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1994-07-06 第129回国会 衆議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年七月六日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 竹内  猛君    理事 亀井 善之君 理事 久間 章生君    理事 中川 昭一君 理事 二田 孝治君    理事 小平 忠正君 理事 仲村 正治君    理事 前島 秀行君 理事 千葉 国男君       赤城 徳彦君    菊池福治郎君       栗原 裕康君    七条  明君       中谷  元君    浜田 靖一君       保利 耕輔君    松岡 利勝君       松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君       御法川英文君    宮里 松正君       山本 公一君    石破  茂君       岩浅 嘉仁君    木幡 弘道君       鮫島 宗明君    実川 幸夫君       田名部匡省君    初村謙一郎君       広野ただし君    増田 敏男君       矢上 雅義君    池端 清一君       石橋 大吉君    遠藤  登君       辻  一彦君    上田  勇君       長内 順一君    冬柴 鐵三君       玄葉光一郎君    錦織  淳君       藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣 大河原太一郎君  委員外出席者         外務省条約局国         際協定課長   門司健次郎君         農林水産政務次         官       谷津 義男君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局統計情報部長 嶌田 道夫君         農林水産省構造         改善局長    入澤  肇君         食糧庁次長   永田 秀治君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月三十日  辞任         補欠選任   白沢 三郎君     畑 英次郎君   矢上 雅義君     木幡 弘道君 七月六日  辞任         補欠選任   鮫島 宗明君     矢上 雅義君   実川 幸夫君     石破  茂君   畑 英次郎君     岩浅 嘉仁君   錦織  淳君     玄葉光一郎君 同日  辞任         補欠選任   石破  茂君     実川 幸夫君   岩浅 嘉仁君     畑 英次郎君   矢上 雅義君     鮫島 宗明君   玄葉光一郎君     錦織  淳君     ――――――――――――― 六月二十九日  一、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改   正する法律案内閣提出第四九号)  二、外国牛肉輸入調整法案江藤隆美君外四   名提出、第百二十八回国会衆法第一一号)  三、農林水産業振興に関する件  四、農林水産物に関する件  五、農林水産業団体に関する件  六、農林水産金融に関する件  七、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(平成年産米穀  の政府買価格等)      ――――◇―――――
  2. 竹内猛

    竹内委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、平成年産米穀政府買い入れ価格米価審議会への諮問及び平成年産米生産費統計調査結果について政府から説明を聴取いたします。永田食糧庁次長
  3. 永田秀治

    永田説明員 平成年産米穀政府買い入れ価格決定に関しまして、その算定方式及び留意すべき事項につきまして、六月二十七日の米価審議会諮問を行いました。さらに、本日開催されました米価審議会におきまして、政府買い入れ価格試算値をお示しいたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、「諮問」を朗読いたします。      諮問  平成年産米穀政府買価格決定に関し、我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、地域における生産性の高い稲作農家生産費及び所得を考慮して算定すること及びその際留意すべき事項につき、米価審議会意見を求める。   平成六年六月二十七日          農林水産大臣 加藤 六月  次に、「諮問説明」を朗読いたします。      諮問説明  米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式によりその時々の需給事情等に応じて行ってきたところであります。  このような中で、最近の米をめぐる諸情勢にかんがみ、生産性の高い稲作担い手となる農家生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性の向上を図り、国民の納得の得られる価格での米の安定供給に努めることが重要な課題となっております。  また、米の需給事情につきましては、昨年の未曾有の不作にかんがみ、安定的な米の供給を確保するため、平成米穀年度末の在庫数量を百三十万トン程度とすることを目途として、平成六年度及び七年度における転作等目標面積を 七万六千ヘクタール緩和することとしたところでありますが、依然として潜在需給ギャップが存在しており、引き続き水田営農活性化対策を実施しているところであります。  他方、一般経済情勢の面では、労賃物価等について、鈍化しているものの引き続き上昇がみられております。  以上の事情総合勘案の上、本年産米穀政府買価格につきましては、引き続き、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家をその地域において稲作を実質的に担っている者であるとし、このような生産者生産費基礎とし生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかと考えております。つきましては、このような考え方により政府買価格算定すること及びその際留意すべき事項につきまして米価審議会の御審議を願い御意見を賜りたいと存じます。  続きまして、お手元にお配りしてございます「平成年産米穀政府買価格試算」につきまして御説明申し上げます。  平成年産政府買い入れ価格算定は、平成年産以降採用されておりますいわゆる地域方式に基づいて行っております。本年産米価をこの地域方式により算定することにつきましては、先般の米価審議会においてお諮りし、ことし暫定的に採用することにつき大方の御了解をいただいたものであります。  まず、一ページの算式でございますが、これは前三年の評価がえ生産費平均分子とし、前三年の平均収量分母として、六十キロ当たり価格を求めるものでございます。  本年産につきましては、従来のルールにのっとり、直近三カ年の平成年産、四年産、五年産米生産費調査結果を算定基礎として用いております。  算定対象農家とり方につきましては、冒頭申し上げました地域方式によっております。この地域方式基本的考え方は、御案内のとおり、全国農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家を、その地域において稲作を実質的に担っている生産者であると位置づけ、算定対象とするものであります。  具体的な算定対象農家とり方につきましては、次のようにいたしております。  まず、全国を九つの農業地域に区分いたします。次いで、地域ごとに六十キロ当たり平均生産費を求めます。このようにして求めた地域ごと平均生産費を指標として、これ以上の生産性を上げている農家を選定しております。ちなみに、このような手順によって算定対象となる農家戸数シェアは四三%程度となっており、また販売シェアは六〇%程度となっております。  一ページの分子でございますが、算定対象農家の十アール当たり平均生産費につきまして、物財雇用労働費など実際に支払う費用につきましては、生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃評価がえし、実際に支払いを行っていない自己資本利子自作地地代についても一定評価方法により算入しております。これらを合計した評価がえ生産費を算出し、これを分母である算定対象農家平均単収で除しまして、「求める価格」を算定しております。この「求める価格」は、いわば米全体の農家庭先段階での価格と考えていただければよいかと思います。  次に、二ページでございますが、算定値をお示ししております。1は「求める価格」でございます。2の「基準価格」は、「求める価格」に最寄り検査場所までの運搬費を加算したものでございまして、一万五千八百五十三円となっております。3は、「基準価格」を基礎としまして銘柄間格差等級間格差等前提に三類一等価格を算出したものであります。本年産におきましては、調整額を加算しておりますが、これは当面の米需給状況から見て、制度別用途別の多様な需要に的確に対応していく上で、平成年産米の適正な集荷を確保することが喫緊の課題となっていること等を考慮し、所要の調整を行って据え置きとしたものであります。4は、基本米価と呼んでおりますが、ウルチ一-五類、一-二等平均包装込み生産者手取り予定価格でございます。基本米価も前年と同額となっております。なお、三ページに類別、等級別価格一覧を掲げております。  続きまして、四ページ以下の「算定要領」でございます。算定要素とり方について整理しております。本年産政府試算におきます算定要素とり方は、昨年と全く同様の考え方に基づいております。  まず、家族労働費ですが、家族労働費につきましては、生産費及び所得補償方式のもとで、都市均衡労賃により評価がえを行っております。都市均衡労賃といたしまして、前年同様、都道府県別米販売数量により加重平均した事業所規模五人以上一千人未満事業所製造業賃金を採用しております。  なお、生産費調査の改正によって、平成年産生産費から、新たに生産と一体的な生産管理労働についても家族労働に算入されることになりましたが、米価算定におきましては、従来からこれに経営管理労働も含めた企画管理労働全体を別途算入してきたところでございます。本年もこの整理に従いまして、ここでは生産管理労働は除いて評価がえを行い、別途企画管理労働を算入することといたしております。  四ページの下に一時間当たり労賃を掲げておりますが、このうち男女込み労賃は直接家族労働評価に用いております。男子労賃自給肥料等に係る間接労働評価に用いております。なお、労賃単価は前年産に比べ、男女込み労賃で二・八%、男子労賃で二・〇%の上昇となっております。  次は五ページでありますが、五ページのアは、五人以上千人未満規模労賃でありますが、現物給与等調整前のものでございます。都道府県別労賃のデータの制約から、労賃規模期間について修正を行っておりますが、その計算手順を整理しております。イは、アの労賃に加算する現物給与相当額加算手法について、ウは、労賃から控除する通勤手当相当額減額手法について整理しております。  続きまして、六ページの(2)でございますが、物財雇用労働費物価修正手法でございます。物価修正につきましては、生産費調査調査期間暦年ベースとなっていることできる限り直近までの物価動向を反映させる必要があることから、従来、基準期間比較期間とも各年の一-五月平均物価指数を用いることを基本としております。本年産におきましても、このような従来の考え方を踏襲し、基準期間比較期間とも一-五月をとることといたしました。  なお、平成年産生産費調査から、生産管理労働に付随する物財費である生産管理費が新たに物財費に計上されることとなったほか、土地改良負担金計上範囲の拡大、農機具等減価償却費計上方法見直し等が行われたところでありますが、米価算定におきましても、各年の生産費については、その調査結果をもとに算入したところであります。  続きまして、(3)の副産物価額でございます。副産物はわら及びくず米でございまして、生産費から控除されますが、掲げております係数は、生産費調査にあらわれた各年の副産物価額物価修正する係数でございます。  続きまして、(4)の資本利子でございます。資本利子は、借入金自己資金に区分しておりますが、この割合は、三年に一度行っている米生産費補完調査結果によっており、本年産におきましては、平成年産米についての補完調査結果を用いております。具体的な金利とり方は、借入金金利は、補完調査にあらわれた借り入れの実態にその後の実勢を織り込んで算出しております。一方、自己資本利子につきましては、実際には支払いを行っていない部分についての一種の擬制計算であり、本年の場合は、昨年と同様に、農協の定期預金直近五カ年の平均利率をとっております。  続きまして、七ページの(5)の物件税及び公課請負担でございます。物件税及び公課請負担は、収益の有無にかかわらず、稲作を行っていることによって賦課されるものを従来どおり計上しております。  なお、平成年産米生産費調査から、生産費調査上も、生産を維持、継続していく上で必要な物件税及び公課請負担が新たに計上されることとなりましたが、その計上範囲は、米価算定における計上範囲よりもやや限定的であるため、米価算定上の計上範囲につきましては、従来の方法との連続性等をも踏まえ、従来どおりとしたところであります。また、土地に係る固定資産税は、別途地代に織り込んでありますので、ここでは除いております。  次に、(6)の地代でございます。まず、自作地地代につきましては、生産者が実際に支払うものではございませんが、所得付与部分として従来から価格に算入してきております。本年産につきましても、従来同様土地資本利子考え方により、一般田固定資産税評価額九万四千一円に十年利付国債平均利回り五・四二%を乗じて算出しております。また、小作地地代につきましては、生産費調査実績値を算入しております。  続きまして、八ページの(7)の企画管理労働費でございます。企画管理労働費につきましては、本年産につきましても各地域稲作実質的担い手農家算定対象として米価算定を行うという観点から、前年産と同様、米価に算入しております。先ほど家族労働費算定について御説明いたしました際に触れましたとおり、生産費調査上では平成年産米生産費調査から、企画管理労働費のうち生産管理労働費が計上されることとなったところでございますが、米価におきましては、従来からの連続性をも考慮して、資金調達等経営管理労働費も含めた企画管理労働費全体を都市均衡労賃評価がえして算入しております。  (8)の算定値は、以上の各要素を積み上げた十アール当たり評価がえ生産費でございまして、平均で十三万三千六百四十六円となります。これを六十キロ当たりに引き直すために、次の2で十アール当たり平均収量算定しております。十アール当たり平均収量は、三カ年の平均で五百十二キロとなっております。なお、平成年産の十アール当たり平均収量は、二〇%以上減収農家が除かれていてもやはり四百九十キロと低い水準となっております。  次に、3の運搬費でございます。農家庭先から最寄り政府指定倉庫までの運搬及び受検に要する経費を、米生産費補完調査結果に基づいて算出しております。  九ページは、以上の結果を原生産費価格決定年評価がえ生産費ということで整理したものでございます。  以上が、「平成年産米穀政府買価格試算」の説明でございます。
  4. 竹内猛

  5. 嶌田道夫

    嶌田説明員 では、引き続きまして、平成年産米生産費の結果につきまして、お手元にお配りしました資料に基づき御説明いたします。  御承知のとおり、平成年産の米は未曾有冷害に見舞われまして、作況指数が七四となっております。生産費調査では、正常な状態での生産費を求めるという趣旨から、昭和二十七年以降一貫して、災害率二〇%以上の農家を除外して集計しております。したがいまして、これから御説明いたします平成年産の場合、集計対象農家が前年に比べ少なくなっております。  まず、農家調査全国の結果を十アール当たりについて一ページの表で見ますと、費用合計から副産物価額を差し引いた生産費は十三万五千百二十八円で、前年に比べ五・一%増加し、資本利子地代全額算入生産費は十七万二千六百三十三円と、前年に比べ三・四%増加しております。このように生産費が増加いたしましたのは、先ほど御説明いたしました集計対象農家の関係によるものでございます。  次に、四ページから五ページにかけまして詳細がございますが、物財費のうち冷害の影響の大きかった費目について見ますと、肥料費は、低温のもとで生育障害受精障害を避けるため施肥量を控えたことから減少しておりますが、農業薬剤費は、いもち病の発生により投入量が増加したこと、賃借料及び料金は、収量の減少により委託作業が減少したものの、価格上昇したことによりそれぞれ増加しております。また、農機具費は、水準の低い北海道、東北の集計対象農家が少なくなったこともあって、増加しております。また、労働費についても、同様の理由により労賃単価上昇したことなどから、増加しております。なお、六十キログラム当たりで見ますと、十アール当たり収量が前年に比べ七・八%下回っておりますので、全算入生産費は二万一千八百十八円と、前年に比べ一二・一%増加しております。  作付規模別に見た生産費について、四ページから五ページにかけまして十アール当たり生産費が出ておりますが、生産費作付規模が大きくなるにつれて低下しておりまして、このような階層間格差は、主として、作付規模の大きな階層ほど農機具効率的利用等が行われ、稲作労働省力化も進むことにより労働費農機具費等費用が低下することなどにより生じております。  次に、別冊の農業生産組織米生産費調査の結果を御説明いたしますが、この調査は、平成年産から参考として調査を行っているものでございます。  協業経営体とは、複数の世帯が一定協定に基づき組織化し、米の生産販売収支決算を共同で行い、収益を分配しているものをいいます。また、全作業受託組織とは、複数農家が組織化し、組織内また組織外の農作業の全部を担うものの、生産された米はすべてそれぞれの農家に帰属するものをいいます。  協業経営体につきましては、一ページの表にありますように、十アール当たり算入生産費は十三万五千九百九十四円、六十キログラム当たり算入生産費は一万七千百十一円となっておりまして、これを先ほど申しました農家調査の結果と比べますと、十アール当たり算入生産費、六十キログラム当たり算入生産費ともに約八〇%の水準となっております。全作業受託組織では、十アール当たり算入生産費は十三万六千三十二円、六十キログラム当たり算入生産費は一万九千二百六十八円となっておりまして、これを農家調査の結果と比べますと、十アール当たり算入生産費で約八〇%、六十キログラム当たり算入生産費で約九〇%の水準となっております。  以上が、平成年産米生産費農家調査結果及び農業生産組織調査結果の概要でございます。
  6. 竹内猛

    竹内委員長 以上で説明は終了いたしました。
  7. 竹内猛

    竹内委員長 この際、大河原農林水産大臣及び谷津農林水産政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。大河原農林水産大臣
  8. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 このたび農林水産大臣を拝命いたしました大河原太一郎でございます。  農林水産行政が大変困難な課題を多く抱えておる今日でございますが、その任務につきまして、責任の重かつ大を痛感しておるところでございます。皆様方の御教示あるいは御叱正をちょうだいしながら、この重責を果たしたいと考えております。  とにかく、全力を挙げまして二十一世紀に向けての農林水産業の展望、これを開くように努めたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。(拍手
  9. 竹内猛

  10. 谷津義男

    谷津説明員 農林水産政務次官を拝命いたしました谷津義男でございます。  我が国農林水産行政は幾多の重要な課題を抱えておりますが、大河原大臣を補佐いたしまして、微力でありますけれども、全力を傾けて諸課題当たりたいと存じます。  委員各位の御支援、御指導を心からお願いを申し上げます。ありがとうございました。(拍手
  11. 竹内猛

    竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二田孝治君。
  12. 二田孝治

    二田委員 まず最初に、大河原農林水産大臣、そしてまた谷津農林水産政務次官、御就任おめでとうございました。心からお祝いを申し述べる次第でございます。  また、大河原農林水産大臣におきましては、私ども、長い間党におきまして御指導をいただいた方でございますので、これからの農林水産行政、どうかひとつ誤りなきように運営をお願い申し上げる次第です。  まず、大臣にお伺いいたしますけれども、今朝未明、ちょうど諮問案が策定されたわけでございます。全国農民が、そして消費者が見守っておる中での決定でなかったかな、こう思うわけでございます。そういう中におきまして、残念ながら諮問案は、生産者米価におきましては据え置きになった。まことに残念な結果であったわけでございますけれども、その他の関連対策につきましては大変配慮をなされた、こう思っております。その点は大変評価をいたすわけでございます。  そこで、お尋ねいたしますけれども、大臣におかれましては、今回の米価に対するいろいろな配慮、思い入れ、そういったもの、どのように評価なさっておりますでしょうか。
  13. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 平成年産米穀生産者価格につきましては、いろいろな御議論もちょうだいしてまいりました。昨年の大冷害、またガット・ウルグアイ・ラウンドの受諾等々の稲作農家の皆さんの大変な不安のもとにおいては、情のある価格決定をいたせというような御指摘も強く強くちょうだいしたわけでございますが、一方では、政府行政価格決定でございますし、一定算定方式がございます。前期米審と言われた二十七日の米価審議会においても、その算定方式を本年はとりあえず前提にした米価算定をいたせというような御答申も受けておりましたので、これらを十二分に考えながら米価決定に努めたわけでございます。地域方式と言われる算定方式によりますと前年価格を下回るというような試算の結果が途中で出ておりましたが、そういうことは相ならぬということで据え置きをさせていただき、特にことしは、米穀需給端境期を中心として大変集荷問題が重要でございますので、それらも考え、さらには農家の実質的な手取り等も考えて今回の米価決定した。おおよそそのようなことでございます。
  14. 二田孝治

    二田委員 ただいま非常に情と理を加味した米価決定であったという御答弁があったわけでございます。私どもも拝見いたしまするに、まことにそのように、非常にやはり情の面に重点を置いた米価決定ではなかったかな、このように拝察いたして、評価をいたしております。  ところで、昨年は数百年に一度という大冷害でございました。そして、外国米輸入また国産米の不足、いろいろなドラマを描いたわけでございます。  そこで、お尋ねいたしたいんでございますけれども、昨年の冷害を踏まえた米の今後の需給状況、特に端境期におきますところまでの輸入米状況というのはいかがなものであったんでございましょうか。
  15. 永田秀治

    永田説明員 本年三月からの輸入米の本格的な売却の開始に際しまして、消費者の根強い国産米志向に加えまして、輸入米供給の立ち上がりがおくれたということで消費者の方々に大変な御迷惑、御心配をおかけいたしましたことはまことに遺憾なことであったというふうに思っております。  しかしながら、こういうような事態に対しまして所要の対策等を講じた結果、四月以降米の流通は安定化いたしまして、おおむね平常の販売状況になっているのではないかな、こういうふうに考えております。  お尋ねの輸入米でございますけれども、現在輸入米が順調に本邦に到着しているところでございまして、七月四日現在で二百十八万トン到着しております。それから、四月から五月の輸入米販売状況につきましては、二、三月の仮需の反動もあったのではないかと思いますが、計画を下回る状況になっております。こういったことから、米の需給状況は県別にもある程度余裕の持てる状況になってきている、かように考えております。  このような需給状況のもとで、タイ米につきましては、五月以降在庫調整を考慮して売却量を縮減しております。それから、六米穀年度の供給必要量についておおむねめどがついたということから、緊急輸入米全体の契約を六月九日に二百五十五万トンということで契約を終了いたすことにしたところでございます。  今後とも、需給の動向を見きわめつつ、国内産米それから輸入米の計画的供給に努めまして、六年産新米が本格的に出回るまでの間、品質、価格面を含め安定供給に最善の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  16. 二田孝治

    二田委員 ただいま、おおむね輸入は終わった、こういうお話でございますけれども、そこで、食糧庁として把握をしております輸入米の在庫と申しますのは、販売店も含めまして国内でどのぐらいおありなんでございましょう。
  17. 永田秀治

    永田説明員 今申しましたように、二百十八万トン入っておりますが、ややタイ米等で売れないというところはございますけれども、今後引き続いて売却は進むと思っております。  ちょっと在庫数量については把握してございません。
  18. 二田孝治

    二田委員 これはいろいろな消費者からお聞きした話ですけれども、セット販売ですから一緒に買っていかなければいけない、こういうことになるわけでございます。しかし、片一方のタイ米なんかも、捨てたりなんだりしているというような状況だ、こういうふうに聞いているわけなんです。でございますので、当初の把握の状況というものが誤っていたんじゃないか、誤った国産の生産量に基づきまして輸入をしていったんじゃないか、そのようにも思われるわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  19. 永田秀治

    永田説明員 お尋ねの件でございますが、まず輸入米の件で立ち上がりがおくれたということを申し上げましたが、それと同時にもう一つは、私どもも、中短粒種、日本の国民がやはり好む米は中短粒種であるということで、そういうものを輸入したいということでございましたけれども、なかなか早急には手に入らなかった。それから、タイはもともと沖縄向けにしょうちゅう原料用の米を入れていた、それからまたモチ米が若干入っていたということがございまして、安全性の検査体制が非常に進んでいたということもありまして、タイ米から手当てをせざるを得なかったということでございます。決して過剰に入れるというようなことがあってタイ米を入れたわけではございませんで、多少、その後中国の米でありますとかカリフォルニア米あるいは豪州米等の中短粒種が入ってきたということもあって、先生御指摘のようにタイ米が売れないというようなことがあったかもわかりませんが、決して過剰に意図して入れたというようなことでは決してございません。
  20. 二田孝治

    二田委員 私は何も意図して入れたと言っているのではなくして、国内の状況の把握に確たるものがなかったので、それで需給状況の把握というものを誤ったんじゃないのか、こう言っているわけでございます。いかがですか。
  21. 永田秀治

    永田説明員 国内の国産米が非常に足りない中で今申し上げたように緊急に入れていったということでございまして、需給の見方の誤りというようなことではなかったというふうに思っております。
  22. 二田孝治

    二田委員 最近、政府管理米の集荷数量が減少傾向にあるわけでございます。それは、平成三年度が政府米が百十二万トン、そして平成四年度が百五十七万トン、平成五年度は、これは大凶作でありましたので五万トンでございます。そういったふうに政府管理米、自主流通米もありますけれども、その集荷数量が大変減少傾向にある。  そこで、平成年産米の集荷の販売対策及び農業団体がこれから行っていく政府米の集荷対策というものはどのようになっていくのか。また、昨年度より米の制度別需給均衡化特別対策として五百億円の予算措置が行われたわけでございます。これから今年度を活用するということでございましょうけれども、平成年産米に活用できる財源としてはこれがどのぐらいになっているのか。
  23. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  本年産米価決定当たりましては、当面の米需給状況を踏まえまして、早場米を含めた六年産米の集荷対策について、政府管理米を確保することにより本年の端境期における需給操作を円滑に進める等の観点から、円滑な集荷のための環境づくり対策として、政府米の集荷促進、他用途利用米の流通円滑化、それから自主流通米の早期集荷等を図るための措置を講ずることとしたところでございます。この財源は、二百八十五億円の予算でございます。  なお、その財源は、制度別用途別需給均衡化特別対策事業を活用するとともに、自主流通米の受託限度数量の追加を行うことによって対応することとしているところでございます。  また、農業団体においても、自主的な取り組みとして前渡金の支払い等を実施している、こういうことでございます。
  24. 二田孝治

    二田委員 たしか昨年、このちょうど同じ米価時期に、自主流通米対策費、そういうようなことが一部廃止されていった。その中で、五百億円を三年度で使うというそういう制度をたしかつくってあったんじゃないかと記憶にあるわけでございます。この五百億円の使途ですね。そして、それが今どのくらい残っているかということをお尋ね申し上げておるわけでございます。
  25. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃったとおりで、五百億円で三カ年の事業ということでございましたが、昨年は未曾有の凶作ということもありまして、必ずしも所期の、予定どおりの予算の執行にはなっておりませんが、またその後、大変な不作、不況に対しましての予算の組みかえ等をやっております。そのどの程度を使っておるかということは、ただいままだ農協から申請が来たりしておりまして精査できておりませんので、どのぐらいになっているかということはちょっとわかりませんのです。ただ、予定の金額、百六十五億円ですかそれ以上に、百六十八億円の予算よりも多く使っているということだと思います。
  26. 二田孝治

    二田委員 そうすると、この五百億円のうちの百六十億円ぐらいを使っている。そうすると、あとの三百四十億ぐらいはまだそのままあるということになるのですか。使えるということになるのでしょうか。
  27. 永田秀治

    永田説明員 ちょっと舌足らずでありましたが、予算の百六十八億円以上を使っておるということでございまして、実際にどのくらい残っているかというのはちょっと把握できておりませんが、おっしゃるように三百億とかそういう金額で残っているとは思いません。
  28. 二田孝治

    二田委員 これは、今年度の冷害対策というものにはこの中から支出しているというふうに承知しているのですけれども、そういうことはなかったのですか。
  29. 永田秀治

    永田説明員 御承知のように、政府米なんかは大凶作で集まらなかったということで、そういうものの手数料等には使っておりませんので、凶作の方で使える分は組み替えて使っております。
  30. 二田孝治

    二田委員 そうすると、関連してお聞きいたすわけでございますけれども、平成六年度のいろいろな関連対策といたしまして今度新たな予算ができる、そういう中にはこれは組み込まれていないということになるのですかな。
  31. 永田秀治

    永田説明員 五百億の関連で、今回の平成年産の集荷・流通対策というのは二百四十九億、それからあと自主流通米の枠の拡大の二十五万トン、三十六億円で、合計で二百八十五億円でございます。二百四十九億円の中には、政府米の協力金でありますとかUターン助成、それから他用途利用米の流通の円滑化助成、それから自主流通米の早期集荷・流通助成並びに早期出荷助成、こういったものが入っておるわけです。
  32. 二田孝治

    二田委員長 そうじゃなく、この五百億の積み残しの中からこういったものに今後予算措置として使われるのかどうかということを聞いているわけです。そこのところを明確に答えてください。
  33. 永田秀治

    永田説明員 今私が申し上げた政府米の協力金とか、こういうものに使われることであります。
  34. 二田孝治

    二田委員 三年間で使うものが二年間でなくなった、こういうことになるのですな。前食いしてしまった、前倒しで使ってしまった。そうすると、来年度はまた別途にいろいろなこういうものを考えていかなければいけないということになるのですな。
  35. 永田秀治

    永田説明員 そのとおりでございます。
  36. 二田孝治

    二田委員 わかりました。  平成年産の集荷対策の一つといたしまして、価格形成の弾力化を図らなければならぬ、これは値段の問題もございますし、それからいろいろな集荷の問題もございますけれども、そういうふうに思うわけでございます。またそういうふうにする、こういうことでございますけれども、一時ストップしておりました価格形成の場の再開の見通し及び六年産米の入札取引の仕組みはどのようになっているでしょうか。
  37. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  平成年産の自主流通米の入札取引につきましては、六年産の集荷対策の一つとして、適正ルートでの集荷を促進する観点から、価格形成の弾力化を図ることとしているわけであります。自主流通米の入札取引の再開につきましては、平成年産米の出回りとともに米の需給も正常化に向かうのではないかと期待されているわけでありますので、六月十日の自主流通米価格形成機構、この機構の理事会、運営委員会において、七月二十一日に早期米の入札を行うこととして、その大枠を決定したところでございます。  その際の基準価格あるいは値幅制限につきましては、需給動向等を適切に反映した価格形成を図るために、六年産の作付それから生育動向、全体の需給価格状況、こういったものを見きわめた上で、入札の直前に自主流通米価格形成機構の理事会、運営委員会におきまして決定することとしているところでございます。現在のところ、七月十二日ごろを予定しているところでございます。  また、通年玉につきましては、例年八月下旬から入札取引を実施しているわけでありますが、その具体的な仕組みについては、早期米と同様に全体の需給事情等を十分見きわめた上で決めることとしている、こういうことでございます。
  38. 二田孝治

    二田委員 また価格形成の場の再開をいたす、こういうことでございます。早場米といったものが順調に集まることを期待申し上げているのでございますけれども、これに対する特別の対策というのは講じておりますか。
  39. 永田秀治

    永田説明員 特別なことを特に講じるということはございません。  ただ、今先生おっしゃいましたように、私どもも集まることを期待しているわけでありますが、これも作柄等によりまして大きく変わると思います。先ほど説明いたしましたように、マル自機構の方も直前まで状況等を見きわめていろいろ決定していきたい、こういうことでございます。
  40. 二田孝治

    二田委員 後でちょっと答えてもらいたいのですけれども、現在の自由米の価格というのはどれぐらいになっているのかということもよく心得ておかなければいけない。それから、いろいろな昨年度の不作に伴うところの、もう田んぼごと買われているわけでしょう、田んぼごと買われているものが相当程度あるのだということもやはり認識しておかなければならない。  そういう面、いろいろな面から考えますと、やはり手だてを立てていかなければ集まらない危険性があるわけなんです。そうすると、自主流通米それから政府米という一つの制度というものが壊れていく、壊れていった場合、食管というものをどう手直ししていくのかというのは、これは当然来る問題なんですけれども、そういうものをやはり十分に頭の中に入れて今後の運用をしていかなければとんでもないことになっていくのじゃないかな、無秩序状態がどんどん広がっていくのじゃないかという懸念を持っているのでこういうことをお尋ね申し上げておりますので、まずこの点につきましては、万全の措置をとることができるようにお願い申し上げたい、こう思います。  今の話にも関連するわけですけれども、本年の需給事情から、端境期の集荷というのはやはり大変大きな意味を持ってまいります。そこで、例年端境期における集荷の数量はどのぐらいあるのか、また同時に、端境期の集荷を促進する観点から、不正規流通防止対策をなお一層強化していかなければならない、こう思いますので、これに対するお考えをお尋ねいたします。
  41. 永田秀治

    永田説明員 二田先生から最初に、不正規流通米で大変高い値段になっているのではないか、あるいは田んぼごと買われているのではないかというようなお話がございましたけれども、実態はよくわからないのでありますが、最近の状況では大分そういうやみ米の価格も下がってきている。それから黒田買いというのも余りないようなお話も聞いております。どちらかよくわからないのでありますが、そういうことで大分様相が違ってきたのかなというふうに期待をしているわけであります。  お尋ねの件でございますけれども、本年の需給事情から見まして、六米穀年度の七月から十月にかけての米の安定供給を図るためには、早期米を含めまして、国内産米への円滑な移行が御指摘のとおり重要な課題であります。そのため、端境期の集荷は大変なことだというふうに考えております。例年であれば、八月は約十万トン、それから九月になりますと百万トンを超える集荷が期待されるところでございますけれども、現段階、天候も順調に推移し、稲の生育等も良好であるということから、平年並みの収量の確保が期待されているわけでございます。  こういう状況下で、端境期を中心にした適正流通を促進する立場から、不正規流通防止対策を一層強力に推進することにいたしております。  具体的には、不正規流通に関与した業者に対します厳正な行政措置、それから無指定、無許可業者に対する中止指導、米流通業者への巡回指導等を都道府県と協力して行うほかに、集荷業者団体、それから販売業者団体等と連携をいたしまして、倉庫、輸送業者に対しまして不正規流通防止の協力要請、それから警察庁、都道府県警察の協力を得た路上指導、それから生産者消費者に対するPR、こういったもので従来にも増して不正規流通防止、是正に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  42. 二田孝治

    二田委員 この不正規流通米の取り締まりというのは容易でない仕事でございます。しかし、これをきちっとおさめていかなければ、米の流通というものは正常化しないということを心得てほしい、こう思います。  大臣にお尋ねいたしますけれども、よく潜在生産力という言葉が使われます。大体一千三百五十万トンから一千四百万トンくらいあるのではないか。それに応じまして減反が行われてまいったわけでございますけれども、現在、実際そんなに生産力はないと、私はこう思います。  私は地方でも歩いておるし、田んぼも歩いておりますと、もう田んぼにならない田んぼというものもありますし、また減反が他作物に定着したものもある。そういったものを含めていった場合に、今後彼田が本当に可能なものはどのぐらいあるのか、それから米の潜在生産力というのは果たしてどのぐらいあるのか。そういうような実態というものを把握していかなければ今後の需給計画というものは極めて立てづらいものになってまいる、こう思いますので、この点についての御答弁をお願い申し上げます。
  43. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 二田委員の御質問は、今日現在議論され、また今後の米管理システムのあり方についても大変重要な問題でございます。これについては、我々としては、とりあえずは統計情報部の各種統計に依存せざるを得ないということを率直に申し上げなければ相ならぬと思うわけでございまして、御案内のとおり、水田営農活性化対策におきましては、潜在作付面積が平成六年度で二百七十一万ヘクタール、したがって一ヘクタール当たり五トンと推計してやっております。  しかし、ただいま二田委員お話しのとおり、そのような担い手の減少、老齢化、あるいは壊廃の進行その他を見ますと、必ずしもそのような供給力はあるかどうかという点については各種の御議論があることも承知しておりまして、ただいま食管制度のあり方について論議をお願いしております農政審議会においても、そのような論議が行われておるところでございます。  したがいまして、非常に重要な問題であることは言うまでもありませんし、各種の、各般の資料に基づいて、この点について、一応の推計でございますけれども固めていきたい、さように存じておりますので申し上げておきたいと思います。
  44. 二田孝治

    二田委員 そうすると、ただいまの大臣の御答弁によりますと、まだはっきり固まってないというふうに解釈してもよろしゅうございますか。
  45. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 今申し上げましたように、現在では、統計情報部の数字を基礎とした二百七十一万ヘクタール、これを前提として各種施策を講ぜざるを得ない、さようでございます。
  46. 二田孝治

    二田委員 この問題は大変大事な問題だと思います。といいますのは、先ほども御答弁にありましたけれども今後の食管の問題、それから減反をどうするか、減反をもうやめて自由に作付してもいいのではないかというような論議にまで発展していくと言うことができますので、やはりどのくらい作付できるかということは実態的にきっちりと農水省で把握しておいてほしい、そういう御要望を申し上げる次第でございます。  以上をもちまして質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  47. 竹内猛

    竹内委員長 石破茂君。
  48. 石破茂

    石破委員 冒頭、大河原大臣の御就任に心からお祝いを申し上げたいと思います。また、谷津政務次官も御苦労さまでございます。  さて、私も長い間大河原大臣の御指導をいただいてきた一人でございます。私も、米価決定にいささかなりともかかわり合いますのはこれで九回目に相なります。最初が昭和六十一年でございました。それはある意味で今回と似ておるような気がいたしますけれども、あのときも下げという形てたしか出ておったはずでございます。ところが、第三十八回総選挙を挟みまして、各代議士が、一体おまえどうするんだということでそれぞれ、言葉は悪いのかもしれませんが、踏み絵というような形でございました。結果として据え置きというような形であった。  その後どういうふうな形になったかといえば、故人になられましたが、玉置総務庁長官の農協批判であるとかああいうような問題が出て、どうもなかなか農政というものに対して世間の御理解というものが得にくい中で、ずっと米価決定をやってまいりました。  こうやって米価が徹夜をして決まります。終わった後に、ああやったなという充実感を感じたことは、残念ですけれども一回もありません。何かむなしさのようなものを感じて、もうこれから先はこんなことをやってはいかぬ。一年に一回お祭りみたいなことをやって、おれが上げたんだとか、あいつが上げに反対したんだとか、そういうようなことをやっておって一体だれが幸せになるんだということを我々はそろそろ考えていかなければいけない時期になったのではないかというふうに考えております。  私ども、野党になりましたが、何でもいいから反対すればいい、自分たちの得点さえ上げればいい、野党だから何でも言ってもいいんだというような、ある意味でそういうような不健全野党ではありたくないと思っております。きちんと国策に従うことは従うべきでありますし、そして、本当にそれが国民のためになるものであれば、私ども全力を挙げて大河原農政を支えてまいりたい、かように考えておるところでございます。  さて、今回の米価が今までと違う点が幾つかございます。それはまず第一に、当然のことでございますが、ラウンド合意というものを受けておるということ。そしてまた、食管制度をどうするんだいという問題をこの後に控えておるということ。そしてまた、未曾有の凶作にどういうふうに対応するんだねというお話。そして、臨時国会になるのでありましょうけれども、ラウンド批准についてどうするんだということ。その時系列の中にあって、今回の米価決定であります。  私どもは、やはりつらくて苦しいことでありますけれども、ラウンドの批准というのはやっていかなければいけないというふうに思っております。もちろんミニマムアクセス受け入れということがみんなウェルカムかといえば、それはだれも、ミニマムアクセスだって受け入れたくない。当然のことであります。しかし、交渉事でありますから、絶対にだめだと頑張って、結果として、ミニマムアクセスであって、例外なき関税化が避けられ北とするならば、それはそれで私は結果として認めることは認めるべきだというふうに思っております。  ある意味でラウンドの批准というものを視点の中に入れながら今回の米価決定というものを考えていかねばならぬと思いますが、先般の米価大会において、自由民主党の総合農政調査会長がラウンドの批准というものにかなり否定的な御見解を提示されました。その点について、今回政権交代によって自由民主党が政権の一翼を担われるということになったわけでありますが、もしその姿勢を継続するとするならば、今回の米価決定の意味も私はあるいは変わってくるのではないかというふうに考えております。野党であるから何を言ったっていい、私はそのように思っておりません。  ラウンド自体は、私はアリバイづくりであってはならぬと思っております。自分たちだったらこんなことはやらなかったというようなお話を随分聞きますが、私はそれは逃げだと思う。私は、この批准の合意というものは一種の原罪であって、私どもはともに背負うべきものであろう、与党であろうが野党であろうが、ともに背負ってその痛みをどうやって分け合うかということを考えていかなければいかぬと思っておりますが、農政の自由民主党の最高責任者がそういう御発言をなさっておられるということから考えますと、この政権はどのように対応されるかということであります。まずその点を明確にしていただきたいと存じます。
  49. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  段々の、米価決定との関連、それとウルグアイ・ラウンド交渉の受諾というような問題についてのお話でございますけれども、まず米価決定がどういう過程かと申しますと、これはお話しのとおりでございまして、ウルグアイ・ラウンドの合意に伴うこの対応の一環としての基本的な、根本的な農業対策、その中には価格所得政策、食管のあり方等がございます。したがいまして、そのような一連の過程の、今、ことしの米価決定は踊り場だというふうに私は認識しておるわけでございます。  それから次に、米価決定についていろいろ今度の連立与党、我々の米価についての意思表示でございますが、やはり生産者米価を上げてほしい、冷害あるいはウルグアイ・ラウンドというようなことでございました。ただ、私が実は寸前まで取りまとめをやっておりました我が党におきましては、具体的な価格の要請は、当時の内閣に対しても、農水省に対してもしておりませんでした。そういうことを考えて、内閣を預かり、農水省を預かりますので、本日いろいろ御審議を願う米価算定を行った、さようでございます。  それから、ウルグアイ・ラウンド問題でございますが、我々が十二月十五日の細川内閣においての農業合意を含むウルグアイ・ラウンド合意について、いろいろな御意見、批判を申し上げました。それは一つには、もう言うまでもないのでございますが、交渉自体が動き出してから、事務レベルで、交渉として非常に秘密主義に過ぎたのではないか、節目節目で交渉の段階を明らかにしながら、国としての、内閣としての方向をとるべきである、その努力が足らなかったのではないかという点。あるいは具体的には、米、ECのそれぞれの、カンター、ブリタンと、首脳がそれぞれの国益についてはしのぎを削ってその国益分を守るような目に見える交渉をした、遺憾ながら我が国の姿勢としてはそれが行われなかった。したがって、米等についての基本姿勢堅持と言って、突然にその受諾が決まった。  ミニマムアクセス等については、加重された要件でそれが行われたというようなところから、我々としてはにわかに受け入れがたいという姿勢で今日まで至ったところでございますが、その後の経過を見ますと、ウルグアイ・ラウンド受諾以降、細川内閣末期においては、羽田外務大臣がモロッコのマラケシュにおいてその協定基本文書に対する署名を行い、その際各国、参加国が批准を努力すべきであるという共同宣言も行われたわけでございまして、そういう意味で、外交交渉の継続性とかあるいは国際社会における責任ある一員というようなことはやはり重く受けとめまして今後も対応しなければならない、さように思っておるところでございます。
  50. 石破茂

    石破委員 大臣のお気持ちはよくわかります、私も。それはよくわかるのです。ただ、批准しないという、我が党は批准に反対するということが明確に言葉となって出ているわけです。これは今後また予算委員会等を通じまして、同僚議員がそれぞれの御発言を一々検証しながらやってまいりたいと思います。  私は、そういうことをとやかく言いたくはないのです。言いたくはないのですが、やはり野党であれば何を言ってもいいよということではないと思う。そして、やはりラウンド合意は、当時の連立与党にももちろん責任はあります。しかしながら、交渉の大半を進めてきたのは自由民主党であることも間違いない事実であります。  私は、自由民主党員として随分とやらせていただきましたが、そこはもうアリバイづくりをしてはいかぬのだ。どっちが悪いとかどっちがどうのとか、そんな話ではなくて、そしてまた、そのときどき何を言ってもいいというものではないということだけはきちんと御理解をいただいていかねばならぬというふうに思います。  それからもう一つ申し上げたいのは、米価のときに限らず、こういうお話がございました。米価は上げなければいけないというお話を毎年毎年してまいります。米は百姓の給料である、昭和五十一年水準と同じとはけしからぬ、やはりどんどん上げなければいかぬ、そうだそうだ、こういうお話がございます。片一方で、規模拡大ができなかったのは農林省の行政が悪いからである、おまえさんたちは責任をとれというような議論がある。これはやや精神錯乱ではないのかという気が私はするのです。  片一方で米価を上げなければいかぬ、上げなければいかぬと言いながら、ラウンドだ、国際競争力がない、これは規模拡大できなかったからだ、行政は何をしていた。そんなこと言われたら政治なんかできないんです。私は、やはりその辺も、その場その場で言うことを変えるということがあってはいけない。  そしてまた、例えば米の生産地では米価上げろと頑張っている党の人がいます。ところが、東京に来ますと、皆さん、米高いですねというような話をする。これは一体何なんだ。やはり同じ党で、北海道だろうが、東京だろうが、大阪だろうが、沖縄だろうが、同じことを言ってその政策を問うていかねば、これは本当の意味での公約ということにならないのではないだろうかというふうに私は考えております。やはり自由民主党なら自由民主党、日本社会党なら日本社会党、新生党なら新生党で、東京で言うことも、北海道で言うことも、どこで言うことも、私は同じでなければいけないのだというふうに考えております。  選挙制度改革、政治改革というのは、一つの党が一つのことを言うということでございまして、それぞれがてんでばらばら勝手なことを言っていればいいということであれば、いつまでたっても農政の混乱は避けられないというふうに思っております。おれが頑張ったんだということではなくて、自分の党は生産地も消費地もあわせて頑張ったんだ、こうなんだという方向をこれからどうしても提示していかなければならぬというふうに考えますが、大臣いかがでございますか。
  51. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 石破委員の農政に関する御経験に踏んまえての御意見でございまして、やはり各党はそれぞれの政策を掲げ、構成する各人がそれを主張で一貫するということは当然のことだと思いますが、それにいたしましても、地域によってそれぞれの実情を踏んまえての御意見等もございまして、それによって意見の差が出ることもまたやむを得ないのではないかと私は思っておりますが、基本的には石破委員の御指摘のとおりだと思います。
  52. 石破茂

    石破委員 このお話を大臣に向かってするのは、大変生意気なことだと思っております。お許しをいただきたいと思います。  私は、何度か農林水産委員会で申し上げてまいりましたが、要するに国家経営論というのがなければいけないのではないかということだと思うのです。なぜ日本の国がこうやっていつも地方分散とか一極集中排除とも言われながら、いつまでたっても一極集中がとまらないのかということだと私は思います。そういう点で、本当に東京にこれ以上集中することが、国全体の利益にそろそろ反してきたのではないのか。韓国がこの間やっておりましたけれども、都市が農村を支えることは国全体の利益なんだということを、私は大河原農政で打ち立てていただきたいということが心からのお願いでございます。  さて、米価のお話に入らせていただきたいと思います。  今踊り場論というお話がございました。踊り場という話、私ども今までこの九年の経験しかございませんが、何度かその話を聞いてまいりました。ことしは踊り場だよということ。据え置きにするときは踊り場だという言葉が必ず使われました。それは、確かに大臣言わんとされることはよく理解をするつもりでございますけれども、二割しかない政府米を今こうやって決めているわけですね。この米価を決めるということの意味、そしてこの米価据え置きにし、これだけの集荷対策をしということが、これから先の農政の上において、踊り場という言葉だけではなくて、どういう意味を持つものであるかということについてお考えがおありかと思います。御教示賜りたいと存じます。
  53. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 御指摘の点でございますが、やや具体的な政府米の役割からまず考えなければならないと思います。  御案内のとおり、制度別用途別需給という問題がございまして、政府米の今日の需要先は、標準価格米とかあるいは学校給食、業務用、集団給食等、食味がそうよくなくても価格はある程度合理的なもの、良質米に比べて安い、銘柄米に比べて安い、そういう需要層が固定されてあるわけでございまして、それに対しては政府米が供給されているという実態がございます。したがって、それなりの価格形成、本来政府が買うものでございますから、生所方式によって、一定算定方式で買っておるというわけでございます。  御案内のとおり、申すまでもなく、七割以上、昨年などは不作でございましたので九五%まで自主流通米として流通いたしました。自主流通米は、一定のパイプを通してという国の管理の制約がございますが、価格はその集荷と販売、両者の需給関係によって決まるわけでございまして、それが今日の米価の実質的な価格水準を形成しておるというわけでございまして、いわば政府価格はその下支えの役目を機能的に果たしているのではあるまいかという議論が多く今日論じられているところでございます。
  54. 石破茂

    石破委員 米価の議論のときに、一つは、抑制的にあるべきである、それは規模拡大をしなければいかぬということですね。それからもう一つは、国際価格と近づけていかなければいけない、こういう議論がいつもされるはずでございます。  さて、この米価を抑制的にしてきたことが規模拡大にどれだけ寄与したのかなということ。もう一つは、国際価格と近づけるというのは確かにもっともらしい議論でございますが、大臣御指摘のように、政府米のウエートというのは非常に低くて、自主流通米もしくはやみ米と言っても自由米と言っても、何と言ってもいいのでありますが、そういうものに大半が流れておる。そうすると、政府米の値段をどんなに抑えてみても、消費者というのは自由米に行き、自主流通米に行き、その価格は何だかどんどん上がっていますね。消費者の感覚からすれば、国際価格との乖離はどんどん開いているのではないだろうかというような観点もあろうかと思いますが、規模拡大と国際価格との縮め方について御見解はいかがですか。
  55. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答えいたします。  なかなか難しい問題でございまして、いろいろな角度からの御議論があると思いますけれども、非常に手近な現行の米価算定方式、地域方式、御案内のとおりでございますが、各地域における平均以上の生産性を上げておる農家の標本をとりまして、一定のルールで生産費及び所得補償方式評価がえしておる。これが担い手だという点でございます。担い手に着目した米価算定は行われているのだ、現実の進め方としては行われているのだというふうに私どもは理解して、かねがねの米価御論議で参加なさった石破委員も御案内のとおり、担い生育成ということに視点を置いた米価算定ではあるまいかと思います。  なお、国際価格の問題については、やはり内外価格差については十二分な配慮が必要でございます。しかし、日本農業が、例えば、アメリカのカリフォルニア米とか、その他豪州米、労賃の安いタイ米等と比べて非常に厳しい生産条件にあります。したがって、内外価格差の解消などということは農政関係者として言うべきではないというふうに私は思っております。ただ、できる限り生産性の向上を図って、そして消費者その他、国民合意を得るという立場で、効率的で安定的な稲作農家による稲作生産が行われるべきであるという点は必要であるというふうに思っております。
  56. 石破茂

    石破委員 大臣の御指摘のとおりで、内外価格差の縮小ということを余り金科玉条のごとく言うべきではないというふうに私も思うのですね。これだけ労賃が高くて、タイなんか一年に三回も四回もとれるわけでして、そこと比べて高いの何のと言われても、これだけの円高ですから、内外価格差の縮小というのは余り正面に出さない方がよろしい、努力しなくてもいいという意味ではございませんが、そのために米価は抑制的であるということは余り言うべきではないというふうに思っております。  さて、価格政策なのか所得政策なのかという点でございます。  三年くらい前でしたか、乳価を決めておりますときに、夜遅く大河原先生が、これから先はもう価格政策は無理であるな、所得政策ということを考えていかなければいけないとおっしゃったのを私は鮮烈に覚えております。さて、今回の米価決定が本当にどういうような意味を持つものであるか。やはり米価政策というものにはもう限界がはっきり来たのじゃないかというふうに考えます。  ただ、所得政策にすぐ移行すればいいとは考えていませんし、まして、今の基盤整備が全然できていないままで、そのままデカップリングを導入すればいいというような安易な考え方を私はとるものではございません。しかし、今回の米価価格政策、所得政策という意味の関連づけ、そして価格政策の限界というものについてどのような御見解をお持ちか承りたいと存じます。
  57. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 これも大変難しい御質問でございますけれども、米価自体については、食管法にもはっきり書いておりますし、また、算定方式も、建前が生産費及び所得補償方式、要するに、原生産費の中から、労賃分については都市均衡労賃評価がえする、あるいは物財費については直近物価指数修正するというようなことで所得補償を行っているという点では、どちらかといえば、現在の農産物価格についての制度の中では一番所得的な面に配慮したわけでございます。  他の価格については、御案内のように、畜産物等については安定帯を設けて、そういうような、いわゆる変動防止というような点で、需給関係の実勢に任せるという価格政策が多いわけでございます。したがって、それぞれの価格政策の態様に応じましてその検討が今後なされなければならないというわけでございますが、やはり、今後の価格政策については、特にポスト・ウルグアイ・ラウンドということをにらみますと、従来の価格政策では所得との関係でちょっともたない。したがって、価格所得政策については改めて検討を要するということが必要だということで、農政審議会に、隠れみのを申し上げるわけではありませんが、私どもお願いしておりますので、その審議を尊重しなければ相ならぬということです。価格所得政策についても農政審議会においてただいま御議論をちょうだいしておりますので、そこから次の、事柄としては大変難しい問題と思いますが、一歩二歩の前進を図らなければならない、さように思っております。
  58. 石破茂

    石破委員 昨年、米価審議会において、産地方式というものを見直せという建議が、異例のものでございますが、出ております。自来一年たって見直しかできなかったわけですね。産地方式というものが出てきたときに、浜口長官のときだと思いますが、一言で言えばこれは打たれ強い方式だねということを言ったのを私は覚えております。では、かわるものを見つけてこいと言われてもなかなか見つけられないわけでございますが、しかしながら、これは変えていかなければいけない。一年宿題をもらっていて結局答えが出なかったわけですね。これについて、本当に次の米価までに、食管制度とも大いに絡むものでございますが、これを見直すという考えが、決意がおありや否や承りたいと存じます。
  59. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  石破委員も、今日の地域方式、これが採用された経緯は十分御案内だと思います。六十一年以降、稲作の担い生育成に着目した算定方式ということで、米価審議会あるいは農林省から、規模で切って一町五反以上というような案も出たことがございますけれども、これは地域の農業事情、特に西日本のような規模の小さい稲作系、これを真っ向から切り捨てるというような御議論もございまして、やはり生産性に着目して、そこで平均以上上げておるものを対象農家としてとるべきだ、対象生産費としてとるべきだというようなことで現在の方式があるわけでございます。米審からいろいろ見直し論が出ておりますが、私自身は、米価審議会の御議論がいかなるところから出ておるか、あるいはそこから前向きの改定方式が得られるかという点については十分慎重に検討してまいりたいというのがただいまの所存でございます。
  60. 石破茂

    石破委員 前向きに、慎重にと言われますとよくわからなくなってしまって恐縮なのでございますけれども、やはりこれを見直していくということは、大変困難なことでございますが必要なことに違いないというふうに私は思っております。  それに今回の米価にしても、今大臣御指摘のように、西日本というのはそれほど政府米のウエートがないですけれども、北海道であるとか東北であるとかいうところには本当に死活問題でございます。釈迦に説法で当たり前のことを申し上げますが、結局、このやり方でやっていくということは、それぞれの声を十分に反映しないうらみがあるのじゃないかなというふうに思っております。対案も出さないでこんな質問をするのは失礼なことだと重々承知でございますので、私どもも鋭意一生懸命考えてまいりたいというふうに思っております。  さて、集荷対策の五百億でございますが、これは昨年設けたものでございますね。ところが、昨年は冷害であったので政府米というのは集まらなくて、これは実は余ってしまったということが実態ではないかと思いますよ。ところがことしは、日照りに不作なしなんて申しまして意外と豊作なのじゃないのか、それはそうあるべきでございますが。さて、これで本当にお金大丈夫なのかなということ、去年どことしと全然気候条件が違うわけですが、その点いかがですか。
  61. 永田秀治

    永田説明員 五百億の事業を中心にして残りで対応するということでございますが、豊作になったらということでございますけれども、それぞれ政府米の協力金というようなことになりました場合には、数量としても八十五万トンというような制限がございますし、Uターンの助成も五十万トンというようにそれぞれ数量的にきちんと決めておりますので、予算をオーバーしてというようなあれにはならないというふうに考えております。
  62. 石破茂

    石破委員 この集荷対策費というのはどこへ行くのかという話なのですよ。私どもは、今回上げることはできなかった、そのことについては責任を感じなければいかぬと思っております。それを、生産者には、手取りがふえるのですよ、政府米を出した人には。名前にまさしく象徴的にあらわれているように、きちんと生産者の手取りになるのですよ、正直者がばかを見ないようになっているのです、そういう祈りが込められていると私は思うのですね。本当に生産者のところに行くのかどうか、そういう懸念がございますが、いかがですか。
  63. 永田秀治

    永田説明員 お答えをいたします。  農家の場合には、農協の口座で一括していろいろな金を入れているということがございまして、今先生が御指摘になったように確実に行っているかということになりますと、大方はきちんと行っておるのでありますけれども、農家の方の自覚としてなかなかそういうふうになっていないということでございます。この点についても、農協の方で、きちんとこういう制度になっていて、きちんと対策に準じてやっていただければ、一俵当たり幾ら、千円とか四百三十五円とかいう金がきちんと行くということをよくPRをしてもらいまして、間違いなく行くというような認識もしていただけるようにしたい、こういうふうに考えております。
  64. 石破茂

    石破委員 その点については行政の方もきちんと指導していただきたいと思うのですね。せっかく苦労して苦労してこういう対策をやっても、何だ、生産者にちっとも来ないじゃないかということになれば、まただましたねという話になってしまうと思うのです。確かに次長のおっしゃるようなことになっているだろうと思いますが、一部から、これ、おれたちのところに来ないのだねという声があるのは厳然たる事実でございます。その点について政府の御見解をお聞きしたいと思います。
  65. 永田秀治

    永田説明員 先生の御指摘、肝に銘じましてしっかり指導いたします。
  66. 石破茂

    石破委員 大臣、お疲れのところありがとうございました。  私は、米価の決め方も仕組みも、不十分ではございますがある程度存じておるつもりでございます。しかしながら、とにかく昨年だけ見ますと、上げろというふうに振れちゃうわけですね。ところが、それを去年もおととしも据え置いている、そして三年平均だということになると、こういう形になるということだろうと思います。  確かに、冷害対策を米価で見るというのはちょっと筋の違った話だと私は思います。そのために共済というのがあるわけで、余りエモーショナルな議論というのはすべきではないというふうに考えております。ただ、冒頭申し上げましたように、ラウンドの批准というのは、つらくて苦しいことだけれどもみんなで乗り越えていかなければいけないことだ、そのためには生産者の御理解というものを何が何でも得ていかなければいけないということを私は考えておるところでございます。  そしてまた、公党が言ったことはきちっと守っていかなければいけない。守れなかったとすれば、それはなぜなのかということをきちんと言っていかねばならぬ。きのうも大蔵大臣に申し上げたことでございますが、大蔵大臣が率いられる党、そしてまた現総理が率いておられる党、これは米価引き上げたということをきちんと言っておられたはずでございます。それはどうなりましたかと聞いたら、立場が変わったのでねというようなお話でございました。それは政治家としてそういうこともあるでしょう。しかし、これから先本当に、公党が公の場で言ったことはきちんと守るね、それができなかったときはこれはどういうことなのかねということを私どもも考えてまいりたいし、新政府にもそのことを強く要望いたしたいと思います。  お疲れのところ御答弁ありがとうございまし た。以上で終わります。
  67. 竹内猛

    竹内委員長 辻一彦君。
  68. 辻一彦

    ○辻委員 米価諮問案がきょう米審に提出されて、農相、ここ数日非常に御苦労されまして、敬意を表したいと思います。  まず、私、農相の就任に祝意を表したいと思います。参議院時代に食糧庁長官でありましたし、長い間行政の場に携わり、その後政界、国会で活躍されてきたのでありますから、米価決定の裏表は何十年を通してすべてを知っておられると思うのでありますが、その点からして、今回の米価決定についてはどういう感想をお持ちであるか、少しお尋ねしたいと思います。
  69. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  行政の領域で農政にかかわっておりましたときは、辻委員からもいろいろ御指導なり御鞭撻をちょうだいしたわけでございますが、党に入りましても、農政、米価決定等についてはこの数年自由民主党の米価の取りまとめ役の一人としてやらせていただいたわけでございます。  そういうことから見まして、本年産米価については、先ほども申し上げましたとおり、冷害あるいはウルグアイ・ラウンド、こういう農家の気持ちというものを配慮した、情のある価格決定をいたせという強い御主張があったことは当然でございます。これについても、気持ちとして念頭に置かなければ相ならぬということもございましたが、やはり行政価格としての米価決定については一定のルールがあるわけでございまして、特に米価審議会等、諮問機関でございますが、これらに対して合理的な説明のできる案を示して、それによって消費者の皆さんあるいは国民の皆さん注視の中でその価格決定をいたさなければならない、いわば理にかなった価格決定をいたさなければならないというわけでございます。  しかも、ことしの緊急課題としては、政府米を販売する農家の実質所得の確保はもちろん、端境期対策としても集荷対策が強化されなければならない。これらの諸要素と申しますか、いろいろな面を考えさせていただきまして、これ以外にはないというふうな結論を責任大臣としては下させていただいたというのが偽らざる心境でございます。
  70. 辻一彦

    ○辻委員 諮問案が出されると同時に、関連対策の点でいろいろと私たちが質問したい点についての答えもある程度出ている。その点で、若干質問内容を変更して、予告してなかった点もありますので、資料や数字等は、今この場でわからなければまた後でひとつ知らせていただく、こういうことで結構だと思いますので、質問点の若干の変更についてはまず御了承いただいておきたいと思います。  まず第一に、米価計算ですが、従来の試算方式によって行われておりますから、それは長い間の歴史といろいろな論理というものがあるので、こういうことを承知の上で、あえて一、二お尋ねをしたいと思います。  まず、百年に一回という大凶作、そしてまた、ミニマムアクセスの受け入れ、こういう中での農家の非常な不安あるいはまた平成米騒動、こういうような中での国産米への志向の強さ等考えると、米価本体の据え置きということは、諮問案での据え置きということは非常に残念な気がするのであります。  そこで、全国農家、農民の、米価を少しでも本体を上げてほしい、こういう強い期待にはどうもこたえ得なかったわけでありますが、そういう要望にこたえ得なかったことについて、農相としてどういうように感じていらっしゃるか、まずこのことをお尋ねしたい。
  71. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 先ほどの委員の御質問に答えたところでもございまして、冷害なりあるいはウルグアイ・ラウンドの妥結とかの点で、全国の皆さんの御要望も大変厚い。それをそれぞれ関係の皆さんからもお話をちょうだいしたわけでございますが、ルールによる算定によりますと、試算値が下がるという数字が出たわけでございます。諮問の直前、きのうおとといの作業で前年度よりも下回るという数字が出ましたので、やはりこれについては、下回る数字が出た以上、これを下回らせるわけにはいかぬ、しかし、これを前年に戻す、据え置くということが精いっぱいで、これを突き上げて、突き破って引き上げるということについては各般の事情から困難だということで、今回の諮問試算値米価決定したということでございます。
  72. 辻一彦

    ○辻委員 私も、連立三党の政策協議で、米価の問題にげさ四時ごろまでかかっておりましたが、振り返ってみて、米価本体の据え置きについては非常に遺憾に思いますが、また反面では、関連対策という点にはかなりなウエートが置かれた、そういう点の評価はし得ると思う。  そこで、こういう点から考えますと、自主流通米のウエートの非常に大きな地方、そういう意味で私の北陸地方等は、これは自主流通米が九〇%以上というふうに非常に高い地方でありますが、また、政府米のウエートが非常に大きい地方、例えば北海道等では政府米が五四%を占めている、こういう点を見ると、所得といいますか、それらの差がいろいろとあり得るのではないか。北海道の農家の皆さん、特に日本の食糧基地ともいうべき北海道農業、農家の皆さんがそういう感を深くされておるのではないか、こういうふうに私は思います。そういう面では、政府米が五四%も占めて、政府米の最も大きな供給源である北海道等に特別な措置をこれから講ずる必要があるのでないかと思いますが、この点について、ひとつ農相の考え方をお伺いいたしたい。
  73. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、政府米比率が高い地域の十アール当たり稲作所得は、自主流通米比率の高い地域に比べて低位にあり、例えば、稲作主業農家の十アール当たり農業所得を見ると、北海道は北陸に比べますと七、八割ということでございますので、程度の差が出ておるわけであります。  しかしながら、例えば北海道では、自主流通米枠の拡大を図る一方で、きらら三九七ということで良食味品種をつくりまして、評価の高い銘柄の生産量が拡大しているわけでございます。また、一戸当たり作付規模というのは他の地域に比べますと大きくなっております。農家二戸当たりの農業所得は他の地域を大きく上回っているということも先生御承知のとおりでございます。  それから、なお自主流通米の県別配分については、各県銘柄の市場評価を踏まえて設定しておりまして、平成年産の北海道の自主流通米の枠は、対前年で比べますと三千五百トンの増枠が行われているというようなことでございまして、必ずしも先生の御指摘のようなことだけではない、いい面もあるのではないかなというふうに考えております。
  74. 辻一彦

    ○辻委員 私ども、いろいろ政府が努力されておることは理解します。しかし、そういうような思いが恐らくこの米価決定を通して北海道の皆さんには強いのではないかという感じがしますので、これからの農政の展開において、ひとつこの点は十分頭に入れながら努力をいただきたい、このように思います。  それから、さっきもちょっと論議があったと思いますが、日本の米は高いのか安いのか、これは一般的に国際価格で言えば非常に高いと言えるでしょう。しかし、物の比較によっては、必ずしも高いとも言えない点があると思うのです。例えば、日本の勤労者が一日働いて、その得た賃金でもって幾らの米を日本で買えるか、タイの勤労者が一日働いて、その労賃で幾らの米を、タイ米を買えるか、これを比べて見ると、数字があれば聞きたいのですが、ちょっと急なことですから今その数字を言うのは無理でありますから、これは後で出していただけばいいと思いますが、ごく概括的に見ても、この差は、日本の勤労者が一日働いて買える米の方が多いというように私は思います。  また、日本の消費者が、一日の家計費の中に占める米の価格といいますか、家計費の中の量、そういうものが非常に大きいというふうに感じていらっしゃるのかどうかになると、必ずしもそうとは言えない。また、今回の平成米騒動の中で国産米への志向の動き等を見ると、日本の米、国産米が非常に家計費の中で高くて大変だというような点とは、そういう批判とはやや開きがあるのではないか、こう思います。  そういう点で、米を日常の家計費の中で一般に国民や消費者の皆さんが高いと感じておるのか、そうでもないと感じておるのか。難しい質問ですが、どう感じているというように受け取っていらっしゃるか、ちょっと伺いたい。
  75. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  辻委員の御質問、なかなか難しい点もございますが、現在の家計支出に占める米支出の割合はたしか一・五、六%だというふうに思っております。それから、食料消費支出に占める割合はたしか五%ないし六%ということだと思います。いろいろな問題があっても国民の所得上昇しておる、したがって、当然ですが家計支出に占める食料費も落ちる。また、米の消費の減退も若干ずつは進んでおるというようなことで、家計における重さはだんだんに下がっておるというふうに考えております。  したがって、消費の選択の自由から、割高だけれども食味のいいという良質米、したがって、自主流通米の価格が、銘柄によって差はありますけれども、俗に言う非常にいい値段で売れるということでございまして、現在の、もちろん生活保護世帯その他いろいろな関係がございましょうが、全体としたら家計に対する重さはそんなに重くないのではないかと思っております。
  76. 辻一彦

    ○辻委員 限られた時間ですから、何点もこの問題で聞くことは割愛しますが、先ほども御質問にありましたが、内外価格差といっても、これだけ円高が急激に変動する中で内外価格差をもって云々するということは非常に無理があると思います。これはそっちもうなずいていらっしゃるので肯定されておるということですが、そういう点からいうと、やはり日本の米が、国産の米が消費の中に占める割合、そしてまた必ずしも高いとは皆さんが感じていらっしゃらない、国産米を志向されるこの考え方、こういう点をもっと国民の皆さんによく理解をしてもらうようにする努力は一面において非常に大事じゃないか。内外価格差を縮小することも大事であるとは思いますが、もう一面、これは説明するときにはなかなか二律背反のような難しさがありますが、この面の理解を広く国民の皆さんに求めるということも大事だと思いますが、これについてどうお考えか、ちょっとお尋ねしたい。
  77. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お話しのとおり、日本型食生活ということでかねがね我々は農政の立場から主張してきたところでございまして、諸先生方もそのようなお立場でいろいろ御努力を願っておると思っております。  その中心は、やはり米を中心とした一つの型が、PFCバランスですか、炭水化物、たんぱく質、脂肪のバランスが非常にとれている、日本人の現在の食生活は。したがって、循環器系統の病気等の発生率が欧米諸国と比べて非常に低いというようなことも言われております。そういう点からも、または今御指摘の家計負担の重さという点から見ましても、我々は、高いものを無理に食ってくれというようなことではなくて、米の需要拡大という点について取り組むべきであると思っております。
  78. 辻一彦

    ○辻委員 先ほどこの報告の中でいろいろと、また答弁もありましたが、もう一度あえて申し上げますが、百年に一回の凶作が統計理論上から適用すればこれはなかなか反映しないという面があると私は思うのです。  去年の九月に本委員会の派遣で北海道に視察に行きましたが、北海道の旭川地方、上川百万石と言われておりますが、あの広漠たる水田一帯が青穂でもって空に突っ立っているという状態を見ましたが、あれだけの大凶作、そして、例えば今度の統計でも北海道においては百十その標本を出しても七つしかそれが採択されない。だから、九四%は切り捨てということです。これは私は統計理論からいうと、いろいろな長い歴史、最初からそれを裏づけるものが統計上はあって、そのルールは否定はしませんが、どうも実感として、百年に一回の凶作がどう反映されているのかということについて非常に疑問を持つので、時間もありませんから、簡潔で結構ですから、一言伺いたいと思います。
  79. 嶌田道夫

    嶌田説明員 もう先生よく御存じでございますので詳しくは申しませんが、米の生産費調査は、正常な生産状態のもとでの生産費を算出するということで、米価算定生産費所得補償方式が導入されました三十五年より以前の昭和二十七年から一貫して二〇%以上の被害を受けた農家を異常な生産状態のものとみなしまして集計対象農家から除外してきているわけでございます。  このような取り扱い、言うなれば災害等の要素を除去いたしまして正常な状態での生産費計算するという、まさしく統計理論に基づきまして行っているものでございます。仮に、先と言われますように、昨年のような作況に応じて除外する災害率を変えるというようなことになりますと、凶作の変動を非常に大きく受けた生産費となります。これは正常な生産状態での生産費を算出するということではなくなりまして、また、標本につきましても、同一基準で継続して調査するという統計理論にも反することになりまして、統計の連続性の確保ができなくなるというようなことから、難しい問題であるというふうに考えております。
  80. 辻一彦

    ○辻委員 論議すべき点はいろいろありますが、割愛したいと思います。  もう一つお伺いしたいのは、先ほど御質問がありましたが、我々の論議でも随分やりましたが、算定方式地域方式は去年の米審以来問題点があるということで、ことしは見直しの必要ありということでありましたが、今回はいろいろな事情からそれがそのまま使われておりますが、来年はこれらの実態を踏まえて見直しをする必要ありと思いますが、するのかしないのか、簡潔で結構でありますが、一言伺いたい。
  81. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  私も就任早々でございますので、これについて見直すべきとの米価審議会意見がいかなる視点から、いかなる考えに基づいて提案されているか、十二分にその検討をさせていただきまして、米価審議会自体に見直しの御論議があるということは重く受けとめまして検討いたしたい、さように思っています。
  82. 辻一彦

    ○辻委員 他用途米の問題について、ミニマムアクセス等の関係、加工用米等を含めてお伺いいたしたいと思いましたが、これは割愛して、また別の機会に譲りたいと思います。  最後に農相にお尋ねしたいのですが、去年の十二月、私の方の社会党はガットの協定を苦渋の選択ということで、受け入れるのはやむなしという方向を出しましたが、そのときに当時の細川政権は、国内対策に万全の対策を期するということを国会で明言しております。また、次の羽田内閣は同様に抜本的対策を講ずると明言をしている。いわば今日の村山内閣における総理の所信は、恐らく近日臨時国会が開かれて、そこでお伺いできると思いますが、まずは担当農相として今お尋ねしたいのです。  これは国内対策に本格的な取り組みをする、例えば私たちは五点ほど歴代の内閣に何回かにわたって申し入れておりますが、一つは二百万トンの備蓄体制をもとにした米の管理体制、それからもう一つは土地改良、基盤整備の強化。三つ目は中山間地対策。そして四つ目は、非常に重くなっている負債負担の軽減。そして、フランスに負けないような担い手対策をさらに強化をする。この五点は、私は何としても、二回、一月十日、四月七日、二代の内閣にわたって申し入れてまいりましたが、どうしても今回は国内対策として実現をすべきである。  それには具体的な七年度予算の中で明確にこれが出てこなければ、幾らうたいとげても意味がな いと思います。しかも、シーリングの枠内に抑えるならばもうこれは大体限界がある。どうしてもシーリングを超えて別枠でウルグアイ・ラウンド後の国内対策についての確立を図らなくてはならない。これはことしの、これから米価以後の最大の我が国農政の課題であるし、農相もしっかりと腹を据えて取り組んでもらわなくてはならないと思いますが、これについての農相の決意をひとつ伺いたい。
  83. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お話しのとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドの受諾に伴って、細川内閣また羽田内閣、それぞれこれに対しては抜本対策を講ずるという姿勢で取り組んできておるところでございます。  農林水産省におきましても、御案内のとおり、その本部の有力な中心でありますし、さらに農政審議会においては各論の部分について御議論をちょうだいしており、速やかな対策の樹立ということでございますが、その政策の重点は、ただいま辻委員のおっしゃったような項目がやはり一つの柱になるのではないかというふうに思っております。いずれにいたしましても早急に成案を得たいというわけでございます。  今、さらに予算措置の問題にも及ばれたわけでございます。そのとおりでございますが、私は、八月の予算には間に合うかどうかちょっとあれでございまして、いたずらにおくらせるわけではございませんけれども、一つの大きな体系をもって重点的な政策の展開ということで、あるいは秋口の追加的な問題にもなり得るかと思っております、まだこれも十分詰めておりませんけれども。  いずれにいたしましても、重要政策の確立とそれを裏づける財政的な支援、これが絶対必要でございまして、御指摘のようなシーリングの枠内に追い込まれて抜本的な対策が縮んでしまう、ないがしろにされるということは絶対ないような姿勢で、内閣全体の問題としても理解を求めてやっていきたい、さように思いますので、御激励としても受け取らせていただきます。
  84. 辻一彦

    ○辻委員 これで終わりますが、心強い農相の決意を伺いました。  秋の対策も、単なる補正ではそれはもう一年限り。これは少なくも六年とか十年をかけて本格的に取り組む必要ありと思いますから、シーリング外の別枠の実現を目指して長期の計画で本格的に取り組んでいただきたい。ひとつ農相には進退をかけてこの実現に努力いただきたい、このことを最後に要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
  85. 竹内猛

    竹内委員長 千葉国男君。
  86. 千葉国男

    ○千葉委員 大河原大臣、御就任大変おめでとうございます。  大臣は元食糧庁長官もお務めになりまして、豊富な御経験から私の質問に対してぜひわかりやすい御答弁をお願いしたいと思っております。  私は、米どころ宮城の選出ということで、日ごろ生産者の方々にできるだけたくさん会う機会を求めて生産者の生の声を聞かせていただいております。何とかこの曲がり角にある農政に対して、国として、やはり産業としての魅力ある農業、あるいはまたそのために思いやりのある農政、あるいはまた非常にわかりにくくなっている面についてはわかりやすい農政、こういうことを目指してぜひこれからも頑張ってまいりたい、このように思っております。  そこで、本日米審を前にして未明の決着となったわけでありますけれども、きょうの農業関係の新聞によりますと、自民党の方では「米価を上げなかったら、何のために政権復帰したか問われる」とか、一方、社会党さんの方では「とにかく自民党に負けないようにしよう」、こういうふうに書かれているわけですが、こういう政権交代したことによってどうも政党の側に、政治加算といいますか、そういうふうな内容が強く出ております。  こういうことについて、元食糧庁長官として、そしてまた今大臣の立場の違い、それから過去のそういう経緯からいって、本日の未明の決着の御感想をまずお願いしたいと思います。
  87. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 千葉委員に御返事申し上げます。  事本年の米価決定につきましては、けさ方最終決着をいたしましたが、先ほども各委員皆様方にお答えしたとおりでございまして、生産費及び所得補償方式、それに基づく地域方式ということで決めさせていただいたわけでございます。従来ルールによりますと若干昨年よりも下がる要因があったわけでございますが、これは農家の方々あるいはそれを代表する各党の皆さんの御意向というものを外しますと、やはり据え置くべきだ、戻すということで決定をしたわけでございます。  他方、先生御案内のとおり、集荷対策は端境期特に重要でございまして、それを通じて政府販売農家の手取りも確保するようにいたすというようなことでございます。それぞれの立場を十二分に勘案した結果でございまして、いわゆる政治加算というものはなかったと私は言ってはばからないというように感じております。
  88. 千葉国男

    ○千葉委員 具体的な生産費の中身につきましては後ほど御質問させていただきたいと思っておりますが、この米審の前の、要するに政府の準備といいますかそういうものについて、先ごろまで私たち連立与党のワーキングチームとして率直に感じた疑問を、運営のあり方といいますか、御質問させていただきたいと思うのです。  まず一つは、米価審議会の日程が決まる、それに対して政府の方で生産費を算出してくる、それで我々の経緯からいって、最初の段階で今回の米価についても、私たちまだ与党でしたから、昨日まで通算して十回のワーキングチームを個別の会議と全体会議とをあわせていろいろヒアリングをやったり、生産者の声を聞いたりいろいろさせていただきました。ですから、そういう中では非常にいろいろな米をめぐる情勢について勉強もしましたし、環境についても理解ができたのですけれども、いよいよ最後の大詰めの生産費の算出、それから全算入とかそういういろいろな地域算定方式の段階になってまいりますと、非常にぎりぎりの段階で、例えば本日朝十時からの米審ということで、昨晩は、前回もそうでしたけれども、朝の三時ごろにならないとその辺の交渉がなかなか煮詰まらない、こういう経過があるわけなんです。そしてその中で結論を出さなければいけない。  こういう出し方といいますか、一番大事なところの議論が、制限時間いっぱいですという形でできない、こういうことなんですけれども、これでは政府主導型といいますか官僚主導型で、政治家の最後の結論の部分が大変弱くなって、ただ上げろとか下げろとかという応援団みたいな役しかない、率直にこういうふうな疑問を感じているのですが、その辺はいかがでしょうか。
  89. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 ただいまの米価決定の過程における諸般の問題、決定過程における透明性というような問題も含んでおる御指摘かと思うわけでございます。私も実務出でございますので、その間の事情は承知していると思いますが、事々しく申し上げませんが、算定基礎になる統計情報部の原生産費、それは三年平均でございますが、前年の生産費の集計が、全力を挙げてもどうしても米価決定の時期に近づいてくる、それを受けて食糧庁当局が算定に入るという避けがたい制約が実はあるわけでございます。その点で非常に、各党各会派の諸先生がそれぞれの論議を重ね、御審議をしていただいている場合の最後のところでいろいろな問題があるという御指摘かと思うわけでございまして、今後の問題としては、それははっきり申し上げまして、こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんが、与党、野党を問わず、できるだけ事前に資料というものを提供させていただいて、それによって御論議を深めていただき、御意思を決定していただくということに努力をいたしたい、さように思っております。
  90. 千葉国男

    ○千葉委員 先ほど資料でいただきました「平成年産米穀政府買価格試算」というところで、次長から説明がございました、例えばCの欄ですが、十アール当たり平均生産費について、 家族労働費については都市均衡賃金で評価がえしたとか、物財雇用労働費について物価修正等をした、こういうふうにあります。  私は、それで先日も申し上げたのですが、当時は七月一日が今度七月六日になったのですが、この七月一日に米審に語るときに、七月の分のパリティー指数を出すために今一生懸命やっているのですというようなお話がありました。今大臣からもちょっとお話がありましたけれども、例えば七月一日あるいは七月六日でもいいですが、そのために七月分のパリティーを用意しなければいけないとかというのじゃなくて、そのために職員の皆さんが、統計部の皆さんが十人程度で徹夜をして一生懸命資料を集めて計算をしています、こういうふうなお話が何度かありましたが、余り物価の変動が極端でないのであれば、七月の分でなくて六月の分で七月の計算をされてもよろしいんじゃないか、私はそう思うのです。一カ月間あれば徹夜もしないでゆっくり時間もかけて正確なデータを出していけるんじゃないか。それを、何というか駆け込んで、まだ資料が出ていないのを無理やり集めてくる。そうやって一生懸命努力した姿は認めるのですが、そのことのメリットよりもこういう議論をするメリットがなくなってくる。ですから、一カ月前のデータを出していただいて、それでしっかり議論をしていただいた方がかえって納得のいく議論ができてよろしいんじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  91. 永田秀治

    永田説明員 先生お話しのとおりで、担当はもう本当に徹夜続きでやっているのは事実でございます。一カ月前の数字をというお話でございますけれども、この非常にナーバスな状況の中で、数字というのはやはり鋭意きちんと詰めた数字でないと、いろいろまた別な問題にも波及してくるというようなこともありまして、私どもぎりぎりまで正確な数字で出していくということでやってきたわけでございます。  それから、先ほどお話ありましたように、ワーキングチーム、私も出していただいたりしましたが、先生方大変な勉強をされたわけでありますが、私どもも米価をめぐる事情等でできるだけ御理解を賜れるような資料の提供等にも尽力をしたつもりでございますし、今後ともそういう点で努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  92. 千葉国男

    ○千葉委員 今もちろん努力している気持ちもわかるわけなんですが、要するに、全農家生産費が出て、それを今度は生産性の向上ということで九地域、しかも平均値以上、そして三年間の平均値、こういうことになりますと、それだけ努力をして一円単位のものをぎりぎり出しても、最終的には三年単位だ、九地域だ、こうなってくると、そういう意味の平均値からいくと、それだけ努力したものというのはほとんど価値的には薄いものになってくるのではないか、こういうふうに私は思っているわけなんですね。  今回、全国平均で、お話の中にもありましたけれども、これだけの未曾有の大冷害の中で農家の方々が大変な思いをしている、こういうふうな状況で認識していると、食糧庁の方から統計部の情報として、全国的には農家の方々は共済金を受け取られて可処分所得も〇・八%プラスになっているんですよという、平均値でそういうときは出てくるわけですよ。私は東北、宮城ですから、東北の平均値はどうなっているんですかと聞いて、特別資料を出していただいて、東北の場合はマイナスということが出てきましたけれども、やはり被害を受けた中心が北海道、東北というのであればそこをきちっとデータを出していただいて、その上で全国のデータもある、こういうことになってくるわけですけれども、そういう意味で、今回の生産費の出し方で、冷害抜きにして純粋に再生産のための生産費ということで、上げ要因と下げ要因ということがありましたけれども、もう一遍、今回の試算値の背景になっているコストの上げ要因と下げ要因について、念のためにぜひお願いします。
  93. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  米価算定は当年産の平年作の状態での生産費基礎とするという考え方から、先生御承知のとおり、直近三カ年の生産費を用いることとしております。本年産米価算定当たりましても、このルールにのっとりまして、昨年の米価算定に用いた生産費の中から、二年産生産費を外しまして、新たに五年産生産費を加えて算定を行ったというところであります。したがいまして、本年産米価算定上は、五年産生産費の対前年上昇率というよりは、むしろ二年と五年の生産費の入れかわりによる差と、この一年間の物価、賃金、金利等の動向が影響しているというふうに考えます。  二年産と五年産生産費の入れかわりによる影響を算定対象農家生産費の動向から見ますと、まず収量の減少というコスト上昇要因、それから家族労働時間、物財雇用労働費の減少というコスト低減要因がほぼ相殺されるのではないかなというふうに推測されます。またこの一年間、物価は安定的に推移しております。米生産費パリティーの指数では一・〇%になっております。それから賃金の上昇も小幅でございます。これが二・八%であります。一方、金利水準は低下しておるということでございますので、今申し上げたような諸要因が全部絡んで今回のような結果になっている、こういうことでございます。
  94. 千葉国男

    ○千葉委員 基本をもう一度確認したいわけなんですが、生産者米価というのは、食管法の規定に基づいて生産費及び物価、その他の経済事情を参酌して米穀の再生産を確保することを旨としている。昭和三十五年から生産費所得補償方式ということで行われてきているわけなんですが、今言ったようにさまざまなデータを計算に入れて、最後に、ここ数年据え置きで一六三九二になって、昨年の場合は三百五十九円。ことしはそういうことになりますと、その辺の加算は、調整額はどういうふうになりますか。
  95. 永田秀治

    永田説明員 加算といいますか、調整額は三百十円でございます。
  96. 千葉国男

    ○千葉委員 一般的に思うことは、昨年は冷害になってことしの米価ですからいいのですが、一昨年の場合は、要するに、順調な中に対して調整額が三百五十九円、ですから、むしろそういうときにこそコストダウンを図った成果を踏まえて下げなければいけない、それがともかく据え置きになってしまった。ことしみたいに未曾有冷害で、しかもガット合意がある、農家の方々が精神的にそういう重い負担を受けている、そういうときに計算上は下げなんです、そういうことでまた据え置きになっている。  ですから、本当は去年を下げてことしこそ上げてあげなければいけない、本当はこういう事情じゃないかと思うのですけれども、それがどうも、そういうふうに上げろ上げろみたいなだけで、そういう、価格所得の関係性でいえば、こういうやり方はもう限界に来ているんじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  97. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 政府サイドからの価格決定の安定性という点についての御指摘だと思いまして、その点については今後も十二分に考慮すべきものだ、そのように考えます。
  98. 千葉国男

    ○千葉委員 時間がなくなりましたので、ちょっと急いでお願いしたいと思います。  例えば、米国の生産者米価について、政府によって目標価格とローンレート、融資単価という二段階の支持価格を定めて、不足払い制度を初め短期の融資制度によって何とか農家の手取りを最低限保障しよう、こういうことをなされているわけなんですが、やはり日本としても、これからの、地域算定方式も含めてそういうふうなきちっとした、農家の方々が約束されるようなそういう制度というのは、もちろん制度が違うのですけれども、これに対してどういう御感想を持っておられるでしょうか。
  99. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  米国の制度、ローンレートなり目標価格、その制度があることも承知しておりますが、これはそ れぞれの農産物の管理システムとも関係するわけでございまして、現行の食管制度におきましては、ただいまの価格決定システムがとられております。  今後、今日農政審議会等においても議論されております食管制度の今後のあり方、その場合における、流通規制その他がございます、あるいは、その一部分として重要なのは価格決定方式の問題でございまして、制度全体の一環の中で、ただいま委員のおっしゃいましたそのような問題が取り上げられるべきものであるというふうに考えております。
  100. 千葉国男

    ○千葉委員 最後ですけれども、ガット合意を受けて政府として総理大臣が先頭に立って緊急対策本部をつくった、そして万全の対策を期す、こういうことを言われているのです。我々も今いろいろなプロジェクトチームをつくりながら努力してきましたが、同じくUR合意を受けた韓国では、既に国内対策として大統領のもとにそうした制度も設けて、農業、山村振興のために必要な財源を確保して当たる、こういう抜本的な対策を既に打ち出しておりますけれども、大臣、どのようにお受けとめでしょうか。
  101. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 韓国においては、ウルグアイ・ラウンドの農業合意の受け入れ、特に米問題については、深刻な議論の末にこれを受け入れたという経緯があることも承知しております。したがって、それに対する対策も、大幅な予算措置を講じて、財政措置を講じて取り組むという方針が進んでおるということも承っておりますが、我々としても、当然、ウルグアイ・ラウンドの影響を回避しながら日本農業の再建のために抜本的な政策を進めなければならない。そのための財政支援、これについては、それこそ国民合意のもとに、皆さん方の力強い御鞭撻のもとで我々としても何としても確保しなければならぬ、さように思っております。
  102. 千葉国男

    ○千葉委員 時間になりましたので質問を終わります。  ともあれ、農業生産にとってこの生産者米価というのはシンボル的な存在になっておりますので、今後生産者が希望を持って営農ができますように、早く納得のいく新しい米価算定方式をぜひ頑張ってつくっていきたい、こう思いますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  103. 竹内猛

  104. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 さきがけの玄葉光一郎です。  本日は御苦労さまでございます。お疲れだと思いますが、二、三質問をさせていただきたいと思います。  私も若輩ながら三党協議に時折出させていただきまして、今回交渉させていただきました。我々は、先ほどからお話がございますとおり情のある米価ということを主張し、また大臣は理のある米価ということをおっしゃっておられました。先ほど社会党の辻先生からもお話があったようでございますが、私はこのことについて、本当に理があるのかなということが一つどうしてもまだ理解できない点がございますから、一点、これは今後のこともありますから、御指摘をさせていただきたいなというふうに思っております。  「正規分布図」というのを食糧庁からいただきました。算定方式といいますよりも、むしろ生産費調査の際のデータのとり方について問題にしたいわけでありますが、この分布図を見ますと、いわばマイナス二シグマ以下、いわゆる余りにも低過ぎる収量は、これはもう低過ぎるということでカットしてサンプルをとらないということだと思います。  通常はこのマイナス二シグマ以上で、ここにありますように九六%の農家が含まれるということで、これは問題にならないんだということだと思いますが、去年は大変な、百年に一回と言われるくらい、つまり統計の連続性が通じないぐらいの凶作でございました。つまり、一言で言うならば、ほとんど作況指数が低い地域はこのマイナス二シグマ以下に入ってしまうということでございます。わかりやすく言えば、東北、北海道、サンプル数どのぐらいとられているか。北海道を調べてみましたらば、通常であれば百十九サンプルとれるということでありますが、ことしは七個しかとれないということでございました。こういう異常な年も正常な年も同じサンプルのとり方をするということは果たしてどうなのか。これはよく、今回も議論がありましたけれども、実際の十アール当たり収量が三百六十七ですか、統計は四百七十五、これが分母になるわけでありますから、相当違ってくるということでございます。  改めて、この生産費調査において去年のような大きな被害を受けた農家がサンプルとしてとられない、その問題をどうお考えになられるか、お聞きをしたいなというふうに思います。
  105. 嶌田道夫

    嶌田説明員 先ほどお答えいたしましたように、米の生産費調査は、正常な生産状態のもとでの生産費を産出するという考え方から、昭和二十七年から一貫しまして二〇%以上の被害を受けた農家を異常な生産状態のものとみなして集計対象農家から除外してきております。これは、今言われましたところの二シグマの話でございます。この結果、災害の大きかった北海道、東北、九州の標本農家数は減少しております。ただこれは、これら地域におきます被害率二〇%以下の、言うなれば母集団数が減少したということを反映しているわけでございます。このような取り扱い、災害等の要素を除去しまして正常な状態での生産費計算するという統計理論に基づき行っているものでございます。  毎年の作況に応じまして除外します災害率をもし変えるといたしますと、生産費自身が凶作の変動を大きく受けた生産費となりまして、これは正常な生産状態のもとでの生産費を算出するということはできなくなります。また、標本につきまして同一基準で継続して調査するという統計理論にも反することになりまして、統計の連続性の確保ができなくなるというふうに考えております。  なお、ことしにつきまして、全体的に標本農家数が少なくなっておりますけれども、統計結果の信頼性の判断基準となりますいわゆる誤差、これを実績精度といっておりますが、これにつきましては過去の水準とほぼ同程度の精度が確保されておりまして、この点からもことしの調査結果は妥当なものであるというふうに考えております。
  106. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 先ほども申し上げましたけれども、通常の凶作なら私も問題にしないわけでありますが、統計の連続性が果たして通じる凶作なのかどうかということはきちっとやはり考えるべきなのじゃないかなと。もし、生産費調査米価のためにあるのじゃない、いわば連続性から生産費調査そのものが仮に変えられないのだとすれば、やはり米価算定においてそれを利用する際には補正をするとか、何か考えるべきなのじゃないかなというふうに思いますが、いかがでありますか。
  107. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  生産者米価算定におきましては、従来より、価格決定年の前三年における各年の算定対象農家平均生産費について、所要の物価修正それから評価がえ等を行うことによりまして算定を行ってきているところであります。本年産につきましても、平成年産、四年産、五年産生産費調査基礎として算定しているところであります。  なお、今先生御指摘のあった五年産米が著しい不作ということでありますが、五年産米生産費調査につきましては、六月二十九日に、統計として精度が確保されているものとして統計情報部からも公表されたところでありまして、本年産米価算定に当たっても、従来同様のルールに基づいてこれを算定基礎として使用し、適切な算定を行った、こういうことでございます。
  108. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 もういろいろ問題があるのですけれども、ちょっとこの問題に関してもう一つだけ。  本当は今の問題を追及したいのですが、もし来年もこの生産費所得補償方式が続くということで仮定をすれば、逆に異常につくり過ぎた農家、凶作の農家じゃなくてつくり過ぎた農家もむしろ除外することによって、これも俗に言われておりますけれども、努力しがいのあるような方式に変えていくべきじゃないかなというふうに思いますが、その点いかがでありましょうか。
  109. 嶌田道夫

    嶌田説明員 御質問の趣旨は、災害率二〇%以上の農家集計対象農家からも除外するのであれば、二〇%以上増収した農家も除外すべきではないかという御質問だと思います。  一般に、二〇%以上の減収となりますのは、ほとんどが冷害など気象条件に起因するものでございます。これに対しまして、二〇%以上の増収となりますのは、恵まれた気象条件のほかに、品種選択でありますとか肥培管理、深耕、田植え機による密植、それから土地改良などの技術条件が重なり合いまして複合的に作用した結果であることが一般的であると考えております。さらに、一たん実現しましたこのような増収技術は定着し、蓄積されていくのが一般的でございまして、このようなことを背景にいたしましてこれまで平年収量が傾向的に増加してきたものと考えております。  したがいまして、このように定着していくものを異常なものとして取り扱うべきではないというふうに考えておりまして、このような要因によりますものとその年の気象条件による増収部分とを分離することは事実上なかなか不可能でございます。このようなことから、これを現在集計対象に含めているというものでございます。
  110. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 時間があと一分ぐらいしかありませんので、いずれにしても、努力のしがいのある方式にできるように、ひとつ工夫をしていただきたいなと思います。  大臣に質問していませんから、一つだけ大急ぎで御質問申し上げます。  食管の問題とかいろいろ質問したいのですが、今一番私が深刻にとらえているのは、地元を歩いてみて、耕作放棄地が大変ふえている、そして中山間全体の活力が停滞をしていることであります。それに加えて、今回のミニマムアクセスの受け入れによって最も打撃を受ける、しかも真っ先に受けるのは、御存じのとおり中山間地域でございます。この中山間対策をどうするか、もう私なりにいろいろ対案もございますが、農業についてしかり、また農政審議会で議論されているように、総合的に考えるべきだという議論もございますが、その点についての認識を、時間がありませんので簡単に申し上げますが、大臣、ひとつよろしくお願いします。
  111. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 玄葉委員御指摘のとおりでございまして、農政審議会なりあるいはウルグアイ・ラウンド対策としての緊急農業農村対策本部においても、中心の議論としての中山間地帯対策が取り上げられております。地域対策という点での徹底した推進は大きな課題であると思いますし、単に農林省所管だけではなく、各省にまたがる問題でございますので、政府全体として取り組むような姿勢で我々も今後進めていきたい、さように思っております。
  112. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 もう終わりましたので、とにかくガット・ウルグアイ・ラウンドの国内対策として、大臣、中山間対策重視ということでぜひひとつお願いをしたいなということを改めてお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  113. 竹内猛

    竹内委員長 藤田スミ君。
  114. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣米価問題についてお伺いをいたします。  大臣は食糧庁長官、それから事務次官の経歴を持つ農政の専門家と言われております。大臣が食糧庁長官を務めておられた当時、生産者米価は、一九七五年の一万五千五百七十円から七七年の一万七千二百三十二円まで引き上げられたわけでありまして、そういう点では生産者米価引き上げの意味をよくわかっておられるはずであります。  しかし、現在の生産者米価は、一九八四年から十年間引き下げと据え置きの連続の中で、一万六千三百九十二円にまで引き下げられ、ことしもまた据え置き諮問ということに相なっておりますので、私は、まず強くこのことに抗議をしておきたいと思います。一体これで何割の稲作農家生産費を償うことができるのか、その点明確にお答えください。  このような低米価が日本農業にさまざまな打撃を与えていることは言うまでもありません。生産者政府米をつくらなくなり、昨年は、政府政府米を集荷しようとしても、とても政府米の価格では集荷できなかったわけです。米の生産は自主流通米に殺到して、寒冷地だとか高地、そういうところでも冷害に弱い銘柄米に生産が集中して、昨年の冷害を一層深刻にしたことは政府自身の分析でも明らかになっています。  そして、私は、もっと根本的には、このような低米価が農業者の生産意欲を著しく低下させ、将来展望を失わせ、後継者難を招き、日本農業の生産基盤を崩してきていると考えるわけであります。この点、私は、大臣の御認識をまずお伺いをしておきたいわけです。
  115. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  私が食糧庁に在任した当時の米価、それから以後の米価の推移等をお挙げになっての御指摘でございますけれども、米価自体については、御案内のとおり労働費の減少とか、その他単収の増加とかいろいろなものが米価自体の算定には反映するわけでありまして、単なる一般物価指数とのパラレルで考えるべきものではないというふうに理解しております。  また、委員御案内のとおり、二回にわたる大過剰時代がございまして、需給均衡からのいろいろな米価に対する算定方式についての変更も行われたということがございまして、それらの経緯をたどっての本年の米価であることを申し上げたいと思うわけでございます。  本年の米価については、各委員の方々からの御質問に答えまして、生所方式、しかも地域方式という方式をとりまして算定をさせていただいたということに尽きると思うわけでございます。
  116. 永田秀治

    永田説明員 お尋ねの、現在の米価生産費をカバーできる農家がどれぐらいあるかということだろうと思いますが、昨年決定した五年産米価は、本来五年産米生産費と比べるべきものでありますけれども、現段階では生産費調査は四年産米までしか把握できないので、あえてこの両者を比較してみますが、従来言われている第一次生産費、現在生産費と言われておりますけれども、これで六十キロ当たり米価を下回る農家の比率というのは戸数で四六%であります。それからさらに、実際に外部に支払っている支払い利子、あるいは支払い地代を加えました六十キロ当たりの支払利子・地代算入生産費米価を下回る農家の比率というのは戸数で四四%でございます。  それから、従来言われております第二次生産費、これは全算入生産費と言われておりますが、これが米価を下回る農家の比率というのは戸数で一七、販売数量で三一、生産数量で二九、作付面積二八、こういうふうに推測されているわけでありますが、しかし、最近の米流通に占めます自主流通米の拡大から、農家の実際の米販売額が政府米と自主流通米の平均手取り額によって決まっているということでございますので、その場合になりますと、六十キロ当たり生産費で、戸数で八二%でございます。  以上でございます。
  117. 藤田スミ

    ○藤田委員 要するに、農家戸数で言ったら四四%ということであっても、生産量で言ったらもっと多くの数字になることははっきりしているのです。  大臣、テレビでは、村山総理は内外価格差の問題があるからねとおっしゃったわけですが、大臣はきょうの農業新聞によりますと、ウルグアイ・ラウンドで価格支持など国内支持水準も引き下げることになっており、引き上げは厳しい。引き上げが厳しい理由をそういうふうにおっしゃっておられるわけですけれども、そうなると、生産者米価というのはこれから下がる一方じゃありませんか。この点をお答えをいただきたいのです。  時間がありませんから、あと二点お伺いします。  私ども日本共産党は、これまでも国民が必要とする米を生産する農民に、他産業で働いた場合と同じ程度労賃を保障することを要求してきました。農民の労働が他産業と遜色なく評価されることは、農業を社会的に存続させ、農家生産意欲を保障し、担い手を確保する基礎的な条件であり、社会的公正の上からいっても当然のことであります。また、国産米の増産と安定供給が多くの国民の要求になっていることしこそ、そういう立場に立って生産者米価決定を行い、米価を思い切って引き上げるべきであります。この点の大臣のお考えをお伺いしたい。  最後に、もう一つは、大臣が米備蓄の問題について、これも食糧庁長官であった一九七五年十一月、当委員会で、二百万トンの備蓄を進めなきゃいけないということをおっしゃった。その理由として、これだけの分量があれば大きな作柄変動等があった場合でも対応できる、そして四カ月分の在庫積み増しを行うことで安定供給を図りたい、こういうことをおっしゃっているわけです。私は、これ大賛成です。そういうことで進められてきたならば、一年の凶作で米の輸入に結びつかなければならないというような深刻な事態は起こらなかったわけで、その点では私は政府の大失政だ、このことを繰り返し言っているわけでありますが、大臣として明言された二百万トン備蓄の確立の問題について、現在はどういうふうに認識しておられるか、お答えをください。
  118. 大河原太一郎

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  まず、内外価格差の問題からウルグアイ・ラウンドの農業協定の受け入れに及んでいろいろの御指摘がございましたが、米価価格としては国内支持水準も下げるというようなラウンド農業協定の内容でございますが、それだからこそさらに所得政策をどうかみ合わせるかというような問題があるわけでございまして、単に米価を今後は引き下げる一方だというようにお受け取り願わないようにお願いを申し上げるところでございます。  それから、第二点の備蓄問題でございますが、当時は需給規模、消費規模が現在と比べてずっと多うございました。残念ながら米の消費が減りまして、したがって、需給規模が千百五十万トン当時から一千万トンに落ちている。したがって、備蓄量と申しますか在庫量もそれなりに落ちておる、必要なくなっておるというわけでございますが、ただ、その他の凶作変動について、いわゆる回転備蓄の上に棚上げ備蓄を積み上げる、そういう問題としてはいろいろ今後考えなければ相ならぬというわけでございまして、農政審議会でも食管制度のあり方の中心議題の一つとして現在議論をちょうだいしておりますので、その論議を見て考えていきたいというわけでございますが、政府としては、昨年の不作にかんがみまして二年間で百三十万トンとりあえず在庫造成をいたす、そういう基本方針のもとで進めておるところでございます。
  119. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたので、これで終わらざるを得ないわけですが、政府の言う百三十万トンは結局ことしも六十万トンというゆとりしか見ておりませんので、このお天気の次第によったら全くなくなってしまうという危険があるわけです。  それからまた、あなたは、将来ともにわたって米価は下がる一方というふうに見ないでほしい、私もそんなふうに考えたくありませんよ。だけれども、新政策で言っていることも、それからまだ国会で批准もしていないのに、あなたがおっしゃっている言葉を聞いても、これはもうあくまでも米価は引き下がっていかざるを得ないようなそういう深刻な受けとめしかできない、そういう点では、本当に日本の農業、米づくりを育てていくというお立場に立つなら、私はやはり今の米価政策を抜本的に変えるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
  120. 竹内猛

    竹内委員長 七条明君。     〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕
  121. 七条明

    ○七条委員 午前中の論議に続きまして、私の方からお願いします。  午前中は我が自民党は二田先生が質問させていただきました。私の方も自民党として午前中の論議に重複をしないようにできるだけしゃべってまいりますけれども、多少の重複があるときは御容赦を賜ります。  野党だから与党だからと、さっき石破先生の方が与野党と言わず是々非々でいけ、急に私たちも与党になりましたけれども、いいものはいい、悪いものは悪いという観点に立って質問をさせていただきたいと思いますから、簡潔明瞭に御答弁を賜ることをまずお願いをしておきたいと思います。  先に、通告をしております質問の前に、先ほど来公明党の千葉先生やおのおのの先生方から米価決定の算出基準の見直しというお話が出ています。これは、私は見直しをするものだと思っておりますけれども、これだけ確認をしておいて間違いないですね、これからも、来年以降もやっていくんだと。
  122. 永田秀治

    永田説明員 算定方式につきましては、米価審議会でも議論があるところでございますので、今後見直しをやっていかなければいかぬというふうには考えております。
  123. 七条明

    ○七条委員 じゃ、そのつもりで御指導を賜っておければと思うわけであります。  新聞を見ておりまして、非常に米価の引き上げは難しい、非常に農林省や政府サイドの難しさを痛感するわけでありますけれども、そうなれば、これからは予算的に難しいのであれば、政治的なアタックをしていかなければならないし、政治的に配慮をしてやらなければならない、こう私自身は思うわけであります。最終的には、農家の方の負担がことしは非常に大きい、去年のようなことではだめだ。特に、やる気のある人はいいけれども、一生懸命まじめにしている人がばかを見て、やみ米に売ってしまって、ふまじめな人が意欲が出てくるというようなことがあっては大変でありますから、私はその点に関してこれから質問をしてみたいのでありますけれども、普通政治的に価格を決めていくとなれば、新聞に書いてあったことは、基準価格にそのまま上乗せをするということはなかなかできない、こういうような表現が新聞に書いてあります。  じゃ、それが基本にできないとなれば、その周辺だとか関連したようなものの中からどういうふうにやったらいいんだ、こういうふうにやれるものはないかといって探してみましたら、実は平成年産米で、制度別だとか用途別需給均衡化というような表現で、当初の対策から去年の米価のときに関連対策でいろいろやっていますね。これは、マル白米についてだとか政府米について、他用途米について、あるいは自主流通米の受託限度数量の拡大なんというようなものもいろいろ入れましてやっていますけれども、これは順次聞いていきますけれども、簡単明瞭に答えてくださいね、時間がないですから。  最初に生産農家の意欲についてお伺いをしようと思っていましたが、これは後に回していただいて、後で総括してお願いしておきます。  まず、六年産の早期米の入札の制度でありますけれども、これは、ことししばらくぶりに七月の二十一日に入札が始まります。そうしますと、入札が始まってまいりますと、今やみ米が非常に流行して高くなったりして、実際には自主流通米の価格がどのくらいになるのかわかりにくい。そうすると、需給実勢だとか流通の実態に合わせた、十分に配慮をした予算措置でなければならないと私は思うのですね。この辺のことについてどういうふうに考えておられるのか。  あるいは、もう一点は、早期米の集荷が八月末に、さっきもちょっとお話が出ておりましたけれども、十万トンくらい出てくる、これを集荷ができるのかどうか。最初がよかったらすべてよしということがありますけれども、最初が悪かったらすべて悪しになりますから、この辺も決意のほどを聞かせていただければ幸いです。
  124. 永田秀治

    永田説明員 まず、平成年産自主流通米の入札取引についてでございますけれども、六年産の集荷対策の一つとして、適正ルートでの集荷を促進するという観点から価格形成の弾力化を図ることにしているところでございます。  それから自主流通米の入札取引の再開については、平成年産米の出回りとともに米の需給も正常化に向かうことが期待されておりますので、六月十日の自主流通米価格形成において、七月二十一日に早期米の入札を行うこととして、その大枠を決定したところであります。  その際の基準価格、値幅制限については、需給動向等を適切に反映した価格形成を図るため、六年産の作付、生育動向、全体の需給価格状況を見きわめた上で、入札直前に価格形成の理事会あるいは運営委員会において決定することにしているところでございます。  それから、今御指摘のありました早期出荷についてでありますが、今度のこの米価決定とともにやられております集荷対策で、自主流通米の早期集荷・流通助成として生産者に二十三億円、これは九十万トンでありますが、一俵当たり百五十円の助成を行うこととしているところであります。また、一次集荷業者に対しては早期の出庫助成を行うということで、何とかこういうことも活用しながら集めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  125. 七条明

    ○七条委員 今、自主流通米の早期集荷・流通助成で二十三億円をやられるということですから、これも一つの方法として非常にいい方法である。これは今までなかった方法ですね。ですから、これは非常に歓迎をしておきたいのでありますけれども、この方法いかんによっては、まだまだこれは大変なことがあるのですね。  基準価格は過去の三年間の平均で決めていました。ところが、去年のような未曾有の大不作になってくると、先ほど言いました算定基準を見直すのがどうできているかということで非常におかしくなる。だから、ここらの考え方の中で、今やっておられることもよく整理をしていただきたいということがありますね。  それから、全中あたりで聞いてみますと、価格の制限幅は、去年は早期米が五%だった、そして通年米というのが七%だった。これは、早期米の産地からだけでするともう少し、七%、一緒にならないかなんという話があるのですね。ところが、国全体からすると、来年以降幅が大き過ぎたら困るよということもありますから、そこらはちゃんと整理しておいていただきたいということだけは言っておきます。これはもう答弁はいいですよ。  次に、早期米の集荷を円滑にするために、早出し奨励金のようなものを五十九年にやっておりました。特に早期米の場合は、九月の十日とか九月の二十日とか九月の末とかというふうに分けて、たしか五十九年は六十キロ当たり百八十円、それが九十円になり、六十円になるというふうな形で、早期米に限って奨励していたのですね。こういうような話というのは、政府米も去年はやりましたけれども、自主流通米の方もことしはやらなければならない、私はそう思っていますけれども、どうなんですか。
  126. 永田秀治

    永田説明員 本年産米価決定に当たって早場米を含めました六年産米の集荷対策等を講じることとしたところでありますが、その一環として、政府米もそれから自主流通米も早出し助成を行うことにしているところでございます。
  127. 七条明

    ○七条委員 じゃ、これは具体的に早出しする、あるいは生産者の手取りとかというようなもので具体的に言える数字がありますか。例えば、今米価審議会でやっていますから、政府としての気持ちは答申をどういうような形で出していきたい、こう言いたいのですか。
  128. 永田秀治

    永田説明員 関連対策の中身といたしましては、政府米の協力金でありますとか、政府米へのUターン助成でありますとか、それから他用途利用米の円滑化助成というようなこと、それから先ほども申し上げた自主流通米の二十三億円、合計で二百四十九億円という金額の関連対策費が出ておりますが、これを農家にどういうふうにというのは、なかなかすぐにできるようなものではないと思います。
  129. 七条明

    ○七条委員 じゃ、どうしても言っていただかないと、私の方が去年の数字をちょっと挙げてみましょうか。  去年は、マル白米で、集荷全体の促進という形で、集荷促進助成で団体営六十キロ当たり六十冊、これは六十七億つけていますよ。それから政府米の方の集荷は、これは政府米の銘柄指定ですが、誘導のために四十三億つけたり、あるいはさっき言われていた、初めて出てきたというか、去年起こった未曾有の不作に対して、マル政米の早期出荷で、これは六十キロ当たり四百円、六十七億円。あるいは、さっきちょっと次長が言われていたマル白米のUターン助成で六十キロ当たり三百五十円、これが四億三千万。これも実際にいろいろの中で、二つだけはするけれども最初のやつはやらない、その辺の中で、どのような形であれば農家の方が心配なくいけるんだ、今どういうふうな雰囲気でやっているよと言えませんか。
  130. 永田秀治

    永田説明員 失礼いたしました。今回の米価関連対策、六年産米のこれの中身、きちんと詳細にお話を申し上げます。  まず、政府米への政府米協力金でありますが、これは生産者の方に行く金額でありますが、総額で百四十二億円でございます。内訳は、一俵六十キロ当たり千円で、数量として八十五万トンを考えております。  それから、政府米へのUターンの助成でございますが、これは生産者に渡る分でございますが、これが総額で三十六億円でございます。この内訳は、一俵六十キロ当たり四百三十五円でございまして、総数量で五十万トン、これを考えております。  それから次に、他用途利用米の流通の円滑化助成でございますが、これは他用途利用米の生産者の方に行きますが、これが四十億円でございます。  それから、自主流通米の早期集荷・流通助成、これも生産者に渡る金額でございますが、先ほども申し上げましたように、二十三億円でございます。内訳は、一俵六十キロ当たり百五十円で、これが数量で九十万トンでございます。  それから、自主流通米の早期出庫の助成、これは一次集荷業者の方に渡りますが、これが八億円でございます。一俵当たり八十円で、これは六十三万トンでございます。  このほかに、枠の増加ということで、自主流通米でことしは既に三百九十万トンから四百十万トンヘふやしておりますけれども、さらに二十五万トンふやす予定にしております。これが自主流通米対策費として三十六億円支出になるということでございまして、合わせますと、全部で二百八十五億円という金額が関連対策費になるわけでございます。  以上でございます。
  131. 七条明

    ○七条委員 じゃ、去年の場合、これを全部の予算枠でいいますと、当初の対策が合計で百六十億円、そして、去年の米価のときに出てきたのが百五十億円、両方で予算としては三百十億円、こういう予算出てきましたね、去年の場合。ただし、去年は未曾有のために、実際三百十億円使わずに減ったんでしょう。幾ら減ったか、これはちょっと僕はわかりませんが、ともかく去年の場合、そのほかに枠を二万トンつけたために、十八億円相当のものも枠をつけた。そうすると、合計で幾らになるのですかね。三百のうちにまだ十八億円を足すわけですね。そうすると、去年の場合、米価換算で二・五五%相当の増だということになりますけれども、今のやり方でいくと今度はどのぐらいになるのですか。
  132. 永田秀治

    永田説明員 ことしの場合でいいますと、三・九%に相当いたします。
  133. 七条明

    ○七条委員 じゃ、これ二・五五というか、一・四ぐらいの幅で大きく上へ上げる。これは、今農林大臣だとか谷津次官おられますけれども、一生懸命頑張っていただいたんだろう、そういうふうに理解していいですね。やっているんだ、必ずやるんだということですね。どうですか。
  134. 永田秀治

    永田説明員 そのとおりでございます。
  135. 七条明

    ○七条委員 わかりました。  じゃ、午前中に二田先生から話が出てきておりましたけれども、いわゆる昨年より米の制度別用途別需要均衡化特別対策としていわゆる五百億円を平成五年と平成六年、平成七年、この三カ年で予算計上をして、昨年は、今予算計上はさっき言いましたように三百十億円、これは減ってきていますよね。ところが、あと六年度と七年度があるんだけれども、この六年度と七年度でじゃどのぐらいまでして五百億円を消化するんだ、さっき午前中に聞いたときには、あなたのお答えがなかったけれども、ここまで言ってくればもう言えるでしょう。
  136. 永田秀治

    永田説明員 五年度に五百億円事業のうちどれだけ使ったかということは、先ほどもお話し申し上げたのですが、まだ現在申請があったりしておりまして確定しておりませんので、どれだけ使ったかというのはわかりませんが、今回の予算措置で、これで恐らく全部使ってしまう、三年間のものが二年間でなくなってしまうということだろうと思います。
  137. 七条明

    ○七条委員 じゃ、これは平成五年で使う分の上に平成六年、七年で使うものを前倒しをして随分と努力したという意味にとれるんですけれども、私が算出してみると、百三十七億円ぐらい去年より上積みをしている。そうすると、去年の三百十億円を予算のまま使って消化したとしても四百四十七億円、五百億円のうち大半使ったということですから、その意味ではわかるんですけれども、これがあとどのぐらい減っているかですね。だから、およそ百億円ぐらい残っているんじゃないかと思うのですけれども、間違いないですか。そんなような雰囲気にとれるんですけれども、やっぱりよほど前倒ししたと言えますね。
  138. 永田秀治

    永田説明員 五年度でどれだけ使ったかというのがちょっとわからないものですから、申し上げかねますが、残りといいますか、全額を使ってやるようになると思います。
  139. 七条明

    ○七条委員 わかりました。  それではそのことは期待をいたしておきますけれども、じゃ、他用途米の方ですけれども、これは他用途米の制度、これから助成をしていく、特にことしは踏みこんで、四十億円まで踏み込んでやろう、去年はこれは二十億円ぐらいだったですけれども、倍になった。そうすると、この他用途米制度もこれからどういうふうにする、もう見直すのかあるいは見直さずに存続させていけるのか、この辺は、ミニマムアクセスとも非常に絡みが出てきますよね。これはどういうふうに考えるのですか、特に加工用としての物の考え方では。
  140. 永田秀治

    永田説明員 来年以降の他用途利用米制度についてでございますが、ただいま先生御指摘になったとおりで、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果を国内的に実施する際に、ミニマムアクセス分の輸入米などをどのような用途に振り向けるかということと密接に関連するわけであります。今後における新たな米管理システムを検討していく中で検討することとなろうと思います。  なお、平成年産の他用途利用米は、従来どおり転作作物として位置づけ、可能な地域で取り組むこととしているわけであります。  以上でございます。
  141. 七条明

    ○七条委員 元来他用途米というのは、これは加工用のために去年は五十三万三千トン、そして実際には四十万トンぐらいで、ことしの場合はまたさらにこれが三十万トンとか二十万トンぐらいで、実際に契約はしても集荷ができないんではないかと言われていますね。しかも、先ほど四十億ぐらいつけたということですけれども、これで一俵六十キロ当たり平均して一万五千円でしょう。ただし、これは主食用の世界のものとだったら格差はありますよね。しかも、実際に他用途米というのは、売っているのは酒屋さんに出すものだとかみそ屋さんに出すものだとか米菓に出すもので、一物三価ぐらいでごちゃごちゃしておかしくなっていますね、他用途の制度の中では。そういうふうに考えていくと、これは本当に存続させてても大丈夫なんですね、加工用の世界で。これはちょっと聞けますか。
  142. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  加工用の米というのは、大体年間百四十万トンぐらいが使われております。そのうち四十万トン程度が特定米穀、俗に言うくず米でございます。それからあと四十万から五十万トンがマル値、他用途利用米で、残りが、昔は政府米が大分出ておりましたんですが、今はございませんので、ほとんど自主流通米ということになっておるわけでありまして、作柄いかんにすごく影響されるわけでありますが、作柄によりますと特定米穀が大量に出回るということになりますと、実は、つい最近になってマル値が足りない、他用途利用米が足りないというお話がございますけれども、つい二、三年ぐらい前まではなかなか消化するのに苦労するというような状況もございました。  他用途利用米が今転作作物として定着しておるということと、それからまた加工原材料用として非常に微妙な立場にはあるのですけれども、おっしゃるように価格も幾つかございまして、また他用途米に代替するくず米というのもこれまたいろいろな種類があるというようなことでございまして、なかなか一概に言えませんけれども、今後とも他用途利用米というのは重要なものではないかなというふうに考えております。
  143. 七条明

    ○七条委員 実は、なぜこんなことを聞くかというと、他用途米制度、いわゆるさっきお話があった平成五年度の制度別用途別需給均衡という表現の中で、去年は当初、今の中にはっきり言われたように、入ってないものがあるのですね。これは多収穫品種ですね、多収穫品種への誘導をするような、いわゆる助成のための一俵当たり六百円というのはつけていましたよ。ところが、ことしつけてない。いろいろと加工用だからできるだけ収量の多いようにして、農家の手取りをいいようにしてやろう、一反当たり収量をよくしてやろうというための誘導策だったと思うのですね。去年はこうしたけれども、ことしはやらない。また、来年はこうするかといったら、これは抜本的にふらふらしているみたいに見えてしょうがないのですね。ですから、ここらは一元化をしておかなければならないし、何となくそういう意味では場当たり的だなとこれは感じるのですけれども、いけるのですか。
  144. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  昨年ありましたのでは、特に政府米のところでやはり多収穫品種への誘導というようなことが一番重要だというふうに議論されまして、あったわけであります。  ちょっと済みません。マル値の方の話は、集めるというところだけに集中してしまっておりますので、ちょっと昨年どうであったか失念をしておりますが、政府米については同じであります。ただ、これもなかなか、多収穫品種といいますけれども、地域によりますと一番多収穫なのはコシヒカリだという話もあったりしまして、そういうずば抜けた多収穫品種ができないと、価格との関係もありましてなかなか農家の方がつくっていただけるようにならない。各試験場などでも多収穫品種についての育成は随分やっておるわけでありますけれども、なかなか思うようなものができてないというのが現状だろうと思います。
  145. 七条明

    ○七条委員 他用途米制度も、これはやはりミニマムアクセスができてくると、来年四月からですよね。ですから、四十万トンから八十万トン、もしなった場合は、批准された場合ですよ、これも大変なことになって、加工用のそのもの自身の世界と、いわゆるミニマムアクセスで入ってくる外国の世界とのうまくした調整というのが要るような気がするということだけを私がひとり言で言っておきますから。  そしてもう一つ考えておかなければならないのは、実は自主流通米の集荷を促進する観点で、さっきちょっとありましたように、枠を二十万トン拡大されましたね。これは私は、はっきり言ってマル政米の場合は、去年の価格が一万六千三百九十二円、そして自主流通米が約二万二千円ぐらい。できるだけ自主流通米の枠をふやしてやろう、農家の手取りをふやすために大きく二十五万トンをふやしたと私は理解していますけれども、それでいいですね。     〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕
  146. 永田秀治

    永田説明員 やはり端境期対策として、昨年の経験からいたしましても、自主流通米で集めるということでない限り、なかなか御協力は得られないということがあるわけであります。
  147. 七条明

    ○七条委員 本当にそういう意味では御苦労をされて、農家の手取りの方を一生懸命上げてやろうという意味での御苦労に対しては敬意を表しておきたいと思いますから、ぜひそのままでやっていただきたい。  五分ということでございますから、最後に総括をして、谷津次官がおられますからお聞きしたいのですけれども、本年の米価決定に当たって、関連施策も含めて政治的な決断をしなきゃならないと私は思う一人でありますし、特に私は、さっきちょっと冒頭に申し上げましたが、まじめな農家の方がばかを見て、いわゆるやみ米に流してしまおうという不心得な方が得をするというのが、今そういうことが起こっております。ましてや、何だかんだ言っても、米価が決まれば農業の基本が決まる。いわゆる野菜だとか果実だとか、あるいは花卉だとかいうのにも影響しできますから、農業の本当の意欲というのは米価から出てくると言っても私は過言でないような気がするんですね。  それから、農林省内でも、きのう、おとといと米価に絡めていろいろ努力をしていただいた。きょうは農林大臣おられませんし、食糧庁長官、上野さんもおられませんけれども、徹夜でやられたと思うのです。  それから、与党の側も、本当にきのうは徹夜をしながら、ほとんどここにおられる方々は寝てない状況の中で、一生懸命おやりになられておったと私は思いますよ。これは強いて直さず言うならば、農家生産者の方々が、去年のような状況のときにはもう大変だ、ことしは意欲を持ってやりたいんだけれども、どうも意欲が持てるようにならないという一つのあらわれだったと思いますし、何とかそのかかりが欲しいんだという一つのあらわれだったと思うのですね。  消費者側の方も、去年あれだけ国内産米が食べられなかった。まずいと言ったら語弊があるかもわかりませんけれども、外国の米を食べちゃった。ことしはこんなことのないようにしてほしいという意味では、少々の値上げがあっても、まあことしは理解ができるかな、消費者側も生産者側も同じような意識で来ていると思うのですね。  ですから、何とか米価を上げていくという方向で御検討をいただきたい。その意味を込めて決意を次官からお聞かせいただければ幸いです。
  148. 谷津義男

    谷津説明員 七条委員の情熱のほどには敬意を表するところでありますけれども、最近の米をめぐる諸情勢を見ますと、生産性の高い稲作担い手となる農家生産組織、それから集団の育成等を通じまして、稲作の一層の生産性の向上を図らなければならないし、国民の納得の得られる価格で米の安定供給に努めることが最も大事だということは御案内のとおりであります。  本年度の生産者米価についても、こうした課題に加えまして、最近の米の需給事情や一般経済の動向等を総合的に勘案して、引き続き全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家を、その地域において稲作を実質的に担っている農家であるとして、このような農家生産費基礎とした生産費及び所得補償方式、いわゆる地域方式ですね、これによって算定を行うようにする。所要の調整を行って据え置きとしたわけでありますけれども、今お話しの中にありましたように、このことにつきましては私もよくわかっております。  本日、米価審議会にお諮りをいたしたわけでありますけれども、いずれにいたしましても、本年度の生産者米価については米価審議会の答申を踏まえまして適正に決定をしていくつもりでございます。今先生のお考え、また私も同じでありますので、これからもしっかりとやっていきたいと思います。
  149. 七条明

    ○七条委員 今決意のほどをいただきました。もう米価審議会、きょう今やっておられると思いますし、最終的にどうするか、これ以上延ばせないというところまで来ておりますから、今の方針を踏まえて、できるだけ農家の方の意欲が減退をしないように、まじめな方が得をする、ふまじめな方をのけていってでも、これからの農業振興がやはり農家に対して助成をする、国や農林省が言っていることに対してまじめに集荷をしていただけるような気持ちで取り組んでいただけることを特にお願いしておきたいと思います。  少々通告していることと違うことをしゃべってしまいましたけれども、前の質問とダブらないようにしようと思ってこういうことになりましたから、御容赦を賜っておきます。  時間が来ましたから終わらせていただきます。
  150. 竹内猛

  151. 広野ただし

    ○広野委員 会派改新を代表しまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、大臣はおられなくなりましたけれども、谷津政務次官、御就任おめでとうございます。  その中で、今米価審議会、いわゆる最終段階のことになっておりますけれども、今回の米価決定は従来のことと非常に違っている、非常に新たな段階に至っているというふうに私は思います。これは、たくさんの先生方が言われるとおり、ウルグアイ・ラウンドの合意、そして受け入れという、非常に苦しい、厳しい決断に至っているということだと思います。そして、そういう中で迎えている米価のことなのですが、ウルグアイ・ラウンドの批准をつぶそうという人たち、そういうことを唱えられる人たちもおられます。それは特に政権政党の中にもおられるわけであります。  しかし、私たちも政権政党から今野党になりましたけれども、そういうときに我々も威勢のいいことを言いたい、そういうこともあります。そう言った方が都合がいい、また農家からも受ける、こういうこともありますけれども、私たちは野党になったからといってそういう無責任なことはなかなか言えない、そういう気持ちであります。  そういうことについて、ウルグアイ・ラウンドの批准について、谷津政務次官がどういうふうにお考えなのか、まずお答えいただきたいと思います。
  152. 谷津義男

    谷津説明員 これは、外交交渉の一貫性ということは当然のことだろうと思います。そういうことを考え合わせますれば、当然のこととしてこの批准につきましても御理解を得て進めていきたいというふうに考えております。
  153. 広野ただし

    ○広野委員 そういたしますと、今回の米価、いろいろな意味で新たな展開を図る第一歩になるのではないか、こういうふうに思うわけですね。従来どおりの算定方式、これは直近三カ年間の生産費あるいは全国地域生産費計算をやっていく、そういう方式と違って、農家生産意欲、あるいは水田を守っていこうという、そういう意欲が持てるような新しい考え方に基づいて、新しい農政の考え方に基づいてそういう米価算定をするということも考えられると思うのですが、そういう点についてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。
  154. 谷津義男

    谷津説明員 米価審議会におきましても、この算定方式については改正すべきとの議論があることも十分に承知をしているところであります。これからの農業の発展のため、特に米作の発展のためを考え合わせれば、当然それも視野の中に入れて検討しなければならないというふうに考えております。
  155. 広野ただし

    ○広野委員 しかし、その視野の中に入れてということなのですが、やはり食糧政策における米価の位置づけというのは非常に重いものでありまして、こういう重さを考えますと、今までどおりのことをやはり今の計算式では踏襲しているのではないかと思うのですね。  ですから、早く新農政の展開、今は農政審議会でもいろいろと審議をいただいているわけですが、それを先取りするような考え方で今回この中に入れ込むということがやはり必要だと思うのですが、どうですか。
  156. 谷津義男

    谷津説明員 今回の米価につきましては、さきに六月二十七日に前広米審でお話がありましたように、算定方式については従来どおりのものをということで御理解をいただきまして、この算定に入ったわけであります。  しかしながら、この問題につきましては、私どもとしましても、いろいろと議論のあるところでありますし、またよく見直さなきゃならぬ点もあろうというふうに私自身もこれは考えておる一人であります。  そういった中で、今回はいろいろな諸情勢もかんがみまして、算定方式を使わせていただきまして今日の諮問ということになったわけでありますけれども、これにつきましては、今後のことも踏まえまして、十分にその検討をする価値のあるものであるというふうに考えておりますので、そのように取り計っていきたいと思っております。
  157. 広野ただし

    ○広野委員 ところで、ウルグアイ・ラウンドの中にミニマムアクセス、これは非常に厳しいものが入っております。ですから、来年の四月から三十七万五千トンですか、入ってくることになります。ところで、平成七年度の需給計画を見ますと、このミニマムアクセスのものが供給の中に入っていないわけですね。ということは、輸入は来年の十一月以降である、こういうふうに考えていいわけでしょうか。
  158. 永田秀治

    永田説明員 ミニマムアクセス分の輸入米をどういう用途に振り向けていくかというようなことにつきましては、今検討しております新たな米管理システムの中で早急に検討すべきことだということでやっているわけであります。
  159. 広野ただし

    ○広野委員 そういうことを聞いているのではなくて、来年、ミニマムアクセスが三十七万五千だったと思いますが、それを受け入れざるを得なくなってきているわけですね。それが来年の四月から適用になるのだと思うのですが、それが需給計画に入ってないということは、入ってくるのは来年の十一月以降というふうに考えておいていいということですね。
  160. 永田秀治

    永田説明員 まだ批准をしているわけではございませんので、どういうふうになるかわからないので、それは計画に入れるというわけにはまいらぬと思います。
  161. 広野ただし

    ○広野委員 しかし、需給計画、八年度のものを考えると、もうそれの中には入れてありますよね。
  162. 永田秀治

    永田説明員 入ってないと思います。
  163. 広野ただし

    ○広野委員 じゃ、ミニマムアクセスはまだカウントしてないというふうに考えていいわけですね。――はい、わかりました。  次に、昨年は非常に未曾有の凶作ということになりました。そして、平成米騒動とも言える大変な大騒動になったわけです。その混乱の要因は、備蓄が十分でなかったということも一因ではないかというふうには思いますが、私は、食管法というのはこういう事態にも備えてやっておかなきゃいけない、そのための食管法だ、こういうふうに思うわけです。そういう中で、今回の米価政府米の集荷がどれくらいできるかということを私は非常に心配をしているわけです。  その政府米の役割というのは、政府米を持っているということによって、ある程度需給に弾力的に対応できる、こういうことがあるわけなんで、その中で、政府米、大体二百数十万トン集めるんだ、こういうふうなことを今言っておられます。ところが、平成元年から、政府米の集荷量を見ますと、もう二百万トンを切っちゃっているわけですね。もう大体二割から三割ということで、政府米の量が物すごく減っている。昨年は特にひどくて数万トンしか政府米では集まらなかった、こういう事態なわけですね。そういう中で、二百数十万トンも集まるのかどうか、そういう米価になっているのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  164. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  五年産米の異例の不作を踏まえまして、当面、安定的な供給を確保するために、昨年十月に水田営農活性化対策の見直しを行いまして、平成米穀年度末、平成八年の十月末でありますが、在庫数量を百三十万トン程度とすることをめどといたしまして、転作等の目標面積を七万六千ヘクタール緩和したところであります。  これを踏まえまして、政府米の集荷数量については、本年三月策定の基本計画では、需給見通しで二百六十万トンという数字を見込んでいるわけであります。今回の関連対策の中でも、政府米の協力金でありますUターンの助成でありますとか、こういうことでかなりの対策も講じるということでやってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  165. 広野ただし

    ○広野委員 その意気込みはわかるわけですが、昭和六十三年に二百八万トンですか、そして平成元年からずっと百六十万、百七十七万、百十二万、百五十万、そして去年は五万トンということで、政府米は、ある意味では本当に集まらなくなってきている。ですから、それが集まるような手当てを十分にしないと、意気込みはわかるけれども結果としては集まらない、こういうことになりますから、その点は十分に配慮いただきたい、こういうふうに思います。  それともう一つ、政府米の役割といいますか、自主流通米が大体七十数%、それで政府米が二十数%、こういう実態に至っているわけですが、実情はそうなっているわけですね。場合によっては、もっと政府米が減っている場合がある。ところで、その政府米の役割、全体の需給計画における政府米の役割というものはどういうところにあるのか、そういう点について見解をお願いします。
  166. 永田秀治

    永田説明員 お尋ねの政府米でございますけれども、年間を通じて、かつ全国的にも安定した価格で需要に応じた供給を行うというのが政府米の重要な役割だというふうに承知しております。  具体的には、価格面で考えますと、生産者の方に対しては再生産を確保する。それから、消費者の方々に対しては安定供給と低廉な価格により家計の安定を図ること。それから、品質面においては、一定程度の品質のものを一定価格全国安定供給する。さらに、数量面において見ますと、作況変動であるとか不測の事態に備えて国民の主食の安定供給を期するために必要な在庫水準を確保することが求められているというようなことだろうと思います。  以上でございます。
  167. 広野ただし

    ○広野委員 まさにそのとおりだと思います。そして、その中に、備蓄、在庫、この備蓄を適正に持っていくということが今回の米騒動等についての大きな反省点だ、こういうふうに思うわけですね。ですから、そういう、まず六十数万トン、そして二年かかって百三十万トン、こういうことですけれども、そういうものがちゃんと、あるいはもっと多くなるかもしれませんけれども、多くしなければいけないかと思いますけれども、そういうものがちゃんと最低持てるようなもの、そしてまた今から言いますと、流通米の方にばかり行っていて、それをUターンさせないと在庫の方に回ってこないというような点もあるのではないかと思うのです。ですから、そういう点もよく考えて、今回の米価、そしてまた附帯的な措置、集荷対策というものをやっていただきたいと思います。その点について御見解をお願いします。
  168. 永田秀治

    永田説明員 御指摘のとおりでございまして、備蓄につきましては、これは備蓄の方法もどういうふうにやるかというのは、なかなかいろいろなことを研究しなければいかぬ問題がございます。  いずれにいたしましても、国民への安定供給を確保できるような中期的観点に立った備蓄を含む新たな米管理システムの整備について今検討を進めているところでございますので、その中できちんと考えてまいりたい、かように考えております。
  169. 広野ただし

    ○広野委員 そして、今度在庫がない、輸入米ではある程度の在庫があるという状況ですけれども、今度の端境期はやはりいろいろな点で厳しいものがあるのではないか、こういうふうに思います。いろいろな農協においては、前渡金を支払って端境期等における対策を講じようということでやっているわけですね。それが全国においてどれくらいの量になっているのか。概算でもつかんでおられるのか、その点、お答えいただきたいと思います。
  170. 永田秀治

    永田説明員 お答えを申し上げます。  団体が主体的にこれに取り組んでやっていただいておるわけでありますが、まだ数量の方は団体の方も把握できていないというふうに聞いております。
  171. 広野ただし

    ○広野委員 やはり端境期需給というものをよく考えていただいて、政府においてもよく情報を集め、情報が遅くなりますと本当に半月ぐらいのおくれでああいう大混乱になるということですから、十分な手当てを、万全な手当てをやっていただきたい、こういうふうに思います。  そしてまた、今度のこの米騒ぎといいますか、そういう中におきまして非常に明らかになりましたのは、おいしい米に対する消費者の非常に強い要望、要求だと思います。これだけ世の中豊かになって美食の時代、こういうことになっているわけです。ですから、そういう中で、外国米と比べてどうしてもやはりおいしい米を、どういう気持ちで、いろいろな意味で、私の田舎ですと、この二月、三月、富山のコシヒカリがもうないというような事態が現出したのですね。しかもそのときには、十キロ一万円以上というような消費者価格も出てきた、こういうことなんですね。ですから、おいしい米、そしてまた品質のよい米、そして安全なもの、そういうものを求めるというのは消費者考え方でありますから、それにこたえて生産者もおいしい米をつくっていく、そしてまた安全な米をつくっていくというふうにやはり農政はやっていかなければいけない、こういうふうに思うわけですね。  そうしますと、今回の米価試算の中で、これがマトリックスみたいになって出ていますけれども、そういうおいしい米に対する生産意欲がわくようなことになっているのかどうか、その点、お答えいただきたい。
  172. 永田秀治

    永田説明員 お尋ねのおいしいお米ということで、おいしい米はそれなりに高くということでございますけれども、まずそれは、一番最初にできましたのが自主流通米ではないかと思います。政府米というのは、品質、おいしさと余り関係なく値が決まるというようなことでなったのではないかなと思いますが、いずれにしましても、米に対します消費者の需要が大変多様化している中で、産地品種銘柄ごとの需給動向、それから品質評価を反映した価格の形成を図るために、自主流通米には平成年産から自主流通米の機構における入札取引またはそれの相対による取引が行われているところでございます。これで、まずおいしい米はそれなりに高くということが反映されているのではないかと思います。  それから政府米についてでありますが、これも消費者の需要動向に応じた米の生産、流通の促進、それから安定供給を図る観点から、五十四年産から産地品種銘柄を一-五類の五区分とし、類別に価格差を設け、それから類間格差を導入しております。品質格差を反映させた価格設定というのは、ずっと行われているわけでございます。
  173. 広野ただし

    ○広野委員 この米価は、用途別制度別価格を決め、多種多様な米価になるわけですが、先ほど大臣も、いわば自主流通米のそういう価格決定の下支えになるんだ、そういうようなことを答弁されたと思います。この米価によって生産者が意欲を出すかどうか、そういうことがまさに決まってくるということですし、また、その米価に合わせて生産性というものをどうしようかということだって考えるわけであります。また、どうやって水田を集約化していくか、また、機械化をしていくかというようなことも出てくるわけです。  そういうことを含めて、日本の農業を本当に強い農業、そしてまた品質のいい、安心して食べられる米をつくれるような農家にしていくということがまさに問われているわけで、私は、新しい農政というものは米価政策だけであってはならない、さまざまな農政が総合的に展開をされる、その中での米価政策だ、こういうことでないと、それぞれがただばらばらに政策が展開をされておっては何にもならないということだと思うのですね。ですから、非常に整合性のある、また総合性のある農政を展開をしていただかなきゃならない、その中における米価の位置づけだ、こういうふうに思っておるわけですが、その点について、次官、どういうふうにお考えでしょうか。
  174. 谷津義男

    谷津説明員 それは先生のおっしゃるとおりでございまして、米価の位置づけというものは、やはり総合農政の中の位置づけということでなければいかぬと思うのです。しかも、農業につきましては、非常に多様化しておりますけれども、そういう中で生産者が意欲を持てるようにしなければならぬ、あるいはまた再生産につながるような、そういう施策の展開をしなければならないというふうに考えております。
  175. 広野ただし

    ○広野委員 とすれば、早くその他の政策も整えて、来るべき厳しいウルグアイ・ラウンドの事態、そういうものに対処できるような体制を早急につくっていきませんと、結局また農家を泣かしてしまう、こういうことになるのではないかと思うのです。  結局、今農家はいろいろな意味で農政あるいは政府の施策について不信を持っているわけです。そういうときに、きちんとした政策を展開をして政府に対する信頼を戻しませんと、今度また新しく政策を展開をする、農政を展開をするといっても、なかなか今度はついてこない、こんなことになりますから、この米価についても、まじめな、生産意欲のある農家にとってちゃんとついてこれるような配慮をしていただかなきゃならない、こういうふうに思っております。  ところで、生産性の高い農家を育てるという意味で、これまで大規模農家ということが言われているわけです。十五ヘクタールから二十ヘクタールというような大規模農家をつくっていく、そういうことを農林省は言っておるわけですが、これは言うのは易しいけれども行うのは非常に難しいということだと思います。そうしますと、水田を集約をする、そういうことについてどういうような政策を今とろうとしておられるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  176. 入澤肇

    ○入澤説明員 去年成立させていただきました農業経営基盤強化法、これに基づきまして、今、経営体の育成ということに焦点を絞って各般の政策を展開しております。その中で最も大事なことは、農地を利用集積させて、少しでも生産性の高い農業経営ができるような農家層をつくっていくことでございます。  従来から農地銀行活動、農業委員会とか農協が、あなたは土地をあの人に貸してやってください、あるいは売ってやってくださいというような、掘り起こし活動と言っておりますけれども、そのような農地銀行活動を十分にやり、その成果を踏まえまして、農業公社、今度は市町村、農協も農地保有合理化法人としての事業ができますけれども、農地保有合理化事業を農業公社が中心となってやる。そして掘り起こし活動の結果出てきた農地を買い入れたり貸したりする。その場合に小作料の一括前払いをする。そのようなことを中心に利用集積を図っていこうと思っているわけでございます。  新政策は、先生の御質問の中で十五とか二十ヘクタールの農家層をつくっていくのではないかというふうなことを言われましたけれども、私どもは、あれは一つの試算として、米作の単作、米単作の場合において生涯所得として平均的なサラリーマン並みの所得を得るには、十ないし二十ヘクタールの農地がないとうまくいかないのじゃないかということを申し上げたのですけれども、農業経営基盤強化法に基づきまして、各都道府県が基本方針を定めております。その基本方針の中で、経営類型を地域の実情に合わせてつくっておりますけれども、それによりますと、単に十とか二十じゃなくて、五ヘクタールとか三ヘクタールとか、そういうふうな農地規模の中で作物を組み合わせて経営改善をすれば、十分に生涯所得が得られるんだという目標を立てております。私どもは、それを全面的に支援していくつもりでございます。
  177. 広野ただし

    ○広野委員 まさに今の答弁のとおりで、ただ十五、二十ヘクタールだ、こう言ってもなかなかそういうふうにはならないし、確かにそこは一つの目標ではありますけれども、そういうものに対する十分な手当てが、政策が展開されないと、ただ絵にかいたもちになる。そういうことが今までの農政に何回も繰り返されてきているわけですね。ですから、きちんとした手当てをして、日本の農業の生産性を上げていく、やる気のある農家を育てていくということをやっていただきたいと思います。  先ほども言いましたけれども、きょうはまさに米審の最後の局面であります。そういう中で、米価の位置づけというのは非常に重いものでありますけれども、私は、米価のほかに、水田集約対策、また生産性を高める農業政策、いろいろなものを総合的にやって、そういう総合性の中に、そしてまた整合性を持った農業政策を展開をしませんと、このことだけで農家に意欲を持て、ちゃんと農家を継続せよ、あるいは農村を守れ、水田を守れと言っても、とてもじゃないけれどもやれるような価格にはなっていないんだ、そういうことですから、本当にある意味では合わせわざといいますか、そういうことをやらなければならないのだということをお話をさせていただきたいと思います。  そしてまた、先ほどたくさんの方々からお話がありましたけれども、本当に汗して働いている農家、そしてまじめに政府の政策に従って政府産米を出し、そういうものをやっている農家がばかを見ないように、そういうことをきちっとやって、そしてまた在庫も備蓄もちゃんと持って、消費者にとっても安心して食糧が供給される、適切な値段でちゃんと来る、こういうようなものに農政が沿っていかなければならないんだ、こういうことを申し述べまして、最後に次官の御決意をいただきまして、おしまいにしたいと思います。
  178. 谷津義男

    谷津説明員 今、広野委員のおっしゃること、非常に大切なことであります。しかも、そのことは、これからの日本の農業にとりまして最も基本をなすものではなかろうかなというふうに考えております。先生のおっしゃること、十分に踏まえまして頑張りますので、よろしくお願いをいたします。
  179. 広野ただし

    ○広野委員 終わります。どうもありがとうございました。
  180. 竹内猛

    竹内委員長 遠藤登君。
  181. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 まず最初に、ゆうべは大変な御苦労をされたわけでありますが、深く敬意を表したいというふうに思います。  ただ、いつもながら考えるのでありますが、いわば米審と国会の審議が同時に開催をされる、それは私たちも与党ということでありますから与党のありようが問われるということだと思いますが、一体米価に対して国会がどういう役割を果たすのかとけさもずっと考えておりました。この審議が、一体今年産米米価に対してどういう役割を果たすのかなというふうに考えておりました。これはそのありようについて、やはり諮問の出し方、国会審議のありよう、それから米審のありようなどについて改めて検討し直す必要があるのではないかなというふうに、けさからつくづく考えておりました。  これは今後に対する米政策、農業政策万般にわたっての非常に貴重な審査の機会だと思いますが、その点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。次官でも結構でありますから、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  182. 谷津義男

    谷津説明員 確かに遠藤委員のおっしゃるとおり、私もその点につきましては今日まで疑問を持っておった一人であります。ただ時期的に、先ほど御答弁がありましたけれども、いわゆるこの資料を集めるために統計情報部も夜なべをしてまでもそれをやっておっても、なかなか資料というのができ切れないということで今日を迎えておるわけでありますが、本来からいうならば、国会に対するものもさることながら、私は稲を作付する前に価格というものは決めていくべきではなかろうか、これは非常に重要であろうという考えを持っている一人であります。  こういうときに、たまたま米審の時間どこの委員会の時間が同じであるということにつきましては、仮に諮問に対して答申が出てまいりましても、その前にこの委員会が既に終わっておるということもありまして、私はその辺についてはいかがなものかというふうに私なりに考えておるわけであります。ですから、この辺のところは今後検討する必要があるというふうに思っております。
  183. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 私も、作付をする前にきちっと価格とがそれぞれ関連対策も含めて、やはり農家に対しても、国民、消費者に対しても提示をするというのが建前じゃないか、非常に難しい要素もあると思いますが、お互いに十分検討するべき課題ではないかというふうに思います。  次に、質問通告した部分から外れる部分が相当ありますが、感じている点を、最後の方でありますから御質問もさせていただきたいと思います。  先ほどからいろいろ御質問ありました政府米政策というか米の基本政策のあり方というものについて、これは食管法の改正問題を含めて検討過程にある。それは農水省も含めてこれから本格的に検討に入るということだと思いますが、やはりその経過をたどれば、極端に言えば政府米というのは減少に減少を重ねて集荷がほとんどもう不可能になるのではないか、基本的に米政策を考えた場合に、私は政府米が五割、マル白米は五割というのが基本じゃないか、こう思っておりますが、その辺の考え方はどのような視点に立っておりますか。
  184. 永田秀治

    永田説明員 一般的に、政府米と自主流通米は四対六ぐらいが一番いいのではないかというふうに言われておるわけですが、実態は三対七という、あるいはもっと比率は違っておるかもわかりませんが、そういう実態になっていることは事実でございます。  政府米は、年間を通じて全国的にも安定した価格で需要に応じた供給を行うという重要な役割を持っておるというふうに考えております。先ほど来から申し上げておりますように、今回の関連対策等も含めまして、政府米の集荷に全力を挙げてまいりたい、こういうふうに考えております。
  185. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 大変な御努力をされていらっしゃるわけですが、やはりマル白米と政府米との差額が五千円以上、場合によったら七千円も開きがあるというのでは、これは話にならない、なかなか集荷が困難だ。その乖離がますます拡大をするということであれば、それはますます政府米の集荷が困難になってくるのではないか。政府米の役割、機能というのは、おっしゃるようにやはり安定した需給操作、あるいは価格対策の面についても安定的な供給、あるいは安全な供給面からしても極めて重要な任務を帯びているというふうに思いますので、これは食管法のあり方、基本的な米政策のあり方、あるいは総合的な価格政策を含めてそのあり方というものを抜本的にやはりこの際検討する、見直す必要があるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、どうでしょうか。
  186. 永田秀治

    永田説明員 自主流通米と政府米の価格差というのが大変、近年特に乖離しているというのは事実でございますが、特に昨年の場合の不作というのが致命的なことでございまして、五年産米についての政府米の集荷というのはほとんどできなかったということでございますが、これは一つは、作柄いかんにもよりましてまた大きく変わってくる場合もございます。それから自主流通米というのも、これは先ほど御質問もございましたのですが、良品質、おいしいお米というのはそれなりの価格で売れるということでございますけれども、必ずしも全部そういうもので売れるというふうにも考えられないわけでございます。やはり政府米というものと自主流通米との比率というのは一定の必要量というものはあるのではないかと私も思いますので、再度でございますが、今年度は関連対策も含めまして集荷に全力を挙げたい、かように考えております。
  187. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それから、一つは生産費とり方ですね。これは昭和二十七年以来、いわば統計の継続性を重視しながら一貫性を保ちつつやってきたということがあるわけでありますが、やはり先ほど先生方からも指摘をされたわけでありますが、農家にとりましては、二割以上減収は生産費調査対象からカットする、特に東北、北海道あるいは九州などにおいて半分以上も調査の対象外になった、これは収穫皆無、ゼロ地帯が相当あるわけでありますから、それが除外されるということについてはもう理解できない。地域方式であれば、その現場の実態というものをきちっと把握をする、そういう統計方法に、いわば生産費調査方法に変えなければならないのではないか、豊作のときは豊作で結構だというのが偽らざる農民の心理だと思うのであります。その点は抜本的にその検討をすべきではないか。  もう一点、いろいろありますが、ひとつ時間もありませんから申し上げますが、一体人事院勧告とは何ですか。それは民間の給与を集積、集約をして公務員との差額を人事院が勧告をする。米価というのは何ですか。それがその算定値におきましても、例えば地域方式、結構だと思いますが、二割以上の減収をカットして、さらに平均単収というか平均所得以上、その平均的な算定値を出す、それは何ですか。米作農民をばかにしている話じゃないか、こういうのが率直な気持ちなんですね。それは不平等な国政なのではないか、農民をばかにしているのじゃないか。例えば国家公務員の人勧の問題にしても、先ほど申し上げましたとおり、それとのやり方については大変な差別があるのではないかという率直な感情があるのでありますが、それに対してどうお考えでしょうか。
  188. 永田秀治

    永田説明員 先ほど来から申し上げておりますように、生産者米価というのは地域方式でやっておるわけであります。具体的に申し上げれば、直近三カ年の生産費を使ってやっておるわけでありますが、その中で家族労働費につきましては、都市均衡労賃評価がえを行ってやるということになっておりますので、この点につきしまては、都市均衡労賃が上がっていればその分だけ労賃部分は当然上がる、こういう方式になっております。
  189. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それはわかりますが、この算定値とり方として、少なくてもその七割分ぐらいは生産費調査対象に入れて、いわば算定値の算出基準の中に入れて、例えば人勧と同じような配慮をやってもらうべきじゃないのか。それは生産性の高い農家、それが稲作農家の対象になっているという理屈もわかるのです。それは農業というものを知らない者の論理じゃないか、こういう意見が大勢だと思うのであります。  農業に対する認識というのは改める必要がある。それは、農業というのは御案内のとおり大自然の恵みの中で食糧という命をはぐくむ。これは去年のように気象に大いに左右される。したがって、第二次産業とは次元が違うという認識がなければ、農業政策というのは誤りが出てくる。そういうことの認識を改めて対応する必要があるのではないか。そのために、この生産費米価算定値のあり方について抜本的な検討をすべきじゃないのか、これは消費者の皆さんにも素直に語れば理解していただけるのではないだろうか、こういうふうに思うのでありますが、その点に対する視点あるいは今後の対応などについてお聞かせをいただきたい。
  190. 永田秀治

    永田説明員 先ほど大河原大臣からもお話があったのでありますが、算定方式については米価審議会の中でもいろいろ議論がございます。したがいまして、慎重に中身を検討して、どうするかということについては検討したいという大臣のお話がございましたけれども、食管制度の問題等全体の問題も含めまして、今検討をしている中でございます。
  191. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それから、先ほども話に出たのですが、内外価格差、内外価格差ということがありますが、大臣もおっしゃっておったようでありますが、内外価格差などはあるのは当たり前、それを均衡するということが話にならない無理なことじゃないのか。したがって、これは賃金指数でちょっと調べてもらったのですが、労働省の新しい指数だと思いますが、賃金の場合は、日本が一〇〇として、アメリカが七一、豪州が六三、中国が一・五、タイが六、こういう賃金指数の差なんですね。これも一緒にしなさいというのもまた無理なんです。  それから、この政府米価一万六千三百九十二円というのは、これは五十一年の米価なんです。先ほどもおっしゃった、十七年前の米価だと。それで、消費者物価がどのくらい上がっておりますか。これは一・七倍上がっている。例えば賃金がどのくらい上がっているか。平均的に二・二倍上がっている。なぜその政府米価が、どういう算定値であろうが、十七年前の米価なのか、それは納得できないというのが生産農民の本当の姿なんです。賃金が二・二倍も上がって、物価が一・七倍も上がって、なぜ十七年前の米価が正常な米価だと言えるのか理解できないというのが率直な農民の気持ちであります。これに対してはどういうふうにお答えしますか。
  192. 谷津義男

    谷津説明員 先ほど大臣も答弁をしておりましたけれども、この内外価格差というのは私どもはこの対象にしてはいかぬというふうに考えております。農機具におきましても、あるいは肥料または使うガソリンあるいは物品費、そして土地、今お話がありましたように賃金、こういうものを比べましても、これは当然内外価格差を考えて言うならば、それも一緒に内外価格差とすればいいのでありますけれども、それは全く別にして、そういったものがかなり高いものを買わされていることは事実であります。  そういうことを考え合わせますれば、この光なり農産物なりが内外価格差をもっていろいろ引き下げられる方向にあるということについては、これは大いに私は考えなければならぬというふうに考えておりますので、そういう面も踏まえてこれから検討していかなければならぬというふうに考えております。
  193. 永田秀治

    永田説明員 生産者米価は、算定対象農家が実際に稲作に要した生産費基礎として生産費所得補償方式のもとでやっております。家族労働費は、先ほど申し上げたとおり、都市均衡労賃評価がえをしております。それから、物財・雇用労賃直近の時点に物価修正も行っております。それから、実際に支払いを行っていない自作地地代等についても一定評価を行って算入しておるわけであります。  それから、五十年から現在まで、先生がお話ありましたとおりで、賃金は二倍強、消費者物価が八割上昇している。それから、逆に稲作十アール当たりの投下労働時間はどうかというと、これは半減をしているわけであります。それから、平年単収も約一割は上昇しているということもございます。生産性が向上しているわけでありまして、一時間当たり稲作所得は七割強の上昇でございます。それから、本当は自由に経営規模が大きくできるのであれば、稲作所得をふやすということができるわけでありますが、日本の場合それがなかなかできないわけでありますので、投下労働時間の減少分を他の労働に振り向けるというようなことから、稲作の主業農家農家所得は二倍強になっておるわけであります。  それからまた、近年自主流通米の流通数量が急速に拡大しておりまして、五十年に比べますと、自主流通米の比率は二五%から七一%に増加しているわけでありまして、その点になりましても、政府米と比べて相当高いわけであります。したがって、生産者の実質手取りというのは政府米の 手取り水準を相当上回っておるのではないか、こういうふうに考えます。
  194. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それから、今いろいろお話あったのですが、農家所得に占める農業所得の割合というのは、私は米まで分析していないのですが、一七%以下なんですよね。その中で、米、米価というのは大宗になっていると私は思うのです。  それで、農業所得というのは平均的には年間で百三十三万、一カ月十万そこそこなんですね。そこに農業後継者など育つはずがない。農村において農業後継者はほとんどいなくなるのじゃないかと私は心配しております。それで日本の将来はあるのか、環境、国土があるのかということを心配するわけですね。  したがって、これは総合的な政策にまつということになるのでありますが、その中心を占めるのが米価なんですね。その点については、やはり現場、現状を十分把握して将来展望に立つ必要がある。  それから、時間がありませんが、生産性が向上した分を全部引き下げ要因にするとは何事だ。農家が汗を流して努力をした、生産性向上というのは宿命的な課題だ、汗を流したのに対して報いる必要があるのではないか。全部消費者に還元するというのもそれは結構な話だと思いますが、それでは生産者、農民が浮かばれない。少なくとも半分くらい生産農家に還元するというのが常識じゃないですか。これは本当に素朴な問題点として強く指摘されておりますが、そういう意味で、算定値の出し方を抜本的に考え直す必要があるのではないかと思いますけれども、次官、どうですか。
  195. 谷津義男

    谷津説明員 確かに、稲作生産性向上について、この点は生産者に還元すべきじゃないかということだろうと思います。  稲作農家がこれまで生産性の向上に努めてきたこの努力というものについては大いに評価しなければならぬと私ども考えているところであります。同時に、稲作農家は、削減された労働時間、これを規模拡大、また所得の確保に充てるということで農家所得全体の向上を図ってきているのではなかろうかなということも一方で考えられると思うのです。  そして、最近の米をめぐる諸情勢にかんがみまして、国民の納得の得られる価格での米の安定供給に努めることが重要であることはもう言うまでもありませんけれども、こういうことを考え合わせますと、生産性向上の成果は、基本的には消費者にも還元していくことも必要ではなかろうか、こういうことも大事であろうと考えております。  今委員のおっしゃるとおり、半々にせよというお話がございましたけれども、まさにその辺のところは重要なことだろうと私は思いますので、十分に考えていかなければならぬと考えております。
  196. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 とにかく、世界人類的な立場で、あるいは国民的な将来の立場で考えても、食糧、農業、環境というのは極めて重大な、存亡の課題だと思っております。したがって、現場の現状をさらに把握しながら、若い人たちが、しかも現在頑張っている就農者が将来展望を持ってやれるような政策を重点的、総合的に組み立てて、強力な展開を強く、我々も努力するということをお約束しながら、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  197. 竹内猛

    竹内委員長 上田勇君。
  198. 上田勇

    ○上田(勇)委員 まず、谷津政務次官、御就任心よりお祝い申し上げます。大変な時期での御就任でございますが、食糧の供給あるいは我が国の農業、農村の振興というのは国民的な課題でございますので、どうかよろしくお取り組みのほどをお願いしたいと考えております。  きょうは生産者米価決定当たりまして何点か御質問させていただきますが、本日は新政権発足後初めての委員会でもございますので、新内閣の農政についての基本的な考え方につきましても、あわせて何点がお尋ねさせていただきたいと思います。  まず、平成年産政府買い入れ価格生産者米価でございますが、六十キロ当たり三百十円の調整額の加算が行われまして決定を見たわけでございますが、昨年も同様の加算が行われております。農水省におきましては、いわゆる新政策を推進していくという基本方針の立場と、また一方では昨年の未曾有の凶作あるいは昨今の米の市場価格上昇、そういう状況を考え合わせればやむを得ない面もある結論であると私は思っております。  しかし、これはちょっと国民の目から見てみますと、決定に至る過程、それからまた加算、調整額の根拠にも若干わかりにくい面があるのではないかと感じる点があるのじゃないかと思います。日経新聞によりますと、大河原大臣米価について、政党がパフォーマンスの道具に米価を使うようなことはやめるべきだということを発言されているようでありますし、さすがに見識のある発言であり、私も全く同感するところであります。しかし、きょうの新聞の論調とか見てみますと、どうもそれが一般には必ずしもそういうふうに映っていない面もあるのじゃないかというふうにも感じられます。  そこで、先ほど大臣の方からは、今回政治加算はなかったという答弁がございましたけれども、ことしと昨年の調整額、いわゆる加算された額の算定根拠について教えていただきたいと思います。
  199. 永田秀治

    永田説明員 お答え申し上げます。  本年産生産者米価につきましては、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家算定対象とするいわゆる地域方式によりまして算定を行ったわけでありますが、その際、当面の米需給状況から見まして、特に昨年の大凶作という状況から見まして、制度別用途別の多様な需要に的確に対応していく上で、平成年産米の適正な集荷を確保することが重大な課題になっている、こういうことを考慮いたしまして、所要の調整額、六十キロ当たり三百十円を加算して据え置きとする試算値を本日、米価審議会にお諮りした、こういう次第でございます。
  200. 上田勇

    ○上田(勇)委員 食糧庁の方で積み上げました価格試算値でございますが、これではなかなか集荷が難しい面がある、そういう御判断のもとで加算額が決められたということでございますけれども、今の御答弁だと、そうすると、食糧庁の方で行っている算定というのが何かまさに形骸化しているというふうに感じられます。私も今回いろいろなお話を聞く中で、食糧庁あるいは農水省の方で何人もの方々が何日もかけて非常に細かいデータを積み上げられている。先ほどもらいましたこの試算においても、中には一円とか十円とか、そういったものまで全部積み上げられているわけでありますが、そういった努力というのが、まさしくこういう形で価格決定されるとほとんど意味を持たないのではないかという感じすらいたします。そのような形で、先ほども何日にもわたって徹夜で作業されてきたというような話も聞く中で、まことに気の毒にとしか言いようがない感じがいたします。  昨年もことしもそういう事情で確定されるということであれば、食糧庁の方で算定する指標となる価格について、例えば前年度の価格物価変動の係数を掛けるとか、また効率化できるような目標といったようなものを係数を掛けて算出するとか、あるいは自主流通米、これはいろいろな入札制度とかで決まるものがありますけれども、それに一定係数を掛けるとかして出しても、そのくらい簡略化してもほとんど結論は変わらないのじゃないかという気がいたしました。  そういうふうにできればかなり農水省においてもむだな作業が省けるでしょうし、その仕事に携わった方々もより有益な仕事に携わっていただくこともできるのじゃないかという感じがいたします。まして、場合によっては、昨今新内閣においては徹底的な行革ということを言われている中で、組織の合理化すら可能なのではないかというような感じもする次第でございますが、この件につきまして御所見を伺いたいと思います。
  201. 永田秀治

    永田説明員 米価決定の方式につきましては、先ほど来申し上げているとおり地域方式、これはいろいろ議論がございます。米価審議会でも議論があるわけでありますけれども、現状ではこれでやむを得ないということでなっているわけであります。  算定方式の見直しについては、先ほど大臣からもお答えがありましたように、どういう点にいろいろ問題があるのか慎重に検討した上でどうするかを検討したいということでございました。算定方式だけでなくて、今、食管制度全体のあり方等についても農政審議会等で議論をしていただいておるわけでありますので、その中間報告等を踏まえてまた早急に検討をしたい、こういうことでございます。
  202. 上田勇

    ○上田(勇)委員 今御答弁にありましたように、もう少し合理的で、なおかつ一般の国民から見てもなるほどと思われるような算定方式について、ぜひとも早急に御検討いただくようにお願いしたいというふうに思います。  昨年は未曾有の大凶作でありまして生産費がアップする要因がたくさんあったわけでございますが、それでも食糧庁の試算におきましては価格はダウンするという結果になっております。昨年が仮に平年作であったらこの幅というのはさらに大きかったものというふうに思うのです。またことしについて言えば、現在のところ生育順調であるということで平年並みの収量ということを仮に予想すれば、来年度の米価というのは、食糧庁の試算によれば、さらにこれはもっと大きな幅で引き下げの方向に試算値が出るということが当然予想されるのであります。またさらに、新政策によりますと、平成十二年の目標年度においては五ヘクタール以上の規模農家稲作の五割強を担うという計画になっているというふうに承知しております。  そうすると、昨年の生産費調査でも五ヘクタール以上の農家生産費というのは平均の八割以下でありますので、現行の算定方式でいけば、これは平成十二年には一万二千円ぐらいになるというような計算になるのではないかというふうに思います。生産者としても、今後やはり中長期的に米価がどのように推移していくのかわからないと適切な経営判断もできませんし、合理化努力についても意欲が出てこないのではないかということが懸念されます。もちろん、今後その調整額という額でどのように調整していくかということもあるのでしょうが、これが例えば、今のように一万二千円というような試算値が出たときに本当にそれが可能なのかどうか、あるいはそれが納得のいく方法なのかどうか、甚だ疑問であります。  そこで、政府としての中長期的な生産者米価の見通しについてお示し願いたいと思いますが、よろしくお願いします。
  203. 永田秀治

    永田説明員 今の御質問は、もう一つ言い方を変えますと中長期的な米価算定方式をどう考えていくかということにも相なろうかと思いますが、昭和六十一年十一月の農政審報告それから六十三年六月の米審の算定委員会報告におきましては、稲作のような土地利用型の今後育成すべき担い手として、生産性の高い個別経営農家及び生産組織、集団が位置づけられ、これらに焦点を合わせた運用を行うべきである、こういうふうにしております。  地域方式基本的にこのような考え方に立ちつつ、地域ごと生産条件の違いにも配慮した算定方式であり、また望ましい経営体の育成を図るという新政策の方向にも沿ったものである、かように考えております。  そこで、中長期的な米価算定方式の検討に当たりましては、米価政策のあり方についての検討が必要になるわけでありますが、現在、ウルグアイ・ラウンド合意に伴う国内対策の一環として、緊急農業農村対策本部及び農政審議会において、米価政策のベースとなる食糧管理制度のあり方について検討が行われているところでございます。  いずれにいたしましても、こうした食糧管理制度全体の検討を踏まえながら、あわせて検討してまいる必要がある、かように考えております。
  204. 上田勇

    ○上田(勇)委員 算定方式等これから検討されていくということは承知いたしました。いずれにしても、今年は現行の方式で算定したわけでありますが、これでいくと先ほど私が申し上げましたように、平成十二年に向けて米価試算値というのがかなり低く出てくるということが当然予想されるわけですけれども、今回見直しされるということは、そういった考え方をこれはもう全く根本的に改めること、そういった考えでこれから臨まれるということに理解してよろしいのでしょうか。
  205. 永田秀治

    永田説明員 先生の御指摘の、来年以降も引き続き今の算定方式でいった場合に米価が下がるのかどうかというのは、この算定に用いている要素がどういうふうになるか。例えば、都市均衡労賃の問題でありますとか平年単収でありますとか金利の問題、地代の問題、いろいろな要素がどういうふうになるかというのは現時点で予測できませんので、私ども来年下がるのか上がるのかというようなことのお答えはなかなかしにくいのではないかなというふうに思います。
  206. 上田勇

    ○上田(勇)委員 先ほど述べさせていただきましたが、やはり中長期的に価格についての見通しが立たないと、それじゃ農家は、来年は下がるのか五年後は幾らになるのかそこがわからないと、これは経営の判断もできないでしょうし、また規模拡大あるいは合理化に対する努力というのも、これは価格が幾らになるかわかりません、毎年その算定方式についても来年のことは来年でありますというようなことでは、農家に合理化の努力をしろと言っても無理なのではないかというふうな感じがいたします。  これはもちろん算定の方式が非常に細かい食糧庁の方の試算でありますので、これが幾らになるかというのを決めるというのは、当然この方法でいくと無理がどば思いますけれども、やはり新農政でも平成十二年まで構造政策等についてはいろいろな計画が述べられているわけでありますし、当然その価格についてもそれなりの展望、ビジョンをお持ちでなくてはいけないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  207. 永田秀治

    永田説明員 米価につきましては、先ほど来いろいろ出ておりますが、七割を占めますのが自主流通米でございます。これは、価格形成の場というのができておりまして、実需者、需要者それぞれが価格を決めていくわけでありますけれども、それではこの価格が来年、再来年、あるいは五年後、十年後にどうなるかというようなことを想定できるかといいますと、米のできがどうなるかとか、いろいろな状況でお答えができないのではないかなというふうに考える次第であります。
  208. 上田勇

    ○上田(勇)委員 もうひとつはっきりしない面もありますが、ぜひとも今度、中長期的に見たときに、やはりこれから農家が大変な思いをしてコストの削減に取り組むわけでありますので、そうした努力が報われるような算定方式にしていただきたいというふうに思います。  また、例えば去年やことしの例をとりますと、今度生産者の立場からしても、本当は米価は下がるのだけれどもちょっとお情けで据え置いてあげようみたいな感じにもとられて、それでは何か割り切れない気持ちが残るのではないかと思いますので、その点も考慮していただいて今後取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、今回の米価決定とも当然深い関係がありますが、昨年十二月にウルグアイ・ラウンドの合意がなされました。先ほど来、きょう午前中から大蔵大臣、先ほども政務次官の方からもこれについての御所見は十分伺ったのでございますけれども、そういう意味では、今回の合意というのが、国内の農家にとりましては大変な厳しい内容は含むものの、ぎりぎりの交渉の結果であり、やむを得なかった面もあるのではないかと私も感じているところであります。  先日、ちょっと新聞には、自民党河野総裁が、協定全体に対する判断ができない状況でこれを是認することはできない、これは昨年の十二月にそういうような声明をされたと言われていますが、もちろんその後、判断ができるような状況が生まれてきたということも考えられますけれども、今回総裁は外務大臣という立場に立たれまして、そういう意味でこの御発言が多少気になるところでありますが、次官の方から、農水省としてウルグアイ・ラウンドの合意についてどのように評価され、また、先ほど協定の批准につきましては粛々と対処されるということでありましたけれども、どのように評価されているか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  209. 谷津義男

    谷津説明員 ウルグアイ・ラウンドの交渉の最終段階に至りましていわゆるドゥニ調整案が出されまして、細川内閣におきましても、ただいまお話がありましたように、当時としてはでき得る限りの交渉をなさってその判断をされたというふうに私も思うわけであります。  いろいろな批判をされる方もありますけれども、このことについては、やはり細川内閣のやられたことに、これをまた引き継ぐ内閣にとりましても、これは評価をしながらこの批准に向かって努力をしなければならぬというふうにも私は考えておることであります。また、このことは、外交の継続性確保の観点及び国際社会の責任ある一員としての我が国の立場を考えて、重く受けとめていかなければならないのではなかろうかなというふうに考えておるところでございます。  ウルグアイ・ラウンド交渉の結果作成された世界貿易機関を設立する協定は、農業分野だけではなく広範な分野にわたるものでありまして、今後、我が国が貿易立国として多角的自由貿易体制の中で繁栄していくためにも重要なものでありますので、国会においても十分御論議をいただきたいと同時に、この点については、継続性そしてまたこれからの日本のことも考え合わせまして、この批准はしっかりとやっていかなければならぬというふうに考えております。
  210. 上田勇

    ○上田(勇)委員 最後になりますけれども、今のと関連いたしますが、前国会に議員立法で提出されまして現在継続審議となっております外国牛肉輸入調整法案というのがございますけれども、もちろんこの内容については御承知のことと思いますが、私は十分に精査したわけではありませんが、この法案の内容が、ウルグアイ・ラウンドの合意はともかくといたしまして、現行のガット規定との整合性についてもちょっと疑問に思う点がございますけれども、この法案につきまして農水省としての御見解をお伺いしたいと思います。
  211. 高橋政行

    ○高橋説明員 ただいま先生からお話がございましたように、牛肉輸入規制法案の議員立法についてでございますが、我々といたしましては、ガット体制のもとにあるわけでございますので、ガットの枠というものを考えながらこの問題についても対応していかなければいけないというふうに思っているところでございます。
  212. 上田勇

    ○上田(勇)委員 ちょっと十分に理解できないような御答弁でございましたけれども、時間でございますので、これで終わらせていただきます。
  213. 竹内猛

    竹内委員長 藤田スミ君。
  214. 藤田スミ

    ○藤田委員 昨年の大凶作で国産米価格が大変な高値になったことは言うまでもありません。いまだに十キロ一万円という価格が平気で横行しているわけであります。昨年のちょうど倍近い値になっておりますが、消費者物価指数を見ましても、昨年の九月が一〇四・七であったものが、ことしの四月には一二七・一まで価格上昇していることがわかります。  食糧庁は、昨年の凶作を受けて、一〇%を超える価格引き上げは認められないということで巡回指導などを行う、こういうことを言っておられたわけですが、全くその功が奏していないと言わざるを得ないわけであります。これまで食糧庁がとってきた措置とこうした価格上昇を抑えられなかった原因について明らかにしてください。
  215. 谷津義男

    谷津説明員 お答えいたします。  国民の主食であります米については、価格面を含め、消費者に対して適正かつ安定的に供給されることが重要であることは御承知のとおりでございます。  本米穀年度における米の販売価格につきましても、未曾有の不作に伴う異例の需給事情のもとで、自主流通米の取引価格上昇によりある程度の値上がりは避けられない状況にあったのではなかったかなというふうに思うわけであります。  しかしながら、農水省といたしましては、需給安定のために輸入米を含めて円滑な供給に努めているところでありますが、便乗的な値上げが行われるようなことのないように、食糧事務所及び都道府県を通じまして、米の販売価格の迅速かつ的確な把握、そして米穀販売業者に対する濃密な巡回指導等の措置を講じてきたところであります。  適正な価格での販売が確保できるように努力することは言うまでもありませんが、最近においては、需給もおおむね安定しているところであり、また、高値販売が散見することも事実ではありますけれども、引き続き販売業者に対する巡回指導を継続するとともに、需給の安定に全力を尽くしていきたいと考えております。
  216. 藤田スミ

    ○藤田委員 これはことしの四月末の新聞記事ですけれども、食糧庁が米の小売価格調査から、国産米の単品販売を禁止したということを理由にしてその価格調査はやめておられるわけです。そういうことでは、消費者の方はそれが上がって困ると思っているのに、そのつり上がった部分に全くほおかぶりするみたいなやり方ではないか。私は、こういう態度が本当に国民がここを押さえてよというその声にこたえていない一つの姿勢だというふうに思うわけです。  問題はこれから本格的になるわけであります。七月から八月の端境期国産米需給が一層厳しくなるわけでありまして、早場米がやみ米に流れ、それが高値で出回る可能性が高い。そういうのを防ぐために生産者米価を思い切って引き上げて、正規の集荷ルートに生産者が安心して新米を出せるようにすることが不可欠であることは言うまでもありません。それとともに、便乗値上げを抑える強い指導が必要であります。私はその点でもう一度御答弁を求めたいと思います。
  217. 谷津義男

    谷津説明員 ただいまおっしゃるとおり、端境期の問題というのは十分注意をしていかなければならない問題であると考えております。十分に関係機関を動員いたしまして、この点については注意をしていきたいと考えております。
  218. 藤田スミ

    ○藤田委員 米の小売価格調査の問題は改めていただけますか。
  219. 永田秀治

    永田説明員 巡回指導の問題と調査の問題はちょっと違いまして、私どもが全国のお米屋さんから調査しておりますのは、二千百店の小売店からの調査はずっと継続してやっておるわけでありますけれども、これは正規の米屋さんでありますから、当然のことながら、ブレンド米で売ってほしいということになれば、あるいは詰め合わせで売るということになれば、そういうものしかございませんので、国産米の単品が多分入ってなかったのではないかなというふうに思います。ですから、調査の対象を変えるというようなことには相ならぬと思っております。  ただ、もう一つの不正規流通であれ何であれ、消費者の方々からのいろいろなお話もありまして一一〇番を、この三月から四月、五月と大騒ぎのときにはいろいろな情報を得まして、それで巡回指導を強力にやったということでございますので、改めましてまた巡回指導ということについては十分やりたい、こういうふうに考えております。
  220. 藤田スミ

    ○藤田委員 巡回指導調査の違いぐらいはわかっているのです。その上で申し上げたのです。  最後に、これも午前中から問題になっておりますが、私は、農業予算を別枠にする、七月の予算の概算要求に際しては農業予算を別枠にするということは大いに求めたいわけであります。これはガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意を受け入れるということが前提ではなしに、今はもう後継者がいない、それから高齢化している、この行き詰まった日本の農業を再建していくために何よりもそれが求められているからでありますが、もう一度、どういう状況になっているのか明らかにしていただきたい、このことを一点。  それから、外務省にお願いをしておりますが、ガット・ウルグアイ・ラウンド協定の各国の検討状況、把握をしていらっしゃったら御報告ください。
  221. 谷津義男

    谷津説明員 委員のおっしゃるとおり、農業予算につきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンドは別にいたしましても、やはりしっかりと確保していかなければならぬだろうというふうに考えておるわけであります。特に、ガット・ウルグアイ・ラウンド等を考え合わせますれば、これは当然シーリングの枠外ということも考えられるわけでありますけれども、一つは、通常の予算編成どきになりますと、他省庁との横並びということもあってなかなかシーリング外というのも難しい面もなきにしもあらずという面もあります。  先ほど大臣も答弁しておりましたけれども、補正予算等におきまして、これは単年度ではなくして、長期的な面も含めてこの予算確保ということも考えなければならぬと考えておりますので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。
  222. 門司健次郎

    ○門司説明員 WTO協定の批准状況でございますが、同協定の発効目標が明年一月一日とされていることを踏まえ、各国とも、年内の締結を目標として所要の国内手続を取り進めていると承知しております。  主要国における状況について、現時点でとりあえず承知しておりますところを申し上げます。  例えば英国は、締結に必要な国内手続を既に下しているということでございます。ドイツは、近日中に締結のための議会承認手続が終了する見通しの由であります。また、米国、欧州連合、それからフランスも、それぞれ年内の締結を目標に国内手続を取り進めていると承知しております。
  223. 藤田スミ

    ○藤田委員 要するに、まだ各国ともこれからなんですね。何だかもうすっかり決まったような言い方を日本の場合するわけですけれども、まだこれからなんですよ。各国とも、やはり国の主権、それから自分の国の国民の食糧ということを十分考えてこれから検討していくという段階にあるのだということが明らかになったと思います。  私はそういう点では、日本の場合はなおさら、米の農業合意で米の自由化まで門戸を開いてしまったらもう食糧の自給ができない国になるということを考えると、これは本当に、十分このところは考えて、日本の将来のためにこの農業合意は拒否しなければいけないというふうに思っています。  自民党さんが政権についていらっしゃらないときには、農業合意の問題については批准に反対だということまでおっしゃっておられて、私は、さすがに長い間政権について農業の問題についてあれこれと言っておられた政党だなと思ったこともあるのですが、どうも政治の継続性というような言葉がちらほらきょうは聞こえまして、随分態度が変わったなという点では幾らかふんまんやる方ない思いでおりますけれども、問題はこれからなんです。  私はそういう点では、この農業予算の別枠の問題も、わざわざそれに絡めるということではなしに、本当に真剣に今日本の農業再建という立場に立つならば、どうぞ農業予算はもうシーリング外だということで積極的に取り組む、そういう立場に立っていたならば、今この段階で秋の補正でというようなことになぜなったかということさえ思いますので、ぜひともそういう点では、そういう絡みじゃなしに、別枠という積極的な対応を求めておきたいと思います。  時間が参りましたので、これで終わります。
  224. 竹内猛

    竹内委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十九分散会