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1993-10-28 第128回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十八日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 石井  一君    理事 大島 理森君 理事 北川 正恭君    理事 野田  毅君 理事 保岡 興治君    理事 左近 正男君 理事 前田 武志君    理事 権藤 恒夫君 理事 三原 朝彦君       安倍 晋三君    逢沢 一郎君       石破  茂君    石原 伸晃君       衛藤 晟一君    笹川  堯君       自見庄三郎君    白川 勝彦君       武部  勤君    津島 雄二君       中川 秀直君    西岡 武夫君       額賀福志郎君    野田 聖子君       葉梨 信行君    穂積 良行君       細田 博之君    増子 輝彦君       秋葉 忠利君    大畠 章宏君       畠山健治郎君    濱田 健一君       堀込 征雄君    三野 優美君       青木 宏之君    岩浅 嘉仁君       大谷 忠雄君    岡田 克也君      柴野たいぞう君    白沢 三郎君       宮本 一三君    山田 正彦君       赤松 正雄君    石井 啓一君       太田 昭宏君    田端 正広君       日笠 勝之君    前原 誠司君       茂木 敏充君    簗瀬  進君       山崎広太郎君    川端 達夫君       西村 眞悟君    柳田  稔君       東中 光雄君    正森 成二君  出席国務大臣         法 務 大 臣 三ケ月 章君         外 務 大 臣 羽田  孜君         大 蔵 大 臣 藤井 裕久君         厚 生 大 臣 大内 啓伍君         建 設 大 臣 五十嵐広三君         自 治 大 臣 佐藤 観樹君         国 務 大 臣 武村 正義君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣         (総務庁長官) 石田幸四郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      久保田真苗君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      江田 五月君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 広中和歌子君         国 務 大 臣 山花 貞夫君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議官    石倉 寛治君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         経済企画庁国民         生活局長    加藤  雅君         法務省刑事局長 濱  邦久君         大蔵省主税局長 小川  是君         国税庁次長   三浦 正顯君         建設省建設経済         局長      小野 邦久君         自治政務次官  冬柴 鐵三君         自治大臣官房審         議官      谷合 靖夫君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君  委員外出席者         議     員 伊吹 文明君         議     員 鹿野 道彦君         議     員 塩川正十郎君         議     員 津島 雄二君         議     員 額賀福志郎君         議     員 保岡 興治君         衆議院法制局第         一部長     内田 正文君         衆議院法制局第         一部副部長   臼井 貞夫君         衆議院法制局第         一部第一課長  小菅 修一君         自治省行政局選         挙部選挙課長  松尾 徹人君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       大竹 邦実君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十八日  辞任         補欠選任   笹川  堯君     武部  勤君   穂積 良行君     野田 聖子君   増子 輝彦君     安倍 晋三君   秋葉 忠利君     畠山健治郎君   小沢 一郎君     青木 宏之君   吹田  愰君     宮本 一三君   日笠 勝之君     石井 啓一君   茂木 敏充君     山崎広太郎君   柳田  稔君     西村 眞悟君   正森 成二君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     衛藤 晟一君   武部  勤君     笹川  堯君   野田 聖子君     穂積 良行君   畠山健治郎君     濱田 健一君   青木 宏之君     岩浅 嘉仁君   宮本 一三君    柴野たいぞう君   石井 啓一君     田端 正広君   山崎広太郎君     茂木 敏充君   西村 眞悟君     柳田  稔君   東中 光雄君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     石原 伸晃君   濱田 健一君     秋葉 忠利君   岩浅 嘉仁君     大谷 忠雄君  柴野たいぞう君     山田 正彦君   田端 正広君     日笠 勝之君 同日  辞任         補欠選任   石原 伸晃君     増子 輝彦君   大谷 忠雄君     小沢 一郎君   山田 正彦君     白沢 三郎君 同日  辞任         補欠選任   白沢 三郎君     吹田  愰君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一号)  衆議院議員選挙画定審議会設置法案内閣提  出第二号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案内閣  提出第三号)  政党助成法案内閣提出第四号)  公職選挙法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第三号)  衆議院議員選挙画定等委員会設置法案(河  野洋平君外十七名提出衆法第四号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案河野  洋平君外十七名提出衆法第五号)  政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治  資金規正法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第六号)  政党助成法案河野洋平君外十七名提出衆法  第七号)      ――――◇―――――
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定審議会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに河野洋平君外十七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定等委員会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の各案を一括して議題といたします。  本日は、特に、テーマ別質疑として、内閣提出政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに河野洋平君外十七名提出政治資金規正法の一部を改正する法律案政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の各条について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村眞悟君。
  3. 西村眞悟

    西村委員 おはようございます。民社党の西村眞悟でございます。  いただきました三十分の時間の中で、今委員長おっしゃったように、政治資金規正法政党助成法等について質疑申し上げたいと思うのですが、その前提として、前提問題、一般的な問題について時間を割くことをちょっとお許しいただきたいと思います。  さて、八月二十五日、特別国会で、自民党河野洋平総裁は、具体的な質問に入る前に国民皆様一言おわびを申し上げたいとして、おわびの内容というのは、「これまで自由民主党政権が長く続いた間に、数々の腐敗事件を引き起こし、特にここ数年、スキャンダルによって、内外の課題が山積する時期にたびたび国政の渋滞を招いたことについてでございます。私は、このことを国民皆様に心からおわびを申し上げたいと存じます。」このように申されました。そして、政権の座を失った理由として、「これはひとえに、頻発した政治不祥事と、これに対し抜本的な解決をなし得なかったことに対する国民の皆さんの政治不信の高まりによるものだ」と位置づけられたのであります。さらに、このことを謙虚に反省して、生まれ変わった気持ちで党の体質を抜本的に改めると同時に、選挙制度を初めとする政治改革国会改革に挑戦して、国民皆様信頼を回復して、政権を奪回する、このように述べられております。  まず、自民党政権が交代せざるを得なくなった理由について、それはたび重なる不祥事による国民不信のゆえであるという分析、そして、政治改革に挑戦しなければ現在もなおかつ国民不信はぬぐい切れない、このような点について、現在もこの分析自民党は不変であるか否か、これについて、まず、お聞きしたいと思います。
  4. 津島雄二

    津島議員 今西村委員が読み上げられました我が党の総裁の御発言は、公党として新しい事態の中で、国民に対して、我々の真剣、真摯な態度を表明したというものでありまして、これは当然、私どもすべての党員がこれを心の中にとどめてこれからも政治をやっていきたいということでございますから、変わるものではございません。  ただ、申し上げさせていただくのでありますけれども、これは我が党ばかりでなくて、すべての政治に携わる者が、それぞれの立場において、これまでの政治のあり方についてその節目節目反省をすべきものでございまして、自民党としては今のような形でやったということであろうと思います。  なお、もう一つつけ加えさせていただければ、政治改革がこれまで、海部内閣以来なかなか進まなかったという背景国民の批判の的になったことは事実でありますけれども、その原因一つが確かに私ども、当時の与党の対応に起因するわけでございますけれども、そればかりではない。与野党双方ともにこの問題について国民期待に沿えなかったという事情があったことは、私から申し上げなければならない。したがいまして、今度は、新しい与野党ともどもそのような反省に基づいて、何とかこれを実現しなければならないという決意を持っておるものでございます。
  5. 西村眞悟

    西村委員 与野党を通じてともに責任を負わねばならない状況はございますけれども、その責任をとるのは政権をとっている者であるということは御理解いただいていると思いますので、次に進みます。  しかるに、十月二十六日の新聞報道によりますと、自民党の中から小選挙比例代表並立制反対する旨の意見記者会見で表明された方々、複数人がおられると聞きました。先ほどお答えいただいたように、政治改革を今までなし得なかった中にはいろいろな原因がありましょうけれども自民党の中に限って申し上げますと、やはり政治改革選挙制度改革に逆行するようなムードが土壇場になって党内に盛り上がって、そして結局はなし得なかった、このような歴史ではなかったかと思うのです。またぞろ同じような動きが、この政治改革、これをつぶさんとする動き自民党にあるのではないか。  そしてまた、このような動きがある以上、先ほど冒頭で、総裁がおっしゃったような決意総裁はまだ維持されておられるのか自民党はまだ維持しておられるのか。この点について、国民の一人としても疑問がわいてこざるを得ないのでございます。この点について、現在もその決意は不変であるか否かをお伺いしたいと思います。
  6. 津島雄二

    津島議員 先ほども申し上げましたように、そのような決意にいささかの変化もございませんし、私どもは、自民党が党として行動をし、発言をするときには、今申し上げたような線が堅持されていると私は考えております。
  7. 西村眞悟

    西村委員 決意のほど、よくわかりました。国民政治への信頼が地に落ちたような状態の中でこの改革を我々審議しているのでございますけれども、未然にこれを招かないような改革がやはりなされるべきであったと私は思うのであります。今の状態で、猫が熱い鉄板の上に乗っているような状態の中でこの重要な国の権力に関する選挙制度を審議するのは、不幸な事態と言わねばならないと思うのです。  それで、過去の時点のいつの段階でこれに着手すべきであったか、どの時点着手すべきであったかこれについてはどうお考えでしょうか。
  8. 津島雄二

    津島議員 これに着手というのは、もうちょっと具体的にお願いします。
  9. 西村眞悟

    西村委員 選挙制度でございます。
  10. 津島雄二

    津島議員 御案内のとおり前国会海部内閣のときに、私どもとしては政治改革大綱というものを策定をいたしまして、これに基づいて法案提出をした。またその後、今度は自民党の案も提出したということで、二度にわたる努力をしたわけでありますから、そのような努力が実を結ばなかったことについてそれぞれ思うところはございますけれども、今振り返ってみれば、もう少し早くこれを実現したかったな、着手したからには国民期待にこたえたかったなというふうに今感じておるところであります。
  11. 西村眞悟

    西村委員 いずれにしましても、自民党政権下での着手が必要であったなという御認識だと思うのですが、ただ、自民党政権下での政治改革の問題というのは、日本にも政権交代可能なシステム選挙制度をつくらねばならない、長期の政権腐敗を招いた以上、やはり選挙による政権交代システムをつくらねばならないというふうな理由も大きな要素を占めておりました。しかるに中選挙区制で政権は交代いたしました。自民党の時代に選挙制度改革の動機とされていた部分について、その目的は果たしてしまいました。著名な評論家意見を変えて、最近中選挙区制のもとで政権交代が起こったんだから政治改革選挙制度改革を急ぐ必要はないのではないか、国家に問題が山積しておるのではないかこのような意見を書いた本を最近読みました。これにはこれなりに説得力はあると思うのです。説得力があるということは、私どもが今審議している選挙制度改革について余り迫力が出ないということでございます。  私は、つらつら考えてみました。やはり選挙制度改革はもう少しさかのぼって、その着手時点歴史の教訓に学ぶという、このような視点から我々の先輩着手しなければならなかった問題ではなかろうかと思っております。ドイツでは、なぜヒトラーが政権をとったのか、このような反省から、そのときの選挙制度は何であったか、それを分析して、戦後つとに選挙制度改革し、政党への公費助成制度も導入して現在に至っております。  我々、さきの大戦の反省を侵略とかいろいろなレッテルの議論をするのは無意味でございまして、我々日本国代議士としてやるべきことは、あの戦争の時期になぜ国会が無力であったのか、無力であった国会を選出する母体としての選挙制度は何であったのか、このような分析が必要であったのだろうと思います。選挙制度は、戦前の無力であった国会と現在の国会は同じく中選挙区制でございます。中選挙区制の特徴は、一つ選挙人団複数議員を選出するにもかかわらず、投票者単記制投票するという特徴でございまして、これを調べてみますと、明治三十三年、山県内閣のときに導入された制度でございます。山県内閣目的は台頭する政党勢力を分断するため、そのためにこの選挙制度を導入したというふうに歴史家は記述しております。  そこで、この選挙制度山県内閣が導入した、つまり中選挙区制の特徴とする選挙制度について、吉野作造は、この制度は驚くべき不合理、不都合なものである、暇な学者でも考えたことすらない、我が国の選挙界精神を汚し、弊害を助長する最も重要な原因であって、この制度議会政治を薄弱なものとし、政党の発達を混迷させる格好の武器である、このように批判しております。さらに、この制度を放置することは、政党政治家自分利益を図るためか、または問題の軽重を判断する聡明さを欠くためか、いずれにせよけげんでならない。さらに美濃部達吉博士は、この制度では各候補者がそれぞれ単独に自分の票を集めるために運動しなければならず、費用が多額に上るのは自然の結果である、そして、この制度は、時には同じ政党から二人以上の立候補者があることすら少なくない、この多数の候補者の中から一人だけを選択させようというのであるから、その選択が一層複雑、不明瞭となるのは当然だ、このように批判されているのであります。  私たちは、先輩の言に謙虚に耳を傾ける機会はあったのでございますけれども、ついにそれによって選挙制度の問題を中心に据えて議論するという機会は、腐敗が連続して進退きわまるまでなかったのでございます。このように考えますと、現在の状態を見てみますと、山県内閣が意図したことが亡霊のように現在の選挙、我々の国会を支配しているというふうな感じさえ受けるのです。  そこで、問題ですけれども、根本の問題ですけれども、この中選挙区制から小選挙比例代表並立制改革することが、果たして国会を名実とも国権の最高機関とする方向に一歩踏み出すことになるのか否かそうだと思う確信はおありでしょうか、お聞きしたいと思います。
  12. 津島雄二

    津島議員 戦前の経験を踏まえての御発言でありまして、その引用された発言の中には現在でも示唆に富む点が多々あるということを私は認めますが、ただ、御承知のとおり戦前憲法の建前が基本的に違いますから、やはり現在の憲法ができてから後の議会制民主主義の機能がどうであったかというところに焦点を当てる方が、我々の議論というのはより現実的なものになるのではないだろうかと私は思っております。  そういう中で、今度の改正が議会制民主主義の成熟のためにプラスになるかどうかという御質問であろうと思いますけれども、私は、全体としてそうなると本会議でも御答弁申し上げておるわけであります。
  13. 西村眞悟

    西村委員 私どものこの日本精神風土は、憲法となれはすべて不磨の大典のごとく扱わねばならないという、何か自然界から与えられた制度のように思い込んでしまう点にございます。私は、選挙制度というものは制度でございますから、まず改革してみて、まずやってみて、時間のテストにかけて、しかる後またその経緯を見て、衆知を集めてよりよき方向に進む、このような試行錯誤を繰り返せばいいと思う。だから、入り口でやはり大胆な妥協も必要だと私は思っております。ただし、今お答えになったように、必ずよりよき方向に動くということは私もそうだと思いますので、そのような趣旨で質問させていただいておるわけです。  次に、課題を変えます。  よりよき方向に動くためには、やはりよりよき方向に動かさねばならない。そのときに我々がやろうとするのは、投票の動機づけとして、人を選ぶかそれとも政策を選ぶか、この二つの動機づけのうち、政策を選ぶという方向に重点を移していこうというふうな制度であろうかと思います。この場合に、政策でございますから、人的要素はまあ必要でございますけれどもよりよき政策、よりよき政策伝達はやはり候補者と有権者の間のコミュニケーション討論、話し合い、このような機会だと思うのです。  それで私は、訓練なしに新しい制度を導入することは危険でございますから、長い目で見て今からでも小学校教育に、例えば討論の場とかいうのを設けまして、この問題についてはA班は賛成の理由を調べてきなさい、この問題についてはB班反対理由を調べましょう、そしてある時間に反対の者、お互いに相手を説得することをやりなさい、このような時間を設けるのがいいと思うのですが、この民主政治にとって教育の場、初等教育の場からこのような政策伝達政策工夫討論訓練を始めるという私の意見についてどうお考えでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  14. 津島雄二

    津島議員 私が長年感じておりましたことを今申されて、私も全く同感でございます。  初等教育ばかりではなくて、私も外国の大学に留学しておったことがあるのでありますが、高等教育におきましても非常にディベートを大事にいたしまして、私はロースクールでございましたけれども、ある課題をとらえて、それにそれぞれの立場で物を言わせて練習させる、こういうことが非常に大事だ、委員の御指摘のとおりだと私はかねがね感じております。
  15. 西村眞悟

    西村委員 私も弁護士でして、日本大学レクチャーメソッドといいますか、あれにうんざりして眠気を催しながら大学におったことがございます。  そういうふうなことを前提でお聞きしますけれども、結局討論の場が訓練として必要である、制度としてその訓練の場が必要であるということは一致しておるのですから、戸別訪問のことに移りますけれども戸別訪問はその訓練の場、コミュニケーションの場ではないでしょうか。これを全面的に禁止してしまう、その理由は私も判例を読んでおりますからわかりますけれども選挙制度政策中心投票を動機づけるということについては、必ずこれは弊害よりも効用の方が多いと思うのですが、いかがでしょうか。
  16. 保岡興治

    保岡議員 この間来、いろいろここで小選挙区の一つの特性として、非常に緊張が高まる、熾烈な厳しい選挙になるというのも一つは事実でございます。  そんなことから、イギリスのように六万、七万ぐらいの人口の地域の戸別訪問というのは、イギリスの伝統や風習、生活のいろいろな慣習というものも背景にあってうまく機能していると思いますけれども、四十万前後になる日本の小選挙区の場合は人海戦術というようなことで、戸別訪問を受ける方も本当に政策をそこできちっと説明してもらって、政党中心あるいは政策中心コミュニケーション委員が言われるようにそこでできるかどうか。  かえって平穏な生活を害するとかあるいは非常に政党候補者あるいは運動員が次から次へ訪れて迷惑だ、そういう多くの人口相手戸別訪問するのでは、短時間で政策の説明などなかなか難しいということもあるので、無用な選挙費用の増大や候補者の負担、あるいは戸別訪問を受ける方の迷惑、そういった戸別訪問弊害というものが、政治活動の自由というものとの利益比較権衡ということになると思うのですが、委員指摘のように、憲法戸別訪問を禁止する利益というものはやはりそれを自由にした場合の利益よりか大きいと判断して合憲としている、そういうことは今度の選挙制度においても十分考えられることじゃないだろうか。  これはやはり新しい選挙制度下で実際に選挙政治をやってみて、その上で様子を見ながら、戸別訪問の自由についてはよく今後の課題として立法政策考えていくというのが一番いいのではないだろうかそういうふうに考えています。
  17. 西村眞悟

    西村委員 時間がこれだけ早くたつとは思いませんでした。  献金に移りますけれども、私は企業献金が悪であるとは思っておりません。しかし、企業からの献金政治家との関係によって腐敗が続発してきたこともまた事実でございます。今までの自民党の、また自民党と限りませんが、献金スキャンダルに巻き込まれた方の言動を聞いていますと、自分の知らないところで企業からの献金がある。一つ不祥事が起こったら、国民の側から見たらあいつももらっている、こいつももらっているということになって、一挙に疑惑が全体に広がってしまうという構造がありました。  ここで、この機会に、政府案も、政党献金を受けてその政党献金政治家献金するということを禁じておらないのでありますから、一挙に政治家個人は企業からの献金のパイプは閉じるという方向に赤まれる方がやはりすっきりするのではないのかな。企業献金を一挙に禁ずるわけではないのですから、そのパイプを間接的にするか直接的にするか、直接的に残しておく弊害はもう十分我々身にしみておるわけですから、間接的に受けるという政府案に全く歩み寄ることはできないのでしょうか。
  18. 津島雄二

    津島議員 今の委員のお話を伺ってみますと、基本的認識においては私どもそんな大きな違いはないと思うのですね。  これまでのいろいろな出来事についての反省を踏まえて、しかも日本のあるべき政治の姿、政治資金の姿を考えてみた場合に、委員も法律家でいらっしゃるからよくおわかりのとおり、集会、結社の自由という基本的なもの、政治活動の自由という基本的なものをまず踏まえた上で物事を組み立てていかなきゃならない。それがまた、主要国において政治資金の規制についてはどちらかというと非常に慎重に対応しておるというところにあらわれているわけでございまして、ヨーロッパの各国では、少なくとも法律上企業献金政党だけに禁ずるというような法制をとっている国は一つもないわけであります。  そういう見地から申しますと、ここはやはり賢明な判断が必要だと思うのですね。賢い判断が必要だ。それは、抑制された民間の参加というものを大事にしながら、どこの線を超えると政治をゆがめるかという判断が大事だと思うわけでありますが、私どもとしては、月に二万程度の会費をちょうだいをしていくということは政治をゆがめるものではない。しかもこれをしっかりした公開の原則のもとで行わせる。それ以外の政治資金の動きについてはもう既に緊急是正で厳しく処断をすることになっておりますことを踏まえて、今後とも絶対にないようにみんなで心がけていくということの中から、私は、政府案よりも私どもの案の方がより現実的であり、また政治活動の基本的な自由という考え方にもかなうのではないであろうかというふうに思っておるところであります。
  19. 西村眞悟

    西村委員 お考えはわかりました。  しかし私がわからないのは、企業取締役が出せる金というのは彼の金ではないのです。個人が自分の金を例えば百億献金する、これは私は自由だと思います。しかし、企業の金は彼の管理している金でございます。管理している金に対して、抑制と今おっしゃいましたけれども、促進策までとる必要はないのではないでしょうか、促進策まで。彼の私物じゃないのですから。このような疑問を呈しておきたいと思います。  資金調達団体について、二つ認められておりますけれども、監督義務は政治家が主宰する団体に関してはある。しかし自民党は主宰しない団体二つも認めることができる。監督義務をつくった意味はないんではないでしょうか、促進策を設けられた理由と、主宰しない団体を設けられた理由、この二点について、時間が来ましたけれども、お答えいただきたい。
  20. 津島雄二

    津島議員 基本的に民間の政治への参加というものを尊重する立場に立ちますと、政治家が主宰する形もあり得るし、それから民間の方が、企業も含めて、政治活動を大いに手伝っていこうというものも当然あり得るわけでありまして、そういう意味で、政治家が主宰するものに限る必要はないというのが私ども考え方でありますが、もちろんそれは、資金の適切な運用、管理というものを前提とするし、また、公開の原則によって国民の監視にさらすということが前提でございます。
  21. 西村眞悟

    西村委員 ありがとうございました。
  22. 石井一

    石井委員長 次に、武部勤君。
  23. 武部勤

    武部委員 まず、副総理にお尋ねいたしますが、本来の政治改革目的は何か。私は、羽田副総理から政治改革の問題についていろいろ御指導をいただいた立場でありますので、いま一度、副総理の政治改革目的、そのお考えをお聞かせいただいておきたいと思います。
  24. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 お答え申し上げます。  この問題につきましては、もう、まさに党でも御議論申し上げておったわけでありますけれども、いずれにしましても、私どもといたしましては、やはり今日本で内外のいろいろな問題が山積しておる、こういったものに対してきちんと対応していかなければならぬと思います。  しかし、残念ですけれども政治に対する信頼というものは失われてしまっておるということで、どうしてもやはりこの信頼を回復しなければならぬだろうと思います。もちろん、改革するものには、経済構造もありますでしょうし、あるいは行政改革もありますでしょう。しかし、まずはやはり政治がその先陣を切るといいますか、それを改革することが一番大事だろうというふうに思っております。  そして、その中でお金と政治の問題がありましょう。それだけではなくて、やはり本当の意味での議論、これができるような場というものをつくらなければいけないということで、私どもは、政治改革の中で、やはり選挙制度というものを一番大事に考えながら対応しなければいけないというふうに思っております。
  25. 武部勤

    武部委員 今度は、各党党首の立場にある各閣僚の皆さんにお尋ねしますが、中選挙区制をなぜ否定されたのか、そして小選挙区制導入の目指すところは何かということについて、それぞれお考えをお示しください。
  26. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 ただいま、中選挙区制を廃して小選挙区制を選択した理由はいかん、こう御質問いただきましたが、小選挙区比例代表併用制を選択した理由、こういうように受けとめるべきだと思っております。  中選挙区制の問題につきましては、以前野党は、政治改革のテーマにつき、もちろん選挙制度だけではなく、政治倫理の問題、政治資金規正法の見直しの問題、そして腐敗防止のための諸施策の問題、そこで同時に選挙制度の問題も考える中で、中選挙区制のもとにおける定数是正を主張しておったことについては、御指摘のとおりでございます。そうしたかなり長い議論の経過を踏まえまして、全体、どれ一つというわけにはいかないというのが与野党議論一つの決着ではなかったか、こう承知しております。  政治改革を一体として取り組んでいかなければならない、その場合には、腐敗防止とか政治資金の問題だけではなく、選挙制度についても取り組んでいかなければならない。こうした考え方の中で、海部内閣当時の政治改革のテーマについて、結局廃案となったということの後、かなりまた長い間与野党の協議が続いてまいりましたけれども、全体一体として改革していこう、こういう観点から、野党側も、社会党を含めて歩み寄ったところでございます。そうした中で併用制という提案をしてきた経過がございます。  併用制ということにつきましては、小選挙区と比例代表との流れの中で、自民党側は小選挙区からスタートする、我々の方は比例代表からスタートする、こういうことの中で、一つ一つ歩み寄った中で、結論的には、国民の審判を重んじて最終的な態度を決定した、こういう経過でございます。
  27. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 中選挙区制、この中で私ども、やはり政治信頼を取り戻そうということのためにいろいろな改革をやったことは、もう御案内のとおりであります。  しかし、そういうことをやってまいりましたけれども、なかなか、複数が選ばれるという制度というものはどうにも機能できないというような中で、やはり小選挙区というものを取り入れよう、そして国民の意思といいますかそういった多数の意見というものも反映できるような並立制も導入しようということで、まずやはり選挙制度をひとつ変えてみようという中から、私どもは、小選挙区、やはり政策政策を本当にぶつけ合えるもの、あるいはいろいろな活動なんかにしても、個人がお金を集めて個人が後援会を組織するのではなくて、やはり政党が前面に出る、そういう中で、費用の面でもあるいは責任ある政治という面でも、私どもはこの小選挙区というのを導入する。そして、多くの意見も拾い上げましょう、反映しましょう、そういう中で比例も並立をしたということであります。
  28. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 結論的に申し上げますと、もちろん単純小選挙区ではなくて比例を加味した小選挙区制であることは御案内のとおりでございますが、それを導入することによりまして、民意の集約の比率を高めまして、それによって政権の安定度を向上させる。  それは、前段の御質問にございました、政治改革目的は何かということと関連いたしまして、やはり時の政権というのは、次々に起こってくる政治課題政策課題を迅速かつ的確に処理しなければならない、そのためにはやはり相当な政権の安定度というものを図ることが必要になる、そういう意味から小選挙区制を導入する意味があった、こういうふうに考えております。
  29. 武村正義

    ○武村国務大臣 中選挙区制という家が大分疲れてきた、雨漏りがするし、風が入るし、壁が壊れてきた。まあ、これはまだ改築していこうという議論もありますが、思い切って新しい選挙制度の家に建てかえようじゃないか、こんな感じで私は受けとめております。簡単に申し上げると、個人中心政治選挙の実態を反省して、やはり政策政党中心システムに変えていこうということではないかと思っております。
  30. 江田五月

    ○江田国務大臣 社会民主連合というのは小さな政党ですが、私が代表を務めておりますので、党の考え方をお答えいたします。  制度というものは、どの制度もそれぞれ長所、短所があると思うのですね。ですから、中選挙制度がもう制度として頭から悪い、そういうことはないと思うのですが、ただ、どんな制度でも、やはり長くすっと続けておりますと、そこにいろいろあかがたまってくる、どうにもうまく機能しなくなるということがある。  中選挙制度のもとでこれまでやってきて、利権の構造ができ上がったとかあるいは政権交代が起きないとか、まあ今回起きたわけですが、そういうようなことで、この中選挙制度は、一言で言って制度疲労という言い方が当たっているかと思うのですが、そろそろ変えなければならぬところへ来た。この間の大変な政治腐敗の中で、国民がもう政治家全部総取っかえしろというぐらいにまで政治に対して怒りをぶつけてきているわけです。ところが総取っかえといってもそうはいかないので、それならば国会議員をつくっている制度自体を変えてしまって、総取っかえの気分でひとつ新しいスタートをすべきじゃないか、そういう意味で選挙制度を変えてみようということを思い立った。  どういう変え方がいいかですが、これはやはり合意ができるものでなきゃいけないんで、私どもは併用制がいいという主張をしたことがありますが、しかし今回この並立制で連立与党の合意ができて政府案が出されたわけですから、野党の皆さんもひとつぜひ御理解いただいてこの案で選挙制度の改正をやりたいと思っているところでございます。
  31. 武部勤

    武部委員 私がなぜこの問題を指摘しているかといいますと、羽田副総理に我々が御指導をいただいたときの小選挙区制導入の基本理念というのは、政党中心政策中心政治システム、また政権交代可能な政治システム、これを実現しない限り我が国は国際社会においても責任ある決断ができないというようなことを御指導いただいたのでありまして、この選挙制度改革ということになりますと、ただ中選挙区制に制度疲労がきたからとか、あるいはみんなが合意できるものをやらなければならないからとか、そういう低次元の問題意識で私は選挙制度改革議論をすべきでないと、こう思っているんです。  ですから私は、羽田先生がかつて我々を指導していただいたときの考えであるならば、これは確かに思い切って新しい制度に変えようというようなことで合意をし、党議決定もしたわけでありまして、どうも今日までのこの委員会における議論を通じても一番大切なところを忘れているような気がしてならないわけであります。一番大事なところを不明確にしたまま各論に入ってしまいますと、これまた目的がゆがめられるというような問題も出てくるわけでありまして、この点についていま一度羽田副総理のお考えをお示しいただきたいと思います。
  32. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 これは決して事情というのはそんなに大きく変わったものじゃない。確かに政権交代というのは、この間まさにハプニングみたいな形で政権交代が行われたわけですけれども、やはり中選挙区制に問題があるなというのは、中選挙区制で単独で一つ政権をとろう、今度の場合にはまさに連立によって政権ができているわけでありますけれども、しかしやはり単独で政権をとろうとすると、どうしても複数出さなきゃならないというふうに思いますね。ということになりますと、どうしても過度な競争になる。  これが費用なんかがかかってくることにつながっていきますし、あるいは時の難しい問題についてなかなか本当の議論というのはできなくなってしまっておる。例えば諸費税なんかの問題の議論のときなんかもそうでございましたけれども、戦法の同じ政党あるいは同じ保守系の人たちが言わないとすれば、自分だけ言ったんじゃこれはマイナスになってしまうという中で本当の議論というのは実はなされなかったということがあるんじゃなかろうかと思います。  今内外ともに大きく転換をしなければならない、こういったときにやはり率直に語れるような、あるいは責任を持って語れるようなその制度というものを私ども導入することが必要なんじゃないのかな。まあ議論議論を重ねた来申し上げたことで、私はその事情の基本はまだ変わっておらないというふうに思っております。
  33. 武部勤

    武部委員 今の副総理のお考えによりますと、連立政権というのはお話の趣旨と逆行するんじゃありませんか。責任ある政策決定というようなこともお話しされましたし、我々は羽田先生からいろいろ御指導いただいたときに、もちろん中選挙制度制度疲労の問題もありますけれども、そういうような問題ばかりじゃなくして、新しい政治システムという考え方は、政策決定がもっと明確に的確になされなければならないというところにあったと思うんです。そうなりますと、今の連立政権というのは、羽田副総理が考えていた理想とはまさに大きく逆行しているのではないか、こう思うのですけれども、そのことについていかがですか。
  34. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今度の連立政権ができた経緯はもう申し上げるまでもありません、それはまさにそういう中ででき上がったものでありますけれども、しかし私たちが皆さんと議論したときに、やはり小選挙区というものを導入してくる、そういう中で政界再編成は起こっていくであろうということを申し上げたわけでありまして、今は確かに連立政権、相当幾つもの政党がありますけれども、私は、これが徐々に収れんされていく、集約されていくんじゃなかろうかと思います。  それと同時に、そういう連立を組むときにも当然政策等について合意といいますか、選挙前にできるだけの合意というものはこれからきちんとつくられていく、そうでないとやはり国民が選択するのに難しいだろうということは、私は今までの議論とそんなに大きく変わるものじゃない。今の姿というのは確かにハプニングの中で起きてきたということは申し上げられると思います。
  35. 武部勤

    武部委員 副総理の言葉じりをつかまえて言うつもりはありませんけれども、細川総理は責任ある変革、こう言ったんですけれども、今副総理はまさにハプニング内閣ということを証明された次第でありまして、こういう連立政権、まあ不安定な政権ですね。そういうようなことは私はいずれにしても望ましくない、こう考えざるを得ないわけでありまして、言ってみるならば、今各党の党首の皆さん方からいろいろ、なぜ中選挙区制が否定され小選挙区制導入に踏み切ったかということは、新しい政策決定システムとか政治システムとかそういう当初の小選挙区制導入の基本理念とはかけ離れて、いわゆる政治腐敗とか今日の国民に対する信頼回復とかそういう問題提起で今の政治改革関連法案議論されているように思うんです。  私は、しかし、先を少し急いで具体的な議論をさせていただきたいと思いますが、今羽田副総理からお話がありましたが、小選挙区制導入によって腐敗はなくなるかなくならないかということについては大いに疑問を持っているということを申し上げておきたい、こう思います。  そこで、各論に入ってまいりたいと思いますが、同僚議員からも一対二未満の区割りと定数の問題についてもいろいろ議論がありました。私は、この一対二未満の基本は本当に守られるのか、あくまでも守らなければならないものなのかということについて確認しておきたいと思うんです。政府の方から御答弁ください。
  36. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 衆議院選挙区画定審議会法にもございますように、一対二未満になることを基本として七人の委員にお願いをするわけでございます。あくまで基本としてというのを、そのことを尊重し重視をしてお願いをしたいということでございまして、既にたびたびこの委員会でも御答弁をさせていただいておりますように、行政区を限りなく切っていいというなら話は別でございますけれども、今のようにかなり人口が集中しているという実情を考えますと、二倍をある程度超えてもやむを得ないのではないかということはたびたび申し上げておるところでございます。  ただ、それは委員の皆さん方が、いや、もっと二倍以内ということを尊重して町村まで線引きを入れてやるという御判断に立ては、それも委員の皆さん方の判断でございますが、いずれにしろ、「行政区画」ということが第一番目に書いてございますので、その辺の判断は最終的には審議会の委員の皆さん方の御判断による、こういうことでございます。
  37. 武部勤

    武部委員 今、行政区画という文言が出ましたけれども、私は、個人的なといいますか、狭い考え方でこの区画の問題を取り上げたくはないのです。全国ベースでお話を申し上げたいのですが、たまたま私の選挙区は四国の一・五倍の面積を有するわけですね。しかも北海道の場合には、国の計画もあるいは北海道の長期計画も北海道を六つのブロックに画定していまして、道南、道北、道央、それに十勝圏、釧路圏、オホーツク圏という区割りをして、ブロック化をして、諸般の開発計画をつくっているわけです。  例えばオホーツク圏、私の地元になりますが、ここだけでも一万六百平方キロ。秋田県は全国で五番目に大きい県でありますが、一万一千平方キロですから、五番目に大きい秋田県よりは小さいけれども、六番目に大きい岐阜県よりは大きいというところなのであります。しかし政府案によれば、この秋田県や岐阜県に匹敵するそういう面積であっても、ここで単独の選挙区を画定することはできない、こういうことになるわけです。  それから、北海道の例を挙げてさらに申し上げますと、北海道は十四支庁に分かれておりまして、これは面積が広いということもありますし、歴史的な沿革もありまして、各町村は、道庁に行かないで各支庁に行って諸般の行政手続をするわけです。もちろん住民もそういうことで、各支庁との一体感というものが地域の実情であります。  その行政区画というお話の中には、今言ったような北海道の六つのブロックでありますとか、あるいは十四支庁でありますとかそういうものをも想定しておりますか、行政区画は。
  38. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 北海道の支庁というのは、行政区画の概念の中に当然入っております。それからブロックというのは、一つの当然参考になるものであって、絶対的なものではないというふうに考えておりますが、そこでの生活圏の一体化ということを考えれば、それも大きな参考になる要素だというふうに考えております。
  39. 武部勤

    武部委員 私は、総理の答弁でも、地域性とか交通事情、あるいは総合的、合理的な区画について審議会で決めてもらうということを申されているのですけれども、これは、政府案の区画審議会にありましても、我が党案の区画画定委員会におきましても、法律事項ですから、最終的には国会でさらに審議をして決めるということになりますね。しかし、その際に第三者機関にゆだねて、国会でまた議論してこれを改めるということは、なかなか信義の上からも私は抵抗がある、こう思うのですよ。しかし、理論的にはこれは国会でまた堂々と議論しなければならないということになると思うのですが、その点についての御見解はいかがですか。
  40. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 当然のことながら、理論的には、委員言われましたように、何といっても衆議院と参議院、これが通らなければ法律にならぬわけでございまして、憲法に書いてございますように、選挙区というのは、法律をもって定める、こうなっておるわけでございますから、理論的には委員が言われましたような経過をたどります。
  41. 武部勤

    武部委員 それならば、やはり今国会で、この法案審議の過程で国会責任において区画画定の問題も相当突っ込んだ議論をしておかなければ、またこの基準、要件について相当具体的に審議会なり委員会にお示しをしなければ私は無責任なことになるし、また、理論的には国会でまた議論することは当然あり得るという話でありますから、またさまざまな議論が展開されてこの法案が日の目を見ないというそういうおそれがあるように私は懸念しているわけでありまして、この点についてどのようにお考えになるか。法案は二項ぐらいしか書いていませんね。まあいろいろな学説もあります。今、自治大臣からお話がありましたように、行政区画のお話もあります。そのことについて、提案者の政府として区画についての要件、基準、もう少し具体的にお示しいただけませんか。
  42. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 法律には、御承知のように、「行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮し」という文言になっております。そこで見える言葉としては「行政区画、地勢、交通等」ということでございまして、それしか書いてございませんけれども、総合的に勘案しというところで、今武部委員言われますように、非常に重要なことでございますから、この国会でいろいろと審議をされる中でその具体的なことが補足をされていく、こういうことだというふうに考えておるわけでございます。  ただ、これを具体的にさらに細かく、飛び地をどうするとかどうこうというふうに書いていきますと、武部委員から今この問題についての冒頭の御質問がございましたように、二倍以内になることを基本とするというところに極めて審議会の方に窮屈な条件をつけてしまうことになるわけでございますので、法律としましてはこういう書き方になっているわけでございます。  ただ、繰り返しになりますが、委員がいろいろ、先ほど六つのブロックとか十四の支庁とか言われたのは、それはどういうふうになっているということで、いろいろとこちらが考えていることといいましょうか、法律の中身につきまして申し上げることは当然だと思っております。
  43. 武部勤

    武部委員 先ほど行政区画のお話がありました。私も、先ほど面積の話も申し上げたわけでありますが、ここに、これは大分古い新聞ではありますけれども、出雲の岩國市長さんが面積割りを導入してはどうかというようなことを言っているのですね。  しかも、岩國さんはこのように述べているのです。「一対一の人口比例が持論だったが、地方の市長になって考えが変わった。」公聴会に呼んでお話を聞いたらいかがかと思うのですけれども、「東京と地方の経済格差を是正するには、一対二・五くらいの政治的アンバランスは認めるべきだ。少ない人口で広大な国土を保全しているのは過疎に悩む地方なのだ。むしろ面積割りの考えも導入してはどうか。」と、こう書いているわけでありますが、私は、法案の中にむしろもう少し具体的に基準、要件というものを書き込んでもいいのではないかと思いますけれども、この岩國さんの考えと、それから一対二未満ということを基本にするということを、私は、これにこだわって、先ほど来申し上げておりますように、その地域の一体感とか歴史的経緯とか、そういうことが問題になって、この小選挙制度を導入することによって地域の活性化に水を差すという問題が生ずるのではないかこう思っているのです。  まあ、これは学識経験者にも、ちょっと、時間がこんなに早く進むと思わなかったものですから申し上げますと、小林良彰さんという、小選挙区制については大変な権威者なんですけれども、北海道の私の選挙区のところでびっくりしたのは、網走支庁管内と根室支庁管内と、それから釧路支庁管内の浜中町という一つの町だけを第九区に入れて区画案をつくっているわけなんですね。先ほどもお話ししましたように、浜中町というのは釧路支庁に諸手続をするわけです。根室支庁にするわけじゃないのですね。私は有識者を信頼しないということを言っているわけじゃない。この狭い日本でありますけれども、南北に非常に長い、そういう特徴のある我が国において、本当に小選挙区制導入が一つの理念とか理想に基づいてなされたとしても、そのことによって区画のあり方に問題が残るようなことであれば大変なことになる、こう思うのです。このようなことが当然に出てくる。  例えば、北海道なんかで、我々はどこに山脈があって、どこが山で、どこがどうなっているかというのはイメージとしてわかるけれども、案外一般の人はわからないですね、平たい地図だけで。こういうことが権威ある文芸春秋の記事の中で出てくるからびっくりしちゃったのですがね。そういう意味でもう少し、権威ないと言う人もいますが、それは個人的な主観によると思いますが、私は権威と認めているのですがね。この面積割りとかもう少し具体的なことを、あるいは本院あるいは政府にあっても具体的な基準というものをおつくりになって、この国会議論を踏まえて、そして区画審議会なり、あるいはこれは自民党の方にもお尋ねいたしますが、検討委員会なりに諮るというふうにしてはどうか、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  44. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 私も、岩國さんのその論文そのものかどうかわかりませんが、例えば公共事業の国民一人当たりの額が島根が多い、それは非常に東西に長いからであってというような論文を読んだのは覚えておりますが、いずれにしましても、今の先生の意見は、面積というものをいろいろな意味で入れたらどうかということの基本的な御主張だと思うわけでございます。  ただ、一つは、憲法に書いてございますように、議員国民を代表するというふうに書いてあるわけでございまして、確かに私も北海道五区をお邪魔したこともあるものですから、膨大な地域だということはわかります。ただ、その面積を言ってまいりますと、岩手はどうだ、例えば例に挙げましたけれども、長崎二区の場合には五島列島まで船で行かなければいかぬわけでありまして、そうすると面積が海も含めて関東平野に値するとかそれを入れてまいりますと、とても一つ客観的な基準ということにはならない。ただ、あくまで過疎に配慮してということで、人口の少ない県に対しまして優遇になるように一つずつ配分しているということにつきましては、御承知のとおりでございます。  それから、委員の御質問の中に、歴史的なり地域的な一体感、こういうものを疎外をしているような案が出ているということがございましたけれども、何も小林教授の条そのものを言う立場で我々ありませんけれども、やはり歴史的あるいは地域的な一体感というものは当然重視をしなければいかぬのでありまして、先ほどブロックの話がございましたが、行政区画、交通網、地勢という中には、当然そういう歴史的な経過あるいは一体感というものが大変入っているわけでありまして、具体的にこの案をつくる土台になりますのは、各市町村がどのような格好で町村合併していったかというようなそういう経過も十分熟知の上、これ一本、線を入れなければいかぬという作業がございますので、面積をというのは無理でございます。その他のことは委員指摘精神で十分委員の方々にやっていただく、また法律もそのことを期待をしているというふうに考えております。
  45. 武部勤

    武部委員 自民党はいかがですか。
  46. 津島雄二

    津島議員 委員指摘のとおり、選挙区の画定に当たりましては、区割りについてよほど賢明な判断をしなければいけない、あらゆる角度から歴史的、行政的な要素を十分に取り入れて納得いくような画定をしなければいけない、御指摘はそのとおりだと思います。
  47. 武部勤

    武部委員 私は、今の自治大臣の最初のお答えと最後とは大分またずれてきているな、こう思いまして、もう少し明確にお話しになったらいいと思いますよ。  二つ聞きますが、一つは、この法案にありますような二つの要件以外に、政府として区画画定審議会ですかに諮問する際に、具体的な幾つかの参考資料といいますかを提供するというお考えはございますか。
  48. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 私は、法律に書いてございますように、「行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」という文章の中にすべて含まれておると思っておるわけでございますが、委員指摘のように、参考にするとなれば、先ほども触れましたけれども、この委員会の中での議論、これは当然参考になるものでございます。
  49. 武部勤

    武部委員 これは少しく明確にしておいていただかないと、理論的にはまた国会で決めることになるわけですから、それは我々はまた国会での議論を担保するということを申し上げておかなければならないわけです。  それから、もう一つお聞きしておきたいのは、出した法案についてさらに修正するとか、そういうようなことはなかなか難しいんでありましょうけれども、自治大臣が国会議論を踏まえて、どういう基準についての議論があったか、あるいは議論を踏まえて政府としてかくかくしかじかの要点については審議会においてぜひそれを踏まえた議論をしてもらいたいとか、そういうようなことは私は当然すべきだと思う。しかも、これは国会が決める話ですから、通常の審議会と違うのだ。本来は国会で決めなければならないことを、ここでは申し上げませんけれども、さまざまな問題が予想されるから第三者にゆだねるということなので、本当は第三者にゆだねるということは、国会における自律精神を欠いているということを証明しているようなものなんですよ。これはまことに恥ずかしい話なんです。  そこで、そのことをもう一度確認したいということと、もう一つは一対二未満ですね。このことに私は余りこだわる考え方はいかがかと思うのです。一対二未満にこだわるならば、私は、政府案の二百五十、二百五十という考え方は非常に難しくなるのではないか、こう思うのです。  自民党案の三百であれば、これは世間で言われているように、今現職の国会議員選挙区配分云々の議論じゃありません。今ほど議論してまいりましたように、面積だとか歴史的沿革だとか、地域の広域市町村圏だとか、いろいろな開発計画だとか、そういったものを含めますと、数の多い方が、これはやりいいには決まっているわけです。私は三百でなくたっていいと思うのですよ、それは。三百十でもいいし、その辺のところはやりいいように、本当ならばそこまで実情調査してまでやらなければならぬ。だけれども、これは我々自民党もそうですけれども、もう法案を通さなければならない。これも本当は純粋な正しい議論じゃないのですけれどもね。  それで一対二未満のことについては、基本とするということの解釈、これは一対三に近くなければ一対二未満、こう考えるのではないか、このように私は常識的に考える。ここのところは余りこだわり過ぎて、これは最高裁の判例でも一対三まで認めているわけですし、地方議会では、この新聞を見ますと、十月二十二日の朝日新聞の記事ですが、愛知県と千葉県議選の最高裁の判決によりますと「定数格差五・〇二倍も適法」としているわけですよ。  このことは、我々遵法精神というのは大事だけれども、しかし、国会というのは国権の最高機関であり、国民主権ということをうたっているわけですから、国民立場から考えたときに、その数字に余りこだわり過ぎるといかがかな、私はその一対二未満を基本とするということについて相当幅広く考えても許される、こう思うのでありますが、その点についてはいかがですか。
  50. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 今、過日に行われました県会議員選挙の定数に関する判決についてお話がございましたけれども、県会の定数の特例区を設ける話とこれとはまた次元を異にする話だと思うのです。  しかし、いずれにいたしましても、今日までの定数是正をめぐります最高裁の判例等々の考え方も頭に入れつつ、かつ、やはり憲法の求める平等原則、十四条の平等の原則ということから考えますと、でき得る限り私たちとしては一対二未満にすることを基本とするというのが私たちの法律の考え方であります。  ただ、委員指摘のように、それじゃそのために地域的な一体感も、歴史的な関係も全部断ち切ってやっていいかどうかということについては、最終的には審議会の委員の皆さん方がまず勧告をつくってもらうということでございまして、そこは総合的にまさに勘案をして出てくるものというふうに考えております。
  51. 武部勤

    武部委員 この問題ばかりで余り時間をとっておられませんので、もう一度申し上げますけれども、例えば比例区について、全国一律では候補者の顔が見えないという議論がしばしばありました。今私がお話ししましたように、国会選挙された国会議員により構成されるものであるということを日本憲法は示しているわけですね。憲法精神は、国民はあくまでも政党を選ぶものではないと、はっきり私はこのように示していると思うのです。したがって、国会議員を選ぶものであって、二百五十人以上の候補者の選択というのは、これは容易でないですね。顔のよく見えない候補者を全国から選ぶということは、これは大変なことだと思います。したがって、ぜひこの比例についても都道府県単位にすべきだ。都道府県単位であればよく見える。  また、きょうの新聞によりますと、昨日ですか行革審の最終答申が出されました。その中で地方分権ということについて、その項目の中では道州制のことも指摘してあるわけですね。だから私は、先ほどもちょっと触れましたように、この選挙制度の問題はもう少し深く突っ込んだ議論を、これからの国家経営論、国土計画論、あるいは中央と地方、細川さんがお話ししている地方分権のイメージが実際にどういうことなのか、そういうことを踏まえて、これとワンパッケージで議論していくべきものだと思うのですよ。  そういう意味では、本来ならばもう少しじっくり議論してやるべきだ、こう思うのですけれども、しかし我々も国民に公約してしまいましたから、議論をやってきて、いろいろと冷静に考えるとこれは相当時間が要るな、こう思っているのです。ですから私は、きょう細川さんがいないからあれですけれども、何も責任にこだわることはありませんよ。この選挙制度の問題で、私は細川さんの首をとろうなんというそんな考えは持っていないのでして、むしろ、いろいろな問題が出てきたならば、今の区画の問題一つとってもさまざまな問題があるわけですから、不明確な問題もたくさんありますよ。だから、ちょっと私の意見として述べておきたいと思うのです。  そこで、今申し上げましたように、憲法精神に基づいて国会議員を選ぶのだ、国会選挙された国会議員によって構成されるのだという考え方からしますと、やっぱり有権者の皆さん、国民の皆さん方によく見えるところで選挙をするということになれば、自民党側が主張しているような都道府県にすべきじゃないのかなと思っている。あるいは地方分権の議論を詰めていく段階では、道州制という問題が具体化するとすればブロック、そういうようなことが私は適切じゃないかな、こう思うのですが、このことについての見解をお聞かせください。
  52. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 委員御承知のように、有権者の皆さん方に比例代表の場合に候補者の名前があらかじめわかっていて、そしてその政党に入れるというものについては、選挙された議員だということになっておるわけでございまして、何ら憲法上問題がないことは、もう既に参議院の拘束名簿式比例代表制で御承知のとおりでございます。  そして、二百五十名、顔が見えないと言われますけれども、今度は重複立候補ということがなされるわけでございますので、衆議院の小選挙区で戦った方が、どうしてもこの政党から見てこの人はふさわしいという人は比例代表の方に名前が出てきて、惜敗率によって当落が決まるということになるわけでありますから、かなり顔が見える比例代表になっていくということでございます。  それから、地方分権とのかかわり合いについて言われたわけでございますけれども、確かに私も自治大臣という立場でも、地方分権の問題はどんどん強力に推進していかなければなりません。就任のときに細川総理からもそのことを言われました。国会決議があり、また国会にも地方分権の特別委員会もできているわけでありますから、ぜひどんどんそういう議論を起こしていただきたいと思うわけでありますが、ただ、その議論の後に政治改革というほど国民の皆さん方は待ってくださらない。  政治改革は、きのうの議論にもございましたように、この不況の問題、冷害の問題あるいは海外的な問題、ちょっと円は今安くなっていますが円高に関係するような問題とか、いろいろな課題があるわけでございます。そのもとになるところの政治信頼性を高めるという問題はその根底にあるわけでございますから、私たちは地方分権の問題も非常に大事だと思っておりますので、早くこの政治改革というものをお互いになし遂げて、そして信頼される政治のもとをつくって、多くの政治課題に挑戦をしていくというのが今我々に課せられた責任であると思っておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
  53. 武部勤

    武部委員 それはもう社会党が野党の時代ではとても納得する話じゃありませんよ、もう区画の問題一つとっても、一対二未満の問題一つとりましても、比例区の問題一つとりましても。ただ、我々も今までの議論の経過がありますだけに、早くやらなくちゃいけないということについては、これは政府と同じだと思いますけれども、しかし、疑問点は残しておいてはいけないということについては、やはり審議を精力的に進めていくということだろうと思うのです。巷間言われているように、十二日だとかなんとかというようなことで区切ってやるということになれば、これはもう断じて許せない話でありまして、そのことだけは申し上げておきます。これは本委員会において問題点はきちっと解明する、それを積み残したままいっちゃうというわけにはいかないということを申し上げておきたいと思うのです。この問題について全く合点がいかないわけでありますが、問題点として指摘しておきます。  区画については、これは国会責任において本来決めるべき性格のものでありますから、きちっと政府にあってもまた本院にあっても具体的な基準というものを示して、この委員会なり審議会に諮問するというふうにすべきだということ、一対二未満の問題については、これはやはり区画画定が合理的に政府がおっしゃるようになされることを大前提政治判断をすべきだということ、特に比例にあってはやっぱり顔の見えるということ、国民、有権者の皆さん方第一に考えた都道府県単位でやるべきということがいかに重要であるかということが私は今までの議論の中でははっきりしてきた、こう思うわけであります。このことを強く申し上げておきたいと思います。  それから次は、戸別訪問のことについてお話をさせていただきたいと思います。  私は、国会議員の皆さんすべてが体験していることであろうと思うのですけれども戸別訪問がなぜ禁止されていたかということについては、ここでも議論がありましたから、それは申し上げません。また、なぜ自由化ということになったかということについても議論がありましたから、あえて申し上げませんが、まず、一面識もない候補者運動員等が一々自宅や勤務先などに訪ねてくるということは、これは有権者の立場からすると迷惑であることは少なくない、こう思うのです。さまざまなトラブルが予想されると思うのであります。また、当然のことながら、今まで禁止されている理由として、買収や利害誘導等の選挙の自由公正を害する犯罪の温床となり得る、そういう懸念も感ずるわけでありますが、この点について取り締まりに当たる警察庁としては、これまでの経験から、今私が申し上げましたような心配はないか。  例えば、もっと具体的にお話ししますと、帰ってくれと言ってもなかなか帰らないという場合がありますよ。選挙というのは、さまざまな議論がありましたように非常に熱っぽくなるわけですから、熱くなるわけですから、そんなときに、何かこれは犯罪の構成要件になるんじゃないですかね。  それから、今度自由化されれば、裏からこそこそと来たり、あるいは親戚、知人を頼ってくるとかということじゃなくて、公然と二人、三人あるいは四人、五人、大勢で押しかけてくるという場合もありますよ。それは善良な市民は大変なプレッシャーのかかる話でありますし、ましてや、例えば会社の社長が自分の部下の社員のところに来たときに、言うことを聞かなかったら自分の亭主の給料を下げられるんじゃないか、こういうふうに思わないとは限らないのですね。  だから私は、取り締まりをするという立場で、今の段階でさまざまなトラブルや問題が出てくるような気がするのですけれども、取り締まりに当たる警察当局は私が今申し上げましたような懸念についてどのようにお考えか御答弁いただけますか。
  54. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  警察といたしましては、御案内のように、違法行為について法に従って適正に措置するという立場にございます。  ただいま御質問のございました、戸別訪問が自由化されれば具体的にどのような事案や問題点が発生し得るかにつきましては、選挙制度全体のあり方や選挙のやり方、有権者の意識にも関連することでありまして、現段階で予想しがたいところでございます。     〔委員長退席、前田委員長代理着席〕  ただ、一般論として申し上げれば、戸別訪問が自由化されて、それ自体が犯罪にならなくなったといたしましても、例えば戸別訪問をし、その場で物品や金銭を供与すれば買収罪に問擬されるというようなこともございますし、また御指摘のように、訪問を受けた者が退去を要求されたにもかかわらず退去しない場合には不退去罪に当たる場合もあることは、現行におけると変わりないところでございます。  そのほかいろいろ御指摘ございましたが、戸別訪問に伴って私生活が侵害され、迷惑を受けたというような状況が出た場合には、その内容によりまして違法行為ありと認められれば、法令に照らして適正に対処してまいるという所存でございます。
  55. 武部勤

    武部委員 警察庁としてはその程度しかなかなか言えないのかもしれませんけれども、私は言外に、これが自由化されると大変なことになるということを取り締まり当局は感じているんじゃないか。いろいろと個人的な友人もおりますし、その話を聞きますとそういうことをよく申されますよ。これは今の御答弁で一応とどめておきたいと思います。  さらに、候補者の側においても、これは政党中心政策中心、足の引っ張り合いやサービス合戦をやって、本来の政治家としての、あるいは選挙運動とか選挙活動とかの理想からいたしますと、この規定があることによって、これはもう皆さん方は十二分に経験していると思いますけれども、やはり握手したとか手を握ったとか来てくれたとかそういうことが一票に大きく影響しているんですね。北海道五区みたいにあんな広いところはそれはできませんから、私は日本一理想選挙をやっているところだと思いますよ。小さくなればなるほど、本当に洪水のごとくいろいろな人が出かけてくる。実際問題として、本人が来れなければ奥さんぐらい顔を出せと言われるケースは皆さん方も体験していると思うのです。  そういう意味からも、戸別訪問の自由化の理由が、政策宣伝の機会として諸外国もやっているということだからといっても、私はこれは制限を加える必要があると思うのです、実際問題。このことについて政府はいかがお考えですか。
  56. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 今委員から、具体的なこんな問題が起こるんじゃないだろうかという想定のもとにお話がございましたけれども、本来、選挙活動というのは、原則的にその運動自体は自由であるという根本思想が流れておるわけであります。  ただ、金による力とかいうことは当然規制をされ、また公的に掲示板の問題とかポスターの問題とか、一定の範囲内で選挙運動をやることになっているわけでありまして、今の選挙運動でいきますと候補者戸別訪問ができない。候補者みずから演説会等以外は、街頭でやるか以外は個人のうちも訪れることもできないということになっているわけでありまして、やはり私なら私を支えてくれるボランティアの方々が支援者の人のところにお願いに行く、あるいは政策の宣伝に行くということは、本来的に許されるべきものであると思うわけでございます。  ましてや背後に、そこで買収、供応等が起これは、連座制の強化ということで、今度は新たに非常に厳しい対応がなされておるわけでございますので、私たちといたしましては、政府といたしましては、この際やはり政策宣伝の場を、手段を広げるということから考えて、このような全面解禁に踏み切ったわけでございます。  ただ、たびたび答弁をさせていただいておりますけれども委員言われますように、またそれが大変な国民的な批判になるような結果をもしもたらしたような場合には、これはまた議会の中で議論をして結論を得ればいいのではないかと思っておりまして、この際、候補者があるいは運動員がじかに有権者に触れる機会をふやそうということでございます。
  57. 武部勤

    武部委員 これは羽田副総理にも聞きたいところなんですけれども、我々は、国会議員国会議員としての独自の任務があるのではないか。今やっているようなどぶ板選挙にエネルギーを費やして、本来の国会議員としての使命や任務がおろそかになってしまっては問題ではないかというようなことで、いろいろな選挙運動についてもさまざまな規制をしようというような傾向にあるわけですね。  そういうようなことから考えると、私はこの戸別訪問はよっぽど、今自治大臣は、もしやってみて問題が起こったならば、また撤回するというような話でありますけれども、これは余りにも国会としては無責任な話でして、今もう警察庁もはっきり言っているじゃないですか。いろいろな事犯につながる懸念は一般論としてはある、こう言っているんですね。  一般論としてあるということは、今だって、今禁じられているときでもたくさんあるのですよ、それは。ただ、なかなかその取り締まりも届かないから問題にならないケースが多いのですけれどもね。それはもう我々だって、はっきり言って土曜日の夜なんかはストロボを持って走るのですからね。これはもう組合の皆さん方が個別に動くわけですよ。恩師が子供のところへ来たら、なかなかそれは、先生がわざわざ家に来てくれたということになれば、そう簡単に断れるというようなそういう日本の人間関係ではない。私は、イギリスだとかヨーロッパだとか諸外国と日本を一緒にして全面解禁にするということについては、極めて大きな疑問を感じております。  これは自民党案は禁止でありますから、このことについても与野党できちっと話をしてしかるべく、私は将来のことまで言っているのじゃないのです。今現実に、もうさまざま我々が体験している事象から無理だろうということを言っているのですよ。それはまあ自治大臣も選挙をやっておられるのだから、おわかりのはずですよ。この辺のところは、委員長が中に入るのかどうかわかりませんが、与野党できちっと詰めて、私は修正してもらいたい、こう要求しておきます。  それから、次は政治資金の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  このたびの政治資金規正法の改正については、お金の問題はかなり具体的にきめ細かく規定しておりますが、私は、資金、お金にあらざる便宜供与も当然対象にすべきでないか、このように思うのです。金で受ければ規制され、人や物品や労務提供は規制しないというのはおかしい、こう思うわけでありますが、その点についてのお考えはいかがですか。
  58. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 御承知のように、政治資金規正法上、寄附というのは「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」ということが法の第四条第三項にされておるわけでございまして、「財産上の利益」というのは、金銭、物品に限らず、債務の免除、金銭、物品の貸与、さらに労務の無償提供もこれに該当するということは、かねてからこの法の解釈になっているわけでございます。したがいまして、政治活動に関しまして、事務所や自動車というものを無償提供した場合にあっても、一般的には、いろんなケースがあるでしょうから断定はしかねますが、一般的には政治資金規正法上の寄附に該当するということと考えておるわけでございます。  今度の政府が出しました法案によりまして、企業・団体等の行います寄附というのは、御承知のように政党以外できないということになっておりますので、もしいろいろな団体がございまして、政治資金規正法上で規制されている団体でございましたら、今委員指摘のような、政治活動に関して車や事務所を無償提供することは禁止をされることになるわけであります。  あわせまして、量的な規制がございまして、このような寄附も、当然のことながら政治資金規正法上の百五十万円を超えてはならぬという、当然そこにもかかってくるわけでございます。     〔前田委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 武部勤

    武部委員 石田総務庁長官にお伺いいたしますけれども、私どもはいつも、公明党の選挙を見習わなくちゃいけないと、もう本当に、あれだけ情熱かけて、朝から晩まで一生懸命やっている姿を見て敬意を表しているのです。どこにあのエネルギーが出てくるのかなと。私の後援会にも、三人ほど創価学会の方が幹事長をやっていただいているのですけれども。したがって、まあきょうは余り細かい話は差し控えたいのでありますけれども、これは非常に政治資金規正法にかかわる重大な問題ですからお尋ねをいたしますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  公明党の選挙は創価学会の施設を全面的にフル動員しているということの投書がありまして、例えば創価学会の全国の会館施設が選挙の出陣式や決起集会に使われているとあるのでありますが、そういう事実はございますでしょうか。
  60. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 お答えを申し上げます。  私ども選挙になりますれば、党はあるいは個人はそれなりの選挙事務所を持って活動を展開をするわけでございます。これは政党もしくは政治家個人の活動の基本的なあり方であろうと思います。  創価学会は、御存じのとおり、これは宗教団体でございますけれども、これはまた憲法の規定によりましても、いかなる団体も政治活動ができる、こういう趣旨が明確になっておるわけでございますから、創価学会の方は創価学会の方としての支援活動をいたしておるわけでございまして、その問題がやや混同されて伝わっておるかと思いますけれども、そんなことで、今申し上げましたように、宗教団体といえども政治活動はできるわけですから、そちらの方が自由なる政治活動をしていく、あるいは支援活動をしていくということは、私は大いにあってしかるべきことだと、このように思っているところでございます。
  61. 武部勤

    武部委員 まあ私たちも時には神社とかお寺で会合を持ったり演説会をやったりしておりますが、そのときには使用料も払っているわけですね。公明党さんは、創価学会の建物で演説会などをおやりになったときには、対価といいますか、会場使用料はお払いになっておりますか。
  62. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 今申し上げましたように、創価学会は創価学会として、いわゆる選挙活動の自由、政治活動の自由というのはあるわけでございますから、そこで私どもが幕間にごあいさつに行くケースもございましょうし、あるいは独自のそういった支援活動をする会合もあるわけでございまして、そういった意味で、私はそれらの問題について対価を払うとか払わないとかいうような性格のものではないと。例えば創価学会が独自に支援活動の会合をするとすれば、それは創価学会の経費の中で行われるべき筋合いのものであろうと思うわけでございます。
  63. 武部勤

    武部委員 まあおっしゃるように、単なるボランティアであるということ、あるいは宗教団体が政治活動の自由が保障されているということは承知しておりますし、我々もいろいろと御協力いただいているわけですから、そのことは私は特に問題視しているわけじゃありません。  例えば、ここにも資料があるのですけれども、これは都会議員の資料で、えらいもう事細かに、これは勉強になるなと思って見ているのですけれども、いろいろな文化会館がございますね。ここに青年部の人たちが裏選対事務所を構えて、二十四時間体制で選挙を取り仕切っているというのですね。五十数人の候補全部に数カ所ですから、これは大変な会館の数ですね。本来宗教目的のための建物に専従の選挙スタッフがおり、建物が選挙専用と言っても過言でないと思われるくらいに使われているという、選挙時点ではそういう問題があると、こう指摘されているのですが、その場合には公明党さんは対価を払っておりますか。
  64. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 それはただいま御答弁も申し上げましたように、創価学会は創価学会としての支援活動をしていらっしゃるわけでございますから、私は、そういった裏選対とかいうような筋合いのものではない。学会は学会としてのそういう支援活動の体制を組んでおられるわけでございますから、そういった意味で、政党がそういった宗教団体に対して対価を払うとか払わないとかいう問題ではないと思うのです。また、いろいろな各種団体におきましても、あるいは労働組合が何々党を支援をする、かなり積極的に支援をしていらっしゃいます。そういった問題に対して候補なり政党なりが対価を払うというようなことは私も伺ったことはないわけでございまして、そういった意味で、ごく一般的に行われている行動の範疇のものではないかと存じます。
  65. 武部勤

    武部委員 私は、創価学会のことだけを言っているんじゃありませんで、お話しのとおり、労働組合の例もありますね。例えば、これは警察庁に聞いておいた方がいいかと思うのですけれども、官庁の掲示板に常時、国会議員なり立候補予定者のポスターを掲示していますね。これは事前運動にはならないのですか。また、それに類したことで、我々の場合には警察に呼び出されたことがあるのですけれども、実際の取り締まりはどのようになっているのですか。これは委員長のお話のとおりで、警察庁にお聞きしたいのですが、どうですか。
  66. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  個別の事案についてそれぞれ事実に即して判断をするべき問題でございますけれども、今御指摘のあったようなケース、一般論で申し上げれば、政治活動の範囲内であれば問題ないというか、一般的には問題ないケースが多いかと思いますけれども、それはもう最初に申し上げましたように、個別のケースについて、それぞれの事実に基づいて判断をすべきものというふうに考えております。
  67. 武部勤

    武部委員 私は、企業・団体の資金面の出入りの明確化ということと同時に、今ここで議論しているのは便宜供与のことで、これもきちっと政治資金規正法の中で明確にすべきだという前提でお話ししているのです。公明党の石田委員長にもう少しお尋ねしますので、お許しください。  例えば、今創価学会は創価学会なりにやっている、だからこれはボランティアだとおっしゃっておられますけれども、ここにある資料を、時間があれば少しまた突っ込んでお話ししますけれども、例えば会館の電話やファクスが選挙専用で使われている。これは、いかにボランティアであってもかなり膨大な負担になると思うのですね。選挙のため、また支援のため会員に作戦や日程の資料が配られる。紙代やコピー代も相当なものだろうと思うのです。  これはなぜ私がお話しするかというと、ここに細かいこと、全部読んだら大変ですよ、これ。これはもう事前、例えば、投票日告示前から都議会選挙重点区情勢、目黒区、渋谷区、ずっとこうそれぞれの情勢分析をしているのですね。それから転入者、転出者まで追跡をする。不在者投票についても書いていますし、青年の駅頭の集会から、相当綿密に、これが単なるボランティアとは我々の理解では考えにくい資料があるわけですよ。  事前ポスター、現地到着日六月二十六日、テープ六月二十四日、はがきからイメージポスターから法定ビラから、もう枚数から何から、えらいきめ細かくやっているのです。それが各地の会館で行われている。日程から何から、どこで勤行会だとかゴールド勝利隊だとか、我々もそれぞれ選挙のときにはいろいろな部隊をつくってやりますけれども、私は、このことはまさに裏選対と言って何だろうかな、こう思うのです。したがって、当然この創価学会の建物を、あるいは電話を、コピーを、創価学会の許可なしに個々のボランティアではやれないのではないか。このことについていま一度御答弁いただきたいと思いますが、対価を払ったり創価学会の許可なしにそういうようなことが行い得るのかどうか、本当にボランティアとしての考え方で限定できるのかどうか私は疑問に思っているわけでありますが、これは組織が許可し、組織の施設を使い、建物、電話、ファクス、コピーなどの経費をあなたの党は正当な対価を払っておられるかどうか、お聞きします。
  68. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほどから再三申し上げておりますように、私どもは私どもの方として、いわゆる政党政党としての政治活動選挙活動がございます。個人もそうでございます。また、団体は団体としてさまざまな政治活動があり、選挙の支援ができるわけでございますし、それが憲法の規定によって保障もされておりますし、またその他の選挙に関する法律上におきましてもそういったことの規制は特にないわけでございますので、それが多少、非常に熱心にやられているというだけで違法性があるというふうにお考えになるのはちょっと筋が違うのではなかろうか、このように存ずる次第でございます。  そういった量の大きさの問題ということになりますれば、いろいろな団体がそれなりのまた信ずる政党なり議員を支援活動しているわけでございますから、その本質がいわゆる違法であるかどうかの問題を討議すべきであって、量の問題で適否を判断すべきことではなかろうというふうに思います。
  69. 武部勤

    武部委員 先ほど自治大臣からも御答弁がありましたけれども、便宜供与についてはこれは寄附という扱いであって、それはきちっと届けなければならないということをお話しされました。実際に、脱法行為というか、お金の問題もそうですね。今ゼネコン疑惑の問題についても、これは政治資金規正法にかかわる問題じゃない。裏金ですね。そういう裏金でああいう大きな、国民に対して背信行為として問題視されているわけなんです。  したがって、私は、今委員長がお話しされましたけれども、これは皆さん方全部わかっているわけでありまして、我々も別な形でいろいろ御協力いただいていることもあるわけでありますけれども、しかし政治資金、金を規制するというのであれば、やはりこの立法の趣旨に照らしてこういう便宜供与についてもきちっとしていく必要があるのじゃないか。今のような、委員長は、これはボランティアの範囲だと、違法性はないということを申されておりますけれども、私は、これは全国換算すれば相当膨大な金額になるであろう、こう思うのです。自治大臣のお考えはいかがですか、本件について。
  70. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 答弁するに当たりまして、今委員は創価学会の例を出されましたけれども、具体の例について私が実態を把握し、それをどう見るかということを言明する立場にはございませんので、具体の例については避けさせていただきたいと思います。  ただ、一般論といたしまして、お互いに候補者になれば、無償の提供を受けた場合には、これは時価に換算をいたしまして、選挙管理委員会に出す選挙運動収支報告書に寄附及び支出ということで計上するというのが正しいやり方であります。また、今委員指摘になったように、そういう形態が選挙事務所であるのかどうかというのは、これまた具体の例にならないとわかりませんので、私の方からは、これは答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  71. 武部勤

    武部委員 具体的な話をすれば、これは切りがないといいますか本当はそこまで話をしなければならない問題でありますけれども、いずれにしても、私は委員長にはちょっと失礼だったかもしれませんけれども、私が取り上げたのは、これは労働組合もそういう問題があります。また我々自身も反省しなければなりません。秘書でありますとか車でありますとかいろいろな便宜供与を今までは受けてまいりました。これは今までの法律によれば許される部分も数々あったわけでありますけれども、しかし、政治腐敗防止ということが政治改革一つの大きなねらいであります。そうなれば、資金についてはかなり細かく規定しているわけですね。  しかし候補者政治家からすれば、一方、二万の金をもらうよりも、会社ぐるみ、あるいは別の立場からすれば組織ぐるみで支援を受けることの方が、これは届け出もいろいろ簡便でありますし、むしろやりいい。いわばざる法になるという心配があるわけです。しり抜けになってはいけないということで私は指摘しているわけでありまして、この問題については金だけではなく便宜供与もガラス張りにすべきだ、そういう意味では政治資金規正法も修正すべきだ、このように考えるわけでありますが、いかがですか。
  72. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 これは、言われている趣旨は私たちもよくわかり、御説明申し上げましたように、寄附というものは何も金銭だけではございませんと、便宜供与も入っておりますということは申し上げてきたわけでございます。ただし、会費とか党費等はもちろん別でございますが。それにかかわる便宜供与ということにつきましては、今御説明申し上げましたように、当然政治資金の報告書の中に入れなければいけないことでございますので、私たちとしては十分それで対応できる。  ただ、具体の、今委員指摘のようなことについてどう対応するかは、この法律の中で司法当局が対応するということになりますし、今度は、政治資金規正法上の届け出が誤っている場合には、極端な場合にはお金を返さなきゃいかぬ、あるいは公民権停止になるという非常に厳しい罰則もつけておりますので、これで対応できるのではないかと考えております。
  73. 武部勤

    武部委員 私は、先ほど具体例については答弁できないという自治大臣のお話でありますし、今はまた司法当局というようなことで、野党時代の社会党さんじゃそんなことで引き下がりませんよ、これは。これではパンクですよ。  私はまだまだ話したいことはあるのですよ。例えば石田委員長にも、これはもうボランティアであって違法性はない、こうおっしゃるなら、我々としても、宗教団体が非課税であるということについてもいろいろこれは問題にしなきゃならなくなってくるのですよ。やはり国民の前に疑いの持たれるようなことはきちっとしておくべきだ。司法当局なんて、今法律をつくっているわけじゃないですか。これから与野党でいろいろな協議もできるわけじゃないですか。なぜこの問題についてもう少し明確にできないのですか。もう一度御答弁ください。
  74. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今御質問の中で、なおこの法案によって整備をという御意見ございましたけれども、御指摘のような問題について法の的確な運用いかんということにも関連してくると思います。  今自治大臣もお答えいたしましたとおり、既に政治資金規正法におきまして、御質問の便宜供与等についてはかなり厳しい規定がつくられておるところでございます。加えて、今回の法改正とのかかわりで押しますと、企業・団体献金につきまして個人に対するものが禁止されたということから、企業・団体等から御指摘のような便宜供与を受けることはできない、こうしたことについて明確になったところでございます。  同時に、そうしたものに対する処罰といたしましては、連座の拡大ということがおよそ三項目、大きな柱としてございまして、まず第一は枠の拡大の問題、要件の強化の問題、そして罰則の引き上げの問題、この場合には、違反いたしますと立候補の制限ということまでかかってきているわけであります。  したがって、従来の法律に今回の新しい規制ということを加えてくるならば、かなり厳しい内容になったものと考えている次第でございます。まずこれをというのが提案者の気持ちでございます。
  75. 武部勤

    武部委員 今お話がありましたけれども、運用、運用と言っていますけれども、それだったら政治資金、金の問題でも、政治改革なんて各政党がきちっとやれば、私はもう七割、八割できると思うのですよ。それができなかったわけですね。  それで、今の具体例についても自治大臣も明確な答弁をされない。私も、石田委員長とか創価学会を特別問題視して言っているのじゃないのです。この便宜供与という問題が脱法行為になり得る、そういう重大な問題をはらんでいる。ボランティアと実際の裏選対と境目がはっきりしない事例が数多くあるじゃないですか。それは皆さん方も選挙をやっているからわかるはずですよ。  私はこのことは、自民党はこの件についてどうお考えですか、それも聞いておきましょう。  じゃ、時間がないから結構です。私も自民党ですから。  時間が経過いたしましたけれども、私は最後に申し上げたいのは、何も審議引き延ばしするつもりは毛頭ありません。国民の前に公約をしているわけですから、それは政治改革関連法案は一日も早く結論を得るべきだ、こう思います。しかし、一日も早く結論を得るべきではあるけれども、今申し上げましたような問題、時間があれば私はあと、いろいろなデータもあるわけですから、私一人でも一時間でも二時間でも議論してみたいと思うことがあるのです。これは国民の前に疑問点を残さないで結論を得るということが悔いを残さないことになるのじゃないか、こう私は思っておりますので、ぜひこれは委員長においても、この政治改革論議、さらに議論を煮詰めていただくように、時日を区切ってどうこうするというようなことのないように、そのお取り計らいを要望、要求しておきます。また、各党の皆さん方にも、ぜひそのように慎重に対応をお願いしたい。  以上で終わります。
  76. 石井一

    石井委員長 武部君の質疑は終了しました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  77. 石井一

    石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安倍晋三君。
  78. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 まず、企業・団体献金の問題についてお伺いをいたします。  言うまでもなく、今回の政治改革論議の発端は、政治と金にまつわるいろいろなスキャンダルにまさにメスを入れよう、こういう構造を基本的に変えていこうということが発端であり、また今回の政治改革の大きな柱の一つであるというように私は認識をいたしております。  その中で、まず政治の基本論の認識を私はお伺いしたいと思うわけでありますが、政治に参加する単位はあくまでも個人なのであって、企業・団体は政治に参加する単位であるべきでない、そのようにお考えなんでしょうか。山花大臣に御答弁をお願いします。
  79. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 政治参加の単位ということについて、一般論で申す場合と、それから具体的な選挙権という場合で論ずる場合では少しく違う側面があるのではなかろうかと思っております。  後段の問題につきましては、企業選挙権ということにつきましても一部議論等があることについては承知しておりますけれども、これはなかなか認めがたいのではなかろうかと思っております。  前段の一般論ということになりますと、それぞれの団体、これは政治団体等についてもしかりでありますけれども、それぞれの我が国の企業等をも含めた自然人ではない法的人格を持つものについても、一定の許容される範囲、法的な規制がある場合もあるし、あるいは倫理上の規制がある場合もありますけれども、そういうことは当然あることを前提にいたしまして、政治に対して発言する資格というものは持っている、こういうように考えております。
  80. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 わかりました。  それであれば、現在、経団連や経済同友会が経済問題についていろいろな政治的な発言をなさっておられます。あるいは保守二党論に踏み込んでも発言をしておられますが、こういう活動というのは当然できるというようにお考えでございますか。
  81. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 御主張のとおりだと理解しております。
  82. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 憲法第二十一条は結社の自由を保障しておりまして、これは組織人格として行動できるということでありまして、ある体制やある政策を団体として支援したり批判することが基本的に許されているということであるというように私は認識をしているわけでありますが、憲法が結社の自由を保障している以上、経団連や労働組合の政治活動が認められるのは当然であるというようにお考えになっているということでよろしいんでしょうね。
  83. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 一般論で申せば、御指摘のとおりだと思っております。
  84. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 その政治活動の一環として経済的な、金銭的な支援を行うことは、これはどうなんでしょうか。
  85. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今御指摘のテーマにつきましては、これまでも裁判所の判例等をも含めてさまざま議論がされてまいりました。政府として今回法案化をした考え方につきましては、そういう議論の中で、企業・団体献金の問題については政策論としてどう取り扱うか、こういうように考えているところでございます。  政策論として、最近の政治改革のたくさんあるテーマの中でも柱となっている政治資金の規制、近年相次いでいる腐敗事件に対する、とりわけ最近の自治体にまでも及んだゼネコンの疑惑等々などを考えた中で、政策論として、今回、企業・団体献金の禁止にまで踏み込みたい、こうした気持ちで出したものでございます。
  86. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 もう一度確認をさせていただきたいと思うわけでありますが、山花大臣は、この企業・団体献金について五年後に政府案としては見直すという方向である、しかし、社会党としては基本的には五年後の見直しというのは全廃である、その方向で党として努力をしていくということでございましょうか。
  87. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今、答弁は閣僚としてさせていただいた次第ですが、党の政策はということにつきましては、党としては従来、他の野党の皆さんともども、かねてから企業・団体献金禁止の問題について幾度か法案提出してきた経過がございます。一定の期間を置く、そして公的助成と引きかえに等々の議論もありましたけれども、最終的には、最近におけるこの解散前の国会におきましては、今御主張のとおり、他の野党の皆さんと協力をして、企業・団体献金を直ちにやめるべきであるということを基本とした主張を行ってきたことについては御指摘のとおりでございます。  そうした中で、解散・総選挙選挙の審判を受けての連立政権の樹立、そしてそこでの大きなテーマとなった政治改革の問題、こうした流れの中で、今、党としても連立政権における合意を尊重して、そしてそこでの合意に基づいた政治改革四法についてその成立を目指す、こういう姿勢については今確立しておる、こういうように承知しているところでございます。
  88. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ただいま御答弁いただきました。我が党としては、当然、節度ある企業・団体献金は認められるべきだというように考えております。大臣の御答弁では、基本としてはもちろんそのとおりではあっても、政策としてこれは考えるべきであるというようにおっしゃったわけでありますが、しかし、政策として考えるということであれば、腐敗が起こらないように、節度ある献金は一体どれぐらいなのかという議論をすべきであって、全廃というのはまさに基本論で、これは全くいけないんだ、許されないんだということにつながるのではないかと思うわけであります。  自治大臣にお伺いをしたいわけでありますが、企業は法人格として法人税を払っているわけであります。参政権なきところに課税なしという言葉があるわけでありますが、当然、選挙権はないわ付でありますが、社会的存在として法人格が認められ、税金も払っているわけであります。当然、政治的に発言する権利もあるのではないでしょうか。ですから、その意味において、政治献金という経済的な援助という形で政治に参加が認められるべきではないでしょうか。それがだめなのであれば、全くゼロであるということであれば、法人税も取るべきではないんです。どのようなお考えでしょうか。
  89. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 今までの山花政治改革担当相との間のやりとりの中で答えは出ているのではないかと思うんですが、一般的な意味での政治活動というのは禁止をしていないことは、今、山花大臣も言われたとおりであります。したがって、減税の問題なりその他の政策の問題について経団連が発言をなさることについては、これは何も禁止をしていないわけであります。  しかし、今そもそも政治改革の発端となりました企業・団体の献金政治家の問題がいろいろな腐敗を呼んで、残念ながら日本政治というものが大変不信の極に達しているという状況の中で、企業・団体献金というのは一定の節度を持つべきではないか。なるがゆえに政党のみに認めるということにしまして、他の政治団体には禁止をするという政策的な判断が必要であるというものに立ったわけでございます。  したがって、法人税の問題は、いわば一般的な企業としてそれを発言されることは自由であり、また、社会的な存在として政治活動も、あるいは法人税もまた払っていただくということで、それと、企業政治を汚すというまで企業・団体献金をしていいということとは次元が違うことであるというふうに考えたのが今度の法案でございます。
  90. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今の御答弁をいただきまして、つまり企業・団体が政治を汚す、どの程度であれば汚すかという議論、節度ある献金にすべきだという議論、それと、全く将来は全廃をしていこうという意思というのは、私はかなり大きくかけ離れているのではないかと思うわけであります。しかし、この問題についても、このままずっと議論をいたしておりましてもしょうがないわけであります。  しかし、私が絶対に指摘しておきたい点というのは、今まで何回も起こってきた不祥事、これはほとんどやみ献金において事件が起こってきたわけでありまして、正規のルートを通った政治資金そのものが贈収賄、わいろであるという認定をされたというのはほとんどないわけであります。ですから、ここは、私は基本的に問題を見誤っているのではないかと言わざるを得ないと思うわけであります。  日本企業体というのは、欧米の企業体と違っておりまして、株主の総意を代表するということ以上に従業員共同体という意味があるわけであります。従業員共同体、従業員の総意として政治に参加をする。その参加の仕方として、節度ある範囲内であれば私は当然政治献金も許されるべきであり、そのことが、法人格という人格を認めている以上、国民全体として政治を支えていくという中で大きな機能を果たしていかなければいけないと考えております。  続きまして、公的助成に関連して御質問をさせていただきたいと思います。  政党というのは権力と相対峙する存在でなければいけないというのは、政党人であれば当然持っていなければいけない認識であると私は考えております。しかしながら、過去のいろいろな経緯、そういう不祥事から万やむを得ず公的助成を導入しようという決意がされたわけでありますが、我が党の議論の中で、やはり権力と相対峙する存在である、そういう厳しい議論の中で、できるだけ抑えていこうということでああいう額が出てきたわけであります。しかしながら、公的助成を導入する以上、選挙において政党が前面に出て政策中心に戦っていく、これは当然なことであるわけであります。  イギリスの小選挙区におきましては、かなり細かい政策についてもすべて提示をするわけであります。しかしながら、日本ではまだまだ初めてであるわけでありますから、当然、基本政策については国民の前にそれを示し、我が党は何を求めているのか、何を目指すのかということを提示をしなければならないわけであります。  そこで、山花大臣にお伺いをしたいわけでありますが、外交政策、安全保障政策は、政党が取り組まなければいけない最も重要な政策であると考えておられるでしょうか。     〔委員長退席、三原委員長代理着席〕
  91. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 御指摘のとおりでございまして、したがって、今回の選挙に先立ちまして、非自民の連立政権をつくろうと合意をいたしました際に、御指摘のテーマにつきましてもやはり国民の皆さんが最も関心をお持ちのテーマである、まずこの点については、その場合の連立政権の合意、考え方を明らかにしたいということで、これまでの国の基本政策についてはこれを継承する、こういう合意を内外に発表して選挙にも臨んだところでございます。
  92. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ということは、自衛隊をどうするかという政策、どう取り組むかという姿勢をいうのは、当然大きな基本政策一つとお考えでございますね。
  93. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 御指摘のとおりと考えてまいりました。
  94. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今回のことにつきましては私どもどうしても納得がいかないわけでありますが、既に同僚議員質問をいたしておりますのでそれはさておくといたしまして、今度のこの新しい選挙制度が施行されたときにどのような態度をとるかということは、私は、まさに小選挙比例代表並立制を施行するに当たって、基本的な前提になるのではないかと思うわけであります。  ということは、社会党といたしましては、連合政権前提として選挙戦に、また、現在の連合政権前提として選挙戦に臨まれるということでございますが、今まで大臣御答弁のように、連合政権の一員としては当然自衛隊は合憲であるということで国民選挙において訴えられるわけでございますね。
  95. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 幾度かこの問題についてもお答えさせていただいておりますけれども、今回は連立政権についての合意を内外に発表し、また、政権成立後さらに具体的なテーマについても合意をいたしまして、これを明らかにしております。その合意を守るというのが、今日の連立政権に対するもちろん閣僚の立場であるし、党の立場でもございます。  次の選挙の場合どうなるか、この場合には先の予測ということになりますけれども、その際改めて連立・連合政権ということが大きなテーマとなった場合には、この間の細川政権の実績ということについてそれぞれの党が十分総括をした中で新たな連立政権あるいは連合政権の合意をつくるということは、当然その時点でそれぞれの党の選択ということになってくると思っています。たまたま私に対する御質問ですけれども、社会党としてもそうした姿勢をとるものと承知をしているところでございます。
  96. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 もちろん予測においてなわけでありますが、このまま細川政権が大変な国民的な高い支持率のもとに選挙戦に臨んだときに、連合政権を恐らく七〇%が支持していた場合、当然今までの姿勢を継続されるわけでありますね。
  97. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 そこでまた細川政権と例えば同じ、ほぼ同じ枠組みということで、非自民の体制をもってさらに連立政権を続けていこうということになれば、当然御指摘のようなことになることが予想されるということだと承知しております。
  98. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 しかし、選挙でございます。当然我が党が圧倒的過半数を制するということもあり得るわけであります。そうなるときに、当然、社会党としてはもう連立政権の一員ではなくなるわけでありますから、本来の党の主張であります、自衛隊は憲法に違反をしているというまさに本来の主張に戻られるというように理解してよろしいのでしょうか。  「我が党の新しい安全保障政策」、一九九一年一月三十日-二月一日の間に行われた定期全国大会で採択をされた中に、「現存する自衛隊が違憲であることは明白だとしても」ということを書いてあるわけであります。ですから、当然、社会党が野党になったときには、本来の主張である自衛隊は違憲ということになるわけでありますね。
  99. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今委員指摘の、九一年の恐らく大会ですか中央委員会、どちらかだと思いますけれども、自衛隊の実態は違憲であるけれども、これを直視してこれから自衛隊の問題にアプローチしなければならない、全体はそういう構成だったと思っています。その前に、八九年に連合政権についての政策を発表しているところであります。  八九年の九月、当時は土井委員長の時代ですけれども、連合政権政策として、領土、領海、領空の防衛に厳しく任務を限定した自衛隊という考え方を明らかにしております。万一侵略行為などの事態が発生した場合には、連立政権国民の生命財産を守るため、限定的に自衛権を行使する目的で自衛隊を運用することは当然のことである、こういう趣旨の連合政権政策を発表しているわけでして、この考え方は、また時とともにこの内容自体が連立政権、連合政権についての考え方で変わるかもしれませんけれども、基本的には、将来ともこの土台の上に党の考え方というものが進んでいくものと私は承知をしております。
  100. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今私が聞いていたのは、社会党が野党になったときには自衛隊は違憲であるということを言うかどうかでありまして、その八九年のときの、連合政権を目指してということを私はお伺いをしているわけではありません。ですから、今までの了解では、今の細川政権が続いて、その今の細川政権の中の一員として政権をとろうということでは、国民に対して、自衛隊は合憲であるという主張をされる、他方、社会党が野党になった場合はもとに戻られるというように了解していいと思うわけでありますが、社会党は、次の小選挙比例代表並立制選挙に臨むに際しまして、政府案五百名の過半数以上、二百五十名以上立てる、立候補者を出す意思はおありなんでしょうか。
  101. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 端的に申し上げて、党の本部の決定事項ですので、党の責任者をおりた私が今確定的なことを申し上げる立場ではございません。ただ、まずは常識的に考えまして、二百五十名以上、日本社会党が単独で各選挙区に候補を擁立するということは、なかなか困難ではなかろうかと考える次第でございます。
  102. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ということは、社会党単独政権ということは、そもそもまあ放棄をされるということでございますね。
  103. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今の、なかなか困難であると申し上げたところは、少し正確ではなかったかもしれません。その二百五十を目指すということについては、最大限の努力を行うことということでございますけれども、ただそこでは、もちろん政党ですから、単独政権を目指すというのはそれぞれの政党の目標だと考えています。直ちにこの次の選挙日本社会党だけで二百五十名をとり、比例区でも単独で過半数に足るだけの議席をとるということを、それは目指しながらも、直ちにそういう状況になるということについては、予測としてはなかなか厳しい条件があるのではなかろうか、こう思っております。
  104. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ということは、まあ立てるということもあるわけでありますから、当然、全員が当選する可能性もあるわけであります。とすると、社会党単独で政権をとられた場合は、当然、社会党本来の政策であります自衛隊は違憲であるということになるわけでありますね。
  105. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 社会党といたしましても、これまでの長い野党としての歴史と、そしてそこでの反省、教訓ということから、単独で政権をとるということは、これは保守等の場合にも同じように難しい今の現在の状況ではないだろうか。国民の価値観がこれだけ多様化し、そして現実にそれぞれの政党があるということならば、単独政権というよりは、むしろ連立政権、連合政権方向というものを選択してきたわけでございまして、こうした状況というものは、これまでの十数年来の、とりわけ激しい時代の経過などを振り返りましても、直ちにこの数年後にその状況が変わって、たちまちにして単独政権を目指すという方針が出てくるだけの世の中の状況というものもなかなか予測がつかないところであるし、また同時に、今先生御質問のところを端的に答えますと、そういう問題については、その時点までの蓄積というものを土台としてその次の方針が出てくる、それを党で決定する問題、こう思っております。
  106. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今、その時点までの蓄積という御答弁でございました。その時点までの蓄積を考えれば、いろんな文章、論文を拝見させていただきましても、恐らく連合政権であれば自衛隊は合憲であり、社会党が野党になった場合は違憲である。そして、しかし選挙ですから、例えば二百五十一名立てれば二百五十一名当選する場合もあるわけであります。当然そうなった場合は、社会党単独政権の場合は自衛隊は違憲である。ということは、国民に対して、先ほど大臣がおっしゃった、大変重要な基本的な政策である自衛隊が合憲か違憲かという問題について、選挙に際して、当然、小選挙比例代表並立制においては、選挙に際して政党がどういう政策、基本的な政策を掲げるかというのが大きな焦点になり、また大臣も、自衛隊も当然その中に含まれる大きな政策であるとお認めになったわけであります。  そうすると、社会党としての国民への問いかけは、連合政権パージョン自衛隊合憲、社会党野党パージョン自衛隊違憲、社会党単独政権パージョン自衛隊違憲ということになるのではないかと思うわけでありまして、じゃ自衛隊が合憲か違憲かという判断をする政党を重視して投票しようとする人はどうすればいいのでしょうか。そういう有権者に対してどのようにお答えするのか、大臣から御答弁いただきたいと思います。     〔三原委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今、安倍委員は図式的にこう整理されたわけでありますけれども、現実政治の場では、そう図式ですべて整理し切れるものであるとは思っておりません。  同時に、過日の選挙におきましても、私ども社会党が当時主張しておりましたこと、当時私は委員長でしたからいろいろ御質問等も受けましたことは、連立政権といっても、自衛隊の実態は違憲である、自衛隊違憲論争ということについて、そこだけを議論しておくときではないのではないか。さっき申し上げましたとおり、八九年の連合政権の合意以降、党としても当時から一つ一つ議論を積み重ねてきたわけでありまして、違憲・合憲論に埋没してそこだけの議論をするのではなく、現実に存在する自衛隊を直視して、そして世界の平和と軍縮の流れに沿ってこの問題に対してどう対応するか、こういう理論的な整理も続けてきたところでございます。  私は、そうした観点から、委員長就任に際して創意論という形で問題のテーマを取り上げましたし、また現在、九三年宣言におきまして、また新しい党の政策というものも内外に発表して国民の審判を得たい、こうした気持ちで作業を続けているわけでありまして、そうした毎日のように努力をしているテーマでありますから、何年か先のというのは、そういう九三年宣言がどうなるか先にどうなるか、そういうことを踏まえて、ですから私たちはその間の実績というものを土台にして、その時点における政党本部の選択があるだろう、こう申し上げましたのはそうした意味合いでございまして、図式的に整理してこれだからと、こういう格好のものは現実政治では少しく当てはまらないのではなかろうか、こう思っております。
  108. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 私は、選挙に際して政党国民にわかりやすく図式的に表示して、この政党は何を目指しているんだということをはっきりと明示するのがむしろ本来の方法であって、政治は現実であるからわかりにくいということに私は逃げてはいけない、特に選挙に際してはそれが厳しく問われなければいけないと思っております。  自衛隊の問題については以上で終えさせていただきたいと思いますが、自衛隊と同じように、やはり日米安全保障条約、これも我が国の基本的な政策である、そのように私どもも認識をいたしております。  今回、社会党は選挙公約におきまして、安保条約の軍事的側面を薄めていくというように言っておられるわけでありますが、八九年の先ほど引用されました土井ビジョンの中で、先ほど委員長が自衛隊について引用されたわけでありますが、その中で、「日米安保条約を維持し」とは書いてあります。しかし、「非核三原則の厳格な適用、日米共同作戦の中止、米軍基地の縮小、撤去を進めることを明言する。」「日米地位協定を見直す」ということを言っておられるわけであります。先ほどもこの八九年の連合政権を目指してという文書を引用されて、それも踏まえて、恐らく今回の連立政権に際して国民は判断をされたというように私は受け取ったわけでありますが、この安保条約については、八九年ではこのようにはっきりと宣言をされたわけでありますから、当然、社会党に対して一票入れた方は、社会党はこのように行動をとるであろうと思われたわけであります。少なくとも、日米地位協定を見直すという努力を今されているわけでありますか。
  109. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 まず、基本的な安保条約の問題について御質問いただきましたけれども、外交に関するテーマは、国家間の条約でありますから、これは連合政権の場合でも連立政権の場合でも、国家間の条約を尊重するというのは、いずれの場合でも、そしたまた、我が国だけではなく、いずれの国における政権交代の場合にも、当然の前提となるべきものと思っております。御指摘の文章を含め、今回の連立政権の合意につきましても、そうしたごく当然の事柄について明記したものと思っております。  地位協定の問題についても、やはり既に取り決めてあるものについて、これを政権が交代したからといって直ちに廃棄ということにならない、そのことを尊重することは当然の責任であると思っております。そして同時に、そうしたテーマについてよりよき方向にというのは、今回の合意におきましても、憲法の理念を尊重して平和と軍縮のために責任を持つ、世界の軍縮の流れに対して、あるいは平和のテーマに対してどうこたえるかということについては、堂々議論をし、努力をすべきテーマではないか、こう思っているところでございます。
  110. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今、私がお聞きをいたしましたのは、この条約である安保条約に対して、まずこれを継続していく、しかし、内閣に入ったからには、当然今おっしゃったこと、かつて、八九年に宣言をされたこと、日米地位協定を見直すと明言をされておられるわけであります。また、日米共同作戦は中止をすると断言をされておられるわけであります。かつ、非核三原則の厳格な適用、非核三原則の適用は、事前協議条項を活用して、日米交渉を積み重ねると言っておられるわけであります。  特にこの非核三原則、先ほど今までの積み上げという御答弁をされてきたわけでありますが、しかしながら、我が党の合馬議員質問に対して、大臣は、戦術核が我が国に持ち込まれているということはない、厳格に運用されている、藤山・マッカーサー口頭了解の中で、当然、戦術核の持ち込みは事前協議の対象になるということであって、事前協議がない限り持ち込みがないという判断に今度は一転して私は変わられたのではないかと思わざるを得ないわけであります。  もう一度確認をさせていただきます。まず、先ほど申し上げました日米地位協定を見直す、米軍基地の縮小、撤去を進めることを明言する、日米共同作戦の中止、これは大変な私は外交問題に発展する、当然発展していくべきものだと思うわけでありますが、このことについて、例えば総理大臣、外務大臣と既に協議を始めておられるのでしょうか。
  111. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 直ちに協議を行うというテーマではなく、そうした問題について議論をする、それぞれの党内の議論も含めて連立与党でも議論をする、こういう場面は将来あり得ることだと思っておりますけれども、そうした中で合意を作成するそのポイントというものは、過日のあの基本政策の合意ということを尊重するということになると思っております。  今、非核三原則の問題についても、ちょっと御質問、引用していただいた分については、私がストレートに答えた部分だけではなく、総理その他が答えたものについて、その後私が答弁に立ったというような部分などもあるわけでありまして、したがって、部分部分ではなかなか明確でないというところもあるのではなかったかと思っております。  この外交、防衛などの国の基本政策について継承することを連立政権を構成する与党間で合意したことについては、もう繰り返し申し上げているとおりでして、この中には、非核三原則と安保条約についての見解も含まれていると思っております。したがいまして、いかなる核兵器の持ち込みも日米安保条約の事前協議の対象であり、そのような事前協議が行われない以上、外国、米国による核持ち込みがないというように考えるべきが今日の時点では当然の立場だと思っております。  なお、一言つけ加えますと、九一年の九月の、当時のブッシュ大統領ですけれども、水上艦船、攻撃型潜水艦から発射される戦術核の兵器及び地上配備の海軍航空機に関する核兵器のすべてを撤去するということを内外に声明をいたしまして、翌年の七月の二日、これを受けて、アメリカが全世界に配備している地上発射の戦域(術)核兵器のすべてを海外から米本土に引き揚げ、廃棄するよう指示をした、同時に私は、米国が、水上艦船、攻撃型潜水艦から発射される戦術核兵器及び地上配備の海軍航空機に関する核兵器のすべてを撤去することを発表した、そしてこれらのうち、多くは解体され破棄された、今日私は予定された撤去はすべて完了したことを発表できる、こういうように世界に宣言をしたわけでありまして、こうした国際的なあのアメリカの約束からいたしましても、特に日本に寄港、飛来する米軍艦船、航空機の関係において、核兵器が持ち込まれているということは、事前協議の関係から考えてもないものと思っております。
  112. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 私がお伺いをしたのは過去のことでございまして、私もブッシュ大統領の宣言は知っております。承知をいたしております。しかし、合馬委員がお伺いをしたのは今後のことではございません。今までの政府と社会党との間でやりとりをされてきたこと、また、その間に寄港した空母または原潜に関してのことでございます。  羽田大臣も、そのことについて、過去のことについて御答弁をされておられるわけでありまして、もう一度確認をいたしておきますと、合馬議員の非核三原則について、核の持ち込みについての事前協議制は適法、適切であるという、それだけ一言言っていただきたい。その後やりとりがあるわけでありますが、最終的に大臣は、「念のため、もう一度繰り返して申し上げますけれども、条約解釈上、先生のおっしゃったとおりに運用されて」おりますというように答弁をされておられるわけであります。  ということは、これは今まで社会党がとってきたスタンス、まさにこれは、核が持ち込まれていたか、戦術核が持ち込まれていたかいなかったかというのを問題にしていたのは事実であります。社会党は、これは限りなく持ち込まれているに間違いないという主張を繰り返してこられたわけであります。事実、これは日本国民の、恐らくもしかしたら大多数もそう思っているかもしれないのではないかと私は思うわけでありまして、今度の大転換については、かなりの人たちがびっくりしたのではないかと思うわけであります。  今までは、政府の答弁は詭弁だとずっとおっしゃってこられて、これは明らかに持ち込まれてきたのだという社会党の姿勢だったにもかかわらず、今度はそうではなくて、日米の間では一回も事前協議がなされたことがないわけでありますが、事前協議がないから当然戦術核は持ち込まれてないという理解であるという答弁をされたと私は理解しておりますが、それは間違いないわけでありますね。今までの過去のことでございます。
  113. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 過去の歴史におきまして、国民立場から見ても、そして当時の社会党の立場から見ても、この問題に対する政府の応答について疑問を持ってきたことは事実でございます。  しかし、私が申し上げましたのは、今日政権に参画した私の立場、そして社会党が送り出した立場というものにつきましては、今申し上げましたような、このブッシュ大統領の声明等をも含めて、現実に今日の時点で、今、細川政権になりましてもこの事前協議云々の問題は全く起こっていないわけでもありますし、その意味におきましては、この運用の問題等については的確に行われていると思う、こういうように申し上げたところでございます。
  114. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 いや、私は、もうこれは水かけ論になるというか全くすれ違いなのですが、ブッシュ大統領がそのように宣言したわけでありますから、その時点では全く事態は違うのです。それはもう当然なわけでありますが、そのブッシュ大統領の宣言する前のことを我々は申し上げているわけでありまして、つまり選挙に際して政策をもって選挙戦を戦う、政党が前面に出て、その政策を見て選挙民が判断をする、それが今度新しい選挙制度を導入する大きな柱であり、私は理念であると思っております。  しからば、あくまでもこの核持ち込みに対して大きな疑問を持ってきた人たち、この人たちは一体選挙に際してはどのように判断をすればいいのでしょうか、社会党に対してですね。ブッシュ大統領の宣言はありました。しかし、世の中は動いているわけでありますから、もしかしたら、戦術核はやはり配備をするということに全くならないとは言い切れないわけであります。当然そのときのことも私は考えていなければいけないと思うわけでありますが、まさにこれは選挙民に対して右と左、自衛隊の問題もそうです、右と左という政策をそれぞれ提示して、どっちにしろ社会党に入れるというのに私は等しいのではないかと思うわけであります。事実上ほとんど判断を示していない、大変私は無責任な態度ではないかと言わざるを得ないと思うのであります。  安全保障条約に対しては、社会党は三十数年間ずっと厳しい反対の姿勢を貫いてきたわけでございます。今から三十三年前、苛烈な反安保闘争を社会党も先頭に立って指導をされたわけでございます。当時総理大臣であった岸信介の私邸を十重二十重にデモ隊が取り巻いたわけであります。私はそのときに塀の中にいたわけでありますが、恐らく社会党初め皆さんは塀の外側で攻め立てていたのではないかと思うわけであります。そのときに総理大臣は、もう少し冷静になって、恐らく勉強すればいつかわかるときが来ると独白をしたわけでありますが、しかし、皆さんはそれがわかったのではなくて、この塀の中にいるのも外にいるのも余り変わりはないという姿勢ではないかと思うわけであります。  やはり政党というのは大変大きな責任があると私は思います。あのときに、日米安保粉砕を叫んだ社会党の姿勢に共鳴して、たくさんの人たちが反対運動に参加をされました。例えば樺美智子さんもその中の一人であります。樺さんは命を失いました。皆さんのまさに姿勢に共鳴して命を失ったわけでありますが、しかし、何事もなかったように今皆さんはそこに座っておられる。私は、そういう姿勢であっては、この選挙制度を導入する前提がまさに崩れているんではないかと言わざるを得ないと考えております。  今度の選挙に際しましては、政党政策をどれだけ重視し、真剣に取り組むかということが問われなければいけない。その中にはその資格に値しない政党も当然出てくるのではないかと思うわけでありますが、社会党は今、与党第一党。かつて野党第一党であり、我が党の三分の一の勢力とはいえ、第二位の勢力を誇る政党であります。当然、中心的な役割を示していかなければいけない。その社会党が明確な論議を避ける姿勢、あいまいな姿勢であれば、この選挙制度前提が私は崩れていくのではないかと大変危惧をいたしておるわけでありまして、そのことを申し上げまして、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
  115. 石井一

    石井委員長 次に、衛藤晟一君。
  116. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 選挙制度について、まずお尋ねをいたしたいと思います。  小選挙区制の導入というのは政党本位、政策本位の選挙を実現するというぐあいに言われておりますし、いろいろな本に書かれておりますけれども、本当なのかなと、どうも私もそこのところがよくわかりませんので、正直な迷いをお尋ねをいたしますので、お答えをいただければと思います。  今の連立政権自民党政策を継承するというぐあいに言っているわけであります。多分、今後はイデオロギーの対立の時代でもなかろうと思いますので、政策的にも似た政策で争うんだろうというぐあいに思います。そして、そのとき、政治家個人としては一体何をよりどころにしながら政策を訴えていけばいいのかなということを率直に疑問に思っておりますので、まず、山花大臣からお願いします。
  117. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今挙げたように、自民党政策を継承すると言っておると、こうおっしゃいましたけれども、そうでないことについてはこれまで幾度か申し上げましたので繰り返しません。自民党政策を丸ごと承継するというような考え方を私たちは持っておりません。連立政権として、自民党にできなかった政治改革を実現しようということからスタートしたことをごらんになっていただいても明らかだと思います。国の基本政策についてはこれを基本的に承継するというのと、自民党政策自民党のすべての政策を承継するというのとは全く違うものと思っております。この点は初めに二言お断りをしておく次第でございます。  そうした中で、今回の選挙の審判を重く受けとめて、野党は連立政権の合意を締結をいたしました。その合意の中に連立政権の目標というものについては明確に打ち出されているところでございますし、また、具体的に挙げられたテーマにつきましては、これからの努力の中で政府、政権としての合意をつくり出すという部分もたくさんございます。そうした努力の過程にあるわけであります。  そうした中で、それぞれの政党はそれぞれの立党の精神と理念というものを持っておりますから、固有の政策を持ちます。そうした固有の政策がどれだけ連立政権の中で実現されるかということについては、そこに占める比重ということによって濃淡があると思っていますけれども、それぞれの政策は、みずからの固有の政策をどこまで今回の連立政権で実現できるか、そのことについて努力をするのは当然だと思っておりますし、現在はその作業が始まった段階だと思っております。  政権がどこまで続くのか、どこまで具体的な成果を打ち出すのか、そのことによってまた改めて一定の時期には国民の審判を仰ぐと、こういう場面が来るものと承知をしております。
  118. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 小選挙区を導入しているアメリカやイギリスにおきましては、まあいわゆる相手を落とすというか、自分が受かるために相手に対する中傷やスキャンダル暴露合戦、いわゆるネガティブキャンペーンがよく行われているという話は聞くところであります。  また、小選挙のモデルみたいに言われておりますイギリスにおきましても、実態を調べてみますと、大変なサービス合戦が行われているということが明らかになってくるわけでありますが、日本でこのような形にならないというぐあいに思うのかどうか、山花大臣、それから石田大臣、それから大内大臣、三人にお尋ねをいたしたいと思います。
  119. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 確かに衛藤先生御指摘のとおり、小選挙区の制度において、政策よりもむしろ相手方に対する批判、ネガティブキャンペーンというものが問題となっていることについても承知をしております。しかし、ネガティブキャンペーンとかあるいは御指摘あった利益誘導型、その一事をもってその国のすべての選挙制度について批判をすることは、また別の問題となるのではなかろうかと思っております。  今回、その小選挙区制と比例代表を並立したわけでありまして、これは各選挙区の選挙におきましても、基本は政党政権の獲得を目指して政策で争う、この基調のもとで行われるということを中心として想定した今回の思い切った選挙制度改革という内容でございます。  同時に、まさに比例代表部分におきましては広く国民の皆さんの民意をどう反映させるかということになってまいりますから、それぞれの政党がそれぞれの政策を持って国民の皆さんに訴えるということになってくるわけでありまして、比較ということになれば、さまざまな世界の選挙制度と比較するよりも、現実の日本政治における中選挙区制と今回の並立制との比較ということになると思います。  そうした中選挙区制との比較におきましては、個人本位の選挙から政党政策中心選挙に転換するという一番大事な問題を考えてみるならば、御指摘のような問題につきましては、現在、中選挙区制のもとでもあるテーマでありますけれども、これがかなり改善される可能性ということを期待することはできるのではなかろうかと、こう思っております。
  120. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 お答えを申し上げます。  アメリカ、イギリスの例を引いて、小選挙区制でもいろいろな中傷合戦があり得るというお話でございますが、こういった小選挙区制が日本に導入をされた場合にそういうようなおそれがないかというような御趣旨がと思うのでございますが、私は、やはり委員指摘のような問題はあり得ることであろうというふうに思います。  ただ、今回私どもが提案をいたしておりますこの並立制の問題、まさにこれから個人というよりはいわゆる政権を担う政党を選ぶ、どちらかといえば二大勢力志向のそういった選挙制度になっていくわけでございますから、私は、そういった意味におきまして、政権を選ぶということに選挙民の皆さん方が大変大きなウエートを持ってお考えになるだろうというふうに思うのでございます。  また、選挙民の皆さんのいろいろな意識というもの、その推移をずっと考えておりますと、私は、かなり意識というものは高くなってきた、また、そういった政治のさまざまな変革やあるいは政策について非常に知識も豊富になり、考え方も真剣になられてきたんではないかと思うのでございます。  そういうような推移を考えますと、今委員指摘の問題の心配も全くなしとはしませんけれども、私は、そういった政権を選んでいくという方向の中で、国民の皆さん方の判断のそのウエートの方が大きいのではないか、そういうふうにまたなっていただきたいと、こんな希望も持っているところでございます。
  121. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 今衛藤委員指摘のような懸念、心配はあると思います。と申しますのは、やはり事の初め人なりという言葉がございますように、どのような選挙制度になりましても、その人の持っている見識、魅力というものはやはり重要な投票要素になるわけでございまして、それがいい面に出ているか、あるいはネガティブな面に出ているかそういうことは当然やはり口の端に上ってくるのではないか。ですから、小選挙区比例並立制になれば、専ら蒸留された政策論争だけ行われるというようなことは、これは実際問題としてあり得ないわけで、政策論争というものの上に、やはりそうした個人的な政治家としての魅力や見識というものも当然問われることになると思うのでございます。  しかし、前の中選挙区制よりか、やはり小選挙区比例というような形になりますと、政党政策とかあるいはビジョンというものが前面に出て戦うケースがより大きくなるわけでございまして、やはり中選挙区の時代よりかそうした小選挙区並立制をとった場合の方が、政策中心といいますか、あるいは政党中心選挙になりやすい、こういうふうに私ども考えております。
  122. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 どうもありがとうございました。  さすが大内委員長、正直に答えていただきまして、そういう調子で議論を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  いわゆる小選挙区というのは、これまた前に中野寛成先生も言われておりますけれども、独占的な無競争か大変な過熱選挙が行われる、どちらかになる可能性も強いということを言われております。現にいろいろな、特殊な例がどうかわかりませんが、日本でも奄美の例等が指摘されているところであります。  いろいろな見方をする方もおられますけれども、私は、いずれにしてもネガティブキャンペーンというのは、やはりどうしても小選挙区になると一位をとらなければいけない、相手を落とさなければ自分が通れないというシステムの中で起こってきやすい傾向だろうと思います。そしてまた、イギリスでよく行われておりますサービス合戦というのもそういうことだろうと思います。  そういうぐあいになってきますと、とてもかなわないということになってきますと、ほとんど無競争になってまいりますし、拮抗してくると大変な大激戦になってくると思います。私は、これはこれで、この制度の持つ特徴というか、そういうものだろうと思いますけれども、そのときに、本当に国民がそういう激しい競争のようなものに耐え得るのかなという心配をときどきするのでありますが、これは逆に、今度は大内大臣からお聞きしたいと思います。
  123. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 小選挙区になれば金がかからないかというと、お金の効率という面からいいますと、小選挙区の方が場合によってはむしろお金がかかり、それから、いろいろな意味で悪い状況が出る可能性も、私ども相当心配しております。  というのは、かつて昭和二十二年に、今の小沢一郎さんのお父様の小沢佐重喜さんが、あの小選挙区制を廃して中選挙区制をとるという理由の中に、やはり過去の小選挙区制というのは、買収、供応が非常に横行して金がかかる選挙になった、だから今の中選挙区制に変えなきゃならぬという提案理由の説明をやりましたような懸念があるわけです。  ですから、やはり小選挙区制というものを何らかの形で導入する場合には、それとともに政治資金に対する厳しい規制とか、あるいは公職選挙法上の厳しい規制とか、あるいは政党政治家のモラルというものを確立することなしにきれいな政治をつくることはできない。そういう意味では、小選挙区制というものを導入するに当たっては、むしろその面を厳しく対応しなければならぬ、こう思っている次第でございます。
  124. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 御指摘の点は、確かに心配な面だと思います。現に奄美大島特別区におきましては、委員も御存じのとおりの状況がございました。私どもの党員もあの騒ぎに巻き込まれて、そして、どっちかに応援したと言われる町会議員がその次の選挙には立てなかったというような、大変厳しいそういったいさかいが実はあって、大変なひどい目に遭ったことがあるわけなんでございますけれども、しかしそこら辺は、小選挙区並立制の制度を採用する場合に、やはりよくこの趣旨を徹底をしながら乗り越えていかなければならない問題ではないかというふうに考えるわけでございます。  選挙というものは、個人的な要素ばかりではなくして、やはり政党政策なりそういった、二大勢力であればそれなりの違いが出るような議論をしっかりやる必要があろうというふうに思うわけでございまして、そういったものを前面に出しながら、何とかそういったネガティブな論争というものは小さくなっていくような努力をしなきゃならない。これはやはり候補、あるいは選挙民の皆さん、あるいはマスコミの皆さん、そういったものが一体的に協力して、清潔な選挙が実現できるような努力をすべきであろうというふうに思うのでございます。
  125. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 次は、山花前委員長にお聞きしたいと思います。  山花前委員長、先ほどから小選挙区制は政権政策で争うんだとおっしゃっておりましたけれども、まさに今回の第八次の選挙制度審議会の答申を見ましても、まず政権ということが一番最初に出てくるわけでありますね。こういう趣旨によって恐らくこの答申というのは出てきたんだろうと思います。また、そこに一つの、この制度の抱える問題もあるんだろうと僕は思います。  そういう中で、この小選挙区制というのは、本当に政策本位の選挙を実現するのかどうかということを、やはり正直言って考えなければいけないと思うんですね。先ほどありましたように、やはりトップをとらなければ、最多得票の者しか当選できないというがゆえに、やはり相手を落とす、落とせばいいという。中選挙区ですと、落とさなければいけない人がたくさんありますから、自分がどうぬきんでるかという作業をするということになります。ですから、どちらかというと、やはりネガティブキャンペーンだとかサービス合戦というのが横行する可能性の方が高いわけですね。それで、そのときに、本当に政策本位の選挙が行われるというぐあいに単純に思えるのかなという心配を実はいたしております。  例えば、今回の非自民連立政権を見ましても、いわゆる非自民政権をつくるんだ、樹立するんだということを名分とした連立政権も、基本政策においては、かつて自民党がとっていた国の基本政策、まあしかしこれは社会党とは基本的な政策は相入れなかったわけでありまして、その政策を継承するというぐあいに言っているわけですね。  ということは、これはまさに全く政策本位でも何でもない。政策本位に政権を争ったのではないんですね、ただ非自民政権をつくるという目的に向かって、自民党にかわって政権を握った。もちろん、握ったことによって、自分たちは今度はやるんだと、それは一座言うでしょうけれども、でも実態はそういうことなんですね。それで、そういういわゆる単に自民党にかわって政権を握ったという皆さん方が、山花前委員長政策本位の政治になるんだと言っても、本当なんだろうか。  先ほどからずっと議論を聞いておりまして、何と政治家の言葉というのは本当に軽いな。我々も、自民党の中で反省しているんですよ。政治改革のやり方をめぐってこれだけもめました。いろいろな意見に分かれました。その結果、国民にうそをついたようなことになったり、あるいは誤解を与えるようなことになったりしたというふうに思っております。  しかし、山花大臣の今までのずっと御答弁聞いていますと、政権に入ったので、今とにかく基本的政策を継ぐんだ。そうすると、前言ってきたことは一体何だったんだろうか、このとき国民の皆さんに向かって訴えたことは何だったんだろうか。私は、政治家の言葉というのはこれじゃ困る。そこで、実は現在の状況が変わったので我々はこういうぐあいに政策を転換したんですというのなら、したということをはっきり言うのが政治家責任であり、政党責任である。でなかったら、その立場立場でどんなことを言ってもいい、そしてそれを正当化して、何かこううまく言えばそれでいいんだということになってしまうと思うのであります。  本当に、前委員長は、山花大臣は、あなた、政策本位の選挙は今後社会党で行えると思いますか。
  126. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 前段、小選挙区の部分については、ネガティブキャンペーンとか、あるいは利益誘導型か、問題点を御指摘になりましたが、実はそうした問題点をも含めて、それだけではなかったわけですけれども、我々は、当時社会党は、他の野党の皆さんと御一緒して、単純小選挙区一本ということに反対をしてきた経過がございます。  しかし、そうした議論の中で、八次審につきましても単純小選挙区一本ということではなかったわけでして、そこでの、議会制民主主義ですから、政権の選択ということが大事なポイントになることについては当然でありますので、そこで、そうした民意集約、政権選択の意思を明確にします小選挙区の部分と、そして同じ比重で民意を広く反映させる比例代表の部分の組み合わせを行うことによって、今衛藤先生御指摘の問題点というものを少しでも薄める、小選挙区制の修正原理といった部分もあったことは、私は、並立制の持つ意味だったと思っています。  では、本当に政策中心になるかどうかということにつきましては、これは政党努力にかかるということも当然だと思っています。  ただ、最後に御指摘の問題について、当時から社会党は、そうした我々社会党の考え方というものを内外に発表して選挙を行いました。そして国民の審判も受けました。そこでの審判は大変厳しいものであったことを深刻に受けとめながら、しかし、非自民の連立政権という公約を守り、そして今度の選挙制度というものが、だれもが御存じのとおり、日本社会党が一番不利益をこうむるのではなかろうかということを十分承知をしながら、しかし政権交代という重大な政治選択を行ったものでありまして、その意味におきましては、常に有権者の審判に対して、野党として責任をとる行動をとってきたものと私は考えてきたところでございます。  今閣僚の座にありますけれども、そうした経過からできた政治改革のテーマについて、いろいろ御議論いただきましたような問題点を十分かみしめながら、この国会における成立を期して全力を尽くしたい、これが今日の心境でございます。
  127. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 社会党、公明党は、春の時点では、小選挙区比例代表併用制に合意をしていたのですね。それから六月の時点では、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党の合意は、六月二日付で政治改革に関する調査特別委員会に小選挙区比例代表連用制を合意をして申し込んでいます。  この間、当時の山花委員長は、小選挙比例代表並立制には一二〇%反対だ、あるいは並立制は議会制民主主義に反する、絶対反対だということをある演説会でも言われているんですね。  そういう状況は、今回は小選挙比例代表並立制の担当大臣となられまして大変複雑な心境であろうと思うのでありますけれども、一体、御提示の小選挙比例代表並立制というのは、併用制や運用制に比べて、どこがどう改善されているから堂々と国民の前で、これはいいんですよ、そして政治改革なんですよということを言えるのか、これはぜひ教えていただかないと、私とてもわかりかねますね。お願いします。
  128. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 先ほど委員指摘の並立制についての私の見解というものについては、恐らく四月一日か二日前後の発言を引用されたのではないかと思っています。当時の状況は、自民党案と社公案を提出した時点において、野党案が正しいということを強調した中で発言したものと記憶をしているところでございます。  その後の経過は御記憶のとおりでありまして、当時の自民党は単純小選挙区を総務会の決定として一歩も動くところがないということから、国民期待は、政治改革を実現せよ、そして、それは単に選挙制度だけではなく、腐敗防止のための施策、同時に政治資金の改正、一体として金と政治の関係を断ち切れ、きれいにしろ、こうした声にいかにこたえるかということの中で政治改革議論が進められてきたのではなかったでしょうか。  そうした中、野党としては、野党の当時の考え方からするならば、譲歩しなければならない、歩み寄らなければならないということから、併用制の主張につきましても、連用制というところまで踏み込んで回答を行ったところでございます。連用を軸にといったところまで踏み込んだ時点での合意というものが、先生御指摘のとおり、あの他の野党の皆さんとの合意文書にもなっているわけでして、そこでもまだ自民党総務会決定は変わらなかった、一歩も動かないというところから、連用を軸にから、今御指摘のとおり、六月二日の段階では連用の修正というところまで、きょうも議論に参加している大勢の方が努力されておりましたあの委員会の理事会において申し入れたものと私は記憶をしているところでございます。  要するに、政治改革だけではなく、企業・団体献金の禁止の問題を含めた腐敗防止と政治資金の規制について、一歩でも進みたい、そして、そのことについての国民期待にこたえなければならないということから、野党側は、みずからにとって不利ではあるけれども、踏み込んで譲歩をしたというのが当時の経過でございます。  そうした経過について御指摘をいただきましたが、その以前ということになれば、当時の野党は中選挙区の格差是正ということからスタートしたわけでありまして、一歩一歩自民党に対して、当時の与党に対して譲歩をしてきた中で、それぞれの党の党利党略は捨てても今日の日本政治課題である政治改革を実現しよう、そうした過程につきましての党の政策のその部分についての変更でございます。  以上のように私は承知をしているところでございます。
  129. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 お答えをいたします。  まず、併用制、連用制というふうにいろいろ意見の展開がございました。また、現在は並立制をまさに御提案を申し上げているわけでございますが、やはり長い間の日本政治の中で最大の欠陥というのは、政権交代が行われなかったというところに私は今日の腐敗を生んだ最大の問題点があったと思うわけでございます。  そういうことを考えてみますと、前国会までは、そういった政権交代ができ得る、そういう状況が生まれない中に、自民党が提案をされました並立制あるいは小選挙区制という問題、そういうものがもし継続されればますますやはりそういった政権交代のない政治状況が生まれるというふうに、いわば自民党の一党支配体制というものは継続されるというふうに思うわけでございまして、そういうような状況が想定される段階においては、やはり単純小選挙区制なり並立制への、自民党が提案されたものについては、それを固定化させるという意味において反対をしたわけでございます。  しかしまた、前回の選挙におきまして大きく状況は変わりました。まさに今自民党にかわるべき新しい政治勢力が台頭しようとしているわけでございます。そういった意味で連立政権もできたわけでございますが、そういうような状況になったときには、まさに日本政治の最大の欠陥であった政権交代ができ得る、そういう選挙制度というものをつくっていくことがこれからの日本政治に必要である、このように考えて私たちは認識を変えたわけでございます。
  130. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 そこまで石田大臣、そう言いますと、この中選挙区で政権交代が現実にできたわけでありまして、一体どうなっているのかなという感じがいたしますが、その問題はそこで一応置いておきたいと思います。  さて、比例代表制についてお尋ねをいたしたいと思います。  連立与党案は、比例代表制につきましては全国単位で顔が見えない、これはもう言い古されてきたことだろうと思います。ということでありまして、また、全国ということになりますと、地方分権という時代の流れに合わないのじゃないのか、地域代表という側面はますますなくなってしまう。  例えば、我が大分県になりますと、今は六名の衆議院議員が選出をされておりますが、これが、与党案で二百五十、二百五十ということになりますと、三ということになります。そうしますと比例代表が、もし自民党案ですと都道府県単位ということになりますので、三というのはどういうやり方をしようが大分県から選出をされたということになるわけでありますけれども、連立与党案になりますと、その地域から選出されたという側面が全くなくなってしまうわけでありますけれども、これについてどういうぐあいにお考えでしょうか。  さらに、先ほど申し上げました六月二日の連用制の案、これには小選挙区部分二百七十五、比例部分二百二十五となっております。また、比例選挙の単位は都道府県単位というぐあいになっているわけでありますが、このときにはもちろん小選挙区比例代表連用制でありますが、やはりいろいろな考えがあって、全国ではなくて都道府県単位にしたのだというぐあいに思います。  そうなれば、今回の連立与党案も自民党の案もともに並立制でありますので、比例代表の選挙のこの単位も都道府県というぐあいにお互いに妥協できる線があるのじゃないかと思いますが、それについてどうでございますか。
  131. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 衛藤委員御承知のように、並立制で比例代表の果たす役割というのは、多様な民意を、国民の皆さんのいろいろな民意をできるだけ反映をさせようというのがこの比例代表を入れた趣旨でございますから、そのことから申すならば、県別にした場合は、例えば自民党案の百七十一にいたしますと、比例代表で二名区となるところが二十一あるわけですね。そうしますと、そこにおきましては三分の一以下の意見はカットされちゃうわけでありますから、いわば阻止条項が三二%という大変高い阻止条項になってしまって、それでは国民の多様な民意を反映をするということにならないわけであります。私たちは、あくまで並立制の中の二百五十の比例代表というのは多様な民意の反映、それを一番できる限り反映するのは全国単位でございますから、全国にしたということでございます。  それから、連用の場合にも、最終的にはそうなりませんでしたけれども、二百五十、二百五十というのを二百七十五に変えたらどうかということもお話ございまして、そのときは県別を提案をしております。ただ、運用制というのは、御承知のように小選挙区でやった票というのが比例の方に結びつくわけですね。今度の場合には完全に並立てありますから、小選挙区と比例代表との壁があるわけでございますので、ましてや自民党さんのように一票制ということになりますれば全く違う制度でございますので、その意味では連用制の数字の話と、あるいは県の話と、今ここで議論されております並立制とは、基本的に、小選挙区の票が比例に結びつくか結びつかないかという意味におきまして、制度が違うわけでありますので、それを直ちに比べることは難しいのではないかと思っております。
  132. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 もちろん並立と連用の違いがありますので、直ちに比べることは難しいかもしれません。しかし、この連用制で出された案というのは、まさに都道府県単位で行う。ただ、このときに比例でちょっと違うのは、小選挙区の当選者のあったところは比例の割り出しはプラス一から始めるというぐあいにしていましたので、この条項を取ってしまえば余り違ったものではなくなってくるんですね。そういうことでございますから、ここは妥協の余地のある問題だというぐあいに思いますので、ぜひ御検討をいただければというように思います。  それから、比例代表選挙におきますいわゆる足切り問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  得票率が三%未満の政党には当選人は配分しないとあります。三%といえば七、八議席であり、約二百万票ぐらいに相当するのだと思われますが、この数字をどう思われるのか。  これは武村官房長官にお尋ねをいたしたいと思います。さきがけは二・六四%、このパーセンテージが、たしかそのぐらいでございますので、ちょっと私は実はこの数字というのは大き過ぎるんじゃないのかなというように思っておりますので、お尋ねをいたします。
  133. 武村正義

    ○武村国務大臣 現職議員が五人おりますといいということでありますが、三%を割っております私どもも賛成しているというところを御了解いただきたいと思うのであります。  なかなか選挙制度改革は党利党略で考えますとうまくいきません。小選挙区に至っては、連立与党各党とも単独で競い合ったのでは展望はないわけであります。それでもみんな賛成をしょうとしているところもあわせて御認識いただきたいと思うのであります。
  134. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 自民党の中の事情もちょっと申し上げたいと思うのですね。  確かに一度小選挙区で、先ほど山花前委員長からお話がありましたが、単純小選挙区で出したじゃないかというお話がありました。そのときに、私も総務会で傍聴いたしておりましたが、そのままでいくと、全国になって小選挙区になると参議院選挙とほとんど同じような状態になってしまうではないか、一体、衆と参とどう違うんだという議論にもあのときなったのですね。それで、比例についてもうちょっと何かほかのやり方がないのかという議論が行われて、その議論が煮詰まらないままああいうぐあいになってしまいましたということだけ、一応これは申し上げておかなければいかぬだろうと思うのですね。ですから、お互いに、私はこの辺のところに歩み寄る線があるのではないのかなというぐあいに思っておりますので、ぜひ御協力のほどを。  それから、政党助成についてお尋ねいたしたいと思います。政党助成についていろいろな考えも示されておりますけれども、ここで、何ゆえに政党助成が必要と思うのか、これを山花大臣、それから石田大臣、大内大臣にお尋ねしたいと思います。  それから、国から支出された助成金はどう使うべきだというぐあいに思われているのか。  それからもう一つ、今お三方は、事務所もしくは後援会の事務所に、職員さんとか秘書さんとかスタッフの方とか、合計何人ぐらいいらっしゃるのか、ひとつこれをお尋ねしたいなと思っております。よろしくお願いします。
  135. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 まず、冒頭、公的助成導入の理由ということについてお尋ねをいただきました。整理して申し上げたいと思います。  今回の選挙が、政権を目指し、そして政党政策で争う選挙を目指しているということについては、繰り返しお話しさせていただいたとおりでございます。その場合には、政党の役割というものは両面があると思っております。  一つには、国民の皆さんに対して、それぞれの政党政策を普及し宣伝する政治活動というものを、選挙時はもちろんのこと、日常的にも行っていかなければならないという役割であります。  そうしてもう一つの面は、国民の皆さんに必要な情報を提供しなければならない。国民の皆さんも、そうした政党からの情報というものを通じて、国の政治に対する間違いのない判断ということの道が開けてくる。こういうようにそれぞれの役割というものがあるのだと思っております。  そう考えてみると、今日の社会は政党国家とも言われておりますけれども政党は、議会制民主主義の国における、我が国においてもしかり、大変大事な役割を持っているということを考えれば、幅広く民主主義のコストとしてこれはお願いをしたいというのが助成法の趣旨でございます。  同時に、切り詰めまして話を省略しますけれども政党助成法だけではなく、罰則の強化とか、腐敗防止のための諸施策、そして政治資金についての企業・団体献金の禁止に踏み出したこと、一体となった状況も踏まえて、この政党助成を実現したいと考えているところでございます。  なお、後段の質問で、一番最後、事務所の職員等ということについてもお尋ねいただきましたが、その前に、真ん中に、どう使うべきかということについては、今申し上げました政党の役割に即して、各政党の判断によってそれぞれの個性を発揮してその使途を決定すべき、政党が独自に判断すべきものであると思っております。  三番目の、私の場合には、国会のほかに地元に後援会の事務所が一つありますけれども、ここには二人の職員、公設の秘書一人と私設の秘書一人を置いております用地元の体制は二名でございます。
  136. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 公的助成の必要性のお尋ねでございますが、やはり今度の政治改革というのは、申し上げるまでもなく、まさに政党本位の選挙ができるように、また政策本位の選挙ができるようにという一貫した流れの中で案ができておるわけでございます。  そういうようなことを考えますと、今までのさまざまな汚職事件の推移を見ておりますと、やはり議員個人と企業の金の癒着の問題であったわけでございますから、そういった意味で、やはり今回の企業献金の禁止等大きな措置が盛り込まれているというふうに思うのでございます。  また、そういった政党本位の選挙ということになりますれば、政党それなりの経費が今までもかかっているわけでございますから、やはりこれは民主政治のコストとして国民の皆さんに御負担をお願いするということが必要であろう。また、その公的助成が行われた分だけそれぞれの政党はお金を集める必要がないわけでございますから、そういった意味でも透明性が一つは確保されるのではないかというふうに思うのでございます。  私どもの党を考えてみましても、例えば、一年のうちに国政選挙が二回もあったというような状況もございました。そういうことになってきますと、とても財政が耐えられるような状況ではない。やはり借金をして対応してきたというような状況もございますし、また、参議院の選挙、衆議院の選挙、私どもまさに党営を主体にやっておるのでございますけれども、相当の渋い予算を組み、節約をしても、なおかつかなりのお金がかかる選挙になっておるわけでございます。  そういった意味で、そういったものをにらみながら、公的助成がもしあればかなり活発に政治活動が展開できるというふうに思うわけでございます。また、変なお金を集める必要性は大幅に減るということで、国民の皆さんの御理解もいただけるのではないかと存じます。
  137. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 公的助成制度というのは、実は民社党がある意味では一番早く提唱したのでございますが、それは、当時の西ドイツ等の例を相当勉強させていただきまして、公的助成は必要であるとの結論に達しましたのは、政党政治家にとって一番大事なのは、すぐれた政策国民のために立案し、それを実施に移す、これが一番重要な任務なのでありますが、日本の状況を見ておりますと、そういう面よりか政党にとっても相当の政党活動資金がかかりますし、個人もかかりますので、むしろ金集めという方に非常にエネルギーが費やされる。それでは本来の政党政治家にとって大事な政策立案等が非常におろそかにされてしまう。  そういう面を打開するためには、やはり公的助成という面が国民意識というものを高める意味でも必要であるし、また、今申し上げた政党活動や政治家の本来の姿を取り戻すという意味で大事であろう、こう思って実は提唱してまいったわけでございます。  私自身の事務所は、地元に一カ所と国会の事務所だけでございますが、それでも約十名ぐらいの職員がおります。
  138. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 私個人の話が漏れていまして、私は名古屋が選挙区でございまして、自宅に事務所を併設をいたしております。第二秘書が一名、女子職員が一名という状況でございます。
  139. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 どうもありがとうございました。  さて、私は、政党助成が不必要だということじゃなくて、政党助成について、今回、現職国会議員を有する政党に限定されていますね。これはやはりちょっと問題ではないのかなと思います。無所属議員は対象にならないということは、これは一つの問題であろうと思います。まさに、憲法が定めた法のもとの平等という観点からは問題が残ると思うのですね。しかも、けさ発表されました世論調査を見ますと、支持政党なしという国民が三五%もいらっしゃるんですね。そういう状況であります。  また、憲法四十三条には、両議院の組織・代表というところに、両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを構成するということになっているわけですね。いわゆる政党機能の一部に着目をして、そして大内委員長言ったように、ある目的を持って、特定して出すならともかくも、いわゆる一括方式で出すということにつきましては、政党へ多額の助成金を出すというのはちょっと本来の筋が通るのかなというぐあいに思いますね。むしろ、それは議員活動助成と一つのバランスを持ちながらやるべきではないのか。  そういう意味では、国会議員としての活動に必要な額、ある一定程度負担すべきことの方が、派閥の問題とか党の問題とかを見た上でもむしろ優先されるというか、あるいはバランスを持ってやるという必要があるのではないのかと思っております。そういうことについて、大内委員長、どうですか。
  140. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 衛藤委員の御指摘は非常に傾聴に値する意見だと思っております。ただ、今度の公的助成というのは、御案内のように、政党活動というものを助長して、政党選挙というものをできるだけやらせよう、あるいはそれを通じて政策中心選挙をやらせよう、そういう意味の助成という観点で考えられておりますので、あるいは衛藤委員が御指摘のようなある意味でのアンバランスといいますか、無所属に対してはある意味では配慮を欠いたという面があるかもしれないのでございますが、今度の公的助成のねらいというのは、今まで日本政治の中で一番欠落しておりました政党中心あるいは政策中心選挙というものを、本来の姿に取り戻そうということがねらいであるためにそういう問題が起こっていることは事実でございまして、むしろそういう議論をこの論議を通じて深められることが望ましい、こう思っております。
  141. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 次に、企業献金の問題についてお尋ねしたいと思います。  今お話がありましたように、無所属の国会議員には政党助成金も出ません。もちろん、政党がありませんので企業献金も受け入れることは不可能になります。さらには、全国には無所属の議員や首長が相当たくさんいらっしゃるわけであります。都道府県議会議員は一七・六%、都道府県の知事は九三・六%、市区会議員は五五・二%、市区長は九八・九%、町村議会議員は九〇・〇%、町村長は九九・六%が無所属なんですね。保  今の時点で個人献金ですべて賄うということは極めて難しいんだろうと私は思いますね。また、世界各国を見渡してもそんな国はありません。これでは大金持ちか特定の団体に支えられた人でないと選挙に出れなくなってしまうのではないのか。私は法の下の平等に反するのではないのかなと思っております。  また、無所属の人や新人は政党とかいろいろな関係がちゃんとありませんから、立候補したり動くことすらできません。これでは活力を失って、いわゆる政党本位という名の、民主主義の名前をかぶった独裁党が出現しやしないのかな、そういう心配を私はしているところであります。  この政党助成のあり方についての問題点と、それから、いわゆる政党以外には企業献金ができないという問題につきましては、これは両方一緒になりますと、先ほど申し上げましたように大変な問題になってしまいます。これは十分に考えなければいけない問題だろうというぐあいに思います。大内大臣、どうですか。
  142. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 今の地方議員あるいは首長、特に無所属という方々に対して企業献金あるいは公的助成の道が閉ざされてきている、部分的には御指摘のとおりだと思うのでございます。しかし、今度の公的助成は国の場合でも、さっき申し上げたように政党本位、政策本位の一つ選挙をやっていただくための助成として考えられておりますので、地方議員だけではなくて、国の場合におきましても無所属の議員に対してはそれが行われない。そして、地方議員、首長に対してもそういう事態がしたがって起こる、こういう事態なのでございます。  しかし、実態的に考えてみますと、最近の地方選挙を見ておりましても、地方議員の皆さんの中には党籍を持っていたり、あるいは政党の推薦をちょうだいして選挙をやるという方も非常に多いわけでございます。無所属の数という面から見れば御指摘のとおりでございますが、実際の選挙の遂行という過程におきましては、中央の政党からのいろいろな支援という道も残されているわけでございまして、個人献金だけですべてが閉ざされているということでは必ずしもなくて、無所属の方に対してもいろいろな形で政党による支援活動というものが行われる余地があることは御案内のとおりであります。  しかし、衛藤議員指摘されているような問題も確かに存在することは事実でございまして、それらの問題についてはいろいろ御論議をさらに深められることが望ましいと思っております。
  143. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 最後に一言。  実は、ずっと我が国家の中を覆っております政党本位、政策本位という今議論されております制度は、それでなくても新人が出にくい制度になっているのですね。ところが、政党助成だとか、あるいは管理団体に対する、政党以外に対しての企業献金の禁止ということは、それに資金的にも拍車をかけているわけですね。これは私はちょっと考えなければいけないというように思っております。日本の民主主義は大変な活力を失ってしまう可能性がある、これはぜひ慎重に考えていただきたいということを要望いたしまして、終わります。  以上です。
  144. 石井一

    石井委員長 次に、石原伸晃君。
  145. 石原伸晃

    石原(伸)委員 当委員会の目的は、与野党の案の互いにいい点、悪い点、そして歩み寄るべきところは歩み寄って成案を得る、そして議論の中で明らかになった不明瞭な点、そういうものをただしていく、また質疑の中で見過ごしている点があれはこれからも明らかにしてただしていく、これが当委員会の目的であると思いますが、山花大臣、いかがでしょうか。
  146. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 当委員会ということだけではなく、国会における一般論として、委員会に法案を出したといっても、国会議論を尊重するというのは当然のことだと思っております。ただ、担当大臣の私としては、ぜひ御理解をいただきたい、こういうことで一貫して今議論に臨んでいるところでございます。
  147. 石原伸晃

    石原(伸)委員 大臣、不明瞭な点並びに質疑で見過ごしている点が私多々あると思うのです。これからじっくり質問をさせていただこうと思うのですけれども、同僚議員が行いましたいわゆる公的助成の問題、そしてそれに絡んで無所属議員の問題、また三%条項の問題、日本の民主主義、これからの二十一世紀の日本政治を担う上で非常に大切な委員会であるし、質疑でもあると思います。それが一部報道で、公聴会を与党の方が単独で決定して強行採決を行うのじゃないか、こういうことが報道されておりますが、そういうお考えはございますでしょうか。
  148. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 そういう考えを閣僚の一人としても私は持っておりません。ただ、国会の進行につきましては、あくまでも国会で、また、当委員会の理事会でお決めいただく問題である、こう考えております。
  149. 石原伸晃

    石原(伸)委員 担当大臣がそういうお考えをお持ちでないということを聞きまして、私も心を強くしたわけでございます。  それでは大臣、国民がこの国会に対して今何を望んでいるのか、言葉をかえるならば、日本政治に対して、あるいは政権交代をして、山花大臣が誕生して、この審議をしている委員会に対して国民は一体何を望んでいるとお考えでしょうか。
  150. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 私が閣僚としての立場政治改革を担当いたしましたことに、まず基本的な国民の審判の結果を仰ぐ姿勢が示されていると思っています。  選挙の結果、政権交代の可能性が生まれ、そしてそこで政治改革の提唱を新党さきがけの皆さんが行いました。これに今日連立与党に参加している各野党が賛同をして政権をつくったものでございます。国民の審判の結果を重んじたわけでありまして、何よりもまずは年内、政治改革を一日でも早く実現しなければならない、そして極限まで達した政治不信を何としても、政治信頼を回復するその第一歩をスタートさせなければならない、これが最重要、最優先の課題であると考えております。  もちろん、政治改革議論しているさなかにも内外の情勢は動いているわけでありまして、景気の問題、あるいはそうした意味におきましては、太くくりすれば、総理おっしゃっているとおり、政治改革と同時に経済の改革、税制の改革等々含めて同時進行的に進められているところでありますけれども、何を行うにしても、国民信頼を回復することなくして望まれる施策というものは打ち出していけないのではなかろうかとも思っています。まず何よりも、まずそこを乗り越えなければならない、こう思って、今この場に臨んでいるところでございます。
  151. 石原伸晃

    石原(伸)委員 今大臣のお話の中に、やはりこれと並行して景気の問題あるいは経済の問題、税制の問題、これにも取り組んでいかなければならないというお話がございましたが、昨日、同僚議員から日本の景気の問題についてはるる議論があったと思います。  やはり、政治改革だけを国会はやっているわけでございませんので、他の委員会でも、私は大蔵委員会に属しておりますけれども、大蔵委員会でもフリーな討論をしよう、こういうことで、やはり一日も早い景気の回復というものも念頭に置いて、そして政治信頼を回復するということにおいては全国会議員が共通の認識を持っていると思いますが、冒頭申しましたように、見過ごしている点や今与党が提出されている案に疑問がある、あるいはこれから改革したこの案によって日本政治が悪くなるというような状態考えられるときは慎重にじっくり議論をするべきである、こういうことを先ほど大内大臣おっしゃっておりましたけれども、やはりそういう立場でこの委員会の質疑を続けていきたい、こんなふうに思っております。  それでは、問題を次に進めさせていただきたいと思います。  今、国民皆様方には、やはり景気の問題と、一つやはり戦後最大の疑獄事件とも言われておりますこのゼネコン汚職について、何で国会質疑がないのか。社会党が野党でいらっしゃったころは、たしかどんな委員会でもかなり多くの議論がなされたと思います。  きょう朝刊を見ますと、一面でこのゼネコン汚職のことについて取り扱っている新聞が、私が見た限りでも、朝日、毎日、日経と三紙ございました。また、日経は社説の中で、「建設汚職に及び腰の政治」というかなり手厳しい論説を載せております。これはもうお読みになられたことでもございましょうけれども、ここで一句を読ませていただきますと、「連立与党の一翼を担う社会党は従来の同党の在り方からすれば率先この問題に取り組み、」すなわちこの建設汚職でございますが、「証人喚問や参考人招致という形で対応したはずだが、今回はなぜか音無しの構えだ。まさか建設相が社会党出身という事情を考慮しているわけではなかろうが、これではなんのために社会党は連立政権に入っているのか、と疑われよう。」これは私の意見じゃなくて日本経済新聞の社説の意見でございますが、この点について、特に今、仙台の方では市長が逮捕される。旭川の市長も経験された、また所管大臣であります五十嵐大臣、どのようにお考えでございましょうか。
  152. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 御承知のように、せんだって来の御指摘のいわゆる建設汚職につきましては、公共事業に対する国民信頼だけではなくて、政治全体に対する国民不信感というものを高めておりまして、まことに残念に思っている次第であります。  これに対応して、実態の調査は検察当局が進めているのは改めて申すまでもないのでありますが、私ども建設省といたしましては、全力を挙げてこういう事態の起こらないような制度の改善を目指して、今努力をしているところであります。特に、中建審の中に公共事業に関する特別委員会を設けて、今精力的に入札制度、契約制度についての改革に取り組んでおりまして、年内にはその方針を取りまとめたい。しかも、その改革の論議に当たりましては、この際、全面的、抜本的にこれに取り組んでいきたい、こういうぐあいに考えているところであります。  日米建設協議等に関連して、御承知のとおり、三日前に総理みずから方針を出していただきまして、入札・契約制度等にかかわる行動計画の骨子というものをこの際明らかにさせていただきました。一般競争入札の導入であるとか、あるいは透明性、競争性の確保であるとか、あるいはペナルティーの強化であるとか、こういう一連の基本的な方向について示させていただいたところでありますが、そういう総理の方針というものも外しながら、この機会にしっかりした改革案を年内に取りまとめて、不祥事が再発することのないような体制を確立するために総力を挙げて頑張りたい、このように存じている次第であります。
  153. 石原伸晃

    石原(伸)委員 私がなぜこの問題を取り上げたかといいますと、これは細川総理も申しておりますとおり、政官業のいわゆる癒着構造、こういうものが日本政治を悪くしているんだと、そしてこれを是正することが最大の政治改革であると細川総理みずからが述べて、そしてまたその内閣を構成されている閣僚の皆様方でありますから、もちろんのことこの問題に積極的に取り組んでいただきたい、そして出すべきうみは徹底的に出していただきたい、それが国民の望んでいる本当の意味での政治改革ではないのか、そういう気がいたしましたので質問をさせていただいているところであります。  先ほどのこの日本経済新聞の論説の続きの中には、こんなことも実は書いてあるわけであります。「当面は選挙制度改革など審議中の政治改革関連法案国会通過に全力をあげたいというのが」与党側の「本音らしいが、目の前に起きている戦後最大級の政治汚職事件を素通りしてどうして政治改革政権と言えようか。」これは一新聞の論説であります。  ここはやはり大臣がリーダーシップを持って、政権交代をして社会党から出られた、しかも市長も経験されていて、こういう構造が各市町村にあることを十分御存じの大臣だと思いますので、具体的な案を年内と言わず国民の前に明らかにして、そして私がいつも感じておりますのは、監督官庁といえども、監督官庁の局長さんあるいは課長さん、大臣、責任をとったというような話を聞いたことがございません。先般ありました証券不祥事のときも、大蔵省の課長さんあるいは局長さんが責任をとってやめたということも聞いてないわけであります。自民党がそれができなかったならば、政権交代して新しい大臣をいただいて、新しい政治を志している、変革を志している大臣にぜひ頑張っていただきたい。もう一度お話を伺わせていただきたいと思います。
  154. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 今のようないわゆる構造的な建設汚職というようなものも、国民が、この際やはり政権を交代させて、ここでしっかりきれいな体制に改革をさせていこうという願いの大きな一つであっただろうというふうに思います。したがいまして、今、当委員会等で全力を挙げて御審議をいただいている政治改革というものとあわせて、同時に、いわば一体的な関係にあるという気持ちで公共事業執行に関する改善も同じように年内に仕上げていきたい、こういうぐあいに考えているところであって、その点につきましては、またいろいろ御指導、御協力をこの機会にお願いを申し上げたいと思う次第であります。
  155. 石原伸晃

    石原(伸)委員 一体的に取り組んでいくという強い決意をお聞きいたしましたので、委員会はかわるかもしれませんけれども、年が明けてやってないようでしたらまた追及をさせていただきたい、こんなような気がいたします。  それでは、話を進めさせていただきたいと思います。  山花大臣、これからの日本政治のあるべき姿について、どのような政治体制がこれからの日本の民主主義にふさわしいとお考えか、お話を聞かせていただきたいと思います。
  156. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 新しい話題について御質問いただきました。恐らく今御指摘のポイントは、これからの政党の数などを念頭に置いてどのような政党政治の体制、こういう御質問ではないかと承りました。  この国会において細川総理が、穏健な多党制という言葉を使ってこれから将来のあるべき方向について発言をされておりますけれども、私も基本的にはそうした方向というものがあるべき姿ではないかと考えています。確かにまだ、穏健な多党制に対比して言われておる極端な多党制といった時代に戻るかということについて、決して一〇〇%ないとは言えないと思いますけれども、そうではない時代状況が今度の連立政権の誕生によってスタートを切られたのではなかろうか、こういうように思っております。  穏健なということは、学者の考え方によれば三つか五つのと、こういうふうに整理されているわけでありますけれども、そうしたことを含めて、価値観が多様化した今日の日本の社会において、並立制という形で比例代表を含めた選挙制度をとるということになれば、国民のコンセンサスをそうした形で集約していく政権、連立政権の時代になったと思っています。これは、例えば野党第一党が議席を伸ばすということがあっても、あるいは今日の与党の中のいずれかの政党が議席を伸ばすということがあっても、単独で五〇%をはるかに超える政権というのはなかなか難しいのではなかろうか。  いずれの形になるにせよ、連立政権の時代に入ったと思っておりまして、それを構成するものは幾つかの政党、穏健な多党制という言葉で代表されている構想というものが想定されるものではなかろうか、私としてはそう考えております。
  157. 石原伸晃

    石原(伸)委員 穏健な多党制という言葉が出てきて、これからのあるべき姿は連立政権によって政権交代がなされると私も理解して、私はその考えにおいては個人的にまさに同感なんですけれども、同じ内閣を構成する中には、二大政党制を目指すんだ、そういうことを言われている方もいらっしゃるのですけれども政治改革担当大臣として、その目指す方向が違うと当然法案の内容も変わってくると思うのですが、そこのところはどういう御理解をされているのでしょうか。     〔委員長退席、前田委員長代理着席〕
  158. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 各政党の内部でもそれぞれ議論のあるテーマだと思っています。これは野党におかれましても同じではなかろうかと思っておりますが、そうした中で連立政権の合意、そしてその中核である今回の二百五十、二百五十の並立制を基本という提案をのんでスタートしたわけでありますから、それぞれの意見は持ちながらもこれでいこうということについて合意をしておりますので、御心配のようなことはないのではなかろうかと思っております。  ただ、議論としては、それぞれの党内でも活発に議論がこれから行われるテーマであるとは考えております。
  159. 石原伸晃

    石原(伸)委員 そうしますと、政権交代については穏健な多党制、三つないし五つの政党によって連立内閣、例えばA、B、CとあればA、B、Cが組んで連立内閣をつくる、そういうことを念頭に置かれていると思うのですけれども、そういう理解で、例えば場合によってはCとDが組んで多数をとって政権交代を行う、こういうものを念頭に置かれていると理解をしてよろしいでしょうか。
  160. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 一般論としては、穏健な多党制という言葉の意味について、やはりそれぞれの野党が政権を目指すという立場政党として政策を競い合う、こうした考え方というものが基礎にあるものと私は理解をしているところでございます。したがって、一般論的に言えば、一党単独で政権をとる体制というものはなかなか難しいとするならば、これから将来は、さまざまな形における政策で合意した政党の、そしてそのことを国民に諮って連立政権、連合政権ということはあり得ると思っております。  ただ、私、一般論として申し上げましたので、現在の政治状況からするならば、細川政権に参画している各与党は、細川政権の安定を求めることが国民期待にこたえるものであるということで、今、来年度予算を初めとして景気対策を含む議論を進めておりますので、そうしたことから考えるならば、まずは今日の連立与党がどれだけの実績をつくって国民の皆さんの審判を仰ぐのかということになるのではなかろうかと想定をしております。一定の時期を経ましたならば国民の審判を仰ぐことになると思いますけれども、その場合は、一般論としての複数政党がというよりは、むしろ連立政権を支えてきた政党がどのような連立の合意をつくることができるのか、どのような選挙協力があるのかというのが具体的なテーマである、こう考えているところでございます。
  161. 石原伸晃

    石原(伸)委員 そうしますと、例えばこれから選挙があるとき、具体的な名前を出して恐縮なんですけれども、例えば社会党はどこどこと連立を組む、そしてそういう政策協定を行うんだということを明らかにした上で選挙に臨むのかあるいは今回の形のようにそういうものを明らかにしないで、政治改革という一つ目的があったのでそれによって連立を組むという形になるのか、どちらの場合が想定されるのでしょうか。
  162. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 実は今回の場合にも、五党の非自民の連立政権をつくろう、政権交代を実現しようということについては選挙の前に合意をいたしまして、これを内外に発表してまいりました。ここには細川総理の党も入っておったわけです。選挙が終わってから八党派の合意、こうして改めてつくり直したという経過でございますが、今回の場合には基本的な合意でありまして、具体的な政策課題については、選挙が終わってからこれを合意したものもございます。  将来の問題ということになれば、細川政権がどこまで何ができたのかということを踏まえて、改めてそこで各党派の折衝と合意づくりが行われ、それを国民の皆さんに審判を仰ぐということになるのが通常の想定ではなかろうか、このように考えておりますが、それはそれぞれの党がその時点において政治判断をするテーマだ、こう考えております。
  163. 石原伸晃

    石原(伸)委員 大体話はわかりましたけれども、やはりこれから連立政権を組む場合は、これも同僚議員からさんざん大臣に質問があったのでもう私はいたしませんけれども、基本政策の部分の整合性というものをつけておかないと、やはり大臣も、私、答弁をずっと聞いていて、本当に苦しい立場に追いやられていたような気がいたします。  閣僚としての発言、あるいはこれは社会党の委員長としての発言だ、こういうことがありますと、本当に国民の側としては、山花さんというのは一体どういう人なんだ、こういうことをおっしゃっている方が私の支援者の中にいたものでお話をさせていただきますが、連立を組む場合は、やはり明らかにその選挙の前に基本的政策の合意を見て、個々の点を詰めていっていただきたい。そういう形で連立政権ができるならば、私は個人的にはその考えはよしとしたいと思っております。  それでは、日本政治のあるべき姿という命題でございますので、せっかく同僚の先輩方がいらっしゃいますので、自民党としてこれからのあるべき姿をどのようにお考えか、お話をお聞かせ願いたいと思います。
  164. 保岡興治

    保岡議員 これからの日本は、国際化も相当進んでいくでありましょうし、また、国内の成熟度もある一定の熟度に達してまいっておりますから、内外ともに新しい時代を目指して国づくりをしていく上で、やはり大胆な改革、的確な政策、そういった政策遂行に的確、迅速性が必要だ。そういった意味で、やはり単独政権というものを中心に、きちっとした基本政策国民に信任を受けて、その信任の上に責任を持って、今申し上げたような政治を進めていくことが理想であると思っております。
  165. 石原伸晃

    石原(伸)委員 今、保岡委員の方から、単独政権を目指すという話が出てまいりました。そして一方で、山花大臣の方からは穏健な多党制という意見が出てきました。これがまさに、今、選挙制度の両党の案のぶつかっているところのような気がするわけであります。自民党案では、やはり単独政権をつくる、小選挙区制により近い小選挙区三百、そして比例百七十一という案でございますし、与党の案は、穏健な多党制を目指すために比例部分の多い二百五十対二百五十、ここが実は根本的な分かれ目のような気がするわけであります。  ですから、やはり議論としても、これから本当に日本政治のあるべき姿は単独政権がいいのか、社会党が社民勢力を結集して新しい政党になって単独政権を目指すのがいいのか、それとも自民党が盛り返して単独政権を目指すのがいいのか、私はこれが実はこの問題の根底にある気がしてならないわけであります。  そこで、質問させていただきたいんですが、そうはいいましても、もう質疑も大分煮詰まってまいりました。相違点というものが大分出てきた。例えば、選挙制度での歩み寄りについて社会党は強硬である、こういうお話を聞いておりますけれども、この選挙制度の二百五十、二百五十というものは本当に絶対譲ることができないのか穏健な多党制を目指す上で、二百七十五対二百二十五でも実は穏健な多党制になるのかもしれないという学者さんもいらっしゃいます。その辺について、大臣並びに自治大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  166. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 石原委員前段の、あるべき日本の姿というものを想定しての意見の対立てはなかろうかということについては、まさに大変大事なポイントをついた御指摘ではなかろうかと伺っておったところです。  さてそこで、同時に考えなければならないことは、やはりこれまでの議論の経過ではなかろうかと私は思っております。午前中も、羽田外務大臣いらっしゃったものですから、いつごろから始めたかなと話し合った中で、外務大臣ともども、八六年の八増七減のころからこの議論に私自身も参画したわけでありまして、約八年余このテーマに取り組んできて、随分時間がかかったな、こういうようなことを実は話しておりましたが、そうした中で、単純小選挙区制と比例代表に重きを置いた併用制では、前国会の経過を見ても、全くの平行線で一歩も前進しなかったわけであります。そこで、野党側は歩み寄りを示しました。やはり現実、実現可能な制度ということについても、率直な気持ちとして、今回の提案の中には私はあると思っております。  同時に大事な問題は、選挙制度だけではなく、腐敗防止のための施策、そして政治資金規制の問題、公的助成等、全体一体となった政治改革を年内実現、こういうことであるわけでありまして、その意味からしますと、他の部分についても基本的な考え方が貫かれている、それだけに意見の対立もあるということかもしれませんが、担当した大臣としましては、そうしたこれまでの議論も踏まえた中での成立可能な数字ということで、ちょうど真ん中の二百五十、二百五十ということでもあったのではないかこういう気持ちを持っておるところでして、やはりこれまでの議論、そして現実の成立可能性ということを見きわめて出したものでありますので、担当大臣としてはぜひこれで御理解をいただきたいと。  いつも申し上げておりますとおり、政府の提案ですから、国会で御議論いただいて、最終的には採決によって決めていただくということになると思います。合意、採決ということになるか、これからの経過でございますけれども、私の立場といたしましては、重ねてで恐縮でございますけれども、ぜひ御理解をいただきたいとお願いをする次第でございます。
  167. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 細川内閣を代表して提案をした自治大臣という立場から申しますならば、ここに提案に至るまでに、山花政治改革担当相ほど昔には私はさかのぼりませんけれども、それなりに与党が大変審議を重ねて本法案の基礎をつくっていただいたわけでございます。政府・与党一体でございますので、私たちといたしましてはこの案が、いろいろな考え方が、それはいろいろな部分で、石原委員言われましたようにあると思います。あると思いますが、私たちとしましては、選択をして、この法案が一番ベストだと思っているわけでございます。  ただ、今、山花大臣からもお話がございましたように、国会の審議を経て法律になることでございますから、国会の方で、こういうところは与党の方の御理解もいただいて修正しろということで、政府として修正がのめる部分につきましては、それは国会の意思として、一般論的に言えば、当然修正を図って成立をさせるというのが議会制度のルールだと私も思っております。
  168. 石原伸晃

    石原(伸)委員 自民党はいかがお考えでございましょうか。
  169. 保岡興治

    保岡議員 先ほど単独政権を目指す理念、理由については申し上げました。この単独政権か連合政権がということは、先ほど委員指摘のように、非常に重大な結果を国民にもたらす。やはり連合政権ということは、なかなか結論が中途半端になって、妥協的に落ちつく場合が多い。  そしてまた、先ほど佐藤大臣と山花大臣も、与党案をつくるのにいろいろ経緯があって、いろいろ努力を重ねた結果という趣旨のお話がございましたが、やはりその結論を出すのになかなか苦労も時間もかかるというようなことで、私は、今度の与党案というものはそれなりに御努力されて得た結果だと思いますけれども、我が自由民主党の提案に比べれば、やはり一貫性というものに欠けるのじゃないだろうか。一つの理念、一つの筋道、こういったものに沿って、我々は小選挙区の数を比例に比べて多くしたり、一票制にしたり、都道府県単位にしたり、その中には一貫して一つの理念、単独政権を目指すという、そういうことで貫かれている。  そういった意味ではベストの案を提案しているつもりでございますが、しかし、議会でございますし、与野党の大事なこれからの民主主義をつくっていく土俵でございますから、それは十分話し合って一致点を見出すように努力をしていかなければならない、そう思っております。     〔前田委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 石原伸晃

    石原(伸)委員 佐藤自治大臣の一般論という言葉がありましたけれども努力をしていくという言葉、また、保岡委員の方の妥協を図っていくという言葉を私もかたく信じて、次の質問に移らせていただきたい。  実は法務大臣においでいただいておりますので、法務大臣は民間人でございます。この議論をまた法律の専門家として聞いていて、どのように考え、また、細川内閣の一閣僚として、この政治改革のこの議論、今どのような印象を持っていらっしゃるか、御感想がございましたら、簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  171. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 直接の所管とかかわりのない御質問であれでございますけれども、まあ閣僚の一員といたしましては、やはりこれは閣内ずっと見て回りまして、御苦心のほどはよくわかる、やはり一つのこれは立派な御案である、こういうふうに民間人の閣僚の一員として考えておるところでございます。
  172. 石原伸晃

    石原(伸)委員 急な質問で恐縮だったのですが、実はゼネコン汚職を聞こうと思いましたら、事前に法務省の方から調査中であるとしか言えないという答えが返ってきましたので先ほど聞かなかったのでございますが、やはり先ほど左近委員から出ましたように、内閣を支えている一員でございますので、どしどしと政治改革についても意見があれば言って、リードしていっていただきたい、そんな感想を申し述べさせていただいて、もう大臣結構でございますので、御苦労さまでございます。  次の質問に移らせていただきたいと思います。  先ほど私の指摘で、その目指す政党制、穏健な多党制あるいは単独政権、そこに選挙制度というものが非常に重要な意味を持つ、そういうお話があったと思いますけれども、それではその選挙制度、穏健な多党制を目指す上では、実は私は併用制、これまで社会党が主張されてきた併用制の方がより制度的にもすぐれておりますし、穏健な多党制になる、これが立証されていると思うのですけれども、なぜ並立制で今なければならないのか、大臣並びに自治大臣、お話を聞かせていただきますとともに、なぜ自民党も小選挙区から並立制なのか、並立制でなければならないのか、また、保岡先生先ほどお話ございましたけれども、簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  173. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今御指摘の、最終的に並立制を選択した経過をずっとお話ししますと長くなりますので、省略をいたします。中選挙区における格差是正から、対立の中、幾度か歩み寄って、最終的には並立制ということにいたしました。  御指摘のとおり、さきの国会における野党の案としては併用制を主張しておったわけでありまして、併用制につきましては、御指摘のとおりの政治体制をつくるにプラスであると、今でもそう考えております。  ただ、そこだけでは、いつまで政治改革が実現するかということについて全く見通しがございませんでした。当時の記録、今もここでメモを見ておったわけですけれども、我々は当時、当時の社会党は、併用制から運用制へ、連用修正、こういうときに同時に実は申し入れをしております。企業・団体献金禁止の問題を初めとして、政治腐敗の問題、政治資金の問題を一体としてこれをやるのですよと言いながら歩み寄りを示してきたわけでありまして、そこに問題点があると思っております。  全体、やはり国民の批判を受けている政治と金の関係について国会がきちんとした姿勢を示すこと、そこが大事だということを一体として、最終的には選挙の結果を受けまして、連用修正からさらに、大変、当時社会党にとっては不利益制度であるとは思っておりましたけれども国民の審判の結果を受け、まず政治改革イコールとの意味を持つぐらいの政権交代を実現する中で、全体としての政治改革を行おうと、まさにそこでは政治決断をして、その部分についての政策について変更してきたわけでございます。
  174. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 山花改革相の答弁に尽きていると思っておりますけれども選挙制度そのものをいろいろな観点から論ずる、評価をする、いろいろあろうかと思います。私たちも併用制というのが一番いいのではないかと思ったこともございますが、残念ながら我々が絶対過半数をとれているわけではない。公明党さんともさきの国会で一緒に法案を出して、いろいろ議論をしてきたわけであります。結局、さきの国会自民党の単純小選挙区制と、我々の併用制、連用制という、比例代表を中心に物を考えるあり方との合一を見ることができなかったわけでございます。  しかし、このまま議論だけしているわけにはまいりません。私たちといたしましては、国民の皆さんの期待に沿うためには、何といっても企業・団体献金の禁止という一つの柱、あわせまして選挙制度も、現実的でかつ政権の選択もでき、多様な民意を反映をすることのできるという二つのいいところを兼ね備えた案ということで、二百五十、二百五十という比率をもってすることがいわば共通項ではないか、こういう考え方に立って提案をしておるところでございます。
  175. 保岡興治

    保岡議員 小選挙区制を前国会の提案で出しましたのは、単独政権を目指して二つの政党政権を競い合う、そういう緊張の中から新しい政党政治の確立を目指すという趣旨であったと思います。  しかし、我が自由民主党は、「政治改革大綱」を決めたときも、小選挙区を基本とするとしながらも、そこで吸収できない民意というものを必要最小限度、小選挙区制の趣旨を損なわない範囲内で反映させるということが基本でございました。そういう当初の基本に沿って、今回は、いろいろな経緯もあって、我が党案としては、今申し上げたような趣旨で、必要最小限度民意の反映も考慮する。  しかしそれは、衆議院の選挙そのものが内閣総理大臣の指名で優越権を持っていることなど、その他の事項でも参議院に比べて優越権を持っている、国会の第一院であるということにかんがみて、政権選択ということが衆議院の選挙の基本であるということ。それから、第一院であるからして、国民から見てできるだけ人という点でも具体的に選べる、そういった制度にして、参議院の方にも民意の反映という点ではいろいろ工夫がなされているところでありますから、衆議院はあくまでもそういった選挙候補者との具体性を大事にして、一票制にして政権選択の趣旨を明確に貫き、そしてまた都道府県単位の比例にして候補者の具体的な選択ということに資するということで、今度の小選挙区比例代表並立型を提案いたしておるところでございます。
  176. 石原伸晃

    石原(伸)委員 社会党の両大臣のお話を聞かせていただきまして、妥協に妥協を重ねて、山花大臣の言葉では今でも一番いいと信じている併用制を捨てて、また佐藤自治大臣のお言葉ではその当時一番いいと思ったものを捨てて、実は歩み寄ってこられた。自民党の方は、小選挙区制から、論理的に見て、この論理から外れることなくて、一党単独政権ができるようなものを目指すということで歩み寄ってこられた。もうあとは、本当にあと一歩を踏み出して妥協するかしないか、そんなところにあるような気はするのですけれども、しかし、現行の中央集権的な、言ってみれば先ほど五十嵐大臣に質問をさせていただいた政官業でございますか、これが一体となったシステムが続く限り、実は小選挙区制になっても、利益誘導型の選挙というものがなくならないのじゃないかという指摘もその一方であるわけであります。  そして、むしろこれももう同僚議員がさんざんしていることですけれども選挙区が小さくなる分、そして今度は同士打ちという形ではありませんけれども政党本位の選挙ということで、政党同士の足の引っ張り合い、あるいは地方が中央に系列化される、人脈、利権、こういう御指摘もあると思うのですけれども、そこの部分についてどういうふうにお考えになるのか。  そして、今度の制度で一番重要なことは、政党ということが前面に出てきていることですけれども、この政党というものについてどのように考えていらっしゃるか、政府側の答弁をお願い申し上げたいと思います。
  177. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今御指摘のとおり、今回の選挙の最大のテーマは、個人本位の中選挙区制から、政権を争い、政策選挙を行う並立制に切りかえていこうということにございます。そこでの政党の役割ということが改めて議論され、重視されているところでありまして、まだまだその意味におきましては、一方、政治改革を進めますと同時に、それぞれの政党の独自の党の改革ということについても大事なテーマとして、この委員会の議論の場とはちょっと別になるかもしれませんけれども、それぞれの党が努力を始めているところではなかろうかと思っております。  一般論とすれば、国民の民意というものを集約して、国家意思形成に当たってその媒体となるのが政党である。そして、そうした政党であるためには、ある程度安定した組織と財政と継続的な活動を行うことによって、そうした政党として国民の皆さんに認知されていることも必要である。およそこうした考え方の中で、今回の選挙法も政治資金規正法政党助成法も組み立てられているものと、こういうように考えております。  政党一般論につきましてはちょっと横に置いて、当面の法案に係るテーマとして考え方を述べさせていただきました。
  178. 石原伸晃

    石原(伸)委員 山花大臣は弁護士でもありますから私よりも法律の知識があると思いますが、御承知のように日本憲法では、政党憲法に編入されておりません。何条でございましたか、二十一条でございますか、結社の自由ということでその中に入るという、言ってみるならば自由な任意集団と言っていいんでしょうか、そういうものをこれから言ってみれば編入まではしないけれども、格上げという言葉がいいのかどうかわかりませんけれども、前面に出していく。大臣のお言葉をかりるならば、民意を集約して、そしてそれを国家意思形成する上での媒体となる、こういうお考えでその政党助成というものが実は出てきた、そういうふうに今のお話から推測をさせていただくわけでございますけれども、この憲法の位置づけをあいまいにしたまま政党助成を行う是非については意見が分かれるところだと思います。  もういろいろな議員の方が指摘されたように、ドイツでは憲法に編入されております。そして政党助成が行われている。そしてその一方で、日本は結社の自由ということで保障されている政党でありますから、社会党もあるいは自民党も自由な集団であります。悪いところがあれば、何の法律も直すこともなく、自由によくなるための自己努力をできるんですけれども、これが政党として一つ、何というんでしょうか、一歩踏み出すと、そういうものが逆にできなくなるという心配も実はあると思うのですが、そこのところはどのようにお考えでしょう。
  179. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 御指摘のとおり、各国の法制につきましては、政党に対する法制というものがおよそ三つぐらいに分かれているのじゃないかと思っております。憲法上明確にするもの、あるいはそうではなくて、例えば今度の政党助成法のように特定の法目的に従って政党に関する法制を整備したようなもの、第三番目はその二つを混在させるといいますか混合型というようなものがあると思いますけれども日本の場合には全体、第二番目の法則、それぞれの法目的に沿って政党に対する規制を設けている。こうした形で、政治資金規正法についてもしかり、政党助成法もしかり、そして公職選挙法上もしかりということだと思っております。  憲法を制定したときの議会での金森国務大臣などの発言等にもよく紹介されておりますけれども政党はやはり本来自由であることにその本質があるのだということについては、比較的我が国においては定説となって今日に至っているのじゃなかろうかと思っているところでして、今日における考え方としても、過日の第八次選挙制度審議会におきましても、政党の自由な政治活動を守るということを前提として、私はあの審議会の意見が構成されておったものと記憶をしております。  今回の立場は、まさにそのとおりでありまして、したがって、具体的なテーマでいうならば、政党助成法による資金の使途等についてもそれぞれの政党信頼して内部干渉は行わない、こういう構成になっているところでございまして、御指摘の点につきましては、全体、国がお金を出すということ自体が政党に対する干渉になるんじゃなかろうか、こういう議論もあることは承知をしておりますけれども、全体の企業・団体献金禁止の問題あるいは腐敗防止の体制の問題、そしてさらに先ほど来議論しております政党の役割ということなどを考えれば、決してそうではない形での、あるべき民主主義のコストとして安定した政党の財政基盤の一部にならなければいけない、こういう考え方ですから、決して内部に干渉、規制ということではない全体の法律の構成となっているところでございます。  御指摘政党の内部に対して国家が規制するようなことがあってはならない、そのことについては十分わきまえた中で今度の全体の法体系ができ上がっているということについて、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  180. 石原伸晃

    石原(伸)委員 質問する前に重要な内部干渉ということを大臣の方からお話がございましたけれども、ここが実は一番重要なところでございまして、いわゆる私学助成というものを行っていて、私学が監督官庁の文部省から監督されていないのか。やはり助成をいただいている以上、ある程度の監督権というものが文部省にあるという事実があります。この干渉されないというギャランティーをどこでするのかということが実は法案の中で明記をされていない。私は、そういう意味からしても、実はこの政党助成というものには個人的に反対をしております。  理念的に言うならば、これは、政党というものが寄附をもらう団体なのかもらわない団体なのか、もし寄附をもらうんであるならば国庫助成はいただかない、そして、もし国庫助成をいただくならば個人、団体、企業献金を含めてすべてもらわない、実はそのどっちかで本当はあるべきだと思うんですけれども、これは政府案並びに自民党案も、ちょっと足りない分があるから公的助成はいただきたい、全額国庫で出してもらって献金をなくすというすっきりしたものでない、こういう気がするんです。言ってみるならば、理念と原則とその実態というものが一本の線で結ばれてなくて、ちょっと困ったから国庫から出してもらおう、これではなかなか実は国民の理解を得ることができないような気がいたします。  その政党助成に当たっての原則みたいなものは政府としてお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  181. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 おっしゃった点、大変大事なポイントだと思っております。  基本的には、政党においては選挙を含めた政党政治活動、そうしたものに要する費用の相当部分というものを、党費とか寄附とか事業収入等の自助努力によって調達していただくというものが大前提になっていると思っております。  しかし、現実の政治の場で各政党の収支ということについて見るならば、従来はやはり企業・団体献金にかなりの部分を負うていたという現実があったのではなかろうかと思っております。今回、近年頻発するゼネコン汚職等を含めての腐敗に対する国民の怒りにこたえて、やはりそこに腐敗の温床があったのではないか、こういう批判などを考えるならば、企業・団体献金禁止について一歩踏み込むべきであろう。  しかし、今日、全廃ということは政党の財政の現状から見ていかがなものだろうかということの中で、八次審にもありましたとおり、過度に国家に負担させてはならないということなども考えながら、かつての海部内閣当時の案もそうでしたが、三分の一ぐらいというのが今回の提案の中身でございまして、最近でも、もし必要でしたら政府委員に答えていただきますけれども、ベルギーなどの場合にはことし企業・団体献金を一切禁止して公的助成に踏み切った、こういう法制をとったところもあるようですけれども、我が国の場合にはそこまでは踏み込むことは現実的ではないし、合意を得ることがなかなか難しいのではなかろうか。  こうした考え方のもとで、さっき申し上げましたような自助努力と独自の財政確立のための政党としての任務と責任ということは前提としながら、企業・団体献金禁止というような調整や、あるいはそのことによって従来以上に政党財政のやりくりということが難しくなるのではなかろうか、また、政党の負担というものも政党中心選挙だからふえてくるのではなかろうか等々考えて、三分の一ということをめどに今回の提案をさせていただいているところでございます。
  182. 石原伸晃

    石原(伸)委員 今、大臣非常に大切なことをおっしゃられた。やはり政党は自助努力によって、寄附あるいは収益事業によってその活動費を捻出するべきであるというお考えが示されたと思います。  やはりそれは、そうしますと、理念的には本当はどっちかなんですけれども、現実として、その実態というものとしてはその間をいくということですが、自民党案も実は三分の一として三百九億円、政府案も三分の一として四百十四億円でございますか、これをそれではどのように配分するのかそういうところが明らかになっていない。  国民の側も、四百十四億円というのは、細川さんが本会議で言われたのはコーヒー一杯分だと。コーヒー一杯分出してくれという理屈で、三分の一だから出してくれということは私は通らないのじゃないか。やはりそこのとこるをもう少し明確にしていく必要がある。  それが明確にならない限りは、さっき言いましたように、全額国庫が出してくれて献金をなくすかあるいは献金だけで足りるのか、そのどちらかが理論的には正しいのであって、そして足りない分だけ何とか国から援助してくれというのはちょっと虫がいいのじゃないか。その前にやはり政治家が襟を正して、企業・団体献金をもらっている人ならば、それをどれだけもらっているか透明度を高める。そういうことによって、その後公的助成を導入するというならわかりますけれども、どうも虫がいいような気がしてならないわけであります。  それともう一つ政府案で私気になりますのは、個人への献金が禁止されておりますけれども政党への献金というものが認められております。企業・団体献金でございます。そうしますと、政党というものがある意味じゃブラックボックスになって、支部も政党の一部として、政党の支部がパーティーを行う、あるいは中央の政党から支部のところにお金が流れる。こういうことによって政党のブラックボックス化みたいなことが起こって、悪い意味ではないのですけれども、マネーロンダリングに近いことが起こるのではないか、こういう危険さえ私はあるような気がいたします。そこのところについて、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  183. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 初めに一言触れておきたいと思うのですが、虫のいい悪いというところに関連してですけれども自民党さんの提案は、従来よりも総枠を五割増しにするということと、それから企業・団体献金について、小さくはなりましたけれども、それが残っていく、これが政府案との決定的な違いとしてあるわけでして、そこのところが違っていることをちょっと一言だけつけ加えさせていただきたいと思います。  今ブラックホールというお話がありましたけれども、さっき私は、同時に政党の自己改革も必要だということについて一言触れさせていただきましたが、政党に対するやはり信頼感というものがこの法案の基礎にはあるということでございます。  政党は悪の立場には立っていないということがございまして、例えば、その意味におきましては、政党政党の持つ資金を県本とかあるいは政治家にやるお金というものは、これはその場面におきましてはいわゆる汚職と結びつくということはない、あるいは公私のけじめつかず、私財蓄積ということには結びつかないだろう、そういうような考え方が基本にはございます。  それともう一つは、従来型、大きなお金が派閥の領袖の方から派閥内に配られる、こういうこともなくなってくるんじゃないだろうか。  こうしたことから考えますと、理屈の上ではブラックホールなんだから、何百、何千億金を集めてそこに入れるということは言えますけれども、現実はそんな甘い実態にはなくなっているんじゃないか、こう思っています。  企業の側、出す側でも、企業の倫理という観点からこの問題に大変議論が高まっているところでもありますし、また、幾つかの事件というものが改めて企業倫理を問うています。  同時に、収支について、例の五万円以上についてオープンにするということにつきましては、御指摘のブラックホールの一つ、パーティー券につきましても、五万円で明らかになるということですと、従来の何億円あるいは十億円に近いような一回のパーティーの収入が派閥のパーティーにあったというようなことは、ちょっとこれからは考えられないのではなかろうかと思っているわけでありまして、確かに、その点について、すべて悪い面だけを強調していきますとブラックホールではないかという理屈も出てくると思いますけれども、そうじゃない形で、政党の自己改革、財政面をも含めということに同時に期待しながら、今回はこれで政党政治を新しくつくっていきたい、こうした気持ちも込められているということについて、私の意見として申し述べました。
  184. 石原伸晃

    石原(伸)委員 私は個人的にはどうもやはり納得がいかないということを、時間がなくなってまいりましたので先に進めさせていただきたいのですが、大臣、補助金をもらって足腰が強くなった団体というのは日本じゅう見てもないわけですね。これで政党が補助金もらって、これから政党政治だと言うのは、やはり虫がいいと思いますし、言葉が悪いかもしれませんけれども、やはりあと、額の算出方法ですね。  それともう一つ、私は最後にお聞きしたいのですけれども、会計検査ですね。これは会計検査院が入るのかあるいは自治省が入るのか、そして支部の部分は、これまでの答弁を見ておりますと、政党責任を持って帳簿を出させると言いますけれども、支部というものが実は現場でありますので、それがどいうふうに使ったのかを、ただの報告ではこれまでの政治資金報告と何ら変わらなくて、私は、そこの部分まで、もし仮に公的助成を出すとしても、帳簿を徹底的に管理するぐらいなことをしなきゃいけない。しかし、それをやってしまうと、冒頭の話になりますけれども、国家の政治への介入ということにつながる。この問題は、やはりもう少し時間を実はいただきまして議論をさせていただきたい、そういうことをつけ加えさせていただきたいと思います。  最後に、時間ですけれども、あと一問だけ聞かせていただきたいのですが、いわゆる三%条項というものがございます。これは、民意を反映させるという意味で比例代表を入れているわけですけれども、それを足切りしてしまう。ここの部分の明快な答弁というものが、これまで私、議事録を見たり委員会を聞いていても得られていませんので、もう時間がございませんので、またの機会でも結構でございますけれども、はっきりとさせていただきたい。  このようにまだまだ実は聞いていってあるいは見過ごしているような問題点が多々ありますので、ぜひ政府・与党の方にお願いでございますけれども、公聴会を独断的に一党で決めて、そしてまだまだ聞きたいこと、問題点がある、こういうものを見過ごして、ともかくこれで、時間が来たから法案を通してくださいということでは、実はこれからの日本の民主主義のために私はプラスにはならない、そのときは抵抗野党として徹底的に論戦を引き続いていきたい、こういうことを申し述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  185. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 長い時間審議をされている中で、足切り条項の三%の問題についても、何度も私たちの方としては御答弁申し上げてまいりました。自民党さんの案にも三%の足切り条項はあるわけでございます。
  186. 石井一

    石井委員長 それでは、石原君の質疑を終わります。  次に、野田聖子君。
  187. 野田聖子

    野田(聖)委員 自由民主党の野田聖子でございます。  質問を始めるに先立ち、私は当選間もない議員ですので、前会期までの国会議論に加わっておりません。そのためいささか基本に立ち戻るやもしれません。また、最近の議論は内容も濃く、大変技術的でございまして、本来何のための政治改革かが置き去りにされているようにも思われます。同時に、国民の多くも、これらの法案の意図するところより、表面上の問題に振り回されているようにも思われます。  そこで、お尋ねします。  実は、総理にお尋ねしたかったのですが、きょうは御欠席なので、官房長官、政治改革の最大の目的について、いま一度御答弁をお願いいたします。
  188. 武村正義

    ○武村国務大臣 国民の皆さんの国政に対する不信を取り除くという言い方が一番簡明な答えになると思いますが、そのことによって、憲法で最も大事な役割を背負っております我が国の国会が、内外のさまざまな問題に対して今以上にてきぱきと国民期待にこたえて仕事ができる、そういう政治を目指していきたい、そう思っております。
  189. 野田聖子

    野田(聖)委員 ありがとうございました。  今の御答弁の中にも、国民政治に対する不満というか国政に対する不満、また実は十月十八日の総括質問のときにも細川総理自身、政治改革を進めることにより、国民政治に対する信頼を回復するという御答弁をなさっておられます。しかし私は、このたびの政治不信は、政治信頼されなくなったというよりは、政治家信頼されなくなった状況にほかならないのではと思っております。そして、この信頼されない政治家の多くが選挙により有権者の手で選出された人間であると考えるとき、選挙そのもののあり方に問題があると思うんですが、いかがでしょうか。
  190. 武村正義

    ○武村国務大臣 そう思います。  いろいろ私どももここ数年来議論を重ねてまいりました。これは与野党ある意味では共通の認識でもありますが、信頼を欠いてしまった国会というのは、これまたいろんな見方がありますけれどもスキャンダルが起こらない政治にすればいいのか、いや、それだけではだめだ、国会のやはり日々の動き、具体的な仕組みも含めた全体の状況をわかりやすい形で、国民の日々テレビに映る、茶の間に映るテレビの画面でがらりと変えてほしい、こういう言い方もできるわけであります。  その後者の言い方を強調しますと、私も含めて現職の国会議員が全部消えてくださいと、全く新しい人にかわってくださいということにも一番極端な場合はとれなくもないわけでありまして、そんな意味で、大変深い不信をもう理屈を超えて国民の皆さんに与えてしまった。そのことを率直に反省をしながら我々がどう出直すか、その議論の中で、これは大変幅が広いし奥が深い問題でありますが、やはり選挙制度改革がど真ん中にあるなど。  選挙制度だけ変えれば政治がよくなるとは思いません。でも、腐敗防止の中に、この中選挙区制といいますか、制度疲労を起こし、同士打ちを強い、そのために多額の金の矛盾にもかかわっていかざるを得ない今の選挙制度そのものにも思い切ったメスを入れる必要がある、こう私は思ってまいりました。  午前中の答弁で、家に例えましたけれども、この中選挙区制という家は七十年たって大変古くなりました。ちょっぴり疲れてきた。雨が降れば水が漏れるし、風が吹けばすき間風でひゅんひゅん北風が入ってくるし、床も柱も壁も大分壊れてまいりました。これで、やはりなれ親しんだ選挙制度、家はそうかえたくない。もう一遍改修をして、補強をしてやろうじゃないかという人もおられます。しかし、この際思い切ってもう建てかえよう、これが選挙制度改革ではないか。  その場合、単純小選挙区がいいというのを例えば純和風の建物にしようという主張としますと、比例制というのは純洋風でいこう。しかし、なかなかこれは合わないものですから、和洋折衷の並立制というところに今焦点が来ていると、私はそんなふうに思っております。
  191. 野田聖子

    野田(聖)委員 非常にわかりやすい御説明でありがたいんですけれども、私は、今までの選挙に対しての有権者とまた候補者考え方が、政治ということよりもむしろ選挙の場の勝ち負けに非常にこだわり過ぎているんじゃないかやはりそういう雰囲気が国全体に広がっているんじゃないかということに問題点があると思っているんです。  というのは、例えば、選挙前になりますと、各週刊誌等が当落予想表というのを出されるんです。これは要するに国民の幸せや平和や安全を守るべき国会議員になろうとする人たちを一覧表にしまして、それぞれ本命とか大穴とか、そうやって、どういうリサーチをされてかわかりませんけれども、私たちはさながら日本ダービーに出る出走馬のようなことが出て、それをまた皆さんも、国会議員も含めてですけれども、必ず目を通されている。そこには政策は介在しなくて、単に勝ち負けだけをその選挙の中で問うている。  また、同様に、今も法案の審議がされている最中でありながら、区割りがまことしやかにマスコミによって、勝手にと言ったら失礼な言い方ですけれども、何も決まってない中でああいう区割りを新聞が発表して、そしてここにはだれが行くとか。要するに、政策云々よりも勝ち負けが選挙のすべてだというようなあり方が国、国民、そしてそういう報道機関を通じて蔓延しているんじゃないか。それを改善することが政治改革なんじゃないかと思っているんです。  もちろん私たちにも責任があります。私たち議員の日々の政治活動も、国民の人たちにそうした、もう最終的には勝てばいいんだという一般像を浸透させている責任もやはり認めなきゃいけないと思っています。  例えば、国会議員になりまして、いろいろ委員会とか本会議に出席さしていただくんですけれども、非常にその出席率が悪いということに驚いております。これはもちろんいろいろなやむをえない事情での御欠席もあると思うんですけれども、やはり口々に国会よりも地元の方が大切だということを懇切丁寧に教えてくださる先輩議員もおられるわけで、これは別に与野党を問わずの姿勢だと私は思っているんです。  そしてまた、国民の側でも、当選するとうちの議員はあいさつに来なくなったというような、そういう声は議員本来の仕事、ここでの審議とかそういうことなんですけれども、そういうことはさておいて、地元に姿を出すことに議員を駆り立ててしまうというのが現実だと思うんです。  そこで、今ちょうど本当に政治が最悪の段階に来ているとするならば、それを変えていくのが、選挙の勝敗のみにこだわらずやっていくのが本来の政治改革だと思うんですけれども、それについてのお考えはいかがでしょうか。
  192. 武村正義

    ○武村国務大臣 確かにおっしゃるとおり、勝ち負けがすべてであるかのような選挙になっていることは否めません。確かに選挙も戦場でありますから、そこで勝つか負けるかがすべてといえばすべてであります。政治家は落ちたらただの人という言葉がありますが、私はこれからは、落ちても政治家政治家だ、政治を一たん志した人は政治家だとむしろ言いたい。今落ちても次は必ず上がる、また上がる可能性があるという意味で、落ちたらただの人という言葉はもう返上していい時期に、この制度改革によってしていきたいと思っております。  ただ、勝敗がすべてとおっしゃる野田さんの表現は大変フレッシュに聞こえましたが、私どもは、今まで個人中心選挙であった、個人本位の選挙であった、その反省から、今度は政策政党中心選挙に変えていこうじゃないか、これが小選挙区制であり比例代表制の提唱であったと思っております。  ただ、それでもいろいろ議論を深めていきますと、小選挙区制が本当に政策本位になるんだろうか、金がかからなくなるだろうか、ひょっとしたらもっと個人単位のどろどろした選挙になるんじゃないかという御批判というか御懸念もあるわけで、私もそれは絶対ないとは言えません。そうならないように、制度を変えると同時に、ありとあらゆる努力を私どもがしていかなければいけないというふうに思っております。
  193. 野田聖子

    野田(聖)委員 そこで、さきの八月の所信表明の中で、細川総理は「国民、有権者の皆様方にも、いわゆる金権選挙や利権政治を根絶する決意をお持ちいただかなければ、政治改革を真に成功に導くことは困難であろうと思っております。」ということをおっしゃっていますが、今ここで行われているのはむしろ私たち側の、政治家候補者側のいろいろな手だてでありまして、受け手である、まあ選挙というのは双方相まって成立するわけで、その受け手である有権者の方には、具体的には何をもうしてくれるな、何をこれからしてほしいんだということをお考えでしょうか、教えてください。
  194. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 大変政治の現実の問題点を的確に御指摘した御質問であると思って承っておったところですが、実は政治改革の問題に取り組みまして、かつて選挙のときには私は野党の立場でその問題をアピールしておりましたが、政治改革を行うということは選挙制度の問題一つではない、全体としての政治改革だということで、政治家の倫理の問題、政治資金の問題、国会改革の問題、そして党の改革の問題等も訴えて、政治風土を変えることなんだ、こういう言い方をしてまいりました。やはり政治風土、政治文化を大きく変えていくということについての政治家の自覚と責任ということがなければならないのじゃなかろうかと思っています。  今お話しのとおり、政治家だけじゃなくて、受け手、送り手、その意味におきましては有権者の皆さんの御理解もということでしたけれども政治家がしゃんとしなければ、どんなに説明したってまゆにつばつけてしかごらんになっていただけないわけでありまして、その意味におきましては、政治倫理を確立して、しゃんとした姿勢を企業・団体献金禁止などの問題についても示していく。そうした中で、国民の皆さんに、新しい政策中心選挙を行っていくということについての政治家政党の新しい政治風土をつくっていく、こうした姿勢というものが見えてこなければ、国民の皆さんはやはり理解してくださらないのではなかろうか、こう思っているところでございます。  また、かつて、選挙中の記憶ですけれども、そうした日本政治を変えることについては政党の役割ではない、国民の皆さんと共同の作業でやりたい、こういうことを一生懸命訴えておったことも記憶しておりますけれども、まさにその意味におきましては、共同で新しい望まれる政治風土をつくるための土台をつくるのが今回の政府の提案、四法全体の中身である、こういうように考えております。  一言つけ加えますと、まだまだ不十分な点はあると思っています。今回は、まさに骨格をきちんと打ち出してスタートの土台をつくるということでありまして、また、今後新しいテーマについて、これまで腐敗防止の問題その他も幾つか提案もあるわけでありますけれども、改めて今度の法案の後も幾つかのテーマについてはまだ議論が行われるものではなかろうかと思っております。  そういうことを含めて、まさに個人中心の、地盤培養型のそういう政治風土を変えていく、こういうことを心がけなければならないのではなかろうか、こう思っているところでございます。
  195. 野田聖子

    野田(聖)委員 今の大臣の御答弁は、むしろ私たちが今一生懸命頑張って、その土台ができたところで国民皆様にというようなニュアンスにとれたのですけれども、だんだん審議が進むにつれて、国民議論をしている議員との間が広まっていってしまっているような、もっと本当に情報が国民の皆さんに逐次わかりやすく行くような手だてはないんだろうかなということを常々考えているわけで、これは本当に政治家だけが考えてはいけない問題で、やはり国民の皆さんがやる気になってくれなければ、やはりそういう政策本位、政党本位で選ぼうという気になってくださらなければ、本当に回っていかないのじゃないかという大変な不安があります。そういう意味で、やはり公聴会なりはしっかりと納得いくまで開催していただきまして、広く多くの声を集約していただきたいなとお願いする次第です。  次の質問に入りますけれども、私は、自民党の一人として申し上げるならば、小選挙区制というのは賛成なんです。なぜならば、小選挙区制になれば、私が一番嫌だったのはやはり選挙区内での同士打ちなんです。政策の違いがありませんからやはり戦いようがないわけで、非常に女性としても苦労しましたし、泣いたこともございます。そういう意味ではいいなとは思っているのですけれども、これ、中選挙区と同様、やはり小選挙区にも多くの死に票が出るということが今問題になっています。  そこで、自民党が提案された小選挙比例代表並立制というのは、要するに小選挙区ではくみ取ることのできなかった広範な民意を取り上げていこうということで比例代表制を補完しているというふうに理解しているのですけれども、私としては、まだそれとて完璧な装置だとは思えないのです。また、昨今は残念ながら投票率の低下もいろいろあるわけで、小選挙区と似たような選挙では、今では各知事選、市長選なんかがそれに近いのかもしれませんが、そこにおいても最近非常に投票率の低下が目立っています。  そこで、それを補う、補完するにはもうそれ以上の手だてがないのか、何もお考えがないのか、ちょっとお尋ねしたいのですけれども
  196. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 投票率低下の問題につきましては、まさにそこに国民の皆さんの政治不信が象徴されておった、こういう受けとめ方をだれもがしておったのではなかろうかと思います。  ただ、小選挙区制だと一人で争うから、例えば知事選挙、市長選挙と同じようにと、こういう御質問だったと思うのですが、確かにそこでは大統領選挙型の一対一、一人を選ぶということですけれども、今回は同時に二百五十の並立ということもあり、そこでは全国的に票をとらなければ政党としても議員を送り出すことができない。そして、有権者の皆様にも名簿と、そこで顔、順番なども知っていただいて、政党選挙も行われるわけでありますから、単に小選挙区だけですと、御指摘のような、例えば無競争はあるのじゃなかろうかというようなことはなくなってまいりますから、そこでの有権者の皆さんの関心、投票率に結びつくところもあるのではなかろうかと思いますし、同時に、単なる中選挙区の中の同士打ち型だけではなく、政策を争う、そして全国規模で政策を争うということになりますと、従来の低投票率を乗り越える条件というものはつくっていくことができるのではなかろうか。もちろんこれは制度がつくるのではなくて、そうした有権者の皆さんの関心を寄せていただくだけの政党の活動が前提であるということは当然ですけれども制度的にも、単純小選挙区制とは違った有権者の皆様の関心と全国的規模で投票率を上げるという、そうした仕組みはでき上がっているのではなかろうか、こう思っております。
  197. 野田聖子

    野田(聖)委員 ちょっとわかったようなわからないような御答弁なんですけれども、済みません、私がまだ勉強不足なんで。  では、仮に、たった今、連立与党の候補者自民党候補者選挙に出たとして、そこの政策の違いを、例えば具体的にこういうことで戦いますというのがあれば教えていただきたいのですけれども。今まさに選挙が行われるとして一ちょっと済みません、そうしたら官房長官にどうしても聞きたい質問がありますので、前後させていただいていいでしょうか。  新しい政治改革に伴う制度についてさまざまな疑問がある中で、小選挙区になるということは、先ほど申し上げた、自民党では同士打ちがなくなるというメリットがあるのですけれども、その反面、一選挙区一人の候補者に集約しなければいけないということになってくるわけで、その候補者というのは、やはり各政党勝たせたいという候補者になると思うのですけれども、官房長官、小選挙区になったときに、各政党、各選挙区、各一人の候補者を選定するに当たって、勝てる、強い、優秀など言われる候補者の擁立が望まれてまいるわけですけれども、どういう方をイメージされておられますか。
  198. 武村正義

    ○武村国務大臣 率直に言って私の党もまだそこまで頭がいっていないのでありますが、一般論で言えることは、先ほど申し上げたように、個人中心から政党にシフトすると期待をしているわけですが、個人中心ということは、特に自民党の場合なんかは、私も最初は無所属で出ましたが、無所属で、もう党の全く了解なしに飛び出す、そして上がったら公認してもらう、こういうことですから、まさにもう出るときから自民党の場合は個人中心というか個人本位でした。それがまた自民党の活力でもあったわけであります。  今度は党で一人しか立てませんから、むしろ無所属で出ればこれを厳しく除名するとか抑えることになっていきます。すると、党が主体性を持つ分だけ、今度は本当に、出たい人よりも出したい、すぐれた立派な人を各党が選ぶようになっていくだろう。  したがって、本当は、きょうの後の質問にもございました女性の問題も、比例区においては当然党が中心に決めていきますから、惜敗率で、重複立候補で小選挙区に出ていなければだめですけれども、その上に、例えば自民党は三十人比例オンリーで、優先で、一番から三十番まで立派な人を選ぶとされますと、その中にレーティングでも何でも決めて、五人は女性だと、十人でもいいのですが、そういうふうに決めることができます。私どもの小さな政党でも、小さいなりに、一割か二割は女性を選ぼうと。比例の場合はそれが党でもう決められますし、小選挙区でも、今までよりは党が主体で決めますから、中選挙区制に比べればかなり女性が進出しやすい条件になると私は思っております。
  199. 野田聖子

    野田(聖)委員 どうぞ、いろいろまだあるのですけれども。  これは私自身の経験なのですが、御承知のように自民党はこの十二年、衆議院議員、女性一人もございませんでした。その一つには選挙のやり方、今お帰りになった官房長官がいみじくも新聞のインタビューで、今までの選挙は「女性の立候補者が少ないんですね。金がかかり、情実がからむ」というようなことをおっしゃっているのですけれども、ようやく自民党でも二人いるわけですが、私の場合ですと中選挙区だから当選できたんじゃないかという部分もあるわけです。  私の選挙区は岐阜一区でして、その定数は五人です。そうなりますと、当然、自民党複数出せるわけで、そこで、まあすべてではないのですけれども、一人ぐらい女性がいてもいいんじゃないかという考えは必ずあったと思うわけなのです。でも、小選挙区になりますと、やはりどうしても勝たなきゃいけない、たった一人だから負けるわけにはいかないということになると、そういう意味で女性がはじかれてしまうのじゃないか。  だから、先ほどの官房長官の御答弁はいささかちょっと疑問を感じるところなのですけれども、むしろ、今細川総理というのは、生活者重視だ、そういう中で生活の真の担い手である女性が政治に数多く参画しなきゃいけないということをおっしゃっておられるのですけれども、ここで質問させていただきたいのですが、社会党、公明党、日本新党というのは、その党の公約に男女共同型ということで、クオータ制導入とあります。ここで、実は自民党の各議員はこのクオータ制のことを御存じない方が多いので、山花大臣、ちょっとクオータ制の御説明をお願いします。
  200. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 かつて党の委員長だったという立場で若干御説明させていただき、また、後段にありました選挙における女性候補に対する態度につきましては、自治大臣が選対もずっと仕切っておりましたので、もし足らなければ補足していただきたいと思います。  社会党としては従来から、従来からというよりも最近の方向として、組織論としても、三本の柱、女性と市民と勤労者によって党をつくっていこう、これを基本にいたしまして運動方針もつくってまいりました。  クオータ制度、一定の割合の女性をさまざまな機関にも参画していただかなければいけないということにつきまして、最近の例えば市民の皆さんに配っている我々の方向、方針としましては、ある程度年度目標を決めまして、クオータ制の実現というのを党はこうやっていこうということなわけですが、例えば「二〇〇〇年までに男女の均衡ある代表率によって議会も党も運営することを基本目標にということで、「国や自治体議員の立候補にあたっても特別措置を講じて、積極的な参加のシステムを整備します。」こういう形で基本的な方針というものを決めているわけであります。  まだまだ少ないのです、党の機関でも。ただ、委員長も女性が誕生しましたし、副委員長も常に女性がおりますし、副書記長もあるいは執行委員等についても、女性が公式の機関ということに参画をするということにできる限り努力をしておりますが、議員につきましては、国会を含めて、まだまだ少ないのではなかろうかと思って、今御紹介しましたような特別措置を講ずる、こういうことについて行ってきているところでございます。  女性と青年、若者とそれから新人などについては、資金対策を含めあるいは候補の応援の体制を含めかなり努力をしてきたのがこれまででございますけれども、それでもなお大変まだ不足しているということについては、党としても考えてくる中で、これからまた党の今日の執行体制の中でこの進める努力は続けていくものと、こういうように考えております。
  201. 野田聖子

    野田(聖)委員 恐らく今の御説明でクオータ制が何かと御理解いただけたと思うのですけれども、社会党の政策の中では「政策・方針決定への女性の参画」、つまり「政策・方針決定」というのは、やはり国会議員であり、各種議員の中にクオータ制を導入するということは、女性の議員をとにかくふやしていくんだということを積極的に――ただ、これ、言うばっかりではどうにもならなくて、今、穏健な多党制というのは、内閣政党意見が食い違ってもいいような、ちょっとあいまいな感じなんですけれども、こういう公約というのはぜひ守っていただき、かつ実行していただく。要するに、法の中に取り入れていただかなければ、本当にこれは女性をうたい文句で踊らせるだけで、非常に残念なことだと思うのです。  広中長官、大変忙しいところ済みません。細川総理は女性閣僚が一つの目玉でありまして、長官自身女性議員立場で、まだまだ私たち、党を超えて、非常に女性の数は少ないことを理解していただけると思うのですけれども、公明党ということでもなく、やはりこのことについて前向きに閣僚の一人としてひとつ政治改革の中に盛り込んでいくというお気持ちはございますでしょうか、積極的に与党の一人として、閣僚の一人として。  政治改革というのは、口で言うのは易しいのですけれども改革というのは本当に大変なことだと思うのです。その中に私たち女性がしっかりと根づくような改革案というのも入れていただきたいなというのが私の願いなんですけれども、いかがでしょうか。
  202. 広中和歌子

    ○広中国務大臣 一人の女性として、一人の女性の政治家として、今、野田委員が御指摘になりました点、大変に重要な問題だというふうに私は受けとめます。そして、公的機関あるいは政治の機関におきまして、その意思決定、政策決定の場により多くの女性が入ってくること、それは非常に好ましいことだと思っております。特にこれから高齢社会を迎え、男女共生型の社会をつくっていくという点におきまして、やはり女性がたくさん参加することは好ましい。  しかし、これを法的なことでやるかどうかつまり、一定の割合を義務づけるといったようなことが果たしていいことかどうかということに関しては、私はまだはっきりとした考えを持っているわけではございません。いろいろなやり方があると思います。もっと社会全体の意識を高めていく、あるいは教育、そして、何というのでしょうか、女性差別撤廃条約といったような法律もあるかもしれませんけれども、いろいろなそうした取り組みの中で女性の政治への参加者がふえるということ。  そしてまた、政党といたしましても、それぞれの政党が女性を人材として認め、そして女性がそうした政治に参加することの大切さを認めて、そういう女性の候補も男性の候補と同様に、同じように差別することなく扱っていただく、そういうことがこれからの政党に望まれるのではないか、そのように思います。
  203. 野田聖子

    野田(聖)委員 どうもありがとうございました。ぜひ前向きにこのことは考えていただきたいと思います。  そこで、女性に苦手な自民党にお尋ねいたします。  実は、各党の政策を見てみますと、今申し上げたとおり、社会党、公明党、日本新党というのは「クオータ制」としっかりと記されているのですね。ところが、自由民主党はクオータ制すらまだ御認識のない議員が多いわけで、確かに十二年女性がそばにいなかったという弊害もあるわけなんですけれども、今、山花大臣初め与党の大臣からの御答弁の中で、自民党としては政治改革一つとしてどうお考えでしょうか御答弁をお願いします。
  204. 保岡興治

    保岡議員 野田委員が御指摘のように、十三年我が党には衆議院に女性議員がおられませんでした。参議院はおられますが、衆議院にはおられませんでした。そんなことで、これからは、「政治改革大網」にも、やはり有能な政治的な識見や素養を持っておられる女性の方にもっともっと政治に参加していただくということで、女性参加の機会をできるだけふやしていこうということを定めて、もう四年たっております。ですから、クオータ制というようなものを法的に今義務づけるような方法がすぐにいいかどうかは別として、我が党も、やはり社会は男女で成り立っているわけでありますし、やはり政治も女性が一緒になってやるということは非常に人間性に満ちた政治ができるように私も思います。  ですから、これから自由民主党も女性参加の機会をできるだけ得るように努力したいと思いますが、新しい小選挙比例代表並立制の中でも、私は、先ほど野田委員のいろいろ御意見もありましたが、中選挙区はやはり地方のボスとか官僚とかあるいは二世とか、そういった特定な人たちが政治家の供給源になるという、これは中選挙区の弊害の中からの制約として、一つの特色として最近の傾向になってきているということがありました。  ですから、全く新しい政党政治を確立するために根底から政治を変えていこうというので小選挙区を基本とする新しい制度に移行しようとしているわけですから、その中で、私は、小選挙区制の中でも、党の組織で、党でいろいろ政治を決めて、そのことを有権者に判断を求めるということがよりできる制度でございますから、小選挙区の候補者にしても比例の候補者にしても、女性をできるだけ候補者に取り入れるということで、やはり国民の支持を得るという努力政党としても非常に強くなってくるだろうと思っております。
  205. 野田聖子

    野田(聖)委員 どうもありがとうございました。くれぐれもその点の御配慮、なぜならば、やはり自由民主党も、いろいろ言われる中で、女性の声が集約しづらい部分があったんじゃないかと思っていますので。  それで、このクオータ制の導入について、法律化するのは難しいかもしれないけれども、せめて、公約の一つとされておられますので、次回のときには必ずそういうことが社会党としてお約束していただけるかどうかお尋ねしたいんですが。
  206. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 政府としてということでございまして、まだ私、女性担当ではないものですから、女性担当大臣がいらっしゃるわけでございますので、それを越えてはいけませんけれども、先ほど広中大臣からもお話がございましたように、全部一律、数字一律をもってやることが果たしていいことかどうかということは、いろいろと行政というベースでいえばあろうかと思います。  ただ、私から言わしめれば、天の半分を支えているのは女性でありますから、やはりできる限り、今促進をしておりますけれども、審議会や、あらゆるそういう意見なりあるいは政策決定の場に女性が出てきていただく、女性のそういう意味での社会進出というのは、私個人としては大賛成でございます。  今、選挙制度との兼ね合いについて野田委員触れられましたけれども、これはいわばその政党の体質にかかわる問題だと私は率直に思っているのであります。  我が党のことでいえば、女性というのは全く男と対等だという基本的なところにあるわけでございまして、政党によっては、女性は家庭に入るべきだと思っていらっしゃる政党もあるようであります、ところによりましてはあるようでございますし、いや、女性は何でも物を聞きやすいからそれの方がいいんだと思っていらっしゃるそういう政党もあるやに、私のこの政界におるところでいろいろ聞いておりますが、やはり基本的に私は女性の、先ほど広中先生も言われましたが、人材ということで本当に認めるかどうかという、その党の体質というものが選挙の中では一番大事になってくるんじゃないかと思います。  私も、選対委員長当時に、土井委員長時代でございましたけれども、かねと太鼓をたたいて女性候補を探し回り、今、若干女性の方には、助成金というと笑いが出ると思いますが、要するに幾らかでも選挙費用を中央が持つというようなこともしておるわけでございまして、基本的には、私は、今野田委員の言われている、指摘の問題というのは、選挙政党ということからいえば、どういうふうに女性というものを位置づけるかということにかなり、その党の体質にもかなりよってくるのではないかと思います。
  207. 野田聖子

    野田(聖)委員 実は、細川内閣の支持率が史上最高だというふうに言われていて、その中身を調べてみますと、女性の支持率が男性の支持率を上回っているそうなんです。これは今までの自民党の歴代の内閣にはなかったことで、やはり細川内閣に思いを寄せる女性の期待というのは大きなものがあると思うんですね。  それともう一つは、女性の人材云々もありますけれども、やはりエリートでなければ政治家になれないとか、優秀でなければ、だれよりも働かなければ政治家になれないという感じも大切ですけれども、やはり普通の感覚を持ち、なおかつ、政策中心であるならば、そんなにすばらしい女性じゃなくても、例えば東京大学を出ていなくても、政策をきちんと理解し、そして一生懸命国会議員として働く人間であれば、男女別なくいいんじゃないかと思っているんです。必ず人材云々でそれなりというんですけれども、そう肩に力を張らずに、普通の女性が政策をもとに出てくるんだったら逆に人物本位じゃなくなるわけですから、人材云々というのは逆に矛盾してくるんじゃないかと思ってしまうんです。  ちなみに、今、女性の投票率というのはずっと男性を上回っているわけですよね。女性の有権者は二百八十万人も多いそうなんです。やはり世論というのかな、それを代議する代議制のこの国会にもう少しいてもいいんじゃないかということを感じているんですが、コメントがございましたら。
  208. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 結論的には大賛成でございます。有権者の半分よりちょっと超しておると思いますが、女性の方が多いわけでありまして、男女でこの日本の社会は成り立っているわけでありますから、もっともっと本当は私も女性が出てきていただいていいと思います。  ただ、先ほど人材と申しましたのは、学歴とかなんとかという問題ではなくて、女性だときれいだから、票が集まるからというそういう位置づけというのは人材ということではないことでありまして、そういう女性の扱い方というのではいけないという意味に私は今人材という言葉を使ったわけでございまして、今、野田さん言われましたように、トータルに、意欲とそしていろいろな考えを持っていらっしゃる方がどんどん社会的に進出してくださる、また、政府としてもどんどん出てきてもらえるような環境づくりを、女性担当大臣がわざわざ置いてあるわけでありますから、きょうの審議も十分お伝えをして、なお一層していきたいと思っております。
  209. 野田聖子

    野田(聖)委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。  自民党の方からもぜひコメントをお願いします。
  210. 津島雄二

    津島議員 野田委員指摘のとおり、有権者はずっと女性の方が多い。それから、もっと大事なことは、今の我が国の所得水準から申しますと、一番大きい問題というのは、生産ということよりもやはり生活だ、これは今の内閣指摘しているとおりでございます。おまけに、日本の社会の最大の問題が高齢化と少子、子供さんが少ない。これはやはり女性の格別な理解と御協力がなければ乗り切っていけない問題であるということからいえば、女性の参加が私は日本政治の成否を決めると思っております。  今まで自民党で割と衆議院議員に女性が少なかったというのは、要するに中選挙区制で争う方を担当していたものですから、自民党の場合には一人だけ出すというわけにいきませんから、これは非常な障害になっていたと思うんですね。その裏になっているのが、参議院では既に、看護婦さんの代表であるとか、あるいは福祉の代表であるとか、それから体操のあれの方であるとか、歌のうまい方であるとか、いろいろ多彩な人材が御活躍になっておるわけであります。  そこで、野田委員御承知のとおり、自民党でも今党改革をやっておりますね。その中で、女性問題というのは、女性と言っちゃいけないんだそうですけれども、非常に大きな検討課題になっている。そういうことの中から、先ほど保岡委員が答弁いたしましたように、新しい選挙制度というのは、自民党がやはり今の社会の要請にこたえて、もっと女性に出ていただくということに非常に好都合な制度改正になるんではないだろうかと私は思っております。
  211. 野田聖子

    野田(聖)委員 ありがとうございました。  この件に関しては、与野党とも意見が一致しているようなので、まず最初に具体的に話をお詰めいただきまして、二十一世紀に向けての先ほどの問題、少子の問題、やはり女性の声を直接聞く場をふやすということがこれからの政治改革にとても大切だと思いますので、よろしくお願いいたします。  時間が余りなくなってきたので、先ほどちょっと途中になってしまいました死に票についての補完の問題なんですけれども、先ほどは、十分捕手がされるという御答弁でございましたでしょうか。
  212. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 十分補完ということになりますと、やはり二百五十の小選挙区の部分におきましては一つの議席を争うわけでありますから、理屈の上では五十一と四十九なら四十九が死に票になる、そこだけではそうした問題点は出てまいります。しかし、同時に、小選挙区の結果はそうであったとしても、重複立候補という形で、また比例区の方の候補に、ほぼ政党型ということになれば、かなり異党派投票はあるかもしれませんけれども、かなり重なった形で票は行くのではないだろうか。  したがって、国会議員を送り出す手続につきましては、制度的に二つの制度を組み合わせたものとはなっておりますけれども、しかし、比例代表の票の方ではそうした、形の上では別であるとしても、かなりそこでの死に票と従来ならば考えられておった部分について救済をして、民意をそこから反映させるということは可能になってくるのではなかろうかと思っています。  残念ながら併用制とは形は違いましたけれども、並立制の場合でもそうした効果というものはあるのではなかろうかと思っているところでございます。
  213. 野田聖子

    野田(聖)委員 ありがとうございました。  ところが、もっと問題なのは、先ほども大臣おっしゃっていた穏健な多党制のもとにおいて、これは引用はどこからかちょっと教えていただきたいのですけれども、この穏健な多党制というのはどこから引用されているのか。
  214. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 私が読みましたのは、これは「現代政党学」、早稲田大学出版会の初版第一刷、G・サルトーリ著よりということで私読んで、整理をしてまいりましたけれども、さっきお話ししたような形で、穏健な多党制ということについては幾つかの整理の前提があるわけでありまして、ちょっと言葉だけは、三から五のと言われておりますけれども、しかし、全体の解説といたしましては細川総理がおっしゃったようなことで私はよろしいのではなかろうかと思いますし、また、私もそういう立場で御説明をさせていただいたところでございます。
  215. 野田聖子

    野田(聖)委員 実は私も、穏健な多党制についていろいろと調べて、全く同じ結果なんですけれども、もう少しつけ加えるならば、篠原という人が書いた「連合政治」の中に穏健な多党制というのが書かれておりました。そこでは、どういう政治体系かというと、ワイマール初期のドイツとか、フランス、北欧、オランダ、スイス、ベルギーのような国の政治である。その中には、イデオロギーの距離が少ないということで認められているのは、例えばワイマール初期のドイツでは、政党としての発言政権をとったとき、内閣での発言が必ずしも一致しなくてもよいということを国民が理解した上で成り立っているのが穏健な多党制というふうに理解しています。  ところが、今この日本においては、私たちはドイツ人じゃありませんので、そこまで有権者が納得するかどうか、そして逆にこういう相反することが続きますと、選挙時に公約したことと実際内閣に入ってやることが違うと、逆に有権者が次第に政治家とか候補者発言をストレートに受けとめてくれないのじゃないか、そういう懸念があるわけなんですが、それについてどう思われますか。
  216. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今の御紹介の中で、やはり穏健な多党制、連合政権的な政治システムになるということについては、これまた極めて一般的な考え方だと思っております。  ただ、そこで今の日本の現状ということで、現実政治の場で考えてみれば、スタートしたのは今回が本格的なものは初めてでありまして、その意味では、私が閣僚の立場で答弁させていただいても、連立政権、連合政権ということについて、例えば私の気持ちがなかなか伝わらないということで大変残念な気持ちも持っているところでございます。伝わらないというのは、まだまだ私自身が大変説明が未熟なのかもしれませんけれども、要するに日本においては三十八年間一党の政治が続いておった、政権交代がなかったということから、連合政権、連立政権について我々も未成熟だったんじゃないだろうか、こういうように思っているわけです。  かっても、かなり前に私たちは、社会党は、連合政権について他の野党の皆さんと合意文書をつくったり、あるいは先ほど来御説明させていただいているとおり、八九年には連合政権政策というもの、固有の政策とは違って、連合政権ならこうやっていきますよということについて発表させていただいたり、また、過日の選挙におきましても、そのことだけがテーマで選挙が続いたというのが私の当時の印象でありまして、努力はしましたけれども、まだ日本の社会全体が連立・連合政権という構造自体に未成熟である、こういう問題点があるんじゃなかろうかと思います。  したがって、今先生御質問のようなことは、現状では間々あることについては現実だと思っておりますけれども、これから細川政権がどういう形で合意をつくり、そして実行していくか、こういうことを見ていただく中でまた連立・連合政権についての御理解が深まるのではないか、こういうように期待もしているところでございます。
  217. 野田聖子

    野田(聖)委員 そういう過渡期にある日本政治において、やはり直接な民意を反映する補完の何か手だてが必要だと思うのですね。そこで私は、直接国民投票というか国民投票制というのを少しその補完の中に含めていただいたらありがたいんじゃないか。と申しますのは、結局、国民投票をすべてとするのではなくて、あくまでもスウェーデンのように補完の一つとして、今現時点国民がこのことについてどう思っているかどいうことを、やはり政治の場でも私たちは知っておく必要があるのではないかという気がしてならないのです。  ちなみに、今まで自民党政権においていろいろな法が決められていたのですけれども、消費税の導入については、反対が六五%の中で導入されてる。PKOも反対が三七%の中で派遣されている。そして政治改革も、新制度が必要と言いながら、この間廃案になってしまったという流れがありますし、やはりもう少し国民政治に近づいて、そしてより親密に理解してもらうためにも、そういう補完の形で、時折時折国の根幹にかかわるような、例えばこういう政治改革もその一つだと思うのですけれども、それを結論とせずに補完として聞いてみる必要はこれから出てくるのではないか。とりわけそういう時期にある移行期であるならばそういう必要性はあるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  218. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今回の提案の中には国民投票制度について入っておりませんし、また、その間の議論でも、実は議論のテーマにはなっておりませんでした。あくまでも骨格ということだったわけです。ただ、先生御指摘の問題について、閣僚としての立場でも私は検討すべき課題だ、こう思っております。  実は、この問題については、私も憲法の趣旨を踏まえて諮問的投票ということで創設の検討を提唱したことがございます。これは少し前の時期ですけれども、内外に発表したこともありますし、国会でこの問題について取り上げてもまいりました。過去において私の印象に残っておるところでは、六四年の憲法調査会における議論、また、七八年の矢野議員質問に対する福田総理及び内閣法制局長官の答弁などに私は大変問題点がよく出ておったのではないかと思っておりますけれども、私、今まで大変関心を持って勉強してまいりましたが、個人的には大変研究に値する制度だと思っております。  ちょっと考えると、ただ、私が出した当時は、議院内閣制をとっているのだけれども政権交代が全くないということの中で、国民主権は一体どうなるのか、そこでは国民の直接的な意思表示の機会というものの制度としてこういうものがあるんじゃないか、こういう理屈の組み立てをしておったわけですが、その辺一体どうなるのかということを含めて大変貴重な御提言だと思っておりますので、個人的にはまた勉強していきたい、こういう気持ちでおります。
  219. 野田聖子

    野田(聖)委員 それでは、自民党の提案者の方ではどういうふうにお考えでしょう。ちょっと……。
  220. 保岡興治

    保岡議員 国民投票については、今まで我が党でもいろいろ検討がされたかどうか、私はちょっと寡聞にして聞いておりませんが、国民投票で法的な拘束力を伴うような趣旨のものは、これは憲法上限定されて規定されているところですから、憲法改正をしないとできない。しかし、何か国民の意識調査みたいなことを国民投票でするということは可能性がないとは言えないと思うのですね。ただ、新しく今小選挙区比例代表並立という選挙制度のもとに、どうやって国民のニーズ、そういったものに政党中心になってこたえていくかという、そういう新しい試みにこれから挑戦していこうということでございます。  先ほど野田委員が具体的な、体験的な感想を前提にいろいろ政治を論じておられましたけれども、私は、やはり日本国民はどちらかというと政治はお上がやるものだという、そういう包括的にゆだねる傾向があるという感じを受けております。ですから、特定の団体や支持母体の要求を実現してほしいとか、あるいは地域や団体の要求を実現してほしいとか、そういう形の政治的要求に今までの国会議員はこたえてきたと思うのですね。  ところが、高齢化の問題にしても、出生率の低下の問題、その他いろいろな今日的課題の問題にしても、きちっとした政策を訴えるということがだんだん求められますし、それに対して国民もきちっとした判断をして、政党政治を生かしていくということが大事な時代に入ってきていると思うのですね。そういった意味で、この新しい選挙制度のもとに、新しいそういった国民の意識改革を伴うように政党政治家努力する、国民努力するということがまず最初になければならないと思っております。
  221. 野田聖子

    野田(聖)委員 時間もなくなってきましたので、ぜひ前向きな御検討をいただきたいと思います。  この件に関しましては、実は読売新聞に世論調査、これは世論調査と国民投票というのは必ずしも一緒でないので、決定的なことを言ってはいけないのですけれども、PKO、先ほど私が申し上げたとおり、決めるときには反対していた国民が、この六月の調査で、「国民の過半数は、過去一年間のPKO参加を「評価する」」とその世論調査で判断している。憲法改正問題についてはさらに顕著で、「憲法改正には、ずっと反対意見が強かったが、ことし三月調査で「改正する方がよい」五〇%、「改正しないほうがよい」三三%と逆転した。」とあるわけです。  この二つの調査結果、これはもう世論調査ですから国民投票とはちょっとあれが違うわけですけれども、「国民の意識が“永田町の常識”より、はるかにダイナミックに現実に対応していることを語っている。」とこの新聞では言っているわけで、確かにやはりこれからの政治というのは、政治家だけがこの中で考えていくんじゃなくて、国民も相まって、やはり一歩前に出て、直接行動を起こすことによって双方に改革していこうというのが本来の政治改革のあり方じゃないかなと私は信じております。  最後に、大変お忙しい中、久保田長官に来ていただきましたので、実は先ほど来、女性の政治参加の一つでクオータ制の導入を社会党を含め与党の各政党が言ってくださる、これは非常にうれしいことなんですが、ただ言っていただけるだけでは絵にかいたもちになります。女性閣僚のお一人として、やはり公約は守るべきもの、実行するべきものというお考えの上に立って、ちょっと御意見、コメントをいただきたいと思います。
  222. 久保田真苗

    ○久保田国務大臣 大変貴重な御質問、ありがたく思っております。  私、乏しい経験ではございますけれども、女性には二つの席がございます。そして、それは新人、新しく政治参加する層の問題でもあると思いますが、一つの席は当選して議席を得るということです。もう一つの席は候補者になるということなんです。そして、今回ございます小選挙区制、それから比例制、このどちらについても、勝ち得るところの候補者になるということが一つ大きい問題でございます。そして、私どもは幸い女性党首時代がございまして、そのときに大分大きく進歩いたしました。  しかし、今回もし小選挙区制がこの形でとられるならば、それは定着したときに非常に新人が出にくいという側面を持っておりますので、初回から女性をあるいは新しく参加する層を候補者にしていくということがどの党にとっても非常に大事だと思っております。比例代表制の場合は、私ども半ばクオータ制をとっておりますから、例えば男女男女男女とやってほしいと言いましたけれども、男男女、男男男男女というぐあいですけれども、しかし、その精神は酌んでもらっておりまして、前回は比例代表制で六人当選させることができました。  ただ、これは政党がどのように決心するか方針を持つかということがまさにポイントでございまして、現存する女性議員が一緒になってこのことを政党に働きかけていく、あるいは地域に女性選対をつくって、地域地域でこれを対応させていくという、そういう場面が必要だろうと思っております。
  223. 野田聖子

    野田(聖)委員 大変力強い御答弁を賜りまして、私も勇気が出てまいりました。  いずれにしましても、政治改革というのは、ただ技術的なことを問うのではなくて、やはり国民を含めたみんなが考えを変えていくことにあるのじゃないか。そのためには、できればわかりやすい、そしてなじみゃすい制度を定着させていただきたいものだと心から願ってやみません。  どうもありがとうございました。
  224. 石井一

    石井委員長 次に、東中光雄君。
  225. 東中光雄

    東中委員 企業・団体献金についてお聞きするのですが、法案は、この法律に定める政党以外の者、政党以外のすべての政治団体、政治家個人に対する企業・団体献金を禁止をして、政党以外の者は企業・団体に対して献金を要求することも、それから企業・団体から献金を受けることも犯罪だというふうになっておると思うのです。それで、どういう形で企業・団体献金の要求をするのかなと、私たちはやったことがありませんので。  最近の経験で見ますと、「平成五年三月吉日」ということで、日本新党代表細川護煕さん、ここから、「民主政治協会」「ご協力のお願い」という文書をどうも各企業に出されたようですね。それによりますと、本年度中に予想される衆議院選挙を前にして財政の強化を図りたい、だから民主政治協会、要するに日本新党の政治資金団体への献金をお願いしたい。それで、法人会費、年一口五十万円いただければ、一口ですよ、河口とは言っておりませんが、お願いしたい。これは結局、企業献金の要求ですね。  これは、日本新党はこの法律で言う政党でありますから、これ自体では別に犯罪ではないわけですが、ところが、この法律上政党にならない団体、例えば三%の得票率を得ていない、社民連はその得票率という点だけで言えば法律上の政党でない政党ですね、それがこういう文書を出した場合には犯罪になるということになるんじゃないかと思うのですが、担当大臣、いかがでしょうか。
  226. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 東中委員の整理の仕方からするならば、そういう面からお答えさしていただくと、犯罪になるということだと思います。
  227. 東中光雄

    東中委員 それが犯罪になるというのは、結局、企業。団体献金を小さな政党が要求をした場合には、政治資金の公正という法益を侵害することになるから犯罪として処罰する、こういう理論構成になるんじゃないですか。  この間私がお聞きしたときの答弁で、保護法益というのは政治資金の公正だということをおっしゃいました。今の例でいえば、小さい政党日本新党がやったと同じようなことをやったとしても、それは要求ですから、犯罪になる。その場合は、そういう要求したことが政治資金の公正という法益侵害があったからだ、こういうことになるんじゃございませんか。担当大臣にこの間の答弁とあわせてお聞きしたいのです。
  228. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 前回の答弁とあわせてということですけれども、ちょっと議事録がありませんので、正確を欠くといけませんので、改めてちょっと整理をしてお答えさしていただきたいと思いますけれども。  この企業・団体献金違反の場合の法益の問題につきましては、前回私は、質的なものをも含めて一緒に、急な御質問だったので、お答えしたような気もしております。今回の企業・団体献金の制限は、従来の量的規制の延長線上にあるものであり、したがってその保護法益は、政治資金の集め方に対する節度の保護、むしろこう申し上げた方が正確ではないか、こういうように思っております。  例えば、この質的制限違反の場合には、政治資金の公正を確保するということが保護法益としては強調さるべきだと思いますけれども、全体としての今回の制度で、企業・団体献金を禁止する、そして一定の資格を持つ政党以外の場合には企業・団体献金を受けてはならない、この分につきましてはやはり全体としてこの量的規制違反の延長線上の政策決定である、こう整理するのが正確ではなかろうかと思います。  したがって、今最終的な結論として、今の御質問に対してお答えいたしますと、この保護法益というものは政治資金の集め方に関する節度の確保である、こういうように考えております。
  229. 東中光雄

    東中委員 では、まあこの前の答弁を訂正されたことになると仮にしましょう。(山花国務大臣「整理したんです」と呼ぶ)整理じゃないでしょう。この前は保護法益の問題として答えたけれども、あれは間違っておりましたと言って、あなたの方が途中で政治資金の公正が法益ですと言って、私が何も聞いてないときにそういうふうに訂正されたでしょう。それがまた元へ戻るわけですからね。まあそれはいいです。私は速記を見て来ているんですから。  それはそうとして、集め方の問題だとおっしゃいました。小さい政党が要求をすると集め方の問題で節度を反することで犯罪になる、それで日本新党がやれば、それは法定要件でやっておるから、集め方としてはそれはいいんだ、こういう理屈ですか。
  230. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 私は政策判断だと申し上げたわけでありまして、例えば、同じようなぎりぎりのことで考えるならば、量的制限について、百円でも多く出せば処罰されるけれども、百円少なければ処罰されない、じゃ一体どこで線を引くかということにつきましては、政策判断の問題だと思っています。今回は全体を禁止しようという声もある。しかし、現実的なテーマとして、与野党の合意ということを考えれば、そして将来、五年後に見直すということなども含め、全体としてここまでということで線を引いたわけでありまして、政策判断の分かれ目がここにあるということですと、結論的には、先ほど申し上げたようなことについて、どの場面でも政策判断としてはあり得るのではなかろうかこういうように思いますけれども、いかがでしょうか。
  231. 東中光雄

    東中委員 全然問題のすりかえですから、今度はこう聞きましょう。  企業・団体献金の集め方については、この法律は一切規制をしていない。政党企業・団体献金を集めるについては、全く政党政治活動の自由として集められるんだというのがこの法律の建前だと思うのです。政党以外の者はだめだというようになっているのです。それで、企業献金政党が集めるのは方法に制限がないのですから、どういうふうに集めるんだろうと。  先ほど日本新党の話をしましたが、この「財界と政界再編への胎動」、毎日新聞政治部、経済部の出している、これは毎日新聞に載った記事が出ているわけですが、ここで「総選挙には三百億円必要だ」ということで、この文章をちょっと読んでみますが、  自民党幹事長、小沢一郎と、経団連会長(当時)、斎藤英四郎は九月二十一日朝、都内で極秘に会談した。  皇居に面した東京・丸の内の東京会館十一階の一室。  小沢、四十七歳。斎藤、七十七歳。親子ほども年の違う斎藤に、小沢は単刀直入に切り込んだ。  「次の総選挙で、自民党としては二百億ないし三百億円必要だ。ご協力を願いたい」  総選挙で通常必要とする資金の倍額近い。斎藤は戸惑いの表情を隠さなかった。  「随分多い。どうしてそんなにかかるのか」  「従来は、派閥や議員個人も資金を集めていたが、今度は、その分も含めて党が一手に集めなければならない」こういうふうに小沢さんが言うたと書いています。そして、  「ウーン」と腕組みをしたままの斎藤らに、小沢はたたみかけた。  「私は財界の世話になったことはない。だからこうして、無理なお願いもできる。これは幹事長としての職務上のお願いだ」そして、  「従来の(経団連の)やり方では、財界はこれ以上は無理かもしれない。しかし、関連会社まで広げれば、規正法の枠内でもまだまだ出せる。『法規制で出せない』というのはおかしい。子会社や系列会社は、ほとんど献金していないではないか」と小沢氏が言うたことになっている。  小沢は、この財界の献金ルールの変更を迫った。  「誠に失礼だが、例えば新日鉄グループは、現行規正法内で、今の十倍は出せる」  斎藤は新日鉄の名誉会長でもある。小沢は新日鉄グループの主な企業二十数社のリストをちらつかせた。そして次には、  「関連会社まで広げるというのは結構だと思うが、自民党も、われわれが協力できるように、政治改革をしっかりやってもらいたい」  この日は、小沢の気迫に押された形で、斎藤は「経団連ルール」の変更に協力的な姿勢を示した。  「経団連ばかりに頼ってはいられない」  小沢は、自動車、電機・電子、金融、建設などの業界団体に対して、直接、献金要請に乗り出した。自民党は「A級戦犯」とらく印を押した自動車、電機・電子業界にも献金要請額を示して十一月末までに納金するよう求めたという。こういう記事が出ているのです。  こんなものかなというふうに私は思いました。私は知りませんからね。これは実名で書いて、こういうふうにまた本にもなっているのですよ。  そういうふうな大政党が、それで政治資金を何億、何十億、何百億という単位で求めるということも、この法律でいけば、こういうやり方をやることはそのまま許される。小さいところが、社民運のようにまだ三%になってないという場合は、手紙で要求しただけでももう一年以下の禁錮という罪になるんだ。これはどう考えたって、あなたの今のやり方の献金の量的制限ということで、それが法益だとおっしゃることでは説明がつかないと思うんですが、こういうのはいいんですか。
  232. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今回の法律で、今お読みになったような事態が行われるのではないかという御質問につきましては、世の中の状況が違っているんじゃないでしょうか。これは企業側も、過日、経団連等の相談などが新聞に載っておりましたけれども、従来型のあっせん等についてはやらないというようなことについての相談があったことをマスコミ報道等で見ておりますけれども、これだけ企業・団体献金の問題が大きな議論となる中で、企業の側も企業の倫理ということをお考えになっておることは当然だと思います。  その御本にあったことについても、私もたしかその手のものは読んだことは記憶しておりますけれども、同じようなことが今度の法律で自由自在にやれるのではないかこういう御質問に対しては、今回はそうしたことに対する反省ということから企業・団体献金禁止に一歩踏み出そう、政策判断でここまで踏み出したということでありますから、全体の流れはそういう方向に行くことを期待しているものでございます。
  233. 東中光雄

    東中委員 あなたが期待されるのは勝手ですけれども、私が言うのは、今度の法律で、政党小沢さんがこういうふうにやったと言って公然と出されているような方法をとることは許されないということになるのかならないのかということを聞いているんです。やれるけれども、やろうと思ってもやれなくなってきた情勢だ、そんなことを聞いているんじゃないんです。あるいはやらぬようにするように期待する、そんなことを聞いているんじゃないんです。  これは、小沢さんがこういうのをやったと言われている、これは本当かどうか知りませんよ。しかし、こう言われているようなことをやれないように、あるいはそれを取り締まるように、あるいは禁止するようにというふうにこの法律でなっていますかということを聞いているんです。法律ではなっていないでしょう。
  234. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今御指摘の例だけではなく、恐らく、程度、規模等々は違っておっても、さまざまな形の資金集めというものはあったんだと思っています。政党だけではなく、派閥ということでそうしたこともあったんではなかろうかと思っておりますけれども、ただ今度は、一歩を政党以外の個人にはできないと踏み出した。踏み出すことによってよりやりやすくなったんでしょうか。そうじゃないんじゃないでしょうか。一歩踏み出した中で、さらに五年たったならば、全体、この廃止を含めて検討したい、こういうことになっているわけでありますから、そのおっしゃっている方向に向かって大きく踏み出しているということがこの法案の内容でありまして、逆行するものでは全くありません。  何か逆行するような御趣旨で御質問だとするならば、そうではない、そうした方向に向かって一歩進んでいこうとするのが今回の法案の中身である、こういうように報告させていただきます。
  235. 東中光雄

    東中委員 それはあなた、街頭演説ならそれでいいですけれどもね、そんなばかなことがありますか。この法律では政党については何にも制限していない、禁止していない。政党以外のというふうになっているから、これを認めることになるじゃないかということを言っているんです。あなたはそのことを認めながら、違う、問題をそらすような答弁をしている。甚だ遺憾だと思います。  それで、それじゃこう聞きましょう。羽田副総理にお伺いするんですが、「連立政権樹立に関する合意事項」というのが七月二十九日にありました。この間もちょっと聞きました。ここでは、連立政権は、公費助成等と一体となった企業・団体献金の廃止等の法案を本年中に成立させると書いてあったんです。だから、企業・団体献金の廃止の法案なんです。  ところが、法案提出というときになったら新生党が反対をして、政党に対する企業・団体献金の禁止はやめる、それは存続させるということを言われて今度の法案になったんだというふうに私たちはいろいろな情報から理解をしております。そうすると、結局、企業・団体献金の禁止から政党を外してしまうということによって、今までの小沢さんがやってきた、自民党幹事長としてやったことを今度は新生党代表幹事としてやれるように残した、こうしか思えないのですが、いかがでしょうか。
  236. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 これは、今、山花担当大臣の方からも御答弁されてこられておるわけですけれども、私どもは基本的に企業というのはやはり社会的な存在であるということをずっと申し上げてまいったわけでありまして、そういう議論というものを踏まえながら、各党の合意の中でそういったものがつくられたということでございます。
  237. 東中光雄

    東中委員 政権の合意、七月二十九日付の合意と違った状態になった。しかも、政党を除外することによって、今なかなか直接的に認めない、しかし、間接的には完全に認めている小沢さんのこういう集金、企業献金集めというのができる。しかもそれは政党でできるだけじゃなしに、三千を超す支部をつくってそこで皆できる、選挙区ごとに。ということになると、これはもうとんでもない企業・団体献金禁止規定だということを申し上げておきたいと思います。  それで、時間がじきになくなりますので申し上げますが、山花さん、政治資金というのは何ですか。
  238. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 広い意味ではまたもっともっといろいろな概念があるかもしれませんけれども、当面、国会法案提出ということを前提に置いて考えれば、日常の政治活動を含めての政党のさまざまな活動に要する資金である、こういうように理解をしております。
  239. 東中光雄

    東中委員 法律的には、政治資金規正法第二条、そして改正法では「基本理念等」と書いてあったのを「基本理念」、「等」が抜けた。それによりますと、「政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、」云々と書いています。政治資金は、民主政治の健全な発展を希求して拠出される国民の浄財であります。企業献金といいますのは、営利を目的とする会社の営業用の資金を政治活動に出すわけです。これを企業献金というわけです。  営利を目的とする会社の営業用の資金は、国民の浄財ですか。担当大臣の答弁を求めます。
  240. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 御趣旨がちょっと理解しかねたものですから、もう一遍お伺いさせてください。
  241. 東中光雄

    東中委員 会社が出す営業用の資金は、国民の浄財ですか。「国民の浄財」という言葉が法律上使ってある。その概念の中に会社の営業用の資金を出すことが含まれますか。全然違うじゃないですかと言っているのです。
  242. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 広く国民といった場合には、自然人もあり法人もありということで考えられると思います。そうした民主主義のコストとして、広くそうした税金、拠出していただいたものをもとにして助成法を考えるというのがこの立場でございます。  ただ、直接的に営業資金を何か流用するということになりますと、そこについては議論があるかと思いますけれども、ちょっとその点について御質問の趣旨をまだ正確に受けとめておらないかもしれません。もう少し御説明いただければと思います。
  243. 東中光雄

    東中委員 説明も何もないんですよ。「基本理念」に、「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」だと書いてあるのです。それで、企業献金というのは、会社は、法律上は企業という言葉を使っていませんね、「会社、労働組合、職員団体その他の団体」と書いてあるのですが、その「会社」というのは営利追求を目的とする、これは商法でも皆そういうふうになっていますわね。営利追求を目的とする会社が出すという金は、営業用の資金でしょう。会社という法人の営業用の資金ですよ。営業をやるのが会社の目的であり任務なのだから。それを出すということが国民の浄財と言えるか。企業も法人も国民である、あなた、法律家としてそんなことを言えますか。法人も人だというのは言えますよ。国民企業とまるきり概念が違うでしょう。天皇は国民じゃありませんよ。憲法上そうでしょう。政治資金は国民の浄財だというふうに法律で規定しているのです。そして、企業献金は、国民じゃない企業の営利目的の資金だということじゃないか。明らかに違うじゃありませんか。わかりませんか、まだ。
  244. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今委員は、政治資金規正法の第二条を引用されたのではなかろうかと思っております。私、政党助成法ということを念頭に置きまして少しお答えをいたしましたので、若干行き違いがあったかもしれません。  政党助成法におきましては、その国民の拠出していただいた税金によって、これを三百三十五円の割で充てる、こういうことでございますので、したがって、幅広く国民のということにつきましては、税金ですからさまざまな拠出の主体があるだろう、こういう意味でお答えをしたところでございます。  この第二条における国民の浄財であるということにつきましても、大変これは幅広い意味で言っているのじゃないでしょうか。したがって、確かに法人は自然人とは違う、この意味におきましては私の答弁が正確でなかったかもしれませんけれども、この広い意味で言っていることからするならば決して間違っているのではない、こう思いますけれども
  245. 東中光雄

    東中委員 「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」は、「浄財」の中に会社が営業用の金を出すことも含まれるのだ、営業資金を出すことも含まれるのだ、そういう珍説としてお聞きしておきましょう。  それでは、こう聞きましょう。自治省が出しているこの「政治資金規正法解説」、これによりますと、こういうふうに言っていますね。「政党その他の政治団体や公職の候補者に対する政治資金の拠出は、国民立場からすれば、国民政治参加の一つの手段でもあり、国民の権利でもあると考えられる。国民がその信念に基づいて浄財を拠出することはむしろ望ましいことであり、本来自由であるべき」である。十五ページにそう書いてあります。定義的なものですね。  ということは、政治献金の拠出というのは、国民がその浄財を出して政治参加するのだ。政党政治ですから、その政党を通じて政治参加するのだ。それは思想・良心の自由に従って選択をし、そして、参政権憲法の十五条で国民に保障されていますね、その参政権の行使として献金するのですよということを、国民の権利である、そして望ましい国民の自由に属することなのだと、政治資金の拠出は。これは自治省が言ってきたことなのです。  それが、営業用の資金で、参政権もなければ、企業としてその信念に基づいて金を出すというようなものじゃないでしょう、企業は。企業は、会社は営利追求が目的なのだから。政治的信念なんていうのが会社にあったら、それこそ政治団体になっちゃうのです。全然概念が違うのです。  こういう立場、こういう考え方は三木内閣のときに入ったのですよ。それまではなかったのです。そして、基本理念を個人献金に限る方向に向かっていこうということが出されたのが七五年の改正なのですよ。それを今度は全部もう取っ払ってしまうような、条文だけは残しておいて、実際には企業献金をどんどん拡大していく、こういうことをやろうとしているのですから、明らかにおかしいじゃありませんか。  自治省が出してきたこういう見解、そういうことについて、政治献金の拠出は国民政治参加の権利である、国民の自由である。だから、それに対して企業が入ってもいかぬし、そこから国家権力で、税金でその資金を出していくなんというのはもってのほかだというふうに思うのですが、いかがですか。
  246. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 冒頭、一言触れておきたいと思いますけれども、何か私の答弁の中で、営業用の利益献金することは浄財である、こう断定をされていると認める、こういうふうにおっしゃいましたけれども、私は、その営業用の利益ということだけでいいますと、流用されればそれはやはり浄財とは言えない部分はあるのじゃなかろうか、こう思います。したがって、そういう断定の仕方でされますと、私の真意に反するものであるということをつけ加えておきたいと思います。  第二番目に、今御質問ありました政治資金規正法につきましては、ここは今先生が指摘されたとおりの部分があると私は思っております。法文の附則におきまして、今御指摘いただきましたとおり、これは九条だったと思います。九条に、この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治献金のあり方についてさらに検討を加えるものとする、こういう検討条項が入っているわけでありまして、全体の選挙制度審議会の第一次、第二次そして第五次の答申などの流れに沿ったこの附則九条であった、こう記憶をしているところでございます。  こうした全体の法体系の中で、この基本理念の中につきましては、これはこうなったのだよという先生の御指摘については、そのとおりだと思っております。  ただ私、その自治省の本については、私は直接関与しておりませんので、その内容についてどうであるかということについては、私としては答弁は、もしまた勉強させていただくならばその本についてお答えさせていただきたいと思いますが、必要があれば、自治省ということですから、政府委員の方にそのことについて答えていただきたい、こういうように思います。
  247. 東中光雄

    東中委員 もう時間がなくなってしまいましたので、来てもらった人に聞くテーマへ入れなかったのですが、今の問題についていえば、自治省はそう言っている。要するに、政治資金の拠出というものについては、国民の側から見れば、それは国民の参政権なのだ、権利なのだということ。  そのことと、それは国民政治的に、思想・良心の自由、それから政治的信条に従って政党を通じてやっていく、それが政治資金の拠出なのだという、そういうものとしてきたということを担当大臣としてはお考えになるのかならぬのか、いや、そんなこと言っておっても違うというふうに言われるのかどうかということを聞いているのですよ。  だから、もう質問時間が来ていますので、そのことを聞いているのだということだけはっきりしておいて、私は、まだ聞きたいこと、それこそ二時間ほどあと時間をぜひ確保していただきますようにお願いをして、質問を終わります。
  248. 石井一

    石井委員長 次回は、明二十九日金曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散会