○塩谷立君 私は、
自由民主党・
自由国民会議を代表して、
地方税法及び
地方財政法の一部を
改正する
法律案について、
総理大臣及び自治大臣に
質問いたします。
我が国の民主
政治は健全な地方自治の基盤に立ってこそ成り立つものであり、その理念は、行政はできる限り住民の身近なところで行われるべきであり、何よりも住民の行政に対する信頼が基本であると
考えるものであります。
我が国の地方自治は、関係者のたゆまぬ努力の結果、着実な発展を遂げ、民主主義国家としての原動力となっていることは論をまたないものであります。
近年、地方自治に対する
国民の意識が高まっております。こうした中で、特にここ数年、地方分権について各界、各方面において盛んに議論がされ、高まりを見せております。しかしながら、
我が国の
現状を見るに、
政治、
経済、文化及び情報等の中枢機能が東京へ一極集中したことに伴い、種々の問題が発生していることも事実であり、また急速に発展しつつある高齢化、情報化などに対する
対応も急務を要する
状況となってきております。
総理は、昨年の総選挙の際、地方分権の推進を一つのスローガンとして掲げてこられました。その中で
総理は、地方
制度全般の中で国と地方のあり方を
検討すべきなどと総論的な議論を展開しておられました。
私は、地方分権については、具体的なものとし
て、例えば税
財源の移譲、権限の移譲、また実効のある許認可の簡素化といったものを、できるものから手がけていくことが肝要であると
考えています。すなわち、
国民の行政
需要に的確に
対応し、地域の実情に即した行政を行うには、やはり地方財政をより充実していくことが重要なのであります。
しかしながら、今回
提出される
平成六
年度予算の文教関連
予算にあって、私学に対する助成費補助の中で、私立高等学校等経常費助成について二五%という、
制度ができて以来初めて大幅な
予算の減額がなされております。
教育は国の基本といいます。教育の機会均等、公立と私立との格差の是正等の
観点から、私立高等学校等が
我が国の初等中等教育に果たしている役割の重要性を無視するとともに、ただ単に財政
負担を地方に転嫁させるだけの
措置であり、このことは、口では地方分権を唱えながら
実態は背を向けていることになるのではないでしょうか。
総理の御所見をお伺いしたいと存じます。
次に、地方
税制及び地方財政について
お尋ねいたします。
細川総理は、昨年八月二十三日の特別
国会所信表明
演説において、「
経済社会
情勢の変化に
税制が即応したものになっているかどうかを点検し、公正で活力ある高齢化社会を
実現するために、年金など
国民負担全体を視野に入れ、
所得、
資産、
消費の
バランスのとれた税体系の構築について、
国民の皆様方の御意見にも十分耳を傾けながら総合的な
検討を行う」云々と述べておられます。
しかるに
総理は、既に御承知のとおり、二月三日の未明、突如として、
国民はもとより
細川内閣の閣僚のだれ一人として知らない中で、
国民福祉税という
消費税をカムフラージュした単なる
税率の
引き上げを断行しようとしたのであります。このことは、
国民に対して何の相談もなく、
国民の意思を裏切ろうとした行為であり、当然ながら多くの
国民の反発、批判を受けたのであります。
政治改革法案成立を
実現させた
総理が目指したものは、
国民に開かれた、より民主的で多くの意見に耳を傾けることではなかったのか、それとも、高い
支持率のもと、
政治改革関連法案が通れば後は何をしてもよいとお
考えであったのか、甚だ残念でなりません。
その後、
連立与党内の
調整の結果決定された
減税案は、これまた場当たり的な一年だけの
減税案であり、
住民税の
減税は地方公共団体にとってまことに問題の多い案であると言わざるを得ません。
すなわち、連立政権が取りまとめた
地方税法及び
地方財政法の
改正については、まず
地方税法について言えば、今回の一年限りの
特例として
措置された五兆四千七百億円の
所得税、
住民税の
減税は、このうち地方税に係るものとして一兆六千億円、さらに国税
減税分のはね返り分を含めます地方財政への影響額は二兆九千億円になり、国税、地方税を合わせた
減税の半分以上となっております。このことは、その
財源対策として、交付税特別会計の借り入れ及び地方債の
発行によって補てんされているのでありますが、いずれにしましても地方の借り入れとなり、今日の厳しい地方財政の中で、地方の借り入れの残高は、
平成五年末九十二兆円であったものが
平成六年末百二兆円と予測され、さらなる地方財政の硬直化の要因となっております。
また、地方税の
減収については、本来であれば自主
財源である地方税を充実して、
減税の
財源として補てんすべきと
考えるのであります。地方税における直間比率の
見直しを踏まえて、今後の地方税の基本
税制のあり方について
総理の御意見をお伺いいたします。
また、先般、先進七カ国蔵相
会議におきまして、藤井大蔵大臣は、この
減税は一年限りのものでなく、
平成七
年度以降も継続するとの
発言をされたとの報道がなされておりますが、今回のように単に借入金のみでの
財源措置によることをさらに続けることは、国・地方ともに財政上の混乱が生じることは目に見えております。
総理は、さきに述べましたとおり、
所得、
資産、
消費の
バランスのとれた基本的な税体系を構築すると言われておりますが、こうした基本的な方針と地方自治行政との関連はどう
考えるのか、
総理の御所見をお伺いいたします。
次に、
土地税制についてお伺いいたします。
ただいま国税についても
質疑がありましたとおり、我が党は、
平成六
年度税制改正において、
経済対策の一環として、今日の
不況を打開するための
土地の
流動化の促進について、
住民税の
土地の
長期譲渡所得課税について、一般的な
土地の長期譲渡についても、
現行九%であるものを
平成六
年度及び
平成七
年度の二年間に限り六%とすることを強く
要求してまいりました。しかるに
政府は、これに対して何らの応答もなく、今日まで参ったのであります。
また、
不動産取得税につきましては、
固定資産税の評価がえに伴う税の
負担軽減措置につきましても、
現行の
水準に据え置くよう
措置することと、納税者の
負担増とならないよう、あわせて要望してまいりました。
政府は、
平成六年中に取得したものについては二分の一、
平成七年及び
平成八年に取得したものについては三分の二という
措置を講じようとしております。我が党の
提案と比べて、甚だ不十分な
措置と言わざるを得ません。
景気対策の
観点も踏まえた上で、どのような
考えでこのような
措置をとられたのか、自治大臣の御意見をお伺いいたします。
今日、地方財政を預かる者にとって一番大きな問題は、
平成六
年度予算編成の大幅なおくれであります。
平成六
年度の
税制改正及び地方財政
対策、
予算編成については、我が党が昨年末強く求めてまいりました
年内編成について聞く耳持たずの
姿勢で、
税制改正、地財
対策、
予算編成、いずれも二月に入ってから
編成され、例年より五十日ものおくれが生じたことは、地方公共団体の
予算編成作業及び財政運営に大きな支障を来すとともに、それに携わる地方公共団体関係者への不安を増大したのであります。とにかく早くしてほしいと、叫びにも似た要望が地元から届いております。こうした切実な声に
細川総理はいかにこたえられるか、
責任ある
答弁を求めます。
細川総理、
総理は昨年、
政治改革の理想を掲げて未曾有の高い
支持率を得て連立政権をスタートさせました。しかし、その大きな目標であった
政治改革法案を
成立させた後の
総理は、先ほども申し上げましたとおり、
予算編成等への
対応、
国民福祉税構想、日米首脳会談、さらに
内閣改造問題等、
政治の混乱を招く言動が相次ぎ、
国民にもさらなる不安を与えています。けさの新聞の世論調
査によれば、
支持率は前回に続いて下がっている結果が出ており、最近の
状況を裏づけしています。
政治には理想と情熱と行動力が不可欠であり、最後の結果が出るまで
責任を持たなければなりません。
政治改革法案の
成立は、単に理想を
実現させるためのスタート台に立ったところであります。本当の改革はこれからであります。
しかるに
総理、最近の
総理には
政治改革法案成立までに見せた情熱や行動力は全く影を潜め、
国民生活の安定のために一日も早く
成立させなければならない
予算案の
審議に対して全く真剣さが欠けていることは、何を物語っているのでしょうか。連立政権の限界を感じておられるのか、御自分の指導力の限界を感じておられるのか、あるいは政界再編へ向けて暗躍する旧態依然たる
政治の体質に嫌気が差しておられるのか。理想は見えず、情熱も感ぜず、行動も起こさない
状況から察するところ、ひょっとしたら
総理はおやめになることを
考えているのではないかと思われても仕方がないと思います。
総理、一
内閣一仕事とよく言われます。難題の
政治改革法案成立をなし遂げた
政治改革政権としては、そろそろ幕を閉じてもよいころではないでしょうか。このことを強く申し上げて、
質問を終えさせていただきます。(
拍手)
〔
内閣総理大臣細川護熙君登壇〕