運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1993-12-03 第128回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十二月三日(金曜日)     午後六時十分開議 出席委員保   委員長 宮地 正介君    理事 石原 伸晃君 理事 太田 誠一君    理事 村上誠一郎君 理事 早川  勝君    理事 村井  仁君 理事 海江田万里君    理事 太田 昭宏君       相沢 英之君    荒井 広幸君       大島 理森君    大原 一三君       岸田 文雄君    塩崎 恭久君       橘 康太郎君    保岡 興治君       山下 元利君    山中 貞則君       米田 建三君    永井 哲男君       鉢呂 吉雄君    日野 市朗君       細谷 治通君    上田 清司君       栗本慎一郎君    白沢 三郎君       山本 幸三君    宇佐美 登君       中田  宏君    中村 時広君       斉藤 鉄夫君    谷口 隆義君       大矢 卓史君    北橋 健治君       佐々木陸海君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 藤井 裕久君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村 正男君         大蔵大臣官房総 田波 耕治君         務審議官         大蔵省主計局次 竹島 一彦君         長         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省証券局長 日高 壮平君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         国税庁課税部長 若林 勝三君         農林水産大臣官 福島啓史郎君         房審議官         農林水産省経済 眞鍋 武紀君         局長         食糧庁次長   永田 秀治君  委員外出席者         経済企画庁調整 塚田 弘志君         局財政金融課長         大蔵委員会調査 中川 浩扶君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二日  辞任       補欠選任   中田  宏君   五十嵐ふみひこ君 同日  辞任         補欠選任  五十嵐ふみひこ君    中田  宏君 同月三日  辞任         補欠選任   福田 康夫君     荒井 広幸君   秋葉 忠利君     鉢呂 吉雄君   青木 宏之君     白沢 三郎君   田中  甲君     宇佐美 登君 同日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     福田 康夫君   鉢呂 吉雄君     秋葉 忠利君   白沢 三郎君     青木 宏之君   宇佐美 登君     田中  甲君     ――――――――――――― 十一月三十日  平成五年度における国債整理基金に充てるべき  資金の繰入れの特例に関する法律案内閣提出  第一六号)  農業共済保険特別会計農業勘定における平  成五年度の再保険金支払財源不足に対処す  るための特別措置に関する法律案内閣提出第  一七号) 同月十六日  消費税率引き上げ反対所得税大幅減税に  関する請願岩佐恵美紹介)(第一〇〇二号  )  同(穀田恵二紹介)(第一〇〇三号)  同(佐々木陸海紹介)(第一〇〇四号)  同(志位和夫紹介)(第一〇〇五号)  同(寺前巖紹介)(第一〇〇六号)  同(中島武敏紹介)(第一〇〇七号)  同(東中光雄紹介)(第一〇〇八号)  同(不破哲三紹介)(第一〇〇九号)  同(藤田スミ紹介)(第一〇一〇号)  同(古堅実吉紹介)(第一〇一一号)  同(正森成二君紹介)(第一〇一二号)  同(松本善明紹介)(第一〇一三号)  同(矢島恒夫紹介)(第一〇一四号)  同(山原健二郎紹介)(第一〇一五号)  同(吉井英勝紹介)(第一〇一六号)  同(穀田恵二紹介)(第一〇八〇号)  同(古堅実吉紹介)(第一〇八一号) 同月二十四日  消費税率引き上げ反対所得税大幅減税に  関する請願佐々木陸海紹介)(第一四三八  号)  同(古堅実吉紹介)(第一四三九号)  消費税率引き上げ反対食料品非課税実施に関  する請願岩佐恵美紹介)(第一五二四号)  同(穀田恵二紹介)(第一五二五号)  同(佐々木陸海紹介)(第一五二六号)  同(志位和夫紹介)(第一五二七号)  同(寺前巖紹介)(第一五二八号)  同(中島武敏紹介)(第一五二九号)  同(東中光雄紹介)(第一五三〇号)  同(不破哲三紹介)(第一五三一号)  同(藤田スミ紹介)(第一五三二号)  同(古堅実吉紹介)(第一五三三号)  同(正森成二君紹介)(第一五三四号)  同(松本善明紹介)(第一五三五号) 保同(矢島恒夫紹介)(第一五三六号)  同(山原健二郎紹介)(第一五三七号)  同(吉井英勝紹介)(第一五三八号) 同月三十日  たばこ問題の厚生省への所管替え等に関する請  願(濱田健一紹介)(第一六〇四号)  同(金田誠一紹介)(第一六八二号)  同(今村修紹介)(第一七六六号)  同(岡崎宏美紹介)(第一七六七号)  消費税率引き上げ反対所得税大幅減税に  関する請願中島武敏紹介)(第一六八〇号  )  同(松本善明紹介)(第一六八一号) 十二月二日  消費税率引き上げ反対所得税大幅減税に  関する請願東中光雄紹介)(第一九四五号  )  消費税廃止に関する請願中島武敏紹介)(  第二〇一七号) 同月三日  たばこ問題の厚生省への所管替え等に関する請  願(今村修紹介)(第二三八〇号)  消費税率引き上げ反対所得税大幅減税に  関する請願佐々木陸海紹介)(第二四二四  号)  同(佐々木陸海紹介)(第二五六八号)  登録免許税法改正等に関する請願外十四件  (小渕恵三紹介)(第二六四八号)  所得税大幅減税消費税廃止に関する請願(  岩佐恵美紹介)(第二六四九号)  同(穀田恵二紹介)(第二六五〇号)  同(佐々木陸海紹介)(第二六五一号)  同(志位和夫紹介)(第二六五二号)  同(寺前巖紹介)(第二六五三号)  同(中島武敏紹介)(第二六五四号)  同(東中光雄紹介)(第二六五五号)  同(不破哲三紹介)(第二六五六号)  同(藤田スミ紹介)(第二六五七号)  同(古堅実吉紹介)(第二六五八号)  同(正森成二君紹介)(第二六五九号)  同(松本善明紹介)(第二六六〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第二六六一号)  同(山原健二郎紹介)(第二六六二号)  同(吉井英勝紹介)(第二六六三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月三日  所得税大幅減税等に関する陳情書外七件  (第一五〇号)  消費税率引き上げ反対に関する陳情書外二件  (第一五一号)  自動車関係諸税抜本的見直し軽減に関する  陳情書  (第一五二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成五年度における国債整理基金に充てるべき  資金の繰入れの特例に関する法律案内閣提出  第一六号)  農業共済保険特別会計農業勘定における平  成五年度の再保険金支払財源不足に対処す  るための特別措置に関する法律案内閣提出第  一七号)      ――――◇―――――
  2. 宮地正介

    宮地委員長 これより会議を開きます。  内閣提出平成五年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案及び農業共済保険特別会計農業勘定における平成五年度の再保険金支払財源不足に対処するための特別措置に関する法律案の両案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。藤井大蔵大臣。     ―――――――――――――  平成五年度における国債整理基金に充てるべき   資金の繰入れの特例に関する法律案  農業共済保険特別会計農業勘定における平   成五年度の再保険金支払財源不足に対処   するための特別措置に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいま議題となりました平成五年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特別に関する法律案及び農業共済保険特別会計農業勘定における平成五年度の再保険金支払財源不足に対処するための特別措置に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成五年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成五年度第二次補正予算におきましては、税収が第一次補正予算に対し大幅な減収となることが避けられない見通しである一方、緊急経済対策冷害等対策など特に緊要となった事項等について措置を講ずる必要が生じております。このため、政府は、既定経費節減等に最大限の努力を払うとともに、追加財政需要につきましても極力圧縮し、さらに、やむを得ざる措置として、公共事業関係費追加に対応するもの等について建設公債追加発行することといたしております。  しかしながら、これらをもってしてもなお財源不足することから、特例的な措置として、当初予定していた国債整理基金特別会計に対する定率繰り入れ等を停止することとし、このため、本法律案を提出した次第であります。  なお、定率繰り入れ等の停止に伴い国債整理基金運営に支障が生じることのないよう、NTT株式売却収入に係る無利子貸し付けについて繰り上げ償還を実施するとともに、地方公共団体等に対し相当額償還補助金を交付することとし、このため必要となる措置を講ずることといたしております。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  毎年度国債の元金の償還に充てるため国債整理基金特別会計繰り入れるべき金額は、国債整理基金特別会計法第二条第二項に規定する前年度首国債総額の百分の一・六に相当する金額及び同法第二条ノ二第一項に規定する割引国債に係る発行価格差減額年割り額に相当する金額とされておりますが、平成五年度におきましては、これらの規定は適用しないこととしております。  次に、農業共済保険特別会計農業勘定における平成五年度の再保険金支払財源不足に対処するための特別措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成五年度におきまして、低温等による水稲等被害が甚大であったことにより、農業共済保険特別会計農業勘定の再保険金支払いが著しく増大するため、同勘定の再保険金支払い財源不足が生ずる見込みであります。政府は、この再保険金支払い財源不足に対処するため必要な特別措置について定めることとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、借入金についてであります。  平成五年度の再保険金支払い財源不足に対しては、不足額が極めて多額に上っている一方、一般会計が立ち至っているまことに深刻な状況にかんがみ、農業共済保険特別会計において借入金により対処することといたしますが、これに係る債務を弁済するため、同特別会計において借入金をすることができることとしております。  第二は、一般会計からの繰り入れについてであります。  借入金に係る利子については、農業共済保険特別会計利子負担を負わせないため、一般会計が負担することとし、一般会計から利子財源を同特別会計農業勘定繰り入れることとしております。これにより今回の措置は、同特別会計農業勘定にとって、再保険金支払い財源不足に係る従来の一般会計からの繰り入れによる措置と実質的に同様の措置となるものであります。  また、借入金償還金についても、再保険事業の適正な運営を確保するため必要があるときは、その財源に充てるため、一般会計から繰り入れることができることとしております。  第三は、食糧管理特別会計からの繰り入れについてであります。  平成五年産の米穀減収に対処するため緊急特例的に行われる米穀輸入により、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定に生ずることとなる利益について、借入金償還金財源に充てるため、同勘定から農業共済保険特別会計農業勘定繰り入れることとしております。  その他、農業共済保険特別会計からの繰り戻しについて、本年の被害は極めて大規模なものであり、農家の共済掛金負担軽減を図る見地から、著しく異常な災害に係る再保険金については共済掛金率に反映させないこととし、このため、借入金償還金に充てるための繰入金のうち、著しく異常な災害に係る再保険金の部分については繰り戻しを要しないこととする等の措置を講ずることとしております。  以上が、平成五年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案及び農業共済保険特別会計農業勘定における平成五年度の再保険金支払財源不足に対処するための特別措置に関する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 宮地正介

    宮地委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 宮地正介

    宮地委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎恭久君。
  6. 塩崎恭久

    塩崎委員 自由民主党塩崎恭久でございます。  藤井大蔵大臣におかれましては、予算委員会に引き続いての御出席で大変お疲れかと思いますけれども、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  ただいま御説明のありました法案につきましては、私の後、石原委員から御質問をさせていただくということで、私の方からは、景気現状についての問題、経済対策の今後の見通し、そして土地税制、それから金融機関不良資産の問題、この点につきまして順次御質問させていただきたいと思うわけでございます。  ここに至りまして、細川政権景気の深刻さについて深く理解をされ始めてきたなということをやっと私たちも感じることができるようになったわけでございますが、自由民主党も九月九日に既に経済対策を出しておるわけでございます。その中で、所得税減税も明確に打ち出し、また、土地税制の改革についても打ち出しておるわけでございます。  政府におかれましてもその後対策を打ち出しましたが、一向に実体経済への反応が出てこないということでございまして、ここに来て大蔵大臣通産大臣お話をされておったり、それから新聞等々で拝見をいたしますと、パッケージを出すんだというようなお話も漏れ伝わってきているわけでございます。  景気がここまで冷え込んできた、このことについてはもうだれしもが認めることだと思うわけでございますが、この原因について、大臣どのようにお考えになっているか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  7. 藤井裕久

    藤井国務大臣 経済現状は、今塩崎委員のおっしゃるとおり大変重大な局面にあるように思います。三年を超す景気回復が行われていないという実態が事実だと思います。  そういう中で、実は前内閣のときに企画庁長官が、若干様相が変わってきたということを言われたことが春先にあるのでございます。私は、経済である以上は必ずサイクルを描いている面があるのだと思います。そのサイクルが少し様子がよくなってきたぞということを前内閣企画庁長官が言われたのだと思います。  これについては、その後の冷夏、長雨、そして急速な円高、これが非常に効果を減殺したというか、そういう動きをつぶしてしまったということは事実だと思います。これは、私は九月二十五日のG7において声を大きくして言ってまいりました。  同時に、今回の経済状況というものは、もう一つ構造的なものがそれに絡まっていることも否定できないと思います。構造的な中には、ストック調整が十分いってないということを含め、さらに大蔵省分野でいえば金融、先ほど塩崎委員は後で質問するというお話でございましたが、金融システム十分機能をしていないということなどの構造面があわせてあるために、これが複合して現在の景気状況がある、このように考えております。
  8. 塩崎恭久

    塩崎委員 単にシクリカルな、循環的な要因だけではなくて、構造的なものもあるということでございます。その具体例としてストック調整、そしてまた金融政策というお話でございましたけれども、それだけではなくて、確かに金融分野ではございますけれども、必要以上の金融引き締めをやったり、バブル土地絡み総量規制あるいは土地税制を締め過ぎたのではないか、きつくし過ぎたのではないだろうか。それから、税制以外でも土地取引を人為的に抑えることをやり過ぎた、長過ぎたということが複合的に絡まってここまで来ているのが今の深刻な景気の冷え込みの原因ではないか。  デフレとよく言われております。私どもは、第一次オイルショック以降インフレといつも闘っているというふうによく言われておりましたけれども、ここに来て本格的なデフレと遭遇をしているなと思うわけでございます。  最近新聞等で見ておりますと、景気対策を打ち出すというようなお話も出ておりますが、その真実のところ、今検討状況等々これからどういうふうにされようとしているのか。  そもそも、私どもは早く補正予算を出さなければいけないと言いながら、今日にまで至ってしまったということがまず第一点、日本経済全体に対して大変な失望感を与えたということが言えるのだろうと思います。また、来年度の本予算につきましても年内の編成を見送るかもわからないというようなことが新聞に出ているというだけで、恐らく国民の皆様方はまた大変な心配をされておるのではないかなと思うわけでございます。  そういう状況の中で、今大蔵大臣として、あるいは今の連立内閣として、経済対策を打とうとされているのかどうか、新しいパッケージを出そうとしているのか、その点についてお答えをいただけたらと思います。
  9. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今塩崎委員お話しの、金融システム十分機能していないという背景は御指摘のとおりだと思うのです。金融システムというのは、今日本金融というものが土地担保によって成り立っている以上土地問題が非常に根っこにある。これは、私の言った金融システム問題そのものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。  また、第二次補正予算がおくれぎみであったのはどういうわけかというお話でございますが、御承知のように、多額農業共済金支払い、その実際の額を精査しているようなこともありましておくれたという面があるのは事実でありますが、同時に私どもの九月十六日対策財政面であらわす今回の措置、これは公共投資政策だけに限定しているわけです。  大体上半期で、平成五年度通常予算によってこれを支えたと思うのです。九月末現在、七五%という前内閣の目標がありましたが、これが七八にいっているわけです。それから平成五年の第一次補正、これが九月末現在で四〇にいっているわけです。恐らくこれが第三・四半期公共投資部門を支えると思います。はっきり言えば、今回の第二次補正は第四・四半期を支えるというようなものではないかと考えております。  現在、私どもとしては、とにかくこの第二次補正予算を一日も早く通していただけるよう全力を出して国会に対してお願いをし、また我々としての考え方を、今もそうでありますが述べさせていただいている、これに全力を注ぐ段階であると考えております。
  10. 塩崎恭久

    塩崎委員 それでは、土地税制見直しについて問題を移したいと思うわけでございますが、先ほど金融システムの問題の根幹には土地の問題があるのだ、こういうお話でございました。我が国経済がここまで来たときに、いつも暗雲のように経済主体にとってうっとうしいものとしてあったのは、恐らくこのバブル以降のいろいろな土地政策であったのではなかろうか。  監視区域につきましては、既に国土庁の方から緩和するようにという通達が出たと聞いておるわけですが、かねてから、この土地税制について手をつけなければ、あるいは土地政策そのものに手をつけなければ我が国の本格的な景気回復はあり得ないだろうということをいろいろなところで私も言ってまいりましたし、多くの識者も言ってきた。これを、最近の新聞報道で私たちも初めて拝見をするわけでございますが、連立政権も、藤井大蔵大臣を含め大分御認識をされ始めているというふうに受け取っておるわけでございます。  土地税制見直しについて巷間いろいろな報道がなされておりますけれども、この問題について、一体今大蔵大臣としてどのようにお考えになっており、どのようにされようとしておるのか。それの基本的なスタンスについてまずお伺いをしたいと思います。
  11. 藤井裕久

    藤井国務大臣 私は、八月の就任早々から、この金融システムが非常に大きな問題だということは言い続けてまいりました。したがって、今になって急にこういう話が出たのではなく、八月以来言い続けてまいりました。そして、金融システムの問題の根っこには土地担保の問題があるということは、もう当然の前提で申してまいったつもりであります。  そこで、土地問題というか担保問題というのは流動化の問題だと思います。なぜ流動化していないのか、こういう問題であって、それは今塩崎委員指摘のように、税の問題だけでないのは事実なんです。いろいろな規制だとかそういうものをひっくるめて、何が流動化を阻んでいるかということを今勉強しているわけです。その中で税制は別だよとは全然言っておりません。税制もその中の一つである、またこれがどういう機能を持っているか、この流動化に対してどういう影響を与えているのかということは当然勉強しているわけであります。  そこで、平成元年土地基本法というものは、もう御承知のように土地というものが持っている有利性に根差して、それに基づいた土地基本法理念というのがあるわけです。その理念に基づいて平成三年に土地税制ができた。この基本はあくまでも守ってまいりたいと思っておりますが、その中で今のような点にどういう点をマッチさせていけばいいかということを勉強しているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  12. 塩崎恭久

    塩崎委員 今の御説明でいきますと、土地問題は金融の問題だというふうにとれるわけでございます。金融機関にとって極めて重要な問題であるということはまた後ほど申し上げたいと思うわけでございますし、その点については恐らく共通の認識であろうかと思うわけでございます。これは何も金融機関のためだけではなくて、ほかの経済主体についてもこの土地問題というのは今日の上のたんこぶになっているといいましょうか、隘路の一つになっているのではないかと思うわけでございますが、その点はいかがでございますか。
  13. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今金融面だけを申しましたが、産業構造のリストラの問題もこれに関係していると思います。
  14. 塩崎恭久

    塩崎委員 先ほど土地基本法が根本だ、こういうお話でございます。確かにいろいろな資料を見ておりますと、平成三年度に主に行われた税制改正はこの土地基本法をベースに行われているわけでございます。土地基本法理念については公共性を中心として展開をされていることは私も承知をしているつもりでございますけれども、そのときにいろいろな政策土地税制が変えられました。  その政策変更をしたときのスタンスといいましょうか、哲学といいましょうか、その点についてどういうふうに御認識をされているか。そして、その政策スタンスが今の現状と照らし合わせてみて果たして正しかったのかどうか、合ったものだったのかどうかこの点についてちょっとお話をいただきたいと思うのです。
  15. 藤井裕久

    藤井国務大臣 土地というものは、他の商品と違って公共の福祉のために貢献すべきものである。したがって、土地というものは持っているものでなく利用するものである。さらにまた、土地というものは他の周辺の諸環境によっていろいろ特別の利益が発生することもあるが、そういうものに対しては公共に還元しなければならない等々であります。
  16. 塩崎恭久

    塩崎委員 あのときにいろいろな税制の変更が行われましたけれども、大きなものは地価税それから譲渡益課税の引き上げ、それから租税特別措置の廃止であるとか譲渡益関係でございます。主に柱はこの二つだったと思うわけでございますが、この二つを動かしたそのときのスタンスというのはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  17. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今の御指摘の面は、いずれも土地基本法基本理念に合うものであるというふうに考えてできた、前内閣のときの考え方はそうだと私は承知をいたしております。
  18. 塩崎恭久

    塩崎委員 土地基本法理念に沿ったものという意味では、確かにそのときはそうだったのかもわからない。しかし、今のこの現状に照らし合わせてみると、必ずしもその理念には沿っていないのではないかという気がいたすわけでございます。  それで、少し内容に入っていきたいと思うわけでございますが、さきの土地税制の改正のときは保有税の引き上げ、これは地価税と、これから起きてくることでございますけれども、固定資産税の評価の引き上げでいわば保有税の引き上げをやったというのが一つだと思うのです。それと同時に、譲渡益についても引き上げをしたということであって、今土地を持っている人たちがどうなっているかといえば、持っていてもコストが上がってしまった。売ろうと思っても税金が上がってしまってなかなか売れない。いわばロックインといいましょうかどこに持っていっていいかわからないでうろうろしている、身動きがとれないような状況になっているのではないか。  果たしてこれが土地基本法に合った状態であるのかどうかはぜひ御判断いただきたいと思うわけでございますが、私はそういうロックインの状態になっているのではないかと思うわけでございます。これは、金融機関だけではなくて個人もあるいは事業者も、不用な土地といいましょうか、バブルのときでありますから、有用な土地、不用な土地、両方持って今右往左往している人が多いのではないか、こんなふうに思うわけでございます。  保有税を上げ、そしてまた譲渡益課税も一緒に上げていった、このことがロックインのエフェクトを与えたのではないか。この点についてどうでしょうか。
  19. 藤井裕久

    藤井国務大臣 譲渡課税について申し上げたいと思いますが、譲渡課税は、今までは原則が地方税を含めて二六だったわけです。優良宅地については二〇に引き下げているわけです。それから、居住用財産については、六千万未満はやはり同じような税率でやっているわけでありまして、さっき申し上げたように、特別に措置をしていかなければならないものについては、今までの基本税率よりも譲渡は下げているという事実も御理解をいただきたいと思います。  同時に、保有税については、土地とその他の資産との余りのアンバランスに対してある程度の評価をふやしていくという措置であって、私は基本理念に沿ったものであると考えています。
  20. 塩崎恭久

    塩崎委員 まず地価税、それから後で譲渡益課税についてそれぞれお話をお伺いしたいと思うわけでございますが、今の御説明を聞いておりますと、いずれも土地基本法理念に沿っているというお話であれば、どちらも動かすおつもりはないというふうにとれるわけでございます。一つ一つお話をさせていただきたいと思うわけでございます。  まず地価税でありますけれども、これは平成二年十月の「土地税制のあり方についての基本答申」に沿ってできた税金でございます。目的というのは、土地に関する税負担の適正・公平の確保、それから土地の資産としての有利性の縮減を図る、こういう二つの観点から導入をしたというふうに言われているわけでございます。  私も、その平成三年のときの土地税制絡みの議事録を全部集めて、ぱらぱら見てみたわけでございます。随分御議論されたなということはよくわかるわけであります。  このときの議論を見てみますと、導入前、平成三年の議論を見てみると、この程度で土地神話を崩すことができるのだろうかというような言葉であるとか、〇・二、三%の税率で果たして十分なんだろうかということで、むしろもっとやれというような感じの議論が割合多かったように見られるわけでございます。それから、資産の保有手段であるとか投機の対象になっているのではないかとか、土地ほど有利な資産はないとの神話がこれで打ち破れるのだろうかというような、むしろもっとやれよというような議論で進んでおられた。  例えば、五年ごとの見直しというのがありますけれども、もっと早くやらないと間に合わないのではないかとか、つまり、これは上げることを考えての話なのでしょうね。こういうことでやっておったわけでございます。  そのときの感じはよくわかるわけでありますが、土地経済機能、これは釈迦に説法でございますけれども一つは、生産手段といいましょうか、オフィスであったり工場であったりあるいは住宅であったり、まず第一は生産要素であろうと思うわけです。もう一つは、いわば資産として持つということであって、生産手段、生産要素ではなくて資産として持つことについて問題があるのではないか、それも投機が多いのではないかということでこの税が考え出されてきたのだろうと思うわけでございます。  ところが、これを導入してみたところが、平成四年からでございますから、もう景気が悪くなって、地価もずっと下がってきているところでありまして、結局問題は、生産要素として土地を使っている人たちにもこれがかかっている。単に資産として運用しているという人たちだけではなくて、もともと商売をやっているとか、もともと工場を持っている、そういう人たちにもひとしくかかっていく。もちろん足切りはあります、控除がありますから。  そうなってくると、一つは、足切りで、値段と広さで、この土地にはかかるけれどもこの土地にはかからないということになってきて、跛行性が出てくる。業種別にも跛行性が出てくるということ。  もう一つは、例えば私どもの地元の松山市の中でも、ある車のディーラーがたまたま町のど真ん中に持っているということで地価税がかかっちゃった。まあ松山はそんなたくさんはかからないわけですが、たまたまそこがかかっちゃった。だけれども、ではそれを転嫁しようと思ったって、ほかのディーラーはかかっていないわけですから、その地価税の分だけ車の値段にオンするなどということはできないわけであります。  だから結局、単に資産として投機的な運用をしているところではないところにもかかってきているということで、保有コストを高めて、そして土地の有効利用を図りましょうということでこの地価税を導入したはずなのですけれども、生産要素として利用しているところに対してもかかっているということで不公平感が出てきているのだろうと私は思っているわけです。そういう業界の方からも多分話が出ているのだろうと思うのですが、こういうところは、むしろ対象をセレクティブにしていかないといけないのではないだろうかということであります。  あるいは、保有コストを上げて譲渡のコストを下げるということで土地の供給をふやして、そして値段も下げようということであれば何か一貫性のある話になるわけでありますけれども、今回の場合は、保有コストも上げて、そして売却のときの税金も上げてしまうということをやってしまったわけであります。  それだったら、地価税はもっとセレクティブにやるか、それとも保有コストを上げるという役割は、固定資産税だったらすべての土地にかかるわけでありますから、それに任せるか。まあこれは国税、地方税の問題がありますけれども。こうなってくると大蔵省としては、自分の予算ベースでも六千億ぐらいありますから、やはりおれのところ欲しいよ、こういうふうになるのだろうと思うのですが、土地政策としてこういうやり方でいいのだろうかと思うわけであります。  ですから、業種あるいはケース・バイ・ケースでセレクティブにやって、もともとねらい撃ちしたかった資産としての機能にインパクトを与えようというケースではない。普通に商売をやっている、普通に生産をやっているところにもかかって、そのコスト負担で苦労しているところについては何らかのことをするか、もうやめてしまって保有コストは固定資産税に任すか、こういうふうにすべきではないかなと思うのですが、いかがでございますか。
  21. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいまのは地価税のお話が主だったと思います。私は地価税の議論のとき当時の自由民主党におりましたし、その間の議論は大分お読みになっておいでだと思いますが、当時は、土地基本法理念の中に、土地とは利用するものだ、公共の福祉に従うものだという一つの大きな理念があったわけですね。その中で、もともとは遊閑地的な土地がおかしいという話から始まっていたことは事実なんです。そういう議論の過程があると思うんです。  しかし、現実の問題として何が遊閑地かというのはとてもわからないではないかということで、そのかわり薄く、より薄く全体にお願いしようというのが当時の自由民主党の税調であり、それを受けた政府税調の結果だったと私は理解をいたしております。  そういう中で、今また御指摘がありましたように、五年に一回固定資産税と地価税のあり方を見ながら見直していこう、これは今塩崎灸員おっしゃるようにどんどん上げるための見直しばかりではございませんで、今御指摘のようないろいろな問題がある。その固定資産税がこれからどういうふうに変わっていくかということとの関連などを考えながら見ていこうというのがこの法律に言う五年見直し、五年ごとの見直し規定の趣旨だと思っております。
  22. 塩崎恭久

    塩崎委員 今五年ごとというお話がありましたけれども、五年前には見直すつもりはないという意味なんでございますか。
  23. 藤井裕久

    藤井国務大臣 法律の趣旨に従いたいと思います。
  24. 塩崎恭久

    塩崎委員 時間もあれでございますから、次の譲渡益課税に移りたいと思います。  先ほど申し上げたように、保有コストを上げて譲渡益課税は軽くするという形が一番すっきりするのではないかと思うわけでありますけれども、固定資産税がこれから上がってくるということで、いろいろな御心配もある。そこから派生じて登録免許税の問題であるとかいろいろなことがあって、この点についてもこの年末の税制改正でぜひやり直していかなければいけないのではないかな、経過措置を設けていかなければいけないのではないかなと思っておりますけれども、この譲渡益課税を現状のままで不動産が果たして流動化できるだろうか。  先ほど大臣からも流動化がやはり大事だというお話がございました、これは金融機関の問題も含めてでございますが。そもそも土地税制の目的の一つは、土地の有効利用、有効活用、すなわち単なる資産として運用するのではなくて、市場に供給させて、そして有効利用を図るためにも必要である。でありますから、これは後で述べますけれども経済の再活性化、今これだけだめになってきている日本経済を立て直すためには、事業会社も含めて、そして金融機関も含めてこの資産の土地流動化というものを図らなければいけないというのがもうコンセンサスに近くなってきているのではないかと思うわけでございます。  特に、個人の場合は二六から三九になったというわけであります。これは、ほかの所得とのバランスからいってというお話でありますが、私は、三九というのはほかの所得の税率から見ても高過ぎると思っておるので、本当はこれも二六まで戻すべきではないかというふうに思っております。  それから、法人についてはいろいろなペナルティーをかけるような、長期でも一〇%かけている。あるいは、超短期の場合には分離課税にしてなおかつペナルティーを上に乗せているというようなことが行われているわけでありまして、こういうような平成三年に強化された譲渡益課税を引き下げる御意思があるのかどうか。そしてまた、この間通産大臣ともお話をされているようでありますけれども、今一体どのような議論をして、どのような方向に持っていこうとされているのか。この点についてお話を伺いたいと思います。
  25. 藤井裕久

    藤井国務大臣 平成三年のときの譲渡課税を決めるときにも、今一般に三九というお話がありましたが、逆に、土地が本当に有効に利用される優良宅地等については、この二六を落としているわけでございます。ですから、そういうめり張りを平成三年税制改正というものはつけていると私は考えております。  そこで、何回か申し上げましたように、基本的な税制構造は、土地を持っていることの有利性、そしてもう一つは、土地というものが外部的条件によっていろいろ価額が変わってくるという条件を加味すれば、これが安定的な税の仕組みであるということで当時の与党及び政府が一体となって決めた仕組みだと私は思いますので、この基本だけは守っていきたい。  そして、今申し上げたようないろいろな要因の中で、公共の見地からより特別の考え方、居住用財産などが特別の考え方を今とっているわけでありますし、優良宅地もこれは特別の考え方をとっているし、公用地の拡大についても特別の考えをとっているわけでありますが、そういう中にはめ込んでいけないかという勉強をしているということであります。
  26. 塩崎恭久

    塩崎委員 今のお言葉を聞いておりますと、譲渡益課税に手をつけるというふうに私どもは受けとめられるわけでございます。それは枠組みはいろいろなやり方があるのだろうと思うのですが、緩和について前向きに考えておられるというふうにとってよろしいのでございましょうか。
  27. 藤井裕久

    藤井国務大臣 これも冒頭申し上げましたように、土地流動化しなければいけないということがまず基本でありまして、何が流動化を阻害しているのだということは、今ここが大蔵委員会だというせいもありましょうが、税の話だけになっておりますが、税だけでないことも事実でありまして、税がどういうマイナスの役割を果たしているかということも当然勉強の対象である、このように御理解をいただきたいと思います。
  28. 塩崎恭久

    塩崎委員 この点については、前向きというお言葉がございましたので、まさに前向きに御検討いただいて、ぜひ流動化が進むようにしていただきたいわけでございます。  次に、事業用の資産の買いかえ特例の問題でございます。平成三年のときに廃止をされた、十五号買いかえと言っているらしいのでございますが、要は長期の保有土地を償却資産に買いかえた場合のお話でございます。  これは私どもの身近なところでも起きていることでございますが、例えば松山市あたりに工場を持っているところが、もう手狭になって、そしてまた周りから騒音公害で出ていってくれと言われている。郊外に工業団地ができたから、さあ行こうということで決めたところが、この制度が廃止になってしまったということでございまして、これは税の繰り延べができる特例であったわけでございます。  それがために、市内にある土地を売れば、長期であれば一〇%の上乗せがかかってきますし、これはとてもじゃないけれども今売る気がないということで、さあ出ていこうと思っても、こんな状況金融機関からも金がなかなか出てこないということで、工場移転を断念するようなところが出てきている。  今こんな景気が悪いときに、もうそれは投機でも何でもない、工場を市内から外へ移したいというときの今までは使えたメリットがなくなってしまったために、実はついにその会社は移ることをやめてしまったのですね。こんなもったいないことはない。今本当にまともな設備投資が少ない中にあって、この制度があったならば必ずできただろうというこのようなものがなくなってしまっている。  それからもう一つは、今申し上げたのは、どこでも土地を持っていて売ればいいという話であったわけですが、今の制度でも、そういった移転をする場合に、聞いたところによりますと、地方公共団体がつくった工業団地のときには買いかえの特例が認められる。ところが、民間がつくった工業団地、工場の土地の場合には買いかえの特例が適用されない、こんなことがあるわけですね。  それはそれで抜け道はどこかあるのかもわかりませんが、一般的に認められたものがなくなったことによって大変苦労しているケースが松山、四十五万都市でありますが、二つのケースを私は身近に聞いておるわけであります。私は、長期保有の土地を売却して減価償却資産を取得する際の税の繰り延べという特例は、もう一回カムバックさせてもいいのではないだろうかというふうに思っておるのでございますが、いかがでございますか。
  29. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいまのは十五号特例お話をされていると思います。十五号特例は一般的にやめたのはもう御指摘のとおりでありますが、ただ、一般的にやめたけれども残っている面もあるわけでございます。国土政策的観点から、ちゃんと特例の部分は残っているわけでございます。今勉強しているのは、まさにそういう中で本当に経済構造のリストラやなんかに役立つのだろうか、国土政策上いいものだろうかというものを取り出して、そういう形の土地流動化は必要ではないか、この勉強をしているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  30. 塩崎恭久

    塩崎委員 先ほど申し上げましたように、平成三年の議論のときは、何しろ土地神話をぶっ壊せというのが先に立って、どうしてもやり過ぎたのだろうと私は思うのです。ですから、今国土政策上有益なものについてはというお話もございましたから、大蔵省の方は頭のいい人がそろっておるわけでありますから、幾らでもそんなことはできると思うのです。何でも変えるからよくなかったとか、奨励すべき地方に行かないことがあったとか、こんなことがあるわけですが、こういうものは幾らでも制限をつけて、いいものについてはやはり十五号をもう一回復活させるように、書き方の工夫でできるのではないかなと私は思っているわけでございます。もう時間もないので今のことに、お言葉があれば……。
  31. 藤井裕久

    藤井国務大臣 まさに今塩崎委員指摘の点を勉強しているということでございまして、国土庁、建設省とも今相談をしているところだということを申し上げたいと思います。
  32. 塩崎恭久

    塩崎委員 ということは、これがカムバックするかもわからないと理解をさせていただきたいと思うわけでございますが、いかがですか。
  33. 藤井裕久

    藤井国務大臣 十五号をやめるときの基本的な考え方があるわけです。とにかく土地を持っていることの有利性とかそういうものを、他の資産と比べて同じレベルに持っていかなければならないというこの基本原則はあくまでも守りながら、経済のリストラとか国土政策とかいう特定の政策目的のあるものについて何か考え、それによって土地流動化を図っていきたい、これが本旨でありまして、ひとつ余り曲解をいただかないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
  34. 塩崎恭久

    塩崎委員 曲解と言われるとちょっと寂しいところがあるわけでございますが、リストラというと当然業種指定みたいなのが出てくるのだろうと思うのです。その際、いつもあるわけでございますが、いろいろな業種を並べて、後からまたこれを入れろ、あれを入れろというような話が出ます。今だってリストラが必要ないような業種なんてほとんどないのですから、できるだけ幅広く考えていただきたいというお願いをしておきたいと思います。  次に、金融の問題に移りたいと思うのでございますが、今金利がこれだけ下がった。公定歩合一・七五まで下がって、短プラでも三%台という中で、貸し出しが何と前年比で平残ベースで一%ぐらいしか伸びていない。これを一体どういうふうに理解をされているのか。その点について、いかがでございますか。
  35. 藤井裕久

    藤井国務大臣 これはいろいろな要因があると思います。まず、経済が冷えていることのために需要がないということもありましょう。もう一つ、本当に借りたいのだけれどもというお話も、それはあると思いますね。それは、金融の融資態度の反省の上に立った点がもう一つあると思います。  私どもの友達が支店長をやっていたのはちょうど三十年くらい前なんですが、そのころは担保がなくても、この社長は将来性があると思ったら貸してあげていた。ところが、バブルのころは何だといえば、その社長の将来性とはおよそ関係なく、土地があれば貸したわけです。こういう二つの極端な中で、今その反省が行われているということは否定できない事実だと思いますし、そのことは率直に評価してあげなければいけないと思います。  もう一つは何かというと、やはり不良債権問題を抱えていることだと思います。不良債権を抱えている中で、こういう席であれですけれども、ざっくばらんに言いますと、林大蔵大臣の時代に、大蔵大臣からもちゃんと出ているのですね、貸し渋りをしないように。それから、各行の頭取は支店長に対して出しているのですね、貸し渋りをしないように。  ところが、現実に第一線の立場になりますと、不良債権もそのままにしておいて、頭取さんが言ったからといってなかなか貸せないのです、これが支店長の実感なんですよ。それにはやはり不良債権の部分を肩をすかしてあげなければいけない。こんなような理由が今の金融の実情ではないかと考えています。
  36. 塩崎恭久

    塩崎委員 まさに今、貸し渋りではなくて、貸したくても貸せないところが大変あるのではないかと私は思うわけでございます。私も銀行などにたくさん友達が行っておりますけれども、優秀な人材が後ろ向きな不良資産の処理に追われまくって、新しいビジネスのための融資を探すなどの余裕は全然ないということであって、そもそも銀行の体力が落ちていることももちろんありますけれども、そんなようなことがあると思うのです。  言うまでもなく、これから日本経済は構造的に変わっていくわけでありまして、円高でだんだんと空洞化が進んで、失業も長期的にふえてくるという中で、雇用対策としても何をやらなければいけないかといったら、結局目先のことではなくて、新しいビジネスをつくり上げていくしかないのではないか。  かつては銀行は、ちょっと怪しげな案件でも、さっきおっしゃったように土地の担保があればとか、そういうようなことでリスクテーカーになれたわけですね。ところが今は、今言ったように不良資産の問題などがあってどうしてもリスクアバーターになってしまって、積極的な、産業をリードするとか企業を引っ張っていくなどということは全然ない。  これではやはりいけないということで、不良資産の処理の問題についてはしっかりとやっていかなければいけないだろう。その一つの環境づくりとして土地税制の問題をやってもらわないともうしょうがないと私も思うわけでございますしょうがないと言っては今までやっているのが全部正しくなくて直さなければいけないという話になってしまいますが、そうではないわけであります。  しかし、いずれにしても、銀行を業として助けるということではなくて、日本経済を再活性化するためにも、バブルをつくった原因一つでもある銀行ではありますけれども、そこは、自分の息子が悪いことをしてもまあ一回ぐらいは許してやるかということで、大義のために許していかなければ日本経済一よく銀行局の方にお話をお伺いしますと、不良資産金額、この間も新聞に出ておりましたが、大体自助努力で何とかやれますよというお話が多いのです。  ですけれども、何とかやれますよと言っても、自助努力でやれる範囲では期間的にも多分五年、六年とかかるだろうと思うのです。しかし、今経済は待ってもらえない、今ここで手を打たないと本当にもっと深みにはまってしまうだろうと思うわけでありまして、ここで土地政策税制を含めてきちっとやってもらいたいなと思うわけでございます。  それで、それだけではない、いろいろやることはたくさんあるのですが、もう時間がないので、その中で一つ聞きます。  不良債権を含めてでございますが、債権の小口化によって市場をつくって流通させようではないか、こういうお話新聞に出ておりました。アメリカの例では、LDC向けのローンの債券化から始まって、今でも実際動いているわけでありますけれども、この辺をどうお考えになっていて、債券化についてどうやろうとしているのか、今どこまで検討されて、どういうふうにしようとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  37. 寺村信行

    ○寺村政府委員 債権流動化についてのお尋ねでございますが、実は債権流動化のための施策の措置を既に講じてきているところでございます。  一般貸付債権の流動化あるいは住宅ローン債権の流動化につきましても既に措置をされておりまして、「金融行政の当面の運営方針」に基づきまして、昨年十二月に信託方式を通じます債権の小口化による流動化の方策を既に講じているところでございます。  先ほど来の御質問にもございましたように、このような状況のもとで金融機関の融資対応力を強化していくという必要がございますので、なお引き続き大蔵省内におきまして勉強会を設けまして、我が国における債権流動化のあり方につきまして、実務家のレベルで今検討しております。今後、この検討結果も参考にしながら着実にその種の施策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  38. 塩崎恭久

    塩崎委員 今のお話は、既に一般債権の流動化が行われて、たしか一兆円くらいあったと思いますが、それは不良資産ではなくて、一流企業向け貸し出しであったり、そういうものの他業態への売却であったりするというふうに私は聞いておるわけでございます。ところが、今問題になっているのは不良債権でありまして、アメリカの場合はそれを債券化をして流通をさせている。ですから、当然ジャンクボンドのようにかなりいろいろなレーティングが出てくるのだろうと思うわけで、そういう市場もできている。値決めもできる。  このアメリカの場合は、もともと担保になっているものがリターンがあるものでありますから、値決めが割合簡単なのだろうと思うのです。ところが、日本の場合はもう何も入ってこない、土地だけ。土地は収益を生みませんから。そうすると、最終的な清算価格は一体何なのかということでないと、幾らで流通させようか、幾らで引き取ろうかという話は決まらないわけですね。  そういうときにまたこの土地の問題に戻ってくるわけでありまして、今ほとんど取引が行われてない、値段が幾らだか市場価格が全然わからないような状況の中では、このような不良債権にまで至る、特に日本の債権を債券化して流通させようと思っても、値決めができないわけでありますから、どうしても土地流動化というものをこのためにもやっていかないと、金融システムの健全性の育成という意味でもだめなのだろうと思うわけであります。  そういう意味で、きょうはちょっと時間がないので十分なことはあれでございますが、この土地の問題について、先ほど流動化について十分考えるという大臣のお言葉でございましたから、それを信じて、我々も考えられるあらゆる方策をまた出しながら考えていきたいと思いますので、引き続いてよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  39. 宮地正介

    宮地委員長 次に、石原伸晃君。
  40. 石原伸晃

    石原(伸)委員 大臣、自民党二人目で、あとしばらくでございますので、どうぞ頑張っていただきたいと思います。  先ほど同僚の塩崎議員より日本経済現状についてお話があり、大臣からいろいろ御答弁があって、なるほどなと思うこともありましたが、私の認識と若干違う点がありますので、その点からお話をさせていただければと思っております。  大臣は、重大な局面に差しかかっておる、またこれは構造的なもの、循環的なものの複合不況である、こういうことをおっしゃられておりました。その点については、私もまさに同感の至りでございます。  しかし、九二年度の成長が〇・八%、そして今年度の成長ですけれども、この七―九が大変悪いと言われていて、来週数字が出てきますけれども、まあマイナスまで行かないけれども、よくてゼロ成長。そして、来年はどうかといいますと、明るい要素がなかなか見えてこない。大手の証券あるいは銀行の総研等にいろいろお話を聞いて、エコノミストの話を聞きますと、どうもマイナス成長である。もうそれだけでも、この三年間にわたりまして日本がかなりの低成長を記録しているという事実があると思います。  これは何を意味するのか私なりに考えますと、実は日本は、これまでの何でも右肩上がりで来ました高度成長型、こういう経済から成熟期にもう既に入ったのではないか私はこういう分析もあるような気がしてならないわけであります。この成熟社会に突入してまいりますと、何でも右肩上がりに上がっていたわけですから、それまでは何でも日本流の経営、大量生産でコストダウンをして利益を得る、そして終身雇用、こういうものにもメスを入れて直していかないと日本経済がよみがえらない、そんなおそれも実はあるのではないかという気がしております。  そんな中、政治が何をしてきたかといいますと、言ってみるならば成長によって出てくる上がりの分配を仕事としてきた面も実は否めない。先日、私も新聞を見ていてびっくりしたのですが、大臣と同じ選挙区の方、まあお名前は差し控えますけれども、政治資金を不正に還付する、政治資金団体の間でキャッチボールをして税の不正還付を行っている。これがまた埼玉県の県会議員等でも行われている。まさにこれは成長の上がりの分配を政治がやっていたいい例ではないか。こんなことをやっていてはいけないな、こういうことをちょっと感じたわけでございます。  まず、先ほどこの話は出ておりませんけれども、国税庁所管でありますこの税の不正還付の問題について、大臣いかがお考えになるか、御所見をお願い申し上げたいと思います。一般論で結構でございます。
  41. 藤井裕久

    藤井国務大臣 一般論で申し上げますが、課税の適正ということが国税職員の最大の使命であります。したがいまして、あらゆる資料を国税職員は集め、法に基づいて適正な税法を執行していく、私は確信をいたしております。
  42. 石原伸晃

    石原(伸)委員 まさにそのようにやっていただかないと、政治改革を掲げていらっしゃる日本新党の細川総理のもとの大蔵大臣でございますので、指導のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。  それでは話を進めさせていただきまして、まず平成五年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案について一問お話を聞かせていただきたいと思います。  これは簡単に言いますと、景気が悪くて税金が余り上がらない、そして補正予算もやりたい。しかしお金がないので、節約もしているけれども一般会計から国債整理基金特別会計いわゆる国債償還財源に充てるお金をちょっと五年度だけストップしよう、言ってみるならば、返すべき借金を懐が厳しいからちょっと勘弁してよ、こういう案だと思うのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  43. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 今回お願い申し上げております定率繰り入れ等の停止措置並びにNTT―Bのタイプの事業の貸付金の繰り上げ償還につきまして御説明申し上げます。  平成五年度の第二次補正予算において大幅な税収の減額補正をしなければならないという事態に対処いたしまして、歳入歳出両面にわたりましてあらゆる努力をいたしたのですが、万やむを得ず特例的に定率繰り入れ等を停止せざるを得ないということでございます。  それで、これを停止しっ放しにいたしますと、国債整理基金資金繰りに支障を来すという厳しい財政事情にございますので、それをしかるべき水準に戻すために、NTTの株式の売却収入公共事業を中心として運用しておりますが、まさにその公共事業に当たりますNTT―Bの貸付金を繰り上げ償還をしていただく。そのために所要の財源を地方公共団体に、国としましては建設国債を増発して手当てし、それを行うということでございます。そのような内容の法律をお願い申し上げているところでございます。
  44. 石原伸晃

    石原(伸)委員 私なりに解釈したことと同じだと思いますので、実はこれ自民党が昭和五十七年に単独で御審議をいただいて、その当時は社会党も賛成していただけなかった、そういう法律案でございまして、役回りというのか、非常に不思議な印象を私も実は持っております。中村次官、何か御感想があれば、なければ結構です。――それでは、社会党の方も日本新党の方も民社党の方も、そういうことでございますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。  引き続きまして、農業共済保険特別会計農業勘定における平成五年度の再保険金支払財源不足に対処するための特別措置に関する法律案について御質問をさせていただきたいと思います。  これも私なりに解釈させていただきますと、今回長雨や冷夏で米の作柄が大変悪くなった、そして農業共済でそれを援助してあげなければならない。再保険支払い財源を探したところ、今度の災害が非常に大きい。そして、さっきも言いましたけれども国の財政も非常に厳しい、一般会計から借りてくる、大蔵省もうんと言わない。そしてまた、きょう同僚議員が予算委員会でやっておりましたけれども、クリスマスまでには何とかこの共済金を、こういう話がある。そんなところから、しょうがないから財投から借りてくる方式をとっていこう、そういう案だと私は理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。
  45. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 大変わかりやすく解説をしていただきましたのですが、おっしゃるとおり、今回の大変希有な大冷害によりまして、水稲等の共済を管理しております農業共済保険特別会計農業勘定、ここにおきます再保険の支払い財源がパンクをしてしまったということでございます。  それに対しまして、従来でありますと、これは一般会計から事実上無利子の貸し付けをしている。一般会計繰り入れお願いをいたしまして、法律をもってそういうことをいたしておりましたが、委員指摘のとおりの国の財政事情でもございますので、実質は従来の一般会計繰り入れと同じでございますが、再保険金不足財源につきましては資金運用部から借り入れをいたしまして、そのかわり、それにかかる利子については一般会計が持ちますという意味で、従来と同じ効果の措置を講じさせていただきたい。  なお、この借入金も大変多額でございますので、この償還をすべて将来の保険経理の中で賄うといたしますと掛金が大変高くならざるを得ない。それは回り回って農家経営、さらには食糧の安定確保という面で問題がございますので、超異常な災害に相当する分については、これは返さなくてよろしいということをさせていただきたい。  そういうために、たまたま同じ大冷害という事柄の表と裏の関係にございますところの緊急の米の輸入に伴いまして食管特会の輸入食糧勘定に利益が発生することが見込まれますので、これは原因が同一であるということにもかんがみまして、この借金の償還財源にこの差益を使わせていただきたい。  なお、将来の円滑な農業共済運営に配慮する見地から、一般会計からの繰り入れも必要に応じてできるという措置をこの法律において設けさせていただきたいという内容でございます。
  46. 石原伸晃

    石原(伸)委員 今竹島さんおっしゃられたのは、冷害が大きくて本当に困っている異常部分については、料率が上がらないようにするために繰り入れしなくてもいい、そういうことだと思うのです。そこで財源を、原因が同じのというような言い方をされたと思うのですが、今回輸入してくるお米、ここの利ざやからやろうとした。でも、これは実は原因は一緒ではないです。そこのところは私は違うと思うということを一言言わせていただきたいと思います。  ただ保険料が、前年にも増して改定年度で農家の掛ける共済金が倍になるといったらこれは大変なことで、特に被害のあった農家、私も同僚議員から聞かせていただくと、東北地方の宮城あるいは青森、福島の一部、こんなところの専業農家の方でございますので、こういう方の共済の保険料がどんどん上がっていくような仕組みはやはりよくない、そこには私も十分理解を持っているつもりでございます。  そのような中で、未曾有の被害である、こういう御指摘もございました。そして、今後の農家の掛金負担を軽減するために、いわゆる超異常被害部分ですか、この法律の中で読みますと「著しく異常な災害に係る部分」という難しい書かれ方をしておりますけれども、これに対して今後の農家の共済金の掛金に反映させないようにしよう、ここのところは非常に評価できると私も考えております。  ところで、ちょっと言葉の説明をしていただきたいのでございますが、この第五条に書いてあります「著しく異常な災害に係る部分」というのは一体何なのか、御説明を願いたいと思います。
  47. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 委員指摘のとおり、ことしは大変な異常災害でございます。この制度が発足して以来の災害でございますし、また記録を見る限りこういうふうな災害はないというふうな状況でございます。したがいまして、「著しく異常な災害」の部分も入って大変大きな未曾有の災害であるということでございます。  御案内のとおり、今回の被害率をそのまま次回の料率改定に反映するということになりますれば、料率が急激に増嵩することになるわけでございます。この農業共済というのは、御説明をさせていただきますと、毎年毎年の被害率は違うわけでございますので、長期の二正期間で保険収支が均衡する、こういうふうな考え方で、三年ごとに料率改定を行っておるということでございます。  そこで、お尋ねの「著しく異常な災害に係る部分」というのはどういうことかということでございますが、抽象的に申し上げますと、今年の被害率のうち、過去の被害率の平均と、それからの乖離といいますか分布状況というものから見まして著しく異常と認められる部分、そういうことになるわけでございます。  具体的に申し上げてみますと、制度発足以来過去四十七年間ございますが、それの全国平均の被害率を基礎といたしまして、昭和三十八年の法改正以前の農作物共済あるいは本制度改正前の蚕繭共済においてとっておりました超異常被害部分の考え方がございますが、こういうものを参考にして算定をするということにしておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、これはどういうふうに算定するかということでございますが、被害額なり支払い共済金の金額が確定してから算定をするということになるわけでございます。現時点の見込みでございますが、そういう見込み被害率に基づいて若干試算をいたしてみますと、本年の見込みの被害率は約二五%ということになっておるわけでございます。このうち「著しく異常な災害に係る部分」というのは約八%、二五%のうちの約八%がそういう部分であるということでございます。これを再保険金の額にして見てみますと、千五百億円程度ということでございます。
  48. 石原伸晃

    石原(伸)委員 過去にもここまで未曾有の作柄が悪かったことはないと思うのですが、例えば昭和二十八年の指数が八四、昭和五十五年が八七、こんなことの平均も今度の被害率を出すときには当然含まれているのでしょうか。期間としてその昭和二十八年、昭和五十五年のものが含まれているのでしょうか。
  49. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 私ども被害率、先ほど申し上げましたように一定の期間における被害率に基づいて収支均衡する、こういうふうにはじくわけでございますが、二十年間をとります。  二十年間の被害率を見るわけでございまして、それで三年ごとに改定するということでございますので、平成六年の料率につきましては、その前の平成四年までの二十年間をとるわけでございます。それから、平成九年になりますと、新しいデータが三年間入って古いデータが三年間落ちていく、こういうふうなことで、新しい二十年間の被害率に基づきまして料率をはじいてくるということでございます。
  50. 石原伸晃

    石原(伸)委員 それにしましても、やはり二五という被害率は、私もお聞きして非常に驚くべき被害率であるという気がいたします。  そんな中で、先ほどお話しいただきました「著しく異常な災害に係る部分」の被害率はどのぐらいかという質問をさせていただこうと思っておりましたら、先におよそ一千五百億円というようなお話でございましたけれども、ここの部分について、これが言ってみるならば再保険額の充当する部分という理解でよろしいのでしょうか。
  51. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 その部分について農家の負担にはね返さないということでございます。そういう三千六百五十六億円の借り入れを行うわけでございますが、そのうちの千五百億円につきましては農家の負担にはね返さない部分として処理をしたい、特別の措置を講じたい。御指摘のあったような趣旨でございます。
  52. 石原伸晃

    石原(伸)委員 大変よくわかりました。  やはり心情的には、一日も早くこの共済金が被災をした農家の方に届くように私も努力したい、そんな心証を持っております。  質問を続けさせていただきたいと思います。  先ほど竹島次長の方からもお話がございましたいわゆる緊急輸入に対します差益というものですが、これは実は、考え方によっては生産者サイドだけではなく、まあ竹島さんは原因が一緒だからこっちに充当するんだみたいなことをおっしゃられておりましたけれども、消費者の立場というものも実は十分に踏まえて対応していただかなければ、はいそうですかと、そうすっかりうなずくわけにはいかないのです。ここの点につきまして、消費者サイドに対してどのようにお考えになっているか、お考えをお聞かせください。
  53. 永田秀治

    ○永田政府委員 お答え申し上げます。  今回の米の緊急輸入が相当量に上ること等から、輸入米の供給に当たりましては十分消費者の方々の理解を得て進めていく必要がある、このように考えております。このため、今回の緊急輸入にかかわります米につきましては、政府の要請によりまして、輸入業者において船積み前に安全性の確認を行うとともに、本邦到着後、食品衛生法に基づき、厚生省の指定検査機関で検査を行い、食品衛生法上問題がないことを確認したものに限り輸入を認めるなど、安全な輸入米の供給に万全を期しているところであります。  それからまた、輸入米の売却方法でありますとか価格設定等につきましては、米価審議会の意向も伺って決めることになりますが、今後あわせて消費者それから流通関係者、学識経験者等の意見を広く伺うこととしているところであります。  輸入米の売り渡し価格の水準につきましては、国内産米の価格水準や輸入米と国内産米の品質格差等きめ細かく踏まえることとして、消費者の方々にも配慮した適正な価格設定をしてまいる考えであります。
  54. 石原伸晃

    石原(伸)委員 エンドユーザーから言わせていただきますと、入ってくるお米の安全性、これはレモンのときとか大変問題になっておりますので非常に注意深く見守っていると思いますが、今万全を期しているという御答弁でございましたので、この入ってくるお米につきましても、安全性については食糧庁におかれましてくれぐれも厳重に監視をしていただきたい。  そして、もうちょっと突っ込んで質問をさせていただくのですが、今の次長の御答弁でいいますと、消費者にはいわゆる流通している国内産米よりも安い価格で提供することができると解釈してよろしいのでしょうか。
  55. 永田秀治

    ○永田政府委員 輸入米の売り渡し価格の水準につきましては、国内産米との品質格差等を踏まえまして、消費者にも配慮した適正な価格設定をしていくことにしておりますことから、輸入米の品質等にもよりますけれども、一般的には国内産米の標準的な水準よりは低いものになる、このように考えております。
  56. 石原伸晃

    石原(伸)委員 今のお話を伺わせていただきまして、エンドユーザーである消費者にも十分配慮をしていただけるというふうに私は信じさせていただきたいと思います。  そして、大分時間がなくなってきましたので、最後にこの法律案でもう一つだけ質問をさせていただきたいのでございますが、今いわゆるウルグアイ・ラウンドが進展中でございまして、自民党そして社会党、これは党としてミニマムアクセスも認めさせない、そういう立場で活動をしている政党でございます。  個人的なことは別にいたしまして、こういうことがある中で、今回入ってくる輸入米の差益の還元部分を財源に充てるということを法律案で書いてしまいますと、法律制度をもって仕込むことによって米の自由化をねらっている、そこまで深読みした法律ではないかと農家の方が御心配されるのではないかと、取り越し苦労かもしれませんが感じるのでございますが、それについていかがお考えでしょうか。
  57. 永田秀治

    ○永田政府委員 お答え申し上げます。  今回行われます米の緊急輸入は、本年の未曾有の冷害等による想像を絶する作柄不良に対処するために行われる緊急特例的な措置でございます。現在ウルグアイ・ラウンド交渉において議論されている米の市場開放問題とは次元を異にしているものである、このように考えております。  また、今回の法律は平成五年度の再保険金支払い財源不足に対応するための特別の措置を定めるものであります。また輸入米の差益は、本年の不作に伴い、本年十一月から来年十月までの間に売買されるものについて繰り入れる旨を規定しているところであります。
  58. 石原伸晃

    石原(伸)委員 大変よくわからせていただきました。  先ほど来申しておりますように、自民党といたしましては、これは補正予算関連法案でございまして、補正予算につきまして、歳出部分あるいは歳入部分で組み替え動議を出すか今予算委員会の方で検討中でございます。個人的には、この法律案並びに補正予算案が成立した後、速やかに再保険金支払いが行われる手続が円滑に行われて、困っている農家に対して一日も早く共済金が支払われることを望む者の一人であるということを申し述べ、次の質問に移らせていただきたいと思います。  大分時間もなくなってまいりました。先ほど同僚の塩崎議員の方からお話がございました日本経済現状については、まさに大蔵大臣と私の考えは非常に似ておる、まあ違う部分もございますけれども。それではこの後の経済見通しについて、七―九の数字が出ておりませんので、また所管が経企庁でございますが、大臣並びに経企庁の方から、どのように見ていらっしゃるのかお話をお伺いさせていただきたいと思います。
  59. 塚田弘志

    ○塚田説明員 今後の我が国経済見通しについてのお尋ねでございますが、我が国経済は、個人消費とか設備投資の低迷に加えまして、円高や長雨等の影響もございまして総じて低迷が続いていることは御承知のとおりでございます。他方で、これまでの経済対策の効果もございまして、住宅投資や政府投資が高い伸びとなっておりまして、これらが経済を下支えしております。  政府投資につきましては、足元において公共事業関連指標が総じて堅調に推移しておりますほか、六月に成立いたしました補正予算による事業や、今回の補正予算措置するものを含めました九月の緊急経済対策の事業が追加されてまいりますために、今後とも高水準の事業規模が確保されるものと考えておるところでございます。  住宅投資につきましても、住宅金融公庫の申込状況等にかんがみますと、今後、経済対策におきます住宅関連措置の効果が着実に発現してくるものと考えております。  消費と設備投資についてでございますけれども、まず消費につきましては、現在物価が安定基調にあるということがございます。加えて、九月の緊急経済対策におきます円高差益還元等の施策も物価安定に寄与するものと考えております。また、耐久消費財のストック調整が進展してきているといった事情もございます。こうした事情が今後消費に好影響を与えていくことを期待しておるところでございます。  設備投資につきましては、資本ストックの伸びが低下しつつございまして、ストック調整の一巡が期待されますほかに、先般の公定歩合の引き下げ後、市場金利、貸出金利とも一段と低下してきておりまして、投資環境は徐々に改善していくものと考えております。  政府といたしましては、累次にわたる経済対策等を通じまして今次の景気低迷に鋭意対処してきたところでございますけれども、今後とも経済情勢の変化に細心の注意を払いまして、適切かつ機動的な経済運営に努めることにより、我が国経済を内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路へ円滑に移行させてまいりたいと考えておる次第でございます。
  60. 石原伸晃

    石原(伸)委員 大臣、何かございますか。
  61. 藤井裕久

    藤井国務大臣 これから経済見通しをつくるわけでございますが、今事務的にいろいろ申しました。これは、内閣において責任を持ってきちっとした経済見通しを出し、それに基づいた予算編成を行うものと考えています。
  62. 石原伸晃

    石原(伸)委員 経済企画庁の話を聞いていますと、また日本は高度成長を迎えるのではないかというような印象すら持つと、今集いがこぼれました。これが実はすべて皆さんの認識ではないか。  ちなみに、七―九の実績が出てないので細かいデータは出てないのですが、大手証券会社あるいは銀行の総研あるいはリサーチ会社、私なりにそれらを十社ほどヒアリングをしてまいりました。参考までにお話をさせていただきたいと思います。  成長率、九三年、A総研、マイナス一%。Bリサーチ、マイナス〇・五ないし一%。D総研、マイナス成長。証券会社、この三社はいわゆる準大手でございます。マイナス成長、マイナス一%、マイナス成長。銀行が二社、マイナス成長、マイナス成長。もう一社、マイナス成長。これが九三年の成長率の民間エコノミストの予想であります。  では、九四年はどうか。今の順番でまいりますと、マイナス〇・五%、マイナス〇・五%、ゼロないしプラス一%、マイナス成長、ゼロないしマイナス〇・五%、ゼロないしプラス〇・五%、マイナス成長、よくてゼロ%、〇・五ないし一%、プラス〇・七から一%。十社のうち一%程度のプラスを予想している会社はわずか三社でございます。  これは民間でございますので、経済企画庁とは大分考えが違う。御感想がございましたら、どなたでも結構でございます、御答弁願いたいと思います。
  63. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今のような数字が民間研究機関にあることはよく承知をいたしております。  これはおのおのいろいろな立場、それから条件、どういう政策をやるのかとか、いろいろな条件が絡まっておりますから一概に最後の数字だけでは言えないと思いますが、民間経済人、調査機関が非常に厳しく見ているという事実は素直に受けとめなければならないと思っております。  それから、石原委員が冒頭言われたように、今や成熟社会に入っているということはもう否定できないと思います。私どもとしては何としてもこの景気が、これが底だということを実感していただく施策をあらゆる手段をもってやる。そしてその中で、さっきから出ているような産業構造の改善ですね。  これは、相当大きな部分の設備が輸出によって初めて機能するような経済体質はもう本当は、二十年前でしょうかね、二十年前から変えなければいけないということはみんな言ってきたのですが、現実にそう動いていない。これを、今こそ本当にこういう時期に直していかなければならないとか、もう少し目の前の過去の話ですけれども、さっきから話の出ている金融問題とか、経済としてしっかり底を支えたという実感を持ってもらうようなことをやりながら、そういうものに積極的に取り組んでいくことが大変大事だと私は思っています。
  64. 石原伸晃

    石原(伸)委員 大臣の力強いお話がございまして、自民党から新生党に行かれて、また私は大臣が大蔵委員長のとき理事として仕えさせていただきました人間でございますので、ない知恵ではございますが、私どもも自民党も一緒になりまして、この経済を立て直すことが実は政治の一番の課題であるという認識のもとにこの補正予算案の審議に、またきょうもこのように遅い時間に審議をさせていただいておりますので、御理解をいただきたいと思います。  そして先ほど大臣お話の中で、いろいろなこれからの条件がある、先ほどの経済成長、来年度の見通しですね。各民間銀行あるいは証券会社、条件が実は三つほど全部入っているのです。  それも、ちなみにちょっとだけ言わせていただきますと、所得税減税が、六兆、七兆、五兆、五兆から七兆、五兆から十兆、五兆、戻し税なら効果なし、手取り増ならプラス、五兆、消費税上げまで最低でも二年、五兆。公共投資も、五兆、七兆、六兆、十兆、補正が必要、赤字国債の発行は不可避、十兆、五兆から十兆。そして公定歩合の利下げについても、一%年明け早々、〇・五%年内にも、〇・五%年明け、〇・五%年明け、〇・五%年明け、効果はほとんどなし。こんなふうになっていて、実はその経済見通し、アナリストの人に話を聞きますと、これをのみ込んで出した数字だということです。  ですから、まさに細川政権にこの経済のかじ取りというものは本当に大変である。心中察するに余りあります。まあ協力して何とかこの景気を立て直さないと、先ほどの二本の法律も財源がないからやるというような特例でございますので、こういうことのない社会を、そして大臣もお認めいただきましたように、成熟社会に入っての税制というものを当大蔵委員会は真剣に考えていきたい、こんな感想を持っております。  それでは続きまして、株価に問題を移させていただきたいと思います。  御承知のように、この月曜日に半クラッシュがございまして、その後大臣通産大臣と話されたりして、また、政策当局が変化したとマーケットが好感してここ三日間上げ基調で、きょうは六十銭のプラスだったわけでございます。  こんな中、この株価に対していわゆるPKO、これはプライスの方ですね。これが、一カ月前から、公的資金の買いというものがかなり落ちている。あるいは、今週も大手の新聞に一社出ておりましたけれども、当局が生命保険会社を呼んでヒアリングを行った。それを生保会社は買い付けの指示と見て買ったというような報道がありますが、証券市場のこの出来高、あるいはいろいろ調べてみますと、買い付け機関も余り買ってない、公的資金も実はもう出てない、そういう状態になっている。要するにそういう話でございますが、ここの点についていかがでしょうか。
  65. 日高壮平

    ○日高政府委員 いろいろな席で大蔵大臣お答えになっておられますけれども、株価というものは自由な市場の需給によって決まってくるということは言うまでもないことでございます。したがって、マーケットではいろいろな事情を憶測を込めていろいろ言われることはあるとは思います。  今御指摘がございましたいわゆるPKOと言われる公的資金の問題につきましても、これは昨年の八月の景気対策で盛り込まれて、実際に昨年度の補正予算及び今年度の当初予算で二回にわたって予算計上されているわけではございますが、そのいわゆる公的資金と言われるものの運用につきましては、純然たるマーケットに任せるということで信託銀行の管理に任されている、運用に任されているという状況でございます。  したがって、今回の株価の状況、今御指摘になりましたように、少し軟弱な地合いということで十月下旬に二万円を割り、あるいは十一月中旬に一万八千円、あるいは十一月二十六日には一万七千円割れという状況になった。ただ、その後若干反発をしているということで、今日のところは一万七千円台ということになっておりますが、そうしたこの一、二カ月の間の株価の軟弱な地合いの背景としては、マーケットで言われているところでは、基本的には企業業績の悪化や景気の先行き不透明感といったことからの模様眺めの雰囲気が非常に強い、そういうことであろうと思います。  したがって、今生命保険会社に対してどうこうということがございましたけれども、この点については全く事実関係ございませんし、私どもとしても、大蔵省として、行政当局としてそういったもので強制的にあるいは直接介入しようとしても、実際にその手段もなければ、またそれだけの効果は出てこないということは、私どもが言うまでもなく当然マーケットの関係者も十分承知をいたしておることであろうかと思っております。
  66. 石原伸晃

    石原(伸)委員 私も日高さんのお話のとおりであると思いますし、実は個人的には、公的資金を入れるということには、自民党時代に政調会調のところで練られた案ですが財政部会で反対した人間でございます。  また、生保に対してそういうことを言っていない。マーケットは自律に任せることが基本だと思いますが、気をつけていただきたいのは、総理や大蔵大臣が、マーケットは自然に任せるとか突き放したような言い方をしますと、今地合いは局長説明のとおりでございますので、逆にそれに過剰にマーケットが反発する。そして日本経済が、これはよしあしは別にして、ストックに依存する割合がバブルのときから非常に強くなっているわけですね、土地とか株とか。その二つがだめですと日本経済がなかなか上向いていかないという事実もございますので、ここの部分については大臣、来週の七日でございますか、新しい経済対策を出されると聞いておりますけれども、やはり四項目のパッケージで出していただきたい、出すならば。出さないのだったらやめた方がいい。  一つは、やはり資産デフレ対策ですね。これは通産大臣お話しになっているようであります。そして、所得税減税でございます。これも、実はもうマーケットが、先ほどの話ではありませんけれども五兆円程度まではもう見込んでいる。だから、あとはやるかやらないかということでございます。  それと、やはり利下げ。この利下げについては所管外ではございますけれども、これと公共事業。この公共事業というものも、いろいろな専門家が言われておりますように土木だけではだめで、夢のある公共事業というものがいろいろあると思います。自民党時代にもいろいろ考えました。  こういうものをパッケージで出していただかないと、来週また株価が、この軟弱な地合いというところから落ちる。そうするとどうなるかといいますと、また日本の企業の実態が悪くなる。こういう負のスパイラルの中に入っていってしまいますので、そこの部分を十分に注意していただきたいですし、自民党といたしましては、そういうことを政府がやらない場合は、委員会にも法案を提出させていただき、税制面でも通常国会では大蔵委員会でもやらせていただきたい、こういう決意を持っております。  何か所見がありましたら、最後に。
  67. 藤井裕久

    藤井国務大臣 石原委員から、かつての同僚として大変温かいお言葉をいただいて、本当にうれしく思っております。  株価につきましては、私はいつも申し上げておるのは、今の石原委員の御指摘は大変大事なことだと思います。基本的に行政が関与すべきものでないという前提に立ちながら、重大な関心を持っているということをまず申し上げておくことが正当なことではないかと思っております。  さらにもう一つ加えさせていただきますが、七日という話は、一部の報道にあるのでございますが、私ども全く関知をいたしておりませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  68. 石原伸晃

    石原(伸)委員 七日のことはさておきまして、大臣、御活躍を心よりお祈り申し上げ、先ほども申しましたように、この法案につきましての賛否は、実は予算委員会の方で組み替え動議を出すか出さないかということでございますので、質問時間を五分間保留させていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  69. 宮地正介

    宮地委員長 次に、佐々木陸海君。
  70. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 時間が限られておりますから、端的にお聞きしたいと思います。  四年ぶりの国債費の定率繰り入れ停止の問題についてですが、税収不足が空前の規模ということで、やむを得ず今回の措置をとったということですけれども、税収不足が果たしてこれだけで済むのか。一説には、さらに二、三兆円の減収は避けられないという見方もありますけれども、どういう状況見通しか。その可能性もあるのか。ないと言えるのか。御答弁を願いたいと思います。
  71. 小川是

    ○小川政府委員 今回御提出しました補正予算における五年度税収の見直しにつきましては、これまでの課税実績あるいは各種のヒアリング調査結果を踏まえまして、個別の税目ごとに積み上げ、見直しを行ったものでございます。その結果、当初予算に対し相当の不足を生ずると見込まれる税目につきまして五兆四千七百七十億円の減額補正を計上したものでございます。  この見積もりは、私ども、利用可能な資料ぎりぎりを利用いたしまして適切に見積もったものであるというふうに考えているわけでございます。
  72. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 定率繰り入れの停止は、当面の赤字国債の発行を回避するためのいわゆる隠れ借金にほかならないものであります。これは、現行の国債減債制度の根本を揺るがせにするものであって、我が党は賛成できないということをはっきり申し上げておきたいと思います。  そこで、この定率繰り入れ停止のためにとられる今回のNTTの株式売却益による無利子貸し付けBタイプの繰り上げ償還措置について聞きたいと思いますが、八七年にこれが創設されたときの会議録を私丹念に読んでみましたけれども、衆議院の審議を踏まえて参議院の大蔵委員会でこの問題が突っ込んで論議をされています。答弁には当時の主計局次長の斎藤次郎氏が、現事務次官ですが主に立っておられます。  第一に、繰り上げ償還時の補助の財源を建設国債の発行で賄うという事態については、財政事情によってはあり得るということを当時答弁をされておりますけれども、法律的にはこれはどのように規定しているでしょうか。
  73. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 お答え申し上げます。  日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法というのがNTTの無利子貸し付け事業の根拠法になっておりますが、それの第四条におきまして「当該貸付けの対象とした事業に係る国の負担又は補助については、別に法律で定めるところにより、当該貸付金の償還時において行うものとする。」ということになっておりまして、時間差はございますけれども、通常の公共事業の補助金なり負担金と同様に建設公債の発行対象経費になる。こういうことでございまして、五年度予算においてもそのような取り扱いをさせていただいているところでございます。
  74. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 繰り上げ償還がどういう場合を想定したかという問題なんですけれども、参議院の大蔵委員会では、社会党の議員が、この繰り上げ償還はどういう場合を想定しているのかという問いに対して、斎藤氏は、繰り上げ償還財源の余裕があれば行う、いわば念のための規定であると言っています。しかし宮澤大蔵大臣は、財政の都合で補助金を予定より早く差し上げるということはどうも難しいのかなと思っていますというふうにも言っています。また、大蔵大臣は、償還財源について、建設国債に頼らず賄えるように努力をしたいという答弁もしておりました。  要するに、この法がつくられたときの考え方というのは、今回の措置とは全く逆ということではないかと思うのです。財源の余裕があるどころか、今空前の税収不足、未曾有の財源不足の事態の中でこれを行うということになっているわけで、つくるときに今回のような事態を予測していたのかどうなのか、当時の答弁と比較してしっかりと説明をし、見解を聞かせていただきたいと思います。
  75. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 繰り上げ償還の根拠でございますが、これは各公共事業の事業法におきまして、具体的にはその施行令でございますが、そこにおきまして規定されておるわけでございます。例として河川法の施行令の附則第十八条第四項を申し上げますと、「国は、国の財政状況を勘案し、相当と認めるときは、国の貸付金の全部又は一部について、前三項の規定により定められた償還期限を繰り上げて償還させることができる。」というのが繰り上げ償還の根拠規定でございまして、今回の繰り上げ償還はまさにこれを発動しようというものでございます。  今御質問の中で、六十二年当時の国会の質疑での説明についてお話がございました。これにつきましては、もう一度整理して私ども考えを申し上げますが、NTT―Bタイプ事業の貸付金につきまして繰り上げ償還を行うケースというものを考えてみますと、まず一つは、一般会計の財政状況が好転をいたしまして、当時は御案内のとおり特例公債を出しておったわけでございますが、そういった一般会計の財政事情が好転をして償還補助金の早期交付が可能となる場合が一つ考えられます。  もう一つのケースは、逆に、本来の所有者でありますところの国債整理基金、これの償還財源に充てるというのがこのNTTの株式の売却収入の帰属場所でございますので、その本拠である国債整理基金償還財源不足するおそれのある場合、これが第二のケース。  第三は、この以上二つが同時に起こるようなことが繰り上げ償還のケースとして考えられるわけでございます。具体的には、委員指摘のとおり、当時、財政状況が回復すれば当然繰り上げ償還考えたいという趣旨の御説明を申し上げておりますけれども、これは、今整理して申し上げた第一のケースを念頭に置いて御説明したというふうに理解をしております。  いずれにいたしましても、最初に申し上げましたとおり、三つのケースいずれの場合でございましても、早期に償還することはこの法律からいって何ら問題はないというふうに考えておるところでございます。
  76. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 財政の余裕があるときに行う繰り上げ償還と今日のような財源不足の中で行う繰り上げ償還とは明確な違いがあると思うのですが、どこに違いがありますか。
  77. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 財政状況が好転した場合には、これは当然税収入等の公債金以外の財源に余裕が生ずるということでございますので、それによります繰り上げ償還は、そういう意味で財政の体質の改善に資するという面があるかと思います。  今回お願い申し上げていますような、逆に国債整理基金がほうっておくと枯渇をしてしまう、そうしないために繰り上げ償還をする、そのために同時に一般会計におきまして同額の建設公債を発行せざるを得ない。こういうことでございますので、当然両方のケースで財政に対する影響は違うわけでございまして、今回の場合はそういう大変厳しい財政状況であるということから、ある意味ではやむを得ずお願い申し上げる、そういったことでございます。
  78. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 当然やむを得ない措置ということであると思うのです。利子や元本とも、他の建設国債と同様重圧として国民に残ってくるということでございます。  そこで、もう一つ聞きますけれども、無利子貸し付けのBタイプは一九九〇年度と九一年度の二年間で約二兆七千億円あると言われていますけれども、来年度の予算編成でも、今回の補正予算案と同様に定率繰り入れの停止とNTT事業の繰り上げ償還を行うつもりでおられるのかどうか。その見通しについて聞きたいと思います。
  79. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 六年度の予算につきましては目下事務当局において鋭意作業中でございますが、御質問の定率繰り入れの取り扱い及びNTT―Bの繰り上げ償還につきましては結論が出ているわけではございません。いずれにいたしましても、現在の深刻な財政事情を踏まえまして引き続き検討させていただきたいと考えております。
  80. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今度の補正案によりまして今年度の国債発行は総額十三兆九千九百二十億円、これは、赤字国債発行のもとにあった過去最高の十五兆二千七百億円、一九七九年度当初にも届くものであります。国債依存度は高水準の一八・六%、発行残高も百八十八兆円と異常な状況になります。  政府は、一九九〇年度に赤字国債発行から脱却したときに、依存度五%を目指す新財政再建目標を決めましたけれども、この目標はどこへ行くことになるのか。見直しをするのか。その点についてお聞きしておきたいと思います。
  81. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 平成二年三月に提出をされました財政審の報告におきまして、今御質問のようなポスト特例公債の新たなといいますか、中期的な財政運営基本目標として具体的に示されためどといたしまして、平成七年度を目途といたしまして公債依存度を「五%を下回る水準」として財政運営に努めるべきであるということがなされておりまして、これを現在堅持して財政運営に努めてきているところでございます。  確かに、御指摘のとおり足元の財政状況は極めて厳しいという問題がございますけれども、私どもといたしましては、この目標はあくまでも中期的な財政運営の努力目標ということでございまして、建設公債を含めて公債残高が累増しないような財政体質をつくっていくということは、今後ともなお非常に重要なことであると考えております。  毎年毎年の予算編成を取り巻く状況、具体的には経済状況でありますとか財政状況によりまして一律にはまいりませんけれども、この基本的な考え方は堅持して、その目標に向かって最大限の努力をしていかなければならないというふうに考えております。
  82. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ことし七月のある新聞で、国債の六十年償還ルールを崩そうとしているというような見通しが語られたことがあります。よもやそんなことを考えてはおられないと思いますが、確認をしておきたいと思います。
  83. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 六十年償還ルールを変更するということは考えておりません。
  84. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この法案については、先ほど申し上げましたとおり、私たちは反対の態度を表明しておくものであります。  時間がなくなりましたが、農業共済保険金支払い不足財源対策法について一言申し上げておきたいと思います。  もちろん、本年度のこの夏の異常気象による戦後最悪の水稲等の凶作によりまして被害を受けた農家等への共済金の支払いを緊急に行うために再保険金支払い財源不足対策を行うものであって、それ自身は当然の措置というふうに考えますし、一日も早くこういう措置が行われることを望むものであります。しかし、この借入金による不足財源補てんという問題にかかわって、従来政府不足財源を一貫して一般会計から補てんしてきたわけですが、今回は一般会計が苦しいということで、異例にも資金運用部資金からの借用金で賄おうとしているわけです。安易に資金運用部資金に依存するやり方は昨今多方面から批判されているところであり、厳しい歯どめが必要なのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  85. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 今回、御指摘のとおり大変大きな再保険金支払い財源不足を来したということで、その手当てにつきましては、一般会計からの繰り入れによらずに、効果は同じでございますけれども資金運用部からの借り入れによって利子一般会計が負担する、そういうスキームにさせていただきたいということでお願い申し上げているわけでございます。  確かに、借金に頼るということにつきましては、そうでない場合に比べまして、財政の健全性という見地からは好ましくないことはそのとおりだと思いますけれども、大変厳しい財政状況の中で、かっきちんとこの共済金を各農家にお払いをするために、いろいろ考えた結果、ぎりぎりのものとしてこういう措置お願い申し上げている次第でございます。
  86. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 不足財源を従来の一般会計でなくて借入金で対処するということも重大な問題だと思いますけれども、その償還財源について、政府の責任を回避して、筋違いの米緊急輸入による差益を当て込んでいる。これは全く筋が違うのではないかということを私は言わざるを得ないと思うのです。  今度の凶作は、確かに自然災害という要素を大きく持っているわけでありまして、その自然災害に対しては、政府がこれを救済する措置をとらなければならぬわけですけれども、凶作がちょっと起こったからといってたちどころに米不足になるというのは、これは自然災害の問題ではなくてまさに政治の責任、政府の責任であるわけであります。その米の不足を補う緊急輸入米の差益を、この自然災害の当然政府が面倒を見なければならぬ方向に回すというようなやり方に、私は率直に言って納得できないものを強く感じざるを得ないと思うのですが、その点について何かありましたら、一言。
  87. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 先ほど大蔵省から御答弁ございましたように、ことしの災害というのは大変異常でございます。そこで、再保険金支払いにつきましても膨大な額になるということで、一方国の財政事情は非常に厳しい。こういう条件の中でぎりぎりの選択といたしまして、財投資金を借りまして、それに対して利子部分は一般会計から全額負担をするということによりまして、これまでの一般会計からの繰り入れと同様の、実質上同様の効果を生むようにしておるということでございます。  さらには、米の緊急輸入に伴う差益を充てることについての御指摘でございますが、これにつきましては、片方でこのような凶作ということで農家が大変困っておるという状況、そういう同じような原因に基づきまして、緊急に米を輸入しなければいけないという状況が生じたわけでございます。そういうことから、食管会計におきまして一時的な利益が出るということでございますので、こういう一時的な利益を困っておる農家の共済金の支払いのための財源にするということで、特別にこのようなことをお願いしておるわけでございます。  これにつきましては過去の、この農業共済の制度発足当初でございますが、食管特別会計から農業共済特別会計繰り入れをしたという例もございます。そういう例にもかんがみまして、そういうぎりぎりの選択としてこういう措置お願いしておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  88. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 凶作と米不足が同じものから発生しているというのですが、先ほど私が申し上げましたように、凶作は確かに自然災害かもしれないけれども不足は政治災害だという点で、これを同じものとみなしてこのお金を充てることは納得できないということを申し上げまして、時間になりましたので質問を終わります。
  89. 宮地正介

    宮地委員長 次回は、来る七日火曜日午後六時二十分理事会、午後六時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四分散会      ――――◇―――――