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1994-06-20 第129回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十日(月曜日)     午後二時二分開議 出席委員   委員長 松永  光君    理事 古賀  誠君 理事 自見庄三郎君    理事 額賀福志郎君 理事 細田 博之君    理事 笹川  堯君 理事 前田 武志君    理事 左近 正男君 理事 堀込 征雄君    理事 田端 正広君       伊吹 文明君    大島 理森君       狩野  勝君    唐沢俊二郎君       川崎 二郎君    河村 建夫君       佐藤 剛男君    斉藤斗志二君       塩崎 恭久君    津島 雄二君       中村正三郎君    穂積 良行君       町村 信孝君    保岡 興治君       伊藤 達也君    岡田 克也君       川端 達夫君    笹木 竜三君       鮫島 宗明君    西川太一郎君       吹田  愰君    茂木 敏充君       大畠 章宏君    小林  守君       細川 律夫君    赤松 正雄君       上田  勇君    長内 順一君       富田 茂之君    冬柴 鐵三君       前原 誠司君    三原 朝彦君       東中 光雄君    増子 輝彦君  出席国務大臣        自 治 大 臣  石井  一君  出席政府委員        内閣法制局長官  大出 峻郎君        内閣法制局第三        部長       阪田 雅裕君        自治省行政局選        挙部長      佐野 徹治君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事法制課長   倉田 靖司君         自治大臣官房審         議官      谷合 靖夫君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       鈴木 良一君         参  考  人         (衆議院議員選         挙区画定審議会         会長)     石川 忠雄君         参  考  人         (衆議院議員選         挙区画定審議会         会長代理)   味村  治君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   前原 誠司君     鮫島 宗明君 同月三十一日  辞任         補欠選任   小沢 鋭仁君     前原 誠司君 六月二十日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     塩崎 恭久君   大島 理森君     唐沢俊二郎君   片岡 武司君     佐藤 剛男君   中村正三郎君     狩野  勝君   野田  毅君     河村 建夫君   町村 信孝君     伊吹 文明君   小沢 一郎君     青木 宏之君   太田 昭宏君     上田  勇君 同日  辞任         補欠選任   伊吹 文明君     町村 信孝君   狩野  勝君     中村正三郎君   唐沢俊二郎君     大島 理森君   河村 建夫君     野田  毅君   佐藤 剛男君     片岡 武司君   塩崎 恭久君     逢沢 一郎君   青木 宏之君     西川太一郎君   上田  勇君     富田 茂之君 同日  辞任         補欠選任   西川太一郎君     小沢 一郎君   富田 茂之君     長内 順一君 同日  辞任         補欠選任   長内 順一君     太田 昭宏君 同日  理事堀込征雄君同日理事辞任につき、その補欠  として左近正男君が理事に当選した。     ――――――――――――― 六月十四日  海外在住日本人投票制度法制化に関する請願  (川島實紹介)(第二五六八号) 同月十七日  海外在住日本人投票制度法制化に関する請願  (武山百合子紹介)(第三〇四四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  政治改革に関する件(衆議院議員選挙画定審  議会における衆議院選挙選出議員選挙区  の「区割り案作成方針」について)      ――――◇―――――
  2. 松永光

    松永委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任についてお諮りいたします。  理事堀込征雄君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松永光

    松永委員長 御異議なしと認め、そのとおり決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松永光

    松永委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事左近正男君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 松永光

    松永委員長 政治改革に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として衆議院議員選挙画定審議会会長石川忠雄君及び衆議院議員選挙画定審議会会長代理味村治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松永光

    松永委員長 御異議なしと認め、そのとおり決しました。     ―――――――――――――
  7. 松永光

    松永委員長 石川参考人、味村参考人には、本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  それでは、衆議院議員選挙画定審議会における衆議院選挙選出議員選挙区の「区割り案作成方針」について、衆議院議員選挙画定審議会会長石川忠雄君から報告を聴取いたします。石川参考人どうぞお願いします。そこで結構です。
  8. 石川忠雄

    石川参考人 ただいま御紹介をいただきました衆議院議員選挙画定審議会会長を務めております石川でございます。  ただいま委員長から御許可がございましたように、私は、実はまだ退院間もないものですから、体力がなかなか回復しておりませんで、こういう形できょう御報告申し上げるということを御了承いただきたいと思います。  この審議会は、衆議院議員選挙画定審議会設置法に基づいて、去る四月十一日、内閣総理大臣から私ども七人の委員が任命され、同日をもって発足したものでございます。  この審議会に与えられました任務は、当面、今回の公職選挙法改正の施行の準備のために、衆議院議員選挙選出議員選挙区の画定に関し調査審議し、委員が任命された日から六カ月以内にその画定案作成して、内閣総理大臣に対し勧告を行うというところにあります。小選挙区の区割りは、衆議院議員選挙のいわば土俵づくりというようなものでありまして、厳正、公正な区割り案作成という当審議会に課せられた責任の重さは十分承知をいたしておるつもりであります。  この審議会は、御承知のように、六月二日に「区割り案作成方針」を取りまとめました。この間、九回にわたって審議を行ってまいりましたが、平成三年六月に第八次選挙制度審議会が今回と同様の三百の小選挙区の区割りについて審議をし、答申されておりますので、まず、第八次審議会区割り案及び区割り基準について、その考え方を知っておくことが審議会で効率的な議論を進める上で必要ではないかということを考えまして、これらにつき、委員一同勉強したわけであります。  それと並行いたしまして、区割り基準の定め方及び具体的な区割り案について、各都道府県知事意見を聞くことといたしました。都道府県知事は、各都道府県行政地勢並びに交通等々全般についてよく御存じでありまして、区割りについて、都道府県全体を総合的に判断し得る視点を持っておられる、そう考えたからであります。  区割り基準に関する知事意見は、そのほとんどが第八次審議会区割り基準を念頭に置きながら述べられたものでありましたが、人口基準に関しては、その緩和あるいは弾力的取り扱いを求める意見がありました。  また、市区分割に関しましては、その分割はなるべく避けて、分割する場合は、それぞれを独立の選挙区として、他の自治体と併合することは避けるべきであるという意見がある一方で、人口基準にかかわらず、地域実情により分割することができるとする特例を設けるべきであるとする意見もありました。  さらに、指定都市について、他の市町村と同一の選挙区とすることなく行政区の組み合わせのみで選挙区とするべきであるとの意見や、離島取り扱いについて、他とは異なる事情を考慮すべきであるとの意見等もありましたが、総じて申せば、第八次審議会区割り基準がおおむね妥当と考えられている知事が多かったように受けとめております。  そこで、区割り基準についての審議会での議論を御紹介申し上げたいと思います。  この審議会におきましては、こうした都道府県知事意見も踏まえ、区割り基準検討を進めることといたしましたが、論議の主な点は次のとおりであります。  第一に、人口基準についてであります。  人口基準については、設置法第三条第一項において、「各選挙区の人口均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならない」ことを基本とするということが規定されております。また他方で、第二項において、都道府県に対する定数配分として一議席ずつ均等配分する方式をとっております。それで、都道府県間格差が既に一・八二倍となっているという現実があるわけであります。そこで、人口格差が二倍以上とならないことを基本とするという規定を具体的にどう実現するか、その方法をめぐって議論が熱心に交わされたのであります。  この点について、一つの方向は、人口格差が二倍以上とならないことを基本とするということからは、議員一人当たり人口が最低の島根県の議員一人当たり人口下限とし、その二倍を上限とするという方式をとるべきではないか、こうした方式をとっても設置法格差が二倍をある程度超えることも許容していると考えられることから、一定アローアンスを認めることにより現実的な案をつくることが可能である、こういう意見もありました。これに関連して、全国議員一人当たり人口もと上下三分の一の幅におさめるといういわゆる偏差方式では、島根県と福井県はその平均人口が既に下限を下回っており、基準としては適当ではない、そういう意見があったわけであります。  これに対しまして、外国の例を見ても平均人口もと一定の幅を設ける偏差によって区割り基準を定める方式をとることが一般的であり、第八次審議会と同様、偏差方式をとることか適当なのではないか、議員一人当たり人口が最も少ない選挙区を基準とする方式をとると、結果によって基準を設けるような形となり、平均人口により自動的、客観的に上下限が定まる偏差方式に比べると、分割される市区側から納得が得られにくいのではないか、また、下限もとにその二倍を上限とする方式をとっても、一定アローアンスを認めるのであれば結果は余り変わらないのではないか、だから、偏差方式をとった上で最後に再点検、見直しを行うことによって法の趣旨に沿った区割り案をつくることが可能なのではないか、こういうような意見が述べられたわけであります。  また、人口基準緩和あるいは弾力的取り扱いを求める知事意見に関しては、設置法では二倍以上とならないことを基本とするものとされており、人口基準について弾力的な条項を置くことは適当ではないのではないか、そういう意見が述べられました。  こうした論議の結果、人口基準については、設置法に定められた二倍以上とならないことを基本とするとした上で、具体的には全国平均人口もとにその上下三分の一以内とする偏差方式をとることとしたのであります。  次に、行政区画等について申し上げます。  市区町村区域分割につきましては、行政区画を尊重し、分割しないことを原則としながら、人口基準との関係から一定の場合には分割もやむを得ないこととされ、一体どのような場合に分割することにするかをめぐって議論が交わされました。  この点につきましては、地域実情に応じて市を分割することができるものとすべきであるとの知事意見があり、また、人口基準を厳格に守るために必要な場合には平均人口の三分の四以下の市区であっても分割できるものとすべきであるという意見が一方でありましたが、その他方で、市区町村基礎的自治体であり、地域一体性ということを考えると、その分割については慎重であるべきであり、一定事由に該当する場合に限定すべきであるという意見があり、それとともに、分割に対していたずらに不安、不信を持たれないようにするためにも、分割する場合は明確に列挙することが望ましい、そういう意見も述べられました。その結果、市区分割一定の場合に限定することとされました。  次に、郡の分割についても、郡は行政単位ではないからその分割については余り厳格に考える必要はなく、必要に応じ分割できることとしてよいのではないかという意見がありましたが、その反面、郡の区域は歴史的、沿革的にまとまりがあり、できるだけ尊重すべきであるという意見が述べられ、その結果、一定の場合に限って分割できることとされました。  次に、飛び地の扱いにつきましては、飛び地を設けないにこしたことはないけれども、このために市区分割が避けられないような場合には慎重な対応が必要であるという意見が述べられる反面、選挙区の隣接性連続性観点選挙民の情報の共有という観点から飛び地は設けるべきではない、市区が連檐して生活圏一体性があれば市区分割しても合理性があるのではないか、そういう意見が述べられました。その結果、飛び地は設けないこととされました。  このほか、考慮要素としての自然的社会的条件をより具体的に示すべきかどうか、作業手順をどのようにすべきかなどについても意見が交わされております。  次に、「区割り案作成方針」の概要について申し上げます。  こうした論議の結果、今後、具体的な選挙区の画定を行っていくに際しての方針を示しました「区割り案作成方針」を取りまとめました。お手元に配付してあります資料の「区割り案作成方針」をごらんいただきたいと思います。この作成方針は、区割り基準作業手順二つから成り立っております。  まず、区割り基準について御説明を申し上げます。  人口に関する基準については、設置法第三条の人口格差二倍以上とならないことを基本とすることを区割りを行う際の基準としております。法律で定められたこの基準を踏まえ、具体的な区割りに当たっては、次の方針により行うこととしております。  まず、選挙区の人口は、全国議員一人当たり人口の三分の二、二十七万四千六百九十二人から、三分の四、五十四万九千三百八十二人までとしております。この場合に、全国議員一人当たり人口の三分の四を上回る選挙区は設けないということにいたしました。全国議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けな  いということにいたしました。  次に、各選挙区の人口は、当該都道府県議員の一人当たり人口の三分の二から三分の四までにするということといたしました。これは、都道府県内におきましても選挙区間人口均衡を図ろう、そういうためのものであります。  次に、都道府県議員一人当たり人口全国議員一人当たり人口の三分の二を下回る都道府県にあっては、格差の縮小を図る観点から、各選挙区の人口をできる限り均等にするということにいたしております。  次に(二)の、これはごらんいただきたいと思いますが、市区町村分割に関する基準は、市区町村区域分割しないことを原則とするといたしておりますが、人口基準等との関係から、例外的に一定の場合には分割するということになっております。  すなわち、市区人口全国議員一人当たり人口の三分の四を超える場合には分割するということにいたしております。また、市区人口当該都道府県議員一人当たり人口の三分の四を超える場合においても、都道府県内の人口均衡観点から分割するとしております。さらに、全国議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区をできるだけ少なくする観点から、県内の人口最大の市を単独の選挙区とした場合に、全国議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区が生じる場合には、当該市の区域分割するということにいたしております。また、今回飛び地選挙区は設けないことにいたしましたので、飛び地を避けるために必要な場合は市区区域分割することといたしました。  次に(三)の郡の分割についてでありますが、郡の区域分割しないことを原則とするというふうにいたしまして、一定事由がある場合には分割することができるというふうにいたしております。  すなわち、(一)の人口基準に沿った選挙区を設けるために必要な場合には分割ができる。また、市区分割と同じように、選挙区が飛び地となることを避けるために必要な場合もそうでありますが、さらに郡の区域が現に他の郡市により分断されている場合、または郡の区域離島を含む場合にも郡の区域分割できるというふうにいたしております。  次に(四)でありますが、先ほど申し述べましたように、選挙区の連続性観点から、選挙区は例外なく飛び地にしないものといたしております。  最後に、この作成方針の(五)でありますが、(一)から(四)の基準に従った上で、地勢交通歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して区割りを行うということにいたしております。  次に、作業手順について御説明申し上げます。  作業手順は、これまで述べました区割り基準に沿って具体的に区割りを行っていく場合のいわば作業の流れを示したものでありまして、二つの項目がございます。  まず第一は、区割りに当たって都道府県区域を幾つかの地域に区分する場合には、現行の衆議院議員選挙区を手がかりとすることとしたものであります。その地域選挙区を設けるときは、地理上の周辺部から順次選挙区を設けることといたしたことであります。  また第二番目は、区割り作業の結果得られた区割り案が合理的かつ整合性のとれたものになっているかどうかについて、最後に総合的な検討、再点検を行うとしたものでありますが、当然ながら(一)、つまり人口基準の範囲内においてそれを行うということであります。  以上が「区割り案作成方針」の審議経過及びその概要であります。  審議会といたしましては、厳正公正な区割り案をこれからつくってまいりたい、そういうことで努力したいと考えておりますので、どうぞ御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  9. 松永光

    松永委員長 御苦労さまでした。     ―――――――――――――
  10. 松永光

    松永委員長 これより質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。伊吹文明君。
  11. 伊吹文明

    伊吹委員 それでは自由民主党を代表して、ただいま石川先生からお話がございました区割り基準中間報告について、そのお考えをお伺いいたしたいと思います。  まず最初に、石川先生そして味村先生、きょうはお忙しいところ参考人としてまことにありがとうございました。余りしゃちこばった細かなことは伺いませんので、先ほど自治省の職員が、審議会先生方の御質問についての事前聴取とその御答弁についての案を作成するために私のところへ来られましたけれども、委員会先生方、私は、石井自治大臣に任命されている自治事務官のお助けを得ずに、味村先生石川先生は御答弁をしていただきたいと心からお願いをしておきます。  まず最初に、余り楽しくないことですが、石井自治大臣、ちょっとお伺いしたいことがあります。  石井自治大臣パーティーの件について、いろいろ新聞報道がなされています。石井自治大臣は、これから審議会の案が最終的にできれば、これを公職選挙法の別表として、つまり閣法として国会にお出しになる責任者ですから、そのような意味で現在の法律をきちっと守っておられるという方でなければ困るわけで、簡単にお伺いしておきたいのですが、まず、このパーティーは二万円で千人以上ということですから、当然選管に届け出はしておられますね。簡単に答えてください。
  12. 石井一

    石井国務大臣 冒頭、重要な審議の前にこういう御質問を受けなければいかぬということ、大変遺憾で、おわびを申し上げたいと思います。  それで、簡単にと申されますから、できるだけ簡単に申し上げたいと思うのでございますが、これは毎年やっておりますことでございまして、私、閣僚に任命される前に計画を進めたものでございますが、四月二十八日に任命を受けましたので、五月の初旬に印刷物をつくりまして、選管相談に参りました。そこでいろいろと議論をいたしましたところ、これはいわゆる政治資金規正法の八条二項の政治資金パーティーには当たらない、そういう回答が出ましたので、粛々と節度を守ってゴーをさせたものでございまして、その.後、新聞社もしばしば兵庫県選管にお問い合わせをされましたが、そういう回答が戻っておりますから、これはそれなりにお許しをいただけるものと考えておりました。  余分なことでございますが、内閣官房長官にもそのことを報告をいたしまして、了承を得ましてやったものでございまして、それ以上の過度のものではございません。しかし、御心配をおかけいたしましたことにつきましては、私の立場としておわびを申し上げたいと思います。
  13. 伊吹文明

    伊吹委員 自治大臣から今御答弁がありましたが、私も実はその御案内を、私の手元に一部ございますけれども、一応委員長から私は自治大臣お願いをしていただいて、その間のパーティー券、御案内状参考資料として当委員会に取り寄せていただきたいと思います。
  14. 松永光

    松永委員長 自治大臣、出していただけますか。――出してくださるそうです。(「そんなことは理事会相談だ」と呼ぶ者あり)
  15. 伊吹文明

    伊吹委員 当然理事会で御相談していただくことだと思いますから、よろしくお願いいたします。
  16. 松永光

    松永委員長 では、理事会相談して、お願いする場合にはお願いします。
  17. 伊吹文明

    伊吹委員 それで、今、石川先生、味村先生にこれからお尋ねをしなければならないのですが、まず、両先生を初めとして委員会の皆さんが厳正中立のお立場で、かつまた真に公平な判断のできる方であるということを我々は毫も疑ってはおりません。  その上で、私は率直に申し上げて、この区割り案提出時期、区割り基準提出時期というものが政局の動きと非常に関係をしている。これは両先生においてはまことに不本意で、そんなことは御関係なくおやりになることだろうと思うのですが、例えば石井自治大臣がここにおられますが、いろいろな発言をしておられます。  私は、実は宮澤内閣、そして細川内閣の際の自由民主党の案の提案者として、二度にわたってこの政治改革提案をしてまいりました。我々真っ当に政治改革議論をやってきた者からすると、政治改革という言葉が余りにも権力の争いの旗印になり過ぎている。そのことを私は非常に残念だと思います。その余波が今もなおあって、それが石川先生や味村先生に大変な私は御迷惑をかけているのじゃないかと思うのであります。  具体的に申し上げますと、石井自治大臣はこの五月八日の東京新聞のインタビューに答えて、「かなり早い時期に答申されると期待している。できれば今国会中に審議して成立させたい。」「国会審議は何日もかからない。」この後のところば先生方とは関係がない国会審議権に立ち入った話だろうと思います。それから同時に朝日新聞では五月十一日、「可能な限り今国会で」石井自治大臣区割り案基準が決まり国会への報告が終われば一瀉千里に処理されるであろう、読売新聞。それから、画定審議会報告があり区割りの内容について国会は触れないとの条件がついている、そういう条件を我々はっけたとは思わないのですが、こういう発言をしておられる。区割り案国会審議省略できる、石井自治大臣発言、こういうのもあります。それから、区割り中間報告、五月の二十四日石井自治大臣、読売新聞夕刊。「中間報告審議会が一方的に行うだけで、特別委員会での質疑は必要ないとの考えを強調した。」こういう発言もございます。  いろいろまだ出せばいっぱいあるわけですが、こういう御発言に毫も影響されない先生方ばかりを我々は国会として承認をし、そして総理大臣の任命を認めたわけでありますが、このような審議会の外からの、つまり一つの政権を支えているある政党に所属している閣僚の御発言について、会長はどのような御感想をお持ちですか、簡単に。
  18. 石川忠雄

    石川参考人 今、伊吹議員が提起されました問題について、私の心境をちょっと申し上げたいと思います。  この区割りの問題というのは、考えようによってはすぐれて政治的な問題になり得るのであります。私は初めこの審議会委員になることを求められましたときに、そういう危険のあるものであるだけに、私自身は、政局がどう動こうと、与野党が集まってつくられた政治改革の四法案でありますから、したがってその設置法の趣旨にのっとって自分たちは自分たちの責任を果たそう、そういう気持ちでありました。そのことは第一回目の記者会見のときにも新聞記者諸君から質問が出て、私は、政局の動きはこの審議会審議とは関係がない、我々は一番公正妥当と思われる案をつくるだけであって、あとは国会、内閣で処理されることであろうということを御返事したことがあると思います。  それから、審議会の中ででも私は、これを故意におくらせたり故意に早めたりしようとは思わない、十分皆さん方が議論したというふうに考えられるときをもってこの審議を終わろうということを、正確な言葉はそうじやありませんが、そういう趣旨のことをこれははっきり申し上げました。  ですから私は、今、伊吹議員が読んでいただいた新聞、それは実はほとんど読んでいないというような状況でありまして、そういう意味で、私はこの仕事に携わってからは、そういう気持ちでずっと来たということを申し上げたいと思います。
  19. 伊吹文明

    伊吹委員 味村先生も当然会長と同じような御心境だと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  20. 味村治

    ○味村参考人 ただいま会長がおっしゃいましたとおりでございまして、私は当審議会委員に任命される際に、これは非常に政治的な問題でございますが、そういった政治の動向にかかわらず厳正公正に区割りを決めなければいかぬというふうに考えてお引き受けした次第であります。
  21. 伊吹文明

    伊吹委員 味村先生もお役人の御経験があると思います。私も二十年間ばかり役人をやっておりました。先生もいろいろな審議会にかかわってこられたと思いますが、審議会には当然事務局というものがございます。事務局の果たす役割というのは、これは大変大きなものがある、これは率直にやはり認めねばならないと思います。ちなみに申せば、先生方、三百の選挙区のお一つお一つの隅から隅までは御存じがない。やはりそこは地方の意見も聞かねばならない。その意見の仲介役をするのは当然事務局になるわけですね。  そこで、この委員会の事務局は、選挙部長に伺いますが、自治省になっていると思います。これは政令によってそう決まっているが、間違いありませんか。簡単に、そのとおりとかそうじゃないとか。
  22. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 設置法の施行令に書かれてございます。
  23. 伊吹文明

    伊吹委員 選挙部長、あなたの任命権者はだれですか。
  24. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 自治大臣でございます。
  25. 伊吹文明

    伊吹委員 きょうこの委員会質疑をさせていただくに当たって、あなたの部下の方が委員先生方質問について私のところへお訪ねになりましたね。そして、お伺いをしたら、答弁作成のためだとおっしゃいましたが、その事実は間違いありませんか。
  26. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 やりとりにつきましては承知いたしておりませんけれども、私ども自治省におきまして審議会の事務局を担当させていただいております。審議会委員先生方の御答弁の参考に資することができるようなことが事務局として可能でございましたら、そういうことはさせていただきたいというような考え方は私ども持っております。
  27. 伊吹文明

    伊吹委員 石川先生、ちょっとお尋ねしたいのですが、従来週一度のペースで審議会を開いていたけれども、途中から週二度のペースに上がったと思います。それは、六カ月以内という区切りがついておりますから、それをお考えになってのことなのか、それとも六カ月を三カ月に、あるいは四カ月ぐらいに短縮したいというお考えがあってのことなのか。  これは事務局がそのような用意をしたのじゃなくて、当然先生の御判断、あるいは先生が御入院になっていれば、大林さんだったか味村さんだったか、味村先生だと思いますが、代理をしていらっしゃるのですから御判断だったと思うのですが、そのあたりの経緯を教えていただけますか。
  28. 石川忠雄

    石川参考人 週一回やっておりましたのは、一つは、要するに本格的な議論をするためには、都道府県知事意見が集まってこないとそれは本格的な議論はできないということが一つございます。それからもう一つは、それまでの間は、この第八次の選挙制度調査会の答申といいますか、そこに示されているいろいろな考え方を我々は勉強する、そういう日程的なあれを考えてみますと、週一回あればそれは十分であろうということで実は週一回やっていた。  ところが、いってしたか日にちは今正確に覚えていませんが、知事意見が集まってきて、それから第八次選挙制度調査会の考え方も大体わかってきた。それで、本格的な議論ができると。そういうことならば、できるだけみんなの間で議論が尽くせる、そして時間的に可能ならば週二回やったらどうだろうかということで、これは私がお諮りをしてそういうふうに決めました。
  29. 伊吹文明

    伊吹委員 石川先生の御指示でそのようになっておるのであれば、私ども安心をいたしております。  そこで、実は先生方審議会ができました経緯を、私は率直に申し上げて、我々野党サイドから御説明をするだけの十分な機会がございませんでしたから、少し振り返ってみたいと思うのです。  連立側から、早くやれやれという自治大臣もとにいる事務局ですから、どういうお話が入っているか私はよくわかりません。したがって、ここの同僚議員もこの作業に長く携わった人が多いので、私は事実のまま流れを申し上げますと、細川内閣のときには自民党案の政治改革案が提出をされました。同時に、細川内閣としての、これは閣法ですね、内閣提出の法案が提出された。自民党案は残念ながら衆議院で否決されました。閣法は残念ながらこれまた参議院で否決されたわけであります。そうすると、これは味村先生の御専門ですが、当然両院で可決されたときに法律案は初めて法律になるわけでございますから、二つ法律案がなくなったという事態になったわけです。  そこで、憲法五十九条の第三項という項があって、衆議院から、参議院と内容が違うから両院協議会というものを持ちたいということを実は参議院にお願いをしたわけであります。参議院でそれを受けていただいて実は協議が始まったのですが、衆参の意見が一致をいたしませんでした。  この時点で、実はこの五十九条の二項、三分の二でもう一度衆議院が可決をした場合に法律になるかどうかについては、これは味村先生の御専門ですが、いろいろ諸説あります。非常に疑義のあるところであります。  そこで実は、法律が一つもなくなってしまったので、河野さんと細川さんが、これは法律にも何の関係もないことだけれども、両院の多数を占めている政党の、あるいは政党のグループの代表として、政党間協議というものを行ったわけです。  そこで、六年の一月二十八日に十項目の合意ができまして、その合意に従って実は法律衆議院で可決をした。  だから、この細川・河野会談の合意というのは、政党間の信義からしても、連立与党を形成する政党は政府に働きかけてこの合意を誠実に守らせる義務がある。私は、当然議院内閣制のもとではそういうことになろうかと思うのであります。それで、実はこの十項目の一番最後に、政治改革についての各党協議会というものを設けようという合意になっているわけです。そこで、私も実は自民党側のメンバーの一人だったのですが、与野党から六人ずつ出てまいりましてこの協議会が設けられたわけです。  その協議会が設けられたときに、石川先生会長をしておられるこの審議会の中立性をどう担保するか、すぐれてこれは先生おっしゃったように政治的なもの、特に基準を出す時期、区割りを出す時期によって政局の動き、あすもし羽田総理のときに先生もう一度お出ましいただけるのなら、私は、政治改革という言葉が我々の思いから離れていかに権力闘争の御旗に使われているかということをあすお話をしたいと思いますが、そのようなことから考えて、この審議会というのは厳正中立てなければならないという議論になったわけであります。  そこで、この協議会の中でいろいろな議論がありまして、自民党案のように衆議院議長のもとにこの審議会を置いたらどうなんだ、そうすれば自治省の、新生党の幹部である石井自治大臣に任命をされている、生殺与奪権を握られている人が事務局を務めるようなことにはならないだろう、国会に置いたらどうなんだという案が一つあったのです。それからもう一つは、衆議院がこの法律を議決するに当たって、きょうやっていただいている中間報告を義務づけるという国会決議をしたらどうだという意見もあったのです。それから三番目に、法律そのものに法律を修正して基準についての中間報告をいただくということを書いたらどうだという意見もあったわけです。そして第四番目の案として、この与野党各六人の政治改革協議会の座長である、与党側は石井自治大臣なのですよ。野党側は今の松永委員長なのです。この二人がサインをされたいろいろな合意事項があって、それで実は先生方審議会というものが動き出しているということなのです。そこに実はこの審議会をつくるについての覚書というのがあります。  これは参考のために伺っておきたいのですが、今までの経緯、それからこの覚書の内容の解釈については、石川先生あるいは味村先生自治大臣もしくは事務局から十分御聴取をいただいておりましたでしょうか。
  30. 石川忠雄

    石川参考人 私も率直に申し上げますけれども、そのことについて私の方から、どういう経緯でこの審議会ができ上がったのかというようなことについてはお尋ねいたしませんでした。  それは、なぜそうであったかと申しますと、いろいろな経緯を経て、結局、こういう設置法に定められた審議会を設けようということが決まったわけでありますから、我々の仕事はそこから出発をする、そして政治的な問題というのは我々から明り離して、そこでできるだけ厳正公正に議論をしよう、こう思ったので、私はあえてこういう説明をしてくれということは申しませんでした。むしろきょう伺って、よくわかったような気がいたします。
  31. 伊吹文明

    伊吹委員 ありがとうございました。石川先生に率直にお話しをいただいて大変よかったと思います。  それで、実はこの審議会をつくるに当たっての合意文書があるのです。  これにはいろいろなこと、委員先生方は御立派な方でなければならないとか、いろいろなことが書いてあります。これはもう一〇〇%守られたと思います。だから我々は、国会で満場一致でこの先生方に賛成をし、したがって総理大臣が任命できたわけです。  ところが、第二項がありまして、衆議院議員選挙区の区画索の作成に当たっては、地方公共団体の長の意見も聞かねばならないが、同時に区画案作成基準、きょうお出しになったものと考えていただいていいのですが、「(具体的画定案に関するものを除く。)について国会中間報告を行うこと。」つまり、括弧の中をとりますと、その区画案作成基準について国会中間報告を行うことということです。  ですから、お伺いしたいのは、国会には当然憲法に定められた審議権があります。先生方がおつくりをいただく区割り案は、我々が相撲をとる土俵ですから、余りこうだとかああだとか個々の議員が言うことはやるまい、それはやらない方がいいよという暗黙の前提で実は作業をしてきたわけです。しかし、その暗黙の前提のさらに上に前提があるのは、公平な、政党の介入のない立派な先生方だけの審議会で、答申の時期も区割りもきちっとやっていただけるという前提があってのことなんです。  ところが、いろいろ新聞での発言を先ほど聞いていただくと、時期について極めて急がせるような発言をするとか、しかもその発言をする人に任命をされた、生殺与奪の権を握られている国家公務員が先生方の事務局を務めているということは、先生方にとっても大変残念なことだろうと思うのです。  そこで、この区画案作成基準についての国会への中間報告という意味なんですが、区割り案だけは、少なくとも出てきたら、これは国会には先生方報告されないのですよ。内閣総理大臣報告されるわけです。内閣総理大臣はそれを受けて公職選挙法の別表として国会提出するわけです。そのときに、国会審議権を発動してこれを審議するかどうかという別の問題があります。しかし、これも全く公平中立、マスコミの報道等が一切ない事態でやっていただければ、私は余り国会議員はそのことに口を出すべきじゃないと思うのですが、残念ながら現実はややそれを疑わしめる。  そういう中で、この中間報告という意味は、最終区割りについては余り意見を申し述べるべきではないから、失礼ですが、区割りをつくっていただく基準については我々は国会の場で御意見を申し上げたい、そしてそれを参考にしていただいて、場合によっては、直したものはこういうものですということはお示ししていただかなくても結構だけれども、先生方の内部のお気持ちとしては、この基準国会審議を聞いてなるほどそうだと思う点があれば直して当然区割り作業に入っていただけるという前提でつくってあるんです。  ところが自治省は、私のところへ来て言ったのは、私どもの解釈では、最終報告区割りで、そして中間報告がその基準だ。国会へは最終報告はなさらないのですよ。国会へ出てくるのは法律案しか出てこないのです。だから、自治省が言っていることは非常に詭弁であって、ましてや、この文章を書いたこともない人が私たちの解釈ではと言うことは、私は非常に問題があると思います。  きょうこれから個々の内容について、同僚議員がいろいろ疑義のあるところを、失礼ですが、お尋ねいたします。なるほどということがあれば、この基準を少し手直しをして作業に臨んでいただけるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  32. 石川忠雄

    石川参考人 今お話を承りましたけれども、これは私個人の考え方なんで、審議会全体を代表するかどうかはちょっとわかりませんが、審議会基準をつくり、それを国会中間報告をし、そしてその結果として区割り案ができて、それを総理大臣に勧告をすれば私どもの仕事は一応終わりである、それが具体的に法律案になったときに、国会でそれは議論をして、直すべきは直して決めていただくということだろうというふうに、私は単純にそう考えておったわけであります。  それで、私どもとしては、いろいろ議論をいたしまして、その結果、今ここに御報告申し上げましたような基準案というものが中間報告の案と申しますか、私どもとしてはこれが一番適当だろうというふうに思ってここに出しておるわけであります。  しかし、まあここで国会のいろいろな御意見が伺えるわけでありますから、私としては、その御意見を伺って、当然これは審議会のほかの委員たちにも報告をしなければいけないだろうというふうに思います。  ただ、単純に、報告をすればそれで終わりだというようなことでは多分ないと私は思いますので、それを審議会報告をして、一体それに対してどういうような対応をするかということは、審議会のほかの方の意見を聞いて決めたい、そう思っております。
  33. 伊吹文明

    伊吹委員 大変ありがとうございました。私たちは先生方の全く公平中立なお立場に確信を持ちました。立派な案をつくっていただきたいと思いますし、これから同僚議員質問いたしますが、その中で、この基準についていささかも、自民党という立場でもし発言があったとすれば、それは決して先生方審議会のお仲間に伝えていただく必要はございません。しかし、日本の将来のためにどうしても必要だと、なるほどと思われる点ばかりだろうと私は確信しておりますから、その点は必ず審議会の皆さんにお伝えをいただいて、この基準の中で直さねばならないところがあればぜひ直していただきたい。  そして、できれば、最終的な案については、具体的な区割りが決まって国民の目の前にさらされるだけに、そのときに余りみっともないことは国会の場で私はやりたくない。それまでの間にすり合わせてもらいたい。したがって、先生方も、政党の立場、政局を動かす立場のいろんな発言について御迷惑になっているということはきょうよくわかりました。だから、ぜひ厳正中立にやっていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  34. 松永光

    松永委員長 次に、唐沢俊二郎君。
  35. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 石川先生、味村先生、御苦労さまでございます。  先生方大変だなと思っておりましたが、ただいまの中間報告を伺いまして、御労苦のほどお察しする次第であります。  区割り案作成方針について伺うのですが、先生方にせっかく汗をかいていただいても、不本意なあるいは御期待を裏切るような結果になってはいけないと思いまして、四法案の審議に当たって余り触れられなかったけれども、ちょっと重要ではないかという点について若干お伺いをいたしたいと思います。どうぞ、お休みください。  選挙部長二つ伺いますが、比例代表において当選人を決定する場合、同一順位の重複立候補者の当選順位については、各小選挙区におけるいわゆる惜敗率によって順次ブロックで決定することになっております。そうしますと、選挙区で、例えば五人の立候補者があって、一位は小選挙区で当選する、二位、三位、四位は落選して、五位が比例代表で当選するということがあり得るのかどうか。あり得るとすれば、その場合、法定得票数に満たない人や、しかも供託金を没収した人も含まれるかどうか。あるかないかだけお答えください。
  36. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 先般成立さしていただきました政治改革関連四法のうちの公職選挙法にかかわる問題でございますけれども、この公職選挙法の改正の、いわゆる比例代表並立制でございますが、これは政党本位の選挙を実現しよう、こういう趣旨でございます。こういう観点から重複立候補という制度も制度として認められておるものであるわけでございますけれども、お尋ねの点につきまして二つございますけれども、まず第一番目の問題でございますが、この惜敗率という制度でございますが、これは、一つの政党におきまして、同一順位とされました重複立候補者の間の当選人となるべき順位を決めるに当たりましては、選挙区を異にいたします候補者間での戦いぶりを、これを公正に評価をするために用いるというものでございます。したがいまして、政党を異にいたします候補者の間におきましては、御指摘のようなことが起こるということも、これはあり得るのではないかと考えております。  それからまた、重複立候補は、一定の用件を満たします政党に幅広い裁量を認めまして、政党として当選させたい人につきましての届け出をする、こういう制度でございますので、後段の点につきましても御指摘のような点が生ずるということはあり得るというように考えております。
  37. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 それでは、もう一つ伺いたいのですが、公選法第九十三条の供託金没収の趣旨は一言で言っていただくと、どういうことですか。
  38. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 これは、いわゆる選挙区間、一つの選挙区の間での選挙をいたします際に、一定の得票数に満たない者につきましては、あらかじめ供託されておるものにつきましては没収をしよう、こういう趣旨でございます。
  39. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 小選挙区で先順位の人が落選して、比例で後順位の人が当選するというのは、小選挙区の有権者の意思を反映していない、人によっては、これを踏みにじるものではないかとさえ言う人がおります。しかもその人は法定得票数に達しない、しかも供託金を没収された。供託金を没収されたというのは泡沫候補というのですからね。泡沫候補が比例で当選するということは、憲法前文、しかも冒頭ですよ、冒頭の「国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」という憲法の精神に反するのではないか、憲法違反ではないか、そう言う学者も多数おるわけであります。  そこで大臣、今回の改正は、ドイツやイタリーと違いまして、日本の場合、小選挙区の得票率とリンクする惜敗率というのを採用しているからこういう問題が出てくるわけでありますが、憲法違反と言われないようにするためには、惜敗率を見直すとか、先順位者の当選を条件にするとか、少なくとも法定得票数に達しない人とか供託金没収者は除くということにしないと、これが政治改革かというような批判もありますもので、そういう制限を、供託金没収者を除くというような制限を設ける等の措置が私は必要だと思うのですよ。  そこで、この点につきまして、施行前に自治大臣としてはさらに法改正をする意思があるかどうか、承りたいと思います。
  40. 石井一

    石井国務大臣 先ほど伊吹議員議論にもいろいろ出てまいりましたが、この問題は、実は私が自民党にありますときに、自民党の中で非常に深く、長く議論をされたところでございまして、その点は唐沢議員も、ベテランの議員でございますから、御高承であると思うのでございます。  要は、二百名の比例代表選出議員を決めましたことと小選挙区で戦うというのには、二本立ての、セパレートの選挙が行われておるということをまず原則に置きまして、一の小選挙区で起こりました事例とは、これは小選挙区における政党を中心にした個人の戦いでございますが、二の比例代表というのはあくまで政党代表ということでございまして、そういう意味からの位置づけでございますから、投票者の方から申しますと、そういうふうな非常に不可思議な、ちょっと脇に落ちぬというふうな情勢も出るかと思うのでございますが、これは政党のリストの問題というふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。  政党のリストの場合に、大変、自民党のように候補者が多く、膨大なリストをつくってまいります場合に、そこにはいろいろな党内基準をつくっておられるようでございますが、合理的な一つとして惜敗率を取り入れた方が、得票率を取り入れるより合理的ではないか。例えば五万票で当選しました選挙区で次点が四万票でございましたら、惜敗率は八〇%でございます。しかし、十万票で当選するところで四万票以上、五万票とっておりましても、惜敗率は五〇%でございまして、その場合は、前者の方がはるかに激しい、党に対する貢献もしておりますし、得票も濃度の高いものをとっておるわけでございます。  供託金没収という問題につきましては、政党がその人を政党の代表として比例代表の中に資格づけたということでございまして、国民に選ばれたといいますよりも政党に選ばれた、比例代表の制度上それはやむを得ぬ、こういう理解のもとに自民党の中でも合意を得られた問題であるということを御指摘しておきたいと思いますから、そういう意味で、今からこれを見直すつもりはございません。
  41. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 泡沫候補というのは、余り当選するにふさわしくない人、こういうことですよね。泡沫候補がたくさん出てきたら困るという趣旨なんですから、それが比例で出てくるというのは、今申し上げましたように、それは私は、憲法の前文冒頭に違反すると思います。そして、諸外国と違いまして惜敗率を日本が採用したということで、やはりこれは私は慎重にしなければならない問題だと思いますが、しかし、もう時間がありませんから、次に参ります。  次に、せっかく先生方に御苦労していただいているのですから、本当に政治改革成って、腐敗防止も成って、本当にきれいな政治が実現しなければいけないという観点から、腐敗防止について、法務省に伺いたいと思います。  最近の事例で、政党に対する政治献金をわいろと認定し、国会議員を収賄罪で起訴した例はありますか。
  42. 倉田靖司

    ○倉田説明員 お答えを申し上げます。  法務当局が把握しております限り、昭和五十年以降、政党に対する寄附をわいろと認定し、国会議員を収賄罪で起訴した事例は見当たりません。  以上でございます。
  43. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 もう一つ伺いますが、政党は、刑法の百九十七条ノ二のいわゆる第三者収賄の第三者に含まれるわけでしょうか。
  44. 倉田靖司

    ○倉田説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの御趣旨は、百九十七条ノ二の第三者収賄もしくは第三者供賄と申しておりますが、第三者供賄に言うところの第三者に政党は含まれるのかというお尋ねと存じますが、お尋ねの刑法百九十七条ノ二の第三者と申しますのは、正犯以外の者をすべからく言うのでございます。正犯以外の者を言いますので、自然人に限らず、法人、法人格のない組織、団体というものもこれに当たると解釈されておりますので、この第三者供賄罪の第三者というものの中には、政党も含まれるというふうに解釈しております。  以上でございます。
  45. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 今回の政治資金規正法の改正によりまして、今後政党本位の政治をするということで政治資金は政党や政党支部に集中することが予想される、その中にはわいろ性のあるものも含まれることが予想されるわけであります。確かに今回の改正で公開基準が引き下げられたという点は評価するわけでございますが、問題が幾つかある。  まず第一は、政党の支部が物すごく多いということですね。市町村は三千を超す、また選挙区支部も三百ある、非常な数に上るということですね。そして、そのいずれの支部でも、金額は青天井で政治資金を集めることができるという問題があります。そして、その選挙区支部の政治活動というのは、よく考えてみると、従来の衆議院議員候補者のその他の政治団体、いわゆる後援会の政治活動と極めて類似している。にもかかわらず、政党に対する公権の介入は正当な政治活動を妨げるという意味から、捜査は極めて慎重にならざるを得ない。その結果、今回も立件するに至らなかった、また今回も立件するに至らなかったというようなことになりますと、結果として大変な司法不信を招くことになりはしないか。厳正公正、優秀な検事の皆さんあるいは検察の皆さんに対する不信を招くのではないか。もちろん、検察ファッショと言われることは厳に慎まなければなりません。しかし、政党が聖域であるというので社会的に問題になっている不正の摘発ができない、そして、今回の政治改革によりましても巨悪はますますよく眠るということになりますと、これは大変なことになる。  今回の政治改革の第一の目的は、申すまでもなく腐敗防止にあります。我々もそのために全力を挙げて努力をいたしますが、法務省といたしましても、歯どめの一つとして、刑法百九十七条を改正するとか、あるいは地位利用利得罪を考慮をするとか、あるいはこういう問題を法制審議会に諮問する考えはあるかないかということをお伺いいたします。
  46. 倉田靖司

    ○倉田説明員 お答えを申し上げます。  まずもって温かいお励ましのお言葉に感謝申し上げます。  ただ、お尋ねの地位利用利得の罪というものがどういう行為を構成要件としてとらえて処罰する御趣旨かは具体的ではございませんですが、例えば、公選の議員等がその地位を利用いたしましていろいろな口ききをして、その対価として金銭等の利益を取得する行為をすべからく処罰する新たな構成要件を設けるというような御趣旨であるといたしますれば、まずもって昭和三十三年に改正をしていただきました刑法百九十七条ノ四のいわゆるあっせん収賄罪というものの適用というものを考えるべきことでございまして、これは御案内のとおり、公務員が請託を受けて他の公務員をしてその職務上不正の行為をさせるように、または相当の行為をさせないようにあっせんをしたということの報酬として金銭等を収受したときには、これはこの刑法百九十七条ノ四のあっせん収賄罪によりまして、五年以下の懲役に処せられるというところでございます。  ですから、御指摘のような腐敗行為というものが、ただいま申し上げましたような刑法の構成要件に当たる限りにおきましては、現在でも処罰されるところでございます。しかしながら、もしこれに該当しないという場合にはどのように対処すべきかという点につきましては、もちろん種々また日夜議論がなされておるところでございますので、法務省といたしましても、従来の議論も踏まえ、また今先生方が熱心に御議論をなさっていらっしゃるところを勉強させていただいているところでございます。  御指摘のような改正を考えてはどうかという点、確かに傾聴に値するものがございまして、一つの識見であると思うのでございますが、ただ、やはり正当な政治活動に対する不当な制約となることがあるのかないのかというところにも十分配慮する必要もまたあるのではないか、その観点からは慎重に検討しなければならないという問題があるか、このように考えております。  以上でございます。
  47. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 大変微妙な問題ですから、倉田課長も非常に言葉を選んで慎重に御答弁をされましたが、あっせん収賄罪というのはできてから三十六年たちますが、政党を通さない資金でも起訴された国会議員はわずか二名しかいないということですから、聖域である政党を通してこれを立件するというのは大変だと思うのです。ですから、後であのとき法務省刑事局は何をやっていたんだと言われないように、またこれは非常に慎重にやっていただきたいと思っております。  それでは、両先生、ちょっとお伺いいたしたいのでございますが、区割り方針にある「飛地」でございますが、これは地図や何かで言う平面的な飛び地なのか、実際行くことのできないような離れた実質的な飛び地なのか。実質的な飛び地を(四)で読むのか、あるいはそこで読めないんなら一五)で考慮されるか、ちょっと伺いたいと思います。
  48. 石川忠雄

    石川参考人 お答え申し上げますが、私どもがここで言っております「飛地」というのは、一連の地域が他の選挙区によって分断されている場合、それを指して言っております。したがって、地勢とか交通事情とかそういうことによって存在する、まあ飛び地と言っていいのかどうかわかりませんが、そういう状況を指しているのではない、こういうことでございます。
  49. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 飛び地というのは他の選挙区によって分断されている、そういうふうに考えているというお答えなんでございますが、先ほど先生離島の話をされましたですね。しかし、日本はまあ七割が山岳地帯というんですか、でございますから、実際なかなか難しい問題があるわけですね。平面図ではつながっている、しかしそこに山脈がある、峻険な山がずらっと並んでおるということで、生活圏、文化圏、経済圏、これを全く異にするところ、しかも交通は冬途絶してしまう、そういうところを編入して一体にするということにつきましてはいろいろ意見書が出ているようでありまして、郡を挙げて編入してもらっちゃ困るという意見書を出している人もいるわけです。そういう山国の県では、そこをそれでは分けましようということになると、ほかの土地で行政的に全く一体のところを分けなきゃいけない。そうすると、その地区の広域行政事務組合というのをわざわざつくりまして、それは非常に困る、一体のところを分断してもらったら困るというような意見書も出ている。御存じだと思うのです。そういうふうにぐるぐるしていきますと、またどこかやがて分断したところが出てくるわけですね。これは(四)で飛び地の中にお入れにならないならば、(五)の区画の方でお読みいただくことになると思うんですが、どうでございましょうか。(五)の「地勢交通歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮する」、こちらの方でそういう実質的飛び地というか立体的飛び地はお考えいただくということでございましょうか。
  50. 石川忠雄

    石川参考人 今申し上げましたように、一連の地域が何といいますか選挙区によって分断されている、他の選挙区によってですね。それを我々の場合には飛び地と考えて、いわゆる実質的な飛び地というものを考えているわけではないということを申し上げたわけですが、この実質的飛び地というのは定義がもう非常に難しいんですね。  全国を当たってみると、どういうことになるのか。なかなかそういう意味での、何といいますかディフィニションが難しくて、それを客観的な基準とするということはなかなかできない。もちろん、しかしこれから実質的な区割りに入っていくわけでありますから、その区割りの中で、ここに今議員が指摘されました「地勢交通歴史的沿革」というようなものについては総合的には考えよう、こういうことでございますが、これを基準として入れるというわけにはいかない、こういうことであります。
  51. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 そういたしますと、また地勢とか面積の話が出てくるんですが、実は百二十八国会佐藤自治大臣が、定数は人口基準にする、これは憲法からいっても当然のことでございましょう。そのときに、面積の客観基準がないとお答えになったわけですよね。  そこで、まあ一応面積どのぐらい入れていいだろうと学者の先生に聞きましたら、一割ぐらい許容だと言うんで、九割は人口、一割は面積というもので一応試算をしたらどうなるかということなんです。そういたしますと、過日成立した法案に基づく配分、今先生方がやっていただいているこの配分によりますと、県によっては、現行の衆議院定数と比較して減員率が五割を切る、要するに半分以下になっちゃうんですね。今の衆議院議員よりも半分になってしまう県が七県あるんですね。そういう県では当然のことながら、失望、落胆、怨嗟、非難の声が上がるのも無理ないわけでございますが、そういうふうに計算しますと、半数以下になる県なくなるんですね、これ。そのかわり問題なしとしないのは、過疎の県はふえるが、減る県もあると。そして、しかも一票の格差が今は一・八二でやっていらっしゃいますが、一・九八になるということもあります。結局これは、基準の話にまた戻るわけですね。同僚議員がまた御質問すると思いますが、一対二をどういうふうに考えるかという問題になると思います。  これは最後お願いでございますが、さっき先生がここで言われた「地勢交通歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮する」というお話でございましたが、私は、そのいろいろな条件を勘案すると最後交通になると思うんですね。その点、よく交通ということを念頭に置いて実際の区割りをしていただいたらありがたいと思っております。  では、最後自治大臣お願いをいたしておきますが、必要に応じて地方公共団体等の意見を聴取するという合意書があるわけでございますが、区割り方針につきまして広く国民の意見を聞くために、政府の世論調査を、今からでも遅くはない、早急にしていただけないかということを要望いたします。いかがですか。
  52. 石井一

    石井国務大臣 政府の世論調査の問題につきましては、我々専門家と申しますか政治家の立場、また、その他の皆さんが議論をしましても大変難しい問題でございます。それがために地方自治体の首長等の意見を聴取する、そういう議を経まして、あとは審議会の皆様方が厳正中立に決められるというふうなところへ来ておるわけでございますので、お気持ちはわかりますけれども、もう少し先にでもおっしゃっていただければ、また政党間で協議ができたと思うんですが、この間の政党間の協議にもそのことは議論は出ましたけれども、結論に至っておりませんことを御理解いただきたいと存じます。
  53. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 大変遅くなったかもしれないが、今からでも遅くはない。大変重要な問題で、国民にも非常に重要な影響、関係がある、そういう意味から、委員長、その問題をぜひ委員会でもお取り上げいただいて、政府に要望していただきたいと思います。
  54. 松永光

    松永委員長 後で理事会でいろいろ相談してみることにいたします。
  55. 唐沢俊二郎

    ○唐沢委員 終わります。
  56. 松永光

    松永委員長 穂積良行君。
  57. 穂積良行

    ○穂積委員 石川会長、それから味村会長代理初め審議会の皆さん方、それから自治大臣初め事務当局の皆さん、大変御苦労さまでございます。  と申すのも、申すまでもなく、政治改革のかぎともいうべき衆議院選挙制度の大改革を行うに当たって、この衆議院の新たな小選挙区の区画画定が円滑に行われるかどうかということが、新制度への移行、ひいては政治改革の成否を左右しかねない問題だと思うからであります。そうした重要な任務について御苦労さまと申し上げる次第であります。  ところで、その選挙画定につきましては、私ども国会の方で既に決めました法律で、審議会設置法で、具体的に第三条で作成基準がまず基本的に定められておりますけれども、それを受けて審議会から中間報告をいただいたのを拝見しますと、この区割り案作成方針についてはいろいろまだ問題がある。先ほど我が同僚議員から冒頭に申し上げましたけれども、これは我々立法府のこの委員会における論議を十分踏まえていただいて、最終の画定案作成に向けてさらに努力をいただきたいと思う次第であります。  そのために、多少理論的にまず事務当局の方に伺いますので、審議会の両先生もぜひよくお聞きいただきたいと思います。  まず自治省の方に伺いますが、我が国の、この政治改革議員一人当たり人口格差をこの際是正しようということが基本的なモチーブとして話が進められました。その際に、それでは議員一人当たり人口格差、言いかえれば一票の格差問題ということが諸外国ではどのような実情になっており、その格差問題についての扱いはどのようになっているか、まず私ども勉強いたしましたが、改めて復習したいと思います。  そこで、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの諸外国における議員一人当たり人口格差の現状、それから、それが多少時代の推移によって変更を要するようになった場合の是正のための制度がどうなっているか、具体的にまず事務当局から説明をいただきたいと思います。
  58. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、これらの諸国におきます議員一人当たり人口格差の状況につきまして、まず御説明をいたします。  アメリカ合衆国の下院におきましては、一九九〇年の国勢調査後の選挙区間人口格差は、最大で一・七六倍でございます。イギリスの下院におきましては、一九九一年に選挙区割りの改正が行われました後の選挙区間人口格差は、これはイギリスの場合には四つございますので、イングランドは二・三七倍、スコットランドは三・五二倍、ウェールズは二・二六倍、北アイルランドは一・四六倍、イギリス全体見渡しますと、四・三八倍ということに相なります。それから、ドイツ連邦議会におきましては、一九九〇年の総選挙時におきます選挙区間人口格差は、最大で一・九八倍でございます。それから、フランス国民議会におきましては、一九八八年の総選挙時におきます選挙区間人口格差は、最大で三・七六倍となっておると承知をいたしております。  それから、これらの格差を是正いたしますための制度といたしましては、アメリカの下院につきましては、十年ごとの国勢調査結果に基づきまして、まず連邦政府が州別定数の再配分を行い、それを受けまして、各州は州法の定めるところによりまして区割りを行うこととされておりますが、各州では各選挙区の人口が極めて平等に近くなるよう作成しておると承知をいたしております。  イギリスの下院につきましては、国会議員選挙区法の定めるところによりましてイングランド、ウェールズ、スコットランド及び北アイルランドの各地域選挙区画委員会が設置されておりまして、各選挙区の有権者数を可能な限り平均有権者の数に近づけるよう区割りを行うこととされておると承知をいたしております。  ドイソ連邦議会におきましては、連邦選挙法の定めるところにより選挙区画委員会が設置をされておりまして、上下の四分の一の偏差の範囲内で区割りを行うものとされておると承知をいたしております。  フランスの下院につきましては、国勢調査の結果に基づき、同一県内の選挙区間人口格差が二〇%に及ぶことのないことを原則として区割りが行われるというように承知をいたしております。  以上でございます。
  59. 穂積良行

    ○穂積委員 今説明をいただいたように、アメリカは別としまして、イギリスの下院の場合、これはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドといった各地方の中の格差を見ても二倍以上、スコットランドでは三・五二倍、実はイギリス全体を見ると四・三八倍という格差になっている。また、フランスでは三・七六倍となっている。こういうような状況であることをどのように考えるかということがあると思います。  実は、我が国の今回の区割り作成基準もととなる設置法第三条で、要するに議員一人当たり人口として二以上とならないことを基本とするとまず制定され、その後で、その行政区画地勢交通等の事情を総合的に考慮して合理的にこの区割りを行わなければならない、こういう条文になっておりますが、その第三条に基づいて具体的にどうするんだということでありますけれども、審議会の「区割り案作成方針」では、それをまず、先ほど御報告いだだきましたけれども、全国議員一人当たり人口に対して、上の方は三分の四以上の選挙区は設けない、それから下の方は、これは鳥取、島根等を意識してのお話と伺っておりますけれども、三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けないというようなことになっておるわけです。  私の方で調べましたところ、県平均では島根県が二十六万人余。それから高知県は二十七万人余。これは島根で海部案の当時島根三区と予定されたようなところでは二十五万五千人余。こういうような一つの選挙区ができるというようなことで、それを見ると、どうも下限の方は三分の二ということではぐあいが悪い、こういうことで「できるだけ」ということになりましたね。できるだけということでその下限の方、二十五万人余の小選挙区をつくって、今度はその反射として、二倍以上の格差になるところ、全国平均の数字に対して三分の四を超えるところはあってはならないと、こっちはもうできるだけという言葉は除いて決めてしまっている。この辺はやはり問題点の一つだと私は思っているわけであります。  実は、そのことを中心に議論を進めたいのですが、まずこの格差問題が裁判レベルで、御承知のとおり衆議院の定数訴訟として数次にわたり論議が行われ、最高裁は判決を幾つか出しているわけですが、具体的にその二倍以上の格差は違憲だということを断定した判決はない。ただ、一般論として、文言上要するにこんなふうな表現なんですな。通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお、一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達している場合に、それが違憲状態ではないかというような抽象的な言い方で、通常実際の訴訟事例からすると、三倍以上になったらどうも違憲状態ではないのか、こういうようなことは言われておりますが、これは数字的にはきちっと明示された判決はない。御承知かと思います。  ところが、去る六月三日に東京高裁で定数訴訟についての判決が出まして、これはまだ確定判決ではないけれども、要するに二倍の格差未満でないと基本的な平等原則に反するではないかというようなことになっていますが、こうした判決や何やについて、今申したこと、事務当局はいかがですか。このようなことについて、そのとおりということか、それについて何かコメントがあればお答えいただきたいと思います。
  60. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 衆議院の定数訴訟の関係につきましてのこれまでの最高裁判所の考え方につきましては、先ほど穂積先生御指摘いただいたとおりでございますが、これにつきましては、今まで最高裁の判決では一定の数字的な基準を明示して合憲性の判断を行うという考え方はとられていないところでございますけれども、これまでの判決の考え方からいたしますと、三倍程度を合憲性の判断の目安としている、こういうように一般的に考えられているわけでございます。  それから、六月の三日に、平成五年の衆議院の総選挙におきます定数訴訟に対する東京高裁の判決、これが出されておりますけれども、基本的にはこれも今までの最高裁の判断に従ったものと考えられるわけでございますが、傍論におきまして、衆議院議員の定数を人口以外の他の要素をも考慮して配分するとしても、選挙権として一人に二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り遵守すべきものである、こういうようにされておるところでございますけれども、この本件につきましては上告されたわけでございます。本件自体の訴訟はまだこれは確定されておりませんので、この点につきましてのコメントは差し控えさせていただきたいと考えております。
  61. 穂積良行

    ○穂積委員 それでは、この二倍を超えたら、まあ三倍以上は衆議院の場合どうもまずいんじゃないかというのが常識的な考え方だとしても、三倍を超えなければ、法律でも書いております行政区画なり地勢なり交通等の事情というもの、あるいは私どもは、これは後ほどまた言いますけれども、歴史的沿革あるいは自然的社会的条件というものを踏まえて区割りを決めるとすれば、この辺は弾力的な裁きといいますか、決定の仕方が妥当ではないかという気がいたすわけであります。  そこで、自治大臣、関連する話としてこれはぜひこの場で明らかにしておきたいのですが、参議院については、諸先生方も御存じのとおり、議員一人当たり人口格差というのは、もともともうとんでもない格差になっている。とんでもないという表現は、実は今お話しして問題もあるのですが、要するに今最大六・四八倍というような格差になっている。衆議院と参議院の院の性格あるいは議員の性格等からどう考えるかということで、とんでもないという先ほど言った感覚でいくのかどうかということがありますが、いかにもそれは、衆議院で一生懸命三倍未満にしよう、できれば二倍未満にできないかという議論をしている中で、参議院の方では今後どうしていくんだという問題があると思います。  そこで、最近、実は与野党間でいろいろ協議が進められて、政党ベースでは大体取りまとめられた参議院の定数是正案、自治大臣、これはその合意された定数是正案でも六・四八倍が多少四・八一倍くらいになりそうだという話を聞いておりますが、とても三倍未満なんという話じゃない。こういうようなこと。これについては参議院の格差是正との関係でどのように考えるべきか、これは自治大臣から所見を伺いたいと思います。
  62. 石井一

    石井国務大臣 長期的な大改革という観点からは問題がございますが、短期的な緊急是正ということでは、六・四八倍から四・八一倍に格差が縮まっておるわけでございますし、また人口の多いところ、でこぼこのできておること等々を整合性のあるものにしておりますという点でも評価ができると思います。  参議院が地域代表という側面や半数改選ということがとられておるという場合に、投票の平等価値というものに向けてさらに努力をするべき必要はございますが、例えばアメリカの上院等も、ニューヨークとネバダあたりを比較いたしましてもああいう現状でございます。  私の考えといたしましては、衆議院はできるだけ一対二以内に、そして参議院は、府県の制度と地域制度を考えた場合には緊急暫定的措置として評価できる、こう申し上げておきたいと思います。
  63. 穂積良行

    ○穂積委員 それでは審議会長あるいは味村会長代理にお伺いしたいのですが、この中間報告で、先ほど申しましたように、議員一人当たり人口が三分の四を上回る選挙区は設けない、それから三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けないというような一の(一)の(イ)で示された方針、それから先ほど来議論になっております(二)の飛び地絡みの問題、これらと、先ほどから申し上げている「地勢交通歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮する」というこの(五)との関係について、法律の条文に則してお伺いをいたします。  まず、これはそもそもは第三条第二項で、各都道府県に一人を割り振って、それでその都道府県の数を控除した議員定数を各都道府県人口比例で配分するという第二項の方式で、実は都道府県人口格差から自然に出てきちゃった結果として一・八二倍の格差になっているわけですね。それに、さらに今度はそれをベースに各都道府県区割りをどう決めていくかということでやった場合に、先ほどの中間報告の(一)の(イ)あるいは(ロ)で、本当にこのとおりにやっていいのかどうか、無理が出てくるのじゃないかというような実態が出ている、こういうことをいかがお考えかということでございます。  実は、実例を申しましょう。私どもは、福島県選出国会議員団として、自民党の国会議員団で協議をいたしまして、地元の各市町村長等々の意見も十分配慮して、福島県の五に割り振られた選挙区についてどのように対処すべきかについての意見をまとめて県知事に具申をいたしております。県知事に、我々自民党はこういう考えだが、十分それを踏まえて県の意見審議会に出してもらいたい、こういうことを言いました。県の方は、自民党以外の各党からもいろいろ意見を聞きまして、それでまとめて、その上で審議会の場での意見陳述に臨んだ、こういうふうに理解しております。  そうして、私の選挙区ではありませんが、実は福島県の浜通り、現在の福島第三区というのは、まさにこの法律の第三条の第一項の後段、あるいはこの「区割り案作成方針」の先ほど言いました一の(五)などからしますと、地域一体性ということは何びとも福島県人は認めており、これを分断することは困るというような意見を県の方から申し上げたと思います。人口五十六万人余りでございます。  実は、我々の福島県内の五つの地域、大体常識的に県北、県中、県南それから会津、浜通りという五つの県民によく納得できるような区割りの線からは、県内では完全にこれが一番妥当だという話になっているのですが、この作成方針からしますと問題がある、こんな話がございますので、そうしたことについてぜひとも、この第三条の一項の前段と後段の条文に則して決めるにしても、こうした事情など一つの例でありますが、ほかの方からのいろいろな意見も同種のことがあるのではないかと思っておりますので、そうした他の都道府県からの意見陳述といいますか提出の状況も踏まえて、審議会の方ではどのようにお考えになられるか、お答えいただきたいと思います。
  64. 石川忠雄

    石川参考人 ただいま穂積議員の言われましたように、確かに設置法第三条第二項が問題なんですね。  私は、人口基準というのは、一票の格差に関する問題ですから非常に重要な問題だというふうに考えております。できれば一対一が一番いいのでありますけれども、そういうことは事実上は不可能である。だから、それをどうするかということになれば、設置法に定めてありますように、一対二となることを基本とするようにやってくれ、こういうことになるのだろうと思います。  ですけれども、それでやるということになりますと、各都道府県に一名ずつ均等に分配されておりますから、したがって、仮に、平均の、標準のところから三分の四、三分の二というふうに仮にいたしますと、どうしても、その三分の二を下回るか、あるいはわずかに上回るというようなところが出てきて、それをどういうふうに処理するかということが非常に大きな問題に私はなると思う。  しかし、もし三分の二を、何といいますか、以下になることをいけないということになりますと、それはどだい無理な話になるわけで、したがって、ある一定の限度でそれはそれとして認めるけれども、問題は、上限の方を一体どうするかということになりますと、一般的な基準としては、上限については、私は、そういう問題というのは理論的には起きないわけでありますから、したがって、上限については例外は認めない方がよろしかろうということが、実はこの作成基準の考え方になっているということであります。  この辺はいろいろな問題がいろいろなところにあると思いますけれども、しかし、基準としてはそういう考え方をしないわけにはいかないというのが私の考え方でございます。
  65. 穂積良行

    ○穂積委員 先ほど自治省から答弁いただいたように、イギリスの場合には、イングランドとかスコットランドとかウェールズ、北アイルランド等々、それぞれの地域議員数をどう割り振るか、そしてその中では、人口格差、スコットランドは三・五二倍、イギリス全体で見れば四・三八倍になっているというような状況ですね。それからフランスは三・七六倍、こういうようなことも参考に、その今の上限問題は、今お答えいただいたように三条の第二項にかなりの原因があって、その反映として、どうもその第一項の二倍以内ということが守りにくい状況になっている中で、第一項後段のその歴史的沿革地勢的な状況というものを踏まえて、地域住民が望む案にならないということになったらおかしいのではないかということを考えますので、そこは、この今回の中間報告でも、作成方針で示された点を、特に上限の方については、やはり「できるだけ」という表現、これは同じだと思うのです。できるだけその中にとどめるようにしたいということの中で、都道府県の、まさにそれぞれの地方の国民の意向を十分尊重した結論が出るような区割り作成方針で臨んでいただきたい、こう思うのであります。これについてはいかがでございましょうか。  特に、福島県の特定のケースというだけでなしに、各都道府県から同種の問題が必ず出ていると思いますので、この辺は自治省に伺いますと、どうも各都道府県ごとの意見がどう出ているかということは余り説明は遠慮したいというお話でしたが、私どもは実際に、福島県からどういう意見が 出たかということは、ちゃんと私どもも意見を言ったこともありまして把握しております。そういうことを十分ごらんいただいて、適正な区割りを進めていただきたいと思います。これについて、再度お答えいただきたいと思います。
  66. 石川忠雄

    石川参考人 福島県以外からも、私はどことどこというのは今わかりませんけれども、聞いたところによると、あるそうであります。  我々としては、何といいますか、この「区割り案作成方針」に従って一応作業はしなければいけないというふうに思っておりますが、しかし、先ほども申しましたように、御希望の件は、私は審議会報告をして、どういうふうにそれに対応するかということはそこで決めたいというふうに思っておりますので、そういうふうにお答えをしておきたいと思います。
  67. 穂積良行

    ○穂積委員 それでは、各地方の意見を十分尊重していただくことを期待して、私の質問を終わります。
  68. 松永光

    松永委員長 石川先生、大変ありがとうございました。御健康も大変なことであるというふうに承知いたしておりますので、ここで退席していただいて結構でございます。どうもありがとうございました。  次に、狩野勝君。
  69. 狩野勝

    狩野委員 自由民主党狩野勝でございますが、石川会長御退席でございますので、味村会長代理、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  政治改革法案が成立し、日本の政治は新しい段階を迎えたわけでございます。中でも中選挙区制、これはもう七十年にわたる、一時期は違ったわけでございますけれども、七十年にわたった定着しての制度でございまして、これを小選挙区制に変えようということでございます。それだけに私も、先ほどありますように、まずこの基準というものが大変重要である、このように考えるわけでございます。冒頭石川会長から、その土俵づくりであり、厳正公正に対処するということを伺いまして、敬意を表したいと思いますし、加えて、本議会で論議され、提出された件につきましても、先ほど伊吹議員から質問の中にありましたが、それを見直し等にも尊重する中で公正に対処するという御答弁もちょうだいいたしておるわけでございます。ぜひそのような線で進んでいただきたいと思います。  私は、時間が余りありませんので、できるだけ問題点を提起をしまして、答弁等は要点だけお願いします。  そこでまず、第八次審議会区割り基準方針を見ますと、飛び地をつくっても行政区の分割というマイナスは極力つくらない方針だった。特に、将来人口等も見据えた点が、私は特に評価されるわけでございます。しかし今回は、そういう点では、先ほど来の飛び地の問題を伺っておりますと、地域連続性観点から飛び地はつくらない方針のようでございますけれども、そのかわり、飛び地を解消するかわりに行政区の連続性というものを分割する、そういう点がマイナスとしてあるわけであります。  例えば今回は、一つの飛び地を減らすことによって二つの市が逆に分割したり、さらにまたもう一つの市と合併したり、実は大変な混乱を起こすという例も見られるようでございますが、そんなことを考えると、実は今回の案は本当に私は安易な基準だなとも考えますし、そういう意味では、先ほどの行政区域分割しても飛び地を解消する方がよいのだという理論的な根拠は大変薄弱のように思うわけでございます。  そこでひとつ、かわりまして味村会長代行から、この点をお伺いをいたしたいと思います。
  70. 味村治

    ○味村参考人 飛び地の問題につきましては、先ほど会長から御説明がございましたとおり、審議会二つ議論が出たわけであります。  飛び地を設けないにこしたことはないが、このために市区分割が避けられないような場合には慎重な対応をすべきだ、こういう御意見が一方でございましたが、他方では、地域連続性と申しますか、そういうところを重視すれば飛び地は設けるべきでないと。現に、ドイツ、フランス、アメリカ等においても飛び地は認めていないじゃないか、さらに、仮に市を分割することになりましても、市と隣接する市町村との間ではまた何らかの一体性と申しますか、程度はいろいろあると思いますが、一体性があるのが普通であろうから、そういうところは市を分割して飛び地を解消したとしてもその方がベターではないか、こういう御意見がございました。後者の議論に収れんしたわけでございます。
  71. 狩野勝

    狩野委員 私は実は全国で、前回の案でいいますと二カ所飛び地があったその一カ所でございますので、後ほどもう少し歴史的背景を含めて質問と要望をさせていただきます。  まず、冒頭ですから全国的な共通点から申し上げますが、やはり先ほどからずっと伺っておりましても、人口格差の問題、一対二倍未満にするということ、ここに私は一番のやはり問題点があるなと思います。特に、ずっと聞いておりまして、一番欠けている、一点欠けておって、これが間違えますと、実はこれはもう十年先じゃない、後ほど申し上げますけれども、もう四年、五年先にはまた見直し勧告をせざるを得ないような事態が生ずる人口問題ということ。今日本は大変人口流動期であります。この人口急増地域等を勘案した点が何ら見られないわけでございまして、その点を一つ私は具体的に申し上げますけれども、ひとつそういう点で理由の提起を四つ、五ついたしまして、最後にちょっと御所見だけ伺います。  画定審議会設置法の中に、二倍以上にならないようにすることを基本とし、とありまして、これに基づきまして作成方針でも、全国議員一人当たり人口が三分の四を上回る選挙区はつくらないという案が出たんでしょうけれども、私は、これが絶対的なものかどうか、大変実は疑問に感ずるわけであります。私は、選挙区間人口格差を一対二未満に厳格に抑えることは極めて大きな弊害があるし、もっと許容範囲を、先ほど来穂積議員からもありましたように広げるべきだと思います。  その第一の理由は、今日本は御存じのように、全国的に見ましても東京圏あるいはまた大阪を中心とした近畿圏に人口が大変集中いたしております。定着しない、今人口の移動期であるという点に視点を置いていただきたい。そしてまた、もしこの点に留意しませんと、国会議員の議席が都市部へ集中化する。全国的にも議員の過密過疎が生ずると思いますし、公正な国政運営ができない。同時に、この一対二倍未満ということを厳格にいたしますと、都道府県議員にこれが横並びになりますと、地方自治によって各都道府県議員は定められているといえども、これはもう大体国会基準を右へ倣えいたしますので、そういたしますと、都道府県の中において県庁所在地あるいはまた人口急増地域に大変に議員が偏る、過密過疎が生ずるなと思うからであります。  第二の理由は、人口が急増している地域においては、区割りの見直しのたびに選挙区が変更になり、選挙区の安定性がなくなる。そのため、国民の衆議院選挙への関心が大変低くなると思いますし、政治への無関心層が広がると思うわけであります。  第三の理由は、最高裁で、先ほどもお話がございましたけれども、現在三倍未満は合憲とされ、今後は二倍未満が好ましいとはされておりますが、問題は、現実に特例区の存在を最高裁で認めております。県会議員の特例区では現在一対四・〇三倍の裁量権を認めているわけでありまして、もっと認めているところがあるかもしれませんが、私の知る範囲では。そんなことを考えますと、この二倍未満は余りにも厳しい。  ちなみに、平成元年十二月に、千葉県の特例選挙区の設置に対する議員定数の不均衡訴訟に対して、特例選挙区の設置は行政における複雑かつ高度な政策的考慮、判断を必要とするという理由で、特例選挙区四・〇三倍の存置は議会の裁量権の合理的な行為の範囲内にあると合憲の判断が下されております。議員定数の決定に当たって、人口のみが積算の基準となるだけではなく、私は、選挙区の面積や地勢や民意の反映度というものを最大の要素として考慮すべきであるというふうに見るわけでもございます。  地方議員とは異なるという論もありますけれども、一票の公平、公正という点では変わらないわけでございまして、私はそういう点で、一対二倍未満と厳格にせず、基本基本として、人口がこういうふうに大変急増、また流動化の現在におきましては、一対二・二ないしは三ぐらいの許容範囲とされるよう強く私は要望をいたすわけでございます。  第四に、初めて施行される制度だけに、この許容範囲を設けておかないと、十年ごとの国勢調査のたびに大幅な見直しをせざるを得ないと同時に、それ以前に、区画設置法の四条にありますように、勧告の期限の二項の、審議会は、各選挙区の人口格差が著しく拡大している場合、見直しの勧告を行うことができるということになりまして、人口急増地域は常に見直し勧告をしなければならない。私は大変な混乱が起きると思うわけであります。現在の基準になっているのは、国勢調査の、これは平成二年ですから、十二年でございましょうけれども、あと六年先ですか、平成十二年に見直しをされるわけでございますが。  ちなみに、もう一つ大変事な点は、この小選挙区制の起源というものが今日の日本のような巨大都市化を想定していない。しかも、全成人に選挙権がある時代以前、そういう人口が流動してない、全成人に選挙権がある時代以前にこの制度が生まれたという背景も念頭に私は入れていただきたいなと思うわけであります。  そういう観点から、人口流動期でありますし、人口の大変激増する地域におきましては、一対二未満と、先ほども穂積先生からありましたけれども厳格としないで、許容範囲を広げるべきと思いますが、この人口格差につきましてもう一度、ひとつ重ねて御所見をお伺いいたしたいと思います。
  72. 味村治

    ○味村参考人 先ほど会長も申し上げましたとおりでありますが、設置法の三条で、要するに、人口格差は二倍以上とならないようにすることを基本とし、「行政区画地勢交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」ということになっておりまして、三条の二項で、先ほど御指摘のように各都道府県に一人ずつ議員を配分するということになっている関係から、既に一・八二の格差が生じている、そのために二倍にするということは非常に難しいじゃないか、こういう御議論になっているわけであります。  審議会の考え方といたしましては、もはや既に三条の二項がございますために、下限の方は、いわゆる平均人口の三分の二というのが下限でございますが、その下限の方はどうしても守れない。これはもう三条の二項があるため守れないわけでございますが、上限の方は、これは一番選挙人口の多い東京都でございましても、四十七万ぐらいでございましたですか、でございますので、十分余裕がある、守れる。そうすると、基本でありますから、基本にはできるだけ、基本から外れないというようにするのが、これは投票価値の平等という点からいっても適当である。こういう考えで、上限の方は厳しく下限の方はできるだけということになっているわけでございまして、この点は御了解をいただきたいと思います。  ただいま先生がおっしゃいましたように、いろいろ考慮すべき要素があるかと思いますが、そういった点は、先ほど会長も申されましたが、審議会報告をいたしまして、そこでの議論の場に上げたいというふうに考えております。
  73. 狩野勝

    狩野委員 私も、基本はぜひ基本としていただきたいのですけれども、冒頭申し上げましたように、大変東京周辺あるいは大阪、近畿圏周辺は人口が急増しておりますし、定着期じゃないのですね。移動期であるだけに、私は許容範囲をもっと広げていただきたいということを申し上げるわけでございますが、また後ほど、実は具体例で御要望させていただきたいと思います。  大きな第二点は、行政区域分割についてでありますが、これは、そのマイナス点はそれぞれ出ておるわけでございますが、これは答弁は結構でございます。私どもが人口急増地域におる中にあって、また当然もう御理解いただいているわけでございますけれども、行政区域をできる限り分割しないでいただきたいという要望を一、二申し上げたいと思います。  まず第一に配慮されることは、今回は初めてでございますし、できる限り、当然そのように臨んでおりましょうけれども、現行中選挙区制をベースに地域設定をされるということを、これは要望いたしたいと思います。これは全国的にあちこちございますけれども、例えば佐渡なんかも、新潟市とつけるかあるいはまた柏崎がいいかとか論争があるそうでございますけれども、これは交通の利便性、また過去の歴史的背景を見ましても新潟市が当然だと思いますし、これらに類することが全国的にありますので、ぜひひとつ交通の利便や、歴史的背景を配慮していただきたい。  第二は、行政区域分割は大変市民の共同体意識が損なわれるわけでございまして、市区町村行政一体性を確保しにくくなる、極力避けていただきたいなと思います。  もう一点は、当然でございますが、分割をされますと同一市町村選挙区が異なることから、候補者が大変違いますから、有権者、投票者の参加意識の減退が心配もされるわけでございます。また、投開票事務等の管理執行面においても煩雑となるわけでございますが、できるだけこれらを配慮して行政区域分割は避けるようお願いをいたしたいと思います。  以上の点は、大体全国的な規模での、全国的に共通する実は要望でございますが、第三点としまして、飛び地の問題であります。  先ほど私どもの伊吹議員から、個人的に関することは極力やめようということでございますが、八次答申では全国で二カ所の飛び地を有する、私地元でございますし、私の地域でないとしても皆さん方になるほどなという御理解を得るためにも、ひとつ説明させていただきたいわけでございます。私の選挙区は今申し上げましたように全国二カ所の中の一カ所の地域でございますが、この中におきまして私は、皆さん方が飛び地をなくそう、本当に皆さん方の御配慮には感謝を申し上げますが、飛び地必ずしも私は悪ではない、飛び地有用論を申し上げたいと思うわけでございます。  今回の基準方針の(四)に「選挙区は、飛地にしないものとする。」とありますが、私は必ずしも飛び地をなくすることが実は最適とは思わないわけです。その理由は、飛び地にもいろいろあります。飛び地といってもかつては一つの郡であったりあるいはまた深い交流があるという中で、あえて飛び地を設定しないで、逆にそのために二つ、三つという市を分割する。しかも、先ほど申し上げましたようにあと六年先にまた見直しをするのに、それだけ分割してそのまま通るのならいいけれども、人口急増地域です、明らかに六年先にはまた再分割されるということが想定されるのに、私は、飛び地をなくすためにこういう案となるような基準には大変理解に苦しむわけであります。  そして加えて、その背景の中に、後ほど地図で見ていただきますけれども、私どもの千葉県四区、浦安市が飛び地でございましたけれども、後で見ていただきますが、今がいいですな。例えばこのように北が利根川で茨城県、そして西が江戸川で東京、南が海で東京湾、まさに島と同じ、大変な、まさに特例区に値する。あとこちらに船橋という急増地域がありますけれども。同じ選挙区の富田議員もおりますけれども、なかなか審議会の皆さん方に、果たしてこれが御理解いただけるか。北が利根川で茨城県、西が江戸川で東京、南が東京湾で海、もうどこにもなかなかつけにくい。  そういう中で、前回の飛び地はまことに悪い飛び地です。例えば、この四区の選挙区百八十万人口。百八十万のマンモス人口にちなみに五名の定員でございますが、それはよしとしまして、この一番南の浦安と一番北の関宿、これをつけるわけですから、これはもう富田議員も知っておりますけれども一時間半かかります。私はこの間、成田空港にOBサミットの福田赳夫先生をお送りしましたが、群馬県の高崎から今来たけれども、一時間半で来ましたよと。高崎から成田に来るのに一時間半、浦安から関宿まで一時間半ですから、この飛び地は実は私は芳しくない。  そこで申し上げたいのは、市川と浦安市をじゃ一緒の選挙区にする。そうすると上限より、ここが問題なんです、会長さんいませんけれども会長代理さんにぜひお聞きいただきたいのですが、市川、浦安を一つにいたしますと、上限より二千八百人多いのです、許容範囲を厳密にするから。  二千八百人多いだけでどうするかというと、二千八百人であの基準に従いますと、市川市は本庁というのと行徳支所と大柏支所と三つある。大柏支所は三万ちょっとの人口。今の基準でまいりますと二千八百人がオーバーするからというふうに厳格にしますから、二千八百人がオーバーするために市川を分割し、松戸市を真ん中から分割し、鎌ケ谷とつける。そして、今の千葉県の人口を見ますと、長期構想によると、千葉県は、昭和二十年はたった人口二百万、今人口が五百七十万、長期構想によると、あと十年たたない、二〇〇〇年までに七十万人口が増加する。  そうしますと、これは十年先じゃないのです。六年先じゃないのです。もうこの基準でいったところで、市川も松戸も鎌ケ谷も含めましてまたまた六年先にこれはずたずたに分割しなくちゃならない。だから、こういう人口増が激しいから、海部案も随分審議会のメンバーは悩んだと思います。しかし、どうせ六年先にはこれがまた行政区の分割をするんだから、大変遠いけれども行政区は分割しないで、六年先ほぼ定着するであろう、千葉県もあと七十万人口が定着します、それで案ができたわけですね。  そこで私は、時間がないので結論になりますけれども、要望したいことは、こういうまさに飛び地でもいろいろありまして、ではどういう案がいいか。私がつくったのではございませんで、なかなか優秀な勉強家がおりますけれども、この市川、浦安は一つとする。そのかわり許容範囲は二千八百人オーバーするけれども、一つとする。そしてまた松戸市も一つとする。そして、ここにありますように、柏市、沼南、鎌ケ谷市、これを一つとする。そして流山、野田、関宿と我孫子市をこれは飛び地としてつけるわけであります。我孫子市をつける。これはこの柏市のところを通りますけれども、大変地形的につながりがある。  私は、昭和四十六年に県会議員に立候補いたしましたが、昭和四十六年まで長い間、我孫子市は町ですから、我孫子町と関宿町は一つの郡でございました。長い間ここは県会議員選挙区の母体だった。歴史的にそして政治的に、交通関係からいっても大変なつながりがあるんです。これは地元でなければ実はわからない。そして、この案は、私ではなくして我孫子市の在住の方が、我々はつながりがあるんですよ、かつては関宿と同じ郡だったからというので提起された案でございます。  こんなことを考えますときに、私たちも審議会の諸先生が本当に真剣に取り組んでいただいていることには心から感謝申し上げますし、厳正中立にしよう、公正につくっていこうということでございましょうが、我々も、先ほどから話がございますように、できた案に関しては尊重いたします。私は、この基準というのは大事なんだ。くどいようでございますけれども、人口が大変急増しているんです。どうか、そんなことをぜひとも御配慮いただく中で、この点は声を大にして申し上げますけれども、ひとつ会長代理といたしまして、これは要望で結構でございます、ぜひ御検討ください。  そして、もう一度声を大にしますけれども、もしも私の案にしないで今の基準に従いますと、あと六年先、もっと大きな騒動になるわけであります。現実に、なぜかといいますと、今都道府県で逆転現象、千葉県と北海道は、千葉県の方が人口が多い。しかし、与えられた国会議員の議席は十二名。北海道の人口は少ないけれども、今十三名。これが恐らく六年先になりますと、そんなに私ども、はっきり申し上げて余り要らないが、それでも場合によっては島根とか鳥取とか、どんどんどんどんこちらに来るかもしらぬ。その都度私たちは小刻みに行政区が分割されるわけでございますから、必ずこれは我々六年先にはまた見直しが迫られる地域ですから、今回は行政区、市、町は温存した中での御配慮を篤とお願い申し上げまして、私の要望といたします。  終わります。ありがとうございました。
  74. 松永光

  75. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございます。自由民主党佐藤剛男でございます。  私は、三つの論点で時間を費やさせていただきます。  一つは、今回の基準でございますが、区割り案基準の(イ)でございますが、これは法律、正確に言えば衆議院議員選挙画定審議会設置法第三条第一項違反であるということで、内閣法制局長官の御答弁、それから、私政府委員やっておりましたのですが、味村名法制局長官が代行でいらっしゃいますが、御見解を承ります。  それから第二は、委員長、説明の関係資料をお配り申し上げたいのですが。
  76. 松永光

    松永委員長 ちょっと理事さんに見せてください。
  77. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 五部あります。主要なところにお願いします。  それはどういうことかと申し上げますと、一つは大分県の例をとりまして、これからの区割り当たりましては地方拠点地域というものを十分勘案していただきたい。これは一つの例として大分県をとらしていただきました。それからさらに大分につきましては、九州交通網の観点で、後ほど御説明申し上げますが、それを十分勘案していただきたいということを申し上げるつもりでございます。それから第三につきましては、一番最後になると思いますが、一市一区の県庁所在地の点について私の意見を申し述べさしていただきたい。この三点について重点を置かしていただきます。  先ほど同僚の穂積委員から福島県の浜通りのものにつきまして、浜通り一体、これが地域意見であるという御意見提出されました。まさしくその点は、お配り申し上げますが、地元の有力な雑誌がアンケート調査をやりまして、それで、そのときの結果によりますと、いわゆる海部案といいますか第八次選挙審議会の案というもの、これは浜通りが一体になってないんですが、これについて賛成している人は三%しかいない、こういう事実がありますので、それをお配り申し上げます。  まず第一に申し上げたいことは、この「区割り基準」のところの(イ)でございます。「各選挙区の人口は、」こうこうこうと書いてあります。委員長、私はこれは法律違反だということで指摘申し上げますので、ひとつよろしくお願い申し上げたい。  (イ)でございます。「できるだけ」と書いてあります、(イ)のところ。「できるだけ設けないものとする。」この「できるだけ」の場所が非常に微妙でございまして、これは下のところにしかかからないのです。どういう意味かといいますと、「全国議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けないものとする。」ところが、上の方を見ますと、上の方をなぜ私が申し上げるかといいますと、浜通りというのは人口がこの五十四万九千三百八十二人を超えるのでございます。  それで、私はまず質問を申し上げます。この(イ)の基準をもう一回読みます。「各選挙区の人口は、全国議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとし、全国議員一人当たり人口の三分の四を上回る選挙区は設けないものとし、」となっている。「できるだけ」が入っていないんだ。つまりこの意味は、一人でも、極端に言いますと、五十四万九千三百八十二人、「参考」に書いてありますが、この一人でも超えますと認められないのですか。  まずひとつ味村会長代行から御意見をいただきまして、それから内閣法制局長官から。私はこのように解釈しますが、「できるだけ」のかかりぐあいは下しかかかってない、上にはかかってない。つまり上限は一人でも超えちゃうとだめになっちゃう。こんなばかなことはないのです。法律というものは、もしそうだったら法律に書かなきゃいけない。第三条一項に書かなきゃいけない。  といいますのは、県庁の意見審議会が聞かれました。自治省が聞いたのかな。自治省が聞いたんでしょう。自治省が聞いたときには、県の意見は浜通り一本という形で出しています。これは、当然第三条一項を読めば、素人が、素人というか普通の人が読めば、若干五十四万九千三百八十二人が二万人ぐらい超えても、一万五千人ぐらい超えても当然読めるだろう、三条一項はそういうふうに解釈するのが常識であります。私も法律屋でございますが、そうなんです。もし上限一人でも抑え込むなら、これは法律事項、法律に書かなきゃいけない。三条一項に書かなきゃいけない。これについて私は、後ほど内閣法制局長官の見解を問うつもりでございます。  まず最初に、私の政府委員の時代から敬意を表しております味村先生にひとつ御見解を求めます。この「できるだけ」の場所が違うんじゃないですかと。
  78. 味村治

    ○味村参考人 設置法に書いてありますのは、二倍以上とならないようにすることを基本としてということでございます。したがって、二倍以上とならないようにするにはどうすればいいのか、具体的な人口基準を定めるに当たってどうすればいいのかということをさんざん審議会議論をしたわけでございまして、その結論といたしまして、今お手元にございますこういういわゆる人口偏差もとにいたしました案を審議会で決定したわけであります。  先ほどからたびたび申し上げておりますように、上限の方は、「設けないものとし、」ということで、極端に言えば、これは一人でも上回るようなのは設けない、これは解釈上そのようになろうかと思います。  下限の方は、先ほどのような事情がございまして、「できるだけ設けないものとする。」ということになっているわけであります。それが決してこの法律に違反するというふうには私は考えておりません。
  79. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 内閣法制局長官の見解をひとつ。
  80. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいまのお話は、「区割り案作成方針」の一、(一)の(イ)に関連した問題であるわけであります。  審議会設置法の第三条第一項といいますのは、区割り案作成基準といたしまして、各選挙区間人口均衡を図り、選挙区間人口格差が一対二以上とならないようにすることを基本とし、「行政区画地勢交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」かように規定をいたしておるわけであります。そして、具体的な区割りについては審議会にゆだねているところであります。  したがいまして、具体的な区割り基準をどう定めるかということにつきましては、法律の定める基準、先ほど引用されました三条一項の基準の範囲内で審議会が判断をされるものであり、投票価値の平等の要求というものをできるだけ生かす、各選挙区間人口格差が拡大することをできるだけ避けるというような趣旨の観点から、審議会の具体の判断として、「三分の四を上回る選挙区は設けない」というふうにされたものと思うわけであります。  そういうふうにいたしましても、それが法律の定める基準、先ほど引用されました三条一項に定めるところの基準に反しているということにはならないというふうに考える次第であります。
  81. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 私は、今の法制局長官のおっしゃっているのは、少し解釈として甘過ぎるんじゃないかと思います。  それは、もし上限について、「三分の四を上回る選挙区は設けないもの」ということで、一人でもだめだというようなことでやれば、私の法律の常識からいいますれば、それは法律事項であろうと思います。会長代行もこの点はよく銘記していただきたい。  本来なら、この「できるだけ」というのはどこに入れるかといいますと、ここに入れるべきなんですね。「各選挙区の人口は、全国議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとし、できるだけ、」と、そこへポツを入れて、そして「全国議員一人当たり人口の三分の四を上回る選挙区は設けないものとし、」つまり、「できるだけ」というのは両方にバランスを保つ。片っ方だけ、下は簡単に言えば青天井みたいな感じでやっておいて、上は一人も超えてしまったらだめだと。  先ほど穂積代議士が言われていた浜通りというのは、歴史的にいっても地理的にいっても、阿武隈山脈があるわけです。トンネルがないんです。トンネルがないわけですから、それは歴史的にいっても別ですよということで、お配りしましたようにこの資料は、絶対に容認できないという識者の人たちの意見。海部案というのは三%しか認めていない。私はどちらをこうだと言うのじゃないんですよ。そもそも考え方として、もし一人でもだめだということであるならば、法制局長官、これは私は法律事項だと思う。そうだったら、私どもはこの問題をはっきりと議論をしたはずであります。  そこまで基準を与えるというのは、法律でいうなら、法律があって、政令があって、省令があって、施行規則がある、基準がある。この運用が法律を超えてしまうようなことは、本来こういうふうな選挙区というものは民主主義の原点であります。本来ならば、国民投票法があって、一人一人がどこの地域と一緒になるかというのをやるぐらいの価値のあるものを、それを抜きにしてかようなことをやるのは、私はまさしく法律違反であると思いますし、この点は当委員会において重要視していただきたいと思います。  その意味におきまして、内閣法制局長官が、はっきりとしたことを言わず、それでも基準はお任せしました、審議会にお任せしましたからいいんじゃないですかと言うのは解せないわけでございまして、そうしたら三条一項のところの後段、歴史的あるいは交通関係であるとか地勢であるとか行政区画であるとか、何のためにあるのか。総合的に合理的に行わなければならない、何しようもないです。一人がだめでももうどうしようもできないという話ですから。今の浜通りがいい例であります。そうしたら、何ですか、後段は要らなくなってしまう。こういうばかなことは私はないと思いますし、自治大臣、御見解を問います。
  82. 石井一

    石井国務大臣 法律家である政府の見解が出たところでございますから、私の立場でとやかく申すのもどうかというふうな感じがいたすわけでございます。  三分の二と三分の四の中において、下方については、過疎を配慮したために一議席を与えたということから「できるだけ」ということがかかっておるわけでございますが、今度、上限におきます場合におきましては、それ以上大きな人口になった場合には一票の格差というところに対しての大きな問題が提起されるので、そういう形の中からそういう現実的な規定が決められたものだ、そのように私は解釈をいたしております。
  83. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 つまり、下が、例えば島根の例をとりますと、島根が二十六万三百四十人、福井県が二十七万。それがもっと下回りますと二十五万ぐらいになるかもしれない、下は。  そもそも、全国の中で一つの地域と他の地域を一対二にするということの考え方が私は適当でないのだろうと思う。しかし、それを救ったのは、この三条一項の後段があって、地勢的、総合的に判断するから、仮に福島でいいますと浜通りがあって、これが五十四万九千三百八十二人を超えても、五十六万人あっても、当然それは一体的、歴史的一体なんだから。婚姻関係だって少ないならば、そういうふうなことも考える。山もある、平面図じゃなくて立体図がある、立体図で眺めなければいけない、それをやるのがこれでしょう。  これについて、この基準というものについて私が問題にしているのは、ほとんどの先生方がこの「できるだけ」についての意味をそう理解していないのだろう、全体にかかっているとみんな理解していると思う。ところが、とんでもないですよ、「できるだけ」は下にしかかかっていない、上の方にはかかっていない。両方にかけなければおかしいじゃないかというのが私の議論でありまして、この問題については改めて政府の見解を問います。  それから、審議会会長代行、私はこの問題についておかしいと思いますので、この(イ)の基準の全面的な検討し直し、これを要求いたします。  これだけで委員長、テークノートをしていただきたいのですが、重要なことでございますので、本件問題については区割り基準の(イ)を全面的に検討していただきたい。「できるだけ」の場所を変えてもらいたい、修正してもらいたい。
  84. 松永光

    松永委員長 味村参考人、何かありますか。
  85. 味村治

    ○味村参考人 ただいま配られました案を拝見いたしますと、かなりこの上限を上回っているようでございまして、先ほど一人でもと申し上げましたが、これは言葉のあやといいますか、極端な場合には一人でもということでございまして、現実に一人超えたがために分割するかというような問題は、現在は生じていないわけでございます。これは理屈の問題を申し上げただけというふうに御理解をいただきたいと思います。  この問題は、大変審議会議論をした結果でございますので、なかなか容易ではないと思いますが、先生の御意見審議会に伝えることにいたします。
  86. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 その際に、一つの例として、いい例としまして、会長代行、穂積委員が指摘しましたが、これは私、今お手元にお配りしました。つまり、浜通りの部分を一体化しますと、五十六万六千五百九十七人という数字が出てくる。約一万五千ちょっと多いわけです。これを総合的に見るか見ないかによって狂っちゃう。そうすると福島全体が狂っちゃうのです。そうしますと、もし狂っちゃいますと、私が問題を指摘しますと、福島県の選挙民に皆さんどうなんですかという投票をとりますと、これだけでこの法律通りませんよ。私は何も脅迫しているわけじゃないです。浜通りの方々に通らないですよ、これは。そういうことです。  そういうことの基準が、このままの基準で、しかも一人でも上の方はだめだというふうなこと。本来元来、法律の事項。そうだと思いますよ、内閣法制局長官。この点は内閣法制局長官の有権解釈として、内閣法制局として、政府として、これがそうなのかどうかの統一見解を要求申し上げます。これも記録をしていただきたいと思います。重要です、事は重要。
  87. 大出峻郎

    ○大出政府委員 まず、審議会設置法の第三条の第一項でありますけれども、ここでは「改定案」と書いてありますが、区割り作成基準についていろいろな要件を定めておるわけであります。「各選挙区の人口均衡を図り、」ということをまずうたい、「各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにすることを基本とし、」こういうふうにうたい、そして「行政区画地勢交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」ということでございまして、審議会におきまして区割り案作成する場合の基準というものが法律上明定されておるわけであります。この明定された法律上の基準というものを、具体的に区割り作成するに当たってどういうふうに運用していくかというのがただいまの問題であろうかと思います。  そして、その考え方といたしましては、先ほど会長の方からもお話がありましたし、会長代理の方からもお話がございましたが、現在の各都道府県別の選挙区の配分ということを前提にいたしますというと、三分の二を下回る地域というものが現実に出てくる。そして、これはもういわば理論上の問題としてどうしてもやむを得ない現実の姿になっておるということで、「できるだけ」というのが考慮されたというお話でございました。他方、三分の四を上回るところのものにつきましては、これはそういう可能性というのがあるのかもしれませんけれども、それについては、理屈の問題として考えますと調整が可能であるというような御趣旨のお話でありました。  そういう事実関係というものを背景といたしまして、この三条一項で詳細に定めております作成基準というものを具体的な選挙区割りの決定に当たってどういうふうに決めていくか、どういう物差しで決めていくかというのが、先ほどの示された作成基準の一の(一)の(イ)の問題であるということであろうかと思います。  そういう意味合いにおきましては、これは三条一項の運用の問題として審議会で御判断をなされるべきこと、その審議会が御判断なさったことがこの三条一項の全体の要件というものにそぐわないものであれば問題でありますけれども、そういうふうには考えられないというのが先ほどの私の答弁の内容であります。
  88. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 これは重要な問題ですから私は追及し続けますし、また同僚の議員もそのようなことになると思いますが、かようなことの上限を抑えるならこれは法律で書かなければいけない、これが法律の常識であります。  そういうことを私は申し上げまして、先ほど御答弁いただきましたからもう結構でございますが、審議会の味村代行、ひとつ審議会の中において再審議お願い申し上げます。よろしゅうございますか、再審議お願い申し上げます。そのお答えをいただきまして、次に残りの時間で私は二つの問題をいたしたいと思いますので、お許しいただきたいと思います。  一つは、大分県の地図をお持ちいたしました。これをごらんいただきたいと思います。これはどういうことかといいますと、大分県は現在二つ選挙区であります。選挙区が、人口でいいますと四十一万人、八十二万人の一区、二区に分かれております。それで、ここに大分県の地方拠点都市地域というのをお配り申し上げました。これをなぜ配ったかといいますと、実は海部案の後に国と県とがかんででき上がった法律で、地域の問題で区割り法案に関係するものはこの地方拠点都市なんです。  これは六省庁、通産省、建設省、農林省、自治省もかんでおります。それから郵政省。この六省庁のものででき上がったのが、施行されましたのが、一昨年の暮れに第一次地域指定がされております。それから追加地域指定され、大分県でいいますとこの地域、一番上の左肩、これは拠点都市地域として指定されております。それから近々に第二次指定ということで、右肩の方、佐伯市を中心とするこういう地域ですね、これが指定される予定でございます。  つまり、海部内閣の後から、海部案から後々に出てきて、六省庁、政府が、この地域は公共投資も重点的に配分して一体となって発展させよう、道路も考えよう、住宅も考えよう、その地域のところの都市の中心も考えようという、いわゆる新産都市とか工特に準ずる数年前の、十年ぐらい後の法律です、簡単に言いますと。これは非常に今後大きな意味を持つのです。公共投資も重点的にやろうという。ですから、この地域指定をするときには、この地方拠点都市という地域というものを区割りのところに十分反映させていただくということをひとつぜひ要望としまして、強い要求としまして、お願い申し上げておきます。  それからもう一つ、大分県の場合に、この道路の地図を差し上げました。これは九州全体の道路網でございまして、九州においては御承知のように高速道路網というのは非常に重要なんです。大分県につきまして、ちょっと私、赤いところで七十キロと書いておきましたが、日田と別府、これは約七十キロであります。できれば、時間にして四十分から四十五分、そのぐらいの高速の形であります。ここら辺は、三条一項に書いてある「交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」の一つの交通網の観点として考えていただきたいわけでありますし、また、この地域の中において特に、先ほどの福島でいいますと阿武隈山脈があったと同じように、この大分におきましても九重山脈というのがありまして、これは真冬になりますと通行どめになって貨物が行かないという地域が、高速道路のこの青い線のところ、日田と別府の間のところにあります。こういうふうな地域的な問題というものも十分考えてひとつやっていただきたい。  というのは、なぜ私がこの問題を取り上げたかというと、巷間、私はだれがとは言いませんが、海部案という形の横ででき上がっていたものを、今度最近、縦でするという形の案が新聞にも出たりして、いろいろ言われている部分があったりもしますので、これの問題について私はとやかく言いませんが、区割りのことでは十分いろいろな地方拠点都市とか交通網の点を勘案しませんと、ゲリマンダーの非難を受ける一つの地域になることを恐れますので、ひとつそういう面について審議会で十分御検討をいただきたいということを申し添えます。  それからもう一点時間の関係で申し上げますと、県庁所在地というのがあります。一つの県庁所在地というのが、例えば人口が四十万を超えるような地域、例えば愛媛県で松山であるとか、あるいは静岡県でいいますと静岡であるとか、その県庁所在地一市を、県庁所在地一つだけを、ちょうど人口の規模、三条一項のあれに該当するといって、一市一区という形のものが結構あり得るという声を私は聞いております。そこに行きますと、極端な言い方で言いますと、市長さんと衆議院議員がかわってちょいちょい交互に交代していきますと、この市のことは私はよく知っていますよ、そうだから、では今度は衆議院にあれします、あるいは衆議院の方で私は中央にパイプがあります、では市の方に行きます、こんな話が出てくるのです。  ですから、市の周りがドーナツみたいじゃなくて、例えば市と郡がある、こういうのはいいですよ。いいのですが、一市だけの部分のときにはとかくいろいろな、権力集中の部分もありますし、それからドーナツ化の現象の問題もありますし、この点はやはりいろいろな波及する部分がありますので、十分注意して考えていく必要がある。こういう地域が結構ございます。私は名前を特定申し上げませんけれども、これ以上のことは申し上げませんが、あるということを問題にいたしまして、以上三点、一つは、この基準の(イ)は法律三条一項違反であるということを申し上げ、そして、御答弁いただきましたが、審議会において再度審議し直しをしていただくということを申し上げ、そして、この基準というのが重要なのですから、この基準というものについて十分当委員会において議論を詰めさせていただいて、私が申し上げたように、このような重要なる問題でございますので、委員長法律家でございますし、私はまた頼りにいたしておりますので、ひとつ委員長のまさしく卓見の中でこの委員会の采配を進めていただきたいと思うわけでございます。  以上をもちまして、時間でございますので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  89. 松永光

  90. 額賀福志郎

    ○額賀委員 味村参考人には、大変長い時間御苦労さまでございます。また、石井大臣も大変御苦労さまでございます。  自民党の同僚議員がそれぞれの立場から、またいろいろな角度から御質問をいたしまして、問題点が相当浮かび上がったものと思っております。おさらいをするような形で味村参考人にお聞きしたいと思っておりますが、それぞれの質問の中で、一票の格差の問題を二倍未満にするとか、飛び地を解消するとか、いろいろなことが言われておりますが、この区割り基準の内容について何項目か出ておりますけれども、それぞれの区割りを策定するに当たりまして、審議会といたしましてはどういう優先順位をもってこれを当てはめて決定していくのか、まずその辺からお尋ねをさせていただきたい。     〔委員長退席、古賀(誠)委員長代理着席〕
  91. 味村治

    ○味村参考人 この区割り基準につきましては、大まかに申し上げまして、人口基準、それから行政区、市区町村分割基準、郡の分割基準、それから飛び地は設けない、それから地勢交通歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮する、こういうことになっておりまして、これはいわば総合的な一体として体系をなしているわけでございます。  したがって、優先というふうに申されますと、どれが優先するということを強いて申し上げますれば、まず人口基準が優先、人口基準をまず立てた。先ほどから申しておりますように、全国議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までを各選挙区の人口とするという大原則を立てまして、その上で、そのために必要となる市区町村分割、郡の分割、まあ町村分割はないわけでございますが、市区分割、それから郡の分割ということを定めているわけでございます。  それともう一つは、飛び地は設けないという基準を定めまして、それについて、どうしても必要な場合には市区分割することもあり得べしということになっているわけでございます。  そして最後に、そういったいろいろな基準に従いまして実際の区割り案作成いたします場合には、この最後に、(五)に書いてございますように、地勢交通歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮するのだ、こういう、強いて順序を立てますとそういうことになろうかと思います。
  92. 額賀福志郎

    ○額賀委員 順位を立てるのは、その地域地域の特徴とかいろいろな背景がありますから、それは味村先生がおっしゃるとおりだと思いますが、大まかな順序といたしましては、まず第一番に一票の格差を二倍未満にするということを前提にして、飛び地をつくらないとか、分割は最小限にするとか、その上でいろんな歴史的な背景等を考えるということと受け取りました。  これは大まかに言って、海部総理時代に区割り案が提示され、その前に区割り基準が我々にも報告があったわけでございますけれども、海部総理時代の基準と味村先生がおつくりになったこの基準との際立った顕著な違い、相違点ほどことどこになりますか。
  93. 味村治

    ○味村参考人 海部内閣当時に提案されました法案によります区割りと、この審議会がつくりました区割り案基準の違いがどこにあるか、大きな違いは飛び地を設けないということであろうかと思います。  あとは、若干文句等は、表現等は違っておりますけれども、大体似たようなものであろうかと思います。
  94. 額賀福志郎

    ○額賀委員 今味村先生がおっしゃったように、海部時代の基準案と特別に違う顕著な違いは、飛び地を設けないということであるということでございました。先ほど同僚議員が、飛び地を設けないということに関連いたしましていろいろと御質問もあったわけでありますが、特に石川先生の御答弁を要求しなかった点がありました。  それはどういう点かと申しますと、例えば同僚議員は、新潟市と佐渡島の件につきまして例に出されまして、主な航路とか交通手段をよく尊重して今後の飛び地のことを考えてほしいというようなことをおっしゃっておりましたが、私は要望だけではなくて、味村先生の、今のようないろんな優先順位等々を総合的に考えた上で、そういう考え方につきましてはどういうふうにお思いになっておられるか、お知らせいただければありがたいと思っております。
  95. 味村治

    ○味村参考人 具体的な地域区割り案につきましてはこれから審議をするわけでございますので申し上げかねる次第でございますが、先ほど石川会長もおっしゃいましたように、この審議会のつくりました区割り基準でもって「飛地」というのは、連続している地域が他の選挙区によって分断されている、そういうことを言っているわけでございまして、離島の場合はそういうことではないわけでございますので、本件、この区割り基準で言っている「飛地」ではないというふうに私は考えております。
  96. 額賀福志郎

    ○額賀委員 先ほどの石川先生のお話でありますと、いわゆる離島の場合は実質的な飛び地というか、そういう範疇に入るということでございましたが、同僚議員の場合は、要するにそういう実質的な飛び地ですね、離島の場合を考える場合に、その離島とどういう航路があるとかどういう空路があるとか、そういう交通手段について、地域経済だとかあるいは行政関係だとかいろいろ総合的に考えた場合に、やはり重要な考える視点としてとらえるべきではないかというような御要望があったはずなんですが、それについてはどういうお考えでしょうか。
  97. 味村治

    ○味村参考人 言葉が足りなくて申しわけありません。  その点に関しましては、この「区割り基準」の(四)の「選挙区は、飛地にしないものとする。」、これは適用がないわけでございますが、(五)の方で「地勢」、島であるとか、あるいは「交通歴史的沿革」、こう書いてありますので、航路がどうなっているかというようなことは交通というようなことで、これは考慮事項ということになろうかと思います。したがいまして、具体的な地域区割り案作成いたします際に、そういう事情は当然に考慮されるということになろうかと思います。
  98. 額賀福志郎

    ○額賀委員 私も、客観的に見ましても当然考慮されてしかるべきであろうというふうに考えておるわけであります。  これに関連いたしまして、例えば一つの離島があります。そうすると、その離島には十分一つの選挙区を形成するだけの人口がない。そしてまたその隣接、離れておる本土とかそういうところでどこかと結ばなければならないようなときに、今交通手段とかそういうことが大きく参考にされるということでありますが、今度はそういう対象となる市がこの区割り基準の中に入っている全国の標準人口の三分の四を上回っているような場合には分割する可能性がありますね。  そのときに、今度その市を、あるいは郡部でもいいのですが、その市とか郡部を分割するときの標準ですね。あるいは分割するときの基準というか参考といいますか、そういったものについて、やはり行政区域だとかあるいは学校の校区だとか、あるいは郵便だとか電話だとかいろいろなものが考えられてしかるべきであるし、あるいは伝統的に歴史的にその町の中に大きな川が流れているだとか、あるいはまた、これは戦国時代の場合なんかはいろいろありますけれども、西と東に町が真っ二つに割れている、市が割れているとか、そういう伝統的な経緯もあるわけでありますが、そういったことに対してはどういうような御判断をなされようとしておりますか。
  99. 味村治

    ○味村参考人 この作成方針の「区割り基準」の中の(二)の(イ)でございますね。「市区人口全国議員一人当たり人口の三分の四を超える場合」には、これは市区区域分割するということになるわけでございます。それで、その際にどういう方法で分割するか、どういうふうに分割するかということになるわけでございますが、これにつきましては、やはり最後の項目の「地勢交通歴史的沿革その他の自然的社会的条件」、例えば途中で合併したというようなことがございますれば、これは歴史的条件ということになろうかと思うのでございますが、あるいは市の真ん中を川が流れているというような場合もございましょうし、そういったもろもろの要素がたくさん複雑に絡み合っているケースが多いのじゃないかと思うわけでございまして、そういうふうに市区分割いたします場合には、市区の御意見も聞き、実情調査した上で慎重に分割線というものを決めるということになろうかと思います。
  100. 額賀福志郎

    ○額賀委員 先ほど同僚議員が御質問をしているときに、審議会といたしましては各都道府県からいろいろな意見聴取をいたしました。そして与野党の合意事項の中におきましても、「衆議院議員選挙区の画定案作成に当たっては、選挙画定審議会が必要に応じ地方公共団体の長等の意見を聴取するとともに、」というふうに書かれておりますから、これは各党の意見を踏まえてそういう行為がなされているものと思っておりますけれども、石川参考人は、各知事から意見聴取したことについては、これは大体把握しているけれども、それがどこにあるのかも知らない、いろいろな意見があるということは聞いておるけれども、概要についてはきちっと把握はしてないというような趣旨の御答弁がございました。私はこれは甚だ問題ではなかろうかなというふうに思っております。  味村参考人は、この知事意見聴取につきましてみずからごらんになり、そしてまたその意見聴取につきましてはどこに保管をなさり、だれが管理をしておるのか、御承知でございますか。     〔古賀(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 味村治

    ○味村参考人 知事に対する意見照会は審議会会長名でしたわけでございます。それで照会事項は、基準についての意見、それからその当該都道府県区割りについての意見を伺ったわけであります。それはすべて書面によって出されておりまして、その書面は私ども審議会委員はいただいております。  さらに、その書面につきまして事務局の方でヒアリングを行いまして、その概要を事務局の方から説明を受けております。
  102. 額賀福志郎

    ○額賀委員 そうすると、海部総理時代の第八次選挙制度審議会の状況についてよく意見を聞き、なおかつ各県の知事さんから御要望を聞いた上で審議をしてきた、さまざまな御意見があったろうと思います。そして、表に出ているのは、先ほどの区割り基準案に示された何項目かでございます。こういうふうに化粧をした姿ではなくて、本当に審議会の中で、九回御議論をなさったということでございますから、これは民主主義あるいは議会政治の根幹をなす区割り画定委員会でございますから、我々も重大な関心を持っておりますし、それはまた開かれた場で国民とともに考えていくのが自然の姿であろうというふうに思います。したがって、味村参考人におかれましては、その九回の審議の中で、表に出されていない部分でこういう意見があったとか、できるだけ素直に、率直に御披露していただけませんでしょうか。
  103. 味村治

    ○味村参考人 この審議会でのいろいろな意見、これにつきましては先ほど会長から御報告があったとおりでございますが、委員のおっしゃいますのは、各知事からの意見でございましょうか。
  104. 額賀福志郎

    ○額賀委員 それも含めまして、表に出ていない、あるいは先ほど石川参考人が若干まとめて御披瀝はされましたが、もうちょっと生の声が、だれだれ、名前まではいいけれども、こういう委員の発言があったとか、あるいはこういう各知事からの意見があったとか、そういう御意見を聞かせていただければありがたいということです。
  105. 味村治

    ○味村参考人 審議会委員意見というのは、大体、先ほど会長が御報告になりましたことに尽きておるわけであります。  それで、各都道府県知事からの意見がいろいろございまして、これは私ども、先ほど申しましたように、知事意見書自体はいただいています。これは書面ですので、いただいています。それとヒアリングをいたしました結果と、大体その意見を分類いたしますと、一つは、区割り基準に関するものがあるわけでございます。それで区割り基準も、区割り基準の追加、変更等をしてくれという意見があるわけでございます。  それは、例えば人口基準に関するものでございまして、先ほど御指摘がございましたが、例えば福島県は、もう既に御指摘がございましたので申し上げても差し支えないと思いますが、人口均衡に重点を置くだけでなくて、地域歴史的沿革地勢地域の経済的、文化的な一体感を最大限に尊重した区割り基準とすべきである、こういう御意見が出ておりまして、そのほかに三つばかりの府県から、やはり人口基準をできるだけ弾力的にお願いしたいという御意見が出ております。  それから、行政区画分割に関するものといたしまして、行政一体性、総合性を確保する観点から、安易に基礎的自治体区域分割することがないように配慮すべきだ、地区の分割はできるだけ避けるべきだという御意見が出ております。  それから、指定市の取り扱いに関するもの、離島取り扱いに関するもの等がそれぞれ出ておりまして、さらに、基準の運用に関すると思われるものが、これは基準自体を追加、変更しろということではございませんで、基準自体の運用についてこういう点に注意をしてもらいたいという御要望が大体十二の団体から出ておるというふうに承知しております。
  106. 額賀福志郎

    ○額賀委員 ありがとうございました。  委員長、各知事から審議会にいろいろな要望が出ておるということでありました。概略は今報告を受けましたが、我々もきっちりと地域と密着した区割り案をつくっていくために、ぜひ資料として我々の手元にこれを提出してもらうように計らっていただきたい。
  107. 松永光

    松永委員長 後刻、理事会相談をしたいと思います。
  108. 額賀福志郎

    ○額賀委員 それから、知事ばかりではなく、地方の議員とか、あるいは国会議員も含めて、審議会にいろいろな意見書とか要望が出ておると思うのですが、これについては目に触れておられますか。
  109. 味村治

    ○味村参考人 これは、自治省の方に要望をされているものとか、それから審議会委員に直接に要望書というのが送られてくるケースと、いろいろあるわけでございます。自治省に要望のありましたものにつきましては、自治省からその大要を集めたものをこれもいただいております。それから、私どもに直接要望がありますものは目を通している、こういうことでございます。
  110. 額賀福志郎

    ○額賀委員 私は、そういう要望とか御意見がいろいろあるということはこれは当然だろうと思うのです。  ただ、例えば先ほど我が党の穂積委員が各国の、アメリカとかイギリスとかドイツとかいろいろな例を出しながら話をしておりましたけれども、イギリスの場合なんかは、この区画画定委員会の権限というのは物すごく強くて、しかもなおかつ地域ごとに委員会をつくっておりまして、しかも公聴会を開いて地域の皆さん方の声を吸収して、しかもそこが納得しない限りは、何回でも何回でも公聴会を開いて区画画定委員会の勧告をするというふうになっております。  石川先生でも味村先生でも、やっぱり幾ら哲人でも天才でも、北海道から沖縄まで全部熟知しているとは、相当は知っているとは思いますけれども、そういうことではないのでありまして、やっぱり実態的には、お役所の用意したいろんな資料とか、あるいは都道府県あるいは市町村の用意したものでお考えになっていると思うのです。知事からは聞いたけれども、三千数百団体の市町村長、これは各党、与野党の合意事項にもあるわけでありますが、そういうところにも、やっぱり本物の区割りをつくっていくためには、しかも民主的なやり方でしていくためには、当然審議会も地方に出向いていって、そして意見を聴取する、それくらいのことはお考えでありませんか。
  111. 味村治

    ○味村参考人 都道府県知事の御意見を伺ったということは、都道府県知事はその都道府県を総括する立場にいらっしゃいまして、その都道府県のあらゆる状況に精通していらっしゃる、こういうふうに考えたからであります。したがいまして、都道府県知事の御意見を十分参考にさしていただくということのためにその御意見を伺ったわけであります。  その他のいわば公的団体につきまして御意見を伺うかどうかということは、これは今後の問題でございますが、必要がありますれば現地調査ということもありましょうけれども、ただいまのところ、どうするかということを申し上げる段階にはございません。
  112. 額賀福志郎

    ○額賀委員 味村先生にお言葉を返すようではありますが、私の実体験からいたしますと、知事さんというのは、全県を掌握しているようでありますけれども、形の上ではそうなっておりますけれども、実態はやっぱり、これは予算とかいろんな仕事の関係もあって、生の声をずばずばと言えるというのはそんなにないのが実態なんですよ。自治省のお役人はどういうふうに語っているか知りませんけれども、これが本当の姿であろうと思います。だから、生の声を各自治体の市町村長さんからよくお聞きになって、やっぱり本物の区割り案というものをつくるべきだというふうに思っております。  そういうことを補てんする意味で、委員長、我が政治改革特別委員会もぜひ公聴会などを開いて、やはり地域と一体となった区割り案というものをつくらなければならないと、委員長、ぜひ肝に銘じておいていただきたいというふうに思います。
  113. 松永光

    松永委員長 その点も、後刻、理事会でひとつ相談しましょう。
  114. 額賀福志郎

    ○額賀委員 それから、味村先生に、あと時間も二、三分しかなくなったものですから、もう一度お願いと確認をさせていただきたいと思います。  私の同僚議員である伊吹委員からきょういろいろな、自民党ばかりではなくて、与党の先生方もこれからはいろいろな質問や御意見の御披露があると思いますけれども、審議会におきましてはこれをよく踏まえて、そして審議会の中で報告をし、そしてまた皆さんとどういう対応をするかを決めたいというのが石川先生の御意見でございました。私は、これは審議会としても当然国権の最高の議決機関である我々の意見を尊重してくれたものと高く評価をいたすものであります。  そこで、その後、佐藤議員とか我々の同僚議員が先ほど、全国議員上限の三分の四を一票でも上回ったら違憲ではないかとかいろいろな意見が出ました、要望が出ました。そういうことについて味村先生もきちっと審議会報告をして考えたいということでございます。そして、石川先生もそうおっしゃいました。我々のきょうのいろいろな疑問点や要望や質疑の中身についてどういうふうに反映されていくのか、あるいはどういうふうに反映されなかったのか、正式な勧告をする前に我々にきちっと報告をして、そしてでき得れば審議もしたいというのが我々の考え方であります。味村委員の御意見を聞かせてください。
  115. 味村治

    ○味村参考人 審議会といたしましては、先ほど会長がお述べになりましたように、この国会で出されましたいろいろな御意見、御要望、これを審議会に伝えて、審議会委員の皆さんに審議をしていただくということになるというふうに考えております。  なお、その後の手続につきましては、これは私どもとしましては現段階で先生の御要望に応ずるというお約束はいたしかねる次第でございます。
  116. 額賀福志郎

    ○額賀委員 委員長、味村委員は、きょうのいろいろな質疑や御要望について審議会に諮って対応を考えたいということであります。国会といたしましては、最高の議決機関といたしまして、この審議会のその後の様子について聴取し、質疑をするのは当然であると思います。よくこの点を配慮して今後の運営をしていただきたいというふうに思います。
  117. 松永光

    松永委員長 委員会の運営等は理事会で協議すべきことでありますから、理事会で協議をいたします。
  118. 額賀福志郎

    ○額賀委員 終わります。
  119. 松永光

    松永委員長 前田武志君。
  120. 前田武志

    ○前田委員 与党を代表いたしまして、前田武志でございますが、御質疑をさせていただきます。  こうやって石川委員長、そしてまた味村会長代理審議会委員先生方、非常に御苦労いただいて、区画の基準を決める方針について先般来説明をしていただいたわけでございます。  私どもは長いこの政治改革論議を通じ、特に当特別委員会論議等を通じ、そしてまた、最初伊吹委員からも御質疑の中でありましたような経緯をたどってこの衆議院の区画画定委員会というものをつくり、そして設置し、厳正中立なる審議お願いしているところでございます。したがって、私は、当委員会において中間報告を受けることにおきましても、基本的には私ども議員がその区画の基準作成方針についてどうこう注文をつけるというようなつもりでやっているわけではない。まさしく先生方の御苦心されたその方針について報告を聞き、また私どもの考えをこういう機会に述べさせていただくということになっているわけでございますが、いささかもこの委員会の中立性、厳正なる公正性、そういったものに影響を与えるようなことをやっちゃいかぬというふうに考えておりました。  ところで、先般来の御議論をお聞きしながら、特に伊吹議員の御質疑に対する石川会長のお答え、非常に率直な、構えない御返答の中に、まことに見識の高い厳正な中立性というものを私は聞かせていただいておりまして、非常に安心をした次第でございます。ぜひこれからも、石川会長、味村代理、また委員のすばらしい賢人の先生方に我々がお任せをするわけでございますから、厳正中立なる立場で御審議を進めていただきたいということを冒頭お願い申し上げておきます。  本日の中間報告も、一応そういったことで区割り基準が決まった段階での報告をいただいたわけですから、そういった私の申し上げたような立場で、決してどうこう中身について注文をつけて、こう変えろ、ああ変えろなんというようなことでは決してありませんので、そのつもりで厳正中立に進めていただきたいということを申し上げます。  さて、まず質疑の方でございますが、先ほど来、英国の事例等も含めまして、上限の三分の四の問題というのがかなり議題になっていたように思います。当初、四十七都道府県に一票を配分した時点で確かに下限の方が確保できない、担保されないという事態になってしまった。しかし、これはあくまでも政治的な、政策的な選択として与野党、この委員会等を通じて議論議論を重ねた上での選択であったわけでございまして、それを前提にしての条件をつけてやるわけでございますから、委員先生方の御苦労は非常に多かろうと思います。しかし、この一票を配分したというところに、やはり過疎の問題あるいは過密の問題、人口移動の問題すべて含めて高度の政策的な、政治的選択というものがあった、こういうふうに思います。  したがって、それに対して、上限の三分の四につきましては、やはり本来は法のもとの平等という、憲法十四条からくると思いますが、いわば投票価値の平等と申しましょうか、そういった観点からいって一対二の中におさまるのがこれが理想であると思いますので、そういう前提で言えば、やはり三分の四というものについては厳格に考えていくべきだろうと思います。  さて、私自身も自分の選挙区、地域を代表して、我が郷土に非常に大きな誇りを持ち、そういう選挙区から代議士として出させていただいている。したがって、地元の問題についても国政の場で大いに議論をし、そして、そういった地元の我々の選挙民の思いというものを国政の場を通じて実現していきたい、こういうふうに考えております。しかし、どうも議論としては、我々はそこにどうしても余りにもこだわる余り、一番基礎である、我々国会議員、代議士たるものは地域の代表である以上に国民全体の代表であるわけでございますから、やはり一票の格差格差と言っちゃいかぬですね、投票権の平等性と申しますか、そういったことにまず大前提として重きを置くべきであって、そういう点からいいますと、どうしても我々の議論自体は地域性であったり今までの地域の歴史のあり方であったり、地形、地勢、そういったものであったり、これは条件をつければ限りなくあるわけでございまして、それをすべて配慮してというのは、もちろんできるだけの配慮はしていただきたいわけでございますが、どうしても限界があろうと思います。そういう中で、やはり上限の三分の四といったようなことについてはかなり厳格に考えていただかないと、その辺で、一番大もとの法のもとの平等性というものに対するぎりぎりの努力というものが確保されなくなるおそれがあるのではないかな、こういうふうに思う次第であります。その辺についての味村委員のお考えをお聞きしたいと思います。
  121. 味村治

    ○味村参考人 まず、当審議会に対します先生の高い御信頼に対しまして、厚く、感謝を申し上げる次第でございます。  私どもといたしましては、今後さらに気を引き締めまして、厳正公正な区割り案作成のために努力をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  122. 前田武志

    ○前田委員 この都道府県の枠というものは、この場合一番最初基本として尊重しているわけでございます。したがって、一票ずつまず都道府県に配ったという経緯もあるわけですね。そして、基本自治体である、我々の身近な行政サービス等をする、またいろいろな地域の成り立ちの基本である市町村の区画は原則としてこれを分割しないという、私はこの二点があれば、もうほぼ地域性であるとかそういったことについての骨格的な担保はかなりなされている、こういうふうに考えております。  そういった意味で、市町村分割しないということは非常に大きな意味を持っておると思いますが、その辺についてどういうふうにお考えでございましょうか。
  123. 味村治

    ○味村参考人 人口基準というのがまずどうしても、先ほど委員が申されましたように、投票価値の平等という点からは重要であるというのが私の認識でございます。その人口基準もとにいたしまして、市町村はできるだけ分割しないようにする。これは、市町村は一体的に行政が行われているわけでございますので、できるだけ分割しないようにする。しかし、人口基準を満たすためには、やむを得ない場合には分割せざるを得ないという態度でこの区割り基準ができているわけでございまして、先生のおっしゃるとおりかと思います。
  124. 前田武志

    ○前田委員 石川会長、そして味村代理、委員先生方に非常に御苦労いただいていることに感謝を申し上げるとともに、厳正中立なる立場でさらにこの区画の画定について御努力いただきますことを重ねてお願いをし、感謝の意をささげて質疑を終わります。  ありがとうございました。
  125. 松永光

  126. 堀込征雄

    堀込委員 どうも大変、審議会の皆様、御苦労さまでございます。  きょうは、もう味村先生にはずっと御足労いただきまして、大変御苦労さまでございます。心から感謝を申し上げます。  私まず、先ほど来の議論を聞いておりますが、最初自治大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。  私ども何国会も経て、苦労に苦労を重ねながら、あるいは大変長時間の審議を重ねながら、政治改革四法案を審議をし、成立をせしめてまいったわけであります。ある意味で新しい時代に向けてこの政治改革からスタートを切った、こういうふうにも言えるわけであります。しかし、この四法案の施行は、御存じのとおり、公職選挙法もこの区割り法と一緒に施行がされる。そしてまた、政治資金規正法やあるいはまた政党助成法、これはもう翌年の一月一日施行、こういうふうになっているわけでありまして、この法案は、もうある方に言わせますと、まさにこの政治改革の画竜点睛の点だ、この点をやっぱりしっかり仕上げないと政治改革四法案というのは仕上がらないんだ、こういう御指摘があるわけでありまして、私どもは、そういう意味で、できるだけ速やかにこの法案を成立をさせていく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  しかし、きょうも議論がございましたように、一方で政局があり、このいろいろな圧力で早めてはならぬというような、介入をしてはならぬという御指摘もございました。そして一方では、やっぱり故意におくらせることもあってはならないという会長の御意見もございました。ですから、私どもは自然体でこの議論をしながら、できるだけ速やかに仕上げていく必要があるのではないか、このように思うわけでありまして、そういう意味で、大臣、いろいろそういう中で、政府としてもこの法案を成立をさせる、これはもう今度の連立政権スタートのときに、その第一項目に、でき得ればこの国会で成立せしめようというような字句も、これは我が社会党も参加をした合意の中にあるわけでありますが、その絡みで、現時点でどのようなお考えをお持ちなのか。まず、御見解をお伺いをいたしたいと思います。
  127. 石井一

    石井国務大臣 私は、堀込議員は非常にえんきょくな話法の中に、私に対して非常に注意深い御注意をお与えいただいておるのではないかというふうに認識をいたしておるわけでございます。  もろもろの経過を経て今日に至りましたわけでございまして、私の発言の中に、自民党の選挙制度部会長でありますとか政治改革本部の幹部の立場、あるいはまたその後政治改革特別委員長、そういう立場を経ました中に今日このポストを与えられたわけでございますが、どうしても昔の癖が出ると申しますのか、要するに暗黙の了解なり議論を尽くし尽くし、そのときは仲間としてやったことで、お互いに十分了解をしておるということを自然体で発言しただけであって、何も特別に介入をしたり、ひん曲げたり、意図があったりというふうな、そういうふうな問題ではございません。  例えば、今御指摘になりました社会党も含めて政策の協議があり、その第一項に今国会にできるだけ成立を期す、こういう文章があったわけでございます。記者との雑談の中に私が自治大臣としてそれを期すなんというおこがましいことを一回も言ったことはございません。私が申しましたのは、そういうふうな連立与党の組みかえ以前の合意もあることだから、すべては審議会がお決めになることではあるし、審議会審議に対しては一切介入できないことなのであるけれども、もしそういうふうなものが出てくれば、中間報告お願いするとか、あるいはもしその間にその答申がまとまれば、当然この国会でそういう合意もあることだから議論されるのではなかろうかということを申し上げただけのことであって、私は自治大臣として、そのことについて、そういう形での発言をしておらないということを申し上げておきたいと思います。  長くなるようでございますが、総総合意におきまして、これはその事務局を衆議院に置かずに総理府に附置するということは自民党とも最終的に議論の末、合意したということでございまして、どちらかの主張に合わさにゃいかぬということでございますから、しかしながらその庶務を預かっておるということで、自治省全体といたしましても、この神聖なる、厳正中立なる審議会の御審議に一切介入をするというふうなおこがましいことは考えておりませんことをひとつ御理解をいただきたいと思います。  それで、最後に申し上げますけれども、御承知のとおり、この区画法案が成立することによって政治改革全体が動くという、そういう仕組みになっておりますだけに、やはり今日までお互いに努力をしてまいったものでございますから、一日も早い成立を期すというのはこれは当然のことでございまして、そういう意味におきまして、自民党、社会党、また、その他の皆様方にもさらに積極的な御協力を、審議会が中立公正なる手続を終えました段階にはお願い申し上げたい、その一点に私の気持ちは凝縮しておる、こう申し上げていいと思うのでございます。
  128. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、もう少し時間といいますか作業日程と申しますか、そういうことについて伺いたいわけでありますが、御存じのように審議会の方は委員の任命の日から六カ月以内、つまり十月の初旬までに勧告をいただく、こういうことになっておりますが、第八次審のときは何か、方針を決めた後四回程度の会合で具体的な区割りが済まされているというふうにもお聞きをしているわけでありまして、この辺は、きょうも御意見出されました。あるいは都道府県知事からも御意見あったり、いろいろな御意見を踏まえながらこれから審議会で御議論をいただくだろうというふうに思いますが、あえて何回ということは申しませんけれども、できるだけ国民の声やいろいろな各方面の声を聞いていただいて、密度の濃い論議をいただいて勧告を賜る、こういうことになってくるのだろうというふうに思います。  そこで、自治大臣、ちょっと続いてお伺いをするわけでありますが、これは仮にの話でありますけれども、仮に審議会から勧告を受けて、この法案化作業、これは印刷時間を含めてどの程度要るのか。そこで審議などもあるだろうというふうに思いますが、例えば仮にスムーズに成立をした場合、周知期間問題、これらについて現時点でどのようにお考えになっていらっしゃいますか。まだそこまでいっていないのかどうか、現時点での考え方をお聞かせください。
  129. 石井一

    石井国務大臣 周知期間は以前の法案では三カ月ということが明記されておりましたが、今回の場合は法律が成立いたしましたときにその附則で決めるということでございますから、そのときの政治状況をも踏まえて、各政党間とも御協議をする中にしかるべき時間を置いて国民にも理解を求める形でやるべきだというふうに思います。  三カ月というのが一つの目安ということも言えるかもわかりませんが、それは今ここで断言する時期ではないんじゃないかな、そういう感じがいたします。
  130. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、もう一つ問題があるわけであります。  与野党の話し合いの中で、この区割り法の成立、区画の成立までに、一つは政党の法人化と申しますか、政党助成法に絡んでいろいろな議論があって、ある程度、区割り法の成立までに合意を得よう、あるいは参議院で特に議論のありました投票方式の自書式なのか記号式なのかなどについても議論を深めよう、こういうことがあったわけでありますが、これは今まで審議が与野党の間で詰められてきているのかいないのか。ないとすれば、やはり大臣なりあるいは委員長のリーダーシップでこちらの方もやはり並行して議論を進められて結論を得ていく必要があるのではないか、このように思いますが、これは大臣は御見解いかがですか。
  131. 石井一

    石井国務大臣 御指摘のとおり、政党間の協議によって残された問題ということでございまして、法案提出までに何らかの結論を出すというような条項がございましたので、これは委員長を中心にと申しますか政党間同士の協議を進められ、右か左か、あるいは別の結論か、いずれにしても何らかの結論を、合意を求めたいという気持ちでございますが、これは自治省としてどうのこうのするという性格の問題でないわけでございますので、その点私の答弁はこの程度でお許しいただきたいと存じます。
  132. 堀込征雄

    堀込委員 その点につきましても、ぜひ委員長理事会などを通じて、並行して審議を進められるように御要望をさせていただきたいと存じます。
  133. 松永光

    松永委員長 要望は承りました。
  134. 堀込征雄

    堀込委員 それでは、具体的な中身でございます。  先ほど来議論になっております二倍以内という問題、具体的な区割りに関する二倍以内という問題でありますが、定数訴訟の問題も過去何度かあったわけでありますが、とりわけこの六月三日に出されました高裁判決でありますが、新しい制度の中で、国会も世論及び国会自身の認識に即して配慮をされていくだろう、その際、一人が二票以上持たないというところを基準にしながら、世論及び国会自身の認識に即して判断をされていくであろう、このような判決であっただろうというふうに大筋考えるわけでありますが、上告もされているようであります。  しかし、この区割り全体を考えますと、もう議論がありましたように、下限人口はしようがない、上限人口は抑えるとか、いろいろなことを御苦労されてやっておりますが、しかし、各都道府県にも一名を割ったということによって、これはもう厳正に二倍以内で全部おさめるということは事実上、実際上不可能な事態になっているわけでありまして、たしか海部内閣のときにも幾つか、二十七ですか、六ですか、二倍をはみ出したところがあったわけでありまして、この辺と先日の判決なんかの考え方でありますが、やはりこれは、都道府県で二倍以内におさまっていくということで、あとはもう各都道府県選挙区事情あるいは地勢とか県庁所在地への人口集中とかいろいろなケースが出てきますから、ある意味ではその辺でやはり国民的な理解が得られるのではないかというふうに私は格差二倍以内に接近するということを最大限追求しつつも、ある意味で思うわけでありますが、味村先生、その辺はいかかでございましょうか。
  135. 味村治

    ○味村参考人 私といたしましては、格差をできるだけ少なくするということは投票価値の平等につながるわけでございますので、やはりそれが一番重点である。設置法自体も、二倍以上にならないようにすることを基本としと言って、書いていらっしゃるわけでありますので、その設置法もとにおいて審議をいたしております審議会といたしましても、その設置法の精神を十分生かして基準をつくらなければならないというふうに考えております。
  136. 堀込征雄

    堀込委員 よく見解は御理解ができるわけでありますが、ただ、飛び地市区や郡の分割の問題を考えますと、例えば東京を除く四十六府県、その県で人口集中度が三〇%もあるという都市が十七県もあるというような実態もございまして、東京圏一極集中だけではなしに、各都道府県では今度は県庁所在地を中心とした一極集中がまた進んでいるという実態があるわけであります。  今回の区割り案は、報道によりますと十五市ぐらいが分割されるのではないかという報道もございますけれども、これを例えば十年後というようなことを見通した場合、次の勧告の時期などを見通した場合に、やはりもっともっと分割するところをたくさんつくらなければならなくなる、あるいは飛び地をつくらなければならなくなるということは、このままいくとある意味ではもうやむを得ないことで、そういう現象が起きてくる。したがって、私どもとしても、そういう現象が起きる中で都道府県格差を二倍に抑える、そしてその中で市区分割は、あるいは郡の分割は将来どんどん進んでいくということなどについて、ある程度、二倍に接近するためにはやむを得ないという割り切りをやはりする必要、そのことを割り切らないとなかなか二倍に接近できないのではないか、このように思うわけであります。  地方自治体の御意見も随分お聞きをされたようであります。例えばアメリカの例もさっき出されましたけれども、アメリカの場合は、連邦の定数がきちんと決められて、それはもう各州に、今度のように各県に分けるように分けて、あとは州の中で格差のないように決めていくという方式がとられているようでありますから、そのような考え方に立たない限り、全国的にどの選挙区も二倍以内におさめるということは非常に不可能になってくる。  そう考えますと、私どもはこの政治改革をやってまいりましたけれども、三百の小選挙区の議員というのは地域の代表であるという側面もあるのでありましょうが、やはり憲法上に基づく全国民の代表だという意識を持ち、しかもこれから政治改革につながって地方分権やいろいろな改革を進める、そして国会の任務は防衛や外交やそういうところにだんだん集約をしていくんだ、したがって、国会議員というのは、今までのように地域利益を代表する存在だけではあり得ないのですよ、あるいはむしろそういう面は薄くなっていくのですよという認識を持たないと、この改革というのは、今回は何とか区割り審議会の皆さんの御努力でできるのでありましょうが、これは、例えば逆転現象はどんどん出てくるとかいう現象を考えますと、なかなか、これは将来まで、今の選挙区が自分の選挙区だと思っていたらもう次の年にはまた分割だとか、あるいは、ある県は定数が四から三に減ってしまうとか、これはもう間違いなく起こる現象なのでありまして、そういう認識に国会議員が立つことがこの区割りに当たって大事なのではないか、こういうふうに思うのですが、味村先生、御所見ございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  137. 味村治

    ○味村参考人 今おっしゃいました問題は非常に難しい問題でございまして、私どもとしましては、現段階におきまして国勢調査に基づきます人口、これによって二倍以上とならないようにという設置法の定めがございますので、それをあくまで念頭に置いて審議をしているわけでございます。  どうしたってこれは、投票価値の平等ということになりますと、全国的な問題でございまして、各都道府県の内部だけというわけにはまいりませんし、委員がおっしゃいましたように、国会議員全国民の代表者であるということは憲法に書いてございますので、そういう点から申しましても、全国的な投票価値の平等ということは重視してしかるべきものというふうに思っております。
  138. 堀込征雄

    堀込委員 ありがとうございました。  それで、例えば、これもある新聞なんですが、今の現象というのは、逆転現象が既に、九三年ですから去年の三月末の住民基本台帳でやっても、これはもう私ども国会で決めたことですから、審議会の皆さんに何か申し上げるというわけではありませんが、例えば、さっきもありましたが、定数十三の北海道と定数十二の千葉の人口が逆転している、あるいは定数四の大分と沖縄、滋賀の人口が逆転しているとか、山形と沖縄、定数四と定数三ですが、これも逆転しているというような現象がもう起こってしまっているということが一つございます。  したがいまして、今度御苦労いただく区割りというのは、やはり平成二年の調査に基づいた一つの皆さん御苦労いただく指針であって、これから各県の選挙区区数もあるいは区割りも将来にわたってしょっちゅう変わっていくんだという認識を私ども持つことが必要なのではないかという感じを今の議論の中で私は感じたわけでありまして、あわせて、そういう意味では、国会議員が従来型の、地域利益代表型の仕組みではなかなかでき得ない仕組みになっているなという感が実は率直にしたわけでございます。  以上、感想を申し上げて私の質問を終わります。ありがとうございました。
  139. 松永光

  140. 前原誠司

    前原委員 さきがけ・青雲・民主の風を代表いたしまして御質問させていただきたいと思います。  まずは、長時間大変御苦労さまでございます。  私どもの感覚といたしましては、公正中立に選ばれた委員の皆さんでございますから、こう言うと非常に僭越かもしれませんが、もうこういう議論もなくきっちりと決めていただいて、勧告もしていただくということで、私個人としてはいいんじゃないかなというぐらいの気持ちでおります。  そういう大前提から、いろいろ今まで議論されたことの内容についても御質問していきたいと思いますが、まず第一点に、なぜ都道府県、まあ知事というふうなこともおっしゃっておりましたけれども、ヒアリングを行われたのかという点について御質問したいと思います。  これは、一たんやり出すと、聞けば聞くほどいろいろな意見が出てきて、そしてまとめられるのに非常に御苦労を逆にされるのじゃないかというふうに思うわけであります。例えば、きょうもいろいろ議論がございましたけれども、飛び地の問題とかあるいは広域行政、それから地方拠点都市などの分断につながる、そういういろいろな意見が出てまいりましたけれども、まず、どういう目的で都道府県に対するヒアリングを行われたのかということをお伺いをしたいと思います。
  141. 味村治

    ○味村参考人 これは最初会長から御説明がありましたが、都道府県知事は各都道府県行政地勢交通等全般に通じておりまして、区割りについて都道府県全体を総合的に判断できる視点を持っておられるというふうに考えたからでございます。
  142. 前原誠司

    前原委員 ただ、冒頭私が申し上げましたように、確かに地域の特性をよく御存じの知事にお話を伺うということも必要でありますけれども、しかし聞けないところも多分出てくるというふうに思うわけでございます。  では、別の御質問の仕方をしたいと思いますけれども、第八次の答申案で結構だというような都道府県は四十七都道府県のうち幾つあったのか、お答えをいただければと思います。
  143. 味村治

    ○味村参考人 区割り基準についての御意見と、それから具体的な当該都道府県についての区割りの御意見と両方伺ったわけでございますが、全部オーケーだと、海部案で結構だというふうに答えた都道府県知事さんが何人いらっしゃったかということは、ちょっと今急にはわかりません。よく見れば資料は持っておりますが、今にわかにお答えをする準備がございません。
  144. 前原誠司

    前原委員 また、では後ほどそれは委員長にお計らいをいただいて、ぜひ御報告をしていただければというふうに思いますが、今おっしゃったように、都道府県についてヒアリングをされた内容というのは、区割り案基準はどうすべきかというふうなことと、それから具体的な区割り案はどうすべきかというふうな二点について御質問されたというふうなことを聞いております。  今おっしゃったように、何都道府県が海部案どおりでいいというふうなことは今承知をしていないということでございますけれども、最初質問に戻りますけれども、私は、極論でございますけれども、聞いてできなければ聞かなくて決められてもよかったのじゃないかというぐらいの気持ちでおりますので、どうか、きょういろいろな意見が出ましたけれども、中立公正という審議会の皆さんのお立場でございますので、私は、こういう意見もあったというふうなことで、ぜひ話を前に進めていただければ結構なのではないかというふうに思います。  次に、先ほど額賀議員からの質問で、海部案との作成基準の違いはどこにあるのかというふうな御質問がございまして、味村先生は、飛び地を設けないということ、そして、あとは大体同じだという御答弁をされておりました。そういたしますなら、これは非常に難しい質問かもしれませんが、大体で結構でございますので、では、飛び地以外、飛び地をつくったというのは千葉とそれから三重というふうなことでございますから、味村先生のお考えとしては、あとは大体海部案どおりの区割り案というものが出てくるんだというふうな認識でよろしいんでしょうか。その点をお聞かせ願えればと思います。
  145. 味村治

    ○味村参考人 現段階におきましては、審議会では区割り基準をつくったところでございます。今後、具体的にどういう区割り案作成するかということは今後の審議にゆだねられているわけでございまして、現段階で海部案とたった二点しか違わないところが出るのかどうかというようなことについては、なかなかお答えをいたしかねる次第でございます。  ある程度、区割り基準というのははっきりしているわけでございますが、最後地勢交通等の社会的、歴史的条件も考慮するということになっておりますので、そういった点がどのように考慮されるかというような問題も相当シリアスな問題として残ってくる場合もあろうかと思います。
  146. 前原誠司

    前原委員 では、これもなかなかお答えがいただけにくいお話かもしれませんので、味村先生と、そして自治大臣にもお伺いをできればというふうに思います。  衆議院で、この中間報告を受けての質疑をこの政治改革特別委員会できょう、あしたとやります。それから、今度は参議院でもやられるということでございます。では、その後のスケジュールについてでございますが、具体的にまた、今、週二回でございますか、議論をされていただいておるということでございますけれども、こういう衆議院、参議院の議論というものを踏まえて、そして具体的な区割りというふうなものにお入りになるかと思いますけれども、今の政局の動きと連動しないというふうなお答えでございましたので、では物理的に、衆議院、参議院というところに話を聞いて後の、先生方区割りを具体的にまとめられるのは大体どのぐらいなのかなというふうなことを味村先生からお聞かせ願えればと思いますし、自治大臣も、見通しで結構でございますので、その点をお聞かせ願えればと思います。
  147. 味村治

    ○味村参考人 国会での中間報告が終わりますというと、先はどのように、国会での御審議の内容につきまして審議会で御報告をして、さらに具体的な区割り案作成に入るという段取りになると思います。  ただ、それがどのようになるのかということは現段階では申し上げかねるわけでありまして、基本的には、審議会といたしましては委員の任命後六カ月以内に勧告を出すということになっておるわけでございますが、審議会としては、厳正、中立、公平ということを旨としながら、やはり効率的に審議をするということも考えているということは常々会長も申されているところでございますので、そういったところを踏まえて今後の審議が行われることになろうかと思います。
  148. 石井一

    石井国務大臣 引き続き参議院での中間報告を御期待申し上げておるわけでございますが、その後はまさにもう他力本願でございまして、私の方がどうだこうだと言うことは厳に慎みたいと思っておりますが、ただ、選挙画定審議会からの答申が総理に出ましたら、私の方といたしましては、速やかに国会法律案として提出し、御審議をいただく、こういうことを考えておるわけでございます。
  149. 前原誠司

    前原委員 区割り案を決めて、そこでやっと長年の政治改革というものが結実をするということでございますので、私は、それをじっくりやっていただいても結構でございますが、一日も早く待っているところでございますので、ぜひ、先ほどのお言葉にもございましたけれども、じっくりやっていただくと同時に、効率的な御審議というものを今後も引き続きお願いをさせていただきたいというふうにお願いするところでございます。  それに関連いたしまして、では、その後の後のことについて少々自治大臣に御質問させていただきたいと思うわけでございます。  よく私も、地元に帰りまして、政治改革がやっと目前のところまで来ていますというふうなお話をしておりますが、なかなか有権者の方にはわかっていただけない。つまり、選挙制度を変える、それがメーンになっておりますけれども、果たしてそれが政治改革なのか。あるいは今までじっくりと議論をしてきた政治改革というものがそれで終わるのかといえば、これはそうではないというふうな思いを持っておりますし、自治大臣も同じような思いを持っておられるのではないかと思います。  では逆に、この区割りが正式に法案が通過をして成立をしたその後のことでありますけれども、国民の皆さんが、まだまだ政治改革というものは不十分であるというふうな話が出てきた際に、引き続き政治改革というものを絶えずやっていく、改革というものは継続して初めて意味のあることだと思いますので、政治改革というものは引き続きまだまだ足りない部分というものを議論していかなくてはいけないと思いますが、現在、自治大臣は、ではこの区割り法案がまとまって、いわゆる四つの、公職選挙法の改正などを含めての結実をした後に、具体的にさらなる政治改革をどのようなものを考えておられるのか、お聞かせ願えればと思います。
  150. 石井一

    石井国務大臣 参議院の改革が緊急措置として合意に達したようでございますが、私は、衆議院と対比して、もっと良識の府としての選挙制度というもの、それからそれに連続して地方選挙、首長にいたしましてもいろいろの批判もございますし、検討を加えられるべきではなかろうか。県議会、市議会等地方の議会につきましても、やはり中央がまず、衆議院だけで済むわけでございませんから、そういう問題をやっていくべきではなかろうか。  さらに、腐敗防止ということがよく言われるわけでございまして、こういう点で、四法案の中にはかなりの部分入っておりますけれども、そういう問題でも検討を加えるべきではないか。  と同時に、これは七十年ぶりの改正をしまして、中選挙区から離脱したといたしましても、この制度が本当に定着し、本当に正しいのかということは、ある程度の実験を経て、そういう中から出てくる解答があろうかと思います。政界再編成とともに、それが今後この制度を定着して継続することがいいのかどうかということも検討しなければいけません。前原議員のように若い世代を代表する方が、そういう問題についてさらに強く、継続は力なりと、そういう中から政治改革を完結してくださることを私は大いに期待をいたしております。
  151. 前原誠司

    前原委員 どうもありがとうございました。  今の御答弁にさらにちょっとお伺いしたい部分がございまして、私は、さらなる政治改革というものの中に、おっしゃったような参議院の抜本的な改革、あるいは地方選挙というものの改革というものも含まれると思いますけれども、当面、国民の立場に立った政治改革というものを考えるならば、腐敗防止というふうなものについて、まだまだ手ぬるい部分があるのではないかというふうに思っております。  大臣は、では、具体的にお答えいただける範囲で結構でございますが、さらに腐敗防止策を強めるとしたら、どういう点を考えておられるか。今お答えいただける範囲で結構でございますが、腐敗防止策の徹底という面はどこら辺がポイントになっていくのか。  それからもう一つ、私は、今回公的助成というものについて合意がなされましたけれども、はっきり申し上げて、非常に不満でございます。各政党が前年度に集めた三分の二を上限とするというふうなことでありますので、では集めたところが得をするのかというふうな部分が残ってしまいましたために、私は、この公的助成の本質から少し離れてしまったのではないかということで、今これを成立させるということでございますけれども、さらにこの公的助成の問題については突っ込んでさらなる改善というものを施していかなくてはいけないのではないかと思っておりますが、腐敗防止のさらなる追求、具体的にどういった点か、そして公的助成のさらなる改善について、私は必要だと思っておりますが、この二点について大臣の御見解を例えればと思いますので、よろしくお願いします。
  152. 石井一

    石井国務大臣 最後に御指摘になりましたことは、私も同感でございます。一番注目して今後その動きを見なければいけないのは、新しいトライアルとして導入した政党助成という問題でございまして、この点は自民党サイドから、前年度の実績というものを踏まえてということで、これは建設的な提案でありましたから合意をしたわけでございますけれども、しかしながら、一人二百五十円の国民から求めるこれが本当に納得のいく形で公表され、また、支部の運営が民主的に透明度の高い形でやられるかと申しますと、これまで経験がないわけでございますから、これは大変な大きな問題を抱えておると思います。少し間違えば非常に政治が悪い方向へ行くという、そういう懸念も考えられることでございますから、この点は今後の課題として見守っていきたいと思います。  なお、腐敗防止につきましては、私が調べたところでも昭和五十年七月の改正、昭和五十六年、平成元年、平成四年と、今度で五回目でございまして、これは三木内閣のときに政治資金を非常にカットいたしましてから、その後徐々に徐々に罰則を強化し、連座制を強化し、資金の透明度を高め、それから企業献金に対する厳しいむちを打っていったわけでして、最終的には、例の金丸脱税事件から、不法な金は全部没収するというところまでやっておりますので、腐敗防止としての一本の柱にはなっておりませんが、我が国のこの体制は、もうこの四法案をもってほとんど、政治活動についてはこれまでのような状況にはないという状況にあるということも私は認識しなければいけないと思います。しかし、これで十分かどうか、これはやはり政党助成とともに、今後の問題としてともに考えていきたいと思います。
  153. 前原誠司

    前原委員 最後に御要望をして終わらせていただきたいと思いますけれども、一番初めに申し上げましたように、今回の区割りの話というふうなものについてはいろいろな意見がございますし、意見を言う人の顔を立てていては幾ら顔があっても足りないというふうな話だと思います。最後は、やはり七人の方々の御見識、中立さ、公正さというもので私は御判断いただいてしかるべきものではないかと思いますので、そういった意見もこの政治改革特別委員会にあったと、例えば先ほど三分の四、全国議員一人当たりを一人とも超えてはいけないというのはおかしい、法律違反だというふうなこともありましたけれども、しかし、やはりどこかで基準を決めないことには物事はつくれないというふうに私は思っております。  したがいまして、三分の二を下回るところが出てきている以上は、どっちかを決めなければいけないということで、三分の四というものは私は逆に断固とした強い意思で、一人でも上回ったらいけないというふうなお気持ちで決めていただいて、そして後々人口増加等に合わせて、あるいは社会の変化等に合わせて、十年とは言わず柔軟に見直していただくということをぜひお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
  154. 松永光

    松永委員長 東中光雄君。
  155. 東中光雄

    ○東中委員 味村参考人にお伺いします。  憲法上、国家意思形成の中心機関とされておる衆議院選挙制度については、私は、二つ基本的な原則があるのではないかと思っています。  一つは、国民の意思を議席に公正に反映させるようにすること。それからもう一つは、一票の価値の平等が確保されること。この二つ原則が貫かれることが必要だと思うのですが、その点、参考人、いかがでございましょうか。
  156. 味村治

    ○味村参考人 投票価値の平等ということは非常に重要な要素でございます。  ただ、憲法上の問題といたしましては、もう委員承知のように、最高裁の大法廷の判決がるる累次にわたって出ているわけでございます。  ごく簡単に申し上げますと、  選挙区割と議員定数の配分を決定するについては、選挙人数と配分議員数との比率の平等が最も重要かつ基本的な基準であるというべきであるが、それ以外にも考慮されるべきものとして、都道府県、市町村等の行政区画、地理的状況等の諸般の事情が存在するのみならず、人口の都市集中化の現象等の社会情勢の変化を選挙区割や議員定数の配分にどのように反映させるかという点も考慮されるべき要素の一つだ。こういう  見地に立って考えても、具体的に決定された選挙区割と議員定数の配分の下における選挙人の投票の有する価値に不平等が存在し、あるいはその後の人口の異動により右のような不平等が生じ、それが国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお、一般に合理性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、右のような不平等は、もはや国会の合理的裁量の限界を超えているものと推定され、憲法違反であると、こういうふうに言っているわけでございまして、いわば抽象的な基準を決めているわけでございます。  それで、具体的にはどうかと申し上げますと……(東中委員「そんなこと聞いていない、質問していないことに答えるな」と呼ぶ)では、この程度でやめさせていただきます。
  157. 東中光雄

    ○東中委員 あなたは、それで公正、見識のある参考人と言えるかね。私は、重大な政治的な行動だと思いますよ。そんなこと、聞いていないじゃないですか。  私の言うのは、選挙制度が、主権者である国民の意思が選挙によって公正に議席に反映されるというふうに努力するのが、これは制度の一番の基本だ。国民の意思を曲げて議席に反映されるような、そういう制度はおかしいじゃないかということを選挙制度の原則の一つとして私は言うた。それについてはあなたは答えなかった。  それからもう一つは、一票の価値の平等という点について言えば、これは憲法上の、憲法十四条からいっても当然であります。  そこで、我が党としては、小選挙区制は民意をゆがめる、そして国民意思を公正に反映するものではないということで、小選挙区制に私たちは反対をしてきました。しかし、この小選挙区制で、今度は三百の区割りをやるということになれば、その区割りにおいても、やはり民意を公正に反映する、一票の価値の平等を確保するというこの原則を貫いてやっていくのが当然だというふうに私は思っています。  そこで、衆議院選挙画定審議会設置法第三条の第一項には、区割り作成基準として、各選挙区の人口均衡を図るということが書いてありますね。「各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにすることを基本」とす。そして、あと「行政区画」あるいは「交通等の事情を考慮して合理的に行わなければならない。」だから、基本とすると、原則は各選挙区の人口均衡を図るということです。そして二倍未満とする、これが基本であると書いてある。  ところが、ここへ出されたものを見ますと、区割り基準でいけば、「区割り基準」の(一)の(イ)です。ここでは、「各選挙区の人口は、全国議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとし、」と書いてある。これだけ言えば、一対二未満になるように見えるわけですが、何で三分の二、三分の四という数字を出してきたのか、これは全然何にもないわけです。  しかも、その後には「三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けないものとする。」三分の二を下回る選挙区もあるぞと書いてあるのですね。「できるだけ設けないものとする。」だから、そういうものが出てくるということがあるという基準ですよ、これ。そうでしょう。そうしたら、一対二未満とするという原則、できるだけ均衡をとるようにするということをここでもう変えているのですね。設置法に書いてあることを基準は変えてしまっているのです。そういうことになっていますね。これはどうですか。一対二未満の格差でない場合があるということをこの基準の中に示してある。そうでしょう。
  158. 味村治

    ○味村参考人 投票価値の平等ということは憲法上の要請でございますので、その憲法上の要請は、現在、最高裁判所の判決によってどういうふうに理解されているかということを私は先ほど申し上げたわけで、政治的発言ではございません。そのことを申し上げておきたいと思います。  それから、この人口基準につきましては、これは委員が御指摘になったとおりでございまして、三分の二以下の選挙区は設けない、三分の四以上の選挙区は設けないということでございますが、下限の方は、できるだけ設けないこととする、こういうふうになっているわけでございます。したがいまして、絶対に二倍におさまるということはならないわけでございますが、それは審議会設置法におきまして、「二以上とならないようにすることを基本とし、行政区画地勢交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」ということでございまして行政区画地勢交通等の事情を考慮することによって、若干の基本から外れるということも、これは認めているんだというふうに私どもは理解し、国会でこれを提案された政府側の見解もそのようなものであるというふうに理解しておりますので、別にこの基準法律設置法に違反しているというようなことは考えておりません。
  159. 東中光雄

    ○東中委員 一対二未満とするということが設置法に書いてある。二以上とならないようにすることが基本だと書いてある。ところが、基準の(イ)のところで、既に三分の二を下回る選挙区が出てくるということが前提になっているわけですよ。それを基準にしているわけですよ。だから、二対一を超すということが前提になっているという点で問題がある。  それからもう一つ、非常におかしな点を申しますと、(ロ)では、「各選挙区の人口は、都道府県議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとする。」こうしております。ところが、(ハ)は、都道府県議員一人当たり人口全国平均の三分の二を下回る都道府県、つまり、福井県と島根県ですか、だけは、県内の各選挙区の人口をできるだけ均衡にするものとすると。この二県だけはできるだけ均衡にするものとすると書いてある。前の方は、できるだけ均衡にせぬでもええんです。相当離れてもええんだということになるのです。  それで、そうなると、この法律の一番初めに書いてあるのは、「各選挙区の人口均衡を図り、」と書いてあるのですよ。均衡を図ると書いてあるのに、この二県だけ、三分の二を下回る都道府県だけ人口をできるだけ均衡にするものとする、ほかのところは均衡にせぬでもええんだ、こういうことになっておるから、だから一対二未満を超しちゃうということになるんです。これはもう全く、そういう点では、書いてあることと実際にやることと違う。  なぜそういうことになるんかということですが、これはなぜそういうふうに分けたのですか。全部、各選挙区でできるだけ均衡になるようにしないのですか。一番小さいところだけ均衡にして、ほかのところは均衡でなくてもいいのですか。
  160. 味村治

    ○味村参考人 設置法の第三条を見ますと、この区割り案は、選挙区の「人口均衡を図り、」そして「選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにすることを基本とし、」ということでありまして、この範囲であれば、大体各選挙区の人口均衡が図られているというふうに設置法は考えているものというふうに思うわけでございます。  その設置法の規定を受けまして、この区割り基準の一番最初のところに、「各選挙区の人口均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにすることを基本とする。」という基準を持ってまいりまして、その具体的なあらわれとして(イ)(ロ)(ハ)を置いたわけでございます。「均衡」でございますから、全部が均等というわけではございません。  ただ、島根県とか福井県のように、全国議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区、これが既に設置法の三条の二項によって生ずることが明らかになっているわけでございますので、そういう選挙区については、もう三分の二を下回らないようにするということは不可能なわけでございます。  では、そういう選挙区について何も書かないのか、何も基準を置かないのかと申しますと、これは困ることになりますので、そこで御指摘のように(ハ)で、そういった県では、「各選挙区の人口をできるだけ均等にするものとする。」「均等」というのは、できるだけ同じような数にしたい、するようにする、こういうことでございまして、別にこの基準自体が問題になるということはないと思います。
  161. 東中光雄

    ○東中委員 あなたの言っているのは何の説明にもなりませんね、そういう発想をしたというだけで。何で三分の二ないし三分の四というのを設定したのか、これが全く根拠がないんです。  そして、その三分の二より下回る分については均等にせい、ほかのところは十万、二十万違っても、同じ県内で違っても構わないという格好にしているんです。これは明らかにおかしいんですよ。  ここの割り当てでいけば、東京は最大で、一議員当たり人口が四十七万四千二百二十三ですね。それで三分の四の最高枠というのは五十四万九千三百八十二です。だから、うんと東京の場合は差が開くようになっていますよ、五十四万九千までやるんだから。それで五十四万九千までいくと、今度は三分の二のところは、下ですね、これは最低が三分の二の場合は二十七万四千六百九十二人。ところが、島根は二十六万三百四十、こういうふうになって、島根は三分の二を割るんですよ。だからそこだけは均衡にせい、こう言うんです、島根の三つは。で、東京はばあっと離れていてもいいと。東京の方を抑えたらいいんです。そうしたら三分の二以下になるんです。  現に、この割り当てでいけば一・八二内に入るんだという数字を出しているじゃないですか。それをわざわざ、一・八二になる、それに均衡しておったら一・八までにおさめられるという条件があるのに、こういう基準をつくって、三分の二、三分の四なんというようなことをつくって、そして一対二未満に入れないようにしようと。これは、最高裁がとってきた極めて反動的な、一票の価値の平等性を尊重しない態度をあなたが貫いておるというだけでしかないと思うんです。  それで私、この間、平成五年一月二十日最高裁大法廷の判決の中で、あなたも少数意見書いているけれども、木崎良平さんが少数意見を書いています。木崎さんは大阪の弁護士出身で私も同期でよく知っているんです。彼の意見を見て、これは説得力ありますよ。彼はこう言っていますね。  「昭和五一年大法廷判決が判示しているように「憲法一四条一項に定める法の下の平等は、選挙権に関しては、国民はすべて政治的価値において平等であるべきであるとする徹底した平等化を志向するもの」でなければならない。」だから、最高裁の基準になっておる五十一年大法廷判決を引いて、それが基準なんだということを言うた上で、いろいろ論じています。  「「投票価値の平等」は、憲法の保障する国民の基本的権利であるのに対し、「考慮すべきその他の要素」」要するに行政区画とかなんとかというやつですね。「要素」は、国会が立法府として具体的な選挙制度の仕組みを決める際に考慮すべき事項にすぎない。したがって、両者は重要度を異にする基準であり、国会が制定した選挙制度の仕組みを定める法律が憲法の保障する投票価値の平等の要請を損なうようなことがあってはならないのである。」  「ところで、投票価値の平等を数値で示すならば、当然一対一ということになるが、公職選挙法は、まず一定議員総数を定め、これを各選挙区に配分する方法によっているので、較差を零とすることは現実には不可能といえよう。しかし、較差が一対二以上となった場合には、選挙区を異にする選挙人に対し、一方では一人に対しては一票しか与えないのに、他方では一人に対しては二票以上を与える結果となり、明らかに平等の原則に反することになる。したがって、平等の趣旨を維持するためには、較差を一対二未満になるように議員定数配分規定を決める必要がある。」  「憲法上国民は主権者とされてはいるが、国民が現実に国政に関与し得る最も重要な機会は、国会議員選挙に際して一票を投じることであって、この点に思いを致せば、国民にとっては、平等な投票価値の実現は、単に形式的な面においてだけでなく、実質的な面においても極めて重要な意味を持つものである。」それで、昭和五十一年の大法廷判決が、先ほど言ったように、それを徹底的に追求するようにしているじゃないかと。「この国民の平等権は、国会の裁量権と同列に論すべき問題ではない。」「最大較差一対二未満の数値を維持すべく最大の努力を払うべきであって、これを超えるときは、違憲の評価を甘受すべきである。」だから、最大限の努力をする、そして一対二未満のぎりぎりまでは認めるけれども、それを超したら、これは憲法違反になるんだということを言っているんですよ。  だから、戦後の公職選挙法をつくったときも、衆議院は一対一・五そこそこだったでしょう。初めから一対二を超すというようなことは、これは断じて許せぬというふうに思うわけであります。つい最近の六月三日の東京高裁判決もその点ははっきり同じことを書いている。  最高裁の意見として、法制局長官としてあなたの言われていることは極めて反動的な、国民の主権に対する侵犯だということを申し上げて、私、終わります。
  162. 松永光

    松永委員長 これにて質疑は終了いたしました。  味村参考人には、御多用中のところ長い時間にわたり御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  次回は、明二十一日火曜日午後三時四十分委員会、午後三時三十分理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十七分散会