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1993-11-10 第128回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成五年九月十七日)(金曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 鳥居 一雄君    理事 大石 正光君 理事 金子 一義君    理事 野田  実君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  智君 理事 北村 直人君    理事 平田 米男君 理事 遠藤 利明君       古賀  誠君    佐藤 静雄君       斎藤 文昭君    桜井  新君       塩谷  立君    田中 直紀君       野呂田芳成君    萩山 教嚴君       山本 有二君    川島  實君       堀込 征雄君    松本  龍君       三野 優美君    白沢 三郎君       杉山 憲夫君    広野ただし君       石井 啓一君    野田 佳彦君       渡辺浩一郎君    川端 達夫君       中島 武敏君 ――――――――――――――――――――― 平成五年十一月十日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 鳥居 一雄君    理事 大石 正光君 理事 金子 一義君    理事 野田  実君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  智君 理事 北村 直人君    理事 遠藤 利明君       古賀  誠君    佐藤 静雄君       斎藤 文昭君    桜井  新君       塩谷  立君    田中 直紀君       萩山 教嚴君    山本 有二君       今村  修君    川島  實君       松本  龍君    山崎  泉君       杉山 憲夫君    広野ただし君       石井 啓一君    野田 佳彦君       渡辺浩一郎君    吉田  治君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 五十嵐広三君         国 務 大 臣 上原 康助君         (国土庁長官)  出席政府委員         国土庁長官官房 藤原 和人君         長         国土庁計画・調 糠谷 真平君         整局長         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済 小野 邦久君         局長         建設省河川局長 豊田 高司君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 三井 康壽君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調 平林 英勝君         整課長         公正取引委員会         事務局審査部管 楢崎 憲安君         理企画課長         経済企画庁調整 塚田 弘志君         局財政金融課長         法務省刑事局刑 大泉 隆史君         事課長         大蔵省主計局主 丹呉 泰健君         計企画官         大蔵省主計局主 津田 廣喜君         計官         大蔵省主税局税 渡邊 博史君         制第三課長         国税庁調査査察 高氏 秀機君         部調査課長         農林水産省構造         改善局建設部整 橋本  正君         備課長         建設大臣官房技 和里田義雄君         術審議官         自治省行政局行 中川 浩明君         政課長         自治省財政局調 林  省吾君         整室長         住宅金融公庫理 伊藤 茂史君         事         参  考  人         (住宅都市整 立石  真君         備公団理事)         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 十月四日  辞任         補欠選任   川島  實君     伊東 秀子君 同日  辞任         補欠選任   伊東 秀子君     川島  實君 同月五日  辞任         補欠選任   三野 優美君     今村  修君 十一月十日  辞任         補欠選任   今村  修君     山崎  泉君   川端 達夫君     吉田  治君 同日  辞任         補欠選任   山崎  泉君     今村  修君   吉田  治君     川端 達夫君     ――――――――――――― 十月八日  名古屋東部丘陵研究学園都市構想推進に関す  る陳情書  (第六五号)  堀川の総合的整備に関する陳情書  (第六六号)  砂防・地すべり対策、急傾斜地崩壊対策事業の  促進に関する陳情書  (第六七号)  高速道路網等整備促進に関する陳情書外五件  (第六八号)  日本海国土軸構想推進に関する陳情書  (第  六九号)  第二国土軸構想推進に関する陳情書外二件  (第七〇号)  第二関門海峡道路早期整備に関する陳情書  (第七一号)  島原・天草・長島架橋構想推進に関する陳情  書  (第七二号)  大崎上島架橋建設に関する陳情書外二件  (第七三号)  本州四国連絡橋建設促進に関する陳情書  (第七四号)  地域振興対策に関する陳情書  (第七五号) 十一月八日  公共事業入札制度改善策に関する陳情書  (第  一二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 鳥居一雄

    鳥居委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政基本施策に関する事項  都市計画に関する事項  河川に関する事項  道路に関する事項  住宅に関する事項  建築に関する事項  国土行政基本施策に関する事項以上の各事項について、本会期中国政に関する調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鳥居一雄

    鳥居委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  4. 鳥居一雄

    鳥居委員長 建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事立石真君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鳥居一雄

    鳥居委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  6. 鳥居一雄

    鳥居委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。
  7. 金子一義

    金子(一)委員 早速に御質問させていただきます。  最近の建設入札制度改善議論であります。相次ぐゼネコン疑惑への反省、また一方での日米建設協議背景にいたしまして入札制度改善、これがまさに今中建審でも議論されておりますし、また一方で十月二十六日、その方向について行動計画政府から発表されたわけでありますけれども、まず冒頭に、この日米建設経済協議経緯、そしてそれに対応しての行動計画、これについてポイントを御報告いただきます。これは局長からお願いいたします。
  8. 小野邦久

    小野政府委員 お答え申し上げます。  日米建設協議経緯いかん、こういうことでございますけれども日米建設協議につきましては、ことしの四月に米国側が、一九八八年包括貿易法というのがございますけれども、これに基づきまして、我が国建設市場米国企業に対して大変差別的である、こういう一方的な認定をいたしまして、制裁を加える構えを見せたわけでございますけれども、この制裁期限が十一月一日まで延期をされております。  十一月一日の制裁期限が近づくにつれまして、どうするかということをいろいろ政府部内でも検討したわけでございますけれども、私ども日米間の協調という大変大局的な観点に立つことが必要だということで、何とか制裁を回避しよう、こういうことを考えまして、先生指摘のとおり先月二十六日に、公共事業入札契約手続改善に関する行動計画というものをつくりまして、この骨子を取りまとめまして、これを具体化した行動計画を来年の、明年初頭にも策定するということを宣言したわけでございます。とりあえずアメリカ側もこれを大変評価をいたしまして、制裁期限は明年一月二十日まで延期をされた、こういうことでございます。  私どもでは、現在国内事情等もございまして、入札契約制度改善について思い切った改革をしようということで中央建設業審議会特別委員会でいろいろ御議論をしていただいております。そういうような内容を、来年一月二十日の行動計画にも結果を織り込みまして、何とかアメリカ側理解を得たい、こういうふうに考えているところでございます。具体的には、中央建設業審議会結論を踏まえて、その結論内容行動計画ということで具体化をいたしまして、アメリカ側に提示することによってアメリカ側理解を得ていきたい。  具体的な行動計画内容でございますけれども、やはりある程度規模以上のものにつきまして一般競争入札制度を採用していったらどうかということ、あるいは公共事業の質の確保を図るという観点から、ある程度一般競争導入する場合も、客観的、透明性が確保された基準をつくるとか、あるいは外国企業適正評価につきましても、それなりに考えるとかいったようないろいろな要素を盛り込みました行動計画内容をつくりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  9. 金子一義

    金子(一)委員 五十嵐大臣、この構造協議だけでなく一方で国内の、残念ながら相次ぐゼネコン汚職という背景が今回の入札改善背景としてあるわけでございますけれども大臣、これに対する取り組みの姿勢をぜひお聞かせください。
  10. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 昨年来、中央地方を通じて、殊にこの春来、地方におきまして相次いで公共事業執行をめぐる汚職事件が続発をしているということに相なっておりますことは、国民の税金で行う公共事業という性格からいいましてもまことに残念なことであって、単に建設行政のみではなくて、政治全体に対する国民信頼感が大きく損なわれているという結果になっておりますことを、極めて遺憾に存じているような次第であります。  殊に、最近の幾つかの相次ぐ事件を見ますと、それは単に一、二の企業というよりは、ビッグスリーの大手ゼネコンの役員が相そろって逮捕されるというような実態等から見て、これは業界全体の問題として私どもも重く受けとめて抜本的な体質改善について取り組んでいく必要がある、このように存じている次第であります。  御承知のとおり、中建審の中で公共事業に関する特別委員会を設けて精力的に、特にこの問題のポイントとされる入札制度契約制度に関して改善方向を探りながら審議を続けているところでありまして、年内にはおよそその内容を具体的に取りまとめて答申がある予定になっているところでありますが、これらを踏まえながら、私どもとしてこの入札制度、あるいはそれを取り巻く諸制度の問題について真剣に改善を進めてまいりたい、こう思う次第であります。  同時にまた、これに関連して、業界指導監督の責にある建設省といたしましても、これを非常に重大なものとして受けとめまして、きのう実は省の中に対策本部を設けて、建設省としての内部改革についても真剣にこの際掘り込んで努力をしていこうということで、望月事務次官本部長として対策本部を発足させたような次第であります。ここにおける検討もおおよそ年内には私どもの方に報告があろうと思いますし、またこれは諮問機関ではなくて対策本部でありますから、みずから進められるものは直ちに改革に着手していくということで、建設省としても最善の内部努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているところであります。  あわせて、これらの制度等改革は言うまでもないのでありますが、同時にこういうことに相至ったという状況を深く考えますと、やはりそれは政官業それぞれ全体の真摯な意識改革というものが大変大事であろうというふうに思うわけでありまして、そういう点でも、業界指導、あるいは私ども発注者立場にある者のしっかりした倫理観の確立というようなことについても指導を強めていかなければならぬ、このように考えているような次第であります。  いずれにいたしましても、国会では今政治改革を真剣に御論議いただいて、年内には可決を見ていこうという意気込みでお取り組みいただいているわけでありますから、このことと深くかかわる公共事業執行に関する改革につきましても、それと一体のものとしてこの機会にしっかり改革努力してまいりたい、このように存ずる次第であります。
  11. 金子一義

    金子(一)委員 大臣姿勢について承らせていただきました。  日米構造協議議論に戻るのでありますけれども、今局長からちょっとお話ありましたアクションプログラムの前に、アメリカ側が今度の交渉の中で四項目を非常に強く要求されてきている。この四項目をかなり意識されて行動計画がつくられていると理解されているのですが、その四項目一般競争入札制度導入する、それからMPA特例措置プロジェクト、これを公共事業全般拡大する、独禁法の強化、それからもう一つは、四つ目日本市場への参入進捗度を計測する手法、つまり、実績目標を設定しろ、こういうふうに読みかえられると思うのです。  この四項目で、ちょっと我々どうしても、おやと思ったのが、一般競争入札だと言いながら一方でMPA特例措置プロジェクト拡大をしていけ、もう一つは、一般競争と言いながら四つ目目標数値、つまり結果で示せ、ここのところなんですね。  こういうアメリカ側の四項目提案、これは、単に制度をつくるだけではなくて、これではだめだ、実際にその実績が出てこないと満足しないよと言っていると思うわけなんですけれども、確かに、長年の日本での取引慣行、また系列といったような点から外国企業が結果として排除されてしまうのではないのという不安はよくわかるのであります。ただ、そうはいいましても、何が何でも米国企業が参加し、実績を上げられる制度をつくれということになりますと、我々としては大変困るのではないか。  アメリカ企業へのリーズナブルな、いわば外国企業への評価、これはランクの問題とか、こういう問題、透明性というものは制度としてつくっていくということは、今まさに中建審議論されていると思うのですけれども、このアメリカ側議論に対しましてどう解釈していくのか、またどう対応していかれるのかこれはちょっと大臣、どういうふうにお考えになっておられるのか。
  12. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 御意見のとおりだと思っているのであります。  もちろん、国際的にこの機会に開かれた制度にしていこうという意欲は持って我々も努力しておりますし、また、その方向今中建審特別委員会議論いただいている入札制度改善方向と一致するゆえをもって、我々は外圧というよりはむしろみずから改革する方向で、そのことがまた国際的な理解を得られるということだと思っているところであります。  ただ、今御指摘の、一つは四項目アメリカ側要求でありますが、このこと自体が日米共同協議項目とは我々は余り考えていないところなのであります。しかし、それにしてみても、アメリカ側からの強い要求の四項目でありますから、真剣な検討は当然するべきものと思うのでありますが、このうち特に四項目めの、それぞれ実績を数字の上でお互いに照らしながら作業を進めていこうということが目的であろうと思われるのでありますけれども、これはいわゆるクリントン大統領の言う結果主義というものと結びつけて考えますと、どうも私どもとしては、一般競争入札制度導入拡大というアメリカ側方針とかなり矛盾している要求になるのではないかという感じを受けているわけであります。  入札というのは、やはり入れてみなければ結果がわかるものではないわけでありまして、そういう機会を与えられたからといって、仕事の実績が必ずしも拡大するということにはならぬわけでありますから、そういう点は、もちろん国際的に通用する入札制度への参加の面は我々としても積極的に努力をしていくべきとはいえ、それは結果として保証するというようなものではないというふうに思うわけであります。結果としてというのは、つまり落札結果についてですね。  そういう点が一つあろうと思いますのと、それからもう一つ特例制度の問題も、一方で一般競争入札拡大をしながら特例制度も温存して拡大せよというのも、これもどうも論理的な矛盾ではないかという感じがしております。  ただ、この点につきましては、これからの日米協議の中で我々の考え方を十分に申し述べながら、理解をいただきつつ、共同理解認識に至らしめたい、こういうぐあいに思っております。
  13. 金子一義

    金子(一)委員 この行動計画を拝見いたしますと、「ウルグアイ・ラウンド全般の成功が自由貿易体制維持のために重要である。」こういうことが基本方針の中に入っているわけなんですが、日米構造協議とあわせてガット政府調達交渉というのも一方で行われておる。この十二月十五日が一つ期限ですよね。このガット議論にのってきますと、そうしてこのガット議論でまとまってきますと、今行われている日米建設構造協議というものがいわば不要となっていくのだろうか、このところなんですね。  それから、ちょっとあわせてなんですが、今局長からお話しいただきましたように、ある一定規模以上のものについて条件つきではあるけれども一般競争入札、こういうことで議論されているわけですけれども、もしガットベースにのってきますと、二国間から多国間になってくる。こういう話になりますと、各国がいずれにしましてもいわばイコールフッティングの立場になる。そうしますと、むしろ米国企業参入というのが本当に促進されるという保証がなくなってしまう。  一般競争入札そのものが、今大臣おっしゃったように参入できるという保証はないわけでありますけれども、そうなりますと当然に、今大臣から答弁いただいた、これからの議論MPA特例プロジェクトについて我が国考え方を述べられるとおっしゃったのですけれどもガットベースにのってしまいますと、MPAなんというのはむしろ不公平だという話にまさになってしまうのだろうと思うのですね。どういうふうにアメリカ交渉されているのですか、これは局長にお聞きしたい。
  14. 小野邦久

    小野政府委員 お答えいたします。  日米建設協議ガットとの関係でございますけれども、御案内のとおり、ガットの場では現在政府調達協定改定交渉というのをやっておりまして、物品だけではなくて、請負契約等につきましても協定適用対象に入れたいとか、あるいは入札契約手続のいろいろな制度手続などにつきましてもルールを定めようということで、多国間で議論をいたしております。  一方、日米建設協議につきましては、先ほど先生指摘の四項目につきまして大変厳しいアメリカ側提案があるわけでございまして、これをどうするかということが今後の大変大きな課題、こういうことになるわけでございます。アメリカ側提案の中には、例えば対象プロジェクトでございますとか、あるいは基準額といったようなものにつきましても、ガットで今議論しております政府調達協定と非常に関係のあるもの、あるいはそれを超えたような問題というものが実はアメリカ側提案の中にはあるわけでございまして、今後これをどうするかということが一つの大変重要な課題ということになるわけでございます。  私どもといたしましては、やはり国際的な政府調達というのは、基本的には二国間ではなくて多国間のルールでいろいろ決めていくべきもの、こういうふうに考えておりまして、今後これらにつきましては、日米建設協議の場でも、従来もいろいろ我々は多国間の場で議論をしたい、二国間における具体的ないろいろな取り決めというのは、やはり国際調達をより以上開かれたものとして、世界各国の中で一定ルールに基づいて議論をしていくという場では不適当ではないかと主張はしておりますけれども、具体的に、建設問題につきましてアメリカと一九八七年ぐらいから始まってきているという経緯もございますので、どちらかというとアメリカ側の受け入れるところにならないわけでございますけれども、私どもとしては、やはり粘り強く、あくまでもガット多国間のルールでやりたいということは主張していきたいと思っております。  ただ、日米建設協議の場というのは具体的にもう来年一月二十日までにどうするかということにもなっております。ガットも十二月十五日が一つ期限ということにもなっておりますので、この辺につきましては今後いろいろな角度から、多面的にいろいろ検討いたしまして対応していきたい、こういうふうに考えております。
  15. 金子一義

    金子(一)委員 今度の行動計画の中で、外国企業に適正な評価を与える、つまり「国際的な視点も加味し、外国企業経営状況技術力などを的確に評価できるようにする。」こういう方針一般競争入札制度導入に当たってうたっているわけでありますけれども、この適用対象になりますのは、局長、閉鎖的な建設市場である外国企業にはこれは適用は別に考えてないと思うんですけれども、それでいいですね。イエス、ノーで結構です。
  16. 小野邦久

    小野政府委員 お話のとおりでございます。
  17. 金子一義

    金子(一)委員 それで、この間、ちょっと細川大臣韓国においでになられたんですね。そのときの日韓首脳会談の要旨、十一月七日の読売新聞なんですが、ここで、「日韓経済関係」の中で、韓国大統領から、「日本建設市場へのアクセスが難しい。より活発に日本市場に進出できるよう協力してほしい。」これに対して細川首相は、「韓国のみならず、欧米からも同じ要請を受けている。首相官邸が主導してかなり大幅な改革案を考えさせている。」こう書いてあるんですよね。私は、入札制度改善の問題については五十嵐大臣が主導でおやりになっていると思ったら、どうも新聞じゃそうじゃないんですね。  それで、この問題は、今お話しいただきましたように、行動計画では閉鎖的な市場対象にしない、してないはずなんですね。ところが、この回答によりますと、細川総理は、むしろ閉鎖的なのは韓国韓国は完全に閉鎖的と理解しているんですけれども韓国に対して韓国のその閉鎖性を本来はまず主張指摘すべきでありましたけれども、そうじゃなくて、むしろ今の報道のように、あたかも韓国参入を半ば約束したように受けとめられる、これは受けとめです、受けとめられる発言をされている。もし、この報道が事実であるとすれば、これはちょっと大きな問題なんですね。大臣、どういうふうに考えておられますか。
  18. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 御指摘日韓首脳会談における金泳三大統領細川首相やりとりでありますが、今お読みになりましたように、大統領からのお話に対して細川首相が、「韓国のみならず、欧米からも同じ要請を受けている。首相官邸が主導してかなり大幅な改革案を考えさせている。」こういうぐあいに答えたと報道されているわけであります。詳しい当時のやりとりについては私も熟知していないのでありますが、これは、恐らく総理としては、それは韓国だけの話ではなくて、いわゆる国際化のことでありますから、全体にいろいろな要望に対して、我が国としては大幅な改革案を実は検討を今しているところだということを申されたものであろうというふうに思うのですね。これは韓国に特定してのお答えではないというふうに私は受けとめているところであります。  先ほども申し上げたところでありますが、我が国建設市場にかかわる制度というのは、本来、民間はもちろんでありますが、公共事業についても国内企業外国企業を問わないで内外無差別という原則にはなっているところであります。例えば、我が国建設業許可を取得している韓国企業は現在十一社に上っている、民間なんかに関しては相当な受注実績を上げているというように私どもとしては認識をしているところであります。  ところが、韓国建設市場の方はどうかということになりますと、これは外国企業単独では建設業の免許も与えないということになっておりまして、率直に申し上げて、外国に対しては開放的ではないというふうに承知をしているのであります。我が国としては、韓国側の市場開放努力がまず必要であるというふうに実は存じているところであります。  したがいまして、この行動計画の面につきましても、この辺のいわゆるお互いの開放度という配慮もさることながら、現行のガットにおける政府調達協定に、これはまた韓国は加盟をしていないということ等もあるものでありますから、そんな意味では、現状では、韓国の場合十分なその条件を満たしているというふうには考えられないと思います。
  19. 金子一義

    金子(一)委員 これはウルグアイ・ラウンドベースかどうかとあえてお伺いしたのは、この韓国問題をちょっと大臣議論したかったからでありまして、外交の常識で、やはり一国の大統領総理が会ってお話しすれば一般論じゃ済まないのが常識だと思うのですよ。  それで、今私申し上げましたように、国民にそういうふうに、この報道によれば、ひょっとしたら約束しちゃったかな。米だってそうでしょう。ワシントンヘ行って、クリントン大統領と開放約束しちゃったんじゃないか、何となく今流れているんです。ですから、そこのところは、もしそうかどうかということがわからないのであれば、建設省きちんと官邸と接触をされて、これは韓国がどうのということじゃありませんけれども、今大臣がおっしゃった実績云々は、今の指名競争入札の段階だから大した問題じゃないのです。一般競争入札制度になりましたら、これは非常に大きな影響を与えるということはもうだれもが考えている点でありますので、影響力の大きさという点で農業どころじゃない、そういう不安もありますものですから、そこのところの官邸に対する建設省としてのアクションをぜひとっていただくようにお願いをいたします。  特に、これは韓国にかかわらず、こういう外国企業参入が本格化しできますと、外国人労働者の問題が大変大きな社会問題になるというふうに言われておりますし、当然そう考えられる。あえてこの外国人労働者の問題はこの場では議論いたしませんけれども国内に対する、そういう建設事業に対する影響という意味で見ても、外国人技術労働者、まあ単純労働はちょっと別としましょう、技術労働者の賃金水準というような問題がいずれ非常に出てくるだろう。これもやはり今皆さんが不安に思っている点。  ですから、国内労働者との賃金格差をどうしていくかこういう問題、特に一般競争入札でスーパーゼネコンがやるような、技術格差が非常に大きいような事業は別としまして、並みな事業と言ったらちょっと語弊がありますけれども、普通の事業ですと、やはりこの賃金格差の問題というのは非常に大きな価格競争力を持つものでありますから、ここのところをどういうふうに考えていくのか。今の議論ではまだ考えていないのかもしれませんけれども、現状どんなことで議論されているのか、これはちょっと局長
  20. 小野邦久

    小野政府委員 先生指摘のとおりだと思います。外国の安い賃金の技術労働者あるいは技能労働者が日本にも入ってこられるということになりますと、日本国内に大変大きな影響が出てくるということでございます。  ただ現実には、特に単純労働者の方々に対しては、私どもでは、政府方針といたしまして、我が国への就労を目的とする入国を認めない、こういうことになっておりまして、しばらくは、こういう方向の中で外国人労働者が大量かつ継続的に我が国建設市場に入ってくる、こういうことはないものと考えております。  技術労働者については、例えば大変専門的な職種等につきましては、それなりに我が国の労働市場に入ってくるということがあるわけでございます。ただ、建設業につきまして、そういう専門的な技術労働者というのは、非常に職種も限られ、数も少ない。例えば特別のいろいろな技能を持った技術の労働者ということになるわけでございまして、そういう方々が我が国建設市場に大量に入ってこられるという状況にはないわけでございます。  もしそういうような状態になりますと、全体的な賃金水準が大変下がるわけでございまして、ただでさえ日本の若い方々の建設産業への入職率というものは今大変下がっております、大変大きな問題になっておりますので、そういう点からも大きな問題になりかねない、こういうことでございます。私どもといたしましては、そういうことのないように、従来の考え方を堅持して、入国管理当局とも十分打ち合わせをした上で、いろいろな事態の推移をきちっと見守っていく、こういうふうにしたいと考えております。
  21. 金子一義

    金子(一)委員 その問題は本当に社会的な問題も含んでおりますので、十分きちっと対応していただくようにお願いをいたします。  ちょっと技術的な面なんですけれども大臣お話しいただきましたように、今回、残念ながらゼネコン汚職ということを背景としている、そういう中で、いろいろな議論がありまして、いっぱいあるのですけれども、ちょっと一つ、二つ。  どうも工事完成保証制度、これは談合に応じないと保証してやんないよといういわば仲間内の制度であるという議論がありまして、つまり談合の温床だということで、この工事完成保証制度はもうやめるべきじゃないかという意見が出ている。  ただ、かわりに、中建審の方の議論で、米国のボンド方式、ボンド制度導入すべきだという意見がかなり出ているやにちょっと伺っているのですけれども、これは、我が国でこういう、倒産によります不履行事故、最近村本建設なんというのがありましたけれども、ただ、極めて発生率が少ない。これまでですと、公共事業ベースで〇・〇四%。ただ、このボンドというものを導入しできますと、かなり保証料率が高い。アメリカだと一%、日本でも〇・五ぐらいに下げたとしても、相当ないわば公的な出費というものが出てくるのだと思っておりまして、何かほかに工夫の方法はないものだろうか。  それからもう一つ、これにかわりまして、今度議論されております条件つき一般競争入札、これはアメリカでもかなり施工能力をきちっと審査する。不良企業の排除、こういう点から事後審査制度というのがかなりきちっと、つまり入札の入り口ではかなり自由にやらせますけれども、出口のところでは非常に厳しく、きちっとされているという制度があるわけでありますけれども、この辺の審査の問題、これはどう考えておられるのか。  二点、これは局長、お願いいたします。
  22. 小野邦久

    小野政府委員 お答えいたします。  工事完成保証人でございますけれども、工事完成保証人は、確かに無償で公共工事の履行を保証するということでございますので、大変一つのメリットもあったわけでございます。現在もこの制度を使っている発注者の方々は大変多いわけでございます。ただ、先生指摘のとおり、例えば相指名業者の中から保証人を選ぶとか、あるいはどうしても無償ということに伴う金銭的な関係がないということでございまして、談合の温床ではないかといった御批判があることも事実でございます。  現在、私どもでは中央建設業審議会特別委員会でいろいろな御議論をいただいておるわけでございますが、一つのあれといたしまして、やはりボンド自体を考えてみたらどうかというような御意見もございます。こういう御意見を述べられる委員の方々もあるわけでございますが、ボンド制度導入いたしますと、やはり保証料の分だけコストが上昇する、結果的には納税者の負担がふえるのではないか、こういう御意見を述べられる方もあるわけでございます。いろいろな御意見があるわけでございますが、この点も含めて、現在どういう保証制度がいいのか、金銭保証ということもございますでしょうし、あるいは現在保険というものもあるわけでございます。まあ多角的な観点から今いろいろな御議論をいただいておりまして、近々結論を得たいというふうに考えておるところでございます。  それから、二番目の御指摘の施工能力の問題でございますけれども、確かにアメリカ等では事後の審査というものが大変行われている例があるわけでございます。事後に、入札をいたしました後、具体的な審査をいたしまして落札者を決定していく、こういうことにもなるわけでございます。ただ、この点につきましては、日本では従来長い間、事前の審査、指名競争入札制度をとっておりますので、事前の審査をきちっとやった上で指名業者を選定し、落札者は一番低い価格を入れた方、こういうことで運用をしてまいりましたので、事後審査という考え方にはなかなかなじまない面がございます。  ただ、施工能力の審査をどうするか、これは先生指摘のとおり、不良、不適格業者を排除するということでは大変大事なことでございまして、やはり信頼のおける企業の方にびちっと公共工事をやっていただくということが何よりも大事なことでもございますので、施工能力の審査をどうするか、従来のような審査方式でいいのか、あるいは何か別にボンド制度等導入も絡んだ上でいい審査制度はないのか、現行の経営事項審査制度の見直しというようなものも含めて今いろいろ御議論をしていただいておりまして、従来の制度改善点も含めまして、よりよき制度改善に努めていきたい、確立に努めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  23. 金子一義

    金子(一)委員 技術的な問題がまだいっぱいあるのですが、また同僚の桜井議員からもいろいろ御質問があるようなものですから、中小企業の問題なんですね、大臣。この行動計画、ウルグアイ・ラウンドをにらんで、そして我が国としては、ガット政府調達協定建設サービスにかかわる我が国のオファー、この基準額とも他の締結国のオファーとバランスのとれたものとする決意表明が出ている。今ガットのオファーというと、四百五十万SDR、六億八千万ですか、約七億。これは、来年のレートで換算すると五億ですよね。これが進んでいきますと、五億円以上のものについて一般競争入札となる。ここから類推されると、そういうふうに出てくる。これは答え要りません。  こうなってしまうのですが、五億円以上のものについて一般競争入札というと、地方の中小企業、都内もそうですけれども、中小企業者にとって非常に不安感を与えているところだと思うのですね。大臣もどこかでちょっとしゃべられておったと思うのですが、地方自治体の発注のものも当然含まれてくる。ところが、地方自治体について残念ながら十分な指名基準の部分が、つまり体制がどうも整えられてない、せいぜい二割から三割とおっしゃられましたですかね。そういう状況が、つまり発注者側の体制が、指名基準がこうやってとれるという体制がどうもできていない。  それからもう一つ建設産業というのは、一言で言えばたたけば何とかなるという競争条理の非常に強い産業だ。さっき申し上げましたように、スーパーゼネコンのようなところは工法とか技術格差によってどんと自前の技術力でもって安く、これは一般競争では価格で最後は決まってきますから、そこのところは十分対応できる。通常の工事でありますと、なかなかそれが出てこない部分がある。  そうしますと、結局は価格で勝負するためにはたたけばいい。一〇%たたいてとって、それをさらに下請に一〇%、おい、これでやれ、下請はしょうがない、泣いてやる。立派なものができてしまうのですよ、一〇〇のものができてしまう、たたいても。そういう部分というものが建設産業、他の産業にもありますけれども、非常に特有な部分、そして、特に不況になるとそれが極端にあらわれる。  これは新聞にも「建設不況、安全に支障」ということで、こういう状況の中でゼネコンが賃金や単価を引き下げてきている、安全に支障をもたらすことも強く懸念されているというのが非常に出始めておりますけれども、そういうことでこの一般競争入札というものが非常に中小企業に対して配慮されていかなければいけない。つまり、発注者側の体制も十分取り組まれてないという問題もある。  地方にとりまして、やはり目の輝いている若者というのは建設産業に物すごい魅力を持っているのです。市役所へ行くか建設産業に行くか、そういうことでまじめにやはり努力をされている、五十二万社全部とは言いませんけれども、こういう中小の建設業界への配慮というものは、何しろ六百万建設就業者がいる、九・五%もいる、これに対する配慮というものは十分時間をかけてやはり慎重にやっていただく必要があると思います。ちょっと最後に、大臣の御決意を。
  24. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 まさに御指摘のところが一番入札制度改善の作業の上で難しいといいますか、ポイントであろうというふうに我々も心得ているところであります。今もお話がございましたように、全体で建設関係の業者が五十二万社あるわけであります。工事件数が四十七万件ぐらいに及ぶ、こう言われているわけであります。発注者の方も、三千三百の地方自治体を含めて大変な数に上るということの中で、入札制度改善を進めていかなくてはならぬわけであります。  私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、この機会にやはり公正な入札制度あるいは契約制度が進められるような抜本的な改革をしていこう、透明性や競争性というものを高めていこうということで努力をしているわけでありますが、まず一方では、一般競争入札、これはいわゆる条件つきと言われるものになろうと思います。  もとよりこれは、世界のどこの国を見ましても、一般競争入札をやっている国ももちろん幾つもあるのでありますが、それは無条件というものではなくて、当然価格が安ければいいというものだけではない。今も委員指摘のように、やはり品質の面が発注者としては非常に大事な要件でありますから、そういう点も含めながら、一定入札参加者についての資格を検討するのは発注者として当然のことでありますから、どこの国もそういういわゆる条件つき一般競争入札というシステムになっているものであります。  それで、私どももそういう一般競争入札を相当部分入れていく必要がある。しかし、これは一定金額以上、いわゆる大型工事について考えていくべきであろう。もちろん、今の中建審における特別委員会の十分な御議論を踏まえて、我々は建設省の直轄事業等の方向を決めていくということになろうというふうに思いますが、今の論議の方向で言いますと、地方の場合は都道府県あるいは政令指定都市をどうするかという議論もされているようでありますが、その辺まで含めて、この際、現在行っている条件つき一般競争入札の試行導入を十分に検討しつつ、本格導入に入っていくというふうに考えているところであります。  しかし一方で、中小の業者の皆さんがそれぞれ担当なされてきた多くの、主として地方の工事というものをどうするかという点につきましては、やはり指名競争入札で、しかし、透明性、競争性というものを従前より思い切って強化していく方法を考える。特に、問題になっている、この間来のさまざまなスキャンダルの直接的な原因であるいわゆる天の声、知事であるとか、あるいは市町村長であるとか、あるいはまた議会であるとかというところからの不当な圧力というものが、正常な価格形成を阻害するというようなことを排除する最善の方法を考えていくべきであろう。  あるいは、談合等についても防いでいくためには、先ほども議論ございましたが、工事完成保証制度というものを、この際、やはり廃止して改革していく方向が正しいのではないかということも一つ大いにあろうと思いますし、こういうことを総じて真剣に議論して、そうして指名競争入札といえども透明性を強化する、国民の批判を受けるようなことのないような公共事業執行体制というものをしっかりつくっていくという方向にしていくことが必要ではないかこういうぐあいに考えているような次第であります。
  25. 金子一義

    金子(一)委員 問題をちょっと変えまして、公共事業予算の配分の問題の議論なんですけれども、最近の新聞報道で見ていますと、細川政権の産業から生活者重視という議論というものが、むしろ大都会を中心とした公共事業推進にシフトしていくという、いわばそういう方向が非常に強調されているやに受けとめられております。これは、どうもその地方生活者の視点がいささか軽視されているんじゃないかという懸念が全国でも広がってきている。九月十四日の全国知事会、これは報道によるわけでありますけれども総理が官邸で各県の知事と生活者重視というのは何だという議論をされたときに、各県知事がその不安を表明をされた。しかしながら、細川総理は最後に、橋とか道路とか、ちょっと違う予算配分をやっていきたいというような返事をされた。  そして、それを受けて、そのことが国民生活重視の裏返しとして、連立政権のもう一つの看板である、いわば地方分権というのがなおざりにされちゃっているんじゃないかという各紙の報道が出てきているわけでありますけれども、大変私もそのところを心配をしております。道路ですとか治水治山、こういった地方の生活者も重視した社会資本整備というものは、当然進められるべきである。  それからもう一つは、何といいましても、なるほど役割の終わった予算、これらのものが既得権化をしているというのはこれはもちろん困る、役割が終わったものはこれはシェアを変えていくのは当然であると思っておりますけれども、そのために、本当に国民とのコンセンサスというのをやはりとっていくプロセスというのが私大変大事だと思っておるのであります。  そういう中で、全国知事からのアンケート、それから総理府が定期的に実施している世論調査、そういうものを見ましても、道路についても非常に要望が高い、生活関連の社会資本で国民から期待が大変大きいと思うのでありますが、ただ、どうも巷間伝えられているところでは、何とかシェアをまず変えていきたい。つまり各省間のシェアを変えることかいわば優先課題という議論が何となく行われてきているんじゃないだろうか、こういう公共事業のシェアを変えるのが目的化されてしまうという危険性を非常に危惧しているわけでありますけれども道路整備といったようなもの、本当に国民の要望が大きい事業というものには、やはりきちっとした国民のコンセンサスというものを得ていただきたい、プロセスを大事にしていただきたいと思うわけでありますけれども、きょうは財政当局に来てもらっておりますので、ちょっと主計官から。
  26. 津田廣喜

    ○津田説明員 公共事業の配分の問題というのは、今御指摘をいただいておるわけでございますが、ともかく当面の喫緊の課題といたしましては、あとそう長くない先に高齢化社会が本格的に到来するという事態が、これは待ったなしで控えているわけでございます。そういう時代になりますと、どうしても予算面から申しますと年金とか医療といったものに優先的な予算配分、資源配分がなされるということは、これは確実なことであろうと思っておりまして、結局、社会資本投資を十分にできる期間というのはそんなに長い時間が残されているわけではないというふうに思うわけでございます。そういう認識に立ちますと、これからの公共事業の予算の編成に当たりましては、従来以上に重点的、効率的な投資というものを目指していかざるを得ないということをまず考えております。  それで、その公共事業の問題というのは実は二面あると思っておりまして、本来、予算編成の基本といいますのは、それぞれの地域においてどういう事業が今最も緊急に必要とされているかということをまず検討いたしまして、それをいわば全国的な優先順位の中で配分をしていくということにあると思っておりまして、事業別のシェアとかあるいは役所別のシェアといったものは、その結果として出てくるものであるというふうにまず思っているわけです。  ただ、他方、ここしばらくの予算の配分の実績を見ますと、特に平成二年度までの約十年間というものは、大変固定化をしていたということもまた否定できない事実でございまして、まずシェアの変更ありきということを頭から考えているわけではありませんけれども、そういった固定化していたという事実も着目した上で物事を考えていくという必要もあろうかというふうに思っております。  それから、地方重視という問題に反するではないかという御懸念につきましては、総理もおっしゃっておりますように、六年度予算の編成では、国民生活の質の向上に重点を置くという大前提で予算編成をこれから行っていくことになるとは思いますけれども国民生活の質の向上というのは当然のことですけれども、別に大都市だけに該当するわけではなくて、地方においても当然求められてくる共通の課題であると認識しておりますので、そういう観点からこれから十分考えていきたいというふうに思っております。
  27. 金子一義

    金子(一)委員 今御回答いただきましたように、まさにシェアの変更ありきということではなく、それから国民生活、それが大都会の国民生活では必ずしもない、こういう視点で御検討いただく、これについてはもう大臣も、もちろん建設省として挙げて取り組んでいただけると思っておりますので、そういう方向でぜひ大臣にもお願いを申し上げる次第であります。  大臣、長良川河口ぜきの問題なんですが、私岐阜県出身でありまして、地元関係者、この河口ぜき関係者も再三大臣のところにお邪魔をさせていただいて、お話をさせていただいた。聞きましたならば、大臣、この問題については大変勉強されておられる、よく御理解をいただいたというふうに知事さん、市町村長さん、議会の皆さん方から私も報告を受けているわけでありますが、大臣もまさに今度、ことしの秋のいわば天災、鹿児島県、北海道、この被災地の視察をされて、治水事業の大事さというのは先刻よく御理解いただいていると思いますけれども、そういうことで河口ぜきの一刻も早い、長良川の治水事業の推進を図るべきだと私思っておるのでありますけれども大臣の御所見、お願いします。
  28. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 長い経過と非常な議論、また巨額の投資というようなものを経てきた問題でございますし、また関係の知事さん、市町村長さん初め自治体関係者あるいはこれに関心を持っている多くの方々の御意見等もいろいろ承っているところであります。私としては、それらの重みというものもしっかり認識しながら、また、ただいまの金子委員の御意見も踏まえ、私も機会を見てまだ現地の視察もいたしたい、それで私なりの責任ある考え方をまとめたい、こういうぐあいに思っておりますので、なお検討をいたしたい、このように思う次第であります。
  29. 金子一義

    金子(一)委員 これまでの大臣のこの件についての御発言、お伺いしておりますと、地元の知事さん、それから市町村長、議会の皆様方の意向、これを大切に聞いていきたい、さらに、いわば住民の意見をお伺いしたい、こういうことも言われておられますけれども、住民の意見、周辺の治川の市町村長、町長ですね、これの選挙というものが住民の意見をどう反映しているかということは、やはり御理解いただきたいと思うのですね。  特に、長島町というところでは、賛成と反対が入り乱れて大変激しい選挙をやったわけでありますけれども、この結果も、推進七〇、反対三〇という、いわばこういう状況になってきている。それ以外の周辺の市町村長の選挙というのもいわば賛成派。反対派が立候補されずに賛成派で選挙をやられているといったようなそういう意味での、民主主義の世の中でありますから、町長選の結果というのは住民の意向を、特に争点になっている、これが争点になった選挙というようなことは、当然に十分認識をされて御配慮をいただきたいと思っております。  ちょっと時間がなくなっちゃって税制の問題について御質問の時間がなくなっちゃったんですが、財政当局の皆さんに大変申しわけありません。おわびを申し上げます。  以上で、質問を終わらせていただきます。
  30. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、桜井新君。
  31. 桜井新

    桜井委員 久しぶりに建設委員会で発言をさせていただくわけでありますが、機会をいただいて大変ありがとうございます。  五十嵐大臣には、御就任おめでとうございます。  実は余りにも突然の政変で、私たち自由民主党は、最大政党だなんといっても今野党にあるわけでありますが、そのために活動の基盤もどう築いていいのか、あるいは今まさに政治の焦点になっております政治改革の問題で日夜振り回されている現状でありまして、余り詳しく私も最近の情勢を、建設省の皆さんにお聞きをして分析して発言をすればよかったのでありますが、そういう機会がなかったので、どうしてもやはりマスコミ報道等を見ながら、何だこれは一体、というような思いが募って、ぜひ質問をさせていただきたい、こう思ってここに立たせていただいたわけでありますので、あるいは資料が不十分で、十分な的を射た質問にならぬかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思うわけであります。  また、今ほど我が党の金子議員さんから大変詳細に、しかも私がお聞きをしたいと思ったことを、全く同じことを全部聞かれましたのであるいはダブるような面があるかもわかりませんが、できるだけダブらないように私もただしていきたい、こう思っておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思うわけであります。  まず最初に、ことしは終わりのない梅雨とも言われ、大変な長雨、冷夏、そして台風災害、あるいは集中的な豪雨災害等、日本列島それこそ北海道から沖縄まで大変な一年だったと思います。長引く不況の中でまさに天も地も狂ってしまったかと言いたくなるぐらい、国民はやり場のない怒りを持っておったろうと思うんですが、大臣のおひざ元の北海道はその中でも殊のほか、地震等もあり、なかなか容易でないところであったかと思うんですが、この悲惨の状態をどんなふうに認識をされ、どういう対応をされようとしておるのか、まず最初にお聞きをしたいと思うのです。
  32. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 突然の政権交代で、しかも全く予期しない入閣ということで、わずか三月で何のそれらしい勉強もまだ至っておりませんので答弁不足の点が多いと思いますが、お許しいただきたいと思います。  お話のように、災害が今年は大変多うございまして、また私も、就任間もなく鹿児島に飛んで、そのまま北海道の奥尻に飛んで、それぞれ災害の状況等も視察して、災害の深刻な影響というものを改めて、ある意味ではもう本当に驚くほど痛感をいたしたような次第であります。我が国は、その地形の上からいいましても、やはり非常に深刻な災害の多い状況にあるわけでありますから、日常それらに対する抜本的な対策というものを常にやはり行政上重視していく必要があるという感じを改めていたしたような次第であります。  したがいまして、きょう生活優先あるいはシェア論等がいろいろあったところでありますが、それらももとより大事でありますが、しかし、国土の保全と安全な国民の生活というような面につきましては、しっかりと国といたしましては重視して取り組んでいかなきゃいかぬ、このように思っている次第であります。
  33. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。  五十嵐大臣は、初めてとはいっても、市長さんもお務めの経験があるようでありますので、すべてのことはおわかりになっていらっしゃると思うのであります。  実は、災害から安全に私どもの生活を守るということもさることながら、当面、北海道にしても東北にしても、まず食べることの米ですね、これはもう壊滅状態です。そして農家でさえ米も買わなきゃならぬというような状況ですね、この手当のこともある。そしてそんな中で、ただでさえ収入のないところに、その復興をやるのにも全部自費でなんてことはできっこありません。これは行政が相当手厚い手当てをしてあげなければならぬということで、連立内閣もこの二十日過ぎ、できるだけ早い時期に災害対策を含んだ補正予算を出そうとしていらっしゃるわけでありますが、これについては当然私はそういう被災地に優先的な予算配分をしなければならぬだろう、そして雇用の開発も進めてあげなきゃならぬだろう、こう思っているのです。  これは全く初歩的な質問で恐縮なんですが、後ほどのこともありますので念のために、そういうことを重点的にやる気があるのかないのかだけ簡単にお聞かせください。
  34. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 もう仰せのとおりでございまして、先般まとめた一兆円をやや上回る災害対策、冷害対策等の問題につきましても、その中で、殊に公共投資の重点配分について主要な眼目の一つとして含められていることは御承知のとおりでございます。  私ども建設省といたしましても、公共投資の配分について、まさに委員指摘のように、冷害地域で深刻な被害を受けたところを特に重点として配分すべきはもとよりであろうというふうに存じておりますので、国全体で今度の第二次補正における追加を予定している事業は二千億ということになっておりますが、この事業別内容等については今大蔵省を中心に詰めているところでございまして、それぞれの配分、殊に地域配分等については、御趣旨を体して努力していきたい、こういうぐあいに思う次第であります。
  35. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。それを聞いて安心したわけでありますが、要するに公共事業というのは、ただ地域の生活環境を整備をしたり、産業開発のための構造物をつくっていくという使命のほかに、私はこのことが非常に大きな役割であると思っておりましたので、やはり大臣の認識を確かめておきたい、こういう意味で申し上げたわけであります。  さて次に、もう一つお聞かせいただきたいのですが、この間、私がまだ与党であって自由民主党の政調会におりまして、ことし新年早々から景気対策に取り組んでおった、そんな中で、北海道の方から実は陳情を承ったのです。そして聞いてみましたら、十勝川のバイパス、御存じだと思うのですが、この十勝川のバイパスを早くやってくれ、そして豪雨災害に対してもまくらを高くして眠れるように、また、地域のこの不景気の中でいささかでもそういったことを促進することによって景気対策の一助になれば、こういうことで強い陳情を受けました。  そこで私は、このことについていろいろ勉強させていただいたのでありますが、そのことについて大臣はどんな考え方を持っておられるのか、この事業を促進すべきなのかすべきでないのか、お考えを承りたいと思うのです。
  36. 豊田高司

    ○豊田(高)政府委員 お答え申し上げます。  十勝川のバイパスと委員お尋ねでございますが、十勝川は過去幾度となく大災害を起こした川でありまして、このバイパスにつきましても大事なものと考えておりまして、その十勝川の改修につきましては、地域の皆さんの意見を聞きながら進めてまいりたいと思っております。(桜井委員「済みません、間違った、千歳川、ごめんなさい、千歳川だ」と呼ぶ)はい。十勝川につきましても改修を進めておるということを申し上げておきたいと思います。
  37. 桜井新

    桜井委員 大変失礼いたしました。今申し上げたように、にわか勉強だったものだから、古い話を思い起こせないで申しわけない、名前を間違えました。千歳川でありますので、どうぞ、もう一度ひとつ大臣に今のことをお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 十勝川に関しましては、今局長の答弁したとおりであります。  千歳川につきましては、過去たびたび大きな被害を受けているところでありまして、以前から千歳川沿川の抜本的な治水対策が必要だということで計画をされているものであります。しかし、これをめぐっては、実はさまざまな意見があるのは桜井委員も御承知のとおりであろうと思いますが、しかし、事業そのものは今申しましたように大事な計画であるというふうに認識をしているところであります。  先般、平成四年の十月であったと思いますが、北海道知事の方からこれについての要望が出ておりまして、その要望を踏まえて、千歳川放水路連絡協議会というものを、北海道開発局並びに北海道、そして関係の自治体として苫小牧市、千歳市、長沼町などでこの協議会をつくっているところであります。ここで、多くの問題点や課題について、関係行政機関相互の連帯をとりながら協議を進めているところでありまして、私どもといたしましては、この協議会の協議の模様を今非常に大きな関心を持ちながら見詰めているところでございまして、知事あるいは関係の自治体ともよく協議しながら、ひとつ作業を、検討を進めてまいりたい、このように思っておる次第であります。
  39. 桜井新

    桜井委員 なかなか慎重にお答えになってあれですが、私の聞きたいのは、五十嵐代議士として、北海道のあの地を十分御承知のはずですが、このバイパス事業についてやる必要があるのかないのかそして、その問題はいろいろありますから、環境等の調査をやって、技術的にできるのかできないのか、いろいろなことは別として、大臣自体はやる必要があると思っているのかどうかということをお尋ねをしているのです。いま一度ひとつ。
  40. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 建設省としては、今申しましたように、従前の被害等の上から考えてそういう計画を立てて、今計画を進めようということであります。しかし、それに関してさまざまの問題があり、殊に北海道知事からそういう意見等も出ておりますので、その計画をめぐって協議会を設けて真剣な討議を、自治体だけではなくて北海道開発庁の現地のいわゆる開発局も含めて検討しているところでありますから、そういう意見は大事にしながら、また建設省建設省として当然さまざまな検討を進めてまいりたい、こういうぐあいに思っている次第であります。
  41. 桜井新

    桜井委員 実は、私は新潟県に生まれ育って住んでおるわけでありますが、かつて新潟県の蒲原平野というのは、信濃川と阿賀野川がぶつかり合いながらあの蒲原平野を造成していったわけですね。そして、私どもが知る限りでまだ、私は昭和八年、一九三三年の生まれでありますが、その私でさえ、あの信濃川の近辺の蒲原平野というところの泥沼のような田んぼを知っております。そして、かつては船で稲刈りをしたり、船の上から田植えをしたりするようなことまでやりながら生きてきたのでありますが、それがこの分水工事ができまして、そしてどんどん河川工事が進むにつれて、今やまさに、船で稲刈りをしなければならなかったようなあの蒲原平野が、トラクターがどんどん入って稲刈りのできるような美田になったわけであります。  しかし、全くの弊害がないか、いいことばかりだったかというと、寺泊という放水路の先は相当苦情も残っております。そして、その苦情を解決するために、この放水路ができたおかげで助かった部分からどのようにこれに対応してあげられるのか、そして、差し引きまあやってよかったという結果にできないのかということで、今私たちは苦しんでおるところであります。  日本列島全体が島国で、非常に急峻な地形でありますから、降った雨はたちまち大部分が海へ出てしまう。そんな中で、今の日本のこの機械文明はまさに水文明の国だ、水産業の国だと言われているぐらい水を上手に使っているわけでありますね。私は、先ほど金子さんからお話の出た長良川にしても、日本のあらゆる川、このことについては、治水と利水という点ではまさに世界一上手に国土を利用しておる。自然との調和をつくり上げたのは我が国だと言っても決して言い過ぎではない。  私もこの方の特に治水工学が専門でありますので、世界じゅう相当そのつもりで回ってきたつもりでありますが、そういう点で私はこの技術というか、それからアセスの点から、そして計画に至るまで非常に努力をされて、世界一の実績を誇っておるものだ、こう思っておるわけです。そして、この陰には政治家同士が、おい、やるか、じゃ、やろうか、こうやって決めたとしても、果たして本当にやっていいのかどうか、やれるのかどうか、こういったことを実際に結論づけるために、まさに寝食を忘れて調査をしながら努力をして、いよいよ実施に向けて進もうとしておる。これをつくり上げるのは市町村、自治体から始まって建設省を初めとした国の関係官庁の技術屋の皆さんであります。  私も自分の同級生や同窓生にたくさんそういうのがおりますので、そういう人たちと会う機会があるのですが、そういう人たちの努力というか功績、そして家庭を犠牲にして、この間、横浜の私の同級生が一人過労のために、これは用地交渉でなかなか難しくなっちゃって、とうとう急死をしました。何で亡くなったかわからぬ、過労死なんでしょう。そういう人たちもたくさんおるし、うちへ帰る機会もなくなって、結局離婚する者もできる。いろいろな犠牲の中に今日があるのだと思うわけでありますので、どうぞこういう点をぜひ五十嵐大臣から、建設大臣になられたわけでありますので、深い御理解をいただきながら、愛情を持ってひとつ省事に当たっていただきたい、こう思うのでありますが、一言コメントいただければ。
  42. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 まことに傾聴すべき御意見でありまして、よくその御意見を踏まえて行政の指導に当たりたい、このように思う次第でございます。
  43. 桜井新

    桜井委員 私は今、実は全国内水面漁連の会長という立場であります。そして、たまたま日本の水をきれいにする会という会、これはかつて創始時代から稲葉修先生、お亡くなりになりまして非常に残念でありますが、稲葉修先生が会長をお務めだった。十六、七年前だと思いますが、私が漁連の会長になったときから充て職で私が副会長だったのです。実はそっちは別の団体だと思って余り意識もなかったのですが、突然長良川事件みたいなものが起きて、建設省河川局長にお目玉をちょうだいしてびっくりしてわかったのでありますが、その後、いろいろなことから稲葉先生が御病気になられて勇退をすることになり、稲葉先生の御指名で今の副議長の鯨岡兵輔先生が会長をお務めであります。  そして、私も依然副会長であるわけでありますが、特に鯨岡先生とは非常に親しく御指導をちょうだいしておる間柄でありますので、桜井君、おれは何もわからぬが、君が手伝ってくれるならやるぞ、こういう御下命をちょうだいして、ぜひ先生なら私も全面的にお手伝いをする気持ちになりますのでよろしくということで、今会長、副会長の間柄でやらしていただいておるわけであります。  そんなことで、非常に川ということに関心を持っております。そして、日本はこれからも限られた狭い中に一億二千万人、世界一過密の人口の中で経済も社会も支えておるわけでありますから、治水、利水ということは非常に大きな課題だろうと思っておりますので、これはいつまでやられておるかわかりませんが、永久というわけにもまいりませんので、どうぞひとついつまでも深い御理解を賜りたい、これはお願いを申し上げておきます。  さて、続いてゼネコン問題でありますが、まあこれだけ連日報道されておりますと、中にいる私たちも全くうんざりして本当に嫌になってしまいます。もういいかげんにしてみんな解散しちゃった方がいいかと思うくらい、本当にうんざりいたしております。まさに建設業界が泥だらけにされてしまい、信用を失墜してしまったことは本当に残念な限りだと思っております。  私も実は大変、こういう言葉遣いをすると、また同じ世界に住んでいる人たちにべっ視だなんていって非難をされるかもわかりませんが、私は根っからの百姓土方のうちに生まれた者でありまして、産めよふやせよの時代の、十人生まれたのですが二人亡くなって、私は残っている上から三番目なんでありますが、まあそういう立場で、先ほど申し上げたように小さな島国の中で日本人があの敗戦の中から立ち上がった。今日このような経済大国で、しかもこれだけの社会環境をつくり上げた立派な国になった。この陰には、私ども建設に携わった人たちの並み並みならない努力があった。そして、いわゆるその影響といいましょうか、貢献度というのは非常に大きなものがあったと思うわけであります。  恐らく、先ほどもちらっとお話をしましたけれども、そういうところに働いてきた人たちは、みんなそれなりの栄光を築き上げたことについての誇りというものを持っておった。銭金だけで働いたのではない、そんなものをみんな持っておったと思うのですが、それが一夜にして奈落の底にたたき落とされたような思いだと思うのです。本当にこの点は残念な限りであります。こういう点については、先ほど私はそれこそ千歳川の土手ですね、お伺いをしましたので大臣も同感だと思いますから、このことについて大臣の考えを聞こうとは思っておりませんが、どうぞひとつこの点についても深い配慮をいただきたい、こう思うわけであります。  さて、今度のゼネコン事件というのが我々業界や社会に及ぼす影響というのは余りにも大きく広い範囲に及んでおるので、私はこのことをどういうところから突っ込んで解決をすべきなのか、こんなことを思ったときに、とても全部のことを一度にはできませんが、これまた金子さんが先ほどただした入札制度の問題ですね、このことは避けて通れない話だと思うわけでありますから、私もちょっと金子さんと似たようなところもありますけれども、二、三お聞きをしてみたい、こう思っておるわけであります。  そこで、実は入札制度の中には日米協議対象になっておるいわゆる外国企業参入問題、それから国内入札制度の改正、この二つの点があるかと思うのですが、二つの点から私もお伺いをさせていただきたい、こう思っております。その前に、公共事業というものが社会に果たす使命というもの、単にインフラ整備というだけではないものがあるかと思うのですが、この点について大臣の御認識をお伺いしたいと思うのです。
  44. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 公共事業は、先ほどからも申し上げておりますように、国民一人一人の税金によってやる仕事であります。それはつまり、国民一人一人が自分たちの快適で安全な生活というものをしっかり国によってつくってもらう、あるいは自分たちの願いや夢のようなものをつくり上げてもらう、こういう性格の事業でございまして、したがって、その執行に当たりましては、本当に私ども行政にある者、そういう気持ちというものをしっかり外しながら真剣に取り組んでいかなくちゃならぬ、こういうぐあいに思っておる次第であります。
  45. 桜井新

    桜井委員 私は、この入札問題、公共事業執行ということについてお聞きをするに当たっては、どうしても、先ほど申し上げました景気対策の手段に使われておるという面、それからもう一つは、この景気対策の中に入るのかもわかりませんが、私はあえてこれを拾い出して申し上げたいと思うのは、いわゆる建設労務者ですね、建設労務者の労働環境の改善、労働福祉の向上、こういった点も見逃して議論をするわけにはまいらぬ。この二つのことを常に考えながら、どうやって効果的にこのことも実現しながら、より公平で公正な入札制度がとられるのかということを考えなきゃならぬ、こう思っておるわけでありますが、大臣はいかがでしょうか。
  46. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これはもう仰せのとおりでありまして、しかも建設事業というのは物品、でき上がった物品を売り買いするというものではなくて、それぞれの現地でつくり上げていくものでありますから、そういう意味からいうと、地域性だとかあるいは地域における労働者等とのかかわりというのは、ほかの産業とはまた異なった非常に深いものがあろうというふうに思います。そういう点を十分に配慮し、我々は仕事を進めていかなくちゃならぬと考えております。  殊に、建設労務者の環境といいますか、条件というものは、従前やはり、例えば三Kだとか五Kだとかいうような表現で言われたりするくらい、必ずしもどうもいい状況にはなかったというふうに思うのでありますが、しかし近年、これらの改善努力業界自身も鋭意努力をいたしているようでありますし、建設省としても、一日も早く改善、向上というものを目指して今さまざまな指導をいたしているところでありますので、一層そういう面ではまた努めてまいりたい、このように思う次第であります。
  47. 桜井新

    桜井委員 先ほどお断りしたように、実は建設省とよく打ち合わせもしないでここに立たせていただいたのでピント外れかもしれませんが、二十二日の新聞だろうかと思うのですけれども、読売新聞ですか、これによりますと、今月の末までに最終的に政府の閣僚会議ですか、入札協議を最終的に終わらせて、「外国企業参入できる一般競争入札の実施が日本の対外公約として正式に決定した。」こういうふうに書かれておりまして、先ほど金子さんとのやりとりの中で、一般競争入札を試行的に入れながらこれを本格的に実施ができるように進めていくつもりだ、こういうお話でありますが、実は私が大学を出てこの業界に入ったばかりのころは、一般競争入札というのはまだ残っていたのです。  そしてまさに職業談合屋というのが、そういう言葉は適当かどうかわかりませんが、いて、さばきをしておったわけでありますし、談合事件というのが大々的に起きて、警察に上がって大騒ぎになって、その後いろいろと入札制度が変えられてきて、一般競争入札も取りやめになって今の指名入札制度になったわけであります。  私はこのことについて一番心配しておるのは、角を矯めて牛を殺すような格好になって業界そのものが萎縮をしてしまって、この後ちょっとずつと聞かせていただきますけれども、いろいろな制限を加えた中で入札制度だけばだれでも入れるようにするけれども、ほかのことを一層厳しくするようなことになって、だんだんこの業界が今の政界みたいに何だかわけがわからない、萎縮してしまうような格好になってしまったら、これはまさに角を矯めて牛を殺すようなことになるのだと思う。そして、先ほど金子さんにあなたからお答えをいただいたようでありますが、ある程度の規模と制限、この規模と業種の制限ということについては相当慎重にやっていただかないと、それこそ踏み出してからもとへまた戻すということは容易なことではありません。  そして、アメリカがこのごろやっておることは、米のことでもこういうことでも、中国を初めとして文化価値の違う国からは相当手厳しい批判も受けているわけであります。ですから、ソ連と対峙をしておった時代はよかったけれども、冷戦がなくなった今日、何でもかんでもアメリカのいわゆる価値観を押しつけるというようなことであってはいかぬと思っておりますので、もう一度そこら辺のことについても考えを及ぼした中で、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  48. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 入札制度の問題というのは非常に難しい問題で、よくどこを見ても、どこを見てというのは、つまり世界のどこを見ても、完全な入札制度というのは存在しない、こういうことなんかも聞くのでありますが、欧米諸国での入札制度状況というものをいろいろお聞きいたしましても、それはもう本当に国々でさまざまでございます。  アメリカなんかは一般競争入札が主流ということは言うまでもないのでありますが、しかし、イギリスだとかあるいはイタリアであるとかというのは、これはまたやや指名競争入札的な性格を持った部分もある。部分もあるというよりは、ややむしろそれが主流であると言ってもいい状況だと思います。あるいはドイツだとかフランスの場合にはその中間ぐらいにあるといいますか、一般競争入札もかなり用いているということであります。また、しかし一方では、オランダのように、これはもう個々にそれぞれ随契でやるというようなシステムが行われているというところもあったり、これは私のつたないあれでありますが、そういうようなことを、さまざまに伺うところであります。  我々が今新しい我が国におけるこの入札契約制度というものを改革し、つくり上げていくという上でも、そこは我が国一つの風土というものもしっかり考えながら、しかし、この際これだけの大問題を起こして国民の批判の嵐の上にあるわけでありますから、思い切った公正な制度への改革が必要である。言いかえれば、それは競争性と透明性をどこまで実現できるかということであろうというふうに思いますので、そんなことで努力をしてまいりたいと思います。  今お話しのアメリカとの関係につきましても、私どもは、今申し上げたような本来我が国として改革すべき入札制度方向というものを進めていって、その方向が実は、いわば入札制度における国際化というものにも通ずるものが一方ではあるわけでありまして、そういう面での日米協議というものも現在進めているというのは御存じのとおりであろうと思います。  やはりさまざまな点で、ではアメリカだけで一体どうなのかと、フランスあたりからも実はMPAへの参加を要請してきたりもしておりますし、そういうさまざまな問題がありますが、大局から見て、やはりこの日米間の関係重視というものも一つ踏まえながら、せんだって来の行動計画の骨子の発表ということに至っているところでございますので、今御指摘のさまざまの点はよく踏まえながら、我々としても今後対処してまいりたい、このように思う次第であります。
  49. 桜井新

    桜井委員 特に私は、アメリカ日本の内需を拡大してもっと輸入を広げろというような話もありますが、日本には日本の経済構造というものがあるわけですから、俗な表現で申し上げれば、人の懐に手を入れてということがよくありますが、そこまでアメリカに言われてやらせる必要はないと思うので、一定の限界の中で自由参入をさせるという程度のことでこれはとどめるべきだ。これは決して諸外国の理解を得られない話ではないと思っておりますので、ぜひそういう御配慮をお願いしたいと思いますし、官僚の皆さんも、ぜひそういうつもりで取り組んでいただきたいと思います。  それから、国内入札制度のことでありますが、今大臣言われたように、これだけの国民不信を買う、国民不信どころじゃない、諸外国からもあきれられるようなゼネコン一連の事件を起こしてしまった、そして、それが我々政治家と結びついておる、こういうことでありますから、そのことはよくわかります。よくわかりますが、そのために何がこうさせたかということをよく突き詰めて、そして今まで戦後から、私は先ほどから何回も言っておるように、あの本当に貧乏な、食べるものさえ不自由した、そして自動車もほとんどない、足で歩くしかなかった日本が、わずか半世紀の間に今日まで来る、この過程でいろいろなことを積み上げて、特に建設業というのは、少なくとも私の記憶では、あの当時は銀行側から見たら水商売の最右翼で、金を貸さない筆頭だった。  それが、今や建設労務者に対してきちっとボーナスも払えるようになった、被服の支給もできるようになった、大学の卒業生も入るようになった。各銀行の支店の後援会長というような、いわば田舎では大変名誉ある話だ、都会では別として、そういう職にもつけるようになった。そこまで体質改善ができてきた。それにはそれなりの経過があるわけです。これを一挙になし崩しにするようなことは絶対にやってはならない。これも一方で要求される政治課題だろうと思っておりますが、五十嵐大臣の見解をお聞きしたい。
  50. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 殊に社会資本の蓄積の浅い我が国として、急速な今日までの社会資本の造成という上で、建設業界の御尽力というものの寄与というものは大変大きなものがあったというふうに確かに思う次第であります。  しかし、ここで我々がやはり考えなければならないのは、今日特に技術的あるいは経営の上で、本当に世界の中でもトップクラスというような我が国建設業界状況に至っているのでありますが、反面、今日言われるようなさまざまな問題を起こしているということも、これは業界でしっかり考えてもらわなければならぬところであって、私はそういう意味では建設業界は今新しい時代に入っていく、みずから改革して近代化を図るということの決意をしっかりひとつ進めてもらいたい、このことか一番大事なことであろうと思うのです。  そういう面で、実は近々京都で、若手の経営者で全国から相当な数の方々が集まって、京都の市民も含めて千人ぐらいで長時間のシンポジウムを開く、そしてみずから改革して新しいこれからの建設業というものにそれぞれ提案していく、いわば挑戦していくという話なんかをこの前ちょっとお聞きしまして、私は大変意を強くしたような次第であります。  むしろ、今のような談合だとか何だとかということがあることが、新しい意欲のある若い経営者というものをその力のあるがままに伸ばしていくことになっていない、これを改革しなければ近代化は実現できないのだという若い経営者の意欲あふれるようなお話がこの間ありまして、私は全国的に業界にこういうような意欲というものをぜひひとつ持ってもらいたい。ここでやはり業界の革命をやっていくんだというくらいの気持ちで取り組んでいただくように、心から我々としても期待したいと思っておるところであります。
  51. 桜井新

    桜井委員 大臣、ありがとうございました。それはあれですか、建設業界の皆さんが集まってシンポジウム……(五十嵐国務大臣「若手が」と呼ぶ)ああそうですか。非常に結構なことだと思って、大いにやっていただきたいと思うのです。  業界にも体質に訂正しなきゃならぬことがあることは、もう重々承知しております。そしてこの機会に、大臣のおっしゃるようにみずから、人に指導されなくても、私はこの際、本当の意味で競争原理が働くようなシステムを考え出していくべきだと思っております。ただ、そうだからといって、いわゆる資格条件の中に施工技術の面からだけの検討でやられると、まさに弱肉強食の現象が起きて古い時代の再現になりかねないことだけは現実でありますので、どうぞひとつそこら辺のことを十分配慮してやっていただきたい。  それで、私は最近新聞を読んでおりましたら、盛岡市の発注方法が大変注目を浴びておる、そしてそのことで全国からいろいろ地方自治体が視察に行っていらっしゃるという話も読ませていただいた。中身を聞いてみると、Aという業者が仕事をとると、次には指名からしばらく外して、そしてみんなにまんべんなくいくような配慮をしている、こういうのですが、一番のもとは、簡単に業者の登録がとれるという仕組みは確かに今度厳しくこれを取り締まろうということでやるようでありますから、その点は、業界の登録の許認可制度を厳格にやるということについては私も同感をいたします。  しかし、そうであっても、役所が本当にそういう業者たちを温かい気持ちで育て、そして今一番問題な、私が先ほど二つの条件、一つは景気対策、一つ建設労務者の待遇改善をどうするか、この問題でありますが、一時は各大学の建築土木の技術屋志望の入学希望者すら大幅に減ってしまって、学校がうろたえた時代がございます。少しは回復したようであります。それほどまでにこの業界というものを悪くしておる中身というのが、いろいろなところに原因があることを承知してひとつ検討していただきたいと思うのです。  やはり一定の条件がそろった人たちは、その地域で、あるいは全国業者なら全国業者で結構ですが、一定の受注量がなければこの人たちの待遇を保障しようとしてもできないのですよ。そして、かつて、優秀な腕を持った大工さんでも左官屋さんでも、一日の日当ははるかに五倍も六倍も取っていたって、年間通しての年所得がサラリーマンより低いということで、どんどんやめていってしまって手不足になった時代もありました。  そんなことをあれこれ考えると、いつになってもなくなっていい産業ではありませんので、そういった広い視野に立った長期の構想の中でこの入札制度というものを検討していく必要があると思いますので、どうぞひとつ、盛岡の方式も全くうなずける点があるわけでありまして、できるだけ公平に、まんべんなく仕事を受注して施工していかれるという温かい配慮がなければ、これはもう絶対に解決できない問題だと思っておりますから、この点について大臣の考えをもう一度聞かせてください。
  52. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 各地方自治体でも、実はさまざまな入札制度についてそれなりに工夫をして先駆的にやっておられるところも多いのであります。  盛岡につきましてもそのようなことで、仰せのような点も、まあ盛岡も御承知のようにいろいろな経過があってあそこに至ったわけでありますが、しかし、あのシステムも一長一短という説もないわけではないわけでありまして、我々としては、盛岡初め各自治体のそういう実験的な作業というものも全体的によく勉強をして、そして、あるべき正しい方向を見出してまいりたい、このように思う次第であります。
  53. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。  それでは、時間もなくなりましたので、この入札のことについては終わらせていただいて、大蔵省の主計局をお呼びを申し上げておりますが、私も、これも金子さんも言ったのでここで言わずもがなみたいなことになってしまったのですが、最近のニュースを聞いておりますと、マスコミがかなり扇動的に今の連立政権を誘導しているかと思われるくらい、いろいろな点でマスコミと連立政権の歩調が合っております。  その中で、マスコミが、最近経済が上向きにならない大きな原因の中に、予算の硬直化というようなことを盛んに言っておる。そして、その大きなもとは、公共予算の配分がコンクリートになっちゃって、比率がコンクリートになっちゃっているということを盛んに言っております。しかし、私が見る限りでは相当、ここ近年、私はまだ十三年ぐらいでありますけれども、当選してきた中で、例えば下水道とか公園事業とか住宅もそうでありますが、それぞれその時代時代に要請されるようなことについては、かなり思い切った予算の伸びをやりまして、そして、全体の予算枠というものは、全体の予算のシェアというのはかなり変化をしてきておることは間違いないと思うのです。これは時間がないので私は大臣のお答えを求めませんが、大臣、きっと最初のレクチャーでこのことは承知をされたと思うのです。そういうことなのに、なぜそこに原因を求めるか。  殊に、私は、最近読んだ記事の中で、どうしてもこのことについては大臣の考えも聞いておきたいと思っておることが一つございます。それは、道路三税というのは目的税みたいに今使われておる。税の形態としては、法律的には一般財源だそうでありますが、道路三税は目的税に使われておる、このことが予算の硬直化につながっているというような話をしておりますけれども、少なくとも戦後半世紀足らずの間にこれだけの国土建設をできた、殊にモータリゼーションの社会をこんなに急速に迎えて、これにたえ得る今の日本道路事情をつくり上げたということは、まさにこのおかげだと思う。すばらしい制度だと思っております。  そして、これは、その新設がまだ行き届かないで、この世論調査の中でマスコミが集めて聞いておる人たちは、学者とか大企業を経営された社長さん方とか会長さんとか、そういう日本の社会でも特別な人たちに聞いておる。そういう人たちは、大所高所から、あるいは自分の置かれておる立場からそういうことを言っておるかもわかりません。  しかし、先ほど金子さんも言っておったように、全国の知事さん方に世論調査をした結果は、やはり生活にまさに密着した中で、あるいは選挙を通じ、いろいろ地元から要望をされ、そして広い視野に立って、自分の県が、都道府県が、他県に負けないようにするには、そして今の日本のレベルに追いつくにはどうしようか、こういうことでやっておる中で、最も希望が高いのは道路ですね。しかも、その道路も、そろそろ早いところは修繕をしなければならぬ、こういうことで、いわゆる維持管理というメンテナンスの方にも相当予算を、二割ぐらいとられちゃう。そういうことでありますから、これはそう簡単に、マスコミが言ったからといって、また細川内閣が首相官邸主導型で建設大臣の頭越しにやっちゃうなんということは許されるべきことじゃないと思っておりますが、大臣の見解を。
  54. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これは我が国の場合は、道路は、欧米諸国から見てまだまだやらなきゃだめな点が多いというふうに思います。  それで特に道路といいましても、何といいますか、平面的に把握すべきではなくて、一方では自動車高速道路計画もそうですし、他方では歩くことが楽しみのような生活道路もあるわけですし、非常に多様な、国民生活に密着した、それは必要な基盤整備であろうというふうに考えているところであって、そういう面からいいますと、もちろん道路に関する特定財源はしっかり確保しながら、なお一般財源も最大限投入しつつ、国民の要望にこたえて努力していくべきだろうというふうに思うところであります。  お話しのように、某新聞社の全国の知事に対する要望の取りまとめなんか見ましても、やはり道路が群を抜いて第一位ということになっております。あるいは、総理府の世論調査による、一般国民調査をしたのが平成二年にあるのでありますが、これなんか見ましても、やはり道路が何といっても第一位ということになっておるわけで、こういう国民のニーズというものをしっかり踏まえて我々はやっていかなくちゃならぬ。  それはもうもちろん細川総理も、道路は生活者の範疇から出たものだ、非生活的なものだなんということは全くお考えになっておりませんし、我々も、お話ししておる折にいつも言うのでありますけれども、やはり地方における道路というのはそれはもう即生活というようなものでありますから、そういう認識に立って努力してまいりたい、このように思う次第であります。
  55. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。  まあそれで安心をしたわけでありますが、実は私も、先ほど冒頭のくだりで申し上げたのですけれども、自分の専門が専門であったので、いろいろヨーロッパや世界じゅう見て回った中で、私はやはりドイツとかあるいはイギリス、そして近年につくられた国としてはニュージーランド、こういうところは、本当に日本がモデルとして大いに国土開発を取り入れるべき思想や現実がたくさんあると思っております。  そういう意味で、まだまだ地方に幾らでもゆとりがあるわけですから、三大都市圏を初めとしたこの大都市に人を集中させて、そして投資効果の悪い金の使い方をする、今住民一人当たりの投資額からいったらはるかに都市の方に余計使っているんですから、そういったことを考えたときに、もっと投資効果のある、有効に使うようにしなきゃならぬ。  それから、最近はややもすると、かつての殖産志向から生活志向へという発想の転換は私も同感です。もう十年も前からそのことを言い合ってきたのでありますから私も同感でありますが、しかし、本当に生活開運でない公共事業なんというのがあるんだろうか。私はそんなものはないと思うんです。そして、むしろ、都市よりも地方に、あるいは農山村にもっともっと効率的に金をかけて、そして生活環境を豊かにした中に、教育機関やあるいは企業やいろんなものをやはり移転していくことが一番大切なんだ。  建設省が中心になって、拠点都市という構想で、全国にそういう生活環境を進めていこうということでやっておる中で、せっかく今日まで四全総というところまで全国総合開発計画を進めてきた、これがせっかくのものが途中で投げ出されるような、予算が足りなくて投げ出されるようなことになったり、あるいはほかと違ってテンポがおくれて、新しくやろうと言い出したことだけがどんどん進んで、ほかのことがおくれているというようなことになったら、それこそちぐはぐなことになって、もっともっと国民生活を混乱させる結果にもなると思います。  私は、そういう点で、これは大臣というよりは、実はきょうは大蔵省の主計官を呼んでいるのですが、いろいろなことがあるけれども建設大臣も、大体私が申し上げたような発想で仕事を進めていくということを今お答えをいただいたところでありますが、先ほどの大臣のお答えをいただいた件と、今私が申し上げた、例えば治山とか治水とかあるいは農業問題とかそういったレベルのこと、道路にしても、まだ地方の生活環境が整わないで、どれほどたくさんの市町村長や知事さん方が一緒になって必死の陳情をしているかわからぬわけでありますが、予算を配分する立場で最高の責任を持っておる大蔵省としてどんな考え方をしているのかひとつ聞かせていただきたい、こう思います。
  56. 津田廣喜

    ○津田説明員 公共事業の予算というのは、まあ公共事業に限りませんけれども、予算は大蔵省だけでつくるわけではございませんで、関係の各省庁の皆さん方といわば納得ずくでっくり上げていくものでございますから、我々が勝手に何かいじってするとかそういうことにはならぬわけであります。例えば、ここは建設委員会ですけれども建設省の皆様方とも、当然納得していただいた上で政府の予算案というものができ上がるということでございますから、そういう点は、特に今先生がおっしゃったような点で誤解はないだろうと思います。  ただ、若干つけ加えさせていただきますと、巷間よく言われますのは、三大都市圏とその他地域ですとか、あるいは都市と農村というような対立した考え方でこの配分の問題をとらえられる向きがあるわけでございますけれども、私どもはもともとそういうとらえ方はしておりません。先ほども金子先生にお答え申し上げましたように、国民生活の質の向上というものについては、やはり重点を置いてやっていかなければならないと思っております。  これは、現に平成三年度から五年度まで、よく御承知のように生活関連重点化枠というものを導入いたしまして、それでこういった方面に重点配分をしてきていたわけでございます。世間の受けとめ方は、これでは不十分だというものだろうと多分思いますけれども、私どもは主観的に、非常な努力を傾注してこういった予算をつくり上げてきたわけでございまして、これは、どういう形になろうが平成六年度の予算でもやはり引き続き追求していくべきテーマであるというふうに思っております。  それで、今、対立した概念で物事をとらえるということにつきましても、単に先ほど名前を挙げられた道路とか河川ということだけではなくて、例えば都市型公共事業の代表のように言われております下水道とかあるいは公園事業につきましても、具体的なその地域ごとの配分などを見てみますと、今や相当地方部といいますか、三大都市圏以外の部分に実は配分をされてきております。例えば、下水道などは普及率がそろそろ五〇%になるわけでございますけれども、大都市部ではもうかなり普及をしておりまして、これからはどんどん地方部へ行くわけですね。  そういった意味で、特定の事業だけが地方のもの、あるいは別の事業は都市のものというようなとらえ方というのは、これからのことを考えると、必ずしも正しくないのではないかというふうにも思っておりまして、いずれにしましても、まだ予算編成そのものはそれほど進捗した段階ではございませんので、来年度のことについて明確なことは申し上げられませんけれども先生の御指摘になった点も十分踏まえてよく考えてまいりたい、また建設省とも調整してまいりたいというふうに考えております。
  57. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。田舎にも相当来ておることも私も十分承知しておるのですが、予算編成のシェアを変えるというような言葉がちらほら耳に入るものですから、どうかひとつ、今までせっかく方向づけてきたことをしっかりと実を結ばせるまでやっていただきたい、こういう意味で申し上げているので、よろしく頼みたいと思うわけであります。  時間になったそうでありますが、最後に一点だけ。  ことしの予算執行は予定どおりに大体できたと聞いておりますが、そして、最近建設資材関係が少しずつではあるけれども上向きになってきた、こういうことを聞いておりますけれども、非常にこの足が遅かったのですね。前倒しで発注した、したと言いながら、市場に景気感が出てくる最初のあれは、資材関係にそろそろ始まった、こういう感じが出なければならなかったのが、非常に足が遅かった。  これにはいろいろな理由があるのですけれども、実は年々急速にふやす公共事業の中で、役所はその消化能力がないと言うと、大蔵省に、そんなにやったって消化能力がないのだからやる必要がない、こう言われるかもわからぬ。そういう懸念もあって、なかなか言いにくいことでありますけれども建設技術屋ですね、建設技術屋が年々の定数削減の関係で非常に落ち込んできている。無理をして残業に残業で、先ほども私が冒頭のくだりで説明したようなことが間々方々で起きておることが事実でありますので、実はどうしても、これは委員会としても、委員長、ぜひ強く、総務庁等にも話をしていただいて特別増員を図っていただきたい、こう思うのであります。  殊に、最近いろいろな大きな事故が起きている原因は、忙しさもあるし、仕事を知らない人たちが設計監理をしておるという点に非常に大きなウエートがあると私は思っていますので、どうかひとつ、そういう意味で、できれば入省して三年ぐらいは、建設省に限らずあらゆる技術屋さんが、危険を伴う仕事をされる方は、やはり現場の体験を踏んだ上で本来の仕事に入っていくという習慣を、日本もここまで経済大国になったのでありますから、それぐらいのお金を使っても決してむだにはならぬ、私はこう思っております。  その方途は、五年で三年分ぐらいの研修期間のゆとりをつけさせるためには、定年退職を少し先へ延ばすなり、あるいは退職した人たちを臨時雇用するなりすれば、技術屋の数としてはそうやっても間に合うはずでありますので、三年ぐらいはどうしても新入職員がダブって研修ができるような仕組みを進めていただきたい、こういうことで強く要請しておったのですが、この点についてどういう考えで進めているか、ひとつ事務局の方から。
  58. 伴襄

    ○伴政府委員 桜井先生には常日ごろ定員の確保とかあるいは職員の処遇改善につきまして温かい御配慮をいただいておりまして、まことにありがとうございます。定員の方も、本委員会でこの要員確保につきまして御決議いただいたことを背景にいたしまして、いろいろ関係方面とも要求しながら、新規増員数も着々と伸ばしてきておりますが、何といいましても、定員削減が一般にかかっておりまして、まだ十分でありません。したがいまして、いろいろな工夫の中で、例えば発注ロットを拡大するとか行政事務の簡素化とか、あるいは業務委託の活用とか、そういったことを通じてやっていきたいと思っております。  理想を申し上げれば、先生がおっしゃるように、現場の経験を十分に積んでもらう、研修の期間も十分見るということが本当は理想でございまして、現場体験、十分研修期間を持ってやっていくということは必要かと思っておりますが、何せ今そういう大変厳しい定員の中でやりくりをやっております。そういった中でありますので、短期間でありますけれども、地建の研修所とかあるいは建設大学校という中央の研修所があります。そういったところで研修をするとか、あるいは何といっても現場研修ということもありますので、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで、いつも続いてやっていくといったようなこともしっかりやっていきたいというふうに思っております。  それから、今OBの、OBのというか退職の時期を延ばしたらという話もございましたが、延ばしても、要するにその定員の数が問題でございますので、やはり最後に尽きるところはそういう定員ということになりますので、単にそういう余裕を持たせるためには、やはり定員確保ということも重要かと思いますので、引き続きまたよろしく御支援、御指導を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
  59. 桜井新

    桜井委員 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  60. 鳥居一雄

    鳥居委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  61. 鳥居一雄

    鳥居委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中直紀君。
  62. 田中直紀

    田中(直)委員 私は、福島県出身の田中でございます。五十嵐大臣、北海道御出身ということで大変期待をいたしておりますし、大変お忙しい日々を日ごと御尽力いただいており、大変感謝をいたしております。私の地元も、太平洋と日本海を結ぶ磐越道では建設促進に大変御尽力をいただいておりますし、また、太平洋岸の常磐自動車道も仙台までの延伸、こういうことで大変お骨折りをいただいておるところでございます。また進捗状況につきましては後でお伺いいたしたいと思います。  まず、昨日、景気動向につきまして経済企画庁から報告があったところでございます。内容につきましては、御存じのとおり景気回復のめどが立たないというような表現で報道されておりますし、国民の皆さん方も、そういう意味では今後の景気の成り行きにつきまして大変心配をし、また、来年以降を見通しておる事態でございます。  その中で、公共事業執行を含めます建設関係につきましては、建設汚職事件の影響も見られるけれども、まあ高水準に推移しておる、こういうことでございますし、住宅建設も引き続き高水準を維持しておる、こういうことで大変力強いわけでございますけれども事件の影響もあったのだと思いますが、上期の受注実績が前年度二二・三%減、こういう状況も出てきておるところでございます。  諸般の情勢、大変な状況であろうかと思いますけれども、本来の、そういう意味では社会資本の充実を、そしてまた地域が期待をいたしておりますところでございますが、この辺の引き続きの発注につきまして軌道に乗せていただきたい。大臣の御所見をまずお伺いいたしたいと思います。
  63. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 お話しのように、きのう慣例のさまざまな月例報告の数字が出てまいりまして、景気全体は依然として厳しい状況にございまして、御存じのように、今までの言い方とはちょっと今回から変えて、率直に「低迷」という表現になってきたわけであります。ただ、そういう中では、おかげさまで公共事業あるいは住宅につきましては、表現の上でも「高い水準」あるいは「堅調」というような表現になっておりまして、全体の、例えば民間設備投資の非常に悪い状況というものを公共投資あるいは住宅で支えているというような感じになっているのじゃないかというふうに思います。  私ども、全体としてはやはり住宅投資などをむしろもっと力を入れていく。それはつまり、国民の需要がついてきている状況なんでありますから、したがって、そういう面に関しては思い切って力を入れて、まあ言い方としてどうかと思いますが、突出させるぐらいな勢いで力を注ぐことで全体の景気を牽引していく。殊に住宅等に関しましては、すその広い影響のある産業でありますから、そういうことが大事であろう、こういうぐあいに考えているところであります。  過去の数字から見ましても、九月末で見ますと史上最も高い数字を記録しているというようなことになっている次第でありますので、この後さらにそういう状況を持続させ、今申しましたように全体の景気を牽引するぐらいな気持ちで努力をしてまいりたい、こんなふうに考えている次第であります。
  64. 田中直紀

    田中(直)委員 大臣の力強い御発言、期待をして、実行していただきたいと思っております。  確かに景気の内容につきましては、個人消費の冷え込み等ということもございますし、製造業の在庫が大変ふえて企業収益が悪化しておる、こういう状況でありますから、公共事業一つの大きな柱であるということは事実でありますけれども、総合的な景気対策というものが望まれるわけでございます。しかし、即効性がありますということから考えまして公共事業に期待するわけでございますので、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それで、現在の長引く不況を克服するためには、一つは土地の流動化というものをそろそろ念頭に入れていくべきではなかろうかこういうふうに思います。確かにバブル経済の異常な事態、その一つに、土地の高騰というものが大変、そういう意味では経済をバブルの状況に立ち至らせたという反省があるわけでありますけれども、先般、監視区域の見直しをしていただいたということでございますし、企業の先行きの不透明感を払拭していく、そして見通しが立てられるような、そういう施策を講じていただきたいというのが現状ではなかろうかと思います。  その中で、地価税について御所見を伺いたいと思いますが、今後、御存じのとおり固定資産税等が引き上げられてくるわけでございますが、全体として土地保有税が相当負担増になってきております用地価税につきましてはそれなりの役割を果たしてきておるわけでありますけれども、今後の状況を考えまして、地価税の見直しといいますか、そういうものを念頭に置きながら、そしてまた方向性を見出しながら運営をしていただくということが景気の浮揚にも、心理的な浮揚にもつながるんではなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  65. 小野邦久

    小野政府委員 最初に私の方から、今建設省としてどんな考え方でいるかということをちょっと御説明をさせていただきます。  地価税につきましては、御案内のとおり、地価税法の附則におきまして、固定資産税の土地の評価の適正化を踏まえて見直しをするということになっておりまして、これは八条でございますけれども、私どもといたしましては、固定資産税評価額が平成六年から地価公示の七割ということになるわけでございまして、今後段階的に税負担が引き上げられる、こういうことでございまして、地価税と合わせますとかなりの負担、こういうことでございまして、これが過重に負担にならないように地価税自体のあり方をきちっと見直しをしていく必要があるのではないか、こういうことを考えておりまして、財政当局等に対しましても、八月末で地価税の適正な負担のあり方を見直すべしということで意見を述べまして、今政府税調の方でもいろいろな御議論をいただいているところでございます。今、現状はそういう状況でございます。
  66. 田中直紀

    田中(直)委員 先般の平岩研究会の報告にも、土地取引に係る規制については、地価の動向に十分配慮しつつ、取引の円滑化の観点を含めて見直す、こういう報告がなされておるところでございますし、しっかり見直しをしていただいて先行き不透明感を払拭していただきたい、こんなふうに思うわけでございます。  税制の問題でもう一点、現行の土地譲渡課税が、たしか長期の譲渡課税が三九%だと思いますが、この辺も本則に戻って、そろそろその軽減を図っていく時期ではなかろうか、こんな認識を持っておるところでございますけれども、これについてよろしくお願いいたします。
  67. 小野邦久

    小野政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、譲渡益課税につきましても、平成三年度で土地税制改革ということが行われたわけでございますけれども、これは大変厳しい改革でございまして、御案内のとおり、個人の土地等の長期譲渡所得課税につきましては、一律三〇%、プラス九%の地方税が入りますので三九%ということになるわけでございます。また、法人税につきましても一〇%の追加課税ということになっておりまして、大変厳しい土地税制改正が行われた、こういうことでございます。  さて、私どもといたしましては、土地の譲渡益についてはどうするかということでございますけれども、御案内のとおり、既に優良住宅地等への譲渡につきましては軽減税率が適用になっておりまして、住宅宅地の供給の促進という観点から、こういう住宅宅地の供給のために素地を売却したといったような場合には軽減税率を適用する、これは一五%プラス五%、全体で二〇%でございますけれども、大変軽減の効果というものは高いものと考えております。  ただ、これは住宅地等だけでございますので、これを何とか住宅地以外の、例えば都市開発事業、優良な都市開発事業への譲渡といったようなものにもこの軽減税率を適用することはできないか、こういうことを考えておりまして、あの八月末の税制改正要望等について、優良な都市機能の向上に資する都市開発事業のための土地の譲渡等についても課税の特例の創設、はっきり申し上げますと軽減税率の適用、こういうことになるわけでございますけれども、そういうことを要望いたしておりまして、先生御案内のとおり、土地の流動化が大変今の日本経済をむしばんでいる、こういう状況にあるという認識のもとでは、やはり優良の住宅宅地への供給だけじゃなくて、それ以外の、やはり軽減税率の適用の範囲を広げるということも大変重要な課題ではないか、こういうふうに思っております。  そういう方向から、今後土地譲渡益課税の見直しについても努力をしてまいりたいと思っております。また、いろいろな角度から御支援をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
  68. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 今それぞれ局長からお答えしたとおりでありますが、ここ数年の土地をめぐる経済状況の激変であるとか、あるいは今日の深刻な経済状況等を踏まえて、あるいは宅地の流動化等を勘案しながら、全体として総合的に御趣旨の点を踏まえながら取り組んでまいりたい、こういうふうに思う次第であります。 ○
  69. 田中直紀

    田中(直)委員 大臣にはよろしくお願い申し上げます。  最近、ゼネコン問題がいろいろ報道をされておるところでございます。先ほど金子委員からの質問に対しまして、大臣も大変、建設省の役割そしてまた公共事業執行について今日の状況を重く見ておる、こういうことで真剣に、省内あるいは関係業界に対しての抜本的な諸施策をやっていくという御決意を伺ったわけでございます。省内にも対策本部を設置されるということでございます。  政官業の癒着の代表のような形で報道をされてきておることは大変残念なところでございますけれども業界のこれからの近代化というものに一歩踏み込んでいかれるということでございますけれども、大変難しいといいますか、環境に立ち至っておるというところでございます。今後の建設行政のあり方について、一歩一歩信頼を回復していく行政、そしてまた施策が必要ではなかろうかと思います。今後具体的にどのように取り組んでいかれるか、お伺いをいたしたいと思います。
  70. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 先般来の、公共事業執行をめぐるさまざまな汚職事件等の続発につきましては、建設行政の責任の立場にある者として本当に残念に思っている次第であります。私どもといたしましては、もうこの機会に抜本的な意識改革あるいは制度改善等に取り組んで、お話しのように、建設行政あるいは建設業界、総体をしっかり近代的な状況に変えていくというために努力をしていかなければならぬと思います。  御案内のように、現在中建審の公共工事に関する特別委員会で極めて精力的に御審議をいただいておりまして、大体年内には改革方向が具体的に答申になるというふうに思っているところであります。  殊に、御審議いただいている内容としては、入札制度契約制度の問題、中でも従前の指名競争入札を、今度は一定工事以上に関しては条件つき一般競争入札導入する、あるいは指名競争入札に関してもその透明度、競争度を高めていく、公正な内容にしていくにはどうしたらいいかというようなことであるとか、あるいは国際化の問題につきましても、ここで真剣な御論議をいただいているなど、具体的に本当に従前にない思い切った提案がなされるであろうというふうに思っている次第であります。  一方、今日のこういう、いわば構造的な建設業界の残念な状況というものへの私ども監督官庁としての責任というものも十分に自覚をしていかなければならないわけでありまして、そういう意味で、省内どもいろいろ協議をいたしまして、きのう建設省としての建設業界指導監督に関する諸問題について、あるいはそれに関連する諸問題等について改善方向を見出し、それを実施していくというための対策本部を設けさせていただきまして、望月次官を本部長として発足をいたしまして、年内でおよその方向を固めて、しかも対策本部でありますから、みずから直ちに実施できるものは進めていくという方向でやってまいりたい、こういうぐあいに思っている次第であります。  業界全体も、この機会意識改革を進めていただくように御指導を申し上げているところであって、ぜひこれを業界一つの歴史的な近代化への転換期にするようにみずからの努力を心からお願い申し上げたい、こんなふうにも考えているところであります。  このようにして、国会で今御審議いただいている政治改革の論議とあわせて、私ども建設行政にかかわる改革もしっかり進めて国民の信頼を回復していきたい、このように存ずる次第であります。
  71. 田中直紀

    田中(直)委員 大臣の御奮闘をお願い申し上げたいと思います。  今回のゼネコンの問題につきまして、一般といいますか国民の皆さん方の率直な意見を伺いますと、時を同じくして所得税減税の問題と消費税の税率アップというような問題も話題になっておる中での今回の事件でございまして、国民の一人一人が財布から一円を出してまできっちり支払っていく、こういうような生活体系の中で、新聞に見ると五百万、一千万というものが飛び交っておる、こういうことに対して大変義憤を覚えておる。そしてまた、その中で、業界の近代化というものが必要であることは事実でありますけれども、官界そしてまた政界もやはり透明化といいますか、襟を正していくということが必要ではなかろうかという意見が大変起きておるところでございます。そういう意味で、政界そしてまた官界におきましても、この問題について真剣に討議をして姿勢を改めていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに私個人は思っておるところでございます。  一つ、話の中に、これはマスコミ等がそういう意味では談合、談合というようなことで報道をされますし、談合という問題につきましては古くて新しい問題を提起しておるわけでございます。入札に当たってといいますか、業種において話し合いをするという問題、談合というふうにすべてが見られるわけではないということであるわけでありますけれども、それを見ておりますのは独占禁止法上の問題、公取、公正取引委員会の見るところであるわけでありますけれども、今報道されております談合という問題につきまして、建設業についてはどのような考えで公正取引委員会が対処してきたか、また今後、談合の防止についてどのように取り組んでいくのか、その辺を公取の方、いらっしゃったらひとつよろしくお願いします。
  72. 平林英勝

    ○平林説明員 御説明申し上げます。  私ども公正取引委員会といたしましては、入札談合という行為は競争入札制度の趣旨を根本的に否定する行為であるということでございまして、独占禁止法に照らして従来から厳正に対処してきたところでございます。  先生、話し合いということをちょっとおっしゃられたのでそのことについて申し上げたいと思いますけれども、もちろん話し合いの中身のいかんによるわけでございますけれども入札談合もいわばカルテルの一種でございまして、カルテルということになりますと暗黙の合意または共通の意思が形成されるということであれば問題になってくるわけでございまして、話し合いによって受注予定者あるいは受注価格について合意が形成されるということになればやはり問題になってくるんではないかと思います。  もちろんそれは個別の状況によるわけでございまして一概には言えないわけでございますけれども入札に関して入札参加予定者が話し合いをするということは入札談合行為につながるおそれが非常に強いというふうに私どもとしては見ております。もちろん、例えば入札制度一般について勉強会をするとか意見交換をするということであれば、独占禁止法上は問題にならないというふうには考えておるわけでございます。  それから、もう一つお尋ねの今後の対処方針でございますけれども、私ども、違反事件として取り締まっていくということだけではなくて未然防止ということにも力を入れておりまして、最近では業界の行う独占禁止法の研修に講師として派遣したり、あるいは独占禁止法遵守マニュアルの作成に協力するといったようなことも行っておりますし、それから、発注官庁の方々にも入札談合について問題意識を持っていただきたいということで公正取引委員会と連絡担当官との会合の開催を準備いたしておりまして、発注官庁からも入札談合に関連する情報提供をしていただきたい、そんなふうにも考えております。また、公共入札全般にかかわりますがイドラインというものを作成しようということで、現在検討に着手しているところでございます。
  73. 田中直紀

    田中(直)委員 この辺の談合のとらえ方につきましては、先ほど言いました景気回復に公共事業執行が大変寄与しておるという側面と、そしてまた、確かにこういう事件が起こってしまったわけでありますから、厳正に公取の方でも監視をしていくということになろうかと思いますけれども、何かガイドラインといいますか、建設業の入札に当たっての方法のみならず、しっかりと今ガイドラインを緊急に出していただいて、そして、それにのっとって入札をしていくことによって今緊急に執行していかなければいけない当面の問題に萎縮しないように相互にやっていただきたい、こういうふうに思うわけでございますし、建設省、管轄が違いますけれども公取がガイドラインを出すんでしょうか、その辺もお願いをしたいわけでございますけれども、その辺はいかがでしょう。
  74. 平林英勝

    ○平林説明員 公共入札のガイドラインでございますけれども、最近独占禁止法違反事件におきまして入札談合事件というのが非常に頻発しているわけでございます。これは何も公共工事に関するものだけではなくて物品にかかわるものも多数ございまして、私どもとしましては、そういう意味で、公共入札全般にかかわる談合行為の未然防止という観点から新たにガイドラインの策定に着手したということでございます。私どもとしては、これまでのいろいろな違反事件の審決例などを踏まえまして、できるだけ早い時期に策定していきたいというふうに考えている次第でございます。
  75. 田中直紀

    田中(直)委員 至急そのガイドラインを出していただいて、現在の入札あるいは公共事業執行に支障なきといいますか、行動がきっちりできるようにお願いをいたしたいと思います。  また、国会におきましては、このゼネコン問題につきまして当委員会において、あるいはどのような組織になりますか、検討する議論の場が設けられるような話も伺っておりますが、国会において、そしてまた我々議員におきましても、こういう情勢の中で国会議員の政治活動というものがどういうふうに見られておるかという問題も大変、今我々の行動を当然襟を正していくわけでありますし、しかし陳情活動というものは、これは認められてきておるわけでございますし、地域の皆さん方からも民意を反映した陳情活動、そしてまた我々議員がそれを国会、あるいは多くの皆さん方にも理解をしていただく、こういう活動に入ってくるわけでありますし、一概にといいますか、すべて国会議員の活動が制約をされるということも危惧されるわけでありますが、法務省の方、いらっしゃっていましたら、国会議員の一般的の話で大変恐縮でありますけれども、よく議論になります職務権限論といいますかまずそれについてお話をお伺いしていきたいと思いますが、ひとつよろしくお願いします。
  76. 大泉隆史

    ○大泉説明員 お答え申し上げます。  委員御案内のように、具体的事件についてどういう犯罪が成立するかということは捜査機関が判断すべき事柄でございますが、一般論としてのお尋ねでございますので、お答え申し上げます。  収賄罪というのは、一般的に、公務員がその職務に関して、その対価として利益を収受するあるいは要求、約束するといった場合に成立する犯罪とされておりますところ、お尋ねの国会議員の関係につきましては、国会法あるいは衆参議院規則等によりまして、議案の発議あるいは議題について質疑し、意見を述べる等々の職務を行うものとされております。したがいまして、このような職務に関して利益を収受するということがありました場合には、収賄罪が成立するものと理解されております。
  77. 田中直紀

    田中(直)委員 余り時間がございませんので、ほかの予算の問題に移らせていただきたいと思います。  先ほど各委員からもお話がございました。来年度の予算につきましては、生活者優先、重視というような話題も出ておりますし、各道路を初めとして、農業関係、漁業、港湾関係あるいは住宅、下水道、環境衛生、いろいろ公共事業の中にある優先順位をつけて、めり張りのある予算編成にしていこう、こういうことでございます。この考え方につきましては、ある側面としては、そういう意味で、実行していくことについて前向きにやっていただきたい、こういうふうに思うところでありますが、その考え方として、生活者重視というものが重点的、そしてまた効率化という問題を前面に打ち出しての論議になる、これは少し行き過ぎではなかろうか。  予算の中で、これは国民の税金で予算を組んでいくわけでありますけれども一つ考え方として、例えば全国どこに住んでいても、一日行動圏といいますか高速道路あるいは空港、そしてまたその他の施設に、医療の関係そしてまたその他の交流をしていくということからも考えて、全国のどこに住んでいても公平な生活圏というものを確保していくために公共事業というものがあるわけでありますから、効率化という表現に置きかえて予算編成をされるということは、そういう意味では大変考え方が偏っておるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  78. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 どちらかといいますと、従前のいろいろな開発やあるいは社会資本の投資の傾向というものが、特に高度成長時代などは産業重視といいますか、そういう傾向があったという反省は一つあるのではないかというふうに思うのであります。そういう中で、やはり生活者、消費者という立場も大事にしていこうではないかという考え方が次第に高まってきていて、今日、公共事業等の場合でも、いわゆる生活者の立場というものをしっかり忘れないでいこう、特に経済の高い成長にある我が国でありながら、国民が豊かな生活を実感できないという事態にかんがみて、そういう点をひとつ重視していこうではないかという考え方が最近特に高まってきているのではないかというふうに思うわけであります。  ただ、お話しのように、例えば地方にありましても、御指摘のように、いわば定住のためのさまざまな生活にかかわる基盤整備というようなものなどは非常に大事なことで、しかもまだ不十分だという点が多いわけであります。あるいは、これは必ずしも私の方の省にかかわる問題ではないかもしれませんが、農村部などでも、最近言われているように、農業集落排水と言われるような、農村にあってもやはり水洗トイレ等が整備されるような状況に持っていくということが、生活の整備そのものではなくて、また農業用水をきちんときれいな姿で保存するという上でも大事なこととされておりますように、何も大都市だけが生活重視というものではなくて、地方にはそういう要因がたくさんあるということも言うまでもないことでありまして、私どもそういう面では、もちろん地方にあっても生活重視という考え方でのさまざまな基盤整備を進めてまいりたい、こういうぐあいに思う次第であります。
  79. 田中直紀

    田中(直)委員 生活者重視という問題で編成をしていくという中にあって、大臣の御発言がございまして、大変心強く思うわけでございます。  効率の問題、そしてまた受益者の数が多いということにおいて効率化とみなすというような面も言われておるところでありますが、どこに住んでおりましても生活の向上を図らなければいけませんし、特に全国の均衡ある発展を志していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  時間もございませんから、地元の問題を一、二聞かせていただきたいと思いますが、高速道路一万一千五百二十キロの計画の中で五千四百キロほどの完成を見たところでございますが、我が東北におきましては、まだまだ整備促進をしていかなければいけない地域がございます。特に、先ほども申し上げましたように、太平洋岸と日本海を結びつけるという横断道路、この必要性が叫ばれ、そして今着々と促進されてきておりますが、福島県は平成七年に国体開催県になっております。そういう意味で、平成七年の完成を目指して地域も協力をしてきておるわけでございますけれども、磐越道の進捗状況がわかりましたら、お伺いをさせていただきます。
  80. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございました磐越自動車道でございますが、お話がございましたように、南東北地域の振興発展に大変大きな役割を担っている大変重要な路線だというふうに考えているところでございます。  それで、この磐越自動車道につきましては、全体で二百十三キロあるわけでございますが、もう既に会津坂下と郡山ジャンクションの間、六十一キロでございますが、これが供用済みでございます。現在事業を進めております区間のうち、常磐道のいわきジャンクションから東北縦貫自動車道の郡山ジャンクションの間、この七十二キロにつきましては、もう既に用地買収が完了いたしまして、文化財の調査等も終わりまして、全面的に工事に取りかかっているところでございます。一部地すべり地帯等がございまして工事的にかなり難しいところもあるようでございますが、工事の促進に努めているところでございます。  また、北側の会津坂下から新潟中央間、この八十キロにつきましても、ほぼ用地買収が完了しておりまして、工事に着手しております。ここもトンネル等の構造物が大変多い区間でございましてやはり工事に時間を要するところもございますが、工事の進捗を鋭意図ってまいりたいというふうに考えております。  お話がございました平成七年度の福島国体ということでございますが、私どもといたしましても、磐越自動車道の福島県内につきまして、東北縦貫自動車道から東側に、また常磐自動車道から西側にというような形で供用を図っていきたいというふうに考えておりますが、この福島国体までにすべての区間を完了するというのは難しいようでございますけれども、できる限り長い区間が供用されるように、積極的に事業の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  81. 田中直紀

    田中(直)委員 磐越道の完成につきまして御尽力をいただきたいと思います。  そしてまた、太平洋岸におきます常磐自動車道も、おかげさまで、いわきまで完成をしたところでございます。いわき管内でも、あと四倉、久之浜のインターまでの完成が急がれておるわけでございますし、何といっても太平洋岸の高速道路として、冬場といいますか、積雪が大変少ない、こういうこともございまして、大変利用率の高い六号沿いの常磐道であります。相馬まで七十五キロの区間が残っておるところでございますけれども、常磐道の建設促進につきましても、なお一層の御尽力をいただきたいと思いますが、今後の御予定をお伺いいたしたいと思います。
  82. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございました常磐自動車道につきましても、大変重要な路線でございます。現在、いわき中央インターまでの間につきまして、東京からいわき中央インターまでの間でございますが、供用しているわけでございますが、これから先につきましては、既にいわき中央インターからいわき四倉インター間、これを現在事業を進めておりまして、第十一次道路整備五カ年計画期間内に供用を図りたいということで、工事を進めております。  また、いわき四倉から富岡町の間、この間については整備計画が策定されておりまして、現在施行命令を待っているわけでございますが、この施行命令につきましても、できるだけ早期に施行命令を発し、事業着手できるように努力してまいりたいというふうに考えております。  また、基本計画が、富岡町からその先の亘理町までの間、七十八キロについて基本計画策定区間でございますが、この区間につきましては、整備計画の策定に向けて調査を進めておりますし、また、予定路線の区間の亘理町の以北の区間につきましても、基本計画の策定に向けまして努力をしているところでございます。  いずれにいたしましても、大変重要な路線でございますので、できるだけ早期の供用に向けまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  83. 田中直紀

    田中(直)委員 よろしくお願い申し上げます。  最後に、結びになりますけれども、先ほど金子議員も、日米建設協議の問題につきましては詳細にわたってお話がございましたけれども、一言つけ加えさせていただきますと、確かに日本においては、貿易黒字というもので膨大なものになってきております。市場開放の圧力というものがそういう意味では大変強くなってきております。  従来、我が国は、内需拡大をしてこの貿易アンバランスを解消していく、こういうことで努力をしてきたわけでありますけれども、残念ながら、貿易不均衡というのは大変増大する一方である、こういう中での不景気の状況下に立ち至った。  そういう意味では公共事業一つの大きな柱になるわけでありますけれども公共事業を一生懸命やっても、なかなか対外的な貿易黒字の問題は解消しない。そういう意味では、大臣、大変御努力をしていただいておるわけでありますが、今こそひとつ他省庁に働きをかけて、この景気の浮揚の問題と貿易不均衡の問題というものを切り離して、そして、何とかこの際貿易不均衡というものを解消していくことが日本の世界に対する貢献もできていくということではなかろうかと思っております。  そういう意味で、公共事業執行に対して御努力をいただきたいと思いますし、一方、その中で、日米建設協議制裁期限を突きつけられまして大変御苦労されておるわけでありますが、何とかこの日米建設協議を、屈することなくしっかりした交渉をしていただいて、そして来年に延びておる交渉期間がございますが、この問題も後で悔いが残らないような対処をしていただきたいと思います。  大臣、御所見をお願いいたします。
  84. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 この日米建設協議に関しましては、御案内のように、先般この行動計画の骨子をまとめまして発表させていただきました。  これに関して、アメリカ側が直ちに好意的な反応が伝えられまして、この点につきましては、当然のことではありますものの、うれしく存じているような次第であります。しかし、これで全く解決を見たというものではなくて、御承知のように、一月二十日まで制裁期限を延ばしたという筋のものになるわけであります。  我が国としては、いずれにしても、こういう制裁期限そのものが一方的なアメリカの設定によるものであって、このことを我が国が承知しているというものではないのでありますが、しかし、今日の日米間の大局的な意味からの協調という面で考えますと、この際、我々としては、しかも検討中の入札制度等の改善方向と合致する方向でもありますので、年内にまとまった中建審特別委員会の答申を踏まえ、アメリカ側にも、完全な問題の解決のために、年明け早々あるいは年内暮れにもかけて努力をしてまいりたいと思うのでありますが、その場合、御指摘のように、我々としては、アメリカの余り一方的な意見をただ聞くというのはもとより適当なことでないわけでありまして、きょうも午前中の質問に対するお答えで申し上げましたように、例えばMPA特例制度に関する問題であるとかアメリカ側要求であるいわゆる結果重視の数値をそれぞれ出していこうというような問題であるとか、こういうようなことは、だめなものはだめときちんとしながら、しかし、先ほど申しましたように、積極的に協調していくべき点は対応して、この機会国際化への努力をしていく、こういうことであろう、こういうぐあいに思っております。
  85. 田中直紀

    田中(直)委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  86. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、野田実君。
  87. 野田実

    野田(実)委員 大臣、朝から御苦労さまでございます。また、私の質問におつき合いをいただきたいと思います。国土庁長官、お疲れさまでございます。  私は、いろいろお聞きしたいことがあるわけでございますが、今までの皆さんの質問とダブる面があるかもしれませんが、細川内閣が誕生しました後、この公共事業をめぐりまして、自民党内閣と若干ニュアンスが違うのじゃないかというような感じがします問題について、主としてお尋ねをしたいと思っております。質問時間が短うございますので、どうか簡潔で結構でございますので、よろしくお願い申し上げます。  一つは、何人がから質問が出ましたけれども、いわゆる公共事業のシェア問題ですね、これが予算編成を控えましてにぎやかになっておりますので、私は改めて少し詳しくお尋ねをしたいと思います。  両大臣ともたびたび外国へ行かれたりすると思うのですが、海外、ヨーロッパ、アメリカに行かれて、一番最初にお気づきになられたことは何でございましょうか。私は、やはり空港が立派であるというようなこととか、あるいは道路が一番完備しているというようなこと、建設大臣の所管ではないかもしれませんけれどもアメリカの、飛行機の上から眺めましたら、農地がきれいに区画整理できているというようなことを感じます。特に、ヨーロッパでは、東欧が共産圏として存在した時代からウィーンからチェコまで通じる高速道路ができ上がっているとか、あるいはアウトバーンに象徴されますように、ドイツの高速道路も完備している。  翻って我が国を考えてみましたときに、本当に道路網の整備というのはどうしてこんなにおくれているのだろうかということを私は痛感をしております。聞くところによりますと、パリの下水道は中世の時代にでき上がった。恥ずかしい話でありますけれども、我が県の普及率は四%でありまして、どうしてこんなに少ないのだろうかというようなことを思っております。そういう意味で、私も建設行政というものに対して、委員会に入れてもらいまして、積極的に一緒にやらしていただいているわけでございます。  そこで、この社会資本の整備がおくれているということの理由なりいろいろあると思うのですが、まず一番最初に大臣にお尋ねしたいと思いますのは、この社会資本の整備というのは、これは大臣御存じだと思いますけれども、概念としては公共事業の概念とはまた違うわけでございまして、社会資本といいますと、ガスとか電力、あるいは民間、NTTの施設とかやはりこれも社会資本に入るわけでありますけれども建設大臣の所管しておられる公共事業、これも社会資本の整備の一番重要な分野であることは御承知のとおりであります。  そこで、最初に大臣に、建設大臣として、この公共事業、この社会資本整備の中で、公共事業というのは、中央地方政府を通じて、政府の金でやるわけであります。そこのところの考え方がまず必要だ。公共事業を国の金であるいは地方の金でやることが社会資本整備の中で一番大事なんだ、かどうかわかりませんが、大臣の御所見をまず承りたいと思います、簡潔で結構ですから。
  88. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 私どもも、諸外国に行って御指摘のような印象を非常に受けるのであります。殊に、抽象的に国がいいとか悪いとかというのじゃなくて、どこに行ってもここはいい国だなと思うときには、やはりそこの町で、いい町だな、すばらしい町だなと思うことがそのままいい国だなということになるわけであって、そんな意味では、我が国も相当そういう面では今日まで歴代内閣の御努力で前進したとはいえ、御指摘のように、社会資本の面、公共事業の面ではまだまだ努力をしていかなければならぬことであろう、こういうぐあいに考えている次第であります。  社会資本全体の中で公共事業の占める役割というものは言うまでもなく極めて大事なものでありますし、今後もまたそういう意味では一層努力をしてまいらなければいかぬ。特に、きょうもいろいろ御意見がありますが、もう十年ぐらいいたしますと本格的な高齢化社会になるわけでありますから、やはりここ十年ぐらいが本当に力を入れていくところだというふうに存じておりますので、そのように努めてまいりたいと思います。
  89. 野田実

    野田(実)委員 基本的な認識は全く同じでございまして、今高齢化社会を迎えるまでの間、恐らく十年の間に、我が国にまだ余力のある間に、公共事業の施行あるいは社会資本の整備に、大臣におかれましてもぜひ全力を挙げていただきたいと思っております。  国土庁長官にお尋ねしたいのでございますけれども、国土の均衡ある発展を図るために全国総合開発計画なんかをおつくりになって、国土庁としてはそれを推進しておられるわけでございますけれども国土庁長官公共事業に関するお考えを承れればありがたいです。
  90. 上原康助

    ○上原国務大臣 基本的には今建設大臣がお述べになった、お答えになったとおりだと思うのですが、御指摘のように、国土庁としては、国土の均衡ある発展、多極分散型の国土利用ということを基本にしておりまして、やはり公共投資による社会資本整備を計画的に推進していくには、地域経済社会の均衡ある発展ということを常に念頭に置くべきだと私は理解、認識をしております。そういう意味で、第四次全国総合開発計画に基づいて交流ネットワークということを構想して、国土の均衡ある形成をやっていくように努力をしている。その具体的な事業を推進していくというのがまた公共投資だ、こう理解をいたします。
  91. 野田実

    野田(実)委員 両大臣とも全く私のお答えいただきたいようにお答えをいただきましてありがとうございました。  そこで、従来から公共事業の一番根幹的な事業ということで、戦後一貫して進められてきた事業として河川、水の問題、それから道路、それから構造改善、これは農林省の所管でございますけれども、この基本的な三つの大きな事業があるわけでございます。そのほかにもございますけれども、時間の関係でこの三つを取り上げさせていただきたいと思っております。  そこで、まず、大臣政治家でございますので、古今東西、古くから水を治めることが政治家の最大の役割であると私なんかはおじいさんから受け継いできたわけでありますけれども、お答えいただきませんが、恐らく大臣もそうだと思います。河川のはんらんあるいは災害、これは河川から発生するということでございまして、水利事業、河川改修は、古典的ではありますけれども公共事業の中では本当に大変大事な事業だと思っております。そのことについて大臣はどうお考えかということをお聞きしたいのです。  さらに、河川改修あるいは水利事業、こういう事業は年度によって大幅に減らされたりすることは余りよくないのではないか。やはり時間もかかりますから、着実に、年々同じようなペース、あるいは減らされないままで事業を行っていくことが大事なのではないかと私は思っておりますが、大臣、いかがでございますか。
  92. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 我が国三千二百の地方自治体、市町村があるわけでありますが、お聞きしますと、その三千二百の市町村のうち、約八割に及ぶ市町村が過去十年間に少なくとも一回の家屋浸水などの被害を受けているということなんですね。そういう点から見ると、私もこれは余りよく存じておらなかったのでありますが、しかし最近お話を聞くとそういうことで、依然として我が国の場合の治水水準というのはまだ低い。しかも、これは御指摘のように、これを整備する上では計画的に、長期にわたってしっかり整えていかなくちゃいけぬのでありますから、これは年によって減るというようなことではなかなかうまくないのではないかと思います。  また、今度の鹿児島の災害等で特に急傾斜地の対策が非常に大きな問題になっておりまして、この間私行きましたときにも、本当に山際のところにうちがずっと張りついておりまして、これはこの後またいつどうなるかという気持ちで非常に心配してまいったところでもありますが、やはりこの種の対策にしてみても相当な金を入れているのでありますが、しかしとても長期にわたって整えていかなければならぬ、巨額の投資も必要なことでありますから、これらも、災害があったから二、三年ばっとやって、後は一休みするなんというものではなくて、やはり毎年しっかりと投資を続けるということが必要でないかと思う次第であります。
  93. 野田実

    野田(実)委員 次に、地方の時代という言葉を最近よく耳にするわけでございますが、地方の時代、地方の活性化あるいは多極分散型国土の形成、これを図っていこうということになりますとどうしても道路網の整備、これがもう本当に必要でございます。大臣におかれても同じお気持ちかと思いますけれども、私たちも、地方の出身の国会議員として、道路網の整備こそがこの地方の時代にこたえ得る方法、唯一と言ってもいいほどの大きな要素ではないかと思っております。  そこで大臣、私のように考えていいかどうか、あるいは大臣も同じようにお考えかと思いますけれども、御所見を承りたいと思います。
  94. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 こう申してまいりますとどれもこれも大事ということになるのでありますが、しかしまあ御指摘のように道路も、これは総理府の世論調査におきましても、せんだってある新聞社の各県知事に対する意向調査でいきましても、一番要望の強いのは道路ということでありまして、これはもう殊に地方道路というのはまだまだ整ってない点が多うございますものですから、力を注いでいかなければならぬものであろうと思います。
  95. 野田実

    野田(実)委員 もう一点、農村の整備あるいは農村での生活の豊かさのために構造改善、御承知のように農林省の構造改善事業というのがございますけれども、これもまた大変大事な公共事業一つとして進められてきております。これは建設大臣所管じゃございませんので、できましたら国土庁長官それから農林省から御所見を承りたいと思います。
  96. 橋本正

    ○橋本説明員 御説明申し上げます。  農業及び農村の健全な発展と活性化を図るためには、農業の近代化を図るとともに生産基盤と生活環境の一体的な整備を進め、若者の定住する快適な農村整備を進めることが緊要であると考えております。  このため、農林水産省といたしましては、農業の生産基盤と農村の生活環境を整備する農業農村整備事業を積極的に進めているところでございますが、今後とも農業、農村の果たす役割の重要性にかんがみ、生産基盤の整備をより効率的に実施するとともに、農村地域のよさを生かしました生活環境の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  97. 上原康助

    ○上原国務大臣 地方の時代あるいは農村を含めての均衡ある発展というか国土利用というのは、当然国土庁としては絶えずそれを念頭に置いてやっておりますし、今御指摘の農業改善事業、構造改善という面でも、やはり農村、農民の生活基盤と生産基盤との一体性に絶えず留意をして、総合的、計画的な観点から推進をしていくということが大事だと思うのです。  このため国土庁においては、農村の総合的な整備に関する市町村の、今農水省からお述べありましたが、構想を明らかにする農村総合整備計画の作成について指導助言をしながら、関係省庁及び地方公共団体の協力も得ながら推進を図っているというところでございます。
  98. 野田実

    野田(実)委員 今治水事業それから道路、構造改善事業、三つの大きな公共事業についてお尋ねをいたしました。そのほか下水道やあるいは住宅いろいろございますけれども、両大臣からのお答えをちょうだいしましたら、この三つとも大変大事なことである、力を入れてやっていこうという御答弁でございました。  そこで、一番大きな柱の三つが大変大事だというお答えをいただきました。そうなりますと、これは予算を減らすどころか、やはりこの三つをふやしていかなければいけない。大臣も恐らく今そうしようと思っておられると思うのです。お答え要りませんが、恐らくそういう決意であろうと思います。そうなりますと、細川内閣ができまして、総理が所信表明におきまして、公共事業のシェアを抜本的に見直すんだということを発言をしておられます。  そうしますと、どこを減らすんでございますか。三つとも大切です。一番大きいわけです。しかも、河川については長期的に、計画的にやっていきたい、地方の発展のためには道路はぜひとも必要である、農村のためには農業構造改善も必要である、こういうお答えをいただいたわけでありますが、消費関連あるいは生活関連という考え方に立って、そういうのをふやしてこの三つを減らしたい、ここを減らさなかったらシェアが減らないわけでございますね。大臣、どうされるのでございますか。
  99. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 私は、やはりシェアというものは、総理の言われるように余り固定的に考えるべきではないだろう。それで、もう毎年毎年初めからパーセントが決まっちゃっていて、その枠内でおさめていくというのもやはりいかがなものかというふうに思うのであります。  それは、結果としてそれに近いようなことが出てくることは当然あるものであろうと思いますが、考え方としては、やはりきちんと下から必要な行政を積み上げていって、しかもその時代時代で国民のニーズも、あるいは国から見ての必要性というようなものも変化があるべきものでありますし、そういう点は、そういう目でしっかり新鮮に一つ一つの行政の対象を見詰めて、そしてアクセントをつけながら、しかもバランスをとって全体の行政を進めていくべきものであろう、こういうふうに実は思うのであります。  ですから、そこは今御指摘の三つもしっかり踏まえて我々は大事なものとしてやってまいりたい、こういうぐあいに思いますが、基本的な考え方としては今申し上げたようなことであります。
  100. 上原康助

    ○上原国務大臣 今建設大臣おっしゃるとおりの認識ですが、総理がおっしゃった生活者重視というのは、やはり地方の方々も含めて生活を、いろいろな社会生活を営んでいるわけですから、当然それも念頭に入れての御発言だと私は理解をしておりますし、ですから、国土庁という立場、あるいは私も田舎出身ですから地方のことには人後に落ちない関心と努力をしている一人だと自負しておりますので、今先生指摘のように、シェアの問題は長いタイムラグで見ると変動もあるし変化もあるわけですが、先ほど御指摘の三つの柱については十分念頭に入れて予算の確保というものも、またいろいろシェアも考えなければいかない課題だと思いますし、細川首相もそういう御理解というか御認識は十分持っていらっしゃるものと私たちは閣僚の一人として考えております。
  101. 野田実

    野田(実)委員 両大臣のお答えをお聞きしましたら心配は何もないわけでありますが、一般に心配されておりますのは、どうもこういう事業が減らされるのではないか、これは建設省が言っているのではないですよ、私たちが心配をしているのでありまして、何も役人に質問せいと言われたわけではありませんで、やはり哲学としてそういうものが必要だということであります。  今長官がお答えいただきましたように、十年タームぐらいで見ましたらそれは減ったりふえたりしているわけです。それは時代の要請でありまして、私はそうあるべきだと思っておりますけれども、しかし、内閣がかわったらすぐにシェアを見直すのだ、これはどうかなと思います。五年ぐらい細川内閣が続きまして、まあ、道路がちょっと減ったかふえたか知りませんが、そういうことが起こり得る可能性はあると思っております。  しかし、急に生活様式が変わるわけではない、国民のニーズも変わるわけではございません。内閣がかわったからといって、内閣も継続しているわけでございますし、国民のニーズも継続しているわけです。消費者のニーズも継続しています。しかも、地方にも消費者というものがおるわけでございまして、そういう意味では、この年からシェアが急に変わるのだ、初めにシェアありきという議論はおかしいのではないか。  今お答えいただきましたので、同じお答えになるかと思いますけれども、もう一度その決意のほどをお聞きしたいと思います。
  102. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これは、先生はもう専門家でありまして、我々はお答えするのは恥ずかしいくらいのものであります。  ただ、しかし、内閣がかわってというよりは、私も先ほど申し上げたような趣旨からいえば、一年一年やはり新しい視点でとらえていくべきものだろう、こういうふうに思うのであります。まして三十八年ぶりに政権がかわるということになりますと、そこで、新政権としてもこれは新しい目で、この際ひとつしっかりすべてについて点検してみようというのは、私は妥当なことではないかと思うのです。しかし、そういうことが、さっき御心配の三つの点がばっさり少なくなるのではないだろうかというようなことに真っすぐつながるというようなこととは我々は思っていないのでございまして、ただ、基本的には、つまり新しい目で見ていくことも大変大事ではないかというふうに思う次第であります。
  103. 上原康助

    ○上原国務大臣 内閣がかわったから公共事業なりそれに伴う財政をすぐ見直すという、これはそう簡単にはいかないと思うのですね。もちろん、予算全般の検討なり財政状況も考えなければいけませんが、やはり基本は、時代のニーズにこたえてどう地方を含めてバランスのとれた公共投資なり予算というものを編成をしていくかというのが基本だと思います。  私も、これは余談で申しわけないのですが、余計かもしれませんが、閣内においても、生活者重視というとどうも大都市圏だけが重視をされるイメージを国民に与えて、今先生も御指摘で、困る、やはり地方も大事にするのだというイメージを私たちは常に持つべきだということを主張しておりますので、私は微力ですが、できるだけ地方のことには配慮をしていくように努力をしたいと思います。
  104. 野田実

    野田(実)委員 両大臣の御答弁をいただきまして、本当に何も申し上げることがなくなってまいりましたが、問題は大蔵省でございまして、きょうは大蔵省に来ていただいておりますので、ちょっとこのやりとりを踏まえてお答えをいただきたいと思います。
  105. 丹呉泰健

    ○丹呉説明員 お答え申し上げます。  社会資本の整備につきましては、これまでもその着実な推進に努めてきたところでありますが、高齢化社会が本格化する二十一世紀を間近に控えまして、従来以上に重点的な投資を行う必要があると考えております。  六年度予算における公共事業の配分につきましては、具体的には今後の予算編成過程において検討していくことになりますが、社会経済情勢の変化や国民ニーズを踏まえまして、国民生活の質の向上に資する事業により重点を置いていきたいと考えておりますけれども、いずれにしても、ただいまの先生の御意見も念頭に置きつつ、建設省初め関係省庁とも十分相談してまいりたいと思っております。  なお、公共事業の重点的配分につきましては、これまでも生活関連重点化枠を設けるなど、毎年度その見直しに努めてきたことを御理解いただきたいと思います。
  106. 野田実

    野田(実)委員 大蔵省におかれましては、私の質問よりも、両大臣がお答えになられましたこの必要性を十分踏まえて予算編成に臨んでいただきたいというお願いを申し上げます。  それから、両大臣におかれましても、内閣におきましてそういうシェアの見直しとか、あるいはこうした事業をもっとほかの事業に回そうではないかというような議論が出てまいりましたら、ぜひきょうの御発言を思い出していただきまして、活躍していただきますことを心から念じております。  それからもう一点、まだ具体的になっておりませんが、地方の時代とか地方分権ということが最近よく言われております。官房長官などもよく口にする言葉でございますけれども、このことと建設省との関係について一、二お尋ねをしたいと思っております。  どういうことかといいますと、地方分権ということ自体明快な定義が、一体何を地方分権と、あるいは地方に移すのだということをよく言われるのですが、明確な定義はまだ内閣からも示されておりませんし、議論が詰まっていないと私は思っています。  そこで、かみ合う議論になるかどうかわかりませんが、要望の形になるかもしれませんが、今建設省の行っている事業のやり方、これは、建設省所管として直轄、あるいはいわゆる国営でございますね、国営で道路をつくったり、あるいは河川を改修したり、国のみずからでやる仕事、それから県がやることに対して補助をするやり方、いずれにしましても建設省がかんでいるわけでございます。  これが、今まで長い間均衡ある国土の発展という観点からそういうやり方をしてきたのだと思うのですけれども、しかし、地方の時代あるいは地方分権ということになりますと、一体こうしたやり方がどう変わるのか、あるいは変えるのがいいのか悪いのか。大臣はどういうようにお考えか、御所見を承りたいと思います。
  107. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 今いろいろ分権で問題になりますのは、例えば一つは、国の地方に対する関与、これは強い関与、あるいは弱い関与、関与の仕方も極めて多様で、用語の上でも二、三十はあるのではないかと思うのですが、そういういろいろな関与がある。あるいは、特にいろいろ言われるのは機関委任事務の問題。これもなかなか、長い間臨調・行革審等で、あるいは地方制度調査会等でそれぞれ議論が続けられているところでありますが、しかし減らないでむしろふえているというような問題であるとか、補助金も御指摘のとおりですね、あろうと思います。  いろいろあるのでありますが、ここにきて一番分権が言われているのは、やはり昔と違って、もう地方自治体もかなり行政に習熟をして、それぞれ個性のある、しっかりした主体的な仕事を進めるような能力も持つに至ってきた。一方で、東京の一極集中が激化して、今や首都移転もしなくてはだめだというようなことにもなってきている。かつまた、いろいろ価値観が多様化してきている中で画一的に中央がすべて地方におろしていくというのはいいのだろうか、もっとそれぞれの地方の個性を生かして、おもしろい仕事がどんどん、現にかなりそういう兆しもあるわけでありますし、そういうものを育てていくべきではないだろうかというようなことなどが、総体として、今日の分権論というものを強く世論として大きく広めているものであろうというふうに思うのであります。  最近の議論でもございますように、基本的には、一体国の仕事はどの範囲あるいは都道府県の仕事はどの範囲で、市町村はどの範囲だというそれぞれの任務分担というもの、これをまず明確にしていこうではないか。しかもその発想の基本にあるものは、やはりできるだけ住民の暮らしに関係したものは住民の間近なところでやっていってもらおう、ややそれの広域的なものは都道府県で補っていく、国は、できればそういうようなものはみんな地方に任せながら、しかし根幹的な行政について、防衛だとか外交だとかあるいは社会保障であるとか、我々の仕事でいえば国土をしっかりつくっていく上での根幹的な方針や仕事であるとか、そういうようなものに限ってやっていくべきではないかというところが最近の分権論の大きな流れではないかというふうに思うのであります。  御承知のように、今回行革審の答申等もございまして、それを踏まえながら大綱を向こう一年ぐらいでつくる、かつそれに基づきながら基本法的なものもなるべく早くつくっていこうではないかということで、一万各党でもこの議論は党の政策としてそれぞれお進めいただいていて、基本法的なものも各党とも出そろった感じで、この前は国会でも地方分権の決議を、これは衆参ともに始まって以来の決議であったのでありますが、そういうこともできた状況でありますので、私は、やはり分権というのは進めていくべきであろう。  建設省としても、この前来都市計画に関することなどいろいろ地方に既に譲っているところでありますが、地方で自主的に計画を立て、自主的に進めていくにふさわしいものは最大限地方におろしていくということが私は必要ではないか、こういうぐあいに思っているところであります。
  108. 野田実

    野田(実)委員 抽象的といいますか、理念として大臣のおっしゃっておられることに異存はございませんが、建設省所管に限って考えてみましたときに、今の建設省の所管の公共事業について地方に任せてそれでやったらいい、果たしてそうだろうか。  道路の話から入りますと、今まで例えば県道をつくる、市町村道をつくる、これはまさしく県なり市町村が計画を立て、それに対して補助金を差し上げるというやり方をしているわけでございますね。あるいは河川改修にしましても、これは計画的にここを直していきたいな、計画を立てて、それに対して建設省としては、それはいいじゃないか、それでお金をあげますよという形でやっているわけでございまして、建設省の所管について、この前の中核都市のような法案、ああいうことでございましたら、各地方ごとに考えて計画を立て、そして創意工夫して何かやりなさいということは、これは当てはまると思うのですけれども、先ほどからお尋ねしております公共事業そのものに関して、これは余り地方分権というようなことは起こらないのじゃないかな。逆に言いますと、今でもやっているのじゃないかな。大幅な変更というのはどう考えたらいいのか、考えられないのじゃないかなという感じがしております。いかがでございますか。
  109. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これはもう委員御承知のことだろうと思うのですが、最近の状況をちょっと見てみましても、建設大臣から都道府県知事に移譲しているものとしては、平成三年に宅地造成工事規制区域の指定権限を譲っているわけであります。それから平成五年には、用途地域及び十ヘクタール未満の緑地保全地区に関する都市計画を定める市町村の範囲を拡大することについて、都道府県知事からこれは市町村に権限移譲するようにしているわけであります。さらにまた平成五年には、今年でありますが、用途地域内における建ぺい率、外壁の後退距離の限度、あるいは建築物の敷地面積の最低限度、建築物の高さの限度の変更、これらを建設大臣の認可の廃止をさせていただいています。さらにまた、集団住宅が二千戸未満の一団地の住宅施設に係る都市計画の決定、変更に関しても認可を廃止をして地方に全く任せてしまうというように、次々に従前もやってきているわけであります。  個々の事業につきましても、やはりそういう目で見て可能なものは地方に任じていっちゃう、もう細々したものをあれもこれもというようなことで中央の諸官庁が統括して一々指示を出していくというのはそろそろ改めるべきであろう、私はこういうぐあいに思うわけであります。
  110. 野田実

    野田(実)委員 ちょっとかみ合ってないような感じがいたします。  私のお尋ねしたいのは、道路とか河川とかそういう――お答えになられたのはいわゆるソフトの面、そういう面でございまして、それは大いに結構だと思うのです。もっとはっきりした言葉で申し上げればお金の問題でありまして、私は、大臣のお答えいただいているのはそのとおりだと思うのですが、今中央、建設省なら建設省で予算を各都道府県あるいは市町村に補助金なりなんなりの形で配分し、あるいは直轄で仕事をしているわけでございますね。これのやり方が地方分権になれば変わるのかどうかという点に関心がございます。  これは私の意見でございますけれども、国土の全体、日本全体の均衡ある発展を考えましたら、地方に余り任されましたら、計画を出してもらうのは結構ですけれども、予算配分なりなんなりについて建設省の権限を全部地方におろしますよ、好きなようにおやりなさいと言われましたら、これはもうまさしく富裕県だけが仕事ができるようになるわけでありまして、地方、いわゆる農村、地方ですね、そういうところは全く公共事業が進まなくなるわけでございます。  国土庁長官におかれましても、均衡ある国土の発展ということが念頭の一番大事な眼目でございますので、そういう観点からいいますと、やはり全国に目を光らせて、そういう予算という面あるいはお金という面で地方に光を当ててもらう、これはやってもらわないと、好きなように地方でおやりなさいと言いましたら、富裕な県は結構でありますけれども、貧乏な県はさっぱり進まないわけでありまして、これはお答えいただくのがいいのかどうかわかりませんけれども、とにかくそういうことをお願いを申し上げたい。両大臣いかがでございますか。
  111. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 もちろん根幹的な、例えば道路だとか河川だとか主要な根幹的な事業に関しては、これは国が直轄してやっていくというのはもう言うまでもないことであろうというふうに思いますが、私どもが今申し上げましたのは、まさに地方が自分でやれる仕事、しかしそういうものでありながら国が関与し、さまざまに細々と指導しているというものが随分あるのでないだろうかという点を申し上げたところであります。  それから、富裕県だけに財源が集中してというのは、これはそういう懸念は全く仰せのとおりであろうというふうに思います。ですから、分権の場合に必要なのは、権限を渡すことと財源を渡すことと、もう一つ言えば適切な人間の再配置という、人材の再配置というようなものもあるのではないかと思いますが、これは、特に財源の権限とあわせての配分、再配分というものは、もうもとより必要なことだろうと思います。  殊に、今分権論が言われている、国と都道府県と市町村の仕事を分けよう、再配分しようという場合に最も重要なのは、それとあわせて、税財源を同時に仕事にあわせてきちっと再配分する、これなくしては、地方では仕事だけもらって財源がないではもう話にならないわけでありますから、そういうことは不可欠のことであろうというふうに思いますし、まして富裕県とそれから貧乏な自治体とのバランスをどうとっていくかということなどは、これはもう言うまでもなく一番大事な問題であろうというふうに思います。
  112. 上原康助

    ○上原国務大臣 地方分権論からのお尋ねですが、私は、地方分権については、先生先ほど御指摘のように、まだ確たる定義なりあるいはそのコンセプトというものが確立をされていない嫌いがあると思うのですね。そういう分権論が出たのは、余りにも中央集権過ぎると地方自治体の行財政を含めての権限なりが地方の個性を生かした都市づくりなり振興ができないという面から出てきていると思いますが、その点は大事にすべきだと思うのです。しかし、国土の均衡ある利用を図っていく上では、やはり富裕県よりも、より財政的にもいろいろな面でハンディの多い地方なり県というものを重視をした形で、公共投資の地方圏への適切な配分ということを確保するということが大事だと思いますので、国土庁としては、もちろん大都市圏も重視をしなければいけませんが、その考えというか認識は常に持ちながら、先ほども申し上げましたように、地方ということを大事にしていきたい、こう考えております。
  113. 野田実

    野田(実)委員 この議論はまだ始まったばかりといいますかこれからの議論でございますので、両大臣も私がお願いしたいことは十分おわかりいただいているようでございますから、今後いろいろな場面におきまして議論をされますときに、地方もお忘れなく十分配意をしていただきまして議論をしていただければありがたいと思います。  それから最後に、少し次元の違う話で恐縮ですが、高速道路のインターの問題というものについてお尋ねをしたいと思っております。  これはどういうことかといいますと、高速道路網が全国に進んでいく、そうなりますと、高速道路というものは、都市部でございますと、おりましたところから道路が比較的完備しておりますから、おりるところの距離が長くても十分活用できるわけでございます。ところが、地方に行きますと、なかなかこのインターがないと、隣の遠い町まで飛んでしまいまして、これは大臣のところはどうか知りませんが、そういうところがたくさんございます。私もいろいろな県の方から承りますと、インターをあちこちにつくってくれという意見をよく聞くわけでございます。  そこで、今までインターというのをどうしてあちこちにつくれないのか、まずそれから、局長で結構ですから、承りたいと思います。
  114. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 高速道路のインターの設置でございますが、今お話がございましたように、高速道路の場合は専用道路ということでございますので、どうしてもインターチェンジからの利用ということになるわけでございます。私どもといたしましても、やはりできるだけ地域にとって利用しやすくなるように、これが第一でございますので、そういう考え方をまず大前提にいたしまして、ただ、高速道路につきましては有料道路でございまして、採算性という問題もございますし、それから至るところにインターチェンジを設置するということはなかなか難しいところがございます。  そういうことで、インターチェンジの計画に際しましては、今申し上げました地域にとって利用しやすくなるということを前提にいたしまして、インターチェンジを利用する地域内の人口であるとか、あるいはそのインターチェンジの利用交通量であるとか、あるいはインターチェンジの間隔であるとか、あるいは主要な飛行場とか港湾とか国際観光上の重要な箇所との連絡のしやすさとか、そういうものを総合的に勘案いたしまして決定しているところでございます。
  115. 野田実

    野田(実)委員 実際問題として、インターからインターまで遠過ぎまして、便利じゃないんじゃないかという意見も出てくるわけです。確かに、観光とか、あるいは遠くの人がトラックで輸送する、そういう場合は高速道路が便利なんですけれども、その地域を通る人たちにとってみれば、そばを通っているのに乗れないじゃないかというような問題。恐らく長官のところも似たような話があるのではないかと思いますけれども、こういうのはインターを公共事業方式でつくってあげたらどうかな。有料道路の形でつくらなくても、公共事業として、例えばそこにちょっと盲腸のように国の金でインターをつけてあげる、あるいは県道としてつける、市町村道としてつける。そうすれば、そう長い道じゃございませんから、大変地域の人たちにとって喜ばれる話じゃないかなという感じを受けております。  そういう方法をなぜとれないのか。私も、質問は初めてですが、たびたび建設省に何年間がこれを言い続けているのですが、どうしてもうまく前向きに進まない。つらつら考えてみますと、どうも自治省が問題あるんじゃないかということを、これは建設省に聞いたわけじゃなくて、どうかなと自分で思っております。きょうは自治省に来ていただいておりますので、これをどうして自治省は進めてくれないのか。県なり町村でインターをつくって、それは自分の町の便利のためだから地方道でつくるよ、こう言えば簡単に済む話でありまして、どうしてこれができないのか自治省に承りたいと思います。
  116. 林省吾

    ○林説明員 お答えをさせていただきます。  御案内のように、現在、高速自動車国道の整備は、高速自動車国道法におきまして、運輸大臣及び建設大臣の定める整備計画に基づきまして日本道路公団が行うこととされておりますし、インターチェンジの設置につきましても、同法に基づき、建設大臣が許可して整備することとされておりまして、連結される道路道路管理者の判断のみによって整備を行うことはできないもの、こういうことになっております点を御理解いただきたいと思います。
  117. 野田実

    野田(実)委員 道路にしましても、一番最初に質問をさせていただきましたように、やはり国民のニーズが先にあって、そのために道路をつくっているわけでございますから、そういう希望があれば、自治省にしても建設省にしても、まさしく新内閣の言っている国民のための道路でありますから、やはりそういうインターをつくってくれと言えば、方法を考えるのが中央官庁の役割ではないか。  建設省に聞きたいのですが、このことを自治省と議論したことがあるのですか、ないのですか。
  118. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 このことについて具体的に自治省と議論したことはございませんが、今先生から御指摘あったように、やはり高速道路を利用するのは地域の方でございますので、地域の方にできるだけ利用しやすいようにという配慮は十分私どもとしてもやっていかなくてはいけないというふうに考えております。  それで、今もお話がございましたが、このインターチェンジにつきまして、既に供用している道路につきましてインターチェンジを新たに設けてほしいという要望は大変たくさんあるわけでございます。そういう中で、私どもといたしましては、もう先生御存じのところかと思いますが、いわゆる民間活力を導入しよう。それで、採算性の問題等もございますので、この追加インターチェンジにつきましては、民間活力を導入した開発インターチェンジの制度を積極的に活用して、そういうことで地域開発の促進あるいは利用交通量の拡大というのを図っていこうということで、現在のところは開発インターに限定して追加インターというのを設置しているという状況でございます。
  119. 野田実

    野田(実)委員 お答えはよくわかっています。なぜ公共事業でやるかということを最初に大臣にお尋ねしたのです。それであれば何も公共事業でやる必要はないのです。全く民間で社会資本をやればいいのです。なぜ公共事業が大事か公共事業道路なり河川なり、これからも大事だということを大臣もお答えになったのです。ですから、それは公共事業でやらないと、民間だけではやれないのです。民間でやれるのは民間にやってもらったら、それはやはり民間事業としてやれる分野が社会資本の整備の中でもあるわけでございまして、一番最初にお尋ねしたのは、公共事業、国の金なり地方の金でないとできないから公共事業でありまして、それを一生懸命整備していくということを大臣がお答えいただいたわけです。  道路局長、この今までの法律改正が要るという自治省の答弁、それからお答えになったような答弁も、開発インターという方式もわかりますけれども地方の生活者重視ということを大きな声で言われるのであれば、その生活者が使う道路なんです。産業用ではないんです。だから、そのことを大臣は踏まえていただきまして、これから私はこの問題は委員会でしつこく質問したいと思っております。したがいまして、きょうの答弁はそれで結構ですよ、自治省。ぜひ両省で協議をされて、大臣から御指示をいただきまして検討をしていただくようにお願い申し上げます。  長官におかれましても同じだと思います。沖縄におかれましてもこういう問題はあると思うのです。したがいまして、恐らく全国で何百カ所という要望があると聞いております。  それは、そういう要望に沿ってやるのがまさしく中央官庁の、地方分権などと言う前に、そういう国民のニーズにこたえてやることが中央政府の役割である。まずできることから始めたらいかがでしょう、大臣
  120. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 せっかくの御意見でございますので、よく検討をさせていただきたい、こういうふうに思います。
  121. 野田実

    野田(実)委員 どうもありがとうございました。
  122. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、今村修君。
  123. 今村修

    今村委員 社会党の今村です。  大手ゼネコンの不祥事が相次いで、後を絶たない状況が続いているわけであります。国民の批判が高まり、また国民からも、あきれてしまった、そんな言い方もされているわけであります。その要因は、政官業のもたれ合い、鉄の三角関係、こう言われる構造にある、不正を助長しかねない入札制度等にあると言われています。欧米諸国に見られない予定価格、工事完成保証人、それに共同企業体、天下りという慣習が談合を支え、政官業の癒着は、これらをわき役として、指名競争入札という主役が絡み合って成り立っている、こう指摘をする向きもあります。  この談合体質の改革こそ急務であり、これが改革されない限りこうした不祥事は後を絶たない、こう言われているわけでありますが、この認識について大臣はどうお思いになりますか。まず全体的な形でお答えをお願い申し上げたいと思います。     〔委員長退席、石井(智)委員長代理着席〕
  124. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 この間来の相次ぐ業界のトップ、企業の役員の逮捕あるいは発注者である地方自治体のトップの逮捕等につきましては、建設行政の監督の責任のある私どもといたしましては本当に残念に思うところであります。この機会に抜本的な改革を推し進めようということで、今入札制度の問題、あるいは省内における業務体制の問題、あるいは業界意識改革の問題、これらをあわせて、国会における政治改革議論とともに、なるべく早くしっかり整えて改善をし、国民の期待に沿っていきたい、こういうぐあいに思っているところであります。  今御指摘の幾つかの問題に関連した業界の談合体質につきましては、せんだって来のさまざまな事件内容等を知るにつけ、そういう点が業界内部に根深くあるということについて、私どもも非常に残念に思っている次第であります。このところは、今申し上げました全体の改革構想、その具体化という中でやはり特に重視しつつ、そういうことのないような全体の公共事業執行体制を整えるために全力を挙げてまいりたい、こういうぐあいに思う次第であります。
  125. 今村修

    今村委員 今お聞きした内容は、これからどう改革をしていくかということで、大変重要な課題だと思っているわけです。  政治改革が今進んでいます。それは、政治家に対する一つの規制、もう一つ業界に対する対応、もう一つは官界というこの立場に対する対応が出てきます。よくいろいろな事件が発生をするときに天下りの話がいろいろと出てくるわけであります。天下りの一番大きな効用は、業者から言わせると、予定価格を知るための保険を掛けた、こう言われるわけであります。この天下りを、こんな状況が出てきた状況の中で、今後どうしようとしているのか。自粛をしなさいという何か通達が出たとかという話は聞いていますが、この天下り問題をどう取り扱っていくのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  126. 伴襄

    ○伴政府委員 お答え申し上げます。  予定価格の漏えいとの結びつきのお話がありましたけれども、予定価格は、これはもう先生御存じのとおり、大変大事な情報でございますので、国家公務員法で守秘義務が課せられております。もちろん現役の者が漏らすわけございませんけれども、またOBの者が現役の者に漏らすようにするといったようなことをすることは当然できない、あるいはそんなことをしないというふうな考えてありますので、予定価格が外部に漏れているというようなことはあり得ないというように私ども感じております。  今御指摘のような民間への再就職でございますけれども、これもなかなか、退職した公務員が現役時代に培ったいろいろなノウハウあるいは経験、知識を改めてまた民間企業で活用する、生かすということは、本人もあれでございますけれども、その民間企業、民間サイドからも期待されている面がございまして、いわゆる職業選択の自由というような基本的人権との兼ね合いもありますので、したがって、その辺が中立第三者機関である人事院の承認というような手続でやっているわけでございます。したがって、一般的に公務員の民間企業への就職をすべて禁止するというようなことはなかなか難しいことでありまして、慎重に対処すべきだと思います。  ただ、御指摘のとおり、今回ゼネコン問題の中で、建設会社への再就職問題、これが業界に対する厳正な行政を行う上で障害になっているのではないかというような御指摘もあります。そこで、建設省としましては、天下りの自粛というのでしょうか、それを打ち出しまして、特に幹部職員が大手ゼネコンへ再就職するときには人事院の承認が要るわけでありますけれども、その承認申請を、当事者である本人あるいは建設会社の理解を得て自粛しよう、やめようというようなことを打ち出しております。  また、そのほかの職員につきましても、これは本人とそれから会社、両方から書面によって営業の業務に従事させないということを確約をとりまして、そういう厳しい措置を講じているところでございます。  種々いろいろ問題点もございますけれども、実は、昨日大臣から、業務執行改善推進本部を設けるようにという御指示を受けております。事務次官をトップにこの本部で検討しておりますが、その中でも、この再就職問題を初めとしまして、人事運用につきましてしっかりと検討させていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  127. 今村修

    今村委員 時間の関係もありますので、質問の内容が前後しますけれども、その点は御理解いただきたいと思います。  ビッグスリーと言われるゼネコンを含めて大変な不祥事を起こした、こういう状況になっているわけです。その不祥事を起こした会社、これに対する罰則が大変甘いのではないか、こう指摘もされるわけであります。この罰則について検討している内容があるのか。もっともっと厳しくする必要があるのではないか、こう思うわけでありますけれども、この点は一体どうなっていくのか。また同時に、取り締まるべき立場にある、先ほど天下りも指摘しましたが、建設省そのもののこの事件に対する責任というのはどう考えられているのか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  128. 小野邦久

    小野政府委員 相次いで明らかにされました公共工事をめぐる一連の贈収賄事件でございますけれども建設行政に大変大きな不信感を残しております。まことに憂慮すべき事態だと思っております。  今回の公共工事をめぐります一連の汚職事件につきまして、私どもといたしましては、当該企業の幹部役員等が逮捕された時点で、直ちに直轄工事の指名停止措置というものを厳正に行っておるところでございます。このような措置は、私どもだけではなくて、他の各省庁あるいは公団といったようなところ、あるいは全国に及ぶ地方公共団体といったようなところの発注者も同じような措置を講じているところでございまして、全国的に一定期間公共工事から締め出されるという大変厳しい措置だというふうに考えているところでございます。  事件発生後は、直ちに責任者を呼びまして、二度とこういうことのないように、綱紀の徹底、あるいは社内体制の整備というようなことにつきまして早急に対応を行うように、建設業法の規定に基づきまして勧告を行っているところでございます。  ただ、一連の今回の不祥事を踏まえますと、先生指摘のとおり、例えば営業停止あるいは監督処分の強化といったような問題につきましても、果たしてこのような現在のような状態のままでいいのかといったようないろいろな御議論もございますので、目下私どもといたしましては、中央建設業審議会特別委員会において、入札契約制度改革の一環としていろいろ御論議をいただいておりますので、その検討結果を踏まえて適切に対応していきたい、こういうふうに思っております。  それから、行政を預かる建設省としての責任の問題、こういうことでございますけれども、先ほど大臣からお話がございましたけれども、昨日私ども大臣から大変強い指示を受けておりまして、業務執行改善推進本部を設置して、国民に信頼される建設行政の確立にとにかく全力を尽くすように、こういうことでございます。早速推進本部等を設置をして、そこでいろいろな議論、特に建設業の指導監督に係る行政の執行体制というものを根本から見直すということをやってまいりたいというふうに思っております。
  129. 今村修

    今村委員 事件が起きてから建設省は、この業界が多額の使途不明金や申告漏れを出していることに対して、通達を出しているわけであります。使途不明金の解消に努め、なおかつ領収書等、証拠書類はちゃんととれ、こういう通達を出しているわけであります。  この使途不明金が政治家などへのやみ献金の原資になっている、こう言われているわけであります。使途不明金や申告漏れに対する厳しい対応が必要だ、こう思っているわけでありますが、どうも国税庁の対応というのは、若干、我々から見ると、国民から見ると手ぬるい、こういう感じがするわけであります。この点に対する国税庁の御見解をお伺いをしたいと思います。おりましたらお願いします。
  130. 高氏秀機

    ○高氏説明員 お答え申し上げます。  国税当局といたしましては、納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料、情報の収集に努めまして、悪質な不正計算が想定される法人などを重点的に調査対象に選定し、徹底した調査を実施しているところでございます。特に、建設業につきましては不正発見の割合も高く、使途不明金も多額に把握されているという状況でございますので、他の法人に優先して調査を行っているところでございます。  また、使途不明金につきましては、従来からその使途の解明にできる限りの手段を尽くして、真実の所得者に課税するよう努力をしているところでございますが、税務調査がいわゆる任意調査を基本にしているということなどから、企業がどうしてもその使途を明らかにしないような場合にはやむを得ず、その支出につきましては損金算入を認めず、法人税を課するという処理を行っているところでございます。  使途不明金の使途の解明は非常に困難を伴いますが、国税当局といたしましては、真実の所得者に課税するという税務の本旨に従いまして、従来から使途の徹底解明に努めているところでございまして、今後とも一層の努力を続けていきたいというふうに考えておるところでございます。
  131. 今村修

    今村委員 ぜひとも国民が疑問に思わないような形での、いわば前進した対応をお願いしたいと思います。  今回の不祥事は地方自治体から発生をした、こういうことになっているわけです。特に、天の声が入札を左右する、こういう形になっています。そういう点では地方自治体の指名競争入札の抜本的な改革が必要だ、こう思うわけであります。  現在、指名基準をつくり、かつ公表しているのは、市では四分の一、町村では六分の一。あるいは、指名業者の中から工事完成保証人を選びなさいという市が二〇%近く、町村では五〇%近くもまだある、こういう状況になっている、こういう話も聞くわけであります。これらの地方自治体のこうした不正に対してどう対応しようとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  132. 中川浩明

    ○中川説明員 お答えをいたします。  一部の地方公共団体におきましてゼネコン汚職と言われます不祥事件が発生をいたしておりますことは、まことに遺憾なことでございます。特に、地方分権の推進という課題に取り組むべき時期にこのような不祥事件が続けて起こるということは、その取り組みに水を差しかねないということで危惧を持っているところでございます。  これらの不祥事件は、基本的には知事、市長などの公務員としての自覚を高揚すること、そして厳正な執務によって根絶を期するべきものであることは言うまでもないところでございます。  しかしながら、入札契約手続及びその運用に不透明な点があることが、このような不祥事件が未然に防止できなかった原因ではないかという指摘もあるわけでございます。特に、今回の不祥事件が、御指摘のように指名競争入札の指名をめぐるものであることから、自治省といたしましては、その透明性の向上、そしてチェック体制の充実、並びに指名競争入札以外の多様な入札方式の活用を図ることが必要であると考えております。  去る七月三十日に、指名競争入札を行う場合の入札の経過、結果の公表、ただいま御指摘ございましたが、経過、結果の公表、それから指名審査委員会の適正な運営など、入札契約手続のより一層の透明性、公平性の確保のための改善措置をとるように指導をいたしました。また、続いて十月一日には、具体的な入札契約手続改善検討に資するため、都道府県や指定都市において制限つき一般競争入札の試行を求めたところでもあり、さらに、監査委員に対しましては監査の徹底を要請したところでございます。  このように今までも指導を重ねておりますけれども、御指摘の点、あるいは中央建設業審議会審議、都道府県におきます試行の状況などを踏まえまして、建設省との間に設けております協議会で協議を行いまして、年内には、一般競争入札など多様な入札方式の活用、あるいは指名基準の策定、公表などの方策につきまして取りまとめを行い、適切に地方公共団体を指導してまいりたいと考えております。     〔石井(智)委員長代理退席、委員長着席〕
  133. 今村修

    今村委員 日本の公共工事の入札では、入札をする際に苦労して見積もりをしないと言われているわけです。それは、予定価格という発注者が決めた限度額、これを知れば見積もりをする必要がない、こういう状況になっている。この予定価格を知ることが業者にとっては入札をする際の一番の決め手だ、こう言われている。こういう話になっているわけです。この予定価格を廃止をするという取り扱いはできないのですか、その点。  それからもう一つ入札をする際に業者にちゃんと基礎になる見積書を提出をさせるという取り扱いをすれば、これはちゃんと業者間でそのための手続をしなければならぬ、こう言われているわけでありますが、これについての見解もあわせてお伺いをしたいと思います。
  134. 小野邦久

    小野政府委員 お答えをいたします。  予定価格の問題でございますけれども、現行の会計法令によりますと、公共工事の発注者は、競争入札に付する場合の価格でございますけれども、仕様書あるいは設計書等により予定をいたしまして、具体的な予定価格を作成するように定められているわけでございまして、この予定価格の範囲内で最低の価格で入札した者を落札者とする、こういうことになっております。  予定価格制度は、契約予定金額の上限としての性格を持つほか、与えられた予算をもって最も経済的な調達をするために適正かつ合理的な価格を積算をいたしまして、これによって入札価格をチェックするという機能もございます。あるいは予算を管理する機能を持つ、そういったような面もあるわけでございまして、これを廃止すべきというふうには考えられていないところでございます。  一般的に、談合につきましては、例えば一定ルールを定める等によって受注予定者を決めるとか、あるいは入札価格を決定するということがいわゆる談合に当たるわけでございますけれども、予定価格制度、これを廃止したからといって談合を直ちに防止できるかというと、必ずしもそういうふうには考えられないのではないかというふうに思っております。  予定価格につきましては、先ほど官房長から御答弁をいたしましたけれども、より以上に漏えい等に注意をいたしまして、秘密の保持についても厳正に執行していくようにしていきたいと思っております。  それから、見積内訳書の提出の問題でございますけれども、確かに今村先生御案内のとおり、入札に際して、入札価格だけでなくてその内訳の提出を求めるということは、これは見積もり根拠を非常に明確にするということもございますし、あるいは真剣な見積もり努力を促すということもございまして、大変有効な手段ではないかというふうに思っております。  現在、私どもでは、指名競争入札の一類型としての技術情報募集型指名競争入札という入札方式を一定規模以上の大型工事について導入をしておりますけれども、これでございますとかあるいは現在試行しております条件つき一般競争入札対象工事につきましては、当面、工事費内訳書の提出を求めることにいたしておりまして、そういったような観点から、工事の見積もりの実際の積算の根拠、あるいは真剣な見積もり努力というものを促すようにしてきております。  ただ、すべての発注者がこういうことをやっておるわけじゃないわけでございまして、様式を適切に定めて工事費内訳書の提出を応札者に求めるということは大変意味があるというふうに考えておりますので、今後、根拠を明確にするというようなことも含めてどういうような様式を定めたらいいのか、そういうこともあわせ検討してまいりたい、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  135. 今村修

    今村委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  136. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、石井啓一君。
  137. 石井啓一

    石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。  まず私は、有料道路通行料金に関します身体障害者割引制度が現在ございますが、この制度の精神薄弱者、薄弱児への適用拡大についてお尋ねをいたしたいと存じます。  昨年六月の道路審議会答申で検討の必要性が指摘されておりまして、またさきの通常国会では、当時の中村建設大臣より、「今後関係機関と調整を図りつつ検討を進めてまいりたい」「そして検討結果がまとまり次第、所要の措置をとっていきたい、」私ども主張に対しましてこのようなお答えをいただいております。この大臣のお答えからもう既に八カ月以上経過しております。現在の検討状況、そしていつごろその検討が終わるのか、この検討のスケジュールについてお伺いをいたします。
  138. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 ただいまお話がございました身体障害者の割引制度適用拡大につきましては、もう既に道路審議会の方から、具体的な適用条件も含めて検討する必要があるという答申をいただいておりますし、また、百二十三回国会におきましても、その趣旨の請願が採択されていることも承知しておりまして、私どもとしても、これらを踏まえまして対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。  御承知のとおり、有料道路の場合には、料金収入によりまして道路建設等に要しました費用を償還していくということでございますので、この割引制度導入いたしますと、どうしても他の利用者の負担が増になるということがございます。また、鉄道等と違いまして、鉄道の場合は一人一人の個人が利用されるわけですが、有料道路の場合は車が対象となるというようなことでございます。  現在、道路審議会の答申も踏まえまして、障害者割引制度対象範囲を設定しようということで、拡大対象とすべき障害者の具体的な範囲、それから介護者が運転している場合もございますので、その介護者であるとかあるいは対象になる自動車の要件等の限定のやり方、それから障害者の本人の方の確認の仕方、それからあとは手続を、どんな利用手続をとっていただくかというようないろいろな問題がございますので、そういう問題につきまして、関係機関と調整を図りながら鋭意検討を進めているところでございます。  私どもといたしましても、できるだけ早く検討を進めまして、検討結果がまとまり次第、お話がございましたような所要の措置を講ずる考えでございます。
  139. 石井啓一

    石井(啓)委員 できるだけ早くというお答えでございます。今お聞きしましても導入方向で御検討いただいておる、あと残す課題はいわばテクニカルな課題であると認識しておりますので、これにつきましては、文字どおり早急な検討をしていただきまして、できるだけ早期の実施をお願いをいたしたい、このように思います。  次に、長良川河口ぜきにつきましてお伺いをいたしたいと存じます。  私ども公明党といたしましては、環境に十分配慮するということは、もうこれは大前提でございますけれども、その上で、洪水から人々の生活を守る、そして塩害防止や渇水対策を講じる、このためには河口ぜきの設置が必要である、このように認識をしておるわけでございますが、最近、このせきの塩害防止機能がどんなものかというふうに疑問を唱える声があるというふうに聞いております。  片や、御承知のとおりでございますが、利根川の河口ぜきとか江戸川の行徳ぜき、これは江戸川の放水路にかかる可動ぜきでございますけれども、ここにおいて潮どめの機能が大きな効果を発揮している、こういった例を見ましても長良川の河口ぜきの建設は必要である、このように考えるわけでございますが、大臣のお考えを伺いたいと存じます。
  140. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 長良川の問題につきましては、もう本当に長く今日まで計画を立て、工事を進めてまいっているところであります。今年の仕事が終わりますと約九四%工事が上がるというような状況になっているわけでありますが、また関係の知事、市町村長など自治体の方々からもいろいろ要望が相次いでいただいているところであります。  一方、この問題については、改めて言うまでもなく自然保護、環境等の問題、あるいはこの種大型の公共工事についてのあり方等をめぐっていろいろな議論が今日もまたされているところでありますが、建設省としては明年度の概算要求も先般はさせていただいているところでありますが、私としては折を見て現地の視察もさせていただきまして、私なりに一つ結論を出したい、こういうぐあいに思っておるところであります。
  141. 石井啓一

    石井(啓)委員 長良川につきましては、歴史を見ましても御承知のとおりでございますが、江戸時代の宝暦治水を見ましても、本当に治川の方々が大変な苦労をなさって水と闘っておられる。今お話を聞きましても、大水が出ますと堤防がごうごうと鳴る。本当に危険を感じながら暮らしている。そういったことをお聞きいたしましても、治水、利水ございますけれども、治水面で見てみましても、やはり治水に伴う塩害防止を行うためにせきの建設以外に有力な方法が見当たらない、こういった以上は、やはりせきの建設は必要ではないか、このように思います。そういったことを御配慮の上、責任ある御判断をお願いいたしたいと存じます。  それから、つけ加えまして環境保全、随分御心配する向きがたくさんございますので、工事完成後も環境の影響調査、これは引き続き実施していただきまして、その結果につきまして、これを明らかにしていただきたい、このように思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  142. 豊田高司

    ○豊田(高)政府委員 委員おっしゃるとおり、環境については大変配慮していかなければならない問題と思っております。したがいまして、現在も引き続き生物、植物に対して調査を続けておるわけでありますが、引き続き完成後も十分配慮して調査をし、それをせきの管理に生かしてまいりたいと思っておるところであります。いずれにしましても、地域の地元の皆さんの要望にこたえるべく、十分配慮して管理に入りたいと思っておるところでございます。
  143. 石井啓一

    石井(啓)委員 よろしくお願いをいたしたいと存じます。  それではゼネコン事件に話題を移しますが、午前中から大分種々御議論が出ておりますので重複する質問になるかと存じますが、よろしくお願いをいたしたいと存じます。  まず、この一連のゼネコン事件によりまして、建設業界はおろか建設行政に対する信頼が地に落ちてしまった感があるわけでございまして、これは極めて残念な事態でございます。この信頼回復というのはなまはんかな対策では到底難しい、非常に大変だと思いますが、この信頼回復に向けての大臣の御決意と具体的な対策をお伺いをいたします。
  144. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 御指摘のように先日来相次いでいる建設汚職につきましては、私どもその行政の責任ある立場の者として本当に残念に存じているところであります。改めて言うまでもなく、この機会に、国会において御議論いただいている政治改革とあわせて抜本的な改革をしていきたい。それはもう行政の上でも、あるいは政官業全体の意識改革の上からも、そして、私どもいわゆる官の立場建設省の業務執行の上でもしっかりした自己改革を進め、意識改革を進めて、国民の信頼の回復に全力を挙げてまいらなければならぬ、こういうぐあいに思っているのであります。  建設行政というのは、本来でいいますと、こんなに明るい仕事といったものはないものだと思うのです。私も御承知のようにかつて市長を務めておりまして、やはり市民の願いだとか夢だとかいうものを一つ一つ物につくり上げていく、こんなにダイナミックで明るい楽しい仕事はないのであります。しかし、今日の建設行政あるいは建設業界を取り巻くこういう暗いイメージというものは、その上でいうとまことに残念なことで、それは、私が残念だというよりも、建設業界のまじめにやっている皆さんが本当に痛感していることであろうと思う。また役所の職員も同じであろうというふうに思うわけでありまして、一日も早くしっかり改革をして、本来の明るいダイナミックな建設行政を取り戻していきたい、このように考えているような次第であります。
  145. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、具体的な入札制度改善につきましてお伺いをいたしたいと存じますが、先日の行動計画の骨子で発表されましたとおり、一般競争入札制度が本格的に導入される、こういったことになったわけでございますが、既に今年度から技術情報募集型、さらには施工方法等提案型の指名競争入札、さらに、試行段階でございますが、意向確認型の指名競争入札、こういった入札制度を種々やられているわけでございますが、この一般競争入札制度導入に伴って、既に導入が決まっているようなこういった制度が存続していくのかどうか、それから存続するとすればこれらの入札制度適用区分がどうなるのか、お伺いをいたしたいと存じます。
  146. 和里田義雄

    ○和里田説明員 お答えいたします。  ただいまお話のありました技術情報募集型あるいは施工方法等提案型、そして意向確認型、これら指名競争入札方式の三つの方式につきましては、より透明性、競争性の高い指名競争入札方式とするというようなことで、昨年十一月の中央建設業審議会の答申、建議をいただいておりました。建設省の直轄工事では本年度当初から導入しているわけでございます。  しかしながら、その後の公共工事の入札契約制度に対します各界からの種々の御指摘をいただいたこともございます。そのため、本年八月二日に中央建設業審議会に公共工事に関する特別委員会が設置されました。ここで年内を目途に、一般競争入札制度導入を初めといたしまして、透明性、競争性の高い入札契約制度への改革について審議がなされているところでございます。  このため、建設省といたしましても、当面、大手ゼネコンの施工いたします大規模工事を対象条件つき一般競争入札の試行を行うとともに、指名競争入札制度につきましても、指名基準具体化制度透明性、競争性の向上など、入札契約制度全体にわたります改革検討しているところでございます。  今後の入札方式の適用区分と、先生の先ほど御指摘のございました三万式の適用区分ですとか、そういうもの等につきましては、中央建設業審議会特別委員会結論をいただきました後決定してまいりたいと考えております。
  147. 石井啓一

    石井(啓)委員 そういたしますと、今後の入札方式には一般競争入札、さらには新しい形の指名競争入札、それから従来型の指名競争入札、大きく分けて三種類になるかと思いますけれども、こういったように入札段階では、業者が参加するその方法、これが非常に多様化することになりまして、これは非常に評価できることでございますけれども、今おっしゃいましたように、入札契約手続にはこのほかにも改善するべき点が種々残っていると思います。  午前中にも御議論ございましたけれども、その第一でございますが、工事完成保証制度でございますね。これについては、相指名業者ですね、同じ工事の中で指名している業者に限定しない、こういった措置が既に直轄ではおとりになっている。多くの公共団体でもそういう形で進められている。そういったことは承知しているわけでございますが、相指名業者でなくても同じ業者の間で工事完成をお互いにやるということは、これはやはり談合の温床になるのではないかこういった強い批判がございます。  そこで、この際、この工事完成保証制度を廃止いたしまして、現行でも金銭保証制度あるいは履行保証保険制度、金銭の保証でございますけれども、こういった制度がございますので、こういった制度を生かしまして工事完成保証人の制度の廃止を考えられてはどうか、このように考えますが、いかがでございましょうか。
  148. 小野邦久

    小野政府委員 お答えいたします。  工事完成保証人でございますけれども石井先生御案内のとおり、無償にて工事そのものの完成を保証するということでございますので多くの発注者において採用されているわけでございますけれども、一方考えてみますと、お互いに相指名業者が保証し合う、あるいは相指名業者でなくても同じランクの企業がお互いに保証し合う、そういうような大変不透明な関係もございまして、国内だけでなくて海外からも大変厳しい批判が出ているわけでございます。  では、どういう保証制度がいいのか。御案内のとおり現在三つの保証形態がございまして、金銭保証あるいは履行保険あるいはアメリカのようなボンドというものもあるわけでございます。現在、どういう形の工事完成保証制度がいいのか、中央建設業審議会特別委員会で鋭意検討をいただいておりまして、十二月末までには結論を得て、より的確な保証制度というものを確立していければ、こういうふうに思っているところでございます。  現段階では、工事完成保証制度を廃止するというところまで私申し上げることはできないわけでございますけれども方向といたしましては、特別委員会等でも大変厳しい御批判があって、何か新しい合理的な関係での保証制度というものがとれないか、こういうような議論が行われている、こういう状況でございます。
  149. 石井啓一

    石井(啓)委員 今、次にお聞きしようと思いましたボンド制度もついでに言っていただきましたので非常にありがたいのですけれども、従来の議論をお聞きしますと、金銭での保証というのは、やはり公共工事ですと工期が大切だ、工期内に物を完成するときには金銭だけの保証ではこれは不十分である、こういった議論がなされておりますね。そういった意味で、工事の履行を継続するという形のアメリカ的なボンド制度、こういった制度導入も、これも真剣に御検討いただきたい、このように思います。  続きまして、非指名業者それから非落札業者への理由説明、苦情処理でございますが、五月十日に発表された建設省入札手続改善検討委員会の報告書の中でも、指名されなかった、あるいは落札しなかった建設業者に対する要請に基づく理由説明及び苦情の処理について、これは引き続き検討すべきである、このようにされております。これは制度透明性を確保する上で非常に重要だと思います。ただ、落札者への説明は比較的容易だが、指名されなかったらどうかというのはこれは大変である、そういった御議論も聞いておりますけれども、現在の検討状況、また検討方向はいかがか、お伺いをいたしたいと思います。
  150. 小野邦久

    小野政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、非指名者に対して理由の説明をするということは、指名競争入札制度手続透明性あるいは客観性を高める上で大変有効な方法ではないか、こういうふうに考えているところでございます。  ただ、私ども直轄工事を例にとりましても、登録されている企業の方々は大変数が多いのでございます。関東地建を例にとりますと、例えばCクラスでございますと八百社ございます、あるいはDクラスになりますと千四百社ということで、こういう方々だれでも非指名の理由説明を求めることができるということにいたしますと事務手続上大変煩雑なことにもなる、こういうことも考えられるわけでございまして、制度の悪用を図る者も出てくるのではないか、こういうことも考えられますので、対象とすべき工事の内容をどうするか、あるいは理由説明を求めることができる者の範囲とか、あるいは苦情処理の手続、その実施体制、こういうものにつきましてはなお十分慎重に検討していかなければいけないのではないか、こういうふうに思っております。  私どもで現在やっております技術情報募集型指名競争入札・契約、これは指名競争の一種、一類型でございますけれども、そこで例えば技術資料を提出された方について、要請があれば非指名の理由を説明をするとか、あるいは既に一部試行しております一般競争入札の場合に、事前の資格の確認の段階で資格はないとされた方に対して理由説明をするといったようなことをやっているわけでございます。  繰り返しになりますが、透明性、競争性を高める、客観性を高めるためには、適切な苦情処理システムというのは大変効果的でございます。一部ガット政府調達協定改定交渉でも、各国で非常に大きな議論があるところでございます。こういう点も踏まえて適切な対応ができるように今後とも十分検討してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  151. 石井啓一

    石井(啓)委員 透明性、公平性というお話がございましたけれども、さらに、公平性といいますか、業者にとってクレームがつけられるという意味では、やはりその対等性といいますか、いわゆる発注側に対する対等性を確保するという意味でもこれは非常に意味があると思いますので、そういった意味でも御検討をお願いしたいと存じます。  それから、先ほどの御質問にもございましたけれども、工事費内訳書の提出でございますね。現在、技術情報募集型、さらには一般競争入札適用されておるようでございますが、やはり適切に工事費を見積もっているかどうか、これを判断する上で非常に重要でございますし、そういった意味で談合防止にも大いに効果を発揮する。この提出を義務づけする対象工事を拡大していったらどうか、このように思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  152. 伴襄

    ○伴政府委員 入札に際しまして、応札者に対して入札価格だけというのは今通常やられておりますけれども、やはりその内訳を求めまして見積もり根拠を明確にしていただくというのが、真剣、まじめな見積もり努力を促す上で大変重要だと思っております。  現在、先生指摘のとおりでありますけれども建設省では、大規模工事を対象とした新方式の技術情報募集型とかあるいは一般競争入札方式、これでは工事費内訳書の提示を求めております。これを今後対象工事を広げることにつきましてはちょっといろいろ問題がございまして、一つは受注者のかなり負担になるということがございますし、何かそれにかわるような簡便な方法はないかといったようなこともございます。工事費内訳書の提示の対象工事を広げるにつきましては、少し今実験的にやっているものがございますので、この効果を見きわめながら検討させていただければというふうに思っております。
  153. 石井啓一

    石井(啓)委員 受注者の負担がふえる、確かにそういうことがあるかと思いますが、むしろそれだからこそ入札が真剣勝負になるということはあると思います。そういった意味で競争性を高めるために役立つと思いますので、一遍にすべての工事にこれを広げるということは非常に難しいと思いますが、今は試行的におやりになっているということでございますので、ぜひこれを順次拡大していっていただきたい、このように思います。  それから、地方公共団体の入札契約手続改善でございますが、御承知のとおり、今回のゼネコン事件といいますのは、問題の舞台になっているのは、これはすべて地方なんですね。地方の首長が逮捕されている。こういった状況を考えますと、やはり地方制度改善こそが肝要である。今は国の方でも一生懸命おやりになっていて、これは大変評価できるところでございますが、これが地方に広がらなければ画竜点睛を欠くといったことになるかと思います。  そこで、建設省におかれては、自治省と協議会を設置されて、全地方公共団体に対しましてこの入札制度に対する実態調査をおやりになっていますね。先日発表されていますが、この結果を踏まえられてどのように地方公共団体を指導されるか、お伺いをいたしたいと存じます。
  154. 小野邦久

    小野政府委員 石井先生御案内のとおり、地方公共団体の発注手続あるいは入札契約制度というのは大変大きな課題でございます。いろいろな贈収賄事件等もそこを舞台に引き起こされている、こういうことでございます。  私どもでは、一運の不祥事等を契機といたしまして、六月から七月にかけまして、全国の公共団体に対して、市町村も含めまして入札実態調査を実施いたしました。また、六月の中旬には自治省と協議会を設けまして、今後の入札契約手続改善をどうするかといういろいろな議論を現在しているところでございます。  実態調査の結果によりますと、例えば入札結果の公表の問題につきましても、必ずしも十分な公共団体が入札結果を公表していない、あるいは指名基準につきましても、つくっているけれども発表していない公共団体があるとか、いろいろな透明性確保の観点からは不十分な事態もあるわけでございまして、現在自治省とも御相談をして、どういうような形で公共団体を指導していくのか、今議論しておるところでございますけれども、場合によりましてはきめ細かく通達等によって具体的に指導するとか、あるいは特に問題のある市町村につきましては、場合によっては県を通じて個別に指導していくというようなことも必要ではないかと思っておりまして、目下自治省との間で十分御相談をしながら今後の指導体制を固めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  155. 石井啓一

    石井(啓)委員 ひとつしっかりとお願いをいたしたいと存じます。  それでは最後になりますが、今の質問とも関連するわけでございますが、一般競争入札制度、せっかくよい制度、この導入に英断で踏み切られたわけでございますので、これを広く地方にも普及すべきではないか、こう考えております。都道府県レベルのみならず、一般の市町村への普及もぜひ進めていったらどうか、このように考えますが、いかがでございましょう。
  156. 小野邦久

    小野政府委員 一般競争入札導入でございますけれども、御案内のとおり、現在私ども中央建設業審議会特別委員会でいろいろ御議論をいただいておるわけでございますが、この特別委員会におきましては、国だけではなくて地方の公共工事も視野に入れた全体的な改革についていろいろ御論議を今精力的にいただいているわけでございます。そういう委員会の十分な御論議を踏まえながら、今後条件つき一般競争入札制度導入を初めとしていろいろな制度改革を目指していこう、こういうことになっているわけでございますが、特に一つ方向が出ていると言ってもいいと思いますけれども条件つき一般競争入札の今後の導入につきましては、既に都道府県及び政令指定都市につきましては、自治省の方でも、試行的な導入をやってみたらどうかというような通達も出しておられるところと聞いておりまして、そういうような方向性が一つ示されていると理解していいのではないかと思います。  ただ、市町村におきまして一般競争入札をどうするかということになりますと、これは市町村の執行体制でございますとか、あるいはもともと地方には大変経営基盤の脆弱な中小企業が多い、こういうようなこともございまして、これは慎重に検討していかないといけないのではないか、こういうふうに思っております。  現在開催をしております中央建設業審議会特別委員会も、そういう地方のいろいろな実態も踏まえて、的確な、現実的な判断に即した検討が加えられているというふうに理解しております。
  157. 石井啓一

    石井(啓)委員 以上で終わります。
  158. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、川島實君。
  159. 川島實

    川島委員 きょう私は科学技術委員会とかち合っておりまして、午前中皆さんのお話が聞けなくて非常に残念に思っているところでございます。若干ダブる点があるかと思いますが、ひとつお許しをいただきたいと思います。  先ほどからもお話がございますように、ゼネコンの問題でございますが、ついこの間までは、建設業こそが二十一世紀をリードする産業だ、非常に明るい展望を持っておったわけでございます。ここで働く六百二十万の仲間の皆さんも、子供たちや孫たちに幸せいっぱいのすばらしい理想的な日本の国土を自分たちの手でつくり上げたい、こういう夢を語り合っておったところでございます。そして、日本建設技術は世界でも高く評価をされておりまして、青函トンネル、本四連絡橋、東京湾の湾岸道路建設など、世界的なスーパープロジェクトの巨大な事業が実は続いてきたわけでございます。  建設業者五十二万の頂点に立つ、今問題になっております大手のゼネコン各社が、やみ献金汚職による逮捕者まで出る始末で、ハザマ、清水建設、西松建設、三井建設、鹿島建設、これらによる政官業の癒着が金丸前自民党副総裁の脱税追及から実は明るみに出てきたことは、皆さんも御承知のとおりでございます。  ここに最近の日本国内における国、県、市、町、村における摘発されたデータのコンピューターの結果がございます。これは余りにも数が多くて、件数が数えられないくらいです。件数を数える前に建築的にスケールではかりましたら、二・五メーター分ございます。  建設省も、私ども、これからの改革の、今までやってきたプロセスについては九月の末くらいまではいただいているわけでございますが、その後は、実は私どもは新聞報道で知るわけでございます。  建設省建設大臣も、いろいろと対策を発表いたしております。九月二十八日には「不祥事防止策検討を 建設相が中建審要請」、十月一日には「談合防止 指名停止基準見直し 建設相表明 外国企業参入も容易に」、十月十六日には「条件付き一般競争入札 都道府県にも導入」、十月十七日「別の指名業者が工事保証 建設省制度全廃へ」、十月二十六日「談合・漏えい封じ 中小工事審査、第三者機関で」、同じく十月二十六日「一般入札導入柱に 行動計画骨子発表」、十一月二日「入札監視委を設置 実効性なお不透明」、十一月九日「許可基準を厳しく 建設業の監督強化」。これらはすべて新聞の大見出しの部分を実は読ませていただいたわけでございます。  これらの進行状況を見ておりまして、建設省のいろいろな手法については理解は示しますし、評価もするところでございますけれども、非常にスピードが遅いような気がいたします。  先ほどの議論を聞いておりましても、十二月の末までにというようなことでございますが、地方においては、建設省方針が固まって出てくることが、次、県なり市なり可なり村なり、こうおりていくわけでございますから、一日も早いその方針の決定が急がれるところでございますので、この点は強く要望しておきたいと思うわけでございます。  公共工事は全国で四十七万件、建設省所管が約二万件あるわけでございます。これらの贈収賄など工事をめぐる不祥事をなくすために、この際大きな改革が必要だと思います。  一つには、入札制度改革。これは指名入札でなくて、世界に開かれた一般競争入札導入がどうしても必要だと思います。  二つ目は、業者の使途不明金の解消です。これは、税法上から罰則を強化する必要があると思います。  三つ目は、発注者側の幹部の天下りの自制。これは、課長以上の幹部に適用されるように、少し下までおろさなきゃならないことだと思っております。  四つ目は、談合の罰則の強化です。一度談合したら会社がつぶれてしまう、こういう危機感さえあれば、こういう談合はすぐなくなることだと思っております。  五つ目は、公職選挙法、政治資金規正法の法の厳守でございます。議員、公共団体の長等は、補助金や請負契約、もしくは物品を納入している業者から選挙のときに寄附やそれにかわる供与を受けてはいけないと法律にきちっと定められておるわけでございますから、これらを厳守をするということが大切だと思います。  六つ目は、情報公開をもっと透明で客観的にひとつやっていただかなきゃならない。これは、指名でも一般競争でも同じような公表が必要だと思われます。  それから七つ目は、資格審査機関とか工事額積算機関の設置。これは、今現在、地方公共団体の建築の技術者の数というのは非常に少ないわけです。これは、いろいろな形で人事の削減がなされて、ほとんど設計事務所なり積算事務所に外注に出してしまっている。建設省も技官がおると言いますけれども、じゃ一級建築士なり一級建築施工管理士が何人おるかといったらすぐ出てこないような状況でございますから、いかにおろそかになっておるか実は私どもは受けとめざるを得ないわけでございます。  八つ目は、人事異動等、官側の対応策が必要だと思います。警察は、所管の署を大体二年から三年で次から次と癒着が生まれないように異動されているわけですね。こういうこともやはり考え方一つに入れておかなきゃならないと思います。  九つ目は、談合しても落札ができないような制度を取り入れなきゃいけないのじゃないかと思います。これは、大手の場合は最低価格を設けなくても問題はないかと思いますけれども、中小の業者は、ある意味では業者を育成するという一つの目的もあるわけですから、予定価格がしっかりしておれば、最低は、一割五分ぐらいのところで下限を切って、それの形でオーバーしたときにはもう失格になるという形をとれば、建設省が言う悪い工事が生まれなくなる、こういうことが考えられるわけでございます。  そこで、大臣にお伺いをするわけでございますけれども、今日、公共工事の発注にかかわる指名競争入札制度の弊害が非常に深刻に語られております。それで、建設省は、今日のゼネコン汚職や談合をどのように受けとめておりまして、こうした問題点にどう対応していく御決意なのか。ひとつ大臣に、今までの議論を踏まえて本音をお聞かせをいただきたいと思います。
  160. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 もう相次ぐ建設汚職で国民信頼感を大変損ねておりますことを本当に残念に思うところであります。御指摘のように、一日も早くしっかりした改善策を立てて、その信頼を回復していかなくちゃいかぬ、こういうぐあいに思っているところであります。  私も就任してちょうど三月になるのでありますが、これら改革のための作業というのは、あるいはごらんになっていて歯がゆいというお気持ちはよくわかるのでありますが、しかし、本当に不眠不休といいますか、最善を尽くして今努力をしている次第であります。中建審特別委員会も、今月も来月も月に三回の委員会でありまして、それぞれ仕事の多い各界の専門家の方々がその三回をそれぞれ出席するはもとより、またそのために平素いろいろな御研究をしながら御発言をいただいて、その意味では、本当に精力的に、真摯にこの問題に挙げて取り組んでいることをこの機会に御報告を申し上げたいと思う次第であります。  今九つほどの御提案が具体的にございました。いずれも本当に御提案のとおりであろうというように思います。大体この御提案のおよそのものは、私どもが中建審特別委員会の中で議論をし、改革していこうということのテーマになっている事柄でありまして、まさに御指摘のある方向で我々は改革を進めてまいりたいと思う次第であります。  特に、情報公開について御指摘をいただきました。なかなかこれは、情報公開が、行政をつかさどる立場で、私どもこの仕事で、改めてなかなか思うようにいかぬものだなという感じさえもあるのでありますが、しかし今度の場合、透明性を明確にするという上ではできるだけの情報公開をやはりしていくということが大事なことであろうというふうに思いますので、そのことを含めて今努力をしているところでございます。  時間も余りないようでありますので、以上申し上げます。
  161. 川島實

    川島委員 余り時間もありませんので、建設省の二問目はちょっと割愛をさしていただきます。  自治省にお伺いをしておきたいと思います。  自治省は、平成三年度の地方公共団体における汚職事件に関する調査の概要を非常に細かく分析をいたしております。平成三年度に発覚した汚職事件は、約七十団体、件数にして八十五件、関係した職員は百四十六人、こういうふうになっているわけですね。ところが、平成四年度はまだ出てない。これは非常に貴重な資料が欲しいところでございますね。バブルが崩壊して一番のときのデータがまだ出てこない。このことはひとつ早急に出していただくようにお願いをしておきたいと思います。  それで、自治省の所管をする入札制度に影響するところが非常に数多いわけでございます。一般競争入札は岡崎市でも取り入れておりますのでその点は私も十分承知をいたしております。今言われております指名競争入札の側の意見、しかし一般競争入札の側の、きょうは自治省に対して、こういう利点があるということだけを言って答弁を求めたいと思います。  一つは、工事概要と資格要件を掲示するということ。参加希望者の資格を確認して、不採択の場合は通知をする。業者の多い場合は、常に十組か二十組程度にして、図面がきちっと行き渡れるような経済性を持ちながら、一回だけの入札をして、落札できなければ、二回、三回、四回とやらない、一回で次の組にかわる、こういう透明性を持ちながらグループを組織していく。  それから予定価格。先ほど言ったように、予定価格は、先ほどから漏えいがあるという問題がありましたから、音やっていたのになぜなくなったかわかりませんけれども、大体三人ぐらいが予定価格を持って、入札当日、ふたをあけて平均を予定価格にする。そして、昔も二割のところだとか一割のところだとか下限を切っている地方公共団体があったわけでございますから、そういうものをもっと堂々と取り入れるような形にしてもらいたいと思います。  それから、先ほど内訳書の問題が出ておりましたけれども、これも莫大な量になりますから、出す方も大変でございますし、見る方もそんな人的な、技術者の数が、恐らく各地方公共団体なりに、建設省だって余分なものは置いていないと思いますので、せめて建設業種の、二十八業種の頭の項目だけは出させても、おのおのがきちっとこれで積算したかどうかというのはわかりますので、そのくらいの程度で取り入れるよう、ひとつ前向きに検討してもらいたいと思います。  それから、発注に対する多くの問題の基準については、ランクづけも全部行うわけでございますから、それのランクも含めて、この工事は何ランクから何ランクまで、地域の特殊性を加味して、このときは三のランクで入れる工事を、四の人だけはその地域性を加味して入れ込むとか、そういう基準をひとつ公開してもらいたいと思うわけでございます。  いろいろと議論があるところでございますけれども、自治省に対して、新しく海外からも求められておりますこれらの入札制度改革について、ひとつ御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  162. 中川浩明

    ○中川説明員 お答えを申し上げます。  最近の地方公共団体におきます汚職事件の摘発は大変残念なことでございまして、このようなことが根絶されることを強く期待しているところでございます。  このような事件の原因として、入札契約手続改善すべき点はないかということで、現在建設省との間の協議会におきまして種々協議をいたしているところでございます。ただいま御提案ございました各事項につきましても詳細に検討いたしまして、適用できるものについては積極的に取り入れてまいりたいと考えております。ただ、地方公共団体におきましては、規模も非常に大きな違いがございますし、またやっております事業にもいろいろな形態のものがございますので、そのような実態に十分マッチするかどうかは慎重に検討すべきものであろうと考えております。  いずれにしても、このような事態が根絶できるように積極的な検討を加えてまいりたい、そしてできるだけ早い時点で適切な指導を行ってまいりたい、このように考えております。
  163. 川島實

    川島委員 自治省も次の質問以下は割愛をさせていただきます。  きょうは公正取引委員会と検察庁から来ていただいておりますので、若干コメントをしておきたいと思います。  公正取引委員会は、去る十月二十一日に、公共工事事業など政府調達入札談合を防止するために事業者の不正行為を摘発する体制を強化する、こういうふうに発表をいたしております。その後十月二十二日も、公共入札の新指針として従来の建設業ガイドラインの見直しを決定、こういうことも言っております。さらに、最近におきましては、独禁法の違反行為においては検察庁、法務省と協力をして積極的に告発をする、こう発表いたしております。これらに対しての組織的な体制の確立がなされておるのか、もしなされていないとするならば、今後どのようにしてこれらの体制を整えていくおつもりか、お伺いをしておきたいと思います。  なお、検察庁につきましては、今の大手ゼネコンのこれらの問題については、裁判が進行中で恐らく答弁ができないと思いますので、強く要望いたしておきますけれども、既に我々から見ますると、大手ゼネコンの非常な証拠書類をしっかりお持ちになっているわけでございますから、従来からこれらの建設業と政官業の癒着の問題については、もう何年も前から何回も何回も繰り返し言われておるわけでございますので、この際、徹底的にその証拠に基づいてきちっとうみを出し、そして新しく再出発ができるように、ひとつ心して摘発を続けていただきたいと御要望を申しておきます。  公正取引委員会の決意をお伺いしたいと思います。
  164. 平林英勝

    ○平林説明員 御説明申し上げます。  公正取引委員会といたしましては、入札談合行為というのは、競争入札制度の趣旨を否定する非常に悪質な行為であるというふうに認識しておりまして、従来から独占禁止法に照らして厳正に対処してきたところでございます。最近におきましては、私どもがとりました法的措置のうちのかなりの部分を入札談合行為が占めているという状況にございます。  それからまた、検察当局とも協議会を設けまして、連絡を密にしているところであります。  それから、私どもといたしましては、そういった形で入札談合事件を厳しく取り締まるとともに、入札談合行為の未然防止ということにも力を入れているわけでございまして、業界における独占禁止法の研修あるいは各企業におきます独占禁止法遵守マニュアルの作成といったことに対して、積極的に協力しているわけでございます。また、発注官庁の方々にも問題意識を持ってもらいたいということで、発注官庁と公正取引委員会との連絡担当官という方を指名していただいて、公正取引委員会との情報提供の連絡体制といったものを整備するということを考えておりまして、現在その公正取引委員会との連絡担当官の会合の開催の準備をいたしているところでございます。  それからまた、先生から御指摘のありましたガイドラインの件でございますけれども、ガイドラインにつきましても、まあ私どもは現在建設業向けのガイドラインがあるわけですが、最近におきましては、建設工事だけの入札談合ではなくて、物品調達に関係した談合というのも非常に頻発しております。そういったこともございますので、未然防止のために公共入札全般を対象にしました公共入札ガイドラインというものを策定すべく、現在検討に入ったところでございます。  以上のような次第で、私どもとしても摘発の面、それから未然防止の面で最善の努力をいたしているというところでございます。
  165. 川島實

    川島委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。
  166. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、遠藤利明君。
  167. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 さきがけ日本新党の遠藤利明です。順次質問をさせていただきます。  先ほど来ゼネコン疑惑あるいは入札制度の問題につきまして、朝から数々質疑がありました。本来詳しくお伺いをしたかったのですが、重複が数多くありますので、総論だけ確認の意味でお伺いをしたいと思います。  今回、このゼネコン汚職の実態、そして今後の対応、あるいはこれからの建設業界をどのように指導されていくのか。  元来建設業といいますのは、もともと水を治むる者国を治む、これから来ているわけでありますし、産業としては大変古いといいますか、歴史のあるものではないかと思っております。しかし、残念ながら業界としてのイメージが暗いとか古いとか、そんなことを言われております。しかし、日米協議の中でも四百三十兆円の内需拡大、あるいはその中でのかなりの部分を公共投資が占めるということからしますと、もっと開かれたといいますか、明るいイメージづくりの中での建設業、あるいはそういう振興をしなければならないのではないかな。  そんなことを思うにつけましても、国の予算の中でも一割近くの予算をその建設省分で占めているわけでありますし、そんな意味からも、こんな大きな投資をしている産業が暗い、古いというイメージでは、やはりなり手が出てこないのではないかな。最近は景気が少し落ちてきているというせいもあってそんなに、雇用不安が出てないわけではありませんが、足りないということはありませんが、一時期外国人労働者が大量に日本にというようなことから考えても、雇用の面を考えてもやはりこの建設業界のイメージアップを図り、そして安定した産業として育てていく、これは建設省として大きな仕事ではないかと思っています。  そんな意味からも、この汚職の実態の認識、そしてこれから建設業界をどういうふうに指導をしていかれるつもりなのかまずお伺いをしたいと思います。
  168. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 先日来の公共事業執行をめぐる不祥事の続発につきましては、まことに残念に思うところでありますし、この機会にしっかり改革を進めて国民の信頼を回復していかなければならぬ、このように思う次第であります。今御指摘のように、我が国建設工事は民間あるいは公共事業全体を含めて約九十兆円に上るわけで、アメリカで約六十兆円でありますから、それはもう大変なスケールであり、これはまた内需を支える上で大きなウエートがあるということも言うまでもないところであります。しかも、公共事業はその一つ一つが一人一人の国民の税金でやるわけでありますから、したがって、そういう認識をしっかり持って、この際、政官業それぞれがしっかりした自己改革を行って努力しなければならぬ、こう思います。まして、今ちょうど国会では政治改革を精力的に御審議いただいて年内結論を得たいということでいるわけでありますから、それとあわせて公共事業執行に関するさまざまな入札制度等の改革、あるいは私ども業務執行の体制の改革等もしっかりひとつ進めてまいりたいというふうに思います。  あわせて、業界に対しましても強い要請を続けているところでありまして、先ほど申しましたように九十兆円もの仕事をやって、しかも技術的にも世界でまさに第一級の技術レベルにある、あるいは経営的な内容も大変なものだということでありますのに、しかしこういう基本的なモラルの面において問題があるということは極めて残念なことであって、この際業界の近代化というものをしっかりなし遂げてもらうということも強く進めてまいりたい、このように考えているところであります。  もう時間も余りないようでありますから、詳しいことは省略をいたしたいと思いますが、そんな考えでいるところであります。
  169. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 そうした中で、今入札問題をいろいろ御検討されておるようでありますし、まだ答申を待ってというようなこともありますが、今競争入札あるいは制限つき競争入札、こういうものを試行的にされている中で、我々地方に住んでいる者にとりまして、地方建設業の占める位置あるいはこのシェアというのは大変大きいものがあります。  今回、競争入札あるいは一般競争入札という中で大変心配をしておりますのは、そういう地方の中小建設業、こういうものがこれからどうなっていくのだろうか。実は建設業が五十二万社ありますが、その中で大臣認可はわずか九千社で、残り五十一万数千というのはほとんど知事認可の中小零細といいますか、こういう業者なわけです。そうしますと、おのずと競争入札、経済合理性あるいはそういう単なる経済的な考え方だけではなくて、地域の経済という観点から考えますと、こういう中小零細の建設業者を保護育成する、これも大事なことではないかと思いますし、地方にとっては大きなウエートを占めるのではないか。  もし大手のみが受注して、競争入札でどうしても大きな企業がとっていく、しかし実態は、仕事は中小あるいは零細が下請、孫請あるいはひ孫請になると、かえって不安定な雇用条件になりがちである。そんなことから考えても、やはりこういう中小企業あるいは零細の建設業の保護育成というのは今のうちからきちっとその対応の中で考えていかなければならないのではないかな。  そんな意味から、この育成あるいはその保護を今回の入札制度改革に当たってどのように考え、指導されようとしていらっしゃるのかお伺いをしたいと思います。
  170. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 建設業に限らず、すべての産業で中小企業をしっかり守っていくということは極めて大事なことであるというふうに思います。従前も内閣では、その中小企業の分野を確保していくということのための閣議の決定等を通じてさまざまな施策を進めているところでありますが、今回のこの一連の改革に当たりましても、御指摘のとおり、この面を失念して机上の計画だけ進めるということがあってはならぬというふうに私は思う次第であります。  そういう点では、この実態をよく我々も把握しながらやってまいらなければならぬのでありますが、しかし、それにしてみてもやはり原則的に大事なのは、この機会透明性あるいは競争性をしっかり進めて、どういう小さな工事の入札契約であっても、あるいは指名競争入札であっても、やはりそういう原則というものを踏まえて公正な公共事業執行というものがなされるようにしていかなければならぬと思います。また、価格の面だけでなくて、これはもう建設工事というのは何より大事なのは価格とともに品質でありますから、しかも公共工事の上ではそれはもう一番重要なことと考えていかなくちゃいけぬのでありますから、そういう点も踏まえながら努力をしてまいりたいというふうに思います。それぞれの地方の中小企業の育成という点も頭に置きながら制度改革に当たりたいと思う次第であります。
  171. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 透明性を高める、そういう形でこれは大事なことでありますし、我々も十分認識をしております。ただ、今まで大いに言われますのは、アフターケアの問題なんかを見ますと、やはりそこの地元に長年住んで、そしてそこで責任を持って遂行している、そういう中小の零細業者、これは大事なものではないかな、そんな意味もぜひこれからの改革の中で御検討いただきたいと思っております。  話を続けさせていただきますが、ちょうど今十一月、これから十二月というふうになってきますと、どこへ行きましても工事が大変ふえてくるといいますか、道路が工事がふえてきて交通が渋滞する、毎年毎年暮れ近くなると大変ふえてくる。しかしその割に、我々いつも不思議に思いますのは、四月、五月、六月ごろの大変天気のいい時期といいますか、そんなときになかなか工事が少ない。私ども雪国に住んでいるわけでありますが、これからの工事などというのは大変効率が悪いですし、ましてや雪が降ってきた中で除雪をしてからさらに工事をする。こんな意味からも、工事を一年平均して発注あるいは工事の仕事ができないものかな。  実は今、農山村の、特に農業の後継者の問題あるいは規模拡大という話の中で、どうしても四月、五月、六月は仕事がない。ですから、そこは農業をやっていましょう。七月ぐらいから建設会社に行って、なかなか規模拡大するにしても、建設会社に働きに行っても安定をしない。ですから常雇用もできないし、そんな意味ではなかなか自分の土地を捨て切れない、離せない。むしろ建設業という観点からだけではなくて、農村部あるいは農業という観点から見ても、やはり一年間平均して建設業というものが仕事があった場合にもう少し分化ができるのではないかな。  そんな意味で、工事を一年間平均に発注あるいは工事がされるという形をとれないものだろうか。そうすることによって、暮れの時期に忙しいから、足りないから外国人労働者が必要、そういうことにもならないのではないかなと思うわけであります。そんな意味で、十一月八日ですからおとといになりますが、建設大臣官房長から各都道府県知事あるいは指定市の市長あてに「公共事業の平準化について」、こんな通達がなされております。  しかし、現実に完成高、出来高ベースを見ましても、四月から六月期から見て十月から十二月期は一・七六倍、これは完成高ですから、実際の工事の量はもう少し差が出てくるはずだと思うのです。そんな意味からも、この公共事業の平準化をもっと進めるべきかと思いますが、この件についてお伺いをしたいと思います。
  172. 伴襄

    ○伴政府委員 公共事業の平準化につきましては、御指摘のとおりでございまして、建設労働力の安定活用あるいは建設資材需給の適正化のために大変大事だと思っております。かねてから力を入れておりまして、特に、御指摘のとおりの積雪寒冷地域につきましては、冬季の事業が制約されますので、年度当初からできる限り事業執行できるようにというふうに心がけております。  この対策としては二つございまして、一つは、工事を計画的に発注する、なるべく第一・四半期に前倒しでやるということでございます。二つ目は、ゼロ国債等の債務負担行為の活用でございます。  特に、計画的発注につきましては、御案内のとおり、ことしも国全体としては七五・七%の目標でもって上半期執行をやってきておりまして、まだ最終的な締めはできておりませんが、おおむね達成できるというふうに考えております。  それから、国庫債務負担行為でございますが、これもゼロ国債のほかに国費つきの国債もございますので、そういう意味では、国費つきの国債、ゼロ国債あわせまして極力国庫債務負担行為をふやそうということをやっておりまして、しかもこれは補正等でもふやさせていただいております。特に、積雪寒冷地域につきましては、ゼロ国債を重点的に配分いたしまして活用したいというふうに考えております。  それから、今通達の話をしていただきましたが、地方公共団体につきましてもゼロ県債、ゼロ市町村債をやっていただこうということでやっておりまして、おかげさまで平成四年度ですべての都道府県においてこの債務負担行為が計上されるようになりました。ここまで努力してきた結果でございます。  ほかにも、民間工事に対しましてもそういう呼びかけをやりまして、なるべく平準化するようにということにしておりまして、先ほど資料でお話にありました第一・四半期と第三・四半期の比較でございますが、これも、ことしは一・七六倍でございますけれども二年前は二倍を超えておりましたので、これから見ますと、そういう努力が実ってきているかなと思っております。工事の平準化につきましては一段と力を尽くしていきたいというふうに思っております。
  173. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 時間がありませんのではしょりますが、ただ、前倒しをされて契約率が七十数%だ、しかし現実に工事に入るのは、その時期に終わるわけでありませんので、その意味でぜひ早期発注あるいはゼロ国債等の活用を図っていただきたい。  大臣、最後に一言だけ。そのゼロ国債、六月八日ですか、今回の補正予算の中でも建設省分は四千百億円、あるいは国費つき国債が二千八百億円ぐらいですかされたのですが、もっとゼロ国債あるいは国費つき国債を多用される、私はぜひしていただきたいと思っているのですが、そんな考えをお持ちであるかどうか。大臣も北海道、まさしく積雪寒冷地でありますので、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思っております。
  174. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 山形も北海道も同じ悩みでありまして、仰せのとおり、ゼロ国債は我々の地域にとっては大変大事なことでありますから、お話のように努力してまいりたいと思います。  それから、さっきお話があったいわゆる平準化に関連して、積雪地域における冬季の事業、通年工事を一体どうするかということは大変な問題で、実際に結局できないことになっているわけですからして、御承知のとおり、積寒給付金等で冬期間労務者は一定の講習等をしながら手当てするというようなことが続けられてきているのであります。  それも大事でありますが、いつでも議論になるのは、冬期間工事を続行できないか。しかし、やるとすれば一定の割合で高くつく。しかし、北欧であるとか諸外国では、冬期間の工事については積算の上で一定の割り増しをしているということ等もあったりして、私も当面ゼネコンの方で一生懸命なものですから、そういう問題意識は持ちながら今のところなかなか十分な検討もしておりませんが、御指摘機会にそういう点もまた十分に検討したい、こういうぐあいに思う次第であります。
  175. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 最後に、道路の問題を少しお伺いをしたいと思います。  先ほど来、道路の必要性につきましては十分に議論されてきましたし、大臣あるいは国土庁長官にしましても、皆さん考えは全く同じだ、そんな認識を私もしておりますが、ただ、どうしても道路というのは都市から順次整備されていく。我々いつも道路の話をしますと、経済合理性とかそういう観点からすぐ議論になってくるわけです。  しかし、これは鉄道なんですが、道路でなくて恐縮なんですが、実は東海道本線が全線開通したのは明治二十二年なんです。しかし東北本線はその二年後の明治二十四年、私どもの奥羽本線にしましても明治三十八年です。あの明治の時代でさえ東海道線と東北線がたった二年しか完成が違ってない。まさしく経済合理性ではなくて国土の均衡ある発展、これは殖産興業とかいろいろな観点があるかと思うのですが、しかし、そういうふうな形で整備をしてきている。まさしく四全総の趣旨はこれと全く同じではないかな。  ですから、そういう観点から、都市の道路が渋滞した、何かありますとすぐマスコミ等で話題になりますが、地方、例えば雪国で除雪されないときにはまさしく生活さえできない、道路イコール生活だ、そんな観点さえ我々は覚えているわけでありますが、そんな意味からも均衡ある道路整備を図っていただきたい。  そうした中で、一つだけ高速道路の件についてお伺いをしたいわけであります。  ようやく私どもの地元で数年前に、対面交通でありますが、高速道路が開通をした。そこで、その享受を受けて、やはり高速道路の使用というのは当初はどんどんふえてくるわけです。産業あるいはいろいろな地域振興のみならず、文化の面からもいろいろな交流が図られる。高速道路の持つ恩恵というのは大変大きいわけでありますが、高規格幹線道路一万四千キロの中で、これからどういうふうな形で整備されるかをまずお伺いしたいと思います。
  176. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございましたように、高規格幹線道路というのは、まさに地域の活性化あるいは地域の発展の基盤になる大変大きな役割を果たす道路だというふうに私ども考えているわけでございます。  それで、今もお話がございましたように、この高規格幹線道路につきましては、一万四千キロのネットワークの構想を持っているところでございまして、現在約六千キロの供用を図っているところでございます。これから私どもとしてはこのネットワークをできるだけ早く整備したいということで考えているところでございまして、これからのネットワークの整備というのは、この高規格幹線道路の整備というのは、地方部が中心になってくると思いますが、私どもとしては、現在第十一次の道路整備五カ年計画を推進しているところでございますけれども、この計画期間内に約千九百キロ程度の供用を図りまして、平成九年度末でございますが、七千八百キロの供用に持っていきたい。それから、西暦二〇〇〇年には九千キロのネットワークということで整備したい。全体のネットワークにつきましても、二十一世紀の初頭になると思いますけれども整備するということで、今後ともこの建設促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  177. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 そこで、地元の話で大変恐縮でございますが、今ようやく対面交通の高速道路が整備されたというような状態でありまして、まだまだ地方の高速道路の整備がおくれている。今局長から、これからは地方の高速道路の整備だという話がありましたのですが、実はこれも、東名高速は昭和四十四年に全線、東北高速は昭和六十一年、どんどんその差が広がってきているわけです。さっき言いましたように、私のところは横断道になりますが、横断道完成が、完成といっても一部供用でまだ三年くらいですか、そして対面交通。  そんな中で、東北中央自動車道という道路が指定を受けて、そして今整備をされつつあります。先日建設大臣の記者会見の中で、今度の施行命令を十二月早々にもというふうな話をお伺いいたしました。この東北中央自動車道、とりわけ上山-東根間、これがまさしくその施行命令を待っている現状でありますが、この東北中央自動車道の進捗状況、そしてこれからの計画を最後にお伺いをしたいと思います。
  178. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 今整備計画になっていて施行命令が出てないというのが全国で千百八十四キロあるのであります。これは、どこも早く命令を出してほしいということで、しかも、まあ全体として工事中のストックがむしろもう少しふえた方がいいかなという状況になっておりますことも含めて、我々としてはとにかく少しでも加速しよう、早目に命令の出るようにということで大蔵省とずっとかけ合っているところであります。当面は、設計調査等について命令を出して手をかけるというようなことででも入っていきたいというふうに思っておりまして、これもまあ、どこは落としてどこを入れるというのもなかなか大変なことでありますので、できれば千百八十四キロを命令の対象にしたいということで努力をしておりまして、その後、設計等を進めながら現実にこの仕事に入っていくという場合には、多少の前後する状況もあるだろうというふうに思いますが、まあ今言うような感じで、どこをどうというぐあいに特定の箇所について申すわけにもいきませんが、全体的にそんなことで今取り組んで、余り遅くならないようにこれは大蔵との合意をいたしたい、こういうぐあいに思っている次第であります。
  179. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 終わります。ありがとうございました。
  180. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、吉田治君。
  181. 吉田治

    吉田(治)委員 ゼネコン汚職というのは本当に残念な話でございまして、特に大臣は旭川市長を務められ、また道知事選挙に二回立候補されて、こういうふうな話を聞かれた場合には非常に残念だと大臣は思われていると私は思います。  決して、うらやましい、そういうことがあったらよかったなんてことはゆめゆめ考えていらっしゃらないと思いますが、ゼネコン汚職に関しましては一点だけ申し上げたいことは、私の友人でもたくさんゼネコン関係に勤めておられるのがおりまして、彼らが一様に言うのは、談合というふうなものじゃなくて技術で勝負をしたい、ビジネスの、商品の売り込みというものを技術で勝負したい、それが談合体質によってある程度阻害されてきた、その阻害要因をなくすことによって日本建設技術がもっともっと発展する、そういうふうなことになってもらいたいというふうなことがあったということをまず申し上げて、質問に移らせていただきたいと思います。  今回の不景気、景気対策に関連してお伺いしたいのですけれども住宅建設の経済全体に対する波及効果につきましてどのようにお考えなのか、大臣並びに経企庁の担当者の方にお聞かせいただきたいと思います。
  182. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 この住宅建設に関しましては、きのうでありますが、月例報告が出た中でも、大変まあ、全体的には非常に低迷しているのでありますが、住宅建設のみ突出して高い水準ということの評価を得ているところでありますが、我々としては、さらに今後一層努力してまいりたい、こう考えている次第であります。  今御質問の点でありますが、民間住宅投資は平成四年度で約二十三兆円、これはGNPに占める割合では四・九%ということになっております。これは、民間最終消費支出の五六・六%、民間企業設備投資の一七・七%に比べれば小さいものの、住宅という一つの品目としては相当な大きなウエートを持っているものだと思うわけであります。  他産業への影響というような意味からいいましても、住宅投資が、鋼材、セメント、木材産業など産業全体に及ぼす生産誘発効果は、住宅が一兆円建設されたときに、住宅産業に他産業を加えた産業全体の生産額では約二兆三百億ぐらい、非常に大きな波及効果を持っております。  なお、この前ちょっと計算をさせてみたのでありますが、住宅建設によって、家具、電気製品など居住に関連した消費の増加がどのくらい見積もられるだろうかということでざっとやってみたのでありますが、ややこれらの付随するもので住宅建設額の約一割ぐらいはさらに波及効果がある、こういうぐあいに思っております。
  183. 塚田弘志

    ○塚田説明員 ただいまの御答弁をちょっと補足させるような格好で申し上げたいと思います。  国民経済計算速報によりますと、本年度の四―六月期の実質の民間住宅投資の伸び率は五・一%と高いものになってございます。これは、昨年の八月の総合経済対策の効果が発現してまいりましたこととか、それからその住宅の関連の金利がかなり低い水準にあったことによりまして、一-三月期に新設の住宅の着工戸数がかなり高かったということの結果であると思います。新設の住宅着工戸数の推移を見ますと、このところ高い水準で推移しておりますのは御承知のとおりでございます。このように、住宅投資というものは、現在のところ政府の投資と並びまして、我が国の経済を下支えする役割を果たしているというふうに承知をしております。  今後についてでございますけれども、本年の四月に決定されました新総合経済対策におきまして、住宅金融公庫の融資の追加等の措置がとられておりまして、足元では、公庫への融資の申込件数が本年の四月から八月において非常に高い伸びになっているということがございます。こうした効果が今後あらわれてくる、住宅着工を通じまして投資額にあらわれてくるというふうに考えております。  また、今回の緊急経済対策におきましても、住宅金融公庫等の事業規模を二兆九千億円追加するという措置がとられましたことも御承知のとおりでございます。さらに、住宅の関連の金利も、足元におきましては相当低下してきておりまして、こうした金利の低下が住宅着工を一層促進するというふうに考えております。したがいまして、今後とも民間住宅投資は堅調に推移するものと見込んでいるところでございます。
  184. 吉田治

    吉田(治)委員 それでは、その住宅金融公庫の方にお聞きしたいのですけれども、たくさんお金を貸して、このお金はもともと財政投融資の資金で、私たちが郵便局へ一万円、二万円と預けているお金が積み重なって原資になっているやに聞いておりますが、では、バブルが崩壊した、まあバブルじゃなくてもこういう状況に陥って、いかがなものでしょう、焦げつきと言われているもの、不良債権と言われているものの金額もしくはその期間等ございましたらお教えください。
  185. 伊藤茂史

    ○伊藤説明員 お答えします。  今のお話でございますので、個人関係の債権を取り上げまして、平成五年九月末現在で公庫がお貸ししておる件数、全件数でございますが、六百六十四万七千八百五十件ございますが、これに対しまして、六カ月以上延滞しております件数が四千五百六十件でございまして、これを率に直しますと〇・〇七%でございます。これは、過去にはこれよりもずっと高い時期もございまして、率としては相当低い状況が続いております。  したがいまして、先生今おっしゃいましたように、バブルがはじけて不況が続く中でどうかというお話でございますが、今のところ目立った動きはない状況にございますが、私ども注意深く見守りまして、延滞の防止、あるいはいろいろな相談があった場合にはそれに応ずるということで臨んでいきたいと思っております。
  186. 吉田治

    吉田(治)委員 非常に住宅建設というのは日本の経済を下支えしている、なおかつお金もゆっくりちゃんと返ってくるという状況の中において、果たしていかがでしょう。日本は今生活大国、生活先進国ということが言われておりますが、それにふさわしい住宅の面積、または居住面積というのは言われておるのでしょうか。建設省の考えていらっしゃるふさわしい面積というのは今のところどれくらいなのか、お答えいただきたいと思います。
  187. 三井康壽

    ○三井(康壽政府委員 御指摘のとおり、豊かな生活をするには住宅が広くなくてはなりません。  やや統計的なことを申し上げますと、現在、昭和六十三年の住宅統計調査が一番新しいのでございますけれども、全部、全国の一戸当たりの住宅を平均いたしますと、八十九・三平米でございます。これは、ヨーロッパの水準、一戸当たりの水準よりやや低目でございます。なお、この二十年間、昭和四十二年が七十三・九平米でございましたので、二十年間に十七平米弱ふえてきた、こういう実態でございます。  これを、私ども目標は、現在第六期の住宅建設五カ年計画を一九九五年度まで、平成七年度までの予定でやっておりますけれども、先ほど申し上げました八十九・三を九十五平米にしよう、二〇〇〇年には百平米にしよう、こういう大きな目標で、長期的に政策を進めてまいりたいと思っておりますが、仮に、二〇〇〇年に百平米になりますと、現在のヨーロッパの住宅の一戸当たりの水準を一応追い越すのではないか、まあヨーロッパの方がさらに住宅規模がふえますと、これはまた今言ったことは正しくないかもしれませんが、仮に今のヨーロッパの水準のままですと百平米で追い越す。いわゆるヨーロッパの方々のウサギ小屋論ということは、一応非難は受けなくて済むのではないか。  ただし、ヨーロッパはそうでございますが、アメリカは百五十平米強でございますので、これに到達するのは、なかなかこれは至難のわざであると思います。したがいまして、長期的に、今申し上げました二〇〇〇年百平米という目標のために、住宅金融公庫の融資ですとか、ローン減税の拡充ですとか、こういったことを着実に進めてまいりたいと考えております。
  188. 吉田治

    吉田(治)委員 その中で一点、貿易摩擦との関係で申し上げたいことは、私は昔、モンデール駐日大使の出身州でありますミネソタ州というところの通商代表をやっておりまして、そのときに、アメリカとは規模が違うという話はありますけれども、やはり輸入木材の促進並びに、大きな家になりますと、物をたくさん買うので、先ほど大臣言われましたように内需拡大につながるということで、今から四、五年前ですか、ツーバイフォーの家を輸入して、ミネソタビレッジだとかそういうふうなものをつくればどうかという形で、さんざん大阪で歩き回りました。  大阪府庁に行き、また住宅公団に行き、こういう金融公庫に行き、地方建設局にお伺いして、全部回った最終結論は一言、そんなでかい家であれば住宅公団としては、私たちが目指すニュータウンの規模じゃない、金融公庫さんは、そんなでかい家には金を貸せない。その結果としてこの計画はとんざいたしまして、州政府の方から、残念だね、日本のクオリティー・オブ・ライフのためにこういうふうな住宅というふうなものから提供したいのに、そういうふうな規制、そういうふうな枠がある、果たして日本人というのは、豊かな生活というふうなことを質問されて答えに窮した記憶がございます。  今言われましたように、二〇〇〇年越えていきますと百平米、もっともっと住宅に対する要求は厳しくなってくると思いますし、余りにも今のこの二百四十平米というのは、金融公庫の枠、それから住宅公団のニュータウンの枠というのは、一規格大量生産型のまさに日本の経済が歩んできた道そのものではないでしょうか。やはり多品種少量生産というふうな言葉もございますけれども住宅もそういう方向に進め、なおかつ、それに対して公庫なり公団なりがバックアップしていくという必要があるのではないかと思うのですけれども、その辺の方はいかがでございましょうか。
  189. 三井康壽

    ○三井(康壽政府委員 確かに先生指摘のとおりで、やはり広い住宅日本国民の方々が住めるようにしたいというのが私どもの願いでございます。  ただ、今までの住宅政策のことを反省を込めて申し上げますと、金融公庫の金も財政投融資資金でもございますし、またその一部の融資に対しましては利子補給という、皆様方の税金で補給しなければいかぬとか、あるいは減税も同じように貴重な税金を使わせていただいているということもありまして、我が国での議論はどちらかといいますと所得の低い方、あるいは本当に中堅のサラリーマンの苦しんでいる方になるべく厚くということから、規模を割と狭くとりつつ議論してきたところでございます。  ただ、先ほどのように、居住水準向上のための政策をしておりますので、非常に古い話で申し上げますと、例えば昭和二十五年度あたりの公庫融資が百平米ぐらいしかお貸しできなかったのですけれども、いろいろ御支援、御協力いただきまして、最近ではようやく二百四十平米になってまいりました。二百四十平米も昨年からでございまして、先ほど申し上げております二〇〇〇年百平米ということから、こういった規模拡大ということを徐々に広げてまいりまして、なるべく今御指摘のような広い住宅を安価に国民の皆様方の手に入るような方向努力をいたしていきたいと思っております。  それから、なお一言ちょっとつけ加えさせていただきますと、例えば公団住宅でも、賃貸住宅系統はどうしても家賃との関係もございまして、余り広くして、しかも国費が入っていくということになりますと、そこにもやや制約要件もございます。分譲系につきましては、そういった規模拡大というのも相当努力いたしますし、今言われたような大規模なものでございますね、そういったことは努力をしていきたいと考えておるところでございます。
  190. 立石真

    立石参考人 お答えいたします。  住宅都市整備公団は、住宅事情の改善を必要としている大都市地域におきまして住宅宅地の供給をこれまで進めてきたところでございますが、公共投資基本計画あるいは第六期の住宅建設五カ年計画に基づきまして住宅規模拡大を着実にまた計画的に図ってきております。  これらの中で、具体的に建設するに当たりましては、例えば標準的な世帯に対しての住宅、あるいはまた多人数の世帯や三世代住宅向けの大型住宅、そういうように多様な需要に対応した住宅建設を図っているところでございます。面積的にも、先ほど住宅局長の方からもございましたが、例えば平成四年度では、賃貸住宅の中層では計画床面積九十平米ぐらい、分譲住宅におきましては百七平米というようにかなり規模を大きくしてきているところでございますが、今後とも居住水準の向上に努めてまいりたいと考えております。
  191. 吉田治

    吉田(治)委員 もう時間ですので、最後に一言申し上げますが、やはり標準とか平均とかいうのは、先ほど局長さんですか、三井さんが言われたように時代とともに変化しておりますので、どうぞ随時に、フレキシブルにもっともっと大きいような形になっていただけるようにしていただきたいと思います。そして、中堅の苦しい人、標準、平均というような言葉でごまかしたり、そういうことはないと思いますけれども、逃げたりなさらないように、もっと果敢にトライしていただきたいと思います。  また、最後に大臣に一言申し上げたいのは、先日、冷害視察で先生の地元、旭川に行ってまいりまして、本当に広いところにのんびりと立派に住んでいられる皆さん方を見ておりまして、多分、大臣、東京へ出てきたときに、何てところにみんな住んでいるんだ、ここが人間の住むところかとひょっとして思われたかと思いますが、そのお気持ちを忘れられずに、今後とも住宅政策に邁進していただければと思っています。  以上で、質問を終わらせていただきます。
  192. 鳥居一雄

    鳥居委員長 次に、中島武敏君。
  193. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、しばらくぶりの建設委員会における質問でございます。きょう私は、ゼネコン問題についていろいろと大臣にお聞きしたいわけです。  大手ゼネコン公共事業をめぐる汚職事件は、ことしの三月、金丸事件に端を発して、東京地検によるゼネコン各社の事情聴取を契機に、とどまるところを知らない、そういう状況です。宮城、茨城両県知事、仙台市長など自治体の首長の逮捕、起訴、さらには鹿島、清水、大成、ハザマの大手ゼネコン各社の最高幹部の逮捕、起訴、さらには建設業界の談合のドンと言われた飛島建設の植良氏に対する取り調べ、植良氏の後、ゼネコン中央談合組織の元締めと言われておりました鹿島の清山副社長も逮捕されました。既に吉野照蔵日建連会長も逮捕されておりますし、建設業界全体を巻き込む空前の一大汚職事件に発展いたしております。  中央政界では、金丸前副総裁に続いて、鹿島清山副社長から竹下登元首相にここ数年にわたって盆暮れのたびに一回五百万円から一千万円のやみ献金が行われたことが報道され、竹下元首相側は否定していると言われますが、清山副社長から小沢一郎元自民党幹事長、現新生党代表幹事に渡された献金については、その一部を小沢氏は認めております。このように、地方首長だけではなくて中央政界にゼネコン疑惑は広がりつつあります。  この事件がリクルート事件などと違う点は、公共工事に絡んで一%ないし三%の政治家への献金が出され、その分高い価格での発注という国民の税金のむしり取りの疑惑という点でも、また表裏の献金によって建設行政がゆがめられているのではないかという疑惑という点でもへ極めて重大だと思うんです。  まず、きょう私は、所管大臣としての五十嵐建設大臣のこの問題についての認識、所見を伺いたいと思います。
  194. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 今御指摘のとおり、先日来の公共事業執行に関する相次ぐ汚職事件というのはまことに残念なことだと思う次第であります。しかも、これもお話しのように、発注者である地方公共団体の首長が相次いで逮捕される、業界では業界の最大の大手三社の、しかも首脳、役員がこれも相次いで逮捕されるというようなことは、これはもう単に一、二の企業がどうとかこうとかということではなくて、やはり公共事業執行にかかわる全体的な問題、あるいは業界の体質そのものにかかわる問題という厳しい認識も必要だというふうに我々としては考えているところでありまして、そこでこれらの改善のために、建設省としては目下最善の努力をしているところであります。  御承知のとおり、中建審の中に公共事業に関する特別委員会を設けて、先般来、入札制度あるいは契約制度に関する改善について精力的に検討をさせていただいているところであります。また、この際、一般競争入札導入を考えるべきだということで、建設省の直轄工事、あるいは特殊法人また都道府県そして政令指定都市までの一定規模以上の工事についての試行導入を決めて、既にそれぞれそういう形での発注をしていることは御承知のとおりであります。  さらにまた、我々としては、これらの監督の責にある建設省といたしましても、この際、みずから襟を正してしっかり業界指導に当たるべきだという考え方で、昨日、これら業務改善のための推進本部を設けて、望月事務次官本部長として真剣に内部改革に取り組むということも指示をいたしたところでございます。  国会では政治改革について真剣な御論議をいただいて、年内にもこれを通すというような考え方で進められておられるようでありますが、その政治改革と一体のものと考えて、我々としては建設行政改革に全力を挙げて努力をしてまいりたい、このように存じている次第であります。
  195. 中島武敏

    中島(武)委員 今大臣からお話しのありました業界体質改善とか、また入札制度改善、さらには建設省が襟を正す、その具体的な問題というお話は、私はそれはそれで非常に大事なことだと思うんです。  しかし、私が言いたいのは、検察は検察でいろいろ刑事責任の追及をやっておりますけれども、同時に、監督官庁としての建設省が、みずからの責任でゼネコン疑惑の真相の究明をするということが必要なんじゃないでしょうか、大臣
  196. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 直接的な事件内容の究明というのは、これは建設省の行政から見てなじむものではない。それはそれなりに検察当局、あるいは談合等につきましては公正取引委員会等でこれも積極的にお取り組みいただくべきものであるし、殊に、またその取り調べが進んでいるのは先ほど来お話がございましたとおりであります。  しかし、建設省としては、さまざまなこれらにかかわる状況調査なり分析なりというものはしっかりしながら、こういうことの繰り返しのない体制というものをつくるために努力していかなければいけぬのでありますから、そういう意味での行政上の努力はもちろんいたしてまいりたい、このように思う次第であります。
  197. 中島武敏

    中島(武)委員 これは、大臣御存じかどうか、金丸逮捕後初めて開かれた、当時総理大臣は宮澤総理ですけれども、宮澤総理との党首会談が四月九日にやられました。このとき、日本共産党で出席したのは不破哲三委員長ですけれども、不破哲三委員長はこういう発言をしたのです。  「私は、首相にたいして、公共事業発注と建設業界政治献金のかかわりについて、徹底した調査をおこない、その結果を国民国会に報告することを要求する。これは、政府・自民党の避けるわけにゆかない責任である。」これに対して、宮澤総理が何と答えたかといえば、「公共事業というのは、国民の税金でやる仕事であって、政府が関心と責任をもつのは当然だ。」「(不破委員長の)指摘は正しい。その通りだ。」こういうふうに答えている。それで、不破委員長が、「この問題での調査の件はどうか。」調査してその結果を「国会に報告してほしい」ということを述べたのに対して、宮澤総理は、「犯罪行為を構成したかどうかは別に、公共事業の発注・受注の上でフェアな関係があったかどうか究明する責任はある。」このように言っているわけであります。  これは党首会談のときだけではなくて、その後開かれましたことしの五月二十一日の衆議院予算委員会で、日本共産党の児玉議員に対する質問に対しても、また、ことしの六月七日の参議院における予算委員会の我が党の上田参議院議員に対する答弁においても確認をしているわけですけれども、「これらの建設会社はみんな免許事業で役所の監督下にあるわけでございますから、そういうことをやっている経理は少なくとも適当だとは思えない、そのところは監督官庁としては当然真相の究明をすべきではないかと思います」こう言っているわけなんです。  私は、こんなことを言っては失礼ですけれども、宮澤総理にしては随分きちんとしたことを言っておるなと思うのですが、先ほどから大臣ちょっと首をひねっていらっしゃるので、この線より後退されるのでは困ると思うので、大臣のこれについての答弁を求めたいと思うのです。
  198. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 それぞれの事件の真相究明というものは、これは現に検察がそれぞれ調査をし、捜査をし、摘発をしているわけでありますので、ここのところは私どもはそれをしっかり注目し、受けとめていきたいと思うのであります。全体的なこういうことを生んだ行政の状態というものを厳しく反省して、分析して、そしてまたどういうふうにこれから我々としては指導監督していくかということ等については、もう言うまでもなく我々みずから努力していかなければならないことであろう、こういうふうに思っているところであります。
  199. 中島武敏

    中島(武)委員 検察が刑事責任を追及するのは当然でありますし、また、前向きに、大臣は何をしなければならないかということを言っておられるのですけれども、そのことをしっかりとやられるためにも、建設省建設省立場で、国会国会立場で真相の究明を行うということは非常に大事だと私は思うのです。その点では、どうもいささか答弁は宮澤さんより後退しておるな。細川さんの答弁、私は何回も聞いている、本会議で。どうも検察任せですよ、検察任せ。これはだめだ。  やはりそれぞれの部署でちゃんとしっかりしなければいかぬのじゃないかということを私重ねて申し上げて、建設省として、使途不明金についていろいろ調査をされたと思うのですけれども、この問題について、特に使途不明金、何に使われているのか。私が特に関心があるのは、やみ献金などにどのくらい使われているものかということが関心があるのですけれども、お答えいただきたいと思います。
  200. 小野邦久

    小野政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の使途不明金の問題でございますけれども建設業界の使途不明金の額が他の産業に比べて大変多いということは、国税庁の調査結果等に関する報道等から承知をいたしております。私ども建設省といたしましても、建設業界における経理処理の適正化という観点から、大手ゼネコン対象に、六月半ばから下旬にかけまして、使途不明金の発生原因等についてヒアリングを行ったわけでございます。  それによりますと、使途不明金の内容は、例えば工事の施工前には、工事を紹介してくれた者に対する仲介あっせん謝礼とか、あるいは用地買収の取りまとめなどのための地元対策費など民間工事に係るもの、あるいは工事施工中のものといたしましては、騒音等の工事迷惑料としての近隣対策費といったようなものが主である、こういうことでございました。  本来、使途不明金は大変あってはならないことでございまして、企業会計原則に照らしましても、使途不明金をなくすように努力をするということは当然だというふうに考えております。目下の建設業界に対する大変厳しい批判にこたえて、社会的信用の失墜を回復するためにも、使途不明金の解消に努めるということは大変重要でございまして、私どもといたしましては、先ほどの調査結果等も踏まえまして、七月三十日付で使途不明金の解消に努めるように業界団体に対し通達をいたしまして、強く指導しているところでございます。
  201. 中島武敏

    中島(武)委員 私が言ったやみ献金にはどれくらい使われておりますか。
  202. 小野邦久

    小野政府委員 やみ献金の問題でございますけれども、この調査のときに、具体的に金額とかあるいはやみ献金の額は幾らだというようなことをなかなかお答えしていただけない、また、私ども調査の十分な手法がないということもございまして、実態等についてはつかんでおりません。
  203. 中島武敏

    中島(武)委員 どうも余り納得のいく答えが返ってこないので、残念であります。  じゃ、それと関連して、次に、実はこれは毎日新聞が三月二十六日付で報道した清水建設の献金リストの問題、これは余りにも有名になっておりますから、内容は余り言わなくてもいいんだと思うのですけれども、ちょっと記憶を呼び覚ますために簡単に申し上げますが、この献金リストの原簿は手書きだというのですね。それで、副会長、専務、常務ら十一人の担当役員別に五十七人の政治家名が記載されておって、それぞれSA、A、B、C、Dのランクがついていたというのですね。盆と暮れの政治献金先を書いたもので、SA、スペシャルAは献金額一千万円、Aは五百万円、Bは三百万円、Cは二百万円、Dは百万円ということで、この献金リストでは、SAは金丸前副総裁と竹下元首相の二人だと。以下、名前が掲げられているのですけれども、Aランクには六人、Bランクには十三人、それからさらにCランクは十二人、Dランクは野党一人も含めて二十四人だということが言われておって、建設業界に対する影響力が大きい政治家ほど高いランクに位置づけられているということが、御存じのとおり報道された。  結局、こういうものが建設行政に影響を及ぼさないのかという問題なんですよ。及ぼす危険性、可能性というものは極めて濃厚だから、こういう問題についても、大臣はみずから調べるべきじゃないかということを私言っているのですけれども、実は、一昨日の参議院の決算委員会で、日本共産党の高崎裕子議員も述べたことなんですけれども、茨城県の知事ですね、今問題になっております前知事です。この県立植物園、これは九二年の五月に入札をしているのですけれども、鹿島が単独受注で九億六千三百万円。ところが、裏金から二千万円出している。どれくらいの率になるか。二・一%なんですね。  それから、同じく茨城県の十王ダムですね。これは代表企業がハザマで、三社JVです。八六年の十一月に入札をして、設計変更後の工事高は五十億一千万円ですか。ハザマは幾ら裏金、献金をやっているかというと、五千五百万円だというわけです。一%なんですね。  私は、こういうものが使われているということは、自分のところは営利会社ですから損を絶対しないということを見込んでやるから、可能性の問題ですけれども、また、よく言われていることですけれども、これが発注高の中に、あるいは受注高の中に含まれているという問題がある。さらに、こういう問題がやられますと何が出てくるかというと、本命が決まっているということになれば、あらかじめもう決まってしまっているということになれば入札も高とまりをする、こういう可能性があるわけですね。  私は、そういう点で、やはりこの種の問題について建設大臣はしっかり調べる。これは犯罪捜査とはちょっと別なんですよ。やはり国民の税金を使ってやっている仕事なんですから、そこにはやはりちゃんと建設省としてこの種のことに関心を持ち、調べる、責任を持って調べるというのが正しいのではないかということを言いたいわけなんです。
  204. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 そういう意味での、一体どういうことがそれぞれあったか、あるいは総じて一体どういう傾向かというようなこと等について、我々がそれなりにいろいろ勉強するということは、これは当然あっていいことというふうに思うのでありますが、ただ、先ほどお話を申し上げましたように、一件一件の実態を踏み込んで調査をして、そしてどうこうするというようなことは、これは本来検察の仕事であって、建設省というものではない、こういうことであります。
  205. 中島武敏

    中島(武)委員 ただ私は、やはりこの種の問題について、今の大臣の答弁でいいのかなという気がするのですよ。  といいますのは、長くなりますから、私もくどくなるから余り繰り返したくはないのですけれども、冒頭にも述べました鹿島から竹下さんとか小沢さんに盆暮れ定期的にお金が出されておるという問題ですね。  何で私こういうことを特に強調して言うかというと、これも新聞で報道されたことですから御存じだと思うのですけれども、「建設相経験者によると、金丸前副総裁らの「建設業界支配」は次のような構造になっている。」というので、大臣、御存じかもしれませんが、「道路河川改修、ダムなど毎年の建設予算の大まかな配分率は金丸前副総裁と竹下氏が建設省事務当局と協議して決める」、こういうことが書かれているのですよ。それから、「建設予算をどこに使うかを決める「箇所付け」も、二人と田中・竹下派幹部の「建設族」議員が了承したあと各議員に公表される」んだ、「工事発注では指名に加わろうとする業者の陳情を受け付ける」、それで「業者選定では「天の声」の役割を果たす――。」こういうことがいろいろやられるものですから、自民党の中枢と業界、官庁の癒着の構図がこんなふうにして完成するんだ、ここまで書かれているのですよ。  そして、これをしゃべった建設相、建設大臣経験者が「「利権のカラクリは分かったのだが、あまりにも壁が厚く、手を出すまでにはいかなかった」と振り返るほどの強固さだ。」こういうふうにこの記者は書いているのですね。私は、これはなかなかリアリティーがあるじゃないかこんなこと、つくり上げたことじゃなかろうという気がするのですね。  こういうことを書かれるわけですから、私は、くどいようですけれども、やはりいろいろ出されていることについては、単に襟を正すというだけではなくて、将来の問題というだけではなくて、こういう問題にメスを入れる、これが大事ではないかということを申し上げたいわけなんです。
  206. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 もうこれらの問題については、先ほども委員が御指摘のように、各県知事あるいは市長等を初めとして多くの逮捕者が出る、あるいは、ゼネコンのトップクラスの、しかも役員、首脳が相次いで逮捕される。それはもう本当に毎日毎日新聞の上に新しい事実が出てくるというぐらい、検察は腰を入れてこの問題は捜査を進めているというのが現状であろうというふうに思います。  我々は、それをしっかり受けとめながら、建設行政を一体どう改革していくかそういうものを踏まえて正しい改善をどうするかということに総力を挙げて今取り組んでいるということであって、私は、その姿はその姿で正しい方向といいますか、建設省としての最善の努力をしている姿ではないかというふうに思います。
  207. 中島武敏

    中島(武)委員 では次に、具体的な問題といいますか、東京湾横断道路の問題についてお伺いをしたいのですけれども、これは東京湾横断道路、ことしの予算委員会で上田参議院議員が、建設業界のドンと言われ、また、先ほど言いましたけれども大手ゼネコンの談合を取り仕切っていたと言われる飛島建設の前名誉会長植良祐政氏が東京湾横断道路の川崎トンネル工事で金丸前総裁に働きかけ、最高額の工区の逆転受注に成功したという、この報道をもとにして調査要求したのですね。  私も、この報道は読みましたけれども、実にリアルなんですね。リアリティーがあり過ぎるぐらいリアリティーがあるのですよ。日にちも場所も全部特定して、植良祐政氏がどう言ったと、金丸さんにお願いしたというのですね。それで、金丸さんのところに副社長を行かせていた。うちを指名してくれるように、向こうの、向こうというのは東京湾横断道路会社のことですけれども、副社長のところに頼んでいただけないかと頼んだというのですね。  もちろんそれは、御存じのとおり、当時この会社は四百四十二億円の赤字を抱えていて、公共事業を受け取れないのです。こういう状況でありましたから、ですから、この点についていろいろと工作をして、とうとう受注をしたと。この問題、実は調べることの要求を上田参議院議員もやったんですけれども、どうですか、建設省の方でも、あるいは公正取引委員会の方でも、この問題についてその後調べておりますか。
  208. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございました新聞報道につきましては、そのような事実があったかどうかというようなことを東京湾横断道路株式会社に確認をいたしましたが、横断道路株式会社の方からは、工事の発注に当たって政治家からの働きかけというのは、そういう働きかけを受けた事実はないというような回答をいただいております。
  209. 楢崎憲安

    ○楢崎説明員 御説明いたします。  御指摘のような事柄につきまして、個別の事案にかかわることでございますので、公正取引委員会としてどういうふうに対処したか、対処しようとしているかということについてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。  ただし、一般論として申し上げますと、私ども公正取引委員会といたしましては、入札談合が行われたという具体的な端緒に接した場合には、独占禁止法に照らしまして厳正に対処するということは当然でございまして、今後とも入札談合にかかわる情報の入手に一層努めていきたいというふうに考えてございます。
  210. 中島武敏

    中島(武)委員 公取の方では、ぜひ情報の入手には大いに努めてもらいたいのですが、この前の上田さんに対する答弁のときにも同じような答弁で、何カ月たっても何か同じ答弁が返ってくるなというのが私の感想です。  それから建設省の方は、聞いたけれどもそんなことはないと言われたというだけのお話で、さあそれで納得できるのかなというのが、みんな疑惑が残ってしまうのではないでしょうか。これは正直なところですね。  それで、ちょっと委員長にお願いしたいのですけれども、資料をちょっと配付をお許しいただきたいのですが。
  211. 鳥居一雄

    鳥居委員長 はい、どうぞ。
  212. 中島武敏

    中島(武)委員 これも公正取引委員会に最初にお尋ねいたします。行ってますでしょうか。  裏の方をごらんいただきたいのですが、裏から二枚目です。これは上田参議院議員が使ったものを、わかりやすいものですからここに再録をしたのですけれども、「東京湾横断道路の工区別受注状況図」というのが下から二枚目にあります。それで、この川崎トンネルというのは、下の方に川崎トンネル川人南(一)というのがありまして、飛島建設、これがその今私が申し上げた、また業界でもこれは問題になった点なんです。  これをずっと見ていただければおわかりのように、間、熊谷、それから熊谷、鹿島、鹿島、大成、西松、前田建設工業、大林、前田建設工業、清水というふうに、ざっとこう見ただけでも日本の名立たるところが、実によく仕事を分け合っているのですね。こういうものについて私は、ああこれは談合があったんじゃないかなというような感じを公取あたりは持つんじゃないかと思うのですけれども、どうですか。
  213. 楢崎憲安

    ○楢崎説明員 ただいま資料を初めて今この場で見ているわけでございまして、この資料をよく検討してみないとわかりませんですけれども、談合が行われているような印象を持つのではなかろうかというふうに尋ねられても、ちょっと今の段階でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  214. 中島武敏

    中島(武)委員 それではまた資料に返りますが、資料の一番最初のところを、一ページのところをごらんいただきたいのですけれども、これは予定価格と落札価格の割合が判で押したように、実は九九・七%というふうになっているものなんです。ごらんいただきたいのですけれども、これは私が入手した会計検査院資料からわかりやすく作成したものです。川崎トンネル浮島北工事、これは予定価格が二百三十五億九千万です。積算価格が二百三十六億一千万。落札価格が二百三十五億二千万円、こうなるんです。  それでその次に、②川崎トンネル浮島南工事、これも、この第一の川崎トンネル浮島北工事九九・七%、これはA分のCです、九九・七なんですね。ところがその二番目も、これも九九・七なんですよ。それから三番目も九九・七なんです。四番目も九九・七。それからさらにその次も九九・七なんです。その次も九九・七なんです。一体これは、どうしてこんなことが出てくるのかというわけですね。どなたが見ても、こんなことは何があったんだろうと言うことですよ。これは感じられると思うのですね。どうですか。
  215. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今御指摘があった予定価格と落札価格の差の問題でございますけれども、東京湾横断道路株式会社に確認いたしましたが、予定価格につきましては、東京湾横断道路というのは大変公共性が高いものですから、公共事業に準じまして厳格にその機密を守っているというようなお話が、回答がございました。そういうことで、今の御指摘のように、これはちょっと数字がこのとおりであったかどうかというのは確認してないのですけれども、予定価格と落札価格の間に一定の、何か九九・七%という数字であるということでございますけれども、この数字が出てきたのも、今申し上げましたように予定価格というのが厳格にその機密が守られているということでございますので、たまたまそういう結果になったのではないかなというふうに考えているところでございます。
  216. 楢崎憲安

    ○楢崎説明員 九九・七%が六つそろっているという数字ということでございますけれども、私どもの方のこの結果としての、予定価格に近いとかそういう現象というものが独占禁止法上問題となるわけではございませんので、そういった現象をもたらすような事業者間の意思の疎通あるいは情報交換、申し合わせといいますか、そこら辺が問題になるわけでございますので、そこら辺のところがこの資料で直ちに読み取れるかというふうに言われると、まだ何とも申しようがないということでございます。
  217. 中島武敏

    中島(武)委員 建設省の方からは、道路局長から、結果としてこうなったというので、結果としてなったにしてはちょっとそろい過ぎているんじゃないですか。  それから公正取引委員会の方は、この結果がこうだということからは判断はできないという趣旨のお話だったかと思うのですけれども公正取引委員会立場というのはそうなのかもしれませんね。だけれども、こういうものがあれば、やはり関心を持って調べなければいけないのじゃないかと思うのですね。  それから、次に行きますけれども、その次のⅡというところがありますが、指名入札は形式で実際は一位不動、初めから本命が決定されておったということの証明じゃないかというのがその次に書いてあるところです。①の「熊谷・間・日本国土開発JV」ですけれども、一回目が二百四十八億なんですね。二回目が二百四十億、三回目が二百三十五億二千万、これで落札しているわけです。二位、三位のものは一回目と二回目、三回目、これはちょっと順序が入れかわったりしておりますけれども、しかし一位はきちっと動かないというものなんですね。二番目のところをごらんいただいても同じことが言えるのです。それから三番目も同じことが言える。四番目も同じなんです。五番目も同じなんです。六番目も同じなんです。  私一々名前を読み上げるのを省略いたしておりますが、大臣、こういう実態があるというときに、私は、意見を聞いたら、いやそんなことはない、何も怪しいことはないんだという答弁が返ってきたから、ああそうですかというふうに済むのかどうか。しかも、先ほどの九九・七%というのは、これはなかなか高いところにとまっている、高とまりしているということじゃないですか。それは大臣が一生懸命今入札制度改善というふうに言っている、そういう観点から見てもどう考えられるか。  私は、こういう問題はしっかり調査をする必要あるのじゃないか、公正取引委員会公正取引委員会立場で、また建設省建設省立場で、こういうものについて不問に付さない、こういう現実に起きているものを問題にして、初めて本当の制度改善というようなことに迫ることができるのじゃないかと思うのです。どうでしょう。公正取引委員会から伺いましょうか。
  218. 楢崎憲安

    ○楢崎説明員 私ども公正取引委員会といたしましても、入札談合は競争入札制度の根幹を揺るがすものである、そしてまた、競争制限を禁止する独占禁止法に違反するものであるという観点から、従来から積極的に入札談合行為の排除に努めてきたところでございます。いずれにいたしましても、独占禁止法違反行為の審査を行う上で、端緒となるべき情報の収集というものが大切だということは言うまでもないところでございますので、今後とも情報収集に最大限の努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  219. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣はありませんか。
  220. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 この資料、私も今初めて拝見いたしましたが、率直に申し上げて、問題を感ずる内容であるというふうに思います。
  221. 中島武敏

    中島(武)委員 その次の資料をごらんいただけば、ちょっと時間がないものですから私もはしょらざるを得ないのですけれども、実はこの東京湾横断道路に天下りが随分やられております。建設省が九名、大蔵省が二名、運輸省が六名、それから労働省が一名、会計検査院からも一名、道路公団四十一名、本四公団四名入っているのですね。さらに、ゼネコン各社は二十三社三十名を送り込んでいるのです。その表をごらんになっていただけばわかりますけれども、銀行が十四社十七名、鉄鋼三社三名、商社二社二名、それから海運二社二名、造船二社二名、重機一社三名。  これらの人たちは、ゼネコンから送られている人たちは、仕事が終わったら自分の会社へ帰るのです。ここで設計とか積算とか、あるいは御存じのとおり随分設計変更がありました。これらのことをこの人たちはみんな扱っているのですよ。それで建設省その他から天下った人たちと一緒になって仕事をしている。ということになりますと、これは何もかも筒抜けになってしまうということになるのじゃないかと思うのですね。この点でもやはり正さなければならない問題が大きいと思うのですけれども大臣どうでしょう。
  222. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 ただいまお話がありました、東京湾横断道路株式会社に民間の方からかなり出向しているじゃないかというようなお話でございますが、この東京湾横断道路につきましては、できるだけ民間の活力を活用しようという趣旨でつくられたものでございまして、そういうことで、できるだけ民間の経営等にすぐれた方あるいは技術等にすぐれた方、そういう方にも参加していただいて、この大変難しい事業を進めていこうということでやっているところでございます。  今お話がございましたように、ゼネコンの方からも出向していただいているわけでございますが、そういう方につきましては、この東京湾横断道路というのが東京湾の大変軟弱な地盤の海底で、しかも船等が大変錯綜する場所で、これまでに経験したことのないような工事をやるということでございます。そういう意味で、ゼネコンの中でもそういう高度の技術を持っておられる方あるいはそういう経験のある方、そういう方に来ていただいているところでございます。  そのゼネコンから出向されている方につきましては、積算等の業務を担当する部署には配置していないということでございまして、工事を監督する現場の事務所あるいは本社におきましては設計とか工事方法の検討等を担当する部署に配属されているというふうに聞いております。そういう意味で、今お話がございましたようなことはないというふうに考えております。
  223. 中島武敏

    中島(武)委員 これは民活の方針でつくられた会社であることは私はよく承知しています、私は当時この法律について随分質問しましたから。ですけれども、こういうふうになって、官民何かもう混然一体みたいな格好にどうしてもならざるを得ないというのは、私は正されなきゃならないのじゃないかと思うのですね。しかも、先ほど言ったような、いろいろおかしいなと思うことがあるわけなんですよ。しかもここは、政府保証債を含めて、道路開発資金と合わせますと、一兆一千百五十億のうち九千五百八十七億を占めるのです。ですから、そういう点では、公のお金が随分使われているという点で、私は非常に、法律的にも建設大臣の報告の徴収であるとか、立入検査であるとか、監督であるとかいうことが規定されている会社なんでありまして、ほっておくと、巨額な国民の税金をも食い荒らす場所にもなりかねないということを痛感するわけですね。  時間も間もなく来るようでありますから、私はきょうは疑惑の一部を取り上げただけであります。私は、やはり当委員会は、この種の問題をしっかりやらなきゃいかぬ委員会だと思うのです。  それで、私はきょうだけで終わらないで、ぜひゼネコン問題についての集中審議委員長にお願いしたい。それから、証人喚問についてもお願いしたいというふうに思うのです。  以下、名前を申し上げます。  藤田晋氏、全国建設業協会会長、安藤建設の会長です。それから柴田平氏、日本建設業団体連合会副会長、西松建設の社長です。それから石川六郎氏、鹿島の会長です。淡河義正氏、これは大成建設の会長です。今村治輔氏、清水建設の社長です。それから大林芳郎氏、大林組の会長です。それから石橋栄一氏、ハザマ相談役であります。町田良治氏、三井建設の相談役です。植良祐政氏、飛島建設の相談役です。それに神山裕紀氏、前清水建設の副会長です。それから清山信二氏、鹿島の副社長です。そして、これらにいろいろとかかわって、今も問題になっております小沢一郎新生党代表幹事、以上を証人喚問を御検討いただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  224. 鳥居一雄

    鳥居委員長 ただいまの御発言につきましては、理事会において協議いたしたいと思います。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会