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塩崎委員 まず地価税、それから後で譲渡益課税についてそれぞれ
お話をお伺いしたいと思うわけでございますが、今の御
説明を聞いておりますと、いずれも
土地基本法の
理念に沿っているという
お話であれば、どちらも動かすおつもりはないというふうにとれるわけでございます。
一つ一つお話をさせていただきたいと思うわけでございます。
まず地価税でありますけれ
ども、これは
平成二年十月の「
土地税制のあり方についての
基本答申」に沿ってできた税金でございます。目的というのは、
土地に関する税負担の適正・公平の確保、それから
土地の資産としての
有利性の縮減を図る、こういう二つの観点から導入をしたというふうに言われているわけでございます。
私も、その
平成三年のときの
土地税制絡みの議事録を全部集めて、ぱらぱら見てみたわけでございます。随分御議論されたなということはよくわかるわけであります。
このときの議論を見てみますと、導入前、
平成三年の議論を見てみると、この程度で
土地神話を崩すことができるのだろうかというような言葉であるとか、〇・二、三%の税率で果たして十分なんだろうかということで、むしろもっとやれというような感じの議論が割合多かったように見られるわけでございます。それから、資産の保有手段であるとか投機の対象になっているのではないかとか、
土地ほど有利な資産はないとの神話がこれで打ち破れるのだろうかというような、むしろもっとやれよというような議論で進んでおられた。
例えば、五年ごとの
見直しというのがありますけれ
ども、もっと早くやらないと間に合わないのではないかとか、つまり、これは上げることを
考えての話なのでしょうね。こういうことでやっておったわけでございます。
そのときの感じはよくわかるわけでありますが、
土地の
経済的
機能、これは釈迦に説法でございますけれ
ども、
一つは、生産手段といいましょうか、オフィスであったり工場であったりあるいは住宅であったり、まず第一は生産要素であろうと思うわけです。もう
一つは、いわば資産として持つということであって、生産手段、生産要素ではなくて資産として持つことについて問題があるのではないか、それも投機が多いのではないかということでこの税が
考え出されてきたのだろうと思うわけでございます。
ところが、これを導入してみたところが、
平成四年からでございますから、もう
景気が悪くなって、地価もずっと下がってきているところでありまして、結局問題は、生産要素として
土地を使っている人
たちにもこれがかかっている。単に資産として運用しているという人
たちだけではなくて、もともと商売をやっているとか、もともと工場を持っている、そういう人
たちにもひとしくかかっていく。もちろん足切りはあります、控除がありますから。
そうなってくると、
一つは、足切りで、値段と広さで、この
土地にはかかるけれ
どもこの
土地にはかからないということになってきて、跛行性が出てくる。業種別にも跛行性が出てくるということ。
もう
一つは、例えば私
どもの地元の松山市の中でも、ある車のディーラーがたまたま町のど真ん中に持っているということで地価税がかかっちゃった。まあ松山はそんなたくさんはかからないわけですが、たまたまそこがかかっちゃった。だけれ
ども、ではそれを転嫁しようと思ったって、ほかのディーラーはかかっていないわけですから、その地価税の分だけ車の値段にオンするなどということはできないわけであります。
だから結局、単に資産として投機的な運用をしているところではないところにもかかってきているということで、保有コストを高めて、そして
土地の有効利用を図りましょうということでこの地価税を導入したはずなのですけれ
ども、生産要素として利用しているところに対してもかかっているということで不公平感が出てきているのだろうと私は思っているわけです。そういう業界の方からも多分話が出ているのだろうと思うのですが、こういうところは、むしろ対象をセレクティブにしていかないといけないのではないだろうかということであります。
あるいは、保有コストを上げて譲渡のコストを下げるということで
土地の供給をふやして、そして値段も下げようということであれば何か一貫性のある話になるわけでありますけれ
ども、今回の場合は、保有コストも上げて、そして売却のときの税金も上げてしまうということをやってしまったわけであります。
それだったら、地価税はもっとセレクティブにやるか、それとも保有コストを上げるという役割は、固定資産税だったらすべての
土地にかかるわけでありますから、それに任せるか。まあこれは国税、地方税の問題がありますけれ
ども。こうなってくると
大蔵省としては、自分の
予算ベースでも六千億ぐらいありますから、やはりおれのところ欲しいよ、こういうふうになるのだろうと思うのですが、
土地政策としてこういうやり方でいいのだろうかと思うわけであります。
ですから、業種あるいはケース・バイ・ケースでセレクティブにやって、もともとねらい撃ちしたかった資産としての
機能にインパクトを与えようというケースではない。普通に商売をやっている、普通に生産をやっているところにもかかって、そのコスト負担で苦労しているところについては何らかのことをするか、もうやめてしまって保有コストは固定資産税に任すか、こういうふうにすべきではないかなと思うのですが、いかがでございますか。