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1994-03-25 第129回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年三月二十五日(金曜日)     午前十一時開議 出席委員   委員長 高橋 一郎君    理事 佐田玄一郎君 理事 坂井 隆憲君    理事 自見庄三郎君 理事 白川 勝彦君    理事 田中 昭一君 理事 金子徳之介君    理事 河村たかし君 理事 石田 祝稔君       荒井 広幸君    川崎 二郎君       斉藤斗志二君    斎藤 文昭君      田野瀬良太郎君    虎島 和夫君       林  幹雄君    森  英介君       山下 徳夫君    米田 建三君       大木 正吾君    山崎  泉君       横光 克彦君    吉岡 賢治君       佐藤 守良君    田名部匡省君       小沢 鋭仁君    佐藤謙一郎君       高木 陽介君    森本 晃司君       神田  厚君    矢島 恒夫君 出席国務大臣        郵 政 大 臣  神崎 武法君 出席政府委員        郵政大臣官房長  木村  強君        郵政省放送行政        局長       江川 晃正委員外出席者        郵政大臣官房総        務審議官     谷  公士君        参  考  人        (日本放送協会        会長)      川口 幹夫君        参  考  人        (日本放送協会        専務理事・技師        長)       森川 脩一君        参  考  人        (日本放送協会        専務理事)    中村 和夫君        参  考  人        (日本放送協会        理事)      安藤 龍男君        参  考  人        (日本放送協会        理事)      齊藤  曉君        参  考  人        (日本放送協会        理事)      中井 盛久君        参  考  人        (日本放送協会        理事)      菅野 洋史君        参  考  人        (日本放送協会        会長室経営計        画〕局長)    慶田 敏紀君        参  考  人        (日本放送協会        財務企画局長)  千葉 厚三君        逓信委員会調査        室長       丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 三月二十五日  辞任       補欠選任   川崎 二郎君     斎藤 文昭君 同日  辞任       補欠選任   斎藤 文昭君     川崎 二郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 高橋一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米田建三君。
  3. 米田建三

    米田委員 おはようございます。自由民主党の米田でございます。NHKさんに関連していろんな角度からお尋ねをしてまいりたいと思っております。  今日のマスメディアの発達というものが公共の福祉に寄与したところは大変大であったと思っているわけでございますが、一方で、誤った報道や、あるいは偏った報道が行われれば、関係当事者被害というものはまことに甚大であるわけでございます。  例えば、私はテレビ等でいわゆる犯罪報道、ああいう報道を目の当たりにするたびに思うのは、もしこれは、その被疑者容疑者が後で無罪であったとわかった場合、一体だれがどういう責任をとるのだろうかといつも思うわけです。ありとあらゆることをほじくり返して、家族まで引っ張り出したり、本人のみならず家族関係者社会的生命までが抹殺されかねないような報道をしばしば目にするわけでございます。有罪裁判で確定しないならばこれはもう犯罪者にあらずという法治国家の当たり前の原則考えたときに、これらのセンセーショナルな報道のあり方について考えるべき点があるのではないかと思うわけでございます。まして裁判有罪が確定しても後で何十年後かに冤罪であったなんということもしばしばあるわけでございますから、特に公共放送であるNHKはセンセーショナリズムに堕してはならないわけでございまして、この点につき、まずNHKの基本的な見解を伺いたいと思います。
  4. 中村和夫

    中村参考人 NHKも御指摘の点は深く認識しておりまして、昭和五十九年に、犯罪に関連して逮捕されたり起訴された人たちに対する呼び捨てをやめまして、容疑者、被告という呼称をつけております。  価値観が多様化して人権意識が高まる中で、人権やプライバシーへの配慮というものが非常に必要な時代に入ってきておりまして、昨日申しました国内番組基準というものの中でも、放送表現という項目の中で、事件事故報道呼称人権、実名と匿名、肖像権、それから映像人権の問題、映像編集上の問題、そういうものも具体的な例として列記して、日ごろチェックするようにしております。
  5. 米田建三

    米田委員 容疑者という呼称をとることにしたとか、るるお話があったわけでございますが、私は、もっとこれは考えなきゃならぬだろうと思うのですね。  誤報偏向報道によって受けた損害と名誉の回復という観点なんですが、例えば放送であるならば、さんざんぶったたいたのと同じ時間を使ってでも名誉の回復報道をすべきだと当事者ならば当然そう思うだろうし、客観的に見てもそれは当然のことだと思うのですね。例えば、これは放送ではありませんが、新聞なんかは訂正、おわびの記事なんというのはほとんど数行だというふうにも言われておりますけれども、この放送というものの大変大きな影響力考えた場合に、事件報道の際に容疑者という呼称をつける云々というようなことだけでは済まない。この誤報誤報によって受けた損害や名誉の回復、こういう問題について、NHK規範内規はございますか。
  6. 中村和夫

    中村参考人 そういうことが判明した段階でその事実はニュースできちんと報道しております。
  7. 米田建三

    米田委員 別に規範としてあるいは内規として文書化されているとか、そういうことではないわけですね。今のお答えは、姿勢の問題ですか。
  8. 中村和夫

    中村参考人 ニュース報道を行う場合に、正しい事実を伝えなければならないというのは大原則でございますから、規約とかそういうものがなくても、ニュース取材原則としてそういうことは当然行うということでございます。
  9. 米田建三

    米田委員 別に文書化された規範内規があるわけではない、当然の原則として、姿勢であるということだというふうに今のお答えを理解いたしました。  被害者立場をおもんぱかるときに、私は、名誉の回復措置というものを報道機関義務づけてもしかるべきだと思うわけでございます。現行法上は、放送事業者に関して、放送法四条というのがあるわけでございます。「放送事業者真実でない事項放送をしたという理由によって、その放送により権利侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあった日から二週間以内に請求があったときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備同等放送設備により、相当方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。」こういうふうになっているわけでございますが、過去において、実際にこの放送法四条が適用され、そして被害者の名誉が回復された事例はございますか。
  10. 江川晃正

    江川政府委員 御質問NHK民放の両方にかかわると思いますので、私の方からお答えさせていただきたいと存じます。  先生命指摘なさいました四条につきましては、ちょっと解説させていただきますと、御案内のとおり二つ訂正放送があるわけでございます。一つは、真実でない事項放送により権利侵害を受けた者からの請求に基づき行う訂正放送、これは四条の一項に書いてございます。二項に、放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときに行う訂正放送、みずから発見した場合、この二項があるわけでございますが、法の仕組み上は、この一項の方の訂正は、放送事業者に対しまして郵政大臣求めに応じて報告をする義務を課しているところでございます。求めますと報告しなければいけないという形になっております。しかし二項の方は、必ずしもそうではございませんで、特段求めに応じて出さなければならないという義務つきの形にはなってございません。自発的にあるのはもちろん別ですし、当方から事があって求めて出してもらう、これはまた別でございますが、仕組み上ということであります。  そこで、第一項の方のことにつきましては、そういうことで、求め答えが返っできますから、その意味では一応把握していると申し上げてよろしいかと思います。  それで、その実例はどうなのかということでいきますと、NHKにも民放にもそれぞれ過去においてございました、そういう例は。NHKについてはとり方が、ちょっとほかの年次についてはどうかわかりませんが、大分古くなるのですが、昭和三十四年及び四十八年にそれぞれ一件ずつございました。あと民放におきましては昭和五十二年から現在までのところ二十数件、二十五とカウントしておりますが、ございました。  第二項の方につきましては、先ほど申しましたような形になっておりますので、実態については掌握して一おりません。    〔委員長退席金子(徳)委員長代理着席
  11. 米田建三

    米田委員 過去にNHK並びに民放に数件ずっあるというお答えでしたが、私は恐らく実際にはもう泣き寝入りしている方の例というのは大変多いのではないかと思うんですね。  そこで、この放送法四条の第一項でございますが、例えば刑事事件等の場合、十年、二十年たって無実であるとわかった、その判明した日から二日以内なんていってももう名誉の回復のしようがないわけですね、御本人関係者の。そういう問題。それからまた、「放送設備同等放送設備により、相当方法でことありますが、これがどうもあいまいではないかと思うのです。例えば具体的に申し上げますと、被害者立場からしたらさんざん非難を受けたのと同じくらいの時間、逆に名誉回復報道してもらいたいでしょうし、また放送の時間帯だって問題でしょう。そういう細かい規定というものがこの条文からは全くうかがえないんですが、放送法四条の第一項について今申し上げていますが、これはちょっとあいまいかつ不備ではありませんか。郵政大臣、どうお思いになります。
  12. 江川晃正

    江川政府委員 若干法律言葉解釈っぽくなりますので、ちょっと私の方から補足説明させていただきたいと存じます。  昨日、政治的公平とは何かということで紙に書いた政令、省令のようなものがあるかというお尋ねがございまして、そのときに、このような我々の解釈運用していますという御説明を申し上げました。本件もその意味では同じ構造でございまして、まさに先生おっしゃいましたように、「その放送をした放送設備同等放送設備」というのは何であるとか、「相当方法」とは何だとかということを我々としては一応一つ解釈を持ってやっているところでございます。例えば設備の方で申し上げますと、その放送をした放送設備そのものであることは必要ないけれども、空中線電力放送区域等は同程度でなければならない、平たく言ってしまいますと、似たような番組で似たようにやってくださいというふうに言ってもよいかと思いますが、それを少しかた苦しく書きますと空中線電力というような言葉になったりしているところでございます。というようなことで解釈をしてこの運用をしているところでございます。
  13. 米田建三

    米田委員 それでは、昨日もお話が出ていましたけれども、例の中国死刑囚の臓器の移植問題ですね。あれは訂正報道というのは、当初スクープだ、スクープだと言って大騒ぎして報道したのと同じ規模で行われましたか。
  14. 江川晃正

    江川政府委員 あのときの訂正放送は、ちょっと私、精密な資料、今持っていませんので、間違えましたら後で訂正させていただきますが、昨年ありましたのは、「ザ・スクープ」という番組で九月十一日にやりました。その同じ番組キャスター訂正の発言をしているところでございます。その意味では同等相当扱いをしたのではないかなと考えられます。それで、そのときの話をしたキャスター言葉もございますけれども、かなりの量の言葉を解説に使っていたなと承知しております。
  15. 米田建三

    米田委員 結局、これはなかなか特定しにくいんですね、こういう法律が一応条文としてあっても。それから、先ほども申し上げたとおり、判明した日から二日以内なんといったって、それは何年後の二日以内だという話にも場合によってはなるわけでございまして、私はこの名誉回復措置に関する法というものはやはりあいまいかつ不備であるという感を今の御答弁でも否めないわけでございます。  偏向報道あるいは誤報、こういった問題が事政治にかかわってまいりますと、これまた個人の被害者の場合とは別の意味被害は甚大であるわけでございます。おとしめられた特定政治勢力だけでなく、国民の有権者として適正な判断をする権利侵害が行われたというふうにも解釈できるわけでございまして、私はこれはもう言ってみれば国家社会全体に対する犯罪、挑戦であると言っても過言ではないと思うわけでございます。  そこで、ひとつ次の質問に移りますが、憲法において言論の自由というものが保障されているわけでありますが、この言論の自由というものは一体だれに対して保障されているのか、どうお考えか、郵政大臣お尋ねします。
  16. 神崎武法

    神崎国務大臣 憲法言論の自由、表現の自由、何人に対しても保障されているものだと思います。
  17. 米田建三

    米田委員 まさにお答えのとおりだと思います。何人に対しても保障されている、すなわちすべての国民に平等に保障されているわけでございます。一部マスメディアのみに与えられているわけではなく、いかなる職業の人にも、すべての国民に与えられている権利であるわけでございます。  ところが、実際にはどうでしょうか。この言論の自由の権利を行使する際において、その手段の保持や影響力の差というものは、これは当然ございますね。だから、言論の自由は掲げられているけれども、現実には自由の権利を行使するという観点から見ると不平等なんですよ。例えば放送局なり新聞社なり大きいところはもうちゃんとした資本があり、優秀なスタッフを大勢抱えて、なぜか地下鉄の出口は必ず社屋のわきについているし、一般の町の一市民とは特段の違いで、声の大きさ、これに格差がやはりあるわけですね。  こういうことを考えたときに、すべての国民に与えられている権利であるということを改めて認識しているときに、やはり報道機関の使命というものは国民の間に存在する多様な意見を可能な限り紹介することであって、たまさか報道機関に職を得たそのスタッフの皆さんの個人的なあるいは恣意的な見解を宣伝する場ではないということを私はしっかり関係者は認識しなければならないというふうに思うわけでございます。郵政大臣、どうでしょうか。
  18. 神崎武法

    神崎国務大臣 まことに御指摘のとおりだと思います。特に放送事業者、これは電波というものが有限希少、限られたものでございますし、直接家庭に中身が入ってきて、社会的な大変な大きな影響力というものを持っているわけでございますから、その報道内容等につきましては、みずからの自覚責任に基づいて適正な内容報道しなければならないと考えておりますし、社会的な責任放送番組編集の自由というものは、これは当然裏腹の関係にある、その点を放送事業者自覚をしなければならない、このように考えております。
  19. 米田建三

    米田委員 放送法の第三条の二、大変明確かつ厳しく放送事業者の倫理を規定しております。第一項ですが、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と、まことに明快に規定をしているわけでございます。  そこで、この第四番目ですが、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と、こうあるわけですが、これは単なる努力目標ではありませんよね。法律でございますから、これは当然義務規定ですね。大臣、どうですか。
  20. 神崎武法

    神崎国務大臣 御指摘のとおりです。
  21. 米田建三

    米田委員 当然義務規定である、こういうことであるならば、NHKお尋ねしますが、具体的にこの規定が遵守されるように、局内での番組制作等に当たりまして、そのシステムなりなんなりがどのようにこの法を遵守できるように担保されているのか、お尋ねをしたい。
  22. 中村和夫

    中村参考人 NHKの場合には、先ほども申しましたように、国内番組基準というものがございまして、その中での第五項に「報道番組」という規定がございます。ただいま御指摘あった部分を、日ごろ番組等で多角的に事実を集めるということは不断にやっておりますが、この「報道番組」という規定の中に、きのうも御指摘ございましたが、「ニュースは、事実を客観的に取り扱い、ゆがめたり、隠したり、また、せん動的な表現はしない。」「ニュースの中に特定意見をはさむときは、事実と意見とが明らかに区別されるように表現する。」という規定がございます。  それから、訂正について、先ほど私、内規はないというようなことを言いましたけれども、この国内番組基準の中の第一章の十三項に、放送が事実と相違していることがわかった時点では、速やかに取り消し、訂正をすべきだという取り決めがございます。
  23. 米田建三

    米田委員 先ほどの私の質問は、名誉回復が本当になされるかどうかという観点で伺ったわけでございまして、いろいろさらにお尋ねしたいのですが、次へ進ませていただきます。  昨日の論議の中でも明確な御答弁がございましたが、放送の不偏不党、公平さというものは、活字メディアとは違って、法によって明確に規定をされている。その趣旨が何によっているのかといえば、有限な、国民共有の財産である電波というものを、いわばお借りをして事業をしている、だれでも放送事業に参画できるわけではなく、免許制、こういうもとでの事業であるのだ、その辺が公正さを厳守しなければならないゆえんである、そういう御答弁だったと思いますが、大臣、これで間違いないですね。
  24. 神崎武法

    神崎国務大臣 今委員がおっしゃったとおりでございます。
  25. 米田建三

    米田委員 そこで、法律というものは、私は素人ですが、これは守らなければならないし、また、守ってもらうようにできていなければならないわけですね。  例のテレビ朝日の椿さんの問題で、きのうの質疑の中で、テレビ朝日部内調査委員会があって、その調査結果を待って検討判断をするという当局の御答弁がございました。これは、当局がみずから調査する権限というのはないのですか。
  26. 江川晃正

    江川政府委員 テレビ朝日問題、発言問題について、郵政省がそれを調べる権限があるかないかと言いましたらば、あると考えております。
  27. 米田建三

    米田委員 そうすると、自発的なその調査結果の報告を待って検討判断するというのは、どういうことですか。
  28. 江川晃正

    江川政府委員 放送法三条には編集の自由というのが書かれてございまして、もう一つ三条の二に今先生指摘の政治的公平のことが書かれているわけでございます。この二つ条文が対等の重さでございまして、どちらにもその法の精神が全うできるような対処をしようというのが郵政省スタンスでございます。  それで、編集の自由をできるだけ認めるということがやはり一つの法の精神でございますから、こういう非違疑いのある事実が起こったときに、それをまず三条編集の自由のスタンスに立って、その番組自身非違かどうかについての調査当該会社にまずやってもらいます。その手続が合理的であり、客観的であり、結論についても納得のいくものであるという判断の立つ方法答えを得られたならば、それをそのままいただこうではないかというふうに考えて、三条の二の違反であるかどうかの判断と、編集の自由という会社側の持つ、非常に放送者にとっての、事業者にとっての大変重要な問題と、それを両立させようという法の執行のやり方というのが今私たち、のとっているところでございます。  それは、だから、そこのところで非合理的な、手続においても不合理で、納得のできない、クリアでない、そういう手続でどんどん答えが出てきて、はい、これがその調査結果ですと言われても、それは郵政省としては納得できないということで、それはその際に自分で手続調査その他を改めてするということもできると考えております。
  29. 米田建三

    米田委員 調査できるというお答えでしたが、私は、これは伺っていますと、やはり編集の自由という概念の方をどちらかといえば優先をされておられるのだろうと思うのですね。まず、その御当人の、テレビ朝日さんの調査結果を待つ。    〔金子(徳)委員長代理退席委員長着席〕  普通どう考えても、法が厳然として存在をしている、しかも、なぜ放送事業に関しでそのような法があるのかということも、先ほど大臣から改めての御答弁もいただいたように、その基本理念、哲学というものも明快にある、これはだれしもが認めているところである。にもかかわらず、その法を破った疑いがあるのに、まず当人調査結果をじっと待っているなんということは、これはうろんな話ではないかと思うわけでございます。  やはり、まさに事実だとすれば、これは重大な違法行為でございますから、直ちに当局あるいはそれにかわる機関調査をするんだというふうな判断の方がごく真っ当ではないかと思うわけでございますが、いかがですか。
  30. 江川晃正

    江川政府委員 あるいは見解相違になるのかもしれないのですが、今先生違法行為というふうにおっしゃいましたが、我々はまだ現時点では違法行為疑いということでとらえておきたいと思いますが、その疑いのことがあるときに、何しろ対象はジャーナリズム、言論というか、報道というか、報道機関でございますから、それに対する扱いというのはやはり非常に慎重でなければならないという考えはあるわけです。そのスタンスは、まさに編集の自由を保障している三条だろうと思います。その三条と、三条の二の違反との、どう調和するかという問題のときに、今私郵政省として申しましたように、三条編集の自由の顔を立てながら三条の二の公平であるかどうかの調査を進めていく。その調査の進め方を——顔を立てるという言葉はちょっといい言葉ではありません、三条精神を生かしながら調査をするとすれば、まず第一次的に当該会社にそういう非違があったかなかったかについて調査をしてもらおう、その調査手法、結果その他が合理的でクリアなものであるならばそれをいただくという手法をとっているというのが、そこがある種の見解相違かもしれませんが、そういうような考え方に立って編集の自由というものをできるだけ多く認めていこうではないかと考えているところでございます。
  31. 米田建三

    米田委員 釈然といたしませんが、改めて機会があれば議論させていただくとして、次の質問に移ります。  放送法の第三条の二の第一項の三号に「報道は事実をまげないですること。」こういうふうに規定されているわけであります。一方、この放送法違反した場合、電波法の第七十六条というのがある。「郵政大臣は、免許人がこの法律放送法若しくはこれらの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて無線局運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」というふうにございます。  そこで、例の中国から抗議があった死刑囚の臓器売買報道でございますが、テレビ朝日側が非を認めたという、昨日当局の御答弁がありました。事実と異なる部分があったということを認めているわけでございます。そうしますと、これは放送法三条の二の第一項の三号違反に該当するのではありませんか。そして、該当するならば、この電波法第七十六条により、ここに規定されているごとく処置がなされても当然かと思いますが、いかがですか。
  32. 江川晃正

    江川政府委員 この臓器問題につきましては、今私たちの方で調査をしているところでございまして、断定的にお答えいたしかねるところでございます。  それで、先生ただいまおっしゃいました七十六条の問題などにつきましては、一般論として三条の二の違反になればそこに話が及んでいくという構造になっているということを申し上げましたが、それは法律の一般論でございます。本件について、それが直ちに適用されるかどうかについては、今ここでお答えいたしかねる、まだ調査しているところでございます。
  33. 米田建三

    米田委員 では、そのような法に反したという事実が確認されたら、処分は行いますね。
  34. 江川晃正

    江川政府委員 そこにつきましてまだ調査中でございますので、そういうことにつきましての御返答は差し控えさせていただきたいと存じます。
  35. 米田建三

    米田委員 ちょっとそこでお尋ねしたいのですが、事実を曲げないですることという、これは全部曲げないでということなのか、それとも半分ぐらいなのか、三分の一なのか、一個でも事実が曲がっていたらその番組はけしからぬということになるのか、その辺のガイドラインというのはあるのですか。
  36. 江川晃正

    江川政府委員 昨日の議論をちょっとおかりするわけではございませんが、まさにそのガイドラインというのが今ちょうど問われてきている。どこまでどういうことが間違っていたらばこれに当たるとか当たらないという物差しと申しましょうか、そこは問われているところでございますが、そういう意味でのガイドラインは私たちはまだ持ってございません。ただ、常識的には、ただありのままに事実が報道されるということが大事であって、重要な要素が違っていたりなんかしたらば、そこは問題になり得るのではないかというような考え方で行動しているところでございます。
  37. 米田建三

    米田委員 先ほどのこの名誉回復措置の問題もしかりでございますが、放送事業というものの性格からして、この厳然たる法の規定というものが存在をしておる。にもかかわらず、実際の運用ということになると極めてあいまいであるわけでございます。私は、やらせ番組誤報や、あるいは人の名誉を踏みつけてもほったらかしというふうなことが今後も続くことのないように、報道の自由という問題は当然ございますが、やはり一方で、電波というものの特性にかんがみたところの法の精神というものもこれはゆるがせにできないものがあるわけでございますから、もうちょっと突っ込んだ、すっきりとした考え方というものを整理をし、確立していってもよろしいのではないかなというふうに思います。これは意見として申し上げまして、次の質問に移らせてもらいます。  同じく、今の臓器売買にかかわるテレ朝の「スクープ」という番組に関してでございますが、これが外注で内容のチェックがなかったことが一つの原因でもあるとの答弁が昨日あったというふうに記憶をしております。放映の責任という意味で、外注がふえるということに関心を持たざるを得ないわけでございますが、民放番組について完全に自主制作している番組の割合がどのくらいなのか、あるいは共同制作も含めた外注の割合はどういう比率になっているのか、郵政省、データございますか。
  38. 江川晃正

    江川政府委員 前回、昨年の十一月一日に再免許を民放全局にいたしましたが、そのとき調査をいたしました。その結果、一応、ありますかという御質問に対しては、あります。中身もちょっと触れさせていただいてよろしゅうございますか。(米田委員「どうぞ、余り長くならないようにしてください、時間がないから」と呼ぶ)  御案内のように、テレビ会社というのはキー局、東京のキー局、それから準キー局、ローカル局、地方の局、こう三つに分けられます。東京のキー局は地方の放送を流しますから当然に数字が高くなり、ローカル局は低くなる、そういう構図になるということは御案内のとおりでございます。  それからもう一つ、約束事でございますが、自主制作というのを、その会社がかかわって多少外部との協力をやりながらつくるというものも自主制作に含めるということと、完全に頭からしっぽまで全部自分だけでつくる、こういうふうに分けますと、最後に言った頭からしっぽまでというのを完全自主制作というふうに呼んだといたしますと、こういう結果が出ております。キー局、在京五局、東京の五局でございますが、四一%ございます。完全自主です。それから、準キー局といいますと大阪の五局でございますが、二一%、それからローカルにいきますと一〇%、全部平均して数で割りますと一一%になります。  もう少し広げて、完全ではなくて、自分が半分でも何でもかかわってつくる、映画を買ったのではない、そういうつくり方でいきますと、東京の在局五局では七三%になります。それから大阪では二九%になります。ローカルでは二二%、平均すると一七%という形でございます。
  39. 米田建三

    米田委員 私がちょっとある筋から聞いた数字と大分違うのでびっくりしているんですが、完全外注と、そしてたった一人ぐらいプロデューサーか何かをちょっと形だけつけて、実質的にはもうほとんど外注である、こういうのを合わせると、実際には七割から八割近い外注という実態があるんじゃないかというふうに私は聞いているんですよ。データのとり方、出どころを議論してもこれはしょうがないのでやめますが、完全自主制作は、平均して、やはり民放各局、キー局二割から三割程度だというふうにも聞いているわけでございますが、そこで、いずれにしましても、先ほど局長の御答弁でも四一%というふうな数字でございました。五割以下ですね。  本来、報道機関というものはソフトとハードが一体になってこそその役割を果たせるものであるわけでございますので、このように外注が多いということは、やはり報道機関の真の姿から乖離をし、問題が多いと言わざるを得ないと思います。  そこで、公共放送であるNHKについてはそのあたりの自覚と御配慮が当然あろうかと思います。民放より当然自主制作番組の割合が高いというふうに期待をしておるところでございますが、NHKのその辺の実態、どのようになっているのか、御答弁願いたいと思います。
  40. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  地上四波で今年度は七四・二%が自主制作、見込みの率でございます。来年度は七三%を見込んでおります。(「地上二波」と呼ぶ者あり)地上二波です、地上二波でございます。
  41. 米田建三

    米田委員 さすがに御立派な数字でございまして、結構なことだと思います。  もう時間がございませんのでこれで質問を終えますが、NHKは、今放送の世界においていろいろな問題が提起されているこの時代であればこそ、公共放送の責務というものをやはりしっかりと自覚をしていただいて、放送のあるべき姿をこれからも具体的な形をもってお示しをいただきたい、そういうふうに思います。  質問を終わります。
  42. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、荒井広幸君。
  43. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 自由民主党の荒井広幸でございます。  川口会長さんには二日間本当にありがとうございます。早速大臣に御質問をさせていただきながら、NHKの予算等々に関しまして御意見を賜り、また私も所感を述べさせていただきたいと考えております。  我が党の諸先輩方から質問がございましたが、また今回の、きのう、きょうと質問を通じまして、もし一言で見出しになるよう宣言葉を出せといいましたら、私は、いわゆる自覚あるいはセルフコントロールあるいは自浄作用、こういうことがずっと論議に上っているのではないかと考えている次第です。  まず、政治家の自浄作用が問われました。残念ながら、我が党を初めとして大変な不祥事件が起きてまいりました。自由民主党もその点を深く反省をし、今政治改革の中で体半分あかを落とし、もう残す半分されいにしようということで、国民の皆様方の政党として今大きく変わる、その途中にあるわけでございます。しかし、いろいろと我が党初め不祥事件が相次いでおるということも、これもまた事実でございます。自覚あるいは自浄作用、これが問われておる。  そしてもう一つ、同じように建設団体が、このような状況に自浄作用というものを、あるいは自覚というものを求められておったのにもかかわらず、このような経過を踏んで、また大変な国民の皆様方の迷惑と不信を買っている、こういう状況でございます。  私は、次はマスコミだろうと思うんです。あるいは、次はというのは何かがあるという意味ではございません。次というよりも、並行して流れてきた問題に、自浄作用を常に問いながら自覚されてきたかという問題が実は非常に今、現代の病理的現象として、無意識のうちにもそういう気持ちがあったかということを感じておる次第でございます。それは、私自身政治家として本当に、諸先輩方いらっしゃいますが、ちっぼけなものではありますが、そういう問い続けというものは必要だろうと思います。  そういう中にあって、私は、国民意見を代表する国会、そして国民の民意を集約するための国会の機能、そして直接投票で選ばれます、間接民主主義としての我々の国会議員としての立場、こういうことを考えてまいりますと、国権の最高機関ということは言うまでもありません。  ところが、マスコミ関係皆様方の、いわゆる権力の番犬という立場でのいろいろなチェック機能というものももちろんあるわけでございますけれども、私後で問題にさしていただきますが、世論調査というものを一つの盾にとりながら、国権とその意思の決定、その過程、結果、これに両極するような、いわゆる国民意思の合意形成あるいは、結果である、国民の総意であるというようなことを持ち出すという傾向が非常に今あるわけですね、マスコミの。無意識かもしれません。  そして、聞く例あるいは国民の側としても、それを非常に信用していますから、マスコミが言うことだから間違いないだろう、こういうふうに考えますので、場合によっては、高度情報化の中において、国会の意思決定と、世論調査というものを土台にしたいわゆるマスコミ側で結論を出してくる結果というもの、この二極構造、こういう今状況にあって、非常に情報化時代の中の民主主義のあり方として私は大変色惧をしておる次第でございます。  ここに我々が自浄作用と自戒とそしてセルフコントロールというものをここで見出さなければ、郵政省を初め通産省、マルチメディア元年ということで言っておられますが、非常に、これからの高度通信情報の中にあってはこれがますます私は激しくなってくるであろう、このように考えておりますので、この国会の意思決定というもの、そして世論調査をもってして、あるいはそれぞれの記者の方々が取材をする、それを通じて報道をする、それによる意思を形成していくという力、こういう二つの権力の存在を私はどうしても考えざるを得ないのですが、大臣としてはその点についてどういう御見解をお持ちでしょうか。
  44. 神崎武法

    神崎国務大臣 ただいま委員指摘のとおり、世論というものの重さというものが大変今大きくなってきているというふうに考えております。  その意味では、私ども政治家としても、また行政に携わる者としても、世論がどう考えているか、どう動いているのか、これを十分注視しながら対処しているわけでございまして、そういう意味におきましても世論調査の重要性、正確性というのですか、それが特に求められている、このように思います。
  45. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 私は数回に分けて、この問題意識からずっと本委員会でいろいろと皆様方と議論を深めてまいりたいと思っております。というのは、きのう来から話がありますが、憲法の第十二条、二十一条あるいは放送法を含めて、プライバシーの保護であるとかあるいは知る権利であるとか、そういうさまざまなものがこの時代の流れの中でまだ確立していない、成長していくといいますか、その途中にあると私は思うのです。そういう問題意識を持ちながら、マスコミの皆様方とのかかわり合い、そして本題であるNHKの皆様方とのかかわり合いというものも国会が考えていきませんと、私はこの議会制民主主義というものが大変な危機に陥るということを感じているわけです。それは結果的に国民の福利厚生にならない、こういうことでございます。  大臣のおっしゃった指摘の中でもう一点重要なのは、世論が世論としてあっても、我々はそれに迎合するのか、違うからこういうふうにするのかというのが国家意思の決定のいわゆるこの国会の職務でありまして、そういう意味で、特に情報というもので世論が動いていくあるいはつくられる、それがまた国会に作用してくる、そして我々も選挙が怖いですから、そういうもので世論がそうならばなんという及び腰にもなる、こういうところを十分に私自身考えて反省をしていかなければならないとも考えている次第でございます。  そういうことから論を起こさせていただきますと、まず、NHKでは世論調査をすること、これが放送法の中に入っておりますが、なぜ世論調査をされるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  46. 中村和夫

    中村参考人 御指摘ございましたように、NHKの場合は放送法第四十四条第二項に、放送の改善に役立てるという意味で、「協会は、公衆の要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行い、且つ、その結果を公表しなければならない。」という規定がございますが、放送の改善に役立てる、いい放送をするという意味では、政治的、経済的、社会的、文化的、国民全体の多様な意見をどう吸い上げるかというようなことも大事な我々の仕事でございまして、そういう意見をいろいろな番組ニュースで取り上げる、国民の方々が今どういう多様な意見をお持ちなのか、生活の実態はどうなっているのかということを科学的な手法でお伝えするということも我々の大事な責務だということで世論調査を行っているわけでございます。
  47. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 問題はまずこのところをどう理解していくかということが実は突端にならなければならない、このように思います。これもまた時代の要請あるいは議会制民主主義とか自由と民主の問題とかというものと同時に、これがアウフヘーベンと言うと生意気になりますが、お互いに発展していく位置づけというもので、実はそういう放送法の中で、あるいは皆さんの報道の役割ということで位置づけられるものをもっとしっかり、これはNHKのみならず、民放、マスコミ界全体についてですが、その点をまず掘り下げる必要があると私は思っております。  数回にわたってやらせていただきたいと思いますので、きょうはそのところにさせていただきたいと思いますが、そうなりますとこの予算書、私も拝見をさせていただきました。世論調査についてはどこの部分に該当いたすのでしょうか。この「広報」関係それから「調査研究」、同じように世論調査というような名前が出ておりますが、どちらでその調査をされる予算を組んでおられるのか、あるいは分けてどういうふうに使っておられるのか、その点をお願いいたします。
  48. 齊藤曉

    ○齋藤参考人 「調査研究」の中で予算化しております。
  49. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 ここに項目の中に入っておりますが、それの予算がどうかということは、もう間違いなくやっておられるわけでしょうから外させていただきますけれども、その世論調査というものの結果で、特に日本人という表現が当たりますかどうか、自分が知らないと不安だという気持ちが私たち非常に強いわけです。ですから、人が知っていることを知らないと困るから、それが正しかろうと正しくなかろうと知った情報をうのみにするといいますか、特に世論調査といいますと科学的というものが常につきまといます。だから身近なところで、例えば選挙は万人が投票します、投票率は低いですが。そうすると、だれが当選したかしないかなどというような調査があるわけです。なるほど結果的には結構当たったなというようなところで、もしかしたら一番身近なところで世論調査のいわゆる科学性の結果としての信憑性を信じているのかもしれません。  そういうことになってきますと、どのような形でこの世論調査をしておられるのかというのが問題だと思うのです。といいますのは、これは大臣にちょっと苦情を申し上げたいわけでございますが、例えば郵便料金、私はやむを得ない措置だと思っております。しかし、手続で認められているからといって、やはり白川理事お話にもあったように、少なくとも委員会でオープンにしていく必要があると私は思うのです。そこに議論の入る余地を残す。確かにそういう手続をしておられましたから、私はそれについて言うものではなくて、やはりこの委員会というものをどういうふうに経ていくか。ですから、この世論調査をどのようにオープンにしていくか。どこに問題の所在があり、それにのっとって、じゃどのようなことを聞きたいんだ、じゃそれに充てる調査員はどうするんだ、設問の順番はどうするんだ、時期的なものはどうするんだ、それを何に使うんだ、さまざまなものを少なくともオープンにする必要があるということだと思うのです。監視できる状況にするということだと思います。  そういう意味で、NHKの世論調査について、どのような問題意識をお持ちになりながらするか、何か事例があれば事例でも結構です、漠然とでも結構です、さわりだけでも結構ですから、そのプロセスといいますか、どうしてこの世論調査をしていく、その始まりから終わりまでちょっと御説明いただければ幸いでございます。
  50. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  御質問にぴったり合うかどうかわかりませんが、この世論調査には、先ほど予算の御質問がございましたけれども、例えば千八百人の全国調査をするということになると九百万円ぐらいの経費がかかります。通常サンプリングが大体千八百人の調査でやる機会が多いのですが、一回で大体九百万円ぐらい、ほとんど人件費でございます。  それから、先ほどお触れになりましたけれども、世論調査の科学性につきましては、私も素人なのでよく聞くのですが、例えばお汁粉の味を一さじすくって味見をするときに、よくかきまぜて一さじすくえばその味がわかるという例をよく言われるのですが、要するにかきまぜるというサンプリングのとり方が世論調査の正確さを決める決め手というふうに言われております。世論調査は大体五十年ぐらいの歴史がございまして、いろいろな形でそういう検証をやっておりますし、一つの世論調査をやって、その結果がまたいろいろなところでやった世論調査と結果的にどのくらいずれているのか、合っているのか、国勢調査とか選挙の結果とか、そういう結果で相当検証されるという過程を経てきておりますので、五十年の歴史でそのサンプリングの一つの科学性というのが確立してきている、それにのっとってやっているということでございます。ただ、先ほど指摘ありましたけれども、その調査員の問題と設問の問題、そういうところも相当きちっとやらないと、正確さが鈍くなってくるといいますか、正確さに問題が出てくるという部分はあると思います。
  51. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 世論調査の科学性ということは、これは学界でも認めておられるところだと思います。私が申し上げるのは、いわゆるNHKを含めてマスコミという方々が世論調査をするというところに我々は一つ着眼をしなくてはいけないと思うのです。  大変恐縮な質問でございますけれども、大臣にお伺いしたいのですが、きょう、金泳三大統領が議会演説をされました。これはNHKで三波使って放送されておられます。一言で言いまして、大臣お忙しかったら御欠席かもしれませんが、もしお読みになったりお聞きになっていれば、その中身について一言どんな御感想がお聞かせいただきたいのです。
  52. 神崎武法

    神崎国務大臣 私も本会議場で金泳三大統領の演説を伺いました。大変感銘の深い演説であったというふうに思いますけれども、未来に向かってともに夢を持ちながら共同で太平洋の時代、アジアの時代をつくろうという前向きの建設的なすばらしい御提言であった、私どもも大統領と同じ考えに立って、日韓両国が共同してアジアの時代、太平洋の時代をつくっていかなければいけない、このように感銘を深く受けとめた次第でございます。
  53. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 どうもありがとうございました、突然失礼な質問で。私も感銘を深くして、そして前向きな話だな、中身はにこやかでしたが、過去については非常に厳しい御指摘もありました。それをNHK放送されています。私は、そのNHK番組を拝見していません。本当は、してから話をするのが委員会に対する、この権威に対する態度であると思いますが、お許しをいただきます。  そのとき、例えばどこの部分の話が琴線に触れたか、感動したか。そのときチャンネル、何というのですか、カメラアングルというのでしょうか、何台がで撮っていますから、例えば話をしたシーンで細川総理にカメラを、スポットを当てる、あるいは与野党の政治家の御関係が深いと思われる方を、これも選定してその方をスポットを当てて、大統領の話は音声だけで聞く、こういうシーンが多分あったんじゃないかなと思うのです。  ということは、その世論調査も含めまして、かなりの部分ですが、大臣と私は同じ意見を持ちましたが、その意見を持つという前提に、あ、あのときあの人はこんな反応したわい、あの人は寝ていたわいと、まあ、寝ている人はおりませんけれども、そういうことによって、結果、画像はうそではありませんが、印象としてその自分の意見を形成するまでに印象が深くなってしまうということだと思うのです。そうすると、世論調査というのは、先ほど御説明にありましたけれども、実はそういうところが非常に使い方自体も難しくなってくる、この判断NHKの皆様方にあるわけでございます。  そして、ここでもう一度お尋ねしたいのですが、専門の調査員、調査員にという表現でございましたけれども、委託されている場合もございましょうか。委託される場合にはどういうところに委託をされるんでしょうか。我々は、NHK調査していると普通の人は思っているんじゃないでしょうか。委託する場合には、もしそういう事例があればどうされるのか。それから、これは江川局長さんの方でおわかりになれば、民間の場合はさてどうなのか。そういうことを、あれでしたらまた次の機会にお願いしたいと思いますが、そういうことがもう一つ重要かなと思うのです。  そのときでカメラの角度、アングルを変えると同じような意味で言ったら、趣旨を体しても、調査員が、例えば電話でも面接法でもいいですが、どのような接し方をするかということで、これは、世論調査の科学性ではある程度その誤差値は含まれておりますが、私が問題とするのは、公正公平な報道をされる立場の皆さんがその調査をされるという点で質問させていただいておりますので、委託される場合があるのか、そして委託されない場合でもどういう教育、教育というとおかしいですが、訓練なりその趣旨徹底、面接の仕方というものをされておられるのでしょうか、お伺いいたします。
  54. 中村和夫

    中村参考人 NHKの場合は世論調査というのを、NHK放送文化研究所の世論調査部と全国にある五十三の放送局と連携してやっております。今御指摘ございましたように、精度の高い調査結果を求めるためには調査員が大事であるということで、五十三局のスタッフがこの委託調査員の教育に当たっております。  NHKの場合には、この調査員一人が二、三日の間に調査する場合には十二人の面接をするというようなことになっておりまして、例えば三千六百人規模の調査を行いますと調査員は三百人必要になります。いろいろなサンプリングをあらかじめ用意していろいろな調査をしたいときに、機動的に調査をしたいということがございますので、常時全国で大体千人以上の調査員を確保しているというのが現実です。  それで、この方々には統一的に定めた教科書を用いて教育訓練を行っております。例えば調査票に記載された質問文以外の発言を禁じるとか、それから調査についても、調査が終わった後そのマニュアルどおりにきちんと調査が行われているかというフォローもあわせてやっているということでございます。
  55. 江川晃正

    江川政府委員 民間放送のサイドでございますが、民間放送局が各社それぞれ、経営戦略とか番組制作とか、そういったようなことに資する基礎的なデータとか、あるいは番組づくりのためのとか、そういったような調査をやっているということは私たち承知しておりますが、そのそれぞれについて、この調査の全貌、この調査の全貌というような形でデータベースをつくるような形で郵政省が把握しているかというと、そういう把握はいたしてございません。  それからもう一つ。その調査の仕方でございますが、仕方も、社がじかにやるのも委託してやるのもそれぞれあろうかと思いますが、それ自身もまた十分な把握はいたしてはおりません。
  56. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 時間の中で、ずっと概略だけでございますので、もう少し本当はお聞きしたい部分もあるのですけれども、委託をされる、そして専門調査員もいるということでございますけれども、研修ということを今お言葉、あるいは教育みたいなお話がありました、訓練といいますか。この言葉をちょっと拾わせていただきながら、世論調査にも関係しますので、次の質問に移らせていただきたいと思うのです。  川口会長お話の中で、ムスタン事件の後の、きのう川崎委員指摘をされましたけれども、大変我々にとっても感銘のある部分があったわけです。いわゆるきちんとした研修というものがなければならないんじゃないか、そして精神的な面も入れなければならないんじゃないかというようなことを二月二十二日、昨年おっしゃっておられます。それはきのう引用されましたので、時間の都合上割愛をさせていただきますけれども。  そうしますと、かなり世論調査の委託する方、あるいは調査を委託された方も含めて、この予算書を見ますとムスタン事件を含めまして重点事項の中には入ってないんです。まあ、事業計画の重点ということで入っていますが、しかし私は、もう少しこの表現のつくり方にしましても、そういう一連のものを含めてこのように書いておられるというものをもう少しアピールしたらよろしいんじゃないかな。質問の中ではハンドブックをおっくりになったとかいろいろな研修のことについても出ておりますけれども、その辺についてもう一度、恐縮でございますけれども、ムスタン事件を含め世論調査の本当に信憑性を、我々信頼感を持ってしまっているものですから、そういう方々、人が扱うという意味で、しかもマスコミの方が扱うという意味でどのようにお考えになっているか、もう一度お願いしたいと思います。
  57. 川口幹夫

    ○川口参考人 けさほどからの御討論の中で、私ずっと聞いておりましたけれども、放送機関というものが持つ使命の大きさ、あるいはそれの国民の皆さんに対する影響力の大きさということを痛感しております。  先ほど答弁の中で江川放送行政局長から、第三条放送の自由というふうなものをまず前提にして、例えばテレビ朝日事件などもまず放送機関調査を待ってそれから郵政省が動くというふうなことをおっしゃいました。そこまでつまり我々は放送の自由を認められているんだというようなことを非常にありがたく思うとともに、重要な、大変重要な問題だというふうに認識しています。したがって、そういう放送側としては常に自律がなければいけない、みずからを律するということ、そしてもし何か起こったら自浄作用を第一に考えなければいけないんだというようなことを痛感しております。  ただいまの御質問の世論調査についても、もしその世論調査が誤った世論誘導をするんだとかいうふうなことがありましたら、これはもう放送事業者、わけてもNHKがやる世論調査としての意味はほとんどなくなるというふうに思いまして、できるだけだれにも信頼される世論調査というものを目指してやってきたつもりでございます。  現在までのところでは、先ほど中村が申し上げましたように、五十年の世論調査の歴史がありまして、データ的にもそれから調査員の資質の問題についてもあるいは研修のあり方についても相当重要視をして慎重にやっておりますので、いわゆるおかしな方向に行くような調査は絶対にしないということをお約束できると思います。今後、しかし、先生指摘のように世論調査というものがいろいろな意味で及ぼす影響が大きゅうございますから、さらに精度を高めて、そしてしかも客観的なデータが出るように十分努力をしたいと思います。
  58. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 私は、報道あるいは表現の自由というものを守らなければならない立場ですので、公的な権力がどう介入するかという問題を探っているのではありません。社会的責務が重大であるという御認識のもとでどうマスコミあるいはNHKがあるべきかということが非常に本当に、もう会長のお言葉で尽くされているわけですけれども、では、なおそれにもかかわらず出てくるのか、NHKのみならず活字の方も含めまして。そういうことを我々は、何と言ったらいいのでしょうか、国会とどのような良好な関係を持ちながらそういうものを発展させていくかというか、防いでいくといいますか、そういう関係だと思うんです。  特に、会長お話で私は全く共鳴を覚えましたのは、このマルチメディア化あるいは多様化、高度情報化で、私ども超党派でWICという勉強会をやっておりまして、委員先生方にも入っていただいている先生が多数いらっしゃるわけですけれども、これからは一方で受け手が主役になると会長おっしゃったわけです。受け手が自分の欲しいものを欲しいように選べる時代になってきた。そして、もう一方では、だからこそ放送NHKの持つ、これは知っていただかなければいけない、あるいは判断していただくにいい材料を御提供するという使命が一つNHKの今後の存続、これに対して大変な意味があるということで、私は全くそのとおりだと考えているわけです。  そうなると、今度の通信情報の、いわゆるゴア構想に対応するような形で、技術論もありますが、光ファイバーが七割方有効な手段だとしても、そういうものをつくっていくことによって今度は商業主義というかニュービジネスが出てきます。こっちが欲しいものを向こうが出してくればそれで商売が成り立つということになります。私はそこに、きのうの御質問にもありましたが、いわゆる公正さを入れてもいい場合が出てくると思うんですね、そういうチャンネルによっては。  しかし、NHKはどうするんだ、こういうことになってきますと、私が考えておりましたのが、これがまだ温まっていないので委員会の権威を損なってはいけませんが、私の今の段階では国立世論研究所あるいは世論調査センターというようなものを持ちまして、そこに対する信頼というもので公にまつわる、もちろん総理府でもやっておりますが、これは非常に限られた幅でやっております。そういうもので信頼性を担保できる、間違いない、訓練や設問の仕方や誘導などもちろんないというようなことで重要な問題には世論調査をしていくという姿勢が、方向が私は一つどうなのかなと考えておるんです。ちょっとこれはまだ温まっていませんので、きょうは御答弁をいただきません。  それから、もう一つでございますが、会長のお言葉で尽きておるわけだろうと思います。もうそれ以上に議論は出ないわけです。しかし、それじゃ世界各国で、例えばスウェーデンの古い例ですがプレス・オンブズマンというものがあるわけですね。こういうものがあるし、また各国のテレビ局が、もちろん我が国でも放送法によっていろいろなチェックをするということがございますけれども、もう少しメディア・オンブズマン的なものを考えられないだろうか、こういうふうに私は考えておりますが、これは江川局長に、幅広い問題でございますので、その点どのようにお考えになりますか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  59. 江川晃正

    江川政府委員 大変高い立場からの御提言でございまして、私、オンブズマンの我が放送行政へのかかわり方についてはこれから勉強していかなければいけないと思いますので、勉強をお約束させていただきたいと思います。
  60. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 これはどうやらまだまだ成長段階のようでございます。ただ、郵政省さんを初めとして今その高度通信化を図っていけば、世界に先駆けてこういう問題もやはり先進的になりませんと、特にNHKの技術も含めて世界先進でございますので、それだけ新しい時代に対応したいわゆる言論の自由、そして知る権利あるいはプライバシーの保護を含めて、政治とのかかわり方というと露骨ですが、国会とのかかわり方、こういうものを私はもう本当に考えていかないと、規制緩和と一言で言いましても、じゃこれは仮に、きのうのお話もそうなんですが、新しい雇用が生まれるとか、このように新しい産業が創出するんだといっためでやるのであれば、私は高度情報化というのは要らないと思うのですね、そこに力点ばかりが行きますと。やはり、いかに我々の国民生活というものが守られていくか。いわゆる情報のはんらんの中で守られながら、お互いにそれを手段としながら、道具としながら、お互いの福利厚生、幸せ、こういうものに結びついていくかということが問われなければならないと思うのでございます。そういう意味でも、局長さんの御発言のように、ぜひともまたさらに私どもも勉強させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  結びの質問になろうかと思います。先ほどの研修ということで、NHKは数段に一生懸命やっておられるわけです。  そこで御質問ですが、入社試験というのでしょうか、試験がございますが、そのときに、ずっと論議になっているいわゆる放送法を含めて、憲法を含めて、そういうものを試験のときに何がぺーパーなり面接なりでお聞きするのでしょうか、放送人としてのあり方という意味で、いかがでございましょうか。
  61. 安藤龍男

    ○安藤参考人 人事担当の安藤でございます。お答えいたします。  採用試験に当たりまして、放送法上があるいは放送倫理の問題について直接問うか、こういう御質問でございますけれども、NHKの採用試験では、筆記試験と面接ということをやっておりますけれども、とりわけ面接を重視いたしまして、その面接の中で、ジャーナリストとしての適性とか意欲、それから殊に公共放送に携わる人間としての資質の把握に努めているということでございます。言葉として、放送法の問題について知っているか、知らないかということについて直接試験で問うということではございません。むしろ、採用した後、すぐ放送法の抜き刷りとか、協会の中の番組基準とかいったものを学生に送って、入社に当たっての心構えというものをつけてもらうように努めております。
  62. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 そういう点はもう少し、一般教養以前の問題として、放送人になろうとして試験を受けるのでしょうから、そういうところは少なくとも入る前に、試験の段階でしていただきたいものだなというふうに私は考えております。  また、民放についてはどうなのかもあわせて、また別の機会に御調査をいただければ幸いでございます。  こうして見てまいりますと、私自身考えてまいりますと、実はこれも質問したかったのでございますが、入社された方々は、それぞれ政策の御意見や政党の支持というものがあると思うのですが、時間がもうちょっとありますので、ちょっと質問させていただきます。  会長さん、いかがでございますか。一万三千人でございますか、それぞれ支持する、政治にかかわるかかわり方として強弱あると思いますが、政党支持というものをお持ちの方はかなりいらっしゃいますでしょうか。いかがでございましょうか。
  63. 川口幹夫

    ○川口参考人 もちろん、これは思想、信条の自由という憲法で守られている権利がありますので、このことについては、NHKが何かそれを制約するとか干渉するとかいうことはございません。したがって、例えば宗教を信じている人、あるいは、どこの政党を支持したかというようなことは、これは調査をいたしません。完全な思想、信条の自由というものを尊重した上で、ただし、NHKの人間としての処し方については、これまた別なことでございますので、きちんと教育をしております。
  64. 荒井広幸

    ○荒井(広)委員 NHKの皆さん、誇りを持ってやっておられますから、本当に公正な立場で対応されると思いますけれども、その点、ちょっと生意気でございましたが質問させていただいたのは、実は、放送法であれ憲法であれ、職責の重要さをどんな職業の方も感じながらも、やはり自分の御意見なり、あるいは政治に対しては政党の支援なり政策の意見というものを持っておられるわけです。こういうものを持ちながら公正にするというのは、実はかなり難しいことだと私は思うのです。  その難しいということを実は我々の委員会なり国会が国民の皆様方にお示しをしなければ、マスコミがおっしゃっていることがすべてである、正しいのであるということになったときに、特に今政治が非常に混迷しております、我々自身の責任でございます。そして、この政治改革の中で、政党というものをきちんと確立しなければ、今度の政治改革は世紀の悪法になってしまいます。そして、政治家のモラルが問われているわけですけれども、常にそういうものがありながら、情報化社会というものの中で我々は生きていくんだ。  やはり常に、疑いを持つというと大げさかもしれませんけれども、人間がやる、自分に照らし合わせても万能なものはない、そしていろいろな不祥事も出る。それをみんなで負担をしながら、分担をしながら、あるいはお互いに気づかせながら、それをどう高めていくのかというところに思い至りませんと、もしかしたら、これからの郵政のさまざまな事業を含め、あるいはNHKのこれからの展望を含め、大変な問題になるのではないかなと私は思いましたので、我々がそれぞれの意見を持ちながら、公平に扱う、その職責を持っている、こういうことを私自身自戒しながら、そのようなことをきょう感じさせていただきましたので、きょうの結論としては、そのような私の意見を申し述べさせていただきまして、大臣初め皆様方に、また今後とも一層御指導をお願いしたい、世の中に対してお願いしたい、このように思っております。  また、NHKにありましては、特に信頼というものを持っているわけでございますので、少なくとも、間違っても今後またいろいろな事件などが起きませんようにお願いを申し上げたいと考えて、質問を終わらせていただきます。  委員長、どうもありがとうございました。
  65. 高橋一郎

    高橋委員長 御苦労さまでした。  次に、森英介君。
  66. 森英介

    ○森(英)委員 自由民主党の森英介でございます。  二月二十二日の日本経済新聞の朝刊で、しかもそれも一面トップで、「NHK方式のハイビジョン 推進政策見直し デジタル化進展で郵政省検討」、さらに「試験放送中止も」という大変センセーショナルな見出しで記事が出たことは、御存じのことと思います。  この記事の情報源というのは、二月十八日、新生党の部会での郵政省江川放送行政局長の御発言のようでございます。  その後直ちに、江川局長名で、郵政省としては引き続きハイビジョン放送を継続する、そしてその普及推進に努めていく、それで、いささかの政策変更もないという趣旨の文書が出されまして、事態の鎮静化に努められたわけでございます。  ここで改めて江川局長に、この事のてんまつについてお伺いしたいと思います。
  67. 江川晃正

    江川政府委員 ただいま先生が御指摘なさいました二十二日の記事、それからその記事がどうやって書かれたのかはわかりませんが、十八日の発言、それから変更なしという私の記者会見、これは二十三日だったと承知していますが、につきましては、基本的には今先生がおっしゃったとおりの流れでございます。  それで、てんまつと申しましても、ほとんどそれにつけ加えることはございませんが、あえて申しますと、発言の趣旨というのは、今後二十一世紀を展望した長期的視点から見ますと、マルチメディア化の中で、これは表現としてはミューズハイビジョンという言葉表現いたしましたけれども、放送全体のディジタル化についてもその技術開発と将来展望を検討していくことが必要ではないか、ディジタル技術が日本でおくれをとってはいけないのではないかという問題意識を表明したわけでございます。それがどうしてその記事になったのかどうかについては私は存じません。  それから、試験放送の中止とか政策の変更とかというふうに出ましたけれども、発言の中でそのように申し上げたこともありません。ないつもりです。それで、鎮静化という言葉が使われましたけれども、具体的にはハイビジョンの政策、電波監理審議会というのが昨年五月に答えを出して、答申をいただいておりますけれども、その線にのっとって当面動いていくということについて表明し、現実にこの三月十八日には、この年末における試験放送、今BS3というのがやっているわけですが、試験放送の次の段階をどうするということとか、BS4の四チャンネルプラス四、八チャンネルについてどうするというようなことを、ミューズハイビジョンの実施を含めまして、郵政省として態度を鮮明にする意味で諮問をしたところでございます。
  68. 森英介

    ○森(英)委員 いずれにしても、局長の御発言というか今の御説明につきましても、今のハイビジョンの開発に関する問題提起としては一つ大変意義があるのじゃないかというふうに思います。  それで、ここでハイビジョンについて大変基本的なことですけれども、以後NHKお尋ねをしたいと思います。  本当にまず初歩的なことで、そもそもハイビジョンとは何でございましょうか。
  69. 森川脩一

    ○森川参考人 お答えを申し上げます。  ハイビジョンとは一体どういうものかというお尋ねでございますが、人がきれいな画面を見たときに思わずその画面に引き込まれてしまうということがある、これは先生方も御経験があると思いますけれども、それでは一体そういう心理効果というものは技術的にどういう条件が整えばそういうことが起こるのであろうかということを、四半世紀前にNHKの研究所が基礎的にいろいろなことを調べました。  その結果、まず人間が見る画面の縦横の比率、これは十六対九ぐらいになりますとその効果が著しく大きくなる。それから、そのときに絵のきめの細かさはどうであろうかということについては、走査線の数にいたしまして大体千百本ぐらい、これあたりになりますとそういう効果が非常にはっきり出てくる。もちろんそれ以上走査線をふやしますればもっと画面はきめ細かくなりますが、心理効果としては大体千百本のところで飽和する。こういうことが研究の結果でわかったわけです。  それから、ハイビジョンというその名称でございますが、今申し上げたようなきめ細かい画面の定義は国際的にもきちっと行われておりまして、ちょっと申し上げますと、今の放送に比べて二倍以上の精細度で十六対九のワイドの画面、高品質な音声、そういうものを持ったテレビジョンの方式を高精細度テレビジョンと呼ぶ、HDTVと英語で訳しますけれども、そういうものと呼ぶということになっています。それで、ハイビジョンと申しますのは、この言葉はHDTVの日本方式のものの愛称でございまして、今から約九年ほど前に命名をされたものでございます。  それで、このハイビジョンはスタジオ規格と伝送規格という、ちょっと専門的な話になりますが、規格上、二つの規格で成り立っております。まず、スタジオ規格といたしましては、走査線千百二十五本、一秒間のこま数が六十こま、画面の縦横比率は十六対九、それから音声といたしましてはコンパクトディスククラスの非常にきれいな音声が聞こえる、これがそのスタジオ規格の内容でございます。  それで、お聞きのように、この十六対九という画面は現在の四対三という画面に比べて約三割ほど横長になるわけでございます。それから走査線の数といたしましても、今五百二十五本でございますからこの倍とちょっとになる、こういうことでございます。したがって、先ほど申し上げました基礎実験の心理効果の発生する条件をこれは満たしている、こういうことになるわけです。  それで、スタジオ規格のほかにもう一つ、伝送規格というのを申し上げましたが、これはカメラから出てきたテレビの信号をまず圧縮をするということと、それからそれを電波に乗せて空中に発射するという二つ方法があって、これを規定したものを伝送規格と申しますが、日本の場合にはこれをミューズという名前で称しておりまして、まず圧縮するところはディジタル的な技術を使っております。それから電波に乗せるところはいわゆるアナログの技術、そういう方法をとっております。  以上でございます。
  70. 森英介

    ○森(英)委員 ただいまの御説明の中でミューズについてもうちょっと詳しく教えていただきたいと思います。
  71. 森川脩一

    ○森川参考人 ハイビジョンの画面の情報量と申しますのは、ちょっと難しい話で恐縮ですが、現行のテレビのそれに比べまして約五倍の情報量を持っております。それで、このたくさんの情報を持っている信号を放送衛星一チャンネルの電波を使って放送するためには、この膨大な情報量を圧縮し、またその圧縮された信号を電波に乗せて送るという必要があるわけですが、日本の与えられた条件において一番最適な方法としてミューズというのが開発をされました。与えられた条件と申しますのは、衛星で放送する、そうすると、衛星の中での放送チャンネルの幅は規定をされて、ある限度がございますから、その規定された限度内でちゃんと送る、そういうことに適した方式、これがミューズであります。  それで、まず情報の圧縮のやり方、これについては内外にさまざまな方法がありますが、一番大事なことは、森羅万象あらゆる画像に対して所要の高い画質が得られること、これが特に放送にとって重要でございます。情報が伝わればいいということのほかに、それが正確に伝わる、きれいな絵が見える、いい音が聞こえるということが非常に大事な要件でございまして、これが通信と基本的に違うところでございます。それで、ミューズというのは、先ほど申しました人間の目の見え方、そういうことをいろいろ考えながら、この条件を満足するようにいろいろな工夫がなされております。  具体的に申し上げますと、画面の一こまを四つに分解いたしまして、つまり情報量を四分の一にしまして、これを一つずつ放送し、受信機の中で再びこの四つの情報量を一こまに組み上げまして画面に提示するという方法をとっております。こういうことをすることによって、日本で規定されております電波の幅の中に破綻なく信号を通してこれを受けることができる、これがミューズの特徴でございます。  それから、もう一つの特徴は、このミューズという方式を使いますと、現在の衛星放送をお受けになっているパラボラアンテナ、これがそのままお使いになることができます。それから、衛星というのは、雨が大変ひどくなってきますと、だんだん見えにくくなってくることを御経験と思いますけれども、ディジタルの電波についてはだんだん見えにくくなるのではなくて、急にすとんと絵が突然切れてしまうという、言ってみれば欠点を持っているわけですけれども、そういうことはこのミューズアナログの方式の場合にはございません。そういう特徴を持ったもの、これがミューズでございます。
  72. 森英介

    ○森(英)委員 今、技師長のお話の中にもアナログ方式という言葉が出てきたわけでございますけれども、このハイビジョン、あるいはHDTVにおけるアナログ方式あるいはディジタル方式というのは、何を指して言っているのでございましょうか。
  73. 森川脩一

    ○森川参考人 画像の明るい、暗いという情報を明るさに比例した電気信号で表現するというのがアナログ方式でございます。それから、全くこれと異なりまして、この明るさの分量を一とゼロの数字の幾つかの組み合わせにしまして、いわば暗号みたいなことにしまして表現するのがディジタル方式でございます。そもそも人間の耳とか目とかというものの感覚はアナログでございます。アナログ的に物を見たり聞いたり人間はしております。したがって、スタジオのテレビカメラあるいはマイクロホンというのも、アナログ的にスタジオの状況を撮影する、人間の目にかわってそういうものを撮影するということでございます。したがって、受像機のブラウン管とか、あるいはスピーカーというものも同じくアナログの信号をそこから発射しているわけでございます。  一方、一たんカメラで撮影された信号あるいは一たんマイクロホンで収録した電気信号、これはなるべく途中ひずみ少なく御家庭まで送り届ける必要があります。そのひずみ少なく送り届ける方法に非常に適しているのがディジタルという方式でありまして、これは放送以外にもいろいろなところでディジタル方式による、いわゆる伝送というのは数多く使われております。  ハイビジョンの場合でございますが、ハイビジョンはスタジオで一たんカメラにおさまった、撮られた電気信号は、以降はほとんどディジタル的な処理をされて番組として完成をするわけでございます。  ただ、ディジタルの信号の一つの特徴と申しますか、欠点というのは、信号の量が非常に膨大になるということで、放送電波のように限られたチャンネルの中でそれを伝送するということになりますと、まずその膨大な信号をある量まで圧縮をしなければなりません。それで、どんどん圧縮していきますと、画質や音質が損なわれていきます。よく画面でモザイク状の画面をごらんになることがあるかと思いますが、ちょうどあれと同じように、圧縮率を上げていきますと画面の一部がモザイクのようになって、例えば顔のあたりがモザイクになりまして、もとの信号が正確に伝わらなくなるという欠点がございます。  それで、今私どもは放送衛星一チャンネルの中でハイビジョンの放送をするという条件を与えられておりますが、この放送衛星一チャンネルというのにハイビジョンの信号を通すためには、相当圧縮を強くしなければなりません。そういったことから、画面の種類によっては、今申し上げたように、映像の一部が正しく再現できなくなるという問題点がございます。この問題点を解決する見通しというのはまだ今すぐには得られる状況にはございません。  それから、先ほど申し上げましたように、ミューズというのは圧縮処理そのものはディジタルでやっているのだというお話をしましたけれども、伝送については今言ったような問題がございますので、圧縮率の度合いを低くしたアナログ方式で放送し、劣化のない画質を家庭に送り届けることができている、こういうことでございます。
  74. 森英介

    ○森(英)委員 私の質問の趣旨は、今のお話は今のお話でわかったわけでありますけれども、先ほど江川局長お話の中にも、ミューズアナログ方式というふうな表現があるわけですけれども、このハイビジョンは単に伝送の方式がアナログというだけでこれをアナログ方式と呼ぶことが適切なのかどうかというふうなニュアンスを含めた質問だったのでございます。
  75. 森川脩一

    ○森川参考人 信号の圧縮とか伝送とかということについて内外にさまざまな方式が開発され、提案をされているわけですけれども、それを厳密に見ますと、いずれもある部分はディジタル的手法を用い、ある部分についてはアナログ的な手法を用いているというのが大部分でございまして、したがってこの方式はアナログである、この方式は全部ディジタルであるという明確な方式上の区分といいますか、そういうことは極めて難しいことでございます。現にミューズについても、先ほどからるる御説明しておりますように、ある部分についてはディジタル技術を用い、ある部分についてはアナログ技術を用いているわけですから、トータル的に申しますと、両方の混合の方式という呼び名が一番正確ではないのかなというふうに思います。
  76. 森英介

    ○森(英)委員 素人からいたしますと、恐らくミューズアナログ方式というのは、圧縮の方式がミューズで伝送がアナログで、こういうことだと思うのですけれども、私どもからすると、何となくそういう表現を使われますと、ハイビジョンというシステムがアナログのシステムだというふうな誤解を招きやすいと思いますので、NHK並びに郵政省でもちょっとそこら辺の表現をお気をつけになった方がいいんじゃないかなというふうに思いますので、私の私見として申し上げておきます。  次に、日本と欧米の高精細度テレビの開発目標並びに開発方針の相違点について伺いたいと思います。また、実用化された段階ではどちらがよりすぐれた方式であるかということもあわせてお願いいたします。    〔委員長退席金子(徳)委員長代理着席
  77. 森川脩一

    ○森川参考人 まず、日本は御案内のように衛星の電波を使ってハイビジョンの放送をしております。これに対してアメリカは、ハイビジョン、アメリカではATVと言っておりますけれども、このATV放送を地上でやることにしております。具体的に申しますと、地上の空きチャンネルを使いまして、そこにATV放送というものを実用化して、それである一定期間経た後、現在の使っている電波を国に返却させる。以後はずっとATVで放送するというのがアメリカの今目標としている方法でございます。  ヨーロッパでございますが、これはややまだはっきりしておりませんで、かつて試験的に日本と同様衛星を使って放送をしておりましたけれども、その後の状況はやや振り出しに戻ったような形になっています。  今の、どちらがすぐれた方式なのか、実用段階ですぐれているかということでございますが、率直に申し上げまして、先ほどのディジタル技術の現段階の状況から見まして、日本の今衛星によるこのハイビジョンの画像の方がアメリカの画像よりややまさっているのではないかというふうに、私は個人的にそう思っております。と申しますのは、地上の電波を使うわけでございますから、現行の方式と同じ幅の通路しかございません。この通路の中にぎゅっと圧縮して押し込んだ電波を破綻なく伝送するということは、これは実は非常に難しいことでございまして、そういう意味からもやや日本の方がまさっているのではないかなということを個人的には思っております。  ただ、アメリカはまだ規格を審議中でございまして、最終的にこれが必要なテストを経て国家規格として制定され、その後に放送がスタートすることになるわけですから、その段階で改めてまた検証する必要があるということは、もちろんのことでございます。  それから、ヨーロッパの方でございますが、ヨーロッパのいわゆるハイビジョンの方式がどうなるかということは、まだヨーロッパ域内でいろいろな議論が進んでいる最中でございまして、したがってその方式がはっきりしませんものですから、どちらがすぐれているかということもその段階になった後になるかなというふうに思います。
  78. 森英介

    ○森(英)委員 ちょっともう少し突っ込んで質問をさせていただきますと、今のお話放送の域内の優劣であって、実用段階ということになりますと、例えばコンピューターですとか通信ですとか、そういうほかのメディアとのマッチングみたいなことも問題になってくると思うのですけれども、その点も勘案して、どうでございましょう。
  79. 森川脩一

    ○森川参考人 先生指摘のとおり、放送と通信の境界線というのはだんだん薄れつつありますし、将来は、全く相互に自由にこれを流通させようということの方向で世の中が進んでいることは、これは間違いないことでございます。したがって、今それへ向けて、ディジタル方式を採用して自由にその通信、放送の間を流通させよう、コンピューターとも先ファイバーともうまく連動するようにしようということから、放送においてもディジタルの方式の開発が進められ、実用化に向かっていろいろな検討がなされておるという状況はあります。  ただ、そういう状況は、先ほどからるる申し上げておりますように、現在はまだ放送の必要条件を満足するようなレベルまでには我々は至っていないのではないかというふうに考えまして、今、日本の方式はアメリカの方式とはちょっと違います。そうすると、日本の方式は、将来コンピューターがもっと発達し、光ファイバーが全国へ引き回されたときに、全くそれとは関係のない孤立した局部的な方式なのかということについては、決してそういうことはございませんで、これと、今のハイビジョン信号と、それからコンピューター信号あるいは光ファイバーにこれを伝送するということは、アダプター、それもそんなに複雑なものでない装置を使えば、自由にそれは行き来させることができるということでございます。
  80. 森英介

    ○森(英)委員 わかりました。  そこで次に、今もお話しのように、現状では欧米での規格がはっきりしていない部分もございますけれども、可能性としては日本だけがスタジオ規格それから伝送規格ともに独特のものになってしまう可能性もあると思うわけでございますけれども、これでどんどん進んでいった場合、将来どのような不都合の生じる可能性がありますでしょうか。
  81. 森川脩一

    ○森川参考人 先生おっしゃいますような道をたどりますと、もちろんいろいろな不都合が生じてまいりますが、その不都合については、それを克服するような検討を同時に私たちは並行して進めておりまして、大体解決をしております。  もう少し具体的に申しますと、まずスタジオ規格について、アメリカとの相違でございますが、これはほとんどございません。極めて近いものでございます。総走査線の数は、日本は千百二十五本、アメリカが検討しているものも千百二十五本という方式を含んでおります。したがって、これは特段大きな不都合はございません。  それから、ヨーロッパでございますが、ヨーロッパの走査線は千二百五十本と、日本の千百二十五より少し数が多くなっております。これは、現行の四対三の放送をごらんになっておわかりのように、ヨーロッパの受信機は日本へ持ち込みましても絵はうまく映りません。逆も同様でございます。ハイビジョンの世界においても同様な問題がございます。しかし、これは放送局側でそれぞれ自分の域内に放送する電波を工夫することによりまして、この問題は既に解決をしております。  具体的に申しますと、ヨーロッパ方式と日本方式と相互に信号を変換する装置をNHKは既に開発をしておりまして、これを使いまして、例えば昨年のイギリスのウィンブルドンのテニス中継のときは、ヨーロッパで制作したヨーロッパ方式のハイビジョンの画面を日本の方式に変換をしまして放送いたしました。それから、この二月に行われた冬のオリンピックの場合には、さらに一歩進めまして、ヨーロッパの放送チームと日本の放送チームがそれぞれ中継するゲームを分担し合いまして、それぞれ自分のところで制作した番組を相手方の方式へ変換装置を通して変換をいたしまして放送いたしました。こうすることによって、一種の共同制作みたいなものを実現させました。その結果の画質についても、全く問題なく放送ができました。  それから、伝送規格の方でございますが、これは電波の問題でございますが、電波の問題というのは、それぞれ国々の電波の事情によって方式が異なるのは、ある程度やむを得ないことでございます。アメリカのハイビジョンの伝送規格は、先ほどから申し上げておりますように、日本の規格とは違いますので、これは共用できません。ただ、受信機について見ますと、その受信機の中で、飛んできた電波をもとのスタジオ信号に直すデコーダーという部分の回路がございます。これは受信機の中でさして大きなウエートを占めておりません。場所的にも値段的にもそう大きなウエートを占めてございませんが、そのものをアメリカの電波を変換する方式のものに置きかえればそれだけでいいわけでございますから、共用はできませんけれども、大部分の、例えばブラウン管であるとか、そういう主要部分は共通して使うことができます。  それから、ヨーロッパの場合には、伝送方式がまだ明確になっておりませんので何とも申し上げられませんが、恐らくまた第三の方式がもし出てくるとすれば、今申し上げたようなことで、一部のデコーダーの部分を置きかえればできる。十六対九というブラウン管のサイズは世界的には共通でございますので、その部分は全く同じように使える、こういうことでございます。
  82. 森英介

    ○森(英)委員 先般、郵政省でも大変御努力なさいまして、光ファイバー網の設置について税制の支援がされていることは御存じのところでございますけれども、この光ファイバー網が完備された段階で、放送の伝送にこの光ファイバー網を活用しようというお考えNHKにございますでしょうか。
  83. 森川脩一

    ○森川参考人 今具体的にそういうふうに決まっているわけではございませんけれども、先生命おっしゃったように、関西学研都市で近く行われます新世代通信網パイロットモデル事業での実験ということにつきましては、NHKも参画をさせていただいておりまして、その中で、光ファイバーを通してハイビジョンを流していろいろな実験をするという計画になっております。
  84. 森英介

    ○森(英)委員 これはNHKに対する最後の質問でございますけれども、マルチメディア時代が到来したときのハイビジョンの活用のされ方、活用の仕方について、どのようなイメージを描いておいででしょうか。
  85. 森川脩一

    ○森川参考人 まず、ハイビジョンの画面の特徴というところをまず申し上げた方が、御説明した方がよろしいかなと思うのですが、非常にワイドでしかもきめ細やかな画面というのはいろいろな情報をたくさん盛り込むことができるわけです。  例えば、一つの画面に一つ映像ではなくて、三つも四つも同時進行的に進む映像を、分割して画面に表示することも可能でございます。これは、今の四対三の画面でも同じようなことはもちろんできるわけですし、やっているわけですけれども、しかしそうなりますと、どうしても画面の一つ一つは大分見づらくなるわけですけれども、ハイビジョンの場合には、画面を同時に三つ四つ分割して画面に表示しても、その一つ一つが相変わらずきれいに見えるという特徴を持っております。  それから、同じような理由で、文字も非常にきれいな文字を多数このハイビジョンの画面に入れることができます。したがって、そういうところをヒントにして新しい使い方がいろいろ考えられるのではないかというふうに思っているわけです。  それから、これをさらに活用しますと立体テレビも可能でございますし、今試験的にいろいろなところでデモをやっておりますけれども、つまり、遠くのものを見るというのが、遠くのものを遠いところから目の前にあるように見るというのがテレビジョンのもともとの発想でございますが、これがさらに立体感としてそれが見えるようになるという、一種の究極的なテレビの姿というものも実現できるわけです。  今申し上げましたように、あらゆる画面の同時表示あるいは数多い文字を画面に表示することによってさらに深い情報あるいはサイドの情報を伝えることができる、あるいはこれを一体化してより迫真的な画面も提示できる、その他いろいろな特徴をそれは持っているわけですけれども、これが、こういう道具が、マルチメディアの時代にコンピューターあるいはファイバーによる信号と合体をするということになりますと、さらに一層の活用の範囲が広まる、これも活用の範囲としては無限に広まるということが期待できるんじゃないかなというふうに思っています。  そういう時代にハイビジョンがその特徴を一層発揮できるようにするためには、今からハイビジョンというものを普及促進をさせていくということが非常に大切な要件ではないかなということをあわせて考えている次第でございます。
  86. 森英介

    ○森(英)委員 もう一度、最後に郵政省に御質問をさしていただきたいと思いますけれども、今の森川技師長のお話を通じまして、また私なりにいろいろ勉強さしていただきました結果、現在の日本におけるハイビジョンの開発の方向というかシナリオ、これはどういう時代が来ようとも恐らく正しい道筋なんじゃないかなというふうに認識をしております。それは審議会でも専門家が御検討なさることでしょうけれども。  この二月二十二日の新聞報道で、これは江川局長もやや不本意な報道かと存じますけれども、結果として若干開発の意欲に水をかけたということは否めないというふうに思います。これはNHKのみならずメーカー側に対しましても何かそういうことが多少あるんじゃないかなというふうに懸念をするわけでございますけれども、私どもはせんだっての文章をいただきまして、また私なりの勉強でここまでの認識に立ち至ったわけでございますが、世間一般に対して今後何か、若干の修復というか、さらにてこ入れするための何らかの対策をお考えになっておりますでしょうか。
  87. 江川晃正

    江川政府委員 マルチメディア時代における電気通信、放送を含む電気通信がディジタルを考えないでいられないのではないかということは、私はほとんど真実ではないかと思っておりますが、しかしそれは問題意識でありまして、先の話とことしの年末の話がごちゃごちゃになってしまうということはいけないことでございます。そういう意味できちっと整理をさせていただきました。  それで、これから先の話としまして、郵政省としては二つの課題をやろう。一つは、ミューズハイビジョンを今普及していこうということで、具体的に何をやったらいいのかというようなことを、それぞれやっているわけですが、もっと新しい知恵があったらそれも入れていこうじゃないか、考えていこうじゃないかということを考えて実行に移していこうというのが一つと、もう一つは、およそこのディジタルという問題について、二十一世紀を展望して、その道筋とか考え方とかビジョンとか、そういうものをきっちりと郵政省は出すべきではないかということで、その部分と、その二つを受けまして、一種の懇談会というものをつくろうということで整理してやろうとしているところでございます。
  88. 森英介

    ○森(英)委員 まだちょっといろいろ不完全燃焼なんでございますけれども、私は、もちろん伝送についても江川局長はフルディジタルというイメージを描いておられるんでしょうけれども、そこに至る段階として、私は今のハイビジョンでもって何ら不都合はない、こう思うわけですよ。それがある時期に到達した場合にそれなりのインターフェースをつけるなりアダプターをつければ、自然にそちらへなじんでいくものでありまして、そこで、何も今せっかくみんなが頑張っているところで行政御当局が水をかけることはないじゃないですかということを申し上げたいわけでございまして、私の質問を終わらせていただきます。
  89. 金子徳之介

    金子(徳)委員長代理 次に、斉藤斗志二君。
  90. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 本日は、神崎郵政大臣並びに郵政省幹部の皆さん、またNHKにおかれましては川口会長を初め幹部の皆さんに御出席をいただきまして、質問をさせていただくわけでございます。お忙しい中、特にNHKの皆さんには御礼申し上げます。  事前に質問を通告はしてはございますけれども、順序が多少入れかわったり、また質問内容がその他に及ぶかもしれませんが、あらかじめお含みいただきたいと思います。なお、ただいま森議員からも質問ありました。一部同僚議員との質問が重なるかもしれませんが、その点もよろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず最初に、身近な問題として質問をさしていただくわけでありますが、神崎大臣、日ごろどのくらいテレビごらんになりますでしょうか、またどんな番組が記憶として残っていらっしゃいますでしょうか、御自身のことですから。
  91. 神崎武法

    神崎国務大臣 なるべくニュース番組は見るように努力をいたしております。朝昼夜、これは行政に携わる者として、また政治家として当然のことでございますが、あとは娯楽番組も見まずし、私もスポーツも好きなものですから、スポーツ番組も拝見いたしております。
  92. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 大臣お答えのように、国民にとりましても、テレビというのはなくてはならない生活の必需品でありますし、また、娯楽、教養、その他を含めまして大変大きな効用があるわけでございます。  そこで、もう一つ大臣お尋ねしたいと思っておることは、大臣は映画の寅さんシリーズが大好きなのだそうでいらっしゃいますね。ニックネームが寅ちゃんとも言われているというふうに資料に載っているのです。映画を、劇場で放映される映画、今までは寅さんを見るにつけても劇場へ行かれるだけの時間があったんじゃないかなと思うのでありますけれども、大変お忙しい身になりますとそうもいかない。そうなりますとテレビを通じて見るというようなことになるかなと思うのであります。寅さんなんかの映画は、劇場でごらんになることもあるでしょうし、もちろんテレビでごらんになったことはございますでしょうか。
  93. 神崎武法

    神崎国務大臣 私、今お話がありましたように大変寅さんシリーズが大好きで、五十本以上見ておりますけれども、まあ映画館でほとんど見ておりまして、最新作も実はこっそり一月に映画館に行って見たわけでございます。今、やはり耳の悪い方が多いためなのでしょうか、日本語の字幕放送がついておりました。そういう意味で、随分変わってきております。そのほかに、テレビで見る、あるいは、まあ今ビデオになっておりますので、ビデオで見る、そういった利用の仕方をさせていただいております。
  94. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今、大臣からビデオの話も出たのでありますが、テレビの放映、また映像というのは、今あらゆる点で大変便利になってきているということでございまして、テレビの発展というのは、私は日本の発展と相まって本当に大事なものだというふうに思っているわけであります。  そこで、本題に入る前に、最近の話題につきまして、特にNHK関係しての話題について、先にちょっとお尋ねさせていただきたいというふうに思っております。  最近の話題ということで、大変恐縮でありますけれども、実は報道にょりますと、「故田中角栄氏遺族がNHK事業団に寄付」こういう記事があるわけであります。「衆議院議員の田中真紀子・田中直紀夫妻は」、私は、いつも眞紀子さんが先に出てくるのはちょっといかがなものかなと思っておるわけでありますけれども、要するに、東京のNHKを訪ねまして、故田中角榮の香典返しとしてNHK厚生文化事業団に一千万円寄附した、こういうような報道があるわけであります。  まず最初に、きょう会長お越してございますので、この厚生文化事業団というのは外部の団体、関連団体であると思いますけれども、どのようなことをやる団体か、ちょっとお知らせいただけますか。
  95. 川口幹夫

    ○川口参考人 厚生文化事業団は、NHKの関連団体の一つになっております。NHKにかわって、社会福祉のため、あるいは厚生事業としていろいろなことをやっております。特に、恵まれない方々へのお助けとか、それから身体障害の方々へのいろいろな援助だとかというようなことを主としてやっております。
  96. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 そこで、この田中さんの方の説明として、私はこういった福祉事業をやる団体はたくさんあるのだと思うのですよ。民間にもございますし、また公益法人にもある。たくさんある中でなぜNHK厚生文化事業団を選んだかというその説明の中に、「フェアに慈善事業に取り組んでいるここういうような説明があるわけであります。と同時に、「ふだんの姿勢に賛同できだからです」こういう説明があるのですけれども、こういったコメントについて、慈善事業をされる場合いろいろな判断基準があるのだと思いますけれども、特にこういうことに注意しているとか、よりフェアにやるためにこういうことに注意しているのだとか、そういうようなことで何か御説明、御発言いただくことがございますか。
  97. 川口幹夫

    ○川口参考人 そのようなことを田中眞紀子さんがおっしゃったということは承りました。  厚生文化事業団の理事長は元の川原会長ですけども、川原さんが受け取られて、そういうお話を承ったということも私は聞きました。そういう公平、公正な報道機関だということを眞紀子さんが感じていらっしゃる、それは私どもにとってはとても先栄なことだと思います。
  98. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 NHKは、本体のみならず、そういった関連団体におきましてもそのような福祉事業もしているということで、また、特に田中さんの方からそういうような評価を得たというのは、私自身も大変うれしく思っているところでございます。どうぞこれからも頑張って、その分野もやっていただきたいと思います。  続きまして、最近の話題といたしまして、身近な問題で、茶の間からの質問ということでございますが、人気番組の「クイズ百点満点」というのがあるのです。私、これが大好きで見るのでありますが、大臣、この「クイズ百点満点」というのは御存じですか。また、ごらんになったことはございますか。
  99. 神崎武法

    神崎国務大臣 私はちょっと、済みませんが見ておりません。
  100. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 大臣はお忙しいですからね。  実は最近のニュースとして、これが三月いっぱいで終わりになるのではないかというような心配がなされておりますし、また、キャスターである大塚範一アナウンサーが退社して民放へ行かれるというニュース報道されているわけであります。  二つ質問がございまして、この「クイズ百点満点」というのは、非常に国民が喜んでいる、視聴率の高い番組だと私聞いておるのですが、これが今後どういうふうになっていくのかというのが一点。  もう一点は、その大塚アナウンサーがやめられるということについて、私はせっかく育った人材がやめていくというのは非常に残念なことだと思います。一方、新天地を求めていくのもその人の人生かなということでありますが、そこに本人の意向等々があるのかとは思いますが、もし万が一、職員における人事とか処遇の問題について不満があるとか不備があるとかそういう問題があった場合は、非常に困ったことになるわけであります。その大塚アナウンサーのその点について、ちょっとお答えいただきたいというふうに思います。
  101. 中村和夫

    中村参考人 番組の方についてお答えいたします。  「クイズ百点満点」六年間続けてまいりましたけれども、来年度は「日本人質問」という番組と差しかわるという形になっております。これからの展望をいろいろ考えますと、ある程度のピークの時期に次の展開を考えないといけないというようなことをいつも考えておりまして、そういう意味で六年間で一応打ち切りということにしております。
  102. 安藤龍男

    ○安藤参考人 もう一点の、人事上あるいは処遇上の不満がなかったかどうかという御質問でございますけれども、大塚アナウンサーは、御承知のようにスポーツからバラエティー番組まで幅広く活躍をしておりまして、視聴者の非常に高い支持も得ているわけであります。局の中の処遇もトップクラスの昇進をしてきております。三月二十二日で退職をしたわけでありますが、その退職当日私のところにもあいさつに来まして、そのときに私は彼にも言ったのです。四十五歳という年齢、一つの人生の大きな節目だということで転身を図りたい、協会に対しては不満もあるわけじゃなくて、むしろ感謝をしているというようなことを言っておりますので、処遇上の問題については全くないというふうに私どもは考えております。  ただ、NHKの人気アナウンサーの一人が退職するということについては、正直言って私どもも本当に大変残念なのでありますけれども、彼の二十年のNHKでのアナウンサーとしての経験あるいはキャラクターというものを広く放送界で、NHKは人材として送り出すというようなことで、今後の彼の活躍を期待したいな、こういうふうに思っているところでございます。
  103. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今の質問に対しては、では、円満退社だったということだと思います。放送界全体としての発展を願うという御答弁もいただいたわけであります。  さて、それでは本題に入りたいと思います。NHK予算ということで本件があるわけでございますが、平成二年三月ごろの予測では、受信料引き上げの前では大変巨額な赤字がこの五年間想定をされたというようなことでございます。そこで、平成二年に受信料の引き上げということで今日を迎えているということでございます。  最初に大臣に御答弁をいただきたいと思いますが、郵政省として現行経営計画の実施状況についてどのような評価をなされているのか、大臣からお願いしたいと思います。    〔金子一徳)委員長代理退席委員長着席
  104. 神崎武法

    神崎国務大臣 NHKは平成二年から平成六年の経営計画に基づきまして事業を実施してきたところでございますが、財政につきましては放送会館の土地賃借料収入といった予定外の収入もありましたし、業務効率化により経費節減に努めましたことなどにょりまして、経営計画に比べまして大幅に収支を改善して、七年度以降に五百二十二億円を繰り越すことができる予定でございます。  要員の効率化につきましては、平成二年度から六年度で約千六百人の削減予定でございます。地上放送につきましては、大型企画番組、災害報道、地域からの全国発信などを充実いたしております。ただし、衛星契約数につきましては目標の九百万件に対して六百六十五万件にとどまる見通しでございまして、また営業経費率につきましても目標の二一%程度に対して一三・四%までしか圧縮できない状況でございます。  郵政省といたしましては、以上のような実施状況を踏まえまして、経営計画全体としてはおおむね目標を上回る成績を上げつつあるものと評価をいたしておりますが、衛星契約数の増加などの事項については今後一層の努力を要するものと認識をいたしているところでございます。
  105. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 ただいま大臣からはおおむねという言葉をちょうだいしての評価だということでございますが、私は大変改善に努力をされてきたというふうに見ていいのではないかなというふうに思っております。  そこで、同じ質問になるかなと思うのでありますが、特に八つの課題というのがかねてよりあるわけでございまして、一つは営業活動、二つ目は効率化、三つ目は衛星放送、四つ目は国際放送、五つ目に関連団体、それから業務委託、副次収入、メディアのあり方、こういったことがNHKの課題として皆さん方に与えられたものだというふうに思っておりまして、その中でそれぞれの努力を重ねられて平成七年度には五百二十二億、これは大変大きな金額だと思いますが、繰り越すことができるということは、私は大変な努力を重ねていらっしゃるなというふうに評価するものでありますけれども、大臣からの御指摘のように、まだ一部衛星放送関係等々不十分なものもあるということでございます。  そこで、川口会長並びにNHKの皆さんから、今私が御質問申し上げました八つの項目についてかいつまんで御答弁いただきたいというふうに思います。
  106. 中井盛久

    ○中井参考人 今の御質問、そしてそれに対する大臣の御評価の御発言もございましたけれども、八項目あります。  それぞれの中でいろいろなことをやりましたけれども、かいつまんで申し上げれば、やはり一番我々が強調したいのは、国際放送が今まで、五年度までで大体一日六十時間の放送時間でございましたけれども、やはり国際化時代、そして日本人が今世界に向かって一千万人の規模で展開しているというような状況を踏まえまして、日本の情報あるいは世界の情報をいち早くお伝えするということで一日六十五時間の放送時間を確保するように努力し、この予算でその内容を盛り込ませていただきました。これによりまして、放送の時間数によりますと大体世界規模ではフランスの上位の、九番目ぐらいの位置になるようになります。それから、言葉としては二十二カ国語で、これは前年も変わりませんけれども、これも大体世界的な規模でいうと九番目ぐらいの規模に相なります。  それから、そのほかテレビによる国際放送の発信ということを将来に向けて基盤整備をしようということで、テレビ・ジャパンという事業を、映像をCSといいますか通信衛星を使いましてアメリカに、あるいはヨーロッパに持っていきまして、ホテル等あるいは契約者等に知らせている。したがいまして、海外におられる方々は瞬時にして日本の、例えばきょう韓国大統領が見えているというようなことはそのままその日のうちにごらんになれるという状況が、組んでおります。そういうようなことで努力させていただいております。  そのほか、全般的にいいますならば、平成六年度を終わった段階では五百二十二億の繰越金を置ける状況でございますが、やはり世界の規模のネットワークで計画を見直しまして、物件費だけでもかなり節約したとか、あるいは番組の世界的な交換をいろいろやることによりまして事業の節約をさせていただいたというようなことがあると思います。きのうも少し申し上げましたけれども、業務の総点検ということでスリーS運動というのを展開いたしまして、セーブマネー、スリムな体質、ストロングな体制でいこうというようなことで、かかるものにはお金はふんだんに効率よく使うけれども、節約すべきところはしようということで、これによりましても七十億以上の余裕金を生み出したということが言えると思います。
  107. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 大変な御努力をされて、特にスリーSという新しい目標課題を掲げられたわけでありますが、ちょっと参考までに教えていただきたいのですけれども、国際放送を今回は六十五時間にするということでございます。フランスが今六十時間ということでございまして、日本が大体九番目だというのでありますが、トップは今大体どのくらいの時間数をやっており、また上位の国はどういう国があるのか、わかったらちょっと教えていただきたいと思います。
  108. 中井盛久

    ○中井参考人 ただいま平成五年度段階で把握している数字でございますけれども、アメリカが一日の放送時間が、これはVOAという放送で国がやっておりますけれども、三百四時間、そして中国が二番目で二百十八時間、三番目がロシアの百八十二時間、続いてイギリス、ドイツ、エジプト、北朝鮮、インド、日本となります。それで、日本が六十五時間でございます。フランスは、今先生六十時間とおっしゃいましたが、一応六十二時間でございます。  それから使用言語の方でございますけれども、これはアメリカが五十一カ国語でやはり世界に向かって発信いたしております。二番目がロシアの四十六カ国語、中国が四十三カ国語、そしてイギリス、ドイツ、エジプト、イタリアというふうに続きまして、九番目が日本の二十二カ国語でございます。十番目はイランの十八カ国語ということに相なっています。
  109. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今国際放送について特に詳しく御説明いただいたわけでありますが、その分野を見るだけでも随分日本の場合はおくれている、ギャップがあるということをお聞きになった皆さんもお感じになったのではないかなというふうに思います。そういう意味で、この国際放送の分野もぜひとももっと力を入れていただきたいというお願いをいたしておきます。  そこで、営業活動並びに効率化の中で、大変な人員の節減もされてきたという御苦労があるかなというふうに思います。特に、今不況の中でスリム化をするということは、その受ける身にとりましては大変厳しい状況になるということでございますけれども、今後も引き続き効率化のための、今申しましたセーブマネー、それから特に人の面ではスリム、仕事の効率も考えてスリムということを言っているのだと思います。人の面につきまして従業員に動揺を来さないような格好でさらにスリムな格好にしていくということだと思いますが、そのあたりの基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  110. 安藤龍男

    ○安藤参考人 先生指摘のように、協会効率化をこの五年間、大変一生懸命努力をしてまいりました。経営計画のときのお約束であります、人的な経費の削減努力として二百億以上というのを掲げたわけでありますけれども、この五年間、平成二年から六年の五年間で合計千六百二十八名、これは六年度の要員削減二百五十を実現するということでその数字になるわけであります。これが二百二十億を超える人的経費の削減ということになるわけであります。  こういう努力をしたわけでありますけれども、一方、放送サービスの充実という課題も抱えております。スリムな体制の中でなおかつ放送サービスを充実していく、協会の業務を運営していくということのために、現在の段階では要員規模もある程度の一定のスリム化というところに達しているのではないかなということでありまして、七年度以降については今後の要員状況を見ながら、なおかつやはりどういう場合でも効率的な業務運営というのが必要でございますので、そういう観点を見ながらこの効率化というものについても少しスピードを緩めるような形で今後進めていきたいな、こういうふうにも考えております。
  111. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 企業体の経営というのは非常に長期にわたるものだというふうに考えておりまして、単に合理化をすればいいというわけではないわけでございまして、長期的視点、観点に立っての経営戦略というのがあってしかるべきだと思います。  現状を見ますと、平成七年度への繰越金もかなりの金額になる。同時に、値上げもする必要がないというのか、平成六年度はない。それから、たしかもう発表されていると思いますが、平成七年度も値上げをしないんだというようなことでございます。これはよろしゅうございますね、平成七年度も受信料の引き上げはしないということは。会長、それはよろしゅうございますか。会長、ちょっと。
  112. 川口幹夫

    ○川口参考人 平成七年度は値上げをしないということは、去年の一月の記者会見の中で私は発表しております。当然そのまま七年度は絶対しないということで進めます。
  113. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 会長、経営に非常に自信を持たれておられるわけでございまして、ぜひ国民の期待にこたえるような経営体を維持していっていただきたいというふうに思います。  その八つの課題の中の一つに関連団体というのがあるんですね。この関連団体の状況について御説明いただきたいと思います。
  114. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 御質問の趣旨が、どういう意味NHKは関連団体と一緒になって展開しているかということだろうと思いますが、今現在、多メディア化あるいは国際化が急速に進展いたしております一方、視聴者のニーズが大変多様化しております。こういう状況の中で、公共放送として使命を果たしていくためにはますます豊かで質のよい放送サービスをしていく必要があるということで、一方ではまたNHKが長年培ってきたノウハウを社会に還元する、そういう幅広い活動の中で視聴者の期待におこたえするというのがまた公共放送の使命であろうかと思います。  そういう意味で、NHKと関連団体が一緒になって今日的なそういった課題におこたえするようなことに取り組んでいるというふうに申し上げます。
  115. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 済みません、それじゃもう一回。  実は、かなりの数の関連団体があるということでございます。その中での財政状況、赤字会社があるとかないとか。もう少し説明すればよかったのですが、そういう質問の趣旨で、関連の団体におかれまして業務上なりわいが大変悪いんだとか、そういう問題があるかないかということについての質問、赤字会社がないとか、そういうようなことの質問になるわけでありますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  116. 齊藤曉

    ○齋藤参考人 詳しい資料を今手元に用意してございませんが、関連団体全体の決算の状況についてまずお話し申し上げます。  五年度の決算は、今作業を進めておる段階でまだ最終的に確定しておりません。おりませんが、これは経済不況の影響もございまして、平成四年度の決算数字と比べますとほぼ横ばい、あるいは若干下回る。これは公益法人等を全部ひっくるめまして、総額で大体二千億前後というのが売り上げでございます。  それから、赤字会社等があるかというお尋ねでございますが、御承知の大変な経済不況でございます。五年度に限っては幾つかの赤字決算になるだろうという関連団体が出ております。
  117. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今まで順調に経営が推移されてきた関連団体におかれましても、このような不況の中でございますので、それぞれの立場で御努力いただきまして健全経営に努めていただくようお願いを申し上げておきます。  そこで次になりますけれども、これは大臣から、局長からかな、ハイビジョンの関係質問に入っていきたいというふうに思います。  先日、従来のハイビジョンの放送を見直すがごとき新聞報道があったが、局長発言の真意についてお伺いしたいというふうに思うわけであります。もし大臣あれでしたら、もし大臣、所用ございましたらあれでございますけれども。
  118. 神崎武法

    神崎国務大臣 放送行政局長の発言があったわけでございますが、私どもも、二十一世紀を展望した将来のマルチメディアの中で、放送を含めました電気通信の技術、これがディジタル化していくであろうということ、これは世界の潮流である、このように認識をいたしているところでございます。放送行政局長の発言の真意というものも、こういった状況というものを正確に認識をして的確に対処をすることが重要である、こういう問題意識を表明したものというふうに受けとめております。  当面のミューズ方式によるハイビジョンの普及推進につきましては、従来の考え方と全く変わるものではない、このように考えております。
  119. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 大臣からしっかりとした、筋の通った御答弁をいただいたわけでありますが、問題発言という状況になったわけでありますが、江川局長、何か発言があればお聞きしたいと思います。
  120. 江川晃正

    江川政府委員 大臣から今御答弁をいただきました。全くそのとおりでございます。
  121. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 そこで、これからもハイビジョンを力強く推進していくというわけでありますが、とりあえずお聞きしたいのは、今までのこのハイビジョンに対する投資がどれほどのものになっているのかということ、そしてこれからどの程度の投資を必要とし、そして私の基本的な考え方は、高画質とともに、多チャンネルといいますか、やはり二つの機能をともに相あわせたものの高い目標に設定して向かうべきではないかなというふうに思っておりまして、画質とともにマルチ機能ということのハイビジョンという期待の中で、今後どのくらいの研究投資等々投資を考えていらっしゃるのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  122. 齊藤曉

    ○齋藤参考人 まず、これまでハイビジョンにどのくらいの投資をしてきたかという御質問お答えいたします。  総額で申し上げますと、六百七十四億円でございます。この内訳は、人件費等を含めまして番組関係経費として四百八十五億円、それから研究開発経費といたしまして百八十九億円、合計六百七十四億円でございます。  今後の投資にどういう姿勢で向がうかというお尋ねでございますが、今現在は事業収入の大体二%程度ということに限定して支出をしております。現在の受信者にハイビジョンの御負担を過分にかけるのはいかがなものかということで、大体二%程度を限度として経費としては支出しているということでございますが、先行きハイビジョンの普及の状況であるとか総合的に判断いたしまして、この経費のかけ方もあるいは検討する時期が間もなく来ようかと思います。
  123. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 そこで、今六百数十億の話を聞かせていただいて、これはかなり長い間かかっての投資額だと思いますので、ならすと年間そんなに多くないのかなという感がしないでもないわけであります。  大事なことは、国民の期待にこたえられるものがきちっとでき上がるかどうかということにあるのだというふうに思っておりまして、特に技術面での確立ということが急務だと思います。アメリカとの関係、それから世界との関係、こういった中でのハイビジョンがあるわけでございます。もちろん、アナログかディジタルか、こういった議論も先般来あるわけでありますが、私が一番心配しているのは、技術面で欧米に負けてはならないということでございます。特に過去の経験から、ビデオテープの問題でベータ・VHS戦争等々があって、一つのやり方が全く跡形もなくなってしまったという歴史があるわけでございまして、そんな中でNHKのハイビジョンは、確かに撮影と受ける方はディジタルだけれども真ん中の送信のところがアナログだという説明で多分いいんだと思うのでありますが、結果、それが大きなおくれとなって、世界のハイテク戦争の中で包囲網をつくられて、そして日本のそのハイテク分野が衰退していく、またおくれをとってしまう、そういう危惧を私自身抱くのでありますが、その点について技術的な問題についてお聞きしたいと思います。
  124. 森川脩一

    ○森川参考人 お答えいたします。  NHKは何か古い方式に固執して将来のハイテク戦争におくれをとるのではないかというお尋ねでございますが、これはむしろ今逆であろう。  NHKは、NHKといいますか日本のハイビジョンと申しますのは、過去長い間かかっていろいろなことを検討し、開発し、研究し、実用化に今至っているわけです。既に実験放送、試験放送あわせて五年近い、しかも一日九時間とか十時間とかいうオーダーで実際に放送電波を出しています。このことは、世界の中にこういう国はまだ全く見られていません。  それから、この方式は将来出てくるであろう新しい技術との間の相関性といいますか、互換性といいますか、そういうものについても全く問題のないようにいろいろなことで配慮をして進めてきているものでございます。  それから、さらに将来に向けて、先生命お触れになりましたいろいろなマルチ的なメディアの時代、そういうものに向けてさらに新たなサービスの開発というものも私どもやっております。これはまだ研究段階に今ありますけれども、一層新しいディジタルの技術というものを使いまして、駆使をいたしまして、いろいろな複合的なメディアというものを開発していこう、あらゆる映像、音声、データ通信、その他もろもろの信号を一つのディジタルという物差しに統一化をしまして、それをある一つのチャンネルで家庭に伝送し、一つの受信機でいろいろなマルチ的な映像や音声を楽しむ、あるいは場合によってはそういうものを複合して楽しむということによってさらに新たなサービスの時代が開けるだろうということを目指してそういう研究も進めております。  今後も私ども、先生指摘のように、世界の動きにおくれをとらないようにいろいろ努力してまいりたいと思っている次第でございます。
  125. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今の御答弁を聞きまして、私の質問が悪かったのかなという感がいたしております。それは、私はこういう質問をしちゃったのですね。技術で欧米におくれるな、こういう質問をしちゃったのですが、逆に、技術で欧米はおくれるな、こういうような感じでとったので、多分これの方が正しいのかなと。私が聞くところ、十年欧米に比べて日本のハイビジョンは進んでいるんだという評価があるというふうに聞いておりますので、どうぞ逆に日本のこのハイビジョンが世界への中心的技術となるように、また世界を覆うような技術になるようにこれからも技術開発に全力を挙げていただきたいと思うわけであります。  そこで、実際使う方の立場、見る方の立場からいいますと、まだ実験放送段階で二万台というのは、これはある意味では驚異的な数字ではないかなというふうに思っているわけであります。ただ、一般国民に対してはまだまだインパクトが弱いというのが私の感じでございます。  一つは、価格の問題がある。確かに百万、二百万円のオーダーから今数十万円まで落ちてきたことは事実でありますが、その価格の問題が一つ。もう一つはスペースの問題で、大変大型になるものですから、ウサギ小屋に住む日本人にはなかなかなじみにくい、なじまない、これが一つあるのだと思う。もう一つ番組が少ない、これはこれから努力していただけるというさっきの答弁があったかと思いますが。もう一つは限界効用が低いといいますか、同じお金をかけてもある程度の効用を持ったものについては効用が逓減する、そういうような位置づけになるのではないかな。そのためには、新しいニーズとか新しい魅力がそのハイビジョンになければならないのではないかというふうに思うわけであります。例えばスペースが実は半分で済む、特にこの奥行きが非常にあるものですから、ここら辺が実は半分になっちゃうんだとか、そういう技術がもっともっとあるならば披瀝すべきではないかなと思いますし、価格の面におきましても、今大体二十万とか三十万でテレビを買える、同じ値段でハイビジョンも買えるんだということになると、これは大きなインパクトになるわけでありますが、そこら辺の技術的な見通しというのはいかがでございましょうか。
  126. 森川脩一

    ○森川参考人 まず、受信機の価格でございますが、発売当初から極めて短い期間に急激に価格が下がってきております。御承知のとおり、平成三年に最初のハイビジョン受信機が正札をつけて売り出されたときは四百五十万でございましたが、それから二年弱で六十五万円まで今下がってきております。今後さらに、受像機の中に使います部品の集積度を高めたり、あるいはそれを量産をさらに促進するということによりまして一層この値段は下がっていくであろうと見込まれておりまして、これから三年、五年のうちには今のテレビとそう大幅に値段の差がなくなる、そういうレベルに達するであろうというふうに考えております。  それから二点目のスペースについてのお尋ねでございますが、確かに今家庭用の受信機として今の方式では二十八インチとか三十二とかいう大きさの製品が、それ並みの製品が主流になっておりますが、今後はいろいろな部屋の大きさだとか、実際に置きやすい大きさだとかということに応じていろいろな画面サイズのものが出てくるであろうと思います。ただ、決定的な問題は、やはり奥行きが非常に大きいということが先生指摘のようにございますので、今私ども技術研究所で壁がけテレビ、薄型テレビの研究開発を進めています。大体今は四十インチクラスのものの試作に成功いたしておりまして、これは昨年の技術研究所の一般公開でもごらんに入れましたけれども、これをことし、来年に向けてさらに完成度を高めまして、同時に、この四十型というサイズももう一回り大きなものに取り組みまして、来る長野のオリンピックのときにはぜひ実用に持ち込みたいという意気込みで、今せっかく研究開発を進めているところでございます。  それから、三つ目の限界効用の問題でございますが、まずハイビジョンの放送時間、これが十分ないとやはりハイビジョンというのは広まりません。御承知のように、ことしの四月からこれが一時間延ばして十時間に延長されるというぐあいに伺っております。  それから、本年末には、先ほど郵政省からも御説明がございましたけれども、実用化試験放送という一歩進んだ段階に入り込んで、この場合には番組提供者が独自の放送免許を取得しまして、主体的に多彩な番組放送できるというチャンスがいよいよ到来するものというふうに我々は期待をしているわけでございます。  それから、BS3の次のBS4の衛星の時代になりますと、さらにチャンネルの数そのものがまた大幅にふえることが期待されるわけでして、番組の中身についても、一層バラエティーに富んだものが放送されるだろうということが期待できるわけです。  また、さらに、オンエアばかりではなくて、ハイビジョンの家庭用のVTRであるとか、家庭用のビデオディスクであるとか、そういうものが既に市場に出てまいっておるわけですけれども、こういうものが、先々へ向けましてもっと種類もふえ、もっと内容も充実され、画面もきれいになりということがどんどん進んでいくことが期待できますので、以上を総合しまして、限界効用の限界というのもだんだんそのレベルが上がっていくのではないかというふうに期待をしている次第でございます。
  127. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 大変先行き明るい、期待の持てる答弁をいただいたわけでありますが、さらにこれを一歩進めるという意味で、例えば、歴史の中で自動車電話というのがあった。また、携帯電話というのがあった。これが高いころは、大体リースで最初はやっていくわけですね。それから後は買い取りに入っていく、安くなったら買い取りに入っていく。大体これが大きなトレンドになっているわけでありますけれども、このハイビジョンそのものを、受信機、受像機を、これをリースでもっと拡大して購入してもらう、こういうような考えはいかがなものでしょうか。
  128. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 受像機が六十万とか六十五万とかまだかなり高い段階ですから、リース会社という発想もあるいは知恵かと思いますけれども、これをNHKの関連団体が、例えばやるということが果たして適当かどうかという問題が、まず一点ございます。  それから、リースそのものが、ではビジネスとして成り立つのかどうかという側面もございます。例えて申し上げれば、年々急速に廉価になっていく、定価が下がっていくというような状況の中で、コストパフォーマンスの面で早く陳腐化していくというか、そういう中でレンタル事業として成立があるいは困難ではないか。あるいは、テレビ受像機の耐用年数は大体八年から十年程度と言われておりますが、リース契約では大体これを三年か四年で償却する、それを分割して価格設定をしております。そういう意味では、レンタル料がかなり高くなるということもございます。  それから、日本の家庭の習慣として、なかなかリースでこういうことを利用するということはまだまだ少ないという側面もございます。  そういったことで、レンタル、リースを行っている業者は現在いないのではないかというふうに思っております。企業を対象にしたリース、これは一部行っております。
  129. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 いずれにしろ、このハイビジョンというのは、私はマルチメディア時代到来の中で、映像と、コンピューター並びにデータ、さらに電話、こういったものの一体化の中でのこの映像部門を受け持つ非常に大事なところだと思っておりますので、このハイビジョンの成功と、今もう既に成功しているわけでありますが、さらなる発展というのが非常に重要になるということで、ぜひNHKの技術陣の奮起をお願いいたしたいと思います。  そこで、次に行きたいと思いますが、やらせの問題につきましてお聞きしたいと思います。  たしか、昨年だったと思いますが、ムスタン王国の件で大変世間を騒がしたわけでございまして、その後、NHKとしてはすぐに社内体制を整備いたしまして、再発防止とか質の高い番組づくりということで取り組んでおられるということでございます。その後、そのような組織、チェックシステム等々がどのように機能しているのか、御説明いただきたいと思います。
  130. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  ムスタンの事件が起こりまして、我々放送現場の一人一人がみずから倫理意識を高めなければいけないということが促されたわけで、部内に、放送現場の倫理に関する委員会というのをその直後から設置しておりまして、日常的に番組制作の方法等々を検証しております。それから、この御審議の中でもたびたび引用させていただいていますが、「NHK番組基準ハンドブック」というものの改定を早急に行いました。そればかりではなくて、民放と共同でNHK民放番組倫理委員会というのを設置いたしまして、提言のパンフレットをつくったほか、シンポジウムもこれまで一回開いております。  取材する側がどれだけ事実を忠実にお伝えするか。それも多角的にお伝えするか。それも取材される側に立って、取材のマナー、制作者の取材者に対する態度、そういうことまでも含めた放送現場の一人一人の倫理意識というものをどう高めるかということでこの一年以上努力してまいりました。つい先日は、ムスタンから一年、放送現場で具体的に何がどのくらいやはり問題になったか、あの問題がどれだけ現場に浸透しているかということの点検も行っております。
  131. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 ですから、御答弁いただきましたように、その後きちっとした対応をし、それぞれのシステムが機能しているということでございます。再びあのようなことが起きないように切望いたします。  次に、民業圧迫について少しお尋ねしたいというふうに思います。  最近、この三月でございますが、日本民間放送連盟の方から資料が送られてまいりまして、「NHKの「商業化」問題に関する調査報告書」というのを入手したわけでございます。その中で、NHKが民業を圧迫しているのではないかという指摘があるわけでございますが、この書き出しを見ますと、基本的には「民放NHKの併存体制を揺るぎないものにするために」ということで、この報告書が出されているわけでございます。  御案内のように、民放というのは広告収入で、そしてNHKは受信料で、それぞれ異なった財源によって成り立っているものでございまして、「世界にも誇れる日本の併存体制を堅持していくことが、放送業界全体の望ましい発展をもたらし、視聴者国民の基本的な利益につながると考えているからである。」ということで、民放側も基本的には共栄共存ということをうたっているわけでございます。  そんな中で商業化についての警鐘ということで報告書があるわけでございますが、川口会長におかれましてはマスコミで節度を持ってということを御発言されているようでございますが、この問題について御意見があれば承りたいと思います。
  132. 齊藤曉

    ○齋藤参考人 先ほどもちょっと関連団体あるいはNHK事業について触れさせていただきましたが、ちょっと繰り返しになりますけれども、改めまして現在の多メディア化あるいは国際化、視聴者のニーズの多様化という中でNHK並びにNHKの関連団体の役割についてちょっと申し上げたいと思います。  こういったニーズの多様化する中、あるいは情報化社会の中で公共放送の使命を果たしていくためにはますます豊かで質のよい放送サービスということがまず大事であろうかと思います。NHKは、昨年の二月公表いたしました「NHK将来構想」の中で、関連団体を創造的文化集団という位置づけをしております。NHKと協力してより豊かな放送サービスを追求する、同時にNHKグループの持つ知的蓄積、これを多角的に活用いたしまして社会の多様なニーズにおこたえする、それによって公共放送の使命を達成するんだということで創造的文化集団という位置づけをしております。  そこで、こうした関連団体の果実と申しますか成果は、よりよい番組の提供や受信料負担の抑制、軽減という形で視聴者に還元されていくというものでございまして、決してNHK自身の営利を獲得するという目的ではございません。私どもは、かねてから会長も申しておりますが、NHK民放がそれぞれの持ち味を生かして視聴者の多様な要望におこたえし、地域社会の発展あるいは文化の向上に貢献することが基本的な役割というふうに考えておりまして、今後とも民放との共存あるいは協調に十分配意するとともに、NHKの関連団体は公共放送事業を分担、補完あるいは支援することを第一の役割、目的といだしている、そういうことを踏まえまして、株式会社ではございますが、関連団体といえども決して過大な営利に走ることなく、節度を持った事業運営を心がける、そういう指導を十分いたしていきたいというふうに思っております。
  133. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 これは所管がともに民放NHK郵政省でございますので、その点郵政省のお考えを聞きたいというふうに思います。
  134. 江川晃正

    江川政府委員 NHKの関連団体というのは、先ほどお答えにございますように、NHKの業務を支援し、あるいはNHKの効率化を促進する、図る、そういう目的で設立されているわけでございます。したがいまして、そういう団体の営業活動というのはこういうふうな目的に沿って行われることが不可欠でございまして、そういう節度を持って行動していただくということになろうと思います。  郵政省といたしましては、今後ともNHKが関連団体の事業活動に十分配慮し、NHKの商業化と批判されないように、批判を受けることのないように行動していくよう期待しているところでございます。
  135. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 時間が残り少なくなりましたので、最後に一つお願いをしておきたいというふうに思います。  公共放送であるNHKは私はやはり世界平和とか、戦争防止とか、人類融和とか、そういったことに大きく貢献すべきではないかというふうに思っています。これは映像を通じて、また番組編成を通じて行っていただかなければならないということでございまして、これからもそのような努力を重ねていっていただきたいとお願いを申し上げる次第です。私は最近「アジア・ハイウェイ」というような番組を見させていただきましたし、またかつては「シルクロード」、こういった文化面、それから「アンコールワット」等々、やはり非常に訴えるものが強いんだと思っておりまして、これからのNHKの活躍を期待いたしたいというふうに思います。  ただ、一つ注意していただきたいのは、今回の米騒動の中で、例えばタイ米について、これはどちらかというと評価が低い報道がなされた等々がありまして、私はやはり、これはNHKということじゃなくて一般論で申し上げていますけれども、非常に日本の放送としては残念なことだったなというふうに思っておりまして、ぜひ国際関係を損なわないようなそういった配慮の中で報道をしていただきたいというふうに思っております。  そこで、いよいよ最後になりますが、私は現代は大スポーツ時代だというふうに思っておりまして、このスポーツをいかにまた映像に乗っけていただくか、これも大きな文化ではないかなと思っております。余り放映されていないスポーツ、例えば国民体育大会というのがあるんです。これは日本国じゅうの国民が四十七都道府県単位で戦うわけでありますけれども、余り放映をされない。また地方でのスポーツ番組等々もどうも放映が少ないようだ。それだけの価値がないという判断をされているのかもしれませんが、私は、そういったもののダイジェスト版を、今深夜劇場もあるくらいですから、例えば全土日の深夜にかけて、今決められている放送外の枠組みでされる、それもまた地方発信というようなことで地方のための番組、こういうようなことで企画され、検討されることを切にお願いを申し上げておきます。  そこで最後に、川口会長は文学とか文化論にお強いということでございますが、こういう意見があるということでお聞きいただきたいと思います。  スポーツの文化文明論でありますが、非動物性エネルギーをどれだけ使うかではかるというのが文明、文化というのは動物性エネルギーの洗練された使い方ではかる。例えばその動物性エネルギーがむき出しのまま出される、これは戦争であり、余りいい言葉じゃないけれどもレイプであるとか、そういう状況である。しかし、洗練されたもの、それは大変感動的なものだし、また感銘を呼ぶものだ。これは例えばオリンピックのあのひたむきな、そしてあの汗の中の栄光であるのだと思うわけでありますが、このスポーツと文化ということについて、何か最後に会長、御意見があれば、会長の文化論をお聞かせいただきたいと思います。
  136. 川口幹夫

    ○川口参考人 私もスポーツは大好きでございます。ただ、大変不器用なたちでございまして、体力がないものですから自分でやる方は余りいけないのですが、見る方ではもう人後に落ちません。そして同時に、スポーツを文化的活動というふうに認識しております。単なる駆けつこ、単なる取っ組み合いということではなくて、その中に人類が持っている能力をどこまで引き上げるかという問題があるかと思います。同時に、スポーツを通じて精神的な融和、交流というふうなものができるわけですから、今オリンピックがそういう意味では非常に大きな世界的な役割を果たしております。そのオリンピックでさえもだんだん商業主義になってくるんじゃないかという心配がありますけれども、私どもは放送事業者としてそういうものに対しても純粋のスポーツは人間の文化だという位置づけで対応してまいりたい。  おっしゃるように、多少時代によって非常にたくさん放送されるものと余り放送されないものと出てまいります。しかし、これは我々がその段階で幾つかのあんばいをしなければいけないことではないかと思っておりまして、不当に放送されないものがいつまでも残る、ふえるということは決してよくない、できるだけスポーツを文化としてとらえたい、こう思っております。
  137. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 以上で終わります。
  138. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、矢島恒夫君。
  139. 矢島恒夫

    ○矢島委員 昨日からきょうにかけての当委員会の論議の中でもやはり政治報道をめぐっての論議がたくさんありました。この一年間を振り返ってみましても、やはりテレビの政治報道、これが大きな議論になってきたわけであります。やはり放送の自由というものは、憲法に保障されている国民の知る権利を保障するといっためにも断固擁護されなきゃならないものだと思います。同時に、放送事業者によって恣意的な報道がされるということとはこの問題は絶対に相入れない問題だと思います。  そこで、川口会長さんにお聞きしたいのですが、予算の中にも記念事業費というのが含まれておりますが、いよいよ来年七十周年をNHKは迎える、こういうことですが、この七十年間の歴史というものを一律に評価することはできないということは当然だと思います。とりわけ最初の二十年間というものは、あの侵略戦争に国民を動員するという重要な手段となった。私はここにNHKが出版されました「放送五十年史」というのをお持ちしたわけなんです。その中にこういう記述があるわけです。  「日中戦争への突入によって、政府の放送に対する統制はいちだんときびしくなったが、統制には二つの側面があった。その一つは、軍事機密や一般の治安に関する報道の差し止め事項という“知らせない”統制である。もう一つは、世論を統一するために、放送新聞、出版、映画を積極的に利用しようとするものであった。」こういう記述がこの「五十年史」の中にあるわけです。  放送が、国民に知らせないということだけではなくて、戦争というものに世論を統一していく、こういうことに時の政府に利用されたというのがこの中の記述だと思うんです。このことはNHKにとってやはり二度と繰り返してはならない歴史上の教訓だろうと思うんですね。放送の自由、つまり国民の知る権利にこたえるための自由、国民の自由というものが非常に重要なんだということをこの記述はその中に含めていると思います。そういう放送が政府のいわゆる世論誘導というようなものに加担してはならないというところに重要な教訓があるのではないかと思います。  そこで、いよいよ七十周年を迎えるに当たって、この点での会長の御見解をまずお聞きしたいと思います。
  140. 川口幹夫

    ○川口参考人 私がNHKに入りましたのが一九五〇年、昭和二十五年でございます。その年に新しい放送法ができまして、二十六年には民間放送も設立されるというふうなことでございました。  今おっしゃられたその戦時中あるいは戦争前のラジオ放送については、非常に私は実感としては余り持っておりません。ただし、そういう検閲があったり、それから戦況を誇大に報告したり、あるいは隠したりということもあったということは十分想像できますし、そういうことから離れて、新しい放送法は、自由な立場報道をすること、そして国民の福祉のために放送が寄与しなければいけないということを記したものだと思います。  以後の五十年近く、また私どもがそのことに向かって営々としてやってきたと思っておりますが、特に、二十八年のテレビ放送開始以来、テレビが本当に燎原の火のように国民生活の中に入っていきました。そして、本当に茶の間の存在としては最大級のものになってしまった。そこで、多分にテレビに携わっている者がいささかの思い上がりだとか思い違いだとかいうようなことをやってきたということは、これは私は否定できないと思うんです。私らの中にもそのようなことで思い上がった形であらわれたものもありますし、これは放送を出す者として深く反省しなければいけないと思っております。  また、来年いよいよ放送関始七十年を迎えますので、これを機に私どもは、ちょっときざな言葉ですが、ネクスト10という題で次の十年を考えようということを今考えております。  そして、この七十年を一つの境目にして、これまでやってきた放送のいいところをさらに生かす、それから悪いところはこれをなくする、そして新しい放送のあり方、報道ではどうである、あるいは文化、教養というところではどうである、娯楽はどうなのかというところをきちんと位置づけて、国民の皆様のお役に立つような放送ということにこの七十年からさらに拍車をかけてまいりたい、そういうふうに思っております。
  141. 矢島恒夫

    ○矢島委員 やはり戦前の教訓というのは、この記述の中にもあるように、世論誘導といいますか、一定の方向に時の政治勢力によって持っていかれる、それを放送というものが加担してはならないんだということだろうと思います。  そこで、きのうからずっと論議になっております政治報道の中で大きな問題となっているのは、やはり政治的公平、こういう問題であると思うのです。  具体的にいろいろ出されましたが、テレビ朝日のいわゆる前報道局長の発言、いろいろ私もあの問題で報道局長の発言を議事録で見ましたけれども、やはり自分たちは公平な報道はしてこなかったとか、あるいは共産党を排除することが公平だというような大変な発言を行っていて大きな問題になったとか、その後のいわゆる一連の政治改革にかかわるこの報道、これも、小選挙区制を導入しようとしている、そういうのがいわゆる改革推進派、こういうように報道されてまいりました。  放送というのは、ほかの新聞やあるいは出版物と違って、電波を独占的に使用するという意味から、より一層そういう部分での政治的公平ということが求められている。これは昨日来いろいろと論議のあったところであります。  ところで、昨日からの論議あるいはまた椿発言を中心とするその間の議論、こういうものに対して、会長はどういうように受けとめられているか、お聞かせいただきたい。
  142. 川口幹夫

    ○川口参考人 あの事件については、私は非常に残念だったと思っております。それは、放送に従事している、しかも報道責任者の立場の方があのような発言をなさり、またそういうふうに考えておられたということは非常に残念であったと思うのです。あの直後にも記者会見等がありましたので、私は自分の考えを言いましたけれども、放送は、特にNHKはそういうことに対しては極端に公平、公正を期すべしだ、ではその公正とは何かというふうなことを聞かれましたので、それは我々がみずからを絶えず省みて、常に一番公正であろうとする努力だというふうなことを言ったこともございます。  そういう意味では、私はNHKは特に偏ってはいけない、常に公平であることを努力としてしなければいけないというふうに思っておりますし、日常の番組でもそのような指導をしてきているつもりでございます。
  143. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そこで、具体的な問題でちょっとお聞きしたいのですが、そういう努力をNHKとしてやられているというお話ですけれども、例えば日曜日の午前中に討論番組というものがあります。そのときどきの政治やあるいは経済の問題、これを各政党の代表が出席いたしまして、そして国民の前での公開討論をやるということですから、一般論としては、民主主義の面で大切な番組だ、こういうふうに思います。  しかし、こういう番組でこそ、政治的公平だとかあるいは意見の分かれている問題については多面的にこれを取り上げていくという見地が徹底されなければならないのではないかと私は思うわけです。  それで、この一年間の日曜日の朝の討論番組放送内容を調べてみました。それで、その中で幾つか問題があるのではないかというので御指摘申し上げたいのです。  例えば、九月十九日、「どう変わる日本の政治 徹底検証・政治改革関連法案」という番組を放映されました。それで、そのときに出席した出席者という欄がございますが、武村内閣官房長官と自民党の三塚さん、この二人になっているわけであります。どう見ましても、この二人の方、いわゆる小選挙区制推進という立場を表明された方であります。  この九月という時期にこういう番組をつくられたことが適当なのかどうかという問題は、その後、この政治改革関連法案については参議院において否決されるという場面もあったわけであります。そうしますと、この段階で、意見の分かれているこの重要な問題について、推進するという立場の方の出席による番組というのが多面的にいろいろな意見を聞く番組であったのかどうか、こういう点。  もう一つ、これは十二月五日の番組ですけれども、「平成不況 今何をなすべきか」、こういう討論番組です。ここに出席された方は、新生党の渡部代表幹事と自民党の橋本政調会長だけだった。  それで、先ほど会長さんの御答弁にありましたように、やはり政治的な放送については、とりわけNHKとして公正、公平という観点で進めていくのだと御決意があったわけですが、どうもこういう番組を見ますと、意見の分かれている問題を正確に代表する人たちの討論番組ではないのではないか。反対に、時の政治権力がねらっている一つの方向へ、世論の統一と先ほどは私申し上げましたけれども、これに利用される結果になってしまうのではないか。  ですから、一般的に放送法規定を守るのだ、厳守するのだということを繰り返しているだけではなくて、厳格に実践していくという点、まさに日本の民主主義にかかわる重要な問題である、こういうものは改善されるべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  144. 川口幹夫

    ○川口参考人 公平の維持ということについては、二つ観点があると思うのです。  一つは、放送される番組の中身、例えば一時間ですとか九十分ですとか、そういう中でまんべんなくいろいろな形での意見を取り入れるというのと、一回でなくて二回、三回、あるいは月間を通してとか、年間を通してとかいう中でバランスよく御紹介するという番組と、その辺がまた一つの公平さを保つゆえんではなかろうかと思うのです。  それから出演者の数も、物によってはお二人だけで徹底的にやった方がわかりやすくて、はっきりとその論旨がわかるとか、それからこれはもう全く、何人かの方がお出になって、そしてそれぞれきちんと御自分の御意見を多数の方がお述べになるというのがいい場合と、いろいろあろうかと思うのです。これを一律にすると、それはいわゆる悪平等といいますか、そういう格好になってしまうのではないかと私は思っております。  したがって、年間ないしは月間、そして番組全体のトータルを通して、公平性を失わないようにするというふうなことでやるべきではないかというぐあいに思っております。  今おっしゃった番組内容は、そういう形で実施されたものではなかろうかと思います。
  145. 矢島恒夫

    ○矢島委員 一定の期間の中での公平、公正さという点も見なければならない、それはそのとおりだと思うのです。  ただ、私が今挙げた二つ番組につきましては、そのテーマに本当にふさわしい人なのかという点が一つあるわけです。  もう一つは、国民世論の中でもいろいろな、反対もあれば賛成もあるというような問題については、やはり多角的にそういう意見番組の中に反映されるような人選をするべきだ、こう思うわけです。  もちろん、この二つは不公平だったと会長さんが認められるとは思いませんけれども、やはり今後、長い間隔といってもその場面しか見なかった国民もおるだろうと思います、それは制作の方では一定の段取りをとりながらやっても。いろいろそういう面も配慮しながら、公平、公正という点について厳格に対処していくということが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  146. 川口幹夫

    ○川口参考人 私も、できるだけ公正を期したい、そして公正に見えるような形で番組をつくって、国民の前にお示ししたいと思います。  ただ、いろいろな考え方がありますので、必ずしも担当者が思ったとおりがそのまま受けとめられているかどうか、これはやはり時々わからなくなります。したがって、担当者の方にもさらに勉強をさせまして、私どもは、どれが一番いい形での公正さを保つことになるのか、そういうことを絶えず検証しながら、やらせていきたいと思います。
  147. 矢島恒夫

    ○矢島委員 別の角度からちょっとその問題についてお聞きしたいのですが、これは一月二十九日の全国紙に出された「アピール」ということでの「マスコミは自由な言論守れ」という投書であります。  この投書の中に、こういう部分があるのです。「今、多くのマスコミは政治改革法案賛成の立場での報道を繰り返している。同法案に賛否両論があるのは当然であり、それが社説で表明されるのであれば問題はない。しかし、テレビ番組の司会者が」こういうことを言う。「だれが反対したか、今度の選挙の時のためによく観察しましょう」、こういう司会者がいた。こういう正義ぶっているのは、「民主主義の原則からみて問題はないのか。」こういう投書があるわけです。  それで、時間の関係で、このことについてちょっと短く、御感想があれば。
  148. 川口幹夫

    ○川口参考人 確かにそのようなことを発言したキャスター民放にいたことは、私も知っております。  ただ、NHKは、終始この問題に関しては、キャスターは個人のコメントは言わないということを前提にしておりまして、特に、例えば片言隻句、小さな言葉をぽろぽろと漏らすことによって、何となくムードがおかしくなるということがあるのではないかと私は思うのですね。ですから、キャスターは、あくまでも公平な立場で事実を申し述べる、あるいは、事実についてのいろいろな延言を聞くというふうなことに徹すべきだと思っておりまして、それをずっと徹底してきているつもりでございます。今後とも、そのようなことは心してまいりたいと思います。
  149. 矢島恒夫

    ○矢島委員 確かに徹底されているということですが、残念ながらNHKにもあったわけですね。  これはちょっと前になりますが、海部内閣の時代のときなのです。政治改革法案というのがあのとき出されました。それで、選挙制度はいわゆる小選挙区並立制であります。政治改革だと言いながら選挙制度をすりかえる動きというのがここから始まっていると私たち指摘しているわけです。  九一年の七月八日なのですけれども、ニュース解説で解説委員が、政治改革に熱心でない政党、議員に投票するな、こういう呼びかけを番組中で行ったのです。こうした呼びかけは、先ほどの投書がありましたけれども、NHK番組はまさにそのはしりというようなことじゃないだろうか、私はこの番組を見ていてそう思いました。問題は、私はこうしたマスコミの動きというものがいわゆる偶然に起こっているものだとは考えないわけです。  というのは、そもそもこの政治改革、いわゆる小選挙区制を導入しようとする一連の動きの始まりは、第八次選挙制度審議会というところで答申が出されたのが、現在成立したところの比例代表が二百、小選挙区三百、こういう答申が出されているわけです。この審議会の構成メンバーを見てみますと、何といっても異様としか言えないような構成になっています。といいますのは、委員は二十七名いるわけです。そのうち十二人がマスコミ関係者なのですね。もちろん審議会の会長新聞協会会長であるところの小林読売新聞会長です。以下、日経の社長、朝日、毎日、読売、産経、論説委員長や、あるいは論説委員放送界の方を見てみますと、NHKの成田解説委員長、それと、民間放送連盟の会長が入っている、こういう構成になっているわけです。  それで、審議会のメンバーが答申を出すということになれば、これはその答申に責任を持つ、これは一方で当然の成り行きだと思うのです。これは政府がそれを期待するものだと。つまり、審議会の中に取り込んでおいてそして答申を出させ、その答申が政府の思惑の方向であり、それを推し進めていくような方向、これがマスコミを取り込んだ一つの大きな期待であり、またその理由であると思うのです。  それで、先ほど私、戦前のことで、国民に知らせないというだけではなくて、世論を統一するという役割も当時の政府のやり方によってNHKがやらされたのだというこの記述を引用したわけですけれども、少なくともこの選挙制度審議会にNHKを含めたマスコミ各社の幹部を取り込んだこういう政府の意図はまさに明らかだろうと思うのです。ですから、世論の統一のために報道の自由を制限するというようなことが一つのねらいであるというのは間違いないと思うのですが、会長見解をお聞きしたい。
  150. 川口幹夫

    ○川口参考人 先ほどの解説委員の話は、私は実は初耳でございまして、私の就任前だったのかなというふうに思いますが、その後は厳に戒めておりますから、そのような発言をすることはないだろうと思います。  それから、政府の審議会の委員というようなことで、マスコミの関係者、特にNHK、一番多いのですが、現在たくさん任用されております。これはもうそのとおりです。ただ、これに対してこれまでどういうふうに我々が考えてきたかといいますと、やはり国民一般の中の代表という位置づけが一つ、それからジャーナリストとしての位置づけが一つ、この二つで政府からは審議会の委員になってほしいというふうに言ってこられたのだろうと思うのです。私どももそれに対して、これは絶対だめだという反対する意見特段なかったものですからオーケーをしていたのですけれども、最近はこれについてはやはり慎重に考えようというふうなことを思っております。  特に、例えば地震のことについて非常に専門家がおります。それから、お米の問題についても専門家がおります。そういう人が審議会に入ることは大変いいだろうけれども、名前だけで入るようなことについてはどうでしょうかと。一応御要望があってもその段階でお話し合いをして、それから決めるというふうに慎重な姿勢をとることにしております。
  151. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今会長の方からもお話がありましたけれども、いろいろな審議会、もちろん私、今選挙制度審議会についてだけちょっとお聞きしてみたわけですけれども、確かにNHKの職員の皆さん方、政府の審議会の委員に、あるいはまた懇談会とか研究会とか、いろいろ名前があるようですけれども、そういう、政府ではなく、私的諮問機関と申しましょうか、そういうところにたくさん就任していらっしゃるようですけれども、その就任状況、どういう状況か、ちょっと聞きたいのですが。
  152. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  行政組織法に基づいて設置されている政府の審議会が全部で二百十二ございますが、この中でNHK関係者が現在委員に就任している審議会の数は三十五でございます。実員数は二十三人で、二十三人の内訳は、NHKの職員が十五人、NHK職員OB、それで部外解説委員を委嘱している方が七人ということになっております。
  153. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今お話があったのは、実際に私が資料をいただいたところによりますと、そのほか、アナウンサーの方、そのほかたくさんいらっしゃいまして、私的諮問機関的なものを含めますと相当数の方々が、それぞれOBあるいは職員、ちよっと数が数え切れないぐらいに資料の中でも出ておりますし、これがすべてではないということで、その他、今お答えのあったいわゆる公的審議会以外にも私的諮問機関にもたくさんいらっしゃるという状況、これをお聞きしているわけなのですけれども、確かに先ほど会長さんがおっしゃられますように、放送関係の技術基準などを少し検討しようとか、そういう機関であれば、これはまあ専門家としてNHKの職員が参加するということはあり得ることであると私も思います。  しかし、調べてみたところ、どうも一般的な政策を検討するような場面、こういう審議機関などにジャーナリストが多数参加している。今日、法律の改正をやろうとか、あるいは制度の改革を行うときに、多くがこの審議会あるいはまた私的諮問機関、そういうところから答申、報告、こういうものを受けて、それが大体その線に沿って進められる。いわば政策を決定する内側にこのジャーナリストの人たちが取り込まれる。こういうことが本当に公平な報道、あの政治改革推進の場面の推進派と守旧派の問題なども含めて、多角的な報道、こういうのができるのかという点に大変疑問を持つわけです。  先ほど一部既にお答えいただいているわけですけれども、見直すべきは見直す、是正するべきは正すということだろうと思うのですが、もう一度よろしくお願いします。
  154. 川口幹夫

    ○川口参考人 審議会の委員NHKから入っているからといって、報道そのものを曲げるとか、あるいはどこかにくみするとかいうことは絶対やってはいけないことであります。もちろんそういうものにはきちんと対処しているつもりでございますけれども、その入っていることだけである種の色眼鏡で見られる。先生おっしゃるような御議論もあります。私どもも、そのことについては、先ほど申し上げましたように適切な協議をして、それで必要か必要でないか、これはやはりやってもらうべきだというようなことであればやらせますし、そうでなければお断りするというようなことをやるつもりでございます。
  155. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ、報道の公正、公平の観点あるいはまた審議会の問題等、国民世論を一定の方向に統一していこうなどということがあってはならないことだと思いますので、十分その点を推し進めてもらいたいと思います。  時間の関係がありますので、次の質問に入らせていただきます。  放送関係の政府開発援助、ODAですね、この問題でお聞きしたいのですが、我が国のこのODAというのは、いわゆる要請主義というのをとっている、こうお聞きしているのですが、この要請主義というのはどういうことなのかということ、また、相手国が技術開発についての要請があったというときにコンサルタント会社やあるいは事業者、こういうのが決まっていくわけですけれども、どんな手続で、どんな機構になって、段取りで進められていくのか、それを郵政省の方にちょっとお聞きします。
  156. 谷公士

    ○谷説明員 お答えいたします。  要請主義でございますけれども、当該国は当該国を開発していくためにそれぞれの計画を持っております。その計画を尊重いたしまして、当該国の希望に従って必要な協力をしていくという考え方で、当該国の申し出をもとにして案件を検討いたしております。  それから、コンサルタント等の手続でございますけれども、コンサルタントが活躍します分野と申しますのは、事前のプロジェクトの発掘の段階、それから援助が決定いたしましてからの基本的な計画の策定の段階、それから工事その他を施工いたします際の管理の段階、いろいろございます。最初に申し上げました段階でございますと例えば国際協力事業団と、それから具体的な援助の実行の段階になりますとそれぞれ援助を受けております国との、それぞれとの契約によってコンサルタントが仕事に入っていくという形でございます。
  157. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今おっしゃられたコンサルタント会社の役割そのほかは、申し出があって、それの中でそういう役割を果たすということはわかったのですが、NHKの関連会社にNHKアイテックというのがありますが、そこに海外事業本部という部門があると思います。それで、ここが放送関係のODAの開発コンサルタント業務を行っていると思うのですが、最近の実績を簡単に御紹介いただきたい。また、放送関係のODAの開発コンサルタントは、このNHKアイテツクがほとんど引き受けていると聞きますが、その点も含めてお答えいただきたい。
  158. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 まず実績を申し上げます。  ごく最近の、ここ三カ年の実績でございますが、数字で申し上げます。平成二年度、海外業務として七・四億、三年度十一億、四年度が九・二億でございます。——よろしゅうございますか。  それと、恐れ入りますが、後段、もう一つ質問がございましたと思いましたが……。
  159. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大体放送関係のODAというものはほとんどNHKアイテックが引き受けている、こう聞いておりますが、その状況はどうか、こういう質問です。
  160. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 お話しのように、かなりアイテックが中心になって、開発途上国の技術援助を含めましていろいろコンサルタントを引き受けております。  このNHKアイテックと申しますのは、いろいろ放送設備その他無線設備の建設、保全とか、放送及び無線に関する国内並びに海外における技術の提供とか、こういったことを中心に業務を行っております。その仕事の内容から、NHKにおけるこういった蓄積された専門能力、かなり高い専門能力を要する仕事でございます。そういった意味で、今お話しの海外事業本部においてはもう既に二十年近い蓄積がアイテックにおいてもございます。そういったこと、さらにはNHKの関連団体の一つでございます。そういう意味では、NHK並びにNHKの各関連団体の協力も得ながら、その要請のあった国の番組編成とか組織運営等を含めてソフト面でも御協力できるということがまた一つ特色でございます。そういった意味で、かなりアイテックでそういったお仕事をお引き受けしているということでございます。
  161. 矢島恒夫

    ○矢島委員 郵政省の方の答弁の中の、いわゆるどういう段取りでこのコンサルタント会社がODAの中でかかわりを持つか、また、今の答弁の中にもありましたように、要請があった国の放送設備や、あるいはソフト面も含めてアイテックがやっている事業、こういうものの御説明を受けたわけであります。  ところが、今の郵政省並びにNHK答弁と実際に行われていることがどうもかけ離れているんじゃないか。実は今お話がありましたように、こういう援助が欲しいということが相手国からいわゆる要請という形であるわけです。そこで動き出していく。  ところが、実はここに私、委員長にお願いしなければならないのですが、そのことを、その違いを説明するために、内部資料として「平成三年度以降の経済協力案件御説明資料 株式会社NHKアイテック海外事業本部 取扱い注意」こういう文書がある。この中を使いながら私はちょっと説明したいので、大臣会長に資料として……。今資料を配る途中ですが、時間の関係でその中の問題について、お手元の資料を見ながらお聞きいただければありがたいと思います。  この「取扱い注意」という資料の方を見ていただきたいと思います。もう一つ、「一九九四年版経済・技術協力便覧」とありますが、この二つの資料をお配りしたわけであります。その「御説明資料 取扱い注意」の方をあけていただきますと、これができたのが平成三年九月現在ということであります。その年度をぜひ御記憶にとどめていただきながら「備考」という欄を見ていただきます。「備考」という欄のところに「要請促進中」こういう事業がたくさん出てまいります。さらに、備考の後ろに、日商だとか東芝だとかあるいはアイテックだとか、それぞれ名前が書き込まれております。つまり、受注するところの商社あるいはコンサルタントということだろうと思います。  ODAにつきましては、かねがね日本の商社やあるいは大企業が暗躍しているのではないかという批判が今日までもたくさんありました。この文書の中のいわゆる「要請促進中」というのは、先ほど郵政省並びにNHKの方から御答弁があったように、相手国から要請があったら、それからまず出発して、そしてコンサルタントの果たす役割、事業の進む手順、こういうものが説明されたわけです。本来であれば、相手国から要請がなければこの問題はもちろん前へは進みませんし、取り上げられもしない、こういうことになるわけですけれども、この文書によりますと、日本の商社あるいは後ろに書いてあるいろいろな企業が、こういうプロジェクトを日本の開発援助でつくったらいかがですか、こういうふうに売り込みをやり、そして要請をするようにと促進中なんだというような内容になっているわけです。つまり、正式のODAのルートに乗る以前からずっとこういう要請行動が行われ、資料によれば、だれが受注するか、もう後ろに日商、東芝以下ずっと名前が書かれている。まさにその後行われる入札という制度があるわけですけれども、有名無実だという実態であると思うのです。  そこで、さらに私、要請中の事業がその後どういうふうになっているかという点を御説明申し上げるために、もう一つの資料、つまり「経済・技術協力便覧」、実際の本はこういう本であります。この中から一部取り出して、今資料としてお配りしたわけです。その両方を見ながらお聞きいただきたいのですが、「経済・技術協力便覧」こちらの方の内容というのは、「一九九四年版」こうあるわけです。  そこで、その中の一番最初のところを開いていただきたいと思うのです。中国の欄がございます。ずっと並んでおりますが、ちょうど下から五番目のところに「河南省テレビ局機材整備計画」というのがあります。十億円であります。その後に業者名がございます。NHKアイテックと三井物産となっております。これが九二年度、つまり平成四年にそういう事業が進められた、こういうわけです。  ところが、それと同じ事業が、先ほどお渡しいたしました「取扱い注意」という方の中国の欄を見ていただきたいのです。一番上です。「河南省電視台テレビセンター機材整備計画」というのがあります。ここにきちんと三井が入っております。つまり、実際にはこちらの方は、いわゆる「取扱い注意」の文書の方は平成三年度のものとして出されているわけです。片方の、いわゆる便覧の方によりますと、これは正式の文書ですけれども、それがどう行われたかといいますと、きちんとこれはこの方が後ですから、平成四年度になるわけですから、簡単に言いますと、一年さきからこの河南省電視台テレビセンター機材整備計画という形で要請を促進しながら、実際にそのとおりになっていった。  時間がありませんので、そのちょっと上に「新疆放送局機材整備計画」というのがあります。この新疆機材整備計画というのが、五億九百万円ですか、受注者は三井物産。それで、この「取扱い注意」の中国のところ、「新疆ウイグルテレビ放送センター機材整備計画」の備考欄、そこに全くその行ったのと同じ三井の名前がある。  もう一つだけ、ラオスの欄。ラオスの欄の「国立テレビ局施設計画」、これは清水建設になっております。もう一つ、そのすぐ下に、ラオスのところ、便覧の方ですが、「国立テレビ局整備計画」、NHKアイテックと日商岩井となっています。さて、内部文書「取扱い注意」の方によりますと、この文書によりますと、「テレビ放送設備拡充計画」の備考欄には、日商と清水建設の名前がきちんと出てくる。  つまり、このことは、中立的な立場であるはずの開発コンサルタントが、こういう文書を「取扱い注意」としてつくっている、大変な疑惑があるわけであります。さらに、この文書では、ODAの発注において入札前に受注業者が決定しているような形での記載になっていることは、先ほど来私が申し上げてきたとおりであります。少なくとも、このことが事実であるとすれば、重大な問題であると思います。まさに問題になっている今のいわゆる建設談合、ゼネコン談合、これと同様にODA談合が行われているのではないかという疑惑を持たざるを得ないわけです。  もちろん御案内のとおり、ODAというのは国民の税金を使っているのであります。こういた疑惑があること自体、極めて重大だと思います。しかも、これを公共放送機関であるNHKの名前をつけた、関連会社ですけれども、NHKアイテックが関与しているということは、NHKに対する国民の信頼というものにもかかわる問題だ。  そこで、時間がありませんので、「御説明資料」というわけですから、この説明がだれにどうなされたのか、あるいはまたどういう経過でこういう「取扱い注意」の文書ができてきているのか、これはNHKとしてもきちんと明らかにする必要があるだろうと思うわけです。そういう意味から、郵政省にしても、こういう問題を徹底的に事実を明らかにするということが必要だし、同時に、どのようにODAのいわゆる要請、それからどういう順序で今進行しているか、そういう点も含めて明らかにしていく必要があるだろうと思います。場合によっては、コンサルタント会社としての適格性というものも問われる問題じゃないかと思います。このことについて、会長並びに郵政大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
  162. 川口幹夫

    ○川口参考人 資料は今拝見いたしましたばかりでございます。どのような形で、どういう意味でこれができ上がったのか、全く知りません。したがいまして、早速アイテックの社長にいろいろ聞きまして、結果を御報告いたします。
  163. 谷公士

    ○谷説明員 この資料につきましては、私ども承知いたしておりません。NHKの方から御趣旨の御説明をいただければ、それによって考えたいと思います。
  164. 矢島恒夫

    ○矢島委員 さらに、ハイビジョン関係、私も質問しようと思いましたけれども、これまでたくさんの方々から、委員から、同僚委員から質問がありました。  時間になりましたので、終わります。
  165. 高橋一郎

    高橋委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  166. 高橋一郎

    高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  167. 高橋一郎

    高橋委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  168. 高橋一郎

    高橋委員長 ただいま議決いたしました本件に対し、坂井隆憲君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。坂井隆憲君。
  169. 坂井隆憲

    ○坂井委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送社会的影響の重大性を深く認識し、放送の不偏不党と表現の自由をより一層確保するとともに、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めること。  一 協会は、今後のメディアの発展状況、多メディア・多チャンネル化の進展にかんがみ、視聴者の要望を反映しつつ将来における公共放送としての長期的展望の確立に努めるとともに、保有メディアのあり方についても検討を行うこと。  一 協会は、その経営基盤が受信料制度によることをさらに自覚し、視聴者・国民に対して経営内容を積極的に開示するとともに、負担の公平を期するため、受信料制度の理解の促進を図り、衛星料金を含む受信者の確実な把握と収納の確保に努めること。  一 衛星放送については、難視聴解消の目的を十分踏まえつつ、番組の充実、ハイビジョンの実用化の促進に努めること。また、国境を越えるテレビジョン放送の現状にかんがみ、早期にその対応を明示すること。  一 協会は、国際化の進展に対応して映像メディアによる国際交流をより一層推進するとともに、国際放送の充実にさらに努めること。  一 協会は、地域放送の一層の充実、強化を図るとともに、その実施に当たっては、地域社会の発展に資するよう各地域の特性に応じた編成を積極的に推進するとともに、その全国発信番組の拡充に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党・護憲民主連合、新生党・改革連合、さきがけ日本新党、公明党及び民社党・新党クラブの六派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かしていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  170. 高橋一郎

    高橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  171. 高橋一郎

    高橋委員長 起立総員。よって、本件に対し、附帯決議を付することに決しました。  この際、神崎郵政大臣及び日本放送協会会長川口幹夫君から発言を求められておりますので、これを許します。神崎郵政大臣
  172. 神崎武法

    神崎国務大臣 ただいま日本放送協会平成六年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、御承認いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)
  173. 高橋一郎

  174. 川口幹夫

    ○川口参考人 日本放送協会平成六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚くお礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを外しまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  175. 高橋一郎

    高橋委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 高橋一郎

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  177. 高橋一郎

    高橋委員長 次回は、公報をもってお知らせする、こととし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時七分散会