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柿澤国務大臣 虎島先生御承知のように、来年は国連創設五十周年を迎えることになるわけでございます。この五十年を顧みますと、五十一カ国で誕生した国連が今や百八十四カ国、世界のほとんどの国を網羅する国際機関になってきております。
しかも、冷戦構造の中での米ソ二大国による世界秩序の形成というものが、冷戦崩壊によって変化をしてまいりまして、それにかわるべき新しい国際秩序の再構築が目下の課題でございます。その場合には、特定国による秩序ではなく、世界の国々が、国の大小にかかわらず、民主的に世界の秩序に発言権を持ち、また、その力に応じて貢献をしていくということが大事なことであります。それができるのは現実的に国連をおいてほかにないというのが私
どもの考え方でございます。
そうした背景に立って現在国連改革が議論をされているわけでございますが、その中でも国連全体の
行政改革、また国連の財政難の中での財政面の強化、そして国連の諸
組織の改革が話題になっておりまして、今御
指摘の安全保障
理事会の改革問題というのは、そうした国連全体の再編成、そして再構築の枠の中の一環として議論をされているわけでございます。
御承知のとおり、国連の安全保障
理事会は、国連の最も中心的機能である安全保障の問題について議論をし、決定をし、そしてその決定は国連加盟国全体を拘束するという強い力を持っておりまして、その中で、五カ国が常任
理事国、十カ国が非常任
理事国ということになっておりますが、常任
理事国はかつての連合国、米、英、仏、ロ、中という五カ国になっておりまして、これが現在の世界の構造に合致しているかどうか、これはだれが見ても修正が必要な時期に来ていると私
どもは考えております。また、非常任
理事国の十カ国、これの
地域配分も現在の加盟国の数から見るとアンバランスになっておりまして、非常任
理事国についても数の見直しが必要であろうということでございます。
そうした中で、国連財政で第二位の貢献をいたしております
日本、そして環境の問題や南北問題の解決のために実績を積んでまいりました
日本、さらに最近ではエイズ、麻薬、
人口、さまざまな問題で積極的な貢献をしております
日本、そして軍備
管理・軍縮の面でもいろいろな努力をしております
日本、また一昨年来PKOの問題でも積極的にカンボジアの和平に貢献ができた
日本が、国際社会の責任ある地位において
日本なりの発言をしていくということは、世界の平和と繁栄に貢献する道だと私は考えております。
ただ、常任
理事国は、何がなんでもなりたいなりたいと、我々がやる選挙運動みたいに押し込むものではないということで、改革された国連の中でそれなりの責任を果たすというのが宮澤内閣以来の考え方であったと思いますが、実は改革議論も大分進んでまいりまして、常任
理事国については二カ国ふやすかどうか、二ないし五カ国というあたりに絞られてきているという状態でございまして、その中で、
日本は常任
理事国になる資格のある国だという積極的な発言をしてくださる国々がたくさんふえているという
状況でございます。
その
意味では、時には、
日本は本当になって責任を果たすつもりかどうかということを逆に聞かれることもあるわけでございますので、そうした国際的な流れ、そして
日本が今まで果たしてきた実績、そしてこれから、
日本は核保有国ではありませんし、また軍備において大きな貢献ができる国とは思っておりませんし、またすべきではないと思っておりますが、しかし、今までの常任
理事国とは違った形で世界の平和に貢献できるのではないか、そういう点では、
日本が常任
理事国になることも含めて、安全保障
理事会が改組、強化されることが私たちにとっては国際平和に貢献する道だと考えて
お願いをしているところでございます。