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久間委員 ただいま
委員長の方から
提案されました
保安林整備臨時措置法の一部を
改正する
法律案につきまして、一言発言させていただきたいとと思います。
細川内閣があのように急に
内閣を投げ出されるような格好になりまして、
時限立法でありますこの
保安林整備臨時措置法が一体どうなるのか、
政府としては全くもって無責任じゃないか、そういうような心配をしておったわけでございます。
御
承知のとおり、四月三十日で
法律は切れるわけでございますが、
昭和二十九年から今日まで
保安林を
整備する必要があるということで続けられてきた
法律が、あのような無責任な形で、
予算ももちろんでございますけれども、この
時限立法までもなくなってしまうということになったならば、せっかく進められており、しかもまだそれが中途半端で、これから先
予算措置も大事なこの時期に、この
法律がなくなったら大変だということで大変色倶しておったわけでございまして、しかもその危惧がもう目の前に来ておったわけでございます。そういうときに、幸い我が党を初め各党の
皆さん方が
英知を出されて、どうしてもこの
法律は残そうというような
考え方から、
委員長提案という、このような形で
法律が
延長されるめどがついたということは大変喜ばしい限りでございます。そういう
意味では、
法律の
延長に関するこの
法案については賛成の
立場から発言するわけでございますけれども、ただ一言だけ、この際
政府、
林野庁にも聞いておいていただきたいと思います。
といいますのは、
昭和二十六年に
森林法ができまして、
保安林が果たす
役割を非常に重要ととらえて、しかもそれを補完する形でこの
臨時整備の
法律ができたわけでございますが、あの当時は
日本全国ほとんどが山であり、また
農地であり、一部は宅地になっておったわけでございまして、それぞれ
農地法あるいは
森林法あるいは
都市計画法、こういう
法律でいろいろな
保安の問題も守っておったわけでございます。ところが、今日の
日本を見てみますと、この三つだけではなかなか片づかない、
保安整備する場所というのはたくさん出てきているわけでございまして、やはりもっと大所高所から、
保安林だけじゃなくて
国土の
保全という
考え方から、こういう
保全すべき
土地についてどうしていくかということについて研究する必要があるのじゃないか、そういう気がしておるわけでございます。
したがいまして、本
法律はそのまま
延長するとしましても、これを
機会に
政府においては
国土の
保全を今後どうとらえていくか、
法体系をどう改めていくか、そういうことについて、各省庁が自分の縄張りの問題として維持するだけではなくて、研究していく時期に来ているのじゃないか、そういう気がします。
都市計画法も、御
承知のとおり、大幅な
改正が行われました。そして、
開発許可の
制度がかなりまた戦後のあの時期とは違って広範囲に取り入れられました。
農地法についても変わってきておりますし、これからまた変わろうとしております。
森林法については、従来どおりそのままの
体制がつくられております。そういう点で、やはり
時代の
移り変わりと同時に、この問題も大きくとらえていく、そういう必要があるのじゃないかと私自身考えております。
それともう
一つ、その中で特に
保安林については、そういう大きな
制度的な
改正をしないまでもやはり考える必要が来ているのではないかという気がするわけでございます。
それは何かといいますと、
昭和二十九年、あるいは二十六年から二十九年、その当時は、
日本の
土木技術も余り大がかりな
土木工事が実はできなかった
時代でございます。
皆さん方は御
承知かどうか知りませんけれども、
我が国で始めて
大型機械が導入されましたのは
昭和三十年でございまして、この当時に
機械公団をつくって根釧原野のあの
開拓パイロットを始めようということで、
世銀から借款して
大型機械を入れました。あるいは
愛知用水公団が
大型機械を初めて
世銀から借り入れてやりましたし、
道路公団ができましたのもその当時、あるいはまたそのほかの
住宅公団を初め
大型の
団地造成がやっと始まったのは
昭和三十年以降でございます。
したがいまして、この二十六年と二十九年、この当時はまだ十分なそういう能力が
我が国になかった
時代につくられた
法律ですから、その当時の
法律事項として掲げられております例えば
保安林の
解除にしましても、
公益上の
事由というのとあるいは
指定理由の
消滅といっただ
二つだけを掲げておるわけでございますが、その当時の
背景とは大分変わってきているのではないか。
そうしますと、その当時は、
公益上の
必要性といっても、
大型の
機械を使って
保安林を壊廃していろいろなことをやるようなことは、国がやるか
地方自治体がやるか、あるいはせいぜいやって国の
公団であります
住宅公団がやるとか、それぐらいのことしか考えられなかった。ところが今日では、民間のいわゆるデベロッパーと称するそういう
住宅供給関係の
事業者あるいは
ゴルフ場の
開発事業者、こういった方々がかなり大がかりに
事業をやります。それがその
法律を制定した当時の
公益上の
必要性といいますか、そういう概念にはまるのかはまらないのか、これが非常に難しいわけでございます。
したがって、現実にいろいろと
保安林の
解除が行われている
理由を見ますと、
指定理由の
消滅のみなし
規定でやっておられる。一方、
指定理由の
消滅という場合には、これは完全に
指定理由が消えてしまった場合に事後的に
保安林を
解除するという役回りでございますから、あの当時に想定した
二つの
内容が、
二つの
事由しか挙げておりませんけれども、これだけでいいのかどうか。いいとしても、
公益上の
必要性という
公益上というのがもっと広くとらえられていいのではないか、そういう
時代背景が変わってきておるということについて考える必用があるのではないか、そういう気がするわけでございます。
林野庁長官の
通達で、各
都道府県までいろいろおろされております。しかし、そのおろされております
通達を読んでみましても、第一線の
都道府県の担当の
職員も非常に困っておるのが
実情でございます。地元からは、これはやはり
公益上の
必要性として、
社会通念としては
公益上認めでいいのではないか、この
地域を
森林で残すのがいいのか、あるいは
住宅として
開発するのがいいのか、あるいは
過疎地域で
ゴルフ場として
開発した方が
地域のためにはいいのではないか、そういうような
判断を
市町村とか
都道府県がしましても、きのうまでやっておった
行政の指導と違うことはなかなかやれない、その板挟みに
地方自治体の
職員等もなっている例がたくさんあるわけでございまして、そういう
意味では、現在行われておる
通達の中身についてもやはり研究してみる必要があるのじゃないか、そういう気がするわけでございます。
保安林の
整備はこれから先必要であり、
保安林の
指定もしなければなりませんし、また、
指定した以上は、
保安林については
整備計画に基づいて
治山工事その他いろいろとやっていくことはたくさんあろうと思います、それはまたやらなければならない、そういう
予算もとっていかなければならないわけでございます。
そういう
意味では、この新しい、
延長されます
法律に基づく第五期の
整備計画も積極的にやっていかなければならないわけでございますが、それと同時に、やはり
時代の
移り変わりというのをとらえながら
行政というのは対応していかなければならない。特に、
許認可権限を持っている側としましては、どうしても公平に物事を処理しなければならない。公平に処理しようとすると、きのうときょうとで変えるわけにはいかないということから、
前例を非常に重んじる。
前例をずっと重んじますと、
時代が変わっているときに、
前例、
前例になってまいりますと、そのときの
時代背景を
もとにいろいろなことがされていますから、どうしても一歩一歩おくれる形になっていって、先取りする形にならないおそれがあるわけでござい
ます。
どうかひとつ、今回のこの
保安林整備の
法律がさらに十年間
延長されるのを
機会に、
林野庁においても
長官通達等もよく見ながら、また必要に応じて
法律も
改正するところは
改正案を出しながら、これから先ぜひ
検討を進めていっていただきたいものだなと思っております。
特に、例えば
指定理由の
消滅のときに、五ヘクタール以上の場合には云々とかそういうことを掲げておりますけれども、これは表面的に読んでみましても、
指定理由が
消滅するのならば、五ヘクタール以上であろうが以下であろうが、本来なら変わらないはずなんです。これは
指定理由の
消滅とみなしていろいろなことをやってきているがゆえに、大規模な
開発についてはいかがなものかとか、そういうような
判断が働いているので、
法律が本来つくられたときの
指定理由の
消滅ならば、その
面積が広がろうと狭かろうと、あるいはだれがそれをやろうと、
指定理由が
消滅してしまえば本来こういう
所有権の
制限等は
もとに戻す必要があるわけです。だから、
法律上も、一項から三項ですけれども、
指定理由の
消滅の場合は、
遅滞なくしなければならないというふうに書いてあるのであって、
公益上の
必要性のときには、
農林水産大臣は、これはすることができると書いてある。その使い分けをしているわけです。だから、
指定理由の
消滅でいく場合には、やはりそこのところは
遅滞なくやらなければならないというふうになっているわけでございますから、どうかひとつそういう点も踏まえてこれから失いろいろと
検討をしていただきたいものだなと思っております。
こういうことにつきまして、もし
林野庁の方で発言する御意思があれば発言していただければありがたいと思います。