運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1994-06-21 第129回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十一日(火曜日)     午後三時四十六分開議 出席委員   委員長 田中 恒利君    理事 大石 千八君 理事 近岡理一郎君    理事 虎島 和夫君 理事 渡辺 省一君    理事 江田 五月君 理事 大矢 卓史君    理事 田口 健二君 理事 貝沼 次郎君       相沢 英之君    池田 行彦君       近藤 鉄雄君    野田  毅君       葉梨 信行君    阿部 昭吾君       上田 清司君    河村たかし君       小坂 憲次君    中島  衛君       松沢 成文君    矢上 雅義君       上原 康助君    佐藤 観樹君       弘友 和夫君    山田 英介君       宇佐美 登君    佐々木陸海君       佐藤 敬夫君    増子 輝彦君  出席国務大臣         外 務 大 臣 柿澤 弘治君  出席政府委員         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛施設庁施設         部長      江間 清二君         外務大臣官房長 池田  維君         外務大臣官房領         事移住部長   畠中  篤君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    高野幸二郎君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省中近東ア         フリカ局長   須藤 隆也君         外務省条約局長 丹波  實君  委員外出席者         海上保安庁総務         部長      山下 邦勝君         内閣委員会調査         室長      松村 淳治君     ————————————— 委員の異動 六月二十一日  辞任         補欠選任   今井  宏君     矢上 雅義君   大石 正光君     小坂 憲次君   中島  衛君     上田 清司君   山田  宏君     河村たかし君   渡部 恒三君     松沢 成文君   松本 善明君     佐々木陸海君 同日  辞任         補欠選任   上田 清司君     中島  衛君   河村たかし君     山田  宏君   小坂 憲次君     大石 正光君   松沢 成文君     渡部 恒三君   矢上 雅義君     今井  宏君   佐々木陸海君     松本 善明君     ————————————— 六月七日  ロシア連邦政府発行に係るソ連抑留日本人捕虜  に対する労働賃金証明書受容に関する請願  (阿部昭吾紹介)(第二二五八号)  同(緒方克陽紹介)(第二二五九号)  同(簗瀬進紹介)(第二二六〇号)  同(阿部昭吾紹介)(第二三一六号)  同(上原康助紹介)(第二三一七号)  同(山崎泉紹介)(第二三一八号)  同(上原康助紹介)(第二三五六号)  同(秋葉忠利紹介)(第二三七四号)  同(竹内譲紹介)(第二三七五号)  傷病恩給等改善に関する請願山崎拓君紹  介)(第二二六一号)  同(平林鴻三君紹介)(第二三一九号)  同(小里貞利紹介)(第二三七六号)  従軍慰安婦に対する戦後補償実施に関する請  願(岡崎トミ子紹介)(第二三五一号)  戦争犠牲者援護立法における国籍条項撤廃に  関する請願岡崎トミ子紹介)(第二三五二  号)  同(錦織淳紹介)(第二三五三号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第二三五四号)  同(簗瀬進紹介)(第二三五五号)  同(秋葉忠利紹介)(第二三七七号)  同(石井智紹介)(第二三七八号)  同(北沢清功紹介)(第二三七九号)  同(佐々木秀典紹介)(第二三八〇号)  同(嶋崎譲紹介)(第二三八一号)  同(関山信之紹介)(第二三八二号)  同(辻一彦紹介)(第二三八三号)  同(野坂浩賢紹介)(第二三八四号)  同(細川律夫紹介)(第二三八五号)  同(山下洲夫君紹介)(第二三八六号) 同月十四日  従軍慰安婦に対する戦後補償具体的実施に関  する請願伊東秀子紹介)(第二四二四号)  傷病恩給等改善に関する請願小此木八郎君  紹介)(第二四二五号)  同(町村信孝紹介)(第二四二六号)  従軍慰安婦に対する戦後補償実施に関する請  願(伊東秀子紹介)(第二四二七号)  戦争犠牲者援護立法における国籍条項撤廃に  関する請願上原康助紹介)(第二四二八号  )  同(北沢清功紹介)(第二四二九号)  同(左近正男紹介)(第二四三〇号)  同(嶋崎譲紹介)(第二四三一号)  同(田口健二紹介)(第二四三二号)  同(田中昭一紹介)(第二四三三号)  同(土肥隆一紹介)(第二四三四号)  同(日野市朗紹介)(第二四三五号)  同(村山富市紹介)(第二四三六号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二四六三号)  同(緒方克陽紹介)(第二四六四号)  同(小森龍邦紹介)(第二四六五号)  同(森井忠良紹介)(第二四六六号)  動物保護及び管理に関する法律改正に関す  る請願簗瀬進紹介)(第二五六九号) 同月十五日  ロシア連邦政府発行に係るソ連抑留日本人捕虜  に対する労働賃金証明書受容に関する請願  (緒方克陽紹介)(第二六二二号)  同(川島賢紹介)(第二六二三号)  同(輿石東紹介)(第二六二四号)  同(田口健二紹介)(第二六二五号)  同(松本善明紹介)(第二六二六号)  同(村山富市紹介)(第二六二七号)  同(輿石東紹介)(第二七四三号)  同(田口健二紹介)(第二七四四号)  同(輿石東紹介)(第二七七三号)  同(志位和夫紹介)(第二七七四号)  戦争犠牲者援護立法における国籍条項撤廃に  関する請願池端清一紹介)(第二六二八号  )  同(大畠章宏紹介)(第二六二九号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第二六三〇号)  同(前島秀行紹介)(第二六三一号)  同(網岡雄紹介)(第二七七五号)  同(五十嵐広三紹介)(第二七七六号)  同(伊東秀子紹介)(第二七七七号)  同(伊藤茂紹介)(第二七七八号)  同(今村修紹介)(第二七七九号)  同(小林守紹介)(第二七八〇号)  同(細川律夫紹介)(第二七八一号)  同(堀込征雄紹介)(第二七八二号)  同(和田貞夫紹介)(第二七八三号)  傷病恩給等改善に関する請願塩川正十郎君  紹介)(第二七四五号)  動物保護及び管理に関する法律改正に関す  る請願関山信之紹介)(第二七八四号)  同(田口健二紹介)(第二七八五号)  同(鳥居一雄紹介)(第二七八六号) 同月十七日  ロシア連邦政府発行に係るソ連抑留日本人捕虜  に対する労働賃金証明書受容に関する請願  (輿石東紹介)(第二八八〇号)  同(阿部昭吾紹介)(第二九三九号)  同(輿石東紹介)(第二九四〇号)  同(中島武敏紹介)(第三〇四七号)  戦争犠牲者援護立法における国籍条項撤廃に  関する請願畠山健治郎紹介)(第二八八一  号)  同(早川勝紹介)(第二八八二号)  同(池田隆一紹介)(第二九六九号)  同(石橋大吉紹介)(第二九七〇号)  同(岡崎トミ子紹介)(第二九七一号)  同(佐々木秀典紹介)(第二九七二号)  同(永井哲男紹介)(第二九七三号)  同(井上一成紹介)(第三〇四八号)  同(輿石東紹介)(第三〇四九号)  動物保護及び管理に関する法律改正に関す  る請願赤松広隆紹介)(第二八八三号)  同(山名靖英紹介)(第二八八四号)  同(若松謙維君紹介)(第二八八五号)  同(小沢鋭仁君紹介)(第二九四一号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二九七四号)  同(大木正吾紹介)(第二九七五号)  同(畠山健治郎紹介)(第二九七六号)  同(茂木敏充紹介)(第二九七七号)  労働基準行政職員に対する俸給調整額適用  に関する請願古堅実吉紹介)(第三〇四五  号)  同(正森成二君紹介)(第三〇四六号) 同月二十日  ロシア連邦政府発行に係るソ連抑留日本人捕虜  に対する労働賃金証明書受容に関する請願  (輿石東紹介)(第三一五四号)  同(山田宏紹介)(第三一五五号)  同外一件(五十嵐ふみひこ君紹介)(第三二六  四号)  同(輿石東紹介)(第三二六五号)  同(輿石東紹介)(第三三二五号)  戦争犠牲者援護立法における国籍条項撤廃に  関する請願田邊誠紹介)(第三一五六号)  労働基準行政職員に対する俸給調整額適用  に関する請願池端清一紹介)(第三一五七  号)  同(上原康助紹介)(第三一五八号)  同(遠藤登紹介)(第三一五九号)  同(緒方克陽紹介)(第三一六〇号)  同(岡崎トミ子紹介)(第三一六一号)  同(貝沼次郎紹介)(第三一六二号)  同(穀田恵二紹介)(第三一六三号)  同(佐藤泰介紹介)(第三一六四号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第三一六五号)  同(志位和夫紹介)(第三一六六号)  同(田邊誠紹介)(第三一六七号)  同(森井忠良紹介)(第三一六八号)  同(山原健二郎紹介)(第三一六九号)  同(伊藤茂紹介)(第三二六七号)  同(大木正吾紹介)(第三二六八号)  同(大畠章宏紹介)(第三二六九号)  同(北沢清功紹介)(第三二七〇号)  同(佐藤泰介紹介)(第三二七一号)  同(田口健二紹介)(第三二七二号)  同(濱田健一紹介)(第三二七三号)  同(東中光雄紹介)(第三二七四号)  同(村山富市紹介)(第三二七五号)  同外三件(秋葉忠利紹介)(第三三二七号)  同(伊藤茂紹介)(第三三二八号)  同(池田隆一紹介)(第三三二九号)  同(石橋大吉紹介)(第三三三〇号)  同(岩田順介紹介)(第三三三一号)  同(岡崎宏美紹介)(第三三三二号)  同(北沢清功紹介)(第三三三三号)  同(田中昭一紹介)(第三三三四号)  同(中島武敏紹介)(第三三三五号)  同(濱田健一紹介)(第三三三六号)  同(不破哲三紹介)(第三三三七号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願山原健二郎紹介)(第三二六三号)  動物保護及び管理に関する法律改正に関す  る請願大畠章宏紹介)(第三二六六号)  同(小林守紹介)(第三三二六号) 同月二十一日  ロシア連邦政府発行に係るソ連抑留日本人捕虜  に対する労働賃金証明書受容に関する請願  (輿石東紹介)(第三四三四号)  同(荒井聰紹介)(第三四八二号)  同(伊東秀子紹介)(第三四八三号)  同(池端清一紹介)(第三四八四号)  同(輿石東紹介)(第三四八五号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第三四八六号)  同(輿石東紹介)(第三五五八号)  同(永井哲男紹介)(第三五五九号)  同(輿石東紹介)(第三六五五号)  同(小平忠正紹介)(第三七六三号)  動物保護及び管理に関する法律改正に関す  る請願斉藤鉄夫紹介)(第三四三五号)  同(高市早苗紹介)(第三四三六号)  同(山田英介紹介)(第三四三七号)  同(赤松正雄紹介)(第三五六〇号)  同(大出俊紹介)(第三五六一号)  同(小泉晨一君紹介)(第三五六二号)  同(輿石東紹介)(第三五六三号)  同(富田茂之紹介)(第三五六四号)  同(高見裕一紹介)(第三六五六号)  同(三野優美紹介)(第三六五七号)  同(松前仰君紹介)(第三七六五号)  労働基準行政職員に対する俸給調整額適用  に関する請願岩田順介紹介)(第三四三八  号)  同(岡崎宏美紹介)(第三四三九号)  同(田中昭一紹介)(第三四四〇号)  同(寺前巖紹介)(第三四四一号)  同(山下洲夫君紹介)(第三四四二号)  同(岡崎宏美紹介)(第三四九〇号)  同(佐藤観樹紹介)(第三四九一号)  同(田中昭一紹介)(第三四九二号)  同(日野市朗紹介)(第三四九三号)  同(緒方克陽紹介)(第三五六五号)  同(大出俊紹介)(第三五六六号)  同(佐藤観樹紹介)(第三五六七号)  同(坂上富男紹介)(第三五六八号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第三五六九号)  同(田口健二紹介)(第三五七〇号)  同(田中昭一紹介)(第三五七一号)  同(藤田スミ紹介)(第三五七二号)  同(松岡滿壽男紹介)(第三五七三号)  同(松本善明紹介)(第三五七四号)  同(山崎泉紹介)(第三五七五号)  同(阿部昭吾紹介)(第三六五八号)  同(大出俊紹介)(第三六五九号)  同(岡崎トミ子紹介)(第三六六〇号)  同(中村時広君紹介)(第三六六一号)  同(渡辺嘉藏紹介)(第三六六二号)  同外一件(阿部昭吾紹介)(第三七六六号)  同(関山信之紹介)(第三七六七号)  傷病恩給改善に関する請願小渕恵三紹介  )  (第三四八七号)  戦争犠牲者援護立法における国籍条項撤廃に  関する請願坂上富男紹介)(第三四八八号  )  同(中村正男紹介)(第三四八九号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第三七六四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第二五号)      ————◇—————
  2. 田中恒利

    田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。虎島和夫君。
  3. 虎島和夫

    虎島委員 お許しをいただきまして、議案及び内閣委員会所管事項について質疑をさせていただきます。  まず第一に、議案エンカルナシオン領事館閉館ア首連ドバイ領事館を置くというこの関連でございますが、エンカルナシオン領事館の最近の業務実態について御説明をいただきたいと存じます。
  4. 池田維

    池田政府委員 エンカルナシオン領事館の最近の状況でございますけれども邦人日系人数約二千七百名がエンカルナシオンに居住いたしております。そして、戦後これらの方々は集団入植をされたわけでありますけれども、大部分が農業に従事されておりまして、大豆とか小麦の大規模栽培に従事して、概して安定した農業経営を行われているというように聞いております。  それから、エンカルナシオン領事館自体は、その管轄地域内の情報収集であるとか、あるいは邦人保護であるとか、あるいは旅券の発給、査証の発給等々、在外公館におきます必要な所掌事務を行っているということでございます。そして、現在のところ、この領事館には、本官二名それから現地補助員約八名ということで業務を行っております。
  5. 虎島和夫

    虎島委員 当該地域は比較的在留邦人数が多いように思います。たしかこの国は人口四百四十万程度であったと思いますけれども、その中で約二千数百名の我が同胞が向こうで移住権を持って生活しているという地域でありますから、今後ともこの地域については、いわゆる領事業務に該当する事務が相当数あるもの、こう考えられるわけであります。  ただ、今の御説明と私が得た資料によりますと、かなり生活が安定し、つまり領事業務というものも割合逓減傾向にあるということでありますから、今回の措置についてはやむを得ない措置であるかなというふうに思っております。  いずれにしても、在留邦人の存在、人口比というのは非常に高い地域でありますから、それなりに今後も領事業務というものを継続されながら、当該在留邦人生活支障がないような、むしろ積極的な支援ができるような館の運営というものを、領事館が仮に閉鎖されたとしても心がけるべきであると思いますけれども、この点についてひとつ政府の方の御所見を承っておきたいと存じます。
  6. 池田維

    池田政府委員 ただいま御指摘がございましたとおり、エンカルナシオン領事事務自体は、二千数百名の日系人社会相手にしておりますので、依然としてかなり重要性を持っているわけでございます。ただ最近、業務がやや減少傾向であったということはございます。  それから、一般論といたしまして、限られた予算とか定員の中で最大限有効に業務を行っていく必要があるわけでございまして、そういった意味で今回の法案の中で、このエンカルナシオンにつきましては、実態を変えないまでも、領事館から駐在官事務所に変えざるを得ないということはあるわけでございます。  ただ、ただいま先生指摘になられましたような必要な範囲での業務というものに全く支障が出ないようにということで十分に配慮してやっていきたいと思っておりまして、事実上、定員につきましても二名の駐在官ということでございますし、現地補助員につきましても現在と変わりのない人たちが同じような行政サービスを行っていくということに努めたいと考えております。
  7. 虎島和夫

    虎島委員 新しく領事館設置するア首連ドバイでありますけれども、私もこの提案を見て、大使館も比較的近くにありますから大使館業務をもってカバーしておったのかなと思いましたが、何といってもアラブ首長国連邦というのは日本にとってエネルギー関係では大変大事な国でありますし、ここに領事業務が開設されるということは、私は遅きに失したのじゃないかなという気もいたすわけであります。  その点については、ドバイへの領事館設置、いろいろ全世界的に領事館設置の需要があるにもかかわらず一つここに持ってきたという理由についてここで承っておきたい、こう思うわけであります。
  8. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 虎島先生指摘のように、我が国邦人の海外での活動も着実に増加をいたしておりまして、各地で領事館設置の要望が強いことも事実でございます。  そうした中で今ドバイお願いをいたしておりますのは、先生も御指摘のように、私どもにとってエネルギー供給源として重要な湾岸におけるドバイ重要性というものにかんがみてお願いをすることになったわけでございます。詳細御説明が必要であれば政府委員の方から答弁をいたさせます。
  9. 虎島和夫

    虎島委員 いや結構です。  そのような大事なところが今日まで設置されておらなかった。たまたま議案として、一方では閉館もする、一方では兼館もするという形で出てまいりますと、私どもは、日本の現在の行政府国内行政機構でとっております手法、つまりスクラップ・アンド・ビルド、そういうことがこの在外公館においても行われておるのかなという感じを持たざるを得ないわけです。必要ならば置く、必要でなければ閉館するというようなことが原則ですけれども、セットのような形で出てまいりますと、どうしてもそのような気がいたすわけでありますが、その点については大臣の御所見をひとつ承っておきたいと存じます。
  10. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 日ごろから先生方には大変お力添えをいただきまして、外交機能充実という点で、組織拡充、また定員増強等お願いをさせていただいているわけでございます。ただ、政府全体といたしましては、行政改革定員削減という全般の網もかかっておりまして、その二つの命題の両立に、我々毎回、予算定員のときに苦労しているわけでございます。  今回も、明示的なスクラップ・アンド・ビルドではございませんが、しかし、先ほど官房長から報告いたしましたように、やはりエンカルナシオン業務が縮小しているという状況にかんがみまして、その辺も財政当局、また政府部内、御相談の上、そうした措置をとらせていただくべくお願いをしているところでございます。  エンカルナシオンにつきましては、先ほど申しましたように、できる限り移住者の皆様の御不便のないように努めるつもりでございます。この点についてはぜひとも御理解をいただきたいと思っております。
  11. 虎島和夫

    虎島委員 大臣の今の御答弁は、私ども政党活動を行う中で政府意見を徴する過程で得た答弁といたしますと、スクラップ・アンド・ビルド的色彩が非常に強い御答弁になっております。従来、我々が政党活動の中で政府側の、事務方と申しますか、意見を徴しておる範囲では、在外公館については、激変する世界情勢の中で必要なものは置く、したがってスクラップ・アンド・ビルドではないということを、外務省もそういう理念を出しますし、また行政改革を担当していらっしゃる総務庁機関においてもこれを追認するようなことで、従来我々勉強を進め、理解をしてきたわけであります。  大臣の今のお話を承りますと、どちらかというと、スクラップ・アンド・ビルドというのはやむを得ざる措置ととられかねまじき御答弁があったわけでありますが、その辺、大臣の御答弁政府方針として受けとめなければなりませんけれども、そこはひとつ、訂正、是正がございませんか。それによってまた私がいろいろ申し上げることがありますので、もう一遍重ねて承っておきたいと存じます。
  12. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私どもは、先ほど申しましたように皆さんの御理解をいただきまして、外交機能の強化という面で、組織定員についてはそうしたスクラップ・アンド・ビルドとか一律の定員削減というものの対象ではなく、充実をさせたいということで努力をしてきております。それが私どもの基本的な方針であり、お願いでございます。
  13. 虎島和夫

    虎島委員 それではこの際、基本的な御方針として重ねて明確に承っておきたいのでありますけれども在外公館設置基本方針というのを、大使館はどうであるのか、領事館はどうであるのか、あるいは在外公館の統廃合についてはどのような基準と申しますか、基本的考え方で進められる御存念であるのか、まとめて改めて承りたいと存じます。
  14. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 基本的には、在外公館設置に関しましては、我が国相手国との関係等を考慮して、相手国在外公館設置に関する政策等も勘案した上で判断していくという問題であろうかと思います。  それぞれ数が、例えば旧ソ連邦が分離、独立するというようなことで全体としてふえておりますので、そうした点では、公館数等についても拡充を図っていくという必要が出てきているわけでございまして、ここのところは、何としても、できるだけ早い機会にそうした現実の情勢に対応できるよう拡充を進めていきたい、こう考えております。
  15. 虎島和夫

    虎島委員 大臣の方から、相手国の意向を尊重、そんたくという御表現がありましたけれども在外公館設置する場合には、在外公館当事国間の相互設置主義というのは現に存在するものであるのか。存在するとすれば、どういうことを俗称して相互設置主義というのか、御説明願いたいと思います。
  16. 池田維

    池田政府委員 在外公館につきましては、厳格な意味での相互主義というものは私どもとっておりません。しかしながら、おのずから関係国間の均衡のとれた領事関係というものはあると考えているわけでございます。  例えば、厳格に相互主義が貫かれていないということで申しますと、アジアの場合、韓国につきましては、大使館を除きますと日本の場合は釜山に一つ総領事館がございますが、韓国側日本国内に十カ所の総領事館を持っております。それから中国につきましては、我が方の領事館は三カ所でございますが、中国側日本国内に四カ所持っております。その他、国によっていろいろばらつきもございます。しかしながら、私どもとしましては、数ではなくて、やはり中身において均衡がとれているということは必要であろうと考えております。
  17. 虎島和夫

    虎島委員 御説明のように、確かに相互設置主義というのはただ機械的に行われておりませんね。例えば、日本はアメリカに十六の在外領事館を持っておる、アメリカは日本に五館であるということがありますし、いろいろな状況を判断して決められたものと私は思うわけであります。  これらは大切な日本の国権を執行し代表する機関でありますから、恣意的に行われるということはないでしょうけれども外務省の中でこういうものを中長期的に検討してきた機関というのがあるわけでありますから、よく審議会とかなんとかというのがあちこちあるわけでありますが、要するに、大臣がかわったからあのときの答弁はあれです、今度はまた大臣がかわりましたのでまた別の方針でやるんですということでなくて、やはり大臣を最高責任者として、機関としてぴしゃっと決めておって、中長期的にはこういうことでいきたい、もちろん財政のこともあるから、現状こういうことで我慢していこうとか、そういうものを論議していく専門的な機関を外務省の中に持っていらっしゃるのか。そこで検討しながら、激変する世界情勢に逐次対応する在外公館の配置を考えていらっしゃるのか。この点については、簡明で結構でありますから、今後も含めて実態をひとつ御説明願いたいと思います。
  18. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 一昨年、たしか瀬島龍三さんを座長にして外交機能強化懇談会というのを設けさせていただきまして、外交機能強化についての御提言をいただきました。  しかし、今虎島先生の御指摘の点につきましては、今後の在外公館配置について、内部で優先順位をつけ中長期的に取り組むべきだという御指摘でございます。この点についても、私どもつとにその必要性を感じておりまして、現在、在外公館の新設、基盤整備、機能強化等を検討するために、内部において官房長委員長とする検討会を設立すべく、目下準備中でございます。
  19. 虎島和夫

    虎島委員 それでは、速やかな組織の発足と実効ある成果というものを期待しておきたいと存じます。  次に、この際でありますから、中国領事館について承っておきたいと存じます。  日本の在中国領事館の増設については、お話がありましたように、日本領事館が三館、中国日本に四館設置しておるわけであります。そのほかに相互に大使館があるわけであります。この日本の在中国領事館が一館少ないということについては、外交慣例上行われるいわゆる公館設置に関する口上書等の交換がなされておるのかどうか、あるいは、もう少し申し上げますと、中国設置の権利というのは日本側で留保されておるのかどうか、このことについて承っておきたいと存じます。
  20. 池田維

    池田政府委員 日本中国の間では口上書をもって在外公館設置につきまして意思を確認し合っておりますけれども、その中で、日本側の総領事館中国側に比べて一つ少ないということを挙げまして、日本としてはあと一つ設置することを留保しているという形になっております。
  21. 虎島和夫

    虎島委員 外務省の方ではもう十分御承知のとおりでありますが、実は、中国の在日領事館四つのうち二つが九州にあるわけであります。福岡と長崎であります。私も、地方自治体におりますときに、長崎設置について実は中国といろいろ話し合いをし、御相談をした経過があります。そのことは今省略しますけれども、要するに、いろいろな歴史的な過程あるいは現況等があってああいうことになりました。  ところが、日本中国に置いております三館というのは、北京の大使館は別にして、東北・藩陽、上海、それから広州、昔の広東でありますが、この三カ所。つまり、東北を除けば経済的な特区というか、そういうところを重点に、まさにそこに置かれておるわけであります。  現在、一館設置についての権利留保があるということでありましたから、向こうも認めておるわけでありますから、経済的なことだけが領事館の仕事じゃないんだ、日中関係では、何千年前の過去の歴史から今日、現代の交流までいろいろなことがあるわけでありますから、広く文化、歴史、そういうものを踏まえた上での幅広い、厚みのある日中交流というのがあるべきだと私は思うのです。  そういう意味では、中国は十億以上の人口を擁して、例えばアメリカは中国領事館を四館置いておりますけれども、そのうちの、成都があります四川省は一億一千万の中国人口がいるわけですね。もう少し外まで出てまいりますと、中国の南西地域というのですか、雲南、貴州、あるいは湖北、湖南省までまいりますと、実に三億という人口大使館でカバーしておる、そういうことになっておる。  こういうところに日本が、権利といえばおかしいのですけれども領事館を希望するならば置いていいですよというところに置けない、置かないでおる。しかもアメリカはちゃんと置いておるということを考えるならば、日本中国との関係、アジアにおける日本の立場等々を考えますと、私は、その留保された権利というのは早急に行使すべきである。  つまり、速やかに中国西部地域と申しますか、内陸部についても領事館設置して、そして中国一億以上の人方とより緊密な連携なり交流ができるような配慮は、ひとつ大臣、なすべきだと私は思うのです。いろいろと中国との間も最近は言葉のやりとりがあるわけですけれども、その前に、やはり腹を打ち明けてやれるような体制というのは、領事館設置し、あるいは活発な領事館活動を行えるということこそ私は必要なことではないかと思うわけであります。  この際は中国内陸部についてもぜひ領事館設置して、さらなる日中友好の実を上げるべきであると私は考えますけれども大臣の御所見をこの際承っておきたいと思います。
  22. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 従来、日本領事館が広州、上海、または東北地区の落陽というところに置かれましたのは、先生指摘のとおり、現在の中国の経済発展が臨海部を中心に、また東北の旧工業地帯を中心に行われている、日本の経済活動もそうしたところに進出をしている部分が多いという点によっているのだと思います。しかし、御指摘のように、中国は大きな国でございますし、内陸部にも重要な都市がございます。その点も視野に入れて、先生の御指摘も踏まえてこれから前向きに検討させていただきたいと思っております。
  23. 虎島和夫

    虎島委員 もう一つ、押して承っておきたいと思いますが、先ほど、こういうものについて中長期的な視野に立った検討機関を設けたいという御意思の御表明がありました。そこで、ぜひ議題としてこのことを取り上げて、そして具体的な検討課題に入れていただきたいと思いますけれども大臣の御所見を承っておきます。
  24. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 部内の検討においては取り上げさせていただきます。あとは、ただ予算組織の面では単年度主義という一つの壁がございますので、外務省としては、そうしたものを踏まえながら、それぞれの関係当局と折衝していきたいと思っております。
  25. 虎島和夫

    虎島委員 そういう中で、相当広い範囲在外公館職員がカバーして、俗に言う不健康地域等々でも最近では勤務する頻度が非常に高まってきておるわけであります。それを見ておりますと、その職務の実態に比して外務省職員の給与等が十分でないように私は思うのです。もちろん、十分でなければならぬということは申し上げませんけれども、やはりよその国とのバランスがとれるぐらいのことは行うべきではないのか。  我々政治にある者が、よく経済大国になりましたとかなんとか言っておりますけれども、実際に外交の第一線で働く諸君が、現地の、外国の同種類の職員に比較してどのような処遇を受けて、あるいは日本国家というのはどのような処遇を与えておるのかということは、我々も常に重大関心事でなければならぬと思うわけであります。  そこで、具体的にお伺いいたしますが、まずアメリカといたしましょう。我が外務省の職員と米国公館現地職員との間の給与の比較をいたしますとどのような数が出てまいるのか、承っておきたいと存じます。
  26. 池田維

    池田政府委員 ただいまの先生の御質問にすべて答える資料はちょっと手元に持ち合わせておりませんけれども一つの例といたしまして、在外公館で働いております現地職員の給与面でどういう比較ができるかということを申しますと、給与格差の調査結果でございますが、例えば全体的には、地域によって多少の差異はございますけれども、欧米各国公館の現地職員あるいは現地に進出しております日系企業において雇用されております現地職員に比べましても、我が国在外公館の現地職員の給与が多少下回っているというのが現状でございまして、できるだけ優秀な現地職員の確保を行うために、財政当局理解を得まして、着実に給与面での改善を図っていきたいということで努力をしているというのが現状でございます。  具体的な数字につきましては、また調べましてお答え申し上げたいと思います。
  27. 虎島和夫

    虎島委員 官房長、私が今ずっと問うてきていることは、今唐突に出していることではないのです。何回か過去のこの内閣委員会において附帯決議等々の形をもって議会、国会の意思が明確にされていることを今聞いておるのですよ。  読み上げますと、「在外職員、」中略いたしますが、「安んじて活発な外交活動を展開しうるよう、勤務・生活環境の整備、待遇の改善等に努めること。」さらに「館員による活発な外交活動を支援するため、在外公館における質の高い現地職員の確保・増員及びその待遇改善に努めること。」こうなっておるのでありますから、少なくとも委員会が開かれたときには、前の国会決議は一体どうなっておったのか、それを我々はどれだけ達成したのかという資料くらいは持ってこられないと、いささか委員会軽視のそしりを免れないと私は思います。  私の調査では、米国関係は、日本公館に雇用されておる諸君の給与は約四〇%前後少ないという資料を持っております。皆さん方はこれを否定できない、なぜなれば資料がないわけでありますから。それじゃやはりよくないと思いますよ。これはぜひ資料を調査の上、先ほどお話がありました、在外公館設置についてはこういうことをきちっと今から内部機関で検討します、でありますから、その中にぜひ在外公館職員の、現地採用職員を含めた処遇については検討課題とするというように入れておっていただきたい、このように思うわけです。  もう時間がありませんからあれですが、在外職員というのは、聞いてみるとそれは大変なことです。何年に一回か転勤しますね。家財道具をどうするかこうするか、処分しようとしても買ってくれる人はいない、捨ててくる、またこっちへ来たら何か買わなければならぬということで、引っ越し貧乏というのは外務省在外公館職員の代名詞ですよ。  そのほか、在外公館職員の子女の教育関係、これについても、義務制でも外国勤務の人方は相当の負担を強いられていらっしゃる。それらを考えますと、やはりもっと温かみのある配慮をしてあげないと、大臣がおっしゃっているようなことが口頭禅に終わることを私は憂えるわけであります。  ぜひそういう検討の機会には職員の処遇についても検討してもらいたいし、例えば不健康地対策についても、医療対策、健康管理上の緊急移送対策という問題、あるいは館員の宿舎借り上げ、これらも、家具なんかも備えつけでいいのですよ、個人個人がやらないでも。  それから、言ってしまいますけれども、大使公邸に行きますと、我々もいろいろ公式に参りました際に大使公邸を訪れたりするわけでありますが、日本の調理師の方が勤務していらっしゃいますね。聞いてみますと、この人方は大使の私的雇用者になっているわけですね。その人に国が補助金を差し上げている。私はこれは逆だと思うのですよ。国が雇用して、大使がみずからの個人負担と申しますか、そういうものについては分担金を納める、こうしないと、今申しましたように、不健康地域、昔は瘴癘地と言ったのですね、そういう地域にどんどん領事館がふえてくる、勤務の機会がふえる。さあ日本料理の調理師を大使が一々雇用していったところ、来る人がいないという状況もなきにしもあらずというふうに承っておるわけであります。したがって、このようなことも含めまして検討課題とされたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  28. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 在外で働く職員に対する大変温かい、思いやりのあるお言葉をいただきまして、心から感謝を申し上げます。  私自身二十年前に在外公館で四年間勤務をいたしました。当時はまだ日本生活水準もそう高くありませんでしたから、在外へ出れば日本よりは生活はよくなりましたけれども、匹敵する各国の大使館の職員に比べればまだまだ一回り小さい家に住んでいたということも事実でございます。  その点で、在外で働く日本人またたは現地採用の職員、また今お話のありました公邸で働く料理人の方々、いろいろな形で今後とも待遇の改善のために財政当局の御理解をいただきながら、また皆様の御支援をいただきながら努力してまいりたいと思っております。
  29. 虎島和夫

    虎島委員 かつては、外国で勤務できるならば月給は要らないというような気風もあったのです、戦後は。今やそういうことで外国に行く人はおりませんね。ですから大臣の御経験の時代と今とは、もう申すまでもないわけであります。ぜひその貴重な体験を生かして洞察力を働かされて、在外職員が活発な外交活動ができるようなそれだけのことを、しかも家族の人方も安んじて、ともに後ろから在外公館員の公務を支えていただける、そういう、医療対策その他については、先ほどの検討課題に入れて中長期的にも検討を賜りたい、重ねて要望いたしておきたいと存じます。  ところで、緊急事態に際しましても過去何回か国会は附帯決議としてその意思を表明しておるわけであります。在外公館の警備対策については逐年向上していることは私も認めておりますが、いまだに脅威あるいは不当行為、暴力的行為というのは、残念ながら外国では着実に増加しつつあるということが言えるわけであります。統計上もそうなっております。しかも、一般犯罪が主でありますが、それにデモ、脅迫そして集団的な攻撃等々もまた高水準で現在推移しつつある。これは外務省本省で把握しておられるとおりであります。  これに対しては人的対策、公館施設の警備対策、それぞれあるわけでありますが、例えば公館施設の警備対策については、私のいただいた資料では、第一次防達成率五五%、第二次防八〇%、第三次防六四%というふうにあるのですね。ところが公邸防衛線の強化というのは、日本的だなと思うのですが、公館の方は達成率が高いけれども、第一次防二六%、二次防二五%、三次防五〇%ということなんですよ。  ですから、これから類推しますと、恐らく長期的な四、五年計画を持っているのだろう。その達成率等を出したところが公邸においては二六%にしかならなかったというようなことになっておるわけでありますから、これは、先ほども申しますように、我が衆議院の附帯決議というものを尊重した姿勢が見えない。ですから、問題が起こってからでは遅いわけでありますから、これらについては、達成率を上げながら安全な環境の中で、比較的安全なとしか言えないと思うのですね、そういう中で仕事ができるようにしていただきたい。  このことは、私もジャカルタに行きましたときに、借り上げ官舎というのですか、それを訪ねる機会がありまして、町の雰囲気は大変けんのんなというか、そういう中でぽつんと一軒、家があるわけです。そういう中で御主人は大使館に出ていく、家族は残る、あるいは子供もいるということであれば、やはり警備上の措置というのは在外公館職員の家族を含めた対応が必要である。これらについても三次防、四次防ということはどういうことになっておるのか。なぜ五〇%とか二五%の達成率しかやれないのか。この点についてひとつ御所見を承っておきたいと思うわけであります。
  30. 池田維

    池田政府委員 ただいま虎島先生から御指摘くださいましたような幾つかの警備上の問題はあるわけでございますけれども、私どもとしましては、治安の情勢が必ずしもよくない場所において職員が勤務するためにできるだけの警備面での対策をとっていきたいということで、まず基本的に第一次線、それからさらにより望ましい第二次線、そしてできればこの範囲までやりたいという意味で第三次線というように考えていろいろ対策をとっているわけでございます。  例えば一つ在外公館をとってみますと、そこの玄関口をどういうようにするかとか、あるいは受付にどういうような装置をつくるかといったようなことがございます。それから第二次線的になりますと、例えば守衛等の役割をどういうように行うかというようなこととか、あるいはその当地の警察との連絡体制、それから通信体制、それから例えば車にどういうような装置をつけるかといったようなことでいろいろな対策は考えておりまして、それぞれの優先度に応じて一、二、三というように区別はいたしておりますけれども、まだ必ずしも十分ではないと思っておりまして、今後ともこの警備の強化に努めていきたいというように考えております。
  31. 虎島和夫

    虎島委員 このことは同時に、在留邦人あるいは外務省発券のパスポートを持って旅行する一般国民の皆さん等々についても、外国での不安全さに対する事態の御認識が非常に浅い人方がいるわけであります。これらについても、大使館員同様に在留邦人についてはやはり極力在留邦人組織等も通じながら対策を講じていただきたいし、あるいはまた本省その他におきましても、こちらから外国旅行するような人方については、しかるべき手引と申しますか、やりながら、少なくともうら若い女性が外国へ行って大変な、親も見られないような災害、災難に遭うというようなことがないように、人的災害に遭うということがないように、これは配慮をしておっていただきたいと思うわけでございます。  どちらかというと、私どもの世代は安全については二番目、三番目に置きながらしゃにむ働いてくるという傾向もありましたので、今はこれで通る時代ではありませんから、やはりそのこと、人間を大事にしていくということ、たとえそれが部下であれ在留邦人であれ、あるいは現地の人方であれ、そのことが外交の基本になければ、私は国際関係というのはうまくいかないというふうに思いますよ。  そういう意味では、辛抱しよう、予算がないんだからというようなことだけでなくて、もう少し国民の理解を得るような、むしろ積極的にこの国会の場等を通じて大臣でも御所見を表明される、これは決して小さいことではない。組織の構成員が安心して働くということは最も基本的な環境整備でありますから、訴えられながら予算その他についても対応して万全を期していただきたい、このことは要望をいたしておくわけであります。  ところで、今日本政府の方ではかなり国連安保理事会の常任理事国入りに向けての積極的な発言が目立っております。このことは、いろいろな見方、分析ができると思います。率直に申し上げて、大臣は常任理事国入りというものをどのようにお考えであるのか、そのことは我が国の国益に照らしてどうであるのか、あるいは地球全体の国際的な安定、発展というものに照らしてどうであるのかということ等を交えながら、ここで御所見を承っておきたいと思うわけであります。
  32. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 虎島先生御承知のように、来年は国連創設五十周年を迎えることになるわけでございます。この五十年を顧みますと、五十一カ国で誕生した国連が今や百八十四カ国、世界のほとんどの国を網羅する国際機関になってきております。  しかも、冷戦構造の中での米ソ二大国による世界秩序の形成というものが、冷戦崩壊によって変化をしてまいりまして、それにかわるべき新しい国際秩序の再構築が目下の課題でございます。その場合には、特定国による秩序ではなく、世界の国々が、国の大小にかかわらず、民主的に世界の秩序に発言権を持ち、また、その力に応じて貢献をしていくということが大事なことであります。それができるのは現実的に国連をおいてほかにないというのが私どもの考え方でございます。  そうした背景に立って現在国連改革が議論をされているわけでございますが、その中でも国連全体の行政改革、また国連の財政難の中での財政面の強化、そして国連の諸組織の改革が話題になっておりまして、今御指摘の安全保障理事会の改革問題というのは、そうした国連全体の再編成、そして再構築の枠の中の一環として議論をされているわけでございます。  御承知のとおり、国連の安全保障理事会は、国連の最も中心的機能である安全保障の問題について議論をし、決定をし、そしてその決定は国連加盟国全体を拘束するという強い力を持っておりまして、その中で、五カ国が常任理事国、十カ国が非常任理事国ということになっておりますが、常任理事国はかつての連合国、米、英、仏、ロ、中という五カ国になっておりまして、これが現在の世界の構造に合致しているかどうか、これはだれが見ても修正が必要な時期に来ていると私どもは考えております。また、非常任理事国の十カ国、これの地域配分も現在の加盟国の数から見るとアンバランスになっておりまして、非常任理事国についても数の見直しが必要であろうということでございます。  そうした中で、国連財政で第二位の貢献をいたしております日本、そして環境の問題や南北問題の解決のために実績を積んでまいりました日本、さらに最近ではエイズ、麻薬、人口、さまざまな問題で積極的な貢献をしております日本、そして軍備管理・軍縮の面でもいろいろな努力をしております日本、また一昨年来PKOの問題でも積極的にカンボジアの和平に貢献ができた日本が、国際社会の責任ある地位において日本なりの発言をしていくということは、世界の平和と繁栄に貢献する道だと私は考えております。  ただ、常任理事国は、何がなんでもなりたいなりたいと、我々がやる選挙運動みたいに押し込むものではないということで、改革された国連の中でそれなりの責任を果たすというのが宮澤内閣以来の考え方であったと思いますが、実は改革議論も大分進んでまいりまして、常任理事国については二カ国ふやすかどうか、二ないし五カ国というあたりに絞られてきているという状態でございまして、その中で、日本は常任理事国になる資格のある国だという積極的な発言をしてくださる国々がたくさんふえているという状況でございます。  その意味では、時には、日本は本当になって責任を果たすつもりかどうかということを逆に聞かれることもあるわけでございますので、そうした国際的な流れ、そして日本が今まで果たしてきた実績、そしてこれから、日本は核保有国ではありませんし、また軍備において大きな貢献ができる国とは思っておりませんし、またすべきではないと思っておりますが、しかし、今までの常任理事国とは違った形で世界の平和に貢献できるのではないか、そういう点では、日本が常任理事国になることも含めて、安全保障理事会が改組、強化されることが私たちにとっては国際平和に貢献する道だと考えてお願いをしているところでございます。
  33. 虎島和夫

    虎島委員 五十年の節目を迎えるというお話もございました。それから、国連の機構の再構築と申しますか、行政改革と申しますか、こういうことも大きな前提として考えているようなお話もございました。また、我が国が国連の財政負担の世界第二位であるというお話もございました。  そういうことを承っておって、特に五十年という節目で考えられることは、国連憲章の中に敵国条項というのがあります。これらもやはり論議すべき場に上げて、そして、五十年であるから、今いろいろ並べられた日本の貢献の度合いから見て、あるいは国際世論の流れから見て、しかるべき措置があっていいのではないか。これは国民だれしも思うと思うのです。ですから、大臣がそのようなお説をどんどん上げられれば上げられるほど、ではこちらの方はどうだろうか、いつまで我々は国連という場では敵国条項の中で生活していかなければならぬのだろうか、そういうことについてはどういう御見解でありましょうか、承っておきたいと思います。
  34. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 従来から我が国は、国連憲章の中で敵国条項というものは、現在の我が国やドイツの貢献ぶりから見て適切な条項ではないということは述べてきているわけでございます。ただ、その条項は事実上もう死文化しているというのが国連加盟国の常識になっておりますので、それだけを取り上げて国連憲章の改正を提議してもなかなか難しいだろうということでございますが、今後、五十周年を機に、さまざまな国連改革の中で、国連憲章の改正が提議されるときには、当然のこととしてこの条項は削除されるべきであるということは主張してまいりたいと思っておりますし、そういう主張をいたしております。
  35. 虎島和夫

    虎島委員 現在死文化しているからというので看過することはできないと思うのですね。それは、いっこの条文が生きてくるかわかりません、現に生きているわけですから。形式的にこれが適用されていない、あるいは実態的に適用されておらないというわけでありまして、ですからこれは、そういう節目であればあるだけに、やはり世界全体が、戦後五十年だというようなこと等も、日本の反省も含めてですよ、あるいは今まで足らざるところがあったら足らざるところをきちんとする、また前に進むところはどんどん進んでいく、しかしそういう中で、世界の戦後の歩みを見たときに、敵国条項というのは現状にそぐわない、そぐわないのであれば残す必要もないじゃないかという議論も立派に成り立つわけでありますから、これはこの際ひとつ勇断を持って、微妙な問題であるかもわからないけれども、それだけにやはり知恵を絞り、対応を考えて、出すべき結論であると私は思っております。  なお、今国連中心主義と言いながら、ややもすると安保理を中心とする国連の対応というのがどうしても前面に出てくるわけですね。世界はおさまらない、地域紛争は続発する、民族的あるいは宗教的な混乱が続いていく、したがって安保理が機能しなければならぬということで、どうしても安保理中心になるわけでありますが、申すまでもありませんけれども、国連というのはいろいろな組織をその下に持っておるわけですね。それはもう一々挙げるまでもないところでございます。  私どもが戦後、本当に今日に至るまでに、夢を託し、あるいはともにやってきた仕事というのはいっぱいあるわけですね、例えばFAO、国際連合食糧農業機関であるとかあるいはユネスコとか。本当にユネスコというのに我々は日本の戦後の夢を託したことがありますよね。こういうものがいっぱいある。あるいはもっと実利的なものでは国際電気通信連合、ITUなどというものもある。  したがって、私は、普通の国とかなんとかという用語が今はやっていますけれども、それとまた違った意味で、日本日本というまた特徴のある国家の道を国際的に歩く必要があると思うのですよ。そういう意味では、安保理もさることながら、こういうような国連の専門機関、この中に入っていって、そして、日本の持っておる力をこの中で発揮しながら、平和の使いというか、平和の担い手としての貢献の仕方というのがもっと盛り上がってきて、国民の共感を得ながら進められるべき課題ではないかと私は思います。安保理、安保理ということで、安保理の方にいささか比重が傾き過ぎておる。こちらの方をもっとしっかりやって、なるほど日本というのは違うなというふうな対応を見せる必要があると私は思いますが、大臣所見を承っておきたいと思います。簡明にお願いします。
  36. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 虎島先生御説のとおりでありまして、今挙げられましたユネスコ以外にも、例えばUNHCR、国連難民機関、ここには諸方さんが高等弁務官として御活躍でございます。また、世界保健機構という、世界の健康、保健に重要な役割を果たしているWHOでは中島事務局長が活躍していただいているわけでございます。また、明石代表も、カンボジアのUNTACの後、ボスニア・ヘルツェゴビナで御活躍でございますし、また、リオで行われました国連環境開発会議でも、我が国は、宮澤総理こそおいでになれませんでしたけれども、環境の面では指導的な役割を果たしております。また、国連軍縮会議でも、広島で開くなど努力をいたしているわけでございまして、多面的な努力をしていることを、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  37. 虎島和夫

    虎島委員 実は私は長崎県の出身であります。長崎県というのは朝鮮半島と境を接しております。長崎県の一番北の島、対馬からは、晴れた日には釜山の灯が見える。五十キロ足らずでありますからね。しかも、その対馬の南には壱岐があります。壱岐の南には佐賀があり、福岡県があるわけです。まさに魏志倭人伝に言う、あの卑弥呼の国への道になるわけであります。そういうところでありますから、現在の朝鮮半島の緊張というのが、今から対話という方向にいくのかあるいは対決に向かうのか、我々は、私は少なくとも、皆さんと一緒に対話の実りあるものを期待するわけであります。  いずれにしても、先ほど個々の在外公館等の危機管理について申し上げましたが、我々は危機管理については非常にぬるいところを持っておる。そういう意味では、長崎県民とか佐賀、福岡、北九州の人方は、大変な緊張感の中に今あるのもまた事実であります。それらを見ますときに、現在の危機管理体制というのは、いろいろ承ってみても、考えるべきところがまだまだいっぱいあるわけです。  ただ、一つここで承っておきます。我々は、ややともすると危機管理体制の中で自衛隊の活動を表に出してきますけれども、実は本当は、第一線と申しますか、まず初動行動というのは海上保安庁が起こす部分が非常に大きいわけですね。しかも、いざとなれば、海上保安庁は防衛庁長官の指揮下に入るというような大変な責任と義務を負うておるわけであります。そういう意味では、海上保安庁の監視・警戒体制の強化というのが、承ってみてもまだまだ問題があるように思うわけです。  したがって、一つだけ承っておきます。大規模な騒乱状態というか、あるいは災害でも何でもいいのですが、不幸にして日本の海岸地帯で起こったあるいは沿岸で起こったというときには、どのような緊急出動体制というのを海上保安庁は考えていらっしゃるのか、どのような、例えば第一警戒態勢、第二警戒態勢というようなものをちゃんとつくって、そして、それぞれの状況に応じて対応をするようになっておるのか、そこのところを少し、有事即応体制について最後に聞かせていただきたいと思うわけであります。
  38. 山下邦勝

    山下説明員 先生よく御承知のとおり、海上保安庁はまさしく常日ごろから、今御指摘ございました海上における騒乱でございますとか大規模な災害、こういったものが発生した場合に備えまして、即時に対応ができるような体制を整備しておるところでございます。  ただ、非常に規模が大きくなりますと、そこの海域におります船や飛行機、こういったものだけでは足りない場合がございます。そういう場合には、巡視船艇でございますとか航空機を集中的に投入できるように、常日ごろからそういった体制を組んでおるところでございまして、それぞれの規模に応じまして、どれだけのものを投入していくか、いろいろな想定した案も考えながら進めておるところでございます。
  39. 虎島和夫

    虎島委員 時間が参りましたので、終わります。時間があればもう少し意見を申し上げたかったのですけれども、海上保安庁はその辺の、大規模な騒乱あるいは暴動等に対する対応システムがまだ確立されておらないように私は思っております。このことを早急に整備する必要があるというのが一つ。  もう一つは、絶対的に巡視船艇等の整備状況が悪い、足らない。そしてまた、武器使用についても、警職法に準ずるとなっておりますけれども、これも余り職員の身の保全、その他を守るための措置としては非常に不活発と申しますか、適用が十分でない。これらについては、なお研究課題としてあえて申し上げておきますので、今後保安庁においては十分な対応をされるように要望いたして、終わりたいと思います。  以上です。
  40. 田中恒利

  41. 上原康助

    上原委員 随分久しぶりに質問をするようになったので、どういう展開なのかわかりませんが、まだ、与党なのか野党に徹し切れるのか、頭の整理ができていないところもあるかと思うのですが、ただ、最近の目まぐるしく変化、変動する国際社会の状況に対して、日本外交が的確に対応しているのかどうかという疑問を強く持っている一人です。  柿澤新外相、御熱心にやっていらっしゃることは多としながらも、朝鮮半島をめぐる、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国、まあこれからは北朝鮮と言わせていただきますが、あの核開発をめぐる問題にしても日本外交の顔が見えない。絶えず米韓あるいは米朝に先を越されておる感を否めないですね。そういうこともありますので少しく質問をしてみたい気持ちになりましたから、大臣初め関係者の御答弁も簡潔にお願いをしたいと思います。  そこで本論に、本論というかその前に、この在外公館にかかわる法案について一、二点だけお尋ねをしておきます。  先ほど虎島先生からもいろいろ御指摘があったのですが、私もかつて内閣委員会あるいは外務委員会でこの種のことを取り上げたことがあるのですが、余りかわりばえしていませんね、在外公館設置の条件とかいろいろのこれまでの外務省なり政府のやり方を見ると。  一つは、別に外務省の肩入れをしようとは思いませんが、協力できるところはやりますけれども、もう従来のようなスクラップ・アンド・ビル・ドのやり方というのはそろそろ変えてもいいのじゃないかという気がしてなりません。もちろんその面では、先ほど冒頭申し上げたように、しっかりした在外勤務あるいはいい意味情報収集等々をやらなければいかないことは当然ですが、行政改革とのかかわりもあって困難な面もあることはわかるけれども、そこいらの点はもう少し総務庁なり、もちろん主体は外務省でやらにゃいかないのだが、政府全体としてそのあり方を再検討をして、必要なものはスクラップしないでも設置をするというぐらいのことをやらにゃいかない段階に来ているのじゃないかと思ったりするのですが、その点の御見解を聞いておきたいと思います。
  42. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先ほど虎島先生にもお答えいたしましたように、国際情勢の変動の中で我が国の安全を守るためには、外交機能の強化が非常に大事だと考えております。上原先生にも日ごろからその点ではいろいろと御助言をいただいていることをこの機会に心から感謝を申し上げます。  その意味で、着実に在外公館等の強化充実に努めてきておるわけでございますが、先生大臣をお務めになられて御経験のとおり、財政の枠の中で全体としてのバランスを考えながらやっていかなければならない、この悩みもあるわけでございます。また、その意味では、外務省全体としてはスクラップ・アンド・ビルドの原則にとらわれずに、必要に応じて充実ができるよう我々としても財政当局や行政管理当局に働きかけをしてまいりたいと思っておりますが、一方では、国民の中には行政機構の簡素化を求める声もあるわけでございます。  高齢化社会を迎えて財政需要がふえてまいります。そういう意味では、政府全体としてどこにウエートを置いていくのかという意味での政府全体としての見直しというのが大事なのではないか。その中では、外交機能充実組織拡充はもちろん効率的にやらなければなりませんけれども、優先順位の非常に高いものだというふうに私ども考えておりますので、ぜひとも今後とも御支援のほどをお願いをいたしたいと思います。
  43. 上原康助

    上原委員 困難な面があるというのは先ほど申し上げたとおりで、しかし外務省として、あるいは政府全体として、ボーダーレス社会における、時代における在外公館の陣容とかあり方というものについてよく検討してみる段階、時期にあるということ。国会対策というか、国会周辺にたくさんだむろするよりは、資格要件がいろいろあるかしらぬが、もう少しそういう者を外に送った方がいいですよ、あなた。そんな感じもしますね。まあ努力なさると言っているんですから、この点は後ほどの附帯決議にかなりいろいろ盛られているようですから、ぜひそれが実現できるようにやっていただきたいということを要望しておきます。  もう一つは、在外公館の、せんだっても非常に不幸な事件がありましたね、そういう治安の問題とか、特に経済状況あるいは治安環境、また医療等のおくれたというか、発展的な途上国にある地域においての勤務というのはへそれは日本生活したり勤務するのとははかり知れないいろいろな苦労がやはり伴うと思うのですね。そういう面については、外務省だからどうこう言うのでなくして、ぜひひとつ実態に見合うように、かつ外交官としてのいい意味のプライドと、仕事が滞在国あるいは関係諸国と対等、平等に遂行できるような環境整備、公館を含めて、住宅問題を含めてやるべきだと思うので、そういう点についてもさらに努力をしていただきたいということが一つ。  さらに、先ほどもありましたが、やはり日本との関係をより緊密化し健全化していく、交流を深めていくという意味でも現地職員の採用を、それは資格とかいろいろあるでしょうが、能力の問題もあるでしょうが、そういう面についてももっと配慮していいのじゃないのか。できるだけ現地の方々を活用していくということもやれば外交の面においても理解は深まっていく、こういう二点についても後ほどの附帯決議にいろいろあるようですが、ちょっと御見解を聞かしておいていただきたいと存じます。
  44. 池田維

    池田政府委員 ただいま上原先生からいろいろ御指摘いただきましたけれども外務省在外公館機能を全体的にどういうように強化し充実させていくかということで引き続き私ども努力はいたしております。  まず一つ、治安警備面でございますけれども、一部の国におきましては治安警備の面において大きな問題を抱えております。例えば最近、不幸にしてブラジルのベレンで我が外務省の職員が災難に遭うという事件が、大変痛ましい事故がございましたが、こういう治安等の問題も含めまして、どういうように警備強化を図っていくかということで、私どもとしては、在外公館全体としての治安強化、それから個々の職員が、それぞれ自分たちが住んでいる場所の中でどういうように環境の十分な保全を図っていくかということが重要だと考えておりまして、その面で引き続き努力をしていきたいというように考えております。  それから現地職員の採用の面でございますけれども、私ども在外公館での仕事をより充実し機能強化を図っていくためには、どうしてもその現地職員の補助というものが大切なわけでございます。その面から、我々としてはできるだけ優秀な現地職員を多く採用したいということを考えておりますけれども、これは予算上の制約等もございますので必ずしも簡単なことではございません。しかしながら、最近少しずつ現地職員の定数もふえてきておりますし、質的な面でも向上が図られてきているというように考えております。
  45. 上原康助

    上原委員 各党、そういう案件というか事項については共通した認識を持って、濃淡は幾分あるかもしれませんが、共通認識だと思いますので、ひとつ外務省としても特段の御努力を要望しておきます。  そこで、せっかくの機会ですから、少し北朝鮮の核開発問題あるいは沖縄の基地問題について若干触れてみたいのです。  いろいろ取りざたされてまいりましたが、まだ楽観はいかないかもしれませんが、一時期今にも一触即発のような状況だというようなことでしたが、せんだっての金日成主席と元米大統領カーターさんの会談でいい方向におさまるのじゃないかという期待感が、関係諸国はもちろんですが、各国にあるのは間違いないと思いますね。  そこで、大臣に端的にお尋ねしたいわけですが、いわゆる金日成主席とカーター元大統領の、米朝トップ会談と言わせていただいていいと思うのですが、この会談について、日本側はそのような重要会談が持たれるということを事前に何らかの形でキャッチしておったのかどうか。  外務大臣が忙しい中で韓国へ行ったり中国に飛んだわけだから、少なくとも何らかのあれがないと、感触なりそういう動きがあるということをキャッチしないということになると、日本外務省というのは一体どの程度この種の重要な外交案件について、水面下でやっていること、あるいはただ表の、マスコミ報道で報じられているようなことだけでなくして、外交というのは、やはり深く潜行しつつ問題解決に当事国は当たっているわけで、そこが冒頭申し上げた日本外交の顔がなかなか見えない。大変遺憾に思うんですね、その点は。そこいらの御認識は、外務大臣なり官邸を含めてどうだったんですか。
  46. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  カーター元大統領の訪朝につきましては、実はずっと前から北朝鮮からカーター元大統領に対して招待があった状態が続いておりまして、六月に入りまして事態が非常に憂慮すべき状況になったのを受けて、カーター元大統領がこの時期にぜひ訪朝したいという意向を固められて、それで米政府とも緊密に連絡をとり出したという時点で、私どもはカーター元大統領の訪朝ということについて内々に知るに至っておりました。
  47. 上原康助

    上原委員 いつもそういう通り一遍の答弁ではいかないんです、あなた。そのぐらいのことは新聞にも書いてある。カーターさんには一昨年から訪朝してもらいたいという要望があったということはわかる。そういうことがあるならば、ではなぜ、もう少し日本側としても  経済制裁、国連の安保理で事を決めればすぐ経済制裁やるとか、あるいは今にも集団的自衛権までも行使をしなければいかないとか、いろいろなことを皆さんは、むしろ危険な方向というか、緊張がもっと深刻化するような方向にしか対応しようとしなかったわけでしょう、政府全体として。これは一々申し上げませんが、外務大臣の発言の経緯をたどればそうなんだ、防衛庁長官を含めて。  北朝鮮に対しても、カーター元大統領まで招いてできるだけ対話と協調路線でやっていこうというそういった動きを皆さんがキャッチしておるならば、私は、この核問題に対する一連の日本側の外交姿勢としてはもう少し変わったニュアンスなりあるいは姿勢というものが出てきておったと思うよ。そんな通り一遍のことを言っちゃ困りますよ、川島さん。外務大臣、それはどうだったの。     〔委員長退席、田口委員長代理着席〕
  48. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 これももう練達の上原先生に申し上げるまでもないことでございますが、北朝鮮が米朝交渉というものを重視して、今まで一年半以上にわたってIAEAとの核査察の問題でやりとりをしてきたことは御承知のとおりでございます。  私どもとしても、朝鮮半島に核兵器が生まれるということは、これは日本に対する直接の脅威になるわけでございますので、この点は重大な関心を表明してまいりました。しかし、日朝国交正常化交渉も、一昨年十一月、北朝鮮側の一方的な退席の中で再開をされないという状態で今日を迎えたわけでございます。しかも、アメリカを初めとする国際社会が一致して求めておりました五メガワット実験炉の燃料棒の引き出しをIAEAの査察なしに強行するという北朝鮮の態度が明確になりまして、私どもは大変危機感、深刻な憂慮をする状況になったわけでございます。  そうした中で、アメリカ、日本韓国が、もしも今後とも査察を受け入れない場合には国連としてどのような措置をとるかということについて相談をしたことも事実でございますし、国連の安保理のメンバー国の間で内々の話し合いが行われたことも事実でございます。  その中には、制裁も含む諸措置も実行すべしという強硬論もありましたが、我が国はあくまでも、措置を決めるにしても、これは北朝鮮を懲罰するのではなく、話し合いの席に北朝鮮を復帰させるための窓口をあけておかなきゃならない、したがって、措置は段階的、漸進的なものでなければならないということを主張してきたわけでございまして、その点では、私どもの話し合い路線、あくまでも話し合い路線でということは終始貫いてきたつもりでございます。  ただ、そうした国際社会の世論、または私の韓国中国への訪問にもお触れになりましたけれども日本韓国が共同してこうした憂慮すべき事態に懸念を分かち合う、そして国連の措置について協力をするという姿勢を示したこと、また、中国の銭其シン外務大臣が、国連における制裁措置が必ずしもこの問題の解決策ではないと消極的な姿勢は示しながらも、しかし、深刻な憂慮すべき事態だということを明言されたこと、また、国連においてもできる限り建設的な役割を果たしたいという発言をされたこと、また、私ども中国に対して、北朝鮮との特殊な友好関係を活用しながら説得の役を果たしていただきたいと言ってお願いしたこと、そうした国際社会の環境の中でカーター元大統領の平壌訪問が行われたために、金日成主席としても、ここでやはり全面対決をすることは避けなければいけないということで、核開発計画の凍結、IAEAの査察の継続というようなことを提言をされたわけでございまして、私どものやってきた努力が、結果的にはカーター元大統領の訪朝で南北対話、そして米朝の会談の再開という方向へ北朝鮮を動かしたということも言えるのでございまして、これは盾の両面といいますか、であったのではないかと思っております。
  49. 上原康助

    上原委員 そんな長々と弁解がましいことを言われてもいけないよ、外務大臣。私が聞いているのは、あなた方はそういう情報をキャッチしておったのかということを端的にお尋ねしている。今の川島審議官の御答弁にしても、外務大臣答弁にしても、それを知っていなかったわけだ。私は、大変失礼な言い方だが、そこに日本の外交の非常な、何というか、弱さがあると言わざるを得ないわけですよ。  皆さんは、何かといえば日米は外交の基軸、もう本当の友達、あるいは何でも話し合える関係だと言ってきたわけでしょう。しかし、重要な場面になるといつでも日本は蚊帳の外ですよ、これ。その点も指摘をしたいわけですね。  なぜ北朝鮮が米朝会談というもの、朝米会談というものをあれだけ強調するかというと、今アメリカと朝鮮は休戦協定なんですよ。朝鮮戦争は終わっていないんだ。休戦なんだ、今、明らかに。そこに核カードというものをあらゆる場面場面に持ち出してやっている。あなたがおっしゃるように、それは関連性、連関がないとは私は言いませんよ。日本側の努力ももちろんそれは作用しているだろう。  しかし、本当の外交の本質というか、これがどう動いているのかということについて、もう少ししっかりした情報と動きというものをキャッチしないと、日本が主体的に、アメリカよりは日本の方が朝鮮とは近いわけでしょう。しかも、過去の歴史もある。どうもそういう面の認識が足りない。足りないというか、ちょっとやはり甘いのじゃないかということを申し上げておきたいし、これからもそういうことはあり得ると思いますね。  そこで、ではカーター・金日成会談というものをどう評価していらっしゃいますか、外務大臣は。
  50. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 カーター・金日成会談によって北朝鮮側が核開発計画の凍結、またIAEAの査察の継続、そして今後の問題になりますが、NPT体制への復帰というようなことを提言されたことは、話し合い解決に向けて前向きの成果であったと思っております。また、南北首脳会談を提言をされ、金泳三大統領も即時無条件で受け入れると言ったことも、これからの朝鮮半島の緊張緩和のために大変前向きのことであったと思います。  あと、具体的には幾つかこれから実務者で詰めなければならない問題が残っている、これはアメリカ側も韓国側も認めているところでございますので、そうした点が順調に話し合いが行われて、このカーター・金日成会談が平和的な解決への第一歩になるということを心から期待をいたしております。
  51. 上原康助

    上原委員 一方において評価はなさる。  そこで、ではこのカーター・金日成会談で合意というか、今後このような方向で核開発問題あるいはその他の案件を、重要な懸案を解決するようにやっていこうということで合意をして、これは大きな前進であり、期待を寄せている。そうしますと、今後の見通しは、日本側としては、日本政府としてはどういうふうに持っておられるのか。  一つは、米政府は国連で進めてきた経済制裁論議を一時的に中断をするということでしょう。これにはいろいろクレームもついている向きもあるようですが、公表されたのはそうです。今おっしゃったように、第三回の次官級協議の開催に関しても、暫定的に合意をしている。あるいは北朝鮮への核兵器不使用を宣言してほしいとする北朝鮮の要求に対しては、米政府は前向きに検討する。もう一つ、あなたの発言とも関連するのだが、軽水炉型原子炉への転換を望む北朝鮮への支援を検討する用意がある、米側は。  こういうことがいろいろ合意をされているというか、これから事務レベルというか、米朝間のそれぞれの外交チャンネルを通して進められていくと思うのですが、こういうことについては外務省日本政府としては、どういうタイムラグというかスピードでやっていくと見て、大きな期待をしているというわけですか。  同時に、この米朝会談でなされたものを成功あらしめるために、日本側として主体的に、アメリカないしは韓国、北朝鮮に対して具体的にどういうアクションを起こすのか。また、中国に対してはどういう協力要請をなさるのか。こういった具体的なものがないといけないでしょう、外交的な動きとして。  言えない面もあるかもしれないが、日本側としても、一衣帯水の関係にある北朝鮮の核開発というのは脅威であることは間違いないですよ。我々もそれを絶対に望まない。そうであるならば、そうさせないための日本の外交努力をどうするかということが今問われているのでしょう。せっかく問題が具体的に出てきたわけだから、それに対して日本側はどういうアクションを起こすの。
  52. 川島裕

    川島政府委員 先に今後の段取りについてお話しいたしたいと思います。  今までのところはカーター元大統領と北朝鮮側のやりとりということでございますので、米政府の姿勢といたしましては、そういうふうにカーター大統領が受けとめた北朝鮮側の意向というものをもう一度外交チャネルで確認する必要があろうというのが基本の姿勢でございます。  それで、第三回の米朝接触でございますけれども、三点確認をした上で、それがそういうことであると確認が北朝鮮側から得られれば、第三回米朝対話に応ずる、こういうことでございます。  具体的には、一つは、五メガワットの実験炉への燃料棒を再び装てんしないこと、それから使用済み燃料棒の再処理を行わないこと、それからIAEAによる保障措置の継続性の維持、この三点をちゃんとやるのであるということを北朝鮮からいま一度外交チャネルを通じまして確認した上で第三回目の米朝協議に臨む、こういうことでございます。  ちょっと補足いたしますと、それから南北対話の方も、カーター元大統領の持ち帰りました成果と申しますか、それを受けてこの二十八日に南北間でもって段取りについて詰めようということで、これは副総理級会談ということを韓国が提案しておるわけでございます。  米朝協議にいつごろ至るかにつきましては、そういう外交チャネル、これは具体的にはニューヨークでございますけれども、北朝鮮側の意向をアメリカが確認でき次第、具体的な米朝協議の日取りがセットされるものだと思っております。  それから、第三回米朝協議というものは、従来から核開発の疑惑を完全に晴らすという方向で北朝鮮が動くのであれば、行く行く米朝正常化を含めて北朝鮮との関係を前に動かそうという、その辺のところを話そうということでずっと準備はしていたのでございますけれども、これまでのところ、例えば、三月に開かれそうになったのが、結局北朝鮮側がIAEAによる査察を一部分拒否しましたもので流れてしまったというようなことで、これまでのところ延び延びになっていたわけです。  位置づけといたしましては、まさにその協議を通じて核開発の疑惑を完璧に北朝鮮が晴らすのであれば、国際社会あるいは米側としては大いに北朝鮮との関係を前に動かす用意があり、そういうやりとりを基本にするということは前から考えられてきたところでございます。
  53. 上原康助

    上原委員 さっき川島さんのことを審議官と言ったが、アジア局長さんだね、それは訂正します。  局長、そういう経過報告を僕は聞いているのじゃないのですよ。せっかくそういう明るい材料が出てきたことについて、日本側としてどうやるのか。やはり今の答弁を聞いても、座して待つという姿勢ですよね。私は、それではいかぬと言うのよ。もちろん、それはすぐできることできないことがあると思いますよ、いろいろ。  やはり日本側としても、あれだけNPTからの脱退問題、IAEAの問題等々、査察問題を含めてやっているわけでしょう。そうであるならば、日本側としては、そういう材料が、明るい見通しが来たときには、北に対しても韓国に対してもアメリカに対しても、即それなりのアクションを起こすのが外交じゃないのか、その用意と姿勢と心構えはどうなのかということを聞いているのですよ。そして見通しは。これは外務大臣
  54. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 今川島アジア局長から御報告いたしましたように、やはりこのカーター・金日成会談での合意、これはカーター元大統領御自身も私人としての資格で行っているということをおっしゃっているわけでございますので、政府レベルで確認されることが大事だと思っております。また、その中で、北朝鮮側が誠意ある態度を示していただくということが大事でございます。これからの核開発計画についての凍結もございますし、従来の放射性施設、核施設の運転歴についても明確にしていただくことが大事ではないか、私どもとしてはそう考えております。  そういう意味で、私どもは常に申し上げておりますのは、日朝交渉の扉は開かれている。その意味で、ぜひともそうした話し合いの席に出てきていただくよう、北朝鮮側にはお訴えをしているところでございます。
  55. 上原康助

    上原委員 どうもお答えになっていませんね。意欲が感じられませんね。  そうしますと、こういう機会をとらえて、中断している日朝会談を再開できるような環境づくりをやるというようなお考えもないわけ。パイプはどうなっているの、今北朝鮮と日本側とのパイプというのは。
  56. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  日朝正常化交渉を実はずうっとやっておりまして、八回まで会談をやったのでございますけれども、一昨年の秋に、李恩恵の問題をめぐりまして北朝鮮側が中断いたしまして、以後中断している次第でございます。  この日朝会談を非常に重視しておりましたのは、国交正常化をいろいろ詰めるということもさることながら、その過程で既に北朝鮮の核開発疑惑というものは大変大きな問題となっておりましたので、これについての日本側の懸念を伝えて、前向きな対応を求めるというか、説得を試みるということが一つの大きな柱になっていたわけでございます。以後、正常化交渉自体は中断しておりますけれども、折に触れて、核開発に対する我が方の立場、懸念というものを伝える努力はしております。  ただ、私どもの得ている印象では、北朝鮮の立場は、一つは、核開発問題というものはそもそもアメリカの捏造である、それからもう一つは、核開発問題は日本とは関係のない問題であるという立場を北朝鮮側が維持してきた次第でございます。  ただ、今般のカーター元大統領の訪朝によって、北朝鮮側が核開発の問題をきれいにしてというか、疑惑を晴らして国際社会に窓を開こうという兆しになるのであれば、これは大変結構なことだと思いますし、私どもとしても、当然のことながら、日朝交渉についてきちんと対応したいと思います。そもそも、私どもとしては、日朝交渉を再開したいと思いながら、向こうが切ってしまって中断しているというのが現状なわけでございます。  それから、日本の立場は核開発の疑惑がきちんと解決されない限り国交正常化はないという立場で臨んでおりましたわけですが、逆に、これを裏返して申せば、仮に北朝鮮側が、国際社会の声にこたえまして、IAEAのいろいろな査察を受け、この疑惑というものがないということをはっきりさせるということになれば、これは日朝正常化は大いに動かせるわけでございますし、正常化の過程でいろいろ北朝鮮にとっても意味のあることを日本としてもなし得るわけでございます。  そこのところは日本としても、米朝交渉の場合は、米朝正常化が行く行く米側としては応じ得るということを立場としてとり得るわけですけれども日本としても、核開発の疑惑さえ解決すれば、これは日朝が大いに前に動き得るという立場、これは従来も表明しておりますし、そういう形で、そのためにもまず核開発の疑惑を北朝鮮が積極的に晴らすように期待するという立場をもう一度明らかにしておく必要があろうかと思います。
  57. 上原康助

    上原委員 今いみじくもお答えがあったように、たしか一昨年の十一月でしょう、第八回目朝会談をやって、それからは途絶えているわけでしょう、中断しているわけでしょう、李恩恵の問題をめぐって。IAEAの問題と核の問題はその後より強く出てきた課題なんですよ。  だから、外務大臣、確かにこれは事務レベルでいろいろチャンネルを通してやらなければいかぬことはあるでしょう、外交だから。しかも国交が正常化していないという大きなハンディがある。それは私だってわかる。素人でもある程度わかる。だがあなたは、カーター・金日成会談というのは、カーターさんは個人の資格で行ったんだからと言うが、しかし日本国民とか国際社会が受けているのは、やはりアメリカ政府の特使としてあれだけ重要な会談に行ったという重みというのは、これはぬぐい得ませんよ。みんなそういうふうに認識していますよ。  そこで僕は、外務大臣の、評価すると言いながら、一方においては、カーターさんは、いや個人で行ったんだからと、それはもう一遍外交チャンネルを通して確かめてみなければ今後の推移はわからぬ、うまくいくかどうか、ということでしょう、あなたの本音というのは。そうであるかもしれないんだが、外交はやってみなければわからぬこともあるけれども、やはりこれだけ世の中が動いて、米朝間が動きつつある。しかもあなた、金日成主席と金泳三大統領が歴史的な会談をするかもしれないんですよ。  そういう状況において、日本としてももう少ししかるべき外交チャンネルを通すのか、あるいは何かのアクションを起こす、それがよくはないですかというのが私の質問なんですよ。事務当局の経過報告を聞いたってこれは意味ないんだ。やはり、ここは動くべきじゃないですか。何らかの行動をやるべきじゃないの。その決意を聞きたい、外務大臣から。
  58. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 外交の問題でございますからすべて御報告するわけにまいりませんが、日本日本なりに努力をいたしておりますし、機会があれば、日本としてもそうした形で前向きの対応をしていきたいと思っております。  ただ、カーターさんが行ったから、南北首脳会談が行われそうだから日本も一緒になってというような姿勢でなく、日本日本の独自の立場でやるというのがやはり一つのそれなりの見識であろうかと思っております。
  59. 上原康助

    上原委員 それはそのとおりだ。だが、そのとおりの成果が出ないといかぬわけでしょう。いつも外交だから明らかにしにくい面があると、それは私だってわかりますよ。だが、うちの方の議員も北朝鮮まで行ったし自民党さんからも行ってはいるけれども、もう少し、首相経験者ぐらい、あるいは隠密にでもいいし、やはり日本にもそれだけの外交チャンネルがあったり、あるいは火中のクリというか、非常に難しい外交問題について積極的に日本が動いて解決をするというような場面があってしかるべきじゃないのか。それがない、結果としてそうなっていないから私はそれをお尋ねするんです。  余りこの問題をやりとりしても何ですが、結局カーターさんが行くということも十分日本側は事前にキャッチしていなかった感を否めない。今のような御答弁では、また何か次も、ああびっくり、こうならざるを得ない面も出てくるかもしれませんよ。  そこでもう一つ確かめておきたいのは、北朝鮮が核開発をしているのかどうかという点はまだクエスチョンマークですね。二個ぐらい核弾頭を持っているんじゃないかということもある。だが核実験した形跡は全くない。中国は持っていないだろうと。ロシアに至っては、とてもじゃないが核開発の段階までは至っていないと。核弾頭をつくれるようなプルトニウムの保存があるからひょっとすると開発しているんじゃないかということですね。アメリカの方も見方は分かれている。日本政府は、北朝鮮は核爆弾というのか、核は開発されて既に核保有国と見ているのか。どうなんですか、そこははっきりしてもらいたい。私はまだその段階ではないと見ている。     〔田口委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 この件は参議院の予算委員会でも議論をされまして、政府として統一見解をきょう出させていただきました。  簡単に申し上げますと、これまでのIAEAによる査察の結果として、北朝鮮が申告された以上のプルトニウムを生産している可能性があるということをIAEAの事務局長ブリクス氏は国連事務総長への手紙で述べていられます。仮にこのプルトニウムが秘匿されているとすれば重大な問題であり、また、秘匿されたプルトニウムが核兵器製造に使用されることがあれば、核不拡散体制に対する重大な挑戦であるのみならず、我が国はもとより北東アジアの安全保障に対する脅威となってくる、したがって、北朝鮮はIAEAによる査察を完全に受け入れることが重要である、こういう考え方でございます。  この趣旨は、核兵器の製造の原料になるプルトニウムが秘匿されているおそれがある、これはIAEAという国際機関が認めているところでございますが、それが核兵器になっているかどうかという点については検証する方法がございません。アメリカ筋等では、なっているという説もございますけれども、我々日本政府としては、ここは判断できる材料を持ち合わせていないというのが実情でございますが、もしそれが核兵器製造につながるようであれば深刻な問題になるというのが今の我々の考え方でございます。
  61. 上原康助

    上原委員 きょう参議院で北朝鮮の核兵器疑惑にかかわる問題に関する政府統一見解というのが出ている。非常に抽象的です。私もこれを見た。さっきニュースでやっていたから取り寄せてみた。そういった事実関係についてはっきりした根拠もない。まあだんだん明らかになってくると思うのですがね。  きょうは、いろいろ防衛とかそういう外交問題、朝鮮半島をめぐる情勢についてまで触れ得ませんけれども、要するにまだはっきりした根拠もない、それだけの疑惑が持たれているという段階で、オオカミ少年みたいに、今にも朝鮮半島がもう火の海になるよと言って危機感をあおって、いろいろの有事体制であるとか、あるいは集団的自衛権の問題を持ち出すとか、今のような憲法ではこれはどうにもうまくいかぬから、憲法解釈も変えるべきだとか、そういうことを強調するから与野党の議論もかみ合わない、日本の外交というのが絶えずおくれをとるということにもなっていると思うのです。  私は、そういう非生産的な議論というのはそろそろお互いやめて、国会の場でも問題の本質に触れるような議論をやらなければいかないと思うのですね。それは政府にも重大な問題があるということを僕は指摘をしておきたいと思うのです。  ここは柿澤さん、知らぬ仲でもないからこれまでの御発言についてはとやかく一々は申し上げませんけれども、どうでしょうかね、さっき申し上げたように、もっと外交というものの基本をしっかりと踏まえて日本の国益というか国民の気持ちというものを反映させていく、そういう上でどうしても国連の場での討議を通して我が国が一定の協力あるいは関与をしなければいかないということについては、国会なりで議論をし、国民にもその内容を明らかにしてやっていくということをやらないといかないのじゃないかと思うのですね。核開発の疑惑は持たれているけれども、本当にそれを外交カードとして使っているのか、あるいは実際に核保有国というところまできているのかどうかは、はっきりしたことはわからないのだよ。そういう面も日朝間の対話がなければできないじゃないですか。  改めて大臣の見解をお伺いしておきますが、それはこの機をとらえてすぐ、アメリカがやったから日本もというのはいかにも拙速であるとか、日本にもプライドもあるだろうし、いろいろあるでしょう、メンツもあるかもしらぬから。そこまでは言わぬけれども、しかし何らかの形で日朝会談を持つように努力をすることは私は必要だと思うのですが、その点は外務大臣としてはどういう御見解をお持ちか。
  62. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 そうした努力をすることは大事なことだと思っておりますし、その点で上原先生の御提言も念頭に置いてこれから努力をいたしたいと思います。
  63. 上原康助

    上原委員 いろいろあるでしょうが、我が国が歴史的に朝鮮半島に大変迷惑をかけたということ、あるいは日本にたくさんの朝鮮の方々がいらっしゃる、もちろん韓国を含めてですが、そういうようなことを考えると、アメリカ以上に日本は神経を使いながら国交の正常化ということをぜひやらなければいかないと思いますよ。  それとの関連で、一つだけ気になるのは、外務大臣はこだわりを持っておられるようですが、北朝鮮の過去の核疑惑解消がはっきりしないと、日朝会談もそうかもしれませんが、米朝の協議がなされて、軽水炉の問題とか経済的な援助というものをアメリカなりあるいは北朝鮮から要望されても、過去の核開発があったのか、どのくらいプルトニウムを貯蔵しているのか、そういうものがはっきりしない限りだめだということをおっしゃっているんだよ。  南北含めて朝鮮半島を、核開発させない、核保有国にならない、非核地帯にするということが日本にとっては一番大事でしょう。そういう広い意味で、包括的というか、過去にこだわるということじゃありませんけれども、それこそ未来志向でやってもいいのだと私は思うのです。過去のことがはっきりしなければ日本側は協力ができないようなことをなぜ繰り返しおっしゃっておられるのか、もう少し真意を明らかにしていただきたい−し、今申し上げたような未来志向型でやっていいんじゃないかと私は思うのですが、いかがです−か。
  64. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私どもも未来志向でやるべきだと思っております。そうした中で、包括的に、従来の核施設の運転歴が明確になり、そしてプルトニウムが秘匿されていることがないということが明確になれば、我が国としてもいろいろな形で北朝鮮に対する協力もできる、そして支援の手も差し伸べることができると思っております。  ただ、先ほど来上原先生の御発言を伺いまして一つだけ気になりますのは、疑惑だからいいじゃないか、疑惑がある場合、疑惑なら許せるかどうかということでございます。  もしも疑惑が事実であり、そして、今それが核兵器の生産に結びつくようなことがあった場合には、アメリカはそれによって直接的に脅威を受けることは少ないと思いますけれども韓国、そして日本が射程距離に入るようなミサイルを先方が開発していることもほぼ事実でございますので、たとえ一つであっても二つであっても核兵器ができるということは、我が国にとっては、我が国の国民の生命にかかわる深刻な事態になるわけでございますので、疑惑だからいいじゃないかという形で放置するわけにはいかない。何としてもその疑惑は晴らしていただきたい。そして日本国民が安心して暮らせるような、そしておつき合いできるような北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国になっていただきたい。  そうなれば私どもとしても、先ほど先生がお話しのように、戦前における植民地支配のいろいろな御苦労をかけているわけですから、それについて誠心誠意御協力をすることはやぶさかでないというのが私どもの考え方でございますが、疑惑だからそんなに取り上げる必要はないという点だけは、それでは国の安全が守れないということで私どもは懸念をいたしております。
  65. 上原康助

    上原委員 それはまたちょっと大臣の誤解だ。私は疑惑だからいいじゃなくて、あなた、いいことおっしゃった、今これから僕が質問しようとすることを。  もう時間がないけれども、疑惑があれば絶対それはだめだと私は言うんだよ。沖縄の核は疑惑を持たれているから、それを取り除いてくれよ。あなた、今いいこと言った。私は、疑惑だからそれはいいと言っていないのですよ。やはり北朝鮮だろうが南だろうが、朝鮮半島に核が開発されたり核保有国になるというのは、これは日本としては将来に対しても大変な脅威です。その点は共通しているのです。  しかし言うのは、経済的な問題などいろいろあるのだけれども、疑惑を晴らす意味でも、日本側としてできるものについてはテーブルをつくって、その上で疑惑を晴らしながら、我々もこういうふうにやっていきますよと言うことが相手も気がほぐれてくるんじゃないですか、そこを言ったのであって、何も疑惑だからいいということじゃない。だから、疑惑を晴らしてくださいよ。  もう時間が三分ぐらいしかないから、そこで、あなたの言う疑惑を晴らす問題をこれから提起するからね。  沖縄の核持ち込み疑惑の問題、これは、御承知のように、最近、元京都産業大学教授の若泉先生の「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という文芸春秋社から発行した本がありますね。それが出てから、衆参の予算委員会あるいは本会議などでも取り上げられておったのだが、ちょっと余りにも本質的な問題、議論になっていない点が残念なんだ。  私は、一九七〇年、ちょうど沖縄返還のときからこの問題をやってきたからよくわかる。やはり疑惑はあるよね。疑惑はある。核抜き本土並みじゃない。しかも、有事の場合は、沖縄を含む日本全体にそれを持ち込む何かの合意が日米間でなされていると私は見ている。この点は、いみじくもあなたがおっしゃったように、疑惑を晴らさなければいかぬですよ、二十年来の疑惑は。だから、これまで羽田総理や外務大臣等の国会答弁を聞いてみますと、いや、一私人の回顧録だから問題にならぬと言っておられるのだが、実態はどう認識をしておられるのか、もう一遍聞いておきましょう。
  66. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私どもは、佐藤総理以来、歴代の総理大臣が国会の公式の場においてそうした密約は存在しない、核持ち込みはないということを明言いたしておりますので、その方針が従来の日本政府の継続した方針であったということを信じております。
  67. 上原康助

    上原委員 もうそのお答えはたくさん聞いたし、それだけ聞いても沖縄県民も国民も納得しないよね。疑惑は晴れない。  そこで、そうおっしゃいますけれども、それじゃ羽田総理の、日本は核開発の能力はあるがやらないだけだとか、あるいは、さっきもおっしゃっておったのだが、外務大臣の見解とは違うが、街頭だから総理は気軽におっしゃったかもしらぬけれども、いや、北朝鮮は核は持っていないよ、持つ意思もないよと言って今物議を醸しているわけでしょう。諸外国は、日本は核保有国と思っている国だって人々だってあるのですよ。  だから、特に核の問題というのはそれほど、あなた方がそんな密約はありませんと言って済ませるようなことじゃないのです。しかも、最近のいろいろな動き等を見ますと、北朝鮮のノドンとかいうミサイルの開発は沖縄と日本を対象にしているという米側の報道さえあるのだよ。核がある、あれだけの軍事基地があるということについては、やはり余計に県民は不安を持ちますよ。あなたがそこまでおっしゃるなら、日本は、有事の場合だって日本にある米軍基地に核持ち込みはさせないということを日米間で改めて確認できますか。その御意思はありますか。
  68. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 日本政府は、そうした場合には常にノーということを明確にいたしておりますし、それは自民党内閣から細川内閣、そして羽田内閣と引き継がれてきた方針だと理解をいたしております。
  69. 上原康助

    上原委員 それは、今までそういうことをおっしゃっておったから、それをもう一遍再確認するかということを聞いておるのです。  それで、そのお答えでは納得いきませんが、じゃ私の方から具体的に、ちょっと一分ぐらいかりて、沖縄国会のときに私がいろいろ指摘をしたことをひっくり返してきのうからもう一遍やってみた。じゃ、まずこっちから提案する。  嘉手納弾薬庫にある四〇〇九、四〇一四、四〇四四、それと辺野古弾薬庫の一〇九七、一〇六〇でしたかね、そこを外交ルートを通して正式に立入調査を要求いたしたいのですが、見せますか。あなた方がそんなに、核はないとか言っても、確かにメースBのランチャーは撤去した、だがここは、今僕が指摘をした弾薬庫の施設は残っているのですよ。それを現地調査させますか。
  70. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 先ほど来大臣からお答え申し上げておりますとおり、私どもはいわゆる密約というものが存在しているとは考えておらないということでございまして、沖縄返還に際しますところの核兵器にかかわる問題というのは、先生御承知のとおり、一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明、あるいは一九七二年の沖縄返還に際しますところの福田外務大臣あてロジャーズ国務長官の書簡によって核抜きというものが履行された、こういうことで極めて明確になっていると考えている次第でございます。  したがいまして、先生ただいまおっしゃいました嘉手納あるいは辺野古の特定の場所につきまして、私恐縮ながら存じておりませんが、今申し上げました政府の立場でございますので、先生のおっしゃいます施設を調査する必要があるというふうには政府としては考えていない次第でございます。
  71. 上原康助

    上原委員 もうほかの方に迷惑になってもいけませんからやめますが、疑惑は晴れないのですよ、外務大臣。あなたがおっしゃった、疑惑は晴らしてください。僕は改めて、政府が調査しなければ私に調査させてください。  もう一遍言いますよ。辺野古の一〇九七と一〇六〇、いいですか、これは間違いなく核兵器、核弾頭の貯蔵庫なんだ。それをあなた方がやらないと言ったら、私が国政調査権に基づいてそこがどうなっているか調べる。嘉手納の弾薬庫四〇〇九、四〇一一、四〇一二、四〇一四、四〇一七、皆さんが、核は有事の場合も持ち込ませない、あるいは現在もないという確証があるとするならば、国政調査権に基づいてその施設を調査したい。  これについて、私はきょうここで正式に申し上げたから、外務大臣がいみじくも言ったように、疑惑を晴らすためにはぜひ御検討をいただきたいと思います。改めて大臣答弁を求めておきます。
  72. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 日米安全保障条約は日本の安全にとって基軸的な関係でございます。この点については、社会党も参加されました連立与党合意でも堅持をする、維持するということが明確になっているわけでございまして、その日米の信頼関係に基づいてこの日米安保条約を運用していくことが大事であろうかと思っております。
  73. 上原康助

    上原委員 もう終わりますが、答えにならぬよ、それは。ぜひ検討して、立入調査をさせてください。疑惑は晴れないんじゃないですか。あなたが言ったんだ、疑惑は晴らさなければと。だから、やはり口は災いのもとというのだな。  終わります。
  74. 田中恒利

  75. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党を代表して、質問いたします。  最初に、法案について一言だけお聞きしておきたいと思います。  エンカルナシオン領事館を廃止するということになっておりますけれども、ここには日本から大豆の栽培などで入植した日系人など二千七百人余りが在留していると聞いております。廃止することに伴って、これらの日系人などが不便を受けないようにどのような措置をとられるのか、私も確認をしておきたいと思います。
  76. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 今後も移住者の皆様方に不便をかけないように、我々としても現地事務所を維持する等最大の努力をいたしたいと思っております。
  77. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 領事館を廃止しても行政サービスをちゃんと確保して、在留邦人に負担をかけないように、確実に実行することを望んでおきたいと思います。  きょうは、せっかくの機会ですから、北朝鮮の核疑惑問題について若干質問をしたいと思います。  アメリカのカーター元大統領の北朝鮮訪問で若干事態は新しい方向に動いているという感じもいたしますけれども、客観的に見れば、アメリカは対話を北朝鮮との間に開きながら、同時に、必要な場合には経済制裁等々もやっていけるという、言ってみれば両にらみの体制を引き続きとっているというふうに見るべきであろうと思います。  これに対する日本側の対応も、今の議論も聞いてまいりましたけれども、アメリカと北朝鮮との対話を見守りながら、同時に、経済制裁等々の問題についても引き続き準備は続けていくということになるのではないかと思いますが、そういうことでよろしいですか。
  78. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 カーター元大統領と金日成主席の会談、またそこでの合意というものが外交チャネルを通じて明確化され、それが将来にわたっての建設的な一歩になることを我々は心から期待をいたしております。  それと同時に、従来一年半にわたってのいろいろないきさつを考えますと、その点で、IAEAによる査察の維持もしくはNPT体制への完全な復帰というものが保証されない事態も懸念をされますので、そのときにはやはり国連において何らかの措置をとらなければならない。その点についても、日本は国連の安保理のメンバーではございませんけれども、アメリカを初めとする安保理のメンバーと引き続き協議をしていかなければならないと思っております。
  79. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その制裁の問題については、準備は今どんなところまでやっているのですか。
  80. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先般、日米韓で協議をいたしましたが、そのとき以来、特に私どもとしては準備をいたしているわけではありません。国連の方も、国連の安保理のメンバーの協議に任されているという状況でございます。
  81. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 実際に新聞に伝えられるところによりますと、政府は制裁の問題についていろいろ準備を進めてきているということが繰り返し報道されてまいりましたし、それからまた、何よりも、これまでの日本とアメリカ政府との関係においては制裁の問題がいつでも突出した問題になっていたというふうに私は感じるのですけれども、そうではありませんか。
  82. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 日米韓の協議の中でも、従来の湾岸のとき、その他国連における制裁措置の前例等を考えながら、どのような手段があり得るか、措置があり得るかということは議論をされておりますが、その中でどれを選択するかについてはまだ決定をしているわけでもございませんし、それぞれによって我々の対応も違ってくるわけでございますので、明確な形での結論が出るまでには至っておりません。
  83. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 制裁の問題については、国会で聞かれるといつも、先走ったことになるので答えは差し控えるという決まり切った答弁が出てきます。  今も具体的なことは何も考えていないのだということを言っているのですけれども、しかし、振り返ってみますと、二月の細川・クリントン会談、このときはまだ柿澤さんは外務大臣じゃないから柿澤さんに聞いてもしようがないですけれども、細川・クリントン会談でも制裁という問題が出て、細川さんは明確に、制裁が出てくれば日本は法令の範囲内で協力するんだということをはっきり言っていますし、三月には日米安保閣僚会議ですか、これにクリストファー国務長官が来た際にも、外務大臣も参加して、制裁が出てきたら協力すると言っておりますし、四月には、ペリー国防長官が来日した折に当時の羽田外務大臣が会談をして、やはり制裁になれば協力するんだということをずっと言ってきたと思うのです。これは柿澤さんに聞いてもしようがないのですが、外務省のどなたか、間違いないと思うのですが、どうですか。
  84. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  日米韓を中心といたしまして、国際社会の大きな懸念がこの北朝鮮の核開発疑惑であるわけでございます。これまで約一年半の間、米朝あるいはIAEAと北朝鮮の間、さらには南北間の南北会談という形で対話による解決の努力が積み重ねられてきたわけでございます。先生も御承知のとおり、残念ながら、これまで北朝鮮側がIAEAの査察を十分に履行することなく、何回かIAEAの査察がうまくいかなかったという事態があったわけでございます。  現在までも、対話によって解決すべきであるということにつきましては国際社会において合意があるわけでございますが、ただ、これまで北朝鮮側が重ねてまいりました保障措置に対する非協力的な態度ということもございましたので、それではやはり何らかの圧力を国連を通じてかける必要もあるのではないかという観点から、場合によっては制裁というものも必要になるかもしれないということでいろいろな機会に制裁の問題が議論されてきたのは事実でございます。  ただ、その間におきましても、この制裁というものは、仮にこれを科するといたしましても、これは何も北朝鮮を懲罰するというようなことではなくて、その目的は、あくまでも北朝鮮に反省してもらい、態度を変えてもらってNPT体制に完全に復帰してもらう、そしてIAEAの査察を完全履行してもらう、そのための一つの手段としてそういうことも検討してきたということでございます。
  85. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、二月の会談でも三月の会談でもそして四月の会談でも、制裁ということは問題になってきたんだということは今確認されたことだと思います。  そこで、北朝鮮を懲罰する意図がないとかなんとかということは、それはそれとして当然あるわけですが、同時に、これはこちら側からの意図だけが通るわけじゃないですから、経済制裁をやっていけばこれが戦争につながってくるということも当然あるわけでありまして、そういう問題に日本政府がアメリカとの会談などの中ではコミットしていたということは事実だと思うのです。  そして連立政権のあの確認事項の中でも、この朝鮮の問題では、近隣諸国と共同して粘り強く協議を行うということを受けて、その次に、いずれにせよ国連の方針が決定したらそれに従うし、そうでない場合でも日韓、日米の間で緊密に連絡して必要なことをやるという合意ができているわけでありまして、これまでの日本政府の対応の基本的な筋道というのは、制裁という方向にいつでも向かおうということだったと思うのです。  今お聞きしたのは柿澤外務大臣就任以前の問題ですが、柿澤さんが就任されて以降の問題としてこういう問題があります。  今答弁なさった柳井さんが六月の初めにアメリカに行きましたけれども、その前に、これは新聞報道ですが、斉藤外務事務次官はこう言ったというのです。日本としてはまず非難決議の採択を求めて時間を稼ぐ方針だが、米国はいきなり経済制裁に同調しろと言ってくるかもしれない。そのときは同調するようにと指示して柳井局長をワシントンに派遣した。  日本方針としてはいきなり制裁じゃないんだけれども、アメリカが制裁と言ってきたら同調しろ、アメリカの言いなりになるような方針を指示したというのですが、この点、柿澤さんいかがですか。
  86. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  私は六月三日、四日両日、ワシントンにおきまして、この日米韓の協議に出席してまいりました。そのときの協議の内容でございますけれども、これは決議案をそこで固めるとか、あるいは制裁の内容を合意するというものではございませんで、その当時、その時点におきまして、IAEAがその直前に国連に報告を提出したわけでございます。それによりますと、特に五メガワットの実験炉の燃料棒をIAEAが要請したような形でなく、そういう方式でなく北朝鮮側が取り出してしまったために過去の運転歴を検証することができなくなった、非常に難しくなったという状況が生じたわけでございます。  そこで、そういうような事態を踏まえまして、今後安保理におきまして緊急に制裁を含む適切な対応を検討することが必要であるという認識で一致したわけでございます。また、今後も対応に当たりまして緊密に協議していくということについても合意したわけでございます。  先ほど申し上げましたように、この協議の性格というものはそういうものでございまして、いろいろな事態、特に安保理でどういう対応をしたらいいかということにつきまして制裁を含めてどういう措置があり得るか、また、それぞれの措置についてどういう影響があり得るかというようなことを協議したわけでございます。  我が国といたしましては、できるだけ対話ということで解決をいたしたい。また、仮に制裁を科する場合にも、段階的にあるいは漸進的に科するというのがいいのではないかという意見を言いましたし、私も出発に当たりまして、できるだけそのような方向で意見を言うようにという指示をいただいて行ったわけでございます。  ただ、何分国際的な協議でございますからその場でいろいろな意見が出たのは事実でございますが、そこで何らかアメリカの方針をそのまま受けろというような、そういう方針で臨んだわけではございませんで、そこであくまでも日米韓の三者間で考え方を交換し、意見を交換し、すり合わせるということをしたわけでございます。
  87. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、この新聞報道によりますと、斉藤事務次官は、まず非難決議の採択ということで時間を稼ぐ方針だけれども、経済制裁と言ってきたら同調しろと言った、指示したんだと言っていて、実際にあなたが行ってそこで論議になったことは、経済制裁の問題が具体的に論議になったということだと思うのです。  新聞でもいろいろ報道をされています。柳井局長はこういうことを説明した。送金停止、輸出入の禁止、文化、スポーツ、科学技術交流の制限、航空機乗り入れの拒否など、政府が取りまとめた十項目の措置を例示し、これらは現行法で可能との見解を示したということも報道されていますし、それからまた、柳井さん自身も、ある会合に帰ってこられてから出て、日本政府として北朝鮮への送金停止に応じられるとの意思を表明してきたというふうに語っている。事実ですね。
  88. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 先ほど御説明いたしました日米韓の協議では、確かに制裁の可能性も念頭に置きまして、その制裁を行う場合にどういう要素があり得るか、どういう措置があり得るかということについても意見交換をしたのは事実でございます。  ただ、その協議内容の詳細につきましては、これは対外的ないろいろなはね返り、影響もございますので、またこういう協議の性格といたしまして、参加者の間の合意によりましてこれは対外的には明らかにすることは差し控えようということになったわけでございます。  十項目というような新聞報道があったのも事実でございますが、私はそういう申し合わせに基づきまして、ワシントンの出張から帰りました後もこの具体的な内容は明らかにしておりません。  ただ、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、これまで日米韓三国ともいろいろな場合に国連の決議に基づいて制裁を科してきた経験がございますので、そういう観点から、どういう国内法があるか、あるいはどういう問題があるかというようなことについて意見交換をしたのも事実でございます。  ただ、今後、安保理においてどういう制裁が決定されるのか、されないのかということは、これは安保理の決定することでございますから、したがいまして、どういう制裁をする、あるいはどういう制裁なら我が国として行うというようなことまで御説明したものではございません。あくまでも過去の事例に基づいていろいろな問題点なり可能性なりを申し上げたものでございます。
  89. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 ちょっと補足させていただきます。  事実関係は今柳井局長が申し述べたとおりでございますが、日本政府としては、その新聞報道、今先生が読み上げられたとおりだとすれば、そうした具体的な項目を提案したという事実は全くございません。  日本政府の姿勢としては、あくまでも段階的、漸進的なものであり、そして懲罰的な性格のものではなく、対話のために北朝鮮に窓口を開いたものでなければならない、そういう基本的な姿勢を伝えたわけでございます。
  90. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 送金停止はやれるのだということは、ちゃんと柳井さん自身がしゃべっておられることが新聞で報道されているのですよ。これは言ったのでしょう。
  91. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 先ほども申し上げましたように、従来からそのような措置をとったことがございますので、我が国の法制上の問題として、そういうことは法律上可能であるということを言ったのは事実でございます。
  92. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 例えばその後、十三日の参議院予算委員会での我が党の上田耕一郎議員の質問に対しても、政府は、先走ったことになるので制裁の問題については一切お答えしませんと言っているのですけれども、実際にはそういうことをやって、しかも柳井さん、日本に帰ってちゃんとしゃべっておられるのですよ。テレビでもそういうことは報道されている。国会では全然報告されないけれども、そういうことがやられているというのはやはり異常なことだと私は言わざるを得ないと思うのです。  そして、柳井さんが向こうで発表された共同新聞発表というものの中では、日米韓の三者の高官が会談して、国際社会が制裁を含む適切な対応策を緊急に協議することを求めている、つまり、早くそういう問題を国際社会は協議しろということを推し進めるような新聞発表もしているというのが実態だと思うのです。  だから、国会の中では、先走ったことになるので差し控えると言いながらも、しかし実際には、アメリカとそういう協議をし、国際社会にも早く制裁の問題などを協議しろというようなことを進める、そういう先頭に日本外務省が立っているというふうに言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  93. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 日本がその先頭に立っているというのはもう全く事実に反するわけでございます。  安保理で協議が必要になったのは、IAEAが北朝鮮の核施設についての運転歴が検証できなくなったという書簡を国連の事務総長に送りました。その場合には、自動的に国連の安保理としてこの問題を議論しなければならなくなるわけでございます。その場合、日本は残念ながら安保理のメンバーではございません。韓国もそうではありません。その意味で、アメリカ側が安保理のメンバーとして、最も利害関係の深い日本韓国に対していろいろと事前に話し合いをしたいということで相談があったわけでございますので、それに対して私ども日本意見をコメントしたということでございます。  その後の動きにつきましては安保理メンバーの中で議論されるわけでございまして、一つ一つの項目については、その中に含まれるかどうかがまだわからないうちから、日本は、これはどうか、これは賛成か反対かというようなことを議論することは差し控えさせていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  94. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いずれにしても、六月四日の段階で柳井局長が新聞発表の中で、制裁を含む適切な対応策を緊急に国際社会はとるべきだということをはっきりと日本の態度として表明をしているわけです。  私たちは、北朝鮮というのは、ラングーン事件とか大韓航空機事件とか、あるいは日本の漁船への銃撃事件とか、本当に国際法に反するようなことをかなりやってきた実績も持っている国ですから、この国が核兵器を持つようなことはもちろん望んではいないし、それはもうはっきりしています。  しかし、この核兵器の問題に限って言いますと、北朝鮮は国際社会のそういう要請に対して、いや、うちは何としても核兵器を持つんだ、つくるんだと言っているわけではないわけです。国の最高責任者が、持たない、つくらないということをはっきり言っている。  一方、この北朝鮮に対していろいろ疑惑の問題で迫っているアメリカの側は、率直に言いますけれども、核兵器を一万発以上持ち、そしてまた永久に手放さないと言い、必要なら使うと言い、かつ日本の広島、長崎では使った実績も持っているし、そしてまた、朝鮮戦争やベトナム戦争のときにも使うということを深刻に検討した、そういう実績を持っている。核兵器の問題で言うならば、あえて言えば、アメリカの方が国際的な無法者の立場にいるわけでありまして、このアメリカの立場に追随して制裁だとかというようなことを北朝鮮に言うのは筋が違うのではないか、本当にこの問題では、日本の平和のためにも、そしてアジアの平和のためにも、北朝鮮との平和的な話し合いということはあくまで堅持していかなきゃならぬのだけれども日本政府が今までやってきたことは、制裁というようなことを突出させるような立場だったのではないかということを深刻に反省してもらう必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  95. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 重ねて申し上げますが、日本は初めに制裁ありきというような姿勢はとっておりません。今回も、カーター元大統領の訪朝が成功することを期待するということを明確に申し上げておりますし、話し合いによってこの問題が解決することを望んでおります。  その意味でも、北朝鮮が今回のカーター・金日成会談を次の前向きのステップにつなげて、そして国際社会の一致した要望である核兵器開発疑惑を晴らすためのIAEAの査察の受け入れ、そしてNPT体制への全面的復帰を約束してくれる、実現してくれることを心から期待をいたしているわけでございまして、そうした状況になれば、隣国として我が国も北朝鮮との間で友好的な、そして未来志向的な関係がつくれるということは、先ほど上原議員に対するお答えとしても申し上げたとおりでございます。
  96. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ちょうど細川前首相が辞任を表明した四月八日に、当時柿澤さんはまだ外務大臣じゃありませんでしたが、ウィリアム・ロスというアメリカの上院議員が日本に来ていて、そのロスさんとの会合に出席された。  私は記録の写しを持っていますけれども、ここでロス議員は、朝鮮半島で戦争が起これば多くのアメリカ人、韓国人が韓国を守るために死ぬ。しかし韓国を守るということは日本を守るということだ。日本が憲法に妨げられて一人の今もささげない、そういうことで対米貿易黒字を重ねるということになったらとんでもないことになるというふうに強調されましたけれども、そういうおどしに対して柿澤さんがどういうふうにお答えになっているかというと、ちょっと読み上げさせていただきますけれども、  北朝鮮で経済制裁を行うということになったときには、当然のことながら、貿易の封鎖をすることになりますので、それに日本がどのような形でかかわれるかということが問われることになります。その意味では、冷戦が終わった後で、日米安全保障条約が本当に有効に機能するかどうかを確かめられる最初の機会になるのではないかというふうに私は考えております。 というふうに述べ、  もしそれができないようであれば、日米安保条約というものは、紙に書いた一片のぺ−パーであって、アジアの安全を保障するための有効なコーナーストーンではないということが証明されてしまうことになる というふうに語っております。そして、  今日細川総理が辞任を発表されたのは、本人の個人的な金銭スキャンダルを恐れてやめたわけではないと私は思っています。北朝鮮問題で何か起こったときに、今の内閣に対応能力があるかと言われたら、だれしも対応能力はないと答えざるを得ない。社会党を含む内閣で、北朝鮮に対して日米安全保障条約を有効に機能するような新しい新規立法ができるとは考えられません。それを恐れての辞任であるとすれば、日本国のために大変よかったのではないかと私は思っています。 というふうに語っておられます。  その後、いろいろ経緯がありまして、社会党は、あなたにとってみれば幸いなことにということになるのでしょうか、内閣を抜けまして、あなたは外務大臣につかれたわけですけれども、あなたはやはり基本的にはこういう考え方に基づく対応方向で進んでおられるのではないですか。
  97. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 その会合は全く非公開の会合でございまして、記録が残っているとは思えませんが、そこで私がどのような言葉で発言したかを明確に申し上げるわけにはいきませんけれども、私はそうした事態を恐れるということを申し上げているわけでございまして、そうならないことをもちろん期待し、そのために努力をするというのは当然のことだと思います。  ただ、先ほど先生御自身がおっしゃいましたように、私たちは日本国民の安全について責任を持っている立場でございます。その意味では、北朝鮮の核開発疑惑というものが北東アジアの安全保障の仕組み、また状況、環境を大きく変えるおそれがある、そのおそれを懸念の間に解消しておくことが私たちの国民の安全を守るために大事な政府としての責任だというふうに考えておりますし、また、その中で日米安全保障条約というのはやはり日本の安全のために基軸的な関係だと思っておりますので、そうしたことをロス議員に申し上げたわけでございます。
  98. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 明確にここに記録があるわけです。そして、そういう事態を恐れるというのではなくて、あなたは、細川総理が社会党を含む内閣で対応できないだろうからやめたのはよかったんだ、社会党を含む内閣では北朝鮮に対して日米安保条約を有効に機能するような新しい新規立法なんかできるとは考えられないということをはっきり言っているわけで、そうなったら困るということではなくて、社会党が参加するような内閣ではだめなんだということをはっきり言っているわけです。こういう認識は今は変わったのですか。
  99. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私はそういう形では言っていないと思います。ただ、ここのところは我が国にとっても重大な日本の政治の岐路になるだろうという趣旨で申し上げたと思っております。
  100. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 結局、北朝鮮の問題というのは、こういう日米安保条約の存在が問われる、そういう問題だという認識に今もあなたは立っておられるのですか。
  101. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 北東アジアの安全が脅かされる場合には、日米安全保障条約というのは、これは我が国の安全にとっては大事な関係だという点については、私の認識は、そういう認識を持っております。
  102. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この北朝鮮の核疑惑の問題、いろいろ聞いてきましたけれども、もう余り時間もありませんが、結局、国会や国民にはきちんと報告することもしないで、アメリカやあるいはアメリカ人、こういう上院議員などが来たときにはそこで本音を率直に語っているというのが実態だろうと思うのです。しかも、その本音は、日米安保条約というものに立って、制裁、そしてどれだけ日本がアメリカにその制裁の上で協力できるかというところに徹しているのが今の日本政府実態ということを言わざるを得ないと思うのです。  いろいろ言われましたけれども、平和的な解決のための具体的な展望というようなものは何も実際に事実上持っていらっしゃらなくて、経済制裁、そして制裁というような問題についてのみはっきりと方向を持ってアメリカとも話し合う、これがこれまでの政府実態だっただろうと言わざるを得ないと思います。  私は、こういう方向ではなくて、繰り返しになりますけれども、北朝鮮は、核の問題に限って言えば、持たないと言っているわけですから、持たないというのに制裁を加えるというのは国民の目から見ても全く道理が通らないわけで、持たないと言っているものを本当に話し合いの場でそれを持たせないということにどこまで具体的に迫っていくかということが基本的に問われるわけでありまして、憲法の精神に立ってこの問題の平和的な解決のために最後まで政府は努力すべきだということを求めて、見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
  103. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 平和的な解決のために日本も積極的な努力をすることをお約束を申し上げます。
  104. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 終わります。
  105. 田中恒利

    田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  106. 田中恒利

    田中委員長 この際、本案に対し、江田五月君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。江田五月君。     —————————————  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  107. 江田五月

    ○江田委員 ただいま議題となった修正案につき、その趣旨を説明します。  案文はお手元に配付していますので、その朗読は省略します。  施行期日につき、原案では「平成六年四月一日」としていますが、既にその日が経過していますので、これを「公布の日」に改めようとするものです。  どうぞ御賛同ください。
  108. 田中恒利

    田中委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  109. 田中恒利

    田中委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、江田五月君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  110. 田中恒利

    田中委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  111. 田中恒利

    田中委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  112. 田中恒利

    田中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、大石千八君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。大矢卓史君。
  113. 大矢卓史

    ○大矢委員 ただいま議題となりました自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党、さきがけ・青雲・民主の風及び新党・みらいの各派共同提案に係る附帯決議案につき、提案者を代表して、その趣旨を説明します。  まず、案文を朗読します。     在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について引き続き検討の上、適切な措置を講ずべきである。  一 国際情勢の変化に迅速かつ的確に対応し、世界の平和と繁栄のため我が国がその国力にふさわしい国際的責任を果たし、積極的な外交を展開するとの方針のもとに、在外公館の新設・統廃合については、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドを機械的に適用することなく検討すること。   エンカルナシオン領事館については、廃止後も在留邦人の現況からその対応に万全を期し、従来の行政サービスの水準を維持すること。  一 我が国外交の第一線拠点にふさわしいものとなるよう、長期的計画に基づき、在外公館事務所及び公邸の基盤整備・機能強化を進めるとともにその国有化の推進に努め、併せて在外職員宿舎の整備に努めること。  一 海外での事件、事故及び戦乱、クーデター等の緊急事態に備え、在外公館の緊急事態対応能力の強化に努めること。  一 緊急事態に際しての邦人の救援保護を含む邦人の安全確保を図ること。また、在外邦人の医療対策に一層配慮すること。  一 世界的に治安状況がますます不安定となってきている傾向にかんがみ、在外職員が安全にその職務を遂行しうるよう警備・防犯対策の強化に努めること。  一 在外公館における外交活動の能率促進のために通信体制の強化・事務機器等の近代化に努めること。  一 在外職員、特に自然環境等勤務環境の厳しい地域に在勤する職員が、安んじて活発な外交活動を展開しうるよう、勤務・生活環境の整備、待遇の改善等に努めること。  一 館員による活発な外交活動を支援するため、在外公館における質の高い現地職員の確保・増員及びその待遇改善に努めること。  一 海外子女教育の一層の充実を期するため、在外日本人学校及び補習授業校の整備・拡充、教師の増員、父兄の子女教育費の一層の負担軽減に努めるとともに、帰国子女教育の充実のための制度改善及び施設の整備等の対策を総合的に推進すること。 以上、本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっておることと存じますので、説明は省略させていただきます。  よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  114. 田中恒利

    田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 田中恒利

    田中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。柿澤外務大臣
  116. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 ただいま在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、本法案の御審議の過程においては、外交活動の基盤強化につき、深い御理解と貴重な御提案を賜りましたことに対し、厚くお礼を申し上げます。  法律案と同時に可決されました附帯決議の内容につきましては、御趣旨を踏まえ、できる限りの努力をしてまいる所存でございますので、今後とも皆様の御支援方よろしくお願いを申し上げます。まことにありがとうございました。     —————————————
  117. 田中恒利

    田中委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 田中恒利

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  119. 田中恒利

    田中委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十四分散会      ————◇—————