○
内閣総理大臣(
羽田孜君) まず、訪欧につきまして申し上げたいと思いますけれども、コール首相からのいろいろな御
指摘があったというお話でありますけれども、これはむしろ、コール首相あるいはミッテラン大統領初め、ともかく、よくぞいろいろなことを率直に語られたということ、それから私の方も率直にお話を申し上げてきたということ、これは申し上げたいと思います。
そして、その成果ということでありますけれども、私が組閣五日目にして訪欧いたしましたということは、やはり
日本がこれから果たしていく
役割というのは、例えば中東ですとか、あるいはアフリカですとか、また中欧ですとか、そのほか東欧あるいはロシアその他の国があります。こういった国に対して我々としてもいろいろな人道的な
協力、こういうものをしていかなければなりません。そういったときに、これは日米だけではできない問題があります。ヨーロッパが大変深いつながりがあるところ、あるいは
経験を持った国があります。こういった問題に対して適切に
対応するためには、どうしてもやはりヨーロッパと話し合っておかなければならぬということがありました。
それともう
一つは、やはり何といっても
経済の問題があります。ヨーロッパの国はみんな
アジアの今の発展ぶりに対して物すごい関心を持っていること。私
たちにとりましては、今度新しく四カ国がふえたこのEUの動きに対しても関心を持っております。こういった問題をお互いにざっくばらんに話し合ったということも大事な目的でありました。
そしてもう
一つの問題は、そういった問題についてやはりパートナーシップというものを築いていくこと、これが大事な問題であったところでございました。この中身については、まさに首脳
会談そのものを全部ざっくばらんにお話しすることはできません。しかし、間違いなくこれから日欧の中で大きな
一つの発展があるということだけは、私ははっきりとここで申し上げておきたいと思うわけでございます。(
拍手)
それと同時に、各国ともいろいろな
政治情勢というのは非常に難しゅうございます。そして、少数の
政権も何回も
経験している国でもあります。そういった中で、そういったもののことを勉強させられたことも私は大変よかったなという思いを持っております。
いずれにいたしましても、所期の目的、これは私は十分果たされたものというふうに
考えておりますし、各国におきましても、私が就任した直後で最初にヨーロッパを訪問したこと、そういったことについて、ここのところ延び延びであったという中で大変評価されておったということを申し上げることができます。
また、
少数連立政権にありまして、どのような
手法で議会の多数の支持を得るかということでありますけれども、これはもう多くの言葉で申し上げるまでもなく、
改革の旗というものをやはりこれは私も受け継いでいかなければならぬと思います。そして、
皆さんと一緒にこれを進めていかなければならぬと思う。しかし、そのためにはどうしても協調が重要であろうということでありまして、これは
皆様方の御理解を得るためにもう誠心誠意を尽くしていく以外に、これは言葉ではないということであろうというふうに思っております。(
拍手)
また、
北朝鮮の
状況、
対応の問題でありますけれども、これは
我が国を含む北東
アジア地域の
安全保障上の重大な懸念であるだけではなくて、核不
拡散体制ですとか、あるいは
国際社会の
安全保障にかかわる重要な問題であります。
我が国としては、今後とも、米国、
韓国あるいは
中国等
関係国と密接に連絡、
協議を行いながら、本問題の
解決に向かって
努力していきたいというふうに
考えます。特に、
北朝鮮が先般の
国連安保理の
議長声明というものを真摯に受けとめていただきまして、まずもって国際原子力機関、IAEAとの間で合意された査察というものを完全に受け入れるということ、それとやはり南北対話というものにも誠実に取り組んでいただきたいと思っております。
なお、一般論といたしましては、安保理で何らかの措置というものが決定される場合には、
我が国としても、憲法で許される中できちんと
対応する必要があろうと思っております。
日本経済を立て直すということで抜本的な
手法について、一部の明るい動きが見られるということを申し上げたのですけれども、これは決してはしゃいで申し上げておるわけではありません。一部に明るい兆しが見えてきているということ、これはやはり的確に私
たちはつかむ必要があろうと思います。しかし、残念ながら総じて低迷が続いておるということも現実であろうと思います。
このような
状況の中で、本格的な
景気回復を実現するとともに、今後の新たな発展の
基礎を築くためには、やはり時代の要請に合わなくなった
制度ですとか慣行の
改革を含めた各種施策というものを強力に遂行していくことが不可欠でございまして、また対外不均衡に適切に
対応し、調和ある対外
経済関係の形成というものを促進することは喫緊の
課題であるというふうに信じております。
このため、
政府といたしましては、
経済ですとか、当然これは為替の動向にも細心の注意を払いながら、引き続き内需を
中心とした持続的な成長というもの、これの確保というものに努めるとともに、
規制緩和を初めといたしまして、
経済改革、こういったものの
方針というものを、前
内閣のものを継承しながら発展させ、強力に実施していくということが重要であろうというふうに思っております。
どんなビジョンと
手法で
日本経済のかじ取りをするのかということでありますけれども、
国際社会と調和がとれるとともに、市場が活性化して、
国民生活を重視した
経済社会の実現を図るということが必要であります。
このために、
政府といたしましては、先ほどから申し上げておりますように、内需を
中心とした、安定してしかも持続可能な成長というものの確保に努めると同時に、やはり
規制緩和というのはいろいろな問題があるところでございます。まあしかし、そういったものを克服しながら、また調和をとるところはとりながらこれを進めていくということが重要であろうというふうに
考えておるところでございまして、御
指摘がございましたように、出たところ勝負ということではなくて、中長期の
視点に立ちながら
対応することが重要であろうというふうに
考えております。
また、国債の増発について、これを続けるつもりかということでありますけれども、残念ながら、私ども新しい
連立政権になってから、建設公債等につきまして、これを発行せざるを得なかったことは事実であります。しかし、建設公債といいましても多額の利払いというものがありまして、予算というものを硬直化させてしまうという
原因になっておることは、私
自身予算編成をしながらそのことを身につまされて知らされておるところでございます。こういった点で、その点を留意しながら、引き続き公債残高、これが累積しないよう、累増しないよう、財政運営というものの
基本的な
方向というものはきちんと守っていかなければならないというふうに
考えております。
また、財政の弾力性の回復の問題でありますけれども、確かに財政構造というものは、構造的に大変厳しさというものを増しておるということでありますし、また
平成六年度末には二百兆円を超える公債残高というもの、これが予算の中で二割を占めてしまうということ、また国債費、地方交付税交付金、こういったものを除いた
国家としての、国としての
政策経費というものの割合は、実は全体の五〇%ぐらいにしかすぎなくなってしまっておるという状態であります。
本格的な
高齢化社会に備えまして、福祉の充実というものは進めなければいけないということ、また着実な
社会資本というものも整備しなければいけないこと、
国際社会への
貢献など、やはり多くの財政需要というものがあるわけでございまして、そういったものに適切にこれはこたえていかなければならないということは、もう私もよく承知をいたしておるところでございます。そういう意味で、
我が国の
経済というものが、いわゆる
社会の活力というものを保ちながら、これからの新しい時代のニーズというものに的確に
対応していくために、何よりもやはり財政の
対応力というものを十分確保していかなければならないであろうというふうに
考えております。
ただ問題は、これは支出というものにつきましてはだれもが要求をいたします。しかし、削減については、これは削減してよろしいということは、残念ですけれども、私が大蔵大臣のときにも一人も実は御
指摘いただくことができませんでした。そして、個々の問題について、じゃどこの役所のどんな問題が削減できるんだろうか、私
自身、実は
皆様の御
質問を受けながら計算をいたしましたけれども、なかなかこれは難しいということでございまして、それこそ
議員一人一人の
皆様方の、あるいは各地方自治体初めいろいろな財政需要を持ちますところの
皆様方の本当の理解ができなければ、これは進むことができません。しかし、私
自身やはりこれについてリーダーシップを振るっていかなければならない、その
責任があることは私も十分自覚しながら
対応しなければならないというふうに
考えております。
また、省庁の統廃合につきましては、確かにかつてやりました。そして、実際に国有林野のいわゆる現業の合理化等、これは私
自身本当に苦しみながらこの問題と取り組んできた
経験を持つものであります。
そういう中で、省庁、そういったものについては一体どう
対応するのかということでありますけれども、いずれにしましても、やはり時代というものは大きく進んでおるという中で、省庁の再
編成ということ、こういった問題は私どもとしてもきちんと目を向けていかなければならないということでありまして、
規制緩和あるいは地方分権というものを推進していく中にありまして、
基本的には、これはただ簡単にできるものじゃない、やはり中長期的な
課題として私どもは受けとめると同時に、しかしその
方向というものはきちんと示していかなければならない問題であろう、このように
考えておりまして、そういった御意見についても私
自身も率直に耳を傾けていきたいというふうに
考えております。
今後の
国民の
負担率についての御
指摘でありますけれども、この
税負担と
社会保障の
負担というものは、
我が国は
平成四年度の実績で三八%ということでありまして、五〇%を超えようとしておる欧米
諸国と比較いたしますと、比較的低い水準にとどまっているということが言えようと思っております。しかし、今後は、やはり高齢化が進んでいくということと、また子供の数というものが減っていくという
状況の中にありまして、
社会保障に要する費用というものは増大してまいります。そういう中にあって、これはいろいろな批判があるところでありますけれども、
国民負担というものも相当程度増大していくであろうということは、これは私どももやはり覚悟しなければいけない。
しかし、そういった場合にありましても、
基本的には
国民的な選択というものにゆだねるべき問題でありましょうけれども、
経済社会の活力というものを維持しながら、過重なものにしていかないように我々としても財政の面で気をつけていかなければならないことは当然であろうというふうに思っております。そのために、我々としては、今申し上げたようなことを念頭に置きながら、
国民の
負担率の上昇というものは極力低くしていくべきであろうというふうに
考えておるところであります。
あえて数字をどのくらいにということは、かつて自民党時代に五〇%を超えないものということを私ども目標にしたことがありますけれども、そういったことも念頭に置きながら
対応していきたいというふうに
考えております。
また、錯綜した
日本経済の問題を
解決する
経済政策を行っていく自信があるかということでありますけれども、本格的な回復軌道に乗せまして、将来の発展の芽をはぐくんでいくためには、
政府としては、
経済や為替の動向というものに細心の注意を払いながら、引き続き内需を
中心とした持続的成長の確保に努めるとともに、
規制緩和を初めとして前
政権が開始した
国内経済改革の
方針というものは継承させ、発展させ、強力にこれを実施していくことが必要であると
考えます。
先般、事務次官
会議そして政務次官
会議が開かれ、そして一昨日ですか閣議が開かれたわけでありますけれども、それらの
皆さん方を督励をいたしたところでありまして、
内閣が一丸となってこれらの諸
改革に着実に実施のために取り組んでいきたいというふうに
考えております。
公共投資の
基本計画の見直しについてでありますけれども、この問題については、三月二十九日に閣議決定した対外
経済改革要綱におきまして、後世代に
負担を残さないような財源の確保を
前提とした公共投資
基本計画の配分の再
検討と積み増しを含めて手直しに着手をするということで、六月をめどにいたしまして取りまとめる
努力というものを決めたところでありました。そして、これを受けまして、今
経済企画庁を
中心にしながらその
準備を開始いたしておるところでありまして、具体的な見直しの内容につきましては、今後十分これを詰めながら、今申し上げました六月中にこの
方向というものを明確にしていきたいというふうに
考えておるところであります。
所得税減税の継続、そして六月までに
税制改革の結論が得られるか、その覚悟はということでありましたけれども、昨年来の
政府・与党におきます
税制改革をめぐります種々の論議というものを踏まえながら、年内に
税制改革を実現するとの
方針で、いわば先行的に一年というものを実施することとしたものでございまして、本格的な
税制改革につながる重要な第一歩であったというふうに私は
認識をいたしております。
このような
認識のもとにおきまして、先般の
政府の対外
経済改革要綱、これにおきましては、
所得税減税を含みます
税制改革については、六月中に結論が出されることとされております与党の
協議も踏まえまして、年内にその実現を図る、この表明をしたところでありますし、また
国会におきましても、全
会派一致で、所得税の特別
減税法に、「
平成七年分以後の所得税については、速やかに、税制全般の在り方について
検討を加えて
税制改革を行い、抜本的な所得税の
減税を行うものとする。」これは、
国会で全
会派一致の中でこの附則が修正追加されておるということであります。(
拍手)
個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする
税制改革を年内に実現することは、前
内閣を継承した新しい
内閣が緊急に取り組まなければならない重要な
課題であり、
政府はそれについて、私
自身大きな
責任を有しているということを自覚していることをはっきりと申し上げたいと存じます。
いずれにいたしましても、
税制改革というものは、
国会で全
会派一致で議決がなされていることも踏まえれば、その速やかな実現は、まさに先ほど来申し上げておりますように
国民的な
課題であろうというふうに
考えておりまして、
政府といたしましては、このような
税制改革の具体化に向けまして、
連立与党において速やかな
協議を進めていくようにお願いしておるところでありまして、野党の
皆様方におかれましても
検討を進めていただき、各党各
会派の御理解と御
協力をいただきまして、六月中に成案を得て、ぜひともその実現を図れるように御
協力を賜りたいと存じております。(
拍手)
公共料金の
引き上げにつきましては、経営の徹底した合理化を
前提としまして、物価あるいは
国民生活に及ぼす影響というものを十分考慮して、厳正に取り扱うことといたしております。その値上げに当たりましては、真にやむを得ないものに限るものといたしますとともに、その実施時期及び改定の幅につきましては極力調整してきておるところであります。
さらに、先般、物価問題に関する
関係閣僚会議におきまして、
公共料金の取扱いに関する
基本方針を取りまとめたところでありまして、
政府としては、本
基本方針に基づきまして、今後の適正な
公共料金が確保されるように
努力していきたいというふうに思っております。
家計の
社会保障
負担増につきましては、年金の保険料というのは
公共料金には含まれないものでありますけれども、その
平成六年度の
負担増は、年金の給付の改善ですとか、あるいは
制度の成熟度による給付増にほぼ見合うものでございまして、
国民経済として見たときには、私は、影響はそんな大きなものを及ぼさないものであるというふうに
考えておるところであります。
いずれにいたしましても、
政府といたしましては、二月に五兆四千八百億円の
所得減税を含みます総規模十五兆円を上回る幅広い施策から成る総合
経済対策を決定したところでございまして、その着実な実施を図ることなどによりまして、本年度
政府経済見通しに示されたように、物価の安定を図りながら、
我が国経済をできるだけ早い時期に本格的な回復軌道に乗せるということが重要な今の
課題であろうというふうに
考えております。
規制緩和につきましては、
我が国の
経済社会の透明性というものを高めること、そして国際的に調和のとれたものにするということが重要であります。また、消費者が多様な商品あるいはサービスの選択を広げるということ、それと、
経済構造の
改革を進めていく上で、やはりこれは避けて通れないものであろうというふうに思っております。
ただ、
規制緩和の推進というものは、
経済社会と
国民生活の安定に十分これは留意しながら着実に進めていくべきものであって、先ほど御
指摘があったような問題は十分やはり注意はしていかなきゃならぬと思っております。しかし、あるときには勇気を持って取り組まなければならないということはもう御案内のとおりであります。
我が国経済社会の活性化と国際的な調和を目指しまして、このような
基本的な
方針のもとで、今後とも推進につきまして
努力を払ってまいりたいというふうに思っております。
ラウンドの農業
交渉につきましては、これは農業は人間の生存に不可欠な食糧生産を行うとともに、国土・
環境の保全あるいは地域
経済の維持等の多面的な
役割を持っておりまして、また立地の移動が困難で、天候に左右されやすいという特殊性を有しております。その意味で、私
自身、自民党時代にこの問題と取り組んでまいりましたけれども、そういったときにも私どもが言ってまいりましたことは、単にこれは
経済問題、貿易の問題ということだけではなくて、FAO等いろいろな食糧機関、こういったところ、あるいは将来の食糧の見通し、こういったものについても意見を聞くべきであるということを、各国に対してもこのことを
主張してまいったところであります。
いずれにいたしましても、このような農業の有する特殊性というものが適切に考慮されるよう
主張してきたところでありまして、私どもは、そういったものがいろいろなときに理解され、今後こういった問題について、今後のラウンドについての
話し合いの中でも、
環境問題等について
考えられるということになってきております。
ウルグアイ・ラウンドにおける農業合意というものは、これは各国が対立の意見を踏まえた、まさにそれぞれの国の、私はエゴとエゴのぶつかり合いということを申し上げましたけれども、各国がみずからの
主張、みずからの国の国益というもののぎりぎりの対決であったというふうに思っております。これは
我が国が、
皆さんと一緒に
主張してきた問題がすべて取り入れられたというふうには私も
考えておりません。しかし、相当程度の配慮がなされたものでありまして、ラウンドの
交渉の成功、ひいては
世界経済の発展及び自由貿易体制の維持強化によってもたらされる幅広い
国民的な利益というもの、こういった観点からぎりぎりの決断として受け入れたものであったということ、これは
議員の
皆さん方に理解をしていただくと同時に、私は
国民の
皆様にもぜひとも御理解を賜りたいと願っておるところであります。(
拍手)
米国の三〇一条やアンチダンピング法等の保護主義の動きへの
対応ということでありますけれども、先般復活された三〇一条に基づく米
政府の今後の
対応ぶりですとか米
国内の保護主義の動きにつきましては注意をしていく必要がありまして、また私どもは、米国の
皆さんとお話しするときにも、率直にそのことは申し上げておるところであります。
しかし、いずれにしましても、円滑な日米
経済関係の運営というものが
世界経済の発展に課された両国の責務であるという観点から、米国
政府に良識ある
対応を期待するとともに、
我が国としても冷静にこういった問題に対しても
対処していくべきであろうというふうに
考えております。
なお、一般論として申し上げますと、万一、一方的な
制裁措置が発動された場合には、国際的なルールにのっとって
解決を求めることになっていくであろうというふうに
考えておるところであります。
なお、
アジアにおける外交のフォーカスを合わせた
政策の展開についての見解ということでありますけれども、御
指摘がございましたように、近年、NIESあるいは
中国、ASEAN
諸国を
中心としまして、東
アジア諸国というのは
世界において最も目覚ましい
経済成長というものを達成しております。このような事実というものを背景にいたしまして、
アメリカですとか
アジア諸国、豪州などを含みます
アジア・太平洋地域の
諸国が、その多様性ですとかあるいは相互補完性を生かしながら、さまざまな面で
協力していこうという機運というものが高まっておるところでございまして、この問題につきましては、
アメリカあるいはオセアニアの各国、そしてこの間のヨーロッパの国々、そういった国々の
皆さん方もこういった問題について大変関心を持っております。
しかし、これらを本当に進めていくためには、やはりああいった国々はまだインフラ等を整備されていない面があります。こういった問題については、そういった関心を持つ国々とともに我々は
協力をしていく必要があろう、それが本当の意味での発展につながっていくというふうに私は確信をいたしております。
それから、EUのERM、いわゆる為替メカニズムに準ずる緩やかな参考相場圏の創設が望ましいと
考えるけれどもというお話がございました。
一九七三年に主要通貨が変動相場制に移行しましてから既に二十年が
経過しております。この間、国際通貨
制度のあり方につきましては、御
指摘のような参考相場圏といったアイデアというものを含めまして、さまざまな国際
会議の場でも
議論が行われてきておるということであります。
ただ、一九八五年の十カ国の蔵相・中央銀行総裁
会議の報告を初めといたしまして、
現状では、各国間の自由な資本の移動のもとで変動相場制を
前提としながら為替の安定というものを図るために、各国間で緊密に
協力していくことが重要であるというのが、通貨当局間の共通な理解となっているというふうに
考えております。
いずれにいたしましても、
我が国といたしましては、為替相場というものは、それぞれの国の
基本的なもの、いわゆるファンダメンタルズというものを反映して安定的に推移すべきであるというふうに
考えておりまして、私どももG7の一員といたしまして、最近の為替相場の急激な変動につきましては、
経済のファンダメンタルズから正当化し得ないという
認識を有しておるところであります。
今後とも為替相場の動向というものに十分に注意して、各国と緊密な連絡をとりつつ適宜適切にやはり
対処してまいりたいということ、これは大原委員はもう十分この点については御承知でありますけれども、うっかりしたことを申しますとまた為替にも大きな変動があります。ここでとどめさせていただきますけれども、よく御
指摘のあったことは
認識してまいりたいというふうに
考えております。
なお、最後に、
円高対策を初めとして税制や産業の構造転換等、
政府のなすべき
役割は多いという御
指摘があったところでございます。
昨年来の急激な
円高などを背景にいたしまして、コスト面の優位性などを求めまして、今後さらに製造業を
中心に海外進出というものは進展していく可能性が大変大きいということは、私も認めざるを得ません。それが行き過ぎた場合には、
国内製造業の空洞化が生じるのではないかという懸念があることは、十分私も
認識をいたしております。このような懸念に対しまして、
我が国としては、産業の活性化を促すことによりまして内需主導の国際調和型産業構造というものの形成を進めるとともに、雇用の確保というものを図っていくことが
基本的に重要であるというふうに
考えます。
さらに、二月に決定された総合
経済対策におきましても、具体的には新規事業の創出、拡大、あるいは市場の効率化の
規制緩和の推進ですとか、あるいは総合的な
対策の推進、また新規産業の発展ですとか創造的な事業発展を促すための創造的
研究開発の推進、あるいは独創的な人材の育成ですとか高度情報化に向けた
環境の整備等の各般の施策というものを講ずることがあろうと思っております。
こういった総合的な
政策というものをきちんと進めていくと同時に、
世界経済というものの中では、
日本に対して競争力のある産業の参入ということも実は各国も望んでおることであるわけでございまして、こういったところに道を開くということについても我々はやはり
考えていく、これがまた雇用問題にも
対応できる道であろうというふうに
考えております。いずれにしましても、このボーダーレスな時代にあってどのように
対応するのかということは、私
たちは十分やはり
考えていかなければならないことであろうと思っております。
いずれにしましても、御
指摘がございましたように、私どももパワーゲームというものは、私はこれを是認するものではありません。いずれにいたしましても、もちろん
民主主義ですから、数というものはこれは大事であります。しかし、パワーゲームにうつつを抜かしているということは許されるものではないということであります。(
拍手)そして、我々少数
政権というものは、大変運営が難しいことでありますけれども、しかし
政策的には
皆様方と一致する問題は幾らでも私はあろうと思っております。そういう意味で、御
協力願うところは、私は率直に
皆様方にお願い申し上げることはお願い申し上げていきたい。(
拍手)
いずれにしましても、この
日本の国のためでありますから、ともどもにこの国がうまく発展していきますように努めてまいることを、大原委員の最後の御
指摘に対しまして申し上げまして、私の答弁といたします。ありがとうございました。(
拍手)
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