運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1993-10-20 第128回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十日(水曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 菅  直人君    理事 小杉  隆君 理事 鈴木 宗男君    理事 原田昇左右君 理事 福田 康夫君   理事 井上 一成君 理事 柴野たいぞう君    理事 若松 謙維君 理事 牧野 聖修君       安倍 晋三君    加藤 紘一君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       二階堂 進君    後藤  茂君       濱田 健一君    吉岡 賢治君       工藤堅太郎君    赤羽 一嘉君       草川 昭三君    西村 眞悟君       古堅 実吉君    糸山英太郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 羽田  孜君  出席政府委員         科学技術庁原子 笹谷  勇君         力安全局長         外務大臣官房審 野上 義二君         議官         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省条約局長 丹波  實君  委員外出席者         科学技術原子  工藤 尚武君         力安全局次長         外務大臣官房外 河村 悦孝君         務参事官         外務大臣房外  梅津  至君         務参事官         外務省総合外交         政策局軍備官  林   暘君         理・科学審議官         海上保安庁水路 菱田 昌孝君         部海洋調査課長         気象庁総務部企 山本 孝二君         画課長         外務委員会調査 黒河内久美君         室長     ————————————— 委員の異動 十月二十日  辞任       補欠選任   土肥隆一君    吉岡 賢治君 同日  辞任       補欠選任   吉岡 賢治君   土肥 隆一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 菅直人

    菅委員長 これより会議を開きます。国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  3. 井上一成

    井上(一)委員 まず、日本ロシアとの関係首脳会談を含めて前進の兆しを持った今日、ロシア放射性廃棄物海洋投棄を再開した。私は、非常に強い怒りを覚えるわけでありますし、このことについては強く抗議申し入れたい、こういう考えです。  しかし、一方、日ロ関係前進に取り組まなければいけないということも十分承知はいたしておりますけれども、この海洋投棄次元が全く違うわけでありまして、そういう意味で、まず政府認識について最初にお聞きをしたいと思います。
  4. 野村一成

    野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま井上先生指摘のとおり、隣国同士であります日ロ関係を将来にわたり建設的に構築していく、そういうことは非常に重要な外交課題でございます。  今般のこの放射性廃棄物の管理、処理にかかわる所要の対策というのは、基本的にはロシア側がきちんと責任を持って実施すべき問題でございます。引き続いて投棄が行われる場合には、我が国国民感情等にもかんがみまして、今申しました対ロシアとの関係にも悪い影響が及ぶことが懸念されるわけでございますので、きちんとした対応はこの問題はこの問題として行っていく必要がある、そういう認識を持っております。
  5. 井上一成

    井上(一)委員 ロシア政府に対して、抗議を込めて具体的な行動政府としてはとられたのか、これは外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
  6. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま局長の方からお話がありましたように、私どもといたしましては、ともかく、せっかくお互いに話し合える基盤ができた、この基盤ができた直後にこういったことになったということ、これは確かに切り離して考えなければならぬと思うと同時に、やはりこの海洋投棄というものが、海洋国である日本魚食国である日本、この国民気持ちというものを本当に逆なでするということは、これはもう今御指摘のあったとおりでありまして、私どもとしても、こういったものに対しては、いわゆる友好関係とは別個の問題としてきちんと物を言っていかなければならぬだろうと思っております。  そういう中で私たちは、具体的な行動というのは、まず、ロシアに対しまして直ちにいろいろな形で声明を発すると同時に、斉藤事務次官から在京のロシア大使に対しましてこの投棄中止、要するに、二回目の投棄もあるということでありますから、こういったことも含めてこれに対して抗議申し入れるということ。それから、私からけさ、未明になりますけれども、二時ごろに電話が通じたと思うのですが、コズイレフ外相に対しまして投棄中止するように電話申し入れをいたしたところであります。  それから、そのときにも話したのですけれども、いずれにしましても、我々はこれはやめてほしい、やめなければいかぬということ、これを申し上げると同時に、やはりこういったことが日ロ関係のせっかく構築したものをまた崩すことになるのだ、この辺を本当に真剣に考えてほしいということを相当強く実は申し入れたところであります。そして、それと同時に、この海洋投棄についての共同調査というものをしようという話も実はあるわけでございまして、こういった問題についてこれから我々として議論をしていきましょうということを、できるだけ早目にそういったことをやろう、そして共同調査をできるだけ早くやろうということも改めて言ったところであります。  それと同時に、私どもといたしましては、即時停止というものを求めてG7によるところの申し入れ、これもやろうということで、関係国に対して今一つずつ連絡をとっておるということでありまして、ともかく有効な結果というものを得るために全力を挙げたいというふうに思っております。  なお、十一月十日、十一日に日ロ合同作業部会、これを開催することになっておりますから、こういったところで、なぜ廃棄しなければいけないのか、一体どういう問題があるのか、それをやめるためにはどういう措置をしなければいけないのか、こんな問題についてもやはり具体的に話し合っていきたいなという実は考えを持っております。  そしてもう一つは、十一月の上旬にロンドン条約会議がございますから、投棄の実態あるいは各国の反応に関する関係各国の会合、この中で、現実にあった事実というものをみんなに報告すると同時に、そういったものをやめさせるためにどう対応していくのか、これを国際的な会議の場で我々は明らかにしていきたいというふうに思っております。
  7. 井上一成

    井上(一)委員 クナーゼ外務次官枝村ロ大使会談をされたということは事実ですね。
  8. 羽田孜

    羽田国務大臣 失礼しました。  私たちは先ほど斉藤次官ということを申し上げたわけでありますけれども次官だけではなくて、現地では枝村大使がそれぞれの皆様方にお会いすると同時に、環境大臣にも、実は特別許可というのはそこの国の担当の人がやるわけですね、ですから環境大臣に会いましてこのことを強く抗議申し入れたところであります。
  9. 井上一成

    井上(一)委員 枝村大使クナーゼ外務次官との会談で、我が国としては海洋投棄、きょうにでも二回目の投棄が行われるという情報もあるわけですから、そういうことを取りやめる確約を得たのか、中身について少し具体的に聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
  10. 林暘

    林説明員 枝村大使ダニロフダニリャン環境大臣に第二回目の投棄中止を強く申し入れたわけでございますけれども環境大臣の方からは、第二回目の投棄中止することはできないという返事がその場ではございました。
  11. 井上一成

    井上(一)委員 外務大臣、今お聞きのように、第二回目は中止でき得ないということについて、日本政府はどういう対応をされるのですか。
  12. 羽田孜

    羽田国務大臣 今の問題につきまして私どもとしましては、やはり徹底してこのことに対して抗議申し入れると同時に、一体どんなようなものが投棄されているのかということについても、まさに我々の海そのものでございますから、そういったことでこれが汚されるということが今どういう現実があるのか、その辺のところを我々詰めていかなければならぬだろうと思っております。  ただ、何というのですか、我々はこういったものは引き続いて行われていくということは何としても避けさせなければならないということでありますから、それを避けさせるために具体的に一体何がお互いにできるのか、こういった問題についても徹底して話し合っていきたいというふうに思っております。
  13. 井上一成

    井上(一)委員 時間をかけてと言うが、何らかの担保をしなければ、ロシアはさらにきょうにでも投棄をするのですよ。大臣御苦労をいただいて直接電話なりの交渉をされたということは、私はそれはそれで大変御苦労さまと申し上げたいわけですし、枝村大使ロシア関係環境大臣なり外務省の高官に会われて努力をされているわけですけれども、今の状況では中止する意思がないということで、それでも、なおかつじっとしているのですか。
  14. 羽田孜

    羽田国務大臣 じっとしているということではなくて、先ほど申し上げたダニロフダニリャン環境大臣ですね、これに枝村さんが会って、日本の立場というもの、そして日本怒りといいますか、こういったものを率直にぶつけております。そして、私どもはその直後に、また私から今度コズイレフ大臣に対して話し、しかもこれを単なる抗議として受けとめないて、やはりこれを本当に高い最高のレベルまで上げて何とかひとつ投棄をやめてほしいということを、緊急なあれとして電話で実は話したということであります。  それから、ダニロフ大臣の発言の中にも、いろいろなことを説明し、どうしても自分たちとしては投棄しなければならぬ、それは非常に低いレベルのものである、しかし、今言ったことは我々の行為を正当化するために言っているのではなくて、ぜひ理解していただきたいということについて申し上げているのだということ、そして、自分としては、こういったことによって日本人たちに対して心配といいますか不安を呼び起こしたことに対しては率直におわびをするという意味のことを何か言われておるということを、私ども今つかんでおります。
  15. 井上一成

    井上(一)委員 率直におわびをするということで済まされない問題なのです。せっかく日ロ首脳会談で何らかの前進が見られたと評価をしているまさにそのときに、先ほど話もありました国民感情を逆なでするような、こういう行為をさらに続けるというのでしょう。やはりそれは中止させる外交努力というのが今求められているのではないか。  それから、核処理施設整備のために。通産省からも一定の、一億ドルでしたか、そういう協力もしようということで、ロシア核解体のそういうようなことに日本協力をしていこうということで取り組んでいるわけなのですよ。だから、それも本当はロシア海軍のために支援しているのか、あるいは引き続いて海洋投棄する、日本海に投棄するということを話し合いでじっと待っているのですか。ごめんなさい、済みませんということだけでこれは済まされない問題だと私は思う。
  16. 羽田孜

    羽田国務大臣 ですから、黙っているとか放置しておくということ、あるいはわびだけをもらえばいいということではない、やはり私たちとしては海洋投棄というものをしてもらっては困るということを言わなければならぬ。  そして、先方は、これはいろいろな議論があるところでありますけれども、例えば今の原子力潜水艦、これは解体しなければならない。私たちはそれを解体しろ、また、米ソ話し合いの中でもそういったことが進んで、彼らは解体しなければならぬ。しかし、解体するときにそういったものが出てくるということ、どこかにこれを処理しなければならぬということで、今お話しになった通産省がというお話なんかについてもまさにそのことを言われていると思うのですね。  ですから、私も実はきのうの電話の中で、そういった問題についてもおまえさんのところがそういった現実を抱えていることは我々もわかっておるけれども、しかし、それによって海洋が汚染されるということは困るのだよということを強く言いました。  ともかく我々としては、その投棄を何としてもやめるようにということを、実はまだ言って何時間しかたっておらないというところなんでございますけれども、いずれにしましても、そういうことをやって、そういう話し合いの中で何としても投棄をやめさせるための努力というのが今私たちに与えられたものであろう。そして、今後そういったことをしなくて済むような方法というのを一体どうするのか、現実的な話として私どもはやっていかなければならぬだろうというふうに思っております。
  17. 井上一成

    井上(一)委員 今も交渉中であるということだけれども、やはりゃめさせる、中止させるということが担保されなければだめなんですよ、援助する、支援は。  だから、そういう意味では、例えば今回のグリーンピース、いわゆる市民団体がこの投棄について先行したわけなのですよね。この市民団体の力がなければこれはわからなかったかもわからない。IAEAにも我が国の代表がいらっしゃるわけなんだ。ソ連はもう早い時期にIAEAには報告をしたというふうにも報道されているわけなんです。そこらについても、私は外務省政府外交姿勢の弱さを少し感じるのですよ。  そういう意味で、中止をさせるということが前段、それを担保して、どう処理をしていくかという話し合いに入っていかなければ、いや、どうしたらいいんだろうかということを考えるのです、考えるのですでは、私は納得がいかない。
  18. 羽田孜

    羽田国務大臣 全く今あなたのおっしゃるのと同じつもりで私はこの東京から、東京でやっていることですから、そしてモスクワに対して直ちにこれをやめろ、やめてほしいんだということを私は強く申し上げたということなんです。それから、確かにきのうIAEA事務局長ブリクスさんですか、彼ともお話しいたしまして、確かにロンドン条約ですか、ああいった中にあって、低レベルのものはということであったけれども、一応モラトリアムとしてこれをしようということを言われておることなんだから、そういったことで、やはりそういう連絡があったら直ちに我々なんかにも通報してもらわなければならぬということであったのですけれどもブリクスさんはよそを歩いておったようでございまして、実は私が得たのもこういう時期だったのだというような話をされておったということでありまして、実際に連絡をしたというのは十月五日というふうに聞いておるところでありますけれども、しかし、そのあたりを私たちも今後の一つの教訓にしていかなければならぬだろうというふうに思っております。
  19. 井上一成

    井上(一)委員 問題は二つ。私の指摘したとおりなんだ、全く同じことを交渉しているんだということですが、もう時間が限られた時間ですから余り繰り返したくないけれども中止をさせる、そのための最善の努力をする、しかし中止をしなければ我が国ロシアとの関係はこうなるのですよ、これくらいの腹を日本政府は持っているのですよ、それくらい手のうちをしっかりと示してこれは中止させなければいけない、どんなことがあっても。だから、そういうことについてどう政府考えているのか、やはり国会の場で明らかにしなければいけない。  もう一点、五日にIAEAに既に通告済みだと報道もされているのですが、外務省はこういう情報を収集することができ得なかった。外務省存在というか、日本外交のひ弱さというか、私は、情けない、こんなことでいいのだろうか。人が足らぬのか、あるいはそういう情報収集力が、能力がないのか。金だけ積んで国際貢献だという時代じゃないのですよ。そういうことについて、私は、きっちりと外務省の本来あるべき姿というものを今回示してほしかった。市民団体グリーンピースには本当に世界的な御苦労をいただいているが、この方々に私たちは教えていただくというか感謝しなければいけないし、この人たち情報がなかったらわからなかった。だから、この二点について、外務省現状体制に対して反省をしなければいけないのではないだろうかというのが一点。これは後段。  前段は、きょうにでも二回目の投棄が行われるというような状況の中で、日本政府がもっとしっかりとした外交姿勢を示すべきである。首脳会談での、むしろ東京宣言も含めて空文化するものであり、もう多くは申し上げませんけれども、やめさせるためにどうするか。話し合いというのは、やめますということを担保しなければ話し合いに入れぬじゃないですか。そのことについて・・・・・。
  20. 林暘

    林説明員 井上先生指摘の第二点目の情報収集の点について、私の方から事実関係について御答弁させていただきます。  IAEAが十月五日にロシアからの通告を受け取っだということは、今外務大臣が申し上げたとおりでございます。その通告は我々の手元に参りませんでした。  それで、その事情について我々としてはウィーンに照会をいたしまして、IAEAがなぜその通告を我々に回してこなかったのかということを照会をいたしました。IAEAからの返事は、IAEAとして同通告の信懸性、信懸性というのは技術的な信糧性でございますが、それについて調べているうちにロシアにおける海洋投棄が始まってしまったという点が一つ。第二点目は、IAEAへの通報というのはロンドン条約上の義務ではない。IMOの方はございますけれどもIAEAの方は義務ではございませんので、その点について各国情報を回すということについて考えていなかったということでございました。  後者の点については、我々の方から、こういう重要な問題については、IAEA連絡を受け取った場合には、遅滞なく関係国連絡するようにしてほしいということを強く要請をいたしておきました。  それから、グリーンピースが把握した情報について外務省が把握していなかったのじゃないかという御指摘、遺憾ながらそのとおりでございます。
  21. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに今審議官の方からも申し上げましたように、そういった問題についての把握が遅かったということはある。ただ、この問題については、御案内のとおり、アメリカも昨日抗議文を出しましたけれども、実際にみんなわからなかったというのが現状で、まさにグリーンピースが通報してくれなかったらわからなかったのじゃないのかということ、これは裏返してみれば本当に大変恐ろしいことだなというふうに思っております。その意味で、我々としても、機構の面でもきちんとした体制は整えていかなければならぬだろうと思っております。  なお、前段の部分だということでお話しいただきましたことに対しましては、これは私ども外交関係の問題がありますから、どういう言葉で言ったということまでは申しませんけれども、相当厳しい話をそのときにも申し上げておるということだけを率直に申し上げておきます。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 これは外務大臣言葉までは、ここですべてを話しなさいと私は言っているのじゃないのです。中止をさせるための日本外交をしっかりと、しんのある外交を示しなさい、そういうことを示さない限り、我が国外交はどうなっているんだということで、外務省存在が問われますよ。  環境あるいは食糧、そういうことも含めて環境安保食糧安保、いろいろなことを考えなければならないときだ。特に、細川総理が来月訪韓をされる。そういうときに、韓国側とも当然こういう話が出ると思うし、そういう話についてはどういう対応をしていこうとしているのか、そこらについてもう少し毅然とした姿勢を示すべきだ。私は強い怒りを持っているわけなんです。決して日ロ首脳会談の成功の流れをとめるものではない。しかし、これは次元が違う。だから、そういう点についてしっかりと御答弁をいただいて、残余は若松委員に譲って、私の質問は終えたいと思います。
  23. 羽田孜

    羽田国務大臣 井上委員からの御指摘、私どもも本当に腹に据えてこれから対応していきたいと思っております。  そして、私どもまだ二カ月半ぐらいしかたっていないわけでありますけれども、しかし、私どもはこの新しい政権が発足して以来、外交面においても日本はただ追随していくというのじゃなくて、言うべきことはきちんと言おう、行動すべきことはきちんと行動しよう、そんなつもりでやっておるところでございますけれども、まだ万全でないことは私どもよく認めながら、これからも今御指摘があったことのようなつもりで対応していくことを申し上げておきたいと思います。
  24. 菅直人

  25. 若松謙維

    若松委員 公明党の若松謙維でございます。よろしくお願いいたします。  初質問でございますので、若干まくら言葉を述べさせていただきます。  政権交代から二カ月が過ぎまして、その短い間に羽田外務大臣北米二回、そしてアジア一回、三回も海外に出向かれ、活躍をされておる、称賛したく存じます。副総理というお立ち場大変お忙しいでしょうが、外務を国内で行うことも大事ですが、本来の外務はまさに国外で行われるものと理解する一人でございます。ますます積極的な海外御出張を期待するところでございます。  先ほど井上議員も御質問ございましたけれども、今回のロシア放射性廃棄物投棄事実、これは日本の安全な環境を守るという観点からも非常に重要な問題でございますので、さらに質問させていただきたいと思います。  これは私ごとで恐縮ですが、チェルノブイリの原発爆発後、翌年私の第三子が、ロンドンで実は妊娠しまして、妊娠五カ月目にして水頭症という形でおなかの中で亡くなった。その当時、やはりヨーロッパで同じような事件が非常に多かった。現実には、ポーランドで例年ですと七十万人新生出生人口が出るというときに、その翌年は半分しか出生じなかった。いわゆる原子力というものに対しては注意をし過ぎることはない、これがやはり原点ではないかと思っております。  そのようなお気持ちから、先ほど大臣からも御決意がありましたけれども、何としても中止したい。つきましては、これだけの重要な問題でございますし、一日に約十本も東京そしてモスクワ往復便がございますので、ぜひこれからでも、外相ロシアに乗り込んでいって、それで、日本国民を代表してその思いを述べられる決意、御覚悟があるかどうか、ぜひ御答弁お願いいたします。
  26. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題に対応いたしますのに、私どももこれは急な話でございましたから、また、引き続いてというような話もあるということでございますので、やはり緊急に対応しなければいけないだろうということで、先ほど井上委員にも申し上げましたように、東京においても次官レベルでちゃんと話す、あるいは現地でも、大使あるいは担当官が向こうへ出向いて話していくということ。そして、だれか人をやることはできないだろうかということですが、余りにも緊急なことでありますから、ともかく出かけていくというよりは、先日、お互いに率直な話し合いをしようと約束し合ったということがありますので、直ちに外務大臣に対して電話を入れるというような実は行動をとっておるところでありまして、やはり本当に効果の上がることをやらなければいけないということでありまして、出かけていくことがいいのか悪いのかいろいろと議論した結果、けさ未明、そういう対応をしたということを御理解いただきたいと思います。
  27. 若松謙維

    若松委員 そういうお話ですけれども先手必勝という言葉が、これは戦略の大優先手決ではないかと存じますけれども、やはり行動がその後にいろいろな解決策を生み出す、そういった観点から、いかがでしょうか。慎重に対応する、それも重要ですけれども、やはり具体的な行動を印とる、そういった点からはいかがでしょうか。
  28. 羽田孜

    羽田国務大臣 慎重というのではなくて、直ちに行動しなければいけないということで、行動というのは、今情報の時代でありますし、私はコスイレフさんとも、これからいいことも悪いこともおまえさんとは電話でともかく何でも話そうやということを実はこの間も申し上げたところでありまして、早速、決していいことじゃない、第一回目の電話がこんなことであることはおれもつらいんだよと言いながら、実は電話で話したということでありまして、まさに私は一つ行動であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  29. 若松謙維

    若松委員 やはり現実としてはそのような感じになる、私としてはやはり行動をとっていただきたい、そう思う一人でございます。  いずれにしましても、この核廃棄問題、低レベルといいながら、またIAEAは人体への影響は少ないというのですけれども、先ほどは私個人の体験でございますけれども、やはり唯一の被爆国であります日本人がどれほどこの問題に対して恐怖感を抱いているか、この事実を、十一月中旬に行われます第二回日ソ合同作業部会でぜひ強く訴えていただきたい、そのようにお願いを申し上げる次第です。  続きまして、今回の問題も含めまして、いずれにしましても、やはり日本を取り巻く環境問題というのは非常に増大している、このような事実が明白になったんではないかと理解しております。今後、近隣諸国、例えば隣のロシアでは今回のような放射性物質の日本投棄、さらには、中国におきましては、原子力発電所等から出る大気汚染によりまして、これが日本に降りかかる酸性雨、このような国外に起因する理由から日本国内の安全な環境及び生活を脅かす要因が増加していると理解しております。このような状況におきまして、今後の日本の安全な環境を保護する、確保する、これはまさに近隣諸国の協力なくしてあり得ない時代になっていると私は理解いたします。  そういった観点からいたしますと、最近、日本政府は公害防止を中心とした二国間環境プログラムを推進しておりますが、環境問題はまさに国を超えて、そして複雑に絡む問題となっております。今後日本政府は、ロシアも含むアジア環境問題というのを総括的に監視し、そして保全策を検討するために、まさにグリーンピースの先を行くようなアジア環境保全センターのような機能をアジアの国のどこかに設置するようなことが必要と考えますが、大臣の御見解をお願いいたします。
  30. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話がありましたように、やはり環境問題というのは、先ほどヨーロッパの例を挙げてお話がありましたように、もう一国だけで対応することが不可能になってきておるというふうに考えております。そういう意味で、私どもといたしましても、今後ともそういったことの視点に立ちながら対応していかなければならぬだろうというふうに思っております。  そして、今の御指摘のございましたアジアの環境保全センター設置構想というのがあったわけでありますけれども、アジア近隣諸国も含めますところの途上国への環境保全ですとかあるいは公害防止、このための技術移転を進めることを目的といたしまして、昨年、我が国にUNEPの関係で、国連環境計画国際環境技術センター、これを招致をいたしたところでございまして、このセンターの協力がアジア地域、ひいては地球規模での環境保全、これに資するものであろう、またそういうものにしていかなければならない、そんな思いで対応していきたいというふうに考えております。
  31. 若松謙維

    若松委員 先ほどのものはUNEPの下部組織になりますね。それは大阪のものですか。
  32. 梅津至

    ○梅津説明員 先生ただいま御指摘のセンターは、先生御指摘のとおり、大阪とそれから滋賀両方にございまして、その両方を一体としてセンターと称しております。正式名称は国連環境計画国際環境技術センターと申します。
  33. 若松謙維

    若松委員 ぜひそのような機構をさらに強化拡大されて、また隣国、特にシベリアに関しましては、広大なシベリアというところにまさにタイガ森林がございまして、そこら辺の伐採も今後問題がどのようになっていくか、非常に興味のあるところですし、ぜひ早急なその機能強化というところをお願いしたいということで、次の質問に移らせていただきます。  いずれにしましても、やはりUNCEDでアジェンダ21、これを何としてもアジアで遂行するためには、日本のイニシアチブが不可欠である、そのように考えます。ぜひこのアジアの環境問題に羽田外務大臣が先頭を切って、日本が積極的に関与され、そして環境貢献国日本外交を強く推進していただきたいと念願いたします。  続きまして、実はロシアの民需転換のための経済支援につきまして、ちょっと質問を移らせていただきます。  現在、ロシアでは市場経済への転換が行われておりますけれども、実質うまくいっていない。この転換を阻止している最大の原因は、何と申しましても巨大な軍需産業が民需へ転換するプログラムが確立されていないということと理解しております。ついては、二十世紀最後の、そして最大の技術革新とも言われます軍需産業の民需転換のノウハウが、技術国日本の支援により画期的な技術が開発、確立されることが、まさに冷戦後の世界秩序の構築に最も有効かつ貢献できる点であると考えます。  このような観点からいたしますと、実際にこの民需転換、どの国も努力しておりますけれども、なかなか成果が見られない、この点につきまして日本政府がこの民需転換を支援する、例えば特別なプログラムづくりに最大の努力を払われる、そのような御意思があるかどうか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  34. 羽田孜

    羽田国務大臣 我が国は、ロシア連邦における内政あるいは経済、そして外交すべての面にわたりまして改革路線がやはり継続するよう、国際社会とも協力をしながら支援を進めていきたいというふうに考えております。  このような基本的な認識というものを踏まえまして、ロシア連邦との市場経済への移行のための改革努力、これをやはり積極的に支援するということ、これはこの間のエリツィンさん、その以前の平成三年四月に署名されました技術的支援協定、これにも基づきまして、専門家の派遣あるいは招聴など今日現在積極的に進めておるところであります。  特に御指摘のございました軍民転換への協力につきましても、政府は各種のミッションを派遣しながら、個別企業の構造改革努力、これに対して技術支援の実施に努めておるところでございまして、今御指摘のありましたようなことも含めまして、あの国が本当に民需の中でこれから栄えていけるように我々は協力をしていきたい。  それともう一つは、大きな軍需工場がただ民営の工場に大きなまま変わっても本当の小回りのきく対応というのは難しいだろう、そんな意味で、中小企業の技術ですとか、中小企業が日本で育ってきたそんな経過も踏まえながら対応することがやはり大事だろうというふうに思っております。
  35. 若松謙維

    若松委員 私は、実は三年前ニューヨークの国連軍縮局を訪問いたしました。その際、軍縮が叫ばれていますのに実際は常任理事国が武器輸出を行っている。これに歯どめがかからないのは、やはり軍需産業の民需転換は容易ではない、これを証明するものではないか、結局これを乗り切る以外に人類の真の軍縮は始まらないと考えているところでございますので、ぜひ日本はこの難題にあえて挑戦されて、平和憲法を有する。日本の役割を名実ともに世界へ示していくことが大事ではないかと強く念願して、私の質問を終えさせていただきます。
  36. 野村一成

    野村政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、今、軍民転換を達成するということのロシアの改革支援の中における重要性というのはいたく認識しております。  先ほど大臣から答弁ございましたように、民営化とかあるいは中小企業育成、そういった大きな枠組みの中で、その重要な一環といたしまして、この軍民転換への支援というのも力点を置いていきたいと思っております。特に、人の育成と申しますか研修と申しますか、そのノウハウをきちんと頭に入れていただくということがやはり重要であるというふうに思っております。
  37. 若松謙維

    若松委員 先ほどのノウハウというところでございますけれども、やはりロシアの方が、特に若い人材が日本に来られでどんどん知識、いわゆる平和憲法を有する日本国民を理解していただく、そして、まさに民需転換の根本となる民活、これを学ぶ機会をぜひ外務省の御努力で推進していただきたい、そのように思う次第でございます。
  38. 菅直人

    菅委員長 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  39. 菅直人

    菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小杉隆君。
  40. 小杉隆

    ○小杉委員 まず外務省に伺いますが、きょう第二回目の投棄を行うというふうに伝えられておりますけれども、今現在このロシアの海軍の船はどういう状況にあるのか、もし情報がわかったらお知らせいただきたいと思います。
  41. 林暘

    林説明員 現時点で投棄船がどういう状況になっているか、現時点で把握しておりません。まだ港に——港を出たという情報は少なくとも得ておりません。
  42. 小杉隆

    ○小杉委員 私なりにいろいろ情報を収集しました結果、現在二時三十分でありますけれども、パブロフスク湾に停泊中で港から出てない、こういう情報であります。この辺の情報収集については、私は当初から外務省情報収集のあり方について非常な疑問を持っております。  まず、その情報という面から私は質問したいと思うのです。  今回のロシア海軍放射性廃棄物海洋投棄の事実は、グリーンピース情報によってこれが明らかにされた。聞くところによりますと、グリーンピース人たちはずっと張り込みを続けて現場を押さえて、そしてマスコミに情報を提供したということであります。もしグリーンピースがこの海洋投棄の現場をキャッチできなかったら、一体、今もロシア海軍行為というものは全く我々には知らされていないということになるわけであります。今回のこうしたロシア海軍の動きについて、もう少し政府は注意深く状況の把握、情報の収集に当たるべきではなかったのかと思うんですね。  しかも、エリツィン大統領が日本を訪問して、十三日に帰られたんですね。そして、この投棄を行ったのが十六日でありますから、日本から帰国してわずか三日目にこの海洋投棄を行ったわけです。で、ちょうど海洋投棄を始めた十六日、これは十六日に始めて十二時間かけて海洋投棄を行って、そして終わったのが十七日だということでありますから、日本の役所が休んでいる土曜日と日曜日にかけて実施をした、これは偶然ではないんではないか。そして、ロシア政府は十八日の月曜日になって、海洋投棄が全く終わってしまって全世界がグリーンピースを通じて事実を知った後での記者会見で、再度この海洋投棄の計画があることを公表しているわけです。  この今までの経過を見ますと、従来、この海洋投棄についてはロンドン条約があったわけですし——このロシドン条約の事務局というのはどういう機関がやっているんですか、外務省、お答えください。
  43. 林暘

    林説明員 ロンドン条約の事務局というのがございますけれども海洋投棄やなんかの通報を受ける機関としてはIMOがございます。
  44. 小杉隆

    ○小杉委員 IMO(国際海事機構)にはこのロシアから事前の通告があったのかどうか。
  45. 林暘

    林説明員 ロシア政府の発表ではIMOにも通報、通告をしたというふうになっておりますけれども、我々がロンドンの事務局に照会したところによりますと、IMOは事前通告を受けてないという回答を得ました。
  46. 小杉隆

    ○小杉委員 新聞報道によりますと、ロシア環境保護天然資源省は、海洋投棄の実施についてIAEA(国際原子力機関)に事前通告をして了解を得ていたと言っておりますけれども大臣は昨日、IAEAの事務局長ブリクスさんに会ったと聞いておりますけれども、この事前通告があったのかどうか、そして、IAEAとしてはこれに了解を与えたのかどうか、ブリクス局長認識について伺いたいと思うのです。
  47. 羽田孜

    羽田国務大臣 了解をしたということではなくて、しかも旅先の方に連絡を受けたというような話を昨日されておりました。それで、私の方は、ロシアの方ではそういった機関、国際機関とかそういった関係国連絡をしたということを初めに言っておりましたね、ですから、そういったことがもしあったとしたら、なぜ我々の方にすぐ知らせてくれなかったんだという実は聞き方をしたわけなんです。ところが、彼自身が旅先で実はそれを報告を受けたといいますか連絡を聞いたという話でありました。
  48. 小杉隆

    ○小杉委員 ブリクス事務局長の個人的な旅行中とかそういうことではなくて、やはり組織としてIAEAという、日本も相当多額のお金も出し、また人も派遣している国際機関、こういうところが、日本がかねてからこのロシア放射性廃棄物投棄問題には非常な関心を持っているし非常な懸念を持っている、こういうことを知っているそういう国際機関が、ロシアの方から事前に通告を受けたのに何で日本連絡してこないのか、その辺はどういうことになっているのですか。
  49. 林暘

    林説明員 IAEAが十月五日付でロシア政府からの通告を受けていたという確認がございます。  IAEAがなぜその通告関係国、締約国に流さなかったのかということについてIAEAの事務局に照会をいたしました。  IAEA側の返答は、一つは、これはブリクス事務局長も昨日外務大臣に述べていたところでございますが、先ほど小杉先生からも御指摘のように、ロンドン条約の事務局的役割はIMOが占めておりまして、IAEAとしてはIMOがその情報を流すという前提で考えていたということが第一点と、第二点は、IAEAとして同通告の技術的な中身についての信糧性についてロシア側照会していたという返事がございました。  いずれにしても、我が国としてはIAEAに対して、関係国への連絡義務ロンドン条約上ないけれども、これが極めて重要な情報であるということは十分判断ができたものと思いますので、こういうものは遅滞なく連絡するように強く要請をいたしておきました。
  50. 小杉隆

    ○小杉委員 IMOというのがロンドン条約の事務局であるのになぜIMOに連絡が行かなかったのか、私には大変不思議でなりません。  先ほども申したように、日本政府に対してIAEAがこういう、これはきのうきょう始まった問題じゃないんですね、ことしの四月にロシア政府日本海に投棄していたということを公表して以来、我々はG7でも、あるいはこの間の日ソ首脳会談でもたびたび懸念を表明していたわけでありますし、東京サミットでもこの点については宣言に盛り込まれているわけですから、この辺の国際機関に対する日本政府の、特に外務省のアプローチが大変弱かったんじゃないか。  IMOに対して今回のことで何かしたことはあるのですか。
  51. 林暘

    林説明員 先ほども御答弁申し上げましたように、ロシア側がIMOに事前通告をしたという発表がございましたので、IMOはそういう事前通告があれば当然関係の締約国政府にはそういう通告を流すはずのものであるということでIMOに照会いたしましたところ、IMOは受け取ってないという返事があったわけでございます。  今回の事件について、IMOとの関係で接触をとりましたのはその件でございます。
  52. 小杉隆

    ○小杉委員 ロシア放射性廃棄物海洋投棄しているという事実は、ことしの四月に大統領の環境分野の顧問であるアレクセイ・ヤブロコフ、これは私が総裁をやっているGLOBE(地球環境国際議員連盟)の前のロシアの会長であった人ですが、私も非常に親しくつき合っている人ですが、彼がエリツィン大統領に依頼をされて調査し、報告したいわゆるヤブロコフ・レポートに詳しく報告をされているわけです。この報告書の中には、ロシア海軍の基地に液体放射性廃棄物処理施設が完成するのが一九九七年である、その一九九七年までは海洋投棄を続けるとはっきり書かれているわけですね。  グリーンピース日本支部に私はいろいろ情報を聞きましたところ、こうしたヤブロコフ・レポートの記述から、そろそろ海洋投棄が行われるんではないか、そういう予想のもとに注意をしていた、こういうことなんですね。  日本政府は再三にわたって、もう四月以来海洋投棄中止ロシア政府申し入れてきた。そして、先日の東京宣言、経済宣言、日ソの首脳会談でも、これに対して重大な懸念を表明し、またG7、サミットでもこのことについて言及しているわけです。  そういう経過を考えますと、グリーンピースの方は、もうそろそろ危ないな、そろそろ海洋投棄を始めるんじゃないかと予想して注意を怠らなかったわけですが、日本政府は、そうした今までの経過にもかかわらず、監視をする努力というものがなかったんではないか、怠っていたのではないか。それで、しかも報道された時点で直ちに政府はできるだけの調査に着手すべきだったと思うんです。  投棄場所は、ここに地図もありますけれども投棄に要した十二時間の間に、例えば海上保安庁でも、水産庁でも、船で行けば十分間に合うし、飛行機やヘリコプターなら完全にフォローできたはずですわ。そういう調査をやったのかどうか。それらの点について、ちょっと伺いたいと思います。
  53. 工藤尚武

    工藤説明員 お答え申し上げます。  先生おっしゃいますように、今回の投棄に対しましてやはり迅速に国民の不安にこたえていかなければいかぬということでございまして、実は、本日午前中に放射能対策本部幹事会を開催いたしまして、そこで、日本独自の調査を、共同調査とは別に、早急に実施することを意思決定いたしました。
  54. 小杉隆

    ○小杉委員 科学技術庁に伺いますけれども、独自の調査というのは、内容的にはどういうことを調査するのか。それから、今回の投棄された量というのは九百トンだ、放射能の強さは二・一八キュリーと言っていますけれども、これはロシア側の発表による数値なのか、それとも何かオーソライズされた数値なのか、伺いたいのです。
  55. 工藤尚武

    工藤説明員 お答え申し上げます。  まず初めに、数値の根拠でございますけれども、これはロシア側の発表によるものでございます。オーソライズされたものではございません。もちろん、IAEAに報告という意味では、IAEAは知っている数字ということではございますけれども、オーソライズはされたものではございません。  それから、やろうとしております調査の内容でございますけれども、急速準備しておりますので、これから具体的日程等詰める部分もございますけれども、大まかに申し上げますと、調査機関は、海上保安庁、気象庁、それから水産庁でございます。  そして、海上保安庁につきましては、測量船明洋という名前でございますが、それを初めといたしまして四隻の船を出すことにしてございます。それから、気象庁は海洋気象観測船の清風丸という船を出すことにしてございます。水産庁につきましては、西海区水産研究所の所属の調査船の陽光丸という船を出すことにしてございまして、準備が整い次第できるだけ早く出すことにしてございますけれども、その中で一つだけ、海上保安庁の明洋丸につきましては、本日の午後にも出港しまして日本海に向かうということで進めてございます。  そして、今回の場合、調査の内容でございますけれども、実は四月に発表になりましたときに、ロシア政府が発表いたしましたときに、五月から六月にかけましてやはりこの同じような機関が船を動員いたしまして調査を行いました。これにつきましては、液体廃棄物のほかに固体廃棄物を投棄した地点もたくさんございますので、したがいまして、海水だけではなくて、海底土もとりまして、調査をいたしたわけでございますけれども、今回は液体廃棄物をまいた、海面にまいたということでございますので、海水をとってきてそれを分析をする。それから、水産庁につきましては、その海水の調査だけではなくて、日本海でとれた魚の調査、これは実は経年的にずっと魚の調査をしてございますけれども、今回特に本件のために魚の魚種をふやして調査するということを今水産庁で検討してございます。  以上でございます。
  56. 小杉隆

    ○小杉委員 遅きに失したという気がしますね。もう少し継続して、できるだけのところまで出かけていって、常時注意を払っていれば、今度の投棄のことも早くキャッチできたんじゃないかなと思うんですね。  先ほどの話ですけれども投棄の量とかあるいは放射能の強さというのは一方的なロシアの発表で、これをうのみにせざるを得ないということなんですが、こういうのはどうなんですかね。かつて中曽根内閣のときに後藤田官房長官が、韓国機を撃墜したときに、例えば宇宙衛星とかなんかで把握できるというようなことを言っておられましたけれども、アメリカの協力も得たり、あるいは日本が持っている気象衛星とかその他の衛星を通じて、そういう十二時間も同じ場所に軍艦がとまって廃棄しているなんというのはキャッチできないものだろうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  57. 工藤尚武

    工藤説明員 大変申しわけございませんけれども、今気象衛星とかそういうことでキャッチできないかという非常に貴重な御指摘でございますけれども、今それにお答えする知識を持ってございませんが、今先生の御指摘になりました中で、二・幾キュリーあるいは九百立米ということでございますけれども、これは確かにこれをうのみにするわけにはまいりません。したがいまして、そういうこともございますので、それが拡散して、日本の近くにどういうふうに来るかということも含めまして、海保、気象庁とかそういった専門家の知恵をかりまして、実地調査をすることによりまして、少なくとも日本の周辺に問題が及んでいないということだけは確認ができることを期待しているわけでございます。
  58. 小杉隆

    ○小杉委員 科学技術庁を中心に、放射能対策本部幹事会がことしの四月から六月にかけて調査をした、こういう御報告をいただきました。そして、その海洋投棄された場所に近い海域で調査をした結果、八月末にその報告書を出されたわけですね。この海域というのは、投棄された場所に余り近くない、離れた場所でやったというふうに聞いていますが、この調査地点というのはどういうところだったのか。  それから、この報告によると、さっきの御説明のとおり、海水とか海底の土とか海産生物というものを調べだそうですが、その中に、いずれからもストロンチウムとかセシウムとかプルトニウムが検出をされている。この物質、この元素というのは、普通の自然の環境の中では絶対出てこない物質なのですね。これは、戦後長い間行われてきた大気圏内の核実験の放射性降下物に起因する物質ばかりですね。この日本海の海域で調査した結果、結果としては異常は検出されていなかった、「我が国国民の健康に大して影響がおよんでいるものではない」こういう結論が出されているのですが、私はちょっとこの点についても首をかしげたいわけです。  特に、ヤブロコフの報告書によると、今回も投棄された第九海域、あの地域では一九八八年に一万キュリー以上の液体放射性廃棄物投棄をされているわけですね。今までもこれは相当大量に捨てられていたわけですから、特に大量の投棄が行われたとしても、今まで相当蓄積していますから、そんなに異常は検出されないということもあり得るわけで、だから別段騒ぐことはない、こういうふうに言われていると思うのです。  しかし、ストロンチウムとかセシウムとかプルトニウムという物質は、長い間だんだん蓄積し、それを初めはプランクトンが食べて、そして小魚が食べ、また次に大きい魚が食べ、そして人間がそのお魚をとって食べる。そうすると、食物連鎖といって、だんだん放射能が人間の体に摂取される、こういうことがわかるわけですよ。当面は何にもないと言っても、今騒がれているフロンガスによるオゾン層の破壊とか熱帯林の減少とか地球温暖化とか、こういう地球環境の問題も、今我々日常こうやっていても何にも害は直接的には受けないわけですよ。しかし、それが数十年後、あるいは百年後、そのときになって気がついたらもう取り返しがつかないというふうに、地球環境というのはじわじわその危機が追ってくるわけですね。  特に、このプルトニウムなどというのは、半減期、放射能が半分に減退するまでの期間が実に二万四千年と言われているのですね。ストロンチウムとかセシウムでも約三十年半減期があるということですから、だんだんこういう半減期の長いものが徐々に蓄積をされて、お魚から始まって人間の体に循環して、食物連鎖というのが起こって、将来とも人間に害を及ぼさないという保証はないわけですね。  その辺の調査とか研究というのは、科学技術庁が放射能対策本部の幹事をやっておられるわけでしょう、厚生省とかそのほかの省庁もあるわけですけれども。だから、人体に対する影響とか安全性、そういったものはもっと息長く研究を続けていかないと結果はわからないと私は思うのですよ。わずか四月から六月までの二カ月間で、何も異常はありませんでした、これでいいのかなと思うのですが、その辺いかがですか。
  59. 工藤尚武

    工藤説明員 まさに先生御指摘のとおりでございまして、ストロンチウムを初めとするそういう放射性物質の影響、特に短期的なものではなくて人体への蓄積とか長期的な影響につきましては、まだまだ知見が非常に少のうございまして、日本の広島、長崎の経験、そこで得られましたデータが世界的に見ましても一番の貴重な、貴重なといいますか、データになってございまして、それをもとにして、国際的なそういう放射能の影響の専門機関でございますICRPという機関がございますけれども、そこでそういう基準を決めたりあるいは研究を進めております。そして、またしかし十分な知見がございませんで、日本では放射線医学総合研究所、放医研といってございますけれども、放医研でそういう人体に対する影響を知るためにいろいろな、動物などを使いまして、これは非常に時間のかかる研究でございますけれども、それを地道ではございますが続けでございます。  それから、先生のおっしゃいましたことしの五月、六月にやった調査、これは影響ないから大丈夫じゃないかということでございますが、この日本海を初めといたしまして、太平洋も含めまして日本全体の海域につきまして、これはもう昭和三十年ごろから実は放射能の濃度の調査を続けでございます。これはなぜそういうことをやってきたかと申しますと、先生御指摘になりましたような核実験による降下物、放射性降下物の影響を調べるためでございまして、先生おっしゃいましたようなストロンチウムとかそういったものは、実は御指摘のとおり核実験による影響でございます。それを経年的に調べてみますと、ずっとある一定のレベルを示しておるわけでございますけれども、一遍だけ異常なレベルを示したことがございます。これはチェルノブイリの事故が起こったときでございます。  この五、六月に出しました報告の中身は、そういうこれまでの放射性廃棄物、核実験による影響がずっと一定のレベル調査されておりますけれども、そういった従来の傾向から見て変化があるのかないのかという観点からの調査でございまして、そういう観点から見ますと、変化がない。つまり、今回の投棄による何らかの有意的な変化があるか——今回のといいますのは、きのう、きょうということではございませんで、二、三十年前からロシアが続けていたということでございます。そういうことによる変化があるかという観点から見ますと、それはむしろそういうことではなくて、核実験のフォールアウトの降下物の影響ということで、ロシア投棄による有意的な変化がない、そういう考え方でございます。  したがいまして、先生御指摘になりましたような、もっと長期的に見てどうか、本当にストロンチウムなどの人体への影響はどうなのかというようなことにつきましては、おっしゃいますように、力を入れて長期的に研究していかなければいけないマターでございまして、非常に弱い部分でございまして、そこは我々も全力を挙げてやっているわけでございます。
  60. 小杉隆

    ○小杉委員 さっき言われたICRPとかという国際機関あるいは放射能の研究所、そういうところと、やはりプルトニウムなどは半減期が相当長いわけですから、そういう人体に対する影響をもっとじっくりと調査を続けてもらいたい、こう思います。  そこで、今安全性の問題を云々している時間はありませんで、私はそういう安全性の問題よりも、今回のいわばこういう事態というのは日本外交が問われているというふうに思うのですね。  エリツィン大統領があの最高会議に砲撃を加えて多数の死傷者を出す流血事件を起こして、日本の国内にもさまざまな、歓迎をするような空気はなかった。むしろ、今来られては迷惑だというような空気もあった中で来日をされて、そしてシベリア抑留者に対して四回も頭を下げて謝罪の言葉を流した。長い間日本人の心の中にわだかまっていた何かつかえがすっとおりたような、そういう気が日本国民はしたと私は思うのですね。そして、領土問題についても、五六年の日ソ共同宣言、歯舞、色丹の領有問題を含めた過去の条約なり約束というものはすべて有効であるということを認めて、これから領土交渉の一ページが開かれた。外務省も大変私は努力をされたと思って、評価をしている一人です。  しかし、それが三日もたたないうちにこのような冷水を浴びせるような海洋投棄をやったということを見ますと、私は、本当にこれは心外であるし、怒りを禁じ得ないわけです。  この点に関しては、昨晩羽田大臣からコズイレフ外相電話申し入れをして、二回目の投棄中止せよ、あるいは作業部会の早期開催ということを要請したし、また斉藤外務次官がチジョフ大使を呼んで二回目の申し入れをしたり、またモスクワでは枝村大使がダニリャン環境保護天然資源相やクナーゼ外務次官等に申し入れをして、この放射性廃棄物投棄に強い遺憾の意を表明して、二回目の投棄はぜひやめてくれ、こういう要求をされたということで、特にロシア指導部の日本国民感情を踏まえた高い次元の政治的判断を要請した、こうありますけれども、私は、ただ要請し申し入れただけで済むのか。私に言わせれば、例えば高い次元のということであれば、細川総理が直接エリツィン大統領に電話をするとか、あるいは羽田外務大臣が直接モスクワヘ乗り込んでエリツィンに会見を求めるとか、そういうもっと思い切った行動をすべきではないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
  61. 羽田孜

    羽田国務大臣 私ども、いろいろやはり率直にこれを訴える必要がある。特に日本の場合には、漁獲だけでなくてまさに魚食民族であるということからいっても、今度の海洋投棄というのは本当に私どもにとりましても今御指摘があったとおりでありますし、また、この間まさに話し合ったばかりであって、その根底というものを揺るがしてしまうものであるという実は思いがあって、ではどう対応すべきかということでありましたけれども、ともかく一分でも一時間でも早くやはり対応しなければいけないということの中で、実はきのう、きのうではなくてけさ二時ごろでございましたけれども電話をしたということ、そして、これは単に我が国だけということではない、やはり海のことでありますので、ほかの国に対しても呼びかけながら、こういった問題に対して対応しようということで実は次から次と連絡をいたしておるということでございます。  私たちは、やはりこのことについて、ロシアがどんなことをやったのかということを自分たちが本当に承知してもらうということが大事であり、また、そういったことをしなくすることが大事であろうということで、有効な手段についてはいかなるものでもとろうということで話をしながら今対応しておるということを御理解いただきたいと思います。
  62. 小杉隆

    ○小杉委員 外務大臣ほか外務省の方々が大変努力をされているということは評価しますけれども日本認識ロシア認識とのギャップというものが私は相当大きいのでないかと思うのです。  日本では、このニュースがここ連日新聞なりテレビのトップニュースとして扱われて非常に大きな反響を呼んでいるわけですし、またアメリカでも、CBSテレビもトップニュースで扱うというふうに非常に大きな扱いを受けているわけですけれども、私はあの事件が起こった月曜日の十八日に、ロシアのGLOBE(地球環境国際議員連盟)の事務局に、モスクワでは一体このニュースはどういう扱いを受けているのかということを連絡をしたところ、次のような返事があったのです。テレビは、ロシア政府がやっていることをグリーンピースが妨害している、こういう非常に簡単なニュースでしかなかった。新聞は、もうほとんどこの事件を報道していない。  これは十八日時点の話ですから、その後外務省外交ルートを通じていろいろ抗議したりいろいろな申し入れをしたりということで、ロシアの報道も変わってきているのではないかと思うのですけれども、そういったこの問題に関するロシアの報道なりあるいはロシア国民の受けとめ方なり、その辺は、現地日本大使館から何らかのロシア国民のこういう受けとめ方、認識についての連絡というのはないものだろうか。もしわかれば、それはきょうでなくてもいいですが、またお知らせいただきたいと思うのです。
  63. 野村一成

    野村政府委員 とにかく今回のこの海洋投棄に対して、先ほど来御説明を申し上げておりますように、きちんとした対応をするということで全力を挙げております。  今先生御指摘の先方ロシアにおける報道ぶり、これは追って取りまとめてまた御報告させていただきます。
  64. 小杉隆

    ○小杉委員 領土問題にしてもそうですが、相当ロシア国民日本国民との間にはパーセプションギャップ、認識の相違があると思うのです。日本国民がこれほど核の問題に対して敏感である、こういう問題に対しては非常に心配をしている、こういう日本国民の意思とか、あるいは日本政府が核廃棄物の海洋投棄をぜひやめてもらいたい、こういう意思というものが先方に正しく伝わっていかなければいけないと思うのですが、どうも最初のころの私ども情報では余りロシアでは報道されていないということでありますから、これは引き続き在外公館あるいは日本外務省努力をしてもらいたい、こう思うわけであります。  それから、この問題は、私、外務省にもたびたび申し上げてきたのですが、日本ロシアとの二国間の問題としてではなくて、ロシアにこういう海洋投棄をやめてもらう手だて、国際的な働きかけというものがぜひ必要だというふうに思うわけです。今外務省は、そういう日ロ間だけではなくて、私はもっとアメリカとかG7とかあるいはヨーロッパ、世界各国のひとつ連帯といいますか理解を得て、そういう国際的な関連の中でこの問題の解決を図っていくべきだと思うのですが、どんな努力をされているのか聞かせてください。
  65. 羽田孜

    羽田国務大臣 私どもの方といたしましては、今御指摘のありましたアメリカあるいはアメリカを含むG7ですね、こういった各国に対しても、日本としてはこういう行動をとったということを連絡をすると同時に、やはり我々グループとしてこういった問題に対して、まさに国際的な問題なんだから一緒にアピールしようという呼びかけを今いたしておるということであり、また、早速アメリカの方でもこういった問題に対して、この間、国務長官ですか、としての発言なんかもあったようでございますし、また今度モスクワの方にもお出かけになるようであります。そういったときもモスクワに対してこういった問題を発言していただきたいというようなことも、実は私どもの方からもお願いをしておるという現実があります。  こういったものは、今も御指摘がありましたように、日本一カ国だけではどうにもならぬという点がありますので、十分私たちもそういったことを踏まえながら対応していきたいというふうに思っております。
  66. 小杉隆

    ○小杉委員 外務大臣はそうおっしゃいますが、科学技術庁に伺いますが、どうも日本政府はちょっと煮え切らないというか弱腰というか、ロンドン条約では高レベルあるいは低レベルと分けて、高レベルのものは投棄を禁止しているけれども、低レベルについては、その国の政府が許可をすればよろしい、こういうことになっているわけですね。  ですから、今度の海洋投棄は、ロシア政府が一方的に低レベルだと言っているので、私たちはそれを高レベルか低レベルかを判定するオーソライズされたものはわかりませんが、一応彼らが言っている低レベルだとしても、一九八三年にロンドン条約の締約国会議でモラトリアム、一時停止ということを決議したわけですね。その決議には明らかに違反しているわけですし、一九八三年以来ここ十年間の間にそのモラトリアムを破って捨てた国というのは一力国もない。ロシアだけがずっと続けているということで、これをやはりやめさせるということが必要だと思うのですけれども、私はここに、日本政府が、今度のロンドン条約の締約国会議は十一月の十日ですか、ちょっと日にちを——いいです、十月の初旬だと思うのですが、それに対して日本がポジションペーパーをたしか九月二十二日に出しているはずですね、事務局に。それは把握していますか。
  67. 林暘

    林説明員 今手元にその資料を私持っておりません。
  68. 小杉隆

    ○小杉委員 これは外務省からじゃなくて、私は、独自に入手したIMO(国際海事機関)、ロンドン条約の事務局であるこの国際機関に出した日本政府のポジションペーパーを持っています。これによりますと、特に今回デンマークの低レベルであろうと海洋投棄を全面禁止しよう、こういう提案に対して全くコメントしていないのですね、日本政府から出したペーパーには。そして、しかも海洋投棄に関する言及は一つもないのですね。こういうのを見ますと、本当に政府は本腰を入れて海洋投棄をやめさせようとしているのかどうか非常に疑問に思うのですが、ペーパーを出したのはどこですか。
  69. 工藤尚武

    工藤説明員 お答え申し上げます。  ちょっと今そのペーパー自体すぐにわからないのでございますけれども、十一月八日からでございます。今確かめましたが、八日からロンドン条約の改定会議ロンドンでございます。  そこで、まさに現在のロンドン条約は、低レベルは一定の要件のもとに認めておりますけれども、そしてまた、モラトリアムとして、低レベルであっても捨てないという決議がなされておりますけれども、それを条約上どう盛り込むかという会議がそこで行われるわけでございまして、先生のおっしゃる御趣旨は、それにどういう対応で臨むかということだろうかと思います。  それで、日本のこれまでの立場、私限りでお答え申し上げるにはちょっと、若干私の立場を超えるものはあるかとは思いますけれども、私の承知している限りでは、日本といたしましては放射性廃棄物海洋投棄をするという意思は持っていないというふうに私は理解しております。(小杉委員「どこが」と呼ぶ)日本が、日本政府といたしまして海洋投棄をやる意思は持っていない。したがいまして、もちろんその決議を守るということでございますけれども、それを今度条約上どう盛り込むかということにつきまして、今いろいろな案が出ておりまして、それにどう臨むかということについて、十一月までの間に外務省を中心として関係各省で相談しながらそれに対応していくということかと思います。  いずれにいたしましても、日本海洋投棄をする意思を持っているかのごとく誤解されるような対応をすることは非常にまずいと思いますので、そういう対応にならないようにしたいと科技庁としては思っております。
  70. 小杉隆

    ○小杉委員 その文章を見ると、日本政府が、海洋投棄に対して今日我々がこれだけ問題にしているような強い日本国民の意思というものを本当に国際の場で訴えようとしているのかどうか、その姿勢を非常に疑問に思わざるを得ないのです。会議というのは十一月八日から始まりますけれども、その準備のぺーバーがすべてその国の姿勢を物語るものでありますし、できればもうちょっと海洋投棄に関してコメントを追加してでもいいから出すべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  71. 工藤尚武

    工藤説明員 今後の会議に臨む過程で、いろいろな案をこれから出していくかと思いますが、その過程で先生の御指摘を十分踏まえまして対応したいと思っております。
  72. 小杉隆

    ○小杉委員 今回の首脳会談東京宣言並びに経済宣言が発せられたわけですが、今度のこうした一連の日ロ会談で拡大均衡という基本原則というものが確認をされて、従来の政経不可分という路線から一歩踏み出して、政経不可分から拡大均衡という方向へ向かったわけですけれども、例えば今度の二度にわたる海洋投棄がもし行われたとしたら、やはり率直な日本国民感情というのは、拡大均衡じゃなくて縮小均衡で、こんな国にどうして日本の貴重な税金をつぎ込むのかというのが率直な感情だと私は思うのですけれども、この問題と経済支援、中には、経済支援を見合わせるべきじゃないかというような強い意見もあるのですけれども、そういう点に関して大臣の見解を聞きたいと思います。
  73. 羽田孜

    羽田国務大臣 私どもといたしましては、この間の東京宣言それから経済宣言、これをつくりながら、まさに一つの本当の話し合いができるという方向にようやく実は進み出したところでこういうことをやるということ、これがどんなことになるのかということについて、ぜひともひとつあなたも理解してもらわぬと困るよという言葉で実は申し上げながら、率直な話をしておるところであります。  ですから、私どもといたしましてはこの投棄というものを何としてもやめてもらいたいということを強く話していくということが今当面としては大事なところであろうと私は思っております。  しかし、今小杉委員からの御指摘気持ちはよく私どもも承知いたしておるということだけを申し上げさせていただきます。
  74. 小杉隆

    ○小杉委員 我々があくまでも経済支援をやろうというのは、やはりロシアの社会が民主化されて市場経済を進めてもらいたい、そして、環境にもきちんと配慮する国になってほしい、こういうこれからの世界にとって大事な姿勢を示してもらうということが前提で経済的な応援をしようではないかというのですけれども、今度のようなこういう行為を見ますと、非常に釈然としない気持ちを持つ。だから、もし二度と海洋投棄をやったら、この経済支援は一時見合わせるぐらいの強い姿勢を持って臨んでもらいたいと思うのです。これは答えにくいだろうから、私は言うにとどめておきますけれども。  それから、実は先ほど国際的な関連の中で働きかけを強めるべきだということを申しましたが、私どもは実はエリツィン大統領に手紙を送りました。これは先ほどから再々申し上げておりますGLOBE(地球環境国際議員連盟)、これはアメリカとECと日本ロシアも入っていたのですが、ロシアはあのように国会が機能停止のような状況になっておりますので、昨日から、アメリカの上院議員でGLOBE・USAの会長をやっているジョン・ケリー上院議員とか、GLOBE・ECの会長をやっているヘモ・ムンティング、これはオランダの議員です、それからGLOBE・JAPANの事務総長の堂本暁子参議院議員、この方々に、文案をつくりまして、これをコンピューター通信あるいはファックスで送って、すべて、時差もありましたので、けさの時点で全員の了承をとりつけまして、これでロシア放射性廃棄物海洋投棄に対するGLOBEとしての抗議といいますか、中止を求める手紙をエリツィン大統領あてに送りました。これは後ほどまた参考にやりますけれども。  日本としても、ぜひそういう国際的なかかわりの中でやっていただきたい。既に具体的に何かいろいろと努力をされているようですけれども、特にアメリカなども、きのうこの手紙、ファックスを送りましたら、大変いい提案をしてくれたといって飛びついてこられたのです。アメリカの世論も海洋投棄については非常に関心を持っておりますので、特にアメリカあたりに強く働きかけて、ECの中には若干、フランスやイギリスの対応がどうかなと思う点があるのですが、その辺のニュアンスというか各国対応ぶりというか、もしわかったらひとつお知らせいただきたいと思います。
  75. 林暘

    林説明員 先ほど大臣からも御説明申し上げましたとおり、この件につきましてロシアに対して懸念を表明して、即時停止を求めるためにG7諸国による申し入れをやろうということで、今関係の国に働きかけをしているところでございます。まだ、関係の国からとりあえず返事が返ってきておりませんので、それぞれの国がどういう意見、コメントがあるか、今の時点では承知しておりませんけれども、何とか我々としてはこういう申し入れを、ロシアに対してG7共同でできるようにしたいというふうに思っております。
  76. 小杉隆

    ○小杉委員 それから、隣の韓国に対しては働きかけをやっているのかどうか。ここには外務省の今後の対応ということで資料をいただきましたけれも、ロンドン条約の際に働きかけをやるというのですが、私はもっと今の段階で、せめて韓国ぐらいには、韓国も抗議を出しているわけでしょう、ですから、韓国政府ともよく連絡をとって、ロンドン会議の前にもうちょっと協調するような努力をすべきではないですか。
  77. 林暘

    林説明員 小杉先生御指摘のとおりでございまして、同じような立場にあります韓国、それからノルウェーもそういう立場にあろうかと思いますので、そういったところとロンドン会議を待たずに接触をとって、共同のことができるかできないか、働きかけをしてみたいというふうに思っております。
  78. 小杉隆

    ○小杉委員 もう時間が追ってまいりましたので、私は、この問題はやはり細川内閣の力量を問われている問題だと思うのですね。とにかく政治宣言、経済宣言を決めて、これから日ロ関係の第一歩だと意気高らかに成果を誇っていたところへ突然のように冷水を浴びせられた。この問題をきちっと処理しないと、日本の対日感情というのは前よりももっと悪化する危険性があると私は思うのですね。したがいまして、この問題の処理については、私は本当に真剣に取り組んでもらいたいし、これはもう先ほどの情報収集の手ぬるさ、そういうものに対してもっと厳重な反省と、それから、やはりロシア政府に対してはっきりと言うべきことはきちっと言っていく、そして約束したことはやっていく、こういう姿勢が必要だと思うのです。どうぞひとつそういう毅然とした態度で対日交渉に当たってもらいたいと思うのですが、外務大臣に、これは聞かなくてもいいのですけれども、もしありましたら決意を聞かせてください。
  79. 羽田孜

    羽田国務大臣 私ども、この間の成果というものを、これはただ誇るべきものじゃない、むしろ確実なものにしていかなければならないというので、私どもの思いはむしろ控え目であったわけであります。しかし、控え目にいたしましても、ようやく話し合いのきずながこうやってきちんとでき上がったというところで今度のこういう対応ということなものでございますから、本当に、私たちは一体何をやっているんだろう、こんなことをやったら、またもとへ戻すどころかとんでもないところへいってしまうよという思いが実はあるわけでございます。  そして、私自身は、外務大臣に就任して以来、どこの国に対しても言うべきことはきちんと言っていくということで、今度の国連の中でも、いろいろな国の皆さん方とお話し合いをするときにそういう姿勢でやってまいりましたので、これからも、今御指摘のあったことを私ども念頭に置きながら、まさに毅然とした対応というものにしていくということをこの機会に申し上げさせていただきます。  ありがとうございます。
  80. 小杉隆

    ○小杉委員 我々としても、この事態の推移はじっと見守って、必要な声明なり意見の具申はどしどしやっていきますから、ぜひ謙虚にいろいろな意見も聞いて対処してもらいたい、このことを申し上げて質問を終わります。
  81. 菅直人

  82. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 私は、今の小杉委員質問に関連しまして、自由民主党を代表して、海洋投棄問題に関して質問をさせていただきます。  何といっても、この前エリツィン大統領が日本に見えて、日ロ共同宣言、いわゆる東京宣言が採択された。「新たな国際秩序の構築のために及び二国間の関係の完全な正常化のために、」両国は協力していくことを決意したということを述べたばかりでありまして、その大統領が帰ったら間もなく、我々の顔にぞうきんをかけられたような事態になったという印象を受けておるわけであります。  ところが、これに対して、政府対応は甚だ納得がいかないのです。何か余り騒ぐなどか騒ぎ過ぎじゃないかとか、それから、ロンドン条約では低レベルの核廃棄物は野放しなんだから文句の言いようがないんだとか、そういうような非常に後退した姿勢があるのですね。  そしてさらに、疑って甚だ恐縮でございますが、そうでなければまた別なことで問題にしたいのですけれども、きょうの新聞記事で、これはポルトフ特約記者というウラジオストクのロシアの記者が書いた記事ですよ。これによりますと、「太平洋艦隊司令部報道官のリシコフ大佐によると、九月二十三日に司令部は双方から」つまりモスクワの軍参謀本部と環境天然資源省から「正式許可を受けた。」そして「環境天然資源省は同時にウィーンにある国際原子力機関(IAEA)に通報した。」この通報したというのは、先ほど大臣お話で、事務局長日本に来ておって、ブリクスですか、これは旅行中に聞いた、こういう話をしていますから事実でしょう。で、「このため、専用船には環境天然資源省の専門家が同乗、投棄状況をずっと監視していた。」と、こう書いてある。  そして、それから後が問題なのです。「IAEAから情報が流れたのか、艦隊司令部諜報部は投棄出港の一週間前に「今回は日本をはじめとする外国の調査船が投棄状況を監視する」という情報を入手した。」というわけですね。「このため艦隊司令部は情報船「ベガス」号も同行させ、投棄現場周辺での外国調査船、航空機を監視することになった。」という事実があるのですよ。  そういうことですから、これはもう確実にIAEAに通報して、それがいろいろなところへ流れたという情報を向こうがキャッチしている。外務省だけ何も知らぬと、そんなばかなことはないでしょう。どうなんですか。
  83. 林暘

    林説明員 ロシア側が十月五日付でIAEAに通報したということは事後的に我々は知りましたし、IAEAからの確認をとっておりますけれども、我々が事前にその情報を得ていたということはございません。
  84. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いや、ないということであれば、外務省情報収集能力を疑わざるを得ない。一体そんなことでどうして外務省は仕事ができるんだ。我が外務省はそんなに能力ないとは私は思わなかったけれどもIAEAに我が方だって外務省からも出向している日本人もいるし、ともかくほかにも漏れているわけですから、漏れていて、現に民間の監視船が行っているんだから。それで、それが漏れたこともわかっているんだね、相手には、ソ連には。ロシアの極東艦隊はわかっている。知らぬは我が外務省ばかりなりということになりますが、そういうことですか。もう一回聞きます。
  85. 林暘

    林説明員 事前にロシア海洋投棄をやるという情報を我々外務省は得ておりませんでした。
  86. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 大臣、どうですか。今外務省は何にも知らなかったということで、大臣、仕事できるのですか、こんなことで。
  87. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題につきましては、私どもこれに対して抗議をする、あるいは報道関係に対しても我々が遺憾の意を表明したことについて報道する……。  実は、アメリカ自体もこの問題について、抗議といいますか遺憾の意を表明したのはたしか昨日か一昨日だったというふうに思っております。そして、この問題について、日本行動に対して我々としてもよくこの点は理解をする。先ほど小杉委員の方からもお話がありましたけれども、行政府の方でもやはりそういった反応が返ってきておるということでございまして、これはアメリカも、もし事前に承知しておったなら、これに対してやめるようにという通告をしたはずでありまして、私はこれは間違いない事実であろうというふうに思っております。
  88. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 羽田大臣御自身も騒ぎ過ぎと発言しているやに承っておりますけれども、これは公式の場じゃありませんよ、だから、問題にすることではないのですけれども、とにかく政府認識がどうも少し甘かったんじゃないかな、こう思います。
  89. 羽田孜

    羽田国務大臣 ちょっと今言われた騒ぎ過ぎなんということについて、私は申し上げたことはありません。ただ、こういった問題というのはきちんとやはり把握しておかなかったら、やはり強く向こうに出なきゃならぬわけでございまして、そのためには情報というものをきちんとつかんで対応すべきだという思いのことは言っております。
  90. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 そこで、外務省の今の情報収集能力については、ぜひともこれはしっかりやっていただきたいし、国民感情を逆なでするようなこのロシア対応についてはきちっとやっていただかなきゃならぬと思うのですね。  ともかく、エリツィン大統領が来日した際、過去の海洋投棄の影響を日本政府調査しようと、何回も投棄しておるということを把握して提案したはずなんですね。そして、その共同調査を進めるという合意が成立しておると私は理解しておりますが一とうなんですか、この点は、事実関係は。どういうやりとりがあったか、はっきり言ってくたさい。
  91. 林暘

    林説明員 エリツィン大統領が訪日した際、細川総理との会談の中で、共同調査関係につきまして細川総理より、年内、遅くとも来年早々には日ロによる日本海海域の投棄場所についての共同調査をやりたいので協力してほしいということを発言されまして、それに対してエリツィン大統領の方からは、十一月に共同作業部会もやるし、そういう方向でやっていきたいという返答がございました。
  92. 野村一成

    野村政府委員 ただいまの説明に一点……。  首脳会談におきましては、細川総理の方から、この海洋投棄の問題というのは日ロ双方にとって重要な問題であるということをきちんと指摘された上で、日本側として従来よりこういった海洋投棄即時停止を求めてきたという点をきちんと強調されております。
  93. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 そうすると、今の事実にもかかわらず、大統領が帰国すると、待っていたようにこういう事態が起こった。我々日本国民感情を全く逆なでしているのじゃないですか。何のための日ロ首脳会談だったんだ、こう言わざるを得ないですね。これについてどうでしょうか、大臣
  94. 羽田孜

    羽田国務大臣 まさに今御指摘のありましたようなことでございますから、私どもといたしましても遺憾の意を強く表明すると同時に、これに対して抗議申し入れ、しかも、彼らが投棄というものをやめるようにということを実は強く訴え、そして、そういったことをきちんと履行してくれないと、やはり日本国民感情としては、せっかくここに一つお互いに話し合う基礎というものを築いたにもかかわらず、これが全部ぶち壊しになりますよということまで実は申し上げながら話しておるということであります。
  95. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 ここで、少なくとも今、ウラジオストクから出港しようとしておる、また投棄をやろうということで船が、きょうは今のところまた動き出してないという情報を得ておりますが、これをとりあえず中止させるということは絶対に必要だと思うのですが、大臣どうでしょうか叫
  96. 羽田孜

    羽田国務大臣 その思いで、私どもは、いろいろな手だてを活用しながらそういう措置をしてもらうように対応しておるところであります。
  97. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 さらに、この問題は冷静に考えますと——IAEAブリクス事務局長は、日本に来て日本状況にびっくりして、健康に被害のない低レベルの程度で何でこんなに騒ぐのだろうと言っているというのですね。こういうところが非常に私は問題だと思うのですよ。  先ほど小杉委員も言っておりましたが、一回の投棄の影響は少ないにしても、何回も重ねてやれば集積されて大変なことになも。環境が破壊される。そればかりじゃありません。低レベルというのは一体国際的にどの程度で低レベルというのかという合意も何にもないじゃないですか。ロシアは低レベルだと言っていても、こっちから見たら大変な高レベルなものが入っているかもしらぬ。こういう点についての保証も何もない、こういうことではないかと思うんですね。これらについて、外務省はどういう対策をとろうとしておるのか。
  98. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 お答えいたします。  低レベルの定義についてでございますが、ロンドン条約では、高レベルについては原則禁止されております。(原田(昇)委員「そんなことはわかっているんだよ。低レベルの定義は何だと言っているんだ。国際的に確立されているんですか」と呼ぶ)アルファ核種につきましては、5×10TBq/kg当たりということでございまして、恐縮でございますが、ベータ/ガンマ、トリチウム等について・・・(原田(男)委員「あると言えばいいんだよ、ありますと」と呼ぶ)あります、きちっとされております。
  99. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 それで、もう一つ伺ったのは、IAEAブリクス事務局長は、そんなことをうそぶいておるという、大したことないんじゃないかと言っておるらしいから、これについてはしっかりと事情説明をして、理解をして帰ってもらわなきゃ困る。
  100. 羽田孜

    羽田国務大臣 昨日実は会ったわけでありますけれども、決して何もうそぶいているというようなことではありませんで、やはり日本の国としてこういった問題に対して反応するということについて、私どもとしては理解できる。ただ、要するに、その中で説明したのは、今お話があったように、いわゆる今度の場合には、廃棄物がニキュリー強ということで量的には非常に少ない、放射能も低レベルであって、健康に対する影響はまずないと判断をしておるということは言われたことは事実であります。  そして、けさジャパン・タイムズを読んで自分は感銘を受けた、ロシアの行った海洋投棄については当然不満を表明して、再投棄を行わぬよう申し入れることとか、あるいは事前の通告がなかったことに対し遺憾の意をやはりはっきりと表明すべきであろうということ、そして、ただ問題は、いかなる方法をとればロシア海洋投棄をしないで済むのかといった建設的なアプローチというものもこれからしていく必要があるであろう。そして、共同調査というものはやはりやるべきであろう。また、IMOですとかあるいは我々IAEA、こういった機関としても協力していくことがより効果的であると思って、私たちが技術的なノウハウというものは提供する用意があるという話があったところであります。
  101. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今おっしゃるとおり、共同調査とか建設的なアプローチというのは、これはやらなければいかぬと思うのですね。きょうは時間がありませんから、これについては議論しませんけれども、ぜひそれをやっていただきたい。  しかし、同時に我が方独自でもこの調査を、監視体制というものをしかなきゃならないと思うのですね。  海上保安庁あるいは気象庁の観測船を出すという話を聞きましたが、あれは二百海里の中へは入れないんでしょう。そうすると、現場からかなり離れたところからしか調べられませんね。それはどうなんですか。簡単にやってください、時間がないから。
  102. 山本孝二

    ○山本説明員 今回の問題につきまして、気象庁といたしましては、舞鶴海洋気象台の清風丸を当該海域に出すわけでございますが、この海域については、五月の段階でも同じような調査をしてございまして、海水の拡散等があれば、その変動量を容易に検出できるというふうに思っております。
  103. 菱田昌孝

    ○菱田説明員 海上保安庁につきましても、気象庁と同様、最も中間線に近いところに四点ほど測量船明洋によりまして観測をして、厳重な調査を行いたいと考えております。
  104. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 先ほどの原子力安全局長からの答弁ですが、どうも何かアルファ、ベータとか何か言われて非常にわかりにくいんで、国民にわかりやすいような、低レベル廃棄物、高レベル廃棄物、ひとつ何か書面にしていただきたいと思う。  時間でございますので、最後に、私は、このロシア海洋投棄、これはまずとりあえず次のものをとめるということをぜひやっていただきたい。そうでなければ、これは日ロ東京宣言というのは何か色あせたものになってしまう、こういうように感ずるわけです。せっかく前向きにこれから拡大均衡に向けて両国関係を築いていこうという努力が水泡に帰さないとも限らない。両国関係がこんなにいい雰囲気のときに、こういうことで水をかけられてしまうというので、まことに残念です。ぜひこれは海洋投棄中止外務大臣に責任を持ってやらせてもらいたい。
  105. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほど小杉委員、そして原田委員の方から今お話があったわけでありますけれども、私どももその覚悟でやはり全力を尽くしていくということを申し上げたいと存じます。
  106. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 時間が参りましたから、やめます。
  107. 菅直人

    菅委員長 笹谷原子力安全局長、もう一度。
  108. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 先ほどの説明で若干不適切でございましたので、答えさせていただきます。  原子炉から出てまいります使用済み燃料、あるいは再処理から出てまいります高レベルの廃棄物、こういうものが高レベルでございまして、こういうものは禁止されております。それで、低レベルにつきましては、IAEAの基準で数字が決められております。  以上でございます。
  109. 菅直人

    菅委員長 古堅実吉君。
  110. 古堅実吉

    ○古堅委員 最初に、ロシアの核廃棄物海洋投棄問題について質問いたします。  今回のロシア放射性廃棄物質の日本海への投棄は、環境を汚染し、日本国民の健康を脅かす重大問題であることは申すまでもございません。たび重なる中止要求を無視した暴挙であることも言うに及ばないことです。外交という点でも、ついせんだっての日ロ首脳会談で「放射性廃棄物海洋投棄が、世界的な規模において、なかんずく、周辺諸国の環境に与える影響の見地から、深刻な懸念を惹起していることを確認する」云々ということを表明しながら、その一方で海洋投棄の準備を進めて、首脳会談が済めばすぐに投棄を強行する、こういうことになっているものであります。まことに理不尽と申さねばなりませんし、言語道断の行為です。  しかし、それは、日本政府がこういうことに対して毅然とした態度をとってこなかったというところに一つの要因があるというふうに考えます。  こういうことを許した政府の責任は免れない、このように考えますが、外務大臣、事の経過からしてどう受けとめていらっしゃいますか。
  111. 羽田孜

    羽田国務大臣 私どもは、過去のいろいろな厳しい状況というものを踏まえながら、わざわざエリツィンさんが日本に来日された、そして率直な話し合いをすることができた、そして新しい日ロ関係というものが。ここに構築されていくのではなかろうか、こういう希望を持ち、そして、これからフォローアップのいろいろな話し合いというものをしていこうというやさきでありましたから、私どもも本当にショックを受けたというのは率直な思いでありまして、その思いを率直にまたコズイレフ外務大臣に対しましても、あるいは枝村さんから環境省の大臣に対しましても、あるいはそれぞれ担当の皆さんに対しましても、また東京のチジョフ大使に対しましても、要するに、せっかくこういうふうに構築されたものを、せっかく信頼醸成を、つくり上げようとしているものが崩れ去っては一体どうなるのだろうか、このことを実は率直に訴えたところであります。
  112. 古堅実吉

    ○古堅委員 ショックを受けたとおっしゃいます。国民の立場から、ロシアの今展開されている行為などというものはだれの立場からも納得できるものでない、糾弾しなくちゃいかぬ、皆そういう気持ちだと思います。  ところで、ショックを受けたとおっしゃる。そういうものについて外交的な立場からどのような有効な手を打つかということがまた問われる問題です。再び本日投棄をするなどということが報道されています。本当に許せるものではありません。こういうことが絶対に許されてはならない、ショックを受けるような事態だということをお考えであれば、それにふさわしい外交的なちゃんとした態度をとられるというふうに受けとめてよろしいですか。
  113. 羽田孜

    羽田国務大臣 私どもとしては今ありとあらゆる手を尽くしているところであります。
  114. 古堅実吉

    ○古堅委員 この間新聞各紙にも報道されました。外交のかなめにある外務省自身が、エリツィン大統領を擁護する、そういうふうな立場から、国民の命と健康を犠牲にする、そういう考えなのかと受けとめざるを得ないような外務省首脳の言動がございます。  十九日付の各紙は、斉藤事務次官が「この問題をあまりセンセーショナルに取り上げない方が良いと思う。ロシアは隣国であり、遠い国とは違って、いろんな問題が起こるのはやむを得ない」「日本ロシア友好関係を発展させる必要がある。この過程の一つの事件が、両国関係を悪化させることは避けたい」と述べておるのです。  唯一の原爆放射能の犠牲にされた日本国民が放射性物質の投棄問題を厳しく糾弾する、そういう立場からいろいろな声が上がる、これは当然のことです。そういうことをとらえてこのような言動をする、センセーショナルなどというふうなこと、これが許されていいはずはない。大臣、事務次官のこういうものは叱責に値する言動じゃありませんか。
  115. 羽田孜

    羽田国務大臣 報道がされたことによって、あるいは今読み上げられただけですと誤解されるようなそういうあれがありますけれども、しかし、斉藤次官は、決して日本国民の健康を損ねていいなんという思いは一つも持っている人ではありませんし、私もずっとあの方とおつき合いをしておりますけれども、そんな方ではないということです。  ただ、要するに、本当に実効を上げなければならぬ、そういったことのためにありとあらゆる情報をあれして、事実が一体どういうことなのかまず把握したいという思いの中から、今のような、まあ字面で追ってみますとそう聞こえるのかもしれません、しかし、やはり本気になってこの問題について取り組んでおられる、まさに寝ないで取り組んでいるということも申し上げてもよろしいと思っております。
  116. 古堅実吉

    ○古堅委員 国民の立場に立って許されないこういう言動を、その上司であられる大臣が擁護するなどということはもってのほかです。この事務次官がどう考えてそういう言葉を言われたか、それは吟味する必要はありません。言葉にセンセーショナルなそういうとらえ方をしない方がいいなどと言って、国民に騒ぐな騒ぐなど言っているのと同じじゃないですか。国民が細川内閣のエリツィン擁護の犠牲にされてはたまったものではありません。  もう一つ申し上げます。すべての放射性廃棄物海洋投棄を一時停止する、そのことを合意した一九八五年のロンドン条約締約国会議の決議の関係でも日本政府の態度は重大だと申さねばなりません。ロシア海洋投棄している放射性物質が、原潜の原子炉を含む高レベルの物質である疑いもありますけれども、仮に低レベルであってもこの決議違反であることは明白だ、そういう問題なんです。  この決議には旧ソ連も日本も棄権しています。棄権した一方がそれを無視する、棄権した一方がそれを緩やかに受けとめる、そういうなれ合いが進行しているという事態がありませんか。
  117. 河村悦孝

    ○河村説明員 御指摘の八三年の決議でございますが、これは確かに御指摘のとおり日本も旧ソ連も決議は棄権しておりますが、その後日本側は、採択された決議をこれまでも遵守してきております。また、八五年の中曽根総理の南太平洋諸国の際に、関係諸国地域の懸念を無視して海洋処分を行う意図はないと表明しておりまして、この方針は現在も変わっておりません。他方、ロシアによる海洋投棄は同決議に違反した行為でございまして、我が国としてもロシアによる同決議遵守を求めていることは当然と考えております。  したがって、決議採択の際の我が国対応と、今般のロシアに対する対応には矛盾はないと考えております。
  118. 古堅実吉

    ○古堅委員 大臣外交はいろいろと配慮しなければいかぬそれぞれの立場がありましょう。しかし、ばかにされちゃいかぬですよ。国際的にも通用しないようなこういう態度を許すという面からは、それぞれの立場からいろいろと配慮すべきなどとかいったふうな範囲りものではないことは言うまでもありません。  この決議に違反していることで、ロシア海洋投棄中止を求める根拠が日本政府の立場からも言える、国際的にも通用するそういう立場から言えますし、それにもし従わないということであれば、政府として経済制裁も辞さないという態度などをもって本当に実効性ある、そういう立場から迫るということこそが今求められているものじゃないか、こう思います。いかがですか。
  119. 羽田孜

    羽田国務大臣 どの言葉を使って先方に申し上げたかということは申し上げませんけれども、私としては実効性のある効果をやはり求めたい、そのつもりでけさ、明け方ですか、まあ真夜中ですか、コズイレフさんとも話したところであります。
  120. 古堅実吉

    ○古堅委員 国民の名において断固たる措置を政府がとられるよう強く要求しておきます。  次に進みます、沖縄の演習の問題です。  きのうから県道百四号を封鎖して核非核両用百五十五ミリりゅう弾砲の演習が始まっています。県道越えの実弾演習については、沖縄の米軍基地が再編強化される中で毎年激化しているということをとらえて、私はことしの三月にもこの問題を質問いたしました。  今年七月、海兵隊のスタックポール司令官が、良識ある者なら沖縄の基地が住民を押しのけて不合理であることについては疑いない、このように述べました。米軍の司令官をしてそう言わしめるような事態が戦後五十年近くなった今日もなお続いておるのです。大臣はこういう事態をどう心得ておられますか。基本的な問題ですから、大臣の立場から最初にお答えください。細かいことについては後ほどまた質問いたします。
  121. 佐藤行雄

    ○佐藤(行)政府委員 前回の委員の御質問にも私がお答えをした経緯もございますので、その後のことも踏まえてお答えをさせていただきたいと思います。  まず、スタックポールさんの発言でございますが、我々もいろいろ関心を持ちまして、どういうことを言われたのかということを調べさせていただいたわけでありますが、趣旨の点は、まさに沖縄における基地の存在あるいは沖縄のそうした一〇四号線越えの演習が県民の方々に与えている不安感というものを少しでも軽減したいという気持ちから出たものだと承知しております。  いずれにせよ、この問題につきましては、我々従来から公共の安全に十分に配慮するように申し入れているわけでありまして、安全かどうかという点については、その点はアメリカ側も十分配慮していると思っております。  ただ、それに加えて、県民の方々がいろいろなお感じを持っておられるわけで、我々もいろいろな形で県民の方々のお気持ちに配慮するようにアメリカ側に申し入れてきたわけでありまして、ことしの八月に一〇四号線の、小学校に一番近い、また県道に近い砲座の三つをアメリカが使用を停止したわけでありますが、こうしたことが一つの向こう側の、アメリカ側の気持ちのあらわれだろうと私は認識しております。
  122. 羽田孜

    羽田国務大臣 私どもの方からの申し入れ、いわゆる県民、住民の安全、このために申し入れたことに対しまして、米軍の方も十分配慮を払っておるというふうに私どもの方も考えておるということであります。
  123. 古堅実吉

    ○古堅委員 これまで毎年毎年演習が激化してきている、そういう状況というのが実に露骨な形であらわれていますが、十九日から始まった四日丸ごとの連続というのは、これまでかつてなかった、初めての、本当に強行のものなんです。確かに四日というのはことしの一月、六月にもありましたけれども、間に半日が二日加わってのものでした。丸ごと、朝から夕方まで目いっぱい四日間というのは初めてです。しかも、それを強行するその初日に、きのうですが、また二十六日から二日間やりますという通告さえ参っておる。ひどい話です。  こんなことが沖縄にあって、沖縄の立場から見ると、どんな弁明をしても断じて許せぬ。なぜ全国の立場から沖縄であればやむを得ぬだろうということになるのか、合点のいかぬ話です。  演習場移転問題についてのスタックポール発言を受けて、アメリカ側から日本政府への何らかの連絡、相談、そういうものがありましたか。
  124. 佐藤行雄

    ○佐藤(行)政府委員 今の点にお答えする前に一つだけ申し上げておきたいと思いますが、アメリカ側の演習につきましては、ふえたり減ったりすることがございまして、ただ右上がりにふえているわけではない点は先生も御承知だと思います。演習というのは、そこにおりますときの兵員の練度とも絡んで、その都度個別の演習計画が組まれて行われるものでございますので、訓練の度合いがただふえているわけではございません。  それから、今の一〇四号線越えの射撃訓練の移転問題でございますけれども、私たち、この前申し上げましたように、沖縄の幾つかの問題について従来国会等で御要望のありましたことについてアメリカ側との調整を行っております。その一つがこの一〇四号線越えの射撃の問題でございます。ほかにも従来から御指摘の点もございます。  それで、今の時点ではまだアメリカ側からの回答は来ておりません。若干時間がかかっていると思います。  その事情につきましては前回もここでお答えいたしましたけれども政権交代がございました事情で、米側の検討がおくれているという事情はあると思います。  ただ、いずれにせよ、一〇四号線の問題につきましてもどういう形での答えが出てくるか、ただ移転ということで出てくるのかどうかわかりません。今はまだアメリカ側で検討中でございます。ただ、今この時点で申し上げられますのは、この問題も含めて、今向こう側と話し合っているということでございます。
  125. 古堅実吉

    ○古堅委員 今、演習がふえたり減ったりする、ただふえてばかりはいないなどということをおっしゃるのですけれども、本当に日本国民政府の立場からまともに物を言うのだったら、そういう説明というのはできないはずなんですよ、復帰後のこの経過を見れば。この二、三年というのは、もう本当に考えられないほどの激化というものが数字的にも明確です。  しかも、九月までの締めくくりで申せば、ことしも回数、日数、弾数、すべて新しい記録をつくるのじゃないかと思われるような激化の方向ですよ。単にふえたり減ったりなどとかいうふうな形でごまかしてそれを説明し、あたかも大したことがないのだというふうに見せかけようなどとかいうような説明はここではやめるべきです。言語道断の態度です。  こういう演習激化について日本政府としてもっと積極的に、アメリカの司令官でさえもああ言わざるを得ないような実態というものについて、国民の安全を預かる政府の立場から、もっと県民の願いにこたえて言うべきことがあるのじゃないですか。やめろとはっきり言えないのですか。
  126. 菅直人

    菅委員長 時間が過ぎているので、簡単にお願いします。
  127. 佐藤行雄

    ○佐藤(行)政府委員 二つだけ簡単に申し上げます。  一つは、我々沖縄の県民の方々の御事情に十分理解をして日ごろから努力していることは、この前、何回も申し上げているわけであります。  第二に、安保条約を結んで、いざとなった場合にアメリカ側の救援を仰ぐという立場をとっている、お互いに同盟国でございますので、軍隊に必要な、最低限の必要についての訓練までやめろということは言えません。問題は、それを公共の安全と両立させるように、それから県民の方々に対する不安を極力少なくするようにやるように要望しているだけでございます。
  128. 古堅実吉

    ○古堅委員 まるで細川内閣もアメリカ政府の代理人のような言い分じゃありませんか。  終わります。
  129. 菅直人

    菅委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会