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1994-06-03 第129回国会 衆議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月三日(金曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 奥田 幹生君    理事 林  幹雄君 理事 福永 信彦君    理事 谷津 義男君 理事 小泉 晨一君    理事 笹山 登生君 理事 岡崎トミ子君    理事 大野由利子君       持永 和見君    石田 美栄君       前田 武志君    松沢 成文君       山本  拓君    金田 誠一君       田中 昭一君    田端 正広君       竹内  譲君    佐藤謙一郎君       高見 裕一君    岩佐 恵美君       坂本 剛二君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 浜四津敏子君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       大西 孝夫君         環境庁企画調整         局長      森  仁美君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野村  瞭君         環境庁自然保護         局長      奥村 明雄君         環境庁大気保全         局長      松田  朗君         環境庁水質保全         局長      野中 和雄君  委員外出席者         環境庁企画調整         局地球環境部長 澤村  宏君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       河上 恭雄君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  飯島  孝君         農林水産大臣官         房総務課環境対         策室長     柘植 茂晃君         水産庁海洋漁業         部国際課長   田中  誠君         水産庁海洋漁業         部遠洋課長   森本  稔君         水産庁研究部漁         場保全課長   杉浦 正悟君         運輸省鉄道局施         設課長     藤森 泰明君         運輸省港湾局環         境整備課長   井上 聰史君         気象庁観測部管         理課長     椎野 純一君         建設省建設経済         局調整課環境調         整室長     馬渡 五郎君         建設省河川局河         川計画課長   尾田 栄章君         建設省河川局治         水課長     山田 俊郎君         建設省河川局開         発課長     坂本 忠彦君         自治省財政局公         営企業第二課長 坂田 隆史君         環境委員会調査         室長      工藤 桂司君     ————————————— 本日の会議に付した案件  絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  五八号)  環境保全基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 奥田幹生

    奥田委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福永信彦君。
  3. 福永信彦

    福永委員 それでは、質問をさせていただきたいと存じます。  浜四津長官、このたびは御就任おめでとうございます。  私ども官邸に呼ばれるなんということはおおよそ見当もつきませんけれども、今度大臣に御就任になられるときに、総理官邸に呼ばれて、総理から環境庁長官を仰せつかるというか拝命なさるときは、総理大臣からどういうような御指示というのですか、お話があったのですか。
  4. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 当日、羽田総理大臣から、環境問題というのは生命にかかわる問題である、あるいは国民方々生活にかかわる大変重要な問題であるから、女性の視点をしっかり生かして頑張ってほしいと、こういうお話がありました。  時間的、空間的広がりを持ちます環境問題、人類生存がかかる問題である。まさに総理がおっしゃられたように命にかかわる問題、そしてまた、国民皆様方生活の安全にかかわる重要な問題であるというふうに感じました。今後ますますその重要性を増していくだろうというふうに思っております。  その意味から、環境問題に先駆的に取り組んでこられました先輩皆様方、そしてまた歴代長官関係者方々のこれまでの御努力、これからますます重要になっていき、また生かされていくだろうというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  5. 福永信彦

    福永委員 今羽田総理が、命にかかわる極めて重要な問題であると、したがって一生懸命頑張っていただきたいという御指示があったということであります。  しかしながら、去る五月十日、羽田総理自身の本会議における所信表明では、残念ながら三回ぐらいしか環境について出てこないのですね。それも三行までいかない、三つの言葉しか出てこない。それは長官御存じだろうと思うのですが、大臣にそう御指示があった割には、総理自身が果たして、普通の言葉で政治を語るなんと言っていますけれども、普通の言葉以前の問題として、環境に対して真剣に、本当大臣におっしゃったほど考えていただいているのかどうかというのは、この所信表明だけで拝聴をしますと、私は大変疑問に感ずるところであります。  しかし、総理質問しているわけじゃございませんので、それだけに長官が一生懸命おやりになろうということで、昨日長官自身所信表明をお伺いしたところでありまして、一生懸命ひとつ取り組んでいただきたいと思う次第であります。  この長官所信表明の中で、一つ大変私は興味を持ったといいますか、重要なことをおっしゃっていただいたというふうに感ずるわけでありますが、環境教育環境学習の推進に大いに積極的に取り組んでまいりますというふうに長官自身が御表明なすったわけであります。  私は、自然環境というのは、まあいろいろな観点もあるし、いろいろな方策もあろうかと思いますけれども、やはり小さい子供たちのうちから自然を愛する、小さな、それぞれ草や木や鳥やいろいろなものを、そうした小さな命を愛していくということはとても大事な教育になろうか。それがやがて大きくなって大人になっていけば、人を愛する、世界を愛する、まあ少し大げさな言い方かもしれませんけれども、まさに世界平和につながっていく、非常にとうとい教育になる。情操教育等も含めて、そうしたことでは大変大事な大事な点を長官はおっしゃっていただいていると私は思うわけであります。  そこで、きょうは文部省の方もお見えいただいていると思うのですが、私は素人でよくわからないので恐縮ですけれども小学校課程で何学年あたりで、そうした教育を既に文部省でも行っていただいていると思うのです。そこら辺の状況をちょっと教えていただきたい。文部省の方にお願いしたいのです。
  6. 河上恭雄

    河上説明員 ただいま先生指摘のように、環境問題は人類のこれからの生存と繁栄にとって大変重要な課題でございまして、まさにこれからの時代に生きる子供たちに、こういった問題について正しい理解を深めさせて、そしてまた責任のある行動がとれるようにするということは極めて重要であると思っております。こういう観点に立ちまして、学校教育におきましても、従来から社会科とか理科を中心に、小中高等学校を通じまして、児童生徒発達段階に応じて指導しております。  平成元年学習指導要領が改訂されまして、これが平成四年度から順次、小学校、中、高と実施されておりますけれども、この中でなお一層この環境問題に関する記述充実を図っております。  小学校で申しますと、社会科の五年生で新しく、例えば「国土の保全水資源の涵養などのために森林資源が大切であることに気付くようにする。」こういう記述が入りました。また「環境保全のための国民一人一人の協力の必要性に気付かせるよう配慮する必要がある。」こういうことを言っております。  中学校になりますと、例えば理科で「自然環境保全することの重要性について認識すること。」、新たにまた「自然環境保全に関する態度が育成されるようにすること。」、こういう記述が入っております。  また、高等学校に参りますと、公民科でございますが、新たに「環境人間生活」という項目を設けまして、「環境人間生活とのかかわりについて理解させるとともに、環境にどうかかわって生きるかについて考えさせる。」という新たな記述が入っております。  こういったふうに、学校指導内容において充実を図っているわけでございますが、同時に、教師の方の資質向上というものが大切でございまして、教師の方のための指導資料をつくりまして全国学校に配付するような事業。それから、学校だけでなくて地域ぐるみ環境問題に取り組む必要があるということで、モデル市町村事業というものを平成五年度から行っております。  さらに今年度からは、新しく教員のための講習会というものを考えておりますし、それから環境教育フェアという形で、児童生徒あるいは教師、あるいは国民方々環境教育に関するいろいろな啓発的な事業を行う、そういうことも考えております。同時に、昭和五十九年度から自然教室という形でもって、自然の中でいろいろな触れ合いをする、そういう体験的な活動を行う事業も行っているわけでございます。  このように学校学習内容充実、そして教師方々資質向上という両面から環境教育に取り組んでおるところでございます。
  7. 福永信彦

    福永委員 今お伺いさせていただいて、文部省でも非常に一生懸命取り組んでいただいておる、そういうことがうかがえるわけでありますが、教育と同時に、今お話しの中で、体験をさせてやるんだ、私はこれが非常に大事ではないかなという気がするわけであります。  昨年の十月ですか、私は前の長官広中大臣のときに、ビオトープという生物が生きる空間お話をちょっとさせていただきました。そのとき大臣も、大変目を開かれたようです、こういうふうに御答弁いただいて、積極的に今後ビオトープネットワークについては検討させていただきますと、こういう御回答を実はいただいたわけであります。  つまり、ビオトープであるとか、そうしたことが身近に教育につながっていくのではないかという気が私はするわけでありまして、そうしたことでは、あれからたった半年ぐらいですから、十月からすればそう日にちがたってないですから、環境庁がどれほどその後積極的にそれに取り組んでいただいているかというのはよくわかりませんが、その後どういうような、例えば大臣から御指示やあるいは環境庁みずからどういったことを行っているか、ちょっとお聞かせをいただきたいのですが。
  8. 奥村明雄

    奥村政府委員 お答えを申し上げます。  先生指摘のように、身近な自然の中で触れ合いながら情操教育をするということは大変重要な課題だと考えておりまして、そうした考え方を含めた先生指摘ビオトープづくり、またこのネットワークづくりということが大変大きな課題だというふうに私ども考えております。  私どもとしては、これまでごうした考え方に沿って、実は幾つかの事業をすでに手がけておりますが、例えば自然観察の森でありますとか、ふるさといきものふれあいの里ということで、とんぼの里とかほたるの里を復元をするというような事業を手がけてきております。  最近の例で申し上げますと、横浜自然観察の森、これは横浜市の比較的町中でございますが、蛍の湿地づくりというようなことをやっておりますし、先生地元埼玉県では、狭山丘陵でいきものふれあいの里ということで近々オープンをするというようなことでございます。また和歌山県では、休耕田を利用して水鳥が生息する湿地をつくるというような、これもやはりふれあいの里というものでございますが、やっております。  今後こうしたものをさらに充実してまいりたいと考えております。
  9. 福永信彦

    福永委員 ありがとうございます。  そうして懸命なる御努力をいただいているのはよくわかるところでありますけれども、しかし、先ほど長官のごあいさつというか所信表明の、いわゆる教育学習となると、遠くへ行くなんというのはなかなか大変なことだと私は思うわけであります。  そこで、小型ビオトープと申しますか、いわゆるサンクチュアリーみたいな自然の聖域をつくっていただいて、それも各市町村一カ所ずつ。大した金がかかるわけじゃない。しかも、サンクチュアリー的なものになりますと、そこの草や木はほとんど手を加えない。取ったりしない。それは例えば、通常のものがどんどん繁茂してほかの木を枯らすようだったら、それは少し間引きしたりということはしていかなければなりませんけれども、そうしたところが各市町村に一カ所ぐらいずつあっても不思議ではないと思うのですね。  しかも、最近の公園といいますと、本当にそれが自然公園なのかどうかというのは甚だ実は疑問なんです。例えば西洋種のヒマラヤシーダーが植わっていてみたり、その地方地方にもともとない木が、公害に強いとかそういった意味もいろいろあるのかと思いますけれども、いずれにしてもそうした木をどんどん植え込んで、本当にこれで身近な自然と言えるのかなとうかなというのを大変疑問に実は思っているわけであります。その地域に昔から生えているような木や草を主として植えてやって、子供たち本当意味でそれに触れて、体験できて、なおかつ本当意味ふるさとというのを再認識してもらうには、一番いいのではないかなというふうな気が私はするわけであります。  どっちかというと、今環境庁の方で狭山であるとか和歌山であるとかいろいろ御指摘のあったところですが、私は、ピオトープに関していえば、むしろ建設省さんだとか農林省さんの方がはるかに進んでいるというふうに感ずるわけであります。もちろん、別にセクショナリズムを申し上げているつもりじゃない。どこが指導をとろうとも、どこが先行しようと、それは結構な話ですが、少なくとも環境庁というお名前なんですから、そうした意味では積極的に取り組んでいただきたいというふうに思うわけであります。  しかも、今こうした長い不況のトンネルに入りっ放しですから、公共事業公共投資というのは全国的に待ち望んでいるところでありまして、ビオトープに関して申し上げるならば、河川のコンクリづけ、底から全部コンクリづけを、護岸工事をやり直して、いろいろ自然を取り入れたりする。もちろんカーブしているところなんかは泥のままでは洪水になるおそれもありますから、それはそれで専門家が考えていただくということになるわけですが、いずれにしても大変自然環境が戻ってくる、そしてさらに景気浮揚に大いに役立つ、一石二鳥以上、もっともっと効果がある気が私はするわけでありますので、そういった意味では、どうかどこよりも強い関心を環境庁が持っていただいて、今後これに取り組んでいただきたい。これからも研究します、研究しますって、研究しているうちにそれはどうにかなっちゃいますからね。  もちろんビオトープドイツから出たということでありますが、例えて言えば、河川日本ドイツとを同じように考えたって、これはうまくいきっこない。ある外国の方がおっしゃっておりましたけれども日本のは川と言わないんだ、滝だと言うのですね、長官。すぐに、山から海まで距離がないですから、もうほとんど滝みたいなもの。これがドイツの大きな、ヨーロッパと同じ勘定にはなりませんが、似たような地理的条件といいますか、そういう意味でいいますと、このビオトープに関してはスイスが非常に参考になると思うのですね。山から下まで割合短いところです、アルプスのところですから。まあいろいろなものをひとつ研究していただいて、速やかに打ち出して、本当意味日本の自然を取り戻していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  長官、今申し上げてすぐ御決意をなんて言っても恐縮ですので、このビオトープの本がございまして、これは実は私ども埼玉県の人たちが一生懸命研究して書いた割合いい本です。差し上げますので、どうかひとつ後でごらんになっていただいて、ぜひ取り組んでいただきたいと思う次第であります。  ここまで聞いただけでどういう御感想を持っていただけるか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  10. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 今先生からビオトープお話を伺わせていただきました。先生本当日本の中でも先駆的にビオトープの提言をされてこられて、そして今回予算もついて本格的に取り組む態勢に入った、大変尽力されてきたということを伺っております。  私もこれまでの議事録等を見させていただき、また、今の先生お話を伺わせていただきまして、本当サンクチュアリーだけではなくて、自然を保全し、またもとのままの自然を復活させる、こういう発想で自然環境保全に取り組まなくてはいけないなということを痛感しております。  このビオトープに関しましては、今先生から資料をちょうだいできるというお話ですので、それを十分読ませていただきまして、また、先生にいろいろお教えいただきながら、一生懸命取り組ませていただきたいと思っております。
  11. 福永信彦

    福永委員 ありがとうございます。  実は、ビオトープで申し上げますと、私ども埼玉県の出身でありまして、その埼玉県は大変このことに熱心に取り組んでいただいて、御存じのように埼玉県の知事さんはかつての環境庁長官の大先輩土屋先生でいらっしゃいます。それだけに非常に御理解を賜りまして、平成六年度における主なビオトープ関係事業だけでもたくさんありまして、予算も、関係予算の合計だけでも約四十三億二千万もつけていらっしゃるのですね。それに引きかえ環境庁が少ない多いは申し上げるつもりはございません。少なくても積極的に取り組んでいただけると、一つの県でもこうやってできるという今事例を申し上げたわけでありまして、ただいま決意のほどを十分承ったわけでありますので、どうか今後とも引き続きよろしくお願いを申し上げたい、こう感ずるところであります。  こればかり言っていると時間が終わってしまいますので、一つだけお聞きします。  昨年四月に種の保存法を制定、施行していただきまして、いろいろ少しずつでありますが、野生生物保全に向けて、保全に向けて整えられつつあるわけであります。  しかしながら、あれから一年たちまして、国内希少野生動植物として指定を受けているのは、特殊鳥類譲渡等規制に関する法律指定されていた国内特殊鳥類三十八種を省けば、イリオモテヤマネコ、ミヤコタナゴ等わずか六種類にしかすぎないわけでありまして、環境庁の「日本絶滅のおそれのある野生生物」、いわゆるレッドデータブックによれば、生育環境の悪化や乱獲の結果、日本の植物のうちその六種に一種に当たる八百九十五種が既に絶滅あるいは絶滅の危機に瀕している、いろいろこういうことがあるわけであります。そうしたことで、約一年たって、それから数がふえているのかどうか。つまりせっかくつくって、絶滅をしないようにということでつくったのにもかかわらず、それから果たしてふえているのか、そこら辺をちょっとお聞かせいただきたいのです。
  12. 奥村明雄

    奥村政府委員 お答えを申し上げます。  種の保存法に基づく指定動植物でございますが、先生指摘のように本年一月に追加指定六種をいたしまして、現在この六種の動植物について保護対策を詰めているという段階でございます。大変数多くのいろいろな絶滅のおそれのある種がございますので、私どもできるだけ指定を急いでまいりたいというふうに考えておりますが、やはり指定をいたします場合には、最新の生息状況についての科学的データを集めますとか、関係機関生息地地元などとの調整などの手続もございまして、一定の期間を要しているというのが実情でございます。今後ともさらに努力してまいりたいと思っております。
  13. 福永信彦

    福永委員 同じように、今の種の保存法の中で、生息地等保護区の指定をするということでありますが、これも一カ所もまだ指定していないのじゃないですか。せっかく今のお話のとおり絶滅をしないようにしようと言っているのに、何年も何年もかかっているのでは、せっかくつくったこの法律意味が出てこないと思うので、そこら辺のこともきちっとひとつお答えいただきたいと思います。
  14. 奥村明雄

    奥村政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど申しました、本年一月に六種を指定いたしまして、具体的な保護対策ということで、生息地等保護区を指定すべく現在鋭意調整を行っている段階でございます。まとまった段階で、それぞれ公告でありますとか公聴会などの手続、これは法規制行為規制を伴うものでございますので、公告・縦覧、公聴会地元の御意見を聞くという手続をとってまいりますが、私どもとしては、できれば夏前には早いものから順次手続を開始し、年内には指定をしていくというようなことで努力をしてまいりたいと思っております。
  15. 福永信彦

    福永委員 既に、国内希少野生動植物種生息地をめぐって、八王子川口地区の開発問題を初め、全国各地紛争がたびたび起きております。種の保存法第三十五条によれば「環境庁長官は、国内希少野生動植物種保存のため必要があると認めるときは、土地所有者又は占有者に対し、その土地の利用の方法その他の事項に関し必要な助言又は指導をすることができる。」となっておりますね。環境庁守備範囲自然保護自然環境保全地域だ、自然公園地域だとみずから限定しないで、この第三十五条によって与えられている権限を私はもっともっとフルに生かしていいと思うのですね。  全国各地で起きている紛争に対して、そういった今申し上げたような紛争に対し傍観的な立場をとるのでなく、他省庁の管轄地域においても積極的に野生生物保全の、保存立場から、せっかくつくった法律でありますから、そうした立場を表明していくべきと考えるわけであります。このことについてどんなふうにお考えか最後にお聞きして、質問を終わります。
  16. 奥村明雄

    奥村政府委員 お答えを申し上げます。  先生指摘八王子市の問題など、幾つかの地区で、オオタカが飛来をしたり生息をしたりということで、その保護のための対策ということが各地でいろいろ議論をされている事例がございます。  御指摘八王子事例は、住都公団が開発する事業との関連でということでございますが、私ども、東京都などを通じましていろいろ状況を伺い、また現地では専門家方々を含めた影響調査などが行われている段階のように承知しております。私どもとしても、こうした問題について、先生指摘の点を踏まえて対応してまいりたいと思っております。
  17. 福永信彦

    福永委員 今、八王子の解説をいただこうというわけではなく、わかっての上で申し上げたので、つまり三十五条の権限をもっと自信を持って、胸を張って大いに生かしていただきたい、こう御要望申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  18. 奥田幹生

  19. 林幹雄

    ○林(幹)委員 まず大臣に、所信演説に関してお伺いをいたします。  大臣は、我が国が大規模な経済活動を営んでいるため、生活型公害が深刻化していると指摘されております。全く同感でありまして、便利さばかりを追い求め、大量消費大量廃棄にすっかりなれてしまった我々のライフスタイルが、これまでの産業型公害とは全く別の新しい公害を生み出しております。大臣廃棄物の増加について所信演説の中で触れられておりますので、問題意識を正しく持たれていると思いますけれども、今日、生活環境の中に処理し切れないほどにあふれ出ているごみ問題を、大臣自身環境問題として早急に解決しなければならない大きな課題であると認識されているかどうか、まずお尋ねをしたいと存じます。
  20. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 今先生指摘になられましたように、私たち日常の生活の中で、廃棄物というのが年々量的にも増加しておりまして、また多様性を増してきているということを日々の生活の中で実感しております。私も主婦として生活をずっとしてまいりましたけれども、自分で好むと好まざるとにかかわらず、家の中にたくさんの廃棄物となるものが入ってきてしまう、こんな状況でございますが、それを本当環境保全上適正に処理することがますます困難になっておりますが、こうした廃棄物の適正な処理ということが、環境保全の点からも極めて重要な課題である、先生おっしゃるとおりだというふうに思っております。  また、今おっしゃられましたように、本当に大量生産、大量廃棄、社会全体の仕組みがそのようになってきてしまっているわけですけれども、私たち、この社会のシステムそのものを循環型社会に変えていかなければいけない、こういうふうに思っております。そのためには、行政もそれから事業者も、また国民のお一人お一人の方々一体となって取り組まなくてはいけない問題であろうというふうに思っております。環境庁といたしましても、関係省庁と一体となりまして、また連携しながら、一生懸命大変重要な課題として取り組ませていただきたいというふうに考えております。
  21. 林幹雄

    ○林(幹)委員 安心いたしました。実は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律は厚生省所管であって云々という答えが飛び出すのじゃないかと思っておったわけでありますけれども、今そういうお答えをお聞きして安心した次第であります。  環境問題は、国、地方団体、事業者、国民が一体となって取り組まなければ解決できません。大臣所信表明の中で「政府を初め地方公共団体、事業者、国民のそれぞれが、より一層環境に配慮するような流れをつくり上げていく必要があると考えております。」このように述べられておりますけれども環境保全への取り組みが国民運動として推進される、それこそが環境基本法の立法の精神であると存じますが、大臣、いかがでしょうか。
  22. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 先生おっしゃられましたように、今日の環境問題は、かつての産業型公害と違いまして、私たち国民一人一人の生活そのものに起因しているという面が非常に大きくなってきております。そういう意味におきましては、私たち一人一人が本当に自発的にこの環境問題を自分たちの問題としてとらえて、そしてその責務を果たしていくということが非常に重要になってくるというふうに思っております。そうした政府、それから事業者あるいは国民方々本当に力を合わせないと、また乗り越えられない問題であるというふうに思っております。  そうした意味でいいますと、先ほどお話に出ましたけれども、自発的に、外から言われてやるというのではなくて、そういう規制的な方法だけではなくて、自分からみずから進んで環境というのは守らなくてはいけない。自分たちの子孫のためでもあり、地球のためでもある。こうした本当に自発的な取り組みがどうしても必要、こういうふうに考えております。
  23. 林幹雄

    ○林(幹)委員 環境保全活動国民運動として展開していくインセンティブとしても、国民が最も関心を持っているごみ問題に、環境庁がそれこそ総合調整官庁としての権限を十分に発揮していただきたい、そういうことでありまして、例えばごみ回収の現状は、ほとんどの自治体が行政の責任として集めております。結局は回収コストは住民税で賄っているわけでありまして、これはどういうことかといいますと、ごみを少しでも減らそうと心がけて、実際に減らしてごみを出している人と、環境に配慮どころか全くむとんちゃくで、どんどんごみを出している人と負担が同じという不公平が生じているわけであります。自治体が有料で頒布するごみ袋でしか回収しないということにすれば、ごみを減らす努力をしている人は、ごみ袋が当然少なくなるわけですから、その人の環境に配慮したライフスタイルが正当に評価されることになります。  事実、ごみ袋を有料化して実績を上げている自治体がありまして、例えば出雲市であります。出雲市長は、井戸端会議ならぬごみ端会議で主婦の声を聞いた。その声は、今申し上げましたとおり、ごみを減らすという心がけをする人と何でも構わずどんどん出すという人が同じではしようがない、有料にしたら、多く出す人はそれこそお金を取ったらどうというごみ端会議からヒントを得て、そしてごみ袋の有料化というようなことを実施しているということを聞いておるわけであります。  そしてまた、私は千葉県でありますけれども、千葉県でも、出雲とは若干異なるわけでありますが、ごみ袋の有料化というものはかなり進めておりまして、安いものは、リッター数によるのですが、七円から六十二円まで段階で分けてあるようでありますが、八十市町村のうち六五%ぐらいこの有料化が進んできておる。その効果は、意外とその有料化によって経済的効果、使用枚数の制限やらごみの減量化意識が働き、総体的に減量化につながるということが予想されている。  そして、販売した袋の料金は処理費用の一部に充当されることによって処理費の節減につながる。その袋が規格品となることから、収集作業の安全性に配慮した袋とすることで、収集作業員の安全性にもつながり、統一されているところから、排出者の意識として分別意識が働いて、適正処理につながるというふうな効果が挙げられているわけであります。環境税を考える前に、身近なごみ問題一つをとっても、いわゆる経済的手法による環境保全の推進が可能である具体例だと思います。  読売新聞の六月二日の社説にも「地球環境を気づかう社会とは」と題して、このごみ問題を取り上げたところであります。厚生省が踏み切れない背景あるいは事情が何であるかわかりませんけれども、家庭から出る一般ごみの回収について、全国一律の有料化推進というようなことを環境庁が先頭に立って国民理解を求める役目を担ってはどうかと思うのでありますが、どうですか。私は、環境庁本当環境保全型社会の実現を願っているとすれば、国民生活をよくするために他省庁が積極的になるようしりをたたくことを国民は必ず支持するというふうに信じているわけでありますけれども大臣はいかがお考えでしょうか。
  24. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 今先生お話しされましたように、ごみを有料化することによってごみの減量化が図られたという事例幾つかの地方自治体で報告されているということも承知しております。特に、先ほど御指摘になりました出雲市の岩国市長がさまざまなところで、そのごみ有料化によってどれだけごみが減ったかというようなお話をされているということも伺っております。  確かに現状では、ごみを処理する費用というそのコストは大変かかっているわけですけれども、それがなかなか目に見えませんと、ごみは幾ら捨ててもただで行政が処理してくれる、こういう意識が生まれてもやむを得ない面があるかというふうに思います。そんなことで、経済的手法を取り入れて何とかできないかというような検討も、さまざまなところでなされているところであります。  環境庁では、リサイクルのための経済的手法検討会というのを設けまして、リサイクルを促進し、また社会に定着させていくための経済的手法のあり方について調査検討を行ってまいりました。その中で、基本的な方向といたしましては、一つには、今先生がおっしゃったようなごみの処理手数料の徴収、いわゆる処理の有料化を各市町村において進める、そして二番目としましては、製品の製造それから流通及び消費に応じて、再生資源の回収、利用のための費用が負担されるような仕組みの導入を図ること、こういう二点が重要であるという報告書が出されたところであります。  こうしたこともありまして、また、こうした経済的手法の問題につきましては、現在厚生省等においても調査検討が進められているというふうに伺っております。他省庁との連携、そしてまた調整を図りながら、さらに先生おっしゃられました、本当にリサイクル社会を築いていくために適切な経済的手法の活用が図られますよう努力してまいりたいと考えております。
  25. 林幹雄

    ○林(幹)委員 ちょっと角度というか視点を変えて、提案を一つしてみたいと思います。  御案内のとおり、シンガポールはすごくきれいな国でありまして、空き缶やらたばこの吸い殻やら、投げ捨ては禁止されておりまして、それが見つかると罰金を科せられるというようなことで有名であります。我が国に罰金制がなじむかどうかはいろいろ議論があるところでありますけれども環境庁自然公園、国立公園を所管しておるわけでありまして、とりあえず国立公園に関しまして、中には不心得者がおっていろいろなことをしておる、また、不心得者でなくても、そこが散らかっているから、汚れているからということで簡単な気持ちで空き缶やら空き瓶やらを捨ててくる、いろいろなものを捨ててしまう、いつの間にかごみの山になってしまうというようなことがよくあります。  そういうところから、精神的というか意識革命のために、国立公園においての投げ捨て禁止、見つかったときにはペナルティーを科する、罰金を取りますぞというくらいの姿勢を見せて、意識革命をされたらどうかと思います。細かな点になりますと、では、それはだれがチェックするのかとか、幾らにするのかとか、いろいろな問題があると思いますが、そういうのも含めて、ひとつ提案をさせていただきたいと思います。  次に、同じごみの問題で恐縮でありますけれども、産業廃棄物についてであります。これは具体的になりますから厚生省になろうかと思うわけでありますけれども、最近、最終処分場をめぐる問題で、全国各地で住民を巻き込んだいろいろな騒動、事件が起きておるわけであります。過疎地の山奥を、廃棄物処理業者が小谷地を買って、そこに大量にごみを捨てるというようなことから出てくるわけでありますけれども、特に私どもの周辺から聞こえてくるのは小規模産業廃棄物の最終処分場についてなんです。  これは、御存じのように、廃掃法で許可を必要としないというために、無秩序に、どこでもいいということで設置が行われてしまう。簡単に設置されてしまう。そして、捨てっ放しというかやりほうだいというのですか、そういうことから、環境保全上、今、地域においては大きな問題になっておるわけであります。それも至るところで今出ておるわけであります。これは、事業者の自己処理責任と産業振興の責任から、あるいはまた環境保全上特に問題がないということから、法手続を小規模ということで義務づけていないというふうに考えられていると思いますけれども、逆にそれが抜け穴というか盲点になりまして、各地方では大変困惑しておりまして、野放していいのかどうか、もうちょっと積極的な措置、指導が必要と思うのですけれども、いかがでしょうか。  加えて、これと同時に、一番問題になっておるのは不法投棄なんです。夜行って黙って捨ててきてしまうという不法投棄も、山奥になりますとかなり目立つわけでありまして、そういったものを、今は犯人捜しを夢中になって主体にしてやっている。それも大変大事でありますけれども、捨てられた方はたまったものじゃありませんので、原状回復を望むわけでございます。そこをだれがやるのかという問題もありまして、犯人捜しと同時に、その対処を具体的にすべきだと思うわけでありまして、具体的対応を早急にしてくれという声もまた同様に上がっておるわけであります。これに対して、お考え、対応方をお尋ねをしたいと存じます。
  26. 三本木徹

    ○三本木説明員 御説明申し上げます。  まず一点目の、小規模の産業廃棄物処分場の設置の許可に関してでございますが、廃棄物処理法の考え方では、事前の設置については事前に許可を得る、それからさらに、これは規模の大小にかかわらず、そこで埋め立て処分の行為を行う場合の一定の基準がかかっております。これは規模の大小にとらわれないものでございます。  御指摘の一定規模以下のいわば最終処分場について、事前チェックの意味での許可制度にかからしめていないものがあるわけでございます。これについては、他の公害関係の法律などでもやや似ているわけでありますけれども、事前チェックでございますので、環境への影響の程度とか、あるいはそういった他の法律規制とのバランスなどを考慮して、一定の規模ですそ切りをしておる、こういう形になっております。  私どもとしては、先生指摘のように、施設を設置した後、いろいろな面で規模の大小にかかわらず処分基準をかけてはいるわけでありますけれども、さらにもう一段事前のチェックを強化すべきではないかという御意見があるのは十分承知しておりまして、この点については現在のところ、関係省庁ともよく連絡をとりながら必要に応じて検討していくという姿勢でおります。  二点目の、不法投棄の原状回復の問題でありますが、実はきょう、今も厚生省の中の不法投棄防止対策のための検討委員会をやっております。  これは不法投棄の原状回復について、先生指摘のように投棄者が不明であるとか、要するに犯人がよくわからない場合、あるいは犯人がわかったとしても資力の問題で回復能力がない、そういう場合がよくございます。この点について、排出事業者等に対する行政措置あるいは民事上の賠償責任ないしは費用負担のあり方についての検討を行っておりまして、これはことしの秋ごろまでに検討結果を取りまとめたいということで、現在作業をやっております。  厚生省としては、この検討委員会の結果を受けまして、今言ったような内容について施策として可能かどうか、あるいは可能なものから取り組んでいく、そういう考え方でございます。
  27. 林幹雄

    ○林(幹)委員 次に、加えまして、資源ごみというのですが、缶とか瓶とか発泡スチロールとか紙とかいろいろあるわけですけれども、この再生利用というのか、それについても随分今言われておるわけであります。けさほどもNHKのテレビで、宇都宮の中央卸売市場を例にとりまして、発泡スチロールが市場ですからすごく出てくる、それを燃してしまうとえらい高熱が出て焼却炉が弱ってしまうということから、重油に戻す方法がないかということで検討をして、その施設をつくって、要するに燃焼しないで油によって重油に液化させるというような方法を生み出して、稼働したという放送がありました。  そこで、リサイクルはどうしても金がかかるわけですね。再生紙にしても高いと言われておるわけですから、それをやはり公共事業で再生品利用の促進を図るべきだというふうに思うわけであります。そのために、使う側に対する心遣いといいますか対処、あるいは再生利用をする側、要するに機械、設備とかいろいろあるわけですけれども、そういったものにするリサイクル体制に取り組む姿勢といいますか、そういったものを具体的に考えて推進すべきだと私は思うのですね。  例えば、そうなればもう製品を出すところから、再生できる品物に最初から製品にしてもらうというような指導まで最終的にはいけるんじゃないかなという気もいたしまして、それを具体的な仕組みづくりを考えられたらどうか。回収するについても、今千葉市あたりでは、えらくコストが低いものですから回収業者が回収に来なくなってしまうという現実もあるわけですから、回収への対応といいますか、各市町村への助成も含め、あるいは工場建設の助成金の大幅アップだとか、そういったものも考えて最初から仕組みづくりをやられたらどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  28. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいまの先生の御質問につきまして御説明申し上げます。  まずリサイクルをどう進めていくかの、例えば地域住民あるいは市町村、関係の業界、そういったいわばソフトの関係ですが、システム化をしていくというために、助成金といたしましては国費で十七億円ほど用意されております。これは都道府県と市町村に対して交付をするというような形になっております。平成五年度では、都道府県はほとんどでございますが、市町村の数でいきますと、およそ三百強の市町村がそういったいわば社会システムづくりについての活動を始めてきております。私どもとしては、これを鋭意進めてまいりたいと考えております。  二点目の施設整備の補助でございますが、厚生省では、従来から地方団体に対しまして、リサイクルプラザ、リサイクルセンター、これの整備を図ってきておりまして、ここ二年ほどの間に約三十五の市町村でこの建設事業に取りかかり、稼働をしております。  さらに、平成六年度の予算、政府案でございますが、廃棄物をただ焼いて埋めるという考え方からある程度脱却をしなければいけないだろうということで、リサイクル可能なものはできるだけリサイクルをするという、いわゆるごみゼロ社会を目指した、廃棄物を循環していくような社会施設整備に対して助成をしていくという、いわば補助の方針を大幅に変えております。  これは政府予算が上がりましたならば、その方針で対応したいと考えているわけでありますが、その関係で、廃棄物循環型社会基盤施設整備事業として廃棄物処理施設整備をとらまえて、リサイクルの関係、特に平成六年度予算では、資源ごみの回収の効率化のためにストックヤードを整備するとかあるいは固形燃料化の施設の整備をするとか、その他もろもろの整備をするということで考えております。  ちなみに、国費でございますが、こういった廃棄物の関係の建設事業について千三百億円弱が政府予算として計上されておりまして、これは公共事業の中では、対前年度比一四%という極めて大きな予算計上額になっているところでございます。これらを使いまして施設整備を鋭意進めていきたいと考えております。
  29. 林幹雄

    ○林(幹)委員 最終処分場の問題に戻りますけれども、今、最終処分場は、各地方では迷惑施設というふうな市民意識が定着しつつあるのですね。悪いものだというふうなイメージすら出てきておる。私どもの千葉県内の市町村でも、最終処分場は絶対反対だというふうなものを町あるいは市で決議をしておりまして、そういったものをボイコットしているというのが現状であります。  そこで、今度は環境庁にお尋ねしたいのですが、一般廃棄物であれ産業廃棄物であれ、ごみ問題全般について今までいろいろお話を承ったわけでありますけれども、総合調整官庁として、環境庁そのものが積極的に乗り出して、例えば処理施設の設置のための大幅な助成の問題だとか、あるいは減免措置の問題だとか、あるいは場所確保のための土地対策の問題だとか、今お話しされたリサイクルに対する問題だとか、あるいは自然環境や水質への影響について適切なアドバイスをしてやるというようなことをすべきだと思うのですね。そうすることによって、地域住民も自治体も、もちろん業者も、いろいろな意味での解決策が一本化されてくるのじゃないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  30. 野中和雄

    ○野中政府委員 廃棄物の問題につきましては、先生お話しのとおり、総合的な観点から積極的に取り組む必要があると私どもも考えているわけでございます。  基本的には、今日の大量消費大量廃棄の社会のあり方を見直して、持続可能な経済社会を形成をしていくということが必要でございまして、そういう意味では、環境庁も、関係省庁、自治体と連携をしながら、国民事業者一体となったリサイクルの推進にも努めているところでございます。  また同時に、今もお話がございました最終処分場の問題等がございまして、この点につきましては、環境庁といたしましても、従来から廃棄物処理法に基づきます廃棄物の処分基準等の規制あるいは自然公園法等によります規制、さらには自然公園内におきます美化清掃活動の推進等、各般の施策に努めているところでございますけれども、ただいま先生お話ございましたとおり、環境庁といたしましても、この問題は極めて重要であると認識をいたしております。引き続き、これらの施策を一層協力に推進をいたしまして、自然環境保全あるいは水質の保全に最大限の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  31. 林幹雄

    ○林(幹)委員 ごみ問題はこれで終わりますけれども、とにかく環境庁にお願いしておきたいのは、廃棄物問題に限らず、所管事項ではないから取り組みが消極的だという姿勢では、広範多岐にわたる環境行政の担い手として国民の期待にこたえることはとてもできないと思うわけであります。それを申し上げておきたいと存じます。環境基本法が仏つくって魂入れずにならないよう、くれぐれもお願いをしておきます。  最後に、私が以前この委員会で広中大臣質問したことについて、その後の報告をしていただきたいと存じます。  一点は、前細川内閣においてなかなか復活しなかった地球環境保全に関する関係閣僚会議について、ぜひ復活するよう要請したわけでありますけれども、今どうなっているのか。  そしてまたもう一点は、アジェンダ21国別行動計画の現状についてであります。昨年十二月に国連に提出したと聞いておるわけでありますけれども、概要の説明をいただきたいと存じます。
  32. 澤村宏

    ○澤村説明員 地球環境保全に関する関係閣僚会議につきましては、昨年八月の細川内閣発足時に一たん廃止されたところでございますが、地球環境問題の重要性にかんがみまして、昨年十二月に再開されたところでございます。  この関係閣僚会議は、先生指摘のとおり、地球環境問題に対応するために関係行政機関が緊密に連携を確保し、効果的かつ総合的な施策の推進を行う上で極めて重要な役割を果たすものでございます。今お尋ねのございましたアジェンダ21につきましても、昨年十二月に、アジェンダ21行動計画の形でこの関係閣僚会議で決定を行っているところでございます。今後とも、適宜開催をしていただくということを予定しているところでございます。  それから、アジエンダ21の内容というお尋ねでございます。先生御案内のとおり、アジェンダ21につきましては、アジェンダ21に示されたプログラム分野に沿って取りまとめをしているところでございますが、本行動計画では、我が国が重点的に実施していきたいとしております六つの項目に整理してございます。  まず第一は、地球環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築、それから、国民のライフスタイル自体を環境配慮型に変えるための普及啓発等への努力が第一でございます。第二には、地球環境保全に関する実効的な国際的な枠組みづくりへの参加、貢献ということでございます。第三には、地球環境保全に向けまして、地球環境ファシリティーを初めといたします資金供与の制度の整備のための国際的取り組みに積極的に参加するということ。  第四には、環境上適正な技術移転の促進等の実施を通じました開発途上国の環境問題対処能力の向上への貢献。第五には、地球環境保全に関する観測、監視と調査研究の国際的連携の確保、そしてその実施でございます。最後の第六番目が、中央政府、地方公共団体、企業、非政府組織等、広範な社会構成員の効果的な連携の強化ということになっております。
  33. 林幹雄

    ○林(幹)委員 ありがとうございました。時間が参りましたので、終わります。
  34. 奥田幹生

    奥田委員長 谷津義男君。
  35. 谷津義男

    ○谷津委員 長官所信表明につきまして、その中身においての質問をさせていただきたいと思います。非常に高邁な考え方のもとに所信表明をいただいたわけでありますが、長官には一点だけお聞きをいたしたいと思います。  実は水俣の関係でございます。  長官は、この水俣病関係についてはどういう認識をお持ちですか。まずお聞かせをいただきたいと思います。
  36. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 水俣病に関しましては、公害問題の原点といたしまして、またこれによって苦しんでこられたたくさんの方々のことを考えますと、本当に一日も早い早期解決に向けて何とか努力させていただきたいというふうに願っております。恐らくそれは関係するすべての方々の共通の願いであろうというふうに思います。これまで尽力されてこられた委員方々、そしてまた関係者方々、県あるいは行政、国、それぞれがそれぞれの立場ででき得る限りの解決をというふうに願って尽力されてきたことと思います。  環境庁といたしましては、これまで公害健康被害の補償等に関する法律によりまして、二千九百四十六名の認定された患者の方々に対しまして、医学を基礎として公正な救済を推進してきたところでございます。  また、平成四年度からは、水俣病とは認定されない方々であっても健康に不安を持っていらっしゃる方々に対しまして、療養費の自己負担分及び療養手当を支給するなど、水俣病総合対策事業を実施するなどをいたしまして、行政としてはできる限りのことをしてきたというふうに考えております。  水俣病に関しましては、いろいろ経緯のある難しい問題ではありますけれども環境行政の重要な課題一つであるというふうに認識しておりまして、私も本当にできるだけの努力をさせていただければというふうに切実に願っております。
  37. 谷津義男

    ○谷津委員 長官は弁護士でもあられます。そういった面ではより法律的なことには造詣が深いわけであります。長い間争いが起きておるわけでありますけれども、既に被害者も大変な老齢化を迎えております。亡くなる方も出てきておるわけであります。  ただいまお話がありましたように、早期にこれに決着をつけなければならぬ、解決をしなければならぬというふうに考えるわけでありますが、そういう中でいえば、示談をしたらどうか、和解をしたらどうかという話も出ているわけでありますけれども、弁護士である長官は、どういうふうにしたら和解ができるのか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  38. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 今先生から和解のお話が出ましたけれども、私も弁護士の時代にはこうした事件にも携わってまいりまして、何とか国に和解をしていただきたい、こういう申し入れをしたこともございました。そのときに国の方から大変厳しいという返答も受けたこともございまして、それは水俣病訴訟ではありませんけれども、この水俣病に関しまして、おっしゃられたように今裁判が係属中である、また、五つの地方裁判所におきまして判決が出ておりまして、その判決の内容がいろいろ分かれております。和解によって解決ができる事案というのはやはりある程度の状況が整ったときに進められるのではないかなというふうに弁護士としては考えております。  また、本件の裁判で問題になっております、また争われている争点というのが、国の責任に関する問題。これは、国に賠償責任があるのかどうかということにつきましては、国がどこまで国民活動に、どの段階で介入すべきかという行政のあり方の根幹にかかわる問題であるというふうに考えておりまして、この点について判断が分かれている現状、そしてまた水俣病であるかどうかという、その点についての判断も分かれておりまして、こうした状況下において、現状ではなかなか厳しい状況にあるかなというふうに考えております。
  39. 谷津義男

    ○谷津委員 今長官のお言葉の中に、和解について長官もそういう動きをしたことがある、実は私は長官が言わなければそういう質問は次にしようとは思っていなかったのですが、今おっしゃられたからあえて質問をさせてもらいます。  これは、裁判において、状況は今二対二ですね。そして七月には大阪高裁ですか、この判決が出るだろうと思います。しかし、それはそれとしまして、長官も長い間この問題に対しては携わってきたこともあり、そして長官就任されたときに、この長官のときにこれは話がつくかな、実は私はそういう期待を持っておる一人でございます。そういうときだけに、今お話がありましたように、この問題については早く決着をしなければならない。しかも、事が起きてからも余りにも長い時間がかかっている。その間の被害者の精神的な苦しみあるいはまた肉体的な苦しみというものは大変なものがあるだろうと考えるのです。  そういうことを考え合わせますと、これは長官、在任中にこの問題については、ほかの省庁との関係もあるでしょうけれども、イニシアチブをとって、これはぜひ何とか和解の方向に私は持っていってほしい、もう一回その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。日ごろの長官の主張でありますから、それを実行に移していただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがなものでしょうか。
  40. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 私も、こうした苦しんでいらっしゃる方々のことを思いますと、本当に早期解決というのは国にとっても一番の重要な課題であるというふうに思っております。歴代長官本当にそれなりに一生懸命努力をされてきた難しい問題であるというふうに考えております。  私も個人的には本当に何とか一日も早い解決を願っておりますけれども、先ほどお話しさせていただいたようなさまざまな課題、そしてまた経緯もありまして、そうした経緯あるいはさまざまな問題、考え合わせながら、それでも私の立場本当にできることがあれば最大限、一生懸命やらせていただきたいという気持ちは十分持っております。
  41. 谷津義男

    ○谷津委員 ひとつよろしくお願いをいたします。  次に、環境白書が出ました。非常に画期的な環境白書であるというふうに私は思っております。今までどちらかといいますと、経済と環境というのは相対立するというような立場が多く語られてきたわけでありますが、これを「対立から統合へ」ということでございまして、非常に環境行政の中において大きな物の見方の転換というふうに思っておるわけであります。  そこで、経済と環境、そして今規制緩和が行われようとしておりますが、その規制緩和と環境、こういう問題についてひとつお尋ねをしてみたいと思います。  まず規制緩和と環境の問題でありますけれども規制緩和は一方においては競争の激しくなる面も含まれておるということにもなりますし、また個人の責任といいましょうか、企業の責任といいましょうか、こういうふうなものも大きくなってくるだろうというふうに思うのです。  そこで、森局長にお尋ねするわけでありますけれども、今アセス法も検討に入っているわけでありますが、アセス法というものは規制緩和の部類に入ってくるのか、規制の部類に入るのかというふうに考えると、大きな意味においてはアセス法というのは規制の部類に入るという考え方を持って私は質問したいと思うのですが、その辺は間違っているでしょうか、どうでしょうか。
  42. 森仁美

    ○森政府委員 アセス法につきましては今いろいろな形で、法制化も含めて、その制度のあり方というものを検討しておるところでございまして、仮に、法制化という方向になった場合に、どういう内容になるかというのはこれからでございます。  ただ、今言われております規制緩和という観点からの御議論、行革審でもございますが、そういう御議論で行われている規制緩和というのは、いわゆる経済的な規制を緩めていくという方向のことであろうと思っております。そういう観点から見た場合には、今お尋ねのアセス、これについてはいろいろな形で規制を加えていくことになる形だろうと思いますものですから、お尋ねの点で考えますと、まさに規制緩和という方向と性質の異なるもの、それが一つのアセスという形になっていくのではないかと思っております。
  43. 谷津義男

    ○谷津委員 開発あるいはいろいろなものをつくる場合においてのこのアセス、事前のこういった協議というのは非常に大事でありますし、またやらなければならない。特に、今こういうアセス関係は地方自治体の方が先行しておるわけでありまして、国の方は内閣にその一端があるわけでありますけれども、まだ法規制としてはなかなかないわけでありますから、それが今度基本法が成立したに基づきまして、当然アセスはやらなければならぬというふうに考えるわけです。  こういう中で規制を緩和しますと、企業におきましては自由な活動というのも当然行われてくるでしょう。それと同時に、もちろん責任というのもそれに加味して出てくるでしょう。そういう中で考えた場合に、例えば工場排水にしろ、いろいろなものにしましても、どちらかというと環境関係というのは、会社の利益を追求する面からいくとマイナス要素に働く面が多々あるわけであります。そういうマイナス要素に働く面、いわゆる利益を生まない投資というふうなものになってまいりますと、規制緩和によって競争が激しくなってきた場合には値下げの動きも出てくる。できるだけ安くよいものをつくろう、それで競争に打ちかっていこうという意識が動くのは当然でありますし、当然経済行為の中で、そういうふうな方向に移っていくであろう。  一方では、そういうふうになりますと、環境に対する投資というものが、あるいは会社の中においても規制をされてくる。むしろ少なく、節減というか、節減ではないですね、そういうものに投資をするのを否定するような形のものも生まれてくるというふうに私は考えるのですね。その辺の整合性をどういうふうにするかというのは、これからの規制緩和との間の大きな課題になってくるのではなかろうかと私は思うのですが、環境庁はどういうふうにその辺のところは掌握しているのか、その辺をお聞かせいだたきたいと思います。
  44. 森仁美

    ○森政府委員 ただいまお尋ねの部分は大変重要な点をついておられると思います。今回の白書でも述べておりますように、これまでの考え方、すなわち不況下であれば単純に環境投資を企業は抑制をしていくということでは割り切れないといいますか、そうではない部分が企業行動の中に既にあらわれているということを白書で述べております。  企業にいろいろ調査をいたしました。その結果を見ますと、こういう状況下でも環境投資が必要である、そしてそれを実行しているという企業が我々が考えたよりも多うございました。これは新しい芽が企業の中にも出てきていることを指していると私は考えております。  そういう中で、これから進むべき道として、環境配慮というものを企業行動の中に取り組んでいくというのがまさに環境と経済の統合の考え方でありまして、その芽が出始めている、これをさらに伸ばしていくことが大変重要なことになってまいりますから、私どももいろいろな形でそれをどうやったらいいのか、経済的手法の導入というのはその大きな手法でもございましょうし、企業にどうしたらいいかということの情報を提供することもまたその大きな手段になると思いますので、一生懸命努力をしていきたいと思っております。  ただいまのお話は、これから先の我が国の環境、そして企業、国民、すべてのかかわりを考えていくときに大変重要なポイントとして、心して対処をしていきたいと思っております。
  45. 谷津義男

    ○谷津委員 今局長お話の中に、経済的手法というお言葉がありました。これには今までいろいろ環境税だとか炭素税だとかという一つの税制の問題もありますけれども、一方では、私は、こういう規制緩和との兼ね合いを考えた場合に、この経済的手法の中に、免税とか減税とかあるいはそういう環境的なものの施設に対しては損金扱いをするとか、いろいろなやり方がある。あるいは補助金を出すとかありますけれども、企業の個々に補助金を出すというのはなかなか出しづらい面もありますから、そういった面を差しおきましても、そういう経済的手法の中にもっと幅広いやり方というのがいろいろ出てくるだろうと思う。  ですから、環境行政というものは、規制緩和とは逆行するような話で、むしろこれから環境規制がかなり重要なポイントになってくる面も含んでいるわけでありますから、もし規制という形が出てくるとするならば、当然、一方においてはそういった免税措置とかあるいは軽減税率にするとか、あるいは損金扱いにするとかというふうな新たな面も出てくるのではなかろうかと思う。  今でもそういった面ではもう既に免税措置あるいは減税されている面もありますから、そういった面をもっと幅広くやらなければならない面が出てくると思うのですけれども、その辺についてはどういうふうに考えておりますか。
  46. 森仁美

    ○森政府委員 今度は経済的な助成措置という形で物を考えてまいりますと、これもまた大変必要な分野の一つでございます。  ただ、これをやっていく場合には、これまでの考え方にございますような汚染者負担原則、こういうものにも十分配慮をしませんと、環境を守っていくという観点から、逆の問題も出てまいります。それをつけ回しをして汚染をしたまま企業なりが責任を回避するというような形は、まさに最悪のことでございます。そういうことにならないように十分考えながらやっていかなければならぬと思いますが、環境基本法の中では、経済的手法として、その助成的な措置、これもまた重要な位置づけを持たせてございますし、それを十分考えながら、適切に対処をしてまいりたいと考えております。
  47. 谷津義男

    ○谷津委員 水道水源法を議論したときにも出てきた話でありますけれども、これは国の方もあるいはまた自治体も、それからその水を利用している側もいろいろな負担の問題があったわけであります。そういう中で、特にいろいろな企業におきまして、こうした環境に対する投資というものもかなり理解が進んでまいりまして、最近は非常に積極的な動きも出てきておる。これは、環境庁を初め役所の指導あるいはまた国民の皆さん方の理解度が深まってきておるということにつながるものであろうというふうに考えるわけであります。問題は、こういうふうな環境行政をやる中において、環境庁だけではとてもできる状況にはないことは私も十分知っています。どちらかというと、事業省といいましょうか、そういうところの考え方というのもあって、環境基本法をつくるときにも大変な議論になったということは私どもも知らないわけではないのです。しかし、これからを考えていくと、そういった事業省も含めて、これは役所だけの話で恐縮なのですが、相当な協力を得て、一方においては通産とかは規制緩和の方向にかなり動いているわけでありますから、そういうところと、一方環境庁、どちらかというと、まだまだ規制をしていかなければならない問題が出てくると私は思う。相反するような動きでぶつかる場合がいっぱい出てくるのではなかろうかということを私は今危惧しているわけであります。  そういうときに、環境庁は各役所との整合性を図る、あるいはまたそういった面で規制緩和と環境行政の間でぶつかってきた場合、これは何としても環境を守る、あるいは環境というのを保全する、そういう面から見たときに、相当の頑張りがなければこれはやっていくことはできないということを私は前にも申し上げたのですけれども環境省に格上げをしていかなければこれはとてもやっていけないのじゃないかなという感じを強く持っているものですから、ぜひ環境省に持ち上げるべきだという主張をずっと今日までやってきた一人なんです。  そういう立場に立ってみますと、今局長からお話がありましたもろもろをやっていくために、これから各省庁との整合性を図っていく上にどういう覚悟でやっていこうとしているのか。今いろいろと各省庁の動きを見ておりますと、どうもまだまだ環境庁に対しては非常に厳しい立場で当たっているとひしひしと感じられるものですから、その辺の決意のところをひとつ局長に聞いておきたいのです。これから規制緩和の時代に入ってくると大変な時期になると思いますので、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  48. 森仁美

    ○森政府委員 これから環境保全という政策全体を政府一体として進めていく、そういう中で環境庁の持つ役割というのは大変重要である、私自身身の引き締まる思いで受けとめてまいっているつもりでございます。  そういう中で、応援の意味を込めてと思いますが、環境庁に対して大変厳しい状況ではないかと今お話がございました。私ども実は、環境基本法をつくっていく段階、そして今環境基本計画をつくっていく段階、この状況を各省との関係で見てまいりますと、かつての状況とはかなり大きくさま変わりしているのではないか。それは、各省庁の中に環境保全ということをみずからのものとしてとらえて議論をする、それと、各省庁のやっていることと対峙していくというのではなくて、その中に、自分たちの行政の中に環境保全という観点を取り込んでいくという感覚が随分強くなってきたように思います。  これは今の日本の行政の仕組みから見れば大変進歩していると思いますし、これを大事にしなければならない。ただ、それそのままでは到底足りないわけでありまして、それを環境庁が企画し調整していく、そういう機能としてとらえることが最も重要になってまいります。  そういう意味で、大変厳しい立場ではありますが、一生懸命やってまいりたいと私は思っておりますし、私どものスタッフもまたその意気に燃えてやってきてくれておりますので、ところどころでは各省とぶつかることもございます。しかし、またいろいろな話し合いをしながら、大きく進んでいくところもございます。いましばらく私ども努力に温かい声援を送っていただければ大変ありがたいと思っております。
  49. 谷津義男

    ○谷津委員 地球に優しい製品といいましょうか、いろいろな製品が最近つくられてまいりまして、環境問題については非常に寄与している面がありますね。これは日本だけじゃなくして、この前ドイツの国会議員とも話し合ったときにも、ドイツなんかもそういった面では非常に先進的な製品をいろいろつくって、環境汚染をしないようにということで大変な努力をしてきている。  そこで、この問題とはちょっと離れた問題になるのですが、実は三月の終わりごろIPUという世界の列国議員会議というのがありまして、そこで私は一つの提案をしましたら、大変もてたものがあります。それは、緑のPKOを日本でやりたいと私は申し上げたのです。というのは、東南アジア等の熱帯雨林なんかの木材を日本はかなり輸入いたしまして批判を受けている面もありますし、いろいろな面で日本としても考えなければならない状況にあることは、もう御存じのとおりであります。  PKOといいますれば、自衛隊の問題等も含めて、国連との絡みでいろいろな議論をされているのでありますけれども、緑のPKO、単に地球環境基金等でいろいろなお金を出すのも一つの方法ではありますが、一方では、人を派遣することによって、緑の保全もさることながら、植栽等、いろいろなそういうことも大事ではなかろうかと思います。今林野庁で何人か出して、タイあたりではかなりの実績を上げておるのも私も知らないわけではありません。こういう面をもっと積極的に環境庁あたりがひとつ提言をして、緑のPKO、これならば世界じゅう絶対に喜ばれるわけでありますから、そういった面でやってみたらどうかなというふうに考えているのですが、この辺は長官考え方はいかがなものでしょうか。
  50. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 緑のPKOという大変すばらしい御提案、感銘しながら聞かせていただきました。  今私たちが抱えております地球環境問題、確かに、本当に私たち一人一人の意識を変えるということとともに、特に各国でそれぞれ取り組まなくてはいけない、そしてまた、日本がこれまで経験してきた公害を克服する技術とかノウハウとか、あるいは人材も派遣していかなくてはいけない、そういう多様な幅広い取り組みによって初めて解決できる問題だというふうに思います。  そういう意味では、特に人材を派遣したりあるいは人材を受け入れたり、環境庁としても外務省と提携しながら、協力し合いながらやってきてはおりますけれども、こうした人の貢献、そして、開発途上国がそうした環境問題を克服できるだけの技術を日本から導入していく、こんなことを日本としてもしていかなくてはいけない。  そういった意味では、今おっしゃられた緑のPKOというのは、本当にすばらしい取り組みの一つであろうというふうに考えております。日本は世界的な経済活動を広く展開する中でこうした経済大国になってきたわけでもありますので、今後は本当に世界のために、地球のために、環境に役に立つことを、お金だけではなくて人の面でも、また技術の面でも積極的に貢献していかなくてはいけないという意味で、先生の今の御提案、本当に私もそのとおりだというふうに思っております。
  51. 谷津義男

    ○谷津委員 この九月にカイロで、世界の環境と人口ということで会議が持たれることになっておるわけであります。それがために政府からも派遣をするということでありますし、今、国会議員団もこれに合わせて行ったらどうかというふうな協議が続いております。こういう大事な時期だけに、こういうときに日本としてこういう提案をするのも日本一つの大きなアピールにもなるし、実際PKO問題でいろいろ議論しているだけに、平和部隊といってはなんですけれども、そういうものが出ていくということは、世界における日本環境の姿勢を示す意味においても大事だろうというふうに私は考えているわけであります。  そこで、時間がなくなりましたので、最後に一点。  人口と環境、これは非常に大きなかかわり合いがあるものであります。日本は人口問題はもう大体、一時のああいう急増時代からむしろ今人口が減りやしないかということの心配の方が先に行く状況になったのですが、世界はそうではありませんで、まだまだじゃんじゃん伸びているときであります。そういう中で、環境と人口問題の中で一つ大きなテーマになるであろうというのが食糧であろうというように私は考えるのです。  その食糧、すなわち農業ということになるわけでありますが、食糧は地球規模で考えた場合に、とれるところと適さないところとありまして、全く砂漠地帯みたいなところは食糧というのはほとんどできないわけでありますから、食糧生産に適地であるところはじゃんじゃん食糧をつくって、十億人も飢餓にあるというふうに言われておるわけでありますから、そういった面も含めて、日本としての対応というのが非常に大事になってくるだろうと思うのです。  当然環境庁からもこれは出席すると私は考えているわけでありますから、この辺について環境庁はどういうふうな考えを持って九月のカイロの会議に参加しようとしているのか、ぜひそれをお聞かせいただきたいと思います。既に準備に入っているはずでありますので、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  52. 澤村宏

    ○澤村説明員 人口のお尋ねでございますが、人口動態と人口の要素は持続可能な開発を考える上で重要な事項であると私どもも考えております。  先生指摘のとおり、世界の人口は開発途上国を中心に増加を続けております。その結果、過度の焼き畑移動耕作あるいは過放牧等によりまして、森林の減少でありますとか土地の流出、砂漠化が進行するなど、人口の問題は地球環境にとって大きな負荷となっております。  私どもといたしましても、こうした人口と環境の問題につきまして研究費の中で連携を進めているところでございますけれども、持続可能な発展、開発という視点に立ちまして、環境庁といたしましてもこの人口の問題に今後とも関心を払ってまいる、また、カイロの会議に向けましてさらに一層検討を進めていきたい、そのように考えております。
  53. 谷津義男

    ○谷津委員 どうもありがとうございました。
  54. 奥田幹生

    奥田委員長 坂本剛二君。
  55. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 新党一みらいの坂本剛二でございます。初めて環境委員会に参りまして、いきなり質問ということでございますから、大変戸惑っております。ただいまの谷津先生のように名調子の質問もできませんので、その辺はひとつ御理解をいただきたいと思います。なお、いろいろ今までの御質問のダブりも相当あろうかと思いますが、初めてでございますので、その辺うまくよろしくお願いをいたします。  環境問題はもう既に地域的問題ではない、地球的規模と言われております。最大の脅威は人類のすべてが影響している環境の破壊であって、これは人類生息地であり大気である、こういうことでございます。地球の肺臓ともいうべき熱帯雨林あるいは海洋、水資源、空気である、こんなことも既に指摘されております。しかも、環境保護と、人口が急速に増加する途上国の産業需給とのバランスも図っていかなければならない。汚染には通貨や情報と同じように国境がないと言われております。  先日の長官所信表明の中でもお述べになっておられましたけれども、やはり日本の社会を環境負荷の少ない持続的発展可能な経済社会、すなわち環境調和型社会につくりかえていくことが大変肝要でありまして、世界に率先して地球社会、人類社会の発展に寄与することだと私は思っております。環境行政の目的について、改めて基本的なものをお尋ねいたしたいと思います。
  56. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 近年の環境問題は、従来の工場等を中心とする産業型公害、水俣病がその代表的なものでございますけれども、そうした産業型公害から都市・生活型公害、大気汚染あるいは水質汚濁など、こうした都市・生活型公害あるいは地球環境問題、こういう地球的な規模の環境問題へとその内容が複雑化また多様化してきております。それに対応いたしまして環境保全施策の内容も、環境庁設置当時は公害対策といったような、また規制等を中心とする手法をとっておりましたが、問題の性格に応じまして多様な手法を適切に活用するといった方向へ変化しております。  こうした状況を踏まえまして、昨年十一月に成立いたしました環境基本法の新たな枠組みのもとで、現在及び将来の世代が恵み豊かな環境を享受できるように、ただいま先生おっしゃられましたように環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築する、こういうことと、そしてまた、地球環境保全を目指しまして、環境行政の積極的な展開に全力を挙げてまいりたいと考えております。
  57. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 ありがとうございました。  今長官の述べられました目的、方向へ向かって順調に進んでいくことを願うものでございます。そういう意味では、昨年成立しました環境基本法は大いに評価し、期待をいたしておるところでございますが、肝心なことは、この精神をどう具現化していくかということではないかと思います。  以下、四点についてお伺いいたします。  環境アセスメントの法制化は環境政策の実効性確保に欠かせないと考えておりますけれども、法制化につきましての方針あるいは考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
  58. 森仁美

    ○森政府委員 環境影響評価につきましては、環境汚染を未然に防止をして、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築していく、こういう目的の上では極めて重要な施策でございます。ただいまお話にございましたように、環境基本法の中でもその重要性ということを初めて法律として明確に定めたところでございます。そういう意味で、この環境基本法の持つ意味は大変重いものがございます。  これまで政府としては、的確な環境影響評価の推進ということは努力をしてまいりましたし、これからも現行制度の適正な運用ということに一層努めていかなければならないと思っておりますが、今お話のございましたこれを法制化するという点につきましては、ただいまのところ、内外の制度の実施状況等につきまして関係省庁が一体となって調査研究を行い、その結果を踏まえて、社会経済情勢の変化などを勘案しながら、法制化を含めて所要の見直しを検討するということにいたしております。既に調査に着手をいたしておりますが、今年度以降、さらにその調査研究を深めてまいりたいと思っております。
  59. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 次に、環境NGOの支援を行う地球環境基金を一層充実していく必要があるのではないかなと私は思っております。今日の多様な環境問題を解決するためには、国民的な行動力、あらゆる市民を巻き込んだ取り組みがまさに不可欠ではないかと思っております。そのような意味で、環境保全に取り組む民間団体、つまり環境NGOの役割が非常に重視されるべきものだと考えております。  環境NGOは、環境問題に熱意と関心を持つ人々が集まって、足元からリサイクルとか緑を育てるとかといった行動を起こしたり、あるいは、地球上でも環境状況が大変厳しい開発途上地域などに出かけていって草の根の環境協力のために汗を流すといった、実に多様でかつ貴重な役割を担うことが期待されていると思っております。しかしながら、問題は、我が国の環境NGOが欧米諸国等に比べまして、資金面や事業規模の点で甚だ脆弱な状態にあるということが心配されるわけであります。  こうした中で、地域環境を守るNGO活動の支援を目的として昨年地球環境基金が設けられたことは、これは新しい時代のニーズに対応するものであって、我が国の国際貢献という面からも大変意義深いものだと思っております。しかし、小さな基金をつくったからといってそれで済む問題ではなく、地球環境基金をもっともっと大きくして、環境NGOへの支援を強化する必要があると考えますが、環境庁の所見について伺いたいと思います。
  60. 森仁美

    ○森政府委員 ことしの白書ではいろいろな動き、すなわち企業、それから民間団体、政府、そういうような動きをかなり詳細に紹介をいたしております。その中でも、今お話のございましたNGOの動きというのも大変重要であって、それに対するサポートの仕組みという点で地球環境基金というものの役割ということも評価をして記述をしたつもりでございます。  ただいまお話にございましたように、昨年法律改正をお願いをし、そして環境事業団に、NGOによる地球環境保全活動を支援するという目的で地球環境基金をつくらせていただきました。初年度の昨年度は、各地のNGOから合わせて二百五十八件、総額で二十一億一千九百万円の助成要望が寄せられてまいりました。すべてにおこたえをするだけの資金的な状況もございませんでしたものですから、そのうちから有益なテーマ、活動という点に着目をいたしまして、百四件、総額四億五百万円の助成を決定をさせていただきました。これは、民間からのいわゆる草の根の拠出に加えまして国が補助金的な形でお金を出したもの、これを含めての額でございます。  私どもは、これから先この地球環境基金を充実させていく方向として、民間の拠出を少しでもふやしていきたいなと思っているところでございますが、当面平成六年度の予算案でも、十億円の出資金に加えまして、国庫補助金を拡充をいたしまして、約六億円の支援事業を行いたいと考えているところでございます。繰り返しになりますが、私ども国民各界各層の御協力を得ながら地球環境基金を少しでも大きく育てまして、環境NGO活動への支援というものの充実を図ってまいりたいと考えております。
  61. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 次に、人的貢献について伺いたいと思います。  地球サミットで我が国が公約した拠出金、五年間で一兆円というのは大変順調に進んでいるようでございまして、環境保護では資金上ではうまくやっているな、十分だなという評価も国際的にもされておるようでございます。しかし、相変わらず諸外国からは、日本は金は出すが人は出さないとの手厳しい声が実は上がっているようでございます。  しかし一方では、エネルギーの効率化とか産業廃棄物のリサイクルなどでその技術力や科学的知見の高さに対しては高い評価も与えられておりますし、また、アメリカとの対比でも、生物の多様性保全条約に署名をしたり、国連人口基金の最大の拠出国であったり、あるいはまたということで評価もあるのですね。オゾン層保護のための国内法の制定なんかも非常に高く評価をされておるようでございます。しかし、現実にはやはり十分な数の人材が派遣されてはいないようでもあります。  そこで、地球環境保全のため、我が国としては途上国に対しての国際協力、とりわけ人的貢献策をどう考えているのか、環境庁としてどういうふうに対応するのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  62. 澤村宏

    ○澤村説明員 開発途上国に対する人的な貢献、そういったお尋ねでございますが、環境協力を途上国に対しまして効果的に実施していくためには、やはり相手国の環境問題の対処能力、その向上ということが大変に重要であるというふうに考えております。  このため、環境庁におきましては、これまでも外務省等と協力いたしまして、専門家の派遣、研修員の受け入れ、あるいはタイ、中国、インドネシア等の環境研究・研修センターの設立、そういったところへの支援をこれまでに行ってきております。また、人材バンクを整備いたしまして、人材の確保をあわせて図ってきているところでございます。  今後とも、先生指摘のとおり、国内におきます人材の確保、養成のための施策を含めましてこうした人的貢献に積極的に取り組んでいきたい、かように考えております。
  63. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 最後の質問ですが、長官にお伺いします。  環境庁は企画調整機能だけに甘んじていてよいのかというようなことなのでございます。先ほども似たような質問があったわけでございますが、今や、産業も、ライフスタイルも、政治も、地球規模でのリストラを迎えておるようなわけでございます。環境政策というのはまさにその指導理念にほかならないのじゃないか、そういうとらえ方でございまして、今こそ環境庁関係機関のリーダーとして、政府機関も含めまして、その役割を果たすべき時期に来ているのじゃないかな、こんなふうに思いますが、御見解をお伺いいたします。
  64. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 企画調整機能だけではなくて各省庁の中心としてリーダーシップを環境庁がとっていくべきだという先生のお考え、私もそのとおりであるというふうに思っております。  昨年十一月に定められました環境基本法の新たな枠組みのもとで、国内的あるいは国際的な環境問題に的確に対応していくためには、もちろん環境庁だけではとてもできませんで、関係省庁と連携そしてまた調整を図りながら、総合的、効果的な推進を図る必要があるというふうに考えております。そんなことで、環境庁といたしましては、政府全体の環境行政の中枢としての役割を果たしたい、こういうふうに考えております。  企画調整機能強化を図ることも大切と考えておりまして、私もそれに向けて一生懸命努力させていただきたいと思っております。特に、閣議後の懇談という各閣僚が自由にいろいろな意見を述べ合う機会があるわけでございますけれども、私も内閣に入れていただいたのは初めてですので、こんなに自由に発言ができるということは知りませんで、そんな場を利用して、機会を見て各閣僚の皆さんに、ぜひとも各省庁でいろいろな施策をとるときには環境の視点を必ず入れていただきたい、こんなことをお話しさせていただいております。  それから、もっともっとこの環境問題、国内的にもあるいは地球的な環境問題についても環境庁しっかりやるように、こういう御指示だったかと思いますけれども、実はちょうど二年前、地球サミットが開かれました。歴史上最も大規模な国際会議だというふうに言われておりますこの地球サミットからちょうど二周年に当たります。  一九九二年の六月三日から十四日にこの地球サミットが開催されまして、ちょうど二周年に当たるわけでございます。地球環境問題に対する世界の取り組み、UNCEDを中心として取り組んでおりますけれども日本は殊にこの国際的な取り組みに対しまして最も積極的にそれを推進している国の一つだというふうに思います。気候変動枠組み条約、ことしの三月に発効いたしました。また、生物多様性条約、あるいは砂漠化防止条約もまた六月成立に向けて鋭意交渉が進められておりますけれども、こうした取り組みに対して環境庁は他の省庁と協力しながら一生懸命取り組んでまいりまして、先生今おっしゃっていただきましたように、そうした取り組みに対して評価がなされております。  現在、昨年の環境基本法に基づきまして環境基本計画を策定中でございますけれども、昨年十二月にはまたアジェンダ21行動計画を策定いたしましてCSDに提出いたしました。このCSDの会合には先般政務次官が出席させていただきましたけれども、そんなことで、国内的にも国際的にも環境庁は皆様の応援をいただいて本当にリーダーシップを発揮しながら一生懸命取り組ませていただいているところでございますので、今後ともどうぞ御支援いただきますようによろしくお願いいたします。
  65. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 長官の大変心強いお言葉を伺いまして、ほっといたしました。どうか、現長官のときにひとつ環境庁のリーダーシップを確立してください。  昼飯も近いようでございますから、以上で質問を終わらせていただきます。
  66. 奥田幹生

    奥田委員長 この際、休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十六分開議
  67. 奥田幹生

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野由利子君。
  68. 大野由利子

    ○大野(由)委員 浜四津長官長官就任大変おめでとうございます。  環境庁予算も少ない、また人も少ないと、いろいろな大変な制限があるかと思いますが、環境基本法も成立いたしましたし、また大変国民の皆さんの環境に対する関心も高まって追い風が吹いている、そういう状況であると思いますので、開発省庁に負けないように頑張っていただきたいと今後の御活躍を期待をしております。  初めに私、環境庁もっと頑張っていただきたいな、そういう視点で質問をさせていただきたい、そのように思っております。  最初にまず、青森県でことし三月いろいろ報道されましたけれども、小中学校の校庭のグラウンドで製錬所から出ました鉱石のかす、鉱滓をグラウンドの土のかわりに使っていた、そういうことが発見されまして、国が土壌汚染の基準としています値を大幅に上回っている。鉛とか砒素などの有害物質が、国の指針から最高値三十八倍という大変な値が検出されたという問題がございました。  私、ここに詳しい資料を手元に持っているわけですが、これを見ていて、何とまあひどいことか、そのように思っております。この製錬所は昭和四十三年に創業いたしまして、昭和四十五年から昭和の時代、平成の時代とたびたびこういうことを繰り返しているわけでございまして、小中高の学校のグラウンドには十二カ所、公園、野球グラウンドに八カ所、民家とか企業に十五カ所、合計三十五カ所二十万トン以上の鉱滓を土がわりに使っていた、そういう状況がございます。  発覚してから、自治体と製錬会社が除去作業をやっているわけですが、一体これはどうしてこういうことになったのか。鉱滓の使用とか処理についてどの法律が、だれが取り締まるようになっているのか。これは鉱山保安法で取り締まるのか、また廃棄物処理法で取り締まるのか。環境庁はどうとらえていらっしゃるかについて伺いたいと思います。
  69. 野中和雄

    ○野中政府委員 御指摘の青森の八戸製錬所の鉱滓でございますけれども、これはこれまでさまざまな用途に有償で提供をされてきたといったようなことから、青森県では、これらは産業廃棄物に該当しないということで、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく規制の適用を受けないものであるというような見解を示しているところでございます。  環境庁といたしましては、こういうようなリサイクルに伴います環境汚染を未然に防止いたしますために、このようなことから、行政上の適切な措置を検討する必要があるというふうに考えて、六年度の予算案におきましても、関連する調査検討費等を計上しているという状況でございます。
  70. 大野由利子

    ○大野(由)委員 前環境庁長官の広中長官が、この問題が発覚をしました後に、早急に鉱滓再利用実態を全国調査をいたしまして再利用の際の技術的なガイドラインをつくりたい、このように表明されているわけですが、全国調査が始まっているのかどうか、ガイドラインづくりの検討が始まっているのかどうかについて伺いたいと思います。
  71. 野中和雄

    ○野中政府委員 この問題に関しましては、問題が起こりまして前大臣指示を受けまして、私ども、現在、調査の実施方法等につきまして検討を鋭意しておるところでございます。  調査につきましては、平成六年度の政府予算に基づきまして実施をするということでございますので、平成六年度の予算が成立し次第、リサイクルの実態に関する調査等を速やかに実施をし、また、ガイドラインの作成に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  72. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ガイドラインをつくられるというのは大変一歩前進である、そのように評価をしているわけでございますが、しかしガイドラインというのは拘束力もございませんし、これでは不十分なのではないかと思っております。  今回、たまたま青森でこれが発見されたわけですけれども、鉱滓は非常に水はけがいいというふうなことで、ほかにもいろいろ道路の路盤とかゴルフ場の造成に使われているという実態があるようでございますので、青森県以外にも鉱滓がどのように使用されているかという実態の調査をまずやっていただきたい。土壌の調査もやっていただきたいと思いますし、また、単にガイドラインでとどまるのではなくて、法の整備、法の見直し、法の制定というものも含めて検討をしていただく必要があるのではないか、早急に検討会を発足させていただきたい、そのように思っております。
  73. 野中和雄

    ○野中政府委員 お話しのように、私どもリサイクルに伴います環境汚染の未然防止を図ることが大変重要な課題であるというふうに考えているわけでございまして、先生先ほどお話のございましたような実態調査をまず行いまして、それを踏まえまして、専門家の意見も聞きながら、ガイドラインの作成というのをとりあえず急いでまいりたいというふうに考えているわけでございます。  ただ、このガイドラインにつきましては、これを効果的に機能をさせていくための措置というのが当然必要になってくるわけでございまして、これらについても検討をしてまいるわけでございますけれども、こうしたガイドラインを効果的に実施をしていくための措置の中で、お話しのような新たな法制度が必要かどうかというようなことも含めて検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  74. 大野由利子

    ○大野(由)委員 この問題で、自治体や製錬会社が学校の校庭に土のかわりに使おう、そういうように安全性を判断した根拠になっておりますのは、青森県の衛生研究所が出しました溶出試験検査成績書と昭和六十三年にいたしました検査結果をもとにして安全だ、そのように認識したようでございますが、水に溶け出した有害物質の値をチェックするというのと、また、子供が遊ぶ校庭で鉱滓が飛散するというのは全く違うわけでございますし、そういった意味で非常に地方自治体の認識の甘さというものを痛切に感じるわけですが、環境行政は地方自治体に依存していらっしゃる要素が非常に高いと思います。こういった意味で、今後こうした問題にどのように対応していかれるのか、地方自治体への適切な対応が必要ではないか、そのように思いますので、この点について一言御見解を伺いたいと思います。
  75. 野中和雄

    ○野中政府委員 先生お話しのように、県の分析機関によります溶出試験の結果に基づいていろいろ説明がされたという報道があるわけでございますけれども、どういうような説明を現地でなされたか私ども承知をいたしておりませんけれども、産業廃棄物の最終処分基準における判定基準値をもって、鉱滓を学校の校庭等の造成に利用するに当たっての安全性の尺度というふうにするということは、適切なことではないというふうに考えているわけでございます。  この問題につきましては、お話しのように大変重要な問題でございまして、私ども、リサイクルを行うのに適当であるか否かの環境保全立場からの判定基準というのは、リサイクルされるものの物理化学的性状、あるいはリサイクルの方法といったようなものを総合的に判断をしていく必要があるというふうに考えているわけでございます。かような意味も込めまして、前大臣の御指示もございましたので、環境庁といたしましては、リサイクルに係る環境保全上のガイドラインをできるだけ早急に作業をする、また同時に、その間に、都道府県に対します指導等も十分に行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  76. 大野由利子

    ○大野(由)委員 去る五月三十日、総務庁が環境庁に対しまして、水質保全対策に関する行政監察結果に基づく勧告を行っております。  環境庁や地方自治体が行っています水質保全対策についての行政監察結果でございますが、非常に不完全である、地下水の汚染の調査が非常に不完全なままとまっているということで、地下水汚染が確認されながら半数のケースは汚染源の調査もしていなかったということが判明をした。その理由として、一つ調査に費用がかかる、もう一つ調査方法がわからない、そういった理由から地方自治体等で放置していた例が目立ったということが報道をされておりました。  また、その排水基準に繰り返し違反をしている事業所に対しましても、改善指導だけはたびたびやっているわけですけれども罰則も適用していない、非常に環境庁対策の甘さが見られたという勧告をしておりますが、これについて環境庁の見解と、また今後どのように対応されるのかについて伺いたいと思います。
  77. 野中和雄

    ○野中政府委員 去る五月三十日付で、総務庁長官から環境庁長官に対しまして、水質保全対策についての行政監察結果に基づく勧告が行われたわけでございます。これにつきましては、先生お話しのように、環境基準の類型指定あるいは地下水の汚染防止対策、工場への排水規制指導といったような事柄に関しまして、いろいろな勧告がなされたわけでございます。  環境庁といたしましては、これらの問題につきましては、例えば第一に、地下水の汚染の状況の把握ということでございますけれども、水濁法に基づきます地下水の常時監視が開始されました平成元年度以降、毎年、都道府県で実施をされます地下水質の測定結果をまとめて公表してきているといったようなことで、これまでも努めてきているわけでございますけれども、さらに勧告の趣旨に沿いまして、汚染源の特定状況あるいは地下水の浄化対策の実施状況といったものについても取りまとめて公表をしてまいりたいというふうに考えております。  また、汚染対策につきましても、これまで国立環境研究所と一体となって調査研究をしたり、あるいは都道府県に対する指導といったようなこともやってきているわけでございますが、さらに新しい浄化技術等につきましても研究を進めまして、対策マニュアルの作成を行うなどの対策充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  その他、関連の事項、排水規制に関する規定の実施等々につきまして勧告を受けているわけでございますが、これらにつきまして、私どもかねてより十分努力をしてきているというふうには思っておりますけれども、勧告の趣旨に沿いまして対策充実が一層図られますように、都道府県に対する指導あるいは必要なマニュアル等の提供といったような事柄について努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  78. 大野由利子

    ○大野(由)委員 時間が余りないのですが、最後に、北海道開発庁が進めていらっしゃいます千歳川の放水路計画にいて伺いたいと思っております。  これは、石狩川と千歳川の合流のところに締め切り水門を設けまして水を逆流させて、ふだんは締めてありますところののみ口水門を高水位時にはあけて放水路の水を流そうという大変壮大な、大規模なプロジェクトであるわけですけれども、この問題について、まず建設省は今後これをどういう手順で進められるのか、環境庁にいつ御意見を伺われるのか、ちょっと簡単にお答えいただきたいと思います。
  79. 山田俊郎

    ○山田説明員 千歳川放水路計画につきましては、今先生おっしゃいましたような五十年、五十六年にございました石狩川の大洪水、これを契機としまして、千歳川がほぼ二年に一度という大変な水害を受けておりますので、そういうことの抜本的な治水対策として進めておりますが、この放水路の詳細なルートを含む事業計画を決定するに当たりまして、今種々の調査を北海道開発局において行っているところでございます。  今後は、最終的なルートを含めまして、できるだけ早期に北海道知事から出されております要望への回答を北海道開発局の方から行うこととしておりまして、その後、環境影響評価を実施し、事業の推進を図ってまいりたいというふうに考えておりますが、今後とも北海道や関係自治体等の意見を十分尊重しながら進めてまいりたい、このように考えております。
  80. 大野由利子

    ○大野(由)委員 環境庁にいつ御意見を聞かれるのか、今お答えがなかったわけでございます。これは意見を聞いても聞かなくてもいい、そういう状況に今の法律の中ではなっているようでございますので、恐らく建設省さんは明言を避けられたんじゃないか、そのように思っております。  環境庁に伺いたいと思います。  最後に大臣にもちょっと御意見を伺いたいと思っておりますが、この放水路の近くには大変な渡り鳥の生息地でありますウトナイ湖もございます。ラムサール条約の登録湿地でもございますし、また、我が国では鳥獣保護区の特別保護区になっている地域がございます。今放水路も、地元の意見で西ルートから中央ルート、また東ルートと、いろいろルートは考えられているようでございますけれども、いかんせんルートを多少変えられても、地下水の水脈を切るとか、ウトナイ湖にも影響は避けられないとか、いろんなことがあるわけですね。環境庁はこのことをどのように思っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  81. 森仁美

    ○森政府委員 千歳川放水路計画につきましては、事前に閣議決定要綱に基づきます環境アセスメントを行うということになりますが、環境庁は、それが実施された後に、主務大臣から意見を求められれば意見を述べるという仕組みにあることは御承知のとおりでございます。  このような仕組みは仕組みといたしまして、環境庁としましては、この千歳川放水路計画は、ラムサール条約の登録湿地でありますウトナイ湖などの自然環境保全上の観点から、重大な関心を持っているところでございます。このような関心という点については関係省庁にも十分御理解をいただけるものと思っておりますし、私どももまた、御理解をいただけるようにしていかなければならないと思っているところでございます。
  82. 大野由利子

    ○大野(由)委員 中海・宍道湖の淡水化事業のときに八百億円という大変なお金をかけて工事がなされて、そして住民の反対によってっくられた水門が結局使われなかった、そういうことがございました。最近では、長良川の河口堰も大変大きな問題になっております。そういった意味で、私は、この千歳川の放水路計画を、全面的に建設省から意見を求められてからというのではなくて、この環境基本法の十九条の中にもございます、また二十一条の中にもあるのですけれども、いろいろと規制について必要な措置を講じなければいけないというふうなことがしつかり書かれているわけでございますので、この問題、大変な巨大プロジェクトでございますけれども環境庁がもっと検討委員会を設けるとかしていただいて、そして積極的に洪水がないようにしなきゃいけない。それは当然でございますが、今多くの地元住民、またいろんな団体も大変反対をしているというような状況もございますので、環境庁の、今の御答弁でよくわかってくださることと思いますみたいな姿勢であってはいけないんじゃないか、意見を求められるのを待つというのではいけないんじゃないか、この巨大プロジェクトには積極的に環境庁がかかわっていくんだという、そういうふうな環境行政にぜひ転換をしていただきたい、私はそう思っております。  時間がなくてすごくあれですが、最後にちょっとぜひ浜四津長官の御意見なり御決意を伺わせていただいて、終わりたいと思います。
  83. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 ただいま先生がおっしゃられました千歳川放水路計画によりますウトナイ湖及び美々川上流域の自然環境への影響につきまして、さまざまな議論がなされているということは十分承知しております。環境庁といたしましても、ウトナイ湖というラムサール条約登録湿地自然環境保全という観点から考えまして、十分な検討がなされることが必要だというふうに考えております。  また、今お話がありましたアセスメント実施以前の段階での環境配慮でございますけれども、それにつきましては、従来から事業者によって適切に行うよう努力がなされてきたものというふうに理解しております。また、環境基本法との関係では、第八条で、事業者は、事業活動のすべての段階における環境保全配慮義務があるというふうに規定されておりますので、今後早い段階での自主的な環境配慮をさらに充実していただけるものというふうに期待をしております。  御指摘の計画につきましては、事前に閣議決定要綱に基づくアセスメントを行うことになる大規模な事業でありまして、事業者において環境保全観点から十分な検討がなされるものと期待しております。  上田見解というのが示されたことがありましたけれども、これに示された配慮を環境庁としても求めていきたい、また適切に対処したいというふうに考えております。
  84. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ありがとうございました。
  85. 奥田幹生

    奥田委員長 竹内譲君。
  86. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 実は私、浜四津長官が御就任なさいましたときの長官の抱負と決意を聞きましたときに、大変に感動いたしました。そのときに長官が、生命の尊厳を守る仕事として全力で取り組んでいきたい、私たちの後に続く世代の人々の生命、暮らし、安全を守るべき環境行政の仕事をいただき、その使命と責任の重大さを痛感していますとのお言葉でした。私も京都の地元に帰ったときに、多くの御婦人の方々等から、大変にすばらしい決意でしたということで大変喜んでいただきました。生命の尊厳を守る環境行政というのはやはり一つの行政の哲学だというふうに私は思っておりまして、この魂の部分がないと、やはり環境庁というのが単なる調整官庁に終わってしまうんじゃないかな。そういった意味で、大変重要な哲学を持って生命の尊厳を守る、こういう至高の哲学を持ってこれからも本当に頑張っていただきたいというふうにまず念願しております。  それでは最初に、与党の立場として、環境行政の骨格部分についてちょっとお伺いしたいと思います。  環境基本法が成立をいたしまして、環境基本法成立後の最も大きな課題一つにやはりアセスメントの問題があるかと思っております。まず、この点につきまして長官の御所見をいただきたいと思います。
  87. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 励ましのお言葉をいただきまして、ありがとうございます。  ただいまお話にありました環境アセスメントにつきましては、環境汚染を未然に防止し、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を築いていくために極めて重要な施策であるというふうに考えております。環境基本法におきましても、二十条におきましてその重要性を明確に規定したところであります。政府としては、これまでも的確な環境影響評価の推進に努めてきたところでありまして、今後とも現行制度の適正な運用に一層努めていく所存でございます。  御指摘環境影響評価の法制化につきましては、内外の制度の実施状況に関しまして関係省庁一体となって調査研究を行い、その結果を踏まえて、経済社会情勢の変化等を勘案しながら、法制化も含めまして所要の見直しについて検討することとしております。このため、既に関係省庁一体となってアセスメントに関する予備的な調査研究に着手したところでございまして、今年度以降さらに調査研究を深めてまいりたいと考えております。
  88. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 ありがとうございます。一歩でも二歩でも前進していくんだという非常に前向きなお話でございました。  私は、留意をしていただきたい点を要望事項として、一応やはり申し上げておきたいというふうに思っております。  それは、アセスメントの対象事業というものが事業規模で今規定されているわけですけれども、そういったものにかかわらず、環境への影響の懸念の度合いといいますか、危険性の度合いといいますか、そういった観点からも義務づける、あるいは考慮するといいますか、アセスメントを考慮する、そういう配慮というものを考えていただきたいなというふうに思うわけでございます。  それから二つ目が、計画段階でのアセスメントの必要性というものがやはり僕は大事だというふうに思っておりまして、事業の最終段階になってからやったというんではなくて、やはり計画段階からやっていくということは重要な要素、ファクターであるというふうに思っております。  それから、計画の代替案による比較検討というものも御検討願いたいというふうに思っております。  そして最後に、事業実施後にこういうフォローアップしていくというアセスメントというものもやはり考えていかなければならないのではないかというふうに思っているわけでございまして、なかなかそう急には、一遍には無理かもしれませんが、せっかくこうやって調査費もとっていただきまして内外のさまざまな制度を研究されているわけでございますので、そういったアセスメントの重要な精神の部分をやはり十分取り入れていただきまして、今後の展開の非常に重要な一助としてもらいたいというふうに要望するわけでございます。
  89. 森仁美

    ○森政府委員 ただいま環境アセスメントの大変重要な部分についての御提言でございます。  私どもも、これまでアセスメントのあり方につきましていろいろなところからいろいろな御意見、御指摘をいただいてまいっております。これから実施しようとする総合的な調査研究、それでは学識経験者によります研究会を設けて、さらに深度ある検討を進めていくということにいたしておるわけでございますが、ただいまお話のございました四点、これはまさに骨格といいますか、大変重要なポイントを突いておられます。この点についても十分留意をいたしまして調査研究を深めてまいりたいと考えております。
  90. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 ありがとうございました。ぜひともそういう観点からひとつよろしく御検討をお願いしたいと思います。  次に、環境基本計画についてまた御要望をしたいと思っております。実は、ことしの一月十四日に環境庁の方から審議会に諮問されておられまして、大体十二月下旬ぐらいまでには答申を出して閣議決定をするというスケジュールになっておるわけでございますが、六月ぐらいには中間報告もしたいというふうに聞いております。  そこで、環境基本計画についての要望を申し上げておきたいというふうに思います。  その第一は、やはりあいまいな表現を避けて、できるだけ明瞭な言葉で表現して、国民が一読してわかるような内容としてもらいたいということですね。それからもう一つは、同じことですが、より具体的に、達成すべき目標とかそのための手段、施策というものをできる限り明確に示していくことが必要なんではないかなというふうに思っております。まずこういう点が第一点。  それから二つ目が、アジェンダ21のときに、国民に公開して、NGOの皆さんとかいろいろ意見を取り入れました。私どもも、非常に慌ただしい中を環境庁の皆さん、また関係省庁の皆さんが本当に一生懸命やられたわけでございますが、後からちょっと御意見もお聞きいたしますと、時間的余裕がなかったというような御批判もございまして、また、国民の意見が十分取り入れられたかどうかという点についても若干の疑義を示す向きもございまして、そういった意味で、今後、環境基本計画につきましても十分な意見の集約が図られるようにお願いしたいと思っております。  そして三つ目に、やはり環境行政の情報公開といいますか、情報公開法というものを考えられておるわけですが、できる限り国民にオープンな形で情報を提示していくという点、そしてまた、意思決定とかその他さまざまな分野におきまして、やはり参加型の、住民参加の基本計画にしてもらいたいなという希望がございまして、ぜひとも今後の検討の中でひとつ十分に検討していただきたいというふうに思っております。
  91. 森仁美

    ○森政府委員 環境基本計画につきましては、ただいまお話にもありましたとおり、環境基本法成立後直ちに中央環境審議会の委員の人選に入りまして、中央環境審議会でことしの一月から精力的に取り組んでいただいております。既にこれまで会合を重ねて、毎週一回の大変きついペースでございます。きょうもただいまの時間帯、ちょうど小委員会が開かれて鋭意審議が進められているという状況でございます。  こういう中の議論を私ども事務局として拝聴をいたしておりますと、ただいまお話のございました、計画の記述はできるだけ明瞭な表現でわかりやすく、それから計画策定過程で国民の意見を聞くこと、あるいは住民参加、あるいは情報を皆さんにお知らせをする、こういう点について十分配慮をすること、こういう点は、それぞれの委員の御発言の中にも出てまいっております。  そういうことで、審議会総体といたしましては、ただいまお話しの点については十分いろいろな形での御配慮がなされるんではないか、私ども期待しているところでございます。  特に、住民の意見を聞いてという点につきましては、アジェンダ21国内行動計画を例にとって今お話してございました。これはなかなか手続的にもまだ確立した手法というのがございません。前回のアジェンダ21のときには一つの試行錯誤、と言うのはちょっと語弊があるかと思いますが、いろいろなことをやってみていろいろな形で御意見を集約していく手法を徐々につくり上げていく、そういう手法をとってまいったわけでございます。中央環境審議会での御議論を今聞いておりますと、中間報告をまず出して、そして国内各地でヒアリングをやってみたらどうかという御意見などが出ておりまして、こういう手法を用いながら広く国民の意見を取り入れていきたい、こういうお考えが強いようでございます。
  92. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 ありがとうございました。よろしく御検討をお願いしたいと思います。  やはり非常に社会参加型の、リベラルで、そして民主的という意味でデモクラッツというか、そういうやはり羽田政権の特徴を出してもらいたいというふうに思っております。  次に、私、実はいろいろ各地の皆さんから、最近いろいろなお手紙をたくさんいただいております。これは何かと申しますと、近隣騒音公害のお手紙でございまして、いろいろな苦情等、また中には非常に大変な、不眠症それから鼻血とか、あるいは場合によってはノイローゼとか、そういう大変な病気になっておられる方もいらっしゃいまして、この近隣騒音の問題について最後にちょっとお伺いしたいと思います。  昔、カラオケとか、いろいろたくさんそういう問題があったわけでございますけれども、最近こういう近隣騒音公害が大変やはり広がっておりまして、特に集合住宅とか、それからペットとか、さまざまな問題がございます。そこで私、この間東京都の消費者センターに設置されました騒音一一〇番というところへ行きまして、被害を受けておられる方々のいろいろなお話を聞いてまいりました。  その中で、最近、実は低周波公害というのがございまして、これも近隣騒音の中で非常に難しい病気なんですが、通常二十ヘルツ以下、音圧五十七デシベルぐらいから下という、普通は聞こえないんですが、二十ヘルツとかあるいは一般的には百ヘルツ以下というのを低周波といっているみたいですが、こういう病気が多く出ておりまして、京都でも、実は京都地裁で裁判がございまして、綿糸をとかすイタリア製の何か大型乾燥機を隣で導入された。そこから出てくる音に悩まされて、音というよりは実は低周波だったんですが、そこで頭痛、食欲不振、耳鳴り、しびれ、不眠などの症状が出て通院を繰り返した。結局、地裁では百万円の損害賠償を認めているわけですけれども、この間の騒音一一〇番でもそういった訴えがたくさんございまして、この集計を私のところに送っていただいたのですが、そういう大変難しい問題が出てきております。低周波の場合は、これは単に音を小さくすればいいという問題ではなくて、低周波自体に潜む大変重要な問題、難しい問題があるわけですけれども、そういった意味で新しいタイプの公害として今後広がっていく可能性もあるというふうに思っております。  こういう近隣騒音というもののウエートが高くなってきて、今までは工場とか自動車とかカラオケとかというものが中心にあったわけですが、こういう集合住宅での問題あるいはボイラー、エアコン、乾燥機、そういったものがいろいろなところで最近あふれているわけです。二十四時間営業しているお店もたくさんあります。そういったところでさまざまなそういう問題が出ているわけでございまして、新しいタイプの公害になる可能性もあるということで、ぜひとも環境庁には総合的な見地からいろいろ改めて実態調査、検討をお願いしたいと思うわけでございます。
  93. 松田朗

    ○松田(朗)政府委員 お答えいたします。  まず近隣騒音でございますが、これは騒音の問題がいろいろな苦情の中でも非常に多うございまして、その中でも、確かに先生指摘のように近隣騒音というのは問題になってきております。近隣騒音の中でも、特に拡声器騒音だとか深夜営業、こういうものにつきましては騒音規制法に基づきまして自治体で条例を設けて取り締まっておる。  それから、もっと最近問題になっておる生活騒音の規制でございますが、これは規制に非常になじみにくいものでございますので、具体的にはどういうふうにやっているかと申しますと、実は平成五年度から音環境モデル都市事業という、言いかえますと生活騒音対策モデル都市推進事業、こう言っておりますが、まさにこういう事業をスタートさせまして、そういう問題を抱えている幾つかの自治体にお願いしまして、市民に参加していただきまして、そして、その町でどういう静けさを維持すべきか、あるいは要らない音は何か、残すべき音は何か、そういうものを検討していただきまして、実際それを自治体で実行に移してもらう、こういう市民参加型の事業を今進めております。  その中で、先生指摘の低周波でございますが、これは環境庁といたしましてといいますか、我が国でも昭和四十年代からずっと問題になっております。これは耳にキャッチできない音でございますので、騒音というよりもまた別の角度の面もありますが、これから問題にしなければいけないのは、今先生の御指摘のように、低周波というのが健康影響にどうなっているのか、これについても何年か前からいろいろな機会をとらえまして環境庁委員会等によりまして調査をしているわけですが、現時点におきましては、低周波と言われるものの健康影響に対して、明らかにそういうことを証明するようなデータはないというのが現状でございます。  しかし、問題意識を持ちまして、健康影響に関しまして低周波がどのようなものかということについては、引き続き知見を集めて将来の対策に備えたいと思っております。  以上でございます。
  94. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 五十九年に特に低周波については一度調査をされているわけですが、もうかなりたっております。現実にバブルの時期を経て改めてそういう問題がいろいろ私のところに来ておりまして、数はほかの騒音に比べればまだまだ少ないかもしれませんけれども、やはり被害の状況というのは結構大きなものがあって、裁判まであちこちで出ているわけでございますので、ひとつ再度、そういった観点から力を入れて、一度調査をお願いしたいと思う次第でございます。  長官がおっしゃるように、やはり生命の尊厳を守るという観点から、一律に基準がないからといって切ってしまうんじゃなくて、やはり人の痛みのわかるそういう環境行政、温かな環境行政というものがやはり僕はこれからの時代に大事だというふうに思っております。そういう意味で、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  先ほど局長がおっしゃられましたように、環境庁としては音環境モデル都市事業とか非常にユニークな事業もやっておられます。ただ、まだ余り有名になっていないだけで、これからぜひ我々もバックアップして予算もっけてもらって、逆にそういう音を使って騒音をうまくコントロールしていく、いい音を使って騒音対策をやっていく、そういう発想だと思いますので、ひとつこれからもよろしくお願いします。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  95. 奥田幹生

    奥田委員長 金田誠一君。
  96. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 長官就任おめでとうございます。  きょうは大綱二点、質問をさせていただきたいと思いますが、一点は北海道日本海側を中心に広がっておりますいそ焼けの問題、それともう一つは長良川河口堰の問題です。  まず河口堰の方からお尋ねしたいと思いますが、私、去年当選させていただきまして以来、二回河口堰に行ってまいりまして、やはり見ると聞くとは大違い、目からうろこが落ちたという気持ちを深くいたしております。国の金を使って、公共事業費を使って、三千億と言われておりますけれども、よくもこれほど環境破壊ができたものだということで驚いてしまったわけでございますが、公共事業に伴う環境破壊の原点とも言うべきものだと思うわけでございまして、長官、ぜひ一度現地を御視察いただきたいものだと思っておりますが、いかがなものでしょうか。
  97. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 今先生指摘のように、長良川河口堰の問題につきましては、いろいろな経緯、そしてまたいろいろな議論があったということを伺っております。  この河口堰につきましては、平成二年十二月の環境庁長官見解を踏まえた環境保全上の措置が講じられることになっておりますが、環境庁といたしましては、これらの措置が講じられることが重要であるというふうに考えておりまして、現在実施しております確認調査を含めまして、建設省と十分連絡をとりながら対応させていただきたいというふうに思っております。  私もさまざまな方の議論を聞かせていただき、またこれまでの会議録も読ませていただきまして、あるいは新聞記事などからこの長良川問題に関心を持って見てまいりました。現時点では関心を持って見させていただくということで、現時点で現地を視察させていただくということは控えさせていただきたいと思っております。
  98. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 所信表明も何回も詳細に読ませていただきましたが、公共事業に伴う環境破壊ということに対する認識といいますか、視点が全くないわけでございます。環境汚染とか環境破壊とか地球環境問題、一般論としてはございますが、公共事業費年間六十兆とか、民間ベースも含めると百兆を超えるとかいろいろ言われておりまして、埋め立てであるとか、ダムであるとか、今回の堰であるとか、さまざまな問題を引き起こしている。そうしたことに対して、環境庁としてきちっとした認識を持つということは非常に大事であるし、それが欠けているのは非常に残念だと私は思うわけでございます。  そういう視点から考えていただいて、公共事業環境に及ぼす影響は極めて甚大である、深刻な事態にあるのだ、原点が長良川であるということをぜひ御認識をいただければと思うわけでございますが、いかがなものですか。今、にわかに行く行かないは別にしまして。
  99. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 今先生おっしゃられましたように、公共事業であれ、あるいは民間による事業であれ、環境を破壊してはいけないという環境保全の配慮が必ずなされなければいけないというのは当然の原点であるというふうに考えております。  環境庁といたしましても、殊に公共事業に関しましては、他の省庁が各施策を実施する際には必ず環境に配慮をしていただきたい、こういうことを強く要請しておりまして、これからも政府一体として、この環境の問題は大変重要な問題と考えているというふうに羽田総理も折に触れ述べられておりまして、各省庁一体となりまして、環境を破壊しない、環境保全しながら両立できる施策ということで、そのリーダーシップをとらせていただきたいというふうに考えております。
  100. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 公共事業というのは非常に規模が大きいということで、環境破壊もそれだけ大きいわけでございまして、今後の所信表明にはぜひその点について触れていただけるようにこれから御検討いただきたいと思うわけでございますし、やはり百聞は一見にしかず、長良川もぜひ機会を見てごらんになっていただきたい、御要望を申し上げておきたいと思うわけでございます。  建設省にお尋ねをいたしますが、先般、ゲートを閉めるという大変な暴挙が行われたわけでございますけれども、その際に、経過がいろいろございましたけれども、最終的に今後は民主的な話し合いでということで一定のルールが合意をされた。それがそのとおり民主的に進んでもらいたいものだな。民主的に進む前提は、情報公開、民主的な話し合い等、いろいろなルールがあるわけでございますけれども、それについて、この話し合いが合意した四月十四日の時点で、私ども社会党の議員も含みます八人の衆参議員の方々から建設大臣に要望書が出されております。四項目にわたる要望でございますが、大臣がかわられたわけでございますけれども、その後もこの四項目の要望については尊重されて、これが実施に移されるということで理解をしてよろしいかどうか、確認させていただきたいと思います。
  101. 坂本忠彦

    坂本説明員 前建設大臣指示に基づきまして、平成六年度一年間かけて、防災、環境、塩分等の調査を実施しておるところでございます。この調査は公開で行うとともに調査結果も公表するということにいたしております。そして、これらの調査を科学的かつ客観的に行うため、二十一人の学識経験者から成る調査委員会を設置し、その指導助言を得ながら進めておるところでございます。  その調査委員会の御審議を得まして、四月一日からゲートを運用しての調査を実施していたわけでございますが、四月七日に、全門を操作しての調査を四月八日からするという時点におきまして、ゲート直下に反対派の方が船を着けられるというようなことで調査ができなかった事態が生じました。それにいたしまして、建設大臣の方から、民主的に進めておる調査がこういうことでできないのはまことに遺憾であるが、それを排除することによってまた新たな阻止行動を生ずるようなことを繰り返すことは非常に愚かなことであるということで、反対派の意見も聞いてということで、建設大臣を含めて反対派の方々お話し合いをするという建設大臣のコメントが出たわけでございます。  そのコメントが出されましたときに、超党派の国会議員の方から四項目にわたる要望書が出ております。  一点目は、関係住民から十分に意見を聴取するということについてでございますが、現在行政側が調査内容につきまして地元説明会を実施するなどして地元住民の方々の意見を聞いておりまして、必要に応じて調査委員会にお伝えすることにいたしております。  二点目の塩害についての調査を十分に実施すべきであるということにつきましては、調査委員会に報告をいたしまして、調査委員会の先生方の御意見をいだたく予定といたしております。  三点目の水資源開発基本計画をその調査委員会で検討することということにつきましては、この水資源開発基本計画は水資源開発促進法という法律に基づきます所定の手続に基づきまして、関係省庁において検討し、また関係都道府県の意見を聞き、水資源開発審議会の審議を経たものでございますので、本調査委員会で検討する項目とは考えておりません。  四点目に、建設省は漁業関係者の意見を、現地の漁民と十分に話し合うようにという項目でございますが、これにつきましては、現在までも熱心にといいますか、十分誠意を尽くして話し合いを続けてきたところでございますが、今後ともそういう方向で実施するというふうに考えております。
  102. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 三点目だけ、木曽川水系水資源開発基本計画そのものについての調査の再検討を行うということを考えておらないということでございますが、この基本計画そのものが事の起こりでございまして、これを検討しないということはいかがなものか。これも含めた検討にならなければ実効は期待できないのではないかと思いますが、この三項目についてもいま一度ぜひ御検討をいただきたいと思うわけでございます。あとの一、二、四についてはおおむね要望に沿った形で行われるというふうに理解をいたします。  そこで、調査委員会そのものがどのように運営されているか、どういう議論がされるかということが重要なわけでございますが、民主的な話し合い、ルールの前提には情報公開ということが必要なわけでございまして、この調査委員会にオブザーバー出席を認めてほしいということで市民会議の方から五月十七日時点で要望が出されていると思いますが、このオブザーバー出席を希望する国会議員あるいは自然保護団体、反対する市民団体あるいは学会、こういう方がオブザーバーで調査委員会の審議の状況を見せていただくということについてはいかがでしょうか。オブザーバーを認めていただけると理解してよろしいでしょうか。
  103. 奥田幹生

    奥田委員長 坂本さん、速記をとっておりますから、もう少し大きな声で。
  104. 坂本忠彦

    坂本説明員 五月十七日に市民会議の方から提出されました要望書でございますが、この五月十七日という日は、五月十九日から二十日、二十一日と三日間にわたりまして全門を操作して調査をするということについて地元関係者方々に御説明をいたした日でございまして、その席上で要望書が出されたわけでございます。  この調査委員会でございますが、先ほど申しましたように、今回の調査を科学的かつ客観的に行うため、二十一人の学識経験者から成る調査委員会を設置して、その指導助言を得ながら進めているところでございます。  調査委員会の審議の概要につきましては、座長という方、これはその委員会に出席された委員先生方の中で互選で選定していただきまして、その委員の方が調査委員会の内容を、ブリーフィングと申しておりますが、要約してお知らせするということでございまして、報道機関に発表しておるところでございます。その際には、委員会に提出した資料も配付いたしまして、委員会の様子を委員先生みずからが御説明になっておるところでございます。このような方式は、調査委員会で議論されて現在運営されているものでございます。  御質問の、調査委員会へオブザーバー出席を認めてほしいという件につきましては、本委員会が科学的かつ客観的に審議を進めるという性格から考えまして、なじまないものではないかと考えております。
  105. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 情報公開をされないところに今回のようなトラブルの原因がある。環境破壊、環境行政の根本といいますか、それを踏み外しておられるのではないかという気がいたしておりますが、今のオブザーバー出席を認める認めないということは、委員会に諮って今のような御答弁になっているのでしょうか。委員会が拒否をされたということなんでしょうか。いつの委員会で議論されたのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  106. 坂本忠彦

    坂本説明員 先ほど申し上げました見解は行政としての見解でございますので、次回調査委員会が行われます際に、あるいは個別に委員先生方に御意見を伺うというようなことをやってまいりたいと思っております。
  107. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 それじゃ、委員会としてはオブザーバーを認めるかどうかまだわからない、これから委員会に諮って委員会で決めてもらうという理解でよろしいでしょうか。
  108. 坂本忠彦

    坂本説明員 行政としての意見は先ほど申し上げましたが、委員会に御報告をさせていただきます。
  109. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 その行政としての意見がオブザーバーを認めないということになること自体が非常に問題だ。これは承服しかねますが、時間がございませんから次に進みますが、国民の税金を使ってやる事業ですから、ぜひ情報公開して民主的なルールが保障されるような形で進めていただきたい。今の行政の意見などというのは非常に遺憾な意見であるということを申し上げておきたいと思います。  次に、いそ焼けの件でお尋ねいたしたいと思いますが、長官、いそ焼けという現象を、言葉としては御存じだと思いますが、ごらんになったことはございますか。
  110. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 いそ焼けというのは、沿岸地域におきまして海藻が枯れて死ぬ現象であるということは知識として知っております。また、北海道東南部においていそ焼けの現象が見られまして、石灰藻と言われる藻類が一面に繁殖しているということも聞いてはおります。ただ、残念ながら北海道におけるいそ焼けの現場につきましては、直接見させていただいたことはございません。
  111. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 環境庁の前にお並びの方で、いそ焼けの現場をごらんになった方はいらっしゃいますでしょうか。——いらっしゃらないということだと思うわけでございますが、長良川と同じで見ると聞くとは大違い、一回ごらんになっていただければ、本当にびっくりするような状況でございまして、岩盤一面が白いペンキを塗ったように、まさに海の砂漠化という状態が延々と広がっている。それが年を追って拡大をしていっている。そこは海藻も生えない不毛の海底という状況でして、本当に海の砂漠化という言葉にふさわしい状況でございます。ぜひ環境庁のどなたか責任ある立場の方が一度御視察をいただきたいものだと思いますが、いかがなものでしょう。
  112. 野中和雄

    ○野中政府委員 いそ焼けの問題につきましては、先生、以前の委員会でも御質問がございましたし、私どもも写真等を取り寄せましてそれで十分承知をいたしておりますし、それからまた、担当の者が現場に行って見させていただいております。私自身については、まだ拝見はいたしておりませんけれども、機会があれば見てみたいと考えております。
  113. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 地球の砂漠化ということについては文章としてもあるわけでございますが、海の砂漠化についても、海の底は日ごろ目に触れることは余りございませんけれども、持続可能な成長が阻害をされた状態、持続不可能になっている状態ではないかな。人の体に例えれば、がんに冒されているような状況、それがだんだん広がってきている状況だろうと思うわけでございまして、もはや取り返しがつかない状況になっているのかどうかはわかりませんけれども、ぜひ重要な問題の一つということで御認識を新たにしていただきたいものと思うわけでございます。  ところで、環境庁は藻場消滅調査ということを何年か置きにやっているようでございますが、この中ではいそ焼けがどういう状況で拡大をしていっているのかというようなことは調査されているものなのでしょうか。
  114. 奥村明雄

    奥村政府委員 お答えを申し上げます。  私ども自然環境保全基礎調査の一環ということで、平成元年度から三年度にかけて藻場の調査を行いまして、昭和五十三年以降現在までに消滅したと判断される藻場の面積を把握しております。  先生の御要望とぴたり合うかどうかわかりませんが、その状況を申し上げますと、昭和五十三年以降六千四百ヘクタールの藻場が消滅し、現存する藻場の面積は約二十万一千ヘクタールということでございます。その理由として埋め立て等があるわけでございますが、いそ焼けによるものということで挙げられておるものが約九百九十ヘクタール、これは消滅面積でございます。そういった調査結果が出ておるというのが現状でございます。
  115. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ところで、いそ焼けの原因でございますが、諸説あるようでございます。その中で、陸上部分との関連といいますか、森林、河川、そこから海に流出するさまざまな要素というのですか、有機物あるいは無機物、そうしたものとの関連があるのではないかということが言われておりまして、実際現地においても、河川を通して陸と海がつながっているということになろうかと思いますが、河川の水量が昭和二十年代あるいは三十年代に比べて昭和四十年代以降、高度成長に入ったころから激減しているということが言われておるわけでございます。  環境庁としてその原因についてどのようにお考えか、陸上部との関連ということについても原因の一つと認識をされておられるかどうか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  116. 野中和雄

    ○野中政府委員 いそ焼けの発生要因あるいは持続要因につきましては、これまで水産庁等による調査も行われておりますけれども、私ども環境庁におきましても、平成五年度におきまして北海道南西部等を中心に生じているいそ焼けについて調査を行ったところでございます。  その調査結果によりますと、いそ焼けにつきましては、水温あるいは塩分等の海況の変化、ウニ等の藻食動物類によります食害、あるいは窒素、燐、微量成分等の減少によります貧栄養化、石灰藻類の付着によります大型海藻類の着生阻害、こういったような、実は先生指摘のようにさまざまな要因が関与をしているものというふうに考えられたわけでございます。このいそ焼けというのは大変複雑な現象でございますので、今後これらの個々の要因の相互関連その他につきまして解明をしていかなければならないと考えているわけでございまして、先生指摘河川流量との関係あるいは陸上との関係、今回の調査で特に特定はされていないわけでございます。今後とも幅広く調査を行っていきたいというふうに考えております。
  117. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 水産庁などでも、海の中での調査といいますか、陸上部に関係なくいろいろ調査されているようでございます。土地の古老の話などからしますと、河川が海に注ぐ部分、河口部分あたりが旧来は最も海藻の繁茂したところであった、その河口部の繁茂した状態もだんだん年を経て狭められてくる、しかし、周辺部にいそ焼けが広がっても河口部は割とそのいそ焼けの状況が見られない、したがって、河川と海との関係、河川の上流部の森林と海との関係、これが非常に因果関係があるのではないかというのが土地の古老の話。あるいは学者の説でそういう説もございますけれども、そうした点に着目をして、ぜひ原因究明をしていただきたいものだ。  例えば、植林によって広葉樹が針葉樹に変わる、あるいはダムができる、砂防ダムができる、河川改修がされる、ゴルフ場ができる、宅地開発が進む、それが川に影響を与えて、川が海に影響を与える、この総合的な調査をしていただくのは環境庁をおいてほかにはないのではないかと思うわけでございます。酸性雨による森林の消失などということでは、もちろんそれは山だから林野庁ということにはならないで、環境庁の重要な一つの柱になっているわけでございますから、海の砂漠化、海中林の消滅という問題についても、環境庁課題一つとしてぜひ取り上げていただきたいものだと思うわけでございます。これはこれから概算要求等の作業もあるのでしょうけれども、今後に向けてのお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  118. 野中和雄

    ○野中政府委員 いそ焼けの要因につきましては、先生指摘のようにいろいろなことも考えられるわけでございますけれども、現在水産庁の方で、まず第一番目といいますか、一番考えられる要因でございます海の問題について直接的な調査をいろいろと実施されている最中でございます。私どもといたしましても、この問題は非常に重要な問題であるというふうに考えているところでございますけれども、現在、水産庁でもそういう調査が鋭意行われているところでもございます。  今後、これらの関係機関と連携をしながら、環境庁としてもこのいそ焼けの要因に関する知見の収集、蓄積といったものに努めてまいりたいと考えております。
  119. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 最後でございますけれども、それほど重要に考えておらないというふうに聞こえてきてしょうがありません。やはり現地をごらんになっていないということがそういうお答えになるのかなと思って残念でございますが、どなたか正式に現地視察といいますか、調査といいますか、そういうことをぜひお願いしたいものだ、これを改めて、前向きにひとつお答えいただきたいと思うわけでございます。  それと、水産庁等の関連では、陸上部に着目した調査というのは行われておらない。河川を通した影響ということについて、関係するのは例えば林野庁だ、建設省だ、あるいは運輸省だ、いろいろな省庁にまたがる話になるのでしょうけれども、そうしたことをしていただくのが環境庁ではないのでしょうか。今のところ諸説言われておりますが、原因が特定できてない、したがって、対策も全く、何もなされてないというのが現状でございますから、ぜひひとつ陸上部に着目した調査ということで環境庁サイドで取り上げていただきたいものだ、これはお願い申し上げるのですが、再度お答えをよろしくお願いいたします。
  120. 野中和雄

    ○野中政府委員 私どもはこの問題を決して軽視しているわけではございませんで、先ほども申し上げましたように、現地の写真、資料等も取り寄せて検討し、また、担当者も現地へ出向いてよくその状況を把握しているつもりでございますし、環境庁といたしましても、先ほども申し上げましたように調査をしたところでございます。こういう中で、陸上部を含めて調査をいたしておりますけれども、なかなか陸上からの影響というのが非常に把握しにくい状況でございまして、現在水産庁で詳細な調査が行われているものとは別に、私どもで独自の陸上部だけの調査というのもなかなか難しいなという感じを持っているのが率直なところでございます。  いずれにいたしましても、この問題は先生指摘のように大変重要な問題であるというふうに承知をいたしておりますので、関係機関ともよく連携をし、相談をして、環境庁なりに知見の収集、蓄積というようなことに最大限の努力をさせていただきたいと思っております。
  121. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 どうぞよろしくお願いします。  終わります。どうもありがとうございました。
  122. 奥田幹生

    奥田委員長 田中昭一君。
  123. 田中昭一

    田中(昭)委員 社会党の田中でございます。  長官とはきょうが初対面だと思いますが、大臣就任を心からお喜び申し上げたいと思いますし、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  きょうは、私に与えられた時間はわずか三十分でございますから、十分に意見を交換する時間はないと思います。しかし、今後いろいろと長官とは議論をしなければならないことがたくさんあるのじゃないかな、こう思っておりますので、三つの件について長官の基本的な考え方をきょうはお聞かせいただきたい、こう思います。  その第一は、環境問題や公害の問題に取り組む基本的な姿勢、考え方について少しお聞かせをいただきたい、こう思います。  おとといの朝日新聞、ごらんになったと思いますが、とても努力が必要であったと思いますが、分厚い環境白書ができまして、私もまだ十分読んでおりませんけれども、これに関連をいたしまして、「「環境と経済」の三度目の変針」という社説がございまして、「環境と経済をめぐって、環境行政は三度目の変針のときを迎えている。」変針というのは変わる針という字を使っているわけですが、私は、ここに記載されておりますように、環境行政が大きく針路を変えて前進をし始めたのは一九七〇年の公害国会、ここの指摘のとおりだと思います。このころ、高度成長の関連を含めまして公害が非常に深刻化していく中で、ここにも記載されておりますように公害が深刻化する中で、環境行政に行き過ぎはないとして公害対策基本法から経済との調和条項を削って、翌年七一年に環境庁が発足をしまして、経済活動への厳しい規制を次から次に出す、こういう状況。私も当時水俣におりまして、そして、環境庁が発足したときには非常に喜んだわけです。そういう意味では、これが日本環境行政の一つの大きな節目であった、こう思います。  そして、その後、六年たち、七年たちますと、初めの勢いがなくなって、環境庁の姿勢が極めて消極的になっていくわけです。これは新聞では八五年前後だと。私は大体八〇年前後から、こう思うのですが、もう公害は終わったとする産業界からの風圧を受けて、環境アセスメントの法制化を環境庁が渋ったり、見送ったり、公害健康被害補償制度も縮小するということで、いわゆる環境行政が再びずるずる後退をしていく、こういう状況が続くわけです。公害の原点と言われる水俣病の問題も、七〇年代後半の七七年にいわゆる環境保健部長、そして七八年には環境次官の一方的な、判断条件をかなり厳しくして患者を切り捨てる、こういう状況が出てくるわけです。  そして、この新聞の社説でいきますと、今度が三度目だ、こう言っているわけです。したがって、私は、環境庁は三度目の節目を迎えている、こういうふうに指摘をしていいのではないか。  しかし、この環境白書の中で明らかにしているのは、言っているのは、環境への影響の少ない経済活動に変えよう、こういうことを提起しているわけですが、この新聞の指摘もありますように、行政の姿勢というのは極めて及び腰ではないか、こういう指摘があるのです。今、環境基本法が昨年制定をされて、我が国も世界的に環境問題、公害問題のリーダーシップを発揮する先進国とならなければならない、こういう時期を迎えるというその時期に、環境庁はもっと力を発揮して、そして大胆に環境問題や公害問題に取り組むべきではないか、私はこういう気持ちを実は持つわけです。  時あたかも朝日新聞が、三度目の変針の時期だ、こういう指摘をしているわけですが、長官、新しく就任されまして、今後環境問題や公害問題についてどのような基本的な姿勢で対応していこうとされておるのか、これをまず冒頭お聞きしたいと思います。
  124. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 先生が長年、水俣病を初めといたしまして、環境問題あるいは公害問題に献身的に取り組まれてきたということを伺っております。  私は突然環境庁長官を拝命いたしましたけれども、これまでは特に環境行政に携わった経験があるわけではありませんで、一弁護士としてあるいは一議員として環境問題に関心を強く持ってきたというだけにすぎませんけれども、基本的にこの環境の問題、国内的な問題も、そして国際的な問題も、本当人類生存がかかっている、そのぎりぎりのところまで来ているという認識で、そういう問題意識を持っておりました。  そして、環境庁長官を拝命いたしましてから、先輩の皆様がどういうことで取り組まれてこられたか、それからまた、環境行政がどういう取り組みをしてきたか、こんなことを、さまざまな資料を読ませていただき、議事録も読ませていただき、またいろいろな方にお話を伺わせていただいて学んでまいりました。  今先生おっしゃられましたように、環境行政は幾つかの節目を経て現在まで来たというふうに考えております。公害問題の原点と言われましたあの水俣病の問題、もう約四十年たちますが、残念ながらまだ最終的な解決には至っていない、こういう状況でございますけれども、確かに高度経済成長の時代にこうした公害問題の原点と言われている問題を起こし、それをまだ完全な解決ができないまま来ている、それも十分に認識しております。  そして、これからの環境行政あるいは公害行政に取り組む基本的な姿勢というお尋ねでございましたけれども、この環境問題、地球的な広がりを持っている、また時間的、空間的広がりを持っている、そういう大変緊迫した、また非常に重要な問題であるという基本的な認識は持っております。また、それに的確に対応するためにどうしたらいいかということを、その時代その時代なりに、これまで歴代長官を初めとしましてこの環境委員会の委員の皆さんあるいは行政の皆さんもそれぞれの立場でそれなりに一生懸命取り組んできたのだろう、こう思います。  確かに一〇〇%完璧な解決というところまで至らなかった、あるいは環境と開発、あるいは環境と経済、このバランスをどのあたりでとればいいのか、その辺もバランスのとり方が大変難しくて、あるいは行き過ぎがあったりということもあったかもしれませんけれども、幸い昨年十一月に環境基本法が成立いたしましたので、その基本理念に従って、今おっしゃられましたように本当日本が世界の環境問題にリーダーシップがとれるように、あるいは環境先進国と言われるような取り組みをどうしたらいいのか、真剣に、また一生懸命誠意を持って取り組ませていただきたいと思っております。
  125. 田中昭一

    田中(昭)委員 私がなぜ朝日新聞の「三度目の変針」というのを取り上げたかといいますと、当初環境庁がない時期には厚生大臣、たまたま今のさきがけの園田代議士のお父さんです。それからその後、三木武夫先生とか大石武一先生、あるいは石原慎太郎さんとか、かなり力のある政治家が環境問題の責任者になりまして、まず水俣に来られた。患者と会ったり、現地を視察したりして、それは今おっしゃるとおり一〇〇%の解決はしていません、しかし、それなりの前進を遂げたと私は思うのです。この第一期の段階ではそれなりの前進があった、私はこう思っているのです。  ところが、その後、長官にも申し上げたいのは、先ほど長良川の問題で、現地視察については行かないという御答弁をされておったようですけれども長官就任をされたときの記者会見ではこう言われているわけです。水俣訪問や被害者接触問題は問題解決にはマイナス、こういう見出しになっておるのです。水俣の訪問をする気はない、混乱を招く、と各社全部書いてある。水俣には行かぬ、全部書いてあるんです。そしておまけに、患者との接触もやらない、混乱を招く、それが大臣就任のごあいさつになっているわけです。  これに対して、現地の水俣の市長は、混乱を招く要素は何にもない、来てから患者の意見をいろいろ聞いてください、我々も市民を挙げて解決の努力をしているんだ、こういう水俣市長の発言もある。私は、やはり現地に行くべきだと思います。患者と接触をするべきだと思いますよ。当初は皆さんそうされた。その後、一切来られない。北川長官が一度来られましたけれども、ほかは全然来られない。だから水俣病の問題というのは、おっしゃるように四十年も解決をしないままになっているんですよ。  水俣病の問題については、いろいろ言われる方がおられますけれども、私は、本気になって解決をしようと思えば、水俣に二、三日来られて、三十軒か四十軒、患者の皆さんの家を歩いて患者の皆さんとひざを交えて話をすれば、この水俣病で一生懸命頑張っておられる方が本当ににせの水俣病と言われるようににせの水俣病なのか、金欲しさにやっているのか、こんなこと一遍に吹っ飛びますよ。  だから、ぜひ私は長官には、水俣に行くべきである、患者と接触をすべきである、このことを、先ほど言ったように環境行政なり公害行政の変わり目に、四十年経過しているから私の時代に解決するのは無理だという消極的な姿勢ではなくて、積極的にこの問題に真正面から取り組む、こういう基本的な姿勢を明確にしていただきたいということを申し上げたいわけです。  長官御存じのように、昨年環境基本法が成立をしたわけです。この第一条では、「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献する」こう書いてあるわけです。ところが、四十年も水俣病で、何にも悪いことをしていないのに病魔に侵されて仕事もできずに苦しんで、七十歳を超えてやがて死のうとしている、そういう患者がたくさんおる。これは、「健康で文化的な」「人類の福祉に貢献する」という環境基本法の第一条との関係はどういうふうに整理されるんですか。  それから、環境基本法三十一条では、「公害に係る紛争の円滑な処理を図るため、必要な措置を講じなければならない。」こう書いてあるわけです。そして、この中で、「公害に係る被害の救済 のための措置の円滑な実施を図るため、必要な措置を講じなければならない。」こう書いてあるわけです。私は、これを守ってほしいと思うのです。このことを私はまず環境庁長官に冒頭強く要請をしておきたい、こう思うのです。いかがですか。
  126. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 ただいま先生からお話がありました、現地を訪れることにつきまして、混乱を招くとかあるいはマイナスになる面もあるという記事が載ったということでございますけれども、私の説明の仕方が不十分であったかもしれませんけれども、私自身、弁護士の時代あるいは議員としていろんな活動をさせていただいたときに、必ず現地に行くということを基本にしてまいりました。それはなぜかといいますと、問題の解決のためにそれがプラスになるのであれば、必ず現地を見なければならないということを信念としてまいりました。  私は、長官を拝命いたしましてから、特に一番環境庁が抱えている、解決しなければならない重要な問題の一つとして水俣病のことを学び、いろいろ教えていただいたわけですけれども、これまで確かに歴代長官の中で北川長官が現地に行かれました。おっしゃるようにその後何人もの長官は、恐らく一人の人間としては、この水俣で苦しんでいらっしゃる方々本当に早期に救わなくてはいけない、これは人間としては当たり前のことだっただろうというふうに思います。その思いは恐らくみんな共通であろうというふうに思います。それで、現場に行くことが本当に解決に役に立つということであればすぐにでも現場に行きたいというのは、恐らくみんな共通の思いだっただろうというふうに思います。  経過を聞かせていただき、そんなこともあって、今大変残念なことに、まだ司法的な判断は出ておりませんけれども裁判になっている、こういう現状の中で、その一方当事者として現場に行くということが今の現状から考えると問題解決のためにあるいはどうか、こんな発言をしたのがそうした記事になってしまったかというふうに思いますけれども、私も与えられた立場で、できれば、本当にでき得る限りこのチッソの問題の解決、一日も早い早期解決というのは皆さんおっしゃるわけですけれども本当に誠意を持ってこの早期解決のために少しでも前進するために何かさせていただければいいなという思いは歴代長官と同じように持っております。
  127. 田中昭一

    田中(昭)委員 時間が余りないので、今いろいろ言われましたけれども、早期解決の問題について、判決がはっきりしていないという意味のことを言われたわけですね。水俣病のこの判決について、今四つ出ているのですね。御承知と思いますが、水俣病の関係で地裁の判決が。新潟問題は別に一つありますけれどもね。  その四つのうち、熊本地裁二つは、国、県に国家賠償責任ありという判決が出ています、二つ。それから、京都地裁の判決も、国に賠償責任ありという判決が出ている。これは原告勝訴、この三つは。残る一つが、御承知と思いますが、東京地裁、これは国の国家賠償責任ないと言っている。しかし、あの判決をよく読んでください。国に国家賠償の責任まではないけれども、この水俣病の問題については国に責任がないということは言いがたい、早期解決に努力をすべきである、和解による解決によって何とかしなければいけないという東京地裁の判決文をよく読んでください。四つの判決のうち三つが国家賠償責任ありという原告勝訴の判決、一つは国家賠償責任は問わないけれども、国に責任はないと言いがたい、早期解決に努力しろ、こう言っている。長官は弁護士ですから、これはよくおわかりだと思うのです。  それから、そのほかの裁判の関係を申し上げますと、六つの裁判所で和解勧告が出されておるわけです。これ以上この紛争を長引かせてはいけない、何とかしなければいけない、しかしこれは非常に難しい困難な問題でもあるので、やはり和解による早期解決以外にないんではないか、これは前の細川総理もそう言ったんです。  裁判所も、福岡高裁が和解勧告をしていますね。和解案の取りまとめがもうでき上がっているんだ、福岡高裁。東京地裁も和解を勧告した。熊本地裁も和解を勧告している。福岡地裁も和解を勧告している。京都地裁も和解を勧告している。大阪地裁も和解を勧告している。  四つの裁判所が判決で解決を国に求めておる。そして、今申し上げましたような六つの地方裁判所、高等裁判所が和解を勧告をしている。私は、三権分立の精神からしても、もっとこれらの司法の側の判断というのは謙虚に受けとめるべきではないか、こういうふうに思っています。弁護士としての長官の御意見をお聞きしたい、これが一つ。  時間がありませんから続けて言います。  それから、この新聞記事を読みますと、長官は、税金で支払うのだから国民の皆さんの理解が必要だというような意味の発言をされておる。しかし私は、四十年のこの問題の歴史の中で、この問題は既に解決がされておると思うのです。  私は、やはり国民の意思とか意見というのは、きちんとした主要なマスコミの主張欄などで整理されておる、常々そう思っておるのです。御承知のように、朝日、毎日、読売など三大紙を初めあらゆる新聞が主張欄で、私は新聞の主張欄だけでこんなにありますよ、とじたのが。すべて、国は和解勧告を受け入れてこの問題についてけりをつけるべきである、こういう主張をしている。いっぱい新聞社来ていますから、新聞記者の皆さん方はそうみんなおっしゃるんだ。私は、市民権は得られておると思うのです。先ほど言ったように、熊本県知事にしても水俣市長にしても、県民なり市民なりの意見をまとめて、和解による早期解決を国に何年間も強く求めている。これでも市民権は得られていないと言われるとすれば、どういうことなんでしょうか。  それから、全国の東京、京都、神奈川などを含めまして、主要な知事さんが全部そういう要請をしている。すべてがもう整っている、私はこう思っているわけです。あとは国がやはりこの問題の解決に踏み出す、そういう時期に来ている、このことを長官はきちんと受けとめてほしい、こう思うのですけれども、いかがですか。     〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
  128. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 この水俣判決につきまして、弁護士としてどう思うかというお尋ねでございました。私は、それと、先ほどお話がありましたこの和解のための解決につきましては、国の財政からという問題がある、そこに非常に難しい問題がある、こういう話をしたことは事実でございます。  それはその部分だけが取り上げられましたけれども、私は、長官拝命直後すぐにこの水俣の問題を聞かれまして、私自身が実は国家賠償訴訟を手がけたことがありまして、そのときに国に対して和解を求めたことがありました。その際に、結果的には和解には応じていただけなかったわけですけれども、そのときの国の代理人といろいろ議論をする中で、なぜ和解に応じられないのか、こういう説明がありました。そのときの一つが、和解に応じるということは、国の財政の中から和解金を出すということになる、その場合には明確な基準がなければいけないのだ、こういう話を、説明を受けまして、そのときは和解をしていただけないということについては大変不本意ではありましたけれども、一応納得をいたしました。こんな経過をお話ししながら、そんなことで、和解については非常に厳しい状況にあるように思う、こんな経過として話させていただきました。  今お話ありましたように、確かに地裁レベルで、新潟水俣を含みますと、国に責任があるという地裁判決が二つ、もう一つは国の責任が一割、そして国の責任がないというのが二つ、こういうふうに、国の側からいたしますと司法の判断が分かれている、こういう判断になるわけでございます。そんなことから、国の責任、法的な責任があるかどうか、それが一番の争点になっている。また、病像論というものも争点になっているわけでございますけれども、そんなことが、一番争点になっているところについて司法の判断が分かれているという段階でなかなか和解に応じるということが厳しいのかなということでお話をさせていただきました。  私は、おっしゃるように、本当に四十年もたってまだ解決がつかないということにつきましては、恐らく歴代長官も、あるいは歴代総理本当に心を痛めながら、またどうしたらこれを解決できるだろうか、こんなことで取り組んできたんだろうというふうに思います。  訴訟に関しては、そんなことで本当になかなか最終解決に至らないということで大変残念には思いますけれども環境庁としましては、この訴訟の件以外につきましては、認定された患者さん方、二千九百四十六名の方々に対しては救済を推進してまいりまして、また、水俣病とは認定されない方々で健康に不安を持っていらっしゃる方々の支援なども実施してまいりました。そんなことで、おっしゃる意味もよくわかります。私自身も、何とか本当に少しでも、半歩でも一歩でも前進できるような取り組みがさせていただけたらどんなにいいだろうかというのが本当の心情でございます。     〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 田中昭一

    田中(昭)委員 時間がないので、私は、長官、PPPの原則、御承知ですね、これを否定するつもりはないんです。しかし、国として、簡単に言うならば、お金を借りることに手をかしてやるだけじゃなくて、PPPの原則を踏まえつつもやはり踏み出さぬと、私はこの問題の解決はできないと思うのです。この問題は今後さらに引き続いて、今INGですけれども議論を続けさせていただきたいと思います。いずれにしても、やはり早期解決に長官は在任中最大の努力を行っていただきたい、このことを申し上げておきます。  最後になりますけれども、当面するチッソの金融支援の問題。これは御承知のように、もう五十三年の六月二十日に閣議了解がございまして、チッソ株式会社に対する金融支援措置というのが決められまして、ずっとやられておるわけですね。これらの施策は国の施策であるということも明確にしながら、そして熊本県やあるいは地域振興などに混乱が起きないように国の責任で対応する、こういうことがずっと引き継がれてきた。そして、これは昨年の八月、九月、十一月の閣僚会議でも、一部措置はされた面もございますけれども、しかし金融支援の、いわゆるこのチッソの中長期的な支援策などについては今のところまだ検討中のままになっているわけです。これは去年の十一月からずっと検討中になっている。半年過ぎているわけですね。  御存じのように、チッソは九月には賠償金の支払いなどもやらなければなりませんし、そして県債発行の問題などについては熊本県の六月の議会で議論もしなければならない、こういう非常に緊迫した時期を今迎えているわけですね。したがって、熊本県も、この関係閣僚会議におけるこれらの問題が一体具体的にどう展開をされて、いつごろ明確な対応がされるのか、こういう点については非常に関心があるわけですね。  私は、これらの問題がきちんとしなければ、前段申し上げましたような議論の展開はなかなか難しくなってくるだろう、こう思っているわけです。時間がありませんから詳しいことは申し上げませんけれども、関係閣僚会議の十一月段階の認識については御存じだと思いますから、それがどういう経過になって、今後どういうふうに展開するかという点について、ぜひ長官の御意見をお聞きをしたいと思います。
  130. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 今お話がありました昨年十一月の関係閣僚の申し合わせで、中長期的な支援をどうするかということを検討する、こういうことになっておりまして、現在関係省庁事務当局で本当に一生懸命検討しているというところが現状でございます。  残念ながら、まだ大変いろいろ難しい問題を抱えているものですから、成案を得るに至ってないというのが現状でございますけれども、何とかできるだけ早期に成案を得てこの中長期的な支援策というものをまとめることができればということで、現在検討中というのが現状でございます。
  131. 田中昭一

    田中(昭)委員 患者への支払いとかそれから県議会の議論の問題とか、いろいろ問題がございます。そのほか、チッソで働いている従業員の皆さん方の春の賃金引き上げも今のところ決着がつけられないという状況がありますし、夏のボーナスの時期なども参っておりまして、そういう意味ではこの中長期の支援策が、チッソの会社あるいは水俣病の患者の皆さん、それからそこで働く従業員の皆さんには大変な関心のあることですし、重要な問題なので、一日も早く結論を出していただくようにお願い申し上げたいと思います。  時間が参りましたけれども、きょうはわずか三十分ですから十分な議論ができませんでした。私は、やはりこの水俣病の問題というのはことしぐらいが大きな山だと思っています。福岡高裁において判決路線に切りかえられた後どういう処理の仕方があるのかということを考えた場合には、「生きているうちに救済を」という立場からすれば、ことしが大きな最終的な場面を迎える時期だろうと思っておりまして、そういう意味では、その時期に就任された長官の最大限の御努力を心からぜひお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  132. 奥田幹生

  133. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 まず、浜四津長官の御就任、心からおめでとうございます。  大臣になられますときに、羽田総理から、環境は命にかかわる問題なので女性の視点を生かして頑張ってほしいというふうに励まされたということです。昨年の暮れ国連に提出いたしましたアジェンダ21、この行動計画は、策定の際に市民個人と団体から御意見と御批判をいただきまして、それを一部取り入れ追加修正をされました。省庁だけでなく、ここで国会の私どもも入りまして作業をしたということは、環境政策に市民感覚を取り入れたということで、危機の地球環境を回復させるためには、特に私たち一人一人の暮らしのあり方からあるいは企業、自治体、学校、労働組合そして市民組織、こういった理解と行動が決定的に重要であることを訴えております。中でも、女性のための行動の中では、経済的あるいは政治的意思決定に女性がいかに積極的にかかわっていくかがアジェンダ21の実施の成功に重要な役割を果たすのだというふうに書かれてございます。長官もこの点を踏まえてぜひ頑張っていただきたい、このように思っております。  それではまず、環境権について伺います。  環境権については、百二十六国会の環境委員会、環境基本法の審議におきまして、時の宮澤総理が、第三条にある環境の恵沢の享受の解釈は権利と言っても違和感がないというふうに答えられております。川崎市の基本条例や東京都の公害防止条例には既に環境権が明記されておりますし、ことし三月に施行されました大阪府の環境基本条例には、前文の中で、「良好で快適な環境を享受することは、府民の基本的な権利であり、ここに、人のこころがかよいあう豊かな環境保全と創造に向けて、府民の総意としてこの条例を制定する。」このように書いてあります。  このように、自治体で環境権が条例の中で盛り込まれる動きがありますけれども、これは市民の皆さんに環境保全への努力と良好な環境を享受する権利への目覚めが生じつつあるのではないかというふうに思います。環境庁としても、このような流れを受けとめて、より一層の環境行政を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  134. 森仁美

    ○森政府委員 ただいま東京都の公害防止条例あるいは川崎市の環境基本条例、さらに最近の新しいものとしての大阪府の環境基本条例という中で、例えば、すべて都民は健康で安全かつ快適な生活を送る権利を有する、これを環境権、こういうふうに今表現されたのだろうと思うのでありますが、これらはいずれも、人間が健康で文化的な生活を送るためには良好な環境は欠くことができないものである、こういう考え方に立って条例としておつくりになったということだと思います。  先生よく御承知のとおり、昨年の環境基本法の審議の段階でもこの点は大変大きな論議がございました。環境基本法の中には「環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものである」、こういうことを明定いたしているわけでございます。こういうような動きもございまして、今のお話環境保全に対する住民の関心が大変高まっている、こういう機会をとらえて一層環境行政を進めていくべきである、こういう御主張と承りました。私もまさにそのとおりだと思っております。  これから先、地方公共団体がいろいろな形で環境に関する動きをしてまいると思います。国会の御修正で、公共団体との連携も十分図りながら事を進めなさいということで、あえて御修正をいただいたわけでございます。そういうことにも十分意を配りながら、公共団体との一層の緊密な連携強化を図りながら環境行政を力強く進めていきたいと思っております。
  135. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今お答えいただきましたように、将来に向かっては一つ一つ具体策を示して実行すること、意識改革と同時に行うことが大事だというふうに思います。  先月の五月二十五日から行われました環境自治体会議でも、三年前にはたった三つの町村から始まったのですが、ことしは六十二の自治体が参加するまでに成長したということで、さらに大きな潮流になっていくというふうに思われます。環境先進自治体から学ぶということもあると思いますので再度申し上げますけれども、どうぞ環境権というものが認められる方向で進めていただきたいと希望しておきます。  次に、建設省環境政策大綱についてお伺いいたします。  これを拝見いたしますと、理念、推進方策、推進体制と、実体化されましたら本当にすばらしいと思いますが、環境基本計画とどのような整合性を持たせるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  136. 馬渡五郎

    ○馬渡説明員 お答えいたします。  建設省環境政策大綱は、作成に当たりまして、現中央環境審議会委員長の近藤先生や、その後昨年十一月の環境基本計画の基本理念を踏まえながら作成いたしましたものでございますので、環境基本計画が環境基本法に基づくものであります以上、基本的にそごはないと認識しております。
  137. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 環境基本法ができた後でということですから、踏まえられているということはよくわかりました。  これまで建設省には、開発による利益と環境破壊による不利益を比較してほしいというようなことを私も随分言ってまいりましたけれども、考え直すべき公共事業も随分あると思います。海岸をつぶした道路だとか護岸工事、あるいは水辺を台なしにしてしまった護岸工事、あるいは環境を顧みない工事をまかり通らせて、腐敗構造を助長する土壌をはぐくんできた面を否定できない面もあるというふうに私は思うのですね。今環境政策大綱をつくられたということは、今までの建設省の姿勢から一歩も二歩も先に進んだ環境政策が環境基本計画のもとに推進される、このように受けとめてよろしいでしょうか。
  138. 馬渡五郎

    ○馬渡説明員 お答えいたします。  環境政策大綱の中では、環境が建設行政の本来目的の一つであるということを環境の内部目的化という表現で示しております。つくりまして直ちにその効果ということではございませんけれども、これからいろいろな工夫をしながら、環境が建設行政の本来的使命であるということを約二万人の職員一人一人が認識しながら、よい環境づくりを建設行政として進めていきたいと認識しております。
  139. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今二万人というふうに伺って、本当に安心いたしました。幹部だけの勉強ではなくて、本当にすべての職員の皆さんたちの内部目的化されるということですから、期待をしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  ところで長官建設省など複数の省庁の調整、協力が必要な場合は環境庁の役割をどのようにお考えでしょうか。かつて長官環境省への格上げを唱えていらっしゃいましたけれども長官になられてそのお考えはいかがでしょうか。
  140. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 先生おっしゃられましたように、私は、かつて、環境庁ではなくて環境省にするべきだ、こういうことを主張させていただいておりました。また、先生にもいろいろお教えいただきながら、御指導いただきながら、いろいろなことに取り組ませていただいておりました。  他省庁との関係ということになりますと、環境行政に関しましては環境庁が企画調整機能、そしてまた環境の視点を国のすべての施策の中に入れていただくという意味でリーダーシップをとるべき庁である、こういうふうに考えております。政府全体の環境保全施策を総合的、計画的に進めるための基本的な中枢的な役割を担う、それが役割かなというふうに思っております。  環境庁環境省にするということにつきましては、環境庁だけで決められる問題でもございませんで政府全体の問題になってまいりますので、今この立場になりましては何とも申し上げられませんけれども、まず現実的にとり得る立場といたしましては、実質的な機能を強化させていただきたい、予算についてもぜひよろしくお願いしたい、また本当環境の施策を十分に実施するための人員についてもぜひとも確保させていただきたい、そんな実質的な面から少し前進させていただければというふうに考えております。
  141. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 長官、ここの立場を得られて、今まで提唱なさったことの実現に一歩でも力強くという思いで私はお伺いしたがったわけですけれども、そういう意味でもぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、所信表明の中で、大気環境保全についてはディーゼル排気微粒子対策などを進めると述べられておりますけれども、これまで浮遊粒子状物質の対策を含めて、有効性のある対策には御苦労なさってきたと思いますが、具体的な改善の見通しについて御説明をお願いします。
  142. 松田朗

    ○松田(朗)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のディーゼルの排気微粒子、これは従来浮遊物質対策の一環として進めておったわけでございますが、最近とみにディーゼルの排気微粒子が問題になってきております。  そこで、環境庁といたしましては、そのDEP対策といたしましては、従来黒煙を中心に自動車単体規制を実施してきたわけでありますが、平成元年に中公審の答申でディーゼルの排出微粒子物質につきましても問題だとされ、そこで短期目標が示されましたので、平成五年度から黒煙に加えましてディーゼル車から排出される粒子状物質、すなわちDEPにつきましても規制を開始しております。ただ、これは短期目標でございまして、今申しました答申では長期目標も定められております。  したがいまして、この長期目標につきましても、既に昨年八月、ディーゼル車の一部の車種については平成九年ごろに目標達成できるだろうというめどを立てていただきましたので、それにつきましては将来なるべく早い時期に告示を改正するなどしまして対応したい。残りました一部のディーゼル車の車種につきましては、さらに評価、検討を加えまして、なるべく早く長期目標を達成できるように時期を明示していただくようにというふうに願っておる次第でございます。  以上でございます。
  143. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 このディーゼル車排出微粒子が肺がんを発生させるというメカニズムがわかったわけですけれども、ディーゼル車の増加とともに肺がん死も急増している。実際にどの程度の危険度があるか、これは早急に研究が待たれるわけです。  そしてまた、食生活とこのDEPの関連を調べるために行ったところ、脂肪のとり過ぎを避けて野菜類の摂取を心がけるという食生活の工夫によってDEPによる肺がんの発がんリスクを下げられるということが確かなようだということも出ておりますので、ぜひこういうことを早期に達成させるために頑張っていただきたい。長期目標もありますけれども、短期にこういう研究開発をしっかり行っていただきたい、このようにお願いをいたします。  次に、環境教育についてお伺いしたいと思いますが、私はずっと学校教育での重要性を訴えてまいりました。環境先進国であります欧米では環境教育の歴史は三十年以上になります。子供のころから環境教育を受けた世代が四十代になって、環境が第一という国民的合意ができ上がっているわけです。  私は以前から、わかりやすさ、親しみやすさという観点からパンフレットの漫画化を提案してまいりました。森林とか農業という問題についてぜひ子供たちにも小さいころからということを申し上げたわけなんです。今回、環境白書ということで「マンガで見る環境白書」が出されました。画期的なことだということで私は大いに評価したいと思いますが、ちょっと難しいという印象を受けました。図解が大人向きになっているのじゃないかなというふうにも思いますし、漢字にももう少しきちんとルビを振ってくださったり、一工夫欲しいなというふうに思います。二万冊印刷するということも伺いましたが、ターゲットをどのようにお考えでしょうか。
  144. 森仁美

    ○森政府委員 今お手元にございます「マンガで見る環境白書」、私どもそう呼んでおりますが、大蔵省印刷局が発行いたします漫画のたぐいということで、大変ユニークなものではないかなと自負しているところでございます。ただ、今回初めての試みでございます。ただいまお話しのような点、種々これから改善、改良を加えていかなければならないところがあろうかと思いますが、私ども、ひとりよがりかもしれませんけれども、新しい試みとしてそういうものにチャレンジしている、その心意気をぜひおわかりいただきたいと思うのであります。  おかげさまで、マスコミ等でもかなり広く取り上げられました結果、御好評ではないかなと思っておりますが、私ども、対象は小学生から中学生、そしてその父兄の方々も手にとっていただければいいなということで、白書の中でも第一章のポイントになるところだけを中心に論述をいたしております。これをなるべく容易に理解してもらいたい、こういう試みでございます。  これからいろいろまた出てまいると思いますが、ぜひいろいろな御意見を承りながら、さらによいものにするように努力をしてまいりたいと思います。
  145. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 結構表紙を見ても難しい、中を見ると漫画という感じですから、小中学生向けにこういうふうに書店に置きますと子供たちが手にとらないのじゃないかという心配がありまして、ぜひ学校教育の中で生かしてほしいというふうに思うのです。  学校教育環境教育重要性については、さきの広中長官にも質問をさせていただきました。女性の立場として、ぜひ環境教育重要性について共通の認識を持つ赤松文部大臣と協力して積極的に取り組んでいただきたいというふうに申し上げましたら、ぜひそうしたいという御答弁だったのです。こんなに努力してっくられたマンガ白書ですから、これを有効に活用するためにぜひ長官に働きかけていただきたいなというふうに私は思います。  浜四津長官も、広中前長官の後を受け継いで学校環境教育について大いに積極的に働きかけていただきたい、そのように思いますけれども、お考えをお聞かせいただけますか。
  146. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 今岡崎先生おっしゃられましたように、本当意味での環境問題解決のためには、環境教育あるいは環境倫理の確立ということが最も重要な解決策の一つではないかというふうに考えております。  殊に、今おっしゃられましたようにヨーロッパ諸国では子供のころから徹底した環境教育がなされている。特にドイツとか北欧の国では大変すばらしい環境教育がなされている。そして、そういう教育を受けて育った子供たち本当に地球のことを考え、そして地球に優しいあるいは環境に優しい行動を当たり前のこととしてする、そういう自発的な行動としてあらわれてくる、こんな話を私も向こうへ行って見聞きしてまいりました。そういう意味で、日本でも小さいころからの環境教育、そして、人から言われるから、あるいは罰せられるからしようがなくてやるというのではなくて、本当にそれは私たちの当たり前の責務だ、こういう認識を持って、子供たちも、また私たち大人も、当然のこととして環境に優しい社会をつくれる、そういう一つ一つの行動ができればと考えております。  今の内閣の中で女性閣僚が二人だけですので、赤松文部大臣ともよくいろいろな話をさせていただいておりますが、特に学校の現場における環境教育子供たちに、そしてまたそれを教えてくださる先生方に本当に実効性のあるものが何とか実現できるようにという話を機会あるごとにさせていただいております。私の身の回りでも、例えば空き缶を拾う運動に一回参加した子供たちが、空き缶を拾ってそこをきれいにするというだけではなくて、その次からはなるほど、何げなく捨てていた空き缶というのはこんなに資源をむだにし、また地球を汚しているんだ、こういう認識を持って、この次からは拾うだけではなくて自分はもう捨てない、こういう行動に出る、こんなことも聞いております。  そんな意味で、学校教育で、またさまざまな社会の活動の中でこの環境教育が十分に行き渡るように一生懸命頑張らせていただきたいと思っております。
  147. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ありがとうございました。  世界に発信し、約束をいたしました行動計画の中で、女性の地位向上、意思決定者に占める女性の割合の引き上げ、社会活動の分野を含めて、知識とか経験が女性参画の促進につながっていくように、こういうことが盛り込まれてありましたし、市民参加を大事にする、あるいは国際的にもリーダーシップを発揮するということがこれからの環境行政に大いに生かされますように、御活躍されますように私どもも応援をしたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  148. 奥田幹生

    奥田委員長 笹山登生君。
  149. 笹山登生

    ○笹山委員 この前、環境研究所でおもしろい研究成果が発表されておりまして、チョウの世界は、絶滅寸前になりますと左右のバランスが崩れてくる、羽の右左が変わってくるというような発表がありました。同様の観点から、政治の世界もひとつ御診断いただきたいなと思っております。  官房長、当環境委員会で鯨の問題が取り上げられたのは何年前だったと思いますか。
  150. 大西孝夫

    ○大西政府委員 あいにく、私も官房長の期間がそう長くないものですから過去のことは余りよく知りませんが、予算委員会で鯨の問題が取り上げられたことはありますけれども環境委員会で取り上げられたというのは私の記憶にはございません。
  151. 笹山登生

    ○笹山委員 そうなんですよね。参議院では取り上げているのですけれども、衆議院の場合は一九八一年四月、去年亡くなられた社会党の野口幸一さん、この方が当時の鯨岡長官に対して取り上げているということで十何年ぶりなんです。鯨の問題は、環境という問題ではなかなか割り切れないものがこの日本にはある、このこと一つとってもそれをあらわしているのじゃないかと思うのです。  水産庁、おられますか。IWCはああいう結果になったのですけれども調査捕鯨は続けますか。
  152. 森本稔

    ○森本説明員 お答え申し上げます。  鯨類の捕獲調査は国際捕鯨取締条例に認められた権利でございますので、先般のメキシコの総会においてサンクチュアリーは設定されたわけでございますけれども、このサンクチュアリーの設定の有無にかかわらず、調査の実施はできると私ども理解いたしております。  我が国の南氷洋ミンククジラの捕獲調査は、南氷洋のミンククジラの増減傾向を把握し、また、資源状況がよいミンククジラと、そのほかの大型ヒゲクジラとの鯨の種類間の競合等の生態系のモニターのためにも重要でありますので、今回の総会の科学委員会で出されました、資源推定方法の改善を図るべし等の建設的なコメントを取り入れた上で、このような調査を継続して行うことが重要だと認識をしているところでございます。
  153. 笹山登生

    ○笹山委員 一九九〇年の六月に、ある大手の月刊誌がその調査捕鯨の問題を取り上げまして、藤原英司さんという環境科学文化研究所の方が調査捕鯨のコメントを出したのですね。それに対しまして、その二カ月後に有名な島さんが反論を出しました。しかし、その反論の中に、藤原さんが提起された問題のうち、答えてない部分があるのですね。といいますのは、抽出調査でとられた鯨の調査後の鯨体が、鯨類研究所を通じて市場に流れているということなんですね。学校の生徒が理科の実験に使ったウサギを肉屋に売るようなものだと考えればいいのでしょう。  これは、国際世論からいいますと、調査捕鯨というのは疑似的商業捕鯨じゃないかという世論もありますので、この辺のメカニズムはブラックボックスにしないで明らかにしてほしい。しかも、その価格の決め方がどうであるのかとか、あるいはその辺の流通がどういう経路になっているのかというようなこととか、市場の鯨体の単価というのは今物すごく高いですね。五メートル百五十万とかいうのもありますね。その辺の市場の価格との乖離とか、あるいは売った鯨類研究所の支出の処理がどういうふうになっているのか、どういう伝票が残っているのかわかりませんけれども、その辺をひとつ明らかにしていただけませんでしょうか。
  154. 森本稔

    ○森本説明員 今先生の、調査後の鯨肉の流通の状況といいますか、実態いかん、このような御質問だったと思いますけれども、国際捕鯨取締条約の第八条の規定によりますと、調査で得られた鯨については、実行可能な限り加工し、その取得金については政府の発給する指令書に従って処分しなければならない、このように規定されておるところでございます。  そこで、この国際捕鯨取締条約の規定に基づきまして、調査副産物の有効利用を図るという観点から、調査実施主体であります財団法人日本鯨類研究所は、商業捕鯨モラトリアムが発効する以前の、過去の都道府県別の鯨肉消費量の比率に応じまして、指定価格で各県の中央卸売市場に放出をいたしております。そういうことで、国民各層に公平に行き渡るように措置を講じているところでございますが、そのほかにも、従来から特に鯨肉に依存しております宮城県の鮎川等の地域の地方自治体であるとか、あるいは学校、病院等へ特別に配分する等の配慮を行ってきておるところでございます。  なお、副産物の処分により得られた取得金の使途でございますけれども、これにつきましては、この捕獲調査事業に経費がかかるわけでございますので、その調査資金に充てているところでございます。  それから、先ほど市場価格が非常に高く売られているのではないか、このような御指摘でございますけれども調査捕鯨を開始いたしまして既に七年経過をいたしておりまして、当初有識者から成る販売委員会というものを設けまして、どの程度の市場価格、指定価格で卸したらいいかということを検討いたしまして、できるだけ公正、かつ特定の人たちに独占的な利益が生じないような配慮をして決定いたしているところであります。  一般的に言いますと、指定卸売価格に対しまして末端小売価格は約三倍くらいになっている、これは詳しい調査はございませんのでわかりません。また、鯨の肉の部位によりまして随分違いますが、一般的に赤身の一級の値段というのが標準価格ということになっておりますけれども、大体指定価格の三倍ということが末端の価格というふうに我々は考えているところでございます。  以上でございます。
  155. 笹山登生

    ○笹山委員 これ以外にアイスランド等の調査捕鯨の鯨肉の輸入もあるわけです。これは商社ベースで入ってくるわけですか。それと、荷受け以降は一般の肉類といいますか、鯨肉と同じとみなすわけですね。そういう輸入物とのバランスはどうでしょうか。
  156. 森本稔

    ○森本説明員 我が国の鯨肉の輸入の状況でございますけれども、鯨肉の輸入は貿易管理令によりまして管理されておりまして、これはIWCの決議に従って当時国内措置を設けた面もございますが、IWCの非加盟国からの輸入は禁止いたしております。それから、IWCに加盟しておりましても、加盟している捕鯨国から輸入する場合でありましても事前承認を要する、このような措置を講じているところでございます。  最近の状況でございますけれども、我が国の輸入実績は、商業捕鯨モラトリアムの実施後急速に減少いたしておりまして、平成三年にアイスランドから八百二十トンが輸入されたのを最後といたしまして、平成四年以降輸入の実績はございません。  御指摘の、ミンククジラの調査でとった肉と輸入物がどのように峻別されるのかということでございますが、私どもといたしましては、南氷洋のミンククジラの流通につきまして、少なくとも卸の段階までは、パッケージに南氷洋でとった肉であるという識別がきちっとつくような格好で流通をさせておりますので、末端までそれがどのようになっているかというのは十分把握しておりませんけれども、可能な限り、例えば輸入肉が混同されて価格がつけられるということがないように指導しているところでございます。
  157. 笹山登生

    ○笹山委員 一種の規制品目が、荷受け以降は突如として今度は投機品目になってしまうわけですかね。その辺の価格三倍というのは高いか安いか、これは私は高いと思いますけれども、これからは情報公開してちゃんとした値決めの公開をしていただかないと、ますます国際世論が厳しくなりますから、その辺はひとつ注意していただきたいなと思います。  それと絡みまして、次は、鯨に限らず、公海での環境問題と二百海里以内の環境問題。日本は公海での環境問題にさらされているというハンディが非常にありますね。これからクロマグロの問題も出てくるわけでございますので、その辺の考え方、資源管理をどういうふうにして考えるかということをこの際ちゃんとしておかなければいけないのじゃないかなと思いますが、ワシントン条約の京都会議で問題になりましたクロマグロの問題、今どういう状況でございますか。それ以後、自己規制したり、また輸入品につきましては産地証明をしたり、いろいろ自主的な努力をされておりますけれども、これからの規制等の見通し、ワシントン条約の対象の見通しといいますか、そういう動きはどういうふうになっておりますか。
  158. 杉浦正悟

    ○杉浦説明員 お答えいたします。  クロマグロにつきましては、一昨年三月に京都で開催されました第八回の締約国会議におきまして、スウェーデン政府から大西洋クロマグロ条約の規制対象にするという提案が行われた経緯がございます。しかしながら、これにつきましては、大西洋クロマグロについては絶滅のおそれがないということ、それからさらに、ICCAT、大西洋まぐろ類保存国際委員会において適切に管理されているというふうなことから、我が国、米国、カナダ等が反対を述べまして、このような提案が撤回された経緯がございます。本年の十一月にワシントン条約の第九回会議というのが米国で開かれる予定になっております。  水産庁といたしましては、クロマグロを含む水産種についての提案の動向につきまして現在鋭意情報の収集に努めているというふうな状況にございます。これまでのところ、クロマグロを規制対象にすべしという提案は出てきておりません。そういうふうに承知しております。今後とも一層その情報の収集に努めるとともに、クロマグロが採決の規制対象にならないように全力を尽くして努めてまいりたいと考えております。
  159. 笹山登生

    ○笹山委員 水産業と環境の問題は非常に微妙でございまして、例えば、混獲という問題一つとってみましても、マグロまき網、はえ縄等でウミガメがかかってきたり、アホウドリ、イルカ、チョウザメはどうか知りませんけれども、混獲の場合、その中には絶滅種が入ってしまうわけですね。そうしますと、その絶滅種を保護するという概念を広げると、混獲をするそもそものマグロ漁が悪いのだ、そういう問題に波及しつつあるわけですね。その辺の見通しといいますか、ひとつ環境庁と水産庁の両方にお聞きしたいのです。どういうことなんでしょうか。
  160. 奥村明雄

    奥村政府委員 お答えをいたします。  絶滅のおそれのある種の国際取引を規制しておりますワシントン条約でございますが、これは、その取引が動植物の種の存続に影響を与えるということに着目して取引を規制する、そういう条約でございます。  したがいまして、先生指摘のような混獲に関連していろいろな議論があるわけでございますが、その場合に、その絶滅のおそれのある動植物の方ではなくて、主たる漁業対象種の方をワシントン条約により規制をしようというような一部の意見があるわけでございますけれども、こうした考え方は条約の趣旨からいって、少しなじまない議論ではないだろうかと私どもは考えております。むしろ、漁法等についていろいろ工夫されて、そうしたことが起こらないような対応がされるべき問題ではないかと考えております。  御指摘のありましたマグロはえ縄漁業によるアホウドリなどの混獲の問題については、こうしたことが起こらないように防止装置の工夫が行われ、それが効果を上げておるというふうに聞いております。
  161. 笹山登生

    ○笹山委員 一九九三年七月にストラドリング・ストック及び高度回遊性魚種に関する国連会議というものが開かれまして、ことしの秋にでもその辺の報告といいますか、そういうものがなされるような見通しと聞いておりますが、その辺のことはいかがでしょう。
  162. 田中誠

    田中説明員 ただいまお話のありましたストラドリング・ストック及び高度回遊性魚種に関する国連会議の件でございますが、この会議は、平成四年の六月にブラジルで開催されました環境と開発に関する国連会議での合意を受けまして、昨年の四月、七月、また本年三月、これらの保存管理のあり方について協議する国連会議が開催されたわけでございます。  これまでの会合におきましては、公海上の資源に対しても沿岸国の特別の利益が及ぶとするカナダ等の沿岸国と、これらの資源についてはすべての関係国が平等の立場で参加した地域機関を通じて科学的知見に基づいた保存管理が行われるべきとする我が国あるいはEC等の公海漁業国の意見が対立し、現在合意を得るに至ってはおりません。本会合は、本年八月に開催されまして、本年秋の第四十九回国連総会に結果を報告するという予定になっております。  我が国といたしましては、我が国と立場を同じくする関係国と協力して、漁業資源の持続的開発と保存重要性について世界各国の理解を求めつつ、合理的な結論が得られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  163. 笹山登生

    ○笹山委員 それでは水産庁の方、もう結構でございますので、お帰りください。  環境基本計画の策定状況等につきましては、今まで御質問がございましたし、また、きょう建設省さんもお呼びしたのですけれども、先ほど岡崎先生から環境政策大綱の話が出ましたので、省略させていただきます。  私の考えは、この前の質問にも言いましたように、他省庁との連携をとる場合、環境インフラについて三つの考え方があるんじゃないか。一つは、既存のインフラヘの環境参加、環境インフラ化。もう一つは、新たな環境インフラの創造。そして三つ目は、環境インフラの増大を可能とするソフト策とか規制緩和、あるいは税制上、財政上のインセンティブの拡大。この三つをもって一つ環境社会資本の構築が可能であるというふうに私は思っているのですけれども、その線に沿いまして、建設省さんもいち早く一月に環境政策大綱を出しましたし、また運輸省さんは三月に港湾環境政策というものを樹立されました。さきの予算折衝時、財政審のCランクに位置づけられた港湾、漁港それから農業インフラ、こういうようなものも、一つの既存のインフラを環境資産化することによって財政審におけるそういう指摘をクリアできるんじゃないかと私は思うのです。  そこで、農水省さんにお伺いしたいのですけれども、まさにCランクに位置づけられたそういう農業インフラを多く抱える農水省さんこそ、この環境基本計画に基づき、農政の新戦略としての農業農村環境政策大綱なるものを早急に確立する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。     〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
  164. 柘植茂晃

    ○柘植説明員 農林水産業は先生御案内のとおり、環境と極めて密接な関係がございまして、環境との調和が不可欠な産業でございます。  基本法の基本的な理念にもございますように、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築に向けて取り組むべきということでございまして、私ども、農林地等が持つ国土保全機能とかあるいは環境保全機能を維持増進しつつ、かつ環境に優しいあるいは環境保全への負荷の低減を図るべくよう、十分配慮して産業振興を図っていくということを重点的な政策課題として位置づけているわけでございまして、今先生指摘ありましたような、ソフト、ハード、特にハードのような、インフラ整備のような御質問があったわけでございますが、そういう基本的な柱の位置づけの中で、今後とも対応を強化していきたいというふうに考えているわけでございます。
  165. 笹山登生

    ○笹山委員 身近なせいか、何か一番おくれているような感じが私はするわけでございますので、ひとつ早急な確立をお願いしたいということでございます。  運輸省さんせっかくおいででございますので、ちょっとエコポートの話でもお願いしたいと思います。
  166. 井上聰史

    ○井上説明員 お答えを申し上げます。  港湾行政におきましても、従来からこの環境の分野につきましては、公害防止対策事業でありますとか、環境アセスメントあるいは緑地、プロムナードの環境施設の整備などを実施してきたところでございますけれども先生指摘の、環境をめぐる要請の高まりにこたえていくために、総合的な取り組みが不可欠になってまいったというふうに認識をしておりまして、去る三月に、環境と共生する港湾、エコポートと称しておりますが、その形成を目標といたします新しい港湾環境政策を策定いたしまして、具体的には港湾環境計画の策定でありますとか、現在進めております環境アセスメントの充実あるいは港湾環境整備の推進など、港湾環境保全と創造への取り組みを一層強化するというふうにしたところでございます。  御質問のエコポートのモデル事業というものにつきましては、本政策に基づきまして、この実現をより促進するために、事業効果が極めて高く全国の模範となる港湾におきまして、干潟、海浜あるいは緑地あるいは海域の底質浄化、景観の形成など、港湾環境インフラの整備を重点的、先行的に行うというものでございます。  私ども運輸省といたしましては、本モデル事業に加えまして、港湾整備によるモーダルシフトの推進でありますとか、増大します廃棄物に対応する海面処分場の整備でございますとか、建設発生土の有効活用など、リサイクルの推進などに今後とも一層努力をしてまいる所存でございます。
  167. 笹山登生

    ○笹山委員 港湾はたしかCランクでございましたから、財政審にそんなこと言われぬようにひとつ一層頑張っていただきたいと思います。  次に、環境投資の必要性につきまして、白書でも述べられていますし、また環境庁の方でも「公共事業による環境保全対策の経済波及効果について」というようなペーパーも出しておりますけれども、こうして白書のああいう記事やなんか見まして、意識というか意欲は非常にあるんだけれども、どうもインセンティブなりそういうものが整わないものだから、神学論争と言ってはなんですけれども一つの概念論に終わっているのではないかな。やはり実のあるものをつくるためには、税制上、財政上のインセンティブをどうするのかということとか、あるいは環境税を打ち上げるのは簡単なんですけれども、それを租税体系の中でどう位置づけるのかというような一つの体系的な考え方を伴わないと、あるいは規制緩和についても、環境行政の中の規制緩和とは何だというものをやはり考えないと、こぶしを振り上げるだけの感じがするので、その辺の中身をもう少し煮詰めてほしいなというふうに私は思っているわけでございます。  規制緩和の一つの例として、許認可取得にかかわる規制として、これは厚生省さんの担当なんでしょうけれども、例えば一般廃棄物処理業の場合、市町村ごとの許認可基準にばらつきが見られる、そして業務の標準化がなかなか進めにくい、せめて都道府県ごとの許可にすべきというような、一種の規制緩和ですね、そういう要望もあるわけです。ですから、そういうことも考え合わせながら、環境ビジネスの円滑な確立とか環境投資の円滑な遂行というものを、側の方からやはり整えていかなくちゃいけないのじゃないかというふうに思います。  私きょう取り上げますのは、RDFのごみ発電ということでございますけれども、これは自治省さんも自治体に対して非常に熱心に勧められておりまして、また地方債等の財政支援もする。また、通産省さんの方は、環境調和型エネルギーコミュニティー事業の一環としてこれも強力に推進している。環境ビジネスといいましても、やはりごみ発電、特に固形燃料化のごみ発電というものが有力な一つの分野になると私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  168. 三本木徹

    ○三本木説明員 御指摘のRDFの推進につきましては、厚生省としましては、この平成六年度の予算、正しくは平成五年度から既に一部始めているわけですけれども、このRDFの製造施設について国庫補助の対象にするというようなことで対応してきております。  また、このRDFの一つの変形でございます、ごみの持つエネルギーを、いわば焼却をしながらそのエネルギーを積極的に活用していくということ、これは普通は発電に回すとか、あるいはまた出てきた蒸気なり熱を周辺に供給していくというようなことも必要でございます。こういったことにつきましても、通常のこういうごみの焼却施設に対しましても既に国庫補助の制度を確立してきております。  なお、参考までに、RDFにつきましては既に数市町村で実施しておりますし、またこれを広域的に進めるという観点もございまして、このような方式でのプロジェクトも企画している、そういった県もございます。  厚生省といたしましては、それらの対応策について検討してまいりたいというふうに考えております。     〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
  169. 坂田隆史

    ○坂田説明員 お答え申し上げます。  RDFにつきましては、貯蔵することができるという特徴を持っております。また輸送にも適しているということで、今まで発電施設を設置することができませんでした小規模なごみ処理施設でも、ごみを集めて発電をするというようなことが可能になるわけであります。  自治省といたしましては、未利用エネルギーの有効活用を図るという観点から、ごみ固形燃料を用いて行います発電事業につきまして、新たに平成六年度から電気事業として位置づけまして、地方公共団体の方に積極的に利用していただこうということで、地方債計画に計上いたしております。  関係省庁とも連携を保ちながら事業促進を図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  170. 笹山登生

    ○笹山委員 地方中小都市のエネルギー発電、ごみ発電には非常に有力な手法でございますので、ひとつバックアップをしていただきたいと思います。  最後になりましたけれども、製紙工場のダイオキシンの測定につきましては、従来AOX、吸着可能有機ハロゲンの量とダイオキシンの量というのが一定の相関関係にあるということで、製紙連合会等がAOXの量によって一つの基準を設けているわけでございますけれども、しかし日本の基準はダイオキシンそのものの測定である。果たしてAOXの量によることに根拠があるのかどうなのか。その辺の正確性と、もう一つは、北米等におきましてはAOXの基準そのものも非常にレベルが上がっているというふうな情報も入っておりますけれども、その辺の動向、いかがでしょうか。
  171. 野中和雄

    ○野中政府委員 ダイオキシンにつきましては、日本では日本製紙連合会が平成二年十二月二十日にダイオキシン対策指針というのを定めまして、排水中のAOXの自主目標値としまして、平成五年末までに排水中に含まれる有機塩素等の量をAOX測定値でパルプートン当たり一・五キログラムとするような取り組みを行ってきているところでございまして、同日本製紙連合会が本年三月に発表した結果によりますと、その目標は全工場で達成をされているというふうに聞いておるわけでございます。  アメリカのEPAにおきましては、先生指摘のように、昨年十一月に紙パルプ工場からのダイオキシンを含む有害物質等の排出について規制強化の提案を行っているわけでございまして、この規制強化案におきましては、排水中のダイオキシンを大幅に削減するために、排水中のAOXについてパルプ一トン当たり〇・一五六キログラムとする基準が提案をされているわけでございます。ただ、これはまだ現在提案の段階でございまして、実施に移されておりません。我が国としても、この米国の状況なぞにつきまして十分情報の収集を今後行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  172. 笹山登生

    ○笹山委員 ありがとうございました。
  173. 奥田幹生

    奥田委員長 小泉展一君。
  174. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 政権交代がされまして、環境関係では奥田委員長のもとに二つの新法が成立してまいりました。一つ環境基本法であり、一つは水源法でございますけれども、市民の周知度を知るために私の事務所で独自に四月十八日から五月十三日にかけまして五百二十名の市民の方々にアンケートを実施したわけでありますが、その結果を見ますと、基本法については六三%、水源法については七二%の市民が法律名そのものも知らない、こういう結論が出ました。この回答結果を見まして、私なりに感想は持つわけでありますけれども長官の感想など聞けたらと思います。
  175. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 私は、今先生お話を伺っておりまして、五百二十名にアンケート、基本法六三%、水源法七二%、知っているという結論が出てくるのかと思いましたら、知らない方がこれだけいらっしゃるということで、実はちょっとショックを受けたところでございます。  環境庁といたしましては、さまざまな手段によりまして広報活動に努めているところでございますけれども、今現実にその数字を示されまして、なかなか知っていただくことは厳しいことだなというふうに感じております。これからも情報提供体制、一生懸命強化を図りまして、また、なるべく多くの皆様に知っていただけるように、本当国民の皆様お一人お一人に非常に関係の深い法律でございますので、十分知っていただけるように最大限努力してまいりたいと思います。
  176. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 その以前には、リサイクル法というのも施行されているわけでありますけれども法律ができて国民もその気になって一生懸命集めた、しかし資源の価格は暴落、集めたものも利用の方法がいま一つはっきりしない、そういう中で大変国民の方は疲れていらっしゃるというのが私の受ける感じでありますけれども環境基本法の中で、これらの実効ある豊かなプランが実際に盛り込まれてくるのかどうか。  そしてあわせて、さきに環境庁でも発表されましたけれども、この経済的行為から生まれた環境やごみ問題は、経済的手法の解決の糸口とすべきだというような検討会からの報告書が配られてまいりました。こういった意味で、その中に書いてあります天然資源課徴金、バージンタックス等について、何か新しい運用のシステムについての見通しが立ってきているのかどうか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  177. 森仁美

    ○森政府委員 ただいまのお話でございますが、正直なところ、これからいろんな形で本格的に検討を進めていく、こういうところであろうと思っております。  今お話しの、具体的に何か出てきているかということでございますが、議論の素材がぼつぼつといろんな形で顔を出してきており、私どもはそれを総体として経済的手法という形でとらえ、そしてそれを環境に優しい社会をつくっていく、持続可能な社会をつくっていくために結びつけていく、そういう努力に今まさに入ったところでございます。
  178. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 ぜひその辺については、多くの国民の英知を結集していただきたいというふうに重ねてお願いをしたいと思います。  もう一つ、今高齢化・少子化社会というようなことで、福祉財源の確保の問題、また税の直間比率の問題、いろいろ各勉強会が進んでいるわけでありますけれども、一方で従来型の社会資本投資、最近でも三十兆円を超える投資がなされたけれども、一向に豊かな社会の実現の効果が見えてこないというふうに言われております。  私は、自分自身、動脈産業に対しまして静脈産業がしっかり国の中で息づいていない国家は豊かな社会とは言えないという持論で運動と活動をしてきたわけでありますけれども、やはり動脈だけでない、静脈だけでない、新しい産業が日本に必要ではないだろうかというような意味を込めて、肝臓や腎臓の働きを持った新しい産業興しを環境庁が新たに国民に提案すべきだというふうに考えております。  先ほど資料をお配りさせていただきましたけれども、それは私の私的研究会といたしまして、肝臓や腎臓の働きを持った産業、肝腎産業フォーラムというのを今提唱しているところでございまして、ぜひひとつそういう観点から質問をしたいと思っているのです。  今まで福祉といいますと、山の中腹に三千坪のフラットの土地をつくって、そこで福祉施設を建てる、あるいは病院施設を建てる、そこにアクセス道路三・五キロを、取りつけ道路をつくる。その社会総投資と、逆に、海に浮かぶフローティングホスピタル、フローティング福祉号、フローティングリハビリ号みたいな観点でとらえたときに、それは環境庁から新たな方法として提案してもいいのではないかというふうにも高齢化社会へ向けて思うわけですけれども長官の御感想を聞きたいと思います。
  179. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 先生は長い間リサイクルの活動に携わってこられて、また、今肝腎産業という大変示唆に富むお話をいただきました。御指摘のような環境関連産業の成長というのがこれからのリサイクル社会、大量生産、大量消費型社会を転換して循環型社会をつくっていく、そうした環境に優しい社会をつくっていくためには非常に有効な、また必要なものかなというふうに考えております。  こういう環境関連産業につきましては、環境問題の質的な変化あるいは空間的な広がり、こういうニーズの多様化に伴う対象分野が拡大しているということによりまして、その範囲もまた規模も拡大しているというふうに考えております。また、今この資料をいただきまして、勉強させていただきながら、こうしたリサイクル社会をつくっていくためにいろいろな分野から、またさまざまな視点から取り組まなくてはいけないというふうに考えておりますので、また御指導いただきますようによろしくお願いいたします。
  180. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 ちょっと話は変わるのですけれども、実は小田急線の複々線化についてひとつ御質問をしたいと思っています。  私も、議員になって以来、小田急線に住んでいることもございまして、沿線の方々からいろいろお話がございました。高架方式で現在事業計画が進んでおり、けさの新聞では、突然のように認可がおりたというような記事が載っているわけでありますけれども、「反対押し切り”発車”」というような見出しでもあるわけであります。  この高架方式、そしてまた都市の複々線化、それから通勤緩和、こういったことを考えますと、この事業をとめるということでなく、住民参加の中で納得のいく都市づくり、国づくりの一環として進めなきゃいけないという観点から、一番、工事決定のシステムについて問題がなかったか。二番、高架式四車並列一層開削式工法あるいはまた二線二層シールド工法、これらそれぞれについて積算が行われた結果、今日の高架式が間違いないという結論になったのかどうか。三点目、住民への情報公開、理解、合意のあり方について問題点がなかったのか。その辺のことについて運輸あるいは建設の方にお伺いをしたいというふうに思います。
  181. 藤森泰明

    ○藤森説明員 小田急小田原線の複々線化事業につきましては、都市計画事業として施行される既設線の連続立体交差事業と、輸送力の増強を目的とした線増工事、この二つを一体的に行うことで計画されております。  この路線につきましては、大部分が高架方式で昭和三十九年に都市計画決定され、小田急電鉄ではこの都市計画に基づきまして高架複々線化の用地買収を行ってきたところでございます。  この高架方式の採用に当たりましては、地形条件あるいは計画条件あるいはその経済性等を総合的に考慮して決定されたものでございますが、御質問の建設費につきまして、東京都の試算によりますと、二線二層の地下方式案は約三千億円、それから四線並列の高架方式、これにつきましては約千九百億円というふうになっておるところでございます。なお、この試算は昭和六十三年以降に必要となる事業費について行ったものであるというふうに聞いておるところでございます。  この二線二層地下方式案については、シールド工法等の新しい技術を採用して検討しているところでございますが、それにもかかわりませず三千億円もかかるということは、二線二層式の場合ですと上部に緩行線、いわゆる各駅停車のトンネルを施工することになりますが、このトンネルは電車の留置線とかあるいは駅とか相対的に費用のかかります開削工法で施工することが必要な部分がございまして、シールド工法が全面的には使えないということや、既設線を生かしながら地下化するということでございますので、線路や駅を下から支えながら施工するという必要性がございます。こういったことから、通常と比較して工事費がかさむというふうに聞いているところでございます。
  182. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 私の持っている情報とは数字の上で多少の違いがありますので、またの機会に御質問をしたいと思います。  また、この大型公共事業の長期のプロジェクトにつきましては、後ほど高見議員の方が続けて質問をするということでございますので、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
  183. 奥田幹生

    奥田委員長 高見裕一君。
  184. 高見裕一

    ○高見委員 長官、御就任おめでとうございます。新長官に初めて御質問させていただきます。  その前に、長官は、環境への負荷の少ない持続的発展の可能な社会の構築に向けての新たな取り組みの展開が必要というふうにおっしゃっておられますが、建設の是非についていろいろと議論の的になっている長良川河口堰建設事業、まさに社会の発展のためには環境への負荷をかけてでもつくらなければならないのかどうかが問われておる問題でございます。そこで、少々この長良川河口堰の問題について質問をさせていただきたく存じます。  第一回目の試験湛水が行われることになった際に、長良川河口堰反対派の人たちがゲート直下で船上ストライキを行いました。これに関して前建設大臣五十嵐さんと私を含む超党派議員が話し合いを行ったことは御存じのことと思いますが、このとき、四月十四日付で私ども八名が連名で出した要望についてぜひ実現を図っていただきたい。要望は次のとおりでございますので、ちょっと委員長、配付の許可を求める次第でございます。
  185. 奥田幹生

    奥田委員長 どうぞ。
  186. 高見裕一

    ○高見委員 ありがとうございます。  少々読ませていただきます。  建設大臣 五十嵐広三殿     要 望 書   本日、長良川河口堰建設事業に関し、下記の事項を要望する。        記  1.長良川河口堰調査委員会は、調査に先立ち、建設現地の伊勢湾台風等の被災の歴史的体験、関係住民の長良川河口堰の危険性への懸念等、十分に意見を聴取する。  2.調査委員会は、俊漢により発生する塩害の有無と規模を調査し、想定される被害状況のシミュレーションを行い、それに基づき代替案を含めて、各種塩害防止対策についての費用対効果及び費用便益分析を行う。  3.調査委員会は、長良川河口堰建設事業を含む木曽川水系水資源開発基本計画そのものの検討も行う。  4.建設省は、現地漁民との十分な話し合いを行う。 以上の四点を要望させていただいております。  私どもが先ほどの要望書を前建設大臣に出さなければならなかったのは、今回新たに発足された調査委員会に次のような視点が欠けていたからでございます。別紙で添付してございますが、二月一日建設省発表の「調査内容」には、防災面では現地長島町が地質学上、地震学上どういう地帯であるかを調査する視点が全くない。これは極めて危険なことであると存じます。  先日も調査委員の河村三郎先生たちが現地を視察されたことになっておりますが、現地にはわずか三十分いただけであり、しかも建設省の話を聞いただけだと、地元の方たちは大変遺憾に思っておられます。しかも、河村先生が座長の防災関係のワーキンググループで、海抜丁三メートルまで湛水しても大丈夫だとの見解を出しておられる。こうしたことは、調査のあり方としてはおかしいのではないかという疑念を抱く次第でございます。  大事なことは、こうした調査をするに当たって、地質学的、地震学的、科学的な調査はもとより、地元のこれまでの災害の歴史や人々の罹災の体験や河口堰ができることに対する住民の不安などについて十分に聞き取り調査をし、住民の納得のいく形で行うことではないでしょうか。科学的に地域の特性を調査する必要があるという点と同時に、この点について建設省の意見をぜひ伺いたいと思います。
  187. 坂本忠彦

    坂本説明員 まず、四月十四日付で前五十嵐建設大臣に出されました四項目の要望についてでございますが、まず第一点目の調査委員会は関係住民から十分に意見を聴取するという点につきましては、現在行政側が調査内容について地元説明会を実施するなどして意見を聞いておりまして、必要に応じて調査委員会にお伝えすることといたしております。  二番目の塩害についてでございますが、調査委員会に報告し、調査委員会の先生方の御意見を伺う予定でございます。  三点目の水資源開発基本計画の検討についてでございますが、これは水資源開発促進法という法律に基づきまして内閣総理大臣が関係省庁に協議するとともに、関係知事の意見を聞き、水資源開発審議会の議を経て決定されておるものでございまして、本調査委員会での検討項目とは考えておりません。  四点目の、建設省は現地住民と十分な話し合いを行うということにつきましては、これまでも関係の漁業協同組合等と話し合いを続けてまいりましたが、今後とも続ける予定でございます。  次に、現地及び周辺地域に起きた災害、地震その他の自然的な災害だとか将来の可能性等についての調査が不十分ではないかという指摘でございますが、堤防の地震時における安定性や長良川河口堰の耐震設計などにつきましては、過去に起きた地震や地震面の詳細な検討を行いまして、十分な安全性を有しますことを、平成四年四月に「長良川河口堰に関する技術報告」として公表をいたしております。これらの結果につきましては、平成四年七月に、この分野の専門的な知識を有する学識経験者から成ります土木学会から出されました「長良川河口堰にかかわる治水計画の技術評価」において妥当と評価されております。  また、先ほど現地視察が不十分であるというお話がございましたが、この件につきましては、いわゆる大臣コメントが出されることとなりました、全門を閉じての調査ができなくなったことに端を発しまして建設大臣と反対派との話し合いが行われた際に話題になりました堤防からの漏水の有無についての件につきまして、改めて調査委員のいわゆる防災ワーキンググループという方々にお願いをいたしまして、四月二十三日、土曜日でございましたが、現地を見ていただきまして、従来からの資料等を解析していただいたわけでございます。四月二十六日に防災ワーキングの会議が行われまして、そのときに、現地での視察状況あるいは調査データというものに基づきまして、防災ワーキングとして試験湛水を行っても危険はないというコメントをいただいたものでございまして、十分な検討がなされたものと考えております。
  188. 高見裕一

    ○高見委員 同じく調査項目中の「塩分」という部分について質問をしたいと存じます。  建設省は、いわゆる建設省自身で発行しておられるこの青パンと呼ばれるもので「塩害」と言っておられたにもかかわらず、この調査項目表中では「塩分」というふうに言いかえておられます。これは、塩害がこの事業に対して持つ意味合いをさらに矮小化する意味ではないのかと、あえてこのような字句の変更を行われる意図を問いたいと思います。
  189. 尾田栄章

    ○尾田説明員 ただいま先生指摘調査項目として「塩分」という言葉をどうして使っておるか、こういうことでございます。  私ども建設省及び水資源開発公団は、長良川河口堰の管理に向けまして平成六年度、今年度いっぱい一年間をかけまして、防災、環境、塩分等について調査を行うということにいたしておりまして、塩分につきましては、河口堰のゲート操作に伴います河川の塩分濃度や地下水の塩分濃度がどのように変化をするかということを調査を実施いたしたいと考えておるところでございます。  御指摘のとおり、塩害につきましては既にこれまで調査を実施いたしておりまして、「長良川河口堰に関する技術報告」として平成四年四月に公表をしておるところでございます。今回の調査におきまして堰の操作に伴います塩分の変化を調べよう、こういうことでございますので、調査項目としては「塩分」、こう挙げさせていただいているところでございます。塩害と塩分を使い分けてそれでどうこうしようという気持ちは毛頭ございません。
  190. 高見裕一

    ○高見委員 建設省の主張によれば、大規模塩害が発生するから河口堰が必要だということになっておりますが、このことに対して多くの疑問があるとして問題になっているわけであります。建設省は、もっと真剣にこの問題に対して調査をして、科学的なデータを示すべきではないかと存じます。現在行われている調査の中にそうした視点がないのは、極めておかしいのではございませんでしょうか。  建設省の主張では、塩害は水稲、北伊勢工業用水、地下水の三点であるから、これらについて個別に現状と対策の有効性を検討するべきでありまして、そうした視点からも大規模塩害の発生の可能性についてもっとしっかりと調査をするべきではないか、私はこう存じます。見解をぜひお願いを申し上げたい。
  191. 尾田栄章

    ○尾田説明員 ただいま御指摘の長良川のしゅんせつによります塩水遡上とそれに伴います地下水の塩水化に関しますシミュレーション及びこれに伴って新たに発生をすると考えられます塩害と、これを防止するために河口堰を含めた代替案の比較を既に実施をいたしております。先ほど申し述べました平成四年四月にまとめました「長良川河口堰に関する技術報告」として公表しているところでございます。  長良川河口堰等々の対策を講ずることなくしゅんせつを行いますと、新たに発生が予測をされる塩害といたしましては、河川から直接取水をすることに対する障害、これは今先生からも御指摘がございました北伊勢工業用水から取水をしております約六十社、約七十工場、長良川用水がかりの約三千ヘクタールの農地、約二千六百戸の農家に影響を与えることになります。また、周辺の地下水の塩水化により地下水利用が困難になる高須輪中の大江川より東の約千六百ヘクタールの地域にある多数の井戸に影響が与えられる。これは予測と申しますか、そういうシミュレーションに基づきます予測でございます。そういう結果が出ております。  また、この塩水の地下浸透によりまして、高須輪中の大江川から東の約千六百ヘクタールの地域では農業被害が与えられるということになるわけでございます。さらに、地下水の塩水化及び土壌が塩分化するということによりまして、将来の土地利用に制約を与えるというようなことが予測をされるわけでございます。  それで、この対策を講ずることなくしゅんせつをした場合に想定されます。そういう被害を防ぐべく代替案の検討を行っております。  具体の方法としましては、河口堰を建設する案、マウンドを残す案、潜り堰を建設する案、アオ取水、これはいわゆる表層の水をとるのをアオ取水と呼んでおるわけでございますが、そういうアオ取水をする案、あるいは取水施設を上流に移設する案等々、これまで十分に比較検討を行いまして、河口堰を建設することが最も効果的かつ現実的な方法であるというふうに考えておるところでございます。  また、これらの私が今御説明をさせていただきました内容に関しましては、平成四年七月、土木学会社会資本問題研究委員会から出されましたレポートでも、妥当であるとの評価をいただいておるところでございます。
  192. 高見裕一

    ○高見委員 導水事業についてもあわせて質問を行います。  河口堰本体は実質的に九四%できてしまったという現実はございますが、事業総体としてはこれから行われる導水管事業などを考えると、まだ道三分にも満たない。したがって、水需要に関するフルプランを検討し直すことも調査の項目としては最も重要なはずでございます。それを今回の調査に含めないのは大変おかしい。こうした視点が調査の項目として、あるいは調査が最終的に果たす役割として欠落しているのは遺憾でございます。  また、調査委員会での調査結果、特に塩害及び水需要に関する調査結果によってはこの事業の推進そのものを見直す、つまり、堰完成後の堰運営の是非を見直すこともあり得るのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  193. 尾田栄章

    ○尾田説明員 水資源、水需給関係でございますが、木曽川水系につきましては、「木曽川水系における水資源開発基本計画」というものが昨年、平成五年三月に閣議決定されたところでございます。この計画は、水資源開発促進法にのっとりまして、内閣総理大臣が関係行政機関と協議をするとともに、関係県知事及び学識経験者から成ります水資源開発審議会の意見を聞いて作成されたものでございます。  このように水資源開発基本計画そのものは、法律に定められました所定の手続に基づいて策定されたものでございまして、今先生から御指摘がございました建設省並びに水公団が実施をいたしておりますこの一年かけての防災、環境、塩分等の調査に関しまして指導助言をいただいております調査委員会の調査項目としては当たらないと考えておるところでございます。
  194. 高見裕一

    ○高見委員 二点目の私の問いにも答えていただきたいと存じます。  調査委員会での調査経過、特に繰り返しますが、塩害や水需要に関する調査というものをやらないとこの調査意味がない、ぜひやるべきである、そして、その結果によってはこの事業の推進そのものを見直す、つまり、堰完成後の堰運営の是非を見直すこともあり得るのではないかという問いに関して、お答えをいただきたい。
  195. 尾田栄章

    ○尾田説明員 ただいま申し述べさせていただきましたように、水需要の必要性につきましては、昨年策定されましたばかりの木曽川水系におきます水資源開発基本計画においてその必要性が認められておるところでございまして、これをこの調査委員会で検討するということは筋違いだと認識をいたしております。  そして、塩分の調査につきましては、これは先ほどの開発課長からの御答弁でも申しましたとおり、先ほど提出をされました四項目の中の二項目目でございまして、調査委員会の方に報告をさせていただいて、委員先生方の御意見をいただくということにいたしておるところでございます。
  196. 高見裕一

    ○高見委員 ですから、しゅんせつによって三千ヘクタール余りに影響が及ぶとする根拠や被害予想額及び減反面積など、それに対する幾つか考え得る代替案というふうなことに対する証明がこの委員会の中でできるということは、まだこれからの課題なわけでしょう。そこで、できなかった、この河口堰はこれ以上推進するのにふさわしくない、こういう結論が出たらどうするのかとお聞きしているんだ。
  197. 尾田栄章

    ○尾田説明員 この一年をかけまして調査をいたしておるところでございますし、二十一名の専門の先生方から構成されます調査委員会の御指導、御助言を得ながら調査を進めておるところでございます。そういう中で、その調査の結果がどうなるかということを私がここで申し述べることは大変失礼なことではないかと思っております。
  198. 高見裕一

    ○高見委員 極めて遺憾な答えでございますが、調査というものは、本来、その事業の推進あるいは中止というもの、根本を見詰めたものでないと、その調査意味がない、私はこう思います。水は余っているというデータは山ほどございます。そして、その上で導水事業を行うということに関してのナンセンスさというのは当事者が一番よく御存じではないかというふうに思います。これは大変な税金のむだ遣いになるのではないか。この件に関してはもう一度機会を改めて御質問をさせていただきたく存じます。  最後に、先ほど金田議員がおっしゃっておられましたが、現在行われている調査委員会をより公正、公平に国民にとって開かれたものにするために、国会議員や自然保護団体あるいは異議を唱えている学会、各種の市民団体などのオブザーバー出席を認めてほしいとお願いをすると同時に、塩害や水需要に関する調査など、調査充実のために、何人かの研究者たちを追加委員として認めることをお願いしたいというふうなことを私からもお願いをする次第でございます。  あわせまして、金田さんの質問について、委員会を科学的、客観的に運営したいので出席は認められないというふうな趣旨のことを建設省はおっしゃったようでございますが、これは一体どういうことでございましょうか。どうしてオブザーバーが聞いていると非科学的、非客観的になるのか。まさにこれは暴言と言わざるを得ないと思います。そして、それに対する回答を委員会に諮りもせず、お役人がそういう答えをするのも大変筋が違う、このように思いますが、いかがでございましょうか。
  199. 坂本忠彦

    坂本説明員 まず、オブザーバー出席の件についてお答えをいたしたいと思います。  前建設大臣指示に基づきまして、平成六年度一年間かけて防災、環境、塩分等の調査を実施しておるところでございますが、調査そのものは公開で行うとともに、調査結果も公表することといたしております。これらの調査を科学的かつ客観的に行うために、二十一名の学識経験者から成る調査委員会を設置しまして、その指導助言を得ながら進めておるところでございます。  調査委員会の審議の概要につきましては、その都度座長というものを委員の中で互選をされまして、委員会終了後の報道関係者へ、ブリーフィングと申しておりますが、審議の概要を委員のその座長が御説明になっておられます。また、その際には委員会に提出をした資料も配付をして公表しておるところでございます。  このようにして現在調査委員会を運営しておるわけでございますが、御質問調査委員会へのオブザーバー出席につきましては、先ほど先生お話がございましたが、科学的かつ客観的に検討を行うという調査委員会の性格から見てなじまないものではないかというふうに私どもは考えております。しかし、以上は事務局としての見解でございますが、そういう要望がありましたことについては、委員先生方の御意見も伺いたいと思っております。  次の、調査委員会の委員を追加したらどうかということでございますが、この長良川河口堰調査委員会の委員の選定に当たりましては、環境、防災、塩分等の各分野にわたりまして、専門的な知識により幅広くかつ公平な検討が実施できることを基本として委員の選定に当たらせていただきました。最大限客観的な構成となるように努力したつもりでございまして、現在の先生方で環境、防災、塩分等の各分野について十分な検討ができる構成になっていると考えております。
  200. 高見裕一

    ○高見委員 審議会を公開しない、調査委員会を公開しないというようなある種の閉鎖性というものが行政に対する不信を非常に大きなものにしている。この河口堰ももともとはそういう行政の姿勢そのもの、よく言われるところの知らしむべからず、よらしむべしというようなその姿勢そのものが根本的な原因になっているという反省に立つて、積極的にオブザーバーの出席を逆に皆さんの方からお願いをする、その姿勢がなければ、日本の建設行政に限りませんけれども、行政というものはなかなか変わっていかないのではないか。そして、情報公開等も今随分言われるようになってまいりましたが、それこそが自主的に行っていく情報公開の第一歩ではないか、このように私は考える次第でございます。  建設省の皆さんに関しては、よくその辺をお考えいただいて結論を出していただきたい、このように思う次第でございます。  続きまして、環境基本計画というふうなものがただいま策定中でございますが、環境基本計画の閣議決定に当たり、各省庁の政策統合が十分行われることが期待をされております。その中で、本年一月に建設省環境基本計画の策定を待たずに環境政策大綱を定めたのは、私には必ずしも望ましい姿勢とは思えません。このようなことが頻発すれば、環境行政のまとまりというものがっかなくなり、統制が困難になる。その上、フライングをすることで国民向けのスタンドプレーにはなるかもしれませんが、反面、環境庁が非常に訂正をさせにくくなる。環境行政の調和を乱し、かつ、ある意味では免罪符の役割を果たそうとする意図があるものではないかという疑いもございますが、その辺はいかがでございましょうか。
  201. 森仁美

    ○森政府委員 建設省がことし初めに環境政策大綱というのを定めて公表されておられます。実は、この策定段階で私どもの方にもあらかじめお話がございました。私どももその内容を拝見した上でといいますか、かなり厳しい目でいろいろ検討した上で、建設省にもこの策定をお勧めをした経緯がございます。これはむしろ私どもの考えでは、政府全体が積極的に環境政策に取り組んでいく一つの流れをつくっていく、その一つのものではないかという考え方がございました。  一方、私ども、今環境基本計画を策定すべく中央環境審議会において鋭意御審議を賜っております。その場にも実は建設省もヒアリングの一員として御参画になりまして、ただいまの建設大綱についても十分御説明がございました。それらを踏まえて、環境審議会の方では、それらを包含するような計画づくりということに向かって進んでいくということになろうかと思います。
  202. 高見裕一

    ○高見委員 環境基本計画は国家、日本国としての環境計画であり、環境政策大綱は建設省としての大綱でございます。もし両者の間にそごが生じることがあれば、環境基本計画が優先されるべきであると考えますが、いかがなものでございましょうか。これは環境庁建設省、両方からお聞きしたい。
  203. 森仁美

    ○森政府委員 環境基本計画は、政府全体の計画として閣議決定をもって定めるという仕組みをとっております。それから、建設大綱の方は、建設省の政策としてお考えでございます。したがいまして、閣議決定をする段階では当然建設大臣も御参画になるわけでございまして、その間にそごがあるようなものにはならないと私ども考えております。
  204. 馬渡五郎

    ○馬渡説明員 お答えいたします。  ただいま環境庁から御説明のあったとおりでございます。建設省といたしましても、この環境基本計画の策定に当たりましては、環境大臣の御指導をいただきながら積極的にその策定に参画をいたしていきたいと考えております。
  205. 高見裕一

    ○高見委員 続いて、フロンの問題をちょっとお尋ねいたします。  現在、環境問題が地球的な規模で問題になっております。その中の一つにフロンガスの問題がございます。気象庁では現在四カ所の観測地点を設けて紫外線の量を測定しておりますが、観測地点において紫外線の量が増加傾向にあるという結果は出ておりませんか。
  206. 椎野純一

    ○椎野説明員 お答えいたします。  気象庁におきましては、筑波、札幌、鹿児島、那覇におきまして有害紫外線の観測を行っております。その結果によりますと、紫外線の量が増加しているという傾向は現在のところは認められません。
  207. 高見裕一

    ○高見委員 フロンガスの問題というのは、一九七四年六月にローランド教授とモリナ教授によりフロンガスのオゾン層破壊への影響に関する仮説が発表された。一九八四年にはジョージ・ファーマン氏が南極上空のオゾンの減少を指摘した。少なくとも南極のオゾンホール発見から十年が経過しております。南極のオゾンホールはさらに拡大をしているにもかかわらず、残念ながら日本の観測体制というものはこの国の力に比して極めて貧しいものがある。  今後、紫外線量の増加が普通に考えると予想されそうなものでありますが、九一年の環境影響パネル報告概要でも明らかなように、UVIBの方の紫外線の増加によってオゾンの量が一〇%減少することによって、白内障の発症例が世界的に百六十から百七十五万件増加するというふうに予想されております。これはもちろん数字が大きくなっていくと幾何級数的にふえていくものでございます。また、皮膚がんの発症例が二六%も上昇すると予想されております。このように、人体に大きな影響の出る事項であるにもかかわらず、全国にたった四カ所しか観測地点がないということ自体が非常に問題ではないか。もっと観測地点をふやして正確なデータの把握に努めるべきではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
  208. 椎野純一

    ○椎野説明員 お答えいたします。  オゾン層の破壊に伴います有害紫外線の増加は地球規模の問題でございまして、世界気象機関は全球観測システムの充実に努めているところでございます。我が国におきましては、これにこたえるために国内四カ所で観測を行っているところでございますけれども、全球的に見まして我が国の観測システムが少ないという認識は持っておりません。  なお、観測成果につきましては、世界に先駆けまして世界紫外線データセンターへ提供する等の国際的な協力も行っているところでございます。
  209. 高見裕一

    ○高見委員 観測をするということには、ただ単なる科学的見地だけではなく、国民の皆さんに対する啓発的な見地というものも十分に踏まえて考えなければならないと思います。まだ大気中に大量のフロンガスが残っており、今でもまだ垂れ流しが続いているわけでございます。紫外線量の増加が確実に予想される、それはイコールそのことでありまして、早急に予算措置を講じて、より充実した観測体制を強化をしていただきたい、このように思う次第でございます。  また、紫外線増加に関するデータのネットワークの構築や世界的な情報提携というふうなこと、今も取り組んでおられるようでございますが、ますます充実をしていただきたいと思います。  そして、これはちょっと農水省絡みになるかもしれませんが、UV—B、有害紫外線が非常に増加してきた場合、植物あるいは生物に与える影響の研究というのはなされているのでありましょうか。特に、人体もさることながら、主要農作物に対する影響評価というものはどうなっているのかをお尋ね申し上げたい。
  210. 椎野純一

    ○椎野説明員 お答えいたします。  この種類のいわゆる有害紫外線が増加することによって影響を受けます諸問題につきましては、主として、私の理解によりますと環境庁さんを中心に行われているというふうに理解をいたしております。
  211. 高見裕一

    ○高見委員 それでは、環境庁の答弁をお願いいたします。
  212. 澤村宏

    ○澤村説明員 先ほど先生から紫外線の人の健康、それからただいま生態系に与える影響はどうなっているかということでございますので、私の方からあわせましてお答えを申し上げたいと思います。  環境庁におきましては、平成二年度より四年度まで、二億三千万円を投じまして、国立環境研究所、それから国立がんセンター研究所を初めといたします七つの試験研究機関におきまして、紫外線が人の健康それから植物、植物プランクトン、海藻に及ぼす影響に関する研究を実施してきております。  平成五年度から七年度までの三カ年におきましては、これまで得られました研究の成果を踏まえまして、さらに人の健康それから植物に及ぼす影響に関する研究を引き続き進めますとともに、新たに動物プランクトンそれから森林植生に及ぼす影響に関する研究を加えまして、生態系に与える影響に関する研究の一層の充実を図っていくということになっております。
  213. 高見裕一

    ○高見委員 私、各省庁随分訪ねて、こういった調査がないのかということでお尋ねをしましたが、実際極めて微々たる調査しか行われておらないというのが実態のようにお見受けいたします。国民生活にとって非常に重要な問題でございます。あるいは、人間が生きていくということにおいて重要な問題でございます。浜四津長官の指揮のもと一層御精励いただければと存じます。  ありがとうございました。
  214. 奥田幹生

    奥田委員長 岩佐恵美君。
  215. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私は、長官所信表明の中でも述べられている大気汚染対策について伺いたいと思います。長官所信表明の中で大気環境保全の推進を述べておられますので、その点に期待をしてお伺いしたいと思います。  私は多摩の地域に住んでいます。私の住んでいるすぐ近くが交差点です。とても排気ガスがひどいんです。いつもそこを通るときにハンカチを鼻に当てて通るわけですけれども。それから、車で多摩の地域活動しておりますけれども、今の時期だと窓をあけて風を入れた方がいいのですけれども、物すごい排気ガスを出しているトラックなどがたくさん走っておりますので、どうしても窓を閉めてクーラーをかけなければいけない。これも省エネにならないし、健康にも悪いし、本当にこうした自動車の公害問題というのは大変だということを日々痛感をいたしております。  東京の大気汚染について、大気汚染測定運動東京連絡会というところが、これは毎年やっているんですが、ちょうど今行っているところですが、昨年十二月のデータですが、都内一万七千百四十一カ所で二酸化窒素を一斉に測定しました。調査結果を見ますと、都内全域のNO2の平均値〇・〇六八ppm、区部が〇・〇七二ppm、多摩地域全体では〇・〇六〇ppmでした。でも多摩地域のワーストワンは、調布市の四百三十九カ所の平均値が〇・〇七三ppmで、幹線道路沿いでは〇・一ppmに達しています。そのほか、府中市が〇・〇六三、福生が〇・〇六四、日野が〇・〇五九などとなっていて、多摩地域の汚染も深刻になっています。  その点について、東京で活動されておられる長官も多分そういう問題について共通認識ではないかというふうに思うのですけれども長官のお考えを伺いたいと思います。
  216. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 ただいま岩佐先生からお話を伺いました。私も多摩地域に住んでおりますけれども、この東京都の大気汚染の現状につきましては、直近の調査結果であります平成四年度の大気汚染の状況報告によれば、二酸化硫黄そして一酸化炭素につきましては近年良好な状況が続いてはおりますが、二酸化窒素につきましては、環境基準を達成していない局の割合は減ったものの、環境基準の達成状況は依然低い水準で推移しているという報告になっております。  また、浮遊粒子状物質あるいは光化学オキシダントにつきましても、残念ながら依然厳しい状況で推移しているという現状を認識しております。  今後、より一層この大気汚染の対策を強力に推進していく必要があるというふうに認識しております。
  217. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 環境基本計画づくりが、六月中にも中間的な取りまとめが行われて、年末までには最終答申という方向で進んでいると聞いています。  自動車のNOx対策としては、車種規制などによる総量削減対策、脱硝装置の実用化による局地汚染対策、軽油とガソリンの価格差の是正、東京など大都市への一極集中の是正などが必要だと思います。また、SPMについても、汚染のメカニズムなどについて調査をして総合的な対策を実施をすることが必要だと思います。  とりわけディーゼル排気微粒子、いわゆるDEPについては、重点的に対策を実施することがこの環境基本計画で期待をされているというふうに思いますけれども環境庁のお考えを伺いたいと思います。
  218. 松田朗

    ○松田(朗)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘のように、大気汚染の問題、特に都会においては深刻な状態だと認識しておるわけでございますが、その中で、今先生指摘のDEP対策についてまず申し上げたいと思います。DEP対策につきましては、従来はSPM対策の一環という形でSPM対策を中心にやってきたわけでございますが、しかし、その中で特にDEPが重要だということになりまして、私どもとしましては、これの対策が重要だと認識しております。  具体的には、このDEPにつきましては、従来黒煙を中心にしておりました単体規制を、平成元年の中公審の答申に基づきまして、短期目標がそこで示されたわけでございますが、その短期目標に基づきまして昨年からDEPの規制を開始したということでございます。さらに、長期目標につきましても示されておりますが、これにつきましては、昨年の八月の評価委員会の報告に基づきまして、一部のディーゼル車については、平成九年ごろには目標を達成できるという見通しが立ちましたので、これについての所要の手続をこれから続けていくということでございます。  さらに、御指摘の大気汚染の問題につきましては、やはりSPM全体についても重要だということでございまして、これにつきましてはやはり現在測定局等々の問題がございますので、これにつきましても、数の問題あるいは配置の問題についても検討を進めたいというふうに考えております。
  219. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その際に、DEPのいわゆる指針値、これを設定して総合的、計画的に実施をしていくということが必要だと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  220. 松田朗

    ○松田(朗)政府委員 先ほど申しましたように、DEPはSPMの中に含まれているものでございます。従来、そのSPMというのは十ミクロン以下の大きさの粒子ということで来たわけでございますが、その中のDEPというのはさらに小さな粒子だと。具体的にはニミクロンぐらいのものというふうに言われておるわけでございますが、これにつきましては、これだけを測定するという技術がまだ開発されておりません。したがいまして、私どもは、まずそのDEPに焦点を合わせた測定法の確立をするということが大事だと考えております。  それから同時に、DEPについてのいろいろな健康の問題があります。それについては、具体的にDEPの中にどういう有害な化学物質があるかということを突きとめるような研究も進めていきたいというふうに思っておるわけであります。
  221. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 早く分析技術というものをきちんと確立をしていただいて、それで指針値を決められるように進めていただきたいと思います。  自動車NOxの削減目標値ですけれども、「特定地域において、二酸化窒素に係る大気環境基準を平成十二年度までに概ね達成すること」としています。「概ね」とは、特定地域にある測定局の九割で達成するとされています。この「概ね達成」という表現は、あたかも例外的な地点を除き達成できるかのような幻想を与えますが、実際に東京の幹線道路沿道にある自動車排気ガス測定局では、その半数が達成できない状態ではないでしょうか。その点についていかがでしょうか。
  222. 松田朗

    ○松田(朗)政府委員 お答えいたします。  御指摘のようにNOx法の施行に基づきまして、現在NOxの環境基準、これを達成しないところをおおむね九割達成するんだということになっているわけでございます。  この趣旨は、今先生の御指摘されたような特定の道路沿道だとか交差点だとか、特定の地域はこれは非常に難しいんじゃないかということもありまして、最初から一〇〇%という目標は掲げていないわけでございますが、しかし、そのところについては、NOx法に基づいてというだけではなくて、やはりそれに並行しまして、先生が最初申しましたような例えば脱硝装置の開発だとか、あるいは交差点等における交通の問題だとか、いろいろな総合的な対策をNOx法の推進に並行してやりまして、そのおおむね九割の達成にプラスアルファということを目指したいと思っておるわけでございます。
  223. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 しかし、その達成の裏づけというのは甚だ乏しいわけですね。例えば総量削減計画では、平成十二年までに、東京都が五万二千トンを三万三千トンに、埼玉では二万四千七百三十トンを二万二千五十トンに、千葉県が一万八千百二十トンを一万五千二百二十トンに、神奈川が三万百トンを二万一千七百トンに削減させるという目標を示しているのです。  しかし、この目標達成の根拠として挙げていることが、例えば物流の合理化だとか環状道路の建設、それによって都内平均走行速度を上げるとか、あるいは電気自動車など低公害車を首都圏で二十万から二十五万台普及するなど、こういうことを挙げているわけですけれども一つ一つ見れば必ずしも実効性の高いものとは言えません。  さらに車種規制も、二・五トン以上の車種を副室式ディーゼルのみとする。そうすると、五トン以上の車種は直噴式ディーゼルでいいということになっていますから、五トン以上の直噴式ディーゼルにみんないくんじゃないか、大型化に拍車をかけるんじゃないか。そういう点で、よくなるのかどうかということも疑問があります。それに加えて、直噴式、例えば二トン車への適用というのは最高十二年まで猶予をされるとか、適用猶予だとか除外などとか、削減効果については本当一つ一つ考えていくと、どうもやれるんだろうか、疑問だという思いがしてくるわけですけれども、その点についてはいかがですか。
  224. 松田朗

    ○松田(朗)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘の、NOx法に基づいていろいろな対策を打ち出すということで、特定の地域におきましては、NOx削減計画というものが既に今御指摘の中心部でできました。  これによりますと、先ほどの、九割目標になっておりますが、それを実現するためには先生おっしゃるようないろいろな、本当にできるのかという御指摘があるのは事実でございます。  ただ私どもは、例えば今御指摘のディーゼル車の買いかえにつきましても、この猶予期間につきましても、これはいろいろな調査によりまして、大体買いかえの時期はどのくらいだろうかということも考慮しながら決めたものでございまして、私どもはこの車種規制についてはかなり期待をしているということでございます。  それから、ただあえて申しますれば、その中で一応私どもが重要な位置づけをしております低公害車の普及というもの、これが一番重大といいますか難問じゃないかというふうに考えておりまして、こういう低公害車の普及をさらに推進するということに一層の努力、むしろ最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。     〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
  225. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大変すぱっと歯切れのいい、そうかよくなるのかという自信が持てるようなどうも回答では余りないような気がいたします。  おおむね達成できるとみなされている測定局についてちょっと伺いたいと思うのですが、沿道環境の達成率を評価するのに全くふさわしくない測定の仕方がされています。青梅街道の天沼自排局は高さ二十九メーター、道路からの距離五十メーターの位置にあります。明治通りの向島自排局は高さ十六メーター、距離八十五メーターの位置にあります。そして甲州街道の日野自排局は高さ三・四メーター、距離三十メーターの位置にあります。東京都内で、道路から二十メーター以上離れている測定局が十二カ所、十五メーター以上の高さにある測定局が四カ所あるなど、道路沿線で一般市民が通常の生活をしている場所と言える、道路から五メーター、地上一・五メーターの位置にはほど遠い状況となっています。現在の測定局の位置を道路五メーター、地上一・五メーターの位置に修正したとしたら、これらの大部分が環境基準を超過するのではないかというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  226. 松田朗

    ○松田(朗)政府委員 お答えいたします。  先生今御指摘の大気汚染測定局で、特に自動車排出ガス測定局の問題であると思います。この自動車排出ガス測定局、いわゆる自排局と言っておりますが、これの配置につきましては、自治体に対しまして、交通頻繁な道路または交差点の周辺であって、人が常時生活活動している場所、またはこれに近接した場所を選定する、こういう形で配置を決めるようにというようなことで指示をしているわけでございますが、このような文言で自治体の判断が非常に影響しまして、先生指摘のように、全国ベースで見ますといろいろな設置のされ方がされている現状でございます。  そういう御指摘も踏まえまして、ことしの三月でございますが、自排局の配置等に関する検討会というものを設置いたしまして、この場におきまして、今先生指摘のような問題、すなわち自排局の適正な配置のあり方について検討をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  227. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 東京都の監査委員会の報告書でも、一般大気測定局三十九局、自排局三十二局のうち、測定位置が高過ぎるもの二十五局、自排局を沿道に設置すべきなのに道路に設置されているもの二局、道路から離れ過ぎているもの五局、高さ、距離とも適合しない自排局が四局となっているのです。九一年に監査委員会から指摘をされていても、依然として改善されていないのですね。  今言われた環境庁の原則として地上一・五メーター以上十メーター以下の高さで行うという通達は、七三年に出ているのですね。本当にそれから随分たっているのですけれども、放置をされている。三月に検討会が設置をされたということですから、大いに期待をしたいというふうに思いますけれども、一体どのぐらいのめどでこのことをきちんとやっていかれるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  228. 松田朗

    ○松田(朗)政府委員 今申し上げました検討会、このメンバーの中には東京都の環境保全局の方にも入っていただいておりますし、ほかの自治体でも特にそういう問題を考えている方の御意見を聞く仕組みになっております。したがいまして、その検討の中身については、先生の申されたような問題点が大いに議論されているというふうに考えております。  したがいまして、発足がことしの三月でございますから、私どもとしては少しでも早くというふうに考えておりますが、やはり今年度じゅういっぱい検討しまして、来年度というふうに考えております。
  229. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 環境基本計画に、先ほどからの議論で、おおむね達成ということでありますけれども、これはもう本当に裏づけに乏しい目標だというふうに思います。達成するための削減目標を明確にする、抜本的な規制の強化や自動車メーカーの排ガスデータの情報公開を盛り込むこと、そして、何よりも沿道の住民、とりわけ公害患者の救済の方策を示すこと、このことがとても大事だというふうに思います。  ことし、全国的に大きな影響を与えましたけれども、三月二十三日、岡山地裁の倉敷公害訴訟判決で、NO2と健康被害との因果関係を明確に認めました。自動車の排ガスも汚染源に加えたということは大変重要な意義を持つものだというふうに思います。環境庁として、NO2と健康被害との因果関係を認めたこの判決をどう受けとめておられるのか、伺っておきたいと思います。     〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
  230. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員から、ことしの三月の水島訴訟、倉敷の訴訟の判決についてのお尋ねがございました。そこにおいてNO2と健康影響との因果関係が認められたというように御指摘になったわけでございますが、よくよく私どもこの判決を読ませていただきますと、昭和三十年代から四十年代にかけまして、二酸化硫黄並びに二酸化窒素の関係もあったわけでございますが、これらが総合的に健康影響があったというように判断をしているというふうに考えられるわけでございまして、五十年代における大気汚染が健康影響があった、要するにNOxが健康影響が個別にあったというようには判断していないというように私ども理解しているところでございます。
  231. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それはちょっとおかしいのではないですか。この判決は、自動車の排ガス、これをその汚染源に加えて、そしてその健康被害との因果関係を認めるという内容になっているわけですから、その点について、何か判決を真っ正面から受けとめないということになると、これはもうえらく大変なことになるというふうに思いますけれども、どうなのですか。
  232. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 繰り返しお話し申し上げるわけでございますけれども、NOx関係の汚染が問題になりましたのは五十年代以降でございまして、この倉敷訴訟の原告の方々が発症等いたしましたのは三十年代から四十年代にかけてでございますので、したがいまして、この判決におきましても、五十年代におけるNOxと健康影響との関係を論じたものというように私ども理解していないということでございます。
  233. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そこのところは、私たちは、自動車の排ガスというものを汚染源に加えたということですから、三十年代、四十年代で、だって別に工場だけではなくていろいろ自動車の排ガスもあるでしょうし、五十年代以降ひどくなったから、それがそういう患者でないから排ガスが入ってないんだというような理屈にはならないというふうに思いますので、そこは本当にしっかりとこの判決を受けとめていっていただきたい。そういうことでないと、これから環境庁の大気汚染公害に対する対応というのも非常に変わってくるというふうに思うのですね。  それで、これはもう前から議論しているところですけれども、八六年の中央公害対策審議会専門委員会の報告で、NO2と健康被害の関係は否定できないというふうにしていた委員会報告ですけれども、これを環境庁は健康への被害はないというふうに読んで、そして八七年に指定地域を解除をしたわけですね。  ところが、ことし一月の川崎公害の訴訟で、八六年の報告書づくりにかかわってきた福富和夫国立公衆衛生院の研究員は、報告書は関係ありを意味したという証言を行っているのです。これはもう随分古くから議論してきているところですけれども、これはもうまさに環境庁が、そういう健康への被害が否定できないというものを、被害はないというふうに言ったと解釈をしている。こういうことでいくと、本当にこれからの対策が危ぶまれるということになるので、その点しっかりと受けとめていただきたい思います。
  234. 松田朗

    ○松田(朗)政府委員 先生指摘のNOxの健康影響についてでございますが、中公審のかつての専門委員会でまさに御指摘のような報告がありまして、私どもはその報告の中から、やはりNOxというのは健康にとって重要なファクターといいますか、を持っているというふうに感じております。  したがいまして、これに基づきまして、あるいはこれをもとにしまして裁判関係ではいろいろ解釈がなされておりますが、私どもは、NOxというものについては、裁判でどういう結果が示されましようとも、NOx対策をより強力に進めていきたいというふうに思っております。
  235. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この八七年に指定地域が解除された以降、東京都の公害認定患者数というのは、十八歳未満が対象ですけれども、八一年に四万一千百九十五人だったものが、これは全国の半数くらいに当たるのですけれども、九二年には六万六千二百五十五人にもなっているわけです。ですから、指定地域を解除したからといって、患者さんが減るわけじゃなくて、むしろふえているということです。今お答えがあったように、NOxと健康影響については、本当にもうこういうデータ的にもはっきりしてきているのです。  それから、九一年八月の東京都衛生局の大気汚染保健対策に係る健康影響調査でも、あるいは同年十二月の環境庁の大気汚染健康影響継続観察調査などの結果でも明らかになっているわけです。  ちょっと何か新聞にあれこれ出ていましたけれども、ディーゼル車の排ガス微粒子が、国立の環境研などでのマウス実験で肺がんの発生を実証したと、これがことしに入って五月の新聞記事で見られますし、それから東京都の例について言うと、これはマウスでなくて人の調査で、「ディーゼル排ガスと関係か」ということで、「がん死の肺にあやしい物質」「肺がんで死亡した人の肺には、ほかの原因で死亡した人の肺に比べ、ディーゼル車の排ガスなどに含まれる炭粉やベンツピレンなどの物質が多く蓄積されていることが、東京都衛生研究所の調査でわかった。」というような事態になっています。  ですから、先ほどから話があるように、SPMの問題あるいはDEPの問題、こういう問題に重点的に取り組む必要があるという自覚のもとにやられておられるんだと思いますけれども、同時に私は、先ほど申し上げたように、八七年に指定地域を解除をするということをやったわけですが、その後こういうふうに患者さんがふえている、そしてこれからもふえる、そういう状態が危惧をされるわけです。  あの当時やりとりをしましたけれども、もしそういう事態になれば環境庁として指定地域の解除は見直すんだというような、そういうことを中曽根総理大臣が答弁をしているわけです。この点について環境庁としてどう考えられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  236. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘いただきましたが、公健法の旧指定地域にかかわる地方自治体の中には、小児ぜんそく患者の健康回復等さまざまな目的で、それぞれの要件のもとに、ぜんそく等の患者を対象としまして医療費の自己負担分の助成等の措置を独自に講じているところもあると私どもも承知をいたしております。  そこで、先生、大気汚染の深刻化によってこの患者の増加があったというようにお話しいただいたわけでございますけれども、私どもといたしましては、一つには、現在の大気汚染の状況というのは、昭和六十一年の中央公害対策審議会の答申におきまして言われていることでございますけれども、大気汚染がぜんそく等の疾病の主たる原因をなすものとは考えられないとされた汚染の状況と現在が基本的に変わりがないということが一つでございます。  それから、二つには、先生も御案内だと思いますけれども、ぜんそく等の疾病と申しますのは、大気汚染だけではなくて、例えばダニでありますとかカビ、あるいは喫煙等の習慣によっても発症するわけでございまして、そういう観点からすれば、いわゆる非特異的な疾患であるということも言えるわけでございます。こういうことから、たとえ先ほどお話しになったような自治体独自の制度による対象者が増加をいたしたといたしましても、大気汚染が深刻化したことによってこの患者さん方がふえたということはなかなか解釈としては難しいのではないかと考えております。  なお、公健法の第一種地域の再指定ができないのだろうかという御質問でございますけれども、先ほども触れましたが、現在の大気汚染の状況というのは、昭和六十一年の中央公害対策審議会の答申におきまして、当時の大気汚染の状況ということになりますけれども、ぜんそく等の疾病の主たる原因をなすものと考えられないとされた状況と現在は基本的に変わらないと認識をしておりまして、第一種地域の再指定が必要というようには私ども考えていないところでございます。  しかしながら、私どもといたしましては、今後とも大気汚染防止対策を一層推進いたしますとともに、健康被害予防事業の実施でありますとかあるいは予防のための調査研究の推進等、総合的な環境保健施策を推進することによりまして、大気汚染による健康被害の予防に万全を期したい、そのように考えているところでございます。
  237. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 環境庁、依然として頭がかたいなというふうに思います。  東京でいえば、移動発生源が汚染の大体七割を占めているという状況ですし、そういう中で先ほどの東京都の十八歳未満のぜんそく患者がふえている。その間にダニとかそのほかの要因がうんとふえたというようなデータがあるわけではなくて、むしろ大気汚染がひどくなっている。それはもうはっきりしているわけですから、時代がどんどん進んでいて、そしてDEPの問題だって最近になってこういうふうに研究が進んできているわけですから、本当国民の健康を守るという立場できちんと環境庁としてやってもらいたいと思うのですね。  公健法の改悪のときに私もかかわりましたけれども、企業がトータルで一千億円のお金を出すというようなことで、もうたまらないというようなそんな背景もあって、公健法の指定地域の解除というようなことがされたという背景もあります。そのお金を出すのがたまらないのだったら、そうでない方法ですね、汚染を減らしていくということにもっと方向を向けていくのが本当だと思います。そういう点で、環境庁としてそういう方向に向けていく役割というのがとても大事だと思います。この点について長官のお考えをちょっと伺っておきたいというふうに思います。
  238. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 ただいまお話がありましたように、大気汚染の防止というのは国民の健康にかかわる重大な課題というふうに認識しております。  私としましては、大気汚染による健康影響の生じないように、今後とも自動車排出ガス規制の強化、低公害車の普及促進、また、自動車のNOx法の効果的な実施に特に力を入れるほか、工場に対する規制も行う等によりまして、大気汚染防止対策の推進に全力を尽くしてまいりたいと思っております。  また、今お話がありましたように確かに、車等の移動発生源が原因の汚染が七割というお話がございましたけれども、近時のこの都市型あるいは生活環境問題、産業のみならず私たち国民一人一人の日常生活から広くその原因が生じている。時には私たちが被害者になり、あるいは同時に加害者になる。車を運転することもあれば、あるいはその被害を受けることもある。そんな意味もありまして、こうした環境問題解決のためには、本当に各層各主体、国民の皆様、そしてまた事業者、そしてまた地方公共団体、あるいは国が本当に力を合わせて取り組まなければ本当の解決はできないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、環境庁として、先ほど申し上げましたような施策の推進に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  239. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 最後に、先ほど同僚議員から質疑がされましたけれども、青森県の八戸製錬所の鉱滓問題について一言伺いたいと思います。  八戸製錬は、これまで鉱滓を百三十五万トンも出していながら自社の処分場を持たないという異例の企業です。とてもお行儀が悪いという感じがするのですけれども、これでは到底事業者の企業責任を果たしているとは言えないと思います。それぞれ皆さん、ちゃんと企業として自社の処分場を持ちながらやっている。外注する場合もあっても、全く自分がやらないというところは珍しいわけです。  いずれにしても、先ほど、リサイクルのガイドラインづくりがされるということですけれども、こうした鉱滓問題がこれから全国的にも大きな問題になっていくということで、ぜひリサイクルの国のガイドラインを早くつくって、きちっとしていただきたいというふうに思います。  個別問題について、八戸の製錬所の問題で一つだけ確認をしておきたいのですけれども、六戸町金矢というところで八戸製錬が無届けで鉱滓堆積場を持っているわけですね。無届けで捨てたということですね。十二万トンそれがあるのです。直ちにこれを撤去をするよう、県当局とか八戸製錬を指導する必要があるというふうに思います。  聞くところによると、鋼矢板を打ち込んで排水路をつけた。そういうことでこのまま行ってしまうと、永久にそこに保管をするというか、そこに居座ってしまうというような危険もあるような気がしますので、ぜひそういうことがないように指導していただきたいというふうに思います。  厚生省にも来ていただいておりますので、厚生省、環境庁それぞれ御答弁いただきたいと思います。
  240. 飯島孝

    ○飯島説明員 御説明いたします。  先生指摘の金矢の堆積場の鉱滓につきましては、廃棄物として見るか、あるいは有価物として見るかどうか議論のあるところでございます。特に、この鉱滓が今後においても有価物として販売、利用できるかにつきましては、さらに検討する必要があると考えられますので、排出事業者の今後の鉱滓の販売計画などをよく県に審査してもらって、有価物としての扱いが適当かどうか判断する必要があると思います。  仮に廃棄物であると判断される場合には、廃棄物処理法に基づきまして適正な保管、安全な処理、処分、これが行われる必要がございます。その旨、県を指導してまいる予定でございます。また、廃棄物ではなくて有価物と判断される場合でも、必要に応じまして関係部局と連携して、環境保全に支障が生じないよう対応するよう、環境庁とも連絡をとりつつ青森県を指導してまいりたいと思います。
  241. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 環境庁から答弁をもらう前にちょっと。余りにもひどいものだから。  先ほど同僚議員からも指摘があったと思いますけれども、八戸製錬は売れないから、もうただであちこちに、校庭なんかに持っていって、そこを処分場みたいにしたことからこの事件が発しているわけですね。大体、販売先なんというのは求められるはずもないものだというふうに思います。そういう点で、厚生省のそういう、企業の肩を持って、いつまでもそこにいらっしゃいみたいな考え方というのは本当におかしいと思うのですね。大体期限も切らないわけでしょう。有価物として、何十年先になるかわからないけれども、販売いたします、いたしますと言っている間置けるということになるわけですから、とんでもないことだと思います。そのことを、答えをもらうと時間が長くなるかもしれないので、申し上げて、ちょっと環境庁考え方を伺いたいと思います。
  242. 野中和雄

    ○野中政府委員 御指摘の六戸町の金矢堆積場に堆積されました鉱滓でございますが、これにより周辺の公共用水域あるいは地下水等の汚染が生じないように適切に処理することは、先生指摘のとおり極めて重要なことであるというふうに私ども考えているわけでございます。  青森県におきましては、こういう観点から事業者に対する指導が行われておりまして、現在、汚染防止対策も講じられているわけでございまして、また同時に、県によります継続的な環境モニタリングというものも実施をしているところでございます。  したがいまして、環境庁といたしましては、こうした対策が確実に実施されますように、その実施状況を見守りながら、青森県に対しまして必要な指導あるいは助言といったようなものを行ってまいりたいというふうに考えております。
  243. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この十二万トン、もう置いたら置き得みたいな、捨てたら捨て得みたいな、そんなことにならないように、環境庁それから厚生省、相談をしていただいて、ぜひしっかりと対応していただくことをくれぐれも要望しまして、質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  244. 奥田幹生

    奥田委員長 次に、内閣提出絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。浜四津環境庁長官。     —————————————  絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関   する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  245. 浜四津敏子

    浜四津国務大臣 ただいま議題となりました絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  野生動植物は、人類生存基盤である生態系を構成する基本的な要素であるとともに、人間生活にさまざまな恵みをもたらすものであり、絶滅のおそれのある種の保存は喫緊の課題であります。  このため、政府においては、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づき、国内生息する国内希少野生動植物種について、捕獲及び譲り渡し等を規制するとともに、生息地保護等を図り、また、国際的に協力して保護を図るべき国際希少野生動植物種について、輸出入及び譲り渡し等を規制してきたところであります。  現行法による譲り渡し等の規制の対象は、希少野生動植物種の生きている個体及び個体全体の標本またははく製でありますが、これらの種を取り巻く状況にかんがみ、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引の適正化を図り、これらの種の保存に万全を期するためには、個体の一部分やそれらの加工品にまで規制の対象を拡大することが課題であります。なお、この旨は、現行法の御審議の際にも、検討すべきとの附帯決議をいただいたところであります。  本法律案は、こうした状況を踏まえ、希少野生動植物種の個体の特定の器官及びその加工品の流通を適正化するための所要の規定を整備し、これらの種の保存の一層の推進を図ろうとするものであります。  次に、法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。  第一に、絶滅のおそれのある野生動植物の譲り渡し等に係る規制の対象を、希少野生動植物種の個体に加え、その器官及びこれらの加工品に拡大いたします。これに伴い、現行法における個体の所有者の義務、譲り渡し等の禁止、輸出入の禁止、陳列の禁止等の規定を、希少野生動植物種の器官及び加工品に対しても適用することといたします。  第二に、これらの器官及び加工品のうち、人工繁殖させたもの等適法に入手されたものについては、個体の場合と同様、登録を受けて譲り渡し等ができることとし、本邦内で原材料として使用されているものについては、一括して事前登録の手続によることができることといたします。  第三に、原材料として使用されている器官等については、その譲り渡し等を伴う業務を行う事業者に対して、届け出及び記帳を義務づけるとともに、事業者がこれを分割した場合には、管理票を付して譲り渡し等をすることができることといたします。  第四に、このような適正な経路を経て製造された製品については、適正に入手された原材料に係るものである旨の認定を行うとともに、これを証する標章を発行する制度を設けることといたします。  なお、この法律案につきましては、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  246. 奥田幹生

    奥田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る七日火曜日午後三時十分理事会、午後三時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十一分散会      ————◇—————