○片山虎之助君 私は、
自由民主党を代表して、
細川総理の
所信表明演説に対し、幾つかの重要テーマに絞って
総理はか
関係大臣に質問をいたします。
まず、
政治姿勢と
基本政策についてでありますが、細川
連立政権が発足してはや一カ月半を経過いたしました。アメリカ合衆国大統領は就任して蜜月の百日間があると言われますけれども、各社の世論調査で見る
細川内閣の支持率は御祝儀の意味はあるにしても大変に高こうございまして、
国民の変化や新しさに対する志向がうかがえるのであります。
しかし、国の内外の
状況はまことに多事多難、会期九十日間の今臨時
国会も始まり、
総理の所信表明にもありますように、この
政権が
国民の負託にこたえていけるかどうかは当面する国政上の
課題に対して具体的成果を打ち出していけるかどうかにかかっており、まさに細川
連立政権は正念場を迎えたと思うのであります。
〔副
議長退席、
議長着席〕
既に何度も指摘されているように、八党派による
連立政権は
与党の数の多さで世界に例がなく、また
外交、防衛、
経済、エネルギーなど、重要な
基本政策については八党派覚書により前自民党
政権の
基本政策をそのまま継承し、八党派の立党の
理念や
基本政策はいずれも棚上げするという、まさに世界で例のない異常な形でスタートをしております。
なるほど、この一カ月半の
細川内閣の仕事ぶりを見ますと、表面的には前自民党
政権とほとんど変化がなく、格別の新しさもありません。
言葉は多く、表現は多彩でありますが、
細川内閣が
政治改革以外に何を目指しているのかも定かでない。
せんだって発表された
規制緩和一つをとっても、
項目数は多いものの前
政権時代から各省庁が検討しほぼ結論を出したものを寄せ集めたにすぎず、この一カ月半、顔の見えない、肉声の聞こえない
細川総理の向こうに見えるのは自民党の顔であり、聞こえるのは大蔵省を初めとする各省庁の声であると一部マスコミはやゆしているのであります。
あえて言えば、前自民党
政権の
基本政策を継承、前
政権との違いを出さないことによって
国民に安心を与え、マスコミ受けするパフォーマンスによって新しさを強調したことが、私は
細川内閣高支持率の秘密ではなかろうかと思うのであります。
しかしながら、見た目の平穏さは現在までのところ
連立政権維持のため
政府・
与党首脳が必死の努力をしている結果でありまして、内実は異なります。私の見る限り、
連立与党八党派の
理念及び
基本政策の相違から来る大きな落差は埋めがたく、八党派内の我慢がいつまで続くのか、寄り合い世帯のもろさがいつ露呈するのか、国の内外の激動の中で果たして
内閣として統一のとれた整合性ある政策を力強く打ち出すことができるのか、多くの
国民はこの
政権の先行きと
我が国の将来に言い知れぬ不安を持っていると思うのであります。
以下、
国民の不安を解消するため、
政権誕生後今日まで、国の重要政策について
政府・
与党首脳間において意思疎通を欠く、または不一致な事例を指摘し、その整合性につき改めて
総理並びに
関係大臣より明確な所見を求めたいと存じます。
まず、
総理は、二十一世紀を前に、激動する転換期の
政治を担当するに当たって、
国民の声を聞きつつ、この
政権が目指す
政治を明示しなければなりませんけれども、政策決定には残念ながら八党派の合意が必要であります。
総理には、この難解な寄り合い
政権の意思統一をどのように図っていかれるおつもりか。
とかく十分な調整がないまま
与党内の一部の実力者に引きずられ、権力の二重構造となっているのではないか、しかも意思決定が密室で行われているのではないかという
批判があります。この際、
総理としてのリーダーシップ発揮のための
決意をお伺いしたいと思うのであります。
個別の問題で第一に指摘いたしたいのは、
景気対策の
目玉となるべき
所得税減税につき
連立与党間の調整がつかず、何ら手が打たれなかったことであります。
我が党は、バブル
経済の崩壊に伴う
不況に対処して、昨年八月及び本年四月と二度にわたり史上最高の
緊急総合景気対策を講じてまいりましたが、その後、
円高、
冷夏、さらには
災害などにより
景気の動向は再び深刻な
状況となっております。
こうした深刻な
不況を速やかに
回復させるため、我が党は去る九日、
緊急総合景気対策を発表、
政府に対し早急な第二次
対策の
実施を要望いたしました。
一方、
政府は去る十六日、総額六兆二千億円の
事業規模の
緊急経済対策を発表されましたが、その
内容を見ると
景気効果への
即効性はなく、全くの
期待外れであります。この
対策の内外の評価については御承知のとおりでありますが、パネルを使って説明された
総理みずからが、現時点で可能な最大限と
対策を説明される一方で、決してこれで十分とは思っていない、必要ならさらに追加
対策を検討すると本音の
発言が出ているのであります。
規制緩和といっても
即効性に疑問があり、
経済効果は不明であります。
円高差益の
還元も御承知のような
程度であります。実需不明の
財政投融資や地方任せの地方単独事業ではここまで落ち込んだ
景気の
回復にはなると思えないのであります。日銀が行った七回目の公定歩合の引き下げも
限界がありましょう。
我が党は、五兆円を超える
大型の
所得税減税を
中心にした緊急
対策を打ち出しましたが、
政府は、この
所得税減税については専ら
税制調査会での検討の成果を尊重しと問題を先送りにし、調査会任せにしております。私は、今や緊急
対策の
目玉は
個人消費の
回復に直接結びつく犬型
所得税減税の早期断行しかないと
考えます。
この
所得税減税については、
政府・
与党首脳からさまざまな
発言がなされてまいりました。
すなわち、藤井
大蔵大臣は、
消費税率引き上げを財源とした
所得税減税を来
年度実施したい。新生党は、
消費税の
税率引き上げによる直間比率の是正から検討、財源は短期の
赤字国債。
社会党の委員長となられた村山氏は、大幅
所得税減税の財源は不公平税制廃止、防衛費見直しなどで最大限努力して、足りない場合は短期
赤字国債もやむを得ない。しかし、
消費税率は将来的にも上げるべきでないと思う。坂口労働大臣は、
減税を税制の抜本
改革の中で検討するとなると増税と一体処理になり、
経済効果が少ない。
減税を先行、その上で財源確保のための
消費税の
税率引き上げを検討。民社党の米沢書記長は、
減税を先行させて短期国債で、財源は二、三年後の抜本税制
改革で担保する。石田総務庁長官は、一たんは十兆円
程度の
所得税減税を先行し、その税源としての
消費税率引き上げを示唆された後、一転、
所得税減税財源としての
消費税率引き上げには十分時間をかけた
議論が必要だし、
国民の納得が必須
条件、そういう意味で
消費税と
減税は連動するものでない。
報道されている限りでは、大体以上のとおりであります。
まさに百家争鳴、
政権内はばらばらであります。
連立与党の政策幹事会でも代表者
会議でも調整がつかず、結局、
政権与党の都合で
目玉抜きの総合
経済対策となったのであります。
景気対策として最大の
効果が発揮できると思われる
所得税減税がこのありさまであります。総
選挙で各党の
公約は一体どこに行ったのでありましょうか。
総理は、
連立与党としては
公約していないと、午前中そう述べられましたが、総
選挙の際には
連立与党はないのでありますから、当たり前の話であります。
連立与党がそれぞれ独自に公党として約束されたわけであります。この
責任はどうなるのでありましょうか。
ところで、一昨二十二日の
衆議院本
会議での代表質問に答えて、
総理は、
税制調査会への諮問には当然
所得税減税先行の問題も含まれているとし、さらに
減税先行の場合には、
減税だけでなく増税の
内容、時期が同一の法律で具体的にセットされることが最低の
条件だと述べられました。また藤井
大蔵大臣は、
減税先行の場合には、財源から見て数年間のタイムラグでなく一年後に増税する必要があることを強調されております。
総理は、
税制調査会の答申いかんによるものの
所得税減税の先行を容認される意向と推察いたしますけれども、御所見を伺いたい。また、その場合、セットとなる増税の
内容、時期、一年後なのか、
大蔵大臣が言うように、あるいはいつなのかについても
答弁をいただきたいと思います。
減税の財源については、
消費税しかないわけではありませんけれども、確たる財源は
消費税以外に見当たりません。そこで、
消費税の税率を引き上げるということになれば、今まで申し上げましたように
消費税反対の
社会党、公明党等の内部より強い反対の意見が噴き上げまして、
連立政権の調整はますます難航、連立基盤が揺るぎかねない
事態が憂慮されます。それは全く杞憂にすぎないのでしょうか。
いずれにせよ、この問題は
総理が決断を迫られる時期が必ず参ります。
総理及び石田大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
第二に指摘いたしたいのは、既に何度も
議論がありましたが、戦争
責任に関し、
細川総理の
発言と
山花大臣の韓国での
発言との食い違いについてであります。
韓国は
我が国と一衣帯水であり、最も近い隣国であります。本年二月、金泳三文民新
政権が発足、近年の
経済発展等はすばらしいものがあり、
外交面ではいわゆる北方
外交が成功し、国際的地位が向上いたしております。
まず
総理に、
我が国としてどのような日韓関係を構築されようとお
考えか、これを伺っておきたいのであります。
さて、本月四日、
山花大臣は
社会党の現職委員長として初めて訪韓されました。
社会党はかねてより北朝鮮重視の朝鮮半島政策をとり、韓国を認めなかっただけに、その党首が訪韓することは南北均等交流の始まりと受けとめますが、このことは
社会党が韓国を友好国家として承認することと解してよいのか、
山花大臣の所信を説明されたいのであります。
山花大臣は、従来同党がとってきた北朝鮮に偏った対韓政策を反省されるとともに、韓国
国民に耐えがたへ犠牲と苦痛を強いたことを謝罪し、これまでの同党が主張していた国家
補償の表現を避けつつも両国
国民の納得できる
措置を講ずべき旨の
発言を行っております。
これに関し大臣は、
社会党委員長として、
社会党の立場での
発言で、
趣旨は前
政権の
考え方とほぼ同様であるとの
答弁が午前中にありました。連立
内閣の主要
閣僚としてこのような
発言の自由な使い分け、あるときは
閣僚、あるときは委員長、あるときは
個人、これが許されるとすればこれは私は大変なことではないかと思うのであります。
したがいまして、端的にお尋ねいたします。
閣僚としても
社会党の前委員長としても、この件で
補償の必要はないとお
考えですね。
この際、さらにお伺いいたしたいのは、過去の戦争の
認識であります。
細川総理は、就任直後の記者会見では侵略戦争との
見解を
発言されました。その後はトーンダウンしまして、
さきの
特別国会においてはこの
言葉は控えた経緯がございます。
しかるに、
山花大臣は韓国での講演において、過去の歴史への反省を示す
国会決議は侵略戦争という
言葉を用いるべきだ、こういう旨の
発言がありますが、これまた
総理発言と
与党第一党の党首、当時でありますけれども、
発言の食い違いをいかに受けとめればよいのか、
総理及び
山花大臣の
答弁を求めます。
また、
山花大臣は金大中氏と再会、拉致事件の真相解明に、しっかりと受けとめて、よりよい方法を見つけたいとの努力を約束されておりますが、どのような
方針によりどのような協力をされるのか、御
見解を承りたいのであります。
今後は、海外でこうした不用意な紛らわしい
発言を行うことは自他ともに
国民に誤解を与えかねないだけに、慎重の上にも慎重に行うべきことをここに強く申し入れておきます。
第三に指摘したいのは、
社会党は今なお
自衛隊派遣の国連平和維持活動に反対の
態度を貫くかどうかという点であります。
明後二十六日、
カンボジアより
自衛隊施設大隊が帰国される予定であります。ここに至るまでの間、厳しい
条件のもとで
任務を果たされました
自衛隊員を初め、多くの
関係者の皆様に深甚なる敬意と感謝をささげるものであります。
私は、
カンボジアにおける
我が国の
PKO協力は、中田さん、高田警視のとうとい犠牲を乗り越えて、新生
カンボジアの
復興、再建、平和に立派に
貢献したものとして世界的に高く評価できると思います。
それにしても、
社会党は一年前、
PKO協力法案の
審議に当たって、反対のための反対の立場から
国会の正常な
審議を妨害し、下条特別委員長に暴行、あまつさえこの議場で超牛歩戦術をとって反対した言動を振り返るとき、私は今昔の感ひとしおであります。
当時、
社会党は、PKO活動に
自衛隊を派遣することは昭和二十九年の
参議院の
自衛隊の海外出動の禁止決議に反し、海外派兵に通じ違憲である旨を党
見解として発表いたしました。
山花大臣は、午前中、今回の
カンボジアのPKO活動に参加した
自衛隊の活動を評価すると
発言されましたが、それでは
参議院決議との関係において
社会党の
見解はどうなるのか、明確に
答弁を願いたいのであります。
また、PKOを文民、民生活動に限定し、
自衛隊とは別組織にすべきだというかねてからの主張は引っ込められたのかどうか、あわせて承りたい。
恐らく、八党派覚書による合意があるからPKOを認めるのだというお話があるかもしれません。私は、八党派覚書があれば公党の過去のすべてが帳消しになったり百八十度の転換が許されるとはなかなか思えない。公党の
責任はどうなるのかということを強く指摘しておきます。
さらに、中西防衛庁長官は記者会見で、PKOの
任務規定をきちんと位置づけ、平和維持面に重点を置いて
貢献していくべき旨の
発言がありますが、私も
自衛隊による国際平和業務は、
自衛隊法第八章の雑則としての附帯的な規定などではなく、
自衛隊法第三条そのものを改正して、
自衛隊本来の
任務にすべきだと
考えます。
また、大内厚生大臣は、
PKO協力法の三年後の見直し規定にこだわらず、国連平和維持軍、PKFの参加の凍結解除を含む見直しを行うべき旨を
発言されておりますが、以上について両大臣の
見解をお認めになるのか、お認めにならないのか、
総理のはっきりした御
答弁を承りたいと存じます。
次に、緊急時における在外邦人の空輸を行う
自衛隊法改正案再提出については、
総理は一昨日の
衆議院本
会議において、法案の速やかな成立が必要と
考えているが、
関係者間の意見調整を進めていると
答弁されました。可能な限りの早期再提出を
総理は前の
国会で約束されたのであります。また、この法案は
連立与党が継承した
基本政策の一環であります。
総理はいつまでに調整をされるおつもりか、調整の十分な御自信があるのか、しかと承りたいのであります。
以上お尋ねした幾つかの
基本政策に対する
考え方や
関係大臣の
発言は、いずれも
連立政権として統一されず、多くはばらばらであります。いかに表面上、前
政権の
基本政策を継承すると
国民を安心させても、いざ具体的な問題となるとこのような
状況であることを私は
国民の皆様に知っていただきたいと思うのであります。
次に、
政治改革法案について何点かお伺いいたします。
細川
政権は、
政治改革の
実現を最優先の
課題として成立し、それのみが
連立与党八党派唯一の一致点だとも言われておりますが、ともかく今
国会に
政治改革四法案を提案されました。
総理は前
国会で、年内に法案が成立しなければ
責任をとると言われた。今回も所信表明で会期内成立への強い
決意を述べられておりますが、一部
閣僚の中から、不成立の場合は年内解散だ、こういう
発言があったと報ぜられていますけれども、
総理も同じお
考えなのか。
また、この
連立政権はどのような見方をしようが、その成り立ちからして
政治改革実現のための暫定
政権と
考えざるを得ない。
政治改革法が成立したならば、区割りなどの準備や周知のため一定の期間は置くとしても、できるだけ速やかに解散し、
国民の信を問い直す必要があると
考えますが、
総理の所信をお伺いいたしたい。
さらに、その場合、
連立与党各党派は、今度は自民党
政権の
基本政策を継承するなどと言わないで、必要ならばそれをみずからの政策に取り入れまして
国民に訴え、
選挙後、もし再編成をお
考えならばその見取り図も
国民に示された上で、わかりやすく
国民の判断を仰ぐべきだと
考えております。この点につきまして
山花大臣と石田大臣の所見を求めます。
総理は、
特別国会の代表質問に答えて、将来は穏健な
多党制に収れんするという
見通しを述べられました。私は
一つの御見識であると思いますが、それならば、今回提案の小
選挙区
比例代表並立制が穏健な
多党制をもたらす
制度とお
考えなのかどうか。もたらすとすればその
理由を、もたらさないとすれば
総理の
見通しは何だったのか、説明を願いたいのであります。
というのは、御承知のように小
選挙区制は、
民意を集約する二大
政党を志向し、
政権の安定と交代をもたらす
選挙制度であり、
比例代表制は多様な
民意を鏡のように正確に反映する。したがって、多党化、連立志向の
選挙制度でありまして、
二つの
制度は
理念、
効果において全く相反するものであります。これをフィフティー・フィフティーに組み合わせることは、私は木に竹を接いたような、両論を足して二で割る便宜的な
制度と言わざるを得ません。
総理は、「顔の見える小
選挙区制の特性と多様な
民意を国政に反映させるという
比例代表制の特性とが相まって」と所信表明で述べられましたが、このフィフティー・フィフティーの
制度では両方のメリットを生かすよりも、それを相殺する
可能性が強いのではないかと思います。そんなによい
制度なら、
並立制を採用する国が世界にもっとあってもいい。現在、
並立制を採用している国はたかだか三つか四つであります。しかも小
選挙区と
比例代表が完全に同じという国は
一つもありません。大体小
選挙区が多い。
既に何度も指摘されているごとく、
我が国の今後の
政治のあるべき姿を
考えますと、小
選挙区制を
中心とすることを明確にして、
比例代表制でそれを補完する
制度とする方が私ははるかにベターだと思いますが、自民党案をいかがお
考えか。
また、
連立与党の中には、
政府案で一切妥協すべきでないというかたくなな、しかし有力な意見が最近出てまいりました。
総理は自民党案と調整する御意思をお持ちか、重ねて
答弁を求めるものであります。
次に、
政党に対する
公的助成についてお尋ねします。
公的助成については、その必要性は認めるとしても、
政府案はその積算
根拠があいまいなまま
助成総額を決定している点に最大の問題があります。聞くところによると、
現行選挙制度における過去三年間の
政党活動費などを前提に、その三分の一ということで、人口一人当たり三百三十五円、総額四百十四億円という計算をしております。新しい
制度に基づく推計だと
総理は述べられたようでありますが、実態はそうではないのであります。
現行制度下、金がかかり過ぎていると
批判される現状を追認するような総額決定は不合理であり、到底
国民の
理解は得られないと思います。
そのため、諸外国に比べて
助成総額が大変大きい。為替レートで変動はありますけれども、ドイツでは人口一人当たり百四円であります。フランスでは一人当たり百二円、スウェーデンでは二百四十六円、オーストリアは百二十六円であります。総額もずっと少ない。
我が国の党によっては、現在調達し支出している
政治活動費よりもはるかに大幅な
公的助成を労せずして受けることができ、早くも大喜びしているなんとうわさされておりますが、いやしくも
国民の税金が、このような形で実態以上に、ある意味では不当に支出されるとすれば、深刻な
不況に苦しむ
国民の納得が得られるはずがありません。
新しい
制度室前提に、できるだけ切り詰めてモデル計算を行い、必要最小限度の、当初は少ない
助成額からスタートし、その運用に
国民の
理解を得て増額を検討すべきではないでしょうか。
私は、自民党提案の人口一人当たり二百五十円、総額三百九億円も、当初のスタートする額としてはぎりぎりの額で、できればもう少し少ない方がよいと
考えております。
政治資金調達における安易な公的依存は、
政党及び
政治家の活力をそぐことになります。
助成総額の引き下げをぜひお願いいたしたい。
こういう無理が出てくるのも、
政治家の資金管理
団体に対する
企業・
団体献金を一律に悪と断定し、それを禁止することから来ております。各国と同じように、
企業・
団体献金を厳重な制限のもと、透明度を高くして残存することが、
公的助成をほどほどに抑えることができ、
政治資金調達のあり方としてバランスがとれ、実態に即すると
考えますが、この点についても御所見を求めるものであります。
また、
公的助成の公表、監査等については
政府案で十分なのか。この
助成は会計検査の対象となるのか。さらに、地方議員や地方の首長に対する
公的助成はどのように
考えられておるのか。無所属の場合はどう扱うのか。
政府案では、さらに
個人献金について、
現行の所得控除
制度を残した上で税額控除
制度を導入して
二つの
制度を併存する、ある意味では例のないような仕組みをつくろうとしております。しかし、これも形を変えた
公的助成の拡大であります。
本来、権力から自由でなければならず、権力に対抗して自主自立していくべき
政党のあり方から見て、この点大きな問題が残りますし、
企業・
団体献金のほぼ全面的な禁止が
個人献金の形で
企業、
団体が実質的に負担するというふうな、いわば脱法的な方式を生まないのか心配でありますが、以上の諸点について、簡潔なあるいは明快な御
答弁を求めます。
次は
参議院の
選挙制度であります。
我が国が
二院制であり、
二院制が健全に機能する必要がある以上、本来は衆参の
選挙制度はワンパッケージで検討され、整合性を持っ
改革が同時に行われることが望ましいのであります。議員立法でなくて
政府提案であるだけに、その辺の配慮は私は不可欠であると思うのでありますが、今回の
政府提案には遺憾ながら
参議院の
選挙制度改革は入っておりません。
現在、我が党は
選挙制度検討委員会をつくり、本格的検討を進めつつありますが、
政府・
与党としてはこの
参議院の
選挙制度改革についてどのように取り組み、いつまでを目途におまとめになるおつもりか、お伺いしたい。また、
総理は何度も
参議院の
選挙制度については抽象論のお答えがありました。抽象論ではなく、具体的にどのような
制度をお
考えなのか、重ねて所見を求めるものであります。
次に、
政治改革の一環として
国会改革についてお伺いします。
せんだって
日本新党と新党
さきがけは、
予算委員会
審議における全
閣僚の出席の義務づけ、委員会の定例日
制度、重要法案の
趣旨説明要求、いわゆるつるしでありますが、これら
国会慣行の見直し、本
会議の押しボタン式
投票方法の導入など、
国会改革に本格的に取り組むことで合意し、必要ならば
国会法改正法案をこの
国会に両党で出すと報道されております。我が党でも
国会改革としてかねて主張した
項目が少なくありませんので協力するにやぶさかでありませんが、その
内容はどういうものか、
連立与党の他の党派はどういうお
考えなのか、二党だけというのは大変奇異な感じを持つのであります。
また、
さきの
国会で我が党の
斎藤議員会長が指摘した
政府委員
制度については、今
国会で若干委員数は減らしたようでありますが、運用上も
政府委員の
答弁を減らすのか、次の通常
国会ではどうされるのか、全廃されることになるのか、以上、官房長官の
答弁を求めます。
次に、地方分権の
推進についてお尋ねいたします。
地方分権の必要性は今さら申すまでもありませんが、御承知のように、
さきの百二十六
国会で衆参両院において、憲政史上初めて地方分権の
推進に関する
決意が全会一致で採択されたことは画期的であり、
国会みずからが地方分権の
推進の先頭に立つことを宣明した意義は重く大きいものがあると受けとめております。しかし、具体的な地方分権の
推進は、ひたすらお題目を唱え、単なるムード論や
理念先行の観念論を繰り返しても何の役にも立ちません。
我が党は八月三十日、「地方分権の
推進について」という党の
基本的
考え方をまとめ、地方分権
推進のための具体的な提言をいたしましたが、
総理は知事を経験された地方分権論者であり、行革審におけるパイロット自治体
制度の生みの親と聞いておりますけれども、今回の所信表明では地方分権については具体的には何ら触れられておりません。その点大変に残念でありますけれども、地方分権
推進について、この際、
総理と
関係大臣の御所見を伺いたい。
社会党、民社党、
日本新党等は、
さきの総
選挙の際、それぞれ地方分権の
推進に関する
基本的な法律の制定を
公約ないしは政策として掲げ、民間では経団連、民間臨調が法制定を主張、
全国知事会もおくれて
基本法制定を決議したと承知しておりますけれども、その後
連立与党で具体的な法律制定の検討作業に入られたとは全く聞いていない。
選挙用の一過性の
議論ではないのかと疑う向きも出てきております。
私は、地方分権の
推進については、
基本法的なものが不可欠ではなく、むしろ具体的な
項目を一歩一歩
改革していく方がはるかに実効性があると思ってまいりましたが、しかし
基本法の中身によっては地方分権に十分なインパクトを持ち得ると
考えます。
総理は、今後、リーダーシップを発揮され、各党各案を速やかに調整して実効あるものに仕上げ、抵抗があればそれを排しづつ、今後の
基本法制定についての
方針を明らかにすべきだと
考えますが、
総理の所見をお伺いいたしたい。
私は、実質的に地方分権を
推進するに当たって直ちに
措置されなければならない重要な
課題が
二つあると
考えております。
一つは国からの地方への権限移譲であり、他の
一つは国庫補助金等の整理合理化であります。
前者については、一括改正法等によりそれなりに
措置されてきたところでありますが、まだまだ不十分であります。特に、第二十一次地方
制度調査会の答申で緊急に
実現を要する
項目として提言され、しかも地方側から
地域づくりを進める上で要望が特別に強い農地転用、これは二ヘクタール以上は大臣であります、保安林の指定、解除、重要な三つの要件に関するものが大臣であります、に関する権限を知事へ移譲すること。また、都市計画を市町村の事務とし、あわせて都市計画に関する国の関与を廃止すること、規模の大きい市においては知事が計画決定し、大臣認可であります、については地方分権の
推進を標榜される
細川内閣として速やかに提言に沿った
措置を講ずべきではないかと
考えますが、
総理の明確な
答弁をお願いいたしたい。
後者については、今まで各方面から補助金の弊害、補助金の陳情や事務に係る労力や時間や経費のむだ、地方の自主自立性の阻害などが指摘されてきましたが、一向に減りません。最近はサンセットと言って時限的な補助金が少なくありませんけれども、廃止されてもすぐ類似の補助金ができるわけであります。これでは意味がない。奨励補助金や零細補助金の廃止等、国庫補助金の整理合理化を行い、それを地方の一般財源に振りかえることにつき、
政府として確たる
方針を策定して計画的に
推進すべきだと
考えますが、
総理の
見解を承りたいと思います。
地方分権
推進のためには、何よりも地方自治に対する
国民の信頼が不可欠であります。最近のように地方公共
団体のトップがゼネコン汚職など次々と不祥事を起こすような
状況にあって、単純な地方自治賛美や地方公共
団体性善説を主張するだけでは、地方分権が進めば、
国会、
国民、マスコミ等の監視の目が届かないところで
政治腐敗が進行し、いわば腐敗の地方分散になるという危惧の声に何らこたえることになりません。このような不祥事件の再発の
防止策が早急に、かつ具体的にとられるべきであることを強く申し上げたいと存じます。
特に問題とされている公共工事の指名競争入札については、指名権の乱用
防止、
透明性の高い公正なシステムとすること、先ほどお話ありました制限つき一般競争入札
制度の導入や随意契約の活用等が早急に検討されなければならないと
考えます。
建設省においては、先日、制限つき一般競争入札の試行を行うことを発表しましたが、地方公共
団体においても制限つき一般競争入札を積極的に採用するなど現状の思い切った改善、是正について強く指導すべきだと
考えますが、自治大臣の所見をお伺いいたしたい。
また、今回の不祥事件の原因の
一つとして、汚職は
個人の倫理観の問題だとしながらも、強力な権限を持つ首長が多選されることによってもたらされた面があるのではないかと言われております。首長、とりわけ知事の多選禁止問題は古くて新しい問題であり、かつて昭和二十九年に三選禁止法案が、昭和四十二年に四選禁止法案が議員立法として
国会に提案されましたが、いずれも
審議未了で廃案となっております。
多選禁止は、賛否両論のある難しい問題でありますけれども、来月の行革審答申でも取り上げられるようでありますし、みずから権不十年と言われて熊本県知事三選を潔く辞退された
総理として、知事の多選禁止問題につきどのようなお
考えをお持ちか、率直な御
見解をお聞かせいただきたいと存じます。
また、官房長官も滋賀県知事を御経験でございます。あわせて御所見をお願いいたしたい。
以上、何
項目かについて質問いたしました。時間の関係上、また代表質問の性格上、総論的な質問にとどまりましたが、各論につきましては引き続き
責任野党として
予算委員会等で堂々の
議論をさせていただくことを申し上げまして、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(
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〔
国務大臣細川護煕君登壇、
拍手〕