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1994-03-24 第129回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成六年一月三十一日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 高橋 一郎君    理事 佐田玄一郎君 理事 坂井 隆憲君    理事 自見庄三郎君 理事 白川 勝彦君    理事 田中 昭一君 理事 金子徳之介君    理事 河村たかし君 理事 石田 祝稔君       荒井 広幸君    川崎 二郎君       斉藤斗志二君   田野瀬良太郎君       虎島 和夫君    林  幹雄君       森  英介君    山下 徳夫君       米田 建三君    大木 正吾君       山崎  泉君    横光 克彦君       吉岡 賢治君    佐藤 守良君       田名部匡省君    小沢 鋭仁君       佐藤謙一郎君    高木 陽介君       森本 晃司君    神田  厚君       矢島 恒夫―――――――――――――――――――――― 平成六年三月二十四日(木曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 高橋 一郎君    理事 佐田玄一郎君 理事 坂井 隆憲君    理事 自見庄三郎君 理事 白川 勝彦君    理事 田中 昭一君 理事 金子徳之介君    理事 河村たかし君 理事 石田 祝稔君       荒井 広幸君    川崎 二郎君       斉藤斗志二君   田野瀬良太郎君       虎島 和夫君    林  幹雄君       森  英介君    米田 建三君       大木 正吾君    山崎  泉君       横光 克彦君    吉岡 賢治君       田名部匡省君    小沢 鋭仁君       玄葉光一郎君    高木 陽介君       森本 晃司君    大矢 卓史君       神田  厚君    矢島 恒夫君  出席国務大臣        郵 政 大 臣  神崎 武法君  出席政府委員        郵政大臣官房長  木村  強君        郵政省通信政策        局長      五十嵐三津雄君        郵政省電気通信        局長       松野 春樹君        郵政省放送行政        局長       江川 晃正君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川口 幹夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事・技師         長)      森川 脩一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中村 和夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     安藤 龍男君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     齊藤  曉君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     中井 盛久君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     菅野 洋史君         参  考  人         (日本放送協会         会長室経営計         画〕局長)   慶田 敏紀君         参  考  人         (日本放送協会         財務企画局長) 千葉 厚三君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     後藤田正晴君   斉藤斗志二君     高鳥  修君  田野瀬良太郎君     中山 太郎君   虎島 和夫君     村田敬次郎君 同日  辞任         補欠選任   後藤田正晴君     川崎 二郎君   高鳥  修君     斉藤斗志二君   中山 太郎君    田野瀬良太郎君   村田敬次郎君     虎島 和夫君 三月二十二日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     七条  明君   斉藤斗志二君     松岡 利勝君 同日  辞任         補欠選任   七条  明君     川崎 二郎君   松岡 利勝君     斉藤斗志二君 同月二十四日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     玄葉光一郎君   神田  厚君     大矢 卓史君 同日  辞任         補欠選任   玄葉光一郎君     佐藤謙一郎君   大矢 卓史君     神田  厚君     ――――――――――――― 一月三十一日  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書 二月八日  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書 三月四日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十八日  郵政事業現行経営形態堅持に関する陳情書外  一件  (第六五号)  NTT板野営業所閉鎖反対サービス拡充  に関する陳情書  (第六六号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 高橋一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋一郎

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 高橋一郎

    高橋委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査中、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高橋一郎

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 高橋一郎

    高橋委員長 まず、趣旨説明を聴取いたします。神崎郵政大臣。     —————————————  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認   を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 神崎武法

    神崎国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。  一般勘定事業収支におきましては、事業収入は五千六百六十六億六千万円、事業支出は五千五百二十一億九千万円となっており、事業収支差金百四十四億七千万円は、百二十八億一千万円を資本支出に充当し、六億六千万円を翌年度以降の財政安定のための繰越金とすることとしております。  一般勘定資本収支におきましては、資本収入資本支出とも七百九十三億七千万円となっており、建設費六百億円等を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、視聴者意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組提供に努めること、国際放送については、番組充実刷新を行うこと等となっており、事業運営は、経営財源確保のため、受信契約増加受信料の確実な収納に努め、あわせて経営全般にわたり一層効率的な業務運営を推進し、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現していくとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、事業計画等実施に当たっては、極力長期にわたり受信者負担増を来さないため、経費の節減と受信料収入確保に努めるとともに、配意すべき事項として、豊かな放送番組提供と、公正な報道を行い、放送番組充実向上に努めること等を指摘した意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  8. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長川口幹夫君。
  9. 川口幹夫

    川口参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  平成年度事業運営に当たりましては、公正な報道に徹するとともに、より豊かで質の高い放送番組提供し、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現してまいる所存であります。  業務の推進に当たりましては、経営財源確保のため、受信契約増加受信料の確実な収納に努め、あわせて経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底してまいります。  平成年度の主な事業計画について、御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、老朽の著しい放送設備の更新を取り進めるとともに、放送番組充実のための設備整備を行うほか、衛星放送設備整備放送会館整備等実施することとしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  国内放送におきましては、視聴者意向を積極的に受けとめ、番組充実刷新を図るとともに、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組提供に努めてまいります。  国際放送におきましては、国際間の相互理解国際交流に貢献するとともに、海外在留日本人に多様な情報を的確に伝えるため、放送時間を拡充し、あわせて番組充実刷新を行います。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図るとともに、積極的、効果的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納に努めてまいります。  調査研究につきましては、新しい技術開発研究を初め、放送番組放送技術向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することとしております。  以上の事業計画実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内二百五十人の純減を行い、総員一万三千二百六十三人とし、給与につきましては、適正な水準を維持することとしております。  これらの事業計画対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支収入総額五千六百六十六億六千万円を計上し、このうち、受信料については、五千四百五十五億円を予定しております。これは契約総数において四十万件、衛星契約において八十五万件の年度内増加を見込んだものであります。  これに対し、支出は、国内放送費など、総額五千五百二十一億九千万円を計上しております。  事業収支差金百四十四億七千万円につきましては、このうち、百三十八億一千万円を資本支出に充当し、六億六千万円を翌年度以降の財政安定のために繰り越すこととしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百億円、出資六億五千万円、放送債券償還等に百八十七億二千万円、総額七百九十三億七千万円を計上し、これらに必要な財源を、減価償却資金などの自己資金のほか、放送債券及び借入金により、賄うこととしております。  なお、受託業務等勘定におきましては、収入六億円、支出五億二千万円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会平成年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会事業受信料により運営されていることを深く認識し、より豊かで質の高い放送番組提供するとともに、効率的な業務運営を行い、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  10. 高橋一郎

    高橋委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  11. 高橋一郎

    高橋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子徳之介君。
  12. 金子徳之介

    金子(徳)委員 ただいま大臣そして日本放送協会会長から提案理由説明がございました。その積極的な取り組みに対し全幅の賛意を表し、限られた時間でありますが、当面する課題について二、三の質問をいたします。簡潔、明快な御答弁をお願いしたいと思います。  初めに、大臣に御答弁をお願いいたしたいと思いますけれども、二十一世紀放送通信が融合する新しい時代であり、この基盤となるのが光ファイバーによる新たな情報ネットワークづくりであると言われております。そこで、アメリカのゴア副大統領が提唱したアメリカ国家情報基盤整備、いわゆる情報スーパーハイウエー構想の例に見られるように、我が国においてもこのような近未来に向けた新世代情報通信網あり方について既に電気通信審議会に昨年三月に諮問されているわけであります。この答申はいつごろ出るのか、大体一年間というようなことを伺っておったわけでありますが、この点につきましてその見通し、そしてまた、この答申が出た場合にこれに基づく国家プロジェクトとかにつきましてその所信をお伺いしたいと思います。
  13. 神崎武法

    神崎国務大臣 最近の著しい技術革新を背景といたしまして、国民生活あるいは経済社会活動を支えます重要な社会資本でございます情報通信基盤整備は、我が国のこれからの持続的な経済発展経済の成長あるいは高齢化社会への対応、さらには均衡ある国土の発展環境保全等のさまざまな政策課題に対して切り札になるような大変重要なものであるというふうに認識をいたしております。  私どもがいろいろ推測をいたしているところでは、今後情報通信基盤整備されますと、二〇一〇年までにはマルチメディア市場は百二十三兆円、新たに二百四十万人の雇用を創出するという経済効果も期待されているところでございます。  ただいま委員御指摘のように、電気通信審議会に対して、二十一世紀に向けました新たな情報通信基盤整備につきまして御審議を昨年三月にお願いいたしておりまして、現在御審議をいただいておりまして、本年の五月末をめどに御答申をいただく予定にいたしております。現在、新世代情報通信基盤整備の進め方、それから情報通信基盤整備目標整備計画アプリケーション開発需要喚起方策などにつきまして精力的に御審議をいただいているところでございます。  この御答申を踏まえまして、私どもといたしましては、今後とも情報通信基盤整備を促進いたしまして情報通信産業展開を図り、二十一世紀高度情報社会の構築に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  14. 金子徳之介

    金子(徳)委員 大臣のその決意のほど、大いに御期待を申し上げておきたいと存じます。  関連しまして、日本放送協会会長さんおいででありますからお尋ねをしておきたいと思いますが、こうした光ファイバーによる有線系情報インフラ、これは全国的な整備が実現した場合には将来の放送サービスにとってさまざまな影響が考えられるわけであります。例えばディジタル技術をベースにして放送通信コンピューター、これらが結合することによって双方向機能化あるいはマルチメディア化、これまでとは全く異なった新しい映像メディアサービスの出現が予想されるわけでありますが、公共放送として将来の放送サービス発展方向光ファイバー網などの有線系インフラ放送サービスにおける位置づけについてどのようにお考えになっているのか、その対応について伺いたいと存じます。
  15. 川口幹夫

    川口参考人 おととい、三月二十二日はNHK放送記念日でございました。大正十四年、一九二五年三月にNHKが誕生しましてから、ちょうど六十九年になります。この間に技術の進歩が非常に大きいということを私ども痛感しております。放送というものはまさに技術によって開発され、そして技術の進展によってその幅を広げてきたというふうに考えております。  今後想像されますマルチメディア時代といいますか、コンピューター光ファイバーを結んでの将来の技術体系というものは、これは非常にいろいろな利益を国民にもたらすものだというふうに考えております。したがって、放送もそういう時代にどうやって対応していくのか、それをどうやって利用していくのかということを今から真剣に考えております。  ただ、もう一方では、そういう光ファイバー網のほかに、現在やっております空中波を使って、あるいは衛星波を使ってやっております放送の非常にすぐれた特性というものも考えなければいけない。例えば非常に低廉でありますとか、それから同時速報性があるとか、いろいろな利点がありますので、そういうものと新しくできます光ファイバー中心ネットワークとの整合性みたいなことを図っていかなければいけない。あわせてその二つを利用してNHKはさらによきサービスを、あるいは信頼していただける情報を送り続ける、こういうふうにしたいと思っております。
  16. 金子徳之介

    金子(徳)委員 映像による情報発信についての日本放送協会考え方を伺っておきたいのですが、現在、欧米の出来事、これはもう同時、瞬時に映像として見られる時代になりました。しかし、外国に行った場合に日本出来事が、外国情報日本映像で見られるようなことは、これは残念ながら全くないわけであります。公共放送の立場からこれについてはぜひ、海外への情報発信、とりわけ映像による情報発信をより積極的に進めるべきだというふうに考えますが、どのように今後そうしたことについて対応されるのか、伺いたいと存じます。
  17. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  現在、NHKでは七つの番組海外に発信しております。配信という形で発信しております。米国と欧州、それとアジア太平洋諸国放送機関配信しておりますが、現在十四カ国二十五放送機関配信をしておりまして、大体八千万世帯の人たちNHKから発信している番組をごらんになっているだろうというふうに推測しております。  我々、国会でも「映像メディアによる国際交流を推進すること。」という附帯決議をいただいておりまして、映像による海外発信国民的な課題として今後とも取り組んでまいりたい、特に今後アジア放送機関へのニュース配信というものを積極的にやっていって、海外発信の地歩を固めていきたいというふうに考えております。
  18. 金子徳之介

    金子(徳)委員 海外向け放送の時間の延長等が予算化されているわけでありますが、この充実については、特に、大いに積極的なそれぞれの展開を図っていただきたいと御要望申し上げます。  時間がありませんので、最後障害者向け番組充実についてお伺いいたしたいと思いますが、これまで障害者向け番組拡充を図ってきていただいていることに非常に敬意を表したいというふうに思っております。この内容については、副音声であるとか、あるいは手話等も含めて大分入れていただいておる、大変うれしゅうございます。  今後もやはり、昨年の十二月には障害者基本法が、今までの心身障害者対策基本法の一部が改正されて再スタートいたしたわけでありますが、第二十二条の三において「電気通信及び放送の役務」云々ということで、それぞれ「障害者の利用の便宜を図るよう努めなければならない。」となっているわけであります。これからも、このなお一層の充実公共放送の中で果たしていただくようにお願いしたいということで、今後取り組む考え方をお尋ねしておきたいと思います。
  19. 中村和夫

    中村参考人 現在、NHKでは、字幕放送手話ニュース、それから解説放送等々、年々ふやしておりますが、来年度NHKでは新たに土曜ドラマ特集ドラマ、これを全部字幕放送にいたします。この二つ字幕放送にいたしますと、NHKの全ドラマは全部字幕放送が行われるということになります。今年度に比べまして、字幕放送は四十一分のプラスということになります。  それから、聴力障害者の皆さんへのお昼のニュースというのを月曜日から金曜日、五分間ですが、毎日特設いたします。十三時半から五分間、月曜日から金曜日まで特設いたします。  それから、連続テレビ小説ドラマ新銀河等々も解説放送を行っておりまして、来年度、大体一時間ぐらいふえる予定でございます。
  20. 金子徳之介

    金子(徳)委員 終わります。ありがとうございました。
  21. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、山崎泉君。
  22. 山崎泉

    山崎(泉)委員 山崎でございます。  NHK番組視聴者の一人としまして、地方番組全国に放映することができないものだろうかについて質問をいたします。  NHK、民放問わず、これまでは町とか地域の状況を自分の県内に放送してほしい、これが強かったというふうに思いますが、最近は地方自治体から、自分の町のことを、県のことを全国に伝えてほしい、こういう要望が強くある、こういうふうに聞いております。  私自身も、今回の選挙で、東京生活するようになりました。地元の佐世保とか大村とか五島列島、どうしているんだろうかな、こういうふうな気持ちを毎日持っております。いろいろな地元情報を一刻も早く、そしてより多く知りたい、これは私が今、日ごろ思っておることでございます。同時に、故郷を離れて遠くで永年生活をなさっておる方々は、私以上にその希望が強いのではないだろうかな、こう思うところであります。  今、地方分権とか一極集中の是正とか、こういうことが強く叫ばれております。NHKは、公共放送任務として、一生懸命今日まで頑張ってこられました。しかし、その任務の一つとして、民放にない全国ネット及びBS放送等を通じて、活用して、この地方番組全国に放映するという番組編成の工夫ができないものかどうか、まず会長にお伺いをいたします。
  23. 川口幹夫

    川口参考人 先生のおっしゃったように、今まさにそういう方向時代が動いているというふうに私も感じます。NHKとしては、地域放送あり方というものを見直そうということをもう十五年前からずっと続けておりまして、現在、地上二波、衛星二波を使ってのテレビ放送は、そちらの方向で動いております。特に、おっしゃったように、地域情報地域にというのが、ローカル放送という既成の概念を捨てまして地域情報全国に、そして全く違った地域から違った地域の方へ情報を送るとか、そういうことなどもどんどん進めていきたいと思っております。  さらには、これまで大きな番組は大体東京でつくって東京から出しておりましたけれども大阪あるいは名古屋を手始めにして、全国の、拠点局といいますが、大きな局からは、年間を通じて大きな番組が出せるように、そういう体制を今整えております。特にことしは、大阪からは歴史の番組だとか、あるいは大阪の、関西の人たちになじみのあるものを出すというようなことをやったり、あるいは名古屋は、これまた「中学生日記」というものをやっていましたけれども、さらに工夫をして、名古屋発の全国番組というものをやろう、これは全国的な広がりの中でやろうと思っております。  私も、これからそっちの方にどんどん推進をしてまいりたい、こう思います。
  24. 山崎泉

    山崎(泉)委員 ありがとうございました。  そういうふうな方向で進んでいただけるということは、先ほど申しました地方出身の方々が大いに喜ぶのではないだろうかな、こう考えておりますし、私の考えたものと、その主張の第一歩である、こういうふうに私自身は考えております。  ことしの四月からも、そういう放映の仕方が始まるというふうにも理解をしておるわけですが、いずれにしましても、私は、これまでの特別番組でない地方の番組を不断にどうすれば数多く放映することができるのか、さらに検討してほしい、こういうふうに思うところであります。  しかしながら、こういうふうな主張をしつつも、私は、NHKの現行定員とかそしてまたハードな業務量を少々なりとも知っております。そういうわけで、私のこの主張を全面的に展開をしていくということになると、職員の労働条件のさらなる低下を危惧するところですが、私は私なりに、それは現在の定員、要員数と番組を作成、編成する、その過程の中で、いろいろな議論をし考えることでその解決は可能になるだろうというふうに思いますし、私が言っているのは、日ごろ地方で放映しておる番組であって特別番組ではないわけです。地方で放映する番組に十のパワーをかけるとするならば特別番組は百のパワーをかけておる、こういうふうに私は思うわけであります。地方の十の番組をストレートに流してほしい、そういうことになりますと、そう労働条件の悪化、低下、こういうことにはつながっていかないというふうに考えております。  そして同時に、これが仮に今後将来この方向で進むとすれば、この地方番組の制作、作成、やはり地方出身者を大いに活用すべきだ、こういうふうに思うところであります。この地方出身者を大いに活用するということは、地元に根づいた番組の作成、それから人材活用、こういうこと等から地域の活性化につながっていく。同時に、大変失礼ですが、民放とNHK、地方で競合すると、やはり民放には勝てないというふうに私は思っておるわけですが、これを徐々に始めることで恐らくローカルで同等に、対等に民放と競合できる状況が生まれてくるんではないだろうかな、こういうふうに思っておるところであります。  同時に、私、きょうわずかな時間でございましたから、私は常日ごろ受信料の徴収の仕方、未納の回収について非常に注目をしております。きょうはその件については省きますが、そういう番組編成をすることで受信料の契約の促進なり未納者の滞納なり、これが解消されていくんではないだろうかな、こう強く思っておるところでございます。どうか、ぜひ将来とも地方番組全国ネットで乗せて流す、こういう方向を真剣に御検討いただきたいということをお願いを申し上げます。
  25. 川口幹夫

    川口参考人 先ほどのような番組実施いたすに当たりましても、どのような人材をどこに置いて、どういう内容をどれくらいの機械を使ってやらせるかというふうなことは、もう全く具体的に検討しなければいけない大事なことでございますので、決められた枠がありますけれども、それを全国的に揺さぶっていろんな形で要員の手配をする、あるいは要員が無理なところは機械で補うとかいうふうなことをやりまして、いい形で番組制作をこれからも続けていこうと思っております。  それから、受信料についてはおっしゃるとおりでございまして、やっぱり公平な負担ということが受信料制度の最大の基本になりますので、これが揺らがないように、例えば滞納とかいうふうなものがふえないように、これはもう全面的に私どもが頑張らなければいけないところでございまして、そのためにはやはり番組が御信頼いただけてそして楽しんでいただける、あるいはNHK番組は非常にいいという評価を受けないとこれははね返ってきませんから、当然そういうことが全体のつながりとしていい方に回転するように頑張っていきたいと思っております。
  26. 山崎泉

    山崎(泉)委員 ありがとうございました。終わります。
  27. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、河村たかし君。
  28. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。  何といいましても、やはり放送の命というのはこれは番組ということで、番組の内容をどうやってつくっていくかということがやはり一番基軸になるだろう、そんなふうに思います。  何か伺うところによりますと、会長はいわゆる番組をつくってきた本当のエキスパートでございまして、紅白歌合戦なんかもつくられたということで、非常にその面では御造詣が深い方だと承知をいたしております。また同時に、NHKがどういうふうに将来生きていくか、そういう点につきまして、いわゆるマルチメディア時代を迎えまして、そのNHKの独自の道をどこに探していくか、どうイメージしていくか、これが非常に大きな問題だと思います。そんなところで、ぜひ川口会長からNHK独自の道を番組づくりの中でどう具体的にイメージしておられるのか、その辺のところをひとつお伺いしたいと思います。  この事業計画によりますと、「ニュース情報番組の一層の充実を図り、あわせて充足感ある大型企画番組を重点的に編成する。」それから「夜間の教養・娯楽番組を強化」という、まあこんな抽象的な文言になっておりますけれども、ぜひ報道とか、それからいわゆるドキュメンタリーだとか、それから特に芸能番組なんかにつきましても、具体的な番組づくりの、新しいNHKの道のイメージというのをお聞かせ願いたい、そう思います。
  29. 川口幹夫

    川口参考人 非常にわかりやすくまとめたのがありますので、ちょっと読ましていただきます。  NHKでは、放送法の定めに従って国内番組基準というのをつくっております。番組をつくるのにどういう基準でつくるのかということで、まず前文がありまして、前文では「日本放送協会は、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで、よい放送を行うことによって、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くす」というふうに書いておりまして、以下、五つの基本原則というのを決めております。  まず第一に「世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する」、これがまず一でございます。それから二番目には「基本的人権を尊重し、民主主義精神の徹底を図る」。三番目が「教養、情操、道徳による人格の向上を図り、合理的精神を養うのに役立つようにする」、これが三番目でございます。四番目に「わが国の過去のすぐれた文化の保存と新しい文化の育成・普及に貢献する」、これが四番目でございます。五番目は「公共放送としての権威と品位を保ち、公衆の期待と要望にそう」というふうになっております。  これが結局、言ってみればNHK存立の基本的な考え方というふうに言っていいと思うのです。これはちょっとしかつめらしい文句になっていますので、これをもみほぐしまして、例えばニュースの伝達に当たってはこういったことをきちんとやろうよ、それから、教育番組は子供たちが相手ですから、子供たちに対してどのような番組提供するかとか、娯楽はやっぱり国民の皆さんのあしたの糧を養うというふうな意味でのあり方を個々のハンドブックというものに改めまして、これくらいの冊子にいたしました。特に昨年、ムスタン事件というのがありまして、NHKの態度、公正な姿勢を大分疑われるような事態が起こりましたので、改めてそのハンドブックをつくり直しまして、正義をもって我々はこういう基本の考え方を守っていこうということをさらに職員一同とともに申し合わせております。
  30. 河村たかし

    ○河村(た)委員 せっかくいわゆる番組制作のエキスパートでございますので、もう少し具体的に本当はお伺いしたいのですけれども、時間もございませんものですから、このくらいにいたします。  それともう一つ、NHKのある立場としましては、やはり経営の効率性ですか、効率的経営、こういうことが一つの大きな要素だと思います。またしかし、反面は、いわゆる民放とは違いまして、視聴率にとらわれないといいますか、そういう要請も非常に大きいものがあるのではないか。前にJリーグ中継のCMの行き過ぎがあったというふうに伺っておりますけれども、やはりNHKの立場としては、視聴率にこだわらずにどんなに視聴率が下がってもやるべきものはやらないかぬ、冒険的な報道というのですかね、そういうのもやっぱりやらないかぬ場合があるのではないか。  この間のゼネコンの取材なんか私見ておりまして、なかなかかなり突っ込んだものがあるなと思っていましたけれども、そういった番組づくりの上において、効率的経営、視聴率にとらわれない姿勢というもの、その辺をどこら辺までどう出していくのか、この哲学といいますか、その辺をひとつお聞かせ願えればと思います。
  31. 川口幹夫

    川口参考人 NHKが視聴率にとらわれてはいけないというのは、これはまさにそのとおりでございます。我々は、民放が視聴率本位になることは、これは広告に頼る以上、ある程度やむを得ないところがある。ただ、NHKは、あくまでも視聴率という数字ではなくて、出している放送番組がどのような影響を国民の皆さんに与えているのか、あるいはどのようにしなければいけないかということを前提にしてすべての番組を考えたいと思っております。したがいまして、部内では一応参考程度に配られできますから見ますけれども、それをもとにして議論をしたことはございません。  先ほどおっしゃった衛星の広報のことですが、これはそこのところ、ちょっと逆にとられまして、NHK衛星で見ると広告が入らなくていいですよといったようなこと言ったもので、民放さんに大分怒られまして、私はおわびしました。それはやはり、民放が広告によって成り立っている仕事であり、私ども受信料によって成り立つものであるということを基本的にはっきりしなければいけないという精神でございます。これからも私どもが出す番組は、視聴率によって左右されるのではなくて、国民の皆様が喜んでいただけるか、信頼していただけるかということにすべてかかっていると。いうふうに申し上げたいと思います。
  32. 河村たかし

    ○河村(た)委員 時間もございませんので、もう一つ移りますけれども、先ほどから地方に向けての番組ということでよくお話に出ておりまして、放送法でも「地方向けの放送番組を有するように」という規定がございますし、今回の事業計画でも「地域から全国への情報発信」と、そんなテーマが設けられております。しかし、地方の文化といろいろ言いますけれども、地方主権が叫ばれますけれども、やはり言霊と言われるように、言葉というのは非常に大きな問題でございまして、NHKといいますと何か共通語、こういうようなイメージが非常に強いことは事実であろうかと思います。  そんな中で、地方の言葉というか、私は方言という言い方は嫌いなんですけれども、例えば名古屋でしたら名古屋言葉、それで結構なんですが、具体的に二年ほど前、もっと前ですか、織田信長をやりましたときに、織田信長がまず名古屋の言葉をしゃべっておっただろうと、こういうふうに思われますものですから、私がNHKの名古屋に、やはり地方のことをやるんだったら名古屋言葉でしゃべってもらわなければ困る、そんな共通語ではなっとらぬ、何やっとんだ、そういうようなことをちょっと言いましたところが、なかなかどうも反応が非常に、どう言いますか、やはり全国的な共通語優先というような感じがいたしました。  会長には、具体的に言いますと、今回の事業計画の中にあります「地域から全国への情報発信を一層拡充」、この解釈の中に地方の言葉をもっと取り入れて、いわゆる言霊なんですから、そこにすべての文化が凝縮されておりますので、NHKでそれを使いますと、やはりこれはNHKは共通語というイメージが非常に強うございますので、そこに大きく食い込むことができますので、お取り上げをいただきたいというような解釈をさせていただいて結構でございましょうか、どうでございましょうか。
  33. 川口幹夫

    川口参考人 私も鹿児島の出身でございまして、実は鹿児島方言を日本語の標準語と同じように使います。ところが、ドラマでやりますときは、純粋の鹿児島弁でやりますとわからない、全くわからない。そこで、前に一遍経験がありますけれども、字幕をダブらせまして、そして鹿児島言葉で西郷隆盛とか大久保がしゃべった、そういうことがあります。ですから、それをやりますと、非常にいわゆる実感は迫ってくるんですね。ところが、わからないということが全国各地から来ますので、字幕を使ったわけですけれども、できたら字幕を使わないでうまく方言をわかるように消化する方法があるはずだと思います。  私のやった経験では、昭和五十年ですけれども、「雲のじゅうたん」という番組があります。これは秋田が舞台になっていますけれども、秋田方言をほとんどそのままうまく使いまして大変好評を得たことがあります。ですから、作家の方々とも十分に協力をしていただいて、そして、いい方言をいい形で残すということは何らかの形でやりたいと思っております。大変心強い御助力をいただきまして、ありがとうございます。
  34. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今のお話でございますけれども、方言という言葉自体がやはり非常に中央集権をイメージさせまして、やはりできましたら、どこどこの言葉ということで、僕は、例えば名古屋言葉ということでええと思いますが、そういう取り上げ方をぜひしていただいて、もっと地元が、やはり言葉が盛り上がらぬことには、結局地方主権の本当のルーツは絶対に育たぬ、そういうふうに僕は思っておりますので、ひとつその辺の力強い御理解をいただきたいということでございます。  では、これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
  35. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、高木陽介君。
  36. 高木陽介

    高木(陽)委員 公明党の高木でございます。  まず、受信料を払っている一人として、また視聴者の一人としてNHKの方にお尋ねしたいと思います。  まず、平成二年の四月に受信料を上げてから、このときにNHKの方から五カ年の経営計画を立てられましたけれども、当初の計画によりますと、平成年度から赤字を見込んで、平成年度末には百八十七億の赤字を計上するという形になっておりました。ところが現状では、平成年度の繰越金の累計というものが五百二十二億の黒字となっている。これは、平成二年段階で値上げ、いわゆる視聴者への負担を重くする必要がなかったのではないかと考えられるのですけれどもNHKはどのように考えておられるのか。また、値上げがあたかも必要だというような五カ年計画は適当ではなかったのではないか、そのように考えるのですけれども、それについてお尋ねいたします。
  37. 中井盛久

    ○中井参考人 中井でございます。経営計画を担当いたしておりますので、お答えをさせていただきます。  高木先生御指摘のように、平成五年の現在で五百十五億のお金を余裕金として今繰り越しをさせていただいておりまして、平成六年になりますと、御指摘のように五百二十二億に達するという予算を組ませていただいております。  御承知のように、平成二年の段階で経営が非常に悪化しておりましたために、五年計画で最初の二年間は余裕金を持ち、そして後半の二年間は単年度では赤字になる。そして、その五年間で収支相償うという経営計画を組ませていただいたのは御指摘のとおりでございました。  その後、我々としましては、経営計画といいながらも、できるだけコンパクトな経営をして、その計画を先延ばしにできるものはやっていこうという趣旨で努力を重ねまして、我々としてはスリーS運動といいますか、セーブマネー、それからスリムな体質、それからストロングな体制といいまして、部内でできるだけ使うお金を抑えて、やるときには、使うときには使うけれども、むだなお金は使わないというような体質で努力させていただきました。  その結果、七十億ぐらいのお金も余裕金として出してまいりましたし、それから何よりも、この五年間、前半は特に経済状況が非常に上昇気流に乗っておりましたために、名古屋それから広島の放送会館を建設いたしまして、建設の計画としては立てていたわけでございますが、その上の地上権を、民活といいますか、NHKだけでなくて他の企業とも一緒になって利用していこうという計画をつくったところ、土地の賃借料は計画の中にむしろ危険度がありますのでこれは外しておりました。それが非常に、三百三億円ですけれども、余裕金として入ってきたというような事情がございまして、我々の口で言うのもなんですが、いけませんけれども、入るを図って出るを制して非常に努力した結果、今現在五百十五億、そして六年度の末には五百二十二億の繰越金を持てるであろうということに相なったわけでございまして、その辺ひとつ御理解をいただきたいと思います。  なお、そのほか、人の問題、リストラの関係で人の問題等についても減らしながら経営努力をしてまいりまして、その点については関係の役員からまた別途お答え等させていただきたいと思います。
  38. 高木陽介

    高木(陽)委員 人の問題はちょっと後で質問したいと思います。  まず、この五カ年計画で営業経費率というものを一二%台を目標にしておったと思うのですけれども、にもかかわらず平成五年段階では二二・五%、さらに六年度の営業経費率は二二・四%になるとしておって、この経費率圧縮というのが全然進展していないという現状もあるのではないか、これについての理由もお伺いしたいと思います。
  39. 菅野洋史

    ○菅野参考人 営業を担当している菅野でございます。  先生おっしゃるとおり、平成年度から六年度経営計画では、当初平成年度に一八・一%ございました営業経費率を最終年度の六年度には一二%台にするということで計画を立ててございましたが、二二・四%になる見込みということでございます。営業経費率は、結局受信料収入に対する営業の経費の割合ということでございますから、分母の受信料収入の問題とそれから分子の経費の問題、これのそれぞれについてどうかということで御説明させていただきたいと思います。  分母の収入面でいいますと、先ほど中井からも申し上げましたが、前半は景気が確かによろしくて、計画どおりある程度衛星の契約が進みましたが、後半、特に景気の後退に伴いまして、計画どおりに契約が結べないということがございます。その分母が当初予定したよりも少なくなったということ。  それから、分子の支出面でいえば、衛星の契約活動というものが予測をはるかに超える手間と労力を必要とするというようなことがございまして、要員削減が、当初二〇%程度を削減しようというふうに思っておったわけでございますが、それが平成年度で一七・五%ですか、大体そのくらいの数字になろうかと思いますが、そういうことにならざるを得なかった。  それから、衛星の、発見あるいは契約のために学生あるいは主婦等の臨時戦力の経費が増大したということがございまして、そういったことからこの営業経費率というものが一二%台を実現できず、二二・四%にならざるを得ないということになりました。  今後に向けては、受信料でやっているという立場から、なお一層経費の抑制については努力をしていかなければならぬというふうに思っているわけでございますが、やはり公平負担の実現のためには一定の経費が必要ではないのかなというふうに考えておりまして、その面の御理解もひとつよろしくお願いしたいと思っております。
  40. 高木陽介

    高木(陽)委員 衛星契約が伸びなかったということもありますけれども受信料を払っている人がほとんどというか、いるわけで、払っている人の中には、正直者が損をする、ばかを見るというような、そういうような感情を持っている方がいると思うのですね。ですから、難しい部分もあるでしょうけれどもNHK側でも知恵を絞って、そこら辺の公平感を持つような形をとっていただきたいと思います。  あと時間も大分なくなってきましたので、今後のことに関して、今回五カ年計画平成年度で一応終了いたしますけれども、今後の中期的な経営計画、これをどのように決めていくのか。例えば民間では、商品を値上げするという段階では、社内でリストラをして、かなりの努力をして、それでもやむにやまれず値上げをするという形をとりますけれどもNHKの今後の中期計画の見通しと方針、その際、受信料の値上げを考えているのか、しないというふうに言えるかどうか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
  41. 中井盛久

    ○中井参考人 お答えいたします。  会長がたびたびお答えいたしておりますように、NHK受信料で成り立っている経営体でございます。国民の皆様に負担をできるだけかけないようにするのは当然の責務でございまして、我々といたしましても、長期的な視野に立って、できるだけ受信料の値上げというようなことは考えないでやっていきたいなということでございます。  ちょうど先ほどからお話が出ておりますように、平成二年から五年間、平成年度で五年の計画は終わりますけれども、先ほど御指摘のありましたように、六年度終了段階で今のところ五百二十二億という財政安定化資金を持っておりますので、会長も記者会見でもう既に明らかにいたしておりますが、七年度は値上げすることは絶対ありませんということをお約束いたしております。  それから、八年度以降につきましては、平成年度中に、この六年度の最終年度がどういう状況で決算が進むのか、そして七年度は今言いましたように値上げをしないままつなげる自信がございます。それから八年度以降になりますと、経済状況、そのほか、これからやるべき海外に向かってのテレビの発信、そういうときにどの程度の国にどの程度の情報を発信していくか、それから言葉の問題等もございますので、その辺の状況を見ながら、六年のうちに八年度以降の見通しを立てていきたい、中長期的な経営方針というようなことで、六年を含めて七、八年くらいのところをことしじゅうに見通しを立てて明らかにさせていただきたいな、こういうふうに思っております。
  42. 高木陽介

    高木(陽)委員 値上げに関してはかなり敏感になっていますので、慎重にやっていただきたいと思います。  あと時間がなくなりましたので、最後質問で、これは会長大臣にお答え願いたいと思います。  平成年度事業計画では「公正な報道とより豊かで質の高い放送番組提供する」とうたっておりますけれども、もちろん公共放送、当然の考え方であると思います。でも、この「公正」という言葉がかなり抽象的な形であると思うのです。  特に報道においては、私も昨年の七月に当選するまではマスコミで報道に携わっておりました。強く感じていたことなんですけれども、特に政治を取り扱う場合、政局を追う余りに問題の本質が国民にわからない。例えば先日の国民福祉税の問題も、その経過の段階についてとやかく、まあこれは大切な報道ですけれども、それ以上に、なぜそういう問題が出てきたのか、日本の財政がどうなのか、国民は一向にわからないままに、そしてただその表面的な論議で終わってしまった。公共放送の公正な報道という段階においては、こういう本質部分をどれだけ掘り下げられるかということがかなり重要になってくるのではないかと考えておりますけれども会長、どのようにお考えか、お答え願います。
  43. 川口幹夫

    川口参考人 当然でございますけれどもNHK報道は、あくまでも偏らない、公平な立場を必ず守るということが基本でなければいけないと思っております。さらに、私どもの姿勢としては、NHKニュース報道番組は、いろいろな角度から論点を明らかにする、それからいろいろな主張がございますが、その主張を御紹介する、そして国民の皆様が御判断になるときに非常にいい形で材料を提供するというふうなことであるべきではないかと思っておりまして、NHKが何らかの例えば主義主張を報道番組でやるというようなことは絶対してはいけない、私どもは判断の材料を国民提供するということを基本的な立場として守り抜いていこうと思っております。
  44. 神崎武法

    神崎国務大臣 高木委員御指摘のとおり、郵政省といたしましては、今後ともNHK公共放送としての使命を十分認識して公正な報道に努め、国民の理解を得る必要がある、このように考えております。
  45. 高木陽介

    高木(陽)委員 どうもありがとうございました。
  46. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、大矢卓史君。
  47. 大矢卓史

    大矢委員 民社党・新党クラブの大矢卓史でございます。  きょうは、NHK川口会長を初め理事の皆さん方がお越してございますので、川口会長にお尋ねをいたしたいと思います。  島体制から川口体制へとかわりまして、NHKも、俗に言う商業主義、拡大主義から堅実な方向へ変わっていくのではないかというふうに言われておるわけでありますけれども、その中で、やはり言われておりますように、NHK受信料で成り立っておるという先ほどからの何回もの御発言がございます。  その受信料を今一番多く徴収をいたしておりますのは、衛星カラーテレビです。それが二万五千六百十円でございます。その金額のまず重みというものを、今、これから審議をされます予算委員会での減税、六兆円減税の中で、国税分の減税分二万五千百円、夫婦と子供二人の年収五百万の世帯が、一年間に六兆円で減税でき得る金額が二万五千円だということである。そういう、これは大変な、国にとっても財政負担であり、そのために消費税の値上げ等々直間比率の見直し、それらを言われておる中でのこの年間の受信料が二万五千円だということ、その重みをまず局長に、またNHKの皆さん方に感じていただきたい、このように思います。  その中で、川口体制でスリム化をしていく。といいますのは、放送法の中で、NHKがやらなきゃならぬこと、またやってはいかぬこと、いろいろと規定をされておりますけれども、その中で川口会長が発案をされていろいろなスリム化をしていらっしゃる。また、それが実現困難なこともある。こういう議会で、また郵政省でいろいろとお話が出た中で、やりたくてもやれないような問題があると思います。  しかし、やはり一つの大きな、政治、経済、すべての変革期でありますから、また島体制から、先ほど申しましたように川口体制にかわった、そういう変革期の中で、これから、今まで島体制の中で行ってきたことで、大変また外部との摩擦もございますし、費用を果たして負担すべきであるかどうかわからないものまでNHKが負担をしておるというような問題もありますし、そういうことも含めて会長の御所見を承りたいと思います。
  48. 川口幹夫

    川口参考人 私が会長になりましたのは二年八カ月前でございますけれども、この二年八カ月の中で、まずやはり私が一番大きな問題として挙げたのが、どのような経営基盤をもとにして運営をするかということでございます。今の問題だけではなくて、さらに今後の問題、二十一世紀につながっていく中でNHKの経営体質というものを考えていくときにはどのような形が一番ふさわしいのか、そういうことを前提にしていろいろ考えてまいりました。  結果としては、やはり受信料というものを基盤にして、そしていわゆる副次収入というものを無理な形で取るというのはいろいろな摩擦も起きますし、それからそれほど簡単ではございません。副次収入をたくさん取るということは口で言えば簡単ですが、実際は非常に難しゅうございます。ですから、みずからの番組充実させること、ニュース報道を信頼していただくこと、そのことによって視聴者の信頼をかち得て、そして公平に受信料を負担してもらうということを第一前提にして考えることにしたわけでございます。  これは、今振り返ってみますと、それでよかったのではないかなという気もいたします。ちょうどその前は例のバブルのころでありましたから、いろんな、例えば外部の事業が企業の御協力によって非常に盛大に行われるような感じもあったんですが、ちょうど私が就任したころからバブルは大きく崩れまして、とてもそういうことを経営の前提にすることにはまいらないというふうになりましたので、結果としては私が考えたことはそれでよかったと思っています。  今後はさらにこのスリム化というものを二十一世紀につながるNHKの体制として進めていこうと思っております。  ということは、先ほどもお話が出ましたが、マルチメディアが出てくる、どのような形でNHKがそれを使っていくのか、あるいは従来型の放送はどういう形で伸ばしていくのか、そういうことを考える上にも、できるだけスリムな形でみずからの体制を律しなきゃいけないというふうに思っておりまして、そういう意味では私はNHKをずっとそういう哲学でもって率いていこうというふうに思っております。
  49. 大矢卓史

    大矢委員 時間が限られておりますので、はしょって申し上げたいと思いますが、私聞いておりました中で、今の放送、いわゆるラジオ放送がFMを入れまして三波ですね、それからテレビが二波、衛星が二波、そしてハイビジョンの試験放送一波、こういうのも含めて、川口会長の方で、やはり果たしてこれだけのものが全部要るのであろうかどうか。  すべて要求していきますと、あれもやれ、これもやれという私どもの要求もございますけれども、それはそれなりとして、先ほど申しましたように二万五千円というものは、これは、所得税は段階的でございますし、消費税は消費によって払うのでありますけれども、この二万五千円というものは、やはり特殊など申しますか、一部を除く人以外は全部全額支払いをするわけであります。そういうことで、その徴収方法についても先ほど質問ありましたけれども、そういう中で、やはり僕が申しましたように、やらなきゃならぬこと、そしてやってはいけないこと、いろいろとあると思います。  そういう中で、昨日の夕刊でも、朝日新聞の中で取り上げられておりますように、私も以前決算委員会で指摘をいたしましたけれども、会社組織をたくさんつくって、そこの収益をたくさん上げておられる、それが民間なりそういうところの圧迫になっておるのではないか、そういうこともございます。  そしてまた、今言われましたように、ハイビジョンからマルチメディアにかわってくる。ハイビジョンが、今日までNHKがおかけになった金額が、合計いたしまして六百七十四億、そして本年度の予算で百三十五億ということでございます。そして、全体の二%をそういう研究費にかけるんだということはNHK独自で決めていらっしゃるようでありますけれども、この直接的な経営からいたしますと五%にも達する。果たしてNHKの中でこういうものをやるべきであるかどうか、これは非常に私は疑問に思っております。  放送法の中にございますように、そういう研究でやらなきゃならぬこと、それが国がNHKにそれをさすということになりますと、当然国がその予算を見なきゃならぬということが放送法の中に明記されておるわけである。そうなってまいりますると、限られた金額でこれからも値上げをせずにやっていくということになりますと、当然それ以上の仕事をする場合には、国がそれを方向づけをし、NHKにその試験を、また開発をさすということになりますと、当然国の方でその予算を見なきゃならぬ。そして、それが産業界、その中でやらなきゃならぬ開発であるなら、産業界に対して負担を求めなければならぬでありましょうし、そしてこれを産業政策としてやる場合には、産業政策として国がこの出費をしなきゃならぬ。そういうような問題が私はあるのではないかと思う。  一方では、やってはならぬことを、株式会社を余りにもたくさんつくり過ぎておる。公共放送と言いながら、そこではもうけてはいけない、そう言いながら、片一方ではもうける株式会社に投資をし、そこが民業の圧迫をしておる。片一方では負担すべきでないものを負担をしておる。ハイビジョンにいたしましても、先ほどからもうマルチメディアの話が出ておりますから、恐らく平成七年から先はそういうふうになっていくのであろう。そういうことについてこれからも、今までももう既に開発の費用をかけていらっしゃるようでありますけれども、そういうものは、国と一緒になってその分野を郵政省の研究所でやるべきなのか、それともNHKでやるべきなのか。NHKでやるべきだといたしますならば、やはり当然国がその負担をすべきである、それが放送法に明記されております。  そういうものを踏まえて、お互いに、国民放送としてどうすべきであるかということも要求をしてまいるのも私どもの務めではございますけれども、やはり余りにも過大な期待をして受信料が値上げにつながるようなことをすべきでないと私どもも自戒しなきゃなりません。そういうことで、一緒になってこのNHK国民公共放送として今後成り立つように、してはならぬことはしてはならぬ、そしてしなきゃならぬことについては、国の方針であるなら国の予算をもらってやるということでやっていただきたいということを申し上げたい。それについての御見解をお伺いいたしたいと思います。
  50. 高橋一郎

    高橋委員長 手短に、時間が参っておりますので、川口会長、お願いします。
  51. 川口幹夫

    川口参考人 二つ申し上げます。  一つは、私どもは、これから持つメディアを含めて、いたずらなる肥大化はしないということを機会あるごとに約束をしてまいりました。ですから、これ以上拡大をしてその負担を国民にしわ寄せするというようなことはしないということを前提に、いたずらなる拡大はしないということをお約束してまいりました。  それで、そのためには、例えばハイビジョンですと、これまでは衛星二波があって、さらにハイビジョン波があるというふうなことを考えておりましたけれども、そんなことはとても無理だというので、今はまあ移行波という位置づけで実験をさせていただいて、本放送に入らせていただいて、そしてしかるべき時期に今の衛星二波の中に吸収していくという形をとりたい。それから、番組をつくるに当たっても、同じものを、一つのものをハイビジョンで撮って、それを五百二十五本の現在の形にコンバートして二つ放送に使うというふうなことを考えようとか、できるだけ経費がかからないような形でやりたいと思っております。  それから御心配の、民業圧迫と言われましたけれどもNHKの関連団体の仕事につきましては、私は極度にこれについては戒めております。つまり、節度のある事業をやってくれと。これを設けたそもそもの理由は、受信料が行き詰まるから、行き詰まったら困るので、例えば外の方で収入を得て、それをその経営の財源にしたいという発想があったわけですね。それが、先ほどから申し上げておりますように、とても無理でございます。  ですから、節度のある事業運営をやって、そして関連団体はNHK事業を助けてくれるためのもの、例えば番組をつくってくれる、そういうふうなことを含めた形に持っていこうと思っていまして、かりそめにも民間放送とそのことでもって事を起こそうとは考えておりません。そういう節度のある運営を今後とも心がけてまいります。
  52. 大矢卓史

    大矢委員 終わります。
  53. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、自見庄三郎君。
  54. 自見庄三郎

    ○自見委員 御指名をいただきました自由民主党の自見庄三郎でございます。きょうは日本放送協会平成年度収支予算、また事業計画及び資金計画ということでございまして、NHK会長初め多数の方、議会においでいただきまして、ありがとうございます。  私は基本的なことをまず聞かせていただきたい、こう思うわけでございます。  今、民主主義ということと、まさにこのマスコミあるいは議会、議会制民主主義の中核でございます議会、そういったことがだんだんだんだん世界的にも大変大きな関心と申しますか、重大事になりつつあるというふうに思うわけでございます。私、五十八年の暮れに、おかげさまで国会に上げていただきました。十年前と比べますと、私は、やはりこういったマスコミの問題、民主主義の問題あるいは議会の問題が世界的にも大変大きな問題になってきたなということを自分自身も実は実感をするものでございます。  御存じのように、日本国憲法第二十一条で「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」有名な民主主義の根幹でございます。憲法第二十一条の表現の自由というのはあるわけでございまして、これはやはり民主主義の基本的な原点の最も貴重な、崇高な価値である、これはもう近代国家においてだれも認めるところである、私はこう思うわけでございます。しかしながら、同時にこれは憲法第十二条で「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」こういうことでございまして、自由の乱用ということを戒め、常にこの自由というものは公共の福祉のためにこれを利用する責任がある。  こういうことでございますから、もう会長御存じのように、今現在ございます放送法というのは、近代国家において表現の自由もあるんだ、しかしそれは無制限の自由ではないんだ、国によっては無制限の表現の自由を保障した憲法を持った国もあるようでございますけれども、少なくとも日本の憲法は、この表現の自由、しかしながらその自由というのは公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う、まさに憲法十二条と二十一条のバランスの上でこの放送法という法律があるということを私は思うわけでございます。  ですから、そういった意味で、この日本放送協会の予算等々につきまして国会審議をさせていただく、あるいは承認をいただくということは、極めてこの民主主義の原点にとってこれは貴重なことであり大事なことである。そういったことで、私も今さっきから身の引き締まるような気持ちで実は質問をさせていただくという気でございます。  まず、基本的なことでございますけれども通信放送の融合などを取り巻く環境が大きく変化しているということは、今さっきからいろいろな議員の方々の質問にもあったわけでございます。現在経営計画の最終年度に当たる平成年度は、今後のNHK事業展開に備える上で非常に重要な年度であるというふうに考えております。もう会長御存じのように、平成年度から平成年度までの五カ年間の経営計画を策定されたわけでございますし、ことしは最終年になるということでございます。そういったことを踏まえて、まず基本的なことでございますけれども、最初にも趣旨説明の中に一部ございましたが、平成年度NHKの予算編成の基本方針をお伺いしたいということでございます。
  55. 川口幹夫

    川口参考人 まず、先生おっしゃっていただきました放送の自由のことについて、私の考え方を申し上げます  自由というのは非常に耳ざわりのいい言葉でありますけれども、私どもはこの自由の中に必ず自律というものがなければいけないと思っております。みずからを律することがなくて自由は与えられるものではない、みずからを律しながら自由を守っていこうというふうな考え方を持っていることを申し上げておきます。  それから、六年度の予算編成に当たっては、三つのポイントを実はつくりました。その三つのポイントは、まず第一に、引き締まった予算を編成するということ、そして、経営計画の最終年度でございますが、この最終年度の六年度でも若干の黒字予算にしようというふうなことで、引き締まった予算を組もうというのが第一でございました。  それから二番目に、その財源放送サービスを重点的にやるために配分をしようということでございまして、そのほかいろいろな仕事がNHKの場合はありますけれども、特に放送でのサービス、どういう報道をするのか、どういう番組をつくっていくのか、そのことのために最重点的に予算を配分したということでございます。  それから三番目には、視聴者との結びつきを一層強化するための予算を組んだということを御認識いただきたいと思います。先ほどから何人かの方におっしゃっていただきましたように、NHK受信者あってのものであり、その受信者に出していただける受信料によって運営をされている。そういうことからいいますと、もっともっとNHK受信者の、視聴者の結びつきというのは強くなければいけない、そういうことで結びつきの一層の強化ということに予算を配分をいたしました。  そういうようなことで、三つのポイントを立てたわけですが、全体的には公正な報道と豊かで質の高い番組提供するということを前提にして、全体の事業計画を組みました。また、経営財源確保のためには受信契約増加受信料の確実な収納というのが必要でございます。そして一層協会運営を効率的にするというふうなことを推進しよう、こういう形でもって今回の六年度予算を組んだということを申し上げたいと思います。
  56. 自見庄三郎

    ○自見委員 今川口会長から、自由と同時に自律が大事であるということでございまして、大変貴重な御答弁をいただいて、また予算編成の基本方針について御答弁をいただいたわけでございます。  言うまでもなく、この放送法の第一条にも、「この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」ということを、もう御存じのように、釈迦に説法でございますが、書いてあるわけでございます。まず一番目に「放送国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」二番目が「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」それから三番目が「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」  そういったことで、また当然表現の自由がございますから、今御存じのように第三条には「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」ということですから、逆に放送人としては大変、放送コードもございますし、自律、規律ということを、これは内部でお決めになられることであるというふうに私は思うわけでございますけれども、大変厳しい職業人としての倫理観が一方に要求をされるということでございますし、御存じのように第三条の二にもまた重ねて「放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。」こう書いてあるわけでして、御存じのように「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」  改めてこの放送法を読んでみますと、大変放送の持つ奥の深さ、そして同時放送法の七条に、今会長も言われましたように、この日本放送協会というのはきちっと「協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように」。ですから、いろいろ難視聴の解消等々もやっておられるということは、まさにこの放送の精神、基本的にどういうところに住んでおられても日本人であれば、国民であれば公共放送であるNHKを見られるんだよ、こういう努力をしなさいということだろうと思うわけでございますし、「豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行うとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送を行うことを目的とする。」というのが御存じのように日本放送協会の目的でございますから、そういった意味で、いろいろな問題点があるわけでございますけれども、まさにこの予算、国会での審議ということでございまして、我々ここにおる国会議員は、大変貴重なことでございますけれども、全員国民の方から選んでいただきましてここにおらしていただくわけでございまして、言うならば公共性の一番高いところがこの開かれた国会である。そこで審議をするということは、しつこいようでございますけれども、民主主義あるいはマスコミ、議会ということに関して極めて堅実で健全なことである、こういうふうに私は思うわけでございます。  それでは、そういった前提につきまして、今予算編成の基本方針をお伺いしたわけでございますけれども、具体的には国民の方は番組を見てNHKとはどんなものかな、こう思うわけでございますから、平成年度番組編成の基本的な考え方会長からお伺いをしたい、こういうふうに思うわけでございます。
  57. 川口幹夫

    川口参考人 番組編成につきましては、こういう趣旨に基づきまして、私ども半年以上かけて練り上げました。その番組の細かいことを、放送番組の責任者であります中村放送局長から説明をさせます。
  58. 中村和夫

    中村参考人 お答え申し上げます。  平成年度の編成で総合テレビを中心に大幅な改定を行いまして、平成年度はその定着、内容の充実というものをまず図りたいということが第一でございます。公共放送としての信頼感、存在感を高めるニュース番組をどうやって出していくかということ、そのための充実に最大限の努力を払うということでございます。  重点事項としては六つ項目を立てました。  一つは、内外情勢への的確な対応ニュース情報番組充実ということでございます。二番目に、衛星放送の強化。三番目に、大型企画番組の編成。「NHKスペシャル」とか、今度新たにやっております「日本の選択」。戦後五十年をいよいよ迎えるわけですが、戦後五十年を迎えて、我々がなし遂げたこと、我々が選択をしたこと、それからこれからなすべきこと、選択すべき選択肢等々についての番組をつくろう。それから、教育テレビの充実。それから、先ほどからございますが、地域からの全国発信番組拡充。それから、総合テレビの夜間を中心に多様で多彩な番組展開という、六つの重点項目を置いてございます。
  59. 自見庄三郎

    ○自見委員 平成年度番組編成の基本的な考え方といたしまして、今会長及び専務理事さんから、内外情勢への的確な対応、大型企画番組の編成、教育テレビの充実地域からの全国発信番組拡充あるいは多様な番組の積極的編成、こういった御答弁があったわけでございます。  ひとつそういった線に沿いまして、報道というのは実際つくる立場に立ってみればなかなか難しいことだ、私はこう思うわけでございます。今さっき私が、ちょっとしつこいようでございますけれどもるる申し上げた基本的な放送法の精神と申しますか、憲法の精神と申しますか、それと時代と、変わっていくわけでございますから、そういったところで会長以下きちっと一万三千人体制、NHKのスタッフを督励して、しっかり国民のまさにニーズにこたえる番組をつくっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それでは、ちょっと細かいことのようでございますけれどもNHK平成年度の料金改定を機に、公共放送として長期的視野に立った事業運営が必要であるということで、今さっきから申しております平成年度から六年度まで五カ年間の経営計画を策定されたわけですが、もう御存じのように平成年度、ことしか最終年度に当たるわけでございます。五年間のこの経営計画で、最終年度を迎えるに当たって、いろいろな目的が着実に達成されたか。五年前でございますけれども、いろいろな長期的なといいますか、五年間のこの経営計画において目標をつくられたと思うわけでございます。例えば、後から質問をさせていただきますが、営業経費率だとか要員体制等々でございますけれども、これは達成されたというふうに考えていいのか。この前の、昨年でございますか、逓信委員会でもそういった目標というのか、発表されたということをお聞きしておるわけでございますけれども経営計画の達成状況についてまずお伺いをしたい、こういうふうに思っております。
  60. 中井盛久

    ○中井参考人 お答えいたします。  先生御指摘のように、この五年間の経営計画の中でいろいろなこともお約束してまいりました。  具体的に申しますと、何よりも地上放送ニュース情報番組の強化あるいは大型企画番組充実というようなことを約束してまいりましたけれども、これは今のところ十分果たしつつあるのではないかと思っております。  それからまた、地域放送サービス充実によって地域の多極的発展への貢献をすべきだ、先ほども御指摘がございましたけれども、その面で努力いたしております。  それから衛星放送充実、さらにはハイビジョンの普及促進をいたしますということ、それから短波による国際放送拡充いたしますということも約束いたしました。この点につきましては、平成年度、今年度をもちまして一日六十五時間の体制が確立いたします。これは、世界的にはフランスの上位の、九番目ぐらいのところに位置づけられるということで、これも平成年度中に大体お約束が果たせるというところに参っております。  それから、映像による情報発信基盤整備という形でやらせていただいておりましたけれども、この点につきましてもまたこれからの議論の中であると思いますが、アメリカ、ヨーロッパに対して番組を交換する。日本海外進出の非常に大きな、観光客も含めますと一千万と言われておりますけれども、そういう人たちサービスできるような体制ということも今やりつつあります。  それから、視聴者との結びつきの強化あるいは要員の効率化というようなことで、私たちとしてはお約束したことはおおむね成果は上げつつあるのではないかと思っております。  しかし、残念ながら非常に計画に及ばなかったということはここで明らかにしなければいけませんが、それは一つには、衛星契約平成六年、つまりこの四月から一年間かけて大体九百万になろうということを見込んでいたわけでございますが、今の予算規模におきましては六十五万件ぐらいでとどまるであろうということがございます。  それから、営業経費率の圧縮ということをお約束しておりまして、大体六年度中には一二%台ぐらいに抑えたい、こう言っておりましたけれども、これが今のところ予算規模では二二・四%にとどまっております。  それから衛星収支の相償では、この五年間で衛星だけを取り出してやった場合に一応ゼロになる、つまり今までの投資額と収入額が一緒になるということでありましたけれども、累積赤字、一応百五十三億円がいまだ積み残しになっておりまして、これがゼロになるためにはあと二年か三年はかかるのではないかというところにございます。  ちょっと詳しく話してしまいましたけれども、そういった点で約束を果たせなかった点、しかし果たしつつあるところということで、全般的に見ますならば成果を上げつつあるのではないかというふうに思っております。
  61. 自見庄三郎

    ○自見委員 今、中井理事から御答弁があったわけでございます。少し細かいようなこと、営業経費率あるいは要員体制等について聞かせていただいたわけでございますけれども、御存じのようにこれは、こういった目標を五年間で達成したい、こういうことでございますし、達成できたところもあるし、あるいは達成できなかったところもある、こういう話でございました。  私は、NHKにその傾向があるとは思いませんけれども、税金によりまして、受信料をいただく、これも大変御努力しておられるということはよくわかるわけでございますけれども、何と申しますか、とかくそういう団体は放漫経営になりがちでございまして、ですから、やはりなってはいけない。やはり国民から貴重な受信料をいただくわけでございますから、同時に経営の効率化も必要でございます。この点は国会で今も御答弁いただいたわけでございますけれども、その点もまたいろいろな団体にもお約束をしておられるようですから、そこら辺、きちっと責任を持ってこの効率化の目標を、きちっと国民の前で明らかにした目標は達成していただきたいということを強くこの際、改めて重ねて御要望をしておきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それでは、達成できたところも、できなかったということもございましたが、達成できなかった原因、理由ですね。達成できなかったところも今もう具体的には申しませんが、原因、理由はやはりはっきりしませんと、今後の方策と申しますか、どういうふうな方法でカバーしようということがわからないわけでございます。その達成できなかった原因、理由について、おわかりであれば教えていただきたいというふうに思うわけでございます。
  62. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答えいたします。  まず、三点について申し上げたいと思います。一点は営業経費率の問題、それから要員の削減の問題、それから口座振替、継続振り込みの利用率を八八・九%まで拡大するということがございましたけれども、その三点についてお答えします。  まず最初、営業経費率の一二%でございますが、平成年度一八・一%でございました営業経費率を六年度には一二%台にするということでこれまで鋭意努力してまいりましたが、六年度は一三・四%になる見込みでございます。  これは、分母である収入面について、特に景気後退の影響もございまして衛星の契約が計画どおり確保できず、したがってそのため収入確保ができなかった。それから分子である支出では、衛星契約活動の、何というのですか手間が、当初想定した予測をはるかに超える労力を要するようになって、計画どおりの要員削減ができなかったということでございます。当初計画した要員削減は二〇%程度ということでございましたが、この五年間に六千八十名を五千十五名に削減いたしまして千六十五名削減いたすわけでございますけれども、それでも一七・五%の削減率にしかならぬということでございます。  そういった手間がかかるということと、それから衛星の、発見、契約のためにそのほかに臨時の学生、主婦等の戦力を活用せざるを得なかった、その経費がかかったということでございます。そのために、この分母、分子、それぞれについて計画どおりにはいかなかったことにより一二%台というお約束が二二・四%にならざるを得なかったということ、これが第一点でございます。  それから要員体制について、先ほどもちょっと触れましたが、五年間で二〇%程度削減するということでございますが、改めて申し上げますと、六千八十名の要員を二〇%削減するところを五千十五名ということでございまして、一七・五%削減しかできなかったということ。その理由は、一にかかって衛星の普及の鈍化ということもございまして、その影響が非常に大きく、委託集金員の削減が予定どおり進まなかったということが大きいと思います。例えば、職員の事務を関連団体に出して効率化をするということは計画どおりに進んでおります。  それから、口座振替、継続振り込みの利用率を六年度に八八・九%まで拡大するというお約束をしてございます。口座振替、継続振り込みについては、受信料収納の安定化を図り、効率的な業務運営を促進するため、これまで積極的に進めてきたわけでございますが、そのためには、口座振替の開発に、職員あるいは委託集金員が自主的にその口座を開発するということをしていかなければならぬということのほかに、金融機関等の協力をも得るということをやってきたわけでございます。それから継続振り込みについては、農協、信用金庫、コンビニエンスストアなど、振り込み窓口の拡大による利用促進も図ってまいりました。しかしながら、平成年度末には口座振替、継続振り込みを合わせて八六・一%まで向上させる計画で現在進めておるところでございますが、当初八八・九%ということについては三%弱の差が出ているということでございます。  その理由は、衛星の契約開発に当初予定した以上の労力がかかって、口座の開発になかなか思いどおりいかなかったことが一つ。それから、口座の利用率が、NTTあるいは電力等の利用率は大体八〇%前後でございますが、八〇%を超えますとかなりさらなる開発というのが難しくなっているという状況もございます。それから、継続振り込み促進のために、訪問集金利用者の方々に文書で払い込み請求を行う、新しい方式でございますけれども、これがシステム開発等に手間取り、本格実施がおくれたということがございます。その結果、平成年度は、本格的に実施することになるわけでございますが、当初申し上げましたように目標に対して三%弱の達成ができなかったということになろうかと思います。  今後、口座振替、継続振り込みについても、受信料収入の安定的な確保の観点から積極的に努力をしてまいりたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
  63. 川口幹夫

    川口参考人 ちょっと補足いたします。  実行できなかったのは私の責任です。というのは、最後のところで、例えば営業経費率を下げます、一二%台にすることができるわけです。ところがそれをやりますと、現在も非常に落ち込んでいる衛星の契約率がもっともっと落ちるだろう。それから、全体にこの不景気ですから、お客様の財布のひもは非常にかたくなっています。それを衛星の方に目を向けていただく、そしてお払いいただくというようなことをするためには、やはりそれなりの営業努力というものをしないととても無理だ。どっちをとるかという判断をいたしまして、私が、一二%台は無理すると元も子もなくなる、例えばそういう状況になりますから、だから二二・四というところで何とかおさめて以後の展開を図ろうではないか、こういうふうに結論を出したからでございます。御承知いただきたいと思います。
  64. 自見庄三郎

    ○自見委員 目標を達成できなかったということの理由があったわけでございます。衛星契約が思ったように伸びなかった、あるいは思ったより不況が長く深く続く、そういったことで会長の判断で、営業経費率を一二%達成という目標を立てたんだけれども、そういったことを総合的に勘案して若干その目標が達成できなかったという話であったわけでございます。  そこら辺は国会で約束していただいた。何で一二%達成できなかったのか。私もそこまで——やはり経営形態、生き物でございますし、時の流れとまさに景気によって非常に左右されるわけでございまして、なおかつ受信料は人様からいただくものですから、私も衛星契約、実際集めている人にお聞きをしましたら、なかなか今難しいという苦労話の一端を聞かせていただいたこともあるわけでございます。  しかしながら、そういったこともございますが、長期的には、次の、現経営計画終了後これらの営業諸問題というのはまた取り組まねばならないわけでございますから、そういったことを踏まえてきちっと営業計画、くどいようでございますけれどもNHK、どちらかといいますとおんぶにだっこになりがちでございますから、そういうことでございません、やはりそこの経営者としての、経営体でございますから、常にそこにきちっとした考えを持っていただくということが、御存じのように放送法にも、きょうは神崎郵政大臣おられますけれども一般放送事業者の場合の免許の再更新の場合も財政的基盤が安定しているということも同時に大事な項目でございますから、よもやことしはNHKが財政的に大変厳しくなるというふうに私は思っておりませんけれども、常に、不断にそういったことに経営者が気を配るということが国民の側からも大変大事なことだろう、こう私は思うわけでございますから、ちょっとくどいようでございましたけれども、この点だけ国会の場で明らかにしていただきたいということでございます。  それからまた、もう一点。ことしの予算を見ますと、事業収入が伸び悩んでいる反面、事業支出の伸びも抑制されているわけでございます。公共放送としてNHK業務の根幹にかかわる番組制作費は十分確保されているのかどうかということを払お聞きしたいわけでございます。  もう会長御存じのとおり、重点的、効果的に予算というのは配分する必要がございます。しかしながら、今こういった経営効率を上げるということになれば、まあそういうことはないと思いますが、一方、まさに現場でNHKというのは一万三千人の方が大変な長い間の技術と伝統と申しますか歴史を踏まえていろいろな番組をつくっておられる、こう思うわけでございます、必要なお金は要るわけでございまして、率直に言いますとそこを余りけちりますと萎縮をする。今一部のテレビ局でも問題になっています制作番組の下請の問題等々も、その番組制作費が少ないという声も私は漏れ聞いているわけでございますから、ある程度の、当然でございますけれども、一定の番組制作費がないといい番組というのはできないわけでございますから、そこら辺十分確保されているのかどうか。まさに現場の方の士気にかかわることでございますから、その点につきましてNHKの方から御答弁を改めてしていただきたい、こう思うわけでございます。
  65. 川口幹夫

    川口参考人 御理解いただきまして本当にありがとうございます。番組経費というものは削減をすればするほど現場が萎縮するという傾向がございまして、それでは十分にいい番組はできないということがございますから、先ほども申し上げましたが、この六年度の予算の中では予算の増が大体百九十七億ございます。私どもは、その百九十七億のうち七五%というのを国内の放送費に配分をいたしました。ですから、このために地上放送衛星放送とも格段の努力ができるようになりました。新しい番組の編成も既に決まっておりますけれども、現在試写などをやっておりますが、なかなか見ごたえのある番組が出てきそうでございまして、こういうふうな形で予算の運用は重点的に配分をする、そしていわゆる不要なといいますか緊急を要しないとかいうものについてはできるだけ刈り込んでそれこそスリムな予算を組んだつもりでございます。御承知いただきたいと思います。
  66. 自見庄三郎

    ○自見委員 それでは、予算のことにつきましてもう一点。  平成年度−六年度経営計画では、五年間で大体どんとんの見込みであったと思いますが、きょう会長の話された予算案の中でも、七億円の黒字を計上し、累計で五百二十二億円を七年度以降に繰り越せる見通しであるということでございますけれども、収支状況が経営計画に比べて大幅に改善されている理由を明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  67. 中井盛久

    ○中井参考人 お答えいたします。  その前に、一つだけちょっと訂正させていただきたいのでございますが、先ほどの自見先生のお話の中の私の回答で、残念ながら計画に及ばないもののうち衛星契約につきまして、六年度九百万の予定が六百六十五万件、予算では六百六十五万というところを、私六百を抜かしたようで六十五万と言ったようでございますので、正確には予算的には六百六十五万ということでございます。ちょっと訂正させていただきます。  それから、今のこの五百二十二億の安定化資金を繰り越している、この状況についてでございますけれども、先ほどもお話をいたしましたけれども、全体としては、前半の経済の景気が非常によかったということが我々の計画を遂行するに当たって非常に幸いした。先ほども申し上げましたように、名古屋、そして広島の放送会館を新しく建て直したわけでございますけれども、民活利用といいますか、地上権の賃借料の権利を、計画の中では非常に危険度もありましたもので組み込んでいませんでしたが、結論的に言うならば、この五年間の中で両方合わせまして三百三億円の権利金が入りまして、それが非常に幸いしたということがございます。  それから、支出の面で抑えるということでは、先ほど来申し上げておりますように、NHK自体の経営の努力、できるだけ出るを制するという形で、むだなものにはお金を使わないという努力を積み重ねました結果、本来、平成年度は単年度赤字になるところが、逆に七億の黒字を見込める状態になった。しかも、それを今までの繰越金と足しますと、五百二十二億円が見込めるということに相なりました。
  68. 自見庄三郎

    ○自見委員 それでは、予算について最後ですが、会長、このような収支状況においてNHKは、国民が今一番関心があることだと思うのですが、現行受信料をいつまで維持できるとお考えでございますか。
  69. 川口幹夫

    川口参考人 先ほどからも申し上げておりますが、私は公共放送を支える財源としては受信料が一番適切なものであると思っております。ですから、この受信料をいただいて放送運営するという形はできるだけ長く続けさせていただきたいと思います。  ただ、間もなく状況が大分変わってくるだろうと思われますのは、二十一世紀になりましてマルチメディアができます。そして、世の中の情勢ががらりと変わってくる状況が考えられます。それと、例えば国民の意識自体も変わってまいりまして、いわゆる契約社会ということで、対価でないと払わないとかいうふうな考え方が大分浸透してくるのじゃないか。そういうこともありますので、そういったことに対する考えは十分に練っておかなければいけないと思いますが、できるだけ長く受信料体制によるということを申し上げたいと思います。  ただ、いつまでもそれができるともまた思われませんので、それに対しては十分今の段階から準備を進めておく、そして、国民による国民のための放送だということを前提にして、この問題を考えたいと思います。
  70. 自見庄三郎

    ○自見委員 平成年度受信料値上げをしない、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  71. 川口幹夫

    川口参考人 七年度はもう、しないということを内外に言っております。  八年度は、ことしの経済状況、それから今後の展開、情勢の変化というものを十分見きわめて、八年度については内外にはっきりとお伝えしたいと思いますが、今の私の見通しては八年度も値上げすることはないであろう、そうありたいということを申し上げておきます。
  72. 自見庄三郎

    ○自見委員 それでは次に、国際放送についてお聞きをしたいと思います。  今さっきから、ラジオ・ジャパン、六年度放送時間が六十五時間に拡大をされたということでございます。送っている国もふえた、こういうことでございまして、大変結構なことだというふうに私は思っております。しかし、国際化が進む中、いわゆる放送だけでなくて、やはり映像海外に発信するということは大変私は大事だ、こう思うわけでございます。  私ごとで恐縮ですが、私、先日国会の方から脳死の調査団に実は行かせていただきまして、ドイツと、イギリスと、アメリカと行かせていただきました。朝、ロンドンでも、それからワシントンでも、テレビをひねりますと、実はNHKニュースが朝の七時からあのロンドンでも実はワシントンでも見られる、こういうことでございまして、今大変こういったことがだんだん拡充しつつあるというふうに思うわけでございます。  しかしながら、私の見たNHKは当然日本語でございますし、あれを英語で吹き込み、そういったのもあるという話は聞かせていただいているわけでございますけれども、やはり日本が今から生きていくために、まさに三十六万平方キロの日本国でございますが、やはり日本の主張というのを徹底的に外国の方にわかっていただく、賛成していただくか賛成していただかないかは別としまして、やはりこういうものだということを、どうも我々シャイな文化と申しますか、余りしゃべらない、男は黙っている方がいい、こういった教育の文化の中にあるわけでございまして、私自身もそういった側面があるわけでございますけれども、そういった中、しかしそうはいっても国際化、情報化の時代でございますから、やはりNHKアメリカ、ヨーロッパ、テレビ・ジャパンのアジア向け、あるいは通信衛星を利用した番組提供を行っているということはお聞きしておりますが、これはまだ十分ではないと思うのですね。極端な話、日本が生き残るために、日本の主張を徹底的に外国にPRをさせていただく。PRという言葉は少し語弊があるかと思いますが、やはり情報提供させていただくという姿勢が私は大事だ、こう思うわけでございます。NHKは、特に公共放送でございますから、その点、まさに私はそういった、今まで御協力いただいておりますが、まだまだそういったことを踏まえて、率直に言えば十分でない。アメリカのどこの都市でも、テレビをひねればNHKの、あるいはNHK番組を編成したものでも英語で出てくる、これで必ず子供のころから、アメリカの子供もヨーロッパの子供もアジアの子供も見ていただいている、なれ親しんでいただいている、こういうことが私は大変長い歴史、スパンで見れば、まさに私は日本の国益に大変資する、こう思うわけでございます。  そういった意味で、今後映像による海外発信についてどのように取り組まれるかということをNHKに聞きたい、こう思うわけでございます。
  73. 川口幹夫

    川口参考人 海外への発信は非常に重大な仕事の一つであると理解しております。特に、これまでやってまいりましたテレビ・ジャパンという形でのアメリカ及びヨーロッパに対する発信は、ほとんど先生おっしゃるように日本語が主でありまして、バイリンガルでやっているのは相撲の放送だけでございますけれども、なかなか好評を博しておりまして、さらに在留邦人だけあるいは旅行者だけじゃなくて、外国の方に日本の状況を知っていただくためにはバイリンガル化しなければいけないと思います。  ただ、既に今までの形でやっておりましても大幅な赤字が出るような状況でありますので、この経営問題と絡んで番組の中身の問題等々を今精力的に検討しております。そして、なるべく早く結論を出して、テレビ・ジャパンの今後についてはきちんとした考え方を先生方にも御理解いただきたいと思っております。  それから、アメリカやヨーロッパだけじゃなくて、アジアにも情報発信をすべきだということはこれも極めて当然のことでありまして、私どももその準備はしております。ただ、これにはいろいろな問題がありまして、NHKの現在の能力では、例えば経費的に国内の受信者から集めた受信料でそういう放送をやっていいだろうかという疑問もありますし、できるだけいろいろな方々のお知恵を拝借して、できたらアジア向けにはきちんとしたものを出したい、特に言葉の使い方というのは非常に微妙でありますから、英語によるのかあるいは中国語によるのか、その他のアジアの言葉をどう使うのかということまで含めてただいま検討中でございます。ぜひまた、そういうときには先生方のお力添えもいただぎたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  74. 自見庄三郎

    ○自見委員 それでは、こういった映像による情報発信は本格的にする必要がございます、必要があるけれども膨大な経費がかかる、NHK受信料だけではいかがなものか、こういう御発言であったと思うわけでございます。  その中で、約五千六百億円の予算の中、たしか私の記憶が正しければ十八億円が国から出ている補助金でございますが、それは国際放送に対する補助金だ、こういうふうに考えるわけでございます。  せっかく江川放送行政局長がおいででございますから、突然の質問でございますが、この映像による、受信料基盤とするNHKだけでは経費を負担し切れないというふうに思うというふうな会長のお話もあったわけでございまして、しかしながら、国としては大変重要でございますから、もっと幅広い形の実施体制を考えることはできないのか、近々放送法の改正等々あるやに聞くわけでございますし、やはりそういったことを、電波のみならず映像についても大変支援をするということが、長い目で見て非常に私は日本の国益である、こういうふうに思うわけでございますし、そういったことを、局長がおいででございますから、御答弁をいただきたい、こういうふうに思うわけです。
  75. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生御指摘の国際映像と申しましょうか、映像国際間で交流するということでございますが、それにつきましてはやはり法律を要することになりそうなので、法律をつくるべく今検討いたしております。その法律に書かれる仕組みに参加してきますのはNHKばかりでなく民間放送とかそのほかの一般の企業とか、そういう人たちも入った仕掛けでそういう仕事ができるようになったらいいのではないかということで今検討中でございますので、詳細は法律ができまして、ここに、本店に提案できるようになりましたら、ぜひ御支援、御審議いただければと思います。
  76. 自見庄三郎

    ○自見委員 法律も検討中で、NHKのみならず民放の方にも御協力いただいて一緒にやっていける仕組みをつくりたいという御意向でございました。きょうは郵政大臣もおいででございます。答弁はよろしゅうございますが、郵政省としてもぜひそういった映像国際化、日本映像国際化ということを推し進めていっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、次は放送ソフトの問題でございます。  今さっきからいろいろな方々からお話が出ましたが、マルチメディア、今大変大きな関心を呼んでおります。私も自民党の通信会長としていろいろ勉強させていただいておるわけでございますけれども、マルチメディアと言えば、私の認識によれば基本的にディジタル信号あるいは光ファイバー、こういう技術革新のもとに一体何を流すのか、どういった情報を流すのかということが私は今まだ漢としてわかっていないというふうな気もするわけでございます。アメリカのゴアさんの計画情報スーパーハイウエーによりましても遠隔地医療だとか遠隔地教育だとか、あるいは双方向のテレビショッピングだとか等々、特にアメリカの場合は遠隔地医療と遠隔地教育ということを非常に中心に持っていっているようでございますが、まだマルチメディアになっても一体どういうソフトを流すのかがなかなか漠として世界じゅうでわかっていないというのが今の現状ではないかなというふうに私自身思うわけでございます。  そうなりますと、マルチメディアの時代になりましたら結局全国光ファイバー網をつくろうということ、一方では大変意見が多いわけでございますけれども、その中で最後はやはりソフトが決め手になると申しますか、ソフトが一番大事になってくるというふうに私自身思っているわけでございまして、そういった意味で映像ソフトはテレビの番組映像ソフトのうち約九〇%を放送ソフトが占めるという現状もあるわけでございます。圧倒的に放送会社と申しますかが映画とかビデオに比べて大事な、現状では九〇%ぐらいだというふうに私は認識しておるわけでございますから、そういった意味で私は非常に放送ソフトが大事だ、こういうふうに思うわけでございます。  このソフトをいかに制作、供給していくかということが将来を見込んで、今さっき郵政大臣が二〇一〇年には百二十三兆円の市場規模になる、マーケットになる、二百四十万人新たに雇用を創造しょう、こういった大胆な野心的な、しかし同時にある程度科学的な根拠に基づいたことを発表されたわけでございまして、日本は今こういった不況の中でございますし、輸出産業でございまして花形でございます自動車、家電というのはなかなか円高の影響もあって伸びがたいという状況もあるわけでございます。私も選挙区に大きな自動車工場ございますが、周りが不況で、何と申しますか、大変私自身も苦慮いたしておるわけでございますけれども、やはりマルチメディアの分野はそういった意味で将来の情報社会、非常に明るい分野でございます。  しかし、その中においても特に私がるる申し上げましたように放送ソフトというのは大変キーポイントになると思うのですね。こういうのは、今さっき言いましたけれども、簡単にできません。やはりNHKさんも長い間、あるいはほかの民放さんでも長い間の蓄積と、時には技術の伝承だとか、そういったまさに人間の最もいろいろな、高等なところに起因するような産業でもございますから、そういった意味でまさにこのソフトをいかに制作、供給していくかということは一NHKのみならず日本にとっても私は大変重要な欠かすことのできない政策になってくると思うわけでございます。  従来、日本人といいますと、ハードはお金を使って買いましても、ソフトはただだ、この辺の感覚がやはり日本文化には若干あるのかなというふうに思うわけでございます。私もしばらく長い間研究者をしておりましたけれどもコンピューターの本体は売ってくれるのですが、大体ソフトはおまけで持ってこいなんというのが二十年ぐらい前の、その当時の常でございました。そういったことで、それではいけない。著作権の問題もございます。ソフトの分野こそがまさに本当に私は今からのキーポイントになる、こう思うわけでございます。  少し長くしゃべり過ぎましたが、きょうは郵政省おいででございますから、局長にどのような対策を考えているのか、ひとつその点についてお聞きをしたいと思うわけでございます。
  77. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生御指摘のとおり、マルチメディア社会になりますと、結局はソフトが一番の勝負と申しましょうか大事なものになるということは御指摘のとおりかと思います。それで、今先生がおっしゃいましたが、ネットを張るというハード的なこと、しかしそれに何を乗せるのかというそこが一番問われていまして、現在でも電気通信審議会の中で次世代ネットワークをつくる、新世代ネットワークをつくることとあわせて、どんなアプリケーションが利用できるだろうか、世の中に出てくるだろうかということも同時に研究、御議論いただいているところでございます。  そういう中で、現在の目で見ますと放送分野の放送映像ソフトというのはそういうジャンルの中では非常に大きな部分を占めている、先生おっしゃったとおりでございまして、ビデオとかゲームとかいろいろなソフトがございますが、それらよりも群を抜いて、それらは一千億、二千億というレベルの数字ですが、放送映像の方は一つ上で二兆何千億というようなレベルでございます。そういうことで、この放送産業におけるソフトの貢献度というのは今後もますます大きくなっていくと思います。  そういうことに呼応しまして、郵政省としてもソフト支援あるいは振興ということにつきましてはいろいろやってきているつもりでございます。もちろん郵政省だけではなくてNHKと協力しながらいろいろやるわけでございますが、例えば予算要求をしてソフトのあり方あるいは開発のあり方を研究調査してみたり、具体的に電気通信基盤充実臨時措置法というのに基づきまして放送番組を制作する人材の育成というようなことに手をつけてみたり、放送された放送番組を収集、保管して一般に公開する放送番組センターというものをつくったりなどなどいたしているところでございます。  あわせて、一番最新の施策で申し上げますと、放送番組を制作するに当たりまして、つまり映像ソフトをつくるに当たりまして、その素材となる部分、そういったものを収集、制作、保管いたしまして、放送映像をつくろうとする者に使わせてあげるというような仕組みもつくり、そういうことをやろうとする者への応援をしようというようなことも今検討しておりまして、これも法律を要しますので、法律として整えまして本委員会に御提案させていただくことになりましたらば、また御審議をいただければありがたいと思っているところでございます。  そのようなことも含めまして、今後とも多様で質の高い放送ソフトの作成を推進するために多角的な取り組みを行ってまいりたいと考えているところでございます。
  78. 自見庄三郎

    ○自見委員 ついでに、NHK会長もおいででございますから、今の放送ソフトにつきましてNHKとしてはどのように思うか、もし御意見がございましたらお聞かせいただきたい。
  79. 川口幹夫

    川口参考人 アメリカで今やっておりますマルチメディアの実験のいろいろな形を私のところにもビデオやらあるいは文献やらで送ってまいります。それを見ますと、大きく分けて、一つは、マルチメディアが志向しているのは世の中のことをすべて便利にしてしまおうという方向だと思います。例えばテレビショッピングというのは自宅でいながらにして買い物ができるとか、あるいは在宅しながら仕事ができるような形をつくるとか、そういう便利になる形ですね。それからもう一つは、希望するときに希望するものが見られるというあり方で、ビデオ・オン・ディマンドというような言葉がございますけれども、ビデオでも自分が見たいときにそのものを要求すると出てまいります。そういう大変便利なあり方マルチメディア時代は確実に出現してまいります。  その一方で、ではその中で我々放送事業者が今後どのような生き方をするのかというのが実は一番大きな問題だと私は思っておりまして、そのような便利なシステムの中に中身のあるものをどうやって入れていくのか、あるいはその中身のあるものがどのような形で国民一般に受けとめられるのか、そういったことを十分これから検討してまいろうと思っております。  一方では、例えば災害放送とか、そういう緊急性のあるものについての無線系の優位性というものもありますから、これもやらなければいけないし、いろいろな意味で、私が、マルチメディア時代の中で放送事業者、特にNHKがどういうことをしなければいけないかということについては、非常に重要な問題として取り組んでいくつもりでございます。ソフトの中身の充実はもちろんのことでございます。
  80. 自見庄三郎

    ○自見委員 そろそろ持ち時間も少なくなったのですが、最後に郵政省に、都市難視聴でございますね、ちょっと質問をさせていただきたい。  私の選挙区は北九州市を中心とした選挙区でございまして、私の地域でも、この前びっくりしたわけでございますけれども、門司区のある地域に、私もよく行く地域でございますけれども、その地域は大変テレビが見えない、実はこういう御陳情をいただいて、いろいろ陳情いただいたわけでございますけれども、また特に、都市の中では、御存じのように建造物の高層化が進んでおりますし、もう高層化、立体化によってテレビ放送の受信障害が多発しているということでございます。約六十四万世帯がそういった被害に遭っているというふうに聞くわけでございますけれども、都市におけるテレビジョン放送の受信環境を整備することは、言うまでもなく非常に大事なことでございます。一体、郵政省としては、こういったことについてどのようにして取り組んでいるのか。  あるいはもう一点、平成年度から公共投資として都市受信障害解消事業電気通信格差是正事業と申しまして、これはもう公共事業というふうに、長年の悲願でございましたが、郵政省の公共事業としてこういった都市受信障害解消事業が創設をされたというふうに私は記憶をしておるわけでございますけれども、そのことも含めて、具体的にお答えをいただければ、江川局長にお願いをしたいと思います。
  81. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生御指摘の都市受信障害解消事業というプロジェクトは、おっしゃいますように、電気通信格差是正事業としてやらせていただいているものでございます。  具体的な、それは補助金を出すわけでございますが、補助率は国が三分の一、地方自治体が三分の二を出して、それで見えるようにしていこう。施設を設置するわけでございますが、テレビジョン放送共同受信施設というものを各戸へ見えるようにしていこうということでございます。そういうことをことしもやっております。  あわせて、そういうことで都市受信障害というものを救っていくわけでございますが、新たにことし、遠隔地で見えないところ、小笠原でございますが、あそこにも見えるようにしようということで、衛星を使った受信の改善策をやろうということで予算を組んでいるところでございます。
  82. 自見庄三郎

    ○自見委員 日本放送協会、今さっきも言いましたように、あまねく日本全国において受信できるようにと、こういうことが基本でございますから、一つ、昨年でございましたか、沖縄が見えるようになりまして、ことしの予算ではたしか小笠原がこのテレビが見れるようになる、こういうことでございます。  また同時に、都市の中においてビルが乱立いたしますと、一体どこのビルが加害者がわからない、こういうふうな現象も起こっておるわけでございますから、その点は、こういった法律の精神にのっとり、きちきちきちっとやっていっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  いよいよもう時間になったようでございますが、最後に、神崎郵政大臣がおいででございますから、郵政大臣に御答弁をいただきたい。  平成年度NHK収支予算事業計画及び資金計画、「おおむね適当なものと認める。」というふうに御判断をしておられるようですが、「おおむね適当」と評価した理由は何か、おっしゃっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  83. 神崎武法

    神崎国務大臣 NHKは、これまで、事業運営に当たりましては、効率化による経費の節減や受信料収入確保等に努めまして、平成年度も、平成年度から六年度経営計画と比較いたしまして、収支は大幅に改善いたしまして、単年度七億円の黒字を計上しているところでございます。平成年度からの累積黒字と合わせて、五百二十二億円を七年度以降に繰り越せる予定となっております。  一方、営業経費率及び衛星受信契約数につきましては、平成年度から六年度経営計画の目標は、平成年度中に達成することは困難な状況でございますので、今後一層の努力が必要だと判断をいたしております。  以上の点を踏まえまして、「おおむね適当」と評価したところでございます。
  84. 自見庄三郎

    ○自見委員 それでは、豊かで、かつ、よい放送番組をつくるということが基本的な使命だと思うわけでございますから、いろいろ質問をさせていただきましたが、そういった国民の要望、ニーズがあるわけでございますから、きょうNHK会長以下おいでいただいたわけでございますけれども国民のきちっとした信託にこたえて、ひとつしっかりやっていただきたい、こういうことを最後に重ねて御要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  85. 高橋一郎

    高橋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  86. 高橋一郎

    高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について質疑を続行いたします。坂井隆憲君。
  87. 坂井隆憲

    坂井委員 けさ、午前中に、郵政大臣並びにNHK川口会長から、平成年度NHKの予算について提案理由説明並びに補足説明が行われました。  平成年度事業収支を見ておりますと、事業収入が五千六百六十七億円、事業支出が五千五百二十二億円ですから、事業収支差金が百四十五億円。昨年度の二百十二億円の収支差金よりは減少しているものの、この金額だけ見ますと、依然として極めて黒字になっていて、いい経営をしているということになろうかと思いますけれども、この点については昨年も私申し上げたんですが、この事業収支、よく分析してみますと、この参考の欄に事業収支のうち、衛星収支というものがあります。  平成年度衛星収支の事業収支差金が百二十二億円、今回平成年度では九十一億円になっているわけでございまして、この衛星収支分を除いた額で事業収支を計算しますと、平成年度は九十億円、平成年度事業収支差額は五十四億円ということで、半分近くになっている。このままいきますと、九十億が五十四億ですから、平成年度はひょっとするとひょっとして赤字になるんじゃないかな、衛星収支を除いた分ですよ、という気がいたすわけです。  そうしますと、このように収支が悪化したその要因というのは一体何だろうか。収支の伸びに比べて事業収支の伸びが極めて高いわけですが、そういうところにあるんじゃないかと思いますけれども、この点についてちょっと御説明いただければと思います。
  88. 齊藤曉

    ○齋藤参考人 財務担当の齊藤でございます。お答えいたします。  平成年度につきましては、収支過不足額におきまして、総合収支で七億円の黒字でございますが、これには衛星収支の黒字九十一億円が含まれております。したがいまして、衛星収支を除く、いわゆる基本収支では八十四億円の赤字でございます。ただ、これは六年度、単年度で見た場合でございます。  五カ年の収支の流れでこれを見ますと、NHKは、平成年度に五カ年の経営計画を立てまして、衛星を除く料額改定をさしていただきました。その平成年度から六年度につきまして、累計で見ますと、六年度末、基本収支は大幅な黒字でございます。トータル六百七十五億円、これは繰越金の五百二十二億と衛星の累積の赤字百五十三億、これを相殺して考えますと、基本収支においては六百七十五億の黒ということになるわけでございます。衛星収支は、今申し上げましたように、累積では百五十三億の赤字でございます。  平成年度の、衛星を除く受信料額の値上げを振り返ってみますと、五カ年の事業収支で不足すると見込まれた額約五千億を値上げによって賄い、平成二年から六年の事業収支がバランスをとれる計画でございました。財政計画では、前半の黒字を後半の年度の赤字補てんに充てるというものでございます。したがいまして、値上げの後に効率的な事業運営に努めましても収支過不足の黒字が徐々に減少していくというのは、現在の料額決定のあり方のもとでは、そのほかの公共的な企業の料金と同じく避けがたい傾向ということが言えると思います。  次に、六年度において、事業支出の伸び率三・七%でございますが、事業収入の伸び率二・三%を上回っておりますけれども、これは経営計画の最終の年度ではございますが、総合収支の黒字の範囲内で放送サービス充実したということでございます。
  89. 坂井隆憲

    坂井委員 最初にいろんな累計の話をされましたけれども、累積で基本収支がそのように大幅に黒字になっているということはもうわかるのですけれども、やはり後段で言われたように、もちろん公共料金というものは、受信料を値上げしたときに、最初は大幅に黒字になりますからだんだん減っていくのは当たり前ですから、それは当然わかるとしても、やはりこのごろの感じでは、早晩また受信料値上げの問題か、あるいは衛星収支を除いたところの収支、基本収支、この問題について真剣な検討を加えなければいけない時期になってくるんではないかなという気がするわけであります。  仮に平成年度に、そのように基本収支が減ってくることによって赤字になるということになった場合には、直ちに受信料の値上げを考えていくのですか。それとも、総合収支で見た場合に、単年度収支で見ますと衛星収支が黒字だからそれで賄っていっているんだから、とりあえずそれでしのいでいくんだというような考え方をしていくのか。どちらに力点を置いていかれるのか、NHKの御意見を伺いたいと思います。
  90. 齊藤曉

    ○齋藤参考人 今申し上げましたように、衛星収支につきましては、単年度九十一億、六年度においては黒を見込んでおりますけれども衛星のスタート当初の赤字がございます。これを相殺しながら衛星収支としては徐々に内容が改善されているということでございますが、衛星収支そのものが収支償う、あるいは黒字に転ずるのはあと二年ないし三年かかろうかと思います。  衛星の収支の状態についてはそういうことでございますが、今値上げの問題について御質問がございましたけれども、六年度末の総合収支で、六年度の七億円を合わせまして五百二十二億円の財政安定のための繰越金が見込まれております。この財源は基本収支の繰越金でございますので、この財源を効果的に使いまして、視聴者の方々に新たな負担をお願いする時期をできるだけおくらせるように経営努力を行いたいというふうに考えております。     〔委員長退席、金子(徳)委員長代理着席〕
  91. 坂井隆憲

    坂井委員 ちょっとただいまの答弁ではよくわからなかったのですが、ということは、累積の黒字があれば、単年度で例えば基本収支が赤字になっても受信料値上げの問題については検討しない、そのように考えてよろしいんでしょうか。  もちろん、衛星収支についてはまだ累積の赤字が結構あることは承知しております。ただ、受信料改定のときにはやはり全体をにらんで考えていくということが筋なのか、あるいは別個に考えていくのか、あるいは過去の累積まで考えて、単年度でなくて考えていくのが筋なのか、その辺の基本的な姿勢を問いたいんです。
  92. 齊藤曉

    ○齋藤参考人 その年その年の経営課題がございます。これを消化しながら収支相償うように予算執行するのがまず基本でございます。  ただ、これから赤字が見込まれるから値上げにすぐつながるのかというお話でございますが、これは先ほども申し上げましたように、収支償うことを前提にしながら、少しでも赤字にならないように経営努力をいたすということがまず前提でございます。その上で、どうしてもNHKのやるべき仕事とのバランスの中で値上げをお願いしなければいけない時期には、御理解を賜りたいということでございます。
  93. 坂井隆憲

    坂井委員 いまだに何かはっきりとした感じがうかがえないのですが、まあそれ以上の答弁は結構ですけれども。  私が申し上げたいのは、総合収支的な考え方でいくのか、それぞれの分計した収支の考え方で料金問題、経営問題を考えていくのか、そういうことについて基本的に考えていかないといけないんじゃないかと思うわけです。  私は、昨年のNHKの予算審議の場合にも、この基本収支と衛星収支について、この資本収支のところも含めてもう少し明確に経理の分計をすべきじゃないかということを申し上げました。そして、それぞれの収支が負担すべき経費、どういう経費を本当に負担しているのか、その負担区分のあり方もその際十分に検討することによって、この基本的な地上波の受信料の料金体系と衛星付加料金の料金設定自身にも影響してくるのじゃないかなと思うのです。  衛星付加料金は、現在九百三十円。この衛星付加料金については割引制度もいろいろあるわけですね。多数契約一括支払いにおける割引制度というものがありますし、また団体一括支払いにおける割引制度というものもあります。それぞれ具体的に、どのような制度なのか、どのようなところが主な対象となっているのか、御回答いただければと思います。
  94. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答えします。  多数契約一括支払い、それから団体一括支払いの制度と対象についてでございますが、いずれの割引制度についても、平成年度の八月以降衛星料金が設定され、衛星有料化ということになりまして、そのときに衛星契約の促進、それから収納の安定化あるいは効率化ということを目的に設けられたものでございます。  多数契約一括支払いの割引は、主としてホテルが中心になりますが、ホテルや会社等の事業所で、契約当事者は一つあるいは一人、そして契約件数が十件以上の場合に、契約件数に応じて、口座振替または継続振り込みによる受信料月額から、一件当たり、五十件未満では二百円、五十件以上百件未満では二百三十円、百件以上では三百円というものを減ずるということでございまして、平成六年一月末現在の契約件数は約二十万件、利用グループとしては三千七百十六ございます。  それから団体一括支払いの割引は、CATV等地域の面的なまとまりがある場合について、受信契約者が十五名以上まとまった場合、その代表者を通じて口座振替あるいは継続振り込みで衛星受信料を支払う場合に、訪問集金による衛星受信料月額から、一件当たり二百五十円を減ずるというものでございます。平成六年一月末現在の契約件数は約十三万件、利用グループは九百十八でございます。
  95. 坂井隆憲

    坂井委員 ただいまのお話を伺いますと、多数契約一括支払い制度というのはホテルなどが中心、会社など含めてですが、一人の人が契約の対象になるということでございました。ホテルなんかでしたら、確かにそこの中に、そこのいろいろな各室に多数の衛星放送を享受する人たちがいるわけでありますが、そのホテル自身もサービスをできる、サービスの便益をすることができるということですから、そのホテル自体にもメリットがあるわけでありますが、団体一括支払いというのは、今のお話ですと、契約は複数の人で、CATV事業者などが一括して手続を代行するという話になっておりますから、この割引制度を、CATV事業者、代行する人はこのメリットを享受できないということになるわけですね。そうすると、何となくおかしいんじゃないかな。CATV事業者、代行する人にも何らかのメリットを与えないといけないんじゃないかなという感じがしますけれども、その辺はどういうふうになっているのですか。
  96. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答えいたします。  CATV等のいわゆる取りまとめをする事業者にとっては余りメリットはないのではないのかなという先生の御指摘がございますが、私どもとしては、CATV事業者にとって実は最大のメリットというのは、CATVの加入者がふえるということではないのかなというふうに思っているわけです。そういう観点から、CATVの加入者がふえるように、つまりCATVに加入して団体一括支払いというものが受けられれば二百五十円割引になるんですよ、したがってCATVに加入すれば皆さん得ですよというような効果も考えて、この衛星料金が設定されたときにこういう制度を設けたということでございます。  加えて、事業者には、月額一件当たり五十円ですけれども、取りまとめの事務費というものもお支払いをしているということでございます。
  97. 坂井隆憲

    坂井委員 一般的な経済原則といいますと、まあ何年か前に証券会社の株の大口の問題で損失補てんの問題がありましたけれども、やはり大口には割引というのは一般的な経済原則だと思います。そういう意味で、衛星放送の割引制度というのは、多数契約一括支払いというのは、ある意味で経済原則にかなって、私は非常に適切な制度だと思いますし、一方で、団体一括支払い制度に関しましても、通常でしたらNHKさんが契約とか受信料徴収のための営業訪問なんかも行うわけですね。ですから、そういうことをしなくても済むというNHKサイドのメリットもあるわけですから、両方とも割り引いていくというのは当然だなという気がいたします。  ただ、衛星付加料金が今九百三十円。そして、ただいまのお話を伺いますと、多数契約一括支払いの場合では、五十件未満二百円ですけれども、百件以上になると三百円の割引。それから、団体一括支払いの場合でも、契約件数一件当たり月額二百五十円の割引ということですから、かなりの割引になる。団体一括払いでも、CATV事業者に対する手数料を含める上、五十円ですから三百円の割引となるわけで、三百円となりますと、九百三十円に対しますと三〇%を超す割引になる。いろいろな割引制度を見ましても、これくらいの割引というのはちょっと多過ぎるんじゃないかなという気がするのです。  これらの割引で、一体NHKの予算でどのくらいのマイナスといいますか、予算上どのくらい影響を受けるのか。そして、さっき言いましたように、NHKさんからすると契約や受信料徴収のための営業訪問を行わなくていいわけですから、その訪問コストというものは一体どのくらいなのか。その点についてお答えいただければと思います。
  98. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答えします。  団体一括支払いの割引額の二百五十円というものがそもそも設定されましたのは、この種料金の社会的割引水準とか、それから口座支払いの割引額を当初考慮いたしまして設定したものでございまして、例えば一般的な団体割引ということでいいますと、JRあるいは簡易保険等は七%から一〇%ぐらいの割引になっております。その中間値ぐらいをとって、この受信料は二千三百円でございますから、二千三百円に対して大体二百円ぐらい。これは、二百円ですと八・七%になります。そして、それに口座の支払い割引五十円をつけ加えて二百五十円という割引にしたものでございます。  それから、多数契約一括支払いの割引については、ホテル等に衛星放送をたくさん導入していただこうということも考えましてこの団体一括支払いの割引水準を考え、また衛星契約の促進あるいはお客さんが衛星放送を見ていただけるというようなPR効果も考えて二百円から三百円の範囲内で割引額としたものでございます。  先生のお尋ねの訪問集金コストというのは、月額一件当たり百五十八円でございますが、それだけを考えて設定したものではなく、その最大の理由は、繰り返しますが、衛星の契約とそれから収納の促進ということで設定したのだということでよろしくお願いしたいと思います。  それから、予算の影響でございます。予算の影響は、団体一括が六年度の予算で手数料も合わせて四・八億円、それから多数一括が六・二億円ということになってございます。
  99. 坂井隆憲

    坂井委員 ただいまの御答弁でJRや簡保は七%から一〇%の割引ということだったのですが、さっきの二千三百円というのは衛星付加料金と地上の受信料とを合わせた金額ですか。そうすると、もともとこの割引というのは衛星付加料金についての割引ということじゃなくて地上波までも含めたものの割引というものを想定したと考えていいのですか。ちょっと御答弁をいただければと思います。
  100. 菅野洋史

    ○菅野参考人 受信料というのは、先生のおっしゃるとおり付加料金として九百三十円を考えて、そして千三百七十円に九百三十円を足して二千三百円として受信料額というものは決めてございまして、それに対する割引率ということで考えたものでございます。
  101. 坂井隆憲

    坂井委員 二千三百円に対する割引ということで考えると、衛星の契約のときだけ割り引くわけでしょう。そうすると、例えば衛星はやらなくて地上波だけホテルでやっているところがもしあるとすれば、あるいはそういうCATV事業者でも、CATV事業者は大体衛星をやっているでしょうけれども、仮に地上波だけでいいという話になってしまうと、このときでも割り引いてくれるのですか、くれないのですか。
  102. 菅野洋史

    ○菅野参考人 先ほども申し上げましたとおり、この多数契約一括支払いあるいは団体一括支払いという割引制度は、衛星放送の普及ということを考えて、そのために衛星放送の有料化のときから設定したということでございまして、例えば地上波だけしか見ないというホテル等については、もちろん割引をするということはないということでございます。
  103. 坂井隆憲

    坂井委員 衛星の普及のためということになりますと、この付加料金そのものも多分安く設定しているのでしょうし、割引制度なんか考えたら基本的に安く設定しているということなのかなという気がするのですね。やはり訪問コストでも、さっき百五十八円と言われましたけれども、これも衛星放送だけにかかるわけでないわけで、やはり経済的な原則からすれば、大口契約に関して訪問コストの分の手間が省けるということでございますから、何も衛星放送だけに割引制度を設けるというのはおかしいのじゃないか、やはり普通のカラー契約についても割引制度を設けてもいいのじゃないかと私は思うのですが、これは設けることはだめなのですか、できないのですか、それともそういう必要性を認めないのですか、ちょっと教えてください。
  104. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答えいたします。  受信料は、NHK事業運営していく上で必要な経費を国民の皆様にひとしく公平に分担していただくということを基本に受信規約を定め、そしてお支払いいただいているということでございまして、そういう意味では、その時代とともに公平負担のあり方というものは国民の皆様の理解の得られる中で進めていかなければならぬというふうに思っているわけでございます。  そういう観点から、これまでも世帯であれば一世帯ごとに同じ料金、それから事業所であれば受信機設置ごとにということであったわけでございまして、今お尋ねのとおり、衛星の普及ということに視点を置きまして、この団体一括と多数一括の割引を設定いたしたわけでございまして、これは衛星の契約と収納の促進のための政策的に設けたものということでございまして、地上受信料にまでこの割引を拡大することは考えていないということでございます。
  105. 坂井隆憲

    坂井委員 私は、経済原則からすれば何となく納得できないような感じがするのですけれども、その話はちょっとさておきまして、CATV事業者の料金設定なんかもいろいろ見ていますと、ここに東急ケーブルテレビジョンのいろいろなシステムの資料があるのですが、NHK衛星放送第一、NHK衛星放送第二、日本衛星放送などの衛星系と、NHK総合、NHK教育及び一般民放などの地上波、そういうものをすべて込みで利用料金を決めているケースが多いような気がするのです。  今後CATVが普及していく場合には、NHK衛星放送は見るけれども日本衛星放送は見ないとか、NHK地上波は見ないが衛星放送は見る、あるいは逆の場合もあるかもしれません。そのように多角的な利用形態に対応した料金設定というものを考えていく必要があるだろうし、そういう流れの中で割引制度を含めて郵政省としてもCATV事業者にいろいろな工夫をさせていく必要があるのじゃないかと思うのですが、郵政省の御見解をお聞かせいただければと思います。
  106. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生御指摘のように、CATVの料金にはそういうものが入って設定されているというのが多数ございます。CATVの料金の設定の仕方は御案内のとおりでございますが、CATV事業者において契約約款というのを定めるわけですが、料金を、額を定めるわけでございますが、それを郵政大臣に届け出ればそれでよいという仕組みになってございます。  今先生おっしゃったような仕方になっているわけですが、その場合でも、先ほど来答弁がございますように、CATVとのセットで衛星をやる場合にどういう割引制度でやれますよというオファーをして、そういうものを受けてそれを込みで、他の例えばWOWOWであるとかCS放送であるとかなどなども含めてCATV事業者として料金を何千円以下と決める形になっているわけでございます。そういう意味ではCATV事業者の責任においてそれを安くしたりなんかするのは自由がもしれませんが、NHKとの契約の料金はその中からNHKに払わなければいけないというのが事の自然でございまして、そういう枠組みの中でいろいろな設定の仕方はあろうかと思います。  ただ、先生おっしゃいますように、NHK衛星は見るがWOWOWは見ない、例えば衛星は見るが地上は見ない、地上は見るが衛星は見ないというふうに個別のものでの設定になっていきますと、一体そういうことが本当にできるのかどうかということはやはり相当問題が出てくるのではないかな、やはりある意味では一括契約というもので処理しなければいけないのではないかなと思います。CATV事業者に対しては、きょうの先生の御意見ども踏まえて、何かCATV自身の普及発展のためになるような料金設定というものもひとつ工夫して考えてみたらどうかということは我々働きかけていきますが、おのずと一定の限界はあるのかもしれないというふうに承知をいたしております。
  107. 坂井隆憲

    坂井委員 いずれにしても、民間がやることですから余り国がどうのこうのということはできませんけれども、私も一個人として、衛星放送とかも、WOWOWからいろいろなものがあり過ぎてもちょっとそんなに見ないなという、私は個人的にはそういうところはあるものですから、やはり国民がいろいろなもの、サービスが享受できるように、そしてそのために、CATV事業者がそういうものをやろうとするときに、こっちは割引制度があるけれどもこっちはないとかいろいろなシチュエーションを、CATV事業者もいろいろなことができるような道だけは国としてやる必要はあると思うのですね。あとは、もちろんCATV事業者と実際の国民のニーズとの問題で決まってくることなんですが、そういうことをいろいろと検討していただければなという気がするわけでございます。  また衛星の付加料金の話に戻っちゃいますが、衛星付加料金は九百三十円で、NHKの通常の受信料は千三百七十円。したがって、衛星付加料金は通常の受信料よりかなり安くなっているわけであります。しかも、ただいま御答弁があったように、衛星付加料金には地上波に比べて種々の割引制度がある。それでも衛星収支がNHK事業収支の中で大きく寄与しているということは、そもそもこれらの料金設定に当たって、衛星付加料金の料金がまだそれでも高過ぎるのか、あるいはNHKの中での経費の明確な分担制度、区分経理、そういうものがはっきりしないから計算上、衛星収支の黒字が大きく出てくるのか。その辺を私は常に疑問に思っているのですね。  民間の衛星事業者JSB、日本衛星放送受信料は二千円ですから、NHK衛星付加料金は極めて安いわけです。昨年のNHKさんの答弁、あるいは今回の御答弁でも、衛星放送の普及のために安くしているんだみたいな話もありました。安くしているんだといいますか、そういうような趣旨のことがありました。  ただ一方で、昨年私が質問しましたときに郵政省御当局からは、NHK衛星付加料金について、NHK衛星付加料金はNHKを維持運営するための特殊な負担金として、衛星放送受信設備を設置した場合に一律に負担を求めるものである、一方でJSBの視聴料金については、有料放送であって、任意にJSBに加入して放送を視聴するという、両者の料金については性格の異なるものだ、こういう御答弁をされているわけであります。  NHK衛星付加料金が確かに特殊な負担金といった場合に、その特殊性とは何だろうか。もともとNHK受信料のときの、昭和二十五年のですかね、放送法補足説明か何かのときの議論の経緯を見てみますと、特殊な負担金という意味は、一般受信料の問題ですけれども、「全国津々浦々に至るまであまねく放送を聴取できるように放送設備を施設し、全国民の要望を満たすような放送番組放送する任務を持つ」、それがNHK、公共企業体だ、こういうふうに言われている。ということは、この特殊性は何かというと、単なる民間ベースの収支相償うとかそういうことではなくて、公の責任があるんだ。すなわち過疎地にでもそういう設備をつくらなくちゃいけない。だから経済的にはペイしないかもしれない。しかし、そういうこともあるから受信料という問題が出てきているんじゃないかなと思うのですね。要するに、特殊な負担金としての特殊性というのは、NHKのこのような任務にあるんじゃないかなと思うんですね。  そうしますと、もしそうだとすれば、理論的にはその特殊な負担金としての料金は、民間ベースの収支相償うべき料金を上回ることはあっても下回ることはないと思うのですね。一般の地上波はNHKだけが受信料を取っている。民間は受信料を取ってないから、まあ広告収入ですからね、正確には区別できませんけれども衛星の場合には、JSBは民間ベースで二千円、NHKの方は特殊な負担金と言いながら安いというのは、じゃどこに特殊性があるのかな。どうも私としては何となく合点がいかない。  ですから、やはり私はこの辺は、衛星収支というものの衛星の付加料金ですか、それと通常の受信料に絡んで、何度も言いますけれども経費の明確な分担について検討して、そういう中で料金体系というものを考えていかなければいけないんじゃないかなと思うんです。ぜひこの辺を平成年度中には、さっき言いましたように、平成年度事業収支衛星収支を除いたところではひょっとすると赤字になる可能性もある。だとすれば、やはり平成年度中には十分検討していただきたいなというような気がいたしますけれどもNHKの御答弁を願います。
  108. 齊藤曉

    ○齋藤参考人 昨年度も先生の方から貴重な御指摘をいただきまして、私ども財務部門では、番組ソフト関係に詳しい公認会計士等を招いて話を聞くなど、共通経費の配分についてはいろいろ研究をいたしてまいりました。しかし現時点におきましては、共通経費の配分についてなかなか処理が難しいという側面もございますけれども、一方で、今先生もおっしゃいましたが受信料という料金の性格とも深く関係しております。そういった関係で、どういうあり方がよいのかは今現在結論を見るに至ってはおりません。今後、平成年度以降の経営のあり方を考えていく中で総合的に検討を進めてまいりたいというふうに思っております。  なお、受信料について一言触れさせていただきますが、昭和三十九年、もう先生もおわかりのとおりでございますが、臨時放送関係法制調査会の答申におきまして、受信料の性格を「NHKに徴収権が認められたところのその維持運営のための受信料という名の特殊な負担金と解すべきものである」というふうに規定しておりまして、現在この考え方一般的なものとなっております。したがいまして、受信料はメディアごとのサービスの対価としての料金であるという考え方はとっていないわけでございます。  衛星料金を設定いたしましたとき、私ども衛星放送の受益の状況等に着目いたしまして、カラーの付加料金の設定のときの例に倣いまして、現行受信料、総合料金に付加する形で、つまり新たに衛星放送実施するに必要な直接の経費を負担していただくというような考え方に立って料金を設定したわけでございます。その際、衛星放送の普及を図るために、衛星付加料金につきましては普及に支障を及ぼさない適切な料金水準ということで九百三十円を設定いだした次第でございます。  今後の衛星放送の費用のあり方につきましては、ただいま先生からも御指摘がございましたけれども衛星放送受信者とその他の受信者の負担のあり方にかかわる重要な問題でございますので、衛星放送の普及状況あるいは契約状況を見きわめながら、衛星放送サービスあり方衛星放送発展動向等々を踏まえながら、さらには料金問題を含めまして、平成年度以降の経営のあり方を考えていく中で総合的に検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  109. 坂井隆憲

    坂井委員 昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会の資料を私もこの手元に置いているのですが、今おっしゃられたようなことはよくわかっているのです。受信料NHK業務全般のものであるということもわかっているのです。ですから、NHKが公的に、例えば難視聴のところにも設備をつくったり、そういうような役割まで負っていると思うのですね。そういうものを本当は国民の負担、受信料という負担によってやっているのだ。ただ、衛星等が絡んできますと、衛星放送の経費を地上波の受信料で、持っている人の負担でやっているようなことになると、これはどうかなと。衛星の収支の中で、その料金の中で衛星の経費を上げるというのはいいですよ。そうしないと、そこが非常に負担と受益のあり方がバランスが崩れてくるんじゃないかなと思うのです。ですから、衛星付加料金というものも同じょうに特殊な負担金ですから、そのものをもとに衛星打ち上げの経費に金を使ったりということは、僕は差し支えないし、それが特殊な負担金の意味であると思うのですが、そこをごっちゃにしていくことは、やはり負担のあり方が非常におかしくなっていくんじゃないかなということで申し上げているわけであります。  それで、衛星についてはちょっとここで終わります。  たまたま今、国会で政治改革法案ができまして、昨年からマスコミの中立性とかいろいろなことが議論されております。この点については、自民党の我々の同僚である理事さんからもまたいろいろと質問があろうかと思いますから、私からは簡単に御意見を伺いたいと思っていますが、今回の政治改革四法案の成立で、選挙がいわば個人型の選挙から政党型の選挙になってきました。この点については私も昨年の逓信委員会でも質問しましたけれども、公選法百五十一条の三というところで、「選挙に関する報道又は評論について放送法規定に従い放送番組を編集する自由」を有する規定がある。その一方で、百五十一条の三のただし書きで、「虚偽の事項放送し又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」それからもう一つ、公職選挙法の百五十一条の五で、ここではいわゆる政見放送等公職選挙法の中で認められている場合を除くほか、「選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない。」という規定があるわけであります。  それで、政党についても放送で論評することは、したがって原則としてこれらの規定に接触しない限り自由である。もちろん、選挙運動のためにという目的意識のもとで特定の政党に対して直接あるいは間接的に有利になるような行為は問題だということですね。もっとも、選挙運動のためにという投票依頼の目的意識があるかないかというのは、なかなか外部からは判断しにくい。そういう意味で、政党型選挙になってくるときにも最終的に放送事業者の判断にゆだねざるを得ない面が非常に多くなってくるわけであります。  しかし、政党型選挙になってきますと、例えば消費税の議論をやる、例えば新生党さん、公明党さんが消費税に賛成する、税率引き上げを。しかし社会党さんが反対する、それを番組の中で例えばコメントするといったときに、マスコミのあり方としてそういうものについて論評するのは当然のことであり、解説するのは当然のことでありますけれども、解説のやり方によっては、何らかの政党としての有利不利の影響をこうむることがあるのではないか。そういう意味では、以前にも増して放送事業者の自己規律、基準というものが必要になってくる。今まではそういうものがあっても、全部個人型選挙ですからそんなに直接的には影響なかったけれども、これからは非常に影響が出てくるわけですね。そういう中で、NHKさんはどのようなスタンスでこの政党型選挙移行の中での報道の政治的公平のあり方を保っていくつもりなのか、教えていただきたいと思うのです。  例えば今政策の論評の仕方の問題も言いました。あるいは政党間の公開討論における政党への発言時間。あるいはテレビの中で、例えば今与党は七党八会派ですから七人出てきて、自民党、共産党は二人出てくるということになると、自民党の立場からいうと当然人数が少なくなるわけですね。例えば今回公的助成が認められました。公的助成の公平の考え方というのは、公平ということがいいかどうかわかりませんが、公的助成では議席数とか得票数を勘案して配分するのですね。  そうすると、NHKはどういうふうな政党間の配分といいますか、そういうものについての政治的公平のあり方についてNHKがどう考えているのか、教えていただきたいと思います。
  110. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  先生御指摘の点は、我々も従来非常に注意をして選挙報道に当たってきたところを御指摘になったわけで、今度政党本位の選挙になった場合も、従来、各党の政策を聞くというようなインタビューを中心とした番組をつくった場合の時間配分とか、そういうことは継承していくべきだというふうに思っております。  公職選挙法による政見放送とか経歴放送はもちろんですが、その選挙情勢、それから形勢展望、現地報告というようなリポートをやる場合、これまでもその表現には細心の注意を払ってまいりましたけれども、選挙の公正を損なわないよう公職選挙法の趣旨にのっとって今後もやりたいというふうに思っております。特定の候補や政党の有利不利ということに結びつかないような選挙報道というものをやっていきたいというふうに思っております。
  111. 坂井隆憲

    坂井委員 いずれにしても、極めて難しい問題であり、非常に微妙な問題でありますけれどもNHKさんのまずその判断が一番重要になってくるのじゃないかと思うのですね。民放に対しても、いろいろな意味において。そういう意味で、ぜひ十分慎重に検討していただきたいと思います。  次に、昭和四十一年、放送法の一部を改正する法律案というものがありまして、これは結果的には廃案になりましたけれども、この昭和四十一年の段階のときに、公衆の意見放送番組に反映させるため放送世論調査会というものを設けることが提案されました。  その理由としましては、昭和三十九年に臨時放送関係法制調査会、先ほど名前が挙がりましたけれども、この答申を受けたものでありまして、私は非常に画期的なものであったと思います。放送番組の適正化のための機関として、従来番組審議会が設けられていたが、今日まで期待されたほどの効果は上げ得なかったとされている。これは調査会の答申です。「また一方、国民生活の一部にとけ込んだ放送放送番組に対する国民的世論もなおきびしく、その適正化の措置を求めている。」全く今と同じ状況だと思うのですが、そういう中で、「番組適正化に資するための自主規制の機関として、番組審議機関が設けられていたが、この機関は、主として、機関を構成する委員の良識および判断が事業者の自主規制のささえになることを期待したものであつて、世論との関係については、委員意見をもつて世論を代表するものとするに止まつており、また、その実際上の効果については不十分であるとの評価も行なわれている」ということも言われていたわけであります。ですから私は、この時点において、この一年間のマスコミ報道あり方とか、あるいは私もいろいろ耳にしますけれども、マスコミについてのいろいろな御意見、そういうものを考えた場合には、このような自主規制としての第三者機関を、ここで改めてやはり検討するということが必要になってきたのではないかなと思うのですが、この点について、郵政大臣の御見解を例えればと思います。
  112. 神崎武法

    神崎国務大臣 放送世論調査委員会につきまして、ただいま坂井委員からお触れになったわけでございますけれども、現行放送法上は、放送番組の適正化につきましては、放送事業者の自覚と責任に基づいて実効を図ることを根本といたしておりまして、放送事業者みずから放送番組審議機関を設置いたしまして、放送番組に関する意見、要望を放送番組に反映させるということになっているところでございます。  委員御指摘のような経過についても十分承知をいたしておりまして、委員御指摘のように、何らかの第三者機関において放送番組の内容に関する問題を取り扱うことは、表現の自由を保障しつつ、客観的かつ公正に放送番組の適正を図っていくために有効な方策の一つと考えられるものでございます。  委員の指摘も十分踏まえながら、現行の諸措置のほかに、さらに新たな措置が必要となるかどうか検討してまいりたいと考えます。
  113. 坂井隆憲

    坂井委員 数年前の証券会社の損失補てんのときに、そういうものを背景にして証券監視委員会ができました。裁判官の人とか、弁護士さんとか、いろいろな人が委員となって機能しているわけでありまして、やはり郵政当局がこういうものについて直接口を出すと公権力云々という問題になってきて、やはりそういう意味では第三者機関という形でつくっていく時期に来ていると思いますので、ぜひ今後とも前向きの御検討をいただければと思います。  次に、午前中に社会党の山崎先生から地方自治体の話が出ました。放送あり方と地方自治体の話、自分の町のことを全国に伝えてほしいという話を山崎先生が要望されておられました。私は、これは極めて時宜を得た問題だと思っております。  ちょうど、慶応大学の菅谷先生という人の論文を読んでいましたら、アメリカ放送政策の中にはローカリズム原則というものがあると書かれていました。  ローカリズムというのは、アメリカの政治的経験の奥深いルーツにかかわる目標であり、それは代議民主制と全国レベルの大企業に対するポピュリストの疑念に深いかかわりがある、そして、そのローカリズムというのは、第一には、放送設備地域所有、第二には、各放送局の広範囲なサービス地域に対峙する狭い範囲のサービス地域の選択、第三番目に、放送局レベルにおける実際の番組選択、編集という、三つのことを包含するということで議論されているわけであります。  この第三番目は、放送局が提供する情報自身に関連する問題、これがローカリズムの一つの大きな原則になっているわけでございますが、アメリカの状態で見ますと、FCCが一九四六年三月に、「放送被免許者の公共サービス責任」、通称ブルーブックと呼ばれているそうですが、この中で、公共の利益、便宜または必要性という一般的基準を充足させる具体的指針として、ローカルの利益、活動、人材が番組内容に十分反映されることということをうたっている。一九六〇年には、「番組制作に関する文書」というものが公表されて、コミュニティーの要望と利益を充足させるのに必要な要素として全部で十四の項目を列挙し、その優先順位の上位一番と二番目に「ローカルの自己発信の機会」と「ローカルな人材の活用と発掘」という項目を挙げている。テレビ放送局がコミュニティーの人材を用いて、コミュニティーに関する情報を積極的に提供することへの要望が包含されているということでございます。  また、一九七三年には、「放送(局免許)申請者によるコミュニティーの諸問題の確認に関する手引書」というものを作成され、この中で、コミュニティーの要望を明らかにするための視聴者対象の社会調査、第二として、コミュニティーの指導者に対する放送局管理者によるインタビュー調査を義務づけたということでございます。  私は、NHK受信料の問題にも触れましたけれども、かつては全国津々浦々に放送設備をつくって難視聴解消をして放送提供させるというのがNHKの一つの義務であったと思います。役割であったと思います。ただ、それがもうだんだん普及してきました。そうなりますと、やはりこれからは、山崎先生からも御要望があったように、NHKの役割というのは、ほかの民間放送と違うところは、地域の、そういうローカルのものとどう結びついていくか、CATVがどんどん普及している状態になればまた別ですよ、今の時点では、そういうことを考えていくというのがNHKの役割ではないかと思うのです。  そういう意味で、我が国におけるローカリズムの原則のあり方、そういうものについての郵政大臣、そしてNHKの所見を伺いたいと思います。
  114. 神崎武法

    神崎国務大臣 我が国放送は、放送国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすようにするために、全国普及を義務づけられております日本放送協会のほか、原則として地域社会を基盤といたしまして放送を行います一般放送事業者によって行われているところでございます。  委員がお触れになりましたこの米国におけるローカリズムにつきましては、いわば放送事業者の地域社会への貢献と理解されますし、委員が三つの点で言われましたように、放送設備のローカル所有、狭いサービス地域性、実際の番組の編集に当たっての配慮などと理解いたしておりますけれども我が国におきましても、地上民放局の開設に当たりましては、地域に密着した放送が行われるよう、出資者、審議機関委員等に工夫を凝らしているところでございます。  また、再免許の際など、機会あるごとにローカル番組確保等に努めるよう各社に要望をいたしているところでございます。NHKにおきましても、地方向けの放送番組を有することを義務づけております。  今後、さまざまな形態の放送メディアが普及し、また国民のニーズが多様化していく中での放送地域密着のあり方につきましては、諸外国の状況をよく勉強してまいりたいというふうに存じます。
  115. 川口幹夫

    川口参考人 NHKとしても、地域放送の重視ということは、これまでどおり、あるいはこれまで以上に力を入れてやってまいるつもりでございます。  ただ、ローカルのことをローカルにお知らせするというローカル放送じゃなくて、地域を超えて全国に発信をするとか、あるいはこれはインターローカルなどという名前で呼んでおりますけれども、同じような問題を持つ外国の地方との連携をとって番組をつくるとか、いろいろな工夫を今しております。今後もそういう点では、設備あるいは人の育成の仕方、そういうことで大いに力をつけまして地域放送をより盛大にしたいと思っております。  さらにまた、もう一つは、各地域放送局が、できたらその地域人たちの憩いの場になったりあるいは討論の場になったりするような場所にすることも考えておりまして、これから後の新しくつくる放送局については、そういった機能も持たせるように、視聴者との密着性を大事にしていきたいと思っております。
  116. 坂井隆憲

    坂井委員 ちょうどことし、私の地元の町で町制三十周年の祝賀があって、NHKのふるさとのど自慢をやってもらうのです。非常に喜んでおりまして、そういうことがあるから言うのじゃないのですが、やはりローカリズムの原則というのは私は非常に必要だと思っているのです。  ただ、これに関連しまして、たまたまきのう、日本民間放送連盟の「NHKの「商業化」問題に関する調査報告書」というのが出されました。この調査報告書によると、放送法ではNHKの営利行為を禁止し、広告放送を禁止している、NHKも事あるごとにその精神の遵守を述べてきたにもかかわらず、最近全国各地でのNHK関連企業によるさまざまな営利活動事例が数多く報告されているんだ、こういうことを言っております。特に自治体向けの活動の強化が目立っているとしている。その中では、NHK本体の営利活動に通ずる危険性が大きい関連企業による番組制作があり、NHK本体での放送に実質的に外部資金を導入していると同然の放送法上の営利行為禁止に触れるものがあるとしているわけであります。そのため、この民放連の報告書では、放送法上の営利行為、広告放送禁止の精神を踏まえて三つの提言をしているわけでありますが、この点についてNHKさんの御見解を例えればと思います。  私は、本日も申し上げましたように、あるいは二年前の逓信委員会でのNHKの予算審議の際にも申し上げましたように、NHKは、地方自治体と結びついていくというのは非常に有意義なことだと思っておりますし、ドイツなんかは、公共放送財源受信料だけじゃなくて広告放送からも財源の一部にしているわけですね。公共性とは何ぞやということを考えますと、別にNHK放送するから公共放送でなくて、やはり地方自治体とか公営企業体みたいなものもやはり公共性を帯びているはずである、そしてその番組によっても、提供者がどこであるか関係なく番組で公共性を帯びているやつもあるはずだと思うんですね。そういうときに、例えば地方自治体と結びついてきたときに地方自治体の広告をとったらどうかという話を二年前、私したんですが、広告というのはちょっと難しくても、一部負担というのは僕は当然考えてもいいと思うんですね。例えば佐賀県のことを全国放送で流すときに、何で山梨県の人は山梨県の人たちが払っている受信料で佐賀県のことをPRするんだみたいな話になってしまいますから、それぞれの地域から地域の負担金を取ってもいいと私は思っているんです。道路公団は地方自治体の出資金が出ていませんけれども、首都高なんか出ているわけですね。ですから、そういうふうにしてやはり多様な役割の変化に応じて考えていくということも必要じゃないかな、二年前に私こういうことを申し上げましたら、極めて大胆な発想でみたいにしてかわされたんですが、私はやはりそういうことを徐々に検討すべき時期に来ていると思いますので、もう時間がありませんのでそのことを御質問いたしまして、NHKの民放連に対する御見解を質問いたしまして、終わらせていただきたいと思います。
  117. 川口幹夫

    川口参考人 のど自慢の件については、私は先生からこの前お伺いしました。  大変御理解のある御発言で、本当にNHKとしては助かるんですけれども、民放連としてはこれはやはり許しがたいという態度であります。ただ、私は、今でも例えば放送に関するものを自治体に負担してもらうのはそれは行き過ぎだ、やはり放送のことはみずからがやるべきだと思います。ただ、例えば会場をちょっと工作して舞台を少し広くするとか、何らかの放送に便利なように会場を直すために使うような経費を自治体に御負担いただくのはこれは差し支えないんじゃないか、こういう考え方を持っておりまして、この辺で民放さんとも話し合いをしながら進めていきたいと思います。  それから、民放さんの方から出されましたNHKの商業化についての文書は読んでおります。それで検討いたしました。ただ、今そこに出ておりますのは大体九一年、二年というところで起こった問題でございまして、私が会長になってからのものはそんなにたくさん出ておりません。私は、もう御承知のごとく受信料基盤にして、そしてNHKと民放が共存する体制で日本放送界を担った方がいいという考え方を持っておりますので、そういうことで例えば無用の荒波を民放界との間に立てるということは決していいことではないと思っておりますので、きちんと節度を持った形で、いわゆる商業化的な、そういうふうに見られるようなことを十分に自制をしながら、しかし物によっては先方の御理解をいただいて実施をするというふうにしたいと思っております。
  118. 坂井隆憲

    坂井委員 どうもありがとうございました。
  119. 金子徳之介

    金子(徳)委員長代理 次に、佐田玄一郎君。
  120. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 自由民主党を代表いたしまして御質問させていただきます。けさ方、日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画についてお聞きいたしまして、質問に当たらせていただくわけでございます。  質問に先立ちまして、川口会長におかれましては難視聴地域であるとかまたは文字放送に大変造詣も深くて、いわゆる情報弱者、そういう皆様方に対しまして多大なる施策をとられていることにつきましても心から感謝を申し上げる次第であります。  予算のことを話したいのでありますけれども、その前に、今報道であるとかマスコミに対する国民の世論が大変高まりつつあるんではないか、私はそういうふうに感じておるわけであります。例えば、何々テレビはどういうふうな放送をするとか、何々テレビはどういうふうな放送をする、こういうことは国民の皆さん方、内ではわかっておるわけでありますけれども、なかなかそのスタンスを示さないうちに中立公正という名のもとにいろいろな放送がなされ、その中において個人並びに団体が名誉を傷つけられることが多々あったわけでございます。しかしながら、そういうときにも、泣き寝入りというのは変な話でありますけれども、もう言われっ放しというか傷つけられっ放しとか、今まではそういう形が現状であったわけでございます。  先般、椿発言という大事件がありまして、私はこれは非常に画期的なことだったのじゃないか、マスコミであるとか、そして放送全体に対しましてもこれではいけないんじゃないか、見直していかなくてはいけないんじゃないか、そういうふうな機運が今起こっているわけであります。私は、この場でこれを蒸し返す、決してこういうつもりはないわけであります。  私は、こういう大事なことにつきましてはこの逓信委員会並びにいろいろな会合または会議においてもどんどんあまねく議論をしていかなくてはいけない大事なことではないか、かようにも感じておるわけであります。例えばアメリカにおいては御案内のとおりFCCであるとか、ヨーロッパのオンブズマン制度であるとか、こういうことを考えますと、中立公正ということはこれは非常に難しいことであります。もちろん、放送法規定されてはおりますけれども、これは非常に難しいことで、まさにこれはあり得ないのじゃないか、そのぐらいに私は難しいと思っております。であるからこそ、やはりその弁解の場であるとか、そして答弁の場であるとか、議論の場であるとか、こういう場をつくっていく、私はそういうことがこれから非常に大事になってくるんじゃないか、かように感じておるわけでございます。  民放とNHKを絡めて申しわけございませんけれども、私も実は、先ほどの発言にもありましたけれども、特定な方に偏って放送しないというふうな発言があったわけでありますけれども、先般の解散のあらしが吹いたときに他候補を放送されまして大変、私ではありませんけれども、支持者の方からいろいろとクレームが入った、そういうことを考えますと、話が戻りますけれども、中立公正ということは非常に難しいことなんだなと私は再認識もしているわけでございます。  その中で、一つの議論の場ということではございませんけれども、先般も議論になりましたけれども放送番組調査会、民放連の中にあるわけでありますけれども、この中に外部委員、そして内部委員の方々がいらっしゃって、そして言論の自由が侵された、こういうことで、半分の、半数の方がやめられた。私は、これは大変公平なことではないかな、公平なメンバーの選定をされておったんだな、そういうふうに感じておるわけであります。そういうことを考えますと、これからもぜひともこの放送番組調査会には、そういう本当に皆さん方の、国民の声を聞くような、そしてまた公正を期すような場としての活躍を期待しておるわけであります。  そして、先般やめられたようでありますけれども、今の充当の状態はどういうふうになっているか、まずお聞きをしたい、かように思っております。メンバーの充当であります。
  121. 江川晃正

    ○江川政府委員 放送番組調査会、この間メンバーが全員やめまして、かわりました。かわって、新しくスタートした、そのスタートしたメンバーを今御紹介させていただきますと、有識者委員という、外部の人でございますが、委員長として原さんという方、共同通信社の相談役の原さん、それから、ちょっと私読み方を、難しい名前で、この間覚えたのですけれども忘れてしまいまして、きへんに辛いという字を書く、トウガラシのからしという字を書くのですが、梓澤さん、それから委員としてもう三人でございますが、内川さん、それから塩田さん、それから元経企庁長官をやられました高原須美子さんという五人の方が決まりまして、再スタートして、会合もしてございます。こういう番組の報告書もまた上がっているところです。  そして、内部委員というのは、昔ながらでございますが、各局の報道担当の人たちが出ておりまして、それは各社から、フジテレビ、東京放送、TBSでございますね、それから日本テレビ、NTVです、ニッポン放送、テレビ朝日、テレビ東京、関西テレビなどから出て、そういう構成で今活動を再開しておるところでございます。
  122. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 メンバーのバランスは、マスコミの方、そしてまた知識人の方々、そしてまたそういうことに非常に知識をお持ちの皆さん方。私はなかなかいいメンバーの配分になっている、かように思っております。  それと、先般一番言論の自由にかかわったということで、議事録の提出であるとか、そしてまたテープの提出の問題、こういうことがあったわけでありますけれども、これは今非常にポイントになったわけでありますけれども、この点について、今運営上においては議事録をとり、そしてまたはそのテープもとられておるのでしょうか。
  123. 江川晃正

    ○江川政府委員 テープにとり、議事録をつくり、こういう報告書にしているというところは、非公開の上に立ってやっているところでございます。
  124. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 非公開ということでありますけれども、本当に忌憚のない、そういう会議の中で、国民の声もあまねく代表として議論をしていただきたい、かように思っておるわけでございます。  それと、蒸し返しのようで恐縮ではありますけれども、やはり結論が出なければなかなか納得もできないわけでありまして、先般の椿発言によるテレビ朝日の調査でありますけれども、調査をしているというお話は聞いておりますけれども、その報告はどういうふうになっておるのでしょうか。
  125. 江川晃正

    ○江川政府委員 ちょっと繰り返しになるようで恐縮でございますが、昨年十一月一日に条件をつけて再免許したところでございます。それはテレビ朝日に対してでございますね。事実関係が明らかになった時点で、改めて関係法令に基づき必要な措置をとるという条件でやったわけでございます。  その事実関係を明らかにするということにつきまして、今テレビ朝日に調査を任せているところですが、テレビ朝日自身は部内に調査委員会、特別委員会と言っていますが、報道局長発言問題調査特別委員会というものをつくりまして、社内の人ばかりではありませんで、社外の人の有識者などにも入ってもらって、それで意見を聴取していろいろな調べをしている。  具体的に何を調べているのかと申しますと、報道情報番組のVTRの検証でありましたり、それから社内でございますが番組制作現場スタッフからの事情聴取、それから視聴者意見の把握ということで何百人かにアンケートなどをかけているというようなことがございます。  そういったようなことを今精力的にやっておりまして、まだ、きょうこの時点でその最終結論が出たというところまでいっておりません。そういう意味でまだ調査は終わっていないわけでございますが、郵政省といたしましては、テレビ朝日に対しまして、今後ともテレビ朝日からの調査結果を待って、調査結果に基づいて分析、検討を行い、また、そのほかに明らかになりました事実なども含めまして、最終的な法の適用関係について判断していきたい、そう考えているところでございます。
  126. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 できるだけ速やかな調査をお願いしたい、かように思っておるわけでございます。  事実関係、社内、社外で調査をされておる、そしてまたその事実が判明するまでは、免許は出しておりますけれども、言うなれば仮免許、こういうふうなことであるわけでありますけれども、実は先般、皆さん方も御案内のとおりでありますけれども、「ザ・スクープ」というもので臓器移植の問題が出されたわけであります。  これは事実関係がどうのこうのではなくて、やはりこれは、武装警官が別人であったとか、死刑囚の身内とおぼしき人物として画面に登場している泣き崩れている人はまた違う方じゃないか、いろいろとそういうことを議論されておるわけでありますけれども、この日付を見ますと九月十一日ですから、ちょうどこれのときに報道局長をやられておったのがやはり椿局長であった。  そういうことを考えますと、ダブルでそういうふうな不祥事というか、前の場合は一党一派、党同士の話でありましたけれども、今回の場合は、大変これはゆゆしき問題じゃないか、私はかように思っております。国に対して愚弄しておる、国対国の問題になっておる、私はそういうふうに感じておるわけでありますけれども、その辺は、どのように御認識されておりましょうか。
  127. 江川晃正

    ○江川政府委員 今私たちが把握しております事実を先にちょっと御報告させていただきたいと思います。  今先生おっしゃいます中国の臓器移植問題の番組でございますが、テレビ朝日が、昨年の九月十一日土曜日、十八時から「ザ・スクープ」という番組がございますが、その中で、「死刑囚の臓器が売買されている!? 中国の処刑場に潜入追跡」という番組タイトルを立てまして放送したわけでございます。  そうしましたら、放送後、中国政府から在日中国大使館を通しまして、経由しまして、事実と異なる内容が含まれているという口頭による抗議がテレビ朝日にございました。  それで、テレビ朝日としては、早速それをすぐ調査に入ったわけでございますが、この番組は、おっしゃいますようにたまたま報道局長は同一人物でございましたが、この番組自身は外部プロダクションからの企画提案を受けて、それでつくったものでございます。それで、契約成立して、その外部プロダクションが取材に行き制作して、それを受け取って放送した、こういう仕組みで放送したわけでございますが、中国からの抗議を受けて調査しました結果、テレビ朝日は非を認めたところでございます。  その非を認めた結果をこの三月五日土曜日、同じ番組で、いわば謝りの放送をいたしました。どこのところが非であったかということと、もう一つのプラスした非というのは、まあ二つあるわけですが、一つの方の非はどこが違っていたかということでございますが、二つありまして、一つは先生おっしゃいましたように、武装警官とされた人物が全くの別人であったということが一つと、それからもう一つは、死刑囚の身内とおぼしき人物として画面に登場している泣き崩れている女性たちというのはその死刑囚とは関係のない人だったのに関係あるかのごとく描かれていたわけでございます。そこが大きな事実と異なるところでございますが、もう一つ、テレビ朝日として遺憾をみずから表明しておりますのは、外部に依頼して制作されたその番組について内容のチェックができなかった、今申しましたような、事実と異なるところがあるということについてのチェックをきちっとできなかったということはチェックの甘さがあったと言われても仕方のないことですというふうに明快に非を認めて、三月五日の放送放送したところでございます。  この放送に当たりましては、単純に一方的に放送したわけではありませんで、中国大使館にも、テレビ朝日としてはこういう非を認め、こういうふうにやるからということで大使館との間ではやりとりをしまして、実質的には別に文書があったというわけではないように承知していますが、中国側としては、その謝りの放送でわかったということになっているというふうに今は承知しているところでございます。  私たち郵政省といたしましては、テレビ朝日から事情聴取などを含めまして、現在いろんな事実関係の把握に努めているところでございます。
  128. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 今の答弁を聞きまして、テレビを見る側からすると、こういうふうな、再度読みませんけれども、非常に劇的な見出しですと、やはりこれは視聴率が上がるわけであります。それにつきまして訂正の放送をして、果たして見るかどうか。やはりその辺に、傷つけられるかもしれない対象の皆さん方と、そしてマスコミとの不平等があるんじゃないかな、私はそういうふうに感じる次第であります。  それと同時に、仮免許中にまた同じような不祥事があったということに対して、やはりそれなりのお考えも持っていただきたいし、例えば、先ほど答弁にもありましたけれども、要するにチェックができなかった、私はこれはまさに重大なミスだったんじゃないか、こういうふうにも感じております。  私は、あるテレビ局のこれは局長の方なんですけれども、聞きましたら、なかなか今の番組を一つつくるということは非常に難しいことだと。今やはり視聴率というものが非常に問題にして各テレビ局で重視されていますから、その中でプロダクションであるとか、先ほど出ましたけれども、それとまた、主体の放送事業者であるとか、そしてまたその中におりますキャスターであるとか、この中で一番人気のある人がやはり主導権をとっていってしまうと、果たしてそこに公正な番組ができていくのかどうか。むしろその中では放送事業者、やはり免許制でありますから、放送事業者がこれは主導権を持ってきちっと、キャスターにしろプロダクションにしろ、ちゃんとこれはチェック機能が働くようにしていかなくてはいけない、その辺の指導につきましては、郵政省はどのようにお考えでしょうか。
  129. 江川晃正

    ○江川政府委員 今先生御指摘ございましたように、一方において報道局長の発言があり、他方においてこういうことがあった、しかも同じ会社でというところに、私たちとしては率直なところ非常に遺憾だなと思っているところでございます。  それで、それでは事実をチェックできなかったというその体制がどうなっているんだろうかというところを、実はいろいろと社の人たちにも、呼んでいろいろ聞いているわけでございますが、何分にも放送番組そのものにかかわりますから、下手な形で手を突っ込んでいって何か物をやるというのはいかがかなということで、要するにどういう体制でこれはチェックをしたんだと。この人たちの世界の専門用語で再現と言っているようですが、違う人が警察官をやってしまった。再現と言っているようですが、そのチェックではどうしてそういう再現であるかどうかのことがわからなかったのか、わかるきっかけもなかったのか、そういうことをいろいろ聞いているわけでございますが、いわば外部制作社と局とのいろいろな関係の上でできておりまして、何かなかなかわかりにくいところがございます。  それで、結論的には、この外部の会社に対して、固有名詞もわかっていますが、テレビ朝日は、この会社に対してもう取引をやめるということで、切るようなことも現実に今やっておりますけれども、それは後のことでございまして、そういうことで処理するのはそれはアフターケアで一つの方法かもしれませんが、事前にそういう会社でないことをどうチェックするのかというようなことについては一体どうしたらいいかということを、その担当重役なんかとも当方から話を持ちかけて、いい番組づくりに精を出す手法をちょっと確立してくれないかということは今言ったり、相談したりしているところでございます。  なかなか明快な答えをぽんと申し上げられなくて恐縮でございますが、そういうふうに対応しているところでございます。
  130. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 なかなか難しい部分だと思うのでありますけれども、繰り返しになりますけれども、そういういろんな流れの中で、本当にキャスターが主導権を持ったり、そして免許のないプロダクションが主導権をとったりして個人並びに団体の名誉を傷つける、そういうことのないように、ぜひとも免許を持った放送事業者がきちっとチェック機能を発揮されることを心からお願いを申し上げる次第であります。  そういう中において、なかなか民放においては、確かにいろいろスタンスを決めて、このテレビ局はこういうふうな形でやる、このテレビ局はこういうふうな形でやる、そういうふうな形でいろんな放送が今行われておるわけでありますけれども、中立、公正、NHKの立場としてはそういうスタンスということではなくて、何といっても受信料で賄っておるわけでありますから、そういう意味におきましてはもうできるだけ不偏不党、そういう態度を堅持し、そしてまた民放の足らざるところは補っていかなくてはいけないんじゃないか、私はそういうふうに感じておるのでありますけれどもNHKの方、この点についてはどういうふうにお思いでしょうか。
  131. 中村和夫

    中村参考人 御指摘のとおり、不偏不党で今後とも、受信料で成り立っております公共放送でございますから、信頼感をどうやって維持するかということが最大のポイントでございますから、そういうスタンスで仕事をやっていきたいというふうに思っております。
  132. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 先ほど椿発言の問題であるとか、いろいろ発言をさしていただいたわけでありますけれども、私ではありませんけれども、私の知り合いの者があのテレビはちょっと偏っているのじゃないか、このテレビはちょっと本当かなとか、いろいろ質問されるのでありますけれども、そしてまた、わけても今非常に政治がわかりづらくなっている、そういう中においてNHKの一つの非常に大事な、重要なポイントとして、やはり国民に対しても正しい判断を促すような情報提供する、こういう役目があるんじゃないかな、こういうふうに私は感じておるわけであります。  例えば、今NHKの予算審議をさしていただいておるわけでありますけれども、大変差し迫っておる。私は先般地元に帰りましたら、NHKの予算と本予算の方はどういう関係があるんだ、なかなかこれはわかりづらいと私は思うのです。そして、私も説明するのでありますけれども、もとをただせば、やはり去年の十二月に予算の編成ができなかったところから押せ押せで来ているんだ、こういうことを申し上げるのですけれども、なかなか御理解をいただけない。  そういうことを考えるならば、こういう点につきましても、どうして政治改革を先行して、要するに予算編成をおくらせたかとか、こういうことはいろんな理由があろうかと思います。いろんな事情があろうかと思います。いろんな選択肢の中でやはりNHKだからこそ公平に報道していただきたい、かようにも私は思っておるわけですけれども、この点につきましてはどういうふうにお考えでしょうか。
  133. 中村和夫

    中村参考人 私どもといたしましては、政治改革法案の成り行き、その途中ででも予算案の審議が一体どうなっていくのか、予算案の審議がおくれると、それが経済、今の不況との関係でどういうことが起こるのか、そういう点についてはニュースその他の番組で何回となく報道してございます。
  134. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 要するに、NHK予算がぎりぎりになってしまった、これも大変なことだと私は思っております。それと同時に、やはり今の状況を見た場合に、もう三十数カ月不況が続いておる。そしてまた、なおかつ、もう完全失業率も三%になんなんとしている。そして有効求人倍率も○・六幾つだ、非常に厳しいような不況なわけであります。もちろん、十二月もそうであったわけでありますけれども、そういう中において政治改革を優先、ももろん政治改革も大事であります。しかしながら、政治改革というのは百年の計であります。果たしてそのときに、なかなかその予算編成ができなかった、こういうことはいろいろな議論があろうかと思いますけれども、ぜひともNHKにおかれましては、本当に公正な立場でいろいろな選択肢を持って国民の皆さん方にこれからもお示しを願いたい、かように思っておるわけでございます。  引き続きまして質問に移らせていただきますけれども、先般、江川局長が高品位テレビ、HDTVについてNHKのハイビジョン方式の推進政策を見直すというお考えを出され、そしてまた二日後撤回をされたわけでありますけれども、この辺の内容についてお話し願いたい、かように思います。
  135. 江川晃正

    ○江川政府委員 ハイビジョン、HDTVのNHKの商品名と申しましょうか、それがハイビジョンでございますが、そのハイビジョン放送につきましては、郵政省としては引き続き試験放送充実を図るなど、その普及、充実強化のための施策を講ずるということにしております。  先般の私の発言は、今後二十一世紀を展望した長期的視点から見ますと、マルチメディア化の中で放送全体のディジタル化についても、その技術開発とか将来展望を検討していくことが必要ではないかという問題意識を語ったところ、記事としては何か政策変更とかなんとかというふうになってしまったわけでございます。こうした放送全体のディジタル化のための技術開発と将来展望につきましては、近く設置しようと予定しておりますが、マルチメディア時代における放送懇談会、仮の名前でございますが、メーカーさんとか学者さんとか世の中の識者の方とか、そういう方々にも入っていただきます懇談会を設けまして、そこにおいて検討を進め、整理を、一定の答えを得られるようにしていきたいなと考えておるところでございます。およそ一年後ぐらいをめどに進めていきたいなと考えておるところでございます。
  136. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 要するに、マルチメディアであって、そしてまた双方向通信であるとか、これから二十一世紀に向けて私もこれは必要なことであろう、かように思うわけでございますけれども、要するにその中にNHKのハイビジョンも含めて考えるというお考えですか。
  137. 江川晃正

    ○江川政府委員 マルチメディアというのが二十一世紀の社会の存在している姿だろうと思いますが、その中に、先生おっしゃいますハイビジョンというのも堂々と存在をしているという姿でなければならないかと思います。
  138. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 この辺は非常に難しい問題であって大変申しわけないのですが、私も細かくは理解はしておりませんけれども、やはりNHKの果たす役割というのは、放送というものがあって、これからいろいろな形で放送、そしてまた通信というものが互いに相入れてきた場合に、これからどういうふうな進展をしていくか、これはまた局長もなかなか難しい問題じゃないかと私も思っております。  その前に、先般新聞に、通信放送が一緒になっていく、その中において、通信事業を規制している電気通信事業法やCATV事業を規制している有線テレビの放送法など通信放送に関する現行法制度を全面的に見直す、それでまた郵政省の中に通信放送融合法制検討委員会をつくるというふうなことが報道されたのですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  139. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐政府委員 今委員御指摘ありましたとおり、通信放送が融合してくるという技術革新が目前に見えている、現実に見えているということで、私どもとしましては、このような通信放送が融合するということに対して制度面あるいは利用面、技術面、そういったものでの検討をしていかな切ればならないということ、それがこれからの社会にとって極めて、ライフスタイルから産業構造まで変えるような影響力を持つものというふうに考えております。  こういう認識に立ちまして、私ども、昨年の三月から電気通信審議会郵政大臣から諮問をいたしまして、「二十一世紀に向けた新たな情報通信基盤整備の在り方について」という諮問をいたしております。五月の末には答申をいただけるということに予定をいたしておるものでございますが、そういった中におきましても、この問題について議論をされております。  私ども、今先生御指摘の、通信放送融合検討委員会というような組織を設置するというような状況にまだ至っておりませんが、今電気通信局、放送行政局、そして私の通信政策局といういわゆるテレコム三局で部内的な連携を図りながら、この融合問題に着手するということで体制を整えつつあるところでございます。     〔金子(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  140. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 そういうことで、とにかく私も前には質問をさせていただいたわけでありますけれども、確かにこれからアメリカのNII、それに、要するにかなり進んでおりますから、日本も負けずに光ファイバーを張り、そしてまた双方向通信、そしてまたいろいろなファッションであるとか教育であるとか医療であるとか、いろいろな業務、こういうことも含めて省力化にも図っていく。そしてまた雇用も生み出していく。こういうことを考えますと、確かにこれは非常に必要なことであるし、また未来に向けてそういうふうな方向になってくる。私はそういうふうに思っておるわけであります。  ただ、ではNHKの場合にハイビジョン、放送を中心としてやられておるわけでありますけれども、郵政省としては、NHKにおいても放送通信というものを合体する、こういうふうな考えはあるわけですか。
  141. 江川晃正

    ○江川政府委員 通信放送が融合してくるというのはこれからの社会の中で必ず出てくるだろうと思いますが、それをしょっている、言ってみれば放送の雄であるNHK通信の雄であるNTT、これらがそれぞれほかのことを、放送をやり、通信をやる、こういうふうになってくるということが本当にどうなるかについては、我々としては答えを申し上げられるような議論も検討もまだしておりません。それぞれに今はしっかりと禁止をしております。今申し上げられるようなお答えを持ち合わせておりません。
  142. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 確かに、非常にこれからマルチメディアになっていろいろなことが起きてこようかと思います。その中には、きちっと一つのプロセスを踏んでやはりやっていかなくてはいけないのじゃないか。そのためには法改正も必要であるし、そしていろいろな皆さん方の議論も必要であろう、かように思っております。  一点だけ、この中で私ちょっと気になるのでありますけれども、例えばこれからマルチメディア、いろいろな情報が流れる中で、お考えになっているとは思いますけれども、例えば個人のプライバシーであるとか企業のプライバシーであるとか、こういうことについてはどういうふうにお考えになっているでしょうか。
  143. 江川晃正

    ○江川政府委員 情報化が進むに当たりましていつも問われるのが、まさに先生おっしゃいました個人のプライバシーの保護かと思います。第一次情報化と申しましょうか、昭和四十年代の後半に始まりますコンピュータリゼーションに始まりまして、絶えずそういうことが言われてきまして、それぞれに情報化を進めながらプライバシー保護についてはそれぞれやってきた、それぞれの立場からでございますね。  例えば、ちょっと通信のことを私が言うのは所掌を越えるのでございますが、電気通信の世界においても、秘密の保持というのはきちっと法律の中に書き込んで守ってもらうなどのことをやりながら、それぞれの領域から、業の世界から秘密の保持というものをやりながら、つまり自分たちのできる領域からプライバシーの保護を図ろうというスタンスでやってまいりました。  これからも、そういう意味でまた新しい見方が必要になってくるかもしれませんが、そういうこれまでの線にも乗りながら、かついろいろな手法でプライバシー保護は考えていかなければならないと承知しているところでございます。
  144. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 大事なことなので、ぜひともその辺はよろしくお願いしたいと思います。  そしてまた、私もいろいろと勉強させていただいたり皆さん方の議論を聞かせていただきますと、先ほど局長のお話にもありましたように、それじゃどんどん何でもかんでも合体していくということはまだなかなかこれは難しいんだよという御意見がありましたけれども、私はどうしてもそういうふうな方向に進みつつあるのじゃないかな。これはやはりこれからもじっくりと皆さん方と検討をしていかなくちゃいけないですし、まさに百年の計じゃないか、かように感じておるわけであります。  次に、NHK質問をさせていただきたいのでありますけれども、いろいろと今アナログであるとかディジタルであるとか、私もよくテレビで拝見させていただくのでありますけれども、なかなかわかりづらい部分があるわけであります。NHKは、今ハイビジョンの政策としてこれからどういうふうに取り組んでいくのか、まずお聞きしたいと思います。
  145. 森川脩一

    ○森川参考人 お答え申し上げます。技術を担当している森川でございます。  ハイビジョンに対する取り組みをどうやっているかという御質問でございますが、我々は、このハイビジョン放送というものがそもそもそのすぐれた技術的特性を生かしたメディアで、これを通じて、またすぐれた番組サービスするということを通じまして国民生活をより豊かにしていくものだというふうに考えて、これに取り組んでいるわけでございます。  ハイビジョンの推進については、国会における予算の審議の折にも、当衆議院では昭和六十二年から附帯決議でその推進方について御指摘をいただいているところでもございますし、NHKとしては、これまでハイビジョン推進協会の試験放送に参画をしまして、三年間、間もなくでありますが、三年間積極的に努力を続けているわけでございます。  また、つい先ごろの電波監理審議会への諮問において、郵政省当局が平成六年末以降からの実用化試験放送への移行と、それから平成九年打ち上げ予定の次の放送衛星での本放送化と後発チャンネルでのハイビジョンの放送実施、そういった方針を明確にお示しになりました。  NHKとしても、これから先新しい運営の形態、ポスト・ハイビジョン推進協会のそういう新しい運営の形態によって主体的により魅力的なサービスを行って、ハイビジョンの普及について引き続きこのNHKに課せられた先導的な義務というものを果たしてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  146. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 ハイビジョンというのは、私も拝見させていただきましたけれども、大変映りもよくて画像がいい。これは、もちろんNHKさんは放送をやられておるわけでありますからいいのでありますけれども、今いろいろと議論をされている中に、アナログとかディジタルとか、そういうことの議論があるわけであります。  今ミューズというふうな方式でNHKさんはやられているというお話を聞いておるのでありますけれども、これは具体的にはどういうふうなやり方なのか、お伺いしたいと思います。
  147. 森川脩一

    ○森川参考人 お答え申し上げます。  ミューズというのは、スタジオでつくられました放送番組の信号を帯域圧縮をいたしまして、それで電波に乗せて受信機に送る、この帯域圧縮のところとそれから電波に乗せる方法、このことを総称しましてミューズという名前をつけております。受信機では、この逆の操作を行いまして、電波からスタジオの信号を抜き出しまして圧縮された信号をもとに戻すという操作をやるのですが、この一連のシステムをミューズと呼んでおります。
  148. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 ということは、送るときにはアナログであるけれども画像にするときにはディジタルである、そういうふうな方式というふうに私も認識をしておるのでありますが、三月の二十三日に新聞に書いてあったことなのでありますけれども、  FCCの高品位テレビ諮問委員会技術部会は、米国の高品位テレビ、ATVの送受信に使う伝逆の技術規格を、家電メーカーのゼニス社が提案じたデジタル方式採用を承認した。そしてまた、同じ文書の中に、全米でデジタル放送を始め、二〇〇八年には現行のテレビ局もすべてデジタル放送に移行させるという大胆な構想を描いている。 そしてまた、日本はミューズでありますけれども、米国ではMPEGというやり方でやっている。   MUSEは画像情報を一定間隔で間引き、約三分の一の量に減らす。一方、MPEG2は画像情報の重要度に応じて簡略化の程度を変え、MUSEより送信する情報を減らせる。   しかも、MPEG2はデジタルビデオやコンピューターなどにも使える方式として、今年十一月にも国際規格になる予定。 こういうふうなことが書いてあるわけであります。  先ほどいろいろな、マルチメディアであるとか、そして双方向通信であるとか、その中にはやはりコンピューターも内蔵されてこようかと思うわけでありますけれども、そういうふうに考えてみますと、今の現状からすると、NHKのハイビジョンの方式というのは世界の趨勢からちょっと離れているのじゃないかなという気がしないでもないのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  149. 森川脩一

    ○森川参考人 お答えを申し上げます。  今先と言い及ばれましたアメリカのATV、いわばHDTV、日本でいうとハイビジョンでございますが、これは現在規格を審議されておる最中でございまして、大体今のところ、来年の三月をめどに規格案に基づいた実際の設備でのテスト機器でのテストを終える、完了するというようなスケジュールになっております。来年の三月にそのテストを完了した後、必要な手続を経てアメリカの国家規格になるというふうに聞いております。  そこで採用しておりますその方式、先ほど先生おっしゃいましたゼニスの方式と申しますのは、電波にスタジオの信号を乗せる方式の一つでございまして、これは8VSBという名前で呼ばれておりますが、このVSBという、電波に乗せる方式というのは、実は今地上のテレビで放送しております電波に乗せるやり方と同じ方法であります。ただ、違いますのは、その中に乗せるスタジオの信号がディジタルだというところが今の地上のテレビと違うところでございまして、いわば、このゼニスの方式というのは、ディジタル信号をアナログ的な形で電波に乗せて送信するんだ。したがって、どっちがどっちでというぐあいに、ディジタルとアナログは単純に切り分けられない、詳しく言えばそういう方式でございます。  それからもう一つ、MPEG2と先生今おっしゃいましたが、これは送信の方ではなくて、スタジオの規格でございます。スタジオの信号をディジタル化して圧縮する方法、これがMPEG2でございます。このMPEG2の中には、いろいろなやり方が今提案をされておりまして、五百二十五本の今の、現行の放送の方式を圧縮する方法、それからいわゆるHDTV、ハイビジョンといった、もっと高画質な、つまり情報の多いものを圧縮する方法、さまざまな規格のバリエーションが用意をされております。  先生今おっしゃった、ことしの十一月ごろ規格の見通しがつくとおっしゃったのは、今の地上放送の五百二十五本の方を圧縮する、その部分についての規格が大体ことしの十一月ごろ全体の合意に達するだろうということでございまして、日本におけるハイビジョンでございますとか、それからアメリカにおけるATVでございますとか、もっと情報量の多いものの圧縮のやり方に関する部分につきましては、これはまだ、専門家の間でもいつごろそれが完成するかという見通しはまだ明確には立っていないというのが実情でございます。
  150. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 ぼつぼつ時間もなくなってきたわけでありますけれども、何といっても世界に冠たる技術をお持ちのNHKでありますから、そういう意味におきましては、本当に良質の情報そして良質の画像によって国民そして世界に対しましても情報を流していただきたい、かように感じておるわけでございます。  それと同時に、先ほど話に出ましたけれども、NTTの問題でありますけれども、今これからマルチメディア、先ほどの環境の問題であるとか、そしてまたいろいろな情報のこれからの双方向通信あろうかと思いますけれども、それに欠かせないのは何といっても先ファイバーであります。この光ファイバー、これは大変な投資でありまして、これをNTTがかなり先頭に立ってやられておる。二〇一五年までには家庭に光ファイバーを張りめぐらしたい、そのためには、ラフな計算でありますけれども、加入者、光回線であるとかディジタル通信サービスソフトウエア、研究開発であるとか、こういういろいろなものを全部含めますと四十五兆円、大変な額でありまして、年間の設備投資も二兆強。  一方、NTTの状況を見ますと、大変な競争が行われておりまして、市外電話においては第二電電であるとか日本テレコムそして日本高速通信であるとか、こういう競争によって先般も値下げを強いられたわけであります。そしてまた市内においては、これは要するに基本料から公衆電話、番号案内、すべて赤字の状態が続いておるわけであります。  そういう中におきまして、そういうことを考えますと、やはりある程度の施策を持って、二十一世紀に向けてマルチメディアの時代を迎えようとしている、その基本になるのが何といっても先ファイバーでありますから、その政策を打ち立てておる郵政省としてはNTTに対してどんなような援護策を持たれておるのかお聞きしたい、かように思っております。
  151. 松野春樹

    ○松野政府委員 何と申しましてもNTTは基幹的な通信事業者でございます。マルチメディア時代の到来が喧伝されておるわけでありますが、例えば光ファイバーネツトワークを整備する、ネットワークだけでなくて、それに関連する技術の開発を行う、それから高度な通信サービス提供の努力をする等々いろいろ重要な役割を担っておられると思いますし、また我々もその役割を立派に果たされることを期待しておるわけでございます。  かねてからいろいろ支援措置を講じておりますが、特に税制面で申し上げますと、御指摘の光ファイバー関連につきまして、平成年度の税制改正の案にも新しい内容を盛り込んでございます。例えば、法人税の軽減措置の対象設備光ファイバーケーブルを追加している、それから固定資産税の軽減措置といたしまして、ディジタル化の促進に着目した措置も盛り込んでおるつもりでございます。  また、先ほど御指摘の料金問題でございますが、二つの側面があろうと思います。一方では、やはり公益的なサービスでございますから、利用者利便の確保を図るという観点から、できるだけ低廉な料金というものが望ましいということがあるわけでありますが、他方で、やはり高い公共的な役割を果たしているNTTにとりまして、健全な経営を確保するということも大事なテーマであろうかと思います。  特に、設備投資が円滑に行われ得るかどうかという点も新しい課題としてもあるわけでありますが、こういう点につきましてよく留意して、調和を保ちながら問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  152. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 ぜひともこれから二十一世紀に向けてよろしくお願いをしたい。  それで、またその支援態勢に、プラス、これは市内電話でありますから公共性もある、そういうことを考えますと、先般新聞に出ておりましたけれども、市内料金の値上げが検討されておる、こういうことが書かれておるのでありますけれども、この真意はいかがなものでしょうか。
  153. 松野春樹

    ○松野政府委員 先月の終わりでございましたか、ちょうど時期的に、NTTが来年度事業計画を郵政省に提出してまいる時期でありまして、そのときの社長会見でプレスの皆さんに、検討しておるという趣旨を申したと承っております。ただ、私どもに具体的な申請はまだ参ってきておりません。
  154. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 これから大変な設備投資を必要とするわけでありますけども、また反面、市内通話というふうな話になって言及してまいりますと、これは非常に公共性もあることでありますから、ただ、またその反面、NTTの方はいろいろなサービス義務もある、その辺よくお考えいただいて、一体となってこれからの電気通信関係にも御尽力いただきたい、かように思っておるわけであります。  これから、まさにグローバルネットワークというふうに言われておるわけでありますから、とにかく双方向通信、そしてまた地域が、要するに地域中心の、地域にいても東京情報、そして東京のいろいろな、同じような医療活動、ファッション、教育が受けられるような、あいまいもことしておりますけれども、そういうふうな形で御尽力いただきたい、かように思っております。  時間がなくなったのでありますけれども、大変駆け足で恐縮ではありますけれども、実はうちの方の田舎の方に放送大学というのがあるのでありますけれども、この放送大学というのは、これは所管はどこになるんでしょうか。
  155. 江川晃正

    ○江川政府委員 郵政省と文部省の共同所管でございます。
  156. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 NHKの方針としましても、文化、生涯学習番組の強化等、公共放送の真価を発揮する番組の編成があるというふうに言われておるわけでありまして、放送を生涯教育の場に生かし、効果を上げ、また今後とも期待されておるものに放送大学があるわけでありますから、ぜひともその辺の御援助もお願いをしたい。  これは、予算関係はどういうふうになっておるのでしょうか。例えば文部省の予算でやるとか、郵政省ですか。
  157. 江川晃正

    ○江川政府委員 運営費その他の予算は、文部省が一括して要求することになっております。
  158. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 実は、卒業生であるとかその名簿を拝見させていただきますと、これはほとんど関東地方しか履修できない、こういう現状があるわけであります。全課程の履修ができるのは関東地方だけ、卒業できるのは関東地方だけ、そしてまた科目であるとか選科、こういうものは何かビデオで見て履修をされておる。そういうことを考えますと、これはあまねく速やかに全国的に、これを生涯教育の一環として、郵政省も本当に先頭に立って御尽力をいただきたい。  これからの計画、郵政省としての何か御計画はございますでしょうか、この放送大学に関しまして。
  159. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生おっしゃいますように、今は確かに東京を中心とした関東のこの部分になっておりまして、それより東、西、栃木、茨城。あるいは諏訪、長野の方へ行きますと、ケーブルテレビなどを使ってやっている。それの以遠はできていないというところでございます。  将来的には、これはまだ文部省とも相談になるわけでございますし、また予算の問題もございますが、BSを使いますと一挙に全国にいけますので、そういう形で、BSというのは放送衛星でございますが、そういったものを使って全国展開を図るということも今文部省と話をしたりしているところでございます。
  160. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 要するに、放送大学が、まさにこれからマルチメディアを迎える時代において大変格好の場になってくるのじゃないか、かようにも感じております。  これからもよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  161. 高橋一郎

    高橋委員長 続きまして、次に、川崎二郎君。
  162. 川崎二郎

    川崎委員 まず最初に、郵政大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  実は、私も長い間逓信委員会におったわけでありますけれども、普通は郵政大臣が、放送行政全般については私はことし一年こういう形でやってまいりたい、こういうものがきちっと出た後、NHKの予算の審議をする。NHKといえどもやはり放送行政全体の中の一つの枠組みであるという理解でいいのだろうと思うのです。まあ、きょうの朝、放送法第三十七条に基づくということで趣旨説明をいただいたようでありますけれども、やはり放送行政の基本的なスタンスというものが示されない中でNHKの予算の審議に入らざるを得なかったという極めて異常なケースであるということについて、大臣、どう思われておりますか。そこをまずお聞かせ願いたいと思います。
  163. 神崎武法

    神崎国務大臣 今回、予算委員会審議に入れないままに日切れ法案の処理という形で今回の審議に至ったわけでございますけれども、その点については、御指摘のとおり、やはり放送行政全般について私の方からもお話をさせていただいて、その上でNHK予算についても御審議いただくのが一番望ましいと思うわけでございますけれども、いろいろな事情からこういうことになりました。本日、私の方からも趣旨説明もさせていただいておりますので、ぜひその点を御勘案の上で、御審議のほどをよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  164. 川崎二郎

    川崎委員 きょう本会議でもいろいろありましたのでそれ以上申し上げませんけれども委員長にもひとつお願いしておきたいのは、郵政省にとりましても、郵便料金の値上げという極めて重大な問題に取り組みました。また、公衆電話の電話料金等の問題にも取り組んだ。しかしながら、郵政大臣が御就任以来、委員長が御就任以来、はや七カ月経過をいたすわけでありますけれども、そのことについては全くこの委員会の中で触れることができなかった。もちろん我々野党側にも都合があったかもしれぬ。また、与党の理事さんも御苦労されたのかもしれませんけれども、ある意味で、やはり公共料金の大幅値上げというものも国民生活にとって大事な問題であり、もし社会党さんが野党の時代だったら、我々とてもそんなことでは通らなかったのだろうと思うのですよ、正直言って。それが現実問題、何の論議もされないまま終わってしまった。やはりその辺のところは、お互いに国会議員として、また逓信委員を務める者として、国民にわかりやすく理解を求めていかなきゃならぬ、こういうことであろうと思います。  そういった意味では、NHK会長さんにとりましては、従来NHK予算、一日でやってまいりました。料金値上げという難しい問題が絡むときには二日かかっておったことがあったわけでありますけれども。そういった中での議論のし始めになってしまったものですから、二日間おいでになることになったのだろうという理解を私はいたしております。その辺は御理解を賜っておきたいというように思います。  そこで、少しまず郵政大臣と議論をしてまいりたいと思います。  細川内閣の基本、政治改革が第一であった。一応終わった。その次に規制緩和とか行政改革というものが大きく取り上げられております。規制緩和については随分郵政省も頑張られて、数的には出した。内容的にはよくわかりませんけれども、数的には出したというふうに聞いておるわけであります。当然、そういうことになりますと、郵政大臣が所管する全分野について再点検を大臣としてことし一年されるのだろうと思うのです。  実は、私ども、昨年は我が党の大臣でありましたけれども、小泉大臣との論議、ここで四日か五日やりましたでしょうか、多少意見が違ったものですから。要するに官民の役割分担、公民の役割分担という問題なのですね。これは実はNHKにも、将来展望においても大変大きく影響をしてまいる問題だと私は思うものですから、基本的な論議として入りたいと思うのです。  実は、郵便、貯金、保険の三事業電気通信、それから放送、これを所管されておると言ってもまあまあ間違いないだろうと思います。電気通信事業については民営化に踏み切った。これは何も今の大臣ではありません。しかしながら、大臣は、七カ月の動きを見る限り、その民営化に踏み切った電気通信事業を一層民営化させる、規制を緩和させることによって、競争による国民の利益というものをもたらそうというふうに御努力いただいておると思うのです。電気通信事業、昭和五十年代までは私どもは、基本的にはあまねく公平だから、これはNHKでも同じであります。郵便事業でも同じであります。あまねく公平にやるためには、官業の方がいいんだ、公営企業の方がいいんだということで努力してきた。しかしながら、どこかで頭がくるっと変わって、今申し上げたように、民営化による競争にやっていこうということで、まだまだそれにしては規制が多いのではないのですかねという声をいただいておるのだろう、そういう取り組み方をされていると思うのです。  そこで、例えば郵便、それから貯金、保険、この分野について、負担、考え方ですね。例えば郵便は官業の独占であります。貯金、保険については官と民の役割分担をしながらきちっとやっていこう。特に昨年の議論の中では、例えば銀行が一つもない市町村があるだとか、こういう論議がされる中で、特に弱者に目を向けながらの郵政官営事業というものがかなり議論されたと思うのですけれども、その辺の大臣の基本的なスタンスをまず放送に入る前にお聞かせ願いたいと思います。
  165. 神崎武法

    神崎国務大臣 私は、大臣になりましてからも、第三次行革審の最終答申が出たわけでございますが、その前のいろいろな議論の中でも、全国二万四千の郵便局を通じて国民生活に大変密着の深い、かかわりの深い郵便、貯金、保険という郵政事業を郵政省は担当させていただいておりまして、その国営、非営利ですか、全国ネットワークという、また三事業一体といった現在の経営形態が、委員もただいま御指摘がございましたような、国民に対するあまねく公平の基本的なサービス提供する上ではこの経営形態が一番ふさわしいというのが私の認識でございまして、そういうことを第三次行革審の最終答申が出る前にも私も申し上げてきたところでございますが、行革審の答申も最終的に私ども考え方を踏まえた答申になった、現行の経営形態というものを御理解いただいた、このように考えているところでございます。  私は、国民の利益の確保を図る、こういう基本的な視点に立ちまして、さまざまに今、金融の自由化とか大きく変化をする経済社会環境の中で、いわゆる地域に貢献できるサービス、また高齢化社会においてもやはり有効にこの二万四千の郵便局を通して基本的なサービス提供できるように、質の高い、ぬくもりのあるサービス提供できるように努めてまいりたい、このように考えております。
  166. 川崎二郎

    川崎委員 重ねてお聞きしますけれども、基本的にそれは細川内閣の全体にわたるスタンスというふうに考えさせていただいてよろしいんでしょうか。いや、新しい行革審が出るとまた改めて考え直しますということなんでしょうか。
  167. 神崎武法

    神崎国務大臣 これは基本的な細川内閣のスタンスというふうに考えていただいてよろしいと思います。
  168. 川崎二郎

    川崎委員 そうしますと、放送でありますけれどもNHKという公、そして国民一人一人が受信料を払うことによって支える、そして一年に一度予算については、また決算については国民の代表たる国会でその議論を行って承認をしていくというスタイル、公ですね。それから民間がやっていく。こういう公民共存体制というものが当面、二十年先、三十年先のことまではっきり言うことは難しいと思いますけれども、当面この体制がふさわしいというふうに考えておられますでしょうか。
  169. 神崎武法

    神崎国務大臣 公共放送としてのNHKと民間放送との共存と申しましょうか、お互いが相補ってバランスのとれた形で現在日本放送というものは発展をしておると考えております。したがいまして、私はこの公共放送と民間放送の共存ということがやはり望ましいというふうに考えております。
  170. 川崎二郎

    川崎委員 実は、昨年も論議させていただいたところで、放送法の問題になるのですけれども、  例えばテレビ局のある社長からは、テレビは新聞と違って放送法の規制を受けており、政治的主張をする権利を与えられていない、客観報道に徹するしかない、こういう発言があるんですね。   片一方、新聞界の方からは、一般の論調の中に放送と活字ジャーナリズムの言論、表現の自由の相違について認識を欠くものがある。新聞、出版等の活字ジャーナリズムには公序良俗を害さぬ限りほとんど無制限に出版、発行及び言論、表現の自由が保障されているし、国民の側にも選択の自由がある。一方、放送は、極めて限られた公共財である電波を利用して情報を直接国民の茶の間に送りつけ、受け手側の聴取するか否かの選択の自由が限られている。このため放送法などで政治的公平や不偏不党の条件を課し、免許事業として電波法による罰則がある。 こういう新聞界の考え方を昨年も読ませていただいたのです。  先ほどから同僚議員の議論の中に、要は空中電波でやっておった放送という社会から、衛星になったりCATVになったり、もっと進んだことをどうやら郵政省内部では事務次官が先頭にお考えになっておるというふうに聞いております。例えばNTTが光ファイバーケーブルを全部敷設しますよ、全家庭に光ファイバーを引きますよ。何に使うのですかといったら、当然放送にも使うのですよという話になるのだろうと私は思うのです。そうすると、今この放送法の基本的な概念である限られた公共財、ここが非常に弱くなると思うのですね。限られた公共財である。いやいや光ファイバーとったら百チャンネルだって二百チャンネルだっていけるよ。そうなると、それはNHKは別ですけれども、民放に対して今まで同様の放送法というものをかぶせて続けていくことはできるのであろうかどうか。要するにアメリカ同様になってくるのではなかろうか、こういう議論が現実問題あるわけですね。  ただ、現実問題そういう議論が、そういうマルチメディアというか光ファイバーが全部の家に、CATVが全部の家に行ってないのに、あたかもそういう時代になっておるように混同して、ハイビジョンの話と似たような話ですよ。将来社会の話をしているのに、今からそういう時代なんだから我々放送も自由にやらせてくれというような感じの、椿さんなんというのはまさにそういう人の代表例だ。報道局長だから頭悪い人じゃなかったのでしょう。会社の中では有望視された人です。有望視された人たちでも、将来社会はこうなるのだけれども、今は違うのに明らかに将来社会を想定してしまって動いてしまって、実は去年からこういう食い違いが生じておると私は思うのです。  したがって、ここのところはやはり郵政省としては腰を据えて考えなければならぬ話になろうと思うのです。現状の放送法というものはやはり守っていかなければならぬだろう、それはいろいろな方からあしたも議論が続くだろうと思う。しかしながら、将来ビジョンというものを考えていったときに、どういうふうに考えていくか。これは政治家同士の話だと思うのですね。まさにそういった意味で大臣の御所見を少しお伺いできればありがたいと思います。
  171. 神崎武法

    神崎国務大臣 現在の状況については、委員御指摘のとおり、電波というものは有限希少のものである、これを有効に利用するという制約もございますし、また家庭に直接電波が入るというところで大変社会的な影響力が大きいというところからいたしまして、新聞、雑誌とは違った放送についての政治的公平等の要件が定められているところでございます。  私は、基本的にはこの考え方というのは当面変わらないだろうというふうに思っておりますけれども、他面、委員御指摘のように、通信放送の融合という最近の著しい技術革新を背景にした新しい課題というものも現在出てきているところでございまして、郵政省も関西文化学術研究都市におきましてことしの七月から通信放送の融合の実験を開始をいたします。そして、いろいろな分野で今後通信放送の融合に伴うさまざまな問題が出てくるだろうと思います。利用面、コスト面、制度面でどうなのか、これを私どもも具体的な実験を通して、またさまざまな政策論議を通して今後の検討課題として取り組んでまいりたい、このように思っているわけです。  ですから、今後通信放送の融合というものが現実になった場合に、通信で考えられている概念と放送で考えられている概念とが、どういうふうにそこを整理したらいいのか。これはやはり時間をかけながら検討していかなければならない課題だろう、このように思っております。
  172. 川崎二郎

    川崎委員 大臣のお話はよくわかるのですけれども、実は今、ある意味では割合遠くの社会ですね、CATVが全家庭に引かれる、それから光ファイバーがそうなる。遠くの社会、要するにハイビジョンと似たような社会、ハイビジョンよりもうちょっと遠くかもしれないけれども、そういう社会ですね。  ところが江川局長、実は現実問題、皆さん方が抱えられている問題として、外国放送の問題があるんじゃないですか。外国事業者が直接こっちへ放送を流してしまうという問題。これは日本放送法の規制をかけられますか、流れて入ってくるのに。ラジオは入ってきちゃっているのですね。現実問題、ラジオは入ってきちゃっている。中国放送だって何だって入ってきちゃっているけれども、そんなもの、正直言って共産党の宣伝をしようかとこの政党のをしようが——日本共産党の話じゃないですから。向こうの主張を繰り広げられる。これは別に放送法の制約に反しているからということはしない。不偏不党じゃないけれどもいい。これは例外的に認めているんだと思う。認めているというか通っちゃっているのですね。  ところが、これから世の中全体的な流れの中で、今割合言われている、要するに情報化という社会よりも国際化という社会の方がもっと早くなっちゃうんじゃないですか。江川局長、ちょっとその辺のところを、もし勉強会等をお考えでしたらお話をいただきたいと思います。
  173. 江川晃正

    ○江川政府委員 二つの御質問で、外国放送日本に入ってくるときに、何か日本国の放送法で規制がかけられるかという問いにつきましては、かけられないというのが答えだと思います。ただ、通信法の世界で申しますと、通信の秘密を守らなければいけないというのがございまして、入ってきたものを商売に使ってしまう、私が盗んで。それは通信法の秘密を侵したことになりますから、通信法上から見ますとそれは問題が生じてくるということでございます。  先生御指摘のとおり、今国際化というのが非常に進んでまいっておりますので、入ってくるのを、やむを得ないというのは言葉がいかがかと思いますが、我が方からも十分出ていく必要がある国際化になっているわけでございますから、そういう意味で、日本国から出ていくことを出ていけるようにしよう、そのかわり外国から入ってくるのも適法に受けられるようにしていこう。しかも出ていくのも、例えば民間放送のような人たちも出られるようにしていったらどうかというようなことまで考えた法律を実はつくろうかと今研究しているところでございます。
  174. 川崎二郎

    川崎委員 めどはありますか、大体いつまでという。
  175. 江川晃正

    ○江川政府委員 私たちの努力といたしましては、今国会に提出できるように各省に折衝に入っていきたいと思っているところでございます。
  176. 川崎二郎

    川崎委員 そうすると大臣、どうやら放送法、もう将来というよりも、いじっていかなきゃならぬ。今国会が、少なくとも一、二年以内ということになるんでしょう。ですから、放送法自体がやはり少しずつ変化していくという前提の中でNHKがどうあるべきかということが基本の展開だろう。それに二十分以上費やしたわけでございますけれども、そういうふうに御理解をいただければありがたいと思います。  そこで、実はまず官民のバランスという問題について、具体的な問題を聞きたいと思うのです。ちょっと郵政、まとめて答えてくれますか。NTTの今の市外部門のシェア、それからその中でも特に東名阪、最もほかの会社が強いところですね。  これは実は、会長聞いていていただいて結構なんですけれども、前に真藤さんがNTTの職員に、おまえら負けるな、新規参入事業に負けるなとしりをたたいて、片一方、おれのところのシェア何十%は食われないとおれのところは分割されちゃうんだと。これは民営化したのですから競争条件で、片一方が七〇も八〇も持っていたら民営化にならないんですよね。寡占状況と言って、これはとても民営化という形にならない。したがって真藤さん、そういう意味では、中には随分ハッパをかけるけれども外に行ったら何とかシェアを食われるように、食われるようにと言って、両面をやられた苦労を聞かせていただいたところがあるものですから、その例えとしてちょっと今出して言った。  それから郵貯のシェアと簡保のシェア、大体どのぐらいですか。  まず郵政側、だれかまとめて答えてください。官房長来ているから官房長でいいじゃないですか。官房長、専門だから。
  177. 木村強

    ○木村(強)政府委員 お答えいたします。  詳細な資料が手元にございませんので、大変恐縮でございますが今私の手元にある資料でお答えをいたします。  平成年度のNTTとNCCのシェアについては、通話回数で見ますと、全通話におきますシェアということでNTTは九四・二%でございます。NCCは五・八%ということでございます。  県間通信におきますNTTとNCCのシェアにつきましては、七三・二対二六・八ということでございます。なお、東京大阪、愛知県相互の通話シェアということになりますと、NTT対NCCは四五・六対五四・四ということで、NCCが過半数を超えておるという状況でございます。  なお郵貯につきましては、官民の割合は、三〇%余りを占めておるというふうに承知しております。  以上でございます。
  178. 川崎二郎

    川崎委員 先ほどちょっと聞かせていただいたのですが、郵貯のシェアが三二・七%、簡保のシェアが大体二七・二%。これは試算でですけれども。私ども、バロメーターとしたら大体三割を一つのバロメーターにしておったと思うのです。  それで、NCCが市外部門で二六・八%、三割に近くなってきた。もうちょっととってもいいんだろうと思うのです、NTTが聞いたら怒るかもしれませんけれども。それから郵貯のシェア、簡保のシェア、これが三三、四%になってきますと、すぐ郵貯肥大化ということで銀行さんや農協さんが、がががっという形になりまして、こんなのが大体なんです。  そこで、NHKさんにお聞きしたいのですけれども、視聴率から見た点。これは非常に難しい話だと思う、視聴率から見た点。それから広告宣伝費。NHK受信料、それから民放は広告宣伝料ですね。これを単純に比較して大体どんなものでありましょうか。視聴率のシェアと売り上げのシェア。概算の数字を出してくれますか。
  179. 川口幹夫

    川口参考人 まず、収入の方から申し上げますと、NHKが五千三百九十八億、これは平成年度の計算ですが。比較します数字が四年しかなかったものですから。全民放の総収入は二兆一千八百六億です。ということはNHK一に対して全民放は四・一でございます。(川崎委員「そうすると、二〇%ぐらいですか、シェアは」と呼ぶ)はい。  それから、要員数はNHKが一万三千三百に対して全民放が三万一千二百ですから、これは一対二・三四ということになります。  それから、視聴率によるというのは、視聴率の計算は平均視聴率というのはないんですね。ですから視聴時間といいますか、今世論調査で調べておりますところで、民放が一日平均大体二時間二十八分、それからNHKが一時間八分となっておりまして、これは大体七〇対三〇、民放が七〇でNHKが三〇というような時間の比率になっております。
  180. 川崎二郎

    川崎委員 NHKの問題でありますけれども、島体制から川口体制に変わった。島さんという会長さんも大変ユニークな会長さんでありましたし、我々とぶつかったり、ある程度共鳴を受けたり、こんなことを繰り返してまいったと思うのです。  島さんがとってきた行動の中で我々が少し理解しにくかったのは、バブルのときであったからかもしれませんけれども、一つは値上げというものを否定されてしまったのですね。これが最後の値上げだという表現があったような気がしておる。したがって、関係会社、収益事業への進出というものを島さんの一つの大きな目標にされた。同時に、世界戦略をこれからNHKは組んでいかなきゃならないのだ、こういうものが一つの島会長の基本的な認識としてあって、そして、これは明言されなかったけれども、我々の頭の中に、ひょっとしたら島さん、先ほど論議したようなことも踏まえながら、少し先の話なのに、一歩か二歩か先に足を踏み出し過ぎてしまって、何となくNHK民営化までお考えになってきたのかな、少なくとも第三セクター近いところまで考えてきたのかなと。NHKが広告収入を取ってもいいじゃないかという感じまでお考えになったのだろうか。そこら辺に民放側とのあつれきもあったように思いますし、NHKの内部でついていきませんよという人の考え方もあったように思いますし、我々との間のいろんな議論があったように私は思うのです。  そこで、今度川口体制になって、基本的には受信料というものを基本とする経営体制というものを当面貫いていきたい、なるべく値上げに結びっけたくないけれども、万やむなきときは国民の理解を求めたいというのがまず基本概念になってきたのだ、そこには全面的に民営化というものは否定される、コマーシャル料金とかそういうものは基本的には否定をされて、NHKの訴えるところはやはり公共性であり番組の質である、ここへ実は大きくスタンスを移されたというように私は思うのです。  そこで、再三言いますように、ハイビジョンの話のようにちょっと先の話と今の話を一緒にまぜちゃいますと国民が何かわからなくなると思うのですけれども、一つは、当面NHKとしてはという一つの考え方、それから、どうだろう、二、三十年後になって、本当にそんな想定されるような世の中においても、多分私は、民放というものは言論界と一緒のようになって、出版業界と一緒のようになって、ある程度、私どもが不偏不党だとか政党の影響を受けてはいけないとかなんとか言っても、やはり一つ一つの主張というものが数がふえてきて、限られた公共財を使っておる民放でも、ないという時代を迎えたときに、私の思いからすれば、だからこそ不偏不党の、公というものの放送というものを私は守り続けたいのだというものが私はあってもいいような気がするのです。ただ、アメリカはそういうものを否定しているわけですね。しかしながら、イギリスだとかドイツとか、それぞれの国々が、もちろん会長、そういうところともお話しいただいておるのだろうと思うけれども、現状体制の問題と、それから将来そういう状況に変化していったときに、やはり先ほどからあります公共というものの概念をより強く確立をし、国民の理解を得てやっていこうという気持ちをお持ちかどうか、私の思いをちょっと押しつけたような感じにもなっておりますけれども、お話しいただければありがたいと思います。
  181. 川口幹夫

    川口参考人 マルチメディア時代NHKがどうであらねばいけないか、どうあった方が一番いいかということは、このところずっと私たちで議論を深めております。その時代になりますと、どうやらマルチメディアと放送というものは二つの種類に分けられるのじゃないかと私は考えています。  一つは、受け手本位の大変便利な、言えばすぐ答えてくれる、例えばデータの集積をすぐ出してくれるとか、あるいは買い物だとか、あるいは時刻を聞くだとか、そういう細かいことに対して非常に便利になる、つまり、聞き手の側、受け手の側からする非常に便利なシステムというのができ上がるというふうに考えます。この中に放送がすぽっとそのまま入ってしまうというふうなことは、ちょっと混乱をするのではないだろうか。  もう一つあるべき姿は、送り手側のネットワークといいますか、つまり受け手の側が欲しいものをいつでも享受できるというネットワークと、それから放送の側が、これはぜひ知ってもらいたい、あるいはこういうようなことはどうでしょうかという、つまり送り手の側のネットワークというものが当然起こってくるのじゃないか。その送り手側のネットワークというものが、私どもの場合は公共放送ですから、公共の福祉のためになければいけない。  そういうのが二つ存在することのすばらしさを、マルチメディアの時代というのははっきりと二つに分けて考えるべきじゃないだろうか、こんな感じを私は持っております。したがって、NHKは、いかに便利な光ファイバーのマルチメディアの時代になっても、どこかでNHKがなすべき仕事というのは必ず続くだろう、しかも、そのことが国民多数の福祉に絶対つながるだろうということを自信を持って仕事をすべきだというふうに思っております。  私が今思っておりますアウトラインみたいなものはそういうことでございますが、実際上は、非常に便利なスタイルと、それから送り手側のネットワークというものをつくるということは大変な努力が必要だと思いますけれども、それはやはり、放送事業者としてはどうしても越えなければいけない一つのハードルではないか、そのハードルを越えて初めて公共放送の未来というものがあるというふうに考えております。  これは、BBCも大体そういう方向考え方をまとめたようでございます。フランスは大分違いまして、いわゆる民放化の波にとうとうと洗い流されてきましたけれども、今度はその弊害の方で大分苦心されておりますから、私は、NHKのようにBBCもやるのじゃないかというふうに思っておりまして、公共放送というものが存在することの意味というものをもう一遍ここで確立をしたい、そう思っております。
  182. 川崎二郎

    川崎委員 会長の思いはそれで結構なのですけれども、特にやはりNHK職員のお互いの理解というものが大事だと思うのです。  実は、十月の委員会でテレビ朝日の社長を呼んで議論しました後、NHKである人が出てこられて、これは個人的な名前等は差し控えますけれども、要は、先ほど申し上げました次の時代というものも想定してしまって、テレビというものはもう自分の思いというものが勝っても構わないのだ、不偏不党じゃなくても構わないのだ、一般ジャーナリズムと一緒なんだ、こういう感じのことをNHKでやったのですよ。これは会長の耳に届いているかどうかわかりませんけれども。  ですから、会長の思いというものがきちっとあるなら、やはり末端まできちっとその思いが届くように——実はテレビ朝日の社長ともいろいろ話をしました。社長はよくわかっておられるし、ここでも明言されたし、社員教育が一番大事なのですよと言われている。言われていたけれども、結局はやってしまう職員がいるということになるわけですから、その辺のところをぜひお願い申し上げておきたいと思います。  そこで、今まではある意味では私自身川口体制への支援だろうと思っているのですけれども、やはり島さんのやったことについて我々も共鳴するところが、先ほどあると申し上げたように、あるのですね。例えばことし、五カ年で五百二十二億円の繰り越しになる。そのうち、名古屋の放送局関係の、一つのスクラップ・アンド・ビルドですね、例えば二百四十一億円、広島が六十二億円。実は三百三億円の、はっきり言って営業外収益というのですか、NHKに直接関係したことでない収益が上がっている。衛星を上げるのがおくれたために七十億円等がありますので、五百二十二といっても、本当のNHK事業収入というのですか、受信料収入とそれから支出していくものと勘定していくとそうは余裕のある話ではないのですね。そこで、常に島さんが発想した考え方もやはりNHKの中に私は残しておいてほしい。  そういう意味では、例えば日比谷から渋谷に移られた、このときはよく御存じだろうと思うのです。当時三百五十五億円で売却して赤字は消しちゃうわ、新しい今の渋谷のあれは建てるわ、放送文化基金に百何億わということで、昭和四十八年の三百五十五億円だから相当な話ですよね。相当な一つの判断をされて彩られた。  一つの考え方として、私は例えば砧にある技研、実は二、三年前に郵政も一生懸命だったのですけれども、最近言わなくなっちゃった。東京一極集中何とか直すのが我々の使命だよ、だから中央官庁にある一つでも二つでも外へ出そうじゃないかとみんな言っていたのに、そのときにNHKにこの話もしたときがある。そうしたら、郵政省が一つどこかへ移せばうちも移しますよという冗談が返ってきたことがあるのですけれども東京にあるものをなるべくちょっと外へ移そうじゃないか、少なくとも電気通信で我々やれると言っている社会の中の最先端の人間なんだからお互いにやろうじゃないか。砧の技研、あんなところに置いておく必要あるの。例えば郵政省も厚木なんか随分力を入れていますね、あそこをモデル部市にしよう。そんなお考え、ないでしょうか。これは押しつけじゃありません。僕は何も厚木にあれもありませんから問題はないと思うのですけれども、そんな考え方東京一極集中、一つの是正の中で少しこうやっていく、スクラップ・アンド・ビルドを何かやはり常に考えていくということが大事だと思うので、もしお考えがあればお聞かせいただきたい。
  183. 川口幹夫

    川口参考人 私は島前会長の後を継ぎましたけれども、決して全面的に島君のやったことについてノーと言っているわけではございません。どうしても受けとめられない、それでやったらだめだよということがありましたので、そこはかっきりと拒絶をする。しかし、考え方の中で受けとめてしかるべきものは受けとめたいと思っておりまして、今の御指摘の砧の問題ですが、これはもう二年前から、私会長になってすぐの話だと思いますけれども協会の財産を総洗いしまして、それで今後の、例えば建築をどうするか、それから財産のその利用をどうするかということを全面的にやりました。その中で当然砧の問題は入っておりまして、ただこの砧の問題は近隣土地とのいろいろな問題がありましてそう簡単にいきませんでしたので、まだ結論は出ておりませんけれども、当然それも今おっしゃったような意味では我々の選択肢の中に入っているということを申し上げたいと思います。  これからの時代は四角四面な発想でなくて大胆な発想も時に必要かと思いますので、いろいろなことを考えて実施をしてまいりたいと思っております。
  184. 川崎二郎

    川崎委員 もう一つのスクラップ・アンド・ビルドで、何年間がずっと私ども理事時代から、保有メディアの見直し、附帯決議に入っているんですね。ことしの附帯決議に入るかどうかわかりませんけれども、これは附帯決議に入るということは、逓信委員会の場合全会一致でありますから、国民代表として我々が審議している以上はやはりNHKというものが公として果たす責任、大いに期待をしておりますし、またそれなりにこたえていただいていることは事実だろう。しかしながら、片一方でやはり官とか公がどんどん大きくなっていくということには常に牽制というものを加えていかなければならないよ。これは細川内閣としてもそうだと思うのです、牽制を加えていかなければならないよ。そういった意味では、保有メディアの見直しは、これによって幾らもうかるかとかこれだけ人員削減になるということではなくて、まさにNHKが行革に取り組んだという一つのあかしとして私は取り組んでいただきたいと思うのです。  実はラジオ第二云々なんという話が出てきて、いろいろな投書が来たからちょっと待とうかということで引っ込まれたんじゃなかろうかというようなうわさが立っております。これはよくわかりません、直接聞いたことありませんから。しかしながら、我々が行政改革をやろうと言ったら何だって来ますよ。我々が何かやろうと言ったら、それはそれによって痛みを感じる人たちはいるわけですから必ずそれはある。しかしながら、この場合は、保有メディアを移すことによって、NHKはタッチしないけれども、民間としてやっていくなりだれかが肩がわりしてやっていくなりきちっとしたものが私はできると思いますので、あしたから全くなくなっちゃうんですよという話ではない整理も私はできようにも思いますので、そういった意味で、NHK会長の一つの、今内閣の売り物でもありますので、そうした決断をぜひ求めたいと思いますけれども、その辺どうでございましようか。
  185. 川口幹夫

    川口参考人 メディアの保有の問題というのは、これは我々が当面している非常に難しい問題でございます。と申しますのは、民放さんは、ラジオの一つをやめたって何でもないよ、そんなものやったって意味がないじゃないか、やるならテレビ四波を減らしなさい、こういうふうにおっしやるのです。それは私どももそのとおりだと思います、いわゆる削減することの意味からいえば。  ただ、現在やっております四波は、地上が総合と教育というそれぞれのジャンルをはっきり持ったやり方をしておりますし、それから衛星放送は、一波が国際情報を中心としたものですが、もう一波は難視解消というもう一つの目的を持っておりますので、今急にこれをやめるわけにもいかないというふうなことで、とにかく今持っている波をもし削減できるなら何だろうということでいろいろ検討した結果、将来構想の中で音声一波を削減することも考えられる、ただしこれにはそれこそ七十年にわたってなれ親しんだ聴取者の考え方があるから、一般にいろいろな御意見を聞こうというふうな態度で今まで来たわけです。  そうしましたら、一番大きな反応は、この前朝日新聞の大きな見出しで出ましたNHK第二放送削減かというのでありますけれども、相当大量の投書が来まして、これは実際に第二放送によって語学の学習だとかいうようなことをやっている方から来たんですが、絶対やめるなという御意見が大体九十何%来ています。もちろん、断固としてやれというふうな御意見も、少なくはありますけれどもちゃんとございます。私どもは、この問題、やはり国民的な観点に立って考えるべきだというふうに思っておりまして、一NHKの都合とかなんかよりも、むしろ聴取者の立場に立って、じゃどうするかというふうに考えた方がいいと思っております。  民放の方の御意向であるテレビの削減についても、将来構想の中にもちょっと言及しておりますけれども、これは将来、衛星という波がどういうふうな使われ方をするのかはっきりした定着を示さないと、今の段階で軽々に言うわけにはまいりません。私どもの希望では将来の衛星はハイビジョン波になることだと思いますけれども、そういうふうになった場合の定着の仕方というふうなことを考えて柔軟に対応したいというふうに思っておりまして、ただ、今のところはっきり申し上げますのは、この前も民放運大会で発言をしたんですけれども、いたずらなる肥大化ということは絶対しません。新しく何か事業をふやしてそしてさらにまた自分を肥大化するということだけは絶対しませんという約束をしております。そういう基本に立って、今後の問題については慎重にかつ大胆にまた検討させていただきたいと思います。
  186. 川崎二郎

    川崎委員 行革といいますか、削減を決断するということになるとやはり慎重ということもあるかもしれぬけれども、勇断というところにウエートを置いていただかなければできないし、かつやはり、今まさに川口会長が職員からも大変な信頼をもらって今日NHKの体制をつくり上げてきているわけですから、逆にやはり会長が決断をされる以外にない。下で幾ら論議したってこの問題は詰まる話ではないというように私は思いますので、期待をしておきたいと思います。  それから第三番目に、これがいつもNHKの予算のとき問題になったのですけれども、関係会社収支の問題であります。四年度で関連団体決算一覧表というのを出してもらって、大体千七百三十七億ですか、このくらいの収支で利益が二十億ぐらい出ておるということで、まあ大体順調にいっておるようなんですけれども、まずお聞かせ願いたいと思うのですけれども、どうでしょう。五千六百億の一つの本体、それに対して関連会社約千七百億、育ったのか育たないのか、ここまで育ってきたのか整理して逆に減らしてきたのか、今後こんなものはやはり二千億、三千億ぐらいのところを一つのめどとされておるのか、いや、大体こんなものだという感じなのか、関係会社の基本的な政策について少し会長からお聞かせ願えたらと思います。
  187. 川口幹夫

    川口参考人 関係会社、関連団体と私ども言っていますけれども、これの存在意義というのをもう一遍きちんと見直したいと思っています。そして、その上で再編成をすることもあるし、それから全体の方向づけを変えることもあるだろうというぐあいに思っておりまして、間もなく結論が出るだろうと思います。  ただ、今私が二年八カ月たって思いますのは、当初島会長は副次収入を三百億上げるんだというふうな発言をたしかしていたと思います。三百億の副次収入を上げるためには、それこそ五千億ぐらいの稼ぎがなければ副次収入としてNHKには還元できないのですね。これは全く不可能であります。それを考えること自体が無理だと思いますし、それから、特に今の情勢ですから、これについて私は極めて否定的でございます。千七百億稼いでいるということは、まずまず今の情勢の中ではよくやっている。ただ、それでもなおかつ、やはり民放関係各社からはやり過ぎだ、商業化だという非難を受けるのですが、一応節度を持ってやってこのレベルのものを獲得しているというふうなことは、まずまずではないかと思います。  そしてもう一つは、関連団体が持っている力というものをNHK本体に還元する。つまり、番組の制作だとかそのほか付随的なことをそこに委託をしてやることによって本体のいたずらな肥大化を避けるという面もありますから、こういう面は大いに活用していきたいと思っております。  これまで以上に規模を大幅に伸ばしたいという気は持っておりません。現在の規模を大体維持できればいい。したがって、副次収入は現在大体八十億近辺を上がったり下がったりしていますけれども、大体それぐらいのところでいいのではないか。そこにこそまたNHK受信料を主体とする財政体制に持っていくという意味があるのではないか、こう思っております。
  188. 川崎二郎

    川崎委員 それではもう一点、話題になりましたMICO、国際メディア・コーポレーションですか、これは私のいただいた限りでは、百五億で三億四千四百万円の赤字となっております。ことしの見通しと、これからどういう方向でこれは行かれるのか。NHKは出資していませんよね、出資はしていないと思うのです。しかしながら、ある意味じゃ裏打ちをされた、NHKが援助していきますよと裏打ちをされた会社、そして国際的な信用の問題もある、これをどういうふうに推進されていくのか、またうまく整理されていくのか、広げていくのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  189. 齊藤曉

    ○齋藤参考人 私が関連団体の方を担当しておりますので、私からお答えいたします。  今お尋ねの前段の、MICOの本年度、五年度の収支の見通してございますが、まだ決算には至っておりませんけれども、現時点の見込みではやや黒字かなというようなことを聞いております。  それから、今後MICOをどういう形でというお尋ねでございますが、設立当初の趣旨は、かなり幅広く大規模なことを事業運営で考えておりましたけれども、その理念はともかく、かなり無理もあったというふうに認識しております。その中で、これまでの事業を整理しながら体制もコンパクトにして、ソフトの購入、販売あるいはイベント事業あるいは国際映像のテレビ・ジャパン事業等に専念するというか、そういう形にコンパクトな体制で整えたいというふうに思っております。
  190. 川崎二郎

    川崎委員 そうすると、どうやら黒字になって、かつ事業はある程度の一定の枠ははめていくということの理解でよろしゅうございますね。  そうしましたら、ちょっと最後に、テレビ朝日の件で江川局長にお尋ねしたいのですけれども、椿問題で、これは十月の二十七日ですか、テレビ朝日の社長も来ていただいて、私も質問させていただいて、ゆっくり調査しなさいよと申し上げたことは事実であります。ゆっくり調査しなさいよ、得心づくまで。しかしながら、二月ごろ、私のところにはお見えになりませんでしたけれども、一部の議員のところに、何にもなかったということで報告したいと思うのでよろしゅうございましょうかという問い合わせが多少あったようであります。  しかしながら、その直後といいますか、その後に、先ほど同僚議員から御指摘いただいた中国の問題が出てまいりまして、何かまたとまってしまったような感じがいたしておるのです。それで、この問題を聞いて、またかということになったわけでありますけれども、その辺の大体の進展、どうお考えになっているのか。少なくとも、何か一部のところには何にもなかったんですよと報告をしようと思っていたけれども、また出ちゃいましたかということで引っ込んじゃったということになると、これは放送行政局としても大変つらい話になるのだろうと思うのですね。我々もつらいけれども放送行政局の方はもっとつらいんじゃないかと思う。この辺、江川局長、どういうふうになっているか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
  191. 江川晃正

    ○江川政府委員 二月ごろにそういう話があったのかどうかにつきましては、私ちょっと存じませんので、そこについては何とも申し上げられないのですが、先生おっしゃいましたように、ゆっくり調査しなさいよという趣旨は私も承知しておりました。これは、この調査は、最終的には私たちはその結果を受けて事を決めて発表しなければいけません。そのときに、世の中の人、もちろん国会も含めてでございますが、納得できる形で、合理的な調査であり、合理的な答えだな、そう思われるものでなければいけないということだけは腹に据え、そのことは、テレビ朝日のトップ、経営者にもよく言ってありまして、調査を好き勝手にやってはだめで、言ってみればデュープロセスと申しましょうか、手続をきちっと踏んで、しかもそれが客観的に合理的でなくちゃいけない、そして答えが、よって信頼できる、そういうものでなければいけないというふうに申し上げているところでございます。そういう意味での調査結果が整ったかどうかにつきましては、担当課を通していつもチェックしたりしていまして、いろいろな議論の意見交換をしておるところでございます。  そういうことをしながら、現在まだ結論としまして答えをもらったというような状態になっていないというのが現実のところでございまして、ゆっくりといいましても、それなりの時間がたちましたらば納得のできる答えをそれなりに用意してもらわなければいけないかな、そうは思っているところでございます。
  192. 川崎二郎

    川崎委員 実は会長、ムスタンのときに、これはテレビ朝日の社長にも会長の話としてお伝えをしたのですけれども、「テレビをやる、制作をする者は、決してみずからが一般の人よりも高い地位にあるとかいうふうに思ってはいけないと思うのです。それが一番初めに持つべき制作者の心構えではないかと思うのです。そのことをまず研修の際に徹底的に私はやりたいと思います。それから後は、実際にチームの中に入っていろいろな仕事を覚えていく段階できちんとした研修的なことが行われなければいけないと思うのです。それが、私に言わせると、少し現場研修というものが足らなかった。現場研修の中で、単に技巧の問題じゃなくて精神の面を多く入れなければいけないと思っておりましてここういう実は御発言をムスタンのときにいただいて、テレビ朝日の社長にもこれはお伝えをいたしたことであります。  今また今日こういう問題が出てきておって、きょうの問題とは別でありますけれどもNHKも常にこの心構えだけは会長さん先頭に持っていただかないと、人のことだからと言ってたら今度すとんと、少し油断すると起こるかもしれませんので、どうぞ御注意をいただいて一層国民のためにも御活躍を賜りたいと思います。  最後に、放送行政をまさに総括される大臣として、テレ朝の問題なり、まさに各会社の姿勢というものが問われるときを迎えておるわけでありますけれども、一言で結構でありますけれども、ことし一年、放送行政にどういう信念で取り組まれるおつもりか、聞かせていただければと思います。
  193. 神崎武法

    神崎国務大臣 ことしは、マスコミでもマルチメディア元年というように言われますように、急激な放送業界を含めての変化の時代に入っております。変化の中にあって、やはり国民に本当に信頼される放送公共放送また民間放送をぜひ行っていただきたい、豊かなゆとりのある国民生活向上に寄与するような放送を期待を申し上げたいと思っております。  いろいろな問題がございますけれども、それらに対しては、やはり放送番組の編集につきましては放送事業者の自覚と責任に第一義的にゆだねられているところでございますので、社会的責任と表裏一体であるというところを強く自覚をして、適正な放送がなされるように期待を申し上げたいところでございます。
  194. 川崎二郎

    川崎委員 どうもありがとうございました。
  195. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、白川勝彦君。
  196. 白川勝彦

    白川委員 何人かが触れましたので、例のテレ朝の「ザ・スクープ」のやらせの問題から、ちょっと別の面から聞きたいと思うのですが、ちょうど私、当日外国に行っておりましたので、新聞紙上でしか知りません。それからまた、NHKであれば、悪いけれども、例えば問題があったんだったら、ビデオをちょっと見さしてくれないかと言うと、NHKならば私たちがお願いをすれば何らかの便宜を図ってくれるのですが、多分テレ朝はくれないだろうという前提で私も要求もしませんでしたので、新聞報道に基づいてお聞きをしたいと思うのですが、本件の場合は、やらせか、それに対してやらせではないというふうに争われているのではなくて、全部か一部かわかりませんが、テレ朝側が、こういう点やらせがありましたと既に番組で認め、かつおわびをしたようでございます。しかも一部では、今回の問題はテレビ朝日に責任があり、責任を持って制作プロセスをチェックし、番組で調査結果を報告する、こう言っているから、全部認めていないのかもわからない。私は何しろその問題の放映を見ておりませんので、わからないので、そこをまず郵政省は、少なくともその事実は、郵政省職員いっぱいいるので見た人もいるだろうし、ビデオを撮っていた人もいると思うので、その辺のことについてはどういう点を事実を掌握されているのですか。それとも、私と同じ認識なんでしょうか。
  197. 江川晃正

    ○江川政府委員 ちょっと長くなって恐縮でございますが、新聞記事が出ましてすぐにテレビ朝日に担当課の方から対応いたしまして、その事実の確認をいたしました。その事実の確認は、テレビ朝日の報告に基づく資料及びその話、それからこういう放送をしましたという原稿などでございます。  その結果をちょっともう一度報告させていただきますが、何がやらせというふうに言われているのかということでございますが、テレビ朝日が平成五年九月十一日土曜日の夜六時から六時五十五分までいたします「ザ・スクープ」という番組の中で、「死刑囚の臓器が売買されている!? 中国の処刑場に潜入追跡」というタイトルでございますが、という番組に関して放送したわけでございます。そうしましたならば、放送後、中国政府から在日の大使館を経由して、事実と異なる内容が含まれているというふうに口頭で抗議があった。これは報道局のジャンルの問題で、報道局にあったところでございます。  それで、この番組自身は、テレビ朝日自身が企画、制作をしたわけではありませんで、外部の企画会社が案を持ってまいりました。その案によってその報道局は検討して、いこうということで乗ったわけでございます。それで企画会社が中国へ行き、渡り、それでいろいろな取材をして帰ってきてそれでっくり上げたということでございます。言ってみますと、テレビ朝日から見ますと、外部プロダクションからの企画提案を受けて、その話で契約して制作でもらった、こういう形でございます。  そこで、先ほども申し上げたわけでございますが、繰り返しになって恐縮でございますが、二つありまして、一つは、中国側が言ってきた、これはどこがというふうに言っていませんが、事実と異なると言ったことにつきまして、調べた結果二つの事実と異なることがわかった。これは新聞でどう報道されているかちょっと私承知してませんが、一々詳しくあれはしませんが、結果としての事実を申し上げますと、テレビ朝日もそれを確認したのは、一つは、武装警官とされた人物が、それは違います、別人ですと。それは演出過剰または再現という言葉を使っております。業界のそういう専門用語なのかもしれません。そういうことの結果としてそうなったというふうに言っております。  もう一つは、死刑囚の身内とおぼしき人物として画面に登場している泣き崩れている女性がいるわけですが、これは死刑囚とは関係がなかった。そのなかったということについては、撮りに行った企画会社の方が、たまたまかどうか知りません、傍らで泣いている女性がいてそれだというふうに判断してしまって撮ってしまった、その確認をしなかったというところのようでございます。  それで、その二つが実は今申しましたような違うんだということがわかりました。ところが、もう一つ重要なことは、テレビ朝日にとって重要なことは、そういう企画で制作を持ってきたその作品が、当該国、中国大使館を通してクレームが来るまでそれが事実であるかないかのチェックができてなかったというところに問題があるということに気がついたわけでございます。それなりのチェックはしたつもりでやったのかもしれませんが、結果としては全部素通りになっていたというところが問題でございます。外部に依頼して制作されたこの番組について、その内容のチェックができないままに放送を行ったということに関して遺憾だというふうにテレビ朝日は認識しているわけでございます。  そういう中身の問題と手続の問題どこの二つをあわせまして、三月五日におわびの報道をいたしました。おわびの報道の言葉も収録してございますけれども、これはおきまして、要するに今私が申し上げたようなことをこもごも、キャスターといいまして、それは以上の諸点からこの番組は不完全なものと考えます、不完全な番組放送した責任はテレビ朝日にあり、視聴者の皆様及び中国に対し深くおわび申し上げますというような形で、一応その非を、非と申しますか、認めまして、整理したところで、そういうところまではとにかく我々も把握いだした次第でございます。
  198. 白川勝彦

    白川委員 やらせといってもいろいろな内容があるんでしょうが、法律的に言いますと、放送法第三条の二の一項の三号に、「報道は事実をまげないですること。」こう書いてあるわけでございますが、テレビ朝日がテレビの中で認めたことは、この報道を事実を曲げて報道をしてしまったというような趣旨のことまで言っているんでしょうか。そういうことは言ってないけれども、まあちょっとごめんなさい、申しわけなかったという程度なんでしょうか。その辺をちょっとお聞かせ願いたいんですが。
  199. 江川晃正

    ○江川政府委員 最終的にはそういうレベルにまで話がいく話でございますが、きょうこの時点では事実確認ということで整理しておりまして、適用法律が、この条文でこれがその構成要件に当たる、当たらないという判断は、まだ当方、私どもしておりませんで、むしろ、なぜそうなったのかの部分とか、どこがどういうふうに誤認されているのかという事実を今しっかりと把握しようということで把握に努めているところでございます。
  200. 白川勝彦

    白川委員 大切なのは、ごめんなさいは結構なんですが、やはり法律というものがあって、問題はその法律に違反したかしないかというのが一つのレベルの問題でございます。法律には違反しないけれどもまた別の意味で問題だったというなら別の話なんですが、本件の場合、中国側も大変抗議をしているというところから見ると、そんなに軽いことではない形で事実を報道されたということで、わざわざ政府を通じて中国大使館が抗議を申し入れているということなんだろうと思うんでございます。  さてそこで、御本人が、当事者が認めればいいんですが、認めない場合は、これはしかし、法律には「報道は事実をまげないですること。」こう書いてあるんですが、だれがといって、私にやれというのなら私がやってみますが、どうも私にはその権限は与えられていない。とりあえずこれは郵政省からやってもらうしかないわけでございますが、郵政省はどういう手続なりどういう手段でやるんでしょうか。そして、争いがある場合というのは、例えば司法ならば強制的な形での事実解明の手段、差し押さえとか逮捕とかというものがあるわけでございますが、この放送法関係すべてを見てもそういうものはどこにもないわけでございまして、一体どういう努力、どういう手続で事実を一応、この放送法三条の二の一項の三号にこれは違反するというふうに認定するんでしょうか、しないんでしょうか。
  201. 江川晃正

    ○江川政府委員 大変行政処理上難しいところを先生御質問でつかれまして、私たちも行政処理上実は一番苦労しているところでございます。この問題自体、ちょっと長くなって恐縮でございますが、この問題は放送法の三条の問題でございまして、三条の、ちょっと済みません、法律の議論をさせていただいて恐縮でございますが、三条には、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と書かれておりまして、放送番組の編集の自由がまず原則に書かれてございます。それと同列で三条の二に、先生先ほど来問題にしていらっしゃいます「報道は事実をまげないですること。」という三条の二の一項、一、二、三、四号のうちの三号が入っているわけでございます。つまりこれは、曲げないでしろ、しないでやりなさいと書いてあるわけですが、これは同列で書いてございます。  そこで、郵政省としては、この今起こっている問題は、まさにこの三条の二の三号の、「報道は事実をまげないですること。」に反するか反しないか、反したか反しないかということでございます。それを郵政省は有権的に判断しなければいけません。判断するに当たっては事実を調べなければいけません。事実を調べるに当たっては、テレビ朝日に物を言っていって、資料などをくれと言ったりなんかしなければならないというのは、もう次々と出てくることでございます。そのときに、それでは、今言うように三条の問題だと申し上げましたが、もう一つ、じゃ、勝手にどんどん進んでいっていいのかといいますと、これは三条の大原則の方で「放送番組編集の自由」というのがございますから、これも立てながら三条の二も立てる、こういうふうになります。  そこで、今我々の解釈はどうしているかと申しますと、事が起こって疑わしいなというときに、まずその会社に物を言って、それが疑わしくないということの証明をあなたの方でしてくださいと。それは、当方は放送番組編集の自由をたっとびますから、のこのこ手を突っ込むことはいたしません、まずあなたで正であるということを証明してくださいと。まあ、挙証責任の転換というのでしょうか、そういうことをお願いすることによって、三条の二の違反かどうかの判断と三条の編集の自由との顔を両方立てようとしているわけでございます。  その際に、三条の二の何かに違反するぞというときに、それに違反するかどうかについての資料などもありますから、見たい資料もございますから、それを見せてくれ、くれということもまた出てくるわけでございます。それでは、そういうものは請求ができるのかできないのかという問題がありますが、放送法の中では、資料の請求できるのは罰則つきでできるというのがございます。罰則つきでというのは、政令で定めるものについてはできるというのが、五十三条の八で「資料の提出等」というのがございまして、政令で定める資料は提出を求めることができて、それが、出さない場合には罰則がついているという、いわば強制権つきでございます。  先生命の御質問の中の、強制捜査権があるのかというお尋ねですと、捜査権はございません。強制権の伴う何かがあるのかというと、この五十三条の八の資料提出権でございます。しかし、これは、全部に何でもいいからよこせというのではありませんで、政令で別に書かれてございます。書かれているものだとこの罰則つきになるわけです、つまり強制権。この三条の二に反するかどうかというものはこの政令の中に入っているかというと、入っておりません。したがいまして、我々としてはこの五十三条の八に基づく強制権つきの資料提出要求があるかというと、それはない。が、この法律を所管するのは郵政省であり、この非かどうかが問われているわけですから、そこにかかわる資料はくれということは言える。しかし、それは強制権がついていません。だから、向こうが、先方がノーと言ったら、それ以上何かするという力はないのだ、そういう構造の中で事実調査をしているわけでございます。
  202. 白川勝彦

    白川委員 いろいろ制約はあるけれども、郵政省としてはこの問題が、あるいはほかの問題でもそうですが、「報道は事実をまげないですること。」、道として、報道が事実を曲げてした場合は関心もあるし、そう際立った手段をとるわけにはいかないけれども、あらゆる努力をして真相をまず究明すると。  さて、その結果郵政省が、この「報道は事実をまげないですること。」という条項にある放送局が違反したという場合、どういうペナルティーが発生するのだろうかということをお聞きしたいと思うのです。  そうすると、ペナルティーらしきものが書いてあるのは電波法の七十六条の一項だと思うのですよ。「郵政大臣は、免許人がこの法律、」、「この法律」というのは電波法でございます、それから「放送法若しくはこれらの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、」とありますので、要するに放送法に違反したときは以下のことができると規定していると思うのでございます。「三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許可時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」こう書いてあるわけでございますが、放送法三条の二の一項の三号に違反したというのは、この電波法七十六条の放送法に違反したというふうに読んでいいのでしょうか、悪いのでしょうか。
  203. 江川晃正

    ○江川政府委員 大変精緻な理論、議論で、言葉だけで私がうまく御説明できるかどうかあれなんですが、結論部分を先に申し上げますが、先生おっしゃいます法的効果は何かといったときの七十六条のお話は、まず先生御指摘のとおりでございまして、もう一つ、実は法的効果には、電波法七条の方もひっかかってまいります。ひっかかるということは一その前に前提としてお願い申し上げたいのですが、本件テレビ朝日のこの件についてこうだというのではなく、一般論としてお話をさせていただきたいと存じますが、一般論として言いますと、電波法七条の二項というところで、再免許の審査に当たって、放送番組編集、放送の適合性を過去の実績をもって証明することになっております。したがって、そういう再免許をするに当たっては、事実を判断してそこに及ぼすという意味での法律的効果はここに一つございます。それで、二つ目が今先生おっしゃいます七十六条第一項の問題でございます。このいずれも、ここに書いておりますのは放送法あるいはそれに基づく命令ということで、全部構成要件上ここに入ってくると私たちは理解しております。  ただ、ここに入りますと、本当に書かれているとおり、直ちに免許停止から何から全部このとおりだけなのかというとそうではございませんで、そこら辺は解釈というか、あるいは行政指導と申しましょうか、一般的には再免許の拒否とか、並びに放送局の運用停止等の措置を行うか否かにつきましては、これは言ってみれば極刑に当たるようなものでございますから、違反の事実の軽重とか、過去に同様の事態を繰り返しているかとか、事態発生の原因、放送事業者の対応から見まして再発防止のための措置が十分ではなく違法状態の改善が今後とも期待できない、できないかできるかといったように総合的に判断した上で条文を適用していくというふうに考えているわけでございます。  法律の構成は以上でございます。
  204. 白川勝彦

    白川委員 これ以上私は言うつもりはございませんが、わずかこの問題だけでこんなに時間をとってしまったのは、どうかひとつ、この問題は、単なる一般的な倫理問題が問われているのではない、法律違反ということで、最悪の場合はそういうこともあり得るという問題なのだということを、郵政省も自覚をしてよく調査をしていただきたいと思いますし、また、テレビ朝日側にもそういうことなんですよということで十分な疎明もしくはその他をしていただきたい、このことを明確に言って進めていってもらいたいなということなんです。  なぜこんなところから入ったかというと、私は、きょうはNHKの予算でございますから、実はその前に書いてあります「政治的に公平であること。」ということの議論をしようと思ったのです。実はこの前の椿発言のとき問題になったのは、この三じゃなくて二が問題になったわけですよ。ところが、だれが考えても「政治的に公平であること。」というのは、三号の「報道は事実をまげないですること。」ということに比べて相当抽象的な一般規定であることは素人が見てもわかるわけでございます。  というのは、あなたは悪いことをしちゃいけないよ、悪いことをしたら罰しますよというような法律のたぐいのものですから、これは具体的には何でも取り締まられるといえば取り締まられるのですが、何でも実は明確にはあなたは悪いことをしたとは言えない、本人が私は悪いことだと思っていませんと言えば悪いこととはだれも言えないといったぐいの問題だから、椿発言のときはテレ朝側は比較的楽な気持ちだったんだろうと思うのです。郵政省側も楽な気持ちでこの問題は多分対処していたのだと思うのでございますが、今度の件はちょっと違いますよということだけを私は指摘をしておきたいから言ったのでございます。  しかし、さりとて、ではこの放送法第三条の二の一項の二号、以下政治的公平性と言います。政治的公平性の問題が大事でないかというとこれはまた極めて大事な問題だということを指摘をし、そして何が公平であるかということについていろいろな意見があることはだれも否定しないと思うのですが、政治的に公平であるということは必要であるということは多分いろんな論者が認めるところだろう、こう思うわけでございます。  私は自民党の代議士でございますから、当然自分の周りには自民党支持者が多いわけでございます。そういう目から見て、最近の報道は困ったもんですねということは、本当にこんにちはというあいさつと同じぐらい我々が政治的な話をするときよく聞くことでございます。ただし、これは自民党だけなのかな、社会党の先生の支持者の周りも最近の報道は困ったもんだねと言われているんじゃないのかな。そして、僕らから見るとマスコミがつくった一種の怪物だと思っているあの小沢さんですら、最近のマスコミは困つたもんだと最近盛んにあちこちに不平不満を漏らしている。今の細川内閣なり非自民連立政権というのはマスコミの援助なくして到底できなかったものだと私は思っておりますが、それだけの恩恵を受けた人ですら最近のマスコミは困ったもんだと言われている。  なぜこういうことが許されるかというと、実は政治的公平性とは何かということについての基準がないものだから、だれもが困ったもんだ、というのは自分は公正だと思っているわけです。ところが、別の価値観に基づいて放映している方は、あれは公正でないと言う、というのが出てくるんじゃないのかなと私は思っているんです。  そんなことで、ちょっとゆっくりとこの問題をきょうは議論してみたいな、こう思っているのです。  そこで、この規定趣旨は明確だと思うのですね、政治的に公平でなければならない。しかし何が公平かということは、私は本当にこれは難しいと思うのです。  法律をあちこち見ますと、放送法などには何が公平かということに関しては、例えば一条の第二号に「放送の不偏不党」という文言がございます。これらが公平であれということの一つのシグナルかな、ところが不偏不党、いい言葉なのでございますが、何が不偏不党かというのは、なかなかここからは出てこない。  それから、「健全な民主主義の発達に資する」これがある面では公平だよということでもあるんじゃないのかなと思いますので、同じくあるように、健全な民主主義の発達に資するということも一つのメルクマールなのかな。  それから、第三号のすぐ後ろに書いてあること、これは何も報道についてだけではないのでしょうが、主として報道にかかわることが多いんじゃないかと思う、四号の「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」これなどは、私は公平性ということを法律みずからが言っていることだと思うわけでございます。  第四号なんかは比較的明確だと思うわけでございますが、これ以上に、他の法律、私も全部勉強したわけじゃございませんので、放送行政局長が所掌している放送規定する法律もしくは政令もしくは省令に、公平性とはこういうことですよということをもう少し具体的にかみ砕いたものがあるんだろうかないんだろうか。もし局長の方で御存じでしたら、ひとつ私に教えてもらいたいと思います。
  205. 江川晃正

    ○江川政府委員 この放送法第三条の二第一項の二号ですね、政治的公平につきましては、我々はこういう解釈でこの条文を運用している。解釈の言葉を申し上げますと、「政治上の諸問題を扱う場合には、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏することなく、いろいろな意見を取り上げ、放送番組全体としてバランスのとれたものでなければならない。」という解釈でございます。  この解釈のよって立つところは、先生今幾つか取り上げていただきました第一条の二の「放送の不偏不党」であったり「民主主義の発達に資する」などございますが、まさにそういったようなところを運用しながら、この言葉で我々は定解釈としているわけでございます。しかし、そのことを例えば政令に書き、省令に書き、判こを押して置いてあるかというと、そうはしてございません。我々の仕事の中での、言ってみれば解釈例としてこういうものをメモに残して仕事をしているところでございます。
  206. 白川勝彦

    白川委員 もう一回その確定解釈をひとつ聞かせてください、ゆっくりと。
  207. 江川晃正

    ○江川政府委員 「政治上の諸問題を扱う場合には」、失礼しました、その前に主語を言います。「政治的に公平であること」とは、「政治上の諸問題を扱う場合には、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏することなく、いろいろな意見を取り上げ、放送番組全体としてバランスのとれたものでなければならない。」ということでございます。
  208. 白川勝彦

    白川委員 行政指導、あるいは何らかの意味での指導、行政指導的な文章もなくて、一応放送法の解釈としてそのようにしているということ、NHK会長、このことは御存じでございましたか。(川口参考人「はい」と呼ぶ)御存じだった。私も随分郵政省とおつき合いして長いのですが、放送法第三条をこのように解釈している、確定解釈がございますというのは今回初めてお聞きしたもめでございますから、余り私には教えてくれなかったのかなといささかひがみたいと思うわけでございますが、まあいいでしょう、それは。  しかし、NHK会長、今の一つの郵政省としての有権解釈をお聞きしたわけでございますが、これですべての問題は解決できるでしょうか。実際、報道番組ニュース番組を多数報道している者としては、いかがお感じでございますか。
  209. 川口幹夫

    川口参考人 江川局長も今おっしゃいましたけれども、本当に難しい問題だと思います。私は、放送法第三条というのを、いわゆる刑法の第何条とかいうふうなものではなくて道徳律として決められたものではないかというふうにみずからは解釈しています。ということは、例えば法律の違反というと、例えば盗んだとかあるいは詐欺をしたとか、それから人をあやめたとか、そういうものに対しては適切な裁判を開いて罰則が決められますね。ところが、放送の上でのそういうミスないしは過ちというものについては、これは解釈によって非常に違うという面があります。おっしゃったように、こう解釈することがあれば、こう解釈する人もいる。もう左から右まで全く違う解釈が出るという問題があります。  したがって、今の三条の条文に照らして直ちにそれを遮断するということはちょっと無理じゃないか。まして、私どもはいわゆる放送の自由というものをみずからに持っているというふうに考えるならば、それに対して直ちに法律の適用で罰則を適用するというふうなことはやはり不当ではないかなと思うのですね。  じゃ、何が大事かというと、道徳律と言いましたけれども、私ども放送事業者として報道する場合は、今扱っていることが不偏不党の立場に立っているか、あるいは公平であるかということをみずからに問い直す作業が絶対に必要だというふうに思うのです。そういうみずからに問い直すということを、先ほどのどなたかの御質問にも答えましたけれども、私どもは自律と言っています。その自律がないと自由は獲得できない。だから、みずから厳しく律することによって自由を確保するというのが放送事業者の立場でなければいけないと思っています。  したがって、公平とは何か、不偏不党とは何かという、確かに難しゅうございます。こっちから見れば公平でない、こっちから見ると公平だとなるわけですから、少なくとも私ども放送事業者としての長いキャリアを生かして、あるいはみずからも学習をして、そして絶えず公平であろうと努力をする、あるいは不偏不党の立場をみずからに確認しながら作業をするというふうなことが絶対必要になってまいります。それを私はNHKの職員には強く今要望しておりまして、いわゆる不祥事が起こらないように十分心してまいりたいと思っております。
  210. 白川勝彦

    白川委員 放送法の「政治的に公平である」というのは、一種の神様みたいなものなんですよね。私は神を信じています、こう言っているわけですよ、みんなが。私は公平であることは大事だと思うから、私は神様を信じている。私は公平でなくてもいいとは今のところだれも言ってない。みんな私は公平だというのは大事だと言っているのです。  ただ、どんな宗教も教義というのがあるのですよ。私はイエス・キリストを信じていますと言ったって、イエス・キリストの教えに忠実でなかったら、その人はイエス・キリストの信者とは言えないんですよ。あらゆる宗教には教義というのがあるのです。私は、郵政省もまたNHK会長も、あるいは一般日本のジャーナリストも、私は公平であるという、これは認めます。ただし、何が公平であるかということを具体的に教義化して、そしてこういう点に照らして私は公平なんですというような形でみずからが公平であるということをしようとしない。私は神様を信じているのです、神様も私をきっとお前は私の、神の子だと思っているというような嫌いが私はちょっとあるんじゃないのかな、こんな気がするのです。  だから、公平であることというのは一体何なんだろうか。非常に難しい問題であるけれども、政治的に公平であるというのはどういうことかということを、公平であるという人は言わなきゃいけない。客観的な物差しを出せば、いやそれは君、物差しそのものが間違っているよという形で人は指摘できます。あるいは物差しかあれば、物差しは認めるけれども、あなたがやった行動はあなた自身が認める物差しから見てもこういう点でおかしいじゃないですかというのがそこで初めて言えるんじゃないでしょうか。ですから、みんなで公平が大事だ、私は公平ですと言うことは、実は言葉の遊びをしているにすぎないのであって、何ら公平であることの担保にはならない、あるいは公平であるために具体的に努力をしているということの証明にはならない、私はこんな気がするわけでございます。  さてそこで、いろいろお伺いするとかえって長いもので、私なりに調べたので間違いがあったら言ってもらってもいいのですが、間違いないと思いますので。  NHKの国内放送番組基準というところに、政治的公平性ということに関連しそうなところをざっと私、これから読み上げます。第一章の第四項の一、「政治上の諸問題は、公平に取り扱う。」これは意味のない規定ですね。公平であることはみんな認めているんだから。それから第五項「論争・裁判」というところに、「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。」こう書いてあります。それから第二章に来まして、第二章の第五項「報道番組」というところに、ここにかなり詳しく書いてあると思うのでございます。「言論の自由を維持し、真実を報道する。」二、「ニュースは、事実を客観的に取り扱い、ゆがめたり、隠したり、また、せん動的な表現はしない。」三、「ニュースの中に特定の意見をはさむときは、事実と意見とが明らかに区別されるように表現する。」五、「ニュース解説または論評は、ニュースと明確に区別されるように取り扱う。」  ざっといろいろいただいたのを見たのですが、まあ、紙に書かれた公平、こういうのに従ってやれよというのは、どうもこの程度しか見当たらないのですが、白川、おまえ、この大事なところを見落としているじゃないかというようなのがあるでしょうか。
  211. 川口幹夫

    川口参考人 今お読みになりました文が、こういうことに関して国内番組基準で書いてある項目でございます。  ただ、本当におっしゃるとおり、まことにわかりにくいし、あれは一般的ですよね。もっと具体的にした方がいいのじゃないかということで、去年のムスタン事件の後で、私ども番組基準のハンドブックというのをつくりました。常時手元に置いて、例えばこういうケースのときはどうだろうといって広げて見る。そして、こういうことはしちゃいけない、あるいはこういうふうにしなさいということを具体的に書いてございますから、そういうものを一々参考にしながら、なおかつ、もちろんわからなくなったときは同僚に相談するとか、上司と話し合いをするとかいうふうなことで、NHKの者はできるだけ公平であろうとする努力を続けるということを言っているわけでございまして、そういう一種の綱領みたいなものにプラスして具体的な実用のハンドブックというものをつくっているということを申し上げたいと思います。
  212. 白川勝彦

    白川委員 じゃ、ハンドブックは、また後でひとつ勉強させていただきたいと思うのですが、そこにぐっと煮詰められて、これは少なくともニュース報道番組を扱う者の大原則だよというようなものがそこには書いてあるのでしょうか。それとも、具体的にこうしなさいという極めて具体的なことが書いてあるのでしょうか。どっちなのでしようか。
  213. 川口幹夫

    川口参考人 極めてと言えるかどうかわかりませんけれども、非常に具体的に書くようにいたしました。例えばこういうケースの場合にこういうふうな放送をするのはいけない、あるいはこういう場合はこういうふうな形にした方がいいというぐあいに例を示してございます。
  214. 白川勝彦

    白川委員 NHKだけではなくて、民放にも同じような意味での一定の準則、番組をつくる際の基準があるわけでございますが、これについてはどのようなものがあるか、放送行政局長の方からお答え願いたいと思います。
  215. 江川晃正

    ○江川政府委員 本といたしましてはこういうものがございます。お届けでなかったら後ほどお届けさせていただきたいと思います。  それで、放送基準という部分だけをぐっと抜き取りますとこうなりまして、この中に幾つか、まさに今問われている事柄も書いてございます。例えば「政治に関しては公正な立場をまもり、一党一派にかたよらないように注意する。」とか「ニュースは事実に基づいて報道し、公正でなければならない。」とかございます。  そして、各放送会社は、それぞれがまた番組をつくるときの基準を、ちょうどNHKさんが持っているのと同じような形で持っているわけでございますが、例えば、これはたまたまテレビ朝日を持ってきたわけでございますが、全国朝日放送番組基準、テレビ朝日の基準でございますが、これの最後の部分を見ますと、「番組及び広告の企画、制作、実施に当たって守るべき基準と限界については「日本民間放送連盟放送基準」に準拠する。」つまり、これに準拠するというふうになっていまして、各社は大体こういうつくりをしてございまして、これがすぽっとはまり込むようになっているところでございます。
  216. 白川勝彦

    白川委員 そのハンドブックには細かく書いてあるから大丈夫だと。具体的なことを書いてある。幾ら社内のことといえども、これは今度は逆にその社の横暴というものですよ。極めて抽象的なものしかない。そのかわり、今度この下にあるのはもうあれしろこれしろということをしていたとしたならば、それは社長の報道の自由は確保されるかもわかりませんが、本当に番組を制作するプロデューサーや、実際のそこの担当する人の自由がなくなると思うのです。ですから、その大原則、抽象的なものは、みんな意図することはわかると思うのです。それをもう少しかみ砕いた準則というものがないといけない。そして、その準則をさらに具体的なところで個々の制作者が使って、できるだけ公正であろうとする、この努力がなかったら、今度は公正であるために、社長もしくは社が余り細かいことまで決めて、例えば政党間で寄るときはどういうふうにしろなんてばんと決めてしまったら、中間的な実はエッセンスがない中でそんなのを決めたら、それはまた極めて正しくない基準になるのだろうと思うのです。  それで、私も前から関心を持っていたのでいろいろなところを調べたのですが、私もまだ勉強不足ですが、やはり諸外国は、我々のところよりも自由だとか民主主義という問題がかなり先に出てきている関係で、参考になるものほかなりいっぱいございます。  例えば「BBCプロデューサー・ガイドライン」というような相当膨大なものがあるわけでございまして、この中で、読んでもいいなと思うところが相当あるのですが、時間がございませんので……。例えば、このような基準を事細かに決めているということが参考になるのじゃないかというので、委員の皆様にもお聞き取りいただきたいので、ちょっと幾つかのところを読んでみたいと僕は思うのです。   報道の分野では、番組制作者は誤りがないよう細心の注意を払わなければならない。ニュース判断はその場で一番の専門家によって下されるべきである。ニュースの選択は社会の一般的通念と、何が重要であり、何故重要であるかについての議論の上に立って行われなければならない。ひとつのニュースを伝える場合、疑問があったらとことん調べようという意欲を持たなくてはならない。 それから、川口会長も似たようなことをおっしゃいましたが、  良いジャーナリズムとは視聴者やリスナーが他人の意見について自分自身の態度をよりよく決められるように手助けをするものである。 最近の日本のいろいろな放送を思い浮かべながら、ああ、こういう基準に照らせば、あの人のああいうやり方は問題だなというのが思い浮かぶようなのがあると思うのです。こんなのはずばりだと思うのですね。  質問は明確でなければならないが、同時に丁重でなければならない。インタビューアーは重要な留保や不満はすべて表明しなければならないが、敵対的な態度をとってはならない。 随分敵対的な質問をするいわゆるインタビューアーもいますわな。  質問はすべての側に対して同じ調子で行わなげればならない。 それから、特におもしろいな、やはりこれはかなり考えた上で、しかもまとめたのですから、意味があると思いますよ。  すべての意見は、その意見が国の中でどの程度の深さと広がりを持っているかに焦点をあわせつつ、適切な割合で放送に反映されなければならない。 こういう考え方がないと、全党並べて全部一緒ということになってしまうのです。例えば、自民党なんかはそういうところに随分不満を感じましたが、「適切な割合で放送に反映されなければならない。」「深さと広がりを持っているかに焦点をあわせつつ、」なんというのはなかなかいい言葉ですな、原文はどうだかわかりませんが、訳がいいのか原文がいいのかわかりませんが。これはBBCのプロデューサー・ガイドラインでございます。  それから、例えばこれはフランスの放送法の第十三条でございますが、フランス語というのはなかなか味のある表現をしますね。「視聴覚最高評議会は、」アメリカのFCCみたいなものですが、「国有番組会社の番組、とくに政治報道番組における、思想・意見の諸潮流の多元的表現の尊重を確保する。」なかなかこれだけの文章は書けないと思うのですね。ただし、何を言っているのかよくわからない。これがわからぬと意味がわからないのですが。  フランスの「業務運営規則」には、「会社」この放送局、「会社は、ニュース報道、特に政治問題の放送において、CNCLの勧告を尊重しつつ、誠実性、独立性、多元性を保証する。」この「CNCLの勧告」というのがわからないものですから、具体的にはこれが何を言っているのかわかりませんが、これらを見るとかなり参考になることが書いてあるのじゃないかなと思います。  例えば、ドイツの州間協定の第二十条、「民間放送は、その内容において本質的に意見の多様性が表現されなくてはならない。政治上、世界観上、社会上重要な勢力および団体は、総合プログラムにおいて相応の発言の場を提供されなくてはならない。少数者の見解は顧慮されなくてはならない。」こんなのが書いてあります。  ちょっと時間がないので、例えばこんなのもおもしろいと思うのですね。ドイツ、これは州がかなり決めているので、ノルドラインウェストファーレン州の放送法の一部でございますが、その十二条の(二)に「いかなる放送番組も、一方的に一部の意見に肩入れしたり、一方的に特定の政党あるいはグループ、利益共同体、思想、信条に与してはならない。」椿さんなんか、これが問題になったわけですな。これを見ると、彼はまさに、彼がやったかどうかはわからぬですよ、今調査中なんですから、政治的に公平であっなかなかったかなんというのじゃなくて、椿さんのあの言動が、少なくとも頭で思ったことはこのものずばりに違反するわけです。「いかなる放送番組も、一方的に一部の意見に肩入れしたり、一方的に特定の政党あるいはグループ、利益共同体、思想、信条に与してはならない。」彼はくみしようと思ったんですね。五五年体制を突き崩すことがいいんだ、自民党をたたくことが今は正義なんだという、まさにこれなどに具体的に違反しているわけでございまして、あなたが政治的に公平であったか公平でなかったかなんというよりももっと具体的なことが実はここに書かれているわけでございます。  おもしろいので、私も勉強してそのうち本でも出したいと思うのですが、その前にひとつ郵政省出してください。  FCC、アメリカですね。これは廃止されたとは言っておりますが、実は具体的に書いてあるから廃止せざるを得ない問題が出てきたということを忘れてはならぬと思うのですね。FCCの原則がなくなったというのは大間違いですよ。具体的に書き過ぎたからかえって問題が出てきたから、ちょっとこれは見直そうということなんですが、どう書いてあったかというと、「放送事業者は公共的な争点の放送放送時間の適正な比率をあてなければならない。」だから、比率がもう逆に決められてしまうわけです。例えば、原発賛成であるというと、反対の人にも一定の割合で出せ、しかしそれが、さっき言ったとおり広さと深さとの関係でバランスを感じていたから反対意見の方を余計例えば放送せざるを得なかったとか、そういうことで実情に合わないなということなんであって、抽象的で意見がないからやめたんじゃないんだということは忘れてはならぬと思うのですね。  それで、実は今アメリカの、これはなくなったけれども、アメヅカ社会はどんどん訴訟を起こす社会でありますから、判例法上どういうのが、今放送局がどうあるべきか、そして放送の倫理、原則に違反した場合は実はどういう損害賠償を払ったとかというのを私は調べている最中でございますが、そういうのを調べないと、昔はこういうのがあったけれども、FCCもこのフェアネスドクトリンも廃止になりました、だからもうそういうことは意味がないんですというのは全く的を外れている話じゃないかなと思います。  それから、例えばFCC規則七十三条、これはまだ廃止されていませんけれども、「特定の公職の候補者を支持し、または批判するような内容の論説放送を行った際は、二十四時間以内に他の支持されなかった候補者または批判された候補者に通知しなければならない」などの規定がある。こういう具体的なことを書いているということが意味があるんだということを私は申し上げたいのです。これがいいか悪いかは議論の余地があると思うのです。ただし、具体的な基準があるということが、実は公平性がよりすべての人にとって具体的だということが言えるんだということなんでございます。  カナダもなかなかいいものがありますね、カナダも。これ、ちょっと長過ぎて、読むと時間がなくなるのでやめますが、要するにこういうことです。  さてそこで、いろいろなことがあると思うのですが、私が今申し上げたような形で公平性、これは何も法律でばんと書くものでもございません。私もそんな気持ちはございません。ただ、お互いに本当に公平性である、人から見ても公平性であるといっためには、準則に基づいて公平であるということが私は大事だということを申し上げたいのです。それが少なくても日本放送やマスコミで十分でないことは、他の大勢の人が認めていいことじゃないかと思うのです。  ここへのアプローチの仕方は三つぐらいあるのじゃないかなと思うのです。まず何よりも、関係者が個々の放送番組作成の中でいろいろな試行錯誤をやると思うのです。そして、時には怒られたりクレームをつけられたりすると思うのですが、そういう成功や失敗の過程で確立されてくる一般的な準則というもの、これが積み上げられていく必要があるのじゃないかなと思います。川口会長が、これは長い経験がありますけれども、いいかおまえらこれに従えよということを百条述べたのでは、私はそれはやはり問題があるのじゃないかと思うのですね。こういうアプローチの仕方がある。ぜひひとつNHKでやってもらいたいなと思うのです。  二つ目としては、それぞれの国、民主主義、自由主義も、まだ世界で必ずしも確定された理想の自由主義、民主主義はないと私は思うのです。みんな試行錯誤の段階だと思うのです。それと同じように放送の公平性、どこの国でも公平でなくてもいいなんて言っている国は一つもありませんが、これも多分各国が試行錯誤をして、我々よりも進んでいる国もあると思うのです。おくれている国もあると思うのですが、やはり諸外国の試行錯誤を一生懸命学ぶ必要がある、これが二つ目のアプローチじゃないかなと思うのです。  三つ目としては、日本川口会長を初め学識経験者、こういう方がいっぱいいるわけでございますが、こういう方々の、本当の公平さとは一体何なのか、今国民が求めている放送とは何なのかという、そういう調査研究が要るのじゃないのかな、私はこう思います。こういうものをやる、このことをバックアップすることを公権力でやっても、それは公権力が公平の内容を定めたということにはならないと私は思うのです。実際問題、諸外国のいろいろな例を調べるなどということは、これはなかなか大変なことでございまして、役所がぜひやってもらいたいと思うわけでございます。  そんなことで、やっているかやっていないかはよく聞きませんけれども、郵政省では、今言ったような問題は江川さんがもちろん専門なわけでございますが、さらにこれを具体的に担当している課はどこなのか、仮になかったら、今後どこにこの問題を担当させようか、ひとつお答え願いたい。  また、NHK会長には、こういう問題はどこが担当し、どういう形で充実していこうかということをお聞きしたいと思います。
  217. 江川晃正

    ○江川政府委員 我が課の話をする前に、民放連の名誉のために一つだけちょっとつけ加えさせていただきたいと思いますが、先ほどこの話を申し上げましたが、言い落としてしまいまして、先生いろいろと今お読みになりながら御指摘のあった、それに近いと言うと言い過ぎかもしれませんが、頑張っているというところがあります。(白川委員「時間がないものだから……」と呼ぶ)はい。  判例法になっていまして、例えば「社会・公共の問題で意見が対立しているものについては、できるだけ多くの角度から論じなければならない。」というふうに書いている。その下に判例が、判例というのは事例です。例えば「医薬分業について、一方の利益代表者が終始、自己の立場からだけの解説をしたことについて厳重に注意した。」こう書いてあります。などなどの例がたくさんありまして、いわばそういう積み上げを民放もやっているんだなということをちょっと放送行政局長としてつけ加えさせていただきたいと思います。  我が郵政省では、先生おっしゃいますように、大変今貴重な御意見、お話しいただきまして、ありがとうございました。それらの勉強は、取りまとめは、放送政策課というところでやるようにしているところでございます。
  218. 白川勝彦

    白川委員 大いに頑張ってください。
  219. 川口幹夫

    川口参考人 NHKとしては考査室というのがあります。ここがもう日常の番組から将来の見通しまで、そういうドクトリンまでいろいろなことを研究し、また実施をしているところです。ここが中心になって先ほどのガイドブックもつくったのですが、もしこのドクトリンを日本でも必要とするならば、私は、官でお決めになることはなるべくアバウトにしていただきたい、それで具体的なことは我々放送事業者がみずからの自律によって細かくみずからをチェックしていくというふうな形が望ましいと思います。そういう点では、私ども、さらに一層努力をすることをお誓い申し上げます。
  220. 白川勝彦

    白川委員 私も自由主義者でございますから、官で決めようなどというつもりはございません。ただ、私が指摘したかったのは、官で決めるのはいかぬ、郵政省もそんな理解をしていて、公平さという極めて抽象的な概念を抜き身のまま持ち過ぎていたからどうにもだれもさわれなかったということを指摘したいということなんです。だから、基準があればその基準がおかしいのじゃないかと人が言えるけれども、公平じゃないか、私は公平だと言われたらだれももうそれ以上言えないわけですね。そんな点が、多分テレビ朝日の椿発言問題についての検証の中でも、どういう、そういう検討をしたのかなというのを早く報告書を見て、私も、ではテレビ朝日側がどのくらいのそこは深さと広がりを持ってこの前問題になったことを調べて、私たちは公正さは失わなかったのですというふうに言うのか、ぜひ見たいなと思うものですから、川崎委員はゆっくりと言いましたが、私も早く見て、またそれを参考にして議論を積み重ねていきたいと思いますので、もうそろそろ、かかるようだったら中間報告くらいということで催促してください。  それで、いろいろ聞きたかったのですが、最後にこのことだけ一つお聞きし、もししてなかったらぜひ要望としてやりたいと思うのです。  NHKの世論調査室というのですか、これはなかなか権威のある世論調査室と言われておるのですが、いろいろなことがいろいろな形で調査されております。しかし、少なくとも私たちが体験的に感じますことは、今のマスコミはおかしいね、困ったねというのは、本当にちまたにあふれている声でございます。いろいろな問題があろうかと思いますが、特に政治報道番組というのは社会に及ぼす影響が強いものですから、じゃ、NHKのやっているニュース報道番組国民はどう見ているのだろうかということの世論調査をしたことがあるのだろうか。あるいは、民放一般を含めたって、私はその意向調査をすることは間違いないと思うのですが、自分たちのことを国民はどう見ているかということを世論調査したことがあるのか、あった結果どうなったかということを教えてもらいたいし、なかったら私はぜひしていただきたいと御要望をしておきたいと思いますが、どうでしょうか。
  221. 中村和夫

    中村参考人 お答えします。  調査はございます。ちょっと時点は古いのでございますが、昭和六十二年三月に実施いたしました。NHKの政治報道あり方について視聴者がどのように受けとめているかという問いかけでございます。十分満足しているというのが五五%、不満を感じているというのが二八%、わからない、無回答というのが一七%です。  ただ、不満を感じているというもので、複数回答で数をとっておりますが、その中の数の多いのは、問題の核心に迫る踏み込んだ取材が足りないとか、批判精神が不足している、社会がどう変化するか判断できるような情報が足りないというようなものがございます。
  222. 白川勝彦

    白川委員 時間が参りましたので終わりますが、私は、自民党が政権をとっていたときも思っていましたが、マスコミが権力をある程度批判的に見るというのは当たり前のことだろうと思っています。国民の批判の上に立たされて権力の執行がよくなされれば、それでいいわけでございます。最近、ちょっとマスコミにそういう批判能力というのがなくなっているのじゃないかなということを憂えている一人でございます。ですから自民党がその分も頑張って批判はしなくてはいけない、そして権力の正しい執行を担保しなくてはいかぬと私は思っているわけでございます。  どうかひとつ、もともとマスコミというのは、権力に対して問題点があったらそこは指摘するというのは、これはNHKといえども私は大事な視点だと思うわけですが、同時に、人を批判する以上自分に対する批判にもどうか寛容であってほしい。やはり人に批判されてこそ人間は正しい立場になるんだ。我々政治家は、偉そうなことを言っておりますが、四年に一回、衆議院の場合はそれこそ早ければ数カ月に一回ぐらいそういう批判にさらされているから、逆に自分はある程度は公平さというのは失っていないのじゃないかなと思っているわけでございます。他のいわゆる問題点を明らかにするということは、批判という言葉にかえてもいいと思うのですが、みずからも人から批判されることに憶病であったり、あるいはそれを拒否するようなことであってはならない、こう思います。  最後になりますが、このやりとりを聞いていて、郵政大臣は、意見書の中に豊かな放送番組と公正な報道提供しとかというのが書いてありましたよね、神崎郵政大臣の公正な報道についてのコメントを一言。
  223. 神崎武法

    神崎国務大臣 白川委員から大変貴重な御意見を拝聴いたしまして、ありがとうございます。  放送番組編集に関する政治的公平につきまして、近年各方面で御議論があるということは十分承知をいたしております。この問題につきましては、放送番組編集の自由等さまざまな問題を含んでおりますので、委員御指摘の点を踏まえまして、郵政省といたしましても内部でも十分勉強させていただきたいと思います。
  224. 白川勝彦

    白川委員 終わります。
  225. 高橋一郎

    高橋委員長 委員長として、長時間の御協力に感謝申し上げます。  次回は、明二十五日金曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時六分散会