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山本(有)
委員 大変たくさんの
方々が関与され、また被疑者になったり被告になったりしているわけでありますが、地方公共団体の首長さんと公共事業というのは切っても切れない問題でございます。特に我が国はヨーロッパ諸国に比べまして社会資本の整備が非常におくれております。
経済力は世界のトップクラスでありますけれ
ども、
国民生活というのは第三等国にふさわしい、そんなものでございまして、これを生活も一流にするためには、どうしても橋や道路やあるいは下水や公園というものを充実していかなければなりません。そうすると、地方公共団体が勢いいろいろな形で公共事業を発注するわけでありますが、その発注の段階でこうした疑惑が起こるということ自体が、もう国家の機能が麻痺している。そして、国家自体に対して
国民がなお政治不信プラスそういったすべてのこと、地方公共団体まですべて政治のセの字がつけば全部疑ってかかるというような末期的、世紀末的な現象になろうというように思います。
そこで、何とかしなければならぬという
気持ちはお互いでございます。私
どももそうであります。私もいろいろ調べてみますと、三段階ぐらいやはり改革の要があるのではないか。
第一番目は、指名競争入札というもの自体を変えていく必要があるだろうというようにも思いました。しかし、イギリスで指名競争入札を以前廃止して、
一般契約、
一般競争入札にしてみた。しかし、一九六二年から、もうこれは
一般競争では維持できないということで、また指名に返ったわけでありますが、
一般競争にすると、やはり大きい資本の方が小さい資本を食っていくといういわば資本の論理がありますし、また、ともかく公共事業であればなかなか発注手続に手間がかかる。二百社も三百社も来るというようなことをだれがするかというのは、なかなか手間がかかるというようなことで、どうもなじまないようでございます。しかし、指名競争自体に改善の余地があるということが一つ。
もう一つが、これが談合にメスを入れる。これはもっと検察、警察で捜査の手を厳重に入れていただきたいし、公取もそのことを
考えていただきたい。これが第二段階。
問題点は、第三段階であろうと思います。第三段階が、いわゆる公共事業、地方の首長さんの携わることでございますけれ
ども、刑事
局長さんに次にお伺いしたいところでございますが、公共事業というのは大体年間二十四兆円あるそうでございます。国発注分がその二分の一で十二兆円、地方発注分がその二分の一で十二兆円、大量な公共事業が地方に出されております。
また、それほど大きなこんないわゆる土木建設工事でありますけれ
ども、さてその中で特にわいろに使われるのが使途不明金というものでございまして、この使途不明金は、去年一年間で五百五十八億円、うち建設業界が三百八十二億円、六八%が建設業界に絡む使途不明金である。何でこんなに使途不明金が建設業界に多いのかと調べてみますと、現地発注、単品生産、さらに請負の片務性、さらに請負契約者が零細である。もっと聞いてみますと、近隣の騒音対策だとか用地買収等々にどうしても不正なお金を使わざるを得ない。契約のお金はいただくけれ
ども、用地のお金は、公共事業ではこれ以上では買えない。したがって、何らかの形でお金を出していったりというような無理をさんざんしているということがよくわかりました。
さらにもう一つ、業界の特殊性がありました。市場性が極めて不足しております。発注する仙台市というのは一つであり、宮城県というのは一つであって、ところが業者というのは何百というような業者がございます。そういうようなことから、市場性がない、出血受注をする、そして工期を守らなければならぬ、クレーム処理にお金が要る、そして買い手独占市場というようなことから、業界は青息吐息である。そんな中で選挙が行われるわけです。
三千三百の地方公共団体、市町村、全部選挙が行われております。そういうときに、脆弱な業者が何とかして工事が欲しい、そして営業努力をしていってもらうわけでありますけれ
ども、指名に入れてもらわなければならぬ。指名に入れていただくことが最初であるとするならば、選挙のときに手伝ったらどうか、こういう営業努力につながってくるわけであります。
それでは、選挙のときに手伝いましょう。人を応援して、例えば私だったら
山本有二をよろしくとどんどん宣伝してくれる。そして、それがひいては企業の存亡につながってくる。公共事業だけで食っている、あるいは公共事業で会社の従業員の一人分、二人分出てくる、こういうことになりますと、どうしてもとりたい、こういうのが人情でございます。こういったことが業者側の論理。そして、例えば市長さんの論理であるならば、これまた、さあ、おれは市長選挙に出た、勝たなければならぬ、勝つためにはポスターも要る、電話も引かなければいかぬ、事務所もつくらなければいかぬ、そういうことを
考えたときに、政治献金をもらう。献金だけで済めばいいけれ
ども、業者としては、その応援する市長さんが負けたならば食いっぱぐれ、指名から外れる。勝ったならば、指名に入れてもらって公共事業が入るかもしれない。生殺与奪、企業存亡をかけ、また当落を
考えて、どうしてもそこに一つの大きな大きな業界体質と選挙というものの特質と日本人の精神構造、意識構造、社会風潮、そういったものが一緒になって、いわゆる業者と政界の癒着という問題が出てこざるを得ないという問題があろうかと思います。
そういうことに対して、もし警察、検察が三千三百の市町村長さんを克明に、選挙のときからだれが応援した、選挙のときからどういう政治資金が入った、選挙のときからどうしたということを、そしてさらにその当選後どこにどういう発注があったか全部調べ上げることになりますと、例えば私は選挙運動のお手伝いをした、ビラを配った、これはやはり便宜供与ですよ。そういうことを
考えてみますと、全部の選挙をやったところ、発注をしたところは疑いがかかってくるというように思います。疑いがかかる、さらにそのことを晴らしたい、しかし選挙には勝たなければならぬ、企業は存続させなければならぬ、こんな風潮、今はゼネコン疑惑というのは大手建設会社だけで、ゼネコンと言われるところだけでやっているわけでありますけれ
ども、この日本列島すべてそんな首長選挙がやられているとするならば、これはひいては小さな、中のゼネコン疑惑、小のゼネコン疑惑、いつまでもいつまでもこれに検察がかかずらわっていなければならぬということにもなるわけであります。
こういった点、ゼネコン疑惑、特にこういう発注、受注の問題に関して捜査のメスを入れるところの基準、あるいは、ではどこまでがその疑惑として立件すべきなのか、可罰性があるのか、被疑事実があると認定するのか、そんな点がありましたら、こういう事情の中での日本の業界でありますから、ひとつ区切りがあるならば、それについて一つの刑事
局長の御意見等があればお願いをしたいと思います。