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1993-12-14 第128回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十二月十四日(火曜日)    午後六時十九分開会     —————————————    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     志苫  裕君  十一月十五日     辞任         補欠選任      寺崎 昭久君     勝木 健司君  十一月十六日     辞任         補欠選任      勝木 健司君     寺崎 昭久君  十二月十三日     辞任         補欠選任      吉岡 吉典君     林  紀子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上杉 光弘君     理 事                 須藤良太郎君                 野末 陳平君                 前畑 幸子君                 山本 正和君                 白浜 一良君     委 員                大河原太一郎君                 片山虎之助君                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 竹山  裕君                 楢崎 泰昌君                 野村 五男君                 梶原 敬義君                 志苫  裕君                 鈴木 和美君                 堂本 暁子君                 牛嶋  正君                 池田  治君                 寺崎 昭久君                 林  紀子君                 島袋 宗康君    国務大臣        大 蔵 大 臣  藤井 裕久君    政府委員        大蔵政務次官   北側 一雄君        大蔵省主計局次  竹島 一彦君        長        大蔵省主税局長  小川  是君        大蔵省関税局長  高橋 厚男君        大蔵省理財局長  石坂 匡身君        大蔵省証券局長  日高 壮平君        大蔵省銀行局長  寺村 信行君        国税庁徴収部長  吉川  勲君        農林水産大臣官  福島啓史郎君        房審議官        農林水産省経済  眞鍋 武紀君        食糧庁次長    永田 秀治君    事務局側       常任委員会専門   下村 純典君       員     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成年度における国債整理基金に充てるべき  資金の繰入れの特例に関する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○農業共済保険特別会計農業勘定における平  成五年度の再保険金支払財源不足に対処す  るための特別措置に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 上杉光弘

    委員長上杉光弘君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十三日、吉岡吉典君が委員辞任され、その補欠として林紀子君が選任されました。     —————————————
  3. 上杉光弘

    委員長上杉光弘君) 平成年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案及び農業共済保険特別会計農業勘定における平成年度の再保険金支払財源不足に対処するための特別措置に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤井大蔵大臣
  4. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) ただいま議題となりました二法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成年度第二次補正予算におきましては、税収が第一次補正予算に対し大幅な減収となることが避けられない見通しである一方、緊急経済対策冷害等対策など特に緊要となった事項等について措置を講ずる必要が生じております。このため、政府は、既定経費節減等に最大限の努力を払うとともに、追加財政需要につきましても極力圧縮し、さらに、やむを得ざる措置として、公共事業関係費追加に対応するもの等について建設公債追加発行することといたしております。  しかしながら、これらをもってしてもなお財源不足することから、特例的な措置として、当初予定していた国債整理基金特別会計に対する定率繰り入れ等停止することとし、このため、本法律案を提出した次第であります。  なお、定率繰り入れ等停止に伴い国債整理基金運営に支障が生じることのないよう、NTT株式売却収入に係る無利子貸し付けについて繰り上げ償還を実施するとともに、地方公共団体等に対し相当額償還補助金を交付することとし、このため必要となる措置を講ずることといたしております。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  毎年度国債の元金の償還に充てるため国債整理基金特別会計繰り入れるべき金額は、国債整理基金特別会計法第二条第二項に規定する前年度首国債総額の百分の一・六に相当する金額及び同法第二条ノ二第一項に規定する割引国債に係る発行価格差減額年割額に相当する金額とされておりますが、平成年度におきましては、これらの規定は適用しないこととしております。  次に、農業共済保険特別会計農業勘定における平成年度の再保険金支払財源不足に対処するための特別措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成年度におきまして、低温等による水稲等被害が甚大であったことにより、農業共済保険特別会計農業勘定の再保険金支払いが著しく増大するため、同勘定の再保険金支払い財源不足が生ずる見込みであります。政府は、この再保険金支払い財源不足に対処するため必要な特別措置について定めることとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、借入金についてであります。  平成年度の再保険金支払い財源不足に対しては、不足額が極めて多額に上っている一方、一般会計が立ち至っているまことに深刻な状況にかんがみ、農業共済保険特別会計において借入金により対処することといたしますが、これに係る債務を弁済するため、同特別会計において借入金をすることができることとしております。  第二は、一般会計からの繰り入れについてであります。  借入金に係る利子については、農業共済保険特別会計利子負担を負わせないため、一般会計負担することとし、一般会計から利子財源を同特別会計農業勘定繰り入れることとしております。これにより今回の措置は、同特別会計農業勘定にとって、再保険金支払い財源不足に係る従来の一般会計からの繰り入れによる措置と実質的に同様の措置となるものであります。  また、借入金償還金についても、再保険事業の適正な運営を確保するため必要があるときは、その財源に充てるため、一般会計から繰り入れることができることとしております。  第三は、食糧管理特別会計からの繰り入れについてであります。  平成五年産の米穀減収に対処するため緊急特例的に行われる米穀輸入により、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定に生ずることとなる利益について、借入金償還金財源に充てるため、同勘定から農業共済保険特別会計農業勘定繰り入れることとしております。  その他、農業共済保険特別会計からの繰り戻しについて、本年の被害は極めて大規模なものであり、農家の共済掛金負担の軽減を図る見地から、著しく異常な災害に係る再保険金については共済掛金率に反映させないこととし、このため、借入金償還金に充てるための繰入金のうち、著しく異常な災害に係る再保険金の部分については繰り戻しを要しないこととする等の措置を講ずることとしております。  以上が、二法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 上杉光弘

    委員長上杉光弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 大蔵大臣、連日お疲れさまでございます。  きょう御提案なさった法律案等についてこれから質疑を若干させていただきたいんですが、最初に、平成年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案でございます。  これは数行にわたる簡単な法律案ですけれども一般会計からの本基金に対する繰り入れというのは財政上も極めて大事な問題でありまして、これは財政上の大きな問題を含んでいるんじゃないかというぐあいに思います。  すなわち、公債は現在百八十兆円にも上っている。それを六十年償還で返還をしていくために、毎年度百分の一・六を繰り入れるという健全財政の建前からの規定があるわけでございますが、この繰り入れ停止するということであります。言ってみれば、長期にわたる借金を返済するための財源を、借金繰り入れのための財布に入れないで、それはやめたと、そして別の短期借金財布の中に入れかえた。こんなことで、どうも財政基本原則からいうとおかしなことをやっているなという感じがいたします。長期借金のところに財源を入れないわけですね。ところが長期借金は返さざるを得ない。そこで、地方公共団体に貸していたNTT資金を繰り上げ償還させて、それを償還財源に充てる。極めて複雑な操作をしておられます。  さらに言えば、ことしの補正予算は、一兆六千六百七十五億円という借り入れを地方財政特別会計の方に押しつけたということであります。その財源をさらに建設公債を発行して補てんをする。見てみると、何をやっているんだかさっぱり普通の人にはわからぬという手の込んだことをしておられるわけでございます。  これは、言ってみれば、いろんな手練手管を使っておられますけれども、結局のところは、一般会計が本来的には赤字なんだけれども財政上のテクニックを加えて何とかそれを糊塗したということなんでしょうか、大蔵大臣
  7. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 楢崎委員指摘になったことが正直な話なんですね。と申しますか、これはやりくりであることはもう端的に申し上げた方がいいと思います。理想的な財政運営ではありません。そのことは端的に申し上げます。  しかしながら、今のお話の中で、NTTの繰り上げ償還を、建設国債をもって償還財源を出すということは法律上もちろん正規に認められていることでございまして、それを繰り上げたということであると考えております。また、地方財政に穴があいたというのは、三税が減るわけでありますから、これはしょうがないことである。それに対しては、地方財政に一切迷惑をかけないような措置をとるとともに、その償還についても措置をとっておるというようなことでございまして、私は、一つ仕組みの中でのぎりぎりの姿であり、望ましいこととは申しておりません。
  8. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今仰せのような事情であると思いますけれども国債整理基金への繰り入れは、実は何遍も何遍も一般会計赤字補てんのために使われたことがあるんですね。昭和五十七年から平成元年までの八年間は毎年停止をしていた。それぞれの年々にそれぞれの財政事情があったんだと思います。六十一年以降はさっきおっしゃったNTT資金が、株式売却益が出てきたということでやっていたんですけれども、ことしはもうNTT売却益というのがなくなってきたということで、ことしはしょうがないということで停止をされたわけです。  これはよく考えれば、形式的には特例公債を出さずに健全財政という旗印のもとに大蔵省が一生懸命我慢してやられたというような意味で、おっしゃるように敬意を表させていただきたいと思いますが、しかしよく考えてみると、税収不足が言われていますけれども、来年度はなかなかそうはいきませんね。来年度においてもこのような措置を繰り返されるおつもりですか。
  9. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 来年度経済見通しはもちろんわかっておりませんが、極めて厳しい事態であることはごく常識的に御指摘のとおりだと思います。そういう中で、我々は歳入の見直し、歳出の洗いがえ等あらゆる努力をしてまいりたいと考えております。  ただ、それでは今回の補正に使ったような手法は絶対に使わないのかという御指摘であれば、検討事項として残していくことはお許しをいただきたいと思います。
  10. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 来年度決して使わないとは言わないよという仰せでございますけれども、ことし極めて特徴的にやられたのがNTT資金貸し付けを繰り上げ償還なさったということでございますが、来年度NTTの繰り上げ償還をもしなさるとすれば、NTT−B型の貸付金はあと幾ら残っているんですか。
  11. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今回、二兆四千八百億の繰り上げ償還をしたわけでありますが、残額は二兆二千六百億残っております。
  12. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 来年度は、景気見通しその他から見て、大幅な税収増どころか今年度と一緒になれるかどうかというような瀬戸際であろうと思います。  さらに、所得税減税をやるということが日程に上っているようでございます。細川さんはアメリカに行かれてそれをほぼ約束されたというぐあいに新聞で伝わっておりますし、税調では「一体」という言葉を使っておられますけれども所得税減税を言っておられる。また、新聞で伝わるところによると、平岩研究会というのがありまして、これが所得税減税を先行させる答申を出す、このような話もあります。  さらに、平成年度決算調整資金一兆五千億を使用されております。この一兆五千億は本年度もしくは来年度に返済をしなきゃならぬということでありますが、どうもことしの補正予算を見てみると、その一兆五千億は到底返せるはずがない。そうすると、来年は決算調整資金にその金を返さなきゃならぬというようなことになって、財政としては大変なピンチに立たされることになるように思うんです。  それで、お伺いをしたいところは、今のままでも私は大変御苦労をなさると思いますけれども所得税減税をなさらなくても赤字が出る可能性があり、かつ減税をした場合には、一体とおっしゃいましてもどういうぐあいに一体なのかがよくわかりませんが、常識的に考えれば消費税の方が少しおくれるというぐあいに考えられるわけですが、その場合には特例債をお出しになるお考えがおありになるんでしょうか。常識的に考えれば、どうもお出しにならざるを得ないように思いますが、いかがでございますか。
  13. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 御質問の点の前に一つ確認をさせておいていただきたいのでございますが、細川総理日米首脳会談でそのような約束はいたしておりません。こういうふうに申されておると聞いております。  日本経済を立て直していくということは、世界経済のためにも大変プラスになることである、そういう観点から自分たち経済運営をやると、こういうことを言われたのでありまして、今のような具体的な一部記事は事実と違うということだけ申し上げておきたいと思います。  次に、いろいろお話がございました。楢崎委員はもう財政専門家でいらっしゃるので、そのとおりであるわけでありますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げたような財政運営基本方針に立って平成年度予算を編成してまいりますが、そのとき減税の問題をどう考えるというのは、これからの平成年度予算編成といいますか、平成年度税制改革の中において一体として考えるべきことであります。  これは当然のことながら、私ども政治の場で決着しなければなりません。関係の皆さんの御意見もよく伺わなければなりません。世論の動向と申しましょうか国民皆様の声に耳を傾けなければなりません。  したがいまして、そこの中まで入って今端的にお答えはできない状況でありますが、予算委員会でいつも申し上げておりますように、垂れ流し的な赤字国債日本経済社会の将来にとって極めて望ましくないことであるということだけ、私は信念を持って申し上げたいと思います。
  14. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今国会はあしたで会期末を迎えるわけでございます。私どもとしては、いろいろな懸案が残っておりますけれども、早いところ経済対策をやって、年内予算編成をして国民に御安心をいただくというぐあいに政府努力すべきであろうと考えておりますか、予算編成時期も迫っておりますけれども、今税制の中でというぐあいに仰せになりましたけれども、現在、来年度税制についての調整は進んでいるんでございますか。
  15. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) ただいま、御承知のように私ども提案させていただきました平成年度第二次補正を全力をもって、特に今は参議院でございますが、御理解をいただくべく、御承認をいただくべく最善の努力をしているところでございます。  したがいまして、その後のことについて申し上げる場ではないと考えておりますが、きょうは大蔵省の幹部もみんな来ておりますが、年内編成ができる態勢のもとに進んでいることだけ申し上げたいと思います。
  16. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 新聞報道によれば、さらに第三次補正が必要であると大蔵大臣細川総理に御進言なさったと言われていますが、そうですか。
  17. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 一部報道にそのようなことがございますが、今私の立場では、何としても第二次補正予算皆様方の御理解をいただき、成立させていただくことのみしか考えておりません。
  18. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 特例債が来年度出るということは、今大蔵大臣がおっしゃるあれではないと思いますけれども、それに関連して、今国債整理基金定率繰り入れは六十分の一、すなわち一・六ということで繰り入れをなさっておられます。これは、建設国債というものは将来にわたって国民利益になるもので、資産であるという意味で六十年償還ということで考えておられるのだと思いますが、実は、現在百八十兆円ある国債残高のうち六十兆円は特例公債残高なんですね。  これは昭和五十九年に財政審で、さてどのように処理するものかということを御審議いただいて、これも含めて六十分の一でいいということで今やっているものだと思います。私は、赤字公債建設公債とわざわざ区分しているのは、区分すべき理由があって区分しているわけですね。それを一緒くたにして六十分の一にするというのはなかなか問題があるんじゃないかというぐあいにかねがね思っているところでございます。  私はそれに関連して、平成二年でしたか、湾岸戦争のときに九十億ドルの拠出をした。その拠出を極めて短期的に片づけたということを記憶しているんですが、それについてちょっと御説明を願います。
  19. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) まず、赤字国債の六十年償還でございますが、私は望ましいことではないと思っております。過去において、やむを得ざる措置としてこれが行われたと思います。そういう意味からいっても、赤字国債は絶対に出してはいけないということは、またそういうような事態をふやすことがあってはならないという願いも込めてであるということを申し上げたいと思います。  なお、湾岸戦争方式というのは、一時特例公債的なものを発行いたしましたが、すぐ穴を埋めるという仕組み措置したものであって、私の言う垂れ流してはないという認識のもとで考えております。  もし細目必要であれば、事務方から答えさせます。
  20. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今おっしゃったように、湾岸戦争の処理は、私は財政当局としては健全財政を確保するために大変立派な手本だったというぐあいに思うんです。九十億ドル、日本円にして一兆一千七百億円でしたが、そのために臨時特例公債を九千数百億お出しになって、それを数年のうちに国債整理基金及び臨時税収でお賄いになったという前例があるわけでございます。  私は、藤井大蔵大臣が本会議そして予算委員会等々において赤字垂れ流しはしないんだということを言明され、かつ、「なぜならば、次の世代福祉国家をちゃんと築くのを支えてくれる人がさらに今の世代のこの垂れ流しを支えるということはいかにも負担のあり方としておかしいこと。今申し上げたのは本会議における大蔵大臣の御答弁の言葉です。  もし平成年度特例公債をお出しになるならば、なかなか大臣のお立場としてはそうだねというぐあいに思い切りになれないかもしれませんけれども、そのときにはぜひ六十分の一ということではなくて、短期にこれを解消するという前提でなければ健全財政とは言えない。また藤井大蔵大臣の何遍も何遍も繰り返していただいている健全財政の姿勢とも違ってくるのではないか。ぜひこの点に御留意をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  21. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 私は、赤字国債の弊害を次世代により多くの負担を残して、次の世代が本当に人口構成が極めて変則な中で、我々ここにいる人みんなそうでありましょう、支えられる立場になったときに、次の世代の若い人たちが二倍の負担をしていかなければならないという意味においてもそうであります。  もう一つ申し上げたいことは、国債政策というのは私は民間資金公的部門への振りかえだと思っておるんです。これを無制限というか、けじめがなくなれば全く経済の基盤が崩れると思います。民間資金を好きなときに公的部門に振りかえるという仕組みができ上がってしまう。これはどうしても許してはいけない、こういう意味からも私は反対でございます。  次の問題でございますが、赤字出し短期でというよりも、とにかく垂れ流しはしない、私はこういう言い方でお答えをさせていただきたいと思います。
  22. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 垂れ流しをしないというのはなかなか微妙な発言でございますけれども、もし特例債をお出しになるにしても、それは臨時特例債であって、六十分の一ではやらないんだということをぜひこの席でお願いをしておきたいと思います。  次に、農業共済法律案について若干お伺いをいたしたいと思います。  この法律案は、平成五年の冷夏等水稲被害等が本当に未曾有の大被害を生じてしまった。そのために再保険支払い見込み額が四千数百億に達し、農業共済保険財源だけでは到底その支出ができない。三千六百億円ぐらいの不足額が生じているということでございます。この不足に対処するためにこの法律案が出されていると理解をしておりますが、幾つかの点についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初は、この借入金三千六百億円の償還財源として、本年は非常にお米が足らないということで外国米輸入されるわけでございますが、その差額食管会計からこの農業共済保険特別会計繰り入れるということでございますが、まず最初に、輸入米輸入したときに差額が生ずるんですか。要するに、輸入米輸入したときに、これは恐らく我が国の産米の何分の一という価格だと思いますけれども、その安い米を輸入して、そう言っては悪いですけれども消費者のために一生懸命やっております内閣でそれを高く消費者に売りつけるのかなというような感じがしますが、価格はどのように決められますか。農林省の方に先にお願いします。
  23. 永田秀治

    政府委員永田秀治君) 価格の決め方でございますけれども輸入米売却方法価格設定につきましては、これから米価審議会意向等も伺って決めてまいるということでございますが、今後あわせて消費者流通関係者学識経験者等意見も広く伺って決めてまいりたい、このように考えております。  輸入米売り渡し価格水準につきましては、国内産米価格水準、それから輸入米国内産米品質格差等をきめ細かく踏まえることとして、消費者にも配慮して決めてまいりたい、このように考えております。
  24. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 他用途米については既に決められたんじゃないですか。
  25. 永田秀治

    政府委員永田秀治君) 他用途米にかわる加工用の米の価格につきましては既に決めてやっております。これは、主として砕米なりマル他なりで売り渡している場合は大体一俵六十キロ当たりで八千五百円程度の水準でございます。他用途米につきましては、大変いろんな種類がございますけれども、主としてそういうことでございます。
  26. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 他用途米の価格の決め方を見ていると、輸入米輸入原価と関係なく国内の米の価格とのバランスをとっておやりになっておられると思うんですが、相当差額が出るんだと思います。どれくらいの差額が出るんですか。
  27. 永田秀治

    政府委員永田秀治君) 差額につきましては、今回緊急に輸入されます米穀の売り渡し、売買から生ずる差額でございますけれども一つは、外国産米輸入量でありますとか買い入れ価格売り渡し価格、それから輸入コスト等がまだ未定でございますので、現時点で具体的にその額を見込むというのはなかなか困難である、このように考えております。
  28. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今の時点でどれぐらいということを申し上げかねるということはそのとおりだと思います。  差額が出た場合に、その差額の益を食糧管理特別会計から農業共済保険特別会計繰り入れるという規定があるわけでございます。特会から特会へ繰り入れるというのは、余り例がないというんでしょうか、例がないわけではないと思いますけれども、どうも違う目的の特会の益金を別の特会に繰り入れるというのはちょっと奇異な感じがするんですけれども、それはなぜでございますか。
  29. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 今回、米の緊急輸入によりまして、食糧管理特別会計臨時に差益が発生するということが期待されるわけですが、それを直接農業共済特別会計繰り入れさせていただきたいという法案をお願いしております趣旨は、事柄の原因がこの未曾有の大冷害ということで、一方で農業共済の再保険金支払い財源がパンクをしている、また同じ理由で緊急に米を輸入せざるを得ない、こういうことがございます。そういう意味で、農業共済の再保険金支払い財源に充てるということに差益を使わせていただくというのは、事情からいって御理解がいただけるのではないかというのが一点でございます。  それから、さらにこれは金額的な問題も絡んでまいりますけれども、この差益を農業共済繰り入れませんと、将来の農家の共済掛金のあり方とも非常にかかわってまいりまして、大変高い掛金率ということが出てこざるを得ない。それはやはり農家経営の観点、ひいては食糧の安定的な供給といった観点からいってまずいだろうということがございまして、入れさせていただきたい。  さらに、これは大分古いことでございますけれども、農業災害補償制度発足当初におきまして、食管特会から農業共済特別会計に今回と同じように直接繰り入れるという制度もございました。そういった過去も参考にしながら、今回このようなお願いを申し上げている次第でございます。
  30. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今仰せのようなことで、特会から特会へは大体理解できることはできるんですが、同時に一般会計からの繰り入れ規定もさらにつけてございますね。御説明いただきたい。
  31. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 今回の未曾有の冷害による再保険金支払い財源不足というのは大変大きな金額でございますので、緊急に輸入されます米穀に係る差益を入れましても、これが幾らかというのは今現在わかりませんので、場合によってはそれが十分じゃないということも考えられますので、そういった場合には、特に超異常な災害に係る部分といったものにつきましてはこれは将来返さなくてもよろしいということになっているわけです。その辺の金額との関係で、差益が十分じゃないといったようなケースの場合には一般会計から繰り入れる必要がある、こういうことを考えましてこういう規定を置かしていただいているわけでございます。
  32. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 いずれにしましても、今年度の冷夏による大被害というのは異常なものでございますから、その辺に特別の手当てをなさるということは必要なことだというぐあいに私も存じております。この法律案ができましたら、今皆さん首を長くして待っているわけですから、ぜひとも大至急に早く年内に共済金の支払いをしていただきたいと思っておりますが、農水省の方ではその準備が整っておられますかまたどのようにおやりになりますか。農水省、お願いします。
  33. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 農業共済金の支払いでございますが、損害査定とかいろいろな準備を進めてきております。農家の方々はどうしても年内に払ってほしいという強い要望がございます。我々といたしましては、一日も早く困っておる農家に対しまして共済金を支払いたいということでいろいろとできるだけの準備を整えておりますので、一日も早くこの法案を通していただきまして共済金が払えますようにということでございます。よろしくお願い申し上げます。
  34. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 災害に苦しんでおられる農民のためにぜひ速やかなお支払いの方を御考慮願いたいと思います。  さて、若干税制のことについて御質問申し上げたいと思います。  実は、政府・与党の方の経済対策というのが十分、そう申し上げては大変あれですけれども、十月十六日以降ほとんど出てこないということで、補正も早く出てこなかったということで、経済政策早くやれ早くやれというぐあいに言われております。どういう御認識なのか、後でお伺いしたいと思います。  現在の経済不況は構造不況と言われておりまして、バブル経済の後遺症として株価、金融、土地、三すくみというようなことで、大変根深い構造を持っていると思います。そのようなことのために、先行き不安で消費が停滞するというようなことになっているんだというぐあいに思います。  先月、十一月三十日に、大蔵大臣と熊谷大臣とがお会いになった。株価がばんと一万五千円に突っ込んだ明くる日だと思いますけれども、そこで土地の流動化ということが必要なんだということを御相談なさったやに新聞紙上で拝見をしております。  しかし、私はそこのところで気になるのは、土地税制を緩めるということで、その対象となっているのが法人の事業用資産の買いかえと法人の土地譲渡の重課、これについては解除しようじゃないかというお話がなされたというぐあいに新聞報道されている。私は、どうして法人だけをやるのかな、土地問題が現在の経済不況の根っこになっているわけですから、当然個人の譲渡所得についても御配慮をなさるべきではないか。  そう言っては大変恐縮ですけれども、現在の土地税制というものは、土地取引抑圧型税制であるというぐあいに私は思っているんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  35. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) まず、先日の私と通産大臣とお会いしたのは、直接の理由は、十月の鉱工業生産が前月対比五・一%落ちるという、統計始まって以来だということからお会いしました。四つのことを合意というか、話し合いました。  まず、今御審議をいただいております平成年度第二次補正をなるたけ早く御了解をいただきたいなということです。第二が、平成年度予算について景気対策にも一方の足を突っ込んでやるべきだということです。第三は、中小企業の年末金融に万全を期さなければいけないということです。第四は、株価あるいは金融というものが、今楢崎委員指摘のように私も同じに考えておりまして、今回の経済状況は単なるサイクルだけではない。特に資産デフレ、インフレ期に生じたいろんなひずみがしこっているというような面を考えて、金融システムの回復というのが大変大事なことである。  今の日本の金融システムの問題点は、日本はどうしても不動産担保金融であるという一つの特徴がある。何も世界がみんなそうだとは私は思っておりませんが、日本は、不動産担保金融というものがある以上は、やはりこれを動かさないと金融システムの回復というのはできない、こういう発想でございます。  したがいまして、今個人、法人という問題には限定ございませんが、念のために申し上げておきたいのでございますが、平成三年につくりました税制改革は、平成元年の土地基本法の理念に基づいてできた税制だと考えておりますから、この骨格をいじることがあってはならないという前提でおります。  そういう中で、平成三年の土地税制には、やはり公有地の拡大であるとか居住用財産の買いかえであるとか、あるいは優良宅地の供給とか、そういう政策目的はちゃんと見ていたわけでありますから、そういう次元で産業のリストラとかあるいは金融システムの回復というようなものに何か役立つような税制はあるのかということを勉強しようということを合意したわけでございます。  もう一度繰り返しますが、土地税制のあのときの基本は変える気がありません。そして、ましてや土地がまた少し上がってくれればいいななどというニュアンスは全くないということだけ申し上げておきたいと思います。
  36. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、大蔵大臣は土地基本法の考え方を全く変える気がないというぐあいに仰せになりましたけれども、あのときには、土地のバブルが始まって何とかして土地の高騰を抑えるためにあらゆる政策的手段を使おうじゃないかということで土地の分離課税も上げたわけですね。どうも私には、あそこのところだけ非常に強い税制がのしかかっていて、土地の取引、土地の譲渡、土地の供給に大きな障害になっていると考えているのは、経済界の人たちと話をしてもそこのところがやっぱり問題だねということになっているというぐあいに私は思います。  さらに申し上げれば、今回の税調の答申の中で、所得税及び住民税を五〇%程度まで引き下げようという御答申がなされているわけですけれども、実は土地の譲渡所得というのは所得税の分離課税なんですね。所得税の最高税率のほぼ六割というところで、その前はもっと低かったんですけれども、六割というところで三九%という設定がなされたというぐあいに私は思うんです。そうすると、今変えるつもりはありませんというぐあいに仰せになりましたけれども、実は母体となる個人所得税が六五%から五〇%に下がるわけですから、それにつれて個人の譲渡所得の分離課税の税率についても御考慮なさるのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。
  37. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 先輩の楢崎委員お話なのでございますが、この税制は、あのとき土地が非常に上がったという異常な事態を前提にした税制とは私どもは考えておりません。これは、上がったという事実がありましたけれども、なぜこういうことになるのか。やはり資産の中でほかの資産よりも土地が有利だというところから、例えば金融が非常に緩むとすぐそこへ行く。つまり、あのころはやった言葉で土地神話という言葉を使ったわけでありますが、このことは直しておかないと、将来ともに金融なり経済の情勢がどういうことがあるかわからないわけでありまして、そういうときにまた土地に異常に行かないようにというシステムをつくっていこうという中から私はあの土地税制の根幹はできたと考えておりますので、やや御意見が違うのでありますが、御理解を賜りたいと思います。
  38. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 大蔵省は得意の手として、そのときそのときの経済情勢において臨時特別の税制を実施するんですね。それならば、これだけ土地がこうなって経済が困っているときに、しかも、先ほど申し上げたように、そういうことではないよというぐあいに大蔵大臣言われましたけれども、私は土地高騰につれてそれをある程度抑えるための重課税的な税制をなすったというぐあいに思っておりますので、ぜひその点について御考慮を願わねばならぬと思いますが、重ねていかがですか。
  39. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 御意見は伺わせていただきましたが、この仕組みというのは、もう楢崎委員もよく御承知のように、平成元年のあのころの土地基本法の理念に基づいて、やはり土地は外部要因、外部経済によって非常に上がる要因があるので、それを吸収するということが土地税制のあり方である。土地というものは個人の資産の中でも独特のものだ、個人がもうけるためにあるのではないんだ、公共の福祉のために土地というものは本来存在しているんだというところから来る一つの物の考え方としてあるということも御理解をいただきたいと思います。
  40. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 そうかたいことばかりおっしゃらずに、ぜひ御検討をお願いいたしたいと思います。  最後に、相続税について若干お伺いをいたしたいと思います。  近年、土地の高騰に伴って相続財産の価格が上がり、かつ相続税の金額も多くなってきて大変相続税についての不平不満が多いわけでございます。税調の御答申では税率を緩和する、あるいは事業用、居住用の小規模宅地等の評価額を減額する、さらに生存配偶者の最低保障額を拡大する、さらに延納から物納への切りかえも認めるというようなことが書かれておりますが、それについての御検討はもちろん今なされていると思いますが、いかがでございましょうか。
  41. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 私は、相続税というのは、前々から申し上げておりますように、単に税収を上げるための税ではないというふうに考えております。やや青い言葉で言えば、社会正義を実現するための税である、このように考えております。  ただ、最近のこの相続税のあり方というのはアブノーマルになったこともそのとおりだと思います。つまり、政治には健全な中堅層を育てるということがもう一つの大事な話であるのに、その中堅層にまで相続税がかかるような事態になっている。それはなぜかというと、大都会を中心として異常な土地の高騰があったからだと考えております。  私が楢崎先輩の後塵を拝して大蔵省に入ったときは、相続物件が百件あると〇・九人の方から相続税をいただいたように記憶しております。昭和三十年です。今、六・何人。もっと一時は高かったわけです。それが東京の真ん中なら百人で五十人とかなんとかという事態が出ておりまして、これはもう明らかに異常なことである、こういう認識に立っております。  したがいまして、今楢崎委員の御指摘になったような事業用なり居住用資産について、より小規模なところについて軽減率を上げるとかあるいは配偶者の方の扱いであるとか物納の問題であるとか、税制調査会からもまさにそういう観点からの提言ではないかと考えておりますので、小川主税局長もおりますが、今検討をさせているところでございます。
  42. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 時間がありませんので簡単に御質問申し上げますが、税調で相続税について若干の緩和をするということ、今大蔵大臣の言われたような理念があること、そのとおりだと思います。しかし、それはこれからの人たちで、今まで課税された人たち関係のない話なんです。  それで、バブルのときに課税された方は、バブルの崩壊によって逆に相続税を払うことについての非常に大きな打撃を受けているということで、バブル期の土地の高騰していたときに相続を受けて、延納にしたけれども延納が払えない、物納をしたいという人たちに対しては何らかの救済の方法を考えようじゃないかということで、ことしの四月二十二日だったと思いますけれども、前大蔵大臣に御質問を申し上げて、主税局長からもよく検討しましょうというぐあいな仰せをいただいたんですが、その後いかがな御検討でしょうか。
  43. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) ただいまの御指摘も大変重要な点だと思います。土地が異常に上がったときに、土地が売れるであろうからということで延納にしておいたんだけれども、とてもだめだと、これをまた物納に戻してもらえないかという問題だと思います。  これについては今検討している段階ではありますが、この間、これは衆議院の大蔵委員会だったと思いますが、できるならば次の通常国会に提案をしたいということをお答えいたしているところでございます。
  44. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 ぜひお願いをいたしたいと思います。特に平成元年から三年の人が大変苦しんでいるように私は思います。予算編成の際に十分の御考慮を願いたいと思います。  さらに、若干つけ加えて申し上げますが、今、事業用、居住用の軽減率が六〇%、七〇%ですね。NHKで見ると、七〇%、八〇%にすると言っているんですよ。これは大蔵省が言ったわけじゃない人ですけれども、私はどうも居住用と事業用との軽減率の割合が違うことは不思議でしょうがない。それは、主税局長、恐縮ですけれども、私は同じ率にして九〇%ぐらいにするといいと思っているんですけれども、ぜひ御答弁いただきたい。
  45. 小川是

    政府委員(小川是君) ただいまのお尋ねは、居住用と事業用におきまして小規模宅地について六〇%、七〇%という軽減率に差がついている点について、今回の見直しのときにその差について再考ができないかという御指摘であろうかと思います。  そういった御議論があるということは私どもも承知をいたしておりますが、どのような実態を踏まえて扱いをしたらいいか、さらに今後検討をしてまいりたいと存じます。
  46. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 最後に、税調の答申の中で若干気になることがあるのでお尋ねしたいんですけれども、税調の答申の中で、要するに相続税で、「課税最低限の引上げを行う場合には、その引上げ幅との関連において死亡保険金及び死亡退職金の非課税制度を課税最低限の中に吸収することとしてはどうかとの意見があった。」。これはこういうふうにしなさいと書いてあるわけじゃなくて、まあ意見があったということなんでしょうけれども、私は、保険金なんかを相続財産にしてやっているなんて世界じゅうに余り例がないわけですから、そういうことも含めて、今五百万円の非課税枠でございますけれども、むしろふやした方が当然なんじゃないだろうかというぐあいに思っておりますが、これも主税局長。
  47. 小川是

    政府委員(小川是君) 死亡保険金や死亡退職金につきましては、もとより遺族の方々の生活を維持するというためのもの、そういう側面を持っているのは事実でございますが、他方におきましては、そうしたものを持っておられない方々との比較からいたしますと、やはり現金あるいは預金と並ぶ流動性の高い資産を相続したという側面もあるわけでございます。  そこで、税制調査会の論議の中では、課税最低限をこれだけ上げてくる中ではむしろ取り込んでもいいのではないかという意見が紹介されているということでございます。そういう意味におきましてはさまざまな角度から御議論があるということでございます。
  48. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 先ほどの延納のものを物納に切りかえる話との関連でございますけれども、実は物納財産を国税庁が引き受けると言ってもなかなか引き受けてくれない。物納したいと言っても、今一万三千件の未処理が残っているというぐあいに承っております。それはぜひ早く処理をして納税者の不安を払拭していただきたいということが一つでございます。  それからさらに、その国有財産に相続税の物納として収納された物件が、この間のNHKのテレビでしたか、見てみると、全然売らないというようなことも言っております。これについてもぜひ速やかな事務処理をお願いいたしたいと思いますが、簡単で結構でございますからお答え願えればと思います。
  49. 石坂匡身

    政府委員(石坂匡身君) ただいまのお尋ねの物納関係につきましては、従来から可能な限りのマンパワーを投入いたしまして事務処理体制の整備を図っておるところでございます。  具体的に申し上げますと、平成四年六月に通達を発遣いたしまして、国税当局限りで収納の適否が判断できる物納申請不動産の範囲を明確化する、あるいは管理または処分をするのに不適当な財産の基準の明確化というふうなことを図りまして、国税当局、そして国有財産当局と意思疎通を図りながら事務処理に努めておるところでございます。  委員指摘のように、最近物納申請が急増しておりまして、また納税者にお願いをしております物納財産の境界確定ということにつきましても時間を要しておるところでございますけれども、そういう境界確定等の必要不可欠なものを措置をとりつつ、国有財産当局、国税当局、緊密に連絡をとりながら、職員の重点配置あるいは事務処理手順の迅速化等を図りながらできる限り早期の円滑な処理に努めてまいりたいと考えております。  売却の方でございますけれども、物納された土地のうち、借地人等がいるものにつきましては借地人等へ売却することが適当でございますから、その促進を図っておるところでございます。他方、更地につきましては、一般の未利用国有地と同様に、公用、公共用優先の原則のもとに公用、公共用への用途に優先的に充てることとしておりますけれども、その用途が見込めないものにつきましては民間等へ一般競争入札で売却をすることとしております。  ただ、地方公共団体との間で監視区域内の未利用地につきましてはいろいろ情報交換をしてまいらなければならないということでございますけれども、最近の地価動向あるいは監視区域制度の弾力的な運用への動きというものも踏まえまして、個別具体的な協議を地方団体とも重ねておりまして、協議が調ったものもございます。こうした努力を今後とも続けてまいりたいと考えております。
  50. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 これで質問を終わりますが、いずれにしても、迅速に処理をなすっていただきたいと思います。自分の財産を相続税で国に納付するわけですから、それをそれらしく扱っていただくことが大事だと思います。さらに、事務処理の迅速化等のために人員その他充実をしてやっていただきたいと思います。これで質問を終わります。
  51. 清水達雄

    ○清水達雄君 ただいまの質問の中で、土地基本法と土地税制関係についてのお話があったわけでございますけれども、私は、土地基本法のいわゆる受益者負担といいますか税制上の措置という部分と土地税制とを比べると、おっしゃるとおり。ただ、土地基本法というのは、そういうことだけじゃなくて、最大の眼目は土地の需給をバランスさせる、そのために土地利用転換をうまくやる、自分は農地にしておきたいと思ってもここは住宅地にしなきゃならぬというところは住宅地にすべしという法律なんですね。そこが動かないうちに譲渡所得税制とかなんとかを強化されますと、土地の供給がとまってしまうんです。そういう意味で、需要がふえてくると物すごい地価が上がる、そういうことになりますので、おっしゃっている理念としては、最終的な理想像としてはいいんですけれども、手順が要るということでございます。この点につきましてはあしたの予算委員会でじっくりと御議論をさせていただきたいと思います。  それで、きょうはいわゆる金融機関の不良債権問題でございます。これが多いということは、大変金融機関の活力をそぎ、日本経済に対して非常に大きな影響を与えているというふうに思うわけでございます。  都銀、長信銀、信託、二十一行の不良債権の額というのがことしの三月末から九月末までの間に、十二・八兆円から十二・八兆円、一兆円ふえております。しかも、この間に共国債権買取機構へ約一・三兆円債権の譲渡をいたしておりますから、合計すると二・三兆円不良債権の額がふえているということになると思うんですけれども、これはどのような原因によってこうなるのか教えていただきたいと思います。
  52. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 二十一行については御指摘のとおりなんですね。私は、ふえたこと自体はある程度当初から予想されていたように思います。それは、金融機関の相手方に対する処理方針が逐次固まってきたということが一つあると思います。特に、ノンバンクあるいは住専というものについての処理の仕方というものが固まって、そのために不良債権としてディスクローズする方に入ってきたと考えております。  一時よりは金額はちょっとふえておりますけれども、償却は極めて早く進んでいるのも事実でございまして、平成五年三月期で国内問題だけで約一兆三千億償却をいたしております。今度は半期で、九月期で約一兆円国内向けで償却しておりますから、約二倍のスピードになってきているということでございまして、この償却の促進は一層やっていかなければならないと考えております。
  53. 清水達雄

    ○清水達雄君 おっしゃるようなディスクロージャー云々とかあるいはノンバンク等の債権の絡みとかいうことならいいんですけれども、だんだん経営状況が悪くなってきて破綻がふえるとか、あるいは少しずつは利息が払えていたけれどももう払えなくなるとか、そういうことによって不良債権の額が今後ふえるというふうなことはないんでしょうか。
  54. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今、先を確たることで申し上げるのは、そんなおこがましい気持ちは持っておりませんけれども、今申し上げたように、この半期にふえたのは非常にそれが確定してきた面がございまして、実感としては少しずつ緒についてきているなと、こういう印象を持っていることだけは申し上げられると思います。
  55. 清水達雄

    ○清水達雄君 金融機関に多額の不良債権がたまりますと、まず第一点としては、資金が塩漬けになって流動しなくなる。それから、貸し渋りとよく言われますけれども、慎重な融資態度になります。それから、国民の信頼が薄らぐといいますか、金融不安的なニュアンスが出てくる。あるいは国際金融市場なんかにおける格付が下がるといった、そういう金融機関の機能の低下を来す。そういうことで、経済に大きな影響を与えるというふうに私自身は思うんですけれども、この点についての大蔵大臣の御認識をお伺いしたい。
  56. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今貸し渋りのお話がございました。御指摘のような角度からのもございますし、また、ちょっと触れられましたように、一時の極めてラフな融資態度というものが真っ当になってきた面もあると思います。両方だと思います。  前者の場合はどういうことかというと、おっしゃるように、不良債権がたまることによってどうも荷が重くなっている。それが今の償却であり、共国債権買取機構への積極的な売り渡しということだと思います。  BISにつきましては、今八%の基準に対して九%程度にいっておりまして、そういう不安はないというふうに考えておりますが、清水委員指摘の点は、常に金融システムとして考えておかなければならない重要な点だとは思っております。
  57. 清水達雄

    ○清水達雄君 不良債権の償却の問題でございますけれども、金融機関は業務純益と有価証券の含み益を益出しをして償却をするということをやっておるわけです。含み益の益出し、つまり株を売るという話でございますが、これは非常に株式市場へ影響を与えていると思います。心理的にも相当影響を与えているというふうに思うわけでございます。  それで、そんなことも考えながら不良債権の処理をしていくとすると、大体どの程度の期間で通常の状態に戻り得るのかについての展望といいますか予測というか、そういうものをお伺いしたいと思います。
  58. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 事務的なことは銀行局長に答えさせたいと思いますが、今のこの償却は、おっしゃるように株式の益出しということもあると思います。あると思いますが、基本的には業務細益ということによって処理がされていると思います。ただ、私ども立場で益出しは余りするなとか、そういう性質のものじゃございませんので、これは各企業の自主努力と自主的判断によって行われているわけでございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。  何年でこれが直るかということは、大変難しい話なんでございますが、今御指摘のように二十一行で十三兆八千億あるというのに対して、今申し上げたような償却が進んでいる、こういう事実だけでもひとつ御理解をいただければいいと思います。
  59. 清水達雄

    ○清水達雄君 年間にどのくらい償却できるかというと、三兆円ぐらいですか。三兆円とすると四年間とかいうことになっちゃうんじゃないかと思うんですけれども、そんなふうに考えればいいんでしょうか。
  60. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 昨年の八月でございますけれども、「金融行政の当面の運営方針」を公表いたしまして、その辺の問題意識、行政当局としての問題意識を外にお示ししたわけでございます。いわゆるバブル経済の崩壊に伴いまして資産価格が暴落し、そのことによって金融機関に不良資産が増大をしたという状況で、それに対して相当の調整期間が要るであろう、一期や二期では償却できるような範囲ではない、相当な調整期間にわたってかなり厳しい対応努力が必要だ、そういう観点から今後対応していかなければいけないと。  ただ、そういうことに対しまして、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、共国債権買取機構とか、あるいは不良債権の実態に即した税務上の取り扱いを行う等々の環境整備を図りつつ、しかしかなりの相当の調整期間にわたって厳しい対応努力が必要ではないか、こういうことでございます。
  61. 清水達雄

    ○清水達雄君 今のお答えはどうも意味がよくわからなかったんですけれども、先に行くことにいたします。  不良債権共同買取機構への譲渡は一兆九千億ぐらいあるわけですが、その場合の譲渡につきまして、大体平成年度で五〇%ぐらいの損切りをしているわけですね。それだけ損切りをして売っても、担保土地の処分は六十五億円ぐらいにすぎないということでございます。  共国債権買取機構から私も話を聞いたことがあるんですけれども、まず、所有者の方がディスクローズ、具体的な土地とかなんとかについてのディスクローズを嫌がるとかいろんなこともあるようなんでございますけれども、担保土地の処分についてどのような方法あるいはどのような努力を行っているのかというのが一点でございます。  それから、六十五億円処分できたと言っておりますけれども、現実に処分された担保土地については、どのような形態とか用途とか価格とか、その辺についてわかったら教えていただきたいと思います。
  62. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) おっしゃるとおりでございまして、さっきのお話は二十一行の話でおっしゃったと思いますが、全部を通じて二兆円の売却を行って、それを一兆一千億で売ったということでございますから、御指摘のように約半分ということはそのとおりだと思います。  そこで、これの、みんな担保がついている不動産の処分の問題の御指摘だと思いますが、確かに債務者が表になるのを嫌がるという面がありましたが、そこのところをなるたけ債務者の了解を得るという形で、八月ぐらいの時点では二百七十件ぐらいしかディスクローズできなかったのでございますが、十月の時点では六百三十件ぐらいになっていると思います。大変ディスクローズを債務者の方の了解がとれるようになりました。これについては、土地を公共的なものとして非常に必要としておられます地方団体とか住都公団とか、こういうところに積極的に情報を提供いたしております。  積極的な情報の提供と、もう一つは今の債務者の方の理解を積極的に得る、こういうことによって、当初よりは今申し上げたように情報として提供している件数は非常にふえておるわけでございます。  六十五億の中身ということになりますと、役所で言うと正確に言わないとまずいので私が聞いている範囲で申しますが、大都会の商業地的なものだと聞いております。
  63. 清水達雄

    ○清水達雄君 共国債権買取機構の担保土地であるのかないのかというのも、よくわからないというか、両方あると思うんです。住都公団みたいな特殊法人とかあるいは不動産業界なんかの話を聞きますと、いわゆる不良債権的な土地について、銀行との間で価格が折り合わないという話がありまして、したがって契約が成立しないということを非常に聞くわけです。結局、銀行は余り大きく損を出すと困るということもあるし、あるいは土地所有者側も困るということもあるのかもしれませんけれども、そういうことで、できるだけ高く売りたいというようなことで、持ってこられても値段が折り合わないから結局だめだと。  不動産業界なんかの話を聞きましても、不良債権的な土地というのはほとんどもう仕入れ対象にならない、こういうことを言っていますよ。この辺は何かもうちょっと思い切って処分をする気になれば売れるんじゃないかと思うんですけれども、その辺の実態というのはどういうふうに大蔵省は見ておられるんでしょうか。
  64. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 主に商業地と申しましたが、今資料を持ってきましたが、住宅地の方が多うございます。しかし、大都会であることも事実です。  それから、今お話しのように、非常に不整形地が多いとか権利関係が入り組んでいるとかいう話があるのも事実なんでございますが、必ずしもそういうものばかりでない、いいものもあるようでございまして、いいようなものについては、これまた清水委員指摘のとおりでして、値段がなかなか折り合わない。地方団体なんかでも、欲しいけれどももう少しまた安くなるのではないかというような今状況なもので、なかなか折り合わないというのが現状でございます。  これらをどうするかについてはもう少し、今恐らく会社の方が一生懸命やっているんだと思うのでございますけれども、その一つとして、先ほど申し上げたような税制というものもかみ合わせられないかという勉強をしているということでございます。
  65. 清水達雄

    ○清水達雄君 結局、不良債権の処理というのは、最終的には土地が処分をされませんと最終的な処理にはならないというふうに思うわけです。そういう意味において、どうも銀行側の態度というのがもうひとつ本腰が入っていないんじゃないのかなという感じが非常にするわけでございまして、その辺について、指導官庁としての大蔵省も十分その辺を御検討をしていただきたいと思うわけでございます。  それから、今までの話は大体二十一行の話でございますけれども、地銀、第二地銀、これは破綻先債権額で一兆七百億円程度、それからノンバンクについては貸付残高が九十六兆円ぐらい。これも融資された実態等から考えると、半分ぐらいは不良債権化しているんじゃないかというふうな話があって、それで、やれ不良債権の額が五十兆だとか六十兆だとかというふうな話も出ているんじゃないかとも思うんですけれども、この辺については大蔵省はどのようにここを見ておられるんでしょうか。
  66. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 地方銀行及び第二地銀についてはただいまお示しの数字のとおりだと思います。これはディスクローズの基準からいって、地域金融機関は余り六カ月延滞というところまで出すのはいかがかという基準がありまして、破綻先で出ている。したがって一兆七百億円、こういうことだろうと考えております。  ノンバンク、住専の話でございますが、これは先ほどちょっと申し上げましたように、それには支えている金融機関があるわけでございまして、それが一つの再建計画というのを立てるのが進んできたということをさっき申し上げたわけでございますが、その再建計画を立てることによって、いわゆる根っこにある金融機関の不良債権というような形で一部出てくるわけでございまして、俗な言葉で言うと、そこのところはダブルカウント的な面もあるということを御理解いただきたいと思います。だから、こっちの親元の方でカウントしてあればそれなりのカウントになっているということも御理解をいただきたいと思います。
  67. 清水達雄

    ○清水達雄君 どうもそこのところよくわからないんですけれども、例えば十三兆八千億ぐらい不良債権が二十一行についてあるということは、この中にノンバンクの不良債権も入っているということを言っているんですか。そうじゃないんでしょう。
  68. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今申し上げたのは、金融機関の貸出先がノンバンクでございますね。したがって、そのノンバンクとの関係で再建計画を立てますと、それをやるときはノンバンクの貸出先がどうかということも全部調べた上の再建計画でございますから、当然のことながら金融機関の上にそれなりに反映してくる、こういう意味でございます。
  69. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 今大蔵大臣お答えしたとおりでございますが、延滞債権のほかに、ノンバンクの再建支援計画では金利減免債権、つまり金利減免で再建計画をつくられているものもございます。これは十三兆七千六百億の外にございます。金利減免債権はもともとディスクロージャーの対象にはなっておりませんので、その分が出ております。そういうものを含めましたところが全体として、結局ノンバンクで発生した債権でノンバンクだけで処理できるものもございます。ただ、最終的に金融機関で負担しなければ、 延滞化している、あるいは金利減免債権となっているものがある、そういうような関係でございます。
  70. 清水達雄

    ○清水達雄君 結局、ノンバンクに対して金利を減免しなきゃならぬということは、親銀行の方の業務純益が減るという形で反映するわけですね。
  71. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 償却にはならないわけでございますが、期間損益の減少要因になっているということでございます。
  72. 清水達雄

    ○清水達雄君 それで、今の共国債権買取機構のような不良債権の処理方式でいいのかどうかということになるわけでございます。  私、いろいろ考えますと、余り一遍に銀行の方に損切りをさせてやるということは、株式市場とかその他にいろいろ影響も及ぼすし、銀行の活力も本当にこれは弱気経営のようなことになっちゃうというようなこともありますので、ある程度時間をかけてやった方がいいんじゃないだろうかというふうに思いますと、不良債権の担保土地のうち使えるような土地についてはできるだけそれを使っていく。しかし、使えないような土地、地上げがまだ中途半端だとか市場になかなか出にくいとかいろいろあると思うんですけれども、そういうものについてはいわば塩漬けにしておく、何かそういうふうなことを考えていかなければいけないんじゃないかなという感じがするわけでございます。  それで、私は大体三つぐらいタイプがおるのかなというふうに思っているんです。  というのは、まず第一番目は、住都公団とか公共団体とか地方公共団体の住宅供給公社とか、そういうところに使える土地を売るということでございます。ただ、これについては値段の問題とかなんとかありまして、そう多量なものは余り見込みがないんじゃないかなという感じがいたしますけれども、そういうことをやらなきゃならない。  それからもう一つは、土地は使えるけれども、かなり損切りをしないと市場には出ていかないし、土地だけではなかなか流動化しない、動かないというふうな場合には、ビルなどを建てまして、市場で流通し得るような形態とか価格にして、そこで例えば不動産共同投資事業みたいなもので小口化を図って売る。アメリカなんかでは証券化をして、小口化をして売ったというふうなことをよく聞くんですけれども、そういうふうな使い方が第二番目にあるのかなと思います。  それから第三番目は塩漬けでございます。これについては、この塩漬け用の土地というのは非常に今後社会的にはいろんな問題を起こしてくる可能性がある。まず、草ぼうぼうになって管理がうまくいかないとか、それから変な人たちが占拠をしてどうにもならなくなるとか、いろんなことをかなり心配されている向きがあるわけです。そういう対策をも含めてちゃんとした管理もしていかなきゃならぬ。  それから、今かなりこういう土地は値段も非常に下がってきたから買っておこうかなと思いましても、買うとなると、まず不動産取得税がかかるとか登録免許税がかかるとか、固定資産税はもちろんかかるし地価税もかかるというふうなことで、買って塩漬けにして持っていても租税負担なんかが非常にかかるとか、いろんな問題があるというようなことが一方で言われるわけでございます。  それからもう一つは、塩漬けにするときに余り損切りをしないで、今回、五割の損切りをしておりますけれども、八割ぐらいで、そのかわり買い戻し特約でもつけて新しい機構でもつくってそこに移すということにすると、これは贈与とみなされる。国税は贈与税を払えというようなことになる。あるいは監視区域制度でそんな価格はだめだよというふうな話になる。いろんな問題がいっぱいあるわけですね。  通常の取引については、それはきちっとしたそういう体制でやる必要がありますけれども、不良債権の塩漬けみたいなことを行うのには何かそういうことを許してやらないとうまくおさまらないんじゃないかというふうなことも含めまして、そういうことに伴う法制的な措置も講じていく。  本当は新しい機構をつくって、金融機関とか不動産業界とかあるいは地方の公共団体とか、そういう人たちにも出資をしてもらって、塩漬けにしても将来はちゃんと都市の再開発とかなんとかに使うという意味において、いずれ使えるようになったら再開発にちゃんと使っていこうというふうな、何かそういうふうなものをつくる。しかも余り金利が高い金じゃだめですから、これは金融機関から超低利の融資をさせるということと、さっき言った租税とか、そういったことに関する特別措置も講じながら、そういうものをつくってかなりの期間は塩漬けにしないとだめかなというふうな感じもしているわけでございます。  何か大蔵省もいろいろ検討されているとか、建設省もやっているとか、通産省もやっているとかいろいろなことを聞くのですが、やっぱりみんなで一体となっていい案をつくらなきゃいけないのじゃないかというふうに思っているわけでございますけれども、その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
  73. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) いろいろなお話がございましたが、一つは小口化、証券化で流動化してはというお話がございましたけれども、その点について申し上げますと、委員がただいま御指摘になったとおり、不良債権をやる場合にはロスカットが前提になります。流動化の前提にはロスカットが要るということで、実はロスカットのために買取機構をつくり、今着実に金融機関は自己の収益でその損失を償却している、貸し倒れ資産を償却しているという過程で、これにはある程度の時間がかかるということでございますが、着実にその動きがあるということでございます。  そのようなロスカットをすると同時に、さらにその土地の上に追加投資をして小口化、証券化で流動化できないかというお尋ねでございますが、実際にそれが使えるためには、その土地についている権利関係調整が必要でございます。  そういったものをした上で、なおかつそれが小口化、証券化して魅力ある商品として蘇生できるかどうかということでございまして、実は既に不動産業界で小口化のいろいろな商品が出ているのでございますが、最近の状況でございますと、やはりちょっと商品としての魅力が落ちている。地価の低下に伴いましてキャピタルゲインに対する期待が薄れたということもございまして、小口化商品が比較的売れ行きが鈍っているという現状がございますので、もしそのようなことを考えるとするならば、例えば土地の有効利用についての現行の規制を見直すとかその種の条件整備がまず前提になるのではないか魅力ある商品として仕立てるためにはということでございます。
  74. 清水達雄

    ○清水達雄君 それから、これは非常に難しい話なんですけれども、債権の譲渡をやっている分にはいいんですが、土地そのものを譲渡するというときに、損切りをしてやりますと、銀行はそれを償却してしまうけれども、銀行と土地所有者との債権債務関係はその損切りによって縮小はしないわけです。だから、土地を動かすということは非常に難しい話になるんですけれども、何かその辺について名案はないでしょうか。
  75. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 日本の金融は、アメリカと違いまして、プロジェクトファイナンスでなくて、どちらかというとコーポレートファイナンス、企業自体に貸すという仕組みになっておりますから、たまたまその担保、プロジェクトファイナンスでございますと、担保の土地と貸付額あるいはその事業自体が個別の事業がリンクしているのでございますが、日本の金融慣行では必ずしもそうなっていないということで、明確に不動産の価格が落ちた分だけ融資額をカットするというのは、今の日本の金融慣行からするとちょっと難しいのではないかと考えられるところでございます。
  76. 清水達雄

    ○清水達雄君 終わります。
  77. 林紀子

    林紀子君 私は、農業共済保険特別会計特別措置に関する法律案、これについてお伺いしたいと思います。  まず、法案の審議に当たりまして、改めてことしの大冷害などで農業災害に遭われた農家の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。大蔵省は、従来から再保険金不足財源一般会計による繰り入れで補てんしてきた。それにもかかわらず今回は異例のやり方で資金運用部資金から借入金で賄おうとしているわけです。安易に資金運用部資金に依存するやり方というのは今までもいろいろ批判があったところです。  そこでお伺いしたいのですが、今回の措置は例外であり、原則は一般会計から繰り入れることに変わりはない、こういうことでよろしいわけですね。
  78. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 確かに御指摘のとおり、過去におきまして大冷害が生じ、農業共済保険金支払い財源に支障を来したという場合には、大昔は別にいたしまして、一般会計からの繰り入れということでもって、事実上これは一般会計から特別会計への無利子貸し付けと同じでございますが、そういう形でもって手当てをしてまいったことは事実でございます。  ただ、これからのことにつきまして、そういう形が原則であって今回のような措置が例外であるということを断定的に申し上げられるような状況じゃないわけでございますが、いずれにいたしましても、農業共済の果たしている役割というものの重要性は十分認識されるところでございますので、将来どのような事態が起きましても、農業共済事業の円滑な運営ということに頭を置きまして、そのときできる最善の方策を講じていくということしか申し上げられないわけでございます。  ただ、今回の措置も確かに資金運用部から不足分を借り入れまして手当てをしてございますけれども、これに伴います利子はすべて一般会計負担するということにさせていただいておりまして、実質的には一般会計からの無利子貸し付けと全く同様の措置でございます。そういったものでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  79. 林紀子

    林紀子君 今後はわからないというお話ですけれども、やはり政府の責任としては一般会計からきちんと繰り入れてやる、あくまでこれを原則にするということはきちんとしておかなければいけないことだと思います。  そして、今お話にもありましたが、もう一度確かめておきたいわけですが、今回資金運用部資金から借入金で賄いましても、共済の組合員である農家にこれは利子というようなことで新たに負担になるということはないわけですね。
  80. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 借入金にかかる利子については全額一般会計が持つということにさせていただいておりますので、その限りにおいて農家に対する負担はございません。
  81. 林紀子

    林紀子君 そこで、農水省にお伺いしたいのですけれども、ことしの大変な被害をそのまま掛金率に反映させますと、平成九年産から適用される掛金率は全国平均で四割も上がるという話を聞きました。そのために、特に著しい被害に相当する部分、いわゆる超異常被害部分としておよそ一千五百億円程度を返済しないでいい、そういうことにする。五年産水稲金額被害率を全国平均でおよそ三分の一カットすることとしている。  そこで、この超異常被害部分という考え方ですけれども、今までも昭和五十五年、平成三年、いろいろ大きな農業災害被害があったわけですけれども、今までこういう考え方は適用されなかったと思うわけですが、この超異常被害部分というのはどういうふうに算定をするのか、その細かな数字は結構ですので考え方というのをお示しいただきたいと思います。  そしてその際、被害が特に大きかった地域には優遇措置がされるのかどうか、そのこともあわせてお聞きしたいと思います。
  82. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 御指摘の「著しく異常な災害に係る部分」、こういうことでございますが、ことしは未曾有の災害でございまして、大変な被害率でございます。大体概念的に申し上げますと、普通の被害の部分、異常な被害の部分、それからさらに著しく異常な被害の部分と、こういうふうに分けられようかと思います。  それで、今御質問にございましたのは、著しく異常と認められる部分ということでございますが、これは過去の被害率の平均、それから分布状況、こういうふうなものから見て判断をいたしたいと思っておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、昭和二十二年度から平成年度までの過去四十七年間、この制度が発足いたしましてから四十七年間の全国平均の被害率を基礎といたします。それから、昭和三十八年、法改正以前の農作物共済及び本年改正以前の蚕繭共済においてとられておりました超異常被害部分という考え方がございます。こういうものを参考にいたしまして算定をする考えでございます。  それで、現在まだ被害率が確定をいたしておりません。被害率や金額が確定いたしておりませんので、今回の災害に係ります支払い共済金の金額が確定した後に算定することとなるわけでございますが、現時点の見込み被害率を前提にいたしまして、今年の見込み被害率約二五%のうち著しく異常な災害に係る部分というのは約八%を占めておるわけでございます。これに相当する再保険金の額が、先ほど委員指摘がございました約千五百億円程度、こういうふうに試算されるわけでございます。  それからもう一点の、それでは特に被害の甚大であった地域について軽減措置を適用するのかと、こういう御指摘でございます。  御指摘のとおり、ことしの被害率が非常に大きいというふうなことで、平成九年産から適用になります料率は全国平均で約四割アップと、こういうふうな状況でございます。これを後年度に農家の負担に回すというふうなことでは農家の経営の安定というふうなことでいろいろ支障が生ずるわけでございますので、これを料率算定上この料率には算定しない、はね返さない、著しい被害の部分については料率に反映をしないというふうなことでございます。  このカット部分を料率算定上どのように反映させるかということにつきましては、現在まだ検討中でございます。いずれにいたしましても、料率は組合等単位で決めることになっておりますので、地域の被害状況に応じまして適切に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  83. 林紀子

    林紀子君 そのように大きな被害の部分はカットをして料率に反映をしないようにする、そういうことでは五年産水稲金額被害率、まだこれからですから、大まかなことしか言えないと思いますけれども、アップの分というのがどれくらいになるものでしょうか。  そして、東北、北海道というのは今時に大変なわけですけれども、その辺はどのくらいになるものか、大まかな数字で結構ですけれどもお答えいただきたいと思います。
  84. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 先ほど申し上げましたが、全国平均で四割でございます。例えば宮城県につきましては約八割上がると、こういう状況でございます。
  85. 林紀子

    林紀子君 それはカットをしたおよそ一千五百億円を返さなくていいという前の話ですね。
  86. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 今申し上げましたのはカットをする前の数字でございます。料率は全国平均で約四割の上昇になるわけでございますが、これを先ほど来申し上げておりますような考え方でカットをいたしますれば、全国平均で二七%程度のアップになるということでございます。
  87. 林紀子

    林紀子君 ことしの通常国会で農業災害補償法が、私たちは改悪だと思っておりますが、改悪されました。そして、これには我が党だけが反対したわけですけれども、国庫補助が大幅に削減されました。組合員である農家負担がふえることになったわけです。  そして、当時の農水省の担当課長も言っているように、これは大蔵省が国庫補助の削減を求めたためにこういう状況になったというふうに言われているわけですけれども、こうした制度の改悪によって、今回大変な被災を受けた農家は、今お話があったように、さらに大幅にアップをした掛金を今後掛け続けなければいけない。それが特に被害のひどいところに重なっているわけですから、これは大変なことだということをこの際指摘しておきたいと思うわけです。  そして、次に大蔵省にお聞きしたいのは、今米の緊急輸入による差益で資金運用部から借り入れた三千六百五十六億円の償還のうち一千五百億円を充当しようとしている。そうしますと、これからこの差益というのは幾ら出るかというのが出るわけですから、一千五百億円にもし満たない場合があったら、この掛金を高くして農家負担をさらにふやすというようなことでは困るわけですが、差益の不足が生じたことを理由に新たに農家負担をさせないということは明言できますか。
  88. 竹島一彦

    政府委員(竹島一彦君) 輸入米の差益を一千五百億円だけ入れるということではございませんで、差益はすべて入れさせていただきますが、先ほどのお話の農家負担のことを考えまして、今の推計では約一千五百億円ぐらいは返済しなくてもいいようにいたしたい、こういうことでございます。  さて、その一千五百億円程度の差益も確保されないといった場合にどうするのかということでございますが、その場合には、やはり農家負担という問題を重く受けとめまして、一般会計からの繰り入れということを検討せざるを得ないと考えております。
  89. 林紀子

    林紀子君 大臣にお伺いしたいのですけれども、この再保険金不足分というのは一般会計で、やはり政府の責任できちんと行うべきだということを申し上げたわけですけれども、米の緊急輸入から生ずる差益というのは、消費者にも負担させた財源だということが言えるわけですね。ですから、もし差益が生ずるような販売価格設定をするのであれば、こうした差益は今回のような米不足を二度と生じさせないために米の流通とか増産とか備蓄対策、農家と消費者のため、両方のために使うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  90. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) これは農林水産省でお答えいただく方がいいと思います。
  91. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) この問題でございますが、農業共済制度といいますのは作物保険でございます。作物保険でございますので、年によって被害に変動がございます。そこで約二十年間の被害率をとりまして掛金をはじきます。二十年間で収支が均衡するというふうな考え方のもとに設計をされておるわけでございますので、これまでも、一般会計からお金を一時繰り入れてもらいますが、それを全部掛金にはね返しまして、それで大体二十年のうちにはすべて一般会計に繰り戻しをする、お返しをしておる、こういうことでございます。  今回は特に被害が大きいというふうなことで、千五百億円に相当する部分は農家の掛金にはね返さない、こういう特例でございます。  そこで、それにつきましては食管会計のいわゆる米の売買差益、これを充てるわけでございますが、これにつきましては特に……
  92. 林紀子

    林紀子君 済みません、短くお願いいたします。
  93. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) そういうふうなことで、ことしの未曾有の冷害によりまして、一時的に片方で差益が生じており片方では大変困っておる農家があるというふうなことで、困っておる農家の将来の負担を軽減したいという趣旨からお願いをしておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  94. 上杉光弘

    委員長上杉光弘君) 林君、時間が来ておりますから。
  95. 林紀子

    林紀子君 最後に一点お願いいたします。  くず繭の不正輸入ということ、大蔵に質問できる機会ですのでぜひお願いしたいのですが、今までくず繭いろいろ不正輸入がありましたけれども、最近プレス繭ということで、ここに手元にありますけれども、実際は指で軽くつぶしただけで、繭を煮ますとそのまま膨らんで立派な糸がとれる、こういう繭がくず繭だと称して輸入されている。そしてそれが繭の価格を押し下げるために大変大きな役割を果たしているということなんです。ですから、ぜひこれを取り締まることを厳重にやってほしい。今までくず繭取り締まっていただきましたけれども、そのことを最後に一点お願いしたいと思います。
  96. 高橋厚男

    政府委員(高橋厚男君) 税関では輸入申告されましたいわゆるくず繭と称するものが、通産大臣が事前確認を必要としております繭に該当するものであるかどうかという点につきましては、今先生もお話がございましたように、従来から厳格に検査を行っているところでございます。これからも厳正に対処していきたいというふうに考えております。
  97. 上杉光弘

    委員長上杉光弘君) 他に御発言もないようでございますから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時二分散会      ————◇—————