運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1994-06-03 第129回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月三日(金曜日)     午前九時四十五分開議 出席委員   委員長 竹内  猛君    理事 亀井 善之君 理事 久間 章生君    理事 中川 昭一君 理事 二田 孝治君    理事 小平 忠正君 理事 仲村 正治君    理事 前島 秀行君 理事 千葉 国男君       赤城 徳彦君    衛藤 晟一君       岸本 光造君    栗原 裕康君       七条  明君    浜田 靖一君       松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君       御法川英文君    宮里 松正君       山本 公一君    木村 守男君       実川 幸夫君    白沢 三郎君       田名部匡省君    初村謙一郎君       広野ただし君    増田 敏男君       池端 清一君    石橋 大吉君       遠藤  登君    辻  一彦君       上田  勇君    長内 順一君       錦織  淳君    藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣  加藤 六月君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         農林水産省構造         改善局長    入澤  肇君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省畜産         局長      高木 勇樹君         食糧庁次長   永田 秀治君  委員外出席者         外務省条約局国         際協定課長   門司健次郎君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 六月二日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     越智 伊平君   中谷  元君     後藤田正晴君   浜田 靖一君     志賀  節君   松下 忠洋君     東家 嘉幸君   白沢 三郎君     工藤堅太郎君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     岸本 光造君   後藤田正晴君     中谷  元君   志賀  節君     浜田 靖一君   東家 嘉幸君     松下 忠洋君   工藤堅太郎君     白沢 三郎君 同月三日  辞任         補欠選任   中谷  元君     粕谷  茂君   松岡 利勝君     衛藤 晟一君   御法川英文君     桜井  新君   白沢 三郎君     杉山 憲夫君   辻  一彦君     吉岡 賢治君 同日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     松岡 利勝君   粕谷  茂君     中谷  元君   桜井  新君     御法川英文君   杉山 憲夫君     白沢 三郎君   吉岡 賢治君     辻  一彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農林水産業の基  本施策)      ————◇—————
  2. 竹内猛

    竹内委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農林水産業基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
  3. 赤城徳彦

    赤城委員 おはようございます。  大臣、まずは御就任おめでとうございます。大臣最初農水大臣になられたとき、私は農林省のまだ駆け出しでおりまして、その後、国会に籍を置くようになって、自民党政権のもと、大臣にはいろいろ御指導をいただきながら農政の勉強をしてまいりました。きょうこうして立場分かれて御質問させていただく、非常に歴史変化が速い、感慨ひとしおでございます。  いずれにしましても、大臣、大変な農政通でございますので、今の困難な局面に力を存分に発揮していただきますようお願いを申し上げたいと思います。  ところで、変化が速いなと思うわけでありますけれども、農政について一番基本的なところで、政権交代があって自民党政権下と今日の政権基本方針で大きな変化があったのではないかなと思うのであります。それは、農業国民生命を守る、食糧を供給する、あるいは多面的な機能で国土や環境を守っている、そのために、基本的な、基礎的な食糧国内自給をしていくんだ。世界的にそうだと思いますけれども、農業というのは国内基本で、余れば輸出をするし足りなければ輸入をする、そういうことだと思うのでありますけれども、今日のウルグアイ・ラウンド合意を経て、基本的な米について国内自給をするというその方針変更があった。ミニマムアクセスとして輸入します、もう国内では自給をしません、完全自給はしませんという方針変更があったんだ。これはもうはっきりあったんだということを、今までの国会答弁の中でも国会決議とは違いますというふうに言われていたわけですから、それは国内自給方針を変えたんだということをはっきり認めていただきたいと思うんです。
  4. 加藤六月

    加藤国務大臣 冒頭の赤城委員の、変化の激しさというのは私も感じております。また、あなたのおじいさんにいろいろ御指導いただいた私としましても、また感慨無量のものがあるわけでございます。  実は、政府が昨年ミニマムアクセスを受け入れるようになりまして、本会議並びに予算委員会、私は予算委員をいたしておりまして、熱心に各党議論されておるそのときに、もし、自民党政権を持って政府委員席に座っておって、政権党皆さん委員席に座っておって詰問し追及する、そして政府委員席へ座っておる自民党皆さんお答えするという場面を頭の中に描きながら、予算委員会は私、最初から最後まで全部、この間まで予算委員でしたから出て、米の議論ウルグアイ・ラウンド議論というものを闘いでおりました。そこから先を申し上げますといろいろになりますが、座る席側がかわっても議論は同じだな、責める方も答える方もという感じを、これは素直に申し上げまして持ちました。これをどうおとりになるかというのはそれぞれのなんですが、私の感じです。  そういう中で、今おっしゃったように、自給方針変更したということかと。いろいろな議論質問者答弁者議論を聞いておりまして、そこ ら辺が、どう言ったらいいでしょうか、何やかんや、若干のすれ違いもあるかなという感じは持っておりました。  そこで、きょうこうやって私が申し上げますと、一定数量を受け入れるということ、これはまず最初義務義務でないかという議論もあったわけですが、一定数量を受け入れるということ、これは事実です。事実ですが、基本方針閣議了解等でいろいろうたっておるのでございますが、入ってきたものについての取り扱い、何やかんやこれから決めなければなりませんね。決めなければなりませんが、国内生産基本としていくという考え方については何ら変わっていない。そこで議論が起こったのは、上積みがしかし毎年毎年、三十七万八千トンから始まって八十万トンまで四%から八%来るじゃないかということ。ですから、それを含めた米の自給計画をやる、こう申し上げますと、それなら変わるのかという議論にもなりますが、国内生産基本としていくというこの一点については政府質問者も変わりがない、こう思っております。
  5. 赤城徳彦

    赤城委員 大臣お答えの中で、前段の方ですけれども、歴史にもしというのはないと思いますので、立場が逆だったらどうだったかということは議論しても仕方ないことだとは思います。しかし、政権交代して、あのとき細川総理総理になられた日本新党の政策はどうであったか、あるいはあのウルグアイ・ラウンドで、連立政権という中でいろいろな意見がある不安定な形でラウンドの極めて厳しい協議に臨まなければならなかった、そういうこと、また、ほかの政党の政策、それやこれや考えますと、自民党政権で、安定した一枚看板でこの国会決議をちゃんと守っていくんだという立場交渉したのと、あのときの政権交渉したのとでは、やはり結論は違ったのではないかなと思うのであります。  それはそれとしまして、しかし、国内自給方針について、やはり変更があったのです。まさに大臣が言われたように、国内生産基本としていく、それはそのとおりでありますけれども、しかし、国内自給、完全というのか不完全というのか、いろいろありますけれども、四十万から八十万トンという数字は、これはもう国内自給ではないということだと思うのであります。ですから、そのことを前提にしてこれからどういう政策を組み立てていくのか。だからこそ今農政審であれほどの議論をやっているんだと思いますから、議論出発点としては、それは認めていただかなければいけないことだ。私どもとしては、そういうことでいいかどうかはこれはまた別問題でありますけれども、まず政府基本的な姿勢としては、もう米についての国内自給ということはできないのだということだと思うのであります。  そのことがどのくらいの影響があるのかということをちょっと数字で教えていただきたいのですが、カロリーベース穀物ベースか、自給率という数字が出ておりますけれども、ここのところの米輸入によって、あるいはこれから、ウルグアイ・ラウンドでの合意、四十万から八十万トンのミニマムアクセスによってどのくらい自給率が下がるのか、教えてください。
  6. 高橋政行

    高橋(政)政府委員 ただいまの先生のお話は、ミニマムアクセス導入に伴って、それが今後の自給率といいますか、そんなものにどんなふうに影響があるか、そういう御質問であろうかというふうに思います。  実は、国内消費量の四−八%が輸入されるということになるのですが、自給率計算する場合に、今後の消費なりあるいは生産の動向をどう考えていくかというようなこともいろいろと考えなければいけませんので、ちょっと一概に申しがたいところが実際はございます。それからまた、生産調整もどんなふうにやっていくかということもありますし、それから、入ってきたお米を、例えば備蓄に回すとか新しい用途に回すとか、あるいは援助というようなことも言われておりますが、そういうふうに回すとかいうようなことになりますと、直ちに入ってきたものがそのまま自給率の減になってあらわれるというものではございませんので、ちょっと幾つになるかということをぱしっと申し上げるわけにいきませんが、一応の議論といたしまして申し上げますと、いろいろなことをそのままの状態でまず考えて、八%例えばミニマムアクセスが導入されるといたしますと、直接の影響としましては二%くらいではないかというふうに思っています。それで、二%を最高限として、さっき申し上げましたミニマムアクセスで入ってくるお米をどういうふうに充てていくか、利用していくかということによって、それよりも影響度は少なくなる、そういう状態になろうかというふうに思っております。
  7. 赤城徳彦

    赤城委員 今のお答えのように、八十万トンという数字、これは新潟県一県分くらいの面積に当たる。大変大きなものでありますし、国内消費量の八%に当たる。そうしますと、カロリーベース自給率、今は四六ですか、そのうちの過半、大体六割くらいは米が占めていますし、穀物自給率でいえば、九割方は米が支えている。まさに食糧政策を支えている一番基幹的な作物が米でありますから、その米で八%下がるということは、寄与度で、単純計算しまして二%自給率が下がるということになります。今、五〇%くらいの自給率からどんどん下がって、ことしは四八になりました、七になりましたと一%下がっただけでも大騒ぎをしているところを、このことによって、単純計算二%下がるということであります。  そこで、この自給率について、あるいは自給力というのですかこれについて、大臣、どういうふうにこれからされますか。
  8. 加藤六月

    加藤国務大臣 この御意見、御趣旨予算委員会でもいろいろ御議論賜ったところでございますが、今長期的にはどう見るかということも、米がどうなるかということもあります。例えば、米の消費というものが今後どうなっていくかという問題、あるいは穀物自給率という場合に、畜産物消費というもの、御存じ自給率が下がった大きな原因というのは、畜産えさ穀物がどんどん来るという問題等もあったわけですね。それから、国際化という問題と国民食糧変化等いろいろあるわけでございますけれども、今回新しい国境措置のもとで、長期見通しというのはやはり必要になってくるのではないだろうか、今申し上げたようなものを配慮しながら。そこで、これらの問題については、実は農政審にもお願いしておりまして、前月三十一日に第七十七回の農政審議会もお開きいただいて、これから逐次どんどんお開きいただきたいのですが、ここでも議論し、検討していただこう、こう思って今検討作業を始めておるところでございます。現在の時点ではそういうことです。  それで、私が予算委員会でも申し上げたのは、平成四年六月に策定された新政策においては、品質、コストの面での改善を推進することにより、可能な限り国内農業生産を維持拡大し、食糧自給率低下傾向に歯どめをかけていくことを基本といたしたい、こういうお答えをたしかいたしたと思っておりますが、何さま今農政審議会で御検討、御審議いただいておりますから、これを踏まえ、また各界各方面の御意見を承りながら集約して決めていきたい、こう思っております。
  9. 赤城徳彦

    赤城委員 その予算委員会での議論がどこかの場で、大臣が、自給率維持強化したい、こう言われたというふうに伺っていたのですけれども、今のお答えですと、低下傾向に歯どめということで、大分ニュアンスが変わってきた。今までは自給力を、あるいは自給率と前ははっきり言っていたと思うのですけれども、維持強化、少なくとも上げますというふうなニュアンスでやってきたと思うのですけれども、もはやこれは、ウルグアイ・ラウンド決着を見ても、今までの輸入の増加を見ても、自給率が下がる、それにいかに歯どめをかけるかという、もうそういう議論になってしまったんだということだと思うのであります。  それやこれや含めて、今回のウルグアイ・ラウンド、これをどういうふうに総括されるかです。 これは、ウルグアイ・ラウンドが始まったときには、輸出国輸出補助金、あれをつけてどんどん輸出競争をする、あれがけしからぬというような話から始まったのが、いつの間にかその輸出側の話は棚上げ、あるいはちょっとした改善で、輸入国に対しての門戸開放みたいな、そういう圧力が厳しくなって、結局それに押し切られてしまったような、非常にバランスの悪い結果になっているのではないかと思いますけれども、ラウンドの今回のことについて、一言で言ってどういうふうに評価されますか。
  10. 加藤六月

    加藤国務大臣 国会決議を踏まえまして、まあ七年間続いたわけです。くしくもといいますか、七年前、私は農林大臣をいたしておりまして、ウルグアイのプンタデルエステにおいて倉成外務大臣があれをお約束して帰られる、これは大騒動だというので、いろいろその間ありまして、特に私としては、アメリカリン農務長官ヤイターUSTR代表日本へお招きして、アメリカのそういう考えにはノーである。あなたが現職でおられるとき、私は三番町のあそこで両方並べてノーノーとやかましく言って、総理官邸が大騒動になるというところからこのウルグアイ・ラウンドは始まったというのはもう御存じのとおりですし、その問いろいろありました。  けさ閣議で決めたのでありますが、国会が開会中でありますからOECD閣僚理事会に残念なるかな閣僚は行かれないということで、政務次官等を特別に許可をいただいて派遣するように決めました。七年前のOECDは、私、日本農林大臣としては初めて出席して、大変、言えるだけのあらん限り言って、国際会議においてフードセキュリティーという言葉を初めて入れたり、それから、そのときの計算で、後から出てくるのでありますが、あの難しい計算、今はあれはAMSというのかなになったのですが、その前の計算で、国内農業補助、この問題の議論たるや大変なものがあった。そこで、私たちも本当に日本農業というものを国際的視野で勉強し、逆にアメリカや、当時ECですね、EC農業国内政策を徹底的に勉強して、やかましく我々、国会政府も挙げて、ガット事務当局あるいは諸外国に向かって、言って言って言い抜いだということは、これはもう事実です。それで皆さんにも協力をいただいた。これはもう、各界は本当によくこの七年間、お互い考えられるあるらゆる手段、方法を尽くしてきたところです。  そして、我々の主張は、まずアメリカEC国内保護措置をやめる、これが一つ、それから輸出補助金をやめる、それから国境措置としての我々の輸入制限という問題を議論するという三つがある。ここの議論というのは、もう本当に熱心に、あるときはつかみ合いにならぬぎりぎりまでやりました。  後から出てくるかどうかわかりませんが、きのう各党皆さんに麦価の要請を受けたときに、若干時間があったのを利用して、私自身がつかみ合いになった経緯経過の一端を御紹介申し上げたり、あるいはまた、OECD閣僚理事会で、私が二度目か三度目に発言を求めて、シルバーナ・マンガーノというイタリアの女優の「にがい米」、ビターライスという例を出して、農業というものは国内にそれぞれ難しい問題を抱えている、それぞれの国の特徴があるんだ、一概に律してはいけないということ等も申し上げたことを農林省のOBからこの間、加藤さん、あなたここでこう言ったということを言われるようなことがあります。  したがって、今回のこの受け入れは、日本政府としたら、あらゆる問題を主張し、特に、どういいますか、食糧安保とか環境問題とかというのが今回の農業協定の中にたくさん出てきておるというのも、日本政府国会決議を踏んまえて頑張った。それから、ある面で言いますと、アメリカウエーバーやあるいは食肉輸入法やあるいは穀物等輸出禁止等々も、相当の束縛をこのウルグアイ・ラウンドWTOで逆にすることもできたし、ECの方についてもやるようになった。さらに具体的に申し上げますと、もう我々が一番胸を痛めておったのは、赤城委員御存じですが、あのダンケル試案、これをやられたんじゃたまったものじゃないぞというのが、さらにあれからお互い一致協力してやってやってやり抜いて、ある面で言うとドゥニー案まで来た、これを評価するのはいろいろあるでしょうけれども、国会政府も挙げて努力して、それで日本だけが被害をこうむったんではないということだけはぜひ御理解いただきたい、ちょっと長くなりましたが、そういう気持ちでお話しさせていただきました。
  11. 赤城徳彦

    赤城委員 まさに七年間の長い経緯の中で、自民党政権にあって、大臣の今言われたような趣旨でこの農業を守っていかなければいけないんだ、まさに日本生命線にかかわるんだということを、もうつかみ合いのような、そういう厳しい雰囲気の中で主張を通してきたんですよ、自民党政権のときに。ところが、政権交代の後、するするとこういう結果に落ちてしまったということなんじゃないかというのを今のお話を伺いながら感じておるのです。  ほかの分野で、ウルグアイ・ラウンドの俎上に上ったけれどもまだ合意に至ってない、決着のついてない分野も、海運とかオーディオビジュアルですかあると聞きますし、大臣今触れられたウエーバー、これも聞くところによると、本当にウエーバーはなくなるのか、何かそうでもないという話を聞きますので、こういうところは今後またはっきりすると思いますし、ほかの委員会等議論になっているようですので繰り返しませんけれども、いずれそこら辺の、そのバランスの非常に悪い輸出国輸入国、あるいは他の分野、そういうことが明らかになってくるのではないかな、これは大変な交渉結果だったんだということだと思うのです。  そこで、これからさらに議論をしていかなければいけないのですが、マラケシュで四月十五日に署名をされた、昨年の暮れにはもう合意をした。合意して署名して、さあこれから議論ですと。大臣、おとといの答弁の中で、国会の場に御報告をして議論をしていただくのは大変喜ばしいことだと言われたのですけれども、私はちっとも喜ばしくないのです。もう決めてきました、署名もしました、さあ議論してください。しかし、議論をして何か変えられるのかどうか。  憲法上、条約というのは、内閣国会承認を経て締結をして、天皇がこれを公布する、その承認については事前事後とあるわけですけれども、基本的には国会承認をして内閣がそれを締結する、公布する、そういう手順だと思うのですけれども、外務省来られているので、そこら辺の手続的なこと。それから、これはもう署名した、締結になるのか何なのかわかりませんけれども、これは実質もう決めたということには間違いないと思うのです。その意味では、これから国会議論をしてそれを変えられるのか、一部変えた承認というのがあり得るのか、あるいは承認できませんとなったときにどういうことになるのか、そこら辺、ちょっと教えてください。
  12. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほどの私のお答え言葉足らずがあったらいけないと思って、ちょっと政府委員答弁の前に申させていただきますが、私たちは努力もしたが、耳を長くしてこのウルグアイ・ラウンドの諸外国交渉の仕方、折衝というものをもう本当に注視しておったというのは御存じのとおりです。ところが、世界の世論というものは、我が国が主張した産業の包括関税化絶対反対というのはもう少数で、孤立してどうにもならぬように次々次々なっていったということも、これは率直に、熱心にやっていただけばいただいておる皆さんほどよくわかっておったのではないか。したがって、過程のことですから、細川内閣がどうのこうのと言われますが、世界の動静、考え方がもう日に日にそういうようになってきて、我が日本は不利に不利に不利になっていったということがこれはあった。  そこで、そういうときに、ちょっと先ほど触れましたが、ダンケル案よりか相当日本にとっては 厳しいものではあるが、日本考え方を取り入れておるドゥニー案というものが出てきたというこの経緯経過だけは、世界がもうこうなっておるのを我々も耳を長くして見て、これは本当にというところまで行っておったということだけはぜひ御認識おきいただきたい、こう思います。  あとは、政府委員、どうぞ。
  13. 門司健次郎

    門司説明員 お答えいたします。  四月十五日に外務大臣署名されました最終文書は、WTO設立協定について見ますれば、交渉の成果としての条約文を確定するという行為でございます。そこで条約が作成されたということでございます。  条約締結といいますのは、条約に拘束されることについての国の同意を表明するという行為でございます。そして、憲法第七十三条によりまして、条約締結自体行政府の権限となっておりますが、「事前に、時宜によっては事後に、国会承認を経ることを必要とする。」とされております。したがいまして、政府としては、この規定に基づいて、国会に対して、条約締結について、これをしてよろしいかよろしくないか、その可否について承認を求めておる次第でございます。したがいまして、この解釈に立ちますれば、従来から政府が見解として答弁しておりますけれども、国会において、条約を修正する、この文言を変更する、そういったことについて国会としての意見を表明されることは、それはできることはもちろんでありますが、国会として条約文を修正するということはできないというふうに解釈しております。以上です。  法的な効果としましては、不承認ということであれば、それは行政府としてこの条約締結、すなわち国としての同意の表明ができなくなるということでございますけれども、法的効果以外のものについては別途答弁させていただきます。
  14. 赤城徳彦

    赤城委員 政府として、あるいは大臣として、これは承認してもらうしかないということだと思うのですけれども、国会承認されなかったらどういうことになるのか、なぜその承認をされなければいけないのか、ちょっと簡単に教えてください。
  15. 加藤六月

    加藤国務大臣 承認されないということを想像したくありません。身のものよだつ思いがする、こういう表現がいいかどうかわかりませんが、私は、これはもう予算委員会で一度お答えしたのですが、もう今度はガットはなくなる、WTOがすべてやる。そうすると、世界のたくさん機関がありますが、国連というものがある、国連は政治を中心にする、経済はすべて今度はWTOになるんではないだろうか。そういうことになると、これから日本が国際社会の中で立派な国際社会員として生きていくためには、ある面では一日も早く批准していただいて、いろいろのポスト、役職、総合的にこれからいっぱい出てきますね、そこに日本の優秀な人がどんどん入り込んで活躍できる場をいただくためにも早く承認していただきたい。これは個人的考えですが、私は、国連とWTOというものが本当にこれからの日本にとって最も重要な国際機関になっていく、こういう認識を持っておりますから、ぜひ我々もこれから一生懸命準備して、何が要るかどうかという協定以外の国内的なものの体制も整えていきますが、国会の方も前向きに御批准賜るようにお願いしていかなくてはならぬ、こう思っております。
  16. 赤城徳彦

    赤城委員 今のお話を総合しますと、署名をしました、条約文はもう確定しています、承認するかどうかについて、これはもう一括の承認しかありません、承認しなかったらどうなるか、大臣、身のものよだつ事態になると。これじゃ何のために国会議論をするのか、何のために承認をするのか全くわからないわけです。なぜもっと早くこれ議論をし、また報告もいただいて、本当のところの話をいただいて、対策を考えてウルグアイ・ラウンドに当たるべきだったと思うのであります。きょうの本会議でここら辺の議論がまた、ある意味では、これが正式のスタートじゃないか。まだその条約文そのものというのを見ていませんし、正式な訳文というのもいただいておりませんし、そういう状態でようやっとその議論がスタートする。しかし、それは議論はするけれども、もう結論はこれしかありませんよ、こう言われているわけです。  大臣大臣の所信表明の中で、やはり本当のところを言っていただきたいという部分が幾つかあるのです。例えば、このミニマムアクセスを受け入れました、いろんな交渉経緯があってこれは仕方がないことですという話でありますけれども、そのミニマムを「輸入をすることとし、七年目以降の取り扱いは六年目に協議されることになっております。」一言でそう言われているんです。このことで去年、大問題になったわけですね。七年目は白紙です、協議して決めるんですと。ところがよく聞いてみたら、あるいは新聞や何かの方から、実は白紙じゃなくてそれには条件がある、追加的で受け入れ可能な譲歩をしなければいけないんだ、そういうことは質問しなければお答えにならなかったことなのかもしれないですね。本当だったらそういうことも含めて言っていただきたいと思うのですよ。  そういうふうな、ではほかの分野はどうなっていますか、輸出国とあれはどうなっていますか、ウエーバーはどうなるんですかというところを一切抜きにして、もうこういうことになりました、さあ議論してください、しかし承認はしてください、これは非常に問題が多いということを改めて強調しておきたいと思うのであります。  そこで、七年目以降の協議のこともさることながら、しかし問題が多いことは明らかでありますから、特に我が国がこれまで主張してきた食糧基本的な食糧の安全保障とか多面的機能、経済の論理では割り切れないという特殊性、そういったことを今からでもまた主張すべきではないかと思うのです。これは、七年目まではこれで行くんですという必要はないので、次のラウンドというのはもうことしからでもまた始めればいいんで、ヨーロッパなどでは環境問題ということと農業とを非常に関連づけて、経済原理で割り切ることに対しては深刻に受けとめているわけですし、日本やその他の輸入国でもこれは非常に問題が多いとされているところですから、改めてそういう、さっき大臣が言われたような、農業の持つ特殊性や役割というものを含めて議論をする場というものを、新しいラウンドか協議の場を提唱していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  17. 東久雄

    ○東(久)政府委員 先生御承知のとおり、ウルグアイ・ラウンド交渉の過程で、我が国が、先ほど大臣が言及されたようなことを中心に大変な交渉をしてきたわけでございます。その結果、この協定自身の中にも、非貿易的関心事項と非常に難しい名前を使っておりますが、食糧安全保障等でございます、そういうものの配慮等にも各所で言及されております。特に我が国に適用いたしました関税化の特例措置のところの、六年目に実施することとされております協議におきましても、非貿易的関心事項に配慮してやるということになっておりまして、我が国もいろいろな機会に、これは何もガットそのものの交渉云々ということではなくて、ガットそのものの例えは環境問題の検討というようなことも行われていきましょうし、それからFAOもございます、OECDもあります、いろいろな機会にそれは、この非貿易的関心事項、特に食糧安保、環境問題というものにつきましては、我が国の農業に関する基本的な考え方の一部でございますから、それを当然いろいろな場で主張していくことになるというふうに思います。
  18. 赤城徳彦

    赤城委員 その非貿易的関心事項という言葉はもう大変な苦労をして盛り込んだわけですけれども、盛り込んだんだけれども今回の結果には反映しなかったんだと思うのです。それはウルグアイ・ラウンドという場でやっている限り、やはり全体のその十三分野の中で、経済効率あるいは市場原理という全体の枠の中で議論をしているから、言葉では盛り込まれてもそれが反映されなかったので、改めてそういう非貿易的関心事項を まさに議論する場を、それは日本から提唱しなければいけないことだと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。  ほかにもいろいろ議論しなければならないことがあるので先へ進ませていただきますが、去年の米不足、そして米騒動、そうした中で食管制度というものに対していろいろな批判、議論、出ております。  食管というのはそのときどきの必要性に応じて生まれて、また改正がされてきた。かつての米不足のとき米が投機の対象になって乱高下したとか、戦時、戦中、戦後の混乱期に少ない食糧をどうやって公平に割り当てて配給するか、あるいはその後、米が余るようになって減反をするようになった、自主流通米という制度ができ、価格形成機構ができと、やはり食管そのものだけ議論してもしょうがないので、その時代背景の中で必要性があって食管というのは生まれ変わり、変化を遂げてきたのだと思うのです。  そこで、今食管を考えるに当たって、現在どういう与件が、状況が変化をして、今後どういう役割を食管に求めなければいけないのかということをお尋ねします。
  19. 加藤六月

    加藤国務大臣 今赤城委員のおっしゃったとおりで、食管制度というものをめぐっていろいろそのときそのとき幅広い議論をしてまいりました。  米をめぐる情勢の変化ということ、これに対応しながら、私として考えられるのは、市場原理、競争条件の導入を図るという観点からいろいろ改正してきた、こう思っております。そして、今見ましても、各般の流通改善とか、あるいは食管制度においては相当画期的だったと思うのでありますが、自主流通米価格形成の場を設けるとかいうような運営改善等も行われてきております。  そういう中で、ウルグアイ・ラウンド農業合意ということを受けまして、新しい国境措置のもとでどう食管法をやっていくかということ。これは先ほど申し上げましたが、農政審議会議論もしていただき、また農政審委員皆さん、専門委員皆さんが全国七カ所にわたって多くの皆さん方の御意見を聞いていただく、それからまた各種団体、各方面からさまざまな御意見が寄せられております。  そこで、農水省としましては、これらの意見を初め、関係方面の御議論、御意見のたくさんあるものをずっと検討し集約していって、適切に、ある時期を目指してまとめていかなくてはならないのではないか。先ほど申し上げましたが、批准をお願いするまでにはこういう問題もはっきりしておかなくてはならぬと考えております。
  20. 赤城徳彦

    赤城委員 政府側で今検討をお願いしている、農政審検討している。具体的な中身については農政審の結論を待ってということでもいいのかもしれませんけれども、私どもとしては、この国会、国権の最高機関としてここでの議論で組み立てていただきたいと思うのであります。  具体的な中身についてはまだ議論はしませんけれども、基本的な方向としてどういう状況が変化したのか。大臣は、市場原理、競争条件の導入ということで今までの改正があった。それから、今後新しい国境措置、要するに部分自由化です、これを含めてどうしなければならないか。それから、触れられませんでしたけれども、今の政府の頭の中には、内外価格差をどうやって縮めるのか、これは新しい国境措置と裏表だと思うのですけれども。それから規制緩和という視点、これは連立与党会議なんかで今議論して報告も出ているようですけれども、そういう市場原理、競争の導入、内外価格差、規制緩和、自由化、そういったものでこれからの農政を考えていかれようという基本スタンスなんだ、視点なんだと思うのです。  だけれども、私は、それは大事なものがやはり欠けていると思うのです。いろいろ生産、流通の状況が変わりましたとか、米が余るようになりましたとか、生産者、消費者の嗜好、考え方、いろいろな変化がある。その中で一つやはり忘れてならないのは、農村がどういう状況にあるのか。もう高齢化している、後継ぎがいない、生産体制はどんどん脆弱化していって耕作放棄地もふえる、そういう状況にあるんだというのはかってとは全然さま変わりなんです、今は。  それからもう一つは、国際的な事情の中で、自由化がどうということよりも、国際的には人口が爆発して食糧難になるんだ。砂漠化や何か気象の変動ということがあって、国際的な食糧生産にとっても大変危機的な状況に今あるんだ。そういうことがやはり基本視点としてなければいけない。  それがあれば、農家がきちっと生産をしていただく、あるはやる気を持って、所得も上がって、新農政というのはまさにそこにあったと思うのですね。農家がやりがいを持って、そして生涯所得、きちっと他産業に負けない所得を上げていただく。その結果規模が拡大もする。拡大すれば効率がよくなって、結果としてコストが下がって、それが価格に反映するという順番なのであって、輸入の自由化があります、内外価格差を縮小しなきゃいけません、規制緩和をしなきゃいけませんということが先にあるのじゃないのです。  やはり農業というのは、土地に根差して、農家や生産者というところに根差して初めてできるんだと思うのであります。そういう意味で、これからの農政を考えるに当たって、ぜひその基本のところを踏まえて組み立てていただきたいと思います。  それから、米価のことなんですけれども、これもいろいろな米価があって、政府米価が一物四価なんて言われます。自主流通米の価格、それから今はもっと基準になっているのは、やみ米の価格の方が基準なんじゃないかと言われるくらい毎日の市況が新聞に載るわけです。それから他用途利用米、これも物は基本的には同じなんです。だけれども、いろいろな価格がある。これをどうするかということについて基本的な方向をやはり決めなきゃいけないんじゃないかな。  政府米価というのは生産費所得補償方式、つまり再生産ができるように決めましょうということです。一方で、自主流通米の価格機構ややみ米というのは需給によって、あるいはその品質の格差によって価格は変わりますということも含めて、基本的には市場で、需給で決めますというこの基本的な方向がやはり違うんだと思うのですけれども、この米の価格のあり方について基本的な方向性、どういうふうにお考えでしょうか。
  21. 加藤六月

    加藤国務大臣 米を考える場合には、今委員がおっしゃいましたような新政策、一昨年決定した新農政、新しい食料、農村、農業というもの、これはもちろん我々が今後推し進めていく一つの大きな筋道である。これは十分踏まえた上、それを誠意を持って充実拡大していくというところがもちろんあるわけでございます。  さらに言いますと、各界各方面から今おっしゃったような農業基本法を見直そうか見直さぬか、あるいは農業基本法と新政策との違いはあるのかないのかという問題まで議論いただいておる、これもよく頭に入れております。  そして、米につきましては、生産、集荷、備蓄、そして卸、小売という各般について、全体的に議論して今申し上げましたような食管制度というものは考えていかなくてはならぬ、こう思っておるわけでございます。  単にすぐ内外価格差云々とは言いません。しかし、今回未曾有の不作で、アメリカの米、オーストラリアの米、タイの米、中国の米、大変たくさん入ってきた。そして、いろいろそれについて好き好きや幅広い議論が起こりましたが、国民皆さんもこういった米のコスト、相場、生産費、アメリカやタイや中国やオーストラリアの問題についても目を開かれたということ、これもまた事実です。  これを忘れて議論したのでは逆の目が出てくる可能性もありますから、今おっしゃったように、何やかにやを考えるというので幅広い御議論、特に私は国権の最高の決議機関である、唯一の立法機関である国会においてこういう問題は真剣に御 議論いただき、私たちもそれを謙虚に承りながら、もちろん農政審というのも聞きます、各界各方面にも聞きますが、国会というのが大切であるということは委員と全く同じ考えであるということだけ申させておいていただきます。  そういう点を踏まえながら、今後いろいろな、今までの食管法に書いてあるとおり、そして米価の算定の仕方も、あるときいろいろ次々変化してきておるというのは委員御存じのとおりでございますが、今ある面でいいますと、早場米等のことも念頭に置きながら、いつごろ数字が出そろってくるか、またいつごろをめどに米審を開いていただくか、あるいはそのときの国会がどうなっておるかということもあるので、こうであるということは申し上げられませんが、今私が食管法改正に臨んでの考え方等々がやはりいろいろ米価を決定するときの御議論の基礎になると考えております。
  22. 赤城徳彦

    赤城委員 今私、ちょっと米価のことについて一物四価だということで触れたのは、さっきお話しした農政に対する基本的な方向性が端的にそこに集約されていろいろな混乱が、米価のあるいは流通の混乱や何かがそこに集約されているのじゃないか。それが、生産者がちゃんと再生産できる、農業を維持できるというふうな意味で価格政策をやるのか、それとも市場という原理で決めていくのがいいのかというふうなところが不統一なまま、そこへまさに一点に集約してこんな事態になっているんだなというふうに思ったのでお伺いしたのですけれども、いずれまた、流通も含め生産から消費まで全部の流れの中で米価がどうあるべきか、それはすなわち農業はどうあるべきかということにつながると思いますから、またこれは議論させていただきたいと思います。  それから、今話題になっているのが減反であります。選択制にするのかどうするのかとかなんですけれども、私、素朴な気持ちとして、減反ほど割に合わないというか、損な政策というのはない。需給ギャップがあってやらなきゃならないのだけれども、お願いしますと減反面積を割り当てていく過程で、農家からは何でこんなことを押しつけられるんだ、つくりたいものをつくらせろ、つくる自由をなぜ奪うんだというふうな批判を受けながら、農家にしても大変な思いで、かつて青田刈りという言葉で言われましたような、つくりたいものをつくれない、創意工夫、やる気をそぐ、そうした中でやらなきゃいけない。  本当だったら減反というのはやらない方がいい。なくてそれで需給がい、バランスできるのだったらそれがいいと思うので、私は最初に選挙に出たときに、減反はやめようと、やめようといってすぐやめられるわけじゃないけれども、そういう方向でどうにかできないものか考えていこうじゃないかというふうなことを訴えながら、農政の中の一つの論点として訴えてきたのですけれども、基本的に、必要性がどうこうというのは別にして、減反というものはなければその方がいいんだというふうに思いますけれども、どうでしょう。
  23. 加藤六月

    加藤国務大臣 国会と党と政府が減反政策に踏み切った、それが農民の心理にどう影響を与えたかということは今までいろいろな角度から議論されてきておるところでございます、今ここで改めて申し上げませんが。  そして私たちは、またある面でいうと非常に苦い経験もしておる。二度の過剰米を抱えて、一番最初が一兆円、二度目が二兆円、あのときの苦しみ、大変な苦しみをし、あそこら辺から、どう申し上げればいいのですか、過剰米処置ということと減反という二つの問題で農村と農民の心というものがいろいろこうなってきたと私は認識しております。  さはさりながら、一体減反というのはだれのために何の目的でやっておるか、これをもう一遍胸に手を当ててよく考えなくてはならぬところで、安全な食糧を安定的に供給するというため、あるいは生産者の再生産を保障し、再生産意欲を持ってもらうぎりぎりの線、こういう両面の見方があると私は思うのです。  そういう中で、私たち国政の場にある者がいろいろ苦しみ、まあ減反をやるやらないだけでも議論はある面では今日以上の、過剰米ができたときに援助に使え、えさにしろ、海に捨てろ、燃やせ等々の議論が大変起こってきながら、そしてまた多くのところからは売買逆ざやという問題で大変厳しく言われてきた。そこら辺のことを十分に今考え、ここ数年減反の緩和ということ、そして復田がどうなるか、そして去年の大不作を通じてのことしの減反緩和、復円が何%でどのようになるか、私もその数字に大変注目いたしておるところでございますが、要はミニマムアクセスを受け入れたときにその問題には影響を及ぼさないということ等も閣議において了解して取り進めておるところでございます。
  24. 赤城徳彦

    赤城委員 最後の、ミニマムアクセスを受け入れても減反を強化しないというところはちょっと改めて伺いたいと思うのです、どうやったらそれができるのかなと。というのは、今申し上げたのですけれども、減反しなきゃならないのはもう百も承知で、しかしそういう負担はできるだけなくしていきたい、何とかできないものかなと思いながら今日までいろいろ考えてきたわけなんです。  先般、日経新聞で「経済教室」という欄がありますけれども、その中で農業大学の教授梶井さんが、米減反の前提から見直せ、本当に潜在生産力がどのくらいなのかということをよく精査してみろということで論文を出されていまして、なるほどそういう基本から考え直していかなきゃいけないなということを思ったので、ちょっとこのことを伺いたいと思うのです。  この説によりますと、稲作の潜在作付面積二百七十万九千ヘクタール、このうちもう既に水田でなくなっている、畑や果樹に転換して水田でないという面積が十一万ヘクタール、野菜や花卉や収益性が高いものでもう転作が定着していますというところが十五万ヘクタール、耕作放棄地やその予備軍として八万ヘクタール、こういうところは、減反政策というのはなくてももとに戻らない。それを差っ引くと二百三十七万ヘクタールが本当の意味での潜在作付面積なんじゃないかと。それに平年収量は反当たり五百キロですけれども、実は実収をずっとグラフにとってそれを回帰式で結んでみますと四百八十キロ、これが実収で見た反当たりの生産量。これを全部掛けますと潜在生産力は千百五十万トンで、需要量が大体一千万トンだとするとその差百五十万トンの調整を要する。今の潜在生産力は千三百五十万トンですか、そこら辺のギャップと、この百五十万というギャップどしゃ全然政策の組み立て方も違うんだ、こういうことなんです。  そこで、減反政策上の面積がどうかというのはいろいろあるのですけれども、本当の意味で潜在生産力というのを純粋に考えた場合には、減反なかりせばどれだけの量がつくられるのかということを、なかりせばというのはなかなか計算はしがたいのですけれども、なかりせばどのぐらいが水田に戻り得るのか、農家の意欲としたらどのぐらいつくりたいのか。でも、つくりたいって、復田のときにはそういう意向調査をしたのですけれども、意向調査も大分無理に出せ出せと言ったら全部復田できなかったという例もあるし、今回は値段がばっと暴騰をしたものだからもうつくりたくてしょうがないというので、それ以上に復円の希望が殺到したとか、そういうことも含めて、希望はどのくらいで、しかしそれを全部つくったら今度は価格が暴落するということを含めて、実際には、あけてみたらどのくらいつくれるのか、減反なかりせばどのぐらい生産ができるのかというのが本当の意味の潜在生産力だと思いますし、それをどういう方法でやるか、難しいとは思いますが、それを精査する必要があると思いますけれども、どうでしょうか。
  25. 日出英輔

    ○日出政府委員 今先生から潜在生産力のお話があったわけでございます。確かにこれにつきましては種々論議がございますし、先生御披露の梶井先生の論文等につきましても私どもよく精査をしているつもりでございます。  結局、潜在生産力を千三百五十と置くのか千百五十と置くのかではなくて、お話のように、これから生産調整をやめた場合にどのくらい水稲作に復帰するかという問題だと思いますが、これは梶井先生のお話やいろいろな関係の方々も、強気でといいますか、転作が定着しているという意味でいいますと三十万ヘクタール、弱気でいえば四十万ヘクタール、腰ための話ではございますが、おおむね三十万ヘクタールないし四十万ヘクタールは水稲に戻るであろうというふうに言われておるようでございます。  ただ、もう一方の単収の問題でございますが、梶井先生の単収の算出の仕方が比較的短い期間、この十年間の趨勢値をもとにしまして計算をしておりますので、かなり低く出てまいっております。六十年代の前半は比較的単収は高かったわけでありますが、後半はかなり不作が続きましたので実単収が低くなっております。結果的に、十年で見ますとこの計算上の算定値が少し低く出てくるということで、単収の見方が少し違っております。  ですから、つづめて申し上げますれば、私どもとすれば、いわば全体としては千二百万トンないし千二百五十万トン程度の潜在生産力といいますか、そういうものはあるであろうというふうに今のところ思っておりますし、大体まあ現場の担当者の実感もそういうところであろうかというふうに承知しております。
  26. 赤城徳彦

    赤城委員 これは減反政策を考える上での出発点だと思いますので、また改めて検討していただきたいと思うのです。  時間がありませんので、最後になると思いますけれども、ミニマムアクセスを入れても減反強化しないでやるということの関連で、ミニマムアクセスというのは基本的には義務だ、その根拠としては、国家貿易で国が管理するから義務なんだ、こういうことなんです。  ちょっと端的に伺いますが、いわゆるインポートクオータ、割り当て制の場合は、枠は確保するけれども、そこで価格や品質で折り合いがつかなければ入らなくてもこれは仕方がないということでありました。今回のミニマムアクセスでの四十から八十というのは、マークアップの一定量を加算して、それで入るか入らないかは品質次第だよ、努力次第だよということでなぜいけないのか。なぜ国が管理したらその八十万トンを入れなきゃいけないという義務を負うのかというところがよくわからないのですけれども、教えてください。
  27. 東久雄

    ○東(久)政府委員 先日も衆議院の予算委員会でこの御議論がございまして、統一的な見解をお出ししたところでございます。  これは今先生御指摘のとおり、ウルグアイ・ラウンド農業協定におきましては、ミニマムアクセス機会を設定するというのが一つの原則でございます。その場合に、機会、オポチュニティーという英語を使っておりますが、その機会というのはどういうことか。これは、客観的に見てやはりそれが入るであろうということ、これは民間貿易でございますから。  具体的によく議論されておったのは、関税割り当て制で非常に高い関税相当枠を張りますから、ほとんどゼロに近いような関税でその他のものが入る、これはだれが見ても入れるなという形をとることであるということであったわけでございますが、国家貿易の議論は、国家貿易というのは国の恣意で、先ほど言いました機会というのは、その政府の恣意が働かない形で入ってくるわけです。ところが、国家貿易というのは政府そのものがやりますので、そこでマークアップという非常に高い、いわゆるゼロとかいうような税率じゃない、高いもの、要するに国内の市場流通との関係で高いものという形で売り渡します。そうすると、差額が変動します。そういうものにつきましては、政府の恣意が働くというような形になりますので、義務的なものだというふうに申し上げているわけでございます。ちょっと細かく説明いたしましたが、そういうことです。
  28. 赤城徳彦

    赤城委員 マークアップをかけてなお義務だ、そこら辺はちょっと疑問を感じるのですけれども、まだまだ伺いたいのですが、時間がありませんのでまたの機会に譲りたいと思います。ありがとうございました。
  29. 竹内猛

    竹内委員長 辻一彦君。
  30. 辻一彦

    ○辻委員 きょうは本会議でガットについての報告がありますので、その問題についての本格的な論議は、本会議質疑後また機会があろうと思いますから、そこで重点的に行いたい。また、米価の問題はいずれその論議があろうと思いますので、それらを別にして、今農政審、また地方農政審でもいろいろな意見が聞かれていますが、備蓄のあり方それから生産調整、それから他用途米をどうするのか、食管法の中身をどうするか、こういう問題が随分論議をされておりますので、それらについてしばらくお伺いしたいと思います。  まず第一に、今後のガット、これは貿易機構に中身が変わるとは思うのですが、それに対する基本的な態度として、私たちは去年の十二月十四日に、社会党としてはまさに苦渋の選択、苦悩の中で、夜中の二時ごろに、両院議員総会の中ではつかみ合いもやりましたが、その中で、当時の内閣のとったガットヘの扱いを了とせざるを得ない、こういう結論を出した。全く苦渋の選択であったと思います。  しかし、ガットのやり方が正しいとは思ってはいないのですね。これはどうしても輸出国中心の論理であり、食糧輸入国に対する考え方が非常に軽く見られている。また、環境等あるいは食糧安全保障という貿易外の関心事項というものに十分日本の考えが反映されていない。それから、長期におけるこれからの世界の人口と食糧生産を考えると、こういうやり方でいいのかどうか、こういうことを非常に強く今も感じておりますが、そういう点で、やはり食糧自給を最大限生かしていくという方針は今後とも必要であると思うし、六年後、言うならば、具体的には五年後から、あるいは四年数カ月後から始まると思いますが、日本立場をあくまで強く主張して、ガットのあり方、これからは貿易機構になるでありましょうが、その内容の是正を強く求めていくということを基本的な態度とすべきだ、こういうふうに思いますが、まず農相からこれについての見解をお伺いいたしたいと思います。
  31. 加藤六月

    加藤国務大臣 昨年暮れの連立政権与党内部でのあの苦渋の選択というもの、私もあの夜、数名の閣僚とあるところにじっとおりまして、かたずをのんで議論の行方を見守っておったことを今思い出しました。感慨一段深いものを持っております。今ガットの条項によるところの六年後の再交渉是正を要求すべきではないか、これはおっしゃるとおりですが、私たちとしたら、その前にこの批准をどうしていただけるかという大問題があります。そこを当面最重点としなくてはなりません。もちろん、それをしていただいた上での六年後の再交渉ということになるのではないかと思いますが、それは今までも我が国が主張してきました非貿易的関心事項といいますか、食糧安保あるいは環境問題等をさらに中心としたもの等を強く打ち出していかなくてはならぬというのは、これはもう国会政府共通した認識だろう、こう思っております。
  32. 辻一彦

    ○辻委員 批准問題は後で触れますが、端的に言って、国内対策に万全を期すと明言した以上、やはり少なくともこれだけのことは何としても批准国会までに用意をして明確に出さなければ我々は簡単には同意はできない、こういう立場でおりますから、これについては後で少し申し上げたいと思います。  大臣御存じのとおりですが、OECDやFAOにおける考え方、まあFAOは前々からそうでありますが、OECD等も、かつて私が昭和六十二年にOECDの本部を訪ねて、当時のビアツト農業局長と、土地改良や基盤整備を削減対象にするなどいう論議をして、これは国会でも何回か論議をしたことがありますが、当時はOECDはガットの旗振り役で、保護手段の物差しをつくって、 これで保護削減という方向でガットの先兵的役割を果たしておった。しかし、一昨年の四月からガットは地球環境と両立する農業政策、こういうことを明確に農相理事会等でも打ち出してきている。これらを見ると、今ガットが論議をしておる中身とかなり方向が違うと思うのですね。FAOにおいては、これはもう食糧世界人口という観点から、以前から常にこういう論議が主張されておったと思いますが、そこらを考えると、私はやはりガット、これから改組されるわけでありますが、OECDやFAOのこういう中身がもっと強く反映をされて、農産物は単なる自由貿易主義だけではいかないという論理がもっと強く貫徹をされるべきである、もう一度理論武装をして、そういうことを来るべき交渉の中で展開をすべきであると思いますが、これについてはいかがですか。
  33. 東久雄

    ○東(久)政府委員 先生御承知のとおりで、先ほど大臣からお答えいたしましたOECDのAMSという保護の国内支持の相対の削減のやり方、このときには、OECDではPSEと言っておったわけでございます。これは要するに保護のマージン、それはもうあらゆるものを入れておりまして、ガットでも大議論をやりました。  先ほど先生御指摘のとおり、基盤整備まで削減対象だというような議論があったわけでございまして、それをいわゆる削減対象外に位置づけるというような形で大変な議論をやりました。それで、OECDでの主張をさらにそこで主張をしてきた結果が、やはりガットの中でも非貿易的関心事項ということに今回の合意の中でも相当な配慮が行われております。特例措置そのものも、ある意味ではそういう面があるわけでございます。  といいますのは、先生御承知のとおり、我が国は基礎的食糧の例外ということを求めていきました。その基礎的食糧の例外の規定の仕方というものをなぞらえながら現在の特例措置というものがとられているというようなことからも、それはある程度おわかりいただけると思うわけです。そういう形でやってきたわけですが、先生御指摘のとおり、OECDもやはりガットの先駆けになるような議論でございましたし、FAOにおいてもそういう傾向がこれから出てくると思います。  といいますのは、開発途上国は、先進国が貿易の障壁を全部なくして我々のものをたくさん買ってくれれば、それだけ金が入って、それで開発が進むんだというような議論もするわけでございます。そういう中で、やはりこれから我が国の農業に関する基本的な考え方を持ってOECD、FAO等でもしっかりした主張をやっていかなければならない。等と申しましたのは、その他の機会、あらゆる機会を使って主張していかなければならないというふうに考えております。
  34. 辻一彦

    ○辻委員 この問題は、きょう本会議もあるわけですから、後でまた時間があろうと思いますから、少しじっくり論議をしたいと思うのですが、一つ伺いたいのは、国会で三回決議をやり、それからこの委員会でもしばしば自給決議輸入はしないということを決議をして、結果としてはそれが、残念なことであるが、ほごになった。  韓国の政府は、総理以下全閣僚が責任をとってい全部入れかえたのですね。それからその後の問題でも、再度農相が更迭されて責任をとっている。しかし、どうも我が国の政府は、これだけの国会の三回の決議をほごにしてこういう受け入れをしたにもかかわらず、何らその責任のとり方がなされていないというように思います。  私どもの方から出ておった政務次官は、これは主張したことと現実が余りにも食い違うということで辞任をしましたし、私も社会党の農林水産部会長を何年がやっておりましたが、この運動の先頭に立ち、政策の責任を負っておりましたから、責を感じまして辞任をさせてもらったのですが、政府はこの問題についてもっとはっきり、役所を含めて今回の責任のけじめをつけるべきであったと私は思うのですが、それが何にもなされていないという感じがしますが、農相、これについてどういうお考えか、お伺いしたい。
  35. 加藤六月

    加藤国務大臣 私も、韓国の問題についてはずっと注目しておりましたし、また逆に韓国側とその件についていろいろ意見交換したこともございますが、こういう席でございますから遠慮させていただきたいと思いますが、政府としては、冒頭、辻委員がおっしゃいましたように、政府も連立与党も苦渋の選択をした。苦渋の選択をした以上は、今おっしゃいましたように、これから国内対策、できるものは総合的に、しかも正確に、着実にやっていく問題を大急ぎで準備しなくてはならぬ。そういうこともあるわけでございますので、御存じのような閣議了解、そしてまた内閣総理大臣を本部長とします緊急農業農村対策本部を設置して真剣に、片一方では農政審議会にもお願いしておるのですが、関連諸制度、諸施策について大いに検討し、格段の充実推進を図り、農業協定の実施に伴って生じます農業、農村及び関連産業の諸問題について所要の措置を総合的かつ的確に講じて万全を期さなくちゃならぬ、こういう意味で取り組んでおるわけでございます。  そして、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図り、我が国農業の将来展望というものをはっきりさせるということがこの際一番大切である、こう認識をしておるところでございます。
  36. 辻一彦

    ○辻委員 次の機会にもう少し論議をしますが、私は、少なくも農相あたりは、当時これはけじめをつけるべきであったと思いますね。それから、今の現農相の御発言のように、その責任の取り方は後の国内対策であらわしたいということですから、これはしっかりやってもらいたいのですね、後で少し申し上げますが。  前の細川内閣は万全の策を講ずると言い、それから現内閣は抜本的対策を講ずる、こう言っているのですが、これがやはり平成七年の予算案概算要求あるいはそれを前倒しにする秋の補正予算等に明確に示されるということが今言われたそういう責任のとり方の一つであろうと思いますから、これは後でも論議しますが、しっかりやってもらいたい、こう思います。  そこで、第二に私は備蓄の問題について伺いたいのですが、今どれぐらい備蓄をしろという論議が随分とされておりますが、先ほども論議ありましたが、昭和四十五年に約六百万トン、一兆円の過剰処理をしたし、十年後には、五十五年には約七百万トン近く、この過剰処理に二兆円のお金を使っておる。これは一つの苦い経験であったと思う。しかしまた、去年は百年に一回の大凶作であったし、それからこの三月には平成の米騒動が起きるというように、これも近年にない大変な苦い経験であったと思うのですね。  この二つと、それからもう一つは、残念ながらミニマムを入れるとすれば四十万トンから六年後には八十万トン入ってくるというこの三点はお互いに非常に大事な経験でありますが、この三点を踏まえて、我が国の備蓄の適正量はどのくらいと考えるのか、この点をひとつ伺いたい。
  37. 永田秀治

    ○永田政府委員 ただいま辻先生から御指摘がありましたとおりでございまして、五年産米の作柄は作況指数七四という大変な水準でございました。それからまた、お話がございましたように、過去に過剰米処理に大変な財政負担を要したということも留意する必要があろうかと思います。  いずれにしましても、在庫保有のあり方につきまして、食糧管理制度の役割を十分に果たし得るように検討していく必要がある、かように考えております。  当面安定的な米の供給を確保するためには、水田営農活性化対策の見直しを行い、平成八米穀年度末、平成八年の十月末でございますが、この時点で在庫数量を百三十万トン程度とすることをめどといたしまして、転作等の目標面積を七万六千ヘクタール緩和したということでございます。  さらにまた、今後、ウルグアイ・ラウンド農業合意を踏まえまして、国民の主食である米の安定的な国内生産が可能となり国民への安定供給が確保できるように、新政策の方向や、この夏をめどに今まとめておる農政審議会の報告をも踏まえまして、中期的視点に立ちました備蓄と、用途に 応じた需給均衡を確保することができるような新たな米管理システムについて検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  38. 辻一彦

    ○辻委員 韓国は、去年の十月末の米穀年度の終わりに百七十五万トン国内備蓄があったというし、隣の台湾は五十万トンの備蓄というか持ち越しかあった。人口を考えれば、韓国は我が国の三分の一、台湾は十分の一ぐらいじゃないかと思いますから、人口比例にすると五百万トンぐらいに相当するんですね、日本の国に直すとすれば。しかし、それはいろいろな点からそれだけの量は非常にオーバーであると思いますが、少なくとも我々は、かつて二百万トンの備蓄は何としてもやるべきであるということを再三野党時代に、前にも主張してまいりました。  備蓄についてはっきり言えるのは、この間、前の畑農相に我々が会っていろいろな論議をしたときに、社会党さんは備蓄について胸を張って言えますね、それはもう一貫した主張でしたから、とこう前農相自体が述懐をしておりましたが、我々はそういうことをずっと主張してきた。そういう点を考えると、少なくとも二百万トンの備蓄は今日の状況においても三点を考えて必要だと思うんですね。  そこで、今百二十万トンという数字が言われていますが、それは、私も去年十月に連立与党当時に米減反プロジェクトの座長としてその数字を決めた経緯がありますが、それは二年間で百三十万トンと。そのときに、営農の安定のために、我々は三年を主張したんです、少なくも三年をやれと言ったんです。その三年という数字は出なかったんですが、そのときに、一項、営農の安定のために転作緩和を大体三年目もこの二年に引き続いて延長するという考えである、こういうことを今の農蚕園芸局長食糧庁長官ともどもに明言をしたということを私はちゃんと確認しております。  そうしますと、三年目には、平成九年の米穀年度には、営農安定という観点からこの減反を三年目に延長するとすれば、プラス六十五万トン、百九十五万トン、約二百万トン、これならやむを得ないだろうということで我々が当時了承した経緯がありますですね。ところが、加えて、来年から玄米にして四十万トン、毎年八万トンずつふえていきますね。六カ年間には三百六十万トンが加わる。こうなれば、備蓄の量は、輸入米を積み上げていくとすればかなりな量になるのです。仮に三年度を区切っていっても、百三十万トンに、輸入のミニマムでは四十万トン、四十八万トンで八十八万トン、二百十八万トン、三年度の米穀年度の終わりには、九年の十月末には百九十五プラス百四十四万、三百二十九万トンというような数字に、これは非常に机上の計算になりますが、なるのですね。こういう実態と、これは六年たったらもっと数字は大きくなるのですが、これと、去年の十二月の閣議了解事項において、ミニマムを入れてもこの転作は強化しないということ、これはしかし論理の整合性がなかなか難しい問題だと思うのですが、これについてどんな解釈かを伺いたい。
  39. 永田秀治

    ○永田政府委員 全部にお答えできるとは思っていないのですが、ただいま先生、韓国で百七十五万トンあるいは台湾で五十万トンという備蓄のお話がございましたが、今日米の備蓄の問題でいいますと、国の場合は、低温保管米ということでまことに味が落ちない良質な米の保管ということをやっておるわけであります。私、韓国、台湾の事情を詳しくは存じませんが、大体常温でもみ保管をしておるということでありますので、古いものについては非常にやはり処理にいろいろ苦慮されておるというふうにも聞いておるわけであります。  備蓄というのは、我が国の非常に高品質を求める消費者に対しまして、供給する米をどういうふうに保管をしていくかというのは、大変やはり難しい技術的な問題もあろうかと思います。そういう意味で、数量は、それは多ければ多いということももちろんそのとおりだと思いますが、今申し上げたようなことで、平成八年十月末の在庫積み増しを百三十万トン程度でいこう、こういうことが当面のあれでございます。  それからまた、ミニマムアクセスで入ってくる米をどのようにするかということでありますが、これも、中期的観点に立った米の備蓄のあり方を検討する際に、当然のことでありますが、新規用途の開発でありますとか加工用米への弾力的対応というようなことを図りまして、国産米と輸入米を一体として全体需給バランスの維持と、それから用途別需給の均衡が図られるように、輸入米についても先ほど申し上げました新たな米管理のあり方について検討を進めることにしておりますので、その中で考えていく、こういうことではないかと思います。
  40. 辻一彦

    ○辻委員 農相に伺いますが、転作を強化せずということは六年間を私は意味しておると思うのですが、その点はどう考えていらっしゃいますか。まずお伺いしたい。
  41. 日出英輔

    ○日出政府委員 昨年十二月十七日の閣議了解で、ミニマムアクセス導入に伴いまして転作の強化をしないというふうに申し上げましたのは、ミニマムアクセス分を転作の上積みにしないということだと私どもは一応理解しておるわけでございますが、現在の水田営農活性化対策のはあと二年残ります。その後も先生お話しのようにミニマムアクセス分が入ってまいりますので、私は、この閣議了解の趣旨、いつまでというのは書いていないわけでございますけれども、二年たちました後で新しい転作対策を進めるに当たりましても、こいった考え方を重視したそういうような生産調整のやり方をしていかなければならぬだろうというふうに思っておる次第でございます。
  42. 辻一彦

    ○辻委員 農相に伺いますが、前のこれは閣議ですからあなたが農相当時ではないわけでありますが、しかし、政策の継続性からいえば同じことだと思いますから。  この閣議了解で言うところの転作を強化せずというのは何年までのことを指しておるのですか。六年間を言っておるのか。今の局長答弁では、二年後はまた考えないかぬというようなことでありますが、活性化期間というのはあと二年であるのは事実であるが、閣議了解で言うところの転作強化せずの期間はどれくらいを指しておるのか、これをひとつ大臣から伺いたい。
  43. 加藤六月

    加藤国務大臣 私はこれは、今後外国産米が入ってくる、これを我が国の米の需給に上積みして転作を強化するということはしませんよという立場です。したがいまして、我が国内における国産米の需給問題あるいは天候問題、ここら辺のことの中における転作とかあるいは減反とかいろいろな問題はありますね。これとミニマムアクセスで受け入れる米というものを一緒にして、かぶさって強化することはいたしません、こういうようになったと解釈しておるわけです。  したがいまして、ある面でいいますと、今までも米の需給関係、減反というものはいろいろ議論し、そのときそのときの需要でいろいろ変化してきましたが、そのことは同じようにやっていかなくてはならぬ、しかしそれは輸入米をかぶせてはやりませんという意味での転嫁はしない。したがって、期間はいつまでかとおっしゃいましても、そのときそのときの日本の国産米の需給状況あるいは天候という問題で転作という問題は議論するのであって、それに外国産の入ってきたものを加えての強化はしない。期間は、そういう点でいきますと、やはりある面でいいますと六年間は拘束を受けるのではないか、こうも思っております。
  44. 辻一彦

    ○辻委員 外国から米が四十万トンから八十万トン、六年間に三百六十万トン入るというのは、これは、向こうが物すごい不作でどうにもならなければ別として、これは政府の統一見解なんですから、そうでなければいや応なしに入ってくるというのが実感。  上乗せをしないというそこの表現がよくわからないんだけれども、現実に三百六十万トン外米が入ってきますね、入ってくる。国内生産は六年、七年は活性化でやる、これは七万六千ヘクタール緩和をしてですね。三年目も延長するとこ う言っている、大体ですね。そういう状況の中で、輸入米だけは別に上乗せをしないと言うけれども、これは全部を含めて考えなくてはならない問題ではないかと思うのですね、転作を強化しないと言う以上は。それはどうなんですか、そこらの解釈は。
  45. 日出英輔

    ○日出政府委員 先ほどお話し申し上げましたことがちょっとあいまいに聞こえたかもしれませんが、転作面積をいつの時点がで数字を決めますときに、ミニマムアクセス分は何十万トンであるからこの分だけ余計に転作を強化してください、そういうことは言わないという意味だと私は理解しておるわけでございます。
  46. 辻一彦

    ○辻委員 ミニマム分はこれだけだから、これだけの量は転作は上乗せはしないと。しかし、国内でほかの方は転作を強化してしまいますというならこれは同じことなので、少なくとも今までのような水準を維持しながら、これからさらに外国の米がミニマムで入ってきても強化はしませんよ、こういう意味であると私は思っておりますが、これは少し整理をしてもう一遍よく確認を後でしたいと思いますが、大臣、後でもう少し整理をして聞かせてほしいと思いますが、いかがですか。
  47. 加藤六月

    加藤国務大臣 承知いたしました。
  48. 辻一彦

    ○辻委員 時間がかなり限られておるので、あとちょっと二、三点だけ伺いたいと思いますが、減反の生産調整問題です。  さっき論議ありましたが、端的に言って国内の潜在生産力を何トンぐらいと見ているのか、ちょっと簡単でいいからお伺いしたい。
  49. 日出英輔

    ○日出政府委員 若干腰ため的な数字でございますけれども、先ほど申し上げましたのは、まだからっとしておりませんが、千二百万トンから千二百五十万トンぐらいの数字であろうかというふうに思っておるわけでございます。もちろんこれにはいろいろな前提がございますので、確定的な数字として申し上げることはなかなか難しいそういう事柄であろうというふうに思っております。
  50. 辻一彦

    ○辻委員 実は、私どもの福井県で最近二つの農業公社が出発したのですが、一つは山手の方で池田町というのが、これは耕作放棄地をどういうふうに管理するかということで農協と役場が一緒になって出発をさせたのですね。私は、山村ではこれを契機にしてこういう傾向が、どんどんと第三セクターが生まれてくると思うめですが、もう一つ非常に大事な問題は、福井県では穀倉地の中の穀倉地である坂井町、坂井平野の一番の米の主産地ですが、二千ヘクタールの農村ですが、ここでもいろいろ調査をして、この問また農業公社が出発をしたのですね。これはなぜかというと、農協、役場で調査をしたところ、二千ヘクタールのうち、三ヘクタール以上の農家が五十数戸と聞きましたが、後継者としてあと用意されるのは二、三人しかいないと言うのですよね、そういう最も福井県の米どころの中心地において。そしてそのうちの百五十ヘクタールは、今でももうやめて委託をしたい、こう言っておるのですね。福井県は、近くに兼業機会がかなりあって第二種兼業の非常に高いところですから、これは全国にそれがそのまま適用されるとは思わないけれども、しかし、福井県の最も中心的な穀倉地の農村においてこういう数字が出ているということは、いかに米どころといえども米に対する意欲がだんだん落ちているかということをあらわしていると思う。  こういう傾向を見たときに、千二百五十万トンの潜在生産力ありと言うことはやや甘いような感じがするのですが、こういう状況を見てどう考えるか。ちょっと一言でいいです、もう時間がありませんから。
  51. 日出英輔

    ○日出政府委員 なかなか難しい問題だと思っております。この米の生産力を見ますときに、高齢化の問題でありますとか兼業化の問題でありますとか、そういった問題がいろいろな形で影響することは先生御指摘のとおりだと思っておりますが、なかなか数字として置きにくいという問題がございます。これは、東北、北陸ともに今先生がおっしゃったようなことが少しずつ浸透している。そういう意味では、生産力といいますか構造の脆弱化というのが見られるわけでございますが、一方ただ、まとめてかなりの面積を受託をする、あるいは、利用権を設定して大規模にやっているような形態もどんどんふえてきているのも実態でございます。  そういう意味でいいますと、先生のお話に対して数字でちょっと申し上げるのにつきましては御容赦願いたいと思っております。
  52. 辻一彦

    ○辻委員 ちょっとはしょっていきます。  私は、潜在生産力は、言うほどなくなっているんじゃないかという懸念を持っております。しかしいずれにしても、全部減反をやめればこれは過剰になるだろうということはまた事実なので、それだけ過剰になれば価格はまた下がらざるを得ないから、こういう道はなかなかとり得ない。しかし片面では、個人においてもあるいは法人においても、規模を拡大して米を一生懸命やろうという人たちがいる。現在の減反政策、一律減反の中では、そういう人たち生産意欲というかやる気を非常に失わせているという点もあるのです。片方では過剰に対して減反、転作をやらなければいけないということと、もう一つは米をやりたいという人の意欲をそがないようなやり方、その二つを調和をさせた政策ということが、非常に難しいところですが、この二つをどういう形でこれから調和をさせようとするか、政策で考えるのか、ちょっとお伺いしたい。
  53. 日出英輔

    ○日出政府委員 これからの新しい生産調整のあり方として、今先生が御指摘になったことはまことにごもっともだと思っておるわけでございます。世上、選択制というようなことが言われておりますが、これにつきましては、間違いなく今の生産調整の方式に対する厳しい批判というのが一つございますし、もう一つは、個々の経営体がみずからの経営上の判断で生産し販売するというところについて閉ざしているんじゃないか、あるいはこれが大規模化とか低コスト化とか、そういうものの動きをまた閉ざしているんじゃないか、こういったような実は厳しい批判があることも事実でございますし、これはやはりこれからの新しい生産調整の方式を考えますときに重視していかなければいかぬ考え方ではあろうかと思います。  ただ、先生同時にお述べになりましたように、生産調整をしないということになりますれば、現在は自主流通米中心の米経済でございます。そういう意味で、かつての二回の過剰時代と違いまして、直接農家の経済に大きな影響を与えるということも事実でございますので、生産調整につきましても、効果的なあるいは確実な生産調整というものを一方で仕上げるための方式ということも当然望まれるわけでございます。  この二つの要因を見ながら新しい生産調整のあり方を考えていく、大変難しい問題だろうと思っておりますが、今私どもに下されている課題としまして、これを真っ正面から受けて検討していくつもりでおるわけでございます。
  54. 辻一彦

    ○辻委員 今お触れになった選択的減反ですね、これは農政審でも、我々が新聞とかいろいろ報告を聞いた限りではいろいろ意見が出ておるようですが、もちろん農政審の議を経てということになるんでしょうが、少なくもこれだけの体験を持っている農水省として、この選択的減反等々についてどういうように考えているのかという考え方は、ある程度骨組みぐらいは考えていらっしゃると思いますが、そこをちょっとお伺いいたしたい。
  55. 日出英輔

    ○日出政府委員 今言われております選択制も、子細にいろいろな方の御議論を伺いますと大変幅のある議論のようにうかがえます。そういう幅の中で、先ほど申し上げましたような現行の生産調整方式に対する批判あるいは確実に生産調整を実施していくという問題、こういうものを私ども検討していきますときに、この幅のある選択制の議論の中でどういうものが実現可能なものなのか、これはまことに申しわけございませんが、今一生懸命検討している最中でございますので、もう少し時間をいただきたいというふうに思っている次 第でございます。
  56. 辻一彦

    ○辻委員 その骨組みはいつごろ明らかにできますか。
  57. 日出英輔

    ○日出政府委員 この問題は、生産調整の問題のほかに当然のことながら食糧管理制度、これは法律制度か実態がというあれもございますけれども、そういうものと大いに関係してまいります。そういう意味で、私どもだけの方で一方的にいつまでにというのはなかなか申し上げられませんが、今現在省内で、先ほどお話しのような農政審議論も聞きながら、あるいは私どもも現場のいろいろな意見も聞きながら、ある程度大筋をなるべく早目にまとめていきたいということで議論を急いでいる状況でございます。
  58. 辻一彦

    ○辻委員 今お話のとおり、生産調整はまた、もし二つの姿が出るとすれば、価格の形成も、あるいは価格という問題もこれは切り離すことができない。したがって、食管法の改正の中身にも絡んでくることですが、そこらを含めて食糧庁は、今の農蚕園芸局等を含めていつごろそういう大筋を出してくると思っているか、ちょっと重ねて聞きたい。
  59. 高橋政行

    高橋(政)政府委員 ただいまお話にございました件でございますが、現在、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意を受けまして国内対策をどうするか、それから今後の農政の展開方法をどうするかということで、ただいまお話ありました食糧管理法の問題それから米の減反の問題、そういったことにつきまして農政審議会議論をしてもらっております。それで、農政審議会には何とか夏ごろ、できたら七月の終わりごろまでにはひとつ農政審議会としての考え方をまとめてもらいたいというふうに申し上げております。したがいまして、我々はそういった農政審議会議論を踏まえてできるだけ早く方向を決めたいというふうに思っておるということでございます。
  60. 辻一彦

    ○辻委員 これは農政審と一緒に、かつては我々連立与党の方で、農業プロジェクトである程度論議をし、まとめにだんだん入ろうというところで今のような結果になりましたが、これは引き続いて与党の皆さんが御論議されておると思いますし、我々の方も、野党ではありますが、同様に論議をして、農政審の論議と相まってぜひひとついい方向に前進をさせたい、こう思っております。  そこでもう一点伺いたいのは、復円がことしは予想以上にあるところでは進んでいる。北陸地方なんかを見ると、転作未達のおそれがあるというか、復円が予定よりも進んでいるという状況がありますが、現在復田見込みというもの、七万六千ヘクタールと昨年打ち出したけれども、今およそどれぐらいの見通しなのか、いかがですか。
  61. 日出英輔

    ○日出政府委員 六月一日現在で田植えが七〇%強の進みぐあいでございます。まだそういう意味で言いますと三〇%残っているわけでございます。ただ、今、やや腰ため的な数字でございますが、各県からの数字、あるいは全中が各中央会経由でとっております数字等をいろいろ突き合わせて考えてみますと、おおむね二百二十万ヘクタール程度の数字になるのではないか。これは当初七万六千ヘクタール緩和して、我々の予想しておる数字にほぼ近い数字というふうに思っておる次第でございます。
  62. 辻一彦

    ○辻委員 北陸やあるいは関東、何カ所かにあると思うのですが、大体転作をオーバーした、水を張ってもう田を植えて、少し頑張っておるというところがありますね。そういう面積はおよそどれぐらいと見ていますか。
  63. 日出英輔

    ○日出政府委員 実はこの点が大変苦慮しているところでございます。私どもの行政の方も、それから全中も同じような問題意識を持ちまして、先般数字を挙げさせたわけでございますが、基本的に、他用途利用米をどの程度つくられるのかというところが実は若干流動的なところがございます。ただ、大体定性的に申し上げますれば、十数県のところで復円の面積が若干オーバーするんじゃないかというような感じておりますが、それも合計で言いますとそれほど大きな面積にはならないと思っておりますので、他用途利用米の実施面積、あるいは転作超過がどのくらい行われるのか、こういったようなところの中で、ことし特に在庫造成を急ぐような状況でもございますので、一つ一つの県と相談をしながら具体的な取り扱いを決めていきたいというふうに思っておる次第でございます。
  64. 辻一彦

    ○辻委員 転作調整でこれがおさまればそれはそれでいいと思うのですが、数千ヘクタールはみ出る可能性があるというふうにも聞いておるのです。例えば四千ヘクタールというような数字もいろいろなところから聞きますが、四千ヘクタールぐらいとすれば、ヘクタール五トンとして二万トンほどになるのですが、百年に一回というような大凶作ですから、せっかく米を、国産米をつくろうといってやっているところは二万トン程度は限度を引き上げてもそれを買い入れる、そういう道を講じても、そういう特例を一度開いてもいいんじゃないかと思うのですが、これについて見解はどうでしょう。
  65. 永田秀治

    ○永田政府委員 ただいま先生御指摘があったように、一つは、各都道府県の実態に応じて地域間調整というのが実施できるのではないかなというふうに考えます。  それから転作の未達による超過米でございますけれども、どのぐらいになるかというのはまだ当然わからぬわけでありますが、これは従来から、超過した米については、超過米として集荷して自主流通米ルートで流通させるという方向でやってきておるわけであります。
  66. 辻一彦

    ○辻委員 これは大臣、随分と農水省の方とはいろいろ話し合いを、今まで論議もしたのですが、なかなか難しい問題ですが、地方で、数千ヘクタール程度であれば数万トンなのですから、ひとつ何かいい方法がないかどうか、この上とも知恵をぜひ絞っていただきたい。これはひとつ心から期待願っておきます。  それから最後に、もう論議の時間はありませんが、ガットの批准が秋に臨時国会で提案されますね。このときに、先ほど申し上げましたが、前細川政権国内対策に万全の策を講ずると明言をし、現内閣は抜本的対策を講ずると明言をしているのです。  私は五点、少なくも二百万トンの備蓄体制、それから第二は、農業の体質強化のための基盤整備等はCに格落ちさせたのですが、これはもう一遍Aに引き上げるべきだということ、それから三つ目は、中山間地の耕作放棄、日本的デカップリング等、大事な問題がありますから、ぜひひとつしっかりした対策を打ち出すということ、四つ目は、政府方針に従って規模を拡大した北海道等の畜産農家を典型としますが、ECの倍ぐらいの規模になりながら、実際は二千万、三千万の借財を抱えているという負債の負担軽減、それから、フランスを超えるぐらいの青年就農者あるいはUターン組に対する担い手対策等、五点を今度の平成七年の予算の中に明確に、なるほどというものを打ち出すべきではないか。それが出されないと、あいまいな形で前の方針の単なる延長程度ならば、我々はなかなかガットの批准に同意しかねる。このことをしっかりひとつ、これから概算要求の時期になりますが、頭に入れて取り組んでいただきたい。秋に今私が申し上げましたようなことが起こらないように、ぜひひとつ努力していただきたい、このことをある意味では警告を申し上げておきますので、一言決意を聞いて終わりたいと思います。
  67. 加藤六月

    加藤国務大臣 この問題につきましては、平成五年度第三次補正、そして今御審議いただいております平成六年度予算、それぞれ出ておりますが、平成七年度予算におきましても、各界各方面の分をひとつ総点検しまして、やるべきものはやるとして予算に組み込んでいかなければならぬと考えております。  ただ、私はもう一歩進んで、概算要求のときではもう遅い、シーリングを決めるときにやらないとだめだ、こういう決意で就任早々事務当局に、概算要求ではだめですよ、シーリングで勝負しま しょう、シーリングで勝負を失したら概算要求では困難の上にも困難を増しできますよ、こういうことを言っておるところでございまして、私も先頭を切ってその問題については頑張っていきたい、こう思っておりますし、よろしく辻委員も御協力をお願いいたしたいと思うところでございます。
  68. 辻一彦

    ○辻委員 協力のできるような体制をぜひしっかりつくっていただきたい。  終わります。
  69. 竹内猛

    竹内委員長 藤田スミ君。
  70. 藤田スミ

    ○藤田委員 農政問題に入る前に、まず加藤農水大臣の政治姿勢についてお伺いをしておきたいと思うのです。  連立内閣が発足以来、連立与党というのは、口では政治改革とおっしゃいますが、やったことは、選挙制度の改悪である小選挙区制の導入を強引に行い、それから金権腐敗政治の根絶につながる企業や団体の献金の禁止には手をつけない。ましてや細川前総理の疑惑問題などの解明には極めて消極的だと言わざるを得ないわけです。  私、この間「政界ハンドブック」を開いていたのです。そこには政治改革を標榜される羽田内閣の主要閣僚がずっと紹介されていました。加藤大臣に対してこんなふうに紹介されているのです。「ロッキード、リクルートの火の粉を払って国土庁長官、農水大臣、党三役と突き進んできた」政治家、こういうふうに書かれておりました。その政治家みずからの問題の解明を行うことが今私は大臣に求められているというふうに思います。  私は、リクルートの問題が起こったときに国会で安比高原のスキー場問題が何回も取り上げられておりましたので、改めてそれを読ませていただきましたが、随分分の厚い、回数の多いものでございます。しかし、この件に関与をしているのではないかという質疑が何回もされておりながら、そのときは大臣は閣僚でなかったために、直接御自身の口から真相は語られておりませんでした。  私はきょうこの問題について深追いをする気は全然ありませんけれども、八七年の二月上旬、一番問題になったあのとき、突然、リクルートのチャーター便があるので安比高原スキー場を見に行くと言い出されたのはどういうことなのか、それは親しくされていたリクルートの江副社長からの依頼があったからではないのか、ここが一点です。  それからまた、当時岩手の営林署が経営主体の変更に最も強硬に異議を唱えていたことを大臣御存じであったのか、以上の点について聞かせてください。
  71. 加藤六月

    加藤国務大臣 まず申し上げますが、私はロッキードのときには、証人喚問してくれ、ぜひお願いしたいと言って、当時の党のいろいろな機関に真剣に訴えて歩いたことを申し上げておきます。  それからリクルート問題について、私が農林大臣をしておって、突然という言葉がございましたが、突然ではございません。いろいろな計画を立ててやったわけでございますが、私は疑われるようなやましい行動は一切してない、こう思うのですが、その中で、あの当時書かれたマスコミで大変不思議に思ったのは、事務当局は一生懸命頑張ってヘリコプターの契約を安くした。安くして国民の税金を少なくしようとして頑張ってやってくれておるのを、逆に、疑いがある、こういうようにして取り上げておられたのは、経費をたくさんかけて調査をすればいいのか。そして、その時分は、国有林野の有効活用ということは、藤田委員もその時分同じように農林水産委員会においででございまして、国有林野というものの赤字経営体というものをどういうようにするか、お互い真剣に議論し、勉強しておったところであります。そういう中で、スキー場に使っておる実態等いろいろあるということで、それを一度見ておこう、こういうことでやったわけでございます。突然でないということです。  それから、経営主体云々ということは聞いておりません。ましてや、今ちょっとおっしゃいましたが、変更云々ということは聞いていないわけでございまして、いろいろ当時言われましたが、私は、検察当局から一度のお調べも一度の調査も、参考人としても何としても受けていないということを申し上げます。  もちろん、お互い、私も政治家として心に銘じていかなくてはならぬのは、李下の冠、瓜田のくつということがあります。急ごうと思って、ウリのある畑を近道しようと思って通ると、あれはウリをとりに入ったと言われる。あるいは、ナシのたくさん生い茂っておる木の下を歩くと、ナシをとりに入ったと言われる。これがある面でいうと李下の冠、瓜田のくつということで、私は、政治家として、いやが上にも注意の上に注意しなくてはならぬ。そういうことに接しまして、私自身、深く強く心に銘じ、注意して行動をとるようにいたしておるということもあわせて御報告させていただく次第でございます。
  72. 藤田スミ

    ○藤田委員 そういうふうにお答えになるだろうなというふうに思っておりました。この質疑の過程での中身、それからリクルート事件の捜査結果に関する報告を見ておりましたら、随分今の大臣の御答弁とは乖離があるというふうに言わざるを得ません。しかし、時間がありませんからこれ以上言及しませんけれども、本来これらのことについては、前回農水大臣に就任をしているときの職務権限にかかわる問題でありますから、私どもが指摘する前に大臣の方から政治姿勢の問題としてきちんと釈明されるべきであったということは指摘をしておきたいと思います。同時に、このような疑惑を招くような事態を三たび起こしてはならないということを強く求めておきたいと思います。  それでは、農政問題について、特に、全国各地で大きな問題になっている減反問題について最初にお伺いをいたします。  先ほどからもありました、言うまでもなく昨年の大凶作、そして政府の米備蓄が皆無であったことが原因をして、二百六十五万トンもの米の緊急輸入、この事態に慌てた政府は、減反を七万六千ヘクタール緩和することを決定して、全国の各地に復円の奨励を行ったわけであります。まさに国策として復田を行ってきたわけでありますが、加えて、従来面積要件など採択要件が厳しかったものを、もっと使いやすいようにということで緩和する措置もとってまいりました。国の要請を受けて、県でも単独事業で復田を進めてきているところであります。  こういうことで全国の農業者も復田に取り組んできたわけでありますが、その結果、各地で減反目標の軽微な未達成地域が生まれてきております。しかし、この地域に対して、今どんでもないことが行われております。それは、せっかく汗を流し、金をかけて復田をした農家に対して、このままでは政府からペナルティーがかかるから青刈りか他用途利用米にしてくれないか、こういう押しつけがされてきていることです。こういうことは、大臣、認められるものなんでしょうか。
  73. 日出英輔

    ○日出政府委員 先生がお話しのように、去年からことしにかけまして、全国で復田の意欲がかなり強い地域がございます。その地域の中で、当初の予定の面積以上に復円をしたいということで、現在、水張りをし、あるいは田植えをしている地域も一部ございます。私どもとすれば、それは数字的にいいますればそう大きなものではないと思っておりますが、ただ、こういった取り扱いにつきましては、補助金等の取り扱い、あるいはそういったところで、画一的なあるいは強制的なやり方でこういったものを改めていくというやり方ではなくて、その地域地域でお話し合いをし、今までの転作のやり方の中でルールというものが最小限あるはずでありますから、そういったルールにのっとってやっていただきたいというようなことをお願いをしていることでございます。  そういう意味で、私どもとしますれば、まじめな転作をずっとやってきまして、本年に限っていろいろな問題で転作の未達が出てきそうなところについての補助事業等の取り扱いにつきましては、硬直的な運用とならないような取り扱いをし たいということを昨年申し上げた次第でございます。  ただ、個別の問題につきましては、今申し上げましたように、転作の全体のルールの中で多くの方々がこの生産調整に参加をしているわけでございますので、そういった中で説明のつくようなやり方をそれぞれの地域でとっていただくということに相なろうかと思っておる次第でございます。
  74. 藤田スミ

    ○藤田委員 もう一回聞きますが、復田をやった結果、いろいろ地域間調整を行っても減反が未達成の地域、市町村、県に対しては、政府は、補助事業はわかりますが、その他の助成はペナルティーをかけるのか、この点、もう一度はっきり言ってください。
  75. 日出英輔

    ○日出政府委員 先生お話しのような地域間調整もまだ差しかかり中でございます。今後、超過達成が全体としてどのくらい出てくるのか、あるいはお話しのような復田の意欲が強くて当初の面積以上に復田するところがどのくらい出てくるのか。数字でまだ私ども挙げることができませんが、いずれにしましてもそれほど大きな数字にならないと思っている次第でございますが、ただ、先ほどの補助事業外の話につきましてペナルティーという話がございましたが、ペナルティーではなくて、転作助成金につきまして、例えば地域ぐるみでやっておりますような水田営農推進助成というようなそういう加算額につきましては、やはりまじめに転作達成に取り組んだ農業者の方々との公平性の確保がございますので、基本額は当然転作をやりました実績に応じてやるわけでございますが、この地区単位での転作達成を要件にしているものにつきましては、こういった加算額は支払われないというようなことだろうと思っております。
  76. 藤田スミ

    ○藤田委員 私たちは、改めて言うまでもありませんが、減反政策は廃止すべきであって、減反面積を達成しないからといって補助事業や転作助成金を切るとか削るとかというような、ペナルティーをかけるということはとんでもないという立場をとっているんです。しかし、あなた方のペナルティーの考え方というのは、それはもともとは、さっきもおっしゃったけれども、公平措置ですよね、言いかえたら。公平措置の確保ですよね。結局、Aという人が減反を行っている、Bという人は減反をしていない、そうすると、AとBを公平に扱うというわけにはいかないということで、公平の確保ということを旨にしているところだと思うのです。その立場に立って考えたとして、大臣政府施策に協力をして復田をしたのです。まして、政府の復田補助金や県の復田補助金を受けて復田をされた、そして減反面積がその結果未達成になった人、あるいはその地域、市町村に対して、復田に協力したがゆえに結果として減反面積が未達成が出てきた、それも非常に軽微です、そういうのは一体公平措置の確保ということになるのですか。  もうちょっと言いましたら、政府の復田奨励に応じないで減反目標面積を確保した人と政府の復円奨励に応じた結果減反目標を未達成になった人と同等に扱うというのは、これはとてもおかしい。大体、非常に物事を厳密に考えられる官僚であるなら、このことがどんなに矛盾に満ちたものかということはわかっておいでだと思うのです。これでも、政府施策に応じた結果減反面積が未達成の地域にそういう罰則をかけられるのですか。
  77. 日出英輔

    ○日出政府委員 お言葉を返すようでございますが、罰則ということではなくて、転作が行われましたところでは転作奨励金を出しますし、転作が例えば集団的に行われない場合にはそういった加算額が払われないというだけのことでございますが、先生お話しのように、ことし、私どもとしては七万六千ヘクタールの緩和をいたしまして、これがきちんとした形で復田化されることを望んでいるわけでございますが、ただ、六十万ヘクタールにつきましては転作をしていただくということも、もう一方で一つの大きな仕組みとして要請があるわけでございます。そういう中での話でございますので、お話しのような補助事業等の扱いにつきましては硬直的な運用とならないように取り扱ってまいりますが、個々の者に対します転作助成金の支払いにつきましては、今申し上げましたように、例えば未達の方に奨励金を転作が達成されたとして払うというのはいかがなものか、こういうことだと思っております。
  78. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、この間青森へ行ったのです。そうしたら、青森県全体の米生産目標は六万七千ヘクタールです。それに対して未達部分が二百八十ヘクタールあるというのです。これは、計算したら〇・四%ですよね。それで、二十一の市町村が未達の市町村だというので、そこに対して県は、ペナルティー、ペナルティーと非常にやかましく言っているのです。皆さんは、冷静に、しかし非常にわかりにくい表現をされていますが、県の方も農民の方も極めて単純に、それはもう未達成になればペナルティーをかけられる、しかし、おかしいじゃないか、国が、県が復田だ、復田だと言ってきて、その結果未達成になったらペナルティーだ、ペナルティーだと後ろから追いかけてくる、そんなのおかしいということを言っているわけです。県の方は、この補助事業の未達に対する要件緩和の問題についても十分明らかにしないで、そうして、ましてや奨励金の加算の問題などについては非常にいたけだかな、私は農家の方からそう聞いたのですが、いたけだかな感じで市町村なんかに来るわけですね。そんなのは本当に困るわけですよ。農家が、一体どこを信じたらいいんだ、減反、復田そして自由化かということで本当に怒っていますよ。  私は、この問題を、軽微な場合はそういう地域全体への加算額をとるとかそういうようなことをしないで、ここは本当に裁量のある対応をしていかなければならない。これは大臣の一つの政治決断だと私は思います。こんな惨めな思いを農家にさせないでいただきたい。大臣に御答弁を求めます。
  79. 加藤六月

    加藤国務大臣 藤田委員御存じのとおり、今、全国、東北は大分植えつけが進んでおるようでございますが、西、南はいろいろまだあります。最終的にどういうようになるか、これは市町村単位あるいはまた県単位、あまいは市町村間、県間でいろいろ調整、融通し合うようになっておるわけでございますから、具体的な数字がどう出るかというのを私は目下見ておるところでございます。
  80. 日出英輔

    ○日出政府委員 先生に御説明したのがわかりにくかったかもしれませんが、この話の前提は、多分九月ごろになりますと転作超過分が出てまいります。例年に比べますと、他用途米の取り扱いがことしの場合はやや流動的な面もございますので、超過分が例年ほどは出てまいりませんが、数千ヘクタール程度出てくるのであろうと思っております。一方、先生お話しのような一定の面積を超えて復円した面積も、私どもの感じでいいますれば、先ほども御答弁いたしましたように、十数県で数千ヘクタールだろうと思っております。ですから、超過達成がありますれば、その分で当然私どもとすれば地域間調整が十分できるだろうと思っております。ただ、地域間調整をしてもなお超過達成分でカバーできない部分があったらどうするかということとして、私は先ほど、理屈といいますか、そういうこととして申し上げたわけでございます。
  81. 藤田スミ

    ○藤田委員 そうすると、地域間調整でカバーできそうだ。したがって、そんなに果てしなく県内で市町村調整やらやって、ぎりぎりと限りなくゼロに近づくように詰めて、それで農家の人が何だか精神的にももう本当に追い詰められたような気分になるようなことをしなくても、もう少し肩を楽にしていれば、そこはある程度地域周調整ということで最後は緩やかに対応できる、軟着陸できる、こういうふうに受けとめていいのですか。
  82. 日出英輔

    ○日出政府委員 お気持ちと合うかどうかわかりませんが、私どもとしますれば、地域間調整自身もそう実は簡単ではございませんが、これは系統農協がやる仕事でございますけれども、行政も大 いにこれを支援いたしまして、超過連成分が上手に今の復田希望の方々に行くように行政としても大いに気をつけていきたいということで、今生産者団体の方とこれについての具体的な手順とかやり方につきまして議論をしている段階でございます。
  83. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣生産者団体の問題じゃないのです。国の姿勢の問題なんです。このペナルティーの問題は、この国会の中でも随分問題になってきました。そして、それには法的根拠がないというようなことも明らかにされてきました。そして、結局今回のこの復田の問題を通して、政府の対応、少なくとも過去三年間に減反目標を達成していて、そして今後もそれをやる、だけれども今回復田で未達成になったところは補助事業はペナルティーをかけないというところまで来ているのです。あともう一歩なのですね。だから、大臣、そこのところは最後までよく見きわめていただいて、そんなに、何かその言葉だけがいまだに田んぼの中をひとり歩きして農家の皆さんの意欲をそぐというようなことにならないように、ひとつここは大臣の政治的な雅量というのですか、私はあえて雅量という言葉を使いますが、それを大いに発揮していただきたい。大臣、一言最後におっしゃってください。
  84. 加藤六月

    加藤国務大臣 今、いろいろ局長と先生とのやりとりも承っておりましたが、私は逆に、この減反緩和あるいは減反政策というものは、ある面では農民自身のものである、耕作者のものである、耕作者のためにある、これも強く御認識いただきたい、こう思っておるのです。  というのは、先ほど来議論いたしましたが、例えば、今後減反を行っていく場合のいろいろな御意見が、今提言がいっぱい集まってきておるわけですね。それを考えても、それは何のためにやるのかという基本的な問題をはっきりしていかなければならぬ、こう思います。先般の米騒動もありましたけれども、私たちは過去の問題等も振り返りながらやっていかなければなりません。そういう点で、関係者の皆さん方の御努力と、農民、生産者自身の自覚というものを私はこの際切にお願いしておきたい、こう思っております。
  85. 藤田スミ

    ○藤田委員 そんな、今私は、ペナルティーの問題でも、言うなれば政府にペナルティーをかけたい、皆さんにかけたいと思っているぐらいですよ。そうでしょう。去年だって、あんなに大変な凶作になったのです。農民自身のためのものとおっしゃいますが、この米不足をつくり出した、そこまで追い詰めていった、それはこの減反なのですよ。だから私は、そういう点では今の大臣の発言は、やはり昨年のあの大凶作のことをどう受けとめておられるのかというふうに言わざるを得ないのです。  そして私は、やはりもっとゆとりのある米需給ということが非常に求められていると思います。かつて、大河原食糧庁長官、一九七五年当時ですが、当委員会で、「二カ月分あれば通常の場合の需給操作は可能でございますが、大きな作柄変動等があった場合にも対応できるというようなことで二百万トン、四カ月分の在庫積み増しを行いたい」、こういうふうに二百万トンの問題を言っているのです。私たちは、在庫という、備蓄という概念でない点ではこの答弁はまだ弱点があるというふうに思っていますが、それでも、二百万トンの在庫が現在でも維持されていたならばことしのような緊急輸入は避けられていたわけでありまして、政府としてこういうふうな在庫政策をなぜ後退させてきたのか、そして二百万トンの備蓄政策に立ち戻るべきである、そういう点についても御答弁を求めたいと思います。  先ほど潜在生産力の問題について皆さんの方から、千二百万トンから千二百五十万トン、こういう数字を出されました。この数字を聞いていても、私は、ことしまた冷夏が繰り返されるかもしれないと気象庁が言っている中で、もう本当にこんな不確かな潜在生産力の中で、農業者に減反をこれ以上押しつけるということはとても認められないという立場です。いかがですか。
  86. 加藤六月

    加藤国務大臣 昨年の冷夏、そしてまた先般の平成騒動と言われておる一連の問題につきまして、私たちも改めて、備蓄という問題は真剣に深く今後検討していかなければならぬと考えておるところでございます。何としても安全な食糧を安定的に国民に供給していくということは国としての重要な仕事である、こう考えておるわけでございます。そして、先般赤城委員の御質問にもお答えいたしましたが、減反というものの心の問題、農業、農村の荒廃との問題等につきましても、私たちも真剣に考え、また当委員会においても長い間たびたび議論されておるところでございます。  そこら辺の問題はそれとして、そういう者の考え方の哲学、理念というものをどこに置くかということは、人あるいはそれぞれによってとりようは違うかもわかりませんけれども、私は今、これから幅広く議論されていく食管制度の問題についても申し上げてきたわけでありますけれども、それは農家の、生産者の皆さんが再生産をやり、意欲を持ってもらうようにするということと、今申し上げました国民に安全な食糧を安定的に供給するという二つの面を踏まえた食管である、そしてそれに伴うところの減反である、こう考えておるところでございます。
  87. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたので、終わらなければなりません。  きょう、麦価に対する諮問が明らかにされました。据え置きということでありますが、私たちは、大幅に引き上げるべきであるということを申し上げておきたいと思います。九三年度の農業白書を見ましても、麦の収益性の低下が生産減少の原因の一つになっているということで、現に自給率は非常に深刻な低落になっております。  ところが、五月二十三日に、農水省が生産者米麦価を二〇〇〇年までの六年間に段階的に二〇%引き下げることを検討していることが報道されました。これに対して大蔵省主計局の農水担当者も、また同様の考え方を示しております。私は、羽田内閣考え方そのものがこの中身じゃないかというふうに思いますが、今後また機会がありましたら、米価の価格政策の方向性の問題についても質疑をしていきたいと思います。  いずれにしても、今回麦価据え置き、そしてウルグアイ・ラウンド合意を受け入れてこれから米麦価をますますこういうふうに低下をさせていくということは、自給率の向上を幾ら口で叫んでも、日本農業を幾ら育てると言っても、絶対に育つものじゃない。そういう点では、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意は撤回すべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  88. 永田秀治

    ○永田政府委員 麦の政府買い入れ価格は、御承知のとおり、食管法の第四条ノ二で規定がございます。生産費その他の生産条件、需要供給の動向、物価その他の経済事情を参酌いたしまして生産性の向上と品質の改善に資するように配慮して定める、こういうことになっております。  本年産の政府買い入れ価格でございますが、従来どおりの算定方式、主産地方式でございますが、これで算定した結果、現行価格とほぼ同水準、現行九千百十円に対しまして九千八十三円、二十七円低い水準となっておりますことを踏まえまして、生産者の生産意欲に及ぼす影響等にも配慮して、据え置きの諮問を行っておるところでございます。  以上でございます。
  89. 藤田スミ

    ○藤田委員 終わります。
  90. 竹内猛

    竹内委員長 次回は、来る六日月曜日午後二時二十分理事会、午後二時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会