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1994-06-03 第129回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月三日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 高橋 一郎君    理事 佐田玄一郎君 理事 坂井 隆憲君    理事 自見庄三郎君 理事 森  英介君    理事 岡島 正之君 理事 河村たかし君    理事 田中 昭一君 理事 遠藤 乙彦君       荒井 広幸君    川崎 二郎君       岸本 光造君    斉藤斗志二君      田野瀬良太郎君    虎島 和夫君       林  幹雄君    山下 徳夫君       青山  丘君    海江田万里君       木村 守男君    吹田  愰君       大木 正吾君    土肥 隆一君       山崎  泉君    横光 克彦君       吉岡 賢治君    高木 陽介君       小沢 鋭仁君    簗瀬  進君       矢島 恒夫君  出席国務大臣        郵 政 大 臣  日笠 勝之君  出席政府委員        郵政大臣官房長  木村  強君        郵政省郵務局長  新井 忠之君        郵政省貯金局長  山口 憲美君        郵政省通信政策        局長      五十嵐三津雄君        郵政省電気通信        局長       松野 春樹君        郵政省放送行政        局長       江川 晃正君  委員外出席者        郵政大臣官房人        事部長      加藤豊太郎君        郵政大臣官房国        際部長      内海 善雄君        逓信委員会調査        室長       丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     小沢 鋭仁君 六月三日  辞任         補欠選任   吉岡 賢治君     土肥 隆一君   小沢 鋭仁君     簗瀬  進君 同日  辞任         補欠選任   土肥 隆一君     吉岡 賢治君   簗瀬  進君     小沢 鋭仁君     ――――――――――――― 六月三日  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第七  五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時  措置法案内閣提出第四一号)  電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法  律案内閣提出第五四号)  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)      ――――◇―――――
  2. 高橋一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  内閣提出放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時措置法案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。日笠郵政大臣。     ―――――――――――――  放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時   措置法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 日笠勝之

    日笠国務大臣 放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、有線放送を含めた放送に関する国民の需要の多様化に伴いおのおのの放送においてその特色を生かした放送番組放送が行われることの重要性が増大していることにかんがみ、多様な放送番組制作に資する放送番組素材利用促進事業推進しようとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  第一に、素材影像等放送番組素材放送番組素材利用促進事業等の定義をいたしております。  第二に、郵政大臣は、放送番組素材利用促進事業推進に関する基本的な方向、同事業実施する者の要件に関する事項放送番組素材の収集及び制作の基準に関する事項審議するための機関に関する事項、同事業内容等に関する基本指針を定めることといたしております。  第三に、放送番組素材利用促進事業実施しようとする者は、その実施計画が適当である旨の郵政大臣認定を受けることができることといたしております。  第四に、通信放送機構業務として、郵政大臣認定を受けた実施計画に係る放送番組素材利用促進事業実施に必要な資金の出資の業務を追加することといたしております。  その他所要の規定の整備を行うことといたしております。  なお、この法律施行期日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 高橋一郎

    高橋委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 高橋一郎

    高橋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本光造君。
  6. 岸本光造

    岸本委員 御質問を申し上げたいと思います。  この放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時措置法案、私は法律ネーミング名前を見るときにいつでも思うのですが、何でこんなに長い名前をつけるのか、感心をいたします。例えば、ちょっと今覚えているのでは、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律という法律があります。こんなものは同和対策事業、同対法と一言で言えばいいのです。こういうのは、放送番組に材料を提供するのですから提供法案とか。何かもっと合理化しよう、簡易化しようと言っているときに、これではみんなこの法律になじみを持たぬですよ。それで、ある人に、何で役所というところは長い名前をつけるんだろうねと聞いたら、それが役所らしいところだ、こう言うのですね。だから、役所は長い名前をつけないと勝負にならぬから、何でもいいから人がわからぬほど長い名前をつけるんだ、こう言うのですよ。ある人がですよ、私が言っているのと違うのです。だから、そういう意味で、もうちょっとこれから合理的な、簡潔な、今の時代にふさわしいネーミングをやはり郵政省が進んでやるぐらいのことがあっていいのではないかな、私はこう思います。  それから、今情報化時代と言われておるわけで、このごろケーブルテレビ放送衛星などの情報通信技術というのは物すごく進んでおるわけです。放送でも、多メディアとか多チャンネルとか、よくこう言われるのです。これは進んでおると思うのですが、今どういう状態メディアがなっておるのか、一遍教えていただきたい。  それともう一つ。余りぎょうさん、何十にもチャンネルがなったら、みんな混乱してしまう。一人の人間に必要なのは、大体八チャンネルぐらいではないかということ宣言うテレビ会社の社長なんかもおるわけです。だから、各種放送メディアの現状は、今どれぐらいになっているのか、どんな状態になっているのか、それを一遍まず聞かせてください。
  7. 江川晃正

    江川政府委員 現在の多メディア、多チャンネル状況を簡単に申し上げさせていただきます。  まず、多メディアという視点から見ますと、ちょっと歴史っぽくなりますが、大正十四年にNHKラジオが始まりまして、それから昭和二十八年にテレビNHK民放と始まったわけでございますが、そのときには、ラジオ一つテレビNHK民放の幾つかだけだったわけでございます。それが今どういうふうになっていて、それを多メディアと言っているかというふうに申し上げさせていっていただきます。  地上のテレビ、いわゆる普通の、東京で申し上げますと四チャンネル、六チャンネル、八チャンネルというあのテレビでございますが、それは全国的に四つ以上の放送が見えるようにしようという政策をとってまいりました結果、現在三十三の都道府県が四つ以上見られます。これは、全部で九〇%ぐらいになっております。  それから二つ目は、衛星放送でございます。  これは新しくできたわけでございますが、放送衛星、それから通信衛星、BS、CSと言ってございます。それらを使った放送ということで、放送衛星昭和五十九年から、通信衛星を使う放送平成四年からそれぞれ始まっておりますが、放送衛星の方は六百万弱の契約者がございます。それから、CS通信衛星を使うテレビジョンというのは、これはまだ多少少のうございますが、十数万件になっております。それから、放送衛星は単にNHKばかりではございませんで、民間放送もございまして、WOWOWというものでございますが、それが百六十万ぐらい契約者がございます。  それからさらに、当時なくて今ありますのは、CATVでございます。このCATVは、特にここで申し上げるべきことは、いわゆる都市型CATVということで、端子がたくさんあり、チャンネルもたくさんあるというものです。それが全体としては二百万弱、百六十万強の世帯が加入してございます。というふうに、メディアで申し上げますと、そういうふうにふえてまいりました。  多チャンネルという点で申し上げますと、今申し上げましたことを全部、それぞれチャンネル数を足してみますと約五十ぐらいになります。そのぐらいに多メディア、多チャンネルというふうになってまいっていることは確かでございます。  ただ、先生おっしゃいますように、二人が一挙に五十なんか見れるわけございません。そのこと自体は確かに、そんなに必要なのかなというふうにおっしゃる方もいらっしゃいますが、実は見る人、聞く人の方が多様化してまいっておりまして、私はこれを見るという専門放送みたいなものを見るようになってきておるわけでございます。その意味で、まだ五十チャンネルで百点満点というわけではございませんで、ますますこれはふえる傾向、可能性があるぞ、またこれからふえていくぞ、そういうふうに認識しているところでございます。
  8. 岸本光造

    岸本委員 今、答弁の中でケーブルテレビの話が出ましたが、パソコンとケーブルテレビ普及率というか、進捗率というか、そういうものの進みぐあいが、この情報化時代のどれぐらい進んでいるかということのバロメーターになる、これは一般によく言われるわけでありますけれども。そうしますと、アメリカなんかではこのケーブルテレビ普及率は、私が調べたのでは六二%ぐらい、日本はわずか五%である。情報化情報化ケーブルテレビケーブルテレビと言いますけれども、わずか日本は五%しか普及していない。こういうことで、進んだところに比べて十年ぐらいおくれているのではないか、こう言われるのです。  そこへ光ファイバーの問題が、この間電通審から出されたわけですが、こんなにおくれている状態で、これはそう簡単に取り返せるのかどうか、この辺どんなものか、ちょっと教えていただきたいな、こう思うのです。特に、電通審なんか、その光ファイバーは二〇一〇年にはグローバルに日本全体をやっていきたい、こう言ってるわけですが、今のような、基礎的な出発点普及率でおくれておると、とてもこれは追いつけないのじゃないか、そんな感がいたすわけであります。特にアメリカでは進んでおって、香港とかシンガポール、特にシンガポールと聞いていますけれども、そんなところが光ファイバーを物すごく進めておる。それで、日本は地球上の情報の幹線から外れていくというようなことも起こり得るのではないか、こう思うわけです。  そんなことを含めて、ちょっと一遍お答えをいただきたい。
  9. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 今先生から御指摘ございましたとおりに、先進諸国、特にアメリカ、そしてアジアではシンガポール、最近の韓国といったところで、情報通信基盤高度化に取り組みつつあります。特にアメリカ産業界の動き、あるいはアメリカの現政権が打ち出す政策のインパクトあるいはメッセージというのは、大変参考になるものがあるというふうに思っております。  ただいま先生からお話のありましたとおりに、CATV普及というような観点では、そのもの自身は、日本は率、数字ともアメリカ等と比べると劣っております。これはCATV発展経過があります。昨今の状況だけ申し上げますと、前年度CATV加入状況というのは、一年度だけで五一%増加しているというのも、これは政策転換等もありますが、極めて著しいものがあるというふうに思っております。一  そういう状況で今推移しておりますが、先生お話ありましたとおりに、私ども昨年の三月に電気通信審議会に「二十一世紀に向けた新たな情報通信基盤整備の在り方について」ということを諮問いたしまして、この五月三十一日に答申をいただいております。その中では、二〇一〇年までを情報通信基盤整備の大きな最終目標としながら、二〇〇〇年までを先行整備期間、あるいは二〇〇五年までを本格的な整備期間というぐあいにいたしております。そういう意味合いにおきましては、日本の国におきまして情報通信基盤整備整備プログラムが一応審議会から示されたということに相なったところであります。  私どもとしましては、こういった整備プログラム世の中に示されたということによりまして、電話会社放送会社も、あるいはコンピューター会社もメーカーも、それぞれ産業界がこの整備プログラムを念頭に入れながらビジョンを持って進んでいけるのではないか、それが推進力になると同時に、アメリカ等について考えてみますと、キャッチアップにつながっていくというふうに考えております。私どもとしましては、もちろんこの審議会答申の具体的な政策展開というようなことで、国の支援策等についても早急に取りまとめて取り組んでまいりたいというふうに思っております。  なお、つけ加えて申し上げますと、昨年の第一次補正予算以来お認めいただいた予算をもとにいたしまして、ファイバー・ツー・ザ・ホームという光ファイバーを張りめぐらした実験を、この七月八日から関西文化学術研究都市において立ち上げられることになりました。一年間準備を進めてまいりましたが、この後三百加入の方々に光ファイバーを張りめぐらし、もうほぼ準備が終わっております。百二十社の加入を得まして、これで実験を始めるという段階に入っております。  いずれにいたしましても、先生指摘のように、国際協調視点ということも踏まえながら、国際的に見まして遜色のない情報通信基盤整備に向けまして、この答申の早急な具体化に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  10. 江川晃正

    江川政府委員 CATVのおくれをどうやって取り戻すのかという最初の部分の御質問でございますが、ただいま通政局長からお答え申し上げました補強と申しましょうか、そういうものの上に立ってこれを乗り切っていくわけでございます。  そういう中で何をしていくのかというと、簡単に申し上げますと、いろいろと昨年表言っております、新しくCATV仕事が入りやすいように環境整備をしてまいったわけでございますが、それもどんどん今後も続けていこうということが一言で言えようかと思います。ちょっと具体的に申し上げますと、例えば、外国の企業が日本国に入ってきて一緒に合弁でやっていこうじゃないかというときに、入りやすいように環境整備する、それは一口で言いますと、外資の規制がここまでだったものをもう少し上げようというような形とかなぞなそのことをやりながら、より一層CATVが発展していけるようにしていこうじゃないか、そう考えているところでございます。
  11. 岸本光造

    岸本委員 大体側説明よくわかるのですが、今のはハードな部分整備かな、こう思うのです。  それじゃ、それだけではこれは進まぬわけで、郵政省としてそのソフト分野、これはどういうふうにこれからやっていくのか、今までどうだったのか、これからやろうとしているのか、ちょっとそれもあわせて。
  12. 江川晃正

    江川政府委員 おっしゃいますように、ソフトがなければ本当に意味がございませんし、これからますますソフトが重要になるということは、先生指摘のとおりでございます。それで、郵政省もハードの傍らソフト充実に努めてまいりました。  過去何をやってきたのかということ、いろいろございますけれども、一応いろいろの法律をつくって、その法律に基づいて予算をつけてやるというような、一番ベーシックな部分からちょっと申し上げさせていただきます。  一つは、特定通信放送開発事業実施円滑化法による支援というようなものとか、中身はちょっと後で、細かくなりますからおいておきますが、それとか、あるいは電気通信基盤充実臨時措置法に基づく人材研修のための予算措置をするとかなぞなぞ、そういうことをやってまいりました。  それからもう一つは、放送法の中にございますが、放送番組センターというものが民間でできますと、それを日本国全部を一つに限って指定しまして、それに対していろいろな税制上の優遇措置とか財政上の低利融資とか、そういうようなことをやってきております。  それから、最近で申し上げましても、ソフト充実に関して世の中の人の知恵をいただくという意味で、研究会を開いて報告書をいただいたり、それからもう一つ広げますと、著作権。これは、ソフトには必ず著作権が問題になってまいりますが、著作権をどう処理していくのか、使っていくのかということについての課題、問題整理というようなこともやってきております。  そういうようなことをやってまいりましたが、これからもそういったものをベースにして、多角的にソフト充実策について施策を検討し、行っていきたいなと考えているところでございます。
  13. 岸本光造

    岸本委員 この放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時措置法案、これの目的は、この法案についての説明の中に、制作基盤充実を図るもの、あるいは放送番組提供、多様な放送番組提供が可能となるようにすることを目的としてこの法案ができるということなのですが、今この法案を国として出すことの意義、なぜこんなに急いでこんなものをつくらなければいかぬのか、そのことを、理由があれば教えていただきたいと思います。
  14. 江川晃正

    江川政府委員 なぜ国がやらなければいけないかという部分につきましては、今回これをやりますのは、立ち上がり期における支援でございます。それから、やはりある程度資金の塊がないとなかなかできないという意味における支援ということで国が金を出すわけでございますが、もともと十年といいますのは、大体これから先、今からいきますと二千何年になりましょうか、そのころになりますと、先ほどの通政局長答弁でございましたように、光ファイバーがどんどん敷かれていく。そのことは、同時にマルチメディアが相当円熟してくる、円熟というとちょっと言い過ぎかもしれません、花は咲いてくるでしょう。そういうときに非常に重要になるのはソフトでございまして、ソフト充実させておくことが大事だ。その充実させるために何が必要かというと、先ほども専門的なということを申し上げましたが、それぞれのメディアの特徴に合わせたソフトをつくっていくに当たって、安く、効率よく、それでいいソフトができるような環境をつくることが大事だということで、そういうことを支援する仕組みをつくる、その仕組み立ち上がりを国が応援し、そして十年たってくると、大体そのマルチメディア世界が見えてまいりましょうから、一応十年という中で今から立ち上げてやっていこうかというふうに考えているところでございます。
  15. 岸本光造

    岸本委員 そうしたら、これは何になるのか、放送番組素材提供するセンターみたいなものですね、まあ、言ってみたらイメージとして。そうすると、提供する素材によっては、例えばアフリカの象の生態とか、アリの生態をちょっと借りたいというようなことだったら、これはどの世界から、どの分野から見ても問題ないわけですね。問題ないのです。  ところが、社会思想に関する問題に関しては、その選択肢によっては世論操作をすることができるのではないか、そういう危険性が出てくるのではないか。生物、キリンの生態アフリカヘ行って取材できないからそれを貸してくれといって、それはするわね、できる。だけれども、そんなものは客観的に見てあれだけれども古今東西神社仏閣人物歴史に至るまで全部ファイルしていくとするならば、これは大変なことで、特に社会思想に関する分野では世論操作危険性というのが私は出てくるのではないか、それが一点考えるところです。  それともう一つ。この審議会には学識経験者でいろいろなことを、仕事をするというふうに義務づけておるわけですが、この世論操作との関係で、そういうものが、何か危険な要素があるのではないか。  それともう一つ提供する素材によってはどこをひねってみても同じものしか出てこない。画一化です。それが出てくるのと違うかと思うのです。例えばアフリカ森林生態、それはもう、一つしかないわけですから、AもBもCも、ひねったらみんな同じ映像が出てくる。画一化、こんな心配ないですか。だから、私はこれは軽便になっていいと思いますけれども、そんなところもちょっと問題点ではないかなと思うのです。この二点。
  16. 江川晃正

    江川政府委員 大変鋭いところを御指摘いただきまして。ただ、結論から申し上げますと、世論操作になる危険は私はほとんどない、ほとんどないというよりも、ないといっていいんじゃないかな、そういうふうに考えております。  その構造は、一つには、どういう素材を集めるかということにつきまして、この会社の内部に審議機関をつくることを義務づけているわけでございますが、それには、各界の識者に入っていただくということを条件にしたいと思います。それで、そういうところでバランスのあるフィールドと内容を決めていただきまして、それに基づいてこのセンターが集めていく、あるいは制作していくわけでございます。それが一つ。  もう一つは、それを利用する、それを使って制作をする利用者でございますが、これは、それを使うことを義務づけられませんから、つくる人が使いたいものを選択することができます。何にでも、使いたい、使わない、見て選ぶことができますから、そういう意味では操作をする視点に立って、これでなきゃいけない、これを使いなさいというふうにはなってございませんので、そういう意味では世論操作への道筋は比較的小さいのでは、比較的というか、ないんじゃないかなと思います。  最後に、画一化の点でございますが、アフリカ森林といったらいつも同じ絵ばかり出てくるということが一つの例かと思います。その点は、まさに審議会での議論としても、アフリカ森林をあらわすときや、アフリカの象の生態をあらわすときに、一つの場面だけで全部を表現するのではなくて、いろいろな角度からそれを撮って制作し、貯蔵していこうじゃないかという視点で指令を出していくことによって、いい、バラエティーに富んだアフリカの象、アフリカ森林が貯蔵されるようになるだろう、そう考えます。  また、利用するためにここへ行ったときにアフリカの象はいつもこの絵しかないとなったら、だれも利用しなくなるのじゃないかと思います。そういう意味でもこの会社がそういう仕事をできるように、繁盛するためにも、やはりそういう知恵を働かせることによって、画一化は、比較的弊害は除去されるのじゃないかなと私たちは期待しているところでございます。
  17. 岸本光造

    岸本委員 今の答弁の中で、世論操作は比較的ないという言葉を使われましたが、比較的ないということは多少あるということにもなるわけですから、世論操作ができるということですから、これは大変なことですよ。今の答弁の中で比較的世論操作はない、こう言ったのです。これはあることの裏返しですから。
  18. 江川晃正

    江川政府委員 私、ちょっと言葉を過ちました。比較的ないというのではなく、世論操作はしょうがない、できない、そういうふうにお答えさせて、訂正させていただきたいと思います。申しわけございません。
  19. 岸本光造

    岸本委員 はい、わかりました。  この素材法、省略して素材法、これを行う業者は、大臣許可でできるということをどこかで、ちょっとこの説明文の中で見たのですが、大臣許可をするということになりますと、私もやりたい私もやりたいという人がぎょうさん出てきて、複数でこういうものができるのかどうか。  それから、これは発足、どこかの資料に四億円というのが出ていたのですが、総額で幾らぐらいになるのか。  それからスタッフはどのようにしてやるのか。これは常識から考えて、アマゾンの秘境へ行って写真撮ってこなければならぬ、アフリカヘ行って撮ってこなければならぬ、宇宙にも行ってこなければならぬ。いろいろなところへ行って映像を撮ってこなければならぬわけですから、そうすると、これは物すごいスタッフが要るだろうと思うのです。だから、これは一体どうなっているのか。  それから、これを集めて、もしテレビ局が貸してくれ、こういうことになりますと、提供料金はどれぐらいになるのか、見通しはどうなっているのか。  それから、この事業者はどんな格好で収集し、制作し、これを保管していくのか、材料を、資料を。そんなことを全然具体的にイメージできないわけですね。だからそれを一遍教えてほしい。  どんなメンバーでやるのか、これは法人でやるのか、あるいは第三セクターになっていくのか、そんなこともわかりませんし、あるいはこれが複数でたくさん許可されるということになれば、また経済的な問題もあって、財政上の問題もあって、それはまた無理だろう、こうも思います。  もう一つ、今は情報の公開時代と言われているわけですね。そのときに、一点にその情報、資料が収集されて、情報公開時代に逆行するような役割を果たさないかどうか、そういうこともあわせて、幾つかざっと申し上げましたが、固めて答弁をいただきたいと思います。
  20. 江川晃正

    江川政府委員 全部で六ぐらいあったかと思いますが、一つは、複数の許可があるのかという、大臣許可でございますが、法律のこの構造では一に限っているわけではございません。複数があり得る、あり得るというよりも、その数のことは書いてございません。実務的には、次の質問にかかわってまいりますが、ある程度の事業規模が必要でございますから、当面、一ぐらいじゃないかなとは思いますが、法律世界では一に限ってはございません。  二つ目に、資本金がどれくらいかということは、大体資本金の三分の一ぐらいを、先ほど先生四億とおっしゃいましたが、産投出資でやっていこうかなということで考えておりますから、資本金は十二億、あとプラスして借入金とか無利子融資その他を入れまして、事業費としては二十億ぐらいでやっていくということを計画しているところでございます。  三つ目の、スタッフでございますが、アマゾンや宇宙の映像を撮ってくる、そういう話になりますと物すごく大変でございますが、この会社自体はほとんど数名の企業でやっていくことになるだろう、人件費で物を食っていては仕方がございませんので。ただ、じゃ、どうして制作をするのかといいますと、委託してやることになると思います。いろいろ、あれを撮ってきてくれ、これを撮ってきてくれなどというような事柄を委託してやることになると考えております。  それで、そういってでき上がったものを提供条件、幾らで提供するかということでございますが、それは、この世界では今でも、実務的にいろいろと情報を持っている人がやったりなんかしている例がございます。固有名詞の企業もあるわけですが、それは、ある場面を秒の単位で売り買いしております。一秒幾ら、何秒、結構その値段が張っております。それらを横目で見ながら、それよりも安いものでできるようにしてもらおうじゃないかというふうには考えております。大体想像するところ、ちょっと乱暴な言い方で恐縮でございますが、十秒くらいその部分を使うとして七、八万円くらいで使えるような料金が設定されるのではないかなというふうに考えております。  それから、五点目でございますが、収集、制作、保管をどうするのかということにつきましては、収集につきましては、例えば、先生も御案内かもしれませんが、この会社制作するばかりではございませんで、例えば東京都の関東大震災時代の写真があったら提供してくれないかということをいろいろとオファーして、ある人からそういう写真をいわば著作権料込みで購入したり、それから、それに限らず、昭和二十年代の銀座の街角を写した絵はないか、絵というか写真など、あるいは音響でも結構でございますが、そういうものがないかということで集めるということが収集でございます。そういうこととか、それから現に今、つい最近でも、いい番組があったらばそれを振らせてもらうというのがございます。  それから制作は、先ほど申しましたように本人がつくる場合と委託してつくる場合といろいろございます。いろいろなことで、人の知恵、力をかりていこうということです。  それから保管でございますが、保管は、いわばラックというのでしょうか、テープならテープをずっと保管しておくラックがございますが、そういったようなものをつくって、そこに保管していくし、あるいはCDで保管するというふうに、いろいろございます。そういうものをいわばブラウン管の、そのコンピューターではめて見るということでお客さんには見てもらう形でやりたいと思います。  最後に、情報公開に逆行するのではないかとおっしゃいましたが、これはここへ情報を集めて死蔵、退蔵するわけではございません。むしろ、見られないものをここに集めて、そのおかげで見られるようにしていこうということでございますから、情報公開に逆行ではなく、情報公開に貢献する、むしろそういうものじゃないか。だれだれの家庭の中に退蔵されてしまっている、あるいは著作権処理ができないために使わせないというようなものを著作権処理をしてここに持っていき、ああいうところから購入して、それでどうぞというわけでございますから、言ってみれば、むしろ情報公開の方に貢献する仕事になるのではないかと多少自負しているところでございます。
  21. 岸本光造

    岸本委員 情報の公開に役立ては、それはそれ以上のことはないわけです。  これは、先ほどちょっと御質問したのですが、法人でやるのか第三セクターみないでやるのか、先ほど数名とおっしゃいましたが、数名といったら二、三名、四、五名、こんなことになるのかなと思うのですが、こういう機構でこれは世界情報を全部やっていこう、全部やらなかったら意味がないわけですから、先ほども申しましたが、古今東西歴史から始まって、神社仏閣いろいろなもの何でも、映像、音響、いけるようにしておかなければ意味がないわけですから、これ貸してくれへんか、これ見せてくれへんかといったときに、いやそれはないんだよということではこれは話にならぬわけですから。そういう膨大な作業を、この数名というのは大体四、五名というふうに連想しますね。これはそんなものでできるのかな。それはちょっと疑問に思いますので、どんなものでしょうか。
  22. 江川晃正

    江川政府委員 先生おっしゃいます意味で、森羅万象あらゆるデータをここに集められたらこれは最高でございまして、それをねらいたいところですが、先立つものとの相談というのがございまして、大体二十億ぐらいでやっていくということを考えますので、そうしますと、ある意味では微に入り細をうがつところまでのデータの収集はあるいはできないのじゃないかなとは思いますが、いろいろな意味できちっとしたいい情報が、少なくともそこに行けばそのことに関する情報は信頼のおけるいいデータだというふうになれるような収集はぜひしたいと考えております。  それで、あと第三セクターかどうかということでございますが、法律は要件として、第三セクターであるとかなんとかということは書いてございません。いわば自由でございます。つくったデータ、集めたデータを売って生きていくという姿で活性化を求めると大体株式会社になるんじゃないかなとは考えているところでございます。そういうものができると、出資するぞという事業体なども一応我々ちょっと頭にあるところでございます。
  23. 岸本光造

    岸本委員 そうすると、この事業で収集された素材というのは私の意識、イメージでは大体ラジオとかテレビとか、今のそういう放送事業者が貸してくれといって一般的に使うのではないかという意識があるのですが、大体そういう考えでいいのかどうか。  それで、それをつくったら貸してくれ貸してくれというニーズがあるかどうか。なかったら、これはさっき十秒を七、八万円と言いましたね。かなり高い値段になってまいります。だから、つくったは売れないということでは、これは利用してもらえないということでは倒産するわけで、将来性がないということになるわけで、その辺の見通し。  もう一つ。うまくいけばこれは偉大な事業だと思うのですが、これが先ほど冒頭に質問いたしました、郵政省が持っておるソフト充実にどう関連しているのか、その問題もあわせて答弁をしていただきたいと思います。
  24. 江川晃正

    江川政府委員 見通してございますが、いろいろ研究会を、ソフト充実のための研究会というのをいろいろ郵政省が開催してやってまいりました。その中で、学識者とか事業者とか、事業者というのはメーカーその他ですが、それから放送事業者とか広告代理店とかあるいはCATVの人とか、いろいろな人が集まって知恵をいただいているわけでございます。  それからまた、そういう方々へのアンケートみたいな調査もいたしました。その結果でございますが、大変ニーズが高こうございまして、例えばこういうのができたらば利用するだろうかと、余り条件を言わずに尋ねましたところ、ビデオのプロダクションのジャンルの方々は、ビデオプロダクションですが、七七・何%、八〇%弱の人が使うという答えをいただいております。条件は必ずしも示してございませんから、それが直ちに市場調査になっているかどうかはちょっと別でございますが、一応研究会とかいろいろな調査によりますと、ぜひこういうのはつくってほしいし、また国のかかわりのもとでつくるべきだという答えがたくさん来ているところでございます。  私たち、そういうのを頼りにするわけでございまして、そうするとだれがこれを使うだろうかといいますと、先ほど申し上げましたように、放送する人、放送事業者が使うし、CATV事業者が使いますし、それから番組をつくるところが使いましょうし、コマーシャルをつくる人たちも使うというような、販路と申しましょうか、利用者のフィールドが我々の調査の中に具体的に浮き上がってきているところでございます。  そういう意味で、商売のことでございますから、役人が保証できるなんというお話ではございませんけれども、そういうようなフィージビリティーのある中での企画でございますので、懐妊期はもうかるところまではなかなかいかないかもしれません。懐妊期は若干長いかもしれませんが、中期的以降にはいい線いくぞというふうに考えているところでございます。
  25. 岸本光造

    岸本委員 時間がたつと大体うまくいくだろう、初めは赤字かもわからぬ、そういう答弁ですよね。ところが、これは十年の時限立法ですよ。違いましたか。十年の時限立法であったと思うのです。十年の時限立法でありますから、これは立ち上がりの十年というふうに先ほど答弁がありましたけれども支援するということでは。立ち上がって十年たってそれはうまくいけばいいけれども、いがなかった場合も考えられるわけで、ただそれで、私はよくわからないので、これはちょっと教えていただきたいのです。  二〇一〇年には光ファイバー網をやっていこうという電通審答申があるわけですね。これはマルチメディアでありますから、何でもかんでも皆これでわかるわけですね。在宅医療から、在宅学習から、行ったり来たりしなくてもいいとか、世界のことが全部わかる。そうなったら、光ファイバー網で大体いろいろなことが用が足せるという意識が、まだ具体的にないですから、イメージとして私の中にあるのです。だけれども、この素材をつくるセンターですか、株式会社ですか、材料提供会社が、そのときになったらある意味では不要な部分が出てきて、もう存在価値がなくなるんじゃないか、マルチメディアが全部やるから、光ファイバーがやるから。その辺が私は整理できないのです。それはどうでしょうか。
  26. 江川晃正

    江川政府委員 最後の結局の御質問、一番御質問のところは、光ファイバーが敷かれたならば、これがもう不要になってしまうのではないかというところに尽きようかと思います。  先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、光ファイバーが敷かれるということは、先生おっしゃいますように、大概の情報の行き来ができるようになるということで、言ってみれば物すごい高速道路が敷かれて、何でも走っていいよというふうになるわけでございます。この仕事は走るものをつくる仕事でございますから、光ファイバーがこの二〇一〇年に敷かれれば、ますますこの手の仕事は必要になってくると考えています。それに関して、先生、それじゃ十年で終わらせるのはおかしいじゃないかとおっしゃっているのは最初の部分かと思いますが、とりあえずそういうふうに見込みを持っておりますが、何しろ国が金を出して支援していくわけでございますから、とりあえず様子を見るという一面がございます。  それで、とりあえず十年後にそういう姿がどこまでいくのかということも、状況を見定めるということが一つの行き方で、十年でこの法律は原則的に終わるようにしてございますが、しかし会社はつぶすわけではございません。また、そのときにさらに必要だったら、また次の考えをこの法律に盛り込んでいけばいいということもございます。  そういう意味で、不要になるどころかますます有要になるだろうし、そして十年たって直ちにすとんと、ようかん切るように向こうがなくなってしまうようなことはないというふうに考えておるところでございます。
  27. 岸本光造

    岸本委員 わかりました。ともかく、今は情報化時代の中でどうやって進んでいくか。光ファイバーが出てきたり、多チャンネル、多メディアとか舌をかみそうも言葉がびっくりするほど毎日出てくるわけです。ある意味では国民は大変な情報の革命期、混乱期、そういうふうに私は思っていると思うのです。だから、これから国民の情報ニーズが物すごく多様化する。これに対するサービスを郵政省としては今後どうやっていくのか。もうちょっといろいろ整理をしてやらぬと私わからぬと思うのですよ、私自身もわからないのですから、イメージでしか把握できないわけですから。  それと、ちょっと法案とは関係ないのですが、光ファイバーにしろ何にしろこれにしろ、そんなに優秀なことをいろいろやっているのですが、例えば私、和歌山ですが、和歌山の山の中へ行きますと電波が届かない。この自動車電話は山の陰に入るとすぐ電波が全部、これはちょっと違うのですけれども、最後にお願いしておかなければならぬと思うのですが、電波が届かないのですよ。これほど情報化時代、便利な時代、豊かな生活などなど言われているときに、和歌山では電波が届かない。  これは郵政省の管轄だと思いますけれども、もう少しこれは便利にしてもらわないと、今論議しているようなことが二十一世紀にはうまくいくかわかりませんけれども、今の時点で現実に困っておる問題もあるわけですから、そのこともよく踏まえてほしいのです。バラ色のいろいろなビジョンでこれができていったらすばらしいだろうと私は思いますが、郵政省として現実の問題も解決するようにお願いをしたい。  郵政大臣お見えでございますから、今後の郵政省の電波行政について一言基本的な考え方をいただけたらよろしいかなと思います。
  28. 日笠勝之

    日笠国務大臣 国民の多様な価値観のもとに情報ニーズも非常に多様化しておるということは、先生おっしゃるとおりでございます。放送産業もそういう意味ではこれから高度化を促進していかなければならないということは御案内のとおりでございます。  まず、放送の方から申し上げますと、喫緊の問題でございます、まず先生がおっしゃったようなソフトの問題ですが、今回の法案はまさに放送ソフト充実に資する一環だと思っておりますし、実はきょう、朝閣議で決定いたしました国境を越えるテレビ日本から世界へ国際映像を発信しよう、これが閣議で決定いただきまして、また近々に委員の皆様方に御審議をいただくことになろうと思いますけれども、そういうふうな現実的なことから今着実に進めていこう、こうしております。  同時に、電気通信審議会で御答申をいただきましたものにつきましては、これから関係各省とよく相談いたしまして政策展開をしていきたいと思っております。  と同時に、二十一世紀のマルチメディア、先ほどおっしゃったように非常に進展が急激になってくるわけでございますので、郵政省の中にもマルチメディア懇談会という諮問機関をつくりまして、将来へ向けて技術開発、将来展望、そういうものも有識者の方々に御議論いただきまして、明年三月になろうかと思いますが、報告をいただき、それをさらに展開をしていきたいと考えております。  なお、先ほどの和歌山県の携帯自動車電話のサービスエリアの実態でございますが、今十分調査をしておりまして、サービスエリア拡大、拡充に向かって今取り組んでいこうという決意をしておりますし、電気通信格差是正事業で、市町村、地方公共団体、公益法人等が持ち寄りまして、おっしゃるようなことがないような公平な電波の利用、国民の利益に資するためにもこれからも努力していく所存でございます。
  29. 岸本光造

    岸本委員 時間が終了したようでございますが、地方分権時代と言われておりますので、地方が、光ファイバーが二〇一〇年に全部の家庭に敷かれる、和歌山みたいな半島の飛んだところはしばらく飛ばしておいて後にせいとかというような、今の電波状況を見たら悪いですから、そういうことがないように、地方の方からまず充実できるように、そのことも十分配慮をしてお願いをしたいと思います。  以上、要望でございます。ありがとうございました。
  30. 高橋一郎

    高橋委員長 岸本君の質疑は終わりました。  次に、坂井隆憲君。
  31. 坂井隆憲

    ○坂井委員 昨日、衆議院の本会議で、行政改革のための委員会設置法案趣旨説明が行われました。これから今の政府、行政改革を進める、規制緩和を進めるということでありますが、そういう中で、いろいろな外郭団体というものについても、安易につくっていくのはよくないんじゃないかという声も上がってくるかと思います。ただ、そういう中において、やはり民活ということも必要ですから、そういうところはある程度必要なものは私もやむを得ないと思っています。  今回、放送番組素材利用促進事業、これに関しても、ただいまの岸本委員に対する御答弁の中でも、新たな第三セクターみたいなものをつくられて事業推進していくような話も伺いました。  そこで、この法案に関連しまして、まずどういう予算を計上していくのか。それから、どういうような第三セクター、事業者の資本金とか事業規模とか、そういうものの概要についてまずお答えいただければと思います。
  32. 江川晃正

    江川政府委員 初めに、予算の関係でございますが、平成六年度政府予算案、現に御審議いただいております予算案におきまして、産業投資特別会計から通信放送機構に対する出資金、十七億円という計上をしてございますが、そのうちの四億円がこの法案に基づく放送番組素材利用促進事業に対する出資として予定している、計上されているところでございます。  また、そのほかに、本事業にかかわりましては、開発銀行の無利子融資、これが五億円ございます。それから、財政投融資による低利融資、これが三億円ほどございます。それによる支援も予定しているところでございます。  予算とのかかわりにおきましては、今申しましたように四億、それから無利子五億、低利三億で十二億になるわけでございます。  それで、御質問の二番目になりましょうが、全体としての規模がどうなのかと申しますと、それにあと民間からの出資金ども期待、期待というか予定しまして、それが八億ほどで、トータル二十億ぐらいの規模の会社と申しましょうか株式会社になって事業推進していくだろうというふうに踏んでいるところでございます。  なお、無利子融資五億円とか財政投融資三億円と申しましたけれども、これは先生御案内のように、無利子融資一千億円という枠の内数でありますし、財政投融資五千百五十億円というものの内数として計上しているところでございます。
  33. 坂井隆憲

    ○坂井委員 民間企業の出資八億円なんですが、これは大体どういうようなところを主に想定されていらっしゃるのか。単に全くの民間企業だけでなくて、例えば地方自治体みたいなところ、そういうようなところも想定されているのか、そのあたりもお聞かせいただければと思います。
  34. 江川晃正

    江川政府委員 おっしゃいますように、八億につきましては、大体ジャンル的にいきましては放送事業者というジャンルが一つございます。それから、放送機器を製造しておりますメーカーがございます。CATV事業者もございます。番組をつくるプロダクションと申しましょうか、そういうところもございます。広告をつくる、広告代理店と申しましょうか、そういうところもございます。それから、金融機関ども想定いたしました。  それから、最後に先生の御質問の中に、地方自治体で出すところがあるのかという趣旨の御質問ですが、これはございまして、固有名詞を言っていいのかどうかわかりませんが、東京都がことしの予算の中でも計上しているところでございます。
  35. 坂井隆憲

    ○坂井委員 ただいまの局長さんのお話によりますと、全体に民間企業の出資を入れて二十億円ということでございますが、そういう中で事業を行うのは、収集、制作ということですが、収集をし制作をし、そしてそれを放送番組制作する者に放送番組素材提供していくわけですね。そうすると、提供していくとすれば、当然提供料ももらっていかなければいけない。全体の公共的な金、それから民間の出資、そういうもの以外に、受益者負担といいますか提供料みたいなもの、そういうものについてはどのように考えられているんでしょうか。
  36. 江川晃正

    江川政府委員 おっしゃいますように、提供料というものがこの会社の何と申しましょうか営業収入になるわけでございます。その提供料というのは、実は個々の収集したデータによって値段が違うようなところがございまして、貴重なデータですと高いですし、著作権がそれにうんとくっついていて、それを整理するとまた高くなる、あるいは単なる動かない写真だけですと比較的安い、いろいろございます。  そういうように、全部一括して、つい先ほども十秒ぐらいで七、八万というふうに申し上げたところでございますが、世の中的にはそれらが十万円やそこらはもっとしているんじゃないかと思われます。それをもう少しそれより安くしたいというところで想定すると七、八万円かなというふうに申し上げたところでございます。  あるいは、七、八万円と申しましたけれども、もう少し高くなって八万円とか十万円近くなるのかなということもございますが、七、八万から十万ぐらいまでの枠の中でおさまるかな。それがこの会社の言ってみれば営業活動になるところでございます。
  37. 坂井隆憲

    ○坂井委員 そうしますと、この第三セクターをもしつくった場合に、収入としては七、八万から十万ということですが、それは単価でありますから、量からするとどのくらいの収益が全体に見込まれて、全体の事業規模、支出からするとどのくらいの収益が民間から入ってくるのか。その辺は現時点ではなかなか計算しにくい面があると思いますけれども、どういうあたりを想定されているのかわかりませんか。
  38. 江川晃正

    江川政府委員 机上のと言われるかもしれませんですが、一応計算を立ててこういう見通しを立てておりますが、五年間は結論的に言いますと赤が続くだろうと考えています。  言うまでもなく、準備期間はゼロですが、初年度、一年度の売り上げても、提供料でございますが、そういう売り上げを考えてみましても三億、四億弱、三億七千何百万というレベルで考えておりまして、それが二年、三年、四年、五年と少しずつふえます。三億七千が五年には四億四千、六年には四億四千並びぐらいでいくだろう、四億の半ば台ぐらいまでは五、六年になったらいくのじゃないかなとまず計算を立てております。  それに対して、利息とか管理費とか販売費、営業費、いろいろ全部が実はスタートのときには大変高うございまして、初年度で先ほど三億七千万ぐらいの売り上げと申し上げましたが、むしろそれのための経費は五億数千万かかるんじゃないか、五億三千何百万ぐらいの支払いがあるんじゃないか、つまりは赤でございます。  赤だけを並べて申し上げますと、計算上初年度で一億八千万強、だんだんと減ってまいりまして、五年度には一億強ぐらいの赤になりまして、六年で単票に持っていけそうだなというふうに踏んでいる、計算を立てているところでございます。  いずれにしましても、五年で単黒に持っていける、累積赤を消すのはもう少し先になりますが、そういう収支計算を頭に置きながらこれをつくっているところでございます。
  39. 坂井隆憲

    ○坂井委員 七万から八万、あるいは十万というような単価ですが、先ほどの答弁の中で、貴重なデータだと高いとかそういう話ですが、どういうものが貴重かという認定もなかなか難しいので、じゃどのくらい、利用が少ないから高くする、利用が多いから安くするというわけにも、使ってみないとわからないだろうし、貴重がどうかという判断もなかなか一時的にやりにくいと思うし、試行錯誤の中だと思うのです。そういう中で、やはり当面赤字が続くというのは第三セクターの宿命としてしょうがないかもしれませんが、効率的な運営に努めていただきたいなという気がいたします。  それから、収集事業とあわせて放送番組素材制作ということもやられるわけですけれども、この制作をやる場合というのは、財源はどのようになるのか、どういう規模でやるのか。例えばある会社から委託される、委託してもらって、この制作をつくっていくということになれば、当然委託料が入ってくるわけですね。そのあたりがどういうふうになっているのか、ちょっと教えてください。
  40. 江川晃正

    江川政府委員 制作で、今先生おっしゃいました例でございますが、ある会社から委託されて制作をするという仕事は、ここの会社は考えておりません。むしろ逆でございまして、この会社がそういう力量を持つところに委託して絵を撮ってきてもらう、制作の原材料をつくってきてもらうというようなことがございます。それらの資金はどこからかといいますと、今回やっております四億、それから民間の八億、あるいは借入金というような、その二十億の中から充てていくことを考えているところでございます。    〔委員長退席、遠藤(乙)委員長代理着席〕
  41. 坂井隆憲

    ○坂井委員 全体の事業規模、例えば約二十億円としまして、それだけでどのくらいを例えば収集の方に予算を使い、どの程度を制作に使うかというような細かいことは、今のところまだ予定していないわけですね。いかがでしょう。
  42. 江川晃正

    江川政府委員 一応、目標的には収集、制作も含めまして六千本くらいのデータを集めようと考えている、収集、制作合わせまして六千本くらいを考えておりまして、分けますと、制作が一千本くらいで収集が五千本くらいということでやっていきたいと考えておるところでございます。
  43. 坂井隆憲

    ○坂井委員 収集したものを提供する、その場合は、一応提供料として、何らかの資金を利用する者から受益者負担で取っていく回制作の場合は委託というものがないということですから、第三セクターで独自に考えていくということですから、こういうものはどうかするとルーズになりやすいなという、ちょっと私はおそれを持っているのですね。  大体、こういうことを言うと不都合かもしれませんが、学者さんでも自分の専門のことがあったら、あとコストのことを考えないでどんどんやっていくような人が時として見受けられますので、勝手な判断でニーズの低いような素材をどんどん制作していくというようなことになったら、これは六年たったら単年度で黒字になるというような見通しにならないのじゃないかという気がします。そういう意味では、放送番組素材利用促進という意味においては、制作よりも収集ということをまずやはり重点に置いていくべきであって、私はそのように考えるのですけれども、いかがでしょうか。    〔遠藤(乙)委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 江川晃正

    江川政府委員 先生おっしゃいますところ、私、そのとおりだろうと思います。  まず、ルーズにならない、おかしなものばかり集めたりつくったりしないというチェックは、やはり審議機関できちっと指針を、道筋を議論してもらうことだろう、そう考えます。ですから、そのメンバー選びというものがとても重要になってくると思います。その辺のことは、基本計画を打ち出す中でも、こういうジャンルの人に入ってもらったらいいというようなこともわかりやすくしていきたいなと思うところでございます。  それから、おっしゃいますように、貴重なものを集めることに重点を置いたらいかがかというお話は、先ほど私の方でお答え申し上げました、六千本のうちの五千本が収集だというところにもあらわれていると思いますが、本当にいいデータ、素材を集めることは大変重要でございます。そういう意味では、そこに軸足を置きながらやっていくことになろうと思います。  先生おっしゃいますような、いいデータであればあるほど著作権処理などなどがございまして収集には金がかかってしまう、そういうことも含めて軸足はいいものを集めるということでやることになると思いますけれども、また反面、金も相当食うかなという気持ちはしてございます。
  45. 坂井隆憲

    ○坂井委員 民間企業から八億円出資してもらう。その中には放送事業者やメーカー、CATV事業者、それに広告代理店ですか、そういうような会社も入ってくるということでございますけれども、収集したり、あるいは制作するときには、そういうような民間企業も出資してもらっているところはいわば株主ですから、やはり、そういうところの意見も聞くような形になっていくのでしょうか。  ただいまの御答弁でも、制作するときに、審議会ではないけれども、そういうようなものの意見を聞きながらやっていくということでありますが、当然株主の意見も聞いていかないとおかしいのかなという感じにもなるし、余り聞き過ぎても何か変だなという感じもするし、非常に難しいところだと思うのですが、そのあたりはどういうような方針になっているのでしょうか。
  46. 江川晃正

    江川政府委員 基本的には、出資する方々は株主でございますから、この会社がどういう仕事に生きてくるかというのは、株主の意見が十分に反映されなければいけないのは当然でございます。その意味で、先生御心配なさる部分につきましては、いわば株主としての意見も十分に聞ける機会というのはこの会社としてつくらなければいけませんし、またそういう意見を投入しながら審議会と両方で知恵を合わせまして、いい番組の収集、仕事をしていくことになろうと考えております。
  47. 坂井隆憲

    ○坂井委員 今回、番組素材ということで第三セクターをつくられるわけですけれども、ちょうど先般五月ですか、毎日新聞に、社会面ですけれども、いろいろな行政の各種団体の絡みで、放送番組国際交流センターのことが取り上げられていました。これは郵政省だけの問題でないわけでありますけれども、この中では、財団法人放送番組国際交流センターについて、民間から寄附依頼のときに、六八年の四月に設立した放送番組センターを活用してみたらどうかというような話をそのときしたというような記事が出ておりました。  ただ、この放送番組国際交流センターも、資料をもらったりしていろいろ調べてみますと、やはり放送番組センターとちょっと違うから、このような財団法人が当時つくられたというのはやむを得なかったのかなというのが私の感じでございますけれども、翻ってこのときに議論されました放送番組センターというのは、放送番組センターの中に放送番組ライブラリーというものも設けられているわけですね。  そうしますと、今回の放送番組利用促進事業との関係、そういうことを考えていきますと、放送番組センターを改組して、例えばこの放送番組素材利用促進、素材の方も例えばさせていくとか、そういうようなことは考えることができなかったのか。また、無用ないろいろな憶測、放送番組国際交流センターのときに新聞に書かれたようないろいろな憶測を呼ばないためには、しかも昨日ああいう行政改革の委員会が提案されたわけでございますけれども、そういうような状況を考えたときには、放送番組ライブラリーを構築している、設置している放送番組センター、これをむしろ改組して事業を拡大する形で素材まで行わせてもよかったのではないのかなという気がいたしますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
  48. 江川晃正

    江川政府委員 先生の御指摘いただきました話は、私たちも検討したところでございます。結論として、一緒にならない話になったわけでございますが、一つは、集めた情報の使い方、使わせ方が全く異なるというところが一つ理由になろうと思います。  放送番組センターの方は、先生御案内のように、横浜のその会館に行きますと、ただで、無料で見せてもらえるわけでございます。しかも、見せてもらうそれは完成品でございまして、いわば番組そのものなわけでございます。無料で、かつ、ただで見せるという限りにおいて、そこに集めるデータというのは、著作権処理が、ここで見せるという限度における著作権法の処理になってございます。つまりは閲覧権だけでございます。閲覧権といっても、放送権と申しましょうか、見れるだけのことでございます。それを翻案権、つまりそれをベースにして次のものをつくり上げるような権利までは含まれていないというような、比較的ぺーシックな著作権の処理だけで済んでいるというのがございます。もちろん、これはそういうところを直せばいいじゃないかというお話はあろうかと思いますが、現にそうなっております。  一方、こちらの方は、集める素材につきまして、著作権の翻案権から放送権からみんな含んで収集し、かつそれを提供して金を取るという構造でございまして、したがって、向こうはただで見せるという意味で公益法人にしており、こちらは株式会社になるだろう、そう考えておるところでございます。  そういうような違いがどうも基本的なところにあるように思えますので、一応放送番組センターという、物を集めるという限りにおいて似ているところがございますが、一応別個のものとして本法律案において株式会社方式で検討を進めたわけでございます。その意味で、我々としては、ちょっと一緒にするにもできないんじゃないかなという感じを持っております。  さらに、株式会社にしたということによって自活、業としての活性を求めて提供料を取るという営業になるわけでございますが、そういうことで、将来の番組制作素材提供について非常に株式会社的な活発な企業活動を期待する。そういいますと、財団法人の方は活発でないみたいな聞こえになるとちょっと語弊がございますから、そこの点はお許しいただきたいのですが、株式会社の持つ活発、自由性というものをここに発揮していただこうということで、今申しましたような素材提供仕事を株式会社方式で別にさせていただいた次第でございます。
  49. 坂井隆憲

    ○坂井委員 横浜にあります放送番組ライブラリーは、ただいまお話しのように、保管し公衆に視聴させる、見せるということですけれども、あれは民放なんかには貸し出したりしなかったのでしょうか。一部一般の人には見せるけれども、もちろん見せることが原則ですけれども民放の人には貸し出しもしているようなこともちょっと聞いておりますけれども、そのあたりはどうでしょうか。著作権の問題もちょっと絡んでくるのですが。その場合に、例えば料金なんかは取っていなかったのでしょうか。
  50. 江川晃正

    江川政府委員 おっしゃいますように、民放にも貸し出しをしてございます。その場合に、低廉な価格、料金は取っております。
  51. 坂井隆憲

    ○坂井委員 放送番組ライブラリーが基本的には保管し公衆に見せるということですけれども、ただいま御答弁にありましたように、民放にも低廉な料金のもとで貸し出しを行っているということであれば、私は、番組本体と素材という違いはありますけれども、その辺のドッキングができなかったのかなという気を率直に言って持っております。  それと同時に、やはりいろいろな素材をつくるといった場合に、まず根っこの資料が必要であって、根っこがいろいろたくさんあって、その中から素材を選ぶことができると思うのですね。まず全体があって部分があるのであって、今回の素材のものは、全体のことを考えないで素材だけやろう。そうすると、どうしても無理が出てくる。だから、むしろドッキングした方が、全体の中に素材ということで、政策的にはむしろその方が非常に適切じゃないかなという気がいたしたのです。その辺は、私はそういう気持ちで思っているのですが、ちょっとそのあたりについて、局長の御感想といいますか、御意見をいただければと思いますが。
  52. 江川晃正

    江川政府委員 先生のおっしゃいますことも、まことにそういう道もあるのかなという模索は我々もしたところでございますが、ただ、確かに一緒になれないのじゃないかなと思うことの一つは、先ほど先生民放提供しているのだからとおっしゃいましたが、この部分は、提供しているというのは、完成された放送番組そのものをそのまま放送できる形で出してございます。素材としてそれを次のもののステップに使う、いわば翻案、素材として埋め込んで何かほかのものをつくっていくような、そういう使用は一切認めておりません。そのものだけを流すという、言ってみれば番組を借りてくるようなものという構造で考えていることが一つでございます。  ただ、それに素材としての使用を認めるようにしたらいいじゃないかというふうにおっしゃることはあろうと思いますが、そういう集め方で素材を、番組を集めるとなりますと、著作権の非常に多くの部分まで処理しなければならなくなるのは当然でございます。そういうことになりますと、まず全然意図が違いますから、今まで出している、提供している番組もそういう処理がなされませんから、し直さなければいけませんが、あわせて、そうなると、今度は集まる量がほとんど番組センターが持っている勢いよりも小さくなってくるのじゃないかなと思います。  そういう意味では、センターというか、合体したセンターと言っても何と言ってもよろしゅうございますが、それの収集作業が非常に困難になってくるなという気がしました。それに対して、これはそういう翻案権も製造権も含むものとして集めるというふうになりますから、初めから覚悟の上で集められますし、そういうものとして相手方も対応してくれるということで、難しさは比較的似ているかもしれませんが、集めるについてはすっきりした集め方ができるようになるというふうに考えているところでございます。そういうことで、一応別にしているところでございます。
  53. 坂井隆憲

    ○坂井委員 平成四年六月十五日ですか、郵政省の、放送ソフト充実に関する調査研究会という報告書があります。これは私も読ませていただきました。今回の放送番組素材利用促進事業も、おおむねこの報告書に沿った、その意図を酌んでやられていたのじゃないかと思いますけれども、この報告書をいろいろ読みますと、やはりいろいろないいことをたくさん書いてあると思うのですが、「いつでも、どこでも、必要な情報を得られる豊かな情報環境づくり」を推進していかなければならない。あるいは「日本文化の創造・発展への貢献」ということで、「放送ソフトは、一面において「文化」そのもの」である、「「文化」の保存及び普及に大きく貢献」していかなければいけない。あるいは「民主主義の健全な発達への貢献」「合理的な判断を行っていく上で必要な正確かつ多角的な情報提供を通じて、健全な民主主義の発達に貢献することが期待されている。」とか、いろいろ格調高い理念も書いてあります。  その中で、放送ソフト制作分野の現状、そして放送制作環境整備をしていかなければいけないとか、あるいは放送ソフト流通分野の現状、そういうことについて、いろいろ諸問題の分析と解決方策をうたっているわけでございます。この中で、放送ソフト放送機会、利用機会の拡大を図ることも必要であるとか、具体的な提言もしてありますし、先ほど言いましたような各種映像ソフトやそれらに係る各種情報を収集、保管するということが必要であるということもうたっているわけであります。  この報告などからもうかがわれることは、放送シフトの場合に、実際にそういうソフトをつくっていく業者といいますか、民間の人たち、制作会社、プロダクション、そういう人たちのためにいろいろなものをしていくということ、それから、でき上がったものを保存していく、国民がそれを見ていく、そういう角度からも充実しなければいけない、そういう二つのことが同様にこの報告書には出ている、私はそういう気持ちで読みました。  ただ、今回の放送番組素材利用促進事業ということは、先ほどからの局長さんの御答弁でもありますように、まずソフト会社、そういうものをつくっていく人たちに便利なように素材提供していくのだという、どちらかというと業者行政といいますか、業者のために、変な意味じゃないのですよ、そういうようなところが充実していくためにやっていくという視点が強いような気がいたします。  もう一つは、国民の立場からすれば、それをどのように見ていくかという視点も必要であって、昨年、テレビ朝日の椿発言があったときに、国会でいろいろもめました。椿発言があって、テレビ朝日のあのときの番組が見たいと我々申しましたけれども、それはもうない、出せないという話になった。そういうことを考えますと、国民の立場からすると、消えてしまうというテレビの特有性、それは別に政治的に椿発言を云々ということだけでなくて、今テレビでは、例えば農業問題もやっています。例えば、米不足で、米のこともいろいろ報道いたしました。我々政治家はなかなかそういうものを見る暇がありませんから、実際どういう報道をされて、国民がそれに対してどのような反応をしているのかな、国民がどのように思っているのかなというようなことも、やはり国会論戦する場合に必要だなと思うのですが、そのテレビはない。もう消えてしまう。そこが新聞とか雑誌なんかとテレビの違いなのですね。  ですから、放送ソフト制作を行う場合に、制作会社のためにどうしていくか、まあ産業政策といいますか、そういう形での視点と、国民の立場からどういうふうに考えていくかという二つの視点がある。私は、今回のこの素材のことからすれば、どちらかというと制作会社が便利なように素材提供していくということになっているような気がいたしますけれども、やはりこれからはそれだけでいいのかなという気がいたしますが、どうでしょうか。
  54. 江川晃正

    江川政府委員 私、基本的に、先生おっしゃいますことを全くそのとおりだなと率直に思います。  今、二つの分類を先生なさいました。  一つは、悪い意味での業者のためというものではないがと先生おっしゃっていただきましたから私もほっとしていますが、ソフトづくりの支援になるようなというのが一つあるわけであります。これはおっしゃるとおりです。しかし、このこと自身は、我々もう一つ向こうへ行きますと、ソフト業者の支援のためにこれをする、そのことは業者のためではなくて、翻って、でき上がったソフトが国民に戻ってくる、国民の視聴の機会がふえる、いい番組を見ることができるようになるという意味において、事業支援のように見えますが、もう一歩先へ行きますとまた国民の利益に戻ってくるという考え方をしているところでございます。  その意味で、二つの分類のうちの一つは、もう一つその目的をつけ加えさせていただければありがたいと思います。  二つ目の方の目的で、いわばでき上がったものを保存する角度、国民の目から見てということでございますし、また、見れるようにするという視点だろうかと思います。その辺は、放送ライブラリー、現にいろいろやっているところでございますが、さらに見れるようにする視点から何かいろいろなことを考えていくべきではないかということは、おっしゃいますとおりであろうと思います。  我々、それを考えなかったわけではないのですが、かなり予算を食う話になるなどいう、直観でございますが、ありました。まあ、予算事情その他からいろいろとちょっと、先にできる、二つの視点のうちの一つの方が今回始まったところです。しかし、後の方の視点も、放送ライブラリーの充実を図るなそのことをしながら、やはり先生おっしゃいます視点充実に心がけていきたいなと思っているところでございます。
  55. 坂井隆憲

    ○坂井委員 ただいま局長さんの御答弁の中にありましたけれども、私も、素材提供して業者のために、業者という言葉は余りよくないのですが、やっていくことは、これは翻って国民のためになるとは思っているのです。  ですから、こういうことも別に悪いことじゃないし、本当に我が国の放送ソフト充実させていくためには必要だとは思っているのですが、やはり、まず部分をほじくるよりも全体をつくって、その全体の中からこことここの素材を取り出していくという方が本当は手っ取り早いのではないかな。こちらでは部分的に放送番組ライブラリーというものをつくって番組を収集する。しかし、それは何となく中途半端。まあ予算も少ないでしょう。中途半端に若干収集している、こちらで今度は急遽素材のことをやるというと、すべてが何となく中途半端なままに、こちらをちょっとかじり、こちらをちょっとかじっているような感じがするわけですね。やはり放送番組を一定期間国で保管する、そういうことをして、その中でこの素材とこの素材をこういうようにしてくっつけて別につくっていこうかとかいうことの方が私は筋道じゃないかなというように考えるわけです。  それで、国立国会図書館というものがあって、そこにはいろいろな、全国の新聞も保存されております。本も、著作物もたくさん保存されております。そういうものを見ながら一部引用したりして学者は論文を書き、我々もそういうものを見ながら質問をしたりするわけですね。それで、その中でつくるということが、素材を利用して新しい放送ソフトをつくるようなものですから、まず土台がないとなかなか本当の重要な素材ができていかないような気がするのですね。  そういう意味で、郵政省政策としては、順序からすると、この素材が、素材利用が僕はだめだとは言わないのですよ、そうでなくて、ちょっと順番からするとつまみ食い的に走っているな。だから、もともとの土台のところをもっとぴしっとしてもらいたいな。それは、局長さん言われたように、予算の問題もあると思います。それは多分、委員長さん以下皆さん、一生懸命予算獲得に頑張ってくれると思いますから、やはりそういうようなことをやってもらいたい。放送番組を一定期間国で保管するシステムというものを、放送番組ライブラリーというのがありますけれども、これを整備するのが基本だという気がいたします。その辺、ちょっと決意のほどを。
  56. 江川晃正

    江川政府委員 今、放送会社がやった番組を義務的に保存できる、しておけというのは、二ないし三週間の形で、訂正放送の関係でございますことは、先生御案内のとおりでございます。それもしかし、三週間を過ぎますと義務がございませんから、求めていっても、ないと言われておしまいになる。今度の、先生が今例でおっしゃいました椿発言に基づく番組を見たいと言っても、見れないというわけでございます。  それに限らず、番組というものに対する保存の仕組みというものを考えるべきではないかというのは、私たちも、まことにおっしゃるとおりだなと思っております。それをどういう形で、仕組み、制度としてつくっていくのかというのが、予算が裏側につきますので、それとのかかわりにおいて、また強制権をもって集められるのかどうかということにつきましても、相当検討しなければいけないなと思っております。  国会図書館があらゆる出版物が全部あそこに集まる仕組みになっているということは、大変すばらしいなと思いますし、放送ソフトというのがある意味では国会図書館の書物に匹敵する重要さを今後ますます持ってくるものだと思いますから、先生おっしゃいます御意見を十分頭の中に入れながら、次の一歩を研究する上での視点にさせていただけたらありがたいと思います。
  57. 坂井隆憲

    ○坂井委員 放送番組ライブラリーに戻りますけれども放送番組ライブラリーは横浜の方にあるわけでありますね。ですから、横浜以外ではなかなか見れない。また、館外への貸し出しもできていない。  例えば図書でいいますと、国立国会図書館があるけれども、どういうものが入っているかというのは、地方の大学図書館でも、県立図書館でも大体わかるようになっているのですね。そういうネットワークができているのです。本来情報ネットワークの一番進むべき郵政省、そこが放送番組ライブラリーがまだそこまでいっていないというのは、まあ我々政治家がそこまで支援していなかった、予算をとっていなかったという責任もあるのかもしれませんが、やはり、放送番組が地方でもそのようにネットワークで利用できるような仕組みもつくっていかないといけないのじゃないのかなという気がいたします。  その辺について、いかがでしょうか。
  58. 江川晃正

    江川政府委員 理想としては確かに先生おっしゃるとおりでございますが、今我々がなかなかそこまで事が進んでいないというのは、事情が二つございます。  クリアしなければならない事情、条件、障害と申しましょうか、一つは、どんどん館外へ出て使われるということになりますと、予定される利用方法以外の利用方法が行われることに対するチェックがきかなくなるわけでございます。人を悪人と見ているわけじゃございませんが、そういう危険がございます。そうなりますと、収集における著作権処理が物すごく大変になって、なかなか集まらなくなってしまうのだということが一つございます。  二つ目は、そういうことでなおかつ集めようとしますと、やはりすごいコストがかさむことと、例えば地方からの場合に電気通信で送れとなったときに、その通信料をだれが負担するのか、どちらが負担するのかということもございます。あれだけの映像を通信で送ったらまだまだ高こうございますから、それをどうするかというような問題などがありまして、今、先生おっしゃいますような仕組みの方に話が進んでいないのは、そういった事情があるところでございます。  しかし、だからそこへとどまっていていいという話にはなりません。将来の姿として、地方の人も横浜へ行かなくても見れるような、得られるような、そういうものはいいに決まっているわけでございますから、そういうことができる手法、方法というのは何かというようなことを我々も考えていかなきゃならない問題だろうとは思います。
  59. 坂井隆憲

    ○坂井委員 もう時間がなくなりましたけれども、先ほどの、放送ソフト充実に関する調査研究会に「民主主義の健全な発達への貢献」というのが書いてあるということを申し上げました。  国民はテレビを見ていろいろなことを判断する時代になってきましたから、例の椿発言の問題でも、そういうテレビ、ビデオを提出しろというような、単に嫌がらせとか追及するということじゃなくて、そういうテレビの中で国民がどういうようなことを判断しているのかな。あるいは政治家も今いろいろなテレビに出ていろいろな発言をしておりますけれども、それが仮に、正しい場合もあるし、誤ったこともある。そういう中で、国会の論戦というものが充実していかなければいけない。そういうことを考えますと、やはりテレビ放送の収集だとか保存、まあずっと保存するというのも大変なんですけれども、そういうことをそろそろ真剣に考えるときに来ているなということを感じるわけであります。  そこで、今まで局長さんからもいろいろなお答えをいただきましたけれども、最後に、やはり政治家として、大臣から、放送番組などの映像の保存、提供、こういうものに関してどのような政策的理念を持って臨むつもりなのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  60. 日笠勝之

    日笠国務大臣 まず、坂井委員のおっしゃった件は、非常に貴重な御意見だと思います。  映画ライブラリーというのがありまして、一回焼けまして、皆さんから寄附を集めてまた今復興というのでしょうか、復旧をやっておるようでございます。放送番組のライブラリーというのは、一応横浜に一つございます。これは、館外はだめとかいろいろ制限があるようでございます。これから生涯学習、生涯教育ということを考えますと、図書館なんかがまさにその核になろうかと思います。今、私の岡山でも、ビデオであるとかCD、コンパクトディスク、これなんかも若者を図書館にということで、またお年寄りの方がそういうものを楽しめるようにということで、収集をして、提供して、貸し出しをしておるわけでございます。  そういう意味では、国が一律にいろいろな番組を集めてというのがいいのか、身近なところで皆さんが享受できるようなものがいいのか、これは今後中長期的によく検討させていただきたいと思います。  先ほどの御質問の、放送番組の映像の保存、提供に関しどのような決意かとおっしゃいましたけれども、とりあえず、この番組素材というものを収集をしたり、保管をしたり、また制作をしたり、それからもう一つ、あっせんという業務があります。ないけれども、そういうライブラリーといいましょうか、映像を持っているところを紹介をする。若干あっせん手数料をいただきますけれども、そういうようなこともやるわけでございます。国民の貴重な文化的遺産でございますし、広くこれが国民に知られること、伝達されることは、大きな、社会的な意義もあろうかと思っております。  そういうことで、今度この法案を通していただきますと、基本方針、基本計画もつくりますし、出てきたものについては慎重に検討させていただきまして、先生がおっしゃるような過つことのないような方向に向けて、誠心誠意やらせていただきたい、このように考えております。
  61. 坂井隆憲

    ○坂井委員 どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。
  62. 高橋一郎

    高橋委員長 以上で坂井君の質疑は終了いたしました。  次に、横光克彦君。
  63. 横光克彦

    ○横光委員 横光克彦でございます。  今お二方の委員からいろいろとお話がありましたが、情報通信分野において本格的なマルチメディア時代が到来しようとしていることは間違いないと私は思っております。先日の「二十一世紀の知的社会への改革に向けて」という答申の中でも、二〇一〇年には全国あるいは全家庭に光ファイバーを網羅しようという大構想を発表されたわけでございます。このように我が国の情報化が著しく進展する中で、放送等の情報通信が国民に真に役立つものになるためには、情報通信メディアを通じて提供されておりますソフト充実というものがやはり極めて重要であろうと私は考えております。光ファイバー網がハード面での開発だとすれば、今回のこの法案あるいはこの本事業、これはソフト面での充実に大きな意義があると私はそのように考えております。  私、かつて放送番組の現場で仕事をしていた経験もございまして、そういった意味からでも、この法案には賛成の立場でございます。  ただ、幾つかまだ明らかにしておきたい点、あるいは疑問に思う点ありますので、その点をちょっと御質問させていただきたい。お二方の委員と重複する点が多々あるかと思いますが、より明確化ということで御理解いただきたいと思います。  放送における多メディア・多チャンネル化の推移と現状については先ほどお答えがございました。それから、多メディア・多チャンネル時代における放送ソフトについての課題、これも御説明ございました。  もう一度、本法案放送番組素材利用促進事業概要を御説明願いたいと思います。
  64. 江川晃正

    江川政府委員 本法律案の、放送番組素材利用促進事業と呼んでおりますが、これにつきましては、法文でいきますと二条に書いてございます。  一つは、放送番組制作に使用される映像あるいは音響素材放送番組素材というふうに私たち言っておるところでございますが、その素材を収集、制作、保管し、放送番組制作の用に供する業務というのが一つの大きな業務でございます。  もう一つは、「放送番組制作する者に対し放送番組素材に関する取引のあっせん又は情報提供を行う業務」、あと附帯することがございます。  この二つが大きな仕事でございます。  それで、この事業支援することによりまして放送番組制作基盤充実が図られ、地上放送、あるいは衛星も含んでまいりますが、自主番組放送充実あるいは多チャンネルケーブルテレビ等における多様な放送番組提供等に資することとするというのが、非常に味もそっけもない言い方かもしれませんが、法文に則した事業でございます。
  65. 横光克彦

    ○横光委員 素材のライブラリー事業への支援あるいは今の収集、制作、保管、それから素材の取引のあっせん、情報提供、私から見ますと非常に意味のあることだと思っております。  ただ、この事業の中で一番私は大きいなと思うのは、流通ですね。素材というものが、恐らくいろいろなところでまだまだ持っていながらも利用されていない部分が随分あるだろう。それは全国的、あらゆる分野においてあるだろう。そういったものがただ滞っているだけでなくて流通するという意味では、この事業は大きな意義を発揮するんじゃないか。流通化というのもこれからは非常に大事じゃないかという思いがするのですね。  そして、先ほど制作部分で、委託するというお話でございましたが、この委託ということになりますと、新しい事業が新しい仕事を委託するわけですから、そういった委託される側からしますと、新しい市場が一つふえたというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  66. 江川晃正

    江川政府委員 先生おっしゃいますとおりだと申し上げてよいと思います。  流通の世界でも、死蔵、退蔵されているものが出てくるという意味において経済の活性化に少しでも貢献することになりましょうし、いわんや制作を委託するという部分になりますと、まさにそこになかった仕事一つやってもらうわけでございますから、かつ、そういう受託して制作する技術、技能を持った集団といいましょうか、人たちはたくさんいるわけでございますから、そこへの活性化の一助になるんじゃないかなと私たちも考えております。
  67. 横光克彦

    ○横光委員 委託で一つの番組制作をするサイドにとっては活性化になる、大きな意味があると思います。  さらに、このストック、あるいはそういった素材を利用できるという意味でも、番組を制作しているサイドにとっては大きなプラスになるであろう。といいますのは、制作プロダクションが大体今の地上波の放送事業者の放送する放送の約七割ぐらいを制作したり、あるいは何らかの関与をしているわけですね。  しかし実際は、制作プロダクションの現場というのは非常に厳しい状況にあるわけです。といいますのは、非常に小さい規模の、不安定な経営基盤でやっている事業者が多いわけですね。資本金が一億円以上になる事業者というのは、そのうちの二割くらいにしか満たないというふうに、ほとんどの事業者が小さい規模でやっている。そして、そういった小さい制作プロダクション等、製作会社等が群雄割拠して、できたりつぶれたりしながらやっているのが私は現状だと思うわけです。  そして、放送事業者からいわゆる委託を受けて番組あるいはいろいろな放送番組制作するわけなんですが、委託を受けるということですから、いわゆる下請ですね。下請ですと、どうしてもいろいろな制約がある。制作費の制約、あるいは時間的な制約ですね。非常に厳しい、短期間で一つのものをつくり上げなければならないような現状である。  この時間的な制約のことで一つ例を申し上げますと、一つの番組、ドラマだとしますと、それをつくる場合、昔は、割とじっくりと、余裕があるプロはそれなりにじっくりと撮って、監督も割と思うがままに仕事ができた、そしていいものができたという時代だったのですが、今は、今お話ししましたように非常に厳しい状況である。そういう中で今監督として一番何が求められているかというと、演出力よりも早く撮る人、早撮りが一番監督として求められるというような、それはすべてじゃありませんが、変な時代になってしまった。演出力あるいは本当に中身のある充実した作品をつくるより、限られた時間内に仕上げて収録あるいは撮影し終えることのできる監督、こういった者が今優遇されておるようなこともあるわけですね。これは、番組制作の現場が非常にそういう状況であるということが一端であろうと思います。  そして、その上にまだ人材不足も著しいですね。三Kと言われておりますし、人材的にも非常に集まりが悪い、こういったいわゆる余裕のないところで番組をつくっているのですが、それでもみんな一生懸命質の高い番組を制作して、テレビ放送を通じて国民に届けるために日々努力を重ねている、そういう現状を私は見てきております。  そういった状況を踏まえれば、この法案が成立してこの事業がスタートすれば、非常に多様な映像素材が使用可能となり、そしてまた放送番組制作が非常に効率化が図られる、私はそう思うのです。ですから、もっともっといい、良質な番組として国民にはね返ってくる、そういった結果になろうかと思います。  ただ、今お話ししました、この事業がスタートしまして利用するサイドが、制作プロダクションと今私説明しましたが、それ以外にも、こういったライブラリー的なものができましたら、地方の周あるいはCATV事業者、そういったものも制作していますね、そういったものも利用するでしょうが、そういった以外にどういう人が利用するというふうに思われておりますでしょうか。
  68. 江川晃正

    江川政府委員 先生のただいまの現場からのお話と申しましょうか、私たちもこれをつくるに当たりましてはいろいろな人から情報をお聞きしながら、大変リアルなお話を伺って、今なおさら大変感動したところでございますが、早撮り能力が優遇されるというのは本当に、ああそうなんだなというふうに思います。  ただ、我々の、我々のという言葉はおかしいですが、でき上がりますこの会社は、比較的コストの制約は、予算に縛られて多少ございましょうけれども、多少というか相当ありましょうけれども、時間の制約は、番組のいつまでの話よりは少しはあるんじゃないかなと思います。  例えば深海、深い海の中の魚の生態を撮っておこうじゃないかというときに、あしたでなければならない理由は必ずしもしないわけでありますから、ちょっと次に行ったときに、その人にこの海のあれを撮ってもらおうというような多少の余裕を持ちながらやるという形で、それは時間とともにコストも少しは安くなるのかなという、そういうような集め方で、しかしルーズに緩んでいいというものではございません。そういうような形でやっていけば、多少ともよいものがたくさん安いコストで集められるのじゃないかなと考えます。  そういうもので集めました話を、物をだれが利用するのかという点では、先ほど来私お話を申し上げておりますが、要するに、これを使って番組をつくろうとする人、その番組は、必ずしもそれで放送会社のようにやって商売にしようというばかりではないと思います。  何かのグループがある種のストーリーをつくろうというときに、あそこへ行ってあの素材をとってきて、これを使ってつくろうということもあり得ると思います。その辺はまだ我々の世界に見えてないところでございますが、いわばマルチメディア世界の中で、自分の番組をつくるというのが世の中に出てくることが多いと思いますが、そういう人たちへの素材提供の機会もあるというふうに考えますので、業として行う種類の人たち以外の、いわば趣味でやると申しましょうか、楽しみでやるというか、自分たちの同窓的な仲間でやるとか、親睦仲間でやるというような人たちもこれを使ってくれるのではないかなと思ったりするところでございます。
  69. 横光克彦

    ○横光委員 本事業に対する予算措置については、先ほど御説明がございました。産投から四億円、そして民間企業等から八億円。これが資本金になるということ。それ以外に無利子融資五億円、財投三億円ですね。こういう形でスタートするわけですね。  産投あるいは開銀等からのあれは問題ないといたしまして、民間企業、ここの八億円というのが先ほどからも御質問されておりましたが、第三セクターという形でやられるということで、東京都の参入はもう決定しているわけでしょうか。
  70. 江川晃正

    江川政府委員 まだ第三セクターと決まったわけではございませんが、東京都が出資してもらいますと、そういう方向になってくると思います。  ところで東京都は、平成六年度の予算に計上しております。六千五百万円ほど出資の形で計上してございます。     ――――――――――――― 訂正させてください。六千五百万円と申しましたが、六千万でございます。
  71. 横光克彦

    ○横光委員 ここに電波タイムズという新聞があるのですが、ここに書かれているのに、「民間企業等の分野NHK民放、メーカーなどが八億円を出資して同事業を打ち上げる」ことというふうな記事があるのですが、NHK民放等の参入というか出資といいますか、そういったことは話し合われたんでしょうか。
  72. 江川晃正

    江川政府委員 まだNHKが出資すると決めたわけではございません。民放NHKも含めまして、この法律をつくること、この事業をやろうということにつきましては話し合っているところでございまして、今後とも話し合いを継続していきたいと思っております。
  73. 横光克彦

    ○横光委員 私はちょっと心配なのは、NHKあるいは民放キー局というのは、長い間番組を制作してきて、非常に多量な番組素材をストックしているわけですね。そして実際、この民放キー局あるいはNHK等が今度の事業と同じようなことをやっているかやっていないか、お聞かせください。
  74. 江川晃正

    江川政府委員 NHK民放のキー局がいろいろと過去に放送した番組などを保管して、ストックしておるということはそのとおりでございますが、再利用につきましては、いわば副業的にやっていると承知しております。
  75. 横光克彦

    ○横光委員 副業的と申しましても、いわゆる一つのビジネスになっているということでしょう。そうしますと、同業種みたいなものがスタートするわけですね。  素材をデータベース化しておくわけですけれども放送事業者、いわゆるNHK民放あるいはほかの地方自治体とか、いろいろなデータを持っている人たち、素材を持っている人たちがこの素材情報を登録する義務、これはどうなっているんでしょうか。
  76. 江川晃正

    江川政府委員 そういう義務は、民放NHK含めましてございません。
  77. 横光克彦

    ○横光委員 これは義務がないわけですね。としますと、多量に持っている民放NHKは、そしてビジネス的に副次収入としてやっているという現状から見ますと、今度の事業素材を非常に多量に持っている分野がまず素材提供してくれないという危機感はございませんか。
  78. 江川晃正

    江川政府委員 この会社、これによってでき上がります事業は、一本の頭からしっぽまで完成した番組をぽんぽんそろえるということが必ずしも最大目的ではございませんで、言ってみれば、それを使って次のものをつぐるための素材でございますから、そういう完成品もございましょうし、そうでないものもあるということでございます。  それで、完成品を集める、それで単に提供するということになりますと、確かに先生おっしゃいますように、ちょっと警戒してしまうところがあるのかもしれませんが、もう一つ事業はここでやりますが、その種のものは、ああTBSに行くとありますよとか、NHKに行くとありますよ、こういう情報提供ができて、欲しい人とTBSを結びつけることができる。そういう意味において、むしろ手前勝手な言い方かもしれませんが、そういうものの流通の手助けになることも十分あるぞと考えているところでございます。
  79. 横光克彦

    ○横光委員 確かに、今おっしゃいましたように、素材の取引のあっせんあるいは情報提供等の分野でも協力体制といいますか、私はやはりここは、本事業と各局、NHKとの協力体制は私はぜひとも必要であろうと考えております。  映像あるいは放送番組は権利の集まりのようなものなんですね。集めたはいいが使えないでは困るという状態が起きないためには、やはり一番問題になるのが著作権の問題であろう。この著作権あるいは肖像権といいますか、この問題について、ノウハウあるいは人材、そういったものを含めて、著作権の処理についてはどのようにお考えなのか。
  80. 江川晃正

    江川政府委員 先生本当に御案内のとおりでございまして、結局は著作権をどう処理できるかというのが、集められる、られないの分かれ道になるかと思います。この問題の難しさというのは申し上げようもないくらいだろうと思います。  特に、横浜でやっておるライブラリーの場合には見せるだけでございますから、非常に単純など言うと語弊がありますけれども、ある部分著作権だけで済むわけでございますが、これはさらにそれを使って次の番組をつくる、つくってもいいぞという話でございますから、言ってみれば複製権が入り、翻案権が入り、放送権が入り、有線送信権とかいろいろなものが入ってきてやる。その意味では、著作権一言で申しましてもカバーする権利あるいは保障する部分というのは大変な大きさになってくる、非常によくわかります。  それで、我々も失礼しました。この我々というのは法律が予定する我々という意味で御理解いただきたいと思いますが、この法律に予定する会社の作業は、集めてくるに当たって、現所有者がやはり一括処理して、それをこちらで、それぞれの間で処理したものを私たちが買い取る、受け取るという形でやっていくというのが一番いいのじゃないかな。この会社の人がそのソフトにまつわるあまたの権利者にこうやってやっていたらとてもできないことだと思います。そういう意味では、相手の当事者にいろいろやってもらうことが必要だな、そう考えているところでございます。  それにしましても、何権、何権、何権、何権、いっぱいありますものを少しは整理する、扱いやすくするということが必要だと思います。それは、この会社ができる相談ではなくて、ソフトにかかわる著作権を、いわんやマルチメディア時代になってまいりますともっと重要になりますから、それをどうするのかというのはむしろ国が考えなければいけない話でございます。  そういう意味では、郵政省といたしましても、マルチメディア時代におけるこういう著作権のあり方をどうするのか、どういうふうに処理していったら一番いいのか、あるいは著作権をどう整理したらいいのかということは、著作権を所管する文部省とも十分に意を通じながら、意見疎通をしながら研究を進めていかなければいけない話だ、そう考えておるところでございます。
  81. 横光克彦

    ○横光委員 この著作権の問題あるいは肖像権、こういったものというのは大変な手間と時間、ということは経費につながるのですね。私はこの経費、著作権のことに対しては膨大な出費が要るのじゃないかという思いがしているのです。  一つの例を挙げますと、例えばこういうときはどうされるのですか。これから昔の素材を集める、そうすると思わぬ方からいろいろな素材が集まることがあります。そうしますと、今ではもう撮影できない過去の、また戦後の貴重な映像があった。その貴重な映像に風景と同時に人物も写っていた。人物の顔がはっきりわかるような映像もあった。しかし、物すごく大変な、貴重な映像である。そうした場合、その人物はもういない。そうすると、その子々孫々まで訪ねていって許諾権を得る、そういうことまで必要なのでしょうか、そういうことは必要じゃないのでしょうか。
  82. 江川晃正

    江川政府委員 大変難しい問題でございまして、うちの専門家も、映像によりますけれども必要な場合も出てくるというふうに考えております。そうなると、やはり追いかけていくことになるのかもしれませんですな。今ちょっと一概に全部が追いかけますというふうにお答えいたしかねます。難しい問題があるということで御了承いただきたいと思います。
  83. 横光克彦

    ○横光委員 放送ソフトは重要であるということは言うまでもありませんが、その一方で、ハード面での充実も図っていく必要があると思うわけです。最新の技術開発の成果を国民に還元していく必要があるわけですね。  そういった意味で、放送技術の開発に郵政省はどのように取り組んでおられるのか、お聞かせ願えれば。
  84. 江川晃正

    江川政府委員 おっしゃいますように、ハードの充実も、我々は右手のソフト、左手のハードという意味でそれをやっていかなくちゃいけないことは明らかでございます。それで、ハードにつきましては、我々もいろいろやってまいりました。  一つは、現在技術開発を進めているという部分で申し上げますと、現在のテレビジョンと両立性を保ちつつ画面をワイド化していく。今四対三を十六対九にするということで、横長でございます。ハイビジョンと同じ画面の大きさになりますこととか、画質をよくしていく、今の五百二十五本の中の話ではございますが、ゴーストを取るとか、いろいろな、画面の好画質化というふうに簡単に申しておりますが、そういったものを図るという意味で、第二世代のEDTVという言葉を使っておりますが、エンハンスドテレビというと、高度テレビと申しましょうか、それの実用化を平成七年に向かってやろうということで動いております。  それからもう一つは、これからマルチメディア時代になってまいりますと、どうしても避けて通れないのがディジタル化でございますので、放送のディジタル化というものにつきましても先々月研究会で報告をいただいたところではございますが、あわせて、ITU、国際電気通信連合でございますが、その標準化のタイムと合わせつつ、日本国のディジタル化の標準化も図っていかなければいけないなと考えているところで、これは一九九六年を目途にいろいろやろうとしているところでございます。  あわせまして、放送の技術は、マルチメディアの中で放送がどうなっていくのか、ディジタルでどうなっていくのかということ全体をひっくるめた道筋とビジョンといったものを、懇談会というものを設けまして、そこで御意見をいただきながらまとめていただこうとしているところでございます。  また、あわせて、うちの郵政省の研究所で技術開発のためにいろいろなシステムの調査、研究開発に予算をつけていろいろな研究をしているところなどなどでございます。  細かくなりますから、以下はおかせていただきます。
  85. 横光克彦

    ○横光委員 放送は、国民生活に欠かせない基幹メディアとなっているわけです。技術開発の成果を生かして実用化されている各メディアについては、今後ともその振興を図っていく必要があろうと考えております。  放送の各メディアの振興について、郵政省としてはどのように取り組んでいくのか、郵政大臣の基本的なお考えをお聞かせください。
  86. 日笠勝之

    日笠国務大臣 今江川局長から答弁したことと重複いたしますけれども、まさに放送は、先生も現場にいらっしゃったように、災害のときの緊急の放送から、またスポーツ、ニュース、娯楽等、非常に国民の生活に根差したものでございます。  また、放送産業というものは雇用の大きな創出の部分にもなっておりますし、今後のメディア振興策は積極的に推進していかなければならないと思っております。  時間がありませんが、具体的には、はしょって申し上げますが、CATVもまだ日本の国の五%程度の普及率である、アメリカが六、七割という中でまだ五%。しかし、これも今後大いに振興していくのではなかろうか、またそれをしていかなきゃならないと思いますし、あとBSとかCSとかいう、いわゆる衛星通信衛星放送を使っての振興も、いろいろな面で規制を緩和しながら、また法案もお願いするようになっておりますけれども、振興していかなければならないと思っております。  ともあれ、郵政省、これから電気通信審議会でいただいた答申を、二十一世紀政策化へ向けて各省庁と協力いたしまして、その中核であるこの放送通信との融合ということも考えられておりますし、皆様方に御支援、御協力をいただきながらきちっと政策を展開していきたい、かように考えておる次第でございます。
  87. 横光克彦

    ○横光委員 ソフト面で国が出資するというのは恐らぐ初めてじゃないかと思うので、歓迎すべきことだと思います。本法案の成立と本事業の堅実な運営が図られますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  88. 高橋一郎

    高橋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十三分開議
  89. 高橋一郎

    高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢島恒夫君。
  90. 矢島恒夫

    ○矢島委員 提案されております法案につきまして、私どもなりに放送関係者からいろいろと話を聞きました。事業者の方、あるいはそこで働いている方、労働組合の方。共通して出された問題として、この放送素材臨時措置法というもの、果たして事業はうまくいくだろうか、こういう懸念が大変あったわけです。  その中でも特に、時間の関係もありますので幾つか申し上げますと、一つは、やはり放送素材というものを大量に、また質的にも量的にも多く持っているのはNHK民放キー局だ。新しく設立されるこのセンター素材が集まるだろうか。この点については、先ほど質問がございましたので、情報提供等、流通の手助けもするんだ、こういうお答えがあったわけですけれども、確かに現在、もう放送事業者にとりまして素材は既に商売の種になっている。江川局長も辛されましたように、秒単位で、例えばスポーツ番組でドラマチックな決定的瞬間などというのは、百万から中には一千万する素材もある、こういう状況も聞いております。  そういう素材の利用というものも確かにますます拡大していく、これは御答弁のとおりだと思うのですけれども、同時に、そういうことだからこそ、自分が抱えている貴重な、また価値のある素材というのはなかなか手放すということが難しくなってくるんじゃないか。やはりこのセンターが有効に活用されるためには、素材をそれぞれ集めていく必要があるだろう。  当初、計画的には六千本で、そのうち五千本が収集で一千本が制作だ、こういうお答えを聞いたわけですけれども、確かに、放送事業者に素材提供を義務づけるなどということは、これは放送法からいっても放送の自由からいっても無理な話でございますが、果たしてこの収集五千本、どういう見通しあるいは計画、そういうものをお持ちなのか。  同時に、懸念のもう一つが、五年間は赤字だけれども六年後には何とか黒字に転換するのだ、これも甘いのではないかと私は思うわけですけれども、その辺について。  なお、私の持ち時間非常に短いので、簡潔にひとつ。
  91. 江川晃正

    江川政府委員 六千本の、制作千本、収集五千本はどういう見通しなのかということですが、とりあえず、この一年間こういう目標でやろうということで、意外と多くの放送事業者の方々からもいい情報をいただいたりしているところがございますので、頑張って何とかやっていきたいと考えているところでございます。
  92. 矢島恒夫

    ○矢島委員 確かに、新幹線がぱっと映るなどというのは、これはだれでもつくれるものであるし、撮れるものですね。そういうのばかりじゃなくて、やはり貴重なというところを江川局長、先ほど午前中の答弁でも言われましたが、やはりそこが利用者を拡大するかどうかの一つの大きなめどになると思うのですね。そういう意味では、そういう状況に今あるこの放送業界の中にあって、ぜひ今答弁されたような方向で努力していただくということを積極的に進めていただきたい。  もう一つのこととして、やはり午前中の答弁にもありましたけれども、この事業を進める主要な対象というのが、番組制作会社とか地方の民放局あるいはCATV、こういうところだということですが、この事業者が本当に利用してもらえる、つまり、別の面からいえばこの事業が有効に機能するといいますか、そのためには、地方での番組制作だとか地方からの情報発信、こういうものがもっと活発になっていくということがぜひ求められていくと思うのですね。東京への一極集中ということにつきましては是正されなければならない、このことはやはり情報の面でも言えるのではないか。情報を発信するのは専ら東京からなんだという一極集中というものは是正していかなきゃならないし、そのためにも地方の番組制作の能力を高めていくということが必要だと思うのですが、その点、どうお考えですか。
  93. 江川晃正

    江川政府委員 おっしゃいますとおりでございまして、今、中央でつくる部分、それから自分でつくる部分、それをちょっと数字的なことを簡単に申し上げさせていただきますと、昨年三月のある一週間をとった数字でございますが、在京キー局、東京の4、6、8、10、12ですが、そこでつくりますのが大体七三%ぐらい、それがそのネットワークで流れちゃう。それから準キー局、大阪にある五局でございますが、それが二九%ぐらい。あとローカルで一三%、ローカルというのはそれ以外のところということでございますが、そういう格差がございます。  先生おっしゃいますように、地方からの発信をするというのは格差是正のためにも大変重要なことだ、そう考えておりますが、その手助けに本件が私たちはなり得るんじゃないかと考えるわけでございます。番組をつくる素材を入手する環境、条件を整えることによって地方の局の番組制作に役立たせることができるし、質の向上、能力の向上にも貢献するものと私たちは考えているところでございます。
  94. 矢島恒夫

    ○矢島委員 地方のそれぞれ番組制作会社や地方局等の制作に役立たせる。ただ、実際にいろいろな状況を見てみますと、これは、ぜひ役立たせてもらいたいんですが、ほかの面で、番組制作という面で支障があることが考えられる事態が地方局の中に起きているということを幾つか挙げたいんです。  例えば全国四波化ということを進められて、そして八〇年代後半から次々と新しい民放局が誕生する、こうした中で新局は職員数が極端に少ないんですね。番組制作会社の問題が午前中出されました。この新しい地方局も、その内容というのは、例えば職員数でちょっと当たってみました。既存局が大体百五十人前後のスタッフを持っております。これに対して新しい局は六十人から八十人程度です。多くても百人にはならないですね。特に番組編成に当たるスタッフが少ない、ここが特徴なんです。そこで、この番組制作、もちろん素材を実際に使っていく部門、これについて比較してみました。具体的なテレビ局名はちょっと差し控えますけれども、ある県では現在二つの既存局、これが制作スタッフは一方は六十人、もう一つの局が五十人であります。ところが、この県に新しくできた二つの局は、アナウンサーを含めて、一つは十二人、一つは十四人という体制なんです。もちろんこういう方々はそれなりに少ない人数で地域で求められる情報を送り出そうと頑張っているわけですけれども、しかし余りにも少な過ぎるんじゃないか。この実態をどのようにお考えかということです。
  95. 江川晃正

    江川政府委員 大体、後からでき上がります放送局が規模が小さくスリムになっていくという傾向があるのは否めないところかと思います。一つには、中継局といいまして、同じ面を伝えるに当たっても局が少なくなります。それで、それだけの維持管理の必要もなくなることもあったりして少ないということもありますが、先生の今頭に置いていらっしゃる少なくなるという一面は、番組づくりの点で必要がなくなるからではないかという一面があろうかと思います。そういう一面も確かにございます。そのことは必ずしも悪ばかりではございませんで、つくり方に責任体制をきっちりしながら、なおかつ番組を外に出してつくる外注と申しましょうか、そういう部分もこのごろふえてきているということもあります。そういうつくり方をよいか悪いかと単純に決めることはできないわけでございますが、少なくとも、外注してできたとしても、そのでき上がった品物に対する責任はきちっとその局にとってもらうというか、見てもらうということだけは、管理体制だけはきちっとやってもらって、外注でやっていくのも合理的なスリム化の一つではないかなと考えているところでございます。
  96. 矢島恒夫

    ○矢島委員 外注の問題が出てきたのでお尋ねしたいんですけれども、地方の民放局の制作能力の問題で、これを強化していこうということに逆行をするのではないかというのでお尋ねするんですが、郵政省の、新時代における放送産業の在り方に関する懇談会というのが二月に中間取りまとめを出していると思います。そこでは、一県四波化のためにいわゆるマスメディアの集中排除原則というのを排除して、例えば一社二波方式あるいは二県一波方式、こういうことを認める方向を打ち出した。つまり、このことは、先ほど中継局の問題が出ましたし、それから制作能力の問題で外注の問題が出ましたが、もう一つその中に重要なのは、東京からの電波を発射するだけ、自分のところで番組制作しない、こういう問題がこれまでもあったわけです。これまでもこういう放送局はあるわけですけれども、これに拍車をかける方向になるのではないかという問題。このことは、その放送局だけの問題じゃなくて、その地方全体の番組制作能力だとかあるいは情報発信能力が落ち込むことにつながっていくんだ、このことをどう考え、またこれでいいと考えていらっしゃるのか、その点をお聞きいたします。
  97. 江川晃正

    江川政府委員 マスコミの集中排除を緩和するという考え方及びその実行の根本にありますのは、情報の格差是正ということが中心でございます。端的に申し上げますと、あるところでは東京の番組の二つしか聞こえない、三つしか見れない、ところがよそへ行ったら四つ聞ける、ちゃんと聞ける、それでいいのですかというのが声としてあると思います。その場合に、二つしか見れない、三つしか見れないものをどういう手法で四つまで高めることができるかというのが最大のポイントでございます。その意味でマスコミの集中排除というのが情報格差是正との関係で出てきて、先生今おっしゃいましたように一局二波とか二県一波とかという手法を生み出しているわけでございます。そのこと自体は情報格差是正のためでございますから、むしろ格差拡大ではなくて是正になるというふうに考えるところでございます。  プラスして、そのことが、例えば中央から情報が流れてきて、もうつくらないからつくる能力が衰えてくるとか、そういうふうなあれではなくて、例えば新しく一局二波になりますと、もう一つプログラムが流れるわけでございますから、その地域としてはむしろ競争が激しくなることは言うまでもありません。競争が激しくなるということはいいものをつくらなきゃならなくなる、そういうプラスの方向にむしろきいてまいりまして、つくる能力も高めたり、またそこに切磋琢磨しなければならないというふうに考えております。  先生おっしゃられますようなマイナスの面があるのかもしれませんが、むしろプラス面を強調して格差是正に努めてまいりたいというのがこの報告書の考え方でございます。
  98. 矢島恒夫

    ○矢島委員 例えば一社二波方式あるいは二県一波方式というようなことにつきましても、制作能力を高めるということは、一つ制作スタッフの問題も含めて払お聞きしているわけですから、やはり先ほどの各放送局のそれぞれのスタッフ、特に放送番組スタッフの少ない問題、それがただ単に中継みたいな形で東京からの電波をそのまま流して同じ画面があちこち出てくるというのではなくて独自に制作する、そういう能力を強めることが必要だという意味で私質問してきたわけです。  今おっしゃられましたように、このことはかえって格差是正という面で非常に有効なんだということについて、時間がありませんので、私は一つだけ例を挙げたいんです。これはどういうふうにお考えかということです。  この中間取りまとめて打ち出している一社二浪、一つ会社で二つの波を出すという、このモデルともいうような新局開設の計画が沖縄でありますね、今。来年十月に琉球朝日放送が開局する。そして、この放送局は既存の琉球放送と同じ社屋の中に同居する計画、事実上一社二浪という方向で進められています。沖縄ではこれ以外にも来年秋に南西放送というのが開局を準備しております。  新しくできる琉球朝日放送の人員は大体六十大規模だと聞いております。その六十人のうち三十人は琉球放送からの出向だ。残りはどうするかと聞いたら、琉球放送とキー局であるテレビ朝日が共同出資するところの人材派遣会社から送り込む計画だ。それからもう一つ、沖縄には既存の沖縄テレビというのがあります。これは新局開局によって収入がずっと減ってくる、こういうことを理由に社員約一五%の削減、三十人になりますが、これを計画しています。二つの既存局ともに、片方は出向、片方はそのまま人員削減という形ですけれども、大体一五%程度の人員削減がされようとしているわけです。  ですから、郵政省が地域の情報は既存局に任せればいいとか、あるいはそちらが中心になればいいというように考えていると大変な間違いだ。結局、新しい局ができる中で、コマーシャル収入というのが中心になるわけですけれども、これの問題あるいは県の経済力以上の開局ということで、既存局にも大きな影響が出てきている。これが沖縄がいい例として出てくるのではないか。  新局の開局によって地域のいわゆる情報発信能力が落ちていくという問題、あるいは地域に密着した情報は少なくなってしまうのではないかという懸念、東京から発信される情報がそのまま出ていく、発射されるという一極集中化が進んでしまうのではないかという懸念、こういう問題があるんじゃないか。一極集中を促進してはならないんだと思うのですが、この点いかがでしょう。
  99. 江川晃正

    江川政府委員 今沖縄の例を先生お引きになりまして、人間の数のことをいろいろおっしゃいました。私もその辺は聞いて大体承知しているところでございますが、おおむね、最近の局を新しくつくるに当たりましては、これまでの考え方の延長で人間の数を決めたり、局をつくったりということはほとんどしなくなってきているのが本当だろうと思います。  一つには、技術革新がありまして、同じ番組をつくるのにも少ない数でできるようになったということと、それからやはり企業のスリム化というのもありましょう。そういうのでやろうとしているところでございます。例えば東京都に今度第六局目の東京メトロポリタンテレビジョンができる予定で今動いておりますが、従来の考え方でいきますと、あれは五百人必要だと言われています。ところが、百五十人ぐらいでつくろうとしているわけです。それはもう技術の粋を全部集めてやっていこうというようなことなども、いろいろ含めてのことでございますが、それでも番組、東京のあちこちの、隅々の情報もそこからとってこようということもやっているところでございます。そういうようなこともありまして、単に人の数だけの問題でその地元発信の情報が足りなくなる、あるいは寂しくなるということばかりも言えないのではないか。  先生のおっしゃいます、厳しいじゃないかということはわかりますので、そういうことをよく頭に置きながらいろいろ仕事を進めていきたいと思います。
  100. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もう時間になりましたので、最後に、本当は大臣に聞こうと思いましたが、要望をちょっと一言だけ申し上げたいと思うんです。  平成四年度の民間放送連盟賞というので報道番組部門で最優秀賞をとったのは、長崎放送の「ドキュメンタリー 故郷荒寥たる普賢岳被災農民たちの一年」この番組なんです。これは一年間地域に密着した放送局の番組だからこそできたわけであって、これは全国ネットには乗らなかったわけですけれども、こういう評価が出たんだと思うのです。  そういう点から考えても、こういう地方から情報発信、地方に密着した情報、こういうものを発展させるというのがやはり郵政省として施策の中で充実しなければならないだろう。つまり、放送は文化だ。つまり、企業の経営がどうのというよりもむしろ文化を大切にしていく、こういう観点が今の時代だからこそ必要だと思うのですが、その点、私ぜひそういう方向で、質問する時間がありませんので、御検討いただくということで、もしあれば、あれですが……。
  101. 日笠勝之

    日笠国務大臣 経営上の問題もあろうかと思いますが、ぜひそういう方向になるように私も心から望んでおります。
  102. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  103. 高橋一郎

    高橋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  104. 高橋一郎

    高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  105. 高橋一郎

    高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  106. 高橋一郎

    高橋委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、坂井隆憲君外五名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。坂井隆憲君。
  107. 坂井隆憲

    ○坂井委員 ただいま議題となりました放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時措置法案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 多メディア・多チャンネル化の進展等に伴い、放送ソフト充実の必要性が一層高まることにかんがみ、放送番組素材利用促進事業推進に努めることはもとより、財団法人放送番組センター等についても、その機能の拡大と利用環境整備について検討すること。  一 放送番組素材利用促進事業実施に当たつては、当該事業を行う者が放送番組素材の収集に最大限努めることとなるよう十分配意すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党、さきがけ・青雲・民主の風及び日本共産党の六派共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会における質疑等を勘案して作成したものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  108. 高橋一郎

    高橋委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  坂井隆憲君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  109. 高橋一郎

    高橋委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、日笠郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。日笠郵政大臣
  110. 日笠勝之

    日笠国務大臣 ただいま放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時措置法案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。     ―――――――――――――
  111. 高橋一郎

    高橋委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 高橋一郎

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  113. 高橋一郎

    高橋委員長 内閣提出電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。日笠郵政大臣。     ―――――――――――――  電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法   律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  114. 日笠勝之

    日笠国務大臣 電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の電気通信事業における国際化の進展にかんがみ、人工衛星の無線局の無線設備等により国際電気通信事業を営もうとする者については、外国人等であることを第一種電気通信事業許可の欠格事由としないこととするとともに、その者が営む当該事業に係る無線局であって人工衛星の無線局の中継により無線通信を行うもの等については、外国人等であることを免許付与の欠格事由としないこととする等の改正を行うものであります。  次に、この法律案概要について申し上げます。  まず、電気通信事業法の一部改正の内容についてでございますが、第一種電気通信事業許可の欠格事由のうち外国性の制限に係るものについては、人工衛星の無線局の無線設備等のみを設置して国際電気通信事業を営もうとする者であって、国内に営業所を有する者には、適用しないこととしております。  このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  次に、電波法の一部改正の内容についてでございますが、無線局の免許の欠格事由のうち外国性の制限に係るものについては、前記の電気通信事業法の一部改正により外国性の制限の適用を受けなくなる外国人等が国際電気通信事業を営むために開設する無線局であって、人工衛星の無線局の中継により無線通信を行うもの等には、適用しないこととしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要でございます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。
  115. 高橋一郎

    高橋委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  116. 高橋一郎

    高橋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。
  117. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 自由民主党を代表いたしまして、本案について質問をさせていただきます。  まず、質問に先立ちまして、日笠郵政大臣におかれましては、郵政事業というのは、三事業はもちろんでありますけれども、二万四千という特定郵便局長も控え、そしてまた、今回の法案にもありますように通信基盤整備を拡充する、言いかえるならば非常に国民生活に密着した事業であり、そして省である。その省の長としてこれからも御尽力いただくことを心からお願いを申し上げる次第であります。  それでは、入らせていただきます。  私は思うのでありますけれども、明治の時代に初めて電話網を計画された方々が今の現在を見て、これだけあまねく電話回線が流布して、なおかつ通信網も整備をされつつある、こういうことを想像したかなというふうな、そんなような気持ちであるわけでございます。そういう先人たちのことを考えますと、まさに新しい時代を迎え、これからどういうふうなことをやっていかなくてはいけないか、まさに暗中模索の時代を迎えようとしているのじゃないか。アメリカにおいてはNII、そしてまた、最近ではゴア副大統領が世界に向けてGIIということでグローバルネットワークもこれは提唱をされております。日本においてももちろんこれは基盤整備を、光ファイバー、そしてまた衛星関係の基盤整備を進めていかなくてはいけないということで、もちろんこれは進んでおるわけでございます。  そういう中におきまして、今回の法案は、私は非常に重大な意味を持ってきておるのではないか、かように思うわけでございます。この点につきまして、その背景であるとか、そしてまた趣旨、そしてこれからの及ぼす効果についての御説明をまず最初にお願いしたいと思います。
  118. 松野春樹

    ○松野政府委員 国際衛星通信事業分野について、今回法改正をお願いしているところでありますが、環境の変化が顕著に起きておるというふうに把握しております。  従来、インテルサットが国際通信用の衛星につきまして独占的に提供してまいってきたわけでありますが、一九九〇年前後からでありますが、このインテルサットとは別個の民間通信衛星が登場してまいっております。特に欧米諸国におきまして、別個衛星を運営するものが直接国際通信サービスを提供することを認めてきているという事情が一つございます。  それから、インテルサット自体も別個衛星との調整手続を簡素化して別個衛星と共存していく姿勢を打ち出してきているという点がもう一つの事情であります。  それからもう一つは、今度はユーザーサイドの背景でありますが、我が国の利用者からも、この国際的な映像情報の送信あるいは受信を行っている特に放送事業者でございますが、放送事業者の方々を中心に、小型地球局をみずから持ちまして通信が可能な別個衛星による国際通信を直接行いたいというニーズが顕在化してまいってきております。  こういうことを背景に今回の制度改正をお願いしておるわけでありますが、これによりまして、今回の法改正は外資規制の緩和というサイドでありますが、この法律改正事項と時を同じくして国内衛星通信事業者が海外に進出できるように、それを促すような政策変換も行っておりまして、これらを合わせまして、この特徴を生かした、利用者のために使い勝手のいい衛星通信サービス、それから衛星通信市場そのものの活性化といいますか、特にアジア・太平洋地域は、諸外国から見ましてもこれから大変大きな意味を持っておるマーケットというふうに認識しておりますが、その面におきましておくれをとらないように日本としても対処してまいりたいということに期待しておるわけでございます。
  119. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今の答弁にもございましたように、もうまさにグローバルな広がりを通信においても見せておるわけでございます。  実は私、一度香港に参りまして、香港でスターTVというテレビ会社があります。これはもちろん衛星を打ち上げて、アジアを中心に、通信ではなくてこれは放送でありますけれどもCSを使いまして放送を行っているという会社であるわけでありますけれども、その社長さんにいろいろお話を聞いて、これからの通信そして放送のあり方というか、大変お若い社長さんでありましたけれどもなかなか見識のあるすばらしい方であるなど。  私も、そういう中におきまして、まさに日本がおくれてはいけない、かようにも感じております。そしてまた、利用者の立場というものをしっかりと、これは法制度の整備にもかかわることでありますけれども、とにかくそういう覚悟をしていかなくてはいけないのじゃないか、かようにも感じておるわけであります。  実際問題として、今もう既にKDDであるとかITJ、IDCは、これは光ファイバーだけではなくて、先ほどお話に出ましたインテルサットによって通信も行われている。そしてまた、なおかつ国内においては、まだ国内だけでありますけれども、JSATであるとかSCC、こういう会社があるわけでありますけれども、今回の場合、国内について、この会社の資本配分というか、かなり厳しい状況じゃないかと。私は前、新聞等で読ましていただいたことがあるのでありますけれども、そういう経営状況、この辺の御説明と、どういう資本配分になっているのか、この辺をお聞きしたいと思います。
  120. 松野春樹

    ○松野政府委員 先生のお尋ねは大きなあれでありますが、私の方で少し区切らせていただいて、個別に御説明申し上げたいと思います。  JSATとSCCの設備投資あるいは経費の関係でありますが、JSATそれからSCCも平成元年から事業を開始いたしております。ちょうど現在で六年目を迎えたという段階でございますが、これまでの累積投資額が、JSATの場合約九百億円であります。それからSCCの場合は、これは途中打ち上げ失敗が影響しておると思いますが、約一千四百億円の累積投資であります。両者平均して一年間でどのくらいコストがかかっているかという点になりますと、両者とも約二百億円のコストが毎年かかるという状況であります。  なお、平成五年度の決算見込みでありますが、JSATの場合は経常損失として六億円、SCCの場合には経常損失として四十九億円を見込んでおりまして、まだなかなか苦しい途中にあるということは言えようかと思います。  それから、先ほど資本の話がございましたが、このJSATにつきましては、これはもう先生御案内のことかと存じますが、伊藤忠商事を筆頭株主といたしております。以下、三井物産、日商岩井、住友商事等の商事関係の会社が主な株主となっております。それから、SCCにつきましては、三菱商事が筆頭株主でありますが、以下、三菱電機、三菱重工等の三菱グループが株主として名前を連ねておられるという状況でございます。
  121. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今お聞きいたしましたところですと、ほとんどこれは民間の方々がやられておる。しかしながら、これからの将来の通信基盤のことを考えますと、これはやらなくてはいけない。この法案によって、これが日本だけではなくて、これからどの地域になるかわかりませんけれども、他の国に対しましてもいろいろな事業展開をしていく、そういうことになるわけでありますけれども、この事業展開において、これはなかなか難しい部分もあろうかと思いますけれども、この法案がもしも通った場合に、郵政省はこういう会社に対しましてどういうような支援をされるのか、するとしたら、どういうふうな形で支援をされるのか、お聞きしたいと思います。
  122. 松野春樹

    ○松野政府委員 先ほど申し上げました国内衛星通信事業者がこれからどのような事業展開を考えているかという点から申し上げたいと存じますが、先ほどの二社は現在主として企業向けの映像伝送サービスでありますとか、あるいはVSATといっておりますが、小型の地球局による多地点間の通信サービス等を提供しておるわけであります。現在までのところ、トランスポンダーの利用率が約五六%という状況でございます。伸び悩みを見せているという評価が当たっていると思います。  この原因はいろいろあるわけでありますが、もちろん最近の景気低迷の影響もございましょうし、それから国内に限っておったということもあるかもしれません。この点は今回の法改正にあわせて政策変更を考えておるところでございます。  今回の国際分野への進出を認めることによりまして、大変これも競争が激しくなる分野でありますから楽観視するわけにもまいりませんが、今後、具体的な事業展開の上で、例えば近隣アジア諸国にある支店等との間も含めてグローバルな営業が期待できるのではないかというふうなことが言えようかと思います。  それから、この通信事業者等に対する支援につきましては、これは第一種電気通信事業者でありますから、第一種電気通信事業者として、例えば税制上の支援でありますとか、それから金融支援としましては、例えば開銀融資等の面から他より有利な支援策をかねてから講じておりまして、この点は事業者の申し出を待って措置する問題でありますけれども、今後、私どももよく留意してコミュニケーションといいますか、事業者の方の意向というものをくみ上げていきたいというふうに考えております。
  123. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今お話がありましたように、なかなかつかみどころがないような部分もありまして、今もう既にやっております、先ほどのJSATとかSCCもなかなかそのトランスポンダーが全部埋まるということがないようでありまして、五○%ぐらい。出だしの新しい新規事業というのはなかなかこれは進まないというのが常道でありますけれども、その辺は郵政省の方といたしましても、一つの最初の弾み車でありますから、ぜひとも御支援のほどもお願いを申し上げたい。  それと、もう一つ。私はどうしてもこの辺がつかめないのでありますけれども、これが大きくグローバルに世界に広がった場合に、もうちょっと具体的に、例えばこういう事業世界にわたって、要するにこれは世界に電波を広げることによって非常にプラスになる、こういう事業の場合はプラスになるのだという、そういう何かイメージというか具体的な考えはありませんでしょうか。
  124. 松野春樹

    ○松野政府委員 どうしても事業者サイドの方から分析するのが一番先に来るわけですが、今までのインテルサット体制でございますと、これはもちろん古くからの伝統的な各国の中心的な国際通信事業者が集まってつくった国際機構でありますから、これらの事業者を通じてサービスを例えば一般の会社等も受けるというふうなことになるわけであります。日本の場合では、これはKDDが代表的な会社であります。  ところが、今度の別個衛星といいますのは、もう少し小回りのきくサービスを考えております。先ほどもちょっと触れましたが、ある会社が直接東京の本社と海外の支店と通信する場合に、KDDを通さないで直接回線を、専用回線でありますが借りて、映像であれデータであれ音声であれ伝送できる、伝えることができるというふうな面で非常に使い勝手がいい分野であろうと思います。  したがって、今現在日本の市場にも参加したいと考えております外国の別個衛星の会社、ことしの六月に打ち上げ予定がありますが、アメリカのPANAMSATという衛星がございます。これはアメリカの法人であります。それから先ほどお話の出ました香港法人でありますが、例えばAPSTARというふうな法人、これらもやはりそれらの特徴を生かして日本と諸外国の通信というふうなものに入っていきたいというふうな意向を漏らしている。もちろん、日本事業者もその辺を十分意識して、これからそれに対抗して競争を展開していくということになろうかと思います。  まあ一概に、今の段階でこの別個衛星を中心にした市場というものがこれはどういうふうになるか、私数字を手元に今持っておりませんけれども、インテルサットはインテルサットとして、今までどおり、これは広く世界じゅうをグローバルにネットワークしておりますので、これはもう大事な機能です。その大事な機能ですが、幸いインテルサット体制が非常に弾力的な配慮をし始めておりますので、この別個衛星がこれから世界の衛星通信の市場拡大をリードしていくのではないかというふうに私は考えております。
  125. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 どうしてもこの法案ですと、要するに諸外国とのつながり、それから、これから事業展開をどういうふうにしていくのかなと。これはもちろんいろいろな業界の問題であるとか、そしてまた、これからの経済展望の問題であるとか、いろいろあると思うのですけれども、私なんか考えますと、やはりつないだだけではなくて、これからいろいろとCATV会社との提携の問題であるとかそういうふうな形、私なんか、先ほど言いましたけれども、要するにスターTVも通信のためのCSを使っていますけれども、基本的にやっているのは放送ですから、これもできないことはないと私は思うのですね。そういう中におきまして、これからも自由競争というわけではありませんけれども、そういう競争もぜひともふやしていっていただきたい、かように思っておるわけでございます。  そんなふうになってきますと、私も非常に考えるのですが、例えばインテルサットを使った今のKDDとアメリカのATT、これはもうインテルサットでつながったり、そしてまた光ファイバーでつながっておる。そしてまた向こうのアメリカの方では、これは先ほどの繰り返しになりますけれども、ゴアさんがもうNIIをかなり進めておる。そして、日本もこの間の電気通信審議会で出されました、二〇一〇年ということを言われていますけれども、この辺につきましても一緒に並行にこれをやっていくと。いろいろな情報網ができてきて、その中でまた各国のCATVだとかいろいろなメディアを持たれた会社の方々が連携していく。こうなってくると非常に錯綜してくるのじゃないかなという気がするのです。  例えば先ほどのKDDみたいな会社、非常に公的な通信機関が新たな別個衛星でやるということはこれは確かにまずいということを今回の法案は言っておりますけれども、これはもちろんだと思うのですね。ただ、この別個衛星でどんどんふえていったらこれはどういうふうになっていくのか、どこかへ接続点ができたらどういうふうになっていくのか。私もイメージだけですからなかなかわかりませんけれども、これからそういう別個衛星を打ち上げられたり、光ファイバーが張りめぐらされたり、そうなってきたときに業界同士が非常に競合する可能性が出てくると思うのですね。この中において、郵政省としては交通整理みたいな形、こういうことをしていくのかどうか、これはまだ非常に先の話だとは思いますけれども、この辺の、これから将来に向けてのお考えをお聞きしたいと思います。
  126. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 今先生から御指摘のあった問題というのは、メディアの競合という面では、お互いにある意味高度化を図りながら調和ある発展をしていくであろうし、またそうあってもらいたいというふうに私どもは考えているわけであります。  ところで、いわゆる情報通信基盤整備というような観点から考えてまいりますと、圧縮技術、ディジタル技術の発展によりまして、飛躍的な広帯域、そして双方向の通信がなされてくるという意味では、目に見えて始まっていることとしては通信放送の融合、そういう時代に入ってまいります。そういった意味では、先生命御指摘のような、自分でそういうネットワークを整備して事業をやる人、あるいはその整備したネットワーク、それを使ってその機能の提供を受けて事業をやる人の競争のルールをどうするかとか、こういうことは今後の問題として大きな問題になってくるであろうというふうに思っております。  そういった意味では、私ども先般五月の三十一日にいただきました答申の中にも、そういったルールのあり方あるいは通信放送融合制度のあり方、そういうことを総合的に検討していくべきという提言をいただいております。  一方、私ども、この七月の八日から、いわゆるファイバー・ツー・ザ・ホームというようなことで、関西文化学術研究都市におきまして、三百加入者を対象にしまして、いわゆる通信放送融合の実験を始めます。これにつきましては、制度面、利用面、そういった課題が出てまいります。  そういうようなことにつきまして、私ども、先ほど先生から御指摘のあったような事業者間の競争のルール、あるいは通信、今まで通信ですと、それの持つものとしては通信の秘密というのが保護法益でした。放送でいいますと、ある意味でいうと表現の自由、一方では公序良俗性とか中立性とか、そういったものが融合したものとして出てくるとなったときにどういうあり方が適当であるかというようなことにつきまして、総合的な観点から検討を進めてまいりたいというふうに思っております。  当面のメディアの発展という意味からは、それぞれ無線の世界、衛星の世界あるいはケーブルの世界というのも、それぞれニーズにおいて調和ある発展を遂げていくだろうというふうに思っておりますが、飛躍的な技術の革新に伴って現実のリアルビジネスの出現を見ながらルールの調整をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。
  127. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 こういうことになりますと、やはりルールというものは大事で、今までは放送通信というのは確実に分かれていましたからこれはよかったわけでありますけれども、これからそういうことで通信放送というものが一体になってくる。それで双方向通信をやったり、そういうふうなことになってくるわけでありますから、もちろん今までの既存の放送に関する法律、そしてまた通信に関する法律、こういうふうな総合的な法整備をぜひとも今から始めていただきたい、かように感じておるわけであります。  ちょっと話はまた戻りますけれども、先ほどは日本が外国に対して出ていくというお話をさしていただきましたが、逆に外国の方から日本に要望があるというお話が先ほどありましたけれども、具体的にそういう会社があるわけでありますか。その会社と、それとその会社日本に対してどういうふうな市場の開拓をねらっておるのか、こういう、ちょっと抽象的でありますけれども、御質問をさしていただきたい。
  128. 松野春樹

    ○松野政府委員 先ほどちょっと抽象的に触れましたけれども、もう少し詳細に御説明申し上げたいと存じます。  このアジア・太平洋地域の主な別個衛星計画としまして、ことしの六月二十日打ち上げ予定のPANAMSAT衛星、これは米国法人であります。それからAPSTAR衛星、これは香港法人でございます。それからASIASAT二号衛星、これも香港法人でありますが、これらの衛星の計画がすぐ目前に迫ってきております。  このうち、PANAMSAT衛星につきましては、我が国の国際通信分野への参入を明確に要望してきております。先般、同社の社長が郵政省を訪問されておる経緯もございます。また、APSTAR衛星でありますが、これらの香港法人の衛星も、アジアの最大のマーケットはやはり我が国でありますから、我が国を含めたアジア地域での事業展開を計画している由でございます。  それから、これらの外国事業者が具体的にどのようなマーケットを開拓しようとしているのかという点でございますが、別個衛星の特徴というのをかいつまんで申し上げますと、一定の地域をカバーするスポットビームというものをもちろん持っておるわけでありますが、先ほども申し上げましたとおり、利用者の宅内に小型の地球局、これはアンテナでありますけれども、小型のアンテナで通信をするのに適したサービスを提供するものがこの別個衛星計画の大半でございます。  この特徴を生かしまして、自分の会社から直接国際映像伝送を行おうとする、例えば先ほどの放送事業者、それから海外支店との間で直接データ伝送を行おうとする特に国際企業、グローバルな企業などを中心に、市場開拓を事業者サイドからも行おうとしておりますし、また実際にそういうニーズを、利用者サイドからも要望を私どもお伺いをしているわけであります。  その辺をめぐって恐らく、国内事業者、それから先ほどの国内衛星通信事業者、それから外国の別個衛星事業者ともども、これから競争がより深まっていくというふうに認識いたしております。
  129. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今お聞きしておりますと、本当にこれは多メディアというか、マルチメディアというか、これから別個衛星が打ち上げられ、そしてまた光ファイバーが張りめぐらされる、そういうことを想像しますと、これは大変なことになってきたんだな。そういう中におきましても、我々一番大事なのは、何といっても受信者の皆さん方の利便性を高めるということであって、決して御迷惑をかけないようにしていく、私はこういうことが一番大事であり、そういうところのルールづくりというのはぜひとも郵政省の皆さん方にも、もちろん我々もいろいろ考えていきたいわけでありますけれども、お願いを申し上げる次第であります。  そうなってきますと、これからどんどん、例えばアメリカや香港の企業が日本に進出してくる。私はそのことを考えたときに、先般の例のモトローラの関係の話がちょっと浮かびまして、あのときはたしか、これは事業者問の話し合いというふうなことを言われたわけでありますけれども、結局あれは包括協議の中で言われ、そしてまた日本の方に、正直言って圧力的に百五十四の中継基地と、端末二十数万でしたね、あの辺につきまして郵政省としては、今度IDOが開発銀行の方から低利融資されて百五十四の中継基地をつくっていくということでありますけれども、これはどういうふうな状況になっておるのでしょうか。
  130. 松野春樹

    ○松野政府委員 これも最初の経緯から説明すると長くなりますので、少し要点だけ申し上げますと、今回、好むと好まざるとにかかわらず、一応アメリカの政府がこれを取り上げて摩擦的な扱いになってきたわけであります。  そこで、日本政府の基本的な姿勢は、具体的な基地局の設置あるいはチャンネル数等につきましてはすぐれてこれは会社の問題であるということで、最初から最後まで会社間でまず話し合うことが先決であり、まず両国政府とも会社間の交渉を促進しよう、これは途中でレターも出しておりますが、これははっきり申し上げられると思います。  途中経過で、実は先生先ほどおっしゃいましたように、二十二・五万台という数字だったと思いますが、端末機をこの会社に買うようにという要求が、これは会社同士の話し合いでありますけれども、中で出てまいりました。これはもちろん日本のIDOは断りました。これが実は、端末がしかも四月一日から自由化されるわけですから、端末を二十二・五万台というと、およそ収容可能数の半分ぐらいを、端末を買いなさいということは、市場、マーケットに対してそれだけ獲得の予測といいますか、数値目標的な数字です。これは会社もきちっとお断りして、端末の関係につきましては一切、最終的には会社間の合意には入ってございません。  それらを見た上で、日本政府として何がなし得るか、例えば周波数を、IDOに渡しております周波数のうち、中でやりくりしまして、新しい周波数は一切出しておりません。一・五メガ移します。これは郵政省絡みます。それから、今先生おっしゃった融資関係、開銀融資をこの会社は何年間か今まで続けてきております。これについて私どもは推薦する立場にありますので、これをどうするとかというふうな問題も含めて、政府としてコミットできる範囲についてコミットしたというのが実情であります。  しかし、結果的にいろいろな報道等を通じて、大変御心配をいただきまして、各方面からいろいろなアドバイスもいただいて、大変乱ありがたいと思っていますし、また一面、恐縮もいたしておるところであります。  ごくごく要点でありますが、以上であります。
  131. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 二十二万五千台、大変な数でありまして、政府調達という意味においてはどうなのかなというような気もするわけであります。当時は私も、何で政府は一モトローラという企業の、変な言い方でありますけれども、営業活動までやるんだろう、そんなような変な考えも持ったわけでありますけれども、逆に考えますと、それだけ今アメリカが、要するに貿易の赤字が、大まかでありますけれども千二百億ドル、その半分近くを日本が背負っておるということを考えた場合に、とにかく、余りやぶ蛇ということはないですけれども、できるだけ余り圧力のかからないように、そして神よくして、円高なんかにならないようにやっていかなくちゃいけないんじゃないか。その意味においてはなかなか郵政省は大人の判断をしていただいたんじゃないか、私はかようにも思っております。  やはり、こういう国と国との相互問において一番大事なのは、先ほども申し上げましたように、国民が不利益をこうむらないようにしていく、こういうことが私は大事だと思うんです。そういうことを考えますと、今回の農産物の自由化だとかいろいろありましたけれども、そういうものとは全く意味合いが違う、私はそういうふうに感じておるわけであります。  そういう中におきまして、今圧力という言葉が出ましたけれども、これからまた外国からどんどん衛星事業者が日本に入ってくる。その中において、もう入ってくるだけじゃなくて、やはりこの中で、日本のいろいろなメディア会社と連携をして、CATVだとかいろいろな教育関係の会社と提携をしてやっていくんじゃないかと思うのでありますけれども、モトローラじゃありませんけれども、なかなか日本に入れない、そういうことによってまたアメリカの方から何らかの圧力がかかってくるんじゃないか、その辺も私危惧しておるのですけれども郵政省はどういうふうなお考えをお持ちなんでしょうか。
  132. 松野春樹

    ○松野政府委員 先ほどの話と関連いたしますけれども、もちろん我が国の市場に参入してくる外国の衛星通信事業者がどのくらい利用者を獲得するかということは、純然たるこれはビジネスマターでございまして、行政が関与する余地のないものであります。  こうした点につきましては、我が国の市場に、先ほど一部、私外国の法人の名前を挙げましたけれども、これらの外国事業者等にきちんとやはりあらかじめ説明をしたい、説明する場を設けたいというふうに考えております。誤解やトラブルが生じないよう十分配慮してまいりたいと思います。法律の中で、営業所の設置ということも利用者の保護という観点から設けておりますが、やはりその辺の意思疎通に欠けることのないように、これは私ども重々心得てまいりたいというふうに考えております。
  133. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今も答弁にありましたように、これから本当に自由化、衛星事業においても自由化が、競争が行われておるわけでありますから、健全な競争が行われるように、よくその辺の調整もお願いを申し上げる次第であります。  もうだんだん時間がなくなってまいりましたけれども、ちょっとこの法案からは離れるのでありますけれども、やはり通信基盤整備ということを考えますと、何といってもこれは光ファイバーが非常に大事になってくると思うんです。先般も電気通信審議会によって答申も出されました。これを私読ませていただきまして、国民に訴えるものですから、やはりもうちょっとわかりやすい方がいいんじゃないかな、そういうふうにも感じたわけであります。  例えば、二極集中の是正」であるとか、これがこっちの方にいきますと、「地方における就業機会の確保」だとか、こういうことを言っておるわけでありますけれども通信基盤によって雇用も促進されると同時に、もっとやはり文化であるとか医療、そしていろんなファッションであるとか、そういうものが、簡単に言えば、私は群馬県でありますから、群馬県にいても東京と同じような医療、そういうものが受けられる、だから要するに自分のふるさとを愛して、そして多極分散型が推し進められるんだ、こういうことを説明しないと、なかなかわかりづらいんですね。  ぜひともそういうふうなPR、この必要性、これから大変な額の設備投資が必要なわけでありますから、国民にわかりやすく訴えていただきたい、かように思っております。
  134. 日笠勝之

    日笠国務大臣 貴重な御提言をいただきまして感謝を申し上げます。  私たちも、五月三十一日いただいたばかりでございますけれども、この答申を踏まえまして、マルチメディア時代にはどうなるのかという、二十一世紀を展望したビデオをできればつくりまして、公共の施設であるとか学校であるとか、また事業者の方も踏まえて、国民幅広く皆様方に御紹介できるようなビデオをつくりたいな。まだ、いつから、どういう内容で、いつごろ完成するということは今検討しておりますけれども先生の御意見を踏まえてそういう方向で積極的にやらせていただこう、かように考えております。
  135. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 わざわざ大臣の温かいお言葉、ありがとうございました。  やはりわかりやすく、そして国民に御理解をいただく、これが民主主義の原点でありますから、ぜひともその辺のことをよろしくお願い申し上げる次第であります。  だんだんもう時間もなくなってまいりましたけれども、先般の質問でも私出させていただいたのでありますけれども、今の光ファイバーの敷設をしているのは、実際、実質的にはどこがやっているかということになると、やはりNTTであり、そして各地の電力会社。この電力会社の場合は、いろいろデータの交換であるとかこういうことですから、自分の会社のことをやっておる。しかしながら、これからあまねく、とにかく二〇一〇年までに各家庭までこれを持っていく、これを先頭切ってやっておるのは、何といってもNTTが先頭に立って光ファイバーの基盤整備を進めているんだと私は思っておるのでありますけれども、これは間違いはないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  136. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ただいまお話ございましたように、NTTは日本の基幹的通信事業者でありますと同時に、現実的な問題としては、各加入者一軒一軒まで加入者網としてネットワークを構築しているのはNTTだけでございます。そういった意味では、NTTの情報通信基盤整備に当たっての持つ役割は極めて重いというふうに思っております。  かねてから、NTTは一九八九年あるいは九〇年ごろにVIアンドPという構想を出しております。ビジュアル・インテリジェント・アンド・パーソナル・コミュニケーション・サービス、こういっておりまして、ファイバー・ツー・ザ・ホーム、各加入者に全部光ファイバーを引いていくという構想が基本になっておりまして、そういった意味ではNTT自身もそういう構想を持ちつつありましたし、現実に日本で各家庭まで加入者網が入っているというのはNTTだけでございます。  なお、つけ加えて申し上げますと、NTTの場合は、いわゆる旧来の電報電話局というところまで、そういう意味では中継系には大体光ファイバーが張りめぐらされている。問題は、そこから先の各加入者、五千八百万加入、そこをどう高度化光ファイバー化していくかというのが現在ポイントになってきているということでございまして、NTTの役割は極めて重いという先生の御指摘は、おっしゃるとおりでございます。
  137. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今言われたとおりでありまして、本当にNTTも今大変な、先頭に立って光ファイバー網を張りめぐらしている。そういう中におきまして、私はこれは当然のことだと思うんですけれども電気通信審議会においては、二〇一〇年までに各家庭にやる。NTTの方ではたしか二〇一五年ですよね。この辺の食い違いというのは、やはり今進捗状況であるとか、そういういろんなことでやっているんだと思うんです。それと同時に、アメリカのゴア副大統領の場合は、当初は、たしかあれは二〇一五年でしたか、しかしながら今のところ、だんだんトーンダウンしてまいりまして、二〇〇〇年に公共施設であるとかそういうところの通信をやっていく。そう。いうことも踏まえて、やはり早目、早目ということで、ぜひとも推進をしていただきたい。  今NTTのお話で出たのでありますけれども、実質的にこれは本当に、この間私もラジオで聞いておりましたら、これは線の引き方によって、例えば埋設をしたり、キャブを使ったり、共同溝を使ったりするかどうか、または電柱にかけるかどうか、そしてまたは線の実際的な引き方、一本を中心に持っていって各家庭にやるやり方であるとか、枝でやるやり方、こういうことによって、要するに線と、あとその附属の機械関係だけで四十三兆とか、そしてまたは、引き方によっては三十三兆ぐらいまでいくんじゃないかとか、それでまたは、これは埋設する場合は四十兆くらいかかるとか、いろいろ言われておるわけでありますけれども、相当の設備投資がかかるわけであります。  一方、NTTの状況なんでありますけれども、私もこの間びっくりしたのであります。これは平成六年三月期の決算短信でありますけれども、売り上げは変わりないのですね、五兆八千億ぐらい。ところが経常利益は五六%ダウン。前期は二九・五%ダウン。今期はそのまた五六%ダウン。なおかつ重要なのは、当期利益でありますけれども、当期利益が七四・五%ダウン。これは非常に厳しい状況なんではないかな。  このような状況で、たしかNTTの場合は四十五兆の経費がかかるんではないか、二〇一五年までに。そのためには、二十二年という一つのスパンの中で年間二兆円ぐらいの設備投資が毎年必要じゃないかと試算しておるわけでありますけれども、当期利益がこれで、今までの未処分利益で繰り越しかあるとしても、これから果たして二兆円ずつ毎年、要するに設備投資に回していけるのかどうか。この辺、いかがでしょうか。
  138. 松野春樹

    ○松野政府委員 平成五年度の決算、平成五年度ではないですか。(佐田委員「ああそうですね」と呼ぶ)平成五年度の決算、平成六年三月の時点ですね。  見込み数字は、先生おっしゃるような傾向であります。経常利益で約一千億強の経常利益である。一方、株式の一割配当に必要な経常利益、それのみで計算した場合、約一千七百億必要であるということもあるのですが、その決算内容を見ますと、やはりだんだんと経常利益というものが薄くなりつつある。  一つには、昨年の秋に市外通話料金を大幅に値下げいたしました。年間、平年度ベースで約二千七百億円に相当する値下げを先行してやっている点がじわじわときいてきておりますので、それも一つの要素にはあろうかと思っております。  そういうふうな状況でありますが、先生ただいまおっしゃった設備投資との関係でありますけれども、設備投資は、恐らく今のNTTは、一切合財で年間約一兆九千億弱と申し上げた数字が正しいのです。ただし、これには今言ったディジタル化とか光ファイバーだけでなくて建物一切合財含んでおりますから、すべてが今後の新しいインフラ整備というわけでもないのですが、大変規模の大きい設備投資を毎年行ってきております。  私は、当面この設備投資計画には大きな支障は生じな。いであろう。なぜかといいますと、今ディジタル化を交換機等も含めて進めてきておりますけれども、徐々に計画が終わりに近づいてきておりまして、いよいよこれから新しいインフラ整備にどういうふうに取り組んでいくか、具体化を図る時期に今来ておるわけであります。  ではありますけれども、経常利益が一千億強では、これはやはり日常の経営にとって大変苦しい場面が想定されますので、そこで基本料を中心に料金の値上げ申請を私どもの方に提出してまいったのでないか。今、審議中ではありますけれども、そういう背景があるのかなというふうに認識いたしております。
  139. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 先生から御指摘のありました中で、今後のいわゆるNTTの情報通信基盤整備に向かってどういう形で取り組んでいくかということですが、確かにNTT自身は、VIアンドPという構想を持ちましたり、昨年ぐらいまでは二○一五年ということでのネットワークの構築ということを考えていたと思っております。  今回、こういう審議会の一年二カ月に及ぶ検討の中で、私どももNTTとのすり合わせもやってまいっております。率直に申し上げまして、まだNTTから正式な表明を世の中には言っていないというのが現状でありますが、その辺のところもすり合わせつつやってまいっておりまして二〇一〇年ということを考えているわけでございます。  そして、先生のお話のありましたネットワーク、特に加入者網の引き方ということで、三十三兆円とか五十三兆円というお話がございました。これはネットワーク、加入者網の引き方という部分ですが、そこの加入者網のネットワークだけを考えますと、NTTの見積もりで最低十六兆円かかるであろうというふうに考えているところでございます。  このことにつきましては、十六兆円ということで二〇一〇年と考えますと、これから大体十六年でございますので、一年最低一兆円というのが平均した必要投資額ということになってまいりますが、当初は先行整備期間でありますので、投資に対して収入が見合わない、簡単に言いますと需要がまだ起きてない期間ということで、先行的な投資に入っていくということが実態的になってくるのではないか。そういった段階におきましては、一兆円という規模をもっと下回りまして、当初のうちは例えば五千億円とかそういうような下回った額で、平均すると一兆円、後半にいくとどんどんその金額は上がってくる、需要が出てまいります。投資に対して見合ってくるということです。  問題は、その投資に対して見合わない期間をどうするか。そういうことで国の役割というのがあるのではないかということでございます。答申に今私どもがいただいている中では、二〇〇〇年までの間はそういった投資に見合う収入を確保するということは非常に期待できないというようなことで、NTTを含む民間事業者に対して、投資を促進するために負担の軽減を図るようなことを考える必要がある。そういう意味では、例えば無利子融資等の、金利負担の軽減を図るというような融資制度を創設することはどうかというような提言もいただいております。  それからもう一つ、税制という観点からいきますと、新世代通信網促進税制という中では、幹線部分光ファイバーは対象になっておりますが、加入者網は対象になっておりません。こういうことにつきましても拡充の提言をいただいております。  そういった意味で、私どもは、NTTを含むこういう事業者の特に先行部分、投資に対して収入が必ずしも上がらない、需要が立ち上がらない時期における負担を緩和するための措置、こういうことにつきまして財政当局と積極的に検討し、これについて働きかけをやってまいりたい。そういう意味で、答申具体化に向けて進んでまいりたいというふうに考えております。
  140. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今、そういうふうなお話があったわけでありますけれども、とにかく前回のときに私も質問させていただき、その中で、NTTに対してはとにかく低利融資の問題であるとか税制面の優遇措置であるとか考えていくという話なんでありますけれども、これは非常に急なわけですね。七十何%ダウンとかこういうふうな状況であり、なおかつ、御存じのとおりもう相当なリストラをやっている。今まで、民営になったときに三十一万四千人おった従業員を平成八年までには二十万に減らす計画になっている。そういうことも進めておって、なおかつ市外電話も競争で大変になっている。  そして、先ほどもお話ございましたけれども、公衆電話については値上げをさせていただきました。とにかく今のこういうふうな経済の中で公共料金を値上げするということは、もちろんこれは厳に慎まなくちゃいかぬと私も思っております。しかしながら、やはりこれから我々の子供、孫に対する一つの財産でありますから、そういう意味におきましては、先ほどの答申ではありませんけれども国民によく理解していただいて、これは絶対に必要なんだ、そういうふうな形でこれからもお考えを願いたい。  私はきょうびっくりしたんでありますけれども、大蔵省の方から、例の二〇〇〇年の我が国財政の展望ということで、これは消費税アップのことを言っておったわけでありますけれども、やはりこれは非常に大事なことでありますから、所得税減税であるとかそういうことではなくて、消費税を上げるための布石にならないように、公共料金凍結をしたことが、要するにこれは電話料金ですね、これを上げないということが、うがった考え方でありますけれども、そういうふうにならないようにぜひともお願いをしたい。やはりやらなくてはいけないことはやっていかなくちゃいけない、かように感じておるわけでございます。  それでは、長くなりまして、終わります。
  141. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、荒井広幸君。
  142. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 自由民主党の荒井広幸でございます。  佐田委員と重複しないように二人で打ち合わせをいたしましたので、法案についての質問等に入らせていただきたいと思います。  先ほどからお話がございましたけれども、いろいろと今回の法改正についての趣旨のお話があったわけでございます。私は、今回なぜ衛星通信制度の改正で公衆網との接続を制限したのか、この点についてお伺いをしたいわけでございます。  サービス範囲は、公衆網との接続のない形態での国際線専用にするんだ、こういうものに限定した。これは先ほど御説明があったインテルサットとの絡みかなと思いますが、この点の御説明をちょうだいいたします。
  143. 松野春樹

    ○松野政府委員 御指摘のように、第一の絡みはインテルサットとの関係であります。  インテルサットの趣旨というのは、世界のいかなる国も無差別に利用できる唯一のグローバルシステムとして、途上国等も含めまして世界全体の国際通信の発展に貢献するということでございます。したがって、このインテルサットヘ悪影響を与えないようにするという趣旨は今でも生かされておるのですが、ただし、従来のようにこれががんじがらめでなくて、大変弾力的になってきつつあるという点が昨今の情勢であるということを先ほども答弁申し上げたところであります。したがいまして、諸外国でもその関係で公衆網との接続を制限しているのが現実でございます。  それからもう一点は、実際に別個衛星が提供するサービスにつきましても、映像伝送とかVSAT等の専用線サービスが中心となっております。これは、実際の動きとして専用線サービスが中心となっておりまして、公衆網との接続制限が事業者にとって大きな制約とはならないという現実問題としての背景が一つございます。  なお、この御指摘の問題でありますけれども、インテルサットも昨今、例えば小さな規模の電話網との接続等につきましては、やはり弾力的に考えておるようであるわけであります。これは、それぞれの国によってそれに対する扱いが若干変わっておるのですが、いずれにしても国際的に流動的な要素もございます。  したがって、私どもといたしましても、今後は、一つにはこういう国際的な動向がどういうふうにいくのか、諸外国の動き等もよく見ながら対応してまいりたいということと、何はさておきましても事業者だとか利用者の方々のニーズがどういう方向にいくのかということも十分踏まえて、これからこの問題の扱いについて検討してまいりたいというふうに考えております。
  144. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 そのように説明していただきますと非常にわかるのですけれども、せっかく郵政省として前向きに、規制緩和というような意味合いも含めてこのように対応していただいている。そしてまた、いろいろな意味でのニーズというのがあるわけですけれども、グローバルないわゆる映像伝送システムの構築に対するニーズというものに対して対応しているということなんですが、先ほどの佐田委員からもあったように、ややもすると中途半端にとられたりというようなことになるのは、一つはPRといいますか、そういったこともあるんだろうと思うのですね。そういったことになお気配りをいただきたいと思うのです。  諸外国でもということでございますが、当然アメリカもそのように限定、制限をしている、こういうことでございますね。
  145. 松野春樹

    ○松野政府委員 せっかくのお尋ねでありますので、二、三の国について現状を申し上げます。  公衆網との接続制限の状況ということでありますが、米国の場合、接続はやはり制限されております。ただ、百回線以下はATT等の通信事業者経由であれば可能であるという措置をとっている。  それから英国の場合は、個別免許によってデータ送信等につきましては可能になっておりますけれども、ただし、音声の場合の専用線と公衆網との接続は禁止されている。  それからフランスでありますが、これは限定的な利用者グループ内に限って可能である。  ドイツも、接続は原則制限されている。ただし、旧東ドイツとの関係につきましては、相互間で別の、何といいますか例外措置を講じている。  こんな実態にございまして、先ほど私が申し上げたような状況に諸外国、主要国はあるようであるという実態でございます。
  146. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 その諸外国の例で、例えばアメリカは百回線以下とかということを含めての弾力的なというような、状況を踏まえてという御発言だったと思うわけです。そういう方向で郵政省として取り組んでいただくということは非常にありがたいことでございまして。これからも規制緩和というようなもの、私はその規制緩和というのは非常に誤解があると思うのです。やはり場合によっては制限をしたり、義務づけもという状況もあるだろうと思いますし、また同時に、一般的に言われますようにいわゆる緩和ということももちろん重要だと思いますが、規制緩和というのはあくまでもスクラップ・アンド・ビルドであるというような意味でのとらえ方を私たちはしていくべきであろう、このように考えているわけでございます。  相互乗り入れが非常にできるような状況がこうして一つ一つできるわけでございますが、先ほどグローバルな視点からというようなお話がございました。このようなことで言いますと、どうしても電通審答申に触れざるを得ない問題でございます。この法案趣旨もまたそういったものを体している、先駆けとしてやっていることだろうと思うのです。  この法案関係資料を見ましても、電気通信事業法はどういう目的なんだ、こう見ますと、第一条で、「この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみここうなっておるわけです。同時にまた、電波法でございますね、こちらも目的、第一条では、「この法律はここうなっておりまして、「公共の福祉を増進することを目的とする。」すべてこの公共ということが、いわゆる郵政省の置かれている非常に重要なところなんですね。言葉をかりれば、我々の生活に非常に身近な省であるということをここでうたっているわけです。この点を私は非常に重視をいたします。  この点を重視するというのはどういう点かと申しますと、まずこの電通審答申でございますが、これを拝見させていただきますと、まず「はじめに」に始まりまして、第一章からずっと各章で話がありまして、「資料編」ということで終わっておるわけです。その「はじめに」というのは、言ってみれば総論といいますか、哲学にも値するんだと私は思うのですが、残念ながらこの部分に、公共的という意味でいいますと社会福祉だろうと私は思うのですよ。社会福祉を、心豊かな日本をつくるための一つの手段として高度通信情報化を進めていくんだ、その基盤が光ファイバーなんだということでないと、先ほどの佐田委員からもありましたように、なかなか理解されないんではないかな、こう私は思うのです。  それで、第一章をとってまいりますと、「日本が抱える諸課題」というところで、一番先に「高齢化社会」と出ているのですね。せっかくそういうことで問題を解きほぐしているとするならば、この「はじめに」というところ、誤解するんじゃないかと思うのです。電通審が、哲学的な意味というとちょっと私もそこまでいっておりませんが、どういうような理念でこの答申をされたのか。「はじめに」という意味で、私は豊かな福祉国家をつくるための役割ということであろうと思うのです。その点、御説明をいただければ幸いでございます。
  147. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 先生指摘のとおり、情報通信基盤高度化というのは、基本的には高福祉低コストの社会をつくっていくというのが大きなねらいだということはまことにおっしゃるとおりだろうというふうに思っております。  それで、この答申について私ども受けとめておりますのは、一章から七章にわたっておりますが、一章のところで何のために情報通信基盤整備をやるかということについて書いているわけでございます。  その何のためにやるかということについては、日本の抱える諸問題を解決していくためにやるんだ、こう書いてございまして、その一番目に国内的諸問題としては高齢化社会への対応、こういうふうになっております。そういう意味では、情報通信基盤そのものが持つ性格といたしまして高福祉低コストという役割を十分認識した提言として私どもに与えられているというふうに受けとめております。  ところで、ページ数のない「はじめに」という一枚半ぐらいにわたって書かれていることでございますが、ここについて見てまいりますと、いわゆるこれまでの社会というのは物、エネルギーの大量な消費を前提とする工業社会、そういう意味では社会経済のシステムをこれからの二十一世紀に向かっては変えて、人間の知的活動が最も重要な社会的経済的資源となる、こういう知的活動が非常に重要なものとなって付加価値のある生産活動を行い、豊かな生活を実現していく、そういう観点で知的社会の構築が必要であるというようなことで、工業社会から知的社会への今後予想される社会像について述べているものというふうに受けとめているわけでございます。  でありますが、先生指摘のとおり、この答申の基本に流れるものは、繰り返して申し上げますが、日本の抱える問題、ある意味でこれはまた国際的に抱える問題でもございますが、高齢化にどう対応していくかということが大変大きなテーマになっておりまして、一ページ、一章にそのことが書かれておりますが、それ以降にわたりましても高齢者の社会参加あるいは在宅老人コミュニケーションシステムを通じた高齢者の介護支援、こういうことについても答申の中で具体的に取り上げられて、そのための情報通信基盤整備が重要であるというふうに指摘されております。そういった意味では、私どもは社会の問題解決を経済問題に限らず総合的にとらえている答申というふうに受けてとめております。  そういった意味で、私どもといたしましても、今後の政策展開に当たりましても、高齢化社会への対応あるいは福祉問題の解決といったことに情報通信基盤が極めて有効であるということを認識して政策の展開を図ってまいりたいというふうに考えております。
  148. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 そのように御説明をいただければ納得できる点もあるわけです。  そこで、大臣に御質問をさせていただきたいと思います。  大臣の御活躍をお祈り申し上げる次第でございますけれども大臣、今の私の趣旨で、「はじめに」はそういう部分なんです。御説明をいただきますと、確かに豊かな福祉国家というようなことを言われているんだ、そして第一章から諸問題を解決するようにしよう、こういうことを言っておられるわけですね回大臣、いかがでしょうか。お聞きになっていて、「はじめに」では、少なくとも豊かな福祉社会とか福祉国家というものを一行も触れられていないんですね。そういう言葉じゃない表現であえて拾えば、今御説明をいただいた部分なんです。  それで、大臣の所信表明の演説原稿でございますが、大臣やはりこう言っておられるんですね。「高度情報化の進展と著しい技術革新を背景として、新世代の情報通信基盤整備は、我が国の持続的な経済発展、高齢化社会への対応、首都圏への一極集中の是正・地方分権の推進環境保全などの諸課題を解決するための決め手になると考えます。」いかがでございましょうか。一番先に来るのは、残念ながら「我が国の持続的な経済発展」なんです。私は、このところを取り違えますと、実は今のマルチメディアという言葉をかりれば、少し前に、真摯に反省をいただいたこの電通審の中にも言葉があったわけでございますけれども、ニューメディアのときの残念ながらなかなかうまくいかなかった面がある、これが生かされてこないのじゃないかと思うんですね。産業の発展である、百二十三兆だ、二百四十万雇用だ、果たしてそういうところに力点を置いたやり方であれば、私は、大変言うに幅ったいのでありますが、別な省でいいと思うんですよ。  先ほど申し上げましたように、公共性を持っている郵政にいろいろな形での立場がつくられている以上、身近なものを持っているということなんです。だとするならば、それは豊かな福祉社会であるはずなんです。それは非常に包括的な広い概念でありますから、一言というと、あるいはどういうものというと難しいものがありますが、そういう概念だ。しかし、こちらで描いているというものは、どうも経済社会システムの新しい構築である。下手するとアメリカに追いつけ追い越せみたいな話になってしまう。さて、そういう問題の起こし方でいいんだろうか、こういうところ、私は非常に心配になっているわけでございます。  この点、大臣から御答弁、御感想といいますか、理念等いただければ幸いでございます。
  149. 日笠勝之

    日笠国務大臣 先生の二十一世紀に対する基本的な理念というものの大変力強い披瀝をお聞きいたしまして、私も今まで生活者優先の政治であるとか消費者側に立つ政治であるとか、こういうことを言ってきた手前、もし誤解を先生にお与えすることになったのであれば、おわびしなければならないと思っております。  この所信表明でございますが、冒頭の方には四行目から「我が国は、いよいよ迫りくる超高齢化社会を前に、二十一世紀を展望し、より豊かで安心のできる社会の構築を目指しこということで、冒頭、このことをまず申し上げておるというふうに私は理解をしております。また、そのように表明をさせていただいたものと思っております。  いずれにいたしましても、今先生がおっしゃったようなことは非常に重要なことでございまして、百二十三兆円の新しい事業規模の分野が開けるとか二百四十三万人の雇用創出があるとか、こういうふうな数字だけが躍るようなことではいけません。実態が伴わなければならないわけでございますので、今後とも政策を展開していく上で、特に福祉問題については、高齢者とかハンディキャップを持っている方々にとって快適で安心して住めるよう。なそういう生活環境、職場環境を実現していく上で情報通信の果たす役報は大きいと思っておりますので、今後とも郵政省におきましては、高齢化社会における情報通信の在り方に関する調査研究会を今開催しておりますが、積極的に、先生がおっしゃったことを念頭に置いて取り組んでいきたい、かように決意をしておるところでございます。
  150. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 意地悪いような質問でございまして、その点は申しわけないと思いますが、しかし、実は本当にこの点は重要な点だと思うんです。こういう問題を解きほぐしていきませんと、先ほど質問があったように、財源的な裏づけどうするんだというときに非常に私は困難になってくると思うんです。福祉社会にどう貢献できるんだというものを、これも見えるような形でお示しをいたしませんと、本当に必要な部分があるわけですね。この高度情報通信によって得るものがたくさんあるわけです。しかし、そこまで行くまでに年をとって、言葉は悪いんですが病気して亡くなっちゃうなんということでは、こんな不幸なことはありません。ですから、予算づけをする、国民的なコンセンサスをいただきながら国家的プロジェクトとしてやっていくんだというような意気込み、そしてそういうふうな形にするには、この点があまねく国民の皆様方に御理解いただく心棒であろう、しんだろう、このように私は考えている次第でございます。  そして、どうしても私たちが議論をいたしますときに、光ファイバーをつくることですべてが終わりみたいな取り違え、履き違えをするわけでありまして、御答弁にも多々ありましたように、ハードとソフトが車の両輪のごとく同時に発展、展開していって、そして高度情報化が図られる、そして化が図られて完全に高度情報化社会になったときに福祉社会のある一翼を担っていく、福祉国家日本の一翼を担っていく、こういうことになっていくんだろうと私は考えています。その途中で、あるいはそのプロセスの中での成果として雇用創出が生まれたり、あるいはニュービジネスが創出されたり、そしてそのための規制緩和とかいろいろなことが行われていくということだろうと思うんです。そういうところも、どうしても新聞等を見ましても、もう活字として躍るのはそこに来る。経済が今低迷していますので、そこに非常なる期待がある。そこにだけ非常に集中的な力点を置くということになると、私は、これだけいろいろな意味で福祉国家に貢献できる中身を持った高度通信情報化のさまざまな施策が何の意味もなく履き違えられて終わってしまう、ここに大変危惧を持っているものでございます。  そして、その中で、それでは郵政省としてはどんな貢献ができるんだ、ここだと思うのですね。もう既に各省が、同じようなことと言うとおしかりをいただきますが、同じようなことを言っておられるわけです。  それでは、それぞれの省が分担をしながら福祉国家のためにどう貢献するかというときの郵政省の役割は何なんだ、郵政省でなければできないもの、捉えないものは何なんだ、こういうことでいいますと、この質問は今回の法案等にはかかわりませんので改めて予算の機会に申し上げますけれども、郵便局だと思うのですね。全くこれに書いてないんです、電通審答申の中には。郵便局をどう活用するなどということは一言も書いてない。  しかも、郵便局というのは百年にわたる伝統の中で、いろいろ蓄積されたものの中で、地域の人の顔もわかる、おじいちゃんまでわかる。さまざまなソフト提供をしてきた。どうその地域にソフトとして提供――光ファイバーに乗せるものまである。しかも、今はあいさつ運動だとか声がけ運動ということで、実際にお顔を見ながらいろいろな触れ合いをやっている。高度通信情報化がすべてではありません。触れ合いがなければなりません。手が触れる、息遣いが聞こえる、汗をふく手ぬぐいを渡す、ゲートボールをみんなでやる、そういうような一つ情報通信の基地としての郵便局の使い方、高度通信情報というハード、ソフトだけでなくて心というもの、そういうものを伝える郵便局というもの、これをどう生かしていくのかということがない。これを私は非常に残念に思っておりますので、その点をまた改めた機会に、郵政省の役割として、特に身近なものとして、公共性として郵便局をどうお考えになるのかということを改めての機会に御質問させていただきたいと思う次第でございます。  そして、この答申の中で、私は国がみずからもっと積極的に関与すべきではないかと考えている次第でございます。二〇一〇年ということを目標にされました。それをにらんでの今回の法改正だったとも思うんです。二〇一〇年というこの目標をつけられたことの一つ理由というようなところがございましたら、その二〇一〇年の目標を設定した理由をお聞かせいただきます。お願いいたします。
  151. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 答申で、日本全体にいわゆる情報通信基盤高度化される時期は二〇一〇年というふうに記載されております。二〇一〇年という時期を一つのターゲットにしております幾つかの理由がございますうち最大の理由は、日本の総人口が二〇一〇年ごろ大体ピークに来る、一億三千万人、しかもそれから急速に高齢化が始まっていく、二〇一〇年ごろでいわゆる六十五歳以上の高齢化率というのは二一%を超える状況になっているだろう、現在一二%強というところがそのくらいになっているだろうというふうに人口動態的にも予想されております。そういった意味では、それまでに日本通信インフラを整備しておくべきではないかという考え方であろうと思います。  そしてまた、今回のこの答申をいただくに当たりまして、二回にわたりまして全国の四百名程度の方々に直接インタビューを行わせていただきました。その四月の段階におけるインタビュー、そういった中でも二〇一五年よりできるだけ早い時期に整備を進めることが重要であるという意見が大変多数を占めたところでございます。  それから、諸外国のこういう情報通信基盤整備についての取り組みを見ましても、だんだん前倒しになってくると申しますか、そういう取り組みでございます。  一つの例を申し上げますと、アメリカ情報通信基盤整備につきましては、ことしの一月、白書が出されている中で、二〇〇〇年には全国の学校、図書館、病院、これを情報通信基盤ネットワークで結んでいく、こういうことを宣言いたしております。あるいはシンガポールにおきましてもIT二〇〇〇というような構想を出しておりまして、これについても同じようなことで二〇〇〇年を一つの目途にする等々の動きがございます。  さらにまた、技術的な動向から見ましても、早期の整備が可能であると考えておりますし、このころの時期になってまいりますと、需要も成熟期を迎えてくるであろう、投資と収入が見合ってくるというか、そういうことも予想されますので、この時期を大きな目標としたというふうに私どもは受けとめているところでございます。
  152. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 私は、この二〇一〇年というのは本当に、今御説明にありましたように全く同感なんです。ですから、日本のそれだけの高齢化、二一・三%というのが厚生省の意見でしょうけれども、同時に少子化もかなり進みます。そして、過疎化もいろいろな施策を講じていろいろとやっても、もしかしたら歯どめがきかないんじゃないか。その一つの切り札として情報通信高度化というのはあるわけですけれども、その目標を設定されたというところが重要で、そこが実は福祉なんですね、前提が。ですから、話が冒頭に戻ってしまうわけなんです。先ほどのインテルサットの話にしても、実は使用料金とか、同じサービスを受けるためには途上国が困ってしまうということもあるわけですね、余り無制限に制度を撤廃しますと。  ですから、そういうこともあるということと同じでありまして、過疎地帯とか力が弱いところ、あるいは本当に必要としている地域といいますか、弱者といいますか、そういうものに対して、私は郵政省は温かい高度情報化というのを目指すべきだと思うんですね。心が触れたというのを目指すべきだと思うんです。  そういうふうに考えていきますと、この答申の中にあるんですけれども、競争原理によって民間活力を引き出して、競争させて引いていくんだという考え方、これは私は原則賛成ですが、ゴアさんが言っているようなやり方で、ゴアさんよりも五年早いわけです。そして、るるお話があったように、CATVは六、七割引いてあるわけです。日本は五%。そして、それに乗せるハードとかそれからつくっていく人材、こういうものはまだまだ不足していると言われているわけです。そういう中で、民間を競争させてその二〇一〇年までに段階論ということでやっておられますが、果たして可能なのかというのが非常に不安なんです。その点はいかがでございましょうか。
  153. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 私ども、今まで審議会答申をいただいている限りは、確かに二〇〇〇年ぐらいまでの間は先行整備期間ということで大変財政的にも事業者が難しい時期と考えておりますが、二〇一〇年ごろまでにはそういう意味で全国的に張りめぐらされていくであろうというふうに考えられておりますが、当然のこととして、今先生おっしゃいますとおりに、民間に全部任せた格好でのネットワークの構築なりアプリケーションの構築ということは大変難しい状態だろうと思っております。当然国の果たす役割ということがあるわけでして、その前提になっておりますのが現在の日本の競争政策、あるいはNTTの民営化ということがございますので、そういった意味では、民間の活力といいますか、それが最大限に発揮されることが望ましいという立場に立つわけでありますが、いわゆる地域の格差あるいは負担の格差あるいは消費者の利益というようなことを考えますと、それに対して適切な施策を打つ必要があるというふうに考えております。  そういった意味合いにおきましては、答申の中でも指摘をされておりますが、アプリケーションの開発、要するにネットワーク、線が張られているというだけでは極めて意味のないことでありまして、それの利用のシステムとしてのソフト、すなわちアプリケーションあるいはそれの応用データベースということが極めて重要になるわけでありまして、そういうものの開発導入といった部分につきましては、国の果たす先導的な役割が大いにあるというふうに考えております。そういった意味では、特に医療や教育、そういう公的なアプリケーションの導入、こういったことにつきましては、答申の中にも政府は主導的な役割を果たすことが重要というふうに指摘をされております。  私どもといたしましては、関係する省庁とも緊密な連絡をとりながら、いわゆる社会資本整備の新たな展開というような観点から、こういう公共投資につきましての予算のより柔軟かつ重点的な展開というのを求めて政策の展開に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  154. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 アプリケーションのお話をいただいたわけですが、そのところに私は郵便局ということを一つ言っております。  それから、私はこれはあえて一石を投じたいわけですけれども民間活力の導入という前提は、先ほどのから申しますと、先ほどの文書のあらわし方の順番的な要素なんです。私は社会福祉ということでいいますと、もっと細々としたいろいろなケース、地域、いろいろな人、一概に加入者といっても、国民といってもいろいろあると思うのですね。さまざまな対応があるということなんです。そこにはその意味を含めた表現が残っています。この点、私、救われましたけれども。  六十ページには「整備主体の考え方」、六十一ページには「可能な限り競争状態を創出していくことが、消費者利益の増進に資することになろう。」こういうことですね。しかし、じゃ、全部そうなのかと思うと、幸いなことに後の分野で、六十二ページ、「過疎地等への対策」。  こうなりますと、ユニバーサルサービス、アメリカ式の考え方を導入して、先ほどお話があった料金等の問題も含めて国も積極的な施策を講ずるべきである。その中身がこれからだと思うので、私はその一石を投ずるというのは、き線点からさらに固定配線区画というのですか、一軒一軒までわたるまで、それはいろいろな融合の仕方があるわけですから、これは光ファイバーでなくてもいいと思います。いろいろな事業者が相互乗り入れするような義務づけも、それは後にするにしても、私は必要だと思います。そういう問題を含めてこれはぜひ国がやるべきだと思うのです。  そういうことを私は意見として申し上げたいと思うのですが、この点だけいただきまして、委員会もおくれていますので、私の時間としての消化とさせていただきますが、この点、私はもっと積極的に国がかかわっていくべきものもあるのじゃないか、そういうところをもっと整理していただきたい。具体的な問題は役といたしまして、その辺の御姿勢を伺いたいと思います。
  155. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 二〇一〇年までにネットワークを構築していくという前提のときに、先生おっしゃいますとおりに、答申の中では四十九ページにございますが、き線点まで基本的になるたけ早く引いていくということで考えております。その先は需要に見合って対応していくということが一番現実的な対応じゃなかろうか、こう答申でも考えておりますし、私どももそう受けとめております。  ところで、そこまで引くに当たりまして、どういう格好で官民の、国と民間の役割があるかということでございますが、基本的にネットワーク自身は競争政策あるいはNTTの民営化によりまして、繰り返すようでございますが、少なくても電報電話局の段階までは大体光ファイバーが入っております。そこから加入者宅に来る、あるいは先生のおっしゃるポイントで申し上げますと、そこからき線点まで来る、この加入部分に当たるところをどう光ファイバー化していくかということでございます。ここにつきましては、既に例えばCATV事業者でもここをやりたいといって、もう立ち上がってくる事業者もおります。  そういった現行の制度を考えながらやってまいりますと、基本的には民間のそういう活力を尊重しながら、国としては立ち上がり部分において、例えば無利子融資等の融資制度をもって支援するとか、そういう形で進めていくのが適当ではないかと考えております。しかし、なお先生お話ありましたとおりに、そういう形で進んでまいりますのは結局はコマーシャルベースのきく大都市地域、こういうふうになってまいります。そういった意味からは、いわゆる過疎地帯とか採算ベースに乗りにくいというところにありましては、一つにはアプリケーションの開発というようなこととのかかわりで、学校、図書館、病院、公民館とか公共福祉施設とかそういうところに点としてアプリケーションを置いてネットワーク化していく、あるいは現在ある制度を考えますと、電気通信格差是正事業という形での公共投資があります。こういうものをさらに拡充していくとか、そういうことを今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  156. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 全く的を射てないようなきょうの法案質問のように聞こえたかもしれませんが、実はそういうことを想定していかないと衛星通信制度の改正というものが見えてこないと私は思うのです。そういう意味で、今回のこの法案一つの効果としてねらっている、ユーザーの利便の向上であるとか、新たな需要開拓による衛星通信市場の活性化だとか、欧米諸国の制度との整合性の確保、こういったことがやはりなかなか見えてこないのじゃないかと。  ですから、最後に要望でございますが、こういうことをやるためにも、ぜひ我が国が先導して、最後の意味でのグローバルなというような意味で言えば、世界のGIIに負けない、先頭を切った大胆な思い切った、そのための制度や予算、もう大きく対応していく、変えていく、進めていく、こういうことが私は必要だと思います。要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  157. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、山崎泉君。
  158. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 日本社会党の山崎泉でございます。  今、荒井委員が、郵便局のシステムを将来の福祉社会に対応するために活用すべきだ、いい話をしていただきました。  私も今回の選挙に当選するまで郵便局にいましたので、非常にうれしゅうございます。我が事のようでございます。私の家庭も、おやじを含めまして五名の者が郵便局にお世話になりまして、現在も二名おりますので、そういう意味では、一生懸命これまで私の場合は二十五年間郵便局で働いてきて、そして郵便局をそういう目で見ていただいておった自民党の議員さんがおられたということを本当にありがたく思います。そういうふうな意味合いでは、今お世話になっておる郵政省の幹部の方々よりも私は本当に感激しました。今の荒井委員のお言葉をぜひ真摯に前向きに受けとめていただきまして、郵政省幹部の方々は今後も一生懸命郵政省、郵政事業の発展のために頑張っていただきたいということを冒頭お願いを申し上げておきたい、こういうふうに思います。  私、郵便局の三事業はわりかし詳しいのですが、まずこの通信事業法とか電波法についてはそう詳しくもございません。一生懸命自分で勉強した範囲の中で質問をしたい、こういうふうに考えておりますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  インテルサットが持つ衛星の使用料は高い、こういうことで昨年加盟国間で調整をされて、いわゆる民間衛星を利用できる方針を決めたというふうに聞いております。それに合わせた形で今回の通信事業法及び電波法の一部改正、こういうことになったものというふうに私は理解をします。基本的にはこの改正案について賛成の立場で、それが施行された後のことについて、私の疑問点について質問をさせていただきます。  これによって、外国人等でも国際経営の第一種業者が我が国に直接参入してくることになります。当然我が国も民間衛星を利用してできるようになったわけでありますから、お互いに相互乗り入れができる、これがなったわけでありますが、我が国の衛星の競争力、果たしてついておるのだろうかなという心配が私自身はしております。  そこで、お尋ねをいたします。  我が国の中継器一本の年間使用料は非常に高いというふうに聞いております。三億円から六億円。アメリカでは一億ないし二億円。香港の衛星も一ないし二億円。インドネシアはまだ安いと。なぜ、日本の衛星というのですか使用料というのですか、それは高いのか。逆に、外国のものはどうして安いのか。衛星通信事業がこういうふうに国際化をする、本格化するということになりますと、これは我が国の通信業者にとっては大きな壁である、こういうふうに思います。その理由と今後の対策についてお伺いをしたいというふうに思います。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  159. 松野春樹

    ○松野政府委員 ただいまの御指摘をいただきましたとおり、日本の衛星通信の利用料金は米国等に比べまして割高であるという点につきましては私どもも認識いたしております。  若干繰り言めいた理由説明も入るかもしれませんが、例えばアメリカとかインドネシアの衛星料金が安く設定されている原因といたしまして、衛星に大変コストがかかるという分野でありますから、例えば減価償却を経過した衛星を持っているか持っていないかという点が一つあろうかと思います。それから、機能的に制約された衛星、例えば衛星のトランスポンダーから電波が出ますが、そのビームをどの程度絞るか、出力がどのくらいかというふうな比較要素がいろいろあろうかと思いますが、いずれにしても、冒頭申し上げましたように、米国等に比べてちょっと割高であるという感じがしております。  一方で、日本の国の衛星料金がコストが大変高いというのにもこれは原因がございまして、ちょうど昭和六十年当時から今の国内衛星通信事業者が衛星計画を始めたわけでありますが、その当時の為替レートが一ドル大体二百五十円ぐらいであったかと思います。したがって、こういう円安のときにアメリカから購入したために衛星調達コストというのが大変割高になってきて、それが後々コスト的に非常に響いておるという面が一面あろうかと思います。  それから、逆に今日の事情でありますけれども、現在、いいか悪いかの問題ではないのですが、円高状況でありますと、ドル換算の国際比較でやりますと、どうしてもやはり日本の料金が割高感があるというふうな点もありますが、しかし、今申し上げたような点は、私が冒頭申し上げましたように少し弁解がましい説明のようでありますが、本来は、トランスポンダーの利用状況、現在約五六%でありますが、やはりこれをよいサービスでもって効率を上げることによって安くするというのが本来の趣旨であろうと思います。今伸び悩んでおる状況でありますが、今後、この点に大いに期待をいたしたいと思います。  なお、これからの対策でありますが、これからの衛星事業状況がどんなふうになるかということでありますが、現在、一つのトランスポンダーで一つの映像回線をとっておりますが、今後、この通信衛星等がディジタル化が進んでまいりますと、一つのトランスポンダーで恐らく三ないし六の映像回線がとれるというふうに技術が革新されてまいります。そうなりますと、当然これはコストも下がってくる要素になります。これが今後の期待すべき一つの点であろうと思います。  それから、当然のことながら、事業者は経営の効率化も考えなければいけませんが、新しいマルチメディア時代に備えて映像を中心とした伝送、ニュース番組の素材伝送等も含めまして、こういう画像通信時代に、この衛星を事業者がどれだけ利用者を獲得していけるか、競争もだんだん厳しくなってまいりますが、それがトランスポンダーの利用との関係でコストダウンの大変大きなこれからの課題だろうというふうに考えております。  少し要領を得ない説明かもしれませんが、以上でございます。
  160. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 いよいよ国際化が目の前に迫っておるという時期に、果たしてそれだけの対策でいいのかなというような感じを私自身は今お話を聞いて受けたわけであります。  さて、外国の衛星通信事業者が今後我が国に参入してきた場合の料金の決め方というのですか、決済というのですか、恐らく郵政省の認可方式になるのではなかろうかなというふうに思うのですが、我が国の業者、今二社ありますから、そういうものとのバランスをとるという形でその決め方を厳しくすると、逆に今回の規制緩和に反すると。安くすると     ――――――――――――― 私の質問が的を射ているかどうかわかりませんよ。安くすると今度は我が国の通信業者に影響が出てくると。非常に難しい課題というふうに考えておりますが、この辺についてどう考えておるのか、それと同時にまた、今回のこの法改正によって我が国の国際電気通信事業者に与える影響があるのかないのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  161. 松野春樹

    ○松野政府委員 最初の料金関係でありますが、これは先生もただいまお触れになりましたように、第一種電気通信事業者の料金設定ということで、外国衛星通信事業者につきましても国内の事業者との扱いは全く同じ扱いになるということはそのとおりでございます。それから料金認可の実際の運用に当たりましても、当然、内外無差別の原則に基づきまして、特に外国事業者に厳し過ぎるといった批判を招かないように、これは適切に対処してまいりたいと思います。  ところで、仮に外国の衛星通信事業者が入ってまいりまして、料金設定の段階で日本事業者との格差の問題、これはまだやってみないと実はわからないので、今私ちょっとここでデータをまだ持ち合わせていないのですが、やはり競争が国際衛星通信事業世界でさま変わりしてくるという時代に入りますから、その辺の料金の水準について、郵政省が横並び方式で例えば統制をとるといいますか、統制という言葉は悪いのですが、何か高い方に張りつけるとかいうふうな政策は私はとるつもりはございません。そこは十分肝に銘じて取り扱ってまいりたいと存じます。  ただ、この問題は、まだ現実に具体的な申請その他受けているわけじゃありませんので、ちょっとここで細部にわたって申し上げるわけにはいきませんが、基本的にはそのような考えで臨みたいと存じます。  それから、今回の制度改正によりまして、一番影響が起きますのはやはり日本の国際電気通信事業者でございます。KDD、ITJそれからIDCであります。この三社であります。  この専用線サービスが始まることによってこの受ける影響でありますが、あらかじめちょっとお断り申し上げておきますが、一定の仮定のもとに試算をしたということで御了承をいただきたいのですが、専用役務収入で約一〇%程度、現在の日本の国際電気通信事業に与える影響が、専用線収入の部分に限れば約一〇%以上だと。全体の収入では約一%程度の影響ではなかろうかと。金額にしますと約三十億円程度影響があるかなという、全くの試算でありますが、しております。  ただ、これは現在の市場を見て言っておる数字でありまして、今後、市場がこの競争が入ってくることによって拡大するということを含んでおりませんので、私どもとしましては、市場全体のパイが大きくなるということが好ましいわけでありまして、そのような方向を期待しておるわけであります。  それから、この影響が必ずしも収入面だけでなくて、既存の国際電気通信事業者、我が国の場合でありますが、持っております技術力とか営業力というのは、これはやはり相当程度のものでございます。したがいまして、競争が激しくなった場合の我が国の国際電気通信事業者のこれからの営業といいますか、事業の今後の推移ということを見ます場合に、やはりそれらの技術力や営業力を駆使して立派に外国の別個衛星事業者等と競争していくことが十分可能であろうと。また期待としましては、そのくらいの気概を持ってひとつ、これからの大分競争が激しくなってくるアジア・太平洋地域におけるこの分野における事業展開を行っていただきたいというふうに念願をしておるところでございます。
  162. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 九三年八月に、今次または今後のこういう衛星通信業界の過当競争というものを予測したのか、会社が合併しましたね。そして、今現在我が国は二社というふうになったわけですが、先ほども申しましたが、この二社ともに今後とも国際ビジネスの機会がふえることになるわけでありますが、これまた先ほど申しましたように、諸外国の衛星の使用料金が低料金ということでありますから、我が国のこの業者が窮地に立たされるということは私はもう出てくるんではなかろうかなというふうに思ってならないのであります。来年八月に日本サテライトシステムズが衛星を打ち上げ予定、そしてこれも送受信をディジタルという考え方でおるわけでありまして、こうなると料金が安くなるし、利用普及も図られて、ますますこれが安くなっていくだろうというふうに考えます。  しかしながら、現在の需要状況は、今日の長引く景気の低迷、企業のユーザーが減少しておる。同時に、専門チャンネルを放映しておるCS放送業、これもまた受信世帯数と申しますか、これが伸び悩んでおる、こういうふうに言われております。  先ほど自民党の方の質問の中で、それじゃ国内の衛星通信業者へのそういう振興策をどのように考えておるのかという質問に対しまして、低利の金融をあっせんしたりと申しますか、税制で対応したいというような答弁をなさっておられましたが、これ近々の話でありまして、こういうふうなことで国際競争に勝てるんだろうかなというのを先ほどのお話を聞きながら私は感じましたが、その辺いかがでしょうか。
  163. 松野春樹

    ○松野政府委員 いろいろなサイドから先生指摘の問題については見ることができるだろうと思いますが、その一つの面としまして、先ほども私御答弁の中でちょっと触れましたけれども、この衛星という大変コストのかかる設備を持った事業、同時にその衛星の寿命というものは、例えば七年とか十年とかいう限られた寿命なので、また次の設備投資を考えなきゃいかぬというふうに特性がございます。したがって、これを回収しながらなおかつ将来に発展していく、コスト回収をしながら将来に発展していくといっためには、やはり衛星のトランスポンダーを、時代に合ったようなサービスを提供して御利用いただくということが何よりも増して大事である。  となりますと、これから、例えば地上におきましてはCATV等が日本においてもいよいよもう少し新しい形でまた進んでまいる。その中で当然問題になりますのはやはりソフトの問題でございます。CATVチャンネルを通じて大変多チャンネルになりますが、どういうソフト提供するのかということになりますと、このCATVと、CSと申しておりますが衛星との関係で、どういう提携によってその市場が発展していくのかというのも、マルチメディア時代を目前に控えた時代としては大変大事な分野であろうということが一つであります。  これからは画像通信分野で、やはり衛星というのは、地上の光ファイバー論が昨今出ておりますが、もちろん光ファイバーというのは大変これは大事なインフラであることは申すまでもないんですが、簡便に画像を送れるという手段としての衛星の機能というものをまたこれは忘れてはならないということであります。同時に、衛星の特性というのが、例えば静止衛星の場合、一度に大変大量の、大きな地域に対して同時に情報が送れるという特性がございます。こういう特性を活用して、先ほど申しましたように、何と申しましても、この衛星通信の利用分野、アプリケーションの分野を開拓していくということが私は第一であろうと思います。  当然のことながら、コストの面でより効率的にこれから努力していく。衛星の調達も含め、あるいは事業の運営も含め、それから技術の進歩等にもおくれをとらないようにという面もあわせて考える。そこに対して国の方も、大変技術進歩の激しい分野でありますから、それに対する税制の支援、税制の支援もやはり日進月歩の状況であります、それから金融支援等の面におきましてもおさおさ怠りのないように努めてまいりたいということでございます。事業者等ともその辺の事情について率直によくお話を伺いながら、私どもも行政に携わってまいりたいと存じます。     〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
  164. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 よろしくお願いしておきます。  電気通信審議会答申の話題が先ほど出ておりまして、私も若干これについて、私の意見なり、そしてまた郵政省の考え方をお聞きをしたいなというふうに思います。  「二十一世紀の知的社会への改革に向けて」ということで、「情報通信基盤の意義」の中で、答申は経済改革の実現、高齢化社会への対応、一極集中の是正、ゆとりある生活の実現のための諸課題の解決が必要になると思う、こういうふうに言っております。そして、その整備のための政策的対応としてアプリケーションの開発導入が重要である、そして官民の役割分担も明確にして進めていく、こういうふうな考え方でありまして、そしてまた二〇一〇年までのプログラムを決めておりますが、このアプリケーションの一つに医療、教育、住民サービス等が含まれておりました。  これが完全に実施をされていくという形になると、いわゆる日本の今の社会構造の大きな変革であるわけでありますね。もうシステムを根底から変えていく、こういうふうな大きなもの。仮に完全に実現した場合の話ですよ。すると、こうしたときに、実は私きのうヒアリングを受けたんですが、通産省の「高度情報化プログラム」、これを受けたんですよね。そしてまたある新聞の切り抜き。も持ってきたんですけれども、通産省と郵政省との若干の差があるような、この新聞では、コラムで「私の見方」ということで書いてあるんですが、これはこれとして、こういう日本の社会構造を根底から変革をするというような中身を郵政省だけで果たしてできるんだろうかな。  先ほどお話の中では、各省庁との連携を密にしながらやっていかれるという、また答弁がされておりましたが、私は当然、この答申を出す場合も、そしてまた今後進めていく場合も、各省庁との意見交換なりはあったもの、そしてまた意見交換をしながら進めていくもの。というふうに考えますが、私はそうじゃなくて、こういう大事業ですから、通産省も郵政省も、そしてまた仮に農水省が考えておるとするならば、一つにまとめて国家的な大プロジェクトという形の中でこういうものは進めていく。いかないと、おれは郵政省だ、おれは通産省だ、おれは農水省だ、おれは何省だということで、縄張り意識が出てきて、進むものも進んでいかないのではないだろうかなという、私は危惧を持っておるのですが、その辺についてどういうお考えでしょうか。
  165. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ただいま御指摘のありましたように、情報通信基盤整備というのは、完成していくその経過の中、そして行き着いた形というのを想像しますと、我々のライフスタイルあるいはワークスタイルといいますか、そういったものまで変えていくというふうに考えられております。この辺のところは答申の中でも、先生指摘のありましたとおりに、「情報通信基盤の概念」というようなことで四層構造に分けておりまして、基本的なネットワークの部分、その流通、そしてアプリケーション、そして価値観、法秩序というような形になっております。  そういった意味では、先生おっしゃるとおり、日本全体にわたるようなもの、役所でいうと全体にわたるようなものでございます。今回の審議会の御論議も、役所の所掌ということにかかわりなく御論議をしていただいて、答申が出されております。  私どもとしましては、そういったことで、例えば先生のお話のありましたライフスタイルというようなことを考えてまいりますと、どういうことが問題かというようなことは、九十五ページに、いわゆる「アプリケーション普及のために改善が期待される制度・慣習等」というようなことで、各般にわたって、例えば教育、医療あるいは訴訟の分野、あるいはある意味で、ホームショッピング等の商取引の分野、そういった各般にわたって提案されております。  そういった意味で、私ども、今回この答申をつくる、あるいは答申をいただくに当たっても、各省と意思疎通を図ってまいりました。今後ともこういったことで、私ども十分関係省と連携をしながら進めていかなければならないというふうに思っておりますが、こういうプロジェクトの推進につきましては、かねてより、例えば高齢化社会における情報通信のあり方に関する調査研究というようなものでは厚生省と一緒に研究会をやっておりまして、例えば具体的なことを申し上げますと、徘徊老人の探査システムとかあるいは遠隔地の健康相談システムというのを、今現実にこれは三年間かけて、機器の開発も含めてやってまいっております。そういった形での連携体制を十分とりながら進めてまいりたい。  なお、現状を申し上げますと、それぞれの省でアプリケーション、例えば医療のアプリケーションでありますと、厚生省がいろいろなアイデアをお持ちになったり施策を進めます。文部省は文部省、あるいは通産省もあるのかもしれませんが、やられる。そういう意味では、情報通信基盤整備をこういうプログラムでやりましょうという答申をいただき、これが今日本ではある意味で唯一の旗印だと思いますが、これに向かって各省あるいは各産業がビジョンを持って進めるというところに今回の答申意味合いは大いにあるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  166. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 もう終わりです。もう一回、今の関係。  私は長崎県の五島列島で生まれました。四十一歳まで五島列島におりました。小さいときは、いわゆる芋、それから芋を干してつくったかんころ、イワシ、こういうものを食べて生活をしていた。自分自身ではどういう苦難にも、食糧難にも耐え得るという自信は持っております。簡単に言えば、今の生活に不自由はない。生きてきた道を考えると不自由ない。五十一歳のこの年齢、今後も今のような、二〇一〇年、今から進めていく情報通信基盤整備された社会は、私にとっては必要ない。私にとってはですよ。こう考えているんですよね。そういう人たちは、委員長も私に若干年が近いですから、委員長も大体今、歩いてきた、生きられた道、まあいいわ、もう今までどおりでいいわというお考え、あると思うんですよね、あると思うんですよ。そういう人たちと今から始めようとするこの大事業、どういうふうな整合性をつくっていくのかというのも、これは大事なことだろうと思います。  あと一分間。  もう一つ大事なことは、これが家庭でいろんな操作ができるようになりますわな。病院に行ったり買い物もできたり、何か知らぬけれども、パソコン使っていろんな映画、好きなものを見たりなんなりできますわな。学校から帰ってきて子供は絶対外に出ませんよ。マーケットに、スーパーに、きょうの物は何が、本屋さんに何の本があるかといえば、おやじが毎日ぼんぽん机の上で打っておるわけですから、子供はおやじの、親の背中を見て育つわけですから、いつもおやじが何かの機械の前に座っておれば、学校から帰ってきた子供はまた座ってぽんぽん。いわゆる人との触れ合い、自然との触れ合い、こういうものがなくなっていくと私は思うんです。大変な社会になっていく、世の中になっていくと思うんです。  これは重大なことです。単なるそういうものをつくるのじゃなくて、人の生き方に大きな変化を与えてくるというふうに考える。そういうことに対する、いえばソフト面といいますか、そういうものに対する教育施策、国のあり方というものを考えていかないと、単にこれを進めればいいんだということだけで進んでいったら、今後の日本はつぶれて破滅します。だから、私が言った、短な一分間の間ですが、その気持ちを大事にして推し進めてほしいということを申し上げまして、終わりにさしていただきます。  ありがとうございました。
  167. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、矢島恒夫君。
  168. 矢島恒夫

    ○矢島委員 別個衛星についてお尋ねします。  アジア・太平洋地域で参入予定が大分あると聞いております。とりわけアジア・太平洋地域の経済成長などの動向をにらみまして、通信衛星打ち上げ計画がたくさんあるようですけれども郵政省、どのようにこの問題把握して、認識していらっしゃるか。
  169. 松野春樹

    ○松野政府委員 日本とそれから他国に分けて申し上げたいと思います。  日本通信衛星分野でありますが、現在運用中の衛星が六機ございます。御案内のように、CS3a、3b、JCSAT1及び2、スーパーバードのA及びB、合計六機であります。通信衛星以外に、放送衛星といたしまして現在二機運用中であります。BS3a、BS3bであります。  これに加えまして、来年までを見通した今後の計画といたしまして、現在四機計画中であります。日本の場合であります。ことしの七月にはBS3の補完衛星としてBS3Nが出る。それから来年の二月と八月にCS3の後継衛星としてNSTARa及びb、また八月にはJCSAT3がそれぞれ打ち上げられる予定であります。来年八月であります。ということが、日本状況であります。  一方、アジア・太平洋におきます他国の衛星通信についてでありますが、現在運用中でありますのが、中国のCHINASATといっておるもの、香港のASIASAT、インドネシアのPALAPA、インドのINSAT、タイのTHAICOM、トンガのTONGASAT、これは既に運用中であります。  今後の計画につきましては、ことし中国のAPSTARでありますとかマレーシアのMEASAT、米国のPANAMSATが予定されております。また、来年には韓国のKOREASAT、あるいはシンガポールのST1等が相次いで打ち上げられる予定です。アジア・太平洋の上空の静止衛星の世界が大変混雑といいますか、競争が激しくなってくる気配でございます。
  170. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私ここに、九三年の五月、ITUジャーナルという雑誌なんですけれども日本電気の宇宙開発事業部の方が書いた「世界通信および放送衛星の動向」、こういうレポートがあるわけですけれども、この中に、今局長説明されたように、大変混雑するだろうということが具体的にいろいろ書かれております。「ここ数年の間に韓国、中国、香港、マレーシアなどを中心に多くの通信衛星計画(計二十機以上)が浮上しこしかもトンガ王国が権益を確保している六つの軌道、これの利用というものも挙げられている、こういう状況の中で「今まで他の地域に比べて比較的空いていた静止軌道も一挙に混雑が予想されるに至った。」これがこの方のレポートの中のことで、今の答弁と大体同じような内容だろうと思います。  こういうようにたくさんの衛星の打ち上げ計画があるわけですけれども、これが国内通信だけにとどまっているということはもちろん考えにくい。我が国の国内通信衛星としてスタートしたJCSATとかあるいはSCC、こういうものと同じように国際通信に参入してくることが十分予想されるわけですけれども、そうした中でいわゆるアジア・太平洋地域の国際衛星通信が過当競争という事態を迎えるだろう、こうした過当競争がこのインテルサット衛星の経営にどのように影響を及ぼすかというあたりを心配するわけであります。  先ほど答弁の中で、公衆網との接続の問題についてはそれぞれいろいろな制限がある、専用線サービスの問題も答弁の中に出てまいりました。小さな規模の電話網についてはその接続は弾力的に考えている、いろいろと御答弁あったわけですけれども、もし公衆通信を担っているこのインテルサット衛星が打撃を受けるようなことになると国民に不利益が生じるおそれがあるのではないか、この辺についてもうちょっと追加して御答弁いただきたい。
  171. 松野春樹

    ○松野政府委員 御指摘趣旨はそのとおりであると思います。ただ、従来は国際電気通信事業者、特にKDD、例えばイギリスにおきますBT、アメリカのAT&Tというふうに大変大きな国際通信事業者等が出資といいますか、共同してつくったこのインテルサット機構がすべて独占しておったわけであります。今非常に多様化する中でようやく別個衛星計画が認められ出したということでありまして、その際も、今も御指摘がありましたが、インテルサット自体はやはり世界全体を、これはコストもいろいろあろうかと思いますが、やはりカバーしておるという役割がございます。コストを無視してやはり途上国も含めてカバーしなければいけないという責務があるわけで、これはやはり引き続き大事な機能であります。これは我々といたしましてもやはり維持する必要があるわけで、そういうことを十分認識した上で専用線の部分について世の中のニーズに合わせて今回のような別個衛星計画が出てきたということであります。  先ほどトンガの話が出ましたけれども、トンガという国自体がこの国際通信を云々というよりも、トンガの持っております軌道を利用して他国の事業者が通信を行うというふうに、いろいろ複雑な様相を示しておる状況でございます。
  172. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、この別個衛星によって国際専用サービスが行われる、そのことに対して否定する立場ではございません。今申しましたように、国際的な過当競争が悪影響を及ぼさないような、とりわけ公衆通信に悪影響が出ないというようなことが、これは国際的に協調していく問題であろうと思いますけれども、十分注意されなければならないことだろうと思いますし、今後もそういうところに十分注意をしながら進めてもらいたい、このことを申し上げておきたいと思います。  電波法に関連して次の質問に入るのですが、実はアマチュア無線の再免許手数料の問題です。四月一日に電波法関係の手数料が改定されました。この再免許手数料というものが三千六百五十円から四千三百五十円と約二〇%上がったと思います。この値上げで大体どれくらいの収入増になるか、ちょっと教えていただきたい。
  173. 松野春樹

    ○松野政府委員 三年ごとに改定することでまいっておりますが、今回の四月一日からの、電波法関係手数料とくくって申し上げていますが、その引き上げによる増収額でありますが、平成六年度の見積もり額ベースで二十二億六千万円であります。ただし、これは先生お示しのアマチュア無線だけの資料がちょっと今手元にありませんで、今回の電波法関係手数料一切の見込みの額でございます。
  174. 矢島恒夫

    ○矢島委員 電波法関係の手数料全体といたしまして二十二億六千万円、こういう増収ということですが、この値上げは四月一日ということで、いわゆる政府の公共料金値上げ凍結発表よりも一カ月半前に実施されているわけです。もちろん、この値上げは法定事項ではありませんけれども予算上の増収になるということは間違いないと思うのです。御承知のとおり、今、本予算はまだ衆議院を通過しておりません。本予算が通過する以前に、二十二億六千万円というとおおよそ二割ぐらいですが増収を図る値上げが実施されたわけですが、この点どうも国民の納得が得られないんじゃないかといういろいろな疑問が出されているわけですけれども、この点いかがでしょうか。
  175. 松野春樹

    ○松野政府委員 これは電波法関係手数料に限ったことでもないと思いますが、国のいわゆる手数料関係でありますが、かねてから受益者負担の考え方をとっておりまして、実費に担当する額を申請者等に納めていただくという原則に立っておるわけであります。そのやり方としまして、いいか悪いかの問題は別にしまして、ほぼ三年ごとに各省庁一斉に見直しを行っているというふうなことであります。  今回の場合、手続的には昨年の十月に財政当局との調整を開始しまして、これは政令改正になりますが、三月の段階で政令改正の閣議決定を経て施行に至ったというふうな経緯でございます。行政事務に要する実費でありますから、もちろんいろいろ行政事務の効率化その他という一般的な努力というものはこれからも続けてまいらなければいかぬ分野であろうと思いますが、ただいま申し上げたような事情で今回の実施に至っているわけでございます。
  176. 矢島恒夫

    ○矢島委員 実際に公共料金の問題については、今日の経済情勢等を考えた上で政府が凍結という方向を打ち出して、地方自治体にも要請している。そういう中で、どうも郵政省関係を見ますと、郵便貯金は上がっちゃった、それから今言いました電波手数料等も上がっちゃった、いわゆる凍結以前の問題ですけれども、これは国民感情としてですが、さっさと自分のところだけ上げてあとは凍結しよう、どうも手前勝手ではないかという感情もあるということは、これは事実なんです。  そこで、電気通信事業法に関連しまして、NTTの料金値上げ問題について、時間の関係もありますので一つだけお聞きしたいのです。  今申し上げましたような状況の中で、この電話料金の問題につきましても凍結ということで進められているわけですけれども、今の凍結宣言の前に決められていたいわゆる値上げに対する郵政省内のスケジュールは、そのまま準備を着々と進めているのではないかと思うわけです。値上げ凍結した以上、ひとつそういう値上げのための準備作業も中止するのが本筋ではないかと思うのですが、準備状況はどういうふうになっていますか。
  177. 松野春樹

    ○松野政府委員 今お示しのNTTの基本料と番号案内料でありますが、本年の三月三十一日に申請がございました。郵政省では、四月の二十八日に、法令に基づきまして電気通信審議会に諮問したところであります。同審議会では、これまでに二回審議が行われておるところでございます。今月中旬に公聴会を開催することを予定しておりまして、その後公聴会での御意見を踏まえて引き続き審議を行うこととされております。もちろん、最終的にはこれは審議会答申を尊重するという、これも規定がございますが、それを受けて郵政大臣が最終的な態度決定をやるという段取りになります。いつこの審議が終わるかということについてはまだ定かではございません。今審議を継続中であるという段階でございます。
  178. 矢島恒夫

    ○矢島委員 NTTの基本料などの値上げ申請を審議する電通審は今既に作業をずっとやっているというわけですが、朝日新聞によりますと、答申の時期を当初予定していた九月から十二月に延ばすというのがありましたが、大体そういう方向で考えているのですか。
  179. 松野春樹

    ○松野政府委員 私もその報道を拝見しました。ただ、現在私ども審議会に諮問しております内容は、十月実施という明言はございません。認可後速やかにというのがNTTの申請内容の正式なものであります。ただ、十月実施ということを内々の希望として申されておるという段階でございます。したがいまして、十月を十二月に延ばすとかいうふうなサイドでの私どもの態度決定は一切ございません。
  180. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今までの値上げ、例えば昨年公衆電話料金の値上げがありまして、あれは十月一日実施ですか、答申が出されたのがたしか七月だったと思いますが、答申が出されて三カ月ぐらいで実施されるというのが大体の形になってきていると思うのです。十月という限定されたものではないというお話ですけれども、それでいきますと、これは大臣に聞いた方がいいかもしれない問題なのですが、今実際に凍結ということで年内は凍結していく、しかし凍結はしたけれども実際には作業は進めていく、そしてある段階で答申が出る、そして大体三カ月後には値上げ、これが今までのあれですね。  そうすると、考えるに、今回の基本料金、番号案内の問題については答申との関係からいけば一月ごろ値上げということが実施される可能性が非常に強いわけですね。そうすると、せっかく年内凍結したけれども、年が明けたらすぐ解除されて値上げされちゃった、これではやはり今の経済状態あるいはまた羽田内閣が言っております不況状況の中での景気への配慮という点との問題があるのじゃないか、そういう意味ではその後の状況について大体どういうお考えですか。
  181. 日笠勝之

    日笠国務大臣 今電通審で二回このことについて審議をしていただきまして、六月中旬からずっと全国で四カ所公聴会をやらせていただく、その後いっそのことに対する答申が出るかは未定でございます。  いずれにいたしましても、答申が出ましたらば、改定幅とか改定時期、こういうものは慎重に検討をさせていただくということで、一月から上がるとか、そういうことは今のところ全く不明でございます。
  182. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひそういう方向できちんと検討していただくということをお願いいたしまして、時間になりましたので終わります。
  183. 高橋一郎

    高橋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。      ――――◇―――――
  184. 高橋一郎

    高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  185. 高橋一郎

    高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 高橋一郎

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  187. 高橋一郎

    高橋委員長 逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
  188. 自見庄三郎

    ○自見委員 この郵政行政あるいは郵政省の持つ今の社会における今日的意味というのは大変高まりつつある、私はこう思うわけでございます。私も自由民主党の部会長というのをさせていただきまして、その前に部会長代理を二期ほどさせていただいて、私自身その渦中の末席に座る者として本当にひしひしとこういうことを感じるわけでございます。  そういった中で、郵政省というのは、郵政行政といいますと、明治以来の大変伝統的な省であると同時に、また極めて今日的な、今さっきから各党の方々が真剣にいろいろ御質問をしておられましたけれども答弁を聞いておりましても、同時に非常に未来志向型の省であるということを感じるわけでございます。情報あるいはそういったものが持つ意味というのは大変変わってきておりますし、重要になってきております。  そういった意味で、まさに郵政行政というのは日本国が、あるいは日本国というよりもむしろ人類が今からどういった未来に向かっていくのか、そういった豊かな可能性も含めた省であると私は思うわけでございます。同時にまた、そういった意味ですから、非常に責任も重たいし、またがし取りも率直に言えば大変難しいものがある、私はこういうふうに確信をするわけでございます。  それでは、まず大臣に、五月三十一日に電通審答申が出されたわけでございますが、来るべきマルチメディア時代を迎えるに当たり、この答申大臣はどのように受けとめておられるのか、こういうことをまず一番最初にお聞きをしたい、こういうふうに思うわけでございます。
  189. 日笠勝之

    日笠国務大臣 もうベテランの先生に釈迦に説法になりますけれども、今の日本の抱える大きな課題、例えば高齢化社会への対応であるとか一極集中を排除する、すなわち国土の均衡ある発展であるとか、また経済の持続的成長であるとか、こういうもろもろのことを、どうすれば二十一世紀に核となる分野があり、またそれが実現していくかということが考えられるわけでございます。  そういう意味で、昨年の三月に電気通信審議会に諮問をいたしまして、一年二、三カ月かかりましたが、五月三十一日に答申をいただいたわけでございます。  答申内容はよく御存じだと思いますので割愛させていただきますが、これからがいわゆる大変な作業でございまして、各省庁と連携をとりながら先導的な、すなわちアプリケーションの問題をどうしていくか、光ファイバー網のハードだけ全国に張りめぐらしてもこれはただのガラス線でございますし、そのアプリケーションというものがなければ、過去にもいろいろな実験をして、失敗とは申しませんが、余り芳しい成果がなかったということもございます。そういう意味では、このアプリケーションというものの技術開発、利用という問題、そしてこれを政策展開していく上で、きちっと財政的な問題であるとか税制の支援であるとか、これからの皆様方のお力をいただきながらきちっとした対応をすべく、また来年度予算、税制においても御協力いただきながら、まず初年度、いわゆる平成七年度でございますけれども、対応をしていくべく一生懸命努力をしてまいりたい、かように決意をしておるところでございます。
  190. 自見庄三郎

    ○自見委員 今、バラ色の世界というのもあるわけでございますが、同時に我々人類というのは、よく御存じのようにバラ色の世界が見えるところは逆に非常に変化が大きいわけでございますから、同時にやはり危険も多い未来だというふうに私は思っております。  サッチャーさんが、氷は解けるときが一番危険だ、こう言ったわけですから、そういった意味を含めて、過去にも、例えば三鷹のいわゆるキャプテン等の成功しなかった、我々がちょうど国会議員になったころ、十年くらい前だったと思うのですが、非常にそういったことが喧伝されまして、過去にいわゆるニューメディアがあったわけですが、そのうち成功してない事例が少なからず実はあるわけですね。  そういった中で、今三鷹のINS等の例を引きましたが、今回の電気通信答申でも、いわゆるマルチメディアの振興を提言をしておられるわけですが、しかし、やはり過去の中の失敗というのも謙虚に学び、何で失敗したのかということを、やはり行政でございますから、そういった中で過去の失敗を生かすということが、同時に未来に対する英知のある選択だろう、私はこう思うわけでございます。  局長おいででございますから、最初からこういった話をして恐縮なんでございますが、過去の失敗をどう生かしていくのか、そういったことを総括して聞かせていただければと、こういうふうに思うわけでございます。
  191. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ただいま先生からお話のございましたように、私どもが目指す高度情報化社会というような社会を考えましたときにも、言ってみますと、光と陰というような部分が必ずあるわけでして、具体的な政策展開に当たりましては、そういう陰の部分というようなことも見落とすことなく進めていくことが大変重要であるというふうに受けとめております。  具体的に御指摘いただきました、十年ほど前に行われましたいわゆるINSあるいはニューメディアというようなことで具体的に取り組まれた事案につきましても、答申の中にも率直に反省点が書かれております。大きな流れといたしまして、ディジタル化あるいはブロードバンド化というような技術の流れは脈々と流れているというふうに思いますが、答申の中で具体的に、ニューメディア施策なり取り組みにつきまして、なぜこれがうまくいかなかったか、その原因が挙げられております。  その理由といたしましては、「ハード先行、供給側中心の発想で、需要につながるアプリケーションの開発が十分でなかった」ということがまず挙げられております。さらに、「回線利用が電話中心であって「ニューメディア」の発展に必ずしも適していなかった」ということも指摘をされております。それから、「運用のための人材不足」ということで、メンテナンスの費用等の面でも十分な手当てがなされていなかったというようなことがございます。私どもといたしましては、このような反省点、具体的に指摘を受けております。  また、答申自体でも、そういった意味でアプリケーションの開発導入、そういうことが極めて重要であるということを指摘しておると同時に、情報通信基盤につきましては、ネットワーク、そしてそれを流通させるいわゆるプラットホームと言われる端末の部分、さらにまたアプリケーションの部分、そして法秩序とか価値観というのも総合的に展開するべきだということの提言がなされておるところでございます。  私どもといたしましても、この答申にあるような指摘を率直に受けとめまして、今後具体的な政策の展開に当たりましても、十分念頭に入れて取り組んでまいりたいというふうに思っております。  しかしながら、二十一世紀を考えましたときに、技術の革新あるいは世界的な取り組みを見ましたときには極めて重要な施策でありますので、積極的にまた展開してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  192. 自見庄三郎

    ○自見委員 過去の苦い経験、アプリケーションに対する重視が足らなかったのじゃないか、あるいは人材の育成あるいはメンテナンスが十分でなかった、大変正しい指摘だと私も思うわけでございます。そういった苦い経験がございますが、それを踏まえて、今度の答申は、私も勉強させていただいておりますが、かなり前に向かった話だというふうに私は思っております。  しかしながら、いろいろな問題点もあるわけでございまして、まず一つ情報通信基盤整備プログラムでございますが、官民の役割分担をどうするかということは、日本の国は御存じのように自由主義の国でございますから、官は当然郵政省が、アメリカに比べましても郵政省がこういったところに持っている影響力というのは非常に大きいわけです。アメリカは御存じのようにクモの巣のように非常にこういった分野は規制がかかっております。日本アメリカと非常に違うところは、裁判所が物事の判断をするというところが日本の文化と少し違うところでございますが、そういったことを考えましても、官民の役割分担というのがやはり私は大変重要であろうというふうに思っております。  それから、光ファイバーのネットワークと同時に、それはもう局長御存じのように、ネットワークというのは当然光ファイバーもございますし、また同時に無線あるいは衛星通信あるいはCATVだとか、御存じのように大変多重、多層なネットワークによって形成されている部分も私はあると思うわけでございますから、そういった中でひとつ官民の役割をどういうふうに考えるかということ、これは私は、今から大きなポイントの一つだ、こう思うわけでございますけれども、そこらにつきまして局長の御意見を聞かせていただきたい、こう思うわけでございます。
  193. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 情報通信基盤整備を進めるに当たりまして、現実問題として競争原理が導入され、NTTの民営化がされているというような中で、一体官民の役割分担をどう考えていくかというのがこの審議会の一年間の御論議の中でも大変大きな議論でございました。そういった審議会答申を踏まえてみましても、私どもとしましては、ネットワークインフラの部分の構築というのは、現在の日本の競争という観点から考えますと、基本的には民間の創意工夫というのが大きなウエートを持ってくるというふうにまずは考えております。  現実の光ファイバー網ということで考えてまいりましても、いわゆる加入者線の部分だけが問題でございまして、NTTについていいますと、基本的には中継系の部分はほぼ光化されているという現状を踏まえましても、そこが問題であるということがございます。  一方で、今競争と申し上げましたが、CATV事業者等は、みずから自分でもまた光ファイバーを各加入者に引いていこうという動きも出てまいっております。  そういうことも踏まえながら官民の役割ということを考えてまいりますと、基本的には民間の創意工夫ということでありますが、そうなってまいりますと、いわゆるコマーシャルベースに乗る地域だけがそれで進んでいくということになりますので、利用の公平、あるいは通信というものは距離を克服するという役割があるものですから、そういう意味では、過疎地域等については一層配慮をしていく必要があると思っておりまして、この辺のところは、アプリケーションの開発というような観点で、公共的な病院でありますとか学校でありますとか公民館でありますとか、そういったものにつきましてアプリケーションの開発、それの点としてのネットワークを結んでいくというようなことでの、いわゆる国の役割があるのではないかというふうに考えております。  さらに、アプリケーションという観点から考えますと、とりわけこれから五年間ぐらいは、投資に対して収入というのが上げにくい先行投資の期間であろうというふうに考えておりまして、そういった意味では、先導的なアプリケーション等あるいは公的なアプリケーションの部分については、国の果たさなければならない役割があるというふうに受けとめているところでございます。
  194. 自見庄三郎

    ○自見委員 今局長が言われましたように、ネットワークでございますから、全国全部カバーをするということは大変必要でございます。また同時に、私も国土庁の政務次官というのを五、六年前に二期ほどさせていただきまして、当時第四全総というのを一生懸命下働きをさせていただいたわけでございますが、やはり一極集中を排除して多極分散型の国家をつくろう、こういった政府の大きな政策目標でやってきたわけでございます。  同時に、そうはいっても、御存じのように大都会に大変集中をしておる、多分日本の国土の、三十七万平方キロの四六%は、たしか当時過疎法の指定地域でございまして、大変広い地域が実は過疎地域でございます。  しかしながら、同時にそういった過疎を解消し多極分散型の国家をつくろうというのが、国家の目標であると同時に、どの地域で生まれた方も当然我々同じ日本人ですから、やはりできるだけこの一極集中を排除し、多極分散型の国家をつくるということは、哲学的に考えても重要な国家的課題であるというふうに私自身は確信をいたしております。  同時に、今局長が言われましたように、どうしても人が集まるところは、今さっき官民ということを言いましたけれども、民といえば当然これは採算がとれないとやっていけないわけでございますし、ですからそういった意味で、大都会、あるいは大都会と大都会を結ぶところは今でも十分に機能いたしておりますし、はっきり言えば採算が上がる。しかしながら、過疎地帯は、今さっき自民党の岸本先生ですか、和歌山の話が出ていましたが、和歌山のような過疎地の多いところは、こういった光ファイバーを引いてもその恩恵にあずかれないのではないか、こういった実は話があったわけですね。ですからそういった意味で、政府でございますから総括的に全部、本当に国土を包括的に、コンプリヘンシブといいますか、そういったことにきちっと対応していかなければならない。  しかしまた、過疎地帯があるのですが、同時にこういったものは、よく局長御存じのように、これは世界の国の、国家と国家の間の競争であるというところも同時にあるわけですから、そこら辺が、官民、そして過密と過疎、そういった地域にどういったネットワークを引いていくのか。  これはまさに、よく御存じのように、明治以来ずっと、例えばNTT、私の先輩に聞きますと、もう百年以上もかかって三百兆円以上の金をかけて今のNTTの全国のネットワークがあるんだという話も聞かせていただいたわけでございますし、是非はあると思いますが、日清戦争でいただいたあの賠償金を当時明治政府はほとんど電信に使った、それくらいの努力と、それこそ電電公社の時代から、まさに百数十年、たくさんの巨大なお金と時間を費やして、また本当に電電公社の時代から働いておられた方の汗と涙で今日の国全体のネットワークシステムというのが一つあると思うのですね。  そういったことで、私が申し上げたいのは、今新しい光ファイバー、こういうのをつくっていこう、先行整備期間として二〇〇〇年までだ、本格的整備期間までとして、これは全人口の、最初は御存じのように県庁所在地、これは人口二〇%、人口十万以上が六〇%、これは二〇〇五年までだ、二〇一〇年までは全国にいこう、こういったたしか計画だったと思うわけでございます。  そしてなおかつ、一方、民間の活力と申しますか、これは非常にダイナミックなものでございまして、市場のメカニズムと申しますか、市場の原理というのは、これは人知の及ばないといいますか、我々が幾ら考えましても及ばないようなダイナミックな、しかしそれでいて、後から見れば実にうまく需要と供給とバランスがとれているよというのが一つの近代国家の利点だと私は思います。同時に、市場の大失敗ということもよくあるわけですから、その辺が、あいまいもことしているようだけれども、なかなか難しいころ合いのところだろう、こういうように思うわけですね。  そういった中で、ぜひ一つ私が申し上げたいのは、先ほどからお話がありました、経済的に採算の合う地域と山間僻地等不採算地域との時間的格差をできるだけ少なくすることが望ましいわけでございますから、社会資本の充実ということで前に公共事業費による通信格差是正事業のようなことを実はやったわけでございますが、これは御存じのように、郵政省の中で公共事業といたしまして、長年の悲願でございましたが、私も少し当時下働きをさせていただいたわけでございますけれども。そういったことで、通信格差是正事業のようなこういったスキームをこういったマルチメディアの中で導入することを考えておられるのかということを局長にお聞きしたいと思うわけでございます。
  195. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ただいまるる御指摘いただきましたように、私どもいろいろな観点から考えましても、日本の国が高福祉の社会を目指して進んでいくということが必要であると考えておりますが、そのためにも、低コストの社会をつくっていくというような観点から、ぜひこの情報通信基盤整備が必要であるというふうに思っております。  ネットワークで申しますと、明治二十三年から電話のネットワークをつくり始めまして、一八九○年でございますが、ちょうど百年ぐらいになります。そういう意味で、次のネットワークをつくっていかなければならないという時期になっておりまして、そういう意味ではいろいろな取り組み方があろうかと思いますが、基本的な立場としては、ある国では大変エキサイティングな動きもありますけれども日本の国にあっては合理的に取り組んでいくということを絶えず念頭に置いて取り組んでいく必要があるのではないかと考えております。  そういったときに、いわゆる合理的という意味で、利用の公平、あるいは過疎地にあっての公共的な機関、あるいは国土の均衡ある発展というような観点からは、いわゆる新社会資本といいますか、社会資本としてこれについて新たな展開が向けられるべきでないかというふうに考えているところでございます。  そういった意味では、先生方の御支援を得まして、これまで、例えば電気通信の格差是正事業というような予算スキームを認めていただいておりましたが、今私、気持ちだけを申し上げれば、情報通信基盤整備特別枠というのがあってもいいのではないかというふうに考えたりもいたします。  そういった意味先生命御指摘のありましたようなことで、いわゆる公共事業費、公共投資の新たな観点ということで重点的かつ柔軟な予算の配分がなされるということを強く希望して、また政策展開をしてまいりたいと考えております。
  196. 自見庄三郎

    ○自見委員 そういった中で、今局長から、公共投資のあり方もこういった新しい時代ですから見直していきたい、私もまさにそういうふうに賛成をするわけでございます。  先ほどからるる申し上げましたが、こういったのは、皆さん方の中でも、事業者の負担軽減の中で、基本的に民間主導だ、こう述べておられるわけでございますから、そこに対しまして無利子融資制度、新しい融資制度の創設だとか、大変巨額がかかるわけですから、あるいは地中化の推進、これは御存じのように、地中化しますと事業主体の方に余りメリットがないわけでございますけれども、たしか十倍以上かかるとか、いろいろ複雑な法制、あるいは各省庁が絡んでおりますけれども、ここら辺をきちっと仕分けをしていくことが必要だということ。  あるいは、先ほどからお話がありましたように、通信、あるいはマルチメディアでございますから、民間のみならず、基本的な国家のベースでございます教育だとか医療だとか、あるいは行政サービス、日本は行政サービスと申しますか、その辺の情報化は非常におくれておるということは、局長御存じのようにかねがね指摘をされておるわけですけれども、そういった中で、結局公共事業、お金をどうするかという大変な問題でございまして、まあ国民のお金でございますから、こういった答申が出たわけでございますから、公共投資のあり方というものをむしろ郵政省が積極的に、まあ明治の初めのころにまさに全国に百年かかっていわゆる電話線を引いたわけでございますね、そういった使命感を持って新しい時代を切り開いていくんだと。  確かに、いろいろな省と省との間で今大変混迷した時代だと言われるわけでございます。これは政治家の責任でもございますけれども、同時に、そういった意味で、公共投資の見直し等々、新しい時代の入り口にあるわけでございまして、ぜひ力を出してやっていっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  同時に、きょうは松野局長もおいででございますから、私は教えてほしいなと思って来たのですけれども、いわゆる通信分野でございますから、当然憲法にも通信の秘密というのがあるわけでございますけれども、その中で規制緩和というのが、まあ私はこういった分野、裏腹だろう、こういうふうに思っております。  言う人に言わせますと、日本の全体のマーケットの六割はいわゆるフリーマーケットだ。本当に需要と供給で、これいいから買いたいな、これはなかなかいいじゃないかと、こういうふうにフリーマーケットの分野だ。しかし、四割は実は規制がかがっておるんだ。こういうふうなことを言う私の友達の経済学者がおられまして、特に六割の部分は、例えば自動車だとかそういったもので、本当に、これは国民が、消費者が自動車を買うときに、お金を持って何ばで買おうと、これはいいなと買うわけですから、基本的に需要と供給の分野で決まる。こういった分野は、御存じのように日本は、家電にしても自動車にしても大変な国際競争力を持ってきて、いろいろな御批判はございますが、これが原動力となってあの敗戦の中から五十年間でこれほどの経済国家をつくってきたのも事実だ。これは当然一ドル百円ぐらいの世界だというのですね。ところが、四〇%くらいの経済行為、これはまだ大変規制がかかって、これは必ずしも国際市場に出ていない、こう言われるわけでございます。  そういった中で、よく御存じのように、アメリカからもこの電気通信分野について――これは私一部誤解もあると思っております。その辺はきちっと後から局長に、国民にもきちっと言っていただきたいと思いますが。従来独占でやってきたわけでございまして、独占には基本的に市場なんかないわけですから、それは国家の成り立ちと今までの人間の文明の間で、どこの国でも通信の基本的な部分というのは独占でございまして、それは御存じのように今ごろ分割をしよう、あるいは少し市場原理を入れよう、しかし、巨大なものと小さなものが競争しても到底最初から公平な競争ではございませんから、それは公権力によってきちっと仕分けをしよう、あるいはげたを履かせよう、こういったことを日本アメリカ、やってきました。ドイツ、ほかのヨーロッパの国でおくれた国もございますけれども、そういった中でやはり各分野について規制緩和ということが言われていますが、規制緩和というのはただ言葉だけが歩いていって、もう何もかも規制緩和をすればいいというものではないと私は思うんですよ。  人間が人間である限り、国家が国家をつくっている限り、やはり正しい規制と申しますか、みんなの利益になるための規制は要るわけでございますから、そういった中で、ひとつ局長に、各分野について規制緩和ということが大合唱でございますけれども、皆さん方は長年やってきたわけでございますし、その中でムードに流される規制緩和じゃなくて、本当の、五年、十年後に日本のためになる、そういった国民のためになるというふうな規制緩和をしなければならないわけでございます。  電気通信については、我が国の制度の自由度あるいは開放度といいますか、そういったことをOECD等でまとめたレポートを私読んだことがございますが、世界的に見て、どうも我々、規制緩和、電気通信分野日本はそんなに自由度がないのかな、開放度がないのかな、こう思いがちなんでございますが、どの辺のレベルにあると考えたらいいのかということを教えていただきたいと思います。
  197. 松野春樹

    ○松野政府委員 日本の電気通信制度は、もう先生十分御案内のとおり昭和六十年に大改革を行いました。電気通信市場に全面的に競争原理を導入したわけであります。現在の状況ですが、ドイツ、フランスでは依然として我が国の第一種電気通信事業に相当する事業は独占を続けております。それから競争導入のイギリスそれからアメリカの場合でありますが、英国は国際通信が依然として複数の独占体制、二社体制であります。米国は市内部分につきましては事実上独占状態でございます。  最近非常に興味深い資料が出ておるのですが、OECDが一九九三年版で通信白書を出してございます。それが指摘するところを見ますと、日本は、G7の国の中で通信網インフラ、これは恐らく第一種電気通信事業分野というふうに見てよろしいと思いますが、この通信網インフラにおける競争の程度がG7の中で最も進んだ国だと言われておるわけであります。  どういう指標を使っているかといいますと、指数を使っておるわけでありますが、十六点満点で日本が十五点、アメリカが十四・五、イギリスが十四、フランスに至っては三・五、ドイツは二点というふうなことで、客観的な数字評価であらわしているわけであります。  もちろん、これで私どもは何か世界一、本当に開放されているのかというふうに思い過ごしをするつもりもありませんが、OECDが客観的なこんな資料も出しているということを御紹介申し上げて、お答えにかえたいと存じます。
  198. 自見庄三郎

    ○自見委員 そこで、局長、よく問題になる需給調整条項でございます。今度、政府の中の行政改革推進本部というのが情報通信作業部会「民間からの改善要望・意見等」というのを出しておりますけれども、この中でもいろいろ書いてありますが、ポイントは、需給調整条項については、この中の改善要望でございますけれども、要望によりますと、「第一種電気通信事業への参入・退出規制は、できる限り規制を緩和すべきであり、特に、いわゆる需給調整条項については、公益事業特権を維持することを前提に同条項に代わる公平・透明な基準を定めることにより、廃止を含め見直しか必要。」こういったことを、経団連を中心とした声だと私は思うわけでありますけれども、これが実は根強くあるわけでございますね。  そのことにつきまして、いろいろな考えがあると思いますが、すべての公益事業については需給調整項目に基づく参入規制、当然あってしかるべきだ、あるいは公益事業特権、だから料金、サービスについて規制が相互に関連を持ったシステムになっていることがやはり国民の一番の公益だ、こういう考えも当然あるわけでございます。  しかし、同時に一方、私最初に言いましたけれども、フリーマーケットということがあるわけですから、特にニューメディアの場合、一体どういうビジネスが起きてくるかわからない、こういうふうな考えもあるわけでございますから、需給調整条項はまさにマーケットメカニズムと申しますか、市場経済の基本に反するもので撤廃すべきである、むしろ将来の需要は著しく不確実なこの分野で政府が需要を判断するのは大体不可能な話だ。ですから、参入企業が自己のリスクで判断する以外にはなく、自己責任原則を確立すべきである。これは私が言っているんじゃないですが、今さっき言いましたこの作業部会でこういう意見も御存じのように出ておるわけでございます。  そんな中、今後、同時に公益性あるいはその制度をいかに経済市場原理と調和させていくのかということがまさに一番政府に与えられた大事な判断だ。どこを調整するのかというのがあるわけでございますし、時代の流れというのもございますし、同時に政府のつくった行政改革推進本部の中にこういう要望があるわけでございます。  これはもう局長よく御存じのとおりでございますけれども、この需給調整条項について一体どういうふうに考えているのかということを、これは関係の人が非常に耳をそばだてておられる大事なことでございますから、ぜひひとつ局長のきちっとした考えをお知らせいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  199. 松野春樹

    ○松野政府委員 ただいまの御指摘の中でもお触れになられましたけれども電気通信事業法第十条でありますが、その中の第二号というところで「電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと。」という一項がございます。これは第一種電気通信事業についてでございます。これと似たような規定がアメリカの場合もございまして、アメリカにおきましても設備の不必要な重複を防止するために連邦通信法で一項設けでございます。  私、今考えまするに、この第一種電気通信事業はみずから回線を設備するという分類で、要するにインフラを整備するという区分のもとに分類されております。電気やガスなどの他の公益事業と同様に、その提供しますサービス、電話その他につきまして大変生活必需性が高い、したがって公共性が高い事業であるというふうに私は認識しておるわけでございます。  また、ここが特徴的でありますが、第一種電気通信事業分野というのは、ネットワーク設備を必然的に要します。そのために、これも他の公益事業と同様であります、ネットワークの電力、ガス等とも同様でありますが、各種の公益事業特権が付与されておるわけでございます。例えますと、国道あるいは公道、それから公用水面、海底ケーブルなんかを引く場合に、公用水面、こういう面につきまして優先的な利用権を認めております。それから、ケーブルを引く等の場合、これは電柱の場合でも同じでありますが、架空の場合でも同じでありますが、他人の所有に属する土地等の強制的な使用権の設定まであるわけであります。なるべく発動しない方がよいにこしたことはないわけでありますが、そういう担保を置いておるわけであります。  そういう周辺の諸権利との調整が必要となることから見ましても、設備の設置というものが無制約に許容される事業ではない、何らかのそこに、例えば事業法で規定をしておりますように「著しく過剰とならないこと。」、私ども実際にはこれを発動して参入を規制したケースはございません。ございませんが、こういう条項のもとに担保されておる事業であるという分析を私どもしておるわけでございます。この点をぜひ御理解を得たいと思って、及ばずながら私ども説明をしてきているところでございます。  なお、一言申し添えますが、先ほどアメリカの例を申し上げました。日本と同じような事情にあると申し上げましたが、アメリカ等からこの需給調整条項を外せ、著しく過剰な設備という条項を外せという具体的な御指摘は受けたことはございません。
  200. 自見庄三郎

    ○自見委員 それは言葉としてよく理解はできるわけでございますけれども、やはりその中で、例えばいろいろな料金あるいはサービスにつきまして認可料金だとか、あるいはいろいろなことがあるわけですね。認可料金、あるいは非認可料金と申しますかそういった、これはもう認可にしなくてもいいという分類、例えば頻度が非常に少ないとかそういった分野は非認可料金になっている部分があると思いますが、時代の流れですから、答弁は要りませんけれども、やはり何と申しましても公益事業でございまして、公益事業の特権等々を付与されている、電気通信は大事である、こう来たわけでございますけれども、同時にこちら側にもマーケットメカニズムということがあるわけですから、非認可料金の分野と申しますか、それは基本的に     ――――――――――――― 例えば電話料金とか、これはもう国民に全部関係がありますから、電話料金は一体何ぼにするか、これは私は当然認可料金であってしかるべきだ、こう思うのですよ。これはもう国民の一人一人というのはそう強くない、しかし一番国民が大事ですから、その人たちが一カ月何は電話料金を払うかということは、これはまさに選ばれた公益的な政府なりあるいは現在であれば国会が決めるということは大事でございますけれども、それ以外の部分は、例えば企業間のサービス、情報のお値段といいますかそういうのは、むしろ企業と企業の間なんですから、やはりもう思い切ってそこら辺はまさにマーケットメカニズムに任せていくことも必要じゃないかと思うんです。  こういうことを言。いますと、自見さん、あなた、それは企業間のところで損をしても、企業間のその高いコストを全部一般市民の通話料金に持ってくるよ、それはきちっと会計が、勘定がわかってないんだから。こういうことを必ず言う人がいるわけですけれども、全体的な努力としては、そういったところの基本的な、電話料金、個人の電話料金を初めこれは少々世の中が変わってもやはり私は認可料金でいいと思うのですが、今言いましたように企業間のサービスだとか、そういったところは思い切ってディレギュレーションと申しますか、そういった方向が正しいのじゃないかな、私はそう思うわけでございます。  こういった質問は実は用意を言っていませんでしたから、もしそのことについて、局長、御意見がございましたら、どうぞ。
  201. 松野春樹

    ○松野政府委員 まあ、いろいろ現在の法律でも、例えば余り影響度合いの少ない料金については認可不要とかにしてありますが、これなどは例外的な規定だろうと思うのです。これからの料金の全体の流れを見ますと、先ほど来御質問のありました今回の電気通信審議会答申で新しい料金体系、私はこれは革命的な料金体系になるであろうと言っておるのですが、画像が通信の回線を豊富に流れる時代の料金というのは、今、放送系と通信系と融合という言葉が出ておりますが、やはり相当革命的な料金体系にしないと利用者から支持されないということになると思います。この問題、一つ別にございます。  現在の料金につきましても、できるだけそういう分野を広げたいということで、実は昨年でありましたか、試験サービスというふうな形で、言葉は試験サービスといって簡単な言葉ですが、実は最初から認可等一切不要で新しいサービスをどんどん試みてくださいという趣旨でありますから、工夫次第で相当なことができて新しいマーケットが広がるという、私どもの期待を込めでおるあれであります。  それから、マルチメディア時代と口で言っているだけでなくて、やはり使い勝手のいい料金にどうやってするかという問題、これは私どものもう絶えざる課題でありまして、今後も引き続き努力してまいりたいと思います。基本的な方向は、やはり先生おっしゃいますようなことで、ぜひいろいろ勉強してまいりたいと思っております。
  202. 自見庄三郎

    ○自見委員 使い勝手のある料金にということ、これは自由な世界では基本でございますね。高くすれば必ず使う人が基本的に少なくなるわけでございますから、大体先細りになります。安くすればたくさんの人が使います。しかし、当然競争も激しくなりますから、政治的にはいろいろな声が上がってくるのですが、長い目で見れば、同時にそっちの方が拡大生産していく可能性は基本的にはあるわけでございます。その一番皆さん方難しいところは、マルチメディアと言いながらやはり公的なもの、公益性が入っできますから、そこでいかように考えていくかということだろうと私は思うわけでございます。  それでは電波利用料、ちょっと話は変わりますが、平成五年の四月に電波利用料制度がスタートしたわけでございまして、利用料制度については三年後に見直しを行う予定であるというふうに理解しておるわけでございます。  オークション制度については、当時まだ時期尚早であるというふうに取り入れなかったわけでございますが、その後、米国、英国、ニュージーランド等で実施されているというふうに聞いているわけでございますけれども、まさにマルチメディア時代、いろいろな情報通信放送、あるいは画像と文字等とが非常に融合してくる、本当に区別もつかないような一つの巨大な情報の塊といいますか、そういったことになりつつある時代に、有限希少な周波数を効率的に利用するためには有効な制度だと思うわけでございます。  このオークション制度でございますけれども、その実施に向けて郵政省として検討してみてはいかがかというのが私の質問でございます。なかなか微妙なところがございまして、えいやっと思い切り、こういう流れが、今言いましたように米国、英国、ニュージーランド等で実施されておるわけでございますから、ひとつぜひここら辺は省として検討してみてはいかがか、こういう質問でございます。
  203. 松野春樹

    ○松野政府委員 あるいは電気通信局だけではなくて放送行政局も絡む御提起かもしれませんが、私からお答え申し上げます。  アメリカでこれは実施が少し今延びておるようですが、日本で言うPHS、簡易型携帯電話と言っておりますが、この分野実施したい、免許に当たってオークションをやりたいということで、今準備を進めておるということを聞いております。イギリスは、一九九一年に民間テレビ部門で法律を改正して新しい一斉免許で何か実施したというふうなことのようであります。いずれも特定のある分野に限って、アメリカのケースとイギリスのケースは違うようでありますが、実施もしくは実施を試みようとしておるということであります。  そこで、日本の場合でも、私の耳にも入ってきておりますのは、何か手続を透明化するといいますか、透明な手続という観点からもオークション制度がいいのではないかというお声があることも、これまでの御議論から私も承知しておるわけでありますが、例えば、どうもオークションといいますと、あるいは老婆心かもしれませんが、資金が豊富な特定企業に周波数が独占されないだろうかとか、それから周波数の取得に、やはりオークションですから、一種の競りですから、相当大きなコストがかかる、果たして番組内容とかサービスの品質は大丈夫だろうかとかというふうな問題があるのではないか。それに加えて、こういういわば利用権の問題について日本で公的な例でオークションの実例というものが今までにないわけでございまして、どうも絶対これは実現不可能かというと、そうではないわけでありますが、私、大変頭が悩ましい問題という認識をしております。  いずれにしましても、このオークション制度というものにつきまして、事柄の導入の是非等も含めましてるる勉強してまいりたいというふうに私思っております。御指摘のように、電波利用料制度を平成八年度から見直すということは、先般大変お力添えをいただきました電波利用料の国会審議の過程で郵政省の方から答弁申し上げておりますがここれに間に合うかどうかはちょっと別といたしまして、いろいろ勉強してはまいりたいということでひとつお許しを、御理解をいただきたいと思います。
  204. 自見庄三郎

    ○自見委員 私は単純な頭でございますから、局長がそう言われたら、これは前向きにやるのかな、こう感じるのですが、しかし、こういったことをいろいろ、例えば非常に資金力の豊富なところが取って電波の公平性が疑われるのじゃないかということでございますが、私としては、今の答弁を繰り返していただきたい、そういったやぼなことは言いませんけれども、オークションも勉強してみる、こう言われたのは事実でございますから、ひとつこういったことをしっかりやっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  大臣、そこら辺、勉強してみたい、こう局長が言われたわけでございますが、それでよろしゅうございますか。
  205. 日笠勝之

    日笠国務大臣 既にそういうことも課題になって、やっておると聞いておりますので、そういう方向でいきたいと思います。
  206. 自見庄三郎

    ○自見委員 ぜひそういったところをしっかり督励をしていただきたい。皆さん方の気持ち、考えもよくわかるのですけれども、やはりどこかこういった、えいやっというところも必要でございますから、決して乱暴な話ではないのですけれども、ひとつぜひ、そういったことを勉強していただいているということでございますから、私は、それを大変深く、重く受けとめさせていただきたいと思います。  それでは次に、郵務事業と申しますか、まさにこの郵便局でございますけれども、郵便、貯金、保険ですね、このことについてお聞きをさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  これはまさに郵政省、戦前からも、本当に基盤と申しますか、一番最初、明治初年ですね、郵便局をつくり、特定局をつくり、大変日本の近代化に、御存じのように、郵便、貯金、保険というのが、全国に二万四千の郵便局、一万八千の特定郵便局、全国にネットワークとしてあるわけでございまして、まさに明治初年の民活であったと私は思うわけでございます。今から考えましても、まさに明治時代の草奔期の政治家というのは偉かったなというふうに私は思うわけでございます。あれほど国家予算が規模が少ない、ましてや政権基盤が安定しない中で、まさに「坂の上の雲」ではございませんけれども、燃えるような気持ちで、国家を近代化せねばならない、しかしお金がないということですね。やはりそういった中で、国家というのをきちっと、特定郵便局長制度、あるいは近代郵便制度ができてきた、こういうふうに私は思うわけでございます。  その中で、今一万八千だ、こういうふうに申し上げたわけでございますけれども一つ、特定郵便局は、地域に密着した郵便局として、郵便、貯金、保険のサービスに加えて、最近では住民票の、これは我が党が大変強く主張させていただいたわけでございますけれども、住民票の交付郵送サービスなど、新しいサービスを提供し、地域住民に今喜ばれておりますけれども、特定郵便局における地域活性化の取り組みの現状と今後の方針についてお伺いをしたい、こういうふうに思います。
  207. 木村強

    木村政府委員 先生ただいま御説明賜りましたように、特定郵便局は、明治初年以来百年以上にわたりまして、営々としてネットワークを張ってまいりました。現在は、国民全体の財産として、これからの高度情報社会にも地域の皆さん方の情報拠点となるような、大切なネットワークだと考えております。御承知のように、地域社会に密着をいたしまして、郵便、貯金、保険のサービスを提供し、極めて重要な役割を果たしてきたところは、先生指摘のとおりでございます。  私ども、これから地域活性化の観点から、郵便局がこれまでやってまいりました施策、郵便、貯金、保険、それぞれの立場で取り組んでおるわけでありますけれども、総じて申し上げますと、ふるさと小包というものも発掘をいたしました。現在は、もう八千品目以上、年間一千九百万個を超える小包がふるさと小包ということで日本全土を飛び交っておるわけでありまして、こういったふるさと小包の発掘を通じまして地場産業の振興に資するとともに、その他、ふるさと切手やふるさと絵はがきの発行、あるいは町並みに調和をした郵便局舎づくりなど、特定郵便局というものは地域振興に貢献をしてまいりました。  また、郵便局の窓口ロビーなどを使いまして、地域住民に開放いたしまして、絵画展などの展示会に活用してもらうなど、地域コミュニティーの活動にも最近は力を入れております。  それから、先生指摘ございましたように、地域住民の利便向上のために、最寄りの特定郵便局で住民票等の交付をお申し込みいただける、住民票等の交付請求の取り扱い、あるいは昨年一月から試行いたしております、地方公共団体が発信する地域の観光だとかイベントなどの各種情報を郵便を利用して提供する「活き活き情報交流サービス」といったようなことも、新たな施策としてアイデアを出しながら講じてきておるところであります。  また、郵便局を地域の情報拠点として地域住民に活用してもらうために、私ども、特定郵便局を含めまして約一千五百カ所を現在通信衛星で結びまして、各地の地域番組や経済情報等を提供するとともに、あるいはハイビジョンとかBS、CS等のニューメディアの機器を郵便局に設置いたしまして、地域住民の皆様にニューメディアというものに親しんで、あるいは楽しんで、なれ親しんでいただこうという観点でも、郵便局の役割は増大をしておるわけであります。  このようなことで、とりわけ二万四千の四分の三も占めます特定郵便局の地域活性化への取り組みというものは非常に大切でございますので、先生指摘のように、これから一層この施策充実強化を図りまして、国民全体の財産というものをこれからの時代にふさわしい形で生かしてまいりたい、さらに努力してまいる所存でございます。
  208. 自見庄三郎

    ○自見委員 大変正しい時代認識、きちっとした答弁だというふうに私は思っております。  それでは、きょうは貯金局長おいででございますから、金融自由化が進展し、個人預金者への自由化メリットの還元が重要な課題となる中で、御存じのように、もう国営、非営利、個人専門の金融機関である郵便貯金、この役割は一層大事だというふうに私は考えております。特に今度はバブルという時代が過ぎ去ったわけでございますけれども民間の金融機関は今いろいろな不良債権を抱えておられる。しかし同時に、民間の、いわゆる日本の国立貯蓄銀行というのは、これは日本だけではなく、ほかの西洋諸国にもあるわけでございまして、おのずとすみ分けが違うものだというふうに私は思っております。  例えば銀行であれば、今度は新しい産業を育成しよう、私はよく言うのですが、日産自動車に何千億という、やはりこれを興業銀行が貸しましょうと、そういったお金は、まさに銀行という機能はないのでございますけれども、しかし、一人一人の国民のまさに民主的な、安心して安定してきちっと貯金ができるということは、同時に非常に社会の安定ということにとって大事なことでございまして、そういったことはもう釈迦に説法でございますけれども、また、金融の自由化が一方にあるわけでございますし、今度の国会でも、今参議院に先議になっておりますが、こういった利子の問題等々あるわけでございますが、こういった中で、郵貯の、今日的に一層重要になってくるというふうに私は思うわけでございますけれども、また同時に、国民の一部の方からと私は思うわけでございますけれども、郵便貯金が非常に大きくなり過ぎる、こういった御批判もいただくわけでございますが、その中で私はそういった、今さっきも申しました国立貯蓄銀行でございまして、それは今さっき官房長が言われましたように、長い間の歴史を刻んで今日まで来たわけでございます。まさに国民の財産でございますからね。同時に、まさにそこは情報化の基地にしよう、こういう話もあったわけ一でございますけれども、そういった中で、まさに基本でございます郵貯の果たすべき今日的な、積極的な役割を果たすべきだ、こう思うわけでございます。一般質問でございますから、郵貯の果たすべき積極的な役割について局長はどういうふうにお考えなのか、御答弁いただきたいと思います。
  209. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 御説明申し上げます。  今先生お話ございましたように、貯金法をお願いしておりますけれども、これが御了承いただけるということでございますと、この十月には、いわゆる流動性の自由化が実施になるわけでございます。考えてみますと、五十四年に金利の自由化が始まりまして、いよいよこの十月に完全に全部のものが自由化になるということで、大変歴史的な時期を迎えるということでございます。私どもといたしましては、特に小口の自由化を推進するという立場に立ちまして努力をしてまいりまして、この間、先生方にも御指導、お力添えをいただきまして、大変ありがたく思っているところでございます。  ただ、こういう金融の自由化というふうな、制度が変わってくるということで、環境が大きく変わるわけでございますが、やはりこの自由化のメリットというものを預金者の皆さん方にお届けするといっためにはいわゆる自由化の中で公正な競争が行われているというふうな、制度にプラスして、実態が生まれることが大事でございまして、そういった意味で、私どもも、制度ができた後、そういった実態ができるようにひとつその役割を果たしていきたいというふうに考えている、これがまず基本でございます。  また、先生も今申されましたけれども、こういう中で、やはり公的な郵便貯金として民間とは違った役割もまた果たしていかなければいけないという要素がございます。特に、自由化というふうな環境を考えてみますと、どうしても営利というふうなものが強くなってくるということでございまして、そういたしますと、いわゆる小口の預金者でありますとか、あるいは不採算の、採算のとれない地域でありますとか、そういったものがどうしても軽んじられるというふうなことが予想されるわけでございます。  御案内のように、郵便貯金法の第一条には「あまねく公平」ということが書いてございますが、私どもは、この自由化というふうな環境になりましたときに、若さにこの郵便貯金法に書いてある「あまねく公平」というこの哲学が大変光ってくるというふうに思っております。  郵便貯金は独立採算ということでございます。民間の金融機関の皆さん方が嫌がるところを手を出してやるというのは大変経営的にはつろうございますけれども、しかしながら、懸命な努力をいたしまして、その責めを果たすというふうに覚悟をしているところでございます。引き続き御指導賜りますように、よろしくお願いをいたします。
  210. 自見庄三郎

    ○自見委員 また、法律がこの委員会の方にかかってくれば、そこら辺はまたしっかり論議をさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、今さっき官房長の話にもございましたが、一万八千の特定郵便局という話があったわけでございますね。そういった中で、私も地元でよく特定郵便局長さんにお会いをするわけでございます。そういった中で、特定郵便局長さんの給与体系につきまして、きょうは人事部長さん、おいでですかな、おいでですね、ひとつどうなっているのかということをまず質問をしたいわけでございます。  まさに第一線で非常に、これはもう皆さん方の方がずっと御専門でございますが、管理者として、管理職として、まさに郵政事業の第一線で管理者として頑張っておられる方でございますが、近年どうも以前に比べれば少し給与が厳しくなったのではないか、こういうような声も、正しい声がどうか知りません、そういうことを聞くこともございますし、あるいは、昔に比べればそういった声も聞くわけでございます。  また、御存じのように、あれはおじいさん、お父さん、本人だと、三代だ。私の選挙区にはたしか四代の方もおられます。そういった方と、それから郵政省に勤めていた、郵便局に勤めておられて、そういった方でなくて新たに、自分の局舎と土地を持っておられなくても任命されてこられる方、こういう方がいるわけでございます。  私は、まずそこら辺で特定郵便局長の処遇の改善ということは非常に大事なものだというふうに思うわけでございますけれども、そういった意味で、まず給与はどうなっているかということを、人事部長さんですか、加藤さんにお願いをします。
  211. 加藤豊太郎

    ○加藤説明員 今先生から特定局長の給与についてお尋ねがありましたけれども、特定局長を含めまして、郵政職員の給与は、給与特例法によりまして、いわゆる一般職の国家公務員の給与水準と、それから民間の賃金の水準に準拠するというふうな建前になっておるわけでありますけれども、この中で、特定郵便局長の給与につきましては、今まで一生懸命改善に努めてきたところであります。  昭和六十二年までは実は特定郵便局長を含む全部の管理職員に同一の俸給表を適用していたわけなんですけれども、特定局長は、先ほどからいろいろお話がありますように、強い地縁性が求められる、それからまた選考任用で転勤がないというふうな職務の特殊性があるということから、この改善としまして、昭和六十三年から特定局長独自の俸給表を設けまして、俸給の昇給のカーブを比較的フラットにしまして、若くして特定局長に就任した人たちの給与上の優遇というふうな意味での処遇改善を図ったところでございます。  また、それ以降も昇格の機会をふやすとか、それから管理職手当等の手当面で改善を図るなど、より頑張りがいのある処遇になるように努力してきているところであります。  なお、参考のためですけれども、現時点における特定郵便局長の給与は、基本給で一人平均月額約四十三万円ぐらいになっておりますけれども、この上にさらに管理職手当だとか、ボーナスにおけるところの役職加算であるとか、それから特定局長が貯金、保険の募集をしましたときには、その募集手当がさらに加算されるというふうな仕組みになっております。
  212. 自見庄三郎

    ○自見委員 今部長さんがお答えになられたわけでございますけれども、国家公務員の中でそういった、私の選挙区でも三十歳で特定局長さん、おられますし、長い間そこにずっと当然一地域にまさに地域の名士としておられるわけでございまして、そういった方の人的ネットワークということは、まさに大変郵政事業の最前線で貴重な御活躍をしておられるということは皆さんよく御存じのことでございますから、今いろいろされたわけでございますけれども、ぜひその方の処遇改善ということを強く私からも、いろいろな説明はお聞きをいたしましたが、実情に合った処遇の改善をしていただきたいなというふうに私から強くお願いさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  213. 加藤豊太郎

    ○加藤説明員 先生命御指摘がありましたように、人的ネットワークというお話がありましたけれども、地縁性のほかに人縁性というふうなものを発揮して、特定局長が地域に深く根差した事業活動をやっておられるわけでありますけれども、私どももその職務の重要性だとか努力に報いるために、先ほど今まで処遇改善をやってきた中身につきまして御報告申し上げましたけれども、今後ともさらに特定局長の処遇に配慮しまして、さらに努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  214. 自見庄三郎

    ○自見委員 ぜひその点に十分に力点を置いてやっていっていただきたい、このように強く私からお願いをさせていただいておきます。  それから次に、公共料金の値上げなんでございますが、その中で特に郵便料金でございますね、このことについてお聞きをしたいわけでございます。  実は、日本経営者団体連盟、日経連から、我が党で公共事業に対するプロジェクトチームというものをつくりまして勉強させていただいたわけでございます。その中で郵便料金につきまして、ほかの料金にもいろいろございますが、きょうはひとつ郵便料金について質問させていただきたい、こう思うわけでございますけれども、この中の指摘で、私も実は部会長として、郵便料金の値上げということを認めてくれないかという話が出て、私もいろいろ実は進言をしたわけでございますね。部会長としては、やむを得ないでしょうということを実は申し上げたわけでございます。  そういった中で、やはり日経連がきちっと、報告書局長さんのところにあるのかと思うわけでございますけれども、やはり合理化でございますね、合理化といいますか、効率化でございますね。合理化といいますとどうも人減らしというような感じになりますが、効率化と申しますか、自動区分機を導入をしても、まだ五五・三%が手作業によって区分をされている。区分機の積極的配置ですね。これは三年間で百二十二台、二百六十二億円のお金をかけてやったということでございますが、ここは特にバブルでございますから、郵便の数が大変ふえたということもございますし、また、そういった中で非常勤職員の数を一万九千人ふやした、賃金の支払い額は二・五%になった、こういったことでございますが、郵便が二三%ふえたということでございますけれども、しかしながら、効率化ということもやはり常にしていかないと、今さっき言いましたように、皆さん方がやっていないというふうに私は言わないわけでございますけれども、やはり合理化と効率化というのは、特にこういった公共事業体には大事だと思います。  もう上げればいいからね、上げればというので上げますと、これはいろいろ電話の、今郵便だけじゃない、たくさん、ファクスだとか何かいろいろありますね。まさにマルチメディア時代になるわけでございますから、競争相手がふえできますから、それは明治時代か大正時代なら郵便しかなかったわけでございますけれども、もうそういった時代ではないというのは局長さんよく御存じでございますから。  ほかのメディアとも競争しなければならない、同時に郵便事業は、私の記憶が正しければ、たしか八〇%ぐらいが人件費でございますね。まさに人の涙と汗によって区分されて、一軒一軒こういった手紙が届くわけでございますけれども、同時に、今さっき区分機の問題もしましたが、そういった合理化も、例えば四十三年以来郵便番号ですか、つくりましたけれども、途中一遍ぐらい改正したように思うのですが、どうも特に大口の郵便を利用する方、そういった方はむしろ     ――――――――――――― 個人はよく書いてくれるのでよく読める。九六%くらいの日本人は書いてくれているというので、大した民族だなと思ったのでございますが、かえって大口の受託者、利用者と申しますか、あるいはそういった方の方がかえって郵便の読み取り機、非定形のものもあれば量の多いもの、いろいろあるのでしょうが、読みにくいというようなことを昔読んだような記憶もあるわけでございます。  そういった中で、やはりこの郵便事業の効率化ということが私は非常に大事だと思いますし、また、ことしからでございますか、もう御存じのように、そういったことで郵政短時間職員、これも認めるということで私も少しお手伝いをさせていただきましたけれども、去年の暮れ、ボーナスはオーケーだけれども、昇給もオーケーだけれども退職金はだめだよ、一日四時間働いていただこう、こういった、言うなれば従来の国家公務員という概念から非常に飛躍した制度も導入をしようというような意欲があるわけでございますね。  そういった中で、ひとつできるだけ効率化しませんと、結局郵便料金を上げれば利用する人は減ってくるんですよ。減ってくれば、結局縮小傾向になりまして、もうほかのメディアに移ろう、こうなってくるわけですから、大変大事なところでございますから、ひとつそこら辺の効率化につきまして局長さんの御意見があれば教えていただきたい。
  215. 新井忠之

    ○新井政府委員 お答えを申し上げます。  郵便事業の効率化でございますけれども、今先生説明のございましたように、郵便事業というのは、郵便の引き受けから配達に至るまで、大変人手に依存する度合いの高い事業でございます。これまでも郵便物の仕分け作業の機械化あるいは鉄道郵便局の廃止、こういった可能な限りの効率化も推進してまいったわけでございます。これは、特に今先生からも御指摘ございましたように、郵便につきましては民間との競争だけではなくて、電気通信との競合もこれからいろいろな形でもっともっと激しくなってくるのではないかというふうに思っておりますので、私ども、今後ともこういった局内作業の機械化や、あるいは窓口事務処理の情報化、機械化、こういったような形で今後とも積極的に進めてまいりたい。  具体的には、例えば郵便物に記載されたあて名、これは手書きのものを含めて、こういったあて名を機械で自動的に読み取ります郵便物あて名自動読み取り区分機、こういったものをさらに増備してまいりたいということと、書留郵便物につきまして、区分をして同時に通数を確認し、さらに一度に記録する、そういう機械の開発配備、こういったことも局内作業の機械化の一環として今後進めてまいりたい、このように思っております。  さらにまた、窓口の関係でございますけれども、郵便の場合は窓口の機械化がなかなか難しゅうございますけれども、一台の機械で郵便物の料金を計算いたしまして、あわせて料金証紙、切手のようなものでございますけれども、これを発行して、さらに料金額の集計事務も同時に行う、そういう窓口端末機が現在一部配備されておりますけれども、こういったものをさらに増備をするといったような形で、今後とも積極的に推進してまいりたいというふうに考えて一おります。  それからもう一つ、いわば郵便の作業の中で最も機械化のおくれております、あるいは難しい、配達部門の機械化、特に配達局におきます局内での準備作業、こういったものに対してもできるだけ機械化を進めてまいりたい、このようなことを考えてお一るところでございます。
  216. 自見庄三郎

    ○自見委員 一層の効率化、今さっき言いましたように、例えば、むしろ区分機による処理が困難な郵便物というのは、多くは大口利用者が発送代行業者に差し出すものなどが多いなんということですね。これは会計検査院の報告でございますか、そういうのもございますし、私は郵政白書も読ませていただきました。きちっと問題点を理解をして対処をしておられるようですけれども、さらに一層そこら辺の効率化を、時代に取り残されないように、大変重要なものでございますから、そこら辺をさらに一層督励をしてやっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、あっちやらこっちやら行って恐縮でございますが、次に、民放の話でございます。きょうは江川局長おいででございますから、簡単に申し上げます。  いわゆる地上民放が、こういったマルチメディア、皆さんからいろいろな話が出たわけでございますけれども、非常に変わってくるわけでございますけれどもマルチメディア時代になりまして光ファイバーの発展あるいは衛星放送の進展、多メディア化、多チャンネル化、そういった現在、来週はまた放送法の改正という法律もかかってくるようでございますが、まさに国際化の時代でもあるわけでございます。  そういった中で、いわゆる地上民放、今あるわけでございますが、その存在価値を持つためには、どういったことに注意をして、どういった役割を果たすべきであるかというふうにお考えか。基本的な話ですけれども、そのことについて局長の御意見を聞きたいと思います。
  217. 江川晃正

    江川政府委員 マルチメディアがこれから進展していくわけでございますが、その中で、地上民放、こういう言葉で表現させていただこうと思いますが、これからどういう存在意義を持ち、役割を負っていくべきなのかということは、実はまことに基本的な課題だと考えております。それで、今我々はこういう道筋で、地上民放マルチメディアの中で整々と発展していくべきだというふうに考えておるということを申し上げさせていただこうと思います。  これまで、地上民放というのは、基幹的メディアという性格を与えるといいましょうか、そういう性格のものとして評価してまいりまして、かつ、基幹的メディアでございますから、全国にそれが行き届くようにしようというふうに進めてきたところは、先生御案内のとおりでございます。そういう意味での、だれもが見れるという意味での基幹的メディアの性格というのはこれからも持ち続けるのではないのか、持ち続けていいのではないかというふうに考えます。そういう基幹的メディア意味するところは、言ってみますと、地域社会のニーズにこたえた情報を経済的に安定して提供し、視聴者が容易に受信可能であるというメディアの性格だろうと考えております。  その意味で、そういう地上テレビのこの性格といいましょうか、機能といいましょうか、それはこれからマルチメディア世界の中でも十分に担わなければいけないものだろうと考えているところです。しかし、マルチメディアの中でそういう位置づけというものは、民放が黙っていて与えられる位置づけではなく、やはり彼ら自身も努力していかなければいけないだろう、そう考えます。  では、そういう民放自身がどういう努力をするのかというところは、それは幾つもございましょうが、一つは番組の制作能力とか、先ほど来議論になってございます地域情報の収集、そこからの発信能力の強化とか、そういう問題もございますし、また技術革新への的確な対応もしていかなければならないというような問題もございます。それらは、そういうことをやってマルチメディアの中に地上テレビがなお基幹的メディアとして生き続けていこうと考えるわけでございますが、役所郵政省の側も、こういうものに対してまた支援すると申しましょうか、環境整備するというのがまた仕事に出てくると思います。  その意味で、郵政省としてのやるべきことというのは、例えば制度の変更みたいなことも考えなければいけないかもしれません。設備とか周波数の共用化による放送以外の新たな事業への展開というようなこともできるようにするような、そういう経営の自由の拡大という視点からの制度の見直しでありましたり、これから先、株式の上場というような問題もたくさん出てまいると思いますが、そういうものへの環境整備も図っていくなどなどございまして、そういう役所の側のやるべきこと、民放自身がやるべきこと、その志向するところは基幹的メディアとしての拡大発展というところが、先生のただいまの御質問に対する我々の当面の考え方だと申し上げたいと思います。
  218. 自見庄三郎

    ○自見委員 なかなかうんちくのある御説明だったと思うわけでございます。  それから、NHKのことにつきまして、大分時間も迫ってきたのですけれども、現在NHKはBS放送で難視聴解消を行っているということになっているわけですね。ところが、実質的には地上放送をそのまま流しているわけではない。今回、特に小笠原に対しまして、難視聴解消ということで、CS放送を利用して関東広域圏の番組がそのまま伝送することを予定しているというふうに聞いておるわけでございます。他の難視地域においても、地上放送と同時に、NHKが従来実施してきた枠を超えた工夫によって全国に放送されることが望ましいと思うわけでございますが、適切な進め方について検討していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  219. 江川晃正

    江川政府委員 先生のおっしゃりたい趣旨は私はよくわかりますが、ちょっと申しわけございません、言葉の約束事で、こういう定義で我々はやっていますということをちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。  CS放送と今先生おっしゃいましたが、今回、小笠原に対してNHKあるいは民放の番組が直に流れていく仕掛けというのは、CSという通信衛星を使いますが、いわゆるCS放送というものではございません。CSという通信衛星を使って小笠原の今度つくります拠点局に情報を落としまして、その拠点局から小笠原の中に電波で放送を流す。その意味では、通信衛星を使いますが、伝送するわけでございます。そういう意味で、通信です。ここから先が放送になります。CS放送と我々が言いますのは、文字どおりCS通信衛星にぶつけて、そこからもろにおりてくるのを自分のアンテナで受けてしまう。直接ダイレクト受信をするということをCS放送と申しております。  なぜこんなことを私がくどくど申すかといいますと、小笠原は今のCS通信衛星が電波を落とせる範囲のちょっと外にあるわけです。千キロか何か、ちょっと大分離れたところでございますので、ビームを絞っておりますので、あの辺は余り強い電波が届きません。そこで、私たちが言う意味でのCS放送は、小笠原で受けようとしますと、我々東京で、本土の中でだったら六十センチぐらいの直径のアンテナで、パラボラで受けられるわけでございますが、あそこへ行きますと、技術の話を聞きますと、四メートル前後の大きさになってしまう。そういう意味では、文字どおり家庭の人が四メートルのアンテナを置いて見るというのはなかなか難しゅうございます。その意味で、CS衛星を使ったとしても、やるとすれば、今度やりますように、向こうヘプログラムを送って基地局から流す、こういう方法になると思います。そういう意味で、CS放送という言葉をちょっと使い分けでございます。  それにいたしましても、CSという衛星を使って放送が直に聞けるようになるとするならば、BSばかりでなく、それも使ってやったらどうかというふうに先生の御質問をお聞きするとすれば、まさにそれは新しい一つの手法でございますから、あり方としてはあると思います。ただ、今BSに向かって音が行っておりますので、アンテナがBSに全部向かっております。CSが大分軌道がずれたところにございますので、映すとなると、例えば日本本土内の難視聴地域でもアンテナをもう一つ必要とするというような経済的に難しい問題が一つ出てまいります。  そういうことも一応クリアしながら、BSのみならずCSを使うという問題に、やるとすれば考えていかなければならないところでございます。  そういう技術論、経済論の困難性がちょっとございますが、それにしましても新しい時代の転換がございます。BSのみにこだわらないでCSも使ったらどうかという趣旨の御意見ということで、私たち頭の中に置いて、NHKともちょっと議論はしてみたいと考えるところでございます。
  220. 自見庄三郎

    ○自見委員 従来実施してきた枠を超えて、BSでなくてCS通信放送衛星通信衛星を使ってやってみるというふうなことでございましたが、ぜひ適切な進め方について前向きに検討していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それでは、あとちょうど残り十分でございますが、ちょっと大臣に、きょうは質問の通告をいたしておりません。実は大臣個人のことでございまして、我々の党の方からもぜひ大臣に聞いていただきたい、こういうことを、実は私、そういった要請もございましたので、これは大臣のお一人のことでございますから、大体郵政行政一般については聞かせていただきましたので、御質問をしますから、ぜひ正直に答えていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  御存じのように、ここに読売新聞の、これは一月七日号でございます。これは大臣、御自分のことでございますから当然お読みになられた、こう思うわけでございますけれども、熊谷通産大臣がやらせ質問をしたということでございまして、また、きのうの予算委員会でもこのことが大きく取り上げられまして、これは六月二日の読売新聞でございますが、「「やらせ質問」依頼は事実」だ、こういったことがきのうの予算委員会でも、大臣御出席しておられましたし、私も答弁の一部は聞かせていただいたわけでございますけれども、その中で、六月一日の予算委員会において我が党の水野委員質問に対して、直接やれと頼まれたというようなことじゃございませんというふうに答弁をされておられると思います。私も議事録で、速記録で確かめたわけでございますが、直接でなければ、だれか人を介して頼まれたことはございませんか。
  221. 日笠勝之

    日笠国務大臣 直接、間接問わず、ございません。
  222. 自見庄三郎

    ○自見委員 直接、間接、頼まれたことがないというから、自分で自主的に質問をされたということでございますね。そういうふうに確認しておいてよろしゅうございますか。
  223. 日笠勝之

    日笠国務大臣 そのとおりでございます。
  224. 自見庄三郎

    ○自見委員 一月七日のこの新聞でございますが、読売新聞によりますと、これはあくまで新聞の報道ですよ。十月一日に通産省の人が、質問の取りやめを申し入れてきた、そのことは既に一日の予算委員会でもお認めになっておりますが、そのとおりでございますか。
  225. 日笠勝之

    日笠国務大臣 実は、私も十月一日、質問に立つという通告をしたと会議録にも載っていると思います。実際、メモ等がありませんものですから、いろいろと雑誌とか調べてみますと、ある雑誌は十月四日に質問に立つと予告があったとありますし、それは十月一日となっておりますし、それからきのう、通産省の政府委員室関係の方のことを、報告を審議官の方がされていましたね、あの方は十月三日とおっしゃっていましたね。ですから、いずれにしても、十月一日から四日の間に通告をしたのだろう、こう思いますが、十月四日というある週刊誌の話は当日でございますから、当日はなかったのだろう。そうすると、メモは何もなくて大変恐縮でございますが、一日か三日かその前日かという、政府委員室の方が言ったのが十月三日、読売新聞が言ったのが十月一日ということですから、一日から三日の間だろう、こういうように思うのでございますが。
  226. 自見庄三郎

    ○自見委員 日にちのことが、いろいろ記憶のこともあるのかと思うわけでございますけれども、この新聞によりますと通産省の人が、今もお話あった、来たというのは事実でございますね、政府委員室の方が。
  227. 日笠勝之

    日笠国務大臣 来られました。
  228. 自見庄三郎

    ○自見委員 そして、そういった質問は取りやめてくれないか、こういうふうな話があったというのも事実でございますか。
  229. 日笠勝之

    日笠国務大臣 そう直截な言葉で取りやめてもらいたいというふうなニュアンスだったかどうか明確ではありませんが、やめてもらいたい、そういうふうな断定的な言い方ではなかったのだろうと思いますが。
  230. 自見庄三郎

    ○自見委員 断定的な話でなかったけれども、そういった意味合いのことがあったということですね。  そうしますと、これは一月七日の読売新聞でございますが、日笠大臣は、質問は自分の判断でやった、他人からの働きかけはなかった、こういうふうに話している。同省関係者によると十月一日、これは日にちのことはいろいろあると思いますが、受けた同省側が、最初の取りやめを申し入れたが、「大臣から頼まれた。」と、通産大臣、当時の熊谷通産大臣から頼まれた、「大臣がやめろと言わなければやめられないと拒否された」、こういう新聞記事があるのですね。ですから、そういったことがございますが、これは事実でございますか。
  231. 日笠勝之

    日笠国務大臣 予算委員会でも申し上げましたように、このときの記憶している限りでは、申し上げました。というのは、私、高輪宿舎におりますけれども、これが何日かということはちょっと特定できかねるのですが、胡国会に行くときに、五階でございますからエレベーターに乗りますと、たまたま大臣とSPの方とか秘書官とか数名の方がいらっしゃったわけです。そこへどかどかっと入っていきまして、いやいやもう予算委員会近くなりましたが、いろいろ通産省のこともやりますよ、そういう旨のことを申し上げたら、どうぞ、結構ですよ、こう言われたことは事実でございます。  この新聞のことは、頼まれたというのは、どうぞ、どうぞ、結構ですと言われたので、やめると頼まれたらそれは私も人間ですから考えるけれども、そうでない限りは、どうぞと言われているのですからやめられないというコメントだと思います。
  232. 自見庄三郎

    ○自見委員 当日質問をしたときにも、ごくわずかの時間をやっておられますね、大臣。そのときに、こういった問題を、まあ率直に言えば、これもきのう明らかになったと思いますが、通産省の大塚和彦さん、通商産業研究所次長さんが、きのうも私も見ておりましたが、井上一成代議士には明らかに大臣から、通産省のトップからお願いがあった、こういうことを証言として聞かせていただいておったわけでございます。  そうしますと、井上先生の方にはお願いがあった。しかし、井上先生はしなかったんですね。大臣はしておられるわけですね。そうしますと、これは常識的に考えたら、やはり頼まれてやる。たくさんのテーマがあるわけですから、それで十二のうち一つ、わずか何十秒かだったと思うのですが、そんなことに普通、常識的に、井上先生には大臣が直接お願いした、大臣はだれからも頼まれなくて、直接的にも間接的にも頼まれなくて、そういったくさんあるテーマの中でこういった問題を自主的に、全く頭の中で思いついて取り上げるというのは、ちょっと私は自然でないと思うのですよ。やはりだれかから頼まれたり、少なくとも問題意識を持っている。  この問題も、よく御存じのように、要するに「通産省」というふうにはっきり二回ほど書いておりますね。「ゆがんだ人事であるとかこ「官界のモラルですねこ「いろいろ情報が飛び交っておりますが、いわゆる政治家のモラルと同時に」官僚のモラルだということもうわさされている、こういうようなことですからね。新聞によりますと、もう少し露骨に、この怪文書問題について十月四日の委員会日笠委員が取り上げた、こう書かれておるわけです。いや、これは新聞ですよ、読売新聞にこう書かれておりますね。  ですから、こういった問題は一体思いつくのかどうか。こういった状況を考えれば、だれかから頼まれたというふうに考えるのが私は自然じゃないか、こう思うわけでございますが、大臣が自分で全く自主的に、頭の中で浮かんで、だれからも頼まれなくやったんだということでございましょうか。
  233. 日笠勝之

    日笠国務大臣 昨日予算委員会でも水野先生にお答えいたしましたけれども、連立与党初めての予算委員会での総括質疑だったと思います。そして、各党どういうことをやるかという割り振りをしたわけなんです。ちょっと今ぺーパーを忘れてきましたけれども、第一党の社会党さんが防衛・外交問題をやる、それから新生党さんが災害復旧だったと思います。それから民社党さんが景気回復、それからさきがけ・日本新党さんが農業問題だったんじゃないかと思います。  当時、御存じのようにこの十月ごろは、いわゆるゼネコン汚職ということが大変大きな問題になっておりましたし、それからいわゆるゼネコン汚職ということで総理大臣が、細川前総理ですね、本会議で所信表明をやっておられるわけです。ですから、自見先生、この私の初めの方の出だしの文章を読んでいただければ、所信表明をずっと引いていますね、政官業癒着、綱紀粛正。そういうことで、まずゼネコンのことをやり、綱紀粛正をやるんだというテーマがあったわけなんです。ですから、きのうも申し上げましたが、十一問のうち、もう十一問はずっと政官業、ゼネコンということをやりまして、たまたまこの一問が官界のモラルということをやったわけです。  当時、週刊ポストか何かでございましたか、さんざん、毎週くらい出ていましたですね。そういうのが頭にありましたから、たまたまどこの省庁の、綱紀粛正いろいろあるけれども、今いろいろ報道されている、うわさされているから通産省のことをちょっと取り上げようかなという感じでございまして、流れの全体を一番初めから読んでいただくと、決して、突然思い浮かんだか、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、そういうふうな流れの組み立てであったということで御理解いただけるのではないかと思っております。
  234. 自見庄三郎

    ○自見委員 大臣の話は、予算委員会でもそういう話を聞かしていただきました。しかし、六月二日の夕刊紙によりますと、あなたの質問が内藤局長辞任の引き金になったと見られているというふうに報道されているわけですね。報道ですね。ですから、これはまた我が党としても、予算委員会もございますからしっかり取り上げていく問題でございますけれども、やはり私は今の大臣質問には完全に納得できない。たくさんの問題があるときに、十二の問題は確かに、十一ですか、しっかりした問題ですけれども、残り一つ、急に一つ入れだというような感じが私はいたしまして、これは井上代議士に頼んだんですから、やはり頼まれてやったというのが私は自然だ、こう思います。  大臣、最後に、だれにも頼まれておりませんね。人を介しても頼まれておりませんね。事実だ、こう言われましたね。もしそれが事実でなかったら、当然責任をとられますね。
  235. 日笠勝之

    日笠国務大臣 はい、そのとおりです。
  236. 自見庄三郎

    ○自見委員 終わります。ありがとうございました。
  237. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、大木正吾君。
  238. 大木正吾

    ○大木委員 最初に、郵政行政執行上の問題につきまして、二、三点、注意を喚起しながら御質問させていただきます。  一つは、モトローラ問題が本年二月に問題になりまして、移動体通信の関係会社に対する百三十局の新しい基地局の設置の問題とかあるいは二十二万五千の新しい端末の問題が出ております。これは外務省の方呼んではおりませんが、いえば時流に乗りました移動電話の一つの発展状態の中にありましたから大体うまく解消できたかと思うのですが、ただ、カンター代表等は盛んに押せ押せでいけばいいんだ、こういう話が新聞等に出ておりました。包括協議の問題とも関係いたしながら私自身にはちょっと気になりますので、通信局の方の担当になりますか、結局どういう完結といいましょうか、最終的にどういうような結末をつけているか、これについてお答えいただきたいと思います。
  239. 内海善雄

    ○内海説明員 お答えいたします。  最終の決着と申しますと、日本移動通信株式会社、IDOが使用しておりますNTT方式の自動車電話用周波数八メガヘルツのうち一・五メガヘルツを北米方式に使用するという内容、それから、平成七年九月までに基地局百五十九局、通話チャンネル数九千九百の建設を行う、そういうようなものを日本移動通信とモトローラ社とが契約を結びました。それが決着の内容一つでございます。  そういう民間の決着を受けまして、政府といたしましては、IDOの計画を把握し、最後まで見届ける、それから、日米両国政府でレビューを行う、仮にIDOの計画の遵守が確保できないというようなことがないように法律の範囲内で可能な措置をとる、そういうふうなことになっております。
  240. 大木正吾

    ○大木委員 お願いしておきますけれども、包括協議にこれからだんだん入っていくというのですが、政府調達の関係にも関連してくるかもしれませんが、数量規制に絡みまして、こういった問題が、結果的にはアメリカのカンターが言っているみたいに押せ押せどんどんでいけば何とかなる、こういう形から遮断しておかなくてはいかぬと思うのですね。外務省とも話をしたでしょうから、そういった問題について確認できますか。
  241. 内海善雄

    ○内海説明員 ちょっとお聞き取りしにくかったのですけれども……。
  242. 大木正吾

    ○大木委員 要するに、包括協議が始まりますから、あの事件というものを別の次元としてきっちり切っておかなきゃいかぬですね。そういう関係。
  243. 内海善雄

    ○内海説明員 今回の携帯電話の問題は、包括協議とは別の枠組みの中で議論されておりまして、包括協議とは別の話だということになっております。  それから、先生御心配の節というのは、多分それが影響を及ぼすかどうかというようなことではないかと思いますけれども、これについては、あくまでも民間事業者間の問題が合意が得られた、そういうようなことになっておりますので、結論から申しますと、包括協議とは全然別な話ということになっております。
  244. 大木正吾

    ○大木委員 そういったことでぜひ善処してほしいわけですが、ただ、政府調達物品の中にNTT関係の調達関係も入ってくるかのごとき報道もございますから、そういった点は重々今後も注意してもらいたい、こういうふうに申し上げておきます。  それから二つ目の問題ですが、これは放送局長、少しく勇み足という感じもするのですが、やはり新しいメディア時代に入っていきますから、仕事の範囲も相当に広がっできますから、ぜひ御注意願いたいのです。ハイビジョンの問題についてのアナログからディジタルに関係する問題につきまして、結果的には業界関係の方々とかあるいは受信者、あるいはNHKを中心としました放送関係、そういった関係に対して相当迷惑がかかった発言をしたことは間違いないわけですから、こういったことは今後あってはならぬことですから、今後の問題として、こういった発言のないように、また、もしそういった方式の変更をするときには関係者と十分相談した上で合意をしながらやってほしい、こういったことをお願いしておきたいのですが、いかがですか。
  245. 江川晃正

    江川政府委員 私の言葉がいろいろ御迷惑をおかけしたということでまことに申しわけなかったと思いますが、先生からは前にもいろいろ気をつけるということは御注意いただきました。経緯については繰り返しませんが、いろいろと気をつけてやっていくということにしていきたいと思います。
  246. 大木正吾

    ○大木委員 電通審答申でも、マルチメディア関係になりますと相当放送関係の仕事も広がっできますから、そういった面でぜひ十分な配慮をしてほしい、こういった感じがいたします。私自身ずっと内情を伺っておりますから多くを申し上げませんけれども、今後の御留意をお願いいたしておきます。  次に、人事部長、あるいは大臣からも一言伺いたいのですが、弘信商事の問題、郵政互助会の子会社ですね、この関係の問題につきまして、特別清算に入って七百億前後の問題が出ているわけでございますが、まず一つは特別清算の進行状態について、そして二つ目に互助会に対する退職金の給付率等に影響がないかどうか、こういった問題について明らかにしてもらいたいこと、これは人事部長に伺っておきます。  最後に、こういった問題について大臣の発言も若干新聞で拝見いたしましたけれども、この種の問題について今後どういうふうに指導監督されるかどうか、そういった決意を伺っておきます。
  247. 加藤豊太郎

    ○加藤説明員 先生指摘の弘信商事についてでございますけれども、弘信商事につきましては、郵政省の直接監督権限が及ぶところではないのですけれども、郵政互助会の全額の出資会社である、またその商事の経営問題が互助会の事業経営に大きな影響を与えるというふうなことだとか、それから、商事は金融会社でありますので、金融会社として融資先も非常に多い、そこでその社会的影響の大きさも考慮いたしまして、郵政省としまして、互助会に対する監督の中で、行政監察局の勧告の趣旨も踏まえまして、商事の経営の抜本的な見直しを行うよう互助会を強く指導してきたところであります。しかしながら今回の弘信商事の清算という事態を招いたことは、まことに遺憾と思っておるところであります。  郵政互助会からの報告によりますと、商事は再建計画を策定いたしまして経営の立て直しに努力してきました。一方、互助会もそれに対してさまざまな形で支援を続けてきたわけでありますが、昭和六十一年の消費者金融からの撤退の際に多額の貸し倒れ引き当て措置をした、それによって財務体質が弱まった上、さらにバブルの崩壊だとか、引き続く長期不況の結果、このまま推移すると商事の経営は悪化の一途をたどるということになる、また一方、郵政互助会といたしましても支援の限界に至ったということで、経営の継続の見通しが立たなくなったということから、再建をあきらめざるを得なかったというふうに私ども報告を受けているわけでありますけれども、当省としても、やむを得ないと考えておる次第でございます。  この上は、商事が金融会社だということで融資先が多いことから、清算に伴う社会的影響を極力少なくするよう関係方面において配慮されることを期待すると同時に、郵政互助会の加入者への退職給付について影響が及ばないための必要な措置を講ずるよう、私どもとしまして互助会を指導してまいりたいというふうに思っておるわけです。  先生指摘の、会員の退職給付への影響でございますが、互助会は設立後もう四十年もたっておりまして、その資産も四千二百億円に上っております。この資産の中には貸しビル等の不動産もありまして、今後、これらのビルの益出し処分等を初めとしまして、各種の経営努力によりまして清算に伴う損失を長期的に償却していくということを互助会は検討しているわけでありますけれども、この損失により退職給付の給付率を下げることはしないということで、互助会から私ども報告を受けているところであります。  郵政省といたしましては、現行の退職給付事業に支障を及ぼさないよう、また加入者の利益を損なうことのないように互助会を強く指導監督してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  248. 日笠勝之

    日笠国務大臣 郵政省の、財団法人郵政互助会に対する今後の指導監督でございますが、郵政互助会の子会社ということで郵政省の監督権限外ではございますが、このような清算という事態を迎えたことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  郵政省といたしましては、今までそのときどきにおいて必要な指導を行ってきたと聞いておりますし、諸般の事情を考えますと、郵政互助会としてこれ以外に方法がなかったのではないかと考える次第でございます。  この上は、このような事態を踏まえまして、今後の郵政互助会の運営に万全を期するため、執行体制などの見直し、強化を図るとともに、損失金の償却計画を含めた長期経営計画を策定し、その確実な実行を図るよう強く指導してまいりたいと思います。  ともあれ、退職給付という事業に支障を来さないということが最大の大きな使命でございますので、その点を十分留意していきたいと思っております。
  249. 大木正吾

    ○大木委員 大変な不祥事でございますが、ぜひ再発のないように十分な監督をお願いしておきます。  さて、電通審答申について若干伺っておきます。  これは同僚議員の質問の中にもございました、公共性の問題とかあるいは人間環境の問題ということもございますが、実は私自身が参議院の逓信委員長をしておりますときに、要するに役人の方とかNTTの幹部の方々から大分抵抗があったのですけれども、結局、公共性という言葉事業法の中に入れたのは、衆議院のときはなかったのですが、参議院逓信委員会で突っ込んだ経過がございまして、御質問趣旨の方々に対しましてぜひ御理解願っておきたいと思うのです。  そういったことを一応前提としながら、大臣に二、三点伺ってまいります。  これは先ほど同僚議員の質問にもありましたが、答申に対しまして、大臣の方からは、アメリカ情報ハイウエーの問題でございますとか、それから同時に、積極的にこういった問題について早急な具体化に向けて全力で取り組む、こういった決意が出ていますが、私も大体同趣旨でございます。  ただ問題は、先ほど議論も若干ありましたアプリケーションの問題ですね。こういった問題について、通信政策局長の話もありましたけれども、実はここに手元にあるのですが、通産省が出しています「高度情報化プログラム」というものがございますが、これの中にずっと入っていきますと、「公約五分野情報化推進」というのがございまして、これはまさしくアプリケーションに関しまして電通審答申しました問題とすべて重復する、いわば視野といいますか分野なんですね。教育の分野、研究の情報化、そして医療・福祉の情報化、行政ですから自治体関係をいいましょうか、行政の情報化、中央官庁も入りますよ、図書館の問題、こういったもの全部入っておりまして、極めて具体的な内容になっておるのですね。  ですから、政策局長おっしゃったけれども、どうもやはり両省庁が、いわば関係の向きに向けて盛んにアプローチが始まっている。ほうっておきますと、年末に大蔵省へ予算で行ったときに、両方が同じ予算をがっちり、いわば取り合っている状態がダブってくるんです。しかも、今でもパイロット事業、大分あちこちダブっているものがありますから、そういった点で、こういった問題について私、非常に難しい問題を含んでいる、こう考えているわけですが、まず政策局長から意見を聞いた上で、大臣の所見も聞かしてください。
  250. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 電気通信審議会答申につきましては、いわゆる、日本の国におきます二十一世紀に向かいました情報通信基盤整備ということで御議論をお願いをし、答申をいただいたところでございまして、言ってみますと、どこの官庁の所掌であるかということを超えての御議論でございますので、省庁ごとにいわゆる情報化あるいは情報通信等につきまして何か出されるものについて重複することがあろうかというふうには思っております。例えば、現在厚生省におきましてもそういった情報化推進本部というのをつくって検討されているということになりますと、私どもとの関係でまいりますと、答申内容ということと、部分では重複するようなことも大いにあろうかというふうに思っでございます。  現実の対応ということになってまいりますと、それぞれの省庁、連携しながら進めていくということではなかろうかというふうに思っているところでございますが、概観するところ、いわゆる公的なアプリケーション、こういったものについては政府主導というようなことでやらなければならぬ部分が多いのではないかというふうに電気通信審議会答申は考えておりまして、このことについては大体共通的に理解されるあり方ではないかというふうに考えております。例えば医療とか教育とか各省にわたるものがございます。これはアプリケーションの部分でございますが、さらに行政の情報化というような観点になってまいりますとまた総務庁とか、そういったかかわりも持ってまいります。  アプリケーションという分野に関して言いますと、電気通信審議会答申にありましては、基本的にいわゆる「ビジネスペースのアプリケーション開発・導入は、民間部門の創意工夫によることを原則」、こういうぐあいに主張されております。私ども、そう受けとめるのがよろしいのではないかというふうに考えております。  ただ、公的分野のアプリケーションにつきましては、ただいま先生からもお話のありましたように、それぞれの分野において国の役割があるのではないかというふうに思っているところでございます。  なお、こういったことにつきまして、現実の問題として、ただいま進めております、いわゆる高齢化福祉社会と通信というような研究会を私どももやったりいたしておりますが、そういうところにありましては厚生省と一緒に進めるということもございます。厚生省独自でこれから進めるものもあろうかというふうに思います。各省、こういうことで、いわゆる情報通信につきまして大変関心を持っていただくようになりまして、それぞれ、もちろん省庁間の調整というのは連携しながら必要になってまいりますが、取り組んでいただくことは大いに歓迎すべきことではないかというふうに思っております。  そういった意味合いにおきまして、私どもは今後とも関係する省庁と連携をとりながら進めてまいりたいというふうに思っております。
  251. 日笠勝之

    日笠国務大臣 先生のおっしゃることは大変重要なことでございます。私も、郵政大臣を拝命したときに総理から、省益を乗り越えて国益の立場で頑張ってもらいたいと言われたことも思い出すわけでございます。  ともあれ、この答申そのものも各省庁でよく連携をとった上で出しました答申でございます。今度はこれを政策化をしていき、おっしゃるように、年末の予算編成に、予算獲得に向けていろいろ各省庁と協力し合い、財政当局にも協力し合って、それぞれの立場立場というものを認識した上で折衝していかなければならないだろうと思っております。  ともあれ、大変これからが大事な分野でございますし、大事な局面でございますので、いろいろとまた御指導賜ればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  252. 大木正吾

    ○大木委員 政策局長の話、話としてはわかるんですけれども、やはり郵政省と通産省とのここ十数年といいましょうか十年来の相当な縄張り争いが刺激になっています。私自身も資料として通産省からたまにいただくのです。そうしますと、重複していることが相当ありまして、また現地にも、パイロット事業だなんて問題につきましても、やはり現地の方々がこれは郵政省関係だ、これは通産省関係、こういう問題があります。  そろそろこういった形でもって、もしアメリカ情報ハイウエーとか、あるいは本当に国家的な仕事でやるのだったら、やはり私は、総理がそうおっしゃる気持ちを受けまして大臣に考えてほしいんですが、国家的プロジェクトを文字どおりそういったものにしていくことが大事なんじゃないか、こういう感じがするんですね。  そのためには、例えば羽田総理が結果的には責任者になりまして、あなたが結局代行でもって実際仕事をされまして、そして各省の次官クラスの方を入れまして、やはり何か一本にしたものを、別に新しい機構組織というものはどうかということは余り描くことありませんけれども、思い切ったそういったことをしなければ、これは恐らく縄張り争いといいますか、こういった各省庁は郵政、通産からどんどんアプローチを受けできますよ。面倒くさがっできますよね。そういったことは民間にもあることなんですけれども、やはり私は、この問題が成功するためには、公的アプリケーションという問題も何といっても先行しなきゃなりませんからね。  そういった意味でもって非常に大事な入り日なんで、日笠大臣にもう一歩前に出ていただきまして、総理と突っ込んでいただきたい。同時に1おっしゃることはわかるんですよ。宮崎さんに私何遍も会っていますから、大和の理事長ですね、今通信政策部会長やっていたんですからね。全部、会ってもうよくわかっているんですからね。要するに、メンバーを集めて、そういういろいろな方々を集めてやっているから権威が高い、こうおっしゃいましても、役人の世界、なかなかそう簡単にいかぬですよ。通産大臣呼びましても、いや郵政とは違う、こういう話になりますから。  そういう点でもって、もう一歩進めた意味で、私は、どうしても国家プロジェクト、こういったものをどこかでもってやはり、閣議の中でも結構です、話をしていただきまして、もう一歩詰めた仕方をしないとこれは成功しない、こう考えていますが、どうですか。
  253. 日笠勝之

    日笠国務大臣 閣議では、例えば女子学生の就職に関する閣僚の会合とかというのは、御存じのとおり、雇用という面に絞って申し上げますと、二十一世紀、二百四十三万人の雇用創出のある、恐らくこの世界は男女雇用均等法がそっくり生かされるような分野であろう、長期的な展望に立っても非常に、この事業は、情報通信基盤整備はそれにこたえるものであろうということも言っていますし、また本日は、この答申を閣議で正式に御報告をさせていただき、関係大臣、関係省庁にも御協力を要請したところでございます。  これからも政策化をしていく上で、どうしてもということがあらば、先生のおっしゃっていることも拳々服膺しながら参考にさせていただきたいと思います。
  254. 大木正吾

    ○大木委員 大臣の努力をぜひお願いをいたしておきます。大変緊急な問題、国際競争もございますから、余り国内がばたばたやっている余裕ないと思うんですよね。そういった面では、やはりもうちょっと今、各省庁調整が必要である、こう考えていますから。  その次の問題で、規制緩和。簡単に伺いますが、これはこの答申の中にも出ていますが、料金認可、七十ページですか、これは。「不要とする範囲の拡大等、適時適切」云々ということでありまして、この言葉の持っている意味がどういうことかということがございますけれども、特に閣議の決定がございました平成六年の三月二十九日、ここでもってやはり同じようなことが、日米包括交渉を前にいたしましてあれが出ています、やはり情報通信の規制緩和が出ていますね。  最近経団連も大分強いことを言ってきていらっしゃるようでございますから、こういった問題について料金の凍結問題等もございますので、大変難しい問題ですが、要するに、規制緩和に絡んで料金関係についてどういう展望をお持ちかどうか、これを聞かしてください。
  255. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 基本的に答申で扱いました、あるいは将来的な展望という意味で申し上げますと、いわゆる通信放送が融合化してくる段階、そういった段階で料金をどう考えていくか、こういうことに相なってまいります。  そういったときに、まず出てまいりますのは、基本的に映像に対する料金であるというような側面が大いに出てまいります。そういった意味で、現在のところは電話、音声を中心としてでき上がっている料金でありますので、こういったことについては、現実のサービスが出てくるのとあわせましてこれは考えていかなければならない方向。  それからもう一つは、料金の体系的なものを見てまいりますと、基本的には時間と距離ということで、時間が長くなる、時間が多くなる、距離が長くなれば高くなる。そういう意味では、言ってみますと、一定のピークを抑制するような格好で現在の料金はでき上がっていると言っても過言ではないのではないかというふうに思います。そういった意味からは、これからは大容量化してくるというようなことを考えますと、これもふんだんに使っていく、そういう料金体系ということを考えなければならないのではないか。さらにまたどんどんネットワークは高度化しできます。そういう意味では、今のような距離という関係がどう考えられるかということもございます。  そういった意味では、いわゆる通信放送融合の時代マルチメディア時代の料金体系に向かっては、そういう大きな幾つかの観点から抜本的な検討を要する問題というふうに考えております。
  256. 大木正吾

    ○大木委員 おっしゃることはわかるんですけれども、問題はそういったような、いえば中期的なといいますか、三、四年を展望した上での全く新しい体系といいますか、今のコストとかそういったことと関係なく、とにかく大変な時代になりますから、新しい制度が必要であることはわかるんです。  これは三月二十九日の閣議の決定がここにあるのですよ。お手元にないかもしれませんけれども、この中の十三ページ、「情報通信関係」について、こういう項目がありまして、「新規事業の創出の観点からこということから始まりまして、新しい「規制緩和措置を踏まえつつ、サービス・料金の認可対象、公事その他の接続制限の見直し、電波利用」云々、こういったことが閣議の決定ありまして、これを受けて、今度は包括協議の問題との関係が出てくるはずなんですね。  ですから、要するにあなたのおっしゃっていることは、いえば、この新しい答申が実行される段階でのことをおっしゃっているんですけれども、その中間において一体何も要らないかどうかという問題ですね。
  257. 松野春樹

    ○松野政府委員 この対外経済改革要綱の関係でありますが、サービス・料金の認可対象問題、規制緩和として、私ども十分問題意識を持っております。  最近の状況でありますけれども、例えば先般、携帯電話の売り切りが四月一日から始まりました。従来はワンパターンの料金でありましたが、二部選択料金制というふうに多様化してまいりました。大変結構なことだと思います。それから、昨年の秋でしたか、試験サービスということで、事業者が新しいニュービジネスをやる場合、私どもには一切認可的な手続をとらないで、まずマーケティングリサーチを試みてみるという段階をどうぞ、その後本格実施の場合にしかるべき手続でということで、ニュービジネスに入りやすいようなことも緩和してまいりました。  なお、これから私どもが抱える問題というのは、先ほど個々の、マルチメディア時代のことをちょっとおっしゃいましたけれども、使い勝手のいい料金が、仮に、マルチメディア時代の新しい料金体系ができる前の段階でありまして、どんなものがあるか今一生懸命勉強しているところであります。その中で、例えばのことで恐縮ですが、専用線の料金が今どうであろうかというふうな問題も含めて、幅広に検討しているところでございます。
  258. 大木正吾

    ○大木委員 ちょっと一つ具体的なことを申し上げますが、ファクシミリ、一種、二種、これは違いますね。一種の場合には許認可が必要でして、二種は全く届け出だけでしょう。そういったことの手直しはしないですか。
  259. 松野春樹

    ○松野政府委員 今のお示しのファクシミリのケースの場合、今の制度は、私ども、一種事業と二種事業という分け方を回線設備で分けているものですから、アメリカの方の場合のように行動サービスと基本サービスの分け方じゃありませんものですから、一種事業は認可対象一二種事業は届け出ということになります。  ただ、事業のあり方としまして、二種事業者の場合は一種事業者から専用線を借りて、これを運用してサービスをやるという点が異なっております。それから、私どもの実際上の現在の分析によりますと、一種事業者はほとんど全国的にサービスをやっていますが、二種事業者はやはり事業所等を中心に比較的小規模であるからという、相違はやはり一種事業と二種事業の間でファクシミリサービスの場合にもあるようであります。  NTT等の場合でも、その上でもなおかつ、先ほど申し上げましたように、料金の多様化、サービスの多様化ということは大変歓迎することでありまして、交換器がディジタル化等もどんどん進んでまいっておりますので、今後私どもは、この料金問題と同時に、サービスの多様化にふさわしい料金体系のバラエティーといいますか、こういったものにつきましては弾力的に今後考えていきたいというふうに思っています。  一種、二種の違い点があるということはひとつぜひ御理解をお願いをしたいと思います。
  260. 大木正吾

    ○大木委員 お客さんから見ますれば、そうおっしゃられても、やはりおかしいじゃないか、こうなります。同じですから、やはり安い方をつけますし、簡単ですからということになりますから。そういったことがサービスにも影響するので、ぜひ、時間がありませんから余り詳しくは申し上げませんけれども、またいずれ部屋ででも、お邪魔さしていただきまして、それちょっと聞かしていただきます。  終わります。ありがとうございました。
  261. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、矢島恒夫君。
  262. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私に与えられました時間は二十分間ですので、大臣の地元紙への広告問題、これに絞って質問をしたいと思います。  大臣は、五月二十四日の予算委員会答弁、それから先日当委員会理事会で、誤解を招いたことを反省する、あるいは「いささかでも疑念を呈したことにつきましては、心から自戒自重いたしましてここういうことを言われております。この言葉を信じたいわけですけれども、どうもあなたの説明については納得できない点が少なくありません。  そこで、まず第一に、あなたのあいさつ文ですけれども、山陽新聞だけではなくて、あなたの出身地である津山市で発行されている津山朝日新聞にも掲載されていた、日付は同じ五月十八日だ、このことはお認めになりますか。
  263. 日笠勝之

    日笠国務大臣 後から聞いて知っております。
  264. 矢島恒夫

    ○矢島委員 あのときの理事会で、二十七日だったと思いますけれども大臣は、地元の事務所と直接連絡をとって詳細に事情を聞いた結果として報告した。ところが、この津山朝日についてはあの理事会の説明のときは何もなかったわけですが、時間的な問題についてはどのようになっていますか。
  265. 日笠勝之

    日笠国務大臣 地元に問い合わせたのは二十七日の早朝ぐらいだったと思います。そのときの時点では、もちろん私が直接聞いたわけじゃございませんが、山陽新聞の広告の件ということであす理事会の方で説明と言われましたもので、そのとおり私、通告が、連絡がありましたので、伝えましたので、その報告しか出てこなかったということでございます。
  266. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今の答弁ですと、理事会へ出る前に地元に連絡はとったというふうに理解してよろしいんですか。早朝というか、二十七日の早朝に連絡すれば理事会までには、二十七日理事会ありましたけれども、返事や、そのほか津山朝日にもありましたという地元からの連絡がその時点ではあったんですか。
  267. 日笠勝之

    日笠国務大臣 ですから、私の方にはこういうのが出ているということは連絡なくて、二十六日の夜ぐらいでございましたでしょうか、あすの理事会へ出てきて山陽新聞の件で説明をと言われましたので、そっくり秘書の方に山陽新聞の件で調べてくれと言った。その報告が届いたのが、ちょうど理事会に間に合ったということでございます。
  268. 矢島恒夫

    ○矢島委員 実際に、津山朝日にも同じような、あいさつ文も含めて、広告が載っているのは、大臣もちろん御存じのとおりであります。これ以外には、特にございませんか。
  269. 日笠勝之

    日笠国務大臣 ないと思います。
  270. 矢島恒夫

    ○矢島委員 これは、五月二十一日、読売新聞です。それで、実はその「岡山読売」という地方版のページであります。写真もありますし、広告も載っております。これは御存じですか。
  271. 日笠勝之

    日笠国務大臣 申しわけございません。今初めて見ました。(矢島委員「この広告は」と呼ぶ)はい、そうです。まことに初めてです。
  272. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大臣答弁いろいろ、この問題についてはまたお聞きいたしますけれども、まあ調べなければわからないと思いますから。ぜひこの問題についてもきちんと調べていただきたい、御報告いただきたいと思います。  さて、あいさつ文の問題でお聞きしたいのです。  先日の逓信委員会理事会で、これは理事会でございますから議事録がないので、私、そのときにメモいたしました、それを確認したいのです。  山陽新聞の広告部副部長から、地元事務所に電話で、郵政行政についての、メモ書きでもいいから欲しいと申し出があった。地元では、政策のことはわからないので、議員会館の事務所に電話してほしいとした。議員会館の事務所に山陽新聞から電話があり、秘書が対応した。こういう説明があったと思うのです。そこで、私がこの件について、理事会ですから時間の物すごく短い中で、一、二問という委員長指摘もありましたので、メモ書きというのは会館の事務所で秘書が書いたのかということをただしました。そうだ、テレトピアなど三点にわたって書いて、その山陽新聞の広告部の方に渡したようだ、このように説明されたと思うのですが、これでよろしいですか。
  273. 日笠勝之

    日笠国務大臣 そのように思っております。
  274. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そこで、実は先ほど私が、どうも自重自戒していらっしゃるというけれども一つは読売のが出てきた。  それからもう一つは、そのときの大臣説明で、予算委員会の方で説明をされたときにはこうおっしゃいましたね。これは速記録で、「御指摘のあいさつ文も山陽新聞の方がファクスで事務所へ送ってこられたそうでございまして、政策を中心に述べておるということで、この程度ならいいんだろうということで地元で判断をして、了承して掲載となったようでございます。」これは速記録ですから、確認しなくてもいいと思います。  つまり、変わっているのですね、大臣答弁は。予算委員会では、地元の事務所でやったと。ところが、逓信委員会理事会では、国会の方の、議員会館の方の事務所が対応した。いずれにいたしましても、大臣御自身は全くタッチしてなかった、こういう御説明と理解したわけです。  このあいさつ文ですけれども、大体三点にわたっておると思いますが、秘書に指示して書かせたということはないのですか。
  275. 日笠勝之

    日笠国務大臣 そういうことは全くありません。
  276. 矢島恒夫

    ○矢島委員 あなたは、二十八日に岡山の県庁記者クラブで、この件について記者会見をやっていると思うのです。そしてそのときに、事務所から聞いたが、郵政行政について何点か列記してほしいということで、二、三項目出した、あの文章は地元紙の広告でつくったものと聞いているというコメントと同時に、こういうことをおっしゃいましたね。広告のあいさつ文とは知らずに、よくある地元新聞への寄稿文のようなものという認識で三点にわたって秘書に指示した回これはいかがですか。
  277. 日笠勝之

    日笠国務大臣 それはごちゃまぜになった報道じゃないかと思うのです。というのは、これはもちろん、私、聞いての話でございますから、私が直接タッチしでないことは大前提でお聞きいただきたいと思います。  山陽新聞の方は、郵政行政などの重点課題について、三点か何点かちょっと忘れましたけれども、教えてもらえないかということが来たことは事実です。それと津山朝日の件とごちゃまぜでございます。ちょっときょう持ってまいりませんが、津山朝日というのは、毎年正月には郷土への年賀状ということで無料で抱負、決意をずっと出してくれておるわけなのです。津山朝日の方は、こういうふうないわゆる郷土へのあいさつというか、就任のことで出してくれるのだろうということで出したということで、ちょっと二つの新聞のことがごちゃまぜになったような書き方ではないかと思いますが、私はそのように説明したと思いますが、二十八日には。
  278. 矢島恒夫

    ○矢島委員 津山朝日については、そういうことでごっちゃになっている部分がある。山陽新聞の方については、この政策についてはどういう処置なのですか、どういう形でこの政策がここに載ったか。つまり、大臣は全然タッチしてない、指示もしてない。津山の方は、ぼっとするとこれは、聞きたいのだ、これに載るかどうかわからないけれどもという意味ですか、今の答弁は。
  279. 日笠勝之

    日笠国務大臣 一つ一つ申し上げますが、津山の方は、いわゆる広告、後で聞いた話ですよ、広告全体の、こういうものだという話はなかったそうです。ただ、あいさつというか、郷土の皆さんへの抱負を下さいという意味のことがあったということで、お正月と同じようなこういうものを出してくれるのだろうということで、東京の秘書がさあっと書いて送ったということでございます。  それから、山陽新聞の方は、理事会でも申し上げました、山陽新聞の広告部の方から今後の郵政行政などのメモをいただきたいという申し出があって、地元では対応できないから東京に電話してもらいたい。東京の方では羽原という、今度は山陽新聞の広告部から電話があって、重点課題等を、郵政省絡みのをいただけばこちらで全部勝手に書きますから、こういうふうな岡山の新聞社と東京の私の事務所とのやりとりがあったということは、理事会で御報告したとおりでございます。
  280. 矢島恒夫

    ○矢島委員 このあいさつ文の問題で、「テレトピア構想の拡充など情報通信基盤整備を公共事業に格上げするなど、二十一世紀を見据えた施策に邁進したい」これが山陽新聞に載っている内容ですね。  今のお話だと、こういう郵政行政の非常に重大な政策について、大臣もあるいは郵政省も知らないうちに、事務所の処置によって掲載した。これは本当に重要な問題だと思うのですが、いかがですか。
  281. 日笠勝之

    日笠国務大臣 それは恐らく、地元紙のインタビューとかテレビとかいろいろたくさん受けています。そのことをしんしゃくして、同じようにやったのじゃないかと思います。それはまだ聞いておりませんが、後で、なんでしたら聞いてみたいと思います。
  282. 矢島恒夫

    ○矢島委員 確かに重要な政策、このことが、大臣も知らない、郵政省も知らない、そういううちに載ってしまったということは、これは非常に重視しなければならない問題、どういう事情でなったか、これは後ほどまたお聞かせいただきたいと思います。  その次に、この問題というのが公選法百五十二条の問題ということで出てまいりまして、いろいろとそれに対する違反かどうかが問われているという状況にあるわけです。この問題も、もちろん違反かどうかということも重要だと思うのですけれども、もっと広い意味で問題があるのではないかという点を私指摘しながら、大臣の考えをお聞きしたいのです。  もちろん、公選法百五十二条というのは有料による新聞広告は禁じている、これは御案内のとおりです。ところが、今度の二つの場合については、本人の名前も顔写真も、それからあいさつもある。ただし、広告料は本人が負担していない。名刺広告という形で各企業が肩がわりするという形態をとっている。このことが公選法違反でないということを予算委員会で自治大臣答弁しておりましたけれども、違反しないとなりますと、実は、大臣就任した場合のごあいさつでも、政務次官就任でも、常住委員長の就任でもあるいは地方議会の議長でも、みんなこういう形であるならば広告が出せるようになるということになるわけですよね。つまり、そうなれば公選法百五十二条というのはまるっきり骨抜きになってしまうのじゃないか。つまり、公選法百五十二条、これを骨抜きにした政治家は日笠大臣だったよというようなことになることは、決してあなたも望んでいないし、またそういう意図も持っていないと思うのです。つまり、望むと望まざるとにかかわらず、実態としてはまさにそういう危険があるというわけですが、これはおかわりいただけると思うのです。  ですから、百五十二条というのは、一九八九年、平成元年、御承知のように議員立法でつくられた、全会一致で採択されたものなのですね。これをこういう形で骨抜きにしていいとは思わないだろうと思うのですが、いかがですか。
  283. 日笠勝之

    日笠国務大臣 何回も申し上げますように、私どもが働きかけて、やってくれとかお金を出すとか、一切ないわけで、まあ端的な言葉で申し上げて恐縮でございますが、恒例で今まで出しておったような、恒例ですよというようなことで、いわゆる自主的にといいましょうか、向こうの判断でやられたというような認識でございます。ですから、地元新聞の方も大変御迷惑かけたといって恐縮しているとか、また、広告倫理規定に照らし合わせて掲載したのでよろしくお願いしたいとかいうコメントもいただいておるわけでございます。
  284. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ずばり私が言いたいのは、大臣がその経過は知らなかった、あるいはまた広告会社との関係については今までの関係もあった、しかし、そういうことにかかわらず、つまり、大臣が好むと好まざるとにかかわらず、望むと望まざるとにかかわらず、こういうことはできるのだよということになって、骨抜きになることは、あなたは望まないだろうということなのですが、その辺についてはどうですか。
  285. 日笠勝之

    日笠国務大臣 それは本意ではございません。
  286. 矢島恒夫

    ○矢島委員 それで、そういう意味から私は、大臣、この問題でどのようなけじめをつけるかということについては、つまり、政治家としてどういう行動をとるかということについては、あなた自身だとかあるいはあなた自身の事務所、こういうところが公選法の違反になるかどうか、こういう判断基準ではなくて、やはり公選法百五十二条を骨抜きにしたいとは思っていないとおっしゃられるわけですから、そこを一つの基準にして、どういう政治的な措置をとるのがいいだろうか、こうお考えになるべきだと思うのですが、いかがですか。
  287. 日笠勝之

    日笠国務大臣 何しろ四月二十八日以降、初めてのことで、もうてんてこ舞いで、これを私が関知していないし、聞いていないということで、事務所の人に、あなた方が勝手にやって、また向こうが勝手にやったことでこちらが迷惑を受けてこういうことになったから、何とか責任をとれとか、そういうことはちょっと人情に忍びないと私は思いますので、今後一つの他山の石としていただき、自重自戒を私自身もいたしますし、一同反省をしていこう、こういうことでお許しをいただければと思います。
  288. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間が来てしまいました。  津山朝日とのいきさつの問題、これは理事会としてはまだお話がなかったけれども、そのこと、それから読売新聞のこと、さらにその他、きょうの段階ではまだ十分に納得する御説明を承っておりません。引き続きこの問題については私ども大臣にお聞きしなければならないことが出てくると思いますが、それは次回の委員会等で考えていきたいと思います。終わります。
  289. 高橋一郎

    高橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十五分散会      ――――◇―――――