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1994-02-15 第129回国会 衆議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年二月十五日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員   委員長 奥田 幹生君    理事 柿澤 弘治君 理事 福永 信彦君    理事 谷津 義男君 理事 岡崎トミ子君    理事 笹山 登生君 理事 小泉 晨一君    理事 大野由利子君       野田 聖子君    萩山 教嚴君       橋本龍太郎君    林  幹雄君       細田 博之君    持永 和見君       金田 誠一君    田中 昭一君       前田 武志君    松沢 成文君       田中  甲君    高見 裕一君       田端 正広君    竹内  譲君       北橋 健治君    岩佐 恵美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 広中和歌子君  出席政府委員         環境政務次官  山元  勉君         環境庁長官官房         長       大西 孝夫君         環境庁企画調整         局長      森  仁美君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野村  瞭君         環境庁自然保護         局長      奥村 明雄君         環境庁水質保全         局長      野中 和雄君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局食品化学課長 山本  章君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   浜田 康敬君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  飯島  孝君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課浄化槽         対策室長    樋口 正昇君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      吉村 正機君         建設省河川局河         川計画課長   尾田 栄章君         参  考  人         (大阪大学工学         部教授)    村岡 浩爾君         参  考  人         (財団法人淡海         環境保全事業財         団副理事長)  花房 義彰君         環境委員会調査         室長      西川 義昌君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十五日  辞任         補欠選任   渡辺美智雄君     萩山 教厳君   宇佐美 登君     田中  甲君 同日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     渡辺美智雄君   田中  甲君     宇佐美 登君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定水道利水障害防止のための水道水源水域  の水質保全に関する特別措置法案内閣提出、  第百二十八回国会閣法第二〇号)      ――――◇―――――
  2. 奥田幹生

    奥田委員長 これより会議を開きます。  第百二十八回国会内閣提出特定水道利水障害防止のための水道水源水域水質保全に関する特別措置法案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案につきましては、前国会において既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 奥田幹生

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――  特定水道利水障害防止のための水道水源水域水質保全に関する特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  4. 奥田幹生

    奥田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子君。
  5. 野田聖子

    野田(聖)委員 おはようございます。野田聖子でございます。  まず初めに、環境庁提出特定水道利水障害防止のための水道水源水域水質保全に関する特別措置法案中身について、長官より簡単な御説明をお願いいたします。実は委員皆様方には既に御説明がありましたし、いわゆるポイントというか、なぜこの新法をつくらなければならないのかという観点からの御説明を賜りたいと思います。
  6. 広中和歌子

    広中国務大臣 なるべく自分言葉で、理解した形でお答えできればと思っております。  国民に安全でおいしい水をという声は高まってきておりまして、水道の水にカビ臭があるだけではなくて、有毒とされるトリハロメタンが検出された、そういうことで非常に問題意識が高まってきたわけでございます。こうしたトリハロメタンのようなものは単に浄水場でオゾンや活性炭を使った高度処理だけでは不十分である、水道水源への総合対策が必要である、そういう認識の中で、もちろん環境庁といたしましては、水質汚濁防止法に基づいて排水基準強化する等のこともいたしますと同時に、中央環境審議会に諮りまして答申を得て今回の法案としたわけでございます。  中身は主としてトリハロメタン対策になるわけでございますけれどもトリハロメタンの発生というのは、ちょっと説明させていただきますと、フミン等の有機物、これそのものは害ではない、有害ではないわけでございますが、浄水場で消毒のために塩素を加えますと、そこでトリハロメタンが発生し、これが有害であるということでございますので、総合的に水質をよくする、そういうことが必要なわけでございます。それで、この法案の中では、公共用水域を指定いたしまして、必要な水質保全目標を定め、それに資する事業場工場等規制措置を総合的に行う、そういう法案でございます。  そして一方、厚生省事業促進法もこの特別措置法の中に位置づけられ、一体となった行政を行うことによりまして国民に安全でかつおいしい水を供給できるようになるのではないか、それがこの法案趣旨でございます。
  7. 野田聖子

    野田(聖)委員 最初にお断りしておきたいのですけれども、この法律案名前がいかにも長いので、これからは特別措置法案ということで省略させていただきたいと思います。  今の特別措置法案長官の御説明によりますと、トリハロメタン対策がやはり主たる目的で、もっと国民にわかりやすく言うならば、安全でおいしい水を供給しなければいけないという目的でつくられているということをおっしゃっていると思うのですが、間違いありませんか。
  8. 広中和歌子

    広中国務大臣 そのとおりでございます。
  9. 野田聖子

    野田(聖)委員 そこで、これに関して、よく似た法案厚生省より提出されております。これは水道原水水質保全事業実施促進に関する法律案ということなんですけれども、それについて、両法案の間に似ているポイントがあれば申していただきたいですし、法案が一本化できなかった相違点というのが多分あると思うのですが、それについて厚生省の方より御説明いただきたいと思います。
  10. 野中和雄

    野中政府委員 特別措置法案事業促進法案相違点ということでございますが、環境庁特別措置法案は、国民の健康を保護いたしますために、水質汚濁防止法あるいは湖沼水質保全特別措置法等の従来の法制度では対応できないいわゆるトリハロメタン等対象といたしまして、そのトリハロメタン等物質によります水道利水障害防止対策を総合的、計画的に講ずべき公共用水域及び地域につきまして新たに水質保全計画を策定いたしまして、その指定水域において必要な水質保全目標を設定することによりまして、水質保全に資します各種の事業あるいは工場事業場に対する規制措置といったものを総合的かつ計画的に講ずるといったような仕組みになっているものでございます。  一方、これに対しまして厚生省事業促進法案は、安全かつ良質な水道水供給を確保いたしますために、トリハロメタン対策に限らず、異臭味合成洗剤等の問題も対象といたしまして、水道事業者費用負担等の具体的な促進措置によりまして、主として生活排水原因となっている場合に有効な下水道あるいは農業集落排水施設合併処理浄化槽といったような事業実施促進する仕組みというふうに考えているわけでございまして、これらの二つ法案目的対象対策仕組みというのがそれぞれ異なっているわけでございます。
  11. 奥田幹生

    奥田委員長 厚生省から特に今の局長答弁に対してつけ加えていただくことがあるかどうか、あれば。
  12. 浜田康敬

    浜田説明員 ただいま環境庁の方から御説明があったとおりでございますけれども厚生省提案事業促進法案につきましては、一昨年水道水に関します水質基準を大幅に強化いたしました。その関係で、水道原水水質汚濁によりまして、水道事業者努力のみではなかなかその水質基準が将来にわたって確保できないというような場合に、トリハロメタンのみならずさまざまな項目に関しまして水道原水水質保全を図っていく必要がある場合に、水道事業者の要請に基づきまして、極めて具体的な事業実施促進のために、水道取水口の上流の比較的近い地域で、生活排水処理のための事業でありますとかあるいは河川浄化事業でありますとか、こういったものを促進するための事業実施促進法でございます。  したがいまして、環境庁法案に比べまして対象項目、これは先ほど環境庁の方からもお話がありましたように、対象項目の範囲が非常に広うございますので、具体的に適用される地域につきましてもかなり多くなるであろうというような関係でございます。  また、事業の具体的な実施を主眼としたものでございますので、その計画内容も、実施地域でありますとか、実施期間でありますとか、あるいは費用といったようなものも個別に決めることになっておりまして、環境庁提案特別措置法案とは対象、手段などいろいろな意味相違点がございますので、別々の法律案として取りまとめることが適当であろうというふうに政府全体といたしまして判断がなされたものでございます。  ただ、トリハロメタン対策という意味では、一部地域で両方の法律が適用されていくということがございますので、そうした場合の所要の連携規定を定めておりまして、環境庁と密接に連携をとりながら一体的な運用に努めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  13. 野田聖子

    野田(聖)委員 御説明ありがとうございました。  今の厚生省の御説明によりますと、トリハロメタンに関しては一致する部分があるのだけれども、ほかの異臭味とかカビ臭とか合成洗剤厚生省が受け持つのだというふうに聞こえたのです。  実はここで非常に気になっているのは、先般来トリハロメタントリハロメタンという話が出てくるのですが、実際に私どもには資料が、現実に今この日本の国でどういう地域で、どれだけのトリハロメタンが検出されて、どういうふうに問題になっているかという資料をいただいていないということと、異臭味合成洗剤云々とおっしゃつてもどの程度の割合の被害状況なのか、そういうこともよくわからない。要するに、材料をまだ与えられていない状態トリハロメタンという言葉だけが先走っているような気がしてならないのです。これは、実は環境庁に問い合わせたところ、トリハロメタン等々の検査というのは厚生省が今までずっとおやりになっていたということを聞いております。  そこで厚生省の方に、現在の日本の、今おっしゃったいろいろな問題についてどの程度そういう被害状況とかがあるのか、またはきちんと国民皆さん公表していただけるのかどうか、お尋ねしたいと思います。  つまり、この質問をつくっていまして感じるのは、両法案とも名前が非常に長ったらしいし、中身もこの法案名前を読んでいるだけでは国民にとって非常に縁遠いような気がするのですけれども、基本的にはこの二つというのは、安全でおいしい水を国民に差し出す、守るという国民一人一人にとって大変大切な問題だと思うのですね。それに関して今の状況がわかってないというのは非常に危険だと思うので、一度ちょっと御説明いただきたいと思います。
  14. 浜田康敬

    浜田説明員 ただいまお尋ね水道水の現在の状況、特に今回法律案提案させていただきますもととなりましたトリハロメタン状況でありますとか、あるいは異臭味状況でありますとか、陰イオン界面活性剤状況、これらにつきましては、できるだけ私ども先生方の方にも御説明するように努力しております。  ただ、特にその中でトリハロメタンに関しましては、実は一昨年の水質基準で初めて基準になった項目でございますし、それから御案内のとおりトリハロメタン発がん性のおそれがあるという物質でございます。そういう中で 過去のデータをできるだけ水道事業者つまり市町村水道事業を行っておりますけれども、こうしたところに提供求めまして私ども検討材料にしてきたわけでございますし、個々具体名前は伏せながらもできるだけ環境庁にもそうしたデータ提供に努めてきたところでございますが、これは基本的には水道事業者から任意に提供していただいたデータということもございますので、本来、個々名前公表といった点につきましては、水道事業者が本来的にその取り扱いを決めていただくべき、つまり市町村ごとにこのデータをどうしていくのかということを決めていただくべき性格のものでございます。  ただ、こうした法律、今御提案申し上げております法律が早期に御可決いただけますようにという意味では、できるだけこのデータ公表についても、我々も努力していかなければならないのではないかという観点から、現在、水道事業者にも御相談を申し上げているところでございまして、お求めがありますれば、できるだけわかりやすいデータ提供というものに努めていくべく努力をしているところでございます。
  15. 野田聖子

    野田(聖)委員 結論からいいまして、そのデータ公表というのは近々行われるのでしょうか。これは恐らく厚生大臣が御判断されると思います。  実は、こういう発がん性云々というデータ公表というのは非常に国民混乱を起こす、そういう配慮があると思うのですが、この法律案ができた今までの流れを見ますと、やはり国民一人一人が水に対して、いい水を得るためには自分たち環境に関して積極的に取り組んでいかなければいけないし、例えば生活雑排水もそのトリハロメタン原因一つになるとするならば、やはりそういう意味ではお互いさまということで国民にもある程度危機感を持っていただかなければいけないのではないかということを感じているのですが、いかがでしょうか。
  16. 浜田康敬

    浜田説明員 先生がおっしゃるように確かに、利用者である国民方々が今飲んでいる水がどういう状況にあるのかということを御存じいただきまして、こうした対策にも積極的に御協力いただくということは大変重要なことだろうと私ども思っておりますが、何しろ毎日毎日飲んでいただいている水でございますので、それが単にこういう状態であるというだけを公表するというのはかえって混乱のもとになるかもしれないということもございますので、具体的なトリハロメタン対策が各事業体ごとにどういうふうにできるだろうかということを、もう少し具体的な方向づけが明確になり、あるいは今御提案申し上げております事業促進法等に基づきます対策が具体的に講じられるような観点から整理をいたしまして、そうした中で、先ほど申し上げましたように、水道事業者方々相談の上、できるだけ早い時期に公表していくという方向を考えているところでございます。
  17. 野田聖子

    野田(聖)委員 私は岐阜に住んでいまして、大変安全でおいしい水をいただいているのだと思うのです。東京に来ますと、やはり水道の水というのはかなり塩素で消毒されているのかどうか、においはきついし、おふろなんかに入ると肌が乾燥したりして、かなり地域によって水道の質が違うなということは、国会議員になって初めてみずからの体験をもって実感しているところなのですけれども、一般的に、トリハロメタンが出始めたよということでは、日本も狭いようで広いわけですから、やはりそれぞれの地域人たち考え方もあるだろうし、取り組み方もあろうと思うのですね。ただ漠然と、出る出るということだけでは具体的な考え方というのは進んでこないのじゃないかなという気がしてなりません。  もう一つカビ臭とか合成洗剤に関してはどの程度被害状況か、ちょっと参考までにお知らせください。
  18. 浜田康敬

    浜田説明員 お尋ねの、まずカビ臭を主原因といたしました異臭味の問題、これが水道水水質問題としては最近社会的に重要な問題になってきておりまして、平成三年度の状況では、全国で約二千万人の方がこうした異臭味水道水中に嫌な味やにおいを感じているという訴えがあるという報告がございまして、これの事業体数つまり何カ所の水道事業にわたっているかということでございますが、五十二事業体でございまして、主には近畿圏、特に淀川流域から取水をしております水道事業体、あるいは水道水卸売事業をやっております水道用水供給事業体、こうしたところの水を利用されている方々からの苦情、あるいは関東圏では江戸川、利根川の下流域の水を利用している方々からの苦情が大変多くなっておるところでございます。これらにつきましては、特に健康に直ちに問題があるということでもございませんので、個々の場所につきましてお尋ねがありましたら、公表というか、データは明らかにしておりますので、御提供申し上げたいと思っております。  また、もう一点の陰イオン界面活性剤についてでございますが、この水道水中基準は、一昨年の水質基準の改定の際強化をいたしました。つまり厳しくいたしました。水道水を利用する上で泡立ちが起こらないようにという観点から基準強化したものでございますけれども、そうした結果、私ども把握しておりますのでは、平成三年度、ちょっと古いデータでございますけれども一十四カ所の水道で新しい、つまり平成四年の十二月に改定いたしました基準値を超える状況のものがございます。これにつきましても、生活利用上の観点データでございますので、お求めがありますればいつでもデータを御提供申し上げたいというふうに思っております。  以上でございます。
  19. 野田聖子

    野田(聖)委員 実は、何でこの質問をしたかというと、二千万人のカビ臭問題の云々というのを聞くと、わあすごいな、全国規模だなというイメージが伴うのですけれども、実際に私がお聞きしたところによると、そのうちの九割以上が今おっしゃった一部の地域に限られている。これは全国の問題ではないということなのですね。大体六一%が関西で、三四%が関東である、そのうち関西の多くは琵琶湖周辺に集中している。つまり、二千万人という数字を聞くといかにも全国津々浦々でそういう問題が起こっているような気がするのですが、実際のところはかなりスポットが限られているということになると思います。ですから、私が申し上げたいのは、この水道原水厚生省法案にこういう異臭味とか合成洗剤もやるからちょっと違うのだよという言い方は少し当てはまらないのではないかなということを感じているわけなのです。むしろトリハロ対策に主を置いて、環境庁との違いを出すためにこういうのをあえてつけ加えていらっしゃるのではないかなということを感じているわけなのです。  それで、実はこんなに私がくどく思うのは、まず一枚の新聞のコラムからだったのですね。これは、一九九四年二月六日の朝日新聞に出ていた「国民不在の役所の”水争い”」、こういう非常にセンセーショナルなというか、皆さんにとっては非常に不愉快なタイトルでこの水に関する二つ法案のすったもんだがおもしろおかしく批判的に書かれていて、環境委員会の一人である私も非常に残念に思いましたし、また、今の国の政治を思ったときに、こういうことを突っ込まれるのは非常に残念だなと感じているわけなのです。  そこで、この環境庁特別措置法案、そして厚生省事業促進法案、これはずっと対立関係にあったということが新聞で報道されております。実は環境庁の方からこの数年にわたるもめごとをまとめていただいた資料も、新聞資料をいただいているのですけれども、結局、その対立関係の結果、官邸指示、これも非常にあいまいな、私にとってはちょっと理解しがたい言葉なのですけれども官邸指示によって前代未聞の二法案提出という結論になっているわけなのですが、その問題を生じた背景について、それぞれ御説明なり御弁解なり言いわけなり言っていただければありがたいと思います。
  20. 野中和雄

    野中政府委員 この水道水源の問題につきましては、私ども環境庁といたしましても、国民生活にとりまして大変重要な問題ということでございまして、これに積極的に取り組んでいきたいというふうに従来から考えていたわけでございます。  私どもは、水質保全行政は従来からいろいろな利水目的がございますけれども水道利用というのは一番重要な目的一つでもございまして、従来から水質汚濁防止法とか湖沼水質保全特別措置法とか、いろいろな法律があるわけでございます。それらの関連もにらみながら、どういう点が足りないのかというようなことを総合的に見直していかなければいけないというようなことで、私ども昨年の秋以来、中央公害対策審議会、その後環境審議会というふうに名前は変わったわけでございますけれども、そういうところに、水道問題全般につきまして総点検といいますか、見直しといいますか、そういうことで諮問をいたしまして、各般の議論、各界の御議論をいただいてきたわけでございます。  それに基づきまして、答申を受けまして法案をつくるということになったわけでございまして、その段階で厚生省さんとしては既に法案検討も進んでおりましたので、政府部内でどういう法案にすべきかというようなことにつきましては、いろいろな議論をその際にしたわけでございます。結論的にそれぞれの法案を詰めてまいりますと、先ほど来御説明を申し上げておりますように、対象なり仕組みなり、私どもの方は従来の水質汚濁防止法等規制の中で、法律の中で対応できないものということでトリハロメタン問題、トリハロメタンに限りませんけれども、いわゆる浄水場におい塩素注入に伴いまして生じます物質の問題というのが従来の法律の体系ではとらえられない問題ということでございましたので、その点について法律をつくるということにしたわけでございまして、そういうことに伴いまして厚生省とも話し合いをし、調整したわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、対象なり仕組みというのは違いがあったわけでございまして、そういうことであれば、これをあえて一本の法律にしないで二本の法律でいいのではないかということで政府部内で調整をいたしまして、別々の法案ということで御提案を申し上げているところでございます。
  21. 浜田康敬

    浜田説明員 ただいま環境庁の方からもお話があったとおりでございますが、この両法案提案させていただくに至りました経緯のもともとは、厚生省が先ほど申し上げましたように、水道水水質基準を改定いたしまして、これを将来にわたって十分なものとしていくためには水道原水の方の水質保全対策が不可欠であろうということを厚生省が申し上げるに当たりまして、私どもの中に設けられました有識者懇談会からさまざまな観点から御意見を賜ったものをベースに各省との議論を開始したわけでございます。  有識者懇談会の御提言の内容は主に大きな二つの柱がございまして、一つは、さまざまな規制的な措置つまり工場事業場排水を中心といたしました排水に対する規制的措置充実強化という点、それからもう一つの柱が、生活雑排水等によってだんだん汚れてきている水道原水をきれいにするためには、上流域で事業を集中的に、下水道の整備でありますとか合併処理浄化槽の整備といったような事業を集中的に推進する必要がある、こういう仕組みを設ける必要があるというような御提言でございました。  前者につきましては、これは既に各種の法律を持っておられる各省庁がございました。環境庁では水質汚濁防止法を所管しておられますし、それから農薬に関しましては農水省、環境庁で農薬取締法というのを所管しておられます。そうした中でこれから施策の充実強化をしていけば、既存の制度で十分に厚生省が言っている心配、懸念は払拭されるのではないかというような結論になったわけでございます。  そうした中で残ってまいりました制度として必要なのは、水道水源の上流域で各種事業を集中的、計画的に進める仕組み、もう一つ環境庁提案トリハロメタンに関しての規制的措置を中心にした法制度、こうしたものが政府としてはやはり制度が欠けているだろうというような判断に立ちまして、今回の二法案の提出に至ったわけでございますが、その過程でかなり激しい議論も交わしたことは事実でございまして、結果といたしましては、法案が提出できるようになったという過程として必要な議論であったかなというふうに思っておりまして、その間先生方を含めいろいろ御心配をかけた点もあったかと思いますが、その点、十分御理解を賜れればと思っている次第でございます。  それから、先ほどちょっとございました異臭味被害の点で、一部水域に限られているのではないかということでございますが、確かに影響人口の点につきましては、先生おっしゃるとおり、かなりの部分が淀川あるいは利根川流域でございますが、箇所から見ますと、北は北海道から南は鹿児島に至りますまで、いろいろなところで異臭味によります水道の被害が生じてきております。小さな水道とはいえ、そこで異臭味が発生しますと利用者に多大な迷惑をかけるという意味では同じでございますので、決して一部水域の問題であるというふうに私ども考えているわけではございませんで、その点もあわせて御理解を賜れればと思います。
  22. 野田聖子

    野田(聖)委員 この水にかかわる法案についての二つの役所のやりとりというのは大変膨大に新聞で報道されてきておりまして、きょうは大変紳士的にお二方とも御答弁があったのですけれども、これは国民の人が読みますと、本当にけんかばかりしている、それでどちらかというと環境庁が悪い。要するに、厚生省水道をよくしたいという気持ちが高じてこういう総合的な法律をつくろうと思ったところ、それは環境庁の所管なんだから勝手にやるなみたいな そういう解釈を一般的になされていると思うのですね。  なぜならば、私がここで思うのは、厚生省にしても環境庁にしても、水という、自然環境が生み出した国民にとっての宝ですけれども、それに対しての責任というか、自分たちで管理したいというか、どちらも、環境庁にしても厚生省にしても、自分たちが全部面倒を見たいという、そういう意識が非常に出ていて、最終的にはお互い痛み分けみたいな感じで官邸指示で決まってしまったのじゃないかなという、ちょっと残念な気もするわけですよ。なぜならば、一九九三年の二月には、厚生省が打ち出した最初の原案というか水道水源保全法案に関する計画というのは、非常に水の一元化ということを考えた上で、今おっしゃったことよりももっと上流域からずっといろいろなことについて規制していこう、それに関して事業をしていこうという、具体的に申し上げると、「取水地点の上流域を規制区域とし、工場排水規制、農薬使用の届け出、上流域の開発制限、合併処理浄化槽の設置など、汚染対策は盛りだくさんだった。」ところが、議論をしていくうちに、これは環境庁だけでないんですけれども、農水省とか建設省とか林野庁とか、いろいろな人がいろいろなことをおっしゃって、結局は、最終的にとれるものだけとろう、事業促進だけは守れるのじゃないかという形ができ上がってきた。そこで環境庁は、突然事業促進法が出てきそうなんで慌ててこの措置法案をつくった。なぜならば、二年前には環境庁お話では、水に関して二年ぐらいじっくり調査したい、それから総合的な判断をしたいという御返事があったわけですから、今回の法律案、二本立てになったいきさつというのは非常に不自然であるし、これでは、私も納得してないのですけれども国民が余り納得しないのじゃないかな。結局、そこまで議論議論を重ねて、ここまで来たんだったら、なぜ一本化できなかつたか。最終的にここまで詰めていらっしゃるんだったら、なぜ一本化までもう少し努力をしてつくってくださらなかったのかというのが非常に私は残念でならないわけです。  ここで、実は最後にお尋ねしようと思ったのですけれども長官がちょっと先に御退出されるということなんで、ここでさきの臨時国会で定められた環境基本法の意義について問い直したいと思うのです。  環境基本法というのは、全会一致で採択されて法律としての発効を見たことに伴い、環境庁は従来の公害処理型役所体質から、立場からそれを脱して、もっと大きな意味で、地球環境保全にかかわる国のリーダーたる使命、任務を果たすことを認知または要請される立場に立たされたと私は理解しているのです。つまり、今まで環境庁というのは、いろいろ公害、工場なんかで出てきた排水で悪いものがあったら、そこでそれをだめだと言う、それだけの立場であったのだけれども、これからは前倒しというか、環境というのは悪くなつてから直そうといったってそうはいかない、やはり悪くなる前にそれぞれ規制をかけて、国民に理解してもらって総合的に、例えば水道にしたって、水道の蛇口から出るのは水道水かもしれないけれども、それのもとというのは川の水なんだから、そういう一元的な流れを大切にしようじゃないか、そしてそれは、これからは国策の一つとして国が、日本が世界に先駆けて環境立国としてやっていこうじゃないかというのが環境基本法の意味だと理解しています。これから環境庁というのはリーディング役所ということでますます、厚生省の人には申しわけないけれども、事地球環境に関する問題というのは環境庁がイニシアチブをとつて、それにでき上がった事業計画とか規制に関してそれぞれの省庁がその役割分担をしていただく、そういうような切りかえというのか、それをしていただけるものだと解釈していたのですけれども、これに対して長官のお考えというか、今回、水という環境物質にかかわる問題に対して非常にどたばたしてしまったということにかんがみて、どういうふうにこれから取り組んでいっていただけるのか、お考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  23. 広中和歌子

    広中国務大臣 今野田議員の環境行政に対するお考え、大変傾聴に値するものとして伺っていたわけでございます。  御指摘のように、環境基本法ができましてからは、本当に環境庁としては各種環境保全施策の有機的、総合的推進、そういうことで努力してまいりたいと思っているところでございます。  ただ、このたびの二つ法案についてでございますけれども、ただいまも厚生省浜田道整備課長がるる御説明もし、私ども野中水質保全局長もこの二つ法案になったいきさつ、そしてまた目的とか対象とか対策仕組みの違いなども説明いたしましたように、このように二つ法案となったわけでございます。これは、基本方針の調和規定とか両法案計画を一体的に作成することができる旨の規定等を置くことによりまして一体的にできるようになっておりますし、また、事務の煩項を避けるという行政改革の趣旨をも十分踏まえたものであるということ、そういうことでこのような形になったわけでございます。  トリハロメタン対策、非常に急がれる中にありまして、ともかくさきの臨時国会でまず法案の提出が行われたということ、そして、一日も早くこの法案を通していただきまして、皆様方によりおいしい、より安全な水を提供できることになることを私どもとしては希望しているところでございます。
  24. 野田聖子

    野田(聖)委員 できることならば、長官にはもうちょっと力強く、これからの日本の国は環境庁が背負うぐらいの気持ちで取り組んでいただきたいなと思います。  でも、実際、現在の環境庁のボディーというか庁自体の大きさとか予算を見ていますと、まだまだ、壮大な環境基本法、これは世界に先駆けて日本でつくられたということを非常に自慢されておられましたけれども、ことわざじゃないですけれども、仏つくって魂入れずにならないように、やはりこれからはスタッフの充実とか予算に対しても、今の総理は細川さんですから、先ほどうなるかわかりませんけれども、国策で決めた以上はそういうことをきちんとやっていただかなければいけないと思います。  あと一つひっかかったことは、行政改革という話があったんですけれども、今回は水で済みました。水で済みましたというか、まあ水でも大変大きな問題で、これからいろいろ環境にかかわる、空気とか土とかいろいろあるわけですね。さまざまなものがすべてが環境と一緒だと認知してもいいと思うのです。そうなりますと、今後そういうものができたときに、必ず今まで担当していた役所と環境庁が二本立てのこういうような形でつくられていくんじゃないかという懸念があります。なぜならば、役所というのは前例が好きですから、前例さえつくっていれば、次のそういうおかしなものができたとしても、過去にそういうことがあるということを口実に今までそうやって逃げてきた部分がある。そういうことで、行政改革というのはむしろ一体化していくことであって分散させることではないと思うのです。  これはまた、地方の水道事業者にしてみると、私も県会議員の経験があるのでわかるのですけれども、やはり中央の役所の縦割り行政というのは決していいものではないわけなんですね。何か一つのものに関しては集中的に、例えば今まで問題になったのは下水道だと思うのです。下水道だと建設省と厚生省と農林省がそれぞれにいろいろな事業をやっていたりして、結局、来るんですけれども、それがなかなか一体化できないので、統制とれる地方行政、地方の運営ができないという問題もありました。これはまさにそれをお認めになる、今後そういうことを、タコ足のように法律ができてもいいという前例になってしまうんじゃないかというおそれがあるんですが、それについて、今の行政改革を進めていこう、縦割り行政をやめようというそういう国の動き、また政治家の動きの中で、これに関しては逆行しているというふうにお考えになりませんか。
  25. 広中和歌子

    広中国務大臣 この法案に関しましては、私は、二つ法案という形はとりましたけれども、一本化して運用されるわけでございますので、これはよかったことだと私どもも認めておりますし、またそのような評価をしていただきたい、そのようにお願いしたいところでございます。  ただ、これからのさまざまな環境行政についてでございますけれども環境の仕事というのは他省庁にも広くまたがるところでございますので、関係省庁と本当によく話し合いをしながら、総合的な取り組みができれば大変よろしい、そういうことで頑張ってまいりたいと思います。  このたびの予算にいたしましても、また人数でも、大変配慮はしていただいたわけでございますけれども、まだまだ環境庁の力は小さいということは私どもも感じておりまして、そういう中で諸先生方の党派を超えての応援をお願いしたいところでございます。  どうもありがとうございました。
  26. 野田聖子

    野田(聖)委員 そこで、力の強い厚生省お尋ねしたいのですけれども、この環境基本法についての御感想を。
  27. 浜田康敬

    浜田説明員 突然のお尋ねでありますけれども、私、水道行政を担当している立場でございますのでそういう立場から申し上げますが、先生御指摘のとおり、環境庁におきましては、御努力なさって環境基本法をこのたび制定されました。これは環境庁のみならず政府全体の環境に対する取り組みの基本指針となるものというふうに理解しております。水道水を預かる我々の立場からいいましても、今回の法律のみならず総合的な法律が一体となって運用されまして、この環境基本法のもとでよりよい水道水源が確保されていくというような施策が展開されていくことを期待しているところでございます。
  28. 野田聖子

    野田(聖)委員 これから先々環境庁が中心となっていろいろな環境基本計画ができてくると思いますけれども、くれぐれも御理解の上、けんかのなきようよろしくお願いします。  そこで、具体的なことにちょっと触れたいと思うのですけれども、今、長官そして厚生省より、これは一体化できるということで大丈夫だというお墨つきがありましたけれども、逆にクロスしている部分、ダブっている部分についての調整というのは、なかなか今までのいろいろな縦割り行政云々の中で苦慮するところなんです。例えて挙げるとするならば、環境庁厚生省議論の中で、規制事業は、要するに特別措置法案というのはどちらかというと規制を主体にし、それで厚生省の方は事業促進するというようなわかりやすい区別があるのですけれども、ところが、環境庁の提出の措置法案の中にも水質保全のための事業という項目がきちんと記されているわけなんですが、この環境庁のやろうとしている事業厚生省のやろうとしている事業というのは具体的にどのような違いがあるんでしょうか。  実は、厚生省の方からは資料というか概要が出ていまして、かなり具体的に示されているんですね。例えば下水道の整備とかし尿処理施設、河川のしゅんせつ、家畜の堆肥の云々と非常に具体性があるのですが、一方環境庁の方は、事業とは書いてあるものの、これは第七条ですね、「水質保全計画に定められた事業は、当該事業に関する法律の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。」ということで、環境庁の方は事業に対しての具体性に欠けているような気がするのです。ということは、結局事業がどこでバッティングするのかということが今定かではないということで、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  29. 野中和雄

    野中政府委員 環境庁法案事業ということに触れておりますゆえんは、今回のトリハロメタンの問題に関しましては、これが排出者のところで出てまいりますもとのものは有害ではないものが浄水場に入ることによりまして有害な物質に変わるというような性格にかんがみまして、そのトリハロメタンの抑制につきましてすべてを排出者であります工場事業場に負担を負わせるというのは適当でないわけでございまして、私どもといたしましては、この対策といたしましては、浄水場における対策と、事業によります効果と、それから工場事業場に対する規制措置というようなものを均衡をとって実施をするというふうなことが必要であると考えているものでございます。  そこで、その事業とは何かということでございますが、五条の二項の四号に、下水道、し尿処理施設、浄化槽、それからしゅんせつその他というふうに、例示並びに列記をしてあるわけでございまして、私ども法案の方からいきますと、事業趣旨を特に限定せずに、このトリハロメタン等の除去に効果のあるような事業はすべて対象に考えて計画の中に盛り込んでいくというふうに考えているわけでございます。この水質保全計画の中で、事業規制等を含めます総合的な計画というのをつくりまして、そういう中でトリハロメタン等の除去に効果のある事業を位置づけて実施をしていくというふうになっているものでございます。  そういうものでございますけれども、結果的には恐らく厚生省案の方で考えている事業と種類はほとんど同じものではないかというふうに考えているわけでございます。そこで、両方に事業が出てくるのではないかというようなことだろうと思うわけでございますけれども、私どもは、指定地域という一定の地域をとらえまして、その地域において、先ほど申し上げましたように浄水場措置あるいは規制措置事業等でどういうふうに全体として効果を上げていくかということを見ているわけでございますので、厚生省さんの事業促進法案におきます事業というのは、この私ども特別措置法案との関係では、その指定地域という一定地域の中について定められます水質保全計画に掲げられた事業、その一部につきまして、先ほど御説明のように、水道事業者の方の負担をいただいて一定の地域実施をする、そういう位置づけになるのではないかというふうに考えているところでございます。
  30. 野田聖子

    野田(聖)委員 非常にわかりづらいというか難しいのですけれども、なぜかというと、特別措置法案の指定地域というのと事業促進法案事業の区域というのがございまして、今局長がおっしゃったように、環境庁の方は非常に広い、ところが事業促進法地域というのは、取水地点の上流十五から二十キロ以内に定められている。ですから、大きな円の中に小さな円が含まれていて、その小さな円というのは両方にかかっているということになるわけです。  もっとよくわからないなと感じるのは、この事業促進法事業の区域というのは十五から二十というキロメーターなんですけれども、なぜそういうふうに定めることができるのか。これは先ほどの話に返ってしまうのですけれどもトリハロメタン云々ということはまだ正確に公表されておりませんので、どの地域でどれだけという実態もわからない中でこの数だけが定められるというのは非常に不思議でなりません。つまり、川というのは、大きい川もあれば小さい川もあるし、汚い川もあればきれいな川もある。例えば、先ほどの利根川みたいな川と岐阜の長良川では全然川の水質というのは違うと思うのですが、それが十五から二十という数字できちんと定められることにとても疑問を感じてならないのです。  今、野中局長がおっしゃったこともわかったようでわからないのですけれども、結局のところは、同じような事業が発生したときに、どっちがイニシアチブをとるか、主導権をとるかということも明確になっていないような気がするので、再度厚生省の区域のことについての御説明と、主導権というかそういうことについての御判断をちょっと教えていただきたいと思います。
  31. 浜田康敬

    浜田説明員 厚生省事業促進法に基づきます事業実施される予定の区域についてのお尋ねでございます。  先ほど環境庁の方からも御説明ございましたが、厚生省事業促進法につきましては、かなり個別具体の事業計画を定めるものということになりますので、事業実施者側にもこれはかなりの、相当の責務がかかってまいります。つまり実施しなければならない責務がですね。  したがいまして、この事業促進法は、河川法でありますとか下水道法で個々にやられている部分につきましては、この地域での特別法的な位置づけにもなるわけでございますし、さらにはまた、こうした事業実施に対しまして、下流の、つまり要請をした水道事業者を含む対象水道事業者が負担の衡平という観点から上流の事業実施の一部に対しまして費用負担も行っていくというような、個別具体の事業者同士の調整が必要な法律でございます。したがいまして、法律の中にも「対象水道原水水質の汚濁に相当程度関係があると認められる区域」ということで、環境庁法案よりはさらに限定された区域におい実施されるという概念の規定になっているわけでございます。  その具体の範囲はどうなるかということで、確かに今まで私ども、それは取水口の上流十五から二十キロメートル、これはすべての水域でそうだと言っているわけではございませんで、多くがその程度の範囲におさまるのではないか、こうした具体的な汚濁源が立地して事業促進しなければならないような、相当原水に影響が強い地域というのはそういう地域におさまるのではないかということで申し上げているわけでございます。.  これの根拠になりましたのは、例えば昨年の四月に日本水道協会、これは全国水道事業者の集まりである団体でございますけれども、ここが傘下の水道事業者対象にアンケート調査をいたしました結果がございます。水道水に日常的な影響を及ぼしているような汚染源の場所の九六%は十五キロから二十キロぐらいの範囲内にある。これは水域によりましては、先生おっしゃるとおり小さな川ではもっと狭いかもしれませんし、大きな川では広いという関係にあるかもしれませんが、それを全部総合してみましても、たかだか十五キロから二十キロを想定しておけば、大体その範囲内で事業対象区域というのが考えられるんじゃないかということであります。  それから、トリハロメタンというものに絞って考えましても、私どもケーススタディー的にいろいろな、先ほど申し上げました水道事業者からのデータをもとに検討してみますと、生活排水トリハロメタン生成の原因になっているような地域におきまして、その生活排水が出てきている主な市街地とか集落の範囲がおおむね上流十五キロから二十キロの範囲ぐらいにはおさまっているかなというような観点でございます。そうしたことから、厚生省が御提案申し上げました事業促進法事業実施の範囲というのは、おおむね取水口の上流十五キロから二十キロメートル程度以内が目安になるのではないかというふうに現時点で判断しているわけでございます。  これはあくまでも一つの目安でございます。そうした考えにつきましては、この法律が成立した後、基本方針の中にももう少し具体的に明らかにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  32. 野中和雄

    野中政府委員 環境庁法案特別措置法案地域でございますけれどもトリハロメタン原因物質が実は環境中ではあまり減衰せずにずっと下流まで到達する、そういう性格のものでございます。私ども特別措置法案では、その水域、地域につきましてトータルとして水質目標を定めまして、それを達成するためにどういうような事業をやってどのぐらいの効果がある、あるいはどういう規制措置をやってどのぐらいの効果があるということをその目標に合わせていろいろ検討していくということもございますので、原則としてその上流の地域まで広い地域をとっているということでございまして、先ほど厚生省から御説明がございましたように、私どもとしては、広い地域を示して事業の全体的な計画を示す、その一部の事業につきまして厚生省さんの事業促進法によりまして水道事業者等の負担による事業実施する、事業についてはそういう関係でございます。  事業の点についてはそういうことでございますけれども事業法案特別措置法案の両法案関係につきましては、先ほども説明を申し上げましたように、このもとになります基本方針というのを定めることになっているわけでございますけれども事業促進法案の三条の基本方針は環境庁法案の基本方針に調和すべき旨の規定が置かれておるというようなこともございまして、全体として見れば、私ども特別措置法案が基本的な枠組みを示している法案というふうにお考えをいただいていいのではないかというふうに思っております。
  33. 野田聖子

    野田(聖)委員 時間がなくなってまいりました。  実は、今まさに局長がおっしゃったことをお尋ねしようと思っておりました。なぜならば、一体化という言葉ほど難しいことはありません。今までの縦割り行政をもって見ますと、その交わる部分が一番の問題になってくるのは、だれもが御承知のことだと思います。そこで大切だと思うのは、双方の法案がかぶる部分、例えば今の十五から二十キロの事業区域といっても、それは措置法案の中の地域の中に含まれているわけですから、その限定の仕方とか、その中における事業のやり方というのはやはりそれぞれ御調整をされなければいけない。だけれども、どっちもどっちということでは結局地域の人に迷惑がかかることになるわけですから、できることならば調整段階において、これは余り使っちゃいけないと言われたのですけれども、優位性というか、法律に優劣はないにせよ、やはりある程度わかりやすく、対立したときにはこちらを大事にするよ、こちらの方をとるよというような、わかりやすさがなければ、調整というのは結局調整困難に陥ってしまうような気がいたします。  そこで、私は再度厚生省の方に、今局長がおっしゃった調和という言葉についての御認識というか御理解をいただきたいのです。重複になりますけれども環境庁提出法案にはそういう調和という言葉は触れられておりませんが、厚生省の方には調和という言葉が触れられている。これがいわゆる官邸指示による妥協の一つだったのかなといううがった見方もしてしまうのですが、今私が簡単に理解するには、つまり、調和しますよと言っている厚生省がやはり環境庁に少しはイニシアチブを、いろいろな事象においてもめたときにはお任せするというような意思表示ととらえてよろしいのでしょうか。
  34. 浜田康敬

    浜田説明員 両法案の基本方針に関する調和規定のお尋ねでございます。  結論的に申し上げますれば、これは法制的な議論の中でこうした規定になった。つまり厚生省事業促進法案環境庁特別措置法案の基本方針との調和ということが書き込まれたわけでございますけれども、この法律的な背景は、先ほど来御説明してまいりましたように、トリハロメタン対策という場合に限って考えますれば、両法に基づく計画が両方つくられる、同じ場所でつくられるということがあり得るわけでございます。その場合に、環境庁法案の方はより広い地域、あるいは施策についてもより幅の広いものになるという観点から、より狭く絞られた事業実施される事業法案につきまして、その基本方針を定める場合の調和規定が設けられたということがございます。それから、手続面で見ましても、環境庁法案の基本方針は閣議決定という手続を経ることになっておりまして、これは政府全体としてその基本方針を決めていくということに対しまして、事業促進法案の基本方針は主務大臣が決めるという手続上の規定の相違もございまして、事業促進法案の基本方針については環境庁法案との調和規定を置く方が適当であるという法制的な判断に基づくものでございまして、優位とか上位とかという観点から定められたものではないというふうに理解をしておるところでございます。
  35. 野田聖子

    野田(聖)委員 済みません。ちょっと時間が過ぎましたけれども、最後に、この二つ法案というのは、まさに私たち国民一人一人が今自然に飲んでいる水道水の問題です。ですから、やはりわかりやすく、そして完璧な、完璧な法律というのはなかなかできないのですけれども厚生省環境庁、ほかの省庁が切磋琢磨していただきまして、より理想に近い法律案というのを一本化してつくっていただきたいというのが、くどいようですけれども私の願いでございます。そういうわけで、今回の前例がいろいろな形で悪い影響を及ぼさないことを心よりお祈り申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  36. 奥田幹生

    奥田委員長 金田誠一君。金田(誠)委員 まず、水道水の農薬汚染の問題  からお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  昨年の一月だと思いますが、新潟大学医学部の山本正治教授の疫学的研究によって、新潟県で胆のうがんの発生が異常に高いのは水道水に含まれるCNP、有機塩素系の除草剤でございますが、このCNPと密接な相関関係があるという研究結果が明らかにされておるわけでございます。この場合、環境庁は農薬の登録保留基準を所管するというお立場だと思うわけでございますけれども、そういう立場から、速やかにCNPの使用を中止させるなりあるいはとりあえず一時保留をさせるなり、何らかの方策をとるべきではないか、こう思いますが、いかがなものでしょうか。
  37. 山元勉

    ○山元政府委員 長官が閣議に出席をいたしておりますので、私の方から答弁をさせていただきます。  CNPの安全性については、現在厚生省において専門家による評価が行われているところでございます。環境庁といたしましては、その評価結果が明らかになった段階で、その内容を十分踏まえて、関係省庁とも連携をとりながら、必要があれば適切な措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  38. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 この山本教授の調査自体、疫学的調査ということでございますが 厚生省の対がん十カ年総合戦略という事業に基づいて、厚生省から山本教授が委託を受けて調査をされた。それによって、新潟県で異常に胆のうがんの発生が多い、その原因としてCNPと非常に密接な相関関係にあるという結論まで出されておるわけでございますけれども これだけでは不十分なものなのでしょうか。厚生省の方に今評価をお願いしているということでございますが、山本教授の調査自体が厚生省事業に基づくものでございますから、少なくともそこで、相関関係ありというこの疫学的調査が出た段階で何らかの措置をとるべきではないか、もう一年たっておるわけでございますから。再度お聞かせをいただきたいと思うのです。
  39. 野中和雄

    野中政府委員 従来、こうした安全性の問題につきましては、厚生省の安全性評価委員会におきまして、専門家の方々におそろいをいただいたところで公正な評価をいただくことになっているわけでございまして、そういう意味で、現在専門家による評価が行われているところでございます。  したがいまして、私どもとしては、その結果を待って適切な措置を講じたいと考えているところでございます。
  40. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 厚生省の評価を依頼しているということ自体、安全性に疑問が認められるということだと思うのですね。安全性に疑問が認められる。しかし、疫学的調査での相関関係は認められるけれども、その他のさまざまな調査資料等もあるという状態だと思うのです。少なくとも安全性に問題なしと言える状態ではない、したがってその評価をお願いしている。すなわち灰色、私は黒だと思っておるのですが、この山本教授の調査自体が黒と断定してよろしいのではないかと私自身は思っておりますが、少なくとも環境庁のサイドでは灰色の状態にはなっていると思うのですがね。食べるもの、飲むもの、そして法律までつくって水道水の中から発がん物質を除去しなければならない、トリハロメタンも発がん物質でございますけれども、そういう事態に立ち至っている中で、疑わしきは使用せず、これは特にCNPに限定した御答弁でなくても一般論としてお答えいただいても結構でございますが、疑わしきは使用せずという原則に立って行政としては対処すべきものではないか、こう思うのですが、いかがなものでしょう。
  41. 野中和雄

    野中政府委員 新潟大学の山本先生の御研究というのはあるわけでございますけれども、やはり研究自体につきまして、今先生の御指摘のような点も含めまして、果たしてそのとおりというふうに考えていいのかどうかということも含めまして今専門家の評価をいただいている、そういう段階でございますので、御理解を賜りたいというふうに思います。
  42. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 疑わしきは使用せずということについてお答えがないようでございますけれども、専門家の評価でございますが、これから田植えの時期、集中的にCNPが使用されるということでございます。もう一年たっておるわけでございますが、その評価自体は急いで出さなければならない、白黒つけなければならない。大量に使用される前に結論を出すべきもの、こう思いますが、厚生省のどなたかお答えできますでしょうか。
  43. 山本章

    ○山本説明員 お答えいたします。  御指摘の新潟大学の山本教授の疫学的な調査結果でありますが、これは新しい知見でありまして、厚生省といたしましても、現在残留農薬安全性評価委員会といりところでこの疲学調査結果を含めましてCNPの安全性評価を進めているところであります。  厚生省といたしましては、今先生御指摘のとおりでありますが、CNPが除草剤として田植えの前後に用いられているということでありますので、この点も考慮いたしまして早急にCNPの安全性評価をまとめたいと考えております。  以上でございます。
  44. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 まだお聞きしたいことがたくさんあるのですが、時間がないものですから、申しわけございません。  そこで、農水省の方おいででしょうか。実は、各郷道府県に生に農薬の使用基準なりを定めた防除暦、防除暦というのでしょうか、これを作成することになっておるわけでございますが、既に幾つかの都道府県ではCNPを防除暦から除外をしているところもそれぞれの事情によってあるようでございます。これは、防除暦からCNPを除外するしないは各県のそれぞれの判断、こういうことでよろしいと思いますが、それでいいかどうか。そして、県ごとにCNPを除外をするような防除暦をつくった場合であっても、農水省としてこれに対してCNPの使用を指導するようなことがあってはならない、こう思うわけでございますが、そういうことでよろしいかどうかお尋ねをしたいと思います。
  45. 吉村正機

    ○吉村説明員 お答え申し上げます。  防除指針または防除基準と言っておりますが、これは、農薬取締法に基づく農薬安全使用基準というものがございまして、これらをもとに当該地域における雑草あるいは病害虫の発生状況を踏まえまして的確な防除ができるというような、農薬の適正使用による安全確保を図る目的で現場の指導者が農業者等を指導する際の参考にする資料として、また御指摘の防除暦はさらにそれをブレークダウンすると申しますか、防除指針を現場の農業者等にとって理解が容易な具体的な形にしたものとして示すものとして、各都道府県あるいは生産者団体等が作成しているものでございます。  したがいまして、防除暦、防除指針等にどのような登録農薬を採用するかは各都道府県等の自主的な判断にゆだねられておりまして、さらにその防除暦ないしは防除指針に載っておりますどの農薬を具体的に使用するかということにつきましては、経営主体としての農業者の判断によるものと考えております。  したがって、農水省としては、あくまで自主的判断を尊重してまいる考えでございますが、御指摘のCNPにつきましては、先ほどからの環境庁の御答弁にもありますように、現在厚生省の残留農薬安全性評価委員会におきまして総合的な評価が進んでいる段階でございますので、その審議結果を踏まえまして私どもとしても必要があれば適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
  46. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 もう一回確認さしていただきたいと思いますが、防除指針なり防除暦をつくるのは各都道府県、実際使うのは農業者であると。この防除暦、防除指針をつくる都道府県がCNPを除外するしないもそれぞれの自主判断でいいということで確認をさしていただきたいというのが一つ。農水省としてはそれに対して指導云々ということにはならない、この確認だけさしてください。
  47. 吉村正機

    ○吉村説明員 そのとおりでございます。
  48. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 せっかく厚生省が多額の予算をつけて対がん十カ年戦略の事業として委託をして、疫学的な調査研究結果が出た。それに基づいて直ちに措置をすべきだ。でなければこの対がん十カ年戦略自体が一体何だったのか、疫学的調査を依頼した目的が何だったのかという原点に返らざるを得ないと思うわけでして、一年間放置されているということは非常に問題があると思います。したがって、疑わしきは使用せずという原則を、ぜひひとつ今後の行政の中でそういう方向に進んでいただきたいものと強く御要請を申し上げておきたい、こう思うわけでございます。  過去の水俣病その他の公害病も、そういう原則で対処されていればあそこまで大きく広がらなかったのだろう。今回の新潟の胆のうがんも、全国一般のほぼ倍の死亡だそうでございます。年平均百七十人の方がこれで亡くなっておられるということでございますから、疑わしきは使用せずという原則に立って早急な措置をしていただきたいということと、それと厚生省の調査結果、白なんということはあり得ないと思いますけれども、早急に出していただいて、しかるべく対処していただきたい、御意見として申し上げておきたいと思います。  次でございますが、浄化槽の問題で質問さしていただきます。  特別措置法第五条第二項第四号、浄化槽の整備その他の指定水域水質保全に資する事業というものを推進することになっているわけでございます。浄化槽の整備ということが事業促進法をも含めて非常に大きな柱になっているわけでございますけれども、この場合、単独浄化槽であれば水質保全に資するどころか逆に水質の汚染源として作用する、こういうことになると思いますが、いかがなものでしょうか。
  49. 野中和雄

    野中政府委員 御指摘のように、単独浄化槽につきましては、くみ取り便所のし尿をし尿処理場において処理をしていた場合と比較をいたしますと、確かに公共用水域への負担が増大することになるわけでございます。したがいまして、私ども特別措置法案、御指摘の五条二項四号で規定をしているものでございますけれども、これにつきましても、し尿とあわせまして雑排水を処理をいたします合併浄化槽の整備ということを対象にして推進をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  環境庁といたしましては、従来からこの合併浄化槽の整備の促進ということを生活排水対策の重要な施策として位置づけているわけでございまして、この法案に基づきましても一層推進をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  50. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 そのとおりだと思うわけでございますが、しかし一方、浄化槽法によっては現在でも単独浄化槽というのが認められている、どんどんふえて、最近は合併槽も相当普及はしているのでしょうけれども、相当部分はまだ単独槽でメンテナンスも非常に悪い、汚水の垂れ流し状態が続いているということだと思うわけでございます。  したがって、今後の問題としては、単独浄化槽は原則認めないという方向にならないものか。何か法律的に言いますと、建設省の所管部分あるいは厚生省の所管部分、いろいろまたがっているようでございますが、水道水源保全という立場あるいは水質汚濁防止という環境行政の立場からしますと、単独槽は環境にとって有害であるという立場は今御答弁いただいたとおりでございますので、今後、この単独槽は設置をさせず合併浄化槽を促進をすべきという立場での環境行政があっていいのではないかと思いますが、いかがなものでしょう。
  51. 野中和雄

    野中政府委員 お話しのように、浄化槽につきましては、合併浄化槽を推進をしていくことが必要であるというふうに考えているわけでございまして、さきにいただきました中央環境審議会答申におきましても、この汚濁負荷を低減するために単独処理浄化槽の新設等にかえて合併処理浄化槽の設置が行われるような施策を講ずるということが、その答申中身としていただいているわけでございます。  環境庁といたしましては、御指摘のように、この合併浄化槽の設置の推進ということが非常に重要な施策というふうに考えているわけでございまして、実は従来から、水質汚濁防止法に基づきます生活排水対策の推進の中でその普及啓発ということを進めてきたわけでございますけれども、今申し上げましたような審議会の答申もいただいているところでございますので、今後は、関係省庁にもお願いをいたしまして、合併処理浄化槽の設置の推進を一層促進をされますようにお願いをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  52. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 合併処理の推進、ぜひお願いしたいと思いますが、単独槽の規制という視点はいかがなものでしょうか。  単独槽というものは認めないという法改正ができるかどうかちょっとわかりませんけれども、例えば単独槽であろうが合併槽であろうが、排水基準を下水道並みの二〇ppmに切り下げる、切り上げるということになるのでしょうか、そういう排水基準の改正を仮にするとすれば、これはもう単独槽でこれをクリアというのは不可能になってくるわけでございますから、おのずと単独槽から合併槽に切りかわっていくということになろうかと思うわけでございます。合併槽の普及推進はもとよりでございますが、汚染源として作用している単独槽を、もう時代おくれということははっきりしていると思うのですが、それを規制をしていく、これからはもうつくらせないという方向に向かって一歩踏み出していく、そのための措置などについても環境行政上お考えいただきたいと思うのですが、いかがなものでしょう。
  53. 野中和雄

    野中政府委員 単独浄化槽を規制できるかどうかということにつきましては、法律的な問題も含めてなお検討する必要があろうかと思いますけれども、現在、浄化槽の基準につきましては、建設省の方の建築基準法にその基準が規定をされているようでございますので、その辺も含めまして検討をいろいろとお願いをいたしたいというふうに思っております。
  54. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 よろしくお願いいたしたいと思います。  そこで、合併浄化槽のこれからの普及促進の方策でございます。下水道と同じ二〇ppmという排水基準がかぶせられているわけでございますけれども、この場合、下水道と合併浄化槽と比較をいたしまして公費負担が余りにも違い過ぎる、下水道には非常に手厚いわけでございます。こういう中では均衡を失するのではないか。合併浄化槽をこれから普及するに当たっては、設置にかかる経費、あるいはメンテナンスにも相当な費用を必要とするわけでございますけれども、公共下水道と同じ水質の水を出すということで、公共の環境保全に非常に資するということからすると同じ扱いをすべきではないか、設置とメンテナンスに公費を支出することによって合併浄化槽が促進をされる、こう思うわけでございますが、その辺の具体的方策をお聞かせいただきたいと思います。
  55. 樋口正昇

    ○樋口説明員 御審議いただいております特別措置法案とあわせて今国会に提出いたしております事業促進法案におきましては、水道水源地域での合併処理浄化槽の整備を促進する観点から、市町村合併処理浄化槽の設置についての助言または勧告をすることができる旨の規定を置くとともに、あわせて合併処理浄化槽の整備についての国の補助に関する規定を設けております。この法律補助の規定に対応するものといたしまして、このたびの平成六年度予算編成におきまして、従来の個人設置型の補助事業に加えまして、新たに、下水道等と同様の公費負担の仕組みでございます、市町村が設置主体となって合併処理浄化槽の整備を進める特定地域生活排水処理事業が認められたところでございます。  今後は、当事業の活用によりまして、水道水源地域におきます合併処理浄化槽の設置の促進を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。
  56. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 合併処理浄化槽の設置主体が市町村というのは新たな施策だと思いますし、ぜひ推進をしていただきたいもの、こう思っております。下水道の予算は相当、今の合併浄化槽の補助に比べますと二けたぐらい違うのでしょうか。しかし、事業促進効果からしますと、即効果が上がるのが合併浄化槽ということになりましょうから、その辺、ぜひひとつこれから、予算の総枠でもそれなりに御努力をいただいて、市町村等に啓発を図っていただいて事業促進をしていただきたい、御要請を申し上げておきたいと思うわけでございます。  次に、ごみの処分場とこの水道水源関係についてお聞かせをいただきたいと思います。  先般テレビでも、あれは栃木でしたでしょうか、産業廃棄物の最終処分場をめぐって、水道水源が汚染をされるということで住民の方と相当なトラブルが、対立が生じているというのが放映をされておりました。あるいは東京の多摩地域のごみを処分する日の出処分場でも、さまざまな汚水が河川や井戸を汚染をしているという状況もあるようでございます。産業廃棄物、安定型であるとか管理型だとかいろいろあるようでございますが、その処分場、例えば安定型といってもそこに搬入されるごみが必ずしもその安定型に対応したごみばかりとは限らないようでございまして、さまざまな問題を発生をさせているという状況でございます。  こうした問題につきまして 先般の中環審の答申で、水質汚濁防止法の上乗せ排水規制と同様の規制の導入等の措置を講ずる必要があるということが答申に盛り込まれておるわけでございます。この答申自体は非常に多岐にわたっておりまして、地下水汚染からほぼ全般にわたって答申がなされておるわけでございますが、どうもそれが法律になってきたのはトリハロメタンだけのような気がいたしております。そういう意味ではどうなったのかなという気が実はいたしておりますが、特にあちらこちらで問題を起こしているこのごみ処分場、これについての、上乗せ排水規制と同様の規制を講ずる必要があるというこの答申を踏まえて、この法律では、あるいは環境庁としてはどのように考えておられるのか。この特別措置法が根拠になるのか、あるいは水濁法が根拠になるのかは別にいたしましても、少なくとも自治体による上乗せ基準を可能にするという方向に一歩踏み出す必要があるのではないか、こう思っておりますが、いかがなものでしょうか。
  57. 野中和雄

    野中政府委員 廃棄物最終処分場からの排水対策につきましては、先生御指摘のとおり、さきの中央環境審議会答申をいただいた際に、水質汚濁防止法の上乗せ規制と同様の規制の導入等の所要の措置を講ずる必要があるということで御答申をいただいているところでございます。  現在この最終処分場の排水規制につきましては、廃棄物処理法に基づきます最終処分場の構造、維持管理基準というのがございまして、これに基づきまして必要な規制を行っているところでございますが、現状では水質汚濁防止法に基づきます一律排水基準だけが適用になっているという状況からこういう答申となったものでございますけれども環境庁といたしましては、この答申もございますので、この答申趣旨を踏まえまして、さきの基準はこれは環境庁厚生省の共管ということになっておりますので、厚生省とも相談をしながら最終処分場の排水規制強化につきましては鋭意検討を進めているところでございます。
  58. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 その検討の中に、水濁法なりの上乗せ基準の扱いも含めた検討になっておりますでしょうか。
  59. 野中和雄

    野中政府委員 答申が上乗せ規制と同様の規制の導入等ということになっておりますので、そういうことも含めて、規制強化という観点から検討を進めているところでございます。
  60. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 せっかくの水道水源について二つ法律が出ているさなかに、あちらこちらで水道水源をめぐって事業者とその水道を使用している住民の方とがトラブルを生ずる、対立を生じているということ自体がいかにも奇異に感ぜられるわけでございます。ぜひこうしたことがないように、それらが未然に防止されるような措置をとらなければならない、こう思うものですから、そこら辺も含めましてぜひ御検討いただきたい、こう思っております。  最後になりますけれども、実はこれは前回の一般質問でも環境庁長官にお聞きをした件でございますが、こういう巨大都市では、もう水が、水道水が信頼を失いつつある、これが法律をつくった根本的な問題でしょうけれども、水ばかりでなく、大気汚染もNOxが基準をクリアできないという状況もあるわけでございます。さらに、排出される廃棄物、ごみが圏域内で処理できない、ごみだけを過疎地に持っていって捨ててこなければならない、そこでまたトラブルが生じているという状況があるわけでございます。もう人間の住む環境ではなくなってきているのかな、空気と水とごみ、もう最低の基準さえクリアできなくなる。この根本原因は何だろうか。今の法律のように対症療法で浄化槽をつくるとか、しゅんせつをするとか、まあこれは事業促進法ですが、基準をつくるとか、そういうことは当然必要ですが、根本的には過密の解消、国土の均衡ある発展、これを一つの大きな底流といいますかテーマにして、それを進める中でいろんな各論が出てくるということにならなければならないと思うわけでございます。  前回、環境庁長官の御所見も承ったわけでございますが、なかなか歯車がかみ合ってなかったかなとあのときは受けとめました。政務次官いらっしゃいますけれども環境庁として環境行政、水、大気、ごみ、これらの基本に過密による弊害があるんだと、これを解消していくという大きな流れがない限りは根本的な解消にはならないと私は思うのですが、ぜひそれについての御所見を最後に承りたいと思います。
  61. 山元勉

    ○山元政府委員 金田委員御指摘のとおり、私どもも、東京を初めとする大都市においては、過度の社会経済活動の集中に伴いまして、窒素酸化物等による大気の汚染や生活排水等による水質汚濁の都市生活型公害、さらには廃棄物問題が深刻である、このように同じように認識をしております。また、身近な自然が減少していると認識しておりまして、これらへの対応がまことに重要な課題であるというふうに考えております。  環境基本計画については、中央環境審議会において審議が開始をされたところであります。ただいまのいろいろな問題点は重要な検討テーマであり、私どもはこの審議会において十分な議論をしていただきたいというふうに期待をしているところでございます。
  62. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございます。  最後に、CNPの関係でくれぐれもひとつよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  63. 奥田幹生

    奥田委員長 松沢成文君。
  64. 松沢成文

    ○松沢委員 新生党の松沢成文でございます。  前に質問した委員皆さんと多少重複するところがありますけれども、少し角度を変えて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず、水道水源水質保全というものを目指して、環境庁からはいわゆる特別措置法案厚生省からいわゆる事業促進法案という二つ法案が今国会に提出されているわけなんですけれども、このうち環境庁法案についての私の感じる疑問点について少し御説明をいただければと思います。  今回二つ法案国会に提出されたことについて、両省庁は一月十日の連立与党政策幹事会において、法案はそれぞれ独自に提出するけれども運用は一体とする、こういうふうに述べているわけでありますが、安全でおいしい水道水の確保を図る上で関係省庁がそれぞれ事業展開をしていくというのはもちろん当然でありますけれども、そのよって立つところの法律が複数あるというのは、私たち一般の国民にとってみては非常に理解しがたい。むしろ一元化することが常識的で、実際的でもあるとも思うわけですけれども、それにもかかわらず法律は二本化、運用は一本化することの目的と利点がどこら辺にあるのか、まず御説明をいただければと思います。
  65. 野中和雄

    野中政府委員 法案の取りまとめに当たりましては、官邸なり厚生省とも密接に連絡、相談をいたしまして、総合的に判断をして二本の法律として提出をさせていただいたわけでございますが、環境庁特別措置法案は、水質汚濁防止法等の従来の制度では対応できないトリハロメタン等対象といたしまして、水質保全に資する各種の事業でございますとか、あるいは工場事業場に対します規制等の措置を総合的、計画的に講じる仕組みというようなものでございますのに対しまして、厚生省事業促進法案は、トリハロメタン対策だけではなくて、異臭味なり合成洗剤といったような問題も対象とされ、また水道事業者費用負担というような措置によりまして事業促進をするというようなものでございます。  実際の適用のケースにつきましても、したがいまして厚生省さんの事業促進法だけで例えばトリハロメタン等につきまして相当の効果が上がるとうような水域、区域につきましては、あえて私ども規制等を含む総合的な法案でございます特措置法案を適用するまでもないというふうに考えているわけでございまして、適用の場面といったようなものもかなり違ってくるというものでございますけれども、しかし、いずれにしても、同じ区域で適用されるという場合もございます。そういうものにつきましては 両法案にそれぞれ一体となって運用できるような規定を置いて、一体的な運用を図るということにしているものでございます。
  66. 松沢成文

    ○松沢委員 運用は一体化するということですけれども環境庁厚生省の両法案が独立した形で提出されていながら一体化するとしたことの趣旨はどの辺にあるのか、もう少しお聞かせいただきたいことと、それと、具体的にどのように一体化するのか、もう少しわかりやすく説明をいただければと思います。
  67. 野中和雄

    野中政府委員 法律の二本化につきましては先ほど御説明を申し上げましたが、私どもの方は、トリハロメタンということに限ってみますと、その地域でのトリハロメタンというものの発生を抑制をいたしますために水道事業者がどういうような措置をみずからとるのか、これは最大限にとつていただくというようなことを前提といたしまして、その上で、公共水域におきましてどういうような水質目標を立てていったらいいのかというようなことで目標を立てるわけでございます。そして、この目標を達成をいたしますために、各種の事業あるいは工場事業場に対する規制措置あるいはその他の指導措置といったようなものを総合的に講じていくというような、総合的な枠組みをつくった上で実施をしていくというような法案でございます。  これに対しまして厚生省さんの法案につきましては、先ほど来御説明もございますように、幅広い目的を持ってはおられますけれどもトリハロメタンということで重なる部分ということでございますと、水道事業者費用負担といったような措置も講じながら、私どもの適用の区域よりも狭い区域で事業を重点的に実施するというような仕組みになっているわけでございます。  両法案の一体的な運用を具体的にどういうふうに行うのかということでございますが、まず第一に、両法案の運用の基本になります基本方針でございます。事業促進法案の基本方針は私ども特別措置法案の基本方針に適合する旨の規定が厚生省さんの事業促進法案に置かれているわけでございまして、したがいまして、厚生省の基本方針は私ども法案の基本方針と調和を持って作成される、内容的にそごを来さないようにしているという点が第一でございます。  それからまた第二に、両法案で、別々の区域の場合もございますけれども、同一の区域の場合でございますと両法案に基づきまして計画を策定をすることになっているわけでございます。この計画も、私どもは全体的な、先ほど申し上げましたような目標に沿って事業規制をどういうふうにやっていくかというような、こういう水質保全計画でございますし、厚生省事業促業法案計画というのは、より具体的な計画ということで先ほど御説明もございました。こういう性格の違うものではございますけれども、しかし手続面等いろいろございますので、両法案計画は一体のものとして定めるという旨の規定を置いているところでございまして、手続等が煩瑣にならないように工夫をしているということでございます。  それから第三に、水道事業者がこういう措置をとってましいというふうに都道府県あるいは知事に要請をするという規定があるわけでございますけれども、これにつきましては、私ども法案に基づきまして水道事業者の要請がありました場合におきまして、同時に厚生省事業促進法においても要請の手続をとらなければいけないというのも若干煩瑣な話でございますので、私ども法案に基づきまして水道事業者の要請があった場合には事業促進法案の方についても要請があったものとみなす、また逆の場合もその逆というようなことを相互の法案に置いておりまして、発動要件等につきましても調整を図っているというようなことでございます。
  68. 松沢成文

    ○松沢委員 先を急ぎますけれども、次に、県域というか非常に広域的な、県域をまたがった水源地域対策についてちょっと伺いたいのですけれども中央環境審議会答申の中にも、その水源が他県域に及ぶ場合には上流域との協力と調整が極めて重要であるというようなことが答申されています。ただ現状では、先ほど他の委員からも指摘がありましたけれども、国の調整機能というのが果たされているとはとても言いがたいような状況だと思うのですね。やはり自治体当事者間あるいは事業者間での調整というのは、お互いに上流、下流、利益が違いますので、大変に難しいと思うので、かなりの限界があると私は思っておりますけれども、この法律の中にも国の助言、指導等いろいろと書かれておりますけれども、具体的にどのように対応について検討されているか、この辺について伺いたいと思います。
  69. 野中和雄

    野中政府委員 先生御指摘のように、上流と下流の調整の問題というのはいろいろな場面で発生をしているわけでございますけれども、この法案対象といたしますトリハロメタンの問題に限りましても、その原因物質環境中ですなわち河川の中で減衰せずにそのまま下流まで到達するものが多く含まれているということでございますので、私どもとしては、本法の指定地域といいますのは、浄水場取水口よりも上流の集水域全体をとらえて対策をとっていかなければいけないというふうに基本的には考えているところでございまして、そういう意味では、本法の指定地域も複数県にまたがる場合があるというふうに考えているわけでございます。  この上下流の協力と調整の問題につきましては、従来からもいろいろな形で国が中に入って調整が入るというようなこともしてきているわけでございますけれども、本法案におきましても、例えば指定水域あるいは指定地域の指定に当たりまして総理大臣が上流県の県知事さんの意見を聞くとか、あるいは水質保全計画も上下流の県が協議をして定めて、そしてその計画自体が国に協議があるといったような規定があるわけでございますので、こういうようなときに当たりまして、国としても上流、下流の都道府県の調整というのにできる限り努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  70. 松沢成文

    ○松沢委員 少し具体的なケースで質問させていただきたいのですが、私の出身県であります神奈川県、先般の環境基本法の質問のときにも取り上げさせていただいたのですが、相模湖、津久井湖という人工湖を県北に持っておりまして、その上流域、つまり山梨県から流れてくる水がかなり汚れているということで、そこでアオコが大量発生したり、あるいは、アナベナというのですか、そういうカビ臭のするアオコ、アナベナが発生してしまって、幾ら水道の方で処理をしても臭さが消えない、こういう問題が大きな地域問題になっているわけですけれども、これに対して県の方でも、当然山梨県に協力を求めなければいけないということでさまざまな角度からやっております。しかし、山梨県と神奈川県の間には、以前このダムをつくるときからの歴史的なそういう対立というか経緯がありましてなかなか、例えば県の水質保全課長が行ってもあるいは副知事さんクラスが行っても、山梨県とうまい形でテーブルに向かって話し合えないという状況がここ二、三年続いておるわけなんですね。  この神奈川県の問題だけでないかもしれませんが、こういう具体的な神奈川県のケース、これまで国としてどのように間に入っていただいたのか、また今回この法律ができて、今後国としてこの両自治体の間に入って御苦労をいただく方向性になると考えていいのか、その辺についてお聞かせいただければと思います。
  71. 野中和雄

    野中政府委員 先生お話しの相模湖、津久井湖の問題につきましては、神奈川県と山梨県にまたがる問題ということでございまして、両県協力をいたしまして調整を図っていただくということは、ぜひ必要でございます  承るところによりますと、両県は、平成四年の十一月に、環境担当局長さん等を構成といたしまして、山梨県、神奈川県の水質保全連絡会議というのを設置をいたしまして、両県協力して水質保全対策を総合的に推進していかれるよう、そのための方策を検討しているというふうに伺っているところでございます。  環境庁といたしましても、従来から、随時に御相談を受けたり、あるいは御説明をいただいたりということをしておりまして、できるだけの御協力を申し上げているつもりでございますけれども、今後とも、両県のお話し合いがまず基本ではございますけれども、両県の協力が一層円滑に行われますように、環境庁としても、できるだけ役割を果たしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  72. 松沢成文

    ○松沢委員 もう少し追加をして聞かせていただきたいんですけれども、この中央環境審議会の十二月の答申、この中の十番目の項目にまさにこのことが書かれていて、「水質保全のための上下流の協力と調整」、その最後の部分に、国も広域的水質保全の協力に「財政措置を講ずることが有効」というふうに書かれているんですね。つまり、水をきれいにするために、上流域の、今回のケースでは山梨県がやる事業ですね、下水道関係事業等々、もちろん下流の神奈川県やあるいは水道事業者が財政的援助をするという方向も当然考えなきゃいけませんが、国が、こういう特別のケースについて、こうした事業に財政的に支援をする、答申はそうすべきだと書いてあるんですが、今回のこの法律を機にそうした方向性も考えられるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  73. 野中和雄

    野中政府委員 上下流の問題につきましては、上流県、下流県のお話し合いが進むというようなことが何といっても基本ではございます。しかしながら、私どもといたしましては、一般的に言えば、下流におきます取水ということに伴いまして上流県に負担がかかってくるということは承知をしているわけでございまして、それらの点につきましては、なかなか難しい問題ではございますけれども、今後、いろんな方策につきまして検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  74. 松沢成文

    ○松沢委員 ぜひとも御検討よろしくお願いをしたいと思います。  次に、先ほどから何度も例に挙げています中央環境審議会の「水道利用に配慮した公共用水域等の水質保全対策のあり方について」という答申が十二月の六日に広中環境庁長官に送られたわけですけれども、その内容を見てみますと、先ほども御指摘がありましたけれども、今回の法案の中心になりますトリハロメタン対策、そしてまた有害物質による水質汚濁防止、あるいは農薬の問題、地下水の問題、カビ臭、カルキ臭の問題、それから開発等に伴う影響の軽減、これは、ゴルフ場や先ほどの産業廃棄物の処分場みたいなものも含まれると思うんですね。こうした十項目の提言がこの答申ではなされているわけで、そしてまた、答申の方向としては、すべてを総合対策として閣議で取りまとめるように提言をしているわけであります。しかし今回国会に提出された環境庁法案というのは、これらの項目のうちのトリハロメタン対策のみに絞られているわけでして、他の項目については今後法制化を図る方針であることというふうに新聞報道では書かれていましたけれども、まあ言ってみれば、この中央環境審議会答申からま後退したものとなっていると言ってもいいと思うのですね。安全でおいしい水の確保を図る上でどうしても欠くことができないのがこの十項目であるとするならば、なぜ他の九項目が今回の法案には消えてしまったかというこの理由と、これらの項目については、他の九項目については今後どのように、法案化するという方向であると聞きますけれども、その見通しについて伺いたいと思います。
  75. 野中和雄

    野中政府委員 中央環境審議会につきましては、私どもといたしましては、国民水道水に対する不安、関心にこたえまして、水道利用に関します公共用水域水質保全対策につきまして全般的に御検討をいただいたわけでございまして、このうちトリハロメタンの問題につきましては、人の健康にかかわるというような問題でありますと同時に、従来このトリハロメタンに着目した対策が講じられていなかったということにもかんがみまして、取り急ぎ今回の法案提案させていただいたところでございます。  それ以外のものが落ちたのは後退ではないかというような御指摘でございますけれども、私どもは決してそういうふうには考えていないわけでございまして、この答申に盛り込まれた事項というのは、それぞれ私どもといたしましては積極的に実施をしてまいるわけでございますけれども、まさにその答申にもございましたように、新しい法律をつくるということだけが目的ではないわけでございまして、既存の法律で対応できるものがあれば、その既存の法律で対応していくというのがやはり必要ではないかというふうに考えているわけでございます。  それで、そういうふうにして検討いたしてみますと、それぞれの項目、それぞれによっていろいろ性格は違いますけれども、例えば農薬取締法とかあるいは湖沼水質保全法とかそれぞれの法律によりましてかなりの程度対策が推進はできるわけでございます。そういう問題につきまして、これは環境庁だけでできるものではございません。関係各省にお願いをするものも多いわけでございますけれども、そういうような既存の制度も利用いたしまして、これらの対策実施をしていくことがぜひ必要であるというふうに考えておりまして、環境庁といたしましては、この答申に盛り込まれた事項につきまして、総合的な推進が図られますように関係省庁とも連携を図り、また、お願いをしてまいるというふうな方針でございます。
  76. 松沢成文

    ○松沢委員 平成六年の一月十八日付の朝日新聞の記事に、先ほども議論がありました合併処理浄化槽の問題なんですが、「環境庁は」「合併処理浄化槽の設置を水源水域で義務化することを目指している。」というふうに書かれていたんですけれども、確かに単独槽よりも合併槽の方が全然すぐれているわけで、これを義務化するというのは方向性としてはすばらしいことだと思うのですけれども、そういう方向があるのか、また、あるとしたらどうやって義務化をしていくのか、この辺について伺いたいと思います。また、合併処理浄化槽の補助については厚生省が三分の一やるわけですが、国がどうやって補助するかでいろいろな、建設省初め省庁で意見をまとめているというふうに聞いておりますけれども、この辺についてどういう状況になっているのか、お聞かせください。
  77. 野中和雄

    野中政府委員 合併処理浄化槽につきましては、さきにいただきました中央環境審議会答申では「生活排水対策の推進」といたしまして「汚濁負荷を低減するために単独処理浄化槽の新設等に替えて合併処理浄化槽の設置が行われるような施策を講じる」必要があるというふうにされているところでございます。これをいきなり義務化という、義務づけというようなことにつきましては、なおいろいろな問題もあろうかと思いますけれども、現在、例えば建築基準法に基づきまして、五十一人槽以上の浄化槽につきましては合併処理が義務づけられているといったようなこともございます。こういう既存の制度等もございますので、環境庁といたしましては、いずれにいたしましても合併浄化槽の設置が推進をされることが極めて重要であるというふうに考えておりますので、関係省庁にも働きかけをして、その実現につきまして努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  78. 松沢成文

    ○松沢委員 その他、法案について幾つか具体的なことを確認をさせていただきたいのですけれども、先ほども県域にまたがる問題についての上流域に対する財政支援ということを聞かせていただきましたけれども、この八条あるいは十九条関係で、自治体の施策に関する国の財政的支援のことについて触れております。事業実施に当たって、地方自治体や事業者が水質保全計画に基づく施策を実施する場合に、助言その他必要な援助を行うとしていますけれども、この必要な援助という中に財政的支援というものも含めて考えて理解をしてよろしいかどうか、その辺についてお聞かせください。
  79. 野中和雄

    野中政府委員 水質保全計画に定められます事業につきましては、御承知のとおりでございますけれども、例えば下水道整備につきましては下水道法、あるいはし尿処理施設の整備につきましては廃棄物の処理及び清掃に関する法律等、当該事業に関する法律に従って実施をされるものでございまして、これらに関連をいたしまして補助金等の財政措置が既になされているわけでございます。現在、事業実施にはこのように財政的な支援の措置というのがあるわけでございまして、御指摘のように、私ども法案第八条の助言その他の必要な援助には財政的な支援も含まれるものというふうに理解をいたしております。
  80. 松沢成文

    ○松沢委員 どうもありがとうございました。  今回、厚生省環境庁、二法案が出て、私も勉強をしていてかなり混乱をいたしましたし、またおいしい水の確保のためには、トリハロメタン対策以外のさまざまな形で、今後法制化も含めて検討をいただかなければならないと思います。そういう意味環境庁の役割も大変重要であると思いますので、今後の検討を御期待申し上げまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  81. 奥田幹生

    奥田委員長 岩佐恵美君。
  82. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 安全で良質な水道水供給するためには、中央環境審議会答申しているように、総合的、計画的に政府が一体となって対策を推進することが必要なはずです。ところが、環境庁厚生省法律を一本化できずに、ついに二本立ての法案となってしまいました。新聞報道でも、一本化できなかったことについて、省益優先と縦割り行政の弊害と批判をし、総合行政の実現にはほど遠いと指摘していますが、私もそのとおりだと思います。  昨年十二月の中央環境審議会答申では、安全で良質な水道水の確保について、浄水場における塩素注入に伴い生成する有害物質対策、有害物質による水質汚濁防止、農薬による水質汚濁防止、地下水汚染の防止、かび臭の発生防止、カルキ臭の発生防止、事故時の措置、開発行為に伴う影響の軽減、そして水質保全のための上下流の協力と調整など、九項目対策を挙げています。環境庁として、少なくとも中央環境審議会答申にもある水田やゴルフ場等の農薬による水質汚濁防止や、上流部でのゴルフ場や廃棄物最終処分場などの開発による影響をなくす措置を盛り込んだ法案とすべきだったのではないかというふうに思います。この点について大臣のお考えをまず伺いたいと思います。
  83. 広中和歌子

    広中国務大臣 今回は主としてトリハロメタントリハロ法と言っていいのでしょうか、それが先行しているといったような御指摘だろうと思います。  確かにおっしゃられますように、中央環境審議会におきましては、水道水源水質保全問題としてトリハロメタン問題のほか各種の対策答申に盛り込まれているところでございますが、このうちトリハロメタン問題については人の健康にかかわる問題であること、そして、すぐに対策を講じなければならないということがございます。これまで公共用水域においてのトリハロメタンに着目した対策が講じられていなかったということも理由でございます。そうした二つの理由にかんがみまして、取り急ぎ対策を講じなければならない、そういうことで事業規制とを総合的、計画的に講じる枠組みの整備を図るべく、さきの国会特別措置法案を提出させていただいたところでございます。  もちろん、トリハロメタン問題以外の対策においては、答申の方向に沿いまして環境庁におい実施するほか、関係省庁におかれましても取り組みが進められているところでございまして、環境庁としては関係省庁との連携をとりながら対策の総合的な推進に努めてまいりたい、そのように思っているところでございます。
  84. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 トリハロメタン対策についてとったのはいいのですけれども、これだけでは不十分なことは明らかです。  さらに法案を不十分なものにした要因として、細川内閣の規制緩和促進方針というのが大きな影響を与えているのではないかというふうに考えられます。細川首相の私的諮問機関である経済改革研究会は、経済的規制の撤廃だけではなく、社会的規制についても自己責任を原則に最小限にするとして、大企業の行動規制を撤廃する方向を打ち出しています。そのため、今回の法案についても、ゴルフ場の農薬対策規制緩和の風潮にそぐわないとの意見が各省庁から出され、環境庁は、実現は極めて難しいとしてゴルフ場の農薬対策をあきらめたと新聞で報道されています。もしこれが事実だとしたら事は重大だというふうに思います。  環境庁長官、一体事実関係はどうなのでしょうか。
  85. 広中和歌子

    広中国務大臣 細川内閣の方針でございますすれども、経済的な規制に関しては自己責任等を踏まえながら漸次取り払っていくという方向でございますけれども、社会的規制、特に人の安全にかかわる、健康にかかわることに関しましては、きっちり規制など必要な措置は講じていかなければならないということになっているわけでございます。そして、このたびの法律トリハロ対策に絞られて他の分野をカバーしていないということで、規制緩和等で財界の意向が働いたのではないかといった御趣旨の御質問だと思いますけれども中央環境審議会答申におきましては、水質汚濁防止法等の既存の制度では対応が困難な場合には、法制度も含めた新たな対応策を講ずることが必要とされているということでございます。  環境庁としては、トリハロメタン問題については人の健康にかかわる問題であり、取り急ぎ対策をすることが必要だ、そういうことで特別措置法案を出させていただいたところでございます。  国民の自由な活動に対する不必要な規制措置につきましては、不断の見直しが必要でございますが、とりわけ国民の健康の保護の問題については、規制措置を含めて、確実に国民の健康が確保されるための施策、手段を整備することが必要であると考えておりまして、今回の法律案国民の健康を確保する上で必要な規制措置を盛り込んだものとなっていると確信しております。  その他の対策につきましては、先ほど申しましたように、答申の方向に沿って環境庁関係省庁において取り組みが進められているところでございまして、関係省庁と連携をとりながら対策の推進に努めてまいりたい、そのように思っているところでございます。
  86. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 平岩報告では、大気汚染防止法や水質汚濁防止法など十七本の公害・廃棄物・環境保全法律規制緩和を強調しています。国民の生命や健康にかかわる問題について企業の立場を優先させることは環境行政にあってはならないことだと考えます。今長官からも言われましたけれども、ぜひ国民の命や健康を守る、そういう立場できちんと規制すべきものは規制していく、そういう態度を貫いていただきますように強く要請をしておきたいというふうに思います。  具体的に伺いますけれども、この法案の第九条、第十一条は、ゴルフ場の排水排水施設にも適用されるのでしょうか。
  87. 野中和雄

    野中政府委員 本法案の第九条、特定排水基準、それから第十一条は施設設置の際の届け出の規定でございますけれども、これらはいずれも水質汚濁防止法の特定施設または水道水源特定施設に関して適用されることになっているわけでございます。ゴルフ場それ自体は現在特定施設になっておりませんので、そういう意味で第九条、第十一条の規定は適用はございません。  ただ、ゴルフ場内に設置をされておりますレストランの厨房施設等が特定施設に該当する場合がございますので、それらの施設の設置につきましては第十一条の規定 それからそのゴルフ場からの排水につきましては第九条の規定が適用になる、こういったような関係でございます。
  88. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 宮城県の釜房ダムに接して建設中のゴルフ場建設問題について伺いたいと思います。  この釜房ダムは、仙台市民約三分の二の上水道の水源になっております 七三年に宮城県の自然環境保全地域に指定をされ、八八年には湖沼法の指定を受け、水質保全計画も策定をされております。この釜房湖の面積三百九十ヘクタールを含むその周辺千六百七十六ヘクタールが県の自然環境保全地域に指定をされましたのは、この釜房湖周辺で、無許可のままゴルフ場開発がされるなど乱開発が進んだ結果です。そこで、釜房の水と緑を守れという住民運動が起こって、ゴルフ場などの乱開発を規制するため県が指定に踏み切ったものです。また、湖沼法の指定は、当時水質環境基準が満たされず、富栄養化も進行し、上水道での異臭味障害等も発生したので指定を受けたものです。  そこで、環境庁に伺いたいと思いますが、この釜房湖の第一期水質保全計画水質目標値、そして九〇年、九一年、九二年の水質の現状はどうなっているでしょうか。
  89. 野中和雄

    野中政府委員 昭和六十二年に策定をされました第一期の湖沼水質保全計画におきましては、CODに係る水質目標を平成三年度で一・九ミリグラム・パー・リットルというふうにしておりました。CODは、平成元年度までは減少傾向にあったわけでございますけれども平成二年度には急激に上昇をいたしまして、この水質目標値を大幅に上回る結果となったわけでございます。
  90. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 つまり九〇年、九一年にCODが急激に上昇し、第一期計画水質目標値を大幅に上回ってしまったわけですね。九二年度から第二期水質保全計画が策定されているわけですけれども、この計画はどういう内容になっているのでしょうか。
  91. 野中和雄

    野中政府委員 平成四年度に第二期の湖沼水質保全計画が策定をされたわけでございますけれども、この計画におきましては、CODに係る水質目標を平成八年度で二・七ミリグラム・パー・リットルというふうにしているわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、その直前のCODの水質、かなり悪化をいたしました、そういうような状況を踏まえまして、水質保全対策の効果等を勘案して定めるということになっておりますので、このCODが大幅に上昇いたしました平成三年度の水質をベースとして目標値を策定いたしておりますために一期計画よりも若干高い値になったわけでございます。
  92. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現実に合わせて規制値を緩和するというか現実に近づけるようにしたということで、より緩い規制値にしてしまったということなわけですね。  この第二期水質保全計画の中で、自然地域対策として「土壌浸食や崩壊による汚濁負荷流出を防止するために、森林の適正管理、造林・保育、砂防ダム建設等を促進する。また、ゴルフ場・スキー場等面的施設の新増設や既存施設の管理については、負荷の流出防止に努めるよう指導する」となっています。また、緑地の保全その他湖周辺の自然環境の保護については、「釜房ダム貯水池の水質保全に資するよう、自然環境保全法、自然公園法、森林法、都市計画法、河川法、宮城県自然環境保全条例等の関係諸制度の的確な運用を通じて配慮し、指定地域内の緑地の保全、その他湖辺の自然環境の保護に努めるものとする」としています。  そこで、環境庁に伺いたいのですが、水質保全のためには各種の汚染源対策と同時に、ここで指摘をされているように自然地域対策や緑地の保全、その他湖周辺の自然環境の保護が大事だというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  93. 野中和雄

    野中政府委員 御指摘のように湖沼の水質保全計画の中には、先生今御指摘のような対策が講じられるように記述をされているわけでございます。湖沼法に基づきます湖沼水質保全計画につきましては、単に水質だけではなくて、そういうような各種の事業の推進等によりまして緑地の保全でございますとか、あるいは湖辺の自然環境の保護に取り組んでいくというようなことは極めて重要なことであるというふうに認識をいたしております。
  94. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 湖沼法の指定に当たりましては、八四年に宮城県みずからが行った釜房湖学術調査では、「釜房湖県自然環境保全地域の森林率が高いことは、土壌の浸透能が高く、湖水の汚染防止に役立つものである。」とし「特に、仙台市域を中心とした地域の上水道として、利用されていると考えると、現状以上に釜房湖周辺が開発され、森林率の低下をきたさないよう配慮する必要がある」としているわけです。こういう考え方から、湖沼法に基づいて水質保全計画が策定され、そして自然環境保全条例で地域保全がされているんだというふうに考えているわけですけれども、この地域で、実は九二年四月、宮城県は突然百五十四ヘクタールのゴルフ場建設の許可を出しました。しかも、森林法や国土法、自然環境保全条例による法的チェックもなされないまま、既にその二年前、九〇年二月に事前協議のゴーサインが出されておりました。また、環境アセスメントを自然環境保全審議会にもかけずに認めてしまっています。さらに、開発地域にある国有地水路敷地約一万三千百二十平米、これも建設省の廃止決定を経ないまま廃止をしています。このように、通常では考えられないような異例ずくめの中で、先ごろ贈収賄事件で逮捕をされた本間前知事が、他県でも既に贈収賄事件で逮捕者を出しているミサワホームに強引に建設許可を出したものなんです。  そこで、環境庁に伺いますけれども、九二年四月のこのゴルフ場の建設を許可する以前に、宮城県内の自然環境保全地域でゴルフ場建設に伴う林地開発を許可した例があるでしょうか。
  95. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。県の方から私ども報告を受けましたところによりますと、県内ではほかに例はないというふうに聞いておるところでございます。
  96. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 ところが、このゴルフ場については裸地十三ヘクタール、これがあるわけですけれども、それを裸地であるということを口実に森林地域百十八ヘクタールの開発を許して、そしてゴルフ場をつくるというようなことになったわけです。この裸地にはもう既にカヤや柳が育っているということで、植生の回復が見えていましたし、この沢の水も濁度二十四とかなり低い数値になつていたわけです。自然環境保全条例は自然環境保全法を基本にして制定されているわけですし、それから自然環境保全地域では工作物の新築だとか土地の形質変更などの行為が規制をされています。このゴフル場開発問題は、この林地開発の許可がされるはずがない地域に許可がされている、そういうところに大きな問題があります。これは明らかに条例に反する行為と言わなければならないと思います。  環境庁として、国が指定した自然環境保全地域内でゴルフ場の許可をしたそういう例はありますでしょうか。
  97. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  国が指定した自然環境保全地域はこれまで指定された地域においてはほぼ全域が国公有地に設定をされておりまして、ゴルフ場を含めた開発行為は行われていない状況でございます。
  98. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、もう本当に重大なことになるわけです。現在建設中のゴルフ場の工事によって大量の汚泥が釜房湖に流入して水を汚しています。例えば、去年六月四日の汚染というのはCODが十三・三ミリグラム・パー・リッターと基準値の十三倍、濁度が八百八十度という異常な数値を示しています。これは、環境アセスメントで工事中の汚濁水は公共用水域へ流出しないよう万全を期すと述べていることに明確に反しています。また、同ゴルフ場と宮城県との間で結ばれた自然環境保全協定の「釜房湖の水質に悪影響を及ぼすことのないように」という規定からいっても工事の続行は許されないことです。工事は直ちに中止をすべきだと思います  環境庁に伺いますが、湖沼法の水質保全計画の達成の推進や湖周辺の自然環境の保護の観点から、直ちに水質への悪影響などを調査をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  99. 野中和雄

    野中政府委員 ただいまのゴルフ場の件でございますけれども 宮城県に照会をしておりますけれども、このゴルフ場は、宮城県の自然環境保護地区の指定以前の昭和四十七年にゴルフ場の開発が行われたわけでございますけれども事業者の倒産によりまして工事半ばにして、いわば一部裸地状態のままに放置をされて、災害の発生も危惧されたというようなことで、災害の防止と植生の回復に配慮をしたゴルフ場としての再開発につきまして必要な手続を進めまして、平成四年に許可をしたというふうに聞いているわけでございます。  許可に当たりましては、宮城県といたしましては、環境影響評価の調査、あるいは関係法令に基づく十分な審査を行いまして、また専門家の意見も聞くなどいたしまして、それまでの裸地状態よりも水質の問題に関しましてもむしろ好ましいのではないかというふうに判断をしたというふうに聞いているところでございまして、県の判断を尊重いたしたいというふうに考えております。
  100. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 先ほども申し上げたように、この地域は一九七二年以前にゴルフ場という乱開発が行われたわけですね。それが問題になって、この地域保全地域として指定しなければならないということで進められたものなんです。裸地状態に置かれている十三ヘクタール、これは先ほど申し上げたようにカヤや柳はもう既に育っているわけですね。ここを口実に、それの十倍にも当たる面積を開発をした、そこに重大な問題があるわけなんです。そして、こういう開発が先ほど申し上げたように大変な汚濁を引き起こしているということなので、県の言うことをうのみにしないで、きちつと環境庁として対応をしていくべきだというふうに思います。  なぜ、釜房湖の水質に悪影響を与える、こういうことを承知でゴルフ場の開発が許可されたのか、そこが非常に問題なんです。あの疑獄事件で逮捕をされた本間前知事の強引な手法によるものだというふうに言わなけばならないと思います。林地開発の許可を審議したとされる宮城県森林審議会の委員には、既に汚職で逮捕をされた七ケ宿の安藤前町長が加わっています。そして、本間前知事の側近中の側近として逮捕された守屋容疑者は、この地域のブナ林伐採の当事者なんです。また、ゴルフ場用地を買収したミサワホームの子会社に取締役として元県の土本部長が天下っています。後に今回の贈収賄事件で問題になっている名取グリーンポートの専務になっているのです。このような県政の汚職、腐敗、癒着構造が森林法無視のゴルフ場の林地開発の許可につながったのではないか、そういう疑いを持たざるを得ないのです。  現在の知事が知事選挙の際に、釜房ゴルフ場問題について自然保護団体の質問に、もっとも糾弾されるべきは、許認可権を金で売り、してはならない場所を乱開発させたことではないでしょうか、他のことは風化し得ても、大切な自然環境や生活環境を破壊したことは決して風化し得ないからです、とした上で、この点を是正すると明確に答えております。  環境庁として、第二次水質保全計画に逆行するようなゴルフ場の開発は、今回の水道水水質保全のための新法の精神こも反します。仙台市民の水がめを守るために、直ちに事実関係を調査して、そして工事の中止措置を含む適切な対応を行うべきだというふうに思います。環境庁のきちんとした対応、そして長官の決意を伺いたいと思います。
  101. 野中和雄

    野中政府委員 本件につきましては、私どもは宮城県にも照会をしているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、適法に許可等はなされたものというふうに考えております。  また同時に、釜房湖の水質改善対策等につきましても、必要な対策がなされるというふうに伺っているところでございます。
  102. 広中和歌子

    広中国務大臣 今御指摘なさいました点につきましては、今この場で環境庁長官としての立場でお答えできないので、一般論としてゴルフ場の建設、開発につきまして所見を述べさせていただきたいと思います。  こうしたゴルフ場などの開発行為は土砂の流出等を通じて水質汚濁の発生源となる可能性があることはよく認識しております。このような開発行為につきましては、中央環境審議会答申に示されておりますように、森林法を初めとして規制の適切な運用、そして適切な環境アセスメントを行うことが重要でございまして、これは地方自治体でそれぞれ要綱でやっていただかなければならないわけでございますが、環境庁といたしましては、森林法等の諸制度を所管する各省庁と連携を深めながら、開発行為に伴う水質汚濁の問題には適切に対処していきたい、そのように思っている次第でございます。
  103. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そういう環境庁の一般論を私は伺いたいというふうに思っていたわけではありません。釜房湖についてずっと経緯を申し述べました。県がいろいろ環境庁説明したけれども、実際そうじゃないでしようと。裸地だと称する十三ヘクタールを理由にして、それの十倍ものゴルフ場の開発を、従来のいろいろな森林法だとか国土法だとか自然環境保全条例、そういう法的なチェックもしないままに九〇年に事前協議のゴーサインを出したり、あるいは環境アセスメントを自然環境保全審議会にもかけないでやったり、異例ずくめでこの開発がされているわけですね。そして、知事選挙で新しい知事が、この問題についてはこれはおかしいと思う、だからきちんとしていきたいというふうに言っている問題なんですね。その問題について、水をきれいにしなくてはいけない、仙台市民の水がめである釜房湖、その湖が今現に汚染をされている、そういう実態にあるわけですから、一体ゴルフ場が原因なのか、その調査をしてそしてきちんと対応する、そういう対応がなかったら、環境庁がそこのところをきちんとやらなかったら、この法律は本当に何の意味も持たなくなってくる。一体どういう姿勢でこういう法律をつくるのかということになってしまうのではないでしょうか。  私はそんな難しいことを言っているわけではありません。現地をちゃんと調査をして、それで県民やあるいは国会が納得できるような、そういう結果を出してくださいということを申し上げているわけです。それを、いや、県に聞いたら何も問題がないと言っていたということだけの答弁の繰り返しては、この委員会で指摘をした、取り上げている意味もなくなりますし、私は十分取り上げる意味があるというふうに思ったからこそ今までの経過をずっと明らかにしたわけですから、もうちょっときちんと環境庁として対応すべきだというふうに思いますけれども、いかがですか。
  104. 野中和雄

    野中政府委員 本件につきましては、確かに水源となっております釜房ダムの水質保全というのは非常に重要な問題であるというふうに環境庁としても考えているわけでございますけれども、本件の許可につきましては、県知事の権限になっていることでございます。それで、県に照会をいたしましたところ、今のような水質の問題も含めまして環境保全にも十分配慮して許可をし、またその後の監視等も行っているというふうに報告を受けているわけでございまして、権限の関係から、私どもといたしましては県の判断というのを尊重させていただきたいというふうに考えているところでございます。
  105. 奥田幹生

    奥田委員長 これは、やりとりをしておりまして予定の時間を終わっております。昼食をとって、午後一時にはどうしても始めなければなりません。したがって、岩佐先生政府に対する質問は午後五時からもう一回ございます。その冒頭に、これは野中局長、奥村局長両方にまたがる問題でございますから、ひとつ環境庁として統一見解をしっかり答弁をしてもらうようにして、後に譲ってください。お願いします。
  106. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 では終わります
  107. 奥田幹生

    奥田委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  108. 奥田幹生

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  第百二十八回国会内閣提出特定水道利水障害防止のための水道水源水域水質保全に関する特別措置法案について審査を続行いたします。  本案審査のため、本日、参考人として大阪大学工学部教授村岡浩爾君、財団法人淡海環境保全事業財団副理事長花房義彰君、以上二名の方に御出席いただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、ありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  なお、議事の順序についてでございますが、まず、両参考人にそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、次に、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  それでは、村岡参考人からお願いいたします。
  109. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 参考人の村岡でございます。  私は、昨年十二月に出されました中央環境審議会の「水道利用に配慮した公共用水域等の水質保全対策のあり方について」という答申の審議に審議会の一員としてかかわりますとともに、浄水操作に伴いましてトリハロメタンを初めとする有害物質の抑制の問題を議論するため、水質部会の下に設けられました水質保全技術専門委員会の委員長を務めましたので、そういった立場から、きょうは意見を述べさせていただきたいと思います。  お配りしておりますレジュメの一枚目にもありますように、まず、トリハロメタンというのはどういうものかということを説明させていただきまして、二番目に、我が国におけるトリハロメタン問題の経緯及びこれまでとられてきた対策について御説明したいと思います。三番目に、トリハロメタンの低減のための公共用水域における対策の必要性について考えを述べさせていただきます。最後に、中央環境審議会におきまして議論になりました中で、主なものを四つばかり御説明したいと思います。  さて、トリハロメタンという物質でございますけれども、二枚目にその概略を書かせていただいておりますが、メタンガスという、まあメタンですけれども、最も簡単な炭化水素でございますけれども、そのメタンの水素のところが塩素とかあるいは臭素などのハロゲン元素に置きかえられたものを一般にトリハロメタン、こう申しております。  水道中で問題になりますのは、右側の枠に書いておりますように、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン及びブロモホルム、この四つでございまして、この四種類のトリハロメタンの量を総計しまして総トリハロメタン量、こういうふうに定義しております。これらの物質は、発がん性観点から、水道水質基準が定められております。  これがどうして生成されるかといいますと、左側に書いておりますよりこ、自然界、生活排水工場排水等の幅広い発生源から排出してきますフミン質と言われる非常に分解性の悪い有機質と、それが浄水場にやってきまして、そこで使用される塩素とが反応して初めて生成され、トリハロメタンという有害物質になるわけでございます。  続きまして、我が国における水道水トリハロメタンの問題の経緯と現在までとられてきた対策について御紹介させていただきます。  浄水場発がん性の疑いのあるトリハロメタンが検出され、対策が必要となりましたことから、昭和五十六年三月に、厚生省におきまして、水道環境部長の名前によりまして通知がありました。そこで対策を講じる際の目安となる総トリハロメタンの制御目標値を年平均で〇・一ミリグラム・パー・リッター以下とする指導がなされてまいりました。これに合わせまして、トリハロメタンの濃度の比較的高い水道では、塩素処理の適正な管理を行うことによりましてその低減に努められるように指導がなされてきたわけでございます。  その後、WHOの飲料水質のガイドラインなど諸外国の水道水質にかかわる知見をもとにしまして、水道水質基準平成四年十二月に改正され、総トリハロメタンとしまして最高値で〇・一ミリグラム・パー・リッター、また四物質のそれぞれについても基準が定められまして、これが昨年の十二月に水道水質基準が施行されるということになったわけです。これによりまして、水道事業者はこれらの基準を満たす水道水供給しなければいけないという法的な義務が課せられることになったわけでございます。  また、トリハロメタン以外にも消毒副生成物がありますが、現在は濃度のレベルが非常に低いために、その一部につきまして、監視項目としてホルムアルデヒドなど五種類につきまして指針値が設定されておる、こういう状態でございまして、これなどが厚生省が主にトリハロメタンに関してとってきた施策でございます。  一方、環境庁におきましては、河川や湖沼などの公共用水域における水質保全観点から、トリハロメタン対策も含めました形で「水道利用に配慮した公共用水域等の水質保全対策のあり方について」昨年九月に中央公害対策審議会に諮問いたしました。この問題につきましての議論水質部会で行われまして、昨年十二月に答申環境庁長官に提出したところでございます。  特に、トリハロメタン対策を含む浄水場における有害物質の生成の抑制の問題につきましては、先ほど申しましたような水質保全技術専門委員会という委員会におきまして、この問題に詳しい先生方の参画を得まして、五回にわたりまして熱心な議論をしてまいりました。その専門委員会の報告がこの答申の中に盛り込まれているというわけでございます。  では、なぜ公共用水域トリハロメタン対策が必要かについて考えてみたいと思いますが、平成三年度の水道水の測定結果を見ますと、トリハロメタンの濃度が基準値を超えたりあるいは基準値に近い値を示したりする浄水場もかなりございまして、厚生省資料によりますと、そのような事業体が六十三ある、またその影響人口が約二百五十万人に上るというふうに伝えられております。  浄水場トリハロメタンの生成防止対策は、塩素反応によってトリハロメタンが生成されることから、まず浄水場でそのとるべき対策が行われるべきで、水道水中トリハロメタンの監視、測定とともに、塩素処理の管理の適正化にこれまでも努力が払われております。  さらに、比較的トリハロメタンの濃度の高い浄水場におきましては、浄水操作の最初に塩素を入れるという前塩素処理から、中間段階で塩素を入れる、そういう注入方式の切りかえなどをやりまして、濃度低減対策実施されておりましたり、一部の浄水場では、におい対策に付随しまして、トリハロメタン対策にも有効であると考えられているオゾン処理あるいは粒状活性炭処理など、いわゆる高度浄水処理が採用されてきておるわけです。  しかしながら、塩素管理を適正にするといいましても、現実にアンモニア性窒素の汚染の著しい水域におきましては、その制御はかなり難しゅうございます。また、中間塩素の採用といっても、一〇%から二〇%ぐらいの低減率であるということです。さらに、高度処理を行うといいましても、この導入は直ちにできるというものではございませんで、すべての水道事業者がこれを導入できるわけではなくて、技術力とかあるいは人材を備えた大規模な浄水場に限られるというのが現状でございます。  そこで、また塩素の使用の話になるわけでございますが、塩素は他の消毒剤に比べまして非常にすぐれた殺菌力がございます。しかも、残留性とか扱いやすさあるいはコストの面でも評価が抜群でございまして、他の消毒剤としましてオゾンとか二酸化塩素あるいはクロラミン等がございますけれども、それぞれ欠点がございます。このように、現在の技術水準をもってすれば塩素にかわる消毒剤はございませんで、今後ともこの塩素の使用が不可避であるというふうに判断しております。  以上述べてまいりました点を踏まえますと、トリハロメタンの濃度の高い一部の浄水場におきましてはトリハロメタンの低減対策には限界があるというふうに見なければなりませんで、もちろんその浄水場における対応の強化も必要でございますが、限界が予想される場合には、公共用水域におけるトリハロメタン原因物質の低減が必要というふうに考えておりまして、この点につきましては審議会で大いに議論したところでございまして、答申にもその必要性の趣旨が盛り込まれておるわけでございます。  それでは最後に、水質部会とか専門委員会におきまして議論になりました主要な点を御紹介したいと思います。  一つ目は、対策の分担の考え方でございまして、トリハロメタン浄水場において生成されること、それから、浄水場においてもある程度トリハロメタンを低減することが技術的に可能であるというふうなことを踏まえまして、公共用水域では有害でないこのトリハロメタン原因物質を、どのような場合に規制を含めた対策を考えていく必要があるか、この点につきまして相当議論がございまして、結論的には、審議会といたしまして、浄水場における所要の措置公共用水域における対策を講ずる際の前提であるというふうに位置づけております。そしてまた、その趣旨答申の中でも述べられておるわけです。  また、トリハロメタン原因物質は、生活排水工場事業場と、各種の発生源から排出されております。そこで、どの発生源に対してどのような対策を講ずるべきかという議論がなされたわけですが、その結果、答申におきましては、公共用水域で目標となる水質を決める、定める、そして下水道等の各種事業工場事業場における排出抑制等、それぞれの発生源の特性とか地域の特性とかに応じて均衡のとれた対策を総合的、計画的に推し進めるというふうに基本的な考え方をまとめております。  二つ目は、公共用水域におきまして対策を講ずるべき項目、先ほど言いました目標となる水質でございますが、これに関しては、トリハロメタン原因物質である、そういう物質の指標として、トリハロメタン生成能というものを当てるというのが妥当であるという結論を得ております。  このトリハロメタン生成能という項目は、原水から試水をとってまいりまして、これを一定条件下で塩素と意識的に接触させまして、その結果発生したトリハロメタンの量をもってその原水のトリハロメタンを生成する能力といいますか、そういうふうな指標にするということにしております。しかし、その測定が余り簡単なものでないということ、それからコストの面でも問題がありますので、従来から有機物の指標であるCODなどをもって当てることはできないかという指摘もございました。  しかし、これまでの知見によりますと、トリハロメタン生成能といり値はBODとかCODの値と必ずしもいい相関があるわけでございませんで、そのため、やはりこの場合トリハロメタン生成能というものを指標に使うべきという意見が委員会で大勢を占めました。  三つ目は、対象水域の考え方です。浄水場におけるトリハロメタンの特性と地域の特性を踏まえた上で、適切かつ効果的な対策を講じていく必要があるということから、答申におきましては、公共用水域におい対策実施する必要性の高い水域を指定します、その上で総合的な対策を講ずるという指定水域制度をとるのが適当という、そういう考え方をとっております。これにつきましては、法案におきましても指定水域、指定地域制度がとられておりまして、この答申に沿ったものと思われます。  四つ目は、指定水域での対策対象となる工場事業場の範囲をどうするかということですけれども、この範囲につきましては、すぐれてこれは行政的な対応が求められる部分でございますので、答申におきましては特に明確な基準を定めた形にはなっておりません。今回の法案におきましては、指定地域に存在する政令で定める規模以上の工場事業場に対し特定排水基準が適用されることになっておりまして、その規模とかあるいは基準値につきましては今後政府の方で適正に定められるものというふうに理解しております。  以上のように、このトリハロメタンという物質は浄水処理の過程で発生し、原因物質公共用水域にある間は有害ではない、こういうこれまでの水質項目にない物質を扱うことになるわけです。このような水質項目対象となること自身、私どもは、非常に多様な水の利用と、複雑な物質と接する社会に突入しておることを実感するわけでございます。  また、審議会の一人の委員が、安全でおいしい水の追求は安全というセキュリティーとおいしいというアメニティーの統合の追求である、二十一世紀に向かってこれは非常に重要なテーマではないかとおっしゃいましたけれども、私も全く同感でございます。  今回の問題解決に対しまして、それぞれの立場で責任を分担していくということを前提にいたしまして、水域の水質保全に関しまして法案に盛り込まれたいろいろな事項がございますが、それ以外にも有害物質対策あるいは農薬対策、地下水汚染の防止カビ臭の発生防止などについても答申の中で提言を行っておりますので、それらの提言が着実に今後具体化していくことを願っておる次第でございます。  これをもちまして、私の陳述を終わらせていただきます。
  110. 奥田幹生

    奥田委員長 ありがとうございました。  次に、花房参考人にお願いいたします。花房参考人。
  111. 花房義彰

    ○花房参考人 淡海環境保全事業財団の副理事長の花房でございます。昨年度まで滋賀県の生活環境部長を務めておったわけでございます。本日は、私どもの意見を御聴取いただく機会を与えていただきましたことに対しまして、厚く御礼を申し上げます。  意見を申し上げるに当たりまして、順序として、まず琵琶湖における水質の現状をお話し申し上げ、次いで滋賀県で琵琶湖の水質保全するためにどのような取り組みをしてまいったかを御説明し、その上で本法案に対する考え方、さらに国へのお願いについて述べさせていただきたく存じます。  御承知のように、琵琶湖はその名が示しておりますように楽器の琵琶の形をいたしておりますが、大きく深い主湖盆を北湖と、また小さく浅い副湖盆を南湖と呼んでおります。参考資料に図面がございますが、この下の方に線で引っ張っておるところが琵琶湖大橋でございまして、ここを境に北を北湖、南を南湖というふうに呼んでおるわけでございます。  琵琶湖の水は、唯一の流出河川でございます瀬田川から、宇治川、淀川を経て最終的に大阪湾に注ぐわけでございますが、その間に、京都、大阪、兵庫を含む千四百万人の人々の飲料水、工業用水、農業用水などとして利用されております。このように、二百七十五億トンの貯水量を誇る琵琶湖の水が近畿一千四百万人の生活と経済を支える水源となっておりますし、かつ琵琶湖と滋賀県民とのかかわりは、私どもにとりましてもある種の精神文化とも呼べる独特のつながりを持っておりますので、滋賀県では従前より琵琶湖の水質保全を県政の重要課題の一つに位置づけまして、その水質保全対策を積極的に推進してきたところでございます。  とりわけ琵琶湖は飲料水としての利用がございます淀川水系の最上流部に当たりますことから、人の健康に係る環境基準項目として指定をされております物質につきましては、厳しい上乗せ排水基準を設定するなどの対応をしてまいりました。その結果、平成五年三月に追加指定されました項目を含めまして、すべての項目環境基準を達成しており、この点に関する限りは全く問題のない状況にございます。  琵琶湖は滋賀県面積の約六分の一を占める非常に大きな湖でございますので、北湖と南湖では水質や生息する生物が多少異なっているところでございます。湖沼の水質指標として最も代表的なCOD濃度で申し上げますと、琵琶湖は国立公園内にございます阿寒湖や尾瀬沼と同じレベルの濃度の比較的きれいな湖の一つでございます。しかしながら、生活環境項目に係る環境基準の達成状況から見ますと、北湖の燐のみが達成しているだけの状況でございます。  近年の水質動向といたしましては、この資料にもございますが、おおむね横ばいに推移をしている状況にありますものの、毎年のように春先に淡水赤潮が発生をいたしておりますし、COD濃度の漸増傾向が続くなど、予断を許さない厳しい状況にあると認識をいたしておるところでございます。  琵琶湖の水質保全に対するこれまでの取り組みについて御説明を申し上げます。  さきにも申し上げましたように、琵琶湖の水は滋賀県と京都の飲料水源として直接利用されておりますほか、下流の淀川流域千四百万人の飲料水として利用されております。このため、滋賀県が昭和四十七年に制定をいたしました上乗せ条例において、健康項目に関する上乗せ排水基準を厳しく設定し、水源として万全の措置をしているところであります。また、滋賀県公害防止条例を昭和四十八年に全面改正する際、水質及び大気に係る有害物質を使用する製造業につきましては、工場の設置、施設や排水量等の変更に知事の許可制を導入し、より厳しい排出に対する監視を図るとともに、有害物質の使用即排出の可能性を基本理念といたしまして、工場を指導してきたところでございます。  琵琶湖におきましても、過去においてはPCBや水銀などによる汚染問題が発生をした時期がございましたが、さきに申し上げましたような施策を推進してまいりました結果、現在では問題は発生をいたしておりません。  次に、富栄養化防止対策について御説明をいたします。  約百年前に琵琶湖と京都を結ぶ京都疎水と呼ばれる運河が掘られまして、この水を利用した発電により我が国最初の市電が京都で生まれたことは、つとに知られているところでございます。現在もこの疎水を通じまして送られた水が京都市民の飲料水源となっているところでありますが、昭和三十四年に植物プランクトンの大量発生が原因となって、琵琶湖の利水上の初めての障害として、京都の浄水場でろ過障害が発生しております。その後、昭和四十年代の半ばからはカビ臭が発生するようになったところでございます。また、昭和五十二年からはウログレナによる淡水赤潮の発生を見るようになっておりますが、この淡水赤潮の発生時には水道水に生ぐさ臭がつくことが問題となっております。  このように、琵琶湖での富栄養化の進行が徐々に顕在化してまいったところでございますが、何と申しましてもその深刻化を印象づけたのが、昭和五十二年に初めて発生をいたしました淡水赤潮でございます。この淡水赤潮の発生を契機といたしまして、粉石けんの使用推進運動に象徴されます琵琶湖を守ろう、きれいな琵琶湖を次代へ引き継ごうという県民運動が展開されるようになったところでございます。このような県民運動を背景といたしまして、全国に先駆けた窒素、燐の排水規制や、燐を含む家庭用合成洗剤の使用や販売の禁止を中心とした富栄養化防止条例の制定を見たところでございます。  富栄養化の原因物質であります窒素や燐は、単に生活排水工場排水だけが汚濁発生源となるのではなく、農業排水はもちろんのこと、例えば雨水に含まれている窒素、燐濃度は琵琶湖の濃度より高いことに代表されますように、自然系の負荷もかなりの量となっております。したがいまして、滋賀県では従前から、窒素、燐を除去する高次処理装置を備えた下水道農業集落排水施設の整備、あるいは県下すべての市町村水質汚濁防止法に基づく生活排水対策重点地域に指定して推進している生活排水対策や、窒素、燐対策を含む工場排水規制などを実施してまいったところであり、主な発生源に対して現行の法制度において講じることが可能な施策は可能な限り強化を図ってきたところでございます。  しかしながら、人口の増加比率や第二次産業の構成比が全国一の内陸工業県であります滋賀県の実態や、豊かさや利便性を求める社会趨勢の中で琵琶湖の水質保全を図っていくためには、これまでの生活排水対策工場排水対策に加えまして、小規模事業場排水対策あるいはこれまで取り組みが困難とされていた農業排水対策や面源対策にも取り組む必要があるものと考えております。  とりわけ、琵琶湖の異臭味問題のうち、被害日数等から見て最も大きなものは南湖におけるカビ臭でありますので、この解決を図る方策の一つとして南湖水質改善対策に取り組んでいるところであります。  その内容といたしましては、最もカビ臭が着臭する水域での底泥対策、琵琶湖流入河川の河口部周辺での負荷削減対策などを講じることを予定しているところでございますが、実施に必要な枠組み、あるいは膨大な事業費に対する財源措置が確立していない等の問題点の解決に苦慮をいたしているところでございます。  次に、今回の特別措置法についてでございますが、これまで申し上げてまいりましたように、琵琶湖が近畿一千四百万人の飲料水源であることを念頭に置いた水質保全対策を講じてまいった滋賀県といたしましては、水道水源水域水質保全対策を総合的かつ計画的に実施する必要性を痛感しているところであり、本法案の成立を期待しているものでございます。  さきにも申し上げましたように、琵琶湖ではこれまで富栄養化防止対策を積極的に推進してまいったところでございますが、富栄養化の原因物質であります窒素や燐は私どもの生活や生産活動になくてはならない物質でございます。しかし、これがふえ過ぎると植物プランクトンの異常増殖を引き起こし、これが水質汚濁につながっております。  今回の法案対象とされておりますトリハロメタンを生成する原因物質も、原因物質そのものは有害物質ではございませんが、浄水場における塩素注入に伴い、発がん物質であるトリハロメタンに変化するため対策が必要となるなど、まさに新たな環境問題への対応であろうと考えているところであります。  琵琶湖のほとりで始まりました一握りの県民運動が全国的な富栄養化防止のためのうねりとなりましたように、トリハロメタンのような浄水副生成物の発生を防止するという新たな観点からの制度の確立は、まさに国民の健康を守るための画期的な取り組みであると評価しているところでございます。  窒素や燐あるいは今回問題とされておりますトリハロメタン原因物質の発生源は、生活系や産業系はもちろんのこと、農畜産系や自然系にまで及んでおりますので、その対策を総合的、計画的に講じるに当たっては、幅広い観点からの均衡ある対策検討が必要と考えられます。  新たな観点からの処理施設の整備や面源対策には一層の対策技術の開発が必要となると思われますし、下水道生活排水処理施設の整備等の対策に要する経費も多大なものとなることが想定されますので、地方公共団体等に対する技術面や財政面での思い切った支援体制を国において整備していただくことを切に要望するものでございます。  また、水道水源となっている水域の中には、琵琶湖・淀川流域を初めとして複数の地方自治体にまたがるものがございますが、これらの地域におきます水をめぐる上下流の問題は、かつての量の問題から質の問題へと変化をしております。水質保全対策実施してまいりますのは水源水域を有する上流県でありますが、これらの水質保全対策に要する費用の上下流での負担等については今後の課題として国におい議論が行われるように承っておりますが、幅広い観点からの活発な議論をお願いいたしまして、意見の陳述といたします。
  112. 奥田幹生

    奥田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
  113. 奥田幹生

    奥田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林幹雄君。
  114. 林幹雄

    ○林(幹)委員 自民党の林幹雄でございます。参考人の両先生には、本日は御苦労さまでございます。  私の選挙区は千葉二区と申しまして、印旛沼、利根川を水源に抱えているところでございまして、水質保全問題には常々関心を持っているわけでございます。  今回の法案は、水道水の消毒のため塩素を加える浄水過程におい発がん性物質とも言われているトリハロメタンなどの有害物質が発生することから、その防止対策のための必要な措置だと言われております。  そこで、村岡先生にお伺いいたします。  塩素の使用によってトリハロメタン等発がん性物質ができるとのことでありますけれども塩素の使用をやめない限りトリハロメタン等の有害物質の生成をなくすことはできないものなのか。  また、御説明では、塩素にかわる消毒剤は今のところない、塩素の使用をやめることは非常に困難だということでありましたけれども水道水の安全性をどのように考えればよいのか、裏返して言えばどの程度の濃度であれば安全だと言えるものなのか、その辺をまずお尋ねをしたいと存じます。
  115. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 お答え申し上げます。  お言葉のように、やはり浄水過程で塩素を使うことによってトリハロメタンが生ずるということですから、塩素の使用をやめない限りトリハロメタンは取り除けないというふうに判断いたします。しかし、そうであってもやはり浄水場では浄水場対策をできるだけやっていかないといけないわけで、その目標値としまして水道水の安全性ということになって、水道水質の基準が決められている、それが一つの目標値だと思います。  そういうことで、浄水場で先ほど私が申し上げましたような塩素の管理の問題を合理的にするということ、あるいはできますれば高度処理を推進していくということ、そしてまた水域の方でも、それが困難な場合にはやはり排出をする方で何らかの規制をやらないといけないということとあわせまして、とりあえずこのトリハロメタン対策に対処していくことが可能であると考えております。
  116. 林幹雄

    ○林(幹)委員 先生、外国でも同じような問題が当然あると思うのですけれども、外国ではどのように対処しているのか、お教えいただければと思います。
  117. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 確かに、外国でもこの問題は起こっております。欧米諸国でありますけれどもトリハロメタンの問題が問題になっておりまして、それなりに浄水場対策を講じております。  しかし、浄水場でこの対策を推進するということのほかに、国によりまして原水の方で、つまり水域の方で対処するという考え方を主にしているところもあると思います。例えばフランスなんかですと地下水と表流水を五分五分ぐらいで使っているわけです。日本は地下水が二割ぐらいでございますけれども、そういったことで地下水の保全に力を入れる。あるいは、多少汚い水はもう一度地下に戻してそれを再利用するというふうな形の使用もあります。アメリカでも問題になっておりますけれども、もう一つ高度処理を推進するというインセンティブが薄いというふうな形で、それほど進んでいるとは思えません。  そんな状況でございます。
  118. 林幹雄

    ○林(幹)委員 トリハロメタンの生成を抑制する対策として浄水技術ではどの程度対応できるものなのか。あるいはまた、外国の浄水技術を導入することなど、技術的には解決できないものかどうか、お尋ねしたいと思います。
  119. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 その対策は、まず浄水場でとるべき問題としましては、塩素の扱いを適正にするということで中間塩素処理を使いますといいわけですけれども、それでたかだか一割から二割。それから、高度処理が仮に徹底したといたしましたら四割から五割ぐらいの除去率になるかと思います。そういうことで、それでおさまればいいのですけれども、それをオーバーする可能性がございましたら、やはり高度処理をもっともっと技術的に推進するとかあるいは水域の方の対策を講ずるとかいう話になります。  それで、外国からの技術を導入するという点では、この問題はオゾン処理が有効であるということはもう化学的にわかっておりますけれども、どういうふうにそれをその地域浄水場で使うかということになりますと、一種のオーダーメードみたいなものでして、原水の濃度とかあるいは操作の難しさとかいうものをこつこつと勉強していかないといけませんので、そういう高度処理をとるときには、初めはテストパイロット的にやって、それからだんだん完成していくということで、長い場合には十年近くかかるのではないかというふうに思われます。お金の問題も別にございますけれども。  以上でございます。
  120. 林幹雄

    ○林(幹)委員 先ほど先生からトリハロメタン原因物質の発生源における対策、幅広くあったのですけれども、具体的にはどのようなものがあるのか、もう一度わかる範囲内でお教えいただければと思います。
  121. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 浄水場でとるべき対策お話し申し上げたように思いますので、水域の方でどういうふうなことを視点においてやらないといけないかという点について述べますと、生活系からのトリハロメタン原因物質がかなり多うございまして、特にし尿処理場から出てくるということがございますので、まず生活系に関しましてはし尿処理の高度化をねらうということになるかと思います。  また、そのほか産業系、工場事業場からですと、やはりこの原因物質、主にフミン質でございますけれども、そういったものが高い濃度で出てくるところはもうひとつ処理の技術が進んでいないという実態がございます。とりあえずそういう処理をもっと完璧にあるいは高度化するということで、凝集沈殿法というのがございますけれども、その物質を、固液を分離してやるとか、あるいは生物処理というのもございますが、それを一層普及させるとか、あるいは前段階で、濃度の濃い段階である程度その処理をしてしまう、残りを別の処理法でやるとかいろいろな方法がございまして、そういったものを推進しないといけないと思います。  いずれにしても、このフミン質というものを原水から、排水から分離してそれだけを処理するということはできません。したがって、既往の処理技術を高めるということがまず第一ではないかというふうに思います。
  122. 林幹雄

    ○林(幹)委員 浄水場における対策原因物質の発生源対策等、いろいろと先生からお話があったわけでありますけれども、解決策として、化学的に見てはどういうものが一番よろしいと思われるのかお尋ねしたいのです。
  123. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 いろいろな観点からこれは考えないといけないと思いますが、とりあえず浄水場における対策技術につきましてはさておくといたしまして、発生源の方での対策というものをやはりこの場合推進していかないといけないかと思います。  そのためには、従来からの有機物、これも必ずしもBODのレベルで達成されているわけではございません。CODもそのとおりでございます。そういった基準の達成率を高めるための努力をやる。フミン質もやはり有機物質の一種ですから同時に出てくる、相関は悪いですけれども同時に出てくる可能性があるわけですから、そういう有機物等の処理を完璧にしますと、当然フミン質の方、原因物質の方も低下していくということがねらえるのではないかということです。さらにNPの問題がございますけれども、これについても同様でございまして、やらないといけません。  このように生成能という形で今度新しく項目を決めてやるわけですから、これは私の感ずるところ、やはり工場の中で、あるいは浄水場の中で税金からやってくれる、あるいはお金を出してやってくれるということじゃなくて、地域の住民と地域の自治体とが本当にこの問題を一体化して考えていかないといけないのではないかというふうなことで、その点がこれまでとわずかに違った見方をしないといけない物質ではないかというふうに思っております。  以上です。
  124. 林幹雄

    ○林(幹)委員 ちょっと見方を変えまして、いわゆる今回の法案は、おそれのある水源に対する対策をしているわけであります。もともと自分たちが小さいころは、清水なんといって非常に自然の水が十分飲めたわけです。そういった意味で良質な水源を守るという保全対策がどうしても必要だと思うわけでありますけれども先生は、その基本的な保全対策についてお考えがありますれば、ぜひお教え願いたいと存じます。
  125. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 まずこれからの社会というのは、いろいろな、多様な物質と接触していく必要があります。と同時に、水も量として一回使うのではなくて、何回も使っていくというリサイクルの世界に入っていく。だから量も質も、そういうふうに何度も何度も繰り返して使いますと当然その濃度レベルが上がる、そういう未来を考えておかないといけないと思います。  そういう意味で、技術的な問題は幾らでもその都度開発されると思いますけれども、意識の問題だと私は思っておるわけで、そういうふうな社会がいずれ来るぞということと、それから環境基本法もスタートしておりますけれども、そういった面でこれからの新しい社会をまた別の見方でつくり直していかないといけない。省資源、省エネルギー、さらに我々の生活、ライフレベルもいろいろと考えないといけない。そういう中にあって、こういう有害物質が今後どういう動きをするかということをにらんで日ごろいろいろ勉強しないといけないというふうに私は思っております。
  126. 林幹雄

    ○林(幹)委員 ありがとうございました。  若干時間がありますので、同じ質問を花房先生にして御意見をお伺いしたいのですが、良質な水源を守るための保全対策に関して、琵琶湖でいろいろな意味で実績を上げられたわけでありますけれども、千葉県も手賀沼という負けないだけのあれがあるのですが、そういう意味では先生考え方がありますれば、お教え願いたいと存じます。
  127. 花房義彰

    ○花房参考人 先ほどから申し上げておりますように、琵琶湖では良質な水質を確保するために現在までいろいろな取り組みをやってきております。その中で、特に滋賀県といたしましては、県民挙げて琵琶湖を守ろうというこの意識の高まり、こういったものを中心に進めてきておるわけでございます。  したがいまして、例えば三分の一程度水に影響いたします生活排水対策につきましても、全地域生活排水重点地域に指定をいたしまして、全県民がそれぞれ台所から出てくる汚濁物質を防ごうということで、それぞれの台所にストレーナーをつけるとか、こういった県民挙げての取り組みを進めてきておるところでございます。したがいまして、これからはやはりそこに住む人々それぞれが水に対して深い関心を持って進めていくということが肝要であろうというふうに思っております。
  128. 林幹雄

    ○林(幹)委員 どうもありがとうございました。
  129. 奥田幹生

    奥田委員長 細田博之君。
  130. 細田博之

    ○細田委員 島根県選出の細田博之でございます。  私は毎週地元に帰るわけでございますが、富士五湖の上を飛んで、浜名湖の上を、そして琵琶湖の上を飛んで到着する空港は、中海湖畔の米子空港あるいは宍道湖畔の出雲空港のどちらかである。毎週飛んでは湖の様子などを見ておりますし、琵琶湖の大きさなどについても実感をしておるわけでございますが、やはり同じ問題を抱えておりますので、花房参考人に主としていろいろお伺いをしたいと思うわけでございます。  そうして我が宍道湖、中海も、以前、昭和三十年代に全部淡水化をしょう、あそこは薄い海水の入る汽水湖でございますが、淡水化をすることによって農業用水に使おうということで、湖をいわばせきとめまして、上流から流れてくる水は下へ流す、海水は満潮時に上がってこないようにするということで淡水化を図ろうということでございましたけれども環境問題に配慮して、市民の強い要求もありましてこれが中止されました。大変なお金をかけたわけではございますけれども、やはり環境が大事であるということで中止した、こういう経緯があるわけでございます。  このことに当たりましては、琵琶湖その他の各地の状況も大変参考になったわけで、感謝もしておるわけでございますけれども、しかし同じ悩みは抱えておるわけです。つまり、浅く、かつ生活排水、農業用水その他の水が流れ込んでおりまして、富栄養化も進み、相当濁ってもくる、赤潮は出ませんけれどもアオコが発生する、こういう悩みを抱えておるわけでございます。  そこで、先ほど花房参考人がおっしゃったように、この生活排水、農業排水その他を何とかきれいなものにしていく努力が必要でございますが、最大の悩みは、やはりお金でございますね。  もう一つあるのです。意外に気がっかれておりませんのは、いわば水道栓を閉める規制のことばかり言われておりますけれども、たまったものをどうするか。かなりのヘドロがたまっておりますし、琵琶湖の南湖あるいは北湖でもあると思いますけれども、そういうものを取るのには大きなお金がかかるわけでございますが、財源がうまくいかない。この点をぜひとも何とか予算措置その他でお願いしたいということをおっしゃったわけでございますけれども、この点について、私ども島根県も貧乏県でございますし、やはり相当大きな予算措置がないと実現できないわけですよ。それがどうもやはりおろそかだな、一地方の問題として放置されているなという感じがあるわけでございますが、ぜひ国なり、あるいは地方であれば自主財源を大いに強化することによって充実させるべきだと思いますが、その点やや詳しく、アイデアも含めて花房参考人に教えていただきたいと思います。
  131. 花房義彰

    ○花房参考人 琵琶湖におきましては、先ほどから申し上げておりますようないろいろな対策を進めてきたわけでございますが、残念ながら、水質につきましては横ばいあるいは少し悪化の傾向をたどっておる、こういうことでございますし、水道水源といたしましても、カビ臭というようなものが問題になってきております。そういうことから、南湖に堆積をいたしました底泥についてこれをしゅんせつ、除去していこう、こういう南湖水質改善対策事業というのを昨年あたりからぼちぼちと始めておるところでございます。  しかし、これを実施いたしますと、特に汚濁の激しい、小さな赤野井湾というところがあるわけですが、ここをやるだけでも三百億以上かかる、あるいは南湖全体の、特に湖岸べりの堆積のひどいところをしゅんせつするといたしますと三千億、あるいはその全域をというようなことになりますと一兆に達するような莫大な経費が必要となってまいります。現在、そういった事業に対応する枠組みとか制度がないというようなことで、非常に苦慮いたしておるわけでございます。  そんなことから 滋賀県はあと三年ほどいたしますと琵琶湖総合開発が終わるわけでございますが、そのポスト琵琶総というような形の、例えば琵琶湖水質改善特別措置法というようなものをつくって、強力に国あるいは下流府県が琵琶湖の水質改善のために応援をしていただきたいなというふうに思っております。
  132. 細田博之

    ○細田委員 ほとんどの湖は河川を伴っておりますので、いわば河川保全ということで予算もつくことが多いわけでございまして、建設省もまあこれまでは河川といえばほかの水害対策その他にお金を大量に回しておったわけでございます。だんだんこの湖の保全ということにも金額をふやしてきてはおりますが、今参考人のおっしゃったように非常にまだ量も乏しく、額も乏しく、十分な対策を講じられないわけでございます。  細川総理が七%に消費税を実質増額するんだというようなときに、社会福祉目的税などということを非常に短絡的におっしゃったわけでございます。その後すぐに引っ込められたわけでございますけれども、私はああいう、地方からも含めて住民あるいは国民の方から負担を求めてお金を取るとすれば、そういうものを、直接環境の改善にもいいとか、あるいは福祉ももちろんでございますが、教育とか文化とか幅広く使えるようなことをまず発想することが大事なのであって、政治家としてそういうことを考えるべきであって、いわゆる福祉だけにいけばそれで事足れりというような発想自体には大変批判を持っておるわけです。それだけ環境にはお金がかかるわけですね。  他方、環境税という構想もあるわけでございますけれども環境税というのは常に、何か負担能力のある人がいるからその人からお金を、特に企業、そういうところから金を取ればかなりのものが取れるからそれでいいじゃないかという発想もあるのですが、実は汚染は、先ほどの農業排水生活排水、あるいは過去延々と何年にもわたる蓄積でございますように、どこの責任ということはないわけでございます。PPPなどといっても、そこのところはわからないものがたくさんありますね。  そういったものの対策としては、全国民が負担をするという考え方をもはやとらなくては大きな財源は取れないじゃないか。それを取らなければ琵琶湖もきれいにならないし、宍道湖も、先ほど林委員の言われた手賀沼、印旛沼あるいは霞ケ浦も含めて全国の湖沼などというものは一向に改善しないじゃないかというふうに思っております。  そのためには滋賀県の方で努力されるというのも、あるいは島根県や千葉県でそれぞれ努力するというのもいいのですけれども環境行政、特に蓄積された環境汚染については、自動車の廃棄物とかそのほかのごみとか、そういうものも全部そうですね、もう既に蓄積されて、これを何とかしなければ国民の目から見るともう我慢ができないというものについては新たな枠組みを講じなければならないと思っているわけでございますが、その点については御賛同いただけますでしょうか、そういう意見について。
  133. 花房義彰

    ○花房参考人 環境を汚染している原因者は、今までは工場排水でありますとか、そういった特定の企業その他が汚染をしておったというふうに言われておりましたが、現在は生活者といいますか、そこに住んでおる人全部が汚染者であるというふうに考えられるわけでございまして、そういう意味からいいますと、広くすべての国民がそういった環境に対する経費を負担するということは、一つ考え方であろうというふうに思います。
  134. 細田博之

    ○細田委員 そこで、トリハロメタンの問題に参ります。  琵琶湖・淀川水系でどのぐらいのものが出ているのかということは存じませんけれども、いろいろ、そもそも異臭その他問題になっておるわけでございますね、そこの水道は、京都においても、大阪においても。私どもも行きますと、我々の地元の水とこれほど違う水があるかと驚くほどでございますけれども、それはともかくとして、トリハロメタンの濃度改善の問題について、例えば琵琶湖として対策をとってくれというふうに言われた場合、上流、滋賀県あるいは京都府、大阪府というものがどういうふうに考えて総合的に対策をとることが適当だというふうに考えておられるかどうか、その資金負担なり責任の分担ということ、なかなか難しい問題があると思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  135. 花房義彰

    ○花房参考人 琵琶湖でのトリハロメタンの濃度の現状につきましては、現在のところは基準の五分の一程度、〇・〇二ミリグラム・パー・リッター程度でございますので、特に緊急に対応を迫られるような状態にないというふうに理解をいたしております。  しかしながら、琵琶湖は少しずつ汚染をしてきておりますので、今までの富栄養化対策をより強力に進める必要がございますし、それから新たな取り組みといたしまして、底泥のしゅんせつ等の対策も講じていかなければならないということでございます。  したがいまして、そういったことを実施するためには莫大な経費を要しまして、これを上流県だけで負担するということにつきましては、非常に問題があろうというふうに思っております。もし琵琶湖でそういった対応が必要という事態になった場合には、国の格別の援助もいただきたいとは思いますが、下流からの援助もお願いをしなければならないのではないかというふうに思っております。
  136. 細田博之

    ○細田委員 村岡参考人にお伺いしたいのですが、私も素人考えで環境庁の方などに聞いてみまして、こういうトリハロメタンというのは煮沸でもすればなくなってしまうのじゃないかとか、あるいは町で売っている浄水器をつければ大分違うのじゃないかと言いましたら、何か煮沸すればするほどかえって悪くなる場合もありますというような答えもありましたし、浄水器も非常に安いものじゃだめで、極めて高価なものを使わないと取れないのだというようなことを伺ったのですが、その辺の事実関係を教えていただけますか。
  137. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 家庭で使うような浄水器でトリハロメタンは取れます。取れますが、やはり機能を発揮しているような状態でないとだめですので、何日か使っておりますと取れなくなっていく、これはまあ当然でございます。その場合、におい物質等もやはり取れるわけですけれどもにおいの場合は飲んで、ああにおいが出てきたなということで浄水器の機能が悪くなったという判断ができるわけですけれども、このトリハロメタン等はそういうことはわかりませんので、そういったことを考えますと、浄水器に全く頼ってしまうというのは怖いだろうと思います。高級な浄水器もあるのでしょうが、やはりそれはお金の問題になってくると思います。そういうことです。
  138. 細田博之

    ○細田委員 ちょっと村岡参考人にお伺いしたいのでございますが、そのトリハロメタンの怖さ、一般的に発がん性といってもどういう報告がなされておって、どういうふうに症状がなっていくのか、あるいはどういう実験でこれがわかってきたのか、あるいは世界的にどのようにこの問題が生じてきて、今日日本でも法律提案されたのかということを、ちょっと簡単に経緯その他を教えていただきたいのでございます。
  139. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 有害化学物質が人の健康にどういうふうに影響するかということだろうと思います。  これははっきりと、ある量を生物に与えますと健康障害が生ずる、人体実験を初めからするわけにいきませんから動物実験等をやるわけで、そういった場合に評価できるような物質もありますが、発がん性とか変異原性というのは、いわゆる慢性毒性的な効果ですから、非常に長期にわたってその物質を、濃度は薄くても摂取した場合に、どれぐらいの危険率、がんになる危険率があるかというリスクアセスメントというやり方で普通評価するわけです。  トリハロメタンの場合も、一応水道水質の基準が総トリハロメタン量で〇・一ミリグラム・パー・リッター、こう決められておりますが、この値は動物実験などをもとにいたしまして この濃度で人間が死ぬまで飲料水として飲んだ場合に、がんになる確率が十万人に一人というふうな評価を普通するわけです。十万人に一人というのがいいのか悪いのか、これは論議を呼ぶところですけれども、現在これまで世界保健機構とか、あるいはそういう有害物質に関する疫学的知識から見て、リスクというのが十のマイナス五乗ということで普通とられるようでございまして、そのような考え方で有害物質の、例えばこの場合ですと発がん性に対するリスクが計算されていくわけです。それをもとにしまして、我々の健康維持が可能かどうか、対策をとらないといけないかどうかということにつながっていくわけでございます。
  140. 細田博之

    ○細田委員 世界的にはどうでございますか、この規制。ちょっとさっき質問をしたのですが。
  141. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 欧米の先進国におきましては、一応この規制は、トリハロメタンが有害であるということについての評価はなされておりますが、それの発生側でもって規制をするということについての基準というものはございませんと思います。見ておりません。  つまり、私たちが、もしこの法案が通りますと、トリハロメタン生成能という、そういう形で規制していくわけですけれども、この考え方は世界に先駆けて行うものになるかと思います。そのほか、途上国などを対象としまして、世界保健機構等が健康問題を管理しておるのは御承知かと思います。
  142. 細田博之

    ○細田委員 トリハロメタンをいろいろ量を調べていかれたところでは、もちろん何かある種の工場などがあって、その有機物を排出しておるところが関係があるのじゃないかという、非常に高い因果関係を推測させるところもあるようではございます。さらに今度は自然条件の中で、地下を流れるときに炭化水素のいろいろな物質があるとか、その地層にいろいろな特徴があるというところから出てくる水についても、いわば自然汚染のような格好で、それ自体は汚染でないにしても物質が混入して、それが浄水場トリハロメタンになるというようなこともあるやに聞いております。その辺はどういうふうに実際に浄水場で対応してやっていかなければならないのか、この規制はするわけにいかないでしょうから工夫が要ると思うのでございますが、具体策について先生の御見解があればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょう。
  143. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 このトリハロメタン原因物質の主なものとしてフミン質がありますけれども、この物質は有機物質であり、かつ岩石起因というわけではございません。したがって、自然の山地からは出てまいります。これはフミン酸、フルボ酸というふうな落葉が十分分解し切れずに残る物質で、茶色い色をつけるような物質でございまして、そういうものから発生いたしますので、最初は恐らく地上に発生源があるもの、自然の場合、地下にあるんじゃなくて地上にあるものだというふうに考えていいと思います。  ただ、この水が地下に入るということは当然あり得るわけですけれども、地下に入ってもこの物質は多分ろ過とかそういう形ではとれない問題だと思いますので、いずれ、どのぐらい時間がかかるのか地域によって違いますが、浄水場の水源になることは確かでございます。となりますと、先ほど来言っておりますような対策に結びついていく、こういうふうに私は考えていいのではないかというふうに思います。
  144. 細田博之

    ○細田委員 ありがとりございました。
  145. 奥田幹生

    奥田委員長 小泉展一君。
  146. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 私はさきがけ日本新党の小泉農一でございます。きょうは五つにわたって御質問をしたいなというふうに思っています。  もともと私は、自分で言うのもなんですけれども、リサイクルプロデューサーということでみずから名のってリサイクルの仕事をいたしておりました。主に地上資源の埋蔵量の調査とかあるいはまたごみの所有権移転登記代行業と名づけまして、簡単に言えば資源回収業でございますけれども、そんな名前をつけまして、いろいろ工夫を凝らしてリサイクルに取り組んでまいりました。  考えてみますと、自分の体でいえば動脈と静脈の血管が流れておりまして、このバランスがよいから健康だとしたら、地域でも、つくる人、運ぶ人、売る人という動脈と、片づけ、処理し再利用していくんだという静脈のバランスがよい町づくりを私たちは願っているんではないだろうか、こういうふうに思っているわけであります。  そこで、村岡先生に最初に御質問をしたいなと思うのでありますけれども、現在では、ごみを出して、ごみを捨てた方が勝ちという捨て得の社会システムになっていると思っているのですね。よく地方自治体でもごみを集めるわけでありますけれども、ごみは無料で集めてくれるから出さなきゃ損だという形の中で、隣の奥さんが二つ出すと自分は三つ出したりしちやう。そういう時代背景の中で、考えてみると、ごみ処理が無料だからごみに流れる商品をつくった方がいいというワンウエーの社会になってきていると思うのです。  その延長で、ごみを捨てる、処理する仕方として一見自然に見えるわけでありますけれども、燃えるごみは燃そう、燃えないごみは埋めよう、こういう理論があるわけでありますけれども、考えてみると、燃えるようなものは大概腐るものが大半でございますから、逆に、燃えるものは埋めて燃えないものは埋めないようにしたときに、トリハロメタンの発生経緯とこの関係性で言えば、今のごみ処理体系の方がいいのか、腐るものだけ埋めて腐らないものは埋めないでという逆の発想の方が発生メカニズムとして効果があるのか。その辺をまずお聞きしたいと思います。
  147. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 これは難しい問題だと思いますが、やはり有機物質は自然の場で分解するものでありまして、分解する物質であっても、どういう時間でどういう状態でどういう温度でというふうなことを考えていかないといけないと思います。それはもうリサイクルのプロデューサーでございますから先生はよく御存じだと思いますけれども。  したがって、燃えるごみを埋める場合に、その分解性云々から考えて、それが好ましければ当然それで私はいいと思っております。燃えないものはしたがって適当なところに集めなきゃいけない。ただ、ごみというのが、量との兼ね合いもありますし、どこにどういう形で置くかあるいは捨てるかという問題もありますので、一概にどちらかに決めてしまうという問題ではないと私は思っております。トリハロメタンとの兼ね合いからいきますと、その辺の情報はまだ十分にないというふうに言っていいのではないかと思います。  ただ、そういうごみが腐りまして、それが水と接触して排水の中に溶解する。そういう有機物質が含まれている中で、当然フミン質等原因物質が生まれてくる可能性は大いにありというふうに私は見ております。
  148. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 私はまた一方で、産業廃棄物の管理型埋立地といいますか安定型埋立地、そういったものを管理運営して、仕事を業としてきた一人でありますけれども、先ほどちょっと先生の方からお話が出ましたけれども、最初に凝集沈殿をして次に生物処理をして、最近ではオゾン処理までして排水をしておるのですね。すると、すぐ隣の温泉地が平気で汚い水をどこどこ出している。でも、ややもすると埋立地はとんでもない水を出しているんじゃないか、こういういつも疑問を言われまして、細々と生活しているわけでありますけれども、そういう意味でいいますと、どうでしょうか花房先生、琵琶湖等で考えますと、業者の方に汚染源があるとお思いか、むしろ家庭の方にあるんじゃないだろうかとお思いか。私としては、家庭にあるんじゃないだろうかという答えを聞きたいわけでございまして、その辺いかがでしょうか。
  149. 花房義彰

    ○花房参考人 産業廃棄物から出てまいる排水もこれは必ずしも水を汚さないというふうには言えないと思いますけれども、しかし、生活排水というのは、滋賀県で申しますと百二十万人の人が出すわけでございますから、当然生活排水の方が水に対して影響が大きいというふうには思います。
  150. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 先ほど最後に家庭用の浄水器の話が出ました。つらつら考えますに、いろいろな御家庭に行きますと結構ついているんですね。それは高いのもあれば安いのもあるかもしれませんけれども一つだけ私流に気づいたことを申し上げますと、どうも家庭用の浄水器が普及すればするほど選挙の投票率が下がっているんじゃないだろうかと。余り因果関係ないかもしれませんけれども、実はそのくらい、私たちが日常生活にあって水に対して不安を感じている。これは事実ではないだろうかというふうに思うのであります。  私は人口十六万の神奈川県の秦野市というところに住んでいるわけでありますけれども、名水百選に選ばれました。もう町を挙げてどんちゃん騒ぎでありまして、大変有名ないい町だ、水のおいしい町だ、最初はそう思ったわけでありますけれども平成元年にいろいろな井戸水を調べてみましたら、二百八十七件のポイントの井戸からトリクレン、パークレン等二十八件、九・八%の検出があり、ジクロロエチレン五十四件、一八・八%が検出をされまして、うちの町は本当に名水百選の価値があるんだろうか、環境庁に返上しなきやまずいんじゃないだろうか、そんな話が内輪で出たことがあるわけでありますけれども工場でも、百三社ある中で六十一社からそのように原因とされるのではないかという反応が実はありました。  こういう町では、町自体でいろいろ技術的な問題よりも状況づくりを進めるわけでありまして、地下水汚染の防止及び浄化に関する条例、七章五十六条から成る秦野市自体の条例をつくって、今発生源をできるだけもとから断つようにしているわけでありますけれども、今回のこの法律は、一部の市町村で行われている水源保護条例に対してしっかりした法的根拠を与える、もうこれでいけるというふうに御理解をしていただいているのかどうか。お二人からそれぞれお伺いをしたいと思います。
  151. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 地下水汚染のお話も出ましたけれども、水源の水質問題というのは、今のトリハロメタン生成物質以外に、地下水のトリクロロエチレン、ジクロロエチレンと、いろいろあるわけですね。それを一括してどのように水源を保護していくかということにつきましては、やはり基本的な立場に立ち戻った観点一つは論じなければいけないということと、その後はその地域地域によりまして講じていく施策があるのではないかというふうに思っておりまして、正直申しまして、私法律の方の専門でございませんので、ちょっとよくわかりかねます。
  152. 花房義彰

    ○花房参考人 幾つかの自治体でそういった条例を制定されておるというふうに、滋賀県ではございませんけれども聞いておるわけでございます。中身をよく存じませんけれども、今回のこの法案につきましては、トリハロメタンをターゲットにしておるということでございますし、また、トリハロメタン防止するためにいろいろな富栄養化防止等の事業実施する、規制実施するということでございますので、今の条例に対してプラスになるのではないかというふうに思います。
  153. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 先ほど村岡先生からトリハロメタンの発生メカニズムを教わりました。その中で、塩素を足す、一番最初に足すのか、途中で足すのか、最後で足すのか、いろいろな方法論があるというようなお話を聞きましたけれども日本のこの水道水をつくる現状では、どこに一番力点を置かれているのでしょうか。よろしくお願いします。
  154. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 これまでの浄水技術ですと、一番最初の前段階で塩素を吹き込むというのが一応の常識になっております。ただ、その場合、だんだんと原水が、特にアンモニア性窒素などの濃度が高まってきますと、濃度が一定といいますか安定していないものですから、塩素のかけ方が難しくなってきます。たくさんかけてもぐあいが悪いし、少なければ殺菌ができません。そういうふうなことで、その中間段階でもう一度塩素をかけるということは、原水のあり方によってはその方がベターだということがございます。  ただ、すべての浄水場をそれに切りかえるというほどの必要性も私はないと思っております。だから、非常に原水の汚濁が進んだ場合に、そういったことを講じないとこれからはいけないのではないかというふうに思っております。
  155. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 直接これとは関係ないかもしれませんけれども、以前公害防止ということが大きな問題になりました。その公害防止というところで、出てきたときにその公害を除去するためにどうしたらいいか、そのためにたくさんのお金をかけて何とか公害を防ごうという考え方がありました。我々もだんだん学習する中で、出てきた公害に対してお金を使うならば、むしろ公害が発生するもとの方に研究開発費を投資して、結果的には環境に優しい商品の開発に成功する、こういうことを我々は学んできたと思うのです。このトリハロメタンの撲滅はできないにしても、何かそういう意味で、先取り施策としてはどんなことが考えられるのか、ひとつ村岡先生、本当は御存じでしょうから、ちょっと教えていただければと思うのです。
  156. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 今の御質問に端的にお答えしますと、フミン質を出すような原料とか薬品とかは余り生産段階で使わないというのも一つの方法ではないかと思います。
  157. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 主にそういう業種というのはどういう業種とお考えでしょうか。
  158. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 これは幾つかの事業場の調査があると思いますけれども、特にトリハロメタン原因物質が高い濃度で出てくるものとしましては、先ほど私述べましたようなし尿処理場、これは産業系じゃないですけれども。そのほかですと、フミン質というのが色素系でもありますので、そういう繊維とか染色の工場、それとやはり同じように脱色というふうなものを考えまして紙パルプとか、そういったあたりが割合高い方だというふうに私は理解しております。
  159. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 資源循環型社会をつくる、またそんな社会を創造していくのが環境行政の大きなテーマになっているだろうと私は理解をしているのです。  私なりに二十余年、昨年の七月までトラックに乗っていろいろな資源を集めておりましたから、そういう観点からここ二十年ぐらいの、環境庁ができたあたりからのことをずっと考えますと、我々はオイルショツクというのを体験いたしました。そのときに多くの国民やマスコミは、省資源、省エネルギーということで、資源という言葉を随分頭にたたき込まれました。オイルショックがしばらく過ぎたら、実は円高ショックというのが襲ってまいりまして、この円高ショックのとき、先進自治体では資源ごみ分別という言葉をつくり出しまして、資源ごみという言葉が我々の耳に入ってくるようになりました。それからしばらくたちますと、民活、内需が我々を襲ってまいりまして、私は名づけて民活ショックといっておりますけれども、この民活ショックになりますと、ごみということが私たちの大きなテーマになってまいりました。  ここまで考えてまいりますと、オイルショックのときは資源で、円高ショックのときは資源ごみで、民活ショックになったらごみになってきたのですね。言葉でいうと資源、資源ごみ、ごみとなったから、これから出てくる言葉はごみ資源だろうと逆に思っているのです。これを私は、名づけて環境ショックの時代が来るのではないだろうか、こんな考え方で資源の循環型社会というものを想像しているわけでありますけれども、そういう時代背景の中にあって、つくる動脈と片づける静脈だけでは乗り切れないのではないだろうかと思っているわけであります。  このトリハロメタンも、我々がつくりたくてつくったものではなくて、結果予想もしないものができてきたということを考えますと、何かその間にそういうものを対策するための産業と名づけるべきものがあっていいのではないだろうかと思うのですけれども、村岡先生、どうでしょうね、この動脈と静脈、その間にあるべき産業の姿が何か私は想像できるような気がするのですけれども、その辺について、総観で結構ですから、ひとつお答えいただければと思うのです。
  160. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 トリハロメタンにつきましては、動脈、静脈の間にどうしても肺とか肉体とかいう毛細血管があるごとく、自然の山林からも出てくるものですね、その原因物質は。そういうことで、トリハロメタン原因物質だけを取り出すという技術は当面出てこないと思いますね。  したがって、先生のお説のように動脈、静脈はもちろん大切ですけれども、その間をつなぐもののシステムというものも一つ考える必要があるのではないかというふうに思います。
  161. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 そこで、私も仲間といろいろ話し合って新しい産業を考え出したのですね。本邦初公開でございますので、余り期待されても困るのでありますけれども、名づけてカンジン産業。カンジンのカンは肝臓の肝、ジンは腎臓の腎で、肝臓と腎臓を合わして肝腎産業と、こう名づけたらどうだろうかと、学習会の中で浮かんでまいりました。  これはどういうことかと申しますと、静脈産業によってリサイクルされてきた再生資源をバージン原料と同等の価値のあるものに戻してこそ循環できる、こう思っているのですね。リサイクルする、集めてきたものは、例えば鉄の缶でいえば、また銑鉄のような、あるいは電炉で溶かして丸棒にするぐらいしか材料として使えないんじゃなくて、もう一度バージン銑鉄等々と同じだけの価値を持たせるような産業をつくっていかないと、資源食い殺しの社会が続いていくというふうにも理解するわけでありますけれども、そこで肝臓や腎臓できれいにしてもとの生産に戻すような、そういうようなことを考えていかなければいけないだろうということで肝腎産業、ぜひお二方の先生にもそんな角度からもう一回一緒に研究をしていただければありがたいということ、これは要望でございます。  さて、市町村や自治体が一生懸命頑張ってきても、この有機塩素化合物のような非常に複雑で危険なものは、原則、まさにつくった者が最後まで責任を持つようなことをさせるべきだと思うのですが、その辺についていかがでしょうか。お二人の先生に聞きたいと思います。
  162. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 有機塩素系化合物、地下水汚染が主ですけれども、これに関しましては、現在地下水汚染の原因である有機塩素系化合物には、現実に産業の場で使っている、しかも我々身近にも使っている、そういう一つのジレンマがあるわけですね。したがって、正当にこれを使う限りにおいては恐らく地下水汚染にはならないだろうということで、未然防止という形を強調したような施策になっております。それが大事であろうかと思います。
  163. 花房義彰

    ○花房参考人 有機塩素化合物につきましては、最近では企業で非常にその量を少なくするとか、あるいはリサイクルするという形で使われておるようでございます。しかし、一たん地下に入りますとなかなか原因者がわからない、どこが排出したものかわからないというようなこともございます。滋賀県の場合ですと、そういった汚染源が確定をした場合には、その汚染者の責任でもって対応するということを実施いたしておりますが、なかなか特定できないというそういった悩みもあるわけでございます。
  164. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 結果は出ているんだけれども特定できないというのは非常につらいところでありますけれども、今回の法案、最後の方こ罰則規定というのもございます。この罰則規定について地方自治体の、特別担当されます花房さんにおかれましては、あの罰則の課徴金といいますか、過料金ですか、あれらについての感想があれば聞かしていただきたいのです。
  165. 花房義彰

    ○花房参考人 罰則につきましては、いろいろ命令違反等に対する罰則が法律に盛られておったように思いますが、現在の状況ではあの程度で適当ではないかというふうに思います。
  166. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 五十万とか三十万とか書いてあるわけでありますけれども、金額が高ければいいというわけでもありませんが、後の整理、処理を考えますと、この金額についてはもう一度みんなで考えるべき時期が来るのかなというのが私の実感でございます。  三十五分の持ち時間でありますけれども、きょうまた新しい角度からいろいろ御示唆をいただきまして、大変ありがとうございました。今後とも安全な水の確保、また水域、水質保全、こういったことは、この法案があってもなくてもとりわけ大事なことだろうと思いますし、この法案ができたことによって地域のそういうエネルギーが逆にそがれることがあってはならないと思います。私どもも一生懸命この法案成立に向けて頑張っていきたいと思います。  きょうは大変ありがとうございました。終わります。
  167. 奥田幹生

    奥田委員長 岩佐恵美君。
  168. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 きょうは村岡参考人、そして花房参考人、大変お忙しいところ御苦労さまでございました。  まず、村岡参考人にお伺いさせていただきたいと思います。  先ほど午前中の当委員会で、私、質疑の中で問題にしたのですけれども、閉鎖性水域の湖沼に対する汚濁の負荷について伺いたいと思います。先生、「河川汚濁のモデル解析」という本を出しておられますけれども、その中でこの問題について触れておられますが、もうちょっと詳しく伺いたいというふうに思います。  まず森林からの流出負荷量、これはどうなっているのか、そしてその森林が伐採された場合の閉鎖性水域への汚濁負荷量の変化、またその伐採箇所の植生の回復による汚濁負荷の減少する期間など、もうちょっと詳しくお話をいただければというふうに思います。
  169. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 森林からの負荷でございますけれども、正常な状態の森林におきましても、それが木として新しい若い木であるか、年寄りであるかということによって負荷は違いますけれども、一応これまでの知見によりまして種々の汚染、汚濁物質に関する原単位なるものが規定されております。これをまず信用しなければいけないと思います。  仮にその森林が伐採されました場合にどうなるかということにつきましては、森林に浄化作用があるかどうかということが問題になってくると同時に、私のもう一つ力点を置きたい点は、水の涵養という機能を失う可能性がある。まあ失うわけですね。したがって、水道水源もそうですけれども、水資源としての、要するに地下涵養機能というものが失われるという点もかなりの重要な問題ではないかというふうに思います。  それから、一たん伐採したものが今度回復するのにどれぐらいの時間がかかるかということについて、例えば山火事等がたまたまあった場合に、それがどういうふうに復元していくかという記録が、日本では私の知る限り一件あります。外国には何件かあるみたいですけれども、そういったものを参考にしてやらないといけないと思いますが、やはりその回復機能というのは、木の育ちと比例するぐらいの反応を持っておりますので、森林というものがいかにそういう面で大事であるかということを逆に察知することができるのではないか、そのように思っております。
  170. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 また、市街地からの汚濁負荷も御本の中で分析をされておられますけれども、廃棄物の負荷、それから自動車排気ガスなどの都市行動系の負荷、それから開発系または形状変更による負荷などを挙げておられます。これらの閉鎖性水域への汚濁負荷がどのようになっているのか、またその汚濁負荷を削減するためにはどのような方法が考えられるのか、この点についても、もう少し詳しくお話をいただければと思います。
  171. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 それはケースによりまして、一言で答えられるような簡単な問題ではないと思います。  一つ考えておかないといけないのは、湖というのはもともと閉鎖性でありまして、物がたまるところです。したがって、その自然にたまっていく分量以上のものを出した場合に初めて人為的な負荷が、汚染が問題になるというふうに考えるべきでして、やはり閉鎖性水域が持っておる自浄作用のようなもの、河川にもございますけれども、そういったものとの対比ということになるかと思います。  特に産業系のそういう特殊な廃材とかそういったものにつきましての湖への負荷といいますのはどういうケースをいうのかわかりませんが一直接にはやはり廃棄物の処理というものが前段にありまして、不幸な場合には水と接触してまた出てくるということもあり得るわけです。  それから、自動車からの排ガス等につきまして、市街地でそれがあらわれて出てくるとかいうケースもございますけれども、それにつきましては、実は私の知る限りではしかるべき行政的対応がないのではないか。路面にたまった汚濁物質、一応これは雨が洗い出すものとして分けてはおりませんけれども、総合的な対策として普通の都市ですと完全に勘定に入れますけれども個々物質ごとにそういったものを分けて考えているというケースはないように思います。
  172. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 花房参考人にお伺いしたいと思います。  琵琶湖の水質が横ばいでは済まされない深刻な事態となっているときに、水質浄化のためにヨシ条例を制定して植生を回復させる、こういうことは非常に結構なことだと思います。琵琶湖の水質悪化は、下水道の対応が汚濁負荷量の追加に追いつかなかったり、琵琶湖開発の推進によって湖岸や河川が鉄とコンクリート化され、自然浄化能力が破壊されたためではないかというふうに思うのですけれども、開発による水質への影響についてどう考えておられるのか、その点について伺いたいと思います。  同時に、現在の水質状態では総量規制の導入を考えるべきではないかというふうに思うのですけれども、その点についてもあわせてお伺いしたいと思います。
  173. 花房義彰

    ○花房参考人 琵琶湖の水質が、横ばいとは申しましても、少しずつ悪化をしておるということで非常に我々心配をいたしておるわけでございます。  琵琶湖総合開発によって、それが原因水質にどういう影響をということでございますが、我々といたしましては、確かに琵琶湖総合開発事業によって湖岸がコンクリート化されたりあるいはいろいろ影響があったとは思いますが、そういった反省に立ちまして、先ほど先生がおっしゃったようなヨシの保全条例を制定いたしまして、湖岸における微生物その他の保全を図りながら水質保全も図っていこうというように努力をしておるところでございます。  総量規制でございますが、今のところ琵琶湖で総量規制をやろうというところまでは行っておらないというふうに考えております。
  174. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、私が住んでいる地域でもよく河川で汚物が流れ、汚染物質が流れ出して魚が大量に死ぬということがあるのですが、大体そういう事故が起こったとき、汚染原因物質がわからない、あるいはわかってもどこから出たのかわからない、こういうようなことが往々にしてというか、わかったためしがないというのが正確かもしれません。  そうした事故時の対応措置について、情報公開とか、あるいまそうした青報を常時交換していくなどのことが必要なのかなというふうに思うのですけれども、こうした対応についてどういうことが考えられるのか、その点について両参考人からお伺いをしたいと思います。
  175. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 事故時の問題につきましても一応審議会で検討しておりますが、今先生おっしゃったように原因物質が何であるかということがわかっても、その汚染者がどこであるかということがわからないというのは、私自身も非常にじれったい気持ちで新聞記事を読むことが多いのですけれども、そういったことについては本当にこれからやはり真剣に考えていかないといけないと思います。  ただ、それがわかったとしても果たして公開するのがいいのかどうか、そういったところの問題もありまして、その辺は行政対応でありますから、そちらの方で私も十分考えていただきたい問題だと思っております。
  176. 花房義彰

    ○花房参考人 水質汚濁事故が発生をいたしました場合に、淀川異常水質時通報連絡要領というものが定められてございまして、これによりまして水道事業者を含む関係機関への連絡体制がとられております。  また、別途、県独自にパトロール等による、例えば淡水赤潮あるいはアオコの発生状況の監視を行うとともに、発生時にはそういった水道業者を含む関係機関に周知をするとともに、あわせて新聞等で公表をいたしております。
  177. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 最後にお伺いしたいのですが、水道水源地域において、例えば今私が活動している地元地域では、日の出町の一般廃棄物の最終処分場の汚染の問題というのが大変大きな問題になっていますし、それから栃木県の葛生町では、安定型の産業廃棄物処分場をつくるということで住民の皆さんが反対をされておられる、こういう大変大きな社会問題になっているわけです。こうした水源地における廃棄物処分場の設置問題について、お二人の参考人の方々から、感想でも結構ですけれども、お考えを伺いたいと思います。
  178. 村岡浩爾

    ○村岡参考人 重要な問題と認識しておりまして、その点について今後何らかの行政対応がなされるもの、その一つに、水源ですから水を汚す物質ということで産業廃棄物その他、いわゆる最終処分地からの汚染物の流出ということは当然考えていかないといけない問題だと思っております。直接流出水として表流水になる場合と、それから地下水を経由してくる場合があると思います。これは私、やはり両方に着目しないといけないというふうに考えておりまして、その流出形態と、それから物質が多様化しておりますからどういう物質がどういう形でどこに存在するかという、まずその辺の実態調査も現段階では十分にないのではないかというふうに思いますので、そういったことをスタート時点で考えて、私自身も非常に興味ありますので、今後ぜひその問題を推進していっていただきたいというふうに思っております。
  179. 花房義彰

    ○花房参考人 水源地の上流部における廃棄物処理場の問題は、非常に憂慮すべき問題であろうというふうに考えております。  当県におきましては、水源地の上流でできる限りそういった廃棄物の処理場をつくらさないという方向で業者を指導しておりますし、既にある処理場におきましても、水質監視等について特別の配慮をいたしております。また、その水質につきましても厳しい基準を設けまして監視、指導をしているところでございます。
  180. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。ありがとうございました。
  181. 奥田幹生

    奥田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用のどころ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  両参考人には、御退席いただきまして結構でございます。
  182. 奥田幹生

    奥田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  183. 奥田幹生

    奥田委員長 速記を起こしてください。     ―――――――――――――
  184. 奥田幹生

    奥田委員長 引き続き本案を議題とし、政府に対する質疑を続行いたします。大野由利子君。
  185. 大野由利子

    ○大野(由)委員 大野由利子です。  けさの閣議で平成六年度の予算が確定をしたということでございまして、環境庁予算も六百七十三億二千万円の予算が計上された、そのように伺っております。環境基本法が成立した最初の予算でもあるわけですが、この平成六年度の予算についての長官の御感想と、この運用につきましての長官の御決意を初めに伺わせていただきたいと思います。
  186. 広中和歌子

    広中国務大臣 平成六年度予算政府案のうち環境庁予算は、今御指摘ございましたように六百七十三億円が計上されることになりました。これは本年度に対し金額で三十六億円、伸び率で五・七%の増加であり、国の一般歳出全体の伸びが二・三%でございますから、これに比べましても大きく上回っていることになります。  大変厳しい財政事情のもとでこれだけの成果を上げることができたことは、地球環境問題や国内における都市生活型公害などの今日の環境問題に積極的に取り組んでいる環境庁の役割の重要性について財政当局及び関係皆様方、諸先生方を含めまして十分御理解を得た結果であるというふうに思っております。  予算の内容について見てみましても、新規要求事項を初め各項目についての十分な成果が得られ、新たな時代のニーズに対応した各種施策の着実な実施を図るために必要な予算を確保することができ、環境基本法の法制のもとにおける初めての予算といたしまして極めて姿かたちのよい予算に仕上がったものと思っております。  今後できるだけ早期に国会政府予算案を成立させていただき、環境基本法のもとに予算を最大限に生かしまして、新たな環境政策を積極的に展開していきたいと考えておりますので、一層の御支援をよろしくお願い申し上げます。
  187. 大野由利子

    ○大野(由)委員 次に、今回の水道水源水質を守る特別措置法案について質問をさせていただきたいと思っております。  我が国は、大都市を中心といたしまして二千万人からの人が水道水に大変不安を感じている、そういう状況の中で、今回、厚生省環境庁から二法案が提出をされまして、安全でおいしい水確保のために一歩を踏み出すことができたということは大変喜ばしいことだ、私はそのように思っております。しかし、この法案で本当に安心できる水の確保が果たしてできるのかどうかという、また別の、一抹の不安があるわけでございまして、環境庁から提出されました今回の特別措置法案はその規制措置法案になっているわけでございますが、主にトリハロメタンがターゲットになっておりまして、今回、農薬や立地問題について全く規制対象から外れているわけですが、これはどうして外れているのかについて伺いたいと思います。
  188. 広中和歌子

    広中国務大臣 このたびの法案、御指摘のようにトリハロメタン対策が中心でございますけれども、水源の水質保全については、昨年十二月に、公共用水域における各般の施策を総合的、計画的に実施していく必要がある旨の中央環境審議会答申をいただいているところでございます。環境庁としては、答申趣旨を踏まえて、水道水源についての特別措置法案のみならず、つまりこの法案のみならず、答申をいただいたその他の施策についても、我が国の水質保全行政を預かる立場から、長期的ビジョンに立ち政策を推進すべく、環境基本計画の作成に当たっても十分御指摘の点を配慮してまいりたいと思っているわけでございます。  そのことに関しましては、関係省庁とも十分協力して、総合的な対策が推進できるように努力してまいりたい、そのように思っております。
  189. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今長官の答弁の中に若干触れられたかと思うのですが、昨年十二月の中央環境審議会答申で十項目指摘されているわけでございますが、その中で今回の法案の中で問題になったのは非常にわずかでございまして、全く触れられていないところがまだたくさんございます。農薬等ももちろんでございますし、カルキ臭の発生防止とか事故時の措置、開発行為に伴う影響の軽減とか水質保全のための上流、下流の協力と調整、こういった水問題の総合的な対策が大変必要ではないか、長期ビジョンに基づいた総合的対策が必要ではないかと思っておりますが、今後どのようにこれが図られるのか、もう少し具体的な計画がございましたら、お話をいただければと思います。
  190. 野中和雄

    野中政府委員 御指摘のように、昨年の中央環境審議会におきましては、水道利用に配慮いたしました公共用水域水質保全対策につきまして、各般にわたる御提言等をいただいているわけでございます。  私ども、これらをもとより積極的に実施をしてまいる所存でございますけれども、この具体的な実施の仕方をいろいろ個別に今検討をいたしておりますと、そういう中で既存の法律、制度が既にありますものが相当ございます。そういうものに基づきまして、例えば政省令を強化するというようなことによりまして実施をできるものもございますし、また、法令自体をいじらなくても運用の強化というようなことで相当の成果が上がるというようなものもございます。それから、物によりまして、今後さらに一層検討していかなければいけないというようないろいろな問題があるわけでございます。  私ども、今回特別措置法案提案をし、御審議をお願いをしておりますのは、先生御指摘のように、これでもう終わりとするものではございませんで、答申の中に盛り込まれましたそれ以外の施策につきましてもこれから、これからといいますか、既にもう関係各省に要請をしまして、答えが間もなく出てくるというようなものも幾つかございますし、それから今後検討を進めていくべきというものにつきましても、検討を急いでまいりたいというふうに思っているところでございます。私ども、この問題は極めて重要な問題でございますので、先生御指摘のように、長期的な視点にも立ちまして関係省庁が連携をして積極的に取り組んでまいりたい、そのために環境庁としても総合調整官庁としての役割を十分に果たしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  191. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今回、厚生省法案も、環境庁法案もともに要請が中心となる法律案になっておりまして、水道事業者もしくは都道府県知事の要請が中心になっているわけでございます。この両法案が有効に活用されることを本当に願っているわけでございますが、今、要請主義ということにおきましては、既に水道法の四十三条に「水源の汚濁防止のための要請等」一そういう条文がございまして、水道事業者は「関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対して、水源の水質の汚濁の防止に関し、意見を述べ、又は適当な措置を講ずべきことを要請することができる。」そういう条文があるわけでございます。成立して十数年たっている現状でございますが、この条文がほとんど生かされていないというか、一度もと言っていいぐらい発動されていない、そういう状況であるわけでございます。  今回できる厚生省環境庁法案が、要請主義に基づいて本当にしっかり運用されるのかどうかということが一つ大きな課題ではないかと思いますが、どういう状況のときに水道事業者、また都道府県の知事さんたちが要請をするのか、その辺のガイドラインをつくるのかどうか、また、実際には必要であるのに要請をしない人に対して国の方がしっかり要請するべきであるというような指導をするのか、この辺は一体どのようになっているのでございましょうか。     〔委員長退席、谷津委員長代理着席〕
  192. 野中和雄

    野中政府委員 御指摘のように、今回の特別措置法案につきましては、県知事が要請をすることができる、そして、その県知事の要請に基づきまして地域指定を行うというようなことになっているわけでございますけれども、これは要請をしつ放しということではございませんで、要請がありましたときにはこういうふうにしなければいけないという受け皿の規定がきちっとあるわけでございます。  地域の指定のところからいきますと、四条のところで、都道府県知事が申し出を定めました場合には三つの要件を判断いたしまして、そして地域の指定等をするというような手続が定められているわけでございまして、それに従いまして水質保全計画等を立てるというような 要請をした後の手続といいますか、それがずっと法律に規定をされておりますので、要請がされないというようなことはないのではないかというふうに思うわけでございますが、同時に、この法律に基づきまして都道府県知事の要請というふうな仕組みにしておりますのは、やはり都道府県知事さんが地元の状況というのを一番よく御存じでございますので、そういうような状況を把握していただいた上で申し出をするというのを受けてからこの法律を発動した方がいいのではないかというふうな観点で、こういう申し出というようなことを置いているものでございます。  どういう場合に申し出あるいは要請をするかというようなことでございますけれども、これは、この法律の三条の基本方針におきまして指定水域なり指定地域の指定の考え方というのをより詳しく示すことにいたしておりまして、このことによりましても知事さんの方の判断がより的確にできるようになるのではないかというふうに考えております。  また、実態的な問題といたしまして、来年度の環境庁予算でございますが、これは大野先生にもチームリーダーとして大変お世話になった予算の一環でございます公共用水域トリハロメタン生成能に関する監視、測定に要する経費等につきましても都道府県に補助をするということにいたしておりまして、こういうような県におきます監視等を通じましていろいろなデータが得られるわけでございます。そういうような情報が得られるということになりますと、地元の都道府県知事さんとしても申し出をすべきかどうかの適切な判断をすることができるのではないかというふうに考えているわけでございます。  また、知事だけではなくて、水道事業者につきましては、やはり水道事業者の方の要請という規定を置いておりますけれども、この点につきましては、水道事業者の要請がなくても私ども法律によれば知事の判断で前項の申し出をすることができる、ただ、その場合には水道事業者の意見を聞いてくださいということはありますけれども、要請という発議がなくても県知事の方でできるというような規定も置いているところでございます。
  193. 大野由利子

    ○大野(由)委員 厚生省の方にお尋ねをしたいと思うのですが、総トリハロメタン基準値の〇・一ミリグラム・パー・リッターを超えるもしくはその基準値に近いものが全国水道事業体で六十三カ所あった、そのように伺っておりますが、連立政権はこれから情報公開法をつくっていこうということを目標に掲げているわけでもございますし、生命と健康にかかわるこうした問題はやはり早くまず公表をすることを考えていかなければいけないのではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
  194. 浜田康敬

    浜田説明員 お答えいたします。  トリハロメタンの濃度に関します情報の公開についての御指摘でございます。  私どもも、この法律を、私ども事業促進法というものを御提案する過程におきまして一つの要因といたしまして、トリハロメタンに関しまして新たに定められました水道水質基準を超えるおそれのある水道先生お話しのように六十三カ所、これは実は六十三年度におきますデータでございますけれども、あるというふうな背景で、ぜひ早期の制定をということで説明してまいった経緯がございますが、これは実はまだ水質基準の適用前のデータでございまして、必要な対策を私どもとして検討する上で各水道事業者から特別に御提供いただいたデータでございます。ただ、一般的にはこれから水道水質基準に本格的に取り込まれましたので水質検査義務がかかってまいります。こうしたデータにつきましては、できる限り公表していくようにという指導を私どももしているところでございますので、今後得られますトリハロメタンデータにつきましては、基本的には各水道事業者つまり市町村の判断になろうかと思いますけれども、積極的にその状況を公開しながら利用者にもいろいろな形で御協力あるいは御理解を求めていくということが必要であろうかというふうに思っております。したがいまして、今後のデータにつきましては、そうした方向で扱っていくよう厚生省としても指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  195. 大野由利子

    ○大野(由)委員 農薬の問題にもう一度触れさせていただきます。  野中局長が先ほど、これからしっかり検討してまいりたい、そのように御答弁があったわけですが、もう少し、いつごろまでにこれは検討されて決着されるのか、具体的なことをお伺いしたいと思っております。  農薬は、要するに四百五十種を超えた農薬があって、昨年十二月の新水質基準八十五項目の中でその規制対象になっているのは四種類しかない、そういう状況でございます。中央環境審議会答申の中でも、水質汚濁にかかわる農薬の登録保留基準の拡充強化とか水質汚濁性農薬の指定とその規制が提言されているわけでございます。農薬取締法の第十二条の四の中にも、水質汚濁性農薬の指定ができるという条文があるわけですけれども、私は非常に、こういう毒性の強いもの、また水中に残留性の強い農薬等々に関しましては、水質汚濁性農薬というふうに早く指定をして、その対策を講じなければいけないのではないか。また、農薬を使用できる地域規制する、そういった問題も必要かと思います。  五月になりますと、農薬を使う、時期的にそういう時期になります。この農薬をたくさん使う時期の前に結論を出す必要があるのではないかと思っておりますが、もう一度、野中局長、この検討がいつごろまでに結論が出るのか、検討状況が今どこまで進んでいるのかについて伺いたいと思います。
  196. 野中和雄

    野中政府委員 農薬の問題につきましては、中央環境審議会答申の中にも幾つか盛り込まれているわけでございまして、これらについては、現在、農林省、環境庁におい検討を急いでいるところでございます。  項目といたしましては、水質汚濁にかかわります登録保留基準の拡充ということでございまして、従来、水質汚濁にかかわります登録保留基準がまだ少なかったわけでございますけれども、これを水田使用農薬につきましてもさらに拡充をしていくというようなこと、また水田以外の、畑等に使われます農薬につきましても拡充できるようにしていくというようなことにつきましても、検討会を間もなく始めて、至急にデータを集めるということにいたしております。  また、水質汚濁防止のために農薬の安全使用基準というのをつくるというようなことが答申に盛り込まれておりますが、これにつきましても、農林省の方で現在その検討を急いでいただいているということでございます。  また、三番目に、空中散布農薬の安全性の目安となります指針値の策定というような問題、それから関係機関によります連絡協議会の設置等の問題、それからさらに、今お話がございましたような、人畜への被害を防止する観点からの水質汚濁性農薬の指定の問題というようなものがあるわけでございますが、これらにつきましても、現在、私どもあるいは農林省の方で検討を急いでいるわけでございます。  私どもといたしましては、先生お話しのように、農薬の使用、本格的な散布の時期というのが迫っているわけでございますので、ことしの本格的な農薬散布の時期の前までをめどといたしまして、この農薬取締法に基づきます実効ある対策が行えるようにしてまいりたいということで検討を急いでいるところでございます。
  197. 大野由利子

    ○大野(由)委員 同じくこの中央環境審議会答申の中に、環境水道、農林、河川などの関係分野の機関から構成される連絡協議会の設置、これも提案されているのですが、これも発足されるのでしょうか。
  198. 野中和雄

    野中政府委員 この協議会の点につきましても、ことしの農薬散布が本格的に始まる時期に間に合うように発足をさせたいといりことで検討をいたしております。
  199. 大野由利子

    ○大野(由)委員 時間も余りないので簡単にいきたいと思うのですが、建設省から来ていただいておりますので、河川敷のゴルフ場について伺いたいと思っております。河川敷のゴルフ場は 一般のゴルフ場と違いまして、水道水源取水口にまさに近いわけでございますし、また、一般のゴルフ場は下に全部管が走っていて、排水が全部貯水池に集まるようになっておりますが、この河川敷のゴルフ場は、そのまま雨水とともに川に農薬が全部流れ込む、そういう状況でございまして、今バブルがはじけて河川敷のゴルフ場が大変ふえております。  ところで、この担当をしていらっしゃる建設省の方に伺いたいと思うのですが、河川敷での農薬の使用を厳しく取り締まる必要があるのじゃないか、このことについてどのような対策を講じられるか伺いたいと思います。
  200. 尾田栄章

    ○尾田説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘のゴルフ場で使用されます農薬につきましては、一般的には、農薬取締法に基づきまして登録された農薬が適正に使用されるよう指導をされているところでございます。  特に、河川敷のゴルフ場につきましては、先生御指摘のとおり、河川管理者といたしましても、河川の流水の清潔の保持ということが河川行政上最も重要な課題の一つというふうに私どもも認識をしておるところでございまして、この河川区域内のゴルフ場からの河川への排水につきましては、それが直接河川排水されることがないよう池等を設置をする、そういう指導をいたしております。また、排水口を設置される場合には、上水道取水口等の位置との関係に十分配慮をするようにというような指導をしてまいってきておるところでございます。  今後とも、河川区域内のゴルフ場におきます農薬の適正な使用につきましては、その指導の徹底に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  201. 大野由利子

    ○大野(由)委員 廃棄物最終処分場、先ほども何度か質問の中にありましたけれども、大変問題になっております。私も東京日の出町の処分場は視察に行ってきたりして、大変深刻だなという実情を見てきたわけでございますが、まず、遮水シートの基準強化を初め、汚水に対する二重、三重のバックアップシステムづくり、それから管理型の最終処分場の基準強化、こういった問題が非常に必要に迫られているのではないか、そのように思っておりますが、これについて伺いたいと思います。
  202. 野中和雄

    野中政府委員 管理型の最終処分場につきましては、廃棄物の保有水あるいは雨水等の埋立地からの浸出を防止することができる遮水工を設けるということを義務づけているわけでございまして、現行の基準が適切に遵守されれば管理型最終処分場に起因する環境汚染が生ずることはないのではないかというふうに考えているわけでございます。  ただ、環境庁といたしましても、現在、最終処分場に係ります地下水汚染の防止技術の高度化を図りますために、一つは地下水モニタリング技術、あるいは地下水モニタリングの結果異常が万一生じた場合におきます対応技術等に関しまして、技術的な知見を取りまとめているところでございます。それからまた、来年度におきまして、これも先生のお世話になった予算でございますけれども、新たに廃棄物の最終処分新技術評価といったようなものを行うような予算をお願いをしてございまして、これらに基づきまして、より信頼性の高い技術の普及を図るということにいたしておるところでございます。  こういうような調査を踏まえまして、最終処分場の確保を図る、推進を図る観点から、最終処分場の構造、維持管理につきまして検討を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  203. 大野由利子

    ○大野(由)委員 環境庁の調査で、廃車された車とか電化製品など、そういったものを壊したシュレッダーダストから本来出るはずのない高濃度の水銀や鉛が大変検出されたという報道がありました。このシュレッダーダストの大半が安定型の処分場に処分をされているようでございますが、この中から、先ほどの参考人の御意見の中にもございましたが、地下水を通ったり、また直接流水を通して飲み水の中に、水源地に入っていくということが考えられるわけでございまして、このシュレッダーダストは安定型の処分場に処分するのがそもそも間違いではないか、まず、このシュレッダーダストは少なくとも有害物を取り除いて管理型の処分場に処分をするというふうにしなければならないのではないかと思いますが、これについて伺いたいと思います。
  204. 野中和雄

    野中政府委員 先生御指摘の廃自動車あるいは廃家電製品から鉄成分を回収するために行いますシュレッダー工程から排出されます廃棄物、いわゆるシュレッダーダストでございますけれども、この問題につきましては、若干の問題が生じている地域もあるわけでございます。そういうようなことを踏まえまして、私どもといたしましては、最終処分場の留意点を明らかにいたしますために、この排出実態あるいは溶出試験等の性状試験などの調査を実施をしたところでございまして、現在、その調査結果の取りまとめを急いでいるところでございます。今後、調査結果がまとまりました段階におきまして、関係省庁との調整を行いまして、必要に応じまして、今大野先生御指摘の管理型の産業廃棄物にするといったような対応につきまして検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  205. 大野由利子

    ○大野(由)委員 もう時間がございませんので、最後に一言だけ。きょうの新聞に出ていたのでございますが、例の栃木県の葛生町の産業廃棄物の受け入れを決定した知事さんの言葉がこの新聞に出ているのですが、これは一部分しか新聞に出ていないので、この新聞が果たしてどこまで正確なのかどうかはともかくとして、栃木県の知事さんは、国の機関委任事務だからどうしようもない、ごみを受け入れるのに、国の機関委任事務だからというふうに答えているわけですね。そうすると、国民皆さんから見れば、国が許可を与えているのだなという印象を与えると思うのですね。そういった意味で、この廃棄物の処分場は知事さんが認可しているのだと思うのですが、やはり環境問題というのは国がしっかり主導権を、リーダーシップを発揮していかなければ、国民の皆様から見て大変不安の多いものではないかと思っておりますので、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  以上で終わります。
  206. 谷津義男

    ○谷津委員長代理 北橋健治君。
  207. 北橋健治

    ○北橋委員 民社党・新党クラブの北橋でございます。  きのうまで、大臣初め事務当局の皆様方におかれましては、来年度予算編成に当たりまして、環境関連の予算の大幅な拡充確保のために鋭意御尽力をされまして、心から敬意を表する次第でございます。  長官からお話がございましたように、今回の法案提案目的は、安全でおいしい水を国民提供したいという趣旨だと述べられました。これまで水の問題になりますと多くの官庁がかかわってまいります。環境庁はもとより、厚生省、通産省あるいは農林省と、幾つかの省庁のそういった省際問題もかかわりまして、その処理には随分と骨の折れる問題であったわけでありますが、新政権誕生に伴いまして、生活者の立場に立って行政を推進するという哲学が明示をされました。それに基づきまして、厚生大臣を初め環境庁皆様方が、この難しい水の問題につきまして、一本化はできませんでしたけれども、具体的な法律案提案されたことを心から歓迎をする次第でございます。  私は、この厚生省提案法案、そして今回議題となっております環境庁提案法案につきまして、でき得れば一本化した方がよかったのではないかという思いがいまだ消えないわけでございますが、これまで同僚委員の方からるるこの問題点については議論が交わされました。そして、環境庁皆様方の御答弁を承りました。ですから、その問題を蒸し返すつもりはございませんが、ただ、実際にこの法案法律となり施行されるに伴いまして、実際の地方自治体あるいは水道事業者皆様方に戸惑いやあるいは新たな負担が生じないか、そういうことを懸念する一人でございまして、その点問題はないかどうか、まず政府のお考えを聞かせていただきたいと思っております。
  208. 野中和雄

    野中政府委員 法案につきましては、今お話がございましたように、私どもといたしましては、整理をいたしまして二本の法律ということで提出をさせていただいているわけでございますけれども、手続面におきまして煩瑣なことにならないように、計画の一体化でございますとかあるいは要請をお互いにみなすというようなこと、あるいは基本方針の調和を図るというようなこと、もろもろの規定を設けているわけでございまして、今後、これらの法律説明あるいは運用等に当たりまして、この点につきまして十分各地方公共団体の皆様にも御説明をし、御理解を得ていきたいというふうに考えているところでございます。
  209. 北橋健治

    ○北橋委員 そこで、この法案中身でございますけれども、この法案提案されておりまして、中央環境審議会の方から昨年暮れに答申が出されております。その中で環境基準についてもいろいろと触れられておりますけれども、この答申の前文を読みますと、「有機汚濁等の生活環境項目については、水道の浄水処理の形態も考慮して類型ごとの基準を定め」、そして「水道水水質を確保する上で極めて重要な役割を果たしてきている。」と記述されているわけであります。  そこで、まず環境庁に、水道取水しております公共用水域での環境基準の達成状況をお伺いしたいと思います。     〔谷津委員長代理退席、福永委員長代理着席〕
  210. 野中和雄

    野中政府委員 水質汚濁にかかわります環境基準は、先生御承知のとおり、人の健康の方に関します基準と生活環境保全に関する基準の二種類があるわけでございますけれども、人の健康の方に関する環境基準については、すべての公共用水域に適用される性格のものでございます。  生活環境保全に関します環境基準につきましては、類型指定の対象となっております公共用水域における水道原水取水口の数が全国で約五千ございまして、このうち環境基準の類型指定がなされている箇所は全体の約二割に当たる千百カ所であるというふうに聞いているところでございます。残りの約八割の取水口については、清澄な水質で汚濁発生源がない水域に存在しているなどの理由で類型指定がなされていないというふうに承知をいたしているわけでございます。  そこで、達成状況でございますが、現在の環境基準水道利水を想定をしております類型は、河川ではAAからEまでの六ランクの類型があるもののうちのAAそれからAそれからB、この三つの類型、それから湖沼ではAAからCまでの四ランクの類型がありますうちのAA及びAの二つの類型が該当をしているわけでございます。  この類型ごとの平成四年度の環境基準の達成状況でございますが、河川でAAが八三%、Aが八一%、Bが六九%、湖沼ではAAが二三%、Aが六〇%という状況でございます。
  211. 北橋健治

    ○北橋委員 そのように、環境庁はこれまで安全な水の対策の一環といたしまして基準を定められまして、鋭意取り組んでこられているわけですが、今回この法案規制対象として考えておられますこのトリハロメタンの生成能につきましては、環境基準に今のところ定まっていないようでございますが、今後この問題についてどう対処されるのでしょうか。
  212. 野中和雄

    野中政府委員 トリハロメタンにつきましては、この法律の、都道府県知事が策定をいたします水質保全計画の中で公共用水域におけるトリハロメタン生成能の水質目標を定めることになっておるわけでございまして、この水質目標を達成をするためにいろいろな事業あるいは規制実施をするというものでございます。  このトリハロメタン生成能の水質目標でございますけれども、これは全国ということではなくて特定の水域におきます特定の水道利水という目的のための目標というような性格を持っておりますので、従来設定をしてまいりました環境基準とは若干性格が異なるものというふうに考えておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、こういうトリハロメタン生成能の水質目標を定めて、いろいろな事業あるいは規制に万全を期していくというようなことがこの法案趣旨でございます。
  213. 北橋健治

    ○北橋委員 ということは、この法律案が成立をいたしまして、その後地域の指定がなされまして、地域のいろいろな特性等を勘案いたしましてそこで基準値が策定される、このように理解をしてよろしいのではないかと思います。  その場合、同じくこの審議会の答申におきまして、トリハロメタンというのは発がん性がある、人の健康に直接かかわる物質であるということがありますし、環境基準工場事業場排水規制等のさまざまな対策の目標として機能しているというふうにいたしまして、環境基準というものを定める行政については極めて重要である、そういう記述が見られるわけでございます。  そうしますと、この法案成立後、環境庁もその問題に取り組まれるわけでありますが、工場事業場排水規制についても当然この対策を講ずるものだと思いますが、例えばその中の一つとして、幾つか畜産でありますとか一般の排水だとかいろいろとあると思いますが、工場事業場排水規制については具体的にどのようなことを念頭に置かれているのでしょうか。
  214. 野中和雄

    野中政府委員 工場事業場につきましては、特定排水基準というのを定めることにしているわけでございます。これは、この法律に基づきまして県知事さんが水質保全計画を策定をいたしますけれども、その中でトリハロメタンを減らしていきますためにどういうような措置、施策を講じていくかということを総合的に計画をしているわけでございます。  そこにおきましては、まず水道事業者がみずからの措置を最大限にとっていただくということを前提といたしまして、次に、先ほど申し上げましたような公共用水域でどのぐらいの水質の目標を達成をしていくのかというようなことを定めることといたしておりまして、この水質目標を達成をいたしますために下水道整備その他の事業実施、それからただいま申し上げましたような工場事業場に対する排水規制等の措置を均衡を持って実施をし、その目標を達成をしていくというようなことがこの法律のスキームでございます。そして、その工場事業場に対する排水規制といたしまして、国が特定排水基準の幅を設定をすることといたしておりまして、その幅の範囲で都道府県知事さんが具体的に特定排水基準というのを設定をしていただくというようなことになっているわけでございます。
  215. 北橋健治

    ○北橋委員 日本の法体系というのは、大体にしてそうですけれども、具体的な規制にかかわる問題というのはよく政省令、通達で書かれることが多くて、実際に立法府で議論する段階で具体的なイメージがつかめなくて、私どももいろいろと問題があるのではないかとかねがね問題意識を持っております。  重ねてお伺いいたしますが、この法律目的としております事柄については私ども大賛成でございますが、その場合に、実際に事業を営んでいる方々に対して規制が及ぶわけでございます。学者の方々お話では、フミン質が多く発生されると言われているのは紙・パルプ、染色、みそ、しょうゆあるいは畜産と言われておりますが、この中には染色、みそ、しょうゆのように中小零細事業者も数多く含まれております。政府の方はこれまで税の減免あるいは融資ということを、その場合セットでお考えになっているようでございますが、こういった工場事業場について具体的にどういった規制がかかるのでしょうか。もう少し具体的な対応についての今念頭に置かれていることについて御説明願えればと思います。
  216. 野中和雄

    野中政府委員 業種ごとにどういうような基準排水規制をお願いをしていくかというようなことにつきましては、さらに詰めていく必要があるわけでございますけれども排水規制につきましては、従来も水質汚濁防止法におきましても排水量の五十トン以上の企業というのを対象にして規制措置をお願いをしているところでございまして、この点につきましては、この法律におきましてもそういうやや規模の大きいものを対象にして規制のお願いをする、そしてまた、それ以下の小さな事業場につきましては、規制ということではなくていろいろな形で、指導というような形で御協力をお願いをするというふうにしてまいりたいと考えているところでございます。
  217. 北橋健治

    ○北橋委員 環境庁トリハロメタン対策については以上お伺いしてきたわけでございますが、続きまして、厚生省の方に対しまして、これまでも浄水場におきましてこのトリハロメタンの発生に伴う問題につきまして鋭意取り組んでこられたと聞いておりますが、どのような対策を講じてこられたのでしょうか、まずお伺いいたします。
  218. 浜田康敬

    浜田説明員 水道におきます浄水場でのトリハロメタン対策についてのお尋ねでございます。  トリハロメタンが国際的に問題になりましたのは約十数年前でございますが、そうした動向を受けまして、厚生省におきましては、昭和五十六年に最初のトリハロメタン対策としての通知を明らかにいたしましたが、その中で、低減すべきトータルのトリハロメタンの濃度の水準、これは制御目標値というふうに呼んでおりますけれども、それを〇・一ミリグラム・パー・リッターというようなものを明らかにいたしますとともに、塩素の注入の方法、あるいは浄水場で行われます薬品沈殿処理という処理がございますけれども、それの管理の適正化、あるいは必要に応じました活性炭処理の導入等の実施につきまして指導を開始したところでございます。  また、昭和六十三年の十二月でございますが、トリハロメタンのうちクロロホルムについての発がん性の動物実験の結果が国際的な場でさらに明らかにされたという事態を踏まえまして、生活環境審議会水道部会水質専門委員会からの御報告を踏まえまして、さらに浄水方法あるいは塩素処理方法の変更等の対策の充実につきまして通知をいたしたところでございます。  これらの指導に基づきまして、各水道事業体におきましては、トリハロメタンの濃度の状況を把握しながら、その原因となります有機物質の沈殿除去、塩素の適正使用あるいは活性炭による処理など、さまざまな対策をこれまでも講じてきているところでございます。
  219. 北橋健治

    ○北橋委員 そこで、両法案の成立を見越してさらに一層の対策を推進していただきたいわけでございますが、その場合に、浄水効果の高い高度浄水処理施設の整備を一層進めるということ、あるいは浄水場から家庭に水が届くまでの時間を短縮する、そのために建物で受水槽を使わなくてもよいように水圧を高めて直接給水することなど、幾つかの今後の対応策が考えられていると思いますが、それについての厚生省の基本方針をお伺いしたいと思います。     〔福永委員長代理退席、委員長着席〕
  220. 浜田康敬

    浜田説明員 先生今お示しなさいました高度浄水処理施設という手法でございますけれども、これは従来の浄水処理こ加えまして、生物の分解能力を利用した生物処理施設、あるいはオゾン、粒状活性炭による処理を組み合わせました処理方法といったようなものを付加する手法でございますが、これは各水道事業体におきましては、特に異臭味つまり富栄養化等に伴います水道水への着臭等の問題への対応のために、一部大規模な事業体で導入されつつございます。これがトリハロメタン対策としても一定の効果があるということがわかってきておりますので、こうした異臭味対策あるいはトリハロメタン対策といたしまして各水道事業体で整備しようというところがふえてきておる状況にございます。  厚生省といたしましても、こうした事業体の高度浄水処理整備への意欲を支援していくために国庫補助の制度を充実させてきておりますが、平成六年度の予算案におきましては、昨日概要が決まったわけでございますけれども、前年度比一八八%、六十四億円という補助金をこの高度浄水処理のために準備しようということにしているところでございます。  また、もう一点御指摘のトリハロメタンは、水の滞留が長くなればなるほど塩素によります有機物との反応が進行いたしますので、供給するまでの時間、滞留時間、つまり浄水場から蛇口までの時間をできるだけ短くしていくということもトリハロメタン対策として必要であろうと思っております。そうした観点からは、末端の供給の段階でビル等の受水槽がございますと、どうしても受水槽におきまして水が滞留してしまうという問題もございます。このビルの受水槽の問題は、一般的な水道水の衛生対策としても非常にいろいろな問題をもたらしているところでございますので、厚生省の施策といたしまして、できるだけ水道管の末端の圧を高めまして、受水槽がなくても直接三階以上のビルにも水が供給できるように、これを直結給水というふうに言っておりますが、こうした施策を拡大していこう、このために水道管路を従来よりさらに強いものにしていかなければならないというような施策が必要になってくるわけでございます。  厚生省といたしましては、平成六年度の予算案におきまして、新たに水道管路近代化推進事業費といたしまして補助金三十三億円を設けまして、こうした直結給水の推進を図り、受水槽がなくてもよいような新しい水道システムの整備を推進していきたいというふうに考えているところでございます。
  221. 北橋健治

    ○北橋委員 私も学生時代、駒場寮には赤い水が出ると大騒ぎしたことを今でも鮮明に覚えているのですが、この受水槽対策はまことに重要であると思います。日本水道関係では木造二階建てに届くことを前提としているようでござまして、三階建てのところで受水槽を使っているというのは世界でも珍しいのだそうでありますが、こういった問題につきまして、直結給水の施策を強く進めたいということでございますので、ぜひとも御尽力をいただきたい、こう思っております。  さて、長官が最初言われましたように、おいしい水というお話が出ました。私どもの党でもいろいろと検討しまして、この塩素という問題、どうにかできないかということを議論してきたわけであります。  いろいろ調べてみると、水道法に基づきまして給水栓における水が遊離残留塩素〇・一ppm以上を保持するように塩素消毒をすること、これはいろいろなばい菌対策だと思いますが、こういう定めがございまして、この規則に基づいて日本全国一律に給水段階では〇・一ppmを満たすために浄水場塩素消毒がなされている、こう聞いているわけであります。そこで、浄水場からかなり離れたところで水道の蛇口をひねる生活者にとりましては、どうしても浄水場は多量の塩素を投入せざるを得なくなるのではないか、ですから、浄水場から近いところではどうしてもカルキ臭いますい水になるのではないか、このように議論したわけであります。しかし、実際問題としてこの〇・一ppmというのは、国民の健康を考えますとどうしても重要な最低値であるということについても理解できるわけであります。  先ほど参考人の御意見を拝聴いたしておりましても、水道原水のアンモニア性窒素の変動があると消毒に用いる塩素の量の調整が難しいということでもありました。塩素の量がふえますとトリハロメタンの量もふえてしまうということになりますので、そのような塩素過剰な状態とならないように水道事業者を指導する形で対処できないものか、厚生省の考えを聞きたいと思います。
  222. 浜田康敬

    浜田説明員 浄水場で注入しております塩素の量の点についての御指摘でございます  先生御指摘のとおり、給水栓、つまり蛇口におきまして一定の濃度を確保することは、水道の衛生を確保する、つまり水系伝染病を防ぐという観点から大変重要なことでございまして、現在、法律に基づきまして、遊離残留塩素では〇・一ミリグラム・パー・リッター、結合残留塩素の場合ですと〇・四ミリグラム・パー・リッターの塩素が残留するように浄水場での注入をするように指導してきておりますが、一方におきまして先生御指摘のように、これが多過ぎますと、トリハロメタンの問題もさることながら、利用者におきまして塩素臭といったような苦情も出てくることは事実でございます。  厚生省といたしましては、従来より、過剰な塩素注入にならないようにということで指導はしてきておりますが、原水中に例えばアンモニア性窒素というものが存在いたしました場合には、このアンモニア性窒素が塩素を消費してしまう、つまり、入れた塩素がアンモニア性窒素の存在によりましてなくなってしまう危険もございますので、こうした原水の水質汚濁状況に応じまして、どうしても多目に入れざるを得ないというような状況も生まれてきております。  したがいまして、水道事業体におきましても、このアンモニア性窒素を低減するために生物処理まで導入しているところがあるわけでございますけれども、やはり水道原水をこうした問題がないような状態にすることが必要だということでございますので、水道原水におきますアンモニア性窒素の濃度の低減などにつきましても、今後、厚生省として、各方面にお願いをしていきたいと思っております。一方におきまして、水道事業体におきましても、できるだけ塩素の適正な注入が図られるよう今後とも指導を続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  223. 北橋健治

    ○北橋委員 このようにお伺いしてまいりますと、環境庁そして厚生省、それぞれの立場から安全でおいしい水を確保するために努力をする法律のスキームができ上がるということでございますので、それぞれの立場から御尽力をいただきたいと思っております。  そこで、最後になりましたけれども、一般庶民の立場で、いろいろと水に対する不安感が広がっておりまして、浄水器なども相当今は普及してきているようでございます。私も捲土重来で三年半ぶりに国会に帰りましてびっくりしたのですが、おふろに入るにも臭くてとても入れない、それから浄水器をつけないととてもお茶も飲めないという、わずかな期間の間に大変な変化があったということをしみじみ感じております。  そこで、我が家ではトレビーノスーパースリム、こういうのを使っているのですが、これは余りスリムには効かないのですけれども、確かにおいしい水になるわけでございます。これによりますと、赤さび、濁りが落ちますし、それからにおいだとかいろいろな有機物がとれる、こういう効能が書いてあります。私はこれを見たときに思ったのですが、実は私の友人が東レ出身の代議士でございます。トレビーノは、東レというのがかかっているのですけれども、東レというのは世界でも超一流のハイテクメーカーでございます。しかも値段が手ごろと、こうきております。多くの市民は、やはり値段が手ごろであるかどうか、そしてまたメーカーのブランドに対して信頼をして買っているのではないか、そしてまた、その一方で浄水器の普及状況を見ますと、例えば十万円以上の高価なものにつきまして、いわゆる縁故というのでしょうか、コネクションというのでしょうか、これは買いますと相当いいですよと。その効能書きを見ますと、有名な大学の先生の推薦の言葉がありまして、その後難しい化学式が書いてあります。そういった実際問題の効果というものはなかなか一般の国民にはわからないわけでありまして、急速に水に対する不安感が広がってきた、そういう中で浄水器メーカーというのは急速に発展したニュービジネスだろうと思うのですけれども、これに対しては、例えばこのトレビーノスーパースリムを見ましても、日水協型式承認品ということで事業者団体の方で一応のこういったものをつくっているようでございますが、世の中の流れとしては規制は緩和していくのだ、政府はできるだけ事業者に対して規制をすべきではないという御時世ではございますが、しかしやはり大事なものについては胸を張って守るべきではないか、国民の健康、安全にかかわるような問題につきましては、その基準認証の重要性にかんがみてそれを守るという姿勢もまた政府になければならない、このように思うわけであります。  そこで、時間は限られておりますので、一般市民が今後こういったものを手にしていくわけでありますが、何しろ毎日体の中に入る水の問題でございます。浄水器の普及が非常に広がってきている中で、政府としてもやはり浄水器メーカーの育成と指導に当たるという、そういった基本方針を持たれてはどうなのか、このように考えるのですが、いかがでしょうか。
  224. 浜田康敬

    浜田説明員 先生説明なさいましたように、このところ浄水器が大変な勢いで普及をしておりまして、正確な統計ではございませんけれども全国的に平均で三〇から三五%くらいの普及状況になっているのではないかというところまで来ているわけでございます。これはいろいろな要因があろうかと思いますけれども、その大きな背景は、水道水質に対する国民の不信感あるいは不安感のあらわれということで受けとめなければならないのではないかというふうに考えておりまして、安全で良質な水道水供給を責務とする水道事業者あるいは私ども水道行政を担当する者にとりましては、残念な実態にきているということだろうと受けとめております。  それから、浄水器の性能などにつきまして、もう少しわかりやすいように、そのために業界団体等の指導育成を図るべきではないかという点につきまして、現在、先ほど先生もお示しになりましたように、日本水道協会による型式承認という仕組みがございます。これは浄水器が水道管に直結して使われるという観点から、水道水を汚染することがないようにというところで利用者サービスの観点も含めましてやっている仕組みでございますが、さらに先生の御指摘も踏まえまして、浄水器を通じた水の衛生の確保などの観点も踏まえつつ、水道行政の立場から浄水器の適正な普及、対策につきまして、これは関係の方面もございますので、そういったところとも相談をいたしながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  225. 北橋健治

    ○北橋委員 時間が参りまして、最後に環境庁長官に決意の一端をお聞かせ願えればと思っておりますが、今回、二つ法案を提出するに伴いまして、外国に行ったらお水は買って飲まないといけない御時世でございますが、日本ではそうならなくて済みそうでございます。今後長官としても、水道の利用に配慮した公共用水域水質保全対策が相当に強力に進められるものと私ども期待をするわけでございますが、この行政の推進に当たる長官の決意をお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  226. 広中和歌子

    広中国務大臣 イザヤ・ベンダサンのあの本でございましたか、出だしのところに、日本人は空気と水と安全と、それはただだと思っているというような出だしがございましたけれども、確かに最近、何か浄水器を使ったり、あるいは買った水を飲まなければならないというようなことが出始めまして、大変に飲み水に対する関心が高まっているところでございます。  そうした中にありまして、厚生省事業法とそして環境庁のこの促進法、この両法案が一緒になりまして、皆様方に安全な水を提供できる、そういうシステムをこれで一応つくったわけでございますけれども、今後ともさまざまな対策を講じまして、皆様方の御信頼を引き続き得られるように努力させていただきたい、そのように思っているところでございます。
  227. 北橋健治

    ○北橋委員 ありがとうございました。
  228. 奥田幹生

    奥田委員長 谷津義男君。
  229. 谷津義男

    ○谷津委員 まず環境庁野中局長にお聞きしたいのですけれども環境庁厚生省の両省別々にこの法案が出たということでございますが、これは目的とか手段が違うのだということから二法案になったわけでございます。  しかし、私が聞いているところによりますれば、大体昨年の夏ごろは一本化して出すのだというふうに聞いておったわけでありますが、当時はどのような法案検討しておったのでしょうか。まずそれをお聞かせいただきたいと思います。
  230. 野中和雄

    野中政府委員 水道水源保全につきましては、昨年の当初から環境庁厚生省調整を行いまして、いろいろと議論をしてまいったわけでございますけれども、確かに先生御指摘のとおり、昨年の夏ごろには、有害物質対策トリハロメタン対策、農薬等の問題、生活排水対策あるいは上流の開発規制の問題といったような検討課題を抽出いたしまして、これらの課題につきまして新しい法制度を仕組むことができるのかどうなのかということにつきまして、両省庁協力をして事務的な検討を行っていたものでございます。
  231. 谷津義男

    ○谷津委員 そういうように一本化すべく話し合っていたのにもかかわらず、なぜそれじゃ二法案になってしまったのか、これは協力ができなかったのか、どの辺に問題点があったのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  232. 野中和雄

    野中政府委員 昨年の経過についてのお尋ねでございますけれども、そういうことで夏ごろまで両省で検討してまいったわけでございます。厚生省さんの方におかれましては、その後臨時国会法案をぜひ出されたいというような御相談がございました。私どもといたしましては、今申し上げたような問題について検討していたところでございますけれども、例えばトリハロメタンの問題につきましても、なおデータの収集あるいは専門家での検討というのも必要でございましたし、その他の開発規制の問題につきましても、いろいろと既存の法令との関係等についての詰めを要するということもございました。  私どもといたしましては、従来からこういう新しい制度をつくるに当たりましては、中央環境審議会に対しまして諮問をいたしまして御検討いただくというのが従来の例でございますので、昨年の臨時国会に提出をするということは、私どもとしてはちょっとできないというふうに申し上げていたところでございまして、そういう意味厚生省環境庁との歩調が合わなかった、こういうことでございます。
  233. 谷津義男

    ○谷津委員 私が予算委員会で質問したときには、官房長官から一本化に努力するというふうな答弁があったわけであります。その後、聞くところによりますと、官邸の方に両省が呼ばれていろいろそういうような話し合いがあったやに聞いておるわけでありますけれども、何か政府部内の調整力が弱いのじゃないかと私は考えるのです。環境庁はこの点どういうふうに努力をなされたのですか。長官、お聞かせいただきたい。
  234. 広中和歌子

    広中国務大臣 環境庁といたしましては、できたら一本化というような方向も模索したわけでございますけれども厚生省の方としては、このトリハロメタン対策が大事であるからできるだけ早くというようなことでございましたものですから、私どもは、先ほど野中局長から御説明いたしましたように、九月に環境庁長官から中央公害対策審議会へ諮問をいたしまして、そして検討していただいた。毎週のように審議会を開催して検討していただきまして、できるだけ厚生省と並んで私どもの方でも対策が講じられるよりにと急がせたわけでございますが、幸いにして十二月六日に、今度は名称が変わりまして中央環境審議会でございますが、そこからの答申をいただくことになったわけでございます。  法案の取りまとめに当たりましては、いろいろな考え方はあると思いますけれども中央環境審議会答申を踏まえまして、官邸とか厚生省とも密接に連絡調整を重ねた結果として、両法案目的対象対策仕組みに違いがあるため、別々の法案として出し、そして一体として機能させるということが目的にかなうのではないか、そういうふうに考えたわけでございます。  したがいまして、両法案トリハロメタン対策については安全な水の確保という共通の目的を有するものであることから、両法案が一体となって機能するように所要の規定を置くことにして、そしてこのような形をとらせていただいたわけでございます。私は結果オーライではなかろうかと思っております。
  235. 谷津義男

    ○谷津委員 中環審の答申の問題については先ほどから各先生方からも質問がありました。確かに中環審の答申によりますれば、これからいろいろやらなければならない、とりあえずトリハロメタンという形であらわれてきているだろうと私は思うのですが、これからも産業廃棄物の処分場の問題あるいは農薬、いろいろまだまだ出てくると思うのです。  先ほど午前中、野田委員からも質問がありましたが、厚生省法案と今審議している環境庁法案とでトリハロメタンでクロスする部分があるけれども、そうなると、クロスする部分がまだまだいっぱい出てくるはずなんです。そういうときには交通整理ができなくなってしまうのじゃないですか。その辺のと、ころは長官、どういうふうに考えていますか。
  236. 野中和雄

    野中政府委員 両法案におきましては目的、手段等異なるわけでございますけれども、今までも御説明申し上げておりますように、いろいろな手続面、基本方針等の調和あるいは水道事業者の要請をお互いにみなすといったような諸手続を法律に規定いたしておりまして、関係の地方公共団体あるいは水道事業者の方に過重な負担をかけないように調整をしているところでございます。
  237. 谷津義男

    ○谷津委員 トリハロメタンはとりあえずこれで話し合ってわかりますよ。こういうふうな形になってくる。いわゆる事業と、片方は規制というようなことでわかりますけれども、これから各項目がいっぱい出てくる。しかもそれをこれからやろうとしているわけでしょう。法案はこれで終わりじゃないのでしょう。これからいろいろな問題を追加していくという予定があるのじゃないですか。その辺はどうなんでしょうか。
  238. 野中和雄

    野中政府委員 先生御指摘のように、水道水質に絡みます公共用水域水質保全の問題につきましては、中央環境審議会から広範な答申をいただいておりますので、私どもといたしましては、この消毒副生成物の問題に限りませず、今後いろいろな問題につきまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。  これらにつきましては、法律を要するものもございましょうが、政令、省令、その他の措置、あるいは予算措置実施をするといったようなもの、各般にわたるわけでございます。これらの実施に当たりましては、環境庁環境の問題、私どもといたしますれば水質の問題につきましては総合調整官庁という立場でございますので、こういう立場から関係省庁を取りまとめながらリーダーシップを持ってやっていきたいというふうに考えております。
  239. 谷津義男

    ○谷津委員 それでは、ちょっとお聞きしますが、市町村水道水源保護条例は大体七割ぐらいが廃棄物の処理施設を規制していますね。そして、水源地域における開発行為というものをいろいろな面で規制している。しかし、この法案はそういった規制が盛り込まれていないのですね。この辺についてはどういうふうにお考えですか。
  240. 野中和雄

    野中政府委員 水道水源の保護に関する条例が幾つか制定をされているわけでございますけれども、例えば、私どが承知をいたしております四十三の条例、要綱のうち、廃棄物処理施設を規制しているものが三十二というふうに多いわけでございます。  この問題は大変重要な問題ではございますが、廃棄物の最終処分場につきましては、実は廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして、一定以上の面積のものにつきましては知事の許可制ということになっているわけでございます。そして、許可に際しましては、同法に基づきまして構造、維持管理基準というのがございますが、これに適合することが必要というふうにされているわけでございます。  したがいまして、廃棄物最終処分場につきましては、このように廃掃法の規定におきます許可制、それからそのもとにおきます基準というような非常に厳しい運用がなされている制度になっているわけでございますので、水道水源保全につきましても、当然この許可制度の中で配慮をして運用されるものというふうに理解をしているわけでございます。こういうことから、新たな法制度をつくる必要はないというふうに判断をいたしたもの  でございます。
  241. 谷津義男

    ○谷津委員 先ほどから、中央環境審議会答申を得て環境庁はこの法案を作成したというふうなことも答弁しているわけですね。しかし中央環境審議会は、最終処分場から出る水の基準は厳しく、できるだけ制度で検討すべきだということをきちっと答申の中に書いてあるのですね。それにもかかわらず、厚生省法律案にもあるいは環境庁の本法律案にもそれが盛り込まれていない。先ほどから中環審の答申に従ってというようなことを言っている割には、そういうものを聞いていないということはどういうことなんですか。どこでそういう判断をしたのですか。その辺を聞いておきたい。
  242. 野中和雄

    野中政府委員 廃棄物の最終処分場からの排水対策につきましても、私ども水質保全観点から重大な関心を持って取り組んでおるわけでございまして、審議会におきましてもこの点を御審議いただきまして、先生御指摘のとおり、答申の中で、水質汚濁防止法の上乗せ排水基準と同様の規制の導入等、所要の規制措置を講ずることが必要だということで御意見をいただいているところでございます。  この問題につきましては、例えば現在の最終処分場の排水規制でございますが、廃棄物処理法に基づきます構造、維持管理基準という形で、環境庁厚生省の共同所管の省令という形の中でこの基準が定められているわけでございまして、この中で水質汚濁防止法のいわゆる一律排水基準を適用するということになっているわけでございます。  したがいまして、本問題につきましては、法律レベルというよりもこういう省令レベルの検討をいたすということが一つの課題ということでございまして、この問題につきましては、この答申を踏まえまして、この基準を所管いたします厚生省ともども最終処分場の排水規制強化について検討を進めているということでございまして、そういう意味で、本件につきましても新しい法律に盛り込まなくても措置できるというような判断をいたしたものでございます
  243. 谷津義男

    ○谷津委員 今月の十四日の新聞によりますると、廃棄物処分場の排水、これは水質基準強化へという見出しで、厚生省環境庁検討を始めたというようなことが載っておるわけであります。これは当然、中央環境審議会答申に基づいてこれを法案化すべく動き出したと私は理解をしているのですが、今の答弁から見ると新聞の報道とちょっと違うようでありますが、その辺はどうなっているのですか。
  244. 野中和雄

    野中政府委員 二月十四日の新聞報道で、水質基準強化へというような記事が載っているわけでございますけれども、私どもも、ただいま申し上げましたように、この答申の方向に沿って早急に結論を出すように検討を進めているところでございます。
  245. 谷津義男

    ○谷津委員 そうすると、トリハロメタンのほかにこういった幾つかの項目についてはこれからやるということの理解でいいのですね。
  246. 野中和雄

    野中政府委員 そのように理解していただいてよろしいかと思います。
  247. 谷津義男

    ○谷津委員 そうすると、また議論が前に戻ってしまうんだけれどもトリハロメタンでは確かに両省庁で話し合ってきたけれども、今度こういうのがいっぱい出てくると、みんなそこでクロスしてくるわけですよ。では、そのたびにこの法案についての取り扱いとかなんかを一つ一つ目的にやっていくのですか。そうじゃないと、これは水道をやられている方のいわゆる事業者が要請をすれば、それが今度は、私に言わせれば群馬県ということになるのですけれども、そこが計画を立ててやっていかなきゃならないということになりますと、これは幾つもの項目がそういうふうに出てくると、そのたびに一つ一つそういうふうな協議をしながらやっていくというふうな理解のもとでいいのですか。
  248. 野中和雄

    野中政府委員 ただいま最終処分場の排水規制の問題について申し上げましたのは、これは新たな問題として環境、厚生両省で相談をしているというよりも、既にこの排水規制につきまして構造、維持管理基準という形で、両省の共同省令という形で定められておりますので、これの改正あるいはそれ以外の方法もあるのかもしれませんけれども、そういうような問題として両省で協議をしているということでございます。
  249. 谷津義男

    ○谷津委員 実は、私の県ではない、隣の県の栃木県なんですが、葛生町というのがありまして、先ほどから質問の中にも出ておるのですが、すぐ近くなんですよ。ここは石灰を掘った跡に最終処分地、安定五品目でやるんだということで栃木県は許可をしてくれたということですね。それで、車で運び込もうとしたところが、地域住民が猛烈に反対をしまして、今運び込まれない状況にある。しかも今、感情的な対立をしている。というのは、処分場から出る水が地下水となって、しかもそれが飲料水に川下で使われている、あるいは浸透水として、井戸がほとんどでありますから、これは栃木市の寺尾というところなんですが、そこがみんな飲料水として使っておるということなんです。  こういう最終処分地、廃棄物の処分場の排水問題というのは、これは厚生省の管轄にはなりますけれども、しかし環境庁としてもこの問題は捨てておけない問題だろうと思います。ですから今のような答弁にもなってくると思うのですけれども、こういうふうな問題が起こっておりますと、これは井戸水なんだ。いわゆる水道水じゃない、井戸水なんだ。この辺についてはこの法案からは全く欠落しているわけですね。井戸水、地下水、この辺はどういうふうにお考えですか。
  250. 野中和雄

    野中政府委員 栃木県の葛生町で大きな問題になっているわけでございますけれども、私どもといたしましては、一つは、おっしゃるような地下水の問題というのが今後いろいろな形で日本でも非常に重要な問題になってくるというふうに認識をいたしておりますし、また、もう一つの側面からいいますと、ただいまの廃棄物最終処分場の排水問題ということが大きな問題であるというふうに認識をいたしております。  今、例に出されました栃木県葛生町の廃棄物処分場の問題につきましては、廃棄物処理法の規定に基づきまして、地元の事情を一番御存じの県知事さんが許可をされ、またその際にもいろいろと条件を付されたということでございまして、私ども、地元の状況をよく知った知事さんの御判断ということで、適正に許可をされたものと承知をしているわけでございます。  ただ、一般論として申し上げますならば、やはり廃棄物最終処分場の中で、特にこの安定型の廃棄物最終処分場につきましていろいろな懸念がございます。例えば、最終処分場へ安定型の廃棄物以外の廃棄物が混入をして汚染をしているのではないか、あるいは安定型とはいっても廃プラスチック類に含まれる可塑剤等によりまして地下水が汚染をされるのではないかといったような懸念がいろいろな方から起こっているということは承知をしているわけでございまして、やはりこれは水質保全観点からも私どもも重大な関心のあるところでございます。  そこで、私どもといたしましては、こうした最終処分場の信頼性の向上を図る、あるいは環境保全を図るということが大事でございますので、この最終処分場への廃棄物の受け入れ、管理をより徹底をすること。それから、今まで規制をしておりません物質につきましてもいろいろと知見の集積をするといったようなことを通じまして、この安定型最終処分場の問題につきましてのより適切な対応について検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  251. 谷津義男

    ○谷津委員 実は、この問題については今裁判になっているわけであります。そして、五月ごろにあるいは判決があるかというふうな話もうわさでは私どもは承っておるわけであります。ただ、この処分場をつくるにつきましては、栃木県がいろいろな指導をしまして一億円以上の金をかけていろいろな施設をつくったというふうにも聞いておるわけであります。ですから、もし裁判で負けてだめということになれば、栃木県に対して損害賠償をするんだという話も実は聞いているわけであります。  そのことはさておきまして、ただいまお話の中に安定五品目の問題が出たわけであります。この安定五品目そのものも非常に危険だというふうな認識を持っている人もいるわけでありますけれども環境庁としてはこの安定五品目は大丈夫なものなんだというふうなことで考えておられるのかどうか、これを承っておきたいと思います。  というのは、実は私どもの中にもう一つ大きな問題があるのです。アイガー計画というのがありまして、これは恐らく御存じかと思うのですが、足尾銅山の跡地に大きな処分場をつくるということで、下流各市町村はみんな反対決議を市議会や何かでもやっているのです、これをやられたら大変だということで。しかも、その話がかなり進んでいるというふうにも聞いているのですが、これも安定五品目の処分場だというふうに聞いているのですが、莫大なものがここに投棄されるということを聞いておるわけであります。  それとも関係があるわけでございますので、この安定五品目ということについての安全性といいましょうか、その辺についてどのように環境庁は認識をしているのか、お伺いをしておきたいと思います。
  252. 野中和雄

    野中政府委員 安定型の産業廃棄物の最終処分でございますけれども、これにつきまして、現在のいろいろな基準を守って処理をしていただければ安全ではないかというふうに考えているところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、往々にしてこの安定型の最終処分場に安定型の産業廃棄物以外のものが混入するということが一つの大きな懸念になっているわけでございます。  このため、この問題につきましては、平成四年の六月の廃棄物処理法施行令の改正によりまして、安定型の産業廃棄物以外の廃棄物が混入されないように措置をするというようなことにされたわけでございますけれども、今後その受け入れ、管理の徹底が図られますように一層努めていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。  また、安定型、安全というふうには申し上げたわけでございますけれども、この中に実はシュレッダーダストというのが最近問題になっているわけでございまして、この点につきましては、排出の実態でありますとか、溶出試験等の性状試験等の調査を実施したところでございます。  今、調査の取りまとめを行っているところでございますので、調査が取りまとめられました段階におきまして、このシュレッダーダストの問題につきまして、現在安定型の廃棄物に入っているわけでございますけれども関係省庁とも調整を行いながら、どういうような対策を講じたらいいのかということにつきまして検討いたしたいというふうに考えております。
  253. 谷津義男

    ○谷津委員 知事権限といいましょうか、まあ厚生省が機関業務として県に任せておるということなんでしょうけれども、これは厚生省の方の話ですが、実は三千平米以下ですと、小さな処分場は許可を必要としないのですよね。ですから、じゃんじゃんどこにでもできる、極端な言い方をすればそういう状況にあるのです。そうなってまいりますと、この辺のところが一つの盲点となって、あちこちにいわゆる処分場ができる可能性があるというふうに私は考えるわけなんでありますけれども、この辺のところの監督というのでしょうか、役所の目を光らせるといいましょうか、その辺のところはどういうふうにカバーしているのですか。今の段階では全く無秩序的にできるのでしょう、三千平米以下は。その辺はどうなんでしょうか。
  254. 野中和雄

    野中政府委員 御指摘のように、廃棄物の最終処分場の許可制でございますけれども、規模要件というのがあるわけでございまして、現在管理型の最終処分場にありましては、埋立面積が千平米以上、それから安定型の最終処分場につきましては、先生御指摘のとおり、埋立面積が三千平米以上というのが許可の要件になっているわけでございます。  この許可の対象となります最終処分場には構造、維持管理に関する基準が適用されるわけでございますけれども、しかし、それ以外の埋立処分に対しましても、廃棄物の最終処分に関する基準というのが適用されることになっているわけでございまして、公共用水域あるいは地下水の汚染が生じないように一応措置されているわけでございます。しかしながら、確かに規模の小さな処分場からの水質汚染が起こっているというような事例も報告されているわけでございますので、私どもは、現在の基準で一応環境汚染の防止を図ろうとは考えておりますけれども、許可の対象となります最終処分場の引き下げにつきましては、これは許可につきましては実は厚生省さんの所管でございますので、厚生省とも密接な連携を図りながら、小さなこういう処分場の実態の把握といったような面などにつきまして検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  255. 谷津義男

    ○谷津委員 ちょっと論点を変えて長官にお聞きをいたしたいと思うのです。  環境庁法案厚生省法案とは、事業について水質目標と密接な関係がありますね。両法案を読んでみますと、環境庁法案が、規制の方が上位にあるかなというふうに私は認識をしているのですけれども、この辺は長官はどのようにお考えですか。先ほどもちょっと質問が出まして、厚生省は同じだというふうに見ているのです。規制事業ということがあるのですが、その辺は長官はどういうふうにお考えですか。
  256. 広中和歌子

    広中国務大臣 どのようにお答えしたらいいかとちょっと迷うところがございますけれども環境庁法案にも厚生省法案にも基本方針を定めるべき旨規定されておりまして、基本方針はそれぞれ、環境庁法案水質保全計画厚生省法案の都道府県計画のあり方を規定するものとされているわけでございます。これらの両法案の基本方針の関係については、厚生省法案の基本方針は環境庁法案の基本方針に調和すべき旨が厚生省法案に定められているところでございます。  これは、環境庁法案が、水質保全に関する目標を定め、事業及び規制等の措置を総合的、計画的に実施するという枠組みを定める法律であるのに対しまして、厚生省法案は、トリハロメタン対策については環境庁法案水質保全計画に定められた事業実施法の一つとして位置づけられているわけでございます。  上か下かということでございすずけれども、言ってみれば厚生省事業法は環境庁措置法の枠組みの中に位置づけられている、そういうふうに受けとめてよろしいのではないかと思います。
  257. 谷津義男

    ○谷津委員 なるほど、じゃ、そういうふうに理解をしてこれから質問をさせてもらいます。  いわゆる指定水域になると水質保全計画を策定しなければならないということになっておりますね。これに基づきまして各種事業実施していくということになるわけでありますけれども、この費用というのは非常に莫大だというふうに私は考える。この財政的援助の問題、これは非常に大きな問題だと思うのです。  先ほどの参考人のお話を聞きましても、花房さんがやはりしっかりと、この辺のところが必要なんだよということを明言されているわけでありますけれども この辺のところはどのような援助をしようとしておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  258. 野中和雄

    野中政府委員 法律に基づきまして水質保全計画が策定をされますと、そういう中で各種の事業実施していくということになるわけでございます。  私ども法律は、言ってみればそういう枠組みをつくるといったようなところに主眼があるわけでございまして、水質目標に対しまして事業なりあるいは規制措置なりをどういうふうに均衡を持って実施していくのか、そして目標を達成するのかというような大きな枠組みを定めるというのが大きなねらいでございまして、規制につきましては私ども法律でいろいろと実施をしてまいりますけれども事業につきましては、それぞれ下水道法でございますとか河川法でございますとか、いろいろな既存の法律があるわけでございますので、これらの法律に基づいて実施をしていただくということになっているわけでございます。  したがいまして、この事業に伴います財政措置というのも、それぞれの法律に基づきます措置あるいは予算措置に基づきましていろいろな措置がとられているところでございまして、これらを活用してやっていただくということが必要でございますし、また、この法律ができたということによりましてそれらの財政措置が一層拡充されるように、各省にもまたお願いもしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  259. 谷津義男

    ○谷津委員 そこなんですね。要するに、環境庁は枠組みをつくる。しかし、事業につきましては、これは厚生省の場合は非常に身近と言っていいのですか、上流二十キロとかなんか近くでありますが、環境庁のはばつとエリアで非常に範囲が広いということです。そうなると、当然のこととしてその問題は建設省にも行くし、農林省にも行くし、いろいろとそういう法律の枠内で、下水道あるいは河川法というような形の中でやるのですが、実際問題として環境庁がそういうふうなことを、あるいは事業計画がつくられてこれはどうしても建設省予算の中でやらなきゃならないという事態になった。しかも、これは水道事業者の要請によって始まってくるわけでしょう。そうなってくると、要請によって事業計画を立ててやるとなれば、莫大な費用がかかる。その費用分について、従来のいわゆる下水道法や河川法だけではこの地元負担がとてもやり切れぬよ、そうなったらば事業者にも負担してもらえよ、これは厚生省法案の中には事業主体の負担ということもありますけれども、これも義務じゃないんですね。義務づけられているわけじゃないんだ。ノーと言われればそれまでなんだ。ですから、要請だけはぼんぼん出すけれども、金はもう一銭も出さないよということになってくる事態もかなり考えられるわけであります。  そういう中で、枠組みはつくってもそれは実施にできないよということになってきた場合は、これは強制権があるのですか、ないのですか。その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  260. 野中和雄

    野中政府委員 この法律に基づきます水質保全計画ができますと、お話のように上流の地域でいろいろな事業をそのために計画していただくということが必要になるわけでございますけれども、これは一方的に負担がふえるということでは必ずしもないわけでございまして、手続的に申しますと、地域を指定いたします場合、あるいは計画をつくります場合、やまり上流県に対して上流県の知事さんの意見を聞く、あるいは上流県、下流県が一緒になって計画をつくる。そして、その際には、事業を実際にやる人の、市町村長さんなどの意見を聞くというような手続をとりまして、上流の県、地域の方の意見も十分尊重して指定なり計画をつくるということにしているわけでございます。  また同時に、この法律に基づきまして地域の指定をする、あるいは計画をつくりました場合に、地域指定につきましても閣議決定で指定をするわけでございますけれども、県がつくりました計画につきましても県知事さんから国への協議があるわけでございますが、この際にも公害対策会議の議を経るということにいたしておりまして、国の機関におきましても、これは環境庁だけが承知をするということではなくて、事業省庁を含めました関係省庁みんなで連携をして応援していただくような体制をとるということにいたしているわけでございます。  水質保全関係、関連から、この計画に載っております事業が円滑に推進をいたしますように国もいろいろ支援をしていくというような規定もございますので、それぞれの省庁の事業の中で優先的な採択というようなことはもとよりでございますけれども、いろいろと援助をしていくことができるのではないか、まだそういうことをお願いをしていきたいというふうに考えているところでございます。
  261. 谷津義男

    ○谷津委員 非常にその辺があいまいなんですね。ですから、この辺のところはきちっと整理をしてやらないと、自分のところでやらなきゃならなくなった、しかも個人個人の負担のないわけじゃないんですね、事業、下水道なんという場合は。こういうときに水道事業者の方から要請を受けてそして計画をつくられてやる、当然その負担も持っていただくというふうなことにもなろうかと思うのですね。  先ほどの花房参考人の意見の中にもそれが取り上げられているわけでありまして、感銘深く私は聞いたわけでありますけれども、その辺のところをしっかりやらないと、いわゆる何十年、何百年と川上、川下のこれは争いというのがあるわけでありまして、その辺のところにまたこれで、なお一層過熱をする危険もなきにしもあらずでありますから、きちっとその辺のところは踏まえていただきたいと思うのです。  そこで、先ほど村岡参考人のお話の中に、トリハロメタン原因になる一つに有機質というのがあるんだということであります。また、環境庁説明の中にもそれが取り上げられておりますね。ところが、最近の農業は有機農業というのを盛んに奨励をして、幅広く堆肥を農地にまくといいましょうか、これはいわゆる地方が金肥ではなくなっておりますから、どうしても有機質を、堆肥を農地に散布するのは非常に大事になる。しかも、この有機農業というのはこれから奨励をされる、これはかなりの範囲に堆肥が散布されると思うのですよ。それに雨が降って流れ出すと、これは有機質がまともに流れ込んでくるわけでありますけれども、一方においては上水道とかいろいろなものは、いずれにしてもこの問題というのは私は大きな問題になると思いますよ。この有機質を抑えたいんでしょう、できるだけ。そうしないと、それに塩素が化合すると発生するのがトリハロメタンだというふうに言われているんでしょう。そうすると、有機農業というものと相反する問題がここに起こってくるんじゃないか。しかも面積は広くやりますね。  例えば、群馬県なんかでこういう問題が起きたんですよ。昔の話ですからこれは大した問題じゃなかったかもしれませんけれども、大量にタマネギができ過ぎちゃって、余り値が下がるものだから畑でそのままつぶしたんですね。そしたら、タマネギつぶすというのはそのまま有機肥料になるんですよ、考えてみると。ところが、そこへ雨が降って水が流れて臭くなって、東京都の水道局にえらい群馬県が怒られたことがある、やめろということで。こういうふうな似たような問題が起こってくる。これから有機農業をやる、じゃんじゃんそういう堆肥をまいて。これはこれから奨励されている。しかも奨励している、農林省は。そういうことを考えると、異常にその辺で問題が起きるというふうに考えるのですけれども野中さん、農林省の出身の方だからその辺はよくわかっているでしょうから、どんなふうにこの辺を考えるか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  262. 野中和雄

    野中政府委員 御指摘のように、肥料等によります硝酸性窒素の地下水の汚染の問題というのがヨーロッパでも地下水汚染の原因としていろいろ言われているわけでございまして、一部の国においては規制等が行われているような実態もございます。また、日本でも一部の地域でそういう事例もあるわけでございます。また、確かに先生お話しのように今後、有機農業というのが奨励をされておりますけれども、これも適正に行われませんと、相当の堆肥等の投入によりまして、そういう被害が生じてくるというようなことも考えられるわけでございます。  この地下水汚染の問題でございますけれども、私どもも審議会の中で重要な項目一つとして検討をしたわけでございますけれども、現在硝酸性窒素は要監視項目ということになっているわけでございますけれども、今後御指摘のようにいろいろな問題が生じてくるということも考えられるわけでございます。ただ、現在までのところ地下水の汚染の状況なり実態なり、それから原因も、農業は一つ有力な候補でございますけれども、それ以外のものもあるわけでございまして、そのあたりにつきましてまだ知見の集積というのも必ずしも十分ではないわけでございます。そういう意味で、一方では汚染事例の実態把握あるいは汚染原因対策手法についての調査というのを進めていく必要があろうかというふうに考えております。  また、この硝酸性窒素、特に肥料の問題に関連をいたしましては、農林水産省の方でも、現在施肥基準の見直しというようなことも相当進みつつあるようでございます。これらのことも勘案をしながら今後の対策というのを検討していかなければいけないというふうに認識をいたしているところでございます。
  263. 谷津義男

    ○谷津委員 この硝酸性窒素の問題というのは、これから私は本当に大きな問題になると思う。しかも、地下水だけじゃなくて表流水で流れてきます。畑に雨が降ればじゃんじゃん流れるんですから。ですから、この辺で硝酸性窒素が含有されているから有機肥料はやめろなんて言われたんじゃ、これはまことに困るので、実際は地方をつけなければこれからの生産性は上がりませんし、そういう面で考えると、特に野菜なんというのはそういうふうに持っていかなければなおさらだめであります。みんなそれで努力しているわけですから、この辺の整合性をしっかりとつけておかないと、これは必ず問題になってくることを今のうちに指摘しておきますから、この辺はしっかりやっていただきたいと思うんです。  そこで、トリハロメタンの生成の原因物質について、排水基準が設定されるようですね。生成の原因物質、そしてまた排水基準について具体的には政令で定めるとされておりますけれども、現在の下水道の処理施設で排水基準を満足する処理施設ができているかどうか、これまた調査をしないと不明だろうと思うんですね。もしそれが満足されてないということになると、その施設を改善するかあるいは全く新しくつくるかということになるわけですけれども、この辺はどのように考えておりますか。
  264. 野中和雄

    野中政府委員 トリハロメタンの生成に関する排水基準をどのぐらいに設定していくかというのは、これからなおもう少し詰めをしていかなければいけないという状況でございますけれども、現在までに得られているデータによりますと、排水中のトリハロメタン生成能というのは、この下水道の処理施設において一定程度除去されるということが確認をされております。  そこで、下水道の処理段階というのはいろいろな段階があるわけでございますけれども、今一般に採用されております処理技術、いわゆる二次処理ということでございますが、二次処理が適正に行われている場合の濃度というのを基本にして、この下水道の処理施設からの排水トリハロメタン生成能に係る特定排水基準というのを定めるということを考えているわけでございます。  現在までのデータによれば、この二次処理が適正に行われているというようなことであれば、このトリハロメタン生成能については、まあ基準値はこれからでございますけれども、おおむねのところ対応できるのではないかというふうに考えているところでございます。
  265. 谷津義男

    ○谷津委員 厚生省の発表によりますると、六十三カ所の水道事業体でこのトリハロメタンの発生するおそれがあるということで数字だけは発表されております。ただ、どこの場所だということについては、先ほどから議論がありましたけれども、なかなか発表してないわけでありますが、聞くところによりますと、案外中小の都市の水道にそれが多いということなんです。  特に北海道につきましては、こういったいろいろな物質の問題よりも、むしろ泥炭による原因の方が多いというふうに聞いているわけです。これは泥炭ということになると手の打ちようがないわけでありますけれども、その辺のところはどのように認識しているんですか。もし泥炭という場合になると、全く別に取水をしなきゃならないような事態が起こってくるのかもしれませんけれども、その辺はどういうふうに認識しておりますか。
  266. 野中和雄

    野中政府委員 トリハロメタン原因となりますフミン質等でございますけれども、先ほど参考人の方のお話にもございましたように、有機物でございまして、山林、農地、あるいは泥炭地、そういうような、言ってみれば自然的な地域からも相当出てくるわけでございます。  こういう自然系の濃度の高いところにつきましては、生活排水処理の推進あるいは工場事業場等の規制では必ずしも十分除去できないというような地域もあるわけでございまして、極端にそういう自然系が非常に高いというような地域であれば、これはまあ極端な場合でございましょうけれども、恐らく規制ではなくて、むしろ浄水場におけるいろんな措置で対応しなければ対応できないのではないか、そういうケースもあるのではないかというふうに考えております。
  267. 谷津義男

    ○谷津委員 長官にお聞きいたしますけれども、本法案には、先ほど局長にも御答弁いただいたのですが、上流県が負担する費用というのはかなりのものがあるだろうというふうに私は予測をしているわけであります。関係各省庁にこの面は特段の要請をする必要があるというふうに考えておりますけれども長官としてこの辺のところはどういうふうにお考えですか、お聞かせいただきたい。
  268. 広中和歌子

    広中国務大臣 先ほどの局長のお答えと随分重なることがあると思いますけれども、この法案におきましては、水道事業者、上流県を含めた地方公共団体、工場事業場等の関係者の負担の衡平を失することがないように、計画策定等各種の手続において配慮していかなければならないと認識しております。  環境庁といたしましては、今後、関係省庁の協力を得まして、地方公共団体に対する支援措置が図られるように最大限の努力を払ってまいりたい、そのように思っております。なお、水質保全にかかわる上流、下流の費用負担のルールにつきましても、さきの中央環境審議会答申において「慎重かつ多角的な検討が必要であり、今後の課題とすべきである。」とされているところでございまして、今後検討を重ねていきたいと思います。そして、今ずっといろいろな委員の問題提起を伺っていたわけでございますけれども、本当に貴重なものとして承っております。
  269. 谷津義男

    ○谷津委員 昨年の十二月に中央環境審議会答申で今後の課題の全貌というものを確実に示したというふうに、私は高い評価を実はしているわけであります。  しかし、また一方では、これは各省庁にまたがるわけですね、今のお話にもありますように。そういうことも事実ですね。ですから、政府としてそれをフォローアップしなければいけない、これは環境庁長官としても大変な大仕事になるだろうというふうに私は思うわけでありますが、長官の決意をもう一度聞かせていただきたいと思います。
  270. 広中和歌子

    広中国務大臣 水源の水質保全につきましては、昨年十二月に、公共用水域等における各般の施策を総合的、計画的に実施していく必要がある旨、中央環境審議会答申をいただいているところであります  具体的な対策を講じるに当たりましては、同答申の中でも述べられておりますように、まず既存の諸制度の活用を図る、これが第一でございます。それとともに、既存の制度では対応困難な場合には、法制度も含めた新たな対応策を講じることとされております。それで 新たな法制度が必要とされるものとしては、今般のような水道水源についての特別措置法案を取りまとめたところでございます。  環境庁としては、水道水源についての特別措置法案のみならず、答申をいただいたその他の施策についても、総合調整官庁といたしましてそのフォローアップを適切に行い、関係省庁とも協力して、その着実な実施を図ってまいりたいと思います。この貴重な御審議を踏まえまして、庁の中に帰りましても、庁の中にありましても検討させていただきますし、各省庁とも連係プレーをさせていただきたい、そのように思っております。
  271. 谷津義男

    ○谷津委員 この点は頑張っていただきたいと思います。  ちょっと法案から離れてまことに恐縮でございますが、水俣病の問題についてお聞きをしておきたいと思います。  環境庁は水俣訴訟について、今のところ地裁において二勝三敗ですか、そういう状況の中にあるんですけれども、私は、もう和解の時期に来ているのではないかなという感じを持っているわけでありますけれども、その意思はありゃなしや、長官にまずお聞きをいたしたいと思います。
  272. 広中和歌子

    広中国務大臣 この問題が完全に解決するということを願わない人はないだろうと思います。しかしながら、水俣病訴訟につきましては、行政としてゆるがせにできない重要な争点を含んでおりまして、現にこれまでの五つの地方裁判所における判決も、先ほど二対三とおっしゃいましたけれども、その判断が分かれておりますところから、和解によって解決するような状況には今のところない、そういうふうに考えております。  私といたしましては、水俣病問題の早期解決を図るために、今後とも認定業務の促進、水俣病総合対策事業実施など、行政施策の推進に努めてまいりたい、そのように思っております。
  273. 谷津義男

    ○谷津委員 同じような答弁ばかりしか聞けないのですけれども、本当にもう長い時間がたっていますね。しかも、被害を受けているという事実は歴然としてあるわけであります。かなりお年もとってきているわけでありますし、亡くなっている方もいらっしゃるわけであります。もうここは、私は、法的な問題だとかなんかというのもそれは大事かもしれませんけれども、もっと人道上の問題というのも大事だろうと思うのです。長官にはそういう血や涙はありますか。その辺のところを聞いておきたい。
  274. 広中和歌子

    広中国務大臣 できるだけ満足のいく形での、できるだけ多くの方の、かかわりのあった方々にとって満足のいく解決というものがあるのであれば、それを望まない者はいないはずでございます。
  275. 谷津義男

    ○谷津委員 国のそういう立場というのは、私はわからないわけじゃないのですよ。しかし私は、もうそういう時期は過ぎて、もっと人道的な立場にも立ってやらなければならない、そういうときも必要ではないか。法律も人間がつくるもの、そしてこれを実施するのも人間がやるもの、そういうことを考えた場合には、これだけ長い時間たってなおかつまだ解決をしていないという状況の中にあっては、何らかの方法を別にとる方法も政治家として大事な要素であるといりふりこ私は考えるのですが、長官、どういうふうに考えていますか。
  276. 広中和歌子

    広中国務大臣 いろいろな政治家の方々関係者の方々がそうした解決に向かって動いてくださっているということも新聞などの報道で承っているところでございますけれども、そうした方々の御努力が実ることを私としては願っているところでございます。
  277. 谷津義男

    ○谷津委員 金額的なことを申し上げては失礼かもしれませんが、福岡地裁ですと約五百万、五百万だったですね、福岡地裁の判決を見ますと。原告が二千二百人ということになると、単純に計算しても百十億ですか、そういうふうに見えるわけです。百十億というと、AWACS一機よりもはるかに安いんだよ。だからその辺のところも考えてもいいんじゃないですか、そろそろ。その辺のところは金額で言うべきものかどうかは何とも私も言いようがないですけれども、しかしその辺のところも考えなければならぬ。しかもまた、これが和解ができるとなれば当然、熊本県なんかで言っております五千人くらいいますよという話があるわけでありますけれども、仮に五千人としたところで二百五十億という金額です。  こういう金額のこともさておきながら、一方では、この経済不況の中でチッソが大変な状況にあるということも聞いているのですよ。そういうことをかんがみますと、これは早く決着しなければならない時期に来ていると思うのですが、まず森局長、森局長考え方も聞かせていただけますか。
  278. 森仁美

    ○森政府委員 私の考えも大臣の考えも同じでございます。  今のお尋ねの中で、チッソが大変厳しい状況にあるということでございます。計数をちょっと申し上げて恐縮でございますが、チッソ自体が、これまでの状況でまいりますと、これまでの患者さんに支払った分を借金して払っておりますものの返済が元利を入れまして一年約四十七億、それから前に水俣湾を埋め立てるときにお金を借りております、それを返さなければならないということで、これが元利で毎年二十三億円、それにこれまで認定をされて補償協定が結ばれておりますが、その方々に対する補償金が年間三十一億円、ざっと約百億円近いお金が必要ということでございます。一方、経営の方は、この不況の波を受けまして、経常利益でまいりますと十五億円でございます。  そうしますと、この差額をどうやって埋めていくかということでありまして、今患者さんへの毎年の支払い分、これは熊本県の御協力を得ながら、県債という形でお金をつくっていただいて、チッソがそれを借り入れてお支払いをしている、こういう状況でございます。  したがいまして、チッソの経営状況というのは、関係者の努力にもかかわりませず大変厳しい状態ということでございまして、私ども日夜その状況を聞きながら、何とか立ち直ってやっていく方法はないものだろうかということをいろいろ知恵を絞っているところではございますが、なかなか名案がないというのが現状でございます。
  279. 谷津義男

    ○谷津委員 仮定の話をするのはまことに恐縮でありますが、チッソに支払いができなくなる状態が起こり得るということは、今のお話から十分に理解できる状況なのですね。もし、そういう事態が起きたらどうするのですか。その辺のところもお聞かせいただきたいと思います。
  280. 森仁美

    ○森政府委員 それは大変残念な事態でありますし、また、社会的にも大変な混乱を来すであろうと思われます。地元におきましては、チッソに雇われている方、あるいは関連企業の雇用に従事している方、二千人を超える方がおられます。さらに今お話し申し上げましたように、チッソから、三十一億円ばかりでありますが、補償協定によって補償を受けておられる方、この方に対する支払いもできなくなる、こういうことでございます。  したがいまして、私ども、今倒産したらどうなるか、こういうことでございますが、それは考えておりません。何とかチッソにその補償協定に基づく賠償責任、これを果たしてもらいたい、そしてそれを自前で払っていけるようになってもらいたいということで、鋭意努力をしているところでございます。
  281. 谷津義男

    ○谷津委員 最後です。  長官、今のような状況なんですけれども、払えなくなるような状況は考えていないと言うけれども、今の数字を見てみると、これはチッソに対しましてはまことに失礼な言い方ですけれども、その可能性は十分に考えられる状況が来つつあるというふうに私は認識するのです。そういう事態になってからじゃ 本当に今の局長の話じゃないけれども、社会的な影響というのは物すごいでかいものが出てくるわけでありますが、その前に手を打たなければならない面もあるかもしれない。また、そういう事態が起きた場合の考え方というのも国もちゃんと持っておかなければならぬと思うのですが、長官、そういう場合が起きたときの長官考え方をはっきりとここで示しておいていただきたいと思います。
  282. 広中和歌子

    広中国務大臣 私が環境庁長官をやめまして次の環境庁長官が同じような問題で悩まなくていいように、本当に早く解決すればよろしいと本当に願っているところでございますけれども、ともかく環境庁だけでこの問題が解決できるわけではございませんで、そうした対策を含めまして、具体的なことをも含めまして、関係省庁等々と相談しつつ考えていきたい、検討していきたい、そのように思っております。
  283. 谷津義男

    ○谷津委員 終わります。どうもありがとうございました。
  284. 奥田幹生

    奥田委員長 岩佐恵美君の質疑に移りますが、午前中の最後の部分で岩佐君の質問に対して政府の方から答弁が残っておりますから、まずそれから答弁してもらいます。野中局長
  285. 野中和雄

    野中政府委員 午前中の先生の御質問の中で御指摘のございました釜房ダム上流のゴルフ場の問題でございますけれども、これにつきましては宮城県におきまして各種法令に基づく手続を進めまして、平成四年にこれを了したというふうに承知をしているわけでございますが、この手続に当たりましては、宮城県は県の自然環境保全審議会の委員会の意見を聞くなど専門家にも諮りますとともに、環境影響評価や関係法令等に基づく十分な審査を行いまして、むしろそれまでの裸地状態よりも水質保全を図る観点から望ましいものというふうに判断をしたと聞いているわけでございます。  このこと自体は、私どもといたしましては県の判断を尊重いたしたいというふうに思うわけでございますけれども、なお釜房ダムの水質保全ということは非常に大事な観点でございますので、今後とも県におきましてこうした釜房ダムの水質保全観点から適切な対応がなされますように注意を促してまいりたいというふうに考えております。
  286. 奥田幹生

    奥田委員長 岩佐恵美君。
  287. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 委員長にお願いがございます。  この問題について、環境庁がこれからも県に対して関心を持って見ていきたいということでございますけれども、非常に疑問がたくさんありますし、重要な問題ですので、ぜひできれば当委員会として現地の調査をお願いしたいというふうに思います。委員長のお取り計らいをお願い申し上げます。
  288. 奥田幹生

    奥田委員長 後刻、今の問題につきましては理事会で協議をさせていただきます。
  289. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 具体的な問題で、東京都日の出町の一般廃棄物最終処分場、谷戸沢処分場問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、この処分場の調整池の塩素イオンの値が河川や他の井戸の調査結果に比べて大変高くなっています。例えば日の出町の調査でも塩素イオンが二三ppmだとか、処分組合が三〇、それから日本環境学会、これは三九・九がオーバーフローの水、その水そのものが五〇・七とかということと、それから最近では一四四ppmという大変高濃度なイオンが検出をされているんです。これがなぜなのかといりことをちょっと厚生省から伺いたいと思います。
  290. 三本木徹

    ○三本木説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘のように処分場内の調整池、これは一応考え方といたしましては処分場の外に降った雨とかあるいは一部その処分場の中に表流水として入ったものを一度ためるところでございます。したがいまして、一部その塩素イオンが高いというのはどこに原因があるのか、いろいろと予想はされるわけでございますが、何が他の水域に比べてこのように高いのかというのは今のところよくわかっていないというのが実態でございます。いろいろと考えられることは幾つかあるかとは思われますが、そんなような状況でございます。
  291. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 きれいな水のはずが汚れているというのは、処分場の水がしみ出してきている以外に考えられないんじゃないか、こういうふうに調査をされた学者の皆さん方は指摘をしておられます。  東京都は、九二年末の十二月に、広域処分場は周辺環境に対し特段の影響を及ぼしていないという、処分場にかかわる調査データについての検討結果を発表しました。ところが、河川については、谷戸川で塩素イオン濃度がやや高い傾向にあるが、亜鉛等排水基準のある重金属類はすべて基準値の十分の一以下であり、環境保全上問題ないとし、河川の汚染は認めながら問題ないという結論を出しています。井戸についても、一部の井戸で鉄、マンガン等が水質基準を上回っている、また陰イオン界面活性剤日本環境学会及び広域処分組合の調査によれば、一カ所の井戸で水道水質基準を上回って検出されていると、処分場周辺の井戸の汚染については認めていながら、結論としては、地質、生活排水等が原因である可能性も考えられ、浸出原水と関係づけることは困難であると、処分場と汚染の関係を否定してしまいました。  界面活性剤が検出された井戸については、この井戸の上流には人家も施設もありません。あるのは処分場だけという位置関係にあります。しかも、家庭用雑排水は合併浄化槽で完全にそのお宅は処理をしています。井戸に入り込むはずがないんです。この処分場は廃棄物とゴムシートの下には汚染水の含水率の高い飯能礫層が広く分布をしていて、その下には相対的に水の通しにくい秩父層群が分布をしています。汚染が見つかった井戸の地下水源はこの飯能礫層の最下部で、処分場の汚染水が流れ込みやすい地質構造となっています。  厚生省として、こうした地質上の問題の十分な調査を初め、汚染源についてのきちんとした調査を行うよう指導すべきだと思います。先ほど参考人質疑のときにも、行政対応として水汚染物質の流出というのは考えていかなきゃいけない、表流水、地下水両方着目しなければならない、流出形態あるいは物質の実態調査が行われていない、そういう問題点が指摘をされております。  私は、こういう問題について本当に誠意を持ってきちんと調査をしていく、そういう必要があると思いますけれども厚生省のお考えを伺いたいと思います。
  292. 三本木徹

    ○三本木説明員 御説明申し上げます。  周辺での陰イオン界面活性剤の検出状況先生、今お話しになったわけでございますが、これを見ますと、その近くの表流水からも一部検出されております。私ども、東京都からいろいろと調査の結果などをお聞きしているところでありますが、御指摘のように最終処分場と関係づけることは困難というようなことをおっしゃっているわけでありまして、汚染の要因としてはいろいろな汚染の要因が考えられるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、東京都においては今後ともその最終処分場の周辺環境をもっと精密に調べる、あるいは周辺環境に及ぼす影響について監視するというようなことをしておりますし、また広域処分組合においても同じようなことを考えておりますので、厚生省としては、適宜報告を求めたり、あるいはまた施設の安全性、信頼性というものがきちんと確保できるように必要に応じて東京都を指導してまいりたいと考えております。
  293. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私の質問をよく聞いていただきたいのですけれども、周辺の河川とか井戸一般だけではなくて、ある特定の井戸について非常に大きな問題が起こっているわけですね。その調査について誠意を持ってやられていないというところが一番大きな問題なんです。地質の調査をしたり、なぜそういうことが起こっているのかということを、やはり原因をはっきりさせるということが周辺住民あるいはそのお宅にとっても非常に重要なことなんですね。だからこの問題を提起しているので、その点きちんとお答えいただきたいと思います。
  294. 三本木徹

    ○三本木説明員 残念ながら私ども、今東京都の調査の方法とか内容とかということを知り得ていませんものですから、今後東京都とよく連絡をとり合いまして、調査の実施方法、そういったことも含めていろいろと聞いてみたり、必要に応じて指導してまいりたいというふうに考えております。
  295. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 廃棄物最終処分場問題については、今全国各地で河川の水源地や地下水の水源地に廃棄物最終処分場が計画されたり、あるいは建設されたりして、安全で良質な水道水求める住民の反対に遭ったり、訴訟まで起こっているケースが出ております。先ほどもお話があったところです。  廃棄物処理施設の中でも、汚泥や廃油あるいは廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック、シアンなどの焼却施設や中和、分解施設は水質汚濁防止法の特定施設として規制対象となっていますけれども、廃棄物最終処分場の排水排水処理施設は水質汚濁防止法規制を受けていない、これはもう先ほどから議論があったところでございます。そして、廃棄物処理法に基づいて排水基準に適合させることができる浸出液処理設備を設ける、こういうことになっていますけれども、これでは排水水質汚濁防止法が及ばないで、水源地での排水処理としては全く不十分であるというふうに考えられる、これはもう衆目の一致するところだと思います。  厚生省として、少なくとも既存の廃棄物最終処分場の排水処理施設について、水質汚濁防止法の上乗せ排水規制、これと同様の規制措置を新たに講ずべきだというふうに思いますけれども、この点お答えをいただきたいと思います。
  296. 飯島孝

    ○飯島説明員 御説明申し上げます。  今先生御指摘のように、最終処分場からの排水規制に関しては、廃棄物処理法で水質汚濁防止法に定める排水基準に適合させることができる浸出液の処理設備を設けることとされております。特に、平成四年の七月に施行されました改正廃棄物処理法におきましては、廃棄物処理施設の設置に際しまして、従来の都道府県知事等の届け出制であったのが許可制とされました。また、知事等が許可に当たりまして、地域の特性に応じて生活環境保全上必要な条件を付することができるというように規制強化されたところでございます。  厚生省といたしましては、このような廃棄物処理法に基づく規制の徹底を図っていくことが第一と考えておりますが、先生御指摘のように、昨年十二月の中央環境審議会答申におきまして、最終処分場について、地域の自然的社会的特性に応じて排水対策の徹底を期するための措置を講ずることという提言がなされていることを踏まえまして、廃棄物処理法の体系の中で具体的な対応策について、この基準を共管しております環境庁とともに鋭意検討しているところでございます。
  297. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そこで、環境庁に要望したいのですけれども、先ほどの参考人質疑でも、この廃棄物処理施設、水源地にはできる限りつくらせない、あるいは水質管理等、特別配慮をしている、こういう指摘がございました。本当に大事なことだというふうに思います。ぜひ、厚生省と協議をして具体的に作業をしていかれるんだというふうに思いますけれども、厳格な対応をお願いをしていきたいというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  298. 野中和雄

    野中政府委員 廃棄物の最終処分場につきましての排水規制こつきましては、先まどからも御答弁を申し上げておりますように、私どもといたしましても、中央環境審議会答申を踏まえまして鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  299. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、具体的問題として、香川県土庄町の豊島での産業廃棄物不法投棄事件で問題になりましたシュレッダーダストに関連して伺いたいと思います。  この不法投棄の現場は、瀬戸内海国立公園の特別地域及び普通地域に当たります。事件が摘発されたのが九〇年十一月ですから、かれこれ三年も過ぎていますが、現在も約十五万トンのシュレッダーダストなどが野積みにされています。当時は、水質検査で水銀、カドミウム、PCB、砒素、トリクロロエチレン、鉛、テトラクロロエチレン等が検出され、中でも鉛が基準の一・三倍、水銀が基準の一・六倍等となっていて、国会でも大問題になり、厚生省などはできるだけ早く廃棄物を撤去するよう指導すると約束していました。  まず厚生省に伺いたいと思いますが、結果的には三年以上も廃棄物の不法投棄をそのまま放置してきた、そういう責任は重いと考えますけれども、香川県や業者を指導して、代執行などの措置を含めて早急に廃棄物を撤去させるべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
  300. 飯島孝

    ○飯島説明員 御説明申し上げます。  本件につきましては、いまだ大量のシュレッダーダスト十五万トン、これが放置されている状態でございまして、厚生省といたしましても、生活環境保全上の問題があると認識しております。  香川県は、この間、業者に対して二回にわたり措置命令をかけておりまして、まず平成二年の十二月に産業廃棄物の撤去を行うよう、また昨年の十一月ですが、事業所の外に汚水が流出しないように水どめの工事を行うよう措置命令をかけております。現在、県において、業者がこれらの措置命令を履行するよう強力に指導しているところでございます。  厚生省といたしましては、この措置命令が履行されるよう県として最大限の努力を行うべきと考えておりますが、さらに当該シュレッダーダストの排出事業者に対しても、その撤去について協力を求めたり、あるいは先生御指摘のように県による代執行の実施についても検討を行うことにつきまして、厚生省から県を指導し、生活環境保全を図る観点から万全の対策が講じられるように努めていきたいと思います。  なお、厚生省では、昨年九月に香川県を含む地方自治体や学識経験者から成ります委員会を設けておりまして、不法投棄の原状回復、これにつきまして検討する委員会を設けまして、こうした不適正な処理が行われた場合の原状回復措置につきまして、行政上の措置あるいは民事上の損害賠償責任、それから費用負担のあり方について総合的に検討を進めております。本年秋までにこの検討結果を取りまとめたいと考えております。
  301. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 長官、ここは国立公園なんです。国立公園を所管する環境庁の責任も重いと思います。大臣として、閣僚の一員でもあられますので、ぜひ香川県や業者などを適切に指導するということで取り組んでいただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
  302. 広中和歌子

    広中国務大臣 先ほどから御質問を、この審議をお伺いしていて、廃棄物最終処理場の問題が非常に大きなテーマであるということ、そして、これが本当に環境庁としても真剣に取り組まなければならない課題だというふうに思っております。  この豊島のシュレッダーダストの問題につきましては、基本的には廃棄物行政観点から対応されていると聞いておりますけれども、おっしゃるとおりに、これは国立公園地域内でもあり、国立公園の保護の観点からも適切な対応をしていただきたいという環境庁の気持ち、これを率直に香川県に伝え、そして指導してまいりたい、そのように思っております。
  303. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そこで、シュレッダーダストの問題ですけれども環境庁関東の処理業者を対象に行った調査結果によりますと、シュレッダーダスートの大半は安定型最終処分場に捨てられていて、高濃度の水銀や鉛が流出し、河川や地下水に流れ出ている可能性が強いというふうに聞いています。  環境庁に伺いたいのですが、その調査結果の概要はどうなっているのでしょうか。また、対応についてどう考えておられるのでしょうか。
  304. 野中和雄

    野中政府委員 いわゆるシュレッダーダストにつきまして、その最終処分場の留意点を明らかにいたしますために排出実態あるいは溶出試験等の性状試験等の調査を実施したところでございまして、現在その結果の取りまとめを行っている最中でございます。  この問題につきましては、今後その調査結果が取りまとまりました段階におきまして関係省庁とも調整を行いまして、必要に応じまして環境庁といたしまして管理型廃棄物等にする等の対応につきまして検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  305. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 このシュレッダーダストの調査の結果について、私どもが伺っているのは、七業者のうち五業者が安定型、二業者が管理型となっているということで、総水銀が〇・〇三九ppmと、廃棄物処理法の判定基準の八倍近くになっているというようなことを伺っているわけですが、問題は、総水銀〇・〇〇五ppm以上の場合は、廃棄物処理法上では遮断型の最終処分場に捨てなければならない。そういう中で、調査した七業者の中では遮断型は一業者もない、二業者が管理型最終処分場に、五業者が安定型最終処分場に捨てていたということだと聞いています。  厚生省として、もしこういうことであれば、今後はシュレッダーダストの安定型処分場への廃棄、これはもう全面的にやめさせていかなければならないのではないでしょうか。また、水銀等の有害物質を中間処理したものは管理型最終処分場で処理するなどという振り分けが必要になってくるのではないでしょうか。その点についてお考えを伺いたいと思います。
  306. 飯島孝

    ○飯島説明員 御説明申し上げます。  シュレッダーダストの問題でございますが、これはシュレッダーダストに有害物質が混入するおそれがあるということと認識しておりまして、その性状につきまして、先生御指摘のように環境庁と共同で調査を実施したところでございます。  また、その埋め立ての基準につきましては、現在、環境庁中央環境審議会に諮問しているところでございます。今後、この調査結果などを踏まえまして、厚生省としてはシュレッダーダストの排出の段階から、運搬、中間処理、最終処分という全体の流れの中で、廃棄物処理法に基づく規制を徹底する必要があると考えております。また、埋め立ての基準につきましても、中央環境審議会検討結果を踏まえて適切な対応を講じてまいりたいと考えております。
  307. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 さきの臨時国会で、私は八王子の例を挙げて指摘したのですけれども、安定型最終処分場だからといって、決して安全性が担保されているということが言えない事態になっています。  環境庁国立環境研究所の有害廃棄物対策研究チームが九二年六月に発表したデータによると、四カ所の安定型最終処分場の浸出水を採取し分析した結果、発がん性が指摘されているフタル酸ジエチルヘキシルが二カ所から検出され、燐酸トリスクロロエチルが四カ所すべてから検出されるという実態になっています。  長野県飯山市にある安定型処分場には排水施設が設置され、長野県当局が安定型処分場に排水処理を義務づける方針を明らかにして、関東知事会が、特に安定型処分場が問題を起こしている、安定型処分場の見直しを国が行うべきだと厚生省に申し入れをしているわけですけれども、こういうことについて、どう受けとめておられるでしょうか。
  308. 飯島孝

    ○飯島説明員 御説明申し上げます。  安定型最終処分場の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、安定型処分場に安定型以外のものが混入するおそれがある、これが一番大きな問題でございまして、そのため、平成四年に施行されました改正廃掃法におきましても、特にその埋め立ての基準といたしまして、安定型以外のものが混入しないような措置を講ずることという新しい基準をつくっております。  また、安定型の施設の管理者についても、設置を義務づけているということで、厚生省といたしましては、まず第一に、この対策を徹底していく必要があると思っております。  なお、先生御指摘のように、いろいろな調査研究、新しい科学的知見も出てきておりますので、それに基づきまして、国民の信頼が得られる安全な処分場をつくっていくという観点から、構造や維持管理の基準の見直しについても、今後検討させていただきたいと考えております。
  309. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 搬入のチェックやマニフェストの検討などがあるということですけれども、実は、宮城県の丸森町での安定型処分場の操業に対する工事中止等仮処分申請事件で、仙台地裁は使用操業の差しとめを決定しました。  仙台地裁は、業者がマニフェストシステムや従業員の監視、定期的な廃棄物や水質の検査などを主張したのに対して、処分の許されている廃棄物と分別できない有害な混合物が安定型処分場に入ってくる、あるいは処分の許されている品目以外の有害物が搬入、処分され、これらの混入を発見、防止することが実際上極めて難しいことを明確にして、マニフェストシステムについては、間接的方策である、従業員によるチェックも、極めて困難、県の立入検査や措置命令も、間接的なものあるいは事後的なものにすぎないと指摘をし、使用操業の差しとめを決定しています。  この仙台地裁の決定の事実認定というのは、安定型処分場は使用操業した後で、いろいろな事後的な間接的な措置を講じたとしても汚染を除去するのは不可能に近いとして、業者の主張を退けたものなんです。  同決定の中では、人は生存していくのに飲用水の確保が不可欠であり、かつ、確保した水が健康を損なうようなものであれば、これも生命あるいは身体の完全を害するから、人格権としての身体権の一環として、質量共に生存、健康を損なうことのない水を確保する権利があると解されると、安全な水の確保を求めることを人格権として明確に認めているのです。  こういう安定型処分場としての公共性ということがよく言われますけれども、この決定の中では、公共性よりも人格権の保護を優先して扱うべきであるというふうに規定をしているわけです。  もう時間がなくなりましたので、あわせて伺っていきたいと思いますけれども、この人格権と水を確保する権利を認めた画期的な仙台地裁の決定、これは安定型処分場の水源地での使用操業はすべきではないということを明確に判断したものだというふうに思いますし、それから、先ほどから午前中からもやりとりがありますけれども、ゴルフ場の問題だとか、一般廃棄物の最終処分場の問題だとか、さまざまな問題が今水源水を汚染するということでは横たわっているわけです。  それで、この二つ法律が、本来なら仲よく一本化して出てきている、そのことが一番望ましいわけですね。これが不幸なことに二つばらばらに出てきている。そして、ばらばらに出てきていて、今は競争して、厚生委員会で先に審議をしようとか環境委員会で先に審議をしようと、つくるときに先陣争いをしていたわけです。しかし、これができ上がった後、いざ実効性ということになったときに、先ほどからもいろいろ指摘がありましたけれども、都道府県あるいは地方自治体、そういうところ、あるいは国民、都民、市民の側から見たときに、相手がばらばらであると、その問題はあちらでございます、この問題はこちらでございますということで、球の投げ合いになる、そういうおそれが本当に十分あると思うのです。  そういう点で、ぜひ環境庁長官として、全体の環境を守る、規制強化しながら、安全でおいしい水が安心して飲めるというような、そういう環境をつくるために、そう簡単にいかない話だと思いますけれども、本当に相当な決意を持ってこれは取り組んでいかなければいけない問題だと思いますけれども、そうした長官の御決意もあわせてお伺いをしたいと思います。
  310. 広中和歌子

    広中国務大臣 このたびの特別措置法の御審議をいただく中におきまして、水道水源をめぐるさまざまな問題提起が各委員からなされましたことに心から感謝している次第でございます。こうした問題を踏まえまして、環境行政を行ってまいりたいと心に決して伺っていたところでございます。  水源の水質保全については、環境庁としては、公共用水域における各般の施策を総合的、計画的に実施していく必要がある旨の中央環境審議会答申を踏まえまして、水道水源についての特別措置法案のみならず、答申いただいた各般の施策についても、関係省庁とも協力して総合的かつ着実な実施を図ってまいりたいと思っております。  この水道水源にかかわる法案厚生省と、そして環境庁二つ法案となりましたけれども二つ法案でしっかり頑張っていきたい、そのように思っておりますので、どうぞ御安心いただきたいと思います。
  311. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  312. 奥田幹生

    奥田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  313. 奥田幹生

    奥田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  第百二十八回国会内閣提出特定水道利水障害防止のための水道水源水域水質保全に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  314. 奥田幹生

    奥田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  315. 奥田幹生

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  316. 奥田幹生

    奥田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会      ――――◇―――――