○岸田
委員 今
大臣の方から、
金融機関の自己努力を評価すべきであるという
お話があったわけでありますが、私も、確かにこの決算の数字、不良債権に関する数字だけを見た場合、大変厳しい
状況であることとか、また、まだまだ道のりは長いということは感じるものの、
金融機関の自己努力によって少しずつはいい方向に向かっていると見えないことはないなと感じたわけであります。しかし現実には、公にあらわれているこうした不良債権の数字以上にやはり
金融機関の
経営は厳しく、先行きに不安を抱かざるを得ないものがあると感じるわけであります。
この不良債権の問題の重要性につきましては、
大蔵省の方も十分御認識いただきまして、ことしの二月八日ですか、「
金融機関の不良資産問題についての行政上の指針」を出され、不良債権の償却の促進について
金融機関に促されたことは私も認識しております。
しかし、不良債権の中身といいますか、
金融機関の資産内容の悪化ということを考えた場合に、この指針の「はじめに」の(3)に書いてあるわけでありますが、
金融機関の資産内容の悪化というものは段階が幾つかあると思うわけなんです。この指針の中身を見させていただきますと、
金融機関の資産内容の悪化が一応三段階に分類されております。
時間がありませんので簡単に申し上げますと、第一段階は要注意債権、第二段階は金利減免等の棚上げをしている債権、そして第三段階として破綻先債権と六カ月以上の延滞債権というふうに、この指針の中でも分けておられるわけなんです。要は、今回決算等で出てまいりました不良債権というのは、この三番目の破綻先債権と六カ月以上の延滞債権、この数字がどれだけかということになるわけです。
確かに、この三番目というのはゆゆしき問題である、重大に考えなければいけないと私は思うわけでありますが、この指針の中で分類されておる二番目の段階、金利減免等によって棚上げをしている債権、この債権も決して見逃すことはできないと思うわけなんです。要は、金は貸しているけれ
ども金利は入ってこない。金利が入ってこないわけですから、収益は上がらない。これは
金融機関の
経営として決して好ましいものではない、健全なものではないと思うわけなんです。
そして、この棚上げされている債権の数字が、世の中においては数十兆に上っておるという話も出ておりまして、この数字が明らかにされていないということを感じるわけであります。この棚上げされている債権が
金融機関の
経営を圧迫して不信感につながっているのではないか、この数字が明らかにされていないので、ますます
金融機関に対する不信につながっているのではないかということを思うわけなのです。
そこで私は、この指針の中にあります二段階目、金利減免等によって棚上げをしている債権、この債権の実態を明らかにしなければ、本当の
金融機関の現状の姿はわからないのではないかということを思うわけなのです。ただ、先ほど言いましたように、一説には数十兆という数字があるのではないかといううわさもあるのです。下手な数字が出てきてしまっては
金融パニックに陥ってしまうというような声まであるわけであります。
ただ、やはりこの辺の数字をあいまいにするということは、これから
日本経済の景気回復を考えた上で決して好ましいことではないのではないか。そもそも、大蔵当局はこの部分の数字、要は金利減免等で棚上げされている債権の部分につきまして、数字を把握されているのでしょうか、その点についてお聞かせいただけますでしょうか。