私はあなたのやり方というのは、一見は確かに努力しているというような節があるかもわからない。しかし実際は、世間はそれでだませるかしりませんが、本当に事実はどうなのかということを知りたい人間にとっては不誠実きわまりないと、こう言わざるを得ないんですよ。  自分が体験しなかったのなら、直接体験した深山さんに一生懸命聞いて、そして深山はこうやっておりますと、その深山が言うことだから間違いないでしようということならば、あなたの御意見も多少は耳を傾けてもいいと思うのでございますが、そういうことをしてないものだから、ちょっと突っ込まれれば、領収書なるものは全部もらって、深山さんがあるときまでは確実に保管していたんだという、そんな単純な事実すらこれだけみんなが議論していても一向に明らかになってこない。  私は、あなたの答弁の仕方は、一見まじめそうに見えますけれども、まじめじゃない、こういうのをいんぎん無礼と言うんです。だから私は、これ以上この問題を幾らやりとりしたってだめだと思いますので、深山さんをきちっと証人喚問して、そして真実を明らかにする、そういうことを委員長がここで約束してくれる、あるいは理事会で決めない限り、こんなの幾ら続けても意味がございませんので、残りの三十分、私は質問を留保して、きちんと協議してもらいたいと思います。
  237. 山口鶴男

    山口委員長 この点につきましては、理事会において相談をいたしました。  それで、今この問題については、自民党の皆さんも御理解の上で相談中であるということを申し上げておきたいと思います。
  238. 白川勝彦

    白川委員 いや、私は、こういうことをどんどん続けていっても本当に時間のむだの繰り返しなんですよ。これだけの真実を明らかにするというのは、そんな簡単なことじゃないんですよ。みんな後ろでがたがたがたがた言うけれども、本当にあなたがみずから真実をきちっと最初から一生懸命明らかにして、やましいところがなければ、誠心誠意努力することが大事なんです。  それをしないものだから、いろんな角度からこうだああだということを聞いくそして、かなり私は礼を尽くしてきたつもりだと思いますよ。にもかかわらず、あなたの答弁の態度は、書類にそう書いてあるとか、そんなことばっかり言っておる。こういう不誠実な態度で、幾らこれは質問を続けたってだめでございますから、私はちょっと質問をとめさしていただいて、総理の答弁の仕方をもうちょっと考えてもらいたいと思います。
  239. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃることはわかりますが、しかし、資料なしに幾ら私が、私の感じで定かでない記憶で申し上げましても、それはいいかげんではないかというお話になるんだろうと思います。  おっしゃるように、事務的には大変ふなれな者が、弁護士の資格も何もない、税理士の資格もない者が担当してやっておりますので確かに不備な書類だということはもう再々申し上げているわけでございますが、しかし、これだけ担保に入れて、家まで担保に入れて、つばまで担保に入れて、ただ政治資金をいただくということならば、こんなことは必要ないんだろう、それは、もうこういうことがあることだけをもってそこのところははっきりしていることではないかというふうに思うものですから、私なりにできる限り誠実にそこのところを御答弁を申し上げているということでございます。
  240. 白川勝彦

    白川委員 それならば、どうぞ皆さん、お配りになったのを見てください、書類が確かだ、誠実なんだと言いますけれども。  順序はこれは別ですから、最初から言いますよ。「覚え書」から見てください。これは既製の、その辺で売っている契約書じゃないですよ。「覚え書」。「昭和五十七年○月○日締結した」と書いてあります。締結した金銭消費貸借契約に関して、下記に定めると、こう書いてあるわけでございます。もうだから、してあるんですよ。これからするのなら、わざわざこれはタイプ打ちしたんですから、将来するのならば素人だって「する」と書きますよ。「した」と書いてある。書類が確かだというのなら、これはどういうんですか。説明してください。素人だってこの程度のことはわかりますよ。  じゃ、もう一つ聞きます。いいですか。もう一つ聞きますが、素人がやったんだからこの点は勘弁してくださいと言いますけれども、あなたは、七%を八%に変えるのは、プライムレートよりもちょっと安かったけれどもこうしたとか、金利を免除したんだなんて言いますけれども、この五十七年十月六日付の第一条には、だれが何と言おうがこう書いてあります。貸し主は、本日一億円なりを借り主に貸し渡し、借り主は確かにこれを受け取り、領収しましたと丁寧に書いてある。しかし、これは素人でございますから違うという。このぐらいは素人だって読めますよ。紙に書いたのが正しいというのなら、これはどう説明するんですか。
  241. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 「覚え書」の点についてでございますが、確かにおっしゃるとおり日付が入っておりません。日付が入っておりませんのは、金銭消費貸借契約書が十月六日に作成をされて、その時点ではまだ存在をしなかったためというふうに考えられます。  それから、金利の点につきましては、これは、今お話がありましたのは金銭消費貸借契約書ですね、この点につきましては、確かにおっしゃるように、利息が七分で遅延損害金が七分という点につきましては、これは会長からおりてきた話なので、東京佐川の方も返済期限をやかましく言わないという契約であったということであろうと、当時の事務の職員はそのように申しております。
  242. 白川勝彦

    白川委員 あなたは、紙に書いてあることが真実だと。ですから、私もこれをずっと読んで、この利息計算書というあなたのこの書類ですよ、私もこれを二、三日ずっと見て、何を意味しているんだろうかと思った。  そしたらあなたは、あなたのところも多少はいろいろ勉強したんでしょうね、十月六日から十二月、こう三千、三千、四千万と分かれて一億出された。ところが、このときの金利を免除してもらったとか、あるいは何で一千万既に返したのかも、その辺も実は本当はわからないんですが、一年一括返済をまあ事実上の十年分割にしてもらったというようなところを、これをよく見ながら、その理由はこうですああですと書いてありますよ、実に細かいことは、紙に書いてある、この紙に書いてあるとおりに真実を構築しようとしている。  記憶を思い出すのではなくて、書類に基づいて、たまたま出てきたこの書類に基づいて事実を構築しようとする。そして、証拠はここにあるんだと言うけれども、当たり前でしょう、書類に基づいて事実はこうだというふうに言っているんだから、その証拠がここにあるのは当たり前ですよ。  ところが、今言ったとおり、一方では都合の悪い、一億円を確かに受け取りましたと堂々と書いてある、しかも文語体であるところについては、これは素人がやったんですからそのとおりでありませんと。「した」と「する」ぐらいのものは素人だってわかりますよ。将来するのなら、何月何日に締結するとかというふうに書きますよ、このときに。  そういうことを含めて、文書にある都合のいいところはこれがあるから間違いないでしようと言う。しかし、明々白々に、だれが見ても一億円このとき受け取ったとしか受け取りょうがない書類については、いや、これはしかし事実は違うんですと言う。こういうのは、真実をあなたが本気で答弁しようとしていない。たまたま佐川からこういう書類が出てきた。これだってコピーしかないんですよ。何でこんなコピーがあったかも本当は説明がおかしいんですが、こういう答弁の態度は正しくない。  私は、忘れたことは忘れたことで結構だと言っている。大事なのはあなたの記憶、深山さんの記憶に基づいて答弁をするという、その姿勢が正しいのであって、細かいところについて私はどうこう言うつもりはありません。ところが一向にそういうところが見えない。まさに素人が、いわゆる、何というのでしょうか、こういうふうにやればいいのだろうという形で、私たちは、細かいところはおぼろげであっても、大筋においてこれは正しい、自然の流れだなというのならそれを素直に信用しますよ。  何もこの点だけじゃない、ずっとお聞きしたことも、あなたは都合が悪くなると記憶がないと言う。そのときだって私は記憶がないなどということは余り責めなかった。しかし、今の話を聞くとやはり私は、あなたがそういう答弁態度をとっている限り、これ以上質問したところで、書類にこういうことが書いてあるというだけであって意味がないことですから、質問を中止いたします。ひとつ理事間で協議していただいて。
  243. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめておいてください。     〔速記中止〕
  244. 山口鶴男

    山口委員長 それでは速記を起こして。  四十分間休憩いたします。     午後六時二十八分休憩      ――――◇―――――     午後七時十八分開議
  245. 山口鶴男

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。白川勝彦君。
  246. 白川勝彦

    白川委員 一億円問題については、先ほどお話ししたとおり、これ以上総理と幾らお話をしても直接体験したことでないことを述べられるだけでございますので、これはいずれ深山さんにきちんと聞いてからさらに詰めていかないと、これ以上やっても時間のむだだと思います。もう一つ、NTT株の問題について御質問をしたい、こう思います。  問題になった元麻布のマンションでございますが、ここに、総理の奥さんのお父さん、義父が債務者になりまして、お金を借りているわけでございます。そして、これはお父さんがNTTの株を買われるということについて頼まれて担保を提供したんだと、きのうの松本委員など、その他の質問に対して答えているわけでございますが、いつごろ、だれから、どんな理由で頼まれて、あなたはあなた所有のこの元麻布のマンションに根抵当権を設定することを承知されたのですか。
  247. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私の義父の、上田と申しますが、NTT株の購入に当たりまして、申込証拠金を工面するための担保を提供してほしいと依頼をされまして、元麻布のマンションを担保に提供したということでございます。  昭和四十六年の秋以降、義父の方は借家住まいをしておりましたので、担保を貸してほしいと言われて貸したわけでございますが、義父は平成五年の五月に死亡をいたしております。元麻布のマンションを担保にして、昭和六十一年の十一月四日に申込証拠金約一億二千万円を支払ってNTT株三百株を約四億二千万円で購入をいたしました。  そのような経緯でございます。義父の方からそのような要請があった、こういうことでございます。
  248. 白川勝彦

    白川委員 義父から直接あなたに対してお願いがあったのですか。それとも、だれかを介してそういうことをあなたは知ったのですか。
  249. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私、直接であったかどうかはちょっと記憶しておりません。
  250. 白川勝彦

    白川委員 これは、最初の公募価格を決めるという特別の株の売買でございまして、一般人がそう簡単にやれることではなかったようでございます。私は、株というものをやったことがないから事情をよくわからないわけでございますが、いずれにいたしましても、四億前後の金がなければNTTの株三百株は現実には買えなかったわけでございます。  あなたのお父さん、義父は株に平素非常に興味を持っておられた方なんですか。
  251. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 大変関心を持っておりました。
  252. 白川勝彦

    白川委員 さて、この取引に関しては、もちろん一般の株の売買と違いますから、ある投資コンサルタントが介在をいたしまして、実際はこの方が代理人となって、三百株の応札その他のことを事実上指導したり代行してやったというふうに聞いておるわけでございますが、この投資コンサルタントとあなたの秘書の深山氏がよく会っていた、こういうことは各種の報道などで明らかなのでございますが、あなたはこのことを御存じでございますか。
  253. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私は存じません。
  254. 白川勝彦

    白川委員 深山氏が、この三百株のNTTの株の売買に関してお父様の依頼を受けたのか、その辺は争いがあるわけでございますが、その投資コンサルタントとたびたび会った、こういうことについて、あなたは全く知らないことである、こういうふうにおっしゃるわけですか。
  255. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まあ義父の方も年でございましたし、義父の会社も小さな会社でございましたが、その会社のことなどでよく相談に乗っていたということは事実でございます。しかし、それはあくまでも義父の手伝いをしたということでございまして、義父もまだ当時は元気でございましたから証券金融の会社にも出向いていったりしていたのかもしれません。
  256. 白川勝彦

    白川委員 深山氏は、あなたのお父様の手助けというか、そういうことを含めてやったらしいというようなことは、そういう事実があるというふうに我々はいろいろなところから聞いているわけでございますが、当時は知らなかったことは結構でしょう。  しかし、このことに関しても、これが犯罪になるとかならぬということでなくても、こういうふうに大きく扱われるようになったので、事実関係というのはいかがなものだろうかというようなことで、あなたはこのことに関して、どういうことだったのかひとつ話を聞かせてくれということで深山氏に会ったことはありますか。
  257. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは最近でございますか。(白川委員「これが問題になってからです」と呼ぶ)いや、ございません。
  258. 白川勝彦

    白川委員 それは、その必要がないというふうにあなた自身は思っておられるからですか。それとも、さっきの一億円の話でも会っていないんだから、それと同じ延長線上の話で、既に退職した職員であるからあえて迷惑をかけたくないという意味で会っていないんでしょうか。
  259. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 事務所の者が私にかわって、念を入れてよく深山秘書から話を聞いておりますから、私が直接会うまでもない、こう思っております。
  260. 白川勝彦

    白川委員 これはやはり誠意の問題だと先ほどからたびたび申し上げていることでございます。  そういうのが出てくれば、その人に直接話を聞くのが一番早いんですが、証人喚問というのは御案内のとおりいろんな問題がございまして、その場合に、しかも自分のこともしくは自分のファミリーに関することというのは、できるだけ御本人が関係者の話を聞けば、それは直接体験したことでなくても、体験した人の話をかわって話をするとなると一つ精度は高くなるわけでございます。体験した人の話を聞いて、聞いた人からまた聞くというのは、先ほどから何度も申し上げているように伝聞の伝間で、やはり同じことを聞いても、そうなのかなという、確度は薄くなるわけでございます。  そこで、この取引がどういうものであったかということは、既に新聞紙上その他で多く知られていることでございますので多くは述べませんが、結論から申しますと、三百株を応札をして、うち百九十九株は売って、この時点で既に約五千万の利益が出ております。そして、今なお百一株は現物として奥様名義であるわけでございますが、この奥様名義の百一株につきまして、あなたの奥様がお父様から相続をするということがあったわけでございますが、相続税その他は払っておられるのでしょうか。
  261. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 百九十九株を売却をして幾らか利益を得たと聞いておりますが、百一株につきましては、今おっしゃったように相続をいたしております。私も定かにそこまで調べておりませんが、当然それは払っていると思っております。
  262. 白川勝彦

    白川委員 ほかの財産まで全部調べたわけではございませんが、お父様が亡くなられた当時、約九十万でございます。百一株というと九千万近くになるので、相当の金額になるわけでございますが、そういう相続税を払う払わないということは、あなたの御家庭では夫婦の話題にもならないのですか。
  263. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そのようなことは一切事務所に任せております。家内のものも含めて大体すべて事務所に任せておりますので、そのような会話はほとんどいたしません。
  264. 白川勝彦

    白川委員 奥様のものといっても、その株はあなたの死んだお父様のものでございまして、お父様から奥様が相続をされる、そんなことまで一々あなたの事務所は全部面倒を見るのですか。
  265. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 いや、もちろんそれは義父のものでございますから、私が直接かかわりのあるものではございませんし、相続をするまでは家内ももちろんかかわりがあることではございません。
  266. 白川勝彦

    白川委員 いや、その相続話にあなたの事務所が出ていくということはないわけですよ。それはあなたの奥様と、向こうの、四人家族ぐらいでございましたか、数人の家族で協議して、百一株を全額奥様が相続されたわけでございます。それはとりあえず事務所に来ないわけでございまして、とりあえず奥様が交渉することでございまして、そういうときに代理に出られるのは普通弁護士ですよ。幾ら細川事務所の、奥様がほかのことをあれしているといっても、普通はそういうことは秘書が行く話じゃないですよ。  それから一たんしてから相続税、幾ら払うとか払わぬとかという話は、それは奥様の方から事務所の方に頼むということがあるかもわかりません。しかし、そういうことをすることに関しては家庭の中で、百万や二百万の相続税じゃないんだから、そのぐらいのことは話題になると思うのでございますが、全然話題にならなかったということですか。
  267. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そのようなことはほとんど事務所がやはりやっております。事務所には税理士さんあたりも出入りをしておりますし、そういった方々にも相談をしながら、そうした問題についてはすべて私のところでは事務所で扱っております。
  268. 白川勝彦

    白川委員 事務所、事務所と言いますが、前半の話で聞きましたが、そんな何十億、何千億の資産があるわけでない。やはりそんな、まずある面では、九千万とかということぐらいについては、それはまた奥様は奥様なりに関心を持たれ、また実際払いに行ったりするのは別の人がやるのかわかりませんけれども、ちょっと私は自然の流れじゃないと思うのです。ただし、これはひとつよく調べて教えてください。  そして、納税したなら納税した書類もちゃんと出してもらわないと困るのは、相続税を払っているかいないかということは実は大問題なんです。なぜ大問題かというと、相続税を払っていなければ、これは名義は上田正平ということであるけれども、実の所有は細川護煕のものであるから、したがって相続がなされているわけじゃないんだから、結果としては相続税払わぬという、税務署は形ではなくて実体でもって審議するのが税務署でございます。そういう面で、これはちゃんとした、払ったか払わぬかというのは非常に重要な意味があることでございます。  そこで、実際は、きのうも松本議員がいろいろと話をしているように、これはひどい話なんですよ。要するに全然実金なしで、実際担保価値が当時幾らあったのかわかりませんけれども、このマンションを担保にして、まあ多目に見積もっても一億八千万ということなんでしょう、極度額。ただ、七千七百万で買ったのがここまで上がっているかどうかわからない。六十一年当時まだそんなに上がってないような気がするのですが。ほかには多分担保は何もないのです。  しかもこれを見てください、抵当権設定。抵当権設定は株の取引が終わった昭和六十一年の十一月十七日ということになっているわけでございます。前から話していることですが、金というのは、本来もらうときに抵当権というのは設定するわけでございます。多少遅くなってもいいのですが、これなんかも随分おくれているわけでございます。  そしてさらに、ほかの担保はというと、東京証券金融株式会社だってこれは大蔵省が管轄する一種の金融機関ですよ。この金融機関がほかに担保もないのに貸したということは、多分買うであろう株を担保に四億近くの金をぽんと出しているわけです。結果としてはこの東京証券金融会社は債権は全部回収しておりますけれども、こういう話というのは普通はやはり正常な姿じゃないのですよ。特別な姿でなければこういうような融資は受けられない。その融資がなければ、結果としてはこのもうけ、そして現在まだ百一株持っておるのでございますから、約一億近くの資産は奥様の手元に今残っていないわけでございます。  それで、この投資コンサルタントがたびたび関係者に証言しているとおり、これは深山氏が細川の代理として来て話をしているんだ、ただし熊本県知事であるから名前を表に出すということははばかるので、名義は上田正平ということでやってもらいたい、こういうふうに深山氏は話をしているし、そういうつもりで私はやってきたと。また、東京証券金融会社なども、こういうふうな一般では考えられないような有利な融資条件にしたというのは、この取引先が熊本県知事である、すなわち信用の置ける細川護煕であるということだからこのような融資がなされたんだ、こういう関係者の証言もあるわけでございますが、これは、あなたはそういうことがあっても私の一切関知しないことと、こうおっしゃるんですか。
  269. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まずその前に、先ほどの相続税に関することでございますが、今ちょっと確認をしてもらいましたが、相続税は、幾らかわかりませんが、払っているということでございます。その点、まず冒頭に申し上げておきます。  それから、深山秘書に事務所の方から確認をいたしましたところ、そのコンサルタントの人との関係でございますが、たびたび電話をいただいておるけれども、一貫して私の取引ではないという説明をしているということであったと、こういうことでございます。
  270. 白川勝彦

    白川委員 私どもは、その投資コンサルタントの名前も住所ももちろんみんな知っております。その人は全く別のことを言っているわけでございまして、すなわち深山氏は、あなたは直接聞いたことがないと言って間接的にそう聞いているだけなんでございますが、ここでもやはり深山氏自身から実際はどうだったのかということを聞かない限り、結局そのように承っておりますと言うだけの押し問答なんですよ。こういうことだからこんな問題で長い時間かかるんだ、これはやはり総理が誠実な態度でない、私はこういうふうに思います。  総理、こういう問題を明らかにするために、あなたは深山氏から、深山氏に聞かなければ結局わからないんだから、あなたは聞こうとしないんだから、我々は聞こうと思うわけでございます。どうかひとつこの点、理事諸公で考えてもらわぬと、みんなしてこうしてむだな時間を、私だけでなくて大勢の人がしているわけでございますから、協議をいただきたいと思います。これ以上質問できません。
  271. 山口鶴男

    山口委員長 この点につきましては理事会において本日も協議中でございまして、今後引き続いて協議をする課題でございます。  速記をとめておいてください。     〔速記中止〕
  272. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こしてください。  白川君の御要求は承りました。理事会において本日も相談いたしましたが、今後も相談させていただきます。
  273. 白川勝彦

    白川委員 私はいつも言っているのですが、こういうことで一々お互いに各党がメンツを張ってやっておるから、結果としては長引くのですよ。例えば椿発言の問題、本人を呼べばそれでもって逆に、半日委員会をそれで割けば、そのことはもう議論にならないのですよ。間接でやっているから、いつまでたっても総理に答弁をいただくようだけれども、結局は我々が欲しいのは事実なんだから、その事実が明らかになれば我々は納得しますよ。その手続がちゃんとしないからあれなんでございまして、いつも決まり文句のように、追って理事会というのが議事録を見れば山ほどありますよ。全然解決されたためしがない。どうかひとつその辺を委員長は踏まえてよろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  274. 山口鶴男

    山口委員長 その点は理事さんにお聞きいただきたいと思いますが、私としては、与野党の意見が対立している中でぎりぎりの判断もお示しをした次第でございます。御要求は承りましたので、今後とも相談をさせていただきます。
  275. 白川勝彦

    白川委員 終わります。
  276. 山口鶴男

    山口委員長 これにて白川君の質疑は終了いたしました。  次に、越智通雄君。
  277. 越智通雄

    ○越智(通)委員 ただいま白川委員から、細川総理と佐川急便の問題につきまして詳細にお尋ねをさせていただきました。個人の問題という感じでお受け取りかもしれませんが、佐川急便というのは政界の大事件の引き金になった会社でございます。裁判も行われております。また、お金を貸すのが本業ではございません。そういうところからお金をあえてお借りになったという点があります。  さらに、総理が県知事の時代に佐川急便から出されました申請書の幾つかが許可になっているわけであります。知事の権限で決裁できる会社と金融の貸し借りの状態になっていたということで、これを公的なものととらえ、細川総理の政治姿勢との関連において、十月四日から今日まで折あるごとにお聞きしてまいりました。  資料でわかることもあるでしょう、関係当事者に聞けばわかることもあるでしょう。むしろこういう問題をそうしたことでできるだけ早く、できるだけきっぱりと、何びともが納得できる格好で決着することが国政の推進にとって大事だと私どもは考えておりました。その中で総理にお願いいたしまして出していただいた書類が幾つかございますが、十分ではないことは今白川委員が申し上げたとおりであります。  私は、ここで改めて資料の請求を、さきに理事会でいたしたものを委員会のこの場において重ねて要求させていただきます。  第一に、佐川急便から一億円を借りたときの金銭消費貸借契約証書であります。さきにお出しになったというものは、先ほど白川委員が申し上げましたように大変不備であります。むしろ大変おかしい点が多うございました。そして、これはまた総理のお出しになりました書類によれば、「原本はおおむね東京地検にあると思われるとのこと」と書いてございます。ぜひ地検からでも取り寄せて、本委員会での審議に供せられるよう、委員長を初め皆様の御努力を願いたい。  さらに、一千万円ずつ十年間というか九年間というか、キャッシュで払われたという御答弁が出ておりますが、それに対する領収書の問題を先ほど来論議いたしました。既にいただいた平成二年の日付の領収書は、私どもは領収書だと到底思えない代物でございますので、返済されたときの会社発行の領収書、またその一千万円が佐川急便に入金したときの佐川急便の帳簿、これらを同様に地検から取り寄せてでも審議に供していただきたい。  また、この論議が始まりました当初から、細川総理がその一億をお返しになるのは大変だったであろうと、失礼な言い方でございますが、どのような資金繰りでどのようにされたかと。お言葉では承ってまいりましたが、私ども、いわば物証というものがはっきりいたしておりませんので、細川総理の昭和五十七年から平成四年までの個人の確定税務申告書を出していただきたい。  これらはいずれも既に十二月以来御要求申し上げておりますが、この確定申告書については、御本人は出せない、税務署の方は公的に請求がなければ出せない、こういうことで私ども拝見いたしておりません。さりながら、我々議員は、衆議院事務当局に必要に応じ確定申告書の写しを出すように義務づけられている立場であります。まして総理でございます。この年間の税務申告書を、国税庁その他の機関で保存している分をぜひお取り寄せ願いたい。  さらに、湯河原の別荘に根抵当権が設定されて一億円の借金の担保となったわけでありますが、その根抵当権の設定契約書、これは当然佐川急便にあったはずでございますし、返したとすれば細川家の方にあるはずでございますし、あるいはそれの手続をとりましたときの写しというものは必ず法務局にあるはずでございますので、それらのところからこの資料を正式に委員会審議に供していただきたい。  なお、これらにかかわる関連資料、覚書が附属している場合もございます。確定申告書には、一定金額以上の申告者は資産目録をつけることにもなっております。そうしたものも添えて出していただきたい。  このことをこの委員会の場をかりて、委員会にと申しますか委員長にお願い申し上げます。よろしゅうございましょうか。
  278. 山口鶴男

    山口委員長 承りました。  この問題に関しましては、本日の理事会において扱いについて相談をいたしておるわけでございますので、その点もあわせてひとつ御了承賜りたいと存じます。
  279. 越智通雄

    ○越智(通)委員 その次に、事の真実に迫るには、やはりそうした物証とともに人証と申しますか証人が必要でございます。再三にわたり深山正敏という秘書の名前が出ております。ぜひこの深山正敏秘書をこの委員会に証人として喚問し、その証言を得たいと思っております。  このことについても各党の御意見を承りましたところ、御賛同が得られないようでございますが、ぜひとも各党並びに委員長において特段の考慮を払いまして、補正予算審議が終わりました後においてもその実現方について最大の御努力をいただきたい、このことを強く要請しておきます。よろしゅうございましょうか。
  280. 山口鶴男

    山口委員長 承りました。
  281. 越智通雄

    ○越智(通)委員 その次に、総理にお伺いいたします。  総理は、大変失礼でございますが、お小さいときに近衛家からお越しになったお母様が亡くなられておりました。でも、細川侯爵家、侯爵のお宅ですから、きっと多くの方々が働いていたと申しますか、俗に言う家臣団がいらしたと思います。だけれども、今総理の周辺にいらっしゃる方々は家臣団なんだろうかな。  盛んに深山正敏という方のお名前が出ましたけれども、一体深山さんというのは総理とどんなに近い関係なんだろうか。財布、懐、全部任したとおっしゃるけれども、私、お会いしたこともイメージを持っていることもございませんので、深山さんはどんな人なのか、どういう御関係の人と申しますか、そして、今細川さんにとってどういう肩書を渡した人なんでしょうか。私は深山正敏さんの肩書をよく存じておりませんものですから、その点をお話しいただき、ぜひ証言台に立たれるようにお勧めを願いたい。  金丸副総理のときの生原と申されましたか、秘書さんもこの場で証言に立っておられます。むしろお仕えしている細川総理の身の潔白を示すために、そうした御縁の深い方であるならば、それだけ信頼を得た方であるならば、進んで御主人のために証言台に立たれるべきものではないかと思いますので、御所見を承りたいと思います。
  282. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 深山秘書もそうでございますが、私のところにおります秘書の人たちの何人かは、私がまだ新聞記者をしております当時から、政治家になる以前から私と親交のあった人たちでございます。そのころからずっと長いつき合いをしてまいりました。そういう意味で、私も信頼して事務所のもろもろのことを任せてきたということでございます。  証人喚問のことについても、先ほど来お話がございますが、本委員会におきましても、資料の提出をし、また、できる限り私もお答えできることはお答えをしてきたところでございまして、それをもってぜひ御理解をいただきたい、こう思っております。
  283. 越智通雄

    ○越智(通)委員 深山さんの現在の肩書は何でございましょうか。
  284. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 現在は肩書はないと思います。しばらく前、何年前でございましたか、私のところの公設の秘書をしておりました。
  285. 越智通雄

    ○越智(通)委員 大変失礼ですけれども、知事時代に大変そば近くお仕えした方が、実は知事をおやめになってから、かなり細川総理の遠くにいて働いているように私どもお見受けしたわけであります。すべてをお任せし、その方に全部聞いてくれとおっしゃるにしては、どうして今おそば近くにいないんだろうか。逆に言うと、その人に聞けば本当に全部わかるんだろうか、このことがやや不安でございます。  今お伺いしたところでもまだその不安は消えないわけでありますが、ほかに八塚南海夫さんとか、関上信彦さんとか、永田良三さんとか、安藤博さんとか、お名前は私ども漏れ聞いておりますが、こういう方々と全く同じ、ないしはその中でもぬきんでて総理の信頼を得、金庫番としてお仕えしている方でしょうか。
  286. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今お挙げになった名前の中には、私の事務所というよりも単なる友人という方もおられます。そのほかの人たちにつきましては、長い間寝食をともにしてと申しますか、本当に苦労をして、選挙のときも、またその他の日常の私の事務所の仕事につきましても、文字どおり寝食を忘れて私のために尽くしてきてくれた人ばかりでございます。  知事職が終わりましてから私のもとを離れたのではないかというお尋ねでございますが、それはおっしゃるとおりでございまして、最近また戻ってきておりますが、それは知事をやめましたときには、私はもはや再び政治の世界に戻ることはないだろう、こういう思いを持っておりましたものですから、そういうことでそれぞれに道を求めて、彼らなりの道を進み始めたということでございます。
  287. 越智通雄

    ○越智(通)委員 この一億の借金との関係総理の財産について二点だけ、白川さんがお触れにならなかったことで私自身疑問に思うことをお伺いさせていただきます。  第一点は、湯河原の別荘でございます。  これは、幼くしてお母様を亡くされた総理を一番かわいがられたのはおじい様、学習院言葉で言えば護立さんと、そして母方のおばあ様、近衛千代子様だったのではないかと私ども聞いております。近衛千代子様は五十五年の九月に、かなり御高齢だと思いますが、お亡くなりになった。その結果、湯河原の別荘を総理は五十五年九月十六日に相続したものと思われます。その大きさは、総理の方のお出しになりました資料にございますように、宅地は、失礼でございますが、湯河原でまあ二百坪ぐらい、それの二倍から三倍近い山林が後ろに広がっていて、別荘でございますから三十坪か四十坪ぐらいのおうちがあった、このように理解しているわけであります。  このうちは、もともとおばあ様が昭和十九年九月に売買で取得されております。ちょうど近衛内閣のころか、それの終わったころか、逆に言えば総理のお父様が総理秘書官をされていたか企画院の調査官をされていたころだと理解されます。  相続されるまでには、その間に三十数年の時日がたちましたが、その間に不思議なことに、五十二年の十二月十六日にこの別荘は住友信託の担保に入って、四千万円を近衛千代子様のお名前で借りていらっしゃいます。御高齢のおばあ様は何のために別荘を担保に入れて四千万円をお借りになったのでしょうか。御記憶がございましたら、総理、御説明いただきたいと思います。
  288. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 全く私は存じません。どういう理由であったのか、それは相続をする際にそのようにして抵当に入っているということを初めて承知をしたということでございました。
  289. 越智通雄

    ○越智(通)委員 京都の別邸を佐川さんが借りたい借りたいと言ったのは五十四年だといういろいろな情報ないしは資料がございます。先ほどは五十五年一月一日から賃貸したと総理はおっしゃいました。ちょうどその五十五年が過ぎて五十六年に、実はその四千万円はおばあ様が亡くなった後にすべて弁済されております。だれが弁済したのでしょうか。そして、それからちょうど一年たったときに根抵当に入っているわけであります。五十二年に金を借り、五十五年に相続し、五十六年に前の借金が払われ、五十七年に一億また借りているわけであります。  大変失礼でございますが、げすの勘ぐりかもしれませんが、佐川さんに払ってもらったのかな、一億を借りる前にどういう格好でこの四千万円というのは処理をされたか、これまたもし総理に御記憶ないというのであれば、そのころそういうことをやっていたのはこの人だよという総理の幅広い家臣団の中でお名前を明かしていただければ、こういうこともその方に今後伺ってみたいと思っております。
  290. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今お話がございましたように、昭和五十五年の九月十六日に相続をいたしまして、また相続及び昭和五十六年九月の分割協議の確定によりまして、祖母が所有しておりました湯河原の別荘が私の所有になったわけでございます。  この物件には、今お話がございましたように、昭和五十二年十二月十六日に四千万円の抵当権を金融機関が設定をしておりましたが、相続人四人が債務を弁済したことによりまして昭和五十六年の十二月十九日に抵当権が抹消されております。この四千万円のうち、相続分に応じて私が負担した金額は四百万円でございます。
  291. 越智通雄

    ○越智(通)委員 そうですが。総理はお母様のかわりに、おばあ様が亡くなったときに代襲相続されているわけですが、十分の一だったんですか。でも、考えようによると、せっかく住友信託から四千万円借りていたのなら、返して一年たって金借りるときにもう一遍住友信託から借りるでしょうがね、普通でしたら。何で佐川急便に融資元を切りかえられたんでしょうか。  いつかの総理の御答弁では、自分は金融機関と余り縁がないからとおっしゃいましたが、相続された財産は明らかにその時点で住友信託の担保に入っておりましたので、その点も率直に言うと不思議だな、こういう感じがいたします。
  292. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 住友信託銀行に担保に入れましたのは、祖母か、あるいは私のおじかおばか、その辺のところがしたことでございまして、私には何のかかわりもございませんし、住友信託銀行と私の間には何ら直接的な関係というものはございませんから、それは前から御説明しているとおりでございます。
  293. 越智通雄

    ○越智(通)委員 では、もう一つの物件でお伺いいたします。  京都の別邸でございます。私が十月四日に御質問させていただきましたら、手紙が来ました。差出人無名ですけれども、ある代議士を通じて来ましたから、その代議士さんは差出人を知っているのかもしれません。「予算委員会の質問をテレビで傍聴し、憤慨したので、貴殿の熱血に訴えるためお手紙しました。私は熊本県出身で、ある町在住の自民党支持者で零細企業の社長です。」  この方の文章によれば、細川家が佐川に貸している南禅寺の隣接地は約四千五百平米、千四百坪。私はこの前の質問のとき千坪とお伺いしたのですが、私から聞いたら、そんなものですという総理のお答えでしたが、京都の一等地ですから、坪当たり一千万としても百四十億の資産です。契約書がないというのは不自然だ、月百八十万の家賃は安過ぎる、保証金を取っていないのはどうか、十億というのは保証金ではないか、こういう文章でございました。  たしかお父様、護貞様の時代に、昭和天皇の御即位が昭和三年に京都でも行われました。その折に完成されたのがただいまの細川京都別邸だと私どもは聞いております。さすれば、今から約五十年ほど前でございますが、終戦のときにはそんなにまだ傷んでいるはずのない、あるいは五十年たった今でも、十億円かけて直すほど傷んではいない。先ほど総理白川委員質問に対して、十億円の修理費というのは違う、何なら佐川に聞いてくれ、こういう御答弁でございました。佐川の経費で直したんじゃなくて、佐川から十億を保証金という格好でもらって直されたのかどうか。  そして幾つかの証言がありますが、戦後、華族の皆様が大変苦しい時代がございました。私も何人かの友人で、お父様の話を聞いておりますが、そんな中でこの細川別邸が、そのときの言葉によれば暴力団まがいの人にということでございますが、入られてしまって、私たちが一歩も入れなくなってしまった、十数年の裁判でようやく取り戻した、居座られた間に荒れほうだいになったというお言葉が、これは忠輝さん、近衛さんの証言ですが、ございます。  先ほど十億のお話が出ていましたが、十億というお金は佐川から来たんでしょうか。それとも佐川が自分の経費で京都別邸を直してくれたんでしょうか。いずれ、この京都別邸は期限が切れて、ことしか来年、もうお手元に戻るものだと聞いておりますが、かなりの修理費というか金のかかったものを佐川さんがお返しになられることになるわけですが、お父様名義のお屋敷かもしれませんが、事情を御存じでしたら御説明いただきたいと思います。
  294. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 正確な面積等につきましてはちょっと今手元に資料が出てきませんので、これは前に資料として提出をしたと思いますのでそれは失礼をいたしますが、先ほど白川委員の御質問にお答えをいたしましたように、週刊誌でしたか月刊誌でしたかに十億というふうに掲載をされていたようでございますが、それはとてもそのような大きな金額ではなかったということを、佐川側の方は私の事務所からの問い合わせに対してそのように言っているということでございます。  それから、昭和三年でございますか、私もちょっと今定かにその辺のいつ建築をされたかということについては、今越智委員から初めて伺ったようなことでございますが、かなり荒れていたことも事実でございますし、また、その間にかなり怪しげな人が入っておりましたということもおっしゃったとおりでございます。なかなかその人に出ていってもらえずに、大分父の方が苦労をしたということを聞いております。
  295. 越智通雄

    ○越智(通)委員 さらに私どもの方もいろいろな意味で調査をさせていただきますけれども、佐川の関係であと二つだけ伺わせていただきます。知事在任中に、九州佐川急便に頼まれていろいろな営業所の開設等を許認可されておりますけれども、どのくらいその許認可したというのを御記憶と言ったらおかしいですが、アバウトどのくらいとお考えでございますか。
  296. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 全く記憶にございませんが、ただ一つだけ、どういう点を指して言っておられるのか私よくわからないのですが、佐川先端科学技術振興財団というものがございました。これにつきましては、もちろんそんな一つ一つの個別の企業の進出まで私が一々承知をするはずはございません。  ただ、この件につきましては、昭和六十二年の十月の一日設立となっておりますが、熊本でテクノポリス計画を推進をする中で、進出企業の一つとして佐川先端科学技術振興財団というようなものをぜひっくりたい、そういうことでテクノポリスの役に立てば、こういうふうな話がございまして、もちろん認可は知事の権限でございますが、実際は県の担当職員がするわけでございますから細かいことまでは存じませんが、そういうことがあったということは記憶をいたしております。
  297. 越智通雄

    ○越智(通)委員 佐川先端科学技術財団のことは、実は十月四日にも私はお伺いをいたしました。そのことについて今お伺いする前に、私が今問いかけたのは、九州佐川急便の営業所が、例えば昭和六十年だけをとりましても、三月に北熊本、四月に八代、十月に本渡、一年間に三カ所新しく許可になっているのです。  これは運輸省の方で言えば、トラック業者の営業所の許可は県知事に対する委任業務か何か知りませんけれども、明らかに権限の行使でございまして、それの中で一番問題になったのを私この前十月のときにお伺いしました。県立八代運動公園という話を当時伺いましたら、「知事時代にありましたことを御記憶でございますか。」と言ったら、「全くございません。」と言うから私は黙ってそのままにしておきましたけれども、これも実は野球場とトラックターミナルを県立の敷地の中に背中合わせでつくるという構想でした。確かにできませんでしたがね、これは完成しませんでしたから。  しかし、その前にこうやって営業所はどんどんできている、片一方、総理は佐川からお金を借りていらっしゃる。何となく公務員のあり方としていいのだろうかなという感じがするわけであります。  そして、今先端科学技術財団のことをおっしゃいました。私も前回伺いました。今お話しのようなことを当時、十月四日にも御答弁がございましたが、その後新しい事実が報道されているのは、その先端科学技術財団の入っている五階建てのビルのオーナーは総理の秘書でございます。八塚南海夫さんでございます。  総理の秘書さんが、西武新宿線下井草のところで、八塚さんというのですか、八塚さんのまたそのお父様が亡くなったということで、そこはかとないと言ったら失礼かな、ある程度の土地その他を昭和四十六年に相続されました。それを売りまして、昭和六十二年に熊本市内の土地をお買いになりました。六十二年四月十六日であります。そして、六十二年十月一日には先端科学技術財団が設立されたわけであります。  そして、それからビルを建て出しまして、五階建てのビルができたのは、随分簡単にできているのですけれども、六十三年の一月八日です。ですから、設立の前からビルは建てかけてあったのでしょうね。佐川がぽんと三億一千万の資本金を出しました。これは知事さんの秘書さんが知らぬうちにやった仕事かどうか知りませんが、八塚南海夫さん、今でもあなたの事務所にいる方だと思いますが、そういう事実は御認識ございましたか。
  298. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まずその前に、先ほど臨海工業用地の問題についてお尋ねがございました。  この八代の臨海工業用地についての話は、これは確かに話というか、全くその具体的な検討までも至らない程度の話としてちらほら出ていたことは事実でございますが、これは全くそういう形で、何か検討の俎上に上るというところまでも行かないうちに消えてしまったというようなたぐいの話としては、そう言われればあったかなという感じはいたします。  それからもう一つ、九州佐川急便の営業所が幾つもできているじゃないかというお話でございますが、それはちょっと一々小さい営業所が出てくるところまで私も関知はいたしません。それは知事は、御承知でございましょうが、そんなところまで一々関知はしておられないわけでございます。  それから今の、秘書の八塚と申しますが、八塚秘書のそのビルの話でございますが、確かにビルの所有者は八塚象二郎といいますから、八塚秘書の肉親であろうと思いますが、土地の所有者は私の秘書のその八塚秘書でございます。  このビルは、昭和六十二年の十二月末に竣工いたしました。その資本金、建築費というのは、今私は初めて伺いましたが、これは自分が相続をして建てるというふうな話は聞いておりました。そのように今も承知をいたしております。  六十二年の十二月末に竣工後、不動産会社に一括して賃貸をいたしまして、この不動産会社がビルの一室を財団に、財団というのは先ほど申し上げた佐川先端科学技術振興財団、この財団の方に転貸をしているということでございます。このビルの建築資金を佐川が出したりしたというような事実はないというふうに私は承知をいたしております。聞いております。だれに賃貸するかというのは不動産会社に託されて任された話でありまして、財団が入居したのも不動産会社の判断によるものであるというふうに聞いております。  調べさせましたところ、この佐川財団はこの不動産会社から月家賃で四万三千円、共益費五千円で借りているということでございまして、特に問題があるというふうには私は受けとめておりません。
  299. 越智通雄

    ○越智(通)委員 八塚さんの兄弟で下井草の土地を持っていたものですから、兄弟で熊本の財産を取得したので、不動産というか上物とその土地とを分けて所有名義にしたのかもしれません。なお、三億一千万というのは財団の設立に当たっての佐川の出したお金でございまして、別にその建物が三億したわけではございません。  話を進めさしていただきます。  総理の政治姿勢をそこまで私どもが厳しく言うのは、やはり上御一人の姿勢によって内閣が、あるいはそれにつながる五十万国家公務員がおかしなことになっては困るから申し上げているわけです。残念ながら、我が国の総理でそのいすにお座りになった方がこの会場で証言台に立たれた方もいるんです。裁判にかかった方もいるんです。そのいすに座るということは大変重みの大きいことです。そのことがあるから、大変言いにくいことでしたけれどもいろいろとお伺いさしていただきました。その他の政界のそうした問題についても、総理が毅然たる態度で、大変失礼ですけれども、自分のことが気になったら人に言えないというのじゃ困るので、毅然たる態度でぜひ指導していただきたい。  その中で、この間同僚の議員が伺いましたけれども、山花大臣、あなたのこの間の説明ではまだ納得できません。今一番問題になっているゼネコン問題について、検察当局と接触した事実はなくとおっしゃっていますが、想像したとすれば、だれからどんな情報を聞いて、それを針小棒大にというか想像したのですか。何かきっかけというかモメントがあったのでしょう。あのゼネコンの汚職は、政治改革を年内にやってくれたら後ほどんと行くんだという話を全逓でされるその発想の端緒はだれだったんですか、ぜひお伺いしたいと思います。山花大臣お願いします。
  300. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 経過については前回御報告したとおりでございます。法案ができ上がった後そうした会議におきまして、法案が成立したことについての私の感想と、同時にこれからの問題についてお話しをさせていただいたところでございます。  その中で、過日御指摘いただきましたような報道になった発言につきまして、私も言葉が大変正確でなかったことにすぐ気がついて、早速に記者会見をして訂正をさせていただいておわびもしたことにつきましても、過日お話ししたとおりでございます。  今、一体どんな端緒といいますか、そういうものがあったのかということにつきましては、これまた過日お話ししたとおりでございまして、私が、その意味におきましては、さまざまなそれまでの状況といいますか、そういうことが頭にいろいろあったこともあって、そうした気持ちから推測してということになった次第でございまして、この点については私としても大変適切ではなかったということを過日申し上げましたとおり反省をしている次第でございます。
  301. 越智通雄

    ○越智(通)委員 あなたは中央大学の卒業生です。検察庁では、実際問題は東大の人とか京都の人とか、一時京大閥が強いとかいろいろ言われたこともあります。今の吉永さんはまた違う経緯です。中央大学のお仲間が疑われていますよ。私の兄も中央大学です。法学部です。弁護士さんや検事さんとか、あるいは検事の資格を持たなくても検察事務官とか、あなたにだれがしゃべったんだろう、共通因子はやはり中央大学か、そうなっちゃいますよ。今一番怖いのはそういう検察の動きというものが政治の武器に使われることです。深谷さんがこの間言いました。本当に怖いことです。  灰色高官という言葉が一時期飛び交いました。疑いだけかけられて、晴らすことなく死ぬまでしょわなきゃならない。それが検察の一挙手一投足で繰り広げられたときに、たまらぬじゃないですか、その人の人生は。今ゼネコン問題は多くの人々に、世人からの疑惑を招くような報道がされて、いつどうなるのか、決着がつくのかわからないままでほっておかれているんです。やるのならとっととはっきりさせてもらいたい。いいじゃないですか。自民党から出たっていいじゃないですか。政党政派じゃないんです。私は、そういう政治について金に絡むということは、政党政派よりも個人の関係が強いと思いますね、その人というか。  これは法務大臣、御答弁は要りませんけれども、よく考えておいてください。検察の方がいろいろしゃべっているんです。新聞記者なんかにちょこっと、奥の細道だよと言ってみたり、桜のころだよと言ってみたり、酔っぱらって新聞記者をまくために言っているのかどうか知りませんがね。えらい迷惑する人がたくさんいるんですよ。だから、そういう意味で山花さんの発言を聞いたときには、本当に僕は心が凍る思いをしました。  お役人に対して監督するのは官房長官ですか、総務長官もそうかもしらんけれども。  個人的なことを一つ申し上げますと、正月の五日に東京プリンスホテルで、通産大臣、あなたは化粧品工業会の新年会におくれて来られました。私があいさつを終わったときに来られたので、失礼ですが、あいさつもせず私はすれ違いに出ていきました。しかし、私のあいさつの前にあなたのところの所管局長さんがあいさつされたんです。五日ですから新年です。東京プリンスの鳳凰の間ですから大勢の人でした。  私は、どちらかというとメーカーさんじゃなくて、化粧品を売っている小さな店、おやじと女房と、もしかして一人ぐらいしか人を使っていない店の、全粧連と申しますが、その関係で行っておりました。私の前にあいさつをした通産省の局長さんがはっきり言いました。所得税の減税をするから、消費税を七%に上げるんだというあいさつをしたんですよ。一月の五日ですよ。局長の名前、言わなくてもわかるでしょう。  私は、次に立ったときに猛烈な勢いで否定しました。冗談ではない、そのようなことを通産省の局長が口にすべきことではない、私はそんなことは政治家として聞いておらぬし、出たって絶対反対であると。三千万円いくかいかないかの化粧品を売っている店のおやじがずらっといるところでやったんですよ。今のは消費税のボーダーライン。やはりどこか狂ってるなという感じがしたんですよ。私も役人を二十年してきた。役人道は狂ってるなという感じがしたんです。だから、上の方がよほどしっかりしてもらわなきゃいかぬ。  相手がおじぎをしているのは、いすにおじぎしているんです。我々は選挙を通じて試練も受ける。私も落選した。落選してみたら、世の中違うでしょう。熊谷さんは落選していないかもしらぬ。ところが、役人は二十年、三十年役所の中でポストだけ回っているうちに、いすにおじぎしているのが自分におじぎしてくれているように錯覚し始めている。今の次官、局長がそうですよ。  官房長官、事務次官ってやたらと方々へ出歩くのが仕事ですか。国家行政組織法上の事務次官の職務規定ってお読みになったことがありますか。読んでない。あれは大臣を助けて庁務を整理する、省務を整理するということになっているんですよ。夜の夜中に総理大臣の公邸に入っていって政策の論議をするのは仕事じゃありませんからね。次官、局長のやっていることは狂っていますよ。総理は事務次官会議にはお出にならないと思う。事務次官会議に出られるのは事務の官房副長官、よくてというか、出られれば官房長官が出る程度です。事務と政務はきちんと分けてなきゃいかぬ。今の局長の話を聞きながら、ああこれはみんな狂っているな、一人だけじゃないという感じがしたから、今あえて申し上げました。  じゃ、聞きましょう。熊谷さん、今の話を聞いて、あなたはどのようにお考えですか。あなたの役所も相当乱れてますよ。どういうふうにお考えですか。
  302. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 最初のお話は、たまたま私おくれて先ほど委員御指摘のように駆けつけたわけでありますが、私は今のそのお話委員が大分局長をおしかりになったという話は実はそのとき伺ったんですけれども、私はそのとき、たしか委員もおられたかどうかわかりませんが、景気の現状や景気対策の方向について検討しているというお話はしましたけれども、そのような具体的な話は実はまだ頭の中にもありませんでしたので、一般的な方向を私自身は話したつもりであります。  今の七%というような話、およそ事務当局で通産省が検討していた事実はございませんので、まさかとは思いますけれども、よく調べて、そのときに委員から直接伺えばよかったんですが、委員のごあいさつが終わった後に私は参りましたものですから、中身はよく存じ上げません。事情をつまびらかにいたしまして、誤解のないような行動をとるように今後指導をしてまいりたいと思っております。
  303. 越智通雄

    ○越智(通)委員 化粧品工業会は通産省と厚生省の共管なんです。  そこで、時間の都合上先に進みます。  政治家がやはり襟を正さないと役人が乱れる。だから、私は十月四日の質問のときにも八人の裁判になっている方のことを伺いました。その後五カ月、裁判の中で変化がありました。田中角栄さんが亡くなられました。これは公訴の消滅になります。そして、学歴詐称の新間正次さんという方に一審有罪判決が出て、禁錮六カ月、執行猶予四年の名古屋地裁の判決に対して、被告人は現在控訴中であります。その二つが変わりました。  そして、新しいのが二つ出てきたわけです。小沢一郎代議士、五百万円を鹿島建設から受け取ったことについて、社会党は証人喚問を要求するとおっしゃって、途中で引っ込めて、とうとうだれも証人喚問をされておりません。要求はされておりません。そして、この小沢代議士の五百万円について問題にならないのはおかしいと、そういうことで横浜市の大学講師である堀さんという六十六歳の方が告発をいたしまして、東京地検がこれを既に二月半ばまでに受理いたしております。これはもう法務大臣に聞くまでもない、わかっていらっしゃることですから。  一番問題なのは、小沢さんの団体は中央に四つある、地方に十六ある。二十あるのですよ、政治資金団体が。それの報告書の中で、五百万円を分けてやったにしてははまらないんです。だから告発が行われているわけです。百万円以上で、ぼんぼんぽんと出していれば、全部名前が出てなきゃいかぬ、五つ出ていれば。そういうのがない。非常に明瞭な、少なくとも政治資金規正法からいうと説明のつかない状態になっている。東京地検で告発を受理した以上どのように処理するつもりか、刑事局長かな、来ていると思うので、伺います。  警察についでに伺っておきます。  小沢一郎宅の前で六十三歳の新宿に住む老人が焼身自殺をして、一週間生きていて、七日にやって二月十四日に死んでいるはずです。その処置をどうされましたか。全くマスコミも報道されませんけれども、人のうちの前で油をかぶって死ぬというのは生易しいことじゃないんですよ。そんなにしょっちゅうある話じゃないんです。なぜ小沢さんのうちの前で新宿の人がやったのか。検察と警察の御報告を求めます。
  304. 則定衛

    ○則定政府委員 まず、小沢一郎代議士に対します告訴の件でございますが、御指摘のように、本年二月九日、政治資金規正法二十五条一項の罪ということで受理しておりまして、検察当局におきましては、今後適正に捜査、処理するということでございます。
  305. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  お尋ねのございました事案の概要につきましては、二月の七日午後二時過ぎ、世田谷区深沢六丁目二十三番十号地先路上、これは小沢一郎氏の通用門前に該当する場所でございますが、におきまして、東京都新宿区居住の六十三歳の男性がガソリンをまきまして、マッチで火をつけ、燃え上がった火の中に飛び込んで焼身自殺を企てた事案であります。  事案を発見いたしました警察官が、直ちに着用していた防寒衣で同人の体を包み込みまして、また、消火器四本を用いて火を消しとめた上、救急車を手配して病院に搬送いたしました。同人は重度の火傷、ひどい火傷のために重体の状態が続いておりまして、お話がございましたように、一週間後の二月の十四日未明に、やけど、火傷が原因で死亡したものでございます。  自殺でございまするので、氏名等詳細につきましてはプライバシーの関係から答弁は控えさせていただきますが、重体でありましたので終始事情を聞くことができませんでした。また、現場に遺書等も発見されませんでしたので、焼身自殺の動機、理由等については不明のままでございます。  なお、警察といたしましては、親族等関係者からもいろいろ事情等を聞きましたけれども、格別な具体的な動機については把握することはできませんでした。特に組織的なもの、何か格別な政治的な思想とかそういったものがないかということにつきましても、それなりの調査をいたしましたけれども、それは出てまいりませんでした。  以上でございます。
  306. 越智通雄

    ○越智(通)委員 その言葉どおりになかなか信じられないんですね。新宿から自分の体が飛び込むほどの油を担いで、六十三歳の人が何も言わずに、何のためにそこで死んだのか。失礼ですが、警察の上の方は報告をもらっていないんじゃないか。  小沢さんのうちの前には一個小隊いるんですよ。お巡りさんが毎日十名はいるでしょう。玉川署、たまたま私の選挙区ですからよく知っています、玉川署の人も機動隊の人も。街頭宣伝車、右翼が来るんです、定期便みたいに。午後二時というのは大体定期便の来るころの時間ですよ。たまらないんだ、周りの人は、わんわんわんわんやられて。  そのお巡りさんのいる目の前で、気が狂ったとか酔狂でやれる話ではない。何があったんだ。どういうことなんだ。やはりもうちょっと真剣にというか突っ込んで、今のお話の中でも、親族がわかっているんですよ。もっと言おうか。親族が名のり出たから名前がわかったんじゃないか、実際には。親族を調べていけば、それだけのことをする人はふだんの言動の中から、あんちくしょう、憎いやつとか、いや困ったとか、何か言っていることの中にきっかけがあるはずだと思う。何にもそういうことが調べられていない。もしそれが何らかの意味でプレッシャーがかかっているんだとしたら怖いことだなと私は思うわけでありまして、あえて申し上げたわけです。  先に行きます。同じ新生党になるので、新生党をねらい撃ちしているわけじゃありませんよ。だけれども、この五カ月間にもう一人起訴された代議士といえば大谷忠雄さんなんです。  今五百万円の話の次に、これはオーダーが上なんです。政治献金をしてくれたら、にせの領収書を払って献金してくれた人に潤いを回すと。そのかわり、おれを選挙してくれ、投票を入れてくれかもしれないし、幾らかおれにもくれろという話か知りませんが、やりもやったり二億四千万円ですよ。所得税法違反でやられている。重加算税が入っていますが、重加算税抜きで一億八千万。代議士ですよ。今でもでしょう。派閥を、政党を抜けただけで代議士ですよ。おかしな話ですね。  心配なのは、はやり病みたいにみんなやってやせぬかということなんです、これを。だれだろうかな、大蔵大臣かな。大丈夫ですか。所得税法違反――いや、あなたじゃない。大蔵省として、所得税法違反というのはあなたのところでやることでしょう。片っ端から政治資金団体のにせ領収書を配って、一人で二億ずつやられたら大変なことですよ、これ。だれが来ているのですか。国税庁、大谷忠雄さんの事件について御報告ください。
  307. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 恐縮でございますが、個別事案でございますので、答弁を差し控えさせていただきます。
  308. 越智通雄

    ○越智(通)委員 困ったものですね。これは代議士といえども、国政の、国会の場でどうなっているんだと聞いているのを、答えないで済まそう。私は、ちょっとその体制は極めておかしい、こう思いますよ。  ついでにもう一つ、政治家の問題で伺わしていただきます。  坂口労働大臣、あなたは四日市中央病院及びその理事長である藤井さんを知っていますか。
  309. 坂口力

    ○坂口国務大臣 存じ上げております。一度だけお会いをさせていただきました。  もう少し申し上げさせていただきますと、一昨年の多分八月からだと思いますが、九月からでございますか、昨年の七月まで約十一カ月の間、私の浪人中でございますが、その病院の顧問をいたしておりました。ただ、その当時は藤井理事長が理事長あるいは院長ではございませんで、星野輝彦先生というのが理事長兼院長でございまして、星野先生が理事長兼院長の中央病院の顧問を私はさせていただいた、こういうことでございます。
  310. 越智通雄

    ○越智(通)委員 この病院と理事長は、国税庁、また個別案件で言わないつもりかどうか知らぬけれども、三十億円の脱税でしょう。十八億円課税されているんでしょう。そしてそれを浪人中の坂口さんが顧問をされていて、マスコミの報道ですから数字の信憑性はわかりませんが、少なからざるお金を使われた、間に立ったのは小坂博幸という人だ、そこまで書かれているわけです。  まず、三十億の脱税についてはわかっているのですか。やったんでしょうから、国税も手を入れたんですから、その事案について何か報告できますか。
  311. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 ただいまの事案につきましてマスコミで報道があったことは承知しておりますけれども、当該事案について国税がどういう対応をしているかについては、個別事案でございますので、お答えを差し控えさせていただきます。
  312. 越智通雄

    ○越智(通)委員 委員長、むなしいですね、こういう真剣な議論がこういう官僚の壁で阻まれているのは。  そこで、これは総理初め皆さんによく聞いてもらいたい。やはり収賄罪というものはもっと強化しなければいけないですよ。  法務大臣、斡旋収賄罪についてもっと強化したいと思っているのは、法務省の意見じゃないのですか。  斡旋収賄罪の中に、まあほかの先生方の御参考までに読みます。「公務員請託ヲ受ケ他ノ公務員ヲシテ其職務上不正ノ行為ヲ為サシメ又ハ相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク斡旋ヲ為スコト又ハ為シタルコトノ報酬トシテ賄賂ヲ収受シ又ハ之ヲ要求若クハ約束シタルトキハ五年以下ノ懲役二処ス」と書いてある。  これは二つ難しい。不正なことを頼むと言わなければだめなんです。当たり前か不正かのボーダーラインが難しい。もう一つは「請託ヲ受ケ」、これを証明するのは難しい。取っ払ってもいいのじゃないですか、これは。どうお考えですか、法務省は。斡旋収賄罪、だれがやるのだ、これは。法務省。
  313. 則定衛

    ○則定政府委員 斡旋収賄罪につきましては、今委員御指摘のような問題がございますけれども、これを裸の斡旋罪といたした場合に、処罰の範囲が広がり過ぎないかどうか、このような問題につきましては、相当慎重に検討する必要があるだろうと思っております。  法務当局といたしまして、かねがねこれらについて御指摘のように改正すべきだという考えは、必ずしも持っていないのが実情でございます。
  314. 越智通雄

    ○越智(通)委員 社会党の代議士から応援を受けております。  実は、政治家の裁判というか事件のときに、田中角栄さん、最初に引っ張りに行ったのは外為法違反なんですよ。最終的には収賄罪の問題というか、出てくるわけだけれども。金丸さん、捕まえに行ったときには所得税法違反でしょう、たしか。所得税法違反でそのままいっちゃったのもいますよ、今でも裁判しているのが。多くの政治家の場合は収賄罪。  今回のゼネコンも、恐らく収賄罪をどういうふうに適用するか。涜職の罪です、要するに。収賄罪から全部入った、斡旋収賄罪まで入った、あの涜職の罪のところをどう適用するかの問題で、綱紀の粛正、厳罰にすればすべて片づくわけじゃないけれども、ここをきちっとしなかったらだめなんです。  だから、我々は腐敗防止法をつくると。政府の出された案では、腐敗防止はだめなんですよ。今出ている政府案では、山花さんに聞けば、いや連座制を強化しましたとか、いや罰金を重くしましたと言うでしょうけれども、公民権停止は、政府案は政治資金規正法違反だけですよ。収賄罪にかかった人は、公民権停止にはならない。いや、知らない人はああいうことを言うんですよ。私の選挙区で収賄罪で捕まっているのは公明党の方ですよ、失礼ですけれども。いろいろあるんですから、政党じゃないんです。個人なんです、問題は。  そこで、今申し上げているのは、斡旋収賄罪の強化ぐらい法務省として、自分で勝手に直せるわけじゃない、これは。法制審議会にかけなければならぬのだから。法制審議会に諮問するなりなんなりして、おまけに今やっている政治改革法案の中でも、政治資金規正法の違反だけが公民権停止になるということは片手落ちだと思うならば、もうちょっと検討したらいかがですか。意識してないんじゃないかと思うんです。政府案で今政治改革四法案をやっているけれども、あれでは収賄罪の違反はひっかからないんですよ。  だから、我々が十二月から、さっき質問していた白川君たちも含めて、そういうことも検討せにゃいかぬぞと言っていたら、何となく、いっか、深谷君が金曜日か言ったように、そういう議論をすると政治改革つぶしかなんて冷やかされるようなマスコミの扱いですけれども、この問題は残っているんですよ。今のこの政治改革の論議がどう進もうと、この問題を残したままなされているということについて、法務大臣と、どっち、佐藤さん、法務大臣まずやってよ。それから山花さんと御答弁ください。どうお考えか。
  315. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 いつも越智委員から御指摘いただきますように、私、刑法それほど得意ではございません。しかしながら、法務相になりましてから勉強いたしまして、そしてそのところを申し上げさせていただきます。  涜職罪、公務員である政治家、これが公務に関連いたしまして全員の授受をいたしましたときには、現行の涜職罪で処罰できることになっております。さらに、斡旋収賄罪というものもつけ加わりました。  それは確かに適用の難しいところはございますが、しかしながらやはりこれを拡充するということになりまして、そして公務員でない政治家の活動というものを涜職罪まで広げようとか、あるいは公務員である政治家でありましても、公務と直接関係のない政治活動というふうなものにつきましてまで涜職罪の規定を広げるということにつきましては、刑法学会におきましてもかなりの反対論がございまして、ただいまのところ、先ほど刑事局長が答弁いたしましたように、法制審議会として検討するという段階にまで至っておりません。  しかし、このたびの政治改革法案に基づきましたところのいろいろな罰則の強化というものにつきまして、これがどれだけ政治の強化というものに役立つか、全く役立たないと越智委員はおっしゃるのかもしれませんけれども、私どもから見ておりますと、やはり連座制の強化であるとかそれから立候補の禁止とか、いわばそういう刑罰以外の方式というふうなものに基づきましてやはり腐敗防止の効果というものは上がってくるものと私は信じておるわけでございまして、それでもなお足りないということになりましたならば、やはり次は御提案になっておりますような、何といいますか、地位利用罪とでも言うべきものの新設というふうな形の提案を刑法の専門家に御検討をお願いしなければならない段階が来るだろうということは十分覚悟しておるわけでございます。  果たして御期待に沿うあれでございましたかどうか、私の現在考えておりますところ、それから刑事局長のところでも先ほど申しましたように、現在のところはとりあえず今度の新しい法律の実施の実情というものをよく見て、そして考えてまいりたいというのが、ただいまの私ども立場でございます。
  316. 坂口力

    ○坂口国務大臣 先ほど申し上げましたのは、私がその病院の顧問をいたしましたことを申し上げたわけでございますが、それは病院の再建について御依頼を受けて私は顧問をさせていただいたわけでありまして、今御指摘の脱税の問題は、藤井先生個人の相続税に絡む脱税の問題でございまして、病院の問題とは違うわけでございます。私は、その病院の再建につきましての顧問をさせていただいたということでございまして、新潮にございますような、見出しにございますようなことは全くございません。(「名誉棄損で訴える」と呼ぶ者あり)はい、そのつもりでおります。
  317. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 二点お答えしておきたいと思います。  まず前段は、収賄罪に関する公民権停止の問題についてでありますけれども、第百二十五回国会において、公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者については公民権を停止するとの改正が行われております。  また、今回の衆議院における修正におきまして、これはかねてから自民党側の提案でもあったところですけれども、この収賄罪に関する公民権停止の制度をさらに強化いたしまして、公職にある間に犯した収賄罪により実刑に処せられた者は、実刑期間に加え、その後五年間公民権を停止することとされたものであると、こういうように承知しているところでございます。(越智(通)委員協議の中に入っているのですね」と呼ぶ)もうこれは決まっております。協議で自民党からも提案がありまして、それで決まったものでございます。  なお、それとは別に、涜職罪についての規定についての御提案もあったと思うわけですが、これはこれまでの議論の経過でも国会の中で提案としてはあったわけでありまして、そうした一層の腐敗防止の策につきましては、今御指摘いただいたような議論も踏まえまして今後とも適切に対処していくべきであると、こういうように考えているところでございます。  また、この点につきましては、今法務大臣から現状ということにつきましてお話がありましたけれども、法務大臣のお話も、私が今答弁したような趣旨でおるのではなかろうかと私は今聞いておったところでございますけれども、この辺についてはまた十分検討さしていただきたい、こういうつもりで現在おります。
  318. 越智通雄

    ○越智(通)委員 最後の時間に入ってきましたので、補正予算の中身について一、二点だけ伺わしていただきます。  大蔵大臣か大蔵省の局長さんに伺いますが、昨日保利委員が申しました財政法二十九条の、補正予算は、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」ということが補正予算の要件だが、このたびの二兆一千億、どれをとってもそれに該当するとお考えですか。
  319. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 補正予算を提出をいたしておるわけでございますので、財政法二十九条の要件に該当するものについて御提案をし、御審議をお願いをしておると、こういうことでございます。
  320. 越智通雄

    ○越智(通)委員 保利委員はその中で、彼は文部大臣をしていたものですから、公共事業費等の追加の中にある施設費等の四千二百一億円の中で、文部省の施設はそれに該当しないのも入っているんじゃないかなと、まあひとり言というか、ここで答弁を求めずに言っていましたがね。  そこまで一々私今ここでは聞きませんが、一番やはり私どもが心配したのは、この明るい選挙推進委託費十八億円、わずかではございますが、二兆一千億の中でわずか十八億ではありますけれども、どうも不思議な経費がこんなところにどうして入ってきているんだろうということでございます。  総理を初め皆さんの御理解をいただくためにちょっと解説さしていただきますと、明るい選挙推進協会というのは実は大変歴史が古く、昭和二十七年にできた公明選挙連盟からスタートいたしておりまして、当初は前田多門さんが会長でございました。  今日、明るい選挙推進協会となっておりまして、大体一年間に十一億円経費が通常の予算で組まれております。恐らく平成六年もそのぐらいが既に組まれているものと思いますが、その平成三年、四年、五年、最近の使い方を見ていますと、政治改革周知事業として、寄附をしちやいけないんだというパンフレットやなんかをつくるのに七億円から八億円かけています、十一億の中の。そして、あと広報誌「私たちの広場」というのなどをつくるのに大体二億円ぐらいかけて、あとまあ何千万円かでやっている。よく言えば大変地味です。麹町会館の中の一室にあります。たしか人員は六名であります。その十一億で年間やっている団体に、いきなり十八億つけるんですよ、補正予算で。  どうやって使うんだろう、何をつくるのという説明を求めますと、盛大にパンフレットをつくりたい、四千五百万部つくるんじゃ、こう言う。そのほかに点字のパンフレットと早わかりというものを六十万部、四十万部つくって、チラシも四千三百万枚つくるんだ、テレビのスポットやラジオのスポットも七日間やり通すんだと。すごい勢いで宣伝しよう。何を宣伝するの。今度の政治改革の法案を宣伝するんだ。この経費をつけたときの、あれは局長さんの説明でしたかな、あの説明を聞くと、「第百二十八回国会」、この間終わったやつですよ。「第百二十八回国会における政治改革関連四法の成立等を踏まえ、」と書いてある。すると、国会を通った法案のまま書くんですかね、これは。今協議しているんでしょう、大変難航しているそうですけれども。それが全部でき上がってからつくったっていいんでしょう。  これは委託費です。委託費だけれども、これは先に金をどんとくれちゃって、さあ、好きなようにつくれという委託費じゃないんだ。どんなものをつくるの、見本を持ってこい、その見本ができて、さあ印刷ができて支払いが必要だ、さあ、それじゃ金持っていけということで、この委託費は後払い、言うなれば。おまけに、この委託費のくせに、くせにと言ったら失礼ですけれども、繰越明許費なんです、これが。ここの繰越明許費になっているのは、主計局長、財政法十四条の三というのは、「その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、」明許できると書いてある。どういう性質上見込みがないんだ、成立後の事由って何か変わったのか。繰越明許にするには大変不似合いなものを繰越明許で持ってきているわけ。  そもそも、補正予算を今出すのが無理なんですよ。二月の半ば過ぎて補正予算出して、あと一月、その中で二兆一千億の九割まで、二兆ぐらいがトンカチです。トンカチというのは、公共事業とか施設費とか、物をつくるやつです。これまた全部繰越明許ですよ。何でこんなことになったんだ。ずばり言いますよ。年内編成しなかったから。  暫定予算には公共事業費は組めないんだ。人件費だとか刑務所の事務費だとか、要するに月割りでしか計算できない当たり前の経費しか組めないから、暫定予算には組めないものを前の年度の補正予算の格好で今通してもらいたいというので、こんな時ならぬ第三次補正、やりませんと明言した補正が今出ているわけ。  なぜ、あの答えが、あの十二月に揺れたか。あのころに思い切って会期延長してしまおうという案が出てきたものだから、会期延長してしまえば暫定予算になる。暫定予算になれば、公共事業はとぎれてしまう、一カ月、二カ月。それを何とかカバーせにやならぬから、それでは五年度の補正で持ち上げておこうというから、こういうむちゃがある。むちゃな第三次補正をやって、その中におまけに、通ってもいない法案の宣伝でビラ四千五百万枚つくるというような予算を持ち出してきて、六人しかいないで、十一億のお金を一年間にしこしこしこしこ使っているところに、いきなりまたそのほかに十七億をくれて、そして、本予算が上がればまた十一億行くんですよ、これは。どうやって使う気だ、何を書いてどう配る気だ。  だから、この間、保利議員がここで、そんな金があるんなら、ウルグアイ・ラウンドの説明や何かを英語だかフランス語で書いて世界に配った方がいいじゃないかという質問をされていたわけですよ。  私は、この予算は本当は削除すべきものだと思いますよ。大蔵大臣、どうお考えですか。自治大臣ですか、自治大臣どうぞ。
  321. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 委員最初にお話がございました明るい選挙推進協会の実態及び事業のやり方、これにつきましては、後から選挙部長の方から答弁させたいと思います。  そもそも、さきの一月の二十八日の細川総理と河野総裁とのいわゆる総総合意によりまして、平成六年度の予算の審議に先立ってこの修正を実現をされることが合意をされ、今そのための協議を続けていらっしゃることは、委員御承知のとおりでございます。  したがいまして、私たち政府という立場におきまして、これは非常に国民的な関心のあることでもございますので、トップ会談で決まったこの内容を非常に重く真摯に受けとめまして、修正案が成立した段階で、国民の皆さん方に最終的にどういうふうに修正が成ったのかということをお示しをすることが、国会の意思というものを有権者、主権者でございます国民の皆さん方にお示しをする責任が政府にはあるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今御指摘がございましたように、私たちといたしましては、国民の皆さん方に現段階で決まった中身について周知徹底を図るということのためでございます。  繰越明許につきましては、これは私たちといたしましては十分できるというふうに、つまり、年度内にできることを当然予想してやっておるわけでございますけれども、何分とも協議の問題、あるいは例えば印刷がとうとう間に合わないということになりますようなことも、あってはいけませんけれども、一応頭に置きながら繰越明許ということにしておるわけでございまして、事業ができるかという御心配がございましたけれども、これにつきましては後から選挙部長から報告をさせますけれども、それはかなり歴史のある団体であることは今委員御指摘のとおりでございますので、十分それは対応できるというふうに考えておるところでございます。(発言する者あり)
  322. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 明るい選挙推進協会の実施につきましてのお話もございましたので、私の方から具体的にお答えさせていただきますが、明るい選挙推進協会は、選挙啓発のノウハウの蓄積だとか実績等も過去から十分に備えてきておりまして、これまでも国と一緒に選挙制度だとか腐敗防止のためのいろんな啓発等もやってきておるところでございます。  具体例を申し上げますと、例えば金のかからない政治なり選挙、こういったものを目指しました寄附の禁止、これにつきましての周知事業、これをここ数年実施をいたしてきておるところでございます。いろんなメディアを活用いたしましてこれらの事業も実施してきておるところでございまして、今回はこれまでに蓄積をいたしました豊富な経験を活用いたしまして、各種のメディアを利用いたしまして、執行計画を立てながら執行準備をいたしておりまして、年度内の事業執行に努めているところであるというように承知をいたしておるところでございます。
  323. 越智通雄

    ○越智(通)委員 この予算金額が毎年十一億、ほぼ固定しております。そして、職員が六人です。そして、後ろの方から声がありましたけれども、天下っている人は四人です。会長さんというのは参議院の事務総長をされていた方です。常務理事さんというのは衆議院の調査室長をされていた方です。そして、国立国会図書館にいた方と文部省にいた方が入っていらっしゃいます。そして、役員の方々は、選挙管理委員会と、明るい選挙推進協会とか、そういうところの役員の方がなっておりましたが、これは恐らく、まあ何といいますか、無報酬であろうと思いますが、こういうところに選挙のPRを頼んでいていいんでしょうかね。私は、何か歴史が古いということは、総理のお好きな変革からいうと、相当旧態依然たる団体のようにお見受けするわけですよ。  新しいアイデアに満ちた新しい選挙の制度を新しい感覚で説いて回るのに適当なところとお考えでしょうか。そういうところに補正予算で何でやみくもに今突っ込まなきゃいけないんだと。補正予算じゃなくたって、暫定予算は新規は盛り込まないといっても、区割り法が決まるまでは実際にはPRはできないんですから、本予算に上げても一向に差し支えのない十八億、こんなふうに思うんですが、自治大臣、もう一遍御所見を伺います。
  324. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 どこでこの事業をやるかにつきましては今選挙部長から御答弁いたしましたが、もう今まで寄附の禁止なりあるいはポスターを見られたと思いますし、あるいは電車の中のつるしも見られたかと思いますけれども、これはずっとこういうことを今までやってきてもらっておるところでございまして、それから、どこか一社の広告会社にというお話がございましたけれども、これは従来八社でちゃんとやっておるわけでございまして、決してそのこと自体は何らその執行に支障があるということではないわけでございます。  それから、なぜ今やらなきゃいかぬかということにつきましては、これはこれだけ政治改革の問題が大きな国民的な関心なり大変な議論を経て修正案が決まれば国会を通過をする。これから御承知のように区割りの審議会の委員、衆参の御了解をいただき、またその後区割りをやり、そしてまた法案になる、こういうことになるわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、大変議論を呼んで、国民の皆さん方にどういうふうに最終決着がついたんだろうかということを周知徹底をする。それは政治改革の問題だけではございません。これは腐敗防止の問題あるいは罰則の強化の問題、こういったことを当然含んでおるわけでございますから、これだけ国民的な関心を呼んだこの問題につきまして、主権者でございます、有権者でございます国民の皆さん方に周知徹底するというのは、私はいわゆる総総会談の重み、平成六年度の予算の審議の前までに成立をさせる、こういう重大性の問題からいったら、今この時期にできる限り早く国民の皆さん方に周知徹底をする、啓発事業を行うというのは、私は当然政府としてやるべきことであるというふうに考えておるわけでございます。
  325. 越智通雄

    ○越智(通)委員 国会であなたがおっしゃる、その宣伝をしようとしている政治改革中身は今変わろうとしているんだから、変わる中身もまだ見定めないでそんな金を渡して印刷されたらたまらぬですよ。国会の意思を軽視するようなものですよ。あくまでも国会の政治改革の方向がはっきりするまでは、かかる予算はストップしなきやおかしいと私は思いますから、もう一遍きちんと御答弁願いたい。
  326. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 ちょっと繰り返しになりますけれども、非常に大事なことでございますので、またまとめて改めて答弁をさせていただきたいと思います。  先般の臨時国会における細川総理と河野総裁の合意では、平成六年度予算の審議に先立って修正を実現させることが合意されており、政府としてはこれを真摯に重く受けとめて、修正法が成立した段階で、その段階における国会の意思を国民に周知するため今回の第三次補正での所要の予算措置を講ずることとしたのであります。  今回の第三次補正に係る周知事業については、あくまでも立法府の意思が確定することが大切であり、修正法の成立以前に予算の執行は行わないことといたしております。
  327. 越智通雄

    ○越智(通)委員 自治大臣の方は、いわばお金を使う方、予算を計上し、それを支出する責任者の大蔵大臣、ただいまの見解について大蔵大臣の御所見を伺います。
  328. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 最後に自治大臣のお答えになったのが政府の正式の見解だと私どもは理解しております。
  329. 越智通雄

    ○越智(通)委員 補正予算の中において私は、この予算はそういう意味で凍結されたものと認識さしていただきます。  以上をもって私の質問を終わります。
  330. 山口鶴男

    山口委員長 これにて越智君の質疑は終了いたしました。  次に、中山太郎君。
  331. 中山太郎

    ○中山(太)委員 当予算委員会の最後の質問者でございます自由民主党の中山太郎でございますが、きょうは、主に外交、安全保障関係を中心に最後の質問を申し上げたいと思います。  最後の質問に入ります前に、十二月一日の予算委員会で私は細川総理に申し上げたことを今まだよく覚えております。世の中、大変構造不況でみんなが大きな不安を持っている、だから、とにかく総理は年内にこの予算編成を終わられることが大切である、二月の十一日の日米首脳会談というものを我々は非常に重大に考えておる、そのためには予算をきっちり組み上げて訪米されることが望ましいということを申し上げた。そのときに総理は、できるだけそのように努力するという御答弁をいただいたわけでありますが、結果としては年内予算は編成できず、日米首脳会談は総理のお言葉をかりればよい会談だった、こういうふうなお話でございます。  私は、今、日本の国民の率直な平均的な感情というものは一体どうなっているのか、こういうことを率直にきょうは最後に申し上げておきたいと思いますが、日米首脳会談の総理の御発言、ノーと言える日本になったということでよかったのかどうか。それから続いて起こる円高、これによって国民は、特に中小企業の方々を含めてこれから一体どうなるのかという大きな不安に襲われたことは現実の問題であったと思います。  そういった中で、一方では内閣改造の問題が毎日のように新聞、テレビで報道されている。そして、あるときは総理言葉が決定されたような情報として国民に流される。しかし、明くる日になると、ころっとその状況は変わってくる。そして、新生党あるいは公明党と総理とが話し合いを深めて、官房長官対立をしているという構図が国民の頭の中にマスメディアを通じて毎日のように実は流れ込んでおりまして国民から見ると、経済は一体どうなるのか、予算は一体いつ成立をするのか、そして内閣は一体どんなことになるんだろうかといったような感情があるのは私は否定できないと思います。  そこで、今晩の新聞を見て私はびっくりしたのですが、-けさ総理はこういうことをおっしゃっているのですね。次の選挙、次の  「選挙を戦うには、統一会派を組まないと戦えないのではないか、という話をしたことはある」と述べ、小選挙区比例代表並立制で行われる次期総選挙に向けて、同構想の検討を日本新党幹部に指示したことを認めた。   また首相は「二大政党とか穏健な多党制とかは将来の話で、当面の選挙とは切り離して考えなくてはいけない」 こうおっしゃったと新聞は夕刊で報道をしておるわけでございますが、総理、これは事実だったのでございましょうか。
  332. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 御質問は、いろいろお話がございましたが、その統一会派の問題一点というふうに理解をしてよろしいのかと思いますが、いずれにしても、連立八党で選挙を戦っていくということはなかなかこれは難しいであろう、これはやはりできる限り大きく一緒にまとまって選挙を戦うということでなければ戦えないであろう、こういう趣旨のことは申し上げました。
  333. 中山太郎

    ○中山(太)委員 今の総理の御発言に対して官房長官が、この総理の「「大会派」構想というのは「膨張主義だ」と指摘、同時に「帝国主義」との表現で批判した。」と書かれているのですが、これは官房長官、そういうふうな御発言をなさったんでしょうか。
  334. 武村正義

    ○武村国務大臣 きょうはある新聞の一面トップの記事を、私は中身は読んでいなかったのでありますが、廊下を歩きながら記者から説明を受けまして、いや、まあ将来のことは孤立主義も膨張主義もあかんよと、こう関西弁で笑いながら言ったのがそういう記事になってしまいました。  しかし、笑いながら言った言葉でありますが、これは事の真意がよくわかっておりません。私はそういう状況の中で言った言葉でありますが、たまたま昨日質問で、ここでは、今後の政党の関係あるいは選挙を前提にした政党の連携というものは、時代の認識や政治の理念、政策、そして政治の体質、手法、三つの条件を挙げまして、こういう条件で遠近が決まっていっていいのではないか。要するに、より近い政党なり政治グループが連携し合う、そういう状況が生まれていくのが一番自然だということを私はここで申し上げたわけでありますが、私はそういう考え方を持っているものですから、単に数が多い少ない、一挙にまとまったらいい悪いという、そういう論議にはいささか違和感を感じているということであります。
  335. 中山太郎

    ○中山(太)委員 膨張主義であろうと帝国主義であろうと、それは官房長官の御発言のことですから私はとやかく申しませんけれども、昨晩のNHKのテレビを拝見していると、総理夫人が新聞を批判して、総理と官房長官はとっても仲がいいんですと、こういう発言をされておられる。  官房長官は、新聞報道によると、村山委員長と民社党の大内委員長に電話か何か知りませんが連絡をして、この改造は好ましくないと、こういったことで三者の意見が一致したというふうに報道されていますが、そういう事実は、官房長官、あるんでしょうか。
  336. 武村正義

    ○武村国務大臣 総理のお言葉どおりで、そういう状況であるから、幸い、私のような人間でありますが、半年余りこの大役をどうにか務めさしていただいているというふうに思っております。  今ほかの政党、大内さんおられますね、大内さんとか村山さんの関係につきましては、少なくともこれは、新生党の羽田党首も公明党の石田党首も、村山さん以外は全部閣内でございますから、政局のさまざまな問題が起こるたびに、ごく自然な形で、いろんな形で意見交換をさしていただいております。  まあ報道はかなり先を行っておりますから、何か社会党と民社党と私どもがもう統一候補を出すことを決めたような見出しの記事がございましたが、そういう話はまだ一度もしたことはありません。
  337. 中山太郎

    ○中山(太)委員 官房長官の御答弁で、大体事の本質が一体どのようなところに今流れつつあるのかと、また新聞の報道は先走っていると、こういう官房長官の御答弁がございましたが、火のないところに煙は立たぬと昔の人が言っておりますが、これだけ連日、内閣改造の話が新聞、テレビをにぎわしますと、私は国民というのは、細川連立政権は一体どう組みかわるのか、官房長官は閣内にとどまるのかあるいは閣外協力をするのか、はっきりわからないなと、こういったような印象が非常に強く流れている。  私は、そのようなパワーポリティックスというのか、政治権力闘争といったようなまがいのことを閣僚がいろいろとおやりになるような日本の今の状態ではないと思うんですね。私は、本当に真剣に考えていただかないと、日本というのは大変なことになっていくんじゃないか。  そこで、総理に私はお尋ねをいたしたいのですが、総理アメリカとヨーロッパの関係というのをどのようにお感じになっていらっしゃるんでしょうか。
  338. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 大変難しい御質問でございますが、アメリカとヨーロッパ、今ヨーロッパといってもさまざまでございましょうから、何というふうに表現をしたらいいのかちょっと私も戸惑いますが、少なくともヨーロッパとアメリカとの関係は、特に英米の関係は、もうこれは申し上げるまでもなく極めて近い親戚だということでございましょうし、身内ということでございましょう。ヨーロッパの中で、フランスあたりはあらゆる問題について、例えばウルグアイ・ラウンドの問題などにつきましても相当アメリカとは激しくやり合ってまいりました。事あるごとに、文化的な問題も含めてアメリカとは一線を画しているという感じがいたしますが、お互いに率直に物を言っている、言い合える、そういう関係なのではないか、そういう感じは持っております。
  339. 中山太郎

    ○中山(太)委員 私は、ここではっきり内閣の閣僚の方々に申し上げておかなければならないと思う。私も海部内閣で外務大臣を二年三カ月やって、いろいろと外交交渉をやってきた経験者として申し上げると、あるときはアメリカとヨーロッパの間に激しい論争が起こることもある、しかし利害が一致したときには、この人たちは全部一つに固まって共通の相手に戦いを挑んでくるという一つの大きな歴史があるわけです。そこで、日本アメリカとECとの関係というものを外交的に内閣全体がはっきり把握しておかないととんでもない間違いが起こってくるのではないか。  例えば日本アメリカとの関係は、御案内のように、一九八一年以来日本は一方的に黒字を計上してきて、今年は最大の黒字幅を日本が上げている。アメリカの貿易赤字の半分は、何といいますか、日本との貿易によって起こる赤字である。  アメリカとカナダとメキシコが一つになった自由貿易圏、NAFTA、このNAFTAとECとの間の輸出入のバランスが最近報告されていますけれども、これを見ると、ECからNAFTAに対しては千六十一億ドル輸出をしているわけです。そして、NAFTAからECに対しては千百六十八億ドル、こういう形になって、大体バランスがとれているわけであります。  そして、日本アメリカの間では、日本から千二十二億ドルアメリカへ輸出して、アメリカから日本は五百六十億ドルの輸入をしている。つまり、日本が一方的に黒字を計上している。  日本とECとの関係を見ると、日本からは五百九十六億ドル、約六百億ドルの輸出をして、ECは日本に対して二百七十三億ドルという輸出をやっているために、まあほぼ半分の、いわゆる日本は向こうのECの輸出額に等しいような黒字を計上している。そこで、ECとアメリカとの日本に対する利害は共通の条件がそろっていることを外交を経験した人間としては大変厳しく見ているわけであります。  そこで、これをいろいろな動きを実はトレースしてみると、一九九三年、昨年の十二月ですね、七カ国の蔵相・中央銀行総裁代理会議日本の景気対策のおくれに懸念を表明しているわけですね。そして、二月に四極の通商閣僚会議を開いて日本に市場の開放を求めることでもEC委員会と合意に達しているわけですね、これ。また、今年の一月十一日にヨーロッパを訪問したアメリカクリントン大統領とECのドロール委員長、この会談で日本市場の開放を求めることで一致しているわけです。こうして、内需拡大と市場開放による黒字の削減を日本の公約と見て、共同歩調をアメリカとECがとることを具体的に協議が行われている。  こういった状況の中で、総理は、アメリカでの大変御苦労いただいたと思いますが首脳会談で、いい会談であった、こういうお話をされておられます。ところが、日本の全権大使である栗山君が何と言っているかというと、総理の言っておられる成熟した大人の関係だ、こういう御発言に対して、意見の不一致を率直に認め合うことが日米関係が大人の関係になってきていることだと言うが、現実的にそうかというと絶対そうだと言えるほど日米関係が成熟した関係であるとは自分は思っていない、殊に今回のことが実際に信頼感の欠如に起因している以上、なかなか大人の関係になっているとは言えないということを記者会見で言っているわけです。  一方は日本国を代表する総理大臣、片っ方は日本国の天皇の認証を受けた特命全権大使、この立場で、この成熟した大人の関係という総理の発言に対して、これを批判をしているのか、あるいは言いわけをしているのか、これは非常に大きな問題だと私は実は見ているわけであります。いまだかつてこんなことはございませんでした。  ここで、東京にいるモンデール駐日アメリカ大使は、十八日記者団に対して、細川首相は官僚たちと同様に政治改革にかけたほどの力を市場開放など経済改革に注いでいるとはまだ見られない、こう言っているわけですね、駐日アメリカ大使は。大使は、手続の面の改善だけでは不十分だ、市場開放についての進展度をはかる方法が必要だ、こう言っているわけですね。これはアメリカを代表して言っているわけです。そして日本の官僚たちは、ただノー、ノーと繰り返すばかりで、論争点を記録することにより興味を持っているようだ。  こういう日米首脳会談の後我々が一つの背景を、昨年の年末のヨーロッパにおける動き、そしてアメリカのワシントンでの首脳会談、首脳会談が終わって帰ってこられた総理の御発言、それを受けた今度は日本の特命全権大使がワシントンで記者会見で総理言葉を批判している。これで一体日本の外交というものはうまくいくのか。  外務大臣、いかがでしょう。外務大臣も午前四時ごろまで外相会談で大変御苦労をされたということ、私はよく知っております。大変御苦労さまでした。私も経験を持っておりますから、どんな苦労をされたか大体推測はつきますけれども、少なくても駐米の特命全権大使が総理大臣の発言と違う発言をするということはいかにこの問題が大きいか。これは外務大臣としてひとつはっきりとお答えをいただきたい。国民がこの報道を見てそう感じているわけです。御答弁を願います。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  340. 羽田孜

    羽田国務大臣 間違いなく私も首脳会談に出席をさせていただき、あるいは昼食会またその他での話し合い、ここに同席をいたしておりましたけれどもクリントン大統領と細川総理は本当に率直な話し合いをされておったということ、これは率直に申し上げます。また、カンターさんと私どもとの話し合いも、むしろ私どもは、やっぱり日米関係というのはいろんな面で協力関係というのは今でき上がってくる。これはもう先輩たちが御努力いただいたこと、私も率直にあれするわけです。  しかし、そういう中にありまして、私はやっぱり何とかまとめることが大事なんじゃないのかという話をしている中で、いや、もうここのところへくると、やっぱりなかなかお互いに意見が食い違うね、しかしヨーロッパあるいはカナダと、そういうところとは年じゅうやっぱりこういうことはある、それをあんまり気にするよりは、一回頭をお互いに冷やそうじゃないかというような話がありながら、私どももう一度物差し、こういったものについてもお互いに離れて考えてみょうじゃないかということで実は別れたということでありまして、決して争ったものじゃありません。  そして、そういう中で、何か会見で出たときにも、あるいはいろんな人たちも、大人あるいは成熟ということが割合と大きくこうやって報道される。そういう中で何というのですか、日本がやっぱり黒字であったというところに一番大きな問題があるわけなんですから、それをただ、大人、成熟ということだけで盛んに報道されるという中で栗山大使のああいう発言があったということで、栗山大使もずっと御一緒に席におられたわけですから、本当にいい関係にあるということは、私は車の中でも実は栗山さんから、いや、非常にお互いの気持ちというのがよく一致しているねということを言っておられたぐらいでありますから、私は、皮肉とかあるいは反対で言われた言葉じゃないというふうに思っております。
  341. 中山太郎

    ○中山(太)委員 私も、首脳が記者会見されるときにおった、日本で事業をやっているアメリカ人から直接報告を受けたんですが、この日米協議をやった双方の官僚の中にも、お互いが不信感を持っていた、わかっていない問題が非常に多い、こういうことを私に連絡をしてきた者がおります。  だから、やはり日米関係というのは、そういう意味では、ECとアメリカとの貿易勘定を見て、一九八〇年代の終わりは、やはりECの方が黒字を出していたんですね。それを、アメリカとECの間で調整をして今日申し上げたような大体フラットな形に持ってきたというのは、私は、ECの一つの政治的な努力の結果であり、それがアメリカとECの信頼関係を醸成している一つの大きなケルンプンクトだと思うのです。  こういうことを考えると、やはり日本の外交というものと通商というものは非常に大きな意味を持っている。しかも、アメリカとヨーロッパの間には北大西洋条約機構という条約が厳存しているわけです。日本アメリカとの間には日米安保条約というものが厳存している。  そこで、通産大臣にお伺いをしたいのですが、通産大臣は安保条約をごらんになったことあるでしょうか。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  342. 熊谷弘

    熊谷国務大臣 委員ほど勉強しているとは思いませんが、読んで勉強したことはございます。
  343. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これは、安保条約の経済条項というのが我々の国家一つの条約上の義務として厳存しているわけです。それを改めて私はここでもう一度読ましていただきたいと思うのです。  この第二条に「締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」これは条約上の義務なんですよ。だから、ヨーロッパとアメリカの間にはこの条約がきちっと正常に機能している。ところが、日本の方は機能していないわけです。防衛的な面だけは機能しているけれども、通商における問題の解決に対して、私は、日本側に一つの大きな責任があるということをきょうは指摘をしておきたいわけです。  そこで、総理大臣、これはやっぱり大変大事な問題なんですよ。この日米安保条約というのは、双方から一年前に通告すれば廃棄することができるような条約の条文がはまっているわけです。  そこで、日米安保条約に反対してこられた政党の方も閣内に今回入っておられる。そこで我々は、経済的にこの条約上の義務を負っているということを申し上げると同時に、安全保障の面で非常に大きなアメリカとの関係を有しているわけです。  その安保条約が日本の国民にどのように理解されているか。案外、戦後四十五年間の平和と安全というものが、まあ口幅ったい言い方であればお許しをいただきたいのですが、自由民主党政府がこれを守ってきたから今日の日本国の繁栄が私は裏づけとしてできておったと思うのです。これは、民社党は我々と同じお考えです。公明党は初めのころは日米安保条約反対なんだ。社会党もそうですね。  どうですか、伊藤運輸大臣。あなたも熱心にやっておられましたが、どうですか。ちょっと一回御答弁ください。
  344. 伊藤茂

    伊藤国務大臣 御指摘のとおりに、特に六〇年安保改定、何かそういう全国の運動の中心の歯車の一つの仕事をさせていただきました。  今いろいろと思うことがございます。世界も大きく変わりました。そのような中で、やはり軍縮化、平和の時代を目指しながら、現実、具体的にどのような一歩一歩を考えるべきなのかということが大きな責任というふうに考えております。
  345. 中山太郎

    ○中山(太)委員 日本国にとって、経済の問題と安全保障の問題というのがこの安保条約の中にきちっと規定されているわけです。  そこで、この日米安保条約が、かつての社会党、かつての公明党さんの一時の時期、そういうことから考えてみて、現在は内閣へ入って、安全保障政策、外交には前内閣の考え方を踏襲する、こう言っておられますけれども、どうでしょう、防衛庁長官日米安保条約というのが日本でもし働かなくなったら日本の自衛隊だけで日本は守れるのですか。どうでしょうか。米ソの冷戦が終わって、世界は平和になるとみんな希求をしたわけですけれども、現実は不安定が続いているわけですね。それは防衛庁長官として、日本の防衛に責任を持っておられる長官はどのような考え方外で、日本の自衛隊というものは、もし単独で日本を防衛する場合には、どれだけの継戦能力が今あるか。
  346. 愛知和男

    ○愛知国務大臣 米ソの対決が終わりまして新しい国際情勢になりましたけれども、かえってこれから世界がどうなるかということがわからなくなった、そういう状況の中で日本の安全保障をどうこれから考えていくかという点から申しますと、日米安保体制というのは今までより増して大事になってきていると思っております。  お尋ねの、自衛隊だけでどの程度継戦能力があるかという御質問でございますが、これはいろいろそのときの事態の様相によって変わるということでございますが、あえて申し上げますと、陸上自衛隊の、例えば一つの指標みたいなもので弾薬を取り上げていいますと、おおむね一カ月程度の継戦が可能だろう、こういうふうに承知しております。
  347. 中山太郎

    ○中山(太)委員 防衛庁長官、一カ月とこうおっしゃいましたね。この日米安保条約をもっと読んでいきますと、国連との関係が明文に書かれていますね。つまり、日米安保条約が機能をしているのは国連軍が日本に到着するまでだ、こういうことが書かれているわけですね。だから、日米安保条約には国連へ協力ということが両国の条約上の義務として書かれているわけです。  そこで、一カ月ということになりますと、それを補完する機能としてアメリカの駐留米軍、駐日米軍ですね、これが日本の安全保障に大きな貢献をしておる。しかし、それは単に日本だけの安全を保障しているものではない。このアジア・極東における平和と安全の確保にはこの日米安保条約というものが大きな貢献をしているということは、アジアの国々も最近非常に認識を深めてきたと思うのですが、どうですか、防衛庁長官、その考え方は。     〔委員長退席、後藤委員長代理着席〕
  348. 愛知和男

    ○愛知国務大臣 御指摘のとおりだと思います。  日米安保体制・条約というのは、東西対決の時代ですと、西側の陣営としての日米でございました。その東西対決、対立関係が崩れて、日米安保体制というものもおのずとその内容が少しずつ変わってきている面がございまして、つまり、グローバルな東西という図式の中での日米安保から、地域的な安全保障という、そういう面で日米安保体制が意味を相対的に持ってきている、こう言われておりまして、そういう意味で、このアジア・太平洋地域で日米安保体制が持つ意味というものは従来より増している、こういう認識でございます。
  349. 中山太郎

    ○中山(太)委員 日米安保の持つ意味が以前より増してきた、こういう防衛庁長官の御答弁をいただいたわけです。  そこで、駐留米軍経費というのを国民は税金の中から支出しているわけですね。この駐留米軍経費というのは、今年、四万七千人の駐留米軍の一人当たりのコストで計算すると、どれぐらいに現在なっているのでしょうか。
  350. 愛知和男

    ○愛知国務大臣 在日米軍駐留経費負担額ですが、平成五年度で申しますと、総計二千二百八十六億円、こういう金額になっております。
  351. 中山太郎

    ○中山(太)委員 一人当たりに換算すると、今年あたりは九万ドルくらいになるんじゃないでしょうか。
  352. 米山市郎

    ○米山政府委員 米軍一人当たりにいたしますと、五千七百万程度になろうかと思います。
  353. 中山太郎

    ○中山(太)委員 五千七百万。
  354. 米山市郎

    ○米山政府委員 さようでございます。
  355. 中山太郎

    ○中山(太)委員 五千七百万円程度になる、こういうことですね。それは間違いないですね。  これが、平成八年に地位協定の改定の時期が来るわけです。その時点では一体幾らの予算になるか、それをお答え願いたい。
  356. 米山市郎

    ○米山政府委員 私ども平成六年度の予算として要求いたしておりますのが、約二千五百億円でございます。
  357. 中山太郎

    ○中山(太)委員 私がお尋ねしているのは、平成八年三月には現在の地位協定が終わるんですね、期限が。その終わる最終年度は幾らになるかということを、防衛庁、予算の中でちゃんと組んでいるでしょう。     〔後藤委員長代理退席、委員長着席〕
  358. 米山市郎

    ○米山政府委員 平成八年の三月に現在の特別協定を含めて終期が来るわけでございます。  平成六年度予算と平成五年度予算、約二百四十億円ほどの増加ということになりますので、概算をいたしますと、二千五百億円に約二百四十億円、その辺は確たる数字としてまだ積算したわけでございませんので御了承いただきたいと思いますが、約二百四、五十億円をそれに加えますと、約二千七百四、五十億円というところに落ちつくのではなかろうかと思います。
  359. 中山太郎

    ○中山(太)委員 私がこれをなぜきょうお尋ねしているかというと、日米関係がこじれてくると、いろいろな経済的な、ノーと言っただけでは日本は済まない事態が起こってくるわけです。  その問題点の一つが北朝鮮なんです。韓半島に、大体北で百万人の軍人がいるわけでしょう。南は五十五万の軍人がいて、対決しているわけですね。そういったことで、この間総理からの御答弁があったように、クリントンさんとの会談では、日本は、北朝鮮の国連の安全保障理事会の制裁決議があった場合、我が国の憲法と法律の範囲内において協力をするということを公約されたわけですね。  こういうことを考えると、日本の安全保障政策基本的な概念というものをここでもう一度考え直そうと総理はおっしゃっていますね。つまり、総理の私的諮問機関の委員会をつくりたい、こうおっしゃっています。科学技術が発達した世の中でどういうふうに考えるかということをこれから諮問するとおっしゃっているのですが、総理はどういうふうにお考えなんでしょうか。
  360. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今お尋ねの点は防衛大綱の見直しという観点でございましょうか。その件に関しましては、大綱ができましてからもう既に二十年余り経過をしておりますし、大綱の考え方の大筋は結構なものだと思っておりますが、現時点でもなお妥当な部分が多いと思っておりますが、しかし、何と申しましてもやはり二十年近く前のことでございますから、基本的な考え方につきましても、東西の冷戦が崩壊をした中で、改めてやはり日本意味のある防衛力というものはどういうものであるべきかということについて考えてみる必要があろう、こういうふうに思っております。  そこで、防衛懇談会というものを月内にも、近いうちに発足をさせまして、そこにおきまして具体的に防衛のあるべき姿について考えていただきたい、できれば六、七月ごろまでには考えていただきたい、このように思っているところでございます。
  361. 中山太郎

    ○中山(太)委員 新しい防衛の基本計画を立てるために諮問をする、委員会を発足させるというお話ですが、北朝鮮の問題は、この間、渡辺美智雄委員が触れられましたけれども、ここは核を持っている、ミサイルを持っている、こういったようなことで、私ども日本にしてみると絶えざる警戒が必要である。こういうことから防衛庁はAWACSの予算要求をしておられると思いますが、防衛庁、いかがですか。
  362. 愛知和男

    ○愛知国務大臣 特に北朝鮮のことだけのためにAWACSを要求しているわけではございません。日本のそもそも専守防衛という基本方針からいいまして、情報を早くキャッチをする、それに対して体制を整えていく、そういうことが肝心ということで要求をしているわけでございまして、特に北朝鮮を意識して要求しているわけではございません。
  363. 中山太郎

    ○中山(太)委員 特に北朝鮮を意識してAWACSの予算を要求しているわけではないというお話でございますが、先ほど私申し上げたように、総理はこの間、国連が経済制裁を初めいわゆる北朝鮮に対する核の査察の問題で各国の同意が得られなければ安保理事会はそういう決議をする可能性がある、その場合に日本国としては憲法と法律の範囲内で協力をしますということをお約束された。  現在、この日本には、この国連の制裁決議を受けた場合に、国連軍の基地というものがあるわけですね。それは御存じでしょうか。どうですか、防衛庁長官
  364. 村田直昭

    村田(直)政府委員 御指摘のとおり、国連の後方基地が我が国にあるということを承知しています。
  365. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これは一カ所じゃないんですね。キャンプ座間、横須賀の海軍施設、あるいは佐世保の海軍施設、横田の空軍基地、あるいは嘉手納の空軍基地、あるいは普天間空軍基地、ホワイト・ビーチ地区と、ちゃんとこれ、国連軍の基地として日本にあるわけですよ。そのもしもの経済制裁あるいは軍事制裁等が行われるということになったときに、ここの基地が国連軍の基地として活動を開始する可能性は十分我々は考えておかなければならない。  そういったことを含めて、私どもは、やはり北朝鮮を孤立させないようにあらゆる手段を外交的にとる必要がある。こういうことで外務大臣には御苦労をいただいておると思いますが、この点がアジアの現在の一番大きな問題し  それからもう一つは、やはりここにおいても米軍の日本における駐留というのがこの安全保障にとっては非常に大きな意味を持ってくると思うんです。  そこで、私は率直に申し上げて、やはりこういう状況というものを十分閣僚が認識をしておいていただかなければならないということが一つ。  もう一つは、このAWACSを購入するということも一つの方法かもわかりませんが、宇宙偵察衛星ですね、偵察衛星を日本は上げることができるようになったんじゃないか。つまり、この間、科技庁の宇宙開発事業団で国産ロケットHⅡの打ち上げに成功した。今まではアメリカのライセンスにひっかかってなかなか思うように日本の独自ですることはできなかった。しかし、この間の成功以来、放送衛星初め、あるいは通産省の資源探査衛星も含めて、我々は衛星を自力で上げることができるようになった。  これは、宇宙開発委員長でいらっしゃいますから科学技術庁長官、この安全保障のための、安全のための衛星を上げるということは、科学技術庁長官の宇宙開発委員長としてはどういうふうにお考えになります。
  366. 江田五月

    ○江田国務大臣 HⅡロケットの成功で、三万六千キロの静止軌道に二トンのものを打ち上げることができる能力を日本が一〇〇%自前で持つようになったわけでございまして、その偵察衛星というもの、安全保障目的の衛星というのがどの程度のものであるのか、私ども研究をしておりませんからわかりませんが、常識的に考えれば、技術的には二トンの重さの範囲内であろうと思われます。  したがって、技術的にはこれは可能性があるということになると思いますが、しかし、これはもう外交、科学技術に造詣深い中山委員でございますから釈迦に説法ですが、我が国の宇宙開発事業というのは、宇宙開発事業団法、あるいはその法の直前の衆議院の本会議の決議でございますね、ここで平和目的ということに限定をされておりまして、そのこと自体は大変大切なことで、平和目的でここまで宇宙活動の技術開発をやってきたからこそ日本がこれからいろいろな可能性を持つことができると思うわけですね。  したがって、その偵察衛星、安全保障目的だとしても、これが平和目的というもののらち外に出るのか、あるいはその範囲にとどまるのかというところが一つポイントでございまして、平和目的というのは一体何であるかという国会の議論がいろいろございまして、政府の統一見解というものも出されておりまして、そのあたりのところは検討を要する。ただ、具体的に今偵察衛星を打ち上げる計画というものは承知をしておりませんから、そういうものがまた現実化するような事態のときに十分検討さしていただきたいと思っているわけでございます。
  367. 中山太郎

    ○中山(太)委員 御案内のように、AWACSは飛行機ですから、どこへでも飛んでいって、高空において戦闘機を集中管理しながら防御態勢をしくわけですね。そのためにAWACSを買うわけです。この衛星というのはそういう機能はないんですね。あくまでこの日本の周辺の各国の変化、それを知ることによって日本の国民の生命と財産を守るために貢献をする機能を持つわけですから、平和の目的にはまるわけです。  それで、国会決議がある、あるいは宇宙事業団法というものが制定されたときに、「平和の目的に限り、」とこれは書いてあるわけですね。これは改正することができるんですね、幾らでも。そうでしょう。国会の良識ある判断さえ整えばこれはできるわけです。あるいはこの国会決議も同じことですね。  世界は絶えず変わっている。日本も変わっている。こういった中でAWACSに五百億近い金を使うということになれば、衛星を上げる場合には、一発上げてもまあ二百億円ぐらいなものでしょう。そういうことを考えれば、将来の日本の選択として、日本の平和を守るために海外の情報を収集する偵察衛星というものを打ち上げることが国家と国民のためになるという考え方を持つことはできないんでしょうか。総理大臣、いかがですか。
  368. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今江田長官が御答弁をされたことに尽きているというふうに私は思っております。  まさに国会決議でありますとか、あるいは統一見解でありますとか、そうしたものとの兼ね合いもございましょうし、また現に今そのような計画がないということも今御答弁であったとおりでございます。将来のこととして関心は持ってはおりますが、今後とも注意深く検討をしてまいる必要があろう、このように思っております。
  369. 中山太郎

    ○中山(太)委員 今後とも注意深く検討をしていく課題だというふうに総理がおっしゃったわけですが、私は総理大臣の答弁としては、今の宇宙開発事業団法と国会決議を踏まえて、そのような御答弁は当然だろうと思いますけれども国家の将来というものを考えるために防衛基本大綱というものをここでもう一度見直そうということを先ほどおっしゃったところですね。  そういう中には、あなたのおっしゃっている、科学技術の発達した今日においてと、こういう前提がこの間の御発言についているわけです。そういうことを踏まえて、これも検討課題の中に入れるということぐらいは総理大臣として当然、日本の技術水準がここまで上がったんですから、それぐらいのことはひとつ自信を持って検討さしてみるということをおっしゃってもおかしくないと私は思いますよ。
  370. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 昨日御答弁でも申し上げましたが、偵察衛星がそのテーマに入るかどうか、いずれにしても私は、防衛大綱の見直しをお願いする中で、科学技術の著しい進捗といったようなことも当然踏まえて御検討をいただかなければならないと思っておりますし、このような具体的なテーマについて今一々申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、当然科学技術の進歩というようなことも含めて御検討をいただきたいものだというふうに思っております。
  371. 中山太郎

    ○中山(太)委員 最後の質問の時間になってまいりましたが、私は最後に、来月、羽田外務大臣はモスクワに行かれて日ロの外相会談を持たれますね。いかがですか。
  372. 羽田孜

    羽田国務大臣 今福田外審等がモスクワを訪ねておりまして、そういった問題等について、私が行けるか行けないかという問題等についても今話しているところでありまして、そういうことの可能性というのは十分あると思っております。
  373. 中山太郎

    ○中山(太)委員 私は、ロシアとの外交というものも、私自身もやってきましたから率直に申し上げるのですが、世界のロシアに対する認識はもう冷戦時代とは全然違う。そういった中で、軍事交流が非常に活発に行われているということは、外務大臣、十分認識しておられると思います。  例えば、ロシア艦隊というのは、中国の青島に昨年の八月に公式訪問しているわけですね。また、韓国に八月に行っているのですね。それから、アメリカのサンディエゴにもロシアの艦隊が入っている。  こういう中で、昨年九月の八日、ワシントンではアメリカとロシアの防衛担当の大臣が会談をやっているわけです。そして、PKOの共同訓練を一緒にやろう、こう言っているわけですね。きのうあたりボスニア・ヘルツェゴビナの収拾に成功したロシアのこの外交とPKO活動、これは私はロシアの外交の一つの得点だと思いますけれども、こういう中で、我々の、まあ同じ日本人である明石さんが大変苦労をされておられる。こういった中で、私は、もう少し日ロの外交交渉、軍事交流というものを積極的にやっていくことが非常に信頼醸成、安全保障を強めていく上で大切であるということを思うのです。  例えばロシア側からアメリカ、ヨーロッパ各国、南米まで公式訪問団が出ています。また、アメリカの人たちがロシアに行っている。特に海軍の作戦部長が、セントペテルブルグで海軍大学で講演をしているのです。  こういう中で、例えばドイツ。ドイツの空軍司令官あるいは海軍の司令官はバルト艦隊を視察しているわけです。韓国も、これは合同参謀本部の第一次長の宋将軍というのが公式に訪問しているわけですね。中国も国防大臣が訪ロをしているわけですね。インドもそうですね。フランスもそうですね。イタリーもそうです。ノルウェーも行っているわけです。スペインも行っている。こういった中で、隣国である日本とロシアとの関係というものを何とか、安全保障の面から考えても、日ロ関係の外交をもっと積極的に展開をしていく必要が私はあるという認識を強めているわけです。  そこで、この間私もワシントンへ行ったときに、アメリカの国務省が旧ソ連に対してどういう医療援助をやっているかという会議に出てみましたけれども、驚くべきことをアメリカはやっている。それは、ワシントンに本部を置いて、そしてロシアのモスクワ、それからウクライナのキエフあるいはカザフスタンに支局を置いているんですね。これは、大使館や領事館と別ですよ。そして、二十一の姉妹関係を結んでいるわけです。  御案内のように、ロシアは、旧ソ連というのは、多民族国家ですね。百以上の民族がある。アメリカも移民国家なんですね。そして、アメリカにいるウクライナ系のアメリカ人あるいはロシア系のアメリカ人、こういったものがそれぞれ連携をとりながら、新しい二十一世紀の米ロ関係というものを構築するように動いている。ドイツはドイツで、ヨーロッパロシアに対して非常に大きな浸透をしていると思います。  こういうことを考えると、日本が、どうして我々はこの問題が前へ行かないのか。まあ北方四島の一括返還ということが国会決議でも行われていますから、我々は領土問題を解決しないと前へ行けないという考え方はありますけれども、領土問題の解決というのは簡単にできません、戦後四十五年間、ロシアでは、ロシアの国民にこれは我々の国の領土だということを教育してきたんですから。  この認識を変えていくのにはお互いが知り合うことの方が一番解決には近い方法だということを、私は外務大臣時代もそういう考え方で外交交渉をやってきましたけれども、今のこの各国の動きをごらんになると、いかに日本がこの北方領土問題で出おくれているかと。平和条約がないということで問題が大きく各国の後ろに下がっている。この隣国である日本というものを考えて、日本海の安全保障というものを考えるときにはこれはほっておけない問題だ。  私は、そういうことから外務大臣あるいは総理大臣にお願いをしたいことは、領土問題の未解決は何もロシアだけじゃないんですね。韓国にも竹島問題があるわけです。竹島問題については、松江市に行くと、竹島を取り戻そうと書いてある。しかしほとんどの人は、竹島は韓国に占領されているんだということの認識は日本人には少ないんじゃないか。こういうことを考えると、領土問題は、日韓の外相会談でも絶えず竹島問題は議題に出しますけれども、我々はやはりロシアに対しても新しい外交の展開というものを、ぜひひとつ羽田外務大臣、相当腹を据えてやっていくことが私は二十一世紀の環日本海の安全のためこ欠くべからざることだということを考えておりますが、いかがにお考えでしょうか。
  374. 羽田孜

    羽田国務大臣 貴重な御意見をちょうだいしましたこと、大変ありがたく存じております。  私ども、やはりロシアとの関係におきましても、安全保障面、そういった問題についても話し合っていかなきゃならぬということで、これはアジア地域全体ということでありますけれども、ロシアあるいは中国、こういったものも含めて、これから安全保障のあるいは政治の対話というものをさらに深めていきたいと思っております。  それから、つい二月の初旬におきましては、東京におきまして第二回目の日ロ政策企画協議、これが行われましたし、また、これは民間レベルでありますけれども日米ロの三極の話し合い、これを東京で第一回目を開きまして、たしかことしの秋ぐらいにまたモスクワでやる、そして来年はアメリカでやるというようなことで、こういった話し合いも安全保障を含めてやっていこうということで、今御指摘のあった点、私どもも十分留意していかなければいけないというふうに思っております。  それと、今、北方領土問題と竹島のお話があったわけでありますけれども、北方問題については、エリツィン大統領が来られて新しい関係ができ上がったということで、そして、これに対しまして、作業部会を設けてこの問題を進めると同時に、平和条約に向かって進んでいこうという大きな実は課題があるものでありますから、やっぱり北方領土問題というのをしっかりと私たちは念頭に置きながら対応しなきゃいかぬと思います。  しかし、今ロシアの改革というのは、いろんな問題が選挙の後にありますけれども、我が国としてでき得る限りの力において改革に協力していく、それによって、あそこに平和でしかも経済的にも安定した地域をつくり出すということは、これは何といっても安全保障上も大事でありますし、また、この地域の発展のためにも非常に重要なものであろうということでありまして、私どももやっぱり腹を据えてこれから交流というものをきちんとしていく必要があろうと思っています。  特に最近進めておりますのは、我が国といたしましても、やっぱり経済的な、お金の面というだけではなくて、いろんなノウハウを必要としているわけですね。特に日本の戦後の復興というもの、中小企業が今日の日本をつくり上げたなんてことまで言われるわけでありまして、そういったものを向こうの方々にも勉強していただこうということのためにセンターなんかも設けるなんという施策も今積極的に進めておるところであります。  ありがとうございます。
  375. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これで質問を一応終わらしていただくことになりますが、私はやはり、きょう外交問題、安全保障問題を中心に自由民主党として最後の質問を締めくくらしていただいたわけですが、ぜひひとつ政府側にお願いをしておきたいことは、何といっても、この日ロの関係というのは軍事交流の面では他国と比べて非常におくれている、これを一体どう決断するかということは、これは羽田外務大臣外務大臣としても大切だし、日本国家としても二十一世紀にかけての大きなやはり外交の意思をつくることになるわけですから、その点は十分御留意をいただいて、ひとつ積極的に新しい時代のための外交を展開していただきたい。  これを申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。
  376. 山口鶴男

    山口委員長 これにて中山君の質疑は終了いたしました。  この際、米山防衛施設庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。米山防衛施設庁長官
  377. 米山市郎

    ○米山政府委員 先ほど、米軍人一人当たりの駐留経費負担につきまして、突然のお尋ねでございまして、私、計算が混乱をいたしまして、間違った数字を申し上げました。大変申しわけございません。  外務省とも突き合わせましたところ、在日米軍の駐留経費負担、いわゆる思いやり予算的な部分と、そのほか演習場等の基地の借り上げ料などもすべて含めまして、一人当たり約千二百万という数字でございます。約十ドル強というところになりますので、訂正させていただきます。まことに申しわけございませんでした。
  378. 山口鶴男

    山口委員長 おかしいな。今のは合わないよ、円とドルが。
  379. 米山市郎

    ○米山政府委員 千二百万、十万ドル。失礼しました、十万ドル強というところでございます。
  380. 山口鶴男

    山口委員長 以上をもちまして平成五年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  381. 山口鶴男

    山口委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。杉山憲夫君。
  382. 杉山憲夫

    ○杉山委員 私は、日本社会党・護憲民主連合、新生党・改革連合、さきがけ日本新党、公明党及び民社党・新党クラブを代表し、平成五年度補正予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。  政府・与党は、我が国経済平成六年度中のできるだけ早い時期に本格的な回復に移行させ、七年度以降の安定成長を確実なものとするため、去る二月八日、十五兆円を上回る史上最大規模の総合経済対策を決定いたしました。  本対策は、質、量ともに充実した文字どおり総合的な経済対策であり、本対策に盛り込まれた諸施策を一体として実施しつつ、今回の補正予算及び平成六年度予算を通じて可能な限り景気に配慮するよう努めることにより、先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済の本格的な回復に資するものと確信しております。  今回の補正予算は、この総合経済対策に盛り込まれた、以下に申し述べる諸施策を実行すべく、特に緊要となった事項について所要の措置を講じようとするものであって、まことに意義深いものと考えております。  以下、賛成する主な理由を申し述べます。  その第一は、年度がわりの春先に向け、切れ目のない対応が図られるよう、相当規模の公共事業等の追加が行われていることであります。  今回の公共事業等の追加は、各地域経済の実情を踏まえ、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配慮しつつ、厳しい財政事情のもと、可能な限り最大限の内需拡大を図るべく、一般公共事業関係費として一兆五千億円、各種の施設費等として四千二百一億円もの追加が行われております。まことに時宜を得た適切な措置として評価するものであります。  賛成の理由の第二は、適切な中小企業対策がとられていることであります。  中小企業を取り巻く環境はまことに厳しく、各企業とも当面の経営安定とともに中長期的な視点から環境変化に対応できるような構造調整を迫られている状況にあります。こうした中で中小企業が雇用調整や事業縮小といった後ろ向きな対応ではなく、新分野進出、新市場開拓など拡大均衡を目指した前向きな対応が図れるよう、環境整備を図ることが重要であります。こうした観点から、中小企業を支援するために中小企業等特別対策費が計上されており、必ずや中小企業の経営安定、構造的変化への対応に資するものと高く評価するものであります。  賛成の理由の第三は、国際化対応緊急農業対策が講じられていることであります。  昨年末のガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の調整案の受け入れにより我が国農業は一段と厳しい環境に置かれることになりましたが、農家の方々の不安を払拭し、将来の展望が切り開けるよう、農業の体質の強化を図り、国際化に対応し得る農業構造を実現することが緊急の課題となっております。こうした事態を踏まえ、農業生産基盤等の整備を加速的に推進することとし、公共事業等の追加を行うとともに、農業の経営規模拡大等に資する農業政策金融の拡充を図ることとしており、適切かつ妥当な措置であると評価するものであります。  以上、三点にわたり理由を申し述べましたが、このほかにも、新規産業の創出と発展への支援を図る新たな融資制度の創設等を行うため、産業投資特別会計への繰り入れが計上され、また、民間都市開発事業の推進を図るため、都市開発資金融通特別会計への繰り入れが計上されていることもあわせ、私は本補正予算が、現在我が国が直面している景気情勢等に的確に対応し得るものと全面的に賛成の意を表するものであります。  その一日も早い成立を強く望むとともに、本補正予算の諸措置が早期かつ着実に実施に移されることが最大の景気対策であるということを申し上げて、私の賛成討論といたします。(拍手)
  383. 山口鶴男

    山口委員長 次に、衛藤征士郎君。
  384. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、ただいま議題となりました平成五年度一般会計補正予算外二案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)  昨年の三月以来、四次にわたって経済対策を策定し、平成五年度予算、二次にわたる補正予算の執行により、景気の回復を図ってきたところでありますが、いまだ回復の兆しを見せておりません。戦後最大とも言われている今回の不況は、景気後退期に入ってから既に三十数カ月になんなんとしております。  政府は、今回十五兆円規模の総合経済対策を発表し、来年度実質二・四%の成長を見込んでおります。減税や公共投資拡大のほか中小企業支援や金融・証券市場への施策等総合的な対策が打ち出されたが、この対策だけで政府の言う成長が達成されるとはとても思われません。  また、本来、総合的な景気対策は昨年末に発表されるべきものであり、政治改革法案の成立のみを標榜する余り、我が自由民主党政府に対し強く要求してきた予算の年内編成をおくらせた上に、最も国民が望んでいた景気対策をないがしろにし、さらに日米会談の決裂による円高など国民生活に重大な影響を与えた政府の行為は極めて遺憾と言わざるを得ません。このような政府の現状認識の甘さに危惧を持つものであり、今後の景気回復を図るためにも、今後より一層の対策を要望するものであります。  以上、苦言を呈し、しかしながら、本年以降、来年に向けて雇用情勢など、さらに悪化が予想されている現状にかんがみ、景気の回復、国民生活の安定に資するとの観点から、我が党としても、当補正予算に賛成するものであります。  まず、賛成の理由の第一は、公共事業等の追加であります。  御承知のとおり、公共事業は冷え切った景気を立て直す上で最も効果のある政策であり、我が国経済の速やかなる回復を図り、一日も早く出口の明かりを見つけ出すために、今回の追加措置は時宜に合った措置であります。  賛成の第二は、中小企業等対策費の追加であります。  我が国経済を支えている中小企業が、経済の構造的な変化に対応し、経営の安定と活性化を図るために融資等を行うためのものであり、適切な対応と考えられ、評価するものであります。  次に、明るい選挙推進委託費十八億円については、当初、我が党としては、政治改革関連法の修正をめぐる連立与党との協議に結論が出ていない段階において本補正予算に計上することは、財政法上においても問題があり、到底認められるべきものではないと考えていましたが、本日の委員会において、政府より、本補正が成立した後においても、修正法案が成立するまでその執行を停止する旨の発言があり、これを了とするものであります。  最後に、本予算委員会においては、再三にわたり、細川総理の佐川急便からの一億円借入問題の真相解明のために、質疑を行い、あるいは資料提出を求めていたところであります。  しかるに、総理はあいまいな答弁を繰り返し、また、提出された資料は不備、稚拙をきわめ、到底真相解明に資するものではなく、疑惑はむしろ深まっていると言えるのであります。政治改革を標榜する細川総理は、委員から要求されるまでもなく、疑惑に対しては率先してみずから明確な答弁を行い、また、資料を提出されるのが総理としての政治姿勢であり、責任ではないでしょうか。  本日、山口委員長の提案により、国政調査の一環として、昭和二十九年以来適用されていなかった国会法第百四条に基づく資料要求を行うこととなった事態はまことに重大であり、かかる事態を招来せしめた細川総理に反省を促すとともに、今後は政治家としての良心と責任感を持って真摯な態度で対応されるよう要望するものであります。  また、総理は、事務について深山秘書に任せていたということであるから、我が党としては、真相解明のために本委員会への深山正敏秘書の証人喚問を強く要求しているのであります。  以上、申し上げまして、私の賛成討論といたします。(拍手)
  385. 山口鶴男

    山口委員長 次に、穀田恵二君。
  386. 穀田恵二

    穀田委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の平成五年度一般会計補正予算その他二件について、反対の討論を行います。  今求められている補正予算はどんなものでしょうか。それは、深刻化する不況の打開のために、真に有効なものでなければなりません。ところが、本補正予算は、戦後最悪の長引く不況を打開するかぎである増税なしの減税を直ちに実施し、国民の購買力を引き上げ、消費を回復、拡大させるものになっておりません。しかも、近い将来の大増税を前提とし、不況の一層の悪循環を引き起こしかねない内容を含んでおります。これが反対の第一の理由であります。  予算案の柱には公共投資が据えられていますが、公共事業を食い物にし、国の予算を浪費してきた政官財の癒着、ゼネコン疑惑にメスを入れないままでは、巨額の浪費が温存され、不況に苦しむ圧倒的多数の中小企業が潤いません。中小企業の支援対策では、新事業育成貸付制度など、そのほとんどはリストラを進める中堅以上の一部の企業に限られ、また、せめて政府系金融機関は公定歩合並みの金利でと訴える多くの中小企業の要求にはほど遠いものとなっています。  雇用対策について言えば、膨大な内部留保をため込む大企業の人減らしの横暴を厳しく規制する措置をとらないでは、助成金も有効なものとはなりません。それは、現実に各地で進んでいる解雇、出向などの事態を見れば明らかであります。  しかも、これらの措置のための予算はほとんどが国債で賄われ、九三年度の国債発行額は十六兆千七百億円、国債依存度も七年ぶりに二〇%を超え、国債残高は百九十兆円にもなり、国の借金づけ体質はさらに深刻になります。これは、細川内閣が借金財政を逆手にとって消費税率をアップする口実となるものでもあり、断じて容認できません。  第二の理由は、国際化対応緊急農業対策費として、農水省の新政策に沿って、米の輸入自由化を前提にして大多数の農家を切り捨て、大規模農家を育成するための予算が組まれていることであります。しかも、これらの措置をウルグアイ・ラウンド合意を踏まえて実施するとして、国会が批准もしていない条約の実施を政府が一方的に押しつけることは、国権の最高機関である国会を無視する暴挙であります。  第三の理由は、政治改革法の周知徹底のための費用十八億円が、当面執行しないの答弁がありましたが、計上されていることであります。憲法と民主主義に反する法律は廃止すべきであり、ましてや国費を使って宣伝するなどは許されません。しかも、施行日が決まっていないのに、修正することとされている内容を含め宣伝するとされており、国会の結論もないものを、総理大臣と一野党党首の私的な合意内容を宣伝することを予算化することは、重大であります。  最後に、日本共産党は、消費税増税なしの六兆円減税、公共投資の浪費型から福祉型への転換、中小業者の経営危機打開の緊急対策の実施など、国民の立場に立った真の不況対策への転換を主張し、自民党政権時代につくられた軍備拡大と大企業奉仕を特徴とする九三年度当初予算の性格を変えずして、従来型の景気対策の連続では何の効果も上がらないことを指摘し、討論とします。(拍手)
  387. 山口鶴男

    山口委員長 これにて討論は終局いたしました。
  388. 山口鶴男

    山口委員長 これより採決に入ります。  平成五年度一般会計補正予算(第3号)、平成五年度特別会計補正予算(特第3号)、平成五年度政府関係機関補正予算(機第3号)、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  389. 山口鶴男

    山口委員長 起立多数。よって、平成五年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました平成五年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  390. 山口鶴男

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  391. 山口鶴男

    山口委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  392. 山口鶴男

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  393. 山口鶴男

    山口委員長 この際、国会法第百四条による記録提出要求に関する件についてお諮りいたします。  予算の実施状況に関する件の調査に関し、細川内閣総理大臣の佐川急便からの一億円借り入れ問題について、法務省、東京地方検察庁及び国税庁に対し、関係記録の提出を求めることとし、その要求する資料の項目等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  394. 山口鶴男

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  衆議院規則第五十六条の規定により、その手続をとることといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後十時三十三分散会