○渡辺(美)
委員 まあいいでしょう。それは役所から怒られるからまた、それ以上言うとね。やめておこう。
それでは、私は申し上げるのですが、今度のは、円高の問題というのはもちろんありますが、やはり何と言ったってバブルの崩壊なんですよ。要するに循環的な生産過剰による不況。それはもちろんあるでしょう。バブルのときに生産手段を拡大し過ぎてっくり過ぎたから、だからそいつの余波を受けておる、長い。しかし、それだけでなくて、やはりバブルの崩壊によって四万円近くなった株が一万五、六千円まで暴落する。きょうあたりは一万九千円か八千円かそんなところだろう。いずれにしたって半値以下ですわ。
それから土地の方も、これは下がってうれしいうれしいと言う人ももちろんあります。ありますけれども、しかし、土地が暴落してもっとこれは下がるんじゃないかとみんな思っておりますから土地が動かない。しかも税金が売ったら高く取られちゃうからよけい動かない、こういうようなことになっている。
東京都内では、要するにピーク時よりも東京都区部では約六割ぐらい下がったと言ったな、きょうあたりで。二カ月も前のやつはもっと下がらなかったがね。それから、その他の首都圏では大体四割ぐらい下がっているから、半値以下になっているということですわ。大体この辺半値、そうすると、担保にとったものは当然担保割れをみんなしてきているから、銀行の不良貸付資産がその分だけふえてくると、こうなるね。
〔
中西(績)
委員長代理退席、
委員長着席〕
一方、これからどうなるかというと、これは私がこの間聞いた話だけれども、アメリカではビルなんかの空室率が約八%になると約三〇%ぐらい賃料が下がるそうだ。四〇%になると四〇%から五〇%ぐらい要するに賃貸料が下がっちゃうという。日本には余りそういう経験がないからよくわかってないんだ。幾ら下がるかという統計はない。
ところが、聞いてみたら、東京の中では完全に一〇%既にもう空室ができちゃったと。ところが、周辺まで行ったらこれはもう二〇%も空室がある。銭がないから、今都心から安い方へ引っ越してもらうともう料金は半値と。こういうことがいつまで続くんだ。下がるのは結構なことだ。
ところが、今、ビルが九百万平米ぐらい建築中なんだそうですな。三年前に約束しちゃって、金もらったりなんかしていると破るわけにいかない。雨ざらしにもできない。だから無理して追い貸しして、建築が進んでおる。ますます空室率は高まってくる。不動産不況というのはどんどんこれから広がっていく、もうこういう
状況にあるわけですね。
輸出は輸出で、今度は円高ですからそんなに伸びないでしょう、駆け込みのJカーブ現象なんて多少あるのかしらぬが。しかし、かなりこれは出血輸出に近くなってくる。つまり、ドルではふえたが円では減っちゃっている。つまり、損をしながら輸出せざるを得ないというような企業がふえてくる。
失業者は今二・九から三ぐらいのところでしょう。ところが、潜在失業者が七十万とも百万とも言われているわけですから、これを二%とすると、五%以上のアメリカ流に言えば失業者がもう実際に存在をする。
こういうような中にあって、一方、銀行等は非常な不良資産を持っている。大蔵省は大体十三兆七千とかとこう言ってはおりますが、しかしながら実際は、聞いてみると、その中には金利を棚上げしちゃった部分は入っていないとか、それから
中小企業のは入っていないとか、別なのを隠しているのも随分あるとかいうと、最低四十兆、下手をすると五十兆ぐらいあるんじゃないか。だから、私は五十兆までは見ないんだけれども、四十兆ぐらいあるんじゃないかという気がしてならない。
これをこのまま放置をしておいて、ただ単に償却をしていく。引当金から償却するのはオーケーよと、それから有税償却もいいよと、こういうようなことを言っているけれども、有税償却すればその分税金は余計に払わなければならぬわけだから、片っ方じゃ損を出して片っ方じゃ税金を払うわけだから、銀行はますます苦しくなる。よっぽどいい銀行でなきゃ、言われたってできない。
そういうような状態の中で、私は
景気というのは甘く見てないんだ、実際は。だから、杞憂と言われるかどうか。杞憂でもないんじゃないかという気がするんだがね。だから、どうしてもこれからの
景気対策というものは
政府の考えられることを、やっぱりそれは
民間はがっちりやってもらわなければ困りますと、それはそのとおりだ。そのとおりですけれども、やっぱり
政府というものは何らか考えていかなければならぬ。
政府ができることといったら、
公共事業をふやしますとか、やれ日銀と一緒になって金利を下げるとか、融資を滑らかにするために財投をいっぱい出してやるとか、それは金利の低目誘導を日銀にやってもらうとか、そんなふうなことでしょう、主たるものは。税金をまけるとかね。まけると言っちゃなんだが、減税のことですが、わかりやすく言っただけで。まあそんなことしかできないんだな。
だから、それももうやるだけやっちゃったと。日銀にしても、もう一・七五までで、史上最低の金利になっちゃったからこれ以上下げようがないと言っておりますが、まあ危険な橋もちょっと渡ってもらわなきゃならぬよ、場合によっては。もう少し下げてもらわなきゃならぬ場合が来るかもわからぬな。
アメリカだって、一九二九年から四二年のときは一%の金利というのがずっと続いたんだから。実質ゼロぐらいのが何年も続いたんだ、実際は。だから、日本もそういう事態になりかねないような形跡になってきちゃった。だから、これは本当にしっかりしたことをここで考えて、
国民を救うことを我々は考えていかなきゃならぬ、そう思う。
そのためには、明るい先の見通しというんだから、私は、一つは、
公共投資といるんなら、あの日米間合意の四百三十兆というのはこの前出して、これを言ったらまた大蔵省が目をびっくり返して騒ぐかして怒られるかもしらぬが、大蔵省の御機嫌ばかりもとってられないからな、手伝うということもあるんだから。
私は、そういう意味で、これはもう五百兆だな、六百兆ぐらいに二〇〇〇年までにしたらいいんじゃないかと。やってできない話じゃないし、五、六%、五%ちょっとぐらい伸ばしていけばそれはできる話なんだな、
公共投資。四百三十兆じゃ今のペースでできちゃうんだよ、もう完全に。おつりがくるぐらいのところなんだ。
だから、これはもう少し大きくして、しかもそれはトンカチばかりでなくて、今言ったような社会資本
整備という考え方からそれはもっと広めて、そして光ファイバーも電気通信もその他も、そういうものもどんどん取り入れていくというような中で、これは一つの大きな夢。
そのために借金がある程度できますよ。その借金は、
政府がするばかりが能じゃなくて、地方とか団体とか
政府機関等にも借金させたらいいんじゃないか。一つの金を借りて
政府が保証債を発行するというのも一つ手なんですよ。プロジェクトごとに決めるからね。単なる建設国債と違って、そのプロジェクトで成功する場合は早く払っちゃうかもしらぬし、金利は多少高目につけたって構わないし、だから
政府が借金をする場合と違う。ただ、
政府が保証してやらなきゃなかなか借りられない場合もありますよ。だから、そういう点は少し割り切って私はやったらいいんじゃないかという気がする。
それから、これからやはり年金のお金というのはどんどんふえていきまして、そして郵貯なんかも十年間に倍以上、九十三兆もふえたし、簡保も四十六兆もふえて、これも三倍ぐらいになった。厚生年金も五十兆から百三十兆だから、これは八十兆もふえて、これらはいずれも今後老齢化が進むに従ってどんどんふえていくんだね。これはふえていくんだ。アメリカなんかが日本の財政がいいじゃないかいいじゃないかと言う理由はそこにあるんだね。
結局、彼らは、要は、日本は年金の金でどんどん入ってくる、企業年金もあれば
政府の年金もある、そういうものを全部何百兆と積み立てておいて、それを全然カウントしていないじゃないか、そして赤字だ赤字だと大騒ぎしている、そういう点が気に食わぬ、彼らはそう言っているんだ。我々は違うと。我々は、積立金制度という世界に例のないところの年金制度をやっているからなんだ、こう言っているんだが、しかし、これも大体寿命が来ちゃった。もう
国民年金なんかはいい例じゃないですか、これもう取る金と払う金で大体ツーペイだから、積み立てる金なんかそんなにありゃしない。そうでしょう。これは厚生大臣に聞かなきゃならぬのだが、本当にそうなんですよ。
だから、将来はどうしたって私は賦課方式ということに好むと好まざるとにかかわらずなっていくんじゃないか。それをならせないようにするためには、かなりのこれは間接税負担をしてもらって、それで現在の積立金制度の年金制度を守っていく以外にはない。どっちにしたって、それは賦課方式にすればかかっただけ取られるだけだから、年金会計ががばっと上がっちゃうだけの話だから、出す方にすれば同じだ、どっちだって。消費税で出そうが年金会計で出そうが同じだ。しかしながら、消費税で出す場合は、いっぱい使う人はいっぱい出すんだから。大金持ちは、年金掛金だから、そんな人の五十倍も三十倍も出す人はだれもいない。だから、そこのところが違うだけだ。だから、そういうところの考え方もこれから改めていかなきゃならぬなと、そういう気がしてならないわけであります。
そこで、私は金融問題については一つ注文があるが、後回しにしましょうか。税の問題から先に入るかな。
そういう前提のもとで少しどぎついことを、皆さんからすればどぎついし、
一般国民からすれば全くそうだと、まさにミッチーは大したものだと言われるかもわからないよ、それは。
私は、今度の税制改正というものを見まして、ともかくくだらぬことをやったものだなと本当に思っているんだよ。私は前から言っているんだ。だけれども、だめなんだね、役人がついておって、それはもう主税局は取る気にばかりなるから。人を膨らまして取るということを考えないんだ。あるものは何でも取ってしまう。そういうような考えではやはり残らないよ。だから、主税
局長だとか国税庁
長官になった人で大富豪になった人は全然聞いたことがないんだ。いたら、ちょっと私が謝るから、教えてちょうだい。だれかいたかい。主税
局長、先輩で大金持ちになった人。聞いてないよ、本当に。それは取る気にばかりになっているからだめだ。
今度特別減税をやった。これは
財源がないからできなかったんだ、
財源の見通しがないからできなかった。これは全くそのとおりだ。これは同情する。それは後で私が話をするが、それは同情をするけれども、この中で、一年こっきりにしちゃった。これは
財源について目安がない。したがって、これはやはり一年以上のことは責任ある者としては賛成できない、これも一つの理屈だよ。それはお役人の理屈としては当然だ。
だけれども、それでよかったかどうか、これは別だが、しかし、それを担保するのが本当は政治家なんだよ。ところが、この政治家が本当に頼りにならないのが多いからね。まあそこに並んでいる人は別だけれども。しかし、これだってわからないよ、やめたら何言うかわからぬから。だから、そこに非常に問題がある。そこで一年こっきりにしちゃった、これだけでもう
景気のマインドをだっと冷やしちゃった、せっかくやりながら。
第二番目。これは金持ちはぶっちめろという発想ですよ。要するに、所得の高い人は恵まれ過ぎだ、それがいけない。この発想を持っている限りは
景気はよくなりません。
景気対策はできません。ない人に使えと言ったって、使いたくたって使えないんだ。ある人に使わせることをどうして考えるか、これが
景気対策ですからね。持っている人から貯金をおろさせて金を使わせるんですよ。そういうことを臨時的にやらなければならない。
公正だ、不公平だ、そんなことだけを最優先して、みんな平等社会にして、それでやろうというんだったら、それは共産主義になっちゃって、金持ちと地主は絞首刑と。それでみんな裸にしちゃって、みんな人民は分けて、一時はそいつを分配して食ったけれども、そんなにいつまでも食っていられないから裸になってしまって、このざまじゃないですか、現実は。今、日本は社会主義で栄えているんじゃなくて、自由主義で栄えているんだから。
だから、そういう意味において、何で二百万円でぶった切ってしまったのか。たった二割の話でしょう、これ。二割減税の話でしょう。たった二割しか減税しないのにかかわらず二百万円で切っちゃった。けちなことですよ、これ。だからもう何もする気がなくなっちゃったと言っている人をいっぱい僕は知っている。これが一つ。だから、この次の税制改革ではぜひ改めてもらいたい。
それから、税率を全然いじっていない。これは間に合わないからいじらなかった、仕方がないでしょう。金持ち優遇と言うけれども、六三%を取られている金持ちというのは世界のどこにあるのか、これこそは
大蔵大臣、明確なる答弁をお願いします。