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中川(昭)議員 ただいま議題となりました外国産
牛肉輸入調整法案につきまして、提案の趣旨及び主要な内容を御説明申し上げます。
最近における
我が国の畜産
農家、とりわけ規模の零細な肉用牛
経営農家は、
牛肉の
輸入自由化以来、価格が低落する等極めて深刻な
影響を受けております。
また、
国内畜
産業が壊滅的な打撃を受け、
牛肉市場が
輸入牛肉に席巻されることになった場合には、市場価格が輸出国の意図のままにつり上げられる事態も想定でき、消費者の立場に立ちましても、そのような
状況はぜひとも避けなければならないと考えるところであります。
加えて、
輸入牛肉の
国内供給率は、既に五〇%を超えて急増しつつあります。このままでは、
我が国の
牛肉資源は壊滅しかねなく、一度失われた
牛肉資源は回復不能であります。
アメリカやカナダにおいては、自国の畜産
農家を保護育成する目的で
牛肉の
輸入を制限する
国内法が
整備されており、
我が国としても、今日の
状況を熟慮するとき、同様の
観点からの
法律を制定すべき時期が来ていると考えます。
なお、本案は、
ガットとの
関係を十分に考慮して起草しており、国際ルールに何ら反するものではありません。
細川前内閣は、
我が国の
基礎的
食糧である米について相当量の
ミニマムアクセス受け入れを決定し、
農家の政治不信と相まって生産に取り組む意欲は今日著しく減退していますが、本法の制定により、
農家の生産意欲を高め、政治への信頼回復に努めることが、現下の政治に携わる者の使命であると考えます。
以上の
観点から、この
法律案を提出する次第であります。
次に、この
法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
まず、本案は、外国産
牛肉の
輸入に係る事情の変化により、肉用牛
経営の安定が著しく阻害されるとともに、
牛肉を安定的に供給するための肉用牛の再生産の
確保が困難となり、消費者の利益が損なわれることとなる事態が生じるおそれがあることにかんがみ、以下の
措置を講ずることにより、肉用牛の生産の安定を図り、もって肉用牛
経営の基盤の
確立に資するとともに、
国民の消費生活の安定に寄与することを目的としております。
第一に、
農林水産大臣は、外国産
牛肉の
輸入が増加し、
輸入数量が
国内生産数量に相当する数量に達したときには、その
輸入が
国内生産に与える
影響について調査を開始することとしております。
第二に、
農林水産大臣は、調査の結果、外国産
牛肉の
輸入の増加により、
輸入が
国内生産に重大な支障を与えるおそれがあると認められる場合として農林水産省令で定める事態が発生したと認められるときは、その旨を
関係行政機関の長に通知することとしております。
第三に、
政府は、その通知があったときは、
ガット加盟国及び外国産
牛肉を輸出しているその他の国等に対し通告をし、その後一月を経過したときもしくは
国民経済上緊急の必要があると認められるときは直ちに、政令で定めるところにより、外国産
牛肉の
輸入に係る
関税率の調整、
輸入の制限その他の
輸入の調整に関し必要な
措置を講ずることとしております。
この
輸入に係る
関税率の調整を行う場合には、調整後の
関税率は、七〇%とすることとしております。
以上が、この
法律案の提案の趣旨及び主要な内容であります。
何とぞ、御
審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。