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1993-12-07 第128回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成五年九月十七日)(金曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 粟屋 敏信君    理事 小坂 憲次君 理事 平林 鴻三君    理事 古屋 圭司君 理事 穂積 良行君    理事 北沢 清功君 理事 井奥 貞雄君    理事 山名 靖英君 理事 今井  宏君       石橋 一弥君    金子原二郎君       後藤田正晴君    佐藤 剛男君       谷  洋一君    中馬 弘毅君       西田  司君    蓮実  進君       平泉  渉君    池田 隆一君       小林  守君    畠山健治郎君       吉岡 賢治君    吹田  愰君       吉田 公一君    長内 順一君       佐藤 茂樹君    石田 勝之君       山崎広太郎君    神田  厚君       穀田 恵二君 ――――――――――――――――――――― 平成五年十二月七日(火曜日)     午後六時一分開議 出席委員   委員長 粟屋 敏信君    理事 小坂 憲次君 理事 平林 鴻三君    理事 古屋 圭司君 理事 穂積 良行君    理事 北沢 清功君 理事 井奥 貞雄君    理事 今井  宏君 理事 山名 靖英君       石橋 一弥君    金子原二郎君       佐藤 剛男君    谷  洋一君       中馬 弘毅君    西田  司君       蓮実  進君    山本 公一君       池田 隆一君    小林  守君       畠山健治郎君    吉岡 賢治君       吉田公一君     石田 勝之君       山崎広太郎君    長内 順一君       佐藤 茂樹君    神田  厚君       穀田 恵二君  出席国務大臣        自 治 大 臣  佐藤 観樹君  出席政府委員         自治大臣官房長  遠藤 安彦君        自治省行政局長  吉田 弘正君        自治省行政局選  佐野 徹治君        挙部長        自治省財政局長  湯浅 利夫君        自治省税務局長  滝   実君        消防庁長官    紀内 隆宏君  委員外出席者        建設大臣官房地  中山 啓一君        方厚生課長        自治省行政局公  鈴木 正明君        務員部長        地方行政委員会  前川 尚美君        調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十日  辞任       補欠選任   後藤田正晴君     亀井  善之君   佐藤 剛男君     三ッ林弥太郎君   蓮実  進君     岸本  光造君   吉岡 賢治君     土肥  隆一君 同日  辞任        補欠選任   亀井  善之君     後藤田正晴君   岸本  光造君     蓮実  進君   三ッ林弥太郎君     佐藤 剛男君   土肥  隆一君     吉岡 賢治君 同月二十一日  辞任        補欠選任    石田 勝之君     園田 博之君 同日 辞任       補欠選任    園田 博之君     石田 勝之君 十二月一日 辞任       補欠選任    後藤田正晴君     川崎 二郎君 同月三日 辞任       補欠選任    川崎 二郎君     栗原 裕康君 同月七日  辞任        補欠選任    栗原 裕康君     山本 公一君 同日 辞任        補欠選任    山本 公一君     栗原 裕康君     ――――――――――――― 十一月三十日  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一八号) 十月十九日  固定資産税大幅減税に関する請願東中光雄  君紹介)(第二九四号)  同(藤田スミ紹介)(第二九五号)  同(正森成二君紹介)(第二九六号)  同(吉井英勝紹介)(第二九七号) 同月二十六日  固定資産税大幅減税に関する請願穀田恵二  君紹介)(第四五八号)  同(矢島恒夫紹介)(第四五九号) 十一月二日  固定資産税大幅減税に関する請願古堅実吉  君紹介)(第五六一号)  同(岩佐恵美紹介)(第六一〇号)  同(穀田恵二紹介)(第六一号)  同(佐々木陸海紹介)(第六一二号)  同(志位和夫紹介)(第六一二号)  同(寺前巖紹介)(第六一四号)  同(中島武敏紹介)(第六一五号)  同(東中光雄紹介)(第六一六号)  同(不破哲三紹介)(第六一七号)  同(藤田スミ紹介)(第六一八号)  同(古堅実吉紹介)(第六一九号)  同(正森成二君紹介)(第六二〇号)  同(松本善明紹介)(第六二一号)  同(矢島恒夫紹介)(第六二二号)  同(山原健二郎紹介)(第六二三号)  同(吉井英勝紹介)(第六二四号) 同月九日  固定資産税評価替え反対に関する請願岩佐恵  美君紹介)(第七七四号)  同(穀田恵二紹介)(第七七五号)  同(佐々木陸海紹介)(第七七六号)  同(志位和夫紹介)(第七七七号)  同(寺前巖紹介)(第七七八号)  同(中島武敏紹介)(第七七九号)  同(東中光雄紹介)(第七八〇号)  同(不破哲三紹介)(第七八一号)  同(藤田スミ紹介)(第七八二号)  同(古堅実吉紹介)(第七八三号)  同(正森成二君紹介)(第七八四号)  同(松本善明紹介)(第七八五号)  同(矢島恒夫紹介)(第七八六号)  同(山原健二郎紹介)(第七八七号)  同(吉井英勝紹介)(第七八八号)  固定資産税大幅減税に関する請願穀田恵二  君紹介)(第七八九号) 同月十六日  固定資産税大幅減税に関する請願岩佐恵美  君紹介)(第九八六号) 同(穀田恵二紹介)(第九八七号) 同(佐々木陸海紹介)(第九八八号) 同(志位和夫紹介)(第九八九号) 同(寺前巖紹介)(第九九〇号) 同(中島武敏紹介)(第九九一号) 同(東中光雄紹介)(第九九二号) 同(不破哲三紹介)(第九九三号) 同(藤田スミ紹介)(第九九四号) 同(古堅実吉紹介)(第九九五号) 同(正森成二君紹介)(第九九六号) 同(松本善明紹介)(第九九七号) 同(矢島恒夫紹介)(第九九八号) 同(山原健二郎紹介)(第九九九号) 同(吉井英勝紹介)(第一〇〇〇号) 同(穀田恵二紹介)(第一〇七八号) 同(古堅実吉紹介)(第一〇七九号) 地方財政充実強化に関する請願桜井新君紹 介)(第一〇〇一号) 同月十九日 地方公務員共済遺族年金見直しに関する請願  (今村修紹介)(第一三二〇号) 同月二十四日  固定資産税大幅減税に関する請願佐々木陸 海君紹介)(第一四三六号)  同(古堅実吉紹介)(第一四三七号) 同月三十日  固定資産税大幅減税に関する請願中島武敏  君紹介)(第一六七六号)  同(松本善明紹介)(第一六七七号) 十二月二日  固定資産税大幅減税に関する請願東中光雄  君紹介)(第一九四二号) 同月三日  固定資産税大幅減税に関する請願穀田恵二  君紹介)(第二四二〇号)  同(穀田恵二紹介)(第二五六二号) 同月七日  地方公務員共済遺族年金見直しに関する請願  (伊吹文明紹介)(第三一八一号)  同(小宮山重四郎紹介)(第三一八二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月八日  国庫補助負担率恒久化に伴う地方財政措置に  関する陳情書  (第六号)  地方交付税総額安定的確保に関する陳情書  (第七号)  固定資産税評価替えに関する陳情書  (第八号) 十一月八日  坂本弁護士一家行方不明事件厳正・迅速な捜  査に関する陳情書  (第八九号) 十二月三日  廃棄物処理民間委託業務競争入札における最  低制限価格制度の採用に関する陳情書  (第一三七号  )  北海道函館林務署の組織・機構に関する陳情書  (第一三八号)  地方交付税確保に関する陳情書  (第一  三九号)  固定資産税評価額算定基礎とする税の軽減に  関する陳情書外一件  (第一四〇号)  広域捜査体制の整備に関する陳情書外一件  (第一四一号)  坂本弁護士一家拉致事件厳正・迅速な捜査に  関する陳情書  (第一四二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一八号)      ――――◇―――――
  2. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国政に関する調査を行うため、本会期中  地方自治に関する事項  地方財政に関する事項  警察に関する事項  消防に関する事項以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 粟屋敏信

    粟屋委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  4. 粟屋敏信

    粟屋委員長 次に、内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。佐藤自治大臣。     ―――――――――――――  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由と一その趣旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算により平成年度分の地方交付税が一兆六千六百七十五億二千万円減少することとなりますが、地方財政状況にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税総額確保する必要があります。このため、交付税特別会計借入金を一兆六千六百七十五億二千万円増額し、この額については、平成年度から平成十二年度までの各年度において償還することといたしたいのであります。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  6. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穂積良行君。
  8. 穂積良行

    穂積委員 佐藤大臣は、自治大臣におなりになって、政治改革特別委員会で大奮闘をされてこられました。大変敬服の至りでございます。その政治改革関連法案帰趨がどうなるかは参議院の審議を待たなければなりませんけれども、その審議にも御苦労なさると思います。  ところで、先ほど私は衆議院予算委員会を暫時傍聴しておりましたけれども大臣もう御承知のとおり、きょうは、ウルグアイ・ラウンドの中で我が国の米の自由化をするのかしないのか、大問題が予算委員会議論されております。  私はっくづく思うのですけれども、今の政治課題国民生活に一番影響の大きい大事な話は、これはもちろん現在の長期不況、特に最近深刻化している景気状況であります。そう思います。ある人は、これは平成恐慌という言葉を使ってもいいんではないかというふうにまで言われております。株価の下落その他、そういう中で国内の企業も大変苦労しておりますし、特にその中で中小企業は、どうやって経営を維持していくのか従業員に安定した職場を提供していくのかということで苦労しているという状況であります。  この不況に対する景気対策をしっかりと国も十分配慮して政治を進めなければならないということは最大の課題でありますが、そういう中での今回の補正予算審議であります。  私ども地方行政委員会は、この補正予算を裏づける地方交付税法等の一部改正法審議ということで、私どもの任務を全うしなければならないと思いますが、これは、当初見込んだ歳入がこうした景気の中で大幅に見込みが狂ってしまった。それで国税の減収に運動する地方交付税の減、一兆六千六百七十五億二千万円というような状況が見込まれる中で、これをどう始末するのだということでありますから、これは当然、交付税特別会計関係借入金として補てんするということ、あるいはその特別会計借入金の利子を国の負担とするというようなことはやらなければならないという意味では、私ども野党自民党としても事務的に当然のことだと思っておりますし、そのためのこの法改正は、それ自体としてはやむを得ざる措置だと思っている次第でございます。冒頭に私ども姿勢を申し上げる次第であります。  ところで、きょうはそうした法律改正をやると促しても、先ほど来申し上げております現下の景気状況に対して、本当にこの補正予算が適切なる対応措置を盛り込んでやっているかということになりますと、私どもは甚だこれは疑問に思わざるを得ないということで、政府提出した補正予算に対しましては、私ども自民党は、深刻な景気対策としていろいろやるべきことを組み替え要求として予算委員会の方で既に提出する運びとしております。  その要求に対して政府側はどのようにこれを受けとめて、現在の補正予算についてそうした私ども要求を受けとめた措置を二言うなれば、組み替えをするということを考えているかどうか、まずそれを大臣にお伺いしたいと思います。
  9. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今穂積委墓言われましたように、我が国経済状況というのはかってない厳しさの中にあると思っております。私もかなり経済問題、長くおつき合いをさせていただいたわけでございますが、合いい指標というのは住宅そして公共事業の執行というのがいい線でございまして、あと個人消費も御承知のとおり低迷をしている、あるいは設備投資も出てこないという状況でございまして、いわば、山高ければ谷深しという状況が今の日本経済状況ではないかと思っております。そういった中で、例えば設備投資なんかでも投資減税をしたり、いろいろな手は打っておるわけでございますが、残念ながらなかなか、谷深しの方に今引っ張られておる状況だと思っております。そういった中で、野党第一党の、かつて三十八年間日本経済日本政治を経営してこられた自民党さんの意見は私たちも素直に、謙虚に受けなければいかぬと思っております。  ただ、やはりいろいろな意味での制約がございまして、国も、今度の補正予算が終わりますと百八十八兆の国債残高を持ち、地方も、御承知のように、これが終わりますと、平成年度が終わるときが八十八兆でございます。約二・六年分の借入金残高を持つわけであります。国は約三・一年分ぐらいになりましょうか。こういった財政規模を考えてまいりますと、国債発行による、あるいは地方債発行によるところの経済の立て直しといっても、やはり後年度負担を考えますとおのずと限界が単年度としてはあるのではないだろうかという面におきまして、謙虚にいろいろな意見をお伺いすることについては私もやぶさかではございませんが、大体財政規模からいいまして、我々が出しましたものぐらいが、後のことを考えましても限界ではないか、こういうふうに考えております。
  10. 穂積良行

    穂積委員 補正予算の中で一つ分野を占めているのは、現在の農家状況、御承知のとおり、ことしはもう例のない大凶作に見舞われて、農業共済金支払いによって当面の生計を維持し、来年以降の農業生産の継続を確保するということが課題になっておりまして、その農業共済金を支払う原資として補正予算措置しなければならない、こういうような状況になっておるわけであります。  それで、農家の熱い期待からしますと、とにもかくにも早く年内に、被害に応じた共済金支払いを受けたい、こういう切なる要望がありまして、これは農林水産省を初め関係当局努力をいただいて、農家要望にこたえていく措置をとらなければならないと私どもも思っております。そういう意味では、補正予算をできれば早く、その点での措置を講ずる基礎として、その成立を図らなければならないと思っておるわけであります。  ところが、ここに来て、もう大臣、先ほどお聞きになっておりますように、このウルグアイ・ラウンドのぎりぎりの最終局面を迎えだというような中で、従来の三たびにわたる国会決議があるにもかかわらず、細川政権は、けさほどから伝えられているようないわゆる調停案なるものについて、先ほど総理は、今まで一生懸命できる限りの努力をしてきたから、この辺、その重みを感じて、受けとめて処理しなければなるまいみたいなことを言っておるわけです。これは本当に、それこそ不況も大変な問題ですけれども日本農家にとってはこれほど大変なことはない。有史以来の、日本農業が存続できるかどうかという基本問題にかかわる話でありますから、この補正予算審議の中で、これはなおざりにできない。今日に引き続き、あしたも激しい論議が続くと思います。  私どもは、この国会決議を踏まえて、民主主義国家なんですから、議院内閣制でありますから、政府がきちっとそうした過去の決議を踏まえ、不動の姿勢で諸外国にも理解を求め、特にウルグアイ・ラウンド関係国にも納得してもらうという努力を本当にやってきているのか、あと短時間の間かもしれませんけれども、なお最大限の努力をすべきではないかということで政府姿勢をただしているわけであります。  実は、大臣承知かと思いますけれども日本の各地方自治は、全国の農山村で生きる人々がいて、自治体が形成され、我が国の秩序がずっと成り立ってきた。そういう意味では、この米問題に象徴される米それから酪農それからその他のでん粉関係農産品とか、いろいろな農業分野に絡みます、このウルグアイ・ラウンド帰趨というのは。牛肉問題もそうです。関税をさらに引き下げるかどうか。そうした中で、今後地域社会を成り立たせる農業というものを本当に崩壊させるようなことになったら、地方自治もへったくれもないということになりかねないわけであります。  これについて、伝えられるところによりますと、社会党は、これは従来の国会決議の線に沿っていささかもその姿勢は変わらない、そういう姿勢でこの問題に対処するというような党の姿勢だというふうに伺っておりますが、まあ大臣立場ということはおありだと思いますけれども、その社会党のこの問題への取り組み姿勢を踏まえつつ、今申し上げた地方自治と市町村を成り立たせる農業問題について大臣としての所見をここでひとつ御披露いただきたい。よろしくお話しいただきたいと思います。
  11. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 実は、穂積委員とは公職選挙法委員会のときに一緒に、たしかイタリア、ハンガリー等だと思いましたが、お邪魔させていただきまして、そのときに、随分穂積委員農業に対する情熱あるいろいろなお話をいろいろな角度からお伺いしました。  私も、今自治大臣に就任をさせていただき、地域経済地域社会というものを担当させていただきますと、このウルグアイ・ラウンドというものの結果によっては地域に与える影響というのは極めて大きい、まあ崩壊という言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、大変深刻な打撃を所によっては与えるのではないか、こういう認識でこの問題を注視をしておるわけでございますが、ただ、まあ私が直接交渉担当者ではないものですから、結果をきょう閣議においてあるいは閣議後の懇談という場でお伺いをしたというのが、これが現状でございます。既に予算委員会等でもいろいろな角度から議論がされ、その重大性についても私も十分認識をしておるつもりでございます。  社会党の態度はということを聞かれましたけれども社会党自身もまだ党としてどういう結論を出したか。第一、米についてはその骨子というのが御説明があっただけで、あとの農産物についてどういうふうにするのか、あるいは関税率をどうするのか、その他の農業以外のものについてはどうするか、つまり、ウルグアイ・ラウンド全体のことはまだ全然我々にも聞かされていないわけでございまして、そういったことの全体像がある程度明らかになって初めて評価というものが決まってくるわけでございまして、そういった意味では、社会党として全体的にどう評価するということについては、まだ当然のことながら、そういう状況でございますから、何ら結論を得ていないという状況でございます。おいおい次の閣議等においても、その他の問題についてもいろいろと報告というものがあろうかと思いますので、その段階で考えなければいかぬ。  ただ何といいましても、米というものは、単なる口に入る食物というだけではなくて、地域の風土や歴史というものをバックに背負いながら、あるいは国土保全という面もありますし、水の涵養という面もありますし、あるいは都市における空間という問題もございますし、いろいろな要素を含んだ光なのでありまして、そのあたりを十分私としましても頭に入れながら、将来にわたって対応を誤ることのないようにしていかなければならぬと考えております。
  12. 穂積良行

    穂積委員 この問題については、アメリカのいわゆるファストトラックの期限という十二月十五日、それを前提にアメリカが主導的な役割を果たしてまとめようとしているわけですね。そういう中で、長い交渉の果てに日本政府としてどう対応するのか。残されたそうした十五日までの期間という意味では短いわけですが、それで何も日本国農業を滅ぼすような政策選択をする必要は全くない、そういうふうに私ども思っておりますし、大臣にもぜひ、これからも社会党の同僚の皆さんの御意向も踏まえて頑張っていただきたい。これは要望いたします。  それが仮に一応の結論が出ても、仮に私どもが納得できないようなガットの協定あるいはその他の国際的な約束というようなことになった場合には、それを国内的に条約としての位置づけになるものは国会承認を要しますし、協定はもちろんです。それから国内法的に、外国約束しても、実現できるかどうか。法改正を要するようなこと、端的には食管法改正に及ぶようなことの場合に当然議論が続くわけでありまして、そこは、国権の最高機関である我々の国会の決するところによっては、国際的な約束、これは留保条件をつけて国会承認されればということで来るんでしょうけれども、その先も含めてそう簡単な話じゃないということを申し上げておきたいと思います。  ところで、実はそうした議論が続く中でもう一つ政治改革絡みで、これは本当に細川総理の身辺にかかわる話で、例の一億円問題というようなことで、例の佐川急便、後で東京佐川急便ということがはっきりしたんですか、からお金をお借りしてそれで後で返したという説明総理はされていますれけれども、一体どのように借りて、そしてそれをいつどのように返したかということについての質疑については、甚だこれは妙な話になってしまって、どうも私どもは、これは総理は、端的に言いますと実際あったことと違うことを、わかりやすく言うとうそになることを答弁を重ねているんじゃないかという疑いを、私は傍聴してそんな気がいたしました。  今ちょっと言いましたけれども政治家、特に最高の地位にある総理大臣という立場にある者が、国民に対して単に疑惑を持たれるということだけでなしに、明らかにうそになるようなことを言っているというようなことであれば、政治不信もきわまれりということになる。  私は十一月五日の政治改革特別委員会で、大臣にも御答弁いただきましたけれども政治に一番大事なのは国民政治に対する信頼だと、そういう意味で「信なくんば立たず」という三木武夫先生言葉も引用して、総理どうだ、それから外務大臣どうだ、畑農林水産大臣どうだというようなことをだめ押しをしました。これは米問題に関してなんですが、米問題について、これは最後の政府の判断を見なければうそをついたことになるかどうか、うそをつかないで済ませるという話になるか、あれでしょうけれども、どうも今まで水面下でといいますか秘密裏の事務レベルでの交渉や何やら含めて政府はきちっと国民の納得するような形で説明をしてきていないという疑いが濃厚であります。そういう意味では、これまでの質疑においてもどうもうそというふうに決めっけられかねないような経過になるのかどうか、甚だ私は懸念をしております。そういうことに加えて今申し上げた金絡みの話、こういう状況であります。  大臣政治改革のそもそものきっかけは、政治と金の関係をきれいにしようということだったですね。そうしてそれが途中で、政治に金がかからないようにしよう、そのためには選挙制度を直した方がいいんじゃないかという議論にスライドして今の政治改革関連法案の体系ができてきた、こういう経過がありますが、その政治と金の関係、まさにこれも、地方自治地方公共団体の長や何やについても今日問題が続いているわけであります。もうこれは国民が注目の中で、宮城県知事、仙台市長、茨城県知事、その他の首長が、ああした汚職事件に連座して裁判を受けるような状況になっている。  こんなことがあるわけですが、そこで、前段申し上げたらおわかりかと思いますが、地方公共団体における連続する不祥事件、汚職問題等について、最近のゼネコンなどの建設業者から収賄したというようなことなど、これらについて考えまするに、どうも今の地方自治行政のありようにおいて構造的にそういうようなものが起こりかねないようなことがあるとすれば、これは大変な問題であり、政治改革、政治改革と言う中では、国の政治改革、すなわち、金と政治関係をきれいにするという主題の問題に並行して、地方自治における政治改革、そういうことを真剣に取り組んでいかなければならないと思うわけであります。  こうしたことについて、一連の事件等に関連して大臣、いかがお考えか、所感を伺いたいと思います。
  13. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 この半年以内に、茨城の知事、仙台の市長、三和町長、それから宮城の知事ということで、贈賄側はいろいろ変わりましたけれども、収賄側は残念ながら一部の地方自治体の首長であるという事態につきまして、自治大臣という立場からも極めて深刻に受け取っておるわけでございます。  後から御議論があろうかと思いますが、今国民の皆さんの方からは地方分権ということを進めるようにという大きな要望があるときにこういう事件がたび重なることというのは、地方自治体に対する不信、ひいては地方自治そのものに不信を持たせる。地方分権をしたときには、結局、国で起こっております汚職事件をさらに全国版に広げることにつながるのではないかという大変な不信をもたらすであろうことについて、私は、担当大臣としまして極めて深刻に受け取っておるわけでございます。  もちろん、これはもう穂積委員に言うまでもなく、すべての地方自治体の首長が同じことをやっているわけではないのでありまして、何といいましても、本人の公職者としての自覚、それから公正、厳正なる執行ということに徹すれば、このようなことが起こるわけはないわけでございます。もちろんその意味で、本人そのものにも当然のことながら自覚を促すように事務次官通達等も既に出しておるわけでございますが、あわせまして、今の入札契約制度そのものが今のようなことでいいのだろうか、特に指名入札というもののあり方も今のままではいかがなものだろうかということで、今建設省と自治省とで、両方でこの入札契約のあり方そのものについてかなり研究を続けております。  恐らく十二月いっぱいにこれにつきましては結論を出し、そして建設省は建設省として、自治省は自治省として地方自治体の方に指令を出していくことになるわけでありますが、今委員御指摘のように、そうのんびりとこれもやっているべき筋合いのものではないというふうに思っておりますので、十月一日には、県とそれから政令市につきましては、条件つきでありますが一般競争入札をひとつ試行してくださいということでお願いをしたところでございます。  したがいまして、今、建設省の中央建設業審議会の方で、入札するにいたしましても、どういう結果があらわれたのか、なぜこれがだめだったのかあるいはなぜこの人を指名するのか、そういう基準をはっきりすべきではないかというようなことを具体的にさらに最後の詰めを行っていただいておりますし、また、私の方といたしましては、その条件つきの一般競争入札というものをやってみて具体的にどういう問題があり、どういうことがよかったのかということをまとめて、それをもって地方自治体でこのような汚職事件が続発をすることのないように、ひとつ綱紀の粛正ということと同時に、制度面におきます問題点というのをピックアップして、こういうことがないように通達を出していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  あわせまして、結局、出ている金は企業からの金でございますので、私たちは、もとからこれは断たないと政治腐敗というのは根絶できないということで、政治改革特別委員会でもいろいろ議論がありましたように、企業が出す場合には政党のみということに限って、ひとつこのような政治風土そのものを変えていかなければならぬじゃないか。穂積委員言われますように、今まではとかく政治改革といいますと、お互いに国の問題というレベルで何となく話をしておりましたが、実は国のレベルでそういうことが起こるというのは、国というのは言うまでもなく自治体の総合計、つまり面が合計して国になっておるわけでございますから、そういう意味におきまして、地方自治体におきます、このようなたびたび起こります一部地方自治体の首長によるところの腐敗というものをやはり根絶をしていく、このことがぜひ必要なのではないかということで、いろいろな手を今日まで打ってきたところでございます。
  14. 穂積良行

    穂積委員 よく地方の時代、地方分権の推進というようなことが叫ばれるわけでありますが、その地方分権の推進が、今以上に地方に権限を持たせる、そういうことの一般論としては一理はあるわけですけれども、その中で、本当に地方にそうした権限をふやして大丈夫か、それだけの識見、能力を持ってきちっと地方行政をやっていくことができる体制にあるのかということあたりが常に問われなければならないと思います。そういう憲味では、自治省はこのことを十分頭に置いて、地方の善導に当たっていただきたいと思う次第であります。  また、公共工事の発注に絡む汚職の問題というのは、確かに、現在の指名業者の入札という制度そのものを今後どのようにしていくかということなどを含めて、きちっと改善すべきところはしなければならないと思います。かりそめにも地方の首長がいわゆる天の声というようなことであらかじめ意中の業者を示唆して、それに応じて業者が談合するということを建設業界がやっていくというようなことがあっては、これは国民は、本当に地方自治そのものへの不信というものになりかねない。その点は、たまたま社会党の建設大臣がいらっしゃるわけですから、この在任中にどのように今大臣がおっしゃるように改善を図られるのか、さらに自治省とも十分これは相談してきちっとした方向を出すように、大臣、ひとつよろしく要請したいと思います。  さて、今ちょっと大臣がお触れになりましたけれども政治改革絡みで、今度の政治改革関連法案のもとで、これが仮に成立した場合、一体本当に地方政治があの法案のみでいいのか、まだまだ工夫する必要があるのではないかということが多々あると思います。特に地方議会、議員の場合に今度の関係法案の改正等でどうなるんだという  ことなど、今大臣お触れになりましたけれども企業献金や何やも一般論でよく言われますが、企業・団体献金を廃止したら政治改革の近道だというような議論もされるわけですけれども、私は必ずしもそう思わない。いろいろと建前と現実が乖離し、それこそ不祥時が潜行するようなことになって、水面下でくくって進むようなことがあってはならないということなどもありますので、これはさらに議論を続けるべき話だと思います。いずれにしましても、そういうことも含めて、今後政治改革絡みでも、自治省は細心の注意をもって地方における政治改革が真に進むような方向でお考えいただき、提案をしていただきたいと思う次第であります。  ところで、本題に入ります。  この不景気の中で国税が大幅な減収を見た、そういうことで、連動して地方財政も非常に厳しい状況になってきた、こういう現実にあるわけですけれども、振り返ってみますと、昭和五十年以降は、地方財政は大幅な財源不足の時代がありました。それを、一生懸命自治省当局も努力し、地方自治体にも協力いただいて改善を図ってきたという経過がありますね。経済とも絡みますけれども地方財政が借金づけの状況から、昭和六十年代から平成にかけては、財政の健全化ということが大幅に進んできた。借入金も返せるし、地方債の繰り上げ償還としてもいろいろな措置がとられるということになってきた。これはよかったな、そういう調子でいけば地方財政もさらに健全化するものと見られていたところが、昨年あたりから経済状況に連動しておかしくなって、ついには今回のような一兆六千七百億弱の借り入れをしなければならぬということになってきた。  こうした地方財政状況をずっとトレースしながら、自治大臣としては、この現状についてどのように見ておられるか。また、どういうことを基本に考えていくべきか。これは大臣としての所信を明らかにしていただきたいと思います。
  15. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 地方財政状況につきまして、穂積委員言われましたように大変厳しい状況であるということは、先ほど例を挙げましたけれども、この二年の間に、例えば平成五年の当初は八十一兆の借入残高でございましたが、これがこの補正予算、第二次補正予算を終わったときには八十八兆、あっという間に三年間で七兆円もふえるという状況でございますし、我々は一日も早くこの不況を脱出したいと思っておりますが、地方税収も思うようにいかないという状況でございます。国が五兆五千億歳入が減りますと、その三二%の約一兆六千億ばかりというのは、今御提案をしましたように借入金をしなければならぬ。それだけじゃない、地方税収の方も約一兆六千億足りませんから、合計三兆二千億というものは借りてこなければならぬという状況でございますから、大変状況としては厳しいというふうに思っております。  ただ、今穂積委員いみじくも言われましたように、先輩の方々が大変御苦労なさって、昭和六十二年の補正から平成三年の補正までの間にせっせせっせと借金を、地方債につきましてもあるいは地方交付税につきましても、なるべく早く頑張って返すということをなさり、合計十四兆円この間に返されたということは、先見の明と申しましょうか、先人の偉さと申しましょうか、これは大変大きなことであったというふうに私思っております。  ただ、非常に厳しい状況でございますが、ことしの当初でいえば国が七十二兆、地方財政計画が七十六兆という規模で、今や国よりも大きな規模で地方財政というのは運営をされていっておる。もちろん借金も、中身はいろいろありますけれども、されておる。これが、先ほどちょっと触れましたように、地方自治体の場合には、北は北海道・稚内から南は沖縄まで、全部の地域地域経済地域社会を支えておる。  これが国の事業と違うところで、国の事業は、ある程度箇所がこう決まっているわけですね。こちらは非常に広い面で行われておりますし、公共事業の約七七%というのは地方自治体がやっておる、担っておる。しかも、それは我々の生活に直結をしたものが非常に多いということからいいますと、この際景気が悪いし、来年度地方財政を見た場合に、地方交付税の原資になる国の説も、恐らくそういいわけが残念ながらないでありましょうし、また、地方税収もことしよりはよりよくなるというふうにはちょっと考えられない。そういう意味で、借金がさらに、普通にやってもふえていくでありましょう。  しかし、今申しましたように、まさに国と地方自治体というものは経済を支える、下支えをします車の両輪として、いや、むしろ国よりも大きな金額を担うものとして、しかもそれは国民生活、住民に非常に直結をしたものであるということからいいますと、やはり国の、日本経済の下支えをする大きな役割というのをこの地方財政というのは持っている。苦しいけれども、いつかまた幾らかよくなるときには、先ほど触れましたように約十四兆円返した例がありますように、また借金減らしをするということで、この際、地方財政というのは国の景気回復の有力な一助になるべきである。  来年度予算に当たりましても、地方財政計画をつくるに当たりましても、やはりそのことを念頭に置いていかなければ、お金がだんだん小さくなるからだんだんシュリンクしていったのでは、ますますこれは経済にとりまして悪循環だというふうに思っておりますので、もちろん、先ほど触れましたように物には限度がありますけれども、気持ちとしてはやはりそういう基本的な方針で来年度も臨んでいかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  16. 穂積良行

    穂積委員 大臣認識されていますように、この経済状況からすると、来年度地方財政収入というのは大幅に落ち込むということは必至だと思います。そういう意味では、来年度に向けての予算編成に当たっても、今回の補正予算の問題の延長上ですけれども、これは大変な苦労が必要になるのじゃないかと思いますが、ひとつそこは本当に知恵を絞って、地方自治が円滑に進むような財政の裏づけをきちっと確保するという方向でやっていただきたいと思います。  ところで、これは局長にお伺いしますけれども、全国約三千三百の地方自治体で、これは十把一からげにその財政状況や何やというのも論ずるわけにいかない、それぞれ独自の状況があると思います。聞くところによれば、大きなところでいうと、大阪あるいは愛知、神奈川といった大どころが交付団体に転落した。東京はまだそこまでいってな。いということですがね。そういう状況や何や、不交付団体の場合は景気の波動をかなりもろに受けるという面があって、それに対して摘時適切に自治省サイドから面倒を見なければならぬということもあるかと思うのですが、そういうことも含めて、一般論でない、各自治体の状況をちょっと御説明いただけませんか。また、それに対してどうするかということも、あわせて御説明いただきたいと思います。
  17. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 先ほど来大臣から、地方財政全体の状況につきまして申し上げておりますが、ただいま御指摘のように、地方財政は単一のものではございませんで、三千三百の自治体の財政で構成されているわけでございます。その中には非常に経済力のある地域地方もございますし、そうでない地域もございまして、その内容はまことに千差万別と言っていいと思います。  例えば、私どもがそれぞれの自治体の財政内容を分析する場合に、よく財政力指数というものを使う場合がございます。これは交付税の基準財政需要額と収入額との比率を見るわけでございますが、これが一を超えますと交付税が要らない地方団体、いわば不交付団体になるわけでございますが、全国の財政力指数というのは〇・四六でございます。この〇・四六以下の地方団体の数が全体の約三分の二になるということでございまして、また逆に、平成年度の場合に交付税の交付を受けないで事業ができた団体というのは全体のわずか五%の百七十五団体にすぎない、こういうような状況になっているわけでございます。  また、公債費の負担状況、借金返しですね。元利償還金を返す公債費の負担というものを、分母を一般財源にして、この公債費の支払い額を分子にいたしました率を公債費負担比率と言っておりますが、私どもは、これが一五%を超えると財政運営上ちょっと黄色信号です、それから二〇%を超えますと、これは赤信号ですよ、地方債発行には気をつけた方がいいですと、こういう御指導もしているわけでございますけれども平成年度におきまして、この公債費の負担比率が一五%以上の団体が千百六十一団体、全体の三五%強というような状況でございます。  平成年度までは、どちらかといいますといろいろなものを繰り上げ償還したり、財政状況としては上向いていた時代で、このときにすらこういう状況でございますから、これから平成年度、五年度という不況期に入りまして借入金が非常に多くなってくるということになりますと、この公債費の支払いというものも財政の重圧に非常になってくるのではないか、こういう感じがしているわけでございまして、これからのそれぞれの個々の地方団体の財政運営におきまして、公債費の状況というものを細心の注意をもって見ていかなければならないというふうに考えているところでございます。  それで、先ほど御指摘のように、地方団体三千三百の中には、交付税の要らない、交付税がなくても財政運営のできる団体、不交付団体というのが全体で約五%ぐらいあるわけでございますが、都道府県では過去においては四団体、東京、神奈川、大阪、愛知という四団体があったわけでございますが、特に都道府県の場合には、地方税の税収構造が法人関係の税収に非常にウエートが高いわけでございまして、そんな関係もございまして、景気の動向に非常に敏感に税収が反映してくるという問題がございます。そんなこともございまして、過去において不交付団体でございました神奈川県、愛知県、大阪府という三団体が、今年度から不交付団体から交付団体に転落をするというようなことになりました。  こういう団体においては、特に交付税という仕組みに依存していないわけでございますから、財政運営には税収の動向というものが大変敏感に動いてくるわけでございます。こういう団体において財政運営に支障の生じないようにというためには、当面はこの税の減収に対して減収補てん債と申しますか、そういうもので措置をいたしまして、地方債でしばらくの間泳いでいただく、こういうことも考えていかなければならないと思いますので、こういう団体からはよくヒアリングをいたしまして、地方財政の運営に支障の生じないように適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  18. 穂積良行

    穂積委員 もう一点、これは事務方に伺いたいのですが、景気対策として、現在は例の地方単独事業の役割が非常に大きくなっていると思います。地方自治体にもこの地方単独事業について積極的に取り組んで景気対策にも大いに頑張ってもらいたい、こんな気がいたしておりますが、地方の取り組みの概況、それから今回の補正予算に関連しての経済対策について地方団体はどのような役割を期待されているか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  19. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 まず、これまでの景気対策について地方公共団体の取り組み、特に地方単独事業を中心にいたします状況について申し上げますと、今回の不況、昨年来ずっと続いているわけでございますが、まず昨年の八月に総合経済対策を政府で決定いたしまして、この中に、地方単独事業として一兆八千億円の規模で事業執行を期待するということで対策が組まれたわけでございます。  この対策が組まれたときに、果たしてこれだけできるかなということで心配をしたわけでございますが、地方団体に、昨年の九月補正以降で、九月議会以降でぜひこの金額を確保していただきたいということで要請をいたしましたところ、昨生の九月補正予算で全体で一兆九千億の追加計上杉していただいて、経済対策で予定いたしました一兆八千億を上回ったというような積極的な対応をしていただいたところでございます。  それから、今年度の当初におきましても、こういう景気状況でございますので、当初の地方財政計画におきまして地方単独事業一二%増のかなり思い切った金額を計上したところでございまして、これについても積極的にお願いをしたところが、全体としては一二%を超える地方単独事業が計上されたということで、これも当初の私ども地方財政計画で予定いたしたものを上回って各自治体では対応していただいたところでございます。  今年度に入りまして、四月に早速総合的な経済対策ということでまた経済対策が行われまして、このときには地方の単独事業二兆三千億円をお願いしたいということで、これも地方団体にお願いいたしました。さらに今回、九月の経済対策において、五千億円の地方単独事業をまたさらに追加していただきたいということでお願いをしているところでございますけれども、六月補正、九月補正の段階で集計した結果では、二兆四千億を上回る追加計上が行われております。  したがいまして、四月に予定いたしました経済対策の二兆三千億は上回って既に追加計上が行われているわけでございますが、今回の九月の経済対策の五千億の追加につきましては、今度の十二月補正予算以降において対応していただけるものだというふうに私ども期待しているところでございます。この結果は、明年度になりまして集計した結果が出されると思いますけれども、期待をしているところでございます。  今回の景気対策におきましては、今の単独事業の五千億のほかに、国の補助事業といたしまして、全体で事業費として一兆円ぐらい追加されることになっているわけでございます。これはいわゆる生活者あるいは消費者の質の向上を図るためのいろいろな諸施策ということで、全体の事業賢一兆円を超えるというふうに聞いておりますけれども、これの地方負担が五千億円ぐらいございます。事業費一兆円余りのうち地方負担がやはり五千億ぐらいございます。  この五千億につきましても、地方債でこれは対応してもらおうということで、地方公共団体においては、既に財政当局に対して、こういうことが予算が成立したらあり得るから準備してほしいということも既に通知をしているところでございまして、これについても地方団体は積極的に対応していただけるものだというふうに期待しているところでございます。
  20. 穂積良行

    穂積委員 景気づけの話は結構だし、やらなければなりませんが、ことしはもう御承知のとおり、弱り目にたたり目というか、不景気の中で奥尻島の大地震、それから八、九月の九州地方の大雨被害、そして米の大凶作、一連の災害がありまして、それぞれの地方で大変な目に遭っているという状況です。  これについて自治省も随分いろいろと配慮していただいていると思うのですが、これから来年になって例の特別地方交付税の配分の算定などに当たっても、この辺の事情も当然いろいろと配慮されると思います。しかし、そうなると、通常年だと年度末近く、いろいろと今までやりたかった地方の首長が公約を果たすためとかいろいろ楽しみもあった特別地方交付税にかなり影響もあると思うのです。その辺、当然配慮いただかなければならない被災地対策その他に並行して、特別地方交付税などに対して今後どんな方針で臨むか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  21. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 今御指摘のように、ことしは地震あるいは降雨などのいろいろな災害が発生いたしまして、さらに夏には冷夏によります農作物の冷害被害というようなこともございまして、例年になく災害が多うございます。  特別交付税は基本的には、普通交付税の基準財政需要額というのは比較的機械的に計算するものでございますから、それぞれの自治体の特殊事情というものを一つ一つ捕捉をして、それで自治体ごとに算定するということでやっているわけでございますけれども、やはり災害というものに対して優先的に地方特別交付税というものは配分していかなければならないものだというふうに考えているわけでございます。  そういう意味からいきまして、今回の地震あるいは豪雨の災害等につきましては、災害復旧事業そのものは地方債でやるといたしましても、それまでにかかりました各種の災害対策費、経費というものがいろいろなものがございますので、こういうものは特別交付税措置によりまして支障のないように措置をしていかなければならない。また、異常気象に伴う冷害につきましても、地方団体におきましては、営農指導でございますとか、あるいは病害虫の防除、それから被害農家の就労の場のあっせんとか、きめ細かいいろいろな事業をやっているわけでございますので、こういう経費に対しましては特別交付税で配分をしてまいりたいと思っているわけでございます。  ただ、ことしは交付税総額そのものが前年度に比べて一・六%減という窮屈な中でこういう災害が多発しているというようなことでございますので、こういう被害のない地域におきましては昨年に比べてややレベルが下がってしまうことはこれは多少やむを得ないのではないか、みんなで助け合って災害のあるところに手厚く特別交付税を配分するということで各団体に御理解をいただくしかないのではないかなというふうに考えているところです。
  22. 穂積良行

    穂積委員 つらいところですが、うまく処理してください。  ところで、政府の税制調査会で、国税それから地方税にわたって今後の税制をどのように持っていくかということで答申が出ましたね。副題は「「公正で活力ある高齢化社会」を目指して」ということで「今後の税制のあり方についての答申」が出ていますが、その中で、地方財政の根幹をなす地方税等についても触れているところがあるわけです。  そのときに私、どんな答申になるかと注目しておりましたところ、どうも問題の消費税に関しては、消費譲与税という形で今後も地方に配分するのか、あるいは自治省サイドの年来の希望といいますか、そういうことだろうと思うのですが、地方消費税という形で独立の地方税としていくということにするのかという問題については、引き続き「消費税のあり方の見直しと併行し、検討を加えることが必要」ということで問題が先送りになったということになっていますね。これは今後の議論だ。  考えてみますと、いわゆる直間比率ということで、国税の問題では、所得、資産、消費と三分野にわたるバランスある税制を目指して、直間比率についてもいろいろと検討がずっと重ねられているわけです。地方財源に関しては、どうも現実は直間の直の方がウエートが大きくて、これが一つの大きな問題だというふうに自治省の皆さんは認識しているということなんですが、細かいことは時間がなくなりましたから、大臣にこれについての基本的な見解をここで明らかにしていただきたいと思います。
  23. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 率直に言わせていただきまして、私もあちらこちらでかなり声を大きくして言ったのでありますが、政府の税制調査会において、これだけ地方分権だと言われる時代に地方の独自財源というものについてどうあるべきかという議論が余り時間的にもなされなかったということについては、極めて残念だということを私、表明しております。  それで、今御指摘のように、むしろ地方自治体の方が、景気に余り影響されない安定的な財源が必要なことを地方自治体というのはやるところなわけですね。高齢化社会に向かってもそうであります。そういう面からいいますと、安定的な財源、特に今御指摘のように、国の場合には消費税がございまして、直接税が七割、間接税が三割。地方の場合には消費譲与税になったり、ガス税や電気税がなくなったりいたしましたので、直接税が九割、間接税が一割という、本来税構造として、税収の構造としては国との関係では逆転しているような格好になっている、非常にいびつな税収の構造になっております。したがいまして、私たちは、これから高齢化社会に向かって、生活者本位、消費者本位、住民本位という地方自治を確立させるために税財源はどうすべきかということについては、もっともっと深刻にお互いに考えていかなきゃならぬと思っておるわけでございます。  ただ、本来消費税というものはどうあるべきかという議論そのものが、逆進性の問題、飲食料品はどうするかという問題、益税の問題等々いろいろ消費税自身も持っている問題もございますので、このことが議論されておりませんので、直ちに私が言ったことが地方消費税ということに結びつくとは申しませんが、しかし、いずれにしろ、今委員お読み上げになりましたように、消費税のあり方と並行して、税調の中でも、地方自治体の方からも地方消費税というものをつくってもらいたいといろいろ要望があるわけでございます。  地方自治体の独自の財源というものは、しかも安定的な財源、そうなると、それはもう少し間接税にウエートをかけなければいかぬのではないかという問題につながってまいりをすので、そのあたりの観点から、今後なお一層当委員会におかれましても、税調のみならず当委員会でも、ひとつ地方の税財源というものはどうあるべきか、お互いに真剣、深刻に考えていかなければならぬのではないかというふうに考えております。
  24. 穂積良行

    穂積委員 時間がなくなりましたので、これで質問を終わりますが、大臣、とにかく、現在の政局の中で、一つは米問題への対応、それからもう一つ景気対策としての所得減税見合いの財源確保、それが消費税の税率問題にどう及ぼすか及ばないかということなども含めて、大臣としては、大臣の所属する政党の年来の主張もあるわけですから、その辺も含めて、私は特別委員会の論議を通じて、大臣立場においてはこれこれ、党に帰っての意見はこれこれということは、防衛問題や何やについても、本当にこれは社会党もつらいつらい大臣席のお姿をもう拝見しておったわけです。  その辺、今後の政局の動向によっては、大臣、それはずっと続けて大臣をやっていただきたいような立派な方でありますが、そうもいかないでしょうから、これは出処進退、本当によくお考えいただいて、社会党出身の大臣として誤りなき行動をとられることを希望いたしまして、最後はちょっと余計なこともつけ加えたかもしれませんが、大臣を尊敬する一人としての穂積言葉としてお聞き取りいただきたいと思います。  これで終わります。
  25. 粟屋敏信

    粟屋委員長 蓮実進君。
  26. 蓮実進

    蓮実委員 地方分権について質問いたしたいと思います。  地方分権を進める要点は、地方自治体が権限を与えられてそれをちゃんとこなしていけるかどうか、これが問題だと私は思います。細川首相の言う地方分権をどう進めるのか、何が必要だと考えておられるか、自治大臣のお答えをお願いしたいと思います。
  27. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 地方分権に対する全体的なこれからの構想について若干お話をさしていただきますれば、蓮実委員のこれからの全体的な質疑に資するかと思うわけでございますけれども、御承知のように、地方分権特例制度、いわゆるパイロット自治体というので、これは我が省だけではございませんけれども、推進会議の方で十五カ所いたしました。これによってこれから五年間、その指定をされました自治体はかなり独自なことをやれるようになる。もちろん各省庁の了解をもらわなければなりません。  このパイロット自治体制度を進めますと同時に、既に御承知のように、二十三次の地方制度調査会から出ております広域連合制度、これは県と県とをまたぐような大きなものをいわば国から直接権限を与えてやろうというものであり、また中核市構想ということが出ておりますので、これにつきましては来国会に出したいということで、今自治省におきまして、関係省庁といろいろと詰めをしておるところでございます。あわせまして、第三次の行革審の最終答申が出ております。委員十分御承知のとおり、一年以内をめどにして、総理及び内閣のリーダーシップのもとに地方分権推進基本法的なものをつくりなさい、つまり、国と地方の基本的なあり方を本格的に、抜本的に踏み込んでひとつ考えなさいということが出ておるわけでございますので、これは石田総務庁長官のもとで、来年の行政改革大網の中に入れ、これは予算も若干絡む話でございますので、それもやっていこうというのが大きな流れだと思っております。  そういう中におきまして、国会も、御承知のように、衆議院、参議院におきまして分権の決議を憲政史上初めてなさり、かつ分権の委員会もあるわけでございますので、そういったところの質疑を十分通じながら、これは行政改革にかかわる話でございますので、委員各位のお話を十分聞きながら進めていくというのが全体的な流れだというふうに考えております。  その際、言うまでもありません、権限だけではできないわけでございまして、これは財源につきましても、あるいは後から御質問があると思いますが、俗に言う人間といいましょうか、人材と申しましょうか、この三位が一体になって初めて地方自治というものが活力ある、住民に支えられた、本当に期待を持たれるものになっていくのだ、こういう基本的な考え方で臨ませていただきたいと思っております。
  28. 蓮実進

    蓮実委員 地方分権の観点から大きな期待が、パイロット指定ですか十五団体が指定にかけられておりますので、中途半端に終わらせないようにひとつよろしくやっていただきたいと思っております。  私は、地方分権を実施するには、それを受ける側の地方自治体の足腰を強くする必要があるというふうに思っております。市町村が権限をもらって、それに振り回されて、そして、権限を与えると悪用されたら大変だ、こういう心配があると思いますが、自治大臣はどうお考えになっておるかお答えをいただきたい。
  29. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 地方分権の推進は、今委員御指摘のように、今各方面からその推進をすべきという要請が非常に強いわけでございます。私ども地方自治関係者も年来の主張でこれを言ってきたわけでございますが、最近特に各方面からこの声が出てきておるわけでございます。国会におきましても、先通常国会で「地方分権の推進に関する決議」ということもなされたわけでございます。  問題は、地方分権をした場合に、地方団体がきちっとその権限を公正、公平に実施し、地域の振興ができるかどうかということでございますが、御案内のように、既に地方自治制度が戦後できましてからもう四十年経過しているわけでございまして、そういう中で地方団体の能力あるいは人材もかなり育成されてきておりますので、その辺はきちっと対応ができるものというふうに考えております。  なお、最近、地方団体でいろいろ不祥事が出てきておりますが、このことは先ほど大臣からもお答えをしたとおり、地方分権の推進を言われている今、こういうことが出てきたということはまことに残念なことでございまして、こういうことがあってはならないということで、それぞれの綱紀粛正については、既に自治省としても次官通知でそこをよく要請をしているところでございます。
  30. 蓮実進

    蓮実委員 地方自治体にとって、今お答えがありましたけれども、何が一番必要かというと、国から渡された権限を正しく公平に運用する執行体制を持つことだと考えておりますが、どうでしょうか。  今の地方自治体にとっての悩みは、その執行体制を担う優秀な人材が必ずしも十分ではないというところに心配があるのではないかと思われます。人材面で今お話がありましたが、例えば国では国家公務員の試験、県では地方公務員の試験を経てやっておりますが、市町村のレベルでは実際にはどうなのか、受験者はどのくらいいるのか、自治省はこれに対してどう指導しているのか。例えば情実で採用していることになると、町村が弱体化したものになる、そういう心配があると私は思っております。お答えをいただきたいと思います。
  31. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 蓮実委員言われますように、そういう意味で、どこまでとは言いませんけれども、比較的大きい自治体はかなり人材がそろっている。これは、自治省との交流もあり、県と市町村とのいろいろな人事交流等もございます。  それから、蓮実委員御指摘のように、人材というのは私も非常に重要だと思っております。もう時間がありませんから細かいことを申しませんけれども、御承知のように、全国規模の自治大学校がございますし、あるいは全国の市町村の共同設立てやっております財団法人の全国市町村振興協会、それから昭和六十二年から市町村職員中央研修所、平成年度から全国市町村国際文化研修所ということで、いろいろな格好で、自治省としてもその人材を育成するためにいろいろと努力をしておるところでございます。  ただ、今蓮実委員言われましたように、私たちも情実でいろいろな格好で入れているというのを耳にしないわけではございませんので、そのあたりにつきましては公務員部長の方から補足して答弁をさせていただきたいと存じます。
  32. 鈴木正明

    ○鈴木説明員 地方公共団体の職員の採用に当たりまして、今、都道府県におきましても市町村におきましても、大体試験採用という形で採用が行われてきております。また、市町村では、共同で採用試験を行うとか、同じ場所で採用を行うなどして優秀な人材の確保努力をいたしているところでございます。
  33. 蓮実進

    蓮実委員 そう言われますけれども、中央官庁と違って、力不足の市町村はお互いに力を合わせてやらなければいけないのではないか。あるいは人材不足だということで安易に中央から人を持ってくるということでは地方分権の看板倒れになりますから、私は、今お話しのように、問題はどうやって地方自治体同士の協力を進めるかにかかっていると思います。  今までは、人材確保というと、効率的な執行体制ということで、一つの方法として市町村合併が進められてきたと思います。この市町村合併は最近どうなっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  34. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 市町村合併の最近の状況については後で担当に答えさせますけれども、先ほどの中で、再来年の三月、平成七年の三月、御承知のように市町村合併特例法が時期を迎えるわけでございます。したがいまして、今の市町村の受け皿、総理言葉で言えばサイズと言われますが、それでいいのかどうなのかというのは、地方分権の中でも非常に重要な要素だと私は思っておるわけでございます。  既に自治省の中で、ちょっと長ったらしい名前なんですが、市町村の自主的合併の推進方策等に関する調査研究委員会というのをことしの六月からつくりまして、市町村合併のあり方、もちろん自主性、自律性ということを重んずることは基本でございますけれども、今後の地方分権という中におきます市町村の合併のあり方というものについて今研究をしているところでございます。  なお、最近の合併の状況につきましては担当から答えさせていただきます。
  35. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 合併の基本的な進め方につきましては、今大臣からお答えをしたとおりでございます。  最近の合併の状況がどうなっているかということについてお答えをしたいと存じます。  最近十年間について市町村合併がどうなっているかということにつきまして申し上げますと、この十年間では全部で十七件の合併がございます。  合併には、御承知のように、編入合併という方式と新設合併という方式がございます。編入合併は、一つのある市町村がほかの市町村を編入するという方式でございますし、新設合併は、市町村同士が対等な形で合併をして新しい団体をつくるという方式でございますが、この十七件のうち十五件が編入合併ということでございます。二件が新設合併ということでございます。こういうような格好でこのところ合併が行われてきているところでございます。
  36. 蓮実進

    蓮実委員 十年間で十七件ということですから大変少ないのではないかと思いますが、一体これは何だと考えているのか、それから、地方分権推進という新しい観点から市町村合併をもう一度考え直す必要はないのかどうか、新しい観点に立った新しい工夫ができないかどうか、そう思っております。その点に関してまたひとつ自治大臣から。
  37. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 蓮実委員もよく御承知のように、現在の市町村の合併の特例に関する法律というのは、合併に対して中立的という表現がいいのかどうかわかりませんが、例えば、合併した場合の議員の任期の特例とか、こういう、合併を促進するわけでもない、促進した場合にはこういうことですよという、特例という形になっておるわけでございます。  ただ、蓮実委員御指摘のように、それでいいんだろうかという御意見も十分ございまして、先ほど申しました、自治省の中にそういった委員会をつくっていただき、何度かいろいろな意見を聞いておりまして、再来年の三月までには一つの方向性というものを見出していかなければならぬ、こういうことで今取り組んでおるところでございます。
  38. 蓮実進

    蓮実委員 現実的に、市町村の業務というのはこれからもますますふえるのは事実であります。環境問題や高齢者福祉問題、外国人労働者等新しい問題が次々と起きているのですね。それで、これからの問題をうまく処理するためには、今の市町村ではとても手に負えないのではないかと思います。例えば外人との言葉が通じないとか福祉に金がかかり過ぎるとか市町村は悩んでおります。合併法制定の当時と比較して、こうした新しい行政需要をいかに処理するかの体制を今お考えになっているのかどうか、お答えをいただきたい。
  39. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 合併につきましては、昭和二十八年のときに町村合併促進法でかなり積極的に合併が推進されたわけでございますが、それが一段落をいたしまして、その後は自主合併ということで来ているわけでございます。市町村がそれぞれ合併をしたいという場合に合併をするというような方式で来ているわけでございます。それで、その自主合併をしやすく、円滑に行うことができるように合併特例法というのが現在ございまして、これはいわばニュートラルな格好で出てきております。  この問題をあとどうするかということにつきましては、今大臣からお答えしたとおり、研究会をつくっていろいろな方策について検討していこうということになっているわけでございます。そこで、これから合併を進める場合には、強制的に合併ということはなかなかできるようなことではないと思いますが、あくまでも自主的な合併を進めていくということで、合併をしたいというところはそれが円滑にいくようにいろいろな方策を、手だてを考えていかなければならないということで今研究をしているところでございます。  また現在、確かに市町村の区域を越えまして日常的な生活圏とか、広域化しておりますので、これらについては既に広域市町村圏という格好で対応もしておりますし、また、事務の共同処理という意味では、一部事務組合制度もございます。さらには、先般、地方制度調査会から広域連合制度というのも答申をいただいておりますので、これもできるだけ早く法制化をしてまいりたいというふうに考えております。また、人材等の育成についても、それぞれ市町村が単独ではなかなかできない場合、研修は県の研修所でいろいろ市町村の人材の育成、研修も進めているということで、そういういろいろな総合的な施策を進めながらそれぞれの市町村が地域の振興に重要な役割を果たすことができるようにしてまいりたいと考えている次第でございます。
  40. 蓮実進

    蓮実委員 私は、自主的な合併というのはなかなか難しい、よほど魅力ある誘い水を国が加えないとだめだと思っております。  その前に、地方分権を受け入れていくための人材を確保するという観点から、郡という単位を重視すべきではないかと思います。今余り関心がなく忘れられている単位だけれども、よく見ると、郡はなかなか合理的というか、昔からの知恵に加えて、社会的な環境の変化があっても対応できるまとまりではないかと思うのであります。郡という単位をどうお考えになっているか、お答えをいただきたい。これは、今審議されている選挙制度改革の小選挙区の区割りにも大いに影響があると思います。お答えをいただきたいと思います。
  41. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 郡というのが法律に出てくるのは公職選挙法だけだそうでございますが、郡も地域地域によると思うのです。一つの一体性を持ったところもあれば、郡の中の町村が隣の市町村に合併してしまって、極端な話、一郡一町というようなところもあるわけでございますので、一概には言えないと思いますが、いずれにしろ、今吉田行政局長からもお話がございましたように、必ずしも郡という新しい行政区をつくるということではなくて、今一部事務組合あるいは何々協同組合という形でかなり広域に仕事をやるように効率化をしたりということをいろいろ考えておりますので、そういう中で考えていけばいいのではないか。御指摘のように、郡というのは歴史的にも社会的にも一体化をしているところが残っているわけでございますから、その辺も含めて広域行政圏ということで対応していくことでいいのではないか。  というのは、蓮実委員自身も言われましたように、今の市町村の三千三百というあり方がいいのだろうかということを本格的に議論しておりますので、その中で私は消化をしていく。大佐言わんとするところはおわかりかと思いますが、審議会で審議していただいておりますので、それ以上私は踏み込んでは言いませんけれども、そういう中にひとつ消化をしていっていただくことでいいのではないか。行政改革の折に、新たにまた郡というのが何らかの行政的な単位となっていくことは、行政を複雑化していくことにつながっていくのではないだろうかというふうに考えております。
  42. 蓮実進

    蓮実委員 地方分権を考える際に、もう一つ忘れてならないのは私は財政問題だと思っております。来年度予算に向けていろいろ地方財政計画が検討されていると思うが、幾ら地方に権限を与えるといっても、金がなくては何もできません。今のように国中心の財政で、地方は三割自治と言われるように、いわば国のおこぼれでやっている、こういうような実態は少なくとも改めないといけません。この点、政府はどうお考えになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  43. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 地方自治が真の地方自治として発展していくためには、その地域の方々がその経費を負担する、そして行政を執行するということが最も望ましいことではないかと思います。  そういう意味では、まず、地方自治体を地方自治体として健全に育成するためには、独立の地方税源というものが欠かすことのできないものであるというふうに考えているところでございます。権限の付与もさることながら、やはり財源の伴わない権限というものはこれは。絵にかいたもちになってしまうというおそれがございますので、まず独立税源というものを充実していくということが一番重要なことだと思います。  ただ、我が国の中でも経済力というものに相当格差がございますから、地方税のたくさん収入できるところとできないところがどうしても出てまいりますから、それを補完する意味で、財源調整制度であります地方交付税制度というものを地方税制度と併用しながら、補完させながら充実させていくどいうことが地方自治あるいは地方分権を進めていくための一番の重要なことだというふうに私どもも理解いたしております。
  44. 蓮実進

    蓮実委員 財政についてお聞きしたいと存じますが、政府税制調査会が十一月十九日に出した答申によりますと、「地方税のあり方」とわざわざ一章を立てておりますが、この答申についてどうお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
  45. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 審議をお願いした、そこから出てきた内容についていろいろと批判めいたことを言うのは何かとは思いますけれども委員お読みになられましたように、そこに書いてあるのはほぼ現状のことが書いてあるのでありまして、これからの展望というのは余りそこの中から、あるいは行間からも読み取れないという不満を私は率直に言って表明をさせていただいております。  独自財源につきましても、地方消費税の問題についても、先ほど触れましたように消費税のあり方そのものと並行していくということで、地方分権というときには、言うまでもなく背後に財源がついていなければできないわけでございますので、そういった意味で、私は率直に言って突っ込みが足りないのではないかと思っております。  ただ、御承知おきだと思いますが、先ほど穂積委員地方の単独事業の質問がございましたけれども、昭和五十年度平成年度を比べますと、地方の単独事業というのは、昭和五十年のときには約三兆だったわけでございます。それが今や、平成年度の場合にはざっと五倍、十四兆六千億ということで、例えば、地方の、市町村の道路とか街路とか公園とか文化、スポーツ、こういったものは、いわばそこの首長さんのかなりの、もちろん議会の了承を得てでございますけれども、意欲によってそれが実現をするということで、過去、先輩の方々が築いてくださいましたこの地方単独事業というものが大変大きくなってきたことは、地方自治という本旨にもとるものではない。  ただ、先ほども触れましたように、本来安定的な、景気に余り左右されない税源であるべき、我々の一番身近な生活にかかわるものが一割しか直接税がないというこの税収構造というのは、これは変えていかなければならぬ。額もそうでございますが、税のあり方そのものについてもさらに踏み込んだメスを入れていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  46. 蓮実進

    蓮実委員 税調答申によると、いろいろ意見が出されて、提起があるわけでありますが、国民の関心が強い地方消費税について政府の考えをお聞かせをいただきたいと思います。答申は、地方自治の本旨とも絡むので十分に検討するよう求められておりますが、どう考えておられるのか。  また、地方消費税を新設してほしいという意見がかなり強いのです。八九年度の税制改正で、地方税制がかなり制限されてしまっております。ただでさえ地方景気は落ち込んで、各自治体も苦労しているはずであります。やはり、独自財政をつくるべきではないか。現在の消費税の約二〇%が消費譲与税として分配されているようですが、これでは地方の財政にはスズメの涙であります。どうしようもありません。やはり、地方自治体が独自に徴税して、自由に使えるようにしないと、地方分権もおぼつかなくなるのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  47. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今、何兆円の所得税減税ということが言われておりますのでは、所得税だけでいいのか、住民税はどうするのかという問題に必ずその次に発展してまいります。その際に、一体、では住民税を減税する、住民税という本来地方自治体におきます会費と申しましょうかそういろ性格を持っているものの課税最低限を上げることがいいのかというような問題、これもすぐ、滅紳というときには、住民税の減税をどうするか、当然のことながらかわりの財源をどうするかといろことにつながってくるわけでございまして、事け非常に重大であり、また非常に急を要することかと思っております。  さらに、地方分権の中におきます長期的な財源ということにつきまして、これから高齢化社会を迎えることもありますし、あるいは公共的事業というものをふやしていかなければならぬという村政需要が非常に大きくなってくるわけでございますから、そういった意味では、安定的な独自財源というのはぜひ必要であると思っております。  ただ、その際に、国民の世論からいきましても、だからといって、では直ちに地方消費税にいくかどうかこれはもう少し議論が要るのではないかと思っておるのです。というのは、消費税そのものが、逆進性の問題、益税の問題あるいは二、三、まだいろいろと消費税そのものに問題があるわけでございまして、簡易課税の問題とか、あるいは使い道が今のような格好でいいかという問題があるわけでございます。  消費譲与税を地方消費税に移すということは、それはそれなりに、住民が自分も納めているもので地域負担しているんだという意識を持つこと、このことの効果というのは税理論として当然あり得るだろうし、そういう意味議論が残念ながら税調では余り議論されていないものですから、今私の言える範囲内は、いずれにいたしましても、地方分権という問題と地方が独自の財源を持つということは絶えず一体で考えていかなければいかぬし、今の税収構造は、間接税が少な過ぎて、これは安定的な財源という角度からいっても問題があるねということが現時点で言えることでございます。
  48. 蓮実進

    蓮実委員 政府は、地方自治体の生の声にぜひ耳を傾けていただいて、しっかりやっていただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  49. 粟屋敏信

  50. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 佐藤自治大臣、昨日、私、予算委員会で米の問題を、私ガットの議長をやっておりました経験にかんがみましてお話しさせていただきました。私は、佐藤大臣の卓越なる政治歴に敬意を表しておりますし、明確なる発言に深く尊敬しておるのでありますが、昨日の御答弁については全く不満であることを申し上げさせていただきます。また明日やりますから、急遽三十分やらせていただきますので、ひとつ。  実はきょうも私のところには、私は福島なんですが、福島の議会から要請文というのが出まして、米の問題等出ています。恐らく大臣のところには、各県から、各市町村から上がってまいるし、また今後も来るのじゃないかと思っております。ひとつ、そういう重要な問題につきまして、卓越した政治歴をお持ちの大臣の御手腕を期待いたします。  委員長、私はきょうゼネコン問題についてちょっと質問いたしたいのでございますが、お許しを得まして、英国の公共事業法を配らせていただきたいと思います。これを参考にしながらお話をさせていただきます。  私が問題提起いたしますのは、一つの具体的例で言いますと、例えば宮城県の仙台市におきまして、今ゼネコンの六社、指名停止になっていますか、そういう指名停止が行われますと、これが全国的な市町村に波及するわけであります。私は自分で調査したのでありますが、今全国市町村の数三千二百三十五だと思いますが、その三千二百三十五の市町村の中で、佐藤大臣、どのくらいのパーセントこの六社が指名停止をされておるという御判断がございますでしょうか。
  51. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 私も新聞のかなり隅々までいろいろな格好で見、また自治体の名前が出てくると、またゼネコンのいわゆる汚職の問題等が出てくると、かなり注意をしているつもりでございますが、ちょっと数字まではわかりませんので、吉田行政局長の方から答弁させます。
  52. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 各地方公共団体の指名停止の状況でございますが、指名停止につきましては、それぞれの地方団体がそれぞれ指名基準なりあるいは指名停止基準に従って判断をしているわけでございまして、多くの団体がこういう不祥事に関連して指名停止をしていると思いますが、私ども正確な数字をつかんでいるわけではございませんので、お許しをいただきたいと思います。
  53. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 私はこういうことを申し上げて、何も知識がどうのと言うのじゃないのですが、私が調べましたら、こうなんです。  某社の状況ですが、それが一つのところで指名停止になりますと、自治体、都道府県四十七、これは指名停止になってしまう、それから市町村は合わせまして五百二十が指名停止になりまして、都道府県と市町村を合わせると五百七十。五百七十といいますと、市町村の数は三千二百三十五としまして約二割、これがオフリミットになってしまう。自治大臣、こういう状況をよく御理解されておるか、私はこういうことを問題提起したいわけであります。  それは地方公共団体だけじゃないのです。国の機関を例にいたしますと、中央官庁というのは、例えば建設省の営繕部であるとか、仙台の場合でいいますと東北地建、東北地建だけじゃなくて関東地建もそうなってしまうし、北陸地建、中部地建までいってしまう。あるいは運輸相の航空局、海上保安庁、農林省関係、林野庁の営林局、それから防衛庁の施設庁、厚生省の社会保険庁、こういうもろもろのところ、それから、事業団でいいますと、道路公団を初め水資源開発公団なり地域振興整備公団なり、全部なってしまう。  しかも、東京の武蔵野市が二年間指名停止になってしまう。これは仙台市とどういう関係があるのですか。しかも、ガサが入りました、検察庁の捜査が入った瞬間に…(発言する者あり)ちょっと黙って聞いていなさい。そういうことになったときに全部がそういう形でいってしまうということは、一体この根拠は何なのか。私は、国とか国の機関についてはまだ別途の機会にお聞きいたしますが、自治省は少なくとも三千二百三十五の市町村について、例えば条例でやっているとか、あるいはそれぞれの市町村は何でやっているとか、こういうことをまずお聞きしたいと思っております。
  54. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 これは佐藤委員承知のように、地方自治法の施行令百六十七条の十二で、「普通地方公共団体の長は、指名競争入札により契約を締結しようとするときは、当該入札に参加することができる資格を有する者のうちから、当該入札に参加させようとする者を指名しなければならない。」これは指名入札の場合でございますけれども、これに基づいて、簡単に言えば、指名するもしないもその自治体の長の権限ということに根拠を置いているというふうに理解をしております。
  55. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 根拠はわかるのです。根拠はわかるのですが、今の各都道府県あるいは市町村のいろいろな汚職の構造なりなんなりを見ていくと、一体どこにそういう問題の原点があるのかということを私は問題意識としてとらえているわけであります。  行政局長、今大臣はそうおっしゃっていますが、その根拠はわかるのですが、例えば武蔵野市、私は前に質問を聞きにこられたときに武蔵野市だけは調べておいてくださいということを言いましたので、せめてそれについて、関係のない武蔵野市は一体何の根拠に基づいて二年間なら二年間やっておるのかということについての御答弁をお願いしたい。
  56. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 指名停止についてでございますが、これは今大臣からお答え申し上げたとおり、その根拠は、地方自治法並びに施行令によって長の権限とされております。しかし、あくまでもその指名なり指名停止ということについては、事柄の性格上、公平、公正に行われるべきことは当然でございます。したがいまして、各地方団体は、それぞれその手続につきまして基準なり内規なりを設けてやっていることが望ましいわけでございます。  ただ、この指名停止の措置ということでございますが、これは有資格者が贈賄等の容疑で逮捕された場合、そういう場合の当該業者などは、一般的な社会通念上やはり公共工事の契約の相手方として不適切であるということから、一定期間指名の対象外とするということになっているわけでございます。そういうような趣旨からいたしますと、これは贈賄罪が確定した場合だけでなくて、あるいはその当該団体の契約に関して起こった場合でなくて、ほかの団体であっても、そういう指名停止はできるということだろうと思います。国の要領においても、そういうような格好になっているわけでございます。  具体的にお尋ねがありました武蔵野市でございますが、武蔵野市は、市の指名停止に関する内規がございまして、それに従って指名の停止をしている。この内規では、役員が贈収賄で逮捕された場合には、九カ月から二年間の期間の指名停止ができるというふうになっていると聞いております。
  57. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 お調べいただいてありがとうございました。事実、そうなんですよ。二年間となっているのですよ。  それで、法律論を言うのじゃないですけれども、贈賄罪、収賄罪というのは、渡す方ともらう方、これは必要的共犯なんですよ。そうでしょう。例えば仙台市の方は市長さんが争っている、あるいは宮城県の知事さんが争っている。これは土木部なり市の土本部長なりなんなりにとっては自分の親分ですね。ところが、親分さんのところに物を渡しましたという贈賄のA社にガサが入りますと、とめてしまうわけです。あたかも自分の親分はもらいましたよという話なんですよ。そう思いませんか。本来ならば、それは必要的共犯というのですが、贈賄だけの犯罪なんてありはしない。出したからもらうということで、これは刑法の一つの基本なんです。そういうことが今なされている。何だかおかしいでしょう。親分がまだ認めていない、何もしていないときに、逮捕だけで、ガサを入れただけでとまってしまうのですよ。それが関係のない武蔵野市まで行ってしまう。  それで、私は英国のこれをお出ししたのです。これは僕は建設省にも、建設業課長にちょっと勉強のために来てくださいと言っておいたのですが、これは英国法です。お配りしておりますのは、英国の契約の中に、私は線を引っ張ってお渡ししてあります。この英米法がなくても私は申し上げますが、ハズ・ビーン・コンビクテッド・オブ・ア・クリミナル・オフェンスなんです。刑法の中においてコンビクテッドというのは、英米法で有罪判決を受けている者をコンビクションというのです。単に逮捕されて、アレストされたりあるいはサスピッションを受けている者はやらないのです。こういうものがきちんと法律で出ているのです。  それが内規だのなんだので、しかも武蔵野市が何々がそういうふうな形でいっているという根拠がはっきりしていなさ過ぎるのじゃないかということを私は申し上げたい。そういうものについて二割のものが、大臣、よくお聞きいただきたいと思うのです。(発言する者あり)よく聞いていなさい。日本のことは外国のことがわかってからお話しするのです。まあお聞きなさい。  佐藤大臣にお伺いしますと、そういうものになっておる。そういうふうなことが単に内規であるということであるから、例えば天の声があって、そのころの市長さんが、それをやめろ、あっちへ行けということになると、とまっちゃうわけであります。この不景気のような状況の中において、ゼネコンさんなりなんなりというのは各市町村の市町村長あるいは知事の方の顔を眺める、こういうところの根本はこういうところにあると大臣は思われませんか。
  58. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 私は必ずしもそうは思わないのであります。やはりこれは、何といっても公共事業というのは、皆様の税金である公金の支出でございますから、その意味では極めて透明性高くやるべきまず性格だと思うのです。  私も、実は選挙法を長くやってきたものですから、佐藤委員言われますように、まだ犯罪だというふうに確定していないのに確定したかのごとくして、そういう措置をする。つまり入札に参加させないというのはおかしいではないかというのは、一面では法律論として私もわからぬわけじゃないのです。長いこと実は買収供応問題等を私も公選法でやってきたことがあるものですから、その意味、その部分だけでわからないわけじゃありません。しかし、今局長からも答弁いたしましたように、公金の支出という、そこで不正があった場合には、いわば税金の詐取という言葉が法律上いいかどうかわかりませんけれども、やはりそこで極めて厳しくする。  武蔵野市の例を挙げられましたが、武蔵野市民から見てみると、やはりどtかの地方自治体でそういうようなことがやられて逮捕されたというその会社をもって自分のところの何かをつくるということについては、やはり一般社会通念上、契約の相手方としてはこれはどうも不正がある可能性を持っているのではないか。この際別の業者にするという首長の判断といいましょうか、それは、先ほども申しましたように、根拠としては施行令に書いてあるわけでございますけれども、首長としてなるべく工事の透明性とか公開性を高めたように市民の側に理解をしてもらおうという意欲の一つのあらわれではないかというふうに私は理解をしているわけであります。  逆に言いますれば、これは実は期間が決まっておらないで、二カ月ぐらいというのが随分新聞で見るわけですね。二カ月ぐらいじゃ、これは、ちょっとまた首長と業者とが話をして、ちょっと後ろにずらせばすぐ資格がまたできるじゃないかという御不満を言われる方もあるわけでございます。  促そういう意味では、結論をちょっと先に言っちゃいますと、先ほどちょっと触れました建設省との、中央建設業審議会の中においても、一体どういう場合に指名入札をさせないんだ、どういう場合にさせるんだとかいうような、その指名の基準というか、指名停止の基準というものをもう少し全体的に公に決めた方がいいのじゃないだろうか、二年が長いか二カ月が短いかということも含めて、この指名なり指名停止の基準というものもはっきりした方がいいんじゃないかということで、建設省と一緒に中央建設業審議会の中で議論していただいて、年内にはその答申が出るというふうに聞いておりますので、この際に、私は法律論としてわからないわけではありませんが、公金の支出という面からいいますと、これはやはり社会通念上これの方が納税者の理解はより得られるのではないかというふうに私は考えます。
  59. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 日本には罪刑法定主義というのがあるのです。すべて法律に基づいて罪というものはなされなきゃならぬ。それから憲法には、被告人というのは判決を受けるまでは無罪と推定される。これは大臣御存じだと思う。そういう形であります。  それで、こういうことからいって、根拠が非常にあいまいである、内規であるとかなんとか。この際にきちんとしたようなものを地方公共団体、市町村、そういうものについて私は、国の今審議会のお話というのがありますが、そういう面でよく法律的に一つの基準を、英国法においてもあるのだから、こういうことを一つの参考にして、このゼネコン問題というのをきちんとやらぬとけじめがつかぬぞということの一つの気持ちから、こういう問題の提起をいたしておることを御理解賜りたい。よろしくお願いします。  それで、これに関連しまして、大臣、川島武宜先生という東大の社会法律学者、この先生と渡邊洋三先生というのがこういう本を出しているのですよ。「土建請負契約論」、これは僕は想定問答をとりに来られた方に見せなかったのですけれども日本評論新社というところです。  これはぜひお読みいただきたいと思うのですが、この川島先生は、社会法学的にこの議論をやっているのですが、国、地方公共団体の請負契約、ゼネコンだのとの請負契約というのは非常に片務性が強い。片務性というのは偏る、片ですね。双務性じゃない。双務契約になっていない。  それで、彼はこういうこともはっきり言っているのですよ。国とか地方公共団体がやる契約というのは、今は大分よくなりましたけれども、「……スヘシ」、何々すべしという、ちょうど警察庁だあるいは税務署だが、片仮名でいいますとそういう「スベシ」になっていたのです。それで、片っ方の義務の方の、国側がやるものについては、例えば、代金の一部を支拂うことがあるかもしれない、「アルベシ」というのです。それから、損害賠償をしてやることがあるかもしれない、こういうのがずっと明治時代からの片務性の言葉として出てきているのです。  この先生は、この本の中の二十ページにずっと指摘しているのです。例えば地方公共団体、国がやる場合に、例えば国あるいは地方公共団体が契約を解除したときは「相当十認ムル金額ヲ賠償スルコトアルベシ」というのです。しないかもしれないよというのです。そうなんですよ。ところが、片っ方に、請け負った方のゼネコンなり建築業者のときには、何々期間内に保証金が不足したときには「納付スベシ」、こう書いてある。それから、何か傷つけたときには一定の期間内に「原形二復スベシ」、こうなっている。「ベシ」と「アルベシ」なんですよ、違いが。片っ方は、かもしれない。  この思想が延々として流れてきまして、最近では公共工事標準契約約款といって中央建設業審議会が、かなりよくなっているのです、両方の契約条項を見ますと。ところが、その精神が、先ほども申し上げましたが、一ところでやりますと、米国の南北時代のカウボーイみたいな、カウボーイでウオンテッド、お尋ね者が来ますと、だだだあっと全部お尋ね者になっちゃうわけですよ。二割の市町村がなっちゃう。こういう現実が、私はいかにもこの日本の法治主義国家としては解せない問題なんです。  大臣、どのような所感をお持ちになるのか。私はその本なりを大臣に差し上げてあれしたいと思っておるのですが、こういうことを川島先生という東大の法社会学の先生が、日本に潜むこのゼネコンの体質、まあゼネコンというと昔は電話一本と机があって、それで人入れ稼業みたいなものであって、それでやってきて、そして集めてやったところからスタートしてくるわけです。しかし、今大体建設業をやっているのは、五十万人の人たちがそれで食っているわけです。五十万人食っていて、GNPの二割近いもの、国家予算七十数兆でいいますと、七十一兆ぐらいでいいますと、八十兆円ぐらいのものを上げているわけです。  そういうことを考えてみると、やはりこのすそ野というのは非常に大きいのです。景気対策のときでも重要なんです。ところが、今ゼネコン初め、スーパーゼネコン五社ありますが、その下の方の人たちというのは、いつかうちの取締役がやられるのじゃないか、何かガサが入るのじゃないか、こういうふうな心配だの何だのしていて、契約する方の、発注する方は、もし何か事があるならばそれを返上してくださいなんていう念書まで出すところがある。こういうのがここのところの数年間のこの平成恐慌みたいな状況の中に起きているという現実を私は直視していただきたい。  私も政府委員をやってきた男ですから、その国を思い、何を思っているかはよくわかるわけでありますが、その点において自治省の指導力というもの、一つの全体に対する方向づけ、こういうようなものは極めて重要なものだと私は思いますので、佐藤自治大臣、ひとつよろしく御所見を承りたいと思います。
  60. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 日本のゼネコンが技術的にもかなり高いレベルで世界的にいろいろ大きな仕事をしている、そのこと自体は私も否定をするものではないと思うわけでございます。ただ、佐藤委員御指摘のように、武蔵野市で二年もやるのはこれは厳しいじゃないかという状況の中でも、残念ながらこれだけゼネコン汚職というものが、もう我々も一千万単位なんというのは麻痺してしまうくらいいろいろ出てくる状況にあるということの方が、むしろ私は非常に恐ろしさを実は感じておるわけでございます。  佐藤委員御指摘になりましたけれども、例えば地方自治体でも、九月末で七八・何%という七・五%以上の契約率を上げていただいております。国も、その意味で、確かにゼネコン上位五十社をとってみますと、仕事の量は減りましたけれども、しかし契約率というのは国が目標としたものを達成しているということで、幸いゼネコン汚職によって景気そのものにまで影響はしていないというふうに私は理解をしております。なぜならば、毎月毎月、これは執行の状況関係者で突き合わせておるからそういうことが言えるのであります。  いずれにいたしましても、イギリス法との関係という問題になりますと、これはむしろ建設省でいろいろ御研究をいただかなければならぬのでありますが、先ほど触れましたように、指名基準もあるいは指名停止基準もまちまちではないか。それから、あるところによると、社長なり重役が捕まるとこれだけの範囲、指名停止です、課長ぐらいですとこのぐらいの指名停止ですというようになってきて、それから長さも、先ほど言いましたように二年から二カ月というようにみんなばらばらになっておる。これも果たしていいことかどうかということで、先ほど申しましたように、建設省の中央建設業審議会の中で指名基準及び指名停止基準の基準の策定及び公表を行うことということで、今研究をしていただいて、全国的にひとつ統一したと申しましょうか、やはり一定の基準はつくらなきゃいかぬのではないだろうか。その際、私が先ほど言いましたように、二カ月くらいでどのくらい効果があるのかなというようなことについての答えも出てくるのではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、ゼネコン汚職という大変国民政治不信そのものを起こさせたものを、もちろん先ほど言いましたように、トップに立つところの執行の厳正、あるいは公務員としての基本的なあり方を忘れているということから発するわけでありますが、制度面においてそんなことが許されるようなことは一〇〇%払拭していきたいということで、我々としては臨んでいきたいというふうに考えております。
  61. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ただいま大臣、執行率の問題を述べられたのですが、それは恐らく都道府県の集積なのだろうと思います。市町村の関係というのは、自治省やられましたか公共事業の施行率、市町村三千二百三十五の部分について。
  62. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 さすが佐藤委員でございまして、私はそこで、何月からだったか、せめて、まずことしは政令市もやってください、政令市の執行状況はどうなっていますかと。市町村はなかなか数が多くて大変なものですからまだできておりませんが、ただ、全体的にいろいろ聞くところ、御承知のように市町村の場合には地元の建設業者を使う例が、やはり地域振興を言う面もあって非常に多いものですから、そういう意味では、県レベルと遜色があって一般市町村は非常に執行がおくれているということは、余り私の耳に入ってきておりません。
  63. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 時間でございますから、本件については続いていろいろ申し上げたいと思いますが、一つ最後に申し上げたいのは、市町村の全体ベースの発注状況、これは市町村というのは非常に金がない部分がありますから、それで県と比較にならない。御承知のように自己負担部分というのがないとできない、そういう点でございますから、その点は私はちょっと見解を異にしていますので、その実態をお調べいただいて、そして突き合わせた上でお話をさせていただきたい。宿題としまして、自治省の方にお願いしておきます。  それからもう一つは、先ほど申し上げました請負契約の片務性、これは私は、江戸時代から来ているのだろうと思うのですよ、日本の。法社会学の川島先生が言っているぐらいですから。鴻池何々から始まっている話なんです。そういうことの体質が、今の各市町村、お上は物をやっているのだ、ゼネコンじゃなくて普通の建設業者がいただいているのです、下賜されているのです、こついう精神構造に今なっている。契約自身は前のようなすべし、あるべしから双務性というように改善はされておりますけれども、実質はそうではかいというところが、今一つの例として申し上げ苦したが、一社がなると約二割にわたる市町村がかり、そして国がなり、事業団が横並びになる、こういう問題意識は、我々やはりその原点に返って考え直していく必要があるのではないか。  そういう場合において、私が提示しました英国法というのも一つの参考にしていただきたいし、建設省もその中で勉強していただきたい、かようなことを申し上げまして、私はここで、時間になりましたので打ち切らせていただきます。  また、私は、先ほど蓮実代議士がおっしゃっていました郡の問題について、一つの郡を強化することによって、受け皿になって、しかも郡の中で、大体、郡というのは五つぐらいの町を持っているのが通常でございます、町村を持っているのが常様でございます。というのは、今の各町村の平均当たりの予算額を見ますと、四十億円ぐらいの非常にわずかな形で、それでは本当の地方自治というのはやっていけない部分があるのじゃないか。そういう意味で、これは郡の中で助役以下の人事交流を行っていく。  町村長の選挙があるから、私は合併の促進が進まないのだろうと思っているのです。町村長の選挙は当分そのままでよい。郡のA町、B町、C町、D町、E町だったら、A町に入った人は例えば十八年なら十八年たったら、人事委員会というのを郡で置いて、そこに登録して、B町の課長になってC町の収入役になってD町の助役になる、こういうやり方でやりますと、郡全体の広域的なことを考えるようになる。  今の広域組合というのは市を入れてしまっていますから。市というのは町村と格差がある。郡の中だけでやりますと、大体生活圏、私の地元の例を見ましても、一時間くらいで郡の中の町村間は行き来できます。東京にいましても、官庁に来るには少なくとも一時間ぐらいかかるわけですから。自動車でいいますと一時間ぐらいの範囲内で人事交流をすることとすれば、大体年金がついたころになったら、何もA町にいなくたってB町のあれだって、奥さんにとってはどうってことないわけですから、そういう形での人事交流の方策があるのじゃないかということを指摘して、またさらにこの問題については、将来、当委員会において私の見解を申し述べさせていただくこととし、本日は、これをもって終わらしていただきます。ありがとうございました。
  64. 粟屋敏信

  65. 穀田恵二

    穀田委員 法案に入る前に、補正予算にかかわることで若干質問したいと思います。  一つは、消防防災整備費が削減されて、十一億ぐらい減っているわけですけれども、それはどんなところを削るのかということを消防庁にまずお聞きしたいと思います。
  66. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 お答え申し上げます。  今回の消防関係の補助金のうち、その減額の対象としておりますのは、設備整備に係る部分でございまして、そのうちヘリコプターほか今後に向かって役に立つ、そしてそれぞれの団体にとっては非常に高額の経費を要するようなもの、それを例外扱いといたしまして、それ以外のものについて一五%の削減をする、こういう形になっております。
  67. 穀田恵二

    穀田委員 要するに、これを見ますと、消防ポンプ自動車だとかはしごつき消防ポンプ自動車だとか消防団活性化総合整備事業なんかを削るということですね。これは私、消防力の基準に対する充足率の状況は、この間でいいますと若干低下している問題があると思うのですね。資料をいただきますと、消防ポンプ自動車、これは低下している。それから、はしごつき自動車についてはほんの一%しか伸びていない、こういった問題がありますけれども、これだけ充足率が不十分なのに、どうしてこれを削るのですか。
  68. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 御指摘のように、消防力基準との関係で見ますと、最近若干の低下を来しているものがございます。私どもは、その消防力の基準の充足を図るべき立場から、かねてそのギャップに着目して、市町村においてそういうものの予算化を積極的にやってもらうように、また、これを推進するため、補助金もこれに力を入れていきた  い、このように思っております。  しかしながら、今回の減額につきましては、御承知のような財政事情のもとでございますから、全体としてやはり節約に協力せざるを得ない。ただし、その際に、私どもといたしますれば、やはり費目の選別は行うべきであるということで、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、いわば先導的と申しましょうか、そういう設備であって、今後に非常に需要が高いもの、しかも各団体にとってみればその経費負担は非常に大きくなるもの、そういうものについてはその節約の対象としないという形でやったわけでございまして、財政事情から万やむを得ない措置、このように考えているところでございます。
  69. 穀田恵二

    穀田委員 ただ私は、大きなお金がかかるという問題とあわせて考えなければならない問題は、例えば消防白書を見ますと、国の示す消防力の基準を指針として整備を進めてきたと書いてあって、その後、今後における整備方向としては、はしごつき自動車、これを第一に挙げているのですよね。それで、化学消防自動車、ヘリコプターの整備を図るのだと。これは、高層建築の問題も含めて後で触れていますからそういうことだと思うのですよ。だから私は、いろいろあるけれども、これはやはり削ってはならぬというふうに思うのですね。つまり、充足率も満たしていないし、それから今後の重点方向として書いていることもあるのだから、そういう中身であれば、ほかのものを削るようにすれば私はいいと言っているのじゃないのですけれども、これはやはり削るのはまずいのじゃないか。  ついでに言っておきますと、私、消防団の問題もそうだと思うのです。これは、消防団の活性化総合整備事業という問題についても、同じ消防白書で、消防団というのは常備消防と並んで地域社会における消防防災の中核として重要な役割を果たしているからということで、消防団の事業をやっているわけですね。しかも、同時にこれは、私は京都なんですけれども、京都市なんかの場合でも、地域に密着したきめ細かい予防活動が実際は火事を少なくしている最大の原因だということで、京都における話し合いを私、してまいりました。そういう意味でいいますと、そのことも同じく指摘しているわけですね。  だから私は、こういう消防白書からしてみても、そして今の充足率からしてみても、そういった内容からすれば、ここは削るべきでないのじゃないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょう。
  70. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 消防関係予算は、その補助金全体につきまして、私どもとしてみれば、いずれも安全の確保に関する費用でございまして、これはゆるがせにできないものであるという認識を持っているわけでございます。御指摘のように、確かに消防力の基準は逐次充足していかなければいけない領域であるというふうに思いますし、特に今御指摘の団の活性化などという問題は本当にゆるがせにできない話であるわけでございます。  ただ、再々繰り返しますように、年間の財政事情で何か一定の節約をせざるを得ないという場合には、現実の財政需要というものをある程度勘案せざるを得ません。その場合に、私ども、その消防力基準とのギャップなどについてかねて意識を喚起して、そこについてはできるだけ実際に予算化をし、かつ我が方の補助金を使ってもらいたいというふうにやっているわけでございますけれども、残念ながらなかなかそこまでいかないという実情もございます。  したがって、現実にお金を使っていく立場で考えますと、実際に需要のあるところ、そこのところに焦点を当てて、そこにとりあえずの力点を置いて、それ以外のところは若干セーブせざるを得ない、そういう判断をしたわけでございまして、決してその辺がゆるがせであってよろしいというふうに思っているものではございません。
  71. 穀田恵二

    穀田委員 ゆるがせになってはならないということは、根本を譲ってはならないということの意味ですから、私は、語法からしてもちょっと、それだと本当に充足するために力を注ぐべきだと思うのです。  私は何もほかを削れと言っているのじゃなくて、本来、消防庁などについて言うならば、生命と安全、それから財産にかかわるそういうものをやっているところなんだから、ここ全体を削るべきじゃないという意見なんです、私は。そのことを言っておきたいと思うのです。  そこで次は、それはそういうことで私の主張をしておきたいと思うんで、地方財政の問題について移りたいのです。  大臣、今回提案した補正予算というのは、財源補てんの方法として出しているわけですけれども、一連の経過、この間ありますよね、十年、何年と。ですからこの方法は、はっきり言って、この間のあれでいいますとベストですかベターですか。
  72. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 今回の補正予算におきまして、交付税の減額が国税の減収ということに伴いまして出てきたということでございまして、地方交付税というものが国税の一定割合にリンクされている以上は、国税収入が増加した場合にはそれはプラスに働きますし、また減収になった場合にはマイナスに働く。これを処理するというのが地方交付税として当然やらなければならぬことでございます。  今回の場合には、従来プラスのこともございましたが、マイナスになった。そのマイナスが非常に大きいということでございまして、そのマイナスの大きいものにつきまして、現段階で地方交付税総額を減らすということが果たしてできるかどうか。八月末には普通交付税も決定をしているわけでございまして、現段階で地方交付税総額が減ったから各自治体から返してくださいということは、これは現実の問題としては言えないわけでございますから、当初の地方交付税総額確保する必要がどうしてもございます。そのためには、財源がないから特別会計におきましてやむを得ず借り入れをするということにしたわけでございまして、今回のこの情勢というものを踏まえてやりましたやむを得ない措置だというふうに私どもは考えているわけでございます。
  73. 穀田恵二

    穀田委員 やむを得ない措置という問題と関連して、今お話がありましたが、特別会計で借りるに当たって、今までの経過からいえば、例えば自治省として、利子だけじゃなくて、この資料にありますようにそういう時代もあったわけですから、元金も全部国が負担してくれということを要求したのですか。
  74. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 先ほども申し上げましたとおり、地方交付税というものが国税正税の一定割合ということで法定されているわけでございます。その国税正税というものは、増加する場合もございますし、減額する場合もございます。その場合にどう対応するかというのは、それぞれの時期における財政状況に応じまして対応策を考えていかなければならないということでございます。もちろん、国の財政当局とこの取り扱いについて事務折衝をする段階におきましては、いろいろな折衝はございました。しかし、最終的な結論といたしましては、借り入れということで決めたということでございます。
  75. 穀田恵二

    穀田委員 私、なぜこういう点を一生懸命言っているかというと、いつも問題になることなんですよね。だから結局、今局長からお話があったけれども、特会で処理して地方には負担をかけないようにしているのだ、要するに先ほどの話でいえば、確保する、迷惑をかけられないということですよね。だから、そのことに対して、果たして本当にそうだろうか、つまり地方に要らざる負担をかけないということが言えるのだろうかと思うわけですよ。だから、そこをぜひ聞きたいのです。  そこで、では聞きますけれども地方交付税法の七条にある歳入歳出の見込み額というのはどこが作成するのですか。
  76. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 地方財政対策を決定する上で、交付税法にございますように、地方の歳出はどう  いうものがあるかそれから歳入はどういうものがあるかというものを作成していくわけでございますが、それは政府の責任としてやっていくべきものだと思います。一次的には自治省がそれをつくるわけでございますが、関係省庁ともよく相談をした上でづくっていく、こういう仕組みになっているわけでございまして、その上で、地方財政が支障なく運営できるような、そういう財源を確保するというのが毎年度やっている地方財政対策でございます。
  77. 穀田恵二

    穀田委員 だから、内閣政府の責任。条文でいいますと、正確に言えば「内閣」、そういうふうに書いてありますけれども、減収となった交付税総額、そこにもともと計上されたもの、これは四条にあるように大臣が見積もるものではありませんか。
  78. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 当初の段階でどういう形で見積もるかということは先ほど申し上げたとおりです。しかし、経済というものは生き物でございますから、政府が予想したとおりにうまく進んでいくという場合が数少ないわけでございまして、それを上回る場合もございますし、また、それを下回る場合もあるわけでございます。その対応策をどうするかというのが補正予算で決定されるべき問題だと思うわけでございます。  もちろんその段階で、今おっしゃりたいのは、政府で決めたのだから政府がすべて責任を持つべきだということだと思うわけでございますが、しかし、全体の財源というものを考えた上で、地方財源をどう措置していくかということを全体の中で考えていくことはやはりどうしても必要なわけでございますから、ないところから出せと言ったってこれは出ないわけでございますし、そこのところは全体の中で調整をしながら、国と地方との財政がうまく回転するように努力するというのが政府立場ではないかと思っております。
  79. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 局長から答弁をいたしましたように、今回の場合には御承知のような経済情勢でございますから、極めて予測し得ない状況でございますので、地方財政の円滑な運営を維持するためにはやむを得ざる臨時異例の措置ということでございます。  穀田さんにいろいろ御心配いただいておりますが、このようなことでございますものですから、金利負担は国が持つということで、地方には迷惑をかけないということで、先ほども触れましたけれども経済のかなりの部分を国よりも大きなウエートで地方自治体は頑張っていただいているわけですから、そういう大きな意義を感じて、金利負担は国が持ちますということで、地方自治体に迷惑をかけないということでやっておりますので、ひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  80. 穀田恵二

    穀田委員 先ほど見積もりの問題や、予想どおりでなかったとか経済も生き物だとかありましたけれども、去年の答弁を見ておりますと、これは担当大臣も含めて言っておりましたが、当時こう言っているのですよね。一割以上も違うということはやはり甘いというふうに当時も自治大臣は答弁されています。ですから、予測し得ないということですけれども、しかし、予測し得なかった事実がこういった形であらわれたからこそやはり――補正を組んだのは当たり前ですよ。だから、その際に国の責任で補てんをして、地方が払うのではなくて、最終的に国が責任を持って払うべきだということを私は主張しているわけです。  私、反対討論も許されていませんので、今述べましたように、また改めてその点についてもう一度答弁していただいて、先ほど局長からお話がありましたように、地方の財源の確保というのはやはり国の責任だ、私は改めてそこの点を明確にしていただきたいのです。その点いかがでしょうか。
  81. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 政府として、財政運営にできるだけ支障のないように制度化を図り、そのときどきの経済に適応するような財源を地方のために確保するという努力をすることは当然のことでございます。しかし、全体としての経済というものが計画どおりいくものでもないわけでございますから、そこのあたりの変動というものをやはり十分考慮しながら予算も補正しなければいけないし、いろいろな対応策というものを考えていくということが必要なのではないかと思います。できるだけそういう誤差のないような努力をしなければならないことは当然でございますけれども、しかし、出てきたものについてはそういう形で、地方にはできるだけ迷惑をかけないような措置をしていくということで努力をしているわけでございます。
  82. 穀田恵二

    穀田委員 先ほどありましたけれども、繰り返しますが、問題の所在は、交付税減額の責任がどちらにあると見るかという問題だと私は思うのですね。この間の問題についていえば、国と見るのかそれとも地方と見るのか、どちらに責任があるのだ。  これは、私先ほど言いましたように、地方交付税法の趣旨からいった場合、内閣自治大臣が責任を持って見込んでそれを執行するわけですから、そういう意味でいいますと、趣旨からいっても国の責任だ。二つ目に、今現実に起きている問題について言うならば、見込み違いというだけではなくて、当然それは税収の不足となって、もともと不景気が原因になっている、それに対する打開の策が打たれなかったということに対してもこれは国の責任だ、こういうことだと思うのですね。  しかも、特別異例の措置だということを自治大臣は繰り返しておっしゃいましたけれども、特別異例の措置と言い条、実際はここ数回は、まさにこれは何回も繰り返しているということになりますよね。だから、かつてこういうことについては原則的に行わないということを繰り返し表明されたにもかかわらず、これが事実上原則みたいになってしまっていることについて懸念を覚えるから、私、わざわざこういうことを言っているわけです。その点、いかがでしょうか。
  83. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 制度のあり方その他の状況につきましては局長から言われたとおりでございますが、内閣は一体であり、重要なことは、国民生活をどう守っていくかということなわけでございます。さりとて地方自治体は三千三百、一つ一つ一つの財政、一つの会計を持っているわけでございますから、そこで、国がお金が足らなくなったから、あなたのところで借りて金利負担をしてくださいよというものではなくて、これは現金は地方自治体へ直接行くわけでございますから、地方自治体が計画した事業、既にもうそれはかなり進んでおるわけでございますけれども、それはそれなりにちゃんとやってもらって、そして国と地方自治体は一体となって日本経済の下支えをしているわけでございますから、穀田さんが御懸念になるようなことはないのではないか。  要するに、重要なことは、国民生活をどうやって守っていくか、そして、会計でございますから、国は国としてぴちっと会計もしなければいかぬ、地方地方でぴちっとした会計をしなければいけませんから、その間には特別会計があって出し入れをしてやっているということでありますので、これは交付税の例えば先食いをしてしまうとかいうようなことは、財政のあるべき姿からいって本来あってはならないことでございますから、それを避けるために基本的にその借り入れをしないということできましたけれども、今の経済情勢ということを考えますと、まさにこれは臨時異例の措置、しかるべき措置としてお認めをいただけるのではないかというふうに自治大臣としては考えております。
  84. 穀田恵二

    穀田委員 もう時間もあれですし、私、最後に態度だけ、ついでに表明しておきたいと思うのです。  これは、衆議院地方行政委員会調査室資料の「交付税特別会計借入金額及び償還計画」の中にありますように、実質的には補てん財源は将来の地方交付税を充てる、こういう点を私、言っているわけなんですね。だから、国の責任が果たされていないのじゃないかこういうことで私どもは反対を表明しているわけです。また同時に、特金借り入れというものについてはしないという政府の方針にも反するものですから、そういう二つの点から私どもとしては反対であるということを表明して、質問を終わりたいと思います。
  85. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、明八日水曜日午後六時三十分理事会、午後六時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後八時三十分散会      ――――◇―――――