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1994-06-20 第129回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十日(月曜日)     午後三時三十一分開議 出席委員   委員長 竹内  猛君    理事 亀井 善之君 理事 久間 章生君    理事 中川 昭一君 理事 二田 孝治君    理事 小平 忠正君 理事 仲村 正治君    理事 前島 秀行君 理事 千葉 国男君       赤城 徳彦君    狩野  勝君       菊池福治郎君    岸本 光造君       栗原 博久君    栗原 裕康君       斎藤 文昭君    七条  明君       中谷  元君    林  幹雄君       保利 耕輔君    松岡 利勝君       松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君       宮里 松正君    山本 公一君       石破  茂君    実川 幸夫君       白沢 三郎君    田名部匡省君       初村謙一郎君    広野ただし君       増田 敏男君    矢上 雅義君       池端 清一君    石橋 大吉君       遠藤  登君    辻  一彦君       上田  勇君    長内 順一君       冬柴 鐵三君    錦織  淳君       藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣  加藤 六月君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省畜産         局長      高木 勇樹君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         食糧庁長官   上野 博史君  委員外出席者         議     員 中川 昭一君         議     員 保利 耕輔君         議     員 堀之内久男君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 高原 亮治君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 山本  章君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 六月十日  辞任         補欠選任   広野ただし君     愛野興一郎君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     広野ただし君 同月二十日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     斎藤 文昭君   浜田 靖一君     林  幹雄君   御法川英文君     狩野  勝君   宮里 松正君     栗原 博久君   大石 正光君     石破  茂君   茂木 敏充君     矢上 雅義君 同日  辞任         補欠選任   狩野  勝君     御法川英文君   栗原 博久君     宮里 松正君   斎藤 文昭君     栗原 裕康君   林  幹雄君     浜田 靖一君   石破  茂君     大石 正光君     ————————————— 六月十四日  食糧自給率向上日本農業発展に関する請  願(矢島恒夫紹介)(第二五六三号)  食糧自給率向上輸入米安全性確保に関する  請願渡辺嘉藏紹介)(第二五六四号) 同月十五日  食糧自給安定的確保に関する請願中島武敏  君紹介)(第二七三五号)  米の輸入自由化反対国民の主食を守る政策へ  の抜本的転換に関する請願矢島恒夫紹介)  (第二七三六号)  基礎的食糧自給のための生産体制確立に関す  る請願加藤万吉紹介)(第二八七四号) 同月十七日  食糧自給安定的確保に関する請願藤田スミ  君紹介)(第三一四九号)  基礎的食糧自給のための生産体制確立に関す  る請願小泉晨一君紹介)(第三一五〇号) 同月二十日  森林・林業の活性化国有林野事業経営再建  と農山村振興に関する請願佐藤剛男紹介)  (第三二五五号)  米輸入自由化反対自給率確保に関する請願  (藤田スミ紹介)(第三二五六号)  同(志位和夫紹介)(第三三一八号)  安全な食糧確保米輸入自由化反対に関する  請願矢島恒夫紹介)(第三三一六号)  米輸入自由化反対食糧管理法の厳守に関する  請願藤田スミ紹介)(第三三一七号)  食糧自給安定的確保に関する請願松本善明  君紹介)(第三三一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出第四七号)(参議院送  付)  外国産牛肉輸入調整法案江藤隆美君外四名提  出、第百二十八回国会衆法第一一号)      ————◇—————
  2. 竹内猛

    竹内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  3. 栗原博久

    栗原(博)委員 昭和五十九年のブロック通商代表との交渉昭和六十三年の七月五日の市場開放措置がとられまして、そして牛肉輸入枠撤廃、あるいはまたかんきつ輸入枠撤廃などが進められて、こうして今法律が制定されたわけでありますが、この法律は、日米の協定に基づく農産加工品輸入自由化契機として、金融上の措置、あるいはまた国税、地方税等特例措置等によりまして、特定農産加工業者の、要するに自由化等によって経営が圧迫されます。者の経営改善を目指して制定されたと伺っております。しかしながら、今日までの間におきまして、輸入自由化の結果によって、輸入製品が増大し、国内生産が減少の兆しか見えるということで、本法律延長というものが実は提示されているわけであります。  私、ちょっとデータを見てみましたら、かんきつ類かんきつ果汁等については、あるいはまた非かんきつ果汁パイナップル缶詰トマト加工、こういうものは全部国内生産は横ばいでございます。ところが、これに対する輸入品の動向を見ますと、かんきつ果汁は、六十三年に一万四千トンであったものが平成四年においては六万一千トン、あるいはまた、非かんきつ果汁のうち、リンゴ果汁につきましては、六十三年に六千トンであったものが平成四年には三万八千トンというふうに、おおむね農産加工品が実は増大しているわけであります。  こういうことで、農産加工業経営改善に当たってどのように御措置をされているかということについてお聞きしたいのでございます。
  4. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 この制度平成元年に発足したわけでございますけれども、十二品目輸入自由化、これを契機としまして、農産加工業の健全な発展を図るという観点から、金融税制上の措置を通じて経営改善に努めてきたところでございます。  この法律の現在までの成果について見てみますと、まず融資措置でございますけれども、新技術資金を中心に活発に利用されておりまして、平成元年度から五年度までの五年間の融資実績を見ますと、三百二十一件、千二十一億円に達しております。また、税制上の特例措置につきましても、経営改善のために導入した機械、装置の特別償却が活用されているところでございます。  具体的な実例を挙げますと、例えば、輸入オレンジ果汁に対抗するために、風味向上のための新技術、窒素の充てん施設ですけれども、こういったものを導入するとともに、ラインの大型化などによるコストの低減を図ったかんきつ果汁メーカーの例、リンゴプレサーブ等果実加工製造施設を導入して多角化を図ったリンゴ果汁メーカーの例に見られますように、各企業の経営改善努力を支援し、一定の成果を挙げてきたものというように考えているところでございます。  なお、その後のいろいろな情勢によって、かなりミカン果汁あるいはリンゴ果汁などにつきまして輸入がふえている状況にございますけれども、こういったものにつきましても、できるだけ国内かんきつあるいはリンゴを活用するということに努めるというのがこの法律の趣旨でございますので、引き続き、国内原材料の使用のために努めてまいりたいというように考えておるところでございます。
  5. 栗原博久

    栗原(博)委員 私ども新潟でございますが、新潟米菓とか、もちとか、あるいはまた山間地の方に参りますとやはり野菜等加工産品業種がございまして、食品製造業がいかに地域経済に大きな貢献をし、また雇用の増大に努めているかということはもう論をまたぬわけでありますが、その中で、この特定農産加工というのは、全食品業種製造業に大体どの程度のシェアを占めておるかということを、もし最近の資料がありましたらお聞きしたいのです。
  6. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 食品製造業平成三年の出荷額は約三十五兆円というようになっておりまして、全製造業出荷額約三百四十四兆七千億円の一〇・一%を占めておりまして、我が国の中で一大産業分野を形成しておりまして、大きな雇用の場と所得機会をを提供している。また、国産食用農水産物の四分の一を原材料として使用しておりまして、我が国農林水産業に対して安定的な販路の場を提供しているというように考えております。  そのうち、特定農産加工業でございますけれども、現在かんきつ果汁製造業、非かんきつ果汁製造業を初め九種の業種が指定されておりまして、これら九業種平成三年の出荷額は約六千億円でございまして、食品製造業全体の生産額の一・七%という状況になっております。
  7. 栗原博久

    栗原(博)委員 この特定農産加工産業の立地は大変限られているところにあると思うのでございますが、そういう地域に対しましてやはり今後とも、この特定農産加工に対する要請というものは大変大きいと思いますので、ぜひひとつこの産業の育成のために、金融の面、特に公的金融という問題、あるいはまた税制の面におきましても固定資産税等の減免とか、そういうものについて極力対応していただきまして、特に我が国がこうしてウルグアイ・ラウンドをいや応なしにのみ込まざるを得ない、あるいはまた過去の農産物の十二品目自由化等は一番力の弱い産業に、農産物産業に大変大きなマイナスの影響を与えておるわけでありますから、それをかぶっておりますこの産業に対して特段の御配慮をお願い申し上げます。  次に、ウルグアイ・ラウンド合意によりましてい今後の農産加工業はどのような傾向になるかということ、また、それに対してどのような措置を今後とられるかということをお聞きしたいと思うのでございます。
  8. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 今回のガットウルグアイ・ラウンド農業合意におきましては、脱脂粉乳、バターなどの乳製品、小麦粉などの麦加工品など、従来輸入制限品目であったものがそれぞれ基準年度、これは一九八六年から八八年ですけれども、その間の内外価格差基礎とする関税相当量設定など所要措置を講ずる、関税以外のすべての国境措置関税化するということになったわけでございます。  米につきましては、ミニマムアクセス設定という形で合意が成り立っております。米以外の品目につきましては、今申し上げたような形で決着をしておるわけでございます。  これに伴う国内対策でございますけれども、現在農政審議会においていろいろ御審議をいただいているところでございまして、今後、これらの議論を踏まえながら、また緊急農業農村対策本部において検討の上、所要措置を総合的かつ的確に講じることとしているところでございますけれども農産加工業対策につきましても、これらの中で万全を尽くしてまいりたいというように考えております。
  9. 栗原博久

    栗原(博)委員 米の自由化の問題もそうでございますが、農林省は何かするとすぐ農政審議会農政審議会と申しますが、今農家は大変な状況に入っている。まだそれでも農政審議会に諮問するとかその答申を待っている、そんな農政であってはならぬと思うのですが、あなたの御所見をお聞かせください。
  10. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 今回のウルグアイ・ラウンド農産加工業に与える影響につきましては、現在鋭意その影響等について検討しているところでございますけれども、基本的にはウルグアイ・ラウンド交渉におきましては、極力国内農業農産加工業に悪影響を与えないようにという観点から交渉してまいったわけでございますけれども、その結果がどのように具体的に国内農産加工業影響を与えるのかという点につきまして、今早急に検討を進めているところでございまして、それを踏まえて所要対策を講じてまいりたいというように考えております。
  11. 栗原博久

    栗原(博)委員 大臣にお伺いします。  今の御答弁では私はどうも理解しにくいのであります。米は、自由化するか云々ということで与野党を問わずこれに対して大変腐心いたしました。しかし、今の十二品目ですか、あるいはまた牛肉とかかんきつ類、これは昭和五十九年からずっと、あるいは農産物の十品目なんて昭和五十八年から対応は終わっているわけですから、当然、ウルグアイ・ラウンドにおいてこういう問題になった場合どうするかという対応は、米とは違うわけですから、前もってこれは十二分に審議しであるべきだ。私は今の局長答弁は大変納得しがたいのでありますが、大臣の方からお聞きします。
  12. 加藤六月

    加藤国務大臣 まず十二品目問題につきましても、ガットの場で我々は提訴し、御存じのように九品目はああいうようになりました。したがいまして、それに伴いまして、今御審議いただいておるこの法案を英知を結集してつくって、影響を最小限にし、そして農産加工業の繁栄、発展を期したわけでございます。  そして、今回はすべての農業農産物貿易ガットの場で決定されることになり、米を除きましては関税化されることになりました。したがいまして、ある程度AMSの数字その他によりまして関税が削減されてくるようになります。それに対して昨年政府は、閣議了解基本事項を決め、そして緊急対策本部もつくった。そして、その中にいろいろうたっておりますが、一つは、農政審議会において御意見を十分聞いて手を打っていこうという問題があります。そしてまた、ある面では、政府自身といたしましても、今までの諸施策、諸制度を徹底的に勉強しまして、拡充強化していこうという決意をしたわけでございますが、片一方、前回の牛肉オレンジに伴う一連の措置のときの期限が来たので、今回両方込めて延長並びに中身を変えてお願いをいたしておるところでございます。  よろしく御理解のほどお願い申し上げます。
  13. 栗原博久

    栗原(博)委員 細川前総理が、自由化のとき、農家の方々が疲れて眠っている夜中に、あれだけ大変感動するような、対応すると言っておったわけです。にもかかわらず、あれから何カ月たちましたか、この中でまだ農政審議会云々と言っていることについて、私も農業をしている一人といたしまして大変遺憾に思うわけであります。しかし、加藤大臣は、過去の歩みを見ましても、農業問題は御専門であり、また大変御見識の高い方でありますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。私は決して局長云々言うわけではないのです。農林省全体の対応について申し上げたわけですので、局長、ひとつ誤解のないようにお願いします。  私ども日本の国は、食料カロリーベースでたしか六四%ですか、六〇%近く他の国から輸入しております。最近のデータによりますと、食品衛生法に基づくデータでは、輸入食品が二千五百万トン輸入されているということで、一九九二年の輸入届け出件数が約七十八万件に及んでいるところでございます。そのうち、輸入食品の化学的な検査が、その輸入量の約一六%しか検査されていないというふうにあるわけでございます、私の数値が間違っておるかもわかりませんが。そういう中で、今、米の問題、ウルグアイ・ラウンドによってなおさらいろいろな農産物がどっと日本に押し寄せてくるわけであります。  この前の米の輸入のときを見ますと、例えばタイの米は精米で入ってきておるわけであります。食品衛生法に基づくと玄米が対象であったと承っております。それも、緊急的な措置でこの食品衛生法ではタイの米の精米を認めていると伺っておるわけでありますが、その中で、農産物輸入に対しましてどのようなチェックをされているか、厚生省の方と農林省の方にお聞きしたいのであります。  この前の米のああいうような異常な問題は、食糧庁の方の対応がまずかったということもございますが、この米の残留農薬等検査対応ができなかった、船がどんどん入ってくる、それに対して検査体制が整っていなかったのじゃなかろうかと私は思うわけでございますが、水際検査体制であるということで、今後、このような海外からの食料品をいかに安全にそれをチェックするかということが大きな課題だと思っております。そこで、今までの食品衛生法に基づく違反事項等我が国食料が二千五百万トンも入ってくるわけですから、この監視あるいはまた検査等についてお聞きしたいわけでございます。  私は、前もって質問をお届けしていなかったので大変御迷惑をかけておると思うのですが、輸入食品監視業務については現在二十一の検疫所があると伺っていますが、今何人ぐらいいるのでございましょうか。それから、植物防疫の方でございますが、全国の重立った港とか空港防疫所が設置されておりまして、五つの本所と十四の支所あるいはまた七十九の出張所があると承っています。こういうところで、何人ぐらいの方がおられるか。また、動物検疫所につきまして、空港港湾等におられるようですが、この三点について今どのような人員配置になっているかということ、あるいはまた今回の米の莫大な輸入に伴って、こういう事態に備えてどの程度増員されたかということをお聞きしたいと思います。
  14. 高原亮治

    高原説明員 輸入されます農産物加工食品、原料のチェック機構でございますが、厚生省といたしましては、その安全性確保国民の健康を守る上で極めて重要であると考えておりまして、従来から監視体制整備充実努力してきたところでございますが、現在、輸入食品監視体制につきましては、全国に三十カ所の輸入食品監視窓口がございまして、二百五名の食品衛生監視員輸入食品監視業務に従事しております。また、試験検査につきましては、高度な検査を実施する検査センターを、これは国際的レベルだと私どもは考えておりますが、横浜及び神戸検疫所に設けております。集中的に行っているところでございます。また、国内におきましては、都道府県及び保健所、政令市等におきます食品衛生監視員国内産品同様の収去検査等を行っております。  今後とも、輸入食品安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
  15. 栗原博久

    栗原(博)委員 植物検疫の方はいかがですか。おわかりですか。
  16. 日出英輔

    日出政府委員 今詳しく手元数字ございませんが、全国で約八百名の植物防疫官によりまして水際での植物防疫体制がとられているわけでございます。これにつきまして、先生も御案内のとおり、世界で百カ国以上入りました国際的な植物防疫条約に基づく植物検疫法に基づきまして、各国で専門家によって議論された後の一つ体制の中でやっておるわけでございます。
  17. 栗原博久

    栗原(博)委員 動物検疫の方はおわかりにはなりませんか。
  18. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 ただいま調べておりますので、後ほどまた御報告したいと思います。
  19. 栗原博久

    栗原(博)委員 わかりました。  ウルグアイ・ラウンドの米の問題が起きまして、まだウルグアイ・ラウンドは発効しておるわけではありませんが、緊急輸入等で米がどっと入ってきた。それに対応して何人くらい増員したのでしょうか。
  20. 高原亮治

    高原説明員 食品衛生監視員でございますが、今回のガットウルグアイ・ラウンドとは別の、いわゆる緊急輸入ということで定期的に食品衛生監視員を強化しておるわけでございますが、例えば最近の傾向でございますと、平成年度で百六十五名、平成年度で百九十五名、三十名増加させておるわけでございます。五年度から六年度にかけましては二百五名という形で、十名ではございますが、逐次増強しておるところでございます。  私どもは、輸入食品検査国内におきます八千名の食品衛生監視員と一体となって行っているということで十分カバーしておるものと考えておりますが、なお増強に努めてまいりたいと考えております。
  21. 栗原博久

    栗原(博)委員 二百五名で約二百六十万トン近い米を検査せねばならぬということであります。  見ますと食糧庁長官おられますが、食糧庁では全員で何人合職員おられますか。そしてまた、現場の食糧庁検査員は何人くらいおりますか。
  22. 上野博史

    上野(博)政府委員 検査官は大体五千六百人余、手元にちょっと数字を持ち合わせていないので、正確な数字は後ほどまた御報告申し上げたいと思いますが、その程度の数だったかというふうに思います。  日本じゅうの港に船が入ってまいっておりまして、たくさん人手がかかるということもございます。必ずしも検査官だけではなくて、そういう経験のある者もそれぞれの食糧事務所で要員を調達いたしまして、食糧庁としての検査に当たっているところでございます。
  23. 栗原博久

    栗原(博)委員 長官いいですか、食糧庁として検査に当たっているのは、輸入米に対していかような検査食糧庁としてはされておりますか。
  24. 上野博史

    上野(博)政府委員 私ども検査は、主として物理的な観点での検査になるわけでございまして、米の中に異種穀粒というようなものがどれくらい入っているか、あるいは來雑物というようなものがどれくらい入っているか、あるいは場合によってはカビみたいなものが生えているかいないかというような、大体目で見て判断ができるような事項についての検査であるというふうにお考えいただきたいと思います。
  25. 栗原博久

    栗原(博)委員 この食糧品で、目で検査するというのはわかるのですが、一番大事な残留農薬ポストハーベスト農薬というのは、少しは破砕しても大したことはないと思うのですが、要するに我々の人体に化学的な影響を及ぼします検査というものは、どうしてももっと増員をせねばならぬと私は思うのですよ。ですから、この水際作戦検査厚生省の所管だと思うのですが、そこでは、石ころが入っているとか紙切れが入っているとか、そういうのは検査では見ないのですか。
  26. 上野博史

    上野(博)政府委員 検査分担関係につきましては、今私申し上げましたように、來雑物関係であるとか、カビが生えているかいないか、水漏れがあるかとかいうようなチェック食糧庁関係が担当いたしております。もちろん私どもも、いわゆる安全性観点について多大の注意を払いながら、関心を持ちながら業務に当たっていることも事実でございまして、その関係研究施設等は持って、大いに努力をできる体制整備に努めているところでございますけれども農薬等関係安全性の方につきましては、先ほど先生質問の中にもございましたように、食品衛生法関係分野でお取り扱いをなさっているというのが現状でございます。  それから、先ほど検査官の数、ちょっと私はっきりお答え申し上げられなかったのでございますが、手元資料によりますと、五千六百名弱という程度の数でございます。
  27. 栗原博久

    栗原(博)委員 私の質問にお願いします。
  28. 高原亮治

    高原説明員 厚生省といたしましては、現在までのところ二百九十五船百九十万トンにつきまして検査を行いました。検査項目といたしましては、国内基準があるものだけではなくて、在外公館その他国際機関等から入手しまして、多い国では七十五項目、少ないところでも六十項目を超える検査をいたしまして、その結果については逐次公表して国民の御理解を願っておるところでございますが、ポストハーベスト農薬も含めましてほとんどの項目につきまして検出されておりません。すべて食品衛生法上問題がなかったことから、輸入を認めたところでございます。
  29. 栗原博久

    栗原(博)委員 私は、あなたに今そこまで質問してないのです。それは後で聞くことであります。  私があなたに申し上げるのは、その検査の中に布切れが入っているとか石ころが入っているとか、そういうのはあなたたちは見ないのですかということを御質問しているのです。
  30. 高原亮治

    高原説明員 私ども、中心に置いておりますのは、今回の場合、国民の関心が非常に農薬については高いということで、米の農薬の全体の含有量ないしは汚染ということを把握することを中心としてサンプリングいたしております関係上、必ずしも目で見ましてその異物の混入等について、すべて可能であったというわけではございません。
  31. 栗原博久

    栗原(博)委員 わかりました。  皆さんが食品衛生法に照らし合わせて検査をやっておる。一つの船当たりどの程度刺すかわかりませんが、サンプルを抽出するとき、その中で紙切れとか布切れとか石ころはないかもわかりませんが、食糧庁、大体五千六百名の検査員がおられる。それで、国内での農薬でありますとある程度監視はできますが、外国のものについては、他の国に対して大変失礼かもわかりませんが、もっと科学的な、残留農薬等のものについて厳しい体制をしくためには今の人員では私はやはり不足していると思うのでございまして、こういう点について、きょうは大臣もおられますし、長官もおられますので、ぜひひとつ、これは厚生省所管と農林省所管という差があるかもわかりませんが、国民は、やはり食べるのは同じ人間でございますから、この点について十二分に御配慮をいただきたいというふうに実は思っておるわけでございます。  そういうことで、ポストハーベストの件でございますが、今までポストハーベストは残留農薬基準の適用外であって、かつて何か食品添加物と同じような取り扱いをされておった。食品添加物というのは、これは人体に入るわけですから、大変厳しい数値というのでしょうか、厳しい監視体制があるわけでありますが、今度米が他の国から入ってくるという想定がどうかわからなかったと思うのですが、この中の添加物、要するに臭化メチルとかあるいはまた燐化アルミニウム等、こういうものは当時確かに添加物取り扱いだったというふうに私は承っておるわけでございますが、こういうものについて、ポストハーベスト農薬について、今我が国にどの程度の農薬が他の国から参っているかということをお聞きしたいと思うのです。
  32. 日出英輔

    日出政府委員 いわゆるポストハーベスト農薬でございますが、国内でどのくらいあるかというのは、私どもの農薬取締法を担当しております局としますと、九つあるわけでございます。  ただ、先生のお話は海外でのポストハーベストの使用実態ということでございます。ちょっと私どもつまびらかではございませんが、アメリカの米につきましては、ポストハーベスト農薬として八種類について残留農薬基準設定されているというふうに承知しております。
  33. 栗原博久

    栗原(博)委員 たった八種類ですか。
  34. 日出英輔

    日出政府委員 これは、私ども国内の方の農薬の担当ということで、一応知っているといいますか、承知しておるということでございますが、残留基準設定されている農薬については、アメリカの米については八種類だというふうに承知しております。
  35. 栗原博久

    栗原(博)委員 私も数字のことは、基礎資料を持っていないのでそれに対しては反論できません。  このポストハーベストの問題でございますが、我が国が一九八三年に政府の決定によって八十九のアクションプログラムで市場開放政策を進める、貿易の摩擦を回避するということで、その中で農薬の規制が緩められてきたように私は思うのでございます。例えば、バレイショの発芽防止剤とかあるいはまた小麦と小麦粉のポストハーベスト殺虫剤フェニトロチオンあるいはまたマラチオン、こういうものの残留基準が大変緩やかになってまいったというふうに承っておるわけでありますが、そういうことで、こういうものは、今回ウルグアイ・ラウンドで、衛生及び植物検疫に係る措置の運用に関する協定ということで、このような協定が結ばれておるわけでありますが、これに対応してやはりそういう措置をしてまいったのかどうか。  あるいはまた、もう一つは、今あなたは八種類と言いましたけれども、最近の残留農薬設定状況を見ますると、昭和五十三年までには二十六の農薬が残留基準設定されておったようでございますが、その後、平成四年十月二十九日に三十四、平成五年三月四日に十九、平成五年九月十四日に十七、平成六年六月九日に十六種類と八十六の農薬が残留基準設定されておるわけでありますが、こういうものはウルグアイ・ラウンドとの対応というのはあるのでしょうか、どんどん残留農薬をされたことについては。
  36. 日出英輔

    日出政府委員 ちょっと先生の御質問の趣旨をあるいは取り違えているかもしれませんが、先生が今お話しになりましたのは、例えば農薬の関係で、作物残留に係ります登録保留基準を決められている、例えば残留農薬基準が決められておりますもの、これが例えば八十九品目といいますか八十九の有効成分について決められておりますが、そのお話を先生お話しになっているのかと承知しているわけでございます。  今、ガットウルグアイ・ラウンドの話では、先生お話しのように、いわゆるSPSといいます一が、検疫なりそういったものにつきましての国際基準を決める。一方で、それとは別にそれぞれの国内で科学的基準を持ちました別な基準があればそれはそれで適用して構わないというルールでございますが、私の承知している限りでは、農薬につきましては、そういったガットウルグアイ・ラウンドで言いましたSPSの協定どおりのものが既に行われておるというふうに承知しているわけでございます。
  37. 栗原博久

    栗原(博)委員 私は勉強不足で申しわけありませんが、協定どおりに行われているといいますと、協定の中では、国際機関で作成された国際基準ですか、残留農薬につきましてはございますね。しかしながら、国内のいわゆる科学的な正当性がある場合それは認めるというふうなことになっておるわけでありますが、私が今お聞きしているのは、他の国から入ってくる農産物に対しまして、農薬等の汚染が一つの貿易障害として、これはだめだというような措置がとられないためにこういう協定というものが実はガットの中にあるのではないですか。
  38. 東久雄

    ○東(久)政府委員 先生御承知だと思いますが、ガットは、二十条に一般的にこういう場合にはガットの規定によらないことができるというのがございまして、その中に一つ、「人、動物又は植物の生命又は健康の保護のために必要な措置」をとることは認めるということでございます。その実行の方法を今回ウルグアイ・ラウンドの中で、この運用に関しては、国際的な基準があるものについてはこの検疫・衛生措置を国際基準に基づかせる、ただし、今先生がおっしゃったとおり、科学的な正当性がある場合はそれによらないことができるということになっておるわけでございまして、そういう意味で、これにつきましてこの二十条の運用の仕方ということを定めたわけでございまして、特にこれがために緩めるとかそういう形ではなく、国際的な合意に基づいた形でその基準等を定めていこうという方向でございます。
  39. 栗原博久

    栗原(博)委員 わかりました。  私は、残留農薬基準値が大変緩まった品目もあるやに伺っておったものですから、それについて、将来というかウルグアイ・ラウンドに向けまして、私どもが他の国から入ってくるポストハーベスト農薬等について待ったをかけるということがもうできないかと思いまして、そういうことでその関連について今お聞きしたわけでございます。  次に、私はお聞きしたいのでございますが、ADIの件でございますが、ポストハーベスト等の中においてもそうですが、我が国のADIの基準値を出すにはたしか五十キロぐらいだ、アメリカは六十キロぐらいということであるようでございますが、その中で米等は、アメリカに比べ日本は莫大にたくさん食べるわけですね。その中で、こういうADIあるいはまた残留農薬基準値等については、どういうふうにお考えであるか、ちょっとお聞きしたいのですが。
  40. 山本章

    山本説明員 御説明申し上げます。  我が国農産物に関する残留農薬基準設定するに当たりましては、当該農薬の一日許容摂取量と私ども呼んでいますが、今先生御指摘のADIのような安全性に関する資料に加えまして、日本人の各農産物の摂取量等に基づきまして、日本人の食生活の特徴を考慮いたしまして、安全性確保できる範囲で基準をつくっているところであります。
  41. 栗原博久

    栗原(博)委員 わかりました。  私、このADIは、どの程度まで摂取したら一番害が出てくるということの基準値から、それに対して、いろいろの食糧をとるのに合わせながらADIというものの数値が出るように伺っているわけであります。このウルグアイ・ラウンドの中において、私は、何としても米を、実際ここでちょっと回りくどい質問をしましたけれども、やはり国内のきれいな食糧、米というのはできる限り国内で生産するという中で、他の国の農産物が危険とは言いませんが、できる限りこういう残留農薬等の問題の中で検討していただきながら、国内のおいしいといいましょうかきれいなといいましょうか、国内も農薬がたくさん使われているということでございますが、人間というのは、何としても病気等になるのはすべてやはり化学薬品からでございます。一日に食品添加物は約十グラム我々はとっている、体の中に入っているそうでありますし、そこにまた農薬の部分とか、あるいはまた空気の中にもいろいろの化学的な成分も入っているわけでございますから、やはり人間の最も基礎でございます食糧に対しましても、もっと厳しい監視体制をおとり願うようにひとつ御配慮願いたいということで、御質問させていただいたわけであります。  特に、このような農産加工品等につきましても、他の国からどんどん入ってまいりますと、わずか二百人そこそこの人員では、私は、やはりそのチェックができないと思います。特にまた、こういうADI等の数値あるいはまた残留農薬等基準値についても、政府機関が他の私的機関に依存をしながら農薬のこういう残留的なものも調査しているようでございますが、できる限りこういうところにも予算等をつけまして、安全な食糧をとっていただくということをひとつ大臣に御要請申し上げまして、大変つたない質問でございますが、終わらせていただきます。
  42. 加藤六月

    加藤国務大臣 いろいろ輸入物が入ってくる場合、私たちが、今栗原委員がおっしゃいましたように、さらに注意しなければならないのは安全ということでございます。そしてまた、先ほど来御指摘になりました関係する職員の数、その他の問題、いろいろあると思いますが、十分配慮していかなければならぬと考えておるところでございます。
  43. 栗原博久

    栗原(博)委員 ありがとうございました。
  44. 竹内猛

    竹内委員長 石橋大吉君。
  45. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部改正、基本的にこの法律案には賛成でありますが、せっかくの機会でありますので、幾つか質問をさせていただきたいと思うのです。  まず最初に、本法律施行後五年たってこれを再延長するということですが、この五年間の成果、効果をどういうふうに評価をされているのか、このことについてお聞きをしたいと思うのです。  御承知のように、この法律案は、昭和六十三年の牛肉オレンジ輸入自由化農産物十二品目自由化問題に端を発しまして、自由化等影響は、地域農業と密接に結びついている農産加工業者にも及ぶことは必至であり、その結果、農産加工業の存立が危うくなれば、国内農業農産物の重要な販路を失うことになり、また、自由化等関連対策として講ずる生産対策の実効性を期する上でも、農産加工業経営改善を促進するための支援措置が必要である。こういう観点に立って、自由化等影響を受けることが想定される特定農産加工業者かんきつ果汁製造業等九つの業種に限りまして、事業の合理化、転換等を円滑に誘導し、農産加工業の体質強化を積極的に促進する措置として、金融及び税制の特例等を内容とする臨時措置法として五年間の時限立法として制定されたものを、さらに五年間延長しようというものであります。  この五年間の実績を参考資料によって拝見いたしますと、経営改善計画等の承認状況経営改善計画二百三十八件、事業提携計画十件、計二百四十八件、資金種類別融資状況を見ますと、新技術資金二百十八件、七百八十九億三千八百万円、共同化資金十三件、九十七億七千百万円、転換資金十一件、九億八千二百万円、高度化資金六十九件、百億二百万円、計三百十一件、九百九十六億九千三百万円、概略こういう状況になっているわけですが、この結果、輸入自由化のもとで、我が国特定農産加工業経営体質の改善強化、こういう法律の目的に照らしましてどういうふうな成果を得ることができたのか、この点をまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  46. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 法律制定後五年間この制度を運用してまいったわけでございますけれども、その結果、五年度の終わりまでの数字で申し上げますと、三百二十一件、千二十一億円という数字になっておりまして、また、税制上の特例措置につきましても、経営改善のために導入した機械、装置の特別償却などが活用されているところでございます。  具体的には、輸入オレンジ果汁に対抗するために、風味向上のための新技術、これは窒素充てん施設ですけれども、こういったものを導入すると同時に、ラインの大型化などによるコスト低減を図ったかんきつ果汁メーカーの例、あるいは、リンゴプレサーブなどの果実加工製造施設を導入しまして多角化を図ったリンゴ果汁メーカーの例などに見られますように、各企業の経営改善への努力を支援し、一定の成果を上げているというように考えている次第でございます。  特に、生産性の向上を図るという観点からする新技術資金、これの比重が全体の約八割を占めているということでございまして、輸入原材料あるいは輸入加工品に対抗するために、九つの特定業種におきましては、それぞれ技術の高度化あるいは新技術の導入という面で相当の成果を上げているというように認識をしております。
  47. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 もう少し具体的な効果についての説明があるとありがたいのですが、先へ進めます。  第二問は、今回の法律改正に当たりまして、新たに関連四業種を追加する、こういうことになっているわけですが、その理由。  それから、ガットウルグアイ・ラウンド合意があったわけですが、そのことがこの農産加工業関係にどういうふうな影響をもたらすのか。こういうことについて、特にガット影響については、大臣の方から、ひとつどういうふうにお考えになっておるのか承りたいと思います。
  48. 加藤六月

    加藤国務大臣 それは、昨年暮れ閣議了解されました基本方針に沿いまして、農政審議会において今御審議をいただいておるというのは御存じのとおりのことでございます。  そして、これらの論議を踏まえまして、内閣総理大臣を本部長とする緊急農業農村対策本部において検討した上、関連諸制度、諸施策について引き続き格段の充実、推進を図ることとし、かてて加えまして、所要措置を総合的かつ的確に講じて万全を期そうとしておるところでございます。農産加工業対策につきましても、これらの中で万全の対応をしてまいる決意でございます。  なお、あす早朝、羽田内閣になりまして初めての緊急農業農村対策本部が開かれるようになっております。
  49. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 今回の制度延長とあわせまして、新しく四つの業種を関連業種として追加をするというようにしておるわけでございますけれども、現在関連業種としてカンショ加工食品製造業、バレイショ加工食品製造業、この二種類が指定されております。これは、対象業種の企業が関連業種と提携して、共同化によるコスト低減やノウハウの取得を行うことを支援する仕組みとして設けられているものでございます。しかしながら、特定農産加工業を取り巻く情勢が厳しくなる中で、果汁メーカーがジャムなどの果実加工食品に進出するなど、特定農産加工業における多角化が進展してきております。こういった動きを支援して、その取り組みを一層強化するという観点から、今回、四つの業種を今回の制度延長とあわせまして追加して指定をしたいというように考えております。  この四つの指定業種でございますけれども、果実加工食品製造業牛肉以外の食肉調製品製造業、牛乳または乳製品を原材料とする冷凍冷蔵食品製造業、乳酸菌飲料・乳飲料製造業、この四つの業種を関連業種として追加したいというように考えております。
  50. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 このところどうも大事な問題は全部農政審で審議中、こういうことで全部かわされておりますが、大臣の立場からすれば、農政審が審議中であれば仕方がないかなという感じもしないでもないのですが、しかし、審議の結果出てきたものについては、ひとつ万全なものを出していただくようにここでお願いをしておきたい、こう思います。  次に進みますが、第三番目は、加工食品、外食、中食の発展と原料の海外依存の関係について質問をしたいと思うのです。  御承知のように、食生活の高度化、多様化の中で、加工食品の増加や外食、中食が盛んになるに従い、農産物もそのままで家庭に持ち込まれる生鮮食品等の消費の比率が減少し、食品工業や外食産業への業務用原料の需要が増大してきておるわけであります。  こういうことから、原料を提供する農業にとっては、食品工業だけでなく外食産業もまた重要なユーザーになってきているわけですが、ところが、そのためには原料は低価格でしかもできるだけ均一な品質のものが安定的に供給されることが望ましい、こういうことになってくるわけです。そうすると、国産原料では非常に問題が多く、結果、業務用を中心に海外原料への依存度を高める、こういうことになっていくわけであります。加工用向けや外食等の業務用向けだけでなくて、生食用の農産物も国産原料は年々減少し、今後の見通しは必ずしも明るくない、こういうふうに言われているわけですが、しかし一方では、農産物加工業の発展国内農業の振興に必ずしも役に立っていないばかりか、輸入の増加、国内農業の衰退と結びつくというようなことにもなりかねない状況もあるわけです。  この点、農林水産省としてはどういうふうに考えておられるのか、具体的な対策を含めてこの際伺っておきたいと思います。
  51. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 近年、加工食品の増加や外食などの発展が大変著しいわけでございますけれども国内で生産される農水産物のうち、農産加工業や外食などに仕向けられるものが現在三分の一を占めております。国内農業の維持、発展を図る上で、食品産業との連携を図っていくことが大変重要であるというように認識をしております。  このような観点から、農業生産者側と需要者側との間での原料農産物に係る情報交換の促進とか、加工に適した品種の開発、普及、生産性の向上、こういったものを図りまして、農産加工業における国産農産物の利用、促進を図っているところでございます。  また、特定農産加工業経営改善を図ることによりまして、特定農産加工業農業双方の健全な発展が図られるように、本法の運営に遺憾なきを期してまいりたいというように考えております。
  52. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 続きまして、今の質問とちょっと重なるような感じもしないこともないのですが、加工原料の品質特性と安定供給の難しさ、それと国内農業生産、こういうことに関連してちょっとお聞きをしておきたいと思います。  さっきもちょっと触れましたが、加工原料は、加工に適した品質のものを安定的に供給できることが非常に重要であるわけであります。  ところで、我が国農業における原料と加工の関係を考えますと、基本的なところで二つの大きな問題点を含んでいる、こういうふうに言われているわけであります。  一つは、我が国農業においては生食用が主体であって、最近かなり進んできたとはいえ、加工用の品質特性を持った品種の育成に対する取り組みはまだ極めて不十分、こういう実態にあると言われているわけであります。  二つ目は、我が国の場合、北から南まで気象条件等の異なる非常に細長い土地の中で、均一な品質の原料を大量生産することが非常に難しい。特に中山間地等においては殊のほか厳しい。こういう条件の中で、農業生産と特定農産物加工をかたく結びつけつつ両者の発展を図っていくためには、一段の工夫と努力が必要ではないか、こういうふうに考えられるわけであります。  私は、別途、中山間地対策でいろいろ今議論もしておるところですが、そういう点で中山間地における雇用の場を確保する、農業生産を確保していく、こういう観点からも非常に重要な問題だと思いますので、今後の我が国農業における加工原料を生産する農業のあり方、その発展に向けての農林水産省の考え方、そういうことについてこの際伺っておきたいと思います。
  53. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 食品産業におきます国内農産物の利用の促進を図るためには、御指摘のように、均一な品質のものを安定的に供給するなど、食品産業のニーズに対応し得る生産体制、これを整備していくことが重要であるというように考えております。  このような観点から、従来から、加工あるいは業務用野菜の産地の育成、これは、特にトマトジュースなど加工用トマトを中心としたものが多いわけですけれども、こういった加工、業務用野菜の産地の育成とか、あるいは加工に適した品種の開発、収穫機の開発、種苗の供給施設の整備などによる生産性の向上など、各種の施策を講じているところでございます。今後とも、食品産業における国内農産物の利用の促進を図るために、いろいろな対応をしてまいりたいというように考えておるところでございます。  なお、中山間地域におきましては、確かに、均一、大量の農産物を加工に仕向けるために生産をするという面につきましては難しい面があるわけでございますけれども、一方で、例えば加工用トマトの場合には、栽培条件として昼夜の温度差が必要なことなどから、大部分が長野、福島、茨城などの中山間地域で生産されている。また、漬物の浅漬け用原料である白菜、大根、キャベツなどにつきましては、夏季に冷涼な気候条件を必要とするために、主に中山間地域で生産されているといった例も見られますように、中山間地域であることを逆に利用しております先進事例も見られるところでございます。  今後とも、その地域の条件に合った作物の選定、加工に適した栽培技術などの確立による省力化、品質向上、こういったものに努めまして、中山間地域においても食品産業のニーズに合った生産が行われるように条件整備を図ってまいりたいというように考えております。
  54. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 次に、輸入加工食品安全性確保について、厚生省おいでになっていると思いますが、この際、伺っておきたいと思うのです。  最近の円高基調を背景にいたしまして、食品の輸入、とりわけ加工食品輸入は高水準に推移しており、加工食品輸入の増高が我が国農業生産あるいは農産加工業経営に与える影響は極めて大きいものがあるのではないか、こういうふうに考えているわけであります。  そこで、加工食品輸入の実態について、一つは、外国において製品となった加工食品、二つ目に、大部分の処理加工が施されて、国内では加熱などの簡単な調理で済む加工食品、三つ目に、全世界の気候を活用し、我が国の端境期に輸入される野菜、果実または各国で養殖された魚介類とその加工品など、国内でほとんど処理加工されることなしに消費者に直接販売される、こういう食品の輸入が増加をしているわけですが、その安全性確保は極めて重要であります。  しかし、輸入食品等の監視業務についは、平成五年現在、全国三十カ所において百九十五人の食品衛生監視員がその任に当たっている、こういうふうに言われているわけです。この際、最近の輸入食品等の監視業務の実態、食品輸入の総量、何トンぐらいあるのか、食品衛生監視員が実際に当たってどれだけ直接監視業務を行っているのか、その量、それから食品衛生監視員では十分対応し切れないために、委嘱検査だとか書類審査だとかその他の方法によって検査をされている食品の数量、トン数、そのうちの加工食品輸入トン数と、監視業務上特に問題となる点があるのかどうか、こういうことについてまずちょっとお聞きをしたいと思います。
  55. 高原亮治

    高原説明員 厚生省といたしましては、加工食品を含む輸入食品安全性確保国民の健康を守る上で極めて重要であると考えておりまして、従来から輸入食品監視体制整備充実してきたところでございますが、ただいまお話にもございましたように、現在、全国三十カ所の輸入食品監視窓口におきまして、二百五名の食品衛生監視員が、八千弱の国内におきます食品監視員と一体となりまして、食品監視業務に従事しておるところでございます。  また、試験検査につきましては、高度な検査を実施する検査センターを横浜及び神戸検疫所に設け、集中的に行っておるところでございます。  加工食品輸入についてでございますが、全輸入食品の届け出件数で申しますと、三割で、約二十六万件、届け出重量で申しますと二割程度を占めております。これらにつきましては、輸入届け出時に製造、加工方法、使用添加物等を審査いたしまして、必要に応じて検査を実施いたしまして、食品衛生法に違反するものの輸入防止を図っておるところでございます。
  56. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 抽象的にというか、非常に簡単に答弁になりましたが、二割とか三割とかという話がありましたが、全体の輸入食品のうちで直接食品衛生監視員検査をしているものがどれくらいになるのか、トン数というか、数量もわかったらもう少し教えていただけませんかな。
  57. 高原亮治

    高原説明員 加工食品につきまして、その検査データというふうなものはちょっととっておりませんで、恐縮でございますが、お答えできかねるわけでございますが、食品すべてに関しまして検査をやっておるものが一六%、そのうち、行政検査食品衛生監視員が直接的に検査をやっておるものが五・九%というのが現状でございます。
  58. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 食品衛生監視員が直接検査をしているものは五・九%、こういうことでした。今三十カ所で二百五名検査員検査をしている、こういうことでしたが、最近かなり強化をされてこういう体制になっているのじゃないかと思いますが、今言われたように五・九%の実績などからすれば、もっと検査員体制を強化する必要があるのじゃないかと思うのです。この点、念のためにちょっと伺っておきたいと思います。
  59. 高原亮治

    高原説明員 検査能力の強化につきましては、お話しのとおりでございまして、ただいまも横浜及び神戸におきまして、高速で大量の検体を処理できる、そのような検査施設をつくっておるわけでございます。  それから、六%程度監視率でございますが、これは、先進諸国の直接行政が検査をしておりますサンプリングの率に比べて格別劣っているという状況ではございませんが、なお一層厚生省といたしましては努力をする所存でございます。
  60. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 先進各国との比較でそう劣っていないということですが、問題は、先進国と比較をして劣っているか劣っていないかということじゃなくて、大量に輸入される食品の安全性確保されるかどうかということですから、そういう意味で、もう少し体制の強化をして、万全を期していただくようにこの際お願いをしておきたいと思います。  最後に、食品の日付表示の問題についてひとつ伺っておきたいと思うのです。  平成五年の農業白書によりますと、「我が国では「JAS法」及び「食品衛生法」により主要な加工食品について原則として製造年月日を表示することが義務付けられており、消費者にとっては食品の日持ちや鮮度を判断するうえでの指標としての役割を果たすとともに、製造・流通業者にとっては商品の品質管理や在庫管理にも役立ってきた。しかし、加工食品の日付表示については、製造・流通技術が進歩するなかで製造年月日から商品の日持ちが判断しにくくなっていること、まとめ買いの増加等により食品の家庭内での保存期間が長期化する傾向にあること等から、日持ちについての情報への需要が増大している。」そして、「FAO及びWHOの下部機関が作成している国際的な食品規格では日付表示として期限表示が採用されており、諸外国から、我が国の日付表示についても期限表示とするべきなどの意見が出されている。」こういうふうに白書に記載をされております。  加えまして、「このような状況を踏まえ、加工食品の日付表示のあり方について検討を行ってきた「食品表示問題懇談会」(農林水産省食品流通局長主催)は、平成五年十一月、食品の日付表示の原則を製造年月日表示から、食品の品質がいつまで保たれるかを示す期限表示へ転換することを提言した。」こういうふうに記載をされているわけであります。この加工食品の日付表示の問題は 今後どういうふうに扱われていくのか。消費者の素朴な常識からすると、製造年月日も示してもらうし期限表示も示してもらうと一番親切なような感じもしないこともないのですが、ここら辺についてどういうふうにお考えになっているか最後に承っておきたいと思います。
  61. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 食品の日付表示につきましては、現在、製造年月日表示が原則になっておるわけでございますけれども、今先生が御指摘になったようないろいろな問題を背景にしましてこの日付表示のあり方につきまして検討をしてまいったわけでございます。  平成四年三月に食品流通局に食品表示問題懇談会を設けまして検討してきた結果、昨年の十一月十五日に「今後の食品の日付表示制度については、原則を製造年月日表示から期限表示へ転換することが適当」との報告が取りまとめられております。また、厚生省におきましても、食品の日付表示に関する検討会において検討を行い、農林水産省と同じ考え方の報告書を同日公表しております。  農林水産省としましては、このような報告の結果及び消費者や関係団体の意見を踏まえ、また厚生省とも調整を図りながら、JAS法に基づく食品の規格及び品質表示基準の見直しの作業を進めているところでございます。この規格、基準の改正につきましては、農林物資規格調査会への諮問などを経て本年度内に行うということをめどに検討を進めているところでございます。  なお、製造年月日といわゆる期限表示、賞味期限、この両方を表示する方がいいのではないかという御指摘でございますけれども、この日付表示制度のあり方につきましては、最近における食品の製造、流通、消費の実態を踏まえ、また国際的な規格、基準との整合という点も考慮しつつ農林水産省及び厚生省において検討を行った結果、先ほど申し上げましたように「原則を製造年月日表示から期限表示へ転換することが適当」、との結論を得たところでございまして、期限に加えましてさらに製造年月日の併記を義務づけることは適当でないというように考えております。  しかしながら、従来製造年月日表示になじんできた消費者及び製造業者などが期限表示への切りかえに当たって混乱を来すことのないように、十分な経過期間を設けるとともに、期限表示の趣旨、内容等につきまして、十分その普及啓発に努めてまいりたいというように考えております。
  62. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 少し時間が余っていますが、一応予定した質問は以上で終わりましたので、私はこれで質問を終わります。ありがとうございました。よろしくお願いします。
  63. 竹内猛

  64. 藤田スミ

    藤田委員 私は、先日青森農工連のジュース工場を視察してまいりました。このジュース工場のおっしゃるには、生産者団体としては、ほかのジュース工場と違って輸入果汁を使うわけにはいかない、そういうことで、日本で初めてという技術も導入し、新しい商品の開発など本当によく頑張っておられるわけです。しかし、特定農産加工法の融資ということについては、今のような時期に融資で設備を新しくするというような気にはならない。先の展望が見えない。勢いのあるときならばいいが、低利といっても新たな金を使うということになるのはきつい。こういうふうに率直に言っておられました。  実際、リンゴ果汁輸入量というのは、自由化前の八九年一万四千九百キロリットルが一九九三年には三倍以上の四万四千九百キロリットルになっております。そういう中で、特定農産加工法に基づく工場の国産原料の使用がどういうふうに推移しているかということを見ましたら、一九八九年と九二年の比較ですが、ミカン果汁では七〇%まで国産であったのが三一%になっています。それから、リンゴ果汁では七〇%の使用が四六%にまで落ちています。それでもなおこの農工連の皆さんは国産原料で頑張ってきたけれども経営を考えればしかるべき措置をとらなければならない時期が来るかもしれ狂いということで、大変な苦悩をしていらっしゃるわけであります。  私は、地域農産物を生かそうと頑張ってきた工場の担当者にこういうふうに言わしめるのが輸入自由化政策なんだと思いますが、このような現状をどういうふうに認識しておられるのか、簡潔にお答えください。
  65. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 確かに、特定農産加工業は、その地域におけるリンゴあるいはミカンといったような基幹的な農産物の加工仕向け先として非常に重要な地位を占めております。また、その地域雇用所得機会確保などを通じた地域経済活性化に大きく貢献してきているというように考えております。  しかしながら、特定農産加工業に係る輸入自由化等の結果、製品の輸入が増加しまして、特定農産加工業者経営影響が生じておる。またさらに消費者の志向が、低価格よりも高品質に向いているといった当初の傾向から、価格面よりも品質面で重点的に行われているということが多かったのに対しまして、最近では低価格志向がかつてないほど強まっている。また、諸外国の方も、市場調査に基づく新商品の開発、流通体制整備、こういったものが行われておりまして、輸出を本格化させつつあるというような状況にございまして、自由化影響は今後さらに強まるものというように見込まれておると認識しております。  こういった観点から、今回引き続きこの法律につきまして期限を五年間延長し、今後とも適切にその運用を図ることによって特定農産加工業の振興を図ってまいりたいというように考えております。
  66. 藤田スミ

    藤田委員 農産加工業が安い輸入原料の使用に流れていけば、生産農家も大きな影響を受けることになることは言うまでもありません。  農産加工法では、事業転換をする場合、一〇〇%輸入原料ということになれば論外だというふうには言っておりますけれども輸入農産物を原料にするということは否定しておりません。たとえ数%でも国産原料を使っていれば大量の輸入原料に切りかえていったとしても経営改善計画として承認するということになるのでしょうか。計画承認の基準一つには「地域農業の健全な発展に資するものであること。」というふうにしておりますから、それならば私は、国産原料最低使用量の歯どめ、こういうものが要るのじゃないかというふうに思うのです。  先ほどもおっしゃったように、輸入影響というのはこれからいよいよ本格化するんだ、こういうことでありますならば、農産加工業者が設備廃棄や縮小、撤退を余儀なくされればこれまた大変な影響を与えることになるわけでありますから、この法律の目的にあるとおり地域農業の健全な発展に資するよう法律を運用するべく指導するべきだと思いますが、いかがですか。
  67. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 特定農産加工法の目的に、「農業及び農産加工業の健全な発展に資する」という目的がございまして、また、具体的に個々の企業が経営改善計画をつくってそれを都道府県知事が認定する際には、地域農業の健全な発展に資しているかどうかということをチェックをして計画の承認をしているところでございます。その意味で、国産の農産物、こういったものをできるだけたくさん使っていくという観点からのチェックというものは都道府県段階で行うことになっておるわけでございます。  ただ、これを一定率国産の原材料を使わなくてはならないというように義務づけることにつきましては、さまざまな原材料を組み合わせる、例えば国産の原料と輸入原材料をまぜ合わせまして一定の製品をつくるといったような消費者のニーズに対応する工夫が行われたりしておる実態、あるいは国産原料の一定比率の使用を義務づけることによって規制を嫌って逆に輸入原料の使用に特化するという動きを助長するおそれもあるといったような面もございますので、個々の計画承認に際しまして、地域農業の健全な発展に資するかどうかという判断を的確に行う、それによって全体としての国産原料の使用の促進を図っていくのが適切であるというように考えているところでございます。  私どもとしましては、こういった法律の趣旨がさらに徹底しますように、都道府県知事に対し、本法の趣旨の周知徹底をするなど適切な指導をしてまいりたいというように考えております。
  68. 藤田スミ

    藤田委員 私は、この法律には、政府が一方で進めるこの農産物輸入自由化、特に果汁輸入自由化政策によって矛盾が絶えずつきまとう、どうしても解決できない矛盾がつきまとうんだ、そういうことをはっきり申し上げておきたいと思うのです。だから、本当に解決しようと思ったら、やはり自由化政策に歯どめをかけなければいけない、こういうことを申し上げて、次の問題に行きたいと思います。  次はリンゴの問題です。  リンゴ産地は、大変大きな不安と怒りを持っています。六月一日に農水省は、アメリカ産リンゴ輸入に伴う病害虫の侵入のおそれはないと最終判断を明らかにいたしました。私は、青森、そしてこの間は長野で、生産者の皆さんあるいはリンゴ試験場のお話を伺ってきました。とても技術的な問題はクリアしたなどと言える状況ではない、これが口々におっしゃることです。例えば火傷病の場合、輸出用の園地の周囲五百メートルに火傷病の発生していない地区を置くというわけですが、ハチや鳥、ハエなどによっても感染をするわけです。だから、受粉に使っているミツバチは一キロ以上飛行する、こういう状況の中で、五百メートルの安全地帯があるから大丈夫ということにはならないんだ、そういう疑問を投げかけておられるわけです。  一方、その病害虫の侵入を水際チェックする植物防疫検査の実態というのは、今回輸入されたニュージーランド産のリンゴの場合で十九トン、千八百八十九箱のうち検査されたのは二十一箱、検査率は一・一%です。そして、輸出国での検疫措置の確認に年間約五十人派遣されているわけですけれども植物防疫官というのは全国平成五年で七百四十五人です。この七百四十五人が年間百二十六万件もの輸入検査を行っているわけですから、ここからこの五十人をとっていくということになると、これはなかなか現場は大変なんです。だから、アメリカ園地を調査する防疫官は一体どれだけ確保しようとされているのか、それからこれでどうして病害虫の侵入のおそれはないと言い切れるのか、そこのところをお答えください。
  69. 日出英輔

    日出政府委員 先生から二つのお尋ねがあったと思います。  一つは、アメリカ産リンゴ検査のために何人程度検査官を派遣を予定しているのか、こういうことでございます。  これにつきましては、実はまだ正式にアメリカから指定の予定園地が具体的には示されておりません。そういう意味で、また私どもとしましては、解禁を前提とした情報収集もなかなかできない状態でございますので、今この場で具体的な派遣人数について言及できる段階ではないわけでございますが、いずれにしても、将来アメリカ産のリンゴ輸入解禁を行うことになりましたときには、検疫上の安全性確保できる人数を派遣することにしたいということは今申し上げられるわけでございます。  それからもう一つ、今先生のお話の、そもそもアメリカ産のリンゴ輸入解禁をするということであるけれども、アメリカ側が開発した検疫措置あるいは具体的な指定園地の問題、この辺のところは大丈夫かというお話でございます。  この問題につきましては、先生も御案内のとおり、昭和六十一年から、具体的にはアメリカと三つの病害虫につきましての殺虫技術、殺菌技術につきましてのデータのやりとりをしておるわけでございます。私どもといたしますれば、昨年末までのデータの交換、あるいはことしになりましてからの日米植物防疫専門官の話し合いで、コドリンガ、アメリカリンゴコシンクイ、火傷病につきまして、向こうの検疫措置といいますか病害虫の防除技術がきちんとしておるということを私どもとして確認をできましたので、今その次の段階の実は公聴会の手続に入っておる、こういうことでございます。
  70. 藤田スミ

    藤田委員 その公聴会であなた方は、もし病害虫が入った場合には国の責任で完全に撲滅する、経費や損害については国が補償する、こういうふうに答えていらっしゃいますね。しかし、青森のりんご協会では、そういう技術はあり得ないということを指摘しているのです。何と答えますか。  火傷病はリンゴだけに発生するのじゃないのです。ナナカマド、桜などのバラ科の植物にも広がるのです。桃やナシ、オウトウなどにも感染します。それを全部防除できますか。高温多湿の日本の気象は、火傷病の感染には絶好の環境だというふうに言われています。感染力が強く、感染すれば枝は枯れ、若木の場合は枯死するというふうに言われているのです。もし侵入すれば防ぎようがない、つぶれる産地も出てくるのではないか、こういうふうに産地は言っておりますが、どう答えますか。  防除対策について完全撲滅だと言っても、あなた方はそれを示すことはできないでしょう。逆に、植物防疫所のパンフレットを見ますと、「植物の病害虫が新天地に侵入すると、農作物や緑の資源に思わぬ大害を与えることがしばしばあり、また、それを根絶することは非常に困難です。」これはあなた方のパンフレットの中にそう書いてあるのです。病害虫が発生している地域、国からの輸入はしない、そういう立場に立つべきではありませんか。
  71. 日出英輔

    日出政府委員 今先生のお話がありましたように、この植物防疫法の前提となります国際植物防疫条約では、特定の地域から特定の病害虫が前提となりますようなそういった植物を入れることは禁止をしているわけでありますが、一方で、病害虫の防除技術確立されますれば、例外的に一つずつ輸入解禁の手続をとるというのが国際的なルールでございます。そういう意味で、アメリカ産のリンゴにつきましては、私どもといたしますと、専門家技術判断をもってしても、こういった我が国に未発生の病害虫が侵入することはないというふうに私どもとしては判断ができたということでございます。  なお、私も実は青森に行ってまいりまして、りんご協会の方々あるいは地元の方々のお話も伺ってまいりました。私どもといたしますれば、先生今お話しのように、この問題につきましては、我が国で未発生の病害虫でございます。そういう意味で、生産者の方々の御不安を少しでもなくするということが私どもの仕事でございますので、実は現地の説明会をずっと最近やっております。あるいは、今週には各県の試験場のようなところの専門家の方々にもおいでいただきまして、技術的な問題について御説明を申し上げているわけでございます。私どもとしますれば、こういった未発生の病害虫が侵入することはないと確信をいたしておりますが、万一こういった病害虫が我が国に入ってまいりました場合には、植物防疫法に基づきまして、全額国庫負担で撲滅防除を行う、緊急防除を行うということを生産者側あるいは関係者の方々にも申し上げているところでございます。
  72. 藤田スミ

    藤田委員 あなた方は今の答弁でも、どんな農業をどういうふうな形で何回ぐらい散布するのかということまで示し得ないじゃありませんか。国が全額責任を持って負担をするというなら、産地が本当に再生するまで国が責任を持って補償できますか。私は、ナナカマドの並木道だとか桜の花にまで感染するような病気が入ってきたら、一体園地だけの防除でどうなるのかというふうに思いますが、そういうことについてあなた方は説明会だということをやっても、説明しても、疑問に答えなければ何にもならないのです。  黒星病が入ったときにも、産地は非常な被害をこうむりました。今でもそうです。いざとなったらその負担は生産者が負わされるという前例があるのだ、こういうふうに皆さんはおっしゃるわけです。だから、産地が本当に再生するまで国が責任を持って補償するのかということをお答えください。  もう一つの問題は、百万分の一の確率でも病害虫の侵入があるということならば、百万分の一の確率でも反対したい。産地はおっしゃるように大変な不安を持っています。だから、その説明会ですね、これに対しては、選果場や保管場所へ輸送中の病害虫の汚染の心配、国内に侵入した場合の対策など、そういうことに対して一つ一つ丁寧に答えるべきです。  それからまた、一回の説明会で、その県で説明が終わったからもういいんだということではなしに、やはり求められれば何度でも説明会を開いていく、そういう姿勢が今大事であります。その点についてはいかがですか。
  73. 日出英輔

    日出政府委員 説明会の話の方から申し上げますれば、率直に申し上げまして、昨年ニュージーランド産のリンゴ輸入いたしましたときに、三月に公聴会を開いたわけでございますが、私どもとすれば現地での説明会をもう少ししてから、公聴会に臨むべきであったというのが、昨年のニュージーランド産のリンゴに関する公聴会の場合の私どもの教訓だったと思っております。  そういう意味で、実は全国で十か所以上、県によりましては二度目の要請もございます。まだ終わっておりませんが、たしか福島県が二度目の要請があったというふうに聞いております。私どもとしますれば、人的な制約もあるわけではございますが、極力現場に出かけまして、こういった地元の方々の御不安をなくすようにすることが私どもの仕事かと思っております。  それからもう一つ、今私は植物防疫法上の緊急防除の話を申し上げました。これにつきましては、法律の二十条で損失の補償の仕方が書いてございます。私どもといたしますれば、この二十条の規定の趣旨にのっとりまして適正に対処したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  74. 藤田スミ

    藤田委員 県から要請があれば、それは回数を問題にしないで応じていくというふうに聞きました。いいですね。そういうことでよろしいですね。そこで首を振ってくれればいいです。それでいいんですね。
  75. 日出英輔

    日出政府委員 人的な制約もございますからなかなかそうでない場合もありましょうが、私どもといたしますれば、極力現地説明会に出まして御説明申し上げたい、そういう考えでございます。
  76. 藤田スミ

    藤田委員 アメリカの解禁の圧力の中で、初めに解禁の期限があって、そのために、病害虫の侵入の危険や生産者の不安、疑問、反対の声を無視して、強引に押し切って手続を進める、そういうふうに、まさに国際化だとか自由化だとかいうことをにしきの御旗にして国内産地に犠牲を押しつけていくということでは、一体だれのための農政なのか、こういうことになるわけであります。  ガット農業合意により、さらなる輸入自由化関税化、引き下げが強行されれば、国内農家は壊滅的な打撃を受けることはもちろん、国産の農産物を使用している農産加工業も窮地に立たされることはもう目に見えています。農産加工業を守り、地域農業を真に守り発展させるために、私は改めてここで農産物の総輸入自由化の撤回を求めておきたいと思います。  時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  77. 加藤六月

    加藤国務大臣 農産物加工の問題と我が国農産物との関係についてじゅんじゅんとお述べになられました。特にそういう中で、植物検疫に対する問題としていろいろ指針をいただきました。今後行政を行う上においては十分配慮してまいるように申し上げておきます。
  78. 藤田スミ

    藤田委員 終わります。
  79. 竹内猛

    竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  80. 竹内猛

    竹内委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 竹内猛

    竹内委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  82. 竹内猛

    竹内委員長 この際、本案に対し、二田孝治外四名から、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党及びさきがけ・青雲・民主の風の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。二田孝治君。
  83. 二田孝治

    ○二田委員 私は、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党及びさきがけ・青雲・民主の風を代表して、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   農産加工業農業と密接な関連の下で、食料の安定的供給、地域農業の振興及び地域経済活性化等に重要な役割を果たしている。   しかしながら、自由化影響がさらに深まる中で、農産物等の輸入が増大することが見込まれるほか、近年における景気の停滞、食料消費の不振、価格競争の激化等により、農産加工業は厳しい事態に直面している。   よって政府は、本法の施行に当たっては、左記事項に十分配意し、農産加工業経営改善の促進に遺憾なきを期すべきである。     記  一 現下の厳しい諸情勢に対処し、農産加工業経営基盤を強化し、その振興を図るため、経営構造の改善、組織化・共同化等関係諸施策の一啓の充実に努めること。  二 原材料を含む農産加工品輸入の急増が農産加工業に悪影響を及ぼすことのないよう、秩序ある輸入確保に努めること。    さらに、原産地表示の徹底等に努めるとともに、関係省庁との密接な連携の下、増加する輸入食品安全性確保のための体制整備し、安全・良質な食品の供給、消費者に対する情報提供対策整備充実を図ること。  三 今後さらに強まる国際化の進展に即応して、対象業種及び関連業種を追加指定する等本制度の適切かつ弾力的運用に努めること。  四 国産加工原料用農産物の安定的供給を図るため、農産加工業のニーズに即した加工適性に優れた品種の開発、普及に努めるとともに、農業の生産性の向上、流通の合理化等による内外価格差の縮小に努めること。  五 食料消費の現状にかんがみ、消費者ニーズに即応した新製品の研究・開発を促進する等農産加工品の一層の消費拡大に努めること。   右決議する。  よろしく御賛同のほどお願い申し上げます。
  84. 竹内猛

    竹内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  二田孝治君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  85. 竹内猛

    竹内委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤農林水産大臣
  86. 加藤六月

    加藤国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後極力努力をいたしてまいります。     —————————————
  87. 竹内猛

    竹内委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 竹内猛

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  89. 竹内猛

    竹内委員長 次に、第百二十八回国会、江藤隆美君外四名提出、外国産牛肉輸入調整法案を議題といたします。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中川昭一君。     —————————————  外国産牛肉輸入調整法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  90. 中川昭一

    中川(昭)議員 ただいま議題となりました外国産牛肉輸入調整法案につきまして、提案の趣旨及び主要な内容を御説明申し上げます。  最近における我が国の畜産農家、とりわけ規模の零細な肉用牛経営農家は、牛肉輸入自由化以来、価格が低落する等極めて深刻な影響を受けております。  また、国内産業が壊滅的な打撃を受け、牛肉市場が輸入牛肉に席巻されることになった場合には、市場価格が輸出国の意図のままにつり上げられる事態も想定でき、消費者の立場に立ちましても、そのような状況はぜひとも避けなければならないと考えるところであります。  加えて、輸入牛肉国内供給率は、既に五〇%を超えて急増しつつあります。このままでは、我が国牛肉資源は壊滅しかねなく、一度失われた牛肉資源は回復不能であります。  アメリカやカナダにおいては、自国の畜産農家を保護育成する目的で牛肉輸入を制限する国内法が整備されており、我が国としても、今日の状況を熟慮するとき、同様の観点からの法律を制定すべき時期が来ていると考えます。  なお、本案は、ガットとの関係を十分に考慮して起草しており、国際ルールに何ら反するものではありません。  細川前内閣は、我が国基礎食糧である米について相当量のミニマムアクセス受け入れを決定し、農家の政治不信と相まって生産に取り組む意欲は今日著しく減退していますが、本法の制定により、農家の生産意欲を高め、政治への信頼回復に努めることが、現下の政治に携わる者の使命であると考えます。  以上の観点から、この法律案を提出する次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  まず、本案は、外国産牛肉輸入に係る事情の変化により、肉用牛経営の安定が著しく阻害されるとともに、牛肉を安定的に供給するための肉用牛の再生産の確保が困難となり、消費者の利益が損なわれることとなる事態が生じるおそれがあることにかんがみ、以下の措置を講ずることにより、肉用牛の生産の安定を図り、もって肉用牛経営の基盤の確立に資するとともに、国民の消費生活の安定に寄与することを目的としております。  第一に、農林水産大臣は、外国産牛肉輸入が増加し、輸入数量が国内生産数量に相当する数量に達したときには、その輸入国内生産に与える影響について調査を開始することとしております。  第二に、農林水産大臣は、調査の結果、外国産牛肉輸入の増加により、輸入国内生産に重大な支障を与えるおそれがあると認められる場合として農林水産省令で定める事態が発生したと認められるときは、その旨を関係行政機関の長に通知することとしております。  第三に、政府は、その通知があったときは、ガット加盟国及び外国産牛肉を輸出しているその他の国等に対し通告をし、その後一月を経過したときもしくは国民経済上緊急の必要があると認められるときは直ちに、政令で定めるところにより、外国産牛肉輸入に係る関税率の調整、輸入の制限その他の輸入の調整に関し必要な措置を講ずることとしております。  この輸入に係る関税率の調整を行う場合には、調整後の関税率は、七〇%とすることとしております。  以上が、この法律案の提案の趣旨及び主要な内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  91. 竹内猛

    竹内委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会