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1993-10-20 第128回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十日(水曜日)    午後一時三分開会     ―――――――――――――    委員氏名     会 長         櫻井 規順君     理 事         尾辻 秀久君     理 事         吉川 芳男君     理 事         藁科 滿治君     理 事         山下 栄一君     理 事         萩野 浩基君     理 事         長谷川 清君     理 事         立木  洋君                 合馬  敬君                 岡  利定君                 佐藤 静雄君                 関根 則之君                 楢崎 泰昌君                 南野知惠子君                 星野 朋市君                 吉村剛太郎君                 青木 薪次君                 大渕 絹子君                 庄司  中君                 前畑 幸子君                 峰崎 直樹君                 中川 嘉美君                 小島 慶三君                 吉田 之久君                 泉  信也君     ―――――――――――――    委員異動  九月十七日     辞任         補欠選任      吉田 之久君     小林  正君  九月二十一日     辞任         補欠選任      泉  信也君     河本 英典君  九月二十二日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     瀬谷 英行君      大渕 絹子君     松本 英一君      庄司  中君     森  暢子君      峰崎 直樹君     堀  利和君  十月十九日     辞任         補欠選任      堀  利和君     谷畑  孝君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         櫻井 規順君     理 事                 尾辻 秀久君                 吉川 芳男君                 藁科 溝治君                 山下 栄一君                 小島 慶三君                 長谷川 清君                 立木  洋君     委 員                 合馬  敬君                 岡  利定君                 佐藤 静雄君                 関根 則之君                 楢崎 泰昌君                 南野知惠子君                 星野 朋市君                 吉村剛太郎君                 瀬谷 英行君                 谷畑  孝君                 前畑 幸子君                 森  暢子君                 中川 嘉美君                 小林  正君                 河本 英典君    事務局側        第三特別調査室        長        堀籠 秀昌君    参考人        社団法人全日本        トラック協会理        事長       沼越 達也君        全日本運輸産業        労働組合連合会        中央執行委員・        生活福祉部長   大森  均君        成城大学経済学        部教授      岡田  清君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業資源エネルギーに関する調査  (物流問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員異動についで御報告いたします。  去る八月二十六日、浜本万三君が委員辞任され、その補欠として青木薪次君が選任されました。  また、九月十七日、吉田之久君が委員辞任され、その補欠として小林正君が選任されました。  また、同二十一日、泉信也君が委員辞任され、その補欠として河本英典君が選任されました。  また、同二十二日、青木薪次君、大渕絹子君、庄司中君及び峰崎直樹君が委員辞任され、その補欠として瀬谷英行君、松本英一君、森暢子君及び堀利和君が選任されました。  また、昨十九日、堀利和君が委員辞任され、その補欠として谷畑孝君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 次に、理事辞任についてお諮りいたします。  萩野浩基君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小島慶三君を指名いたします。     ―――――――――――――
  6. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) この際、一言報告をいたします。  本調査会の第二年度につきましては、産業問題については、「二十一世紀へ向けての企業行動あり方」をテーマに、また、資源エネルギー問題については、「エネルギー供給課題対策」をテーマに、それぞれ調査を行うこととしているところですが、理事会におきまして、これらのテーマに先立ち、平成四年六月の産業資源エネルギーに関する調査会調査報告書の諸提言のうち、物流問題に関し、魅力ある職場づくり推進労働力不足を補うための方策省エネルギー対策拡充・強化について、その後の対応と今後の取り組み等について調査を行うことを決定いたしました。  調査の具体的な進め方といたしましては、本日、参考人からの意見聴取を行い、後日、政府側からの説明聴取を行いたいと存じます。  以上、簡単でございますが、理事会協議の決定について御報告をさせていただきました。  委員各位の御協力お願いいたします。     ―――――――――――――
  7. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業資源エネルギーに関する調査のため、本日の調査会に、社団法人全日本トラック協会理事長沼越達也君、全日本運輸産業労働組合連合会中央執行委員生活福祉部長大森均君及び成城大学経済学部教授岡田清君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  9. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、物流問題に関して、参考人から意見聴取をさせていただきます。  初めに、魅力ある職場づくり推進労働力不足を補うための方策について、社団法人全日本トラック協会理事長沼越達也君及び全日本運輸産業労働組合連合会中央執行委員生活福祉部長大森均君から意見を聴取し、続いて、二十一世紀に向けての物流戦略について、成城大学経済学部教授岡田清君から意見聴取をさせていただきます。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  参考人の皆様から、物流問題についで忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にさせていただきたいと存じます。  議事の進め方といたしましては、各参考人からそれぞれ三十分以内で御意見をお述べいただいた後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、沼越参考人からお願いをいたします。
  10. 沼越達也

    参考人沼越達也君) 私、全日本トラック協会理事長を務めております沼越達也と申します。非才でございますけれども説明させていただきます。  初めに、物流業といいますか物流事情ということについて、大体世の中の人は水か空気のように考えられまして、非常に今まで正面から取り上げられることがなかったわけでございます。この調査会において取り上げていただいたということに感謝申し上げます。  お手元にレジュメと、それから資料がございますが、この順序に従って御説明申し上げたいと思います。  最初に、業界の概要を申し上げたいと思います。  まず、トラック事業物流業界における役割というものについて御説明したいと思います。  表の一をごらんになりますと、国内物流業の中で営業用トラックは三七%のシェアを占めております。また、表の二をごらんいただきますとおわかりのとおり、営業用トラック輸送トン数輸送距離を掛け合わせた、いわばトラックの働きを示すトンキロ国内輸送全体の三六・八%を占めております。  それで、事業者数は表の四をごらんいただきますと、現在四万一千五十三業者がございます。この従業員数とか、それから車両保有台数、それから資本金規模などをごらんになっておわかりのとおり、中小零細業者が極めて多いということが申せます。それから従業員数は、表の六にございますように百十四万四千人、ここで最もメーン職種でございます運転者は八十二万四千人でございます。  それから、業界の売り上げでございますが、表五にございますとおり、営業収入は十兆円を超えております。車両整備事業が七兆円、それから不確かでございますが、パチンコ業界が十六兆円というようなことも伝えられておりますので、そら辺から業界の経済的なポジションを察していただければと思います。  労働力に関する実態を申し上げますと、運転者平均年齢は表七にございますが、ほかの営業用のタクシーでございますとかバスでございますとかそういうものに比べると平均年齢は比較的若うございますが、だんだんこれも年を追って高年齢化が進んでおるというのが実情でございます。特積みといいまして、昔でいいます路線トラックでございますね、路線を決めて営業所で積み合わせた荷物を運ぶという事業が大体四十・六歳、その他が三十七・六歳でございます。それから在職年数で申しますと、同じく表七にございますが、先ほど申しました特積みで十二・七年、その他で八・一年。採用率が一四・一%、特積み以外が一七・二%、退職率八・九%、特積み以外が一二・一%、いわば余り定着率がよくない事業でございます。  最近トラック運送業界におきましては、平成四年度以降特別積み合わせトラック一般トラックも非常に輸送量が減少を続けておりまして、非常に苦しい状況でございます。私ども適正な経常利益率を大体三%と考えておるわけでございますが、三%をはるかに割り、赤字転落という企業が非常に多うございます。  それから、御提言いただいた当時は非常に労働力の需給が全般に締まっておりまして、特にいわゆる三K職場と言われるところの人材入手離、これが非常に問題になったわけでございますが、現在景気の低迷によって輸送需要が大きく後退しておりますため、労働力不足の声は余り聞かれておりません。しかし、それは非常に恒常的にある運転者不足というのが一時緩和されたという話でございまして、他産業におけるがごとき雇用調整というような声は全然聞かれておりません。  しかしながら、メーン職種でございます運転者について見ますと、退職率が毎年約一〇%強あり、それを補充するために現状でも運転者が募集されておるというのが強うございます。中長期に見た場合でございますけれども景気が回復した場合には、バブル経済期ほどではないにしても労働力不足はもう絶対であろう、恐らくそれは一般産業よりも不足の度合いは強いであろうということが考えられます。  また、労働力人口の推移から見まして、二〇〇〇年を越えるころから若年労働者、これは若年といっていいのかどうかわかりませんが、十五歳から二十九歳のレベル、これが著しく減少すること、また三十歳から五十四歳の労働力も減少することによって労働力不足はかなり深刻になるだろうというように考えております。これは表八でお示ししておるとおりでございます。  それでは、そのように御提言いただいたときから、非常に魅力ある職場づくりをし、それから労働力を確保するということが我々にとって非常に必要なことであり、将来ともその必要性は減ずるわけじゃございませんので、どのようなふうに進んでおるかということを申し上げたいと思います。  トラック運送業界では、労働時間の短縮というのは主として今まで休日の増加ということで図ってまいりました。  まず週休二日制の導入について申し上げますと、表十をごらんになっていただきたいと思います。これは平成五年の五月の調査でございますが、月一回週休二日をやっておるというのが二五・四%、月二回が二九・二%、月三回が四・七%、完全週休二日制が六・八%。またその反面、週休二日制未実施が二三・三%となっております。それで、右の方に前回調査平成三年十二月に行いました調査と比較いたしますと、週休二日制が確実に進んでおります。  現在我が業界に適用されております法定労働時間は、百一人以上の事業場は週四十四時間、百人以下の事業場は週四十六時間でありますが、百人以下の事業場が多数ございます。週四十六時間はほぼ月一回週休二日制に相当するものだと考えております。  今後の週休二日制の拡充方策としましては、平成六年四月からの法定労働時間は週四十時間と想定されておりますが、これに対応して月二回週休二日制というものを当面の目標として業界を挙げて取り組んでおります。  それから、週休二日制の定着を図るため地域ごとに一斉休日、これは例えば第何土曜日であるとかというようなことを定めまして、それを設定して業界共同で取り組むという方向で進めております。  しかしながら、本質的な問題として当業界は典型的な受注産業でございます。したがいまして、顧客の理解協力なしには独自の休日の設定は難しゅうございます。時短促進法に基づく集団による労働時間短縮実施計画により、行政の支援も得まして週休二日制の拡充を図っております。現在十五の集団が承認を受けております。  それから、労働時間と並んで労働条件として非常に大きな賃金体系について申し上げます。  トラック運転者賃金は、作業実態によっても差異がございますが、歩合給、時間外給等変動給の割合が高うございます。平成四年度で大体五〇%でございます。表十一、十二にこの面を触れておりますが、年齢による格差が極めて小そうございます。  従来は、年齢に比べて若い方にとっては高給であるというようなことで、労働力の流動の中でこのような賃金制度が選考され、導入が図られてきましたけれども、現在では一般的に安定した賃金への志向が強くなりつつございます。今後は、定着性を高める方向での賃金制度の構築が必要と考えられております。  それから、職場環境改善とか福利厚生施設充実について申し上げますと、職場環境改善につきましては、事務所、詰所、休憩室、食堂など、施設改善荷役作業省力化機械化などを企業内において推進する必要がございます。  福利厚生施設充実については、企業内で充実を図る、あるいは地方トラック協会において地域内で施設充実を図る、例えば保養所であるとか運動場であるとかというようなことが考えられますが、私どもト協といたしまして、長距離運行運転者のための休憩施設として現在全国に三十四カ所のトラック駅と申しますか、トラックステーションと言っておりますが、こういった運転者が休憩し入浴し食事をとるというような施設を設けております。ほかに、福利厚生施設を二カ所設置してございます。トラックステーションについては、やはり連続運転時間との関係もございますので、今後ともさらに増設していく計画でございます。  それから四番目に、業界のイメージアップに向けて広報活動は非常に大事なことでございます。  広報活動には、私ども全日本トラック協会ばかりでなくて各都道府県トラック協会におきましても一生懸命やっております。ことしで二年目になるわけですけれども、十月九日をトラックの日、十、九というのをトラックとひっかけたわけでございますが、業界内でトラックの日と定めまして広く国民一般業界に対する理解と関心を深めるよう、全国地方とも各種の行事を実施しております。例えば地方において献血を行ったり、あるいは清掃キャンペーンを行ったり、各種催しをやったりということでございます。  それから、全国の小学校、中学校、高校、短大に向けまして、物流現状を紹介する資料等を配付しております。だんだん文部省の教科内容におきましても物流義務教育の中で取り上げるということがございますので、高校専門学校指導教師向け専門誌業界のPRと、それから広報実施しております。  それから、業界内の広報といたしましては、私どもで「トラック輸送情報」というのを旬刊で出しておりまして、これを全事業者に配っております。  五番目といたしまして、女性中高年労働力積極的活用ということが問題になります。  現在女性労働者が大体七千五百人程度全国でいらっしゃるんじゃないかと思います。やはり女性でございますので、いわゆる力仕事は不向きでございます。したがいまして自分で肩荷役をやらないでいいダンプの運転手をやっておられる方もおられます。それから、軽い物を運ぶという意味集配車運転をなさっているというようなケースがございます。  また、中高年労働力につきましても、荷役作業を軽減するということがやはりこれを進めていく上で大事なことでございます。これらの条件整備のための調査研究実施しております。  それから三番目に、労働力不足を補うための輸送需要平準化物流効率化、これにつきましては、運輸省の運輸政策審議会に対する諮問を受けての御答申もございまして、トラック運送事業にかかわる弾力的運賃、料金のあり方について御答申がございますので、これを受けて、多様化し平準化に役立つような運賃体系導入したいと考えております それから、物流効率化というためには、物流施設やそういったものの共同化ということが非常に大事なことでございます。全ト協といたしましても、乏しいお金の中で年間九十億円、労働力確保に関する設備投資に対しては三十億、そういったものについて利子補給を行っております。  また、中小企業輸送効率化のためにパソコンネットワークで、私は荷物を持っておるけれども車両がない、あるいは私は車両が余っておりますという情報を相互に連絡し合うネットワークをつくっております。これは協同組合単位でございますが、現在参加協同組合が百十五組合、それから関連事業者数が約一万三千業者に及んでございます。非常に景気がいいときは車がないという情報が多うございましたが、最近は二対八の割で荷物がないという情報が寄せられております。  これからはお願いでございますが、物流効率化投資に関する金融、税制上の支援措置拡充していただきたいと思います。  特に私ども、NO、の規制で新車に買いかえなきゃなりませんので、それに関する融資と、それから利子補給を行っておるわけでございますが、これが非常に財政を圧迫いたしております。何とか国あるいは公共団体低利融資でこれがカバーできるならば、私どもの自前の融資なり、それから利子補給をこういう労働力不足に向けての対策を講ずるような使い道ができると思いますので、これについてぜひ御理解賜りたいと思っております。  そのほか、物流効率化というためにはいろんな規制についてもお考えいただかなきゃいけない点があると思います。  例えば一例を申しますと、女子の労働について非常に労働基準法でいろいろな制約がございますが、これを緩めていただきたいということとか、あるいは共同化を図るといたしまして、やはりそのためにはどうしても土地の上に建物を建てなきゃなりませんので、それについてやはり、例えば市街化調整区域でそういうものを建てるという場合でも規制を緩和していただくとか、そういったような物流効率化のための規制緩和というものについてもぜひともお願いしたいと思っております。  それから最後に、モーダルシフトというものが非常に今もてはやされておるわけでございます。私どもモーダルシフトというのは大いに賛成でございます。  現在、やはり長距離トラック運転手というのは非常にトラック運転手の中でも嫌われておる職種でございます。要するに、やはり毎日うちから出てうちへ帰るという勤務形態をとりたいという考え方が非常に強うございますので、私どもは、道路を使うのと同様、鉄道なり船舶というものを使っていくことについては大いに前向きに考えたいと思うわけでございますが、非常に今輸送力が乏しゅうございます。なかなかそういうものを刮目すべき程度まで受け入れるというだけの鉄道なり船舶輸送力はございません。  私どもも、そういう状態でございますので、やむを得ず長距離道路輸送というものについてもやっていかなきゃいけないという状況でございます。したがいまして、モーダルシフトというのは恐らく二十年、三十年かけてインフラ整備をやって行い得るものだろうと思います。その間、トラック長距離運転するということについてはやむを得ざるものというように御認識願いたいと思います。  それから、私ども省エネルギーということから、メタノール車であるとかハイブリッド車であるとか、そういったものの走行試験あるいはパイロット事業としての導入、そういったことをいたしております。  以上、非常に雑駁でございますが、御説明を終わります。
  11. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) ありがとうございました。  それでは、大森参考人からお願いいたします。
  12. 大森均

    参考人大森均君) 全日本運輸産業労働組合連合会生活福祉部長を担当しております大森でございます。  本日は、この調査会物流問題、とりわけ魅力ある職場づくりといいますか、私どもが最大の目標にしております課題についてお取り上げいただいたことについて、お礼申し上げたいと思います。  まず、トラック運輸現状につきましては、今ほどトラック協会理事長の方からお話がありましたので多くは申し上げませんけれども、現実の問題といたしましては、国内貨物輸送量扱い量では九〇・五%、トンキロで換算いたしましても五〇%強という、文字どおり日本経済あるいは国民生活の大変重要な部分を支えているというふうに思います。  もとより、トラック輸送が重視をされてきました背景には、やはり利便性が高い、それからドア・ツー・ドアという、そういった意味での非常に便利なシステムであるということが普及をしたということと、また自動車そのものの技術の進歩、あるいは道路改善等々が重なりましてトラック運輸が伸びてきたというふうに思います。そういうふうな中で、今日の状況といたしましては、産業あり方国民生活の質的な変化等々がございまして、トラックを非常に重視した形での生産活動なり販売活動が行われているというふうに思います。  したがいまして、消費者ニーズの多様化にマッチしたような少量・多頻度輸送、あるいは無在庫の生産・販売方式というものも普及いたしまして一層トラック利便性が高まってきた、トラックの利用が深まってきたというふうに思っているのであります。そんなふうに見てまいりますと、トラックの果たしてきた日本経済の中における役割なり国民生活の向上、さらにまた地域における産業の振興にも大きな力を発揮してきたのではないか。  今日、日本全国平等にほぼ十二時間以内に荷物が届くというようなシステムができ上がってきているわけでありますけれども、そういった意味で私ども働く者といたしましても、トラック運輸の役割が大変重要であるということで誇りを持っているわけでありますが、問題は、今日のそういう状況といいますか、トラックの持っている利便性だけを追求できない状況が生まれてきているというのが問題ではないかなと思っております。  ちなみに幾つか挙げますと、一つは道路交通事情が非常に悪くなったということ、これは車がふえたということもありますけれども、非常に交通渋滞が慢性化しているという問題がございます。二つ目には、いわゆる石油エネルギーの大量消費による環境破壊の主要な原因をなしているという問題がございます。それから三つ目には、労働力不足というものがありまして、なかんずく運転者不足に非常に拍車がかかっているという問題でございます。  例えば道路交通事情を申し上げますと、東名高速道路あるいは名神高速道路といったような道路では大体一日五万台というのが初期の設計だそうでありますけれども、今日では約八万台から九万台走っているという完全に飽和状態でございまして、十二、三年前には東名高速道路は平均時速で夜間の走行キロが大体八十キロから九十キロ前後でトラックの輸送が流れておりました。今日では約百キロ前後で流れているわけです。つまり、流れというのは車全体がベルトコンベヤーのように流れているわけでありますから、文字どおりこの流れに沿って運転しないとかえって事故になる、こういう状況になっております。  そういった意味で、今申し上げたような三つの要因が重なりまして、結果としては輸送効率を非常に悪くしているというのがございます。同時にまた、効率が悪くなった分だけまた車を投入する、こういう関係がございまして、コストアップにまた結びついているというのが実態でございます。  これも業界団体で調べた資料でございますが、例えば銀座かいわいで集配、個別の配達をして歩く車がたくさん目につくと思うのでありますが、一日の集配件数が大体三十六件ぐらいでございまして、その間走行時間が百六十五分、駐停車時間が約二百二十分、合計三百八十九分ほどになるのでありますが、いかんせん車の走っている時間よりも駐停車の時間が非常に多いということ、つまりもう都市では渋滞は大変激しいわけでありまして、平均時速が大体東京では十五、六キロであります。大阪におきましても大体それに近いわけであります。  渋滞すればするほどサービスを維持するために車をさらに投入する、そういう悪循環になっております。したがいまして、増車しても効率は上がらない、あるいは増車すればするほどコストがかかる、こういう悪循環を招いております。それだけまたドライバーの数を確保しなきゃならないということでありまして、物量がそんなに伸びないにかかわらず車の量はふえてくる、ドライバーも増員しなければならない、しかし効率は上がらない、こういう悪循環を伴っております。これはすべてコストアップにつながるわけでありまして、そういう問題が今日のトラック重視の物流に大きなそごを来しているのではないかというのが現実でございます。  とりわけ環境問題の解決には省資源・エネルギーという立場からの問題もとらえなければなりませんし、つまりトラック規制するというだけで環境問題が解決するものでもないということであります。また労働力問題につきましては、労働者にとって本当にこのトラック運送が魅力ある職場になっているのかどうか、こういった観点の改善策が必要ではなかろうかというふうに思います。  こういった諸問題につきましては、既に平成二年十二月に運輸政策審議会におきまして答申がなされております。二十一世紀に向けた物流あり方、あるいは労働力確保あり方ということについて答申が出ているのでありますが、この中にはかなり私どもも大きく賛成していかなきゃならない要素がいっぱい含まれておりまして、大いにこれの実効を期待しているのでありますが、まだまだ問題を抱えております。また、平成四年三月には、陸運業労働力確保懇談会というのが労働省にありまして、ここで陸上貨物輸送の運転者をどう確保するかということについていろんな角度から御検討がなされて、これまた一定の報告がなされております。  そういった意味物流あり方物流が今日の労働力不足その他諸般の状況によって大変行き詰まりを来している、これを打開する方策として関係省庁の間において御検討をいただいておるのでありますが、現状はなかなか進んでいないというのが実態でございます。  また、私どもが問題にしております労働時間短縮の問題、さらにまた過積み問題とか過労問題ということにつきましても大きな社会問題になっているのでありますけれども、これまた部分的に取り上げて解決できるというような生易しい問題ではございません。  今日、営業用自動車、トラックの事故件数は大体年五%前後の割合でふえております。私ども運輸労連も毎年事故の発生状況調査しているのでありますが、大体事故の四分の一は追突事故であります。御承知のように、近ごろのトラックというのはボンネットがないわけでありますから、追突即人身に結びつくという事故でありますけれども、この追突事故がここ五、六年の間ほとんど減っていないということであります。したがいまして、追突即人身ということでこれまた事故全体の二三%が人身事故を伴っております。これにつきましても、事故防止ということは大変社会的に大きな問題であり課題であるんですが、じゃ、どこをどうすれば事故がなくなるのかということではほとんど手がつけられていないというのが実態であります。  同時にまた、もろもろの問題をどう解決するかという場合に一番大きな問題は、やはり料金、運賃の問題でございまして、職場環境改善するにいたしましても時間短縮にいたしましてもすべてこれはコストアップにつながってくる。そのコストアップを賄うだけの運賃、料金がいただけるのかどうか、こういった問題も立ちはだかっております。  具体的に少し賃金労働条件実態を申し上げて御理解いただきたいのでありますが、資料の方から説明をさせていただきますと、まず資料八ページは労働時間の現状でございます。平成三年の労働資料によりますとこのようになっております。  労働者一人平均では年間休日が百五・七日でありまして、一企業平均では九十三日になっています。私ども運輸労連が調査をいたしましたところでは、運輸労連加盟組合約五百あるのでありますけれども、この平均が八十八日であります。労働時間につきましては、労働省統計では平成四年が総労働時間で全産業平均が千九百七十二時間、二千時間を切りました。道路貨物運送業では依然として二千四百時間近くございます。八ページの右のグラフをごらんいただければおわかりのように、道路貨物運送業の所定内時間と全産業平均の総労働時間がほぼ平行になっておりまして、こういう実態でございます。  しかし、実はこれは表向きの資料でございまして、トラック運送業というのは正直申し上げて労働時間管理が非常に難しい産業であります。したがいまして、多くの企業賃金歩合給制が入っております。労働時間、時間外手当だけで賃金が払われるのではありませんで、歩合給があります。  労働時間もこれまた非常に不確定要素が多いために、実時間管理ではなくて標準時間方式ということでありますから、例えば東京から大阪まで二泊三日かかるのでありますけれども、何時間残業時間が出てくるかということは実時間ではなくておおよその見当で時間が決められております。したがって、最近のように時間短縮が大きく叫ばれてくるようになりますと、名目上は時間短縮が進められます、これは。例えば東京-大阪、実際は何時間かかるんだけれども何時間に標準のダイヤを組む、こういうことができるわけであります。そうすると、表向きは時間外時間が出てきません。しかし、実際は一カ月の走行キロというのは変わらぬわけでありまして、そういう問題などが実は根っこにあります。したがいまして、実際上のドライバーの労働時間というのは私ども調査では大体二千七百から二千八百時間というふうになっております。  次に九ページでございますけれども賃金はどうかと申しますと、これは九二年の男子労働者の業種別比較でありますけれども、年間所得でございますが、全産業平均が夏冬の一時金を入れまして五百七十万四千円、こうなっております。道路貨物運送業は四百六十四万三千円でございまして、この差が約百万円ございます。これを時間当たりに割ってまいりますとどうなるかといいますと、全産業平均が一時間当たり二千七百六十一円に対して、道路貨物運送業は千八百八十八円、こういう割合でございまして、この割合は過去何年間ずっと変動しておりませんというのが実態でございます。  さらに年齢別ではどうかということを見てまいりますと、資料十一ページにございますけれども、これは労働資料をもとにしてあるのでありますが、御案内のように、トラック運送業というのは中小企業が多いわけでありますかう、全規模平均で見ることに少々無理があるということで、ここでは千人以下のところをピックアップしてあるのでありますが、千人以下のところの実態トラック運送業の職種別の賃金を見ますと、これは所定内賃金でありますが、このようになっております。つまり、三十五歳まではトラック運送業の賃金が高いわけであります。しかし、三十五歳を過ぎると極端に格差が出てまいります。なぜこういうことになるかと申しますと、賃金制度が固定給中心ではなくて歩合給中心であるからこそこうなってくるわけでありまして、同時に昨今の人不足の関係で若年者に賃金の比重がかかってまいります。どうしても中高年者が割を食う結果になります。  十二ページをごらんいただきますとわかりますように、これは全日本トラック協会賃金実態調査に基づいているのでありますけれども、固定給は五〇%以下であります。あとは歩合給と時間外手当等々になっておりまして、このようになっているのでありますが、ここで一つ問題がありますのは、トラック運送の賃金というのは一定の時間外労働を前提にした総額賃金になっています。つまり時間外が恒常化していますから、恒常化した時間外手当が月例賃金としてほぼ定着をしておりますから、例えば春の賃上げ交渉において一万円の賃上げが行われたといいましても、その一万円は時間外手当六十時間分が入った一万円と、こういう仕組みに実はなってくるわけであります。したがいまして、その辺がこの賃金体系上の問題として残っております。  でありますから、中高年者の場合にはいわゆる歩合給がなかなか体力その他によって稼げなくなってくるという問題などがあります。したがいまして、十三ページにありますように、高卒男子をピックアップいたしましても、これは労働資料でありますけれども、三十五歳を境として賃金カーブが出てくる、こういう現状でございます。いずれにいたしましても、長時間労働であるということはもう紛れもない事実でございますけれども、長時間労働の割に賃金が低いというこれが人不足の大きな原因を来しております。  同時に、それだけじゃなくて、次に今度は日常的な生活環境はどうか、十四ページをごらんいただきたいのでありますが、これは私どもが一九八九年に生活実態調査というものを行いまして、大変多くの項目があるのでありますが、この中から三つピックアップしてまいりました。  一つは、休みの日に何をしているかということでありますが、ごらんになるとおわかりのように、約四〇%の方がともかく体を休めているということであります。この中には職種が分かれておりますけれども職種によっては、例えば「運転・長」とありますのは長距離ドライバーのことでありますけれども、四七%の人がともかく休みの日は体を休める日にしているということであります。  それから十二の、家族とゆっくり話し合うことがあるかということでは、二八%の人がほとんどないということでありまして、たまにあるということを合わせましても約五〇%の人が家族とも十分話を持つことができない、そういった環境に置かれているわけであります。  さらに、健康管理の問題としては、どういう病気を持っているかということは、ここにありますように胃腸障害を持っている、あるいは腰痛を持っているという人がかなり多いという結果でございまして、それやこれや考えると、やはりかなり過労の蓄積がドライバーにはあるのではないかということでございます。  十五ページでは、これは東京都立労働研究所の調査した内容でございますが、運転者の高齢化が目立っております。先ほど理事長の方からもお話がありましたけれども、大体大型運転者平均年齢は四十歳を超えております。しかも、年々高齢化が進んでおりまして、これも運輸省の調査があるのでありますけれども、いわゆる大型運転のできる、大型免許を持ったドライバーの数が減っておりまして、高年齢化の山が大体五歳ごとに移動していくというのが現状でございます。いずれにいたしましても、大型運転者になるということ、つまり大型車に乗るそういった人たちが年々減っているというのが現状でございまして、こういったところにも問題があります。  さらに、十五ページの右下のグラフがありますが、いわゆる走行キロ別、これは一日の走行キロでありまして、大体今トラック運転者長距離ドライバーの場合は月間約一万キロから一万二千キロハンドルを握ります。近距離におきましても大体一カ月五、六千キロはハンドルを握るわけでありますが、つまり遠距離を常時運転している人ほど運転の限界年齢が低くなってくる、こういうデータでございます。  いずれにいたしましても、今申し上げたように、なぜ人が不足してきたかという背景はもろもろの要素がありまして、どれ一つとってもそれは簡単にいくものでないわけでありますが、そういう問題を抱えているという一つの実例でございます。  また、福利厚生等も大変におくれをとっておりまして、これは日経連調査があるのでありますが、日経連調査によりますと、大体従業員一人当たり一カ月七万四千五百円の福利厚生費が使われている。そのうち法定外費用と言われるものが約二万六千円でありますが、この業界では法定外費用は約一万三千円というのがある団体の調査にあります。つまり長時間労働であって低賃金、その上に福利厚生が不十分であるという、すべての条件が悪い方向に重なってトラックドライバーの不足を来しているというのが実態でございます。  そういう現状でありますから、これをどう改善するのかということは大変大きな課題だろうと私どもは思っております。まず一つは、どういうところが問題か、改善しなければならないかということでありますが、まずは魅力ある職場づくりをともかく進めなければならないというのがございます。これはもう言うまでもなく労働時間短縮であり、また賃金改善や福利厚生の改善でありますが、この場合何が必要かとなってまいりますと、これはやはり運送業だけの問題ではないわけであります。企業内の労使だけで時間短縮はなかなかできないわけであります。すべて荷主といいますか、お客様の御意向を無視できないという実態があります。  最近では製造業を中心として週休二日が進んでおりますから、土曜の荷物が少なくなったとか日曜の作業が減ってきたということはございます。しかし、土日の業務が減った分だけウイークデーに今度は荷物がふえてくるわけでありまして、それをどうさばくのかということになってくると、やはり短い時間の間に密度の高い仕事をしなければならないということがございます。  今日までは長距離の場合で言いますと、大体東京-大阪間六日二運行でありましたが、今は五日二運行あるいは四日二運行にしなければならない、こういうシステムができ上がってまいります。したがいまして、労働時間短縮というのは一体トラックの場合にはどういうスタイルの時間短縮が可能なのか、こういった悩みに一つ突き当たっております。  したがいまして、そういうもろもろの問題を解決するに当たって非常に大事なことは、やはり物流のシステムというものをもう少し社会的なとらえ方をしなければいけないのではないか。荷主側における物流は、荷主側の販売促進とか生産とかという形でとらえられる。しかし、それを受ける側は、今度は道路が職場であったり、あるいは天候が問題であったり、いろんな外的条件に影響されるわけです。したがいまして、荷物を出す側、受け取る側は社会システムとしての物流を考えるのではなくて、みずからの販売とか生産とかという立場からトラック運送をお考えになる。しかし、我々受ける側はシステムとしてはあるわけでありますから、ここに大きな矛盾が生じているわけであります。したがいまして、そういった観点からするならば、賃金労働条件改善あるいはもろもろの魅力ある職場づくりのためにはどうしでも一定の社会的規制というものが必要になってくるのではないかというふうに考えております。  先ほど申し上げました平成二年の運輸政策審議会答申の中には、そういう意味労働条件改善に向けた一定の規制が盛られております。また、新しく制定されました物流二法の中にも営業の自由化、参入の自由化が認められた、その反面で安全確保なり過労、過積みの防止という観点で社会的規制が幾らか強められております。しかし、まだまだこれは弱いわけでありまして、この業界の体質として非常に中小零細が多いということでありますから、荷主の側におけるところの要求をほとんど拒否できないという実態が、そういう社会的規制が盛られていてもなおかつ守れないというのが現状になっています。  そういった意味で、今後さらに事業規制の緩和は進むと思います。また、事業規制緩和は私どもも進めるべきだと思います。しかし反面、そこに従事する労働者に全部そのしわ寄せがいったのでは、これはこの産業自体の問題になってくるという点で、これの改善が必要ではないか。言うなれば、労働条件に関する社会的規制はむしろ強められなければいけないのではないかというふうに思います。  最後に、そのためにも物流というものをもう一回見直さなければいけないのではないか、つまりこのトラック重視の、トラック偏重の貨物輸送であっていいのかどうかということでございます。環境問題、交通問題あるいは今申し上げました労働力問題等々、すべての角度から見て余りにもこのトラック重視の貨物輸送というものがもたらす社会的弊害が多いのではないか、この辺はやはり見直す必要がある時期に来たのではないかというふうに思います。  もとより、これにつきましては、運輸省あるいは通産省その他いろいろのところで、鉄道を利用する、あるいは海運を利用するといった形でのモーダルシフトを主体とした物流の見直しが提言されておりますが、実態は、このレールに貨物を載せるということは物理的にもはや不可能な状態にまでなってしまっております。港湾の問題あるいは船の問題にしましても、今トラックが運んでいる荷物の一〇%、二〇%すらも鉄道や船でカバーし切れないという実態でございます。とすると、結局はやはりまたトラック荷物が戻ってしまうという現状があります。そこのところの悪循環をどこで断ち切るのかということも、これは我々業界の問題だけでなくて、行政面を含めた国全体の問題ではないか、課題ではないかというふうに私は思います。  同時にまた、もう一つは、都市における物流インフラの整備なども十分に行っていかないと、これは物流コストの上昇を招くだけでなくて都市交通自体が麻痺をしてしまうというのがございます。今日多くのところで新しいビルが建設されております。先般、東京都庁が新しくできました。しかし、あそこに貨物を出し入れするという装置は実はないわけであります。エレベーターも人間中心でありまして、いろんな要請によってようやく都庁の建物の中のエレベーターが二基ほど貨物を載せてもいいということになったようであります。  例えばJRの駅前へ行きましてもデパートヘ行きましても、どこへ行きましても人の出入りに関してはきちんと整っております。バスターミナルがある、タクシーのとめる場所がある。しかし、貨物を積んだトラックの入る場所はどこにもないわけであります。駅前再開発の場合に一体貨物の流通をどう考えるのか。駅の構内にたくさん売店があります。一体この売店に運ぶ荷物をどこでどうするのかということは、実はどこにも計画がありません。こういったところの、いわゆる物流を余りにも軽視したシステムが今日でき上がってしまっているという、これをどうするのかという問題が実は私どもトラック協会とも同様に大きな悩みになっております。  いずれにいたしましても、そういう問題の改善こそが私は日本の国民生活のより近代化、あるいは産業のより合理的な発展に結びつくのではないかというように思います。そういった点をひとつぜひとも御検討いただいて、前進した前向きな物流政策が出されますことを御期待申し上げて、終わります。ありがとうございました。
  13. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) ありがとうございました。  それでは、岡田参考人からお願いいたします。
  14. 岡田清

    参考人岡田清君) 成城大学の岡田と申します。  私に与えられましたテーマは、二十一世紀に向けての物流戦略ということでございます。非常に雑駁な話になろうかと思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。  最初に、ちょっと教科書的という言い方をするとあれですが、既に先生方十分に御承知のことだろうと思いますけれども、話の順序としてちょっと基礎的なお話をさせていただければというふうに思います。  我が国に物流という言葉が定着するようになりましたのは昭和三十四、五年のことでございます。それまでは物流という言葉はございませんで、一般の商業的な取引を商流と言って、それに関連して輸送であるとか保管であるとか、そういうふうなことを物流というふうに呼びました。したがって、スタートは商流に対する言葉として物流というふうに呼ばれておったわけであります。  それでは、物流というのはどういうことかといいますと、これは輸送とそれから保管、倉庫業がやっております保管業、この二つが非常に大きな産業を形成をしております。先ほどお話にございましたが、トラック産業もそうでございます。  それに附帯をいたしまして、輸送のためには包装、パッケージングが必要でございますので、昭和三十年代ぐらいまでは木材による梱包が中心でございましたが、今ではこれが簡素化されて大半が段ボールによる包装に変わってまいりました。そういう意味で、附帯的な事業もそれなりに革新的な変化を遂げてはまいりました。  それから、荷役ということでございますが、荷役はこれは昔から職人労働で、港湾には港湾荷役、駅頭には駅頭荷役と、必ずその到着地には荷役がございました。これはかなり激しい労働でございまして、海運でいいますと船内荷役というのは大変な労働であったわけでありますが、そういうふうな荷役作業というのがございます。  それから、情報による事業所間の連絡であるとか文書事務であるとか、そういうものをひっくるめまして情報と呼んでおります。  したがって、包装と荷役と保管と輸送と情報、この五つ、これを物流の五つの機能というふうに呼んでおります。当然のことながら、それがすべてコストがかかっているわけでありますから、この五つのコストを足して物流のトータルコストということで呼んでいるわけであります。  もう一つ確認をお願いしたいことは、輸送といいましてもあるいは物流といいましても非常に範囲が広うございます。  外国から鉄鉱石を輸入をいたしましてこれを溶鉱炉に持ってくる、こういうふうな原材料の物流のことを調達物流というふうに呼んでおります。調達物流はどうしても大量輸送でございますので、中でも我が国の場合には外国に原材料を依存する度合いが非常に高いということで、これは外航海運なりあるいは内航海運なりによって輸送が行われております。それから、割に無視できませんのが加工物流、あるいは一部では生産物流と呼んでおりますが、工場の中あるいはそのちょっとした拠点の中の物流がございます。そういうふうなものを加工物流。それから、製品になりましたものが小売店に行きまして、これが販売されます。その場合の物流、それに関連する物流を販売物流というふうに呼んでおります。  したがって、調達物流と加工物流と販売物流、押しなべて言いますと、調達物流は大量輸送で海運なり鉄道なりを使って輸送しております。加工物流、これは工場内が主でございますので構内物流と言ったりして、この点もやはり相当機械化が進んでおります。  何はともあれ、やはり一般に我々が物流と狭い意味で言います場合には販売物流メーンでございます。商品をメーカーならメーカーの庭先から特約店なり小売店なりに届ける。その届ける過程でどれくらいの荷姿あるいはどれぐらいのまとまりぐあい、ロットと申しますが、荷姿、ロットが非常に複雑でございます。この点が旅客輸送と根本的に違うところでございます。いろいろな手間がかかるわけであります。そういうふうな関係から販売物流、これがいろいろな意味で進化してまいりました。  この点もちょっと申し上げておきたいわけでありますが、昭和三十年代は自動車輸送が非常に活発化してまいりましたので、自動車輸送と鉄道輸送のようなものを一体化する、これをユニット化と呼んでおりますが、ユニットにして運ぶ。そのユニットの道具がコンテナであったりパレットであったりするわけであります。  したがって、昭和三十年代はユニット化の試行時代、何とかユニット化できないのかということで、ドアからドアまで、つまり荷主の庭先から着荷主の庭先まで途中で荷崩しをしないでドア・ツー・ドアの輸送ができないか。これを当時の言葉では協同一貫輸送と呼んでおりました。そういう意味で、コンテナ化というのはその後大きく花を開きまして、現在ではコンテナ化が相当進んできております。これは特に鉄道の五トンコンテナを初めといたしまして、海上コンテナ、あるいは最近では自動車ごと船に積んでしまおうと、フェリーであるとかローロー船であるとかいうふうなものを使ってユニット化された輸送が一般化するようになりました。これが最初に出ましたのが昭和三十年代と申し上げてよろしいかと思います。  昭和四十年代でございますが、これは高速化の時代というふうに申し上げてもよろしいかと思います。と申しますのは、名神高速道路が全通いたしましたのが昭和四十年でございます。それから、東名高速道路が全通いたしましたのが昭和四十四年のことでございます。こうして長距離高速輸送が可能になる、これはある意味ではトラック輸送鉄道輸送が競争の時代に入ったという側面も持っております。鉄道もフレートライナーという高速直行の輸送を導入いたしました。  しかしながら、やはりトラック輸送利便性が非常に高いということから、高速道路時代にマッチする。昭和四十年代の半ば以降はトラック長距離輸送が広く行われるようになりました。これは九州なり北海道から生鮮食品が大都市に向かって上ってまいります。下りの方は、大体家電であるとか雑貨品、化粧品、医薬品、そういうふうなたぐいのものが全国に散らばっていく。こういうふうな大ざっぱな展開がこの高速化時代を支えてきたわけであります、  昭和五十年代になりますと、システム化時代というふうに申し上げておきたいと思いますが、輸送もだんだん多様化してまいります。宅配便が出るとか、あるいはそうなりますと少量貨物がどうしてもふえてまいりますから拠点整備が必要になってまいります。そういうふうなところから、物流拠点というものにつきまして急速に関心が高まってまいります。流通の方でも卸売業がだんだん衰退をしてきまして、メーカーと小売業が直結するような有名な流通革命と呼ばれるような現象が出るようになります。これはそれ以前から出ているわけではありますけれども、そういうものが急速に進んだ、これがやはり物流を変えていったわけであります。  昭和六十年代になりますと、これは先ほど来お話がございますように、物流に対するさまざまな制約が出ておりますので、一応制約の時代というふうに申し上げておきたいわけであります。  第一番目は環境制約、それから労働力制約あるいは道路空間の制約、そういうふうなものが物流業に対しまして非常に大きな足かせ手かせとなって、コストを上げ効率を下げるという展開になってきたわけであります。その頂点になりましたのがバブル経済であります。そういうふうな関係から、波動性にいかに対応するかということもやはりこの物流業にとりましては大変大きな課題であったわけであります。  中でも、制約下での物流ということになりますと、流通革命によって小売業をとりましてもスーパーマーケットが急速に拡大するあるいはコンビニエンスストアが出る、こういうふうなことから、とにかく時間どおりに着ける。それまでの荷主あるいはメーカーさんの場合ですと、一たん輸送業者に商品を渡してしまえばこれはそこでおしまいということであったわけでありますが、だんだん競争が激しくなってまいりますといろんな商品を生産されるようになります。  これを製品差別化と呼びましたりあるいは経営の多角化と呼んだりいたしますが、ある食品メーカーさんは生産しております商品が実に七千五百アイテム。一品一品を全部アイテム数であらわすことが普通になっておりますが、例えばあるビール会社をとりましても、ビールといえば一つの商品かと思いますと実に四百アイテムの製品を生産しております。そういうふうになりますと、この配送が非常に複雑化してまいります。需要のパターンも違ってまいります。  例えばプレハブ業界なんかをとりましても、これは部品をそのまま工場からある拠点まで運びまして、ちょうど大工さんの仕事に間に合うように、しかも商品の順序よく、大工さんの仕事をじゃましないように順序よく運ぶというふうなことも必要になってまいります。そうしますと、この部品数がまた何千点とございますからこれをまたちゃんと勉強していなければ、それまでのような運転ドライバーというだけでは事が済まないということで、商品知識を持たなければドライバーとしての機能が成り立たないというふうなことにもなります。  それまでの物流といいますと、いかにコストを安く輸送するかということが課題でございましたけれども、商品の販売競争に勝てる物流、そんなところから多頻度配送、少量配送、極論いたしますとビール一本をすぐ配送してくれ、こういう注文が参ります。それをまた配送しなければいけないとか、そういうふうなことになりますと、都市の道路混雑の問題、さまざまな問題がそれに関連して出てまいります。  そんなところから、荷主筋の方でもその点に非常に危機感を覚えまして、荷主自身があるいはメーカー自身が自分でみずからの拠点整備をして流通センターをつくり、しかも非常に近代的な流通センターをつくりまして、商品の品種が多くなりますとどうしてもこれを、ピッキングと申しますが、一つ一つをつまみ出してまとめてこん包しなければいけない、そのピッキングシステムのようなものをとりましても、これも自動化するようになりました。非常にその意味では物流機械化というのは、荷主の拠点施設の中では目の覚めるような機械化が進んでおりまして、これは恐らく狭い知識で申し上げますと世界でも冠たる能力ではないかと思います。  それぐらいに物流の拠点整備を荷主自身がおやりになる。そうしますと、どうしてもやはりみずからの配送をどういうふうに効率化するかということが目的化いたしますから、例えば名古屋の人口を仮に二百万といたしますと、二百万の中に小売店が何店ある、そこからPOSシステムで注文が入る、何時何分にどういう注文が入った、それをピッキングして品ぞろえをして何時何分に届ける。こうすることが販売政策の重要な戦略になりまして、そこからこの販売拠点に向けて時間どおりに、しかもロット、荷姿その他のことがバランスよく届けられる。そうしますと、この販売戦略と物流が一体化をいたします。  そんなところから、最近では物流という言葉から、経営戦略の一部として物流が大きく認識されるようになりました。物流という言葉がロジスティックスという言葉にだんだん変わろうとしております。ロジスティックスという言葉は、既に御案内のように、これは戦争用語でございまして、軍事用語でございまして、昔は兵たんと日本語では言っておりました。せんだっての湾岸戦争の場合でも、ロジスティックスで勝つか負けるかということが大きな課題でございました。兵員が一人戦いますのに、その背後には百人の補給作戦が必要であったと言われております。  こうしますと、ロジスティックスという言葉は補給ということでございますから、一言で言えば裏方でいかにフロントの作業を助けるか、言いかえれば小売業が販売をいたしますのをいかにして裏方で支えていくかと、その意味でビジネスロジスティックスという言葉が定着をいたしました。言いかえれば、消費者のニーズあるいは小売店のニーズに合わせていかに効率的に輸送するか、こういうことを考えるようになりました。  そうしますと、どうしても販売戦略ということと物流戦略は一体化いたしますので、平たく言いますと、そういうふうな経営管理の一部の中に物流ということが大きく入り込んだ、これが最近の姿でございます。かつては輸送課長さん、物流課長さんが物流を支配しておりましたが、ほとんどが、今では重役さんが物流にちゃんと目を光らせているというところまで行っております。そういうふうなことが起こりました。現在では業種にもよりますけれども、まちまちでございますが、非常に物流ということに関心が高まってまいりました。  時間の関係もございますので、大急ぎで次の問題に移らせていただきたいと思いますが、きょうのところは幹線物流の話はちょっとお話しする時間もございませんので、二十一世紀に向けてどういうことを中心に考えていくべきかという点を中心にお話をしてみたいと思います。  何はともあれ、現在、日本の産業あるいは地域経済、そういうものの都市化ということが急速に進んでおります。これはもう東京への一極集中のことだけではございませんで、恐らく二十一世紀にかけても都市化ということはさらに進んでいくだろうと予測されます。そうしますと、都市物流ということでございますが、これがいろんな問題を抱えております。  既に昭和四十年代に流布法という法律ができました。これは大都市の近辺に流通拠点を設けて、郊外のような周辺部から都心にトラックで貨物を運び込むというのが精神的な基本的な考え方であります。そこら辺につきましてはいろんな議論がございました。大量に都市の中に一たん運んで、そこで都市の中で小分けをして運んだ方がいいという視点と、それから、いや郊外部の方まで大量に運んできて、郊外から集配者別に都市の中の配送をする方がいいと、この点はまだまだ意見が十分に一致しているとは思いませんけれども、それぞれに長所あるいは短所がある。  この点は、かつて東京湾に六億トン限界説というのがございました。これは昭和四十七、八年の好景気の時期でありますが、大量に東京湾に入ってまいりますと、六億トン以上はもう入らない。したがって、大洗港を使うとかあるいは神奈川県の方に港湾をつくるとかそれからその港湾の拠点から東京の中に外側から攻めて入る、こういうふうなことが構想された時期がございます。  そういう意味では、大都市物流というものを考えます場合に、どういうふうな物流拠点の配置をするのかという点が第一点でございます。  第二点は、各荷主が個別にみんな物流施設をお持ちになる。ビール会社は四社ほどございますけれども、それぞれがみんな自分で物流施設をお持ちになる。そうすると、あるいはトイレタリーグッズにしましても医薬品にしましてもみんな個別に物流拠点をお持ちになる。現在では東京の近辺でございますと十六号沿線、これは非常に大きな物流地帯になっていますが、今でも土地の買収が相当需要が高まっているというふうにも聞いております。そこで、早く物流拠点を整備して、そして都内の配送を時間どおりにちゃんとやる。まさにジャスト・イン・タイムあるいはかんばん方式で配送する。これをやりませんと販売競争に乗りおくれてしまう、こういう危機感をお持ちになっているメーカーがたくさんおられます。  同じようなことは、最近は素材系の産業につきましても同様に起こりまして、機械工業が産業の中心になればなるほど部品の流通が大変大きな課題になります。例えば、ガス会社の部品の輸送の問題とか、あるいは鉄鋼製品でも二次製品、三次製品のようなものの流通の問題であるとか、そういうふうな問題がさまざまに問題になります。  したがって、もし周辺部、都市の郊外まで大量に運んできて、都市内に、しかも各会社メーカーごとの物流施設にばらばらにどんと配送が行われる状態をお考えいただきたいわけでありますが、そうしますとこれは道路容量との関係上、大混雑が起こるとか、あるいは環境問題が起こる。したがって、もしできることであれば、大量に都心に持ち込んで、そしてできるだけ端末輸送を少なくする、こういうことが本当は望ましいわけであります。  その意味では、現在のところはこれを整備する、コントロールするシステムがございませんので、ちょっと大げさに言いますと、大都市物流はまさに大混乱の状態にあるというふうに申し上げてもよろしいかと思います。自由放任という言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、それにしましても都市内物流の問題というのは今後とも残り続ける大きな課題であろうというふうに思われます。  物流拠点を公的な整備にゆだねるかあるいは私的な自由にゆだねるかという問題は、今後とも大きな課題であり続けるだろうというふうに思われます。何とかその辺を集約化して共同化できないのか。これは先ほど来の先生方からのお話にございましたように、今後もやはり大きな課題であり続けるというふうに思われます。  一方、荷主の方といたしましては、自分の商品が今どこどこにあるとか、どこまで配送されているとか、災害のときにはどうなっているとか、せんだっての九州災害の場合もJRの列車がとまって、どこにとまっているかという情報がなかったということで荷主筋からの非常に強い不満が出されておりましたが、現在では、宅配便にしましても、留守でありましてもすぐぱっと連絡すると、その辺をぐるっと回っておりましてもちゃんと届けるようになるとか、そういう意味では情報が車上情報、これは無線を使ったりして相当整備されました。しかし、道路のどの辺をトラックが走っているか、これは路車間情報と申しますが、そういうふうな情報システムはなおさらに推進していく必要があろうかと思います。荷主にとりましては貴重な財産であり商品であるわけでありますから、これにこたえるためには情報化はなお一層進めるべきであろうというふうに思われます。  労働環境につきましても、これは先ほど来るるお話がございましたように、何はともあれ嫌われますのは荷役であります。積み込みに非常に労力を要する。しかも、若者の体力は落ちている。例えばビール会社のラックの重さも、三十キログラムぐらいをひょいと抱え上げることも若者がだんだんできなくなる、そのためにラックの大きさを二十キログラムぐらいまで下げるとか、それなりに努力はされているわけでありますが、できるだけやはり荷役を機械でもって自動化できないだろうか。いろんな貨物の種類がございますので、これを全部というのはなかなか難しいかと思いますが、これは女性労働の活用その他の観点から見ましても、荷役の改良というのはなお一層進めていくべき大きなテーマだろうかというふうに思っております。  最後には、既に二人の先生からお話がございましたように、モーダルシフトということでございます。  これは幹線物流に主として対応するわけでありますが、鉄道は昭和四十三年が二億トン運んでおりました。今ざっと六千万トンでございます。そのうちの四千万トンが車扱いだということで、あとの二千万トンぐらいがコンテナであります。コンテナ輸送はどうしても五トンコンテナが中心でございますので高速直行、北海道向けあるいは九州向けに広く使われているわけであります。しかし、何分にも輸送力がございません。そのために、モーダルシフト推進は専用鉄道を建設しないまでも、その鉄道のキャパシティーをいかに高めるかということは今後の大きな課題でございます。  港湾整備あるいは内航海運の問題にしましても、まだまだ改善の余地があろうかと思います。  内航海運につきましては、これは大半が生産財物流が中心でございまして、鉄と石油が大体の中心であります。それ以外にケミカルの問題、石灰石、セメントあるいは紙の問題、そういうふうな輸送をやっておりますけれども、これは内航海運の場合には大体四九九、一六と言っていますが、四百九十九総トンの一千六百重量トン、これで輸送をしております。しかしながら、一方で一杯船主というのが大体半分ぐらいございまして、その人たちがいわば生業的に家族経営で経営しているという一杯船主が半分ぐらいございます。こういう人たちがこの日本の重要な産業物流を支えているという現実をぜひとも直視していただきたいと思うわけであります。  トラックの場合も同様でございますが、大企業のメーカー物流が下請下請と回って、物流業者がそれを支えている。その大半が中小企業であって非常に厳しい労働を強いられているというふうに考えますが、その辺を何とか少しでも機械的あるいはシステム的あるいは労働改善その他で改善することができればと、これは二十一世紀に課された大きな課題だというふうに認識しているわけでございます。  時間が来たようでございますので、以上、非常に雑駁でございましたけれども、大ざっぱに物流についての考え方を御説明いたしました。  以上でございます。
  15. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) どうもありがとうございました。  以上で三人の参考人からの意見聴取は終わりました。  これより三人の参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 南野知惠子

    南野知惠子君 お三人の先生から、それぞれに含蓄のあるお話をお聞きすることができました。大森先生、沼越先生ありがとうございました。さらに、岡田先生からは歴史をひもといていただきまして流通というものを学習させていただいたわけでございます。私は、流通という問題については素人でございますけれども、多少の質問をさせていただきたいと思っております。  まず最初に、流通部門におきます魅力ある職場づくり、そういった問題につきましては、どの職場におきましても今労働人口が少なくなりつつあるとか、また職場に魅力がないとか、いろんなことが言われておりますが、魅力ある、また働きがいのある職場づくりといいますことは労使ともに大きな努力課題であろうかというふうにも思われます。  特に流通部門におきましては、今いろいろと御説をお伺いいたしましたが、荷役作業、それが大変きつく、深夜の運転または長時間運転、そういった意味では労働が過重になってくるようなことがございました。また、流通部門は他の産業と比べてコストの面でもいろいろと差が出てくるようでございます。特に流通産業に働く方々の固定給というのが低い。それは歩合だとか時間外手当などに依存する感が大変強いということをお聞きいたしました。  また、お言葉の中ですっとお聞きできたんですけれども、年金制度の問題または退職金制度の問題などについても、これはどのような形で充実ということがあり得るのかどうかということもまたお示しいただきながら魅力ある職場とするためにはどのような条件をさらに整備する必要があるのだろうか。お伺いできたことはございますけれども、さらに教えていただきたいなと思っております。  沼越先生、大森先生にお願いしたいと存じ上げますので、よろしくお願いいたします。
  17. 沼越達也

    参考人沼越達也君) 魅力ある職場づくりということについては申し述べたとおりでございますけれども、やはり一番問題は労働時間だと思います。  説明の中で申しましたとおり、労働時間を短縮するというためには休暇をふやすということが一番の捷径でございます。これは何も週休二日だけに限りません。例えば年末年始、これも荷物をいつまで受け付けて、新年の荷物はいつまでということ、要するに休止期間、それを延ばすということだけでもかなりなことはできます。それからお盆の休暇、これをどの程度とるか、こういったこともやっていかなきゃいけません。  それで、一般的に言えますのは、ある荷主との特約関係にある輸送業というのは、荷主さんが休めば自分も休めるわけです。だけれども、一番それを進めるのに当たって問題なのは、公衆から荷物を受けております。例えば宅配便みたいな貨物、こういったものについでは企業間の競争もありましてなかなかその点が難しゅうございますが、だんだんと年末年始の休暇、それからお盆休み、これの延長ということは進みつつあります。  ただ、私どもが常に問題になるのではないかということで、若干小心ぎみでございますが考えておりますのは、供給力制限のカルテルになるということでかつて指摘されたこともございまして、先般労働省が御提案になった法律では若干労働省の御指導を得ながらいけばそこのところをクリアできるような道も開かれておるようでございますので、労働時間については休暇をとにかくふやしていくということ、これに尽きると思います。  それから、賃金等につきましては、長年のでき上がった体制でございますので非常に難しゅうございますが、やはり世間並みの方向へ向けていくということが絶対必要であろうと思っております。  それと、何よりも私ども考えますのは、魅力というのは、労働時間とか賃金とかいろんなことがございますけれども、やはり自分の仕事に誇りを持つということが大事だと思います。先ほど大森さんも、社会的システムとして非常に重要な仕事をやっているんだということについておっしゃっていましたけれども、私ども先週の日曜日にはプロドライバーのコンテストをいたしました。要するに日本一は総理大臣賞がいただけるということをもう二十五回続けております。それから女性についても参加していただきました。これらの方々、お話ししてみますと非常に誇りを持っておられる。やっぱりそういうチャンスをなるべくふやしていくということを考えております。  とっさでございますので、どうも余り十分なお答えではないかと思いますが。
  18. 大森均

    参考人大森均君) 大森でございます。  今先生おっしゃったような魅力ある職場というのは簡単なようで非常に難しくて、私ども労働組合でありますから、それが仕事でありますからやっているのでありますが、なかなか進んでいないのが実態です。  一番最初に大事なことは、やっぱり労働時間短縮だなと思っているんです。この業種というのは一日の労働時間を短くするということはなかなか難しい。つまり朝出勤したならば仕事が終わるまで帰れないんです、これはもう。途中で打ち切って帰るわけにはいかぬわけです。そうするとやっぱり休みをどうふやすかしかありませんので、何とか休みをふやしたいということで今やっております。  ただ、これも企業間競争が激しいものですからなかなかうまくいかなくて、できれば業界一斉休業、地域ごと業界一斉休業というようなものができないかどうかというふうに思っているんですが、これまた公取の関係もございましてなかなか難しいのであります。今、少しずつそんなことで御理解いただいているんですが、できればせめて学校の子供が休んでいる第二土曜、当面第二土曜ぐらいはひとつ荷物の出し入れも御遠慮願えないかどうかというようなことぐらいにいけばいいのではないかと思っています。  私ども調べたところによりますと、きょう出した荷物をあしたどうしても届けなければならない荷物の割合というのはそれほどないのでありますが、しかし社会のムードとして、例えば買ったものはすぐに手に入れたいという願望がありまして急いでいるわけなんです。ところがそこの家へ持っていきますと、ちょっと持って帰ってくれとか、あるいはうちの冷蔵庫いっぱいだから持って帰ってくれとかというのがありまして、そういう意味ではもう少し、便利さというものを余りむだ遣いし過ぎているんじゃないかという気がいたします。  でありますから、これはトラック協会さんもそういうことをいろいろおっしゃっているんですが、やはり一斉休業ができれば、せめて月一回ないし二回の一斉休業がいただければ、そんなに何も国民生活に影響ないわけでありますからいいのではないかと思っています。  それから、もう一つは賃金でございますが、これはそれぞれの企業の労使に任せられているのでありますけれども、これまた従業員三十人以下というのが九〇%でありますから、大手企業でどんなにいい制度をつくってもなかなかうまくいかない。下手をするといい制度を持っているところほどコスト高になって、むしろ大手企業が中小トラック企業を下請に使うという関係が出てまいります。でありますから、私どもとしてはなるべく最低賃金制のようなものをもう少しきちんと確立して、そして最低の条件はこれですよというようなものが業界内でひとつ御理解いただければなと思っているんですが、現実はなかなか厳しいわけです。  それともう一つは、賃金制度改善をもう少し行政面からも御指導いただけないかどうかと思っています。  先ほど申し上げた「トラック運送業の人材確保のために」という陸上貨物運送業労働力確保問題懇談会のまとめがあるんですけれども、この中には賃金水準の見直しというものがちゃんと提言されておりますけれども、これがどこまで指導力を発揮するのかという点になりますと問題があります。したがいまして、賃金につきましても、せめて固定給は何割ぐらい必要であるとかあるいは賃金全体の最低水準はこれぐらい必要だというふうなものはつくりたいなと思っております。  それから福利厚生でございますが、今この業界で年金制度を持っているのは約二五%でございます。約四万社業者があるのでありますが、四万社のうち年金制度を持っているのが約四分の一でございます。あとは年金がありません。同時に、また退職金のない企業もたくさんございます。これを何とかせめで年金につきましてはやってほしいということで、これは全ト協さんにもお願いして、各地域トラック事業者の厚生年金基金があるんですけれども、ここにすべての企業が入るようにというふうな御指導もいただいているんですが、これまた企業にとって負担が重なりますし、コストアップになるということでなかなか理解をいただけない企業もございます。したがって、せめて年金ぐらいはひとつこの業界の最低のモラルとして制度化するというようなことが社会的規制の一部としてできないかどうかというようなこと。  あるいは事故を起こした場合保障のない企業がかなりございまして、結局事故を起こした運転手は泣き寝入りというのもございます。したがって、そういった意味で、私どもは運輸事業規制緩和は大変結構ですけれども、それに従事する労働者の最低の基準はやはり企業として責任を持つという、こういったものが法的に裏づけされれば大変ありがたいと思っています。  以上です。
  19. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。今お伺いいたしまして、年金制度、退職制度もいろいろと御高配いただきたいというふうに願っております。  また、大森先生の方から、土曜日の宅配はなるべくなくしてほしいというお話がございましたが、最近老人がふえまして、独居老人がふえたところで、デイケアセンターなどに行っていますと土日しか我が家におれないという人もおりますので、そういう土日しか使えない人たちのためにも何か御配慮いただきたいなというふうにも思っております。制限といってもユーザーに便利な形でお考えいただきたいなと思っております。  それから、事故の保障がないということも今お聞きいたしましたけれども、私も運転しておりまして後ろから貨物の追突がございまして、その方は、もう僕は点数あとないから済まぬが私の方から嘆願書を出してくれ、そうしたら仕事が続けられるんだがといって何回か手紙、電話のやりとりがありまして、我々事故を受けた方ですけれども、そのような嘆願書に署名したこともございます。  やはりそういった方々、それは福利厚生と、それから先ほどお話しになられました健康管理というような問題とも絡み合ってくるわけなんですけれども、どのような健康管理が必要なのかということで、長距離深夜トラック、それから体力の消耗、労働災害というようなこととも絡め合わせてみまして、今三Kのイメージが強いというようなこともお話をお伺いいたしましたが、そういったこと等何か大森先生に言いただければと思っております。
  20. 大森均

    参考人大森均君) 私どもは、これからの物流トラック業界を見ると、やはりある意味でこれまでと違ったトラック運送をイメージしているわけです。つまり、これまでのような長時間労働で何とか仕事をするんじゃなくて、短い時間でいい仕事をする時代になってくるだろうと思っています。としますと、どうしてもこれは労働密度アップ、生産性向上が伴っていかなければいけませんので、おのずからかなり密度の高い仕事が要求されてくると思っております。  そこで起きてくるのが健康問題でございまして、今私どもが各企業の方にお願いしているのは、せめて車を運転する前には血圧をはかるとか、あるいは帰ったときに血圧をはかるぐらいは、今、自動血圧器がありますので、そういうものを職場に配置してほしいということとか、それから労働安全衛生法では、今五十人以下の企業にはそういった安全衛生委員会とか産業医の設置をする必要はないんですけれども、これもこの業界特有の健康管理が必要なので、五十人以下のところでも安全衛生委員会を設ける、あるいは産業医の設置についての義務化ができないかどうかなども要請をしているのでありますが、なかなか現状は進んでおりません。  もう一つは、人間ドックの活用がかなり進んできているんですが、これもなかなか中小零細企業にいきますといかないということがあります。したがいまして、そういったものを含めると、今度は労働省の方では産業保健センターですか、各町村単位に設置していただくようなことになりまして、今年度何カ所かできたんですが、こういったものをぜひ全国レベルで設置していただいて、五十人以下の事業場に対する健康管理の全体的な配慮がいただければ大変助かるのではないかと思っております。
  21. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  その健康管理の問題ですけれども、先ほどお示しいただきました表には、トラック運転される方の特徴として、胃腸病だとか腰痛がございますし、また痔の問題もこれも大きな課題になってくるだろうというふうにも思っております。また、ここに歯痛というのもございますので、そういった意味ではなるべくパワステとか、そういった自動車の快適環境ということもお考えいただきたいなと思っております。  次の質問をさせていただきます。  各先生方にお願いしたいのでございますけれども、流通業における女性の進出、それと活用ということにつきましては、建設関係、土木作業、タクシーのドライバー、またダンプカーの運転、そういったことにも女性が今珍しくない時代になってきたわけでございます。昨年の調査会報告でも、物流部門における女性、それと中高年労働者の積極的な活用の必要性があるのではないかということも言われたりいたしております。  先ほどのお話にもございました流通分野での荷役作業というのが大変な労働である、そういった意味で男性の職場であるというふうにみなされていましたけれども、近年増加している宅配便の運転手にも女性がなっている。そういったことで、女性も十分働けるような、仕事にやりがいがある、また職業環境というものの整備によって流通部門に女性が進出を促されるということが必要であろうかと思っております。流通部門への女性の進出というようなことについて一言ずつ簡単にお示しいただければうれしゅうございます。
  22. 沼越達也

    参考人沼越達也君) 先生がおっしゃったとおり、荷役が大変問題でございます。私どもの少年時代、荷役というものは大体米一俵が相場でございまして、駅へ行きますと、若ノ花のごとく肩が盛り上がった方が軽々と六十キロをひっ提げておられたわけですけれども、今は若い人でも、男性でも六十キロというのは無理でございますね。まして、女性あるいは高年齢層、こういった方々が流通に従事されるということになりますと、荷役問題が非常に問題でございます。  私は、ある会社の方に聞いたんですけれども、昔はビール会社の仕事というものが一番嫌がられたそうでございます。というのは、ビールの箱を運転手が積まなきゃいけないわけです。それがフォークリフトが非常に普及いたしまして、それから受け先でも重立ったところはフォークリフトが設置されるという状況になって、一転してビールというのはいい仕事だというように評価が変わったケースがあるそうでございます。  いずれにいたしましても、先ほど説明の中でも申しましたように、一見ダンプの運転手というのは非常に力仕事が要るようでございますが、実はダンプというのは油圧で操作できますから手荷役不要でございます。そういったところで女性が出ているわけですけれども、何もかもすべての貨物が荷役不要というわけにはまいりませんので、例えば、これはユニックとかいろいろ申しますが、車に簡易なクレーンみたいなものをつけまして、それで荷役するという方法を業界ではとっております。  ただ、これは一つ難点がございます。クレーンといいますかユニック自身の重量がございます。そうすると、その分だけ積み荷が減るわけでございます。積み荷が減るということはどういうことかといいますと、今までもしそれがなかりせば一台で済んだところが二台要るということでございます。そういった意味で、荷役の機械化というようなことを進める場合、運搬具についてのいろんな諸規制も考えなければならない時期が来ているのではないかと思っております。  以上でございます。
  23. 大森均

    参考人大森均君) 業界全体としての女性、今先生がおっしゃっているのは多分一般的な事務系ではなくて現業のことだと思うんですが、現業関係では採用されているのはまだドライバーの大体一、二%程度です。例えば百人ドライバーがいれば一人か二人というふうにお考えいただければいいのではないかと思うんですが、その程度でございまして、実は詳しいデータを私どもは持っていません。  また、どうあるべきかという検討も実はしていないんですが、一つの考え方としてありますのは、これからやはり女性の採用、女性の活用というのは非常に大事だろう、また積極的に進めるべきではないかという考え方を持っております。  問題は、その場合にどういう考え方で採用していくかということなんですが、何となく便利使いみたいに、便宜的に男がいないから女性でいいんだというのではなくて、むしろこの仕事は女性の方がいいんだ、むしろこの仕事は女性にやっていただいた方がいろんな意味でいいんだという、そういうむしろ積極的な評価をした上で採用していくべきではないかというのが一点です。  二つ目には、しかしそうはいいましても、女性には特有の男と違った面がありますので、それをフォローできるような環境整備を職場内でしなきゃならぬだろう。やっぱり体力を要する仕事をなるべく軽減して機械化するというのが一つ。さらに、車の中にもまだまだ女性の体力に合わない車がありますから、そういった意味では車の構造自体をもっとソフトにするということ。さらに、荷物の積みおろしも当然伴いますので、荷物の積みおろしをもっと簡便化していく、あるいは体力が伴わないような意味での、例えばボディーをうんと低くするとか、そういう車の導入が必要だろう。それから、構内の作業にしましても機械化導入が大事だろうというようなことが職場の環境としては必要ではないか。  それからもう一つは労働時間の問題でして、これはかなり他の産業との違いがあるので一概に言えないんですが、例えばタクシーの運転手女性は深夜労働が認められているんですね。それから、郵便関係でも女性の深夜は認められている。じゃ、トラックとタクシーとどう違うんだろうという実は議論があります。したがいまして、トラック運輸というのは、これはどうしても夜間遅くなったり早朝仕事もありますので、そういった意味では、少しトラック運転をする女性についても弾力化ということを考える余地があるんじゃないかと思っております。  問題は、そうにしましても長時間労働であってはいけないわけで、短時間労働でもって若干夜遅くなる仕事が入ってくるということは可能かどうか、これは研究の余地があるんじゃないかと思うんです。  もう一つは、女性の場合に、入ってこられる人の年齢層を見ると、一応子育てが少し離れた年齢からおいでになっているんですね。そうすると、育児休業をとった後の再雇用制がその企業にあるかどうかという問題と、再雇用制が保障されていないと働きにくいという問題があると思うんです。  それからもう一つは、女性の方はやっぱり家庭的な役割もありますから、自分の好みの時間帯に働けるかどうかという、これがありまして、そういった意味では多様な雇用形態、就業形態をやはり企業側が用意をして、どの時間帯ならば働いていただけますかという、こういう意味での就労システムのメニューが必要なんじゃないか、そういうものに合わせた制度ができ上がれば私はもっと女性の進出は可能になるんじゃないかというふうに思っています。  以上です。
  24. 岡田清

    参考人岡田清君) 一般に労働条件といいますと三つの要素がございまして、第一番目は賃金でございます。二番目は労働時間、それから三番目は労働の強度、この三つでございますが、この三つのいずれもトラック産業では、先ほどお話がございましたように、若年労働にとりましては賃金は割にいいんですが、高齢者になりますとこれが必ずしも有利な立場にない。つまり、社会的に見まして、賃金、時間、強度、いずれをとりましても必ずしも恵まれていないということが一つの大きな理由で職場としての魅力が乏しいということになっているかと思います。  そこで、女性労働につきましては、これはむしろ賃金面よりは時間的な自由とそれから労働の強度が強くない、この二つの場所には女性労働が十分に進出可能でございます。現に流通拠点などには相当やはり、物流加工と言っておりますが、いろいろな物を詰め合わせたりするような仕事にはむしろ女性の方が積極的に活用されているというのが実態ではなかろうかと思います。これは物流加工と呼んでおりますが、そういったところではかなり使われるようになりました。  問題は、非常に肉体労働を必要とするような強度の大きいところ、賃金は高くても強度の強いところはやはり嫌われるということがございまして、職場職場で違いますけれども、今までは男性の職場と言われておりましたのが、女性が入ることによって職場の雰囲気も非常によくなっていると聞いております。  そんな関係から、労働条件というものをいかに適正に女性に開放し、どういう場合に女性が適合するかということを十分な調査の上、今後とも女性労働を積極的に活用していくべきだというふうに理解いたしております。
  25. 南野知惠子

    南野知惠子君 時間もぼちぼち迫ってきております。  先ほど岡田先生から二十一世紀に向けての物流の問題をお話しいただき、また、今までの鉄道からトラックに変わった経緯などもお示しいただけましたので、モーダルシフトになった状況どもいろいろとよくお伺いできたわけでございます。  次の二十一世紀に向けての夢がどのようなものであるかということで先生の方からのお話もございました。その中で一つは、販売戦略と流通戦略という二つの部署があって二人が今まで作業をしていた分が一人になったというお話で、これは全く我々の調査会における省エネの最たるものかなというふうにも思うわけですが、それからいろいろと派生いたしまして、二十一世紀は都市で集めてそれから郊外に持っていった方がいいのか、郊外で分配した方がいいのか、いろいろ流通のお話もございましたが、道路が多分混乱するだろうと。二十一世紀に向けては鉄道にまたシフトを変えていくのかどうかということも大きな課題になってくるだろうと思っております。  そういった意味で、首都高速道路も、普通に高速で走れればいいんですが、時々あれが駐車場になったりいたしますので、そういう問題がまた二十一世紀に向けてさらに大きな課題になってくるだろうと思いますときに、ヘリが使えるのか使えないのか、そういったことも、二十一世紀に向けての何かお考えがありましたら、ちょっとお聞かせいただければ夢がどう開けるかということもわかるのではないかと思います。流通におけるヘリ。
  26. 岡田清

    参考人岡田清君) ヘリコプターの利用はなかなかコスト的に難しいと思います。したがって、長距離で少量物の場合には航空輸送が使えるということはこれは言えます。大ざっぱに申しまして、ジャンボジェットの人が乗る下のところ、おなかをベリーと呼んでおりますが、ベリーで旅客と貨物で共用で輸送することによって航空輸送は相当まだ伸びる可能性を秘めているというふうに言えるかと思います。  そういう意味で、近距離はヘリコプターも本当は使えるということでいろいろな試みは行われましたけれども、ちょっとやはり今のところ大きな市場には発展する可能性がないと理解いたしております。
  27. 南野知惠子

    南野知惠子君 では、ほかのお二人の先生にもお伺いしたいんですが、二十一世紀に向けてこういった輸送が一番ベターじゃないかなと思われることがございましたら、大森先生、沼越先生、お聞かせいただければと思います。より効率的である輸送。
  28. 沼越達也

    参考人沼越達也君) そういった意味での夢というものは余り描いたことはないわけですけれども、私は、私なりの希望といたしましては、今まで長い間、申しましたように非常に受注産業としての苦しみを持っております。それで、我々は我々として輸送という社会システムが世の中に迎えられ、それからまた若い人が希望を持って入ってくるような分野でありたいと思うわけでございますが、そういった意味で長い間受注産業としての立場を維持しておるわけですけれども、せめてこれをパートナーシップというところまで持っていきたいというのが私の願いでございます。
  29. 大森均

    参考人大森均君) 私ども労働組合なりにやっぱり夢を持ちたいと思っているんですが、現実はなかなかそういったことに至っておりません。  私どもが願っているのは、せめてもう少し道路混雑がなくなるような方法はないかどうかということでありまして、それには、最初申し上げましたように何でもかんでもトラックで運ぶということが本当に合理的なのかどうかという疑問があります。じゃ、それをレールとか船とかといっても、撤去したレールがまた敷かれるわけでもありませんし、船がそんなにと思うと、やっぱりトラックが物を運ばなきゃいけないなという現実に立ち返ってくるわけです。  そこでまた起きてくるのは、二十一世紀というような大げさなことではないんですが、もう少し荷物を運ぶということについての社会的な意味での国民的なコンセンサスが得られるようなものがないかどうかと思っておるわけです。つまり、裏返すと、余り便利さを追求するというのは一体いかがなものかという感じがいたしております。  極端な話が、例えば北海道のジャガイモがなぜ宅配便で送られなきゃならないのかという疑問があるんです。あるいは青森のリンゴはスーパーマーケットヘ行けばいっぱいあるんです。しかし、それをなぜ一軒一軒に送る必要があるのかどうかという疑問が私たち仕事をしていてあるんです。もちろん個人あてに送るということは心のこもった一つのあらわれですから、これは否定できないんですが、もう少し違った生活の発想が行われれば、こんなにも混雑した道路はなくなるだろうと思っております。とても大きな夢じゃないんですが、もう少しスムーズなみんなに喜ばれるような仕事になりたいなとは思っています。ちょっと抽象的ですけれども
  30. 南野知惠子

    南野知惠子君 最後に、岡田先生にお尋ねしたいんですが、夢をお伺いした後でちょっと現実的な問題なんですが、貨物自動車の輸送事業というのがございますが、それには一般事業とそれから特定事業、それともう一つは貨物軽自動車事業という三種があるというふうにお伺いいたしております。運輸大臣の許可または届け出ということに関連してその業ができるということでございますが、それらの許可基準のあり方ということについて先生はどのようにお考えになっておられるか、一言お伺いいたします。
  31. 岡田清

    参考人岡田清君) これは、御案内のように物流二法で経済的規制の緩和、社会的規制の強化というスローガンのもとにああいう法律が成立をいたしました。その効果の面では、非常に激しい競争が起こるのではないかというふうに推測されておったわけですが、事実、運送事業者の数は一般貨物輸送業者はかなり増加いたしております。それに対して特別積み合わせ、かつて路線トラックと言っておりましたのは、これはむしろ減少、寡占化の方向にあります。したがって、これからは少量物品輸送につきましては寡占的競争の時代というふうに申し上げてよろしいかと思います。  一般貨物輸送は、これは積み合わせ、貸し切りともにどうしても地場輸送が中心でございますので、荷主の系列に入っているケースが圧倒的に多うございます。そんな関係で、競争が激化するといいましてもおのずから系列支配との関係で限界があるとは思いますが、これをさらに競争を促進することが果たして物流改善になるかどうかという点はもうちょっと現場の実態を踏まえて議論すべきテーマだろうというふうに理解しております。  大ざっぱにそういう状況でございます。
  32. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  これで終わらせていただきます。
  33. 藁科滿治

    藁科滿治君 どうも貴重なお話をありがとうございました。  それでは、早速沼越参考人中小企業の体質強化、こういった面から質問をさせていただきます。  中小企業の近代化あるいは合理化、こういった対策の一つとして共同配送という問題があると考えておりますが、この現状と問題点について、それからあわせて、中小企業の場合には資金や要員の関係から情報ネットワークを独自に構築するということが大変困難であるわけでございますが、こういった情報の共有化という問題について、この二つについてまずお伺いいたします。
  34. 沼越達也

    参考人沼越達也君) 協同組合たくさんございますが、おおむね一番共通にやっておりますのは物品の共同購入とか、例えば高遠自動車道のチケットを共同購入する、そういったようなことに中心が置かれておると言ってはなんですけれども、かなりそっちの方へいっている。本来中小企業共同化ということは、例えば受注を共同化するとか、それから、幹線部分はそれぞれ重立ったところがやるといたしましてもせめて配送だけは共同化するとか、そういったことがねらいでございますけれども、なかなかこれが進んでいないというのが現状でございます。  これはなぜ進まないのかということになりますと、やはり共同化を組もうという意思があっても、最終的に荷主のところへ行きますと、それとの従来の系列関係というか、荷主と業者との関係というところで変調を来すといいますか、そういったことも心配されるというようなことで、なかなか共同受注とかそういった問題は進んでいないのが現状でございます。  ただ、共同配送は別途の要因がございまして、例えば非常にある地区が混雑している、そうするともう、ばらばらばらばらそれぞれの荷主のところへそれぞれの運送業者からの配達が行われるというのではとてもたまらないということで、例えば福岡市の天神地区あたりでは、特別の荷受け会社、荷受けというか配送会社をこしらえて、それが天神地区の配送を一手に引き受けるというようなケースもございます。  それから情報の共有化ということでございますが、この情報というのはどういう情報でお答えすればいいのかわかりませんが、情報といたしまして、一番協同組合として、協同組合というか中小企業として欲しい情報というのは、荷物が足りないときには荷物がどこにあるかという情報だと思います。それから車が足りないとき、提携関係を、どういう車を求めたらいいかという情報だと思います。  運送事業というのは、季節的に偏りがあるのと同時に、行きと帰りでもアンバランスが生ずるわけですね。自分の地元では非常に集荷力のある業者でも帰りにはなかなか集荷力がないというようなことがございまして、昔からその帰り荷をどうあっせんするかというのは非常に中小企業にとって問題でございました。  それで、私どもの協会が日貨協連という全国組織の協同組合と提携いたしまして、先ほど説明にございましたように、システムキットというんですけれども、要するに、貨物の情報とそれから車両情報をパソコンを使いましてお互いに交換し合うというシステムをつくっております。  また、これは全国的なネットワークでございまして、今大体月間八百件程度成約しているようでございます。これはおもしろいことに、二年ばかり前にスタートしたわけですが、そのときは、荷物はあるけれども車がないから何とかしてくれという情報が非常に多うございました。今は、車はあるけれども荷物がないから何とかしてくれという情報が非常に多い現状でございます。それでも大体八百件程度の成約はございます。なお、それぞれの地区的にネットワークを持っている協同組合もあるわけです。協同組合とその傘下組合、それとの連結等も試みられております。  以上、よろしゅうございましょうか。
  35. 藁科滿治

    藁科滿治君 次に、労働力不足について御質問したいんですが、先ほど南野先生の御質問に対してかなり問題点が整理されてきておりますから、重複を避ける意味で、私は中高年対策の面から一つだけ伺っておきたいと思います。  先ほどお話にありましたように、若年層から敬遠される、こういうような事情の中で中高年齢層の活用という問題が重要だろうと思いますけれども説明のありました賃金体系ではなかなか中高年齢層を引きつけるわけにはいかない。簡単に言いまして賃金体系の改革が必要ではないか、こういうように考えますが、沼越先生並びに大森先生の率直な見解を承りたいと思います。
  36. 沼越達也

    参考人沼越達也君) 私ども、もう二十年近く労働時間と賃金実態を毎年調査いたしまして業者に配付いたしております。この長い歴史の中で徐々に、本当に徐々にでございますけれども、中高年層に対する賃金体系というものも改善に向かいつつあるというように私は考えております。私どもといたしましてはその方向を非常に期待しております。
  37. 大森均

    参考人大森均君) 私ども運輸労連といたしましては、文字どおりこの中高年者が非常に恵まれていないということを大変重要視しておりまして、ここに焦点を合わせた賃金改善などを要求したり取り組んだりしているんでありますが、現状はむしろ後退しております。  今後どうするかということがあるんですが、一つは先ほど申し上げたように、まず賃金制度を、やっぱり週休二日時代なんだから週休二日の時代にふさわしいように、何というか稼働給中心といいますか、出来高給中心の賃金ではいけない。やっぱりもう生活主体の固定給中心に切りかえるということでここ三、四年かなり強く時短とあわせてお願いをしているわけです。少しずつは進んでいるんでありますが、まだまだ問題を残しております。  それからもう一つは、賃金水準というものを一定程度目安をつけて、例えば、トラック運転者年齢別の最低の賃金水準はこの辺だよというようなものを業界全体にアピールするような方法によって注意を促していく、あるいは興味を注いでいくというような方法がないかどうかということも考えておりまして、これも三、四年前から、賃金要求の段階で賃金要求を幾らにするかということも大事だけれども、せめてこの水準まで底上げをするということが当面の目標ではないかというようなことなども賃金要求の課題に据えております。  それからもう一つは、中高年者の方が一番やっぱり望んでいる面もありまして、五十歳ぐらいになってきますと、もうあと何年もこの仕事をやっておれないという方が出てくるわけです。そういう方に対して、じゃ、どういう仕事の転換を図るのかという点で、いわゆる技能訓練といいますか、そういったことなども取り入れるようにしております。  それから、同時にあわせて、先ほど南野先生がおっしゃいました年金、退職金等もやはり中高年者にもう少し目を向けた制度改善をするといったように、この賃金だけではなかなかいきませんので、退職金や年金と絡めた生涯所得保障みたいな制度を目指しているわけです。したがって、これもまだまだ時間がかかるんでありますが、そういう方向に向けていきたいなと思っております。  それからもう一つは、やっぱりこの業界はコストに占める人件費の割合が五〇%ぐらいになります。仕事の内容によっては人件費比率が六〇%ぐらいいきます。といいますと、結局売り上げの半分は人件費にかかるということでありまして、例えば、賃金を一〇%上げたと仮定すれば五%運賃を上げなきゃならぬ、単純に言うとそういうことになります。これが実は大変なわけでありまして、荷主さんからはなかなか運賃を上げてもらえないということで、結局は中高年者に犠牲がいってしまうという点もございます。  そこで、一つの方法としては、中高年者であっても生産性の高い仕事ができるような業務のシステムの見直しをする、そして荷主さんからは高い運賃をもらえるような方法を講ずる。そうすることによって運賃の収受を高め、そしてそれの還元を賃金にもたらしていく、こういう方法がないかどうかという点で、今度は作業の見直し、業務の見直しをしようということなども含めてやっておるのでありますが、最終的にはやっぱり運賃の問題に絡みますので、この辺はひとつ、諸先生方御存じだと思うんですが、大変ダンピングのひどい業界でありますから、ちょっと手がないんですけれども、この辺を何とか進めていきたい、業界、団体とも協力して適正な運賃の収受、それによって賃金改善労働条件改善を図っていきたいなというふうに思っております。
  38. 藁科滿治

    藁科滿治君 最後に、岡田先生にお尋ねしたいんですが、きょうはモーダルシフトについて余り詳しいお話は承れなかったんですが、この問題についてもう少し具体的な展望というようなものについて。沼越先生にもお聞きしたいんですが、ちょっと時間的制約がありますから。  それからあわせて、アメリカなどでは最近ハイウエーの全国ネットが形成されつつありますけれども、近い将来我が国の場合、物流ネットワークとそういったハイウェーのネットワークの結合というような展望が持てるのかどうか。私もちょっと不勉強でございますので、何かお考えあったら伺いたいというふうに思っております。
  39. 櫻井規順

    委員長(櫻井規順君) 岡田先生、藁科先生の持ち時間が少ないものですから、コンパクトにお答え願いたいと思います。
  40. 岡田清

    参考人岡田清君) 今のお話で、モーダルシフトの可能性と限界と申しましょうか、これは今のところ鉄道の線路容量が非常に厳しいということが非常に大きな理由になっているんです。  鉄道の場合は、これは話が細かくなりますが、日本のJR満トン牽引と申しますが、一列車、機関車で運ぶことができる量が一千二百トンというのが限界でございます。これをもうちょっと一千三百トンなり一千六百トンにできないかというのが今宿題になっているんです。そういうことが一つ。  今、輸送力、線路の容量が少ないということが大きな理由でモーダルシフトが大変難しい。線路容量が少ないというのは、これは旅客列車と線路の奪い合いになりますので、夜間の限られた時間しか貨物列車に割り当てがいかない。しかも旅客列車が通りますと、その間貨物列車は駅で待っていなければいけないというふうな関係から、一口で言ってキャパシティー、容量が足りない、これが一つの限界でございます。  内航海運につきましては、これはフェリーとローロー船ということで、船腹調整制度の上ではモーダルシフト船として引き当て比率を一対一、結果的になくしまして、かなり自由にローロー船の建造ができるようにいたしましたけれども、もともとが大量輸送でございますので、何千トンという貨物を集めることが難しいという関係上、部分的にフェリーあるいはローロー船、コンテナ船と、一部にモーダルシフトの起こり得る余地はありますけれども、これについても大きな期待が持てない、それが申し上げたいことの一つでございます。  もう一つは、道路にしましても鉄道の線路にしましても、旅客列車と貨物列車、あるいはトラックとマイカーというふうに共用システムというものが、これが輸送システムの共通した姿でございます。したがって、これを物流だけの専用の鉄道をつくるとか、あるいは専用の道路をつくるということは、これはなかなかコスト面から不可能だということで、物流ネットワークを独立につくるということは極めて困難だと認識しております。  しかしながら、貨物輸送については恐らく何らかの手を打たなければこれはなかなか難しいのではないか。昭和四十年代に、旅客新幹線・貨物在来という言葉がございまして、在来鉄道は貨物に使うんだ、旅客は全部新幹線に転換するんだということがスローガンとして言われた時期があります。しかしながら、その後の経過ではなかなかその分離は難しいというのが今までの姿でございます。恐らく今後も非常にこの問題には頭を痛め、あるいは物流の制約になるだろうというふうに認識をいたしております。  以上でございます。
  41. 藁科滿治

    藁科滿治君 ありがとうございました。
  42. 山下栄一

    山下栄一君 公明党の山下でございます。きょうは本当にお忙しい中ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。時間は余りございませんけれども、何点がお聞きしたいと思います。  物流部門、全く素人でございまして、よくわからない面がありますので教えていただきたいと思うわけでございますが、沼越先生、大森先生のお話をお聞きいたしておりまして、日本の物流あり方、なかなか将来の展望が見えてこないという非常に厳しい現実があるわけでございます。  ただ、岡田先生からのお話を聞いておりますと、非常に物流そのものの合理化、システム化といいますか、機械化が非常に進んでいるけれども、人間が抜け落ちてしまっているという、事業者、またそこで働いておられる労働者も含めてだそうでございますが。大体この物流部門そのものが相変わらず荷主、消費者主役で展開されておる。これは極めて日本的な問題点なのか、外国の状況はどうなっておるのかということです。  物流の中に占める位置といいますか、その経済的な重要性とかは認識されてずっと来ておるということだと思うんです。ただ、環境への問題とか労働者の方々の実態とかを見ますとますます厳しくなってきておる現状の中から、特に岡田先生にこの物流業界といいますか、物流部門の将来の方向性としてなかなか日本の中では将来性が見えてこないわけですけれども、外国の方ではどのような改善がされておるのか、また日本とどのような点が違うのかということ、もし教えていただければと思います。
  43. 岡田清

    参考人岡田清君) 物流の問題は各国ともやはりいろいろ問題を抱えておりまして、機械化あるいは労働問題を除きますと、恐らく日本は世界でも冠たる発展を遂げてきたと思います。  ただ、経済発展が急でございますから、それにうまくフィットして問題がなくすっといったかといいますと、いろいろ問題が出てきた。しかも先ほど申し上げましたように、労働問題の制約は出てくる、環境の問題が出てくる、こういうふうなことで、この点ではやはり、これは外国に比べまして日本の方がちょっと悪いかなというふうな感じがいたします。  特に大都市物流のような場合には、今まで道路側とそれから流通施設あるいは小売業側とのつなぎの問題であるとか、あるいは都市政策のようなものとそれと交通政策がうまくリンクしてこなかったとかいろんな問題がございまして、むしろその辺は外国の方が非常にお考えになっております。  例えば、テキサスの方ではビルをつくったらその地下へトラックを必ず入れるようにしているとか、地下物流という言葉はよく言われますけれども、全面的な地下物流というのは非常に困難でございますので、部分的な地下物流というようなことが外国では徐々に出かかってきておるようです。そういう点では、まだまだ日本の場合は改良すべき点が非常に多いというふうに理解しております。
  44. 山下栄一

    山下栄一君 それに関連してですけれども、輸送業務そのもののあり方といいますか考え方、思想といいますか、日本の場合は受ける側にやっぱり生産とか販売のついでに附属物として、本来ただでやるものだというふうな考え方はまだ残っておるというふうに感じるわけです。その辺の転換がなかなかなされなくて、それがこういういろんな問題点となって大きく浮かび上がってきているのではないか。  特に、欧米の方では物の考え方、輸送業務そのものの位置といいますか、この辺がやはりちょっと違うのではないか。それがあらゆるところに、費用負担の面も含めまして、この業界はなかなか運賃の改定もままならないというふうなことにまで影響しているのではないかなと思うんです。輸送業務そのものの考え方に違いはないのかどうか、その辺をちょっと先生にお願いしたいと思います。
  45. 岡田清

    参考人岡田清君) 大変難しい問題でございますが、日本は昔からサービスについては支払いが非常に悪いといいますか、どちらかというと物に対しては目に見えますから金額が定まりますけれども、サービスに対する評価が非常に低かったという歴史がございます。例えば大正年間のトラック輸送というのは、もうそれだけでほとんど運賃はもらえなかったという苦労の歴史がございます。  ところが、最近はそれが幾らかよくなってはきておりますけれども、しかしながら、例えば細かいちょっと運ぶとか荷役をやるとその料金はもらえないとか、細かく仕事を区切って見ますとなかなか料金につながらない。それは何とかしておいてくれやと、こういうふうに言われて、やむを得ずやっているというようなケースがたくさんございます。その辺がじゃヨーロッパではどうかということでありますが、この辺はやっぱり必ずしもヨーロッパもそうしっかりとなっているということではなさそうに聞いております。  しかしながら、一般的には非常に競争の激しい業界でございますから、荷主の方は荷主の方で、トラック運賃の支払いを今不景気でうちも困っているからちょっとまけてくれやと、こういうふうなことを言われる。それは当然労働賃金の方にまたはね返る。最後の受け手は労働側だと。こういうふうなのが今までの歴史でございますので、労働の評価あるいは作業、サービスの評価というものをもうちょっとやっぱり適正に理解してもらうといいますか、支払いにつなげていくような方向が必要ではないかなというふうには思っております。
  46. 山下栄一

    山下栄一君 先ほど藁科先生の方からも共同配送のお話ちょっとございましたけれども沼越先生の方からこの共同配送、なかなか荷主の皆さん方の理解も得られなくて進まないという状況のお話があったわけですけれども、将来の方向としましてはいかにして輸送事業共同化を図っていくか。この業界そのものが九九・何%中小企業ということを考えましたら、私は、事業共同化ということはもう必然的な歩みとして実体化しなくちゃならないというふうに思うんです。特に、労働力不足の解消の問題とか環境負荷、道路混雑の問題から考えましても、これがもう非常に重要な方向であろうなと思うんです。これ荷主の皆さん方の理解はやっぱり大事だろうと思うわけですけれども、これは進めていくために、特に環境整備を図っていく上でどういうことが必要なのかということを岡田先生の方からお聞きしたいなと思うんです。
  47. 岡田清

    参考人岡田清君) 共同配送問題を考えます場合に、二つの方向があろうかと思います。  第一の方向は、自然発生的に共同配送あるいは納品代行とか、いろんな形で共同化が進みやすいような商慣習が徐々に育成されていく、したがって無理をしなくてもある程度いくという見方が一つございます。それからもう一つの見方は、かなり思い切って計画配送まで持っていかないと、あるいは計画的誘導政策を導入しないと共同化は進まない、こういう見方があり得るわけです。  じゃ、なぜ共同化をするのかということでございます。一つは、道路混雑のような環境問題がやはり恐らく大きなきっかけになって共同化をせざるを得ないという場面がこれから出てくるのではないかというふうに思います。この十二月一日から施行されますNOx法につきましても、ある地域を特定して車の乗り入れを制限するということになりますと、どうしてもやはりある程度共同化ということをやらざるを得ないというふうに言えます。  今までの共同化が行われました最大の理由は、例えば堀留の問屋街のように、もうひっきりなしにトラックが出入りして、それがもうばらばらに出入りする。つまり、自由放任にしておくことはもはや許されないということで荷主側のみんなの合意ででき上がって共同化が進んできた。つまり、自然発生的な共同化であったわけです。  では、いつどういう場面で計画的な誘導をすべきかということの判断というのは非常に難しゅうございまして、これは取引の内容にもずっと入っていくようなこともございますので、そのためには、例えば施設を整備して別の効率化推進し得るような方向を探るとか、いろんなかわりの手段を十分に精査して、その上で共同化推進にいくべきだというふうに理解しております。
  48. 山下栄一

    山下栄一君 NOx法の話が出ましたのですけれども規制緩和の一環としてトラック重量規制の緩和ということが十二月から実施されるとお聞きしておるわけです。これはまあガソリン代、燃料負担の問題とか、いろいろ背景はあるとは思うんですけれども、先ほどの労働災害との関係で、過積載との関連で非常に心配になってくるんじゃないかというようなことを考えるんです。大森先生、ちょっとこの重量規制の緩和についてのメリット、問題点、お聞きできればと思います。
  49. 大森均

    参考人大森均君) 私どもは、今回の重量規制緩和につきましては一定の条件をつけて認めています。と申しますのは、これまたこういうことを申し上げると大変まずいんですけれども実態は既に二十五トン前後いっているんでありまして、これを追認するというのはいいか悪いかはあるんですけれども、そういう実績から勘案していきますと、現在の車をもう少し改造して、ブレーキとかタイヤとかという安全を損なうような部分については一定の補強措置をとれば現在の車でもまあ使えないことはないという判断です。  それから、その次の段階としては、近い将来そういう新しい重量に適合した車が開発されるだろうということを思っておりまして、そういった意味ではそれほど大きな問題ないんじゃないかなと思っているんですが、一つ問題なのは、現在の車両構造が大型車の場合二十五トンまでもてるということは大体経験上感ずるんですが、それ以上、二十五トンになったから今度はさらに三十トンだというような過積載が容認されるということは、これは許されてはならないと思っています。  したがいまして、この辺はこれからまた、適正化事業というのが運輸省にあるんですけれども、適正化事業の中でその過積に対する監視をどう強めるのか、あるいは道路交通上の問題として警察その他の関係で過積載の取り締まりをどうされるのかというのが、次の段階問題になってくるだろう、課題になってくるだろうというふうに思っています。
  50. 山下栄一

    山下栄一君 もう時間がありませんが、最後一点だけちょっと。  沼越先生にお聞きしたいんですけれども、さまざまな問題を解決するためには、荷主との連携といいますか、それが大変重要になってくると思うんです。トラック協会として荷主さんにいろいろアンケートをとられたりしているわけですけれども、具体的に協議の場ですね、そういうふうなものは持っておられるのかどうか最後にお聞きしたいと思います。
  51. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 沼越先生、山下さんの持ち時間が少々になりましたので……。
  52. 沼越達也

    参考人沼越達也君) それではもう簡単に答えます。  持っております。荷主懇談会というのを地方トラック協会単位、それから業種別の部会というのがございますが、その部会単位で持っております。
  53. 山下栄一

    山下栄一君 地方別、部会別。
  54. 沼越達也

    参考人沼越達也君) 業種別の部会です。
  55. 山下栄一

    山下栄一君 業種別。ありがとうございました。
  56. 小島慶三

    小島慶三君 きょうは大変参考になるお話を伺いまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。  私、交通問題は余り詳しくありませんので、ピントの外れた御質問になったらお許しをいただきたいと思います。  初めに、きょうのお話で達観して考えますと、問題の根本は、一つは急速な都市化、それからもう一つはニーズの多様化ということで、このはざまでトラック輸送への加速といいますか、そういうものが行われて大変に苦しんでいる、こういうことではないかと思うんです。  それで、一般には規制緩和、これは今度の内閣、与党の合意でもあろうと思うんです。交通という問題を取り上げて考えてみた場合には、むしろ若干の計画化というか、規制といいますか誘導といいますか、できるだけ誘導の方がいいと思うんですけれども、何かそういうことが必要になってくるんじゃないかと思うんです。  それで、長くは申しませんけれども、例えば輸送のニーズをミニマイズするというか、あるいは空間利用を計画的にするというか、どちらの意味でもいいんですけれども、例えば資本財というか生産財、バルキーカーゴはバルキーカーゴなりに、それから付加価値の高いものは小ロットあるいは小さなサイズ、そういうものはまたそういうものなりに、また都市需要でかなり多様に頻繁に使われるもの、こういったものについてはそれなりに、そういったチャンネル別に何かもっと荷主さんの共同情報交換の場でそういう計画化ということが行われてもいい時代なのではないか、また政策的にもそういう誘導が必要なのではないか。  例えば、昔は石炭でも木材でも米でも、そういったバルキー・カーゴというのは鉄道で運んでいたわけで、その施設は別に取り払われたわけでもないでしょうし、若干の復元をすればそういうことは可能になるんでありましょう。  それから、荷主のニーズとしても、ファーストランナーが遅くても次々に入荷していくようなものであれば、それほど大きなマイナスは起きないということだと思いますので、これは運賃面とかあるいは国の助成面とかでもうちょっと鉄道利用、そして船の利用、こういうものを推進するという手はないものか。付加価値の高いものは、これは空路で結構だと思うんですが、そういうふうに輸送のチャンネル別に少しずつの計画化というものができないものかどうか、そういう点ひとつお伺いしたいと思うんです。これは諸先生にお願いしたい。
  57. 沼越達也

    参考人沼越達也君) まずやっぱり貨物の適性ということで、恐らく輸送機関が選択されるということは事実だと思います。  例えば、先ほど岡田先生のおっしゃったように、内航海運というのはもう生産財関係であるというように、それぞれ輸送機関の持っておる本質から特化がある程度行われます。それから、今度トラック業界で申しますと、やはり得意な領域というのはそれぞれあるわけでございます。それなりの特化は、そんなに劇的じゃございませんけれども行われておる。  ただ、鉄道の活用ということですけれども、先ほど岡田先生もおっしゃったように、なかなか鉄道は利用しづろうございます。輸送力ございません。そこのところなんですけれども、私ども運んでおります輸送量の中の大体二%ぐらいが幹線貨物だと思います。ということは長距離貨物です。それを鉄道に全面的に預けるという状態にはとてもまいらないというのが実態だと思います。  それで、私も昔役所におりまして、総合交通体系というようなことでいろいろ絵を描いたこともございますけれども、非常に難しゅうございましたし、実務に入っても本当に難しいと思っております。お答えになりませんけれども
  58. 大森均

    参考人大森均君) 全く先生のおっしゃるとおりなんですが、実は、現在既に付加価値の高い貨物は航空とかトラックの中でもさらに特別積み合わせというような業者があるんですが、そういう分野にもうシフトしてしまっているわけです。  それから、鉄道で運んでいるのは、言うなればトラックにも乗りようがないとか船にも乗りようがないという貨物が今鉄道にいっているのと、それからトラック業者がコンテナなどを利用して一部利用しているというような程度です。それから船は、これまた岡田先生のお話ありましたように、いわゆる素材型の貨物が船にシフトしているわけです。  ある意味では、トラックトラックなりのニーズに合ったお客を選んでやっている、船は船で船のニーズに合ったお客を選んでやっているというのが実態でございまして、これを大きく崩すということは、これは経済構造上非常に困難であるというふうに思っています。  そういった中でどのようにするかということは非常に我々も難しいんですが、やはり理想としては、例えばヨーロッパなどは主として鉄道貨物を利用することが前提になっているわけです。特にドイツなどは鉄道利用を原則にしてトラック業者の数がふえないように抑えているという実態もございます。ですから、長距離貨物はトラックになるということが原則で動いていますので、この辺の分野がきちんと守られている。  日本の場合は利便性だけが優先して、昔は鉄道で運んでいた米を今は全部トラックで運んでいます。それから、鉄材なども物によってはトラックで運んでいるというようなことがございまして、そういう意味では鉄道の果たす機能が本来あるんだけれども、そのことをどう育成するかという措置がとれなかったということが、結果としては本来トラックで運ぶ必要のないものまでトラックに流れている、こういう実態がございます。ですから、その辺をやはり分野別輸送にもう一回切りかえていくということが国の政策として成り立つかどうか、こういったところが問題なんじゃないかなと思っています。
  59. 岡田清

    参考人岡田清君) 最近の商慣習は、これは無在庫経営が中心になっておりまして、先ほどファーストイン・ファーストアウト、先入れ先出し法でどんどん流していけばいいというお話であったかと思いますが、無在庫経営になりますとどうしてもやはり多頻度配送になります。そのためにトラックへの負荷が非常にかかってしまう。そのことがチャンネルがみんなばらばらにやっておりますので、これが端末にいったときに混乱が起こる、その場面で共同化という計画誘導の方策があり得るかというお話であったかと思いますが、これは大都市の場合にはある程度物流区域のようなものを設定して、その区域の中である程度自由も与える。そういうことでサービスの質を落とさないで物流区域というようなものがもしうまくできれば共同化の道もおのずから開けていくかと思います。  その辺につきましてはまだ十分ではございませんが、どうしてもそれは雑貨が中心になろうかと思います。そういうふうに思っております。
  60. 小島慶三

    小島慶三君 ありがとうございました。  ちょっともう時間がなくなりましたので、最後に、岡田先生にお伺いしたいと思うのですけれども、やはりこの物流の問題というのは物流という面だけでは、その担当の部局だけでは片づかないのであって、例えばいろんな物の生産とその集荷、出荷、それから供給、そういう流れから見ていろんな、例えば生産の面での地域別の振りかえ生産とか、そういうふうなことまでやらないとうまくいかないんじゃないか。  例えばトヨタさんのかんばん方式も非常に有名になりましたけれども、あれもやっぱりトヨタさんだけとれば、無在庫で下請けもシンクロナイズしてやるわけですから非常に効率的なシステムだと思うのですけれども、輸送という面から見ると、これは大変集中輸送というふうなことも考えられます。  そういうふうに生産と物流というものを、お互いの機能というものをもうちょっとうまくかみ合わせるといいますか、そういう必要がこれから出てくるんで、そういう意味ではかなり政策的な誘導が必要になってくるんじゃないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  61. 岡田清

    参考人岡田清君) かんばん方式の大きな特色は、部品の調達から製品の販売まで、特に販売店の情報がずっと後ろの方に、これ前工程と申しますが、前工程の方にずっと流されることによってトータルシステムが効率化するという点にございます。  ただし、その途中の輸送にどうしても道路の問題であるとか環境の問題だとか、そういう制約がかかりますので、その辺の制約を全部輸送業者がしょってしまう。したがって時間どおりに、これは大体往復で三十分、片道十五分の間に届けるということになるのが普通のようでありますが、その間に届けるとなりますと相当余裕を持っていかなけりゃいけない。末端の方にいきますと大波を打つともいいますけれども、非常にさまざまな問題がございます。  その辺の調和をとるのにどういうふうにしていったらいいのかという点は、これは先ほどの業者間の共同化の問題であるとか、あるいは輸送のルートの問題であるとか、そういう点についてきめの細かいやはり注意が必要になろう。今のところは必ずしもそこまでいっておりませんで事業者に任されておりますから、任されれば任されるほど苦労が多いというのが実態だと理解しております。
  62. 小島慶三

    小島慶三君 ありがとうございました。終わります。
  63. 長谷川清

    長谷川清君 本日は本当にありがとうございました。  私のところからまたさらに時間が短こうございまして、御協力賜りたいと思うのですが、今も話題になっておりますこの共同化という問題、今のこの物流産業全体が、単位として非常に小さい単位の企業組織が一万を超える多くの数で存在している。この状況の中で、今目指すような多くの諸課題に対して果たして可能性があるんだろうかという点が非常に危惧されるんじゃないか、こう私は認識せざるを得ないんでございます。  そこでどうしても、共同化がさらに進んでいってこの物流産業全体としてのコストダウンというものを考えた場合、この企業の近代化あるいは再編成といったような組織それ自身の規模の問題ということが一つは出てくるのではないか。それは今の形から共同化方向をたどりながらそこへ行くのか、それとも大きいプログラムでこれからのいわゆる需要と供給という関係から見まして、例えば今制約になっております道路一つとりましても、東京周辺では今外輪線が計画されておりますね。あれができ上がってしまえば多少、あれは大型トラック用であるということもありますから。  しかし、そのように緩和策はとられていくんでしょうが、それができ上がるころにまた次の課題が出るといった、そういう傾向の中で推移する恐らく社会の動き、テンポ、そういうところからいたしますと、業界全体としては産業の近代化、企業の再編成、そういったテーマにぶつかるのではないか。どうしてもそこがネックになるように思うのでございます。  お三方にそれぞれ二、三分程度で、時間が本当になくて恐縮でございますが、一点に絞って御質問させていただきます。
  64. 沼越達也

    参考人沼越達也君) 私どもは、中小企業問題について三十九年ごろからずっと取り組んでまいりました。初めは規模拡大というようなことを考えた時期、今でもその考え方は捨てているわけではございませんが、規模拡大を通じて近代化をやっていく。規模拡大というのに合併もございましょうし、それから組合化というものもある。そのほか、共同化を通じての有形施設共同で保有するというような高度化とか、情報化に対応した高度化とか、いろいろな試みをやっております。外国の例などを見ましても、運送業、特にトラック運送事業がある程度の規模でなければならないという原理は必ずしも各国とも共通にとっておるというわけのものではございません。  私の個人的な考え方といたしましては、情報化であるとか、あるいは高度化施設であるとか、あるいは人材養成であるとか、そういったことについては企業規模から見て中小企業はかなり難しいだろう。そうすると、共同化というのが協同組合化であるか、あるいは事業者団体を通じての共同部な行為であるかそれは別といたしまして、そっちの方は大いにやっていかなきゃいけない。中小企業問題というのは我々業界にとって最大の問題であるというように認識いたしております。
  65. 大森均

    参考人大森均君) 私どもとしては、あるべき姿というのは描いているんですが、現実は自然淘汰の再編成によるんじゃないかという形の中でしか共同化というか、そういう規模のスケールメリットが求められないんじゃないかなというふうに、ちょっと悲観的ですけれども思っております。  以上です。
  66. 岡田清

    参考人岡田清君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、少量貨物、つまりかつての路線トラック貨物は、これは競争によって寡占化、つまり企業の数はふえないで、だんだん集約化の方向に行くものだというふうに理解しております。中でも宅配便の場合は、どうしても大手四社でほぼ七、八割はもう賄っておるということでございます。  ただ気をつけなきゃいけませんのは、運送というのは元請をしまして、それを下請の事業者に流すというケースが多うございます。特に内航海運の場合にはオペレーターという元請業者がほとんど握っておりまして、それを中小の一杯船主であるオーナー、つまり船を動かしている人たちに仕事を与えるという形です。  そのオペレーターの方は、商業の商の要素とそれから輸送の要素が一体になっているというのですか、商の要素は規模を大きくすればするほど利益が出ます。しかしながら、輸送については規模を大きくすればいいというものではありません。ただ経営力は非常に弱くなりますから、経営基盤は非常に脆弱な状態になります。ここにその輸送業者の抱えている矛盾がございます。大規模化することだけがメリットではない。  したがって、競争が激化すれば大企業と零細企業に二分されてしまうということで、その零細企業から中堅企業が育っていくことによって物流はさらに改善していくだろうというふうに考えております。
  67. 長谷川清

    長谷川清君 ありがとうございました。  大変難しい現実が横たわっているということがございます。ただ、いろんな面においてそれぞれの産業レベルにおける労使、それから学識経験者の皆さん、行政、政治、やはりこれからの日本の全体的ないわゆる構造転換といいましょうか、そういう大きな流れとの兼ね合い等々で目指す方向はその辺にかぎがあるのではないか。その上に立っての現実的な今の問題や移行措置の問題等々が課題になるのではないか、そんな感じがするのでございます。  本当にありがとうございました。時間でございますので終わります。
  68. 立木洋

    立木洋君 最初に、沼越参考人にお尋ねしたいと思います。  物流の中でトラック輸送というのがある意味で非常に深刻な状況にあるんじゃないかということを、私はきょうお話を聞きながらさらに痛感したわけです。  三十年代からトラック輸送というのは急速な伸びが行われ、その急速な伸びは伸びることが求められたというような言い方をした方がいいんじゃないかと思うんです。当初は物を運べばいいという状態から、しかし実際には、それはただ単に物を運べばいいということではなくて、その流通費用をいかに最小費用に抑え込むかというそういう手段や方法での輸送が求められる。  さらには今度、無在庫生産のためにジャスト・イン・タイムなどというようなことで、あるいは流通費用の圧縮というふうなことから、どうしてもいわゆる付加価値の高い輸送のあり方が求められるというふうなことになってきて、一部の加工の問題までが輸送として行われるとか、情報も相当な情報を持っていないとなかなかそれに対応していけないだとか、相当急速な事態が起こってきた。  そういう状態にあって、先ほど来お話をお聞きすると、結局は省エネの問題、環境の問題、それから二十四時間社会の弊害の問題だとかいろいろな問題と絡んできて、ただ単にこれがトラック輸送だけの問題ではない社会のあり方の問題として問題になってきている。それが先ほどのお話を聞くと、結局九九%が中小零細企業だということになると、これは一体どうなるんだろうかというような非常に深刻な事態だなということを強く感じるんです。  それで、次の点をぜひお伺いしたいのは、今までの沼越参考人の御経験もおありになるということなので、先ほどちょっと言われた問題ですけれども、今の規制緩和の問題で二十トンを二十五トンにするというふうな問題があります。大森参考人は、それは基本的には賛成しているんだけれども現状を認めるというふうな形での意味合いではないかと思うんです。  この問題については、私はやはりトラックの台数をふやすだとかあるいは大型化するだとかいうふうな問題で本当にトラック輸送の問題の深刻さというのが解決する方向に行くんだろうか。そうではなくて、より一層深刻な事態になるんじゃないかという気がする。  それからもう一つは、モーダルシフトの問題です。これもなかなか難しい状態がある。JRの形になりまして、今旅客の問題と貨物の輸送の問題が分離されていますから、どうしても貨物の輸送をするとなると鉄道の軌道を借りないといけない。その費用をどうするかという大変な問題があるんですね。だけれども、そういう今までの沼越参考人の御経験からして、モーダルシフトの問題についてよりこういうふうな方向があるんじゃないかという何かお考えがあれば、さっきの規制緩和の問題とあわせてモーダルシフトに対するお考えをぜひこの際お聞きしておきたいと思うんですけれども
  69. 沼越達也

    参考人沼越達也君) 重量規制の緩和の問題をまず申し上げます。  今車両総重量二十トンという規定を置いておるのは世界各国の中で日本だけだと思います。要は、これは車両自身が非常に長くなりまして、それから車軸間の距離もふえております。そういったことを前提にいたしましてECなどでも見直しを図っておるというのが現状でございます。  それで、二十トンが二十五トンになってということについては私どももいろいろな調査をいたしまして、車両の総数も減る理屈でございますし、それから排気ガスも減る理屈でございますし、いろんな意味でこれは日本の物流に資するという考え方に立っております。私ども実は昭和三十年代からこの問題に取り組んでまいりまして、特に最近の人手不足などを背景にいたしまして、もうこれはぜひともトラック業界としてやっていただかなきゃいけないことということで取り組んでまいりました問題で、これが解決の曙光が見えましたことは非常にうれしく存じております。  それから、二番目のモーダルシフトでございますが、冒頭の説明で申しましたように、トラック運転手も一泊二日とか二泊三日とか、そういった長距離の運行ということは一般的に嫌がる傾向にございます。それはなぜかといいますと、やはりトラック運転手も、できれば日帰りで通常の市民生活と同じように子供と遊ぶ時間も欲しいという偽らざる気持ちがございます。それやこれやで、今トラック協会といたしましてもそうでございますし、業界の大手あたりも非常にこの問題には熱心でございます、むしろ使うべきであると。  私どもはいろんなところで、トラック業界はそういうモーダルシフトをやりますとそこのところから上がる収益を失う理屈であるから反対でしょうということをよく言われるんですが、そうじゃございません。我々は、道路を使うか鉄道を使うか船を使うか、これは通路の選択の問題として最良のものを選びたい。これについてはいろんな問題がございます。例えば、発の時間帯がどのぐらいであるか、到着の時間帯がどうであるか。それから船について申しますと、嵐が来た後なかなか定時性が確保できないということは御承知のとおりでございます。そういった問題はございますが、できるだけ使いたいという方向で考えております。  ただ、私どもモーダルシフトについて非常に懸念しておりますのは、モーダルシフトはよっぽど国がこのインフラ整備について腰を入れてやっていただかなければ本質的にはなかなか進まないだろう。片一方でモーダルシフトがあたかも物流の諸問題の万能薬であるかのごとき印象で論ぜられて、なかなかその条件がそろわないということで、トラックに対して世の中の冷たい目が向けられるということが一番私にとっては残念でございます。  以上でございます。
  70. 立木洋

    立木洋君 次に大森参考人にお伺いしたいんですが、参考人のいろいろな論文を読ませていただきましたのでお聞きしたいことはたくさんあるんですけれども、時間がないんであれなんですが、輸送部門の犠牲の上に生産や販売部門が過分な利益を得るようなことは社会的に許されないというふうな御指摘もされておりますし、トラック業者、特に運転手の方々が非常に困難な状態に、極めて深刻な事態にあるというふうなことをたくさん読ませていただきました。  それで、ただ一点だけ、ぜひ何か例があればお話しいただきたいと思うんですけれども、きょうの中で、荷主との関係について極めて弱い立場にあると、このトラック運輸業者が、特に運転手の方々なんかの場合。  例えば、いわゆる過重積載なんかが問題になった場合、捕まると運転手の責任にされる。それなら証明書はどうなっているんだというと、いわゆる荷主は証明書を書きませんから、そうすると運転手しか罰金を取られないというふうな状態になってきて、荷主が事実上過重積載を認めておって過重積載をさせておきながら、実際には運転手の責任になるなんというのは非常に大変な状態だろうと思うんですね。  だから、過労働の問題にしろ過重積載の問題にしろ、あるいはいわゆるサービス的なことが要求されながらもそれに対する対価が支払われないだとか、さまざまな問題が個々あると思うんですけれども、そういう深刻な事態について、特に何かこういうことが問題なんだという、荷主との関係で何か問題があれば御指摘いただければありがたいんですが。
  71. 大森均

    参考人大森均君) まず、荷主、荷主と余り呼び捨てに我々できないんです、やっぱりお金をいただいているわけでありますから。しかし現実は、取引関係が対等にいかないという事実はたくさんございます。とりわけ昨今の不況になってくると、これはこういうことがありますし、日銀の統計によりますと、昭和六十年からずっと運賃が上がっていなくて、バブルのときに少し上がって、最近またバブル以前に戻っているんです。  これはやはり需給のバランスが崩れているのと、それから我々の商品はサービスでありますから保存がきかない。荷主との関係で運賃が割が合わなくてもお断りできない、つまり安くてもともかく車を動かさないと固定費が浮かないという実態がございます。したがいまして、小規模になればなるほどそういう負担が重くなってこれが大きく影響しているんですが、結局は過積みでそれをカバーするという現実がございます。  特に、一般的に言われている区域とか貸し切りとか、つまり一社単位で輸送を受託する場合はどうしてもこの過積みによって運賃をカバーするという現実がございまして、この辺につきまして私どもは、いろんな角度から過積み反対あるいは適正重量ということを言っているんですが、最近ようやく関係省庁の間でも過積みによる弊害、特に時たまどでかい事故がありまして、それをきっかけにして過積みに対する関心が強まっております。  ですから、今回の車両重量の規制緩和の中でも、私どもはいろんな角度から議論したのでありますが、やはり一定量を超えた場合は、これはやっぱり運行管理者の責任ももちろんですけれども、運行管理者と発注側の責任を問うということをきちんと明確にすべきであるという今立場に立っております。  特に、運輸省の物流二法のときに適正化事業というのができておりますので、この適正化事業の大きな目玉はそういう問題ではないのか、そういうことを適正にするということが大事だろうということで今やっていますので、今後とも各先生方にまたお力添えをいただきながらそういうものをやっていきたいと思っています。
  72. 立木洋

    立木洋君 最後、ますます時間が短くなったんですが、岡田参考人お願いしたいんです。  先ほど参考人がおっしゃった狭い意味での物流ではなくて調達物流の問題でちょっとお聞きしたいんですけれども、日本は島国であって、国際的な関係というのも非常に今後物流の問題でも、国際的な貿易の問題、これらの問題の中で物流あり方というのは大きな問題になってくるだろうと思うんです、調達物流の問題としては。  日本の商船隊というのが極めて大きな変化を遂げてきたんです。見てみますと、何か今日の状況では隻数でいえば、日本の商船隊の中で日本船というのがわずか一九%だと。トン数でいっても三〇%だと。あとは全部外国用船だと。それから近代化船なんかでも二百二十隻中八十九隻しか占めていないという問題だとか、それから乗組員の状況を見ても八一%強が外国人で、日本の商船隊と言われながら本当にこれで日本の商船隊と言えるんだろうかというみたいな深刻な事態になっているんです。  単に外国人と日本人の比率がそういうふうな状況になっているだけでなくて、例えば甲板部だとか機関部なんかの定員削減のために知識や経験の浅い未熟練の乗組員がふえてきている。結局いわゆる未熟練の乗組員なんというのがA実用船では大体四割ぐらい占めて、パイオニアシップなんかでは七割強も占めるというふうなことになってくると、これは外航海運なんかの事故の問題とも関係してきますし、実際に聞いてみますと、乗り組んでいて月に一日の休みもないというのが五四%を占めているんです。  こんな深刻な状態で、日本の外航海運を支えていくような状態に本当になるんだろうか。今島国であって、外国との貿易なんかの問題を考えるとこれ深刻じゃないかということを考えるんですが、この問題というのは今までも何回も繰り返し問題になってきましたあの便宜置籍船の問題があると思うし、この問題をやっぱり根本的に見直す必要があるんじゃないか。  それから、日本人船員の確保の問題についても積極的に取り組むということが今後のやっぱり外国との貿易も含む、いわゆる調達物流については欠かせない問題ではないかと思うんですが、もう時間が本当に少なくなったんですが、一分程度ぐらいでと言ったら大変失礼なんですが、短くお答えいただければ大変ありがたいと思います。
  73. 岡田清

    参考人岡田清君) 今外国船の話であったかと思いますが、かつては外国船員が五万人ぐらいおりましたのが、今一万五千人まで減りました。それから定期船はほとんどコンテナ船になりました。調達物流という観点からいいますと、不定期船でございます。鉄鉱石にいたしましても、あるいは近海船にしましても、例えば木材の輸入とかそういうのは近海物がかなり多うございます。あとはタンカーでございます。  今のお話のように、今まではドル建てで運賃をもらっておりましたので、これの円建て化を一部やろうとしておりますが、ドル建てでドル安になればなるほど収入は減るということで、日本海運は壊滅的な打撃を受けてまいりました。今後とも、やはりその意味ではコスト競争力はそれだけ弱いわけでございまして、どうしても外国の方になってしまう。内航海運は四万五千人ほど船員がおりますけれども、これはほとんど国内だけですから、運賃も円建てということで、厳しいのは外国船だというふうに申し上げてよろしいかと思います。  まだ申し上げることはたくさんございますけれども、大体そんなところです。
  74. 河本英典

    河本英典君 私は時間が余りございませんので、質疑といいますより感想と意見を述べさせていただきまして、最後に先生に一言コメントなりいただいて終わらせていただきたいと思います。  先般は、トラックターミナル視察といいますか、見学に寄せていただきまして本当にありがとうございました。現場というものを見せていただいたわけでございます。  また、きょうは参考人の先生方に来ていただきまして、こうしてお話聞かせていただいたわけでございますけれども大森先生のお話の中で、現状物流軽視のシステムであると、それが非常に印象に残った言葉として私、今頭に刻んだところでございます。また岡田先生は、学者の立場からお話を聞かせていただきまして、実は私も学生のときに「流通革命」という東京大学の林先生が書かれた本を読んだときに、物的流通という言葉を物流と言うんだということをあのとき勉強したのを今思い出して、また新たにレビューの形で先生のお話を聞かせていただいて、認識を新たにしたところでございます。  非常に平たい話になるわけでございますけれども物流の諸問題を今いろいろやりとりの中で聞かせていただいたわけであります。鉄道からトラック輸送にかわったということの中で、私は一つ別の見方をしておりますのは、今のJRです。国鉄は、国鉄の使命は物をレールの上で運ぶんだということにこだわり過ぎたばかりに国鉄はおかしくなったんだというふうに思っておるわけでございます。  今の物流は、先ほどからのお話にありましたように、トラック道路の上で物を運ぶんだという考え方なんですけれども、さっきから鉄道であるとか海路であるとか、それから陸路であるとかいろんな議論があったわけでございます。  ちょっと突拍子もない話かもしれませんけれども、パイプラインといったらいいんですか、チューブといったらいいんですか、無人で自動的に運べるようなインフラといいますか、そういったものを、これは全面的にやるといいますと大変なお金がかかるでしょう。一番効果のある部分にそういった技術といいますか、設備を導入することによって道路の混雑が緩和できるとか、それから労働の問題が緩和できるとか、そういったことを二十一世紀の夢として考えられないではなかろうかというふうに思うわけでございます。  人、物、金、それから情報というふうに言われておりますけれども、人は大変今移動が便利になりました。お金もホームバンキングとか電算機を使いまして家からお金が動かせるようになっておるわけでございます。情報もCATVでケーブルを家まで引っ張っていろんなことができるという技術までいっておるわけでございますけれども、最後の物ですね。これが電算機でショッピングはできるようになったけれども、最後に商品を届けなければそのショッピングは完了しないわけですから、そういったことで、物の移動といいますか、動かすことが非常におくれている。だから、まさしく物流軽視のシステムであるんだなというふうに認識しておるわけでございます。  そういった中で、大変な話かもしれませんけれども、今申しましたチューブといいますか、パイプラインといいますか、そんなことは実際に考えられたことはないのかなということを、これは代表して岡田先生に一言コメントをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  75. 岡田清

    参考人岡田清君) かつて十年ぐらい前でございましょうか、真空チューブ輸送というシステムを考えたことがございます。中でも東京-大阪間のような非常に大量に動く場合にチューブではっと輸送すればいいのではないか、そういう技術革新の可能性を随分研究した時期がございます。あるいは東京の環七の地下に地下物流でそれを全部自動化してぐるぐるベルトコンベヤーのようにやったらどうかという話もございました。しかし、その後は立ち消えになりました。  ところが、今のチューブ輸送とは直接関係はございませんが、石油のパイプライン輸送の問題はこれまた数十年来大きな議論になったことがございます。ところが、これは各省庁間の、一言では話し合いがつかなかった。関係省庁が五省庁ぐらいございました。建設、運輸、通産、自治、経済企画庁でしょうか、それぐらいございましてなかなか話し合いがつきませんで、これは土地利用の関係その他無理もないとは思いますけれども、諸外国ではパイプライン輸送が相当進んでおります。オランダではごく最近鉄道の新線を貨物輸送のために建設したとも言われております。  そういうことで、まだチューブ輸送の技術的な面、いろいろ問題がございますけれども、今後もやはり検討していくべきではなかろうかと思います。  ただ、船につきましてはテクノスーパーライナーということで今検討に入っておりますが、この辺も大きなマーケットになるかどうかという、その辺のいろんな問題がございますけれども、なお今後の課題だと認識しております。
  76. 河本英典

    河本英典君 ありがとうございました。以上で終わります。
  77. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 以上で御三方の参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  なお、本日、参考人から御提出いただきました参考資料のうち、発言内容把握のため必要と思われるものにつきましては、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じますので、御了承願いたいと思います。     ―――――――――――――
  78. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業資源エネルギーに関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 櫻井規順

    会長櫻井規順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会      ―――――・―――――