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1993-10-04 第128回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月四日(月曜日)     午前九時一分開議 出席委員   委員長 山口 鶴男君    理事 衛藤征士郎君 理事 越智 通雄君    理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君    理事 中西 績介君 理事 野坂 浩賢君    理事 杉山 憲夫君 理事 草川 昭三君    理事 井出 正一君       伊藤 公介君    江藤 隆美君       小澤  潔君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       島村 宜伸君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    津島 雄二君       東家 嘉幸君    中山 太郎君       橋本龍太郎君    保利 耕輔君       松永  光君    村田敬次郎君       村山 達雄君    柳沢 伯夫君       若林 正俊君    綿貫 民輔君       井上 一成君    伊東 秀子君       大出  俊君    川島  實君       坂上 富男君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    加藤 六月君       工藤堅太郎君    笹山 登生君       月原 茂皓君    山本 幸三君       石井 啓一君    河上 覃雄君       谷口 隆義君    日笠 勝之君       二見 伸明君    荒井  聰君     五十嵐ふみひこ君    石井 紘基君       鮫島 宗明君    神田  厚君       高木 義明君    中野 寛成君       志位 和夫君    松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  細川 護煕君         法 務 大 臣 三ケ月 章君         外 務 大 臣 羽田  孜君         大 蔵 大 臣 藤井 裕久君         文 部 大 臣 赤松 良子君         厚 生 大 臣 大内 啓伍君         農林水産大臣  畑 英次郎君         通商産業大臣  熊谷  弘君         運 輸 大 臣 伊藤  茂君         郵 政 大 臣 神崎 武法君         労 働 大 臣 坂口  力君         建 設 大 臣 五十嵐広三君         自 治 大 臣         国家公安委員会 佐藤 観樹君         委員長         国 務 大 臣 武村 正義君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 石田幸四郎君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     上原 康助君         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官)         国 務 大 臣 中西 啓介君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 久保田真苗君         官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 江田 五月君         官)         国 務 大 臣 広中和歌子君         (環境庁長官)         国 務 大 臣 山花 貞夫君  出席政府委員         内閣官房内閣外         政審議室長         兼内閣総理大臣 谷野作太郎君         官房外政審議室         長         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一 津野  修君         部長         国際平和協力本 鈴木 勝也君         部事務局長         公正取引委員会 小粥 正巳君         委員長         公正取引委員会 関根 芳郎君         事務局審査部長         警察庁長官官房 廣瀬  權君         長         総務庁長官官房 池ノ内祐司君         長         総務庁人事局長 杉浦  力君         総務庁行政管理 八木 俊道君         局長         総務庁行政監察 田中 一昭君         局長         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁長官官房 宝珠山 昇君         長         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁教育訓練 上野 治男君         局長         防衛庁装備局長 中田 哲雄君         防衛施設庁総務 草津 辰夫君         部長         防衛施設庁建設 森本 直孝君         部長         防衛施設庁労務 小澤  毅君         部長         経済企画庁調整 小林  惇君         局長         経済企画庁物価 坂本 導聰君         局長         経済企画庁総合 吉川  淳君         計画局長         経済企画庁調査 土志田征一君         局長         科学技術庁研究 石井 敏弘君         開発局長         科学技術庁原子 石田 寛人君         力局長         環境庁長官官房 大西 孝夫君         長         国土庁長官官房 藤原 和人君         長         国土庁防災局長 村瀬 興一君         法務大臣官房長 則定  衛君         法務省刑事局長 濱  邦久君         外務大臣官房領 荒  義尚君         事移住部長         外務省総合外交 柳井 俊二君         政策局長         外務省アジア局 池田  維君         長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省中近東ア 須藤 隆也君         フリカ局長         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省経済協力 平林  博君         局長         外務省条約局長 丹波  實君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         国税庁次長   三浦 正顯君         文部大臣官房長 吉田  茂君         文部省初等中等 野崎  弘君         教育局長         文部省教育助成 井上 孝美君         局長         文部省体育局長 奥田與志清君         文化庁次長   林田 英樹君         厚生大臣官房総 佐々木典夫君         務審議官         厚生省生活衛生 柳沢健一郎君         局長         厚生省年金局長 山口 剛彦君         農林水産大臣官 上野 博史君         房長         農林水産大臣官 福島啓史郎君         房審議官         農林水産省経済 眞鍋 武紀君         局長         農林水産省農蚕 高橋 政行君         園芸局長         農林水産省食品 須田  洵君         流通局長         食糧庁長官   鶴岡 俊彦君         林野庁長官   塚本 隆久君         通商産業大臣官 牧野  力君         房長         中小企業庁長官 長田 英機君         運輸省鉄道局長 秦野  裕君         郵政省郵務局長 新井 忠之君         労働大臣官房長 征矢 紀臣君         労働省職業安定 七瀬 時雄君         局長         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済 小野 邦久君         局長         自治大臣官房長 遠藤 安彦君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選 佐野 徹治君         挙部長         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 滝   実君  委員外出席者         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 十月四日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     橋本龍太郎君   後藤田正晴君     保利 耕輔君   井上 一成君     大出  俊君   伊東 秀子君     川島  實君   二見 伸明君     日笠 勝之君   高木 義明君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   橋本龍太郎君     津島 雄二君   保利 耕輔君     後藤田正晴君   大出  俊君     井上 一成君   川島  實君     伊東 秀子君   日笠 勝之君     二見 伸明君   神田  厚君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   津島 雄二君     鹿野 道彦君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  予算実施状況に関する件      ――――◇―――――
  2. 山口鶴男

    山口委員長 これより会議を開きます。  予算実施状況に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 非常に短い時間でございますけれども、たまたま不幸な出来事がモスコーで起こりまして、ハズブラートフ議長なりルツコイ副大統領側内務省軍内務省警察軍などが二百名ぐらい向こうに行ったなどということが書いてありまして、流血騒乱が起こったという報道がございます。  そこで、非常に不幸なことでございまして、クリントン大統領はいち早く、米国はエリツィン大統領による自由と公正な選挙が実施されることを確信しているというコメントを発表されておりますが、十一日前後にはいずれにしてもおいでになることになっている。前回の経過もございまして、残念でございますが、そこらも含めてどうごらんになっているのか、また、クリントン大統領コメントもございますが、我が国政府は一体どう考えておられるのか、簡単で結構でございますが、情勢、御報告いただきたいと存じます。
  4. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答え申し上げます。  モスクワにおきます事態の展開、これにつきましては、私どもも重大な関心を持って注視をいたしておるところであります。流血事態となって犠牲者が出ましたことは大変遺憾なことでありますし、事態が早急に収拾されまして、法秩序の回復、そして市民の安全、これが確保されること、これを願っておるところであります。  今御指摘のありました大統領に対する支持についてでありますけれども、私どもといたしましては、エリツィン大統領の進めております改革への努力、これが物理的な暴力の行使によりまして阻まれる、これがあってはならないことだというふうに考えますし、また、エリツィン大統領改革への支持、この立場というものは変わらないということを申し上げたいと存じます。  以上であります。
  5. 大出俊

    大出委員 総理クリントン大統領の大変早いコメントがございますが、今外務大臣の御答弁をいただきましたが、総理、この点についての御見解ございますか。
  6. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今外務大臣から申し上げたとおりでございますが、私もソ連の状況大変憂慮をいたしております。法秩序が一刻も早く回復されることを願っておりますし、また、ロシアの改革がこれからも進展をしていくように、その改革に対して支援をしていくことを我が国としても考えていくべきであろうと思っているところでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 クリントンさん同様、エリツィンさんの改革路線支持をされるというふうに受け取ります。流血の惨事がこれ以上拡大をしないようにできるだけ早い収拾が行われて、予定どおり来日されることを願っておきたいというふうに思います。  本題に入らせていただきますが、非常に短い時間でございますので、私が時に一方的に申し上げることがあると思いますけれども、お許しをいただきたいと存じます。  細川さんの考え方がわからない時代が私ございましたが、本年一月の文芸春秋の新年号、ここに「「改革」の旗のもとに 結党以来百五十日、今こそ改革派結集の時だ (参議院議員細川護煕」というこの文章を読みまして、非常に驚きました。ここまで大胆に前に出て物をおっしゃる人なのかというふうに、そういう意味でいささか驚いたのですが、逆に、この考え方でお進みになるとすれば相当なことになるかもしらぬという気がいたしましたが、それは、ちょっと読み上げますけれども、「戦争、君が代、日の丸」という、これはもうたくさんあって取り上げたいところばかりなのですけれども、ちょっと抜いてみますと、私は、近衛文麿の孫に当たりますし、父も祖父の秘書官でございました。ですから戦争当時、親族がさまざまな形で政治の中枢にかかわりを持っていたわけです。私自身の思いを一言で総括するならば、この戦争は間違った戦争であり、侵略戦争と受けとめられても仕方がないものだと思っています。  戦後社会は、この戦争が過ちであったとして総括し、その反省をして、二度とそうしたことはしませんという誓いを立てたがゆえに国際社会に復帰できたのだ、これは厳然とした事実ですというくだりでございます。  時間がありませんからもう一点申し上げておきますが、今の問題でございますが、訪米との絡み。さらに現在取りざたされている日本国連安保常任理事国入りについては、まず取り組むべきことの第一は、国連改革・改組ということでしょう。何よりも優先すべきことは、「国連民主化」ということだと思います。「アメリカ国連」である間は、国連は本当の意味で機能しないし、まして日本がそのアメリカの、今になったらどうおっしゃるかわかりませんが、このときは、日本がそのアメリカの太刀持ちというのでは話にならない。この前の国連総会でブラジルの外相がそのことを訴えましたが、他の国が言えてなぜ日本に言えないのか。日本が単に常任理事国になることは必ずしも最優先の課題だとは思っていない。  今回二つ例を挙げましたが、一つは、侵略戦争と言われてもいたし方がない、祖父、文もかかわったんだからというこのくだり、私はじんとくるものが私も兵隊ですからあるわけでありますが、しかも学徒出陣でございますから。だけれども、今度の国連総会で、どうもあんまりはっきりした言い回しをなさっておられない。  もう一つ常任理事国入りというのも非常に遠回しで物をおっしゃっておられますから、受け取り方が幾つかある。APあたりのように間接的に常任理事国を求めておいでになる、ほかの方のアメリカプレスのほとんどは逆に受け取る。したがって、御本人細川さんにここのところは、この二つ、何か手前で物を言っておられますけれども、ここでおっしゃっていることと変わっていないと受け取りたいのですけれども、その点、いかがでございますか。
  8. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 初めにおっしゃったことは、侵略戦争侵略行為ということについてのお尋ねでございますが、先般来、本会議答弁でも申し上げてまいりましたように、過去における我が国行為が多くの方々に耐えがたい苦しみと悲しみを与えてきた、そのことについて深いおわびと反省気持ちを持って、今後新たな決意を持って国際社会に貢献をしていくという決意が必要であろう、そういう私の気持ちを率直に申し上げたところでございます。  それから、安保理入りの件につきましては、自然体で臨んでいくというのが我が国として望ましいスタンスではないか。選挙運動をしていろいろ入ったがるということはいかがなものであろうか。今既に多くの国が我が国に対して大きな期待を持っていただいているところでございますし、そういう中であえてそのような行動をとらなくても、我が国に対するそのような期待というものを自然に受けとめて、そして、推されるならばなし得る限りの責任を果たしていく、それが我が国の姿勢であってよいのではないか、私はそのように考えているところでございます。
  9. 大出俊

    大出委員 二十分でございますから、これで十分たった、与党質問というのは難しいものだと思いますが。したがって、さっき冒頭に申し上げましたように、私の方が一方的に、言うならば演説をぶつようなことになりますが、御勘弁をいただきたいと思うのです。  実は、今御答弁いただいたものと関係をするのでありますが、自衛隊機邦人救出に当たるというのですね。外務大臣防衛庁長官に言ったら飛行機を出さなければいかぬ。さきの国会議事録を全部これ読んでみた。質問者のほとんどがそれぞれ大きな危惧を持っておられて、それがほとんど質問の中では解消していない、こういうことになる。私がこれをトータルで申し上げますと、今の国連常任理事国に出ていく、このこともすべて絡んでいるという気がする。  ここに、ジェーン年鑑を出しております。これは私の専門ではございますが、ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーというのがございます。このフラッシュポインツを全部挙げるわけにはまいりませんけれども、一月、二月、三月というところでフラッシュポインツ、つまり世界発火点、次々に内紛、内戦、宗教上、国交、ボーダーラインファイティングを含めて、起こるであろうという極めて的確な指摘をしている予測がございます。何と世界で七十三カ所ある、次々に起こるという分析をしています。非常にこれは重視しなければならぬものでございます。  そこで、もう一つ問題がございます。ガリ事務総長は昨年の六月に御見解を出しておいでになります。ブトロスガリ、彼の見解によりますと、至るところに起こるであろう紛争に対して、強制部隊平和強制部隊あるいは執行部隊、これは武力を用いることが前提になっているという提案になる、ここらを含めて国連の強化とこう言う。  そうなりますと、国連常任理事国になってあらゆる義務責任を負うことになるとすると、ジェーンのウイークリーが分析しておりますように至るところに起こって、PKO、しかもガリさんの言っているように強制部隊平和部隊を出さなければならなくなるというようなことになると、日本はどうするんだ。憲法を抱えている、自衛隊法がある、どうするんだ、飛行機を飛ばす、飛ばしょうがないじゃないか、こうなる。  そうなると、私が頭の中にあったのは、六十二年に政府が百八十億、百八十億、合計三百六十億でボーイング747という飛行機を買った、四年余たってこれを防衛庁に移管をした。このボーイング747というのは三百五十人乗れるのですよ、大型機であります。総理なら総理が外国に行く、プレスの方を含めて百五十人乗っていくという、こういう飛行機であります。この二つ扱い。  当時の外務大臣渡辺君などに言わせれば、自衛隊パイロットが来て運航すれば簡単にできると言っていたら、自衛隊パイロットの方は民間飛行機の運転ができない。なぜならば、民間のライセンスがないから。いろんなことが背景にありまして、百二、三十人の特殊部隊をつくっておかなきゃこの保守ができない。それでも日航あたりに点検を依頼するなんてことになった。  自衛隊に移す、これだけかと思っていたら、この扱いだというのならそれなりの検討のしようもあると思っていたら、出てきたものを見たら、自衛隊の全部の飛行機対象である。これは議事録もう読み上げません、時間がありませんから、全部読んでありますが。全部の飛行機、こうなりますと、戦闘機も何もない。全部行く。しかも、何と四百十機航空自衛隊には作戦機がございます。海上自衛隊に二百八十機ぐらいの作戦機があると思いますが、この中で戦闘機と称するものが両方大体三百機ぐらいあるでしょう。そこも含めて全部対象になって、じゃ一機出ていくのか、二機出ていくのか、三機出ていくのかと言ったら、上限がない。全機種が対象だ。上限がない。両方とも防衛庁の前の防衛局長答弁です。今の次官の答弁、畠山さんの答弁です、はっきりしている。ということになると、これは一つ間違うとという心配をするのは当たり前なんです、だれが考えても。  そこへもってまいりまして、議論の中で何が出てくるかといいますと、今のこの法律によって外務大臣から防衛庁長官に、あそこに在外邦人がいて困っているから飛行機を出してくれ。閣議の決定も要らなければ、安全保障会議決定も、かける必要もなければ、国会にかける必要もなければ、しかも報告義務もないという形で出ていける。国会議員皆さんが知らないうちに世界じゅう、外務大臣防衛庁長官に物を言ったら自衛隊飛行機が飛んでいった。報告義務もないんだからわからぬでしょう。しかも、出ていってほかの空港にというときに、騒乱というものが対象になって出ていくんだから、災害騒乱、それと緊急事態に際してと、こうなっているのですが、災害騒乱緊急事態、この緊急事態というのは何だと言ったら、鉄砲を撃ち合ったり、内乱になっちゃったり、秩序が守れなかったり、飛行機が飛んでも危険があって行けなかったりと、こういうわけです。ということになりますと、それでいいということにはこれはならないのですね、状況を見てみますと。  さっき二つ申し上げました。ガリさんの言っている平和強制執行部隊という構想もある。国際的に七十三カ国にも次々に起こるという分析をしている。もう一つ言えば、ミラージュ戦闘機その他をつくっている兵器産業、フランスのダッソーブレゲー、これは有名な企業であります。みんな瀕死重症なんですね。ダッソーブレゲードイツフィリップス、ここから始まりまして、これちょっと見ただけでも随分たくさん。ああ、オランダですね、フィリップスは。オランダフィリップスドイツのクラウス・マッフェー、スイスのエリコン・ピューレ、ここから始まりまして、ほとんどの今兵器産業というのはみんな瀕死重症、何かが起こることを待っている感じさえする。こういう状況の中ですから、しかも常任理 事国に出ていったら、あらゆる責任義務を負わなければならぬ。  そこで、もう一つ申し上げます。  この法律が出てきたときの本会議のやりとりで、議事録はここにございますが、宮澤総理がいきなり答弁をなさった。この答弁の中身に重大な問題がございます。一九七五年の四月二十九日にベトナム戦争の一番最後サイゴン陥落をした。日航皆さんに頼んでようやく出てもらって、前の晩二十八日にマニラに着いて待機をした。サイゴン陥落邦人救出。ところがここで、がしゃがしゃっとこの陥落最後戦闘が起こってしまって、このときにパイロットクルーサイゴン行きを拒否したというのですね、拒否した。だから、今回は万一のことを考えてこの法案をお願いしているというのが宮澤さんの言い分なんですよ。私はこれは間違いだと思うのですよ。民間パイロットが身の危険を感じて行かない、クルーも行かないというところに、だから自衛隊をというのは私は間違いだと思う。  この任務自衛隊法三条に基づく本体の任務じゃない。附帯業務なんですね。日本という国が攻められたら三条で命をかけてくれと私も言うけれども、だからこの点は、後から答弁もいっぱい出てきますが、防衛庁はさすがに、民間パイロットが行かないというところには自衛隊飛行機は出しませんとこう言う。それならば、ボーイングの747を主体にして物を考える。全機対象だなんということでなくて、C130という輸送機、この名前がこの答弁の中に挙がってくる。政府専用機二つないしはC130をとこう言う。自衛隊輸送機というのは三つしかない。YS11、C1、C130しかない。また、何機もないんですよ。C130というのは九十人乗れる。C1が六十人。だけれども、物を限定して考えようというのなら、それなりの出しようもあるはずなんだ。  だから私はそういう意味でどうしても賛成ができないという考え方でございまして、この点は与党質問の難しさでございまして、総理に聞くと変なことになりますので総理には聞きませんが、官房長官、これはそういう問題を抱えておりますから、詰めた議論をひとつぜひ官房長官を中心に、与党でございますから、与党内で詰めていただきたいと申し上げておきますが、いかがでございましょうか。御答弁ください。
  10. 武村正義

    ○武村国務大臣 この問題につきましては、目下政府・与党の中で意見調整をしているさなかでございます用意見の調整ができ次第、政府としては提案をしたいという気持ちで今後発力をしていきたいと思っております。
  11. 大出俊

    大出委員 時間ですから、終わります。
  12. 山口鶴男

    山口委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。  次に、月原茂皓君。
  13. 月原茂皓

    ○月原委員 私は、新生党・改革連合を代表いたしまして、冷害そして米の問題、そのことについて総理その他の閣僚にお伺いしたいと思います。  私たちも九月の上旬に調査団を派遣して東北地方を見てまいりましたが、大変な冷害である。  まずお尋ねしたいのは、農林水産大臣にお尋ねしますが、作況指数八〇というふうに出ておりますが、このまま推移すると思われているのかどうか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  14. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 御案内のとおり、八〇という数字は、九月十五日の作柄を踏まえた発表数字でございます。残念ながら、九月十五日以降の気象条件が例年のとおり期待されるような姿ではなかった、こういうことを考えますと、ただいま御指摘の数字が下がるという懸念を抱えた今日の姿だと厳しく受けとめながら、万遺憾なきを期していかなければならない、かように考えております。
  15. 月原茂皓

    ○月原委員 そこで、昨日、農水大臣また総理大臣も視察をされたようでありますが、九月三十日に対策を立てられたわけですが、今までこういう問題に遭遇するたびに対策を立てられているわけですが、特に今回このような大凶作、この地域の生産者また地域経済に及ぼす影響は非常に大きいものがあると思うだけに、この内閣僚の懇談会で出された対策について、特に今までと違った、こういう点に注目してもらいたいということがあれば、ここで報告していただきたいと思います。
  16. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 御指摘がございましたとおり、今回の大凶作といいますものは、百年に一遍あるかないかという表現もございますし、あるいはまた人によりましては、データが過去の古いものはないわけでございますので、場合によっては有史以来といったような指摘もこれまたあるわけでございます。  さようなことを踏まえまして、これは一農林水産省だけで問題の対応をなし得るものでもありませんし、そういう姿であった場合には、生産者の方々にも、そしてまた国民の皆様方、消費者の方々にもいささかの不安を与える、こういうことを懸念いたします姿の中から、細川内閣として全力を挙げてこれに対応しよう、こういうような考え方を持ちまして、官房長官等々が関係閣僚にお声をかけていただきまして、御案内のとおり九月三十日に関係閣僚会合を持ちまして、いわば従来の災害対策でやりましたことはすべてやる、そしてまた、内容によりましては、やはり百年に一度といったような異常な凶作でございますから、場合によっては融資枠の数字の天井を高くする、あるいはまた雇用の問題、なおまた共済金の支払いについての時期を早める問題、万般にわたりましていささか厚みを持たさしていただく、そしてまた、私どもといたしましては、内閣挙げての取り組みによって、消費者の方々も、国民的な基礎食糧につきましての供給体制は遺憾なきを期する、こういうことをも踏まえまして、国民各界各層の方々に御安心が願える状態をつくり出す、これを第一に考えての取り組みがなされておる、かように御理解をいただければありがたいと考える次第でございます。
  17. 月原茂皓

    ○月原委員 今お答えになった点で特に私がお尋ねしたい点は、共済金の早期と、言葉は早期と言いながら、いつも年が明けてからというようなことも多いようでありますので、この際、年内にやるとか、一つの時期というものをはっきり示して、みんなに安心してもらえるようにしてもらいたいと思います。
  18. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 御指摘の問題につきましては、その共済の支払い以外の分野におきましても、被災者のお立場にございましては一日も早く、あるいは一時間でも早く、そういうお気持ちがあるわけでございますので、共済の支払いにつきましては、少なくとも年内にすべて完了するように、ただいま財政当局等々の方の御高配をもお願いを申し上げ、協議を進めておる。めどといたしましては、年内に支払いの完了をする、こういう作業の詰めを急いでおるのが現在の姿でございます。
  19. 月原茂皓

    ○月原委員 これは各省庁にまたがることにもなりますので、総理大臣にお尋ねしたいわけでありますが、今度の場合、他のところと非常に今までの対策と異なって注目されるところは、公共事業の関係が強く打ち出されているところであります。  被災地における公共事業等の推進を通じた就業機会の確保、そして、その他の被災農家等に対する措置というものが言われておりますが、市町村が救農事業というか、農民の方々がもう出稼ぎに行くのも非常に困難だ、そして農作物は、我々、多くの方々からいうと全くサラリーマンのサラリーと一緒で、給料と一緒のもので、それが全くゼロに近づいてくるわけですから、何か働かなければならない、そうかといって、高度の技術を持っているわけではない、農業に従事しているわけですから。そういう意味においては、地方の方でそういう仕事は必要なんだけれども、お金がなくて今までしてない、しかし、その人たちの労力によってすることができるという事業が今私はたくさんあるんではないか、こういうふうに思うわけです。  そういうことで、各省庁また自治省も含めまして、そういうものの市町村の事業に対して、総理 の方から、積極的にそういう事業をすることによってその人たちに就業の機会を与える、そういうことを指導していただきたい、このように思うわけですが、いかがなものでしょうか。
  20. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今、農林大臣からお答えをいたしましたように、農家経済のみならず、地域経済にも非常に深刻な影響を与えていることを憂慮しているところでございまして、そうした観点から、八項目の対策の中にも、そうした被災地域における公共事業の推進を通じまして、就業機会の確保などに特に意を用いているところでございます。そうしたことにつきまして、その着実な推進を図ってまいりたいと思っております。
  21. 月原茂皓

    ○月原委員 今のお話でその意のあるところが十分わかりましたが、特に念を入れてお願いしておきたいことは、自治省関係の問題ですね。市町村が事業をした場合には、十分それをカバーしていくということをお願いしたいと思います。  災害ということで国土庁長官にお尋ねしたいわけですが、同じように、今は東北の冷害の問題を申し上げたわけでありますが、北海道の地震等でも今非常に困っておる方々もおられる、冬も近づいておる。そういうことに対して、激甚の指定を初めとして、また、その他の事業についてどういうふうに取り組んでおられるのか、国民の皆さんにわかるように説明していただきたいと思います。
  22. 上原康助

    ○上原国務大臣 お答えさせていただきます。  今お尋ねの北海道南西沖地震災害に対しましては、政府は、非常災害対策本部を設置をいたしまして、当面の応急対策のほか、災害復旧事業の早期実施、農林漁業や中小企業に対する救済措置、被災自治体への財政措置など、多種多様な対策を取り決めて実施をしているところでございます。  二点目といたしましては、激甚災害制度については、既に中小企業への特別の助成、天災融資法の特別措置、共同利用小型漁船建造への助成措置を適用しているところでありまして、その他の措置についても、地方自治体との関係もありまして、被害状況の早期把握に努めて、適切に対処をしているところでございます。  国土庁といたしましては、非常災害対策本部の決定政府全体で推進するという立場から、政府の中核として関係省庁の施策の調整を積極的に行うとともに、対策の重点となる地域の再建と復興を強力に進めるため、北海道による計画づくりに必要な指導、支援を行い、当計画の円滑な推進を図る考えで今進めているところでございます。御協力をお願いいたしたいと存じます。
  23. 月原茂皓

    ○月原委員 国土庁長官にお願いしておきたいことですが、今、冷害の問題で非常に東北地方、北海道ということについて行っておりますが、今までの非常に大きな災害が、九州、また今お話しになりました北海道の地震、そういうことで起こっている。その人たちがややもすると我々の存在をどう思っておるんだというふうな不安感に駆られないように、強力に、一緒に、今おっしゃったような政策を進めていただきたい、このように思うものであります。  それではまたもとに、もとというか、冷害の問題に関連して返ってまいりますが、今新聞を見ると、米が盗まれたとかあるいは値上がりだとか、いろいろなことが言われております。これは、米が足らぬのじゃないか、こういうふうな考え方に立っている。この間の対策で二十万トンの輸入ということを決められましたが、先ほど冒頭にお尋ねした、もう八〇を切るという考えのときに、主食の方についてはどういうふうに確保されようとされておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  24. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま委員指摘のとおり、こういうような状況下にございましては、要らざると申し上げてはいささかどうかと思いまするけれども、デマのたぐいに類するものが、流言飛語が飛ぶ可能性もある。そういうことをも念頭に置きながら、これからの具体的な取り組みをいち早く明確に国民、皆様方にお示しをすることが大切と、こういうような考え方に立っておるわけでございます。  さような意味合いでは、当面の取り組みの具体案としましては、御案内のとおり、関係団体等々あるいは食糧事務所等々を督励いたしまして、ただいま全量集荷に向けまして全力を注がしていただいておるわけでございますし、なおまた、来年に向けましての減反政策の緩和、この問題につきましては、今月末までには具体的な内容を数字をもって関係の皆様方にお示しをさしていただきたい、そういうこともただいま作業が進んでおりますことは御案内のとおりでございます。  そういう中にございまして、年末のいわゆる加工用分野の需要に対しましては、緊急避難的な対応としまして、これは自由化につながるなどという残念なうわさが一部流れておるわけでございますが、全く別次元の姿であるわけでございますから、異常な大凶作に対する緊急避難的な対応としまして、二十万トンの加工分野の米を年末に際しまして輸入を図ってまいりたい。  なおまた、御指摘がございました、しからば主食分野はどうなるのか、これはやはり大変関心の高いところではないかというふうに考えるわけでございますが、御指摘のとおり八〇あるいはまた最終段階では八〇をいささか下がるかもしれないという中にございましても、ただいま申し上げました減反政策の緩和あるいはこれからの気象条件、そういうものを踏まえますとまだまだ流動的な要素がございますが、来年の端境期にはかなり厳しい状態になり得るということもございますので、やはり私ども責任ある立場といたしましては、最悪の事態をも、来年の端境期という問題をも踏まえまして、この辺の対策に万遺憾なきを期してまいりたい。  しかし、これも先ほど申し上げましたように、あくまでもいわゆる異常事態に対する緊急避難的な対応の検討課題、こういう分野での検討を、具体的な事実を把握しながら作業を急いでまいりたい、かような考え方に立っておることをこの機会に申し上げる次第でございます。
  25. 月原茂皓

    ○月原委員 数字を挙げてお話をしてもあれですが、時間的な問題もありますので、今非常に抽象的な話でありましたが、今国民が、自分が食べる米がどうなっていくんだと、そういうことに、安心ですよ、心配ないですよという姿勢、それが私は大切だと思います。  それとともに、米の輸入によって、貧しい国々の中で生活している人々のことを考えたときに、国際的にその投機筋が動いてそういう人たちに非常に大きな影響を与えないような、そういうような調達方法というものも日本として考えていかなければならないと思います。  そこで、減反の問題ですが、減反に協力してもらうためには、私は減反政策と今までの政策を反省しなければならないと思っております。その点について、どのような反省に基づいてそれをするのか。そして、それは当然のこととして備蓄の問題に絡んでくると思っております。備蓄の問題についても今後検討する用意があるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。  時間がないので、その農林水産大臣答弁の後で総理大臣から、今非常に、農林水産大臣もお答えになったことですが、緊急避難的な措置だ、こういうふうにおっしゃいましたが、総理アメリカにおける発言、それはその意図したところではないにしても、多くの方々は自由化の問題について非常に不安を持っておるわけでありますから、そういう点において、この緊急避難的な輸入の措置というものが我が国の米の自由化の問題、ウルグアイ・ラウンドの問題とどういうふうな関連として国民に理解していただくのかその点を最後総理大臣から答弁を願いたいと思います。
  26. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 御指摘のとおり、ただいま復田という、水田にもう一度戻していただく、こういうことを御関係の皆様方にただいま今月の十五日に向けましての意向調査、こういうものをさせていただいておるわけでございまして、いわばその裏腹の気持ちといたしましては、やはりやる意欲の ある方々、こういった方々にはやはりその面積を、プラスの要素を傾斜的に配分をしていこう、こういうことによっても、備蓄に備える要素もございますし、あるいは安定供給という分野にもプラスの要素になり得ると、かような考え方に立っておるわけでございます。  備蓄の問題で百万トン、この問題は、当時その備蓄の適正数量というものをめぐりまして、関係の方々が十二分に論議をされました上での百万トンというようにいきさつをそれなりに承知をいたしておるわけでございます。さような意味合いにおきましては、この百万トンという数字を軽々に扱うことはできませんけれども、私は、一度皆様方の従来行いました論議の内容等々を再度また御検討願うということも、これまた必要ではないかなというように考えるわけでございます。  ともあれ、消費者の皆様方に、少なくとも国民の皆様方には、主食を一日といえども御心配をかけるような供給体制の姿にすることはありえない、これを目指しまして全力を挙げてまいり。たい、かように考えております。
  27. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 農水大臣からお答えしたとおりでございますが、主要な食糧を安定的に供給をしていくという食管制度の基本的な役割にのっとりまして、今回、特例緊急的に輸入をしたいということでございまして、そのことが直ちに自由化につながることではない、そのこととは全く別問題の話であるということでございます。  クリントン大統領との話の中でこの話はいたしておりません。ウルグアイ・ラウンドは他方大詰めを迎えておりますが、あくまでも我が国における米の重要性というものにかんがみて、従来の基本的な方針のもとで対処してまいりたいということでございます。
  28. 月原茂皓

    ○月原委員 終わります。
  29. 山口鶴男

    山口委員長 これにて月原君の質疑は終了いたしました。  次に、日笠勝之君。
  30. 日笠勝之

    日笠委員 公明党の日笠勝之でございます。  時間もございませんので、簡潔に御答弁をお願い申し上げたいと思います。  自民党の一党支配の政権下のもとで、最近でもロッキード、リクルート、共和、佐川事件にまた金丸巨額脱税事件と、いわゆる国民の政治不信はきわまっておるわけでございまして、そして最近はゼネコン汚職と、おぞましい事件が連発しておるわけでございます。国民の信頼を回復するためには、政治改革をなし遂げなければなりません。政権の交代が政治改革の大きな第一歩であるということは当然でございますが、この担い手がかわったということを確かなものにするためにも、何としても政治改革関連四法案を早期に成立することが肝要かと思う次第でございます。  ところが、この臨時国会も相当日程的に窮屈になってまいりました。総理もことしじゅうに決着をつける、成立させる、このようにしばしば国民に公約をされているところでございます。総理の今後の対応と決着に対する御決意をお伺いをしたいと思います。
  31. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 お話がございましたように、政治改革の実現、政治改革法案の実現は、景気の回復とともに本内閣におきます最大の課題であると思っております。  政治改革を実現することによりまして国民の政治に対する信頼を回復をし、さまざまな課題に対応していくような環境をつくる、また、国際社会の中でもそれなりの責任を果たしていくような政治体制を確立をしていくということが何よりも求められているというふうに思っておりますし、そうした観点から、この国会におきましてぜひともこの四法案を成立をさせていただきたい、そのように強く願っているところでございます。
  32. 日笠勝之

    日笠委員 野党の皆さんの御協力もいただきながら、連立与党としても成立に向けて全面的に強力にバックアップしていく所存でございます。  さて、ゼネコン汚職、もう連日の新聞、テレビで報道されているところでございます。  まず総理にお伺いしたいのは、八月の二十三日の衆議院本会議におきまして所信表明をされました。その中でこのようにおっしゃっています。私は、政治腐敗の温床となってきた、いわゆる政官業の癒着体制や族議員政治を打破するために全力を尽くしてまいります。直接、間接を問わず、行政が政治家の票や資金の応援をなすことがあるとすれば、その弊害は政治や行政の根幹にまで及ぶことになるだけに、政治と行政との関係改善や綱紀の粛正に厳然たる態度で臨んでまいる決意です、このようにおっしゃっておられますが、どのように具体的にこれを実現されようとしておるのか、方策をお尋ねいたします。
  33. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 政官業の癒着の構造をどう打破していこうとするのかということでございますが、まさにそういう問題を解決をしていくために、今日、選挙制度あるいは政治資金の問題を初めとして、このたびの国会に四法案を提出をさせていただいているわけでありまして、なかんずく、今日の個人本位の選挙制度というものが、政治と金にまつわるさまざまな問題の根幹になっているというふうに認識をしているところでございます。したがって、ぜひとも各党各会派の御協力をいただいて、この国会で政治改革法案の実現を図ってまいりたいと思っておりますし、またあわせて、政官業の癒着の体制ということになりますと、行政改革の問題につきましても、ぜひこれは強力に推進をしていかなければならないのではないか、そのように思っているところでございます。  ぜひ各党各会派の御協力をいただきたい、そのように重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
  34. 日笠勝之

    日笠委員 そこで、具体的にお伺いいたしますが、いわゆる金丸自民党前副総裁巨額脱税事件に端を発した今回の公共事業をめぐる自治体首長、いわゆる首長と大手ゼネコンとの汚職事件というものは、もう底知れぬ深さと広がりを今呈しておる状況でございます。熊本県知事も経験されたことに照らしつつ、総理はこのゼネコン汚職事件に対してどう認識されておるか、また、どう対応されようとしておるかをお伺いしたいと思います。
  35. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ゼネコン汚職事件の広がりは大変遺憾なことだと思っております。このようなことが政治に対する不信をますます高めて、そしてまた、地方分権に対するせっかく盛り上がりつつある機運というものに影を差すのではないかということを憂慮しているところでございます。  この問題につきましてはいろいろな観点から考えなければならないと思いますが、一つはやはり何と申しましても首長のモラルの問題というものがあるだろうと思いますし、もう一つはやはり建設業者の、業界のモラルというものもございましょうし、それからまたもう一つは、入札とか契約制度とか、そうしたシステムの問題もございましょうし、あるいはまた政治資金規正法にかかわるところの、つまり政治と金にまつわるところの問題というものもあるだろうと思っております。  政治資金規正法の問題につきましては、今まさにこの政治改革法案の中で御論議をいただくところでございますし、システムの問題につきましては、今中央建設審議会におきまして入札制度のあり方などについて御論議をいただいているところで、年末をめどに一つの方向性を出していただくということでございますから、ぜひきちんとしたその結論に沿って対応をしてまいりたいと考えているところでございます。  しかし、何と申しましても一番基本的なことは、これは何も地方の首長に限りませんが、政治家自身が襟を正して、地域住民のあるいは国民の信頼にこたえる姿勢をどのように矜持するかということが最大の眼目である、そのように認識をしているところでございます。
  36. 日笠勝之

    日笠委員 では、各省庁別に具体的にさらにお伺いいたしますが、法務省にお伺いいたします。二人の知事と一人の市長と一人の町長が今逮捕され、捜査を受けておるわけでございますが、事件 の真相究明、徹底解明ということについて法務省はどのように考えておられるか。一罰百戒という言葉がありますが、何か四罰百戒で終わるのではないか、こういうような話もあるわけでございますが、その意気込み、決意をお伺いしたいと思います。
  37. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 いわゆるゼネコンをめぐる贈収賄事件につきましては、検察当局におきまして建設会社役員及び地方公共団体首長らを逮捕するなどして、法と証拠に基づき、適正な捜査処理を行っているところでございます。  私、法務大臣といたしましては、検察当局は、今後とも刑事事件として取り上げるべきものがあれば、厳正に対処するものと確信しております。
  38. 日笠勝之

    日笠委員 そこで、この捜査状況の中間報告をしかるべきときにこの国会へお願いを申し上げたい、かように思っていますが、その点はいかがでしょうか。
  39. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 お答え申し上げます。  いわゆるゼネコン疑惑事件について国会から中間報告を行うようにとの御要請がありましたならば、その時点において、法令に照らして御協力できる範囲や内容において検討することとなると存じます。  本件については、東京地検による捜査が続けられているところでありますので、その点をも踏まえつつ適切に対処したいと考えております。
  40. 日笠勝之

    日笠委員 総務庁にお伺いいたします。  このいわゆるゼネコン汚職だけではなくして、例えば政府調達、契約であるとか入札であるとかこういうものについても、例えば病院であるとか大学に対するリース料金も一般相場より高いのではないかとか、いろいろなことが言われておりますが、この際、公共事業の発注、入札等に関しまして大々的に行政監察を行うべきではないか、もって国民の信頼をかち取るべきではなかろうか、このように思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。
  41. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えを申し上げます。  このゼネコン汚職の問題につきましては、総務庁としても重大な関心を持っておるところでございます。現在、公共事業の入札、契約等の問題については、日笠委員も御存じのとおり、中央建設業審議会等におきまして特別委員会を設置されて、その中でまた新しい入札、契約等の制度、こういったものを検討いたしたい、こういう状況になっておるわけでございます。  行政監察の性格からいきまして、やはりこの実施状況というものを子細に検討をしなきゃならないわけでございます。したがいまして、この結論を得てから公共事業に対する行政監察はいたしてまいりたい。なるべく早くと思いますが、平成六年度の行政監察の中にこの課題を取り入れて取り組んでまいりたいと思うわけでございます。  やはり、新しい制度ができるということになりますと、新旧の制度の比較も必要でございましょうし、また、新しい制度が実施されてどういう角度でそれが行われるか、そういった問題について十分監察を行わなければならない問題だ。  いずれにいたしましても、今、日笠委員の御指摘のとおり、この行政監察、重大な関心を持って真剣に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  42. 日笠勝之

    日笠委員 いずれにいたしましても、早期に着手をする、準備期間だけでも中央監察は二、三カ月かかるわけでございますから、早期に準備をして、早期に着手をするということを強く要請を申し上げておきたいと思う次第でございます。  続きまして、公正取引委員会、談合という言葉はもう国際用語になっておるわけでございまして、これだけゼネコン汚職が云々されている中にもかかわりませず、今もって談合情報というものがいろいろなところになされておるわけでございます。この談合体質を日本の国から排除していく、徹底的に、もう告発も辞さないで公取は対応する、こういう強い決意が必要だと思うわけでございます。  公取の御意思、決意をお伺いをしておきたいと思います。
  43. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 各紙で入札談合が行われているとの報道につきましては、私どもももちろん承知をしております。  あえて一般論として申し上げますと、入札談合行為は競争入札制度の根幹を揺るがすものでありますし、競争制限行為を禁止しております独占禁止法に明確に違反する行為であります。したがいまして、私どもは、従来から、この談合行為に対しましては厳しい対応をしているところでございます。  具体的な問題といたしましては、私ども、独占禁止法に違反する疑いがあるとする具体的な端緒となる情報に接しました場合には、当然のことでございますが、必要な調査をいたしまして、その結果、違反行為が認められれば、法に照らして厳正に対処する所存でございます。
  44. 日笠勝之

    日笠委員 国税庁にお伺いします。  架空取引、いわゆる本支店間の架空の工事があったような取引であるとか、裏金庫だとか裏金づくりとかやみ献金とか仮名口座とか使途不明金とかもう国税庁の出番が大変多いわけでございますが、どうも後追いのような感じの調査としか感じられないという国民が大変多うございます。  こういう悪質なものに対しては、青色申告を取り消すという、承認を取り消すというくらいの強い意思を持って制裁をしていくというぐらいのことがなければ、このゼネコン汚職の解明の一端を国税庁としては担えないのではないか、かように思うわけでございますが、国税庁のこのゼネコン汚職に対する決意のほどをお伺いをしておきたいと思います。
  45. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答え申し上げます。  国税当局といたしましては、常に納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じまして、有効適切な資料情報の収集に努力をしておるわけでございます。その結果、課税上問題があると認められる場合には、実地調査を行うなどいたしまして、適正な課税に努めているところでございます。  そういった意味で、ただいま御指摘の件にかかわりますいろいろな情報につきましては、重大な関心を持って見ていくというところでございます。
  46. 日笠勝之

    日笠委員 重大な関心を持っておる、結果が物を言うわけでございますから、その結果を待ちたいと思います。  そこで通産省、先ほど総理は、特別国会の所信表明で、綱紀粛正、毅然たる態度で臨んでいきたい、こう言われておりますが、最近、通産省の中のいわゆる官界のモラル、先ほど総理は政治家のモラル、業界のモラル、こうおっしゃいましたけれども、官界のモラルですね、これが今大きく指摘をされております。ゆがんだ人事であるとか、幹部が私益に走ったとか、いろいろ情報が飛び安くておりますが、いわゆる政治家のモラルと同時に、官僚、官界のモラルも大変大切なわけでございますが、通産省とすれば、今いろいろ報道されている、うわさされていることについて大臣はどのような決意で臨まれようとされているのか、お伺いしたいと思います。
  47. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 ただいま委員指摘の件につきましては、私ども、マスコミ等でいろいろ取りざたされているということについては承知いたしております。  事務当局からも事情を聞いたわけでありますけれども、格別問題があるとは思われないということであり、私もそのように確信しておるわけでありますけれども、ただ、結果として、さまざまな疑問を投げかけられ、御批判は浴びたということにつきましては、大変残念なことであり、遺憾なことだと思っております。放置しておけば、通産行政の信頼性にかかわることでありますので、私どもとしては、将来に向かって、意識の改革を図り、また再びこのようなことを招かないような体制の確立に邁進したいと考えておるところでござ います。そのことによって、綱紀粛正の実を上げたいと考えております。
  48. 日笠勝之

    日笠委員 期待をしております。  さて、総理、いわゆる入札とか契約、政府調達等について、談合であるとか政官業癒着の温床であるとか、このように言われておるわけでございます。そこで、首相の先ほどの特別国会での決意もあわせまして国民の前にこの点を明らかにしていく必要があるのではなかろうか。すなわち、関係各省庁一体となりまして、いわゆる入札だとか契約だとか、こういうものについて、法的、制度的、構造的な原因を分析した上で、総合的な再発防止策を国会報告する義務があるし、また決意が必要だろうと私は思いますが、前政権とは一味違う、これがいわゆる細川政権の一つの仕事であろうとも思いますが、御決意のほどをお伺いをしたいと思います。
  49. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、いろいろな角度から今後検討していくということで、それぞれに全力を、最善を尽くして考えてまいらなければならないと思っております。  国会への報告ということでございますが、中央建設審議会などで検討しておりますことにつきましても、モラルの問題とかなんとかということは別といたしまして、そのシステムの構造的な問題などにつきましては御報告を申し上げるということになろうと思っております。
  50. 日笠勝之

    日笠委員 最後に、郵便料金の改定でございますが、いわゆる国民の声を聞いた上で、やはり納得のいく方法を講じなければいけない、かように思います。  うわさによりますと、はがきが四十円から五十五円とか、手紙が六十円が九十円とか、こう言われておりますが、どのように国民の声を吸い上げ、そして納得のいく方法を講じられていこうとするのか、お伺いして終わりたいと思います。
  51. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 私、郵政大臣に就任以来、日本一大きな郵便局から、離島を除いて日本一小さい村の郵便局に至るまで精力的に視察を行っておりますけれども、郵便局は大変地域に根づいて地道な活動をしていることを実感いたしております。  ところが、郵便事業財政の累積欠損金が大幅に拡大する見通しになっておりまして、早急に改善対策を考慮しなければならない段階になっております。十二年間、郵便料金の値上げをしておりませんので、この間の物価等変動率を適用いたしますと、手紙が九十円などとなりますけれども、国民感情から見て少しこれは高いのではないかというのが実感でございますので、事務当局にはこのさらなる増収策あるいは効率化について指示をしているところでございます。  御指摘の、幅広く国民の意見を聞くべきだという点については、まさしくそのとおりでございまして、私の方からも九月十日、郵政審議会に郵便事業財政の改善方策につきまして御審議をお願いいたしておりますけれども、これまでになかった公聴会をぜひともやっていただくようにお願いをいたしまして、今月の十三日、十五日、東京、大阪で公聴会が開かれる運びになっております。  以上でございます。
  52. 日笠勝之

    日笠委員 終わります。
  53. 山口鶴男

    山口委員長 これにて日笠君の質疑は終了いたしました。  次に、井出正一君。
  54. 井出正一

    ○井出委員 私は、社会、新生、公明三党に引き続き、連立与党の一会派であるさきがけ日本新党を代表して、新内閣に質問をさせていただきます。  ただ、与えられた時間が答弁を含めて十五分間であります。日本新党も新党さきがけも衆議院初登場であります。我々の考え方を国民の皆様の前にお示ししたかったりあるいは内閣にいろいろお尋ねしたいのでありますが、いたし方ありません。そこで、質問を主として過日の国連総会における総理の演説の中で、安保理常任理事国入りの問題に絞ってお聞きいたしたいと思います。  それにしても総理、我々にとっても思いもよらなかった細川政権の誕生でした。一番戸惑ったのが、総理のおひざ元でもある我々さきがけ日本新党かもしれません。しかし、総理はいささかもたじろぐこともなく、気負うこともなく、天意、天命と受けとめて淡々と処していらっしゃる。このたびの政局の激変のきっかけは、昨年夏の参議院選挙における日本新党の旗上げであったことを思えば、あなたはそういう星のもとに生まれてこられたのかなとも思うのであります。  間もなく政権二カ月に相なりますが、最初にまず、この間の御感想、お考えをお伺いしたいと思います。いかがですか四十数年ぶりの保革連立政権の総理のいすの座り心地は。
  55. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 大変早く経過をしたと申しますか随分長かったと申しますか両方の考えがございますが、とにかく全身全霊を打ち込んで、今内外の山積をしている問題に真っ正面から取り組んでいるということでございます。今後とも、国民の御期待にこたえられるように、最善の努力をしてまいりたいと思っております。
  56. 井出正一

    ○井出委員 御苦労多いことと思いますが、御健闘を期待します。  さて、東西冷戦の終結によって国連を取り巻く環境も、その役割も大きく変化いたしました。明後年には創立五十年を迎える国連への世界期待は、創立時以上に高まってきております。その国連総会細川新政権デビューの場として選ばれ、とかく顔の見えない国というようなことを言われてきた我が国考え方を明らかにされたこと、及び大事な岐路に立っております国連改革を訴えられたことを私どもは高く評価するものであります。  そこで、ぜひお尋ねしたいことは、本年七月にガリ国連事務総長あてに提出された我が国のいわゆる意見書の、「安保理においてなし得る限りの責任を果たす用意がある。」との表現が、今回の総理の演説では、安保理改組と切り離して、PKO、行財政改革に触れた後、改革された国連で、なし得る限りの責任を果たす用意があると変わった点についてであります。  七月のそれは、事実上の立候補表明ないしは志願といったニュアンスが感じられます。ちょうど衆議院が解散され、選挙の最中でしたので、その間どんな論議が内閣であるいは与党の間で交わされたのか私はつまびらかでございませんが、いささか唐突だったように思いました。その点、今回の演説で、抑制をきかされたのはよかった、少なくとも、なりたがっているというイメージは払拭できたのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  57. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、常任理事国入りの問題につきましては、あくまでも自然体で臨むというのが望ましい姿ではないかというふうに私自身は考えているところでございます。  さきの意見書と国連総会における演説との違いについてのお尋ねでございますが、さきの意見書におきましては、安保理入りについての意見書を出しているわけでございまして、そこにおきまして「なし得る限りの責任を果たす」ということを書いているわけでございますが、今回の国連演説におきまして私が申し上げたことは、国連の行財政改革あるいはPKOの問題あるいは安保理の改組、そうした三点に触れまして、そして全体としての国連改革について申し上げているわけでございまして、その扱いにおいて、取り上げ方において、安保理の問題そのものについて今回は触れたわけではございません。国連改革全般について触れているわけでございますから、そこに若干の表現の違いはあろうかと思いますが、基本的に前進したとか後退したとかということではなくて、あくまでも自然体でやるということであるというふうに受けとめていただければと思っております。
  58. 井出正一

    ○井出委員 とはいえ、状況は、総理も安保理改組の項で述べられておられますように、各国の大勢は安保理を拡大すべしとの方向を示しておりま すし、安保理改組には、世界の繁栄と平和に貢献する意思と相応の能力を持つ加盟国を積極的に活用していくことが重要であることも事実であります。そうなりますと、その際、我が国はどのような態度をとるべきか。これは、ある意味では我が国の今後の歩むべき道を決定づけるくらい重要な選択になるのじゃないかなと思うのであります。  確かに、二五%のアメリカに次いで一二・五%の拠出金を負担している我が国の経済力から考えますれば、国連でそれなりのポジションを与えられてしかるべきだという意見も理解できますし、国連は、英語でザ・ユナイテッド・ネーションズ、すなわち連合国であります。発足以来、憲章の敵国条項に明記されている旧枢軸国、すなわち敗戦国の日本が、晴れて国連において戦勝国だった五大国と肩を並べられる感慨もわからないではありませんが、また、軍事面での情報をそれほど持てない我が国の外交を考えるとき、常任理事国として得られる情報は外交上プラスになることも事実でありましょう。  にもかかわらず、私どもは、常任理事国入りについてはあくまで慎重に対処すべきだと考えます。その理由は、まず第一に、常任理事国になって何をするのか定かでないことであります。残念ながら日本は、まだ世界経営や自国の参加についての説得力ある理念や哲学を体現しているとは思えません。  第二に、クリントン米国大統領初めほとんどの常任理事国やその他の国からも、このたびの国連総会我が国常任理事国入り支持する旨の発言がありましたが、銘記すべきは、支持イコール要請ではないことであります。  第三に、常任理事国としての役割と責任を考える場合、軍事上の責任が不可欠の要素であるというような規定は憲章上ないとされていますが、果たしてそれで済むのかどうか。安保理の補助機関であります軍事参謀委員会への参加の要否を初め、疑問が大きいのであります。さらにまた、日本の国力はそれにたえ得るのかどうか。今後二十年、三十年の長期間にわたって現在の経済的優位を保てるか否か。  第四に、日本の国内世論も、そのような責任の重さを痛感した上で常任理事国入りを望んでいるとは到底考えられないからであります。背伸びをしてはいけないと思います。  次元は異なりますが、一九二〇年代、後に自由民主党二代目総裁になられた石橋湛山先生が大日本主義の幻想を厳しく戒められていらっしゃいますが、我々は改めてその問題を考える時期に直面しているのではないでしょうか。総理の御見解をお伺いしたく思います。
  59. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 お話がございましたように、私も余り背伸びをするのはいかがなものであろうかと考えているところでございまして、したがって、先ほどから申し上げるようなスタンスを持った方が我が国としてはいいのではないかということを申し上げてきたところでございます。  安全保障理事会に関する任務、役割というものは、ますます国連の中でも大きな意味を持ってきていることは事実でございまして、それには軍事的な側面もございましょうし、また非軍事的な側面もございましょうが、しかし、以前に比べてはるかに非軍事的な分野における役割というものが大きくなってきている。軍縮であるとか、不拡散の問題でありますとか、あるいは地球環境であるとか、人口の問題、エイズの問題、さまざまな問題があろうと思いますが、そうした分野における貢献というものが大いにこれは期待をされているところではないかというふうに思っておりますし、我が国としても、そうした分野におきましてさまざまな貢献を果たし得るのではないかと考えているところでございます。  憲章におきましては兵力の提供を義務づけられているものではございませんし、今後どういう形に我が国がなっていくか推されて安保理に入るというような状況になることももちろんございましょうが、その場合にはそれなりの役割を果たしていく用意があると先ほども申し上げたとおりでございますが、あくまでもその場合にも現行憲法の枠の中で、その基本精神のもとで安保理事会の一員としての役割を果たしていく、そういうことであろうと思っております。
  60. 井出正一

    ○井出委員 ただ、ここで注意しなくてはならないことは、今私が申し上げましたような態度が世界から責任逃れ、もったいぶっているというように誤解をされることのないよう努めなくてはならないことだと思うのであります。その意味で、政府は、我が国状況、憲法上の問題あるいはアジア諸国との歴史的な関係、国内世論の形成の未成熟、永続的な国力の保持への不安等を率直に明らかにすべきでしょうし、「改革された国連において、なし得る限りの責任を果たす用意がある。」こう言う以上、今総理も触れられましたが、国連において具体的な改革案を積極的に提言しなくてはなりません。  そして、何よりも大切なことは、日本の進路と国際社会期待する責任をどのように両立させていくかという問題を、国会を初めあらゆる分野で早急に論議を深めるべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  61. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 確かにこの問題についての国内における論議はまだ熟していないという感じがいたしております。  国連も九五年には創立五十周年を迎えるわけでございますし、五十年前に国連ができたときに比べますと、およそ五十余りだった国が今や百八十四カ国に膨れ上がっているわけでございますし、先ほども申し上げましたように、さまざまな新たな課題が出てきております。そうした問題に対応していくための国連の役割はどうあるべきか、あるいは安全保障理事会の果たすべき責任は何かそうしたことについてこれから国内での論議というものが大いに活性化をされて、そして国連に対して我が国が果たすべき役割ということについての合意の形成が図られていくということが肝要であろう、その論議の熟成をしっかり見きわめていくべきであろうというふうに思っております。
  62. 井出正一

    ○井出委員 もう一つ、連立与党間で振り分けられたテーマは、私の場合は外交でありますが、時間の関係もあってなかなか触れられない問題の一つに整備新幹線の問題がございます。  これは、御案内のように、八月に五年間の見直しをすることになっておりましたが、政変により白紙の状態になっております。連立与党の政策幹事会でも政府との検討の機関、機構をつくろうということになっておりますが、大変今経済も不況で、世の中時うございます。躁うつで言えばうつの状況、これは新幹線の見通しがはっきりするだけでもかなり世の中明るくなると思うのでありますが、国土の均衡ある発展から考えても必要なことは言をまちません。問題は、第二の国鉄にしちゃいけないということだと思いますが、総理のお考えをちょっとお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきます。
  63. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 昭和六十三年に三線五区間の整備についての基本方針というものが、基本的な方向というものが政府・与党において決定をされて、その方向で進んでいるところでございまして、六年度の予算におきましても引き続きその整備を進めてまいりたいと思っているところでございますが、恐らく今のお尋ねは、さらなる進展についてどのように考えるのかということでございましょうが、見直しの問題もございます。  この問題もこれから予算編成が本格化していくまでに結論を出さなければならないことだと思っておりますが、御承知のように財源も大変窮迫をしておりますし、この問題の取り扱いにつきましては、今後、今もお話がございました与党の中で、あるいはまた政府の検討の中でさらに論議を詰めさせていただかなければならないことだというふうに思っております。
  64. 井出正一

    ○井出委員 ありがとうございました。  終わります。
  65. 山口鶴男

    山口委員長 これにて井出君の質疑は終了いた しました。  次に、中野寛成君。
  66. 中野寛成

    ○中野委員 閣僚の皆様、御苦労さまでございます。民社党を代表して質問いたします。経済、財政問題についてでありますが、我が連立内閣は自民党政権時代の三つの負の遺産を継承したと言われております。  一つは、景気対策が後手後手に回った結果、深刻な不況が続いているということであります。二つ目は、サラリーマンの税負担が累増する一方で大幅な歳入欠陥が生じるなど、税体系のゆがみが生じているということであります。三つ目は、硬直的な財政運営、予算編成が続き、生活先進国づくりや貿易摩擦解消等がおくれているということであります。国民に責任ある政治を実行するためには、たとえ過去の経験豊かな野党から袋たたきに遭っても、それに耐えて前政権の失政をカバーしつつ、新たな政策を展開していかなければなりません。  まず、不況対策であります。  今、日本経済は厳しい状況にあります。一つ一つは申しませんが、IMFの予測ではことしの日本の経済成長はマイナス〇・一%になるとさえ言われております。国民も悲鳴を上げております。特に雇用情勢が極めて深刻であります。繊維、鉄鋼、自動車、電機などの基幹産業でも雇用不安が高まっております。企業内失業は二百万人とも言われ、本格的な雇用調整が始まれば失業パニックが起こりかねないという心配があります。  我が連立政権は、去る九月十六日、規制緩和、円高差益の還元に加え、財政措置だけでも六兆二千億円規模の緊急経済対策を発表いたしました。決定をいたしました。この緊急経済対策を着実に実行することが当面する緊急課題だと考えております。この対策の実施にかける決意、そしてとりわけ不況克服の見通しを、まず総理にお伺いをいたします。
  67. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 お話がございましたように、現下の経済の状況というものを大変憂慮いたしております。設備投資も個人消費も落ち込んでおりますし、先行きの不透明感も払拭をされないというようなことで、先行きまことに予断を許さない状況であるという認識をいたしていることは、繰り返し本会議などでも申し上げてきたところでございます。  インフレなき持続的な成長可能な路線に円滑に移行していくという中期的な目標のもとに、現下の緊急的な事態というものを克服をしていかなければならないということで、さきに緊急経済対策を明らかにさせていただきました。規制の緩和あるいは円高差益の還元等々の項目を盛り込み、さらにはまた財政的な措置、円高に伴う、あるいはまた災害に伴うそうした財政の措置も盛り込んだものでございますが、できるだけ速やかにその効果が出ていきますように、円滑な執行を図ってまいりたいと思っているところでございます。  本年度の予算あるいはまた四月に決定されました総合経済対策、そうしたものの効果もこれから出てまいりますでしょうし、総合経済対策の十二兆幾ら、それからまた今回の六兆何ぼといったようなものの効果もこれから出てくるわけでございましょうから、その着実な浸透を見きわめていきたい、さらにその着実な浸透を図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。  とにかく、この先行き不透明感が払拭されますように、景気に明るい兆しが見えてくるように政府としても最善の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  68. 中野寛成

    ○中野委員 国民は少々の苦難でも、見通しが立つ、将来に希望が見えてくれば耐えることができると思います。今総理が言われましたように、いっときも早く国民に希望を与える、その見通しを政府が明確にする、そのことが大事だと思います。今後に期待をしたいと思います。  その中でも、中小企業はまさに今塗炭の苦しみにあえいでおります。倒産件数もことし八月は千百八十九件、七月を二十一件も上回りました。地価高騰の後遺症によりまして相続税の物納は九二年度は一万二千八百件となっております。かつては年に四、五百件が普通でありました。物納でいいというシステムをつくったことも一方で効果を上げているということでありますが、しかし、このような事態は相続税の重圧で都市圏の個人企業などが事業承継にも困っているということもあらわしております。  緊急経済対策で一兆円規模の中小企業向付融資が盛り込まれたことを評価をしたいと思いますが、さらに相続税負担軽減のための承継税制の確立、投資減税のさらなる拡充など、機動的な中小企業対策、これが緊急なテーマであると思いますが、いかがでしょうか。
  69. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 相続税の問題についてお答えをいたしたいと思いますが、確かにおっしゃるように、このいわゆる資産インフレ期に、特に地域が限定されているかもしれませんが、非常な地価の高騰があり、相続問題でお悩みの方が多いということは事実だと思います。中小企業に限定して言いますと、一つは異常な地価の高騰と、もう一つは同族会社の株式評価の問題と、二つあるんだと思います。  昭和六十三年に相続税の抜本的な改正をいたしました。そして、平成四年にまたその手直しをいたしておりますが、例えて申しますと、二百平米以下の土地について、抜本改革前は事業用資産については四〇%の評価減であったのを、今七〇%になったわけでございますね。それから、住宅については三〇%だったものが六〇%になっております。さらに、平成五年の改正によりまして、不動産が七五%以上相続財産である場合については、この金利、延納金利を四・二に落とすということもいたしました。そういうようなことをいたしておりますが、地価も大分、一時から比べると安定しておりますので、それらと両々相まって、この相続税の対策、特に土地問題については少しずつ是正されるのではないかと考えておりますが、今検討いたしておりますのは、一たん延納を申請された、しかし、なかなか所有財産が売れないためにお困りになっている方が非常に多いわけでございまして、これを物納に切りかえる措置を、一たん延納を申請しちゃいますと物納がだめになるわけなんですが、それをまた切りかえる措置も今検討をいたしております。  また、今の小規模の会社の株の問題でございますけれども、資産評価そのものが今のような是正措置をとっていくとともに、小会社については類似業種比準方式とそれから純資産方式の併用をやるというようなことをやることによって、負担の軽減を図っているということを御理解いただきたいと思います。
  70. 中野寛成

    ○中野委員 中小企業対策は大変底が深く、幅も広いわけであります。そしてまた、今大蔵大臣お答えの中で言われましたけれども、延納申し入れ後の物納への切りかえなどは、これは、私も税理士事務所の出身なものですから、この中小企業者の皆さんからの相談というのは極めてそのことについては多いのですね。こういう具体的な事例に的確に対応していくということが大切だと思うのでありまして、ぜひ、御認識のようでありますから、なお一層の御努力をお願いしたいと思います。  次に、もう一つお伺いをしたいと思いますが、税制改革であります。  今、所得税減税が多くの国民の皆様から求められていると思うのでありますが、それを一つの税制改革の中で検討するということで、今、政府税調が検討いたしております。ただ、税制改革というのは、所得、消費、資産課税のバランスだとか、また直間比率のあり方などというこの事務的、機械的な考えだけではなくて、なぜそうなるのかという理念、哲学がなければ全く意味がない、こう思うのであります。生活者主権であるとか生活先進国であるとか、私どもは生活者を重要視する、また消費者を重要視する理念、政策を持ってまいりましたけれども、また、政府税調に 冒頭に総理御自身がお出かけになって諮問の際のあいさつをされたということを聞きますけれども、このようなことについて、理念をまずどうお考えか。  それから、私どもはやはりせめて緊急に最低二兆円程度の、あの五兆とか十兆とか、または消費税の税率アップとの引きかえとか、もういろんな議論が出ておりますけれども、しかし、そういう議論をすることによって、結局難しいという結論が出て、所得税減税がオジャンになったということではなくて、現実的に考えれば二兆円程度の減税の先行実施ということを、私は、不要不急経費の削減や不公平税制の是正や税外収入の確保や、または将来の展望を中に含み込みながらこれらのことをやっていくことの方が、より具体的そして現実的であるというふうにも思います。そのことをまた後ほど吸収をしていくという税制改正ということがあってもいいものと思うのでありますが、このことについてお伺いを一点いたしたいのと、この理念に関連をいたしまして、厚生大臣にもお伺いをいたしたいのであります。  勤労者の税負担増が問題になっているわけでありますが、生活実感として、毎月の給料から差し引かれるのは所得税だけではありません。住民税、社会保険料等々あるわけであります。ある試算によりますと、年収五百十三万円のサラリーマンの場合に、税金と社会保険料合わせて年間六十三万五千六百円払っている。そのうち、税金は二十万二千円、すなわち全体の三割が税金で、七割が社会保険料の負担、こういう試算が出ているわけであります。よって、これから我々は、この負担軽減とか減税とかということを考えますときに、この社会保険料の問題も深刻に受けとめて考えなければいけないと思うのであります。  一番大切なのは、福祉を中心とした受益と負担のあり方、税と社会保障負担を合わせた国民負担率をどの程度まで見込むか等が、これから、言うならば細川内閣または我々連立政権の最大のテーマではないかとさえ思うのでありますが、これらのことについて基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
  71. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 所得税減税の問題については、繰り返し本会議でも申し上げてまいりましたように、その財源の問題あるいは費用対効果の問題等々から考えましてなかなか容易なことではないということを申し上げてきたところでございます。  基本的な理念というのは、まさに今お話がございましたように、所得、消費あるいは資産、そうしたもののバランスというものを考えて、総合的な観点から検討をすべきものであろうというふうに思っております。簡単に申し上げればそういうことであろうということでございます。
  72. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今総理からもお話がありましたように、税制調査会には新内閣になって直ちに総理御自身が出られて、所得税減税を含めた基本的な税体系のあり方ということを実質上御諮問になったわけであります。私は、基本的には働いた人に少しでも多く還元していくというのが政治の姿勢だと思うんですね。だから、所得税減税というのは常に考えていなければならないことだと思います。そこで、今申し上げたように、税制調査会で所得税減税を含めた税体系のあり方を議論していただいている、こういう状況であります。  また次に、目先の景気対策の問題でありますが、今まで既に前内閣の時代から公共投資政策はやった。それから租税政策も、政策減税としてはやっている。また、金融政策も相当、歴史上最低の公定歩合にまでなっている。そうすると、次は減税ではないかと出てくるのは、常識的にそうだと思います。  しかし、もう御承知のように、政策である以上は積極面と消極面があることも事実だと思うんですね。この消極面は、現在の段階においては、今中野委員指摘のように、税外収入、それから不急不要の経費、政策減税等の削減、いろいろございまして、それらを全力でやっておりますが、ごく常識的に考えまして、景気対策としての財源は、今やるならば赤字国債にならざるを得ないということが現実だと思います。それを考えますと、今そういう形の減税については、私としてはこれは消極的にならざるを得ないということを申し上げざるを得ないと思っております。
  73. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 中野委員指摘社会保障負担の問題は、我々にとりましても今重大な関心事でございます。  と申しますのは、今、社会保障の給付費総額というのはもう五十兆を超えておりまして、毎年三兆円のテンポでこれが増大してまいります。これに伴いまして、御指摘のような社会保障や税負担を含む国民負担率が必然的に上昇していく傾向がございます。  と申しますのは、今、社会保障の給付費総額というのはもう五十兆を超えておりまして、毎年三兆円のテンポでこれが増大してまいります。これに伴いまして、御指摘のような社会保障や税負担を含む国民負担率が必然的に上昇していく傾向がございます。  したがいまして、私どもはこれらの問題にどう取り組んでいくべきかという課題の中で、一つは、やはり経済、社会の活力を維持する、また勤労者の勤労意欲を確保する、また現役世代と高齢世代との公正なバランス、負担というものを考えていくという視点で考えていくわけでございますが、要は、国民がこれから超高齢化社会の中に突入していく中で、国民として期待し、また実現してもらいたいという福祉社会あるいは社会保障のあり方、これをどうお考えいただくかにかかわるわけであります。  これまでも自民党政府のもとでいろいろなビジョン等も発表されまして、それなりの一つの方向づけが行われてきたと思うのでございますが、やはり予想以上の超高齢化社会と少子社会が進んできておりますので、この辺でそれらの問題を国民の皆様にお考えをいただき、そのコンセンサスを確立するという意味からも、近々に高齢化社会の福祉ビジョンの懇談会を発足させまして、できるだけ早くそれらの全体像についての構想を明らかにしたい、こう思っている次第でございます。
  74. 中野寛成

    ○中野委員 終わります。
  75. 山口鶴男

    山口委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。  次に、橋本龍太郎君。
  76. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 まず冒頭、政府側にお願いを申し上げたいと思います。  十時十五分の現在、すなわちモスクワ時間の午前四時十五分現在の状況を今確認をいたしますと、モスクワ市内は依然静かな状態を保っている。しかし、これは六時間の時差がありまして、今まだ夜ですから、みんな疲れて眠っちゃっているためであって、事態が改善したわけではないという連絡を今外務省からいただきました。その情報提供の御努力にまずお礼を申し上げます。  と同時に、非常に我々はこの状態を心配しております。どうぞ刻々の状況についてこの予算委員会にもきちんとした御連絡をいただきたい。私の方から求めなければいただけないというのでは困ります。この点をまずお願いを申し上げておきたいと思います。よろしいですね。(羽田国務大臣「はい」と呼ぶ)  なぜなら、私どもは、今ロシアで起きている事態、非常に憂慮にたえない事態だと考えております。今まで日本政府は、エリツィン政権が進めようとしてきた改革努力というものに対し、これを評価し、サポートしてまいりました。これは私もそうですが、羽田外務大臣もG7等で大変御苦労をいただきながら支援を決めてきたその一つの大きな理由です。あくまでもそれは進めようとする改革というものに向けての支援であります。ところが、先日来起きておりますロシアの事態、これは非常に憂慮にたえません。  例えば、ペルーのフジモリ大統領が非常に厳しい措置をまさに国内の治安を回復するためにとられたとき、国際社会はこれを非難しました。国際金融界は、ペルーに対して手を差し伸べていたものを引っ込めるという状態にまでなりました。こ れを国際金融界に復活させるためには日本は大変な努力をいたしました。宮澤政権の時代であります。しかし今、必ずしもロシアの憲法と一致してはいない行動をエリツィン大統領がとられても、国際世論はその方向としての改革というものに着目し、エリツィン政権を支持してまいりました。しかし、既に十名の死者が出ておると聞いております。市民がその中に含まれているのかどうかわかりません。しかし、このような状況が続いたとき、我々は一体どのような態度をとらなければならなくなるのか、非常に深刻な状態であると思っております。  今の時点において必ずしもその支持を変える必要はないかもしれない。これは先ほど総理が御答弁になったとおりであり、私もその方向を支持いたします。そして、エリツィン大統領自身が非常事態宣言を行ったその時間的な幅を見ましても、あくまでも訪日が、日本を訪問することが可能な時間内にこの事態の収拾を図るという姿勢が見えております。我々は、ロシアが平和な状態の中でエリツィン大統領日本を訪問される。そして、当然のことながら、改革への努力に対する支援とともに、我々が悲願とする北方領土問題について一歩でも二歩でも前進してほしい、心から願っております。そうした思いの中で、この情勢というものはなかなか看過できるものではありません。どうぞきちんとした情報提供をお願いを申し上げたい。冒頭、政府側に依頼をしておきます。  私たちは今野党の立場に立ち、誇りある責任野党という立場に立って国政の中での役割を果たしていこうと自分たちを位置づけてきました。そして、政府が行われる施策は、それが正しい政策であるならば、我々は積極的にそれをよりよいものにするための協力を惜しまない。しかし、我々と考え方を異にする場合には、これに対して、国民の前で議論をしその正否を問いたい、そう願ってまいりました。  私は、所信表明演説以来、総理国会における御発言を注意深く見守ってきましたけれども総理御自身の所信表明、最初のときにも同じような趣旨のことを言っていただいております。そして同時に、我々に対しても「相互不信から相互信頼へ」そして「対立から対話へ」、こうした訴えをされました。我々は非常にこれを素直に伺いました。そして、そういう姿勢で我々もいきたいと思います。  ところが、先ほどから各連立与党の皆さんの御質問を聞いていて、大変違和感があります。どの方もとの方も時間が足りない、質問時間が足りない、皆おっしゃる。そんな無理な審議日程を組んだのは我々ではありません。一体、連立与党の最高責任者として、あなたはどういう指示をされたんでしょう。  なぜなら、この予算委員会で我々は本当にきっちりとあらゆる問題について実りある議論をしたい、そう思って臨んだつもりです。連立与党から最初に提案されたのは、先月九月二十九日一日だけの予算委員会、そういうお話でありました。我々は議論をしたいことがいっぱいある、今の予算委員会の審議日程でも実は足りない、そういう思いを持っています。ところが、はしなくも連立与党の皆さん自身が審議時間が足りない、それだったら少し延ばしていただきましょう。日数をふやしていただくことに我々は全く異論がありません。最初から……(発言する者あり)全員じゃなくても、一番代表で言われた、連立与党の中の一番大きな社会党の代表がそれで締めくくられましたよ。こういう状況は我々としては困る。我々も実りのある議論をしたい。そのためには、どうぞ十分な審議日程をとっていただきたい。  これからの審議日程について、連立与党の最高責任者として、院の決めることではありますが、あなたの御決断をここでお示しをいただきたい。
  77. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 この国会で、今お尋ねには直接ございませんでしたが、さきの所信表明のときにも、早く所信表明をすべきではないかというお話もございました。そのときにも申し上げたことでございますが、まだ政治改革の法案の準備もできておりませんし、私どもは所信表明を拒否するということではございませんが、これはとにかく法案ができてから御審議をいただくのが筋ではないかということで、そのときには所信表明を少し先に延ばしていただきたいということを申し上げたところでございます。  今回の予算委員会の審議日数につきましては、今もお話がございましたように、これは国会の方でお決めをいただくことでございますから、私がとやかく申し上げることではございませんが、しかし、とにかく今度の国会での最大の懸案は政治改革の法案でございますし、この予算委員会の審議におきましても、その他の景気の問題を初めとして冷害の問題などもいろいろ審議をいただくことがございますから、その点につきましては十分に審議時間をとっていただかなければなりませんが、しかし、それはそれとして、一刻も早く政治改革の法案の審議に入っていただきたい、そういうことで私なりにその希望を申し上げてきたところでございます。  予算委員会において国会の審議が行われるということのみならず、他の委員会等におきましても、今国政の抱えるさまざまな問題を審議をしていただくということが極めて重要なことであろうと思っておりますので、そういう趣旨から私は申し上げてきたところでございます。
  78. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 我々がマスコミを通じて知らされているところでは、官邸が大変予算委員会の日数を縮めることにこだわられた、特定の理由をもって。そして、国際会議で非常に大事な場面を控えておられる閣僚までそのために無理やり呼び返された、そういう報道を山ほど見ましたので、念のためにお尋ねをいたしました。今後はそういうことがない、そのように私は信じます。国会が決めるということはそのとおりです。  そこで、今度は次の問題として、私は非常に緊急を要する問題、米の問題に入りたいと思います。  先ほど来、既に御質問が出まして、それなりに政府のお考えが述べられました。そして、細かいことを私は今議論をするつもりはありません。我々の同僚に譲りたいと思いますが、先ほど来の御答弁がどうしても私の腑に落ちないことが一つあります。これはもしかすると日本のマスコミの皆さんが大変優秀過ぎたということなのかもしれませんが、ここに政府がお使いになった資料があります。「取扱注意 九月三十日十五時公表」ということが記されております。そして、閣僚会議等の時間を見るとそのような御意思であられたのでありましょう。私どもも、ですから気をつけて、これが表に出ないように、政府の公表まできちんと待とうと努力をしておりました。しかし、前日の夕刊から既に内容は明らかになり始め、翌日の朝刊ではすべてが明らかになっておりました。テレビ、ラジオは当然のことであります。  この中で勘ぐられた部分があることを総理も御承知でありましょう。マスコミの論調にも出ておりましたが、私も実は同じ心配をしています。それは、この冷害というものを奇貨として、ウルグアイ・ラウンドにおける米の譲歩をなさるおつもりで世論を誘導し始められたのではないかという疑いなんです。これは間違いありませんね。間違いありませんねというのは、ウルグアイ・ラウンドについて従来の方針を維持されるということは間違いありませんね。さもないとこのリークの理由がわかりません。このリークの理由がわかりません。  わざわざ政府の御自身で決められた公表期限を一日も早め、しかも全部を一度に出すのではなく、ばらばらとお出しになり、まず加工用原料米、そして本体の主食に充てるべき米。何か緊急にすべてを輸入しなければいけないような、そうした流れをつくってこられたその政府の方向に極めて私は作為的なものを感じます。この誤解は誤解だと言い切っていただけますか。間違いありませんね。
  79. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まず初めに、このたびの予算審議に当たりまして閣僚を官邸が呼び返したというお話が先ほどございましたが、そういうことはございません。これは国会の御日程というものをにらみながらそれぞれに判断をさせていただいたということでございまして、官邸でそのような指示を出したということはございません。  そのことはともかくといたしまして、今、後の問題でございますが、閣僚会議において取り決めをいたしました、方向を出しました八項目につきまして、それが事前からリークをされていたのではないか、あるいは意図的にそれを漏らすことによって一定の方向に導いていこうとしたのではないかという趣旨のことでございましたが、そういうことを意図的にリークをしたといったようなことは全くないと思っております。改めてお答えをさせていただきます。
  80. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 第一点については、羽田さんが述べられた話がいっぱいマスコミに出ておりましたけれども、私は中東和平会談というのは非常に大事な会議だったと思っております。当然ながら外務大臣が出席をされるだけの価値のある会議であったと思っております。ですから、それだけの大事な国際会議があるから国会の日程を変えてほしいと言われれば、国会は間違いなくそれを受けたでありましょう。国会責任を転じるような言い方は避けていただきたい。私は、羽田外務大臣が無念の思いを隠せなかったと報ぜられておることを、むしろ責任者として当然のことだと思っております。  また、第二点で、確かにその米の問題について意図的なリークはなかったということを言われましたので、私はそれを、どうもまだ疑念が残るのですけれども、一応それはそれで受けとめておきます。なぜなら、それだけ国民の間に不安を生み出してしまったからなんです。それは生産者に対しても非常な不安を呼び起こした。そして、これは昨日総理御自身も地方を現実にごらんになってその深刻さを受けとめられたと思いますけれども総理が帰られた後にも、一体本当に自由化にいくんじゃないんだろうか、その不安が残ったということが報ぜられております。あるいは減反緩和と言われても、それが一年限りのものであれば取り組む価値がないということも言われております。それだけの手当てはきちんとしてもらえるのかという不安も残っております。  こうした不安が残っていると同時に、消費者の中には、この暮れからでも食糧が足りなくなる、米が足りなくなるんじゃないかという不安が出てしまっている。現実にそうではないはずだ。政府の手持ちはこの冬場で主食である米を輸入しなければならない状況ではないはずです。しかし、意図的ではないかもしれません、信じますけれども、そのリークの結果起きているのは、既に米の買いだめ現象、一方では売り惜しみ現象です。こうした事態について、私は、今総理が述べられただけではどうももう一つ自分の胸にすとんと落ちてこない。これはしかしあなたが約束をされている、ウルグアイ、ラウンドとは結びつけないというはっきりしたお言葉をいただきましたから、国民にもこの点は御安心をいただかなければなりません。  同時に、とりあえず今すぐに主食である米が不足し始めるという事態ではないということも、これは外務大臣農林水産大臣も二人ともうなずいておられますけれども、よろしいですね。お二人のハタさんがうなずいておられるから、これは間違いないんでしょう。  しかし、やはり既にもう国際的な穀物市場における米の価格は騰貴し、ストップ高が続いている状況です。この中で、ほかにも米を必要とする国がある。そうした国々に迷惑をかけないような買い方をどうするか。同時に、国内に不安を与えないようにどうするか。これは政府としてこれから十分御検討いただかなければなりません。こうした問題は、専門に後刻、我々の同僚委員からきちんとした御質問をさせていただきます。  ただ、同時に私はもう一つ大変気にかかりますのは、総理の所信表明、二回拝聴しました。その二回拝聴した所信表明の中で、再三、生活者重視、消費者重視ということを言ってこられたわけですが、あなたの口からは生産者を保護するという言葉、重視するという言葉は一度もありませんでした。これは米だけではありません。蔬菜もあれば酪農もあれば果樹もあります。さらに、潮の流れの影響を受けて、逆に豊作貧乏と言われる部分を生じたり、非常な減収を生じたりしている水産業の場合もあります。いずれも生産者であります。  そして、あなたの言われる消費者、生活者、ニュアンスが異なるようであります。なぜこんな言い方をするかというと、あなたの代表質問の中でずっと述べられている、例えば緊急経済対策を向けられる方向というものにも、都市の生活者を頭に置かれたものはいっぱいありますけれども、こうした方々に対する施策というものは見当たらない。今必要なのは、しかし逆に、生産者ではないですか。こうした生産者に対して、どうすれば絶望せず、どうすれば今後も食糧生産を続けていただけるのか、そのために我々が何をしなければならないのか。都市の消費者と相まって、農村あるいは漁村、まさに生産者、消費者の均衡をとって地域を活性化する、それが必要なんじゃないでしょうか。  この冷害が深刻になり出してからの今国会のあなたの代表質問の中に、残念ながら生産者というものはありませんでした。この点についていかがお考えなんでしょう。あなたの視野にはなかったんでしょうか。
  81. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私が生活者重視ということを繰り返し申し上げてきておりますことの中には、当然のことながら、消費者の方々も、また生産者の方々もその中に入っている。それは両方とも生活者であろうということでありまして、生産者も消費者も、ともにこれはどちらかに重点を置いていくということではもちろんございません。そういう視点に立って今回の経済対策なども講じてきているところでございますし、先ほど都市部だけに偏っているのではないかといった趣旨のお話もございましたが、このたびの緊急経済対策の中で考えておりますような経済対策、公共事業などの推進につきましても、生活環境の重視といったような措置につきましても、そうしたことをやることによって初めて多極分散型の国土の形成というものができていくんだろう、そういうことで今度の措置の中にも盛り込ませていただいているところでございます。
  82. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 そちらからいろいろ御議論があるようですが、では私は、細川さんの先日の所信表明そのものをここで読み上げて、改めて私が持つような疑問が間違いかどうか伺いたい。  「住宅や公園、廃棄物処理等の生活環境・福祉施設、都市交通網などの整備など消費者・生活者の利便の向上に直接つながるものを重点的に整備していくとともに、研究開発施設の整備・高度化、教育機関や行政の情報化の推進」、これがあなたの所信表明の中の言葉であります。確かに行政情報あるいは教育機関、福祉施設、それは全国どこにも進むものでしょう。しかし、本当にこれで今言われたようにすべての国民を見ておられるんだろうか。だとすれば、私はこの表現は大変問題があったな。少なくとも既に冷害は深刻化していた今国会です。  別な部分に別な触れ方はしておられます。しかし、あなたが、「本格的な高齢化社会の到来に備えると同時にこということで、「潜在的に活力がある今のうちに、良質な社会資本の整備などを進めることによって、国民生活の一層の向上を図って」いく。それを受けての部分が今私の読み上げたところでありまして、この中には残念ながら生産される方々はない。大変寂しいですね。あなたの御郷里にも、農業、水産業に従事しておられる方々がたくさんおられる。私の郷里もそうです。大変これはバランスがとれていない、そういう感じが率直にいたしました。  しかし、これ以外のところで、私は実は、今、 自民党政権時代にいわばルールをつくり上げてきた災害に対する各種の施策、これを踏襲していただき、推進していただくことは大事なことですけれども、それだけで足りる状況ではないということだけは申し上げておかなきゃなりません。そしてその影響は、例えば農村部だけのものではない。これをお客さんとする商業、さらには工業、大きく言うなら官公業等にまで影響の出るものだ、その認識を持って政府は施策を講じていただきたい。これは私の方から要望をさせていただきます。  しかし、一つずつ進めていくと切りがありませんから、少し整理をして急ぎましょう。  そこで、もう一つ最初に確認したいのですが、これも所信表明の中で、連立政権は自民党政権というものを継承していく、少なくとも外交、防衛、経済、エネルギー政策などの基本重要政策、これまでの国の政策を継承することを確認した、所信表明であなたは述べられました。これは間違いありませんね。確認してよろしいですね。
  83. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 所信表明で申し上げたことは、自民党の三十八年の基本政策を継承したということは申し上げておりません。国の基本政策を連立政権としては継承、基本的に継承をしていくということを申し上げてきたところでございます。自民党の政策が一〇〇%国の政策であったということではございませんでしょうし、それは憲法の問題でもいろいろな問題が党内でも御議論があったというふうに思っておりますし、今の連立与党の中におきましても同じようにいろいろな論議があって、そして政権の政策というものがまた一つある、こういうことであるというふうに私は思っております。
  84. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 大変持って図られた言い方をされましたけれども、じゃ、あなたの前任の内閣は自民党政権ではなかったでしょうか。あなた自身がおられた自由民主党の政策で今日までこうした基本政策は進んできたんじゃなかったでしょうか。まあ私は、代表質問の中で国の政策とおっしゃっておられますから、あえて言葉じりをつかんで議論をするつもりもありません。しかし、その確認が崩れるのであれば、これはまた論議は全く別になります。今までの国、政府、自由民主党政権、その進めてきた政策、その基本を継承されるということではなかったんですか。それが国民が大変安心された一つの理由だった、私はそう思っていますけれども、違うんでしょうか。  だとすれば、私は、安全保障条約を初めとして、一つずつ細かくそれぞれの閣僚に伺わなければならない。連立の各党を代表して伺わなければならないことがふえてまいります。継承されるんですかあなたが留保されたように継承しないということですか。どちらですか。
  85. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、今申し上げたことをもう一遍繰り返して申し上げなければならないと思いますが、国の基本政策をと私は申し上げているところでございます。  それは、今、自民党の政策そのものについては、これは必ずしもそのときの自民党の政権の政策であったとは受けとめておりませんし、それはさまざまな党内でも御議論があって、そして政府としての、国としての政策があったというふうに私は思っております。これからも恐らくさまざまな国の基本政策について、政治経済の環境も変わってまいりましょうし、あるいは国際社会の環境も変わってまいりましょうし、そういう中で日本の果たしていくべき役割というものも変わってまいりましょうし、そういう中でおのずから変えるべきところは変えていかなければならないであろう、こう申し上げているわけでございます。
  86. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 大変よくわかりました。何がわかったかといえば、所信表明あるいは政権誕生の前後に皆さんに対し、国民の皆さんに対しテレビで表現をされ、あるいはマスコミを通じて安心感を与えてこられた基盤は今や揺るがせられたということです。  「必ずしも」とおっしゃった。そこから、それじゃ私はちょっと今度は具体的な話で伺いたい。これもあなたの所信表明の中にあり、また先日、各閣僚が報告をされた本委員会に対する発言の中から私はお尋ねをいたしたい。  まず総理にお尋ねをしたいことは、経済改革研究会というのは一体何ですか。その役割はどういうものでありますか。あなたの私的諮問機関のはずでありますが、そこから御説明をいただきたい。
  87. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今日、平岩レポートが出されて、中期的な我が国における経済の運び方についての方向というものが示されてから既に相当な……(橋本委員「前川レポート、前川レポート」と呼ぶ)前川レポートですね、失礼しました。前川レポートが示されて以来相当な時間がたち、またそれなりに大きく経済社会状況も変わってきておりますし、また国際社会の環境というものも変わってきております。  そういう中で、新たにこれからの経済の構造的な問題についての指針を取りまとめていただくということがどうしてもやはり必要であろう。これだけ急激な円高も進んでおりますし、前川レポートが出されたときの状況とは明らかに大きな変化があるわけでございますから、これから我が国国際社会の中でどういう役割を果たしていくかあるいは国民の福利の、厚生のためにどのようなことをやり遂げていくべきか、そういう意味で何かやはりこの時点で、新しい方向づけを考えていただく必要があるであろう。そうした観点から平岩研究会を設けていただいて、今鋭意審議を始めていただいているところでございます。
  88. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 まあ、鋭意審議を進められるその内容が期待できるものであることを、それは私も願います。  ただ、今、前川リポートに言及されましたが、私は前川リポートというものも非常にいい中身を持った、本当に傾聴すべきものであると考えておりました。ただ、大変不幸でありましたのは、これが私的諮問機関、私的審議会でありましたために、これは結論から言えば、必ずしも重視をされたと言えなかったということであります。そして、当時国会におきましても、主としてきょうこちら側におられる方々の中から、これがいろいろ問題として議論をされました。そして、内需主導型の経済というものが実現しつつあるように見えたのが、円高の進行による企業の自己防衛からそうした現象が見えたということを見落とした部分がお互いにありましたために、結果的に前川リポートというものの価値が非常に少なくなってしまった。私自身も、これは苦い思いの一つであります。  ただ、そこでお尋ねを申し上げたいのは、この経済改革研究会、これは法的にはどういう位置づけになるのでしょう。これはわざわざあなたが所信表明の中で「検討結果を踏まえて早急に新たな経済社会を構築するための対策に」取りかかると述べておられるわけでありまして、これは私的諮問機関でありますけれども総理が所信表明で述べられた以上、国内に対して、国民に対しての公約でありましょう。これは私的機関でよろしいのでしょうか。
  89. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今までも歴代内閣におきましても数多く私的な懇談会というものがあったと思いますし、また、それなりの役割を果たしてこられた。また、時の政府もそれを尊重してこられたということがあったと思います。今回も、平岩研究会にお願いを申し上げていることも、私としては最大限そうした意味で尊重してまいりたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  90. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 そういう御答弁があろうと思いましたから、私は、前川リポートというものがその価値を残念ながら十分に発揮できなかった原因そのものにも触れて、我々自身の反省にも触れて今申し上げました。過去の反省を私は申し上げながら、せっかくおつくりになるものであるならば権威のあるものになさるべきだ、そうした視点からお尋ねをしたつもりです。しかし、それじゃ法的な位置づけは与えないということでこれからも行 かれますか。いや、これは総理の所信表明の中身なんですから、総理にお答えいただきたい。
  91. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは、今も申し上げましたとおり、今までの歴代の内閣においても同じようなお取り扱いであったというふうに私は理解をいたしておりますから、そのような形で平岩研究会というものの位置づけもさせていただきたいというふうに思っております。
  92. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 今までの政府のこうした私的諮問機関、これは私自身も例えば厚生大臣のときにつくったこともございます。そして、それをそれなりに私は尊重して仕事をしてきました。ですから、それを私は否定しているんじゃありません。  ただ、所信表明で述べられた、これを受けておやりになるということを国民に向かって語りかけられたからには、これは国内に対する公約ですね。それならば、それだけの拘束力を持つものになさるべきではないのですか。  そして、今までの今までのとおっしゃいましたから、じゃ私は今までと少し違う部分を申し上げたい。これは、藤井大蔵大臣が先日この委員会の席上で報告された報告の中身です。  その中で、G7において「さらに、今後経済社会構造の変革について、経済改革研究会において検討を行うこととしていること、」G7で説明し、「各国の理解が深まった」と報告をされております。これはまさに国際公約ですね。違いますか。国際会議の席上でわざわざ日本政府の代表者が説明し、各国の理解を受けたとするならば、これは国際公約ですね。本会議における総理の所信表明は国民に対する公約だ。羽田さんも覚えがある、私も覚えがあるG7、七カ国の大蔵大臣・中央銀行総裁会議という公的な会議の席上で日本政府の大蔵大臣がみずからこれを説明し、理解を求めたと考えていると報告をされる以上、これは国際公約ですね。私的諮問機関が国際公約の担保になりますか。
  93. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 G7の話が出ましたので申し上げたいと思いますが、G7においては、日本の経済政策について述べ、そして今申し上げたように構造改革の問題も議論しております、また、税制改革も議論しておりますということを申し上げたのに対して、各国がそれに対して非常にいいことをやっているな、こういうことを言われたわけでありまして、公約とかなんとかいう次元とは全く違うと考えております。
  94. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 今、後ろから、小さなことだとおっしゃっております。私的諮問機関に国際公約、国内公約の全責任を負わせられますか。国際公約、これは間違いなしにそう言わざるを得ません。(発言する者あり)いや、それは大変申しわけないが、我々は国際会議に出るときに、それほど無責任な発言はしてきませんでした。これは総理の所信表明と大蔵大臣のG7における、わざわざこういうふうに説明をし、理解が深まったと言い切っておられる内容のものです。この改革審議会、改革委員会ですか、研究会ですかこれは一体私的諮問機関がそれではどこまで拘束できるのか。日本の国際公約まで拘束する力があるのか。ないのだとするならば、なぜそういう私的なものが国際会議日本政府の正式な発言として登場するのか。この法的な位置づけを明らかにしていただきたい。政府をどう拘束するのか。我々も拘束されるのですから、国際公約となるならば。これははっきりさせていただきたい。
  95. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 私のG7の話についての言及がありましたから、その部分だけお答えいたしますが、私は事情を説明したということであって、公約とかいったぐいのものとは全く違うというふうに認識しております。
  96. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私的な懇談会でございますが、しかし、今までの過去における私的な懇談会等におきましても、そこにおける答申というものは、その後閣議等でも決定をされ、あるいはまた前川委員会で申し上げれば、経済審議会であるとかあるいは「生活大国五か年計画」であるとか、そうしたその後の政府の計画に反映をされていっている。そういうことを考えますと、それはやはり内閣として、国際社会にも、あるいはまたもちろん国内に対してもそれなりの位置づけをもって受けとめられてしかるべきものであろう、私はそのように思っております。
  97. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 あなたがそれをどう思われるかということは、あなた自身の私的諮問機関でありますからそれだけの価値を置かれるのは当然でありましょう。しかし、その結果、所掌事務も責任も全く明らかでない。今後どういう方向づけを出してこられるのかも理論的にはわからない。そうした私的諮問機関の話が、ですから、説明したと言われますが、説明し、理解が深まったと、これは本院における大蔵大臣の御報告です、公式な。それだけの位置づけを既に国際社会において与えられている。本会議においてあなた御自身がこれをプレーアップしておられる。  じゃ、改めて聞きましょう。その所掌事務はどこまでです。責任の範囲はどこまでですか。
  98. 大出峻郎

    大出政府委員 ただいまの法的な側面の問題について申し上げたいと思いますが、経済改革研究会、これは内閣総理大臣のいわゆる私的諮問機関、こういう位置づけが与えられておる、こういうことであります。したがいまして、逆な言い方をしますというと、国家行政組織法に基づくところのいわゆる「審議会等」、そういういわば公の行政組織といいますか、そういう形のものではないということは、おっしゃるとおりだろうと思います。  ただ、そこで……(橋本委員「結構です。委員長、今、法的な地位がないと言っていただきましたから、それで結構です」と呼ぶ)
  99. 山口鶴男

    山口委員長 最後まで聞いたらいいじゃないか。続けてください。(橋本委員「私は、法制局に答弁求めてないんだ」と呼ぶ)
  100. 大出峻郎

    大出政府委員 そこで問題は、その研究会の活動の内容といいますか、そういうものがどういうふうに反映するのかそれが公のものかどうか、こういう観点でのお話があわせてあったと思いますが、その点について申し上げますというと、内閣総理大臣の私的諮問機関でございまして、内閣総理大臣に対して、いろいろ御意見あるいはいわゆるお知恵を、情報を提供していただく。それを内閣総理大臣が受けとめて、その中のよいものについてはこれを行政に反映させるということがあり得ると思います。その場合には、ある場合には閣議決定、あるいは閣議了解等のような形で公のものにするというようなことはあり得るということだと思います。
  101. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 法制局長官、私は途中で制止して大変失礼しました。この点はおわびをします。  ただ、今私はあなたに答弁を求めておりませんでした。なぜなら、法的な地位がないことは私自身が知っておりますから。同時に、私的な諮問機関といえども、その委任をした当人はそれに対しての尊重責任は負うのです。当然のことなんです。しかし、それについて、国際公約の立場にまでこれをあなたの内閣はなさいましたから、逆にそれだけの権限はだれがどうやって与えたものかを明らかにしていただかなきゃなりません。なぜなら……(発言する者あり)だからちゃんと私は反省の言葉から申し上げているのです。同じ問題を起こさないようにするためにだ。少し黙って聞きたまえ。  宮崎座長代理が述べておられるものを見ると、例えば、経常収支の不均衡是正で、黒字削減の目標値設定はどうなんだ、それはこの研究会で議論するのかという問いに対して、マクロの数字については国際的な約束になるとの意見もあるが、数量的なものを何かよりどころにして検討することが必要、だから、最終段階でその数字をどうするかということも議論すべき、そう述べておられます。  これはまさに、現内閣も大変努力をしていただいている日米経済協議の一番の問題点でしょう。そして、そういう議論で、我々は数量的な目標設定はできないと思っている、またすべきでもないと思っている。しかし、内閣の中に一部、数量目標は必要だという意見を述べられた閣僚もあると 聞く、またそれに反対をされた閣僚もあると聞く。私は別に今その意見の不一致をどうこう言うつもりはありません。しかし、それだけの大きな意味を持つものがここにゆだねられるのですから、しかもそれが国際舞台において日本政府から説明して理解が深まったと言われているのですから、問題じゃないんでしょうか。  しかも、例えばその次に、消費税の見直しや米市場開放問題についてはどう取り組むのかというのに対して、研究会がすべてを決めるつもりはないが、当面の問題についても議論しなければならないと明言しておられる。  現在、政府には、それぞれ法律をもってその根拠を持ち、役割を負い、その上で審議を進めておられるそれぞれの審議会があります。一体、この研究会はどういう機能が与えられているのでしょう。所掌事務はどこまでなんでしょう。果たして、その米の問題から数量目標設定まで、あるいは、この中にも消費税には随分いろんな議論をお持ちの方があるはずだ。その消費税の見直しまでこの私的諮問機関の議論が及ぶとするならば、きちんとした法的根拠を持つべきものになさるのか。あくまでも先ほどあなたが言われたような位置づけでというならば、国際的な公約は行き過ぎですよ、国際会議の席上でこういうものを披露するということは、中身も全く不明確なんですから。どちらが間違っておるのですか。
  102. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 法律や政令に基づいて設置をされたものでないということはもうよくおわかりのとおりでございますし、そうした意味で所掌事務は正確に申し上げるとない、こういうことであろうと思いますが、広く有識者の御意見を聞いて、その結果がさまざまな形で政府の計画なり国の計画なりなんなりに反映をされていく。そういう意味で、それは公約になっていくものもありましょうし、またなっていかないものもあろうと思います。そういう位置づけであろうというふうにお考えをいただければと思っております。
  103. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 今大変大事なことをあなたはお触れになりましたが、その人選は国会の承知するところではありません。連立与党の皆さんといえども公には、院の立場では御存じのないことであります。私的諮問機関というものはそういうものです。しかし、国際公約になり、所信表明で国民に。対してお約束をなされた、これは我々をも直接間接に縛るのです。その人選にも全く携わっていない。所掌範囲も全く明確ではない。いわばプライベートな集団。私は本当にいいメンバーだと平岩さん以下思いますよ。だからきちんとした法的位置をお与えになったらどうなんですか。しかもちゃんと国際舞台で言及され、各国の理解も得たと言われる。それだけの権威を持たすものなら、法的地位をお与えになったらいかがですか。さもなければ、これは拘束されないものと解してよろしいか。
  104. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 前川委員会のときにも私的な懇談会としてそれなりの大きな役割を果たされた。そのリポートが内外に対してそれなりの意味を持ったというふうに思っておりますし、今回の場合も全く同じように受けとめていただけたらそれでいいのではないかというふうに思っているところでございます。
  105. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 そこまでおっしゃるから、だんだんだんだん言わなくていいことを言わなきゃいけないのですが、先ほど、前川リポートというものに対して我々も反省の面があるということからこの話を始めたことをもう一度思い出していただきたい。あのとき、本当に円高が急速に進行していました。そして、国内の産業構造も変化をし始めていました。そうですね。そして、それが前川リポートの効果と一時期言われたのです。ところが、実際そうじゃなかった。むしろ企業の防衛策の中から生まれた行動でし夫。そして結果的には、これは私が使うのではなくてマスコミの表現でうれしくないんですが、議員の抵抗や官僚の抵抗で骨抜きにされた、こう言われました。  せっかくのこれだけの位置づけをなさるものならば、私は、それなりにきちんと内閣をも拘束し、間接的には我々にも影響を及ぼすだけの法的地位をお与えになったらどうなんですかということをまず申し上げております。しかし、それについてはする意思がないとおっしゃるのであれば、我々はこれには全く拘束されないわけでありますから、そして政府としてもこれに必ずしも拘束される責任はないわけでありますから、この作業は徒労に終わるかもしれませんね。むしろ、それだけ自信を持ってお選びになり、大きな役割をお与えになるならば、少なくともその所掌は明らかにしていただきたい。  我々も私的諮問機関をつくりました。しかし、それにお願いする作業というものは一定の幅を持ったものでありました。米であれ消費税であれ、何でも議論ができる、しかも責任は負わないという私的諮問機関にそれだけの機能を渡していいんですか。私、先ほどからどうしても納得がいかないのですが。
  106. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これはまあ、余り同じことを繰り返し申し上げるのも恐縮ですが、先ほど前川委員会が、その後バブルの発生と崩壊の過程の中でその意味を残念ながら果たせなかったという趣旨のお話もございました。その反省に立っていろいろアドバイスを恐らくいただいているんだろうとありがたく思っておりますが、それだけのしっかりとした権限と申しますか、権限と申しますよりもその責任と役割を果たしていくような、そうした研究会でぜひあってほしい、そのように思っているところでございます。  そういう意味で、ぜひひとつ平岩研究会がいい答申をまとめていただいて、それを実行していけるようなサポートをお願いを申し上げたい、こう思っております。
  107. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 私は、どうしてもこの点納得がいきません。むしろ、最初、私はこれを権威あるものにした方がいい、その方が将来のためになる、そう思いながら我々自身の反省から申し上げたつもりです。しかし、あくまでも今のままでいいと言われるのであれば、改めて私的諮問機関の答申に少なくとも院の我々は拘束されることはないということだけは鮮明にしておかなければなりません。  そこで、随分時間が減ってきてしまいましたので、私はちょっと別な問題でひとつお尋ねをいたしたいと思います。  今いろんな問題があります。本当は先ほど大出委員が触れられた自衛隊法の改正についても私は申し上げたいことが山ほどある。私自身がどんな思いでイラン・イラク戦争のとき、あるいは湾岸危機のとき、殊に湾岸危機のときに、政府はせめて我々の家族を救い出す飛行機も飛ばしてくれないのかという悲痛な叫びをぶつけられながら動きがとれなかったときの苦しさを覚えていますから、先日も総理にお尋ねをしました。  総理は、早く出したいという、提案したい、自衛隊法改正を早く提案したいという意思を表明されましたが、依然として政府はこれを提出されていない。我々はこれを危機管理の問題としてとらえて、一日も早くこれに対しての対応をすることが、これはひとり政府だけではない、国会の我々も共通した責任である、そのように考えております。この問題、本当はじっくり議論をしたいと思いましたが、それだけの時間がなくなりました。  そこで、上原国務大臣のお考えは先般本会議で表明をされ、考え方は違いますが、率直に意見を述べられたことに私は敬意を表しました。そして、それが個人的見解と決めつけられた総理の御発言に対しても、いやしくも閣僚の本会議答弁が個人的見解とあしらわれていいのかという問題を申し上げたいと思っておりましたが、その議論を今私はしつこくするつもりはありません。  そこで、前社会委員長の山花大臣、自衛隊法の改正案というものが政府提案にならない、これに対して社会党の中の御異論があるからだと承っていますけれども、それはやはり憲法違反までさかのぼった議論の中であなた方はお考えになっておられるんだろうか、あなたの出身である社会党代表としてのお考えを聞かせていただきたい。こ れは先ほど、自民党政権を必ずしも引き継がないが、国の方針は引き継ぐと総理答弁をされた国の方針の範囲であります。
  108. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 私の方からお答えいたしますが、私たちは、先ほど大出委員質問の中で幾つか問題点を提起いたしましたが、そうした問題点がなお残っているテーマであると考えてまいりました。しかし、こうした問題について、現在、これまでも議論ありましたとおり、連立与党の中で鋭意検討が進められているところでございます。したがって、私は連立与党の閣僚の立場として、連立与党間での結論が出た場合にはこれを尊重する、こういう立場であることにつきましては過日の本会議等でも申し上げたとおりでございます。  なお、党内の議論につきましてはおよそ上原議員が指摘したとおりでございますけれども、そうした問題点についての議論は、現在、連立与党の中でも行われていると承知しているところでありまして、したがって、そういう議論が今後どのような合意になるかということを踏まえて政府としての立場もはっきりとしてくる、こういうように考えているところでございます。  以上でございます。
  109. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 上原大臣は、みずからの信念にぎりぎりまでの忠実さを持ってお答えになった。山花大臣は、残念ながらそこをお逃げになった。そういう感じしかいたしませんでした。  そこで、それじゃもう一つ新しい問題。新しい、古い、わかりませんが、この延長線上でお尋ねをいたしたい。本来なら自衛隊の合憲、違憲から議論をしたいところですけれども、あえてそこは避けます。  そこで、やはり本院で先日、羽田総理外務大臣が御報告になりましたその中に、北朝鮮の問題について触れておられました。すなわち、「北朝鮮については、北朝鮮の核開発問題が国連安全保障理事会に持ち込まれる事態になる前にあらゆる外交努力を払う必要があること、および日本、米国、韓国の三カ国で緊密な協力を維持していく」、これで一致をしたという表現であります。国連安全保障理事会に持ち込まれる前に、北朝鮮が今のような孤立した態度を捨ててくれることを我々も望みます。  しかし、その上で、いま一方で政府は戦域ミサイル防衛計画について日米での話し合いを行われ、これを合意されました。そして、中西防衛庁長官は韓国の軍の首脳部ともこの問題を話し合っておられます。これが日米韓三カ国の戦域ミサイル防衛計画になりますと、これは私はいろんな新しい問題を生ずる部分があるという理論上の危惧の念は持ちますけれども、北朝鮮の核開発、それに対する疑惑、また現実に長射程のミサイルを開発している状況の中で、当然のことながら、国交のない日本が万一の危険を想定してそれに対する対応策を準備をする、これは当然のことであろうと思っております。  そこで山花さん、この戦域ミサイル防衛計画については、あなたは、社会党ではありません、あなたはどう御判断になりますか。
  110. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 御指摘のテーマにつきましては、私は極めて慎重に対応するべきであると考えております。  今御質問の中にも、朝鮮民主主義人民共和国の核の開発の問題について指摘をされながらの御質問でございました。私たちは、こうした共和国の核の開発の問題についても、アジアの平和、朝鮮半島の平和、そして日本周辺の平和の問題を考えた場合には大変大きなテーマだと。こうして具体的に我が党の代表団を二度にわたって共和国に派遣をして、不拡散条約からの撤退問題について我々の党の見解というものを極めて厳しい姿勢で伝えるということをしてまいりましたけれども、私たちの主張の前提は、そうした問題、朝鮮半島における核の問題を解決するためには、我々日本自身が非核三原則を堅持しなければならないということを前提として発言をしてきたつもりでございます。  そういう観点からいたしますと、我が国自身にかかわるテーマについては極めて厳しい姿勢を貫いていくべきであるというのが従来からの主張でございましたし、これから政府の中で具体的な議論になる場合には、そうした私たちの考え方についてできる限り閣議の中で発言をしていきたい、こう思っているところでございます。
  111. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 ということは、今まで政府の部内では議論をしておられなかったということですか。安全保障に関連する会議政府の中にはあります。閣議以外にも専門の関係閣僚が集まっての会議があります。少なくとも、防衛庁長官アメリカの国防長官との間にこうした事態を考えながら合意をしていかれるプロセスの中では、政府部内の議論は全くされなかったということですか。
  112. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 所管外ということではなく、私の立場でお答えさせていただきたいと思いますが……(橋本委員「いや、だから、閣議では全く、政府部内では議論をしてないんですね」と呼ぶ)閣議の正式の話題とはなっておりません。
  113. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 そうなりますと、これは私は非常に大事な問題だと思います。この戦域ミサイル防衛計画、私は必要だと思う。先ほど山花さんは、非核三原則を前提に、それは当たり前です、我々だって非核三原則というのは当たり前だと思っている。わざわざ言われる必要は全くない。その上で北朝鮮の核開発に対する疑惑と、現に完成している長距離のミサイルというものを考えたときに、日本の安全を担保するための日米間の計画というものは安全保障条約の中で当然あるべきものだと思っていますが、ここに三カ国目の韓国が入った場合には別種の問題を呼ぶ、その懸念はある。しかし、少なくともこうした問題は早急に閣議で御議論をいただきたい。今山花さんは、慎重であるという言い回しのもとに、これが議論される場面では別な言い分を言うという意思を表明されたわけですから、これは総理、きちんとそうした会議を持っていただけますね。
  114. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 TMD、いわゆる戦域ミサイル防衛の件についてのお話でございますが、私の認識ではまだそこまでアメリカ側との間で具体的な話が進んでいるというふうには承知をしておりません。韓国との間でもそのようなことだというふうに私は承知をいたしております。事務的に、それがどのようなものであるかということについて、アメリカ側にその事実の聴取をしているという段階であろうと思いますが、先ほどお話が出ておりましたように、理論的にもいろいろな克服をしなければならない課題もございましょうし、あるいはまた、費用対効果の面でも本当にそれができるのかといったような問題もございましょう。いずれにしても、今そこまでまだ具体的な話として進んでいる話ではないと承知をいたしております。  ただ、この北朝鮮の問題にかかわってのお話でございますが、ミサイルの問題あるいは核開発にかかわる懸念、これはまことに憂慮をしているところでございまして、その辺につきましては今後とも関係各国とも緊密に連携をとって適切な対応を考えていかなければなるまいと思っているところでございます。  お尋ねの、関係の閣議なりあるいは関係閣僚会議なり、あるいはそうしたところでしかるべき対応をすべきである、それはもちろんそのような状況がもう少し進んでまいりましたら当然考えなければならないと思っておりますが、今の時点では、先ほど申し上げましたように、まだそこまで具体的な話として進んでいるというふうには承知をしていないわけでございまして、アメリカ側の話を私が承知をしているところを申し上げましても、戦域ミサイル防衛というその概念につきまして、それは各国がそれぞれミサイルで防衛をする、その総称であるといったような話も出ている、まだ確定した概念はないというふうに私は聞いているところでございます。
  115. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 総理がお聞きになっていないところでどんどん話が進んでいく、そうした事態は避けなければなりません。できるだけ早くこれは閣内 においての議論をしていただきたい。  これは本当に、幾つの国がこの組み合わせの中に入ってくるのか、その計画に入る国の数によって問題が異なる部分があります。同時に、この防衛計画の中で開発を進めていくものの今後の平和利用に関連する問題もあります。いろんな角度の問題を含んでいる。今そこまで進んでいないのだという総理の御認識であれば何をか言わんやでありまして、私は、少なくともきちんとこれについての内閣の態度は早急に御論議をいただきたい。これ以上これは伺っても仕方がありません、聞いていないということですから。陳情じゃありませんよ。大変な問題ですよ、これは。(発言する者あり)聞いておきます。  そこで、私は、この午前中の最後に、総理の発言そのものから出てきた状態について、私の意見も含めながら改めて総理の御見解を承りたいと思います。  八月十日、就任をされた直後、総理は記者会見において、過般の戦争というものを一括して侵略戦争であった、間違った戦争であったという決めつけをなさいました。その後の本会議においてそのトーンは多少変わりました。そして、その後、余りこうした問題にお触れになってはおられません。  私が知る限りでは、八月十五日の全国戦没者追悼式の内閣総理大臣としての弔辞がありました。侵略戦争であったと決めつけられた直後、本当に多数の投書が届きました。そして、その八月十五日の追悼式のあなたの弔辞に対してすら、ここに一つの例がありますけれども、本当に情けない、憤慨にたえないという手紙が来ました。私は、素朴な国民の声のこれが一つだと思います。  私自身が今、長谷川峻さんが亡くなられてから後、日本遺族会のお世話をしています。去る大戦で御自分の夫を亡くしたあるいは父親を亡くした、子供を亡くした方々からは、自分の子供は、夫は、父親は侵略をしていたのか、侵略の片割れだったのかそんなはずはなかったという声がいっぱい届いています。私は、ひとつこういう声にもあなた自身が耳を傾けていただきたいと思う。  同時に、国内において、この戦争によって一番大きな被害を受けたのは戦場となった沖縄でした。沖縄県の方々が侵略をされたのだろうか、そういう手紙も沖縄から私はいただきました。  同時に、その発言というものは、世界的にもさまざまな反響を起こしております。  先日、イギリスのメージャー首相が、政府間の話としては納得をされながら、もし日本政府が何らかの措置をとるなら、イギリスもきちんとその補償の対象の国に入れてもらいたいということをあなたに言われたはずであります。しかも、そういう動きは、細川首相の発言の結果にわかに盛り上がったものという言葉をあなたに浴びせられた。浴びせられたと言ってはいけませんね、これは言いかえます。あなたに対して述べられたはずであります。  私は、個人としてのあなたの歴史観がどうであるかをここで論じたいとは思いません。お互いに戦争が本当に負け始めてから、空襲を受け始めてから物心ついた世代です。それ以前のことは、我々は歴史で学ぶ以外にない。そして、過去の戦争というものを振り返るときに、その中で侵略と言われて仕方のない部分があったことを、今までの政府もそれを認めてきました。そして、サンフランシスコ講和条約以来、その責任を果たすために一生懸命に努力をしてきました。  しかし、それ以前に、私はそれが必ずしも正当だったと思っておりませんけれども、敗戦の後に軍事裁判によってその戦争の罪を負わされることになり、死刑になった方々がたくさんありました。世の中ではよくA級戦犯の話だけが出ます。しかし、B、C級戦犯で死刑にされた方は千人を超えております。今振り返ってその訴因を調べてみても、なぜその人が責任を負わされるのかわからないようなケースすらその中にはあります。あなたの侵略戦争であったという単純な割り切りが、どれほど国民に大きなショックを与えたかをもう一度よくお考えをいただきたい。  同時に、国際社会の中で今日まで積み上げてきた日本の戦後の努力というものがあるいは無になる可能性すらあるかもしれない。イギリスはたまたまメージャー首相の訪日の機会にその意を明らかにしました。この動きはオランダを初め他国に広がっていることをあなたも事務方からの報告でよく御承知でありましょう。私は、個人としてのあなたの歴史観がどうであるかを問うつもりはありません。しかし、一国を代表する総理大臣として余りにもこの言葉は軽率ではなかったか、本当にそう思います。  国民ほとんどの方々がこの第二次世界大戦というものを振り返るとき、それぞれにその不幸な歴史というものを振り返って、国際社会に対して心に持つものはあるはずであります。しかし、ソ連の侵入は侵略でありましたか。日本が侵略したのではありません。こうした場面も含め、あなたは一括して世界戦争としての第二次世界大戦を侵略戦争と、日本にとっての侵略戦争と定義づけられた。我々は、中国に対し、あるいは朝鮮半島の方々に対し、あるいは戦場としたアジアの各地域の方々に対してわびなければならないものを本当に持っている。私自身、遺骨収集に行きまして、現地でそういう声を浴びせられたこともあります。その思いと、内閣総理大臣が、済んだ、国際的に解決を済ませてきた問題について、改めて今日、侵略戦争と定義づけ、これらの問題を掘り起こされたことはいかなる意味を持つのかまたその影響に対して責任をお持ちになるのか私は深刻にお考えをいただきたいと思う。  これについてのあなたの御意見を伺って、午前中の質疑を終わります。
  116. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私が侵略戦争侵略行為ということを申し上げたのは、私の率直な気持ちの表現としてそういう発言をしたわけでございますが、我が国の過去における行為が多くの国の人々に耐えがたい苦しみと痛みというものを与えてきた、そのことを深くおわびをし、またこれから国際社会に寄与していく、新たな決意を持って取り組んでいくということが何よりもの我が国にとっての償いであろう、そうした思いを込めてそのようなことを申し上げたところでございます。  もとより、今お話がございましたように、歴史観についてはあるいは世界観については人さまざまであろうと思います。また、今いろいろ具体的な例を引いてのお話もございましたが、どこで線を引くかということは、これもまた見方がさまざま、学説もさまざまであろうと思いますが、しかし、よく胸に手を当てて考えてみれば思い当たる節があるのではないか。それは多くの人々がそのように受けとめているところではないか私はそう思っております。  後世の歴史家の評価に任せる、これも一つ考え方かもしれませんが、しかし私は、大事なことは、今に生きる政治家自身がみずからの評価の問題としてこのことについてみずからの言葉で語るべきである、私はそのように思って、私の申し上げたような所信を申し上げたところでございます。  戦後補償の問題についてもお話がございましたが、この点につきましては、これは本会議などでも申し上げておりますように、既に法的に決着済みの問題である、そのように考えているところでございます。
  117. 橋本龍太郎

    ○橋本委員 これは最後に、ちょっと今の御発言に対して一つだけ申し上げておかなければなりません。  大変恐縮でありますが、率直な見解を示される、漂いようでありまして、これは大変大きな問題を残しました。国内においても、いまだ補償足らずと言っておられる方々に極めて大きなインパクトを与えたものであります。そして、国際社会の中においても、済んだと言われる補償の問題は、必ずこれは再燃をするでありましょう。民間の訴訟になりましても、一国の総理大臣が改めてこの時点において侵略戦争と明言をされたこと は、大きく裁判官の心証形成の上に役立つでありましょうが、結果がどうなるか、私は不幸な事態にならないことを心から願っております。  終わります。
  118. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 一言最後に、今のことに付言をして申し上げさせていただきたいと思いますが、それは今日の我が国の平和と繁栄というものが多くのたっとい先輩世代の方々によって築かれたものである、そのことも先ほどお触れになりましたが、それは私も全くそのとおりだと思っておりますし、その方々のたっとい御功績というものは肝に銘じていかなければならない、そのことは私からもしっかりと申し上げさせておいていただきたいと思います。
  119. 山口鶴男

    山口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時五分開議
  120. 山口鶴男

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、津島雄二君から関連質疑の申し出があります。橋本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。津島雄二君。
  121. 津島雄二

    津島委員 午前中の自民党を代表する橋本委員の質疑を引き継ぎまして、論議を深めてまいりたいと思います。  まず最初にお伺いをしたいのでありますけれども、激動するロシア情勢、大変私どもも憂慮しておりますけれども、新しい変化がございましたら、この機会に御報告をいただきたいと思います。
  122. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまの報道でも、銃声がとどろいておるというようなことが報道されておるようでありますけれども、私どもの方も大使館の方と連絡をとっておりますけれども、最高会議のビル、この裏手で銃声が始まったということでございまして、今、子細については調査中であるということでございます。
  123. 津島雄二

    津島委員 この審議の過程におきましても、重要な新しい変化がございましたら御報告をいただきたいということをお願い申し上げておきます。  さて、政権交代があったわけでございます。国民の期待は、やはり政権交代のある、緊張感のある政治を取り戻してもらいたいということであるとすれば、私ども与野党双方とも議会制民主主義の成熟のために努力をしていかなければならないと思います。と同時に、高い支持率で出発をされた新政権、細川政権も、国民の期待に背かぬよう、日本の政治を誤らせないようにどうか頑張っていただきたい。また、そのために私どもは、野党として、ただすべきことはただしてまいりたいと思っております。  午前中、最近の汚職問題についての御答弁がございましたけれども総理の御答弁等々で一つだけ欠けていた点がありますね。お気づきになりましたか。それは、地方政治における腐敗行為の基本のところに、健全な野党がないということがあったんではないかと思います。やはり批判勢力がきちっと存在する、そして、問題があったときには直ちに政権交代ができるということが議会制民主主義を健全化していくわけでありまして、そういう意味では、私ども自由民主党がいつでも政権を担当できるという健全な野党として存在することが、ある意味では皆様方与党あるいは細川政権にとって非常に大事なことだというふうに理解をしていただきたいと思います。  そこで、これまでの与野党関係をいろんな意味で清算していかなければならない、本当に与野党共同で国民のための政治を進めていかなければならないという立場から、羽田外務大臣、この間残念な思いをされましたね。  大切な中東支援会議に、これは橋本委員指摘されましたけれども日本も重要な役割を果たさなければならない。外務大臣として出席できる、また、したいと思っておられたのにできなかった。非常に残念な気持ちを漏らしておられるようでありますが、はっきり申し上げますと、私ども自民党は、何も一日に予算委員会をやってくれとは言ってなかったんでございますよ。きょうの四日から時間を十分とって十分な審議をやろうと。そこに、中東会議にお出になった羽田外務大臣に、お帰りになって、じっくりと御報告を聞きたいという気持ちで折衝したんですが、どうも承るところによりますと、与党の方のどこからか、とにかく審議を急がなきゃならぬから、とるものもとりあえず羽田さん帰ってくれ、こういうことになって、非常に悔しい思いをされた。これは国民にとってもあんまりいいことではなかった、残念なことだ。ですから、与野党ともに、これまでのように駆け引きで、一日からと言っておいて四日に始まるとか、そういうことでなくて、本音の国会対策をしていくべきだとまず御指摘申し上げておきます。  さて、午前中の論議を聞いてみまして、どうしても私にとってわからないところがございます。まず、総理が、国の基本政策と自民党の基本政策とは違う、与党が引き継ぐのは国の基本政策であって、自民党が政府・与党としてやってきた政策ではないと、こうおっしゃった。そうおっしゃられるのであれば、実は私ばかりでなくて、国民の皆様方もいろいろ確かめたい点がおありになるだろうと思うのであります。  与党を構成しておられる各党と国の基本政策とがまるでイスカのくちばしのように合わない状態で続いていっていいんだろうかという見地から、まず山花大臣に、山花さんにお伺いいたしますけれども、あなたのお立場から見られて、今の自衛隊は合憲でしょうか、違憲でしょうか。
  124. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 社会党の見解としては、現在の自衛隊の実態については違憲であると考えています。  しかし、今回の連立政権の合意に当たりまして、先ほども国の政策と自民党の政策について御質問いただきましたが、まず初めには、六月二十七日の五党の党首会談、これは日本社会党、公明党、新生党、民社党、社会民主連合の合意でありますけれども、ここで明確に「外交・防衛など国の基本施策について、これまでの政策を継承しつつ世界の平和と軍縮のために責任及び役割を」担う。すなわち、自民党の政策を丸ごと引き継ぐのではなくて、国の政策ということを明確にしているところでございます。三十八年間自民党が一党で政権を持っていたがために、自民党の政策イコール国の政策というような考え方に陥りやすいと思いますが、そうではないということははっきりさせる必要があるのではないかと思っています。  例えば、自民党は自主憲法制定という、そうした党の考え方をお持ちです。自民党の政策は決して国の政策ではなかったはずです。たくさんの政策についても、国会で議論をして、野党の反論がある、修正がある、その中ででき上がるのが国の政策だと私たちは理解しているわけでありまして、そうした国会における議論からできたものについては私たちは尊重してまいります。  こうして国家の政策、国の政策、そして一党の政策とを峻別した中で、私たちは、国民の皆さんの安心ということを考えるならば、これまでの政権の政策については承継していこうということを明らかにしたわけでありまして、ただいまの御質問についても、そうした経過について十分御理解いただきまして、私たち社会党の政策ということについての御質問ですから、お答えさせていただいた次第でございます。
  125. 津島雄二

    津島委員 事もなげに違憲であるとおっしゃった。そして、そのことが憲法問題、自主憲法を制定するという方針と同じ次元の話であるとおっしゃるならば、私はやはりもう少し詰めてお伺いしなければいけませんよ。  それは、社会党さんは、今のような違憲であるという建前に沿って、つい最近の宣言でも、「自 衛隊の現状は許容される自衛力の範囲を超えている。」こう言っておる。したがってまた、自衛隊の国際貢献については、これは派兵も派遣もできない。ここになってきますと、今議論されておるような自衛隊機の派遣の問題、自衛隊法の改正の問題にまでかかわってまいりまして、党と政府とは違います、国の政策と我が党の政策とは違いますということで実は進めていくことはできないわけであります。  そして、もう一つ申し上げたいのは、あなたはついこの間の七月の総選挙で、そのような立場で多くの方々に支持をいただいてきているんでしょう。その支持をいただいてきた人たちのその願いを、その考えを一体あなたはどういうふうにお考えになるんでしょうか。それを事もなげに、今、私ども政府に入るために、大臣になるためにここは妥協しなければならないというような次元の話では私はないと思うんでございますよ。  それじゃ、同じような次元からお伺いをいたします。  実は、この後で触れたいと思いますけれども、私の地元は作況指数三二の大変な冷害でございます。稲が黄色く穂を垂れてくれないわけであります。青立ちのままの田んぼがいっぱいございます。その田んぼの真ん中に、昨年の参議院の選挙のときにお立てになったポスターがまだ残っております。非常に立派にできた、恐らく相当コストのかかったいいポスターだと思うのですが、田んぼの穂のように色が変わらずに、まだ鮮やかに残っております。  そのポスターは、江田さん、あなたの顔がぱっと大きくありまして、そして「PKO法案に異議あり」と書いてあった。このポスターで昨年随分たくさんの方がやはりあなたの方の政党に投票をされたんだと思いますね。そのポスターを、まああなたはもう忘れておられるかもしれませんけれども、それを見る人たちにとりまして、どうなんでございましょうか。このPKOに対するあなたの御見解を今この段階で確かめさせていただきたいと思います。簡明にお願いします。
  126. 江田五月

    ○江田国務大臣 お答えいたします。  科学技術庁の所管ではございませんが、安全保障会議にも関連大臣として出席をしておりますし、PKOのことについてはお答えをしなければならぬと思っておりますが、私ども、PKOという活動が国際社会のために非常に大切な活動であるということを否定したことはございません。これはもう初めから、PKOについては日本はしっかりした協力をしていかなければならぬということを言っていたわけで。  ただ、先般提案をされたPKO法、あの法律については異議があるということを言っただけでございまして、しかし、国会ではああいう形でPKO法ができましたから、今、PKO法がああいう形でできた、これを引き継いで国の政策は行われておるわけでございますから、これは引き続きやっていく、もちろん五条件を十分大切にしながら、こういうことでございます。
  127. 津島雄二

    津島委員 江田さんらしく非常に論理的な御答弁のようでありますけれども、それはPKO法案は御案内のような事情でとおっしゃいましたけれども、そのときに江田さんを含めて、山花さんを含めて、皆さんは議員辞職までされようとした。牛歩もされた。それだけ反対したPKO法案、その法案で自衛隊皆さん方はカンボジアに行って大活躍をされたわけでございます。  確かに、文民警察官とかボランティアの方の犠牲を伴いましたけれども、私は今度のカンボジア問題の解決は国連が行った平和活動のうちで最も成功したものだと思います。明石代表にも高い評価が今寄せられているところでございまして、ここで活躍をされた自衛隊の皆様方がお帰りになって、国民ひとしくおねぎらいを申し、感謝をしたい気持ちだと思うんですが、そういう中で、きょうの新聞にちょっと出ておりましたね。  伊東議員、同僚、ここにお座りの伊東議員が、昨日、北海道の駐屯地においでになった。それで、そのことは大変結構なんですけれども、新聞によりますと、まだPKO活動について釈然としない点はあるがと、こう言っております。しかし、与党になったから出るのは仕方がないとおっしゃたのか、出たのでありますと、こうおっしゃった。こうやって、あの灼熱の中を活躍してお帰りになった方に、まだ釈然としないというような気持ちでもし国会議員おいでになったとしたら、その自衛隊皆さん方はどういう気持ちになるんでしょうか。私は、本当にこれは残念なことだ。だから、PKO法案について、理論的にはこうであって、結果としてはあのとき通ったから、あれだけ反対したけれども今はそれに従ってやりますよというのは、これは政治的には私は非常に問題だと言わざるを得ないのでございます。  そこで、江田さんにもう一つお伺いしますよ。  あなたは今のPKO法案は私の所掌じゃないとおっしゃったから、所掌の問題についてお伺いをします。  あなた方は今まで、新しい原発や放射性廃棄物処分施設の建設を認めず、こうおっしゃっている。あなたは今、その大臣としてみずから所掌する分野で、いわゆる再処理工場は今認可を受けて建設を続けている、これを見守っている立場でありますね。ですから、これまでの皆様方の御主張からいえば、この廃棄物の処理場は実は建設を認めないということになるのがあなたの最も得意とする論理的な帰結だろうと思うのですけれども、その点について江田さんの御見解をただしたいと思います。
  128. 江田五月

    ○江田国務大臣 お答えいたします。  再処理施設は委員の御地元の青森県六ケ所村に今建設中のものでございまして、細川政権は、これまでの国の重要基本政策はこれを引き継いでいくということでございまして、既に建設中でございますから、これは十分安全に注意をしながら見守って、きっちりつくっていきたいと思っております。
  129. 津島雄二

    津島委員 見守ってきっちりというのはいいのでありますけれども、私は地元で、この再処理工場の建設をめぐって本当に十数年間大変な苦労をしてきた地元の代議士の一人でありますけれども、そういう立場からいうと、反対、絶対建設を認めないと言ってこられた党の党首が閣僚になって、しっかりと見守って建設していきたいと。この落差、これは私は政治の原点にかかわることだと思います。  時間の関係で一応基本的な問題について御指摘を申し上げますけれども、私は断じて、これは国の政策だからよくて、自民党の政策であるとかないとかいう次元の話ではないと思いますよ。やはりそれぞれの政党、それぞれの政治家が自分の政策を問うて選挙をする、そして有権者に審判をしていただくということの中で議会制民主主義が運営されているとなると、強く強く主張してきたことがいとも簡単に、しかも選挙で主張していたのとは反対の方向に曲がってしまうということは、これは議会制民主主義にとって非常に危険なことだと申し上げざるを得ないわけであります。  そしてこれは、実は最後のところで申し上げたいのでありますけれども、我々が今企図しておりますところの政治改革に深くかかわっておりますので、今ここでその点だけを御指摘をさせていただきたいと思います。  そこで、不況と冷害の問題に入りたいと思います。  最近の円高、そして冷災害日本の経済は急速に冷え込んでおります。この冷害については、今作況指数は全体として八〇と言われておりますけれども、私は、次の調査があれば必ずこれを下回るであろう。私の地元は今三二と言われておりますけれども、これは全国で一番ひどい数字であれますが、さらに悪いであろう、恐らく皆無作のところがもう全体の大部分の地域に広がるであろうというふうに考えざるを得ないわけであります。  この冷害の影響というものに対して、午前中の御答弁で、農林大臣等から、最大限の努力をする、これはもうぜひやっていただきたい。特に、 おくれないようにお願いしたい。それで、畑さんの御答弁で、年内に共済金を払うとおっしゃいましたけれども、これは当たり前のことで、今まで大体年内に共済金は払われているのでありまして、年内なんということでなしに、できるだけ早期に、十一月いっぱいにでも払えるくらいの努力をして、対応していただきたいと思います。  この影響は、実はまず地元の商店街に及んでいく、観光地に及んでいく。湯治に行けるような人は恐らく地域社会にいなくなってしまうだろう。その上、ことしの異常気象で、例えば海水浴場なんというのは大変な状態で、皆さんも赤字をどうするかということで困っておられる。輸送関係、観光関係全体に被害が広がってまいります。  この不況の問題について、確かに今の日本の経済というのは非常に難しい状況にございまして、私は昨年の十一月、この予算委員会で当時の政府と論戦をいたしましたけれども、そのときから非常に深刻なものがある。今までの不況とは性格が違うということを御指摘してまいりましたけれども、新しい、非常に心配な要因が出ているということを忘れてはならないわけであります。まさに、冷害にしても円高にいたしましても、細川総理が就任をされてから出てきたもう一つやはり心配な要素であります。  そういう中で、どうでしょうか、企画庁長官の久保田さん、今の経済、どう見ておられますか。簡単にお答えください。
  130. 久保田真苗

    ○久保田国務大臣 経済の現況というのは、最近の円高それから冷夏、災害、米作等、総じまして非常に低迷しておりまして、その中で住宅等の投資は堅調でございますものの、個人消費それから企業マインドの冷え込み、こういったものをあわせますと、回復は足踏みをしている。そして、今後の景気につきましては必ずしも予断を許さないものがあるというふうに見ております。
  131. 津島雄二

    津島委員 大変心配をしておられるという点、これは前の、今与党にいらっしゃる当時の船田経済企画庁長官の底入れ宣言とは大分様相を異にしている。認識が正しくなったと言う方が多いんじゃないかと思うのでありますが、こういう中で、私はまず御指摘したいのは、日本を取り巻く状況が非常に厳しいということもあって、ますます対応が難しくなっているわけですね。  国内における災害と並んで、対外的に起こっている円高の問題、これについて実は私は、やはり円が今の百五円一ドルの水準まで来るについては、新政権が成立をした前後の状況について、いわゆる国際金融筋が、言ってみればひとつ金融当局側の姿勢をただしてみたいというような動機もあったんだと思います。そういう意味で、新政権の成立と全く無関係ではないと思っておるのでありますが、問題はその後の対応だ。  この間G7に行かれた御報告、大蔵大臣からの報告を伺いましたが、為替の急激な変動はくあいが悪いということをおっしゃっているけれども、今の水準が困るということは何にもおっしゃっていない。逆に言えば、今の水準を容認するという結果になっておるわけであります。これは論をまたない。しかし、それは大蔵大臣でも御存じだし、恐らく通産大臣の熊谷さんだったらもっと大声で言われるだろうと思うのだけれども、今の為替の水準では、日本の最も近代化された産業分野でもなかなか輸出は難しいということになる。おまけに将来に向けては、こんなに日本の円が高いのでは労賃が高くつくから外国に工場をつくった方がいいという、いわゆる空洞化の問題が本当に深刻になってくると思うのですね。  そういう中で、どうなんでしょうか、大蔵大臣に伺いたいのですが、今の為替の水準を追認をされたのでしょうか。
  132. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 この間の委員報告でも申し上げましたように、この急速な円高というものが非常に日本の経済に水を差し、同時に、何回もとった経済対策の効果を極めて減殺してしまった、こういうことを強く申しました。それに加えて、したがって四月のG7のときの急激な為替レートの変動は極めて好ましいことではない、安定的にファンダメンタルズを反映するようでなければならないというあのG7の合意を再確認してもらいました。  そこで、水準の話を今津島委員はお話したと思います。私の立場でそういうことを言うこと自体が大変外国為替市場に大きな影響を持っていることは事実でありまして、八千億ドルとか一兆ドルの金が二十四時間世界じゅう流れている中で、そういう人たちの発言ということによってどっちに振れるかは別として、何らかの振れを起こすということはもう津島委員よく御存じのとおりでありまして、あえて間接的な表現をもって、日本が今の円高に対しては非常に経済的に困っているんだということを言ったわけであります。
  133. 津島雄二

    津島委員 可能な精いっぱいの言い方でおっしゃっておる、その気持ちはそんたくしておきましょう。大蔵大臣が何か言えばそれは相場に影響する、これはもう当然のことでありますが、私は、今の水準をもとへ戻す方向に影響を与える発言はなすったって結構なことだ、何もそこは別に慎重になさる必要はないのじゃないかなという感じでありますけれども、あなたのお立場もありますから、これ以上申し上げません。  しかし、冷害、災害、円高等々の新しい要素も出てまいりまして、やはり一番心配な点は雇用への悪影響であります。  先ほどからお話の出ている八党合意を読んでみますと、あの中には勤労者、労働者の将来をよくするために、例えば、千八百時間に早くしろとか、それから余暇を有効に生かしてもらうとか、そういうことに触れられておるのですけれども、雇用不安については実は何の言及もないのですね。それは、あれをおつくりになったのは七月の末でありますからと理解をしてあげたい気持ちにもなるのですが、七月の末にはもう既に相当雇用問題について心配の声が出ておったのであります。でありますから、あのときにお集まりになった今の与党の皆様方は、どうも雇用問題を非常に楽観しておられたのじゃないかと心配をするわけであります。  そしてまた、よく言われておりますように、日本はいわゆる企業内の遊休人口というのが非常に多いと言われておりまして、実際は、国際競争力が強く問われるようになれば、今まで抱えていた人たちを放さなきゃならぬという声まで出ている。それから、来年御卒業になる方々、お母様方、お父様方は本当に心配しておられると思います。女子学生の方の就職というのは大変に厳しいものとなっておる。  そういう中で、労働大臣にまずお伺いいたしますけれども、最近の雇用状況についてどういうふうに見ておられますか。
  134. 坂口力

    ○坂口国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  八月の有効求人倍率が〇・七〇になりまして、前月の〇・七二から〇・〇二ポイントまた減少をいたしました。完全失業率はここ四カ月間二・五%を持続をいたしておりますが、どちらかと申しますと悪化の傾向がございまして、非常に憂慮すべき段階にあるというふうに思っております。  労働省の方で各業種のヒアリングも八月末に行いましたけれども、やはり各業種ともに非常に厳しい見方をしておみえになりまして、来年前半までこの状態は続くのではないかというふうな予測をしておみえになるところが多いわけでございます。  そうした情勢でございますので、労働省といたしましては、迅速かつ的確な情報をまず集めるということが第一だというふうに思っておりまして、今鋭意その努力をしているところでございます。  また、雇用調整が御指摘のとおりかなり進んできていることも事実でございますので、雇用調整に対しましては雇用調整助成金をより使っていただきやすい形にいたしまして、そして皆さん方に働きかけをさせていただいているところでございます。  また、最近では、特に中高年でございますけれども、ホワイトカラーの皆さん方に対する雇用調整の話もございますので、職業をどうこれから変更していただくかというようなことにつきましても、そういう職業訓練等につきましてもこれから力を入れていかなければならない、そんなふうに考えているところでございます。  非常に厳しい中でもまだ何とか雇用を維持していただけそうなところに対しまして、私及び政務次官ともどもに出かけまして、来年卒業の皆さん方をぜひともひとつ雇用をしていただきますように、お願いに参上しているところでございます。
  135. 津島雄二

    津島委員 御努力を多とするものでありますが、今の久保田さんの御答弁も、また坂口さんの御答弁も、お二人とも憂慮すべき憂慮すべきと、憂慮の気持ちはみんな一緒でありまして、本当にみんな心配をしておるわけでありますが、心配をされるのであれば、やはり思い切った対策というものを私どもにお聞かせをいただくことが必要なのじゃないかと思うのであります。  そこで、私どもは、先般九月の九日に十兆円以上の規模を念頭に置いた緊急総合景気対策を発表をいたしました。これは思い出していただきたいのでありますが、総理答弁で言っておられますように、ことしの春の十三兆二千億の景気対策は皆様方もそれこそ踏襲をしていただく、評価をしていただいている。これは国の政策じゃなくて自民党の政策なのですよ、そう言いたいのでありますけれども。実は昨年の夏の対策というのは年度の途中のものでございまして、非常に財源寺難しい中、十兆七千億やったわけです。私どもは、今度もこれを超えるものをやらなければとても対応できないという認識に立っておったわけであります。  それで橋本政調会長が、たしか十五日でしょうか、総理のところに参上して御説明をした。ずっと鉛筆で線を引きながら一生懸命読んでいただいたというのでこれは大変結構なのですが、読んでいただいた結果が、九月十六日に緊急経済対策という発表になりましたね。全体六兆円余でありますけれども、私は、もう少しこれはやれるはずだと今でも思っております。  その理由の一つは、社会資本整備の事業費の追加が一兆円程度だったのですね。これは藤井さん、頑張ったけれども財源がないとおっしゃりたいような顔をしておるわけでありますけれども、私は、一般会計予算ばかりでなくて財投をもっともっと使えるはずだと。何といっても政府の緊急対策というのは、読んでみますと、国立博物館や美術館のような文化の薫り豊かな施設、それから公的施設へのスロープの設置等。いや、非常にいいことです、私も厚生大臣をやりましたから。非常にいいことだけれども、スロープをつくったり美術館や博物館でどうも景気はよくならないのじゃないだろうか。もう少し財投を使って思い切ったことをしてもらえるはずだと思っておりましたけれども、財投に大きい問題がありますね。  これは、恐らく藤井大蔵大臣は外国からしょっちゅう言われ続けると思うのです。日本の財投の収支がはっきりしない。これは意図的に余り出してない。国庫対民間の収支の表をずっと見ましても、なかなか専門家でも読み切れないような状態になっておる。しかし、別の資料で申しますと、今民間に流れている資金の過半数がもう公的資金になっているという話もあるくらい民間の金融が萎縮している中で、もう少しやるべきではないかというふうに思っておるわけでありますが、この中で私は一つ非常に評価できる点がある。それは住宅関係。これは私は相当いい点を差し上げなければいかぬと思う。  我々の提案を受け入れて住宅取得促進税制の対象範囲を拡大していただいた。この拡大は、いわゆるリフォームについて、家をつくりかえる方について拡大をするんであるということでありますが、これは実はPRが足らないんですね。農水大臣の畑さん、あなたがPRをされる分野があるんですよ。あるいは厚生大臣の大内さん、あなたもPRされる余地がここにあるんですよ。  それはなぜかといいますと、これで便所、トイレとか、それから台所とか、それから高齢者用の家の建てかえができる。しかも、それを建てかえるときに、今まで家が二百五十平米以上ありますと全部アウトだった。それを、例えば私の地元を見ましても、田舎の家というのは土地があるからやや余裕がありますよね。しかし、お父さん、お母さんが高齢になって何としても一部屋つくりたいという場合に、もともと家がその二百五十平米以上だと全部アウトになる。これを今度取っ払ってくれたんですよ。これは英断だと思いますよ。気づいておやりになったのかどうか。気づかれたら農林大臣、あなたは例えば今、農村の集落排水、トイレ化を推進しておられるでしょう。それから厚生大臣の大内さん、あなたは高齢者対策に今非常に御努力をいただいている。いや、お父さん、お母さんのためにこの際一部屋つくれという声を上げていただきたかった。そこは残念なんでありますが、これは進歩である。  そこで、ここまで来たのなら、我々の御提案をもう一歩次に入れていただかなければならない。それは、今建っている家をリフォームするときは二百五十平米のその面積制限を取っ払った。それであれば、新しく建てるときも、もう少し今までの二百五十平米より大きい家を建てる方にも平等に今の住宅減税が均てんするようにされたらどうでしょうか。藤井さん、ぜひこれはやってもらわないと困るんですね。どうでしょうか。
  136. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 御指名でございますので、建設大臣ともよく相談をいたします。
  137. 津島雄二

    津島委員 これはこれからの税制改革その他で私どもはずっと引き続いて提案をし、皆様方と一緒になってやはり国民生活の向上に努力をしたいと思います。この際、また所得制限も見直してもらいたいですよ。これはぜひお願いをしたいと思います。  税制の問題になりましたが、税制とそれから規制緩和というものが今度の不況対策で随分大きく取り上げられておりますね。そういう中で、藤井さんの帰国報告の中にこういうことが書かれている。「我が国においては広範な規制緩和と税制改革」を「説明し、これに期待するとの認識がありました。」こう書いてある。これはさっき午前中の橋本委員の御質問とある意味では同じ、同列のあれでありますが、七カ国蔵相・中央銀行総裁会議でどなたから御説明になったかわかりませんけれども、恐らく大蔵大臣からでしょう。藤井さんからでしょうが、税制の抜本的改革について、税制調査会における総合的な検討を推進する等と書かれておりますが、さっきのように規制緩和と並べて税制改革について説明をし、「これに期待するとの認識がありました。」  期待されたからには何かいいことがあったんでしょうね、向こうさんから見て。外国から期待された。どこを期待されたんですか。
  138. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 G7においては、既にやったこと、これを各国から皆説明すると同時に、今津島委員指摘のような、これからやりたいことということを説明しました。これは各国がみんなやりました。アメリカで申せば、赤字削減を促進するためのヘルスケア改革、あるいはヨーロッパであれば財政改革、より金利の低下、これはみんな自分でみずから表明をいたしました。私もその同じ次元で税制改革及び規制緩和を表明いたしました。そして、G7がお互いにこれら各国の物の発想というものを、世界経済のためにも役立つということで評価をしたということでありまして、私どもはここで発言したことは、公約ではありませんが、誠実に実行していく努力をすべきだと考えています。
  139. 津島雄二

    津島委員 公約ではありませんがとは言いましたが、やはりその政治的な責任は負うぐらいの言葉であると思います。  そこで、期待をされるからには、世界経済の浮揚に役立つような御説明をなすったのだろうと思うのですね。  まず、規制緩和についてどういう説明をされたのか。それから税制改革について、言ってみれば、期待するからには、日本の景気が浮揚するだろうという印象を与えなければ期待はしませんね。これは何というか、赤字公債は出さないのだから、増税、減税一緒だから何の影響もありませんと言ったら、これは期待はされないわけだ。どういう点に期待が集まったのですか。
  140. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 これは各国皆同じでございますが、自分の国でやろうとしていることを、まず骨格を話しただけでありまして、中身で価税がどうだとか、そういうことは一切話しておりません。
  141. 津島雄二

    津島委員 お互いに、大蔵大臣の会合ですから、全く骨格も何も示さずに期待が集まるほど素人さんの集まりではないということだけ申し上げておきます。  そこで、税制の問題について大事なことは、まず税制というのは景気への影響は否定できないのでありますけれども、基本的には国民負担の話ですね。だれがどのくらいの税を負担するかということだ。  そこで総理にお伺いしたいと思うのですが、細川さんは今の所得税の負担の現状をどういうふうに見ておられますか。(発言する者あり)
  142. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これから少子・高齢化社会がどんどん進んでいくわけでございますし、おっしゃいましたように、国民負担全体を視野に入れて、よく言われますように、資産、消費、所得のバランスのとれた税制のあり方というものを検討していくべきであろう、一言で言えばそういうことであろうと思っております。
  143. 津島雄二

    津島委員 こちらの方から声がありましたが、本会議答弁のとおりでございます。  そこで、もうじょうがない、私の方から申し上げなければいかぬのですけれども、やはり日本の所得税の一番の問題は、所得がふえるにつれて税金のふえが大きい、いわゆる累進制にあるわけですね。いつかある新聞に出ておりましたけれども、平成元年の所得七百万の人が、平均的な所得の伸びでいくと、平成五年には七百九十六万、つまり所得が一三・七%ふえているであろう。それでいくと、税は平成元年の五十六万であったものが七十八万になって、そっちは四割近く上がってしまう。ここにまさに日本で一番負担感を持たれる部分があるわけであります。  時間がありませんから私の方から減税のポイントをどうしても申し上げなければならぬのですけれども、やはり所得課税を考えられる場合に、この一番の累進構造の影響を受けている中間所得層の負担を見直してあげなければならない。いわゆる累進構造の見直しでありまして、累進構造の手直しをするには累進構造だけ直すのではあれですから、結局最低限もバランスとれたように直さなければならない。給与所得控除もやはり直さなければならない。そしてまた、所得税を払わない方々、つまり住民税だけ払っておられる方のことも考えなければならない。つまり、これを専門的に言いますと、ワンセット全部考えないと累進構造というのは直せないのですよ。そうなってくると、実は五兆円以上の減税が必要なんです。けさある党の方から、まあとにかく急いで二兆円ぐらいでやれというお話もございましたが、これは専門的に言いますと、累進構造に手をつけますととてもとても二兆円じゃだめなんです。五兆円以上いかないといけないということを御指摘申し上げておきます。  ですから、これだけの規模の話になりますと、財源論全体をやはり国民に率直にお訴えをして、皆さんから理解をしていただく努力をしなきゃいけない。あの税はいい、この税はいいというようなことだけの議論で終始をしておりますと、今の税制のままで一番不幸な立場に置かれている方の状況というのは改善されないわけでありますから、ぜひこの点はよろしくお願いしたいと思います。  税制問題を突っ込んでいくときにどうしても考えなきゃならないのは福祉の関係なんです。厚生大臣の大内さん、大変御苦労しておられると思うんですけれども、大内さんは一党の代表でもあり、大変出色な政治家でおられるんですが、厚生行政をおやりになって、政治ではどうにもならないことがあると今お感じになっているはずですが、どうでしょうか。お感じになっていませんか。
  144. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 厚生行政をやらしていただきまして、認識を今非常に新たにしている点がございます。というのは、厚生行政というのは、これからの福祉国家づくりあるいは生活先進国づくりにとりまして、国民生活と非常に密着をいたしております。年金も医療も福祉もそれぞれ重要なものでございますが、やはり相当の国民の皆様の御理解、それから、縦割り行政ではなくて、やはり横の行政の提携という問題が非常に重要になってまいりまして、特にこれからの給付と負担という問題を考えますときに、国民の皆様の御理解をいただくという問題が非常に重要な課題として登場してきてまいりまして、行政の分野だけでは解決できないいろんな側面があると痛感をいたしております。
  145. 津島雄二

    津島委員 だんだんと理解を深めておられるようで意を強うしているわけでありますが、私は、恐らく大内さんがもう既に気づいておられることは、人口動態、寿命と出生率だけは、これは政治だけではどうにもならないんですね。子供さんを何人つくっていただくかどうか、これは今恐らく一番強く感じておられると思うんです。このことが、実は恐らく今度の内閣の最大の課題になるであろう年金問題、あるいは国民生活、勤労者の皆様方からいって一番深刻なこの年金問題に関係をしておるわけであります。出生率一つとりましても、私がやっていたときは一・五七なんですね。一人の女性がつくっていただく子供さんの数は一・五七だった。前の厚生大臣のときは一・五〇まで下がっちゃった。下がり続けているんです。これは、子供さんが生まれませんと、二十年、三十年先の年金会計というのは物すごい負担がかかってくるわけであります。  今、厚生大臣のところで年金財政の試算をやっておられるわけですけれども、新しい人口推計、つまり人口の動向に基づいてやっているその出生率は、聞かないで私の方から言います。一・八でやっている。今よりも相当高い水準に戻ってくるという前提で計算しても、それでもどうなるかといいますと、今保険料が厚生年金で平均一四・五なんです。これが平成七年には一六・七。これはまあ同じようにいくでしょう。  ところが、これがさらに三十年後になりますと、何と今のままの制度でいくと三四・二%という、今の二倍をはるかに超えた保険料をいただかないと今の年金というのは成り立たないということになっているわけですね。これを仮に二十年ぐらいかけて少しずつ支給年齢を延ばしていく。今の大体四十代の半ばぐらいの方については、これはもう退職の時期が見えてますから手をつけないようにする。しかし、今一生懸命働いて保険料を払っておられる方については、保険料が不当に上がらないという前提でずっと御協力をいただきましょうということで、六十五歳になった場合でも二八・八なんですよ。今の二倍なんですよ。つまり、これは政治ではどうにもならないんです。ですから私は、今皆様方にお願いをしたいんですけれども、これは国民に正直に事実をお話しになって、そしてみんなでその場合には老後の所得保障がきちっとできるようにやっていこうじゃないかということをぜひやっていただきたいと思うのであります。これが、大内さん、福祉ビジョンなんです。  ですから、大臣に就任されて、最初は自民党のビジョンが不足しているとおっしゃったけれども、私はそういう気持ちでは今ないと思いますよ。私どものゴールドプランでも、与野党が一緒になって協力をして、それで大内大臣の民社党からも相当高い評価を得て出発したのがゴールドプランでもあり、そういう中で与野党が本当に対話をして国民の幸せを守っていくということが大事 だろうと思うので、この際、申し上げておきたいと思います。  ところで、総理あるいは外務大臣にお伺いしますよ。  アメリカへ行かれていろいろ参考になったことがあると思うんですが、どうでしょうかこの福祉の面で何か印象をお受けになったことはありますか。
  146. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま御議論がございました年金でなくて、これは医療保険の方でありますけれども、やはりこの財政負担が大変大きいということ、これを何とか改革しなければいけないということと、もう一つはやはり皆保険でないというのですかね。そのことのために、勤労者たちが職を失った、失うともう保険がもらえなくなってしまうというようなことがある。こういった問題に対して、これはやはり国としてどうしてもやらなきゃならぬ問題であるということを強く大統領としてもやはりお考えをお持ちになっておるということを、そのほかの閣僚の方々もそういうあれを持っているようでありました。
  147. 津島雄二

    津島委員 まさにその点でございます。アメリカの健康保険がどうなっているかといいますと、統計はいろいろあるけれども、大体日本の人口の三分の一ぐらいの方、三千七百万人の方は健康保険がございません。保険が全くありません。したがいまして、病気になっても病院にも行けない状態であります。そして、悪いことにこれが所得の低い層の方々に集中をして、もっと悪いことに失業をいたしますと、会社を首になりますとその途端に健康保険がなくなっちゃうんです。それはなぜかといいますと、日本の国民健康保険のような制度がアメリカにないわけであります。  アメリカでなぜ長い間この制度をやらなかったかといいますと、実はこれは大きい政府、小さい政府という、これは日本の話ではありませんが、アメリカ一つの哲学に関係していたと言う人が多い。大きい政府は反対だ、小さい政府がいいという立場の主張からいいますと、その国民健康保険制度のような制度をやると、言ってみれば医療費のむだ遣いになる、あるいは自分の健康ぐらいは自分の努力で見るべきであって、働いて自分で民間の健康保険をつけるべきである、こういう考え方が長い間主流になっていたという背景の中で、皆保険というのは実現をしなかったわけであります。これは日本がつとに皆保険を実現をしたという意味で、私どもは国民に対して、ぜひこの際、認識を新たにしていただきたいと思うのでありますよ。  総理は、この間の所信表明で、これまでの日本の歩みについて「経済成長や産業の発展という目標に向かってわき目も振らずに」来たとおっしゃった。そういう面が全くなかったとは申しませんけれども、しかし、この国民皆保険、国民皆年金は、実は先進国では、アメリカばかりでなくて、ドイツも実現していない、フランスも実現していないんですよ。それを既に自民党内閣のときに相当早くこれを導入していたということについて、私は国民に理解をしていただきたいと思います。  これらの改正をしたときに、実は野党の皆さん方、大体は賛成していただけなかったんですよ。健康保険の改正なんかはいつも大変だった。山口委員長などはいろいろな形で覚えておられると思うのですけれども、その中でやはり一生懸命やってきたのはあのときは自民党なんですね。ですから、さっきおっしゃいましたように、国の基本政策は継ぐけれども自民党の政策はということについては、やはり私は納得できないものがあるわけであります。  そこでもう一つ、今度は総理にお伺いしなきゃならない。生活者重視の政治にしたい、私は素直にこれは評価しますよ。それで、公共事業のシェアをこの際変更して国民生活の向上を図ると言っていらっしゃるのですけれども、具体的には御就任になってから内閣でどういうことをおやりになりましたか。
  148. 山口鶴男

    山口委員長 私の名前が出ましたが、よりよく修正しようという努力をやっただけですから、その点は誤解のないように。
  149. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 公共事業のシェアの見直しの問題についてでございますが、生活者重視の視点に立ってできる限り見直していきたいというにとを申し上げているところでございまして、これから予算編成が本格化していくわけでございますから、そういう中でぜひめり張りのきいた配分というものを考えていきたい。従来の考え方にできるだけとらわれずに、そうしたところに重点を置いてシェアの見直しというものをしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  150. 津島雄二

    津島委員 これから頑張るということで、頑張っていただきたいのですが、私は手おくれになりつつあることを心配しているんですよ。つまり、新政権ができるときに、あれよあれよという間に財政当局と各省の間、行政だけでいわゆるシーリングを決めちゃったですね。それで、公共事業はどの役所も十把一からげに五%以上はふやせない、こういうことになっておるんですね。  それを前提として、この間、八月いっぱいで締め切られた概算要求を見ますと、まず質のいい国民生活の建設のために一番大事な下水道の予算を見ますと、平成四年度から平成五年度まで、私どもがやっているときにはそのシェアは一一・四九から一一・七〇とふやしたんですが、今度の要求数字でも一一・七三とほとんど横ばいなんですね。これ、シーリングが働いているんですよ。  もう一つ挙げますと、下水道と並んで心配されている生ごみなどの廃棄物の処理場の問題ですよ。これは、廃棄物処理場はちょうどつくってから今耐用年数が来ておりまして、大変な要望が全国津々浦々から出ておる。私どもは生活関連枠というのをつくってそのシェアを拡大させてきた。平成二年から平成五年まで三・一〇から三・二六まで拡大をさせてきたし、地方財政でまた対応措置をやったわけでありますが、概算要求ではわずか百十億円の伸び、これはしかも要求ベースで百十億円の伸びにとどまっている。今全国で廃棄物処理場の建設で待たせているのが、私の知る限り七百七十億円もあるのです。  それから水道も、老朽化しているその他で得たしてあるのが八百億もある。合わせて千五百億というのが、言ってみれば生活者重視の仕事の核心のところにあるんだけれども、もうこれは概算要求で締め切られておりますから要求できないんだ。これは藤井さんにどんな仏心がありましても、要求ないところに査定なしということでありまして、これは後の祭りなんですね。  ですから私は、こういう状態で公共事業のシェアを変更するというようなことはやはり余り大きな声では言えない状態じゃないかもう来年度以降の話になるんじゃないかとさえ悲観をしておるところであります。必要とあらば私どももいろいろノウハウを出して、対話をしながら総理の応援をしたいと思いますけれども、どうか言葉だけ先走るというようなことのないようにお願いをしたいと思います。  そこで、まだたくさん問題は残っておりますが、締めくくらなければならないと思っております。  私たちは、この政権交代の中で国民のための政治を取り戻さなければならない。私ども自民党としても、改めるべきところは改め、公約を大切にしてやっていきたいと思っておるわけでありますが、先ほどからお話がございましたように、選挙のときの公約と、そして実際やっている公約とが百八十度違っているという状態を放置して、そしてこれから政治改革特別委員会で政治改革という話になる。  ついこの六月まで、私は政治改革委員会の答弁者として、そこにおられる官房長官の武村さん、武村さんは大変いい答弁をされて私は非常に高く評価していますが、武村さんであるとか、あるいは中西防衛庁長官も我が党の理事として御活躍になった。中西さんのこの四月の代表しての質問の中に非常にいいくだりがある。それは、新しい選挙制度というものは政党・政策ベースなんだ、有 権者がきちっと判断できるような選挙制度をつくらなきゃならない、そういうことを言っておられる。そうでなければいわゆる個人サービスベースの今の中選挙区制の弊害が出ると強く強く言っておられるんですね。  今度は選挙制度を変えて、中選挙区制度を改めるわけでありますけれども、でき上がった小選挙区において、もしその基本政策は、国の政策は違いありませんよという話になったら、有権者は一体どこで優劣をつけたらいいのでしょう。何を判断のよりどころにしたらいいのでしょうか。また個人サービスの話に、しかも地域が小さくなればなるほどそうなるんじゃありませんか。  それからもう一方、今度はいわゆる比例代表制の問題として申し上げますと、よくイタリーの腐敗行為指摘されますように、イタリーでは数え方によっては数十の政党がある。その数十の政党が、選挙のときは、比例代表ですから、有権者が好む一点集中的な公約を掲げて出てくる。出てきますと、だれも過半数をとれないものですから、みんなが寄ってたかっていわゆる何とか党合意という合意というものをつくる。これは、選挙のときに主張した主義主張とは全く縁もゆかりもないものが毎回できる。これが繰り返されて、国民に対する責任が明らかにならないというところに、イタリーは比例代表制でありながらあの腐敗した現状を生んだ。これもこの間の特別委員会で指摘をされている。  私は、今度政治改革をやるのならば、これは政治の原点だ、有権者に約束をしたことは命をかけて守っていく。それは政治生命がかかっているわけでありますから、そのことをもう一遍私は強く申し上げさせていただきます。  そこで、午前中の橋本委員の御質問に対しましての御答弁にありました、今与党が提唱をしております政策は国の基本政策であって自民党の政策とは関係がないというこの御答弁について、私は到底納得できないものがありますし、このことをそのまま容認しておきますと、これからも、与党政府としてはこうだが、我が党はこうだというような形で、国民に対して非常にわかりにくい、しかも場合によっては国民を裏切るような政治状況が続いていくことを恐れているわけでありますから、この点について文書をもってどうか与党の方からお答えをいただきたい。委員長にお願いを申し上げるところであります。
  151. 山口鶴男

    山口委員長 与党の方からですか。―理事会で相談させていただきます。
  152. 津島雄二

    津島委員 どうぞ総理の御答弁を。
  153. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ヨーロッパなどの例を見ましても、連立政権における政策というものは、それぞれに選挙のときに違った政策を競い合って、そして連立政権を組むときには御承知のように政策協定を組んで、その政策協定というものは、これは明らかに国民に対して責任を負うという形になるわけでございますから、それで政府責任というものは、内閣の責任というものは明白である、そのように私は思っているところでございます。
  154. 津島雄二

    津島委員 今の御答弁は納得できませんが、先ほどの、文書をもって政府にお答えいただきたいということでお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  155. 山口鶴男

    山口委員長 この際、羽田外務大臣から発言を求められております。外務大臣羽田孜君。
  156. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほど来御質問があって、皆さんも御心配がございますロシア情勢でありますけれども、先ほど申し上げましたように、モスクワの最高会議の建物の裏側で機関銃の発射音が聞こえる、大統領側は建物の裏側から攻撃している模様ということでありますけれども、十二の装甲車が最高会議の方向に向けまして射撃の姿勢をとっているということ、それから、最高会議周辺には五十台の装甲車があって、さらにその数がふえておるということであります。それから、議会側では火炎瓶あるいは小銃等で抵抗している模様であるということ。それから、日本時間の十三時三十分、ちょうど四十分ほど前でありますけれども、ルツコイ副大統領の乗ったメルセデス・ベンツが最高会議の建物を出たという、未確認でありますけれども、情報がございます。  それから、我が国といたしましては、引き続きこの事態の展開を重大な関心を持ちながら注視しておるわけでございますけれども、今後、事態が早急に終止され、また法秩序というものが取り戻されること、これを今願っておるところでありまして、また情報が入りましたら御報告申し上げます。
  157. 山口鶴男

    山口委員長 この際、越智通雄君から関連質疑の申し出があります。橋本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。越智通雄君。
  158. 越智通雄

    ○越智(通)委員 橋本議員の関連質問として、細川内閣の政治姿勢と財政問題についてお伺いいたしたいと思います。  既に他の議員からお話がございましたように、今回の予算委員会、かねて自民党はきょう十月四日から四日間と申し上げておりましたが、二日半ということで、かつ、毎朝九時から夜は六時四十五分までという大変きついスケジュールになりましたことを委員各位におわびし、御協力をお願いすると同時に、補正予算が出ました折には、ぜひ十分なる時間をとって、補正予算を初め経済、財政全般の審議を重ねられますよう、委員長並びに与党理事に心からお願い申し上げる次第であります。  ただ、ここに立ちますと、与党としては質問したことは何遍もございますが、野党は初めてだものですから、大変勝手が違う思いでございまして、相当厳しくお伺いいたしたいと思います。厳し過ぎてもし御無礼にわたる段がございましたらお許しいただきたい、このように思うわけであります。  やはり細川内閣が政治改革というものを掲げられていらっしゃるその根底は、国民の政治の腐敗に対する怒りであります。細川さんは、昭和四十六年、参議院の初当選でございますね。それ以前にも政治にお志を立てられていたようでありますが、ちょうどあなたが当選したころが田中角栄幹事長のときですね。そして五十八年までいらした。こういう事態、汚職が、ロッキード、リクルート、佐川、その他いろいろございました。やはり政治改革をするにはこれが原点ですから、政治の腐敗に対する政治家としての激しい怒り、少なくとも国民の皆様の気持ちが、その先頭に立つ方としてはっきりと肌に感じておわかりになっていますかということが一つ心配であります。国民の声であります。  同時に、先頭に立つだけの清潔な政治姿勢を貫いてこられましたかということもまた質問でございます。  この二点についての御所見を承りたいと思います。
  159. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 国民の政治に対する信頼を回復するということが喫緊の課題だということで、このたび政治改革の法案を提出をさせていただいているところでございますし、その一刻も早い成立をぜひともお願いを申し上げたいということで、御審議を少しでも早く始めていただきたい、このように希望をしているところでございます。  また、私自身の政治姿勢の問題につきましては、今までも襟を正してまいったつもりでございますし、今後ともそのような姿勢を貫いてまいりたい、そのように思っております。
  160. 越智通雄

    ○越智(通)委員 国民は今の答弁に納得できないのですよ。政治改革四法案を早く通してくれ、通ったら必ず政治腐敗は全くなくなるんだという感触が得られていない。何か話をすりかえられているんじゃないか。求めているのは衆議院の選挙制度を変えることでも何でもないのです。金にきれいな政治をしてくれということが国民の願いなんです。清潔な政治をしろという訴えに対して、私は的確な答えかどうか心配であります。ここで今、ですから皆さんの姿勢を一つ一つお伺いしたいと思います。  総理国会へ出られてから今日まで二十二年 間、その間にいろいろな事件がありました。国会議員、殊に衆議院議員が、参議院の話はここではしません、衆議院議員が絡んだ事件で今なお公判が係属しているものは何件あるか御存じですか。まあ無理でしょうね。今八件あるんですよ。そのスタートが田中角栄さんのロッキード事件でありました。これは一審、二審とも有罪、現在最高裁判所で係争中、上告中というのですか、でございます。  細川総理はたしかゴルフはお上手でしたね。ハンディは三か五でございましょう。それで、田中角栄先生と随分ゴルフに行かれたんじゃないでしょうか。あのころお隣に座っている羽田さんも田中先生のお気に入りでしたよね。そして小沢一郎さんもお気に入りでしたね。羽田さんはゴルフは余り上手じゃなかったかもしれませんが、将棋のお相手をされたかどうか知りませんが。そうした中で十二年間田中派にいらしたわけですよ、総理は。そのころ机を並べた参議院議員、この間捕まった茨城県の竹内藤男さんですか、茨城県の知事さんは同期の桜ですね。同じ四十六年に参議院議員当選、田中派のお仲間だったと記憶いたしております。  総理、田中さんについてあなたはどう思うかという、新聞社じゃない、あれは雑誌社ですかに対するお答えを読んだことがあります。魅力的な方だとお答えになっていました。今もう一遍伺いたい。田中角栄さんを総理はどのようにお感じになり、そして田中角栄さんの関係されたロッキードの裁判が今公判で係属中のこのとぎ、この裁判といいますか事件についてどういう御感想をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  161. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 田中さんのロッキード事件にかかわる公判に関連してのお尋ねでございますが、あのような事件が起こったということはまことに日本の国益にとって大きな損失である、国民の政治に対する信頼を傷つけたという意味で極めて重大な問題であるというふうに認識をいたしております。  ただ、田中さんの政治的な資質、人間的な魅力というものについては、今もちょっとお触れになりましたが、私は率直に大変高く評価をしているところでございます。
  162. 越智通雄

    ○越智(通)委員 じゃ、また次の事件について大内さんにお伺いします。  あなたの率いている民社党から撚糸工運のときに被疑者が出ました。気の毒にこの方は一審が有罪、二審が無罪、現在最高裁で係争中であります。そして、ついでに、もう一つ、おたくは今学歴詐称事件が係争中であります。  もう一つ、リクルート事件のときに、自民党の方も中曽根内閣の高官の方が関係しておりますが、同じリクルートの問題で公明党の方が関係しております。  石田さんにお伺いいたします。この公明党の方、池田さん、失礼、このリクルートに関係した、名前はなるべく言わないようにしますが、リクルートで関係した公明党の方も、これは一審でございます。そんなに先に進んでおりません。裁判としては一審でございますけれども、この撚糸工連とリクルートのときの公明党の方の場合には、実は国会質問にかかわってお金をいただいたということで受託収賄罪が擬せられているわけであります。まだ結論は出ておりません。しかし、罪状というか、訴追された訴因は受託収賄罪であります。  この中選挙区制というのは同士打ちをするからお金がかかるんだという論理をされる方がいますが、この方々は、自分の選挙区で同じ党の人はだれも立っておりません。同士打ちは全くない方々であります。党を挙げて選挙を御支援されている方々であります。  そしてまた、政府高官あるいはその他権限を多大に持ったということではなくて、国会議員としての権限に基づく質問をもって受託収賄罪を擬せられているわけであります。  どうしてこんなことが起こるのでしょう。逆に言えば、皆さんのおっしゃっている政治改革四法を通しても、こういう事件はどうやって防げると思っていらっしゃるのでしょうか。ないしは、こういう事件が起きてから、撚糸工連は、一九八六年ですから、もう七年たっております。リクルートは一九八九年ですから、もうこれも四、五年たっておりますけれども、各党は、このような事態が起きないように、どのような予防措置をおとりになりましたか。  大内大臣、お考えがございましたら、お答えください。
  163. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 御指摘の撚糸工連の事件につきましては、御案内のように、一審で有罪、二審では無罪、こう出ているわけでございまして、私は、その裁判の結果を今後とも見守りたい。これについて論評するのはいかがかと思うのであります。  しかし、今御指摘のような事件が与野党を通じて発生するという根本の背景の中には、何といっても政治家自身のモラルという問題が基本にあるように思います。どんなにいい制度をつくりましても、そのモラルが確立していなければその制度は生きていくことはできないと思っております。  したがって、私もあの事件が発生したときに、党の書記長としていろいろ調べた際に、何よりもまずそれぞれの人々がそのモラルを確立するということが大事であり、党の中央執行委員会においてもそのことを皆に要請したのでございます。  その上に立ちまして、そういう事件が起きないような政治の制度の仕組み、例えば政治資金規正法の改正等々が的確に行われるということが必要なことであろう、こう考えております。
  164. 越智通雄

    ○越智(通)委員 大事なことを今大内大臣はおっしゃいました。政党の問題ではない、政治家個人のモラルの問題だとおっしゃいました。  さすれば、政党本位の選挙をするのはおかしいということですね。選ぶべきは人物ですね。そこの点は、個人のモラルと今おっしゃった。あなたの党ならだれでもやると言っているのではない。政党よりも、こういう汚職事件というのは個人の自覚の問題だとおっしゃいました。  では、次に行きましょう。  石田大臣、お考えがあったらお教えください。
  165. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えを申し上げます。  今、リクルートにかかわって我が党のかつて議員でありました人のことについて、受託収賄罪の今裁判が行われているというお話があったわけでございます。私どももこの事件は大変重視をいたしておりまして、そのように逮捕された時点で党としては除名処分に処しているわけでございます。これは、党としまして、私どもは今後もそういった事態が起これは処分をせざるを得ないと考えておるわけでございます。  今大内さんからもお話がございましたけれども、こういった汚職事件に対して、政治家がどのように考えていくのかというのは、やはり私は、政治家個人の政治姿勢の問題であるし、倫理観の問題であろうと思うのでございます。やはり政治家が大衆に奉仕する、国民のために働くという基本姿勢をどこまでも堅持するだけの決意を持たなければ、やはり私はこういった事件が起こり得るもの、このように考えているところでございます。  以上、御答弁といたします。
  166. 越智通雄

    ○越智(通)委員 実は、今までのは全部受託収賄罪で、もう一件受託収賄罪で共和事件というのがございまして、この方はただいま一審係争中であります。  こういう受託収賄罪が出たときに、法務省が主としてこれを立件、最初に手をかけているようでありまして、警察で始まったという例は余りございません。大体地検の特捜がいきなり踏み込むという格好でスタートいたしておりました。  法務大臣にお伺いいたします。  あなたは、検察庁法上、一般的な指揮権があります。細川内閣がそのようにクリーンな政策を求めていくならば、どのような指示を法務大臣として検察庁に下されましたか。お伺いいたしま す。
  167. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 お答え申し上げます。  いわゆるゼネコン汚職事件については、検察はこれまで厳正公平、不偏不党の立場に立って鋭意事案の解明に努め、法と証拠に基づいて適正な捜査処理をしてきたものと私は承知いたしております。法務大臣としての一般的な指揮権と申しますものも、こういうふうな枠の中で就任のときの訓示などをいたしておるわけでございます。  現在捜査中の事件につきましても、同様に適正に対処するものと信じておるわけであります。
  168. 越智通雄

    ○越智(通)委員 失礼ですが、ちょっと私の聞いたことと答弁とは食い違っているのですが、御存じのとおり、検察庁法十四条では、一般的な指揮権を法務大臣は持っております。ただ、個々の事案についてああせいこうせいは検事総長にしか言えない、こういうふうになっているわけであります。  したがいまして、政治家のかかわる受託収賄罪みたいなものについては厳正にやれということは一般的に言っていいわけでありまして、今お答えになりましたのは、現在捜査をしているもの、起訴する以前のものについての方針をおっしゃったわけで、起訴後においても、公判の維持をどのようにするか。例えば、第一審の判決が出たときにさらに控訴するかしないかは、これは検事側の考え方でありますから、そういうことについて最後までとことんやれというのか、もう一般的にはそのくらいでいいぞというのか、やはりこれは厳格なる指揮権を法務大臣は持っていただきたい。  大変失礼ですが、民訴の大家と伺っております。刑法の方の大家と伺ってないものですから、法務大臣が一番大事なことは刑法と刑事訴訟法だと私は認識しておりますものですから、隣に検事さんがいらっしゃいますけれども、あっ、判事もいるんだ、判事補と検事がいらっしゃるんだ。何であの二人を任命しないで民訴の大家をお連れになったのか後で細川さんに伺ってみたいと思うのですけれども、私の認識では、ぜひ細川総理に伺ってみたいと思うのですけれども、私の認識としては、その点をしっかり法務大臣、お心にとめておいていただきたいと思います。  あと二件、先ほど申し上げました中で言うと残っております。それが二つとも所得税法なんです。これは国際航業事件というのがありまして、所得税法の違反というのは、株の売買をした、その申告をしっかりしてなかったということで、この方も政治家をやめておりますし、もう一人が今度の東京佐川急便事件でありまして、金丸信さんがこの国会におきましてもいろいろな議論になりまして、現在一審の係争中という格好になっております。これはさらに追加起訴があったわけであります。  そこで、総理にお伺いさしていただきたいのは、実は佐川急便というと細川総理の名前がとやかく書かれている記事がたくさんあるのですよ。たくさんある。現にある雑誌には総理みずからがインタビューに応じられてお答えをなすっていらっしゃる。そのインタビューの中に書いてあることが本当なのかどうか、今この場をかりて総理御自身にお伺いさしていただきたい。  お父様、細川護貞様所有の京都の別邸を佐川清さんに月百八十万円の家賃で貸して、もうじきその期限が来ると聞いております。約千坪のお庭と聞いております。そのような事実はございますか。
  169. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるとおりでございます。
  170. 越智通雄

    ○越智(通)委員 もう一つ。  赤倉に、妙高というのですか、赤倉に別荘をお持ちでございまして、月に五十五万でお貸しになっているということでございますが、そのような事実はございますか。
  171. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それもそのとおりでございます。
  172. 越智通雄

    ○越智(通)委員 やはり、雑誌にちゃんとお答えになったとおりなんですね。実は私ども非常に奇異に感じているのは、その京都別邸、赤倉別荘と、いうのをお使いになっているのじゃないんですか、時々。貸しておいて使っているということだとすると、非常におかしな感じを持ちまして、まして月に百八十万円、高いといえば高いのですけれども、京都で千坪のお屋敷というと、そうがな、百八十万円というのは安いのじゃないかなとも思うし、別の雑誌その他では相当程度手直しのために佐川急便がお金をかけたと書いてあります。  たしか、終戦後、そのお屋敷はほかの方に不法占拠されていて、人々を使って、どなたがやったかよくわかりませんが、うわさの名前は聞いておりますが、そういう方々によって排除せられ、その後において修復をされたと聞いておりますが、これはいまだに総理の御家族は使える状態ですか。それから、お父様の名義のままでございますか。その二点も確認させていただきたいと思います。
  173. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 依然として父の所有のままでございます。  使用につきましては、何年かに一遍使わせていただくということが過去にあっておりました。しかし、今回このような問題が起こりましてから、一切それはいたしておりません。
  174. 越智通雄

    ○越智(通)委員 もう一つ二つ、恐縮ですが、伺わせていただきます。  一億円を佐川さんから借金されて、五十七年に借りて、平成三年にお返しになったというお話でございますが、金利、どのくらいのもので、全部御自分でお返しになったのでしょうか。そこをお伺いさせていただきます。
  175. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 元利含めて、幾らの利率だったかは覚えておりませんが、その当時の銀行の金利でお返しをしたと承知をしております。
  176. 越智通雄

    ○越智(通)委員 私どもの計算では、知事さんの収入というのはそんなに多くなかったんじゃないか。仮に千数百万円といたしまして、八年間の知事さんの所得の推定は約二億円と思われますが、お子さんがまだお小さくて、坊ちゃんもアメリカに行かされていらっしゃいます。お嬢さんも二人いらっしやる。  知事の収入二億の中から一億を全部お返しになるのは大変なことじゃないかなと。またほかに御収入があれば、よく存じませんが、先ほど来伺っておりますと、財産はまだお父様の名義のもののようでございますので、その点についてもし今ここで、何と申しますか、ぎりぎり決着までお伺いするのは御無礼と思いますが、何か総理の方から御説明することがあれば伺っておきます。
  177. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは私的なことでございますから、ここでは差し控えさせていただきます。
  178. 越智通雄

    ○越智(通)委員 一つ、私的というか公的というか、問題が出ますのは、知事のときに、佐川先端科学技術振興財団を知事として御認可をされております。ここには佐川清さんという方が役員で入られております。そして、事務局長はたしか細川総理のもとにいらした安藤博さんという方がされていたと私どもは認識いたしておりますが、佐川先端科学技術振興財団についてどのような経緯が、今総理の御存じの範囲で、ぜひここではっきり、国民が見ておりますから、御答弁をいただきたいと思います。
  179. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 何年だったかちょっと定かには覚えておりませんが、熊本県でテクノポリス計画というのがございまして、それを推進していくという中で、幅広く科学技術の振興に資する企業に進出をお願いをいたしまして、その中の一つとして、佐川さんの方から、佐川科学技術財団というものをつくってテクノポリスの振興にも役立てたい、こういうお申し出があって、それを認可をしたという経緯でございます。
  180. 越智通雄

    ○越智(通)委員 重ねて恐縮でございますが、そういう佐川さんとのお話し合いは、全部佐川清さんとの、何と申しましょうか、相対というか直接 のお話だったんでしょうか。九州佐川、佐川急便というのは、各地域ごとに、ブロック別に会社を別につくっておりました。後に事件か起こってから合体はいたしておりますけれども、当時九州佐川の方々を通じてでしょうか、総理はどういう、何といいますか、コネクションというかルートでそういうお話をされておられたか、伺わせていただけますか。
  181. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほどの家の賃貸などにつきましては、私の所有ではございませんので、これは親子といえども父の方の関係でございますから、私の方は一切がかわっておりません他  今の財団の件につきましては、県の担当者がそれを担当したというふうに承知をいたしております。
  182. 越智通雄

    ○越智(通)委員 まあマスコミの書いていることは随分いいかげんなこともあります。ですから、私ども全部一〇〇%それを信ずるわけじゃございませんけれども、お父様に佐川さんを紹介したのは総理御自身だという書き方をしている活字もございます。そして、今ずっと伺ってきて――もう一つ、ごめんなさい、聞き漏らしました。  県立八代運動公園というのは、実際にはできませんでした。野球場を含むものです。こういうお話は知事時代にありましたことを御記憶でございますか。
  183. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 全くございません。
  184. 越智通雄

    ○越智(通)委員 こういう話を通じまして、私はやはり汚職事件に対して相当に国民が怒っている、それをもっと強く感じてもらいたい。そして、せっかく皆さんが連立政権をつくられたけれども、その連立政権の中心的なキーワードは、何か反自民という言葉でつながれているだけで、私から言えばキーワードは本来、清潔な政治というものが、金のかからぬ政治というか金にきれいな政治というものがキーワードであってほしかった、このように思います。  ですから、こうした改革をするならば、一番大事なのは、制度ではなくて、政治家自身の意識であるということをぜひお願いしたい。町では、政治改革と言いません。政治変革と言いません。政治家の改革をしなきゃいかぬ、こう言っているのです。家という字が入っております、政治家の改革をせいと。ぜひ意識の改革、そして清潔な政治を確立するためにやっていただきたい。  そういう意味で、今日の連立政権を拝見していると、先ほど来話も出ていましたが、どうしても私はこの連立政権のあり方が不思議でしょうがないわけであります。自民党はめちゃめちゃに負けて、そして社会党さんか何かが猛烈勝って政権をつくったのなら、それは本当の意味で政権交代だと思います。残念ながら社会党さんはかなり議席を減らされました。社会党さんがほかの政党と手を組んでつくったのなら、私どもは典型的な政権交代だと思います。  昭和三十一年、自由民主党は保守合同いたしました。そして、保守合同したから、それ以来自民党の単独政権がありました。今回、私どもはあえて言えば保守分裂をいたしました。皆さんの連立与党の中に、私どもが親しくした人が四十五人おるのですよ。名前を見ただけで、ああ、彼だな、ああ、彼も打っちゃったかと、四十五人いるのですよ。これは政権交代というよりは、保守分裂による政権のつくり方、どう見ても納得がいかないといいますか不思議でございます。  そこで、まず伺います。連立政権はヨーロッパではたくさんありますけれども、比較第一党を外した政権というのはどこにありますか。だれか御存じですか。連立政権は組んだけれども、別に連立政権の世界の例は勉強しておらぬと、こういうわけですか。  じゃ、申し上げますよ。スウェーデンです。スウェーデンにあるのが、穏健党の八十と自由党の三十四と中央党の三十一とキリスト教民主党の二十六を足して百七十一で、実はこれは政権党をつくっているけれども、多数じゃないんです。社会民主党百三十七と新民主党の二十五と左翼党の方が百七十八で強いんです。特殊な事情でできているんです。  ほかは全部比較第一党を入れて、一着と何か三着と四着とか、そういう格好でつくっているんです。ドイツがそうでしょう、キリスト教民主同盟が二百六十八名。フランスがそうでしょう、共和国連合二百四十七名。イタリアはキリスト教民主党二百六名。ほかの国もずっと見ていくと、まあいわば英米型の国は、二大政党論的でありますから、単独政党が多い。大陸型の方は、比例代表制をとっていることもありまして、ほとんどが連立政権だけれども、その中において比較第一党を入れているんです。選択としては、比較第一党と志を同じくする人たちが、より多くの国民の支持を仰いで、支持を得てきているわけですから、政権をつくるという方法はあったと思うんですが、あえて比較第一党を外して連立をつくられた。その中心的な共通の政治理念というのは一体何なのでございますか。細川総理から承らせていただきます。
  185. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 一番の基本的な問題は、この四十年近くにわたって自民党の一党支配の体制が続いてきた、そのもとでさまざまな政治腐敗の問題が起こってきた、先ほどからるるいろいろな例を挙げてのお話がございましたが。そういう一党支配の状況のもとで、もちろん自民党政権のもとでいろいろな功績があったことは率直に評価をいたしております。しかし、その中で政官業の癒着などによってさまざまな問題が生じてきた、これもまた覆いがたい事実でありまして、その一党支配の状況を打ち破るということが、ひいては政官業の癒着の構造というものを打破することにもつながっていくし、利益誘導型の政治を打ち破ぶっていくことにもつながっていくし、まずその一点で連立政権を組むということに大きな意味があるだろう。  もちろん、あわせて生活者優先の政治でありますとかその他もろもろの構造改革を進めていこう、そういうことも大きなテーマとしてございますが、何よりも最大のテーマは、四十年間近く続いてきたその政治体制をとにかくここで変える、それがやはり国民の大きな期待ではないか、そういうことが一つの基本的な私ども考え方であったということでございます。
  186. 越智通雄

    ○越智(通)委員 だかもおかしいんです。次にどういういいものをつくるかということを考えないで、今住んでいる家をともかくぶっ壊してみよう、そしてその次につくる家は、まあ何とかいろいろ、寄せ木細工じゃないけれども集めてきてつくってみようか、こんなふうに我々には映ってしょうがないのです。  山花さんに伺います。あなた方の政党が、会派でいえば五つです。一番でっかいのはあなたのところです。副総理をなぜとられないんですか。そして、総理も副総理もいないときになぜあなたがその臨時代理にもならぬのですか。山花さんは本来、七十七名の日本社会党・護憲民主連合の、まあ党首かわっちゃったけれども、その党首であった方でしょう。あなたは今度の連立についてどういうお考えで社会党をまとめてきたんですか、承りたいと思います。
  187. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今総理もお答えのとおり、選挙の審判を重く受けとめ、私たちは何よりも政権交代によって政治改革の第一歩をしるしたい、そこに大義を求めたのであります。  先ほども、まずは倫理の問題とお話ありましたけれども、るる御指摘のとおり、今日の政治不信がどこから来ていたかということについては、今のお話の中にすべて示されておったのではないかと思います。そういう政治を変えること、そこが今度の選挙の審判ではなかったでしょうか。そして、それだからこそ、いろいろ御意見もありましたけれども細川政権が国民の七〇%を超す支持を得ているというところに国民の期待もあるのだと思っています。  なお、私は、先ほどの津島委員の御質問のときにもお答えしたかったと思ったのですが、私たちは、単に政権づくり、選挙が終わってから始めたのではありません。不信任案を出す前から各党・ 会派の皆さんと今日の政治をどう変えるかということについて意思統一をしてまいりました。そして、選挙が始まる前、先ほど私が挙げましたのは、六月二十七日と申し上げましたのは、選挙が始まる前、選挙についての協力についての各党の合意でありまして、そこで外交、防衛などの国の基本施策について、これまでの政策を継承するということを選挙が始まる前に合意をつくって、それで選挙を行ったのであります。  そして、その第一項にありますことは選挙協力でありますから、その前の経過を受け、健全な議会政治を確立するため、抜本的な政治改革を速やかに実現し、腐敗をなくし、政治浄化を徹底させるために選挙協力をやろう、そのためには非自民の連立政権をつくろう、そのためにはこういう合意をつくろうということを内外に明らかにして選挙を行って、選挙の審判を受けたわけであります。私は、当時の党の委員長として、選挙における国民への公約を大事にして、政権交代の道を選択した次第でございます。  以上であります。
  188. 越智通雄

    ○越智(通)委員 一体、今日のこの連立政権の格好というもの、理念的には一致していない。これから後に申し上げますけれども、政策的にも一致していない。そして、なおかつ、一番国民から多くの議席を得ている党を外してお考えになっている。これはあるべき理想の連立政権の形じゃないんじゃないか。もしあなた方が考えるならば、これは一つの過程なんじゃないか。そういうことを言っていらっしゃる方いますよね、連立与党の中で。将来に対してどういうビジョンをお持ちなんですか。  総理は多党化とおっしゃいました。そして、さる方は保守二大政党論というのを書かれています。一体、これから先の日本政治のあり方をどのようにお考えになっているのか、各党党首に伺いたいと思います。  総理、お願いいたします。
  189. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私は、極端な多党制というものにこれからなっていくということはやはり日本の政治にとって好ましいことではないと思っておりますし、また、二大政党になるということも果たしていかがなものであろうかと。二大勢力になるということは好ましい方向ではないかと。二大勢力になるについて、今のように多くの連立与党という形よりも、もう少し収れんをした形で連立という形になっていく方が好ましいのではないかと。そうした意味で、先ほどおっしゃいましたように、確かに今は過渡的な状態であろうかと思っております。  将来は、穏健な多党制になって、そしてそれが二つの政治勢力になって、その一つの勢力が政党に発展をしていく、それは国民の選択によって大いにあり得ることであろうと。私は、私なりの感じとしてはそういうイメージを持っているということでございます。
  190. 越智通雄

    ○越智(通)委員 穏健な多党制というお言葉を承りました。  山花大臣、お願いいたします。社会党山花さん、いいですね。――でもお願いいたします。
  191. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 私たちは、五五年体制が崩れたと言われましたけれども、まさにその意味において新しい時代に向かっている、こう思っています。連立政権がその新しい時代の政治の形であると、こう考えております。連立政権の中でどのようにそれぞれの党が国民の皆さんに存在価値を認められるか、それはこれからの努力にかかっていると思います。  そうした考え方におきまして、今総理もお話ありましたとおり、極端な多党制ではなく、穏健な多党制という表現がこれからの政治形態を示すに一番適切ではなかろうかと私も考えているところでございます。
  192. 越智通雄

    ○越智(通)委員 新生党羽田総理、お願いいたします。
  193. 羽田孜

    羽田国務大臣 私の方から申し上げたいことは、まず、政治改革を自民党の中で私自身皆さんと一緒にやってまいりました。そのときに私どもが到達いたしましたことは、今のような制度の中にあって、幾つもの政党に分かれておる、しかも自民党がずっと一党支配で来る、ここにやはり緩みが出てきたり、あるいは政治の活力、ダイナミズムが失われてしまっておる、これをやはり正していかなきゃならぬ、そのために選挙制度をと言って実は考えておったわけでありますけれども、政治改革の結末がああいうことになりまして、その問題の答えが出る前に私たちが外に出るということになり、しかも私たちがもう一つの勢力をつくる仲間の中に入ってしまったということであります。  そして、そういう中にありまして、私はやはり今までと違って、いろいろな問題に対して皆さんから、午前中からずっと御指摘がありますように、今まで野党であった政党も、しかし政権を担当するという中にあってやはり現実的に対応しよう、あるいは国の基本的なものはそれを継承していこうという中で大きく前進し、そして皆さん方との議論とも私はかみ合うようになってきたと思う。これはやはり相当大きな進歩であろうと思っております。  ただ、我が国が今抱える問題というのは、内外ともに、戦後五十年近く、四十八年になろうとしておる、そして世界も大変大きく激動しておるということであります。こういうものに対応するためには、やはり余り多党であるということはこれはあるいは難しいのかもしれない。その意味で、今お話があったように、だんだん収れんされていくということが大事であろうと思います。  ただ、私は、無理して二大政党にしてしまうというよりは、いわゆる二大勢力というものを中心にした政治体制、そして我々のグループがもし国民の批判を受けるときには今度は自民党の方が政権をとる、あるいはまたその逆になる、そういう中に政治のダイナミズムが生まれてくるであろうというふうに思っておりまして、そういう方向をたどるために、我々としてもこれからみんなと議論していきたいというふうに思っております。
  194. 越智通雄

    ○越智(通)委員 政党の大きさ順にお願いしております。石田大臣、お願いいたします。
  195. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えをいたします。  私は、日本の政治にとりまして、例えば過去の歴史を振り返ってみますと、やはり政権交代がなかったことが、日本の政治、いわゆる民主政治としての大きなこれは不幸な出来事であったのではなかろうかというふうに思うのでございます。あるいはまた、中選挙区制の中でもそういった政権交代ができ得る可能性もあったのかもしれませんけれども、これは現実的に定数改正等の問題がうまくいきませんでしたね、与野党の話がつかない。そういったところから、やはり将来の政権交代のある可能性ということになりますと、この選挙制度の問題というものを新しく考え直さなきゃならないという、そういう局面に来たんだろうと思うんですね。  これから政治改革論議が行われるわけでございますが、もし今度の政府・与党の提案が皆様の御賛同を得て通るといたしますれば、私は、やはり二大勢力志向の選挙制度でございますから、必ずしも一遍にそうなるかならないかは別としまして、二大勢力を志向していることは間違いのない選挙制度でございますから、私はそのようになっていくんであろうというふうに思うわけでございますし、ただ、完全に二大政党になるかどうかの問題は、なおこれは各党でいろんなお考えがあると思いますので、なかなか一遍にはいかないであろう、このように思っているわけでございます。  しかし、私どもとしては、将来二大勢力もしくは二大政党の時代になって、政権交代が行われて、そして日本の政治そのものが活性化していく、またいろいろ汚職事件にも強い政治体制になることが望ましい、こんなふうに考えているところでございます。
  196. 越智通雄

    ○越智(通)委員 では、最後に民社党の大内大臣、お願いいたします。
  197. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 私は、かねがね日本の政治の一番大きな欠陥というのは、政権党が重大なスキャ ンダル事件を引き起こしたり、あるいは政策の明らかな失敗が起こっても政権の交代ができないような構造、これが一番大きな日本の政治の欠陥であると思っておりました。したがいまして、そのことを指摘しながら、やはりそういう事態が起こったときに国民から信頼されるようなもう一つの政権の受け皿、つまり軸をつくり上げるということがこれからの重大な課題であると考えておりましたために、三十八年間に及ぶ自民党の一党支配や五五年体制というものをまず崩すということがその政治改革の出発点であると、こう考えて、そのことを主張してまいったのでございます。  しかし、そのもう一つの政権の軸をつくるという意味は、そのことが即二大政党でなければならないという議論ではない。もう一つの軸があり、またその他に二、三の政党があることも日本の政治としてはむしろ好ましいことではないか。  ヨーロッパ等の歴史について御紹介がございましたけれども、御案内のとおりヨーロッパにおいては七五%が連立政権であり、しかも四十カ月以上続いている安定政権は八〇%にまで達しているわけであります。  私は、これからの日本の政治を展望しておりましても、仮にそういう軸ができましても、一党でよく過半数をとる事態というのはこれからだんだん少なくなってきて、やはり健全な、建設的な連立政権時代、そういうものが本格的に到来するのではないかというふうに考えておりますが、そういたしますと、やはりそういう軸をつくりながら、しかし、その反面に幾つかの政党が存在する事態ということの方がそうした建設的な連立政権をつくっていく上では大変好ましいのではないかと、こう考えております。
  198. 越智通雄

    ○越智(通)委員 五会派の代表される方から伺いました。穏健なる多党化という言葉、そして二大勢力、二大政党じゃなくて二大勢力という言葉がしばしば使われました。二大政党に対しては石田大臣の御答弁が一番未練が残っていたように聞こえたのですけれども。  それでは伺いますが、二大勢力という言葉の中で、そのAの勢力とBの勢力の分かれる差異、政治上の違い点は、一体何なんですか。何を中心として二つの勢力が分かれると考えていらっしゃるのですか。総理でございますか、もしお答えいただければ。
  199. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それはそのときどきの政治情勢によってさまざまであろうと思います。もちろん、基本的な理念であるとか基本的な政策であるとか基本的な政治手法であるとか、いろいろあろうと思いますが、それはそのときどきの政治の大義をどう掲げるかということによってまた違ってくる問題であろうというふうに思っております。
  200. 越智通雄

    ○越智(通)委員 今の言葉の裏にあることは、そのときで政党間の組み合わせが相当変わるということを意味しているわけですね。そうしますと、政治は大変難しくなる、不安定になってくる。現に政党は選挙選挙の間に合併する。選んだ有権者から言うと、その政党の政策を信じてついていったのに、合併したことによって変わっちゃう、戸惑いがある。  参議院の比例代表制をやってからもう時久しいのですけれども、当選者を出した政党でなくなってしまったのもあるわけです。税金党がそうであります。なくなっていないけれども、失礼な言い方ですが、余り活発な動きが見えないのもあります。あえて名前は伏せましょう。二つあります。政党本位で選挙をして、その代表が国会議員になって、その政党がなくなっても、その議員の資格は剥奪されておりません。そのまま議員です。あるいは今後そういう合従連衡というのでしょうか、そのときそのときのテーマで赤組と白組になるけれども、どっちが赤に入ってどっちが白に入るか、そのときの様子で組み合わせは変わるんだということになると、選挙をする有権者から言うと、大変政治がわかりにくい、政治が信用しにくい。政治に対する不信の解消じゃなくて、逆に政治はわからないものだということになりはせぬかというのを私は危惧するわけであります。  そしてその中で、何といっても、せめてうちの選んだ、私の選んだあの先生は言うことは変わらないだろうなと思っているのががらっと変わるとやはりまずいんですね。  先ほど山花さんは大変すごいことをおっしゃいました。自衛隊は違憲だとはっきりおっしゃったわけでありまして、社会党の大臣が何人かいらっしゃいます。  お伺いいたします。佐藤大臣、あなたも自衛隊は違憲だとおっしゃいますか。お答えをいただきます。
  201. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 山花大臣の答えたとおりでありますが、正確に申すならば、自衛隊の今の実態は違憲である、こういうことでございます。
  202. 越智通雄

    ○越智(通)委員 信念に熱烈なる上原大臣、政治家としての御答弁をいただきます。
  203. 上原康助

    ○上原国務大臣 お答えします。  社会党の閣僚という立場ですから、先ほど山花大臣、今の佐藤大臣がお答えしたとおりでございます。
  204. 越智通雄

    ○越智(通)委員 伊藤大臣、お願いいたします。
  205. 伊藤茂

    伊藤国務大臣 今まで同僚の御三方がお答えになった内容と同じでございます。  ただ、私は、ポスト冷戦の今日、合憲、違憲、自衛隊、その言葉の堂々めぐりの議論はもう終わっていいんだろうと思います。やはりこの新しい時代の中から、どのように平和軍縮の時代に向くべきなのか、そういう意味では党派を超えた共通の土俵が、議論の土俵があるべき時代ではないだろうか。そういう意味も含めまして、連立政府の合意事項、私は大変賛成に思っております。
  206. 越智通雄

    ○越智(通)委員 五十嵐大臣。
  207. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 現状の自衛隊は、これは違憲の状態にある、このように思います。したがって軍縮を志向して、全力を挙げて違憲の状態から合憲の状態を目指すべきだろう、このように考える次第であります。
  208. 越智通雄

    ○越智(通)委員 大変重大なる発言を繰り返されているわけであります。  法制局長官、お伺いいたします。  憲法九十九条によれば、国務大臣は憲法その他の法令を遵守すべき義務があると思います。社会党の代議士に物を聞いているんではないのです。大臣をされている方が物を言っているわけであります。ひとつ九十九条をしっかり教えてください。九十九条の、何というか、説明を求めます。
  209. 大出峻郎

    大出政府委員 憲法九十九条でございますが、ここでは「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」というふうに書かれておるわけであります。したがいまして、現行の憲法というものを尊重する、そういう義務を負っている、こういうことであります。
  210. 越智通雄

    ○越智(通)委員 これだけの閣僚が違憲だとおっしゃるのなら、違憲なら違憲で手続をとるべきじゃないんですか、あなた方は。それを、各党合意ができたから。各党合意を守るんならば、この場で違憲などと言うべきではないと私は思いますね。私は、この問題は同僚議員とも相談し、今後においても追及し続けていきたい、このように思っております。  そこで、総理も戻られました。別の観点から伺います。  連立の中で、小沢一郎さんを、総理、あなたは閣僚になってくれぬかとおっしゃったことはありますか。お伺いいたします。
  211. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは機微に触れることでございますから、差し控えさせていただきます。
  212. 越智通雄

    ○越智(通)委員 それでは、山花大臣、伺います。  あなたは、昨年この場において、この席から、十一月二十四日、小沢一郎さんの喚問のときに質問をされましたね。そして、「皇民党事件に関しては、八つぐらいの疑問がある」、第八番目に、小沢氏が「これらの経過にどこまでかかわってい たのか、どこまで知っていたのか。こうした疑問に迫っていかなければならないと思っています。」と言っておられました。議事録を読むと、あんまり答えていないのですよ。ところが終わっちゃっているわけですよ、あなたの質問は。  山花さん、あなたは、小沢一郎さんに対するこの疑問を今でも持っているんですか、それとも、今や大変有力なる同志と思っていらっしゃるんですか。小沢一郎さんに対するあなたの御見解を承ります。
  213. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今、議事録、手元にありませんので、日時は明らかではありませんが、私が佐川の問題その他含めて常時質問しておりましたので、そうした質問もあったと思います。当時、さまざまな観点から疑問をぶつけまして、その後たしか証人喚問等が行われたのではなかったかと思いますが、そしてそのことに対する取り扱いは、党の関係でその後の取り扱いが続けられた、こういうように理解をしているところでございます。  当時私が一つ一つした問題について、どの点についてどこまで明らかになったのか、どの点に質問が残ったのかということについては、議事録をやっぱり正確に読んでみないと申し上げがたいところはございます。私が質問した後、その後の証人喚問等によってどの程度明らかになったかということについても同様でございます。  なお、私は、こうした問題について、今後さまざまな問題が出ることも含めて、政権の合意におきましては、何よりも倫理を重んずる政権であるということを明記しているわけでありまして、そうした基本的姿勢というものは政権の合意にもあるということについて申し上げておきたいと思います。  なお、先ほど自衛隊に関する質問もありましたけれども、閣僚としてのお答えではなく、党として、社会党の考えはどうか、こういう御質問に対してお答えしたのだということを、ちょっと言葉足らずがあるといけませんから、つけ加えておきたいと思います。
  214. 越智通雄

    ○越智(通)委員 まず、その点からいきましょう。先ほど来申し上げているように、皆さんは代議士であると同時に大臣なんですよ。所管は総理から言いつけられているかもしれないけれども、国務大臣、その資格はあるわけです。変わらないわけですよ。国務大臣の口から出るから問題になるんですよ。今ここの委員会の席で答えたのも、それは大臣の資格の外だと言われたんじゃ、これは非常に大きな問題だと思います。  先ほどの、自民党の政策とか国の政策の差とか、いろいろ言葉を巧みに操られるというか、非常にすり抜けられていますけれども、ただいまのも、ふっと思い出しますよ。西尾さんが昭電事件のときに書記長個人だと言ったじゃないですか、あのとき。やめたんです、最後は。そうでしょう。皆様の大先輩ですけれども。やはりこういうところではちゃんと立場を心得てやっていただきたい。  そこで、今聞きましたから、石田さんにも伺っておきたいと思います。  ことしの二月の十七日、あなたの党の草川委員は小沢さんのことについて相当強く追及されております。五億円の配分先について金丸氏に助言する立場にある小沢氏はどのような関与をしたのか、こういうことも聞いています。赤鉄弁護士との会談については、これはいつもらったかという打ち合わせの話ですね、「おたくに言っておるのでは」、おたくというのは小沢さんを指しているわけです、あなたに言っているのではないですかと聞いています。  どういう質問をした、どういう答えをしたということよりも、そのとき公明党として小沢証人に迫ったあの考え方、あの疑惑は公明党としてはもはやお持ち合わせはないというふうに考えてよろしいのですか。石田大臣のお考えを聞きます。
  215. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えをいたします。  これは草川さんの発言でございますので、その議事録が今手元にあるわけではございませんので、詳細についてお話を申し上げることはできないわけでございますけれども、しかし、あの当時のことを振り返ってみますと、いずれにしても小沢一郎氏は、この院の要請に従って証人として御出席になり、みずからの立場を申し述べたものだというふうに思うのでございます。  その後の状況を考えてみましたときに、したがいまして、小沢氏のいわゆる証人としての責任、また国会議員として院に喚問されたことの責任というのはその証言の中で終了をしているのではないかというふうに思う次第でございます。  以上です。
  216. 越智通雄

    ○越智(通)委員 また同僚の与党の理事からやじが来るかもしれませんが、たまたま民社党さん、大内大臣のところも中野寛成さんが当特質問をされています。二月の十七日です。「どう考えても、あなたが」、あなたというのは小沢さんのこと。「あなたがなぜ自民党の中で実力者と言われ、幹事長にまでなれたのか。」金丸氏、「もしくはその前の田中氏等があなたを溺愛し、実力以上に評価し、マスコミにそう流されたのか、それともそうではないのか。あなたらしい実力を発揮して何らかの工作をしたのか、そのことについてお述べいただきたいと思います。」こういう質問までされているのですよ、小沢さんに向かって。  これは委員のされた質問であるかもしれませんが、大内さんに、大内大臣に伺います。今、小沢一郎さんに対してどのように民社党はお考えになっていらっしゃいますか。
  217. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 中野質問によってそういう問題が提起されていたこと、私も承知をいたしております。その時点においてはそういう一つの問題提起があるだろうと思いますし、その後いろいろな形で小沢氏からも釈明もなされておるということも承知をいたしております。疑義があれば政治家というのは国民の前に対して、だれがどう思おうとこれについて釈明をし、その身の潔白を明らかにするということが大切である。私どもがどう思うかとかこう思うかという前に、国民の側にそういう疑惑があれば、その政治家はその身の潔白をただす責任がある、私どもは常にそう主張しております。
  218. 越智通雄

    ○越智(通)委員 先ほど来議論になっておりました、大臣の立場でなく、代議士の立場というか党の立場というお話もありましたけれども委員長は国務大臣として指名されておりますね。その点も私どもここで念のため申し上げておきます。  この問題はさらにあるのですけれども、ちょっと先を急がせていただきます。
  219. 山口鶴男

    山口委員長 すべて議事録を読みますと、国務大臣という形で予算委員会では指名していると思います。ただ、総理大臣という形で指名されましても、党の総裁として答弁する機会というのがあったことを記憶をいたしております。
  220. 越智通雄

    ○越智(通)委員 もう一つの、連立内閣が非常にこだわっているというか、政官財癒着がいかぬということで一番、官僚の壁という言葉も総理の本を読むと出てきます。官僚に対して、殊に中央官庁の官僚ですね、地方分権をしてどんどん権限を県段階かどこかへ持っていけと。もう一つは、規制の緩和をしてどんどん官僚の規制を緩めろ、そのために、今二百以上ある審議会にまた一つつくっても構わぬ、こういうことをやっているわけですよ。まずその地方分権、非常に前からおっしゃっている。中身についてよくわからないので伺ってみます。  権不十年、知事を八年でおやめになりました。もともと熊本は清正公様が十二年しかやっていないから、十二年で、大体前で知事さんかわっているようでありますけれども、権不十年というのは、やはり長くやっていると誘惑が多い、危険が多いというように総理はお感じになったんでしょうか。そこについての御感触を伺いたいと思います。     〔委員長退席、野坂委員長代理着席〕
  221. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私は基本的に、やはり知事あるいはその他の首長にいたしましても、三期十二年ぐらいがほどほどのところであろうというふ うに個人的には思っております。  しかし、この問題は、いろいろ憲法上の問題などもございましょうし、難しいところがあろうとは思いますが、しかし、政治姿勢として、その任に当たる者の基本的な態度としてそのようなことの方が望ましいのではないか。それは今おっしゃいましたように大変大きな権限というものが集中しているわけでございますから、どうしても甘い話しか聞こえてこなくなる、そういうところに十分配意をしていく必要があるというふうに私は考えております。
  222. 越智通雄

    ○越智(通)委員 その総理が余り信じていない中央官庁の官僚が実は知事になっているのですよ。知事四十七人の中で二十五人は中央官庁の出身者ですよ。自治大臣もおわかりいただいていると思いますがね。自治省は十七名、農林省が三名、大蔵省一名、通産省一名、厚生省一名、建設省一名、運輸省一名、計二十五名。そのほかに、六十六人いる副知事の中に、中央官庁から行って、うまくいったら知事になろうと、思っているかどうか知りませんがね、そういうふうにも思われる人が二十三名、三分の一いるわけですよ、予備軍が。そこに権限回せと言ったら、これはちっとも変わらないじゃないですか。知事さん一人がやる話じゃないかもしれませんね。  総理の本を読むと、知事の方など見ていないと書いてある、県庁の役人が。知事の方など見ていないとあなたの本に書いてある。建設省の方ばかり見て仕事をしているとあなたは怒っていらした、御本の中でですね。  そして、今三選ぐらいかなと言ったら、じゃ四選以上は多いのかなと。多選を四選以上とするならば何人いるか。十四人いるのですよ。現状で、知事さんで四選以上の人が十四人いるの。その中で十人まではお役人の方です。中央官庁から出た、さっき申し上げた二十五人のうちの十人がそうなんですよ。  こういう状況のままで地方分権といっても、やはり何か、公務員法百三条では、過去五年間についていたポストに関係のあるところには、民間会社は向こう二年間行けない。これは法制局長官に聞いていると時間がないから自分でしゃべっちゃう。そうでしょう。どうして天下り禁止みたいなのができないのでしょうかね。選挙というものを通じているからいいんだと言いながら、きのうまで自治省の局長をした人がぱっと行くんですよ。これが問題じゃないか。  多選の禁止というのも、憲法上の問題があるというのはわかりますけれども、多選の禁止をもっと進めなければいけないんじゃないか。定年制の問題もあります。こういうのを見ていますと、地方自治というものをもし本当にお考えになるならば、ぜひそうした制度にメスを入れなきゃいかぬと思いますが、ここは、じゃ佐藤さんに伺いましょう。自治大臣、何かお考えございますか、今の話について。
  223. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 まず、首長の多選の問題でございますけれども、確かに越智委員指摘のように、弊害があるという意見もあります。しかし一方、それは基本的には選挙民が選ぶことではないか、それを法律をもって禁止をするということはいかなることかという意見もあります。  しかし、いずれにしましても、多選の問題は、私は、今お出しをしました政治改革の関連四法案が済みましたら、ひとつ皆さんに幅広く国民的な御議論をいただくテーマだと思っております。特に多選の問題はアメリカ等が厳しくて、議員の多選も禁止をされるということにもアメリカの場合に御承知のようになっておりますので、その辺も含めてどうあるべきかというふうにしなければならぬと思っています。     〔野坂委員長代理退席、委員長着席〕  それから、今御指摘のように中央の官庁の人が各知事等になっていくという問題については、もう言うまでもありませんけれども、これは結局最終的には選挙で住民が選ぶことでございますので、この問題までさかのぼらなければならぬという問題もございます。  もう一つ、それ以下の人事の交流の話、これはもう越智さん一番御承知のように、地方の方が人材をくれ、人材をくれ、こう言ってくることで、ただ問題は、弊害があるとすれば、どこかの省庁はどこかのポストにとほぼ固定化してしまっていることについてはいろいろ問題があると思いますが、むしろ行革審の方では、そういう人事交流は、中央同士も、地方同士ももっとやった方がいいのではないかという意見も出ているようなことでございまして、その辺を勘案をしながら、幅広い議論をしていく必要があるというふうに感じております。
  224. 越智通雄

    ○越智(通)委員 今なぜこういうことが議論になるかと申しますと、実は知事さんが次から次へと今のゼネコンの問題で捕まっているわけですね。先ほどと同じように、細川総理が政界に身を投ぜられてからの二十年間で何人捕まったかというと、六人捕まっているのですよ。最近が新潟県、宮城県、茨城県ですけれども、少し前に福島県、千葉県、岐阜県があります。捕まって有罪になった方もあるし、その事件があって即日というかその場で騒ぎの最中に辞任をして、結局それでおしまいになったという方もいらっしゃる。二十年間に六人というのは少ないと思うか多いと思うかという議論がありますけれども、知事さんがこのような事態を起こしている。全員だと思いますけれども、全部これは地検の特捜の手が入っているのですよ。それで、気のせいか、今申し上げた県名はほとんど東日本であります。  こういうことを見ますと、やはり地方自治と言うにはもう一遍その辺もしっかり立て直さないと、権限と金とをどんと回していくことについてよく考えていただかなければいけない。殊に、細川内閣の中で、将来の地方公共団体がどうあるべきかについてお考えが割れているのでしょう。小沢さんの本を読むと、市町村を、市町村という名前にするかどうかは別として、三百ぐらいでいいのじゃないかと書いてあるのですよ、三百ぐらい。「一層制」と書いてある。一層制というのは一段階ということです。要するに、国の次はもうそこだ、自治体だ、それは三百だと書いてある。  細川総理の御本を読みますと、字というか集落というか、そういうところも大事にしたいと書いてあるのです。これは田舎の人が読んだら泣けてくるような優しい言い方になっているのですね。一体日本の地方公共団体をこれから先どういう格好にしようと、それが理想だと思って、だからどれだけの権限を渡しても大丈夫だろう、やっていけるだろう、そういうピクチャーを描いた上でおっしゃっているのですか、地方分権を。  それじゃ、これはあちらに聞きましょうか。佐藤大臣、お願いします。
  225. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 まず一つは、ゼネコン汚職の問題につきまして、私たちも大変憂慮をしておりまして、私も深刻に受け取っております。それは、今越智委員指摘のように、生活に密着したものはなるべく近い地方自治体でやるべきだという、地方分権を求める声は非常に強いわけでございまして、そういった声に対して、一部のこういった知事等が逮捕されるということにつきましては、私たちも地方分権に大変水を差すもの、地方自治体に対する信頼を失わせるものということで大変憂慮をしております。ただし、今あえて一部と申し上げましたが、それじゃ三千三百の自治体全部そうなのかというと、そうではないと私は思っております。  そこで、先ほど御議論になっておりますように、個人の問題に帰さなければならぬ問題、あるいは制度的な問題、地方自治の中で自治体自身が指名のあり方の改善その地やらなければいかぬ問題、あるいはこれは建設省の問題になりますけれども、ゼネコン等の体質その他のこともやっていかなければならぬということであります。  それから、地方分権のこれからのあり方につきましては、まさに越智委員言われましたように、いろいろな意味での権限移譲は今日までずっとやってきておるわけでございます。しかし、総理 からも言われておるわけでございますが、これからもっと大きな地方分権をしようというときに、まず権限をどのくらい移譲すべきか、それから、じゃその受け皿であるところの地方自治体はどのくらいの大きさであるべきか、これは一概に、自治体というものの自律性、自主性ということを重んずるという観点からいいますと、今越智委員が御指摘になりましたが、これくらいが絶対的にいいとかこれくらいがいいとかいうふうに決めつけるものではないと思うのであります。  そこで、衆議院の方でも地方分権委員会等もつくっていただいたわけでありますので、そこらあたりでひとつ徹底的に、今越智委員が言われたことも含めて、権限の移譲の大きさ、それから受け皿であるところの地方自治体のあるべき姿、これは僕は、今越智委員言われましたけれども、小沢さんの言っていらっしゃることと総理の言っていらっしゃることとは矛盾しないと思っているのです。  政令都市のようなものがあれば、あるいは三千くらいの村がある。その間に行政と住民というものがどういう距離を持つべきかというのは非常に重要な問題だと思っています。しかし、そういうことを含めてひとつ大きな議論をやるべきテーマであるというふうに考えております。
  226. 越智通雄

    ○越智(通)委員 いや、私は、小沢さんの本に書いてあるものと細川さんの本に書いてあるものが一致するとは全く思えません。しかし、実力者と言われる方がそういうことをおっしゃているから心配で聞いたわけでありまして、もっと歴史というものを大事にして、地方にはそれぞれの歴史があるのです、それぞれの町というものにはあるのですから、そうしたものを尊重して、その点では細川さんのおっしゃっている感触でいいと思うのです。  ただ、それとの関係でちょっと言いますと、細川さんが、現代版の将軍制をやりたい、議院内閣制を見直したいなんて書いていらっしゃる。これはいかぬと思うのですね。現代版将軍制なんて細川さんが言われると、こっちはぎくっとしますよ。あなたの本にそう書いてあるんだから、議院内閣制を見直そうと。  やはり、首長と議会とを両方選挙で選びますと、両方とも国民の支持の上に乗っかっていると思うから折り合いがつかないのですよ。今のソ連がそうでしょう。大統領もおれは選ばれたんだ、議会もおれは選ばれたんだ。  ミッテランさんのことをあなたの本では褒めている。イギリスみたいな議院内閣制をつくっていたらミッテランはこんなにいいことはできなかったろうと、恐らく数年前のミッテランだと思うのですよ、言っていた。今のミッテランは動きがとれないのですよ。おれは大統領だと言うけれども、内閣は全然反対党がつくっているのですから。  やはり両方を国民で選んでしまうと大変難しいということもあるわけですから、軽々に議院内閣制を見直そうとか現代版の将軍制をつくりたいなんておっしゃると、地方の制度も含めて、一体国をどういうふうに考え、地方をどういうふうに考えているのか、それを考えなかったら分権なんてことは簡単に図がかけるものじゃないということをこの場をおかりして申し上げておきたい。  時間が迫ってきましたので、実は行政のことを、殊に規制緩和のことを伺おうと思っていたのですけれども、その前に、大変失礼ですが、このたび民間人を大臣に登用したことについて伺っておきたいと思うのです。  民間人を大臣に登用されることは、大変ある意味では斬新な、いいことです。このたび二人、三ケ月法務大臣と赤松文部大臣がお入りになりました。  総理日本国の新憲法施行後、民間人が登用されたのはたくさんあると思いますか、余りないと思っていますか。まあ聞いてもあれでしょうね。これは、今度の三ケ月さんと赤松さんは十番目と十一番目なんですよ。その間に、民間人で一たん内閣に入ったけれども、そのまますぐ選挙へ出ちゃった方がいらっしゃるのです。木村篤太郎さんとか一万田さんとか高碕達之助さんとか藤山さんとか、みんなそうですよ。そのままというか、大臣をしてまた民間へ戻ったというか。これは十番目と十一番目のお二人なんです。  その中で一番ケースが多いのが法務大臣。三ケ月さんは四人目の法務大臣なんです、そういう意味では。バッジをつけない法務大臣としては四番目なんです。  私は、率直に言って、おなりになるまで三ケ月さんのことはよく存じ上げておりません。ただ、おなりになってから新聞がえらいことを書きましたね。そうしたら法務省がそれに抗議するというか、反論するというか、お出しになりましたね。  通告してあります。法務省の事務局でもいいです。どういう事件で、どういうことを書かれたので、何と反論したのですか。この場で御説明をいただきたいと思います。
  227. 則定衛

    ○則定政府委員 お答えいたします。  今新聞が書いたという前提でございますけれども、実は雑誌社の発行する週刊雑誌でございます。その見出しが「三ケ月法務大臣は創価学会の「回し者」」と、こういう大変大きな活字で編集されていたということでございます。  そこで、私どもはその内容、すなわち記事内容を検討してみたわけでございますが、中身は、三ケ月先生といいましょうか、当時の法学者としての三ケ月さんが創価学会の関係する訴訟で鑑定意見書を提出された、これが当該雑誌が言います、回し者と決めつけている最大の、また唯一の根拠である、こういうことでございましたので、世間一般から申しまして、回し者といいますのは、御案内のとおり、特定の組織、団体がその利益のために働かせる目的で何らかの組織に送り込んだりあるいはポストにつかせる、こういうことでございまして、当該人物に対して人格的に消極的な評価を与えるものでございます。  そういう意味で、私どもといたしましては、三ケ月大臣に対して大変非礼でございますし、かつまた私ども法務行政を遂行いたします立場から申しましても、国民の法務行政に対する中立性なり信頼性を損なうもの、こういう点で抗議をした、こういうことでございます。
  228. 越智通雄

    ○越智(通)委員 では、三ケ月さん御自身に伺わなければいかぬかと思いますけれども、この鑑定書、一体何遍お出しになったんですか。二回という説から五回という説までたくさんあるんですよ。そして、それは東大教授の時代なんですか、それをおやめになった弁護士の時代なんですか。そして、大変失礼ですけれども、それは報酬をもらってやったんですか、もらわずにやったんですか。そこら辺、募集関係を御自身の口から御説明していただきたいと思います。
  229. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 お答えを申し上げます。  私が関係いたしましたのは、学問的立場から鑑定書を書いたということでございます。  二つ違った角度からの問題がございまして、いずれも宗教と法律との関連、裁判所法三条とそれから信教の自由との関係の問題でございまして、そして一つの切り口はそれが直接信仰の自由にかなり密着する問題についてであり、もう一つは宗教団体といういわば法人組織というふうな組織とそれから民事事件との関係という問題で、法とそれかも宗教との関連というものでは共通ではございますが、いわば切り口の違う事件でございます。  私、記憶しておりますのは、さきの宗教の本質にかかわる問題を書きましたときは、これはたしか東京大学在学中でございました。その後の事件の方は、これは弁護士になってからの問題でございます。弁護士になってからは当然のことながら報酬はいただいておりますし、それから学者時代におきましても、学者として不当でないと私は考えておりますが、適当なる報酬はいただいております。幾らであったかは今のところちょっと思い出せないのでございますが、そういうことでございます。
  230. 越智通雄

    ○越智(通)委員 じゃ、重ねて三ケ月さんにお伺 いしますが、あなたは、では、池田大作さんとお会いになったことはあるのですか。創価学会の信者さんではないと伺っていますが、池田大作さんとはお会いになったことはあるのですか。
  231. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 池田大作氏とは一切面識はございません。
  232. 越智通雄

    ○越智(通)委員 石田大臣にちょっとお伺いしたいと思います。  公明党は、一九七〇年代と申しますか、大分前ですが、二十年ぐらい前は盛んに創価学会からの独立と申しますか、自分たちは別だということを、当時の公明新聞などを読むと書いてございました。今心配なのは、創価学会と公明党、どこまで分かれているのか、くっついているのか。私ども見聞きするところでは、石田さんがいろいろな会合で同志の応援に行かれる選挙運動などでも創価学会の施設を随分使っているようにお見受けするのですけれども、池田記念講堂とかいって立派なのがありますよね、あれは創価学会の建物だと思うのですけれども、創価学会の建物を使い、創価学会の人々が動きながら、何か公明党の選挙運動というか政治活動というか、そういうものと宗教の活動とが混然一体になっているように見えるのですけれども、あなた方のところで政教分離というか、その点についてのけじめはどういうふうにおつけになっていらっしゃるんでしょうか、伺いたいと思います。
  233. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えをいたします。  いろんな御指摘が混在しているといいますか、そんなお話でございましたんですけれども、まず、創価学会と公明党との関係は、これは政党と支持団体の関係であるというふうに私どもは明確に位置づけているわけでございます。私ども公明党としましては、党の綱領におきまして、まずこの現行憲法を守る、このことを明確にいたしておりますし、また、信教、結社、表現の自由など基本的人権を擁護する云々というふうに綱領におきまして明確にいたしておるわけでございますが、これはいわゆる創価学会を含むあらゆる宗教を信ずる人々に対しても、同様に憲法の規定によりまして、精神によりまして、この信仰の自由を守る、このことを党の内外に宣言をいたしておるわけでございます。  また一方、憲法第二十条、八十九条にこの政教分離の規定が書かれていることはよく承知をいたしておりますが、まあ余りたくさんの時間を費やすわけにはいかないかもしれませんけれども、その憲法の規定につきましては、私ども公明党は、今申し上げたように、厳にこれを守っているわけでございます。  具体的なお話が若干御質問としてございました。例えば、学会の会館を選挙運動に使用しているのかというようなお話もございましたけれども、しかし、これは各政党、各議員がやっておりますように、いろいろな団体の会合に出て、そしてごあいさつをする機会が議員であればだれしもがあると思うのでございますけれども、こういったものはいわゆる幕間のあいさつということになっておるわけでございます。私どももそういった意味で、創価学会だけではなくて、ほかの会合にも、いろいろ選挙のための政治のごあいさつに参るときがありますけれども、それは全部幕町のあいさつで行っているわけでございまして、学会は学会としてのいろいろな会合の趣旨はそのまま貫かれて行事はやっておる。  ですから、私どもはわずかな時間の間にそういった幕間のあいさつをしているという関係にございますので、殊さら政教一致とかいうようなことを言われる必要は全くないものと、このように確信をいたしておるところでございます。
  234. 越智通雄

    ○越智(通)委員 この問題を取り上げましたのは、実は政治改革法案の中で公的助成等が出てきまして、各党に対して一律に助成をする。そのときに一番恐ろしいのは、そうした無形のサービスがただでどんどん行われれば、金銭にかえてみたら随分の差が出てくるのですね。いろいろな大勢のボランティアをただで使えるとか、建物のでっかいところがただでじゃんじゃん使える。使える人と使えない候補者のいろいろな問題も出てくると思うのです。ですから、今後とも私はこの問題を政治改革の問題の一つとして、非常に小さなというか、具体的な細かなところでございますけれども、心配しながらやっていきたい。  公明党にもう一つ、大変聞きづらいことですけれども、重要な問題が指摘されておりますので、郵政大臣にお伺いしたい。  あなたは大学を出られて検察庁に入られて、それなりのなかなかいいコースを歩んで御出世していかれたと思うのです。横浜地検検事から、ずっと外務省にも出向された、大臣官房の方にもおられた、そして五十七年三月に十六年間いた検事をおやめになった、そしてその翌年の十二月ですから、一年半ほど後に福岡から衆議院に出られた。  私はあなたと、あなたが政審会長をしていて私が自民党の政調会長代理をしているころからなかなかすばらしい政治家だと思っておりましたけれども、あなたが郵政大臣になりましたら、いろいろなことを私のところに言ってくるのがいるわけですね。あなたが検事さんをやめたのは、何か事件があっておやめになったんだということなんですよ。あらかじめ申し上げておきました。どういう事情で検事さんをおやめになったのか、うわさされている事件についてあなたはどういう立場なのか、御説明をいただきたいと思います。
  235. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 お答えをいたします。  私は、確かに昭和五十七年三月に検事をやめて、その後弁護士になり、そして昭和五十八年に当選をして国会議員になっているわけでございますが、週刊誌等が一時私のことをいろいろ言ったことがありました。共産党の宮本邸の盗聴事件に関与している、直接関与というのではなくて、後で何か相談を受けたというようなことのようですけれども、その言われているところの事件は今から二十年前の事件でございますが、当時私は福団地検の小倉支部の検事をしておりまして、物理的にも関与することができるはずはないわけでございます。また、実際検事がそういう行為に関与するということはあり得ない話でございます。したがって、私はそういう事実に関与していることは全くない、このように申し上げたいと思います。  私がやめたことについて、週刊誌等で、またいろいろ国会で取り上げられたからだろうとかいろいろ言われておりますけれども、実は私は定期異動でやめております。委員も役人をされていましたからおわかりのように、定期異動の場合はあらかじめかなり早い段階で辞職願を出して、そして定期異動のルートに乗ってやめるわけでございます。したがって、何らその事件がどうということでやめたということでは全くございません。  実は、私の親しい友人、党の方の顧問弁護士をしている者の方から、党としても将来を考えて次の世代の中心者をぜひ育てたい、ぜひあなたに来てもらいたい、こういう話も伺っておりました。いろいろ私自身も考え、私の人生の生き方として、新しい生き方を決断しました。ただ、法務当局に御迷惑をかけてはいけないと思いましたので、私も早い時期にやめまして、弁護士として将来政治家になるために備えた、こういう経過でございます。
  236. 越智通雄

    ○越智(通)委員 数々の宿題が残ったような気がいたします。今後の同僚議員の質問を通じまして、連立内閣の実態についていろいろお伺いさせていただきたいと思います。  きょうは質問をこれで終わります。
  237. 山口鶴男

    山口委員長 これにて橋本君、津島君、越智君の質疑は終了いたしました。  この際、羽田外務大臣から発言を求められております。外務大臣羽田孜君。
  238. 羽田孜

    羽田国務大臣 最高会議周辺の戦闘状況につきまして、追加的な情報をお伝えをしたいと思います。  ロシアの報道が伝えるところでは、ホワイトハウス、いわゆる最高会議の建物でありますけれども、この奪還作戦では、モスクワ近郊の三つの師 団が参加しているということであります。モスクワ大使館が視認いたした、見て確認をしたところ、モスクワ川沿いに十四台の装甲兵員輸送車がホワイトハウスに向け移動中、コメコンビルはエリツィン大統領側により奪還され、現在の戦闘の中心はホワイトハウス周辺に移っているということであります。  コメコンビル方面からホワイトハウスに向けて装甲車が移動して、激しい戦闘が続いておりますけれども、七台の戦車がホワイトハウス対岸に並び、弾を充てんの上ホワイトハウスに向けておるということであります。現地時間午前九時過ぎということで、日本時間でございますと午後の三時半でございますが、エリツィン大統領はロシア国民に対して、反乱は早急に鎮圧されるであろう、軍に対する国民の支持を求めるとの趣旨の演説を行ったそうでございます。  なお、これまでに、今回のロシア国内での騒乱によりまして、邦人が何らかの事件に巻き込まれたという報告は受けておりません。  これだけ御報告申し上げます。
  239. 山口鶴男

    山口委員長 次に、志位和夫君。
  240. 志位和夫

    ○志位委員 私は、日本共産党を代表して、細川総理並びに関係閣僚に質問いたします。大変に制約された時間ですので、政治改革の幾つかの基本問題に絞って質問をいたします。  第一は、金権腐敗政治と企業献金の問題についてであります。  ゼネコン汚職を初めあらゆる政治腐敗事件の大もとに企業献金があるということは、今や国民共通の認識だと思います。そして、国民多数の要望もこの禁止を求めております。朝日新聞の九月二十日に出された世論調査を見ましても、廃止すべきが七六%、今後も続けてよいは一五%にすぎません。ところが、政府の姿勢を見ますと、この最大の問題で国民の要望に背を向けていると言わざるを得ません。政府案を見ましても、政党などへの企業献金は存続と。五年後見直しということが言われておりますが、一体どういう方向で見直しするのか、全く何の保証もない。結局、細川内閣もこの企業献金存続がという国民の批判が起こっているのは私は当然だと思います。  そこで、まず首相の企業献金に対する根本的な考えをお聞きしたい。首相はそもそも企業献金を禁止すべきものあるいは有害なもの、こうみなしているのかどうか、この点どうでしょうか。
  241. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 よく言われておりますように、企業も政治活動をする自由がある、社会的な存在であるとよく言われてきたところでございますし、私もそう思っております。  ただ、それを行う場合に節度のある態度をとらなければならない、これもまた当然のことであろうと思っておりますし、確かに企業献金の問題につきましては、今度の政府案におきまして、個人に対する企業・団体献金につきましては直ちに廃止をするということにしたわけでございますが、政党に対する献金は五年後に見直しをするということにいたしております。  しかし、それはその程度のところに踏み込む、そこまで踏み込むだけでも、これは相当今までとは違った大幅な改革であるという認識があるわけでございまして、やはり現実的に、段階的にそのようなステップを踏んでいって、そして五年後に政党活動、政治活動というものがどのような状況になっているか、そういうことをよく見きわめた上で判断をすべきものであろうというふうに考えているところでございます。
  242. 志位和夫

    ○志位委員 政治家個人への献金を禁止されたということ、禁止するということをおっしゃるのですが、企業献金が存続する限り、私は、腐敗はなくならない。政治家個人のものを禁止すれば、今度は政党単位の、あなたの言葉で言えば、政党本位の政治腐敗になるだけだと思うのですね。  ヨーロッパを見ましても、例えばイタリアなどでも社会党やあるいはキリスト教民主党など政党の口座にわいろが振り込まれる。ですから、結局企業献金がなくならないと、そういう形で腐敗の単位が政治家から政党に移るだけだと、私はこう思うのですね。五年後の見直しということも、廃止ということは一切法案に述べられていないし、廃止の方向という言葉も消えてしまった。ですから、これは存続ではないかということは明瞭だと思うのですね。  私は首相の企業献金に対する本質的な考えをお聞きしたわけで、この点についてははっきりお答えにならない。段階的にとか現実的にとかいう言葉はあるのですが、この点についてお答えにならないので、さらに設問を変えてもう少し具体的にお聞きしたい。  財界の側からもこの企業献金に対する批判はさまざま起こっております。例えば日経連の常任理事の諸井虔氏は、大変本質的な批判をやっています。企業献金は効果が上がらなければ株主に対して背任行為になる、効果が上がればこれは贈賄になるという、こういうものですね。これはなかなか企業献金の本質をずばりついた批判だと思うのですが、首相はこういう批判論についてどう思われますか、お考えを聞かしてください。
  243. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私は、この問題について一番肝心なことは、やはりその限度をどういうふうに定めるのか、それが節度のある献金であるのかどうか。先ほども申し上げましたように、企業も社会的な存在でございますし、小さな八百屋さんから小さな魚屋さんからいろいろございますし、個人と企業との選別というものは難しいという実態もあるのではないかと思っております。  そういう中で、自分の懐から出すものと会社から出すものと、その辺の選別というのはなかなかやりにくいという実態もございましょうし、一概に企業献金が悪だと言って決めつけるのはいかがなものであろうかと。そういう小さな企業もあるわけでございますから、問題はその限度額、どのぐらいのところまでが社会的に国民の支持を得られるのかといったことと、それがどのような形で使われたのか、政治と金にまつわる問題の透明性というものがどのように確保されるのかということが一番のポイントであろう、そのように思っているところでございます。
  244. 志位和夫

    ○志位委員 結局、一概に悪とは決めつけられない、透明性あるいは限度、節度、これがあれば容認されるのではないか、そういうお考えに聞こえたんです。  先ほど私、諸井虔さんのお言葉を紹介したのですが、これは実は首相自身もそういう認識を示されているんですよ。お忘れかもわからないけれども、ある週刊誌で細川さんと江田さん、科学技術庁長官が対談されている。去年の五月三十日の週刊現代ですね。これは記事じゃなくて対談ですから、お二人責任持たれた対談だと思うのですが、その中で企業献金の問題が話題になり、こういうふうにお二人述べられている。「細川 はっきりいえば、背任行為でしょ。」 「江田 そうでなければ贈賄。結局、どっちかの性格をもっちゃうんですよね。」と、こう言ってお二人意気投合しているじゃありませんか。  つまり、企業がお金を出す、お金を出すこと自体が本質的な意味で贈賄か背任になる、そういう本質的な、あなたは先ほど一概に悪とは言えないと言うけれども法律上は今禁止されていないものの、事実上の社会悪だ、背任行為という社会的な犯罪だ、こうまでおっしゃっている。そうなると、これはきっぱり禁止すべきだという結論になりませんか。いかがですか。
  245. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは今も申しましたように、やはり節度の問題だというふうに私は思っております。その対談で話しておりますことも、江田さんのおっしゃったことも恐らくそうだろうと思いますが、今まで政治を眺めてきた中で、今までの政治の中で実際に行われてきた政治献金というもののあり方について、これは大変度を超したものが多過ぎたのではないか、そういうところからさまざまな事件が起こってきた、今日起こっているような問題というものが国民の政治不信というものを引き起こしてきた、そういうことについて、これは節度のある姿に改めていくべきではないか、そういう趣旨で申し上げたところでござい ます。
  246. 志位和夫

    ○志位委員 これは明らかに節度の問題ではなくて、企業献金の本質的な性格をあなたはそう言っているわけですから、首相になる前におっしゃっていたことにぜひ責任を持っていただきたいと思うんですよね。  私、もう一つ質問したいのは、あなたは、企業から政治家個人への献金禁止だ、このことを盛んに言いますけれども、私は、たとえ政党に対するものであっても、企業献金は政治をゆがめる、この本質には変わりない、こういうふうに考えております。  それはさまざまな無数の例が証明しておりますが、私きょうここに持ってまいりましたのは、大手ゼネコン二十社の自民党への政治献金と公共事業の受注の伸び率との対比の表です。日本の公共事業というのは、諸外国に比べても、総理も御指摘のように、住宅とか下水道とか公園とか、生活基盤のものが大変おくれている、大型プロジェクト、大手ゼネコンに偏重している、こういう批判があるわけですが、やはりその根底には大手ゼネコンからの献金攻勢がある。  この青い棒グラフは大手ゼネコンからの献金額ですが、大体八八年から九〇年に急増しております。それに符牒を合わせるように、この青い折れ線は大手建設会社の公共事業の受注額ですが、大体二倍ぐらいに膨らんでいる。これはもちろん裏の献金は出ておりませんから、これですべて尽くすということはできませんが、これを見ても、やはり大手建設会社の献金攻勢がそういうふうにゼネコン中心に政治をゆがめる有害な役割を果たしている。この赤い折れ線は中小企業への発注ですが、これが伸び悩んでいるのと対照的です。  私は、これは一つの一例としてお話ししたのですが、首相にお聞きしたいのは、たとえ政党へのものであっても、企業が政治にお金を出す、そうすれば必ずこういう形で、これがどうかというこの具体的な認識は結構ですから、企業がお金を出せば必ず大企業本位に政治がゆがむ、こういう御認識をお持ちになりませんか。
  247. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 企業献金と一言で申しましても、おっしゃったような大企業ばかりではございませんでしょうし、小さな企業で私などもいただいているところはございますし、そうした意味で、先ほども申し上げましたように、一概に企業献金が悪だといって決めつけてしまうのはいかがなものであろうか。それは背任とか横領とかといったように受け取られかねないようなそうした多額のものを政治家に渡す、そういうことは問題であろうというふうに私は思っております。  それは、そういうものがなくなっていくような政治状況ができてくればそれは大変結構なことだと思いますが、冒頭にも申し上げましたように、一気にそこまで持っていくということは、これは難しい話でございましょうし、段階的に政治の環境というものがどういうふうに整っていくかということとあわせて検討していくということが現実的な方向ではないかということを申し上げているわけでございます。
  248. 志位和夫

    ○志位委員 一概に悪と言えないということを繰り返されるわけですけれども、もう一つ、じゃ、首相の過去の言明について私問いただしたいのですが、あなたが編さんした「日本新党 責任ある変革」という本の中で、企業献金の問題についていろいろ述べておられます。その中で、生活者対生産者、生活者の視点と生産者の視点の対立ということを言った上で、こういう一節がある。経団連を中心として、産業界から年間百六十億円程度が自動的に集金できる自民党は、当然ながら生産者側に身を置いて政策立案を行う傾向になることは自明の理だと。  あなたは、こういうことを言うと、多額だからと言うかもわかりませんけれども、やはりこの文脈の論点というのは、産業界、つまり財界からのお金をもらう政党は、当然ながら生産者側、財界側、これに身を置くことはもう自明の理なんだと。これも企業献金の一つの、あなた、本質論ですよ。そういう本質を持つんだと。たとえ政党に対するものであっても、企業献金を出す限り政治がそういう方向にゆがめられる。あなたの言う生活者中心の政治をやる保証がない。そういうことを事実上おっしゃっているわけですから、やはりこれは、そういう存在として認めている以上、これは廃止することも自明の理になるのじゃありませんか。いかがですか。これも節度ですか。
  249. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そういうことでございますから、今度の政治改革法案におきましても、限度額について、また透明性の問題について、あるいはまた罰則の問題について、政治資金規正法等々でそのようなことを書いているところでございまして、その法案が通ることによって大幅に私は改善をされるものであるというふうに思っております。
  250. 志位和夫

    ○志位委員 限度額は結局一億円で変わりませんよ、一社当たり。それから、透明性という点では、政党に対するものはこれまでの一万円から五万円に逆に不透明になるわけですから、やはりこれは本当に通用しない。  私、かつて首相が、いろいろな場でありますけれども、事実上企業献金を有害なものと認められる、背任行為とまで認められる発言をしていた。ところが、やはり首相になるとそのことに責任をお持ちにならない。それではあなたの言う「責任ある変革」というのは一体何なのかということにもなるわけですから、ぜひ、一番の国民の要望ですから、企業献金の完全禁止、これに前向きに取り組むことを強く要望して、次の質問に入ります。  第二の問題は、小選挙区比例代表並立制の問題についてであります。  我が国の憲法が述べているように、国会は国権の最高機関でありますし、唯一の立法府です。したがって、この選挙制度のよしあしをはかる最大の基準は、国民の民意が議席に正しく反映する、これが最大の基準だと私どもは考えています。その点で、中選挙区制のもとでの国会決議に基づく定数の抜本是正をまず行うこと、将来的には比例代表制を私たちは提唱しております。ところが、この小選挙区並立制というのは、民意の正しい反映という大原則に照らして、それに逆行する大問題をはらんでいると言わざるを得ません。  もう一枚パネルを持ってまいりましたが、これはマスコミ各社が行っている並立制が導入された場合の試算であります。試算ですから一つの傾向でありまして、もちろんいろいろな政治的組み合わせによっては変化もあるでしょう。しかし、一つの並立制の本質がよくあらわれております。  この左側は、各党、連立与党が個別に戦って泊民党が第一党になった場合。その場合には自民党が、この前の総選挙で得票率三六%でありまして、現行制度では議席占有率が四三%ですが、どの試算でも大体六割程度の議席を得ることができます。  右側は、これは連立与党が一本化して第一党になった場合の試算ですが、これも得票率が四八%、この前の総選挙ですね、そのときに議席占有率四七%、それが並立制が導入されますと大体やっぱり六割近い議席を得ることができる。  私が言いたいのは、どちらの場合になっても共通しているのは、三割台、四割台の得票率しかなくても議席を過半数以上、大体六割程度占めることができるという試算が出ていることであります。  そこで、私、まず総理質問したいのですが、首相は、この並立制という制度が、第一党が得票率以上の議席を得ることができる、逆に中小の政党は得票率以下の議席しか得ることができない、こういう特徴を持った制度だということを、まず事実の問題として、これはいいか悪いかは別として、事実の問題としてお認めになりますか、どうですか、端的にお答えください。
  251. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私はそのようには認識をいたしておりません。  このたび政府が出しました並立制は、今までも国会あるいはまた審議会等々でさまざまな御議論があって、その御議論の中でも、並立制というものが、数の違いなどはございますが、一番結局落 ちつきどころとして妥当なものではないかということで出てきているような経過も踏まえて、今回も最善のものとして政府案として出させていただいたということでございます。  小選挙区によって民意の集約を図っていく、そしてまた比例制によって多様な民意の反映を図っていく、集約と反映ということが相まって、相補う形で実現をされていく。そういう意味で、私は極めて現実的な、まずまず妥当な案ではないかというふうに思っているところでございます。
  252. 志位和夫

    ○志位委員 そういうふうに認識してないというふうに言われたのですが、小選挙区制のイロハなんですね。得票率以上に第一党が議席を獲得するというのは、これは小選挙区制の、何というのですか、本当にイロハに属する問題ですよ。  これは、例えば、私ここに持ってきたのは自民党の政治改革本部選挙制度調査会が出した「政治改革一問一答」、このときの会長は羽田総理ですね、今の。それを見ましても、そんなのは常識的なこととして書いてあります。「得票率に比べて議席占有率が高くなることは小選挙区制の特性。」だと。これは小選挙区制の特性なんですよ。それに比例代表が加わっても、比例代表は得票と議席が同じく出てくるわけですから、この得票率以上に議席が出るという、これは若干緩和されるかもしれないけれども、変わらないのです。これも本当にイロハの問題ですよ。  あなた、それを認識してないでお出しになったとしたら、小選挙区制を知らないでこれを出したということになる。これはもう本当にそういうふうに言わざるを得ないんですが、得票率以上に第一党が議席をとるという、これをお認めになりませんか、それでも。
  253. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、半分が比例代表制ということでございますから、それは大幅に緩和をされる、多少どころではなくて大幅に緩和をされるというふうに私は認識をしております。
  254. 志位和夫

    ○志位委員 大幅かどうかというのはまた別としても、緩和されるというからにはやはりそういう、もともとゆがめる、この制度が。第一党が得票率以上に議席を得るということを、その程度の違いはあってもお認めになりますね。いいですね、これは。小選挙区の基本ですよ、これは。
  255. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 いや、それは小選挙区だけであればそのようなこともあるだろう、それはそうでございます。したがって、今度の選挙制度改革では両方、並立制という形で出させていただいているゆえんはそこにあるわけでございまして、小選挙区だけならばおっしゃるようにいろいろ問題はあろう、それはそう思っております。
  256. 志位和夫

    ○志位委員 じゃ、問題をここで整理したいのですが、小選挙区制では第一党が得票率以上に議席を得る、これは今お認めになった。比例代表がそれに加わっても、比例代表というのは議席と得票が同じく出る制度ですから、緩和されることがあっても、並立制全体としてはやはり第一党が得票率以上に議席を得るじゃないですか。そうでしょう。緩和されること、程度の問題はあったとしても、並立制全体としてそういうふうに民意をゆがめてしまう、これは明瞭じゃないですか。どうしてそんな簡単なことをお答えになれないのか、これは不思議なんですが、それを認めなかったら小選挙区制をやる意味がないでしょう、あなた方。
  257. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それはもう先ほども申し上げましたように、多様な民意の反映をする比例制度というものを導入をしているわけでございますから、そこで今おっしゃった多様な民意というものは吸い上げることが十分できるというふうに考えているということでございます。
  258. 志位和夫

    ○志位委員 これはどうしてもお認めにならないので、これは非常に重大な問題なんですね。しかし、これはもう明瞭になったと思うのですよ。小選挙区制は少なくとも第一党に有利な制度だ、第一党が得票以上に議席をとる制度だというところまでお認めになったわけですから、これは並立制が、それが若干緩和されるにせよ、同じ性格を持つのは明瞭です。  ではなぜ、私は首相にお聞きしたいのですが、そういう小選挙区制、あなたは少なくとも小選挙区制部分は第一党に有利な制度だということをお認めになったわけだが、なぜその小選挙区制を持ち込む必要があるのか。その理由として、民意の集約であるとか国民が政権を選択するためであるとか、そういうことをるる首相は述べられているわけですが、私ここで疑問なのは、どうして選挙制度を論ずるのに国民の民意の反映と政権の選択というこの二つの基準が要るのですか。私は一つで十分だと思う。  国民の民意を正しく反映する選挙制度をつくる、これは唯一最大の基準であって、政権をつくる上でもその民意を反映した国会が土台であって、その土台の上に議院内閣制をつくる、それが国民主権の立場に立った政権のつくり方じゃないでしょうか。これはいかがでしょうか。
  259. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それはもとより、民意の集約ということが一番基本的なことであろうと思いますが、しかし、小党が分立をして政局が不安定になるということも、これは国家の経営にとっていかがなものであろうか。それはやはり、そこのところは兼ね合いの問題であろうというふうに私は思っております。
  260. 志位和夫

    ○志位委員 何か小党が分立すると非常にぐあいが悪いことになるというようなおっしゃり方ですが、そうすると連立内閣はどういうことになるのか。やはり国民の民意がそういう小党を必要とするんだったらそれを国会に映し出して、その上で政権をつくる、場合によっては連立政権をつくることもある、それでいいじゃないですか。小党が分立したら何で悪いんですか。なぜ小党が分立すると政権不安定になるのですか。これはおかしな議論ですよ、あなた方はそういう政権をおつくりになっている。どうですか。総理、答えてください、総理
  261. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今御指摘選挙制度のあり方につきましては、お話のようなテーマをかねてから国会で議論を続けてまいりました。その中で、御記憶のとおり、民意の集約、小選挙区制だけに重点を置いた自民党の実と、民意の反映を強調したさまざまな修正を加えた野党の案が、長い議論の中で前回国会あったことについては御記憶のとおりです。  結局、いずれかの制度を重視するかということについて歩み寄りを図らなければならないということから、双方の制度の中をとって、二百五十、二百五十ということにしたのが今度の制度でございまして、御指摘のとおり、比例代表の部分につきましては、民意を反映する、こうした考え方が強く出ておりますし、一方、小選挙区の方につきましては、政権の選択、民意の集約ということが強く出ているわけでありますけれども、従来からいずれかの形の選挙制度がいいかということについては、世界すべての国においてそれぞれの国の選択によってきておりますけれども、今回は従来の議論の経過等を振り返りまして、政府提案といたしましては、そこでの妥協案として、二百五十、二百五十という案を提出した次第でございまして、お話のように、民意の反映だけですと全部比例代表ということ以外の結論は出てこないのではないかと思います。それだけではまとまらなかったというのがこれまでの経過ではなかったでしょうか。  今回、政治改革を、選挙制度の問題だけではない、御主張のとおり、政治腐敗の問題も含めて全体一括して年内に成立させるという重大な責任を負った内閣として、それぞれが歩み寄れる案というものを提案したのが二百五十、二百五十の並立制であることについてどうぞ御理解いただきますようお願い申し上げる次第でございます。
  262. 志位和夫

    ○志位委員 結局、今の担当大臣の答えは、まとまらなかったから折衷案をとったんだと、歩み寄っただけのことなんだと。あなた方、何の説明もしてないですよ。  大体、山花さんそういうことをおっしゃるんだったら、私、聞くつもりなかったんだけれども、もう一回聞かなきゃならない。ことし四月の 社会新報であなたは、「民主政治を根底から覆す小選挙区制を認めることはできません。並立制もその実質は小選挙区制ですから、これも認めることはできません。」こう言っているんですよ。  これは数の問題じゃないって隣に座っている佐藤自治大臣も言っていますよ。言っている。五百の議席のうち五十ぐらいにまで小選挙区制が減ったら少しは考える必要があるかもしれないけれども、基本は数の問題じゃないのだと。あなたは政治改革特別委員会の議論の中で、小選挙区で第一党が圧倒的に有利、その上に比例代表でもさらに議席を上積みする、徹頭徹尾第一党が有利な制度だ、哲学のない制度だ、木に竹を接いたような制度だ、こう言ったじゃありませんか。ですから、これは本当に説明にならない。  あなた方は、山花さん、この前の代表質問で我が党の松本議員がそれを質問したのに対して、政権交代のためには仕方がなかった、こういうような趣旨のことをおっしゃられたけれども、私、あなたは小選挙区並立制の制度の本質として民主主義を覆すということを述べていたわけですから、その認識は変わらないとしたら、あなた方の政権自体が民主主義を覆す政権になるのですよ。ですから、そういう本当にあいまいな、何の筋もないことであなた方はごまかしてこれを導入するということは本当に許されないというふうに思うのですね。  私、もう一問聞きたいのですけれども、民意の集約が必要だ、政権の選択が必要だ、だから小選挙区制だというのがあなた方の議論だと思うのですが、私は、国会というのは国民の民意を正しく反映してこそその上に立つところの議院内閣制も立派なものになる。その国会が、小選挙区制が導入されて第一党有利にゆがめられ、民意を反映しなくなってしまったら、民意をゆがめられてしまったら、民意からかけ離れたら、その上によって立つところの議院内閣制もゆがんでしまう、私、こう思うのですよ。  だから、本当に国民主権の立場の政権をつくる上でもこの小選挙区制は有害だ、このように思うのですが、今度は、じゃ、お隣に座っている佐藤自治大臣、どうですか。
  263. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 ほぼもう山花政治改革担当相の答弁に尽きているわけでございますけれども、三年間、我々は、日本の政治の腐敗を取り除くために当時の自民党と、昨年は公明党と一緒に法案を出して、その議論をずっとしてきたわけであります。ずっとしてきたわけであります。そして、結局政治を動かすためには、腐敗を防止をするためには、政治資金の規制をしていくためには、選挙制度までさわらなきゃいかぬというのが政権をつくるときの、政権をつくる、そして政治を具体的にきれいにしていく、そのためには民意の反映というだけの御意見もあるでしょう。しかし、一方では、小選挙区で、その地域で一人だけ代表を持った方がいいという民意の集約という御意見もございました。  ここで何らかの具体的なものを出していかなければ、あなたの言っていることは百年河清を待つ、政治改革はちっとも進まないということになるわけで、それは国民の期待に反するものじゃないでしょうか。我々は百七時間議論をして、結局何も合意を見なかったわけでありますから、国民の期待にこたえるためには、新しいことでひとつ国民の皆さんの御期待にこたえるようにしていこうというのが今度の我々の提案でございます。
  264. 志位和夫

    ○志位委員 結局、議論をして歩み寄ったということの一言だと思うのですけれども、中身の問題をおっしゃらない。私、百七時間という議事録を全部読んでみましたよ。それで、あなたはその中で随分立派なことをおっしゃっていらっしゃる。今の政権のあり方についてもこういうことを言っています。  これは、二年前の方ですけれども、九一年九月十三日の政治改革特別委員会、並立制を批判して、「議院内閣制でありますから、議会の構成というものが国民の民意というものを正しく反映をしているという前提に立たなければ、議院内閣制の土台が崩れる」「議会制民主主義の土台であるところの議会が国民の民意に素直な格好にならないで、どうしてその上によって立つところの議院内閣制が立派なものになるでしょうか。その根本が私は違っていると思うのであります。」これはあなたの言葉ですよ。  それから、五カ月前の九三年四月十五日の政治改革特別委員会のあなたの発言の中では、小選挙区制を批判してこうも言っている。「土台であるところの議院の議席というものが国民の民意と全くかけ離れたところからできた内閣であるならば、それは全く虚構の内閣になるわけであります。」本当、私は同感ですよ。  あなた、認識が変わったと言うけれども、百七時間のところであなたの認識は一貫している。民意の反映こそすべてだ、第一義だ、一貫していますよ。認識が変わったのは選挙が終わって連立政権つくるときですよ。やはりそういうふうに言わざるを得ない。  私は、結局、民意の反映ということが選挙制度で求められている基本だと考えます。そのことと別個に小選挙区制を持ち込み、民意をゆがめるということは、結局、国民の少数の支持しかなくても、先ほどのパネルじゃありませんが、国民の三割台、四割台の支持しかなくても、国会で多数を握り、国会での首班指名の権利を得て政権をつくれる。まさに国民の少数の支持しかなくても政権を握り続けよう、私は、これがあなた方の言う民意の集約論、あるいは政権の選択論、その中身だと言わざるを得ません。  今多くの国民の中で、結局、小選挙区制が導入されると、消費税の税率引き上げとか、あるいは憲法の改悪に道が開かれるのではないかという不安か強まっておりますが、私は、またこれは当然で、国民の多くの苦難を招くようなこの小選挙区並立制は断固として日本共産党は反対です。この撤回を求めて、最後の政党助成の問題に入りたいと思います。政党助成の問題での基本的な考え方は――いいですよ、あなたの答弁、もう時間がないですから。
  265. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 せっかく私の議事録を読み上げていただきましたので、よく国民の皆さんにわかるように。  最初の発言は、海部内閣のときに出ました小選挙区三百、比例代表百七十一のときの私の理解であります。二番目に出ましたのは、自民党さんの五百の完全小選挙区制の評価の話でございますから、ひとつそのことはお間違いのないようにお願いいたします。
  266. 志位和夫

    ○志位委員 まあ何という、ちょっとみっともない言いわけですけれども、最初の部分は海部内閣の並立制の批判をやった部分ですよ。二つ目は、確かに単純小選挙区制の問題ですけれども、小選挙区制が結局民意とかけ離れたそういう虚構の内閣をつくる機能を持つということをあなたは言ったわけですから、これは弁明になりませんよ。  政党助成の問題に進みたいと思うんですが、この今度の政党助成法の基本的な考え方というのは、国民一人当たりが全員三百三十五円という負担によって政党への助成金を賄うということにあります。  そうしますと、一人一人の国民の側に立って考えますと、自分が支持していない政党に自分の税金が自動的に配分されることになる。例えば、自民党を支持していない方が出した税金も、その一部は自民党への配分になる。そういう中で、これでは、国民の立場に立ちますと、みずからの政治信条、これは踏みにじられる結果になるのではないか。  憲法十九条には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」ということを明記しておりますが、政党助成はまさにこの憲法の大原則を踏みにじるものではありませんか。これは大事な問題ですから、首相にお伺いしたいと思います。
  267. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 また担当大臣から補足をし てお話をいただいたらと思いますが、私はそのようには考えておりません。  民主主義の最低のコストというものを維持していくために、国民各位にまあコーヒー一杯分ぐらいと申しますか、三百三十五円のコストを負担をしていただく。それは、そのことによって政治と金にまつわるさまざまな問題が解決をしていくということであれば、これは私は日本の政治にとって大変意味のあることだというふうに受けとめているわけでございまして、そうした観点から、今回そのような政党助成に対する政府案というものを取りまとめさせていただいたということでございます。
  268. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今総理のお答えの中に問題点は尽きていると思いますけれども、今回私たちは四法を出したわけです。四法を出したということは、全体一体として政治改革を実現しなければならない、全体の改革の中でこの政党交付金、政党助成の関係についても御検討いただきたいと思いますし、その意味におきましては、まさにそうした全体の改革の中での民主主義のコストとして国民の皆さんに御負担をお願いする、こういう立場から国会の意思として決めていただくということを前提として考えていただければ、そのことが有権者の思想、信条を侵害するということにはならない、こういうように考える次第でございます。
  269. 志位和夫

    ○志位委員 国民が政党に対して献金するということは、その党を支持するというその方の重要な意思表示に私はなると思うのですね。これは先ほど言いましたように、税金という形であっても、国民から見れば、国民の立場に立ってこれは考えなきゃいかぬ。国民の立場に立って考えれば、自分の出した税金が強制的に献金させられるというこの仕組みは、これはもう否定できないことだと思います。  先ほど総理は、政治と金の問題、これできれいになると言いましたが、ヨーロッパの例を見ましても、この政党助成を導入したものの、イタリアなどでは政治腐敗の防止にもつながらない。結局ああいう事件も起こって、国民投票で政党一般への政党助成を廃止するという方向も出ておりますね。いろんなもう弊害が出ていますよ。単純にそうはならない。ましてや、企業献金を受け取ったまま、企業献金を存続したまま政党助成までもらおう、国民の大事な税金までもらおうというのは、これは本当に理がないと思うのです。  私は、憲法上の大問題をお答えにならないので、もう一つ伺いたいのですが、民主主義のコストということを先ほど首相言われたが、総額四百十四億円、国民一人当たり三百三十五円、これはどこから出てきた数字ですか。最初、連立与党は六百億円、これが出て、国民の物すごい批判を浴びた、そうしたら四百十四億円になった。これは一体どこから出てきた数字ですか。
  270. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 政党助成の金額につきましては、今御指摘のとおりの金額でありますけれども、計算の手法といたしましては、前回政府案の計算の手法というものに準拠をいたしました。今回は、平成元年から三年の間、新しい選挙制度、そして政治資金規正法の適用ということを前提にして、政党が負うべき支出、今回は政治活動についても選挙活動についても政党が中心に活動を行うということになりますので、個人のしたものについても政党が負担する場面というものが増大してまいります。  そうした全体の計算をいたしますと、一年間の支出というものが一千二百四十四億円、これのほぼ三分の一助成ということにいたしまして、その三分の一助成の金額を国民頭割りした金額というものが三百三十五円という金額でございます。  以上が算出をした提案の根拠でございます。
  271. 志位和夫

    ○志位委員 大変奇妙なことになるのですね。結局、一九八九年から九一年の三年間にかかった政治資金の純支出額、この平均を三で割ったというのでしょう、一言で言えば。そういうことですよね。中選挙区制のもとでかかったお金、これを算定基準に置いている。しかも、この三年間というのは政治資金が膨大に膨れ上がった、この三年間を基礎に置いている。これは本当に奇妙な話になります。  この前、国会では、首相は、この算定根拠はどこにあるかと聞かれて、選挙制度、政治資金制度の改革後における政党の所要額を推定し、その三分の一だとおっしゃたけれども改革後じゃない、改革前の話ですよ。これは自治省からの資料ですけれども。  結局、一番金のかかった時期の政治資金をこのまま続けるということを前提に置いて、その三分の一を国民に出せというのですから、こんな厚かましい話はない。こうなりますと、あなた方は、小選挙区並立制を導入すれば金のかからない政治になると言ったけれども、金のかからない政治にならないじゃないですか。これはどうですか、総理。これは改革後の推定じゃなくて、改革前の算定じゃないですか。どうですか。これはあなたの答弁にかかわる問題ですから、お答えください。
  272. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今、中選挙区制を前提として計算しているではないか、こういう御指摘がありましたけれども、これは実は前回の政府案のときにもそうだったわけでありまして、というのは、現実の政治の支出というものは、中選挙区制のもとでこれまで行われてきたということであるとするならば、当然直近の三年間を計算するということは、試算をする場合には当然の結論ではないでしょうか。したがって、中選挙区制といっても、直近の三年間の支出を平均したものでございます。  それから、全体としては一体どうなんだということにつきましては、これは選挙制度が変わることによって、政党中心の活動、本部が地方の活動などについても責任を負うということであるとするならば、そうした全体の支出というものを純支出として計算することもこれまた当然必要な試算ではないかと思っているところでございまして、したがって、今回こうした試算をするにつきましての根拠としては一番適切な根拠を選んでいるのではないか、こういうように考えているところでございます。
  273. 志位和夫

    ○志位委員 もう時間がなくなりましたから、最後に一言言いますが、結局過去の中選挙区制のもとでのお金のかかったのを前提にしているということをまた繰り返しただけですよ。この中には、例えば料亭代も入っている、ゴルフ代も入っている。この閣僚席にお座りの、名前は言いませんが、ある方の、例えば一晩、ここへ持ってきましたが、一九九一年一月四日、楠亭で二百三十二万二千百七十円、こんなお金も入っているんですよ、この試算の根拠の中に。ですから、そういうものを、こんな料亭代の三分の一を国民に出せという試算をやっているんです、あなた方。  私たちはこういう憲法に違反する政党助成には断固反対であります。日本共産党は、たとえこれが強行されても、そういう筋の通らないお金は受け取らない、受け取りを拒否するということを最後に申し述べまして、私の質問を終わるものであります。
  274. 山口鶴男

    山口委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。  次に、志賀節君。
  275. 志賀節

    ○志賀委員 志賀節でございます。きょうは、ほとんどの閣僚は存じ上げておりますが、法制局長官と法務大臣があるいは初めてであろうかと思いますので、自己紹介をさせていただきます。  まず初めに、私は細川内閣の政治姿勢について質問をさせていただきたいと思うのでございますが、政治改革の中でも見逃すことのできないと思いますのは国会改革でございますが、これは一々申しておりますと大変時間がかかると存じますので、特に大事と思われること、総理がこれこそ総理大臣になって国会改革で手がけなければいけないと日ごろからお考えになっておられたことありせば、それをまず承りたいと存じます。
  276. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 国会改革は、これは一にかかって国会がおやりになることでございましょうし、内閣としてとやかく申し上げるべき筋合いの ものではないと思っておりますが、おっしゃるように改革にもいろいろ中身があろうと思います。  例えばこうして予算委員会で一問一答で答弁をするといったような形がいいのか、あるいはイギリスの議会のように与党、野党入り乱れてディベート形式でやるのがいいのか、そのどちらがより国民にわかりやすい実のある議論ができるかといったようなことも大きな問題でございましょうし、そのほか押しボタン方式の問題であるとかあるいは政府委員答弁の問題であるとか、政府委員答弁の問題なども、これはやはり討論のあり方によって変わってくるものであろうと思いますし、一々申し上げればたくさんございますが、例えばそういうこともあるのではないかというふうに私は思っております。
  277. 志賀節

    ○志賀委員 私自身は、日ごろから主張しておることでございますが、国会改革の第一番目に取り上げたいことは、国会は立法府と言われるとともに言論の府と呼ばれております。えてして、私ども政治家は言論人でなければいけない。ところが、我々自身言論人であることを忘れて、むしろ文士とかマスコミ人の方が言論人であるかのような、ど錯覚があるような気がいたします。私どもこそ言論の中枢にある者という自覚と自負を持つべきだと思うのであります。  そこで私が申し上げたいと思いますことは、日ごろから、私は自民党内閣の時代から言い続けておったのは、衆議院規則と参議院規則に朗読禁止条項というものがあるのであります。朗読をしてはいけない、何も読まないでしゃべらなければいけない。これを私は今ちょうど持ってきておりますから、衆議院規則の中で読み上げさせていただきたいと存じますが……(発言する者あり)ただ、よく聞いておいてください。「会議においては、意見書又は理由書を朗読することはできない。但し、引証又は報告のために簡単な文書を朗読することは、この限りでない。」あなた方、不勉強でしたな、これは引証することはいいんです。これが百三十三条。それから、参議院の規則には、百三条でございますが、「会議においては、文書を朗読することができない。但し、引証又は報告のためにする簡単な文書は、この限りでない。」これが現実のものでございます。  でありますから、私は、今まで自民党政府にも、朗読をしてはいけないということであるから、どうか原稿なしでやってほしいということをしばしば申し入れてきたのでありますが、今日までその実現を見ておりません。少なくとも我々立法の府は、法律とかあるいはこのような規則を設けた以上は、それを率先、守らなければ理が通らないと考えるのであります。  したがいまして、私は、新たに細川連合政権ができた今こそ細川内閣はこれをおやりになるであろうかということを期待をしておったのでありますが、まさにこの点は期待外れでありました。どうかこの点をこれから十分念頭に置いておやりいただきたいと思うのでございますが、この点についてはどのようにお考えになるか、改めて承りたいと存じます。
  278. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは大変結構な御趣旨だと思います。そういうことができれば、これはもうそれにこしたことはないと思っておりますし、今後、先ほども申し上げたような討論の形式といったような形に委員会なり本会議の姿なりというものが変わってくれば、それは実現していくことができるであろう。私もそれは望ましいことである、そう思っております。  ただ、現実には、例えば先般の本会議あたりにいたしましても、百三十問も百五十間も私に対してお尋ねがある、ちょっとでも答弁漏れがあればすぐまたそこでいろいろ問題が発生するというようなことでございますから、なかなかそれは、正確に内閣として責任を持ってお答えをするということになりますと、やはりそれだけの、福祉から教育から町づくりから、あらゆる話についてお尋ねがあるときに、それに対して責任を持ってお答えをするためには、やはりこれはメモを見ながら読ませていただくということにならざるを得ないのではないか。できるだけそうならないようになれば、それは私としても大変ありがたいことだと思っております。  ただ、私が承知をしておりますところでは、欧米の国々におきましても、公式な場合には、短いものであってもほとんどメモを読んでおられるというのが私は大体の姿ではないかというふうに思っておりますが、今のような規則がどういう趣旨で衆参の規則の中にできてきたのか。欧米の国々にもそういう規則があるということは私も承知はしておりますが、土井議長も国会改革に大変御熱心に取り組んでおられますし、そうした中で、今のようなことも含めて、今後大いに御論議をしていただければありがたいと思っているところでございます。
  279. 志賀節

    ○志賀委員 できればそれにこしたことはないというお話がございましたが、規則である以上はそうしなければいけないんだと私は思い込んでいるのであります。  したがいまして、大変残念でございますが、もう十数年前かと思いますが、読売新聞に出しました私の論文の中にも、今細川総理が言われましたようなことを補うための建設的な意見として、私はこういうことを述べておる。  それはどういうことかというと、例えば本会議で所信表明を述べるとか、あるいは答弁をするとかの場合にも、御存じのとおりあらかじめ所信表明の場合にはアドバンスと称する原稿といいますか印刷物ができますから、あるいはまた質問者質問は受けておいて、それに対する答弁は大体わかっておるわけでありますから、それを別途印刷をしておくなりして、当日傍聴に来る人たちにお渡しするとか、そういうことをする一方において、自分は自分の言葉でしゃべる、自分の意見をしゃべる、役人の原稿を読まない、こういう姿勢をしっかり出すことが大事ではないか、私はこれを既に読売新聞に発表しております。それくらいの建設的な意見を私も吐いておるわけでありますから、どうかこういう点を御理解をいただきたい。  そしてまた、私があえて言わしていただくならば、国会の中継というものは不人気ですよ。あれは演説の方も質問の方も原稿の棒読みだからです。  ところが、この予算委員会というのは比較的人気がございます。それは原稿の棒読みが少ないから。ないとは言いません。過般の予算委員会においても、総理、外相、蔵相の、あれは全部棒読みの朗読でありました。あの報告がそうだったでしょう。ですから、そういうようなことはやっぱりおもしろくないんですね。人々も目を、耳をそばだてない。やっぱり自分の言葉で、自分の声できちっとやらないといかぬと思うのであります。  役人の想定問答集やそれに対する答弁や何かがそのまままかり通るんだったら、国民の血税を使って国会を開く必要はない。そういうものを印刷して政府刊行物センターで売れば事足りるわけでありますから、そういうくらいのことを考えるならば、だんだんには、なに国会開かなくたって、政府刊行物センターで済むんだったら国会要らないじゃないかということまで行ってしまう。それが私は日本の議会政治の基盤を危うくすると思うからこのようなことを言うのでありまして、決して形式主義にのっとってその朗読禁止をとやかく取り上げるわけではございません。  どうか私のそういう感覚を御理解をいただいて、今申し上げたような建設的な意見を大いに発揮しながらやっていただくこと、これを希望するわけでありますが、もう一度御答弁を賜りたいと思います。
  280. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 どうしてこの四十年間そういうことが実現してこなかったのかと、私は率直にそう思っております。そういう国会改革の論議が今まで進んでこなかったということが政治に対する不信を高めてきた一つの大きな要因だと思いますし、おっしゃるように、ここで自由濶達な論議ができるならば、それは私も大賛成である、そ ういうふうに思っているところでございます。  ただ、先ほども申しましたように、先ほどの帰朝報告であるとかそうした公式なものについては、やはり正確さを期すために公式な文書を朗読をさせていただくというのが、やはり私はそれなりにまた一つの理由があるのではないかというふうにも考えているところでございます。  いずれにいたしましても、国会改革の中での重要な論議だと思いますし、十分ひとつ闊達な御論議がなされることを期待をしているところでございます。
  281. 志賀節

    ○志賀委員 次に、山花国務大臣に承りたいのでありますけれども、先ほど来いろいろお話を聞いておりますと、率直に言いまして、社会党の姿勢がよくわからない。要するに、前に言っていたことと今になってやっていること、あるいはやらんとしていることとが大きなそごを来しておる。これでは国民に対して一体、この不信の念を持たれてもやむを得ないと思うのでありますが、やはり私は、こういう機会を得て、恩着せがましいですけれども、山花大臣にもぜひ、国民にそういう誤解ありとせば、それに対しての釈明ができるように承りたいと思うのであります。  私は、雑駁な表現でございますけれども社会党というものは護憲の政党であり、護憲を生命線としてきた政党ではなかろうかと思っているのでありますが、その護憲を質に置いて一党支配打破の名目のもとに改憲と手を組む、こういうことは一体有権者あるいは社会党の支持者はどういう理解をするか、それについて山花大臣の率直な御見解を述べられて、もし世間に誤解ありとせば、その誤解を解かれることを希望いたします。
  282. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 私は、閣僚としてお答えさしていただきますけれども、かって今御指摘のとおり社会党は護憲の党であった、今でも護憲の党であると考えております。  連立政権樹立に当たりましても、連立政権の合意におきまして、この点については明確に主張し、組み込んでいただいたところでありまして、連立政権は我が国憲法の理念及び精神を尊重するということを冒頭書き込んで、以下の政策ができ上がっている次第でございます。  私たちは連立政権ですから、それぞれ成立の経過、組織、運動、政策が違っている政党が一つの大きな目的のために政権を組もう、そして連立政権の合意をつくるということになりますと、党固有の政策、主張というものについては、それを堅持しながらも、しかし連立政権樹立に当たっては、連立政権のための合意に基づいて活動してまいります。  先ほど来御指摘ありましたさまざまなテーマについても、かねてから連立政権の場合には、私たちはこう考えるということについて内外に明らかにしてきているところでございまして、私たちはそうしたかねてからの連合政権構想、連立政権構想に基づいて、私たちの固有の政策は固有の政策としてしっかりとさせながら、しかし今回、政治改革を目的とした新しい政権をつくる、その政権交代を尊重して連立政権に参加した次第でございます。したがって、そこでの閣僚といたしましては、連立政権における合意に基づいた閣議の決定、これを当然尊重して、これから閣僚としての責任を果たしていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  283. 志賀節

    ○志賀委員 今度の選挙戦最中に、私は記憶に間違いかなければ、新聞報道によると、新生党は社会党の左派を切り捨てればというようなことを発表しておられる。そういうことも私は記憶にあるわけでありますけれども、一言で言えば、花もあらしも踏み越えて、そういうことはもうどうでも、ただ内閣をつくればいいんだと、こういうことなのかそれとも何か確たるそこに理念のようなものがあるのかその辺を承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  284. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 選挙に先立ちまして、先ほど御説明した五党の党首会談の合意事項をつくり、そして選挙に突入したわけでありますが、その過程におきまして、今先生御指摘のような発言が新生党の一部の方からあったことについては、私は当時も重大な問題として記憶しているところでございます。  その問題については、その時点で、こういう合意をつくって選挙を協力しようという立場からするならば、間違っているではないかという抗議を私が直接行ったことについても記憶をしているところでございまして、初めての連立政権の合意をつくっての選挙でしたから、その意味におけるそれぞれの成熟されていない対応はありましたけれども、そうした一つ一つの問題についてはきちんと対応してきたということについても御報告をさしていただく次第でございます。
  285. 志賀節

    ○志賀委員 前に、護憲の政党であり、その護憲を内閣の中でもう十分認めてもらっているんだという趣旨のお答えがありましたけれども外務大臣、新生党は私は改憲の政党と理解をしておりますが、間違いでございましたらばお許しをいただき、もし改憲の政党であることが私の理解のとおり正しければ、この護憲と改憲はどのように同一内閣で調和がとれているのかについて承らしていただきたいと思います。
  286. 羽田孜

    羽田国務大臣 私ども、党議で改憲というものを決定したことはございません。ただ私たちは、まさに改憲をすることを党是としておりました自由民主党にあった私は人間であります。  ただ、私がいつも申し上げていることは、憲法についても、やはり時は大きく流れております。そういった中でやはりこういった問題について真っ正面から議論する、この勇気は持たなきゃならぬということを言っております。しかも、この憲法の中には、確かに時代の流れの中で、例えば私学に助成するといいましても、これは憲法違反ですから直接はだめですというようなことがありましたり、いろいろな問題があります。そういう意味で、やはり常に憲法というものは見詰める必要があるだろうし、議論する必要があろうということは私自身が申し上げたことはあります。
  287. 志賀節

    ○志賀委員 政治改革について質問をさせていただきたいと思います。  既にしばしば指摘をされているところでございますけれども、各般の世論調査によりますと、何よりも不況対策を急いでほしいということがまず出てくるわけでありますが、しかし、そのことをさておいて政治改革に絞って言うならば、金権腐敗防止法の制定、あるいはまた、ざる法と言われている政治資金規正法の罰則強化、これをやることが何よりも先行されなければならないのであって、選挙制度の改革などというものはもっともっとランクは下ではないか。これを、なぜ選挙制度の改革というものを先行させるような動きになっておるんだろうと。  しかも、今回の選挙戦の最中、この小選挙区比例代表制をやりますよということは、必ずしも今度の選挙戦のテーマではなかったように私は記憶をいたしておるのでございます。そういうことを言った人もいるかもしらぬけれども、言わなかった人もいる。私自身は、はっきり申し上げると、ただいま申し上げたようなことをはっきり言って、私の公約は金権腐敗防止法の制定と政治資金規正法の罰則強化だ、これはもう活字にもいたしておりますから堂々と申し上げさせていただきたいと思いますが、こういうことをなぜ今急ぐのかそのことについて質問をさせていただきたい。どうか総理からお願いをしたいと思います。
  288. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今委員最初に御指摘の腐敗防止が先ではないかこういう御主張につきましては、長い議論の経過を振り返って御存じのとおり、我々も実はその点を強調してまいりました。  全体としての政治改革を考えるならば、何よりも政治倫理の確立、そして腐敗防止のための諸施策、処罰の強化等が必要であり、国会改革などを行う中で選挙制度についても検討すべきではないか私たちはそう考えてまいりましたが、御記憶のとおりの経過でありまして、ある自民党の大先輩がモグラたたきと、言い得て妙だと思ったわけですが、初め腐敗防止というと選挙制度というご とになり、選挙制度になると腐敗防止ということになって、ついに話が一歩も進まなかったというのがこれまでの経過でございます。  したがって、全体としては一体として行おうということで、さきの百七時間の審議の中、さまざまな話し合いが行われてきたわけでございます。今回も、したがって御指摘のような経過はありますけれども、全体一体として仕上げようということの中から、腐敗防止策につきましても、連座制の強化あるいはその他の諸施策も含めながら、同時に選挙制度の問題についても全体として四法一体にした、こういう経過でございますので、どうぞこの点について御理解いただくようお願いを申し上げる次第でございます。
  289. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今山花大臣からお答えがあったとおりでございますが、今日の政治に対する国民の不信ということのよって来るところを考えますと、やはり選挙制度の問題あるいはまた政治資金規正法のあり方、そうしたものすべてをひっくるめてこの際改革をしていくことがどうしても必要であろう。やはりどちらが先かわかりませんが、車でいえば前輪と後輪に当たるわけでございましょうかそうした一体性のあるものとして、形で成立をさせるということが今日の政治の状況というものを変えていくそのてこになると思っているわけでございまして、そうした意味で、今もお話がありましたように、四法案を一括してぜひ今国会で成立をさせていただきたい、こう申し上げているところでございます。
  290. 志賀節

    ○志賀委員 この小選挙区比例代表制はもう既にいろいろ論議をされてきたことは、私も十分承知しております。既に御存じのように小選挙区、中選挙区、大選挙区全部日本は経験済みでございますから、選挙区制度をいじれば必ず理想的な政治や理想的な政治家ができるというんだったら、今ごろ理想的な政治、理想的な政治家だらけでおかしくないはずでありますが、論より証拠でございます。かてて加えて、小選挙区制はお金が大変かかるということが言われておりまして、実はきょう、同僚の島村宜伸委員がここにおられるわけでありますけれども、私からちょっとエピソードを紹介をさせていただきたい。  昨年の十月であったと思いますけれども、当時、私は自民党の副幹事長で、島村委員は国民運動本部長で、いずれも自民党の役員会の常連出席メンバーでございました。そのとき島村国民運動本部長は、自民党は本気で小選挙区制なんか導入する気なんでしょうかねということを言い出されたわけであります。何を言うのかと思って聞いておりましたところ、私は理想選挙で当選してきている男です。口幅ったいようだけれども、そのとおりなんです。何となれば、私の選挙区、東京十区は非常に人口が多い。当然有権者も多い。この有権者を買収、供応しようといったって、仕立てられるものじゃありません。仮にやったとしても、ごく一部でしょう。そうすると、そのことを残余の人たちが聞いたらば全部敵に回りますから、当選しつこない。だから当然、理想選挙で彼は当選してくるということを言ったわけでございます。私はもっともだと思う。  ところが、これくらい大きな東京十区が小選挙区制になって縮まるとか分割されるとなった場合は、これはもう買収、供応可能であります。したがって、悪知恵の発達している人は、これだけの大きな選挙区だったらこれだけ大きなお金がかかるが、これだけ小さな選挙区になるとこれだけ小さなお金で済むんだというのはあれは大うそだ、逆にこれだけのお金がかかるんですよという、膨大なお金のかかることを彼は指摘をしたのでありますが、これはまことにわかりやすい、名言だと思う。  特に、当時まだ中選挙区中の唯一の小選挙区でありました奄美大島では、既に皆様方のお耳に入っていると思いますが、一人頭五億円から七億円が相場と、これは経費ですよ、そういうことを言われておる。私がエピソードと言ったのはまさにこれなんですが、今度、選挙が終わった後、合区になって、奄美大島は鹿児島一区になりました。ここから当選をしてきた徳田虎雄という代議士がおられる。徳田代議士は前から私は知っているものですから、当選後に、やあどうもおめでとうと、お互いに再選を祝し合って握手をしたのですが、そのときに、志賀さん、中選挙区はいいね、お金がかからなくなってと言いましたよ。これはエピソードですが、実話ですからお伝えしておく。そういうようなことが現実でありまして、こういうことをやっぱり現実の話として知っておかなければいけないと思うのであります。  それから、私はきょう皆さんに、今度の選挙によって私が大変つらい思いをした、その実態から学んだことを御披露申し上げて、皆さんの御意見を徴したいと思うのでありますけれども、まあ名前を言うのは差し控えましょう。ただ、はっきり言うと、これを私はゼネコン主導の土建屋選挙と名づけておりますが、その実態をお聞き願いたい。  ここにペーパーがありますが、私はお見せはいたしません。ただ、差しさわりのないところでお話をいたしておきますと、これはあるゼネコン主導による土建屋選挙をやった人の裏選対の名簿であります。その裏選対の名簿の項目は八つございますが、まず最初に、裏選対の総括責任者、まあ法人ですから名前を言いましょう、鹿島建設、それから選対本部長大成建設、選対副本部長清水建設、同じく間組、同じく大林組、同じく奥村組、同じく、これは地元の最大のゼネコンであります、地元最大のゼネコン、その下に選対委員と称してゼネコンの中の中堅と称せられる人たちの会社の名前が二十数社出ておる。  はっきりここで申し上げておきますが、この実態はどういうことかというと、ゼネコンが、地方の大手の業者、これは各地方にいろいろあります、そこに、おい、今度の選挙はだれそれで行くぞ、こう声をかける。そうすると、おおむねその大手が、はっと二つ返事で言うこと聞く。なぜ言うことを聞くかというと、この地方においては、このといっても日本全国そうですが、公共工事が発注せられるときには、大手のゼネコンと地方の大手とがジョイントベンチャーを二社ないし三社、もっと多いこともありますが、これで組む。ですから、日ごろから地方の大手はゼネコンから憎からず思われていなければ相ならない、そういう仕組みであります。だからおおむね二つ返事。  そうすると、おわかりのとおり、この地方の大手の下には、子請、孫請、ひ孫請、どうかするとひひ孫請ぐらいまである。これが、この地方の大手から食べさせてもらっているという意識がありますから、これも全部言うことを聞く。これで一つの組織がばっちりできるわけであります。  このようなことができ上がっただけでは、驚いていたら、少ない。もっと大変なことは、このゼネコン主導の土建屋選挙には、あと土木建築関係のありとあらゆる関連がこれに蝟集するのであります。例えば大工あるいは左官屋、建具屋はもちろんでありますが、附帯設備工事屋、電気工事屋、それから砕石工場あるいは建設資材屋、そしてまた土砂とか土とか、そういったものを運んでいる運送会社がありますから、この運送会社や土建屋さんが有力ユーザーだということで、自動車販売会社がこれに顔を向けるのです。こういうことで一大すそ野ができまして、私はまだまだ言い足りてませんよ、これで。そういうようなもので、大変なものができ上がるわけでありまして、この選挙をゼネコン主導の土建屋選挙と、こう私も呼ぶし、世間も呼んでおるわけであります。  これを細川総理によく聞いておいていただきたいのは、小選挙区制にした場合に、各選挙区でこれをやらかす手合いは全部当選ですよ。そうでしょう。  これは、あなたのおじい様が大政翼賛会の会長になって翼賛選挙を行った。その翼賛選挙の場合には、大政翼賛会ないし軍閥政治に盾を突いた連中は非推薦で、唯々諾々としてその流れに身を置いていた手合いが推薦候補になったことは歴史が示しております。不肖私の先々代、志賀和多利という代議士は、盾を突いたために非推薦で落選を いたしました。当時、私の尊敬していた三木武夫先生は非推薦ながら当選をしたという実績がある。  私は、この非推薦、推薦のような妙な形が小選挙区制を通じて出てくることを極めて遺憾とし、恐れるものであります。これは議会政治の崩壊につながる。私は、こういうことをやっていいという結論はどこからも引き出せないのであります。  今、この土建屋選挙をなくすことができるという確証があれば、私はある程度聞く耳を持ちましょう。それがどういうことでなくすことができるか、ここではっきりとお答えをいただきたいのであります。
  291. 羽田孜

    羽田国務大臣 私から御答弁するのはどうかと思いますけれども、ただ、私自身この改革議論を自民党の中でずっとやってきた人間です。ただ、そのときに議論したのは、まさに政党、今お話があったように、確かに歴史の中にそういうのはあるでしょう。  しかし、今日、これだけ報道も、あるいは批判する立場の人たちもふえてきた時代、この時代にまた、政権与党なら与党が、野党なら野党、あるいは候補者をぎゅっと縛るなんということは、一切できるものじゃありませんね。もう時代がやはり変わっているということ。それから、そういう時代というものを反省しながら、そんなことはないようにしなきゃいけない。  しかも、私はしみじみと思ったことは、やはり本当の大衆政党にしていかなきゃならぬということ。ということは、要するに地方からだんだん組織が大きくなってくる、そういう中では私はそんなこと起こり得るものではないというふうに思っておりますし、またそのためにも、今の制度でやったとしたら、私はむしろそれが続くということになるだろう。そのためにはやはり変えていく必要があるんじゃないのかなという思いを強くしたことです。  しかも、先ほど志賀委員の方からは、お話の中で、私はこれを堂々と言ってきましたということだったんですけれども、たしか自民党の場合には間違いなく小選挙区を公約されていたというふうに私は思っております。それから、その前のときには小選挙区比例並立て、実はこれは政治改革大綱の中にきちんと書き込んでありました。しかも、この今の金権状況というのを直すためにこれをやるんだということまで実は書いておったわけなんですね。  ですから、そのあたりを、私は別に何もどうこうというんじゃないので、これからやはりそういうことを議論しながら本物のものをつくっていかなきゃならぬと思っているんですけれども、今お話のあったことについて一部だけお答えさせていただきます。
  292. 志賀節

    ○志賀委員 私は今羽田外務大臣答弁を求めたわけではございませんでしたが、そういうことをおっしゃるのであれば、あえて言わしていただければ、私どもは、この自民党の党内でも、土建屋選挙の実態を私がある会合で話をしたときに、相当の人間が、自分もその被害者だということで意思を表明して、私と行動をともにしようではないかということがございまして、これはきれいごとでなくなるものじゃありません。これは決してそうではない。  それから、羽田外務大臣、今まで自民党におられたから御存じのはずでありますが、自民党の党是ともいうべき改憲を否定する護憲派も自民党にはいるんです。事ほどさように幅広い。ですから、私ごときが、小選挙区制を、単純小選挙区制を標榜している中で先ほど申し上げたようなことを言っても、これは党紀違反にはかからないようでありまして、これは、おかげで私は今日このようになっておるわけであります。  でありますから、ただいまのことはただいまのこととして、ただ私が申したいことは、こういうことに歯どめがかからなかったら小選挙区制をやったってだれがついていきますか、だめですよということを言っているんです。私は、これにはどうしても承服ができない。これは翼賛選挙と同じじゃないかと私はあえて言っておるわけであります。どうか私のその言っているところを御理解いただいて、歯どめがきくのかきかないのか、どうやるのか、それをここで聞かせていただかないと、これは話にならぬことだと思いますので、よろしくお願いをいたします。
  293. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今詳しく御説明いただいたような具体的な議論がこの予算委員会で行われているというところに、大変大きな意味があると思っています。  ただ、先生御指摘のとおり、じゃ、一体選挙制度を変えたら大丈夫なのか、保証はというテーマにつきましては、従来はどの選挙制度をとったとしても、議員が考え方を変えなければだめだ、あるいは腐敗防止のための施策が実現していなければだめだ、企業・団体献金についてそこが前進していなければだめだということではなかったでしょうか。それを全部やっていこうということについて、私の後、できれば建設大臣からゼネコンの関係等についてお話しいただきたいと思っておりますけれども、企業・団体献金禁止の問題について一歩踏み出したこと、企業・団体献金、個人とか派閥とか個人の後援会にはできなくなったことをも含め、また資金を透明にする、罰則に対しては連座制を強化したこと、そして違反した場合には処罰も強化し、同時に立候補についての制限も設けたこと、選挙違反についても同様、公民権停止について強化したこと、すべてを総合させてきれいな選挙を実現したい、腐敗をなくす政治改革を実現したい、こうしたセットとして提案しているものであるということについて、ぜひ御理解をいただきたいと思うところでございます。  お話のような選挙の形というものが今最も我々が排除しなければならないテーマであるということについては、この委員会における全体の雰囲気はもう一致したのではないかと思っておりますけれども、そういう方向に向けて、なお今回の法案に加えて必要な具体的な手だてがあった場合には、また議論の場で御提案をいただき、それを実現するという努力もしていかなければならないと思いますが、何はともあれ、今年度中の政治改革の実現、そのことのために我々も全力を尽くしたいと思いますので、どうぞ御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  294. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 今、志賀委員からみずからの体験を通じて非常に深刻なお話がございました。しかし、確かにそういうお話は我々もたくさんお聞きする機会があるし、また我々自身もそういう経験もないわけでないというふうにも思うのであります。  今、ここのところ、ゼネコン絡みの事件が相次いでいて、これについては国民、大変政治に対する不信感を強めているところである。この機会に、本当に建設行政の責任のある者として、一日も早くこの不信感を回復するために努力しなきゃいかぬ、こういうぐあいに思っている気持ちを表明もいたしたいと思う次第でありますが、今政権がかわって、この機会にとにかく政も官も業も力を合わせでこういう長い今までの誤った関係というものを清算しなきゃいかぬ、この機会こそ私はそのチャンスだろうというふうに思っている次第であります。  実は、きょうも午後、某大手ゼネコンの副社長が逮捕された、こういう知らせも受けたところであります。まさしく底知らずの状態になっているわけであって、今委員から御指摘ありました点もよく踏まえながら、私どもこういう実態をなくするために、それぞれの発注者及び受注者のモラルの向上というのももとよりしっかりやらなければならぬことでありますし、同時に制度の問題も真剣に取り組んでまいりたい。殊に、それらの中でもいわゆる入札・契約制度の問題が常にポイントになるところでありますので、私どもといたしましては、中央建設業審議会の中に公共工事に関する特別委員会を設けて、この間来精力的に議論を尽くしているところであります。  そういう中で、一つには、とにかく発注者の恣 意性をなるたけなくしていくという意味からも、この際条件つき一般競争入札の導入を考えてみよう、まずそれを十三事業について試行しようということを決めて、その最初の工事を九月三十日に公告をしたような次第であります。  自治省の方でも、都道府県あるいは政令都市についても同じような大型工事等についての条件つき一般競争入札への試行をやってみようではないかということの指示を出したようでありますから、そういうことを中央地方を通じて、この際全力を挙げて努力してまいりたい。同時に、指名競争入札の部分においても透明性をどう一体今度進めていくかということを、これも全力を挙げて今考えていかなくちゃいけないと思うのです。  例えば、資格審査の面であるとか、あるいは指名審査の面であるとかというような面でも、必ずしもその体制が発注者側にしっかり確立されている、あるいはそれが公表されているという状況が行き届いていないというふうに思っておりますので、全体で約四十七万件も一年間に公共工事があるわけでありますし、しかも、それが三千三百の自治体を含めてやるわけでありますから、大体全工事のうち、件数にして約九割が地方公共団体、金額にして約七割ぐらいということになっております。  多様なそういう実態というものを踏まえながら、そういう実態に立ちながらも、しかし、この際透明性、公正性というものをしっかり確保するということのために、この機会こそ政官業力を合わせて頑張っていかなければいかぬ。今御指摘のような実態を一日も早くなくすように、そういうことが続くようなことであれば、これはもう本当に業界の自殺行為だという気持ちをしっかりお互いに確認し合って、しかも、政権がかわったこの機会にそれを断行していきたい、こういうぐあいに考えている次第でございます。
  295. 志賀節

    ○志賀委員 まことに五十嵐建設大臣のお言葉は心強いきわみでございます。ただ、これはおいそれといくものだとは思っておりません。なかなか長い間の慣行等々がございまして、これは非常にさびがついていて動かないようになっていて、自由に動かぬと思っておりますから、どうかこれは辛抱強く、しかし断固としてやっていただきたいと思うのであります。  特に、いろいろな慣行の中でも、昔の慣行を調べますとくじ引きなんというのがあるのですね。そういうようなことも私は昔の人の知恵であったろうかというようなことも考えますし、それから、企業努力といいますか営業努力というものが完全に無視されて談合でやられてしまうということもありますから、どうかそういう点も十分頭に置いておいていただきたいと思います。  しかし、私は、何よりかにより透明性をこれはつくり出すことだと存じます。特に、先ほど来お話をいたしましたゼネコン主導の土建屋選挙が行われるゆえんは、やはり談合というものがあるため、談合のために天の声が招き出されるため、したがって、天の声を出す人間が結局はその土建屋選挙の恩恵にあずかるということでありまして、現に今、縄を打たれた連中は職務権限があるがゆえに捕まっていると思います。  しかし国会議員の場合は、特に私は大事なことだと思うのは、国会議員は職務権限がないということで逃げる、この点をどのようにかしなければいけないという、この一つの面もあるわけであります。職務権限がないということで、同じことをやっていて、片っ方は恩恵をぬくぬくと享受しておって、片っ方は囹圄に苦しむ、こういうことではおかしいのでありまして、私はこの点をきちんとさせていただきたいと思うのであります。  この点について、もう一度細川首相からお考えをいただきたいと存じます。
  296. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今そのシステムの問題につきましては建設大臣からいろいろお話があったとおりでございます。それはそれとして進めていくことが大事でございますし、また、午前中の質問でございましたかお答えをいたしましたように、何よりもやはりこれは政治に携わる者のモラルの問題が最大の眼目だということを申し上げたところでございますが、そうした観点から、大いに政治に携わる者が自制をしていかなければならない問題であろうというふうに思っております。  ただ、先ほどお話がございました、私もゼネコン主導の土建選挙というものに対して強い懸念を持っておりますが、今までそうした実態というものがかなりかいま見られたということはおっしゃるとおりであろうと思っておりますが、そのよって来るところは何かと申しますと、やはり今の現行中選挙区制度の中でもたらされるところの同士打ちというものが、その同士打ちのコストというものがそういったものを生み出してきた非常に大きな原因であるというふうに、私は認識をいたしております。  今度、それが小選挙区、比例、両方組み合わせた並立制という制度にぜひ変えていきたいということで法案を出させていただいているわけでございますが、この制度の改革によって、今までの個人後援会中心の選挙から、今度は政策本位、政党本位の選挙に変わっていくということになるわけでございますし、またあわせて、先ほど山花大臣からもお答えがございましたように、政治資金法の改正でありますとか、その中で透明性の問題であるとか、あるいは罰則の強化であるとかそういったようなことも盛り込んで提案をさせていただいているわけでございますから、ぜひひとつ御理解をいただいて、御協力をいただければありがたいと思っております。     〔委員長退席、野坂委員長代理着席〕
  297. 志賀節

    ○志賀委員 私は今、どうしてもその中選挙区制と土建屋選挙の出現との関係がわからないのでございますが、ちょっとお答えをいただきたいと思います。  中選挙区制だから土建屋選挙が出てくるんだというふうに今お答えになったと思いますけれども、私は、中選挙区制と土建屋選挙との因果関係がわからないので御説明を願いたい、こう申し上げているのであります。
  298. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今私が申し上げたのは、中選挙区制のもとでは同士打ちになりやすい、どうしてもそういう形になってくる中で、土建屋的な選挙というものが横行をする傾向が出てきてしまう、そのことが問題であるということを申し上げたわけでございます。
  299. 志賀節

    ○志賀委員 私は、今承ったこととは全然違ったことで、小選挙区制になった場合に、土建屋選挙を行うことのできる人間だけが当選をするようになったら問題ではないですか、むしろ、汚濁にまみれ、そういう疑惑に包まれた人間だけが当選する傾向が出てくるということはおかしくありませんかということを今まで再三申し上げてきているのであって、この点を私はむしろお答えを賜りたいのであります。
  300. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今回の選挙制度の改革の最大のポイントの一つは、政党が中心となって政策によって選挙を争う、こうした形で、従来のような形での一つ選挙区から同じ党の人が何人も出る、こういうことはない選挙の体制を予定しています。  したがって、個人の利益培養型選挙、あるいはお話ありましたようなさまざまな利権絡みの選挙の形というものは、今回の政党中心の政策を争う選挙ということになれば、これは少なくなるのではないかというのが当然の考え方ではないか、こういうように思っているところでございます。  もしそうしたことがあるとするならば、断固としてそうした選挙を排するような世論と、そして各党の努力と各議員の努力というものが必要だと思うところでございまして、という意味におきましては、選挙の形としてはそうした利益誘導型、地盤培養型の選挙を排するところに大きなねらいもあるのだということを強調して、先生の言うような形で、そうなったら余計ひどくなるということは全く私どもとしては考えておらないわけでございます。
  301. 志賀節

    ○志賀委員 そういう考え方にのっとるからこう いう危険な小選挙区制を断行したくなってくるんだと思います。私はそう理解せざるを得ない。  それから、私自身もっと申し上げておきたいことは、建設大臣にちょっと耳を拝借しますが、この問題については官と政との癒着、これがあるんだということをしばしば指摘をされておりまして、要するに建設省が政治家の走狗になっておるという声も聞くわけであります。  したがいまして、先ほど申し上げたようなさまざまな手だてを講ずるほかに、官界の方の綱紀の粛正とあわせて、こういうことを絶対させないということをやっていただかないといけないと思うのであります。  そして、この機会にもう一つ建設大臣並びに外務大臣に承っておきたいことは、日米構造協議における談合廃止の方向、新しい入札制度をどうするとかこうするとか言っていることについて、どういうふうになってきておるのかそして日米間はどういう格好になっておるのかについて御説明をいただきたいと思います。
  302. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、先ほどもどなたからかいわゆる官のモラルというお話がございましたが、これももうそのとおりであろうというふうに思います。  ただ、ここしばらく連続して起こっている問題は地方の問題でありますが、これは、首長というのは政でもあり官でもあるというようなトップの立場でありますから、そういう面での問題も一つあるだろうというふうに思います。  建設省がそのようなことがあろうとは思いませんが、しかし、そのような可能性の少しでもないように我々もしっかり指導していきたい、このように思う次第であります。  私も実は就任して最初のとき、約千人ぐらいの職員がお集まりいただいて、そこでのごあいさつを申し上げたのでありますが、本来建設行政というのは非常に明るいダイナミックな仕事で、国民一人一人の夢や願いのようなものをしっかり物につくり上げていくという、それはある意味で非常に楽しい仕事なのでありますが、それが今のようなさまざまな暗いイメージというものがそれを覆っているということは、本当にそれはもう仕事をしている役人の立場でも残念なことであって、我々としては一日も早くそれを振り払って本来の建設行政をしっかり取り戻していきたい。  私はそういう意味では、官の側も、政権が交代して新しい時代に入りながらそういうしっかりした自己改革気持ちを持ちながら今頑張り始めているというふうにも思いますし、ぜひ御指摘のあったようなことを踏まえながら、なお一層努力していきたいと思います。  それからもう一点の日米の問題でありますが、御承知のように、これは昭和六十一年に関西空港プロジェクトの折にアメリカが初めて当時参入を要望をいたしたところでありますが、その後それを広めていきたいという要望は常に来ているわけでありますので、六十三年に、協議の中で、なかなか双方の体制も体質も違うものでありますから、我が国の公共事業等の仕組みに修練してもらうという意味で、当時いわゆるMPAと言われている特例措置というものを設けて、登録だとか指名について特別の措置をいたしまして、当時十七工事について参入できるような仕組みに合意いたしたわけであります。またその後、平成三年であったと思いますが、さらに十七工事、合わせて三十四工事について参加のチャンスを与えまして、約五年間でおよそ千億ぐらいの工事にアメリカ企業が参入している、こういう経過になっているところであります。  それで、この間来、しかしさらにいろんな意見があって、この際いわば枠を取り外せ、あるいは全体の、地方も含めて国の金が出ている事業に関しては一切参入の機会を与えよ、こういうような申し入れ等も来ているところでありまして、我が方としては、この前のハワイ協議につきましても、今我々が条件つき一般競争入札導入への努力などをしている経過をよく説明を申し上げたり、あるいはさまざまな双方の意見の交換をいたしているようなところであります。  この後につきましては、外務省の外交ルートに乗って、御承知のように十一月一日が制裁期限ということになっている一九八八年の取り決め、当時のアメリカ法律に基づいてそういうことにもなっているものでありますから、私どもとしては最大限その努力をしながら早い解決を目指していきたい、こんなふうに考えているところであります。  また、外務省の方からも羽田大臣からの御説明があろうというふうに思います。     〔野坂委員長代理退席、委員長着席〕
  303. 羽田孜

    羽田国務大臣 今建設大臣の方から細かくお答えを申し上げたとおりでありまして、私どもも今率直な意見交換をしておるということであります。  いずれにしましても、この問題につきましてはやはり透明性というものがはっきりするということと、いろいろな今試行の一般競争入札というのですか、これをやろうとされておりますけれども、こういったものなんかについても率直な話し合いの中で物事を進めていこうということで今議論をしているさなかであることだけを申し上げておきたいと思います。
  304. 志賀節

    ○志賀委員 外務大臣、それで先方はどういう雰囲気なんですか。要するに、日本側の申し出ている、今五十嵐大臣の申し出ているようなことでよかろうというのですか、とってもそれじゃまだだめだよというのですか、その辺はちょっと教えていただきたいのですが。
  305. 羽田孜

    羽田国務大臣 今先方の方から議論されている中には、やはり何というのですか、まだ日本の方の理解、そして今、最近いろんな問題が起こっているものですから、こういった問題等なんかもあるんでしょう、もう少し率直な話し合いをしたいということが我々に対して言われておるということでありまして、いずれにしましてもこれから、先方の方も州によってみんな違うのですね、こういったことについても我が方の方からも主張をいたしておりまして、それを今真っ正面からぶつけ合ってお互いに理解を求めるということになろうかと思っております。
  306. 志賀節

    ○志賀委員 次に米のことでちょっと承りたいと思うのでありますが、細川総理がちょっと中座しておられますけれども、まあ伺いますが、新聞報道によると、石田国務大臣はどうもお米の自由化やむなしの含みのある御発言をなさったやに出ておりまして――いや、おっしゃったかどうかは別として、新聞には出ている、事実。それから、畑農林水産大臣はそれにはくみしない立場を表明しておられる。  これは、私どもから見ていると閣内不統一の印象を持つのでありますが、ただ、高度のテクニックとしては、あるいは細川総理大臣が両方にアドバルーンを上げさせているのかなという見方もできるわけでございまして、一体この辺がどのようになっているのかちょっと私も理解に苦しむわけでございますが、この点を、今総理大臣中座中でございますから、お答えできる閣僚にはお答えを賜りたい。よろしくどうぞ。
  307. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま、いわゆるウルグアイ・ラウンドの最終段階を迎えるに当たりまして、米の自由化という問題、国民的な大きな関心事であるわけでございます。そういう中で、御承知のようなこの大凶作によっての緊急輸入の問題等々が出ておりますものですから、種々、失礼ではございますが、一部無責任な報道等々も行われておるわけでございますが、御案内のとおり、細川新内閣発足に当たりましては、八党派における合意事項が文書でも確認をされておりますが、その中には、例外なき関税化につきましてはこれを反対をするということをもうたわれておるわけでございますし、なおまた、再三にわたりましてこの問題は、閣議の中におきましても、あるいは閣僚懇談会の中におきましても、さような意味合いでの意思統一がなされる姿の中で対応が進められておる、こういうことを断言してはばからないわけでございます。
  308. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えをいたします。  新聞の本文を読んでいただければわかると思うのですけれども、見出してはかなり引っぱられた表現になっておりますけれども、この米の自由化の問題については、かつて公明党は確かに部分自由化を申し上げたことがございます。  しかし、これはウルグアイ・ラウンド交渉の中で、前政権がこの私たちの主張は受け入れないということを最終的にはっきりしたわけでございますので、私たちとしては建設的な意見を申し上げたつもりでございますけれども、そういうようなことで、ウルグアイ・ラウンドの議論の対象にならない段階におきまして、この関税化の問題については、国会決議のとおり私たちも明確に反対ということを、いわゆる方針を転換をいたしたわけでございます。例外なき関税化は受け入れることが不可能、またそうあるべきではないということを申し上げたわけでございます。本文にはそのことは明確に出ておるわけでございます。
  309. 志賀節

    ○志賀委員 今細川総理が中座中でございましたのでちょっと質問をはしょったのですが、一つだけ聞かしておいていただきたいことがあります。  それは、この間逮捕されました本間俊太郎宮城県知事、まだ知事でしょうか、彼が、どこの知事だって首長だってやっていることだ、ただ悪質がどうかの差ぐらいなんだというような趣旨の発言があって私も驚いたのでございますけれども、なお、その前でありましたか後でありましたか、武村官房長官は、大変誘惑が多いポストだということを発言しておられる。それらのことを総合して、細川内閣は細川総理並びに武村官房長官、お二方が知事上がりで、そう言っては失礼ですが、元知事でございますから、元知事として、本間知事が言ったようなこと、あるいは細川総理は、武村官房長官が言われた言葉についてのみずからのお考えをこの機会にお聞かせいただきたいと思う次第であります。
  310. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほど何か他の質問の御関連でお答えをしたと思いますが、志賀委員でなかったかもしれません。前の橋本委員だったかどなただったかの御質問だったかもしれませんが、私が二期八年でやめましたのも、もちろん仕事の一区切りがついたということもございますが、知事のポスト、あるいはその他の首長さん方もそうだと思いますが、やはりこれは権力が大変集中しやすいポストでありますし、どうしても長く務めているとそこにボウフラがわいてくるような状態というものがなしとしない。  そういうことを考えますと、そこのところは常に襟を正して考えていくべき課題であろう、そういう思いで、私はそのような決断を私自身でいたしたということでございます。そのことをもってお察しをいただければと考えております。
  311. 武村正義

    ○武村国務大臣 本間さんはまだ二期目で、一年目か二年目ぐらいで……(志賀委員「ですから、今総理がですね、自分は二期……」と呼ぶ)
  312. 山口鶴男

    山口委員長 志賀君。
  313. 志賀節

    ○志賀委員 はい、失礼しました。  今総理は、自分は二期八年とおっしゃいましたか、それでやめたんだ、ボウフラがわいてはいかぬ、こういう趣旨のお話をおっしゃったので、本間さんもまた二期そこそこだったと思うと、こう言ったんでございます。官房長官には、先ほど質問したことでお答えを賜りたいと思います。
  314. 武村正義

    ○武村国務大臣 私は三期弱、十一年半務めましたが、幸い私は一番スタートが土建関係の県政の不祥事件を批判しながら当選するようなことになりましたので、私も平凡な人間でありますから、普通であればそういう誘惑に負けることになったかもしれませんが、幸いそういうスタートであったものですから、まあ三期、一つの姿勢を貫くことができたなと今振り返っております。  先般、記者会見で申し上げたのは、知事もそうでありますが、それでもやはり在任中汚職事件が一度起こりまして、県の課長が逮捕されたことがありまして、絶えず綱紀粛正を職員に呼びかけてまいりました。  数千人の職員がいれば、それは大変ちょっと失礼な言い方ではありましたけれども、これだけ誘惑の多い立場に立っている以上、誘惑というのは、あらゆる法律の許認可を執行しておりますし、また、当時も数千億円の県の予算を執行しておりますし、加えてまた人事その他、そういう権力の仕事にかかわっている以上は、知事、副知事、部長、課長、県の職員全体に対して申し上げたんでありますが、誘惑に負ける人が何人か必ず出てしまう、あるいは、今その一線でふらふらしている職員も何人かいるかもしれぬ。だから、職員を疑うという意味ではないけれども、絶えず一線を越えたか越えそうな職員がこの県庁の中にはいるんだというつもりで総務部長や人事担当者は綱紀粛正に当たってくれということを繰り返し言っておりました。  現にまた、私、ちょっと前の事件でありますが、やはりあるゼネコンがねらった部長が逮捕されて、その逮捕に至る大変微妙ないきさつ、業者がその部長をねらったときに、これなら百人中百人とも誘惑に負けるだろうなというふうな話もつぶさに聞いたこともありまして、そんなことを含めると、そもそも贈収賄罪というのはほぼイコールの罪でありますが、贈賄の側にもっと厳しい罪を科さないとなくならない、そういうことをやればもう十年か二十年指名が停止されて、もう会社はつぶれてしまうぐらいの厳しいそういうルールが引けないだろうかと思ったこともありました。これもしかし、選挙違反と同じようにおとりの心配がありますからそううまくいかないという反論を聞きまして、知事会で一度提案しようと思ったのですが思いとどまったことがありました。  先ほど来先生のお話を伺っておりますと、やはり選挙制度を小選挙区制に変えれば即こういうものはなくなる、あるいは選挙に対する御心配の応援ですね、これがなくなるとは私も思いません。なくするためにはもっと根の深いさまざまな努力をこの選挙制度改革と並行してやっていかなければだめなのかなという思いもございます。ともども知恵を出し合って努力をしていきたいと思う次第であります。
  315. 志賀節

    ○志賀委員 大変私は、今の御答弁には心を打たれるものがございました。どうか何とかその贈賄側にむしろ重くという、そういう姿勢を何らかの形であらわしていただけるような具体策をお願いしたい、このように存ずる次第でございます。  まだまだ御質問申し上げたいことがございますが、ひとつ次に移らしていただきます。  先ほどもございましたが、細川内閣の侵略戦争発言についてでございます。  私は、実は昭和一けたでございまして、ある程度戦前戦後を知っております端境期におります。そういう立場の人間から言わしていただきますと、このアジアに踏み込んできたヨーロッパ勢力というのはたくさんございまして、御存じのとおりアメリカ、イギリス、フランス、ドイツオランダ、スペイン、ポルトガル、こんなところでございましょうか、こういうところがいろいろやっていきました。遠い近いはございますけれども侵略戦争をやられたような歴史を私は教えられました。アヘン戦争などというものも私の耳の底にこびりついております。  諸外国は侵略戦争という発言をしておりませんが、日本総理大臣だけがなぜ侵略戦争の御発言をしたのか、しなければならなかったのかその辺が私は実はよくわかりません。このことによって諸外国からよく思われたいとお思いだったのかどうかこれも私の勘ぐりでございますけれども、しかし、これはげすの勘ぐりかもしれません。しかし問題は、もう少し冷静に、この侵略戦争というものを考える上においては、歴史的なあれこれを徴してみる必要があろうと思います。  今までしばしば言われてきておりますように、東京裁判のパル判事の日本無罪論をお書きになったその根本的な物の見方、あるいはまたマルクス史観によるのでございましょうか、資本主義国家 群が結局は相争うてこの戦争に相なったんだというような物の見方、あるいはまた、これはアメリカ人自身の中にそういう学者がおり、学説がありますけれども、真珠湾はわなであって、日本をおびき出してやったのである、これは私も相当この種の本は読んでおりますから詳しいことは幾らでもお話しできますけれども、そういう議論もあるわけでございます。  そういう中で、とりたてて日本侵略戦争をして申しわけなかった、こういう幾つもの選択肢の中で一つだけをお取り上げになった。そして、よその国々は一向にこのことについては、戦争が終わってから五十年もたってそういうことを表明する国はかってないのに珍しくもおやりになった。これらの事情について、私はいまだに解せませんので、理解をさしていただきたいと存じます。
  316. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そのことにつきましては、けさから何回か申し上げてきたとおりでございます。  私の発言は、過去の我が国行為が多くの国の人々に、多くの人々に多大な悲しみと苦しみを与えてきた、そのことに対して深い反省とおわびの気持ちを持つということが大事なことであろうし、また新たな決意を持って世界の平和のために貢献をしていくということが一つの区切りとして大変大事なことではないか。  もちろん、今お話がございましたように、さまざまな歴史観あるいは世界観をお持ちの方々がおられるであろうと思います。私は率直なそういう気持ちを申し上げたわけでございまして、これはけさも申し上げましたように、橋本委員に対する御答弁でございましたか、申し上げましたように、どこで線を引くかということはなかなか難しい問題であろうけれども、しかし胸に手を当てて考えてみれば思い当たるところがあるのではないか、そのように受けとめているということでございます。
  317. 志賀節

    ○志賀委員 おっしゃっていることは私もわからぬわけではないのです。わからぬわけではないんですが、一国の総理としてお話しになる場合と、一細川護煕として考え、胸中におさめておかれるのとはまた別のように私は思いますので、その点を強く指摘をさせていただく次第でございます。  それから、話が行った来たになりますけれども農林水産大臣にお願いをしておきたいのは、大凶作と言っていいかと思います。私は岩手県でございますから青森よりはややいいかもしれませんが、お話にならない大凶作でございまして、この大凶作を見るにっけても、先ほど御答弁がございました短期的な手当ては、これはもちろん十分を期し、また急がなければいけませんけれども、しかしもう一つ大事なことは、むしろ災いを転じて福となすの気構えで、この機会に足腰の強い立派な日本の農業を創出するための農林水産大臣の御努力、そしてまた農政担当者、一致してこれに汗を流していただきたい。  一方、私ども選挙区に行きまして、その農政担当者と呼吸を合わせて、そして日本の農業が立派に成り立つような努力をいたしたいと思いますので、どうか長期的な展望に立つ、その辺もおさおさ抜かりなく頑張っていただきたい、このように思う次第でございます。これについては御答弁は要りません。よろしくお願いをする次第でございます。  最後一つ質問をさせていただきたいのでございますけれども、この内閣には死刑廃止論の方が相当数おられます。私の記憶に間違いかなければ、社会党の方、それから公明党の石田委員長もそうかと思いますが、それから江田委員長、こういったあたり、あるいはその他おられればお教えをいただきたいと思いますが、私は、今の世界の趨勢の中で先進諸国は挙げて死刑廃止ないし停止国になっておることは、大方は御存じかと思います。この死刑廃止の中で、アメリカの若干の州と日本だけが先進国の中では死刑存置国であります。こういう中にあって細川内閣はこの死刑問題についていかように対処されるか、細川総理御自身のお考えをいただきたいと存じます。
  318. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは法務大臣からお答えをいただいた方が適当かと思いますが、私が承知をしておりますところでは、過去継続的に総理府が行ってきております世論調査におきましても、大体三分の二ぐらいの方々が死刑の存続に賛成をしておられるというふうに承知をいたしております。やはりこれは国民世論の帰趨を見きわめて慎重に判断をしなければならない大きな問題であるというふうに思いますし、そうしたこれからの世論の熟成というものを待って慎重に判断をすべき課題であろうというふうに考えております。
  319. 志賀節

    ○志賀委員 法務大臣、お願いします。
  320. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 死刑制度に反対する御意見が多いということ、閣僚の中にもそういう御意見の方がいらっしゃるということは、私も存じております。ただ、一国の刑政に責任を負います法務大臣といたしましては、死刑制度の存廃の問題につきましては、国民世論に十分配慮しつつ、国家、社会における正義の維持等種々の観点から慎重に検討すべきものと考えております。  ただいま総理から言われましたように、総理府が継続的に行ってまいりました世論調査の結果によりますと、国民の多数は、極度に凶悪な犯罪を犯した者に死刑を科すことを正当であると考え、しかも、死刑に凶悪犯罪抑制の特別な効果があることを信じているものと思われます。この結果はここ三十年余り変わっていないところでありまして、こうした事情にかんがみましても、犯罪の罪質、態様、動機、結果の重大性、被害感情、社会的影響等々を総合勘案いたしまして、その罪責が著しく重い凶悪事犯を犯した者に対しては死刑を科することが必要であると言わざるを得ない、今直ちに死刑を全面的に廃止することは適当でないと法務大臣としては考えております。
  321. 志賀節

    ○志賀委員 私の承知しております限りでは、法務大臣が記者会見で、法務大臣御就任の直後に、直後であるかどうかその辺はよくわかりませんが、死刑廃止を信念として持つ者は法務大臣を受けるべきではないと思うということを言明なさったように私は新聞で見ておるのでございますが、私の理解でございますと、国会が開かれますと、その都度大臣の所管にかかわる役所の法律が改正ないしは新規につくられるわけでございまして、膠着状態には置かれない、必ず変わるのでございます。それの中に、どういうものが変わるか変わらないかは別として、変わる。  でありますから、私は、法律の専門家ともあろう方が、これはおかしなことをおっしゃるものだと。やはり政治というのは、一寸先はやみと言われておりますように、どういうことが起きるかわからない。そういう中で、そういう信念を持っておるやつはこのポストについちゃいかぬよというようなことをおっしゃることについてはどうしても解せないのでありますが、この点をお答えいただきたいと思います。
  322. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 ただいまの点につきまして御答弁させていただきます。  私は、死刑制度の存否の問題とそれから執行の当否の問題と分けて申しておったつもりでございます。  死刑制度というふうなものの存否につきましては、先ほど申しましたように、いろいろ世の中の流れがございますし、それから世論の推移というものもございます。先生のおっしゃいますように、世論の流れが変わり、国民の大部分の者が死刑制度はもはや廃止すべきである、こういうふうな状況に至ったときには、当然立法として死刑を廃止するということについて、私は何ら異論を持っているわけではないのであります。  私が申しましたのは、法務大臣は、御承知のように刑事訴訟法におきまして、死刑の執行は法務大臣の命令をもって行うという現行法があるというところに関連するわけでございまして、死刑制度の存廃の問題と死刑の執行をどうするかという問題とは分けて考えておるわけでございまして、後者に限って申しますならば、裁判が確定した場 合、その執行が厳正に行われなければならないことは法治国家である以上言うまでもないところでございます。確定裁判の執行を漫然と放置することは許されないと考えております。特に死刑の判決は、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対し、裁判所が、犯罪事実の認定はもとより、犯人に有利な情状についても慎重な審理を尽くした上で言い渡すものでございます。  私の友人にも裁判官がたくさんおりますが、やはり裁判をする場合に、死刑を言い渡すということは非常な精神的な闘いの末にするものだということをよく聞いております。そうした慎重な審理を尽くした上で言い渡すものでありますから、その執行命令を発する責務を有する法務大臣といたしましては、そうした裁判所の慎重な判断を尊重しつつ、関係記録を十分精査いたしまして厳正に対処すべきものであり、個人的な感情を差し挟む余地はないと考えておるものでございます。  このような意味におきまして、個人的な感情から死刑の執行をしないという考えの人は法務大臣にはいささか不適任ではないだろうかということを申し上げたわけでございまして、先生がただいま申しましたように、およそ死刑制度を絶対に動かせないというふうに私は考えているわけではございません。  ついででございますが、死刑制度の存廃の問題について申しますと、最終的には、もとより立法機関である国会の御判断にゆだねられたところでございますが、国民世論を十分配慮しつつ、国家社会における正義の維持等種々の観点から慎重に考えるべきものであると考えております。  総理府が、先ほども総理も言及されましたが、継続的に行ってきた世論調査の結果によれば、国民の多数は、極度に凶悪な犯罪を犯した者に死刑を科すことは正当であると考えており、この結果はここ三十年余り変わっていないと承っております。  こうした事情にかんがみましても、もう一度申しますと、犯罪の罪質とか態様、動機、結果の重大性、被害感情、社会的影響等を総合勘案して、罪責が著しく重い凶悪事犯を犯した者に対しては死刑を科することが必要であると思われます。私としては、今直ちに死刑を全面的に廃止することは適当でないと考えております。
  323. 志賀節

    ○志賀委員 どうか、最後にもう一度お願いしておきますが、朗読はおやめいただきたいと思います。大体、洋服を着るときも洋服が体に合わしてくれるんであって、体を洋服に合わせるなんというのはおかしい。でありますから、どうかこの点は規則をひとつ大事にしていただきたいと思います。  もう一つ言わしていただくと、フランスなどは、世論をリードして死刑を廃止をしております。ですから、世論をすべてだとお思いになってはいけない。この点もひとつ諸外国の例を徴していただきたいと思います。  以上で終わります。
  324. 山口鶴男

    山口委員長 これにて志賀君の質疑は終了いたしました。  この際、羽田外務大臣から発言を求められております。外務大臣羽田孜君。
  325. 羽田孜

    羽田国務大臣 ロシア問題について御説明申し上げたいと思いますけれども、十六時三十分ごろ、これは日本時間でありますけれども、戦車の集中砲火、これが始まりまして戦闘が活発化しておるようであります。最高会議の建物は相当被弾しまして、窓ガラスはほとんど割れてしまったということです。  それから、ルツコイ前副大統領ハズブラートフ議長は、最高会議の五階の部屋におられるようであります。これは、銃弾は五階にも今申しましたけれども、お二人とも無事であるということです。これは未確認でございますけれども、最高会議の建物、これは一部が政府側によって奪回されておるということであります。  それから、ルツコイ前副大統領は、十五時二十五分、インターファクス通信の記者を通じまして、エリツィン大統領との交渉を申し出たということであります。しかし、チェルノムイルジン首相は、武器を捨てて最高会議の建物から出てこなければ交渉に応じることはできないということを言っております。  現在、モスクワの情勢は、依然としてロシア軍による最高会議の建物の奪回作戦、これが継続中であるということと、今、ちょうどこの時間でありますけれども、チェルノムイルジン首相が演説を行うということで、今、多分報道されているのじゃなかろうかと思います。  外務省といたしましては、本日、モスクワ市への邦人の当面の間の渡航自粛勧告、これを行ったことを御報告申し上げます。  以上であります。
  326. 山口鶴男

  327. 保利耕輔

    保利委員 ただいま外務大臣から、モスクワにおきます武力衝突のありさまについて御報告がございました。こういうことは、私どもとしては一日も早く平穏に返ってもらいたいと望む気持ちでいっぱいであります。  ところで、戦闘が起きますというと、私が一番恐れますことは人命の損傷でありますが、もう一つは、文化財がなくなってしまうのではないか、破壊されるのではないか。あそこには、ギリシャ正教の寺院でありますとか古いイコンでありますとか、そういうものがいっぱい残っておりますね。そういうものが砲弾を浴びて崩れ去るということは、我々人類にとって非常に大きな損失になる。こういう点からも、武力衝突はできるだけ早くやめてもらいたいという気持ちをまず申し述べたいと思います。  ところで、文化のお話をさせていただきましたので、きょう、私の質問通告では、文化・スポーツについては一番後に持っていっておったわけでありますが、よく考えてみますと、細川内閣におきましては、女性の閣僚がお三方いらっしゃるわけであります。もっと前へ出てきていただいて並んでいただきたいなという気持ちもいたします。  そこで、文化・スポーツ関係の担当大臣を中心にお伺いをいたしたいと思います。私は、ちょっと前でしたけれども、実は経済関係の新聞を読んでおりましたらば、そこにかわいらしいお嬢さんの絵が載っておりまして、おっ、だれかなと思って記事を読んでおりましたらば、何と赤松文部大臣のお嬢様時代の肖像画がそこに載っておったわけであります。もう随分前の肖像画だと思いますが、これ、もし言葉が間違っておりましたらば失礼をいたします。お父様が大変高名な絵かきさんでいらっしゃった、油絵の絵かきさんであった。私のおやじもまた、義理のおやじですけれども、絵かきでありまして、九十五歳の今なお絵をかいておる。そういうことでございますので、共通項があります。そういう意味で、文化を非常に大事にしなければならないなと思っておるわけであります。  実は、きょうはウルグアイ・ラウンド問題に集中をしていろいろ議論をさせていただくつもりでおるわけでありますが、実は、たまたま先々週アメリカに行っておりまして、ワシントンに寄りましたときに、サザーランドさんにお目にかかったわけでありますが、私は、十数年前に訪れましたフリアー美術館というのを訪問をいたしました。そこでは、日本の古美術品がきれいに並べられておる。それだけではない。アジア全体の、東南アジアの、西南アジアの美術品、古いものがたくさん並んでいる。その中を歩いていると、なるほどアジアというものはこういう文化を持っていたのかということがよくわかるようになっておるわけであります。  いろいろ聞いてみますというと、国費も入れてかなりの期間をかけて修理をいたしまして、五年間ばかり閉鎖をしておったそうでありますが、その間に修理をいたしました。アメリカの財政状態、余りよくないと私は聞いておりますが、これだけのことをやはり文化に対してやっておられるのだなということを私はつくづく感心をいたしました。  また、アメリカが持っております古美術品を、一室、大きな明るい部屋で修理をしている部屋がありました。そこにも案内をしていただきましたところ、加藤さんという日本人の方が、一生懸命に狩野芳崖のあの悲母観音という絵の、あの今の美術学校にある、芸術大学にありますのとはまた別ですけれども、全くほとんど同じ、しかも狩野芳崖の真摯、それを一生懸命修理している姿に接したわけであります。これもやはりフリアー美術館が一生懸命やっている仕事の一つでありますし、これは日本アメリカとの協定を結んで、そして古美術品の修理についての、修復についてのいろいろ協定を持ってやっておるわけであります。等々、私は文化についてはやるべきことがたくさんあると思います。もう申し上げたら切りがない。  例えば文化財の、埋蔵されています文化財、文化財包蔵地といっておりますが、日本全国には三十万カ所文化財包蔵地がある、こう言われておるわけでありまして、二千年にもわたって人間が住んでおりましたから、何か掘れば出てくる、まあこういう形でございますが、三十万カ所の文化財包蔵地がある。それの発掘をやっていくためには大変なお金がかかるわけであります。  羽田外務大臣は先ごろ音楽会でタクトを振られまして、私もテレビで見せていただきまして、名指揮者ぶり、やられたわけですね。羽田先生のお隣には細川総理大臣がいらっしゃるし、右には大蔵大臣がいらっしゃる。御自身大蔵大臣だった。やっぱり大蔵省も、藤井大蔵大臣にもお願いをしたいのですが、こういう文化財の保護ということについては、戦争が起こらなくてもだんだんだんだん古くなっていったりなんかするんですから、どうかひとつ頑張ってこの文化財保護に努めていただきたい、あるいは文化政策を振興していただきたいと思います。  そこで、私は文部大臣にお願いをしたいのでありますが、こういった文化政策を推進するということについて決意のほど、また、場合によっては大蔵大臣、総理大臣に対する陳情のほど、ぜひここで言っていただきたい、こう思います。よろしくお願いします。
  328. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 お答えいたします。  大変お励ましをいただきましてまことにありがとうございます。  文化の保護、文化の振興というようなことに関しましては、前政権の先生方の政策、御方針を受け継ぐと申しましても、どちらからも余りおしかりを受けないのではないかと思いますが、私も最初、就任いたしました直後に、文化による国際貢献ということを抱負といいますか夢として申し上げまして、文化による国際貢献ならば世界のどの国からも余り苦情をいただかなくて済むのではないか、ぜひ文化による国際貢献をいたしたいというふうに答えたのを思い出しているわけでございます。  で、先ほどの文化財の保護その他、文化についての予算は、日本というのは、まあ外国といってもいろいろございましょうけれども、たくさんそういうことに予算を使っている国、先ほど先生のお言葉ではアメリカが例に出されましたが、ほかの国にもたくさんあるわけでございますし、そういう国と比べて日本予算はかなり貧しい予算なのではないかという実感をしているわけで、来年度の予算要求におきましては、文化に関してもっとたくさんいただきたいものだと、大蔵大臣、総理大臣にも陳情せよという先生のお励ましてございますから、この席をかりまして希望を申し述べさせていただきます。
  329. 保利耕輔

    保利委員 文部大臣から予算委員会において御陳情があったわけでありますから、重く受けとめていただいて、藤井大臣、よろしくお願いします。  もう一つあるのですが、スポーツ。  藤井大臣は学生時代、キャッチャーとして鳴らされまして、野球の名選手であったわけであります。スポーツの振興については大変御理解があるだろうと私は感じております。  御承知のように、来年は広島アジア大会、きょうは十月四日でありますが、十月二日が開会式の日だと思うのです。ですから、今ごろはもうアジア大会をやっているのです、来年の今ごろですね。再来年は福岡でユニバーシアード大会がある。一九九六年、その次の年はアトランタのオリンピックがある。一九九八年は外務大臣のところで長野の冬季オリンピックがあります。いろいろ着々準備がされていると思うのですが、そうしたいろいろな国際イベントが行われる。まことにうれしいことであります。そこで、やはり日本選手には頑張ってもらいたい、日の丸を上げてもらいたい。日の丸に反対の方はいらっしゃらないと思うのですが、ぜひ日の丸を上げていただきたいと思うのであります。  そこで、やはり日の丸をたくさん上げるためには、設備を整えるだけではなくて、例えばトレーニングをするコーチだとかインストラクターだとか、そういうものを整備をしていく、そういう人的な整備も必要であります。そういうのにまず先立つものはやはりお金だということになるわけでありまして、そういう意味で我が党がスポーツ振興策をまとめました。新たな財源処置についての提言もさせていただいたわけであります。  いろいろ議論があると思うのですけれども、サッカーが今野球をしのぐほどの勢いで人気がある。サッカーくじということがある。中西防衛庁長官は、二〇〇二年のワールドサッカーを誘致しようということで一生懸命大きな旗を振っていらっしゃるわけでありまして、自衛隊の旗を振るのと同時にサッカーの旗も振っていらっしゃる。まことにすばらしいことだと思うのです。ですから、このサッカーくじについてもやはり考えてみる必要があるのじゃないか。何も暗いことだとばかり考えないで、その結果、それからもたらされるいろいろな恩恵というのはあるのです。そして、ヨーロッパでは広く行われているわけです。  私も、かけごとというのは好きじゃありません。おやじの代から余り好きじゃないようですが、おやじはマージャンはやっていたのですが、私はそのマージャンもやらない。パチンコもやりません。そういう男なんですけれども、このサッカーくじはどうしてもスポーツ振興のために入れたい、こう思っておるわけであります。  これは文部大臣所管のもとで、これはスポーツ所管大臣ですから、文化とはまた一味違うことで、決意あるいはお考えをちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。
  330. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 お答え申し上げます。  自民党の体育・スポーツ振興に関するプロジェクトチームから、スポーツ振興施策について本年の五月に非常に貴重な御提言が行われたというふうに承知いたしておりますし、また保利先生がその座長をお務めになって貢献されたというふうに存じております。  スポーツの振興についてお金が必要ということで、これにつきましては文部省もいろいろと施策等努力いたしたいと思いますが、先ほど御指摘のスポーツ振興くじ、いわゆるサッカーくじでございましょうかこれにつきましては、日本オリンピック委員会及び日本体育協会から各党に御要請があったというふうに承っております。現在関係方面で、それぞれの立場で御検討になっているというふうに承知いたしております。  したがいまして、文部省がこれを進めるとかというような立場ではないように存じますが、これらの各方面での検討に当たりまして、射幸心を殊さらあおるようなものでなく、夢や楽しみを買い、スポーツの振興のために寄附もしていただけるというようなものにするような、広く国民の合意が得られるものとして構想されるように期待をいたしております。
  331. 保利耕輔

    保利委員 今、この部屋からも声がかかっておりましたけれども、今度新しい体協の会長には高原須美子さんが御就任になられたわけですね。そして、その体協から出ておりますものは、このサッカーくじを入れてくれという、そういう御陳 情が各党にあったと思うのです。我が党にももちろんありましたし、それからJOCの方からもそういう申し入れはあるわけでありますから、スポーツ振興のためにぜひこれは、全部の党が賛成をしていただければ一番ありがたいですけれども、やりたいものだな、こう思っております。  さて、時間がなくなりますので、ちょっと生臭いお話に入らせていただきます。  まず、米の不作。もう既に大分出ておりますので、私はこの点については一、二問で済まさせていただきますが、米の不作、青森においては三二という非常に低い数字が出ておりますし、また先ほどの農林大臣の御答弁では、さらにそれが下がるであろうというようなことが懸念をされるわけであります。  そこで、これは私は大蔵大臣の御意見をお伺いをしたいんですけれども、共済金の支払いでも、これは不足する分については補正予算を組まなきゃならないんじゃないか。あるいは、これは米だけじゃなくて、義務教育の国庫負担金がありますが、これもこの不景気のあおりで、大阪、愛知、神奈川といったところが、不交付団体から交付団体に変わりましたね。それで数百億の国庫負担金、何とかお払いしなきゃならぬ。そういう状態にあるわけですから、これはいわゆる補正要因として、緊急欠くべからざるものとしてこういったものがあるんじゃないか。  ですから、先ほど農林水産大臣からも、できるだけ早く共済金をお払いをする。といっても、その原資というのはやはり予算でやらなきゃいけませんから、第二次の補正予算というのは早く組まなきやいけないんじゃないかと思うのですが、大蔵大臣には質問通告しておりませんけれども、二次補正について考え方をちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  332. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 まず、共済金でございますけれども、農林大臣が午前中答えられたように、年内と言わず、なるたけ早い時期に払う、完全に払うようにするというお話を受けておりまして、私どもはそれに基づいて何らかの形の財政措置をとる、財政によって支払いがおくれるようなことはしない、これだけはお約束できますが、その技術的な問題については若干お任せをいただきたいと思っております。  補正要因は当然あります。緊急対策の問題もありましょうし、冷害問題についてもございましょう。それらについては、歳入見通しをもう少し見ながらこの国会に提出をいたしたい、このように考えております。
  333. 保利耕輔

    保利委員 できるだけ早くこの補正予算を出していただいて、一日も早く審議に入っていただきたい、そしてできるだけ早くこれが払えるような態勢にする、これは国会としての務めだと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。後輩に当たる主計局長がそこにおりますし、優秀な主計局長とできるだけ早くやるということで詰めていただきたい、こう思うのであります。  次に、先ごろ二十万トンの外国の米を緊急輸入するということがございました。なぜ二十万トンという数字になったのかなというところについては私もよくわかりませんが、報道では十数万トンという数字が出ておった。二十万トンとぽんと出て、ちょっとびっくりしたわけでありますが、それはそれで、必要ならば輸入せざるを得ない状況にあることは我々も認めなければならないと思います。  そして、これは総理大臣もそういうお話をされていたのですが、この緊急輸入とウルグアイ・ラウンドの交渉は別個のものである、切り離すんであるということであったと思いますが、その点については明確に総理大臣、御確認をいただきたいと思うのですが、よろしくお願いします。
  334. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 全くそのとおりでございます。
  335. 保利耕輔

    保利委員 全くそのとおりでありますということでありますから、この緊急輸入がウルグアイ・ラウンド交渉にいささかも影響を与えないような配慮をしていかなければならないと私は思うのであります。  ところで、一つ私が懸念していることがあります。  今ウルグアイ・ラウンド交渉の中ではミニマムアクセスという言葉が出ておりますね。三から五%というのがダンケル・ペーパーに出ている数字でありますが、今我々が輸入をしようとしている二十万トン、あるいはもしかしたら、本当にもしかしたら次にも考えなきゃいけないかもしれない、そういうものがいわゆるミニマムアクセスの実績ということになりはしないか。あるいは、少なくとも、それはきちんと規則上そうではないと言ったとしても、心理的には、日本はこのくらいの米は必要とするじゃないかと世界の輸出国が考えるのはある意味では当然でありますから、ミニマムアクセスの実績、こうあるじゃないかというふうに言われないような交渉方法というのをとっていかなけりゃならないんじゃないかと思うのですが、その点について農林水産大臣はどういうお考えをお持ちか、ちょっとお聞かせください。
  336. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま総理からお答え申し上げましたとおり、緊急避難的な、本年の大凶作を踏まえた措置といいますものは、あくまでも次元の違う、そしてまたウルグアイ・ラウンド問題は、これは貿易ルールの、この違う次元の問題と、完全にこれからでもすべてのエリアの交渉事項の中でその基本的なスタンスはこれはあくまでも堅持していかなければならない、かように私自身もかたく心に決めさせていただいておるわけでございます。  さらにまた、たまたま二十万トンという数字が出たわけでございますが、これは御案内のとおり、いわゆる主食用の米に加工分野、他用途米等々を一部転用をさせていただく。一面におきましては、こういう大凶作でございますから、農家の方々の手取りを一銭でも多くしたい、そういう気持ちも動きましての対応をさせていただいたわけでございますが、その辺の数字がたまたま二十という数字に相なった。いささかミニマムアクセスの三あるいは五というような問題絡みの中に連想されるかもしれませんけれども、全く違った、いわゆる現実対応の、緊急避難的な対応の中から数字が出てまいっておる。年末に向けての、例えばその中にはモチ米もただいま入る可能性があるということでございますので、あくまでも切り離して、別次元の話である、問題である、これらを堅持してまいりたいと存じます。
  337. 保利耕輔

    保利委員 モチ米の問題、今、お正月前に大変大きな需要期が来る、そのときを目指しましてモチ米の産地では一生懸命集荷に励んでいるわけですね。そして需要を満たしていこうとしておりますから、そうした方々のこともよく配慮していただいて、もう入ってきたんだからいいやというような格好にならないように十分御注意をいただきたいと思います。  それから、これはウルグアイ・ラウンド交渉の問題でありますが、十二月十五日にある期限が来るので、それまでに何らかの決断をしなければならないというような記事が時々散見されます。私は、日本政府にはもう決断は必要はないんじゃないかと思うのです。従来からの方針を貫くというその信念があればいいんじゃないかと思っております。ですから、決断というのはマスコミがいわば勝手に書いた言葉かもしれませんけれども、そういう点には十分御注意を払っていただきたいなと思います。  それからいま一点。二十万トンのお米の一部が入ってくると思いますが、それの販売価格というのは日本の米の水準に合わせるのか合わせないのか、ここのところは農林水産大臣からお答えをいただきたいと思います。
  338. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま、いわゆる国民の皆様方に一日たりといえども主食の問題についての御心配をかけてはならない、そういうような意味合いのものを踏まえまして、年末に対する他用途米等々の関連で対応を進めさせていただいておるわ けでございます。  そういうような立場にございまして、この価格の問題等々、ただいまそれぞれ輸出をする可能性のある国々に係官等を派遣いたしまして、実際問題まだ不確定要素が多いわけでございますから、これは、保利委員はこの道の専門家でございまして釈迦に説法でございますが、世界の米の扱い量、貿易分野におきましては千三百万トンぐらいではないかなと、大体お米を使う国々も決まっておる、こういうことを考えますと、これから慎重な対応の中で物事の判断を決めていかなければならない。さような意味合いではいましばらく時間がございますので、その辺を踏まえながら国内の販売価格等々の問題も詰めの作業をやらせていただきたい、かように考えております。
  339. 保利耕輔

    保利委員 加工用米の価格というのがあるわけですね。他用途利用米というものがあります。その水準というのは、日本産の加工用米、他用途利用米の価格があるわけです。輸入価格があります。その輸入価格のままばっと入ってきますと非常に大きな問題が生じますから、この輸入された安いやつは少なくとも国産の加工用米の価格で売るべきではないかなという私の質問でありますので、その点もう一度お答えください。
  340. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 大変失礼しました。  ある意味では当然のことながら、他用途米というものを踏まえた緊急輸入でございますから、その辺のバランスを念頭に置いて対処してまいります。
  341. 保利耕輔

    保利委員 さて、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉、非常に難しい問題がございます。アメリカとECの交渉がまとまるようでまとまらない。一昨年の今ごろでございましたかな、たしかアメリカとヨーロッパがいよいよ話がまとまった、さあどうするというような事態になったこともあります。しかしブレアハウス合意という、そういうものはまだ今でもくすぶってぐずぐずぐずぐずやっている。震源地はフランスかと思いますけれども、粘り強く交渉しているのですね、本当にある意味では、敬意を表さなきゃいかぬなと思っているわけでございますけれども。  ウルグアイ・ラウンド交渉そのものは、十一月十五日までに国別表を提出をしなければならない、提出し直さなければならない。米については関税率をどうするのか、あるいは国内支持の引き下げはどうするのか、輸出補助金はありませんからこれは出さなくていいと思いますが、そういった三点について、国別表というのは書き入れて出さなきゃならないことになっているわけであります。  ところで、実は十一月十五日あるいは十二月十五日というのはどこから来ているかというと、アメリカのファストトラックという制度から来ているわけですね。いわばアメリカの国内事情でこのウルグアイ・ラウンドの国際交渉が左右をされている。ミッテラン大統領は、かつて、話がつかなきゃ引き続いてやったらいいじゃないか、こういうことを言われた。  しかし十二月十五日までに出さないと、アメリカのファストトラック、せっかく延ばしたのに、これ、ぐあいが悪いというアメリカの国内事情がまさにウルグアイ・ラウンド交渉に反映をしているというのであれば、我々だって国内事情はある。国会決議を三回もやっているわけですから、だから絶対だめだという理屈が通らないわけはないと私は思っておるわけであります。それは大統領制と、先ほどもちょっと議論出ておりましたけれども、議院内閣制との違いである。  しかし、これは外務大臣にお尋ねしますけれども、ファストトラック、これは現実にアメリカが力があって、そういうふうな形で進めなければ世界じゅうの話がまとまらないからしようがねえや、こういうふうにのみ込んでしまうのか、それともそこはやはり国際交渉上の大きな問題ですよと言って問題提起をされるか。そこはいかがお考えか、ちょっと御返事をいただきたい。
  342. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいまの保利委員の方からの御指摘は、まさに一つの見識だろうと思っております。  ただ、この十二月十五日という日にちにつきましては、この七月の東京サミット、この経済宣言におきまして確認されております。それから、サザーランド事務局長ですか、この方が貿易交渉委員会、この場におきましても繰り返し述べられているところでありまして、これはウルグアイ・ラウンド参加国の共通の認識となっておるというふうに私ども承知をいたしておるわけであります。  いずれにしましても、我が国としてはこのような認識というものを踏まえながら、ウルグアイ・ラウンドの中で、国会の決議もございますし、それから、先ほど大臣からもそれぞれお答えがありましたし、総理からもお話がございました。そういったものを踏まえて、我が国の実情というものを世界各国にも理解いただきながら、このラウンドの中に反映させていきたい、そのつもりで交渉していきたいというふうに思っております。
  343. 保利耕輔

    保利委員 外務大臣のお答えはよくわかりますけれども、実際世界の流れがそうなっちゃっているんだからしょうがないというふうに受け取れます。  私が質問をしているのは、ファストトラックというアメリカのいわば国内制度に国際交渉そのものが振り回されるのがいいのか悪いのかという点について、それは事実としてそういう確認をしたのは認めざるを得ませんから、それはそれで結構なんですけれども、そこのところにやはり抵抗感というのを持ってもらいたいと私は思っているのです。いかがでしょうか。
  344. 羽田孜

    羽田国務大臣 冒頭に申し上げましたように、保利委員の今の御見解というのは一つの見識であるということを私は申し上げただけでございまして、そういうつもりで、ただアメリカに振り回されるということではなくて、しかし、そうかといって、ただこれを余り延ばすということについては、これは我が国はガットの中で今日まで進めてきている国としてやはりこれを成功させなければならぬということがあろうと思います。  そのことを踏まえながら、しかし、今お話があったように、ただアメリカという大国によって振り回されるのじゃないんだということだけは我々もきちんと認識しながら対応していきたいと思います。
  345. 保利耕輔

    保利委員 これは私の感覚というか私見というか、自分の感じなんですけれども、フランスあたりが執拗に抵抗しているのはそういう点じゃないかと思うのです。  かつて、フランス人ですけれどもドロール委員長は、農業交渉においてアメリカの言いなりになっていたらヨーロッパの三分の一は砂漠になっちゃうと、こう言って心配しておられる、ECの委員長そのものが。そのくらいこの交渉には真剣になっているわけなんですよ。だからこそ、ミッテラン大統領も、話がつかなければ先へ延ばしてやればいいじゃないかというふうに言っている。だから、ファストトラックに振り回されるということは、私どもはやはりこれは遺憾としなければいけないというふうに私は思います。  しかし、現実の流れはそうなっていますから、そしてまた世界の首脳が集まってお決めになったことですから、それはそれでいたし方ないと思います。  そこで、今度は十一月十五日に国別表を提出するという運びになっておりますが、国別表を提出する項目というのは何項目ぐらいあるか、農林大臣お答えになれるかなと思いますが、あるいはほかの方でも結構ですけれども、私の承知しているところでは二十数項目あります。例えばどういうものかといったら、米のほかに麦があります。麦も幾種類かあります。乳製品、これも幾種類かあります。あるいはでん粉があります。今、これからでん粉等の甘味資源作物の価格を決めなければならないという時期になって、非常に微妙な時期だ。でん粉等がある。雑豆、落花生、さらにまたコンニャクまであるわけです。  こういうものについて全部を関税化しないという態度で今までガットの場ではやってきているわ けですよ。そういう広い範囲のものについてどうするか。米を守るためにはほかのものは仕方ないなという形でいくか、それともコンニャクまで我々は命をかけて守るぞと言うか、そういう判断を農林水産省はしなければならないと思います。この点についていかがか、御所見があったらお聞かせください。
  346. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘のとおり、十一月十五日あるいはまた十二月の十五日、ある意味におきましては大変重要な、そしてまた正念場、こういうようにも私自身も受けとめさせていただいておるわけでございます。  ただいま御指摘のございましたとおり、このウルグアイ・ラウンドの問題につきましては、やはり今ECそしてまたアメリカ側のいろいろやりとりが行われておる、あるいはまたECとフランス側のいろいろやりとりを見ておりますと、なかなか日本人の感覚では割り切れないような面もございます。そういうような非常にデリケートな、微妙な段階でございますので、今お話しの相手のあることでもございますから、今この場でどうこうということは確たることは申し上げませんけれども、いわば従来の基本的な姿勢といいますものは堅持をしながら、しかし現実の問題の中ではそれ相応の厳しさを受けとめながら物事の解決を図っていかなければならない。  いささか総論的な、抽象的な対応にはなるわけでございますが、さような十一月十五日が近づきつつある今日の段階でございますので、いろいろ役所の中でも、私自身も考えさせていただいておりますけれども、いましばらく、さような意味合いで時間的な余裕をお与えを願いたいがと考える次第でございます。
  347. 保利耕輔

    保利委員 いささかこんにゃく問答みたいになるのですけれども、従来どおりの方針でやる中にはコンニャクも入っているのか入っていないのか、これを聞こうとしておるわけです。経済局長、ちょっと返事してください。
  348. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 ただいまの関税化対象品目でございますが、米、麦を初め、乳製品、でん粉、それから雑豆、落花生等々でございまして、品目の数え方、いろいろございますが、一応HアンドSの四けたベース、こういうのがガットで数えるルールになっております。これは二十一品目ございます。我々は、これらにつきましてすべて関税化の例外扱いにせよというふうなことを主張しておるわけでございます。これまで提出いたしております国別約束表では、すべて例外にするというふうなことで提出を行っておるわけでございます。  しかしながら、各国とも、アメリカはもちろんでございますが、ECその他の諸国も、包括的関税化には一切例外を設けない、こういうふうな主張を行っておるわけでございますし、またそれが各交渉国の大勢でございます。したがいまして、我が国は大変厳しい状況になってきておるというふうなことでございますが、現在のところ、これを一部に限定しても例外を認めるというふうな考え方はほかの国にまだ出てきてないわけでございます。そういうふうなことで、我々といたしましては、これまでどおりの方針で交渉をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  349. 保利耕輔

    保利委員 交渉してまいりたいというお話であります。交渉を今やっているんだと僕は思いますけれども、そこのところはなかなか言いにくいところだろうと私は思います。  この問題はここまでにいたしておきますが、コンニャクはどうするか、落花生はどうするか、それからでん粉はどうするかそして麦はどうするか、そういうことを一つずつ、十一月十五日までに結論を出して、紙に書いて出さなければいけないんですよ。出さないでもらいたいんです、僕ら。もうそれは書きませんというふうに言っていただくのが一番いいんですが、もう少し時間がありますので、真剣にここのところはよく与党内で論議をされてお決めをいただきたい、こう思う次第であります。  ところで、実は山花大臣にちょっとお伺いをしたいのでありますが、せんだって、まだ委員長であられるときに韓国へおいでになりまして、ほかの問題いろいろあったのですが、米問題では韓国と共闘を組もうじゃないか、共闘というのはちょっと言葉が強過ぎるかもしれませんけれども、一緒にやろうということでお話しになってきたと伺っておりますが、どういうお話をされたのか、ちょっと御披露いただければありがたいと思います。
  350. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 先月の四日、五日、六日と、社会党の当時委員長として、韓国民自党の招待を受け、訪韓をいたしました。  実は、米の問題につきましては、その前の段階から、韓国の要人とお会いして会談する際、何かと話題となったテーマでありましたけれども、今回訪韓した際にも、同じ冷夏の影響ということがありまして、何かと話題になったテーマでもございました。  今回、訪韓に際して、党の農水部会の皆さんから、この問題については韓国の与党、野党の皆さんと、社会党となるか連立与党となるかあるいは超党派となるかということについては今後の問題であるけれども、何かと意見交換をする機会をつくりたい、こうした、いわば伝言を私受けておったものですから、そのことを民自党とのいわゆる政治会談の間の最後にお伝えした次第でございます。  民自党金鍾泌代表委員といたしましては、韓国も大変関心のある問題なので、もしそうした機会があるならば、韓国の与党側においても、たしか農水部会といったと思いますけれども、窓口となって、そういう機会をつくることについて指示をしておきたいというところまでが私の担当したところでございまして、あと党の方のどういう相談になっているかについては今ちょっとここでは正確に御報告できませんが、そうしたやりとりがあったことについて御報告をさせていただきます。
  351. 保利耕輔

    保利委員 国務大臣として韓国を訪問されたのではなくて、社会委員長として訪韓をされ、そういう意見を交換をされたことは大変私は貴重なことだと思います。同じお米を食べる民族、おはしを使う民族ですから、民族同士わかり合って、そして互いに肩を組んでこの問題に対処していくということは大事な姿勢だと思うわけであります。  それは、この問題の所管大臣といたしましては、畑大臣、大変恐縮なんですけれども、韓国とそういう形で手を組んで一緒にウルグアイ・ラウンドの場で頑張ろうよということについては御異存はないでしょうか。
  352. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま山花大臣からお話がございましたとおり、いわば政党レベルでの一つの協調体制、これは私ども政府側の立場におきましてもいわば歓迎をするというような意味合いの中で、物事の推移をこれからも眺めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  353. 保利耕輔

    保利委員 非常に重みのあるお話をしてこられたわけですから、だんだんそういうことが具体化して議員間交流とかそういう形になるし、場合によっては政府間でも手を結んでやるという格好にもなってくるかもしれません。もしそうなって、共闘関係を組めたらそれは結構なことでありますが、片っ方、外交問題からしますと、仮に日本がいろいろなことについて妥協をするとか、そういうときには韓国政府に対してやはり配慮をしなければならないということになってまいりますから、その点については十分お考えおきをいただきたいし、外務大臣もそのことについてはしっかり胸に入れておいていただきたい、このように思います。  それから、先ほど石田大臣からもちょっと御説明があっておりましたけれども、部分自由化という言葉はもうお使いにならないのだろうと思いますけれども、一部報道機関では、いまだ部分自由化ということについて言われていた節があります。  しかし、私は部分自由化という概念そのものが よくわからないのです。細かく詰めていきますと、部分的に自由化するというのは一体どういう概念なんだろうか。しかも、関税化は拒否しつつ部分的に自由化するというのはどうもよくわかりません。私もよくわかりませんからもうこれ以上質問ができませんけれども、疑問を持っているということだけはお伝えを申し上げておきたいと思います。  次に私は、米の輸入問題と国会決議という問題について少しお話をさせていただきたいと思います。  実は、国会決議、三回やっておりますが、最初の国会決議、これは昭和五十五年の四月にやっております。実は、昭和五十五年というのは不作の年なんですが、四月の時点では田植え前ですから、不作か不作でないかわからなかったのですね。何がきっかけになっているかというと、昭和五十四年、前の年ですね、昭和五十四年の十二月二十七日に何が起こったか。  御存じの方いらっしゃると思うのですけれども、昭和五十四年十二月二十七日というのはソ連軍がアフガニスタンに侵攻をした日であります。そして、明けて昭和五十五年の一月四日には、アメリカ政府はソ連に対する小麦の禁輸を言っております。そのときに使われた言葉の中に、緑の武器という言葉が使われているのであります。いかに食糧というのは戦略物資であるか戦略物資たり得るかということをこのことは非常に強く印象づけるものでありました。それで、国会決議の文章の中に「食糧が外交手段に用いられる等こという言葉が一項目入っているのですよ。つまり、アフガニスタンに対するソ連軍の侵入、それから禁輸、そういった問題が引き金となって、もしこんなことがあったら大変だから自給力を強化しなければいけないじゃないかと言って、みんなが賛成をして、これは全会一致で本会議を通っております。参議院においても通っております。そういう国会決議であります。  その後、昭和五十九年と昭和六十三年にそれぞれやっていますが、それぞれ背景があってやっておることであります。五十九年のときは韓国米の輸入に基づくものでありました。それから六十三年の場合は、RMA、アメリカの全米精米業者協会が三〇一条によって日本を訴えるという、そういう問題が起こったときでありました。そういう外からのいろいろな問題に、我々は日本の国民の食糧を守らなければいけないじゃないか、そういう意味国会決議を三度にわたってやっておるわけであります。  そうすると、例えば今回の緊急輸入にいたしましても、国会決議との関連では一体どうなるんだという質問は国民一般から来ると思うのです。ここのところをどうお考えになるのか。いや、国会決議はそれはまあ事と次第によっては、尊重はするけれども、場合によってはやむを得ないじゃないかというのもあるでしょう。しかし、例えば国会決議の中には非核三原則みたいな大変大事な決議もあるわけであります。そういうことを考えてみますと、国会決議というのは守らなければいけない。  かつて私は「羽田外務大臣に命令されまして、国会決議を全部集めると言われたことがあるのです、私は議運の理事でしたから。全部集めたらこんなにたくさんあった。それで先生のところへ持っていったら、うわあ、こんなにあるんじゃ、これは整理し切れないなと言ったのですけれども国会決議ももうそろそろ整理してもいいものがあるかもしれない。記録にとどめて、整理してもいいかもしれない。昔のものを持ってきて、国会決議があるじゃないかと言う。まあ時代とともに変わるわけでありますから。国会決議というものは、何というのですか、それを廃止する手続がないのですね。ですから、いつまでも残っていっちゃう。いつまでもいつまでも残っていっちゃう。  これは実は国会そのものの問題だと思うのです。実はこれは、委員長も笑っておられますけれども委員長も議運を長くやっておられて、その点についてはいろいろ造詣が深いと思っておりますが、土井議長にも御相談をしていただいて、国会決議の整理というのは、これはちょっと本題から離れますけれども、一遍やるべきものじゃないかな、そしてもし本当に必要な決議は改めて再確認の決議なりなんなり、一つにまとめて、やるという必要があるのではないかという感じがいたしております。  大臣方にこれをお伺いするのは、閣僚でありますから、それは国会のこととおっしゃるに決まっていますからそれ以上申しませんが、そういう気持ちがある。しかし、米の国会決議というのは非常に大事だということを逆に言いたいので、これはもう一回再確認をしなければいけないぐらいの気持ちを持っておるということであります。  次に、ウルグアイ・ラウンドの交渉というのは、実は農業交渉だけじゃない、サービス分野においても交渉があるのです。ここのところは非常に難しい問題でして、前にも宮澤内閣のときに私がここで質問をさせていただいた。そして官房長官から、あるお答えをいただいたのがあります。それは、農業というのはウルグアイ・ラウンド交渉の中の一分野にすぎない、もっともっと幅の広い交渉をやっている。  例えば大蔵大臣のところでも、証券だとか金融だとか保険だとかという交渉がサービス貿易の自由化ということで交渉されている。しかし、大蔵省が交渉をやっている内容というのは外務省は余りよく知らないのじゃないか。あるいは知らないとは言えないけれども、やはり大蔵省が専門家としてやっておられるんじゃないか。もう少し悪く言えば、縦割り行政的なウルグアイ・ラウンド交渉が行われていやしないか。その辺について十分検討する必要があるんだろうと思うのです。  御承知のように、EC側のこの交渉の総責任者は、ブリタンさんという副委員長がやっておられますね。その方は全部のこまを自分の下に入れて、これを出すからこれをくれとかいうような格好の交渉ができる体制がとれている。アメリカのUSTRがまさにそれだ。  日本政府は一体それがどういうふうになっているだろう。大蔵大臣もお務めになり、そして私が今農林水産物の貿易対策委員長をさせていただいておりますが、その前任者は羽田孜先生であられたわけでありますが、そういう農業のことについてもお詳しい。また、文化摩擦なんという問題も最近は出てきておりますが、そういう広範な司令官というのは、これは最後総理大臣だと思いますけれども、やはり司令官というのが必要だと思うのですよ、ブリタンとかあるいはカンターさんに相当する。そしてここでは、例えば米はもう必死にやって頑張って、国民の食生活のために頑張った、しかしこれは失ったというものがあってもいたし方ないんじゃないかと思うのです。  それが縦割り行政的になっていますと、日本の強い分野というのは、あるところで妥協しちゃうんですよ。もっとアメリカなりヨーロッパなりをつつけるところがあるはずなんです。つつけるところはどんどんつっついて、相手を参ったと言わせる中で、米を守るあるいは農産物を守る、そういうことをやっていきませんと将来困るんじゃないか、こういう感じがいたしております。  この点については、私は羽田外務大臣に御所見をお伺いし、これは大切なことですから、総理大臣にも御所見をお伺いしたいと思います。
  354. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘がありましたように、まさにこのガットの問題については十五分野という非常に幅広い問題であり、しかも今度の場合には知的所有権ですとかサービスですとか、あるいはルールを、セーフガードの問題ですとか、そういった問題まで幅広く議論されてきた問題です。  ただ問題は、その指揮系統といいますか縦割りの件、その前に申し上げたいのは、どうも日本の中でこれが云々されるときには、何か農業問題、そして米問題というふうに扱われてしまったんですね。相当前から、それだけじゃない、いろんな分野があるんだということを言っておったん ですけれども、なかなかそれが、余りにも報道もなかったということだったんだと思うんですね。そこに何か農業問題に変なふうに追い詰められた、私は、そこに一つの不幸なあれがある。我々日本人として全体でもっと考えなければいかない問題だろうと思います。  そして今御指摘のあった問題につきましては、まさにそれぞれの担当の省、この皆様方が大変苦労されながら交渉に当たってくださっておるわけでありますけれども、しかし、そのときに常に外務省がまさにその中に入りながら調整をしておるというのはもう御案内のとおりでありまして、今後ともやはり、司令塔といってはどうかと思いますけれども、私どもやはり全般をよくにらみながら対応する必要があろうというふうに考えております。
  355. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今外務大臣からお話がございましたように、十五の分野でやっているわけでございますが、ただ、農業は農業の土俵の中でやれ、こういう主張がやはりどうしても強く各国から出てきているわけでございまして、なかなか他の分野と取引をするということは容易なことではなさそうだなというふうに思っております。  さはさりながら、今お話があったことは確かに一つの御見識であると思っておりますが、今現状は、御承知のようにウルグアイ・ラウンド担当閣僚会議というものがあり、あるいはまたウルグアイ・ラウンド担当大使というものを置き、そしてまた私自身も、外務大臣もそうでございますが、私自身もできる限り直接にそれぞれの省庁に指示をしているということでございまして、いよいよこういうせっぱ詰まった状況になってまいりましたから、できる限りそこのところで意思の疎通を欠かないように、十分その辺に意を用いて今後の対策に遺漏なきを期してまいりたいというふうに思っております。
  356. 保利耕輔

    保利委員 ここのところはしっかりやっていただきたいと思います。  外務省は最近こういうパンフレットを出していただいた。「ウルグアイ・ラウンド交渉が重要な七つの理由」というのを挙げておられます。私はこれをさっと見せていただいて、少し物足りなかった。それは確かに、技術的なことはいろいろ書いてありますからそれはいいのですし、また、国民向けのPRですからこれはいい。ウルグアイ・ラウンドは大切だ、大切だということがもうずっと書いてある。これをやらないともう世界じゅうの経済はおかしくなりますよ、おかしくなりますよ。いわば今日本がスティックしているいろいろな、スティックと言っちゃいけない、固執しているいろいろな問題について、これは早く妥協しなさいみたいな感じがちょっとこれは受け取れますよ、この文章は。  だから私は、もっと日本の立場というのをしっかりPRする、そういう資料であってほしい。そしてそれは、全閣僚が理解をした上でそういう文章をつくっていただきたい。それで、外務省がこの問題についてはきちんとした主導権を発揮していただきたい、こう思います。よろしくお願いをいたします。  ちょっと時間がなくなりましたので。農産物の輸入がふえてまいりますと、いろいろな問題が出てまいります。特に、食品の衛生問題、健康に関する問題ですから、非常に大事な問題であります。それがございまして、先日の新聞を見ておりましたら、トウモロコシにカビ毒というのが生える。日本のお米の生産量よりも多いトウモロコシがアメリカから入ってきている。「米国産汚染目立つ」という見出しになっている。非常にゆゆしき問題であります。こういう問題がどんどんどんどんこれからふえてくるのです。減ることはないのです。  しかも外国産のものは、何か問題が発見されてもすぐに問題の震源地にフィードバックすることができません。だんだんだんだん、それは政府でよく検討しましてなんということになるわけでございますから、そこのところは、輸入農産物がふえてきたときのこういった衛生問題については、厚生大臣のお気持ちをお聞かせいただければありがたいと思います。
  357. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 食品の安全に関する問題は、言うまでもなく国民の健康にかかわる重大問題でございますから、私どもといたしましては、既に食品衛生の監視員もこのところ倍ぐらいにふやしまして、検疫所における監視体制というものを強化する体制をとっております。  今御指摘のフモニシンの問題だと思いますが、これは今、動物段階でそういう害が出ております。人体にどういう影響が出るか、今検討をしておりますが、これから御指摘のように輸入食品が非常にふえてまいりますので、厚生省といたしましては、何よりもこの食品の安全性確保、国民の健康を守るという見地から、この監視体制に万全の体制を期してまいりたいと思っております。
  358. 保利耕輔

    保利委員 大変心強い御発言をいただきましてありがとうございました。  実はこれは、細かく話をしておりますともう大変なことですが、先ごろリンゴの問題もありました。リンゴではコドリンガあるいはアメリカリンゴコシンタイ、アメリカリンゴコシンタイという虫ですね、それから火傷病、もう木が赤くなっちゃう、そういうのでリンゴの産地にそれが入ってきましたらリンゴは全部壊滅してしまうという恐ろしい病気ですが、そういうものがアメリカの中にもあるわけですね。そういったことに対しては、やはり日本の検疫体制をしっかりとっておいていただかなければならぬ、こういうふうに思います。  日本人の体質というのは、私は世界各国で見てみますと非常にデリケートな体質を持っていると思うのですよ。そういう意味で、アメリカでいいんだから日本でいいんだ、こういうふうには直接は言えないと思います。そこら辺が非常に大きな問題だと思っておりますので、厚生省におかれましても農林水産省におかれましても、この検疫問題についてはしっかり取り組んでいただきたい、こう思います。  最後、もう時間がありませんので一言だけ申し上げさせていただきます。  私は、産業の空洞化というのがこのごろ言われておる。どうも先ほども出ておりましたが、工場を外地に移すという。どうも農業の空洞化というのが起こりつつあるんではないか。今まさにガラガラといって瓦れきが崩れるような格好で音を立てて崩壊するような兆候があります。これは与党、野党を問わず、やはりこの問題は日本の食糧を守るという意味からいきますと、国民の生命を守るという意味からいきますと、絶対にこの農業の空洞化というのは避けなければならない、そして農業就業者というのが希望を持って働けるようにしなければならないと思います。  私の地元に山下惣一さんという農業者であり農協理事であり、そして農民作家である方がいらっしゃるのです。この間、ある経済雑誌を読んでおりましたら、「私はなぜ農業に見切りをつけたか」ということで文章を書いておられるんです。非常におもしろいんですけれども、おもしろいで済まされない。それは、その山下惣一氏そのものは農業を今も続けておられます。しかし息子さんが、せっかく七年間後継ぎとして修業をしたその息子さんが農業から離れちゃった、そのことについて奥さんといろいろ論議をしている。家庭内のいろんなことですからね、農民作家ですからおもしろく書いてあるわけであります。  ちょっと御紹介をいたしますと、子供が農業から離れた。「冗談ではなしにこれはいいものだ。いや、じつにいい。子供は子供で生きている、という安心感がある。一緒にいれば、やれ、嫁が朝起きないの、仕事の段取りが悪いの、のろいの、どうのこうのと心がわずらわしいが、それもない。」別居しちゃったから。「なにより、将来への不安がない。まるで、農民いびりのごときマスコミの農業批判や自由化問題に一喜一憂することもなく、「ま、いいや、好きにしてくれ、わしらどんな時代がきても家族が食べる分だけは作りつづけるでな、あんたらのことは知らんわ」と開き直 れるのである。」農民の心情の一端を出していますよ。もう都会の皆さんが、まあ輸入食品がいいと言うんだったらどうぞやりなさい、自分たちは自分たちでいい米つくって食べるから、こういうことなんです。こうなっちゃいけないのですな。  息子はなぜ離れたかというと、実は直接にはオレンジの果汁が輸入されてくるようになった、そのことが直接原因なんですが、それで山下惣一氏はブラジルへこれを見に行ったのです、ブラジルのオレンジの栽培状態を。それで、ああこれはいかぬわ、もう日本で細々とミカンつくっていたってこれはどうにもなるもんじゃない、もうミカンやめた、と息子が判断をした、それは正しかったんだろうか正しくなかったんだろうか、こういうことを言っていらっしゃいます。  農業の空洞化というものはこういう形で、あるいはほかにもあるでしょうけれども、起こっていく。そういうことは食いとめていかないと、日本の将来、国民の皆さん、もう広く記者の皆さんやなんかも皆さんそうですけれども、食糧で困る時代が、緑の兵器を使われたらこれは困るんですから、そういうことにならないように、今ウルグアイ・ラウンドの場でしっかり日本の主張をしていただかなきゃならないだろう、私はそう思いますので、政府がかわってもこのことについてはもう一致して日本の国益を守る観点からぜひ頑張っていただきたい。このことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  359. 山口鶴男

    山口委員長 これにて保利君の質疑は終了いたしました。  この際、羽田外務大臣から発言を求められております。外務大臣羽田孜君。
  360. 羽田孜

    羽田国務大臣 ロシア情勢について申し上げます。  六時十分、オスタンキノ・テレビ、これはロシアの国営テレビでありますけれども我が国の方で聴取して、これを訳したというものであります。  チェルノムィルジン首相はルツコイ前副大統領に対しまして無条件降伏を要求、要求をのめば命の安全は保証、その場合には白旗を上げて出てくるように指示したということであります。それから、ルツコイは右要求をのんだ模様。ルツコイは政府側に射撃の停止を求める。  それから、日本時間の午後四時二十分でありますけれども、最高会議側から女性と子供を解放するための射撃の停止を申し入れ、右申し入れは受諾されたということであります。また、戦闘は今も続いておるということです。  それから、最高会議の建物に現在白旗があるんだそうです。政府側はその意味について確認中ということであります。  なお、交通機関は正常に機能、温水供給も問題なし、航空路線も運航、地下鉄はバリカードナヤを除いてすべての駅が機能しておるということであります。  以上であります。
  361. 山口鶴男

    山口委員長 次回は、明五日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十分散会