運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1993-10-26 第128回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十六日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 石井  一君    理事 大島 理森君 理事 北川 正恭君    理事 野田  毅君 理事 保岡 興治君    理事 左近 正男君 理事 前田 武志君    理事 権藤 恒夫君 理事 三原 朝彦君       石破  茂君    金田 英行君       斉藤斗志二君    笹川  堯君       自見庄三郎君    七条  明君       白川 勝彦君    津島 雄二君       西岡 武夫君    額賀福志郎君       葉梨 信行君    蓮実  進君       穂積 良行君    細田 博之君       増子 輝彦君    山本  拓君       山本 有二君    大畠 章宏君       川島  實君    小林  守君       堀込 征雄君    三野 優美君       大谷 忠雄君    岡田 克也君       広野ただし君    吹田  愰君       宮本 一三君    山本 幸三君       吉田 公一君    赤松 正雄君       太田 昭宏君    日笠 勝之君       東 順治君     前原 誠司君       茂木 敏充君    簗瀬  進君       川端 達夫君    柳田  稔君       正森 成二君    松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 羽田  孜君         郵 政 大 臣 神崎 武法君         建 設 大 臣 五十嵐広三君         自 治 大 臣 佐藤 観樹君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)武村 正義君         国 務 大 臣 山花 貞夫君  出席政府委員         国土庁地方振興         局長      秋本 敏文君         国税庁課税部長 若林 勝三君         郵政省放送行政         局長      江川 晃正君         建設省建設経済 小野 邦久君         自治政務次官  冬柴 鐵三君         自治大臣官房審 谷合 靖夫君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君  委員外出席者         議     員 伊吹 文明君         議     員 鹿野 道彦君         議     員 塩川正十郎君         議     員 額賀福志郎君         議     員 保岡 興治君         衆議院法制局第         一部長     内田 正文君         衆議院法制局第         一部副部長   臼井 貞夫君         衆議院法制局第         一部第一課長  小菅 修一君         自治省行政局選         挙部選挙課長  松尾 徹人君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       大竹 邦実君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ―――――――――――――  委員の異動 十月二十六日  辞任         補欠選任   白川 勝彦君     塩崎 恭久君   中川 秀直君     蓮実  進君   穂積 良行君     山本 有二君   細田 博之君     金田 英行君   増子 輝彦君     山本  拓君   大畠 章宏君     小林  守君   小沢 一郎君     宮本 一三君   日笠 勝之君     東  順治君   正森 成二君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     細田 博之君   塩崎 恭久君     白川 勝彦君   蓮実  進君     中川 秀直君   山本  拓君     増子 輝彦君   山本 有二君     七条  明君   小林  守君     川島  實君   宮本 一三君     広野ただし君   東  順治君     日笠 勝之君   松本 善明君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   七条  明君     穂積 良行君   川島  實君     大畠 章宏君   広野ただし君     吉田 公一君 同日  辞任         補欠選任   吉田 公一君     大谷 忠雄君 同日  辞任         補欠選任   大谷 忠雄君     山本 幸三君 同日  辞任         補欠選任   山本 幸三君     小沢 一郎君     ――――――――――――― 十月二十六日  小選挙制導入及び政党への公費助成反対に関  する請願古堅実吉紹介)(第三四五号)  同(穀田恵二紹介)(第四二五号)  同(佐々木陸海紹介)(第四二六号)  同(志位和夫紹介)(第四二七号)  同(古堅実吉紹介)(第四二八号)  小選挙区制の導入反対に関する請願不破哲三  君紹介)(第三四六号)  小選挙制反対に関する請願佐々木陸海君紹  介)(第三四七号)  同(不破哲三紹介)(第三四八号)  同(中島武敏紹介)(第四三二号)  同(佐々木陸海紹介)(第四七五号)  小選挙制導入反対企業団体献金即時禁  止に関する請願岩佐恵美紹介)(第三四九  号)  同(穀田恵二紹介)(第三五〇号)  同(志位和夫紹介)(第三五一号)  同(寺前巖紹介)(第三五二号)  同(中島武敏紹介)(第三五三号)  同(東中光雄紹介)(第三五四号)  同(不破哲三紹介)(第三五五号)  同(藤田スミ紹介)(第三五六号)  同(正森成二君紹介)(第三五七号)  同(松本善明紹介)(第三五八号)  同(矢島恒夫紹介)(第三五九号)  同(山原健二郎紹介)(第三六〇号)  同(吉井英勝紹介)(第三六一号)  同(不破哲三紹介)(第三六八号)  同(穀田恵二紹介)(第四〇八号)  同(中島武敏紹介)(第四〇九号)  同(岩佐恵美紹介)(第四一四号)  同(寺前巖紹介)(第四一五号)  同(中島武敏紹介)(第四一六号)  同(東中光雄紹介)(第四一七号)  同(不破哲三紹介)(第四一八号)  同(藤田スミ紹介)(第四一九号)  同(正森成二君紹介)(第四二〇号)  同(松本善明紹介)(第四二一号)  同(矢島恒夫紹介)(第四二二号)  同(山原健二郎紹介)(第四二三号)  同(吉井英勝紹介)(第四二四号)  同(岩佐恵美紹介)(第四三五号)  同(穀田恵二紹介)(第四三六号)  同(佐々木陸海紹介)(第四三七号)  同(志位和夫紹介)(第四三八号)  同(寺前巖紹介)(第四三九号)  同(中島武敏紹介)(第四四〇号)  同(東中光雄紹介)(第四四一号)  同(不破哲三紹介)(第四四二号)  同(藤田スミ紹介)(第四四三号)  同(古堅実吉紹介)(第四四四号)  同(正森成二君紹介)(第四四五号)  同(松本善明紹介)(第四四六号)  同(矢島恒夫紹介)(第四四七号)  同(山原健二郎紹介)(第四四八号)  同(吉井英勝紹介)(第四四九号)  同(岩佐恵美紹介)(第四七七号)  同(穀田恵二紹介)(第四七八号)  同(佐々木陸海紹介)(第四七九号)  同(志位和夫紹介)(第四八〇号)  同(寺前巖紹介)(第四八一号)  同(中島武敏紹介)(第四八二号)  同(東中光雄紹介)(第四八三号)  同(不破哲三紹介)(第四八四号)  同(藤田スミ紹介)(第四八五号)  同(古堅実吉紹介)(第四八六号)  同(正森成二君紹介)(第四八七号)  同(松本善明紹介)(第四八八号)  同(矢島恒夫紹介)(第四八九号)  同(山原健二郎紹介)(第四九〇号)  同(吉井英勝紹介)(第四九一号)  企業団体献金禁止に関する請願正森成二  君紹介)(第四〇七号)  小選挙制反対企業団体献金即時禁止に  関する請願志位和夫紹介)(第四三一号)  同(佐々木陸海紹介)(第四七四号)  小選挙制導入反対に関する請願矢島恒夫君  紹介)(第四三三号)  同(不破哲三紹介)(第四三四号)  同(山原健二郎紹介)(第四七六号)  小選挙制導入反対企業団体献金禁止に  関する請願岩佐恵美紹介)(第四五〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一号)  衆議院議員選挙画定審議会設置法案内閣提  出第二号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案内閣  提出第三号)  政党助成法案内閣提出第四号)  公職選挙法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第三号)  衆議院議員選挙画定等委員会設置法案(河  野洋平君外十七名提出衆法第四号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案河野  洋平君外十七名提出衆法第五号)  政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治  資金規正法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第六号)  政党助成法案河野洋平君外十七名提出衆法  第 七号)      ――――◇―――――
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定審議会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに河野洋平君外十七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定等委員会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の各案を一括して議題といたします。  本日は、特に、テーマ別質疑として、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案及び衆議院議員選挙画定審議会設置法案並びに河野洋平君外十七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定等委員会設置法案及び政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治資金規正法の一部を改正する法律案の各案について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。東順治君。
  3. 東順治

    ○東(順)委員 おはようございます。公明党東順治でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  最初に、質問に先立ちましてちょっと御確認をさせていただきたいことがございますが、本委員会がずっと開かれてまいりまして、自民党三塚政治改革本部長の御出席最初提案理由の御説明だけで、以後ずっと御出席がないようでございます。本委員会でこれまで答弁にお立ちになってこられなかったその理由というのは、何かございますでしょうか。
  4. 鹿野道彦

    鹿野議員 別段そういう理由というのはございませんけれども、御案内のとおりに、三塚政治改革本部長はいろいろお役目等々が多端にわたりまして、時間的制約を受けるということもございます。その他いろいろございますけれども若手中心としてやったらどうか、こういうふうなこともございまして、私どもの方が答弁を担当させていただいている、こういうことでございます。
  5. 東順治

    ○東(順)委員 若手中心にしてというお答えでございますけれども大変国民の皆さんも注視されている本委員会で、非常に重要なこの政治改革法案というものを審議する場でございまして、しかも、本会議趣旨説明をなさり、答弁もなさる。また、片や政府案の方は、山花政治改革担当相も積極的に出てこられて答弁に立たれている。むしろ先頭に立たれてこれはやはり答弁なさる、そういう姿というものをしっかり見せられる中に、この法案の可決に対する自民党の熱意というものをあらわす、そういう姿になるのではないか、このように思うわけでございます。
  6. 鹿野道彦

    鹿野議員 私どもは、今日まで政治改革に取り組む姿勢というものは、あらゆる困難も克服しながら実現をしていかなければならない、そういうふうな基本的な姿勢のもとに取り組んでいる者が、党の責任ある一つの基本的な立場の者としてこうやって答弁をさせていただいているわけでありますから、どなたが答弁するかによって党の基本姿勢が問われるというふうなことではないものと思っております。
  7. 東順治

    ○東(順)委員 それじゃ、今後、答弁要求が出た場合、三塚政治改革本部長は当然この場に出てこられる、こういうことでございますね。
  8. 鹿野道彦

    鹿野議員 もちろんそれは時間さえ調整がつけば、当然、御本人がみずから出られるわけであります。ここの答弁席にお出にならないから政治改革についてどうこうというふうなことではないわけでありまして、どのような立場においても、政治改革本部長として、その政治改革実現に向かって努力をされておるという姿勢には変わりございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  9. 東順治

    ○東(順)委員 わかりました。その点をちょっと確認をさせていただきました。  続きまして、先般のこの委員会でも同僚議員石田委員の方からお尋ねがございましたけれども、一票制における不在者投票という問題でございます。  自書式ということで、例えば私、東順治公明党、この一票制で連記する、あるいは片や無所属で例えばAという人が出てくる、仮にその東順治、何々党、こう連記しなければ無効である、無所属の人は例えばA、何の何助、この名前だけで有効である、こういうことでしたかね。まず、確認でございます。
  10. 伊吹文明

    伊吹議員 比例において候補者を出しておられる政党所属の小選挙区の候補者投票については、御指摘のとおりです。
  11. 東順治

    ○東(順)委員 そうすると、例えば、仮に投票する方が、私は政党所属候補者で、ところが東順治という名前のみ記入して政党名を記入し忘れた、この場合は、有効ですか無効ですか。
  12. 伊吹文明

    伊吹議員 これは、もう再三申し上げておりますように、我々の提案というのは一票制であり、一票制の中で小選挙区の候補者そして比例区の候補者を同時に選んでいただくという政党本位仕組みになっています。これは連立側の御提案についても、提案理由説明政党本位政治改革を行うということを言っておられるわけでありますから、当然、東さんというお名前をお書きになり、かつ、その方が公明党所属しておられる場合は、公明党という比例区の投票をあわせて一つ投票でしていただくことによって有効になりますから、比例区に候補者を出しておられる政党の小選挙公認候補名前のみでは無効となります。
  13. 東順治

    ○東(順)委員 そうすると、東順治公明党であるはずが仮に自民党と書かれた、こういった場合も当然無効になるわけですか。
  14. 伊吹文明

    伊吹議員 当然、これは一つ投票でございますから、一つ投票の中で、東順治さんが自民党に来ていただくなら別なんですが、そうじゃない場合は無効となります。
  15. 東順治

    ○東(順)委員 要するに、国民生活が大変多様化してきて、投票日という一定の日あるいは一定の時間内に投票するということがなかなか難しい人が、やはり一つ時代流れとして多くなってくるんだろうと思います。その際に、全く一枚の紙を渡されて、一票制ですから、政党候補者名前政党名を書くんですよ、あるいは無所属はお名前だけですよというような説明をしたり何だかんだで大変繁雑になるんじゃないか。不在者投票というものが大変ややこしい、そういうものになるんではないかということを大変心配するわけでございます。  その辺、例えば二票制であれば、二枚を渡して、こちらが個人名、こちらが政党名というような形で提示できるわけで、その辺の一票制の不在者投票の仕方の難しさというものが多分にあるんじゃなかろうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  16. 伊吹文明

    伊吹議員 東さん御指摘のとおり、大変みんな時代流れとともに忙しくなってきていることは確かであります。しかし、一応、原則は、決められた投票日投票をするというのが国民本来の、これは国を動かしていくことでありますから、国民としては一番大切な義務なんですね。しかし、やむを得ない場合に限りその不在者投票というのを認めている。そして、本投票は、今おっしゃったような混乱がないように、マークシート方式というものを我々は提案しているわけです。  ところが、現実問題として、立候補の締め切りは選挙運動の始まった日の十七時でございます。そして、不在者投票はその日から実は始まります。したがって、候補者が確定できませんから、マークシートをつくる時間的余裕が不在者投票についてはないわけです。  したがって、不在者投票は、まことに申しわけないけれども自書式でお願いをしたい。その場合は、こちらの紙に政党をお書きになりなさい、こちらの紙には間違いのないように候補者のお名前書きなさい。という説明をするのも、これはなかなか大変なことですよ、二票制でも。  同時に、私たちの方も、一つの紙ですが、公明党さんの場合は、東さんと公明党というお名前を書いてください、それから政党所属して出ておられない方に投票されたい方は、当然その方のお名前だけを小選挙区にお書きください。小選挙区に出ておられない方は、当然その政党名だけを、もしお選びになるんなら、比例のところへ書いてください。この説明は、やっぱりきちっとそのときに、不在者投票する場所で説明をし、あるいは説明文を付してやるわけですから、本来の国民義務としては、投票日に一括投票するのが当然ですけれども、万やむを得ない場合は例外措置として認めているわけですから、まあその程度のことは私は受忍の範囲内じゃないかと思っております。
  17. 東順治

    ○東(順)委員 じゃ、これに関連をしまして、一票制ということについてもう少しお伺いさせていただきたいと思います。  憲法の条文に沿ってちょっとお伺いさしてもらいたいと思いますが、この憲法の前文で、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しここうございますですね。「正当に選挙された国会における代表者」、これにこの比例選挙で選ばれた国会議員も該当しますか。どうですか。
  18. 伊吹文明

    伊吹議員 その問題については、既に参議院比例区の際に議論されたことだろうと思います。もしこれが該当するか該当しないかは、私にお聞きいただくよりも、現在の参議院比例選挙を所管しておられる政府側にまずお聞きいただくというのが筋じゃないかと思っております。
  19. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 現在の参議院議員選挙制度につきましては、比例選出講員につきましては、名簿に対して投票する、こういう仕組みをとっておりますけれども名簿にはそれぞれの候補者が提示をされる、こういう仕組みをとっておりまして、私どもは、現在の参議院比例選出議員につきましては、憲法の四十三条で申します「選挙された議員」に該当する、こういうように理解をいたしております。
  20. 東順治

    ○東(順)委員 該当する、こういうことですね。  それでは、続いて第四十三条、これに「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」こうありますけれども、この「全国民を代表する選挙された議員」、これにも比例区で選出された国会議員は該当しますか。
  21. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 該当すると理解をいたしております。
  22. 東順治

    ○東(順)委員 それでは、この第十五条、ここで「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有権利である。」こうございます。この公務員の中にやはり比例代表で選出された国会議員は入りますか。
  23. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 公務員の中には国会議員、これは衆参含めまして入るというように理解をいたしておりまして、その中には参議院比例代表選出講員も入るというように理解をいたしております。
  24. 東順治

    ○東(順)委員 この公務員の中に比例代表で選出された国会議員も入る、こういうことでございます。  ここで、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有権利である。」こうあるわけですね、「国民固有権利である。」そうすると、無所属候補投票した人は、一票制でございますので、比例選挙には参加ができない。つまり、これは今言う「国民固有権利」というものを奪うことになるのではないか、こう思いますけれども、これはいかがですか。
  25. 伊吹文明

    伊吹議員 これは、再三申し上げておりますように、我々の制度は一票制で御提案を申し上げておるわけでありますから、先ほど来自治省から御答弁がありましたように、全国民固有権利というのは、これはおぎゃあと生まれた人もみんな国民であります。しかし、国民は、現在、二十歳以上になって初めて選挙権があるということになっているのは御承知のとおりです。二十歳以上の人には全員、その地位だとか所得に関係なく、我々は投票権を与えているわけです。  その中で、無所属の人を選んで、そして比例区は政党本位ですから、当然、選ぶ政党がないという一票を行使される権利も認めていますし、東さんと公明党という、比例区と選挙区を選ぶ権利も認めていますし、そしてまた比例区だけに出しておられる政党を選んで、その結果、選挙区では所属の党員がおられないわけですから、そしてこの選挙制度連立側自民党側も、これは佐藤自治大臣提案理由説明にあったように、政党本位選挙ということを中心としての選挙制度改革をしているわけですから、私は、何ら国民権利は奪っていない。それは、小選挙区で無所属を選び、比例区でだれも選ばないというのも投票者選択の結果でありますし、それは私は何ら権利を奪っているとは思っておりません。
  26. 東順治

    ○東(順)委員 投票者選択の結果であるから権利は奪わない、こうおっしゃいましたけれども、例えば、具体的な話をしますと、仮に私が一投票者とします。今度私のおやじあるいは兄弟、親族、こういうものが衆議院選挙無所属で出たいと、こういうふうに意思表示したとしますね。  そういった場合、当然、私の親ですから、あるいは兄弟ですから、人情としてこれは無所属投票しますわ、当然ね。ところが、私は同時に公明党員である。公明党にも投票したい。当然、比例区は公明党に入れたい。ところが、一票制だから自分の親にしか入れられない。だから、これは権利をやはり奪うことになるんじゃないですか。
  27. 伊吹文明

    伊吹議員 これは、東先生、まことに申し上げにくいことですが、今のようなことは個人のお気持ちとしてはよくわかります。しかし、これからの国家の命運を決めていく選挙として、政党本位そして政策本位のことをやっていこうという立法論として我々はこれを提案しているわけです。もし同じような例として申し上げれば、それじゃ十九歳三百六十四日の人と二十歳一日の人と、どちらが果たして国家のことをよく考えながら判断できるかといえば、学歴だとか経験だとかによっていろいろ違うと思うのですよ。違うと思うけれども、そこは立法論上の割り切りとしてやっているわけですから、今のような御判断は私は個人人情としてはまことによくわかりますし、私もそういう選択をしたいと思っても、いや、やはり政党本位選択をすべき時代が来ているんだということを考えるのがこれからの政治じゃないでしょうか。
  28. 東順治

    ○東(順)委員 非常に無理のある考え方じゃないでしょうかね。やっぱりどう考えてもこじつけとしか受け取れませんよ。選挙権というのは平等に二十以上に与えられているわけですから、それでやっぱり選挙権を平等に行使したいわけですから、固有権利をそこで奪われるということにどうしてもなっちゃう。したがって、今おっしゃるのは、いわゆる政党選挙という言い方をしたこじつけであるというふうに僕は思いますが、いかがですか。
  29. 伊吹文明

    伊吹議員 これは、ですから、再三申し上げているように、どういう方向へ持っていくかという立法論上の判断を我々はしているわけで、私は、東先生のおっしゃっている方が我々の意見、我々の提案に対する反対のこじつけだと思いますよ。人情投票し、その人に何をしてもらったかということで投票するということをやめようというためにやっているんじゃないのですか。
  30. 東順治

    ○東(順)委員 それはちょっとすりかえの感じがしますね。  要するに、第十九条に「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」こうあるのですね。それは単なる人情ということじゃなくて、思想及び良心の自由ですよ。要するに、候補者選択したいけれども、同時に政党選択したいという思想及び良心の自由ですよ。これをやっぱり奪うということになるんじゃないのですか。
  31. 伊吹文明

    伊吹議員 後ほど御質問があるかとも思いますが、戸別訪問の問題も、これは選挙運動の自由、思想・表現の自由、いろいろありますが、現行法律では戸別訪問は禁止されていますね。これを解禁するかどうかというのはこれからの議論ですが、憲法上の権利というものは無条件に、どんなことがあっても満たされているわけではありません。他に達成する公益がそれよりさらに大きい場合は、戸別訪問が禁止されているのと同じように、他の目的のために、例えば全国民といったって二十歳以上しか投票権がないんじゃないんですか。それと同じことなんですよ。これは立法論として、政党本位選挙政策本位国家意思決定というものを達成するための立法技術として我々は提案しているわけです。  お気持ちはよくわかります。先生のお気持ちと我々の提案と、これから国家のためにどちらがいいかということを国民判断していただく、それが私は国会の役目だと思っています。
  32. 東順治

    ○東(順)委員 まあ、どうしても無理がある、そういうお話だというふうに思います。  もう少しちょっと角度を変えますと、この一票制の不自然さというか無理があるというところで、例えば、仮に小選挙区で無風区が出た、無投票当選した、そういった場合の比例の扱いはどうなるんでしょうか。
  33. 伊吹文明

    伊吹議員 私は、少なくとも自由民主党は当然国家のためを思えば各選挙区に候補者を立てますし、皆さん方も、連立側一つにおなりになるとか、いや、そうじゃないとか、今いろいろな議論があるようですけれども、当然幾つかの政党がお立てになるでしょうから、仮定のようなケースは現実問題としては起こらないと思いますが、もし無投票で当選ということになれば、その人の所属政党に投じられた比例区の票と、そして比例区の候補者だけに投じられた票がその選挙区の比例区の投票ということになります。それはしかし、今おっしゃったようなことは、制度的に投票権が奪われているんじゃなくて、政党本来の義務を果たさない政党がたくさん出てくるということによって奪われている運用上の問題ですから、制度の問題とは異なりますよ。
  34. 東順治

    ○東(順)委員 ちょっと御説明がよくわからないのですが、要するに無投票当選ということはあり得るでしょう、小選挙区であり得るでしょう、これは。(伊吹議員「あり得ますよ」と呼ぶ)あり得ますね。じゃ、無投票当選ということは投票をしないわけだから、その比例区に民意を公正に反映するということにならないんじゃないですか。
  35. 伊吹文明

    伊吹議員 もしも今のようなことをおっしゃるんなら、それじゃ二票制の場合はどうなるんですか。同じ選挙区で投票をしないんでしょう、小選挙区においては。(東(順)委員「二票制だから比例投票する」と呼ぶ)比例はいいですよ。だから、そういうケースは本来あり得ませんよ。(東(順)委員「いやいや、あり得ないことはないですよ、あり得ますよ」と呼ぶ)それは形式論として、それは理屈の話としてはあり得ても、現実の政治にはそんなことはあり得ません。あり得ませんよ、それは。(東(順)委員「あり得ないって断言できるんですか」と呼ぶ)
  36. 石井一

    石井委員長 ちょっと待ってください。  東君。
  37. 東順治

    ○東(順)委員 あり得ないなんて断言できませんよ。だって、小選挙区がたくさんありまして、その中でいろいろな諸般の事情で無投票当選だって絶対あり得ますよ。それはあり得ないなんて断言して、そこから論は進められませんよ。無投票当選になった場合に、一票制だから比例区なんて票が行かないじゃないか、これはどうなるんですかと聞いているのです。
  38. 石井一

    石井委員長 自治省挙部長、何かコメントありますか。――衆議院の法制局。
  39. 臼井貞夫

    ○臼井法制局参事 法制局の方からお答えいたします。  小選挙区において無投票当選になった場合には、比例代表のみの選挙を行います。(東(順)委員「一票制でですよ」と呼ぶ)一票制でございます。
  40. 東順治

    ○東(順)委員 じゃ、比例代表のみの選挙を改めてするんですね。政党選挙だけを改めてするんですね。
  41. 臼井貞夫

    ○臼井法制局参事 お答えいたします。  小選挙区におきまして無投票当選になった場合には、比例の方も無投票当選にならない場合には、比例のみの選挙を行います。
  42. 東順治

    ○東(順)委員 ということは、二票制というふうなことになるんじゃないでしょうか。
  43. 伊吹文明

    伊吹議員 当然、小選挙区における投票はほかの人は出ていないのですから、その小選挙区はその候補者しかいないわけですから、一票の行使としては、比例区を選ぶより仕方がないでしょう。だから、そういうことにならないように各党がみんな当然候補者をお立てになるわけだから、そして、先ほど来おっしゃっているように、先ほど来不規則発言がいろいろありますように、地方自治体の場合はどうだとか首長の場合はどうだということを言っておられますが、これは国政選挙ですよ。国政選挙でそんなことが私はあり得るとは思いませんよ。
  44. 東順治

    ○東(順)委員 いずれにしても、今の議論の中で、わずか二、三十分の議論なんですが、とうとう終了してしまいましたけれども、もう本当にわずか二、三十分の中にも一票制における矛盾みたいなことがこれだけ出てくるわけでございまして、極めて無理があるのではなかろうか、私は率直にこう思います。  また、戸別訪問だとか保岡議員だとかいろいろお伺いしたかったのでございますけれども、この一票制の議論でここまで時間が食い込んじゃいましたので、これで私の質問は終了いたします。
  45. 石井一

    石井委員長 次に、笹川堯君。
  46. 笹川堯

    ○笹川委員 郵政大臣においでをいただきましたので、政治改革の質問をこれからするわけでありますが、一時間半たっぷりありますので、この間はちょっとお聞きできないこともございましたが、政治改革そのものが議論をされている最中に、テレビ朝日の問題できのうは当委員会で喚問をされまして、その是非についていろいろとけさの新聞に載っておるわけであります。  また、よかった、あるいは悪かった、そういうことが自由に言えること自体が、私は公平な、あるいはまた公正な報道だと思いますが、郵政大臣は所管でございますので、簡単にお伺いしますが、椿さんという前報道局長はどうしてテレビ朝日の取締役を辞任されたのでしょうか。
  47. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 詳しくは承知しておりませんが、自己の発言の責任をとられておやめになったものと思っております。
  48. 笹川堯

    ○笹川委員 間もなくのテレビ朝日の免許の問題で大変大臣も頭を悩ましておられると思いますが、その免許の問題についてはお尋ねする意思はございません。  ただ、今、大臣がお答えになったように、責任を感じてやめた。これは、責任ということになりますと、悪いことをしたと思わないと責任はないわけですね。妻の健康が悪いとか自分が悪いとかという、こういう理由じゃありませんから。会社に迷惑をかけた、あるいはテレビ会社という報道機関に勤務しておったのに報道ということで国民に迷惑をかけた、これは両方か片方か、どちらとお思いになりますか。
  49. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 御本人の意思ははっきりと私確認したわけではありませんのでわかりませんが、いずれも、今御指摘のようなことを含めて御本人は責任を感じられたのではなかろうか、このように思います。
  50. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは、逓信委員会の方に間もなくテレビ朝日の伊藤社長さんが参考人で出頭されることが先ほど決まったわけでありますが、実はこの伊藤社長さんは減俸処分になっているわけですね、この問題で。これについて、やはり社長が減俸処分ということになりますと、これは本来はあってはいけないことでありますし、私も企業の経営を長くやっていますが、社長が減俸処分というのは異常なんですね。異常なことを社長がやったということは、会社として国民に対して、社会に対して大変多大な迷惑をかけた、だからみずから減俸処分にして、担当者の退職は認めて、こういうことになると思うのですが、間違いないでしょうか。
  51. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 社長を減俸処分に付したということは承知しておりますが、詳しい事情までは承知いたしておりません。恐らく椿発言を通して、今委員指摘のような社会的に御迷惑をおかけしたその責任を感じられてそういう措置をとられたのではないかと思います。
  52. 笹川堯

    ○笹川委員 私は、今所管の郵政大臣が、社会的責任あるいはまた会社の中における規律の問題、そういうことを含めて責任をとられたということでありますので、これ以上お尋ねすることは控えさせていただきますが、私が思うのに、もちろん議員というものも国民に対して大きな責任がありますが、報道機関というのも、新聞、テレビあるいはまた雑誌等もやはり私は大きな社会的責任があると思うのですね。そういう意味では、普通の職業と違って、相当厳しくみずからを律していかないと公平じゃないということを片側から必ず言われるおそれがある、こういうふうに思うわけであります。  山花大臣にお伺いしますが、今私が郵政大臣にお尋ねしたこと、あるいはまたお答えをいただいたこと、最後に私が、報道人も我々政治家も国民に対して奉仕をしなきゃならぬということで、常に公平にみずから律していかなければならない仕事だと思いますが、きのうの発言等を聞いていますと、椿さんも場所が場所だけに気楽にしゃべったか、あるいは自分の意思を表現したということで、表現したこと自体は私は間違いではないと思うのですが、やはり報道機関という立場を考えると、自分は意思は持っていたけれども、結果においては公正に報道されたんだよと。それもわからなくはないのですが、そういう言葉はなるべく使わない方がいい。言ってみれば我々国会議員が、国会議員としてはこう思います、個人としてはこう思いますと言っても実際通りませんからね。どうでしょうか。
  53. 山花貞夫

    山花国務大臣 私も、昨日の証人喚問については、大変関心を持って注意深く伺っておりました。御指摘のような問題点がさまざまな幾つかの場面で散見されたのではないかと思っています。大変大事な言論・表現の自由に根差した報道、評論の自由のテーマと政治とのかかわりについて大変教訓的な出来事ではなかったかと、こういうように考えているところでございます。
  54. 笹川堯

    ○笹川委員 今、山花大臣からお答えがあったように、確かにニュースキャスターは自分の意思である程度話さなきゃならないし、同時にまた会社の組織の中の一員であるということになると命令にも従わなければならぬ。二重の性格のある職業の人というのは僕は非常に少ないと思うのですね。例えば作家ならば自分が読者に対してだけ責任を持てばいい、組織の人じゃありませんから。どうぞひとつ郵政大臣も細かく調査をしていただいて、なるべく国民の目にやはり公平だということが言われるような行政の責任をとっていただきたい、こういうふうにお願いをいたしておきます。  さて、官房長官いらしていただいたので、余り大きな問題ではありませんが、細川総理が当選されたときに、実は議員バッジをつけるつけないの論争がありました。私は今回の政治改革もそうだと思うのですが、議員バッジというのはつける義務があるのか、つけなくてもいいのか。それはもちろん議員個人が決める問題ではありますが、本会議場に入るときにはこの記章をつけなければ入れないという規則になっています。  ところで、この議会には大勢の衛視の方がいるわけでありますが、実は衛視の方というのは、新しく当選した議員の方、これは名前を早く覚えろといえばそれでいいのですけれども、実は七十人も百人も新しい議員が当選したときに、顔と名前を覚えるというのは非常に難しいですね。ところが、バッジをつけていれば一応国会議員ということはわかるわけですから、お尋ねすることはないと思うのですがね。それは官房長官とか総理とかになってしまって、新聞紙上、テレビに顔が出て、これはもう衛視さんがわからない方が悪いというのなら別だけれども、新人議員がこれを外して入ってきて、もしもしとやられたときに、いや、おれは国会議員だよという問題が起きると思うのです。  だから、私はバッジを外すとか外さないなんという問題を国会議員が議論するよりは、衛視の皆さんが、もうつけなくても大丈夫です、いつでも私たちはわかるんですよとおっしゃるのならいいけれども、自分たちの都合で、パフォーマンスでつけた方がいいとかつけない方がいいとかという議論は余り大した議論じゃないと思うのですが、一遍衛視の皆さんに、外してもみんな顔がわかって大丈夫か。議員が外せば、当然今度秘書も外すような話になると思うんですね。そうすると、秘書の数からいったらまた膨大なわけであります。それじゃ、身分証明書を秘書が持っているから見せればいい、あるいは国会議員も身分証明書を持つことがいいと私は思うんですね。そうすると、今度は一回一回見せるのは面倒くさいと必ず議員は言うんですよ、初めのうちは見せるけれども。そうすると見せなくなる。そういうことを考えますと、私、この間衛視の人たちが、ぜひひとつバッジだけは外さないでつけておいてください、私たち助かるんですが、こう言っているんですが、どうでしょうか。
  55. 武村正義

    ○武村国務大臣 人気取りのためにこれをしているわけではないのでありますが、また、衛視さんの便、不便のためだけでバッジを論ずるのもどうかなと思いますが、しかし、衛視さんが現場で御苦労されていて、そういう感想をお持ちなのはよく認識しなければいけないと思っております。  これは、院の中は少なくとも規制で決まっているようでございますから、国会議員である以上はこの規則をきちっと守っていくということでございますが、院の外へ出たときにどうするかは、それは国会議員一人一人の判断でいいのではないかというふうに思います。(伊吹議員「私にも答えさせてよ」と呼ぶ)
  56. 笹川堯

    ○笹川委員 質問の強要でありますか。(伊吹議員「はい」と呼ぶ)それでは、私は、外で外すのは自由でありますが、院内で衛視さんのためにつけているわけじゃないんですよ。しかし、お互いに立場理解し合って、一つの仕事がお互いにスムーズにいくように、人の立場というものを思いやるということが民主主義の原点ですから、そういうことで私は申し上げたんで、どうぞ。
  57. 伊吹文明

    伊吹議員 指名していただいて、思いやりをいただいてありがとうございました。  私は、院内では院内の規則に従えばいいと思いますので、院外でどうするかは、これは今、武村さんがおっしゃったように、議員一人一人の判断です。私は、細川さんがああいうことをおっしゃる前から、外ではバッジはほとんどつけておりません。バッジをどうだとかこうだとか、自意識過剰になる人、その気持ちこそが私は権威主義の権化だと思っています。
  58. 笹川堯

    ○笹川委員 私は、右見て左見て質問するので大変気を使っているわけでありますが、官房長官、わざわざおいでいただいたんで……。  実は私はきのう徳島国体に行って、ごあいさつする機会がありましたので行ってまいりました、徳島県、香川県両県民が、天皇、皇后おそろいで国体においでになるのを実はもう何年も前から楽しみにされておるわけであります。残念ながら、皇后陛下の御病状ということで、おそろいで御訪問ができなかった、このことは両県民にとってはまことに残念なことでありますし、私も国民の一人として、大変申しわけない気持ちと、一日も早く御病状が全快されんことをお祈りするわけであります。  ついては、実は国民というのは言論の自由があります。表現の自由それは当たり前であります。しかし、それはお互いに対等の立場にあれば、私はその議論は正しいと思いますが、皇室の場合には、実は直接反論できない。反論しない方が悪いんだと言われればそれまでかもわかりませんが、私は、この間の皇后陛下のお言葉を聞いていて、まあ大変御苦労なさっているなと思うんですが、これについて、これは時間があればきょうは宮内庁に来てもらって聞こうかと思ったんですが、ああいうことを書いて、病気になって言語が不自由になったことは事実でありますから、本来ならこれは民事事件として損害賠償の対象になるんですよ。書いた雑誌を訴えることは私個人ならやります。しかし、これはまた皇室ということになると、訴訟の対象にならないから相手もできないんだという議論もあるかもわかりませんが、このことについて、例えば雑誌記者の方々に宮内庁としてこういうことはやめてくれとか、そういうことをお話しになったことはありますか、官房長官。
  59. 武村正義

    ○武村国務大臣 皇后陛下が、日常のお暮らしの面では全く不自由がない、健康を取り戻されたように伺っておりますが、お言葉だけがまだ不自由だという状況でございますが、一日も早く全快をされることをお祈りいたしたいと思っております。  今マスコミ報道との関係の御意見を拝聴さしていただきました。政府として、このことに関してマスコミとお話をさしていただいたことはございません。(笹川委員「宮内庁とも」と呼ぶ)ええ、宮内庁ともじかにこの話で会話をしたことはございません。
  60. 笹川堯

    ○笹川委員 一遍宮内庁ともよく相談をしていただきたいということを希望として申し上げておきます。  さて、山花大臣、佐藤大臣、けさの新聞に予算委員長の山口先生の談話が載っておりました。新聞をお読みになったでしょうか、ないですか。その内容は、いや、いいんです、いいんです、もうきょうは質問というよりも対談のつもりで出てきましたので、余り肩に力を入れなくて結構でありますが、政治改革が非常に厳しい状態だ。時と場合によっては何か延長されるような、何かそんなニュアンスにも読み取れたわけでありますが、せっかくここまで来たんですから、一日も早く法案が成立することを望むわけでありますが、我々が選挙区へ帰ってみますと、政府は、国民が頼んでいる不景気はなかなか直らぬ、不景気は直してくれとは頼んだが、選挙制度を直してくれとは頼んでない、頼んでないことは一生懸命やっているけれども、頼んでいることはちっともやってないじゃないかということを言われるんですが、このことについてはどうでしょうか。
  61. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 選挙制度を含む政治改革の問題は、笹川委員よく御承知のように、この前の総選挙の最大の争点だと言っても過言ではないと思うわけであります。自由民主党さんにおかれましては二つの内閣をつぶされた課題であり、ここでいろいろと議論してまいりましたように、二十一世紀に向けて日本の政治のあり方そのものが今問われている問題だと思っておりますので、国民の皆さんがどう頼んだか頼まないかは別といたしましても、やはりお互いにこれは新しい道筋をつけていかなければならぬ。  ただ、委員指摘のように、私もいわばこれは三度目の正直の課題だというふうに考えております。しかも、細川内閣として最優先の課題ということでございますが、あわせまして、国民の皆さん方にとりまして重要なことは、やはり私はまず景気の回復の問題、このことだと思っております。そういった意味で、一日も早く皆さんの御理解をいただいて、この政治改革の問題というのは、ひとつ衆議院、参議院とも御理解をいただいて成立をさしていただく。私は、答弁をさしていただいたかと思いますが、政治政治改革のためだけにあるのではなくて、国民生活の向上や、あるいは国際的な重要な課題を国として果たすためにどうあるべきかというのが本当だと思っております。  ただ、お言葉を返すようですが、経済政策につきましても、御承知のように宮澤内閣のときの四月の総合経済対策につきまして、ゼネコン汚職等いろいろありますけれども、しかし、執行率を上げていくために契約率を、あるいは入札、契約、これを上げていくために順次各省庁とも頑張っておるわけでございますし、また、九月には御承知のように緊急対策ということで、事業規模として六兆二千億でございましたか、やっておるわけでございまして、規制緩和をやったり等々、金融政策は日銀の問題とはいえ、そういった意味で経済政策につきましても一生懸命やっていることも、御承知の上とは思いますけれども、ひとつ御理解もいただきたいと存じます。
  62. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは、官房長官おいでになるうちにもう一つお伺いしますが、実はきのう細川総理は自由民主党の元総理を御訪問なさいました。首相の判断で行かれるわけですから、別にそのことについて行ったからどう、行かないからどうということは言わないのですが、せっかく新しい新鮮な総理が選ばれた。ところが、元総理を訪問するというのは、もともと自民党内閣のとき、何か事があると元総理のところへ行って御機嫌伺いをする、すなわち最高顧問会議というものが非常に現職の総理大臣の足を引っ張った。あれをやったらいい、これはだめだ、俗に言う屋上屋を重ねてきたから最高顧問会議は廃止した方がいいということを私は自民党で申し上げたときに、官房長官も当時は自民党議員でしたから当然そのことは知っておられると思うのですが、きょうの新聞を見ますと、ある元総理大臣は、急ぐなよとかうまくいかなくても責任は追及しないなんて、どうも僕は、総理自身もここへ来て、最後の妥協ですから、いろいろな人の意見を聞きたいということはわかるけれども、何でのこのこ終わっちゃった化石みたいな人のところに訪ねていって御意見を聞かなきゃならぬのだ。そんなところで御意見を聞くならここへ来ていた方がよっぽど私はいいと思いますよ。政治改革には忙しいから、時間がないから来られないという返答でしょうが。それなのに何でのこのこもう既にバッジを外したところまで行くのですか。  山花委員長にお尋ねしますが、あなたのところもそうですな。この間顧問会議か何かやりましたな。やりませんでしたか。何かお年寄りが、もとの社会党の人がいっぱい集まって、あれを見た人はぶったまげたというのです。何か社会党もやはり自民党と同じようなことをやっている。そういうことは、やはりこれからの政治改革ということで国民の目に映ったときに、私は非常にどうも寂しい思いがするので、両方順番に、どちらが先でも結構です。
  63. 武村正義

    ○武村国務大臣 細川総理も責任をお預かりして二月半ぐらい経過をしたわけでございますが、いよいよ政治改革も審議がこうして進んでおりまして、大事な時期を迎える状況でありますし、それ以外の課題も、ウルグアイ・ラウンドや経済対策等々ひしめいている中で、このあたりで、自民党の最高顧問というよりは、この国の同じ立場で責任を背負われた先輩の前、元総理大臣にごあいさつをさせていただきたいという趣旨で、きのう、きょう回っていただいているわけでございます。もちろん細川総理の方からのごあいさつが基本でありますが、大所高所からのいろいろな政局をめぐるお話もあるだろうということも期待をしながら回っていただいているところでございます。  基本はあいさつでありますし、このことでどうこう具体的に政治の課題に結論を出していくということではありませんが、日本の社会の先輩をたっとぶというふうな、各界に依然として強く残っております。そういう美風にあえて細川総理が従ったというわけじゃありませんけれども、二月半たった今の時期にそういう形でごあいさつをさせていただこうというのが動機であります。  歯切れが悪うございますが、以上で……。
  64. 山花貞夫

    山花国務大臣 私たちの党の関係についても、顧問会議について御質問いただきました。  顧問会議とかOB会議というものにつきましては、時折、定期ではありませんけれども、本部で開催をしております。OB会議などにつきましては月に一遍ぐらいは開くというような従来からの取り扱いでございまして、何かと先輩の皆さんの御意見を党の日常の運営に生かしていきたい、こういうことで伺っているわけであります。したがって、これは党の本部が担当で、もちろん我々は内容について詳細存じておりませんけれども、常時開かれているものがたまたま今回行われたということでありまして、大先輩の意見として傾聴しておりますと、こういうことでございます。
  65. 笹川堯

    ○笹川委員 私も、隣の方から不規則発言が出てうれしいやら悲しいやらでありますが、どうぞひとつ、こういう大事なときですから、OB会議もいいですが、OB出さぬようにね。十分に、もうそう持ち玉は幾つもないのですから、定めてひとつショットをしていただきたいと思う。  今、官房長官、元総理として訪ねた、それはわかるんだけれども、実は自民党の元総理以外いないのですよね。ほかに社会党だとか公明党出身の元総理がいろんなら、それは元首相を訪ねたでいいんだけれども、歯切れが悪いんだから、いいですよ、それ以上聞かないけれども、余り世間に誤解を与えられるような、それはウルグアイ・ラウンドの問題とかいっぱいあるでしょう、国連の問題とか。それはわかるんだけれども、新聞記事を見たらどこもそうは書いてないんやね。何か今政治改革の最中だから、これを年内に上げるか上げないかの方がどうしてもウエートが大きくなっちゃう。だから、行くのはいいけれども、やはり時期というものをもう少し判断された方がいいんじゃないですかね。頼みに行ったつもりが、変なところへ頼みに行くとようけうまくいきませんよ。  それでは、選挙区画定審議会のことでちょっと官房長官にお尋ねしますが、御案内のように、この法案が通りますと選挙区の問題が政治家にとっては一番大きな問題でありまして、総理府の中に審議会をつくるということが法案の中に書いてあるわけですが、選挙に関することなんだから、どうして自治省の中に置かないで総理府になったのか、私もよくわからないので、ちょっと説明していただけますか。
  66. 武村正義

    ○武村国務大臣 両大臣がおられますから、僭越でございますが、私の理解では、選挙制度審議会も実は総理大臣の諮問機関になっております。どういう基準で仕分けをしているか定かではありませんが、政府全体にかかわる重要な審議会は総理の諮問機関というふうな位置づけだろうと思うのでありますが、特に選挙制度の審議会が総理の諮問機関であることに倣いまして、この選挙区画定審議会も総理府という形をとらしていただいたのだと思います。
  67. 笹川堯

    ○笹川委員 ちょっと聞く人を間違えたようで、申しわけありませんが、佐藤大臣。
  68. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今、官房長官からお答えになったことで尽きているのではないかと思うのです。  従来、選挙制度審議会があったときにいろいろやりました。そしてそのときには、全体的に関係をするということで総理府のもとに置かれますが、その委員の御下命によりまして、こういうことを調査しろあるいはこういう資料をつくれという限りにおいては自治省がタッチをするということでございまして、各省にもまたがることでもございますので、総理府に置いてあるということでございます。
  69. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは、実はこの問題について私がここで質問をするので、何か聞きたいことがあればかわって聞いてあげますよということで選挙区の人に知らせましたら、一人の人がどうしてもこれは聞いてくれということでありますのでかわってお尋ねをするわけでありますが、今度は人口で割るわけですね。ところが、選挙というのは、投票するのは選挙人がするんだから、赤ん坊がするわけじゃないのだから、やはり有権者の数で割っていく方が非常に合理的じゃないだろうか。  それからもう一つは、例えば同じ市にしましても、老齢化の進んでいる町というのは有権者が非常に多いですわな。新しい新興都市というのは、人口は多いんだけれども有権者の数は少ない。ということになると、例えば両方のところから出た人を比較すると、同じ人口でありながら、片一方の方が有利ですよね、選挙人が多いから。片一方は選挙人が少ない、こういう問題もあるわけでありますので、どうして人口割にして有権者割にしないのかなという疑問があるので、ぜひひとつわかりやすく説明してもらえないだろうか、こういうことであります。
  70. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 一般有権者の方が、今笹川委員指摘のように思われるのもわからぬわけでもないと思うのです。ただ、これは、我が国におきます人口は、御承知のように国勢調査、本調査としては十年に一遍、それ以外には住民基本台帳があるわけでございますけれども、これも出入りのこと、あるいは今の制度の中でいきますと、必ずしも直ちに、何々区から、どこかから越した人が直ちにそこになるというふうには、時間差があったり、必ずしも住民基本台帳、そのとき、その日においては間違いありませんけれども、その意味では国勢調査の方が権威があると申しましょうか、ということがございまして、選挙制度にかかわるものというのはずっと人口でやってきておるわけですね。  それで、確かに御指摘のように、赤ん坊やまだ選挙権を有しない人の、例えば学校の問題にいたしましても何の問題にいたしましても、国会議員が基本的なところは決めるわけでございますので、その意味では、有権者じゃなくても、有権者じゃない方々の問題までカバーするということで、人口で今日までずっとやってきておるというのが私の認識でございまして、なお足らざる点がございましたら、選挙部長の方からでも御答弁をさせます。
  71. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘の問題は、定数是正の問題を国会で議論を始めましてから、常に問題点として提起されたところだと記憶をしております。  御指摘の問題のほかに、例えば投票率でやったらどうだ、あるいは面積は等々の問題も含めまして、何が基準であるかということについてはこれまでずっと与野党で議論してまいりましたけれども、結論的には一番客観的な資料によるべきではなかろうかということから、今自治大臣お答えのように、国勢調査人口によりということでこれまでも行ってまいりましたし、これを変更する事情はないのではなかろうかと思っています。  よく指摘されております公選法の本則である四百七十一、大正十四年、普選法ができましたときの四百六十六につきましても、これは一九二〇年の国勢調査、五千五、六百万だと思いますけれども、国勢調査を十三万人で割りまして四百六十六を決めたというところから始まりまして、今日まで一貫して国勢調査を基本として行ってきているところでありまして、私ども定数是正問題、八増七減等を議論したときにも格差是正の基準ということで議論いたしましたが、これまでの先例といいますか、そうした客観的な基準について変更する理由はないという結論でございます。  なお、最高裁判所の憲法判断の際にもやはり国勢調査人口ということを基準としてやってきておりまして、これはある程度、何と申しましょうか、各界の合意もあり、そして客観的な基準としてはこれ以外にないのではなかろうか、こういうように考えているところでございます。
  72. 笹川堯

    ○笹川委員 テレビが委員長の方を向いてなくて非常によかったと思いますが、さっき官房長官に質問した、自治省の方が私は選挙の事務だから総理府よりいいんじゃないかと思うのですが、それをお尋ねいたします。  それと同時に、公安委員会なんというと非常に第三者機関のようにも感じられるのですが、公安委員だけは、例えば地方なら議会の承認を得て知事が任命するというのだが、実際は全部警察官がやっているわけですね。そうすると、例えば今度、審議会あるいは委員会といっても、実際にその七人の人は、総理大臣が両院の同意を得て決めるとはなっているけれども、それはシャッポだけの話であって、実際仕事をするのは第三者じゃないんですよね、国の役人なんですよ。  国民というのは、第三者機関というと、本当にまるっきりみんな違う人を採用して、新たなところでやるような実は錯覚があるのですが、実はもう今までも、例えば文芸春秋にしても読売新聞にしても、いろいろなところで選挙の区割りを自由闊達に出していただいて、まことにありがたいのですよ。ところが、選挙民は困るわけですね、勝手に毎週のように選挙区が変わっちゃうわけだから。しかし、これも報道の自由ですからどうにもならない。  しかし、被害を受けるのは我々であり国民であるのですが、そういう意味で、自治省になぜ置かなかったかということと、第三者機関というなら、本当にだれが見ても第三者機関というように、役人を使うのか使わないのか、あるいは出向させるのかやめさせて使うのか、その辺を明確にしないと、やはり政府側に有利なんじゃないかということを今までよく我々は言われましたが、今度我々もそれを言うような立場になってしまった。  それからもう一つは、ここに七人というふうには書いてありますが、年齢も制限もないのですな。それから女性を半分入れるとも書いてない。もう有権者は女性の方が多いわけだから、どうせ入れるのなら半分以上は女性にするとか、あるいは年齢は何歳以下の人を選ぶとか、その辺の配慮についてはいかがですか。
  73. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 まず、委員の選任でございますけれども、何といっても大前提といたしまして、これは先生御承知のように、衆議院、参議院の同意を得る人事であること。また、事の内容からいって、小選挙区の改定に関しまして調査それから審議を行うものでありますから、ある程度やはり選挙制度というものについて造詣が深くなければいけません。そして、あるいは実務的にもある程度の学識経験を持っている例えば学者の方とか、あるいは実務経験者等が対象になってくるのだろうと思い、かつ、今委員指摘のように、だれが見ても客観的にこの人は公正な判断の持ち主だなと思われる方でなければならぬというのが、この七名の委員の要件であるというふうに考えております。  それから、事務方のことについて御心配でございますけれども、この七人の方の指示に基づきまして調査をしたり資料を出したりするのが事務方の自治省のすべき用務でございまして、それを飛び越えてやることではないわけでございます。これは実務的に、第八次選挙制度審議会の答申に基づいて海部内閣の案を出しましたときにも、その当時の吹田自治大臣もいらっしゃいますけれども、これは地域に一本線を引くためにはどこが一番合理的、つまり歴史的にその市町村の成り立ちがどちらが関係が深いか、もちろん川があったり地勢上の問題などで交通網があったり、あるいは例えば市町村合併などということが事実上進んでいるというようなことがあるとか、いろいろなそういう要素を入れてやっていかなきゃなりませんので、そういう意味ではその地域のことについて熟知しているというのはオーバーかもしれませんけれども、かなり知っていないと、これはなかなか資料を提出するについてもできないという問題がございますので、そういう事務的なことをお手伝いをさせていただくというのが事務方でございます。  なお、総理府の問題につきましては、選挙部長の方から答えさせます。
  74. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 区割り審議会を総理府に置く理由につきまして、ちょっと事務的に御説明をさせていただきます。  区割り審議会につきましては、その調査審議する事項は衆議院の小選挙選挙の区割り等でございまして、その区割りの結果と申しますのは、国権の最高機関でございます国会の構成等行政部外の事柄に直接かかわるものでございまして、国家の基本的な重要事項にかかわるものというように考えられておりまして、内閣総理大臣に対して勧告を行う、こういうことになっております。内閣総理大臣に対してのみ勧告を行う、こういった審議会でございますので、その設置は総理府ということにされたわけでございます。  なお、選挙制度審議会につきましても、これは内閣総理大臣の諮問に応じる、答申等を行うことになっておりまして、その関係で、選挙制度審議会につきましても、自治省ではなくて総理府に置く、こういうように仕組まれておるものでございます。
  75. 笹川堯

    ○笹川委員 そうすると、総理大臣に答申をする、勧告をするということでありますから、そういう意味で総理府に置くんだと。まあわからないこともないのですが、しかし実際は、選挙というものは特殊なものだから、相当高度な技術というか識見がないといけない。そういう意味では、今自治大臣が言われたように、自治省が手伝うんだと。  そうすると、総理府というのは置くだけの話であって、手伝いというのはどこの範疇まで総理府はやるんですか。
  76. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 いわゆる庶務と申しますか、いろいろな庶務的な仕事につきましては、この審議会につきましては自治省選挙部で行う、こういうように考えております。これは先ほど申し上げました選挙制度審議会につきましても、総理府に設置をするというように仕組んでおりますけれども、その庶務は自治省選挙部で行う、こういうようになされておるものでございます。
  77. 笹川堯

    ○笹川委員 庶務的というと、ショムないことをやるから庶務的なものとも考えられるけれども、しかし、実際はこの区割りは非常に大切で、まさに国会議員の死命を制するような重大な問題ですから、定数だとか分け方だとか、二票、一票の話じゃないんですよ、本当のことを言うと。それだけに、議員の側からしても、公平に厳しくやってもらったという印象を持たれなければならぬというのだから、私は、総理府の人間が、庶務的なことというと何か両方並立的にも思うし、しかし、仕事というのはどっちが主か従が決まらないと責任の範疇もできないでしょうし、その点、自治大臣としてどうですか。
  78. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 委員指摘のように、これは非常に重要なことだと私たちも思っているわけでございます。したがって、法の体系は、御承知のように、総理大臣に勧告をするということになっております。  それから、十年に一遍ずつこれは見直すということになっておりまして、ある意味では、一番最初の区割りのことだけが非常に何か表に出ていますが、実はこれは十年に一遍ずつ人口が大きく変われば改定をするという常設の審議会になるわけでございます。  今委員指摘のように、非常に重要なテーマでございますから、これは総理大臣に勧告をし、そして総理大臣は法案をつくって国会提出をして、衆議院、参議院を通していただく、こういうことになっているわけでございますので、扱いとしては最高のものだと思っております。  総理府は、いわば招集、あるいはまさに庶務的な問題でありまして、中身の提出につきましては、七名の審議会委員の質問といいましょうか諮問に応じて資料を、具体的に地域名その他のことについての成り立ちその他を、こういうことを調査しろと言えば、自治省の関係者が調査をしていくということになるわけでございます。そのもとにおきまして、各位から御質問ございましたように、言うまでもなく、この案は一名ずつ各県に配分をして、二倍以内になるようにすることを基本とするわけでございます。  ただ、私もたびたび答弁させていただいておりますように、行政区画、地勢、交通等ということが基本になっておりますけれども、では何丁目の何番地のこの道からこちらは何々の選挙区でというのは、恐らく現実にはなじまないことであろう。そうしますと、一般市にどこまで線を入れるかということの重要性と二倍を超えるということの重要性とは、やはりその審議会の委員の先生方に判断をしていただくという、重要な決断、判断委員の方々にしていただくということで、かつ、言うまでもなく衆議院、参議院の両院にこの法案を改めて出して、つまり公職選挙法の別表を新たに出しまして皆さんの審議をお願いをしなければいかぬことでございますから、手続的には完璧になされているというふうに自治大臣としては考えております。
  79. 笹川堯

    ○笹川委員 自治大臣として自治省の職員に、まさに画期的なことでありますので、真剣にまた真摯に取り組むようにひとつぜひ指示をしていただきたい。それとまた、希望でありますが、委員を選任するときには、官房長官、なるべく女性も半分以上は入るように、ぜひひとつ御配慮を願いたいと思います。  次に、山花大臣にお尋ねしますが、実は国会の中には国会移転の委員会なんというものも実はできておるわけです。国会を移転をする、しかし、皇居の移転というものは実は話題にのっておりません。これは触れられないということもございます。ところが、現実に考えてみますと、国会を移転すること、あるいはまた国事行為ということで、やはり皇居ももう考えなければ、一対のものを、片一方だけは持っていくのですよ、片一方はここへ置いておくのですよということは、私は非常に難しいのじゃないのかなと思うことが一つですね。  それから、今何かというと一極集中でけしからぬ、役所も分割して分散しろ、あるいは国会移転になると、山梨へ来いとか、いや、群馬へ来いとか、埼玉だ、もう引く手あまたですね。だから、国会だけ移転をしたら本当にそんなに一極集中がすぐ排除できるのかなと。私は、そんなことよりも、学校を移転ができたら、その方が、だれにも迷惑をかけないで、地価にも影響しないで、私は何かできるような気がするのですね。学校ですよ。学校は、東京都内だけで大学生なんかもう何十万います。  それと、今度の小選挙区制になりますと、東京都に、この前も申し上げたのだけれども、時間がなかったのでお答えがちょっと満足できなかったのですが、一極集中はいかぬけれども国会議員だけは一極集中いいんだと。いいも悪いもないですな、人口が多いのだから。一票の格差を縮めれば、必然的に東京に国会議員がどひゃっとできるわけですよ。  そうすると、確かに、国会議員というのは地域の代表だということはもう事実ですよね。ところが、東京には、頼みもしなくたってぼんぼこぼんぼこでっかいものができるわけだ、東京湾の埋め立てでも。地域の代表の国会議員のやることに何があるのかなと。東京から出ている人には失礼なんだけれども、我々地方の出身とは仕事の量が全然違うように思うのですね、はっきり申し上げて。  ところが、東京に住んでいる方が政治資金の吸収には便利でしょうな。しかし、大体地方の議員というのは、東京で吸収して地方で使っていったというのが今までのパターンなんですが、これからはやはり地方の方にも理解をしていただいて、また地方で集めて地方で使うということも考えられると思うのですが、どう考えても、僕は一極集中に全く逆行していると思うのですね。国会議員だけどんどんふえる。そうすると、国会議員の数が多いじゃないかということを必ず僕は国民から、恐らくマスコミから糾弾されるようなことになると思うのですが、その点について、例えば東京をアメリカのように特別区にして、ここはもう東京都議会だけで賄っていただくというようなことも考えられなくないと思うのですが、どうでしょうか、山花大臣は。
  80. 山花貞夫

    山花国務大臣 私も東京の議員ですけれども、どなたにも負けないだけ仕事をしている、こういうふうに自負しておりますが、今御指摘の問題につきましては、先ほど話題となりました定数配分の原則にかかわってくると思いますのでは一体どうするかということにつきまして、定数配分について、国勢調査に基づく人口による配分以外に何かベターなものがあるかということになると、なかなか難しいのではないでしょうか。  そういう結果から、人口が集中している東京にはということでありますけれども、そのことで、東京に多いから特別区的なということについてはまだ議論としては余りされておらないところではないか、こういう気がいたします。先生の御指摘ではございますけれども、そうした問題はあるけれども選挙制度と定数の関係では、人口によって決まるということからやむを得ない仕組みになっているということではないかと思っております。  なお、その他お触れになりました幾つかの問題につきましては、御提言としては大変傾聴に値する部分があったと伺っておりましたけれども、結論の部分については、私としては、以上お答えしたように答弁さしていただきます。
  81. 笹川堯

    ○笹川委員 それは確かに、人口で、国勢調査とたががはめられている以上、なかなかそれ以上やることがないと思いますが、将来の課題としては、私は必ずこの問題は起きてくるだろうなと。  例えば東京の場合には、御承知のように特別区ということで二十三区という、ほかの県とは違うシステムがあることはありますね。例えば区長しても、昔は都知事の任命でした、今は選挙に変わりましたが。それでもやはり地方の県単位ぐらいの、実は区というのはいろいろ権限委譲がありまして、自治省でもなかなかその区を、あるいは市にしてもコントロールするのが難しいぐらい、結構東京の区、市は実力を持っているんですよね。だから、そういう意味では当然私は話題になると思いますので、そういうことをひとつ提言をさしていただきたいと思います。  さて、建設大臣、この間はちょっと事務方が書いたものをお読みになったので、大臣自体もよく理解があるのかないのかちょっと私もわかりにくかったんですが、きのう葛飾の区長さんも事務買収ということで、まあこの原資は建設会社なんですよね。一千万もらったんだけれども、七百五十万だけは政治資金に登録した、恐らくその残りの二百五十万が登録されなかったということで、僕は政治資金規正法違反になったのかなというような気もするんですが、せっかく今建設大臣として、外国からも競争入札というものの不公平さを随分たたかれています。私もアメリカに長くいましたから、向こうの入札制度はよく知っているつもりですが、日本は残念ながら談合というのは東京から地方まで全部、全国の隅々まで、あなたも市長さんやっておられたので恐らくそのことは御存じのとおりと思います。  けれども、お金が伴わない談合というのは、一部では生活の知恵ということにも実は解釈できるわけですね。お金が伴わない。例えば、今月のうちの会社はもう仕事全然ないんです、このままじゃぶっつぶれちゃう。ところが、ある会社は仕事は満杯だ。しかし、断ればこの次仕事がなくなるわけですから、指名に入れてくれないんだから、必然的に指名には入れなきゃならぬ。そうすると、やはり地方でも話し合って、仕事のないところへ、じゃ今月おまえにこれやるよ、どれ、そのかわりこの次のときは遠慮せいよということは今でも行われているんですよ。  恐らく市長さんの時代はそういうことがあったと思うんですが、それと、お金が伴うということはこれはまた別の問題です。それが今度悪くなると、お金を出して、うちへ今月下さいということが起きてきます。もう一つ、最悪の場合には、今の知事の問題じゃないけれども、会社がじかに施工を出す責任者にお金を持っていって、この仕事を下さい。もうその仕事を逆に業者の方で指名しちゃうわけですね。  この建築汚職は、これからの日米構造協議の中でも物すごく出てくると思うんですが、今一番アメリカと日本の違う点は、日本の場合には業者のランキングがありますね、年に何億まではAとかBとかCとか。ところが、アメリカにはこれはありません。なぜないかというと、金魚でも超高層ビルを受注することができます。今度、施工を出す方にしてみると、そんな金魚みたいな小さな会社で仕事が本当にできるんかいな、完成保証ができるのかなという心配があるわけであります。これを解決するために実は保険制度がありまして、保険会社に保険金を払えばその会社がギャランティーしてくれるから、出す方は心配ないわけですね。  ところが、日本はそういう保険システムがないんです。そのかわりに業者間が実は保証するわけですよ。これはおかしな話ですな。競争入札ですよ。だれがとるかわからない。競争するのに、それに敗れて仕事がとれなかったやつがとれた人を保証するのですよ。これは建設大臣じゃなくても、よく私の話を聞くと、それは確かにちょっとおかしい、何か改善の余地がないかなということになると思うのですが、建設大臣としては、その保証制度ですな、まずそれを将来どういうふうに仕組みを変えていったらいいと思われますか。
  82. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 今御指摘のいわゆる工事完成保証人制度、これは委員指摘のとおり、僕らが考えても、つまり世間の常識と業界の常識に随分やはり差があるという感じがしますですね。しかし、それはそれなりに、今まで続いているんだから、これはそれなりの業界の一定の存在の意味というものはあるんだろうと思いますが、しかし、このところさまざまなスキャンダルが続いているということから考えても、あるいは御指摘のように国際的な状況から考えて、一体そういう制度がどうなんだろうかということもあるわけで、現在、御承知のように、中建審の特別委員会でこういう点についても大変議論になっているところで、先走って言うのもどうかと思いますが、恐らくこの工事完成保証人制度特別委員会の論議の中で私は改善の方向になるだろうというふうに思います。  問題は、それにかわって一体どういう制度をとるか。アメリカのようなボンドを考えるのか。今我が国も一応、保険というシステムでは一部あることはあるのですね。あるいは前払いに関しては、御承知のように北海道それから東日本、西日本と三つの建設保証会社があるというようなこともありますが、一体それをどういう新たなシステムで代替するかということは、今の中建審の特別委員会で鋭意御議論いただいて、年内に結論をすべて出すことになっていますので、それに基づいて新しい代替制度を設けつつ改善の方向にぜひ前進したい、こういうぐあいに思っている次第であります。     〔委員長退席、前田委員長代理着席〕
  83. 笹川堯

    ○笹川委員 それから、建設大臣、よく官庁の場合には最低落札価格というものを決めるわけですね。これを役人が漏らすか漏らさないかで、非常に工事がとれるかとれないか。  入札というのは何遍やっても順番が狂ったためしがないんですよ。これはもう御存じのように絶対狂わない。もしそれがわからないんなら、これから延々とシステムを教えてあげますから。もちろん知っているとは言えないでしょうけれども。  例えば、もう私なら私が落とすと決めれば、第一回目で予定の入札価格にならなくても、それじゃ隣にいる田中さんが二回目でどんと安くなって落とすか、これはないんですよ。もう談合で私と決まっているんだから。三枚入札書を持っていれば、私が全部こしらえるんだ。おるやつにこう渡すわけだ。それは何回やっても同じなんだ。必ず私が最低価格になるように仕組まれているのですよ、はっきり言って。だから、本当のことを言うと、三回やったって意味がないんだ。この最低価格というものを教えちゃう。  だから、本来、入札というのは、公平にやれば、私は最低価格というものはなくていいと思うのですよ。ただし、最低価格がないと雑な工事で手を抜かれたら困る、いいものができないんじゃないかという、逆に業者の立場をおもんばかった実は制度なんですよ。  それは、デパートヘ行って、例えばある物を、これは十円でも五円でもと言えば、だれだって買う方は安いがいいに決まっているんですから。しかし、その品物というのはもう目で確かめられるわけですね、例えば自動車なら自動車。しかし、建築というのは請負業ですから、ここが非常に難しいですな。違ったものができてくる可能性がある。じゃ、そのときは設計監理の面で厳重にやればいいじゃないかとおっしゃるかもわからぬけれども、なかなか役人の数もそこまで徹底しないんですが、将来最低入札価格というものを廃止するつもりがあるかどうか。いかがですか。
  84. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 その最低価格制度あるいは予定価格等に関しては、やはりこれも議論のポイントの一つであろう。特に、この際予定価格をあらかじめ公表してはどうか、こういう議論もいろいろあるところであって、それからもう一つは、積算の方法等についてもやはり再検討する必要があるだろう。さまざまにこの種のことについても議論が白熱化しているのが今の特別委員会の状況と言っていいと思うのであります。  いずれにしましても、しかし、今御指摘のような状況が今後続いていいというような、それはだから当然なんだということではこれはうまくないわけで、まさに今それを改革するためにどうするかということで、総力を挙げて頑張っているところなわけでありますね。  私は、一つにはやはり発注者、殊に知事だとか市長だとかあるいは地方議会議員であるとか、こういうところからの圧力、恣意性をどうやって排除するか、あるいは一方で、お話のような談合的なものをどう排除していくかということのために、我々としてはそういうことのまことにしづらいような制度というものをどう入札契約制度の上でつくっていくか、ここでまさに知恵を集めて今やっておるところで、ぜひ年内には我が国の制度としての新しい方向、まあ我々の今考えられる限りのものがこれだというもので改革の方針を出したい、こういうぐあいに思っている次第であります。  また、御指摘になりました海外との関係では、実はきょう、入札あるいは契約手続の改善に関する行動計画の骨子というものを政府として発表をさせていただきました。これは外国向けだけじゃなくて、当然今御指摘のさまざまの点で国内の改革の問題に鋭意取り組んでいるわけで、そういう方向で、またそのことが国際的な近代化にも通ずるものだということで、十一月一日の日米建設協議の、これはしかし我が国では承知しているものではないが、アメリカ側の一方的な設定といえ、やっぱり日米協調の上からいうと、そこも配慮しながら実はきょう発表をさせていただいたような次第であります。
  85. 笹川堯

    ○笹川委員 十一月に日米の協議があるそうですが、大変だろうと思いますが、こういう時代ですからもうやむを得ないと思うんですね。  特に、日本の場合にはよく現場説明、俗に言う現説というのをまとめてやるんですよね。そうすると、もうどこの会社が入札しに来たか、顔見ればわかるわけですわな、現説で。となると、もうその帰りには名刺交換して話し合えちゃう。だから、建設省が仕事を出すとか○○県が仕事を出したように思っているけれども、実は建設業界の人というのは、天の声というんで業界から仕事をもらうというふうに理解しているんですよ。全然違うんですよ。お施主さんじゃないんですよ。業界からいただく。もうまるっきりどっちが注文主だかわからないのが実は建設業界の長年の風習であります。  両大臣も余りこういうことは専門家じゃないと思うんで、世の中というのはなかなか理屈どおりいかないわけでありますが、なるべくいい方向に持っていった方がいい。  それで、指名入札というのは、実は指名入札の権限で入ったか入らないかでこれはもうまるっきり違っちゃうわけですから、本当に私は公平にするというんならば、やはり指名入札じゃなくして、入札に入りたい人はだれでもいいですと、これをやればある程度違っできますが、それでも五社か六社ならもう二時間もたたないうちにみんな連絡が打っちゃうんで、そういうことは全部建設会館の中でやるんですよ。だから、私も昔入札にしてみたら高くて、ある大手が電話かけてきて、随契ですな、お前にやらしてやると言っていただけりゃこの価格の何割引きでやると言うんだよ。私は安い方がいいですよ。しかし、社内から見れば、ある一社のところに随契するというのは何かおかしい、公平じゃない、入札の方が公平だ、こうなるんですね。だから、公平というのは必ずしも安くなるとは限らない。しかし、世間受けはするでしょう。  この辺が実は非常に建設業界というのは難しいんで、ぜひひとつ大臣も、これだけ建設、建設でもう使途不明金があって毎日毎日書かれちゃ、えらいところの大臣引き受けたなと思うでしょうけれども、まあこれも天命と心得て、我々も協力いたしますから、私たちの納める税金ですからな、問題は。これを理解してもらわないと、税金つままれちゃうんじゃ困るわけですよ。  全部国会議員がもらっている話だから、結局、企業献金が悪になって、毎月二万円の二十四万円にだんだんだんだん締められちゃう。そんなに文句言われて、悪い悪い言われるんなら、もう公的助成金もっともらって、もう競争入札すれば年にそんなもの、五百億、一千億なんかすぐ国はもうかるんだから、その分政治家の公的助成に回して、じゃ企業献金、個人献金もみんなやめちゃった方がいいと言いたくなっちゃうんですよ、はっきり言って。その方が楽だもの、文句言われずに。どうせ文句言われるんなら相当額もらった方がいいと思うのですが。  国民の側からすると、企業というのは自分がもうからなかったら絶対出さないんだという感覚は実はありますね。それと、中には、出してもいいけれども何のメリットがあるんかいと露骨に聞きますよ。まさか万が一のときはいつでもお助けしますからお出しくださいとも言えない。言えないけれども、もらった以上は一宿一飯の恩義があるから、何かあったときはやっぱり飛んでいかなきゃならぬ。しかし、一宿一飯の恩義を感じない程度のお金というのが本当は一番いいんですな。  わいろにならない程度の金額、少額なものということを考えると、まあ自民党の言っている二万円ずつ毎月もらって年に二十四万、この程度なら、大きい会社が出した出したで頼みに来るようなことも、まあ私は社会常識ではないんじゃないのかなと思うんですが、両大臣、感想はどうですか。     〔前田委員長代理退席、委員員着席〕
  86. 山花貞夫

    山花国務大臣 今の結論的部分で申しますと、金額だけの問題ではなく、システムとして企業団体献金禁止の問題についてどう取り組むか、これが今回の法案提出に当たっての与党内部での議論でもありましたし、政府の議論でもございました。  今御指摘のとおり、個人にも企業団体献金を認めるかどうかということにつきましては、政治資金とのかかわりで、確かに厳しいという面が政治家にとって出てくることは間違いないと思っています。ただ、今回は一歩踏み出すということの中身につきまして、まずそこまでは踏み出したいというのが結論でございまして、御承知のとおりの、企業団体献金につきましては、政治家、政治家の後援会等についてはだめである、こういう結論をいたしました。  今御指摘のとおり、少額ならということもありますけれども、これまた、実は脱法行為的なことなども考えますと、大変細かく分けて、たくさん受け口も分ける、出した方も分けるとかあったように、いろいろな議論もまた出てくるんじゃなかろうかと思っています。  ということなどを考えると、今回一歩踏み出したことについては、全体の国民のゼネコンなどに対する厳しい目がある中で、政治家としてもみずから苦しい思いをしてもやっぱりやっていかなきゃいけない、こういう心構えということから考えても、現実的なぎりぎりの選択ではなかったか、こういうように考えているところでございます。
  87. 笹川堯

    ○笹川委員 今、理想は理想として現実の問題でこう決められた、わかるんですが、よくテレビでも新聞でも、何かというと世論調査をする。僕らも当落の世論調査で、危ない、危ないと言われると本当に危なくなる。じゃ、大丈夫だと言われると大丈夫かというと、大丈夫と書かれた方はもっと危ない。いま一歩と書かれた方が当選の可能性はうんと出てくるわけです。だから、マスコミ、テレビというのは物すごく影響力があるんです。  そういうことを考えますと、企業団体献金禁止についてというアンケートをとりますと、国民の声ですよ、政治家は全然関係なくね。国民の側からすると、やっぱり六〇・三%の人が禁止した方がいいと言っている。もう圧倒的なんですね。それから、禁止はしない方がいいというのは二四・九で、非常に少ないですね。わからないという人も一四・九。だから、わからないと禁止すべきじゃないというのを足しても、これは三九・八にしかならぬから、このことに関してはやっぱり国民だけの声を聞いてしまえば、必ずしも国民の声が全部いい声だとは思わないけれども、もしいいんだよというんならば、政治というのは国民の声に謙虚に耳を傾けるんだという前提でいけば、これはやっぱり禁止した方がいいんだというのはもうNHKでも出ているんですよ。どうですか。やっぱり将来はしたいんですか。
  88. 山花貞夫

    山花国務大臣 今御指摘の数字は、企業団体献金禁止の問題について、今回の法案のように政党についてと個人について分けたものではなく、一体として恐らくアンケートの数字が出ているのではなかろうかと思っています。全体としては、今御指摘の数字、むしろそれを上回るアンケートの結果もあったんじゃないか、こういう印象を持っておりますけれども、そうした国民の世論をストレートに受けるとするならば全面禁止ということだと思いますし、そうした主張をしてきた立場もございますけれども、しかし、さっき申し上げましたとおり、まず現実的に第一歩を踏み出すということから、全くその世論調査にこたえたわけではありませんけれども、その世論調査に示されている国民の世論ということを重く見る中で、しかし、現実政治の場における解決策として一歩踏み出したい、こう考えた次第でございます。  将来どうするかについては、一応、連立与党の合意では、廃止の意見にも考慮して五年後見直すとなっておりますけれども、それまでの間の新しい選挙制度、そして新しい政治資金のシステムがどのように現実に動くか、政党の収入あるいは個人献金の状態がどうなるかということなどを勘案して五年後に改めて見直す、検討するということになると思っています。
  89. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは、この企業団体献金禁止ということをやるためには、どうしても要るものは要るんですから、政党助成金、これを真剣に考えないと、ただ切っちまえばいいというわけにいきませんから。  それと、政府が今回提案されている政党助成金の四百十四億、これについては、多過ぎると言った人は一二・六しかいないんですよ。これをいいと答えている人、少な過ぎるからもっと出せという人を入れますと、四一・二%の人、まあ大体半分の人がこの四百十四億をいいと言っているんですよ。  さて、自民党の先生方、たまには聞かないと申しわけありませんが、自民党の方が少ないんですわな。少なけりゃ少ないにこしたことはないんですが、せっかく国民の皆さんが四百十四億でもいいよというアンケートが多いのに何で削るんですか、どなたでも結構ですからお答えください。
  90. 伊吹文明

    伊吹議員 その後にいろいろ世論調査が僕はついていたんじゃないかと思うんですが、個人献金は賛成ですかというアンケートがついていたんじゃないですか。もしそれがついておれば、個人献金は大いに賛成だ、NHKだったか朝日だったかちょっと失念しました、大いに賛成だという人は七〇%ぐらいあったと思います。あなたは寄附しますかというその後のアンケートについて、寄附するという人は一〇%以下だったと思いますね。そういう現実を考えると、私は、企業献金を結局認めるのか、それとも政党助成を大きくとっていくのかという選択の問題だと思います。  その場合に、私は、自民党政党助成を提案しているわけですから、提案者としての立場個人政治家としての立場を使い分けるような器用なことは私はなかなか申し上げにくいんですが、私の率直な気持ちを言えば、なるほど政党助成を多く入れて企業献金を抑えていけば、それは企業が関与するもろもろの不祥事はなくなるというふうに言われていますが、私はそうは思いません。今問題になっているのは、今の政治資金規正法上で問題になっている献金ではありません。新聞等は裏献金と言っていますが、私はあれは献金じゃないと思っておる、裏金だと思っています。ですから、今の政治資金規正法上認められているもので不祥事が起こったことは私はないんじゃないかと思いますよ。  そういう中で、笹川さんの御指摘のように、国民の世論調査では、確かにそれは一つの案です。しかし、企業を関与させないことによって、政党助成を行い、内閣総理大臣が指名をする会計検査院長の指揮下にある会計検査院、これはどういうことにこれからなるのか、私はいずれ連立側に伺わにゃいかぬと思っていますが、もしその政党助成の使途等について検査をする、検査をしなければこれはやはり憲法上の問題が私は出てくると思いますが、そういうことによって実ば政党政治の闊達性とか公権力と政党の関係がどういうふうになるのかということを考えると、あることを防止しようと思って、他のもっともっと大切なことを私は失うのではないかと心配しています。  これは自民党案の提案者としては、政治改革本部に担当の八者、八会派じゃなくて八者が集まって協議をいたしましたので、その協議に従って私は賛成だと申し上げますが、個人としては私は余りこのことは賛成じゃない。そういう意味からは、政党助成は、まあ今のところ自民党の計算は三分の一、そのかわり企業献金を入れるということでそういう計算に私はなっているのだと思います。
  91. 笹川堯

    ○笹川委員 今、伊吹先生のお答えでは、企業献金をもらえるということでこれだから、もし企業献金が将来何らかの形で制約されるなら別に政府の案でもいいというふうにも理解できるわけでありますが、これは私の独断と偏見かもわかりませんが。  さて、お金の話ばっかりしていてもあれでございますが、実は今度の小選挙区制で、両方の方にお伺いしますが、小選挙区では落選しちゃった、ところが比例の方で、重複立候補ができますから、当選した。これは当選したんだからいいじゃないかといえばそれまでなんですが、なかなかこの日本の社会というのは隣近所のおつき合いが多くて、今度何か会合で呼ばれるときに、当選した人は地元からおれは出ているというのでいろいろな会合に行かれるでしょう。ところが、地元で落っこちちゃったやつは非常に行きづらいというか、呼ぶ方も呼びづらいし、先生よかったわ、何だい、選挙に落っこちたけれども比例で当選できたから。何だか知らないけれども、学校でいえば、落選はしたんだけれども裏口入学で入れてもらったみたいなもの。それでなくても、先生、おれがやったから当選したんだよ、先生危なかったね、票数がクロスすればするほど必ず選挙民には言われますよな。先生よかったね、あのときおれがやらなかったら先生落っこちちゃっているよ、うちの会社がやったから上がったんだよ、これはあるんですよ。  だから、これはもう皆さんも、皆さんは大丈夫と思うけれども、まあ私の場合なんかはそういう可能性がいっぱいあるんですが、そのときに何と答弁したらいいのかな。まあ言ってみると補欠議員か、ちょっと資格が若干足らない、何というのかな、欠格議員というのかな。片一方ではだめだけれども片一方はよかったというのが結構ある。  逆に、小選挙区に出る人はもう比例に出られない、比例比例だけなんだよと明確に分けてしまえばその議論は言われることはないんですが、それはおまえ、選択の自由で、こっちだけ出ることもできるんだよと言われるけれども、今の党の関係では大体やっぱり、国がえじゃないけれども、こっちも出にゃいかぬ、こっちも出してやるよという議論があると思うんですが、どうでしょうか。
  92. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のケースは、併用制の場合にも並立制の場合にもそうした問題点が出るのではないかということについては、かねてから指摘されてきたところでございます。  実は私もたまたま手元に九〇年十二月のドイツの選挙の結果、併用制ですけれども、持っているわけですが、重複立候補ということで、比例代表で当選した人のうち、三百三十四人中三百二人が小選挙区で落選をしております。いわばほとんどと言っていいぐらいの数字でありまして、しかし、これはいわば政治風土として、比例代表から出ているんだからということでごく当然のこと、決して補充とか一流、二流ということは考えないで、選挙のシステムとしてこれでよろしいということになっている、疑問もない。したがって、日本でも有名なあのドイツの政治家も長年この小選挙区では当選できなかったけれども比例区の方から出て当たり前のこととされている、こういう現状もございますが、さて日本ではということについては、御指摘のような疑問が出てくるのではないかと思っております。  初めは確かに御指摘のような違和感がやはり残るかもしれないと思っておりますけれども政党本位選挙であり、かつ比例ということで重複立候補を認めるというシステムの中からは、当然こういう結果になるのだということにつき私は国民の皆さんの御理解をいただけるのではなかろうか、こういうように思っております。  自民党案でも強調しておりますとおり、政党本位選挙ということから、名簿政党がつくります。そうなってくる場合、おっしゃったとおり、思い切ってどちらかにだけ出して、重複立候補させないということについても政党選択としては残っていると思いますので、これは各政党選択ということだと思いますけれども、しかし、当選させたい、党の立場でそう思った方について重複立候補その他を考えるということについて、これまた政党選択ということになるのではなかろうかと思っております。  ちょっと長くなりましたけれども、確かにちょっと違和感があるかなと思いますけれども、新しい政治風土をつくっていくという、それだけ思い切った改革でありますので、こうした問題点についても国民の皆さんの御理解をいただくことができるのではなかろうか、こう思っております。
  93. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは、自民党の先生に今のことともう一つ追加で、名簿順位を決めるときに、参議院でももうえらい入札制度みたいになっちゃって、党員を獲得なんということで随分自民党の幹部の先生は困ったと思うのですよ。おれを一番にしろ、おれを一番にしろ、みんな一番になりたいわけですから。もちろん惜敗卒だとか善戦率という問題もあるのですが、この点について私も余りよくわかりませんが、参議院の二の舞のようなことは将来起きないという、何か内部の規定みたいなもので、まさに国民に明確にわかるような方法はあるのでしょうか。
  94. 伊吹文明

    伊吹議員 まず、前半部分のお考えについては、これは珍しく今山花さんの御答弁になったことと私の意見は一致いたしております。日本では非常に違和感が私は確かにあると思いますね。笹川さんは小選挙区で堂々と当選してこられる数少ない議員だと私は思いますが、万一そのようなことがあったら、いや、それはドイツのコール総理大臣だって小選挙区はだめだけれども比例区で上がってきているのでとおっしゃったら私はいいのだと思いますよ。むしろ政策本位でやるわけですから、そこの日本的な第一種議員、第二種議員という差別はまあのみ込んでやる。  それから、二番目の問題については、私は、やはりこれは移行期の問題とある程度制度が定着したときの問題は分けて考えないといけないと思うのです。今の中選挙区でたくさん我が党も議員がいるわけですから、この人たちを三百の小選挙区に張りつけるということはなかなか技術的には私は難しいと思います。その場合に、御年配の方あるいは選挙区の状況を考えて比例区におれは自動的に回るという方は、これはまずやはり上へ回さないといけない。それで、小選挙区へ出た方は、これは党内の規定として、例えば次点の票と当選者の票との比率で順番がついていくというような客観的な状況を当然つくっていかねばならないと思いますし、定着をしていけば上に回すという人たちはだんだんなくなっていくわけですから、客観的な基準だけで運用されてくる。  むしろ大切なことは、新たな候補者を客観的な基準で評価し、そして発掘してくる作業の方が大切になってくるんじゃないか、そんなふうに思っております、
  95. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは最後の質問といたしますが、政府と自民党の方にお伺いします。  二票制と一票制というのは非常に論戦相分かれるところであります。山花大臣も佐藤大臣も、この二票制と一票制については、幾らここで聞いても、実は内閣だから、ベストのものを出したのだからどうも私の方はそれは言えない、死守するより、まあそういう表現になると思うのですが、いずれにしてもここは議会でありますから、最終的な議会の決定に政府は従うわけでありますが、私は、与野党ともに何とか最大限の努力をして国民の負託にこたえるべきだ、こういうふうに思っていますが、何が何でも一歩も譲るな、そういう考えであるかどうか、お二人に。死んでも譲れないというのか、そこはそこそこさというのか。自民党さんの方も、この一票制については断固死守するのか、いや、そこは人間の情だ、紙一重でもというようなお考えがあるのか。私も非常に重大な関心を持っておりますので、お答えをいただきたい。
  96. 山花貞夫

    山花国務大臣 最後は一票、二票の問題だけちょっと例に挙げられましてですけれども、全体についてという、こういう御趣旨ではないかと思っております。そういうことでよろしいですね。  幾度がお話しさせていただきましたけれども、今回提案するに当たりましては、これまでの国会中心とした議論を十分踏まえて提案をしたつもりでございます。もちろん、政府が出した提案について国会で御議論いただくわけですから、一般論とすれば、国会の御議論の決着を尊重するということは当然だと思っております。ただ、法案を出した私の立場からいたしますと、それは当然としても、かなり議論をし、そして従来の与野党の議論というものをそんたくいたしまして出したものでありますので、何とぞ御理解いただきたいという基本姿勢について変わりません。  以上でございます。
  97. 鹿野道彦

    鹿野議員 いろいろな経緯の中で私どもは総合的に判断して、今回我が党が出さしていただいている考え方こそがまさしくベストである、こういうふうなことで、自信を持ってお答えもさせていただいておるところであります。  ただ、合意形成につきましては、もちろん努力をさせていただきますということは申し上げさせていただいているところであります。
  98. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは、担当大臣並びに自民党の皆さん方に大変長時間御苦労をかけておりますので、感謝の意を表して、質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  99. 石井一

    石井委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  100. 石井一

    石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山本有二君。
  101. 山本有二

    山本(有)委員 まず、政治改革法案を取り巻く現在の状況、特に中選挙区と決別し得るかどうかというこの瀬戸際に当たっての状況をお伺いしたいと思います。  ことしの七月十八日は投票日でありました。選挙戦は、政治改革をめぐっての議論がほぼその主要な論点でございました。そういう中で、選挙が終わったときに率直に感じましたことは、もう必ずこの次の国会では法案は何らかの形で成立して、この政治改革というものに対して一つの区切りができるだろうということを私は思ったわけでございます。そして、その翌月には連立与党の内閣ができるし、また、自民党も小選挙比例並立という、ほぼ同じ仕組みでやろうという、そういう合意が、大枠ができたというように思いました。  ところが、その一〇〇%の可能性から、私の今の率直な感想から言いますと、どうも法案が成立するのは五分五分ではないか、五〇%ぐらいではないかというような危惧感を覚えるわけであります。  特に、この危惧感というよりも、一体果たしてどうなるのか、自分の選挙はどうなるのかという、自分自身に当てはめてみましても、不安感やらいろいろな思いが錯綜するわけでありまして、さてこれはどうしてなのかなと自分でちょっと考えてみました。  自分でいろいろ考えてみたときに、幾つか思い当たる節がありました。それは、未知への不安とか、あるいは神学論争だからこれはしょうがないことなのかなとか、制度の安定感というものは、まあ神学論争ですから、あるいはマスコミの報道で、できるできぬ、できるできぬと朝令暮改であります。そんなことを考えたとき、ふっと、いや、そういうことは前国会もあったんだよ、未知への不安だとか制度に対する疑問だとか、あるいはマスコミの報道だとか、そういうものは今まででもあったわけです。  何が突然変わったか、こう言いますと、私は、実は中選挙区というものの弊害、改革をしようという一つの理論に変化が起こっているのではないかというように思います。  まず、ロッキード、リクルート、佐川と、こう一連のスキャンダルがあった。で、お金がかかる政治をやめよう、こうなった。腐敗防止やら、あるいは政治資金の小手先での改革はだめだ、本質論で選挙制度を変えていこうという議論になった。  さて、そこまではよかったわけであります。その制度をどう変えるかのときに、中選挙区に決別する大きな二つの理由がありました。一つは同士打ち、もう一つは政権交代の可能性がない、緊張感がないということでありました。政権交代の緊張感というこの問題については、もう交代があったわけでありますから、私は、このことによって、実は五〇%、中選挙区からの決別について、どうも力不足になってきたんでないか、エネルギーがそがれてきているんではないかというように感じるところがあるわけであります。  それを一つ裏づけるようなことは、実に中選挙制度というのは、外国の学者に言わせますと、これは準比例制度だ、こう言うわけであります。準比例制度、すなわち選挙区ごとの比例制度をやったときと同じ結果が生まれるんだよ、こう言うわけであります。  特に、準比例制度と見られるこの中選挙制度、これに比例制度を、並立ですから半分ぐらい、二百五十、二百五十というような政府案で導入を半分しますと、どうしても中選挙区とイコールな形になってしまう結果が生じてしまう。そんなことを考えたときに、どうしても私は、ここで思っ切って、もう一回、中選挙区に決別をするんだという意識を新たにしていただかないとだめであろうと思います。  そんな意味で、もう一回、この中選挙制度から本当に決別し得るのかどうかということを、まず官房長官の方からお答えを賜りたいと思います。
  102. 武村正義

    ○武村国務大臣 今こそお互いに決然として、なれ親しんだ、我々一人一人の代議士を生んでくれたこの中選挙区制に決別をしようではありませんかと申し上げたい。  確かに、おっしゃるとおり、政治の状況が変化をしましたし、変化に伴って、それぞれの党の利害、あるいは一人一人の所属しております党の立場での利害は変わってきております。そこに、与党、野党、立場は違いますが、新たな戸惑いや迷いも出てきているというふうに私も思いますが、しかし、もともと同士打ちや政権交代というのはわかりやすい論理でございましたが、どっちかといえば個人中心政治選挙仕組みであり、個人中心の金の集め方、金とのかかわり方が中心であった今までの日本のシステムを、政党中心にシフトをさせていこうというのが大きな決断だと私は思っております。  そういう意味では、やはり依然として中選挙区制は、この論理からいっても適合しないといいますか矛盾をはらんでいるという意味で、私は、今なお迷わずこの制度を卒業して新しい制度にお互い決意を固めていきたいというふうに思う次第であります。  もっとも、選挙制度そのものは、もう議論してまいりましたように、百点満点の百点どころかもう八十点以上のものは見つからない、六十点か七十点ぐらいだなと私は率直に思っているのです。どの制度も弱点、欠点があります。避けられません。そういうことで、議論すれば八十点、九十点に到達しませんから、何となく一〇〇%確信が持てない状況が続くわけですけれども、そこはもうやはり変えることにかけるというか、その気持ちでこの長年の迷いながらも進めてきたこの大きな政策課題に決着をつけていくことができたらというふうに私は思っております。
  103. 山本有二

    山本(有)委員 同じ質問を担当大臣にお伺いいたします。
  104. 山花貞夫

    山花国務大臣 中選挙区制に後戻りすることはでさないと私は認識しておりますが、そのことについては、これまでの議論などを踏まえて、与野党のほぼ共通の認識となっているのではなかろうかと思います。ただ、この委員会における議論を通じてもなお中選挙区制の方がよろしいのではないがといった趣旨での質疑もあったわけでありまして、その意味におきましては、改めて後戻りはしないという意味において、先生御指摘の中選挙区制への決別宣言を再確認すべきであるということについては全く同感でございます。  実は、御指摘の前段の部分、これまでの経過の中で、中選挙区制についても、いい部分、悪い部分、さまざまな観点で議論された経過の中で、全体の流れとしては、前回国会における長時間の議論と選挙戦を通じて、中選挙区制とは決別しなければならないという内外の合意があったのではないかということについては、私もこれまでの経過についてそのように考えています。  今、問題点を官房長官が的確に指摘されておったと思いますけれども、先生御指摘の中選挙区制についての政権交代の問題などにつきましては、実はそこだけではなかったかと思っています。やっぱり個人本位の選挙、そしてこれは選挙だけではなく日常的な政治活動におきましても、そうした選挙があるから、当然のこと、地盤培養行為的な地元優先の個人本位の政治活動というものがあったわけでありまして、そのために大勢の秘書を抱えるということに象徴されているような、大変日常的に金のかかる選挙のシステムであったということにつきましては、大体共通の認識ではないでしょうか。  したがって、そうした意味におきましては、そうした問題点を解決するために、選挙制度ということだけではなく、政治腐敗防止のための施策、同時に政治資金制度についての新しい提案等々、一体のものとしてというふうに考えた中では、中選挙区制から決別して新しい選挙制度へ、こうした条件がしできてきたのではなかろうかと確信をしているところでございます。
  105. 山本有二

    山本(有)委員 同じ質問でございますが、自民党にお願いいたします。
  106. 伊吹文明

    伊吹議員 この選挙制度を含めた政治改革の議論が始まったときから、私たちは中選挙区から決別をしなければならないという決意は現在も揺るぎのないものであります。特に中選挙区のもとで政権を担当してきた自由民主党であればこそ、一つ選挙区から二人、三人と立候補しなければならないというそのつらさは、政権を担う意図のなかった当時の野党の皆さんにはわからない、それほどのつらさを我々は味わってきたと思います。その中から先生がおっしゃった個人のスキャンダル、あるいはまた派閥の領袖のスキャンダルというものも生じてきました。  ただ、同時に、山本さんが今いみじくもおっしゃったように、政権交代が現に中選挙区のもとで起こってしまったと、そして我々が選挙制度改革をしようとした意図は、お互いに共通の価値観のもとで、重点の違う政党が互いに切磋琢磨することによって、もしもスキャンダルを起こしたらあちらの政党に政権が行くじゃないか、そういう緊張感のもとでスキャンダルも起こさない、間違った政策、国民に受け入れられない政策をあちらの党が提唱したら、今度はこちらに政権が来るじゃないかという政党間の競争、今おっしゃったように政党間の競争、そして政策本位政治をつくりたい、こう思っていたからだと思います。  今先生がおっしゃった、逡巡しているという気持ちがあるとすれば、それはただ私は一点だと思います。政権交代は現に起こったけれども、残念ながら、その政権を支えておられる八党・会派の基本的理念が違うままに政権交代が起こってしまった。そして、今もしここで小選挙区というものを入れるとすれば、結果的に政治というものは立派な政策理念と、それをいかに達成していくかという権力の部分が互いにまじり合って出てくるのが現実の政治ですから、全く理念の違う方々が、やはり選挙に勝つという権力の部分をカバーするために御一緒になられるという可能性は極めて強い。そういう形を固定化してしまうのが、本当に将来の日本の危機管理とか日本の政局を占っていく上で本当にいいのだろうかということは、これは識者はみんな悩んでいると私は思うのですね。  ですから、これは自民党の問題というよりも連立八会派の中の問題だと私は思うのですが、共通の価値観を持ったお互いの二つの政党が切磋琢磨するということを目指していたのが本来の政治改革選挙制度改革であったと思いますね。そういうことが本当に現実に起こるのだろうかというその戸惑い、その不安、これが私は一番大きいのじゃないかと思っております。
  107. 山本有二

    山本(有)委員 それぞれのお立場で中選挙制度には決別をするという共通項は見出されたようでありますが、さらにもう一項、もう一つ突っ込んでさらにこの問題についてお伺いしますけれども、中選挙区の先ほど申しました弊害、中選挙区の弊害イコールお金のスキャンダルということだけに限ってみれば、政党中心とか個人中心とかも関係なく、ともかくお金がなぜかかるんだということばかりに焦点を当ててみると、やっぱり同士打ちなんでしょうね。  そこで、この同士打ちというものの弊害があるから変えよう、どうしても変えよう。現状に対する不満がいわば改革のエネルギーということになると、政権交代の可能性云々ということとともに、この同士打ちについても随分緩和されてしまったと私は思うのですよ。その最大の原因は官房長官にあるだろうと思いますが、結局、同士打ちじゃなくて政党が分かってしまったわけですから、以前の、解散の前の二百七十四議席から二百二十七議席、すなわち二百七十四分の二百二十七に緩和されたわけでありますから。  そういうことを考えてみますと、今後、もし仮に自民党の、こういうことはあり得ませんけれども、派閥が派閥単位で独立するとか、あるいはさらにもし減少してしまうとかいうことになって、限りなく百二十九議席に近づくと、もう完全に同士打ちというのはなくなるわけですよね。百二十九選挙区があるわけで、それに一議員だけしか立てられないというようなことになりますと。そうすると政党本位選挙が逆に実現してしまうという、中選挙区の中でも政党本位の、だから小党分立になれば実現してしまうということになると、政党本位とは言えないのじゃないかというようにも思いますけれども政党本位だけで中選挙区と決別できるのか、もう一回官房長官にお伺いしたいと思います。
  108. 武村正義

    ○武村国務大臣 将来の日本の政治の姿がどうなるか、この連立政権ができた前後から大変活発に論議が行われておりますし、御承知のように二大政党論と穏健な多党制論の比較の議論も何回か繰り返されてきたところでございます。  私、この民主主義の基本が多数決原理であるところに実は二大政党論の由来があるといいますか、これはもう政権を決めるときもそうでございますし、一つ一つの予算を初め法案を決めるときもそうでありますように、すべて多数決で事が決せられます。その賛成する側と反対する側と、シンプルにいえばそういうように案件ごとに二つの色、二つの勢力というのが鮮明に見えてくるわけで、そこに二大政党論あるいは二大政治勢力論が絶えずこの議会制民主主義の中では出てくるんだというふうに思います。  ただ、日本の政治がこれだけ利害が錯綜して、価値観が多様化した中で、単純にイギリスのように二つの政党にすかっと割れるかというと、それはそう単純に割れるはずはないと。その現実を踏まえると、たとえ議会制の多数決原理が働くにしましても、かなりの数に過渡期である以上はならざるを得ないし、その状況もそう簡単に早い時期に二つに収れんするとは思えない。まあ三つなのか四つなのか五つなのかわかりませんが、あるいは三つプラス小さなものが三つ四つとか、いろんな形になると思うのですが、そのことは避けられないと私は予想をいたします。  お答えになりませんが、そういう中で、終局的には、そういう意味で特に単純小選挙区制が導入されますと一層そういう原理が働く。政権選択の要素も強まりますし、二大政党のキャラクターも強くなると思いますが、そんな中で私どもが意図してきた同士打ちのない政党本位の、あるいは政策を中心とした争いの方向に進むことは、基本的には間違いがないというふうに思います。  ただ、従来も同士打ちの問題は政権党の自民党だけなのかと言われますと、自民党の中の熾烈な競争がほかの政党にも大きく影響していった。現実に奄美大島の場合は、絶えず自民党公認は一人でありましたが、無所属の人までそのまま派閥の応援を受けて自民党内部の同士打ちと同じ形をとってしまいましたし、民社党とかほかの党の場合でも、党オンリーワンの候補者ではあっても、自民党が非常に激しい後援会競争を展開すれば、やはり社会党や民社党の方といえども後援会をつくったり、よく似たことを、電報を打ったりおじぎをしたりしなきゃならないという意味では、やはり金のかかる方向に引っ張られがちであったということも考えますと、自民党だけの話ではなかったなというふうに思います。  長くなりましたが、要領を得ませんが……。
  109. 山本有二

    山本(有)委員 ちょっと問いと答えがきちっとしているかどうかわかりませんけれども、一応その中選挙区への決別の意思は十分わかりました。  次に、担当大臣にお伺いいたしますが、自民党案にしろ政府案にしろ、まだまだ距離があるわけであります。しかし、この国会を乗り切る責任というのは、やはり権力を背景にしたところに一番の責任、これがあるような気がします。公約というものは、これは実現ができる力があるから公の約束というわけでありますから、その意味で、まあ連立与党の第一党の、しかも委員長を経験された大臣がこれについてどうお考えか。  特に、連立政権というのは従来長いこと続かない、ワイマール共和国のようにいつもかわるんだろう、こう言われてきましたけれども、現実の第二次大戦後のヨーロッパというのは長いこと続くわけですが、その原則は、第一番に第一党が首相を支えるかどうかだけなんですよね。だから、第一党としてその責任はあるわけでありますが、支えるかどうかはこの公約実現にかかっておるわけでありますが、このことについて異論はないか。  小さな政党の党首を第一党の大きな社会党が支えておるわけですが、そして公約というものに対して、政治改革するということに対して一番責任があるということですが、このことについて自民党よりも連立与党の方に責任があるかどうか、それについてお答えください。
  110. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のとおり、長期政権について過去のヨーロッパの例を調べてみると、むしろ連立政権の方が多いというような学者の研究結果もございました。それはやはり民主主義の手法だと思います。幅広い国民のコンセンサスを、連立を組んでいる政党の中で議論をしてコンセンサスをつくり上げていく、そのことに対する国民の支持という政治の文化というもののもたらしたものではないか、こう理解をしているところでございます。  今回、三十八年間の一党支配の政治から、自民党が政権をとっておった時代から、連立の時代になったこれからの政権のあり方というものは、恐らく一つ政党が五〇%の、あるいは五〇%を超える支持を得るというのは今日の日本の政治現状からはないんじゃないだろうか。どの政党がかなり勝利いたしても五〇%以下であって、連立政権の時代に入ったのではないか、こういうように私は認識をしております。  さて、そうした中で、政権の担い方、そして内閣のリーダーである総理の支え方ということにつきましては、新しい体制に入っての新しい努力の積み重ねということでもありまして、まずは連立政権の合意をつくり、その合意について各党が誠実にこれを履行するということの中から、その合意を土台にして総理としては安定してリーダーシップを発揮する条件がある、これが今日の仕組みだと思っています。  一般論で申し上げましたけれども、その意味におきましては、連立政権の合意に従って与党が協議をした、そこでのまとまった合意というものが内閣に報告され、これを内閣としても受けとめた中で今回の法案を出させていただいた次第でございまして、したがって総理はそうしたきちんとした連立政権のルールにのっとった法案提出をして、今責任者の立場にあるということでありますから、全く与党の支持の体制に微動だもしない体制がある、こういうように考えているところでございます。  それで、その法案を出したからには成立させる責任があるではないかということにつきましては、それだからこそ私たちも、これまでの長い国会の議論の経過、そしてそこでの与野党の議論ということを十分踏まえた中で法案を作成、提出させていただいたつもりでございます。  今、まだまだ双方の考え方には大きな幅がある、こう御指摘もありましたけれども、前国会を振り返っていただければ、もっともっとこんな大きな差があったわけでありまして、その中でどうやってそれぞれの主張というものを生かすことができるかということの議論の中で、前国会でも野党側は中選挙区から併用案を出し、そこから連用案に譲歩をし、歩み寄って、さらにあの現場では連用の修正というところまで歩み寄った経過もありますけれども、残念ながら単純小選挙区の党議決定をお持ちの自民党とそれ以上歩み寄ることはできませんでした。  今回は、大きな差があったものがかなり近づいてきた中での議論でありますので、確かにまだ十を超す、十項目を超す意見の違った部分というのはございますけれども、これはこうした議論をする中で問題点がだんだん詰められてきているという状況ではないかと思っています。こうした現在の事態におきまして、私たちは、提出した政治改革の担当大臣という立場もございます。ぜひこの点について、今度の法案について御理解をいただきたい、こういう姿勢で今審議にも臨んでいるところでございます。
  111. 山本有二

    山本(有)委員 御答弁の趣旨を総括して私の質問と対比すると、やはり比較して連立与党が自民党よりも成立に向けての努力をしなきゃいかぬ、こういうようにおっしゃっていられる、こう理解するわけでございます。  そして、そのときに、十項目の隔たりが詰められている、こうおっしゃられたわけでございますけれども、さて、詰めていくことが全部合致するならばそれは何も問題ないわけでありますが、政府案自民党案という二つのものが歴然とこういう形で法案として提出されて、じゃどこでどうやっていくかという問題、まさに修正の問題ですが、これのどっちからということについては非常に難しいことだろうと思うんですよ。十項目の中で詰めているのは、どこでどうやって詰めていられて、そしてその修正というものに明らかになってくるのは、その十項目からどういう形でできるのか。さっきおっしゃられた範囲の中で結構でございますが、もう一度お答えいただきたいと思います。
  112. 山花貞夫

    山花国務大臣 山本委員が前段を整理された責任の所在ということにつきましては、これだけの問題ですから、選挙国民の審判を振り返れば、私は与野党ともに責任を負うということの中でこの国会を迎えていると思います。  ただ、そうした中で、議員提案という考え方もあったと思います。しかし、政府提案にしたことの意味というものは、政権として国民の審判の結果を重く受けとめ、そしていわば一枚看板的に政治改革を打ち上げた細川政権のスタートですから、まずその意味におきましては、政権の性格を鮮明に打ち出すためにも政府提案としよう、こういう決断をした経過からも、政府が大きな責任を負うて、それは法案提出だけではなく、法案の成立につきましても大きな責任を負うているということについては十分自覚しているつもりでございます。それだからこそ幾度か話題となりました総理の年内成立の決意もあったものと受けとめ、我々はそうした大前提のもとに閣僚として責めを果たしたいと思っているところでございます。  後段の部分につきましては、確かにそうした意味におきましては、法案ですから、先ほども、私午前中の議論の中で、全体として、一般論とすれば、法案を出したものについて、政府が出したものについても国会での判断を仰ぐ、国会での採決を仰ぐ、こういうことでありますから、これは政府がベストと思って出したというものについて国会の議論がどう展開されるか、どう与野党の議論が結実するかということにつきましては、これは一般論として当然の国会に託された問題ではなかろうかと思っています。  したがって、我々は政府として責任を持って出しました。そして、我々の気持ちというものをいろいろな機会に皆さんにお伝えするという努力をする中で御理解をいただきたい、こういう姿勢でやっているわけでありまして、今御指摘の、じゃ一体だれが、どこで、昨日来、窓口は等々の問題につきまして、政府の立場で窓口はここじゃないですかと言うことは私はできないテーマではないか、こう思っているところでございます。
  113. 山本有二

    山本(有)委員 それは難しい問題ではありますが、そこを乗り切るかどうかがまさしく与党第一党の責任なわけですから、そこはもう明確に今週中にしていただかなければ時間切れになってしまいます。  官房長官に続いてお伺いしますけれども、特に細川総理が年内成立発言をあえて言ったことについて、私はちょっと、これは決意と受け取るには余りにも意味があり過ぎることではないかなということなんです。それは、やはり国会というものがあり、審議があり、日程があり、時間が限られているという中で年内ということをあえておっしゃられたということは、私は、年内にできなければ腹切りますよというようなことを逆に自白しているような、そんなふうな感じがするんです。  そうすると、政権を失った我々野党としましては、そんなふうなおいしいことがあれば、逆にそれじゃ待ってみましょうよ、お手並み拝見しましょうよということになるのが当然なんですよ。それだけに、逆に言えば、もう簡単に連立与党の多数でこれを通過させることができるという、それぐらいの自信満々さが、いわば傲慢さがこの年内成立発言になっているのではないかなと、私はそう思うんです。  したがって、あえてこの年内成立発言をされた以上、そういうようないわば政局的なレベルでの話にならないようにこれをする必要があろうと思うんです。そうすると、逆に言えば、政局の話にせずにやっていくためには、この発言をされた総理がむしろ辞を低くして野党との合意を求めてくるというのが筋だろうと思うんです。だから、その筋を考えれば、官房長官はそのおひざ元にあるわけでありますから、官房長官が修正のいわば窓口として頑張っていかれるというようなことも必要ではないかと思いますけれども、この発言と官房長官のお立場とかみ合わせましてちょっと御発言を賜ります。
  114. 武村正義

    ○武村国務大臣 まず、総理の年内発言は、考えてみますと、私どもと当時の細川さんと連名で「政治改革政権」の提唱をさせていただいたのが七月の二十三日でございました。あの文案をつくるために二日ほど議論をしたのでありますが、五本ほど柱を立てまして、この五本の柱に合意をする政党が集まって政治改革政権をつくるべし、こういう提唱でしたが、そこで各党は党議決定をしていただぎたい、同時に、この法案は年内ということをそこではっきり表明をいたしました。そこに根拠があるのではないか。その提唱に賛同いただいてこの政権ができたということを、当然、細川総理も、総理になられた直後も頭に強く残っていて、これはあのときの出発点からしても年内にきちっと果たさなきゃいけないという、いわば大変難しい問題ではあるけれども、この難問に対する責任感がああいう表現を使わせたのではないかと、私はそう考えております。  それで、当然もう妥協とか合意とかいう話は山花大臣がお答えされているとおりでございまして、昨日も政府・与党の会合で相談もございましたが、やはり院内で真剣に今こうして議論を進めていただいております以上は、院内で十分な話し合いをしていただく。政府は、政府案提案をしている立場でもありますから、自分たちがベストの案を提案していながらすぐ妥協に進んで乗るわけにはいかないなと、これは形の上でもいかないなと。それならば、やはり連立与党の皆さんが御苦労いただいて、わけても現場で御苦労いただいている理事の方々も含めて、真剣にこの議論の推移の中で合意の可能性も責任を持って探っていただく、こういうふうな判断になりました。  したがって、総理みずからも重大な関心を持っております。ましてや政権の行方のかかっている、そこまで発言をした問題でございますだけに、本当にすべてにまさる大事な課題が刻々動いていることに全神経も使いながら関心を持たれておりますが、どうぞそういう状況の中で、ひとつよろしく与野党を超える立場でこの法案についてお願いをいたしたいというふうに思っております。
  115. 山本有二

    山本(有)委員 担当大臣にお伺いいたします。  けさの朝刊で公表されました与党首脳会談、この与党首脳会談では総理が改革の決意を改めて述べられたそうですが、そのまた与党の代表者会議、ここにおいては官邸主導で妥協案を模索しているのはけしからぬという発言があったそうであります。それは連立内閣ですからそういうことも多少はあり得ることは認めますけれども国民に明らかになるような形で、いわば妥協案の権限をめぐっての醜い争いというものが国民の前にさらされることは、我々にとっても、国会の全議員の運命を決める問題ですから、これがそういう連立内閣の中の矮小化された問題というような片づけをされることは、我々も非常に残念でしょうがないわけであります。  したがって、きのうの首脳会談での総理の決意、そして官邸が主導で妥協案をつくる、それで官房長官もやろうと考えられておる、それへ水を差すような、そんなふうな代表者会議というのはおかしいんじゃないですか。山花大臣にお伺いします。
  116. 山花貞夫

    山花国務大臣 私、代表者会議には出ていませんけれども、政府・与党首脳会談には出ておりました。そこでの双方の話し合いにつきましては、醜い争い的なことは一かけらもありませんでした。まさに政治改革についてともども協力して国民の期待にこたえたい、こういう完全な合意がなされたのが昨日の政府・与党首脳会談だったと思います。  これまたきょうの閣議の際も、閣議の後の懇談の冒頭に、総理から、昨日の出席者は限定されていますから、全閣僚出席の席で同じ政治改革についての決意が述べられ、閣僚一同、そのとおりだということで意思統一したわけでありますけれども、全くこの点につきましては双方の意見の不一致というものはなかったわけでありまして、内容については官房長官がお答えしたとおりでありますので、その点の御心配は全く御無用ではなかろうかと思っております。  また、今後ともその点につきましては御心配のようなことがないように、当然我々としては努力をしていきたいと思っています。
  117. 山本有二

    山本(有)委員 代表者会議の方には出られてなかったということですから、楽観的に見たいという気持ちはわかるのですけれども、やはりそこが最大の問題点であります。  そこで、もう一回あえて、しつこいのですけれども、修正案を模索するならば、窓口と妥協案のいわば最終決定権者というものはどこか、もしわかるならわかる、わからないならわからないで、今のところ考えてないなら考えてない、イエスかノーかぐらいの短い言葉でお願いします。
  118. 山花貞夫

    山花国務大臣 政府の側としては、窓口論問題について、責任を持ってだれだという立場ではございません。  ただ、一般論として考えれば、与野党の相談ということになりますと、自民党の方の窓口がどうなっているか、これは全く私は存じ上げるところではありませんけれども、与党側とすれば、まずは何よりも現場の理事の皆さん、そして政務担当の幹事の皆さん、そして代表者の皆さん、こういう段取りで相談があるのではなかろうか、そういうように考えているところでございます。
  119. 山本有二

    山本(有)委員 山花大臣も御苦労されているところだろうと思いますけれども、ともかく理事という話が出てまいりましたが、この特別委員会理事の間でぜひ具体的に詰められるような、そんなふうなことを進めていただいたらというように思います。  自民党にお伺いしますけれども、社会党も毎日毎日いろいろ、連立与党を含めてこの成立に向けて賛否両論あるようでありますけれども自民党の方も、我が党の方も、これが修正とかいう議論になったときに、非常に党内コンセンサスというのが問題になろうと思うのですけれども、この党内コンセンサスを得るというその決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  120. 鹿野道彦

    鹿野議員 当然、今回の政治改革法案を出させていただく段階におきまして、総務会におきまして、総裁、党四役、政治改革本部長に裁量権を与えていただいておるところでございますから、そういう中におきまして、我が党としての考え方というふうなものを明確にさせていただきながら政治改革実現に向かって努力をされていくものと、このように確信をいたすところであります。
  121. 山本有二

    山本(有)委員 よろしくお願いいたします。  次に、基礎配分というのでしょうか、一人均等配分というのでしょうか、定数配分のときに都道府県に配分をする作業と地方代表の問題等について各論をお伺いいたします。  まず、各都道府県へ一人均等配分した根拠というのはどこにあるのか、自治大臣にお伺いいたします。
  122. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 これはもちろん人口比例だけでやるやり方もあろうかと思いますけれども、やはり小さな人口を持つ県というものについても、発言権と申しましょうか地域の声を国政の中に反映をさせるということの必要のために、まず各都道府県一名ずつ、そして残りの議席を比例配分するということになったわけで、いわば過疎県イコール小さな県とは申しませんけれども、そこを優遇する処置でございます。
  123. 山本有二

    山本(有)委員 自民党にも同様に、四十七都道府県に配分するというその理論的根拠、これをお伺いいたします。
  124. 伊吹文明

    伊吹議員 このところは、今佐藤さんがおっしゃったのと同意見で結構だと思います。
  125. 山本有二

    山本(有)委員 しかし、私は、小さな県への配慮というわけでありますが、都道府県とこういうわけでありますから、東京都にも一つ配分しておるわけですね。それから、道、道というのは面積的には大きいところでありますし、だから、そういうような意味においてはどうしても過疎県、ミニ地域だけに配慮したとは言い切れない部分があるのじゃないだろうかという気がいたします。  そこで、これと同じ制度はどこでとっているかというと、アメリカの下院でとっているわけでありますが、アメリカ合衆国というのは国が集まった連邦共和国だものですから、当然、一国一国に平等権があるのは当たり前だろうと思うのです。ところが、日本というのは単一国家でありますから、その意味では、都道府県というのが便宜自治制度を置いただけでございまして、三千三百の市町村の方が基本かもしれません。  そんなふうなことを考えると、必ずしも人口比例といういわゆる人口だけのモメント、それに加えて都道府県というもののモメントというのは根拠がないような気もいたすわけでございます、アメリカと比べましたら。あえてこれをとっているというところに、私は一つの、今回の両案、政府案自民党案も両方とも、何らかの形で余り深い議論をしないままに制度を導入してしまったのではないかというような危険性を感じるのですけれども、その点については、自治大臣、いかがですか。
  126. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 山本委員言われましたように、確かに一名ずつ配分というには、東京とか大阪とか愛知とか、そこも配分をしております。しかし、それは人口の多いところでございますから、その一名というのは相対的に非常に小さくなるわけですね。そして、この前も議論がございましたように、結果的に一名ずつ配分したことによってどこが、完全な人口比例でやった場合と比べてどこが減るかというと、今申しましたように、東京なりあるいは大阪なり愛知なり北海道なりというところが人口の少ないところに出しているという結果になるわけでございまして、確かに東京都やなんかにも、大きな県にも一名は配分しますけれども、結果的には小さな県に一名を配分している格好になるということが一つであります。  それともう一つは、確かに山本委員言われましたように、アメリカはユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカであり、州があくまでも寄ったものでありますが、日本はどちらかといえば、それは廃藩置県以来、県というのが一つの行政単位になっていることはこれまた紛れもないことであり、各県に知事がありということからいいますと、もう十二分に県というものの単位というのは、これは国民的にもなじみ、また認知されているのじゃないだうか。  地方分権の考え方の中で、将来これをどういうふうにしていくべきかの問題はちょっと先の話、別な次元の話でございますが、その意味では、四十七都道府県というのは、私は国民の皆さん方に十分なじまれている行政区画であると思っておりますので、そこに一名ずつ配分するということは至当ではないかと思っております。
  127. 山本有二

    山本(有)委員 私は、定数配分のときの理論として、人口比例、さらにこの都道府県、それだけにとどまる必要は日本はないのじゃないかというような気がいたします。  特に、この日本の政治システム、社会構造、そういうものを考えてみますと、一番最初に必要なことは、市場経済主義だろうと思うのです。これをきちんとしなければいかぬ。それがあるから各地域、企業が繁栄してきたわけでありますけれども、ただ、この弊害というのは、大きい資本が小さい資本を食っていくという論理の中で、東京へ大きい資本が全部集まってしまった。そうすると、東京の資本に地方が勝てるかというと、極めて僥幸でもない限りまれなケースしかないわけでありますから、そうすると、いわば東京イコール大資本であって、それで地方イコール小さい資本であって、その間の市場経済原理というのは働いていないわけでありますよね。そうすると、市場経済原理がこの国の仕組みで働かないときには、いわば福祉制度と同じように、政治が手を差し伸べる以外に方法がないですよ。政治が手を差し伸べる以外に方法がないとすると、いわば定数配分以外に今は考えられる方法がないというぐらいのところまでいくような気がいたします。  そんなことを考えますと、この四十七都道府県の配分というのは、まだまだ政策目的達成には足らない。そこで考えられるのは、面積とかあるいは市町村の数とかいうことでありますけれども、あえてもう一回自治大臣に、こんなふうに将来的に考えたらどうかということについてお伺いいたします。
  128. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 二つの問題があると思います。一つは、何といっても、きょう午前中にも議論がございましたように、これは国民の代表を決める非常に重要な要素の定数配分でございます。したがって、それじゃ何に基づいてまずやるべきかということになれば、結局、客観的にどなたでもわかっていただけるのは、やはり人口しかないのではないか。例えば面積といいますと、長崎二区は五島列島を含めて海の上のところまで入れると関東平野ぐらいになるとか、それを言っていきますと、本当に客観的な基準というのはあるだろうかということになり、また、政治というのは、やはり投票行動の平等性ということからいいますと、人口というのは一つであろう。ただし、それじゃ全く今申した人口の完全比例でいいかというと、小さい県への配慮をいたしました。  それともう一つ山本委員言われましたように、確かに経済的にも東京一極集中になっている問題。しかし、高知なら高知に大変根づいている、高知に本社を持っていらっしゃる立派な会社だってたくさんあるわけですよね。したがって、私は、これからの政治というのは、中選挙区制の中でも言われましたように、地域への利益配分とかあるいは誘導とかという問題ではなくて、やはり国民の代表、そして一方では地方分権という大きな流れがあるわけでございまして、問題はこの国土のまさに均衡ある発展というのをどうしていくのか。  今私も自治大臣をやらしていただいて、各市町村長というのは地方単独事業を使って意欲的に随分いろいろなことをやっていらっしゃる。それはそれで、やはり国と地方一体になって応援をしていくということで、きょうの午前中にも同じような議論がありましたけれども、私はそもそも日本の政治のあり方、政策的なあり方、それは単なる国会議員というものが地域の施設をつくったり何をしたりするパイプ役だけではなくて、全国的に日本がこれからいろいろな意味で、狭いのでありますから、豊かさ、ゆとりというものを感じさせるには政策をどうしていくかという問題と、二つの問題が私はあると思うんでございます。  今の山本委員の御意見が、もし政策的に過疎県といいましょうか、過疎を配慮するためにもっとそちらにウエートをかけたらということになるといたしますと、例えば各県に二名ずつまず最初に配置をしてということになりますと、これはとてもじゃない、二倍以下におさまらない、三倍以下でもどうかというような問題も生じてまいりますので、私は、定数配分の問題はそれ、それから政策のこれからやるべき課題というのは、それは日本を隅々までどうやって活性化していくか、今もやって努力していただいていますが、その二つを分けて考えないと答えは出てこないと思っております。
  129. 山本有二

    山本(有)委員 もう質問を終わりたいと思いますが、終わるに当たりまして、一冊の本がございます。「一九九二年の日米関係」、これは「ライシャワーセンター年次報告書」、これはアメリカのライシャワーセンターが日米関係の中で日本がどうなっているかということを書いている本なわけでございます。そのところに「政治関係」という分野がございまして、「日本の国内政治」という分野の中に「政治改革」という項目がございます。その項目の最後の端に、「選挙制度政治献金面での改革の必要性を認め、改革を公約した。しかし偏見に満ちた評論家たちは何も変わらないであろうと考えている。多くの人々からの改革の要求なしには、政治家たちは(過去二五年間そうであったように)不毛な論議をするだけで満足しつづけるであろう。」  アメリカ人は、ただこの国会だけで政治改革という議論をしているだけで、国民は知らないよ、国民の後押しはないよというようなことで、実現はだめだろうというように年次報告で書いているんです。そういうような予想がまざまざと的中しないように、どうぞ関係の先生方にこの国会で成立をぜひさせていただくように、なおよろしくお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  130. 石井一

    石井委員長 この際、山本拓君から関連質疑の申し出があります。山本有二君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山本拓君。
  131. 山本拓

    山本(拓)委員 山本有二さんの時間をいただきまして、質問させていただきます。  まず初めに、時間がありませんので、簡単に質問していきますので、簡単に答えていただきたいと思います。  今国民は、やはり今我々が政治改革国会ということで法案審議をやっておりますが、この法案が通ればすばらしい政治体制になるのだろうなというふうに期待をいたしていることだろうと思います。そういうことで、まず担当大臣と、きょうは官房長官もおられますから、お二人に、この法案が成立すればいかに国の政治体制がよくなるか、すばらしくなるか。  というのは、要するに我々が今議論しているのは、手段を議論しているのであって、法案を成立させるというのはあくまでも目的ではございません、手段ですね。やはり国民に信頼される政治体制をつくるために選挙制度を変えようと議論しているわけでありますから、この法案を通せばどんなにすばらしいものになるか、ひとつ明言をしていただきたいと思います。これは議事録に残りますから、後世の人にさすが山花大臣だと言われるか、それともあのうそつきと言われるか、どちらかになりますが、きちっとこういうすばらしい政治体制になるということを明言していただきたいと思います。
  132. 山花貞夫

    山花国務大臣 内閣の目標であると同時に、国会、与野党議員を通じての責任であると思っています。  今この政治改革実現したらという御質問でしたけれども、やはりその場合には、従来の選挙制度あるいは腐敗防止、政治資金のための制度と今回の制度がどう変わるのか、それによって政治がどうなるのか、ここが基本であると思っています。従来の中選挙区問題については、これまでの議論にありましたとおり、立場によってその欠陥についての指摘はそれぞれ違っておりましたけれども、これを乗り越えて、政治腐敗をなくする新しい政治資金制度を含めた新しいシステムにしていきたい、こういった合意のもとにスタートした次第でございます。  やはり問題は、選挙の審判を受けた、そしてそこでの国民の声が政治に対する不信きわまれりということの中で、とにかく政治改革をやってもらいたい、こうした国民の期待にこたえて国民の信頼を取り戻すこと、そこからこれからの政治がつくられていく。その意味で、我々は何よりも政治改革、それが喫緊の課題である、最重点の課題であると考えているところでございます。  細川総理が過日の委員会でも発言いたしましたとおり、政治改革の問題、経済の改革、行政の改革、三つのテーマがある、こう指摘されておりましたけれども、大前提は政治改革である、こういうように考えております。
  133. 山本拓

    山本(拓)委員 官房長官、いいです。  それでは具体的にお聞きしますが、今日の社会党、中選挙区における社会党、立派に政権を担っておられます。今度選挙制度が変わりましても社会党はもちろん発展をされていくんだろうと思いますが、今の社会党と小選挙区になった場合の社会党とどこがどう変わるのでしょう。ちょっと教えてください。
  134. 山花貞夫

    山花国務大臣 選挙制度の今度の根本は、政党・政策中心選挙制度に変えていく、こういう仕組みです。そして、それは同時に政党の役割というものの重要性がいよいよ増してくると考えています。私たちは党として政策を訴える、そして政権を目指し、政権を目指すための政策を争う、こうした社会党として、従来の政権とはむしろ無縁と見られた社会党から、政権を目指す社会党、こうした、スローガンではなく、現実の役割というものを果たし得るような党の自己改革を含めて、そうした社会党になっていきたい、こう思っておりますし、そういうことを目指すのが今度の政治改革における政党選挙、政策選挙中心選挙の各党に及ぼす問題点ではないかと思っています。
  135. 山本拓

    山本(拓)委員 ということは、今の姿は仮の姿だということですね。  では、一般論でひとつお尋ねしますが、これから政策論争、政策本位政治体制をつくろうということでありますが、では、いわゆる政策本位の政策を実現する上で、政党政治の原点である政党の政策ですね、これは主役は国民でありますから、やはり何が根本になりますか。もちろん選挙時の公約ですね。それは間違いないですね。
  136. 山花貞夫

    山花国務大臣 政党は本来理念を持っておりますけれども、具体的な公約ということならば、選挙の際の公約ということになるのは当然だと思います。
  137. 山本拓

    山本(拓)委員 やはりこれから選挙民に政策で争って選んでもらって、そして数を得て政権に参画するわけでありますから。  ただ、ここで質問しておきたいのは、これからはいわゆる連立政権をつくろうということですね、一党ではなかなか単独とれませんからね。そうすると、いわゆる選挙のときの公約と、そして連立を組むときの連立のいわゆる政権合意事項がありますね、これが違う場合がありますね。だから、そのときに、例えば、ヨーロッパでは確かにしょっちゅう行われていますが、ヨーロッパの場合はもう長い歴史がありますから、そんな違いはないわけですね。今回の場合は、例えば一般論じゃなしに、現実的な社会党の話なんかは特別なパターンだと思いますが、一歩間違うと、これは政権をとるために選挙公約を堂々と破っても構わないという政党になりがちなんですね、国民の目からすれば。  だから、政権合意というのはあくまでも内部の話であって、国民に約束しているのは選挙公約ですから、だから社会党は、私がお聞きしたいのは、今何かというと、今までヨーロッパはそうだからと言われますけれども、やはり日本にとっては、国民にとっては初めて経験するわけでありますから、やはりそういう意味ではそうとられないように、やはり今回のいわゆる連立内閣は特別であるけれども、普通の場合だったらそういうことはないということなんでしょうか。それとも、今回既に連立内閣ができ上がっていますが、この姿がそのまま今後の連立内閣のあるべき姿になっていくんでしょうか。
  138. 山花貞夫

    山花国務大臣 実は、今回もう御承知のとおりの不信任案可決、解散・総選挙の急な選挙ということもありました。しかし、私たちは選挙が始まる前、五月二十八日の段階で六党・会派集まりまして、選挙が終わってからは八党・会派ですけれども、この選挙に臨む公約というものを内外に発表いたしました。その公約を踏まえて、選挙の終了後、新しい情勢のもとで、新党さきがけの選挙制度改革についての意見をのんで、八党・会派の基本合意にたどり着いた次第です。  全体、その流れの中では、矛盾するというようなことにはなっておりません。個別の政策について、じゃ一体、社会党の政策が今度すぐ実現しないではないか、こういうおしかりはいただくと思います。連立政権の場合には、単独の政権とは違って、連立政権の中における議席によって、影響を受ける発言力によって政策実現の濃淡は違ってくるだろうということだと思っておりますし、そのことについては選挙中からも私は一生懸命有権者の皆さんに説明をしておりました。  当時、自民党の皆さんからは、野合ではないか、こういう御指摘をいただきました。そうではありません。こういう格好の連立政権をつくって、当時の社会党の主張というものが一〇〇%実現しないかもしれないけれども、できるだけ選挙に勝って、それぞれの政党がその政策というものを生かしていきたいんですと、こうした連立政権におけるあり方につきましては、かなり一生懸命選挙戦を通じて当時説明をしたということがこれまでの経過でございます。
  139. 山本拓

    山本(拓)委員 わかりました。  じゃ、一つお聞きしますけれども、連立政権に参画された合意事項、次いずれ選挙がありますね、次の選挙のときは、社会党はこの合意内容を公約として選挙されるんですか、それとももとに戻って選挙されるんですか。どっちですか。
  140. 山花貞夫

    山花国務大臣 今の御質問につきましては、政党選択ですから、現在の執行部がその問題について最終的には決定することになります。  ただ、今私の立場で申し上げることができることは、連立政権の合意をつくって、そして、じゃこの次どうなるかということにつきましては、その時点でまた、選挙に臨む合意をどの政党とどうつくるかという判断がその時点における党の執行部に求められる、こういうように思っております。  申し上げたとおり、連立政権の時代ですから、単独の主張だけではなく、連立政権の合意をつくっていくという努力は、これからの選挙ではいつの場面でもあり得るのではなかろうかと思っています。
  141. 山本拓

    山本(拓)委員 私が心配しているのは、言う意味はわかるのですが、一歩間違ったら政権をとるために合意する。例えば、政権に参画するために合意をした、これを機会に今までの政策を改めた、だからそれを機会に、次から今の受け継いだ合意事項でやっていくと言うんなら、これも一つの考え方だと思うのです。それで選挙で審判を仰ぐわけですから。しかしながら、政権に参画するために合意した、政権をおりたらまたもとに戻ったでは、これは、言いかえれば、せっかく政策で争う政治体制をつくると言いながら、国民の側からすれば、政権に参画するために堂々とうそをつく制度ができ上がったとしか、一歩間違うとそうなるのですよ。  一番怖いのは、そんなことをしていたら、みんな政権に参画するために多少のことなら合意して、そうするともう、これは逆に言うと、今度は四つか五つか知りませんが、政党が新しい制度のもとでできても、結局野党がいなくなって、野党は社会党だけで、全部大連立内閣ができて、今までの自民党の派閥のような感じで政党が存在するようになる可能性がありますね。だから、これは幾ら質問していてももう水かけ論ですが……。  だから私は、やはり連立内閣を組む場合に、その連立の内閣に参画するその幅が大事だ。今回の場合は特別なんでしょう。今回の場合は特別なんでしょうというのは、要するに政治改革法案を成立させるために、ほかは妥協して内閣をつくられたのですね。確認します。
  142. 山花貞夫

    山花国務大臣 今回の、選挙の結果に示された国民の審判、その結果を尊重したということの中で、このような形の連立政権ができ上がったというふうに承知をしております。
  143. 山本拓

    山本(拓)委員 だから、今回私が認識いたしておりますのは、要するに非自民政権ということで、自民党から政権をひとつバトンタッチを受けよう、だからそのためには、理念はばらばらだけれども政治改革法案という一点でまとまった、そのほかはとりあえず、とりあえず現状を引き継ぐ。だから、本来ならば一内閣一プロジェクトと申しますか、政治改革法案実現させたら、もう後はすぐ解散をして、そして新しい選挙制度のもとで、でき上がった政治体制に後の政治は任せるというのが本来の筋だろうと思うのですよ。  そうでなければ全く、今の話ですと、今現在のあなたは、委員長をやめたといえども責任者ですからね。だからそういう意味で、合意を受けた社会党の内容が、次の選挙、政権をおりるかどうか知りませんけれども、おりた後、全くそのままのことをまたもとに戻すという可能性も十分示されているわけですから、それが今後の日本における連立政権のあるべき姿だということを、まさしくあなたは政治改革担当大臣、政治改革が服を着て歩いていると言われている人でありますから、そういう姿だったらこれは、国民が今の政治改革法案が通ったら結果的に今よりよくなると思ったら、大変うそつき、どの政党もうそつきだと。選挙のときに約束している話と、そして政権を得るために合意したから、選挙のときの公約はうそついても構わないんだということで政治が動いていったら、これはもう今以上に政治不信が募るのではないかというふうに思っているわけであります。  いずれにいたしましても、もう一度お尋ねいたしますけれども、社会党として今回、社会党と言っちゃなんですが、これは例えばの例でいきますけれども、いい例が目の前にありますから、それを一つのモデルとしてただしていきますが、要するに今後の新しい選挙制度のもとにおける連立政権のあり方ですね。だからあくまでもやはり一般論で答えてください、一般論で。要するに政権合意をした、その政権合意をしたその項目というものは、もちろん次の審判を受けるときには選挙公約になり得るわけですね。
  144. 山花貞夫

    山花国務大臣 前段、一言。  今回、選挙の審判の結果を尊重したというのは、非自民の連立政権をつくって政権交代を実現しよう、こうしたスローガンのもとに、そして政治改革、この政権交代問題についても公約としてあったことについてつけ加えておきたいと思います。  後段の問題は、今回はそうした中で、確かに御指摘のとおり国民の皆さんに対する公約としては基本的な部分しか出ておりませんでした。選挙が終わってから具体的な合意事項として、五つの基本的合意に加え、重要政策課題について十二項目の合意という格好で、個別具体的なテーマについても合意をいたしまして、これを誠実にこの内閣実現したい、これが各党のそれぞれの努力の目標だと思っております。  じゃこの次どうなるかにつきましては、こうした合意事項、どれだけこれが前へ進んだのか、この点が不十分だったのかということを踏まえ、恐らくその時点における党のそれぞれが、各党ともこうした合意づくりのために努力をする、また選挙協力のために努力をするということでありますから、そうした具体的な内容につきましては、またその時点で詳しく国民の前にお約束をするというようなことになると思っております。  それは、今の政権における合意事項についてどこまで前進したのか、どこまでが足りないのか、そういうことについての判断になってくると思います。一言で言えば、後戻りすることなく連立政権のもとにおけるそれぞれの政党の役割というものを担って努力があるのではなかろうか、こういうように私は理解しております。
  145. 山本拓

    山本(拓)委員 一つだけ申し上げておきますと、選挙制度とその運用は表裏一体でありますから、どんなにいい制度に変えても、それを運用する人は変わらないわけですね。選挙制度が変わったって皆さん引退されないんでしょう。だから、そのままその制度を運用されるわけですから、一歩運用を間違うと、下手をするともう二枚舌内閣、二枚舌行政、選挙のときにせっかく政策本位で争う政治体制ができて、選挙でみんな政策で選んだのに、内閣をつくるときに、内閣合意のために全く違うやつが平然と行われて、それがまた内閣をおりたらまたもとの政策に戻ってという、それが普通の連立内閣の姿だということであれば、これは大変ひどい運用のあり方でありまして、私は容認ができないということでございます。  時間がありませんので、最後に一言自治大臣に。  この衆議院の選挙画定審議会設置法案でございますが、これは一つのあり方としては、選挙制度が変わった後、いわゆる人口の異動があって改定する場合に大きな役割を担うわけでありますね。だから、そういう中で今回我々が一番関心が深いのは、最初の区割りはどうやるんだ。これには簡単に触れられておりますが、しかし、私が申し上げたいのは、最初のこの区割りをやる場合の基準です。基本的にはメンバーに、中立機関に任せるとして、しかし、何でもかんでも中立機関に任せるわけにはいかないのではないか。あくまでも最初だけは附帯条件、いわゆる区割りの基準、私も実際区割りをやってみて、飛び地をつくらない、郡部を尊重するとか、その優先順位を変えることによって区割りはがらっと変わってくるんです。その区割り基準が、明確に順番が固定すれば、それはだれがつくっても同じような区割りになるのですね。  そこで今回、前から申し上げていますように、選挙制度改革というのは、小選挙区というのは地方分権と表裏一体だ、もちろんそうですね。地方分権しないで、区割りだけ小さくしたら、今よりも国会議員の仕事は忙しくなりますから。  だから、立て続けに質問いたしておきますと、自治大臣がこれから区割り作業を任せるに当たって、考え方として地方分権を、今の広域圏ありますね、広域圏行政というものを尊重していくのか。ここには単に行政区画、地勢を尊重するとしか書いてないのですが、これの中身をもう少し詳しく、附帯条件でもいいから、明確にするおつもりがあるのかどうか。  そして、衆議院の選挙区画定法案の中に、二以上にならないようにすることを基本とするということでありますが、実際これは二倍以内におさまりませんね。その基本というのは、具体的にその範囲までも審議会に任せてしまうのか。基本というのはどの範囲なのか。そういうことをきちっと附帯事項として別に明記するおつもりがあるのかどうか、その点だけお尋ねをして、質問を終わります。
  146. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 一つは、基本としてというのは、あくまでこれは格差二倍以内になるようにこの基準というものを重視して、できる限りその基準に沿った案をつくるという概念が基本としてということでございます。だから、これはあくまで基本なのでございまして、今委員指摘のように、二倍以内にすることと、私もたびたび言っておりますように、委員もやられたからおわかりになると思いますが、郡でも一般市でも町でもどんどん間に境界線を入れちゃうならそれは二倍以内ということはできますが、それが果たして今、現状でいいかどうかということにつきましては、これはやはり常識的になじまないと思うのですね。したがって、その辺の判断は、どこまでの倍率ぐらいまでと、その境界線をどこまで入れるべきかという判断は非常に難しいことかと思いますが、これが七人の委員がやっていただくことでございます。  それから、考慮すべき問題につきましては、行政区画、地勢そして交通等と、こうなっておりますが、これ以上具体的に書きますと、今申しましたように、委員実際にやられてみておわかりだと思いますけれども、さらに条件をつけますとますます二倍を超えてしまうということになるわけでございますので、私たちとしましては、総合的に勘案をしてということがございますので、そこの中でやっていきたいと思っています。  それから、広域行政の問題は、これは行政区画の延長線上ということで、かなりこれは考慮に入ると思うのであります。ただ、一部事務組合でも、こっちでやっているのと全然また違うところで組合をつくって、必ずしも一致しないところ等がありますから、広域行政だけではちょっと必ずしも明確に言えませんが、当然それは総合的に勘案する中の概念に入ると思います。  それから、町村合併ということを御質問なさった方もいらっしゃいますが、これがもう例えば議会等でいろいろ決議してちゃんとやるんだというならそうなんですが、町村合併というのは当然そういう概念に入ってくるわけでありますが、したらどうだろうかとか、まだ具体的なことが、話がある程度のところまで、町村合併というものを選挙区の境界線変更、境界線をつくるときにそれを考慮していくということにはならぬ。町村合併というものの熟度という言い方をしておりますけれども、どこまで具体的な内容が入ってくるんだろうかということによって、勘案をしてやっていくということになろうかと思っております。
  147. 山本拓

    山本(拓)委員 はい、どうも。
  148. 石井一

    石井委員長 次に、金田英行君。
  149. 金田英行

    金田(英)委員 前回に引き続きまして、政治改革の関連について若干の疑問点をゆっくりと進めさせていただきたいというふうに思います。  武村官房長官、そして山花担当大臣、佐藤自治大臣、そして建設大臣の五十嵐先生には本当に御苦労さまでございます。また自民党の先生方にも大変連日の審議、御苦労さまでございます。  今、私も地元に戻っていろいろと多くの人方に接しておるわけですけれども、今国民は大変な不況の中であえいでおります。来年卒業する高校生や大学生が今の段階に至っても就職先がまだ決まらないというような状況にありますし、職安には列をなしております。また、中小企業の社長さん方は、手形を落とすために、返済のために連日連夜奔走をしているというような状況でもございます。タクシーの運転手に景気はどうだいというふうに聞きますと、いや、悪いですねというような返答がすぐ返ってまいります。これから大型の企業倒産だとか、件数なんかが大幅に増加するんじゃないかというふうに見込まれます。  そして、私たち国会やあるいは政府が今早急にやらなきゃならないというようなことは、この景気を回復するために大幅な補正予算を編成するなど、重要な景気対策を一日も急がなければならないという段階にあろうかと思います。また、冷害対策も急がなければなりません。そして、米屋の店先から米が消えております。米作農家はウルグアイ・ラウンドについての政府の弱腰の対応についていらいらしながら見守っているという状況でございます。  このような不況対策あるいは冷害対策あるいは米対策など最重要課題を目前にしまして、我々国会選挙制度のことについて与野党内部の対立あるいは与野党の駆け引きあるいは綱引きに明け暮れているということは許されるべきことではありません。ましてや、与党が強行採決をし、それに続く国会の混乱ということについて思いをいたすときに、そのようなことになりますれば、国民国会に対する信頼というものは回復不可能なところまで傷ついてしまうでありましょう。互いに骨身を削るような激痛ではありますけれども、乗り越えなければならない陣痛を覚悟することが今すぐ必要になっているというふうに考えます。  自由民主党も責任野党としてこの政治改革の達成には協力を惜しまないところでありますので、与党八会派におかれては、一日も早く与野党の接点あるいは着地点について協議できるような体制をまず早々につくり上げていただきたい、この点をまず冒頭お諮りしたいと思います。山花担当大臣、お願いします。
  150. 山花貞夫

    山花国務大臣 今、与党八会派におかれましてはという主語が振られたものですから、となるとということもありますけれども、ただ、御指摘の景気の問題の深刻さについては全く先生と認識は同じでございます。幾つかお話しになりましたテーマにつきましては、毎回の閣議あるいは閣議後の懇談あるいは与党との懇談の際に話題となってきているところでありまして、政治改革を最重点の課題としながらも、御指摘の山積する諸問題に対して政府としても全力を挙げるということにつきましては、政府のスタンスでもございますし、同時に与党八会派の意思統一でもあると承知をしているところでございます。  御指摘の問題点を十分踏まえ、我々も閣僚として全力を尽くしたいと決意するところでございます。
  151. 金田英行

    金田(英)委員 それでは、二、三の問題について、ゆっくりと議論をさせていただきたいと思います。先日は時間がありませんのでゆっくりとお話ができませんでしたので、よろしくお願い申し上げます。  まず第一点は、区画審議会、自民党の案は区画画定等委員会ということになっておりますが、とりあえず区画審議会というふうに言わせていただきますが、この区画審議会を置くべきところということで、自民党は衆議院に置かせていただきたい、政府は総理府に置かせていただきたいという意見の対立がございます。このことについて、前回もお話し申し上げましたけれども、どうしても、総理府に置くべきではなくて、衆議院に置くべきだというふうに考えております。  理由として三つ挙げさせていただきます。  第一は、区画を決めることができるのは国会であります。決定できるところに置くのが当然である、このような当たり前の理由からであります。議員誕生の母体である選挙区画でありますので、三権分立の考えからしても、あるいはまた国会の独立あるいは尊厳を確保するということからいっても、自由民主党の主張のとおり衆議院に置くことが必要だというふうに考えます。  また、二点目の理由でありますが、この区画の決定は、時の政権であります一党一会派、時の政権政党の干渉から極力排除されることが必要であります。公正、公明な立場で進められる必要があります。たとえ委員の任命について国会の承認を得ているからといって、時の内閣の手の中でこの作業が行われることは避けなければならないという点が第二の理由であります。  第三の理由は、議院内閣制のもとでは、多くの法案内閣提出法案ということになっておりますけれども国会の立法機能を今後高め、議員立法の機会が今後逐次増加していくことが望まれます。この一月からは政策秘書を配置することが実現されます。事柄は、政府が行政を担当していく上で法律をこう直してほしい、そういったような政府提出法案、各種の法律の改廃についての政府側の要望ということとは、意味、質、内容が違うのであります。また、国会の、議員の身分にかかわる大きな問題でありますので、人事院勧告が役人の給料を決めて、その勧告を総理が受けて、国会にその法案提出するということともまた大きく違っているわけであります。このように、区画の改定というのはすぐれて議員立法による事項であるというふうに考えております。  以上三点の理由から、私はどうしても衆議院に置くことが必要であると考えております。あくまでも内閣のもとで総理府に置くことが必要であるというふうに考えますならば、その理由をお尋ねいたしたいと思います。山花担当大臣、そして自治大臣、そして武村官房長官、担当の総理府ということでお願い申し上げます。
  152. 山花貞夫

    山花国務大臣 今三つの理由を挙げられました。以下、我々の考え方、政府側の考え方について御説明させていただいて、三点についても関連して触れさせていただきたいと思います。  御指摘のとおり、選挙区割りの問題は公平、公正になされなければならない、大前提であることについてはだれもが異存のないところではなかろうかと思います。それで、そのために、公平な第三者の機関を設置して、ここに区割りをお願いしたらどうかということにつきましても、かなりこれまで議論があった中で選択されたものでございます。  この区画審議会を総理府に置いたということにつきましては、今回は内閣総理大臣に勧告するという仕組みになっているわけでありますけれども、従来は選挙制度審議会の所掌事務として選挙区割りがございました。選挙制度審議会は総理の諮問にこたえて答申を出す、こうした仕組みのもとにおきまして、海部内閣の当時の法案につきましては、選挙制度審議会の委員の中からさらにワーキンググループができまして、そこで選挙区割りを行ったという経過については御承知のとおりでございます。  しかし、今回は一回限りじゃないのであって、十年ごと、この間特別の事情があった場合には十年という期間には拘泥しないでということでありますけれども、常設の機関としてこれからずっと置いておく、こういう機関ということになりますと、従来の選挙制度審議会の一つの所掌事務ということでは足りないのではないだろうか、改めてこの選挙区画を専門的に行う機関を設置するべきではなかろうか、こうした形から、従来も総理府が所管したものについて選挙制度審議会、こういうことでしたけれども、今回は総理府の中に法律をもってきちんと定めて、内閣総理大臣に対する勧告をいただきたい、こういうことにした次第でございます。  さて、御質問の決定権は結局内閣にあるではないかということにつきましては、これは委員が任命され、そしてスタートをする、この経過は全部省略いたしまして、最終的には、区画についてできましたものが内閣総理大臣に報告が上がってくる、そしてこれを内閣総理大臣は尊重しなければいけないということでありますけれども、そこから出てきた法案については、最終的には国会の、衆参の議決を得るということになっているわけでありまして、この尊重義務というのは、内閣総理大臣のところは法律上明記してありますけれども、御指摘の三権分立の建前などもあり、これまでのいろいろな法案についての国会の議論もありましたので、国会におきましては、そのものについて国会で十分議論していただいて結論を出す、こういう仕組みになっておりますから、この国会の議決権を侵しているということはないのではなかろうかと思っているところでございます。  第二番目、一つ政党あるいは一つの政府の手中にあるようなことではいけないのではなかろうか、これまた当然の御指摘でございまして、だからこそ公正な立場の、もちろん先ほど来御説明ありました、選挙制度についてある程度学識があるとか経験があるとかいうことは当然の前提となってくると思いますけれども、公正な立場である方について、内閣の方で、官邸の方で整理をいたしたものについて、これを国会にお届けをした上で、これまた途中の細かい手続は省略いたしますけれども、結論的には衆参両院の同意をいただくということになっておりますし、また、そういう皆さんは独立した第三者機関としてお仕事をしていただくわけでありますから、一政党あるいは一内閣がそこにいろいろ干渉するというようなことは制度的にもあり得ないし、またあってはならないことである、当然のことと考えているところでございます。  三番目に、こうした問題について、国会議員の立法活動を強化すべきだということについては全く同感でございまして、今回は、四法案といってもまだまだ骨格だと思っております。国会改革の問題からその他のいろいろな制度については、これから議論も始まる部分があるわけでありまして、例えば国会改革問題ならば、従来から議論となってまいりました政治倫理審査会の問題等々を含めて、議員の皆さんにまた活発に御論議いただいて、いろいろまた国会改革の実を進めていただく、こういう作業も大変大事になってくると思っているわけでありまして、そうした最後の第三点につきましては全く同感である、しかし、今回の法案というものがそれを妨げるといいますかそれと矛盾するものではない、こういうように考えているところでござます。
  153. 金田英行

    金田(英)委員 今なぜ総理府に置かなければならないかということの理由としてお尋ねいたしましたけれども、公平な第三者機関であるとか、選挙制度審議会の一所掌事務として今までやってきたのだとか、あるいは国会の議決権、最終的には国会で議決していただくのだからということは、総理府に置くべき理由として何の回答にもならないわけであります。  私は、総理府に置いた方がいいのか、衆議院に置いた方がいいのか、そのどちらがいいのかということを今聞いておるのでありまして、私がこっちに置いた方がいいよということで三つの理由を具体的に申し上げましたけれども、それでもなお総理府に置かなければならない、総理府に置いた方がいいというふうに考えられる根拠は何ですか。自治大臣、よろしくお願いします。
  154. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 大前提を申し上げなければいかぬと思いますけれども、今度の法案は、山花政治改革担当相からもお話がございましたけれども、今委員も言われたように、この前の解散前の国会、自分も提案者の一人でまことに言いにくいのでありますが、極めて議員同士で非常に活発ないい議論がされたのではないか、政党同士同じ立場に立ってされたのではないかという評価をいただいたことはまことにありがたいことだと思いますし、したがって、今度も法案議員提案にしたらどうだという意見もなかったわけではありません。しかし、今度の解散・総選挙の意義及びその結果というものを考えますときに、これは連立政権が成立をしたいわば基盤の問題でございますから、これを議員立法ということで院に任せてしまうことは政治的には余りいいことではないのじゃないか。むしろ政治的に、細川内閣として、政府法案として、閣法としてやる、そして議会の審議をいただいて成立をさせるということが一番大事なのではないか。  その際に、それでは選挙制度はこういうことで通りました、後はひとつ議会の方で区割りはつくってください、そしてその後、委員御承知のように、またこれ、公職選挙法の改正、別表ということで、また院の方に戻して審議をしていただくことになるわけでございます。そういうことを考えますと、この問題というのは、閣法として、政府が政治責任をかけてやる問題のいわば四本の中の一本という全体的なとらえ方をしなければ、これは政府としては無責任のそしりを免れないということもございます。  したがいまして、委員指摘のように非常に重要な課題でございますから、内閣総理大臣に勧告することになり、そして、法案を改めて別表の改正ということで出させていただくということになっているわけでありまして、内閣総理大臣に勧告するところでありますから、それは内閣の組織法の中でいえば総理府が担当するということになるわけであります。  ただ、庶務的なことは総理府が担当いたしますが、七人の委員の諮問に答えて調査とか資料の提出とかというのは、何といっても地方自治体に一番関係の深いのは自治省でございますので、自治省がそういった指導に従い、あるいは御下問に従って、そういったことの資料や調査の結果というものを出すわけでございまして、そういった一連の流れを考えてまいりますと、これはやはり内閣が命運をかけてやる大事業の政治改革といたしましては、四本を一括にすることが一番わかりやすいのではないかと考えたわけでございます。  しかも、委員言われましたように、言うまでもなく決定権は国会にあることは私たちも承知をしておるわけでありまして、それは閣法を出したら当然のことながら国会で審議をしていただくわけでございますから、何ら審議権を妨げる問題ではないと思っております。  それから、特定政党からの排除ということを言われましたけれども、これは各地域、私も先ほど御説明申し上げましたが、どこかに一本線を引くためには、その東側と西側がどういう、明治以来かその前からか、町村の成り立ちがどうなってきたかということまでかなり調べないとできないわけでございまして、そういうものの結果から出てくる区割りというのが、政治的、恣意的、政党の何かの都合によってという可能性というのは、ましてや、やられるのは第三者の、国会の同意を得た七人の方が最終的な線を引かれるわけでございますから、それは政党の排除ということにはならないのではないか。ならないというもとに第三者機関をつくるということでございますので、ひとつ十分御理解をいただければ幸いだと思うわけでございます。
  155. 金田英行

    金田(英)委員 佐藤自治大臣のお答えですと、この法案は細川政権において最重要課題としてまとめたのだから、区割りも細川政権のもとでつくらせていただく、そして責任を持って国会に出す、通常国会にこの区割りも出すというようなお考えのような御説明だったわけですけれども、そのようなことが問題なのであります。  今、この国会で、この委員会で、与党案が出され、そして自民党案が出され、どちらがいいかという話し合いが行われているのであります。これは与党が出したのだから与党の、最後までこの区画審議会は我々の細川政権のもとに置くのだという考え方では、国会での話し合いができないではありませんか。そしてまた、具体的な地理だとか歴史だとか、そういったことは大変難しいので、自治省がその点での資料を多く持ち合わせている、だから政府内でつくるのだということは、全く理由にならないのであります。国会に置いたところでも、自治省の役人から、あるいは自治省から、多くの資料を取り寄せることができるのであります。  そのようなことを考えるならば、どうしてもこの総理府に置かなければならない――確かに責任をお持ちになるのは結構であります。政府提案として出した以上、国会にこのようなものを設置するということは、国会に対する政府の内政干渉的なそういうような配慮、お考えがもしかしたらあったかもしれません。しかし、そのような御配慮は全く結構でありまして、衆議院も、この前も言いましたけれども、十分な大人でありますし、それなりの集団でございます。このような区画案は、国会の、その国会を構成する議員の身分に重要にかかわる問題でありますので、国会にぜひとも設置していただかなければなりません。  以上、お話ししましたけれども、前回のあれでも、国会外にもし置くとすれば、こういうふうな区割りで代議士は誕生させた方がいいよというような外部からの意見を聞いて国会が審議するということになりますから、一から徹底的に国会では議論せざるを得ないのでありまして、審議の効率の面からもぜひともこれは国会に置いていただきたい。  細川さんが、この選挙制度の改正に責任を持つ、大いに意欲を燃やしておることは多といたしますけれども、それはそれとして、国会に置いても、何ら細川政権がこの政治改革をなし遂げたということの支障にはならない、私はそう思うのであります。お考えをお聞かせいただきます。
  156. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますけれども、細川内閣といたしましては、これはこの前の選挙の結果を受けて、国民の皆さん方に、今、金田委員も言われましたように、政治が解決をしなければならぬ問題はこの問題だけじゃないことはもう今委員指摘のとおりでございますから、私たちとしては一日も早く、リクルート事件発覚後五年、海部内閣が並立制を出してから三年、ことしの四月からも社公案、自民案ということで議論をいろいろしてきて、いわばこれは三度目になるわけでございまして、その意味では私たちはこの四法案というものは一体のものとして議会の御了承をいただきたいということでございますので、また、この区割り案だけを全然別にやるということでは、問題の一体性というのはやはり確保できないのではないか。  私たちは、細川内閣のもとでやるといっても、これは今申しましたように、両院の同意を得た人事でやるわけでございまして、自治省はあくまで、今申しましたように、七人の委員の質問に対しまして調査をした結果どうなっているということを答えるにすぎないわけでございますので、そういった意味では、この時代に、一種何か、細川内閣がやるとこちら側の恣意的な案ができるというような前提でお話をされているようでございますけれども、私たちはそのようなことのないために、第三者のそれなりの実務経験あるいは選挙制度に精通した方にお願いをするわけでございますので、どうぞその意味におきましては一体のものという考えのもとに、従来のあり方、選挙制度審議会が総理府のもとに置かれて庶務を行ってきたという経過等もこれあり、御理解をいただきたいと思うわけであります。  ちなみに、海部内閣のときに出されましたものにつきましては、これは時の政府が、審議会を設けませんでしたけれども、時の政府がこれをつくって出してきたこともあるわけでございますから、私たちといたしましては、これをもって何か我々が恣意的に境界線をつくるということではないということは、前の前の内閣のときも同じようなやり方をしておりますので、ましてやあそこは審議会ではなくて、自治省内で選挙制度審議会に答申をした格好でつくっておるということもございますので、さらに客観的に、私たちは七人の審議会の委員を設けて国会の同意をいただいてやる、原則も決まっておるということでございますから、御理解をいただきたいと存じます。
  157. 金田英行

    金田(英)委員 自治大臣がどうしても総理府に置かさせていただきたいというふうにこだわればこだわるほど、私は不思議に思うのであります。何か不都合なことが具体的におありでしょうか、国会に置いたことによって。
  158. 山花貞夫

    山花国務大臣 ちょっと別の角度からお話しさせていただきたいと思いますが、国会に置かれる機関としては、裁判官弾劾裁判所、裁判官訴追委員会、国立国会図書館がございますが、御指摘のとおり、衆議院に置かれている機関ということでは、まだ調査は不十分なところがあるかもしれませんけれども、衆議院事務局、衆議院法制局政治倫理審査会、衆議院議員災害補償審査委員会衆議院議員秘書災害補償審査委員会、衆議院職員災害補償審査委員会、公平委員会、この七つが思いつくものでございます。  これをじっと見てみますと、いずれも、政治倫理審査会については若干議論があるかもしれませんけれども政党間の利害が何かと対立するというものではないような、こういう機関が衆議院には設置されているところでございまして、今回、御指摘のとおり、御意見の御趣旨も、一つ内閣とか政党が干渉するやの危険があり得るといいますか、そういうことが心配されるようなこともあるので衆議院でと、こういう御意見からいたしますと、ここにあるものを考えれば、むしろ御指摘のようなテーマについては公平な第三者機関ということの方が国民的な納得が得やすいのではないか、こういうことがあるんじゃなかろうかと思います。  それからもう一つの問題、じゃこの審議権を侵してはおらぬと、こういうことだけれども、一から議論するから時間がかかるのじゃなかろうかということにつきましては、実は、国会選挙の区画の作成ということになりますと、法案ができるまでにまたそこでかなりいろいろ議論があって、時間もかかるんじゃないでしょうか。  これは実は、八増七減以降、定数是正問題で分合区等の作業など行いました経験からも、かなりそこでは、数少なくとも、それぞれの利害、政党だけではなく、政党内部の個人議員さんの利害も対立いたしまして、なかなか時間がかかった。何年もといった経験も持っているわけでありまして、そこはそれぞれの取り組みということになると思いますけれども、時間がどっちが早いのか、どっちが節約になるかということにつきましては、これはどちらとも言えないのではないか。全体として、早く仕上げなきゃいかぬ、こういう責めを負うてそれぞれが努力するということになりますと、そこは決定的な理由にはならないのではなかろうかと考えるところでございます。  結論的には、いろいろ御指摘いただきましたけれども制度仕組みとしては、御心配を排して、公正な第三者の機関が公正な審議を得て行うということになっていると思います。  また、最後につけ加えますと、自治省でいろいろ調べるということについて、国会に置いたって同じじゃなかろうかということは、これはどちらにとっても同じだということならば、それはどちらに置かなければならぬという理由ではないのではないか、こういうように思っているところでございます。
  159. 武村正義

    ○武村国務大臣 委員のお話を伺っておりましたが、これはまさに政府を信頼するかしないかに最後はかかるんじゃないでしょうか。選挙制度審議会、今までずっと区割りを戦後やってきて、自民党政権下で全部やってまいりました。そのときには、それほど不信の声はなかったわけであります。政権がかわったから、野党の立場に立たれて信頼ができないということになりますと、およそ今の政権もまさに民主主義のルールにのっとって、多数を背景にして日本国の責任を預かっているわけですから、外交も安全保障も今我々が預かっております。警察行政も検察行政も税務行政も今の政権が責任を全うしているわけであります。  そういう意味では、民主主義のルールにのっとってできた政権はお互いに信じ合うという姿勢でいきませんと、そこに疑念を持ちますと、今山花大臣がお答えしたように、院に余り例がないわけです、第三者機関というのは。だからつくってはいけないとは言いませんが、政府の中にはたくさん第三者機関がございます。中立性、公正性を確保しなければならない機関がたくさん存在をしていて、それが過去も今日も機能していることをお互いに信じて、判断をしていくしかないというふうに私は思います。
  160. 金田英行

    金田(英)委員 公正な第三者であるということについては、与党案であろうと自民党案であろうと変わらないのでありまして、国会にはそのような似たような機関が今現在置かれていないではないかということは、これは立法府での議論にはなり得ないのであります。そういうのをつくろうというのがここの委員会での議論であります。  そのようなことから、何としてでも、今先ほどお伺いしましたら、自民党案のように国会に置いても何ら不都合がない、その点は山花大臣も結構ですね。その点はお認めになりますね。不都合がないということ。
  161. 山花貞夫

    山花国務大臣 結局、総理大臣が勧告を受ける、こういう形を内容としております。そして、そのための第三者の機関ということですと、これまでの選挙制度審議会の仕組み等を考えれば、総理府に置いた方がよろしいのではなかろうかということでありまして、制度的な議論ということになりますと、じゃ、決定的にどうしても置いちゃいかぬ理由があるのかと言われれば、それはそうではないと思っております。ただ、ベターな制度としては私どもは総理府に置くことではなかろうか、こういうように考えているところでございます。
  162. 金田英行

    金田(英)委員 武村官房長官が、政府を信頼していただきたい、そういう信頼がないところに民主主義、あるいはせっかく国民が選んだ政権だからというふうにおっしゃられましたけれども、私は、武村官房長官そのものは本当に尊敬もしておりますし、信頼いたしますけれども、やはりこういったものは制度的にしっかりとした担保、制度そのものをより公正なものにしておくことが絶対必要だというふうに考えるわけであります。何も信頼していないというわけではありませんけれども、そういったことから、ぜひともこれからの与野党の接点の探り合いの中で、国会に設置していただくようにお願いしたいと思います。  時間もありませんので、次の論点に進ませていただきます。  二つ目の論点は、比例の集計単位は都道府県とすべきだというふうに私は考えておりますので、この点について所見を述べさせていただきます。  私は今、国会の権威というものについて考えてみたいと思っております。憲法で「国権の最高機関」というふうに国会が定められてもおります。しかし、国民の皆さん方が国会というものに一つの無視できない尊敬を払っている点というのは、それを構成している議員選挙という厳しい試練を乗り越えた人たちで構成されているという点が重要だろうというふうに思うのであります。  個々の議員については、何だ、あんなやつも代議士かというふうな人もおるのかもしれません。しかし、じゃおまえがやってみるかというふうに一般の方々に聞いてみますと、何万という大量の票を集めるため、口で言われぬ苦痛や苦労の連続や、そして靴を何足もすり減らして、昼夜を分かたない選挙民との対応、人間関係の醸成、そして後援会づくり、このような多大な苦労を知ったときに、多くの人たちは自分が代議士になることにしり込みをしてしまいます。  そのような多大な苦労を乗り越える人間としてのバイタリティー、選挙戦という厳しい戦いを勝ち抜いた勇者、あるいは多くの人を寄せつける魅力、そういった人間の集団であるからこそ国会の権威あるいは尊敬というものが存在しているんだろうというふうに私は考えるのであります。  ちなみに今、比例区の当選者は、その集計単位を全国というふうにいたしますときに、このような尊敬に値をするそういった当選者であり得るのでございましょうか。その当選者が、選挙区も持たず、そして選挙民も特定せず、多くの人に名前を知られる機会もなく、単に党中央から名簿に登載されただけというような国会議員が誕生したときに、国会に対する尊敬や尊厳や、そういったものが大きく傷ついてしまうというふうに思うのであります。  ちなみに、参議院比例の先生方は多大な後援会活動、後援会づくり、我が党の参議院の先生方は、多大な後援者づくり、あるいは党員集め、そういった形で、衆議院の先生を超えるような多大な御苦労をされております。しかし、この今与党が示されております全国比例制の候補の方々は、そのような苦労をされるというふうには到底思えません。国会議員がそのような構成になったときに国会の権威が急激に低下し、そして国会のつくる法律に対する遵法精神も希薄なものになっていきはしないだろうか。尊敬されない国会、そういったものになるのではないでしょうか。  ちなみに、全国の比例の候補というものはたすきをかけることがありません。選挙民との関係が極めて希薄であります。私は、このような観点から、比例区の候補者にもしっかりとした選挙区を与える、選挙民を与えることが最低限必要だというふうに考えます。筆舌に尽くしがたい苦悩を、苦難を乗り越えて初めて代議士としての権威と尊敬が与えられるのであります。集計単位を都道府県とすることによって、比例区の候補者選挙民に対して党の政策を訴える、国民候補者の顔の見える選挙区が実現するのであります。投票の喜びも比例区の先生方にしても倍加するのだろう、投票する人たちにもその投票の喜びも倍加すると思うのであります。  与党案は、国会の尊厳とか権威の低下とかということについてどのようにお考えなんでしょうか。三人の御先生にお聞きしたいと思います。山花先生と自治大臣。
  163. 山花貞夫

    山花国務大臣 御主張につきましては、金田委員の御見識だとは思いますけれども、前提として、比例区の場合には選挙民に顔が見えないから尊敬あるいは信頼を得ることができぬのではないかといった点につきましては、実は諸外国では比例区の選挙だけというところもたくさんあるわけでありまして、それなりの政権を目指しての政策を中心とした選挙というものが前提になってくるならば、そこでの問題点というものは払拭しているのじゃなかろうか。そうでなければ、諸外国の比例代表は全部だめだということにもなってしまうわけでして、先生もそういう御趣旨でおっしゃったのじゃないと思いますけれども、ということも一つあると思います。  今回の場合に、政府案自民党案の差というものは、全国単位と都道府県と、全国単位に対する、この両案の比較における御批判であると、具体的なテーマとしてお答えをさせていただきたいと思います。  その場合に、そうした問題点を含めて、比例の方の名簿、同一順位もございます。どういうふうに届け出るかということについては、各政党判断によると思っています。有権者の皆さんに一番訴える、そして党としての信頼をから取るための名簿の作成というものがそれぞれの本部で行われるものと思います。重複立候補があります。重複立候補をした方につきましては、それぞれ地元の選挙区において御指摘のとおりたすきをかけ、今までの選挙と、それは選挙の運動のスタイルはいろいろ違ってくるかもしれませんけれども、全力でそこでの努力をする。そしてまさに二百五十の小選挙区の部分につきましては、政権の選択の意思を明確にすることができる、顔の見える選挙ということが仕組みの基本でありまして、そして残念ながら当選できなかった場合には、重複立候補の場合にこれまた惜敗率等、順番の決定の仕方が名簿の順番のほかにありますけれども、そこで当選をする。  こういうことでありますから、この二百五十分部が比例代表という格好で二百五十番までつくられるという形とは違ってくるわけでありますので、この比例区の場合には、出れば全く地元に顔を知らない人ということでは決してなく、そういう順番だから、惜敗率だから、まず第一は選挙区で勝たせなければならない、できるだけ勝たせたい、こういう気持ちになるわけでして、決して比例区だから顔が見えないということには私はならないのではなかろうかと思っております。  やはり根本は、政治家が有権者の皆さんの信頼を回復すること。そのためには、なぜ信頼を失ったのかという原因のところ、政治と金の関係などを断ち切った政治、そして政治家の活動というものが展開されることによって国民の信頼を獲得し得るものと思っています。したがって、選挙制度だけではなく、腐敗防止の観点あるいは政治資金の観点についても一体として今度の選挙制度提案について御検討いただきたい、こう思う次第でございます。
  164. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 この部分は多分に個人的な見解もあるかと思うのですが、私は、国会の権威とか尊厳とかあるいは衆議院議員の威厳とかいうものが、汗をかいたり、後援会をたくさんつくったり、お金をたくさん一生懸命集めたりすることのみによって成り立っているのではないと思うのであります。確かにお互いにそのことも中選挙区制の中で大変苦労をしておるわけでございますけれども、やはり私は政治は結果だと思うのです。  したがって、どういういい政策をつくり、決断をし、実行していくか。そして、少なくも私より立派な方は世間にはたくさん、院外にもいらっしゃるわけでありまして、そういう方に国会に来てもらって、ある政策についていろんな意見を述べてもらうという道を開くことも、これは私は、国会の権威といいましょうか、やはりそういう最高の人に国会に来ていただいて、議員として政策立案に加わっていただける、こういう道を開くことも、私は、国会の権威というかあるいは尊厳といいましょうか、政治が果たさなければならない役目だと思うわけでございます。  そういう意味で、山花政治改革担当相も言われましたが、私たちのイメージとしては、全部が全部重複立候補ということでもないし、また、選挙区を持たない比例代表の方がそこにいらっしゃっても、それは政党が、こういうすばらしい人にぜひ我々と一緒になって政策づくりに取り組んでもらいたいという、それにふさわしい人であるわけでありますから、私は金田委員のお考えと少しイメージが、政治家像あるいは国会像というものについてイメージが違うような気がいたします。
  165. 武村正義

    ○武村国務大臣 御指摘のとおり、小選挙区と比例の比較論がずっと国会でもなされてきたわけでございますが、率直に言って、まだ我々日本人にとっては比例制は余りなじんでおりません。しかし、今世界を見ましても、アングロサクソンの国ないしはその植民地等を除けば、戦後、大方の国にこの比例制が何らかの形で採用されているというところを見ますと、やはり政党支持の民意がきちっと反映できるという魅力でしょうかね。同時にまた、政党に対してやはり信頼をしませんと、比例投票はどの政党に自分の信任を与えるかという投票でございますから、全幅の信頼を与えて、政党の選ぶ候補者、順番がついておりますけれども、それも信じよう、任せようという意味で一票を投じられるわけでございますから、そういう特色がある制度だというふうに認識をいたします。  ところで、都道府県の比例制は、魅力としては、大変比例制の単位が小さいですから身近になって、やや比例の顔も見えてくるという魅力があることはよくわかります。しかし、やはり困るのは、定数二の、鳥取県を二としましても選挙区が二十二ぐらいできますか。二十一ですか。定数二の比例では、本当に比例になるだろうか。  一つは、例の阻止条項からいえば、何回も答弁されていますように、三分の一の票が死に票になる、切り捨てられるということになりますし、もっとリアルな話は、第一党及び第二党でないと定数二の場合はもう比例の議席が得られない。定数二の場合、与野党含めて一党、二党が大体議席を独占してしまう。三番以下の政党比例では上がれない可能性が強いというこの致命的な弱点をどう説明されるのか。この辺を考えますと、やはり比例というのは一定のボリュームというか人数がないとなかなか理論的にはすっきりしないんではないかというふうに私は思います。
  166. 金田英行

    金田(英)委員 より国民の側から、選ぶ者から顔が見える、そして国会議員を身近に感じられる、そのような国会にするために集計単位をどこにするかということ。確かに三〇%をとってもそれは無効になるということもありますけれども、やはり今までの国会、それぞれ皆さんが、五百十一人全員が選挙戦をくぐり抜けて国会活動をやっているという今までの経緯からして、やはり都道府県単位の集計というのが国民になじむのではないか、そんなふうに思えてなりません。  それで私、次のことも考えるんですが、この小選挙比例代表並立制ということが政治改革だ、政治改革だということで言われておりますが、国民の皆さん方から見て、いまだどういう選挙になるのかということが国民の皆さん方にわかられていないという、そういった不安を大きく感じます。実際にこの改革実現して最初選挙を実施したとき、国民の皆さん方の反応というのは一体どうなるんだろうかというふうに私つくづく考えることがあります。あえて大胆に予測させていただきます。何だ、随分とおもしろくない選挙にしてくれたものだというのが国民の大多数の感想になるんでないかというふうに思うんであります。  まず第一点では、人物を選ぶことができなくなったではないか。党から立起する人は一人であります。競馬なんかでも、ダービーだとかなんとかといえば十何頭も走っているから、砂煙を立てて走っているから競馬がおもしろいのでありまして、二頭や三頭の馬が走っているんであれば興味や関心が極めて低いものになってしまいます。このような選挙制度では投票率が大幅にダウンするのが当たり前であります。  第二点は、あいつは小選挙区で落選させてやったのに何だかわかんないけれどもまた国会に行っているじゃないか、どうしたわけだ、こういうような国民の声が沸き上がるんでないかというふうに思います。小選挙区で落選しても比例区で救済されるという制度は、なかなか国民にわかりづらいようなものであります。選挙で受からなくても国会に行くということでは、投票の基準、投票のおもしろみというのが減殺されてしまいます。投票率はこの点でもダウンすることになるでしょう。  それから第三点ですけれども、自分たちが選ぶ代表というのは半分になってしまうという点であります。何だ、半分しか選挙できないなという声が大きく上がるでありましょう。投票日に都道府県選管で当選者を発表する場合は、従来の選挙制度と比べまして約半分であります。あとの半分は中央選管で、東京で、与党案によれば二百五十人の当選が発表されるのであります。選挙民は、議員の半分について自分の手で選んで、自分の手の、自分たちの地域の代表だという実感が半分については得られないことになってしまいます。候補者の顔が見えない選挙であり、選挙は全くおもしろくないことになってしまいまして、投票率はダウンするでありましょう。  選挙はおもしろいんだ、候補者政治生命をかけて戦うのでおもしろいから選挙に行く。そのことによって多くの国民政治に参加する。選挙というのは、単なる、国会の構成が党派別に決まればいいというものでもありません。多くの国民の人たちが関心を持ち、そして喜んで投票に行くというようなそういう制度でなければならないというふうに思うのであります。実際に、政治は全然わからないんだけれども選挙だけは、選挙運動は飯より好きだというような、そんなたぐいの人たちが私たちの周りには大勢いるのでありまして、与党案で実際に選挙したときに国民ががっかりすることが目に見えております。おもしろくない選挙にしたものだという声は全国に広がって、その実現を果たした細川総理大臣は肩身の狭い思いをしながら余生を過ごすことにならざるを得ないと思います。  おもしろくない選挙にさせておきながら戸別訪問を解禁するというのでは、うるさくて煩わしくてしょうがないということになるでありましょう。  ここは、比例区の選挙につきましても都道府県単位とし、比例の候補にもたすきをかけていただいて選挙区内を走り回っていただく。選挙国民の身近なおもしろいものにしてやる唯一の選択肢がここにあるのであります。細川総理が笑顔で余生を過ごすことができるかどうか、ぎりぎりの決断が待たれるところであります。  何とか全員が選挙をくぐるような選挙制度、全代議士が選挙の試練にさらされるような、そういう国会をつくるために、この比例区の全国区の集計はやめて、都道府県の集計にしていただくことを強く要望いたします。
  167. 石井一

    石井委員長 答弁はちょっとお待ちください。     ―――――――――――――
  168. 石井一

    石井委員長 ただいまスイス連邦国民議会ポール・シュミットハルター議長御一行の皆様が本委員会の傍聴にお見えになりました。御紹介を申し上げます。     〔拍手〕     ―――――――――――――
  169. 石井一

    石井委員長 質疑を続行いたします。  佐藤自治大臣
  170. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今の金田委員のお話を聞いていますと、中選挙区制の方が各政党の一人一人が、複数のところもありますけれども、走っていいとも聞こえるわけでありますが、いずれにいたしましても、都道府県でそれを入れましても、候補者の顔は見えるかもしれませんけれども、しかし、それは書くことになるわけじゃないわけですから、比例代表の方の候補者は。  比例代表の問題は、私は、官房長官が言われましたものが最大の問題だと思うんです。比例代表を入れるということは国民の多様な民意を入れることでございますから、それはなるべく多くの議席ということにならないと少数意見の尊重にならないということが根本であり、事実上、二人ということになると三二%以下は阻止条項という、大変高い阻止条項になってしまうと思うわけでございます。  確かに小選挙区の場合に、与党、野党一人ずつ、あるいはもう一人与党なり野党の方に出ればまあ四人か五人かということから見れば、確かに今までほど人物を選ぶということはできないかもしれませんが、人物を選ぶということに重点を置き過ぎたがために、中選挙区制のもとでは金の問題等が発生して大変腐敗を招いたという反省の上に立っているわけでありますから、人物を選ぶ範囲が非常に少ないという意味では私も確かにそうだと思いますが、その弊害の方が大きかったということを考えるべきではないか。  それから、重複立候補の問題もございましたが、山花政治改革担当相からございましたように、制度はちょっと違いまして併用制でございますけれども、十五年間外務大臣をやったゲンシャーさんは、あの方は失礼ながら小選挙区で一回も当選をしたことがない。コール首相も自分の小選挙区で一回も当選することなく、この前の東西統一で初めてなるというようなことで、確かにドイツの場合には比例代表を基本にするということで、日本はほぼ七十年間中選挙区制で来たわけでありますから、新しい制度に変われば、今、金田委員指摘のように、重複立候補して、小選挙区で落ちたけれども比例代表で当選するということについて何か戸惑いや違和感があるのは、私は事実だと思います。しかし、それはだんだんわかっていっていただいて、政党本位政策本位選挙制度になっていくということで、国民の皆さん方も十分わかっていただけるのではないだろうかということでございます。  いずれにしましても、比例代表の方を都道府県単位にするといっても、皆さんのところは一票制ですから比例代表候補者を選ぶ権利はないわけで、顔が見えることは確かにそうでございますから。しかし問題は、比例代表をなぜやるかという根本の最も大事なところを失ってしまう、それは官房長官が言われたとおりだと思っておりますので、ひとつ十二分に御理解をいただきたいと存じます。
  171. 金田英行

    金田(英)委員 比例区をなぜやるかということは、小選挙区が基本であって、それを補完するために我々はこの比例区というのを位置づけておるのであります。  時間もありませんし人生も短いですので急がせていただきますが、まず、小選挙区の代議士とそして比例区の代議士と、この二つの衆議院の代議士を比較したときに、我々の地域の代表だというような感覚を持つのは小選挙区の代議士であります。陳情客が大幅に違ってくるんではないのか、こっちの代議士とこっちの代議士では。小選挙区の代議士は地元からの陳情等が倍加するに違いありません。この点を調整する上からも、どうしても比例区の代表に都道府県単位での集計を受け入れていただく必要があるかと思います。小選挙区代議士と比例区の代議士との異質性を何とか少しでも排除しようというようなこと、なるべく同質なものにしていく必要があるというように考えるときに、やはり都道府県単位の集計でなければならないというふうに思うのであります。  それから、代議士の役割等々についてもお話し申し上げたいのであります。  国家の意思決定と一億二千万の国民との意思決定をつなぐのは、やはり具体的に選挙民を身近に置いた代議士が国会にいるということであります。そんな国民国家意思をつなぐ大きな役割を、少なくても選挙を経ない、具体的に選挙で汗をかかない国会議員が半数を占める衆議院というのはいかがなものかというふうに思うのであります。  次の三点目の問題に移らさしていただきます。  区画審議会に三ないし五の若干の調整幅を付与しなければならないというふうに私は考えております。  山花大臣にお尋ねいたします。政府の案では、一対二以上とならないことを基本とするというふうにされていますけれども、審議会としては、そのために、具体的に一対二以上にならないようにするために、どのような調査や検討あるいは審議をされるんでしょうか。
  172. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘の点につきましては、法案の第三条、「改定案の作成の基準」というところで二つの基準を示しております。一つは、一言で言って、格差二倍以内にしなければいけないということ、そのことを基本として、「行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」こうした点でございます。なお、一つの基数を配分するということについても前提としているところでございます。  さてそこで、その一対二を基本としてということが、完全に一対二以内に全部おさまるかどうかということにつきましては、基本としてという大前提を置きながら、前回海部内閣のときの区割りにつきましても、私の記憶では二十一ぐらいでしょうか、オーバーしたところがあったと思います。二・一五の差ができました。  ということではありますけれども、今回におきましても、これを基本にするということで、審議会を七人の先生方にお願いした中で、これを踏まえて、具体的には区割りの基準をつくっていただくというところから始まると思いますけれども、この二倍以内という大事な基準ということにできるだけ近づけて、これを生かしていただくということで作業をお願いするということになると思います。これは初めからこういう基準をつくってというわけにはいかないわけでありまして、したがって、こういう価値の平等ということに最重点を置いてお願いをするということになると思っています。
  173. 金田英行

    金田(英)委員 政府案では、各都道府県別の選挙区数というのは機械的に定まってまいります。そういう状況の中で、一対二以内におさめるようにしなさいというふうに審議会に要請をしているわけでありますけれども、具体的に審議会としてはどういうことをして基本で一対二に、ならなくてもいいのですが、どういうことをやることができるんでしょうかということをお尋ねしているのであります。
  174. 山花貞夫

    山花国務大臣 先ほど御説明いたしましたとおり、一対二以内ということを最重点の基準として区割りをお願いする、ここまでがこの法案のお願いする中身でございます。あと具体的にこれがどうなるかということにつきましては、委員の皆さんの御努力に期待をするということに尽きると思っています。
  175. 金田英行

    金田(英)委員 既に都道府県別の選挙区数というのは決まっているわけであります。ですから、審議会でやるべきことは各都道府県の県の図面に、ある県は三であれば三つに色を塗り分ける、五つであれば五つに色を塗り分ける。各都道府県内での図面の色塗り作業しか残されていないんではありませんか。
  176. 山花貞夫

    山花国務大臣 今御指摘の点は、「行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」こう書いてあるところですけれども、この総合的に考慮するという部分につきましては、これは前回、海部内閣当時の選挙制度審議会の中のワーキンググループが行った際にもこうしたほぼ同様の基準でやっているわけでありまして、その点については、従来のその部分についての仕組みについては、かなり我々としては今度の法案については参考にさせていただいているところでございます。
  177. 金田英行

    金田(英)委員 時間がないから、具体的に簡潔にお答えいただきたいんでありますが、もはや、これから十年後あるいは五年後に人口異動が行われ、異動が現実に行われるのですが、それが一対三を超えるような、勧告をしなければならない、あるいは意見を出さなきゃならないというような事態に陥ったときには、委員会としてはどうするんですか。
  178. 山花貞夫

    山花国務大臣 第四条の第二項のところに規定しているところでありますけれども、「審議会は、各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があると認めるときは、第二条の規定による勧告を行うことができる。」と。今御指摘の三倍を超すということは当然の場合でありまして、「その他特別の事情がある」場合、この場合も含めて、審議会は常設でありまして、十年ごとに勧告ということではありますけれども、御指摘のような事態が起こった場合には、十年たっておらなくても、その時点で勧告を行うということになると承知しております。
  179. 金田英行

    金田(英)委員 都道府県別の選挙区数は機械的に決まってくるのであります。何も委員が頭を使わなくてもいいのであります。  そういった事情の中で、何が一対二の中におさめることを基本とするというふうに審議会に言うのでありますか。委員は何もできないではありませんか。
  180. 山花貞夫

    山花国務大臣 意味を私が取り違えていなければと思いますけれども、審議会は、私申し上げたとおり、幾つかの基準を設定することになると思います。必要があればさきの選挙制度審議会においてつくった基準についても御報告させていただきたいと思いますが、その最優先の基準の一つが格差二倍以内、こういうことでありまして、あるいは市町村を分割しないとか、飛び地をつくらないとかいったような、格差問題を含めての基準をつくっていく中での一番最初の基準ですから、したがって法律に明記をして、二倍以内を基本にしてと、こういうように法案はつくらせていただいた次第でございます。
  181. 金田英行

    金田(英)委員 失礼ですが、山花大臣においては私の質問に答えようとしておられません。  一対三を超えるような事態が現出した場合には、いや、二でもいいんですが、人口の異動によって、例えば島根県の人口が大幅に減ったような場合には一対三になるような勧告をしなければならなくなりますね。そこはお認めになりますか。
  182. 山花貞夫

    山花国務大臣 島根県が減るということはちょっと横に置きまして、一般論として、御指摘のような事態があれば当然勧告が必要になってくると思います。
  183. 金田英行

    金田(英)委員 それは、違憲状態の勧告をされるわけですか。
  184. 山花貞夫

    山花国務大臣 違憲状態というこの御指摘につきましては、従来、定数の格差是正の問題につきまして最高裁判所の判決が、いわゆる事情判決を行う中で、違憲状態、こういう用語を使ったことを受けてと、こう受けとめたところでありますけれども、違憲状態になれば当然この審議会としては動かなきゃいかぬと思うし、三倍という数を考えますと、そこまでいくまでの間に当然審議会としては特別の事情あるものとして勧告の態勢に入らなければいけないのではなかろうか、こういうように考えております。
  185. 金田英行

    金田(英)委員 今まで、この院においても、あるいは一票の格差の是正ということで、八増七減とか九増十減とかいろいろな検討を行ってきました。従来のような中選挙区の中では、中選挙区の定数を一減らしたりふやしたりすることで調整が可能でありました。しかし、これからの、今度の政府案は小選挙区制ですから、選挙区数を多くしたり少なくしたり、そういう作業をしなければ一票の格差の是正作業というのはできないんであります。  ですから、この審議会が検討しなければならない、適切な勧告をするためには、この審議会の中に一定程度の調整原資、調整幅を持たせることがどうしても必要だというふうに私は思うのであります。その点について簡単に所見をお伺いします。
  186. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 たびたび山花大臣から御説明申し上げておりますように、例えば極端な話、一対四になったようなケースがあったといたします。その場合には、当然のことながら県別の定数自体も変えるわけでありますから、そういう勧告をして、そして国会の方でそれは処理をするということになるわけでありますから、御心配ないのではないかと思います。
  187. 金田英行

    金田(英)委員 既に法律では、与党の案では、各県、都道府県別の選挙区の数はこうやって計算しなさいよということがはっきりと明記されているのであります。それは審議会に対する法律の要請であります。そして、そのような要請をする一方、二以上にしないようにしなさいというような要請もまた一方出しているわけです。  そのような状態の中で、適切な勧告、なるべくいい選挙区割りをつくっていただきたいし、なるべく全国的にバランスのとれた、そういった選挙区割りであってほしいと私も思うわけであります。そういうことを考えたときに、余りにも粗雑で粗削りな各都道府県別の定数割り、これではだめだというふうに私は思っているんであります。  もう時間がなくなっているんで、また残念ですけれども、このような全国の各県の割り振りだけを審議会に任すんでなくて、全国的なバランス、そうです、実際に首をかしげておられますが、そして各都道府県別の定数というのは完全に法律で要請して決まっていきますね。ですから、それはその要請を受けて作業をすることになるわけであります、審議会は。そうしますと、余りにも、もっとこっちにこうした方がいいのにとか、ここの選挙区はもう少しふやした方がバランスがとれた形になるのにねというようないろいろな審議検討が必要になったときに、何も審議会ではできないんではないかということであります。  ちなみに、いろんな矛盾が出てまいります。二百三の、人口比で配分するそういった二百三の定数はいいんですが、四十その基数配分についてもブロック別に著しく均衡を失しております。九州地方には八つの基礎定数が配分されております。四国地方には四つ、東北地方には六つ、北海道はたった一つ。過疎過密の配慮をしたということにしておりますけれども、人口の少ない県に配慮しただけでありまして、きめ細かな過疎への配慮はできていないのであります。東京、千葉、埼玉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、そして福岡、これらの人口密集地帯と北海道は全く同じに扱われ、本来もらうべき選挙区が減らされているのであります。いろいろな点でこの都道府県別配分についてはバランスを失している配分となっております。  私が主張したいのは、そのような、全国的に見て各県ごとの調整あるいは一票の格差の是正をする上で、この審議会は一定の三ないし五の調整幅を持たしていただいてもいいんではないか。国会が承認するような七人の有力な学識経験者であります。そのような人たちに、単なる秋田県を三つに割れとか長野県を四つに割れとか、そのような、数はちょっと違うかもしれぬ、そのような各都道府県を相互に全国的に比較考量できるような、そういう作業が全く行えないような状態にしておくことは大いに問題だというふうに思うのであります。  何とかこの点、二百五十から三百の間にこれから与野党の調整が行われると思いますが、自民党にあっては三百五でも結構ですので、このようなよりいい区画作業をしていただくために、一定の調整幅というのはこの審議会にぜひとも与えてやらないと、子供の使いみたいなような作業しかできないというふうに私は考えております。  時間が来ましたので終わりますけれども、またお部屋にお邪魔したりお願いに上がりながら、じっくり議論さしていただきたいと思います。  建設大臣、申しわけありません、せっかく御足労いただきまして。
  188. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 先ほど政府案が粗雑ではないかというお話がございましたけれども、この割り方につきましては、失礼ながら、二百五十と百七十一と数字は違いますけれども自民党さんの案でも同じ割り方をするわけでございます。  それから、そういう三から五の調整議席をというお話がございましたが、これはやはり客観的に、だれでも議席が多い方がいいと思っていらっしゃるわけでありますから、客観的なものでやらないことには、政治加算のようにここはちょっとこうすれば倍率がどうなるからそれを加えるということで、国民の皆さん、ましてや議会の皆さんが納得するでしょうか。これはどこかでバランスが大きく狂った場合には、これはどこかの議席を減らして、こっちを持っていって二百五十なら二百五、十の小選挙区ということでやらなければ、片や二・一五とか二・幾つということで、小選挙区のところ、審議会の委員の方は町村まで線を入れるべきか、二・一五で我慢すべきかということの判断を最終的にするわけですから、そこにまたもう一つ調整議席というのを入れたら、これはもうますます問題はややこしくなって、これは私は客観的にそういう制度などできないと思います。  金田委員指摘のように、この前私も認めましたように、北海道が一議席、完全に比例をしたときは減っていることは私も認めました。それは、人口が多い県はこういうやり方をすれば割を食う中の一つでありまして、北海道だけふやせということは、これはまた皆さん認めてくださらないと思うのです。大県でございますから、北海道は。その点御理解をいただきたいと思います。
  189. 石井一

    石井委員長 それじゃ、時間が来ていますので、一言で終えてください。
  190. 金田英行

    金田(英)委員 私は北海道の地域エゴを申しているつもりはありません。ブロックごとにバランスがとれていない基数配分を、何とかバランスのとれたものにしていただく必要があるし、また、審議会がこれからいろいろな区割り案を提案する中で、都道府県別の定数ががっちりと固定化されたような状態の中では適切な区画の勧告ができない、あるいは意見の提出ができないということを考えて、公正な目で第三者が幾つかの調整原資を手元に置きながら検討ができる方がいい案ができるということをお話ししているのであります。  時間がないので、終わります。
  191. 石井一

    石井委員長 次に、七条明君
  192. 七条明

    ○七条委員 それでは、本日の自民党としては最終バッターでございますけれども、よろしくお願いを申し上げます。  おとといから東四国国体、第四十八回の国民体育大会が開催されておりますけれども、その開催県の徳島県の七条明でございます。どうかよろしくお願いを申し上げると同時に、ちょうど国民体育大会は二十九日まででございますから、皆さん方の御協力をお願いをして、質疑に入らせていただきたいと思っております。  まず、選挙制度改革についてお伺いをしたいと思っておるわけでありますけれども、その前に、実は昨日のテレビ朝日の前報道局長の証人喚問に関して、私はここの会場で聞いておりまして、実にこれはふんまんやる方のない面持ちでこの会場にいたことを思っておりますから、その問題をまず先にお伺いをしておきたいと思います。  実はきのう聞いておりまして、椿証人の話でございますけれども、九月二十一日の放送番組調査会の議事録の原文そのものであり、公選法やあるいは放送法に違反する行為そのものであったとしか私には思えませんでした。昨日の椿氏に対する証人喚問について、まず担当の郵政大臣あるいは山花大臣や官房長官、それから自治大臣等々に、その御感想からまずお聞かせをいただきたいと思います。
  193. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 昨日の椿証人の証言につきましては、私もテレビで見ておりました。証言内容については、議事録どおり発言したということは認めていらっしゃいましたけれども、みずからが指示をしたり示唆をして放送がなされたという点については明確に否定をされておった、このように承知をいたしております。  御本人も、みずからの調査会における発言については不適切、不用意であった、このように証言されておりましたが、私も、まことに不適切な発言であった、こういう印象を持ちました。
  194. 山花貞夫

    山花国務大臣 私も昨日大変関心を持って注意深く聞いておりましたが、証言の内容で発言について確認した部分については郵政大臣と同じ印象を持ちました。  同時に、今回は、政治とマスコミ報道との関係についての、これは厳しい緊張関係の中で、しかし、それぞれの役割というものを持っているものだと思っています。民主的な政治を支える大きな条件である言論・報道の自由、こうしたテーマと政治とのかかわりについて、こうした形で問題が提起されたことは大変残念に思っているところでございます。  御本人は大変、みずから荒唐無稽なという言葉を使ったりして、陳謝の意を表しておりました。この一言をもって全体に推し広げるというようなことではなく、あるべき両者の関係について、教訓としてこれから議論していかなければならない、こういう印象を強く持ったところでございます。
  195. 武村正義

    ○武村国務大臣 担当の神崎郵政大臣と同じ所感でございます。
  196. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 済みません、ちょっと失礼をいたしましたが、いずれにいたしましても、私も自治大臣という立場でございまして、公選法を担当し、またその中には、御承知のように電波法の関係とも無関係ではありません。そういう意味で、まことに言いにくい立場でございますが、私たちも報道・評論の自由という範囲内で、だからといって、そのことを十二分にその関係者の人は入れて発言をいかなる場合でもすべきではないかというのが私の個人的見解でございます。
  197. 七条明

    ○七条委員 今、各大臣からきのうの椿証人のお話の感想のようなものをいただいたわけでありますけれども、私は、今、大臣、いろいろな話がありました。まさにその部分でそうであろうと思うところもありますし、ちょっと違うなと思うところもあるのですけれども、私はやはりこれはもう公選法違反以外の何物でもない、あるいは放送法に対しても抵触をしておるのではないだろうか、こういう素朴な疑問を非常に持ちました。ですから、これは指導しておられる、監督官庁でもあります郵政省、郵政大臣にお聞かせいただきたいのですけれども、やはり徹底的に、この場合、ここまできたんですから究明をしていただく、徹底究明をしていただきたいと思うのですけれども、その辺の決意というものもできればお聞かせいただけますか。
  198. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 郵政省といたしましては、この事実関係を現在調査をいたしておりますけれども、可能な限り事実関係を明らかにして、これに基づきます放送法等の適用関係につきましても十分検討したい、このように考えております。
  199. 七条明

    ○七条委員 今、大いに積極的にやってみたいということですけれども、じゃ調査しておるというのだったら、どういうような調査が今行き届いておるのでしょうか。
  200. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 調査の点は二点でございまして、一つは、椿発言の真偽について、この点については議事録等で裏づけられていると思いますが、もう一つは椿発言に基づいて番組の編集が行われ、実際に放送されたかどうか、この点につきまして現在主に調査をしている、こういうことでございます。
  201. 七条明

    ○七条委員 じゃ、その調査結果というのは大体いつごろをめどにされておられるか、あるいはいつごろまでにはこういう結果が出てきそうだ、調査によってはいろいろ長くなるかもわかりませんけれども、めどとしてどのくらいを考えておられるでしょうか。
  202. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 調査につきましては、一つは、放送番組が具体的にどういうふうに編集され放送されたか、この点につきましては、テレビ朝日の方で内部調査等も行っておりますので、その調査結果を一つは待っている。  もう一つは、国会での御議論もいろいろ行われておりますし、参考人招致も行われることになっておりますので、国会での御審議の状況等も十分見ていきながら判断をいたしたい、このように考えております。
  203. 七条明

    ○七条委員 じゃ、そこまでおっしゃられるわけでございますから、私は見守っておきたいんですけれども、もう一度、目的とか、いつごろまでをめどにというのはちょっとおっしゃっていただけませんでしたから、じゃ今度はちょっと観点を変えまして、今後具体的にどういう形で、スケジュールでやっていくか、徹底究明していくと言われる雰囲気の中でやっていかれるかというのが、もしわかればお教えいただけますか。
  204. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 郵政省は郵政省としての調査を進めておりますけれども、ただいま申し上げましたように、テレビ朝日における調査とかあるいは国会における御審議とか、そういう状況も勘案しながら結論を出したいというふうに考えておりますので、今の段階では、いつどういう形で結論を出せるのか、この点については申し述べるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  205. 七条明

    ○七条委員 めどについてはちょっとおっしゃっていただけないようでありますけれども、じゃこれは、私は、さっきも言いましたように、放送法に抵触するんではないかと思っておりますけれども、もう一度、郵政大臣そのものは感覚的にはどうなんだ、疑わしいのか、いや、そう心配ない、こう思っておられるのか、どんなものでしょうかね。
  206. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 椿氏本人も証言の中で幾つかの点について、もしそのとおりの放送がなされていれば放送法違反に当たるとか、いろいろ言われている点も承知いたしておりますけれども、私どもは、現在調査をしている段階でございますから、評価にかかわることにつきましては、恐縮でございますが、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  207. 七条明

    ○七条委員 実は、私はなぜこんなにまでしつこく聞くかといいましたら、これは、今度ここの場では選挙制度の審議を行われておりますし、このままいきますと小選挙区制、新しい制度に移行してまいります。そうしますと、小選挙区制というのは一対一で戦う、あるいは一番では当選、二番では落選という結果が出てまいりますと、マスコミの与える影響、どちらかに、マスコミのつき方によってその選挙が大きく左右をされる。  そういう感覚になって考えてきましたら、やはりマスコミの公平性あるいは厳正、公正なやり方というのが問われてまいりますから、これは小選挙区制に移行になる前に、この場合、自民党がやみでやっているんだとか、徹底的にやられたからやり返しているんだとかいうことじゃなくて、これからの本当の審議の中で、小選挙区制に移行していこうというならば、このことを徹底的に究明しておかなければならない、こういうことは二度とあってはいけないように、ちゃんとした見直しをしてやっておかなきゃならないと私思うんですよね。  ですから、公選法の違反もありますし、あるいは放送法の違反もあるというのなら、そのお二人、自治省と郵政省の方々にもう一度、そういう小選挙区制になる場合のことを想定して、お答えをいただけるでしょうか。
  208. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 個別の事案につきましては、私の方から、司法当局じゃないものですから、述べる立場ではないのでありますけれども、御指摘のように、百五十一条の三で選挙放送の番組編集の自由は保障しておりますけれども、「虚偽の事項を放送し又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」となっていることは御承知のとおりでございます。このときの「虚偽の事項」とは何かというと、事実無根の事実を記載したり詐偽の事項を記載するなどをいい、事実を歪曲して記載するとは、その記載に当たって殊さらに重要事項を秘匿し、虚偽の事実を付加し、あるいは著しく誇張し潤色する、意識的に事実をゆがめて記載するということと解されているということになっているわけでございます。  それから、百五十一条の五の方につきましては、ここに書いてあることは、政見放送と経歴放送はやっていいですよということは書いてあるわけでございますけれども、放送事業者が選挙運動にわならない程度で選挙に関し放送することまで禁止するのではなく、その内容がたまたま特定候補者に有利な結果になっても、本条の禁止に該当するものと言えないだろうというのが従来の解釈でございます。  したがいまして、司法当局におきまして、こういう従来の解釈に今度のことが当たるのかどうか、それは司法当局の方で厳正な立場から対応されるものと思っております。
  209. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 放送法の趣旨からいたしましても、放送に当たっては政治的公平性の確保に努めなければならないことは当然でございます。
  210. 七条明

    ○七条委員 当然、公正にやらなければならないということはよくわかりました。そうしますと、私は、この機会に徹底究明はしていただくのはもちろんでありますけれども、いわゆる選挙報道に対するマスコミの対応の仕方というものをもう一度見直して、厳正な、あるいは公正、公平なやり方をしておるよと皆さん恐らくマスコミの関係の方は思っておられると思いますけれども、それを見直してみて、やはり間違いがなかったよ、こういうやり方でやりましょうよというような、私はこの機会に見直しをしたらどうかと思うのですけれども、この見直しをするつもりがあるかどうかも、郵政大臣ですかね、お願いしたいと思います、放送法を含めて。
  211. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 放送法上も報道の自由ということが認められ、放送番組の編集につきましては放送事業者の自律にゆだねられているということでございまして、みだりにこれに介入することは許されない、そういう趣旨を前提にしてこの問題については考えなければならないであろう、このように考えております。
  212. 七条明

    ○七条委員 しかしながら、さっきも申し上げたように、小選挙区制になったならば、これは一対一の戦いでありますし、マスコミがついた方が有利になる、あるいはそれによって選挙結果が左右されることも出てくる。そうなれば、日本の政治が変わると言ってもこれは過言でないわけですし、やはり厳正な、公正なということを徹底的にこの機会に私は見直していただきたいな、こう思う一人でございますから、最終的に、武村官房長官もおられますから、武村官房長官としても、どういうふうにやるべきだ、そのマスコミのあり方だとか総論的なことも含めて、総理のかわりにお聞かせをいただいておきましょうか。
  213. 武村正義

    ○武村国務大臣 今回の事態は、御本人が少なくとも自分の言動については率直にお認めになったということでありますから、その限りにおいて、非は非、是は是であったとテレビの前で、国会の場で明らかに証言をされたとおりでございます。  問題は、この論議から、放送のあり方、テレビ放送と政治のあり方の論議に移ってきているわけでございますが、基本は、関係大臣がお答えをしておりますように、この国は憲法によって言論の自由が保障されている国である。我々はそのことを胸を張って誇りにしながら今日まで生きてまいりました。その基本が制約されたり損なわれることのないように十分注意をしながら、この問題の議論に参加をしていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
  214. 七条明

    ○七条委員 言論の保障をしなければならないですし、介入してはならない部分まで介入をしてはいけないというのもよくわかります。しかしながら、きのうの椿証人が言われたことを推測をしてみますと、やはりこれは公選法あるいは放送法等々に非常に抵触をしておる疑いが非常に濃い。どうもそうであろうとしか私には思えませんから、この機会に徹底的な究明をしていただくと同時に、それらの制度についての見直しを含めて今後検討をしていただくよう私からも強く要請をしておきたいと思います。  この問題はこれで終わらしていただきますけれども、それでは次に、本来の意味での選挙制度についてお伺いをしてまいりたいと思います。  政治改革に何を期待するかという国民に対するアンケートあるいはマスコミでの世論調査では、やはりまず第一が政治の腐敗防止であります。まず政治改革に何を望むかというと、政治腐敗を徹底的にやってください、二度と再びリクルート事件やら共和事件あるいは佐川急便事件、金丸事件、そして最近行われておりますゼネコン事件のようなことが起こらないようにしてくださいよ、こういうのをほとんどの方が言われるわけでありますし、政治と金の関係を根底から変えてほしいとの国民の期待や、それに劣らず要望も多いところであります。  選挙制度改革は、我が国の議会制民主主義を政党政治の確立によって再生するためにぜひとも私もやらなきゃならないと思っておる一人であります。しかしながら、ただそれだけで国民が求める腐敗を根絶することは、よほどの意識改革がなされない限り難しい。それを補足する別の観点からの対応も私は必要でないかと思っておるわけでありますけれども、この点、山花大臣に実はお聞かせいただきたいのは、政治腐敗防止は、議員、いわゆる候補者本人のことにとどまることなく、やはり国民、いわゆる選挙民と言われる国民の方々のよほどの意識改革がなされなければ、これは政治改革が本当になされたとは言えませんし、そういう意味での選挙民に対する意識の改革をどういうふうにやっていったらいいのか、これもやはり非常に大事な問題でございますから、政治腐敗に対する選挙民の意識改革について、その具体策があるのかどうか、あるいは今後どういうふうにやっていこうと思うのかということについてお聞かせをいただけますか。
  215. 山花貞夫

    山花国務大臣 今御指摘の、御主張のおよその部分については全く同感でございます。  今回は、法案として政治資金規正法の中身自体も腐敗防止に資するものであると考えますし、御承知のとおり連座制について処罰の対象の拡大、そして要件の強化とまた罰則の強化等々を図っております。ただ、そうしたことだけでは足りないんだということは先生のおっしゃるとおりだと思っていまして、ただ私は、その前提にあるものも忘れてはならないと思っております。何よりも政治家本人の政治倫理の確立、この観点というものを前提として今の先生の御質問に入るべきではないかと思っているところでございます。  政治倫理問題についても長年議論されてまいりましたが、相次ぐゼネコン汚職までに至るこの過程の中で、やはり制度の前に政治家一人一人の倫理の確立こそが求められているという大前提がございました。同時に、その問題提起に関連して、政治家だけではない、選挙民の皆様にもこうした問題について正確に受けとめていただかなければならないということにつきましては、それぞれの側からの見解として、いろいろな議論の場面で主張されてきたと思っています。  これまでの経過では、例の選挙区に対する寄附の禁止規定、この新しい法案ができた際にはかなり自治省としても広報なども行いまして、これはそれぞれの皆さんの印象があると思いますけれども、随分この点は改善されたんじゃないでしょうか。若干の慶弔、お葬式、結婚式の場合の例外はありますけれども、その他の物を配る、物をもらうのが当たり前だ、こういう風習というものほかなりなくなったんじゃないでしょうか。  よく話題となりましたのは、例の盆踊りその他の場合の地元からの案内状、まあそれはそれとしての意味のある案内状をいただいておったということはもう皆さん経験しておったわけでありまして、この辺はかなり改善されたんじゃなかろうか、こう思っております。そのときにも、もちろん広報も一生懸命やりましたけれども、そうした法律の趣旨についていろんな機会に選挙民の皆さんにも御理解をいただいた、こういう経過があったと思っています。  したがって、今回の法改正につきましても、その意味におきましては、まず当然、政治家一人一人がみずからの襟を正し倫理を確立するという大前提の中で、制度につきましても、自治省の方でも、法案が審議中でありますので、今その点についてはまだ準備の期間中ということになっておりますけれども、いずれにせよ、法案が成立した後については精力的にその広報についても努めたいと思いますし、また、それぞれ働きかけをする側、受ける側、ともどもこうした政治をきれいにするということについては努力をしようではないかという呼びかけに対しては、大変これからの大事なテーマだと考えていることについては、全くおっしゃるとおりだと思っております。     〔委員長退席、三原委員長代理着席〕
  216. 七条明

    ○七条委員 それでは、このいわゆる意識の改革という意味では、私はこれは政治改革の一番難しい点ではないか。いわゆる制度をつくっていくということはできるかもしれません。新しくできた制度を周知をして、実行していくこともできるかもしれません。しかしながら、国民である選挙民の方々がそれを理解をして、その制度に対して意識改革をしていただかなければやはりもとのもくあみでしそ、そのままではやはり完全な政治改革ができたと言えないわけでありますから、当然今、山花大臣がおっしゃっておられたように、広報活動やら周知の徹底だとか、あるいはそういう感覚の中で、選挙民の意識の徹底した改革をしていただくことを望んでおかなければなりません。  これは特別に、今度はそういう形で予算なんかを組む予定があるんでしょうか。
  217. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 政治家に対する寄附禁止等は今一生懸命広報をやりまして、今山花大臣からお話があったように、かなり進んできたのではないか。まだまだ足りないといえばそうでありますが、皆さん方の周辺を比べてみて、選挙区にもかなりよりますけれども、そうじゃないかと思います。  今度新たな法案を、この政治改革法案を通していただければ、より一層徹底をするために精力的にやっていきたいというふうに考えております。
  218. 七条明

    ○七条委員 大臣からお話がありましたけれども、じゃこれは、自民党の方の案としても、そういう意味では意識改革のようなものを恐らくされなきゃならないというふうに思っておられると思いますけれども自民党の案からするならばどうでしょうか、選挙民の意識改革という意味で、
  219. 保岡興治

    保岡議員 今度の政治改革の徹底を図って、求める政党本位政策本位政治を確立するということをきちっとやることが、国民が願う腐敗の根絶に裏腹でつながる。したがって、そういった意味では政党がしっかりして、政策をきちっと訴えて、そして政党のルールをきちっと守って、そうして選挙民が本当に政党本位政策本位選挙が意識的にできるようにきちっと努力をして、有権者もそういう意識でこの制度を受けとめるという、そういうことがまず基本だと思います。  そしてまた、今度の選挙制度によって政権交代の緊張が生まれるなど、政治に今までになかったある活力が期待できる、そういう中から自浄力を促す、そういった政治ができる。そういう中で、新しい政治をみんなで頑張ってつくっていくということも必要でしょう。そして、今度政治資金規正法や腐敗防止に関して、いろいろ政府や与党、あるいは我々の自民党案、これは余り大きな違いはないんですけれども、そういった制度を徹底するということも大事ですが、それだけでもまたうまくいかない。  さらに、私は個人的には、イギリス型のきちっとした連座制の確立を期して、有権者や政治家みずからが腐敗防止に努力できるような、そういったことを促せる抜本的な仕組みも十分今後研究して、制度化していかなきゃならないんじゃないかと思っております。
  220. 七条明

    ○七条委員 自民党側からも御答弁をいただきました。今回の選挙のときに、私は、自民党がある意味では政権を失った、それは政策が悪いからだというのではなかったわけでありますし、本来、やはりこの政治の腐敗、金権体質があるからだ、こう言われたからこそ、こういう結果が出てきたような気がいたします。  そういう意味では、自民党の内部でもそういう意味での腐敗防止に対するいろいろ徹底的な組織の改革をやっておられると思いますし、もちろん意識の高揚も内部でもやられておりますし、外へ向けてもやっておられると思うのですけれども、それは徹底的にやるんですよ、もちろんやりますよというのを私も感じておりますけれども、できれば何かお聞かせいただけることがあれば聞いておきます。自民党側
  221. 伊吹文明

    伊吹議員 今のお話のように、政治家はやはり有権者の鏡のようなものだと思うのですね。立派な有権者のいるところには立派な候補者がいるということだと私は思います。それでいくと、やはりこの制度が通ったときに、どちらが政権を持っているかわかりませんが、政府はもちろん、各党、私は大国民運動を起こすべきだと思うのですね。そして、投票は、その候補者国会議員として東京で国の平和と安全のためにどの程度の能力を発揮しているかということを基本に、政党間の政策を比べて投票をしてもらうという大キャンペーンを私はやるべきだ。  かつて鳩山内閣のときに国民運動がありましたね。お葬式のときにお返しをしないとか、新生活運動ですか、そして、約束の時間にはおくれないようにやろうとか、一部まだそのことが残っている地域が私の地元なんかにはあります。  そういうことを一つ一つやはり積み重ねていって、先ほど我が方の答弁者が申したような理想的な事態をつくり上げていく。これは先生がおっしゃったように一番つらい部分で、もしも候補者一人が、おれが出し抜こうという気があったら根底から崩れてしまいますね。だから、罰則強化、腐敗防止というのを別法案として我が党が提出した意味もそこにあるんです。
  222. 七条明

    ○七条委員 私も、自民党に対する批判もあったわけでありますから、これは法案の中で、あるいは自民党の内部でも腐敗防止に対する徹底的な究明と、二度と再び起こらない状況をつくっていただけるような選挙制度としてやっていただけることを望んでおきたいと思うわけです。  実は、さっき山花大臣に御答弁をいただきましたところ、政治倫理の確立が一番大事だ、こうおっしゃっておられました。私もまことにそのとおりでありますし、私は三木武夫先生に仲人をいただいて、今回当選をさせていただいておりましたから、その政治倫理という表現はよく三木武夫先生からも聞かされました。  しかも、私が感じますのは、選挙民への意識の改革の第一歩は、さっき山花大臣が言われたように、候補者本人が選挙時に有権者を裏切ることのない、選挙のときにやったことを裏切らないようにする、あるいは自分の選んだ政党選挙のときに訴えた政見や政策とは違わないように、その信頼をもって、そこから始まっていく意味での政治倫理の確立もやはりやっていかなければならないし、自分自身がそれを、自分で身をもって政治倫理に徹していくことだ、そういう意味で私は山花大臣が言われたんだと思います。そうですね。うなずいておられるから、そうだと思います。  では、その意味で私、お聞かせをいただきたいのでありますけれども、実は、今回の連立政権ができるまでの間に、現政権の中で連立政権をつくる合意をして選挙に臨み、非自民政権成立に対する国民の審判を受けられる。あるいは私が感じておりますのは、政府の行う政策を各党の固有の政策、いわゆる社会党の固有の政策が基本的に異なる場合をどう考えるのかというふうになってまいりますし、実は総理は、連立政権とは、それを構成する各党の固有の政策とは別に、政策合意事項に基づいて国民のために政策を行っていけばよいとの考え方を言われておられました。  しかしながら、選挙のときだけはこういう公約ですよ、ところが、いざ政権ができてみたら、今度はちょっと違うような形になって、こういうふうにやりますよというのでは、これは政治倫理の確立どころか、私は、簡単に言うならば、有権者に対する大きな裏切り行為があったんじゃないか、政治倫理の確立というのが基本的に裏切られているような気がしてなりません。  例えば社会党の方々、あるいは山花大臣も社会党であられますけれども、現政権において、国防だとかあるいは外交だとか米の問題について前政権の考え方を継承していきたい、政権合意事項だから継承をしていきたい、こうおっしゃっておられますけれども、では、社会党が選挙のときに言われた固有の政策というものはどういうふうになるのでしょうか。あるいは自衛隊法の改正だとか、それらに伴います防衛、外交、米問題というようなことは、これはどういうふうに考えて、有権者に対する裏切り行為になってしまっているんではないだろうかと私は思うのですけれども、では、一番身近な意味で、自衛隊法の改正はどうするんだ、ちょっと聞かせていただけますか。
  223. 山花貞夫

    山花国務大臣 全体的な御質問もいただきましたけれども、ただ、はっきり申し上げておきたいと思いますことは、選挙が終わったら公約そして約束したことを変えた、こういう御質問でございましたけれども、私たちは、連立政権、連合政権につきましては、選挙の前ということだけではなく、長年の政権を目指した社会党の党の政策として発表してまいりました。  八九年の段階で連合政権の政策を発表いたしました。連合政権になった場合には、自衛隊についてもこう考えますということを含めての政権についての私たちの政策です。これは八九年の段階。九二年、昨年の暮れの段階におきましては、一歩進んで、連立政権についての考え方を明らかにいたしました。社会党単独では政権をとるのは大変困難である、しかし、私たちは、今日の政治を変えるためには他のリベラル、改革派、今の政治を変えようとしている皆さんとともに連立政権をつくります、こういう場合の政策についても、御指摘の自衛隊問題を含めて発表してまいりました。  今回の選挙に当たりましては、選挙の前の段階におきまして、私たちは五党の党首の会談を行い、そこで、政治浄化を徹底させ、国民政治に対する信頼を回復するために選挙協力してやっていこうではないか、非自民の連立政権をつくろうということについて合意をした中で、今御指摘の外交、防衛など国の基本政策についてこれまでの政策を継承しつつ、世界平和と軍縮のために責任及び役割を担う、こういう格好でやるんですよということは、党の固有の政策だけではなく、連立政権、非自民でつくっていきます、この場合にはこういう立場でまいりますということについて内外に明らかにした中で選挙に入った次第でございます。  したがって、私は今閣僚としての立場でありますけれども、当時、党の委員長としての立場におきましては、各方面から野合ではないかとか、政策が違っているのに一体どうするんだということについては、まず毎日御質問がございました。  これはマスコミも含めてでありまして、このことについて、私の立場とするならば、当時私たちは、連立政権はこういうものなんです、これまでの単独政権とは違って、社会党固有の政策は持っているけれども、そのことだけに固執したのでは連立政権はできません、したがって、選挙が終わった結果、議席の数によって私たちの固有の政策が実現していく、前進していく、濃淡はあるかもしれないけれども、連立政権というのはそういうものなんです、これからは一党が過半数をとる時代ではなく、常にそういう時代が参ります、こういう格好で私たちはあらかじめ公約をしてきたわけでありまして、その意味におきましては、そうした国民の皆さんに対する公約を、信義を守ったというところが基本でございます。  御指摘の問題につきましても、したがって、党は固有の政策を持っていますから、それを閣議の決定されたものについて閣内不統一ということではなく、党としては、そういう問題についてこういう問題がありますよということについて、やはりこれ、国民の皆さんに見える形で問題提起して討議するということは、これは連立政権としては極めてあり得ることではなかろうかと思っている次第でありまして、そのことは、新しい時代の連立政権のあり方について、まだ議論が出るだけ連立政権ということについて我々の政治が習熟していないという問題点もあるんじゃなかろうか。  そこでは私たちの至らない点もあるかもしれませんけれども、そういう時代になっている中で、連立政権のそれぞれの政党の役割、あり方ということが問われたテーマだと受けとめて、誠実にこれにこたえているつもりでございます。     〔三原委員長代理退席、委員長着席〕
  224. 七条明

    ○七条委員 一生懸命しゃべっておられる姿、よく理解はできませんけれども、何となく伝わってくるものがちょっとだけあったような気はいたします。  しかしながら、さっき私言いましたように、選挙民への意識改革の第一歩は、候補者である本人が選挙時に有権者に対して約束をしたことを裏切らない、あるいは選んだ政党がその選挙のときに訴えた自分の政策に対してはしっかりとしてそのままのことを実行していくというのが私は政治倫理の確立だと思う。  もちろん、うなづいておられた山花大臣が言われたとおりだと思っておりますからお聞かせをしていただいたわけでありますけれども、そういうふうに考えていきますと、山花大臣が言われたこと、いろいろ疑問な点がたくさんありますし、素朴な疑問になるのですけれども、じゃ、各党寄り合い世帯の連立政権に対する国民の審査はどういう形で行われるのでしょうか。国民生活に最も影響のある行政を指導監督する内閣、その内閣の政策と内閣を構成している政党の政策が選挙の際に使い分けられることがあってもよいのか。  つまり、内閣の一員としては内閣の一体性のために自説は慎むが、選挙になれば党員としてそのまま百八十度違った立場をとってやっていくんだ。とするならば、内閣の責任を国民はどのような形で審査、審判するのか。連立政権は選挙によって審判されること、そのためにそこには、責任のない内閣だ、政治的に無責任な存在をするんではないか、そういう無責任さが存在するのではないかということにつながってまいりますけれども、やはり政治倫理の確立から起こったことでありますから、御答弁いただけますか。
  225. 山花貞夫

    山花国務大臣 政権のあり方について、穏健な多党制という言葉が総理初め皆さんから使われておりますけれども、それは政権を目指すそうした幾つかの政党が連立・連合政権をつくるという意味だと理解をしております。初めから現体制を否定する、政権参画を全く考えていないという政党が寄り集まることはできないわけでありまして、したがって、今百八十度違うということがありましたけれども、そういうことはあり得ないのが今日の政治の現実である、こういうように考えているところでございます。  そうして、じゃ一体、そういう連立政権はどのように国民の皆さんから評価されるのか、審判を仰ぐのかということにつきましては、内閣ができたその後はまずは世論の支持率でしょう。ということであるとするならば、今、細川政権が大変高い世論の支持をいただいているということについては、励ましということをも含めて現実のテーマです。  そこでは、じゃ一体、この細川政権に対して、個々の政党に対してではなく、細川政権の、私どもを除いた政党に対して、考え方が違っている政党と一緒になってけしからぬという格好ならば、私は支持率はそこではあらわれてくるものではないかと思っています。もちろん私たちが、その意味におきまして大変厳しい批判を受けた後、まだこれ党の再建の過程にあるということは、当然我々の気持ちのうちに置いた中で、まずは支持率で判断を受けているということだと思っています。  そして、将来は、政治改革、年内に実現したい、実現できるということになるとするならば、同時にそれから、いろいろな施策について進めていく中で、いずれかの時期におきましては、そこで国民の皆さんの審判を仰ぐということになってまいると思います。そのときの情勢で、それぞれの政党がその政権での仕事について全体振り返って、かたく言えば、一言で言って総括をする中で、新しい選挙にどう臨むのかということにつきましては、その時点におけるそれぞれの政党判断があると思っています。  ただ、私は、冒頭申し上げたとおり、連立の時代に入ってきたということであるならば、そこで連立政権の政策を議論して合意することになると思いますし、そのことに基づいて連立政権内部、与党における選挙の協力についてもさまざまな議論があると思っておりますけれども、そうした与党の努力について、その時点時点で審判を仰ぐということになると思っております。
  226. 七条明

    ○七条委員 どうも言っていることに理解がしにくいところがありますし、この問題を余りやっておりましても時間がたつばかりでございますから、私は、言いたいことは、やはり政治的な無責任さがそこに存在をしてしまう、そういうことになれば国民の生命や財産をこれでは託していくわけにはいかないな、こういう話になってしまうと思わざるを得ないところであります。  時間の関係がありますから先に進ませていただきたいと思うのですけれども政治改革選挙制度改革を考えるときに、私は、選挙民への意識改革は、まず、先ほどから申し上げております、候補者本人が有権者を裏切ることのないように、あるいは選んだ政党が自分の政策を実行することに全力を挙げる、そのために予断を許さずやっていく、国民の、あるいは選挙民との政治に対する信頼関係が政治改革の中での意識改革の始まりであるということに落ちついてまいりますから、その辺の基本姿勢を忘れることなく、政治改革そして選挙制度改革についても、私は山花大臣に強く要望をし、臆せずやっていただきたいことを望んでおきたいと思います。  それでは、私は、時間の関係がありますから次に移させていただきますけれども比例代表の選出方法についてお伺いをしておきます。  比例代表選挙の選出議席数を全国単位にするのか都道府県単位にするのかという点でありますけれども政府案では、比例代表の当選者数は全国単位で決めることになっております。ところが、現在の参議院比例代表選挙数の決め方とほぼよく似ている、私はそう思っておりますけれども、これでよろしいのですね。
  227. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 御承知のように、今度の政府案では、小選挙区も比例代表政党中心になるという大前提になっていること、あるいは重複立候補を認めたり、あるいは名簿登載者の方は政党所属する者しかいけないとか、あるいは解散がある、ないとか、任期六年とか、挙げていけば違いがあるわけでございます。  したがいまして、じゃ参議院はどうあるべきかということにつきましては、参議院のあるべき姿論、機能、機能、このあたりを、衆議院に並立制を入れることによりましてどうあるべきかはひとつ参議院の方で考えていただく、現に連立与党の方としてはいろいろと協議が始まっているやに私たちも承知をしておるわけでございますが、基本的に私は、国権の最高機関の一院に関する話でございますから、これは参議院の方でより審議を深めていただくのがいいのではないかというふうに考えております。
  228. 七条明

    ○七条委員 私は、衆議院と参議院、まあ参議院という話がありますが、衆議院と参議院の機能についての違い、我が国の国会の衆議院と参議院、二院制でありますけれども、この違いというのは、同一案件について審議を重複して行うことにより慎重な審議が期せられる、あるいは一方の院における多数派の横暴を抑制ができる、あるいは選挙によって政権が交代した場合でも、急激な政策転換を抑制をして国会の安定が図られる等々ということで、よって両院の機能としては、法律や予算の議決権や総理大臣の指名については衆議院の優越性が認められておる、こういうふうなことでありますね。  その点からすれば、参議院は衆議院に対して抑制、補完をする機能が重視されているということになりますし、この点についての私の理解でいきますと、これは基本的に、私は、今回の比例代表制あるいは今行われている参議院選の全国区でやろう、全国を一つの単位としてやろうとする考え方、やはり同じような重複点が私はたくさんあるような気がしてなりません。  そういたしますと、選挙のやり方は基本的に同じだとするならば、二院制のすぐれた点をお互いに消し去ってしまっているんでないだろうか。さらに、比例区のウエートが重くなればなるほど多数の政党が衆議院に出現をしてしまうという現象が起こり、安定政権を成立させる阻害要因になってしまいます。そういうことが考えられていきますと、多数の党派の連立政権では安定政権はあり得ることができない。無理な連立政権が内閣の性格をあいまいにして不安定なものにすることは、現在の連立与党を見ておっても私は明らかなような気がいたしますね。  それから、我が党の案が一票制をとり、比例代表を都道府県単位で選ぶことにしている理由一つは、これが安定政権を成立させるということにつながっている点だと私は理解をしておりますし、この考え方についての政府の見解はいかがなものでしょうか。
  229. 山花貞夫

    山花国務大臣 前段のところで、先生ちょっと前提として、今度の政府提案比例代表制度と現行参議院制度がかなり同じである、こういう前提で御質問があったように伺っておりました。それぞれ細かい整理は別にいたしまして、根本的な問題は、ただいま候補の届け出の主体とか運動の形などを見れば一番明らかなわけですが、今回の提案はあくまでも政党中心というのに最大の特徴があると思っています。  今の参議院制度は、選挙区についても個人中心、これは届け出も個人ができますし、選挙運動個人もできるということになっているわけであります。また、重複立候補ができるできないについても明らかな差異がございますし、比例名簿の登載についての要件につきましても、今回の提案政党所属する者のみできますけれども参議院につきましては政党所属しない者についても推薦ということで、その意味におきましては政党外の幅広い人材を立てるということも可能でございます。  定数とか選挙区のその他の問題について幾つかの違いがあることなどを前提といたしますと、この二つの制度というものが確かに似通ったということでは、単位の問題とか政府提案からすれば二票制ということで似通ってはおりますけれども、しかし、そうしたいろいろな違いがあることから、さっき先生が冒頭御指摘参議院の機能等については、これはもう御主張のとおりだと思いますことを前提として私はお答えしますけれども、私は、参議院の機能というものに対して、全く違った役割を担った選挙の選出方法ではないか、こういうように考えております。  したがって、今回は、その意味におきまして、考え方が小選挙区に重点を置くのか、それともちょうど両方の制度というものを補完させるのかと考え方は違っておりますけれども、そこからできる政権というものは、穏健な多党制という言葉を使われておりますとおり、連立政権ということになってくると思いますが、これは決して連立政権イコール短期不安定ということにはならないと思っているところでございまして、これは外国の例を申し上げるまでもなく、考えてみれば、これからどう考えても連立政権の形が、いろいろな形、例えば野党がかなりの勢力をとったとしてもやはり連立政権でしょう。現在の与野党ともに、これからの政権というのはやはり連立政権志向ということになってくるんじゃないかと思っております。  その中で、どうやって政権を安定させるかということについては、それぞれの政党のこれからの連立の時代の成熟といいますか成長といいますか、そういうことと相まって、私は、決して先生が断言されたようなことではないんじゃなかろうか、そういうことに努力している今過程ではないか、こういうように理解をしているところでございます。
  230. 七条明

    ○七条委員 私は、参議院制度も、いわゆる衆議院、参議院の機能が異なるということはもうさっき大臣も言われたとおりでありますから、じゃ異なるのであれば、ある意味で全国区あるいは全国でやるということじゃなくして、一方は地方でやる、都道府県単位でやるというふうに、かなり異なった地域でやっていかなければならない、私はそう思う一人でありますね。  実は、私の徳島県の場合、今回の政府案でいきますと二百五十、二百五十、定員五百という感覚できますと、今は実は五人の定員であります。ところが、今度の政府案でいきますと、比例区が二それから小選挙区が二、合計四ということになりますし、比例区の方の二というのは、全国単位でやるとなれば、例えば五人おるところが、小選挙区の二人だけが地元の方でそれ以外は地元にないということになれば、五人が二人に減ってしまう。大幅に減って、地域の代表が五人から二人に減るとなれば、これは地域の意味では代表者が減って困るよと私はよく地元の方から言われるわけですね。  こういう意味での都道府県単位でなければならないと私は思う一人でありますけれども、こういう悩みというのは、徳島県だけでなくしてほかの県にもたくさんあろうと思うのですね。ですから、こういう意味での都道府県単位にならなきゃならない、私はそう思っておるのですけれども、こういう場合はどうなるのでしょうね。
  231. 山花貞夫

    山花国務大臣 今御指摘の双方の提案につきましては、それぞれいい部分と問題のある部分というのがあるんだと思っています。  例えば、今二票制ではこうではないかと言ったのは、一票制を主張する側からの御主張なわけですけれども、しかし、同時に、一票制の問題点ということについては、これまでいろいろな格好で議論されてきましたけれども比例代表の県別ということにしますと、二人ということでは、もう繰り返し言われたこと、やはり第一党、第二党あるいは少なくとも数字的には三〇%以上とらなければとても二人区では一人出すことができない、こういった実際上の阻止条項がここにあるんじゃないだろうか。  あるいは、基本的には自民党提案というものは小選挙区補完という、こういう形でありますから、その意味ではくっついているということだと思うのですけれども、政府提案におきましても、じゃ一体その地域の議員をどうするかということについては、一つは各政党の全国比例区に対する順番づけの問題があると思っています。したがって、それは各政党の自由に、裁量に任されているところでありまして、そうした意味におきましては、この地域におきましては例えば選挙区の当選者が少ないと思われる部分につきましては、順番をどうするか、これは政党のそれぞれの自主的な判断によると思います。  もう一つは重複立候補の問題がありますから、その地域においてかなり頑張るということになれば、その選挙区の二人プラスこの比例の二人も、四人その政党が確保することも可能なわけでありまして、そのために切磋琢磨するという努力が必要なんだと思いますけれども、その意味においては決して、政府提案によれば、二人になっちゃって二人は出れないんだということにはならないんじゃなかろうか、こういうように思っているところでございます。
  232. 七条明

    ○七条委員 今の話、徳島に持って帰っても、皆さんもうだめだだめだと言われると思うのですね。私も実はそう思いますし、私は今回提出された政府案はやはり地方軽視でないかと思ってなりません。  論点を変えて聞きたいのですけれども、平成四年の十二月二十二日に地方分権に関する緊急提言、いわゆる民間政治臨調が出されたものがありますけれども、この中に、地方分権の役割について、あるいはそれに対する選挙制度の問題についてもいろいろこう書かれております。この民間臨調が出された地方分権の緊急提言、これをどう思いますか。
  233. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 地方分権そのものにつきましては、これは大変参考になる提言だと私も思っております。しかも、これもさらに国民的な議論を深めながらどんどん進めていかなければならぬ。自治省といたしましては来年度、広域連合あるいは中核市制度ということで、これは二十三次地方制度調査会で出されたものを通常国会にお願いをしたいと思っておりますし、また、選挙制度の関係で言えば、政府案でも平均五十万人に一人ということで、今の行政区とのかかわり合いで言いますれば、一体地方分権との関係でどうなんだという問題が出てまいりますから、これはこれとして、分権の方は進めていこう、それはそれなりに進めてまいります。  ただ、地方選挙との関係、まだ聞かれませんでしたかな。選挙の関係はまだ、じゃ後で。
  234. 七条明

    ○七条委員 選挙もちゃんとこの地方分権の中に入っておりまして、いわゆるこの提言の趣旨は、私は読んでおりまして、一極集中の是正と国土の均衡ある発展の観点に立って多極分散型の国土の形成や地方自治体の町づくり政策や、それに対する対応の転換が至上命題である、こう書かれておりますし、その中には地方の選挙制度についても、いわゆる今度のようなゼネコン事件が起こったときには、地方の首長なんかは多選をしちゃいけないよというようなこともちゃんとこう書いてあります。  それが、多選の弊害からしてそういうことをやったらどうだというふうになってきて、基本的な地方の、都道府県の方々の、特に市町村まで含めて関係の方々にはこれは非常にショックな話でありまして、全国単位でやらない、やはり都道府県単位でやっていただかなければ、地方分権だとか一極集中がますます盛んになっていきよる。人口の多いところにはたくさん定数が与えられて、徳島県のような過疎地には二つしか当たらないよというのでは、これは地方無視だというような観点からいけば一極集中になってしまっておると私は思いますから、地方分権をやろうとすれば選挙制度も同じように感覚的に合っていかなければならないな。時間がありませんからそれだけ聞いておきましょうか。
  235. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 ゼネコン汚職等、そういった意味で自治体を扱う者としてはまことに遺憾だと思っているわけでございまして、これは司法当局に任せるにいたしましても、地方の中で、これは直接民主主義、国政に比べれば、首長を選ぶにしてもあるいはリコール制等があるにいたしましても、そういう意味では地方の民主主義というのは、中央に比べれば随分直接民主主義だと思います。そういった意味で、これ自身は私は直接民主主義というものをどんどん強めていく必要があろうかと思うのでありまして、そういう意味では私ももっと進めていかなければならぬと思っているのであります。  ただ、委員指摘のように、例えば県に比例代表の議席を配分するにいたしましても、やはりそれは基本的には一定数を入れてあと人口別にしていくわけで、ここでは定数是正が入るわけでございますから、そういう意味では小さな県はそれなりの定数になっていくこと自体は私は変わらないと思うんであります。  ただ、私たちがあくまで国政の選挙制度を考えたときに、小選挙制度によって政権はどういうのがいいですかと国民の皆さん方に問う。しかしそれでは、一名を選ぶわけでありますから、国民の多様な民意というのを反映できないので、多様な民意を反映をするために比例代表ということを入れる限りは、なるべく母数は広い方が多様な民意を反映しやすいということが基本になっておるわけでございまして、じゃ徳島の代表をどうするかという問題につきましては、先ほど山花政治改革担当相からお答えをしたように、一つは党内的にどういう人選をしてやっていくかという問題とも関連していこうと思っておりますので、そのように考えております。
  236. 七条明

    ○七条委員 私は、やはり一極集中という、いわゆる地方分権の精神というのも、ここの政治改革の中で、選挙制度の中でやはり採用をしていただく、別々ですよと言われるのには非常にふんまんやる方のない反対をしておきたいと思うのですね。これはそう要望をしておきたいと思います。  時間がありませんからそろそろまとめておきたいのですけれども、海部内閣から宮澤内閣そして政治改革内閣と言われた細川内閣になって、いよいよ政治改革の最終決着が今国会で私は出されなきゃならないと思います。与野党ともに小選挙比例代表並立制という形で歩み寄るところまではできたと思っておりますけれども政党中心あるいは政策本位選挙政治実現を図るという観点に立ってみますと、大きな流れができました。細川総理も今国会での成立を約束しておりますけれども、ここまで来たのですから、私もう一遍だけ聞きたいのは、じゃ、自民党案の方といわゆる連立与党案の方で、ちょっとでもいいからもう譲ってもいいよ、政府の方は譲って折衷案でもいいよというような感覚ぐらいまではあるのかないのか。いや、もう絶対譲れないぞというのかどうかだけちょっと聞いておきましょうか。
  237. 山花貞夫

    山花国務大臣 政府としては、かなりの国会における議論がございましたのを踏まえて、成立を目指してベストな案を提出したつもりでございます。したがって、どうぞ政府案について御理解をいただきたい、こういう気持ちには変わりございません。  ただ、冒頭申し上げましたとおり、政府は政府案を出しているわけですから、そのことについて国会で御論議をいただいているということにつきましては、一般論としては国会における御議論というものを尊重しなければならないということは当然のことであると考えています。  しかし、我々はこのものについてできればそのまま成立させていただきたい、こういう気持ちは現在の担当者、私の気持ちとしては変わりはございません。
  238. 七条明

    ○七条委員 時間が来ましたから終わらせていただきますけれども、何とか今国会の中で成立をするという意味では私も賛成でありますし、お互いに譲れないというのでは長引くばかりでありますから、何らかの形で合意ができ得ることも含めて、政治改革実現を望んでおきたいと思うところでございます。  終わります。
  239. 石井一

  240. 松本善明

    松本(善)委員 羽田副総理、羽田さんから伺いますが、十三日の衆議院の本会議質疑に立たれた保岡議員が、奄美の一議席を目指す死闘を戦った経験を語って、地獄を見たと言われました。その発言は大変印象に深かったのですが、地獄は二度と見たくないという保岡さんの本音を見た思いがいたしました。開票翌日の南日本新聞に保岡さんは、「本土戦の方が気分が楽だった。相手が一人だと政策も何もあったものじゃない。選択肢が多いと、政策を訴えられる」と述べておられるのを見て、ますますそう思ったのです。小選挙区論者だという御当人が、相手が一人だと政策も何もあったものじゃないと言って、四人区になった今回の選挙が本土戦で政策が訴えられるというふうに言っておられるからであります。  保岡さんの相手の徳田虎雄さんは、選挙直後の南海日日新聞のインタビューで、「小選挙制度のなかで闘うことがどれだけ大変か、闘った経験のない人が言っても始まらない」と地獄発言と同じニュアンスの発言をされておるので、私直接話を伺いましたら、徳田さんは、私は地獄を見続けてきたんだというふうに言われました。  旧奄美群島区内の徳之島の高岡善吉町長は、赤旗へのインタビューで、小選挙区で惨めな経験をした徳之島の人は全部反対ですよと言っているというのです。  私は、町長選挙が無効になった伊仙町の人だとかその他奄美の人にいろいろ話を聞きましたけれども、地域社会が真っ二つになって親戚、友人はおろか親兄弟に至るまで不和が広がって、離婚や自殺も起こる、それから選挙のときに選挙区にいなくなったり、選挙が嫌で故郷を捨てる、まあ御存じかもしれませんが、そういうことになる。選挙民にとってもまさに地獄であります。一人区の選挙に反対というのは徳之島だけにとどまらず、旧奄美群島区のすべての人たちの意見ではないかと私は思います。  総理もあなたも保岡質問に対して、貴重な教訓だとか貴重な体験だとか答弁の中で言われましたけれども、奄美の人たちは一人区の地獄を見る選挙に逆戻りするということは決して望んでないんじゃないかと私は思いますが、あなたは、羽田さんはどういうふうに思っておられるか、その点についての御意見を伺いたいと思います。
  241. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 実は、私どもこの小選挙区あるいは比例並立、これを取り入れるこのきっかけについてお話しくださったのは保岡さんその方でありまして、確かに今奄美群島における選挙、これはまさにいわゆる何というのですか中選挙区、こういう中におけるものであって、これは政党政党の戦いというものじゃなかったはずですね。あそこの場合には両方とも保守の方での争いであったというところ、そこに私はまさに中選挙区の一番悪いところが出てきちゃったんじゃないのかなというふうに思います。  ただ、一人だけ選ぶということになると、これは多少違いますけれども、職務の一つの大きなものを決定する権限を持ちます市町村長さんの選挙があります、県知事さんの選挙があります。これは全部一人を選ぶ選挙ですね。これがいけないからといって、こんなところでもう地獄を見たというような話というのは私どもは聞かないわけですよね。  ですから、今度の私どもが採用するところの選挙制度を実際に実施するとしても、私は今のような奄美のような状態というのはやっぱり生まれてこないというふうに思います。というのは、今の要するに過半数をとるという全体の体質の中における奄美の一つの例であるということでありまして、もしこれからやるとすれば当然、党そのものもやっぱり整備されなきゃいけない、あるいは候補者を推薦する制度、こういったものも新しく地域の党員の皆さん方の声を反映するようなものにしていかなければいけない。  私は、そういうことになってくれば、例えば費用の面なんかでも大分大きく変わってくるでしょうし、あるいはいろんな議論の点なんかについても、やっぱり政策と政策を闘わすということになるんではなかろうかと思います。例えば私が立候補する、松本さんが立候補される、ここで議論するときは、まさに政策の議論になるんだろうというふうに私は考えております。
  242. 松本善明

    松本(善)委員 今、保守同士の争いだと言われましたが、後から詳しくやりますけれども、今新生党を中心に、まあ連立与党と自民党との間の政策の違いというのはほとんどない。この状況のもとで、同じことになるんじゃないかということがいろんなことで言われております。  私は、保岡議員も本会議の質問でやはりその危惧を言われて、あなたは答えられたと思いますが、保岡さんは、小選挙区制のもとで再び利益誘導、サービス型、個人中心選挙が行われ、政治腐敗が悪化する可能性に触れてあの質問をされました。あなたは答弁で、確かに制度をどのように直してもすぐ政治が浄化されるわけではないというふうに答弁をして、その上で、同時にどういうことをしなきゃならぬか、あるいは制度を変えたときの影響などについても答弁をされました。  まず、わかりやすくするために、選挙制度が変わってもすぐ政治が浄化されるわけでないということをあなたの口から再確認をしたいと思います。その上でその後のことを議論をしたいと思いますが、これは確認できますか。
  243. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 御指摘の点につきましては、やっぱり直ちにシステムといいますか、党の組織というものが新しく完全に変わるということはないでしょう。それになじむのに多少時間がかかると思います。そういう意味で、私は直ちに変わるというものじゃないということを申し上げましたけれども、しかし、選挙民の皆様方の意識も変わってくるというところに私は大きな変化があると思います。  それから、今利益誘導の問題についてちょっとお話ししてよろしいでしょうか。この点につきまして一言だけ申し上げさしていただきたいと思いますのは、やはり制度が変わってきますと、政治そのものが変わっていかなきゃならぬと思うのですね。今、どちらかといいますと、県会の仕事まで中央の政治が取り上げてしまっておる。私たちが今、日常やっておりますことは、英国ですとかオーストラリアですとかその他に行きまして話しますと、何でそんなことに国会議員がかかわるんだ、やっぱり国会というところは治安ですとかあるいは安全保障ですとかあるいは為替ですとか外交ですとか、そういったものに国政の責任というものほかかわってくるんじゃないんですかという御指摘を受けたわけでありまして、私ども制度が変わると同時に、政治そのものも、国政の政治そのものも大きく変化をしてくるんだろうというふうに思っております。
  244. 松本善明

    松本(善)委員 選挙制度政治腐敗の問題を解決するのに直結はしないということを認められた。これは、私たちは政治腐敗の問題が選挙制度にすりかえられているということを主張してきましたけれども、若干あなたの発言で私は裏づけられているんではないかと思います。  奄美の選挙が、あなたは否定をされているけれども、日本全体に広がるんじゃないか、総奄美化するんじゃないかという懸念は、やっぱり皆さんが言っています。例えば先ほど紹介をいたしました徳之島の高岡町長も、二大政党で小選挙区制で戦ったら大変になると思うというふうに言っていますし、当委員会でも小川元委員は、戦前の政友、民政の仁義なき戦いになりかねない、金権腐敗を助長するかもしれない、はっきりそう言っていますよ。それから、それに対して答弁に立った保岡さんは、総保守化によって同士打ちの選挙に変質する可能性の懸念を表明をしておられました。私は当然の心配だと思います。これは何もそんなことに絶対ならないんだなんて言う方がよっぽど説得力がありません。  といいますのは、細川連立政権が誕生しても、連立与党は自民党の政策を継承するわけですよ。現に継承しているわけですよ。自民党との間に基本的に政策の違いはないですよ。それで、このような政治状況は三十八年間なかったんですよ。この状況で小選挙区並立制を導入して政策中心選挙になるかどうか、この制度がどう機能するかということが今討議しなければならぬ中心問題なんです。  先ほど来、私、午後からずっとこれを聞いていましたけれども、皆さんが、今の政治状況のもとでこの小選挙区並立制を導入した場合にどうなるかと、濃淡の差はあるけれども、みんなそこを心配してお聞きになっていますよ。この問題を本当に真剣に討議をしなければ、今まで百七時間やったとかなんとかいっても、それは政治状況が全然違うんですから、今の政治状況のもとで、新たな気持ちで、小選挙区並立制を導入したら一体どうなるのかということの真剣な討議がなければならぬのだというふうに思うのです。  私は、選挙制度を変えることによって政治腐敗がなくなるどころか、小選挙区並立制の導入によって、政策本位選挙どころか、全国に奄美のような地獄を見る選挙が広がると思っています。  羽田さんに伺いたいのは、どういうわけで腐敗がなくなるのかということをわかりやすくひとつ説明してもらいたいと思います。
  245. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 先ほどからお話をお聞きしますと、それぞれの皆さん方のお話の中に、変わらない方がおかしい、あるいは変わらないという声の方が圧倒的に大きいというお話でしたけれども、私はそれは本当にやっぱり一部の声であろうと思う。  それから、大正の時代あるいはどの時代にとられたと言いますけれども、あの時代に今のような自由な政治に対する批判をする体制というものがあったでしょうか。むしろ私は、マスコミの発達とかそういったものの中で一々チェックされるということになると、なかなかできない、そんなことはあり得ないということ。  それともう一つは、小選挙区になったら腐敗が大きくなるという話ですけれども、先ほど申し上げましたように、やっぱり国政というものが担当するというものがだんだんだんだん変質してくるということになる。ということになると、一つずつの物を決めたりなんかする利権なんかとはむしろ離れなきゃならない、私は国政の場というのはそういうふうに変わってくると思うんですね。  ですから、私どもは調査に行きましたときにいろんな国でそのことを聞きましたら、何で国政の場でそんなことが起こるんですか、起こりようがないじゃないですかというのが、先ほど私が申し上げた例えば治安とか安全保障とか外交とか為替とか、そういった問題にだんだんだんだん特化されてくるであろうという話であって、私は今日本の政治というのもやっぱりそういう方向に変わってこなきゃならぬ。  そして今、一方では地方分権ということも言われているわけでありまして、多くのいろんな事業というものは地方の方にやはり移っていくんではなかろうかというふうに考えております。
  246. 松本善明

    松本(善)委員 余り説得力もないですよ。戦前と違ってマスコミが発達しているということだとか地方分権だとか、直接、選挙制度を変えても腐敗政治と直結しないということを先ほど認められたけれども、それじゃどうやって腐敗がなくなるんだということについて、あなたの話を聞いていると全く迂遠で、それは私は本当に説得力を持たないものだというふうに思います。  私は、先日この委員会でも我が党の正森委員紹介をいたしましたけれども、加藤元官房長官、あの方とも私はいろんな点で意見は違うけれども、この点で言っておられるのはやっぱり耳を傾けるべきものであると思いますよ。「次の総選挙は総奄美選挙になるだろうといわれている。政策対決の選挙と言うが自民党と連立与党の政策で新しい対決するところがあるか、対決点を無理やり捜し求めなければならない」。  確かに私とあなただったら政策論争になりますよ。だけれども、全国的に見た場合に、やっぱり今の連立与党とそれから自民党との争いになるところが多いでしょう。そのときにどこが政策対決になりますか。自民党の今までやってきたことを継承するということで、山花さん初め社会党の閣僚みんなそれでやっているわけでしょう。連立与党と自民党、どこが政策的に対決になりますか。保守同士の争いになるんじゃないんですか。それこそ本当に総奄美、全国が一人区で保守同士の同士打ち、それと同じ選挙になるじゃないですか。  そういう点でいえば、私もそう思いますけれども、加藤元官房長官のこの点での言い方はまさに正論だし、まさに説得力があると思いますよ。あなたは、そのどこが対決点になりますか。連立与党と自民党の政策的な対決点ほどこですか。基本的な政策はどこが違いますか。どういう選挙になると思います。どういう政策論争になると思います。お答えください。
  247. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 私どもは、これから制度ができ上がったときには、またそこから政界再編成が起こっていくだろうということを申し上げてきました。  確かにそんな大きな違いというものはないと思いますよ。しかし、それぞれ時局のとらまえ方というのは違ってくる。そういう中で選挙でそれぞれが公約をする。それを皆様方に訴えながら支持を得るということでありますから、私は、おのずとそこにわずかでもやはり違いが出てくる。  じゃ、今の共和党と民主党、これはどこが違うんですかということを言われても、確かに片一方はビッグガバメント、片一方はスモールガバメントというような違いですとか、あるいはマイナーに対する物の考え方ですとか、そういったものの違いというのはある。しかし、全体的な外交政策ですとかあるいは防衛政策ですとか、そういったものはアメリカの場合なんかでも変わっておらないわけです。そのところの微妙な違いという中で国民はきちんとそれを選択しておるということは、私はあるんじゃなかろうかと思う。  そして、今加藤さんのお話があったけれども、私は逆にあなたと違って、ほかの面でほとんど加藤さんと一緒なんですけれども、そこの部分だけは、実は党にあったときから、自民党にあったときから意見が違っておったということです。しかし、当時の自由民主党としては、今私が言ったようなことで一つのまとまりができておったということは申し上げられると思います。
  248. 松本善明

    松本(善)委員 あなたの答弁で証明されているでしょう。加藤さんと選挙制度の点だけで違うというんですよ。そうしたら、選挙制度が変わったら違いはなくなるじゃないですか。(羽田国務大臣「違う」と呼ぶ)違うって、何言っているんです、そのとおりじゃないですか。あなたが言うことは全く説得力ないですよ。  それで、私は、小選挙区制の弊害はやはり日本の歴史が証明しているわけですよ。先ほどもちょっとあなた触れられたけれども、小選挙区制は戦前二回導入されましたね。そして、やはりいずれも腐敗選挙などを理由に廃止をされた。それで、一九二九年に、中国侵略開始の直前に、田中内閣は強固な政党内閣の組織が急務だ、これを最大の理由にして小選挙区制を導入しようとしたんです。  そのときに議会政治の父と言われる尾崎行雄さん、反軍演説で有名な齋藤隆夫さん、これが小選挙区反対の論陣を張られました。議事録を見ますと、それはもうすごい妨害の中で尾崎さんやっておられますよ。それで尾崎さんは、選挙区が小さくなればなるほど競争が激烈になって費用も余計にかかる。齋藤さんは、イギリスの実例を示しながら、いかに小選挙区制が民意を反映しないかという議論ですよ。  現在の中選挙区になったときの提案者は、御存じのとおり小沢さんのお父さんですね、小沢佐重喜議員でありますけれども、その提案理由も、やはりそういう過去の戦前の歴史を踏まえた、あるいは尾崎さんや齋藤さんの演説を踏まえたもので、選挙抗争が非常に激烈になる、その結果、情実と投票買収が横行するというのが理由の大きな一つになっています。  私は、日本の歴史が証明していると思うんです。あなたは、マスコミが発達しているというようなことで戦前とは違うんだと言っているけれども、あなたは、日本のこの議事堂で先輩たちがやったそういう教訓の前で、今回は違うんだということを胸を張って言えますか。言えるんならもう一回言ってください。
  249. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 あのね、あのねという言い方は失礼ですけれども、あの当時とやはり今というのは違うと思いますよ。あのころ、小選挙区をやったときには、例えばある政党の人または片一方の政党の人はこの村には絶対に入れない、そこに棒を持った番人ですとか刀を持った人なんかも……(松本(善)委員「奄美も同じじゃないですか」と呼ぶ)いや、ですからそれは特別なんであって、だんだん今、私は変えていくだろうと思うし、それと同時に、当時は権力というのが相当、力を持って、いろいろ政治に介入するなんということもあったわけです。今そんなことはあり得ないですよ。ですから、そのあたりにやはり大きな変化があるということだろうということを私は率直に申し上げることはできると思いますね。  それからもう一つ申し上げなきゃならぬのは、今度の場合にも、もしここで選挙違反を犯した場合、要するに、新しい選挙制度を導入するだけではなくて、今までは考えなかったようなこと、今まではこれはできない、ここまではいかないという、そういった選挙違反なんかに対する連座制なんというものについても非常に厳しいものにしておりますからね。  ただ制度を変えるんではなくて、そういう腐敗防止的なもの、あるいはそういう選挙違反、こういったものに対して物すごく厳しくなってきておるということですから、これでもし違反、あるいはこれが違反を問われたときには議員自身がやめなきゃならぬ、また立候補することは何年間ができないということまで実は今度は導入されておるというところに、私は今までとは違うものがあろうと思っております。
  250. 松本善明

    松本(善)委員 それは、今の選挙制度をそのままにしておいたって同じ効果がありますよ。だから選挙制度の問題じゃないんですよ。それは、腐敗政治というのは、罰則強化とか連座制なんていうのは、どの選挙制度だって同じ効果を持ちますよ。だからそんなことは全然理由にならないんですよ。  私は、本会議であなたが今津議員の質問に答えて、ちょっと聞いておってください、今津議員の質問に答えて、湾岸戦争の起こったときに機敏に対応できなかった、こういうことのために政治改革をどうしてもやらなきゃならぬのだ、単に金ではないんだということを言いました。あなたの盟友の小沢一郎さんは、著書の中では腐敗なんかのことは一つも言わないですよ。湾岸戦争の起こったときに機敏に対応できなかった、そういうことに対応できるような選挙制度が要るんだと、それが小選挙区制だと、こういうふうに言っておられますよ。  私は、はっきり本音を語られた方がいいんじゃないか。そういう湾岸戦争などについての対応、ちょっとお待ちください、そう慌てないで。焦ることはないですよ、逃げることはないから。それで、そういう本音を堂々とやはり言うべきではないか。私は、腐敗選挙がなくなるというあなたの説明は全然説得力がないと思います。
  251. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 もうそのように初めから、議論しよう、そしてお互いに理解し合おうという、あるいは今いろいろと問われている問題を新しく変えていこうという意欲と意思を持っていただかないで、もうおまえさんの言うのはこうだよと言われたんでは、私はこれはもう議論にならぬと思いますよ。  例えば、今度私なんかの場合に、もし選挙制度を変えたら、私はもうあるいは選挙に立候補できないかもしれませんよ。そこまで思い詰めながらこれをやっているんだということ、これだけはぜひともひとつ理解していただきたいんです。  そして今、私が湾岸戦争のあれを出したというのは、私が言っているのは、湾岸戦争のああいったときに、直ちに本当だったら議会が開かれるあるいは各党の党首が集められる、そういうことが本当は行われるんだろうけれども、残念だけれどもそういうことが行われなかった。外務委員会も、たしかあのときには湾岸に視察の人たちを出そうか出すまいかということのために理事会が開かれたということで、休会中についに審査されなかったんですね。こんな国会でいいのかということを私は言っているんですよ。湾岸に自衛隊を派遣しよう、そういうことのために私は言っているんじゃない。そういうものにもっと機敏に対応できるような国会にもしていかなきゃならぬということを申し上げているんです。  それから、先ほど戦前のお話がありましたけれども、あの当時の四十五万人という有権者ですとかあるいは三百万人という有権者、現在は九千四百どのくらいという有権者と全然その時代が違う。一人ずつ買収ができるなんて、そんなことはできるもんじゃありません。
  252. 松本善明

    松本(善)委員 今だって買収事件は幾らだってありますよ。それは選挙制度の問題としては同じですよ。私は、あなたの方の答弁の方がよっぽど私の質問にかみ合ってないと思いますが、これ以上やっても、押し問答になるからやめますけれども、武村官房長官、今度はあなたの方に聞いてみます。  あなたは「琵琶湖から神戸から」という題名の、日本新党の高見裕一議員、その当時は当選していられなかったんですが、この方との対談を出版物にしていられました。高見さんは、羽田さんが一生懸命批判をしていられますけれども、奄美は大変なお金が飛び交っている、殺人まがいのことも起こる、小選挙区になれば日本全国がそういう状況になるのじゃないかという問いをして、あなたはそれに対して、奄美の問題は小選挙区制の例になりませんね、徳田さんと保岡さんの争いは保守同士の争いだ、小選挙区制というのは同士打ちをしない、政策を基本にして争うことだから違うんだというふうに言っています。  今、私、羽田さんとやりましたけれども、連立政権とそれから自民党の基本政策は変わらない、これは大した違いはないと認められましたけれども、そういう状況のもとで小選挙区並立制を導入すれば、やはり奄美のようになるんじゃありませんか。あなたは奄美でこの保徳戦争が再燃しない、あるいは全国に奄美選挙は広がらないという保証はどこにあるというふうに思われますか、お聞きしたいと思います。
  253. 武村正義

    ○武村国務大臣 奄美は奄美でございます。  新しい選挙制度ができますと、まさに新しい制度でスタートをするわけでございますから、まず非常にいい教材が今日まで存在したわけですから。いいというのは、悪いいい教材ですよ。金がたくさんかかるという、そういう小選挙区の矛盾をいっぱい秘めた教材に学ばなければいけないと思うのですね。だから、新しい小選挙区制をスタートさせるときには、ぜひ奄美のような選挙にならないようにしていきたい。
  254. 松本善明

    松本(善)委員 羽田さんよりは大分素直な答弁でありましたけれども、私は、もう時間もありませんから、山花さんに伺いたいと思います。  山花大臣については本会議でも質問をいたしました。ことしの四月の社会新報紙上で述べられた見解について聞いて、その後、東中議員、穀田議員も質問をいたしました。穀田委員の、民主政治を根底から覆すという小選挙区制の構造的欠陥についての認識は今も変わっていないかという質問に、小選挙区制そのものについては御指摘のような問題点があると今も認識しています、こういうふうにお答えになった。  これは確認ですけれども、単純小選区制は、やはり民主政治を根底から覆すということを今も考えておられるということを言われたんではないかと思いますが、そういうことでしょうか。
  255. 山花貞夫

    山花国務大臣 過日の御質問も、単純小選挙区制か並立制含みのものかについて御質問の趣旨が明確でなかった部分もあるものですから、念を押して、今御指摘のとおりの趣旨でお答えをしたものと記憶をしております。
  256. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、並立制としてもその本質はやはり同じものを持っているという認識については、当時の認識としてお話ししたものでございます、その後並立制についての考え方は変更いたしました、こういうふうにお答えになりましたね。  細川総理も、小選挙区制は民意をゆがめる制度ということを認めて、これを緩和するのが比例代表だというふうに答弁をされました。小選挙区並立制は小選挙区制に比例を上乗せするだけだから、やはりその本質は変わらないのだ、このことを四月当時にはあなた言われたんじゃないか、私はそう思うのですよ。だから、そうだとすれば、今も民主政治の根本を覆すという本質は変わらないのじゃないですか。この点はあなたどう思われますか。
  257. 山花貞夫

    山花国務大臣 選挙制度については、単純小選挙区制と比例代表制度をどのように組み合わせるかというのが選挙制度についての考え方の基本だと思っています。  単純小選挙区制をどのように修正するかということについては、併用制を初めとしてさまざまな議論もありました。そうした中で、さっき整理いたしましたとおり、単純小選挙区制については私たちは問題がある。そのことについて、とりわけ日本の政治の現実の場に適用した場合には、御指摘のとおり民主主義を覆すものではないか、こういう考え方は当時も持っておりましたし、今日でも単純小選挙区制ということについては同じ考え方を持っています。  そして、このことについて、したがってこれをどうやって修正するのか、そのことについて修正の原理として採用したのが並立制であります。並立制につきましては、したがって、それぞれ半分ずつ、二百五十、二百五十ということの中で、ぎりぎりのところ民意反映といった制度の趣旨を生かすことができるのではないか、こういうように私たちは判断をしたところでございます。  御指摘のとおり、当時と見解を変えたのかといえば、それまでの政治の状況の変化、何よりも政治改革の第一歩であった政権交代が実現しようとしたこと、同時に、自民党政権を温存させるのか、三十八年続いた政権というものをさらに認めるのか、それとも、大変党にとっては困難な選択であるけれども、政権交代のためにはそうした党利を捨てて、国民の皆さんの審判、大義を尊重するのか、こうした状況の中で政治的な判断をしたものでございます。  なお、一言つけ加えますと、私たちはそのことについて、選挙の前の段階で、何よりも新しい政権で政治改革実現する、これが国民の皆さんに対する公約でもございましたし、同時に、これまで五月段階における五党合意だけを紹介しておりましたけれども、また六党の合意というものもございまして、これは細川さんを入れての六党の合意であったわけでありますけれども、そうしたいろんな選挙制度について考える中で、当時は私たちは連用制を軸ということで言っておりましたけれども、連用制を軸として与野党の合意形成ができる案をつくることで一致した、こういう合意をして、これを内外に発表して選挙に臨んだ、こういう経過もあったことについてつけ加えさせていただきます。
  258. 松本善明

    松本(善)委員 いろいろお話しになりましたが、小選挙区に対する見解としては、見解変更ではなくて、私は民主主義の根本問題ですから、やはり変質だというふうに思います、変節だと思います。  一つお聞きしますが、別問題。細川内閣の連立与党の議員の中で、小選挙制度が、中選挙区じゃなくて小選挙制度ですよ、小選挙制度制度疲労をしているということで厳しく論じた議員がおられることをあなた御存じですか。
  259. 山花貞夫

    山花国務大臣 前段のところ一言。変質とおっしゃいましたけれども、私たちは政策選択をしたわけでありまして、変質したものではございません。これは念のため言っておきたいと思います。  ただ、その次の問題の、小選挙制度制度疲労というのは、他国の制度についてか日本の制度についてか。日本の制度だとすれば、かつて、さっき御質問ありました……(松本(善)委員「他国」と呼ぶ)他国ですか。他国のものにつきましてならば、制度疲労という言葉をどなたがお使いになったか、私はちょっと思い出しませんけれども、イギリスの制度などにつきましてはそうした形で長年議論がある、現在もあるということについては承知しております。
  260. 松本善明

    松本(善)委員 最後ですから言うのですが、それは中野寛成議員であります。ことしの四月十五日の政治改革調査特別委員会でそういうふうに言われました。  イギリス、アメリカのは今言われましたが、イギリス、アメリカの小選挙区制の制度疲労を論じて、アメリカの現職議員の過去十年間における再選率は九〇・二%、イギリスでは常に当選者が決まっているような選挙区すなわち安定議席、これは一九五五年には七六%、その後三十年たった一九八七年には実に八七%である。これは中野さんの話です。小選挙区は私は時代おくれの制度になっていると思います。  山花さんは穀田質問に対して、OECD加盟国の中で小選挙区制をとっている国は少数派であるということを認められましたけれども、ECで、欧州共同体の議会である欧州議会では、ことしの三月、イギリスを含めて全加盟国十二カ国に比例代表制で欧州議会議員を選ぶことを勧告する決議を圧倒的多数で可決をしているのです。  イギリスで小選挙区制をやめようという動きも起こっていますし、フランスでも厳しい批判が起こっています。ニュージーランドでも、八五%という圧倒的多数で小選挙区制を廃止しました。小選挙区を導入した韓国では、これまた厳しい批判が起こっています。  私は、まさに小選挙区制は制度疲労を起こしていると思います。もし御答弁があればお聞きして、私はこれで質問を終わります。
  261. 石井一

    石井委員長 時間が大幅に超過しておりますので、これで終わりますが、保岡興治君から発言を求められておりますので許します。簡潔にお願いします。
  262. 保岡興治

    保岡議員 今、松本委員から、いろいろ私の名前が挙がって質問がありました。反対尋問権があると思うので、一言だけ。  冒頭に南日本新聞の選挙直後のコメントについてお話がありましたけれども、私はその内容について、これは私の真意を正確に伝えてない、記者の主観が非常に入っている不正確なコメントだと思います。  私は、確かに政策の違いのない、当選すれば同じ党に入るのだという前提でのサービス、個人選挙、こういったものの一人の議席を争うすさまじさということを、一人を争う選挙で政策も何か埋没してしまうという趣旨を言ったことも事実ですし、また、それに比べれば、中選挙区はそれなりの立場立場でおさまることができるけれども、そういった意味では確かに気が楽な選挙であった、精神的にも。  しかし、羽田大臣も言われましたとおり、私は奄美の選挙を経験しながらどうして小選挙区論者であるか。私は、本当に小選挙区論がだめだったら、小選挙区論などはああいうつらい経験をしているから言いません。私は、やはり奄美の中に中選挙区の選挙が、政治の姿が強く影響してめちゃめちゃになっているということを物すごく感じるものですから、これからの日本の将来というものは、やはり利益誘導型、サービス型、特に縦割りの行政と結びつくような形の、自民党が一手にそれを引き受けるだけの、他の政党が政権にはるかに遠い、こういう与野党が固定化した状態ではよくないという思いも強い。奄美ではそのために、共産党は立候補するけれども、ほかの政党は立候補すらもできないわけなんです。  こういうことは日本の将来によくない、こう思いましたし、単独政権を実現するということか連合政権を実現するか。自民党も一種の連合政権だったと思うのですけれども、しかし、私は、これから時代の大きな転換期に的確迅速な政策を果断に実行していくためには、小田原評定の連合政権か単独政権でやるかということは国民にとって重大な影響が出てくる。  これからの日本の政治にとって、比例制を基本とするかあるいは小選挙区を基本とするかということは、そういう日本の政治につくられる政治体制の大きな違いにつながってくるわけですから、そういうことを考えた上で小選挙区論を主張しておることをわかっていただきたいと思います。
  263. 石井一

    石井委員長 次回は、明二十七日水曜日午前十時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会