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1993-10-22 第128回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十二日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 石井  一君    理事 大島 理森君 理事 北川 正恭君    理事 野田  毅君 理事 保岡 興治君    理事 左近 正男君 理事 前田 武志君    理事 権藤 恒夫君 理事 三原 朝彦君       石破  茂君    金田 英行君       斉藤斗志二君    笹川  堯君       自見庄三郎君    七条  明君       津島 雄二君    中川 秀直君       西岡 武夫君    額賀福志郎君       葉梨 信行君    穂積 良行君       細田 博之君    増子 輝彦君       村上誠一郎君    阿部 昭吾君       秋葉 忠利君    佐藤 泰介君       細川 律夫君    堀込 征雄君       江﨑 鐵磨君    岡田 克也君       実川 幸夫君    白沢 三郎君       松沢 成文君    宮本 一三君       吹田  愰君    赤松 正雄君       石田 祝稔君    太田 昭宏君       日笠 勝之君    枝野 幸男君       田中  甲君    前原 誠司君       茂木 敏充君    簗瀬  進君       笹木 竜三君    柳田  稔君       吉田  治君    正森 成二君  出席国務大臣         建 設 大 臣 五十嵐広三君         自 治 大 臣 佐藤 観樹君         国 務 大 臣         (内閣官房長官武村 正義君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     上原 康助君         国 務 大 臣 山花 貞夫君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    加藤  昭君         自治政務次官  冬柴 鐵三君         自治大臣官房審         議官      谷合 靖夫君         自治省行政局選          挙部長     佐野 徹治君  委員外出席者         議     員 伊吹 文明君         議     員 鹿野 道彦君         議     員 塩川正十郎君         議     員 津島 雄二君         議     員 額賀福志郎君         議     員 保岡 興治君         衆議院法制局第         一部長     内田 正文君         衆議院法制局第         一部副部長   臼井 貞夫君         衆議院法制局第         一部第一課長  小菅 修一君         自治省行政局選         挙部選挙課長  松尾 徹人君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       大竹 邦実君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十二日  辞任         補欠選任   白川 勝彦君     村上誠一郎君   穂積 良行君     七条  明君   増子 輝彦君     金田 英行君   大畠 章宏君     佐藤 泰介君   小沢 一郎君     白沢 三郎君   日笠 勝之君     石田 祝稔君   前原 誠司君     枝野 幸男君   簗瀬  進君     田中  甲君   川端 達夫君     吉田  治君   柳田  稔君     笹木 竜三君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     増子 輝彦君   七条  明君     穂積 良行君   村上誠一郎君     白川 勝彦君   佐藤 泰介君     細川 律夫君   白沢 三郎君     松沢 成文君   石田 祝稔君     日笠 勝之君   枝野 幸男君     前原 誠司君   田中  甲君     簗瀬  進君   笹木 竜三君     柳田  稔君   吉田  治君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   細川 律夫君     大畠 章宏君   松沢 成文君     宮本 一三君 同日  辞任         補欠選任   宮本 一三君     実川 幸夫君 同日  辞任         補欠選任   実川 幸夫君     江﨑 鐵磨君 同日  辞任         補欠選任   江﨑 鐵磨君     小沢 一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一号)  衆議院議員選挙画定審議会設置法案内閣提  出第二号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案内閣  提出第三号)  政党助成法案内閣提出第四号)  公職選挙法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第三号)  衆議院議員選挙画定等委員会設置法案(河  野洋平君外十七名提出衆法第四号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案河野  洋平君外十七名提出衆法第五号)  政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治  資金規正法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第六号)  政党助成法案河野洋平君外十七名提出衆法  第七号)      ――――◇―――――
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定審議会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに河野洋平君外十七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定等委員会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の各案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました各案審査のため、来る十一月二日火曜日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石井一

    石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――
  4. 石井一

    石井委員長 本日は、特に、河野洋平君外十七名提出の各条について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田英行君。
  5. 金田英行

    金田(英)委員 今国会政治改革法案与野党対決案ということで議論されておりますけれども、この与野党政治改革法案着地点を見出すことができるかどうか、このことが国民注目しておるわけでございます。まさに議会制民主主義の真価が問われる、そのような議論だろうと思います。  そこで、双方とも棒をのんだような形でかたくなになっていては、与野党成案が得られないと思うわけであります。まず自民党にお伺いしますけれども自民党さんは、小選挙区制が基本であって比例区がそれを補完するものだというような主張をされておるわけでありますけれども、この小選挙区三百という数にかたくなになりますと、与野党成案がなかなか得られないんではないかというふうに思うわけであります。この三百がてこでも動かないのかどうか、プラス・マイナス、いろいろと妥協余地があるのかどうか、そこいら辺をまずお伺いしたいと思います。
  6. 鹿野道彦

    鹿野議員 過般来の御議論の中で、いわゆる私どもが今回提案をさせていただいておるものは、私どもベストだ、このように考えさせていただいておりまして、あくまでも小選挙区、軸となるところの制度改革でありますから、どうしても、政府側に対しましても、この三百、私どものその他の考え方を御理解をいただきたい、このように考えておるところであります。
  7. 金田英行

    金田(英)委員 てこでも動かないというようなことであれば与野党妥結点はなかなか見出せない。もうかたくなに、棒をのんでいるような対応ですと、結局何を議論しているのか、妥協余地がないということであれば議論余地がないわけであります。自由民主党としても、与野党着地点を見出すべく努力を重ねていただきたい、こう申し上げておきたいと思います。  まず、担当山花担当大臣にお尋ねしますけれども、まさか、のらりくらり、のらりくらりということで審議時間を費やしまして、あとは採決、野党の自民党の案を聞く必要はないというようなお考えなんでしょうかどうか。何としてでも、山花担当大臣は元、左右、右から左まで多くの党員を抱えてその調整に憂き身をやつしてこられた調整能力抜群担当大臣でございますので、ここで調整能力を遺憾なく発揮されて、与野党着地点を何とか見出すべく悩んでおられるのかどうか、そこいら辺をまずお伺いしたいと思います。
  8. 山花貞夫

    山花国務大臣 これまでの審議経過、振り返りますと、のらりくらりどころか大変充実した審議が行われてきているというように感じているところでございます。  そうした意味におきましては、今も自民党案について御説明ありましたが、政府といたしましても、これまでの審議経過というのは、さきの国会における大変充実した当時の与野党議論ども踏まえ、そしてその上で、総定数問題につきましても、また選挙区と比例区の配分の問題につきましても、そこでの議論をかなり参酌をいたしまして最終的な提案とさせていただいた次第でございます。  この数日来議論ありましたとおり、一つには、あるべき選挙制度をめぐる理念ということも絡んで議論が闘わされているわけでありますが、問題点につきましては大体明らかになってきたのではないかと思っているところでございまして、この配分の問題だけではなく、その他幾つ対立点がございますけれども政府としては、担当大臣として、十分これまでの経過を踏まえたものでありますのでぜひ御理解をいただきたい、こういう姿勢で今審議に臨んでいるところでございます。
  9. 金田英行

    金田(英)委員 それでは、与野党対立点幾つかあるわけでございますけれども、簡単なやっから先に片づけてまいりたいと思います。  七人の学識経験者による区画画定作業が行われる審議会ないしは委員会というのが提唱されておるわけでございますけれども、それはどこに置くのかということで与野党対立がございます。自由民主党衆議院に置くべきだ、政府案総理府に置くべきだということが基本的な違いでございますけれども自民党さんについては、ここ衆議院に置くべきだということにあくまでもこだわられるお考えでしょうか。そこいら辺をまずお聞きしたいと思います。
  10. 伊吹文明

    伊吹議員 実は、この選挙制度改革は、制度としての改革と同時に、小選挙区の区割りをどうつくるかということは、これはまさに選挙基本であります。議員一人一人の政治生命にかかわるという表現は私は使いたくありません。むしろ、国民の今までの歴史的あるいは地域的な状況考えながら区割りをつくっていくというふうに私は理解したいと思いますが、その場合に、この区割りが、ある政党の自由というか、ある政党の裁量のもとに置かれるということがあってはならないと私たちは思っています。  したがって、今委員長をお務めである石井先生が我が党におられたときにも、この問題を一緒に、大変詳しく議論をいたしました。その結果、我々は、やはり政党政治というものは公権力から独立して自由闊達である、であるがゆえに、その区割り一定政党あるいは政府支配下に置かれるものではないという考えで、院に置くべきだということを決定をして、そういう案を実は前回の自民党案提出したわけであります。我々は、そのときには当時の社会、公明案も同じような構成になっておったんではなかったかと理解いたしております。間違っておれば訂正していただきたいと思いますが。したがって、我々は、今の院に置くという考えを変えるつもりはありませんし、ここを変えるということは極めて難しいことだと思います。  あえて敷衍すれば、多分公平な審議会というお話になると思いますが、私も役人をしておりました経験からいって、審議会運営というものは実際どのような運営がなされているのかということを考えると、今の規制緩和でも原案を何度も何度も、規制緩和をやっておる審議会委員長、会長の方から差し戻しがあるというようなことを考えると、実質的にはだれがこれに関与しているかということはおのずから私は明らかになると思いますので、一定政権政党支配下に置くということは私どもは不賛成でございます。
  11. 金田英行

    金田(英)委員 自民党さんはあくまでもこだわるというような御答弁があったわけでございますけれども、私も実はこれにはこだわらさしていただきたいという考え方を持っているわけであります。  簡単な質問からまずお尋ねいたしますけれども、まず、一票の格差違憲状態にあった場合に、それを是正する責任というものが生じますけれども、その責任というのは一体どこにあるのか、内閣にあるのかそれとも衆議院にあるのかという点であります。それについてまず自民党さんに、衆議院にあるのか内閣にあるのか、その点をお尋ねします。
  12. 伊吹文明

    伊吹議員 それは私は双方にあると思います。しかし、議院内閣制ということを考えれば、その基本はやはり、議員立法になるのかあるいは閣法になるのかという違いはあろうかと思いますが、国会議員すべてにあると私は理解いたしております。
  13. 金田英行

    金田(英)委員 責任がどこにあるのかないのかということは、それをやることができるのはだれかということと不可分であります。衆議院定数を是正し、あるいは違憲状態を解消することができるのは衆議院のみであります。そのことでその権限をどこに与えるか、責任があるところに委員会を設置するということが正しいかと思うんですけれども山花大臣にお尋ねします。そういった責任はどこにあるんでしょうか。
  14. 山花貞夫

    山花国務大臣 立法府にあると、こう考えております。問題は、裁判でも長年この問題議論されてきましたけれども、そうした流れを踏まえて、そうした考え方については定着をしている、こう申し上げてよろしいのではないかと思っています。
  15. 金田英行

    金田(英)委員 その責任立法府にあるとするならば、やはりその責任のあるところにそれを審議する機関を設置することが正しいかと思います。責任のないところに業務はありません。責任のないところでやることは、それは単なるおせっかいにすぎないのであります。  そういったことから、この審議機関区画画定委員会、まさに、ある代議士の顔を思い浮かべながら、にこにこした顔を思い浮かべながら、あるいは苦虫をつぶした代議士の顔を思い浮かべながら、県地図に色を塗る作業というのは、やはり立法府においてなされるべきだ、立法府機関として、独立した機関としてなされるべきだ、このことは明らかだと思うんですが、そのことはそれでよろしいんでしょうか。
  16. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 この区画画定審議会は、委員承知のように、単なる最初の区割りをつくるだけではなく、十年ごとに行われます国勢調査本調査ごとに、甚だしく、著しく不均衡になった場合にはこれは直す、そういったことも総理大臣勧告をするようになっておるわけでございます。そういう常設的な内容も持っております。  それから、実際に、これは作業ということになりますと、後で先生から北海道の成り立ちについてお話があろうかと思いますけれども、かなり昔からの歴史的経過というものを熟知していませんと一本線を引くのには大変だということになりますと、今、衆議院というのはそういう機能が完全にあるだろうかということを考えますと、やはり地方自治体ということが、一番わかっているところが実務あるいはそういったことを担当しませんと、これは実際とてもできる内容ではないわけでございますので、そういった意味で私たちは、客観的な第三者機関、しかも衆議院と参議院の御了解をいただいて人事を決めて、その方々にやはり決めていただくというのは、国民的に見ても客観性公平性というのが一番明確なのではないかということで、私たちの方では、法案政府提出ということもございますけれども、あわせてこ区画画定審議会総理府のもとに置く、こういうことにしたわけでございます。
  17. 金田英行

    金田(英)委員 だれがそういった作業をやるかということは関係ないんであります、この際。必要な資料の提出を求め、そのために必要な学識経験者なのでありまして、だれがそれを遂行しなければならないのか、だれがその区画を画定しなければならないのか、それができるのはだれなのか、そういう責任のあるところにこの機関を設置すべきだと考えるわけであります。  自治大臣、先ほどの質問ですが、もし違法状態、一票の重み違法状態にあるのを解消しなければならない責任は、自治大臣、あなたにあるんですか。
  18. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 これは議院の方に基本的に私は責任があると思っております。  ただ、過去の経過からいいまして、定数是正政府提案で出したこともありますし、最近では議員立法が多いということになってきていることも承知をしております。
  19. 金田英行

    金田(英)委員 このことは、国会外に置く、内閣に置くということで、その政府提出法案の中で議論するというようなことになりますと、衆議院独立性ということから、内部の議員の誕生の母体である選挙区画がどうなっているかということを外部からいろいろと勧告し、あるいは勧告に基づいた提案が出てくるというようなことになりますので、院としては一から、初めからじっくりと議論せざるを得ないという状況があります。審議効率のことから考えましても、この際、衆議院に置くべきだ、そのことが内閣とは独立した体裁が整えられる、そのことが院の独立として好ましいというふうに思えてならないのですけれども、その点いかがですか。  それとまた、武村官房長官にお尋ねしますけれども、一票の重み違法状態にある場合、それを、そういった状態を放置したまま総理解散を行うというようなことになりますと、その内閣解散権総理解散権というのは拘束されることになるんじゃないかというふうに思うわけであります。違法状態のまま、内閣責任があるということであれば、その責任を回避しつつ、知っていて……。
  20. 武村正義

    武村国務大臣 最高裁の判決も、御承知のとおり、三倍以内ということが判決の文書に出ているわけでございますが、既に三倍を超えておりましても、そのことで違法というふうには断じていないわけでもありまして、おっしゃるように、今違法状態にあるということではありません。  ただ、御指摘は、少なくとも区画の真剣な論議が始まり、新しい区画ができ上がる寸前に解散は慎重であるべきではないかという御発言なのかと思います。少なくとも衆議院解散総理解散権内閣に与えられた、憲法に認められております大変重要な機能でございます。これを制約するものはないという認識でおりまして、そのことをもって解散が制約されるという解釈はとりません。御了解をいただきたいと思います。
  21. 金田英行

    金田(英)委員 そのようなこと、今官房長官からお話があったように、そういう内閣解散権を拘束すると思われないけれども、若干の疑義が生ずるということが明らかになったわけでありまして、そのようなこと、内閣解散権を確保する意味からも、この審議会あるいは委員会国会に設置すべきである、院に設置すべきであるというふうに思ってやまないわけであります。権限のないところに設置される、そういうことはまさにおせっかいにすぎないのでありまして、政府提案として、まさに国会に設置しなさいということは内政干渉がましいという配慮はありがたくいただいておきますけれども衆議院は立派な大人でございますから、大人の集団でございますから、与野党調整は、この衆議院に置くという方向で調整していただきたいというふうに思います。  時間もありませんので、次の質問に移らさしていただきます。  まず、都道府県別配分でございますけれども選挙区の配分でございますけれども、一票の格差を限りなく一対に近づけるとするならば、単純人口割になるところであります。しかし、一票の格差を広げてまでも各都道府県基数一ずつを配分するという考え方がとられておりますけれども、この考え方はどういうことなのか。まず、その考え方基本をお尋ねいたしたいと思います。
  22. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 これは、自民党さんの案もそうなっておりますけれども、いわゆる定数是正のときの国会決議にもございましたけれども過疎過密配慮して定数は決めなさいということで、著しく国会議員の数が減ってしまうということは、やはり地域代表権という意味からいっても必ずしも好ましいことではないということもありまして、まず各都道府県に一を配分をし、そして残りを、残余の議席数人口比例をするということで、いわば過疎地域配慮、こういう考え方でございます。
  23. 金田英行

    金田(英)委員 過疎過密配慮した、まさに細川総理答弁、十四日の本会議答弁にもありますように、過疎過密配慮したがゆえに各都道府県に一ずつまず基礎定数配分したということになっておりますけれども、本来ならば人口比配分される数を下回って、この結果配分されることになった都道府県はどことどこであるか、お尋ねしたいと思います。     〔委員長退席三原委員長代理着席
  24. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡でございます。
  25. 金田英行

    金田(英)委員 以上の九都道府県でありますか。この九都道府県、実に人口過密地帯がほとんどでございます。しかし、北海道だけは四十七都道府県の中で最低の人口密度、一平方キロ七十二人の人口密度を持っているところであります。皆さんがお考えであった、考え方基本として据えた過疎過密配慮するという考え方とは裏腹の結果になっているではありませんか。十一人、北海道では人口比配分されるべきところ、基数定数過疎過密調整をした結果、ふえるどころかむしろマイナスになっているということは、目的とその結果が逆になっていることではありませんか。
  26. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 結果がそういうふうになっていることは委員指摘のとおりでございますけれども、このような各県に一名ずつ配分をしたときに、過疎というよりは人口が多いところが割を食う。今申し上げました九県というのは皆人口が多いところでございます。  北海道過疎かどうか。密度につきましては、大体国土の二割を占めているわけでございますから御指摘のとおりでございますが、平成二年の人口が五百六十四万、それから昭和六十年の人口が五百六十八万ということで、人口そのものはそう減っているわけではない。札幌に一極集中ということで地域の他のところで過疎になっておることは私も承知をしておりますけれども人口そのもの北海道という意味ではそう減っているわけではないわけでございまして、私たちはその意味で、確かに減ることは事実でございますけれども、いわゆる過疎地域配慮するという意味において、それは結果的にそういうことになるということだと思っております。
  27. 金田英行

    金田(英)委員 過疎過密配慮したというふうに言いつつ、実際の結果は、人口の多いところから上から九つの県から引っぱがして、人口の少ないところに単に配分しただけにすぎないのでありまして、こういうことが過疎過密配慮になるということにはならないのであります。どこかおかしいということはお感じになりませんか。
  28. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 実はあの国会決議に参画をした者の一人として、過疎過密配慮してという言葉で書いてございます。しかしそのときの議論は、むしろ過密よりは過疎配慮してというのが実は裏に書いてある中身でございまして、委員指摘のように、文面上いえば確かにそうだと思うのであります。過密のところの東京をどうするというようなこと、大阪をどうする、愛知をどうするとかはございますけれども、実際は、あのときの合意に加わった者の一人からいえば、実際には過疎にもう少し配慮してあげないと議員数が激減してしまうのじゃないかという中身でございましたので、その辺はひとつ御理解をいただきたいと存じます。     〔三原委員長代理退席、委員長着席〕
  29. 金田英行

    金田(英)委員 言っていることとやっていることが全く逆だということであります。  ここで上原北海道開発庁長官にお尋ねいたしますけれども、おたくの選挙区、沖縄は、人口割では二名配分されるべきところ、基数配分の結果、三つとなっております。まさにおめでとうございます。  本会議でわざわざ北海道のために頑張りますと壇上で絶叫されたお姿が極めて印象的でございましたが、北海道人口割では十一となるべきところを、基数配分の結果不利に扱われ、十となってしまいました。  ところで、北海道は過去、県が三つに分かれていた時代があったということを御存じでしょうか。
  30. 上原康助

    ○上原国務大臣 お答えさせていただきますが、前段のお尋ねは今自治大臣からお答えのあったとおりで、この政治改革法案制度あるいは定数配分基本にかかわることでありますので、幾分御疑念やまた問題点があることは、私はそう深くは勉強しておりませんが、北海道開発庁長官という立場では大変理解をしている一人でございます。  後段の、北海道に過去三県の時代があったことを承知しておるかというお尋ねですが、明治十五年二月の開拓使廃止から明治十九年一月の北海道庁設置までの間、北海道に函館、札幌、根室の三県が設置されておったということを承知をいたしております。
  31. 金田英行

    金田(英)委員 明治十四年には福井県が新しく誕生してございます。また、翌々の明治十六年には富山県が誕生してございます。そういったことで、各県の割り振り、都道府県ということがとかく言われておりますけれども、極めて安定した形のものというふうに思われがちですけれども、地方自治にお詳しい武村官房長官にお尋ねいたしたいと思うのですが、近ごろ都道府県の割り振り、これから地方自治が見直され、あるいは中央の権限を地方に、受け皿として権限を移譲していかなければならない時代、そういったことを踏まえて、これからの新しい日本として地方自治の、地方の区画のあり方というのは、今の現状の都道府県の四十その割り振りで固定してよろしいものかどうか。その点についてのお考えがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  32. 武村正義

    武村国務大臣 大変お答えが難しゅうございますが、都道府県制度も、もう今お話しのように百年、百十年たっておりまして、かなり深く国民の意識の中に定着をしてきた制度でございますのでありますから、国の選挙制度考えますときには、全国一本の場合はともかく、地域割りということを前提にいたしますと、どうしても都道府県基本にならざるを得ない。国民の意識に対応したこれは常識的な判断であろうかと思います。  将来、日本の地方自治がどうあるべきか、行革審でも議論がなされてまいりましたし、地方分権の議論はこれから国会の中でもますます意欲的に論議がなされると思っておりますが、道州制とか連邦国家とかいろいろな大胆な発想もございますし、小選挙区の単位と市町村の単位を将来は一本にしてもいいじゃないかという提案もございますし、等々出ておりまして、市町村、都道府県の区域を見直すような積極的な地方分権の論議も始まっているところでございます。  政府としては、まだ何らこのことに対してはコメントする立場ではありませんが、そういう意味では、今御指摘のような区割りの問題と地方自治の行政区域といいますか、この問題と、大いに将来は絡まってくる可能性があるというふうに私は認識をいたします。
  33. 金田英行

    金田(英)委員 平安時代に五畿七道という行政区割りがございました。畿内というのは天子様が住むところということで、五つの国に分かれ、七つの道が置かれておったわけであります。九州は八つの国で、西海道と呼ばれておりました。まさに四国は南海道という国で、当時は六つの国が置かれておりました。東海道あるいは北陸道、山陽道という地域が道として置かれていたわけであります。道と県の概念というのは、県よりも道の概念が上位置念であるというふうに私は考えております。  時間がありませんので先に進みますけれども、今北海道分県論が、北海道の中に僚原の火というとあれなんですが、もう少しきめ細かな行政をやるためには、北海道を三つないし四つの県に割ろうじゃないかという運動が展開されております。高校野球であっても、広い北海道は南北二つのチームが出場することができるのであります。やはりそういった荒々しくデッサンすることは、それはそれなりでよろしいんですけれども、しかし展覧会に出すためには、もう少しきめの細かな小筆を使った、配慮が行き届いた、そういうようなことでなければならない、そういう作品に仕上げることが必要なんじゃないか、荒々しく、粗削りなままでいいというわけには私はいかないと思うわけであります。  そういった点で、時間がありませんので、油絵が得意な五十嵐建設大臣にお尋ねしますけれども、こういう荒々しいデッサンのままで細かいところに気が使われていない、そういった今回の政府案についていかがお考えでしょうか。
  34. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 お答え申し上げたいと思います。  今、分県論のお話があって、確かに北海道で、かなり以前からでありますが、札幌の一極集中という点もこれあり、均衡ある北海道の発展のためには四つぐらいに分けたらどうだという運動がかなり根強くあるということはそのとおりであろうと思います。  それはやはり九州その他から見て、確かに道州制という意味でのよさもあるが、しかし一方、そのことによるさまざまな問題は確かに出ているということの中からいろいろな議論が出ているわけでありますが、委員指摘の点は、今回のこの定数配分等に関して、どうもこんなのなら幾つかの県に割った方がいいんじゃないだろうかというお気持ちなんだろうというふうに伺っておったところでありますが、法律の考え方等については既に十分政府側から御説明を申し上げたとおりであります。  たしかこの考え方については、基本的に自民党さんもやや同じ考え方で御提案になっておられるのじゃないかと思うのであります。ただしかし、今油絵の話がありましたが、全体の絵はきちんと整然とつくって、かいていくべきものであろうと思いますが、やはりそういう中で一定の、小筆といいますか要所要所の仕上げの配慮というようなものが、これはなるほどいいことをおっしゃるなということでお伺いをしておったような次第でございまして、確かにそういう感じは私などもするわけでありますが、しかし、法律の趣旨は先ほど申し上げているとおりでございますので、御理解をいただきたいと思う次第であります。
  35. 金田英行

    金田(英)委員 時間がありませんので、質問し足りないので、また後の時間をとっていただければというふうに思います。  最後に、本日の報道によりますと、官邸の方から、二百七十五と二百二十五という妥協案を提示したというふうに伝えられておりますけれども、それは真実でございましょうか、武村官房長官にお尋ねしたいと思います。二百七十五と二百二十五という妥協案が出されたということです。
  36. 武村正義

    武村国務大臣 けさ、一部の報道でそういう大きな見出しの記事がございました。先ほど定例記者会見でも、この点については官邸筋がそういう考え方を今持っているということは全く事実に反する。そういう意味で、交渉をする政府なり与党のまだ体制ができておりません。ましてや、中身についてもまだ一切具体的に、与党全体なり政府でそんな相談もできていない状況でありますから、中で、官邸が進んでそういう案を持ってある党と交渉に入ったというようなことは全く事実無根であります。
  37. 金田英行

    金田(英)委員 近ごろ事実無根なこと、火のないところから煙がやたらに立ち上がるということが散見されますけれども、時間が来ましたのでこれで終わらせていただきます。
  38. 石井一

    石井委員長 秋葉忠利君。
  39. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 社会党の秋葉でございます。きょうは自民党案を中心に幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  私は、政治改革委員会は、海部内閣のときに政治改革の問題について委員の一人としていろいろ勉強いたしましたけれども、宮澤内閣のときにはほかの委員会に属しておりました。今回再び政治改革委員会に属することになったわけですが、今回のいろいろな審議を聞いておりますと、非常に友情にあふれるエールの交換がたくさんございます。百七時間、一生懸命議論をしてきたその一つの成果だというふうに思いますし、真摯な議論が重ねられたということ、さらにそれが国会の活性化にもつながった面があるということで評価していいことだと思うのですけれども、残念ながら、外側にいる人間にはなかなかわかりにくいという欠陥も、事によったらあるのじゃないか、そんな気がいたします。  私も、新たにこの委員会に所属して議論をするに当たって、その百七時間、綿密にノートをとりながら例えば傍聴していれば恐らくこんなことにはならなかったのかもしれませんが、しかし、ある意味で、その反省も込めて申し上げますと、我々国会議員であってもなかなか百七時間の議論内容をフォローするのは大変だった。ましてや、マスコミの皆さんが一生懸命報道してくださったであろうということも当然私は考えておりますけれども、にもかかわらず、より広い市民あるいは有権者と言ったらいいのでしょうか、そういう人たちの間に、それではこれまでの議論内容が十分に伝わっているかというと、必ずしもそうではないというふうに思います。  七月の選挙において、選挙制度をどういうふうに変えていくのか、選挙制度だけではありませんけれども、それが選挙の争点になり、かなり細かい点まで、例えばディベート型の討論が行われ、各候補者が自分の信ずる選挙制度について十分な説明をし、そしてその長所や短所が十分理解された上で、それではこの選挙制度がいいからという形で有権者が投票したということでもございません。今回の総選挙は、どちらかというと自民党政権に対して非自民党政権といったような形あるいは金権腐敗の問題、そういったことが中心ではありましたけれども、問題は、政治的な論点というよりはどちらかというとイメージが先行したような形の選挙になった、そういうふうに私は感じております。  ですから、この今回の政治改革特別委員会議論の中で私が改めて問題提起をしたいのは、そういった国民の側、市民あるいは有権者の側の理解国会の中のさまざまな理解議論といったものを何とかもうちょっと近づけることはできないのか、そういった視点から何点か質問をさせていただきたいと思います。  実は私は、それをもう少し極端な形で申し上げますと、選挙制度を変えるに当たっては、確かに私たち政治家にとってもこれは大事な問題なんですけれども、それ以上にやはり選挙権を行使する有権者一人一人、市民一人一人の意思というものがもっともっと尊重されるべきではないか、常々そういうふうに考えてきております。その点をあえて強調しながら質問をさせていただきたいと思います。  第一点ですけれども、実はこの点についても何人かの委員の方が既に触れられておりますが、海部内閣のときの政府案、それから宮澤内閣のときの自民党案、そして今回の自民党案内閣がかわるたびに自民党案内容が変わってきております。それはそれなりに理由があるのだろうと思います。あるいは少し挑発をするためにちょっと悪口を言わせていただければ、自民党は腰が定まっていないので、あるいは自分たちの案に自信がどうもないから、国会がかわるたびに別の案を出して、どっちかうまい方向で通ればいいのじゃないか、そんな腰の定まらない法案の出し方をしているのだというような解釈も、これはあながち牽強付会とも言えないのじゃないか、そういった視点もあると思います。(発言する者あり)社会党はどうなんだという声がありましたけれども、これは私は今自民党についての態度を伺っているので、社会党についての態度は、自民党の方々が虚実相まぜてかなり厳しい批判をされておりますので、この際はあえて社会党に対する批判は、党内できちんとやっておりますので、自民党に対する考え方ということで、自民党の態度を明確にお示しいただきたい。  事によったら、それができなければ、それはさらに厳しく今度は世論が追及することになると思いますので、まず海部内閣から始まって、最初は並立制、単純小選挙区制、それがだめだとまたもとに戻ってしまった。もとに戻っていけばどんどんいいということになれば、海部内閣以前の中選挙区制を持ち出した方がもっと通過の可能性がふえるのではないか、そんなことまで考えてしまう人もいるかもしれません。とりあえず、なぜこういう変化が起こったのか、どういう理由でこういうふうに各国会ごとに違った案が出てくるのか、その辺を単純明快に、しかも説得力を持って説明していただきたいと思います。
  40. 鹿野道彦

    鹿野議員 基本的には我が党は、腰が定まっていないというお話でございましたけれども、腰はきちっと定まっておるのであります。それは何かと申しますと、その基本は、あくまでも小選挙区主体の制度改革ということであります。  今お触れいただきました、平成元年に我が党といたしまして政治改革大綱を策定いたしました。そのときには、いわゆるその小選挙区を主体とした中で、比例も加味することも検討しましょう、こういうような考え方比例を加味した案を提出をいたしたわけで、考え方を示したということであります。しかし、諸事情から廃案になりまして、宮澤内閣時におきましては、さらに、なぜその制度改革をやるのかということをもっと明確にしていこう、そして、いわゆるもっと緊張ある一つの政治の仕組みというものをつくっていかなければならないのではないか、そして、より国民の人たちになぜ改革をするかということを明らかにするということになりますならば、やはり政権を選択するという制度改革でありますから、そこは小選挙区にするところの意義というものをより明確にしつつ、その中でいろいろと議論を展開していくことが、国民の人たちにより御理解をいただく、その制度改革というふうな意味理解をしていただくというような考え方に立ちまして、単純小選挙区制というふうな考え方を示したわけであります。  しかし、この宮澤内閣当時におけるところの政治改革も、これは解散で廃案になってしまった。このような中で、今回、今日のいわゆる我が党といたしましての政治改革実現に対する意欲等々も含めて総合的に勘案をいたしまして、今回の案を三たび提出をさせていただいた、こういうことであります。
  41. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 どうも、単純というのは何となく満たしたようなのですが、明快というところでいま一つわかりにくい。  だから、現実としてそういう案が出てきたということはわかります。しかし、原則として今お述べになったことは、一つは、あくまでも小選挙区制が中心なのだということですね。小選挙区制が中心であれば、最初から小選挙区制を出せばいいじゃないですか。それが、最初に出てきたのが並立制、それは比例代表を加味する、加味する理由が全くわからない。では、どういう理由で一番最初に出してきた案で比例代表制を加味していたのか。それで、その加味した理由というものが恐らくあるはずです。今おっしゃいませんでしたから、わかりません。その理由を伺った上で、今度は、ではそういった理由があったにもかかわらず、それを落として、宮澤内閣のときには単純小選挙区制で民意を問うということにしたのか。その辺、比例代表制というのはどういう理由で加味されたのですか。
  42. 鹿野道彦

    鹿野議員 基本的には、私ども政治改革大綱というふうなものをつくらさせていただいたときには、先ほども申し上げましたとおりに、いわゆる加味することも検討する、こういうことで、その内容は御案内のとおりでありますが、いわゆる比例を導入する意味というふうなものは、いわゆる民意を反映する、多様な民意を反映するというふうな意味も、その中にはすぐれた面もあるわけでありますから、そういうふうなものもやはり導入していくべきではないだろうか、こういうふうな考え方で、海部内閣当時は加味をするということを決めたわけであります。  しかし、単純小選挙区、宮澤内閣時におきましては、よりもっと、なぜその制度改革をするのか、小選挙区にするのかというふうなことをより明確にやはりあらわしていく。その意義は何かといえば、政権交代可能ないわゆる二大政党志向のそういうふうな制度改革というふうなものじゃないか、このことをより国民の人たち理解をしてもらう必要がある、こういうふうな考え方で単純小選挙区制を出させていただいた、こういうことであります。  今回は、そういう中で二度廃案になってしまった過去の経緯も含めまして、政治改革をやらなければならないというふうなことはまさしくこれは天の声だということもございまして、より実現をするというふうなことも含めて、政治妥協でありますから、そういうふうな総合的な勘案というふうなことの中から出させていただいたということであります。
  43. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そうしますと、今の御発言を私なりに整理いたしますと、自民党は、あくまでも小選挙制度が一番いいと思っている、しかしながら、それでは民意が必ずしも十分に反映されない、その欠陥は認める、それを是正するために比例代表を加えてもいいけれども、しかしながら、まだまだ小選挙区制をなぜ自民党提案するのか理由がよくわからないから、小選挙区制を強調したけれども、最終的にそれだけではやはり国会を通らない、世論の支持も受けられない、だから妥協として比例代表制を加味したもとのものに戻して今回提案しているというふうに理解いたしますけれども、そんな要約でよろしいのでしょうか。ちょっと意地悪な見方が入っているかもしれませんが、大体そういう要約の仕方でよろしいわけですね。
  44. 鹿野道彦

    鹿野議員 あくまでも私ども考え方は、小選挙区を主体とした制度改革ということでありまして、そのような中で、いわゆる総合的に判断をして今回提出させていただいた、このことだけは明確に申し上げておきます。
  45. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そうしますと、自民党の方々は、我々社会党所属の閣僚に対して非常に手厳しい、しかも虚実まぜたような感じに私には聞こえるのですが、批判をなさっています。その論点は何かというと、一方においてはきちんとした原理原則がありながら妥協をしていることがけしからぬということを皆さんおっしゃっているわけじゃないですか。  しかし、今の話を聞いてみると、自民党が党の命運をかけて、内閣幾つもつぶしてまで提出しているこの非常に重要な法案も、やはりこれは妥協じゃないですか。妥協をするという点では、全く私は恥ずべきところはないと思います。妥協というのは、やはり現実に根差したある意味での賢明な選択を行う、そういう意思の表明ですし、それを行動に移していることです。妥協にも、いい妥協もあるし悪い妥協もあるけれども、少なくともその努力をしているということに対して、あえて非常に社会党バッシングだけに焦点を当てたような言辞を弄するというのは、これはちょっと理解しにくいところがある。しかも、ここにいらっしゃるような聡明な自民党の代表の方々がそういったことをなさるというのは、やはりこれは、自民党のこれまでの伝統とか自民党の知的なレベルとか、そういったところからも少々問題があるのじゃないでしょうか。  ということを申し上げておいて、それでは、ここは選挙制度の話ですから、先に進めたいのですけれども、小選挙区制、これがあくまでも中心だというふうにおっしゃった。そういたしますと、並立制というのは妥協だ。妥協にもいろいろありまして、比例を少々入れるというのが、これは比例を一にして残りを全部小選挙区というのも一つの妥協でしょうけれども、現在のところでは三百対百七十一というところで自民党案はできているわけです。例えばこれが比例の方が百くらいになっても、恐らく皆さんの方では妥協の範囲だというふうに考えられていらっしやるのでしょうけれども、一体、ではどのくらいのところ、百七十一が例えば二百になる、比例のところが二百になるというような妥協の仕方ももちろんあるわけですけれども、もっと極端なことを言いますと、小選挙区がゼロで比例の方が四百七十一というのも、これはまた一つの妥協です。妥協の可能性です。恐らくそれはのまれないでしょうけれども、現在の時点で、これは許容できるというところと絶対に許容できないというところ、たくさんの可能性があるわけですが、自民党の皆さんは一体どの辺をぎりぎりの妥協点というふうにお考えになっていらっしゃるのか。  つまり、小選挙区制というものをあくまでも中心に据えるんだというように考えますと、これは単純に考えると、四百七十一の少なくとも半分ぐらい、ですから二百三十六、それは小選挙区にしなくてはどうしてもだめなんだ、それが崩れて二百三十五になった時点では、もう絶対にこれは許容できないんだということは一つめ可能性として考えられると思うんですが、事実、そこまでだったら何とか涙をのんで我慢をするというようなことをお考えになっているのか、党の中の雰囲気として、そういうものがあるのかどうか、あるいはそういった点について十分な議論をされたのかどうか、ぜひ伺いたいと思います。
  46. 伊吹文明

    伊吹議員 今の御質問は、まことに微妙なことを含んでいると思いますが、我々は、あくまで小選挙区を基本とした案を出しておるわけで、先ほど来我が方の鹿野議員が申し上げましたように、それは、そのときそのときの政治情勢を考えながら、最初は、海部内閣のときは、全国単位の二票制の比例を入れれば社会党を初めとするその他の政党が乗ってくださるんじゃないかということも、これ考えたと思うんですね。しかし、それは、社会党はその当時中選挙区制ということを非常に強く主張されて、我が党の中にもいろんな意見があって、まとまらなかった。  そして、二度目に社会党、公明党は御一緒になって併用制をお出しになった。それであれば、こちらも妥協ということを図らずに自分たちの原理原則を正面に出してやっていこうということで、単純小選挙区を出した。  そして、今回、前回の総選挙やあるいは国会のことをお互いに反省をしながら並立制という枠をつくったわけですが、それは、申し上げているように、あくまで小選挙区を基本として、そして、先ほど先生まさにおっしゃったこと、私も、私の家内に言われました、いろいろここで議論をしているんだけれども、民意の集約的反映なんていう言葉は我々にはわからないと言われました。だから、あえて言えば、ばらばらに民意を国会へ持ってくるということではなかなか過半数という形で内閣を指名しにくいから、過半数を、国会で過半数で決められるように、ばらばらの民意をできれば選挙の段階で多数決で決めて一人に絞ってくださいというのが小選挙区だと思いますが、その原則が比例の部分によって崩れるということは、やはり困るわけですね。ですから、我々は、四百七十一で三百対百七十一をお願いいたしておりますけれども、私は、あえて言えば、百七十一の部分は少なければ少ないほどいいと思っています。  そして、ちょっと先生、失礼ですが、先ほど先生がおっしゃったことに敷衍して申せば、我々は、現実問題として、現状を見ながら、自民党基本哲学はあるけれども、しかし、現実と妥協しながら変えてきた、党として変えてきたということであって、それは妥協であることは私は認めます。  社会党バッシングをしているかどうかは別として、今問題になっているのは、社会党としての立場と国会議員としての立場と政権政党の一員としての立場が違うということは、これは妥協じゃないんですね。これはまさに信念を売りながらポストをとったという話なんですよ。だから、そのことを問題にしているわけなんであって、もしあえて言うなら、公明党の石田委員長のような御答弁をなされば問題はすべて解決するんですよ。石田委員長は何とおっしゃったかといったら、公明党がまさに変わったんです、こうおっしゃったんですよ。それでいいんですよ。だから、我々も、そのときそのときの状況に合わせて変えているんです。問題は、社会党は変わっていないんだけれども、おれは閣僚として変わったとおっしゃるところに問題があるんです。だから、これは妥協とかという範疇の問題ではなくて、政治家の信念の問題だと私は思いますよ。
  47. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今のお話ですけれども、実は選挙制度の話ですから、余り妥協のところに時間を使いたくないんですが、実は僕は……(伊吹議員「あなたがそうおっしゃったから」と呼ぶ)いや、ですから、それはお聞きいただければ、反省の気持ちを持ってお聞きいただけばよかった話なんで、一言申し上げますけれども、要するに、片方は信念の話にして片方は妥協の話にして、自分たちがやっていることは何でもいいんだけれども、おまえたちのやっていることは悪いという、要するにそういうレベルの論理じゃないですか。  要するに、党の内側、外側という話は、これはどの箱の中で議論をするかということですから、余り関係ないんです。要するに、普遍的な議論の場を定めて、その中でともかく原則があり、その原則に対して、現実をにらみ合わせてどのくらい譲るかというのが妥協の話なんです。だから、両方とも同じ、論理的には全く同じ構造を持っているんです。そこのところで、だから、より高い目的のためにある程度自分の原則を曲げるということは、これはどちらも同じパターンで起こっていることです。だから、伊吹さんが今おっしゃったようなことで申し上げれば、私がここで質問していることも、じゃ、それは石田公明党委員長の言をかりて、そういったパターンで申し上げれば、別に、小選挙区があくまでも望ましいんだ、妥協として並立制をとっているなんて言わないで、自民党は並立制を出しているときにはそれが最善だと思って出しているんですと言えば、私はそういう文句は言いません。それと全く同じレベルの話です。だから、論理的な、論理性はきちんと整理をした上でお話しいただかないと、これは議論がごちゃごちゃになりますから。  実は、詭弁とかデマゴーグというのは、そういうのは非常にうまくお使いになる。確かに、我々は政治家として日が浅いですから、そういった自分たちの点を説得力を持って発言をするというところでは自民党の皆さんは非常にたけていらっしゃる。それがすべて真実と結びついていれば問題はないんですけれども、そうでない場合も間々あるということが実は非常に問題じゃないんでしょうか。  これは置いておいて、それでは、その先に行かせていただきます。  そうすると、あくまでも小選挙区制が望ましい、そして小選挙区制を通すためには少数意見の切り捨てもあえて辞さないということをおっしゃっているわけですが、そこのところで、では小選挙区制、これまで、例えばこの委員会でも、あるいはマスコミを通したさまざまな意見の開陳といったものを見たり聞いたり、読んだりしても、小選挙区制はすばらしいという意見はいろいろなところでよく伺いました。しかし、百七時間も議論されたわけですから、当然小選挙区制の欠陥についても自民党の皆さん十分御存じの上で議論をなさっているはずです。そういった欠陥を、あるいは短所を補って余りあるからこそ、この制度を主張なさっているんだと思いますけれども、私も、その小選挙区制の短所については幾つか具体的に、自分の体験もあわせて知っているつもりですけれども、大体自民党としては、どういう基本的な欠陥が小選挙区制にはあるのか、あるいはこれまで小選挙区制によって選挙を行ってきた国々あるいはそれ以外のところもあるかもしれませんが、そういった経験を踏まえて一体どういう問題点があるのか、とりあえず幾つか重要な問題点を挙げていただければと思います。
  48. 伊吹文明

    伊吹議員 秋葉さん、もうよく御存じですべて御質問になっていると私は思いますが、すべての選挙制度は、私は完全無欠なものはないと思います。長所もあれば短所もあると思います。ですから、我々は、今の政治情勢、これからの日本を考えた場合には、小選挙区制というものはほとんど短所はないと考え提案している。だから、あえて言えば、秋葉さんがおっしゃるのは、少数意見が代表を送れないということが短所だというふうにおっしゃると思いますが、それは私は短所だと考えていないんです。むしろ、比較少数の人たち選挙区で多数決が働いて代表が送れずに、比較多数の人が代表を送れるということによって、衆議院が強力な内閣を選べるということがメリットだと考えているわけです。  私は閣僚としての立場と自分の信念を使い分けるほど器用ではありませんが、私個人の意見を言うことを許していただけば、これは有権者とそれから候補者の相互関係で決まってまいりますけれども、将来二大政党という形になった場合には、五〇%以上の票をとらなければ当選できない。そのときに有権者の選択が、その候補者が国会で国のため、外交、内政のために一番ふさわしい人だと思って選んでくれるだろうかどうだろうか。もしそうでなければ、五一%をとるためには大変な苦労をし、ある面では信念を曲げねばならないということが起こるのではないか。これが、私が一番恐れている小選挙区の欠陥であります。
  49. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 時間がありませんので手短に答えていただきたいのですが、それ以外の幾つかの基本的な欠陥、制度そのものでも結構ですし、私が前にも申し上げましたように、具体的にこれを使って選挙をやっている国々で生じている問題というところで、もしほかにも重要な欠陥だ、あるいは問題だという点があったらぜひ指摘していただきたい。短くお願いできれば大変ありがたいと思います。
  50. 伊吹文明

    伊吹議員 私どもは、衆議院の特性からいって、衆議院がしっかりとした政府を選べるというその大目的のためには、のみ込んでいける程度の欠陥というか、のみ込んでいかねばならないポイントは幾つかあると思いますが、それは短所だとか欠陥だとは思っておりません。もし秋葉さんの方に、おれはこういうところが欠点だと思うところがあれば、御指摘をいただければお答えをいたしたいと思います。
  51. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 済みません、百七時間も議論されているんですから、その制度についてやはりそれは長所、それから短所、両方きちんと、それは伊吹さんが熱意を持って何とかこの小選挙区制をやろうといった態度は非常によく伝わってくるのですが、それはその一方の態度であって、やはり小選挙区制に反対している人もいるわけです。その場合には、小選挙区制に反対をしている人たちに説得力を持つような議論をしなくてはいけない。そのためにはやはり客観性を持って、自分の思いとは別に、歴史を顧みて、あるいは具体的にデータを集めて議論をすることが必要なんじゃないでしょうか。  僕は、百七時間もやっているんですから、そういう事実関係についての詰めというのはまず最初に行った上で、事実に基づく議論が行われたというふうに信じておりました。今のお答えを聞いて、どうも何か仲よしクラブとして自分たちの思いのたけはお互いに交換をして、厚き友情は生まれたかもしれないけれども、事によったら事実の面で本当にちゃんとした詰めが行われているのかどうか疑問に思いましたし、それから、私の質問の要項をまとめたメモがありますが、そこにも二つ欠点を挙げておきました。それもお読みいただけていなかったのかなと思うとちょっと悲しい気がいたしますが、けさのことですから、とりあえず二つだけ申し上げます。  これは、アメリカは歴史的に下院議員選挙は小選挙区制でやっております。それは御存じのとおりだと思います。アメリカの選挙制度は必ずしもうまく動いているというふうには考えられておりません。事実一九六〇年代に起こったアメリカの公民権法の非常に大きな運動というのは、まさにアメリカにおけ谷選挙制度に一大欠陥があるということに起因しているわけですから、どういうふうに歴史をねじ曲げても、アメリカの選挙制度が世界的に理想的なものであったということは言えないと思います。  そのことは、実は下院議員選挙、これに関しても非常に明瞭に出ております。こんなことはもう百七時間も御議論なさったわけですから当然データとして御存じだと思いますが、あえて議事録に残すという意味で、そしてより広い有権者の注意を喚起するという意味で申し上げますと、小選挙区制というのは、少なくともアメリカにおいてこれまで使われてきた選挙制度として考えると、非常に現職に有利な制度になっております。そのことは何回か指摘されておりますけれども、しかしながら、それもやはり事実に沿って、具体的にデータをそろえて考えるべきだと思います。  ですから、データを申し上げます。一九五〇年から一九八八年まで、この間三十八年間ですけれども、端と端に選挙があります。二年に一度アメリカでは下院委員選挙が行われている。ですから、この間二十回の選挙が行われました。その二十回の選挙における現職の当選率というのを平均をとってみますと、九二・六%です。単純化するために九三%と申し上げておきます。現職がともかく出ればほとんど落ちないというのが小選挙制度です。  それから一九八八年、これは単年度ですけれども、その数字では実に九八%。現職の当選率というのは九八%なんです。(発言する者あり)いや、入れかわりとは関係ありません。これは現職が立った際にそのうちの何人が当選するという話ですから、それは全く異なったデータです。  それで、それと同時に、ではその件についてのあれも申し上げますけれども、下院議員全体の中で再選された議員がどのくらいいるかという率も、これは大体、これは平均をとっていませんけれども、七割、八割台でずっとアメリカの政治は動いてきております。  ですから、そういう意味では現職の再選率が異常に高い、あるいは現職が立てはまず落選することはない選挙制度なんだということは、私はこれは一つの非常に大きな欠陥だと思います。  欠陥というのは、私は民意を反映するというところに基本を置いているわけで、これが実は逆に、だから安定していいんだという議論も確かにできますけれども、こういった議論はなされたのか、そして、これほど異常に高い現職の再選率に対して、一体これをどういうふうに解釈して、それを乗り越えるようなメリットがあるから小選挙区制を推進しているんだとお考えになっているのか、その点をぜひお聞かせいただきたい。
  52. 伊吹文明

    伊吹議員 私は、秋葉さんが出してくだすったものもきのういただいています。けさお出しになったのじゃなくて、御親切にきのうきちっといただいておりますから、これもきっちり読ませていただいています。ここにお書きになったことは私は欠点だとは思っておりませんし、欠陥と思っているというよりも、こういうことが本当に起こるのかなということを私は実は考えたのです。だから、あなたが欠陥として挙げたことを私は欠陥と思わなかったから御答弁をしなかった。  今おっしゃったアメリカの例は、これはもうアメリカに長くおられたから私があえて敷衍するまでもありませんが、アメリカは政権の選択は巨大な小選挙区である大統領選挙によって行われているのです。そして、小選挙区で行われる下院の選挙というものは、これは大統領に対するチェック機能としての立法府を選ぶために行われているのです。  我々の持っているシステムというのは、どちらかというとイギリスのシステムに非常に近いという解釈をしていいと私は思います。英国には私も四年ばかり住んでおりましたが、英国ではかなりの程度の小選挙区における議席の移動があります。そして現職の移動ももちろんですが、今お挙げになった九十何%というその率が、議員そのものなのか、共和党と民主党という党派なのか、これも私は非常に問題だと思いますが、イギリスでは現に保守党とそして労働党、今労働党はもはや政権はとれないのではないかとイギリスでは言われていますが、その政党がお互いに切磋琢磨をし合いながら政権を交代してきたということもこれまた事実なんです。  そういう形で、ばらばらの民意を持ってこずに、民意を選挙の段階で一つにまとめて持ってきて、その持ってきた人が代表となって政権を選んでいくというシステムが非常にいいと私たちは思っているので、今のアメリカの例をお挙げになって欠陥だと言うのは、私はどうも納得はできません。
  53. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それは納得ができないという御意見を持たれるのは結構なんですが、法案を出されているのは、小選挙区制がいいというふうに主張されているのは、伊吹さんを初めとする自民党の方なんですから、疑問に対してはやはり説得力のある、しかも理由をきちんとつけた説明をしていただかないと、何も知らない側からすれば、私は知らないところから一生懸命勉強して少しは知識がふえましたけれども、でも、やはりその立証義務といいますか、というのは提案をする側にあるんじゃないでしょうか。ですから、その側で、私はこういうふうに信じていますから説明しないでいいんですよという態度は、少々厳しい言葉を申し上げれば、無責任きわまりない。  アメリカの問題を、私はアメリカの現状を申し上げました。それに対して、そういうことが起こらないというのであれば、例えばアメリカと日本はこういうところが違うからこうなんだという説明をしていただかないと、全く説明にならない。大統領制とそれから議院内閣制とその違いがあるからとおっしゃいましたけれども、じゃ、その違いがどういうふうに具体的にあらわれて日本ではアメリカのようなことが起こらないと考えていらっしゃるのか、そこをきちんと言っていただかないと説明には全くなっておりません。  それから、アメリカの政治基本的に、これは恐らく意図しないでおっしゃったことだと思いますけれども、大統領のチェック機能としての立法だというふうにおっしゃいました。それは根本的に間違っています。大統領は行政をつかさどっているので、立法の責任はアメリカでは議会にあるのです。立法というのは、やはり立法が政治を動かしているわけですから、基本というのはやはり議会にあるというのがアメリカの民主主義の政治に対する考え方でもあります。ですから、実際にそれがどの程度シフトしているかということは別として、やはり下院委員の役割というのは非常にアメリカにおいては大事です。日本の衆議院議員よりは恐らくアメリカの下院委員の方が、そういった意味では政治的な影響力というのもあると思いますし、個人個人の力というものがやはり大きく発揮できる場というところでは、アメリカ国民のその尊敬をから得ているということも言えるのじゃないかと思います。  それで、アメリカでなぜ現職が圧倒的に強いかという、これは分析はいろんな人がやっていますけれども、一つは利益誘導型の政治が行われているということです。これは日本も全く違いはありません。連邦政府の金を各地方地方に持ってくる、その役割をやはり下院委員が中心になって担っているというのがその理由の一つです。  それからもう一つは、やはりこれは知名度の問題です。一つの地区から選ばれる下院委員というのは一人なんですから、ともかくどういう公式な場でもあるいはマスコミに登場する際にも、コングレスマン・ケネディとかそういったような形で、その一人の現職が圧倒的な知名度を得ることができる。それが、その二つが主な原因だというふうに言われています。  日本においても、議院内閣制であっても、その利益誘導型ということと、それから、マスコミを通してあるいはその場での圧倒的な知名度、これは英語で言うとエクスポージャーということですが、要するにいろいろな人と接する場が物すごく多いということです。このことは変わりません。ですから、それは制度、大統領制だから、議院内閣制だからと言ったところで説明がつくことによってこれが起こっているのではないというのが一般的な理解の仕方なんです。ですから、あえてそういう現職の有利さということをやはり織り込んだ上での説明じゃないと、私は説得力がないと思います。  それともう一つ、日本にとって非常にこれは問題だと私は思っておりますけれども、ここにいらっしゃる方々のうちのかなりの部分もいわゆる世襲委員と言われる方ですから、私は個人的に世襲をされた方に恨みつらみがあってこれを申しているわけではございませんが、要するに原理原則の問題としてやはりこれは非常に大事な問題だと思いますから、あえて非礼を省みず問題提起をさせていただきますけれども、私が教えております広島修道大学の市川太一という、これは法学部の教授がおります。彼が非常に労作を書きました。「「世襲」代議士の研究」という本を書きましたけれども、その中に報告されている例ですと、世襲議員というのはいわゆる二世、三世だけではなくて、自分の奥さんのお父さんが政治家であったとか、そういうような方々も含めて世襲議員という言い方を使っているわけですが、その私の同僚の市川教授の調査によりますと、これは選挙前の自民党の勢力ですけれども、実に自民党委員の中の五〇%以上が世襲議員であったということが調査の結果わかっております。もちろんほかの党にもそれなりの、当時、解散前の社会党も委員長、書記長は世襲議員だったわけですから、それは何も自民党に限られたことではありません。日本政治全般についての問題提起としてお聞きいただければいいと思うのですけれども、今の現職が圧倒的に有利な小選挙区制ということで考えますと、そうすると、一度当選してしまえば、現職が出たいと言っている限りずっと出られるわけですよ。それで当選する可能性が九〇%以上ある。まず落ちない。  じゃ、どういうところでそれでは議員の交代が起こるかというと、本人がやめると言うか、あるいは本人が何らかの理由で亡くなるといった場合しか考えられないわけです。亡くなった場合には世襲ということで息子あるいはその血筋を引いた人にその地位が譲り渡されていくというのがこれまでの、すべてとは言いませんけれども、かなりの部分の日本の政治の、議員という地位の引き継ぎ方のパターンでした。  それが小選挙制度になってしまうとますます固定化してしまうという傾向、これは、こういった心配があるということ、それは認めていただかないと私は困ると思います。それに対して、じゃ、そういったことを避けるためには、そういう問題があるんだったら、例えば多選禁止条項を盛り込もうとか、あるいはそれ以外の具体的な何かいい方法があるのか、当然それをお考えになっていると思いますけれども、こういった非常に深刻な問題に対してさえ目を閉ざして、ともかく小選挙区制が通ればこういった欠陥についても一切いいことにするんだよということでは、私は説得力を得られないと思うのです。  ですから、この点について、私が申し上げたような心配、それは全くないんだ、その理由はこうなんだということをもし言っていただけるのであれば、大統領制とは違うんだといったような、まさか子供だましの説明ではやっぱり納得がいかないわけですから、それを手短にお願いします。
  54. 伊吹文明

    伊吹議員 秋葉さんと私は基本的認識が全然違うと思います。そして、政府案提出された社会党の一員でも秋葉さんはあるわけですから、同じことは、政府案提出されている小選挙区制についても、もしお考えがあるんならば同じことが私は言えるんではないかと思いますよ。(秋葉委員「いや、僕がお聞きしたんですよ、伊吹さんに」と呼ぶ)いや、伊吹さんに聞くとおっしゃるが、私もこの委員会では反間権があるんです、質問者に。だから私の問いにも後で答えてください、あなたの問いにも私はお答えしますけれども。どう考えて、それじゃ、連立案を社会党はオーケーしてお出しになったのかということもつけ加えて答えてください。  私は、小選挙区の方が少なくとも、イギリスの例を申し上げたように、政権交代が可能であると  いうふうに考えています。同じように、新生党の代表幹事である小沢一郎氏もそういうふうに考えておられますよ。「日本改造計画」にもそのように書いてある。そういう考え基本として小選挙区をお出しになった。そして、そのことはやはりイギリスの例を見れば私は当然事実上して裏づけられていると思う。  ただ、現職が有利であるかどうかということについては、私が一番最初に申し上げた欠陥というものをあえて申し上げれば、本当にその候補者が日本の平和と繁栄のために東京で国会議員として働いている資質だけを判断して投票されるのかどうか。それが、残念だけれども、小選挙区だと五一%以上の有権者がそういう気持ちになってくれなければ当選できないなと。今の中選挙区なら、あえて私は中選挙区のメリットを言えば、そういう考えを持っていても、五人区であれば二〇%の理解を得れば当選できてくる、これは私は非常にいい点だと思っている。だから、今おっしゃったことについて言えば、私どもは現職が有利だとは思っていません。  そしてその次に……(秋葉委員「数字を無視しちゃ困りますよ、データがちゃんとあるんですから」と呼ぶ)アメリカのデータは違います。イギリスの数字は違います。そして、だから、あとは、候補者を世襲で選ぶのか、それとも党内民主主義の手続で公平なコンペティションで選んでいくのかという問題になるわけですよ。それは違いますよ、おっしゃっていることが。
  55. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 私はちゃんと理由まで申し上げました。なぜ現職が有利になるかというその分析がちゃんとあると申し上げたじゃないですか。それは、利益誘導型の政治とそれから知名度です。それで現職が有利になるというふうに申し上げました。それがアメリカにおける現状だというふうに理解されているわけです。だから、それについてお答えいただくんだったら、理由のところでちゃんと反論していただかなければ話になりません。  それから、イギリスの例をあたかも理想的な状態のようにおっしゃっていますけれども、イギリスの場合には、実は二大政党政治ではなくて、現在では例えば約二五%の得票率というものを、これは自由民主党という政党ですけれども、私の親しい友人もその自由民主党国会議員をイギリスでやっているので彼から聞いてきましたけれども、そういう政党がコンスタントに大体四分の一ぐらいの得票率を得ています。しかしながら、議会の中の議席は六つくらいしかない。それはまさに小選挙区制だからなんで、実は、彼らが主張しているところは、その小選挙区制ではこういった自分たちの意見あるいはそれに代表されるイギリス国民の意見が議会に反映されないから、選挙制度を変えようという提案をしています。ですから、そこのところも、ただ単にイギリスはイギリスはというふうにおっしゃるのではなくて……(「アメリカ、アメリカと言っちゃだめだ」と呼ぶ者あり)アメリカとは言っていません。きちんとした理由を申し上げたにもかかわらず、それに対して具体的に反論を加えられていないのは伊吹さんですよ。ですから、この点については議論の基礎が全然違うといいますか、私は事実に基づいた議論を展開しています。議論に対してきちんと答えてください。  それからもう一つ、社会党も同じじゃないかというふうにおっしゃいました。それもよく論点を回避するために使われる答えなんで、伊吹さんはイギリスも行かれたからこういうことわざは御存じでしょう。ツー ロングズ ドント メークアライトというのですね。悪いものを二つ合わせてもそれがいいものに変わることはないのです。だから、社会党も、社会党案でも同じじゃないかということをおっしゃるのだったら、それは両方が協力して、それじゃその欠陥を、国民のためにどういう制度がいいかということを実は議論しなくちゃいけない。  そこが問題なのであって、おまえたちも同じことをやっているから、我々はそれに対して何ら対案を考える必要はないということでは、これは責任逃れになるだけです。ですから、私は申し上げました。例えば多選禁止条項というようなものが必要じゃないかという提案を私はしていますし、これまでもしてきましたし、これからもしていくつもりでおります。それは、何もこの場ですぐそういった修正ができないにしろ、やはり例えばそういう事実があるのだったら、これからの改善事項として当然考えましょうという態度が出てきてもいいじゃないですか。それが、事実さえも認めようとしないということでは、これは議論にならない。そこのところを私は申し上げているのです。  ちょっと時間がありませんので、次の問題に移りたいと思います。この問題については……(発言する者あり)いや、答えさせないというのは、僕は何回も、これまで何回も何回も答えを聞きました。僕がだれに質問するかはこっちの自由じゃないですか。そんなことまで指示されることはないよ。手を挙げているのはそれは御自由です。後で聞きますから。  それで、実はもう一つの大事な問題に移りたいと思います。  自民党側としては、今度のテレビ朝日の報道について非常に神経質になっておられるようですけれども、やはり政治とマスコミとのあり方、これは当然緊張感がなくてはいけないと思いますし、しかしながら、報道の自由ということも、これもまた政治家の意思がどう反映されているかということではなくて、要するに民主主義政治基本である市民一人一人、有権者一人一人が自分の意思決定を行うに当たって有効な情報が届けられているか、国民の知る権利という立場から私は考えられるべき問題だと思います。  その立場から質問をしたいわけですけれども、今回のテレビ朝日の問題について、自民党としては非常に神経をとがらせている。しかしながら、それはあくまでも、自民党にとって不利だったからとか、自民党選挙に影響があったからとか、そういった立場ではなくて、より広い立場で、国民の側に立った、国民にきちんとした正確な情報が届けられているかどうかという観点からの問題提起ですね。それを確認したいと思います。
  56. 伊吹文明

    伊吹議員 それは当たり前のことじゃないですか。
  57. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。それで結構です。  そういたしますと、実は非常に驚くべきことがたくさん出てくるのですけれども、そうするとこれまで、例えば自民党が政権を担当していた時代にあっても、我々から問題提起をした幾つかの問題がございますけれども、当然その当時は、事によったら、政権党だから、我々と同じように国民の側に立って報道の問題を考えるといったことはできなかったかもしれない。しかしながら、野党になった今、事によったらできるのかもしれないし、あるいはテレビ朝日の問題を中心にして、これを契機にして、報道の問題について自民党側で新たな展望を持たれたのかもしれない。そういう可能性があるということを私は期待しながら具体的な事例を申し上げたいのですけれども、例えばそのことは、報道に当たって圧倒的に偏った情報を、それが何であれ、政治にとって非常にかかわりのある問題についてテレビがそれを報道するといったことに対しても、当然それが事実であれば自民党としては抗議の声を上げるということですね。
  58. 伊吹文明

    伊吹議員 要は、放送法その他の法律に基づいて公平に行われていればいいわけで、これは自民党が不利になったとか、あるいはどの党を抹殺しようとかという意図を持って行われた、自民党が不利であったということだけで申し上げているんじゃなくて、どの政党にも同じ扱いを受けるであろうからという観点から申し上げておりますから、具体的にどういう事例があるのかをまずおっしゃっていただいて、なるほどと思えば事例ごとにお答えしたいと思います。
  59. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それでは原理原則をきちんと確認したことにならないのです。事例ごとに態度が変わっちゃ困るから原理原則を最初に申し上げているんです。私が申し上げようとしている事例は政党の問題ではありません。しかしながら、例えばニュースの中で何らかの形で偏っている場合には、それは少なくとも問題だという意識は持っていただきたい。  具体的な事例を申し上げます。これは湾岸戦争の始まる直前の報道に関してです。これは逓信委員会でも問題提起をしたことがあるのですけれども、いいチャンスですので、ここでも皆さんに申し上げておきたいと思います。  一九九一年二月六日から二月十一日まで、これは私が、何人かの学生に協力をしてもらって、具体的にニュースの内容をビデオを撮って再検証可能なような形で調査いたしました。このときは、ともかくアメリカ側の情報が非常に多いという批判がありました。それは、やはりイラク側の情報というのは閉ざされていたわけですから、少なくなるのは当然です。しかしながら、その中にも偏りがある。具体的にチェックが可能な、しかも客観的に反駁ができるようなニュースソースということで調査をいたしました。つまり、ニュースのもとがどこにあるのか、アメリカ側にあるのかイラク側にあるのかということで調査をいたしました。  これは夕方のニュース、大体六時台のニュースについて、NHK、四チャンネル「ニュースプラスワン」、TBSの「ニュースの森」、それからテレビ朝日の「六〇〇ステーション」、それからテレビ東京の「ニュースイブニング」、この番組について調査をいたしました。ニュースソースについて三つに分けたのですけれども、中立国というのはとりあえず除いて、アメリカ側のニュースソース、それから、あの場合には非常にはっきりとした対立があったわけですから、イラク側のニュースソースということで調査をいたしました。  一週間の番組全部見て、わからない場合にはテレビ局に電話をかけて調査をしたわけですけれども、そのときに、一番バランスがある意味でとれていたのが「ニュースの森」、これは大体ニュースソースが二対一の割合、もうちょっと細かく言いますと、十四件がアメリカ側発のニュースであって、七件がイラクあるいはヨルダン発である。これは六チャンネルです。「ニュースの森」、TBSです。二対一です。それから、ほかに  「ニュースプラスワン」というのは十七対五ですから、まあこれは三対一ぐらいです。これは日本テレビです。そういうふうに、大体そのくらいの割合で、二対一というのがあともう一つ、十二チャンネルですね。これはテレビ東京ですけれども、十六対八というのがありましたから。大体二対一、三対一というようなところが穏当です。テレ朝は二十三対七です。ですから、七、三、二十一ぐらいですから、まあ三対一ぐらいですね。  これに対してNHKのニュースはどうだったかというと、これが十四対一なんです。ほかの放送局は大体二対一、三対一、四対一ぐらいの比率で、それでもアメリカ側のニュースを多く流しています。これはニュースソースですから。しかも一週間の状況です。しかしながら、NHKは十四対一という、これはもう、ちょっとべらぼうですよね。  それが何を意味するかということはまた別問題として、やはりこういう具体的な数字に従って問題提起をすることは私は可能だと思いますし、そのことについて説明を求めていくということも重要ではないかと思います。ですから、マスコミの批判をする際には、例えば、こういった事実に基づいた批判をする、あるいは問題提起をするということをしていただきたいんですけれども、例えば今のこの調査について、一体どういう御感想をお持ちなのか。  つまり、こういうことは問題ではないけれどもテレ朝の今度の問題は問題にするというのか、あるいはこういったことについてもやはり同じように、国民の知る権利という立場から同じような問題提起をしていきたいとお考えになっているのか、ぜひお答えいただきたいと思います。
  60. 伊吹文明

    伊吹議員 今回の問題については、我々は自民党がどうということで問題提起をしたわけではありませんことは最初に申し上げたとおりですが、放送法に違反しているかどうかを現在調査をし、それに基づいていろいろな改善措置をしておられる政府は、皆さん方が形成しておられる政府です。我々の政府ではありません。したがって、これは連立内で、連立がつくっておられる政府が、放送法に違反しているのではないかという調査をしておられるわけですから、我々はあくまで問題提起をしたわけです。今秋葉さんがおっしゃったことも、同じように問題提起をされて、そのときに、なるほどと思う人はそれに賛同すればいいと、それだけのことだと私は思いますよ。
  61. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それでは、基本的な認識の違いは何かというと、私は、それは政権の座にあるから、ないから、国民の知る権利を無視してもいいんだ、いけないんだという議論になってしまいます。  そうではなくて、政権側であってもそうではなくても、やはり国民の知る立場というところからの問題提起をなさるおつもりがあるのですかというふうに私はお聞きしたつもりです。それに対しては、政権の側にある場合には批判をしなくてもいいんだというような感じのお答えですから、それはそれなりのお答えとして承っておきます。  もう一つ、それでは、それと同じような問題があるので、恐らくこれもそうなると同じようなお答えになると思うのですが、テレビ朝日の今回の報道と政治との絡みの問題は、選挙の結果に対しての問題提起をなさっているわけですけれども、私は、マスコミが選挙の問題、個々の選挙について影響を与える、これは政治とマスコミという絡みで非常に重要な関係だと思いますし、そこにひずみがあってはいけないと思いますけれども、それ以上に、マスコミが何らかの形で介入することによって、選挙制度をどうするかという議論に対して介入をしてくる、介入というのはおかしいあれですけれども、その議論のプロセスをゆがめることがあってはならないというふうにも思っております。その一般論についてはどうお考えになりますか。
  62. 伊吹文明

    伊吹議員 我々が問題を提起したのは、あくまで放送法に違反することが行われているのではないかということであって、それを受けて放送法の所管官庁が動かれたということだと私たちは思っています。  今の問題の御提起については、そんなことは私はあってはならないと思いますし、もしあるとすれば問題提起をし、そしてその提起が正しいと思えば、放送法を所管している内閣がそれに敏感に対応される、これが私は当然のことだと思います。
  63. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 私が今考えている件はテレビではありませんけれども、テレビも入っていますが、新聞、テレビ両方を含めての話です。  私がここで問題提起をしておきたいのは、第八次選挙制度審議会委員の構成です。これは皆さん御存じだと思いますけれども、現在こういった並立制という制度が、ほかにもさまざまな可能性があるにもかかわらず、これが中心的な議題になってしまった。国会の中で先日もどなたかが質問したことに対して、今ごろそんなことを言って何寝ぼけているんだというような形のやじが飛びました。私は、それはやはり、伊吹さんの奥さんもそうであるように、国民の側から見ると非常に傲慢な発言だと思うのですよ。だけれども、百七時間も議論をしていればそういうフラストレーションをお感じになるのも無理もないというところもあると思います。  しかし、その基礎をつくった第八次選挙制度審議会、これは委員の名簿を見ますと全部で二十七人委員がいるのですけれども、そのうちの少なくとも九人は現職のマスコミの人です。現職のマスコミの人たちが三分の一入ったこの審議会で並立制というものを打ち出して、その後の新聞報道を見ても、ともかく並立制、あるいは中選挙区制はだめだという大キャンペーンが張られた。  そのことのよしあしはまた別問題として、ともかく、よしあしというところを問題にするのではなくて、政府案として発表されることになっているその案をつくるに当たって、マスコミが例えばそういった形で、三分の一というような形で政府の側に加担するような言動をとってきたということ、これはやはり問題なんじゃないでしょうか。そういうところではなくて、別の形でマスコミが日本の政治をよりよくするといった貢献は幾らでもできたのではないかというふうに私は考えるのです。ですから、その点についていろいろと一見識をお持ちの伊吹さんにぜひお考えを伺いたいと思います。
  64. 伊吹文明

    伊吹議員 その委員の方々が政府に加担をしたのか、あるいはまた加担をして自分たちの出身母体であるメディアをすべて動かして選挙制度をいい方向へ、いい方向というか一定の方向へ持っていこうとしたのか、それは私は主観の問題だと思います。  いろいろお話を伺って、この法案提案しておられる連立内にもさまざまな意見があったということを十分国民の前に理解させていただいた秋葉さんに、心から御礼を申し上げたいと思っています。
  65. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それはそのとおりでして、社会党というのは、先ほどの自民党委員の方の質問にもありましたように、非常に多様な意見、それから人間、考え方、そういったものを非常にうまいぐあいにこれまでは調整をしながら、そこから新しいクリエティビティーが生じ、エネルギーが生じ、そのことで日本の政治に貢献してきた党であるというふうに思います。ですから、それは現在でもいささかも変わっておりません。こういった多様な議論が出ることによって、生物の多様性条約とかそういうことがようやっと世界的にも認知されてきましたけれども、そういう多様性の中に新しい方向を見つけるということがやはり全地球的な課題になっている現在ですから、そういったことの意義を伊吹さん初め自民党提出者の方々もいささかでも御理解いただけたとすれば大変幸いでございます。  お答えの中のすべてに満足したわけではありませんけれども、こういった形の百七時間の議論も確かに大事だったと思います。しかしながら、時は既に遅いのかもしれませんが、しかし、基本的な問題についてはやはり事実を踏まえた上で、その事実あるいは論点を回避するのではなくて、きちんと正面から議論を詰めていく必要が私はあると思っております。それと、現実の妥協としての、それでは法案をいつどのような時点で通すかというのはこれはまたおのずから別の判断基準がございますが、やはりきちんとした知的なあるいは理性的な面での議論というのはぜひ回避なさらずに、このいい習慣を自民党としても継続していただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  66. 石井一

  67. 松沢成文

    松沢委員 新生党の松沢成文でございます。  これまで特別委員会審議ももう何日も行ってきたわけで、自民党案政府案の大まかな相違点、論点というものはもう出尽くしたような感があります。  私はこれから一票制の問題について取り上げますけれども、これまでその背後にある哲学論争ですとかあるいは憲法上の問題、そしてクロスボーティングの是非、さまざまな議論がされてきました。私はこれらを踏まえて、一票制がテクニカルな面で技術的にもかなり問題を残しているということを細かな議論でお聞きしますので、お疲れだと思いますが、まず質問をよく聞いていただいて御答弁いただきたいと思います。  まず、選挙において当選人が選挙違反で当選無効となった場合、通常三カ月以上たっているとこれは再選挙ですけれども、三カ月以内でもその当選人が道義的責任を感じて委員を辞職する可能性があると思うのですね。選挙違反をして悪いことをしたから辞職をした。そのときに、二位の方が繰り上げ当選になります。そのときの比例の票をどう扱っていくのか、これがまず第一点の疑問であります。  第二点目は、三カ月以上たって当選無効になった場合は再選挙になりますけれども、この再選挙はどういう形で行うのか。もしかすると比例代表はそのままにしておいて小選挙区の方だけで行うという答弁があるかと思いますが、これは一票制を前提としてやった本来の選挙と違った形、要するに、二回目は人だけを選ばせる形になって、二回目の条件が変わってしまいます。  仮に、じゃ比例制と小選挙区を再度、もう一度やり直しますとした場合には、これは一回目の選挙比例の票が変わってしまって、比例代表の当選人が入れかわる可能性もなしとは言えない。そして選挙選挙は、当選人が無効になった場合はその補充をすればいいわけですね、再選において。ところが、比例代表というのはあくまでも一時点での民意のガラス張りの反映ですから、三カ月以上たった選挙で時点が違う比例代表をその中に組み込むというのはあくまでも矛盾があるわけで、この点についてまず伊吹議員答弁をいただきたいと思います。
  68. 伊吹文明

    伊吹議員 法律上の極めて細かなことは、必要があれば法制局から答弁をさせますが、我々の基本的な仕組みとしては、今御質問があったように、例えば比例区の各政党が出している名簿登載順位等も参考にしながら、マークシートによって小選挙区の公認候補と、そして同時にその所属政党を選んでいくということをしているわけですから、当然、議員がその職を失った場合には、再選挙というのは小選挙区について行われるという仕組みになっています。比例区については再度行わないということになっています。そういう仕組みによって補欠選挙が行われる、つまり小選挙区のみの委員を選ぶという補欠選挙が行われますから、全体の大きな総選挙の中では、各党の比例名簿の登載者等をにらみながら行われている比例区というものについては、再選挙を行うということは想定していない、こういう仕組みになっています。
  69. 松沢成文

    松沢委員 今御答弁をいただいたわけですけれども、最初の選挙の前提が一票制という前提で、それで再選の場合は、一票制という前提で有権者に投票していただいておいて、再選の場合は小選挙区だけでやるということは、結果において小選挙区と比例を分けているわけで、これは最初の前提と結果が違うからおかしいんじゃないでしょうか。
  70. 伊吹文明

    伊吹議員 私はそうは思いません。これは有権者の一票の行使の仕方として、先ほど来申し上げたように、あくまで選挙区の候補者を選ぶのが前提であります。しかし、それと同時に、全政党の、あるいは新生党であれば新生党の比例の登載順位も見きわめながら、付随的に新生党を選ぶ、小選挙区の候補者を選ぶということによって政党の投票を同時に行うという二票制をしいているわけですから、それがもちろん主なんですから、だから選挙区の候補者が今度欠けた場合には、それによって決められている、大きな全体の判断をもって決められている比例区についての投票は行わないというのは、私は筋が通った考えじゃないかと思いますけれどもね。
  71. 松沢成文

    松沢委員 もう一つ、では違った例を出したいと思うんですが、これは両方の法案ともそうなんですが、小選挙区での法定得票数、これが有効投票の六分の一ということになっておりますのでも今回、もし仮に導入されて初めての選挙では、もしかすると自民党も分裂して候補者が割れる、連立与党も何人か出てしまう、そういうことで、政党以外の無所属候補も何人も出てしまって、七人、八人、十人出てしまう可能性がゼロとは言えません。  そのときに法定得票数の六分の一にどなたも達しなかった場合に、この場合も今の自民党案の論理でいくと、比例の部分は関係なく小選挙区だけで再選挙をするということになると思うんですが、ここで私少し考えますと、一回目に候補者・政党のパターンで投票しなかった、例えば政党だけを選んだ人ですね。法定得票数に達しなかったから、二回目再選挙をやりますと、その場合は候補者・政党のコンビしか並びませんよね、比例代表は関係ないですから。ですから、そういう方は二回目の選挙をほとんど棄権してしまうんではないかと私は思うんですが、私の言っていること、わかりますか。それは、私は、選挙の前提を変えてしまって、そういう政党にだけ一回目投票した人は二回目はほとんど行かなくなってしまう、これはもちろん選挙人の自由ですが、そういう前提を変えてしまう可能性があって問題があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  72. 伊吹文明

    伊吹議員 私は、それは問題があるとは思っていません。それは政党だけを、無所属の候補者だけを選ぶという、これはあくまでその選択の自由があるわけですから、そういう前提で一票を行使された方が今度は自分の信念を曲げて投票したくないということになれば、おっしゃっているような選択をされますね。これはしかし、有権者の自由じゃないんですか。
  73. 松沢成文

    松沢委員 これも意見がかなり分かれてしまうので…。  ただ私は、一票制だと、再度申し上げますけれども、その前提はやはりあくまでも比例と小選挙区は連結している、この前提で選挙をやりますので、再選挙のときに小選挙区と比例を分けてやってしまうと、その前提が崩れて有権者も予期せぬ選挙をやらされることになってしまう、この可能性があると思うので、この点はテクニカルな問題として私は残ると思っております。  次に、二点目、一票の格差の問題をちょっと伺いたいと思うのですけれども、昨日、自民党委員さんが、私たちの連立与党案に対する質問のときにこういうことをおっしゃっていたのですね。  政府案で二百五十に小選挙区の定数を定めた場合に、都道府県間の一票の格差が大阪と島根で一対一・八九になる。ところが、自民党案、三百とした場合には、都道府県間の一票の格差は東京と島根で一・八二になる。私は、一・八九と一・八二は大して違わない、結構両方とも危ないなと思っていますが、自民党委員の方の意見では、政府案は一・八九と、もう二倍以内というところに都道府県間の格差でかなり近い、これを選挙区に割った格差でやると二倍を超えてしまう可能性があるのじゃないかと、その辺について自民党委員さんは追及をされたわけですね。ですから、二百五十じゃ足りないよ、もっとふやした方がいいという論理だと思うんです、裏には。  ところが、自民党のもう一方の比例代表の一票の格差、これも日本新党の茂木委員がここで取り上げましたけれども、この自民党比例代表の都道府県間の一票の格差ですね、これは埼玉と島根で一対二・九七、もう最高裁が違憲状態と言われている一対三に限りなく近いわけですね。自民党は、小選挙区では一対二になってもう危ないぞと言っておきながら、比例代表の部分ではもう一対三に近い格差を抱えている。私は、選挙制度は幾ら違っても、やはり投票価値の平等、これは大切にしていかなければいけない。小選挙区は一対二以内でよくて、比例代表は一対三以内でいいんですよという理論は私は成り立たないと思うんですね。  そうなると、自民党案比例代表制を都道府県でやっている、もうその格差が一対三に近くなっている。これは非常に小選挙区制で私たちを攻撃した論理と矛盾があって、ここを一票の格差の平等という意味で見直していかないと、私はいい選挙案とは言えないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  74. 伊吹文明

    伊吹議員 一・八九と一・八二ですか、私はそれがそんな大きな問題だという、きのうどういうことを同僚議員が言ったかわかりませんが、その程度のことが大きな問題だということには私はならないのじゃないかと思います。  問題は、これはあくまで、まず定数は、比例を含めて我々の案は県単位に割り振っているわけですから、その県単位で比例とそして小選挙区とを合わせた人数の、しかもそれを我々の案というのは一票制で考えるという根拠になっているわけですから、その県全体に比例と小選挙区を割り振っておいて、その一票の値打ちがどうかという判断をすべき問題なんですね。だから、小選挙区でどうだ、比例でどうだという議論が起こってくるのは、むしろ二票制にしておられる皆さん方の方の案なんですよ、もし問題があるとすれば。  そして、その上でさらに言えば、私はいわゆる三%条項の方が一票の価値という上では法制的に大問題があると思っていますよ。我々の方の案はむしろ運用上、おっしゃったような定数が、三に限りなく、比例部分だけ見れば近づいてくるとか、これは小選挙区の区割りのつくり方によりましてもこれから大変難しい問題が出てきますね、小選挙区間の格差。だから、あくまで県単位に割り振って、そして県単位で一票の格差を計算していくという論理構成になっているわけですから、今も御質問のあったことは私もよくわかります。何も小選挙区でどうだから、比例区でどうだからといって、お互いに揚げ足取りみたいなことをしていてもいけないわけだから、いい案をつくればいいわけですから、そういう意味では、おっしゃっていることは賛成ですね。
  75. 松沢成文

    松沢委員 小選挙比例代表並立制という名前ですから、二つの制度が合わさっているわけで、この二つの制度のメリットを十分に生かした制度の方が私はいいと思うんですが、都道府県を重視している自民党の案の意見はわかりますけれども、やはり民意のできるだけ平等なガラス張りのような反映、あるいは大きな選挙でやれば一票の格差は限りなくゼロになるという比例代表制のいわゆるメリットを全く無視してしまったような比例代表の部分の導入の仕方というのは、私は大きな問題を残しているというふうに思っております。これは答弁は結構です。  そこで、これから、お互いの案をぶつけ合ってきて、ここから一つの案にまとめて政治改革を成就させなくちゃいけない。これが私たち国会議員に課せられた使命だと思うのですが、今の状況では、総定数の問題、定数配分の問題あるいは一票制の問題、お互いに自分たちの案が正しくて、絶対におたくの案はのめないという言い合いになっていますよね。ただ、もうここまで特別委員会議論を出し合ってきたならば、もうこのあたりで妥協案というか、具体的な妥協案をつくり始めなければ、もう間に合わないのは目に見えていますよね。  きょうの産経新聞でも、官邸筋から打診があったというお話がありましたけれども、当然もうここまで来たら具体的な修正案、選挙制度が特に争点になっています。ここでお互いに提案を出していかないと、全く決裂するだけで、妥協の芸術にはなっていかないと思うのですけれども自民党ではもう具体的にこの選挙制度についての妥協案というのを用意していくつもりがあるのか、お聞きします。
  76. 伊吹文明

    伊吹議員 我々は、我々が提案した案が一番いいと実は思って出しています。したがって、これはしかし、議会制民主主義ですから、お互いに話し合ってやっていかねばなりません。  松沢さんも初めて国会に出てこられたわけですから、こういう場合のその妥協というのはどういう場でやっていくのか。また、各党、我が党にも率直に言っていろいろな意見がありますよ、率直に言って党内には。しかし、少なくとも国会の場へ出てきて、先ほどの秋葉さんのように、明らかに連立案と違うような価値観で御質問をしていらっしゃる方もいらっしゃるわけだから、まず連立案の中の、連立八会派の中でお考えを一体どういうふうにされるのか、そして代表選手は一体だれなのか、これをやっぱりお決めになって、そしてお話をするということなんじゃないですか。(発言する者あり)いや、そして、うちは決まったという不規則発言が今ありますが、その不規則発言もさることながら、それじゃ、ここで話をどなたがされるのか知りませんが、された場合に、その案ですべてきちっとまとまっていくのか、八会派の中も。そういうこともすべてやはりお互いに確認し合ってやっていかねばならない。  従来の例で言えば、これは当然のことなんですが、やはり国政を預かってこれからの国を動かしていく責任は今、皆さん方にあるんですよ。だから、皆さん方の方がどういう考えを持っているか。しかも、政府提案をしておられるんですよ。前回のように、お互いに、各党の提案じゃないんですよ。だから、政府を預かっている者がどういう考えを持っているのか、これをやっぱりまず示さなければ、これは話にならない。  そして、産経新聞に観測記事なのか本当のことなのか知らないが、出ておって、官房長官は出てきたら否定をしておるとか、その辺の、私は意思をまず固めていただくのが最初じゃないかと思いますよ。
  77. 松沢成文

    松沢委員 これ以上やっても続きませんので……。  私は、きょう用意してきた最後の質問というのが、図らずも前に質問した秋葉委員と少し似た部分があるので、重複はできるだけ避けますけれども、今回の選挙制度改革で小選挙区は確実に導入をされていくわけですね。先ほど秋葉委員もおっしゃっていましたけれども、小選挙区というのは、傾向的に見て、他の導入している国を見て、非常にやはり議席の固定化を招きやすい。これは、一つの傾向としては私はあると思うのです。やはり現職が優位になる。知名度ということもありました。あるいは選挙運動も一人ですから、現職は一人で、政治活動をすればすなわち知名度アップの選挙運動になるわけですね。  アメリカの例、アメリカばかり言うなと先ほど言われておりましたけれども、アメリカでも、下院の四百三十五議席のうち三分の一は、やはり圧倒的共和党優位選挙区、三分の一は圧倒的民主党優位選挙区。本当に三分の一程度なんですね、どちらが出るかわからない競争選挙区というのは。  イギリスも、やはり保守党、労働党の中でそうなっています。ところが、イギリスの場合はどんどん、先ほど委員がおっしゃっていたように、候補者をかえていく。大事な政治家は安定選挙区に回っていくのですね。新人が厳しいところから出る。こういう党内のシステムができていますので、ずっとその選挙区で出るという固定化は多少免れている。  そして、アメリカの方も、共和党、民主党、予備選というのをやっていますから、現職がその公認をもらってずっと勝ち続けるだけではなくて、必ず予備選で同じ党内の新人の挑戦を受けて、そして議席を守っていかなければならない。かなり党内の中でそういうシステムができ上がっています。  しかし、今の日本の政党を見ていますと、その辺まだでき上がっていないので、当然議席の固定化というのは議員の多選、長老化を招きやすい、まあ特定選挙区でですよ。例えば、地方だったらそこに強い政党はやはりずっと勝っていくだろう、都会は都会でそういう政党があるかもしれない、そういう傾向にあると思うのですね。そうすると、新人は出にくくなって、政治が停滞をして、硬直化しやすいという状況は生まれると思います。私は、そこで、何らかの、先ほど秋葉委員は多選制限と言いましたけれども、任期制限を考えていかないと、この硬直化、停滞に対して政治の循環をよくできないと思っているのですね。  きよう、私がどうして自民党の皆さんにこれを聞きたいかというと、自民党さんは、今回、総選挙が終わった中の党内改革論議の中で、定年制というのが一つの大きな議論になったと聞きます。これも、一つは任期が余り長いのは問題だ、あるいは長老化は問題だというところから始まったと思うのですが、まず、この任期制が自民党の中でどんな経緯でどんな議論があったのか、簡略に教えていただければと思います。
  78. 鹿野道彦

    鹿野議員 この問題は、それぞれの政党の姿勢の問題でありまして、それぞれの政党がどういうふうな判断に立つか、こういうふうなことでありまして、我が党は我が党の党改革の中で議論を展開させていただいている、こういうことであります。
  79. 松沢成文

    松沢委員 私は実は、任期制、新聞で自民党さんの議論を見させていただいて、反対なんです。これは、年をとった長老の議員の方が怒るのは非常にわかるのですね。年齢で議員の資格をどうのこうの言うというのは非常に不平等だと思うのですね。どうせならば任期制限でやった方が私は平等だと思うのですよ。  例えば、六十歳で代議士にようやくなった人は、七十歳定年だと十年しかできない。ところが、世襲議員という言い方は悪いかもしれませんが、若くして議員になった方は四十年も代議士生活ができる。これは定年制を導入する限り当然こういうことになってしまって、これは不平等、不公平であると思うのですね。  ですから、私は、当然これは党内の議論で結構なんですよ。ところが、小選挙区制を導入する、議席の固定化を招きやすいという特徴を持った小選挙区制を導入するこの時期に、党内の定年制という議論ではなくて、これは法律として任期制限を同時にシステムとして組み込む、こういう考え方はなかったのかどうかということをお聞きしたいんです。
  80. 伊吹文明

    伊吹議員 これは、やはり憲法上の、もう御存じだろうと思うけれども、いろいろな個人の権利に関することが背景にありますね。したがって、最後の選択はやはり有権者がやるべきことだと私は思います。  ただ、公益上、憲法上の権利であっても制限できることはありますから、むしろそれは、今まさに多数を持っておられる皆さん方が提案さるべきことじゃないんですか、我々少数野党におっしゃるんじゃなくて。
  81. 松沢成文

    松沢委員 当然私はこれからこの運動をしていきたいんです。ところが、自民党の中で定年制という議論があったんで、私は党内の定年制じゃなくて、これはもう院内全体を縛る法律として任期制限ということを提案したいわけで、その質問なんです。  そこで、じゃ、そういうことで、これから定年制も含めて、この政治改革、第二弾、第三弾と私たち連立与党も新しい案を提案していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上で質問を終わります。
  82. 石井一

    石井委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  83. 石井一

    石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮本一三君。
  84. 宮本一三

    宮本委員 新生党・改革連合の宮本一三でございますが、きょうは自民党案に関しまして質問をさせていただくわけでございますが、最初に、この難しい案をまとめられました提案者の皆様方に対しまして敬意を表したいと思います。  ちょうど前の国会解散になる直前のことでございますが、宮澤総理がテレビのインタビューで、改革はやるんですという発言をされておりましたし、また、後になれば、ああ、ああいうことだったのかということがわかっていただけますよ、そういうような発言をされているのを私も見せていただいたわけでございますが、現実にはなかなかそれは難しい問題であって、御承知のようなことになったわけでございまするけれども、それだけに、この問題は議員一人一人の身分にもかかわる大きな問題でございますだけに、多岐にわたる意見を一つに取りまとめていく、これはなかなか大変なことだと思います。それだけに、こうして自民党案として一本にまとめた案を御提出いただきました提案者の皆さん方に、本当に心から敬意を表したいと思います。  特にまた、このたび提案をされておりまする案が、小選挙比例代表並立制という、いわば政府案と全く同じ土俵の上に既に立っておられる、骨格において合意されておる。この石井先生委員長とする特別委員会では、そういった一つの土俵に立ち、同じ方向に向かって議論がなされてきたわけでありますだけに、大きな前進が今まで既に見られたというふうに思いますし、建設的な意見を続けることによりまして石井委員会で一つのすばらしい案が完成されることを期待しながら、きょうは御質問をさせていただくわけでございまするけれども、まあ同じ土俵といいましても、個々の問題については若干の意見の相違があるように見受けられますし、また、例えば定数の問題、あるいはまた一票制あるいは二票制、これはどちらがいいかというふうな話、比例代表区につきましても、県単位でやった方がいいんじゃないか、いやいや全国区の方がいいんじゃないかといったような議論が今まで熱心に議論されてまいりましたし、ある意味では議論が出尽くしたかなというような感じさえするぐらいでございます。  最近のこの委員会でも、議論を見ておりますと、同じ質問に対して同じようなアンサーが大分ふえてまいったように思いますし、また、今度の改革と直接関係のないというと怒られますけれども、まあある程度関係しておりますが、やや違った問題点がかなりの時間を割いて議論されているということを見ましても、非常に建設的な意見がこうして煮詰まってきた感を私は持つわけでございます。  できるだけ同僚議員との質問の重複を避けるように心がけながら質問をさせていただきたいわけでございますけれども、まず最初に、政治資金の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず最初の問題は、企業の献金問題でございます。  このたびの政治改革、これのよって来るゆえんを考えてみますと、たび重なるスキャンダルといいますか、政治腐敗というか、こういった問題に対する強い世論の反発という、そういったものを受けての議論の出発点であったように思うわけでございますが、その中で、企業が個人の政治団体に対して寄附を今後も続けてもらうか、それともやはりこの際切った方がいいのじゃないかという相違点がございます。この点について、既に議論は出てはおりまするけれども、大事な問題だと思いますので、提案者に、やはり個人、政治家、政治団体に寄附を続けることがどうしても必要だというお考えの論点をひとつお聞かせ願えればありがたいと思います。
  85. 津島雄二

    津島議員 宮本委員、先般の国会において私ども百七時間の論議をしてきた、それを一市民として見守っておられたのではないかと思いますのでございますから、議論の本筋のところは御承知だと思いますけれども委員の最初の御質問でございますから、ちょっと最初のところから申しますと、まず、政治活動、議会制民主主義のもとにおける政治活動をどうやって支えていくかという根本から考えていかなきゃならないんであって、よく言われるのは、政治資金というものはただただ少ない方がいいという議論も行われております。それは、やはりできるだけ節約する必要がございますけれども、しかし、それぞれの政党がそれぞれの政策、公約というものを草の根の有権者の方に伝達するにはそれなりのコストがかかるわけですし、そのようなコストについては、適正なものであれば、私は、国民もそれは賄っていくべきだ、そして的確に、選ぶときに判断できるようにしてもらいたい、これは恐らく間違いのないところだと思います。  そういう立場に立ちますと、一体どういう手段でこの政治活動を支えるかということになるわけでありますが、このたび政府の方も私どもの方も、私どもの場合は前回から引き続いて、政党に対して国民の御理解を得て助成金をひとつ新制度として導入していただきたいとお願いをしておるわけでありますが、同時に、我々の自己努力というものと相まって御理解をいただき、政治のコストを賄おう、こういう考え方でございます。  そうしますと、我々の自己努力というのはいろいろな形態がありますけれども、やはりまず政党に対する民間からの拠出が必要である。この点については、昭和五十年から政治資金規正法で総枠が決められているわけでありますけれども、実に十七年以上にわたって据え置かれているわけでありまして、この部分を例えば物価調整してみましても大体二倍ぐらいになっておるわけでございまして、前回の国会においては、この枠を物価調整等を考えて二倍にしていただけないだろうかという御提案をしたところでございます。  これに対しまして、政党助成も入るのだし問題もあるのだからもっと抑制すべし、あるいは一部には企業献金を一切やめろという御議論もあった中で、民間のいわゆる臨調の方からも、例えば一・五倍ぐらいということであれば、抑制をする姿勢を示しつつも国民に御理解をいただけ得る一つの考え方かなという御示唆もいただいておるものですから、私どもは一・五倍ということで御理解をいただけないだろうか、こういうことを申し上げたわけであります。  つけ加えて申し上げますと、日本の政治資金をめぐる事情について実にぐあいの悪い状況にあったということは、委員も恐らく感じておられるし、私もそう思っておるわけでありますけれども、一番問題になるのは、正規の政治資金、政治献金というものと、それからいわゆるわいろですね、そういうものとが一緒くたになって議論されてしまっている。これは非常に不幸なことでございまして、やはりきちっとした公開性の原則で、国民の監視のもとに置かれつつ調達をしていく政治資金というものはそれなりの重要性があるということを、ぜひ委員におかれても御理解をいただきたい。  ちなみに、日本の政治資金に関する規則は、入りについても出についても細かく書かれておりますという意味で、世界で最も厳しいものでございます。そういうことを御理解をいただきたいと思います。
  86. 宮本一三

    宮本委員 今の御答弁で、政治資金のあり方についての根本的な考え方、あるいはまた政党への企業献金についても、従来、企業規模、特に資本金ベースで七百五十万から一億円というようなことであったものを一・五倍にしようという、そういったアイデアが出されておりますし、十七年間も据え置かれているわけですから、そういった発想も理解はできるのでございますが、特に今回のこの改正問題が非常に厳しい世論の批判の前にあるということを考え、さらにまた、これからは小選挙区になるということでございますから、活動のエリアが従来に比べまして半分ぐらいになる、あるいはもっと小さくなるかもしれません。そういうことも考えて、さらにまた公的な助成もいただくということでございますので、この際一・五倍ということではなしに、まあまあ従来どおりの寄附をお願いする、企業から政党に対する寄附もそのぐらいでという考え方はいかがなものでございましょうか。
  87. 津島雄二

    津島議員 宮本委員もまだ党、一党の財政を全体ごらんになったことはないんじゃないかと思いますけれども、それぞれの政党政治活動を賄うための資金調達にそれなりの苦労をしておられます。これは私も実際聞いております。  そういうことから考えますと、国民の御理解が得られるという範囲内でやはり本当に率直なお願いをする、しかし、それの調達と支出の対応においては、国民の声にこたえて適正にやるということの方が私はいいのではないだろうか、かように考えておりますので、やはり物価調整等々に相応するまでの分について、抑制をしつつお願いをするということはいいことではないかというふうに思っています。
  88. 宮本一三

    宮本委員 次に、法人税法上の優遇措置の問題について自民党案では触れられております。これは、政党に対する個人献金については従来から所得控除制度、それからまた今度新たに税額控除制度も創設しようということ、これは両案とも一緒でございまして、従来の所得控除制度だけでございますと、比較的所得の高い人の場合に政治献金がしやすくなっておりまして、非常に熱心に政治献金をしてあげたいと思う比較的所得の低い個人の方の場合には非常に難しかったわけでございますけれども、今度の新しい税額控除制度の導入ということが実現いたしますと、これは非常に所得の低い方にも政治献金がしやすくなるという点で、両案とも同じ要求が出されておりますし、私はこれは非常に望ましい案ではあると思うのでございます。政党に対する企業献金、これは政府案では従来のままになっておりますが、自民党案では税法上の優遇措置をこの際さらに考えてはどうかというような御提案になっておりますが、これは具体的にはどんなアイデアをお考えになっておるか、お示し願えればありがたいと思います。
  89. 津島雄二

    津島議員 宮本委員は税制にも若干経験がおありだと思うのでありますが、そういう方の御質問としては、ちょっと私の方から申し上げなきゃならぬなと思っている点がありますよ。  まず、法人税に対する特別措置と、それから個人献金、個人の献金をする方への措置とパラレルで、並べて論じられましたが、ちょっとこれは趣が違うわけであります。  法人税の特例につきましては、あなたも御承知のとおり、その法人税法上の一般の寄附枠というのがありますね。これは御承知のとおり、資本金と所得に対して一定の比率を掛けて限度額が出る。そうしますと相対的にどうなるかというと、資本金の大きい法人には非常に大きな枠が自動的に与えられるけれども、我々ができればもう少し参加していただきたいという、例えば商店街組合に入っておるような小法人につきましては、非常に枠が小さいわけですね。小さいから結局どうなるかというと、その枠の中で、もちろん政治献金ばかりでなくていろいろな寄附、例えば社会保障に関する寄附とかそのすべての寄附が賄われるものですから、結局何にもできなくなってしまうということになるわけであります。  そういうことを考慮いたしまして、寄附金の政党に対する寄附枠というものが本来の寄附枠を超えた場合にも、政治資金規正法上の枠というもの自体がかなり厳しいものでありますから、そこまでは容認してやろう、こういうことでありますから、言ってみれば小法人であってもある程度の政治への参加ができるという考え方も加味した改正を提案しているわけであります。  一方、ちょっとお触れになった個人に対する、個人の献金についての税額控除ですけれども、これは、今まで私どもはいろいろ議論しましたけれども抑制してきた。抑制してきた理由は何かというと、これは要するに、宮本委員の年税額が例えば五十万あった、もっとあなたは高額所得者だと思うけれども、一応五十万としますね。その五十万のうちの、例えば四十万まではこれこれの政治家に献金をしたい、こういった場合に、国に払うべきその四十万がその政治家への献金になるというのが、これは税額控除なんですね。ですから、確かに所得控除と比べると、何というのか、所得の大きい人の方が利益が大きいというあれは薄くなるけれども、逆の意味の嫌らしさがあるということで、今度は政府提案にいたしましても私どもにいたしましても、三〇%を限度とするという非常に厳しい枠をかけたわけでありますから、それぞれの制度のねらい、本質が違うから、正確に御理解をいただいて、私どもの法人税についての限度額というのはいいものですから、どうぞ新生党の中でも大いに議論を起こしていただいて、御賛成をいただきたいと思います。
  90. 宮本一三

    宮本委員 僭越ですけれども、所得税、法人税のパラレルでない点は私も理解して質問をしているつもりでございますので、御理解を願いたいと思いますが、確かに枠を新たに設けるということでございますから、法人が法人活動としていろいろ行動しておりまして、今までですと、今言われたように資本金の額がかなり大きなウエートを持っております。千分の二・五、それに二分の一掛けるわけですけれども、そういった資本金の大きい方が寄附がしやすいという点はございますが、所得がないと、これはとてもじゃないけれども無理ですよという建前に寄附はなっております。その点を、政党への寄附だけは別に枠としてやるんですよというアイデアでございますから、これはかなり大きなウエートを持った、そして税の根幹にかかわる一つの大きな問題でございますので、私が質問をしているわけでございます。  このたびのこの政治改革の話は、法人の寄附ということが大きな問題になって出ていることは御承知だと思いますけれども、それだけに、この問題は簡単に新生党の方もやってくださいよというような問題ではなくて、税の根幹にかかわる問題として十分検討をしていただきたい、このように思います。これは質問じゃなくてお願いでございますが。  最後に、時間三分ということの連絡を受けましたので、もう一問だけさせていただきたいと思うのでございますが、この一票制の問題でございます。  確かに、比例区と小選挙区を二票制にするか、一票の方が党と個人の問題ではっちりいくということでございますけれども選挙する投票者の側から見てみますと、どうしても個人としてはこの人に投票したいんだけれども、たまたま属している政党がどうしても納得できぬというような方、そういう方の投票行動にどうしてもたがをはめてしまうような気がいたします。  憲法上これがいいのか悪いのかという話について数日前の議論にも出ておりましたが、そして、法制局長官のアンサーももう一つはっきりしないようなお答え方であったし、また、このはっきりしないことがはっきりしているのかなというような解釈もできるわけでございますが、その話は別にいたしまして、委員の方にお伺いをするわけでございますけれども、小選挙区でやはり個人としてどうしても投票したい、しかし、その政党にどうしても引きずられるのは困るというふうなこと、さらにまた、これも私の兵庫二区でもあったことでございますが、平成二年の選挙のときに、自民党のある大先生が消費税は反対だと言いました。そして、消費税、自分が通ったら撤廃しますというふうなことを言われたんですが、そういう場合に投票者はどういうふうにすればいいのかという問題がどうしても出てくるんです。  それから、党といいましても、今までのように世界観の違う一つの党、全く違う考え方というふうな場合ですと、これは比較的党によって投票しやすかったけれども、最近になってまいりますと、そういった差がだんだん見えてこなくなっております上に、一つの問題だけが争われているわけじゃないんで、時には農業の問題、時には外交の問題、いろいろな問題を政党としては抱えておりますから、アメリカでもそうでございますけれども、デモクラットの人でも時には共和党の人と同じような行動をしてしまうようなこともあります。そういうことも考えますと、投票の自由を確保するためにも、何か二票制の方が望ましいのではないかなというふうに思うのですが、ひとつ。
  91. 伊吹文明

    伊吹議員 宮本さん、それは確かに一つのお考えだと思います。しかし、これは比例代表並立制そのものが、本来はやはり政権を選択するという小選挙区を基本として我々は出しておるわけですから、そして同時に、連立側の基本的姿勢も、これからの選挙政党本位そして政策本位で選択をするということを言っておられるわけですから、今のお考えはお考えとしてわかりますけれども、もしそのお考えをどんどん広めていくのであれば、完全比例にするか、そして議員の個人個人の活動は制約をしないという完全比例にしておくか、あるいは中選挙区にしておかなければお望みのような事態は私はなかなかできないと思います。小選挙区を基本にした制度で二票制にするということは、本来この案を提案した基本哲学からいけば無理があると私は思っております。
  92. 宮本一三

    宮本委員 この点に関してはまだまだ議論はあるのでございますけれども、ちょっと何か時間をここで切り上げろというあれが入っておりますので、質問を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  93. 石井一

  94. 石田祝稔

    石田(祝)委員 公明党の石田でございます。  まず最初にお伺いをいたしたいと思います。  最近のいろいろな自民党の幹部の方の御発言も出ておりますけれども、先日の我が党の同僚委員質問に対するものと、それから別の角度のものをちょっとお聞きしたいのですが、十九日の委員会で我が党の貝沼委員質問に対して、森幹事長の発言、これは鹿野議員は確認をするということを御答弁だったと思いますけれども、確認をされて、この御発言に対してはどういうふうなお考えだったでしょうか。
  95. 鹿野道彦

    鹿野議員 私から申し上げましたとおりに、幹事長発言というのは政治的発言である、このよう に申し上げましたが、まさしくそのとおりでありましたということであります。
  96. 石田祝稔

    石田(祝)委員 政治的発言ということではなくて、ここでは自民党の姿勢だ、幹事長の発言は重い、こういうことでありましたけれども、この点は、結局五百については絶対変えられないところとして挙げていないということですか。ここのところで合意できないところとして挙げた中に総定数五百は入っていないがどうか、こういう貝沼委員質問に、幹事長の発言は重い、確認をしてみると、こういうことでしたね。
  97. 鹿野道彦

    鹿野議員 私が申し上げましたのは、全体としてそれぞれの政党責任者がいろいろな場面でいろいろな発言をいたす、こう申し上げたわけです。ですから、多分政治的発言でございますよということで申し上げさせていただき、まだ確認をいたしませんと、こういうふうなことでありました。  そこで、きょう御質問がありましたから、全体の発言としての幹事長としての政治的発言でございますよということを確認させていただきました、こういうふうなことであります。
  98. 石田祝稔

    石田(祝)委員 政治的な発言ということで確認をした、こういうことですね。  じゃ、これも政治的な発言かもしれませんが、もう一点お聞きをしますと、こういう記事がございました。「事務所を三つ増やした 小選挙区はカネかかる」、こういう大きなリードで、「二つしかなかった地元事務所を今月だけで三つ増やした。家内もほとんど選挙区に張り付いている」、続いて「今日の新聞記事に、小選挙区になれば余計にカネがかかり、買収も増える、と書いてあった。これは当たっていると思う」、これも政治的な発言だと思いますけれども、御確認させてもらいたいのですけれども、御本人いらっしゃいませんからどなたか、多分大事な発言なので、事実かどうか、どういう真意か御確認になっていると思いますけれども、いかがでしょうか。
  99. 鹿野道彦

    鹿野議員 そういうふうなところまでは私は確認いたしておりませんけれども、もちろんそういうふうなことがどういうふうな趣旨でお話しなされたかどうか、その内容については定かでございませんけれども基本的には、幹事長のいわゆる考え方というふうなものは我が党の考え方とは変わっておらない、何ら変わることはないということだけ申し上げておきます。
  100. 石田祝稔

    石田(祝)委員 これは鹿野議員、失礼ですけれどもちょっと違うんじゃないでしょうか。  まず、小選挙区にするということを海部内閣のときに提案されたときに、中選挙区制は同士打ちでお金がかかると。ですから一つは、金がかからない選挙にしていく必要がある、また政党・政策本位の選挙が大事だ、こういうことであったわけですから、小選挙区は金がかかるという幹事長の発言は党の考え方と同じだというのは、ちょっと違うんじゃないですか。
  101. 伊吹文明

    伊吹議員 石田先生、実はこの問題は解散前の当委員会で、小選挙区でお金がかかるか、かからないかということは、先生も御参加になっていたかどうかわかりませんが、円卓方式で自由討論をしたとき大変な議論になりました。  それで、問題は二つあると思いますが、一つは、今、中選挙区から、この案が成立すれば小選挙区に切りかわりますね。で、現に今のところ残念ながら、自民党は、残念ながらというか当然ながらというか、政権をとろうとしておったわけですから、他の党はともかく。だから、その百三十の選挙区で五百十二の過半数をとろうとしておったわけですから、一つの選挙区に平均二人あるいは三人を立候補させておったわけですね。そういう影を引きずりながら小選挙区に移行する場合、これは私は、制度が定着するまでは白地に絵をかくようなわけにはなかなかいかない部分が、やっぱり幹事長も一人の候補者として思わず言葉に出たんじゃないかという気持ちが一つします。  それからもう一つは、小選挙区になったからといってお金がかからないという保証はありませんよ。これは、同士打ちをしないということは確かにあります。同士打ちをしないということはあります。しかし、党と党との間の激しい選挙をすることになるわけですから、つまり、一つの中選挙区で二人、三人と立候補しなくてもいいということは、個人がお金をさわらなくてもいい、したがって個人のスキャンダルは起こらないということであって、トータルな政治の民主主義のコストというものがどうなるかはこれからの有権者とそして政治家の双方の関係によって決まってくると私は思います。現に、共産党は、実質的には、今、中選挙区ですが、一つの選挙区からお一人ずつしか立候補させておられませんが、政党としての政治資金は膨大なものがあるわけですから、そこは同士打ちでお金がかかるからということではありません。政党本位、政策本位の選挙に変えて、個人がお金をさわらなくてもいいようにしようということですから。
  102. 石田祝稔

    石田(祝)委員 私は、個人的には、政治に金をかけるなということは直接的には思いません。やはり午前中でも津島委員がたしか御説明になりました、いろんなことに、周知徹底をする、広報する、政策を理解してもらう、これはもうお金がかかりますのですけれども、そのことと選挙に金がかかることはちょっと別じゃないかなという私は気がします。極端に言えば、選挙で法定費用が決められているわけですから、公式にはそれ以上使ってないわけですからね。ですからそこのところは、政治にお金がかかると言われたのか、選挙に金がかかると言われたのか、どうも小選挙区制になればというんだから選挙のことだと思いますけれども、まあこれはこれ以上申し上げません。  今こういう議論をしておりまして、やはり一般の国民は、選挙制度を変える、中選挙区制の中でどうしてもお金がかかるという議論だ、やはり小選挙区制になれば金がかからないだろうという、そういう議論国会でしているんじゃないかと、こういうある意味では期待を持って見ていると私は思いますので、ちょっとこういう発言が出ますと、何だ、どういう方向で政治を変えようとしているのか、お金と政治の問題をもうちょっと追求してもらわなきゃ困る、こういう御疑念というんですかね、そういうものを持たれたかもしれないので、私はぜひここのところは御党の幹事長にもよろしく言っていただきたいと思います。  それから、続きまして、今回がある意味で言えば三度目になるわけですね、海部内閣、宮澤内閣、そして今回と。これで、二回の内閣でできなかった。なぜできなかったんだろうか。これはどなたがお答えになるかわかりませんけれども自民党内の理由というのはどういうものがあったのか、お答えをいただきたいと思います。今の与党の理由は結構ですから、自民党内だけの理由をお願いします。
  103. 鹿野道彦

    鹿野議員 自民党内というふうなこともございますけれども、いずれにしても、お互いの譲り合いというふうなものが合意に至らなかったというふうなことではないかと思っております。
  104. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それではお聞きしますが、前国会、百七時間、非常に真摯な議論を積み重ねられて、私たちは当初、併用案を提案をいたしました。そして自民党は単純小選挙区制。そういう中で、最後我々も連用制まで歩み寄るということを決定をいたしました。そうしたら最後、私に言わしていただければ、どうしても自民党が単純小選挙区の党議決定、小骨一本でも動かすのに総務会の決定が要る、こういうところで最後どうしても合意ができなかったというふうに私は理解をいたしております。  その意味で、今回、どんな小さなことでも、ある意味で言えば総務会にかけて議論をして決めていくのか、それとも、ある意味で言えば当時者または最高責任者にフリーハンドで修正権も与えて、そして党として何としても合意を、成立を図っていくお考えなのか、ここはいかがでしょうか。
  105. 鹿野道彦

    鹿野議員 過般もこの問題につきましては触れさせていただきましたけれども、総裁、四役、政治改革部長に裁量権が与えられておる、こういうことであります。
  106. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうすると、最後ぎりぎりのところで政治決断をする場合には、ある意味で言えばその最高責任者が決断をする、そしてまとめるということですね。ではわかりました。  それで、続いてお聞きをいたしますが、これも繰り返しの御質問になるかもしれません。ほかの方が聞かれているかもしれませんが、私は自分なりにぜひ確認をさしてもらいたいんですが、八月十日の細川内閣成立の翌日、記者団からこういう質問があった。政治改革法案の年内成立を政治的公約と受けとめていいのか、こういう記者団の質問に首相は、結構ですと。そして、続いて記者団が、成立てきなかった場合には何らかの政治的な責任をとるということですかと。それに対して首相は、そういうことでございますと、こう言われたわけですね。周りは、ちょっと言い過ぎじゃないか、こういうこともあったようですけれども、続いて八月の二十三日に衆参両院の所信表明でも、同じく年内成立を言われた。首相は、ある意味では年内実現を公約として、そして政治責任をとる、こういうことで明言をされたわけでありますけれども、これは自由民主党は、年内成立というのはある意味で言えば公約なのかどうか。自分たちの案を提案をしているわけですから、成立させるために出していると思うのですけれども、この年内という一つの期限を切った成立についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  107. 鹿野道彦

    鹿野議員 私ども政治改革を実現しなきゃならないというこの決意のもとに、今回我が党といたしまして自信を持って提案をさしていただいているということでありますから、それですべて御理解をいただけるものと思います。
  108. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうすると、全責任を持って提案をして、会期内に成立させる、こういうお考えなわけですね。
  109. 鹿野道彦

    鹿野議員 私ども基本的な考え方は、ベストのものを出さしていただいております、ですから、連立与党側におかれましてはぜひこのことを御理解をいただきたい、このようにお願いをさしていただきます。
  110. 石田祝稔

    石田(祝)委員 まあ法案というのは、出してくる当時者からすれば全部ベストの法案なはずですから、それは私はそのとおりだろうと思います。しかし、ここで私がちょっと気になるのは、津島委員も前国会からも熱心にやられておりましたし、そういうこの委員会の中の、ある意味で言えば非常に、成立に向けたいわゆる温度と言ったらおかしいんでしょうけれども、熱気というものと、一歩外に出ると何となく寒いんじゃないかな、委員会室を出ると冷ややかな空気が流れておらないかな、それを私は一つ心配をいたします。  ですから、あの百七時間のときには非常に濃密な議論がされて、本当にもう、いま一歩という感じもしたわけでありますけれども、きょうこの御議論、これから成立に向けて進めていくわけでありますけれども、前回と今回と、この委員の皆様の自分たちの熱意と、一歩外へ出たときの党内の温度差、これをどのようにお感じになっているか。ちょっと順番にお聞かせいただければありがたいと思います。いや、温度差がなければないでいいんです。
  111. 津島雄二

    津島議員 前回は春でございましたが、今は秋でございまして、温度差は若干前とは違うと思うんですが、私は、率直に言って前よりも今度の方が温度差は少ないと思っております。それは差はありますけれども。  何とか、お互いに意見を述べ合って、できることならば私どもの案について御理解をいただいて、政治改革を実現していただきたいとお願い申し上げます。
  112. 鹿野道彦

    鹿野議員 津島委員が今答弁された考え方と私の考え方は、温度差はございません。
  113. 保岡興治

    保岡議員 前国会もそうでしょうし、今国会もそうでしょうが、やはり政党としてもまた議員個人としても、政治生命にかかわるような重大なことについて審議をしているわけですから、いろいろ考え方や、また思いも複雑だと思います。それが正直なところだと思うのです。  そういった意味で、いろいろ考え方はあるものの、温度差というものはあるかもしれませんが、しかしながら、我が党は、先ほど鹿野議員答弁しましたとおり、本当に最高のベストの案をきちっと出してこ審議に臨んでおるということで御理解をいただきたいと思います。
  114. 石井一

    石井委員長 三人でいいんですか。
  115. 石田祝稔

    石田(祝)委員 いえ、済みません、伊吹先生にもお願いします。
  116. 伊吹文明

    伊吹議員 まとめていこうという雰囲気ということからいえば、私も前国会答弁者として参加しておりましたが、今回の方が温度差は私は少ないと思います。  ただ、温度そのものが全体としてこの議場の中で高いかどうかは、これは、電気は必ず二つが合わさって熱が出るわけですから、連立側と私どもの方がより熱心な議論をしてここの温度を上げていかなければいけない、私はそんなふうに思っています。
  117. 石田祝稔

    石田(祝)委員 どうもありがとうございました。  温度差というのは非常にわかりにくいかもしれませんけれども、残念ながら、きょうのこの委員会出席状況を見ても若干前回と違うかなと、正直私そう思います。  それで、この政治改革というのは、実は私も、一九九〇年の選挙で最初の当選をさしていただきまして二回目でありますけれども、実は、考えてみますと、八九年の参議院選から、国政選挙だけでも四回、ある意味で言えば政治改革を公約している。その中に統一選があり都議選もあった。ですから、今回の、公約ではないということは、もちろん私も含めて皆様も同じお考えだと思いますけれども、そうすると、例えばこれを、法案として政府・与党案と自民党案と両方出ている。これはそれぞれが出す段階ですからベストの案だ、これはもう当然のことです。ですけれども議論をしていくうちに、やはりここは変えた方がいいのかな、これはこうした方がいいのかな、これは出てくると思うんですけれども、これは法案ですから、採決ということがどうしてもなければ法律にならないわけです。  その意味で、数の問題を考えてみますと、政権をとっている方が人数が多いのはこれは当たり前ですから、与党案は、ある意味で言えば採決をすれば通る。自民党案は、そのまま採決をすれば賛成少数ということにどうしてもならざるを得ないと私は思います。ですから、それを年内合意、年内成立をということを考えますと、そうすると、政府・与党案の採決をそのままするのか、両案そのまま採決するとしましてもう一点は、自分たち考えを与党案の中に修正という形で入れて、そして賛成をするか。こういう、余り選択肢は私はないというふうに思いますけれども、この点について、成立という点で考えてどのように今お考えになっていらっしゃいますか。
  118. 鹿野道彦

    鹿野議員 私どもといたしましては、重ねて申さしていただきますが、ベストの案として出させていただいておるわけでありますので、わかりやすく申さしていただきますならば、我が党の案に連立与党側が御理解をいただく、このことが成立の道につながると、こういうふうなことにはなるわけでございます。  しかし、この議論の中で申し上げさしていただいておりますけれども、土俵づくりというふうな問題でありますから、一つの土俵で相撲をとりましょうよと、こういうところまで来ておるわけでありますから、私といたしましても、合意形成には努力をさしていただきます、こういうふうに申さしていただいておるわけでありますから、この点は、私どももその実現に向かって努力をしていくというこの姿勢というふうなことだけは、ぜひ重ねて御理解をいただきたいと思います。
  119. 石田祝稔

    石田(祝)委員 私は、一九九〇年に当選をいたしまして、最初の質問が実は津島提案者に、厚生大臣の一般質問ということでさせていただきました。それ以降、野党として一期を過ごしたわけでありますが、その間いろいろな法案の修正もいたしました。例えば思い出にあるのは、老人保健法の修正とか、非常に大変な激突の中での修正で、もう徹夜の中で修正案が成った。  ですけれども、それを考えてみますと、やはり私たちが当時野党であった。野党の方からこういう形で修正をしてくれ、それを自民党の方がのんで法案を修正する、また、附則をつける、どうしてもできない場合は附帯決議をつける。ですから、老人保健の場合は随分修正をいたしました。ですけれども、あれも、与党の側からこういうふうに修正したらどうでしょうかということではなかったと私は思います。野党の方の考えをぶつけて、これでどうだ、これで修正をしていくべきではないか、その中で、結学修正案、修正を出して、修正を入れていただいて賛成をした、こういうことだったと私は思います。  ですから、お互いに、ある意味では言い出さないで、我が党がベストだベストだということであれば、これは、最後採決をすればどうしても数の問題になってくるわけです。ですから、いろいろな国会の今までの状況を見てきても、どうしてもそれが私はとてもいいとは思えませんので、その合意に至る努力の中で、ある意味で言えば、今までのように、私たちが修正をお願いをした、こういう形の方が私はいいのではないか、こういうふうに思いますけれども津島委員にできたらお答えをいただきたいと思います。
  120. 津島雄二

    津島議員 今思い起こしておるわけでございますが、国民の幸せ、生活に一番関係のある福祉、医療関係の法案幾つ与野党で熱心な討議をして結論を出していった。そのときに、今と同じように政府案を当時の与党、私どもは抱えておったわけですね。確かに、委員指摘のとおり野党の側からは反対意見が出ておりましたが、あのときは、反対意見の所在がわかった上で、やはり与党が、円満にこれをし遂げるためにはこうしたらいいという与党側の熱心な働きかけが一番大事だったと思うんです。  ですから、そういう意味では、今度もやはり政府案が出ておる。それから、私ども考えは私どもの案で出ておりますから、つまり、こっち側の意見はもうおわかりなんですから、そこで与党の方で、例えば左近理事などの強力なお力もあって、私どもの方にいろいろと御提案をいただく方が早く進むんじゃないだろうかというふうに思っております。
  121. 石田祝稔

    石田(祝)委員 御熱意のほどはわかりましたので、個別の問題にちょっと移らせていただきたいと思います。  一つは、政治家の資金調達の問題でお伺いをしたいんですが、企業・団体献金という形でお伺いをいたしますと、自民党提案者の皆様は、企業・団体献金をいわゆるふやすという方向でお考えになっていらっしゃるのか、それとも個人献金にどんどん、ある意味で言えば努力をして切りかえていって、企業・団体献金は少なくとも現状維持、また将来的には減らす方向にお考えになっているのか。ふやすか、現状維持か、減らすか、現在はどういうふうなお考えなんでしょうか。
  122. 津島雄二

    津島議員 結論を先に申しますと、トータルな企業・団体献金というのは、どちらかというと減少する方向が考えられている。それはどこへ出ているかといいますと、政治家につながった企業献金というものは資金調達団体に限って、しかも月に会費程度のものにしてしまうということであります、  ただ、政党助成をいただく中で、やはり政党も自助努力をしなければならないということで、政党に対する企業献金は、まあ物価調整に至らないけれども、ある程度の手直しをしていただく。しかし全体としては、やはり無理のない資金調達ができるような政治環境をつくりたいということでございます。
  123. 石田祝稔

    石田(祝)委員 済みません、ちょっとこれ確認させていただきたいんですが、企業・団体献金が客観的に減っていくという予想なのか、それとも、私がお聞きしたいのは、お考えとしてふやしていく方向で考えていらっしゃるのか。ふやすという方向で考えていても、客観的に、例えば経団連があっせんを中止をするとかいろいろなことがございますから、これはまた別の話で、お考えの中で、ふやす方向にお考えになっているのかどうか、これをちょっとお聞きしたいのです。
  124. 津島雄二

    津島議員 ふやす方向では考えておりません。  例えば、政党助成の根拠になった、政党に対するものとそれから政治家の政治団体に対する寄附の総量というものもあえて古い時点でとって、それを基礎に三分の一、三百億、これは要するに、トータルとしてこれ以上ふやすよりは抑えていく方向だという考え方と受けとめていただいて結構であります。トータルではです。
  125. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうしますと、例えば企業・団体献金の総枠のA枠というんですか、あれは一・五倍にたしかされておりますね。そのことと、例えばあと、先ほども質問がございましたけれども、法人税のある意味で言えば献金促進税制をお考えになっているのではないでしょうか。この二点と先ほどの御発言とはどういうふうにつながりますでしょうか。
  126. 津島雄二

    津島議員 ですから、私、気をつけてトータルでと言って、その中の組み合わせというものは、やはり政党中心にシフトをしていく。それで、たくさんの政治家にかかわってあった政治団体については、もう二つの調達団体以外は企業献金は認めない。この方がずっとトータルとしては額が大きいわけでありますから、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  127. 石田祝稔

    石田(祝)委員 済みません、もう一度お伺いしますが、今までは、政党政治資金団体に持っていくA枠というのがあって、そして政治家個人または政治団体に持っていくB枠というのがありました。そうすると、B枠というのはもうなくなったということですか。
  128. 津島雄二

    津島議員 企業のB枠については、ごく限られた分野で意味があるわけでありまして、従来のような意味の、政党以外のB枠というものは余り意味がないというふうに見ていただいて結構です。
  129. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それは余り意味がないというのはどういうことでしょう。私の記憶が間違っているのかもしれませんが、たしかA枠の三分の一を充てているんじゃないでしょうか。ですから、一千百二十五万から一・五億円の三分の一で、幾らになるんですか、最高五千万、これが資金調達団体に行けるんじゃないんでしょうか。
  130. 津島雄二

    津島議員 このB枠というのは、寄附の総額でございますね、一年間の総額です。その総額の条件としてはこれは意味があるわけでありますけれども、現実には、資金調達団体という限られた数の団体に対する会費程度の寄附というところで抑えられてしまうということを申し上げているわけであります。
  131. 石田祝稔

    石田(祝)委員 これはまた若干、ちょっと後で経過措置のところでも聞きたいのですが、例えば、この同じ趣旨の質問があったと思いますが、資金調達団体を二つに制限をする、そしてその中で一つは二十四万円まで。これは、ある意味で言えば小口になるということで、二十四万掛ける幾つというところは、ある意味で言えばないわけですね。それで、それは例えば、会社の中で五千万という枠がありますから、二十四万全部出していけば、それは二百の政治資金調達団体に出せるかもしれませんけれども。  これで、私が思うには、例えば五千万の枠がある。自分のところはA社というところに非常に応援をしてもらっている。ですけれども、今度、例えば小選挙区になると、そのA社は自分の選挙区からは外れる、今までは中選挙区で入っていたのだけれども。今度は、そのA社がBという候補の選挙区になる。そうすると、ある意味で言えば、今までだったら、同じ政党の中で争っていたら、とても自分の後援するそういうところをお互いに融通するということはないわけですね。ですけれども今度は、君のところにA社が行くから、A社に君のところにも献金をするように言おう、そのかわり、自分の選挙区になるおまえのところの後援してくれる会社も紹介して、うちにも献金回してくれよと、二十四万、二つで四十八万となっても、いわゆるあっせん献金みたいなことができはしないか。言葉がいいかどうかわかりませんけれども。今までだったら、とてもお互いに、ある意味で言えば中選挙区の中で自民党同士、敵同士争っていた。それが小選挙区になって、区域が分かれた。そうすると、お互いに融通し合う、こういう形で幾らでも、ある意味では、会社の数が限定されておりませんから、小口で行くのではないか。  ですから、政治資金調達団体も、企業・団体献金というものはやはり廃止をするということの方が私は大事ではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  132. 津島雄二

    津島議員 お互いにあっせんをするというような話は、現行法では盛大に行われるわけですね。それは、中選挙区制の範囲内ではなくて、それを超えれば幾らもある。それは、率直に申し上げますと、派閥等が絡んで現実には相当そういうケースがあり得るわけです。  それを、全体として資金調達団体と、会費のようなもの以上受けられない、それぞれの政治家について。ということは、これは最も有効な抑制手段でありまして、ですから、政治活動を補うためのさらなる協賛をどういう形でするかとなると、むしろ政党に対するものにシフトをしていく。そしてまた、その方がずっと望ましいのではないだろうか、また、その点においては政府案と軌を一にしているというふうに私どもは思っております。
  133. 石田祝稔

    石田(祝)委員 私は、資金調達団体を二つに制限をしても、実際、お金というものはなかなか制限をされないのではないか。ですから、政府・与党案としては政党に集めるという方向で進めているわけでして、資金管理団体も受けられない、政党政治資金団体のみということですから、これは政党に集約をしていくということで、私は、与党案の方がこれはいいのではないか、このように実感として思いますけれども、いかがですか。
  134. 津島雄二

    津島議員 委員の今の認識に、若干私疑念を持っておりますのは、政府案において、確かに企業献金というものは政党以外廃止しておりますけれども、何というか、政治団体は幾つでも、どのようにでもつくれる。そして、政治団体の間の資金の融通は、これは全く自由だ。そうすると、どういう形になるかといいますと、企業が、企業名では献金いたしませんけれども、まあいろいろな形で、個人名で入れて、そこで個人会費をつくらせる。政治連盟というものをそういう形に改組していきますと、それは相当の機能を発揮するのではないだろうか。そうしておいてそれをずっと流用していくということになると、一体これはどういうことになるのだろう。  それからもう一つはパーティーですね。政治団体いっぱいつくれますから、その政治団体がパーティーをやる、これは事業ですよと。その集まったやつはどうにでも流用できる。  こういう点については、私どもの案の方はこれは絶対できませんから、資金調達団体というのはよそから入れられなくしてしまいますから、私は、その点は私どもの方がすぐれていると。だから、この辺のところで歩み寄れるのではないだろうか。先生におかれても、帰ってもう一度私どもの案と比べてみて、いいところがあったら御賛同いただきたいと思います。
  135. 石田祝稔

    石田(祝)委員 政府案自民党の案の違うところは、いわゆる資金調達団体というものを政治団体以外につくって、そこに企業献金を集められるということではないのですか。ですから、政治団体も、自民党の案ではお金を、個人献金を受けてはいけないことになっていないんでしょう。(津島議員「だけれども、企業献金はだめです」と呼ぶ)いや、それはもちろん我々だってそうですよ。政府案だって全部の団体に企業献金だめですから、政党だけですから。
  136. 津島雄二

    津島議員 要するに、外側にある調達団体、おたくの方の政府案でいえば管理団体以外の一般の政治団体の立場は、そこは同じなのですよ。企業献金は集められない。ただし、パーティーはできるかもしれない。非常に違うのは、政治家を支える団体、つまり調達団体に対しては一切そっちから金を入れてはいかぬということなのですね。ところが、政府案では幾らでもそれは管理団体に入れてもいいということでありますから、これは一部には、いや、こっちの方がいいやなんというのも、こっち側の方の席で聞こえたりするのでありますけれども、そういうことを申し上げているわけであります。
  137. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それでは続いてお聞きをいたしますが、パーティーのことが出ましたので、これ一つだけお聞きしたいのですが、パーティーの公開基準、たしか五十万ということですね。これは政府案の五万と比べて非常にバーが高いわけでありますけれども、まあ高いというか低いというか、この点はいかがでしょう。
  138. 津島雄二

    津島議員 私どもは、パーティーというのはそれなりに、本来のものであればその回数が制限されるものですから、そういうことについて、常識的な判断でどのくらいまでがいいだろうか、それから事務的な煩雑さもございますからね、それで一応五十万ということで提案をいたしております。前回は六十万だったのですけれども、やや努力をいたしました。この辺は、国民の見る目がどうなのかということを頭に置いて、お互いに議論し合えるところではないだろうかというふうに思っております。
  139. 石田祝稔

    石田(祝)委員 政治資金で最後にお聞きをしますが、経過措置についてお伺いをします。  この法案を順調に年内成立ということになりますと、政治資金規正法平成七年の一月一日から動き出すわけですね。その間、自民党案は三年間経過措置を持っております。そうすると、平成七年、八年、九年と経過措置を経て、極端に言えば平成十年から、いわゆる今るるお述べになった、自民党の案はベストの案だ、こう言われるところに、ある意味でいえば今から四年半かかってたどり着く、こういうことですね。三年間も、こういう形で、政治とお金の問題が非常に大きな問題になって、政治改革を皆さん選挙でお訴えになって上がってきた、その中で、そのお金にまだどうして三年間の経過措置をつけなくてはならないのだろうか。非常に素朴な疑問でございます。  これは、ある意味でいえば、三年間というのは合理的な理由があるわけではなくて、こうする、こういう考えだということだと思いますけれども、そこのところを、経過措置をなぜつけたのか、ぜひ御説明をいただきたいと思います。
  140. 津島雄二

    津島議員 この経過措置は、前回の国会の案でも五年ということでつけておりました。その考え方基本は、やはり政治機能をするということもこれは大事な要請でありますから、だんだんと個人献金を奨励していく中で、それから資金の流れを政党中心に変えていく中で、政治を過渡期においても機能させながらやるにはどうしたらいいかということで、前回、五年ぐらい、だんだんと努力をしようということでありましたが、前回の国会でその点も御指摘を受けましたので、それではもう少し努力をしていこうということで三年といたしました。  この辺のところもお互いに議論し合って、常識的にどの辺がいいのだろうかという結論を出すべき部分ではないだろうか。私どもは、やはり三年ぐらい今のような形でやっていただくのが一番いいのではないかというふうには思っておるわけであります。
  141. 石田祝稔

    石田(祝)委員 続いてお聞きをいたしますが、その前に一つ、この中にちょっと書いておりませんでしたけれども、投票方法でお聞かせいただきたいのでございます。  不在者投票のやり方でありますけれども、普通の投票はいわゆる記号式一票制ということで○をつける。不在者投票はどういう形でお考えになっていらっしゃいますか。
  142. 臼井貞夫

    ○臼井法制局参事 自民党案の作成に手助けした法制局でございます。私の方から御答弁申し上げます。  不在者投票あるいは在宅における郵便投票は、記号式ではなく、自書式で行うことになっております。
  143. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうしますと、例えば、通常の投票であれば一カ所に○をつけるということでその人の意思を確認をするということですけれども、そうすると、名前と政党名を両方書かなければ無効ということですか。それとも、名前だけでも名前の部分だけは生かしますよということですか。
  144. 臼井貞夫

    ○臼井法制局参事 お答えいたします。  候補者と政党の両方を書いていただく。それ以外は無効ということになっております。
  145. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それはちょっと違うんじゃないですか。そうすると、自民党の案は二票制なんでしょうか、一票二記載なんでしょうか、それとも一票制なんでしょうか。二つ書かなければいけないというのは、まさしく二票制の考えではありませんか。そうすると、通常の投票と、不在者投票、郵便投票は、投票の方法が違うという前提なんでしょうか。
  146. 臼井貞夫

    ○臼井法制局参事 説明がちょっと不足しまして申しわけありませんでした。  一つの投票用紙に同時に候補者名と政党名を書いていただく、こういうことでございます。
  147. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうすると、通常投票は名前の前に○をする、自書式は名前と政党名を書く。一票式だったら名前だけ書けばいいんじゃないでしょうか。違うんですか。
  148. 伊吹文明

    伊吹議員 お答えを申し上げますが、一般に行われる総選挙の場合は膨大な投票が一時に行われます。したがって、この際の投票と、例外的に認められている不在者投票に同様の準備をするということは、やはり極めて経費面その他をもって無理があると思います。したがって、今申し上げましたように、公認候補とその人の所属している政党を書く、あるいは政党だけ書いていただいてももちろん結構です。そういう投票方式になるわけですから、基本的にはマークシート方式と何ら変わらない、それを白書でお願いしたいということです。
  149. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それは伊吹先生、ちょっと違うんじゃないでしょうか。手間の煩雑さのことを言っているのではなくて、いわゆる考え方のことを私は申し上げております。これはどうなんですか。要するに、通常の投票では、みずからの、ある意味で意思を確認するところは、○は一個だ。不在者投票は、ある意味では意思を二つ、だれだれさん、何々党、こういうことでしょう。それはちょっと違うのじゃないですか。  法制局、どうですか。
  150. 伊吹文明

    伊吹議員 これは、マークシートには、例えば石田何々(公明党)と書いてあるわけですね。書いてあるから、その上に○をするということによって、石田先生と公明党、比例区において公明党に投票したという行為が行われるわけでしょう。  ところが、不在者投票においては、手間の話は別としてとおっしゃいましたが、不在者投票に一々マークシートを準備できないということからすれば、そこでは石田さんであり、同時に公明党と書いていただきたい。それを一つの投票行動として、一票の行為として認めたいという、そういうことを法制局は言っておるわけです。
  151. 石田祝稔

    石田(祝)委員 だから、名前だけで認められないのかということになるわけですね、両方書かないと無効だということをおっしゃるわけですから。  だから、意思の確認は、横になっていようがなっていまいが、例えば、私が小選挙区から出れば石田祝稔、まあそのとき何党になっておるかわかりませんけれども、公ということは、それはほかに多分同姓同名が出てないと思うのですよね。ですから、そこのところをもうちょっと、法制局、整理してお答えください。
  152. 臼井貞夫

    ○臼井法制局参事 お答えいたします。  記号式投票におきましては、既に候補者名と政党名が並んで印刷されておるわけです。そこに○をつけるという行為は、白書で言うならば、候補者名と政党名をともに書く、こういうふうになるかと思います。
  153. 石井一

    石井委員長 自治省はどうだ、自治省選挙部長、何か意見ないか。――石田君。
  154. 石田祝稔

    石田(祝)委員 いやいや、選挙部長来ているのだから、ちょっと。
  155. 石井一

    石井委員長 それでは、佐野選挙部長
  156. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 私ども自治省といたしましては、自民党案につきましては正式に検討いたしておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  157. 石田祝稔

    石田(祝)委員 我々だって勉強しているのですから、ちゃんと勉強してくださいよ。  済みません、ちょっと時間の関係で、一つ最後にお聞きをします。これは非常に疑問が残るということを最後に申し上げておきます。  政治資金規正法違反者の選挙運動についてお伺いをいたします。選挙運動です、政治資金規正法違反者の選挙運動。  通常、今まで、選挙中の選挙違反、これについては選挙運動が制限されてきた。しかし、いろいろお金の問題等の不祥事が重なってきて、やはり罰則を厳しくすべきじゃないか、こういうことで今回、例えば執行猶予中の方も今までは選挙に出れた、しかし、今回はだめだ、こういう案ですね。それで、自民党案で、政治資金規正法の違反を犯して禁錮刑を受けた、または通常の罰則になる方で、選挙運動はできますか。
  158. 保岡興治

    保岡議員 公選法に係る違反についての公民権停止は、選挙のルールを破ったということですので選挙運動はできない趣旨に現行法はなっていると思いますが、政治資金については、いわゆる選挙権、被選挙権だけの停止ということで、選挙運動の禁止まではかぶせないことになっております。
  159. 石田祝稔

    石田(祝)委員 政府案では、この政治資金規正法違反者もやはり厳しく、選挙運動もできないようにしよう、こういうことで一項を設けているのです。  ですから、ある意味では、選挙のお手伝いをする人の選挙権と被選挙権、手伝いをするわけですから自分が立候補するわけないですね。それで、選挙権はもちろんないけれども、通常のいわゆる選挙運動はできる。例えば秘書さんなんかも通常どおり一生懸命動くことができる。これはやはりもう少し厳しくお考えになって、選挙運動も制限をするというお考え政府案のように入れたらどうでしょうか。
  160. 保岡興治

    保岡議員 今お答えしましたように、選挙運動のルール違反という者は直接選挙運動ができないこととする公選法のそのつながりは、それなりの論理性があると思うのです。政治資金について、違反についても選挙運動ができないという考え方も一つの考え方だと思いますが、我々は、公選法と政治資金とは違うという認識で提案しております。
  161. 石田祝稔

    石田(祝)委員 この問題、私は、いろいろ政治資金を含めまして、ある意味でいえば、正しい、間違っているという割り切り方はできないと思います。しかし、それをどうするのかというお考え、これは明確に法案の中に出ている。ですから、選挙運動に関しても、これだけ政治資金規正法の問題が言われている中で、やはりいま一歩踏み込んで、ある意味では本人にとっては厳しいかもしれないけれども、厳しい方向でお考えをまとめるというのが、私は今正しいのではないかと思います。  最後に意見を申し上げましたけれども、ありがとうございました。
  162. 石井一

    石井委員長 次に、枝野幸男君。
  163. 枝野幸男

    枝野委員 日本新党の枝野幸男でございます。  まず、皆様方御承知のとおり、公職選挙法の二百五十一条は、選挙犯罪を行って有罪、刑に処せられた者については当選無効になる、こういう規定になっております。この規定は、もちろん自民党さんの提案されました改正案でもそのまま残っておりますが、これは要するに、選挙犯罪を行って刑に処せられるような、そのような方に入れられた投票については選挙の公正を害する投票があったということだからこそ、ほかの犯罪で例えば禁錮刑を受けたとか、そういったことで問題になった場合とは違う扱いを受けているというふうに考えられております。  さて、ところで今回、小選挙区と比例代表と二つの選挙がいずれの案でも出ておりますが、小選挙区の候補者がどのような選挙犯罪を行って、その方が刑に処せられて当選無効になった場合でも、比例代表の選挙にはこれは直接には影響は出ない。比例代表の票が減るとか当選者を一入減らすとか、そういったことにはならない。ですから、例えば極端な例を申し上げますと、私は埼玉県の選出ですが、例えば埼玉県選出の日本新党の小選挙区の当選者が全員買収で有罪で刑に処せられた、そして当選無効になった場合であっても、埼玉県内で日本新党に投票されたその票は全部有効で当選者が出る、比例代表で当選者が出る、こういうことになるわけです。  これは確かに、小選挙区と比例代表と別々に投票したのであれば、それは一応合理性はあるかな、政治的な責任とかという問題は別として、一応合理性はあるかなと考えられますが、一票制の場合は、当該小選挙区で選挙違反を行って刑に処せられたその人に投じられた票と、比例代表でその方の属している政党に投じられた票と、全く一個の、一つの投票の中でなされているわけです。ですから、小選挙区の候補者が自分の選挙のために、自分が当選するためにさんざん買収、お金を配って票を集めてくるというようなことをしてきて、そして票がたくさん集まった、そのおかげで比例代表の方も当選者が出たというときに、比例代表の票はそのまま残ってしまう。これはちょっと、理屈としてはともかくとして、理屈はいろいろつけられるかもしれませんけれども、国民感情としてはちょっとおかしいんじゃないか。同じ一票で投票して、片方は無効になって、当選まで無効になるのに、比例代表の票はそのままというのはおかしいんじゃないか。こうした矛盾が出てくると思うのですが、この点について御見解を伺わせていただきたいと思います。(発言する者あり)
  164. 伊吹文明

    伊吹議員 不規則発言はよしてください、これから答弁をするのですから。  これは午前中も新生党の方からも、大変この点についてはいい質問があったと私は思っております。何度も申し上げておるように、一票の投票行動の中で、小選挙区の公認候補とその人の所属する政党を選ぶというマークシート方式を我々はとっています。それはその候補者を選ぶという行為と同時に、その日本新党であれば日本新党の比例区の順位がどうなっているかということを見定めながら○をつけられるわけですから、私は、今おっしゃっている問題は、むしろ道義的にはその政党責任とかなんかが問われるということに帰着していく問題だと思いますよ。  もしそうであれば、二票制をとっておっても全く同じことなんであって、そんな候補者を小選挙区にどんどん出して、同時に比例区の集票活動をさせておきながら、その候補者の運動の中で同時に行われるであろう――例えば、失礼ですが、今例に挙げられたから申し上げるのですが、日本新党で、選挙運動のときに違反を犯している人はかなりいますよ、率直に申して。そうしておいて、それだからといって比例区の票に影響を与えない、二票制で与えないんだということだって同じことじゃないんですか、それは。  私は、今おっしゃっていることは、むしろ倫理観の問題というか、比例区全体を見ながら候補者と比例区の組み合わせをどう選んでいくかという、その候補者の選択の問題だから、私はおかしくないと思うのですけれどもね。むしろ大切なことは、二票制であれ一票制であれ、少なくともきれいな選挙を言っている者は公職選挙法違反をしないという大前提で行動し、また、そういう候補者を選んでいくという有権者の良識にかかっているんじゃないんですか。
  165. 枝野幸男

    枝野委員 残念ながら、今までそうした政治家とかの倫理が、なかなか倫理、倫理と言っているだけで改善されなかったからこそ今政治改革をやっているというふうに、ついこの間まで私は政治家ではなくて一有権者の立場として国会を見ておりましたが、そういうことではなかったのかと考えます。確かに、政党のそれぞれ倫理という問題は、今のような私が例に出しました場合には問われるとは思いますが、有権者の立場としては、自分が同じ一票として書いたうち、片方の小選挙区の分は無効になって、片方だけ有効に残っている、これはどう考えても不自然だ、こう考えるのが普通の国民感情じゃないか。  それから、今お話も出ましたけれども、午前中に新生党の松沢議員からもお話がございました、補欠選挙あるいは再選挙が行われた場合。この場合に、補欠選挙の場合は時期がずれるからともかくとして、再選挙が行われた場合には、一票制のもとでは小選挙区と比例代表と、例えば別々の政党に入れるとか、あるいは小選挙区は無所属候補に入れて比例代表は棄権せざるを得ないとか、そういう事態になるのに、再選挙の場合、これはまあ理屈としてはともかくとして、投票する有権者の立場としては、ついこの間やった通常選挙のやり直し、仕切り直したという感覚があるはずです。それなのに、通常選挙のときにはA党の小選挙区の候補者に入れたらB党には投票できない、あるいは無所属に入れたら比例代表は投票できなかった人たちが、同じ人が、通常選挙比例代表で例えばA党に入れていたのに、その小選挙区の再選挙ではB党に投票しても全然問題はない、無所属候補に投票しても問題はないというのは、これもまたおかしなことだということは、松沢議員が御指摘になったと同じような問題だと思います。  こうした不自然な事態が、今の小選挙区における当選無効の問題やあるいは再選挙の場合の問題、こうした不自然な問題が生じるのは、要するに小選挙区の選挙比例代表の選挙と二つの別々の選挙があって、ほとんどすべてのところについては、これは全く二つの選挙だ、二つの制度なんだ、それが組み合わさっているだけなんだということをやっておきながら、有権者の立場、主権者である国民の立場から見て最も大事な部分である、投票するという行動の部分、その一点においてのみ、あたかも一つの選挙であるかのごとき、たった一つの投票しかできない、こういう制度をとっていること自体に必然的に伴ってくる矛盾点ではないか、私はそう考えざるを得ないと思うのです。選挙の主役は、選んでもらう政治家ではなくて、投票する立場の有権者、国民一人一人であるはずなんですから、国民から見て二つの選挙である以上は、二つの投票をさせてくださいというのが、これが普通の国民の感情だ、私はそう考えますが、いかがでしょうか。
  166. 伊吹文明

    伊吹議員 まず、主人公は有権者であるということは私も全く同意見です。したがって、国民のためにどのような衆議院機能を果たし、私どもとすれば、衆議院選挙というのは、最も集約的に国民意見を衆議院へ持ってきて、まあ、言うならば分散しない形での議院内閣制をつくりたいという考えに根差しているわけですね。その中で考えれば、私は、一票を使う場合に、比例区と候補者の組み合わせで一票を使うか、比例区だけ使うか、候補者に使うかは全く有権者の自由なのですから、もし有権者本位ということからいえば、投票させておいて三%未満のものはすべて切り捨てるという方が、私はさらに大きな大きな問題があると思いますよ。  先生はいろいろ法律にお詳しいと思いますが、そのあたりを考えれば、これは少しずつ、揚げ足をとれば、いろいろな私はポイントがあると思います。あると思いますが、問題は、立法政策の問題としてどちらをとるかという最後の判断の問題なので、自分たち考え方からいけばこういう瑕疵がある、では三%というのはこういう瑕疵がある、みんなそういうことに結局なってしまうのじゃないんですか。  我々は、我々の立法政策上の配慮として、若干そういうことは、国民のお気持ちとしては、私は御説明すればわかっていただくと思うけれども、お気持ちとしては今先生がおっしゃったような気持ちを持たれるかもわからない。しかし、三%についても同じような気持ちが当然起こってきますよ、これは。そこをどこで折り合いをつけるかというのが、最後は立法政策上の問題だと私は思いますね。
  167. 枝野幸男

    枝野委員 有権者がそれぞれ、無所属候補に入れるのか、あるいは比例代表にだけ入れるのか、それともセットになっている人に入れるのかというところまで選択の自由をお認めになるのであれば、何で小選挙区と比例代表と別々に投票用紙を書かせるということについてお認めにならないのか、どうも議論が矛盾しているような気がするのですけれども。  時間の関係もございますので、もう一つ、自民党さんの提案されている選挙制度について御質問させていただきたいのですが、自民党提案されている案では、比例代表選挙について、これは都道府県単位で選挙区を設ける、そして選挙を行うということになっております。既にこれはいろいろと何人の方も御指摘されていますけれども、各都道府県ごと比例代表区において一票の格差が生じる、それもかなり大きい、三倍を超えるような一票の格差が生じるという問題がございます。  それと、もう一つここで考えなければならないのは、その比例代表の選挙区の選ばれる議員の数に、余りにも大きな差が都道府県ごとに出てきてしまう、ここにも実は大きな問題があるのではないかと私は考えるわけでございます。  例えば、比例代表の定数の一番大きいのは東京都で、たしか十三名だったと思います。ですから、定数十三名ですから、まあドント方式でいろいろと複雑な計算はございますが、単純計算からいえば、約七・七%の得票率を得た政党であれば間違いなく一人の当選者、代表者を東京都では送り出すことができるわけです。ところが、大部分の県では、比例代表の定数も二名。ということは、これはもちろん、比例代表に幾つ政党が名簿を提出するか、そしてそれぞれの政党の力関係などによって、それはケース・バイ・ケースでいろいろとありますけれども、二つの大きな政党があって、そこがうまく票を二つ、ほとんど二等分するぐらいの関係にあれば、もう一つの政党は三〇%の得票を得ない限りは、その定数二の比例代表のところでは代表者を出せない、こういったことがこの比例代表の自民党さんの提案されている案では、格差が東京都と定数二のところで違いがあるわけです。東京に住んでいれば、大都市、人口の多い県に住んでいれば、少数意見であっても、少数意見の代表者を国会に送り出すことができる。ところが、人口の少ない県に住んでいたのでは、例えば一〇%や一五%とかというふうな、それぐらいの少数意見であっても、国会に代表者を送り出す可能性さえ奪われてしまっている。これは、ちょっと違う視点からの一票の格差というふうな性格づけがあるのではないでしょうか。  これを、例えば私どもの連立与党の政府案のように全国単位であれば、都道府県という小さな枠にとらわれずに、例えば今の、ことしのような冷害のような問題があったときには、都道府県単位で細かく区切らなければ、例えば東北地方で冷害に遣われて困っていらっしゃる方というのは、宮城に住んでいようが、秋田に住んでいようが、岩手に住んでいようが利害関係は一緒なわけで、そうした人たちの声が全国単位で一つのまとまった声として比例代表に代表者として送り込める可能性がある。東京にいればそういった少ない声でも代表は送れるのに、地方にいては少ない声では代表を送れない、この格差についてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。
  168. 伊吹文明

    伊吹議員 それは私は格差ではないと思っていますよ。つまり、いわゆる格差というのは一票当たりの人口幾らということから生じてきている言葉であって、東京の方は非常に人口が多いわけでしょう。ですから、東京の、おっしゃった十三人の比例が割り当てられて七・五%、確かにそのとおりです。しかし、七・五%の代表する人口と二人当たりの比例区、例えば三三%ですね、おっしゃったように。三三%当たりの人口というのは同じじゃないんですか。そういう仕組みでつくってあるわけです。そして、そういう仕組みでつくることによって集約的な意見の反映をしようという仕組みでつくられているわけです。  ですから、全国単位でやるというのも一つの考えだと思います。そうすれば、これは人口比率、人口の絶対数じゃなくてむしろ比例数によって出てくるわけですから、それは確かにおっしゃっているような意味では均等的に出してこられるということはあります。ありますが、そのことは結局、多様な意見といえばあるいは聞こえがいいかもわかりませんが、政治とか内閣のやることというのは、やはり最後は集約的に国民意見をまとめていく仕事なんですから、それは例えばネクタイがきれいだということを目指す政党もいいでしょう、背広がいいということを目指す政党もいいでしょう。しかし、やはり背広もそんなによくはない、ネクタイもそんなによくはないけれども、バランスのとれている政府をつくるということが一番大切なんじゃないんですか。
  169. 枝野幸男

    枝野委員 もちろん、東京での七%の人口と地方での例えば三〇%の人口と、人口という意味では大きな差があるということで、私は今憲法論争になっているような、最高裁で問題になっているような一票の格差の問題を言っているのでは初めから前提としてございませんので、地方にいる少数意見の声は取り上げられずに、東京にいる少数意見が取り上げられるということに目を配らないという発想自体がいいのかどうか。地方に分散している少数意見の声も、少なくとも東京に住んでいる少数意見の人たちと同じような可能性で集約される、同じぐらいの人数が固まれば国会に代表者を送れるということの方が本当に地方の少数の声に配慮している、地方の価値というものを重く見ている。都道府県ごとに細かく分散しておいて、なおかつ都道府県に基礎配分を置くというような形で地方に配慮をするよりは、むしろ全国単位で比例代表する方が地方の本当の声というものを吸い上げることができるんじゃないかと私は考えております。  さて、時間もございませんので、次の質問に移らせていただきますが、これはもう既に何度となくいろんな方が御指摘になっていて二番せんじ、三番せんじになることなのですが、非常に大切なことなので改めてお尋ねさせていただきます。  現在国民が政治に対して、あるいは政治家に対して持っている不信感というのは、要するに政治家が非常に多額の政治資金を集める、そしてその政治資金、つまりお金というものに頼った、そしていわゆるサービス合戦と言われているような政治活動あるいは選挙運動、そういったものをやっている、このような多額な政治資金を集める過程において残念な不祥事が幾つも起きてきた、こういう経緯があって、だからこそ国民の政治不信が生じていて、今一生懸命選挙制度の改正も含めた政治改革をやっていかなきゃならないということになっている、私はそう認識しております。  ところで、例えば今の選挙制度にしても、要するに今までのようなサービス合戦の選挙ではなくて政策本位の選挙をやりましょうと、政策本位の選挙をやれば、短期的にはともかくとして、長期的には間違いなくサービス合戦に費やしていた資金は必要でなくなっていく方向に行くでしょう。  それからもう一つ、今度の政治改革の中では双方お互いに、額には違いがありますが、政党助成という形で、政治にかかる最低限のコストを税金で皆さんに御負担をお願いすることによって、無用な政治資金集めのために政治家が汗を流して、なかなか本来の政策の勉強をすることができないというような事態を少なくしましょう、そういった考え方が今回の政治改革、これは双方出している案とも基本的な認識は同じだと思います。  こういった改正を進めていくことによって、政治家が集めなければならない政治資金の総額、そして使わなければならない政治資金の総額というものは今までみたいに膨大なものではなくなるだろう、だんだん少なくなっていくだろう、そういうことが今政治改革を熱心に見てくださっている有権者、国民の皆様の期待である、私はそのように考えております。  どころが、自民党さんの提案されております政治資金規正法の改正案では、一人の人あるいは一つの企業・団体が年間に政治献金として支出できる金額が総額で一・五倍になっている。これは明らかに今のような改革の趣旨、改革の方向性というものとは逆の方向に行っているわけです。しかもなおかつ、既に何度も指摘されていますとおり、経過措置というものが置かれていて、少なくとも三年間は企業や団体が、金額については制限をされていても、どのような団体にでも企業・団体献金を行っていくことができる。これは、今までと同じように政治団体をたくさんつくっていれば、少なくとも三年間は政治家一人が受けられる政治資金の総額というものは変わらないという制度であるわけです。それにもかかわらず、例えば政党助成だけはそういった三年間の経過措置というものはどうも置いてなさそうだ。これはどう考えても、国民の側から見れば、お金は取っておくわ、入ってくる方は締めないわ、どう考えても国民の期待している政治改革の方向と矛盾しているんではないか。  結局は、国民の立場から見れば、節度ある企業献金とかいろいろと口当たりのいい言葉はありますけれども経過措置も置いて、何とか政治家の側としては集められるだけ政治献金を集めておいて、それでその後政党助成を使って何とかなるだろうという、集められるだけ集めておこうという発想があるんじゃないかという見方をされても仕方がないんじゃないかというふうに思うわけです。これは、政治改革というものを、例えば選挙制度を変えるのはなぜやるのかということの基本的な認識にもかかわる大事な問題ですし、有権者の皆さんは選挙制度が、一票制、二票制ももちろん大事ですけれども、それよりも政治家とお金の関係がどうなるかということに一番の関心を持っておられるわけですから、非常に重要な問題だと思います。  経過措置の問題については、いろいろと検討の余地があるとか議論余地があるとかというお話がありましたけれども、少なくともこの経過措置三年間という発想自体が国民、有権者からなかなか受け入れられないものではないか、そういうふうな指摘を受けてもやむを得ないと思うのですが、いかがでしょうか。
  170. 津島雄二

    津島議員 枝野委員の今のお話でありますが、委員と私どもと認識が一致している面はあります。それは、日本の政治資金をめぐる、要するに金と政治の関係に非常に問題があった。しかし、ここで委員の高い知性を生かしてしっかりと認識していただきたいのは、政治を支えるためのコストをどうやって賄っていくかという問題と、政治を曲げているわいろであるとか政治家が資金を着服をするとか裏献金とか、これは二つ分けて議論しなければいけない。  後の方の問題、つまり裏献金をもらうとか着服をするとかいう問題については、最近における本院におけるいろいろな議論幾つかの手を打たれまして、例えば限度を超過した献金を受けた場合には禁錮刑の対象になるという緊急是正をいたしましたし、それから最近における事件を見ておりますと、政治資金と考えられない資金の授受については税法上の追及を受ける。これによって随分議論は整序されてきておるわけでありまして、そこで、ここで実は皆様方のように政治を新しく生まれ変わらせたいという熱意で上がってこられた方にぜひ考えていただきたいのは、健全な議会制民主主義を支えるために資金の調達を国民の理解を得てきちっとやるにはどうしたらいいか、これを一緒に考えてみたいという私どもは真剣な今お訴えをしているわけです。  そこで、今言われた、まず政党中心の資金調達を重視しよう、これは与野党で共通認識ありますね、程度の差はございますよ。それから、国民の理解を得て政党助成をいただきたい。この両者について、私どもの場合は、政党助成は幾らか抑制をするけれども、しかし一定の枠の中の政党の募金というものについては、やや前よりも広げていただけないかということで、一・五倍という、これはこの六月ですか、民間臨調におかれても、物価上昇を考えたらそれも一つの線だなという御意見が民間でも出ておる。  そしてもう一つは、政治家につながる資金調達団体というものに対する企業献金の参加を認めることはどうかということなんでありますが、私どものは月二万円、平均二万円程度の会費程度のものに限定をして、そして公開水準をきちっとさせた上で、これも一つの自助努力の一環としてお認めをいただけないであろうか、こういうことを言っているわけです。ですから、今常識的に考えてこの範囲内のもので国民の期待にこたえられないかどうかという問題なんですけれども、私はこの範囲内のものであれば、国民も理解をしていただける。  それから、地方政界における無所属の議員さんの立場であるとかあるいは全国の自治団体の首長、これらの方は、どちらかというと無所属の方がいいという考え方もあるわけですね。こういう方々の立場を考えますときに、そのような限定された範囲内の企業献金というものは、これはむしろ認める方が現実的ではないであろうか、これはひとつ私ども率直に訴えておるところでありますので、皆様方におかれても、それが国民の認める領域のものかどうかという見地から、ぜひとももう一遍お考えをいただきたいわけであります。  ですから、もとよりこれを超えるものについては厳しく、厳罰をもって臨んでいくという点では、これは与野党とも一致をしているわけでありますから、私ども政治資金調達団体を二つ残すということを、すぐに企業献金を野方図にというような短絡した議論にぜひつなげずに御判断をいただきたいと思います。
  171. 枝野幸男

    枝野委員 別に、私はそういった短絡的なお話を申し上げているのではなくて、全体としての枠が一時的に大きくなってしまうということは、国民は今度の政治改革によって全体の政治資金自体についても減っていく方向に行くんだろう、減らしていかないと、一番最初に今御答弁の中で、きちんとコストとして必要なお金を集めることと、そうではないおかしなお金を集めることとは別のものだというお話ございましたけれども、残念ながら余りにも政治にお金を使い過ぎて、おかしなところにまで使うためにたくさん集めなきゃならないことの中で、だからこそ残念な不祥事件が幾つも多発したのではないかというのが国民の普通の認識ではないかと、私はそのように思うわけでございます。  政治献金の問題にしても、一票制、二票制の問題、選挙制度の問題にしても、一日も早くこれを合意点を見出して成立させた上で、政治改革というのはあくまでも二十一世紀を見据えた新しい社会経済システムをつくるためにはどうしたらいいか、そのための枠組みを、政治の枠組みをきちんと改めていきましょうという問題なのですから、もう既に何年間も議論をしている、一日も早くこれを双方で譲るべきところは譲り合って、自民党さんも、今私どもに対して与党なのだから、政府側なのだからというようなお話もございますが、私は自由民主党がつくり上げてきた高度成長の恩恵を受けて育ってきた世代として、自由民主党の今までの過去の実績については一定の評価というか、感謝を申し上げてもおります。どうが、その長い今までの実績を汚さないためにも、きちんとした、妥協すべきところは妥協して、一日も早くこの政治改革をまとめて国民の期待にこたえていただきたいとお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  172. 石井一

    石井委員長 次に、田中甲君。
  173. 田中甲

    田中(甲)委員 委員長の許可をいただきまして、ただいまより質問をさせていただきます。さきがけ日本新党の、私は田中甲と申します。  大学を五年間かけましてゆっくり学んでまいりましたが、きょうは、初めての登壇の日にほかの委員会と重なりまして、二分間の間しかないということで、さきがけならぬ早駆けでこの会場に参りました。落ちついて質問をぜひともさせていただけるよう、答弁者の皆さん方にもぜひとも御協力を賜りたいと思います。  六月の十五日の日に、私はそれまで自由民主党千葉県連青年部長という立場で、千葉の県議会議員とし活動をしてまいりました。そして、内部改革ということを訴え、駅頭で千回を超える回数、千葉県の第四区という選挙区でありますが、演説を続行てまいりました。ところが、日に日に、あなたは一生懸命やっているけれども何党なの、はい、自由民主党青年部長であります、あらそう、残念ね、そう言っていなくなってしまわれる御婦人の皆さん方が一人や二人ではありませんでした。肌で感じながら、その感じたものをみずからが言行一致した、そんな選挙に出馬する候補者の姿勢がとれるように、そんなことで長い間悩みました。  今お話をしました六月の十五日、新聞紙面では政治改革関連四法案が今国会では成立不可能というその見出しが全紙で取り扱われた、そんな朝でありました。それを見たとき、私は、残念ながら内部改革を主張し、有権者の皆さん方に理解を求めていた私の行動は、ここでみずからが改革をするという、みずからが新しい行動に第一歩を踏み出してから国民の皆さん方に言行一致の中で物を申し上げなければならないという判断を行い、自由民主党を離党するという行動をとったものであります。  その後、衆議院解散になり、後援会の皆さん方には随分おしかりを受けたのですが、解散の後に新党さきがけを結成する十名の皆さん方が離党をされ、後援会の皆さん方も、時代の流れはなるほどうちの候補者が言うとおりそのような流れに変わってきているのかもしれない、少しずつでありますが、考え方を変えてくださるようになりました。おかげさまで新党さきがけ公認で当選をさせていただいた私が、当選してから十日間の間、物すごい経験をさせていただき、政界が結果的には非自民という形の連立与党が誕生するという一連の流れを武村官房長官のもとで拝見することができたわけであります。  七月の二十三日に「「政治改革政権」の提唱」というものを、提出者は、現在総理大臣であります日本新党の細川護煕氏、この段階ではさきがけ日本新党代表委員武村正義並びに代表委員細川護煕という形で提出されました。このさきがけ日本新党の提唱した「「政治改革政権」の提唱」に、その後一日、二日あるいは三日、四日たつ間に各政党会派からの賛同の声が上がり、二十七日の段階で、本日私が質問をさせていただいております自由民主党の三塚さんあるいは塩川さんの方から、「政治改革に関するわが党の基本姿勢」という「平成五年七月二十七日 自由民主党 総裁宮澤喜こというものが、日本新党の高輪の本部で手渡されたのであります。答弁の中でも、この文章がもとになりこの連立政権が誕生したということが再三述べられていたようでありますが、私は、この「政治改革に関するわが党の基本姿勢」という、まだ三カ月しかたっていない、平成五年七月二十七日の段階で自由民主党提出した「基本姿勢」と、今国会提出した自民党提出案との比較というものを若干させていただきたいと思います。  第一点は、「選挙制度については、すでに党議決定している「政治改革大綱」における基本考え方に基づき、衆議院において「小選挙比例代表並立制」の実現を期し、引き続き二院制の本旨に基づき参議院議員選挙制度改革を目指す。あわせて整合性ある地方選挙制度を検討する。」これが第一項目目であります。  また、第三項目目では、「政治資金について、その透明性を高める。政治家個人に対する政治献金は禁止する。企業・団体献金等の抜本是正は、政党に対する公的助成の導入などと一体的に行う。」という文章を抜粋して読ませていただきました。  重箱の隅をつつくような質問はしてはならないというそんな気持ちを持っておりますが、この際に、第一項目目で、小選挙比例代表並立制の実現を期した場合に、引き続き参議院選挙制度改革を目指すということを自由民主党基本姿勢の中に発言されておりますが、これは、つまり衆議院制度を並立制に改革した場合には、参議院の存在意義というものがかなり薄まってきてしまうということを懸念してのその後の対策ということで、まず受けとめてよろしいかどうか、御質問をさせていただきます。
  174. 伊吹文明

    伊吹議員 私も、実はあのとき塩川、三塚両先生と日本新党の高輪のマンションの一階へ行った者の一人ですが、大体今読み上げられたことに従って、我が方の作業は着々と私は進んでいると理解しています。  そして、これは本会議を初めたびたび質問をし、日本新党の党首である細川さんの答弁が本当の意味で論理的にすべてをカバーした丁寧な説明であるかどうか、私はやや疑問だと思いますが、いずれにしろ小選挙区、このときは、これを実はつくったときは、まだ率直に言って全国レベルの比例にするのか、小選挙区レベルの、県単位の比例にするのかも決めておりません、どさくさのときだったです。だから、もちろん全国レベルの比例ということも我々の念頭にはありました。  しかし、小選挙区で選ぶ選挙比例で選ぶ選挙を補完させた形の選挙制度をつくった場合に、憲法に言う二院制の本旨からいって、同じような、極めて近いと言ってもいいかもわかりませんが、選挙制度をとった場合には、やはり二院制そのものが問題になってくるんじゃないか、参議院の存在そのものが問題になってくるんじゃないかという懸念を持ったことは確かです。それを受けて、我が党の参議院の皆さん方は今鋭意参議院改革というものを検討しておられます。  したがって、特に全国レベルの比例で二票制というものを考えておられる連立側においては、憲法との関係において二院制をどう考えるのかは、党首の答弁としてはもう少し法律に根差した、私は丁寧な答弁もされるべきだろうと思うし、参議院改革については既に十分の御検討を進めておられるだろうと期待いたしておりますが、そのような気持ちであったということです。
  175. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。逆に答弁の中で追い詰められてしまうようなそんなものを感じましたが、それでも構いません。  七月のその段階で、さきがけ日本新党が二十三日に提出したその文面も、やはり現在の政府提出したこの案と基本的に変わっていない。やはりこの段階から今回の政治改革の話がスタートしている。政府側においてもさきがけ日本新党が提出したこれが基本になっていると同じように、自由民主党さんにおいてもここがやはり基本になって、今回の自由民主党提出案が出されている、その認識をさせていただいてよろしいかと思います。  ですから、その段階で全国レベル、地方レベルの戸惑いがあったですとか、あるいは個人の献金の問題でも、文面と現在は違っている対応をとられていると把握しておりますが、勘違いがありましたら……。簡潔にお願いします。
  176. 伊吹文明

    伊吹議員 私がさきがけ日本新党、当時はまだ日本新党のビルだったと思いますが、に伺ったものですから申し上げておきますと、政治資金のどこが違っているとおっしゃるのですか、質問さしていただきたい。  委員長質問しておりますから、答えていただいてください。そうしたら、その答えに従ってお答えいたします。全く私はこれと違っていないと思っていますが、自民党提案は。どこですか。
  177. 田中甲

    田中(甲)委員 第三項目目でありますが、「政治家個人に対する政治献金は禁止する。」ということを明言しておりますが、現在、自由民主党は禁止していないと思います。
  178. 伊吹文明

    伊吹議員 いえ、それは法律をよく読んでください。全面的に禁止をいたしております。従来の政治資金規正法は、御勉強なすっていると思いますが、政治家個人への寄附と政治家の資金団体への寄附と政党への寄附と、大きく言えば三つに分かれています。したがって、個人への寄附は、今回の自民党案では全く禁止されています。資金調達団体への寄附しか残っておりません。
  179. 田中甲

    田中(甲)委員 わかりました。文面の読み間違いがありました。お許しをいただきたいと思います。  そういう問題がありまして、七月の段階から三カ月の間でいろいろ変化が各政党においてあったと思います。それを実は自由民主党答弁に当たっている皆さん方にも御理解をいただきたい。政府案を出された連立与党側においても、それぞれ状況の変化によって考え方が幾ばくか変わってきているということは、これは自由民主党提出案の中でも若干はあることでありますから、この点をまず御理解をいただきたいと思います。  さて、今回の十月十八日から始まりましたこの政治改革調査特別委員会の総括質問の中、内閣提出案に対しましては二十五名、時間にして二十時間、本日を含めますと、自由民主党提出案に対しては二十名、十三時間行ってきているわけでありますが、その中で大変に多い質問は、政治改革基本理念ということに対する総理に対する質問が最も多い質問でありました。その質問に対しまして、細川総理は、山積する内外の諸問題に対応していくためには、政治改革、経済改革、行政改革の三つの構造改革を進めていくことを本内閣の使命とする、その前提を申し上げた上で、政治改革基本理念は、まず政治改革を早急に実現することによって国民の政治に対する信頼を回復することから行い、その上に立って国際国家としての責任と国民生活の安定と向上を図る施策に取り組んでいきたい、このように答弁されているわけでありますが、この総理答弁に対し、どのようにお感じになられているか、お聞かせいただきたいと思います。
  180. 伊吹文明

    伊吹議員 大変漠然とした御答弁というか、演説でありますから、総論としては私は今の細川さんの発言は大賛成です。問題は、政治家としてその漠然とした発言をいかに具体案として整理しながら実行していくかということです。  そのような見地から考えますと、私は、細川さんの発言を実際に実現していくためには、将来の政界のあり方が二大政党的な力の強いものになって実行していけるのか、それとも多党的なものを認めた上で果たしてそれが実行していけるのか、そこが大きな問題だと思いますね。それによって選挙制度のあり方も考え方も、私、違ってくるんじゃないか、そんなふうに思います。
  181. 田中甲

    田中(甲)委員 驚きました。持ち時間あと五分ということで、ほとんど内容に入れないという段階ですが、もう一点、総理答弁の中で御質問をさせていただきたいんですが、総理が、自由民主党案との妥協をするつもりはないかという自民党の野田議員質問に対しまして、細川総理は、与野党間の合意形成に努め、各党各派の御理解と御協力を得て早期に成立させていただけるよう念願しているという答弁をされています。これに対し、伊吹委員長はどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  182. 伊吹文明

    伊吹議員 総理は、いろいろなところでいろいろな御発言をしておられるのはさまざまに、同じ政党に属しておられるからよく御存じだろうと思います。今のような答弁を野田委員質問に対してされたこともあります。しかし、最善のものとして政府案提案しているので、御理解をいただいて、一刻も早い成立をお願いしたいという答弁をなすっているときもございます。必要なら議事録をいつでもお届けします。  ですから、どちらが真意なのかよくわかりません。どちらが真意なのでしょうか。むしろ同じ政党に属しておられるのだから、細川さんの真意を一つにまとめて教えていただけないでしょうか。
  183. 田中甲

    田中(甲)委員 私が質問したことに正確に答えていただきたいと思います。  私は、自由民主党提出案に対し、その案と妥協するつもりはないかという自民党の野田議員質問に対し、総理はこのように答えられた、この答弁に対し、どのようにお考えになりますかということを聞いております。
  184. 伊吹文明

    伊吹議員 その答弁についてお答えするためには、その他のいろいろな細川さんの御発言が一定でなければ、政治家としてはお答えできません。
  185. 田中甲

    田中(甲)委員 自由民主党の現在の姿勢というものが、正直申し上げて、私が一期生だからということもあるかもしれません、こういう経験をさせていただくことはありがたいことですが、しかし、お互いに歩み寄って問題の解決に当たるという姿勢のみならず、自分たちがこの政治改革をやらざるを得ない状況国会の情勢というものを追い込んできたという反省と責任感というものに欠けているということを痛切に感じます。  政治の腐敗、国民が許せないと思った最大の理由は、まさにロッキードであり、リクルートであり、共和であり、東京佐川急便であるというその中で、自由民主党議員でありました金丸氏の汚職の実態などは、国民が最も現在の政治を変えていかなければいけないということを痛切に感じる、そして怒りにすら思う出来事であったはずであります。  この一連の中から、やはり自由民主党が、今回の選挙の結果において、結果的に連立与党の存在というものをつくることになりましたし、私自身も自由民主党で活動していた人間でありますから、そして、武村官房長官が大連立ということを最後の最後まで念頭に置いて行動をとっていたという姿と、自民党改革派に対してこのままでは申しわけないというも何度も耳にしている中、自由民主党にもやはり、みずからの責任というものを感じていただかなければならない今回の政治改革の成立を年内に目指しての現段階だと思います。  どうか、私の持ち時間が刻一刻と追っておりますから要望になってしまうかもしれませんが、相撲でもやはり、どんな先輩であろうとも、海外から来てまだ間もない力士であろうとも、強くなり、横綱になった人間には、自分が実力をつけて横綱を倒すという気持ちを持たなければならない。あるいは、昨日北朝鮮に勝利をおさめた日本代表のサッカーチームも、ワールドカップにおいては、ホームではなくアウエーで試合をしていかなければならない。そこに勝つことによって、自分たちが新しいルールをつくれる、これがまさに政治の世界でも全く同じであろうと思います。  今、まさに自由民主党の今までの長期政権の中での腐敗が原因で政治改革をやらなければならない。現状維持なのか改革なのかということを求められた場合に、今、世論は、世相は、現状維持ではなく改革を求める、その認識を、どうぞ自由民主党のこの法案提出された皆さん方にも改めて御認識をいただきまして、今回は、残念だが、悔しいが連立与党の提案に従うという、どうぞ王道の、どうぞ比較第一党の、甘んじて与党の現在の政府案を受けて立とうというぐらいの度量というものを、どうか自由民主党政党にお持ちいただきたいと思うわけであります。  選挙で堂々と戦い、自由民主党が勝利をおさめるならば、また自分たち考えで新しい、審議質疑を行った上で法案をつくられればいい。今回、自分たち責任政治改革に、国民を、多くの犠牲を払いながらさまざまな問題を、先に審議をしなければならない問題を今まで継続してきてしまった政治改革というものが、ここに来て、どうしても年内に成立させなければならないという責任を持った連立与党の姿勢というものをどうか御理解をいただき、歩み寄り、ぜひとも年内の成立ということに御協力とその姿勢を示していただきたいと思います。  要望でありますが、以上で終わらせていただきます。
  186. 石井一

    石井委員長 次に、吉田治君。
  187. 吉田治

    吉田(治)委員 本年、平成五年総選挙におきまして、一つのおもしろい数字が出てきましたので、御発表させていただきたいと思います。  三十九歳以下、昭和二十九年生まれ以降の代議士の数が五十名になりまして、衆議院の十分の一を占めるようになりました。政党で申し上げますと、自民党、新生党、公明党、さきがけ日本新党、民社党、共産党、無所属にこれらの先生方が所属しておりまして、どういうわけか、社会党には一人もおられない。当選回数三回がお二人、二回は六名でございまして、その他全員の方々は今回初当選であるということでございます。  私自身も、大学ですとか短大で講師をやっておりましたのが、急な選挙で立候補いたしまして通させていただきましたので、非常に生活が変わってしまいまして、今、我が家ではこういうふうに申しておりまして、私たちの生活は今や三ない生活だなと。  第一には時間がない。議員というのはやはり公人でございまして、さまざまなことで時間がとられます。第二に安定がない。これは御承知のとおり、選挙になりましたら、幾ら大臣を務められた方でも落選することがある。そして第三にはお金がないということでございまして、本当に代議士というのはこれは苦労ばかりで、何のためになったのかなという気もするときもあるんですが、私を含め、また若き皆さん、また諸先輩方が、時間と安定とお金がなくても、国政に携わる一員として、夢とロマンを持ってみずからの責務を果たすことに日々全力を尽くしているのだと思います。  それにいたしましても、かからない、かけないといいましても、かかるものはお金でございまして、選挙運動だけじゃなくて、議員活動でも同じであります。私自身は、兄貴とおやじが二人で油まみれでやっております町工場の三男坊でございまして、今回の選挙につきましては、おやじが四十年もかかってこつこつためたお金を吐き出し、また、なおかつ、知人、友人に借金を頼み込んで選挙を戦ったわけでありまして、その結果、議員歳費というのはほぼその借金の返済に消えていきますし、文書通信交通費というもので国会会館の女の子、地元の女の子、並びに地元事務所の家賃、運営費を賄っているという状況でございます。  我が家のことを申しましたら、私の妻が、家内が第一秘書ということで地元を守ってくれておりますので、その給与で何とか家族三人が生活をしているというのが現状でございまして、国会議員というふうなイメージで申しましたら、運転手つきの黒塗りの車、これはいつまでたってもやってきません。大きな家、どこにあるのか。  私自身で申しましたら、大阪市は新婚家庭に家賃補助ということをしていただいているんですけれども、それをいただいておりましたのが、どういうわけか、この議員の歳費というのは非常に結構な額面いただいておりますので、打ち切られてしまいまして、そういう状況で、やはり苦労をしながら、多分私たちの世代の議員というのは頑張っておるのではないかと思っております。  今回の一連のこの政治改革法案の成立によって、ぜひそのような状態、そのようなことが少しでも減って、選挙政治もそして生活も安心して、みずからの政策や主義主張を勇気と正義を持って主張して戦っていくものにしていただきたいと思う次第でございます。  まず最初に、御質問ですが、法案が、これは私たち連立与党側、また自民党の皆様方が出されて、一生懸命毎日真摯な議論を闘わされておりまして、何とかこれは今国会で成立しなければならないということで、紅茶議論ですとかさまざまな議論が闘わされておりますが、これは思い起こしていただいたら、今回の総選挙いかがだったでしょうか。日本国じゅう、政治改革という看板が乱れ飛んでいたというんですか、張りまくられていたというんですか、そういう状況ではなかったかと思います。  つまり、国会議員に立候補した、衆議院議員に立候補した一人一人が、今度こそ政治改革、本物の政治改革なんということをあちらこちらで言って、とにかく政治改革をしなければならないというふうに訴えかけ、戦ってまいったのが今選挙でございまして、国民、有権者にお約束したことでございますので、これが不成立の場合は、これはだれが悪いというよりも、まず私たち全員が責任をとることが必要ではないかと思います。  ただし、その責任のとり方の一つにも、解散・総選挙というものもありましょうし、それによって、だれが、そしてどの党なり派なり、どういう人が政治改革をつぶしたのかというのを国民に審判してもらうということも考えられるのではないでしょうか。まあ、そういうことは考えずに一生懸命頑張られるというふうに自民党の方々は言われると思いますが、こうした法案不成立の責任につきまして、自民党としてはどのようにお考えになられているのでしょうか。
  188. 伊吹文明

    伊吹議員 今、吉田先生おっしゃった前段のことは、私も本当に身につまされますよ。それで、特に自民党の場合は、より悲惨だと私は思います。お互いに同一政党の中でやるわけで、支持母体とか労働組合とかというものもないわけですから。だから何とか、個人がお金の心配をせずに、そして政策本位の、そして党本位の政治にしたい、私、本当にそう思っています。前の国会でも私は提案者として一生懸命やったのですが、残念ながらこういう結果になりました。  問題は、選挙のときには政治改革政治改革とみんな訴えました。しかし、その具体的な中身が今お互いに議論されているわけですね。だから、この具体的な中身でどう歩み寄るかということは、自民党責任とか政府責任というんじゃなくて、やはりこれは議会人全体の責任なんですね。だから極端なことを言えば、私どもの案にオーケーしてくださればすぐに成立しますよ、皆さん方の案に賛成すればすぐに成立します。だからこれは、それも結果においては政治改革を実現したということなんだけれども、中身においてどうするかというところに哲学だとかいろいろな考えがあるんで苦しんでいるところなんですね。だからお互いにこれは、今おっしゃったような気持ちを外しながら、我々の、日本の将来のためなんですから、よく考えて前向きに私どももやっていきたいと思います。     〔委員長退席三原委員長代理着席
  189. 吉田治

    吉田(治)委員 それでは、法案の中身についてお尋ねしたいと思います。  最初に、比例区の単位についてお伺いいたします。  自民党におきまして、比例区というのは小選挙区を補完する役割を果たしているということでありまして、すなわち、小選挙区ではくみ上げることのできなかった民意というものを比例区において反映させたい。しかしながら、これが都道府県単位になった場合には、果たして民意の反映は十分かというと、そうではないんじゃないかというふうに考えられます。  先ほどから何度も出ておりますように、試算で申し上げますと、比例区議席、最少議席の県が議席数二、最大が十三になるということでございまして、それでいきますと、定数二となる県が実に二十一、定数三になる県が十三に上りまして、四十七都道府県中三十四県、割合にいたしますと七二・三%、定数二と三の県の人口を足していきますと五千万人を超えまして、日本の総人口の四割以上を占めるということになります。  この場合、定数二の県におきましては、選挙結果は大体第一党が二議席を独占するか、一党、二党が一議席ずつ分け合うということが多いでしょうし、三の県におきましても、多少第三党が議席を獲得する可能性が出てくるだけではないかと思います。  議席獲得の十分条件といたしましては定数プラス一分の一でありますから、二人区の場合は大体県民の三三%の支持を集めても議席が獲得できない、三人区では二五%、最大の東京選挙区におきましても十三で七%の支持が議席に結びつかないということもあり、これはほとんど第四党以下の民意が反映されないという、極めて困難な制度ではないかと思います。  また、別表でいきますと、死に票につきまして申し上げましたら、さきの総選挙の結果をそのまま当てはめましたら、比例配分数の定数二であります徳島県では五三・二%、奈良県では五六・九%、大分県に至っては実に六四・四%が比例代表選挙においても死に票になるという結果が出ております。  このように、小選挙区の死に票を救済するはずでつくられた比例区が新たな死に票を生み出すという結果になりまして、比例区は今言われていますように小選挙区を補完する役目もできないことになりますが、自民党のお考えでは、おおむね選挙区の何%以上によって民意を反映することが比例代表の役割なのでしょうか。大体政府案では三%以上というふうに述べられておりますが、提案者のお答えをお願いいたします。簡潔にお願いいたします、時間ありませんので。
  190. 伊吹文明

    伊吹議員 今おっしゃったのは、三%というのは全国のことですね。ですから、私どもが申し上げているのは全国の三%、それから二人区における小選挙区の比例部分の三三%、これはパーセントとしてはそうです。しかし、人口としてはどうなんですか。全く同じじゃないんですか。同じ以上、もっともっと大勢のものを皆さん切り捨てておられるんですよ。  私は、これはやっぱり制度のつくり方として、我々の基本哲学から、意見を集約した形で国会へ反映したいという哲学でつくっているわけですから、皆さんの哲学とはそこが違うわけです。だから、切り捨てるということ、死に票という言葉は、まあ前の国会でもさんざん言われたんだけれども、これは死に票というのはやっぱり失礼なことなんであって、当選した者は、代表を送れなかった票についてそれを背中に背負いながら、業のような気持ちで政治をやらねばならないんだ、だから生きている票であるけれども代表を東京へ送れなかった票だ、こういうふうに理解する、みんなそれを背中に負ってやる、私はそういうふうに思っています。
  191. 吉田治

    吉田(治)委員 ありがとうございます。  それでは次に、各都道府県一人ずつの議席の基礎配分についてお尋ねしたいと思います。  政府案でも自民党案でも、小選挙区につきましては、この基礎配分がまずなされる。しかしながら、ここまで理解することはできるのですけれども自民党のように比例区につきましてもまず基礎配分を行うという二重の基礎配分というのは、私、大阪というところから出てきている人間として、ちょっと行き過ぎであるのではないかなという考えをいたしております。自民党が基礎配分を行った理由というのは過疎県への配慮ということでありましょうか、それとも行わないと定数一の比例区が生じて問題があると考えられたのか、どういうふうなことでしょうか。
  192. 伊吹文明

    伊吹議員 これは再三御答弁申し上げているように、やはり過疎県に対して私たち配慮をしなければならないという考えに根差しております。
  193. 吉田治

    吉田(治)委員 じゃ、私、定数一とか二とかいうふうな選挙区になること自体、制度の前提に間違いがあると思いますし、また、過疎県への配慮というふうな形で言うなら、それはちょっとおかしい、自民党に御再考いただきたいなと思うのです。  選挙区の代表が一人というふうなことによって少しおかしいと言われるのでしたら、諸外国の例を出すのは余りいかがかと思うのですけれども、例えばアメリカにおきましては、上院議員は各州二人ずつ配分されて、あとは人口割という形でいきますと、アラスカなんかは上院議員は二人おりますけれども下院議員が一人しかいない、そういうふうな現況もありますし、また、他党の議員の方も質問されておりましたけれども自民党案でいきますと、鳥取県と東京都の比例代表議員格差が二・九六倍。で、私の地元大阪と鳥取でも二・八四倍と、これは非常に一票の著しい格差というふうなことが言えるのではないかと思います。また、小選挙区を含めた議員定数におきましても、東京都と鳥取では既に非常に小選挙区におきましても格差が生じて二・〇三倍となり、選挙格差の以前に都道府県格差の二倍というふうなことが生じているのであります。     〔三原委員長代理退席、委員長着席〕  私自身がこの二重の基礎配分というのがちょっとおかしいんじゃないかと言うのは、果たしてそれが過疎県のためになっているかどうかということでございますね。本日まで中選挙区ということで行われて、定数の抜本的是正も行われなく、人口比例に比べて著しい過疎県に手厚い議席配分状態が続いているということは言えると思います。しかし、このことによって、じゃ過疎が食いとめられたと言えるのでしょうか。あるいは東京への一極集中が是正されたと果たして言えるのでしょうか。私は、この議員定数というふうなものがふえることがその県の発展につながるというふうな考え方は、非常に疑問があると思います。  過疎過密の問題というふうなものは都道府県単位の問題だけでなくその県内の問題でありまして、例えば私自身の選挙区、大阪二区というのは、これは人口がどんどん出ていっておりまして、そういう人口という側面からいえば過疎になっているわけですね。しかしながら、何らかの過疎対策をされたかといいますと、新婚家庭に幾ばくかのお金を出して住んでちょうだいというぐらいしかされているとは聞いておりません。こういうふうな議員の数をふやすということがその地域の発展につながるという考え方自身がどうでしょうか。自民党が、皆さんが主張なされる政策本位の政党政治に逆行する、政党の垣根を越えた地元への利益誘導型政治への是認と考えられなくもないと思うのですけれども、その辺のお考えはいかがでございましょうか。
  194. 伊吹文明

    伊吹議員 議員の役割、仕事というのはどういうことかというのは、これは大変難しいと思いますね。もし、本来国家の外交とそれから国民生活をトータルにつかまえていくという形だけであれば、選挙区というものを置くという意味がそもそも私は、やはりいろいろ、特に小さな区割りになればなるほど問題になってくるんじゃないかという気がします。いろいろな私は考えがあると思いますが、議員もやはり個別の利益とか、私どももよく悩むのですが、個別の利益とか団体の利益とかはともかく、せめて大阪府や大阪市の人たちに奉仕するということも半分あるんだ、そして残りの半分は国のことを考えるんだ、私はその程度の割り切りが現実的じゃないかと思いますけれども
  195. 吉田治

    吉田(治)委員 ありがとうございます。  過疎過密の問題に関しまして、やはり都市部の方の社会資本の整備とかその他を考えていきました場合に、議席の数というふうなものは、今伊吹先生も言われたように、多ければ多いほど力というのですか、合唱団になりますので、その辺は余り過疎地域に対してじゃけんにはできませんけれども、その辺の都市生活者のことも十分御配慮いただきたいと思います。  次の質問をいたします。  私自身、率直に先ほどから申しておりますように、政治というふうなものにはお金がかかるのは当然である、そういう前提に立ってお話ししたいと思います。  先ほども申しましたように、私自身にはございませんけれども政治にお金がかかるということ、そのことは与野党の現実論としてまず前提として認めていかなければならないと思います。このことを無視して企業・団体献金は何が何でも反対だ、悪である、政党への公費助成は少なければ少ないほどよいといった議論は大変危険であると考えます。私は、政治の入りの部分につきましては、一番最初のお話のように、必要な額を担保した上でその政治資金の透明性を徹底的に確保していく、また、違反をすれば非常に厳しい公民権停止とかの罰則を設けるべきだと考えております。政治に金がかかるという大前提を無視した議論は、結果としてこ政治資金がどんどんやみに潜ったり、法律の抜け道に奔走したりにつながることではないかと思います。  政治の費用をいかに安くしていくか、効率よくしていくかというのは、政治の生産性を高める意味におきましても非常に大切なことでありまして、今回のこの政治改革法案の実現というのは、今現在、企業の方々がリストラクチャリングということで非常に汗を流している、それに負けない政治のリストラでございまして、それは何が何でも、私たちはやっていかなければならないと思うのであります。  それで、一つ腐敗防止についてお尋ね申し上げます。政治家への監督義務規定というふうなことについて、提案者のお答えをいただきたいと思います。  政治資金規正法におきまして、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときは罰金に処するということになっており、この監督義務規定は代表者の場合しか適用されません。政府案では、団体の会計責任者に対する監督責任が生じ、また五年間の公民権停止等はございますが、自民党案ではこの辺が政治家の監督義務というのが余りきつく言われていないんじゃないか。  こうなりますと、また国民、有権者の皆さんはリクルートのときのように、宮澤前総理ら三人の自民党議員に対して、政治家本人は、平成元年の五月ですけれども政治資金規正法の罪に問われず、秘書や会計責任者が略式起訴されたように、秘書が秘書がと、私は知りませんでしたというふうなざる法になっているというふうに言われておりますが、政治家の監督不行き届きについてはそれ相応の責任をとってもらうように法律上規定を設け、できるだけ抜け穴を防いでいく、そういった改革こそ国民が求める改革ではないでしょうか。  その点、会計責任者なので私は関係ありませんということを防ぐためにも、自民党案におきましてもぜひ監督義務が問えるような仕組みにしていただきたいのですけれども提出者の御見解を賜りたいと思います。
  196. 額賀福志郎

    ○額賀議員 お答えをいたします。  吉田委員政治に対する、お金は少なければ少ないほどいいんだということではなくて、それが透明性を持ってきちっと使われているかどうかが問われるという点については、私も全く同意見でございます。  吉田委員がお尋ねの件は、私どもが企業からの政治献金を認めている資金調達団体についてのことだと思いますけれども、これは政治家みずからが代表者として責任をとる場合と、あるいはある政治家を後援する代表者がその責任者となる場合と二つのケースがあります。政治家みずからが代表者になる場合は文字どおり責任を負うことになると思います。  そうでない場合は、会計責任者が問われていくことになるのでありますが、金丸事件にかんがみまして、会計責任者がほとんど実務はほかの者に任せておって私は知らないというケースがあったものですから、会計責任者にかわる代行者にも責任を負わせるというような形にしておるわけでございます。その場合に政治家の責任が問われるかどうかということにつきましては、責任主義の立場からいかがなものかという形で私ども考えているわけでございます。
  197. 吉田治

    吉田(治)委員 次に、報道のあり方についてお尋ね申し上げます。  来週二十五日の月曜日、テレビ朝日の前報道局長に対する証人喚問が行われることになりまして、私、こういうことについて個別的な事件について真偽がどうの、内容がどうのというふうなことを申す気持ちはございません。ただし、一般論として報道のあり方、報道の自由と政治権力との関係について述べさせていただきたいと思います。  まず大前提として、報道に偏向があっていいのかというと、これはあってはならない。しかしながら、テレビ局も含め各マスコミというのはやはりそれぞれ固有の意思、考えというものを有していることも事実であると思います。もし、この意思だとか考えというふうなものを認めないということになりましたら、テレビ局も新聞社も一社あったらいいということになってしまいます。ですから、報道の自由、言論の自由というものを憲法が認めている以上、それは基本的に各マスコミが独自の価値観により、これは正しいだとか間違っているということを明確な意思として反映できるものと私は考えております。  もちろん、意見の分かれる問題に賛成、反対ですとか虚偽の報道がなされた場合、誤解の報道がなされた場合の弁明ですとか反論の場、そしてそういうふうなことを行った場合のマスコミとしての責任を持って謝罪する義務も負うことは正しいと思いますが、さて、そうした観点に立って考えたときに、各マスコミによって示された固有の意思について、それが偏向しているかどうかということを判断することは極めて注意深い配慮がやはり必要とされる問題であると私は考えております。  特に今回の事件につきまして私は言っているわけではありませんが、マスコミの報道に対して、政治の側、私が言っているわけじゃないです、いろいろなところで、政治の権力の側から、これはけしからぬということで証人喚問が頻繁に行われるようなことになりましたら、仮にそれがまた行われた場合、それは明らかに報道の自由に対する侵害であり、民主主義の根底を揺るがすものになるんではないかと考えられます。そんなことは当然とおっしゃられるかもしれませんが、改めて自民党提出者の方に、報道のあり方、権力と報道との関係、報道の自由とはどのような範囲で認められるものなのかなとについての御所見を賜りたいと思います。
  198. 伊吹文明

    伊吹議員 一般論としては吉田先生がおっしゃったことに私は異議はありません。一つだけ気になることは、放送局の価値観を持って報道する自由があるとおっしゃったことについては、これは放送法の規定からいかがなものかという気がしないではありません。  ただ問題は、ですから、今回の場合は、明らかに椿さんとおっしゃる方の発言、つまり報道する側がそれを認めて発言をされたということに根差しているわけで、これは自民党をどうされたとかということじゃないと私は思うのですね。これは政党政治が、例えば自民党が今こういう立場におりますが、じゃ、その他の政党、例えば、失礼ですが、民社党とか社会党とか新生党が同じ目に遭っても自民党はやはり同じことを私は言ったと思います。つまり、政党政治の命を守らねばならないということだけであって、それ以上の気持ちは一切ありません。
  199. 吉田治

    吉田(治)委員 最後に一点。  在外邦人の選挙制度ですけれども、非常に国際化が進展する我が国におきましては、非常に必要なことだと思うのです。今回は間に合わなかったと思いますけれども、この政治改革法案成立後に、速やかに在外邦人の選挙の実現というのは必要だと思いますけれども自民党の方も、どうぞ御一緒にやっていただけるかどうか、お約束が、もしくは御意見を賜れればと思います。
  200. 伊吹文明

    伊吹議員 このことは長い議論が随分ありました。私は、連立側が今議院内閣制のもとで政府を持っておられるわけですから、外務省を含めてそれを実行するという体制をつくって、法案をつくっていただければ、我々も喜んで御協力したいと思います。
  201. 吉田治

    吉田(治)委員 最後に、本当にありがとうございました。どうぞ、私たち若い者たちが安心して、三ない生活というようなことがないような議員活動、また政治活動並びに選挙ができればいいなと、そういうふうにお互い頑張っていきたいと思っております。  これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  202. 石井一

  203. 笹木竜三

    笹木委員 民社党・新党クラブの笹木竜三です。  すべて自民党提出者の方々に対して質問させていただきます。  まず第一番目に、個人献金の促進等について、特に個人献金に対するその促進措置としての所得控除制度、その目的についてもう一度御確認さしていただきたいと思います。お答えください。
  204. 額賀福志郎

    ○額賀議員 お答えをいたします。  平成三年度ベースで政治献金のことを考えますと、大体一千百億円台の政治献金が報告されておったというふうに自治省から伺っております。その場合に、個人献金はどれくらいの割合かというと、約四百九十億円前後で、割合としては一四%、その前後であるというふうに聞いておりまして、我が国におきましては、政治献金の中で個人献金というのは余り定着してないというのが本当の実相ではなかろうかというふうに思っております。政党に対する個人献金は一けた台である、一・何%かという感じで承っております。  我々は、今回の政治改革におきまして、政治不信を解消していくために、政治と金のあり方をきちっと透明性を持って、公私の峻別をきちっとしていって、信頼を回復していかなければならないということでございます。そのために選挙政党のあり方を政策中心にしていく、それから献金の集め方も政党中心にしていくということで、自由民主党といたしましては、助成金を導入するに当たりまして、政治献金を大体個人献金が三分の一、そして政党助成が三分の一、そしてあと企業献金が三分の一、そういう形で我々の政治活動の裏づけとなる政治資金を補っていくことができればいいなというような感じで受け取っているわけであります。  したがって、特に我々の個人や政党に対する個人献金を定着していくために、これはいろいろと所得控除等の考え方も今まではやってきたわけでありますが、政党に対しましては特に控除をいたしまして、この促進方を図って、個人献金の一層の定着を図っていきたいというふうに思っているわけであります。これは総じて、政治活動が公的資金だけで賄われて、国家権力の介入があって政党活動の自由が侵されてはいけないという考え方もあるわけでございます。
  205. 笹木竜三

    笹木委員 私自身の経験なんですけれども選挙の前三年間で、選挙のある年で約二千万円、選挙のない年で、少ないですけれども五百万円。これは八割が個人からで、一団体、一個人から上限二十万円までという原則で集めているものです。  そういう活動を四年ほどやってきまして、その反応なんですけれども、出した有権者、国民の方々は、額は少なくても政治家個人、私の場合は個人の資金団体に対してですけれども、出した場合にはかなりいろんなその後の注文といいますか政策的な要望とかいろいろあるわけです。必ずそういう献金していただいた方にはアンケート、いろんなことでアンケートを頻繁に実施しているわけですけれども、非常に驚いたんですけれども、ほとんどいわゆる普通の利権的な要望じゃなくて、政策に対する要望が多かった。個人で上限二十万での献金なんというのは、逆にそうしたことに関心のある方がやはり献金されるのかな、そういう実感を持っておるんですけれども、今、よくこれからの再編の争点として集権か分権がとか、あるいは国権か国際協調がとかいろんな話があるんですけれども、こういうことはただ言葉として議論していても意味がないので、例えば分権というのを具体的な政策課題で突き詰めていく。そうすると、当然党内での分権、意思決定の分散とか、そういう問題にも突き当たってこざるを得ないと思うんです。  この個人献金、その促進措置というのは党内での、党が一括して集めて、ただ個人に集めるという形じゃなくて、個人の政治家も資金団体という形で個人献金を受けられる形がやはり望ましいと思いますし、出す側としても、政党に出したり候補者に出したり、選べるということ、こういう面がある。使う側としても、使い道も比較的限定されずに自由に決めることができるということで、党内での分権に対してプラスが多いんじゃないかと思いますけれども、それについての所見をお聞かせいただきたいと思います。
  206. 額賀福志郎

    ○額賀議員 笹木先生、党内の分権という意味はどういうことでございますか。
  207. 笹木竜三

    笹木委員 党内での意思決定ですとか、個々の政治家の裁量度が広くなるということだと思っております。
  208. 額賀福志郎

    ○額賀議員 私は、笹木先生のおっしゃるとおりだと思います。我々は憲法上に、国民から選挙された者で両院を構成する、それが我々国会議員である。その国会議員の代表者が、国会議員がそれぞれ主義主張、政策の一致する者がお互いに自主的に集まってできていくのが政党である。したがって、政党があって政治家があるんではない。政治家があって政党が起こるわけでありますから、当然、まず第一番目の主体性は政治家が持っているわけでございます。したがって、個人献金であろうと、あるいは企業からの政治献金であろうと、あるいはまた政党助成であろうと、これが、政党が配るから政治家の主体性が損なわれるということはあり得ないというふうに思っております。
  209. 笹木竜三

    笹木委員 私自身は、活動している中でも有権者との直接な対話、これが非常に大事だというふうに考えております。政党の政策、あるいは政党中心、政策中心の選挙にしていくためにも、有権者に対する普及というかPRあるいは啓蒙、こういった活動は個々の政治家に頼らざるを得ない面も非常にたくさんある。そういったコミュニケーションを大事にするためにも、個人の有権者と個々の政治家がお金の面でもつながりがやはり残された方がベターではないか、そういうふうに考えております。  第二点目の投票方式についてなんですけれども、一票制の提案についてのその理由、特に二票制の何が問題なのか、もう一度御確認さしていただきたいと思います。
  210. 保岡興治

    保岡議員 たびたび我が党の提案者が申し上げているとおり、我々は、小選挙区を基本とする選挙制度ということで、衆議院選挙の特性にかんがみて、政権を選ぶ、政権政党を選ぶということに重点を置いてこ選挙制度考えております。  まあそういったことで、小選挙区というものと比例区というものは、二つの選挙区、二つの手続という考え方には立っておりません。いわば、家でいえば二つのうちを建てるというものではなくて、二階建てを建てる。それでまあ、二階建ての場合ははしごで上らなければならないわけですけれども、そのはしごとしては、比例区の同一順位の候補者の当選を決める際に、小選挙区における惜敗率というんですか、そのことによって順位を、当選順位を決めます。また、この重複立候補を認めている。  この二つの特性をもってして、小選挙区を補完する、必要最小限度、意見の多様性を認める制度として、小選挙比例代表並立型とは言っていますけれども、小選挙比例代表補完型と言ってもいい選挙制度提案している、そういった意味で一票制をとっているというふうに理解していただければいいと思います。
  211. 笹木竜三

    笹木委員 この小選挙区の並立制ということのメリットを考えた場合なんですけれども、有権者の側に立って考えた場合に、候補者本人を選ぶ、政治家、議員本人を選ぶということと、政党を選ぶ、その二つの側面が、選ぶ側としてみれば、もし二票制であったら非常に色濃くあると思うんです。これはかなりメリットがあるんじゃないか。  先ほど答弁の中にお話ありましたけれども政治家があって政党がある、そういった面もあります。政党の大事な役割を考えますと、政策ですとか理念、これはやはり大事な一本の柱。もう一本は、どれほどの魅力のある、能力のある、質の高い候補者を、議員を抱えているか、これが二本目の柱。やはり政党というのはこの二本の柱が非常に大事で、実態としては、この二本の柱が同じレベルで、常にベターな形でそろっているとは言いがたい。これが現状としてあると思います。  失礼な例ですけれども、例えば今回の政権交代、それまでの与党の自民党の政策、理念がもつと新しくなってほしい、そういった要望もあったと思いますけれども、全員じゃないですけれども、候補者あるいは議員の体質ですとかそういうものが変わってほしい、こういった要望がもっと強くあったんじゃないか、そう思うわけです。  それで、判断材料として、それが別々に結果として出てくる。例えば、Aという党を支持はするけれども、この候補者、まだ違反として挙がってはいないけれども選挙活動でかなり問題がある、政治活動でもかなり問題がある、そういった場合の反対票として、小選挙区の投票ではその候補者に入れない、A党のその候補者に投票しない、しかし比例代表の部分ではAという政党に投票する、こういうようなことが有権者の側からすれば可能になる。それはクロスボーティングじゃないか、あるいは精神分裂症じゃないかという反論もあるようですけれども、実態がなかなか両方ともが同じようなレベルでそろってないことが多い。政党としてもそういった判断材料を常に、多様な判断材料をそろえてそれぞれを切磋琢磨していく、そういうことで非常に理想的なんじゃないか。  再編のスピードとかそういったことを考えると、一票制が若干速いんじゃないか、そういう議論もありますけれども、この並立制のメリットを有権者側から考えた場合に、実態として非常に二票制の方がメリットがあるんじゃないか、そう考えるわけですけれども、御意見をお伺いしたいと思います。
  212. 保岡興治

    保岡議員 連立与党政府案では、二票制になっていたり、それから比例部分の区画が全国単位でなっていたりします。そういう制度は確かにいろんな多彩な価値観を選挙民が反映しやすい制度であるということは、制度の性質上言えると思うのです。  しかしながら、我々はやはり余りにも個人選挙に偏り過ぎ、利益誘導型、サービス型の選挙というものに偏ってきたところに、今の政治全体に対していろいろ閉塞状態や病理的現象を生み出している。そういうことから、思い切ってこれは新しい時代を切り開いていく。時代の大きな転換期に、先ほど来質疑に出てきた、細川総理も言っておられるように、いろんな改革を進めていく。そのことは迅速に、的確に行わなきゃならないということで、やはり政党本位、政策本位の選挙を実現しようということでありますから、我が党としては、できるだけ意見を集約した形で選挙民に基本的政策や、それから出てくるいろいろな、時代に対応する政策を強く明確に打ち出して、そのことについてはっきりした選挙民の支持を得て、そして先ほど申し上げたような、迅速的確な政策遂行を実現していけるようにしよう、そういう理念に基づいて、政党というのでしょうか政権政党というのでしょうか、選べる、そこに重点を置いた制度にしているということを御理解いただきたいと思います。
  213. 笹木竜三

    笹木委員 時間がないのでこれで次の質問に入りたいと思いますけれども、私としては、従来は、中選挙制度のもとでは自民党も複数の候補者が出ていた、あるいは野党も複数の候補者が出ていた。ですから、このAという政党は支持するけれどもこの候補者はどうもという場合には、政党の中であるいは野党間の中で、有権者にしてみれば他のところに移る、投票を移すことができた。今後は一騎打ち的な、与党と野党の一騎打ち的な選挙になるわけですから、今言った候補者に対する反感が、あるいは不支持がそのまま政権の選択になるわけです。  ですから、今言ったように、むしろ、先ほどからお話しするように、政策とか理念というのはその条文が宙に浮いているんじゃなくて、だれが語るかが重要なわけでして、だれが語るか、そのことについても常に有権者の審判を語る、別に語る、そのことの重要性もいつも感じるわけです。ですから二票制のメリットを私は感じるわけです。もうお答えは結構ですけれども。  次の質問に移らしていただきます。  事前ポスターの規制について。自民党はこの規制、提案されていますけれども、その理由、どのような考え方提案をされているか、お答えいただきたいと思います。
  214. 保岡興治

    保岡議員 選挙期間外に公職の候補者やあるいは後援団体が掲示するポスターをいわゆる事前ポスターというのだと思いますが、これはベニヤ板で裏打ちされてないものに限って現行法で許されているところでありますけれども、事前ポスターの掲示ということは一つの政治的表現だろうと思います。したがって、憲法上保障されているところの表現の自由に関することであろうと思いますけれども、しかし、こういう憲法上保障されている人権は、もちろん規制の目的が合理的であったり、あるいは規制の方法、手段というものが必要最小限度に抑えられているというようなことであれば、これは制限ができるということは一般的に認められているところでございます。  そういった意味で、事前ポスターというのはとかく選挙直前になって候補者が競って駆け込み的にたくさんべたべたと張りまくる。そしてまた、それが非常に政治活動というんですか、選挙準備のための運動の経費の無用な増大につながっている、むだな増加につながっている、あるいは街の美観を著しく損ねるということがある。したがって、こういった法益を守るために規制をする。ただ、規制は、解散の日から選挙が終了するまで、任期満了選挙の場合は任期前一年の間、事前ポスターの掲示はできないという、そういうふうに規制を限っておりますので、必要最小限度の規制と言えるのではないかということで、我が党が提案している事前ポスターの規制については、規制目的が合理的で、かつ必要最小限度に抑えられているものとして提案をしているところでございます。
  215. 笹木竜三

    笹木委員 これも私の経験なんですけれども、約六年間政治活動という形で活動を続けてきたわけです。で、そういった現職じゃない者から見て、今の選挙法自体が新人に対して何もやるなと言っているように見えるような、非常に現職優位の法律であることは、これはもうほとんど新規参入しようとする者が皆感じている実感だと思うんです。新規参入、新しく立候補したいと思う者にとって、やはりいろんな手段は多い方がいい。どうしても現職優位になりがちなわけですから、いろんな手段は残されている方がいい、率直にそう感じます。  それと、美観ですとかそういうことは、原則ちゃんとその家庭に許可をとって張る、裏打ちをしないということであれば、そんなに美観上の問題はない。  さらに、お金がかかるという話もありますけれども、例えば二万枚印刷して、これはことしの四月の私自身のデータですけれども、二万枚のポスターを印刷する、デザイン料も入れて八十万円。で、原則、支援者の近いところで、メーンストリートに近いところに張っていただく。そういうことで、すべて合わせても百万円かかっておりません。それに比べて新聞広告。政治、政策についての集会というその新聞広告、これは、これも地元の七割のシェアを持つ新聞広告、一回で七十一万円かかっております。お金の面でいつでも、新人候補にとってそんなに高いお金にはついていない、ポスターがですけれども。これは、要は張り方、つくり方の問題で、節約して張っていこう、つくっていこうということであれば、決してそんなにお金がかかる道具ではない、そう考えます。  こういったこと、現職が非常に優位で、新聞の媒体、テレビの媒体に比べても非常に安く自分の政治活動を訴えることができるという面で、これは最低限残すべきだと思っております。  時間がないので、最後の質問に移らせていただきますけれども政党・政策本位の活発な競い合いということで今後の選挙があるべきだと思うわけですけれども、例えばテレビを使ってのディベート、政党間のディベート、こういったことをもっともっと積極的にやるお考えがあるのかどうか。さらに、先ほどからお話ししているように、なるべくいろんな分野からの新人が政治に参入していくことが望ましいと思うわけですけれども、そのために、定年制というのは私も反対で、例えば在職年数。定年制というのは、例えば経済界ですとか文化の分野で活動された方が四十代の後半あるいは五十代で政治に転出されようと思っても、定年制があるとなかなか転出されることが少なくなっていくと思いますから、例えば在職年数で限る、あるいは資格試験的なことをやってなるべく新人の発掘をする、そういったお考えがあるのかどうか。これは連立与党の中でも当然議論をしないといけないことなんですけれども自民党提案者にお答えいただきたいと思います。
  216. 保岡興治

    保岡議員 その事前ポスターの規制も含めて、新人が出にくくなるんじゃないかという、ちょっと懸念を持っての御質問でございますけれども、事前ポスター、もう全面的禁止にしたわけじゃないので、駆け込み的な選挙の前の事前ポスターの掲示を禁止するということですから、やはりイコールフッティングでみんなで経費を削減できるということは、私たち政治家も、先ほどの吉田さんのお話にもありました付れども、できるだけ経費を節減していこうということで、これについては御理解をいただきたいと思いますし、また、新人の発掘ということは、これは個人で名前を売って、そして知名度を高めて支持者の理解を得ていくという今までの中選挙区のあり方と違いまして、今度は党内で公認候補が決まってくる。したがって、あとの知名度を高めたり、政策を普及宣伝するのは党が行うということでございますから、今委員の御心配のような点は、党のあり方の問題になるんだと私は思います。  そういった意味で、政党は常に新陳代謝ということも必要ですから、そういうことを怠っていますと、今度はその選挙区で、先ほどお話ししたように、立派な人、新人という新陳代謝という意味でも、新しい風、こういうものを常に政党考えて候補者を選ばないと、これは政党が政権を失っていくことにつながりますので、そういった自己努力というものが強く働く緊張が小選挙区には大きな特色として生まれてくるという、そういった意味で、各政党の新人発掘の努力は、選挙民の期待にこたえ得る制度になっていると私たち考えております。  また、定年制についても、これは各政党でやはり考える問題ではないかと思います。
  217. 額賀福志郎

    ○額賀議員 先ほどの答弁につきまして、平盛二年度ベースで全体の政治献金が一千百億円余りと言ったのは、一千九百億円余りでございますから、訂正いたします。
  218. 笹木竜三

    笹木委員 どうもありがとうございました。
  219. 石井一

    石井委員長 それでは最後に、正森成二君。
  220. 正森成二

    ○正森委員 きょうは自民党提案に対する質問でございせすので、主として自民党提案者に対して質問をさせていただきます。  まず第一に、ことしの四月、五月に行われました議論でも、また今回でも、中選挙区制の制度疲労論ということが言われておりますが、ごく簡潔で結構ですが、制度疲労という中身と、それがいつから始まったかについて答えてください。
  221. 保岡興治

    保岡議員 一口にちょっとお答えもしにくいとは思いますけれども、一つは、利益誘導型、個人型選挙というものが、やはりこれからの時代を展開していく上で、国のあり方とかトータルとしての国民のいろいろな生活や民生の安定向上のために実行していかなきゃならない政策というものをもっともっとはっきりと国民に訴えて、そういった意味で確実、的確、迅速にそういう政策が行われるようにしなきゃならないという問題を一つどうしても乗り越えなきゃならないという意味で、中選挙制度はそこに問題があるということ。  それからまた、一つは、政権の政党が固定化されまして、与野党が固定化されるという中からいろいろな意味での競争原理が働かなくなって、そうして、何となく永田町中心の政治になったりあるいは国会で論戦が行われにくくなったり、そういった緊張のない状態から政治的な腐敗も生じやすくなっているんじゃないだろうかということや、また、いろいろ政治とお金の関係でも、中選挙区は同士打ちというのがありますので、本来の政治活動経費以外の経費がかかって、それが大きくなって不祥事に結びついているという、そういった意味で根本から政治改革していこうというので、中選挙区にさよならをして、新しい制度のもとで新しい政党政治を確立して、政治を蘇生させていきたいということだろうと思います。
  222. 正森成二

    ○正森委員 私がいつから疲労が始まったんですかということも聞いたんですが、今の答弁を聞いておりますと、中選挙区制というのは、疲労じゃなしに初めからそういう欠点を持っておったというように聞こえるんですが、それじゃいつから疲労が始まったんですか。
  223. 保岡興治

    保岡議員 これはまあいつからといってもなかなか答えにくいんですけれども先生がおっしゃるように、やはり制度そのものに欠陥があるというよりか、そういうプラス・マイナスというのがどの選挙制度にもあって、そのマイナスの要素がプラスの要素と一つになって、ある政治の構造ができ上がってしまった。  それはいつからかと言われてもあれですけれども、だんだん日本の戦後の政治が安定し始めるころ、そうですね、高度成長が一段落して、ある程度経済が豊かになって安定し始めた昭和五十年前後あたりから、少しやはりそういう疲労が強くなってきて、不祥事が重なるようになってきた。そこに自由民主党、我が党も強い反省を持ってこ制度改革に取り組んだということだと思います。
  224. 正森成二

    ○正森委員 今一応お答えがあったんですが、そういうのを聞いていると、制度が疲労して治癒しがたい、なかなか元気にならないということだろうと思うんですが、しかし、おたくの党の幹部と申し上げてもいいと思うんですが、それと全く違うことを最近も言っておられますね。  ここに資料を持ってまいりましたが、九月の二十五日の午後に、東京の新宿区内で開かれた新聞労連主催の「政治報道」を考える討論会というのがあったんです。そこに、おたくの党を代表されたんだと思いますが、自民党の加藤紘一元官房長官が出られた。それでその方が、「(小選挙区制へ選挙制度を正さなければならないという主張は論理的に全部崩れてしまっているのに、新聞社は(報道姿勢を)直していないしと述べ、発言の中で「(政治改革にたいする)国民の意識は(選挙制度よりもカネのことを何とかしてくださいという気持ちが強いこう述べて、「金権腐敗政治一掃へ具体的な政治の対応を求めている」こういうことを指摘した上で、「小選挙区制導入の根拠として主張されてきた①カネがかからなくなる②選挙政党本位の政策対決になる③政権交代ができる」こう言われてきたことについて「われわれの間では、次の総選挙自民党と新生党の対決となり、日本列島全体が(一人区で金権選挙の象徴だった)総奄美選挙区となるだろうといわれている。」思い当たることがあるでしょう。「政策対決の選挙というが自民党と連立与党の政策で新しい対決するところがあるか、対決点を無理やり探し求めなければならない。」それはそうですね、政策継承すると言っているし、ついこの間まで机並べて一緒にやってきた人ですからね。「政権交代は(現行中選挙区制でも)現実に起きてしまっている。」だから細川内閣ができたわけです。「(小選挙区制導入の)三つの前提は全部崩れた」こういうようにそこで言っておられるんですね。これは我が党の赤旗の記者が入っておりまして、自分の耳で聞き、メモもとりましたから非常に正確なものであります。  「論拠が崩れたにもかかわらず新聞報道が依然として小選挙比例代表並立制の導入をうながす報道姿勢を続けている点に触れた加藤氏は「(小選挙区制導入を諮問した)政府の第八次選挙制度審議会に新聞社各社幹部がメンバーとして入ったため(記者も社全体としても小選挙区制批判記事を)書けなくなった。」こういう意味のことを言いまして、「(小選挙区制肯定報道へ走った)テレビの流れに負けている。テレビが走ってから(新聞は小選挙区制が論理的におかしいことが分かっても)流れを止められないでいる。太平洋戦争へ突っ込んでいったときと何が違うか」こういって言っておられるんです。これは非常に当たったところだと思うんですね。  そうしたら、あるマスコミの論説委員が反論したんですね。それにさらに反論して、「世論調査では政治改革選挙制度を変えるというのは二〇%、腐敗防止をしっかりやれというのが六〇%近い。何度調査してもそういうデータが出ているのに国民には選挙制度改革)の意味なんかわからないのだ、というのはメディアの国民にたいするせん越だ。選挙にもっとも近い場で(金権腐敗政治の)実態をわかっているのが国民だ。メディアの目よりも一般市民はその実態を知っているから(政治改革選挙制度論の話ではないといっている」こう言っているんですね。  また公費助成問題については「(政治献金は)本来、個人献金でいこうということなのだが、公費(助成)でみんなでごまかしちゃおうということだ」こういうように言っておられるんですね。  だから、私は、言いましたら、何か加藤さんが変わり者みたいな不規則発言がありましたが、しかし、宮澤内閣官房長官をしておられたこともありますし、幹部であることは間違いないんですね。  これは決して加藤さんだけが言っていることじゃないんですよ。ついこの間、十月十九日に、今東京で葛飾区議の選挙が行われております。一千万もらったと言いながら自分は辞職しないで、議会を逆に解散したとんでもない区長でありますが、その選挙が行われて、二十四日が投票日です。そこで我が党の議員も争っております。  そうしたら、そこの葛飾の新生党のある候補が十月十九日、後援会の皆さんから、自民党と新生党とどこが違うのかと質問を受けたが、私もわからない、新生党もよく聞いておいてほしいんですね、こう言っているんですよ。だから、どこかわからないものが政党本位の選挙をやる言うたって、そんなことはできるわけがないというように思うわけであります。  そこで、せっかく保岡さんが来ておられるので伺いたいと思いますが、あなたは十三日の衆議院会議で、「一議席をめざして、食うか食われるかの死闘を演じてきた」、もう実に身につまされて聞きましたよ。そして、「金権選挙責任を否定するつもりはない。こんな異常な選挙をやるくらいなら、政治家なんかやめてしまおうという思いに駆られるほどの地獄を見たことも事実」、これは私がもうちゃんと自分の耳で聞いたんですからね。  そこで保岡さんに質問兼ただしたいと思うんですが、自民党案をここで答弁して弁護したりするより、自分の選挙区の、もう政治家やめようと思った内容をここでしゃべってください。その方が政治改革にとってよほど貢献すると思いますが、いかがですか。
  225. 保岡興治

    保岡議員 奄美の選挙のいろいろ問題は、私が本会議で言ったように、本当につらい経験でございました。  しかし、私はそれは、全国が中選挙区で行われておりまして、その中で小選挙区のルールも、小選挙区で当然求められる政治の姿も何もないのに、一人区をたった一つ例外として置かれている。そのことが、一人区の中選挙区型選挙であって、小選挙区制ではないと言ってまいりました。それは中選挙区の弊害が、小選挙区のルールやきちっとした政党のあり方というものがない状態で行われますと、一議席を争うまさに食うか食われるかの中選挙区の弊害が極端にあらわれる選挙区として存在しているんだ。  だから私は、日本の今の政治を変えていくためには、やはり政権をきちっと政策本位で選んで、そして思い切って国の未来を開いていく政治が必要だという認識に立って、全国が小選挙区になって、ルールやきちっとした小選挙区のあり方がそこに実現すれば奄美も救われる。そういう厳しい経験から、本当に奄美の実情を克服するためにこそ小選挙制度を、また、日本のためにも実現したいという信念で頑張ってまいりました。
  226. 正森成二

    ○正森委員 おっしゃることはいいのですが、中選挙区制の食うか食われるかが奄美にも持ち込まれたという意味のことを言われましたが、食うか食われるかは、小選挙区が全部になった方が全部について食うか食われるかになるのですよ。現におたくの党の加藤さんはそういうことを言っているし、これまで我が国に二遍、小選挙区制が導入されましたが、その提案理由で、内務省だとかいろいろなところがそういう意味のことを言っていることは公知の事実なんですね。  しかし、それはまた次に質問することにいたしまして、津島さんがお見えになりましたから、企業献金の問題について聞かせていただきたいというように思います。津島さん、御苦労さんでございます。  私は、あなたと、四月の二十三日だったと記憶しておりますが、一九〇七年のアメリカのティルマン法、そういうものの内容も引用いたしまして、アメリカの企業献金禁止の問題についてお話をさせていただいたことを記憶しております。そのときに津島さんも非常に真摯にお答えをいただきましたが、きょうはなるべく、もっとも法律論もありますから全く重複しないということはできませんが、なるべく重複しないようにあなたに伺っていきたいというように思っております。  そこで伺いたいのですが、一九〇七年にティルマン法ができた、そのいわれから少しお話し合いをさせていただきたいと思うのです。  それは、一八九六年と一九〇〇年の二度の大統領選挙で、共和党の候補者のマッキンレーが企業に多額の献金を割り当てて金権選挙を引き起こし、それが非常に批判を受けたのですね。その次に、一九〇四年の大統領選挙で、テオドル・ルーズベルトだったかなと思いますが、有名なルーズベルトのお父さんですかな、そのお父さんが選挙をやったのですが、それがまた非常に金権選挙だということで民主党候補から非常に強い批判を受けました。そこで、これを何とかしなきゃいかぬというので大統領が法案提出したのですが、それに満足しないで、議会が企業献金を全面的に禁止する法律をつくったというのが一九〇七年のティルマン法制定のいわれなんですね。  ところが、このティルマン法というのは、お金は規制したけれども、労力で、日本でもよく言われるように秘書を派遣するとかあるいは物品、そういうもので後援するということを、やっておりませんでしたので、さらに物品やサービスの提供を禁止する、そういう法律を一九二五年につくりました。  これは有名なティーポット・ドーム事件というのがありまして、政府が所有し、海軍用に蓄えられている石油資源の民間石油会社への貸与をめぐって、当時のハーディング共和党政権の中枢を巻き込む大規模な汚職事件が発生して、内務長官が収賄容疑で起訴されるということが起こりましたので、さらにそれを拡大するということをやりましたことは御承知のとおりだと思うわけであります。  その後、いろいろいきさつがありましたが、詳しいことは途中省略しますが、一九四七年に、私たちは弁護士として習いましたが、タフト・ハートレー法というのができまして、企業が大統領の予備選挙や党大会に対して寄附をするということを禁止する。それだけではつり合いがとれないというので、労働組合の企業献金もこのとき初めて禁止するということをやりました。  それからさらに進みまして、有名なニクソン大統領のウォーターゲート事件が起こりました。そこで、七一年の連邦選挙運動法をさらに一九七四年に改正いたしました。これに対して七六年に、津島さんがお好きでしばしば引用されるバークリー判決というのが、合憲の部分と違憲の部分があるという判決がアメリカの連邦裁判所で出ました。それに対して、これを受けまして一九七六年に改正をされたのが今のアメリカの大体の基本法になっているわけであります。  その基本法でどういうような骨子になっているかといいますと、まず、企業、労組の献金は禁止する。個人や政治団体による寄附は量的制限を行う。候補者や政治団体の寄附受領を制限する。候補者や政治団体の選挙資金の収支に関する厳格な報告開示制度を行う。それから大統領選挙への一定の公費補助制度。しかし、公費補助をもらうと選挙運動の支出制限が課せられて、公費をもらわないときにほかから集めて相当金を使うということができなくなるという制限を持っているという内容になっているわけであります。これは津島さんもよく御承知のことだと思います。  そこで、そういうような体系のもとで、企業献金が原則として許されず違法である、罰則によって処罰されるということに連邦規模ではなっているわけですが、そういうもとで違反が行われた場合、罰則はおおむねどうなっているかという点について提案者に伺います。
  227. 津島雄二

    津島議員 大変細かく御勉強になって、今おっしゃった範囲内のことについては異論はありません。  ただ問題は、今世紀に入ってから今のような立法の努力がいろいろ行われて、主として連邦レベルの選挙政治活動に係る規制をどうしたらいいかという議論をやってきている中で、基本的に二つの争点が法律的に残ってきたと思うのですね。一つは、憲法の集会、結社、政治活動の自由との関係、それからもう一つは、州と連邦の間の権限調整、これがずうっと議論の材料になってきて、私は好きで言っているわけじゃなくて、このことについて最終的に真っ向から判示をしたのがあのバックレー判決ということになっているんですね。  それで、それを受けて一九七六年に改めて改正法をつくった。その結果として、やれることとやれないこととはっきりしているんですね。やれることというのは、連邦レベルのオフィサー、つまり連邦の選挙管理委員会、アメリカでは選挙管理委員会自身が訴追をいたしますから、だから、連邦の選挙管理委員会で扱っている権限の範囲内のものについては一定の規制をすることが連邦法でできる。逆に言うと、州法の段階のことは、これは州でやらざるを得ない。これが一つの重要なポイントでありまして、州の方は過半数の州が政治献金、企業献金を認めているというのが事実なんであります。  それからもう一つの争点は、何ができるかということでありますけれども、それは、例えば政治家が本人の資金を集める、集めるというのではなくて自分が拠出をしてやる、これについては制限をしてはならない。それから、一定の範囲内の親族の資金についても、これはもう憲法上制限できない。大きな穴があいておるわけですね。  その辺のことを申し上げた上で、今正森さんの言われたことについて、私は異論がございません。  なお、罰則がどうなっているかというのは、ちょっと私ここに持っておりますけれども、突然のあれですから、正確にはお答えを避けさせていただきます。
  228. 正森成二

    ○正森委員 政府として提案している場合には、それは細かいことを知っている官僚がついておられるでしょうけれども政治家ですから結構です。  私から申し上げますと、今もお話がいろいろございました。ソフトマネーのことなんかもお話しになりましたし、申しませんが、私が質問した罰則が幾らになるかという点でいいますと、例えばどうかと思いますが、この間金丸信氏の事件が起こった。五億円もらった、その五億円を数十名の同志に配った、そして自分自身は、政治資金の規正法に基づく届け出をしていなかったということになりますと、アメリカではこれは三罪になるのですね。まず第一に、もらったということで一罪、それから届け出をしていなかったということで一罪、それから同志に違法な金を配ったということで一罪。金丸氏については三罪が成立しますので、今はどこの党に属しておられるかわかりませんが、もらわれた数十名は一罪が成立するということになります。  そして罰則はどうかといえば、五億円もらった場合には、その三倍までの罰金が科せられる。したがって、十五億円です。それか、あるいは禁錮一年、またはこれを併科されるということです。そうすると、金丸信氏の場合は三つ、三罪が成立しますから、四十五億円以下の罰金、もしくは三年以下の禁錮、これが併科されるというのが一番重い罪になります。  こうなると、金丸氏はたった二十万円の罰金であるということで、逮捕はもちろんあのときにはされなかったし、そして事情聴取もされないで上申書で済んだということになるのですが、アメリカの場合だったら、四十五億円以下の罰金か三年以下の禁錮という重罪ですから、もちろんそんなことでは済むはずがないということで、アメリカでは、政治献金を違法にもらった場合には絶対にもうからないというようになっているのですよ。ですから、そういう点では私どもは非常に日本の法制度というのには問題がある、こう思っております。  そこで、後でまた、時間がちょっとしかありませんし、きょうは委員長がよそへ出かけられるそうなんで……(発言する者あり)ああ、今のは消しておいてもらっても結構です。今のは、いや、だから早く終わると言っているのですよ。  それで、アメリカでなぜ厳しい制度が導入されたか、こういうようにいいますと、第一は、企業献金は腐敗行為と結びつきやすい。バークリー判決では、候補者への多額寄附は見返りを期待してなされるため腐敗と結びつきやすい、それを制限する正当な利益が認められる、こう言って、その部分は合憲にしているのです。そして、見返りを期待してなされる多額の献金は、公職者の腐敗行為を招き、統治の適法性を疑わしいものにするということがアメリカの判例の考え方なんです。余り金をもらって、それでいろいろ行政をやったということになると、統治の適法性を疑わしいものにする。  それから、これはアメリカ的考えなんですが、全力を背景に政治的言論の市場に参入し、言論の市場を支配し、政治に対して不当に強大な影響力を持つこと自体が、見返りを期待した献金がもたらす政治腐敗とは異なるが、別の種類の腐敗であると考えられる、こういうことを言っている。つまり、アメリカは言論でも、言論の市場でそこに余り金を出して、そしてビラを配ったり何やらしたり、あるいはいろいろな行為をやるということは、言論市場を買い占める、それに企業が金を出すということは許されないというような理由になっているのです。  第二番目には、企業献金は政治的平等を侵害する。で、バークリー最高裁判決では、政治的平等を確保する見地から寄附制限は合理的で必要な制限であると判断されましたが、この趣旨は、企業献金禁止の理由にもつながっているわけであります。  第三の理由は、企業の構成員、つまり株主、社員、従業員の政治的自由、特に少数意見を持つ構成員の思想、信条の自由、その政治的自由を侵害することになる、こう言うのです、アメリカは。なぜかというと、企業がその企業会計の中から特定の政治勢力に政治献金をすることは、そのような政治的主張に同調しない反対意見を持つ企業構成員の思想、信条の自由その政治的自由を侵害することになる。個人の思想、言論の自由、政治的自由を、他の人権よりも重いものとみなし、強い保障を与えるアメリカでは、この点を非常に重視している。  つまり、企業が金を稼ぐ、そしたらそれは株主に入る、株主の中にはいろんな思想の人がおるんだ、それなのに企業経営者が自由民主党にだけ献金する。従業員の中にもいろいろな政治的意見の人がいる、ところがその従業員を無視して、自由民主党でなくてもほかの党でもよろしいが、献金をするということは、それらの人々の政治的な自由を侵害する。しかも、これらの金は本来は株主に還元されるべきものだというのが考え方であります。  そこで、時間の関係もございますので申し上げますが、こういうことで、企業献金というかお金の問題は、アメリカでも非常にシリアスな問題になっているわけです。  ところが、私が入手いたしました九月二十三日の朝鮮日報、これはもちろん韓国語で書かれておりますので、日本語に国際部の人に頼んで翻訳してもらったのですが、そこに、小沢一郎新生党代表幹事とのインタビューがあります。そのインタビューの中で小沢一郎氏は、問い、最近進められている日本の政治改革政治改変の最終目標は何ですか、韓国の経験としては小選挙区制が政治資金の需要を減らすことはできないのですが、こういう質問に対して、日本の立場からは政治資金がどのぐらいかかるのかの問題は、むしろ枝葉末節的な論議です、無論国によって異なるけれども、最近の日本にとって最もよい政治改革選挙制度改革です、中選挙区制というものが戦後体制を維持してきた重要要素であるから、これを変えようというのです、すなわち、長らく自民党一党政権の状況から二大政党制というか政権交代が可能な体制を確立しようというものなのです、こう言っているのです。  つまり、小沢氏は、政治資金の問題とか、どれぐらい金がかかるかなんというのは枝葉末節の問題だと言っているのです。ここに、今政府が案を出しているその案の考え方の、有力な提出党の幹部である人の考えがあらわれていると思うのですね。  私は、自民党の案もそれに共通するものがあるんではないかと。そうでなければ、加藤紘一さんが言っているように、国民の大部分が望んでいるのは政治腐敗の一掃であると、制度の改変なんというようなことは望んでいないんだとみずから言っておられるようなことと余りにもかけ離れた企業献金の問題等々の提案ではないかというように思うのですが、ちょうど時間が参りましたので、御答弁をいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  229. 津島雄二

    津島議員 まとめて御答弁をいたします。  最初に、アメリカの法制上、例えば裏献金五億円があると大変厳しいことになると、それはそのとおりでありますが、昨年の緊急是正、我が国における、本院における緊急是正と、私どもあるいは政府側提出しております法律、法案が成立したときにどうなるかといいますと、五億の裏献金を仮にいたしますと、献金自体が罰則の対象になる、受けた方も罰則の対象になる、禁錮刑を含めた罰則の対象になる。配られた方も、それを受けた罰則の対象になります上に、五億円は没収でございます。私は、アメリカに負けず劣らず厳しい法制が今でき上がりつつあるということを申し上げたいわけであります。  その次に、正森委員がずっとお話しになったのは、最高裁判決等の重要な部分をおっしゃっておって、真理の一面でありますけれども、大事な点は、何ができないかということも判示していますね。その中に、委員承知の、いわゆるインディペンデントファンド、つまり独立して、例えば企業が独立して資金を集めて、みずからの政治目的を達成するために行動をする、あるいはお金を使う、政治活動をやる、これは憲法上絶対に抑えられないという判示があるのですよ。これが実はアメリカのこの法制度基本でございまして、このことを抜きにして考えますと、企業が金を使って政治に入ることを一切アメリカは禁止をしているという間違った結論に来てしまう。これはぜひ御理解をいただきたい。  そこで、要するに、節度なんです。ですから、私どもは申し上げているのは、政治献金についてもお互いに節度を持ってやれる制度をこの際打ち立てようじゃないか、それから企業側も、先ほどおっしゃったように、株主等々の立場もございますから企業側のモラルに反したような金の使い方はやめようではないか、その点は委員と一緒でございます。
  230. 正森成二

    ○正森委員 申しわけありませんが、三十秒です。  今言われた中で、企業が金を集めると言われましたが、PACのことを言っておられると思うのですが、あるいは独立支出、違うのですよ。企業が金を集めるけれども、集める相手は株主あるいは従業員や幹部、その家族からだけ集められるのであって、企業が自分の金を出すということは禁じられているのですよ。ですから、その点について議論したいと思いますが、時間が参っておりますので終わらせていただきます。
  231. 石井一

    石井委員長 次回は、来る十月二十五日月曜日正午理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十分散会