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1994-06-03 第129回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月三日(金曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 粟屋 敏信君    理事 石橋 一弥君 理事 谷  洋一君    理事 平林 鴻三君 理事 穂積 良行君    理事 吉田 公一君 理事 米田 建三君    理事 北沢 清功君 理事 山名 靖英君       越智 通雄君    金子原二郎君       栗原 裕康君    中馬 弘毅君       西田  司君    蓮実  進君       平泉  渉君    石破  茂君       今井  宏君    小坂 憲次君       小平 忠正君    吹田  愰君       増田 敏男君    山崎広太郎君       五十嵐広三君    池田 隆一君       小林  守君    畠山健治郎君       長内 順一君    佐藤 茂樹君       石田 勝之君    穀田 恵二君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     石井  一君  出席政府委員         警察庁長官   城内 康光君         警察庁長官官房         長       廣瀬  權君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         警察庁刑事局保         安部長     中田 恒夫君         警察庁交通局長 田中 節夫君         警察庁警備局長 菅沼 清高君         自治大臣官房総         務審議官    松本 英昭君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 滝   実君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ───────────── 委員の異動 五月二十七日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     杉山 憲夫君 同日  辞任         補欠選任   杉山 憲夫君     小坂 憲次君 六月二日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     江藤 隆美君   蓮実  進君     高鳥  修君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     栗原 裕康君   高鳥  修君     蓮実  進君 同月三日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     石破  茂君 同日  辞任         補欠選任   石破  茂君     小坂 憲次君     ───────────── 六月一日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第七〇号)  地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う  関係法律整備に関する法律案内閣提出第七  一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第二   二号)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第七〇号)  地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う  関係法律整備に関する法律案内閣提出第七   一号)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ────◇─────
  2. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより会議を開きます。  内閣提出警察法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。石井国務大臣。     ─────────────  警察法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 石井一

    石井国務大臣 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明いたします。  この法律案は、内外社会情勢変化に対応した警察運営展開を図るため、警察庁生活安全局及び情報通信局を設置し、並びに警察庁長官官房国際部を設置する等その内部部局組織を改めるとともに、最近における犯罪広域化等に効果的に対応するため、都道府県警察相互間の関係等に関する規定その他所要規定整備を行うことをその内容といたしております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、警察庁内部部局に関する規定整備についてであります。  その一は、警察庁長官官房所掌事務警務局所掌事務を加える等長官官房所掌事務を改めるほか、社会国際化に対応した警察行政を統一的かつ効果的に推進するため長官官房に「所管行政に係る国際協力等に関する企画調査及び総合調整に関すること」等を所掌する国際部を新たに設置するものであります。  その二は、市民生活の安全と平穏を確保するための警察行政をより強力に推進するため警察庁に「犯罪事故その他の事案に係る市民生活の安全と平穏の確保に関すること」等を所掌する生活安全局を新たに設置するとともに、警務局を廃止するものであります。  その三は、警察庁刑事局所掌事務を改めるとともに、同局保安部を廃止するものであります。  その四は、情報処理技術通信技術の一体的な運用による警察活動効率化を推進するため警察庁に「警察通信に関すること」、「所管行政に関する情報管理に関する企画及び技術的研究並びに電子計算組織運用に関すること」等を所掌する情報通信局を新たに設置するとともに、通信局を廃止するものであります。  第二は、都道府県警察相互間の関係等に関する規定整備についてであります。  その一は、管轄区域が隣接し、または近接する都道府県警察は、相互に協議して定めたところにより、都道府県境域一定区域における事案を処理するため、当該関係都道府県警察管轄区域権限を及ぼすことができることとするものであります。  その二は、都道府県警察は、居住者滞在者その他のその管轄区域関係者の生命、身体及び財産の保護に関連して必要がある限度においては、その管轄区域外にも権限を及ぼすことができることとするものであります。  その三は、警視総監または道府県警察本部長は、当該都道府県警察が他の都道府県警察管轄区域権限を及ぼし、その他他の都道府県警察と共同して事案を処理する場合において必要があると認めるときは、相互に協議して定めたところにより、関係都道府県警察の一の警察官に、当該事案の処理に関し、当該協議によりあらかじめ定めた方針の範囲内で、それぞれの都道府県警察警察職員に対して必要な指揮を行わせることができることとするものであります。  その他、警察署下部機構である派出所であって、地域警察基盤となっているものに「交番」の名称を付すること等所要規定整備を行うことといたしております。  なお、この法律施行日は、都道府県警察相互間の関係等に関する改正規定については公布の日、その他の部分については平成六年七月一日としております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概略であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  4. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原裕康君。
  6. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 自民党の栗原裕康でございます。  ただいま提出されました警察法の一部を改正する法律案につきまして、若干質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  まず最初に、警察庁組織改正する、こういうことでございます。警務局を廃止し、生活安全局を設置する、長官官房国際部を置く、あるいは情報通信局の設置をする、こういうことでございます。  こういう警察庁組織改正に伴いまして、各都道府県警察、こういう組織はどういうふうに変わっていくのか。つまり、趣旨説明では、最近の社会情勢変化に対応して警察庁組織改正する。当然、警察行政というのは各都道府県警察が末端を担っているわけでございますので、各都道府県警察本部あるいは警察署、そういったものがこの組織改正によりましてどういうふうに変わっていくのか、そのことをまずお尋ねさせていただきたいと思うわけでございます。
  7. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、このたびの警察法改正警察庁組織改正を行うものでございます。それは、社会国際化に対応するための国際部市民生活安全確保を図るための生活安全局警察インテリジェント化を推進するための情報通信局、これらを設置するというものでございます。  これに対しまして、都道府県警察組織につきましては原則として従来どおり、今までどおりとすることにいたしております。ただし、警察庁生活安全局を設けますので、都道府県警察にございます防犯部生活安全部名称変更いたしまして、その所掌事務につきまして整理をすることにいたしております。  また、警察庁では警務局を廃止いたしまして、人事管理あるいは教養の事務につきまして、これを長官官房で一括して行うことにいたしておりますが、警視庁あるいは道府県警察本部におきましては総務部警務部の二つがございますが、警視庁等管理部門業務量が大変膨大でございますのでこれは変更なく、引き続き総務警務両部が存置されるということになっております。
  8. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 私かねがね大変心配をしておりますのは、こうやって組織改正する、それぞれ社会情勢に合わせて改正をしていくわけでございますが、何といっても組織を支えていくのは人なわけでございます。マンパワーでございます。  私もたまたま県会議員経験が若干ございますのでそういう問題意識を持っておったわけでございますが、警察署のいわゆる職員といいますか、警察の人員は、安保闘争のとき、いわゆる二十二年、二十三年の団塊世代、私どももそうなんでございますが、団塊世代の方が職員年齢構成で大変多いのですね。圧倒的に多いのです。今の各都道府県警察官の定員というのは法律でもうふやせないということでございますから、毎年退職をしていく方の人数に合った分だけ新規に採用していく、私はこれにも若干問題があると思うのでございますが、そういう現状でございます。  そうなりますと、我々団塊世代が定年を迎えたときに、今のままでいけば、当然そのときに大量に採用する、こういうことでございます。しかしそれは、私は一年生議員でございますが、入ってすぐの新人はそう簡単には使えないのですね。それはもう当然のことでございます。そうなりますと、大変な問題になる。その辺のところを余りいつまで、先の話だといえばそれまででございますが、この時期ぐらいからぼちぼち考えていかなければいけないんじゃないか。  我々団塊世代退職するときに格段に治安がよくなっているとかいうことが見越しておれば別でございますが、恐らくそれはむしろ逆じゃないかと思うわけでございますし、また少子化の影響もございましていわゆる労働者人口がどんどん減っているわけでございますから、そういう意味では大変採用が難しい。そういったものを含めてどういう対応を考えていらっしゃるか。若干組織改正に関しまして、そのことをお尋ねさせていただきたいと思うわけでございます。
  9. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 御指摘のとおり、警察におきましては近い将来、しかも数年間にわたりまして一万人前後の大量退職者が出ると予測されております。これは現在の退職者数の三倍を上回るものでございます。一方、これまた御指摘のとおり、就職適齢人口は現在より約二五%減少するということが予測されております。  こうした厳しい採用情勢に対処いたしまして、質の高い人材を数多く確保していくためには、警察において相当の努力をしなければならないと考えております。具体的に申し上げますと、優秀な若い人たちが多く警察の門をたたいていただきますように魅力ある職場づくりに努めますほか、現段階から、新卒採用に加えまして在野の専門的知識にあふれている人あるいは能力を有する人、そういう方々中途採用、我々これを採用複線化と言っておりますが、そういうことに努めてまいりたいと思っております。また、新卒採用採用年齢の上限の引き上げにつきましても現在行っているところでございます。さらに、婦人警察官の積極的な採用を図りまして、婦人警察官にふさわしい職域におきましてはどんどんそれを活用してまいりたいというふうに思っております。また、OB職員交番相談員等採用いたしまして、その持っております知識経験を活用するということにも意を図っているところでございます。
  10. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 交番相談員のことについては後ほどお尋ねをいたしたいと思います。  今のお話を聞いておりますと、やはり退職者の補充というのは基本なわけですね。私が先ほど申しましたのは、もちろん人材が大変だろうというのもあるのですが、退職者を機械的に補充しておくだけでは、大量に、今おっしゃったように三倍なんですよ、今以上に。それで果たして警察の質が確保できるか、これをお尋ねしているのです。ですから、今の法律でいくとどうしても退職者を補充するしか方法がないので、その辺はどういうふうに考えていらっしゃるのか、こういうことでございます。重ねてお尋ねをしたいと思います。
  11. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 現在は幅広い層から人材確保に努めているところでございますが、先生、かねていろいろ県会でも御指摘の点、私どもも拝聴いたしておりまして、前倒しで大量に採用できないか等々いろいろなことを今後検討してまいらなければならないと思っております。どのような工夫ができるかにつきまして、今後鋭意検討してまいりたいということで御理解を賜りたいと思います。
  12. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 わかりました。  また、今度の改正でございますが、今しきりと、近年、行革行革ということを言われていますね、行政改革と。警察庁あるいは警察官に関してほかの省庁と同じように行政改革一辺倒でいいのかということを私はちょっと疑問に思っておるのでございますが、いずれにしても世の中の流れというのは行政改革という流れでございます。この組織改正スクラップ・アンド・ビルド原則を貫いていると思いますけれども、その辺のところを、行政改革流れに沿っているんだということを確認させていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  13. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 今回の改正にあります警察庁内部組織の再編でございますが、これは平成六年二月の閣議決定「今後における行政改革推進方策について」、これに従っているものであると考えております。すなわち、内外社会情勢変化に対応した警察運営展開を図るため、先ほど申しましたそれぞれの局を新設するものでございますし、御指摘のありましたようにそれぞれの局の新設に当たりましてはスクラップ・アンド・ビルド原則にのっとっているものでございます。
  14. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 それでは次に、この法律の五十三条第五項、地域警察活動基盤となっている派出所交番名称を付す、こうなっております。  交番のことについてお尋ねをしたいと思うわけでございますが、交番制度というのは、私ども理解をしておりますのは、我が国独自のいわゆる組織といいますか、施設でございまして、また外国からも大変高い評価を得ている。諸外国によっては、まねをしたい、ぜひ教えてくれというようなこともあると聞いておりますが、実際にそういうことがあるのでございましょうか。そういう協力をした実績というものがありましたらお尋ねをしたいと思います。
  15. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答えいたします。  交番制度につきましては、地域の安全を守るために大変有意義な制度であるということから諸外国から関心を持たれておりますし、一定評価も得ているところでございます。我が国は、これまでに技術協力あるいは国際セミナーの開催でありますとか視察団の受け入れ等々、いろいろな形で諸外国に対して協力を行ってきたところでございます。  一番著名な例として、シンガポールにおきましては、我が国技術協力によって、昭和五十八年六月でございますけれども第一号の交番が同国内に設置されて以来、現在までに九十カ所の交番が設置されたところでありますが、最近に至るまでの報告によりますと、交番制度の導入後犯罪発生が顕著に減少している、また住民意識調査におきましても安心感が向上したといったような成果が見られるところと聞いております。また、シンガポール以外にも、マレーシアでございますとかタイなどにおきましても交番類似制度が取り入れられているところでございます。  また、米国におきましても、日本交番制度などを参考に地域住民参加協力によって地域の安全の確保を図る、これは向こうの現地ではコミュニティーポリシングというような言葉で呼ばれているようでございますが、こういった警察活動が盛んになってきておりまして、その一環として全米各都市におきまして交番類似制度が設けられる、あるいは直接交番と名乗った施設もあるようでございますが、大変効果を上げているというようなことを聞いております。  交番制度に関します国際協力につきましては、各国の民生の安定、国民の幸福に大いに寄与し得るものであると考えられますので、今後、例えば内戦が終結いたしましてその必要性が高いと思われますカンボジアを初め、関心の高い各国に対して積極的な協力を行ってまいる所存でございます。
  16. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 要するに、地域住民との接点として大変高い評価を得ている、これは日本外国も同じだ、こういうことだと思うのですね。ところが、我が国の方は、外国では地域住民との接点ということで交番は大変高い評価を得ているようでございますが、私ども国内では実はいろいろ問題があるのですね。  問題があるというのは、交番制度に問題があるというのじゃなくて、つまり駐在所派出所交番になるのでございますが、いわゆる村の駐在さん、こう言われておる駐在所というのが農山村あるいは漁村等にあるのですね。これは昔から駐在さん、駐在さんと言われて住民にも非常に親しまれておったし、駐在所があることによって犯罪を防止する。自衛隊があることによって安全が守られるのと同じようなものでございます。そういう非常に高い評価を得ている。  しかし、最近大変都市事情が変わってまいりまして、従来は非常に都市部から離れておった。つまり市街地があって、田んぼや畑があって、そしてそこを二、三十分歩いていくと漁村がある。そこの漁村駐在所がある。こういうのが、今市街地がどんどん郊外に延びていますので、駐在所があるところとその市街地との間の境目がつかなくなっちゃった。しかも古い駐在所は建てかえなければいかぬ。建てかえる場合には、今の時代に合ったものにしなければいかぬということで、ある程度駐車スペースも設けたり、パトカーも置けたりする場所を設けなければいかぬ。そうすると、建てかえをすると、とてもそういう敷地がない。したがってそれは統廃合して派出所にする、今度交番になりますけれども交番にするんだ、こういう事例もございます。  つまり、社会情勢変化によって、今まで駐在所があったところが駐在所が成り立ちにくくなっているようなところがあるのではないか、こういうように思うわけでございますが、そういう例は多分全国に数多くあると思うのです。その辺についてはどういう対策をおとりになっているか。つまり、言ってみれば市街地でもない、純粋な漁村、山村でもない、グレーゾーンみたいなところだ。そういうところの駐在所あるいは派出所というものをどういうふうに位置づけておられるか。住民の御希望に対してどのように対処をしていくおつもりなのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  17. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答えいたします。  今委員指摘のように、交番駐在所の中には、地域の実情の変化等もありますし、また庁舎自体老朽化等事情もございまして、いろいろな建てかえをするとか、あるいは駐在所派出所に転換するというような事情がございます。このようなことでやむなく統廃合等を行う場合におきましても、派出所駐在所制度というのは、もともと地域住民生活の安全と平穏を確保するために、あらゆる事象に対処して地域住民安心感のよりどころであるという性格がございますので、できるだけ基本的なこのような機能を損なわないようにすることが必要だと思うわけであります。  そういうようなことで、やむなくそのようなことがある場合におきましても、地域住民方々に無用の不安感を生ぜしめることのないように周辺の交番なり駐在所の体制の強化を図る。そしてまた、その後に管轄することとなる交番なり駐在所ミニパトカーでありますとか無線機など、こういうようなものを整備いたしまして、機動力によって警らなり立ち寄りなり、あるいはいろいろな警戒を行うというようなことをやりまして、地域住民に対するサービスが極力低下しないようにということを基本に運営するようにしておるところでございます。
  18. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 何かちょっと歯切れが悪いんですけれども、「警察あゆみ」という資料をいただきました中に、派出所駐在所連絡協議会というものをつくっていらっしゃる。全国で六千百二十五カ所現在あるというふうにこの「警察あゆみ」、警察庁からいただきました資料に書いてございます。  今言いましたように、地域住民の不安というのは、要するに今まであった駐在所が老朽化して狭くなっちゃって、今の基準に合わないからもうしようがない、統廃合せざるを得ないんだということは理解をしているのです。しかし、ないとやはり不安だ、こういうことなんですね。私は、これからいろいろな意味で非常に厳しい時代でございますから、必ずしも住民希望を一〇〇%聞くことはできないだろう。つまり現実的に駐在所がなくなっても、その近所の派出所、今こういうものは交番でございますけれども交番で対応できるんだよ、そういう理解住民の方にしていただければいいと思うのですね。  それでお尋ねをしたいわけでございますが、この派出所駐在所連絡協議会というのは、当然そういったことも含めて住民との接点駐在所派出所のあり方について住民といろいろお話しする機関なんでございましょうか。これはどういう機関なんでしょうか。
  19. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答えいたします。  派出所駐在所連絡協議会でございますが、今委員指摘の数字でございますけれども、それは平成四年末でございまして、平成五年末には七千二百カ所余りになっておるのでございますけれども、この連絡協議会と申しますのは、性格は、住民の方から警察業務に対します要望なり御意見等を聞きまして、これを警察活動に反映させていく、犯罪事故、災害のない明るい町づくりを進めるために派出所なり駐在所を単位として活動を行う、べく設置しておるものでございます。メンバーは、住民各層方々に入っていただいておるということであります。  地域活動の場といたしまして地域に密着した活動をします地域警察でございますので、管内の事件、事故発生状況はもとよりでございますけれども、そこに居住されております住民方々警察に対してどのような御意見、御要望を持っておられるか、委員指摘のようないろいろな御期待としてどういうものが今あるんだ、御要望があるんだということを的確に把握して、このような要望なり期待にこたえていくことが大事であります。そういう意味で、今後ともこの活動を通じて一層住民のニーズに沿った警察活動展開してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  20. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 派出所駐在所全国で一万五千カ所あるのですね。七千二百ということは半分しかないということですから、ぜひこれを一万五千に限りなく近づけていただいて、先ほど私が申しましたように、地域住民の方たちというのは、要するになくなっちゃうということが非常に寂しいし、不安なわけですから、こういうものを活用して、実際駐在所で防犯をするよりも交番の方が、派出所の方が機能が上なんだとか、そういういろいろな説明をしていただければ地域の皆さんもわかっていただけると思うのです。要するに、そういうコミュニケーションを持っていただきたい。そのためにこういう駐在所派出所連絡協議会というのはあると思いますので、ぜひ活用していただきたい。このことは要望させていただきたいと思います。  先ほどもちょっと出ましたように、交番相談員、これは非常に好評なんですね。私どもの県でも十人だったかな、たしか私がまだ県会のときはそういう採用をしていました。派出所駐在所、当然防犯機能は派出所の方があるわけですね、これは二十四時間体制ですから。ところが、住民の方たちのいわゆる親しみ度というのは駐在所の方があるんですね。これは、もう駐在さんが一人しかいない、その人がずっとそこにいるものですから。派出所はなぜ余り親しみがない。親しみがないというと大変恐縮でございますが、三交代制でいつも人がかわっている。全員の顔を覚えるのに相当時間がかかっちゃうということでございます。もしこういうところに駐在所のような交番相談員、OBの方がいつもいると大変親しまれる、こう思うわけでございます。  私はむしろ、駐在所というのはグレーゾーンだ、どんどん整理統合して派出所にして、そこに交番相談員を置いた方が効率がいいのではないか、こういうふうに思っておるぐらいでございますので、その交番相談員についてはぜひ活用していただきたいと思いますけれども警察庁のお考えをお尋ねしたいと思います。
  21. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答えいたします。  交番相談員制度でございますけれども、この数年の間に多くの都道府県で導入されてきたものでございまして、御指摘のように警察官のOB等を非常勤の嘱託員として採用いたしまして、その豊富な経験知識というものに基づいて、交番に毎日勤務いたしまして困り事相談などの各種の相談への対応とか、遺失物などの各種の届け出の受理、あるいは事件、事故の被害者に対する助言指導というようなものを行ってもらっておりまして、大変住民方々からも好評を博しておるところであります。警察庁としても、住民サービスの向上に資するという観点から、今後とも大いに進めていくよう、各県に指導したいと思っておるところでございます。  ただ、何分この公務員としての性格が、非常勤の特別職といいますか嘱託員でございますので、公権的なといいますか、権力的な行政でございますね、そういうものについてはできないという隘路がございます。それ以外のことについては何でもやれるわけでございますので、本職の警察官と組み合わせて活用するというような方向で考えてまいりたいと思います。
  22. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 わかりました。  それでは次に、警察制度改正についてお尋ねをしたいと思うのでございます。  都道府県の境界周辺で起きた事件については都道府県の境界を越えた権限を行使できる、あるいは都道府県の境界を越えた要人の警護をずっと一貫してできる、あるいは複数の都道府県を舞台とする犯罪捜査などの際に指揮の一元化をするんだということが、今度の改正趣旨でございますね。  正直言いまして、私も不勉強で恐縮でございますが、とっくにそんなことはやってもらっているとばかり思っていたわけですね。なぜ今ごろになって、もう今犯罪は広域化しておりますし、要人も諸外国からいっぱいいらしていますし、今まで隣の府県に行ったときには一々そちらにお願いをして、要請をして、要請をしないとほったらかしだったということだと思うので、そんなことをよくやっていたなという気が正直言っていたしておるわけでございますが、このごく当たり前のことがなぜ今までできなかったのか、恐縮でございますが、まずこれをお尋ねをしたいと思います。
  23. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 犯罪を初めといたしまして、警察事象の広域化というのは大分前からどんどん進んできたわけでございますが、警察といたしましては決して手をこまねいていたわけではございませんで、今までの既存の制度、例えば警察法六十条の応援要請をいろいろ工夫して効果的に活用いたしますとか、さらには通信あるいは車両等の機動力の強化、こういうソフト面といいますか、そういうことにかなりの力を注いできたところでございます。  しかしながら、最近になりまして、犯罪の広域化、あるいは要人が広域的にどんどん動き回られる、あるいは暴力団の被害者の方々全国的に歩き回るというような、そうした広域的な傾向というのがますます顕著になってきたということでございます。これにつきましても、私ども最近やったことといたしましては、管区広域捜査隊というのを発足いたしまして、北関東広域捜査隊と西東海広域捜査隊がございますけれども、これはかなり成果を上げたところでございます。  ただ、いかんせん、これの基本となっておりますのが先ほどの六十条の応援要請ということでございまして、手続的にも時間がかかったり、応援要請をすべきかどうかという判断に時間がかかったりということで、現行制度ではまだ問題がある、もっと改善をしなければいけないということで、今回の提案になったということでございまして、遅きに失するのではないかというおしかりを受けるかもしれませんが、今までいろいろ努力をしてまいりまして、そういう努力の結果も踏まえましてさらによりよい制度にしたいということでございまして、御理解いただきたいと思います。
  24. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 要するに、法改正をしなければもうどうにもならないところまできちゃったということだと思うのですね。これはこういうふうに法が改正をされたわけですから、ぜひ、よりよい犯罪捜査といいますか、より効率的な犯罪捜査をしていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、お尋ねをしたいわけでございますが、こういう法改正によりまして、例えば最近ですと愛犬家殺人事件というようなのがございました。ちょうど最近の新聞に、私の住んでおります隣の函南町の人もやはり殺されておったというようなこともありました。あれは静岡県とか長野県とか、あっちこっちにまたがった殺人事件ですね。例えばこういうことに対して、今度の法改正によって具体的には捜査体制が非常によくなるとか、あるいはそれは今までと変わらぬのだとかというのがあると思うのですが、これはいかがなんでしょうか。
  25. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  委員指摘のように、いわゆる愛犬家殺人事件につきましては、大阪府警で捜査をしておりますけれども、長野県、静岡県等との捜査の関連もあって、それぞれ協力をして捜査をしているところでございます。この種の広域重要犯罪につきましては、これまでも関係都道府県協力をしてやっていたわけでございますけれども、その場合、主として、先ほど官房長からもお答えいたしましたように、捜査員を応援派遣させるという形で指揮系統を一元化して捜査をするというような捜査手法をとっておりました。  今回、法改正が成立をいたしますと、この指揮系統を一元化するための法的根拠が明確になりまして、応援要請というか応援派遣の形でなくて、一元化した捜査指揮体制のもとで捜査が進められるという形になりますので、捜査情報等につきましても、県の壁というのが従来よりずっともっと低い形になって、適切な情報管理等もできるというふうに考えておりますし、また、関係府県も応援という形でなくて、自分の事件というか、自分の県の事件として捜査をするということになりますので、捜査員の意識の上からも、従来よりも力の入った捜査ができるというふうに改善がされるのではないかと考えております。
  26. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 今のお話を聞きますと、繰り返しで恐縮ですが、何で今までやらなかったのかな、そういう感をまた新たにするわけでございます。  もう一つは、指揮系統の統一ということですけれども、これは具体的に、例えばこういう事件のときには指揮系統を統一しておくと非常に捜査活動がやりやすいんだとか、そういうのが何かございましたら、あわせてお尋ねをしたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  27. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  具体的に申し上げますと、指揮系統を一元化して捜査をするのが効率的、また効果的な例というのは、例えば死体が遺棄された場合、被害者が住んで生活をしていた場所と異なる場所に死体が遺棄されるというケースも最近多いわけでございますけれども、その場合には、被害者が住んでいた、生活をしていた府県、それから死体が遺棄されていた場所の府県があわせて捜査をするわけでございますけれども、その場合、やはり一つの指揮のもとに捜査をするというのが大変有効だというふうに考えております。  それからまた、身の代金目的の誘拐事件の場合には、最近の例ですと、やはり身の代金の受け渡し場所が事件の発生地から違う府県に移る、移動するというケースが多うございます。その場合に、やはり関係県というか、移動先の府県と事件の発生県というそれぞれの県が一体的に捜査をする必要があるわけでございまして、その場合にも、指揮を一元化して捜査をするのが大変有効だと考えております。  それから、都道府県境域、県境域で地理が入り組んでいるようなところで事案が起きた場合の捜査につきましても、特に初動的な捜査の場合、一体的な捜査をするということが大変重要であると考えております。
  28. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 わかりました。要するに、この制度改正によって検挙率がかなり向上するというふうに期待されておる、こういうふうに理解していいと思うわけでございます。  この検挙率の向上という観点で、若干外れるかもしれませんが、科学警察研究所というのがございます。本年度の予算でも十三億五千八百万円の予算案になっておるわけでございますが、科学警察研究所は、当然検挙率を上げるためにいろいろ科学的なものをなさっていると思うのですね。  今、科学技術を国を挙げて振興していこう、こういう趨勢でございますので、今の科学警察研究所、最近どういう実績が上がっておるのか。それから、十三億五千八百万というのは、科学何々とつく名前にしては、正直言って随分少ないなというような感じがするのですが、その辺のところは、どうお答えになるかわかりませんが、どう思っていらっしゃるのか。もっとこういうことをやりたいので本当はもっともっと欲しいのだとかというのがもしありましたら、ぜひお聞かせを賜りたい、こう思います。
  29. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  委員指摘のように、科学警察研究所が科学捜査の中核として警察庁に附置されているわけでございますが、この研究所におきましては、科学捜査を科学的、効率的に推進するための各種の研究開発、犯罪に関する証拠物についての鑑定、検査、それから各都道府県警察において犯罪鑑識に携わる職員に対する専門的知識、技能についての研修の三つを主とした業務として行っているわけでございます。  この科学警察研究所の最近における実績といたしましては、最新の科学技術を取り入れました鑑定方法としてDNAを分析をして個人識別を行うDNA型鑑定の手法を研究開発いたしまして、現在逐次各都道府県警察に導入をし、その成果も着実に上がっているところでございます。  今後、捜査の科学化というのは一層重要性を増していくものと認識をしておりまして、新たな鑑識、鑑定システムの開発や鑑識、鑑定機材の整備、それらを活用する人材確保、育成による鑑定技術の高度化、それから綿密な現場鑑識活動を実施するための現場鑑識体制の強化等の諸施策を推進する必要があると考えておりまして、そのための予算措置も当然必要になるわけでございますので、これは内部でよく検討をして、また必要な予算については要求をしてまいりたいと考えているところでございます。
  30. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 ロボコップという映画が一時非常にはやりましたけれども、こういう警察の科学技術の面についても、どんどん着実に、また夢を持って、ロボコップをつくれという意味じゃございませんけれども、ぜひ夢を持ってやっていただきたいと思います。  今ずっと、検挙をいかに早く、いかに確実にするか、こういう観点からお話をしておったわけでございますが、一方、被害の未然防止、そういう観点も当然あるわけですね。事件が起こるのではなくて、それをなるべく未然に防止する、そういった観点に立って生活安全局というのをつくったわけでございます。ちょっとさきに戻って恐縮でございますが、被害の未然防止、そういったことに重点を置いて生活安全局が設置されたと思うので、被害の未然防止という観点について、こういうことをやるのだとか、重点的なものが何かないかとか、重点的なことをするのだということがありましたら、お尋ねをしたいと思います。
  31. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答えいたします。  今回、警察法改正によりまして生活安全局の設置をお願いしておりますゆえんでございますけれども社会の中で生活の安全と平穏ということに対します価値観が一層強まっております今日、新しい観点、例えば被害に遭う人の立場というようなものもあろうかと思いますが、そういう立場から、犯罪とかあるいは事故の被害の発生の防止、そして検挙、被害回復といったようなものを総合的に考えた対策の推進が従前にも増して強く求められていると考えたからであります。  犯罪発生した場合には、迅速かつ適切な検挙活動が行われるべきことは言わずもがなでありますけれども、それとともに犯罪等の発生防止にも同様に力を注ぐことが極めて重要であります。身近な犯罪で、例えば幼女に対する公園でありますとか道路上でのいたずらなり、声かけというようなものがある、あるいはひったくりなどが連続するというようなことがありますと、地域住民にとっては大変不安を感ずる事態であろうと思うわけであります。こういった場合に、パトロールを特別に強化するということはもちろんでありますが、街路灯の増設について考えていく、あるいは道路構造の改善等についても考える、都市環境の設計についても考えていく、また関係各方面に働きかけていくというような対策が考えられますけれども、こういうような地道な対策をきめ細かく、かつ総合的に積み上げていく方向で今後諸施策を考えてまいりたいと思っております。
  32. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 わかりました。  次に、五月十日に施行されました改正道路交通法について若干お尋ねをしたいと思うわけでございます。  既に予算委員会等で話題になっておるわけでございますけれども、過積載の取り締まりが強化されました。これについて、実は、私どもの地元のいろいろな方から大変心配をする御意見を正直言っていただいておるのですね。この過積載を防止する、罰則を強化するというのは、当然人命を尊重するんだ、荷物を積み過ぎたトラックが事故を起こしたり、あるいは道路を壊したり、橋を壊したりするんだ、これを何とかせにゃいかぬ、こういうことでやるわけでございますが、一方、こういうことを公式の場で言っていいのかどうかわかりませんけれども、現実に過積載、みんなかなりやっておるのですね、二割、三割くらいは。ひどいのはもっとやるのでしょう。三倍というひどい例も聞いたことがありますけれども、やっておるのですね。  これを取り締まられるとなりますと、例えば、常に大体三割増しくらいはやっておるのだ、そういう人たちは。これの取り締まりを強化されますと、当然積載重量制限いっぱい積む、つまり三割カットくらいで積んでいくわけなんですね。そうすると、それは価格に転嫁をしたいのだ。例えば建設資材は三割上がるとか、私どもの方は養殖漁業なども盛んでございまして、養殖のえさとか。隣の部屋の先生のところも養殖がたしか盛んでして、この前ぶらっと来て、いや過積載で地元の養殖業者、みんな泣いているよ、こう言っておりますし、大変な社会的な反響があると思うのですね。  ここは警察行政委員会でございますので、取り締まりについてそういう方たちが一番心配しておるのは、自分のところだけ目をつけられてやられるのじゃないかとか、あるいはスピード違反と一緒でして、たまたま捕まったら運が悪いというのじゃこれはたまらぬよ、そういうことを非常に心配していらっしゃる。つまり、どうせやるならば、取り締まりの方法をできるだけ公平にしてほしいんだ、こういうことを言っておるのですが、具体的に取り締まりは、もう既にやっていると思いますけれども、どういうふうになさっているか、そして、これからどうやっていくかということについてお尋ねをしたいと思います。
  33. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 過積載につきましては、過積載運転車両の事故発生時の被害が大きなものとなりやすい、以前からその危険性が指摘されておりました。また、近年、過積載の大型車両によります重大事故が多発いたしまして、しかも過積載の違反の程度が高くなってきているということから、昨年道交法の改正を国会で御審議賜りまして、全会一致で御可決いただいたところでございます。  昨年五月の法律公布後、一年間にわたりまして、私どもといたしましては、改正内容につきましてあらゆる機会をとらえて周知徹底を図ってきたところでございまして、関係業界に対しましても自粛についてお願いしてきたところでございます。  ただいま御指摘の取り締まりの問題でございますけれども、取り締まりにつきましては、従来から超過重量の多いものあるいは差し枠をつけていないというような悪質、危険な過積載を重点に効果的な取り締まりを実施しておるところでございまして、今後ともそういう方針でまいりたい。今お話しのように、不公平感とかそういうものはなくするようにしてまいりたいと思っております。  ただ、この過積載につきましては、御案内のとおり、構造的な背景を有するものでございまして、取り締まりだけではその問題を解決することはできないというふうに考えております。私どもといたしましては、取り締まりを通じましてその抜本的な解決が図られるよう、関係省庁とも協力してまいりたい、かように考えているところでございます。
  34. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 要するに、取り締まりは従来と同じということで考えてよろしいんでしょうか。もう一度お尋ねしたいと思います。
  35. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 取り締まりにつきましては、先ほど申し上げましたように、従来から悪質、危険なものを重点にやっておりますので、その基本的な方針は堅持してまいりたいと思います。  それから、先ほど差し枠をつけていないと申しましたけれども、差し枠をつけているような悪質なもの、それから超過重量の多いもの、そういうものを重点に従来どおりの方針を堅持してまいりたい、こういうことでございます。
  36. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 わかりました。そういうことであれば、私は少し今騒ぎ過ぎているかなという気も実はするんですね。本当に悪質な連中は当然取り締まらなければいかぬわけで、今までもやっていたわけですけれども、過積載が非常に厳しくなったよということだけがちまたに伝わっておりまして、やれ大変だ、一キロも余計に積んだらやられてしまうとか、そういう極端な恐怖感みたいなものがあるのかもしれませんね。  ですから、要するに、いや取り締まりは今までと一緒で、非常に悪質なものだけ捕まるんだ、こういうことが世の中に周知徹底をすれば多少恐怖感はなくなってくるのかなと思いますけれども、そうすると、今度逆にちょっとくらいの過積載なら相変わらずいいわということになってしまうような気もするんですが、公安委員長、どうですか。この辺のところはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  37. 石井一

    石井国務大臣 実はこの問題、先刻自民党の議員から予算委員会においても問題の提起がございまして、私、運輸大臣とのやりとり等拝聴いたしておったところでございます。  過積載が大変大きな社会問題を生み、交通事故の最大の原因になり、農村では食糧あるいは物資を運ぶというふうな問題がございますけれども、大都市の高速道路におきましても、砂利でありますとか、あるいは港湾の埋め立て等で動きます大きなトラックの過積、オーバーのもとに高速道路が全面的にストップするというふうな事故が次々に起こりました。  そういうことから道交法の改正というものは必要であったと思いますが、その延長線上で今問題になっておりますのは、議員が御指摘になりましたように、一つは、そのことによって、適正な運搬だけをやっておって運送会社が維持でき、また運転手の生活が保てるのかという問題も提起されておるようでございますし、さらに、スピードにおいてはスピードの大きさによって罰金額も大きい。しかしながら、この過積載の場合には、たとえ一キロオーバーしても、これはやはり法律違反である、罪は罪である。それじゃついでに百キロやっておけ一連が悪ければ仕方がない。こういうふうなところの法の執行における不公平、こういうふうな問題も指摘される問題ではなかろうかと思うのでございます。  私は先日あなたと同じ質問を当局にいたしましたところ、当局が強く認識し、強調いたしておりますことは、悪質であり、危険であるものに対しては厳しく取り締まるんだ、それじゃそうでないものは取り締まらないのかということに対しては答えがございません。しかしながら、そこにはやはり一つの裁量というものがあるのではないかと私は推察をいたしておるわけでございます。法は厳格に守っていく必要がございますけれども警察当局としてもその辺のところを考えながら、問題の本質を見きわめながら今後の取り締まりに当たっていくのではないかというふうに思います。  本年四月八日に過積載防止対策関係各省庁による申し合わせが行われまして、これは関係各省庁すべてが出席をいたしまして、警察だけで取り締まれるものではございません、建設省、運輸省その他関係省庁すべてが集まりまして、指導監督の徹底と取り締まりの強化、公共工事発注における過積載防止の指導、それから背後責任、また関係機関、関係団体の協力体制の整備等につきまして細かい打ち合わせをし、道交法の施行とともに、それが名実ともに納得のいく状態で取り締まれる方向を鋭意関係各省で今協議を進めておりますので、今御指摘の御心配ができるだけ少ない方向でこの目的を達成していきたい、そういうふうに念願いたしております。
  38. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 大臣からそういう御答弁をいただきまして、大変私どももある意味ではほっとしているところでございます。  先ほど言いましたように、地元の、地元というか、私の場合地元でございますけれども、いろいろな方が大変この問題を心配していらっしゃいまして、要するに、何でもかんでも全部捕まってしまうんだというふうな一種のパニック状態みたいなものにもなっておる。それで、こういう不況のときにこういうことをされると、運賃の値上げもするわけにもいかない、運転手の確保もいかない、トラックの台数もそんなにふやせない、どうしてくれるんだというふうな声があるわけでございますので、ぜひ取り締まりを適切にしていただいて、適切という意味はなかなか深い意味があるわけでございますが、適切にしていただいて、無用のパニックを防いでいただきたい、こういうふ一つに思います。  次に、車輪どめのことを伺いたいと思うのですけれども、この車輪どめも実は一部の人たちからは大変評判が悪いのですね。例えば商店街の人たちが、自分の店の前に違法駐車がある、そうすると、レッカー車で持っていってもらうのなら話はわかる、それをとめてしまうというんだよね。車輪をとめてしまう、それは何のことだ、こう言うわけですよ。  そういうふうに言われてみれば、駐車違反というのは違法駐車をしているものを排除することが目的なんだから、それをそこへ足どめするというのはまた逆なんですね。そういう意味でちょっとこれは理屈に合わぬのじゃないかなと思っておったのですが、お聞きをいたしますと、テレビなんかで報道されたことによると非常に効果てきめんだ、こう言うのですね。これは実態、どうなんでしょう。まず、そのことをお尋ねしたいと思います。
  39. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 御指摘改正道交法による車輪どめでございますけれども、今実態をという委員のお話でございますが、五月十日から施行されまして、運用開始一週間から十日後の間で調査いたしましたところ、運用開始前に比べまして、車輪どめ装置を取りつけることができる区間、これは限られておりますが、その区間におきます違反駐車台数は、東京都内で約二割、大阪市内で約六割を減少させております。また、そのほかに路線バスの運行がスムーズになったとか、あるいは周辺の駐車場の利用者が増加したという声も聞かれておりまして、相当の効果を上げているというふうに私どもは認識をしております。
  40. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 東京都で二割、大阪府で六割と言いましたですか。これはどうしてこんなに違うのですか。東京の方は、違法駐車が少ないのですか。何ででしょうね。これはどういうふうにお考えですか。というのは、これは本来は見せしめですからね。余り好ましいと私は思わないです、正直言って。  ちょっと話が飛んで恐縮でございますが、かつてヒトラーが、大衆というのは理屈じゃなくて感情で動くのだ、こういうことを言ったのだそうです。だから、大阪の人の方が感情は勝っているのではないかとも思うのですが、これはどういうふうに分析なさっていますでしょうか、もしおわかりになりましたら。
  41. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 大阪、東京の差というのはどういうような背景があるか、私どもではつぶさにわからないところでございますけれども、今お話しのような、見せしめとか、いろいろなお話がございましたけれども、今回の状況を見てみますと、車輪どめを取りつけましてから一時間以内に除去しているのが大体九四%でございます。それから違反者から申告を受けまして取り除いた、十分以内が九六%でございますので、長時間さらすというような実態はないのではないかというふうに私どもは思いまして、やはりお話しのように、違法駐車してはいけないという前提でございますので、できるだけ速やかに除去するという方向で指導しておるところでございます。
  42. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 そういう御答弁でございますが、要は、私はこれは見せしめだと思うのですね。先ほど言いましたように、大衆というのは感情で動くというのは、確かに一面では真理だと思うのです。ですから、大変効果が上がったということでございますけれども、ちょっと苦言を呈して恐縮でございますが、余りこういう手法で警察行政をこれもあれもというふうになさるのはいかがなものかと思いますので、これは意見として申し上げておきたいと思います。  もう一つ、交通規制に関しまして、最近いわゆる大変不況でございまして、商店街とか、あるいは地域でお祭りをよくやるのですね。ハードではなかなか不況で大変なものですから、ソフトでお祭りなんかをやって、みこしを担いだりなんかして、そしてその商店街全体を盛り上げようとか町全体を盛り上げようとかというので、最近、いろいろなイベントが割と多いのです。それで、いろいろお話を聞きますと、いつも交通の規制について、警察ではうるさ過ぎるという苦情がすごい多いのですね。  これは末端のことで大変恐縮でございますが、確かに警察としては人命第一、安全第一ということはわかるのでございますが、やはり祭りというのを盛り上げるという意味では、道路いっぱい、わあっとやるのが楽しいのですね。それを端っこの方にちょこちょこしていたのではどうにもなりませんので、そういうことについて、ぜひお祭りとかそういうものについては余りしゃくし定規にしていただかない方がいいのではないかと私は思うのでございますが、警察庁としての御見解がもしありましたら、あるいは、ぜひ都道府県警察とも御協議いただきまして、なるべくそういうことについては地域協力しようよというような指導といいますか、話し合いをしていただくとか、そういういろいろな方法があると思いますけれども、いかがでございましょうか。
  43. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 委員指摘の祭りでございますけれども社会的な慣習として定着しているお祭り等のほかに、最近、地域おこしあるいは村おこし、町おこしというような目的のために道路を使用いたしまして祭りを行いたい、あるいはこの種のものとしてマラソン等を行いたいというようなことは全国的にふえてきております。  このような幹線道路を使用してのいろいろな新たな行事につきましては、できる限り自粛していただきたいというのが基本的な考えでございますけれども、やはり今お話しのように、行事の内容とかあるいは地元の実情等を勘案いたしまして、地元の方々とも十分意見を交換して、そして交通規制の問題も考慮しながら、できるだけ意向に沿うように、実施可能なものはできる限り実施していこうではないかということでやっております。ただ、そのような過程の中で、今お話しのように、交通規制が厳しいのではないかというような御意見もあろうと思いますけれども、地元の方々とこの点につきまして十分な話し合いをして、できる限り御要望に沿うような方向で、できるものはやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  44. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 もう時間が来たようでございますので、要は、私が申し上げたいのは、警察行政というのは、もう当然国民の生活と安全を守るわけでございますから、ある意味では厳しくしなければいかぬ部分があると思うのですね。しかし、やはりこれからの警察のあり方というのは、地方の自治体あるいはコミュニティーの方たちと本当に一体となって、町ぐるみで、警察も一緒になっていろいろな事業をしていく。安全ということもそうでございますし、防犯ということもそうでございますし、それからもっと言えば、町おこしも警察も一枚かんでいるのだというくらいの意識でやっていただきたいと思うわけでございまして、それが要するに国民に愛される警察だと思うのですね。  そういう意味で、お祭りなんかのときには、警察が試される大変いい機会なのです。そういうことをぜひお考えいただいて、弾力的に交通規制の問題については対応していただきたい、こういうふうに思っておりますし、そのことを心からお願いをしたいと思います。  そのことにつきまして、最後に、もし大臣から何か御答弁がございましたら、ぜひお願いをしたいと思います。
  45. 石井一

    石井国務大臣 警察法改正に当たりまして、栗原委員が総括的に、また非常に身近な生活の中にあります問題点についていろいろと御質問をいただきましたこと、私を初め警察庁長官、十分胸に体しまして、今後、警察行政の運営に当たっていきたいと思います。  私は、日本警察は国民のサイドに立っておるという意識、また、コミュニティーなりそれぞれの地域の人々と溶け込んだ形での信頼感というふうなものがあると思います。今後も時代の大きな変化に対応できるように頑張ってまいりたいということを申し上げたいと思います。
  46. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 終わります。ありがとうございました。
  47. 粟屋敏信

    粟屋委員長 平林鴻三君。
  48. 平林鴻三

    ○平林委員 我が党の栗原議員から、警察法改正の主要問題につきまして質問がございましたので、私は重複を避けまして、治安上の問題につきまして若干質問をさせていただきます。  なお、大臣には、警察当局の答弁がすべて済みました後に御質問を申し上げたいと思いますので、しばらくの間、お聞き取りをお願いをいたします。  それから、理事として審議協力をいたしまして、若干時間を短縮させていただきますので、あらかじめ御了承を願います。  さて、都道府県警察、現行制度施行されましてから、今や四十年が経過しようといたしております。その間にいろいろな事件もございましたし、また、とうとい警察官の犠牲を伴うような痛ましいこともございましたけれども、何と申しましても、治安のよくなったこと、特に戦後間もないころのあの極端に悪化した治安がここまでよくなった、本当によかったなと私は今実感をいたして、今昔の念にたえない、そういう気持ちであります。  治安がよくなったことについては、警察活動があずかって力があると思いますけれども、同時に、やはり世の中がよくなったといいますか、豊かになった、そのことが貧しさゆえの犯罪というものを少なくしてきたのではないか、そういう感じがいたします。衣食足りて礼節を知ると申しますか、そういう意味では、やはり我が国の治安の問題というのは、ひとり警察のみならず全国民の課題としてこれからも努力をしていかなければいかぬ、そういう気持ちがいたしておるところでございます。  ただし、豊かさゆえの社会の病気といいますか、そういうものも随所にあらわれておるような気がいたします。何をやってもいいんだ、自分さえよければ人はどうでもいいんだという勝手気ままな気分というのがこの社会にはあらわれてきておるのではないかという気持ちもいたします。いわば豊かさゆえの気の緩みといいますか、心のすきができまして、それがまた新たな社会の病気を生んでおるのではないか、そういう心配であります。例えば少年犯罪あるいは暴力団の問題、そういうものが気になるというのは、いわば豊かな社会における我々の解決すべき課題ではないか、そう思うのであります。  少年犯罪の問題につきましては別の機会に譲らせていただきたいと思いますが、暴力団であります。  全国的な広がりを持ってきたと思います。善良な市民の生活に恐怖、不安、苦痛を与えておるということは我々も心を痛めておるところであり、その対策を急がなければならぬと思います。いわゆる暴力団対策法、暴対法という法律が制定、施行されました。この問題につきまして若干警察当局の説明を伺いたいのであります。  暴対法の施行によりまして、いわゆる暴力団の行動というのはどのようになってきたか、そのことであります。法律が一体有効に働いておるのかどうか、暴力団員の数は減っておるのか、あるいは暴力団が関係する犯罪が減ってきたのか、そういうことにつきまして、警察が把握しております状況を説明いただきたい。警察基本的な方針を、どういう方針を持っておるかも含めて説明願いたいと思います。
  49. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えをいたします。  ただいま委員指摘のように、暴力団問題は警察の取り組むべき大きな課題というふうに考えて現在取り組んでいるところでございますけれども、暴力団対策法の施行後の状況についてお尋ねですので、御説明をいたします。  暴力団対策法の施行後、全国警察を挙げまして、暴力団員の徹底検挙、暴力団対策法の運用による暴力団被害の未然防止、地域、職域からの暴力団排除活動の推進に努めてきたところでございます。このような取り組みの結果、従来の法令では必ずしも有効に規制できませんでした民事介入暴力の抑止の効果が見られましたほか、暴力団構成員の減少や組織から離脱する傾向の進展、さらに組織の解散、壊滅数の増加など、一応の成果を上げているところでございます。  具体的に申しますと、施行前の平成三年末の暴力団勢力は全体で九万一千名でございましたものが、施行後の平成四年末には九万六百人、平成五年末には八万六千七百人と減少して、きております。また暴力団組織の解散、壊滅数も、平成三年には百三十一組織でございましたが、平成四年には百五十八組織平成五年には二百二十二組織が解散、壊滅になっているところでございます。また、取り締まり状況でございますけれども平成五年中の取り締まり状況は、暴力団犯罪の検挙人員は三万三千九百七十人ということで、前年に比較して千百二十人ほど検挙人員が増加しているところでございます。また、暴力団対策法に基づく中止命令等につきましては、平成五年中は、用心棒代要求や組抜けに対する妨害行為等に対し合計六百四十五件を発出いたしているところでございます。  今御説明いたしましたように、暴力団対策法の施行を契機として、暴力団対策は着実な進展、成果を上げているというふうに考えておりますけれども、ただ、そうは申しましても、まだ暴力団全体の根幹を揺るがすという段階までには至っておりません。まだまだ暴力団犯罪が起きておりますし、また、暴力団の解散、壊滅を求める国民の期待というのも強いわけでございますので、暴力団対策の推進につきましては、引き続き警察の最重要課題として、今後とも警察組織全体を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  50. 平林鴻三

    ○平林委員 今局長の御説明を聞きますと、人数も減ってきた、あるいは暴力団の解散しておる数も相当に上ってきた、こういう御説明でありますから、一応の効果は上がっておるものだと思いますが、根幹部分が残っておるというお話も御当局から聞きますと、ここから先、この暴対法の効果がどれだけ上がっていくのだろうか。  大体法律というのは、できたときはみんな一生懸命やるのだけれども、時間がたつとだんだん法律施行する側もマンネリになってしまって、まあこの程度というようなことが往々にしてあるものです。暴力団に関しては、これは先ほど申し上げましたように、全国的な広がりを持って、しかも国民に恐怖感を植えつけておる、そういう問題でございますから、このことはひとつ、警察当局はさらに徹底した対策を講じてもらいたいと思うのです。これは要望いたしておきます。余り時間がございませんので、いわば表面的なことを申し上げて恐縮でありますが、また別の機会に詳しいことを聞かせていただきたいと思います。  次は、やはりアウトローの問題なんでありますけれども、極右、極左の集団というのがございますね。テロ、ゲリラその他の行動でこれまた国民生活を脅かす、このことも依然として後を絶たないという状況だと認識をしております。特定の会社やあるいは個人に脅威を与えるだけでなぐて、本当に一般市民が迷惑をこうむる、こういうことがしばしばあるわけであります。例えば、つい先日も細川前総理が、ホテルのロビーでしたかどこかでピストルで、本人に向けて襲ったのか天井に向けて撃ったのか知りませんけれども、そういう事件も起こった。いわば公衆の面前でああいうことが起こるというのは、これはまことに寒心すべきことであると思っております。  最近の状況は、右翼、極左、極右を通じて、十年、二十年前とは若干は変わってきたと思いますが、最近どういう特徴があるか、それに対して警察はどういう態度をとっておるかということも伺っておきたいと思うわけであります。
  51. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  言うまでもないことでありますけれども警察は、いかなる立場からするものであれ違法行為は看過しないという基本方針のもとに、こうしたテロ、ゲリラ事件に、またその防圧に対処しているところでございまして、今まで相当の成果を上げてきたのではないかというように考えております。  御質問のございましたうちで極左につきましては、昨年、平成五年は大きな警備が相次いだこともございまして、テロ、ゲリラの防圧を強力に推進いたしました。その結果、前年はテロ、ゲリラ事件の発生が四十六件でございましたけれども、昨年は二十九件に抑え込むことができました。また、ことしに入りましてからも五件の発生にとどまっております。  極左暴力集団に対する具体的に取り締まりの状況でございますけれども、昨年は、秘密部隊員二十九人を含む百二十九名を検挙いたしまして、また秘密アジトも九カ所摘発することができました。本年に入りましても、既に秘密部隊員八人を含む四十二人を検挙いたしております。しかし、お話もございましたけれども、極左暴力集団は依然として、いろいろないわゆる記念日、節目節目にテロ、ゲリラを引き起こすことを企図いたしておりまして、引き続き予断を許さない状況にあるわけでございます。  また右翼につきましても、このところ右翼事件として年間約二百八十人前後を検挙いたしてきております。テロ等の不法行為の防圧にも努めているところでございまして、ことしは、昨年の暮れに発生いたしました宝島社等に対する連続けん銃発砲事件を解決いたしましたし、これまでに昨年同期の三倍近い百五十八人を右翼事件として検挙いたしてきております。  警察としてのこれからの対策等についてでございますけれども、極左暴力集団につきましては、引き続き、秘密部隊員の検挙とアジトの摘発、それからテロ、ゲリラの被害を受けるおそれのある個人、施設に対する警備の強化、またテロ、ゲリラの防圧、検挙のための呼びかけ、一般への広報活動の推進などを進めているところでございます。右翼につきましても、お話がございましたように、要人警護の強化、あるいはテロ、ゲリラを企図している右翼団体の情報収集等の徹底取り締まり、また銃器摘発の強化推進などを引き続き強力に推進してまいりたい、このように考えております。
  52. 平林鴻三

    ○平林委員 実はこの極左、極右の活動というのも波があるように思いまして、例えば極左の暴力集団というのがしょうけつをきわめたのが昭和四十年代だったと思うのです。あのころの活動家というのはもう相当の年齢に達しておるわけですが、新しい若い人たちがこういうグループに入っていく傾向があるとまことに心配なわけですね。これは警察だけの問題ではない社会的な問題にもなるわけだけれども、この若い人が最近極左、極右の団体に入っていくような傾向があるかどうかということをひとつ聞いておきたいと思います。  それと同時に、けん銃の問題ですね。けん銃の問題が絶えず起こります。日本はアメリカとは国情が違っておるので、けん銃の携帯といいますか、銃刀法で厳しく規制されておるわけでありますから常識では考えられないと思うのですけれども、最近の新聞等の記事なんかを見ておりますと、国内で生産されたけん銃が出回っておるとは私も思いませんが、海外から密輸された潜って入ってくるけん銃というのは昔よりずっと多いのじゃないかということが出ておりますね。  とにかく日本の治安というのはやはり凶器が一番恐ろしいわけでありますから、けん銃の取り締まり、一体どういう状況で海外から入ってきておるか、それから、それが大体どういうところの手に渡っておるかということを警察はどこまで把握しておられるか。もちろん捜査上の問題もありましょうけれども、ここでひとつ警察当局の態度というものを伺いたいと思うのです。少年、若い十代、二十代の人たちの問題とこのけん銃のことをあわせて御答弁願います。
  53. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 まず、極左に若い者がどういう形で入っていっているか、どんな状況かという点でございますけれども、お話ございましたように、確かに昭和四十年代、極左の活動、違法行為が大変多かったわけでございます。その後、全体として学生層のノンポリ化のような傾向もございまして、かつてのようなほど学生層が極左暴力集団に入るという数は少なくなっております。したがいまして、極左暴力集団を支えている層も主として労働者層、特に、かつての学生極左運動をやっていたころの者が中心になっていると考えられます。しかし、それでもなお一定数のものは若い者でも入っていっているようでございまして、そういう意味では後はとぎれていない、こういう状況でございますが、傾向としては、若い者が新しく極左暴力集団の中に入っていく傾向というのは少なくなってはきているというふうに考えていただいていいかと思います。  それから、けん銃全体のことにつきましては、後ほどまた保安部長の方から説明があろうかと思いますけれども、先ほどの右翼絡みで申し上げますと、確かに右翼団体がけん銃を持つ傾向が多くなってきておりまして、一昨年、右翼団体から六十一丁のけん銃を押収いたしました。昨年は二十四丁、ことしは、先般の五月三十日の事件を含めて十八丁を押収いたしておりまして、引き続き全体のけん銃取り締まりの中で右翼団体の中の構成員のけん銃の摘発を推進してまいりたい、このように考えております。
  54. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 けん銃情勢についてお答え申し上げます。  最近におきますけん銃の押収状況でございますけれども、十年前の昭和五十九年には千八百七丁でございました。これは戦後最も多かった押収数でございます。その後減少しまして、年間おおむね千丁程度でずっと推移をしてまいりました。ところが、平成四年ぐらいから再び増勢に転じまして、昨年が、史上第三位になりますけれども、千六百七十二丁に達しておりまして、この増加傾向は本年に入っても衰えを見せておらないと見ております。  次に、現在我が国にどれぐらいけん銃があるか、あるいはどのようなルートで入ってきているんだというようなお尋ねでございましたが、大変難しい質問でございます。ただ、毎年相当数のけん銃が押収されておりまして、その八割強は密輸入されたに違いない外国製の真正けん銃である。そして、そのような相当数のけん銃が押収されているにもかかわらず、けん銃を使用した凶悪犯罪が相次いで発生している。さらに、暴力団構成員はもとより、暴力団構成員でない一般、それ以外の者、そういう人たちからの押収もふえているということなどを総合的に推測いたしますと、依然として相当数のけん銃が輸入され、社会の底に潜在しておるというふうに見ておるわけでございます。  こういうようなことから、大変厳しい情勢にあると認識しておりまして、私どもとしましては、昨年思い切った重罰化を内容とした銃刀法の改正を行っていただきまして、それとともに、国内における不法所持の根絶と国外からの供給の遮断ということをけん銃対策の柱とした総合的な施策を実施しているところでございます。  今後とも徹底した取り締まりを推進するために、今回、警察庁に銃器対策課を新設していただくなど組織体制を整備するとともに、税関と関係省庁あるいは諸外国と緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
  55. 平林鴻三

    ○平林委員 けん銃を違法に所持しておる人を捜索するということは、一般市民生活の中でそういう人たちを捜し出して捜索するということは決して容易ではないと私も思います。思いますけれども、これをやはり警察が相当徹底して注意をしてやっていきませんと日本の治安の問題が難しくなるのではないかという心配をしておりますので、警察庁にもそういう課を設けられるようでありますから、これからさらに研究を進めて、日本の治安の維持に努めていただきたい、そう思います。  その次は、外国犯罪あるいは密入国問題であります。  このたび警察法改正が行われたら警察庁には国際部というのができるという話でありますが、日本国内における外国犯罪というのは急増しておるという話を聞いております。また、集団で密入国する事件というのが次々に起こる。せんだっても、まことに日本海というのは波は相当荒いけれどもそういう問題は余りなかったのだけれども日本海沿岸にまで集団密入国の事件が起こるというようなありさまなのですね。  これは国際部の設置を機会にこういう外国犯罪とかあるいは密入国事件というものをさらにしっかりと取り締まるように努力をいただきたいと思うのですけれども、最近の集団的な密入国事件というのは、新聞によれば国外に組織があって多数の人間を日本に密入国させる活動をしておる。他方、国内にもそれを受け入れて就職なんその世話をするような組織があるというようなことを新聞は書いております。このようなことはまことにゆゆしいことなのですね。一人二人が密入国するというような問題とはもうおのずから違っておると思うのですよ。その辺に対して警察当局、どのようにお考えになっておるか承りたい。
  56. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えをいたします。  まず、集団密航事案についてでございますが、御指摘のとおり、最近大変多発傾向にございまして、ことしに入りましてから警察が取り扱った検挙人員だけで二百六十四人でございまして、これは昨年一年間が百三十三人でございましたので、既に倍になっている状況でございます。また、この二百六十四人のうちの二百三十四人、全体の九割が中国人でございます。  警察といたしましては、沿岸地域住民協力や海上保安庁等関係機関との連携によりまして沿岸警戒を強化いたしておりまして、いわゆる不法入国者の水際検挙を図るべく努力をいたしておるところでございます。また、水際での検挙のほかに、国内外の密航組織の解明にも努めているところでございます。  また、今御指摘等ございましたけれども、最近の中国人による集団密航事案には、いわゆる蛇頭、蛇の頭と書くわけでございますが、蛇頭と呼ばれる密航請負人グループが送り出し側におりまして、これが日本の暴力団員と組織的、計画的に連携をいたしまして、大体一人当たり二百万円ぐらいの手数料を取りまして百人単位で運んでくるというような一種のビジネス化している状況があるわけでございます。  これに対しまして、先ほど言いましたように、警察といたしましては強力に取り締まりを進めているところでございますけれども外国人被疑者に対する捜査、取り調べには言葉の問題等幾つか難しい問題がございますが、国際捜査に通じた捜査員の育成でありますとか通訳体制の拡充、あるいは外国捜査機関との連携に努めているところでございます。また、外交ルートを通じまして、中国に対しまして不法出国の防止を要請をしているところでございます。  外国犯罪についてのお尋ねがございましたので、簡単に傾向だけ御説明いたしますと、平成五年中にいわゆる来日外国人による刑法犯の検挙総数は七千二百七十六人でございまして、対前年二二・一%増加いたしております。これは日本人を含めた全体の刑法犯の増加傾向が四・五%でございますので、大変大きく増加しているということが言えるわけでございます。特にその中でも凶悪犯がふえておりまして、対前年三三・〇%というふうに凶悪事件が外国人によって敢行される傾向が強い状況にございます。  以上でございます。
  57. 平林鴻三

    ○平林委員 さて大臣、これから大臣に二、三お願いをして御所見を伺いたいと思うのでありますが、今治安上の私が気になっておる数点、そのほかにもありますけれども、まとめて警察当局に伺いましたが、暴力団や極右、極左のテロ、ゲリラ問題について大臣にお願いしたいのは、先ほどのお話では、最近は世の中よくなっていわば新しくこういう集団に、アウトローの集団に入っていく人たちの数は少なくなった、こういうお話でありますから一応安堵はしておるのでありますけれども、将来にわたってやはり十代、二十代の若い人たちが暴力集団に加わらないような社会づくりをしていかなければいかぬと思うのですね。その対策というのは警察だけでは成り立つものではないと思うのです。政府全体として取り組んでいただきたいということでありまして、その中心にはやはり国家公安委員長が、大臣としてなっていただかないといかぬのではないかという気がいたしております。  実は、現場の警察官の話を聞いておりますと、警察官でも心ある人たちは、それぞれの任地におきまして柔道や剣道あるいはその他のスポーツを子供たちに教えたりしている。そういう機会を生かしながら少年が非行に走らないようにあるいは暴力的な行動を起こさないようにという努力を本来の職務の外でも一生懸命にやっている人を私はよく見ております。いわば青少年の健全育成や防犯活動ということになろうかと思います。  やはり社会全体がアウトローに加わる人たちをできるだけ少なくするようなそういう配慮を怠らずにやっていく必要がある。関係省庁は非常に多いと思うのですね。石井大臣も御承知と思いますけれども総務庁やら法務省やら文部省やらあるいは地域をつかさどる自治省やら、もう各省庁たくさんあると思います。そういうようなところが力を合わせてひとつ努力をしてもらって、そうしてその警察活動がさらに円滑にいくようにというような道を開いてもらいたい。これはぜひ大臣にお願いしたいと思うのであります。  それから、犯罪国際化あるいは密入国問題も重大な事態に立ち至っておると私は思います。大臣は外国とのおつき合いが非常に広い方であります。私も承知をいたしております。特に日本の近隣諸国に対してのおつき合いを非常に親しくしておられる石井大臣のことであります。でありますから、特に大臣にお願いしたいのでありますけれども、この密入国とか外国犯罪というのは、国内問題だけでなくて外交上の支障にもなりますし、あるいは国際的な親善、交流には大きな妨げになると私は心配をしております。したがって、どうかひとつ御親交のある外国の要人ともよく連絡をとっていただいて、今警察が苦労しておる活動が円滑にいくように国際的な協調を増進していただきたいと思うのであります。  以上二点につきまして大臣の御所見を伺いたい。
  58. 石井一

    石井国務大臣 平林先生が地方行政、警察行政のこれまでの長い経験を基礎に、警察に対する非常に現実的な、特に新しい問題につきまして御指摘をいただきましたことに、私たち大変敬意を表しておる次第でございます。  御指摘になりましたいわゆる暴力団、けん銃、青少年、外国犯罪、左翼、右翼によるテロ等々に加えまして、新しい形の犯罪というものがふえております。言うなれば、貧しさゆえの犯罪から豊かさゆえの犯罪社会構造と犯罪構造というものが変わってきておる。これに柔軟に、的確に警察が対応していくということが今度の警察法改正の中にあり、今後さらにそういう形で進んでいかなければいかぬのではないかということを認識す、べきだというふうに思います。  青少年の加入の問題に対しまして、関係省庁と連絡を密にせよということも十分今後配慮をしていきたいというふうに思うわけでございます。先ほど暴力団についてのいわゆる暴対法が効果を上げておるのかという御質問がございましたが、その十六条に、いわゆる青少年に対する加入の強要の規制等というふうな具体的な項目がございます。私は、この項目というものは小さいように見えますが、大変大きいもので、この点、この十六条を基礎に警察が、ややもすれば弱く、引っ張られていく青少年たちを引き戻すというふうなことにも大きな意義があるのじゃないかなというふうに認識をいたしておるわけでございまして、実は御質問の前に、最近少年の加入がどうかといいますと、幸いなことに必ずしも増加の方向ではないということでございますから、今後社会全体が、青少年がそういう悪の道に進んでいくということを防止するという全体的な体制というものをつくっていく必要があるということを認識していきたいというふうに思うわけでございます。  犯罪国際化の問題に関しましても、残念なことに豊かな国ほど犯罪が複雑化し、多くなっておるというふうな傾向がございまして、最近のアメリカの治安の状態などを見ておりますと、まことに目を覆うようなものがございます。しかも、これまでになかった新たな、薬物でございますとかエイズでございますとか、そのほかこれまでにない、単純な犯罪ではなく非常に複雑な問題がある。そういうふうな意味からも、この姿は我々日本においても明日我々が懸念すべきそういう社会を一つ示しておるのじゃないかな。そういうふうな意味でも、各国との連携を密にいたしまして、今後起こり得る犯罪国際化というものに十分対応していく体制というものをこの新たにできます国際部が十分果たしてもらいたい、そういう期待を持っておるわけでございます。  最近起こります中国等からの大量の密入国につきましても、これはこれまでに余り見られなかった大変な事態でございます。一説には、日本と中国との賃金の格差が余りにも多いために、海を渡り、命を捨ててもそれをやることによって、日本におって無理をすれば、一年かそこら働けば家が建ち、一生楽になる。こういうふうなことになりますと、なかなか相手国に呼びかけても相手国のいわゆる統治能力外にある。そうなりますと、やはり一番これをとめる方法は、私の考え方でございますけれども国内の水際と同時に国内に潜入する、潜在する地域というものを確実に点検をいたしまして、受け入れ体制をシャットアウトする。出てくるもとをとめるよりも入ってこれないという体制をこの問題に対してやっていかなければいけないのではないか。  昨年から今年にかけまして急激に増加しておるこの傾向に対しまして、警察当局といたしましては、大変たくさんの外国人が来ており、また難しい問題でございますけれども、大都市周辺を中心におおむね集まっておるアジトというのはわかるわけでございますから、この国内の点検ということからこの犯罪に対して対処していく必要があるのではないかなというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、日本警察が持っております住民との信頼関係という、ふるさとの味とでも申しますか、伝統的な美しいものを持ち続けながら、新しい国際化時代犯罪の広域化の時代に対処できる近代的な新しい警察づくりというものに取り組んでいく必要がある、そういうふうに認識いたしております。
  59. 平林鴻三

    ○平林委員 大臣の御所見を伺いました。大臣の御尽力を今後お願いいたしたいと思いますが、特にやはり、おっしゃいますように大都市ですね。大臣も、大都市といえば選挙区は神戸でいらっしゃるわけですから、いろいろな御見聞もあろうかと思います。やはり大都市の治安というものがそういういろいろな新しい要素によって撹乱されるということができるだけ少なくなるように一層の御尽力をお願いをいたしまして、質問を終わります。
  60. 粟屋敏信

    粟屋委員長 北沢清功君。
  61. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、このたび提出されました警察法改正を中心として質問をさせていただきます。  このたびのこの法の改正は、一九五四年以来の最大の組織改正であろうと思いますが、この大規模の改正をされるについてはそれなりに、内外社会情勢の移り変わりによる犯罪の質的な変化であるとか国際化であるとか広域化などがあると思われますが、まず、この改正についての基本的な認識なりお考えについて初めにお尋ねをいたしたいと思います。
  62. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 お答え申し上げます。  このたびの警察法改正は、ただいま委員指摘のとおり、内外社会情勢変化に対応した警察運営展開を図るため警察庁組織改正を行うこと、また、犯罪広域化等に効果的に対応するため都道府県警察相互間の関係等に関する規定整備するという内容のものでございます。  最近の犯罪情勢の悪化、あるいは犯罪を初めとする警察事象の広域化、国際化、こういうものが一層進展をしておりますので、これに対しまして的確に対応し、我が国の良好な治安を維持向上するため今回の改正がぜひ必要であると考えまして御提案した次第でございます。
  63. 北沢清功

    ○北沢委員 日本の治安のよさというのは先ほどから御指摘がございましたように、世界に冠たるものであろうと私は思います。これは一つには国民性といいますか、日本社会の持っている、また地域の持っている美風といいますか、社会的慣習も大きな役割を果たしているわけでありまして、これに加えて、交番などに見られるようなきめ細かな警察システムが相乗効果を上げてきたと思われるのであります。  しかし、残念ながら、昨今、社会的規範が解体され変化していることと相まって、極めてシニカルな新しい型の犯罪などが多発の傾向が見られますし、また反面、検挙率の低下、現場警察力の低下が見られまして、従来のやり方では対処できない面が多々出てきているわけであります。ですから、このたびの警察法改正は、そうした時代変化にこたえて、日本の伝統ある治安のよさを守るために大きな成果が上がることを心より期待するものであります。  そこで、それに密接なかかわりを持っております生活安全局についてまずお尋ねいたしたいと思います。  この生活安全局というのは、これまでの刑事局保安部の体制を市民の安全確保という面からとらえ直して、その再編強化を図ることとするのでありまして、市民生活の安全を図るためには大きな役割を果たすことになるわけで、期待も大きいわけであります。その所管事務としては、従来の警らとか犯罪の予防のほかに、「犯罪事故その他の事案に係る市民生活の安全と平穏に関すること。」それから地域警察に関することというのが加えられております。これは具体的にはどういうような内容であるのかをまず教えていただきたいと思います。
  64. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 ただいま御指摘のとおり、最近の犯罪の増加傾向あるいはけん銃、薬物等こういうことが大変深刻になってまいりまして、国民の犯罪事故に対する不安感が増大する傾向にある状況でございます。  私ども、治安がいいかどうかということを判断いたしますときに、治安は人心にありと申しまして、常に、国民の方々犯罪事故に対してどう思っておられるか、不安感を抱いていないかどうか、それを重要視することが大事であろうというふうに思っております。先ほど申しましたように、昨今の犯罪情勢からして、国民の犯罪あるいは事故に対する不安感が増大する傾向にあるというふうに考えております。  そうなりますと、犯罪が起こった後に事件検挙をする、これは当然それに努めなければなりませんが、その前段の、犯罪発生しないようにする、あるいは犯罪を軽微な状況で抑え込むというような諸対策が大変重要であろうというふうに思います。  委員もおっしゃられましたように、市民生活に身近な警察行政をより強力に推進したいというがために、保安部の体制を再編強化して生活安全局を設置するというものでございます。  お話がございましたように、「犯罪事故その他の事案に係る市民生活の安全と平穏に関すること。」というのを所掌事務に書いてございますが、これは、従来保安部が持っておりました「犯罪の予防」、「保安警察」あるいは「警ら」という所掌事務につきまして、市民生活の安全と平穏を確保するという面、個人の保護に着目してとらえ直して明記したというものでございます。  具体的にどういうことをするのかといいますと、犯罪被害の防止あるいは市民生活侵害事犯からの保護、雑踏などにおける事故の防止、各種悪徳商法等に対する困り事相談の対応といったものが挙げられるところでございます。  次に地域警察でございますが、これは、地域の実態を掌握いたしまして、その実態に即し、かつ住民意見及び要望にこたえた活動を行いますとともに、市民の日常生活の場におきまして、常に警戒態勢を保持し、すべての警察事象に即応する警察活動意味するものでございます。
  65. 北沢清功

    ○北沢委員 現代の情勢というのは、犯罪ばかりではなくて、非常に不安の時代と言われるわけでありますが、そういう面で、この改編を通じてさらに国民の不安の中で大きな役割をひとつ果たしていただきたいと思います。  そういうことと関連しておるわけではないかと思うのですが、既にスタートしております制度であります地域防犯パイロット事業、それから学識経験者などで構成しております生活安全研究会が既に活動を始めているというふうに聞いておるのですが、こうした制度の目指すところのものは何か、また実が上がっているといったことがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。  また、このたびの予算案に組み込まれております民間ボランティアによる生活安全モニター制度も一連のものと考えてよろしいかと思われるので、あわせて趣旨等についてお聞かせいただきたいと思います。
  66. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答えいたします。  お尋ね地域防犯パイロット事業とそれから生活安全研究会の関係でございます。既にスタートしておるというような御指摘でございましたが、実は、これは予算に絡むことでございまして、まだスタートしていない、本年度から始まるということでございます。ですから、結果というものはまだ全然出ていないのでございますが、ただ、ねらいとしておるといいますか、私どもとして考えておりますことはこういうふうな考えに立っておるということを御説明申し上げたいと思います。  現在、既に全国の各地域では、それぞれの地域の実情に応じまして、地域住民なり自治体なり警察のそれぞれが連携いたしまして、犯罪でありますとか事故でありますとか災害等の発生を未然に防止するためのいろいろな活動を、その地域ごとに違いがございますが、地域安全活動とでも申しますか、例えばこういうものが既にいろいろな形で過去から展開されてきたところでございます。  例えば、幼児などに対しますいたずらだとか誘拐等の防止のために通学路の防犯パトロールをやっている府県もございます。あるいは防犯灯を設置する、あるいは街頭での自転車の防犯登録や、かぎかけ促進運動などをやっております。こういうものが対象になるわけでございますが、こういうような活動地域においてさらに効果的に推進されますように、本年度から全国で百九のモデル地区におきまして地域防犯パイロット事業を開始したい、本年度の事業として開始したいと考えておるところでございます。  それからもう一つ、生活安全研究会の関係でございます。私ども保安部ではこれまでも、保安行政を国民の意識に沿ったものにするために、地域安全活動の推進でございますとか、風俗営業等のあり方につきまして部外の有識者の先生方の御意見をいただいてきたところでございます。今般、生活安全局の設置をお願いする、そして、これをつくっていただけるのを契機に国民生活の安全に関する問題について広く有識者の御意見を賜ることとして、このようなものを置いていただきたいと考えておる、そういうものでございます。  それから、生活安全モニターについての御指摘がございました。この生活安全モニターはどのようなものを考えておるかということでございますが、地域の平穏と安全というものを守る活動が、先ほど申し上げましたように地域住民警察、自治体の三者がそれぞれ連携し、それぞれの立場で行われるに当たりまして、地域住民による自主的な活動というものがこの中でも最も大きな柱の一つだろうと思います。  ただ、このような自主的活動でありましても、地域住民の意向はまた十分に反映されなければいかぬだろうというふうに考えるわけでございます。こういった観点から生活安全モニターが各地において自然発生的に設けられてきておるわけでございまして、これは、この人たちを通じて住民意見なり要望のくみ上げが容易となって民間活動に生かされるというような意味で、私どもとしても大変望ましいものだというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  67. 北沢清功

    ○北沢委員 さまざまな面から市民生活安全確保のためにいろいろと方策をお立てになっておられますが、そうした制度や新しい生活安全局が、先ほど申し上げたように、日本の治安、市民生活の安全性が警察官の皆さんの日夜たゆまざる努力によってつくられているということに感謝をしておるわけでありますが、とかくここで難しい面も実はあるのではないかというふうに私は思うわけであります。  きめ細かな対策を立てていただくことがもろ刃の剣となる一面も否定できないところがございまして、市民生活の隅々までに警察の監視が行き届くことによってプライバシーの侵害が起きやしないかという危惧も、直接このことが地域住民市民生活にかかわることが多いだけに、残念ながら出てくることがあるのではないかという心配をしておるわけであります。市民への警察の関与がふえること、規制強化によって誤解を与えることは、せっかくのこの制度改正の市民の人権や生活を守るための趣旨の徹底からいっても、また、意図に相反する結果が生ずることになるならば、まことに遺憾なことであろうと思います。こうした心配に対してどのように対処をされているか、一応お伺いをしておきたいと思います。
  68. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答えいたします。  私ども基本的にはこのように考えております。  地域社会の平穏と安全を守るに当たりまして、個人、地域住民警察のそれぞれがそれぞれの立場で必要とされる活動を行うべきというのが基本だろう。そう考えてまいります場合に、個人あるいは家庭内の問題についてはそれぞれその個人が対応すべき性格のものと考えております。そして、警察なり地域住民が、地域における安全を確保するための活動地域安全活動を行おうとする場合には、地域住民あるいは地域社会にとって共通の問題を対象とすべきだろうというふうに考えます。  このように、地域安全活動というものは個人のプライベートな領域には立ち入らないこととしておりますけれども、確かに御懸念のようなことがあってはなりませんので、プライバシーは尊重さるべしという観点から、今後とも十分に注意をするよう指導してまいりたいと存じます。
  69. 北沢清功

    ○北沢委員 ただいま御答弁がありましたように、そういう深い配慮でさらに御指導をいただきたいというふうに思っております。  次に、このたび新設されました国際部についてお尋ねをいたしたいと思います。  近年、非常に捜査の国際性がふえ、日本における外国人の犯罪が増加の一途をたどっている状況でありまして、これまで、国際捜査共助が刑事局の中の国際刑事課、また、外国人に対する犯罪の対応の事務局が警備局、PKOなどの国際協力関係が長官官房と、所管がばらばらであったと思いまして、これに一括対応できる国際部の設置は時代の要請にかなったものであろうというふうに思います。事態への速やかな対応が期待できると思うところであります。  そこでお尋ねでございますが、これからますます増加、複雑化すると思われる日本における外国人を対象とする警察活動について基本的にどのように対処をされるお考えなのか。また、昨年警察官のとうとい犠牲が出た国際貢献への警察活動、これらについても基本的な立場をお示しいただきたいと思います。
  70. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 まず、外国人の治安に及ぼしている問題について私から御説明をいたします。  まず、外国人関係の治安に及ぼしている問題につきましては、一つは集団密入国、それから不法滞在の問題がございます。これにつきましては今までも御説明いたしておりますけれども、集団密航が激増の傾向にあるという状況でございます。また、不法滞在者でございますが、これは法務省入管局の統計によりますとやや横ばい状態の傾向にはなっておりますけれども、三十万人前後が不法滞在者として日本国内にいるというふうに考えられるわけでございます。  次に、犯罪の問題でございますけれども平成五年中に検挙いたしましたのは、全刑法犯で七千二百七十六人、これは前年に比べて二二%余りの増加でございますが、日本人を含めた日本全体の刑法犯の増加が四・五%くらいでございますので、大変多いということが言えます。特に凶悪犯罪の増加が外国人について顕著でございまして、対前年三三%の増加でございます。  また、もう一つの大きな問題は、この外国人の不法滞在あるいは密入国を誘引する犯罪がふえているということでございます。一つは、先ほども説明いたしましたけれども、送り出しあるいは受け入れを組織的に行ってビジネスとして密入国を扱っている、対象にしている、そうした活動が活発であるということ、それから、不法滞在を容易たらしめるための文書偽造のようなことが組織的に行われている、こういう状況があるわけでございます。  したがいまして、警察といたしましては、凶悪犯罪、薬物犯罪、国際的な職業犯罪グループ等を中心といたしまして、治安を直接脅かす犯罪の検挙を推進しております。また、不法就労者、不法滞在者を呼び込むような犯罪の摘発を進めているところでございます。  また、捜査の能力、体制を強化するために、国際捜査官の育成でありますとか、通訳体制の拡充でありますとか、あるいは外国捜査機関との連携でありますとか、そうしたものを進めておるところでございます。
  71. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 PKO絡みの御質問でございますが、PKO活動のために実施される国際平和協力業務につきましては、国際平和協力法に基づきまして、基本的に総理府国際平和協力本部が実施の任に当たりまして、警察庁は関係行政機関としてこれに協力することとされております。国際部の新設によりましても、こうした基本的な枠組みは変わらないところでございます。  警察庁といたしましては、従来と同様に、国際連合平和維持活動につきましては、その重要性にかんがみ、文民警察部門において基本的に可能な範囲でその活動協力していくことが大切であると考えております。
  72. 北沢清功

    ○北沢委員 理解できるところでありますが、今回の国際部にしても生活安全局にしても、要は、国際部につきましては、やはり警察官自身が国際人でなければならない。そのための技能なり、また捜査のための通訳等を含めて、そういうものが完璧になってこそ初めてその任務が全うできると私は思うのです。  そういう意味で、警察官の皆さんは非常にお忙しいわけでありますが、教養といいますか技能の習得といいますか、そういう面について、現行のこの予算なりまたは体制の上で問題点があるかどうかということについて、一言お尋ねをしておきたいと思います。
  73. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 本当に社会がどんどん発展いたしまして、それに伴って、それの反作用というようなことでいろいろな犯罪が出てまいります。しかも、国際化の度合いがどんどん進むということでございまして、私ども、今この国際化に対応しまして、何とか警察の通訳体制をしっかり確保するということが肝要でございます。少なくとも、しょっちゅう使います英語、中国語、韓国語等は自前の体制を確保いたしたいと思いますし、さらにアジアの特殊な地域の語学というのはなかなか整えるわけにまいりませんので、部外の方に嘱託をしてお願いするということでございます。そういう通訳謝金の今後の増額確保ということについても、いろいろ努めてまいりたいというふうに思っております。  また最近、警察といたしましては、やはり警察官の育成ということが大変重要でございますので、警察学校等におきます教養はもとよりでございますけれども、オン・ザ・ジョブ・トレーニングですか、刑事の方では刑事実践塾と言っておりますが、事件を検挙して熱い知識を持っている間にそれをほかの者たちに伝えていくということに努めておるわけでございまして、そういう教養のやり方につきましてもいろいろ工夫をしてまいりたいというふうに思っております。
  74. 北沢清功

    ○北沢委員 今申し上げたような面については、ぜひ積極的に、しかも予算もひとつ投入をしてやっていただきたいということを強く要望しておきます。  次に、広域犯罪に対する対応でありますが、犯罪の凶悪性であるとか捜査の困難性がとみに増しておりまして、現況において、これまでの体制の不備だとか欠陥を補いまして、犯罪処理のための機動性からいっても成果を期待しております。  ただ、一つだけ確認しておきたいのですが、ここで言われていることは、都道府県単位の管轄を取り外すということでしょうか。事実上の都道府県管轄区域の廃止となって、既に数県を単位とするところの、先ほどお話がありましたように、広域捜査隊が発足をしているわけであります。これが恒常的に組織されることになりますと、ある意味では中央的な意味での管理ということが集中するのではないかと思います。各都道府県の公安委員会との関連についてはどうなるでしょうか、老婆心ながらこの一点だけをお尋ねしておきたいと思います。
  75. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 現在の警察は、もう御案内のとおり、都道府県警察で、それぞれの都道府県の管内において職権を行使する建前でございまして、今回の法改正によりましてもそれは一切変わらないところでございます。  ただ、都道府県の境界付近で起こる犯罪等につきましては、これはそれぞれの都道府県の治安に大変影響を及ぼす場合が多うございます。したがいまして、その関係する都道府県が協議をいたしまして、共同してその事案を処理しようということが両方の治安の維持を守る上からも効率的であろうというふうに考えられるところでございます。  今回、警察法第六十条の二という規定改正するわけでございますが、これは現行の規定と同様な考え方でございまして、それぞれの都道府県の実情に応じまして都道府県の公安委員会の協議によりまして初めて管轄区域外の職権行使ができる。都道府県公安委員会の協議が前提でございます。そのように、都道府県警察の自主性にゆだねたということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  76. 北沢清功

    ○北沢委員 それでは最後に、この法改正によってますますその重要な役割を果たされることになる一線の警察官のたゆまざる御努力をお願いするとともに、改正によって実効にかける大臣の御熱意を披瀝いただいて、質問を終わりたいと思います。
  77. 石井一

    石井国務大臣 先ほどの他の委員の御指摘もございましたが、これだけ犯罪が広域化し、また国際化しておるのに、今これを実施に移すということはいささか遅過ぎたのではないか、こういうふうな御指摘もございましたが、確かに廃藩置県は百年近く前のことでございます。それぞれその体制の中に団結とそして整然としたルールを持って各県の警察はやっておりますけれども、いわゆる最近起こっております広範な地域における犯罪、また国際犯罪というふうなことに対処いたしますためには、今の改正を、十分対応のできる体制に、実働できるそういう体制に即動かすことによりまして、国民の平和と治安というものを守ってまいりたい、今後も十分努力をしていきたいと思っておりますので、ひとつよろしく御指導、御鞭撻を賜りたいと存じます。
  78. 北沢清功

    ○北沢委員 ありがとうございました。
  79. 粟屋敏信

    粟屋委員長 穀田恵二君。
  80. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は組織改正の問題について質問をしたいと思います。  今度の組織改正案では、「生活安全局所掌事務」の規定につきまして、「犯罪事故その他の事案に係る市民生活の安全と平穏に関すること。」が新たに加わっています。この意味するところをまずお聞きしたいと思います。
  81. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 先ほど北沢委員にお答えいたしましたとおりでございますが、従来からの保安部、保安警察の持っております所掌事務の中から、特に、市民生活の安全を確保する、その面を強調して書いたものでございます。従来からの保安警察事務分掌を別の角度から、個人の保護という角度から明らかにしたというものでございます。
  82. 穀田恵二

    ○穀田委員 この法律でいいますと、例えば二十三条に従来あったわけですね。それを二十二条の生活安全局に保安部の内容を、わかりやすく言えば移動させた。ところが、その中には二、三、四、「地域警察」、「犯罪の予防」、「保安警察」に関しては、わざわざこれ全部あるわけなんですね。それをさらに新しい項目、第一項として今までなかった文言を入れるということは、先ほどもありましたけれども、私はやはり、市民生活一般、全般に警察が介入して、権限が拡大されるんじゃないかという危惧が当然抱かれると思うのですが、その点はどうですか。
  83. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 今回の改正は、警察権限拡大を目指すものでは決してございません。警察の任務等に関します警察法第一条、第二条は改正しておりません。  先ほども説明申し上げましたように、従来は「犯罪の予防」、「保安警察」、「警ら」というふうに書かれておりました保安部の所掌事務をさらに細かく書き砕いた、そして特に市民生活の安全と平穏を守るということを真っ正面にとらえたというものでございます。
  84. 穀田恵二

    ○穀田委員 なぜこれを割としつこく言うかといいますと、今もお話ありましたけれども、例の警察法の一条、二条はまだ変えていないんだと。確かにそれは変わっていないのですが、その一条、二条の問題で、例えば警察庁長官官房の「警察法解説」というのにありますけれども、そこの中においてこう書いていますね。「戦後においては、民主警察のあり方として警察機関が国民の生活に干渉するような行政を担当することをできるだけ少なくするために、」整理したというように書いているのですね。だから、戦後においては警察が国民の生活に干渉するようなことをできるだけ少なくするという、いわゆる消極行政と言われていますが、そういうことは旧法でも、そして現行法でも引き継がれているわけであります。  私はこの点、警察庁の考えは引き継いでいると思うのですが、改めて、その点は今回の改正でも変更はないのか、その精神がどうなのかということについて、もう一度お聞きしたいと思う。
  85. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 先ほど御説明申し上げましたとおり、今回の警察法の一部改正は、警察の任務等に関する警察法一条、二条の規定改正内容とするものではございません。新たに設置することといたしております生活安全局におきましても、従来同様、警察の任務等の範囲内において活動することに変わりはございません。
  86. 穀田恵二

    ○穀田委員 従来同様変更ないと言うのですけれども、例えばこの二条の「警察の責務」という中で、「警察法解説」の書類によりますとこう書いているのですね。「警察活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきもの」だということをわざわざ書いているのですね。その前項とは、御承知のとおり「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び」ということで、「その他公共の安全と秩序」と書いているわけですね。  わざわざそれを詳しく書いて、それを厳格に守らなくちゃならない、この範囲に限られるべきものだということを言っているわけですが、そうなりますと、先ほど述べた生活安全局においては「市民生活の安全と平穏に関すること。」ということになりますと、どうも逸脱する嫌いがあるんじゃないか、率直に言ってそういう嫌いがするのですが、その辺はいかがですか。
  87. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 都道府県警察の責務といたしまして、「個人の生命、身体及び財産の保護」、それとともに「公共の安全と秩序の維持」、この二つの責務を果たすことが警察の務めでございまして、今回、「犯罪事故その他の事案に係る市民生活の安全と平穏に関すること。」といいますのは、まさに個人の生命、身体、財産の保護に任じるというその責務を果たすためのものでございます。
  88. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、警察活動は本来、個人の権利と自由を保護するということが肝心であって、特に実際上は制限するということになりますね、当然。したがいまして、非常に厳格にやらなくちゃならないということを改めてこれは強調したいわけですけれども、特にこの文書にも書いていますように、「警察はもつぱら社会公共の秩序に関係のある生活を対象とすべきである」ということを原則としているのですね。つまり、市民生活全般、一般というのは、漠とした話じゃなくて、やはり同じく生活の部面でも社会公共の秩序に関係のあるということが大事なのですが、そのとおりでいいのですか。
  89. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 先ほどと同じ答えになって恐縮でございますが、警察法一条、二条に書かれておる責務等の範囲内で当然権限を行使していくものでございます。
  90. 穀田恵二

    ○穀田委員 つまり、今も言われたように、今回の改正でもその原則というのは変更はないということですね。それは確認してよろしいですね。
  91. 廣瀬權

    廣瀬政府委員 御質問の趣旨が、行政は法律の目的の範囲内で法律規定に従って行われなければならないということでありますれば、警察としてその原則に従うというのは当然のことでございます。
  92. 穀田恵二

    ○穀田委員 といいますのは、私はやはり、先ほど申しましたように、市民生活全般に介入するような危惧というのをどうしても覚えるわけですね。それは、例えば秋田県では由利郡の象潟町それから金浦町それから仁賀保町に始まった防犯指導員条例の制定の動きが県下の自治体に広まって、既に六割以上の自治体で条例が制定されています。この条例制定の背景に警察から自治体への働きかけがあるわけですが、警察庁はこのことを全国的に指導しているのですか。
  93. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答えいたします。  御質問の条例が幾つかつくられておるということについては承知をしております。これらの条例につきましては、それぞれの自治体におかれましてその議会で十分に審議をされた上で制定をされたものと理解をしております。
  94. 穀田恵二

    ○穀田委員 自治体で議論をされたのは、それは当然のことなんですが、警察庁全国的にこういうことをやれということで指導しているのですかとお聞きしているわけです。
  95. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 繰り返しになりますが、それぞれの自治体で十分に審議をなされて、その必要性内容等を審議されて制定されたものと承知しております。
  96. 穀田恵二

    ○穀田委員 では、警察庁は関知してないということですね。もう一遍。
  97. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 再度お答えいたしますが、条例というものは、それぞれの自治体におきまして、その必要性なり内容等について議会において十分審議をして制定されるものだと承知しております。ですから、その制定についてだれが要請をしたか働きかけたかとか、そういうようなことについては、申し上げるのは失礼かと存じます。それぞれの自治体において制定されたことについて、要請があったのか働きかけがあったのかとかなんとかということについて、そういうことについて云々することは失礼かと存じます。
  98. 穀田恵二

    ○穀田委員 それでは、秋田県の合川町の議会の答弁ではこう言っているのですね。「指導隊のこの条例のひな形でありますが、これは、おっしゃる通り、その準則のような形で警察の方から示されたことは事実であります。」警察が事実上指導しているということを答弁で言っているのですね。さらに「あくまでも、この条例案そのものの準則につきましては、警察署の指導を受けたということは事実であります。」ということを二度にわたって実は答弁をしているわけです。  だから、条例のひな形が警察から示されたと答えているわけだから、県警が独自にこういうことをすることがあるんだろうか、それとも警察庁の方でそういうことをつくって指導しているのかということを疑わざるを得ないからこれは質問しているわけですね。こういう形で細部にわたって次々といろんなことが行われていくということを、先ほどの関係で危惧を覚えるからこれは質問をしているわけなんです。どうですか。
  99. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 繰り返しになりますけれども、先ほど御答弁したことと同様でございまして、いろんな経緯があったかもしれませんが、それはすべて、それぞれの自治体の議会において必要性、合理性、内容等について十分審議をして御制定になっているものだというふうに考えます。
  100. 穀田恵二

    ○穀田委員 これは、私が警察庁全国的に指導をしているのではないかと思うもう一つの理由があるからなのですね。  それは、京都でもそういう形での条例を制定しようかという動きがあって、その理由の一つに地方自治法第二条の規定を挙げています。秋田でもやはり同じような説明を行っています。自治法二条の防犯の規定を持ち出してその条例の根拠にするというのは、そういう考え方というのは、当然警察でなければできないと思うのですね。しかも、一つの県ではなくて複数の県で同じような説明がなされているとすれば、普通に考えて、全国的な指導が行われているのかなと思うわけですよ。だから、わざわざ一つの事例として秋田県でずっと広がっているという事例と、それから京都でもそんなことが起こっているので、全国的にそういう指導をしているのかということをちょっと聞いているわけなのですね。
  101. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 何遍も繰り返しになりますが、防犯に関しますことはそれぞれの自治体の事務になっていることは御承知のとおりであります。地方自治体がこれに関して条例を制定なさるについて、それぞれの自治体においていろいろな御判断があって、そして自主的に制定されるということになるということも、そのとおりであります。ただ、その際に、いろいろな形で警察に対して意見なり技術援助等を申し入れられることもあろうと思います。そういう場合には所要の対応をするということだろうと思います。  いずれにしましても、お尋ねの条例につきましては、自治体の議会で十分に審議をされた上で制定をされたということでございましょうから、私どもとしてはそれ以上に答弁することはないと存じます。
  102. 穀田恵二

    ○穀田委員 どうもあれですけれども、では、もう少し立ち入って聞くとして、逆に言えば、こうした条例に基づく防犯指導員というのはどんな仕事をするのかということについてはお答えできますか。
  103. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 一般的な防犯指導員をあれでございましょうか、それとも何か問題となっております……  委員指摘の当該町の防犯指導員については、たしか既に以前から存在しており活動もしておったものについて身分保障等をする必要があって、報酬なり公務災害補償の規定を置くことを主眼とした条例であるというふうに承知しております。
  104. 穀田恵二

    ○穀田委員 では、ちょっと具体的実例を挙げて聞きますけれども、例えば男鹿半島の男鹿市の防犯指導員条例によりますと、「警察機関及び男鹿市防犯協会等と緊密な連携を図り、犯罪等の未然防止のための調査研究及び防犯指導を行うものとする。」こういうことを書いているのですね。私は、ここの点では明確に警察と一体の仕事であって、先ほど条例制定の権限その他の話はありましたけれども犯罪等の未然防止のための調査研究などということに関して言うならば、本来の自治体の業務の範囲を超えるものだと思うのですね。  しかも、先ほど若干ありましたけれども、指導員だとかそういうのになりますと「防犯に関する知識に精通する者」が条件となっている、こういうことまで実はこの防犯指導員条例には書いているわけですね。これもまたざっと広げられている。そういう形でやるとすれば、例えば今言った「防犯に関する知識に精通」となりますと、これはもはや警察官のOBしかいませんよ。そうすると、警察OBを自治体が雇用して、ほとんど非常勤だけれども警察協力して犯罪等の未然防止のための調査研究などを行う、こういう形に結果としてなると思う。  そうなりますと、これは自治体でやる仕事ではなくて、警察のやる仕事がこんな形でなる。だから私は、どうも先ほど言った点で、条例制定の権限その他は当然地方自治体、公共団体にあるわけだけれども、こういう指導がやられているのじゃないかということを危惧しているわけなんです。その辺はどうですか。
  105. 中田恒夫

    中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。  今お挙げになりました条例について、具体例、中身についてちょっとつぶさに承知しておりませんので一般論でお答えする格好になりますが、他の委員の御質問においてお答えしましたように、地域生活の安全、地域の安全の確保という問題につきましては、地域住民、それから自治体、それから警察、それぞれがそれぞれの立場でいろいろな責任はあるだろう、そして、その三者は連携してその責任を果たしていく必要があるだろう、そしてまた、連携をとることがより望ましい結果を生むだろうということは、これはもう御理解いただけるところかと思います。  その条例の具体的な規定なりについては存じませんけれども、三者が連携をしようということについては、そのような趣旨であるとすれば、何らおかしなこともないと思いますし、また、それは市の条例でございましょうか、市ないし市長の責務を果たすために市のおやりになることをお書きになっておられるのだろうと思いますから、当然地方自治法の要求する普通地方公共団体の責務を果たす中身でその仕事がなされるのでございましょうから、私、直ちにそれがどこに問題があるのかわからぬのでございますが。
  106. 穀田恵二

    ○穀田委員 私が言っているのは、それぞれの立場という話がありましたけれども、本来地方自治体がやるべき責務というのは当然地方自治体のやるべき責務であって、今具体的にお話ししましたように、実は防犯指導員という形でそういう条例をつくったりしていることが、現実にはどうも警察の仕事がそういった形でやられているのじゃないだろうかということを指摘しているわけなんですよ。だから、それぞれの立場でそれぞれの階層に見合った形で地域の安全や平和を守るためにやる、それ自身は異議がないわけですよ。そういう肩がわりをさせて、一つ一つ実際には食い込んでいくこと自身が問題ではないかと私は思っているということなんですね。その辺を指摘しておきたいと思うのです。  最後に、もう一つの改正の関係ですけれども警務局を廃止して事務長官官房に移管することについてだけ、一つ質問をしたいと思います。  警察官というのは、特に国民の権利義務に深い関係を有しているわけですね。ですから、何よりも警察教養では、本来、憲法と基本的人権擁護を徹底することが必要だということは言うまでもないと思うのです。私は、警務局から長官官房所掌事務が移ることによって、本来人事やそういったものを管理する部局が異動するわけですから、そういう中で、警察官に対する国民の権利擁護の教育がいささかも後退することがあってはならないと思います。そういう点で、失礼ですが、最後に大臣に所信を伺っておきたいと思います。
  107. 石井一

    石井国務大臣 御指摘のとおり、国民に対していささかでも権利義務の後退があってはならない、そう認識いたしております。  今回のこの部局の変更というのは、御存じのとおり、人事管理なり教養というふうなものが中身を変えずそのまま長官官房に移るということでございまして、そのこと自体変えるわけではございません。これは警察官が現場において各種の職務を行使することからして絶対に必要なものであり、また、その長官官房の部局の中に予算でありますとか装備でありますとかというふうなものが連動することによって、もっと効果的、機能的にそれを措置できるというふうなメリットもあるだろう、そのように思考いたします。  今後とも、憲法の基本的人権、そしてその尊重に十分配慮してこの執行を行っていくということを申し上げたいと存じます。
  108. 穀田恵二

    ○穀田委員 終わります。
  109. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  110. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  警察法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  111. 粟屋敏信

    粟屋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 粟屋敏信

    粟屋委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  113. 粟屋敏信

    粟屋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ────◇─────     午後二時三十五分開議
  114. 粟屋敏信

    粟屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
  115. 小林守

    ○小林委員 社会党の小林守でございます。  地方行政委員会におきます質問といたしましては、およそ一年ぶりぐらいになろうかと思いますけれども、きょうは大臣の所信に対する質疑ということで、社会党の地方行政部会長の立場から御質問をさせていただきたいと思っております。  大臣におかれましては、政治改革特別委員会委員長として国民の最大の課題である政治改革法案を取りまとめていただき、そして、いよいよ完結に向かっての最後の区割り法案の成立に向けて取り組んでいるところでございますけれども、政治改革関連四法案を完結させることと税制の抜本改革が羽田内閣の最大の課題だというふうに大臣は表明されているとお聞きしております。  そこで、昨日区画画定審議会において区割り基準が決定され、また、今後中間報告がされる見通したというような報道があったわけでございますけれども、具体的にこの中間報告はいつごろになる状況なのか、そして、今後の中間報告後の国会での取り扱い、それから法案提出の見通し等については、どのように今の状況の中で考えられているのか、お示しいただければと思います。
  116. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 区割りの画定審議会におきまして、昨日六月二日に、区割りの基準を取りまとめた内容を主といたします「区割り案の作成方針」を決定したところと聞いております。  この区割りの基準につきましては、国会への中間報告を求めるということにつきましては、政治改革協議会におきまして連立与党と自由民主党との間で合意されたものでございまして、その実施の日時だとか方法などにつきましては、各党間で御協議をいただきたいと考えておる次第でございます。  政府といたしましては、審議会から区割り案の勧告が行われましたときには、勧告を尊重いたしまして関連法案を早急に作成をいたしまして、国会に提出したいと考えている次第でございます。
  117. 小林守

    ○小林委員 マスコミ等の状況によりますと、既に大臣は政治改革特別委員会において報告したいというような、するというような段取りを詰めているというようなことでございますし、通り一遍のお話ではなくて、政治状況にかかわる極めて重要な問題でございます、国民注視の問題でございますので。  それでは、中間報告を国会にされた後、区割り作業に審議会は取り組むわけですけれども、区割り作業は具体的にどのくらいかかるのか。実は海部内閣のときにも四回ぐらいの審議会で区割り作業は終わったというような経験がございますけれども、今度のものについては区割り作業は幾日ぐらいかかるのか。前例などを参考にしているのではないかと思うのですが、いかがですか。
  118. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 昨日審議会でこの区割りの作成方針を決定したばかりでございます。これから国会での中間報告につきまして国会でいろいろ御協議をいただきました上、審議会の方で中間報告をするという運びになると思われますが、現時点におきましては、中間報告後の区割りの作業をどういった段取りでやるかということにつきましては、まだ審議会において議論がなされておらない状況でございまして、現時点において、私、審議会の事務局を担当しておりますけれども審議会においてどのようなスケジュールでやるということにつきましては、まだ議論に至っていないというのが現状でございます。
  119. 小林守

    ○小林委員 後で大臣から総括的にこの問題については答弁していただくということにしまして、もう一つ、事務的な観点になりますのでお聞きしたいのですけれども、勧告がなされて総理大臣が受けるわけですね。総理大臣は、国会にどういう形で受けるかどうか、報告するかどうか。いずれにしても総理大臣が受けた時点で法案化の作業が進められるわけですね。法案化の作業の中では、例えば内閣法制局の審査とか、それからもちろん印刷という問題もあるわけですが、これらについては事務的にどのぐらいかかる予定になっているのか。
  120. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 最終的にどういった内容の勧告がなされるか、これについてはまだはっきりしておらない状況でございますし、また法案化作業の問題につきましては、あらかじめ内閣法制局といろいろな点について打ち合わせ、調整等も必要でございます。したがいまして、現時点におきまして法案化作業にどの程度の期間がかかるかというところにつきまして、まだ私ども具体的な検討には至っておらない状況でございます。
  121. 小林守

    ○小林委員 全部具体的な数字を挙げないようになっているようですけれども、印刷は一週間ぐらいだということではよろしいんですか。
  122. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 これも、まことに恐縮でございますけれども、どういった具体的な法案が法制局との協議で最終的な案となるのか、そういうこととも関連いたす問題でございまして、現段階におきまして、どの程度の印刷期間を要するかということにつきましても、私どもまだ事務的な検討に入ってはおらない段階ということにつきまして、御了解いただければありがたいと思います。
  123. 小林守

    ○小林委員 具体的にはしゃべるなということになっているのかもしれませんが、それじゃ、区割りの勧告期限はいつなんですか。
  124. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 区割り審議会の設置法におきまして、委員が任命された日から六カ月以内といった規定がございます。
  125. 小林守

    ○小林委員 いつになりますか。
  126. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 委員が任命されたのは四月十一日でございます。これから六カ月以内というのは十月十一日ということでございます。
  127. 小林守

    ○小林委員 そういうことで、十月十日ですかまでに勧告するようにということなんですけれども、実は大臣の発言、記者に対する発言の中に、いわゆるその区割りの周知期間の問題も絡んでいるわけなんですけれども、この周知期間は極めて短縮できるんだというようなこともございますし、今国会で何としてでも成立させたいというような発言もございました。  もちろんこれは、現在の連立与党の政策合意の中で我々も参画して合意された内容ではございますけれども、今国会で実現して新しい選挙制度でやるんだというようなところまでのことはあったわけですけれども、我々、その後の極めて信義を失うような状況の中で政権を離脱するというような状況になったわけでありまして、その問題については、合意したことについては国民に対する我々の独自の党としての責任を果たしていこうというようなことですけれども、現在の与党に対する責任を負う立場にはないということだけは申し上げておかなければならないと思っているところでございます。  周知期間にかかわる問題について、大臣が、短縮は可能だ。周知期間については、要は法案の施行規則にいつから施行するというような月日が入るわけですね。これが周知期間にかかわってくるわけなんですけれども、周知期間は短縮が可能だというような発言を、誘導的な発言をされているということと、もちろん大臣そのものが政治改革特別委員長という立場もございますし、またこの政治改革関連四法の完結に向けて激しい情熱を燃やされているということで、そういう点では敬意を申し上げたいと思いますけれども、しかし、審議会の内容に介入するような、介入しないと言っていながら介入するような発言を随分してきているんですね。情熱がほとばしっているのではないかという感じもするのですけれども、そういうことで、少なくとも少数与党政権内閣としてもっと慎重であるべきではないか、そのように感じられてなりません。  例えば、区割り法案の問題についての発言に関連してずっと新聞を読んでみましたけれども、区割り法案は今国会で成立させたい、答申があればすぐ国会で成立させることができる、この辺は極めて重大な発言だろうというふうに思いますし、また、区割り基準がきのう決まったようですけれども、飛び地をつくらないことを優先すべきだということも発言されています。結果的にそうなったわけですけれども、これらについてもやっぱり大臣としてマスコミ等での発言というものはどうなのかということを心配いたします。  それから、区割りは海部内閣時代にやっており、残るは微調整でそんなに時間がかかるとは思わないというような、思惑も含めた、期待を込めた発言が目立っていると思うんですけれども、そういう点で、今度は大臣から、一連のこの法案の提出の見通しとそして今日までの大臣のこの問題についての対応、発言の問題等も踏まえて一度御答弁いただきたいと思います。
  128. 石井一

    石井国務大臣 ただいま選挙部長より事実関係について御報告をさせたわけでございまして、今小林委員がおっしゃいましたことにつきまして、私なりの見解を申し述べさしていただきたいと思います。  一つには、私、政治改革の特別委員長としてそういう立場、また政治改革の与野党の座長といたしましてその意見をまとめてきた立場から発言すべきそういう自由な立場と、政党人としての立場と、それから自治省の選挙を担当いたします大臣といたしましての立場とは、おのずからこれは区別をしなければいかぬことでございまして、今いろいろと御指摘をされましたけれども、私が場合によっては行き過ぎた発言をした場合もあったかもわかりませんが、今申した基本的なスタンスを注意して守ってきたつもりでございます。  また一面、マスコミのサイドも非常に誘導的でございまして、あるいは希望的なところもございますし、独善的なところもございまして、そういう中から、こうなるというのが私のいささか発言のように報道されたというふうな一面もございまして、私もできるだけこういう公の席ではこの微妙な問題については発言を慎むという気持ちできようも拝聴をしておったというのが、私の偽らざる心境であるということを、まず御理解いただきたいと思います。  それで、小林委員の聞かれておることに対しましてお答えをさしていただく前に、もう一つ。法案は成立をいたしましたが、選挙区画定審議会のメンバーは自治省とは全く関係がなく、総理が任命される、公正中立な方を任命されたわけでありまして、当時の細川総理がこの任命を行われたわけでございます。また、この機関は、いろいろやりとりがございましたけれども、衆議院に附置せず、総理府に附置する。ただし、選挙の事務を取り扱っておるのが自治省の選挙部でございますので、それが事務的な問題の整理等に当たっておるということでございまして、任命に関しましても、審議内容に関しましても、その後の答申に関しましても、自治大臣はその権限は一切持ってないし、それに対して想像で物を言えるというふうなことはありますが、それはできるだけ慎むべきでございますけれども、私がそれと連動をしたり話し合いをしたりして物は全く進んでおらないということでありまして、その点につきまして、ここでいつも選挙の議論をしておりますし、これまで政治改革の議論も私が中心でやってまいりましたので、何もそういうふうに動いておるというふうにお感じになるかもわかりませんが、いやしくも自治大臣に任命を受けましてから後は、冒頭に申しましたことにつきまして、そういうことを十分心に置きながらあの発言をしてきたということを申し上げたいと思います。  そこで、告知期間の問題に関しましては、私がこれまで発言いたしましたのは、海部内閣当時の小選挙区比例代表並立案においては、告知期間というものは三カ月というものが規定されておりましたけれども、宮澤内閣が提案いたしました五百の小選挙区制度以降、告知期間についての期日の規定というものが外れておる。したがいまして、そのときの政治情勢によって、どうしても必要があれば告知期間を省略するということも法律的には可能ではあるけれども、しかし、国民の立場から考えれば、やはり明記はなくても三カ月程度の告知期間というものがあった方がベターなのではないか、告知期間は長ければ長い方がいいのではないか、こういう発言をしたわけでございます。ところが、後半の重要な部分はその記事から欠落し、最初の部分だけが、いかにもそれは必要ないというふうに言われておるところは心外でありますが、私が申しておりますのは、今の一連の中にそういう話をいたしておるわけであります。  それからまた、この国会中に法案ができるかどうかということは、これを明記しておるわけでございますが、与野党の──社会党も参画をされました与党の中での羽田政権成立に至る合意事項は、早急に関連法案を国会に提出し、可能な限り今国会で審議し成立させる、次回総選挙は新制度のもとで実施すると、こういうことを、まあそれから離脱はされておりますけれども、いわゆる細川内閣当時の与党連立はこういう気持ちで政策合意をしたという事実がある。  それからまた、自民党さんの方におかれましては、最近の政策の発表というものがあるのでございますけれども、(小林委員「いや、大臣、自民党の方の話は結構でございます」と呼ぶ)いや、これは非常に重要でございますから、ちょっと聞いてください。自民党は、衆議院選挙区画定審議会による区画区割り案を全面的に尊重し、政治改革法を早期に完結させる、これが党改革、政権奪還を目指しての政策でございますから、この二つがある限り、こういう方向に進むのではなかろうか、こういう想像を申したわけでありまして、自治大臣としてそうするとかなんとかというおこがましいことは一切言っておらぬということを申し上げておきたいと思います。
  129. 小林守

    ○小林委員 それでは、次に移りたいと思いますが、要は政治改革、選挙制度の改革の中で大臣発言にかかわることで、これは積極的に評価していきたいなと思っているような発言もございます。  いわゆる在外邦人の投票権の保障の問題で大臣が発言されているということなんですが、昭和五十九年にこの公選法改正案は出しておって、一年もあればこの法案の準備はできるのではないか、この問題を解決できないなら怠慢ということになるというようなことを、どの席で言ったのかわかりませんが、そういう点では評価できる発言だとは思いますが、制度改革の一つとして、今後の取り組みについて、簡単で結構ですから大臣の所信をお願いします。
  130. 石井一

    石井国務大臣 それは、私が大臣就任のときの言葉でございます。  御承知のとおり、数カ月前特別委員として、約十五名の与野党の在外選挙調査団、社会党からは左近さん、堀込さんが参加になりましたけれども、オーストラリアあるいはクアラルンプールへ参りましたが、そこでも熱烈なる強い希望がございました。そういう客観的事実、それから法律的には日本国籍を持っておる者は当然投票権があるということ、それから第三番目には、先進各国においてこれを実施しておるということ、そして四番目には、御指摘になりました、もう既に政府案としてこの法案が提案されたというふうな、これらのいろいろの問題を考えましたときに、私は、この問題は確実な制度ができなくても一歩でも踏み込んで、せめて制度だけでも導入する。永住権者に与えるかあるいは短期滞在者に与えるか、郵便投票にするか、いろいろな問題があるのですが、できることから一歩でも踏み込むということがこの時期に必要なことではないか、そう考えまして、倉田政務次官に、自治省はいいから外務省と、外務省はもう百の国にまたがっておる選挙を執行するのですから、いろいろな技術的問題がありますので、この問題を十分精査してもらいたいということを今命じておるところでございまして、何らかの進展を期待したい、そう思っております。
  131. 小林守

    ○小林委員 それでは、今日までその在外邦人に投票権が与えられていなかった理由について、事務当局で結構ですから、挙げていただきたいと思います。国籍がありながら、ですから参政権がありながら投票権がなかったという理由は何だったのか、幾つか挙げてください。
  132. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 この問題につきましては、非常に長年の経緯がございまして、昭和五十九年に法案を提出したこともございます。ただ、法案は提出いたしましたけれども、これにつきましては審査は一度も行われないままの状態で廃案となった経緯がございます。  国会で、この法案につきましては、先ほど申し上げましたように御議論はございませんでしたけれども、私どもいろいろなところでそういうものを調整する過程で問題点として挙げられましたのは、一つは投票の手段でございます。これは郵便投票を採用するかどうかということにつきまして、不正行為防止の観点から、現行の公職選挙法では郵便投票というのは国内でも非常に限定的にしか認められておりません。したがいまして、昭和五十九年に提案させていただきましたこの在外選挙制度につきましては、郵便投票の制度採用されておらなかったわけでございます。  それから、例えば、これは国外での投票でございますので、この立候補者の氏名だとか政見等をどのようにして在外の選挙人に周知をするのか、周知できるのか、こういったような問題もございますし、それから、在外選挙の対象者といたしまして短期滞在者や海外永住者の取り扱いをどうするのか、こういった問題、その他にもいろいろございます。いろいろな問題点が指摘されておるところでもございまして、これらの問題をいかに解決するか、それからほかの省庁にもまたがるわけでございますので、ほかの省庁との調整なり協議をどういう形で進めるか、そういった問題がございます。
  133. 小林守

    ○小林委員 よく箇条書きぐらいにまとめて、この問題を必ず解決するということでぜひ責任を持って取り組んでいただきたい、そのように思います。  次に、定住外国人の問題、定住外国人という言葉そのものは法的な概念ではないようですけれども、いわゆる日本に永住されている外国人の参政権の問題について、一連の問題をお伺いしたいと思います。  要は、近畿地方を中心に九の議会で自治体の決議がなされている、地方参政権を認めるべきであるというような動きが起こっておりまして、大変大きな動向になっているというふうに思いますけれども、この問題については、実は矛盾点というか、いろいろな問題があるということなんです。  都道府県、市町村議会の議員定数を定める際の算定基礎になる人口の中にはいわゆる定住外国人の数は含まれて定数が割り出されるわけなんですが、実際は参政権は与えられていないということですね。実際に選挙権がない外国人を定数の算定基礎の人口とするというところに矛盾があるのではないかということですね。  それから、もちろん定住外国人というのは、その自治体の行政サービス等を受ける権利も、もちろん納税義務を果たしておりますし、そういう点で当然の権利を受けるわけなんですけれども、参政権は認められていないという問題なんですね。しかし、今後、納税をされている方によって我々は政党助成法という形で、政党そのものが国民のというか、住民も含めて助成をいただくというようなことになるわけでありますから、その辺についていかがなものか。  当然、これは少なくとも憲法上の解釈の問題があろうかと思いますし、それから国際人権規約とか、それから日本の憲法の中でも、一つは十五条で日本国民の固有の権利という形で、選挙権を、参政権を「国民固有の権利」として、十五条では日本国民というふうに言っているわけなんですが、そこの条文で言うならば、定住外国人は確かに日本国民ではないと言わざるを得ないですから、固有の権利はないというふうに言っていいかと思います。  しかし、憲法九十二条「地方自治の本旨」、それから九十三条の二項のいわゆる「地方公共団体の住民が、」という、住民は選挙する権利があるというようなことを考えますると、少なくとも地方参政権はあっていいはずだ、少なくともこれは解釈でできるというふうに私は思っているのですけれども、当然一定の条件のもとで地方参政権は認めるべきではないかということを思っているわけですけれども、これらの観点を踏まえて、大臣の考えをまとめてお聞きしたいと思います。
  134. 石井一

    石井国務大臣 いろいろの論点を挙げられまして、それはそれなりに主張のある一つの意見だというふうに思います。  それに対しましての反論は、私の意見と申しますよりもまず法律的な根拠として、憲法では前文で、日本国の国民に与える主権の原理ということがうたわれておるのみならず、憲法の規定の中にたくさん、国家公務員に対する規定、国会の組織、地方公共団体の機関の選挙、それから憲法以外に公職選挙法、地方自治法住民基本台帳法、外国人登録法等に法律的に投票権を与えることが禁止されておる条項が非常にたくさんございます。政党助成法の問題を挙げられましたけれども、なかなかこれだけの法律がガードしておる場合に、簡単にこれを付与するということが難しいということが第一点。  第二点目は、過去、これに不満を感じられる皆様方が相当な訴訟を行われておりますけれども、これは地裁におきましても、高裁におきましても、最高裁におきましても、すべて棄却というような結果が出ておるということでございますので、相当難しい問題があるのではないか。  第三番目に言えますのは、これは外国の例を見ておりましても、実施いたしておりますのはニュージーランド一国でございまして、あとは、地方レベルでは東欧の諸国がある程度いたしておりますけれども、先進国と言われますフランス、ドイツ、アメリカ等々においては地方あるいは国政ともにすべて行っておらない、こういうことも一つの判例になるのではないか。  なお、もう一つ私なりに申し上げたいと思いますのは、外国人の登録をしております在住者八十八万六千三百九十七人のうち、朝鮮半島の人口が七〇%ございます。朝鮮半島は分裂国家であり、激しい対立があるというふうなこともやはり政治的な配慮の一つに加えられるのではないか。  しかしながら、とはいえ地方における参政権については、この辺で検討を少し前向きにしてもいいのじゃないかという個人的な考え方を私は持っておることを申し添えておきたいと思います。
  135. 小林守

    ○小林委員 いずれにしても、地方参政権の問題については、自治法や公選法の改正によって、憲法に触れずに解釈でやっていけるというふうに私は考えておるものですから、そういう点では国際化の中で一歩一歩人権状況を改善させていく、また特に朝鮮半島からの人たちの定住の問題は、これは日本には大きな歴史的責任があるということも踏まえて考えるならば、やはり前進的な姿勢で臨まないとまずいのではないか、そのように強く感じておりますし、大臣にもその点でぜひ頑張っていただきたいと願うところでございます。  それでは次に、地方分権の推進についてお聞きしておきたいと思います。  四月の二十八日に地方制度調査会が発足いたしました。さらに五月二十四日には行政改革推進本部の中に地方分権部会が設置をされたわけであります。実は、四月二十八日というのは、羽田総理が総理大臣になって組閣をしているちょうどそのお昼ごろだったのですが、私もその一員として、地方制度調査会のメンバーとして官邸に入ったということで非常に印象を強く持っているのです。  この地方制度調査会それから地方分権部会、それぞれの役割と関連、これからどうなっていくのかということをお聞きしたいと思いますし、あわせて、行革推進本部の、前の細川総理のものも含めまして、羽田総理も継続されておりますけれども、今年中に基本法の大綱方針を策定するというような方向性を示されておりまして、その次の年には法案化をすべきだというようなことでございますけれども、これらについて、地方制度調査会と分権部会との関係も含めて、今後どう進めていこうとしているのか、当面のスケジュールやプロセスも踏まえて御回答いただきたいと思います。
  136. 松本英昭

    ○松本政府委員 地方制度調査会と行革推進本部の地方分権部会との関係でございますが、行政改革推進本部に置かれます地方分権部会は、本年の二月に閣議決定されました「今後における行政改革推進方策について」、いわゆる中期行革大綱と言っておりますけれども、それを受けまして地方分権の大綱方針の内容を固めることを目的とするものでございます。したがって、これは地方分権推進の実行組織というような位置づけがなされると思うわけでございます。  一方、地方制度調査会というのは、地方制度に関します重要事項を専門的に調査審議いただく機関でございまして、これは既に今回で二十四次を数えているわけでございますが、これまでも数次にわたって地方分権の議論が行われてきたところでございます。地方制度調査会はそういう調査審議機関という位置づけでございます。  このようなことから、政府として地方分権の大綱方針の内容を固めていくに当たりましては、地方制度の改革と密接不可欠のものとしてなお専門的に調査審議していただかなければならない問題があると考えられるわけでございまして、そういう事項につきましては地方制度調査会で御審議していただくことになり、その両者が相互にフィードバックしながら審議または作業を進めていく、こういうことになろうかと思います。そういうことで、恐らく行革推進本部の地方分権部会におかれましても、今後のスケジュールの中で、この地方制度調査会の考え方等をお聞きしていただくような機会もあるのではないかと私どもとしては期待をいたしておるわけでございます。  それから、スケジュールの問題でございますが、二十四次の地方制度調査会におきまして、内閣総理大臣の方からもごあいさつの中で述べていただいておりますが、政府といたしましても国・地方関係等の改革に関する大綱方針を年内を目途に策定することとしているところである、そして、これらの事項につきましては、さきに述べた大綱方針に反映させることができるよう、年内の早い時期に中間報告をいただけるようお願い申し上げる、こういうふうに述べておられます。したがいまして、この総理大臣のごあいさつにありますところに従いまして、年内にこの大綱方針が定められますよう、それぞれの役割を踏まえながら調査審議並びに作業を進めていこう、かようなことになろうかと考えております。
  137. 小林守

    ○小林委員 それでは次に移りたいと思いますが、国民的課題、歴史的な課題というふうにも言えると思うのですけれども、地方分権というものが明治以降の日本の近代社会を大きく転換させていく課題だろうというふうに思いますし、二十一世紀に向かって我々がどのようなビジョンを、そして政治のシステムを、政治、経済、社会の仕組みをつないでいくのか、そういう点でもこの地方分権というのはまさに国家プロジェクトと言って過言はなかろうというふうに思いますし、また、累次の地方制度調査会や行革審答申やさまざまな民間団体等の意見も踏まえて、まさに総論においては地方分権については大いに結構だというような、やるべきだというようなところに至っているのだろうというふうに思います。  しかし、一歩具体的な問題になりますると、これは大変大きな壁にぶつかってしまう。例えばパイロット自治体の問題で、これはやはり国の権限をそのパイロット自治体にお任せする形によって地方分権の、また地方自治の大きな突破口にしていこうというようなものだったのだとは思いますけれども、実際は運営改善とか運用改善になってしまったというような状況でありますし、また、今後かけられてくるはずの自治法の改正で、広域連合、中核市制度の問題、特に広域連合の問題については、国から広域連合への権限の移譲の問題について大きな壁にぶつかった。中身ははっきり言えば省庁の抵抗だというふうに言っていいわけですし、官僚の一つの大きな壁の前に何とも調整が難渋したというような状況でありまして、中身は骨抜き的な状況になっているのではないかと言わざるを得ないものなのですけれども、しかし、枠組みをつくっていくということでは一歩前進かなと見ざるを得ないような、そんな状況であります。  そういうことで、自治省は、地方分権という観点に立つならば、地方自治体の、地方自治の本旨をまさに体してやっていかなければならない省なわけでありますから、そういう点で、自治省として、今なぜ地方分権なのか、なぜ分権が必要なのか。総論は賛成で、いつの間にか具体的になると何かみんな後退してしまうというようなことを考えるならば、何か地方分権というものが本当になぜ必要なのかということがわかっていないのではないか、わかっていてもやりたくないというようなことが中央省庁全体にあるのではないか。そういうことを我々はいかに打破をしていくかということが大きな課題なのだろうというふうに思うのです。ですから、一つは、今なぜ地方分権なのかということをお1聞きしたいということ。  そしてあわせて、これは大臣にもお聞きしたいと思うのですが、問題は、政府主導型の地方分権というような進め方はもう限界に来ているのではないか、むしろ国権の最高機関である国会が主導権を持たなければならないのではないかということを強く私どもは、いろいろなプロジェクト、私は連立与党の地方分権プロジェクトの事務局長もさせていただいた経過もございますので、そんな中で、やはり議員立法の方向でやらないとこれは思うように進まないよということを実感しているわけなのですが、それらも踏まえて、大臣なり当局の御回答をいただいておきたいと思います。
  138. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 地方分権の推進の問題でございますが、御案内のように、総論賛成で各論になるとなかなかいろいろ問題があるということは、過去の歴史でもそういうことが多々ございました。今、地方分権というのは大きな流れになっておりますので、私どもとして、それを踏まえまして、一歩でも二歩でも前進できるように一つ一つ着実に進めてまいりたいと考えているわけでございます。  今なぜ地方分権かということでございますが、地方分権、かねてから地方自治関係者は、身近な行政は身近な行政主体の責任で行うべきであるということを主張してまいりましたが、近年特に、一極集中を是正して国土の均衡ある発展を図って豊かさとゆとりを実感できるような社会を実現する、そういう意味でもこの地方分権というものが必要であるということが、特に二十一世紀へ向けて国と地方の行政のあり方を抜本的に見直して今言ったようなそういう課題に対応するには地方分権が必要であるというような御認識が、各方面に出ているのではないかというふうに思っております。  そういうことで、私どもこれを着実に進めるということで、具体的には地方団体の自主性、自律性を向上させるということになるわけでございますが、今回の具体的な法案といたしましては、地方自治法の一部改正ということで、昨年の地方制度調査会の答申をいただきました中核市、広域連合の創設をぜひ実現したいということで、今回、今国会に御提案を申し上げているところでございます。答申の内容をもとに自治省で鋭憲法律の作成に取り組みまして、各省ともいろいろ協議いたしまして私どもの主張を理解をしていただきまして、ほぼその答申の線で、国からの権限移譲も広域連合にできる、あるいは広域連合の方から国や県に対して権限の移譲の要請ができるというような規定も残して法案を出しているところでございます。ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  それから、その後の問題というのは、先ほど総務審議官からもお答えしましたとおり、地方制度調査会の論議もございます。一方、政府の行革推進本部の地方分権部会も既に設置されて、第一回が去る三十日に開かれて、年内に向けて大綱方針というものをつくっていくということになっておりますので、これらに向けて私ども一つ一つ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  139. 石井一

    石井国務大臣 役所の答弁から離れまして、私の見解を申し述べたいと思いますが、昭和三十年前後には一万五、六千ありましたものが三千三百に合併が推進をされました。しかしその後はほとんど皆無。まあそれは十四とか二十六とかという数が書いてございますが、ない、そこでピリオドを打っておる。地方分権はまさに死に体になっておる、こう申してもある意味ではいいと思います。  そういう中から、昨今、中核市でありますとか連合の構想とかパイロットとかというふうな形の中から、少しでも地方がメリットを得られる、こういうふうな知恵を自治省を中心に出してきた。ところが、他省がらいろいろのいちゃもんもつきまして、ある程度進みつつある、こういうのが現在の姿ではないかと思いますが、ただ、今やはり地方分権の大きな流れ住民のサイドからも国会の決議からも専門のグループからもありますし、そこへもってきて税制改革というものが加わっておるというふうなことを考えますと、この機に一つの大きな胎動をなし遂げなければならぬ。  本年の末までに大綱を決めると同時に、基本法を制定する、そういう中からやはり確固とした地方への分権を、行政能力あるいは財政能力、税源能力というふうなものを与えた中にやっていき、中央は中央の、中央らしい政治を行い、地方は地方の特色ある、活力ある社会というふうなものをつくっていく、こういうことが必要ではないかと私は思います。  私は五年前、土地担当の大臣といたしまして土地基本法をつくりました。しかし、その後各役所に聞いてみますと、基本法というのはえらいものだ、あのことによって公共が優先し、土地に対する感覚が変わった。私は、最初つくるときには、こんなものは本当に役に立つのかね、こういう感覚でありましたけれども、そのときはそういう感覚であったが、五年たって、土地政策にやはり大きなインパクトを与えた。私は、今、地方が大きく転換する時期が本年来ておる。先生のような専門家である方には積極的な御協力をひとつお願い申し上げたいと存じます。
  140. 小林守

    ○小林委員 それでは次に移りたいと思いますが、地方税財源の問題で今大臣も触れられましたけれども、地方分権を進めていく上で、何といっても、地方への権限移譲だ、仕事の配分の見直したというようなことがあっても、財源が担保されていかない限りこれは空論にすぎないのではないかと言わざるを得ないと思います。地方分権というのは、よく三ゲンというふうに言われますが、権限、財源、人間、人間というか人材ですね。その三ゲンの配置が、特に住民のより身近な自治体に充実させなければならないということが原則なんだろうというふうに思いますけれども、その財源の問題で今大きな課題をしょっているわけであります。  大臣の所信の中に、地方消費税の創設を含む税制改革に積極的に取り組んでいくということが今回の所信表明にあるわけですけれども、大臣、特にこの問題については大蔵省と相当の覚悟でやっていただかないと暗礁に乗り上げる可能性が高いと思うのですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
  141. 石井一

    石井国務大臣 まあ、今から事を構えるというのもいかがなものかと思いますし、大蔵の壁も相当かたいようでございますが、幸い税制調査会の地方財源問題のワーキンググループというのが最近相当進んだ、突っ込んだ議論をしてくださっておりまして、決して否定的な方向へは行っておりません。  地方の財源の必要性でありますとか、地方の財源がいかに逼迫し、しかし、それに対する需要がどれだけ大きくなってきておるかというふうなこともいろいろございます。結局、譲与税をそのまま継続するということになりますと、ここにはやはり地方との相関関係もございませんし、いろいろ無理がある。やはり、中央主導になるから、ここで何らかの形で地方消費税という方向へ方向転換をするべきピンチであるとともに最大のチャンスであるというふうにも認識をいたしておるわけでございますが、技術的な観点から、徴収の問題でありますとか税収が偏在するとか、いろいろなこういうふうなものがありますけれども、結局現時点における税制調査会の議論の焦点は、これはもうすべて政策判断だ、こういうところへ来ておるわけでありますから、政策判断をどうするか、こういう問題になってきております。私もいつまで首が続くかわかりませんが、それだけの腹を据えてひとつ取り組んでいきたい、こう思っております。
  142. 小林守

    ○小林委員 そういうところで進んでいただきたいと思いますけれども、ただ問題が、幾つかまだ解明されていないところというか、あるんですね。消費譲与税が現行の形で、消費税の二〇%を都道府県、市町村に配分されているわけですね。これは人口とか従業員数で、都道府県が十一分の六、十一分の五が市町村という形で、人口、従業員数に応じて非常にシステマチックに配分されているわけですね。  そういう点では、財政調整機能というか、非常に、何というのですかね、政治的なものは一切入らない仕組みになっていることですし、そういう点での地方財源保障機能的なものとしては中立性を持って働いているんだろうというふうに思うのですが、地方消費税という形にしますると、間接税には間違いないし、景気の変動には非常に安定した間接税財源だということになろうかと思うのですけれども、しかし、消費高の多いところですね、特に大都市にその地方消費税の税源が偏在をしているということは否めない事実だと思うのですね。  そういう点で、よく大蔵省なんかの考え方の中に、パーセントとか額の問題はいろいろこれからの問題になりますけれども、例えば現在の消費税の二〇%を消費譲与税で地方団体に配分しているというこの仕組みをそっくり、その二〇%という額をそっくり地方消費税に組みかえをしたというふうに仮定した場合、例えば東京都なんかの場合はよくなるはずだと思うのですよ。消費譲与税よりは地方消費税の方が税源的には高くなる、多くなるというふうに思うのですけれども、大都市部にどうしても偏在をするということは否めないのではないのかな、そういうふうに思います。  その問題点が一つと、もう一つはこの地方消費税の考え方は都道府県税なんですね。都道府県に配分をするという考え方になります。やり方としては、国税の消費税と一緒に県税として、事業者の皆さんには税務署とそれから県税事務所に行っていただくというような手間だけで済むのだと思いますけれども、それほどの負担はかけないと思うのですが、しかしその中身が都道府県に行くんですね。地方消費税はそういうことで、そうすると今日まで市町村が消費譲与税の配分を受けていた、これがなくなるわけです。消費譲与税の配分がなくなるわけですね。  これに対して都道府県がどういう考え方を持つていくのか。これは当然、税の仕組みの中の問題であって、また直接税と間接税の仕組みを地方団体も変えなければいかぬということもその背景にはあるわけですけれども、税制改革の中で、地方団体の財源については九対一ぐらい直接税に依存しているということでありますから、景気に物すごく影響を受ける。法人事業税に偏り過ぎているではないかということになるわけなんですが、そういう直間比率の見直しという中では、特に地方団体の方がその見直しは必要性が高いわけですけれども、そういう点で間接税へシフトを変えていくことについては異論はないわけなんです。  そういうことで、今後の地方消費税の構想について、大都市に偏在しないのかどうか、それから市町村の税源はどうしてくれるのかということをぜひ明確にさせていただきたいと思います。
  143. 滝実

    ○滝政府委員 第一点の大都市へ偏在するのではないか、こういう御意見でございます。  この問題につきましては、あくまでも現段階では推定でしか物を申し上げるわけにはまいらないわけでございますけれども、端的に申し上げますと、経済企画庁の統計で民間最終消費支出という統計がございます。これは一部推計が入っておりますから統計の数字として全面的にこれをどうこうというわけにはまいりませんけれども、少なくとも現在使える数字としては民間最終消費支出の数字がございます。それでまいりますと、例えば全国を一〇〇とした場合に東京都が一二・幾ら、こういうことでございます。  ちなみに申し上げますと、住民税の所得割の東京都の比率は一六%強でございます。それから、法人事業税の東京都の比率は二二%でございます。そういうふうに、所得課税、所得税の系統は  一六%、法人税の系統は東京都の場合は二二%、そういう観点からまいりますと、私どもは感覚的に、東京に消費が非常に集まっているのではないだろうか、こういうような感覚があるのでございますけれども、少なくとも統計処理上から見るとそれほど大変だというほどの数字ではないのじゃないだろうかな。もちろん、税には何がしかの偏在は伴いますから、これが万全であるというふうには思いませんけれども、大きなところからいくとそういう感じがございます。  それからもう一つ、都道府県と市町村の問題ですね。これからの福祉を考えた場合に、市町村というものをどう考えるかがまず基本にあるべきだというのは私どももそういうふうに思っておりますし、これまでの地方税の歴史は市町村にいかに税源を充実させてくるか、こういうことの歴史であったと思うのでございますけれども、この問題は、地方消費税がやはり技術的な制約があるという前提をとりますと都道府県税で仕組まざるを得ないのじゃなかろうか、こういう前提をとっております。  そうしますと、当然市町村の充実はどうするんだ、こういうことでございますから、それはやはり住民税の分野でもって、今住民税は都道府県と市町村に分かれておりますけれども、これを市町村にできるだけ移譲していくというのも一つの考え方としてあり得るだろうというふうに考えております。  またその際に、市町村はその税収の四割強が固定資産税といういわば超安定財源を持っておりまして、これは国から見ても大変うらやましい財源ということになっているのでございますけれども、そういう超安定財源を市町村は抱えておりますから、したがって、これからの高齢化社会へ向けて安定財源が必要だという論点に立った場合でも、市町村はその超安定財源の固定資産税と住民税の二本立てで、安定財源としてもそれなりの評価がされますでしょうし、それから税の伸び率、伸びということを考えた場合には、やはり住民税を受ければそれで何とか間に合う、こういう状況ではなかろうかと思います。
  144. 小林守

    ○小林委員 時間が参りましたので、一つだけつけ加えさせていただきたいのですが、要は、消費譲与税の組みかえという考え方で地方消費税をする場合の市町村に対する補てん。それから、いわゆる減税として住民税減税をやりましたのですが、それも、もちろん地方団体も、県も市町村も大変な財政負担というか減額になってきているわけでありますから、それに対しても、例えば国の方で消費税的な間接税で補てんをしていくというようなことになったならば、地方においてもきちっとその補てん財源としての地方消費税を担保する。そして、当然市町村に対しては、市町村の住民税減税部分については、都道府県民税を切りかえていくというようなことで額的には全部補てんできるようでありますから、そういう形での切りかえをお願いしたいというふうに思います。  それからもう一つだけ、大臣の所信の中で共済年金制度について触れられておりますけれども、適切な給付水準を維持してその長期的な安定が図られるように対処するとともに、高齢者雇用について検討を進め、雇用と年金の連携に十分配慮していくというような所信が公務員行政の部分で触れられておりますけれども、これらについては高齢公務員の生活にかかわる、死活にかかわる問題だと言わざるを得ませんので、今後この法改正について、我々その場でまた提起していきたいと思いますが、ぜひ地方団体における高齢者の雇用政策について早急に確立されて、安心して働いていけるような仕組みを示していただきたいということを要望して、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  145. 粟屋敏信

  146. 畠山健治郎

    ○畠山委員 まず最初にお願いをしておきたいと思います。三十分という限られた時間ですけれども、盛りだくさんの質問通告をしてございます。ぜひひとつ簡潔に要領よく御回答をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  まず最初に、地方自治基本問題について大臣からお尋ねを申し上げたいと思います。大臣は、さきの所信表明で政治改革重視の基本姿勢をお示しになられております。選挙制度の担当大臣としてはまあ極めて当然だといえばそれまでかと思いますけれども、一方、地方自治にかかわる行財政の所管大臣として、地方自治についての基本認識について承りたいと思います。
  147. 石井一

    石井国務大臣 地方自治は、民主政治の根幹をなすものであり、内政の基盤となるものと認識しております。  そしてさらに、高齢化の急速な進展と国際化の対応など社会経済情勢の変化に対応しながら住民福祉の向上を図っていくために、国土の均衡ある発展を図るとともに、個性豊かな地域づくりを積極的に進めていくことが必要であると心得ております。  そのために、地方分権を基本理念として、住民に身近な行政は思い切って地方公共団体にゆだねると同時に、国、地方間の事務配分に見合った適切な税源配分を行い、財政面を含む地方公共団体の自主性、自律性を強化し、地方自治の一層の充実発展に寄与したい、そのように考えております。
  148. 畠山健治郎

    ○畠山委員 先ほど来いろいろお話ありましたように、地方分権の時代、必要な税財源措置をしてもらわなければいけない。それから、二十一世紀を迎えての福祉の受け手としての地方自治体、大変大事な時期でございます。ぜひひとつ、そういう方向で頑張っていただきますようにお願い申し上げたいと存じます。  ところで、大臣が所属なさっていらっしゃいます新生党の地方自治政策については、まあ詳しく伺ったことはございませんけれども、代表幹事をなさっておられる小沢さんの「日本改造計画」の本から見させていただきますと、市町村の数は三百に再編成し、都道府県は廃止をするという御主張のようでございます。先刻も同様趣旨の記者会見がなされたようでございます。  市町村を三百にするということになりますと、一市町村の人口は三十万から四十万ということになりまして、現在作業が進められておるところの小選挙区の区割り基準とほぼ一致するということになるわけでございます。また、地方自治法改正案として提出されておりますところの地方中核都市とも一致するということになろうかと思っております。  そこでお伺い申し上げますが、この三百という数字は単なる偶然の一致だというふうに大臣はお考えでしょうか。と同時にまた、大臣もこの考え方を御支持なさっていらっしゃるのでございましょうか。現在の合併特例法の基本は、あくまでも自主合併を中心に、それを促進する地方交付税等の特例などの条件整備ということでございます。仮に三百ということになりますれば自主合併の域を超えるものであろうかと思いますし、よくいろいろな立場で指摘をされております強権と言われる節もないわけではない、そんな気がいたしております。大臣の御所見を承りたいと存じます。
  149. 石井一

    石井国務大臣 私も新生党に属しております議員でございますけれども、この問題について小沢代表幹事と話をしたことは一回もございません。まあ率直に申しまして、この発想は個人の一つの見解といいますか主張と申し上げていいのではないかなと思います。  恐らく私が想像いたしますのに、現在のいろいろの広域行政化しておる今日、三千三百の中で問題を処理いたしますよりも、やはりいろいろの環境、あるいはごみ処理、あるいはそのほか下水道、上水道、あるいは都市計画等々、また道路にいたしましても、ある程度の一つのまとまりというものが必要だ。そういう中から中核都市構想その他も出ておるわけでございますから、そういう中からの一つの漫然としたビジョンを示したものだというふうに思いますが、かといって、日本列島を見渡しました場合に、それぞれ特色ある地域、また伝統、歴史というふうなものの中にそれぞれ味のある地方をつくっていくということが地域住民の願いであるというふうなことも考えるわけですから、中央主導的に三百を画一的に行う、ようかんを三百に切るようなことは、これはこの国においては非常に難しいことではなかろうか。  しかし、その精神を体しながら、今後、高齢化社会に向かい社会資本の充実を考え、環境の整備を考えた場合に、地方との協議の中にある程度そういう形の思想も入れつつ、そこは妥協ある、納得のいく地方の分権を進めていったらいいのではないか、こういう私は思想を持っておりますことを率直に申し上げておきたいと思います。
  150. 畠山健治郎

    ○畠山委員 地方分権の受け皿として今のままがいいとは私どもも考えておりません。ぜひひとつ、恐ろしい、強権と言われるようなことのないようにお取り組みをいただきたいと思います。  次に、昨年の改革審答申に基づき、政府は九四年度中に地方分権大綱を定めるとしております。細川総理はこれをさらに早めて、年内の策定と言明しております。羽田総理もこれを継承するというふうに言われておるわけでございますが、これを受けて五月三十一日政府の地方分権部会も第一回の会合を開いたと承っております。  申し上げるまでもなく、地方分権は、我が国社会システムを大胆につくりかえるものでございまして、一朝一夕にしてなし遂げられるものではないとも思っております。当然多くの困難、特に中央省庁の既得権あるいは権益に迫るものである以上、大きな抵抗も予想されると考えます。しかし、手はつけたけれどもだめでした、これはそういうわけにはまいらないかと思います。ましてや、前総理は政治日程を早め、現総理もこれを踏襲すると言っておるわけでありますから、なおさらでございます。この部会の委員である大臣でございますから、その決意のほどと政府提案への意欲を承りたいと存じます。
  151. 石井一

    石井国務大臣 去る二十四日に、今仰せになりました行革推進本部の地方分権部会の会合がございまして、私も出席をいたしました次第でございます。ここに至る経過は、もう御存じのとおりでございますので、省略をさせていただきたいと思います。  たまたま私の地元でございます兵庫県の知事も、地方の代表都市浜松の市長、新潟県の村長等も出席をいたしておりましたし、女性を含めて専門家の皆さんも出ておられまして、非常に活発な議論が行われたところでございまして、私は、これらのメンバーによって相当突っ込んだ部会としての今後の方針というものが打ち出されるものと期待いたしております。  私は最後に発言を求めまして注文をいたしましたことは、先ほどから言っております税財源の問題でございまして、行政方針なり政策大綱を示してもらうだけでなく、税財源の裏づけがあってこそ初めてそれが生きたものになるんだ。この点について、大蔵大臣も出席しておりましたし、内閣官房長官も出席しておりましたが、この点を確認させてもらいたい、この部会においてこの点についての結論を出してもいいという了解になっておるのかということで、この点についても確認を得た、こういう状況でスタートいたしておりますので、今後しばらくは専門家同士の議論になると思いますけれども、国会での議論等をも踏まえまして、それが立派な成果が期待どおりにおさめることができますように努力していきたい、そのように思っております。
  152. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ぜひひとつ御努力を賜りたいと存じます。  次に、地方分権についてでございますが、言葉のひとり歩きではなくて具体の中身が伴わなければならないと存じます。中央と地方との間で現在問題になっておるもろもろの課題を地方分権という立場から解決をしていく決意が必要であろうかと存じます。  そこで、具体的にお伺いをしたいと思いますが、九〇年度行政投資実績を見てみますと、三十六兆七千億円余りのうち、事業主体別経営負担を見てみますと、中央三一%に対して地方の負担は六九%と今や倍以上になっております。また、内外に公約した九一年度以降の四百三十兆円の公共投資基本計画の達成のため、地方は毎年一二%も単独事業を確保し公共事業を補完をいたしております。しかも、貿易黒字減らしから、公共事業の百兆円の上乗せすら議論をされておる昨今でございます。  地方負担の大半を地方債で賄っている現状を見れば、地方単独事業費を地方債で賄うには限界があろうかと存じます。公共事業の一事をとっても地方税財源の充実が必要でございますし、少なくともこの地方支出の実態に近い税財源が図られなければ、地方分権とは言えないのではないかと考えます。税財源の立場から、大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  153. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 今御指摘のように、これからの行政というものが住民中心として行われるということになりますと、地方の役割はいよいよ増すわけでございます。それを行うための財源というものは、やはり地方がみずから主体的に使える財源、国からのひもつきでない財源というものを確保する必要があろうかと思います。そういう意味では、基本的には地方税を充実することが最も望ましいわけでございますが、これを補完する地方交付税、この両者をあわせまして財源を充実していくということが今後とも非常に大切なことであるというふうに考えているところでございます。
  154. 畠山健治郎

    ○畠山委員 問題はこれだけではございません。公共投資の問題は、計画化されておりますから地方の財政需要を的確に見直すのはさして困難だとは思いません。問題は、今後の社会を展望したときの地方の行政責任と財政負担をどのように見通し、的確に税財源を保障していくかという問題だというふうに思っております。  今後の高齢社会、少子社会にしても、これらにかかわる対策のうち、年金、医療を別にすれば福祉のほとんどすべては地方の負担となるはずであります。しかし、二十一世紀の福祉ビジョンに示された試算でも、例えばケースⅡでは二〇〇〇年では十五兆円と試算されておりますが、これはあくまで中央レベルのものでございまして、地方の単独福祉については全く考慮されてございません。福祉行政の性格を考慮すれば、地方の単独福祉の重要性を認識し、これに対する財源の保障が今後税財源改革の最大のポイントになるのではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
  155. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 ただいま御指摘の二十一世紀の福祉ビジョンに基づきます社会保障の公的負担の試算におきましては、御指摘のように地方の単独事業がこの中に含まれていないわけでございまして、国が関与するものだけに試算が限られているということだというふうに私ども承知しております。  これからいろいろこの福祉の関係を地方公共団体が進めていくという場合には、やはりその地域の実情に応じて推進をしていかなければならないということを考えますと、国で決められた一定の基準に基づいて行われる福祉、国が関与する福祉以外に、地方が単独でその地域の実情に応じて実施していかなければならない福祉というものが数多く出てくるのではないかと思うわけでございます。そのための財源は、やはり地方の一般財源を充実することによりまして調達をしていくということが最も肝要だというふうに考えているところでございます。そういう意味におきまして、今後の福祉財源の充実に当たりましては、私どもといたしましては、地方の単独の施策が十分できるようなそういう地方一般財源の確保に努力をしていくべきものだというふうに考えております。
  156. 畠山健治郎

    ○畠山委員 地方財政白書やその他の統計を見ますと、残念ながら、地方単独事業の総額はわかりますが、地域の単独福祉を体系的に統計化したものは見当たらないわけでございます。これは、これまでの地方財政計画やそれに基づく地方交付税の配分がともすれば施設づくり等ハードを中心とした計画配分であったと指摘せざるを得ません。  その意味では、今後地方財政計画の策定内容や地方交付税の行政項目等を地方の単独施策、つまりソフトを反映する内容に改めていく必要があるのではないだろうかと考えますが、いかがでしょうか。
  157. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 仰せのように、地域の福祉を地域の実情に応じて実施をしていくということがいよいよ必要になってくるということになりますと、単に施設整備するというハードの福祉施策に限らず、これからはいよいよソフト面におきます単独の福祉施策というものが非常に重要な問題になってこようかと思います。  現在におきましても、地方財政計画におきまして、例えば平成六年度におきましては、社会福祉のためのソフト面の単独施策が行える経費については、歳出全体の伸びを上回ります八%の増ということで経費を増額いたしまして、これを基準財政需要額の中に反映させていくということを考えております。  また、平成三年度から五年度までの三カ年間におきまして地域福祉基金の積み立てを地方財政計画上行いまして、地方団体にお願いをしたところでございますが、この三年間で約一兆円の地域福祉基金が積み立てられております。この運用利益というものをソフトの福祉施策に使っていただこうということでこの積み立て措置も行ったところでございまして、今後ともこのソフト面におきます福祉事業につきまして、地方団体の行政ニーズに的確に対応しながら私どもも努力してまいりたいというふうに考えております。
  158. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ところで、地方分権の推進に当たりましても、また地方の税財源の充実につきましても、とかく中央から聞こえるのは、地方に金や権限を渡したら何をするかわからないという地方不信の声であります。果たしてそうでしょうか。中央での省庁の統廃合や特殊法人の合理化は一向に進んでおりませんが、地方においては、財政の逼迫の折、別に中央から指図をされなくても、私の知る限りでは、多くの自治体では部や課の統廃合あるいは外郭団体の統廃合が相当に進められておるというふうに思っております。この点は十分御認識をし直してもらわなければならないかと思っております。  このように、少なくとも地方は精いっぱいの自己努力をしております。しかも、地方の職員増または減少していないという点が指摘されておりますが、しかしその実態を調べてみますれば、福祉関係や消防職員が中心になっておりまして、これは時代の趨勢を反映したものと言えるかと思っております。その意味でも、大臣、ぜひひとつこの実態を正しく御理解をしていただきまして、中央省庁を御説得をしていただきたい、かように考えますが、いかがでしょうか。
  159. 石井一

    石井国務大臣 私も、今畠山委員が仰せられましたそういうことが実態ではなかろうか。中央ではかけ声が非常に大きゅうございますけれども、案外テンポが遅い。その割には、各地方自治体におきましては、いろいろ格差はございますけれども事務事業の見直し、組織、機構の簡素合理化等に積極的に取り組んでおるところが散見できるというふうに思います。局、部、室、課の統廃合につきましては、昭和六十三年度から平成五年度の間に全都道府県で延べ二千四百七十六市町村によって行われておる、そういう統計もございます。また、新聞報道等によると、多くの自治体において外郭団体の統廃合に着手または検討しておるわけでございまして、私の出身地の神戸市におきましても今大々的な外郭団体の統合を行っておるところでございます。  自治省といたしましては、今後組織、機構の簡素化、合理化等の助言、指導を行ってまいるとともに、地方公社等の外郭団体あるいは審議会等についても、その果たしている機能などを見きわめ、そして指導し、国・地方を通じて行政の簡素化、合理化に努めてまいりたいと思っております。
  160. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、観点を変えまして、公共料金凍結問題についてお尋ね申し上げたいと思います。  五月の十八日、羽田総理は突然、公共料金の年内凍結を決定し、発表いたしました。値上げをしないということは、国民生活や景気対策上結構なことだと評価をしたいというふうに思っております。しかし、これが実に異例な決定であったことは改めて指摘するまでもないかと存じます。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、この決定過程につきまして、どの段階からかかわり合いをいたしたのでしょうか。まさか官房長官が記者会見をするまで御存じにならなかったというわけではないと存じますが、まずこの経緯についてお伺いをいたしたいと思います。
  161. 石井一

    石井国務大臣 私はかなり早い時期に羽田総理から相談を受けまして、私もいろいろ慎重に検討をし、また、経企庁長官からこれまでに行ったもののリスト、今後並んで予想されておるものはどうかというふうなことについての検討もいたしました。  本年に入りましてから公共料金の値上げというものがメジロ押しにございまして、予算の審議はおくれ、その執行はおくれ、地方でもいろいろな問題で苦しみ、また景気の浮揚というふうなことについても必ずしも明るい見通しがないというときに、いろいろ批判もあり問題もありましょうけれども、やはりここは政治的決断をしてもいいのではないか、そういうふうな結論に至ったわけでございまして、私たちが直接の視野に入れておりましたのは、やはり高速道路の問題あるいはまた公団の家賃というふうな、どちらかといいますと地域の問題というよりも全般的な問題で、庶民の手の届く問題。しかし、そのときには地下鉄の問題等についても思いをめぐらしました。東京都議会においてどこまで進んでおるかというふうなことも検討もいたしました。しかし、かといって、これを大蔵当局なり経企庁の当局に相談をするということではこれまた政策決定はできません。  したがいまして、この問題は、あくまでプラス面とマイナス面とあるわけでございますが、一つの政策判断、政治判断でやったというふうに御理解をいただきたいと思うのであります。今後このフォローアップを十分いたしまして、経営合理化なり減量経営を希望していくとともに、今後新たに急激な値上げなどを排除することによって国民のコンセンサスを得たいと思っております。
  162. 畠山健治郎

    ○畠山委員 公共料金の決定は、交通のように所管大臣の認可を必要とするものもありますが、あくまでも自治体の政策判断によるものであり、内閣が指示する代物ではないと思います。したがって、自治体が内閣の意思に反して実施した場合、他の行財政手段で制裁するようなことはないと考えますが、大臣いかがでしょうか。  また、法律上所管大臣の認可事項であっても、既に自治体の条例で決まっているものを認可しないということになれば、これまた重大な問題かと存じます。ぜひその点についてお伺いをいたします。
  163. 石井一

    石井国務大臣 閣議の決定でございますので、私の名前でなく次官通達ということで各自治体に協力を要請したということでございまして、今申されました制裁の発動とかなんとかというふうなことは全く考えておらないということを申し上げておきたいと思います。
  164. 畠山健治郎

    ○畠山委員 強制でないにしても、自治体の受け方というのはかなり大臣の意識とは違っておるというふうに思いますので、この点は一つ指摘をしておきたいというふうに思っております。  いずれにしても、政府は、自治体の使用料の引き上げを前提として地方財政計画を策定し、財源不足を補てんしておるはずであります。また、地方公営企業においても、引き上げによる増収を前提に公営企業繰出金を計画化したはずであります。今回の決定は、この前提を政府みずからが崩してしまったという点で、行政手続上も財政問題上も大変問題だと思いますが、いかがでございましょうか。
  165. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 行財政計画を策定するに当たりましては、適正な受益者負担というものを前提にいたしましてやるわけでございますけれども、個々の地方団体の料金改定をどう見るかというようなそういう個別的なことはやっていないわけでございます。  そういうことで、各種の影響が出ないように各自治体におかれましてもいろいろと今後経営の効率化の努力をお願いをしなければならないと思いますけれども、先ほど大臣からもお話しのとおり、あくまでもこの措置は地方団体に対する要請でございまして、その自治体のそれぞれの実情に応じまして御協力を賜るということがこの問題の根幹でございますので、御協力をお願い申しておるところでございます。
  166. 畠山健治郎

    ○畠山委員 公共料金は決して安易に引き上げるべきものではございません。  そこで、経済原則が働いておるわけでありますから、これを無視した凍結決定によって生ずる減収に見舞われるような事態が当然起こり得ることだろうというふうに思っておりますが、その責任は一体だれがどのように負うべきものなのか、この点について最後に承っておきたいと思います。
  167. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 先ほども申しましたとおり、これはあくまでもそれぞれの自治体の御判断によりまして、最終的には御協力いただけるかどうかということを決められるわけでございます。その際には、それぞれの経営の効率化というようなものをどこまでできるかということを十分見きわめていただきながらやっていただくということではないかと思います。閣議了解の中でも、中小零細規模のものについての配慮という問題も別途閣議了解にもございますので、こういうような考え方も踏まえまして、各自治体におかれて自主的に御判断いただけるものというふうに考えております。
  168. 畠山健治郎

    ○畠山委員 地方自治体を強化拡大をしようということで進んでおる最中に、このようなことで財政基盤を悪くするというようなことは大変不本意なことだろうというふうに言わなきゃいけないと思います。ぜひひとつ、そのようなことのないように御指導を賜りますようにお願いを申し上げまして、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
  169. 粟屋敏信

    粟屋委員長 穀田恵二君。
  170. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は石井自治大臣に質問したいと思います。  報道によりますと、大臣、あなたは去る五月二十日の閣議後の記者会見で、区割り法案の国会での取り扱いについてお話ししています。それによりますと、まず日経新聞の夕刊では、見出しで「区割り法案は審議必要ない」、こういうふうに述べられていて、「これまでの与野党の話では衆院議院運営委員会で処理して直ちに本会議に付議していいのではとなっている。審議は必要ないと思う」ということを述べています。そしてさらに、「「区割りの内容については触れないとの条件が付いている」と強調した。」こういうふうに日経新聞は書いています。  もちろん、これだけでは一つの新聞という場合もございますから、同様にほかの新聞を見てみますと、毎日では、「法案として出て来た場合は審議をしない。公正に審議されて出てきた答申は与野党は直ちに通すという合意のもので政治改革四法案を通してきた経緯がある」ということで、毎日新聞は述べています。さらに、朝日新聞も同様のことで、国会提出後の法案の扱いについて、「いかなる区割りでもクレームを付けないことは自民党も了解していると考えている」と、こういうふうに日経、毎日、朝日が伝えています。  これが事実だとしますと、私は、国会の審議権に対する重大な介入であって、大臣の本来的な資格が問われる問題なのではないのかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  171. 石井一

    石井国務大臣 政治改革の法案の審議は、御承知のとおり、過去五年、六年継続して行われたものでございまして、私はその間、自民党にありましてもまた自民党を離党いたしましても、この問題に深く携わってきたものでございます。そういう中からの議論を、大臣としてという立場でなく、過去の経緯ということで申し上げたわけでございますが、あくまでも審議は国会にゆだねられたものであり、憲法四十七条ですか、選挙区等及び投票方式は法律によって定めるということが書いてあるわけですから、それを侵害するとかなんとかというふうな気持ちは全く持っておりません。  なお、まことに残念なことでございますが、この政治改革法案の過去五年、六年の審議において、御党はもう最初から最後まで反対でございまして、その政治改革、小選挙区の導入ということに対して常に中選挙区の現状維持ということで独走されてまいったわけでございます。そういう関係の中から──それは事実だと思います。少し言い過ぎかどうかわかりませんが、後で反論してください。  そういう中から……(穀田委員「全然質問の中身じゃないですよ」と呼ぶ)いや、そこは大切なことですから聞いてくださいよ。与野党の合意という中には、常に共産党を除いてと言うべきだと思うのでございますが、そういう言葉が落ちておりましたことはおわびを申し上げたいと思うのでありますが、自民党、社会党あるいは公明党、民社党等の、それ以外の政党もございますが、今の皆様方の中ではこれらの論議は繰り返し繰り返し行われた。そういう中で暗黙の了解のようになっておる問題を申し上げただけであって、私が冒頭申しておりますように、これは四十七条によりまして国会において最終的には審議され、判断されるものである、そういうふうに理解をいたしております。
  172. 穀田恵二

    ○穀田委員 政治改革に反対してきた、小選挙区制に反対してきた、その後段は事実ですけれども、政治改革に反対してきたということは全然違いますよ。それは言っておきます。それは、言わはったから、言っておきます。  ただ私は、今言ったように、ここで述べているのは「区割りの内容については触れないとの条件が付いている」とか、さらには「法案として出て来た場合は審議しない。」「直ちに通す」と、こういう合意があったということですか。そしてさらに、「いかなる区割りでもクレームを付けないことは自民党も了解している」、こう書いているから、そのことはもし事実そういう発言をしているとすれば、これは違うんじゃないかということを言っているんですよ。  そこで、私、いろいろ言われるから、そういう意味でいいますと、例えば石井自治大臣が当時座長としてやられた確認、松永さんとの確認を見ましたけれども、そういう中にも別に書いていないし、それから、新たな連立政権樹立のための確認事項の中の「政治改革」という欄についても、「審議し成立させる。」と書いている。だから問題は、私が今指摘しているのは、そういういわば密約的なことがあるのかということを聞いているんです。
  173. 石井一

    石井国務大臣 だから、公の、衆議院におけるあるいは参議院における審議時間が二百時間に及んでおる。また、それ以前の党内議論というものもそれぞれございます。議事録になっております中でもこういう議論はしばしば出ております。  要するに、どういうことかと申しますと、四法案の中の区画画定審議会の任命でありますとか、それが絶対公正中立であるとか、あるいはこのことについては前回、前々回の例にもかんがみ議員がくちばしを入れるべき筋合いの問題ではない、しかしながら、法律条項がそういうふうに決まっておるので、四法案のうちの最後の一法案だけは切り離して附則をつけずにやる、こういうふうな議論が繰り返し政治改革の議論の中に行われておるわけでございまして、そういうふうなものを指して、そういうのが暗黙の了解ではないかと言っておるわけで、裏取引とか約束とかというそういうたぐいのものではありません。公の中の議論で、自然に共産党を除いてそういうコンセンサスに近づいておった、こういうことを御指摘しておるわけでございます。
  174. 穀田恵二

    ○穀田委員 ちょっと私、石井大臣、ちょっと違うと思うのですね。任命だとかその他を言っているんじゃなくて、もう一度言いますよ。区割り法案については審議は必要ないということについて了解を得ているということを書いているから、それは事実かと言っているんですよ。今お話あったように、区割りの問題についての審議会の任命だとか、そのことについて公正中立であるとか相当議論した。私も一緒にいましたから、それ自身は知っていますよ。そうじゃなくて、おっしゃっている点は違って、区割り法案については審議しないんだということは確認しているのかということを聞いているんですよ。
  175. 石井一

    石井国務大臣 だから、そんなに違ったことを言ってないんですがね。最後の政治改革協議会という、自民党から六人、そして連立与党から出てきましたそういうふうな会議がございまして、その合意に達したわけですね。  しかし、そのときに、審議会の任命が行われたときに、基準の報告はしてもらおう、国会が決めるという権限があるんだと。しかし、そのときに、これを議運で決めるかあるいは特別委員会で決めるか、その他の方法をとるかはそのときに協議をしよう、しかし、少なくとも、いやしくも議員であるべき者がゲリマンダーと見られるとか、個利個略、党利党略であるようなことについては慎もうではないか、そういう議論がなされたということを申し上げておるわけであって、あなたも政治家として、常識としてそうでしょう。出てきたものをがたがたやって直して、国民からどう言われますか。これは当然の常識だと私は思いますよ。
  176. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は違うと思うのですね。まず約束は、ここに書いていますように、案の作成基準については国会に中間報告を行う。そのことでこれも議論をしますよね、当然。あわせて私言っておるのは、区割り法案というのはあくまでも法案ですから、そのことについて議論をするというのは、これは当たり前ですよ。ゲリマンダーとかハトマンダーとかいろいろ言っていますけれども、そういう問題ではなくて、本来選挙制度というのは、どういう区割りのもとでやるかというのは、個人の利害だけじゃなくて、本来主権者全体にかかわる問題ですよ。だから、それを議論するのは当たり前であって、どういう立場で物をしゃべるかというのは、それはまた別です。しかし、そのもとについて正しく審議を行うというのは、これは当たり前のことなんです。ただ、これを見る限り、そういうことはしないという密約があるかのように見えるけれども、それはどうなんだとお聞きしているんですよ。  あわせて、大臣は五月二十七日の衆議院予算委員会でも、実はそういう発言をちょっとされているんですよね。余り時間がありませんけれども、今いろいろ意見を言われると思いますけれども、もともとこれは公正中立の委員を任命し、権威を高め、そうしてその内容について余り踏み込まないというような精神もございます。個人の問題として、例えばここがどうや、ここがどうやということについて、私はいろいろ意見ありますよ。しかし、問題は、法案という限りについていえば、主権者である国民の意思を反映させることができるかどうか、そういうことを含めて、そういう立場から審議をするのは私は当たり前だと思うのですよ。それを、文句をつけるのはけしからぬみたいな話をはなから言うとすれば、それは国会での審議の当たり前の常識として問題じゃないかと言っているわけですね。
  177. 石井一

    石井国務大臣 だから、もうあなたとここで余りやりとりやっても、お互いにわかってこれは議論しておるんですからね。私は国会の審議権を否定したり、介入したりするというふうなことはございません。しかし、過去の長い長い政治改革の議論の中で、例えば京都市のこの区をこっちに回してくれということを審議されると、そんなことをあなたもお考えになっていないと思うのですね。  結局、これは審議会の権威というものは、まあ言うなれば神聖侵すことのできないものでして、これはこれなりに第三者が中立公正にやったなら、これはひとつ認めるというのが国民に対する政治家としての姿ではないかというような議論もございまして、だから公正中立に審議会のメンバーを決める。しかしながら、中間報告はちゃんとやってもらう。しかし、出てきたことに対しては、やはり潔くこれに、審議はするけれども、国会は通るんだけれども、やろうじゃないかというのがやはり政治家の常識というものでして、この点については、あなたがそうここで主張されるなら、審議をすると言うけれども、そういう審議をするんですか、私の言うようなことを。
  178. 穀田恵二

    ○穀田委員 それは違いますよ。私は、違うんですよ。例えば審議会だって、各都道府県知事からも当然意見を聴取している。当然同じようにそういう多くの主権者を代表する国会議員が主権者である国民の意思を反映させることができるかどうか、それからまた、主権者の最も基本的な権利の行使にかかわる問題ですから、それをあらかじめ、そういった議論のあり方、ありようまで含めて規定してしまうこと自身も、私はおかしいと思うのですよ。  だから、こういう文書からすれば、何かあたかも密約があるかのように思えるけれども、それはないんだなということですよ。そのことと、審議権を保障することは確かだな、その二つのことを私は言いたかったわけです。
  179. 石井一

    石井国務大臣 審議権を否定するものでもなければ、密約も存在いたしておりません。それ以上言いたいこともありますが、これでひとつ……。
  180. 穀田恵二

    ○穀田委員 時間もないですから、私の方は。というのは、私は改めて言っているんですけれども、公正に審議された審議会とはいえども、それは確かに審議会を、じゃ国会の上に置くのかということになりますから、そういう立場から私、物を言っているわけでして、そこは御理解いただきたいと思っています。だから、それ自体が議会制民主主義の根本問題だから私言っているわけで、その辺は御理解いただきたいと思っています。  次に、長々としゃべっている時間がないものですから、非嫡出子の問題について若干お聞きしたいと思います。  まず、住民基本台帳に基づく市町村の事務というのは機関委任事務なのか、はたまた固有の事務なのか、まずお答えいただきたいと思っています。
  181. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 住民基本台帳の事務性格についてのお尋ねでございますが、これは機関委任事務ではございませんで、法律によってその処理について規定をされているところの地方公共団体固有の事務であると考えております。
  182. 穀田恵二

    ○穀田委員 そうしますと、地方自治体の裁量の及ぶ範囲が大きいということになりますね。  そこで、私は、この間、国民のプライバシー及び人権意識の高まり、高揚の中で、続き柄などの表示などについては見直してほしいという声が多く上がっていること、これは一般の世論の中で示されていますね。そこで、住民基本台帳法自身が改正されて、特別の請求がない限り世帯主との続き柄を省略した住民票を交付することができるようになりました。そこで、私は、この改正をさらに一歩進め、嫡出の子とか嫡出でない子を区別せずに統一した表示にするように改善が必要だと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  183. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 住民基本台帳の任務は、先ほど申しましたように、固有の事務ではございますが、やはり住民基本台帳法に基づいて全国的に統一をとるという必要もありまして、いろいろ指導もしているわけでございます。  そこで、具体的にお尋ねのありました住民基本台帳の嫡出、非嫡出の問題でございますが、これは申し上げるまでもなく、住民基本台帳制度というのは、市町村において住民の居住関係を公証する、あるいは選挙人名簿等の各種行政事務の処理の基礎とされるというようなことを目的としておりますので、住民に関する記録を正確かつ統一的に処理をするということが必要でございます。住民票において、世帯主との続き柄につきましても、住民に関する記録の一項目ということになっておりまして、正確かつ統一的な記録を行うことが必要であるというふうに考えております。続き柄が世帯主との身分上の間柄を言うわけでございますので、その記載方法を国民の身分関係を公証する唯一の公文書としての戸籍の記載に対応させるということが必要であると考えているわけです。そういうことで、現在こういう運用をしているわけでございます。  お話しのような御意見もほかにも聞いております。関係方面の意見も聞きながら、引き続き研究をしてまいりたいと考えております。
  184. 穀田恵二

    ○穀田委員 その中心は、やはり戸籍という考え方、身分という言い方は、なかなか難しい問題ですけれども法律上の問題ですからやむを得ぬわけですけれども、私はそういう区別をする必要はそろそろないのではないかと思うのですね。  といいますのは、昨年の六月、東京高裁は遺産相続に関する抗告審でこう言っているのですよ。嫡出でない子の相続は嫡出である子の相続の二分の一として、結果的に差別が生じるというものに対して、そういう取り扱いというのは必ずしも合理的でない、しかも、憲法十四条一項の規定に違反するものと判断せざるを得ない。つまり本来、嫡出、非嫡出の違いというのは、民法の関係でいろいろその差が生じるということが基本にあるわけで、それ自身が間違いじゃないかということを言われているわけですよ。だからこそ私は、そういう判断に従って、もう実際に住民票を交付することができるようになっているわけだから、いよいよそういうところに踏み込むべきじゃないだろうかということを言っているわけです。
  185. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 ただいま東京高裁の判決についてお話がございましたが、同様のケースに対する別の高裁の判決もあることは御承知かと思います。こちらの方は合憲ということで、現在最高裁にかかっているというようなこともあるやに承知しております。  いずれにいたしましても、この問題は先ほど言いましたような考え方でやってまいってきているわけでございますが、いろいろ御意見もありますので、今後関係方面の意見も参考にしながら、引き続き研究をしてまいりたいと考えております。
  186. 穀田恵二

    ○穀田委員 関係方面というのを、いつもこういうふうに言われると、どこの辺なんかいなと思うのですが、その辺をはっきりしていただきたいわけです。  ただし、全国統一、そういう必要があるんだと先ほど御答弁の中でありましたよね。だけれども、実際に仕事をやっておられる方々の一つの集まりでもある全国連合戸籍事務協議会、これは御承知だと思うのですが、昨年十月に行われた第四十六回の大会でも、嫡出の子、嫡出でない子を区別せずに、統一された表示にするように要望決議をしているわけです。ですから、現場でのそういう声も上がってきている。  そして、もう時間もありませんから、国連の人権規約人権委員会でも、これまた昨年の十月に採択された日本に関するコメント、これでは、人権規約違反だということとあわせて、国がもっと積極的にそういう立場でイニシアチブをとって努力すべきだということをわざわざ指摘しているわけですね。  だから、今言いましたように、全国統一というのであれば、それから現場の実際に仕事をやっておられる方々も十分できると言っておられる、また、そうすべきだと言っておられる、そして国際的にも、今やそういった問題についても世界の流れとなっている、そういう観点からしますと、早急に改善すべきだと私は思うのです。そしてまた、関係方面と言わずに、もう少し明確にして、自治省自身がそういう点での音頭をとっていただいて、改善していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  187. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 全国戸籍連合協議会からそういう要望があることも承知をしております。  この問題は非常に多く関連する問題でございます。さっきも申しましたように、この住民基本台帳制度は、住民の居住関係を公証するものでありまして、各種の行政事務に使われるということでございます。これを利用されている住民方々も多数ございます。そういう中で、さっき委員から御指摘ございましたように、プライバシーの保護については前回の改正一定のものはしておりますが、そういう中でこの運用をこれからどうしていくかという問題でございます。いろいろな御指摘、先ほど言いました連合協議会の方の要望も承知をしておりますし、またこれから関係方面とよく協議をしていきたいというふうに思っております。
  188. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、ただ、そういう人権意識の高揚の中で、そういう続き柄を一々書かなくてはならないということ自身を省いていくということが多くなった。あわせて、官公庁だとか、そういうところからの各種の申請の中に、届け出に当たって続き柄の記載がある住民票が求められている事実もあるわけですね。こういうものはせめて外しながら、そういう方向に向けてやっていくというのであれば私はわかるのですが、そういう意味で、これはどうしても近々に解決をして、改善すべきだということをあえて主張して、質問を終わ      ────◇─────
  189. 粟屋敏信

    粟屋委員長 次に、内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。石井自治大臣。     ─────────────  地方自治法の一部を改正する法律案  地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  190. 石井一

    石井国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  この法律案は、地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、地方制度調査会の答申にのっとり、中核市に関する事務の配分の特例及び特別地方公共団体たる広域連合に関する制度を設けるほか、所要規定整備を行おうとするものであります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一は、中核市に関する事項であります。  中核市は、指定都市以外の都市で、規模能力が比較的大きな都市について、その事務権限を強化し、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにするため、その制度を創設するものであります。  すなわち、中核市またはその執行機関は、指定都市またはその執行機関が処理することができる事務のうち、都道府県またはその執行機関都道府県区域にわたり一体的に処理することが効率的な事務その他の中核市またはその執行機関において処理することが適当でない事務を除き、政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができるものといたしております。  次に、中核市となる要件につきましては、人口三十万以上を有すること及び面積百平方キロメートル以上を有することとしておりますほか、当該市の人口が五十万未満の場合におきましては、さらに当該市を含む周辺の地域における経済社会生活圏の中核としての機能を有する都市として政令で定める基準を満たさなければならないものといたしております。  また、中核市は、政令でこれを指定することとし、自治大臣が当該政令の立案をしようとするときは、関係市からの申し出に基づき、これを行うものとしておりまして、関係市が、この申し出をしようとするときは、あらかじめ、当該市の議会の議決を経るとともに、都道府県議会の議決を経た都道府県の同意を得なければならないものといたしております。  第二は、広域連合に関する事項であります。  広域連合は、多様化した広域行政需要に適切かつ効率的に対応するとともに、国からの権限移譲の受け入れ体制を整備するため、その制度を創設するものであります。  すなわち、広域連合は、普通地方公共団体及び特別区またはその執行機関事務で、広域にわたり処理することが適当であると認めるものに関し、広域計画を作成し、必要な連絡調整を図るとともに、これらの事務の一部を広域にわたり総合的かつ計画的に処理するために設置される特別地方公共団体といたしております。  次に、国及び都道府県知事等は、その権限または権限に属する事務のうち広域連合またはその執行機関事務に関連するものを当該広域連合またはその執行機関に委任することができ、また、都道府県の加入する広域連合は国の行政機関の長に対し、その他の広域連合は都道府県知事等に対し、広域連合またはその執行機関事務に密接に関連する権限または権限に属する事務の一部を委任するよう要請することができるものといたしております。  また、広域連合は、広域計画に定める事項に関する事務を総合的かつ計画的に処理するため必要があると認めるときは、当該広域連合を組織する地方公共団体に対し、規約を変更するよう要請することができるものとするとともに、広域連合を組織する地方公共団体の事務の処理等が広域計画の実施に支障がありまたは支障があるおそれがあると認めるときは、当該広域連合を組織する地方公共団体に対し、広域計画の実施に関し必要な措置を講ずべきことを勧告することができるものといたしております。  さらに、広域連合においては、その議会の議員または長の選挙の方法を一定のものに限定するとともに、広域連合の区域内に住所を有する者が広域連合に対し直接請求を行うことができるものとし、さらに広域計画に定める事項を一体的かつ円滑に推進するため、広域連合は、その長及び国の地方行政機関の長等をもって組織される協議会を設置することができるものといたしております。  第三は、その他に関する事項であります。  その一は、選挙権を有する者が、身体の故障等により、直接請求の請求者の署名簿に署名することができないときは、その者の属する市町村の選挙権を有する者に委任して、自己の氏名を直接請求の署名簿に記載させることができるものといたしております。  その二は、住民が地方公共団体に代位して行う損害賠償請求等の住民訴訟において、地方公共団体の職員が勝訴した場合に、弁護士に報酬を支払うべきときは、地方公共団体は、議会の議決によりその報酬額の範囲内で相当と認められる額を負担することができるものといたしております。  その三は、罰金及び過料の額について所要の引き上げを行うとともに、別表の規定改正所要規定整備を行うことといたしております。  以上が地方自治法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  この法律案は、中核市制度及び広域連合制度を創設するための地方自治法の一部改正に伴いまして、関係法律について、必要な規定整備を行おうとするものであります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一は、中核市制度の創設に伴う改正であります。  地方自治法改正により、中核市に関する特例を設けることに伴い、関係法律において中核市に関する事務配分の特例規定を定めることといたしております。  また、中核市に保健所を設置することとするほか、関係法律について所要規定整備を行うことといたしております。  第二は、広域連合制度の創設に伴う改正であります。  地方自治法改正により、広域連合制度を創設することに伴い、関係法律について所要規定整備を行うことといたしております。  以上が地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  191. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これにて両案についての趣旨説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会      ────◇─────