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1993-10-20 第128回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 石井  一君    理事 大島 理森君 理事 北川 正恭君    理事 野田  毅君 理事 保岡 興治君    理事 左近 正男君 理事 前田 武志君    理事 権藤 恒夫君 理事 三原 朝彦君       逢沢 一郎君    石破  茂君       小此木八郎君    河村 建夫君       斉藤斗志二君    坂本 剛二君       笹川  堯君    自見庄三郎君       白川 勝彦君    津島 雄二君       中川 秀直君    西岡 武夫君       額賀福志郎君    葉梨 信行君       穂積 良行君    細田 博之君       増子 輝彦君    阿部 昭吾君       秋葉 忠利君    大畠 章宏君       佐藤 泰介君    濱田 健一君       堀込 征雄君    三野 優美君       岩浅 嘉仁君    上田 清司君       大谷 忠雄君    岡田 克也君       吹田  愰君    赤松 正雄君       太田 昭宏君    竹内  譲君       日笠 勝之君    前原 誠司君       茂木 敏充君    簗瀬  進君       川端 達夫君    笹木 竜三君       東中 光雄君    正森 成二君  出席国務大臣        法 務 大 臣  三ケ月 章君        外 務 大 臣  羽田  孜君        大 蔵 大 臣  藤井 裕久君        文 部 大 臣  赤松 良子君        厚 生 大 臣  大内 啓伍君        農林水産大臣   畑 英次郎君        運 輸 大 臣  伊藤  茂君        郵 政 大 臣  神崎 武法君        建 設 大 臣  五十嵐広三君        自 治 大 臣  佐藤 観樹君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       武村 正義君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  石田幸四郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       久保田真苗君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       江田 五月君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  広中和歌子君        国 務 大 臣  山花 貞夫君  出席政府委員        経済企画庁調整        局長       小林  惇君        科学技術庁原子        力安全局長    笹谷  勇君        法務省刑事局長  濱  邦久君        外務省総合外交        政策局長     柳井 俊二君        大蔵省主税局長  小川  是君        文部大臣官房長  吉田  茂君        文部省初等中等        教育局長     野崎  弘君        郵政大臣官房長  木村  強君        建設大臣官房長  伴   襄君        自治政務次官   冬柴 鐵三君        自治大臣官房審        議官       谷合 靖夫君        自治省行政局選        挙部長      佐野 徹治君  委員外出席者        衆議院法制局第        一部副部長    臼井 貞夫君        自治省行政局選        挙部選挙課長   松尾 徹人君        自治省行政局選        挙部管理課長   山本信一郎君        自治省行政局選        挙部政治資金課        長        大竹 邦実君        特別委員会第二        調査室長     田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十日  辞任         補欠選任   笹川  堯君     小此木八郎君   中川 秀直君     河村 建夫君   細田 博之君     坂本 剛二君   秋葉 忠利君     濱田 健一君   大畠 章宏君     佐藤 泰介君   小沢 一郎君     上田 清司君   太田 昭宏君     竹内  譲君   柳田  稔君     笹木 竜三君   正森 成二君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   小此木八郎君     笹川  堯君   河村 建夫君     中川 秀直君   坂本 剛二君     細田 博之君   佐藤 泰介君     大畠 章宏君   濱田 健一君     秋葉 忠利君   上田 清司君     大谷 忠雄君   竹内  譲君     太田 昭宏君   東中 光雄君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   大谷 忠雄君     岩浅 嘉仁君 同日 辞任          補欠選任   岩浅 嘉仁君     小沢 一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一号)  衆議院議員選挙画定審議会設置法案内閣提  出第二号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案内閣  提出第三号)  政党助成法案内閣提出第四号)  公職選挙法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第三号)  衆議院議員選挙画定等委員会設置法案(河  野洋平君外十七名提出衆法第四号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案河野  洋平君外十七名提出衆法第五号)  政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治  資金規正法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第六号)  政党助成法案河野洋平君外十七名提出衆法  第七号)      ――――◇―――――
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定審議会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに河野洋平君外十七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定等委員会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の各案を一括して議題といたします。  本日は、特に、内閣提出の各案について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉忠利君。
  3. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会党秋葉でございます。  今回の政府提案、それから自民党提案も同じなんですけれども、連立政権に参加するための前提条件として、社会党決断力を持ってこの並立制社会党もこれに参加をする、認めるという決定をしたわけでありますが、この評価を非常に高く買うという方々がたくさんいる反面、同時に、これは社会党にとっては毒を飲んだことになったんじゃないか、そういう感じを持っている方々もたくさんおられます。社会党の中にもそういう声がありますし、それから、社会党を応援してくださった多くの方々、多くの有権者にとっても同じような感じになっている面があるんではないかと思います。また、同僚のほかの党の議員方々からも、同じような心配をしてくださる方がたくさんいらっしゃいます。  確かに、社会党にとっては非常に苦い面もあるというのも、私は一面の真実だと思います。しかしながら、同時に、良薬口に苦しという言葉もあります。確かに口には苦いけれども、正確に分析をしてみると良薬だった、いい薬なんだという結論になるかもしれない。そういった視点で、きょうは我が党出身の、もちろんまだ我が党所属ですね、佐藤大臣それから山花大臣に、良薬なんだという証明を、多くの心配をなさっている方々にその証明をしていただければ納得するし、さらに細川内閣に対する信頼度も、そういった人たちの間にも信頼度が広まるんではないか。そういった立場から、主に金権腐敗一掃という視点から幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、こういった私たち認識の中で、金権腐敗政治一掃とそれから選挙制度の変更ということですね、改革と言ってもいいんですが、これは車の両輪だという認識がかなり広範にあると思います。車の両輪どころか、世論調査幾つかを見たり、それから、少なくとも私が日常的に話を聞ける範囲の有権者の多くは、実は金権腐敗政治一掃の方が大事である、車に例えて言えば、金権腐敗政治一掃前輪であって、しかもその車は前輪駆動フロントウィール・ドライブであるというようなことを言う人もいます。先日も広島で、社会党支持者方々との会合あるいは街頭演説のときに、たまたまその場を通った人たち意見、そういったものもありましたし、平成維新の会の広島に住んでいる方々との勉強会、そういったところでも先週の週末、幾つかの意見聞きましたけれども、非常に多くの方が、やはり金権腐敗政治一掃をしっかりやってほしいということを言われております。  まず最初山花大臣に伺いたいんですが、仮にフロントウィール・ドライブ前輪でないにしろ、金権腐敗政治一掃というのは選挙制度を変えることと並んで車の両輪と考えるべきである、そういうふうに思いますが、その認識について手短に確認をしておきたいと思います。
  4. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のとおりだと思っています。  今、有権者皆さん意見なども体しての御発言でありましたけれども、そうしたことにつきまして、我々も、両輪と言うけれども、前輪政治資金規正法を含めた腐敗防止である、こう考えてまいりました。そうした中でのこれまでの経過がございます。企業団体献金禁止に一歩踏み出すことをも含めて、全体として選挙制度を含めて実現しなければ現実的な解決は困難である、こうした判断のもとに今回は四法一体としたわけでありまして、御指摘については、まさにそのとおりだと考えているところであります。
  5. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。  その企業団体献金という言葉がやはり金権腐敗政治一掃のための私は中心的なテーマになると思いますし、なるべきだというふうに考えております。  今、山花大臣言葉では、企業団体献金禁止への第一歩を踏み出したというふうにおっしゃいました。具体的には、政府案の説明では、これが個人政治家個人といっても、これは政府案では管理団体というふうに言うんでしょうか資金管理団体、そこへの寄附はこれは禁止である、しかしながら政党への寄附はこれは認めるということになっております。具体的にこの企業団体献金禁止する、その禁止の意義についてはまだ異論があるということもこの委員会議論を聞いていて理解しておりますが、私たち企業団体献金禁止すべきであるという立場からこの論を進めているわけですが、なぜかということについてはこの場では立ち入りません。それは、また別のところで議論をすべきであればいたしますが。  その禁止すべきというところから考えると、実効性あらしめるためには、やはり政党に対する企業団体献金も同時に禁止しなくてはいけないんではないか。つまり、全面的に企業団体献金禁止すべきであるというふうに考えますけれども、政府案ではそうなっておりません。実は、ここのところがあれば、苦い薬でもいわばその苦さをあわせて飲み込もうというふうに考える方々が非常に多くなるんではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。これから修正を加えて、全面的に企業団体献金禁止するということを盛り込んでいただくわけにはいかないものでしょうか。
  6. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘テーマにつきましては、長い、前の時代の与野党の議論もございました。当時の野党は企業団体献金全面廃止を主張し、当時の与党はその問題についてはスタンスを変えるつもりが全くないというのが、これまでの議論経過であったと記憶をしております。  そうした中で、今回政権交代、そこでの最優先の課題として政治改革テーマ選挙制度を含めて取り上げ、同時に、腐敗をなくす選挙制度ということから企業団体献金禁止を含めた政治資金の規制をこの中に織り込んだところです。しかし、申し上げたこれまでの議論経過もございます。やはりこの国会の中で四つの法律一体として成立させたい、こういう気持ちから、なお議論の残る部分十分承知はしておりますけれども、とにかく一歩踏み出したい、これが今回、政党以外については全面禁止にするという結論でございました。  しかし、こうした議論は、さまざまな世論を背景として、企業の側にも議論を巻き起こしているのではないかと思っています。単に国会だけではなく、献金について、出す側、受ける側双方、倫理を最重点として公正な政治を目指さなければならないという新しい状況というものは、でき上がっているのではないかと思います。  まずそのためには、国会政治家みずからが努力をしなければならない、それが今回の結論だったわけでありまして、このテーマにつきましては、そうした状況から一歩踏み出した後、五年後見直しという規定になっていることについては御承知のとおりでありまして、まず一歩踏み出した後、現状についてその法施行後の状況を見きわめる中で、五年後の議論が行われるものと承知をしております。連立与党の合意につきましても、廃止意見に考慮して五年後見直すということになっておるのでありますから、廃止についても当然検討されるということを前提として見直し規定もございます。今回、年内成立ということでは、今回の四法案についてぜひ御理解をいただきたい、このように考える次第でございます。
  7. 秋葉忠利

    秋葉委員 実はこれは、以下の議論全面禁止すべきかどうかという前提を離れて、実際にこの法が運用された際にどのような実態が生じるかというその具体的な事実ということで、その法が何を規制しているのか、何を許しているのかといったところでの議論をさせていただきたいと思います。  それを踏まえた上で次の問題提起をさせていただきたいのですけれども、今大臣がおっしゃった一歩を踏み出したというのは、これは価値判断であります。事実に即して本当に一歩を踏み出しているのかどうかということは、また別の基準ではかられなくてはなりません。その基準になるのが当然事実ですけれども、法が何を禁止し、何を許しているのかというところをちょっと考えたいのですけれども、仮にこの企業団体献金を受けたい個人政治家がいたといたします。資金団体をつくるということは当然ですけれども、煩雑さを避けるために政治家個人というふうに考えていきたいと思います、この内容の本質は変わりませんので。  そうすると、例えば現代ではコンピューターが非常に発達をしている。皆さんも御存じのようにPOSなんというのがあるわけです、ポイント・オブ・セールス。セブンイレブンとかああいうコンビニなどで買い物をすると、こちらがお金を渡す、それでインプットをするとそれは中央のコンピューター、つまり本店につながっていて、在庫管理から、次の日に一体何を、お握りを何個持ってくるというところまで完全に管理されている、そういうシステムがございます。  そうすると、例えばそれと類似した形で考えていただきたいのですけれども、先日の本会議では、例えば政党の支部を通して後援会寄附を受けるという形での問題提起が行われておりましたけれども、別に政治家後援会を通さずとも、その管理団体が例えば政党会計処理の一端を担う、会計責任者の仕事を分散化させるという形で、例えば現金処理を行ったり帳簿づけの補助を行ったりすることは、これは法的に許されていることであります。  そういたしますと、例えば政治家個人企業から仮に献金を受けたいというふうになった場合には、その政治家個人のところに持ってきてもらう。ただ、それを政治家個人として受け取るのではなくて、そのPOSシステムのように一度コンピューターに入力をする、入力されたコンピューター政党本部につながっていて、政党として幾ら受け取りました、例えば百万なら百万といたしましょう、受け取ったことになる。その時点で、例えば会計責任者に対して、このお金を支出してもいいのかどうかという質問も同時に送ることができる。それを会計責任者は、政党本部においていいですよという発信を行う。それを受けて端末では、つまりセブンイレブンのようなところですね、政治家個人会計を担当している人が、政党の方からお金が回ってきましたから何々議員どうぞこれを持っていてください、実際には資金管理団体ですけれども、という形で実際にそこでの現金のやりとりが行われる。しかもコンピューターを通している。  しかも会計責任者の同意があるということで、これは全く合法的に、ただコンピューターのボタンを一つか二つ押すことによって、具体的には今までと全く同じ金銭の授受、政治献金政治家個人が受け取り、しかもこの新しい法律には全く反しないという手続ができるわけですけれども、まず佐藤大臣、これでまず最初確認をしたいのは、私が今申し上げた手続法律的に現在政府が提案されている法律に従って違法行為ではありませんね、大筋において。
  8. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今御指摘になられましたような行為というのは、法律上違法とは言えません。ただ、基本的に法の趣旨から申しまして、これだけ政治腐敗をしたのは企業団体献金政治家個人との関係において腐敗が生じているということで、現状に即して政党政治資金団体のみにしようというのが法の基本的趣旨であります。  したがって、法律違反ではございませんけれども、法の趣旨に照らして、そういうことを政党が組織的にPOSコンピューターシステムを使ってやるということになりますと、これは一回政党に入ったお金でございますから、当然のことながら政党はだれだれ議員に出しましたということを公表しなければなりません。言うまでもなく、政党に入れた場合でも、五万円以上のものにつきましてはだれからもらったということをしなければなりません。したがって、そういう法の趣旨、本来のあり方からいって、そういうPOSコンピューターシステムというようなことをやっているということが表に出たときに、一体世論はどうなるだろうかということもあろうと思います。  したがって、それは政党自身政党運営にかかわる問題でございまして、その是非については国民皆さん方判断をすることになるでありましょうし、いずれにいたしましても、今の秋葉委員の御指摘のやり方というのは一回政党を通しているわけでありますから、当然政党からだれだれ議員後援会資金管理団体に行っていますということは国民の前に明らかにしなければならないということになっていることだけを、改めて申し述べさせていただきたいと存じます。
  9. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお話は、世論との絡みのところにおいてちょっと納得できないところがあるのですが、大事なところは、法律が、政党お金が入って、それが個人に対して政党お金を出してもいいということはきちんと認めているということが大事だと思います。それをどういうふうにやるか、これは別問題ですけれども、今私が申し上げたようなこともできる。それは、私が今申し上げたのは、時間が節約できるという点で非常に利点があるわけです。  しかしながら、私が申し上げたようなことをやらなくても、コンピューターを使わずとも、入金伝票出金伝票二枚余分に書けば全く同じことができる。しかも、年一回の政党報告書には、例えばその出金伝票入金伝票の具体的な、例えば時間ですとか、実際に現金政党の金庫に入ったかどうか云々というところまで、すべてのケースについて恐らく捕捉することはできないと思います。ということは、そのチェックの仕方というところから考えると、この政府案というのは実質的に政治家個人に対する献金を、ワンステップ多くはしたけれども許している、結果としてそうなっている。意図としてはそうではないかもしれないけれども、実質的な縛りとしてはそういう結果になっているということは認めなくてはいけないのではないでしょうか。ということで、企業団体献金存在そのもの、これがやはり問題であるという観点から考えますと、当然政党に対する企業団体献金もこれも禁止されるべきであるというふうに私は考えます。  今申し上げた事例が一つなんですけれども、今度は佐藤大臣に、簡単で結構ですから、改めてそういった道をふさぐために、政党に対する企業団体献金修正して、ともかく今回の法律の中に盛り込むということをぜひお考えいただきたいと思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
  10. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 企業団体献金というものがどういう存在として考えるべきかということにつきましては、さきの国会でも百七時間議論したうちのかなりの部分を占めていたと言っても私は過言ではないと思うのであります。企業団体献金は即時禁止すべきであるという考え方もあれば、社会的存在であり、八幡判決をもって社会的存在だからいいんだという議論もあり、結局その問題については決着がつかずにおります。  しかし、総理からもたびたび言われていますように、基本的な理想的なあり方としては、政党というのは党費なりあるいは寄附なりこういったものに頼るべきであって、将来そちらの方向に向けるべく五年後の見直しということを本法案にも盛り込んでおるわけでございます。  政党でございますから日々活動しているわけでありまして、連立与党の中でもいろいろ議論がされた中で、現実に即して対処しなければならぬということがございまして、私個人の考えはここで言うべきではないと思いますので、そういった与党の方のいろいろな議論を踏まえて、まず企業団体献金というのは政党政治資金団体に限るべきであるというのが第一段階であり、第二段階目は、その後の状況個人献金状況あるいは政党助成状況等を見て、五年後にさらに企業団体献金廃止する状況ができるかどうか見直すという二段階になっておるわけでございまして、その辺はひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  11. 秋葉忠利

    秋葉委員 五年後というのを仮に今のお答えを前提にして考えてみますと、ともかく五年後には見直し政党に対する献金廃止するという方向だということはわかりました。まずその点を確認していただきたいと思うのですが、実は、と申しますのは、実態を見たときに、実際には五年間置いてみたら個人にもちゃんと献金が行っているじゃないか、その実態を抑えることはできないんだから、だから個人献金も解禁しようよということになる可能性もあるわけですね。ですから、まず政党に対するもの、個人に対するもの、五年後は全面的に禁止をするというのが基本線であるということが一点。  それからもう一つは、五年後とは言わずにこれはできるだけ早く、例えば二年後、三年後、私は、五年後も細川内閣がまだ健在で、山花佐藤大臣責任を持って五年後もこの問題に対処していただければいいなと思っていますけれども、世の中にはそうはならないという予測をしている人もいるわけですから、五年後と言わずに例えば二年後にきちんと見直しをして、責任を持ってやるというような形でこの意思を示していった方がより説得力があるんじゃないかと思うのですけれども、例えば五年後見直しというのをそれでは二年後見直しと、しかもきちんと全面的な禁止を行うということまで盛り込んだ形での修正を行うということは不可能ですか。
  12. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 現在、平成五年でございますけれども、例えば地方の政治資金状況はどうなっているかというのはまだこれは出ていないというように、若干報告書には落差がございます。  したがって、五年間と置きましたのは、一体今、秋葉委員言われましたように、個人献金というものが税額控除を入れたことによって政党にどのくらいふえてくるものだろうか、日本の政治風土がどれだけそれによって変わってくるだろうかということを見なければいけませんし、政党助成というのが入って、政党自身もできる限り、必要なものはお金使いますけれども必要ないものはお金を使わないという、なるべくそれを縮小していく方向にどうなっていくだろうかということもございますでしょうし、今言われましたように、私は、今政治団体に行っている企業団体献金が五万円の公開原則、公表は五万円超ですというふうになったときに、企業団体献金というのが今のままでやるんだろうかというようなこと。  山花大臣からも言われましたように、いろいろこれだけ厳しい世論の中で、企業団体献金あり方そのものも、いろいろな意味で、出す方からもいろいろな反省のことが出てきておるわけでございまして、そのあたりをいろいろ勘案をして、状況をとらえて、そしてやはり政治がきれいになったじゃないか、信頼を取り戻したじゃないかという上において、その次の段階というのは考えていくということになると考えております。
  13. 秋葉忠利

    秋葉委員 わかりました。  それで実は、そうするともう一つの提案なんですけれども、今、政府案では企業団体献金個人に対しては禁止する――さっき私は個人献金と言ったかもしれませんが、個人に対する献金という意味で使っておりました。ということを政府案の売り物として、目玉として掲げているわけですけれども、これはちょっと羊頭狗肉の感なきにしもあらず、そんな気がするわけです。  といいますのは、先ほど申し上げましたように、個人に対する献金でも、要するに入金伝票出金伝票二枚切れば今までと全く同じようにできる。それがなぜ個人に対する献金禁止したことになるのか。  ちょっとこれは頭に浮かんだ比喩なんですけれども、東京発サンフランシスコ行きの飛行機はなくなりましたと最初聞くわけですね。よく調べてみると、いやサンフランシスコは行けるんだよ、ハワイを通っていけばいいんだよというような話なんですね。それで、今の入金伝票出金伝票というところまで話を広げますと、そうすると実はハワイに一度おりて飛び立つ必要はなくて、ともかくハワイ周辺を飛んでいけばいいんだよというような話なんです。それを広げていけば、太平洋上を飛んでいけばいいんだよと。だから、サンフランシスコに行きたいと思えば東京から幾らでも行けるというのが現状なんです。そういう状況があるときに、サンフランシスコは行けなくなりましたというのは、これはちょっと表現としてまずいんじゃないか。  だとすれば、自民党と同じように、個人に対する献金も認めます、ただ手続が変わりました、今までは直接できたものを政党を通してやってくださいというふうに表現した方がより正直じゃないか。その上で、謙虚な立場国民の批判を仰ぐべきではないか。この政治改革法案と言われるものは、最終的には、私は一番大事なのは国民の信を得るということだと思いますけれども、そういった形でよりわかりやすい表現にした上で、この企業団体献金禁止の問題についても国民の断を仰ぐべきだと思いますけれども、いかがでしょうか、山花大臣
  14. 山花貞夫

    山花国務大臣 手短にお答えしたいと思いますけれども、私は従来から政治と金にかかわるテーマ政治資金の問題については三つの柱があると考えてきました。一つは総量規制、政治全体にかかるお金を少なくすること、第二番目は透明性の拡大、すべてオープンにして国民の批判にさらすこと、そして献金についてはできる限り個人献金へと。私は、こうしたテーマについてはそれぞれが相関連しているのではないかと思っています。どの一カ所だけ突き詰めても十分なんじゃないんじゃないでしょうか。ということから、企業団体献金の問題につきましても、政治の総枠の問題、透明化の問題と一体となってどこまで踏み込めるかというのが、今日的な課題だと承知しているところです。  そして、今委員の御質問にお答えするならば、そうした中でも目標がどこにあるかということは明確にしておくべきではないでしょうか。企業団体献金禁止廃止が目標なんだという打ち立て方と、今回単に手続が変わっただけですよということでは、目標が手続論の中ではわかりにくいんじゃなかろうかと思っております。  五年後見直すということにつきまして、廃止意見に考慮してという連立与党の合意があったことなども、そうした目標をしっかりと打ち立てておった。それを受けて今回、法律をつくったということだと心得ているところです。羊頭狗肉ではなくて、目標というものを明確に打ち出すという意味におきましては、まずは一歩踏み出して政党以外は禁止したんですよということの方がよろしいのではなかろうかと思っております。
  15. 秋葉忠利

    秋葉委員 わかりました。  私は、企業団体献金禁止した上で政党に対する公的助成があるということは、それが望ましい姿だというふうに思っているのですけれども、そうすると、企業団体献金廃止されないということであれば、公的助成の方もやはりそれに見合った額を、最低限必要な額を支給するということが望ましい姿であるというふうに思います。  その意味で、実は現在の政府案では総額約四百億円になりました。それ以前の問題として、六百億という案が政府与党内にあった。それが四百億に減っだということは、私は歓迎すべきだと思います。もうちょっと欲を言えば、もう少し減らしてもいいんじゃないかと思いますけれども、しかしながらこの六百億から四百億に政府案修正された。最初から政府案ではなかったかもしれませんけれども、少なくともより多くの国民に支持を得られるような額になってきたということは、実は、ここで党利党略の話になって申しわけありませんが、やはり社会党の主張が非常に生きたんではないかという感じが私はいたします。  ですから、お二人とも閣僚として、内閣の中のお二人として発言をされてきた態度は高く評価するんですけれども、同時に、これは国民の声を率直に受けた社会党が頑張ったから額が減ったんだということを、胸を張ってもうちょっとPRしていただきたいのですけれども、その点お二人に一言ずつ感想をいただきたいと思います。
  16. 山花貞夫

    山花国務大臣 さまざまな観点から議論いただきましたけれども、連立政権とは一体何か、それぞれの党がそれぞれの主張を持ちながら合意をして国民の前に期待にこたえていく、こうした観点からその合意づくりが大変大事であると思っています。  我々は、社会党はもちろん社会党としての主張をする、その他の連立与党皆さんも主張をする、そのことをできる限りオープンにしていく中で合意づくりが行われた。こういう合意形成をできるだけ国民皆さんにわかりやすくということについては、大事なテーマだと思っています。  今後もさまざまなそうした問題点があるかもしれません。これからその点について習熟をしていく段階だと思っておりますけれども、各連立与党皆さんも同じようなお気持ちで臨まれるのではなかろうかと思っているところです。
  17. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 この経過は、御承知のように連立与党の中で三百三十五円という数字が最終的には出てきたわけでございますけれども、その間で私たちは新聞報道でいろいろな議論がなされたということだけを承知をしておるわけでございます。  しかし、いずれにしましても、秋葉委員指摘のように、企業団体献金というのは政党に対してのみ残るということでございますので、おのずと政党助成というもののあり方というのは、やはり十分国民皆さん方の納得を得られませんと、自民党さんの案のように政治団体に対して最終的に三年目に資金調達団体二つに絞ってということだけれども、出せる総枠は、一つ企業にとっては今の最高一億から一億五千万という大きな量がふえてくるということでは、私は改革方向と違うのではないか。そして、その上政党助成をするということでは、国民の納得が得られないのではないか。  私たちは、そういった意味で、なるべく政治にかかわる資金というものを、必要なものは必要でございますし、民主主義のコストとは考えておりますが、でき得る限りやはり国民皆さん方に御負担をかけない格好で、健全な、きれいな日本の民主主義をこの際つくり上げていくべきである、こういうふうに考えております。
  18. 秋葉忠利

    秋葉委員 わかりました。  それで、いや実はもうちょっとPRをしていただきたいと思ったのですが、社会党所属の閣僚としてお二人とも、例えば憲法の問題その他に関して批判を受けるときは、一身に責任を持って自分だけでその批判に対して正面から答え、同時に、今のように手柄がある、何か功績があるというときには同僚の他党の閣僚すべてにその功績を帰するという、私は、こういう謙虚な態度、しかも真っ正面から批判を受けるという態度は、これは日本社会党のすばらしい点ではないかと思います。特にその点を認めていただきたいと思いますし、マスコミの皆さんには、特にこういった点を考慮に入れて、社会党の謙虚さと高潔さをぜひPRしていただきたいと思います。  それを最後にいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  19. 石井一

    石井委員長 次に、白川勝彦君。
  20. 白川勝彦

    ○白川委員 私は、自由民主党・自由国民会議の白川勝彦でございます。  まず、山花政治改革担当大臣にお伺いしたいと思いますが、権力は銃口から生まれる、鉄砲の先ですね、権力は銃口から生まれるという言葉を御存じでしょうか。どなたの言葉だと承知しておりますか。
  21. 山花貞夫

    山花国務大臣 毛沢東の言葉ですか。そうですね。はい、記憶しております。
  22. 白川勝彦

    ○白川委員 それでは、この言葉は御存じでしょうか。まやかしの言葉は口先から生まれる、まやかしの権力は口先から生まれる。
  23. 山花貞夫

    山花国務大臣 存じておりません。
  24. 白川勝彦

    ○白川委員 そう思うのですよ、余り有名な言葉でないので。というのは、私が考えた言葉でありますから。  これは、きのうこの言葉を考えながら、半分はごろ合わせのジョーク、しかし以下に関連することに関して半分は本音、いや、半分というよりも一〇〇%本音で、まやかしの権力は口先から生まれると。我々政治家が今後心がけていかなきゃならぬという趣旨を含めて考えついた、あるいは頭に浮かんだ言葉でございます。  我が国の現在の政治は、もちろん鉄砲ややりでやっているわけじゃありませんので、当然言論戦を通じてやっているわけでございます。その言論戦を通じて、その言論もしくは言葉にトリックやマジックがありますと、今言ったようにまやかしの権力が、羊頭を掲げて狗肉を売るという言葉を今秋葉委員がおっしゃいましたが、それと同じ状況が生まれるわけでございまして、この辺をちょっと論証してみたいな、こう思ってこんな言葉を冒頭申し上げました。  まず、日本の官職の中で政治改革というような言葉を掲げた官職は各省庁にも多分なかっただろうと思いますし、ましてや大臣という言葉の上に政治改革というような言葉がついたことはない。いわゆる官職の上に政治改革という、言葉としてはおかしくない、別に矛盾がある言葉ではございませんけれども、政治改革という特別の意味合いを持った官職をいただいた大臣として、政治改革という言葉一体いつごろから我々日本人の口に膾灸するようになったのか。きのう私、私は私のネットワークで調べましたが、自治省のネットワークで政治改革という言葉一体いつごろから日本語の中に出てきたのか調べておけということを含めて、一日でありましたので余りないかもわかりませんが、政治改革という言葉がいつごろから使われるようになったのか、お聞きしたいと思います。
  25. 山花貞夫

    山花国務大臣 今日使われている政治改革という言葉と同じ趣旨で使われ始めたのは、私の記憶では平成元年、六十四年の春からではなかったかと思っています。それ以前の段階では、ロッキード事件の反省の中から政治倫理審査会をつくり、政治倫理綱領をつくったという時点におきましては、政治の浄化、政治の倫理が問われる、こうしたテーマではなかったかと記憶をしております。ところが、ロッキード事件に引き続いてリクルート事件が発覚したということの中で、平成元年、そのときに政治改革という言葉を当時の与党自民党側がお使いになった、こう記憶をしております。  私たちは、私たちの記憶として、政治改革ということで選挙制度の問題にテーマをすりかえたのではないか、こういう議論をしたことを記憶しているところでありまして、平成元年、竹下元首相が政治改革、そして自民党も一月段階で後藤田先生を責任者とする政治改革の大綱についての手続をとり始める。有識者会議は四月ごろだったと思いますけれども、政治改革に関する有識者会議というものが設置をされたという経過だったと思いますので、今日的な意味での言葉が使われ始めたのはこのころ以降ということではないか、こういうように記憶をしております。
  26. 白川勝彦

    ○白川委員 ただいま山花大臣が、今日的な意味での、すなわち選挙制度を中心とする改革という言葉政治改革と呼ぶようになった、言葉のすりかえ的なことがあったということをあらかじめお認めくださいましたので、かなりこの結論を導き出すためにいろいろと詰めていかなきゃならぬのかなと思ったんですが、簡単になりましたので助かりました。文字どおりそうなんでございます。  今回、政治改革政権と、何も世間は呼んでおりませんが、連立与党の皆様は、皆様方の政権の性格を政治改革を実現するための連合、連立政権なんだということを主張しているわけでございます。しかし、後でもこの問題は詳しく触れますけれども、やはり今までの日本の政治の常識では考えられない大変身を遂げた政党もあるわけでございまして、その一番の代表格と言われているのが社会党であるわけでございますが、ある面では社会党存在理由、存在価値すらなくなるような連立てあったんではないかというようなことさえ言われているけれども、それを合理化する言葉政治改革内閣政治改革を実現するための内閣をつくるためなんだから御理解を賜りたい、こういうことをおっしゃっているわけなんで、もう少し国民からも理解いただくために、もうちょっと、くどいようですが詰めていきたいと思うんです。  ちなみに、山花大臣が直前まで委員長をやっておりました社会党の、ほかの文書はどうか知りませんが、とりあえず運動方針というようなものが一応党の基本的な文書だと思いますので、丹念に調べましたところ、今おっしゃいましたように、社会党平成元年、一九八九年当時は、政治改革というのは、今日的な意味で言われている選挙制度改革を中心とする改革とは使っていないわけでございまして、文脈を見るとそうでないことが明確でございまして、基本方針の一部でございます表題、見出し的なところなんで、しかしこれを読めば大体わかると思いますので読むと、「政治改革のため、リクルート疑獄を徹底究明し、汚職と腐敗のない清潔な政治を確立しよう」、こういうような文脈で使われております。  この小見出してございますが、「従って党は、本大会後、直ちに各界に呼びかけ、中央・地方に「金権腐敗追放・政治改革国民連合」を結成し、汚職の根を断つための国民的な運動を展開します。同時に、議院証言法の改正、オンブズマン制度の導入、証券取引委員会の設置、民主主義の軽視・不平等の象徴であるところの一票の格差の是正をはかります。事件の全的解明のもと、汚職の再発を防止するさまざまな立法的措置を講じ、カネのかからない清潔な政治を確立するためには、自民一党支配体制に終止符を打つ以外にありません。  こんな文脈で使われておりますから、一票の格差の是正というようなことがありますが、しかしこれは選挙制度というよりも、どの選挙制度でもあることでございまして、選挙制度を中選挙区制から例えば今日のように変えるというような、余り意味合いを持った言葉としては使われていないと思うわけでございます。  私も、十八のころからでございますから、かれこれ三十年近くずっと政治に関心を持ち、あるいは政治以外は余りしたことがないというような人間でございますので、多少は年期がある人間の一人だ、こう思っていたのですが、もちろん私も誤りがあるかもわかりませんが、私自身が政治改革という、政治改革とか政治改革しようとかという言葉じゃなくて、政治改革という、何も昔からあっても不思議ではない日本語に実は接しましたのが、そんなに古いことじゃないんでございます。それまでいろいろな政治的なものを読んでまいりましたけれども、政治改革という言葉に接したときに、私は非常に奇異でございました。  そんなので非常に印象があるのですが、それはいつ使われたかというと、昭和五十五年の衆参ダブル選挙の後、和の政治ということを掲げて政権を樹立しようとした鈴木善幸さんに対して、自民党の場合どの派が協力するとかしないとかという話があるわけでございますが、それまで鈴木善幸先生が属していた当時の大平派と福田派というのは非常に対立関係にあった派閥であったわけでございますが、福田赳夫氏が、大平派である鈴木善幸氏を総理大臣にすることに異存がない、こう言ったときに、しかしそれまで角福戦争とか、私が初当選をしたときには四十日抗争、それから解散の引き金になった福田赳夫氏と大平正芳氏の本会議における決選投票とか、あるいは党内の一部の反対というか欠席によりまして不信任案が通る、そういう生々しい角福戦争、俗に言われる角福戦争、大福戦争というようなものが言われた直後であっただけに、幾つかの条件というか、こういうことならば協力するよということが示された中で、政治改革の断行という言葉が文書にして出されまして、私はそのことを初めて聞いた言葉であるから鮮烈に覚えているのであります。  そして、この政治改革の断行という言葉が従来は何を意味するかは、私たちみんな知っておりました。それは、あれだけ激しい対決をしてきた福田派と当時の田中派、大平派との関係を知っているものでございますから、何を指していることかということはすぐわかったわけでございますが、それ以前はどういう言葉で福田氏は田中型政治に対して批判していたかというと、強烈な言い方なんですよね、金権が支配する政治体質の打破と政治倫理の確立、こういう言い方でみずからが戦う。委員長も当時田中派でございました。羽田副総理も田中派でございました。私は大平派に属しておりましたが、我々のすなわち政治行動は、金権が支配する政治体質だ、それと戦うんだということで打破と政治倫理の確立、これをやれということで和の政治を標榜する鈴木内閣に協力するというのでは、まさに文字どおり和の政治とイメージが一致しませんので、この辺をまろやかにオブラートに包んだ。しかし言わんとすることはこういうことだということで文脈的に使われたのが政治改革という言葉だったと、私はまだ駆け出しの代議士でございましたが、承知をいたしているわけでございます。  このころから、しかし我が党内では、政治改革という言葉がこういう人たちの中からたびたび発せられるようになりました。そして、政界の重鎮にあるというか、重要な地位にある人たちが、政治改革というような言葉を公的な席で使うようになったのは、実は竹下内閣のころからであります。  余りこんなことは歴史がないので、これがすべてだと思いませんが、一九八八年十一月二十六日のこれは毎日新聞でございますが、当時の竹下首相が、政治改革を検討せよというような形で、当時の自民党の選挙制度調査会の後藤田氏と会談した際に、政治改革というような言葉を使われたとありますが、ここに新聞がございますけれども、政治改革と大きくありますが、わざわざかぎ括弧がつけてあります。というのは、多分当時必ずしもこなれていた言葉ではないので、新聞としては政治改革という言葉を使ったんだろうと思います。  そして、政治改革という言葉がもっともっと一般的になっていったのは、特にまたある面では一つの熟語というようになっていったのは、竹下内閣がリクルート事件で退陣をし、その後継ということで、非常に党内はもちろん党外からも強い声で推された伊東正義氏を本部長に据えた自由民主党政治改革推進本部というものが設置されたころから、政治改革という言葉はたびたび新聞にも登場するようになり、かなり日本人が口にする言葉になり、政治家は特に口にするようになった、こう思うわけでございますが、私は伊東正義先生に個人的に私淑し、またいろんな意味で御教示をいただいた関係で、当時の政治改革推進本部の会合にはほとんど出席をさせていただきました。その雰囲気を今思い出しますと、やはりあの猛烈な批判を受けたリクルート事件ということがそもそも発端でございました。  そんな関係で、やはり政治腐敗というものをどうやったら根絶することができるんだろうか。そして、何といっても政治腐敗というのが我が党に横行していることは厳然たる事実である、そのためには党改革をしなければならないんじゃないだろうか。そして、いろんな手だてもあるけれども、要するに政治倫理の確立ということをしていかなきゃならない。そういう手だてはあるんだろうか、そのためにどういう党風をつくれば政治倫理に厳しい政治家ができるんだろうか、こんなことが中心的な議論であったような気がいたします。それを最終的にまとめた文書があるわけでございますが、その政治改革の一種の綱領的なものの中では、しかしこういう諸問題が起きる原因に選挙制度もあるかもしれないと、さらっと最後に一くだり書いているぐらいでございまして、大半は党改革あるいは政治改革ということにしているわけでございます。  こんなようなことでお話をしたいわけでございますが、まさに今山花大臣がおっしゃったとおり、政治改革という言葉が現在のように選挙制度を中心とする改革を意味するようになったのは、大体平成二年の総選挙後、小沢一郎氏が幹事長に就任し、党内の政治改革本部というようなものが活発に動き出すようになってからではないかなと思います。その文脈の中で、当然党内で選挙制度改革案が決定され、海部内閣のときに小選挙区比例代表並立制という案で提案されたことは御案内のとおりでございます。  そんなことは経過として申し上げたいのですが、そういう政治改革という言葉に、私はこれは注意した方がいいぞ、すりかえがあるぞというふうに実は感じたものの最大の、単純なことですが、単純な中に本質があるわけでございますので、実は昨年の夏、金丸代議士が佐川急便から五億円の献金事件が発覚された際、これは自民党の政治改革を熱心に推進する人たち、言うならばマスコミからは政治改革の旗手と言われている人でございましたが、金丸先生は言うならば中選挙区制の犠牲者なんだというような趣旨の発言を聞いたときに、待てよと、この政治改革論議というのはちょっとまやかしがあるぞと、私は実は感じたわけでございます。  そこで、具体的に私はお伺いしたいと思うわけでございます。  政治倫理、もともと日本語の普通の意味で政治倫理というのは、選挙制度改革するというのではなくて、もっと広い意味で、もっとありていに言えば、いい政治をやってくださいよというような言葉だと思うんでございますが、こういう政治改革ということが普通の意味としてある中で、政治倫理というのを抜きに政治改革など言ったって、私はまさに空虚な議論だろうと思うわけでございます。  その政治倫理の確立という問題に関して言うと、こればかりは理論や制度では私はないと思うんです。現実に生起した具体的な事例を機に倫理規範を明らかにし、問題を起こした政治家政治責任を明らかにさせるという、政治家国民のそういう文字どおり努力、時によっては戦いというものを抜きに、私は政治倫理などというものは確立され会ものではないと思うわけでございます。制度に幾ら欠陥があったとしても、やはり法や規範を犯す者には厳しいペナルティーを科すという、まず政治倫理の確立というのはもともとそういうものなんだ。よかろうが悪かろうがやはりそこに、悪かろうというのはどうかと思いますが、不完全であろうとも一つ守らなきゃならぬ規範がある、法律があるというものを犯した人は、それはやはりその人が悪いんだという、これが原点にない政治倫理の確立ということはあり得ない、こう私は思うわけでございます。  自民党の中でももちろん政治倫理の確立のために努力をしてまいった者はいっぱいいるわけでございますが、とりわけ野党の皆様方は、自党はもちろんのことながら、自民党に対してですね、そういう自民党ではけしからぬよ、特に権力にある自民党はそうだよということで、政治倫理の追求という問題が、どの国会でも事件が起きたときに取り上げられなかったことはなかったわけでございますが、全部とは言いませんが、第一党でございます社会党の前委員長である山花大臣と、第二番目ということになりますと、どうなんでしょうか、これは新生党はふさわしくないと思いますので、公明党の委員長でございます石田総務庁長官にお伺いしたいと思います。
  27. 山花貞夫

    山花国務大臣 ただいまかなり多岐にわたる御質問だったと思いますけれども、ポイントは、政治倫理のテーマに対してどう取り組んだかということだと受けとめました。  今お話しになった流れの中で、実はロッキード事件の後、さっきもちょっと触れました政治倫理審査会をつくり政治倫理綱領をつくった、そして田中元首相などについて政治倫理審査会の申し立てをした、しかし現実にはこれが全く動かないということの中で、政治倫理綱領にある、疑惑を持たれた政治家はみずから誠意を持って真相解明のための努力をしなければいけない、そういう倫理が守られていないではないかということが主張される中でリクルート事件が進んできた、こういうふうに記憶をしているところでございます。  今先生お話しのとおり、法律規範以前の問題として政治家の倫理がある。これは法律規範以前の問題として、しかし倫理綱領を定めたという経過だけでもこれでは不十分であるということから、次の議論に進んできたのではなかったかと思っています。  なお、今御指摘平成元年、政治改革大綱をまとめる前の、曽野綾子さんたちがメンバーだったことを記憶している有識者会議におきましても、リクルート事件の中で、竹下、宇野、海部と続く中での出来事ですけれども、政治改革と言われても、まずこのロッキード事件の反省としての政治倫理の確立があればこんな事件は起こらなかったはずであるということが、当時の委員皆さんの初めての会合で盛んに議論されたということも記憶をしているところでございます。  ただ、今御指摘の、一方において政治改革推進本部をつくりながら、他方において内外議論政治改革について起こすということで有識者会議をつくり、選挙制度第八次審議会をスタートさせるという中で出てきた自民党の政治改革大綱につきましては、御指摘政治と金の関係、そして派閥の関係とか族議員の関係とか、党改革国会改革などに触れながら、すべての諸悪の根源は個人本位の選挙制度にある、中選挙区制度にある、こういう位置づけをされておったのではないかと思います。その中には、小選挙区に比例を加味する、こういう文章もあったと記憶をしております。  そうした流れ全体を思い起こしながら、私も個人的な意見としては政治改革については四つの柱があると考えてまいりました。まず第一は政治倫理の確立てある、そして次は腐敗をなくすための政治資金の規制である、三番目は国会改革である、四番目が選挙制度改革である、こうした全体のものがあるのではなかろうかと考えてまいりましたし、決して私個人の考え方ではなく、従来の国会における、公選特などにおきましてもそういう主張を党の主張としても展開してきたことを記憶をしているところでございます。  ただ、それだけ幅広いテーマですから、一つ選挙制度の問題だけではない、全体として我々も主張し、与野党が主張し努力をしてきた経過一つのまとめは昨年の二十一項目ということで、まだ完全ではありませんけれども、一歩進んできたという流れもあったのではなかろうかと思っています。したがって、その時点において何が中心的なテーマになるかということについては、同じ政治改革という言葉は使われましても、半年、一年たちますといろいろと状況の変化はあったんじゃないか、こう思っています。  今、私、閣僚の立場として四法一体として出しておりますけれども、そうした全体のこれまでの議論経過を踏まえて、やはり四法一体に仕上げなければならない、こういうように確信を持ったからでもあるわけでありまして、当然その前提としては、何よりも政治家個人政治倫理の確立が、なければならないということは当然の前提とした中で、まず年内にという一つの時間的な制約の中で行おうとするならば、これではなかろうか。いわば政治改革の骨格部分ということについて提案をさせていただいたというのが、今回この法案に取り組む私の姿勢でもございます。しかし、これで解決すべきものではないということは当然でありまして、倫理の問題あり、国会改革の問題などにつきましては、並行してこれから進められるということだと思っております。  全体として、大きなテーマだけれども、この年内に仕上げるということになりますと、まずはここで一歩踏み出したい、こういう気持ちでございます。
  28. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 お答えを申し上げます。  第二党ではないのでございますけれども、御指名でございますから、私の考え方を申し上げたいと存じます。  今、白川先生のいろいろなお話を承っておりまして、大変興味深く伺っておったところでございます。私どもは、比較的政党としては後発部隊なんでございますが、その当時のこういった政治改革問題の言葉の表現と申しますか、そういったものはやはり腐敗政治の追放というようなことで、余り選挙制度そのものは大きな議題にはなってなかったと承知をいたしております。もちろん、数次にわたる選挙制度審議会では、制度問題を含めて御検討があったことも承知をいたしておりますが、そういった意味で、政治腐敗に対する基本的な問題は、やはり政治倫理の問題で政治家自身がどれだけ自覚をしていくかというところにかかっているという議論が、ずっと繰り返されてきたように私も思うわけでございます。そんなことで、私どもも党内では盛んにそういう議論もしながら戒め戒めやってきたのでございますけれども、残念ながら、リクルートにおいては、公明党所属議員が今そういった罪に問われているというような状況でございます。また、地方議会におきましても、間断なく各党とも御努力をされておりますけれども、やはり今もってこれを根絶することができない。  といことになりますと、やはり政治家自身の自覚の問題と同時に、先ほど先生がおっしゃっているように、仮に不完全な、完璧でない法律であっても、現在そういった国会等の審議を通して成立している法律ということから考えますと、やはりこれはそういった罰則をできるだけ強化をするという、そういう方向で対処をしていく以外に方法はなかろう、こう思うのでございます。  ただ、今山花大臣もおっしゃったように、今回こういった政治改革問題が議論をされ、そして選挙制度改革まで及んでいるわけでございまして、この議論というのは、今までの長い改革論議を承っておりますと、互いにやはり深い関係にあるということでございます。そのことを十分自覚をしなければならない。そういった意味では、今回この四法案が一括して提案されていることも大変に意味があるというふうに思っているところでございます。  私自身としまして、また我が党としましては、今先生御指摘政治倫理の問題、党内でもさらに議論を深めながら、自省をしながらやってまいりたい、このように申し上げておきたいと存じます。
  29. 白川勝彦

    ○白川委員 両党とも、当然のことながら政治倫理の確立ということについての感度は、特に公明党さんなんかは、私は当時学生でございましたが、名前からしてそういうことを追求するために政界に出てきたんだという雰囲気すらあったようなことを記憶しております。失礼かもわかりませんが、名前が公明ということからして、要するにきれいな政治でなきゃいけないんだというような新鮮さが当時あったような気が私はしておるんです。  さて、今言いましたが、しかし政治改革という言葉は、国民はやはり普通の日本語として受けとめるわけでございます。それはいつの時代でも、政治というのがパーフェクトであり、もうこんないい政治はない、政治家に対して何も言うことはないなんていう時代は、私は永久に出てこないと思うんです。まあ細かいことはわからぬが、少なくともいい政治をやってくださいよ、少なくとも国民に不快感を与えるような政治はもうやめなさいというような意味で、特に現在のように非常にたびたび政界にこういう不祥事が起きるという中では、もういいかげんにしろというような気持ちを含めて政治改革ということを言っているわけでございまして、国会改革とか選挙制度改革とか政治資金法の規制の細かいことは私は知らぬ。しかし常識的に考えて、要するに今の社会で受け入れられないものは受け入れちゃだめよ、そんなのを変えるのは政治家のもう本来的な業務で、それを変える変えないですったもんだしているようなことは、大体それ自体がおかしいんだ。そうではなくて、私は細かいことはわからない、しかしトータルとして我々から見ていい政治をやってくださいよ、少なくとも国民に不快感を与えるような、あるいは国民に失望を与えるようなことはやめなさいよということだろうと思うのでございます。  そういう面では、私は、政治改革という言葉の中に、あるいは国民が今政治改革をせよということを主張している言葉の中に一番込められているのは、専門用語で言えば、政治倫理の確立された国会を早くつくりなさいよ、また、これだけそれぞれのところの知事さんや市長さんが捕まりますと、地方自治体をつくりなさいよという声が、今国民の一番大きな声だろうと思うわけでございます。  だから私は、先ほどからるる申し上げたように、政治改革という言葉を語るときに、政治倫理を抜きにこの言葉をそもそも使うこと自体がおかしいと思うんです。いつもこのことが重点でなきゃならぬだろうと私は思っているんですが、ところがある日突然、政治倫理というよりも制度を改革、その原因となる制度を改革しなきゃならないんだというところに重点がいく。もっと言うならば、政治倫理にはまことに問題があるけれども、政治改革を主張すればこの人は政治改革派だという免罪符が与えられるようになったというのが、私は今回のこの政治改革の一連の流れの中で、先ほど私が象徴的に挙げた、金丸先生は中選挙区制の犠牲者なんですよ、こういう趣旨の発言を聞いたときに、これは完全にどこかで何かがおかしくなった、こう私は思ったわけでございます。  そういう面では、羽田大臣個人ではございませんが、当時は経世会と申しましたでしょうか、その前は木曜クラブと言いましたけれども、この両グループとも、両というかこの二つとも、この政治倫理という問題ではいつも矢面に立たされてきたことがある経過を持つグループに所属していたわけでございまして、私は実はこの点は、羽田副総理は当時ミスタi政治改革とまで言われた男でございますが、この辺の問題については、あなたはどのようにお考えでございますか。
  30. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 まさに政治改革の歴史、これを振り返りながらの綿々としたお話であったわけであります。  今、私は特にここで申し上げたいんですけれども、選挙制度というものに何かいつの間にやらすりかわってしまったというお話がありました。ただ、私申し上げたいのは、例のリクルート問題が起こりました。そして、竹下総理の時代に例の賢人会議を、さっき山花さんからお話があった賢人会議をつくった。そして並行して、並行してというより党の中に後藤田さんの会議がつくられた。そしてその結論として、例の第八次選挙制度審議会というのがつくられたわけですね。そこに至るまでに、実は今言われたことが全部含まれておるんだと思うのです。  もともと、今御指摘がありましたように、まさに政治改革というのは、基本は政治倫理であるということであろうと思うのです。ところが、我々今まで、政治倫理綱領あるいは行為規範、これが実は国会議員のノートの中にみんな入っておるわけですね。そして、それで行動しなければいけないということになっておる。しかし、にもかかわらずいろいろな問題がいつまでも起こってくるねということで、先ほど片隅にちょっと選挙制度もあるねと書かれておったというのですけれども、そうじゃなくて、後藤田委員会の中の一番の大きな結論は、何といっても政治改革は倫理である。しかし、倫理と言って今までそれを追求してきたけれども、それだけではどうにもならぬ。  なぜだめなのかといったら、結局選挙制度に行き着くということで選挙制度審議会、そしてまた賢人会議の方でもそういう、結局倫理から始まって最終的には選挙制度にまで踏み込まなかったらやはりだめだよ、しかし選挙制度をいじるといろことは国会議員にとっては一番痛いことだね、痛いことであるけれども、痛みを伴わない改革なんというのはあり得ないんだということを言いながら、先ほど山花さんからも申し上げたように、小選挙区に比例を加えるということが実はわざわざそのときに既に書き込まれておって、そして政治改革大綱というのができ上がって、それをもとにしてあのときに実は我々は選挙をやったわけですね。まさに党として、公約として実はやったというぐらいなのです。  ですからその意味では、選挙制度すりかえ論というのはよくあるのですけれども、私は、そうじゃないのであって、まずやはり倫理というものはみんなが持たなければならぬけれども、その一番の、倫理が本当に生かされるようなもとをつくらなければいけないということで選挙制度があるんだということを、ぜひとも御理解いただきたい。やはり、複数を選ぶ選挙制度の中に、無理な競争をしてしまうということがある。  そして、もう一つ、二つだけ簡単に申し上げたいのは、これはただお金政治だけの問題じゃない。我々議論している中でもう一つの問題は、複数、三人、四人、五人と選ばれる中に、どうしても責任ある政治というのが行われなくなってしまっておる。大事な問題をやはり語れないということ。それともう一つは、何というのですか、やはり政権交代が今のような中選挙区の中では行われなかった。これではいけない、やはり緊張感をもたらすために制度そのものにまで踏み込みましょうということなので、選挙制度というものはそういうもの全体を含んでいるということからいったときに、やはりこれは大切なものである。すりかえじゃないんだ、本当の意味での政治というものを日本に興すためには、どうしても選挙制度にこれは入らなければならないということを、ぜひ御理解いただきたいと思うわけです。
  31. 白川勝彦

    ○白川委員 羽田副総理の個人的な気持ちは理解いたします。  ただし、私がここでやはりあなたがどう言われようが追及しなければいけないのは、諸事件の原因の一つに中選挙区制という制度があるやもしれない。だから、それを変えることを私は否定しようなんて言っているんじゃないのです。しかし、現実にそういう問題が起きたら、そのことに対する厳しい追及を、例えば自民党員であるなら自民党のまず党の中においてやらなければいけない。それが国会全体の問題になったら国会全体として、まさにここは派閥だとか党を超えて、政治倫理の確立というのは、我が国の、日本の民主政治が健全に機能するためには、仮に俗に言えば自分の親分を裏切ることがあったとしても、しなければならぬことはしなければいけないんだという、そういう不退転の決意がなかったならば、政治倫理なんということは決して言われないだろうと私は思うわけでございます。  そのような行動が、あなたはロッキード事件が起きたときから、あるいは佐川問題が起きたときから、経世会あるいは木曜クラブに所属しておられたのだが、そういう行動をとったことがあるかどうかということを私は聞きたかっただけなのでございます。答える必要はありません。  そこで、私がやはり言いたいのは、政治改革という普通の意味で言われている言葉は、最終的には私はやはり、細かいことは言わないが、我々の言葉で言えば、政治倫理の確立された政治をやってください、法に違反するなんというのはとんでもない。さらに、そのときそのときに倫理というものがあるでしょう、早くそれにふさわしい政治家になってくださいよ、政界になってくださいよということが、今政治改革をせよというとそれは七割、八割の数字が出てくる、しかし選挙制度はというと依然低いということは、やはり国民は本質を見ているのです。制度改革という中で、私たちが一番求めているものを何かはぐらかそうとしているのじゃないか。  一例を挙げます。今の建設のスキャンダルというのは、かつてならばこれは大変な問題になっているのじゃないでしょうか。日本の一流の建設会社と言われる方が次々と捕まっていく。そして、この建設というのは、我々政治家が深く絡む、まさに公共事業の執行に絡む問題であります。私は、普通の時代ならば、今までの少なくとも日本の常識で、皆さんが野党という立場におられたならば、この問題は多分相当大きな問題になって、そしてこういうものを防止するためにはどういうことをこれからしなければいけないのだろうか、政治家側では反省することはないのか、特に自民党はどうなんだ、その自民党の中でも建設に強いと言われているグループは一体どういうのだというようなことが、大変鋭く私は言われるに決まっているだろうと思うわけでございますが、音なしの構えでございます、今のところ。この政治改革特別委員会でも、例えばこの問題について、やはりこれだけホットな問題であるのだから、国会として例えば二、三日は集中審議をしようなどという声も、まだ今のところ聞いてはおりません。  こういうことを含めて私は申し上げたい。政治改革という言葉選挙制度改革だというふうに、これは自然と結びついたのではないのです。強引にだれかがやはり結びつけようとしたというのは厳然たる事実だということです。厳然たる事実なんです。そして、選挙制度改革に熱心な者は、今私が申し上げた、政治倫理には極めて疑義があるけれども善玉であるという免罪符を与えたというこの一連の経過は、当事者だから私はそんなことはないと言うのは当たり前ですよ。しかし私は、外から見ていてそういうふうに思います。  そういうことで、私は、本当に具体的に聞きます。だから、具体的に聞くのです。昨年の十一月ごろですよ。当時やはり一番大きな問題は、佐川問題と皇民党事件でございました。そのもちろん主役は、佐川問題にあっては直接事実が発覚したという意味で金丸代議士であり、皇民党事件につきましてはもちろん竹下代議士、元首相が当時の主役でありました。その主役と、当事者ではないけれども次に関係が非常に深い、大きな役割を果たしただろうというのが小沢一郎代議士と目されておりました。当然のことながら証人喚問まで行われたわけでございます。  本年の二月十七日に小沢一郎代議士の証人喚問がなされたわけでございますが、この喚問が終わった後、山花大臣委員長でございました社会党の国対委員長は、ますます疑惑が深まったというコメントを発表しております。多分委員長も同じようなことを言ったのじゃないかと思いますが、新聞紙上には委員長のコメントまではありませんでした。こういうコメントを発表しているわけでございますが、現在は文字どおり盟友関係にあるというか、一緒になってやっておられるわけでございます。  一部に、そういうまあいろいろな問題があったとしても、自民党を出たということが一つのけじめだろうというような御意見もあるようでございますが、佐川問題あるいは皇民党との関係という、これはやはりスキャンダルの事実、それにどう絡んだということは、これは疑惑であります。この疑惑は、その政治家がどういう行動をとったから事実が変わるとかということじゃなくて、あくまでも事実は事実でございまして、その事実がスキャンダルになるのかならぬのかという問題だと思うわけでございますが、今その小沢一郎氏が代表幹事を務めておられる、党首は羽田大臣でございますけれども、この新生党とこれは政治行動をともにしてもいいというふうに至ったのは、何かその後特別な調査だとかして疑惑が晴れたからそういうことになったんでしょうか。ここはやはり大事なことでございますから、お聞きをしたいと思います。
  32. 山花貞夫

    山花国務大臣 先ほど来の議論の中で、政治改革という概念の幅の広さということについていろいろな観点から議論がございましたけれども、私は、その時点における政治状況における政治判断ということが我々の一番重んずるところではないかと思っています。  やはりこれだけ腐敗がさまざまな形であらわれたということについて、どこに原因があるのかということにつきましては、個々の政治家の倫理の問題、御指摘のとおりだということについては前提といたしましても、政権交代が三十八年間なかった。憲法が理想としている議会制民主主義は、実際は政権交代がないということによって形骸化しているのではなかろうか、その中からさまざまな構造的な仕組みが原因となって汚職が頻発したのではないか。国民皆さんも、多くの皆さんがそういう見方をしてきたのではないでしょうか。そして、佐川の事件に至って国民政治不信が頂点に達した。そうした流れの中で、やはりその最大の原因は、政権交代を行って新しい政治をつくる、ここに大きな目標があったということについては、今回の解散・総選挙の流れを振り返ってもだれもが御理解いただけるところではなかろうかと思っております。  そうした中で、私たちは、非自民の政権をつくろう、こうした考え方で選挙のスタートに当たりまして合意をして、その方針というものを内外に明らかにいたしました。しかし、こうした合意というものは決してそこに始まったところではないわけでして、その以前の段階から、当時の野党側におきましては六党・会派の集まりを持って国会への対応について相談する中、政権交代を実現して新しい政治を目指そうということについては当時の野党側が十分相談した中で、不信任案提出、解散・総選挙に至ったところでありまして、そして解散・総選挙の後新しい状況が生まれました。  非自民のすべての力を合わせて政権交代を実現して、一度政権交代を実現する中から新しい政治をつくり上げていこうではないか。その意味におきましては、まだイメージとして漠たるものがあったかもしれませんけれども政権交代、そこに政治改革の大きな第一歩があると私たちは考えました。そこでの決断であります。したがって、そうした目標について同調するすべての勢力と一緒になって政治改革を実現したい、ここの政治決断をしたのが、すべての皆さんと非自民の勢力が一体となったという結論でございます。  今、具体的な各党の政治家について御発言ありましたけれども、そうしたこれまで問われた責任を負うている方もいらっしゃいましたけれども、ここで新しい政治をつくるために一緒に政権交代を実現していこう、そのことの重さということを私たちは最優先のテーマとしてとらえ、従来の考え方からするならば、よく主張してまいりましたとおり社民勢力の結集、こういう言い方をしていましたけれども、その枠を乗り越えてすべての政治改革を志向する皆さんと一緒にやっていこう、こうした私たちの方針というものが背景にある中で、最終的に政治決断をした次第でございます。
  33. 白川勝彦

    ○白川委員 私はそんなことをお聞きしているのではなくて、非自民連立政権をつくるということを私は悪いなんて言っているんじゃないんです。悪いなんて言っているんじゃないんで、そのときに新生党が自分たちと一緒に非自民政権をつくるということで一緒であるならば一向に構わないのであって、ただ、そういう政治的な行動と政治倫理の確立という問題、これは我が党にも言われ、我が党が一番大きな打撃を受けたのは、自分の、我が党の身内の議員のことですから必要以上にはしたくないということが、国民から見たら自民党は腐敗や汚職に鈍感だ、あるいはそういうものを許す体質があると言われたところに、大きなやはり原因があるんだと思うのでございます。  だから私は、政治的な行動をともにするということと政治倫理の確立という問題は、党派だとか政党にとって何が有利だ不利だの問題じゃない、これは別次元の問題だろう。日本の民主主義というものの信頼性を高めるという問題なんだから、友党であろうが追及すべきところは追及しなきゃいけない、その点はどうなんですかとお聞きしたわけでございますが、現在は既に委員長でないわけでございますから、また社会党の方に私は機会があったらただしたいと思っております。  さてここで、私は抽象論を述べるためにわざわざこんなに長い話をしたんじゃないんです、羽田さん。羽田大臣、お聞きください。私はこんな抽象論を述べるために長く言ったんじゃなくて、三年四カ月の間国会を外から見ていて、三年五カ月ぶりに国会に帰ってきて、その前後の話を聞いて、私が少なくとも昭和五十四年から十年間、それこそいろいろな圧力や妨害がありましたけれども、私は我が党にあって、我が党の政治倫理は確立されなきゃならないという立場から、例えば同郷人でありますけれども田中角栄先生のロッキード問題についての身の処し方については、私はそれについて御意見を申し上げたこともあります。  そういうことを含めてやってき、そしてその当時そういう問題を一緒にやってきて、私は自分が良心だなどと言うつもりはございませんが、私の目から見て、私よりもはるかに数等にこの人たち政治倫理という問題に厳しく行動している、あるいはそのために非常にいろいろな犠牲も払われた、そう私が尊敬する多くの仲間たちが、たまたま改革には積極的でない、あるいは慎重だというだけで悪玉という雰囲気をマスコミから張られ、あるいはそういう雰囲気が今我が党の中にあるという、こういう事態に接したときに、これは私は抽象論を言うためにこんな話をしているんじゃないんです。選挙制度改革に熱心な者は政治倫理の確立のために熱心なんだという、やはりこれは長い間――いきなりなら気がつきますよ。長い間にわたってこのすりかえが行われなければこんなばかな話が通るわけはないんだと、私は実は感じているわけでございます。それは、申しわけございませんが羽田副総理、やはりあなたは木曜クラブ、経世会という、委員長もそうでございますが、そこに籍を置いたということはこれは歴史の重い厳然たる事実だと私は思うわけでございます。そういう意味で、私が今言ったことを御反論されるのは結構でございますが、長い間の中で私はこの論理のすりかえがあった、こう言わざるを得ないのであります。  そして政治家だけではなくて、私は申し上げたいのは、現在の政治状況は、私は生まれていませんでしたので歴史書でしか知りません、人の話でしか知りませんが、昭和ファシズムの台頭するころと非常に似ている、こう思うのであります。そして、この日本のファシズムは、まず最初に共産主義者がやられ、次に社会主義者、労農主義者、自由主義者、最後はファシズムに余り賛成でないというだけで既にいろいろな人が逮捕されたり投獄されて、そして日本ファシズムというのは完成していったわけでございます。  そして、非常に皮肉なことでございますが、そういう社会状況をつくる上で当時の新聞やラジオが非常に大きな役割を果たしたんだということも、これまた歴史書に言われていることでございますが、今申し上げたような選挙制度改革に熱心な者は政治倫理の確立を含めた政治改革に熱心な者である、そうでない者は政治改革政治倫理を含めて非常に悪い政治家だというパターンができ上がるというこの社会的な状況をつくり出すのに、私はマスコミも一役買っている、こう言わざるを得ないのであります。後でテレ朝の問題は郵政大臣にお聞きしたいと思いますが、マスコミの人は全部自分は自由の旗手として頑張っている、こう思っていると思うのでございますが、私はどうもそうではない節がある、あるいはマスコミ自身もうまくすると一部の勢力に乗せられた気配すらある、こういうふうに思って、マスコミの自重自戒を、注意をここで促しておきたい、私はこう思うわけでございます。  さてここで、せっかくきょうは各党党首である大臣皆さんにお伺いしたので、これからが今申し上げたようなことを含めてお聞きしたいことでございますのでお聞き取り願いたいのでございますが、私は、選挙制度というような問題は、同じ政党でも、あるいは大変な友人でも意見を異にする多々ある例だと思います。政党が違っても選挙制度では一致するということも私はあると思うわけでございます。選挙制度というのは、私は、どういう政治がいいかというやり方とか手法に関する問題でございますから、政治信念とかそんなものに非常に密接に関係しておりますし、自分が育ってきた、政治家として誕生する過程についても逃れることができないだろうと思うわけでございます。  ですから私は、それぞれの政党が、やはり類は友を呼ぶでございますから、政治理念や境遇を同じくする者が集まっているんだから、政党が多数意見を集約する、あるいは我が党の案は基本的にはこうだということを決めることを何ら否定するものでも何でもございませんが、しかしこの選挙制度ほど、党議で決定したんだ、おまえこれに従えないようだったらおまえは優秀な自由民主党員とは認められない、おまえは新生党の党員とは残念ながらこの選挙制度に賛成できないようなら言えない、あんたは社会党の党員としては優秀でない、もう残念ながら党を離れてくれとか除名だという、最もこういったぐいの問題に親しまない問題なんじゃないだろうか。それぞれの政党というバックはありますが、同時に、我々は政党だけで政治をやっているわけではございません。無党派層を含めていろんな人から協力していただいて政治家になっているわけでございまして、その生まれや育ちによって、どういう選挙制度が理想の民主政治を実現するためにふさわしいか、こういう、ある面ではこれだけはおれはだれに何と言われても譲れないよというぐらいの確たる、そういったぐいの問題の一つであるんじゃないのかな、こう思うわけでございます。  それに対して、今回連立与党と言われている各党は、以前はいろんな、これが理想の選挙制度だと思うという選挙制度の改正案を出していたわけでございますが、それは小異ということで捨てられまして、選挙制度に関しては小選挙区比例代表並立制、二百五十対二百五十で合意がなされたわけでございます。私はこの辺がむしろ、こういう形で連立を持ち込む――だれが持ち込んだのか知りませんが、こういう形で連立しようということ自身が余り見識のある提案ではなかったと思うし、これに、ようわかりました、まあこれは小異でございますから構いませんなということでこの制度に納得をされた各党の物の考え方が、私は余りよく理解できないわけでございます。  そういうことで、今回、各党いろいろな意見があっただろうと思うんですが、この選挙制度に関してどういう議論がなされ、そしてこれで我が党はいこうということになったのか、その辺のことを社会党、公明党、あるいは民社党、実は各党ともお聞きしたかったんですが都合で、新生党を含めてお聞きしたいと思うわけでございます。
  34. 山花貞夫

    山花国務大臣 先ほど来申し上げましたとおり、政治改革の中の主要なテーマである選挙制度だけを議論してきたのではありません。政治改革全体について党内では議論をしてまいりました。委員が先ほど来取り上げられましたすべてのテーマ一体の問題として議論をしてきたと思っております。同時に、先ほど私は、政治改革の第一歩は政権交代である、こういう言い方をいたしましたけれども、そのことも含めて我々は党内で議論をしてきたつもりでございます。  くどいようですけれども、五月の二十八日の段階で、我々は当時の野党の六党・会派が党首会談を行いましたけれども、その時点で、中身のポイントというものは、選挙制度について従来の併用制から連用制を軸とするところまで踏み込むということについての合意です。ここからさまざまなスタートがあったんじゃなかろうかと思っておりますけれども、そのときにも、国民政治不信を払拭しなければならない。そのままの文章で読みますから失礼があってもお許しいただきたいと思いますが、「政治腐敗の根本原因が自民党の長期一党政権にあるとの認識に立ち、自民党にかわる政治勢力の結集に全力を尽くす。」こうした基本のもとに、我々は党利党略を捨ててそのことのために進もうではないか、そしてそのためには政治改革全体について合意をつくろうではないか、政治改革一つ部分である対立している選挙制度の問題についても併用から運用まで踏み込もうではないか、こうした合意を行ったところでございます。  もちろん党内の議論としては、中央執行委員会、全国の書記長会議等々の手続もありましたが、衆参のそれぞれの議員の総会、また合同しての総会等々の議論をした中で、全党の決意として、その後の不信任案提出まで連なっていきますけれども、とにかく今私たち政権交代を実現しよう。そして、全く膠着状態にあった政治改革テーマにつきましては、我々が歩み寄りをしても、思い切った犠牲を覚悟して歩み寄りをしてもこの国会でつくろうというところからスタートしたところでございます。  残念ながら、この前の国会経過は御承知のとおりでございまして、単純小選挙区の党議拘束から自民党は一歩も動かずということで会期末を迎え、不信任案を提出をいたしました。こういう前段の経過を受けた中で、選挙の結果、社会党としては、私たち立場について国民皆さんから批判をいただきました。選挙は大敗をいたしました。しかし、選挙国民の審判の結果、連立政権の条件が生まれてきたわけであります。  申し上げた経過がありますから、私たちはそこでの政治決断として、非自民の連立政権をつくるかつくるまいかということについての相談をいたしました。その後のきっかけは御承知のとおりでありまして、日本新党、さきがけから七月二十三日に、並立制を基本として二百五十、二百五十の制度を含め、その他腐敗防止のための施策など一体となった政治改革についての提唱があったということにつきまして、我々はそれをのむかのまないか、これが非自民の政権をつくる大きなポイントになると考えました。党内で十分議論をした中で、我々は、党にとっては大変苦しい選択であり、犠牲も覚悟しなければならないけれども、国民の審判の結果というものを素直に受けるならば、私たちは苦しさを乗り越えて政権交代を実現しよう、こういうように決断をしたところでございます。  いろいろ先生の御主張ありましたけれども、でもそうした決断をして、その後の新しい政権に対する国民世論の支持率ということをあわせ考えますと、やっぱり政権交代を実現した、こうした点についての国民皆さん世論の支持はあったのではなかろうかと思っています。これからの努力にかかっている、こういう時期を迎えている、こういうように考えております。
  35. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 先ほどから、私は経世会でありまた木曜クラブである、これは何にも隠しません。それから、私はそういう中でいろんな党の中の役員をやってきたりしました。そして結局、ですからきれいごとで政治改革をやろうなんてことを言ったんじゃないんです。もうこのままの選挙制度が続く限り、幾ら倫理を言ったってだめだという中で改革しなきゃならぬ。  それと同時に、私たちが党の外に出たというのは、まさに政治生命をかけたんですよ。どうなるかわからない。自民党だからといって我々入れてもらっていたわけですからね。その点だけはぜひ御理解いただきたいし、そして今自民党の中に残っていらっしゃる方々、このことを一生懸命やった人たちも、決して何もきれいごとで言ったんじゃないんであって、何もそれで反対する人たちを誹謗したこともないんです。そういう意見もあるんだからどんどん闘わそうというので相当な時間をかけながらやったんだということも、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。  そして今、小異を残してということで簡単にあれしたんじゃないか、安易な妥協をしたんじゃないのかというお話があったわけですけれども、そうじゃなくて、私どもは、小選挙区と言うだけでなくて、やはりいろんな意見も聞こうということで、比例を加味しようということで比例並立を当時から主張しておりましたし、この間自民党が小選挙区を出しましたときにアンケートをとったときに、私自身も、私たちの多くの仲間たちも、これは比例並立ということを言っておりました。ですから、確かに数の多少の、二百五十、二百五十ということについて、両方を折半にしたんじゃないのかというようなお話がありますけれども、しかし私は基本的に比例並立というものを支持しておった人間でありまして、そして、我々の党としてはこれを支持しましょうということで一緒になるきっかけにもなったんだということを申し上げたい。安易なものではありません。
  36. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  私どもも、中選挙区制のもとで政界に進出できたという状況がございます。長く中選挙区制の中で選挙を戦ってきたわけでございますが、この間にも、先ほど来お話がございましたように、まさに政治倫理が問われるような問題も幾つもあったわけでございます。そういった意味で、いろんな事件が起こるたびにだんだん国民の批判の声が高まり、そして、政治改革をしなければならないというような状況が政界の中に強く生まれたんだと思うのでございます。  その中で、全体としての政治改革の中で、やはり選挙制度の問題というのは非常に大きなテーマであるわけでございます。特に、中選挙区制が長い間行われた中でこれを変えようというわけでございますから、大変なこれはもう影響力を持つわけでございます、まさに民主政治の根幹をなす制度につながっていくわけでございますから。そういう中で私たちは、中選挙区制の中での定数是正、こういったものも強く要求していた時代がございます。そして、いよいよ具体的になって、海部政権のときにそういった小選挙並立制の御提案がございまして、残念ながらこれは成立をしませんでした。しかし、それにかわって宮澤総理が総理になられて、さらにまた政治改革論議というものを強く進めよう、こういうふうになったわけでございます。  その間いろいろなことがあったことについては省略をさせていただきますが、その中で私どもが一番重視をいたしましたのは、やはりこのときを逃がしては政治改革はできないのではないか、このことを一番強く考えておったわけでございます。どういう制度が議論されようとも、それは今までの議論もございましたように、一〇〇%ベストの選挙制度というのはないというのが、これはもう世界の常識でございます。そういった意味からいきまして、そういった流れの中で、問題は、目的はやはり全体としての政治改革をなし遂げなければならないわけでございますので、宮澤政権のときの私どもの考え方は、基本的には、もう中選挙区制をやめようという大きな流れがございましたから、それではその改革論として、一つは併用制の問題を取り上げたわけでございます。  しかし、自民党案と余りにも隔たりが大きくて、これは合意ができそうもない、しかし合意はつくらなきゃならない、これは国民的要請でもあるというようなことで、何といいますか、中間的な案として連用案が出てきました。これで歩み寄れないだろうかということで、先ほど山花大臣からもおっしゃったような経過がございまして、これで一度まとまって、さらに自民党に譲歩を要請したというような流れがございました。確かに考え方というのは、併用制、並立制でいきますと、やはりかなり大きな隔たりがあることはこの委員会でもしばしば御指摘があったわけでございます  しかし、私どもとしては、やはり二百五十、二百五十、二票制というようなところでかなりその欠陥も補ってきたというような気持ちを強く持っているわけでございますが、先ほど申し上げましたように一〇〇%ベストなものはつくり得ないけれども、よりベターなものをつくって、そして委員会の審議をいただいて、何とか合意を得たい、そういう中でいわゆる連立与党が協議をいたしまして、現在の法案提出になっておるわけでございます。  いろいろな考え方の変遷について厳しい御指摘があるとは思いますけれども、しかし今回の目的、まさに全体としての政治改革をやらなければならないという熱意の中で、その合意を得ようという熱意のもとに行われているということを御理解をいただければと存じます。
  37. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 実は、私どもの党の立場からしますと、中選挙区制で過去においてとりまし最高議席は三十九名でございました。したがって、何らかの形で小選挙区制を加味した選挙制度よりか、中選挙区制の方が議席がとりやすいということはもう紛れもない事実でございます。  それからまた、中選挙区制は同士打ちになるとか、政策論争というものがなかなかできないといったような批判がございましたけれども、私は、他党の複数立候補者の例を見ましても、その辺は政治家の心構えあるいはその候補者に対する政党の指導によって、やはり相当克服し得る問題ではないか。ですから、先ほど白川委員が御指摘のように、政治改革をやるためには選挙制度を変えなければすべては解決しない式の議論が余りにも横行し過ぎたということについては、私は同様の疑問を実は持っておるわけであります。  中選挙区制の基本問題というのは、歴史的事実が示しますように、自民党の一党支配が三十八年も続いた。これは御存じのとおり、先進民主主義国家においては例を見ないわけであります。そこからいろいろな政治のよどみ、腐敗が起こった。そして、民主政治の根本というのは、政権が政策的にもあるいはスキャンダル等で失敗すれば、そこから政権交代が起こるということが民主主義の基本であるとすれば、中選挙区制はその面において一つの弱点というものを持っている。私どもは、昨年の一月でございましたか、中選挙区というものを変える以上は、民意が的確に反映するような選挙制度としては都道府県単位の比例代表制がいいのではないかという案を発表いたしましたが、残念ながら二十名に達しておりませんでしたので、法案として出すことができなかったわけです。それは、まあマスコミの取り上げようもございまして、私どもの談話等では随分主張したのでございます。  しかし、さっき山花大臣から御指摘がございました五月二十八日の野党の党首会談というものがございましたときに、連用制を軸とするという合意を形成したいというお話があったときに、実は私はひとり相当の異論を提起したのであります。つまり、選挙制度というのは各党の民主主義の共通のルールをつくる問題であるから、私は与野党の合意を得るような案をつくるために全力を尽くす、連用制だけにこだわっていたのでは問題は解決しないということを実は申し上げまして、今山花大臣は読み上げませんでしたが、あの文章の中には、実は与野党の合意を形成するような案をつくるために全力を尽くすということが、私の提案によって書かれたわけなんでございます。  ですから私は、その後の連立政権の樹立等に関しましても、常にそういう立場に立ちまして、私どもは私どもの案を持っておりますし、また利害、損得もございますが、それだけをお互いに主張したのでは選挙制度改革はできない。したがって、やはり自民党の単独過半数が崩れて新しい政治情勢が起こったわけでございますから、その段階においては、ある程度小選挙区とか並立制というものを考えてもこれはいい条件が整った。私は、現に四月の党大会の党の委員長のあいさつの中では、政界再編というものが実現したり、あるいはその展望が先に見えるのであれば、選挙制度についても大胆な決断をするということを全党員の前で申し上げているのでございます。ですから、やはり情勢の大きな変化というものが、小選挙区比例並立制というものを我々をして是認させる背景になった、こういうふうに思うのでございます。  それで、白川委員が御指摘になりました政治改革の歴史的な考察と、その核心は政治倫理にあるんだというお考えは、私は全く同感の心持ちを持ちながら、敬意を持って聞かせていただいた次第でございます。
  38. 白川勝彦

    ○白川委員 細川内閣が誕生して三カ月くらいになるんでしょうかね。しかし、細川内閣を俗に政治改革政権だなどと呼ぶ人は、いないとは私は言いませんが、かなり少ないだろうと思います。今もって非自民連立政権という言い方がかなり一般的なんじゃないかなと思うんです。そして、さっきから言葉に随分こだわっておりますが、言葉というのは、しかし国民は本質を見抜いているわけでございます。  私は、今回また当選をさせていただいて、翌日から政治家として、党内にあっていろんな政権構想を含めて模索した者でございますけれども、活動した者でございますが、今各大臣がおっしゃったように、自民党の一党だけで政権をとるという、私、支配とか独裁と言われると、じゃ今までの日本の民主政治が、選挙制度がおかしいのかとなるので、一党支配だとか一党独裁という言葉は、自民党に籍を置く者としては全く私は心外なんですが、自民党だけが三十八年間政権を担当してきたというこの事実を、一たんおまえ政権の座からおりろ、おまえやっぱりいろいろ悪いことをしたという国民の雰囲気があったことは認めます。  だから私は、例えばどなたかが一生懸命中心になったから、これだけの生まれも育ちも違う政党が集まって連立政権ができたんだと思いますが、そのためにだれが動いたなどと言うつもりはございませんが、その方の動きに比べたならば、自民党は極めてあの当時のんびりしていたんじゃないかと思います。それは、自民党全体の中に、まあ今回はいいと、今回は自民党は一度政権の座から離れた方がいいんじゃないかと、また離れざるを得ないんじゃないかと。それは、あらゆる無理をすれば、多数派工作をすれば、当時は二百四十九でございましたが、二百四十九はとれるかもしらぬけれども、それをしたのでは、また将来一緒にやる人たちとの芽をつぶすことにもなるというようなことも私はあったと思うんです。  ですから、この連立政権というのは、非自民連立政権で私はよかったと思うんです。そして、そこを国民が支持したわけでございまして、あえてこれを何か束ねる一本の大義名分が必要だとかということは、当時の政治状況としてなかったと思うのでございますが、しかしそれでは余りにも丸裸過ぎて、何か浴衣ぐらいは羽織らなきゃいけないだろうというので出てきたのが実はこの選挙制度改革という、これはなかなか一党においても意見をまとめることができないのが、生まれも育ちも違う、いろんな意見を持っているところに、とにかくこれをのまなきゃ連立政権にはならないんだ、あるいは逆に、これがのめなければ連立政権はおしまいだというようなところになっていったんじゃないのかなという気も外から見ていていたしますし、今も思います。  七月二十九日の非自民七党党首会談で合意した「連立政権樹立に関する合意事項」とその覚書というのを見ますと、非常におもしろいのでございますが、この第一番に、比例代表並立制その他を含めた抜本的な政治改革関連法案を本年じゅうに成立させる、これは確かに書いてありますが、それ以下の二からのことについてよく見ますと、多分これは民社や公明党さんあるいは新生党さん、そんなに異論がなかったと思うのですが、実際政権を担当しても、どうも具体的に仕事をやろうとなると不安があるというふうに目されて、しかもこれが幸か不幸かわからぬけれども第一党だ。そごがあっちゃ困るというので、この人たちが変なことというか、連立の調和を乱さないようにということで、こういうことはしちゃいかぬですよというようなのがほとんど書いてあるわけでございます。  一例を挙げれば、第三項の「徹底した安全管理の下におけるエネルギーの安定的確保に責任を果たすものとする。」これは原発を指しているのだと思いますし、第二項の「外交及び防衛等国の基本施策について、これまでの政策を継承しつつこれはきっと日米安保・自衛隊問題を指しているのだと思いますし、第五項の⑩の「PKO等の国際貢献」、これをやるのですよと。それは一年前あれだけ反対したのですから、これは素直にできないのは当たり前のことで、それはしかしやめられては困りますよということで、要するに、社会党さん、これはしちゃいかぬですよということを書くのが実は主たる目的であって、連立政権の理想を高らかに掲げるというようなどうも合意事項でないような気がするのです、私は。  さて、そこでまたさっきの議論に戻りますが、非自民連立政権ということで何ら非難されるべき筋合いもないのだし、自民党はそれなりの責めを負ってもしょうがない事実があったと私は思うのです。しかしそこに、裸じゃ申しわけないというので浴衣を着た。しかしこのとき着るべき浴衣が、一つ政党においてもなかなか集約しにくいものを、生まれも育ちも違う、したがって選挙制度に対する考え方もいろいろと違うものを、これでどうかという形で突きつけたこと自身がフェアでないのじゃないか、あるいは問題の本質から離れているのじゃないかという気が私はしてしょうがないのです。  そういう点について、今苦渋に満ちた発言をしたところもあるし、さらっと、いや、こんなもののめましたというところもありましたが、自由を守るとか民主主義を守るということはだれもが言います。政治倫理を確立する、だれもが言いますが、それは言葉に意味があるのではなくて、その言葉を守るためにどういう行動をするかというところにその人の、本当に自由を守ろうとしているのか、民主主義を守ろうとしているのか、政治倫理の確立に熱心なのだろうかという真価が問われていると私は思うのでございます。  そこで、選挙制度というのは、どういう自由を守る、どういう民主主義を守るかというものの言うならば手続法です。その手続法の基本が公職選挙法でございまして、この意見は、私らは理想はこうだと思いますけれども、まあ連立政権の条件で、そしてそれを断ると連立に参加できない。もっとありていに言えば、大臣を例えば二つ提示されているけれどもこれがパアになるというようなことでのませるべき問題でもなければ、のむべき問題でもない。もしそんなことでそれをいいかげんにするような政党がいたとしたならば、私は、そういう政党が自由を守るとか民主主義を守ると言う言葉を信用したくないのであります。どうかひとつ、自民党も責めません、連立与党の中で、例えばいろいろ議論したけれどもどうしてもこれは本音は反対なんだったら、それでいいじゃないでしょうか。そのかわり、自民党の中にもこれで結構だと言う人がおります。  そういう意味で、私は、こういうような問題というのは、連立与党の条件としたこと自身が政治史にとっての一つの汚点だろうと思いますし、こういう問題は最終的にいろいろな処理の仕方があるだろうと思いますけれども、これは党議で練る、これに違反したならばおまえは我が党の党員としてはふさわしくないなどということは、最もそういうことになじまない性質の問題なんじゃないのかなと思います。  だから、私は自民党の中でも主張しておりますが、こういう問題は、党というのが関与しちゃならぬとは言わぬけれども、政治家個人の、一人一人の信念というのが最後は一番大事なんじゃないだろうか。そこで出てきた合意が本物である。党がそれぞれ五十一対四十九で固め、全党が一致しました、今の状況はそうですね。共産党を除いては、表面上は全部小選挙区比例代表並立制という形にしてしまっているわけでございますが、私は、我が党の中の雰囲気を見ると、これが一〇〇%本当に固まったなどという感じはいたしません。そういうことを含めて、私は、連立与党の中でその辺がどうなんだろうかとお聞きしたいと思うし、そうであるはずがないと思っております。  そういう面では、社会党がこの前委員長選挙を見せてくれましたが、さすが長い間第一党だという形で私は見ていたのですが、ああいう意見があって、しかもああいうのがどうであれオープンで行われることが立派だと思うのでございます。どうかほかの党もそれらのことを加味して、同じことをしろとは言いませんが、きょうは委員長皆さんがいらっしゃるわけでございますので、議員の一人一人の意見を最後は大事にするんだよというのがこの問題の基本かなと私は思います。  長時間にわたりまして愚説を長々と拝聴していただきましたことに感謝を申し上げ、残りの時間は郵政大臣にいただいて、質問したいことがありますので、お引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございます。  それでは神崎郵政大臣、済みません、長時間お待たせいたしましたが、同時に政治家でございますのでお許しをいただきたいと思います。  さて、いろいろテレビ朝日問題が経過しておるようでございますが、私が仄聞いたしたところによりますと、テレビ朝日側では報道局長もしくは社長その他がそれぞれ辞職もしくは減俸というような処分をされたと聞いておりますが、これこそマスコミあるいはテレビ朝日の社の名誉をかけた問題でございますから、例えば俗に、同僚議員が追及したような事実が全く事実無根だというならば、逆にメンツにかけてもこういうことはしないと私は思うわけでございます。そういう中で認められたということは、そういう事実があったということか、あるいはあったということをいずれ立証されるであろう証拠がある、だからもうこれ以上否認してもだめだということが私はあったんじゃないかなと思うわけでございます。  そんな前提に立って、椿氏の各種発言のようなことがあったとするならば、結果としてはテレビ朝日の政治に絡む報道番組が公正中立さを害し、不偏不党であるという中立性を害した、こういう疑いがあるわけでございますが、これらの事実についてお聞きしたいのと、時間がございませんので、最後に、こういう発言をしたかどうかということがそれ自体一つの大きな問題だと思いますが、放送法にあります、放送法第三条の二の「政治的に公平であること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」こういうことに反した疑いがあるわけでございますが、これに反しますと、放送法に違反したということで、「三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じこというその他の行政罰というのが法律上は規定されているわけでございます。  また、こういう事実があれば、厳正な法の執行という立場で郵政省としてはこれをせざるを得ないと思うわけでございますが、しかし、これは椿報道局長がどういうことを言ったか言わないかという問題じゃなくて、放送された番組が放送法二号、四号に反したかどうかということが問題になると思うわけでございます。そして、それを郵政省が調査をして、違反しましたねという認定をして行政罰に至るわけでございますけれども、それらを放送法上はどういう手続で保障し、仮に手続法的にきちんと保障されていなくても、事実上はどういう努力をして、テレビ朝日の今回の総選挙前の報道が放送法の規定に反しているのかどうか、これをどういう手続と、そして手続法的には保障されなくてもどういう努力をしてやってまいりたいのか、その辺のことを、ちょっと時間がありませんので概括で恐縮でございますが、二、三点あわせてお答えをいただきたいと思います。
  39. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 テレビ朝日の前報道局長の発言問題につきましては、現在、郵政省といたしまして、本人を含め関係者から順次事情を聴取している段階でございます。調査の結果が判明した段階で、放送法上の問題等につきましても的確に対処していきたい、このように考えております。  どういう手続でということでございますけれども、具体的な手続は残念ながらないわけでございますが、この問題の調査に当たりましては、拒否すれば罰則が伴う、こういう意味での法的権限はほとんどないわけでございますけれども、実質上、本件のようにこれが社会問題化いたしまして、放送法違反の疑いが多方面から指摘されている場合には、その事案に即しまして関係者から任意の聞き取り調査及び資料の提出を求めることはできる、このように考えております。このような考え方に立って、現在、調査を進めているところでございます。  郵政省といたしましては、今回の事案の社会的影響の大きさにもかんがみ、できる限りの調査を行いたいと考えております。
  40. 白川勝彦

    ○白川委員 どうも委員長、ありがとうございました。  終わります。
  41. 石井一

    石井委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  42. 石井一

    石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、証人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております各案の審査に関し、テレビ朝日椿前報道局長の発言問題について、来る十月二十五日月曜日午後一時に椿貞良君を証人として本委員会に出頭を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 石井一

    石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  衆議院規則第五十三条の規定により、その手続をとることといたします。     ―――――――――――――
  44. 石井一

    石井委員長 質疑を続行いたします。坂本剛二君。
  45. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 もう随分この政治改革論議というのは新聞、テレビ等々をにぎわしておりまして、国民の皆様もある面ではようやく関心を持ったという面もあるでしょうし、ある面では食傷ぎみだというような感じの反応も時に返ってきてまいります。  質問に入る前に一つ、一昨日来報道されておりまして日本列島を震憾させております、ロシアによります放射性廃棄物の日本海投棄の問題について政府に一言申し上げたい、こう思っております。  事の事情は何であれ、地球環境に直接影響のある放射性廃棄物を海上に投棄するなどということは言語道断も甚だしいことでございまして、到底私たちは許すことができません。殊に、日本海は我が日本人に重大な影響を及ぼす可能性のある海域でございまして、今般のロシアの暴挙については厳重な抗議を日本政府にはぜひロシア政府の方にやっていただきたい、このようにお願いをいたす次第であります。同時に、永久に二度と再びこのような海上投棄といったようなことが起こらないような確約も、ひとつぜひ取りつけていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。  以上、官房長官に一言。
  46. 武村正義

    ○武村国務大臣 御指摘の、ロシアの日本海における放射性廃棄物の海洋投棄につきましては、先般、環境団体グリーンピースの映像が生々しく国民に報道されまして、その後、そのことが事実であったことが確認をされたわけでありまして、まことに遺憾なことであります。  日本政府としましては、この事態を重視しながら、強くロシア政府にまずは確認を求め、強い抗議の意思を表明しているところでございます。昨日も、東京とモスクワそれぞれで対応を、日本政府の意思表示をいたしました。また、夜は羽田外務大臣がじかにコズイレフ外務大臣に電話をして、この意思を強く表明したところでございます。  詳細が必要であれば政府委員から補足をさせていただきますが、いずれにしましても、二回目の投棄がきょう行われるというふうな報道もございまして、このことの中止については、一層強い決意でロシア政府に申し入れをしているところでございます。  今後、来月早々に行われます日ロの合同作業部会での話し合いやあるいはロンドン会議の場でも、日本政府としてはバイであれマルチであれ、国際的な会議の中で、単に抗議だけでなしに、こういうことが二度と起こらないようにどう対応していくか、そのことについても意思表示をしながら打開策を図っていきたいと思っております。  いずれにしましても、核問題に対して大変敏感な我々日本人にとっては、日本の裏庭でこういう行為が行われることは耐えられない問題でありますだけに、国民の意思を代表しながら、政府としましても精いっぱい対応させていただきたいと思っております。  詳細は、政府委員から説明をいただきます。
  47. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま官房長官からお答えございましたとおりでございまして、今回のまことに遺憾なロシア側の行為に対しまして、いろいろなレベルで抗議を申し入れております。  若干詳細に御報告申し上げますと、東京におきましては、斉藤外務次官からチジョフ在京のロシア大使に対しまして昨日申し入れを行い、一回目の投棄が遺憾であるということと、また、先ほど官房長官からのお話にもございましたように、二回目の投棄をやるというようなことも伝えられておりますので、これはぜひ中止してほしいということ。また、将来の問題につきましても、海洋投棄をしないで済むような方法がないか、その辺につきまして協議を、協力をしたいということもあわせて申し出たわけでございます。  これに先立ちまして、外務省の林軍備管理・科学審議官からもチジョフ大使に申し入れてございますが、また、枝村駐ロ大使からロシアの環境保護天然資源大臣に対しても同様の申し入れを行いました。また、枝村大使からはクナーゼ外務次官にも申し入れております。  これに加えまして、昨晩、夜遅くでございますが、羽田外務大臣から直接コズイレフ外務大臣に電話をかけられまして、次のような申し入れ、それに先方の反応があったわけでございます。羽田外務大臣から四点ほど申し入れられております。  第一点は、放射性廃棄物の海洋投棄問題が我が国で問題となっており、自分も、また細川総理も、これを大変に懸念しているという点が第一点でございます。それから第二点といたしまして、二回目の投棄が報道されているが、これはぜひ中止してもらいたいということでございます。それから第三番目に、エリツィン大統領訪日により築かれました日ロ関係の進展のための新たな基礎を維持するためにも、コズイレフ外務大臣からエリツィン大統領に日本側の懸念を伝達し、関係者に投棄中止を働きかけてもらいたいという点でございます。四番目に、放射性廃棄物の海洋投棄問題に関する作業部会を早期に開催したい、そこで我が方としていかなる協力が可能かを含めて検討したいという点でございます。  これに対しまして、コズイレフ外務大臣から次のように述べた次第でございます。この難しい問題については、ロシアの世論も関心を寄せている。それから二番目に、エリツィン大統領訪日時に、この問題に関する合同作業グループを通じて共同調査等必要な協力を行っていくことに合意している。三番目に、この問題の解決には双方の協力が必要で、共同調査の実施を加速化したいということを言っております。四番目に、羽田大臣の申し入れはロシア政府及びエリツィン大統領に必ず伝達するということではございましたが、残念ながら、今後海洋投棄を行わないというような言質は得られておりません。  以上が、我が方からの申し入れの概要でございます。  なお、今後の問題につきましては、これも先ほど官房長官からお話ございましたように、日ロ間の作業部会あるいはロンドン条約の締約国会議の際に、関係国間でどういう方法があるか、いずれにせよ放射性廃棄物の処理というのは必ず必要なものでございますので、これを陸上でどのように処理するか等を含めまして今後検討、協議していきたいというふうに考えております。
  48. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 今、これからのことについて、これからの中止という方向について確約が得られなかったという御答弁でございましたが、今問題になっております二度目の海洋投棄、もしこれがなされた場合に一体政府はどう対応するのか。柳井政策局長さんでも結構ですが、もし答弁できたらばぜひ答弁してください。
  49. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 先般の一回目の投棄と申しますか、最近の投棄につきまして、大変遺憾であるということで強く抗議を申し入れている次第でございまして、二回目ということが伝えられておりますが、今のお尋ねの中で二回目が起こったらどうするかという御趣旨でございますけれども、現段階におきましては、何とかこの二回目をやめてもらいたいということでできるだけの申し入れを行い、努力をしているということでございます。現段階では、とにかくもう二回目を避けてほしいということでございます。
  50. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 それでは、本論の方に入っていきたいと思います。  与野党の妥協、修正ということについて、一昨日来頻繁にやりとりがあります。私は、今まで与野党が国会に提案しておりました政治改革関連法案と、今般の細川内閣と自民党の法案との間にはそんなに違いはない。特に、大枠で並立制でいくんだということ、これは決まっているわけでございますから、あとはわずかな違いでありまして、この違いを理由に三たび破談になるというか、この話し合いがっかないという、廃案というぶざまな姿になるほどの違いではないと承知しておるわけでございます。  細川総理は先般の答弁で、政府提出法案について、可能な限りいいものを、重みのあるものを提案させていただいたと言いつつも、満点主義よりも合格点主義であるべきだ、こう修正、妥協というものを示唆をしております。自民党提案者であります鹿野道彦代議士も、民主主義の根幹となる土俵づくりであるので与野党合意形成を目指し努力をしていく、それが共同修正の道につながると、こう与野党ともに大変いい雰囲気の話がなされておるわけでございます。ようやく七党で合意したという話もありますが、七党で合意できたんですから、もう一党、自民党を加えた八党での合意は簡単ではないかな、こう思うわけでございますが、それぞれ各党の党首初め担当大臣にひとつ修正の見込み、妥協の見込み、あるいはその意気込みについて披瀝いただきたいと思います。
  51. 山花貞夫

    山花国務大臣 今お話ありましたとおり、並立制という制度の最も基本的な部分については、共通の基盤で法案がそれぞれ提出されているところでございます。同時に、今度の政治改革法案につきましては、さきの選挙の審判の結果を受けて、与野党ともにこれをなし遂げなければならない、こういう責任を負うた課題であるとも思っています。  これまでお話しさせていただきましたとおり、既にさきの国会においてかなり突っ込んだ議員同士のディベートが展開され、問題点については浮き彫りになった中で法案が今回まとめられたという経過でございます。  政府提案に当たりましては、御指摘のとおり与党各党の皆さんのお互い譲り合った合意ということを踏まえまして、最終的には政府提出という手段を選択させていただいたわけでありますけれども、担当する政治改革担当の私の立場からいたしますと、そうしたこれまでの議論などを十分踏まえた中で、できる限り落としどころというところについても既にかなり組み込んであるんじゃなかろうか、こういうようにも考えているところでございまして、したがって、その意味におきましては、なおこれから続けられる委員会議論を通じて何とか御理解をいただきたい、こういう気持ちで今審議に臨んでいるところでございます。  御質問趣旨につきましてはよく受けとめておりますけれども、私の立場で以上のとおり答弁をさせていただきたいと思います。
  52. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 お答えを申し上げます。  先国会におきまして百七時間という大変長い時間、議論が展開をされたわけでございますが、そ ういった議論の中で、あの時点においても与野党の意見交流というものがかなり深化されて、いい線いっていたというふうに理解をいたしておるわけでございます。そういう議論を踏まえて、やはり国民皆さんの信頼にこたえるために政治改革をしなければならないというのは、与野党を通じての強い意思であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。その認識の上に立って、今回、政府案、自民党案、両方出されておるわけでございますが、委員も御指摘のとおり、さまざまな点で歩み寄ることができるというふうに私は思うわけでございます。  いずれにいたしましても、政府としてはそれなりの最善のものとして提出をいたしておるわけでございますので、この御議論を進めていただかなければならないと存じております。しかし、院としていろいろな御議論の末、合意形成が何らかの形で図られるということであれば、それはまたそれなりに一定の結論ということになるわけでございます。民主的な手続に沿った結論ということになるわけでございますから、それを尊重すべきは当然のこと、このように思っております。
  53. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 午前中の御質問にも答えたところでございますが、特に選挙制度といったような問題は、これは民主政治を発展さしていく上での各党の共通の土俵をつくる問題でございますだけに、各党間の合意をできるだけ図るように努力をするということが一番大事なことであると、常々そう主張し、また考えてきておるわけであります。  もとより政府案は、いろいろなこれまでの論議を踏まえまして、私どもとしてこういう案なら一番妥当性があるのではないかという意味で提案をしているわけではありますけれども、今後院におきましていろいろな御論議がなされまして、そこに一つの合意が形成されるのであれば、その御意向を尊重すべきことは論をまたないと思っているわけでございます。  過去二回の内閣にわたりまして選挙制度を含む政治改革諸立法が流産してきた、そしてその結果、国民国会あり方あるいは政治あり方に対して大きな不満と批判をお持ちになってきておる。まさに待ったなしてございまして、この国会ではその国民の意向を踏まえて何としても成立させなきゃならぬとすれば、やはり一つの案だけに固執するのではなくて、お互いに胸襟を開いて話し合い、論を詰め、何らかの一致点を見出すということができれは政府としてもこれを尊重をすべきである、こう考えております。
  54. 武村正義

    ○武村国務大臣 もう御承知のように、すべての法律国会で決まります。与野党を超えて両院で真剣な御議論をいただき、そこで最終御決定をいただくわけであります。政府としては、提案をいたしておりますので、少なくとも国会全体の意思が固まるまでは、今の案が最も望ましい案であるという姿勢で対応をしてまいりますが、どうぞ十分な御審議をお願いいたしたいと思います。  もともと、振り返りますと、私どもさきがけ日本新党という統一会派の名前で、細川総理と私の両代表の名前で二百五十、二百五十の並立制を基本とした提案をさしていただいたときは、まだ今の連立政権は誕生しておりませんでした。自民党から共産党まで含めて、すべての政党に私どもの考え方を提示をさしていただいたわけであります。  したがって、当時の主観的な私どもの考え方からしますと、共産党はまあ改革は賛成でありませんが、少なくとも前国会で連用制、そして並立にかなり傾いていた自民党の当時の空気を頭に置きながら、自民党から社会党の間でどうにか合意ができそうな案として二百五十、二百五十の並立制を提案をさしていただいた、当時の気持ちはそんなような気持ちでございます。ぜひ真剣な御議論をよろしくお願い申し上げます。
  55. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 ひとつ大いに論じてうまくまとめていただきたいな、こう思う次第でございます。  続いて、地方選挙、首長選挙について。このことは国会でやるべきものじゃないということを言われております用地方自治体には自治体の独自性があるので、もし何らかのことを申し上げたいなら地方制度調査会という、そういう中から地方選挙制度改革について声を上げてほしいということらしいんですが、ただ私、衆議院の選挙制度の改正をやって、二度と腐敗が起こらない政治、金のかからない選挙、こういうことを目指して今一生懸命やっておるわけでございますけれども、地方の首長選挙とかあるいは議員選挙、これもある面では、政治改革というのは国民の意識改革だ、有権者の意識改革だとも私は思っておりますので、そういう各種選挙も一種連動した形で有権者の意識を変革させることができるならば、私は、この新しい選挙制度の効果が当初の目的どおり発揮されてくるのではないかなと、こんなような感じもいたしまして、私の私見をちょっと申し上げ、そして感想をお聞かせいただきたい、こう思うわけでございます。  時あたかもいろんな政治スキャンダルによって、今はまさにその真っただ中にあって政治改革がなされようとしているわけでございますが、そんなさなか、市長さんであるとか知事さんであるとか、まことに忌まわしい出来事が起こっております。信じたくないような出来事でございます。そんなことを考えましたときに、果たして首長選挙というのは自分のお金でもって立候補するというスタイルがいいのかどうかということも、何か改めて私は考えざるを得ないような、何らかの形で公的な中で、一切自分の後援会とか個人の懐からお金を出さないで首長選挙ができるような方法というものを考えられないのかな。事務所の数とかあるいは運動員の数も、人口に応じて登録制の運動員にして、とにかく何かしらそういうドラスチックな大改革をしないと、もう国も地方も選挙一体となってこの機にやっていかぬと私は余りこの効果が上がらないんじゃないのかなという、そういうおそれさえします。  特に二票制、衆議院の投票が二票制というと異党派投票が可能になってきます。またぞろ、自分の票固めに私的後援会に頼る選挙というのが継続して残っていってしまうんじゃないのかなという、こんな感じもいたします。党首選挙というものが実現されるためにも、やはり地方選挙を私たちは何らかの形で中央選挙と連動させていく、そんな時期でもあるんじゃないのかな。また、都道府県議会あるいは政令指定都市の選挙も、ヨーロッパ各国を眺めますと、ほとんどの国は国会議員選挙と州あるいは県会議員選挙が大体同じ選挙制度がとられておるようでございます、どういう意味かよくわかりませんが。日本はまあこれからそれがばらばらになっていくんでありましょうが、その辺もやはりきちっと小選挙区というものを、現に県会議員の場合は小選挙区が行われて、もう単純小選挙区が行われている選挙がたくさん実はありますから、この辺も党首選挙、党支部を中心にした党費の運営ということ、それから議員個人への献金廃止政党への一元化、こういうことを考えましたときに、私は、ある程度のところまで一緒に進んでいっているんじゃないのかなという、そんな気がします。  したがいまして、これについても担当大臣、自治大臣及び山花大臣はどんなような考え方でこの地方というものを、今私たちがやろうとしているこの政治改革との関連を見詰めているか、お聞かせいただきたいと思います。
  56. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 私も議員時代に、今も議員でございますけれども、地方選挙の公営化については随分うるさく言ってきた方でございます。  御承知のように、昨年の十二月に法案が通りました緊急改革と言われたいわゆる二十一項目の中に、やっと地方選挙の公営化というのが入ってきたことは、委員承知のとおりでございます。通常はがきにつきましては、今まで自分たちで切手代、張って郵送していたわけでありますが、これにつきましてはすべての地方議員方々に公営化ができるようになりました。それから選挙運動用のポスターの作成、それから自動車の公営等につきましては、これは各自治体が条例をつくってやれるというところまで来たわけでございます。  実施状況を見てまいりますと、例えば県でやるものについて既にそのことを法律で決めました団体が、県レベルでいきますと九団体とか、五年度中の議会の提案を予定しているところが十三団体あるとか、あるいは六年度中が三団体あるとか、このごろは統一地方選挙でも必ずしも統一じゃないところもあるものですから、そんなことで、あと市町村の例もございますけれども、そういうように、少なくも昨年決めましたはがき、ポスターそれから自動車の公営、これは一定の部分進んできていると思うわけでございます。この部分にさらに公営化を進めるべきかという問題については、いろいろと議論があろうと思います。  今、先生言われましたように、確かに、世界的な選挙制度を見ますと、国の選挙制度と自治体の選挙制度というのは非常に似ているところもございます。ただ、日本の場合に、国の方は議院内閣制、それから自治体の方はいわば大統領制と申しましょうか、直接民主制と申しましょうか、こういうことで選んでいるというときに、一体、国の基本的な政治制度のあり方がそのまま地方の政治制度のあり方なんだろうかという問題がございますので、そのあたりは今後どういうふうにしていくかは幅広く、地方分権ということも言われておりますので、徐々に進め、さらに進めるわけでありますけれども、そういった地方制度のあり方そのものとももう既に関連をしてくる問題ではないかと思っているわけでございます。  それから、じゃ特別に、特殊に、今先生最後に言われましたように地方だけに、地方の首長選挙なり議員選挙なりに地方独自として何か選挙の助成制度はできないのかという御指摘もございましたが、これもいろいろ考えてみますと難しい問題がございまして、それじゃこれから立候補しようとする人は一体どうするとか、ところによっては、御承知のように会派補助のような格好で議員の現職の方の活動を補助しているところがございますが、これは選挙じゃないということも前提でございますけれども、具体的に考えてまいりますと、一体どうやって自治体選挙の範囲内で特別にそういった選挙についての助成制度ができるだろうかということを、もっと細かく言えばいろいろあるんでございますけれども、実際いろいろ考えてみますとなかなか難しいところがございます。  またいろいろと御意見を賜れればと思っておりますが、いずれにいたしましても、昨年、今申しましたように、地方の選挙公営というものは若干進めたわけでございますので、この実施状況等々を見ながら着実に今後とも検討していくということが、今言えることではないかと思っております。
  57. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 昨年の十二月に国会で通ったということでありますが、はがき、ポスターその他いろいろ公営化したよという。しかしこれは全然知られてないし、何ほどの効果が実はこれで上がるのかなと。例えばはがき、ポスターで浮いたお金を別の方の票とりの金に使ってしまったりしたんでは何にもならないわけでありますから、ですから、果たしてこういう方法がいいのかどうか。もっと基盤を醸成するために、きれいな選挙、清潔な選挙をやるんだよという、そういう思想を選挙民に植えつけていく、そういうような意味も含めた制度の改革、助成というものがとられなければ、私は、幾らやったって我が国の選挙風土を変えることはできぬじゃないのかな、そういう心配もいたしております。  次に、企業団体献金の五年後の見直しということでございますが、これはもう毎日のように、このことについては午前中も話があったようでございます。ただ、あの法案では五年後に見直しというふうになっているわけでございますが、何やら仄聞するところ、連立与党内では五年後には廃止というふうに決めたんだ、こんなふうなことでございますが、本当に五年後に廃止するという考えなのかどうか、お聞きいたしたいと思います。
  58. 山花貞夫

    山花国務大臣 連立与党の合意事項として私が報告をいただいておりますことは、廃止意見に考慮して見直す、こうした合意について我々は報告を伺ったところです。  じゃ、一体これをどう法文化するかということになりますと、法律の条文としては、意見に考慮しというようなことはなかなか表現しにくいわけでありまして、意見の主体はどこか等々の議論も出てまいります。したがって、そうした合意を受けまして今回提出いたしましたような見直し規定を設けたところでございます。  したがって、そうした経過があることを踏まえて、また国会の御議論、そして現実に法律が施行された後、新しく制度としてなる個人献金の税額控除制度を含めて個人献金の動向がどうなるか、各政党の収支がどうなるか、政党本部と支部の関係がどうなるか等々、要するに新しい選挙制度と新しい政治資金の制度のもとにおける現実の適用状況ということを見た上で、五年後に結論を改めて出す、見直しをするということになると承知をしているところでございます。
  59. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 政府案修正ということも踏まえながらの御答弁かな、こう思いますが、わかりました。  次に、公的助成と各党の配分ということについてお伺いさせていただきます。  政府案によりますと四百十四億円ということになっておりますけれども、この公的助成は、各党の配分はどのようになりますか、その試算がありましたならば実は発表していただきたいと思うのです。さらに、その結果、各党の昨年度の収入総額に対して何割ぐらいに当たるのか、これらについてもお示しいただきたいと思います。
  60. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 せっかくの御質問でございますけれども、国会の中には無所属の方もいらっしゃり、また、無所属の方の票をどうするか、自由民主党なら自由民主党さんが何人でという届け出を、届け出といいましょうか、そのことが確定をいたしませんとこれは計算のしょうがないわけでございます。したがって、表に公表したものはございません。  それから、二番目の各政党の活動費とのかかわり合いにつきましては、したがって、前段が出ないものですから、その比較をするということは困難でございます。
  61. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 それでは、ぜひその裏の試算表とでもいいましょうか、ありましたならば、後ほど資料として私へぜひいただきたいわけでございますが、ここに、ある新聞社が試算したデータがございます。きのうもちょっとこんな話があったと思うのですが、各党相当数の潤沢な党財政が確保できるような仕組みになっているようでございます。社会党さんが一二五%、日本新党が三八〇%というふうに、大変潤沢になるようでございます。  しかし、第八次選挙制度審議会においては、本来、政党への公的助成は過度に国家に依存してはいけないというふうになっております。過度ということは、過半数を超えない、半分以下が妥当だと言っているんだろうと私は思うわけでございますが、ただいまの新聞社の私の手元にある資料、これを大幅に削ったにしても、とても選挙制度審議会の答申に沿うような配分にはならない、はるかにオーバーするという、これはやっぱり四百十四億円というのは多過ぎるんではないのかなという、そんな感じも実はいたすわけでございますが、お伺いします。
  62. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今、前段で言われました、新聞の試算でございますので責任持って私がお答えできる数字ではございませんけれども、そこにはたしか地方の、社会党でいえば県本部での活動費、それがほぼ中央に匹敵する、あるいはちょっと多いくらいの活動費、その数字が入ってないものですから、一・何倍という数字はちょっと正確ではないのではないかと思っております。  それで、四百十四億が多いのではないかという御指摘がございましたけれども、政府案では、企業団体献金というのは政党政治資金団体しか認めない、その他の個人政治家個人はもちろんのこと、個人の周辺にございます政治団体にも一切直ちに認めないということにしておるわけでございますので、したがって、政党がそういった政治家個人の活動の部分もカバーをしなきゃならぬということを考えますと、今まで、平成元年から平成三年までの政党の活動、これは自治省の方に届けられております政治資金報告書に基づいているわけでございますけれども、それに基づきまして、政党本部の分、地方分、そして国会議員政治団体の分、こういうものを合計いたしますと、総支出が約千二百億になるわけでございますが、過度によらないようにということで、その三分の一ということで四百十四億という数字をはじいてきたわけでございますので、第八次選挙制度審議会で言われておりますように、過度に国家の収入によらないようにということは、私たちとしては達成されているのではないかというふうに考えております。
  63. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 海部内閣のときの算定基準、それから今度の細川内閣での算定基準、これをひとつそれぞれお示しいただければ、ぜひ発表していただきたいと思います。
  64. 山花貞夫

    山花国務大臣 今お話ありましたとおり、今回の政党助成額総額の算出に当たりましては、海部内閣当時の算出の基準というものを参考にしているところであります。  海部内閣のときの計算の方式は、昭和六十一年度分から平成元年分を基準といたしまして、全体の内訳につきましては、政党については本部の支出、支部の支出、国会議員政治関係団体の支出を純支出ということで総計をいたしました。すなわち、いろいろ発表されております収支の中から、ダブルカウント等も含めて、あるいは事業収入ですと当然経費と収入の関係があるものですから、そういうことを全部外しまして、純粋の支出ということで計算をしたところでございます。そうして、その全体の支出を計算したものにつきまして、それが九百億円という数字が出たことに対して、その三分の一の三百億円を総額とし、これを一億二千三百万人で割り算をし二百四十三円、これを二百五十円ということで計算をしたものでございます。  今回はこの前回の例を、算定基礎としては同じ例をとったわけですが、時代が違っておりますので、基準をとった年次が異なってまいります。今回は、平成元年分から三年分までを基準といたしまして、総額が一千二百四十三億円、一千二百四十四億円と言っておりますけれども、この三分の一を計算いたしまして四百十四億円、この四百十四億円を一億二千三百六十万人で割って三百三十五円、こういう数値を出したものでございます。したがって、確かに、はかった年次につきましては時代のずれ等もございますけれども、直近のものを資料として算定をしたところでございまして、基礎的にはこうした数値に基づいているということについて御報告を申し上げる次第でございます。  恐らく、自民党案の三百九億円という計算につきましても、ほぼ同じような計算の仕方の中から出ているのではなかろうかと思いますけれども、政府の案づくりに際しましては、以上のような基準をもちまして結論を出しているところでございます。
  65. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 ちょっと違うのですけれども、海部内閣のときの算定基準というのは、ただいまおっしゃいました党本部の純支出額、それから政治家資金団体の純支出額、ここまでは一緒なんですね。その次の政党支部の純支出額、これは国会議員は大体支部の半分ぐらいであろうということで、それを二分の一にカウントしているんですね。そして足したものを三で割る、こういう計算方式をとって出てきているのが二百五十円、こういうふうな格好になっています。  今度の細川内閣の場合は、その地方の、政党支部の総純支出額を丸々カウントして、二分の一にしないで、そして三で割って計算しておるという。これはどういう理由があるのか、そこに何か理念が存在するのかなという、そんなようなことをひとつお伺いしたいわけであります。
  66. 山花貞夫

    山花国務大臣 私、答弁させていただいて、足らざるところは必要あれば補っていただきたいと思います。  海部内閣のときは、私、説明の中で省略をいたしましたけれども、今回もその基調はありますが、企業団体献金禁止の問題につきまして、これを今度の政府案の場合には政党に限り、個人に対しては一切禁止するという仕組みになっておりますけれども、この点について取り扱いが違って、企業団体献金の問題については、これを制約をつけながら存続させる、こういうことになっておりました。今回の自民党案におきましても、企業団体献金の問題について、全体として総額は一・五倍にする、従来よりも膨らませた中で制約をつける。こういう、一方において収入の道が政党助成だけではなく確保されている、こういう構造上の違いがございます。この点が、海部内閣のときで私さっき説明を落とした点でございます。  それから、今委員指摘の支部の計算分につきましては、御指摘のとおりでございます。今回は、企業団体献金禁止の問題につきまして、政党本部そして支部などについても受けることはできるわけですが、個人の関係については一切これを認めない、こういうことになっておりますので、政党本部の支出というもの、政治活動について政党が担う。個人の地盤培養行為ではなく、政策を訴えることを含めて政党の活動、これに伴う経費というものが政党本部、支部に当然かかってくるであろう、こういうような想定をした中で、支部の分につきましては、今回は二分の一としないで全体を計算に入れたということでございます。  大きな理由としては、一つには企業団体献金廃止に踏み出したこと、第二番目の理由としては、政党の活動ということを中心にするものですから、支部につきましても政党の活動、ここが中心となるのでこれを全額算入をした、こういう経過でございます。
  67. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 次に、地方議員の所得税控除についてちょっとお伺いいたしたいと思います。  ここで問題になりますのは、地方議員のうち、無所属議員にはこの公的助成金の恩恵がいかないんですね。恩恵にあずかる方法がないわけでございます。加えて、都道府県議会議員及び政令指定都市の議員以外の市区町村議員あるいは市区町村長には、所得税控除の優遇措置がないわけでございます。政府は、広域性あるいは税務処理上の観点からこれらの実現が難しい、こう言っているわけでございますが、広域性ということになってきますと、今度の細川内閣の小選挙区二百五十という選挙区で見てみますと、それと同じ選挙区の市区が随分あるんですね。それと同じ選挙区、五十四団体ぐらい実はあるんですけれども、これは、こういう同じところの、同じ面積のところで政治をやっている市会議員や区会議員と、全く同じ選挙区のこれからの衆議院議員とでまるっきり差が出てきてしまうということについて、このことについてどう考えられておるのか。  それから、市会議員とか区議会議員の場合はこれがないということなのですが、さらに総理はさきの国会の答弁で、地方議員国民との密着性の度合いが高いので個人献金がされやすい、こう言っておるわけです。市区町村議員個人献金でカバーできるのじゃないか、こういうような話でありましたけれども、中央選管の昨年度の個人献金の比率は、総政治資金のうちの個人献金の比率は、平成三年が四・八%、平成四年がわずか四・九%、こんなものなんでございます。地方の政治資金の総額と個人献金額の割合も、そんなに差はないんじゃないかな。ということは、今この個人献金で貯えというように突っぱねるとしか言いようのないようなふうにとらえるわけでございますが、こういう無所属の議員とかあるいは市区町村議員にどうこれから対応されようとしているのか。  それから、所得税控除の適用、これも同じ面積、広域性ということでは否定し切れないものが実はあるわけでございますから、このことについてもひとつお尋ねをしたいと思うのです。それから、困ったことには、いわゆる所得税控除の制度というのは、ありもしない寄附をしたことにして税金をだまし取るという、そういうことがもう幾たびか事件が起こって、司直の手、捜査の手が入っておるわけでございますが、いわゆるこの回し献金による脱税、この対策についてもどんなふうにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  68. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、確かに、国会議員あるいは県議会レベルの議員、それから都道府県知事、それから政令市の市会議員という範囲内、それから首長にある者については、この制度、所得税控除ということを入れましたときに、一つは広域性、面積が一定の面積を持っているところで活動しているということ、それから適正な執行の確保ということで、今適用されております人数が四千四百八十六人でございます。合計、全部の市区町村議員入れますと六万四千、約六万五千人ぐらいでございますが、現在は四千四百人ということになっておるわけでございまして、そういった意味で、やっぱり執行上の適正化を図るという面におきまして、一定のところで限らざるを得ないのじゃないだろうか。  これを国税、国としてやるというふうに考えますと、国税で自治体議員や首長の方の税額控除をするというのが一体制度的にマッチすることなんだろうか、国税とするとそういう問題がございます。  地方税といたしますと、ここは自治大臣という立場にもなるんでありますけれども、今寄附金控除を地方で認めておりますのは、日赤への寄附とそれからふるさと寄附金控除、これのみなんですね。自治体でございますから、自分のところに何らかの格好で返ってくるものという、非常に限られたことで地方税においてはやっておるものですから、そういった意味では、これ以上広げることは非常に無理があると考えておるわけでございます。  それから、執行上の問題で、坂本委員最後に挙げられましたように、いわゆる回し献金ということがいろいろ問題になっておりますが、これはまあ政治倫理の問題でございまして、当然司法当局と申しましょうか、大蔵省、国税庁、税務署あるいは検察、警察ということで、あってはならないこと、悪用でございますからあってはならないことということで、当然厳しく執行していくということで対処していきたいと考えております。
  69. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 個人献金の促進ということについて、これも我が国の政治風土の中で本当に考えなくちゃならないのは、個人献金というものが習慣化されていない。これがすべての、まあ何というのでしょうか、民主主義は自分たちの手で支えるんだという、こういう思想が徹底されていない、習慣化されていないところに今日の我が国の政治の混迷があるいはあるのかなという、こんな感じもしなくはないわけでございます。何とかひとつ、選挙のときにボランティアで活躍する若者たちとか、あるいは政治家政党に対して積極的に献金をして自分たちの生活を守っていこうという、そういう国民の意識というものが醸成されないものか。これは、これから早急にこの問題に我が国は取り組んで、まさに二十一世紀にはもう二度とこういう忌まわしいようないろんな事件、事故がない、そういう政界風土をつくっていく、地方に至るまでつくっていくことが必要なんじゃないかな、こう思っております。  ケネディ大統領が、国家が国民にでなくて、国民が国家に何をできるかを問えということ、これはアメリカ国民の幼児化を防ぐという意味で非常に大きな役割をあの時期に果たされたんじゃないかなと思います。我が国もまだまだ幼児性が非常に強い政治風土じゃないのかなという、こんな感じも一面ではしなくはありません。  したがって、選挙民、有権者は、受け身でなくて積極的に政治というものに飛び込んでいく、こういう姿勢をぜひつくり上げていかなくちゃならないわけでありますが、今度の細川内閣政府案にはそういう面での思想がどこに入っているのか、どういう形でそれが反映されようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  70. 山花貞夫

    山花国務大臣 委員指摘のとおり、政治ができる限り個人献金に支えられながら、不正を排した、腐敗を排した清潔なものでなければならない。こうしたテーマについても、単に所得控除に加え税額控除という個人献金への道を開いたということだけではなく、全体として配慮をしているつもりでございます。しかし一番肝心なところは、やはり政治国民皆さんの信頼を取り戻すこと、政治家一人一人が個人献金を受けるだけの姿勢というものを認めていただける活動をすること、そこに尽きるところが大きいのではないかと思っています。  そうした大前提のもとにおきまして、全体の政治にかかる金というものを少しでも少なくしていきながら、同時に、政党政治家の収支についても透明度をできるだけ増していく、みずから身を律するという、こうした姿勢のもとにおいて個人献金についても道が開けてくるのではなかろうかと思っています。  以上、個人献金の税額控除の問題だけではなく、全体として御指摘の点を重視して法案ができ上がっているということについて、どうぞ御理解いただきますようお願いを申し上げる次第でございます。
  71. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 坂本委員の言われる気持ちは、私も非常によくわかる面があります。  私も、実は衆議院に来てから公職選挙法改正の特別委員会にずっとおるわけでございますけれども、御承知のように寄附禁止の条項がさらに厳しくなったときがございます。それからどうでしょう、少なくとも私の周辺からいきますと、お祭りだとかなんとか、もっともそれまで私ほとんど出してないのでありますけれども、そういうことの要求というのは非常に少なくなってきたのではないかということを実感をするわけでございます。  そういうことからいいますと、自治省といたしましても、平成五年度でも約十六億のお金、それから衆議院選挙のときには特別にその啓発推進費ということで四億六千万余のお金を使いまして寄附禁止寄附をしちゃいけませんよ、明るい選挙をやってくださいよというPRをかなりやっているわけですね。そういう意味で私は、実感として、一面では有権者方々も随分わかってきてくれているところもあるのじゃないだろうか。  それに今、山花政治改革担当相から言われましたように、これから政党本位になってまいりますと、サービス合戦じゃないそういう政治風土というのができてきて、そして今政治がおもしろくなってきた、こう言われるようになってきますと、今坂本委員指摘のように、かなり国民皆さん方に、個人個人としてもお願いしやすい環境というのはできてくるのじゃないだろうかというふうに私は考えております。
  72. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 総定数についてお伺いしたいと思います。  今般提案されました政府案の総定数五百についてでありますが、この件につきましては、政府の答弁でも合理的な理由はない、こう言っております。国民政治改革に求めている最大のものは、政治家自身の身を切る決意ですね。おのれを捨てる心、決断力、指導力であると私は考えておるわけであります。地方議会というのは、事あるごとにおのれの身を削る作業を今日まで繰り返してきました。地方の財政状況がよくないと議会の定数削減をいたしたり、今日まで二〇%程度全国で削減されております。これは、自発的に住民感情を配慮して定数削減を実施するという立派な姿があるわけでございますが、今行政改革が叫ばれておるこういう時代であらばこそ、私は、国会がみずから国民政治不信を払拭するためにも、身をもって示すことが百方言よりも雄弁である、こんなふうに思っております。  きのう、社会党の堀込さん、一生懸命水もらっているから言いたくなかったのですが、自民党の総定数四百七十一というのは国民向けのポーズじゃをいかという発言があったんですね。私は、今まで申し上げましたように、こういう時期であらばこそ国民に対してその政治責任を負う毅然とした姿、国会議員の自浄能力をわかってもらうためにも、今はやはり国民の目線で私たち政治をやるときじゃないのかな。であるとするならば、自民党が提案した四百七十一というのは、そこに立派な思想もあれば理念もある、こんなふうに思うのでございますが、どうしても五百にこだわるのでしょうか。
  73. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 公選法の本則が御承知のように四百七十一であることも、私たちも十分存じておるわけでございます。  その四百七十一というのは一体どこから出てきたかといいますと、大正十四年の普通選挙法が施行されたときが四百六十六でございます。それで終戦を迎えまして、その後、簡単に言えば、細かく言えばもう少し経過があるのですが、沖縄を入れて五名を足しまして四百七十一というのが本則になっているのですね。それじゃ大正十四年の四百六十六というのが、それが現代的にどういう意味があるか。歴史的にそうなってきたことは承知をしておるわけでございますが、それ自体は明治二十二年に三百から出てきて経過を経てきているわけでありますから、そのもとになっている四百六十六というのが必ずしも私たちは理論的な根拠があることではないと思うのであります。  ただ、私たちは間接民主主義でございますから、少なければ少ないほどいいというものでもないし、今坂本委員指摘のように、我々もやはり身を切らなければならぬ部分もございます。そこで、新しい制度を入れるときには、やはり小学生の方にも覚えやすいように五百人ということで、もうこれからはこれが変わるわけではありませんので、そういった意味では切りのいい数字にすることが、二百五十、二百五十という分け方から申しましてもいいのではないか。  戦後のときに、例えば昭和二十年のときの議員一人当たり人口が十五万四千人に対して一人、今は二十四万七千人に対して一人ということを考えてみても、また諸外国でも、もう数字を挙げませんけれども、アメリカの下院の数以外は日本よりも議員の数が多いわけでございますので、多ければ多いほどいいということを私言っているわけじゃございませんが、この際新しい制度を入れるときには、そのあたりの左右前後日配りして、すっきりした五百人という数字で十分国民皆さん方にはわかっていただけるんじゃないか。言うまでもなく、現状よりも十一名減らすということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  74. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 数字を申し上げているわけではないのですがね、私は。国民感情に照らして定数削減という方向で行ってはいかがですかなという、そういう考え方を申し上げておるわけでございまして、四百七十一からいきなり五百に飛ぶんじゃなくて、それだったら四百七十とか四百五十とかというような考え方にもなってはいただけないのかなというような質問を実は申し上げているわけでございますが、結構です。時間がないからいいです。  次に行きます。政府委員の答弁、この廃止ということについてちょっとお尋ねしたいと思います。  政治改革は、金のかからない選挙、清潔な政治の確立と同時に、国会審議の活性化、充実ということが言われております。そういう中で、先般の百二十六国会でありますかこれにおける政治改革特別委員会での審議は非常に活性化されておもしろかったし、石井委員長なんかはまさに迫力満点の答弁で、あれは全国民から大変な人気を博した、こう思うわけでございますが、やはりああいう姿が国会にはあってしかるべきだ。  そういう中で、細川内閣が今般、政府委員の答弁を廃止したいという意向だという話をちょっと伺ったわけでございますが、私もこれには大賛成でございます。ぜひそれを実行していただきたい、こう思うわけでございますが、実行すると同時に、答弁も国民言葉で答弁をしていただくということをひとつぜひ心がけていただきたい、こう思うのでありますが、お聞かせいただきたいと思います。
  75. 山花貞夫

    山花国務大臣 国会改革テーマにつきましては、何よりも院の立場での御議論というものが大事だと思っています。これまでも議会制度協議会、あるいはそこでの議論等を踏まえ議院運営委員会などが、今御指摘のいろいろな国会改革にかかわるテーマについては議論をしてきていただいております。  今回、今御指摘ありました政府委員の問題につきましては、連立与党の間で議論が始まっているところでありまして、政府におきましても、連立与党の代表からその趣旨についてはお話を伺っております。かなり思い切った改革ということになります。単に政府委員の問題だけではなく、これからの国会での議論あり方等を考えますと、各政党の対応ということも大変大事になってくるところだと思っています。今連立与党それぞれの党が議論をしているところでございますけれども、いずれまた国会の場で御議論賜ることになるのではなかろうかと思っています。院の御議論に対応できるような政府の側の態勢と、またこの間政府側の対応についてもいろいろ希望などを申し上げる、こういう機会も必要ではなかろうかと思っています。  結論的には、そうしたテーマについて全体の政治改革、今回の四法だけではなく、まだ残された部分国会改革を含めたくさんあるわけでありますから、こうした問題において政府側も努力いたしますけれども、院における御議論につきましても大きな期待を持っているところでございます。
  76. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 この政府委員廃止の問題について、いわゆる議員提案で国会提出されるのか、あるいは政府提案ということでされるのか、この点がまだ定まってないわけでございますが、いずれにいたしましても、これを正式に御提案を申し上げるときには、どんな問題があるのかというのはかなり事前に精査していかなければならない問題であろうと思いますし、また与党間におきましてもかなり精密な議論をする必要があるというふうに思っておりますので、仮に閣法ということになりますれば、これは総務庁の所管になろうかと思いますので、そこら辺の下準備はこれからいたしたい、そんなような状況でございます。
  77. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 続いて、在職五十年表彰あるいは在職二十五年の表彰、さらには掲額、銅像ということについてお伺いしたいと思います。  これは先例でこのようなことが行われているというふうに伺っております。ただ、諸外国でも相当議員年数が短縮されております。それはもう州条例とかいろいろな条例でもってきちっと規則で決められている、そんなところもあるようでございます。日本の場合は、大変この永年在職の方々が多い。これは、こういう表彰制度があるからかな、こう思う反面、長く勤めることは非常にとうといことであります。  ですから、私は必ずしも悪いとは思っていないのですが、ただ、永年在職であることを誇りとする、そのための存在であっては、長く勤めることがそれが誇りなんだということになると、これまた何をか言わんやでございまして、私は、今審議真っただ中でありますこの政治改革の中に、こういう面でもひとつテーマとして取り上げてもよろしいんじゃないのかな、こう思っているわけでございますが、もとよりこれはハウスの問題であって政府のことではありませんが、大臣皆さん方はいずれもハウスのメンバーでもありますので、ひとつ感想をお聞かせいただきたいと思います。
  78. 武村正義

    ○武村国務大臣 坂本委員の、何かと慣行を重視する国会の体質を反省しながら、大胆な御提案、拝聴さしていただきました。  御指摘のとおり、これは院の問題でございますので、政府としては答弁は差し控えさしていただきますので、よろしくお願いいたします。
  79. 山花貞夫

    山花国務大臣 今御指摘の五十年表彰その他の問題について、実は正直申し上げまして、御質問があるということで若干意見交換はいたしました。  ただ、やはりこれは院の問題ですから、我々がここで意見を言うのはどうなんだろうかというのが実は話してきたところでございまして、それなりの歴史のあるテーマですから、個人的な意見は差し控えさしていただいて、これから院の方で、ぜひまたそれぞれの部門で御検討いただければ、こう思っているところでございます。
  80. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 全国比例と都道府県比例のことについて最後にお尋ねいたします。  これは全国比例の候補者、当初は現職議員がその候補になっていくのでしょうが、だんだんやっていくうちに、どうも全国的な規模で得票を集められる候補者ばかりが比例の候補になっていってしまうのではないかな、そういう危惧があるのです。重複立候補ということであればそんなことはないよという御意見もあろうかと思いますけれども、何やらそういう中央官僚あるいは産業団体の長、そんな方々が比例の候補に羅列されやすい制度になってしまうのではないか。  そうすると、連立与党の二百五十名というこの小選挙区定数でいくと、例えば福島県などは今十二名の定数があるのですが、二百五十でいくと五つの定数になってしまうのですね。比例の方が、福島県にゆかりのある、あるいは政治的地盤のある人でない方にどんどんどんどんなっていってしまうと、日本で二番目に広い福島県を五人で見なくちゃならないというのも、これはどういうことなのかなという、そういう感じすらします。したがって、比例は、全国区でなくてやはり都道府県単位で比例というものを設けていくべきではないのかな、こう思うのでございますが、お伺いしたいと思います。
  81. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 定数是正を今度の中で行うわけでございますから、今坂本委員言われますように、県によってはかなり定数が減るところがあることは私たち承知をしておるわけでございます。基本的には一対二以内にしようということでございますが、今御指摘の問題は、それは制度として比例代表の単位を国全体にするか、あるいは県別にするかというのと少し違うのではないかと私は思うわけでございます。  官僚出身者がどういうふうに評価されるか、あるいはどうかというようなことは、これはいわば党の中でそういう候補者をどうすべきかというお話でございまして、また、今度はやらなければならぬということにはなっておりませんけれども、惜敗率等を入れた重複立候補というようなことで、小選挙区へ出た人を比例代表にぜひ出したいという政党があればそれもできるというふうにしておるわけでございますので、今坂本委員が御心配になることは、党の候補者選びという観点で議論すべき問題であって、比例代表の単位を国か県がという問題とは少し次元を異にする問題だというふうに私は考えております。
  82. 坂本剛二

    坂本(剛)委員 今のこの全国の問題であと二つぐらい実は質問があるのですが、時間が来たというものですから、大変満足いく御答弁もいただいたので、以上で質問を終わります。
  83. 石井一

    石井委員長 次に、斉藤斗志二君。
  84. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 大臣には大変お忙しい中ありがとうございます。私は、自由民主党・自由国民会議斉藤斗志二でございます。  きょうは、政治改革に関して質問をさせていただくわけでございますけれども、現在の細川内閣、細川さんは上智大学の出身でございまして、実は私の先輩になるわけでございます。私も志を高くしてこの政界に入ったわけでございますけれども、まさか私より先に総理になる人がいるとは夢にも思いませんで、新たなる目標を細川さんに置きまして頑張りたいと思います。  細川さんは六三年の法学部卒業、実は佳代子夫人も、これは六六年でありますけれども上智大学の卒業ということでございまして、上智大学の名前の由来は英語のフィロンフィー、哲学にございまして、その中のソフィアと、そのフィロソフィーの中のソフィアという言葉から命名されたわけでございます。当初、英知という訳をっけようかなという中で、比較的一般に使われているということで上智になったというふうに聞いておりますけれども、今国会は各先生方、また政府与党並びに野党、これは英知を出し合う場でないかというふうに思っているわけでございます。  私は、この細川内閣が、細川総理がこの政治改革に取り組むに当たりまして、佳代子夫人の話を一つだけ御披露をしておきたいというふうに思います。  これは、ある講演会で夫人が述べたものでございますけれども、「やればできる理想選挙 有権者の意識改革を」、こういうテーマで話されたものでございます。「政治家の妻として二十二年を過ごしましたが、この経験をお話しし、政治実態を分かっていただければと思います。」という話し出しからあるわけでございますが、時間の関係で途中を省かしていただいて、「しかし細川家の子孫ということで、お金目当ての選挙屋が続々と集まってきました。ほとんどの人がお金の要求でした。運動だけはその人たちに頼んでおり、最初は順調でしたが、お金がないと知ると去っていき、最初選挙は落選でした。」こういうようなお金に関してのお話があるわけでございます。  そして、従来の形ではこれは日本も大変だ、政治も大変だということで、何年か後に、知事さんに出られた後でございますけれども、ボランティア選挙というのを実施をされまして、そして成功裏に導く。そして結論として、全国でボランティア選挙というような、「こういう選挙ができるようにしたい。有権者が意識改革をし、こういう選挙を定着させてもらいたい。」そして「政治家だけが改革しようとしてもダメなのです。国民の自覚が必要なのではないでしょうか。」こういうような結びになっているわけでございます。  私は、この歴史に残る政治改革国会において政治改革がなし遂げられることを切に望んでおりますし、また私自身も、先般、七月の総選挙におきましては、大変残念ながら政治改革ができなかった、この政治改革をやるという選挙公約のもとに再選を果たしたわけでございます。そういう意味で、支持者への公約ということもございまして、何としてでもこの政治改革をやり遂げたいというふうに思っておりまして、自由民主党も与党にまさるとも劣らない立派な案を出しているわけでございます。  私は、この歴史に残る内閣が本当の意味で歴史に残るということを考えたときに、やはり憲政の王道というものを細川さんも赤まれる必要があるというふうに思っています。  実は、きょう総理にも御出席をお願いしたかったのでありますけれども、日程の関係ということでできなかったものですから、その分他の大臣にもお話をお伺いしたいというふうに思うわけでございますが、私は七年前の中曽根内閣で初当選をしてまいりました。臨教審の改革の中で、教育改革、これは与野党対決をいたしました。私は文教委員会に属しておりまして、理事の左近さんとも最後つかみ合いの格好をしながら、政府案を通したのをきのうのように覚えているわけでありますけれども、対立法案を出してきた。そして、竹下内閣においては消費税、そしてさらに宮澤内閣においてPKOと、それぞれ国の運命を左右する大きな法案に立ち会ってきたわけでございます。  そんな中で、与党として、かつての与党自民党が、大筋において、通ったものにつきましては、了解されたものについては、または一致したものについては、後は野党の案に譲る、少数党に譲るというのが憲政の王道だと私は習ってきたわけでございます。  今度、今回の抜本的改革を行う。私は、この抜本的改革というのは一体何ぞやと考えたときに、現在の中選挙区制から変えるということだと思います。小選挙区比例代表並立制、まさしくこれさえ導入できれば抜本改革が成ったんだと言っても過言ではない。しかるに、比例及び小選挙部分でのその数、これについては、私は、与党は譲ってもしかるべきではないか、そしてさらに、その比例区における選挙区の区域、これについてもやはり譲るべきではないかなと思うわけでございますけれども、私は、抜本改革において小選挙区比例代表並立制、これを入れることが即抜本改革であって、あとのものについては小異を捨てて大同につく、その考え方が必要ではないかと思うわけでございます。  これについて、まず山花大臣、よろしくお願いいたします。
  85. 山花貞夫

    山花国務大臣 お話の部分で、長年続いた中選挙区を変える、ここに大きな意義があるということについては全く同感でございます。  七十年間続いた中選挙区制について、日本では当たり前の制度のように考えてまいりましたし、いいところ、悪いところ、それをわきまえながら中選挙区制を理解してまいりましたが、だがしかし、例えば外国の皆さんに会って、日本の選挙制度はと言って中選挙区を説明しても、なかなかわかってくださいません。世界に例のない珍しい制度だと外国の方からは思われているという部分もございます。しかし、これで七十年間やってきたということになりますと、それを変えるということは、関連してのさまざまな制度の変革を含め、新しい政治の風土づくり、新しい政治の文化をつくっていく、こうした意味もあるのではないかと受けとめているところでございます。  御指摘のように、そこのところが大事なんだから、あとは妥協できるではないかということにつきまして、これまでお話しさせていただきましたとおり、選挙制度審議会の議論とか、百七時間のさきの国会議論を十分踏まえて法案づくりを行ったつもりでございます。  先ほど来議論のありました例えば総定数の問題、選挙制度審議会八次審が五百一名、約五百名であったこと、さきの自民党提案が五百名であったこと、そして社公案が五百名であったことということから、五百名という提案をさせていただきました。今、ここでも五百と四百七十一、意見は食い違っておりますけれども、こうした全体の流れなどを踏まえて考えれば、私は、我々として出したものにつきまして何とか御理解をいただきたいというのが、私の担当大臣としての立場でございます。  ただ、結論的には、まずそこに一番重い部分があるのだという御意見につきましては、全くそのとおりであると考えております。
  86. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 自治大臣、いかがですか、同じ質問
  87. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 極めて大胆なる御発想だと思うのでありますが、やはり日本の政治の将来にかかわる話でございますから、小選挙区比例代表並立制というその枠組みだけが一緒だからあとは全部譲れということは、提案をしております自治大臣としては、いろいろな議論を経、しかもさきの国会でも百七時間もいろいろ議論をしたそういう経過を踏まえた上に提案理由の説明をさせていただいた自治大臣という立場で、細部につきましても、今後極めて重要な部分でございますので、十二分の御審議をいただいて、そして原案どおりひとつ御了承いただきたいというのが私の考え方でございます。
  88. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 大臣、それぞれお立場がございますから、その範囲でお答えいただいたのかなというふうには思います。私は、細川総理が本当に政治改革をやりたいということ、国民に訴えたとおりやりたいんだということであるならば、まさしく大胆な割り切りが必要だと思いますし、その根拠は、小選挙区比例代表並立制の導入そのものにあるんだというふうに思うわけでございます。  さて、細川さんも、また自民党サイドも、それぞれ案を出されておるわけでありますが、ともにベストとベスト、そういう主張を繰り返されておるわけでございます。そして、百点が七、八十点というような御意見も披瀝されておられまして、歩み寄りの機運はあるのかなというふうに思っているわけでございますが、私はその妥協の必要性ということを改めてお伺いしたいわけでございますが、もし万が一、妥協は一歩も譲れないという与党立場にお立ちになられた場合、私はこれはしょうがないなという感がいたしまして、これはどういう意味がといいますと、国民に信を問うた方がいいんじゃないか。非常にわかりやすい対比の中での選挙になるわけでございまして、国民に信を問うということは、わずか二週間の選挙戦で五十年の制度を決めるわけですから、五十年の制度を決めるについて二週間はちっとも惜しくないというふうに思っているわけでございます。  私は、多くの支持者並びに選挙区外の私を支えてくれる方々と多くの会合を持ち、意見交換をしてきているわけでございます。その中で、この与党案、野党案、選挙をやったらこれは自民党勝つよ、こういう話が圧倒的でございます。その根拠は、後ほどまたお話し申し上げたいと思いますけれども、総定数の問題にしても、国民感情としてはそっちなんだということで私も確信を持っておるわけでございまして、ぜひこの大きな政治改革国会において、私どももその責任の一端はあるわけでございますから、この法案を何としてでも、譲るところは譲って、成立させていただければというふうに思うわけでございます。  そこで、多くの集会を重ねる中で、確かに百七時間という大変長い時間を前国会で審議を重ねてきたということではございますけれども、国民皆さんは一向によくわかっていらっしゃらない。関心は確かに高こうございますが、その内容において依然としてよくわからないというのが実感でございます。大臣は大変お忙しいから、地元の選挙区の皆さ入と話したりなんかする機会はないんだと思いますけれども、国民皆さん理解度ということについてどのくらいの認識を持たれているか、お答えいただきたいと思います。
  89. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のとおり、今回だけではなく、これまでの政治改革議論の中でも選挙制度の問題については国民皆さんにとって大変わかりにくい、こういうテーマであったと思います。今回も、前国会であれだけ議論をし、そして今回四法案を出して御議論をいただいておりますけれども、まだまだ制度が周知されたということにはなっておらないと思いますし、加えて、これから選挙の区画というものが画定してきませんと、実感としてお受けとめいただくのはなかなか難しいのではなかろうか、こういう気持ちを持っておりますのでも、それは同時に議員の側といたしましても、選挙区の区画が明確になりませんとなかなか活動しにくい、こういう面もある。選挙制度というものはそうした問題点を持っているものだと思います。  ただしかし、あれだけ大きな極限を超えたと言われる政治不信の高まりの中で、長年続いた中選挙区を変えようということですから、徹底的な御議論を賜った中で新しい制度が生まれた場合には、腐敗防止の中身、政治資金が変わることについての説明、もちろん政党助成を含め、全体の政治改革の内容につきましては、さまざまな機会にこれを国民皆さんに御理解していただく努力をしなければならないものと考えております。  後ほど自治大臣につけ加えていただければと思いますけれども、国民の皆様に対する広報の関係につきましては、政府が今真剣に準備を進めているところでありますし、日常的な予算につきましてもかなり比重を置いて取り組んでいるところでございます。  最後に、ということではありましても、腐敗防止の問題、政治資金の問題、選挙制度、いずれも次第に理解が高まりつつあるのではなかろうか、これもまた一方において実態ではなかろうかと思っています。各紙世論調査の流れを見ると、そのことが明らかになりつつあるのではないかと思います。かつては、並立制の賛否を問いますと、わからないという部分が大変たくさんございました。したがって、政治改革腐敗防止だけ先行させればよろしい、こうした御意見もかなり比重が多かったわけですけれども、最近ではとにかく年内に政治改革をやるべきである、この結論については大方の国民皆さんの御意見となっているところではないかと思います。そうした国民皆さん世論ができ上がりつつあるというのは、まさに政治改革を断行する最後のチャンスを迎えているということではないかと思っております。  御指摘の問題点があるといたしましても、そうした問題点を十分頭に入れて、これから対応を立てていく、努力があれば乗り切ることができるのではないか、こう思っておる次第でございます。
  90. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 自治大臣にその関連でお伺いしたいわけでありますが、山花大臣から広報の話が出ましたので、もう少し広報を充実してもらわなきゃいかぬじゃないかという感がいたすわけでございます。  例えば、記号式という投票方式に関しまして、国民皆さん、やっぱりよくわかっていらっしゃらない。従来とどういうふうに違うんだということの質問があちこちから出るわけでございます。そしてさらに、あの記号式につきましては、この法案では○をつけるということになっているわけでありますけれども、斉藤さん、バツをつけたりチェックだったらどうなるのかね、こういう質問も出るわけでございます。もしこの法案が成立した暁には、バツ印とかチェックはこれは無効になるんだということがたしかそちらの見解のはずでございますけれども、そういったことも含めて、広報関係にどのように取り組まれているか。
  91. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 まだ法律が制定をされておらぬわけでございますから、具体的に投票方法の広報自体は始めるべきものでは当然ないわけでございまして、委員指摘のように○をつけるということにしておりますので、バツあるいはチェックということはこれは無効でございます。他事記載になるわけでございます。  地方自治体におきましても既にこのような記号式をやっていらっしゃるところもございますが、いずれにいたしましても、これが通り次第、法案を通していただきますれば、早急にそのあたりの広報はやっていかなければならぬことは言うまでもないところでございます。
  92. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 国の抜本的な政治改革にかんがみまして、各地方議会におきましても、それぞれ政治改革についての意見が陳述をされております。そして、その集約した形として意見書という格好で、これが総理大臣、自治大臣初め関係各位に送られているわけでございまして、私はたまたま八つの県の意見書を入手したものですから持ってきたわけでございますが、このほとんどが、一つは地方への配慮、そしてこれは地方への定数の配分の問題、さらに地方議員での政治活動資金にかかわる問題での適正なる対処、そして、そちらへの配慮を頼むという意見書でございまして、この地方の意見を全面的にやはり採用していただくということが非常に大事なことだと思いますが、この各県から出された意見書について、それぞれの大臣、どのようにお考えなのか承りたい。
  93. 山花貞夫

    山花国務大臣 今委員、八つの意見書の内容を整理されて御報告いただきましたけれども、私は見ているものも見ていないものもあるのじゃなかろうかと思います。ただ、全体としては、御指摘のとおり、一つには議員の定数が減る、我が郷土の代表、代議士の数が少なくなる、こうした格差是正をめぐるテーマと、いま一つ政党助成との関係で政治資金の問題、この辺に大きなポイントがあるのではなかろうかと思っております。なお、その他幾つかあるかもしれませんけれども、焦点をそこということでとらえてお答えさせていただきます。  まず前段の部分につきましては、これは私も六十一年国会決議当時、八増七減の定数是正を行ったときなど今一番記憶しておりますけれども、初めての大幅な定数減を含んだ是正だったものですから、全国の各地をほとんど回ったことを記憶をしております。中選挙区のもとにおきましても、一対二ということで格差是正いたしますと、長年続いた一極集中ということから過疎・過密対策が一体どうなるかということにつきまして、むしろ旗を立てていろいろ要請をいただいた、こういうことの印象を強く残しています。  今回定数問題について御論議いただく法案の中で、格差につきましては二倍以内を基本として、こういう原則が打ち出されているところでございます。最高裁がこれまで違憲状態の一つ判断基準とした三倍よりははるかに一対一に近づける、しかし二倍をできるだけ超えないように、こういう原則で行いますと、やはり人口減という地域につきましてはかなりしわ寄せがいくと申しますか、現在の定数よりも減る部分がございます。ただ、そうした面につきまして、だからといってそのことについて重んずるということになれば、一対二を基準とした格差是正は到底できないわけでございます。  したがって、これは自民党案もしかりでありますけれども、まず一の定数を各県に配分する、こうした形で過疎・過密に配慮するという、かつての国会の決議にも盛り込まれておりました定数減の地域に対する配慮というものをまず全国平均的に行ったというのが一つの解決の手段だった次第でありまして、これは選挙権の平等という観点から、国勢調査の人口をもとにした配分をいたしますと、ぎりぎりの数字であったということではなかろうかと思っているところでございます。  第二番目の政治資金の問題につきましても、政党交付金のお金というものが本部から支部へという形で、政党に所属している議員につきましては政党の活動、こういう関係である程度その道が残されているのではなかろうか。しかし、そうでない議員はということを含めての問題提起がございます。地方の議員皆さんの場合にも、既に政党化されている都道府県の議員の場合あるいは政令指定都市の議員皆さんの場合、約八割前後が政党所属でありますけれども、そうでない皆さんの場合には一体どうなるかということでの御質問があるということではないかと思います。  後段のテーマにつきましては、今回の政党交付金については、やはりこの制度の目的というものがございます。政党が政権を獲得することを目指し、そして政策の実現を目指して政策で争う国政段階選挙を行うこと、これを行うに足りる政党について政党助成ということの制度をつくったところでありまして、そうした制度の趣旨からいたしますと、政党本部から支部へということにならざるを得なかったところでございまして、この点につきましてはいろいろ御議論があるところと思いますけれども、制度の趣旨の観点からぎりぎりのところであるということについて、ぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  94. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今地方議会の意見書という切り口から基本理念についてお伺いしているわけでございまして、地方の時代に地方を大事にするということでございまして、もう一点、確認の意味も含めまして質問させていただきたいわけでございますが、比例代表選出議員選挙単位ということについて、地方の時代ということであるならば、都道府県がいいのか全国区がいいのかということになった場合、私は当然都道府県がいいのだと思っているわけでございますが、その点いかがですか。
  95. 山花貞夫

    山花国務大臣 今回の制度は、委員が強調されました並立制、ここは政府案と自民党案で違っておりますけれども、数については二百五十、二百五十と、三百、百七十一。こうして一方の小選挙部分におきましては、政権選択に直接結びつく民意の集約という整理がされてまいりました。同時に、比例区部分につきましては、多彩化した、多様化した国民の価値観、さまざまな意見というものをどのように反映させるのか、民意の反映ということが強調されてまいりました。そうした比例部分については、できる限り国民のさまざまな価値観というものを反映させる、そこには選択の場というものがあるということを考えますと、結論的には、やはりこれは比例区全国一本でやることの方が、広く国民の民意を反映するということになるのではなかろうかと考えているところでございます。  ただ、地方の、御質問趣旨につきましては、その辺につきましては、重複立候補の問題をも含めて、そういう点について各党が各党の手続等について配慮できる部分もあるのではなかろうか、こういうようにも考えているところでございます。
  96. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 政治改革の基本理念ということで、大きな枠組みについてお話をお伺いしたわけでございますが、時間の関係もございまして、次の政治と放送ということに入りたいと思います。  御案内のように、去る十月十三日に産経新聞が一面で記事を掲載をいたしましたことから端を発しまして大変大きな社会問題化したというのが、テレビ朝日問題でございます。そこで、きょうの新聞も読んでみますと、新たに処分者が出たということで、これは社内処分でございますが、社長さん、並びにテレビ朝日出身の民放連の会長さんが民放連の会長さんをおやめになられる、そしてさらに当事者である報道局長の椿氏も辞任をされる、そしてさらに編成局長が減給というようなこともあって、大変大きな社会問題であるわけでございます。  そこで、まず郵政大臣にお伺いをしたいわけでございますが、この新聞報道が真実であるとすれば、これは十月十三日の産経新聞でありますが、その内容が真実であるとすれば、まさに民主政治の存亡にかかわる重大な問題であるわけであります。新聞報道以来ちょうど一週間経過いたしましたが、郵政省としてこの間、事実関係の把握に努められていると聞いていますが、どのような取り組みを行ってきたのか、お答えいただきたいと思います。
  97. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 テレビ朝日椿前報道局長の民放連の放送番組調査会での発言問題が報道されて以来、郵政省といたしましても、重大な問題であるとの認識のもとに事実関係の把握に努めてきているところでございます。これまでの間、当事者であります椿前報道局長本人、民放連等から事情聴取を行いますとともに、当日放送番組調査会に出席されておりました各委員及び代理人から順次お話を伺っているところでございます。また、民放連、テレビ朝日等に対しましては、文書によりまして関係資料等の提出をお願いいたしているところでございます。  できるだけ早期に事実関係を把握して、その結果を受けて適切に対処してまいる所存でございます。
  98. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今郵政省の立場をお伺いしたわけでありますが、できるだけ早くというお答えがございましたが、十一月一日にはテレビ朝日の免許の更新という事態が控えているということを聞いておりますが、その辺はどのようにお考えでいらっしゃいますか。調査の関係、それまでに十分なし得るかどうかという質問をまずさせていただきたいと思います。
  99. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、十一月一日が再免許の時期でございますので、この再免許を念頭に置きながら、鋭意現在調査に当たっているところでございます。早急に結論を得るよう努力をしてまいりたいと考えております。  仮にこの再免許の時期までに調査が間に合わなかった場合、その場合は、調査の推移を見まして、その時点の考え方を整理して再免許の扱いを検討することといたしたいと考えております。
  100. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 先ほど本委員会での理事会が持たれて、そしてさきに自見庄三郎委員から要求がございました証人喚問がこの場でなされるということでございます。その場でも改めてお伺いしたいこともあるかと思いますが、さらに郵政大臣には幾つ質問をさせていただきます。  今、再免許のお話をしていただいたわけでございますが、この放送、テレビを含む放送、これは社会の公器であると私ども認識をいたしておりまして、国民の財産を預かっているという考えをしているわけでありますが、大臣、そのような認識でよろしゅうございますか。
  101. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 御指摘のとおりの認識でございます。
  102. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 そこで、調査結果にもよるわけでございますが、再免許の扱いが変わってくるというふうに思います。  そこで、この免許制度というものについても大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思いますが、免許にはいろいろな種類の免許がございますが、今回の場合、免許更新制度ということになるわけでございます。何年か置いて、そしてまた免許を更新していくということ、これは私ども社会におきまして必要なことでございまして、例えば自動車の運転免許証がそうでございます。  何年か後に更新をする、こういうようなことがございますのですが、この免許の更新制について、大臣はどのようにお考えか。
  103. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 電波法におきましては、周波数の見直しなどを行って、電波の公平かつ能率的利用を確保するために免許の有効期間を定め、再免許制度を設けているところでございます。放送局につきましても、この趣旨から五年の免許の有効期間を定めているところでございます。
  104. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 そこで、きょうはお忙しい中、建設大臣にも後ほどの質問にお答えいただくべく御出席をいただいたわけでございますが、現在建設省所管事項の中で、入札制度にかんがみ、一方ゼネコン疑惑とかゼネコン汚職とかいろいろ社会を騒がしているわけでございますが、あの中で指名停止という制度がおありになるかと思いますが、この建設省において指名停止というのはどのような位置づけにされておられるのか、お聞きいたしたいと思います。
  105. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 お答え申し上げたいと思います。  私どもにおける工事請負契約にかかわる指名停止処分というのは、いわゆる発注者といたしまして、公共事業というのは国民の税金によって行う仕事であって、これに事故やあるいは公共工事を行うにふさわしくないような事柄が行われるような場合、一定期間、指名停止処分を行うというような措置要領があるわけであります。  例を申し上げますと、別表の第一と第二というのが該当する基準になるわけでありますが、別表の第一の部分では「事故等に基づく措置基準」ということになっておりまして、過失による疎漏工事であるとかあるいは契約違反であるとか、こういうものに対してそれぞれ停止期間が定められております。しかし、御質問趣旨からいうと、むしろ別表第二の「贈賄及び不正行為等に基づく措置基準」ということであろうというふうに思います。  その点でいいますと、贈賄に関しましては、贈賄の容疑により逮捕されたとき、それから、贈賄の容疑により公訴を提起されたとき、こういうときには三カ月以上十二カ月以内の期間で指名停止措置をとる、こういうことになっております。また、独占禁止法違反行為の場合には一カ月以上九カ月以内、こういう期間が定められているわけであります。加えて、談合の場合一カ月以上十二カ月以内、不正または不誠実な行為というものの場合には一カ月以上九カ月以内の指名停止処分を行う、こういう内容に相なっております。
  106. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今、建設大臣から行政処分についてお伺いしたわけでございますが、不祥事を起こした場合、そのような行政処分がとられるんだということでございます。  私、運転免許に例えたわけでございますが、私どもは、善良な市民が交通事故を起こす、また人身事故を起こす、そして人様に迷惑をかける、また残念なことに死亡事故まで引き起こすということもあるわけでございまして、そのときは運転免許証は交付されないというのが世の常でございまして、社会常識であるわけでございます。もし、テレビ朝日の問題が事実である、この十月十三日付産経新聞の報道のようにこれが事実ということであるならば、私はこの選挙そのものがかなりつくられたものであって、そしてさらに、その結果、落選をし政治生命を絶たれたという方も多数おられるわけでございます。政治家としては殺されたんだということになる。そうすると、運転免許証で殺人事故を起こしておいて免許停止であるならば、これは当然行政処分の対象として、郵政省はテレビ朝日のその再免許交付についてはしかるべき措置がとられなければおかしいと思いますが、大臣、いかがお考えですか。
  107. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 本件事案につきましては、本人を含む関係者から現在鋭意事情を聴取している段階でございまして、その調査の結果を踏まえて、放送法上の問題につきましては適切に対処をしてまいりたい、このように考えております。
  108. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 大臣、もう一つ、恐縮でございます。  その適切な対処の中に、免許再交付についての取り消しということも含まれるのかどうか。いろいろ範囲があると思うんですよね。事実でないのならもうそのままで問題がありませんし、もし事実であればこっちの方まで行く、その幅広い対象の中に取り消しということも、一般論も含めてです、可能性としてはあるのかないのかということを再度お伺いしたい。
  109. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 現在調査中の件につきまして仮定的なお答えについては、これは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、放送法上の物の考え方についてどうかという一般的なことで申し上げるならば、放送法に違反した場合の対応といたしましては、電波法七十六条一項に基づきまして三カ月以内の運用停止をとり得る、あるいは電波法七条二項等で再免許に際し何らかの措置をとり得る、これが法律規定になっております。
  110. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 それでは、テレビ朝日問題ですが、ちょっと角度を変えてお伺いしたいと思いますが、いろいろ話題になる番組の中に「ニュースステーション」というのがあるんですよね、「ニュースステーション」。この「ニュースステーション」はテレビ朝日の中におきましてはどのような局に所属する組織なのか。例えば報道局なのか、編成局なのか、私どもわからないものですから、その点おわかりですか、ひとつお願いします。
  111. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 御指摘の番組の制作担当は、報道局であると承知をいたしております。
  112. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 そこで、この椿さんという報道局長辞任をされたということで、これは大変な大きな問題だと思っておりますが、報道局長が直接関与したかどうか、これは調査していただくことになるかなというふうに思いますが、幾つかの点でかなり判断に苦しむ、これはやはり問題じゃないかという点があるわけでございます。  その中に、番組作成においてでありますが、例えば「〃公正であること〃をタブーとして、積極的に挑戦をする。公正な報道に必ずしもこだわる必要はない」というような記事がここにあるわけですね。これはやはり放送法三条の二に違反するのではないか。これは事実という前提でございますよ。もし事実であるとするならば、このようなことはやはり放送法の三条の二に抵触するのではないかなと思うのでありますが、その辺、大臣、いかがでございますか。
  113. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたように、具体的な案件につきまして現在調査中でございますので、調査の結果を踏まえてみないと、一つ一つの仮定のお話についてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  114. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 それに関連して、「NHKの倫理綱領などでは、とんでもないことだろうしこということで、NHKがとられておられる公正中立という立場に対してもこの椿さんは批判をいたしているわけでございますが、国民皆さんに料金をお支払いいただいているNHK、私は、これは非常に公平公正で、非常にバランスのとれた報道をしているということを理解しておるのでありますが、所管の大臣といたしましては、NHKの報道姿勢、その番組作成姿勢について御意見があったら承りたいと思います。
  115. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 特に私の方から申し上げることはないのでありますけれども、放送法の趣旨に従って公平公正に放送をするように努めていると思っております。
  116. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 そこで、引き続いてこの記事によるのでありますが、「椿局長は、今総選挙で大量得票して当選した「簗瀬進、栗本慎一郎、海江田万里、高市早苗」の各氏について、「選挙中、積極的に報道し、バックアップした。この人たちの当選はわれわれのテレビのおかげだと考えている」と、特定の候補者を支援したことを認める発言をした。」こういう記事になっているわけでございますが、これも調査の上での御判断になるかなと思います。  実は、漏れ承った話でございます、聞き及んだ話でございますが、東京一区、これは海江田万里さんの当選されたところでございますが、選挙期間中に番組が編成をされて、その中で海江田万里対自由民主党、海江田万里対社会党、海江田万里対新生党、海江由万里対何々党、こういった番組が一連の番組としてつくられたというようなことを関係者、この選挙区の方から聞き及んだのでありますが、そういったことも、これは事実かどうかはわからないのです、聞いた範囲でございますから。調査対象になるのかならないのか、郵政省としてはそういうことも含めて調査をされているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  117. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 客観的事実の把握しやすい出演回数等については、提出方をお願いしているところでございます。
  118. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 同じように、栗本慎一郎氏と選挙をされたのが我が同僚の小杉隆先生でございまして、小杉先生が選挙後、どうして栗本さん、すごい票が出たのかなといった素朴な疑問を支持者の会合の中で質問したところ、支持者の中からこういう素朴な反応があったそうであります。それは先生、先生はほとんどテレビに出なかった、栗本さんはほとんど毎日テレビに出てきた、こういう返事があったということでございまして、私は、テレビの影響は本当に大きいな。実は一昨日、昨日、生中継がこの委員会でございました。そのときはいっぱい委員がお座りでございましたし、またこれは予算委員会でもそうでございます。きょうはその前日と打って変わった出席状況でございますけれども、さようにテレビの影響は大きいということでございまして、テレビの問題につきましてはぜひ放送法に準拠しての対応をしていただきたい。  同時に、その放送法というのは公職選挙法にも準拠する問題でございます。関連する問題でございますから、ぜひその点、慎重な調査をよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  時間の関係で、次に行きたいというふうに思います。  選挙制度並びに区割りについてでございますが、まず最初に、区割りについてお伺いをいたしたいと思います。  この区割りにつきましては、全国の皆さん大変関心が高うございまして、提出されました衆議院議員選挙画定審議会設置法案というのがございまして、その中に第三条「改定案の作成の基準」というのがございます。それによりますと、「各選挙区の人口の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにすることを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」こういう法文があるわけでございます。  今私ども、地元の後援者、支持者と話している中で、実際私たちはどうなっちゃうんだということの心配の中で、広域行政圏、広域経済圏、まあ生活圏とも言える問題でもございますし、さらに、現在、各都道府県が出先機関として、名前はそれぞれの県によって違いますが県行政センターのようなものを設置しているわけでございます。さらに、将来の市町村合併、これはかなり機運が盛り上がっているところもございまして、新しい町づくりまたは町の活性化に必要なんだという市町村合併をにらんでの市政が行われているところもたくさんあるわけでございます。  そこで、この区割り、区画画定におきましては、広域行政圏、市町村合併、県の行政センター、こういった出先機関等々を配慮してつくられるものでなければならないと私は思うわけでございますが、その点、いかがでございますか。
  119. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今、斉藤委員が読み上げられました第三条の「行政区画」というところは、都道府県や市町村の区画はもちろんでございますが、区画などを指すというなどという中には、北海道の支庁というのがあるものですから、そういったものを含んでいるわけでございまして、今言われた中で広域行政というのは、これはもちろん私のところの拠点事業とかいろいろバックがありますけれども、そこまで画定したものではない。つまりそれは地方の、地域の産業なりなんなりを一体的に進めようという話でございますので、そこまではどうかと思いますが、今御指摘の県の総合出先機関、あるいは保健所のエリアとかそういったものがございますね、何々事務所とか、これは総合的に考慮すべき事項という中に入ってくると思っております。  いずれにいたしましても、これは画定審議会の委員皆さん方が、法律で定められた範囲内で二倍以下になることを基本として決めていただくわけでございますので、その運用については、国会でどんなことの議論があったかということも当然参考になろうかと思います。  それから、地方の方の意見を聞くのかということにつきましては、第八条の方で「審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料の提出意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。」という項目になっているわけですね。したがって、審議会の委員の七名の方々がどういう運用をしていくか、これは審議会の運用は合議制でやるわけでございますので、そちらにお任せをしたいというふうに思っております。
  120. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 個別の問題のもう一つ、実は戸別訪問というのがございまして、これは与野党対立をいたしたところでもございます。  私が、小集会を多く重ねる中で、どっちが皆さん実感としてよろしいか、まあ私の支持者の声、拡大すれば国民の声です、聞いてまいりますと、現状の方がいいと言うのですよ、現状の方が。  私は、理由は時間の関係で申しませんけれども、自民党案の方がいいということが圧倒的なのですね、この戸別訪問については。ですから、私は一番最初に、与野党案で総選挙をしたらどっちが勝つか、おれは絶対自民党が勝つと言った自信の根拠の一つに、実はこの戸別があるのですよ。そういうことも含めまして、いかがですか、その政府案
  121. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 戸別訪問につきまして、いろいろな議論があることは私たち承知をしております。  ただ、御承知のように、海部内閣のときも、これは十五名に限りましたけれども、戸別訪問を解禁するということが法律にございました。これはやはり、戸別訪問がだめだという方の御意見というのは、有権者にとってみて、来られて、何党から何党から何党からというと煩雑だということ、あるいはそこで買収、供応が起こるのじゃないだろうかということ等が主に反対の御意見だと思うのでありますが、海部内閣のときの自民党さんの中でも議論されたと思いますが、十五名といいながらもこれを解禁したのは、やはり有権者と候補者あるいはその運動員が対話をする、接する、具体的に話をするということが選挙運動として非常に重要な要素ではないか。これはヨーロッパ諸国でも基本的な選挙運動としてやられているという、こういったことにもよると私たち思っているわけでございます。  今度は小選挙区になり、かつ政党本位ということになってまいりますれば、おのずと候補者の数が絞られてくるわけでございますので、この際、選挙運動の原則にのっとって、私たちは全面解禁すべきではないかというふうに考え、本法案に入れた次第でございます。  それから、申しわけございません、先ほど一つ斉藤委員質問に答えを忘れまして。  それは、市町村合併の問題でございます。市町村合併のときはどういうふうに考慮するかという問題については、その市町村合併というものがどのくらい具体的に進んでいるのか、まあ熟度と申しますけれども、どのくらい進んでいるかによると思うのです。事実上もう法律で施行するまでだよというようなことになれば話は別でございますけれども、まだ具体的には定まっていないときには、考慮しろというのは無理ではないかというふうに考えております。
  122. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 個別の中に入るかと思いますが、時間の関係で、政治資金の方に次に移らせていただきたいと思います。  先ほども、地方議員の中からの要請で、政治資金について、地方の議会人にも配慮してほしいという意見書があったということは御披露申し上げたわけでございますが、現状では個人献金とそしてこの政党助成法による中央からの資金、こういう大きな二つしかないというふうに考えられますが、実際問題として、地方自治法の二百三条にありますように、地方議会の議員というのは特にその手当ての手だてというのはないわけでございまして、非常にその点、危惧をいたしているわけでございます。  また、昨日は同僚議員であります額賀福志郎議員よりも、ロッキード事件を手がけられました堀田参考人の意見が披瀝されたわけでございますが、私は、この堀田さんの意見というのは、いろんな事件を手がけられ、また社会の深いところまで関与をしただけに、その発言は重いのだというふうに思っておりまして、その中で、現実的対応をした方がいいのじゃないかという温かい御示唆をいただいているわけでございます。これは、個人については、少なくとも当面は期待できないのではないかという内容でございまして、企業献金についても現実的な対応をした方がいいという内容のものでございます。この分だけについてお伺いしたいと思います。  それから、もう一つ加えますが、政府が計算をいたしました四百十四億の根拠のあの数字でございます。あの中身に関しましては、中央と地方はどっちが支出において多いのかといった場合、これは地方の方が多いのですね、支出の計算に関しては。そういう意味で、地方をきちっと対応しないと地方政治がだめになっちゃうということもございまして、ぜひ、この地方議員への配慮をどのようにお考えいただいているのか、お答えいただきたいと思います。今のままじゃ不十分だということです。
  123. 山花貞夫

    山花国務大臣 今、現実的な対応ということが大事だとお話をいただきましたが、実は、今回の企業団体献金禁止テーマにつきましては、現実的な対応として、一挙に全廃ということではなく、一歩踏み出すということで御理解をいただきたいと、こうした提案をしたところでございます。  しかし、中身につきましては、実はこの企業団体献金禁止政党以外全部禁止したということだけではなく、透明性の拡大の問題、五万円以上はオープンにするというようなことが相まってまいりますと、全体として企業団体献金につきましては、従来とは違ってかなり少なくなるのではなかろうか、こういうことにつきましても考える必要があると思っています。しかし、そうしたことをも含めて、全体としての政治資金政治と金のかかわりについて総枠を少なくしていくこと、これは根本的なテーマではないか、こういうように考えます。  そうした中で、一歩踏み出したテーマであるから、それには地方の議員皆さんにも御理解をいただきたい。とりわけ最近では知事、市長さんのゼネコン汚職が、中央、地方同じように行われていたということから、この企業団体献金に関する国民皆さんの関心も非常に高まっている現状もあると思います。その意味において、確かに従来のような形で資金集めをすることはできないということについては苦しみを伴いますけれども、みずからの政治活動のスタイルを変えること、新しいシステムをつくったのだから新しいシステムに沿っての政治活動、こういうものを心がけていくということを通じて、企業団体献金禁止の問題については何とぞ御理解をいただきたいと、こういう提案でございます。  なお、前段のところに関しまして、とは言ったって個人献金はそんなにふえないのじゃないかということについても、問題としてあることについては間違いないと思っていますけれども、ふえないからだめなんだということではなく、できるだけ切りかえていくということについて政治家の側の努力も必要ではなかろうか、こう思っております。
  124. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 数字が出てきたので報告させてもらいますけれども、政党の支出分ですね、本部で三百七十億、支部で四百三十億ということで、支部、要するに地方の方が支出が多いのだという現状をぜひ御認識いただきたい。そして、私も多くの地方議員と話す中で、こういうような政府案ではやっていけないのだという悲痛な声があるということをぜひ御認識いただきたいと思います。  私は、そういう意味で、政府案というのは、企業は悪だというとらえ方がございまして、非常に残念に思っておるわけです。企業だって税金を払って、社会的存在として立派に活躍をされているわけでございまして、自民党の案のように一企業二十四万円という考え方は、私は社会常識の範疇にあって国民皆さんも支持してくださると思っております。ですから、地方議員、例えば県会においては一団体に限るとか、例えば市町村議員については一団体かつ一口一万円にしちゃうとか、そのような対応もぜひお考えいただきたいというふうに思います。  時間がなくなってきたので、次に参りたいと思いますし、また運輸大臣、わざわざお越しいただきました。ありがとうございます。  そこで、政治公約ということでお尋ねしたいわけでございますが、一昨日、社会党の村山委員長は、党本部で開いた執行部と党出身閣僚との懇談会で、党の基本方針に沿った国会答弁をしてほしいと山花政治改革担当相らに要請をしたというニュースが伝えられておられますが、これはそのとおりですか。
  125. 山花貞夫

    山花国務大臣 私も、新聞を拝見いたしまして、ちょっときのうの懇談の中身と違うのではないか、こう思っておりました。まあ何かと一時間余、さまざまな懇談の機会を持ちましたけれども、全体といたしましては、始まった政治改革実現に関する話題を含め具体的な、予算委員会政治改革委員会について、そこでの答弁、そういう問題について、そこに限りますと、私どもの方から、こういう経過ですということを御報告をしたわけでありまして、この点について執行部の皆さんにも御理解をいただいたというのが昨日の経過であった、こういうように理解をしているところでございます。  全体としては、そういう中でのやりとりについてお互い意思疎通を図り、理解を深めたということについて、本当に、これを短く一行か二行にするとそういう記事になったのかな、こういう気もしておるところでございます。
  126. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 同様に、昨日、社会党の前議員会と顧問会議が党本部で開かれ、自衛隊と憲法の関係や核持ち込み問題で、社会党閣僚の答弁ぶりをめぐって批判が相次ぎ、党の基本路線を守れないようなら閣僚を引き揚げ、閣外協力でいくことも考えていいのではないかなどの強硬意見が出されたということでございますが、この件について、伊藤運輸大臣、わざわざお忙しいところを済みません、いかがでございますか、今の質問について。
  127. 伊藤茂

    ○伊藤国務大臣 今御紹介がございましたが、私自身は、その会合の内容を存じておりませんし、その会合の結果として、私の方に何か連絡か意見があったということはございません。  いずれにいたしましても、私は、また私どもは、連合政権のお約束に基づいてまじめに活動していこうということでございますから、やっていきたいと思います。
  128. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 建設大臣社会党御出身でおられまして、同じ質問なんでございますが、党本部、村山委員長から、党の基本方針に沿って国会答弁をしてほしいという要請があったというふうに聞いておりますが、いかがですか。
  129. 伊藤茂

    ○伊藤国務大臣 ちょっと用事がございまして、その日の会合で中座をいたしました。ただ、私のいる間は、党の三役並びに閣僚、中でさまざまな忌憚のない意見交換があったということで、何か厳しい形で委員長から申し渡しがあったとかいうふうな、記事にございますようなそういう印象では受け取っておりません。
  130. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 久保田大臣には、長時間恐縮でございます。今と同じ質問
  131. 久保田真苗

    ○久保田国務大臣 お答えします。  その話でいろいろなことをたくさん話し合いましたけれども、村山委員長からそのような指示とかそれから意見とかいうものが出たということは、私聞いておりません。
  132. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 加えまして、本日のこれは読売新聞でありますが、AWACS並びにパトリオット、これは防衛庁予算でありますが、来年度予算で防衛庁が要求しているものでございますが、社会党は予算化反対を固めるというニュースが報道をされているわけでございます。これについて、伊藤運輸大臣、いかがお考えですか。
  133. 山花貞夫

    山花国務大臣 私の方がちょっと事情を聞いたものですから、お答えさせていただきたいと思います。  新聞報道の内容はさておきまして、事実関係、聞いたところにつきましては、来年度の予算編成に関する党内の意見取りまとめ、検討作業を行ったところである、AWACS、パトリオット等について内閣の部会からも意見が出されたので、このことについていろいろと話し合いを行った、こういうように聞いているところでございます。したがって、今後はそれぞれ党自体でも相談を進められると思いますし、あるいは党全体で調整された場合につきましては、連立与党の幹事会に出して、党としての意見も述べることはあるだろう、こういうように聞いておりますし、私もそう思っております。  こうした問題については、やはりそれぞれの党がそれぞれの党内で徹底的な議論をする。隠して議論するのではなくて、国民皆さんにもわかっていただくような議論をする中で、そうして各党の意見をまとめ、連立与党としてもそこで相談をしていく。決定されたならば、その連立与党の合意に従っていくということだと思いますけれども、その合意に至るまでは、やはりそれぞれの主張について活発な議論を行い、問題点を明らかにしていく作業は、それぞれの党にとって大事な仕事ではなかろうかと思っております。  きょう、一部報道されましたのは、そうした来年度予算をめぐる議論でございまして、それは、初めから各党の議論が一緒ということはあり得ないのではなかろうかと思っているわけでございます。こうした問題については、問題点を徹底的に検討する、議論するという手続が始まったことについて報道された、こういうように承知をしているところでございます。
  134. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 これから小選挙区比例代表並立制という大きな目標に向かうわけでありますけれども、政党政治への移行の中で、政党が、特に政党の党首が国民に訴えて選挙をする、その支持をもって国会に籍を置いて、そしてさらに国民との信義の問題、私は、非常に大事にしなければせっかくの新しいこの選挙制度も輝きを失ってしまうというふうに思うわけでございますが、政党政治と、そして国民の支持とのことについて、ぜひ道を間違えないようにお願いを申し上げたいわけであります。  特に、昨日、伊吹委員の方から、政治的詐欺、詐欺的な行為と、ひどい、大変私にとってはきつく聞こえた言葉でございますが、そういった事態が起こらないようにお願いを申し上げたいわけでございます。  実は、久保田大臣には、景気が非常に低迷をいたしておりまして、経企庁としてはどのような対策、予測については少しぶれがあって余り感心した予測をされたというふうには思っていないものですから、その辺をしっかりとお聞きして、そして今後どういう対応をしていくのか。特に、国民は今不安と、そして挫折感といいますか、新たな展望がないまま苦しんでおるというのが実態だと思います。最後に、今後の景気対策、経企庁としてはどのように考えていくのか。ただ数字を追うだけではなくて、実体があるものとして何を考えていらっしゃるのか、最後にお聞きしたいと思います。
  135. 久保田真苗

    ○久保田国務大臣 景気につきましては、私も大変心配はしております。そして、ことしの初めに経済見通しを立てたところでございますけれども、その後、バブル崩壊の後遺症というものが長引いておりますところへ、急激な円高それから長雨といったようなことがございまして、回復に向けた足取りが重い、足踏みです、こういうことになっておりますけれども、今後回復に向けて懸命に頑張っているところでございます。  宮澤政権時代に、既に本予算及び六月の補正予算におきまして総合的な経済対策が出ておりまして、これについての前倒しをまず懸命にいたしました。そして、その成果は大変順調に過去最高の前倒しができているという状況でございます。  また、九月十六日に新政権で緊急経済対策というものを出しました。これの目玉と申しますのは、やはり今この不景気の状況を少しでも下支えをまずしていくということで円高差益の還元、そして規制緩和というものを打ち出しました。これだけでも下支えの効果というものほかなりあるものと思っております。もちろん、時間が少しかかるものもございますけれども頑張っておりますし、またその中心になるところは住宅対策でございまして、非常に好調に推移しているという状況がございます。この住宅建設が、すそ野の耐久消費財、内装あるいは諸設備、こういうものをからげて出てきているという状況も幾分かほの見えてまいりました。  そんなことで、今後は、この経済対策のほかに、さらに平岩委員会あるいは政府税調、こういったところでいろいろ今検討いただいているところでございまして、そうした審議の結果を今見守っているということでございます。
  136. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 終わります。ありがとうございました。
  137. 石井一

    石井委員長 次に、穂積良行君。
  138. 穂積良行

    ○穂積委員 私は、この前の通常国会、第百二十六回の国会政治改革調査特別委員会におきまして質問に立ちました。四月二十日ですから、ちょうど半年前でございます。当時は、もう御承知のとおり、自由民主党案は単純小選挙区制五百、それに対して社公案は小選挙区比例代表制の併用制を提出されており、この両案をめぐって歩み寄りができるのかどうかという状況でありました。  念のため、そのときの議事録、ちょっと持ってまいりましたが、読んでみます。社公案、自民案のいずれをとるべきか、それぞれの長所と短所についてはどう見るべきかということについては議論がもう出尽くしつつあると。今回もこの政府案と自民党案との間での比較論、いずれがよいかということについては議論が出尽くしつつある。そうして、そのいずれも、この半年前に私がこう言いました、自民党も、それから社公両党もいずれも我が方の案がベストであると言っている、歩み寄りなしにそのままでいいのかという趣旨で私は質問しますということで質問を始めたんですが、最後のところをちょっと読ませていただきます。  宮澤総理については、私は、不退転の決意で取り組むとおっしゃるならば、これは本当にリーダーシップを発揮していただきたいと思うわけであります。そのときに、歩み寄りなしに、事ならずということでは、本当に大変な政治状況になると思います。総辞職か解散か、そういうことに必然的に転がっていくのではないのですか。  事実はそのようなことになりました。そうでないようなことにするために、この委員会で、当時の委員会ですね、与野党本当に理性的に話し合いをすべきだと思いますが、そのときに、いわゆる連用案というのも出ましたけれども、これも含めて議論を進めるべきではないかというようなことで、質問を終わりました。  半年後の今日、まさに政府案と自民党案の間で同様の状況が出ていると思います。違いは、劇的な総選挙後の政治状況の変化のもとで、細川内閣が提案しているのは小選挙区比例代表並立制、同じく自由民主党も小選挙区比例代表並立制。これは、選挙を介して劇的な歩み寄りがあったということは事実でしょう。そういう中で、今度はこの両者の案の違いは、もう重要な点は絞られました。  第一に、小選挙区と比例代表制のそれぞれの定数をどうするかということ。第二に、比例代表の選挙区を政府案のように全国一本にするか、あるいは自民党の提案のように都道府県ごととするか。それから第三に、一票制か二票制か。この辺が両者の案で食い違いがあり、今後これについて妥協が行われるかどうか、こういう話だろうと思うのであります。  半年前に私が申しましたように、現在もこの両者の案について歩み寄りができずに不成立のままに終わらせてよいのかどうか、それでは国民が納得しないではないかというようなことについては、これは同じ状況にあると思います。そのような意味で、どうするかということを主にまず質問をするわけであります。  ところが、このような状況のもとでも、なおかつ政府側あるいは自民党側は、私の方の案こそベストであるということを今日まで言い続け、妥協はするのかしないのかという質問については、それは現段階でのお立場もありましょうけれども、なかなか手のうちはまだ見せられない、こういう状況だろうと思うのですね。  そういうことについて、先ほども質問が行われておりますが、まず半年前を振り返り、今日の時点に立って、同じこの問題にかかわってこられました佐藤自治大臣、いかがお考えかをまずお伺いいたします。
  139. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 さきの国会で百七時間、穂積委員も入れて大変活発にして中身のある充実した議論が展開をされたことはもう御承知のとおりであり、またその後の経過については穂積委員言われたとおりでございます。  その後、宮澤内閣の不信任案成立、解散・総選挙、そしてこういう細川内閣が発足したという経過を踏まえて見るならば、私たちは何としてでもその政治改革は実現をさせなきゃならぬ。そして、あの百七時間の議論を踏まえて、衆議院の選挙というのは、政権を選択をする単純小選挙区というものを中心とするあり方か、あるいは民意の反映をそこでも当然やるべきかというこの議論。もう一つは、政治資金あり方企業団体献金の是非をめぐる問題が中心的な課題であったと言ってもいいと思うのでありますが、こういった議論を踏まえて、連立与党といたしましてはこの案でいこうと。  しかも、二百五十、二百五十の問題につきましては、新党さきがけからの呼びかけもあり、連立政権が成立をしたということを踏まえて考えてまいりますと、私が所掌事務としての、所管大臣としての提案をしたものを考えますと、ここは連立与党の共通項としての提案をさせていただいた案ということでございますので、今穂積委員も違いについて集約的に言われましたけれども、なお一層詰めていただき、国民皆さん方の御意見も伺う中で、私たちとしては、ひとつ自民党さんの方にも共産党さんの方にも御理解をいただけるのではないだろうか。これが提案者としての私の考え方でございます。
  140. 穂積良行

    ○穂積委員 この問題について歩み寄りが行われ合意ができるかどうかということについて、どうなるんですかと、私は、まあ諸先生も同じでしょうけれども、地元に帰りますと支持者に聞かれます。私は、この問題がどうなるかは、最大の問題は、社会党が内部でどのような議論が今後行われ、どのような態度をとるかにかかっているんじゃないかと私は思うということを言っておるのです。  その理由は、海部内閣それから宮澤内閣、それから今日こうしてこの問題が引き続く中でまとまらないできたということについては、実はこの選挙制度をめぐって、各政党それから各議員の本音と、この大きな政治の流れの中で選挙制度を変えなければということになってきてしまったその中で、建前としてどのような主張をするかという、その本音と建前に食い違いがあって、それで、いざというときに、海部内閣の末期でもあるいは宮澤内閣の末期でも、自民党の中での本音が噴出してこのことが成らなかった、こういうふうに見てもいいんじゃないかという面があるわけであります。  今日は、これは選挙を経て、自民党の、私の所属する党の中では、もう流れにはどうも逆らえないんじゃないかと。そういう中で、建前として、これは前国会時代、宮澤内閣のもとで、単純小選挙区制に固執して、総務会では党議決定の変更はだめだというのが、伝えられるように二十七対三の圧倒的大差で党議変更が認められなかったというような、本音ベースでの話があって選挙を迎えたということもあるわけですが、選挙後は、これも劇的に、その同じ総務会で、かつては絶対それは単純小選挙区制は譲れないという自民党の中で、流れを見て、並立制でいいじゃないかという党議変更を事実したわけであります。かなりの議員は、これは観念しているといいますか、しかし流れに抗さずに観念していいかどうかという議員も実はかなりの数はいると私は見ております。  社会党の方は、これよりももっと状況は深刻だとお見受けいたします。いかがでしょうか。これはまことに、それこそ佐藤さんを筆頭に、社会党は前国会で併用制を断固主張し、まあ宮澤政権の末期には妥協への動きもありましたけれども、そういう中できた。選挙終わったら、これはまことに、これは自民党内閣形成をあくまでも阻止しようという空気の中で、山花委員長はああいう決断をなさって、それで新党さきがけ、この武村党首の呼びかけに乗って細川内閣を誕生させた。その際に、もう再々言われておりますけれども、並立制で結構だ、二百五十、二百五十でいいじゃないかと、こういうことになったわけでしょう。ところが、これに対する党内のふんまんは、この前の委員長選挙の際に、あのけさ衣をかけた翫さんを初め随分はっきりした反対意見も現実にあったわけであります。そういう中で今後どのようなことになるのか、まあそういうふうなことだと思います。  私もついでに、これは私の本音を申したいと思います。  私自身は、自分の勉強の結果として、我が国においては中選挙区制は七十年の歴史を持っております。日本の国情にかなり適合した制度として今日まできた。この中選挙区制を、もうとにかく、私は大嫌いな言葉なんですが、制度疲労とかなんとかいう決めつけ方をして、選挙制度を変えることによって状況を打開しよう。要するに、腐敗の続く政治状況政治の閉塞的な状況というものを打開するための、まあ言うなれば手段として、そして政治改革をやろう。政治改革の目的は選挙制度改革では本当はないと思うのですが、政治腐敗の除去、あるいは変化しつつある国際あるいは国内状況に適切に対応できるような、先ほど宮澤総理のリーダーシップの話をちょっとしましたが、そのリーダーシップの確立というこの二点に政治改革の目指すべき主眼、目標があると思うのです。  そうしたことを考えますと、とにかく選挙制度改革ということを一つの転機として、まあ言うなれば気分一新、新規まき直しで、いろいろな変化する状況への対応、閉塞状況の打破といったことをやろうということで今選挙制度をもうとにかくやろうという話になったと私は考えております。それは、午前中、羽田副総理がその辺の事情をかなり力を込めて説明されました。私も本当は、この選挙制度腐敗構造が本当に相関関係があるかとか、あるいは小選挙区制になったら本当に政治腐敗がなくなるような、金のかからないような、政党本位の選挙が行われるようになるかどうかということについては甚だ疑問があり、そこは選挙制度にかかわらず努力すべき問題ではないかというふうな気持ちでおりまして、これは先ほどの、かつての大正年間、小選挙区制を導入した原敬内閣が小選挙区制のもとで金権まみれの選挙をやり、大勝し、その後腐敗が続き、ついにその小選挙区制をやめて中選挙区制を導入したという歴史的経験からすれば、今回逆の方向へ行っているわけですから、本当に小選挙区制を仮に導入した場合に、そのかつての七十数年前の状況ということにならぬようにいろいろな手だてを講じなければならない、こういうことを真剣に考えなければならない。それは、政治資金規正法その他の政治腐敗防止等についての関連規定の強化というようなことや何やが必要だ、こういうことになってくると思うのです。  そうしたことなどを思い合わせまして、これをどうするんだということであります。とにかく、まずは与野党の間で、先ほど言いましたおよそ大きな問題三つについて、どう歩み寄れるかという話だと思うのです。  私から申します。  まず、総定数については、五百ということについては、前国会で自民党は五百、単純小選挙区のもとでですが、これを提案していた。先ほど佐藤大臣からの御説明で、各国の例からすれば、アメリカの小選挙区制、下院を除けば、人口比の議員数というのは日本は決して多くない。だから、同僚の坂本議員は、行革について地方議会や何やが努力している中で、減らすべきではないかという御意見がありましたが、私個人は、これは党議決定は別ですよ、五百であってもいいんじゃないかという感じがします。  その中で、小選挙区制、これは二百五十対二百五十では、自民党が主張する理念ある並立制ということからすれば、これは自民党は頑張るべき筋があると私も思います。これは与党の方が、五百の中で二百五十対二百五十というものを見直して自民党案に歩み寄ればいい、こういう話なんですな。まずは、私はそう思います。  第三点。二票制か一票制かということについては、これはよく自民党のあのマークシート方式の表を見ながら、政権側もよく考えていただいて御相談をする話じゃないか。自民党はかつて二票制で出したということもある。その中でどうするか、こういう話でしょう。  大体こんな話ですよ、妥協するかしないかは。ただ問題はまさに、繰り返しますけれども、社会党の方でこれをどうするんだという話です。そこで、山花所管大臣にお伺いします。  まことに私は、あなたは当時の委員長として、それこそ大変な決断をされて今日に至ったと思います。これは前に他の議員からも質問の中で言われましたけれども、ことし四月の社会新報でこうあなたは書かれた。「民主政治を根底から覆す小選挙区制を認めることはできません。並立制もその実質は小選挙区制ですから、これも認めることはできません。」と言い切ったあなたが、そこまで決断されて今日に至ったということについては、政治家の見識、君子豹変と言えば聞こえがいいのですが、その結果、実はこれは有権者との関係では、社会党は、現場、末端において非常に深刻な状況にあると思います。私の知人の、選挙区の社会党員などは、おれたちの時代は終わった、もう現在の党の執行部にはついていけない、時代は変わる、こういうふうな嘆き節を言う方もいます。  そういう中でどうするんだという話でありますが、大英断で政治改革について政権側で協調するということで細川内閣に入った皆さんが、実は本当に私などは見るに忍びないような状況が続いているわけであります。PKOの問題、自衛隊の問題、その他これはもう幾つもありますね。  そういうことからしますと、私はあえて申しますならば、社会党は本当に立党の精神というものを踏まえて健全な批判勢力としてのプライドを保ち続け、そして自民党を、政権を移譲させるということが当面の重要な政策判断だとするならば、それは細川総理誕生のために、総理選出の際に支持に回るのは回るとしても、入閣せずに、それで閣外において、従来の社会党の党の路線としてはということで、是々非々で細川政権に対して自分たちの主張を、言うなれば社会党がキャスチングボートを握る格好になるわけですから、そういう形でやってこられたら、社会党も末端党員の嘆きというものもなしに今日に至っているんじゃないかと思いますが、これについては山花さん、いかがでございましょうか。
  141. 山花貞夫

    山花国務大臣 自社両党の党内事情についてかなり詳しくお触れになりましたが、自民党内の状況につきましては、私は承知するところではございません。ただ、お話を伺うとそうなのかと、こういう気もしておりましたけれども、私の触れるところではないと思っています。  我が党の問題につきましても何かと御心配をいただきましたけれども、大変厳しい政治状況の中で、従来の自民党単独政権の時代から連立政権の時代、大きく政治状況が変わるという、何十年あるいはもっと長い間で一度の大きな激動期でありますから、それなりの難しい政治判断がございましたけれども、その中で、党としては厳しい政治判断の中、何よりも国民皆さんの期待にこたえる、こうした視点を持ってこれまで行動をとってきたものと承知しているところでございます。  そうした中で、選挙のときの国民の公約に反するのではなかろうか、こういう御指摘もございました。今たまたま本部の方から選挙のときの政治改革絡みのパンフレットを借りてまいりましたけれども、表題はここに書いてありますとおり「金権腐敗政治を断つ」という、こうしたスローガンのもとに新しい政権で政治改革を実現しよう、これが党のメーンの公約でございます。  そうして、見開きのところは「腐敗をなくす社会党を新しい政権の中核に」、こう書いて、具体的なテーマとしては「自民党政権は今度で終わりに」、これが公約の第一です。第二番目は「国民の審判が新しい政治を割る」、これが第二の公約です。第三番目は「腐敗防止政治倫理の確立へ」、第四番目が「社会党と公明党が共同案を提出」、こうした中で法案につきましても説明をしております。当時はまだ連用制まで踏み込む前の部分もございますので、併用制ということで社公案について説明をしているわけでありますけれども、こうして、私たちはかねてから野党第一党として国民皆さんからその存在価値ということを認められてきたということについて自負をしてまいりました。  しかし、次第に状況が、ロッキードから続いてリクルート、佐川と、こうした中で日本の政治全体が国民皆さんの批判を浴びた、こう思っております。それは単に幾つかの事件の中に巻き込まれた自民党だけの責任与党第一党の責任だけではなく、そのことを許してきた野党の責任も問われているのではないか、こういう御批判をいただきましたけれども、そのことについてもそのとおりだと思ってまいりました。したがって、私たちは、今野党にいてどうか、批判政党でどうか、こういう趣旨の御質問もありましたけれども、やはり政治を変えるためには政権を担える党、このことを中心的なスローガンとしてこの数年間民主的な議論を重ねて、党の大会決定として今日まで来た、これがこれまでの社会党であったわけです。  具体的に今回の選挙に臨みまして、今御指摘いただきましたとおり、政治改革テーマが大変行き詰まったということの中で、御説明の中にもありましたけれども、一方は総務会、党議決定、小選挙区単純から一歩も動かない、一方は歩み寄りを示す、こういう経過については渦中にあった先生が先ほど来ずっと御説明されたとおりではなかろうかと思っています。  私たちは、政治改革を全体として実現しなければならない、制度の問題だけではなく、腐敗をなくすための制度、そしてあるいは政治資金の制度についても一体としてやっていこうということで歩み寄りを示してきたわけでありまして、この今御紹介した公約の冒頭にある併用制ではなく連用制まで歩み寄ってきたところでございます。連用制を基本にするというところから、さらに私の記憶では連用制の修正的なものまで含めて、百七時間の議論の中では我々は歩み寄ってきた経過があったんじゃなかったか、こう思っています。  残念ながら、我々の歩み寄りに対して当時の与党から歩み寄りはございませんでした。そして最終的には不信任案、そして解散・総選挙となりました。その選挙の結果、私たちの公約は、国民皆さんの期待が、三十八年間続いたこの政治を変えてもらいたい、政治改革の第一歩は政権交代政治をつくり直す、新しい政治をつくる、そこにあるんだ、こうした審判を受けたものと私たちは受けとめました。  何よりもそうした中で、連立政権をつくるかどうか、連立政権の合意を一体どうするか、さらには議長をどうするか、あるいは入閣するかしないか等々の問題について、大変厳しい状況の中での政治的な選択です。党としての政治的な選択を行ってきたものでありますから、その責任を私たちは負うていると思っています。今日は政治改革四法を国民皆さんの期待におこたえして年内に通すこと、そのことに私も閣僚として全力を尽くしていきたいと思っているところでございます。  こうした政治状況の中において、私たち一つ一つの政策の変更ということがあったことについては間違いございません。しかし、大きな政治の大局の中で、何よりも国民皆さんの御意見、その政権交代という大義を大事にした、これがこれまでの決断の根底にあったことについて、私どもとしてはどうぞ御理解をいただきたいと思っているところでございます。
  142. 穂積良行

    ○穂積委員 いろいろと御説明がありましたけれども、まあ他党のことですからね、これ以上内部介入的なことを申すつもりもございません。  江田長官にお伺いします。  私はかねてから、あなたは大変素質豊かな、将来ある政治家とお見受けしておるんですが、これはめぐり合わせですからね、小党の党首として今日までおいででありますが、あなたもあの社民連のこれまでの主張から大幅に路線転換、あるいは政権に入っての自民党の路線継承という中で、例えば原発問題や何やでいろいろとこれは、私、本当に見るに忍びないような立場で答弁に立たれているということもあるんですが、今山花さんにお伺いしたと同様の問題についていかがお感じになっておられるか、その所感の一端を御披瀝いただきたいと思います。
  143. 江田五月

    江田国務大臣 原発問題その他についていろいろ御心配をいただきまして大変ありがとうございますが、原発のことは、これは所管のことですのでちょっと触れておきますと、私は小さな政党を確かに背負ってまいりました。やはり一番大切なことは、とにかく政党ですから、その規模の大小にかかわらず、政権をとったときに何ができるか、何をするか、そのことを一番念頭に置いて考えていかなきゃいかぬ、こういうことでやってまいりまして、お言葉ですけれども、私ども社民連という政党、確かにかつて脱原発というような主張をしたこともあるかと思いますが、三、四年前でしょうか、生活者の政権のための新しい政党はかくあるべしというそういう文書を発表したことがございまして、そのときには脱原発という言葉も外しておるんです。  本当に今の現実というものを踏まえながら、よりいいあすをつくっていくために、どういう政治的スタンスをとっていかなきゃならぬかということについて厳しく自分たち自身を見詰め、そして政策的にもきちんとした判断をしてきたつもりでございますので、どうぞ心配は御無用と思いますのでよろしくお願いしたいと思います。  ところで、選挙制度のことについてですが、先ほどちょっと制度疲労ということで切って捨てるという趣旨のような御発言ございましたが、私は、やはり中選挙区制度というのはいろんな意味でもう行き詰まりに来てしまっていると思うんですね。停滞をしてしまった日本の政治、難問山積なのにそれに対してきちんとした答えが出せなくなっている日本の政治、あるいは汚れ切ってしまった利権の構造をつくって、その中で動きがとれなくなってしまった日本の政治、その根本にやはり中選挙区制度というものもまたあっただろうと思うんですね。  そこで、長い間、中選挙区制度をとにかく変えようじゃないかと言い続けてまいりました。中選挙区制度をどう変えるかということについて、確かに私ども併用制がいいという主張をしたことは、これは事実でございます。しかし私は、海部内閣のときにこの政治改革特別委員会委員にも入れていただいて、当時の海部総理と議論をしたんですけれども、有権者立場からすれば、並立制、併用制というものは水と油だという議論も実はなじまないんじゃないか。というのは、一つ選挙区から一人を選ぶ、その個人名を投票する、もう一つ政党というものを選ぶ。その二つのものを投票していただいて、それをどういうふうに議席へと結びつけていくかという、そういう技術的な違いが並立制と併用制の違いなのであって、有権者立場からするとこの二つは実はそれほど違いはないんだ。あとはひとつ頭のいい人、その技術的なことはしっかり考えてくださいということで十分妥協の余地はあるんではないか、こういうことを海部総理と議論をしたわけでございます。  その当時、海部総理はそこについてもう一歩踏み出すということをやられなかったものですから、残念ながら合意はできなかったわけですが、今こうして多くの人が、一部、本当に一部を除いて並立制ということに歩み寄ったわけですから、私はあとは、こうなると並立制ということで政府の方で責任を持って、こういう二百五十、二百五十あるいは二票制あるいは全国一本の比例代表、こういう制度で出しているわけですから、これについてぜひひとつ委員各位の御賛同をいただいてこの改正をやっていただきたい、こう思っている次第です。
  144. 穂積良行

    ○穂積委員 この並立制の中で、問題の一つは確かに比例代表制のあり方ですね。これについては既に参議院の全国区比例代表制の経験があり、これについては正直言いまして、自民党のあの拘束名簿式の順位づけや何やについてもいろいろな問題があります。それが今回、政府案のように例えば二百五十、自民党でいけば百七十一、その人数の、全国区に対応して拘束名簿式の比例代表の順位づけや何やというのは大変な難しい話になると思います。それよりは私は、自民党の提案しているような都道府県別の比例代表制の方が、これはある程度、選挙において不可欠の要素である選ぶべき人の人物評価、人を選ぶという面にやや近くなるという意味では、都道府県ごとの比例代表制の方が、比例代表導入の中でもこれは理にかなっているし、日本の国情に合っていると思うのです。  いずれにしましても、この比例代表制の順位づけや何やのことに関連しまして、実はきょう参議院の議員出身の環境庁長官においでいただきました。広中さんは、かつて公明党で名簿の第一位にランクされてめでたく当選をされて、第二回のときは順位は多少下にされたのかもしれませんが、いずれにしてもまことに優秀な、公明党にとってはこれ以上ないような立派な方を第一位にランクして、それで公明党は随分得したんではないかと推察するんですが、広中さん、あなたはじっとこの選挙区論議をごらん、あるいはお聞きになっていて、ひとつ党あるいは政権側の立場を超えて、あなたは評論家でもありますし、どのように見ておられるか、ぜひお話をお聞かせいただきたい。よろしくお願いします。
  145. 広中和歌子

    ○広中国務大臣 今いろいろ御意見を拝聴しておりました。比例制度におきましては、小選挙選挙制度に比べまして確かに、人を選ぶというんでしょうか、直接顔が見えにくい選挙であるということはおっしゃるとおりであろうと思います。  しかし、比例制を一部取り入れておりますドイツの例にもありますように、キリスト教民主連盟のコール首相や自由民主党の前の外務大臣であるゲンシャーさんのように、小選挙区で落選いたしましても比例区で当選するというような例がございます。必ずしも、つまりあの方たちは地元利益を代表せず、地元での人気がなかったわけですけれども、国全体あるいは国を超えた視野で国政を考える多様な人材を選べるというメリットが比例制度には私はあると思います。要は、党がどのような人材を選ぶか、比例名簿に載せるかということだろうと思います。  今回の、私どもが今提出しております政府案によりますと、小選挙区制と比例制度の組み合わせをやっているわけでございまして、それは私は、両方を兼ね備えた非常にすぐれた制度だと思っております。
  146. 穂積良行

    ○穂積委員 それでは、同じく女性大臣久保田さん、いかがでしょうか。
  147. 久保田真苗

    ○久保田国務大臣 お答えいたします。  私、参議院の比例代表制というのは、社会党に関する限りは大変うまくいっていると思うんです。つまり、いろいろな国民各層の中の、女性代表もたくさん入りました。それから、障害者の代表も農民の代表も、いろいろな代表がここに顔を並べまして、そして今非常に支持を得て活躍しているところでございます。もしこれが小選挙区だけだったらば、恐らくこういうことはないでしょう。特に新人の場合に、非常に出にくいという場面があると思います。  その意味で私は、今回、比例代表制と小選挙区制がかみ合わせになり、しかも全国的な支持を得られるようなそういった代表が出ておりますことは、政治の中身を多様化し、それにこたえるという意味で非常によかったんじゃないかと思っているところでございます。
  148. 穂積良行

    ○穂積委員 まずは、今度の衆議院への比例代表制持ち込みは、衆参同時選挙ということも理論的には今後もあり得るという中で、参議院の比例代表区をあわせてどうするんだという議論抜きにはこの選挙制度改革というのは完結しないというふうなことを指摘し、次の問題に移ります。  外務大臣、大蔵大臣それから農林水産大臣とおそろいいただきましたので、これは大変私にとっては重大関心事の米の問題と、それから消費税の問題と政治改革との関係について質問させていただきます。  正直言いまして、国民生活の立場からしますと、選挙制度が変わるか変わらないか、めでたく並立制が導入されるか、あるいはなかなか難しくて話が壊れてしばらく中選挙区制が続くか、いずれにしても、そう国民にとっては生活への重大な、深刻な影響ということはない話であります。問題は、これは米の問題あるいは消費税の問題というのは、まさに国民生活にかかわる重大な問題であって、特に日本の農家、農民にとっては、今のウルグアイ・ラウンドの決着でどういうことになるかということを、それこそ息を詰めて見ているという状況だと思います。  農林水産委員会の方で質疑が行われたと思いますけれども、外務大臣農林水産大臣、まずウルグアイ・ラウンドについて、包括関税化を容認し、米の自由化を進めるような政策はまさか、国会決議三度にわたって行われていることを踏まえ、さらに近々、私どももこれは提案しようと思いますが、新しい顔ぶれの現衆議院で改めて従来の路線を確認する決議をすべきではないかと私は思いますが、そうした国論を踏まえ、国論統一のもとに、これは世界各国にどうしても、米というものは日本にとってのハードコアであり、これは将来ともに守っていかなければならない。米づくりを守ることは日本農業を守るために不可欠である。いろいろ理由はあります。  一億二千五百万人の人口がいて、それで既に、必要な四千万トンの穀物のうち約七割、二千八百万トンも穀物を輸入している。米は約一千万トン生産して、ことしは冷害で大変な状況だということの中で、今後ともに日本の水田を守り、可能な限り米を自給していくという路線は、これは外すわけにいかないと思うのですが、これについての所信のほどをまず伺い、その答弁に際しては、これを変更するようなことがもしあったとすれば、これはもう政治改革の問題や何や以上に私は大変だと思いますから、それこそ社会党その他政権政党皆さんと共同闘争を組んで国会の意思を貫くようにしなければならないと思いますので、その辺も踏まえて、まずは現状、これからの方針について、農林水産大臣、外務大臣御両所から御答弁いただきたいと思います。
  149. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、米の問題につきましては、例外なき関税化、これをのむことはできないというような意味合いでの基本的な姿勢を堅持しながら今日を迎えておるわけでございます。  お話のございましたとおり、国会決議の問題、なおまた連立新内閣におきましても、そのスタートに当たりまして、八党派の合意事項の中にこの内容も盛り込まれておるところでございます。何ら基本的な姿勢に変化がなく、そしてまた、本日たまたまガットのササーランド事務局長も来訪されますので、そういった基本的な我が方の従来の主張を重ねて私自身も述べさせていただき、この主張に沿ったこれからの真剣な取り組みを重ねてまいりたい、かように考えております。
  150. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 一言だけ余計なことを言って失礼ですけれども、こういう農政問題について本当に論ずるためにも、ただお金とかなんとかというだけでなくて、やはり本当に論ずるためにも、私は、選挙制度を含めた政治改革というものはぜひともこれはやらなきゃならないというふうに思うことをまず申し上げ、そして、今御指摘のありました後段の部分につきましては、まさに今、畑農林水産大臣からお話があったのと全く同じ対応をしていきたいと思いますし、私も今日まで、今お話があったように、一億二千万を超える人口を抱える国の穀物の自給率は今こういう状況なんだということを延々と実は語りかけてきた人間でありまして、そのことを少しでも各国に理解されるように、さらに努めていきたいと思います。
  151. 穂積良行

    ○穂積委員 元農林水産大臣の羽田新生党党首は、今のようなお話で、いささかも所信は変わっていない。この姿勢で外務大臣としてやっていただくならば大変結構であります。  私が大変心配しますのは、その新生党の、私どもで言えば幹事長の、代表幹事の小沢さんが、報道されるところによりますと、その今の羽田さんの考え方とかなり異なる見解を持っていろいろな言動をされ、あるいは行動されているというふうにお見受けするのですが、新生党党首としての羽田さんはこれについてどのようにお考えですか。
  152. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 これは、それぞれ個々の議員たちがやはり意見を持つということが大変大切なことでありまして、そういう中で小沢さんは、これは自民党にありましたときからいろいろなこの問題についての発言をされておるということであります。ですから、私は、今お話があったような経歴を持ちながら対応してきている人間でありまして、そのことを率直に訴えていきたいというふうに思っております。
  153. 穂積良行

    ○穂積委員 ウルグアイ・ラウンドを年内に決着させなければならないというサミットでの合意とかあるいは国際情勢は、私どもよく存じております。その中でウルグアイ・ラウンドを決着させるのは、衝に当たる者は大変でしょうけれども、私は簡単な話だと思うのです。それは要するに、このような特定農産物、その国にとっての農業についての死活の問題である日本の米のような問題については、これは包括関税化の例外を認める、その上で他の合意事項についてまとめようじゃないかということになれば、ウルグアイ・ラウンドはまとまるわけでしょう。そういうふうな姿勢で、ぜひ今後も御努力いただきたいということを要望をいたしたいと思います。
  154. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 全く今の穂積委員の方から御指摘のいただいたようなことで、私は今日まで各国の皆様方に対して理解を求めてきております。ただやはり、十二月十五日というのは、これはもうサミットの中で今お話があったとおり、そしてもう一つはガットそのものの中でも、会議の中でも、これはまさに一つのターゲットとしてやっておることでありまして、私どもはやはりガットに恩恵を受けている国なんです。  ただ、今おっしゃることを私どもは必死になって、今日まで私は八年間、七年と何カ月そのことを訴えてきているのですけれども、その中にあってまだ、例外を設けることは全部ぶち壊しになるからというので反発食らっているので、そこで大変苦労しておるということだけは理解いただきたいと思います。
  155. 穂積良行

    ○穂積委員 とにかく頑張っていただきたい。もしこれが、本当に細川内閣が口で言っていることと違った秘密交渉のもとで、例えば日露戦争終結に当たってのポーツマス条約のような話でやられたら、たまったものではない。これは私どもは、あの当時、事情を知らない民衆が日比谷公園あたりで派出所焼き打ちや何やということの歴史的事実もありますが、外交に当たる者は大変だと思いますけれども、この問題に関しては、それこそ細川内閣の命運をかけた問題として頑張っていただきたい。これで頑張ってもらえるなら、細川内閣についてしばらく私どもも様子を見て、やってもらってもいいくらいの気持ちなんです、正直言いますとね。それだけ申し上げて、次の消費税絡みの問題に移ります。  大蔵大臣、景気対策として所得減税すべきかどうか、その額はどうするか、その財源についてどうするかということについて、議論が続いております。そういう中で、まずは、所得減税ということはやはりその裏づけの財源という問題になる。そうなると、消費税にその財源を求めるという話が伝えられておりますけれども、これについてどのようにお考えか。  しかもそれは、細川内閣を形成する各与党は従来、これも御承知のとおり大変な反対を続けられた中で、自民党が苦労して成立をさせ、今日に至っている。宮澤内閣は、宮澤さんの在任中は消費税の税率引き上げはしないということを早いうちに表明されまして、そういう姿勢で来たわけです。細川内閣においては、この辺はどのような状況になっているか。その中で、かつての野党、その中には議長席に座っておられる方もありますが、そうした方々、この問題についてどのように対処されるのか。これも国民にとっては、実際の生活絡みの話としては、細川内閣どうするんだということで、政治改革以上の関心を持っているかもしれません。そうしたことを踏まえて答弁いただきたい。
  156. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 今、穂積委員のお話は、実はここのところの衆議院、参議院の予算委員会あるいは本会議等でお話ししたことをごくかいつまんで、簡単に私の考えを申します。  まず、政治に携わる者は常に減税を考えなければいけないと、これは思っています。常に制度の洗い直し、行政改革などを通じて国民の勤労の成果を還元するということ、これは永遠の課題だということが一つです。  第二番目に、景気対策としての所得減税でありますが、今ごく常識的に言いますと、この段階で景気対策の所得減税を大きくやれと言えば、赤字国債に頼らざるを得ないと思います。私は、赤字国債というのは、一部の方が財政エゴだとか財政の健全化という角度からとらえておられますが、全く違う観点でとらえています。その国の経済体質を悪くする、赤字国債を出すということはその国の経済体質を悪くするから反対であるということを第二に申し上げたいと思います。この赤字国債とは、垂れ流し的赤字国債のことを意味しております。  また次に、本格的に税制のあり方というものについての御意見でありますが、実は七月二十九日の与党の八党派の覚書によって、そういう基本的な税制改正をやるようにということを合意ができております。それに基づいて、税制調査会に細川総理は、諮問という正式な形ではありませんが、実質的な意味を込めてあえてあいさつに参上し、この税制改正のあり方を論議して結論を出してもらいたいということを言われました。それが現在進行しておりまして、税制改正の基本的あり方についての意見がやがて近く出てくると思います。  これが私の考えであって、もう一つ加えますが、私は現在、この国会の場において、特定の税目を対象として、増税するとか減税の財源に使うということを言ったことは今日まで一度もございません。
  157. 穂積良行

    ○穂積委員 これについては、久保田経企庁長官は、景気の今後に向けて、所得減税あるいはその裏づけ財源の問題については、長官としては、どのようにお考えでございますか。
  158. 久保田真苗

    ○久保田国務大臣 お答えいたします。  増税とか減税とかいう税政策というものが現在、資産、所得それから消費の三つのバランスの中でという方針を持って政府税調の中で審議されているところでございます。私、経企庁の立場からいたしますと、こうした御議論を景気の動向とか物価とかそういった経企庁の所管であるところの角度から見守り、そして国民の皆様のお声も十分に傾聴して、そして結論が出されていくものと思っております。  もちろん、八党の間の合意事項というものがございまして、私といたしましては、誠心誠意そうしたものを守ってまいりたいと思っております。
  159. 穂積良行

    ○穂積委員 大蔵大臣、経企庁長官、御苦労さまでございました。  次の問題に移ります。  文部大臣にお伺いいたします。  私は昭和十年生まれですが、国民学校という現在の小学校で修身という科目がありました。その修身の教科書では、国民の三大義務として、現在はありませんが兵役、徴兵に応ずる義務、それから納税義務、それからもう一つ参政権の問題、選挙について正しい姿勢で選挙に参画しようということが、三大義務として教育された記憶がございます。そこで、現在の学習指導要領などで、我が国の教育では選挙について国民をどのように教育することとなっているかをまずお聞かせいただきたい。  私の質問趣旨は、要するに選挙をめぐってどのようなことが行われ、その結果どのような方が政治家として選ばれるか、その質はどうかや何やについては、選ばれる側と並行して、選ぶ側の言うなればレベルの問題というものがあると思うのです。よく言われる話ですが、一国の政治なり政治家のレベルはその国の国民のレベルに相応するものだと言われますけれども、そうした観点から私は、選挙に関して、いかに民主国家において大事か、その中でどのように子供のときから立派な参政権行使者という有権者育成に意を用いていくかということは大事な話だと思いますので、それについて文部大臣の所見をお伺いいたしたい。
  160. 赤松良子

    赤松国務大臣 お答えいたします。  私も先生と同年といいますか、もう少し上でございますが、子供のときにそういう先ほどおっしゃいましたような教育を受けた記憶がはっきりとございます。戦後はより国民政治に近くなった、つまり主権者としての責任をより重く負うようになったということで、学校での教育もそのような観点から、選挙の仕組み、選挙権を持つことの意義、政党政治、議会民主制というようなものについて、児童や生徒の発達段階に応じてよく教育をするようにという方針で望んでいるわけでございます。  具体的に申しますと、小学校では社会科、中学も社会科でございます。高校では政治経済という科目で先ほど申し上げましたような中身を解説し、教えるというふうにしているところでございまして、具体的には、小学校の教科書では選挙権の意義、中学校社会科の教科書では選挙制度の中身をもう少し詳しく説明をする、また高校では選挙制度の変遷、我が国でどういうふうに変わってきたかというようなことを教え、議員定数不均衡の問題などにも触れるというようなことをしているところでございます。  先生御指摘のように、国民のレベルが反映するのだということは全くそのとおりだというふうに思っておりまして、これは、選挙権がないまだ二十未満の時代から、本当にそういう日本の民主主義を将来担う者としての教育を受けることが大変必要なことだというふうに私自身も考えております。
  161. 穂積良行

    ○穂積委員 とにもかくにも、この国会でこれから衆議院の段階でどこまで詰められるか、さらには参議院に移って、この選挙制度改革について合意が得られることを希望します。  そういう中で、きょうは政治資金絡みについてはあえて質問する時間もありませんでしたけれども、これも企業献金の是非や何や含めて議論が繰り返されておりますけれども、今文部大臣に私が質問申し上げた中で考えておりましたのは、子供のときから選挙についての正しい国民認識が養成されているならば、企業献金があってもおかしいという話にもならぬだろうし、それから個人献金も、よこしまな個人献金という形でのおかしなこともなくなるだろう、こういうようなことを感ずるわけであります。これからもその面についての教育行政当局の努力を期待をいたします。  以上で、私、多少時間を残しましたけれども、後の方に譲ります。ありがとうございました。
  162. 石井一

    石井委員長 それでは最後に、東中光雄君。
  163. 東中光雄

    東中委員 企業団体献金の関係について聞くのですが、副総理、時間が、お急ぎのようですので、最初にお伺いすることにします。  「連立政権樹立に関する合意事項」というのが平成五年七月二十九日に出されて、それを見ますと、「自由民主党政権の下では、なしえなかった抜本的な政治改革を実現する連立政権の樹立を決意した。」ということがあって、五項のうちの一項では、「連立政権は、」①、②、次に③のところで「公費助成等と一体となった企業団体献金廃止等の抜本的政治改革関連法案を本年中に成立させる。」というふうになっています。  ですから、公費助成等と一体となった企業団体献金廃止法案を成立させるという合意になっているのですが、今提出されている法案では、企業団体献金廃止ということにはなっていないと思うんですが、それはどういうことなのか。
  164. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今、いろいろと腐敗問題について言われたり、あるいは政治と金の問題について言われるときに、やはり個人議員との関係というのが一番問われているということでございまして、私どもといたしましては、個人に対する企業献金というものを廃止しようということを実は出しておるところであります。
  165. 東中光雄

    東中委員 それは、企業団体献金個人に対する献金廃止をするなんというようなことは、この合意には出ていないですね。全部含めて「企業団体献金廃止等の抜本的政治改革関連法案を」と書いてあるのです。今言われていることは、だから、この合意、国民の前に、我々承知しておるわけですが、それに反した格好になっているということだけを副総理である羽田さんに申し上げておきたいということで、どうぞお引き取りください。  それで、企業団体献金について、これは自治大臣にお伺いすることになると思うのですが、政党以外には直ちにすべて禁止した、今までと違う大幅な改革だ、こう言われておるわけですが、第二十一条の四項に規定する「政党の支部」ですね、企業団体献金を要求し、あるいは受け取ることができるそういう政党の支部というのは、全国的な一政党でですよ、そういう支部はどの程度この法律ではつくれることになるんですか。
  166. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 これは基本的に、政党本部政党支部というものは、御党でもそうだと思いますが、基本的には一体なものだと思っております。  ただし、一以上の市区町村の区域または選挙区の区域、これを単位としたものは、いわゆる地域支部という形で受け取ることができるということでございますので、幾つというのは、その政党がどういうふうにするかということになってくるわけでありまして、しかしいずれにいたしましても、本部、支部というものは、組織である限り基本的に私たち一体だというふうに考えております。
  167. 東中光雄

    東中委員 わざわざ政党の支部ということを、これは概念、市区町村区域それから小選挙区の選挙の区域にはつくれるんだと。それで、そこはそこの単位として、本来はほかの政治団体なら犯罪になるものを、犯罪でなくて企業団体献金を要求することができる、こういうふうになるわけですが、私、検討してみましたら、都道府県は四十七あります。だから四十七支部は都道府県単位でつくれます。それから、市町村は三千二百三十六あります。だから三千二百三十六の支部をつくることができます。そして東京特別区、これは二十三区ありますが、これもその単位での支部をつくることができる。それから衆議院の小選挙区の単位、これは今の提案でいえば二百五十の選挙区、これもその単位で政党支部をつくることができる。それからさらに十二政令指定都市の区ですね、これが百二十五あります。これもその範囲で政党支部がつくれる、合計三千六百八十一支部。これはすべての選挙、市町村選挙、首長選挙あるいは衆議院選挙、それぞれの選挙のすべての選挙区ごとに支部がつくれるということになっています。  ところが、それだけじゃなくてさらに、二以上の市町村単位の地域政党支部がつくれます。あるいは、二以上の府県単位の地方政党支部もつくれる。例えば東海支部とか関西地方支部とかいうふうに法律上でつくれるようになる。そうすると、そうしてできた支部は、それぞれその支部の名前で政治献金企業・団体に要求できるわけですよ。全国三千六百八十一プラス無数ですね。自治省へ聞いてみたら、それは無数ですと。この法律では政党政党支部ということでつくれるようになっているんです。  そういうことで、企業献金政党支部の名前で要求をする、組合献金を要求する。その他の団体、業者団体に対して要求をすることを政治団体は禁止されているのです。犯罪になっちゃうのです。しかし政党支部だったらいけるんやというのですが、これでは禁止したことにならぬのじゃないか。  そして、その支部が受け取る献金額、これは、献金すみ側の方は最高一億という規制はありますけれども、支部でもらう企業献金の額の制限ございますか。これは全くないでしょう。どうでしょう。
  168. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 政党でございますから、その総額の意味での制限はございませんが、ただし、各支部ごとに、受け取ったものについては全部帳簿を明らかにしていただく、あるいは上部に上げたものについては上部のことを記載をして帳簿を国民の前に明らかにしていただくことでありまして、本部だけで全部扱うというよりはむしろ、支部をそういうふうにした方が国民の目には厳しくはっきり公表されることになるわけで、そのためにこういう格好にしたわけであります。
  169. 東中光雄

    東中委員 そういうことを聞いているんじゃなくて、企業献金を集めるそのトータル類についての制限はありませんね。だから、青天井で何ぼでも集められるということであります。それは、出す側の制限があるけれども、法律上の制限はもらう側にない。  それからもう一つ、もらいに行く相手方は、企業・団体、これは全国どこへ行ってもいいわけですね。その支部の区域内とは別に限っているわけではありません。そしてまた、相手が、例えば公共事業を受注しているゼネコンでもいいわけです。あるいは電力会社のような公益事業でも、企業献金を出していただきたいということを要求しても、この法律上は自由だということになっている。こういうことに、法制度としてはそうなっているん心やないですか。どこかそこで違うところがあるんだったら言ってください。
  170. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 十分おわかりだと思いますけれども、今の現行法では、法人が出せる最高限度は一億円になっています。もし、東中委員が言われるようなことをもう少し詳しく説明するならば、本部で例えば一億受け取れば、もうその企業からは支部では受け取ることはできないわけであります。  それから、公益企業のお話をされましたが、私も昨日答弁をいたしましたように、具体的なことは政治資金規正法の中の報告書には、私自治大臣という立場では出てこないわけでございますので、一般論として申し上げれば、公益企業の広告というものが、それが実態的に本当に広告になっているという場合には、これは事業収入の扱いになりますが、それを……(東中委員「広告のことなんか一言も言ってないよ」と呼ぶ)言ったじゃないですか。それを超えた場合には、それを超えていると、広告とみなされないような、例えば広告費ということで出ているけれどもこれが実態的に何にも広告が出ていないとか、あるいはいかにも常識的に法外なものというようなものは、これは寄附に当たるわけでありますから、政治資金規正法上の寄附の枠の中で規制をされることは当然なんでありまして、何もそれを推進するとかなんとかということに今度の法律がなっているわけじゃない。  ましてや、罰則は厳しくなり、両罰規定があり、個人だけではなくて、その法人も罰せられるというそういう法律、あるいは罰金等についても最低一・五倍以上にしてあるというような、政治資金規正法上も厳しくしてあるわけでございますので、その点よく御承知おきを願いたいと思います。
  171. 東中光雄

    東中委員 全く聞いてないことを言ったってだめですよ。政党支部であれば、その他の政治団体ではだめですよ、政党支部であれば企業献金をもらいに行く、要求することができるでしょう。その要求する相手が公益企業であったらいかぬということになっていますか。なってないでしょう。そして集めるのは、一つの会社から一億もらうんじゃなくて、それは出す方が制限ありますから、それはもう承知の上で言っているのです。たくさんのところから集めて、何億もらったって、支部は何億もらったらいけないということにはない、出す側の制限さえ守っておれば。だから、支部で集められる金というのは何ぼ集めても構わない。  そこから、相手は公益企業だろうが受注企業だろうが求めに行ってもいい。求めに行ってもいいということになっているじゃないですか。じゃ、禁止がありますか。支部だったらいかぬということになっていますか、法律上なっていますか。法律上なっていろんなら言ってください。
  172. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 どこでもいいというふうには書いてないわけで、御承知のように、百九十九条のところにもはっきりそういったものについてはいけないという質的制限というのはされているわけですから、そのことは十分御留意ください。
  173. 東中光雄

    東中委員 百九十九条は公選法じゃありませんか。選挙資金じゃないですか。今政治資金のことを言っているんだよ。ごまかしなさんな。何言ってんだよ。ごまかしなさんな。  だから、ゼネコンの受注企業へ行ったらいかぬという規定があるんだったら言ってごらんなさい。どこにあるのですか。ないじゃないですか。
  174. 山花貞夫

    山花国務大臣 今御指摘のところは、今回、企業団体献金禁止テーマにつきまして我々は一歩踏み出した。今御指摘の公営企業あるいは補助金等で問題のある会社等につきましても、個人としては受け取れなくなった。しかしこっちが残っているという……(東中委員個人のことは聞いてないよ、政党支部のことを聞いているんだよ」と呼ぶ)だから言っているんです。その部分について、禁止したところを取り上げないでこっちだけおっしゃっていただければ、こちらについてはおっしゃるとおりだと思います。しかし、一歩踏み出した。残っている部分については、これからどうするかという議論は五年後見直しを含めて残っている、こういうところでございます。
  175. 東中光雄

    東中委員 おっしゃるとおりだと言われましたので、残っている部分、一歩踏み出したというけれども、それは一歩踏み出しになりませんよということを私は言っているのですから、政党支部ということでやることになるからと。  政党支部で集めた金は今度は政党支部にちゃんと記帳もせないかぬし、報告もせないかぬ、それはあります。しかしそれは、今度は政治家、候補者に対して渡すのは、その金額も何の制限もありませんね。それはどうでしょう。
  176. 山花貞夫

    山花国務大臣 前段、一言触れておきたいと思うのですが、政党について今支部その他野方図にできるではなかろうか等々の御意見ありましたが、基本的に政党の組織等に対して国が干渉する、政党法などの議論は外して問題を考えているという、この基本的姿勢を抜きにして御議論いただくと、委員指摘のところばかりが話題となるんだと思います。この観点だけはしっかりと踏まえているということを触れておきたいと思います。  ただ、後段の部分については御指摘のとおりでございます。
  177. 東中光雄

    東中委員 だから私何も、法律案で書かれておるとおりのことを言っているわけで、この制度はそういうふうになっていますよと。だから政党支部で、例えば衆議院の小選挙区制、候補者は各政党一人になりますね、小選挙区制だから。そこでその政党支部をつくるわけでしょう。その政党支部で、政治家個人では行けないから政党支部で行くわけですよ。それでゼネコンにも公益企業にも要求に行けるわけ。出してくれるかどうかは別ですよ。要求に行けるわけです。  それで、集めたものを今度はその政党支部は、その政党部長だろうと思われるその個人に、政治家個人にさっと渡すんです。渡すのは、何ぼ渡したって制限は何にもないのです、法律上。もらった方のその候補者たる政治家は、これは資金管理団体に入れることもできる、しかし入れないで全く自由にすることもできる、記載も何にもしなくていい、こういうことになるのです。だから、政党支部をトンネルにして政治家へそのまま入ってしまう。しかもそれは、透明性という点からいえば何にもわからない、透明性という点でいえば。全部ブラックホールですよ。そこへ行ったものは、どう使うたかということも一切言う必要はない。  しかも、その政党支部だけではないのです。ほかの政党支部からも来る、政党本部からも来る。来ても、個人に来たのは何にも、保有金制度もなくなりましたからね、一切わからなくなるのです。どう使うてもいいというようになるのです。こんな制度で、それで企業献金禁止した、よう言えるなというふうに思うのですが、いかがですか。
  178. 山花貞夫

    山花国務大臣 今私は、政党政治活動の自由について国家としての干渉は差し控えるべきである、この前提に立って問題を考えましたとお話しいたしましたが、どう組織をつくるかということは、それぞれの政党の自主的な判断ではないかと思っています。野方図に何百何千の支部をつくったとするならば、それはその政党責任が問われるということではないでしょうか。率直に申し上げて、例えばそれぞれの政党立場はあるかもしれませんけれども、私は、今ある県本とか支部、総支部の数よりは少なくなるということが常識的な流れではなかろうかと思っておりますが、委員指摘のように、やろうと思えはできるということになっていることは間違いありません。  それからもう一つは、政党からもらうお金と、大企業などから、ゼネコンからもらうお金を、何か私はちょっと伺って、失礼しちゃいけないかと思いますけれども、同じようにお考えでの御質問のように承りました。政党から来るお金については、やはり大企業から来るお金とは違うんじゃないでしょうか。政党からもらうお金を、例えば私腹を肥やしたり、公私を峻別しないということには普通はならないのではなかろうかと私は思っております。政党からもらった金については、正当に使う金じゃないでしょうか。何億円ももらって、それでワリコーを買うということにはならない。これが企業からもらうお金と違っているのであって、したがって、政党からもらうお金については、それは政党を信用する、しかし信用できるかどうかについては、この五万円をオープンにするところを含めて、できるだけ世の中に明らかにしていくということです。  地域の支部については、本部の財政については例えば地元の市町村の方は関心ないでしょう、しかし、地域の何々の党が幾らこうしちゃったということについては、地域版の新聞もらって地方の方は監視をするんじゃないでしょうか。そういう全体の構造になっていることについてもどうか御理解いただきたいと思うのです。
  179. 東中光雄

    東中委員 私は、企業団体献金の透明性とか、その金の行き先についての制度を聞いているのであって、政党がどうするだろうどうしないだろうと、そんな政党論をしているわけじゃありません。全然答弁は違っています。しかし、私の言っていることを全然否定はされなかった。制度はそうなっているということを事実上認められました。  それで私、時間がもうないので次に聞きます。  社会党と公明党はことしの四月、本院に提案をした政治資金規正法の改正案で、その第二十一条第一項で「法人その他の団体は、政治活動に関する寄附をしてはならない。」第二項で「何人も、法人その他の団体に対して、政治活動に関する寄附をすることを勧誘し、又は要求してはならない。」第三項に「何人も、第一項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。」こういうふうに、要するに企業団体献金は全面的に、もらってもいけない、要求してもいけない、そして出してもいけないということを、全面禁止をやって、しかもそれに違反した場合は三年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処するという、政治献金の質的制限の罰則をつけられたということ、これがことしの四月に本院へ出されたものであります。  それで、山花さんにお聞きしたいのですが、これは企業団体献金は犯罪である、それは出すのももらうのも要求するのも犯罪であるという規定をされたと思うのですが、なぜ企業団体献金は犯罪なんですか。そういう提案をされたわけですから、お伺いします。
  180. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のとおり、当時私どもが公明党の皆さんと共同で相談して法案を出したことについてはそのとおりでございます。そして、そこでの罰則規定につきましては、企業団体献金について罰則規定まで我々の主張どおり実現すれば、当然それは罰則の対象となるわけですから、犯罪であるということになるわけです。ただ、残念ながら単独政権ではありませんから、私たちはそういう主張を展開して、今度各党派で合意をして与党から出てきた、それを私たちが尊重した法案をつくった、こういう経過です。  法益につきましては、私、その場合法案が誕生しておりませんので、そのことについてどうかと思いますけれども、法益につきましては、いわば政治資金の集め方に対する節度を確保するというところが法益となっておったということではなかったかと思っております。ただ、当時の法案が今ございませんので正確でないかもしれませんけれども、基本的にはそういう考え方であったと思っております。
  181. 東中光雄

    東中委員 石田さんにも同じ問題ですが、要するに企業団体献金は、要求することも、もらうことも、そして出す方も全部犯罪になる、いわゆる行政犯になる、しか地それは非常に重い禁錮三年という、そういう犯罪だという見解に公明党は立っておられるのですよね。立ってなくてそんなものをつくったというのだったらまた問題ですが、どうでしょう。
  182. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 この企業団体献金禁止につきましては、いわゆる今回の政府案にも厳しく規定されているところでございます。いわゆる政党及び政治資金団体そのものに限る、こういうふうに規定をされておるわけでございます。ただし、やはり経過措置を講じなければならないということで、五年間を限度としてこれを認めるというふうになっておるわけでございます。そういう意味で、この法案が成立をしますと、いわゆる政治資金規正法の改正問題全体の中で、これにいわゆる違反をするということになりますれば、それぞれの違反の実態に従って刑罰が科せられるという厳しいものになっているわけでございます。
  183. 東中光雄

    東中委員 法務大臣、来ていただきましたのでお伺いしますが、行政犯というのは、それは官庁が禁止をしたから、その禁止に違反したから犯罪になるというものではありませんね。禁止をするについて、犯罪になるには内容的に実質上の違法性がある、あるいは社会的、国家的損害を与える、法益を侵害することがあるから犯罪になるんだ、構成要件該当の違法、有責、可罰の、その行為がですよ、可罰の行為であってこそ犯罪として処罰される。そういう可罰的違法性も何もないのに、ただその行為禁止してあるのに守らぬから処罰するんだ、こういうことにはならないと思うのですが、行政犯についての、刑事犯ももちろんそうでありますが、実質的違法性という問題は必要不可欠だというように思うのですが、いかがでしょう。
  184. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 お答え申し上げます。  行政犯の本質に連なる本質的な御質問と拝聴いたしました。  およそ行政法規におきましては、さまざまな行政目的を到達するために、あるいはある行為禁止したり、あるいは特定の行為を義務づけたり、公示することがしばしばでございます。そういうものに対して違反があった場合にどうするかということでございますが、もちろん行政上の措置のみによってこれを抑止することが可能な場合もございましょうけれども、その違反の態様が悪質であり、先生御指摘のように国家、社会あるいは個人の法益を侵害するものであって、そして、行政上の措置のみをもってしてはその抑止に不十分であって、刑罰をもってこれを罰することが当該法規の遵守のために必要である、こういうふうな場合に、それぞれの行政法規の中におきまして罰則が設けられるようになっていると私は理解しております。
  185. 東中光雄

    東中委員 ですから、社会党も公明党も、企業献金禁止規定に違反しているからといってそのまま犯罪になるんじゃなくて、企業献金を要求することも、それは禁止規定に違反しているだけじゃなくて、国家、社会の、あるいは法益を侵害をする、違法性、可罰性があるという、そういうもとに禁錮三年以下のという、そういう見解をとられたと思うのですね、ことしの四月には。あのときに、法律が通らないということを初めから思っているんじゃないでしょう。通ると思うたから出したんでしょう。通るか通らぬかは別だけれども、通った場合はそういう考えに立っておるわけでしょう。ところが、今になったら、それは政党に対するものだけはいいんだ、犯罪にならないんだ、こう言うんですね。この前は全部、企業献金団体献金はだめなんだ、犯罪なんだ、こういう立場をとっておったのに、今度は態度を変えた。四月なら犯罪だけれども、今になったら、政党にやる方はそれはもう犯罪にならぬな、政党支部ということでどんどんどんどん要求して、それが政党支部を介して個人に入っていってもそれは犯罪にならないんだという、これは説明ができないと思うんですが、どうですか。
  186. 山花貞夫

    山花国務大臣 さっき私がお答えした中で、ちょっと思い違いがあったかもしれませんので、訂正した上で今の質問にお答えさせていただきたいと思います。  先ほど、かつて私たちが出した企業団体献金禁止のいわゆる保護法益に関しての御質問の中で、政治資金の集め方に関する節度ではないかと、こう申し上げましたけれども、この量的規制の問題についてはそうかもしれませんけれども、企業団体献金等につきましては、政治資金の公正を確保するというところに保護法益があったと、こうお答えするのが正しかったのではなかろうかと思っています。  今御質問の点につきましては、申し上げましたとおり、政治資金の公正を確保するという見地から私たちはそういう規定を持ち出したわけでありまして、じゃ、どこまで公正を確保するという見地で政策的判断で取り込んでいくか、厳しいところを取り込んでいくかということになってくるわけでありますから、決して考え方を変えたわけではありません。今回は、こうした格好で出した中では、従来の企業団体献金について質的制限のあるものについてはそのままということにした中で、そこでの保護法益は同じと考えています。今回、そういう中では、個人に対しては禁止するということにつきましても、保護法益については同じ考え方で出しているわけでありまして、その全体についてどうこうということではないと、こう思っております。
  187. 東中光雄

    東中委員 もう時間が来ましたので、最後ですが、この間出されたときは、政治資金の公正を期するために政党であろうと「何人も」と書いていますね。政治団体であろうと個人であろうと、一切企業団体献金は要求することももらうことも禁止、それは公正を確保するために必要なんだと、それを認めたんでは公正を損なうと、それは社会的、国家的損害にもなるということで罰則を加えた。ところが今度は、半年たったら、政党の分はいいんだと、政治資金政党あるいは政党支部を通して個人に行ったらそれは公正を確保するんだと、こんな理屈はないと思うんです。  しかも、その政党と、政党でない政治団体、社会的には政党であってもこの法律で言う政党でないのがあります。例えば、昨年の、九二年の参議院比例選挙で、議席の問題は別にしまして得票率でいいますと、得票率の一・四九%の社民連、これは入閣している政党ですが、その社民連という政党企業献金を要求する、あるいは組合に組合献金を求めて出してもらうと、これは皆犯罪になるんです。ところが、得票率が三・〇六%の政党、スポーツ平和党がこれを要求しても、そして企業献金をもらっても何も罪にならない。それで公平性が確保できるのですか。全くこれは合理的理由がない。  そして、こういう差別というのは法理論上許されない。実質的な違法性があって、それは刑罰なんだ、犯罪なんだ。ところが、相手が政党だったら犯罪にならぬ、小さいところだったらやられるんだ、こんなばかな法制というのは私はあり得ない、こう思うんですが、時間だそうですから、もし御所見があったらきかしていただきたい。
  188. 山花貞夫

    山花国務大臣 今の東中議員の御意見というものは、幾つかの問題点をずっとたくさんおっしゃっておりましたけれども、伺っておりますと、要するに企業団体献金は悪である、だからこれに手を染めるものは全部犯罪としろと、こういう御趣旨に結びつけたいということであれこれ御質問されておったんじゃなかろうか、こういうふうに受けとめましたけれども、要するにこういう問題について、例の最高裁八幡判決以来、この問題、いろいろ判決が出ていますけれども、立法政策の問題じゃないでしょうか。政策としてどこまでにするのかということじゃないでしょうか。  連座制の問題についても、今度はここまで、従来犯罪じゃなかったけれども、連座制を認めて犯罪にしますよと。どこまで進むか、一歩踏み出すかということになっているわけでありまして、今回企業団体献金についてもここまで踏み出して、踏み出したところまでは禁止になるから犯罪になる、こういう仕組みというものは、まさにこういう公職選挙法についての立法政策が問われる中、合意をつくって出したということでありますから、私は当然よろしいのではなかろうかと思っております。
  189. 石井一

    石井委員長 次回は、明二十一日木曜日午前十時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会